【咲 -Saki- SS】 大学編 - いちご味 - ちゃちゃのん「おかえりなさい」 (833)




【こんな作品です】


・このお話はOSaKadAteQさんの『胡桃・洋榎の大学SS』を原作としてお借りした、『咲-Saki-』の大学SS作品です。

(許可は頂きましたが 筆者はOSaKadAteQさんではないので、元作品外の部分はあくまで筆者が脳内補完した想像の展開です)


・咲 本編ではモブキャラ的な扱いだった、ちゃちゃのんこと 佐々野いちごを主人公とした作品です。

・パロディやオマージュが多数含まれますので、そういったものが苦手な方はご遠慮下さい。

・過去のちゃちゃのん関連SSネタなども、多数使わせて頂いてます(愛ゆえに)

・愛ゆえに、それがこの作品の全てです。



・詳細はこの後 書きますので、そちらもお読み下さい。





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450099989






住み慣れた土地を離れて一年――



最近 何故だか、昔のことをよぅ思い出す―――





小学にゃぁ 倉橋本島まで35号を通る、日に数本のバスに揺られて通っちょった。


近所にゃぁ、年の近い子も あまりおらんかったけぇ。


娯楽といやぁ 大好きな婆っちゃや、近所の爺っちゃたちとした 囲碁や将棋、そして麻雀。


いちごちゃんは麻雀が上手いの~と褒められて、将来はそのままプロの雀士になれるもんじゃと思っちょった。






チャンネルの少ない ローカルテレビに映った、アイドルさんがとっても眩しくて。


そりゃぁもぅ別の世界、おとぎの国のお姫さまみたいに思われて。


涙が出るほど憧れた。







才能とか、限界とか。


そんなこと考えたこともなく。



あの頃、世界は全ての人に優しくて。




どこまでも 平等なもんじゃった――――







ちゃちゃのんにゃぁ、やっぱり無理だったんじゃろか。



ついついしてしまう自問自答。




考えてみたトコロで、確かな答えなど 出るはずもないんじゃが――――



…………
………
……






ここは…


山と海とトンボロの島。


おそらく明治の頃から 何百年と変わっちょらんじゃろう、潮の薫る古い碁盤の目の町並み。



遮蔽物一つない、見渡す限りの蒼い空と碧い海。


あの小高い丘に見えるんは、子どもん頃 よぅ通ったお宮さんじゃろか。




全てが懐かしいと思えるこの風景。


ここはちゃちゃのんの故郷、鹿老渡かの……?




雪じゃ……


こんな季節に珍しいのぅ…?


でも、潮っけ多いここでは きっと積もらんじゃろね。



積もることさえ許されん 淡い雪たちが、何故だか 今はとても悲しく思われて……







―――


あそこにおるんは…



誰じゃったかの……?




ちゃちゃのん、たぶんあの人のこと…



知っちょった はずなんじゃが―――――





http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira096476.jpg
鹿老渡





ガタンッ!!

「はひっ!?」


きょろきょろ


「――――///」



ちゃちゃのん(ちゃちゃのん、いつの間にか 教室で寝こけちょったみたいじゃ…///)

ちゃちゃのん(良かった、誰にも 気付かれちょらんようじゃ――///)



あくまで平静を装いつつ、教室の窓から見える 桜並樹に視線を移す。


ちゃちゃのん(――春じゃの……)


ちゃちゃのん(二度目となる大阪の桜。 とっても綺麗で、まるで あの淡雪みたいじゃ―――)ホロリ…







◇ ◇ ◇ちゃちゃのんからのお願いじゃ◇ ◇ ◇



         ,. . .-―: : : : : :―-. . _
        . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
     /: :': : : : : : : : : : : : : : : : : : ': : :`: .
.    ,. : :/: : : : : : : : : :': : : : : : 、: : 丶: : : :.`ヽ
.   / : : ': : : : :./: : : /: : : : : : : : ヾ: : ヽ: : : : : :ヽ
.   ': : : :i: : : : :/: : : / !: : : : : ト、: : !、: : :ヽ: : : : : :.}
  {: : : :!:l: : : :!_!: : :゙‐{: : : : :!:!‐!: : }_l: : : lヽ: : : :,.'

.   ヽ:、:.:{: : :.! ヾ:{  ヽ、: : };' ノ:ノ  l: : : :リ: : :/
    ゙、i ゝ、: :{ ,ィ兀下     '"兀心、l !/: -‐'ソ
      l: l: : : :! 比少       込刈. !: : : :.l: :l
.    ; :l : : l:.i   ,,,   ,.    ,,,  .!: : : : !: :l
     , :.! : : l: ト、              ,.':{: : : :l:!: :、
.    /,' : : : :.!:l: :> 、  ` ´  ,. <〃l.: : :l: :、: :、
    '〃: !: : :!:{: :l: : :l:.i.      !: :l: :{!: :.!: :.!: :.ヽ :゙、
.   {;'゙!: :、: : :!:ゝヽ/\    /\:.:゙、: }: ;': : : :): ;!
    ゙、、ヾ;ヽ:.;..'"ソ!   >ー<   !`ヽ'{:/:_: : ;'. '"





このお話は咲SS界隈では やきうスレのイッチさんとしてお馴染み、OSaKadAteQさんの傑作大学SS


胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」(前編)
胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354025977/)


胡桃「そーゆーのいーから幸せにする!」洋榎「ああ……絶対……!」(後編)
胡桃「そーゆーのいーから幸せにする!」洋榎「ああ……絶対……!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354201244/)


――を読んで とても感銘を受けたっちゅう、このスレの筆者が


『終盤相当巻いたので書いてないエピソードとか多々ありますが、各自脳内補完していただけたらなと思います』

――っちゅう、イッチさんのすばらなコメントを勝手に拡大解釈して


本編中では殆ど描かれることのなかった、広島のアイドル雀士(照れるのぅ)『佐々野 いちご』こと

ちゃちゃのん視点の物語を筆者なりに脳内補完し、オマージュさせて貰ったスピンアウト的なSS作品なんじゃ。


スピンアウトっちゅうても、サイクロンマグナム的なヤツでも、F-MEGA的なぶっ飛んで隣のコースにショートカットでもないけぇの!!







間違っても本作には聖帝様とか、汚物は消毒だ~~の人とかは、出てこんけぇ気ぃつけるんじゃよ。


当然、デッカイ婆っちゃとかも出ないんじゃ (ん~~ ちゃちゃのん、それは ちょっと残念じゃ……)




じゃけぇ、大まかな設定や出来事は元となる作品と、ほぼ同じ流れじゃが

あくまで一ファンによる、二次(三次?)創作っちゅうことになるけぇ


実際にOSaKadAteQさんが 設定として考えとったもんとは、大きくズレちょるじゃろうし

別の世界線で起こった、もぅ一つの可能性の物語くらいに考えちょって貰えると、これ幸いじゃ(ぺこりん)




それと元作品の『胡桃・洋榎の大学SS』とはまた別の作者さんの作品じゃが、同じく世界観を共有する


憧「あんたなんて大っ嫌い!」
憧「あんたなんて大っ嫌い!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1357569256/)


――の設定なんかも 考慮に入れさせて貰っちょるんで、まだ読んだことない人にゃぁ こっちもちゃちゃのんのお勧めじゃ。



ちゃちゃのんも、白馬の王子さまとの素敵な恋がしてみたいのぅ。






その他…

筆者がこれまでに読んだ ちゃちゃのん関係のSSネタを、一部 お遊び程度にお借りさせて貰っちょるよ♪

先人さんたちが書かれた ちゃちゃのん作品を、ホンのちょっとでもええけぇ カタチにしてみたい。


そうすることで、以前に読んだことある人にゃぁ 懐かしい思ってもらい

知らんかった人にゃぁ これが知るきっかけとなってくれたら、それはとっても嬉しいなって思ったみたいじゃ。



そんなわけでパロディやオマージュ、原作にないオリジナル要素の追加等が駄目な方は ご遠慮頂けるとありがたいかのぅ。

(作中でネタにさせて頂いた ちゃちゃのんSSは、どこかでご紹介させて貰えればと 思っちょるんじゃ♪)



それと読んどる人が場面やキャラを視覚的にイメージしやすく、よりキャラに愛着持って貰えるよう

拾った画像なんかを、ペタペタ貼ることがあるかもしれんそうじゃ。



その辺は怒られたら自粛しますとかゆーとったが、ほんなら最初から しなけりゃええのに。

人の作った映画なんかを やたら自分の手柄みたいに見せたがる、愛からくるファン心理のようなもんじゃろか。



関係者の皆さま方に於かれましては、どうか生暖かい目でもって 一緒んなって楽しんで貰えたら嬉しいんじゃが―――


「どうかいの!」ドキドキ

「ロン」

「!?」アゥッ





―――でもって、このスレの著者は東のモンじゃけぇ。

広島弁や大阪弁、九州の方言なんかも ほぼさっぱりじゃ(´Д` )

なんかこの言い回しは変じゃぞとかあっても、あまり怒らずに

皆さまの中で、各自 脳内変換しておいて貰えると ありがたいかのぅ。 ホロリ…




さらに この筆者は今回がSS初投稿のニワカじゃ。

正直 作法とかも よー分からんので、ドキドキのビクビクじゃ。


何かおかしな点とか不備なんぞあったら、王者の皆さまから暖かく教えて貰えると とっても嬉しいんじゃ♪







【※こういうのは ヤメての~~】


・一応 R指定は無い作品なんで、露骨にえっちぃ画像やグロ系の画像を貼るのは遠慮して欲しいのぅ。


・色んな考えの人がおるとは思うんじゃが、各キャラクターや声優さんへの愛着を否定するのは遠慮して欲しいかのぅ。

これはそういう人向けの作品じゃけぇ、そう思う人には たぶん合わないと思うんじゃ。

(筆者は充分キモいけぇ、改めてキモー筋くん言われると やっぱり凹むみたいじゃ…)


・ミスミ爺さんから種もみをヒャッハーしたり、爺さんを養分に種もみを育てるような世紀末的行為はどうかと思うんじゃ。



・とにかくみんなで楽しみたいけぇ、他の人を傷付けるような中傷コメントは控えてもらえると とっても嬉しいんじゃ。







筆者から



筆者はちゃちゃのんの声優さんでもあった、故・松来未祐さんの昔からのファンです。



実際 今回のこの作品は松来未祐さんが、病気療養のために休業なされたのが書き始めたきっかけでした。



なのにあのような結果となってしまい、帰らぬ人となってしまったこと 本当に残念で仕方がありません。




松来未祐さん、これまで本当にありがとうございました。




松来未祐さんは、筆者が今後とも一番大好きな声優さんだと思います。














【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第一章 GOOD DAY












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佐々野 いちご(ちゃちゃのん)





【大学の教室】



ちゃちゃのん「…………」ボンヤリ

チャラ男「ねぇねぇ、ちゃちゃのん。 この後 うちのサークル、新入部員連れて飲み行くんだけど 一緒に行かない?」ズイッ

ちゃちゃのん「――え!? あっ… ちゃ、ちゃちゃのんのことけ…?」ドキッ

チャラ男「そりゃ~、ちゃちゃのんって言ったら 他にいないでしょ~~」ハハッ



ちゃちゃのん「ぁ… すまんのぅ。 ちゃちゃのん行っても、荒れるだけじゃし。 みんなで楽しんできての…」エヘヘ

チャラ男「え~~~ ちゃちゃのんまた来ないの~~ ノリ悪いんじゃね~~!?」


ちゃちゃのん「えと、ごめんの… ちゃちゃのん、これからちょっと行くとこもあるけぇ…」





ガタイのイイ男「おぅ、自分 早よせ~や!! どうせ誘っても佐々野は来ぃ~~へんて!!」ガララ

チャラ男「そんなの、分かんね~だろ。 三顧の礼って言葉 知ってる?」

ガタイのイイ男「知っとるけど、それ別に 関係ないやろ。 勧誘サボってナンパとかしとらんで、自分もはよ勧誘ロード来ぃや!!」

チャラ男「へいへい、分かりましたよ。 あ~ メンドクセー」ポリポリ




ちゃちゃのん「はぁ…」ホッ

チャラ男「あっ、ちゃちゃの~ん!! 今週の日曜デートしよ~~ね♪」ズイッ

ちゃちゃのん「ふぇっ!?」ビクッ


ガタイのイイ男「だから、さっさとしろや!!」ドカッ

チャラ男「グッハ!? てめっ… ケツを…」ヨロロ…



ササノンヤツハ ヤメトキ… キョネン イロイロ ウワサ アッタヤロ…

デモ チョーカワイインダシ… ベツニ ヨクネ…

ケツ イテ…





ちゃちゃのん「――――――ふぅ、ちゃちゃのんも行こ…」スック


ちゃちゃのん(声の大きぃ人、ガーってくる人は… ちょっと苦手かのぅ…)



ちゃちゃのん「勧誘ロード… 麻雀部のぅ……」


ちゃちゃのん(一年近いブランクじゃし。 ちゃちゃのんの実力じゃ、きっと全然通用せんじゃろな―――)


ちゃちゃのん(本校舎にある麻雀部、とりあえず見に行ってみようかの……)





プワァーーーーン

ガコガコ…


ガヤガヤ


バスガツイタデーーー!!



ちゃちゃのん(鹿老渡を卒業して、それなりに有名で偏差値も高い 大阪の大学に進学して一年――)トテトテ


ちゃちゃのん(あの高3のインターハイで、すっかり自信をなくし――)トテトテ


ちゃちゃのん(結局 去年は、強いっちゅう ここの麻雀部にも入らんかった――)トテトテ



ちゃちゃのん(そもそも麻雀部のある この本校舎は、ちゃちゃのんの新設校舎からは遠いし――)トテトテ


ちゃちゃのん(あん頃は、仕事の方を優先させよー 思っちょったしのぅ―――)トテトテ




オーーーーーイ!

ちゃちゃのん(それなのに、ちゃちゃのん。 なして今更、こないなとこ来ちょるんじゃろ。 はぁ、未練じゃのぅ……)トテトテ


オーーーイ!!

ちゃちゃのん(ん…?)






「つかまえたっ!」グワシッ

ちゃちゃのん「うっひゃぁっ!?」ビビクーーッ


「へへ…… その顔、間違いないな…」

ちゃちゃのん「あ、あぁ… あんたは……!?」



洋榎「久しぶりやな!!」

洋榎「えーっと… ちゃちゃ… なんだっけ……?」

洋榎「佐々木? 笹岡…?」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは 佐々野じゃ!!」プンスカ

洋榎「おぅ、そうそう… それそれ♪」カカッ




洋榎「ウチのこと覚えとるか?」

ちゃちゃのん「そりゃあ、まぁ……」ボソッ


ちゃちゃのん(姫松高校の愛宕 洋榎(あたご ひろえ) 高校3年のインターハイで――)


ちゃちゃのん(ちゃちゃのんは彼女に役満を振り込み、結果として鹿老渡は団体戦を一回戦で敗退――)


ちゃちゃのん(その後の個人戦でも、ちゃちゃのんはまた彼女にヤられてしもうたんじゃ)



ちゃちゃのん(そんなん、忘れられるわけないけぇ……)アウゥ…



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愛宕 洋榎




ちゃちゃのん(もしかして、同じ大学だったんじゃろか?)


