洋榎「恭子の部屋でこんなの見つけたで」漫「カセットテープ?」 (76)

  姫松高校麻雀部部室にて

洋榎「ドシーン!それロンや!」

漫「ひぃ!」

洋榎「チャンタホンイツ中ドラドラ!倍満や!」

由子「また漫ちゃんがドベなのよー」

末原「漫ちゃんは全然成長しませんね」

漫「と、飛ばなかっただけ褒めてください……」

末原「漫ちゃんが新主将なんですからもっとしっかりしてください」

漫「はい……」

洋榎「さてともう時間やな、帰ろか」

絹恵「そうやね」

漫「あの今日はたしか末原先輩の家に行くんだったんじゃ……」

洋榎「おおそうやったな!恭子ん家でパワプロやるんやったな!」

末原「なんでわたしの家に来るんですか……」

洋榎「しょうがないやんいままで一度も恭子ん家に行ったことないんやし」

漫「そうですよ死ぬ前に一度でええから末原先輩の部屋に上がりたいですよ」

末原「大げさすぎやで漫ちゃん……」

由子「わたしも行きたいけどバイトなのよー」

洋榎「由子は無理なんか、絹は一緒に行くやろ?」

絹恵「わたしも行きたいけど今日はガンバの試合やし無理なんよお姉ちゃん……」

洋榎「ああ今日試合やったな!また藤ヶ谷がミスするで!」

絹恵「せ、先週したから今日はぜったいミスせーへん!」

漫「ほな行きまひょか」

洋榎「レッツゴーや!初めての恭子の家やで!」

末原「なんや恥ずかしいな……」

  テクテクテクテク・・・・・・

洋榎「いやーしかし出会って2年半経つけど恭子ん家に行くの初やな」トコトコ

末原「たしかにそうですね、主将の家には何度か行きましたが……」

洋榎「うちはもう主将やないし、新しい主将はそこの鰻やで」

漫「鰻ちゃんますって!」

末原「新主将にはもうちょっとシャキッとしてほしいんですけどね……」

漫「新主将とかやめてくださいよ!いつも通り漫でお願いしますよ……」

洋榎「今更やけど漫って凄い名前やな、初見では絶対読めへんで」

漫「たしかにいつも初めて会う人にはマンって呼ばれますよ……」

洋榎「上重マン、なんやキン肉マンに出てくるザコ超人って感じやな」

漫「せめてザ・ニンジャぐらいにはなりたいです……」

末原「着きましたよ」

洋榎「おお!ここが恭子の家かいな!」

そこには普通の2階建て住宅があった

漫「ここが末原先輩が生まれた家ですか……」

洋榎「なんや案外普通やな」

漫「普通とか失礼でしょ……」

末原「築30年ぐらいですね、まぁこれが庶民の家ですよ」

洋榎「なんやドキドキするで!こういう気持ちは久しぶりや!」

漫「たしかに初めて来る友達の家とか緊張しますよね」

洋榎「よっしゃ!早く恭子の部屋でパワプロやるで!」

末原「ありゃカギが開いてない、お母さん買い物にでも行ってるんかな」ガチャガチャ

漫「カギは植木の下に……はい」カチャ

末原「あ、ありがとう……」

洋榎「なんでカギの在り処知ってんねん……」

  ドタドタドタドタドタ!

洋榎「ここが恭子の部屋やな!」ガチャン!

末原「そっちはお父さんの部屋ですよ……」

漫「夫婦で寝室別なんですか……なんかさびしいですね……」

末原「やかましいで漫ちゃん」

洋榎「あ!恭子の部屋と書いてあるしここやな!」

末原「はいそこです」

洋榎「恭子の部屋にやってきたでー!よっしゃー!」ガチャン!

