洋榎「うちにとってセーラは……」 (33)

洋榎中学2年

インターミドル大阪大会


対戦相手「あ、ありがとうございました……」カタカタ

洋榎「……ありがとうございました」


つまらんな……

何なんやこの歯ごたえの無さは

こいつらみんなデクか?

大体ハナから勝ちにきてないんちゃうか?

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対戦相手A「やっぱり強いよ、愛宕さん……」

対戦相手B「あの愛宕プロの娘やもん、仕方ないよ……」

対戦相手C「そーそー、私たちとは何もかも違うんやから」


何が愛宕プロの娘や

うちの強さとオカンがプロなんは何も関係無いやろ

くだらない言い訳で自分を正当化すんな

うちは勝つために努力してきたんや

お前らなんかとは違う

いつもこうや

愛宕プロの娘だから強い

愛宕プロの娘には敵わない

お前らが戦ってるのは誰や!?

うちのオカンなんか?

違うやろ!?

うちや! 愛宕洋榎や!





洋榎「……よろしくお願いします」

対戦相手D・E「よろしくお願いします」

セーラ「よろしくお願いします!」ニコッ


どうせこいつらもうちの相手にならないんやろ?

ちゃんと相手すんのもメンドイわ

適当に流して早く終わらせたろ……


セーラ「ロン! 12000!」

洋榎「……え?」

うちが直撃くらった?


セーラ「ボーッとしてたらあかんで~、愛宕さん?」ケラケラ

洋榎「ッ!?……はい、点棒や」カチャ


今のはたまたまや

うちが試合に集中していなかったから

今度はちゃんと


セーラ「ロン! 満貫や!」


またこいつ!?





対戦相手D・E「あ、ありがとうございました」カタカタ

洋榎(何とか勝てた)

洋榎「ありがとうございました……」

セーラ「ありがとうございました!」

セーラ「いやー、やっぱり強いなー!」

セーラ「洋榎は!」

洋榎「!?」

今こいつうちを名前で……?


洋榎「……初対面なのに名前で呼ぶなんて馴れ馴れしい奴やな」

セーラ「俺は対戦して気に入った奴は名前で呼ぶ事にしてるんや!」

セーラ「ええやろ洋榎? 俺の事もセーラって呼んでええから!」ニコッ

洋榎「……まあ、ええけど」

セーラ「じゃあ改めて、これからよろしくな! 洋榎!」ニカッ

洋榎「ああ、よろしく……セーラ///」カァ

男みたいな格好をして

性格も大雑把で

人の内側にも遠慮なく入ってくる

図々しい奴

だけどうちを

愛宕プロの娘やない

愛宕洋榎自身として見てくれる

それが凄い嬉しかった

セーラとはこの大会以降

大小様々な大会で出会う事になった


セーラ「元気にしとったかー!? タレ目ー!」

洋榎「……ここは女子の大会やで? 男子は向こうの会場行けや」

セーラ「だーれが男子やねん! 試合で当たったらボコボコにしたるからな! 覚悟しとけよ洋榎!」

洋榎「んなもん返り討ちにしたるわ! 後で泣いても知らんでセーラ?」

セーラ「……」

洋榎「……」

セーラ・洋榎「……プッ」

セーラ・洋榎「アハハハハハッ!」


打ち解けあうのにも時間はかからなかった

戦績もほとんど五分五分やった

でも戦績以上に

実際にやり合ってお互いの実力を認め合っていた

大会に出たらまずはセーラがいないか確認したし

セーラも会場では、いの一番にうちに会いに来ていたと思う

うちに正面からぶつかって来てくれて

勝っても負けても最後には笑いかけてくれる

そんなセーラに

うちは次第に目が離せんようになっていった





セーラ「負けたー! くやしー!」

洋榎「これでうちの連勝やな?」フフン

セーラ「何があかんかったかなー?」ウーム

洋榎「……」

洋榎「うちの守りを崩そう思って、早上がりしようとしてたやろ?」

セーラ「うん」

洋榎「セーラの良い所は、ちまちま安手で上がる所やない」

洋榎「自分から運を引き寄せてここぞと言う時に大物手を上がる所や」

セーラ「……」

洋榎「だから他の奴に気を取られないで、セーラらしくどっしり落ち着いた麻雀を打てばいいねん」

セーラ「……洋榎って」

洋榎「ん?」

セーラ「洋榎って俺の事よく見てるんやなー?」

洋榎「///!?」カァ

洋榎「こ、これで何回お前と麻雀してると思うねん!? それ位分かるわ!」

セーラ「そんなもんかー?」ウーム

洋榎「それにお前はうちの1番の……ライバルやからな気にして当然や」

セーラ「そうやな! 俺らライバル同士やもんな!」エヘヘヘ

1番のライバル

麻雀においては確かに自他共に認めるライバル同士

じゃあ麻雀をしてない時は?

ただの他校の生徒? 友達?

セーラはうちの事をどう思ってるんやろうか?

うちはセーラの事を……

麻雀以外の時でもセーラと一緒にいたい

そう思うようになった

中学3年の夏
愛宕家


洋榎(セーラはどこの高校に行くんやろうか……)

洋榎(大阪なら千里山、姫松の2強……少し落ちて三箇牧や)

洋榎(セーラの大会の成績なら、どこでも特待生として入れるはずや……うちもそうやし)

洋榎(大阪が好き言うてたし、大阪以外の高校は選ばないと思う)

絹恵「お姉ちゃーん、電話やでー」

洋榎(本人に確かめたいけど、これだけを直接聞くのは恥ずかしいし)

絹恵「電話言うとるやろー! お姉ちゃん!」ガラッ

洋榎「うぉ! びっくりさせんといてや絹!」

絹恵「さっきから声かけてたんやけど……」

洋榎「で……誰からなん? 電話」

絹恵「江口さんやで」

洋榎「そ、それを最初に言ってや!」ダッ

洋榎「……も、もしもし?」ドキドキ

セーラ『おー、洋榎かー?』

洋榎「な、なんやセーラ電話なんて珍しいやないか? 何か用か?」ドキドキ


セーラ『それなんやけど……明日一緒に遊ばへんか?』

次の日


洋榎(まさかセーラから遊びに誘ってくるなんて!?)ドキドキ

洋榎(セーラにどこの高校行くのか聞くチャンスや!)