ちゃちゃのん(確かに、彼女は 地の人じゃし。 そんなことも、あるのかもしれんが―――)




洋榎「ま~ とにかくこっち来いや!!」グイッ

ちゃちゃのん「え、ちょ、ちょ~~っ!?」ワワッ


洋榎「お~~い、見つかったで~~!!」

ちゃちゃのん「え、何がじゃ!?」




「うわ、ホントに誰か連れてきた!?」

洋榎「ほら、自己紹介――」




ちゃちゃのん「えと、佐々野です……」


胡桃「鹿倉 胡桃(かくら くるみ)だよ」


セーラ「セーラやで~~♪」


塞「臼沢 塞(うすざわ さえ)です。普段は理系キャンパスに通ってます」




ちゃちゃのん「ど、どうも……(な… なんじゃ、この状況…?)」ドキドキ


ちゃちゃのん(ありゃ、この人たちも どこかで見たことあるような……)


洋榎「よっしゃ、これで決まりやな! 5人集まった!!」

ちゃちゃのん「だから 何がじゃ!?」




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鹿倉 胡桃





愛宕さんたちに 聞いた話をまとめると(説明してくれたんは、主に鹿倉さんと 臼沢さんじゃけど…)



体育会系なノリの大学麻雀部に 馴染めんかった愛宕さんが


鹿倉さんやセーラさん、臼沢さんたちと一緒に 非公式サークルを作ろ いうことになって


その5人目のメンバーを探しちょった時に、偶然 知った顔のちゃちゃのんが通りかかったんで捕獲したと…


まぁ、そういうことみたいじゃな。



因みに何をするサークルなのか聞いたが、本人たちにも よぅ分かっちょらんらしい(ホンに大丈夫なんじゃろか…)




何じゃか、流されちょるような気もするんじゃが


正直、麻雀部に入る覚悟もなかった ちゃちゃのんは…


愛宕さんたちに誘われたことに、ちょっと ホッとしちょった。




それに、このメンバーと話しちょると


高校時代に戻ったようで、不思議と気持ちが楽になったけぇ―――




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江口 セーラ


ちゃちゃのん「そういえば、臼沢さんは理系なんじゃね」

塞「あぁ、うん、そうだよ」

ちゃちゃのん「じゃあ、仲間じゃね♪」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんも理系で、こことは別のキャンパスなんじゃよー♪」


洋榎「え、そーなん!?」

胡桃「じゃあ塞と同じ××キャンパス?」

ちゃちゃのん「――あ、そっちじゃのうて」

ちゃちゃのん「新設された、○○キャンパスの方じゃ……」



洋榎「何や、場所としては結構ええとこやんか」

ちゃちゃのん「でも、駅から結構遠いし… 何より学部が一個しか無いけぇ、サークルなんかも全然のうて――」

胡桃「あ、それでわざわざこっちまで?」

ちゃちゃのん「うん……」

セーラ「そら大変やなー」



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臼沢 塞




ちゃちゃのん「――去年1年、あのキャンパスのサークル 色々と回ったりもしたんじゃが…」

ちゃちゃのん「どーものぅ……」ボソッ

洋榎(……?)



胡桃「あ、1回生じゃないんだね」

ちゃちゃのん「うん… ちゃちゃのんは2回生じゃよ」

洋榎「なんやウチらと同期か、てっきり浪人組かと…」

ちゃちゃのん「違うけぇ!!」



塞「じゃあ、サン付けなくてもいいわよ」

胡桃「うん、気軽に呼んで!!」ヨロシクー

ちゃちゃのん「わぁ、ほんとけ?」パァッ


ちゃちゃのん「じゃあちゃちゃのんのことも、気軽に好きに呼んでな~~♪」エヘヘ…

胡桃(この子、何か可愛いわね…)


洋榎「おい、アイドル崩れ!!」

ちゃちゃのん「それはあだ名じゃのうて 罵倒じゃ!!」





そんなこんなあって、ちゃちゃのんは いつの間にか


愛宕さんたちのサークルに、顔を出すようになっていったんじゃ。




愛宕さんとセーラさんは、ここにゃぁ 麻雀特待生として入ったそうじゃが


愛宕さんは、麻雀部に馴染めず そのままドロップアウト。



セーラさんは、愛宕さんたちのサークルにも付き合いつつ

麻雀部の活動も、しっかりと頑張っちょるそうじゃ。





正直――


インハイでのことが 全く気にならんゆーたら、やっぱり嘘になる思うんじゃが。


あれはちゃちゃのんが、足らんかっただけのことじゃ。


愛宕さんが悪いわけじゃにゃぁ…



そんなことは、ちゃちゃのんにも よー分かっちょるんじゃ。


じゃけぇ そのことで、ちゃちゃのんは 愛宕さんを恨んだりはしちょらんょ。





洋榎「ほんなら、あだ名は『のんちゃん』でええんちゃう」ケラケラ

ちゃちゃのん「それもぅ、佐々野の原型残っちょらんじゃろ!!」


洋榎「それか『枕』か…」

ちゃちゃのん「してないから!?」








まぁ……


愛宕さん本人の性格にゃぁ、若干の難があるような気もするんじゃが…



それはさておき せっかくのみんなとの出会い、大切にしていけたらええって ちゃちゃのん思うんじゃ♪





【喫茶店】


哩「ほい、いちごミルクティー」コトッ

ちゃちゃのん「わぁ、ありがとぉ♪ はぁ~ ほんのり香るストロベリーが堪らんの~~♪」スンスンッ

洋榎「いちごミルクティーとかなんやねん、普通にミルクティーでええやん!!」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、これが好きなんじゃ♪」



洋榎「ちゅーか、そないなもんメニューにはなかったやろ!!」

哩「去年のかき氷シロップの残りがあったんでな」

洋榎「いちごシロップ混ぜただけなんかい……」

ちゃちゃのん「あつっ… でも美味しいんじゃ…」ズズッ…

洋榎「――本人喜んどるみたいやし、まぁ~ 別にええか…」




ちゃちゃのん「にしても、胡桃ちゃんたち遅いの~~」ズズッ…

洋榎「セーラは麻雀部。 いいんちょは漫んとこのカテキョー終えてから、キッドと一緒に来るらしいで…」

ちゃちゃのん「いいんちょって… あぁ、胡桃ちゃんけぇ…」

洋榎「やたら口うるさくてな。 アイツ委員長みたいやねん」


ちゃちゃのん(そりゃお調子いの愛宕さんが、注意されるよーなこと ばっかりしちょるからのような……)





ちゃちゃのん「確か胡桃ちゃんって 浪人中の漫さんトコで、家庭教師のバイトをしちょるんじゃよね」

洋榎「せやねん。 漫のヤツ、ウチらの大学が第一志望やからな―――」

洋榎「いいんちょは勉強してウチの大学に試験合格しとるし、距離的にも都合が良かったんでウチが紹介したんやで~~」

ちゃちゃのん「なるほどのぅ……」



ちゃちゃのん「でも、キッドって――?」

哩「キッドとか、普通に誰んことか分からんと…」

洋榎「なんでや、塞んヤツのあの片メガネ 怪盗キッドみたいやろ!!」

ちゃちゃのん「あぁ、塞ちゃんのことじゃったか……」ポンッ



哩「ありゃ、モノクルいうばい」

哩「何でもアレは鼻や目元の窪みに引っ掛けるように装着するんで、彫りの深くない日本人には不向きらしい」

ちゃちゃのん「へぇ~ そうなんじゃ。 アレって、そういう名前なんじゃね……」フムフム

哩(私も塞のヤツに聞いて知ったんやが……)



ちゃちゃのん「でもアレをして、読書に耽る塞ちゃんは絵になっとったの~~///」エヘヘ

哩「ああ、まるで老紳士の肖像画のようにサマになっとったばい」

ちゃちゃのん「酷い!?」





彼女は白水 哩(しろうず まいる)さん。


インターハイでは、新道寺女子ダブルエースの部長さんとして大活躍じゃったが


高校卒業後は西の最高学府で『なんとか細胞の研究』を後輩の子と一緒にしたいゆー理由で、大阪に来たんじゃが。


結果として 関西弁に染まりつつある哩さんは、二年続けて受験に失敗。


今年 一年遅れで受験した後輩の子だけが、その大学に合格してしまったそうじゃ。


じゃけぇ 哩さんは今年で二年目の浪人生活っちゅうことになっとるそうじゃ(来年こそ、何とか合格して欲しいのぅ…)




そんな彼女は、大阪に来て以来 この喫茶店でバイトを続けちょるそうじゃ。


店長さんがとっても気のええ人らしく、色々と融通してくれるゆーこともあって


今じゃぁ ここが愛宕さんたちサークルメンバーの、たまり場になっちょるそうじゃ。





お洒落なお店ゆー感じではないんじゃが


大きな声で騒いでもええ雰囲気じゃし、ご飯もとっても美味しいし


何よりも雀卓が置いてあるっちゅうんが、たまり場の決め手になったとか。



そういうちゃちゃのんも、今ではここがすっかりお気に入りじゃよ♪






哩「――にしても、まさか佐々野がこいつらとつるむとはな。 正直、少し意外やったわ」

ちゃちゃのん「あはは、ちゃちゃのんもびっくりじゃったよ~」ヘヘッ

ちゃちゃのん「愛宕さん、ホンに突然なんじゃもん…」


洋榎「せやから、その愛宕さんいうの やめとき。 何や、落ち着かんでかなわんわ…」

ちゃちゃのん「えっ… ほんなら、何て―――」



カランカラン…

胡桃「本当よ。そんなのアホの子でも、カニ道楽でも何でも良いから」


ちゃちゃのん「あっ、胡桃ちゃんに塞ちゃん。 待っちょったよぅ♪」フリフリ


洋榎「アホの子でもカニ道楽でもないわ!! 誰がエイリアンにガッチリホールドされた シガニー・ウィーバーやねん!!」

洋榎「ウチは浪速のスーパー美少女 ヒロエちゃんやで~~♪」キラリん☆

胡桃「そーゆーのいーから…」



哩「らっしゃい、今日は何にするばい?」

塞「あっ、二人とも軽く食べてきたんで いつものドリンクで――」

哩「了~解」スタスタ





洋榎「で、カテキョの方はどうなんや? 漫のヤツはええ子にしとるか?」

胡桃「小学生じゃないんだから、しっかり勉強してるわよ」

胡桃「漫ちゃん 覚えも良い方だし、集中力も凄いよ。 ただ――」


洋榎「ただ、何やねん?」

胡桃「あの子、ムラッけありすぎて。 試験の最中に、集中力切れなければ良いんだけど…」フゥー

ちゃちゃのん(もなか食べたくなってきたのぅ……)

洋榎「あ~ 爆発やな。 漫んヤツは前っからそうやったもんな~~」



洋榎「恭子のヤツは、よく罰ゲームを設けて ハッパかけとったで」カカッ

胡桃「罰ゲームかぁ… 集中してもらうには、そういうのも一つの手なのかもね」ムムッ

塞「別にご褒美でも良いと思うけど、漫さんにはそっちの方が良いんだっけ?」

洋榎「おぅ、漫のヤツはドMやからな~」ケラケラ

ちゃちゃのん(ドMって……///)


哩「ふ~ん… 世の中には、ずいぶん変わった趣向のヤツがおるんやな」コトッ

洋榎「………」

胡桃「………」

塞「………」

ちゃちゃのん「ほぇ―――?」



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白水 哩




そのあとゴールデンウィークに、みんなでどっか旅行しようゆー話になり


何個か案は出たんじゃが、みんなそれぞれに予定あるけぇ


あんま遠くにゃ行けんっちゅうことで、今日の雑談はお開きに。


久しぶりにお友達(そう思われちょったら嬉しいんじゃが)との お出かけじゃぁ~


何だかとっても楽しみで、ついつい笑顔がこぼれてしまうんじゃ♪





カラン コロン…

ちゃちゃのん「ちゃちゃのん こっちじゃけぇ、ほんじゃーね♪」フリフリ

洋榎「お~~ のんちゃん、さい・ならやで~~」

胡桃(岩尾…)

哩(岩尾か…)

塞(フットボールアワー……)



ちゃちゃのん「…………」モジモジ

洋榎「何や、どないしたん?」

ちゃちゃのん「ひ… ヒロちゃん……」テレッ

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんのこと… あの時、誘ってくれて ありがとの…///」テレッ

ちゃちゃのん「ほんじゃ、またの~~///」タタッ…




洋榎「ヒロちゃんて… ウチのことか~~」

洋榎「あんのアホンだら、ホンマ恥ずかしいやっちゃな……///」

胡桃「はは、素直な良い子じゃない。 じゃ、私と塞もそろそろいくね」

胡桃「あとその のんちゃんネタ。ちゃちゃちゃん分かってないみたいだし、そろそろ止めときなさいよね」ジャーネ

塞「それじゃ、哩さん ご馳走様でした」スタスタ





哩「おぅ、洋榎――」チョイチョイ

洋榎「ん、何や?」

哩「佐々野って、確かアイドルしとったやろ。 それって、今も活動しとんの?」


洋榎「そういやアイツの口からは、まだなんも聞いとらんけど… どうなんやろ?」

洋榎「去年の今頃は雑誌なんかでも チラホラ見かけとったが、最近活動しとるとかあんま聞かんな」

洋榎「――で、あのアホがどうかしたん?」



哩「あ~ ま~~ 何だ… これはお前らには余計な話なのかも知れんのやが…」ポリポリ

哩「後んなって噂を耳にしても面倒や思うから、一応 お前には話しとくばい……」

哩「ま~~ これはあくまでただの根も葉もない噂なんやろが、佐々野と同じキャンパスの学生たちが前に話しとったんや――」

洋榎「……………」










哩「去年、佐々野んヤツが『枕』しとったって―――」











ゴールデンウィークに、みんなとお出かけじゃ。


どこ行くんじゃろうなぁ、ちゃちゃのん 今から楽しみじゃ♪ ルンルン






プルルルルルル…


久しぶりの事務所からの電話。


あの件から


随分と経った。



ちゃちゃのん、ようやっと仕事に復帰出来るんじゃろか――――





ヒロちゃんたちのおかげで



ちゃちゃのん、ちょっとだけ前向きになれた気がするけぇ




ちゃちゃのん、もっともっと頑張らなくっちゃいけんよね!!






そして楽しみじゃった ゴールデンウィーク♪



洋榎「あふれる人ごみ!」

洋榎「立ち込める名物の香り!」

洋榎「写真を撮りまくる観光客!」

洋榎「超有名なものの数々!」

洋榎「道・頓・堀ーーーーー!!」ヤッホーーーイ


洋榎「って、何ッで地元やねん!!」ガイドマップ バシーーーーン

塞「おおっ、ノリツッコミ」


胡桃「仕方ないでしょ、遠出は皆厳しかったんだから!!」

洋榎「そこは勢いと情熱と無鉄砲さでGOやろ~~!!」

ちゃちゃのん「あはは、無茶言わんの~」


漫「佐々野先輩、確かアイドルの仕事入ったんですよね」

ちゃちゃのん「まぁ… 深夜のローカルテレビで、水着着るだけのお仕事なんじゃけどね…///」テレッ

胡桃「すごいなぁ……」ジブンノムネ ペタペタ

塞(胡桃……)ドウジョウ


洋榎(…………)



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上重 漫




セーラ「で、ドコ行くんや? GWはOBとの接待麻雀ばっかやし、俺はどっかで気晴らししたいでー!!」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、お洋服とか見たいかの~」

哩「私はこのへんの喫茶店を、少し見てみたいな。 あと本屋…」

漫「あっ、私も参考書とか少し見たいかも…」


塞「じゃあ3時間後に集合ってことで!!」

胡桃「オッケー、かいさーん!!」

洋榎「待て待て待て待て待て!!」

胡桃「ん…?」


洋榎「何で解散やねん!! 腐っても皆で旅行みたいなもんやで!?」

洋榎「折角やから、皆で一緒に回ったらええやん!!」




メンバーの大半にとっては地元っちゅうことで、各自別行動でお買い物ゆー流れんなったが


せっかくみんなでの旅行。 一緒に観光したいって、ヒロちゃんが子どもみたいにゴネたもんじゃから


結局、みんな一緒にワイワイ大阪観光するっちゅうことになったんじゃが……



いきなり道頓堀から離れとるんは、なんでじゃろ―――?