末原「やけにテンションが高いですね……」

洋榎「イヤッホー!」

末原「そ、それだけわたしの部屋に来たかったんでしょうかね」テレテレ

漫「いやパワプロの新作がやりたくてたまらなかったみたいですよ」

末原「そうですか……」

  カチカチカチ・・・・・・

洋榎「うちはオリックス使うで!」

漫「うちは巨人使いますからね」

末原「なに言うてるんですか巨人使うのはわたしですよ」

漫「え、そんな早い者勝ちやないですかそやしまずはうちが……」

末原「先輩命令ですよ、巨人はわたしが使います、漫ちゃんがロッテを使ってください」

漫「わ、わかりました……てかなんでロッテやねん……」

洋榎「しかしパワプロ16おもろいな、マイライフとかパワプロ2012からめっちゃ進化してるやないか!」

末原「ファンの期待に応えた結果ですね」

漫「栄光ナインも復活してるしまさに最高やな……」

洋榎「ほな試合始めるで、先発はもちろん金子や!」

漫「ロッテの先発はと……あれ?仁科がどこにもおらへん……」

洋榎「いつの時代やねん……」

   ワイワイワイワイ・・・

洋榎「こうや!」

漫「えい!」

 カキーン!

洋榎「あかーん!ホームラン打たれてもた!」

漫「さすが井口さーんや!」

洋榎「大嶺は打ち崩せへんし漫強すぎやろ!」

漫「毎日パワプロやって鍛えてますからね!」ドヤッ!

末原「そんなんやから麻雀が一向に上達……」

漫「あーあー!次は末原先輩の番ですよ!」

末原「そうですね」

洋榎「恭子うちの仇をとってや~」

末原「もちろんですよ」

末原「……」カチカチ

漫「末原先輩はどれくらいパワプロやってるんですか?」

末原「パワプロ99のころからずっとですね」カチカチ

洋榎「もう10年以上もやっとるんか、えらい年季はいっとるな」

末原「それから毎日ずーっとやってます」カチカチ

洋榎「ま、毎日かいな……」

漫「そんなんだから全国大会で宮永に……」

末原「そ、それは関係ないやないですか……」カチカチ

洋榎「てか受験大丈夫なんか恭子、このままやとホンマにバカ田大学にしか……」

末原「さ、さっさと試合しますよ!」カチカチ

漫「はぁ」

末原「先発はもちろん巨人のエースの内海です」

漫「どうせやし今度は横浜使おう、えーっと有働はどこに」キョロキョロ

洋榎「だからいつの時代やねんそれ……」

漫「ふふふ、麻雀で勝つことは出来ひんけどパワプロでは勝たせてもらいますよ」

末原「勝てるもん勝ってみろですよ、わたしにパワプロで勝とうなんて3年早いです」

洋榎「えらい短いな……」

漫「どうせなら完封で勝ってみせますよ、番長三浦の一世一代の大投球ですよ」

末原「三浦は巨人には弱いんですよ、また返り討ちにしてみせますよ」

洋榎「なんや二人とも麻雀してるときより楽しそうやな」

漫「プレイボール!」

  そして30分後

洋榎「ゲームセット!恭子の勝ちや!」

末原「当然ですね」フンスッ!

漫「卑怯ですよ!オリジナル選手を使うなんて卑怯です!」

末原「使ってはいけないなんて一言も言ってませんよ」

漫「使うなら事前に言ってくださいよ!まさかノーアウト満塁に代打で善野さんが出てくるとは思いませんよ」

洋榎「オールAでしかも威圧感ありやで」

漫「あんなん出て来たから敵いませんって」

末原「善野監督は凄いんやからしょうがないやろ」

洋榎「まぁオリジナル選手が出てこなくても漫は負けてたやろな」

末原「17-2ですからね」

漫「ぐぬぬ……」

 モウカリマッカ~ボチボチデンナ~♪

末原「おっと電話や」

洋榎「誰からや?」

末原「お母さんからや、なんやろ、ちょっと電話してきます」

  ガチャン

漫「……」

洋榎「行ってもうたな」

漫「そうですね……」

洋榎「……」

漫「……」

洋榎「ふふふ……」

漫「なんですかその不敵な笑みは……」

洋榎「こういうときはあれやろ……」

漫「あれってなんですか……」

洋榎「あれと言えばあれやろ!恭子の部屋を捜索や!」

漫「そ、捜索ですか……」

洋榎「そうや!」

漫「そんなダメですって家探しなんて……いやらしいですよ……」

洋榎「なんや漫恭子の部屋になにがあるか気にならんのかいな」

漫「そりゃ気になりますけど……」

洋榎「ならええやん、恭子が内緒にしとるあんなものやこんなものが出てくるかもしれへんで!」

漫「あんなもんやこんなもん……」ドキドキ

洋榎「そうやで、チャンスがいまだけや!」

漫「や、やります!うちも家探しに参加します!」

洋榎「その意気や!漫は恭子の押し入れを探しや!うちは机の中を調べるで!」

∠漫「了解しました!」ビシっ!