洋榎(……絹に服選んでもらったけど、おかしくないやろか?)ドキドキ


セーラ「お!? 時間通りに来るなんて感心やなー? おはようさん」テクテク

洋榎「お、おはよう!」

セーラ「スカートなんか履いてどないしたん? 女の子みたいやん?」

洋榎「お、お前に言われとうないわ!」

洋榎(セーラは相変わらず短パンか……男の子みたいやけど、これが一番似合うてるわ)





セーラ「このタコ焼き美味いなー! いくらでも食べられるわ!」モグモグ

洋榎「口の周りソースだらけやで、拭いたるからこっち向き?」フキフキ

セーラ「ありがとう、お姉ちゃん」

洋榎「あんたのお姉ちゃんになった覚えは無いわ」

セーラ「絹ちゃんと一緒に3人姉妹でええやんか?」

洋榎「お前は可愛げないから妹にはなれんわ」

セーラ「えー? ひどいわー」

セーラ「電話で少し話したけど、絹ちゃんってええ子やな?」

洋榎「うちの自慢の妹やで」

セーラ「やっぱり姉妹やから、洋榎とは似とるんか?」

洋榎「そりゃ姉妹やからそっくりやで! 絹はつり目でおっぱいが凄い大きいけどな!」

セーラ「それどこも似てないって事やんけ……本当に姉妹なんか?」

洋榎「な、何となく雰囲気が似てるんや!」

セーラ「急に理由が曖昧になったな」

洋榎「ほっとけ!」





セーラ「……楽しかったなー! 今日は遊び疲れたわ!」

洋榎「まあまあ楽しかったわ」

洋榎(ゲーセン行ったり、カラオケ行ったり……セーラといると楽しいわ)

セーラ「たまには麻雀抜きで洋榎と一緒にいるのもええな……洋榎といると楽しいわ」

洋榎(セーラ、うちと同じ事考えてくれてる!)ドキドキ

洋榎(……聞くなら今やな)

洋榎「……セ、セーラは高校どこに行くんや?」

洋榎「……」ドキドキ

セーラ「高校かー……俺は千里山にしようと思ってる」

洋榎(千里山……オカンが監督しとるから正直行きたくは無いけど……セーラが行くなら!)

洋榎「じ、実はうちも千里山に……」モジモジ

セーラ「怜と竜華も千里山行く言うてくれたからなー!」

洋榎「……え?」

セーラ「あっ、怜と竜華っていうのは同じ中学の仲間なんや!」

セーラ「竜華は俺と同じくらい麻雀強いんやけど、怜が病弱でな世話するのに忙しくて大会に出られないねん」

セーラ「怜は麻雀が全然強うなくてなー、せやけど一生懸命強くなろうと努力してる頑張り屋さんやねん!」ニコニコ

セーラ「3人で千里山入って全国目指そうって約束してるんや!」

セーラ「3人揃えば洋榎のいる学校にだって負けへんで?」

洋榎(!?)

セーラ「そういえば、この間の部活で怜の奴面白い事言うてたんやけどな……」ニコニコ

洋榎(うちと一緒にいる時よりも、楽しそうな顔するんやな……セーラ)

洋榎「怜って子の話してる時、随分楽しそうやな? セーラ」

洋榎「……好きなんか? そいつの事?」

セーラ「そ、そんな訳ないやろ!///」カァ

セーラ「怜はただの友達やし、怜には竜華がおるし……///」ブツブツ

セーラ「だ、だから……す、好きとかそんなんじゃあ///」アワワワ


洋榎(……何ちゅう顔するんや、セーラ)

洋榎(……そっか)

洋榎(うち分かったわ)

洋榎(セーラにとってうちは本当にただのライバルなんやな……)

洋榎(それ以上の存在には絶対になれへん……)

洋榎(セーラがライバルの関係しか望まないなら……うちはそれだけでも十分や)


洋榎「……うちは姫松に行く」

セーラ「ひ、姫松かー、あそこも強いもんなー、でも県大会では当たらんから直接当たるのは全国でやな」

洋榎「……姫松ですぐにレギュラーになって、全国でお前をボコボコにしたる!」

セーラ「やれるもんならやってみい! 返り討ちにしたるで!」

洋榎・セーラ「アハハハハハッ!」


洋榎(これで)ジワッ

洋榎(これでいい……これでいいんや)ポロッ

姫松に入学するまでの間、特にセーラとは連絡を取り合わなかった

そして姫松に入学してから3ヶ月後


洋榎「今日は千里山との練習試合やで! 恭子!」

恭子「初めての先発メンバーやから気合い入っとるな洋榎は……うちは補欠やから関係ないけど」

洋榎「あいつも今日はメンバーに選ばれてるらしいからな! フルボッコにしたる!」

恭子「あいつって……1年の江口セーラの事か? 洋榎知り合いなんか?」

洋榎「あいつは……」


洋榎「セーラはうちにとって……1番のライバルや!」ニコッ



おしまい

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