ジュー ジュー

ちゃちゃのん「わぁ~ お好み焼きじゃ~♪」

塞「ごくり…」

セーラ「これワリカンか? だったら今日は死ぬほど食ったるで~~」ジュルリ

洋榎「どや、これが大阪名物 上重焼きやで~~!!」クリンッ ジュー ジュー

漫「て、ここウチの店やないですか~~~! 何やねん!!」



ちゃちゃのん「へぇ~~ 漫ちゃんの実家って、お好み焼き屋さんなんじゃね」

漫「ですわ。 せやから姫松の頃は、よぅ先輩たちにたむろされとりましたわ~~」シクシク

胡桃(まぁ、私は知ってたんだけど…)




漫母「あら、胡桃センセー。ウチの子がいつもお世話んなっとります~~」ズイッ

胡桃「あっ、どうも。 こちらこそ、いつも美味しいお好み焼き頂いちゃって……」

漫母「それにしても、胡桃センセー いつ見てもクリンクリンで可愛ええな~~」

漫母「ホンマ、ビリケンさんみたいやわ~~ ウチの子にならへん?」ホオズリ ホオズリ

胡桃「えっ… それはちょっと―――」


漫「もぅ、センセー困っとるやん。 ホンマ恥ずかしいから、おカーチャンはあっち行っててーな!!」シッシッ

漫母「何やねんこの子は。 反抗期やろか、オカン寂しいわ~~」





セーラ「おー 上手い上手い!! 焼きはともかく、やっぱ漫んとこはタレがひと味違うねん」ハグハグッ

洋榎「何でや、ヒロエさんの焼き具合がサイコーやねんで!!」ジュー ジュー

胡桃「うん、美味しい…」モグモグ


塞「本場のお好み焼きかぁ。 そういえば、まだ数える程しか食べてなかったなぁ…」ムシャムシャ

哩(確かに、これはなかなか。 今度アイツにも、食べさせてやりたいばい)パクパク



ちゃちゃのん「たまにゃぁ大阪風もええモンじゃのぅ~」ハフハフッ

胡桃「そっか、ちゃちゃちゃんのトコは広島風だっけ…」

漫「センセー 広島の人に広島風いうと、怒られますよ~~」

塞「やっぱり広島の人って 大阪のお好み焼き、口に合わなかったりするの?」

ちゃちゃのん「ほぇっ、そんなことはないんじゃよ~~」ブンブン


ちゃちゃのん「確かに過剰に対抗心持っちょる人もおるようじゃけど、ちゃちゃのんはどっちも大好きじゃよ♪」

セーラ「お~~ やっぱ いちごは話の分かる赤ヘルやで♪ ホレ、これも食ってええんやで~~」ホイッ

ちゃちゃのん「せ~ちゃん、ど~もありがとな~~♪」パクッ

漫「ちょっ、それ私のじゃないですか~~!?」

胡桃「もぅっ、バカみたい…」



セーラ「そんで、いちごんトコのお好み焼きはどんなんや?」

ちゃちゃのん「そうじゃのぅ、ちゃちゃのんは ほぼろ流じゃけど―――」



漫母「胡桃ちゃん、おかわりやで~~」ズズイッ

胡桃「あ、どうも…」モグモグ

塞(餌付けされてる…)






せ~ちゃんが食べ過ぎて エレエレする騒ぎもあったけぇ



お昼の後は、ちゃちゃのんのお買いものに付き合ってもらったり


哩さんリクエストの喫茶店でのんびりお喋りしたり、楽しい時間を満喫出来たんじゃ♪





ワイワイ ガヤガヤ


ちゃちゃのん「のぅのぅ、あの信長書店って 何のお店じゃろ…?」スタスタ

胡桃「何だろ、やっぱり信長っていうくらいだし古書店とかかな?」トコトコ


ちゃちゃのん「あそこに漫ちゃんの参考書とか、置いちょらんかのぅ?」

洋榎「…………」

塞「…………」

哩(洋服は、また今度でええか……)


漫「あ、私の参考書はまた今度でええですから、先 行きましょ…」ハハッ




※良い子のみんなは、信長書店がどんなお店か調べてはいけないよ!!





洋榎「――そーいや自分ら、いつ誕生日なん?」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはタレント名鑑見たらのっちょるよ」フフン


洋榎「どうせやったら、誰かが二十歳になる度に集まってパーっと騒ごうや!!」

塞「あ、それはちょっと楽しそうかも…」

ちゃちゃのん「無視!?」


漫「私は誕生日来ても、まだ19なんですけどね……」

セーラ「あ、俺の誕生日 ちょっと前に終わったで~~」

哩「私もこの前 終わった(姫子との旅行、楽しかったばい///)」ゾクゾク

洋榎「あちゃ~~ 自分ら4月組かぁ…」


洋榎「じゃあ 今からバースディソング歌ったるさかい、顔面ホールケーキぶつけして祝ったろか?」

哩「ころすぞ」

セーラ「ヤルからには、自分ヤられる覚悟出来とんのやろな…」ギロッ

洋榎「あ、どうもスンマセン……」




ちゃちゃのん「ヒロちゃん どうもありがとな。 今日はとっても楽しかったけぇ♪」エヘヘ

洋榎「お、おぅっ……」アセッ


ちゃちゃのん「ヒロちゃん……?」






―――というわけで、


おそらく『胡桃・洋榎の大学SS』当時にはまだ分かってなかった、各キャラの誕生日設定とか

こちらの世界線では原作である咲準拠として、ちょこっと設定変更してみました。


因みに原作の設定はこんな感じみたいですね。



【誕生日順+各キャラの簡単な紹介(身長は2年前、高校生当時のもの)】

04/16 白水 哩(しろうず まいる) 元新道寺女子高校 身長159cm

04/22 江口 セーラ(えぐち せーら)元千里山女子高校 身長160cm

07/18 愛宕 洋榎(あたご ひろえ)元姫松高校 身長155cm

09/15 鹿倉 胡桃(かくら くるみ)元宮守女子高校 身長130cm

12/14 佐々野 いちご(ささの いちご)元鹿老渡高校 身長148cm

01/06 上重 漫(うえしげ すず)元姫松高校 身長148cm

02/15 臼沢 塞(うすざわ さえ)元宮守女子高校 身長154cm






それから暫く経って―――




♪~ チャン チャン チャン チャラランラ…


ちゃちゃのん(―――?)

ちゃちゃのん(にゃんこオバちゃんからじゃ。 またバイトのお手伝いかの――)



大阪に住んどる母方の叔母から、バイトの手伝いを頼まれた。


ちゃちゃのんの気のせいかもしれんのじゃが、どうもヒロちゃんがよそよそしい気がするのぅ。



よっし、ここは一つ バイトのお誘いでもしてみようかの!!







にゃー にゃー にゃー


洋榎「メイド服… ねこみみ… ねこのシッポ…///」

ちゃちゃのん「ヒロちゃん何しょーるん、早よ制服に着替えにゃあかんよー」にゃー

洋榎「おまっ、なに言うとんねん!!」


洋榎「ええバイトあるから手伝え言うんでついて来たけど、ここメイド喫茶やないかい!!」

洋榎「ウチ 恥ずかしゅうて、こないなカッコで接客なんぞ出来るかっちゅうねん!!」テレッ


ちゃちゃのん「え~~ 制服 とっても可愛ええじゃろ。 それにここぁメイド喫茶じゃのうて、にゃんにゃんカフェじゃよ♪」にゃー

洋榎「自分、それ何や余計に如何わしいやろ!!」

ちゃちゃのん「もぅ、そんなことないけぇ…」



ちゃちゃのん「にゃんにゃんカフェはお客さんが、店内の可愛いにゃんにゃんたちを眺めたり、撫でたり――」

ちゃちゃのん「一緒んなって にゃんにゃん遊んだりして、心癒される 憩いの場所なんじゃよ~~~」にゃー

ちゃちゃのん「じゃけぇ、ちっとも如何わしくなんかないんじゃよぉ♪」エヘヘー

洋榎(にゃんにゃんて、ホンマ猫の話なんやろな。 このアホの言い方が、何や如何わしく聞こえんで…)



ちゃちゃのん「言うなりゃぁ、ここは現代社会っちゅう砂漠に疲れた人たちを潤す、心のオアシスじゃけぇ♪」


ちゃちゃのん「それにメイド喫茶と違うて、若い男の人よりも にゃんこ好きのOLさんとかがメインじゃけぇ平気じゃよ♪」にゃー


洋榎「そ、そんなら… ま~ ええやろ……///」



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ちゃちゃのん「わぁ~~ ヒロちゃんは、黒猫ちゃんがとってもよぅ似合うの~♪」にゃー

洋榎「せやろー さすがやろー? もっと褒めてもええんやで~~♪」ムフフ

ちゃちゃのん「ほんじゃ~ お次はペルシャとか、ミケなんてどうじゃろ~~」ガサゴソ


洋榎「て、それはもぅええわ!! そろそろ仕事しようや!!」シャー

ちゃちゃのん「あ、そうじゃったのぅ。 ちゃちゃのん、うっかりしとったんじゃ…」




にゃー にゃー にゃー

洋榎「にしても、ホンマねこパークやなぁ」

ちゃちゃのん「ま~ にゃんカフェじゃけぇのぅ…」にゃー

洋榎「こない猫屋敷で食事とか、衛生面は平気なんやろな?」

ちゃちゃのん「そのへんはやっぱり一番気ぃ使っちょるみたいじゃよ。 色々とルールなんかもあるわけじゃし…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんたちの主な仕事は、給仕とお店のルールやマナーをお客さんに教えてあげることじゃよ」

洋榎「そのルールを、よう知らんっちゅうねん」

ちゃちゃのん「そのへんはちゃちゃのんが説明するけぇ、分からんかったら呼んでくれればええよぅ♪」

ちゃちゃのん「そういえば、日本で一番最初のにゃんカフェは大阪みたいじゃの~~」にゃー




カラン コロン…

ちゃちゃのん「お嬢さま、お帰りなさいませにゃ~♪ 今日もいっぱい癒されていって欲しいんじゃ~~♪♪」にゃー

ちょっと疲れたOL「あら、いちごちゃんじゃない。 またオバさんに駆り出されちゃったの~~」

ちゃちゃのん「あはは… おかげさんで ちゃちゃのんも、すっかりここの にゃんこちゃんじゃよ///」にゃはは



カラン コロン…

淋しがりの主婦「あらあら、いちごちゃん。 今日はピンクの可愛い子猫ちゃんなのね、とってもお似合いよ~」

ちゃちゃのん「えへへ、どうもありがとにゃ~~♪」シッポフリフリ




洋榎「………(ウチ、今日 初めて佐々野んこと、心底スゲーヤツやって思ったで…)」





女店長「いちごちゃん、ええ子じゃろ~~」ズイッ

洋榎「あっ、店長さん。 どうもお世話んなってます」

女店長「今どきあんなええ顔で笑える子、ちぃーとおらんけぇのぅ」

女店長「時々手伝いお願いしとるんじゃが お客さんにも大人気じゃし、正式にウチで働いてもらえんかの~~」カカッ


洋榎「ま~ 確かに、アイツには こういう仕事は天職や思いますわ」

女店長「でもな~ あの子、どうも男の人が苦手みたいでのぅ…」

洋榎「あっ、そうなんや…」

女店長「本人表情にゃ出さんようしとるようじゃけぇ、男の人と話す時 あの笑顔がチラッと曇るんじゃ」


女店長「そがーなこって、ホンマにアイドルとかなれるんかいのぅ」

女店長「ぶち繊細な子じゃけぇ。 芸能界の荒波にあの子が耐えられるんか、ワシャそこが心配で心配でのぅ……」

洋榎「…………」





洋榎「大丈夫やないですか。 アイツ、たぶん意外と強いやっちゃで……」ニッ

洋榎(インハイのあの大舞台で、ウチにあないボコられたんに――)

洋榎(そのウチに、めっちゃええ笑顔してくるんや。 ありゃきっとホンマもんの大アホやで―――)

女店長「…………」ホゥ



女店長「そか、それ聞いてオバちゃん ちぃーと安心したわ」

女店長「これからも、いちごのヤツと仲良くしたってな~~」バン バンッ

洋榎「あたたっ、痛いっちゅーねん!? そないバンバン叩くなや!!」





にゃー にゃー にゃー


洋榎「は~~ シンド。 流石のヒロエさんも、体力と愛想力の限界を感じるで~~」フゥ…


ちゃちゃのん「あ~ ヒロちゃん、お疲れさまなんじゃ♪」

ちゃちゃのん「疲れたじゃろ。 こっちはちゃちゃのんやっとくけぇ、暫くスタッフルームで休んどってえ~よ~」

洋榎「おぅ、あんがとさん。 ほんなら、ちょっくら休ませてもらうで~~」





【スタッフルーム】


洋榎「よいしょっと…」ソファー ズムッ



にゃー にゃー にゃー

洋榎「何や、自分らも休憩中か。 別にホールにおっても、やること変わらんやろ」ナデナデ


ペロ ペロ…

洋榎「てぇ、なに登って来とんねん!? こら、ペロペロすんなや!!」アセッ



にゃー にゃー にゃー

洋榎「はぁ、お前らのせいでメッチャねこ臭くなったで。 まぁ、ええわ…」



にゃー にゃー にゃー

洋榎「は~~ 何や癒されんで。 そういや、夕べはあんま寝とらんかったな―――」ウトウト…



にゃー にゃー にゃー

にゃー にゃー

にゃー




ちゃちゃー


ちゃちゃー ちゃちゃー


洋榎「う~むぅ…」

洋榎「何やねん。 さっきからちゃちゃちゃちゃ、やかましでぇ~~」フワァー



ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ヒョコン


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんじゃー」キャッキャッ


ちゃちゃのん「………」プルプル


洋榎「――――は?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃー」オズオズ




洋榎「はぁーーーーーーーーッ!? 何やねん、コイツら!!」

ちゃちゃのん「っ!?」ビクーーーッ



洋榎「ちっさ!! うっわ、ちっさ!? 何や グレムリンサイズのちっさい佐々野が、ぎょうさんおんで~~~!?」

ちゃちゃのん「ちゃ… ちゃちゃー」プルプル


洋榎「ありゃ、何やよう分からんけど怯えとる…? 怖いのはこっちやっちゅーねん…」

洋榎(―――コイツラ、噛み付いたりせんやろな…)オソル オソル


ちゃちゃのん「………」ウルウル





洋榎「あ~ 怖ない怖ない。 ウチはとっても優しい、スーパー美少女ヒロエちゃんやで~~」

ちゃちゃのん「………」ジー


洋榎「ホレホレ、いちごのアメちゃんあるで~~」スッ

ちゃちゃのん「………」ジー




ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ペロペロ


洋榎「おっ、くいついた♪ 何や よう分からんけど、ちょっと可愛ええな~///」

洋榎「お~ ええ子 ええ子やで~~」アタマ ナデナデ


ちゃちゃのん「ちゃちゃ~っ♪」キャッ キャッ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんもじゃー」トコトコ



ちゃちゃのん「………チャチャ」プルプル


洋榎「おっ… なんや、自分らもナデナデして欲しいんか?」

ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ナデテ ナデテ



洋榎「やっばぁ、コイツラむっちゃ可愛ええやん♪ こっちゃ来い、こっちゃ来い♪♪」ホレ ホレ


ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ペロペロ


ちゃちゃのん「ヒロエじゃー」ダキツキ


ちゃちゃのん「………コウリョー」プルプル





ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ペロペロ


洋榎「それにしても、ホンマこいつら可愛え~わ~~」ウズウズ




洋榎「お~♪ 何やコイツ、ホッペタぷにぷにやんか~~」ウリウリー


ちゃちゃのん「ちゃちゃー やめるんじゃー」プルプル プニプニ


洋榎「おっ、一丁前に嫌がっとんのか? 何やよー分からんけど、無性に苛めたなってきたで~~」ハァハァ


洋榎「ホレホレホレホレ~~~~」ワッシ ワッシ ワッシ ワッシ


ちゃちゃのん「うっきゃ~~ なっ なにするんじゃー」プルプル プルプル


洋榎「ここなんか~ ここがええのんか~~」ハァハァ



ちゃちゃー ちゃちゃー


ちゃちゃー







お~い… ヒロちゃ~……



大丈夫かぁ~~~



洋榎「はっ!?」




にゃー にゃー にゃー


ちゃちゃのん「あっ、起きたんじゃ…」


洋榎「こっ、ここは…?」キョロキョロ


ちゃちゃのん「ヒロちゃん、大丈夫? 何だか にゃんこに埋もれて、随分うなされとったみたいじゃよ…」


洋榎「うっぎゃ~~ 夢か~~~~い!!」ガバァッ


ちゃちゃのん「うひゃっ!? びっ、びっくりしたんじゃ…」ドキドキ



洋榎「て、毛布…?」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんちょっと前まで 気持ち良さそうに寝ちょったけぇ、ちゃちゃのんが―――」

洋榎「そか、そいつはありがとさん…」


洋榎「てっ、バイト! まだバイト中やったろ!?」

ちゃちゃのん「あ… バイトの方はもぅ終わったけぇ、心配せんでもええよ~」

洋榎「なっ…?」



ちゃちゃのん「今日はそんな忙しくもなかったけぇ。 ヒロちゃんの分はちゃちゃのんが やっといたけぇ平気じゃよぉ」

ちゃちゃのん「オバちゃんも、また来てな~って ご機嫌じゃったしのぅ♪」


洋榎「あちゃ~ そりゃ申しわけないことしてもうたな。 自分も気付いとったんなら起こせや~」


ちゃちゃのん「ヒロちゃんがあんま気持ち良さそうじゃったけぇ、ついの…」エヘヘ



ちゃちゃのん「でも、何か怖い夢でも見ちょったん? 途中からずいぶん息が荒かったようじゃが…?」


洋榎「あっ、あ~ あれな~~(ちゃちゃー ちゃちゃー)」トオイメ


ちゃちゃのん「ん…? ちゃちゃのんが、どうかしたんか…?」ジーー



洋榎(あれは魔物やったな。 ウチの中に眠る何や得体の知れん属性みたいなモン――)

洋榎(無理やり引きずり出されそうになった感じやったで…)ドキドキ



洋榎(佐々野いちご。 恐ろしいヤツかもしれん…)ゾクゾク


ちゃちゃのん「何じゃろ……?」パチクリッ




ぐぅ~~~

ちゃちゃのん「おりょ…?」

洋榎「おっと、そういや小腹が空いてきたで…」グゥー



ちゃちゃのん「あっ、ほんならちゃちゃのんち来よるん? 今日のお礼に夕飯くらいご馳走するんじゃ♪」テレッ

洋榎「おっ、ええんか。 そういやいいんちょんトコにはよぅ行くけど、自分トコにはまだ行ったことなかったな」



ちゃちゃのん「あっ、勝手に荒らしたりは しちゃ駄目じゃよぉ!!」

洋榎「わ~っとる、わ~っとるって!! 洋榎さんを信用して~な!!」ニッコリ




にゃー にゃー にゃー


ちゃちゃのん「お~ よしよし♪ にゃんちゃん達、また来るけぇの~~」バイバイ


ばたんっ…





【佐々野家】



ちゃちゃのん「じゃ~ 夕飯作ってくるけぇ、ちょっと待っちょってな~~♪」パタパタ

洋榎「お~ よきに計らえ~~」クツロギー





洋榎(ここが佐々野の部屋か。 何やちょっと緊張してきたで…)


洋榎(いいんちょんトコはわりとこざっぱりしとったが、コイツんトコはやっぱファンシーやな~~)キョロキョロ



洋榎「というわけで~ 定番の家探しタイムやで~~」タッタカター


洋榎「やっぱいいんちょん時だけやるんは 不公平やもんな~~♪」タッタカター


洋榎「何やスケベ~なモンはないんか~~♪」キョロキョロ




洋榎(いちご、にんじん、ぶどう、ばなな、ねこ、うさぎ、いぬ、くまのぬいぐるみ――)

洋榎(他にも名前を出しにくいねずみとあひるに、何やよ~分からんぬいぐるみまであるやん)


洋榎(おぉっ!? アレは幻の超像可動シリーズと言われる『R・ネエロ』!?)