漫「ケホケホッ!」ガサゴソガサゴソ

洋榎「なんか有った?」ガサゴソ

漫「な、なんも無いです!ケホケホッ!」ガサゴソ

洋榎「こっちにもめぼしいのは無いで」ガサゴソ

漫「こっちも蚊取りマットとか古いラジカセとかガラクタばっかりや……」ガサゴソ

洋榎「エロマンガの1冊や2冊出てくる思うたんやけどな……」ガサゴソ

漫「女子の部屋にそんなけったいなモン置いてないでしょ……」ガサゴソ

洋榎「お、メダルや!小学生のときの麻雀大会のメダルやな」ガサゴソ

漫「なんだかんだ言っても末原先輩も相当な雀士ですね」ガサゴソ

洋榎「まぁうちのは遠く及ばへんけどな!……ってなんやこれ」

漫「どうしましたか?」

洋榎「こんなもん見つけたで」ヒョイ

漫「これはカセットテープですね……」

洋榎「カセットテープ!えらい懐かしい響きやなぁ」

愛宕洋榎が手に持っていたのはまだ新しいカセットテープだった

漫「そんなもんどこにあったんですか」

洋榎「机の一番下や、他にも仰山あったで」

漫「しかし何なんでしょうねこのテープ」

洋榎「なんやろな、好きな曲でも入れてるんちゃうか?」

漫「いまどきテープで聴く人なんておらんでしょ、それに」チラッ

漫の見た先にはアイポッドがあった

漫「あれがあるのにわざわざカセットテープまで買って録音しないですよ」

洋榎「わからんで、ラジオで流れる新曲とかを録音してるのかもしれへん」

漫「80年代ですか……」

洋榎「もしくは……恭子の恥ずかしいあんな声やこんな声が録音されてるかもしれへんで……」ニヤリ

漫「あんな声やこんな声……」ゴクリ

洋榎「そうや、スケベェなのが入ってるんや」

漫「エ、エロいってことですか……」カタカタ

洋榎「イエスや」ニヤリ

漫「バ、ババしてるときの音とかが入ってるんでしょうかね!」ドキドキ

洋榎「なに言ってるんや漫……そういう趣味してたんかいな……」

漫「き、聴きたいです!末原先輩の恥ずかしいの聴きたいです!」

洋榎「そうか?漫もイケないやっちゃなぁ」ニヤニヤ

漫「愛宕先輩やって聴きたいクセに」ニヤニヤ

洋榎「お互い様やな」ニヤニヤ

漫「押し入れに入ってたラジカセでさっそく聴きましょう!」

洋榎「そうやな!」

  カチャカチャカチャ・・・・・・

洋榎「しかしラジカセなんて使うの久しぶりやな」

漫「ビデオテープも最近はもう使いませんからね」

洋榎「漫なんか去年までベータ使ってたんやろ?」

漫「使ってへんですよベータなんて……」

洋榎「まずはちゃんと巻き戻してと……」

 キュルキュルキュルキュルキュル……

漫「いったいなにが入ってるんでしょうかね……」ドキドキ

洋榎「いやらしい声が入ってるできっと」ニヤニヤ

漫「あのババが……」

洋榎「ババの話はもうええ!」

 カチャ

漫「あ、巻き戻りましたよ!」

洋榎「よっしゃ!ほなスイッチ押すで!」

漫「はい……」ゴクリ

洋榎「えい!」カチャン

『…………』

漫「ドキドキ」

『…………』

洋榎「なにが来る……」

『…………』  

漫「……」  『…………』

洋榎「なんやなにも流れないやん」  『…………』

漫「ははは、よくよく考えたらそんなやらしくて恥ずかしいテープなんかあるわけないですよね」  洋榎「それもそうやな、ちょいとはしゃぎすぎたな」

『…………』

漫「先輩が来る前に消しましょ」 洋榎「そうやな」

洋榎がラジカセを消そうとスイッチに手を伸ばしたその時……!