洋榎(――て、それはただウチが欲しいモンやったわ……)




洋榎(おっ、何やギターとかもあるやん。 ま~ どうせ下手の横好きなんやろなぁ)


洋榎(それと… 机の上にオルゴールとか色んな種類の絵はがきなんかもあるけど、誰かと文通でもしとんのやろか?)




洋榎(何やろう。 綺麗に片付いてはいるんやが、新しいモンから古いモンまで 物がゴチャっとしとんなぁ)キョロキョロ


洋榎(コイツはきっと捨てられんタイプやな)カクシン





洋榎(いちご日記…? て何やねんそのネーミング、小学生かぃ!!)


洋榎(何か中に挟まっとるみたいやけど――)


洋榎(まぁ、流石に中まで見るんはヤメといたるで…)


洋榎(ヒロエさんの海より深い慈悲の心に、感謝するんやで~~ て、ん―――)ガサゴソ





洋榎「何やねん、これ…?」ピロンッ


洋榎「いちご柄のプリント―――?」


洋榎「布みたいやけど、衣服か何かなん―――?」ヒラヒラ





ちゃちゃのん「ヒロちゃん、お待たせなんじゃ~~♪」トコトコ


ちゃちゃのん「て~~!? なに勝手に、ちゃちゃのんの洋服ダンス漁っちょるんじゃ~~///」ハワワッ




洋榎「おぅ… 自分、コレ何やねん?」ピロンッ


ちゃちゃのん「ふぇっ… そっ、それは……」


ちゃちゃのん「い… いちごパンツ言う、腰巻きじゃよ……///」カァァ


洋榎「腰巻き!? は~ これが噂に聞くパンツ言うモンか~~」ジロジロ





ちゃちゃのん「う、うん… ちゃちゃのんの婆っちゃたちの頃は、普通に皆しちょったみたいじゃよ…」


洋榎「そんで、自分いつもしとんのか? 何や年寄りくさいの~~」



ちゃちゃのん「ちゃ、ちゃちゃのんじゃって、別にいつもはしちょらんよ~~///」


ちゃちゃのん「でも、いちごパンツは 婆っちゃとの思い出じゃけぇ……」


洋榎「ほ~ 何や面白そうな話やないかい―――」




ちゃちゃのん「てぇ、もぅこの話はええじゃろ~~ はよご飯 食べんと冷えちゃうじゃろ~~///」アセッ


洋榎「おぅ、そうやったな。 ウチもぅお腹ペコペコのペコちゃんやねん…」グゥゥー





洋榎「ほな、いっただっきま~~す!!」


ちゃちゃのん「いただきます…」




パクパク

パクパク


洋榎「おっ、この煮付け美味いやん♪」モグモグ

ちゃちゃのん「牡蛎フライは大丈夫じゃったかの? オバチャンに渡されて、悪くなる前に使いたかったけぇ」

洋榎「お~ 全然イケとるで。 鮮度落ちたのは勘弁やけど、コレはベリーグーやねん♪」グッ

ちゃちゃのん「そりゃぁ良かったんじゃ♪」モムモム



パクパク

パクパク


ちゃちゃのん「……今日は、ヒロちゃん誘ってみて良かったんじゃ…」ポソ

洋榎「――――?」ムグッ




ちゃちゃのん「最近ヒロちゃん、ちょっとよそよそしい感じじゃったろ…」


ちゃちゃのん「それで、今日は思いきって誘ってみたんじゃ…」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、今日はヒロちゃんと いっぱいお喋り出来て楽しかったんじゃ…」ハグッ


洋榎「………」カチャ








―――去年、佐々野んヤツが『枕』しとったって……







ちゃちゃのん「ヒロちゃ――?」


洋榎「すまんかったなぁ、枕なんて変なあだ名で呼んで…」ポリポリ


ちゃちゃのん「ほぇ…?」キョトン





洋榎「芸能界っちゅうトコは、きっとウチが考えとる以上に 大変なトコなんやろな~」


洋榎「生き残るため、売れるためにはどんなことでもせにゃアカン。 それこそ泥水すすってでも―――」




ちゃちゃのん「えっと…?」


洋榎「だから大丈夫やで、ウチはどんな佐々野でも受け止めたる――」


洋榎「何があっても、ウチらは心の友やで~~」(慈悲の眼差し)


ちゃちゃのん「ちょ ちょ ちょ~~ 何じゃい、その観音さまみたいな 慈悲に満ちた眼差しは~~!?」


ちゃちゃのん「まるでちゃちゃのんが、枕しちょるみたいじゃろ~~!!」








洋榎「―――しとらんの?」ン?


ちゃちゃのん「しとらんわ!! 前にも、そう言うたじゃろ~~!!」コラァッ




洋榎「あ、あはは… そうなん? 何や、ウチ変に気ぃ回し過ぎたわ~~」


ちゃちゃのん「まったく、どうも近頃様子がオカシイ思ちょったら―――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんのこと、ずっとそんな目で見ちょったんじゃな…」プンスコッ


ちゃちゃのん「大方、変なウワサでも真に受けたんじゃろ……」





洋榎「あ~ ま~~ そんなトコや。 スマン スマン…」ヘヘヘ


ちゃちゃのん「でも、ええよ。 全く根も葉もない噂ってわけでもないんじゃし……」



洋榎「それって…?」




本当はこんな話、誰にもする気はなかったんじゃが…




何でじゃろう…




そん時、ちゃちゃのんは―――



ヒロちゃんに誤解されたままっちゅうんが、たまらなくイヤじゃと思ったんじゃ―――









ちゃちゃのん「その… ちゃちゃのんな……」


ちゃちゃのん「去年 前の事務所を辞めて、つい最近まで芸能界 干されちょったんじゃ……」


洋榎「………」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんバカじゃけぇ。 芸能界のこととか、そういうの何も分かっちょらんかったんじゃ……」


ちゃちゃのん「アイドルになって皆にいっぱい笑顔届けて、それで落ち込んどる人を少しでも元気付けてあげられたら嬉しいの~って――」


ちゃちゃのん「そう思ってお仕事、頑張っちょったんじゃ―――」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの事務所は、そんなに大っきなトコではなかったんじゃが…」


ちゃちゃのん「マネージャーさんからはいっつも、君は笑顔で頷いてればそれでええんやでって言われとっての―――」







ちゃちゃのん「…………」グッ


ちゃちゃのん「その日はどこかの局の、とっても偉いプロデューサーさんゆー人に紹介されて…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、いつも通り笑顔で頷いちょったんじゃが――」



ちゃちゃのん「何じゃかよー分からんうちに 変なトコに連れ込まれて、ちゃちゃのん怖くなって必死に暴れて逃げたんじゃ―――」カタカタ


洋榎「佐々野……」





ちゃちゃのん「それでそのこと、マネージャーさんに話したら」


ちゃちゃのん「エラいことしてくれたねって、凄く怖い顔で怒られて……」フルフル



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、そのまま事務所を辞めることになってのぅ……」


ちゃちゃのん「新しい事務所でも、ちゃちゃのんは暫く仕事しちゃいけないって言われて―――」ジワッ


洋榎「………」





ちゃちゃのん「―――やっぱり、言いつけ破ったちゃちゃのんが 悪かったんじゃろか……」ポタポタ


洋榎「ア、アホ抜かせ!! そんなんちゃちゃが悪いわけないやん!!」


洋榎「それよりそのプロデューサーとマネージャー、しっかりぶん殴ってやったんやろ~な!!」



洋榎「そんなんの言うこと聞くようやったら、それこそホンマもんのアホンだらやで!!」


洋榎「あ~ もぅ、何やメッチャムカつくわ~~~」






ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ごめんのぅ…」ポロポロ


洋榎「そ、そんなん、別にえ~わ……」




洋榎「ウチの方こそスマンかったな。 何や怖いこと思い出させたみたいで―――」ギュッ


ちゃちゃのん「あっ……」



洋榎「ま~ なんや… 暫くそばに居たるから、自分ちょっと落ち着き……」



ちゃちゃのん「う、うん……///」ギュッ






ちゃちゃのん「すぅ…すぅ…」


洋榎(泣き疲れて、寝てもうたんやろか……)


洋榎(ま、今日はウチの分まで働かせてもうたし… そんくらい、勘弁したるわ……)




洋榎(にしても、何やコイツええ匂いすんな。 それにまつ毛とか、メッチャ長いやん…)ドキドキ


ちゃちゃのん「すぅ… すぅ……」ギュゥ



洋榎(それにコイツ、どんだけ無防備やねん。 ウチは抱き枕やないんやでぇ……///)ドキドキ



むにむに…


洋榎(それにこのむにむにと当たる感触… アカン、何やメッチャムカついてきた……)イラッ




ボカッ


ちゃちゃのん「あいたーーー!?」


ちゃちゃのん「ちょっ、ヒロちゃん何するの~~」ウルウル


洋榎「うっ、うっさいわ ボケーー!! 自分、いつまで木のぼりウィンキーみたいにしがみついとんねん!!」





ちゃちゃのん「うぅっ、ヒロちゃんは優しくないの~~」シクシク


洋榎「喧しいわ!! こない優しさのカタマリ、バファリンも裸足でジョイナー走りやで~~~!!」


ちゃちゃのん「くすっ…」


洋榎「あっ…?」



ちゃちゃのん「ふふっ、そういうトコ何だかヒロちゃんらしゅうて安心するのぅ」エヘヘ


ちゃちゃのん「ずっと一人で抱え込んどったからじゃろか―――」


ちゃちゃのん「いっぱい喋って、いっぱい泣いたら、何だか随分と楽になった気がするんじゃ……」





洋榎「で、今はもぅそういうの平気なんやろな?」


ちゃちゃのん「うん。 今のマネージャーさんは女の子じゃし、今度の事務所はそ~いうの無いトコじゃけぇ平気じゃよ」


ちゃちゃのん「その代わり、ステップアップには色々と地道な努力が必要そうじゃけどね~」ヘヘッ



洋榎「そか、んじゃ~ 頑張るしかないわなぁ」


ちゃちゃのん「うん、ちゃちゃのん頑張るんじゃ♪」ニコッ



洋榎「へへっ、せいぜい気張るんやで~~」





【いちご日記】


6月××日(はれ)




今日 いちごはヒロちゃんと、ようやっと本当のお友達になれた気がするんじゃ。



婆っちゃにゃぁ、そういうお友達 たくさんおったんじゃろか?




ヒロちゃんにいちごパンツのこと、年寄りくさい言われてまったんじゃ。



うぅっ、恥ずかしいんじゃ。



いちごは可愛ええ思うんじゃがのぅ。





男「ど~も、お久しぶりじゃね。 さっ、お婆さんに挨拶しんさい」


老婆「お~ お~ こりゃまた 随分と可愛ええ子じゃの~~」カカッ



いちご「ちゃ… ちゃちゃの、いちごじゃ… です…」オソル オソル


老婆「お~ ちゃちゃの、いちごちゃんかぃ! 可愛ええ名前じゃの~~」カカカッ


男「ちゃちゃのじゃの~て、佐々野じゃろ」



いちご「えと、ちゃちゃの… さ、ささの… じゃ… です…」フルフル ウルウル


男「ど~も この子は臆病すぎましてなぁ。 来年にゃ保育園じゃってのに、ホンに心配じゃよ……」ハァ


老婆「ええんじゃ、ええんじゃ。 ちゃちゃの、可愛いくてええじゃろぉ。 の~ ちゃちゃのちゃん♪」カッカッ



いちご「あ… ありがと… なんじゃ…///」テレッ











女「転勤って、あなただけ…?」


男「本社の意向でのぉ。 急なことじゃし、お前といちごは暫く お婆さんのトコに行って貰うゆーことで ええかのぅ?」


女「それはええんじゃが、あそこにゃぁ 小学校も――」



いちご「………」ギュッ


男「いちごはお婆さんにゃ、よぅ懐いとるよぅじゃし。 この子にゃ、あ~いうのんびりした環境の方がええんかもしれん」


男「ええ子んしとるんじゃぞ、いちご」ナデナデ


いちご「…………」コクコク






♪~ チャン チャン チャン チャラランラ…


ちゃちゃのん(あっ、ヒロちゃんからメールじゃ…)


ちゃちゃのん(麻雀大会やるから胡桃ちゃんちに集合。 なおメルティキッスを持参するように…)フムフム


ちゃちゃのん(胡桃ちゃんちで麻雀大会 楽しそうじゃの~♪ でも、何でメルティキッスなんじゃ?)