???『ハハハハハハハハ!!!!!!』

何者かの笑い声が部屋に響いたのだ……!

洋榎「な、な、なんや!」

???『ハハハハハハハ!!!!よくぞ来たな貴様!!』

洋榎「だ、誰や!」 漫「先輩!ラジカセから流れてるんですよ!」

そう、その声はラジカセから流れていたのだ……!

???『わたしが来たからにはもうお前の好きなようにはさせない!正義は必ず勝つのだ!』

洋榎「いやいやお前のところに来たハズやろたしか!」

漫「ツッコんでる場合じゃないですよ!この声聞き覚えありませんか……!」
     ライジング
???『雷人愚サンダー!!閃光破斬!!』

洋榎「…………恭子や!この声は恭子や!」

そうラジカセから流れていたのは末原恭子の声だったのだ……!

末原『これがとどめだ!くらえーーーっ!メテオスウォーム!!』ザシュ!ザシュ!

洋榎「……」

末原『おのれ悪魔死王め!これは母上の仇だ!』ザシュ!ザシュ!

漫「……」

末原『くらえっ!火氷風雷剣!』 洋榎「これはホンマモンに恥ずかしいやつや……」

末原『てやぁ!!』ザシュっ!

漫「……」

末原『ハハハハハ!!こうして世界はこの「末原・スパークス・恭子」によって救われた!』

洋榎「……」

末原『世に蔓延る悪党はすべてわたしが成敗してくれる!最後は正義が勝つのだ!』

漫「……」

末原『ハハハハハハハ!!!!!!』

漫「……」 洋榎「……」

末原『ハハハハハハハ!!!!!!』

洋榎「……」カチャ

漫「……」

洋榎「……」

洋榎「漫……」ゾゾゾゾゾゾゾゾッ!

漫「せ、先輩……」ゾゾゾゾゾゾゾゾッ!

洋榎「「いやぁぁぁあああああぁぁぁ!!!!」」漫

洋榎「なんやこれはあああああああ!!!!」

漫「たしかに恥ずかしいやつやけどおおおお~~~!」

洋榎「レベルが違いすぎるやろ!!」

漫「み、見てくださいこの鳥肌……」ゾゾゾゾゾッ…

洋榎「焼き鳥の鳥皮が好きなうちで食いたなくなるで……」

漫「ああああああ……」カタカタ

洋榎「だ、大丈夫かいな漫!」

漫「耳が……!耳がァ!!」

洋榎「くっ!破壊力ありすぎやろあのカセット!なんやねんあれ!」

漫「い、いわゆるひとつの中二病ってやつですね……」カタカタ

洋榎「なんでこっちまで恥ずかしい気分になるんや!」

漫「あう……」

漫「……」

洋榎「どうや、落ち着いたか漫?」

漫「はいなんとか……」

洋榎「恭子にあんな趣味があるなんてな……」

漫「ずっと一緒にいたハズやのに全然気づきませんでしたね……」

洋榎「せやな……」

漫「……」

洋榎「……」

漫「雷人愚サンダー……」ボソッ

洋榎「うっ……」プルプルッ

漫「おのれ悪魔死王め!火氷風雷剣や!くらえ!」

洋榎「や、やめんかい漫……」プルプル!

漫「世に蔓延る悪党はすべてわたしが成敗したる!最後は正義が勝つのだァァ!」ドヤッ!

洋榎「あかん!ワハハハハハ!!面白すぎるわ!!」ゲラゲラゲラゲラ!

洋榎「ワハハハハハハ!!!」ゲラゲラゲラゲラ!

漫「わ、笑っちゃ悪いですよ先輩!」ゲラゲラゲラゲラ!

洋榎「す、漫やって笑ろうてるやないか!」ゲラゲラゲラ!

漫「せ、せやけど冷静に考えたらあんなおもろいもんもありませんで!」ヒィヒィ!