ちゃちゃのん「あっ、胡桃ちゃんヤッホー♪」ブンブン

胡桃「あっ、ちゃちゃちゃん。道、大丈夫だった?」ヤホ

ちゃちゃのん「うん、ちょっと迷ったけぇ。 大丈夫じゃったよ~~」ヘヘ

洋榎「迷った言うて、ウチにナビ頼んできよったクセによう言うで」

ちゃちゃのん「もぅ、ヒロちゃんのかばちたれぇ…」ムゥ



洋榎「そんで例のブツは、ちゃんと持って来たんか~?」

ちゃちゃのん「ん、コレのことかの。 はい、メルティキッス♪」ポン

洋榎「まいど、おおきにやで~~」

胡桃「もぅ、別に毎回徴収しなくても… 好きだけどさぁ……」ハズッ





【胡桃の部屋】


ちゃちゃのん「ほぇ~~ 胡桃ちゃんのお部屋、ずいぶん綺麗に片付いちょるんじゃね~」キョロキョロ

セーラ「んじゃ、またやっとくか~」タッタカター

洋榎「おぅよ、お主も好きよの~~」タッタカター


胡桃「だから、それはもぅやめなさいっての!!」ケリッ





胡桃「ロン!!」

ちゃちゃのん「あぅっ、また振ってしもうた…」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、ホンにテンパイ気配が読めんの~」ウーン

洋榎「のんちゃんは、誰にでもすぐ振り込んでまうやろ~~」カカッ

ちゃちゃのん「そっ、そんなことないけぇ!!」



ちゃちゃのん「ちゅーか、その『のんちゃん』ゆーのヤメるんじゃ。 胡桃ちゃんに聞いたんじゃぞ!!」モー

洋榎「ちょっ、いいんちょ、何チクっとんねん!?」

胡桃「うるさい、そこ!!」ビシッ

洋榎「あ、はい…」

洋榎「て、そんなんで誤魔化されんでぇ!!」ガー

セーラ「ま~ えーやないか、はよ続き打とうや~」ハハッ





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


洋榎「の~ いいんちょのそれって オカルトなん?」タン

胡桃「ん~ どうかな。リーチなしのダマテン縛りって以外、私自身 特に意識してるわけじゃないし」タン



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セーラ「しっかし、ホンマ オカルトってスゲーわな~~」タン

洋榎「自分んトコいたあの病弱そうなの。 ありゃ、ホンマもんのオカルトやろ」

セーラ「せやな、何や怜のヤツ 幽体離脱みたいなことまでした言うとったで~~」



ちゃちゃのん「う~~ん…」コト

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、そういう不思議な力って ちょっと憧れるかのぅ」

セーラ「せやけど… 怜のオカルトは何や命を削られとるようで、あんまアレに頼りすぎるんはアカン思ったで…」

洋榎「せやな。 ま~ この洋榎さんの天才的ヨミと 動物的カンの前には、どんなオカルトも通用せんやろーがな~~」タン

胡桃(うるさい…)タン


セーラ「よー 言うで、個人戦で自分オカルト使いにヤられとったやないかい」タン

洋榎「アレは、他のヤツらが沈みすぎての収支負けやんか…」



ちゃちゃのん「えっと、どうかいの…」コト

洋榎「あ、それロンや!!」パララッ

ちゃちゃのん「!?」アウッ



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ちゃちゃのん「そういえば胡桃ちゃんのアレ、『カクラサマ』ゆーんじゃろ?」

胡桃「ん~、マスコミとかだと そう呼ばれてたわね」ジュース ズズー


ちゃちゃのん「それってやっぱり、遠野物語のカクラサマが由来なんじゃろか?」



胡桃「ん、たぶん。 ま~ 他にも座敷わらしとか、河童とかいろいろ言われてたけど…」

洋榎「座敷わらしとか、ホンマそっくりやん!!」カッカッカ

セーラ「オカッパ頭やから、カッパかいな!!」ゲラゲラ

胡桃「殴るわよ…」イラッ


ちゃちゃのん「もぅ、二人とも そういう失礼なこと言わんのぉ…」モー


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胡桃「後は、シロのも『マヨヒガ』とか言われてたわね」

洋榎「お~ あの悩むと打点高くなるっていうアレな」パリポリ

ちゃちゃのん「元々は遠野物語にある 迷い込んだ家から何か持ち帰ることで、富や幸福を得られるゆーヤツじゃよね」



セーラ「んじゃ、塞んヤツの防塞ゆーのもそうなん?」

胡桃「マスコミで言われてた『塞の神』については、遠野物語では一文程度で あんまり多くは書かれてないよ」

胡桃「でも柳田先生が遠野物語の前に書いた、石神問答って本の中では―――」

胡桃「塞の神さまについて色々と書かれてるって、確か 塞が言ってたかな……」



ちゃちゃのん「ほ~か、ほ~か。 さすが塞ちゃん、物知りじゃのぅ」フムフム

洋榎「何や? 赤ずきんちゃちゃのんは、そういうのに興味あるん?」パリポリ

ちゃちゃのん「ちょっ… 何じゃ、その呼び方は!?」



ちゃちゃのん「まぁ、本とかの話は昔から結構好きじゃよ。 ちゃちゃのん、読書家じゃけぇ♪」エッヘン

洋榎「何やねん、その無駄アピール。 アホの子のクセしよってからに――」

ちゃちゃのん「もー ちゃちゃのんは、インテリ芸人じゃ!!」

セーラ「おっ、いちごは芸人志望か?」

ちゃちゃのん「芸人じゃないけぇ、ちゃちゃのんはアイドルじゃ!!」モー

胡桃「バカみたい!」ズズー ベコッ





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


セーラ「そういや 怜のオカルトは、先天的なもんやなかったなぁ」タン

洋榎「そうなん?」トッ

セーラ「以前 倒れた時に生死の境を彷徨って、そん時から見えるようなった言うとったで~~」



胡桃「―――そういうキッカケによる認識から始まって、意志の力で花開くとか。 そういうものなのかな……」タン

ちゃちゃのん「………?」コト



胡桃「塞は自分の力のことを、明確に認識してるらしいよ」

胡桃「それで対局中は常に自分を塞の神さまとして振舞って、その力を行使してるみたい」

セーラ「思い込みの力に現実が引っ張られる~ みたいな話やろか?」タン

ちゃちゃのん「ほぇ~~ そういうモンじゃろか……」

洋榎「オカルトやな~~」ポン




胡桃「オーラみたいなのって、信じる方?」タン

ちゃちゃのん「う~ん、ちゃちゃのんは… 信じちょるかのぅ」

ちゃちゃのん「はやりん先輩とか、清澄の原村さんとか… オーラみたいなんある気ぃするけぇ」コト

洋榎「お~ それって、自分に決定的に足らんヤツやないか」カカッ

ちゃちゃのん「うぅっ…」ナミダメ


洋榎「あっ、スマン… 自分、めっちゃ気にしとったんやな?」ポン

胡桃(う~ん… 確かにちゃちゃちゃんには、そういうの足りてないよね…)タン


セーラ「オーラ力に目覚めたいんやったら―――」

セーラ「フェンリルで海と大地の狭間の世界まで飛翔して、聖戦士イ=チゴサ=サノになればええんちゃう?」

ちゃちゃのん「わけがわからないんじゃ…」ウゥッ



セーラ「でもやっぱ 元チャンピオンとかすこやんには、そういう凄みみたいのある気ぃするわな」

胡桃「オカルトからくる威圧感みたいの? 普段は全然なんだけど、対局中のトヨネにも そういうのあったかも」


洋榎「やっぱオーラの源 ゆーたら、『ウチは最強やでー!!』みたいな感じの 内からにじみ出る自信やろ!!」

洋榎「自分に足りんのはやっぱそれやねん。 ほなもっと自信持ちや~~」ニコッ



ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか…」エヘヘ タン

洋榎「お、それロン!! 清老頭で32000やな」パララッ

ちゃちゃのん「はぅっ!? そんなん考慮しとらんよ…」ポロポロ

胡桃(酷っ)

セーラ(コイツ鬼やろ…)


               ___

            ,. .:': : : : : : : :`: : ..、     l二二二 フ
           /..:: : : : : : : : : : : : : : : \      / <[][]
         /: : : /: : : l: : : : : : :.l : : :', : :ヽ.__  .//ヽ.ヽ
      ,. .-v': : : :,' : : ノ!: : : : : : :.lト:、 :.',: : : ヽ: :、 ̄    ̄
     /: : : ,': : ; :.,:/: :l l: : : : : : :.l i: :.\il: : : : :; : :ヽ  O
    ,': : : :.!: : i: :lト;: : |:Lゝ:'; : j.: / .j: :./:リ.!: : : : :i: : : i  o

     i: : : : l: : :l: :l! ,,ム示、ヽ从/ .示半z, jl: : : l/i: : : !
    ゝ: : 人: :ゝ:|./lkr必l!     lkr必!.} j/: ノト; :.:丿
    ((. i:.(:ト;.:.`ーイ とつ''¨   '   とつ .l!:l : : i ):.l
    ヽ ー=-: :l:ト   |!''''   --    ''' .j、l: : : !'イ
     /: : l|.: l:lゝ, {;  (     )    ノ人: : :.i
      //: :.l!: :.i:l:j: :.>..          ...:く:(: : :.!: :..i
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      ゝ ): :.';: :.ト、j: : !: :!=|      |: : l: j:.l': V : : .人
     丿:!: :.): !:|:l Yi/ ` 、 _r'´ \リ/:.:.(: : :.( _ ))

    /:.イ:.:/:ヽY!jヽ;!!   /  ̄|ト、. .|/: :/):) 、: :、:(
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   !::! ./ ゝニ=-    ´  l::::::::::/   `j/  , 'イ ヽ
   ゝ./ ヽ   /       ヽ:-:〈      \  / |
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ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


セーラ「は~ 何や眠たなってきたで~」ショボ ショボ

洋榎「おっ、ほんならそろそろ賭け麻雀でも始めるか?」



ちゃちゃのん「賭け…?」

胡桃「もぅ、またアレやるの。 ホンッとバカみたい…」ハァ

ちゃちゃのん「賭けって何じゃ…? ちゃちゃのん、お金賭けるんはちょっとのぅ…」

洋榎「アホか、ンなもん賭けるかい!! ウチみたいな美少女が麻雀で賭けるっちゅうたら、アレしかないやろ!!」クネクネ

セーラ「せや、脱衣やでーー!!」グッ



ちゃちゃのん「えっ、えぇぇぇ~~~~!?」アセッ

ちゃちゃのん「そっ、そんなんちゃちゃのん無理じゃよぉ!?」アウアウ

洋榎「女同士やん、平気や平気。 胡桃なんてキューピーちゃんのクセして、なかなかの脱ぎっぷりやで~~」ケラケラ

胡桃「うっさいわよ///(キューピー言うな!!)」


セーラ「ま~ ノリやノリ♪ あんま深く考えんでええんちゃうか~~」カッカッカ




ちゃちゃのん「うぅ… 早く帰りたいんじゃ……」フルフル




ちゃちゃのん「どうじゃろ…」コト

洋榎「ほい、それローーーン!!」バキューン

ちゃちゃのん「えぇっ!?」

セーラ「山越しとか、自分ホンマひっでーやっちゃな~~」ゲラゲラ

胡桃(完全に悪ノリだわ。ちゃちゃちゃん、ご愁傷様…)ハァ






洋榎「じゃ、いちごちゃ~~ん。 もう一枚いってみよっか~~」



ちゃちゃのん「うぅっ、そういうのやめるんじゃぁ……」ウルウル


セーラ「いよっ、エロカメラマン洋榎~~~♪」ヒュー ヒュー





ちゃちゃのん「うぅ、あんまり見ちゃ駄目じゃぞ……///」ヌギヌギ



胡桃(これが乙女の恥じらいかぁ…)ジー


セーラ(これがアイドルの生脱ぎいうヤツか、何やメッチャエロいで…)ジー


洋榎(………………)パシャッ


ちゃちゃのん「パシャッ――?」ホェッ





洋榎「―――あっ、ワリ。 つい写メってもうた…」


ちゃちゃのん「ちょ~~ 何を撮っとるんじゃ~~!! 流出とかしたらマズイじゃろ~~~!!」ギャー


洋榎「おわっ、ちょっ… 自分、ちょっと落ち着けや~~~!?」ウォォッ



ドタ ドタ ドタ ドタッ


ワー ワー ギャー ギャー・・・



???「…………」


ドンッ!




一同「「あっ――」」





胡桃「ほら、壁ドンされちゃったじゃない。 滅多なことじゃされないってのに……」ヤレヤレ


セーラ「流石に騒ぎすぎたみたいやな」ハハッ


ちゃちゃのん「うぅ、すまないんじゃ…」グズッ


洋榎「ま~ 何や、悪かったわ……」ポリポリ





胡桃(それ以降 ちゃちゃちゃんいる時の脱衣ルールは、何となくNGみたいな流れになった…)





七夕の頃―――


今からみんなでヒロちゃんちに遊びに行くトコじゃ。


そういえば ヒロちゃんちに行くの、今日が初めてじゃったのぅ。




胡桃「で、結局 哩ちゃんは来られないんだね」

洋榎「バイト外せないんやって…」

セーラ「ははは、バイト戦士は真面目やなー」

塞「ていうか、いつもいきなりすぎるのよ…」ハァ

洋榎「まーまー、そう言わんと」


ちゃちゃのん「こんな大人数で押しかけて、ホンに大丈夫かいのぅ…」オズオズ

洋榎「ノーウェイノーウェイ」

洋榎「モーマンタイ、イッツオーライ、アイムファインセンキュー」

胡桃「意味よく分からずに喋るのやめようよ」

洋榎「とにかくオカンには話し通してあるしな」



セーラ「いやー、会うの久々で楽しみやわー」

塞「そっか、千里の監督さんなんだっけ」

ちゃちゃのん「……麻雀について、ちょっとお伺いしたくなるのぅ」




【愛宕家】



洋榎「たっだいまー」ガチャ

絹恵「おかえりー」

胡桃「おじゃましまー……」

ちゃちゃのん「あ…」

絹恵「えっ…」

塞「……ど、どーも」ヘコッ

絹恵「ひあぁぁぁぁあぁあぁっ!?」

絹恵「し、失礼しましたー!!」ダダダダダッ



セーラ「はっはっは、いきなり真っ裸を見るとインパクトあるなー」

塞「お風呂あがりだったみたいだし、悪いことしちゃったかしら……」

洋榎「あ、そーいやサプライズしよ思って、人呼ぶこと言うとらんかったわ」

塞「おい」

胡桃「後で謝りなよ!」

洋榎「へーい」


ちゃちゃのん(妹さん、スタイルえーのぅ…)ホェー






模試を終えた漫さんも途中で合流し、妹さんも含めた皆での麻雀大会。


このメンバーが集まりゃぁ、やっぱりいつも通りの麻雀ちゅう流れになるんじゃね。



ほんでもって、やっぱりいつも通りのぐだぐだテンションになっちょるんじゃ――――



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愛宕 絹恵



ちゃちゃのん「そっかぁ。 妹さんは、今は麻雀よりサッカーなんじゃね」


絹恵「ですわ。 お姉ちゃんやオカンに憧れて、麻雀やったりもしてましたけど…」


絹恵「麻雀と同じくらい、やっぱサッカーも好きなんやな~ 思いまして。 私って昔からブレまくりなんですわ…」ハハッ



ちゃちゃのん「分かるんじゃ、ちゃちゃのんも同じじゃけぇ…」


ちゃちゃのん「大切にしたいモンいっぱいあるのに、この両手じゃ とても掴みきれないんじゃ―――」


絹恵「でも、悩んだ結果 上手くいく。 そんなことも たまにはある… みたいですよ―――」


絹恵「それに、私は――――」






洋榎「おー、さっきからそっちで何の話しとるんやー?」ジャララ…

絹恵「ん、ん~~ 通勤ラッシュは痴漢が多くて困るわ~~ みたいな話やでぇ」シーー

ちゃちゃのん「へっ? あぁ、うん… そうじゃの…」エヘヘ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん。 ちょっと距離あるんじゃが、通勤ラッシュの時間はキャンパスまで歩いちょるんじゃ…」

漫「痴漢ですか~ 分かります。 胸に腕とかグイグイ当てられたりして、アレは結構イヤですわ~~」

ちゃちゃのん「うん… よぅ後ろから匂い嗅がれたりとか、凄く怖いんじゃ…///」ウツムキ

漫「あ~ 佐々野先輩とか絶対何も言えなそうですもんね~ ルックスもスタイルもええし、痴漢からしたら最高のカモネギですわ」

ちゃちゃのん「うぅ、そうなんじゃろか……」



洋榎(痴漢な~ そういや会うたことないの~)

胡桃(痴漢か… 下校中、コート姿の変なオジさんにアメ貰ったことならあるけど…)

胡桃(あの人、私がぺろぺろするの暫く見てたなぁ……)



セーラ「そういや、前に浩子… フナQにセーラー服着せられて電車乗ってた時に、俺も尻揉まれたことあるで~~」

セーラ「腹立ったんで、思いっきり蹴りくらわしたったけどな~~」カカッ


洋榎(ん…? これってもしかして、モテる自慢っちゅうヤツなん!?)




塞「あ~ そういえば、私もこの前 痴漢にあったな~~~(棒)」

洋榎(!?)

胡桃(塞!?)



塞(ごめん胡桃。 私もそっちに括られるのは、ちょっとイヤかな……)



そんなこんなありつつ、麻雀大会も終了して―――




洋榎「と、いうわけで~、勝ちまくった記念にパーっと騒ごうや!!」

セーラ「ええなー!!」

以上、トータル大勝組。




塞「――まあ、いいけど。 あんまり騒ぐと怒られるんじゃ…」

漫「先輩のお母さん、ごっつ怖いって聞くし…」

以上、トータルトントン組。




胡桃「なんでもいい…」ハァ

ちゃちゃのん「こんなん考慮しとらんもん……」ウルウル

以上、トータル大負け組。




絹恵「お姉ちゃん。 この人数だとさすがに同時にご飯食べるとか難しいんじゃ」

洋榎「あ、せやったら―――」

ちゃちゃのん(――――?)



洋榎「おっくじょーーーーう!」イヤッホーーイ

セーラ「うっはー、たっけーー!」wwwww

胡桃「うわぁ、本気で屋根に登ってる」

ちゃちゃのん「あ、あああ、危ないよぉ」アセアセ



洋榎「おーい、皆も来いて!!」オーイ

塞「あー、もう… あのまま放置してもご近所迷惑なっちゃうだろうし」

塞「いこ、胡桃」

胡桃「……はぁ」

胡桃「しょうがないなぁ」ヨイショッ

ちゃちゃのん(へっ、胡桃ちゃんたちも行くんか!?)アワワッ



塞「おお、風が気持ちいいね~」

胡桃「うわー、たかーい」

洋榎「ホレホレ、絹とちゃちゃもはよ来ぃて!!」

ちゃちゃのん(あわわっ、あんなこと言われちょるんじゃ!?)

絹恵「もぅ、しゃ~ないな~ 佐々野さん、ウチらも行きましょか」ヨッ




ちゃちゃのん「あわわ… ホンに押したら怒るけぇね!!」ビクビク

漫「超へっぴり腰……」

洋榎「へーたれーー」ゲラゲラ

ちゃちゃのん「う、ううううるさい!!」フルフル

ちゃちゃのん「あ、て、手ぇはなさんといてね 妹さん!!」ギュッ

絹恵「はい はい」クスクス



胡桃「星が見えないのが残念だね…」


ちゃちゃのん「本当じゃ。大阪の夜はロマンチックじゃないのぅ…」





今夜の鹿老渡の夜空はどうなんじゃろぅ。


鹿老渡の夜は、お星さんがとっても綺麗じゃった―――




ちゃちゃのんも…


いつかあの満天の星空の下、誰かと一緒に夜空を見上げる日が来るんじゃろうか。


そんな素敵な相手が、ちゃちゃのんにもいつか現れるんかのぅ。




漠とした期待、将来への不安、いつ訪れるか分からん恋への憧れ。



幾度となく繰り返してきたそんな空想が、どんよりとした大阪の夜空に鈍く去来した―――






洋榎「ちなみにもっと夜になると更にロマンチックじゃなくなるでぇ」

ちゃちゃのん「ふぇ!?」

洋榎「暴走族の排気音がBGMになるしな~」ニシシ

セーラ「バイクのライトに照らされた塀の落書きが見られんでーー」カカッ


ちゃちゃのん「大阪、こわいんじゃ……」フルフル



洋榎「ほれほれ、ちゃちゃもジャンプしてみ」ピョンッ

ちゃちゃのん「嫌じゃー! 落ちてまぅーー!!」プルプル

セーラ「そんな屋根の真ん中やったら、大丈夫やって」ゲラゲラ


洋榎「スリルは大事やで! 万引きとかと違ぅて、犯罪にならんスリルは貴重やで~~!!」ケラケラ

ちゃちゃのん「絶対に嫌じゃーー!!」ヘバリツキー





胡桃「…………」


胡桃「~~~~~~」ボソ


塞「ん? 何か言った――?」



胡桃「―――んーん、なにも」フフ





視界の端、何かを呟いちょった胡桃ちゃんの姿が……



その時のちゃちゃのんにゃぁ、何故じゃかとても印象的なモノに見えた―――――



セーラ「お、あれバイトやん」

塞「あ、ほんとだ」

洋榎「ああ、やっぱ飯とか作ってもらおう思って、強引に呼んだねん」

胡桃「ひどっ…」

洋榎「あ、でもちゃんとアイツと連れからは材料費とか取らんし」フフン

塞「そのへんはしっかりしてるんだ……」



ちゃちゃのん「連れって?」

洋榎「ああ、知らんかった?」

洋榎「アイツ、同棲しとんねん…」

セーラ「ほれ、手ぇ繋いで歩いてきとるやろ」ヒヒッ

塞「あれは絶対ルームシェアの友人どころの関係じゃないわね」



胡桃「誰か双眼鏡持ってないかな」キョロ キョロ

洋榎「アイツの観察は誰も止めんのかい!!」

塞「まぁ、ほら、私たち色気のある話題って少ないから……」ハハ





洋榎「おーい、バイトー!」 ブンブン

セーラ「ハラヘッタデー! だーっしゅ!!」

哩「!?」ビクッ

塞「あ、思わず手ぇ離した」

ちゃちゃのん「何じゃか初々しいのぅ」エヘヘ



絹恵「あ、私も見せてもろてええです?」

胡桃「もちろん」ハイ

塞「部屋から双眼鏡持ってきてくれたの、妹さんだしね」



洋榎「はっはっはー、お熱いねー!!」

セーラ「らーぶらぶやなー!!」ヒュー

洋榎「らーぶらぶ! あそれ! らーぶらぶっ!!」ヒュー ヒュー

哩「殺す! そこ動かんとけや、ぶっ殺しちゃる!!」ビシィ


胡桃「すごい ご近所迷惑だよね」

塞「あ… すっかり大阪に染まってきた先輩に、ちょっと引いてるよ後輩ちゃん」

ちゃちゃのん「可哀想じゃのぅ…」



結局、屋根の上でのバーベキューは 煙が立ちすぎるし危ないからと即中止に―――




洋榎「せやったら、近所の焼肉屋の駐車場でバーベキューパーティーとかどうや?」

胡桃「馬鹿じゃないの!!」

ちゃちゃのん「えっ、そんなんダメじゃよ~~」アセッ




店員「すみませんお客様、当店の駐車場でそのような迷惑行為は……」

洋榎「あ、はい、すみません」

セーラ「アホや~~~」ゲラゲラ

ちゃちゃのん「もぅ、それみんさいや~~」アセアセッ


セーラ「もぅ、いつも通り哩ん店でええやろ。 腹減って死にそうやで~~」グキュウゥゥー




ホンにヒロちゃんは、いつでも行き当たりばったりで



とりあえず面白そうなら、何でもかんでもやってみようっちゅう感じじゃった。



そんなヒロちゃんの行動に、ちゃちゃのんたちはいつだって振り回されっぱなしだったんじゃ。




哩「のぅ、佐々野…」ボソッ

ちゃちゃのん「哩ちゃん、何じゃ?」

哩「その、スマンかったな」

ちゃちゃのん「へっ…?」



哩「佐々野の妙な噂、洋榎に吹き込んだのは 私たい―――」

哩「ホンッマ、スマンかった!!」フカブカ

ちゃちゃのん「ちょっ、ヤメるんじゃよぉ、哩ちゃん!?」アワワ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん全然気にしちょらんし… むしろそのことにゃぁ、とっても感謝しちょるんじゃ!!」

哩「感謝やと――?」

ちゃちゃのん「そうじゃ… その噂のおかげで、ちゃちゃのんヒロちゃんと仲良うなれたんじゃけぇ…」

哩「…………」



ちゃちゃのん「じゃけぇ、どうもありがとの」ヘヘヘ

哩「そか、ならええんや。 本当に良かった…」フフッ




ちゃちゃのん「ほうじゃ♪ の~ 哩ちゃん…」ジロジロ

哩「何や?」

ちゃちゃのん「その… ちゃちゃのんとも、ぜひお友達になってもらえんじゃろか…?」テレテレ

哩「ん!?」


ちゃちゃのん「…ダメかのぅ?」

哩「あ、ああ… 分かった。 これからもヨロシクばい」テレッ

ちゃちゃのん「えへへ、どうもありがと~の♪」ニコッ


哩(まったく、変なヤツばい。 しかし所詮 我々は同極同士、おそらく相性の方は良くないやろな…)ジー

ちゃちゃのん(………?)ホヘ?






姫子「ぶちょー、さっき佐々野さんと 何の話ばしちょってん?」ススッ

哩「あ、いや… 大した話じゃなか… それより、私はもぅ部長じゃないと何度も――」

姫子「じゃ~ 浪人番長の方が良かですか~~?」ニッコリ

哩「あ、部長で……」タジッ



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鶴田 姫子




ザー ザー ザー

ちゃちゃのん「うひゃ~~ 急な雨じゃ~~~」バシャバシャッ

ちゃちゃのん(ん、アレって…?)



ちゃちゃのん「胡桃ちゃ~~ん♪」ダキッ

胡桃「うわぁっ!?」ドキィ

胡桃「て、ちゃちゃちゃんかぁ。 もぅ、ビックリさせないでよ~」

ちゃちゃのん「えへへ、ゴメンの~~」ビショビショ

胡桃「てか、ちゃちゃちゃん、びしょ濡れじゃない。 大丈夫?」

ちゃちゃのん「あ… 濡れた身体でしがみついたけぇ、胡桃ちゃんまで びっしゃこなってもーたかのぅ。 ごめんのぅ」

胡桃「え、あ… 私は別に大丈夫だけど……」




ちゃちゃのん「ほ~か、ほ~か。 胡桃ちゃんも哩ちゃんトコ行く途中、降られたんじゃね」フムフム

胡桃「うん。 降ってきてすぐ雨宿り始めたから、私は平気だったけど…」

ちゃちゃのん「じゃ~ ちゃちゃのんも、一緒に雨宿りしていくんじゃ♪」

胡桃(そんだけ濡れねずみになってから、雨宿りしても… あ…)ジー


胡桃「ん…」ゴソゴソ

ちゃちゃのん「ん、何じゃ?」

胡桃「はい、タオル。 ちゃんと拭いとかないと、風邪ひいちゃうよ」フキフキ


胡桃(あと、何か透けてるし……///)

ちゃちゃのん「胡桃ちゃん、どうもありがとなんじゃ♪」ヘヘッ

胡桃(この子 見てると、本当に心配になるのよね~~)フゥ



ちゃちゃのん「それにしても、突然の雨じゃったの~~」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのん用意周到がモットーなんに、一生の不覚じゃったよ~」トホホ

胡桃「この分だと、梅雨明けはもぅちょっと先みたいだね(本人は用意周到なつもりなのね…)」



胡桃「ちゃちゃちゃんは、試験勉強は大丈夫そう?」

ちゃちゃのん「うん。 少しずつやってきたけぇ、たぶん何とかなるじゃろ」

胡桃「へ~ 感心だね。 あの行き当たりばったりにも少しは見習わせたいよ」

ちゃちゃのん「それって、ヒロちゃん?」

胡桃「そっ、アイツってば せっかくセーラが貰ってきてくれた過去問もやらずに、夏休みの旅行の計画立てたり――」



胡桃「ホンッと楽しいこと以外には興味ないっていうか… 大体いっつもテキトー過ぎるのよ!!」プンプン

ちゃちゃのん「…………」エヘヘ

胡桃「てっ、何その笑い!?」

ちゃちゃのん「あ、ゴメンのぅ。 ただ ちょっとええなって―――」

胡桃「はぁ…?」




ちゃちゃのん「前にヒロちゃん、ゆーとたんじゃ。 大学で再会した頃の胡桃ちゃん、元気なかったって――」


ちゃちゃのん「でも今は、とってもイキイキしちょるじゃろ。 それが何だか、妙に嬉しくなってのぅ♪」ヘヘッ


胡桃「あ――――」








洋榎「うーん… あん時みたいに生き生きして、喋ってほしいんやけどなあ…」



洋榎「やっぱり、岩手の仲良しさんがおらんのがあかんのやろうか――」






胡桃「――――くすっ」


胡桃(そういや 最近はあの頃ほど、高校の頃のことばっかり振り返らなくなってるかな…)


胡桃(モチロン今でも宮守のみんなのことは大切。 だけど、きっと今も大切になってきてるんだろうな―――)



胡桃(それって… やっぱりアイツや、みんなのおかげなのかな――――)




ザー ザー ザー

ちゃちゃのん「はぁ、ちゃちゃのんも もっと麻雀強ぅなりたいの~~」

胡桃「ちゃちゃちゃん 打ち方も綺麗だし、決して弱くはないと思うんだよね」

胡桃「ただ打ち方が綺麗なせいか、思考が読まれやすいのかな」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、そんなに分かりやすいんかの~~」

胡桃「まぁ、かなり… 相手のトラッシュトークにも、すぐ引っかかるし…」

ちゃちゃのん「そうなんじゃね…」ズーン

胡桃(分かりやすいな~~)




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにも、胡桃ちゃんみたいな気配消しとか出来んじゃろか?」

胡桃「打ち方を真似るだけなら出来るだろうけど、きっとそれだけじゃ不十分だよ」

ちゃちゃのん「そうなんか…?」


胡桃「うん、私のがオカルトなのかどうかは、ま~ とりあえずおいといて…」




胡桃「私って小さくて、昔からあんまり目立たない子だったんだ…」

ちゃちゃのん「……?」



胡桃「トヨネは… あの高身長や瞳の色なんかのせいで、よくいろんな人から怖がられて、いつも一人ぼっちだったみたい…」


胡桃「話してみればとっても優しくて良い子だって、すぐに分かるはずなのにね―――」




ちゃちゃのん「そういえば、ちゃちゃのん 豊音さんにサインをお願いされたことあったのぅ」


ちゃちゃのん「凄く良い子だったんじゃ。 ちゃちゃのんも豊音さんとお友達になれるじゃろか…」


胡桃「トヨネがそれ聞いたら『ちょーうれしいよー』って泣いて喜んじゃうかもね」フフッ

ちゃちゃのん「胡桃ちゃん、今のモノマネ なかなか似ちょったのぅ♪」

胡桃「うっ… 今のは忘れて///」





ザー ザー ザー


胡桃「トヨネはその特徴から背向のトヨネとか、山女とか言われててね…」

ちゃちゃのん「あ、この前の遠野物語の話じゃね―――」



ちゃちゃのん「豊音ちゃんって、確か凄いオカルト使いなんじゃよね?」

胡桃「トヨネのオカルトの源は、その境遇やコンプレックスにあると思うんだ…」



胡桃「前に熊倉先生が言ってたんだけど―――」

胡桃「この手の能力には生まれ育った環境だったり、本人の強い願望だったり、その人の持つ個性が強く影響するんじゃないかって――」

ちゃちゃのん「ほぇ~ そうなんじゃね…」


胡桃「ん、私やトヨネのは、たぶんコンプレックスゆえの力だと思うんだ―――」





胡桃「だから何ていうか、ちゃちゃちゃんは…」

胡桃「望む望まざるに関わらず、人の視線を集めちゃうタイプだし… ま~ 無理かな!!」キッパリ

ちゃちゃのん「うぅ、そんなキッパリと… ちょっと残念じゃ」ガッカリ

胡桃(ホント、羨ましいなぁ―――)





ちゃちゃのん「でも、胡桃ちゃんはやっぱり凄いのぅ…」

胡桃「えっ、何で…?」

ちゃちゃのん「じゃって、自分のコンプレックスを武器にしちゃったんじゃろ?」


ちゃちゃのん「きっとちゃちゃのんにゃぁ出来ん思うけぇ。 胡桃ちゃんはやっぱり凄いんじゃ…」


胡桃「ん、そんなたいそうなもんじゃないってば……」モー




胡桃「それに、私の能力なんて半端なもんよ…」

ちゃちゃのん「それって……?」




胡桃「前に清澄のマナー悪い部長さんから聞いたんだけどね…」


胡桃「ステルス桃。 卓上だけじゃなく、完全にこの世界から 気配を消し去れるみたいな人がいるんだって――」

ちゃちゃのん「ふぇぇっ、何じゃそれ!?」



胡桃「すぐ隣にいても、その存在を誰にも気付かれない。そんな体質の人なんだって―――」






ちゃちゃのん「それは… 何じゃか、ちょっと寂しいのぅ……」シュン



胡桃「ん、そうだね……」コクッ







ザー ザー ザー


ちゃちゃのん「その人のこと、しっかりと見つけてくれる人は おったんじゃろうか…?」



胡桃「どうかなぁ。 でも、そうだといいね……」シンミリ



ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのこと、ちゃちゃのん ちゃんと見ちょるけんね」ジッ


胡桃「ん… ありがと……///」






胡桃「思えば、私の能力が半端なのは… 宮守のみんながいたからなのかな…」


胡桃「塞がいて、シロがいて、トヨネにエイちゃん、熊倉先生。 みんながいたから―――」


ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、完全な能力が欲しかったん…?」




胡桃「ふふっ、いらない… かな……」



胡桃「みんながいてくれたから、私は消える必要もなかったわけだし…」



胡桃「高校3年のインターハイ。 負けちゃったけど、あれは宮守のみんなにとっては 今でも最高の想い出だから―――」



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ちゃちゃのん「そっかぁ。 それは、とっても羨ましいのぅ……」