洋榎「そ、そうやな、普段あんなクールな恭子が裏であんな恥ずかしいこと言ってるんやもんな!」

漫「こ、これは大スクープですよ」

洋榎「せ、世紀の大発見やな」ゲラゲラ!

漫「正義は必ず勝つ!」キリッ!

洋榎「モノマネやめんかい!」ゲラゲラ!

漫「ワハハハハハ!!!」ゲラゲラ!

そのとき二人は笑っていたため気付かなかった……末原が戻ってきているのを……!

 カタ・・・カタ・・・カタ・・・

洋榎「?!あかんで!恭子が戻ってくるで!」 漫「え!」

 カタ・・・カタ・・・カタ・・・

漫「も、もうそこまで来てますよ!」

洋榎「ど、どないしよ!どないしよ!」

  カタ・・・カタ・・・カタ・・・

洋榎「漫!カセットを出すんや!」

漫「は、はい!」

漫がカセットをとりだしたのと同時にドアが開いた……!

   ガチャン

末原「ふぅ、すいませんつい長電話してしまいました」

洋榎「お、おう別に気にしてへんで、な、なぁ漫」

漫「そうですって!出来たらずっと電話しててほしいぐらいでしたよ!」

末原「つまりわたしに戻ってきてほしくなかったと……」

漫「そ、そういうことやありません!末原先輩に会えてうれしいですよ!」

末原「そうですか……ってそのラジカセどうしたんですか!」

漫「こ、これは……」

洋榎「ラジオや!これでラジオを聴いてたんや!」

末原「ラジオ……?」

洋榎「そうや!なっ!漫!」

漫「え?あ、そうです!ラジオを聴いてたんですよ!」

洋榎「うちは昼はラジオを聴かんろ気がすまんのや!」

末原「洋榎もラジオをよく聴くんですか……」

洋榎「そうやで、お、久しぶりに名前で呼んでくれたな嬉しいで
   そうやな、うちは高田文夫のビバリー昼ズとかよく聴くで」

漫「バウバウ!!」 洋榎「漫のネタは古すぎるで!ワハハハハハ!」

末原「……」

洋榎「ど、どうしたんや恭子哀しい顔して……」

末原「残念ながら洋榎、ビバリー昼ズは関西やとやってないんや」

洋榎「なん……やと……」

末原「いったいそのラジカセでなにをやってたんですか……」

洋榎「そ、それは……」

漫「大沢悠里のゆうゆうワイドを聴いてたんですよ!」

末原「それも関西はやってへんしもう夕方やから放送は終わってるで」

漫「あう……」

末原「漫ちゃん、そのポケットの膨らみはなんや」

漫「ひっ!」

洋榎「きょ、恭子、もうええやないか、さっさとパワプロの続きやろーや……」

末原「よくないです!早くそれを出してください!」

漫「は、はい……」サッ

末原「テープ……やっぱり聴いたんですね……」

漫「す、すいません……」ポロポロ

末原「……」

洋榎「わ、悪いのはうちなんや……漫は悪くないんや……」

末原「……」

洋榎「う、うちが恭子の部屋を勝手に荒らしたから……そやし漫がうちに従っただけなんや!」

漫「そんな……うちやって積極的に家探ししましたし悪いのはうちも同じですって……」

末原「……」

洋榎「そこでそのカセットを見つけてつい聴いてしもうたんや……」  漫「すいません好奇心に勝てへんかったんです……」

末原「……」

洋榎「でも恭子の気持ちも分かるで!誰だってああいうことしたくなるもんやで!
   漫やって「上重漫のウナチャカ大放送」とか一人ラジオやってたやろ!」

漫「なんですかウナチャカ大放送って……で、でもたしかにそういうことはしたくなりますね!」

洋榎「そうやろ!だから恭子はなんもおかしくないんや!」

末原「……」

漫「先輩……」

末原「ククククク……」

洋榎「きょ、恭子?」

末原「ワハハハハハハハ!!!バレてしまったのならしょうがない!そうだわたしが正義の味方!末原・スパークス・恭子なのだ!」

漫「え?え?え?」

末原「……」

洋榎「う、うちが恭子の部屋を勝手に荒らしたから……そやし漫はうちに従っただけなんや!」