胡桃「………ちゃちゃちゃんにとっては、あんまり良い思い出じゃない?」チラッ



ちゃちゃのん「………う~ん、どうじゃろ…」


ちゃちゃのん「実はちゃちゃのんにも、よぅ分からないんじゃ」アハハ




ちゃちゃのん「それでも、あの日の巡り合わせにゃぁ 心の底から感謝しちょるよ…」


ちゃちゃのん「アレがなかったら、きっとちゃちゃのんたちは こうしてお喋り出来ちょらんけぇの~~」ヘヘヘ


胡桃「そうだね」クスッ





ちゃちゃのん「へっくちゅっ!!」ブフォッ

胡桃「ちょっと、ちゃちゃちゃん大丈夫!?」

ちゃちゃのん「うぅ~~ すっかり冷えてもうたんじゃ~~」フルフル

胡桃「ちゃちゃちゃん、鼻拭いて鼻!? あんた一応アイドルなんでしょ~~!!」フキフキ

ちゃちゃのん「うへぇ~~ いつもすまないのぅ~~」ズズッ

胡桃「もぅ、それは言わない約束でしょ…」






洋榎「…おぅ、お前ら何やっとんねん?」ジー

胡桃「雨やどり…」

洋榎「さだまさし…?」

ちゃちゃのん「とってもぬくいけぇ、胡桃ちゃんで充電中じゃ~」ベタベタ

胡桃「何か、寒いからって さっきからこの調子で…///」ベタベタ



洋榎「―――おぅ、そっか… もぅ雨やんどるでぇ……」



<筆者が勝手に選ぶ、さださんの好きな曲ベスト○○>


その時の気分で好きな順位も変わるので、特にベスト10縛りとか順位付けはありません。

さださんの曲の全てを知ってるわけではないので、たぶん筆者が知らない名曲もたくさんあると思います。

筆者の作風が重めなのは、そういう作品が好きだからだと思います(申し訳ないです)

曲コメントはてきとうに浮かんだものだけ書いてます。



前夜(桃花鳥)(トキソング。今日 改めて聴いてこのSSのテーマに近い曲だな~と思いました)
防人の詩(筆者は何故か砂の器を思い出します)
二軍選手(夢破れ組には恐ろしく刺さる曲です)
道化師のソネット(例えが多い名曲)
風に立つライオン(壮大な名曲)
精霊流し(ファフナーを思い出す、定番の名曲)
案山子(親の顔が見たくなる名曲)
距離(都会って怖いね)
初雪の頃(故郷ソング)
夢の吹く頃
坂のある町
桐の花
まほろば
マグリットの石(藤子不二雄Aさんのブラックユーモア短編にも同名のありましたね)
療養所(婆っちゃ切ない曲)
黄昏迄
極光(オーロラソング)
Birthday
夢一色
遥かなるクリスマス
償い(暗黒動揺チコタンとならぶ名曲。ドライブ中に聞くとシビレるご機嫌なナンバー)


秋桜(山口百恵さんで有名ですが、元々さださんが提供した曲です)
ほおずき
椎の実のママへ(馬鹿野郎! なんでこんな歌詞を書いた! 言え!!)
雨の夜と淋しい午後は
雨昴(雨やどり+昴)さださんと谷村さんの薄い頭のネタソング



尚 筆者がさだソングにハマったきっかけは

CD田中という某ラジオの1コーナーからという、不純な理由です。





後日―――


試験期間も終了し、季節はいよいよ夏!!





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


洋榎「いや~ 試験明けのこの開放感、やっぱサイッコーやで~~!!」イヤッホーイ

ちゃちゃのん「結局 ロクに勉強せんかったクセに、よぅゆーんじゃ…」

胡桃「…………」充電中



塞「何か、胡桃とちゃちゃのん、ずいぶん仲良くなったよね」

ちゃちゃのん「えへへ、そうじゃたら嬉しいのぅ~~///」テレテレ

胡桃「ちゃちゃちゃん柔らかいし、とっても良い匂いする…」充電中



洋榎「いつまでもちゃちゃの膝上おらんで、はよ自分の卓に戻れや! 四人なのにサンマになってまうで!!」

胡桃「これは私の人間椅子だから大丈夫」ツブス…

ちゃちゃのん「えっ!?」

洋榎「自分、いつものマナーはどこいったんや!!」




ワイ ワイ ガヤ ガヤ


塞(フフッ… ホント。 胡桃が私たち以外とこんなに仲良くなるなんて、ちょっと驚いたかも…)


塞(ま~ シロも関東の大学で色々と頑張ってるみたいだし、こうやって胡桃の世界が広がるのは良いことだよね…)


塞(ま… ちょっぴり、寂しい気もするけどさ……)





夏休み、みんなといっぱい遊びた~~い!!


そう思っとったんじゃが、アイドルにとって この時期はとっても忙しい。




痩せぎすの男「ちゃちゃのん、応援してますね~~」

ちゃちゃのん「どうもありがとなんじゃ~~♪」アクシュ アクシュ


小太りの男「ちゃちゃのんの水着姿! ちゃちゃのんの水着姿~~!!」パシャパシャ

ちゃちゃのん「うぅ、ちょっと恥ずかしいんじゃが、可愛く撮ってのぅ…」エヘヘ


クレバーなサム「応援、している―――////」

ちゃちゃのん「うん。 どうもありがとね~~~♪」フリフリ





チハヤ「ちゃちゃのん、そ~~れ!」パス

ちゃちゃのん「よし、アタックじゃ!!」タタッ

ちゃちゃのん「ふぎゃっ!!」ズルッ ベチャ…


チハヤ「あはは、ドンマイ…」

ちゃちゃのん「うぅっ、足元にワカメが… チハちゃん、ゴメンのぅ…」ウウッ

チハヤ「来年、また頑張ろ♪」

ちゃちゃのん「うん、来年こそは2回戦進出じゃね♪」





そんなこんなで、みんなと会えないまま、夏休みはあっちゅう間に過ぎていった…


まるで時間を飛ばされたのかと錯覚するほど、あっちゅう間に――――




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ちゃちゃのん(は~ 今日もお仕事 疲れたんじゃ…)ベッドニ ポフッ


ちゃちゃのん(でも、とっても充実した毎日じゃったかのぅ……)


ちゃちゃのん(仕事を出来んかったあの頃を思えば、これはイヤな疲れではないんじゃろう――)




ちゃちゃのん(でも、何かが足りん気がするんじゃ……)


ちゃちゃのん(ヒロちゃんたちは、夏休み何しちょったんじゃろか―――)






♪~ チャン チャン チャン チャラランラ…


ちゃちゃのん(あっ、ヒロちゃんからのメールじゃ…)


ちゃちゃのん(へ~~ 夏休み、胡桃ちゃんと哩ちゃんと沖縄旅行したんか~~♪)


ちゃちゃのん(え~な~~ ちゃちゃのんも、行きたかったんじゃ……)




ちゃちゃのん「はぁ、夏休み… 結局、みんなとは殆ど遊べなかったのぅ…」



洋榎「おぅ、待っとったで~~」ヨッ

ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃん! 久しぶりじゃの~~♪」テテテッ



洋榎「何や、毎日 水着で巡業しとったっちゅうわりに、あんま日焼けとかしとらんのやな」

ちゃちゃのん「そりゃぁ、日焼け止めはしっかりしちょるけぇのぅ」


ちゃちゃのん「ヒロちゃんこそ、沖縄旅行したっちゅうわりに ちっとも焼けちょらんね?」

洋榎「ま、ま~な… 通は はしゃがず、敢えて屋内レジャーやねん…」ハハハ

洋榎(結局、マクドで延々だべっとっただけなんやけどな……)

ちゃちゃのん「ん………?」





ちゃちゃのん「そんでヒロちゃん、今日はどうしたんじゃ?」

洋榎「おぅ、ま~ 今日は胡桃たちとも都合つかんかったんでな。たまには自分に付き合ってやろ思ったんや…」



洋榎「まっ、どうせヒマなんやし。 買い物くらいなら付きあったるで~~」

ちゃちゃのん「へへっ、それは楽しそうじゃね♪」



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ちゃちゃのん「にしても、ヒロちゃんは相変わらず、お洋服のバリエーション少ないのぅ」

洋榎「え、ええやん別に!! そんなのキャラ付けやキャラ付け!!」

ちゃちゃのん「何じゃ、そりゃぁ?」


洋榎「ツインテキャラが急にポニテにしたり、メガネっ子がコンタクトにしたり。 そういうのキャラを大事にしない言うやろ」

洋榎「せやから このいつもの変わらん洋服も、ウチのキャラの一部やねん。 藤子先生んキャラみたいなモンやで!!」

ちゃちゃのん「そんなことゆーて、相変わらずお母さんに 買うてきて貰っちょるだけなんじゃろ…」

洋榎「やっかましいわい!!」




ちゃちゃのん「そうじゃ♪ ほんなら今から、ちゃちゃのんがヒロちゃんのお洋服 コーディネートしちゃダメじゃろか?」

洋榎「―――!?」

洋榎「ま、ま~ ええけど… 自分のみたいな、そういうヒラヒラしたのとかは無しやからな。 ハズいわ///」

ちゃちゃのん「うん、了解じゃよぉ♪」エヘヘ





イラッシャイマセーー


洋榎「う~~ やっぱこういう着なれん格好は、恥ずかしいで…///」

ちゃちゃのん「そんなことないんじゃ。 カジュアルでいてちょっぴり大人可愛い感じが、とっても似合っちょるよ~~」ヘヘヘ


洋榎「大体、こういうのは絹みたいのが着た方がやな…」ブツブツ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん、気付いちょらんだけで、本当はとっても可愛いんじゃから。 もっと自信持って大丈夫じゃよ~♪」


洋榎(何やろ、コイツに諭されるとか。 メッチャ調子狂うで……///)



デートとは違うけぇ、仲の良いお友達とのショッピングじゃ。



こういうのを、きっとささやかな幸せってゆーんじゃろうね―――





洋榎「おっ… ちゃちゃ、この雑誌に載っとんで~」ホレ

ちゃちゃのん「あっ、うん。 この前、秋服モデルの仕事をやったんじゃ…」




ワイワイ ガヤガヤ プップーー


洋榎「ん、あの人だかりは何やろ?」

ちゃちゃのん「ん~ 何じゃろう。 警察の人とかも結構おるみたいじゃね…」

洋榎「何や この辺も物騒になってきたから、気をつけんとアカンなぁーー」

ちゃちゃのん「うん、そうじゃね……」




カラン コロン…


洋榎「おっ、なかなかええ感じの雑貨屋やん」キョロキョロ

ちゃちゃのん「じゃろじゃろ、ちゃちゃのんもこの前見つけたばかりの、お気に入りのお店なんじゃ!!」

ちゃちゃのん「可愛いオルゴールとか、絵はがきなんかも色々あるんじゃよ♪」



洋榎「うぉっ、あっちの古着コーナー見てみ!! あの謎の玩具師TOY魔人さんデザインの サザエボンTシャツあんで~♪」ポケボン、テツワンナミヘイモ…

ちゃちゃのん「あ、本当じゃ。 ちゃちゃのん、初めて見たんじゃ…」ビミョー…

洋榎「このナイスバッタ感、やっぱサイコーやな!!」ドヤッ

ちゃちゃのん「えっ、ちゃちゃのんは別に……」


洋榎「おー、ちゃちゃ。 ウチがサザエボン着るから、自分はキティボンで、この後 そのへん練り歩こうや?」

ちゃちゃのん「えっ、これ着るん? テンション上がった修学旅行生みたいで、ちゃちゃのんはイヤじゃよぅ…」アセッ

洋榎「ちぇっ、ノリの悪いやっちゃな!!」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、別にノリとかテンションでは生きとらんけぇのぅ……」



洋榎「――――ちゃちゃ、何か欲しいモンとかあるか?」


ちゃちゃのん「ん…?」


洋榎「まぁ、今日は洋服のコーデとか色々してもろたしな。 ま~ 一応、お礼くらいはさせろや…」



ちゃちゃのん「ヒロちゃん―――」






ちゃちゃのん「そうじゃのぅ、それじゃぁ…」トコトコ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは… これが良いんじゃ♪」ソッ



洋榎「―――いちごのヘヤピン?」


ちゃちゃのん「ん―――――」コクッ





洋榎「何や、ずいぶんやっすいモンでええんやな…」



洋榎「そりゃ ロクにバイトもしとらん身やし、あんまお高いもんねだられても困るんやが―――」


洋榎「もぅちょっと位なら、出せるんやで?」



ちゃちゃのん「ん~ん… ちゃちゃのん、これがええんじゃ―――」


洋榎「ま、別にええねん。 ちょっと待っとれ…」ポリポリ




アリガトーゴザイマシターー


洋榎「ほい、安モンのプレゼントやで~~」



ちゃちゃのん「うん、どうもありがとの――――」エヘヘ




洋榎「そ~いや ちゃちゃはゼミどうするか、もぅ決めたんか?」

ちゃちゃのん「ん、ま~ 一応の。 説明会いくつか行ったんじゃが、一番興味あったトコに行こうかなって思っちょるよ」


洋榎「それってどんなゼミなんや? 面白そうなん?」

ちゃちゃのん「ん~ 秘密じゃ。 ま~~ ちょっと面白そうではあったかのぅ…」

洋榎「ちぇっ、ケーーーチ!!」


ちゃちゃのん「だって、何だか少し恥ずかしいし……」

ちゃちゃのん「それよりもヒロちゃんはどうするんじゃ?」

洋榎「ウチか、ウチはそこまでやりたいこともないからなぁ。 ま~ 予定は未定やな!!」カカッ

ちゃちゃのん「ふぅ、どうせそんなことじゃと思っちょったよ…」




洋榎「あ~ 出席しなくても平気なうえに、卒論も楽なトコどっかにないやろか」メンド


ちゃちゃのん「たぶん、無いんじゃないかのぅ…」モー




ヒロちゃんは相変わらずじゃ……





たくさんの空想はするものの


将来の自分の姿がイマイチ想像出来んでいた。



このままアイドルとして、ずっとやっていけるんじゃろうか。



それとも、将来はプロの雀士として やっちょるんじゃろうか。





ちゃちゃのんにゃぁ、そうと信じられるほどの 確固たる自信なんてないしのぅ。



じゃけぇ今やれることを頑張って、その時のために自分の可能性を少しでも拡げておけたらと思っちょるんじゃが。






時計の針は、今も時を刻み続けちょる。



ちゃちゃのんたちも、いずれは大人になっていくんじゃよね。




大人になるとゆーことへの言い知れん不安、周りから置いていかれることへの焦り。





ちゃちゃのんは――



そん時になって、本当に何かを選ぶことが出来るんじゃろうか――――





ついついしてしまう自問自答。



うん、今はまだ考えないでおこうかの。



きっと、答えなんて出るはずもないんじゃ――――










ちゃちゃのん「えへへ、いちごのヘヤピン… 似合うじゃろか?」チラッ



眠りにつく前。



誰に見せるわけでもなく、一人こっそり鏡の前でオシャレしてみる。




不思議と不安な気持ちが和らぎ、幸せな気持ちで 眠りにつくことが出来たんじゃ――――





【いちご日記】


9月××日(くもり)



ヒロちゃんとのお出かけ、とっても楽しかったけぇ。



胡桃ちゃんや、塞ちゃん、せーちゃん、哩ちゃん。



みんなが一緒じゃから、きっといちごは幸せなんじゃ♪




こんな幸せな時間が、いつまでも続けばええのぅ―――





今日、ヒロちゃんにいちごのヘアピンを プレゼントしてもらったんじゃ



いちごのおめかしした姿、婆っちゃにも見せてあげたかったのぅ――――





可愛ええって、ゆーてくれるじゃろか――――?





老人「ありゃ~ まぁた、いちごちゃんの勝ちじゃのぅ」


いちご「も、もぅ 一回… ええ じゃろか……?」ワクワク


老婆「カッカッカ… ホンにちゃちゃのちゃんは 麻雀が大好きじゃの~~」カッカッ




いちご「えへへ… いちごは、大きくなったら… プロのまあじゃんの人になるんじゃ… よ…」テレテレ


老人「ほぉ、プロか? そいつは凄いんじゃの~~」





老婆「あのキラキラんアイドルさは、もぅ ええんか?」


いちご「あぅ… ア、アイドルさんにも… なるん… じゃよぉ…」テレテレ




いちご「そんで… いつか、王子さまに… 見つけてもらうんじゃ…」エヘヘ


老人「んぁ、王子さまぁ?」





老婆「カッカッカ… 最近、ちゃちゃのちゃんは シンデレラの絵本に夢中らしいわ!!」カカッ



いちご「うん… 王子さまが… いちごをむかえに、来てくれるんじゃ……///」エヘヘッ


老人「いちごちゃんはホンに欲張りじゃの~~」


老婆「ヒヒヒ… 子どもん頃は、そんくらいでエエじゃろ!!」





老婆「夢、叶うとええのぅ――――♪」ナデナデ



いちご「う、うん―――///」











【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第一章 GOOD DAY









カンッ!