漫「そんな……うちやって積極的に家探ししましたよ……悪いのはうちも同じですって……」

末原「……」

洋榎「そこでそのカセットを見つけてつい聴いてしもうたんや……」  漫「すいません好奇心に勝てへんかったんです……」

末原「……」

洋榎「でも恭子の気持ちも分かるで!誰だってああいうことしたくなるもんやで!
   漫やって「上重漫のウナチャカ大放送」とか一人ラジオやってたやろ!」

漫「なんですかウナチャカ大放送って……で、でもたしかにそういうことはしたくなりますね!」

洋榎「そうやろ!だから恭子はなんもおかしくないんや!」

末原「……」

漫「先輩……」

末原「ククククク……」

洋榎「きょ、恭子?」

末原「ワハハハハハハハ!!!バレてしまったのならしょうがない!そうだわたしが正義の味方!末原・スパークス・恭子なのだ!」

漫「え?え?え?」

末原「そう!わたしは選ばれし聖騎士!名門末原家の騎士なのだ!」

漫「え、先輩急になにを言ってるんですか」

末原「安心したまえ貴公ら!この正義の化身であるわたしがすべてを解決する!」

洋榎「え、あれってもしかしてガチやったん?」

末原「この代々伝わる末原家の聖剣ですべての悪を断つ!ワハハハハハ!!」

洋榎「あかんで、真性やでこいつは……」

漫「あがあが……」

末原「どうした貴公ら、あまりにもかっこよすぎてなにも言えぬのか」

漫「恥ずかしすぎて顔をそむけたいんですよ……」

末原「照れなくていいではないか!ワハハハハハ!」

洋榎「恭子が……恭子がおかしくなってもうた……」

漫「準決勝で大敗したのがいけなかったんや……」

末原「いいか貴公ら!この世には数え切れぬほどの悪が存在するのだ!」

漫「なんか語りだしましたよ……」

末原「それらの悪を倒すのが我が末原家の使命、いや宿命なのだ!
   いままでの先代の末原たちもそうして悪を滅ぼしてきたのだ!」

洋榎「は、はぁ……」

末原「そしていま新たなる悪の王が現れたのだ!そう!悪魔死王だ!」

漫「……」

末原「先々代が倒したハズなのだがまた再び現代によみがえった……!
   今度こそ末原家の新当主であるわたしがなんとかせねばならぬのだ!」

漫「末原先輩の言ってることがなにひとつ理解出来ないんですけど……」

洋榎「大丈夫、それが普通や……」

末原「しかし安心してほしい!どの時代でも正義は必ず勝つ!それだけは肝に銘じてほしい!」

漫「さいですか……」

漫「……」

洋榎「どの漫画に影響されたんや……」

末原「おっともう夜の帳が降りてきているじゃないか、そろそろ帰ってたほうがいいんじゃないか」

洋榎「そ、そうやな……」

漫「そうですね……」

末原「ところで明日の約束は覚えているのか?」

洋榎「約束……?」

末原「忘れたのか!明日は由子と一緒にライブラリィに行く約束をしていたではないか!」

洋榎「あ、あ、そ、そうやったな……」

末原「約束を守れないのは愚か者も同然!約束を破るのは自分を悪と言ってるいるのと同義だ!」

洋榎「わかったわかった!ほなまた明日な!」スタタタタッ!

漫「あ!まってくださいよ先輩!」スタタタタタッ!

末原「フン」

 テクテクテク・・・・・・

洋榎「……」

漫「ハァ……何なんですやろかあの末原先輩は……」

洋榎「試合に負けておかしくなったのかもしれへんな」

漫「そんな末原先輩だけのせいやないですよ、うちやって結局不発でしたし……」

洋榎「恭子は昔からそうなんや、全部自分で背負いこもうとするんや」

漫「うちらでなんとかしなきゃいけませんね……」

洋榎「そうやな、うちらが恭子の心を解きほぐすんや!」

漫「そうですね!あ、うちこっちですねのでまた明日」

洋榎「ほな増した、遅れずに絶対来るんやで!」

漫ノシ「はーい!」

・・・

・・・・・・

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