【幕間】




~ 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』~





ちゃちゃのん「皆さん、こんばんはなんじゃ!!」



ちゃちゃのん「えっと、これにて出会い編となる、第一章は終了じゃよ」


ちゃちゃのん「なっ… なんじゃか、とっても照れくさいのぅ~~///」テレッテレー



ちゃちゃのん「これから少しこの幕間を挟んで、その後に第二章の開始じゃね♪」




ちゃちゃのん「因みにこの幕間は 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』として、筆者が語りたいことを語ったり…」

ちゃちゃのん「本編では登場しちょらんキャラクターをゲストさんとしてお呼びしたりする、ま~ 完全な息抜きの場じゃね」


ちゃちゃのん「なおこのラジオは海と大地と時の狭間に存在するものらしいんで、ここでの登場人物と本編の登場人物は 基本的には関係ないそうじゃ」


ちゃちゃのん「当然 キャラ崩壊も激しくなると思うんで、そういうのが嫌いな人は 完全スルーでヨロシクの~」ペコリン





ちゃちゃのん「それではさっそくじゃが、今回のゲストさんをお呼びしたいと思うんじゃ!! どうぞ~~~♪」テッテレー


やえ「どうも、元晩成高校 麻雀部部長の小走やえだ。佐々野いちご、今日はヨロシク頼むぞ」バーン

ちゃちゃのん「キャー 本物のやえちゃんじゃ~(≧∇≦)♪ やっぱりカッコイイんじゃ~♪」キャッキャッ


やえ「ふっ、奈良県個人1位は伊達ではないのだよ」




ちゃちゃのん「ちゅうわけで、今回のゲストさんは みんな大好き小走やえちゃんじゃよ♪」


ちゃちゃのん「と、まぁ… 呼んでおいてなんじゃが、何でやえちゃんがゲストさんなんじゃろうね…?」ハテナ?

やえ「きさま、ニワカか!!」

ちゃちゃのん「ひっ!?」ビクゥッ


やえ「失礼。とりあえずノルマは果たしておこうと思ってな」

ちゃちゃのん「ノルマ…?」




やえ「私がゲストの理由か、それはお互いせんぱ… いや、私が王者だからに決まっているだろう」キッパリ

やえ(大体、私は結果としてプラス収支だったわけだし―――///)ムムムッ



ちゃちゃのん「この王者の風格。 努力と実力に裏打ちされた、カッコたる自信にゃぁ ちゃちゃのんも憧れるんじゃ♪」

やえ「ふふん、まっ 当然ね…///」テレッ




ちゃちゃのん「えへへっ」ジー

やえ「……………」

やえ「おい、進行…」ポソッ

ちゃちゃのん「おっと、ちゃちゃのんうっかりしとったんじゃ…」ヘヘッ

やえ(こいつメインで本当に大丈夫か…?)



ちゃちゃのん「えっと… 小走先輩がゲストの理由は、ヒロちゃん以外でちゃちゃのんと絡ませるんなら――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「やっぱり小走先輩かな… という筆者のイメージから… だそうじゃ…」ヨミヨミ

やえ「棒読みヤメろ―――」オイッ




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんたちにその記憶はないが、きっとインターハイの時に どこかで会ったことがあるのかもしれんのぅ~」

やえ「ああ、もしかしたらそんな世界がどこかにあったのかもしれないな」



ちゃちゃのん「そこではちゃちゃのんとやえちゃんは恋に落ちたり、ケーキを食べさせあったりしとるかもしれんよぉ///」テレッ

やえ「私がお前のクリを食べ、お前が私のいちごを食べているかもしれないぞ…」フフッ

ちゃちゃのん「えっ、何でそんな具体的―――」コワイッ

やえ「そこで引くんじゃない」コノヤロ



やえ「時に、お前はいちご牛乳は好きか?」

ちゃちゃのん「うん、大好きじゃよ♪」

やえ「そうか… 因みにただ聞いただけだ」ドヤ

ちゃちゃのん「えっ、何で―――」



ちゃちゃのん「ほ、程よくグダって来たのでそろそろ、お便りコーナーに入ろうかの~」アセッ


やえ「あぁ、進めてくれ」



ちゃちゃのん「岩手県 ラジオネーム『クルミ割らないでよ人形』さんからのお便りじゃ♪」



ちゃちゃのん「え~ 何故か本編で『知っているのか雷電!?』的な便利キャラ扱いされてます――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「私、別にそんなキャラじゃないんですけど。 正直、気持ち悪いです。 バカじゃないの」ヨミヨミ



ちゃちゃのん「えっと、らいでん…? そもそもこれは何の話じゃろ…?」

やえ「ふっ、ニワカは相手にならんよ」

ちゃちゃのん「知っているんか やえちゃん!?」

やえ「うむ」



やえ「お前を含めレギュラー陣がバカばかりだからな。 だから比較的常識人なヤツに、そういう解説役が押し付けられたのだろう」シレッ

ちゃちゃのん「えっと、何か色々と酷くないかのぅ…」


ちゃちゃのん「まぁ、確かにヒロちゃんやせーちゃんはアレじゃけぇ、塞ちゃんは物知りそうなイメージあるじゃろ」

やえ「あ~ あの限りなく透明に近い何かか… アヤツは今のところほぼ空気――」

ちゃちゃのん「ちょ~~~ 何を言っとるんじゃ!?」アセッ



やえ「宮守勢はオカルトキャラも多く熊倉師父の影響もあって、そっち方面の知識があってもそれほど違和感ないからな」

やえ「あと、たぶん本来解説役に回る予定だった 臼沢の出番が予想以上に少なくなったから――」

ちゃちゃのん「だから、それ以上はヤメるんじゃ~~~!!」ワー

やえ「はい、答えたぞ」



ちゃちゃのん「ど、どうもありがとなんじゃ。 塞ちゃんゴメンの~~」



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ちゃちゃのん「東京都 ラジオネーム『原作至上主義』さんからのお便りじゃの♪」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんって、こんなアホでしたっけ?」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「私が思う原作ちゃちゃのんと、だいぶイメージ違うんですが…」ヨミヨミ


ちゃちゃのん「うぅっ… ちゃちゃのん、別にアホじゃないんじゃ……」



ちゃちゃのん「でも、そう感じたんなら、それについては もぅゴメンなさいとしか言えんかのぅ……」シュン

ちゃちゃのん「理由は、やっぱり筆者の力不足による所が大きいんじゃろうね」

やえ「ま~~ 方言も完璧エセだしな」

ちゃちゃのん「そりゃぁ筆者が地元人じゃないけぇ、ニュアンスとかもよぅ分からんし……」ゴメンノ



ちゃちゃのん「方言については筆者の勉強不足と、そこまで拘る時間も余裕もなかったっちゅうのが大きな理由かのぅ」

ちゃちゃのん「それに仮にネイティブな方言が出来たとしても、広島弁 分からん人が理解出来ん会話になってまったら それはそれでマズイしのぅ」

ちゃちゃのん「女の子の広島弁すごく可愛ええと思うんじゃが、時々シーンと語感が合わんような場面もあって」

ちゃちゃのん「そういう時は凄く悩むんじゃが、若干変えたり、使わんかったり、書いては消して、書いては消して―――」

ちゃちゃのん「何度もそんなことばかりしちょったせいで、仕上げの時間も足りなくなるし、統一感もなくなるし(涙)」ウウウゥ…

ちゃちゃのん「ま~ そういうどうでもええ事情みたいのあって、今のカタチになっちょるそうじゃよ……」



やえ「ま~ ただのクソみたいな言いわけだがな……」

ちゃちゃのん「うん、まぁ~ そうなんじゃけどね……」シュン



ちゃちゃのん「あとこの作品は『咲 本編』ではなく、あくまで『胡桃と洋榎の大学SS』を原作にしちょるけぇ――」

ちゃちゃのん「各キャラクターの設定や喋り方なんかは、基本的にゃぁ そっちを参考にさせて貰っちょるかのぅ」


ちゃちゃのん「もっと言うとちゃちゃのんの性格は、大学SSとやきうスレを基本部分の7として―――」

ちゃちゃのん「残りの3は、松来さんがこれ迄に演じられてきたキャラの要素を、色々と取り入れた『ハイブリッドなちゃちゃのん』になっとるそうじゃ」


ちゃちゃのん「具体的にどのキャラの性格が反映されちょるのかとか、想像してみるのもマニアックな 通の楽しみ方かもしれんね♪」

やえ「そのレベルの通とか、どんだけ少数派なんだか…」



ちゃちゃのん「ま~~ SS作品ゆーのは初めから原作とは別モンなわけじゃし、そういうのを前提として」

ちゃちゃのん「原作は原作で当然素晴らしいけれど、これはこれでま~ 良いんじゃないくらいに思って」

ちゃちゃのん「一緒になって 前のめりに楽しんでくれたら、とっても嬉しいと思うわけじゃが――――」


ちゃちゃのん「ま~ 無理なものは無理かもしれんけぇ、あとはご本人さんの判断にお任せするしかないんじゃけどね」ペコリン


やえ「ま~~ だいぶメタな話をしたが、そういうことみたいだな―――」



やえ「大体 こんなニワカに優しくない話を、読んでくれる変わり者なんて本当にいるのか?」

ちゃちゃのん「ま~ そのへんは考えても仕方ないけぇ、今は頑張って最後まで書ききる努力をするんじゃ♪」




ちゃちゃのん「え~~と、続いては大阪府 ラジオネーム『おつお(本名)』くんからじゃ。本名なんじゃね?」

やえ「変な名前だな」

ちゃちゃのん「いやいや、そんなん言ったらイカンじゃろ。 ちゃちゃのんは素敵な名前じゃと思うぞ♪」


ちゃちゃのん「レモンさん、こんにちは。 いや、いちごじゃけぇ…」



ちゃちゃのん「えっと、ボクには二人の姉がいます。そしてオトンは女の人で、上の姉と同い年です」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「因みにオカンはオトンが女子高生の時の部の顧問だったそうで、その時に出来ちゃった子がボクだったそうです」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「複雑な家族ですけど、ボクもみんなも支え合いながら お互いのことを大事に思っています」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「でも最近 小学校のクラスメートたちから、お前の一族呪われとるで~っとよくバカにされます――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「一体 ボクはこれから、どうしたらいいんでしょうか…」ヨミヨミ



やえ「………」

ちゃちゃのん「コレ、ちょっと重いのぅ。 あと、何か理解不能で頭が痛くなってきたんじゃが…」

やえ「まぁ、心配しなさんな」

ちゃちゃのん「そっ、その心は…?」

やえ「私は小3の頃からマメすらできない」


ちゃちゃのん「えっと、それはどういうことじゃろ?」

やえ「ツライのは最初のうちだけということだ。 あと私は凄い―――」


ちゃちゃのん「えと、今はツライかもしれんけど、家族のみんながおったらきっと乗り越えていける―――っちゅうことじゃな…?」


ちゃちゃのん「おつお(本名)くん、家族を大切にして強く生きていくんじゃよ~~」フリフリ



ちゃちゃのん「こんな答えで、本当に大丈夫だったんじゃろか…」オズオズ

やえ「こんなアホみたいなラジオの1コーナーで、そこまで面倒みれるものかよ」

ちゃちゃのん「―――な、なんちゅうことを!?」ヤメテッ





ちゃちゃのん「それじゃぁ、続いては北海道 ラジオネーム『DD』さんからのメールじゃ。どうもありがとの♪」


ちゃちゃのん「新キャラ増えたし、ちゃちゃのんのファンやめます」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「……………」ズーン

やえ「ニワカか?」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんもなぁ、こうゆーのがファンの中での一種の愛情表現っちゅうんは分かっとるんじゃ…」

ちゃちゃのん「それは別に良いんじゃが、ちゃちゃのんノミの心臓じゃけぇ…」

ちゃちゃのん「誰かに嫌われたんじゃないかと不安になって、やっぱりちょっと悲しくて、傷つくんじゃ…」ウゥッ



やえ「愛情表現…? 単純にお前のことが嫌いになっただけではないのか…?」

ちゃちゃのん「そっ、そんなことはないんじゃ!?」

ちゃちゃのん「な、ないはず… ないと、思う… なかったら、ええんじゃが―――」シクシク



やえ「え~い、鬱陶しい!! その程度のことでメソメソするんじゃない!!」ケリッ

ちゃちゃのん「あいたっ!? ちょっ、ヤメッ… 痛っ、本気で痛いんじゃ!?」ゲシゲシ ゲシゲシ


やえ「勝手に去る者など相手にするな。 むしろその倍ファンを増やすよう精進せんか!!」タワケガ!!

ちゃちゃのん「うぅ、分かったんじゃ。 やえちゃんありがとの…」イタタ…



ちゃちゃのん「でもたとえ愛情表現の一種だとしても、それを見た同じファンの子が傷つくこともあるけぇ」

ちゃちゃのん「使いどころはちゃんと考えて、出来れば○○のファンになりますの方をメインにしてあげて欲しいのぅ…」

ちゃちゃのん「どうかみんなに優しく、ファンの子同士仲良くのぅ♪」フリフリ



やえ「腹パン…」ボソッ

ちゃちゃのん「ひっ!?」ビクゥッ

やえ「ん、どうかしたか?」

ちゃちゃのん「あっ、イヤ… 別に何でもないんじゃ―――」ビクビク





ちゃちゃのん「お次は長野県 ラジオネーム『ヒグラシかなかな』さんからじゃ。 どうもありがとの♪」


ちゃちゃのん「あたしはお前らのことなんて よく知らないし!!」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「でもキャプテンがメールしてみたらって言うから、仕方なくするだけなんだし!!」ヨミヨミ

やえ「ふん、ニワカか…」


ちゃちゃのん「キャプテンがお前らに料理をご馳走したいって言うんで、招待してあげるだけだし!」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「華菜ちゃんはもぅ誰にも負けないから、今度 麻雀で勝負だし!!」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「て、華菜ちゃんって 言っちゃっとるんじゃ…」アリャリャ



やえ「風越の猫又娘からの挑戦状か、面白い――」ニッ

やえ「よし、今から乗り込むぞ! もちろんお前も一緒に行くぞ、いちご!!」スック

ちゃちゃのん「えっ、今から!? じゃってまだオンエアー中―――」アセッ

やえ「後は例のオクラ入りフィルムの音声部分でも、てきとうに流しておけば良いだろう! さっ、行くぞ!!」

ちゃちゃのん「えっ、アレ―――?」スタッフサン?


ちゃちゃのん「あ、ええんじゃ…」バカナ…



ちゃちゃのん「そっ、そんなわけで今回の『チャチャのんのん☆Radio♪』は これにてシマイじゃ!!」アセアセッ

ちゃちゃのん「色々とグダグダじゃったと思うが、ホンの少しでも楽しんで貰えたじゃろか?」

ちゃちゃのん「それじゃ 音声の後の本編 第二章『愛が咲いた日』の方も、楽しんで貰えたらとっても嬉しいんじゃ―――」


ちゃちゃのん「じゃあの♪」フリフリ





やえ「いちご、遅いぞ~~~!!」

ちゃちゃのん「やえちゃん、ゴメンのぅ!!」アワワッ



やえ「ほら、私の手を握ると良い」スッ

ちゃちゃのん「あ、うん…」



ちゃちゃのん(やえちゃんの手、とっても力強くて温かいんじゃ…)


ちゃちゃのん(やえちゃんに手を引かれて走ったことが、前にもどこかであったような気がするのぅ…)



ちゃちゃのん(でもそれは、きっとここではない どこかなんじゃな―――)




ちゃちゃのん「やえちゃん、ありがとの―――」ギュッ


やえ「ん、あぁ… 気にするな――――」ギュッ


タッタッタッタッ…





カンッ!



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【オクラ入りフィルム・音声部分】



洋榎「近道したところ、足がミゾにはまってもうたんや」




突然やけど、ウチの名前は愛宕 洋榎(超絶☆美少女である)


高校の頃は麻雀部の部長とかして人望もあり、チーム不動のエースやった(有り余る才能がコワイでホンマ)



これはそんな西の天才セサリスト・愛宕 洋榎ちゃんの身に起きた 忌まわしき事件である――――





今 ウチは、とっても困っとる。


大学の帰り道、知り合いの店に行こう思って近道したところ、足がミゾにはまってもうたんや。



洋榎「ぬ、抜けへん。 全く何やねん、この状況…」クッ

洋榎「しかもこんな日に限って、ケータイ忘れるとはなぁ…」アカン

洋榎「何や よー分からんのやけど、この状況は非常にヤバイとウチのセブンセンシズが囁いとんで…」


洋榎「かと言って、こんな裏道に誰も人なんて来るわけが―――」




がさっ…

洋榎「て、さっそく誰か来たやん!?」ナゼッ!?


洋榎「あっ! あんたは!?」

ちゃちゃのん「!?」



洋榎「て、ちゃちゃかぃ…」ハァ

ちゃちゃのん「およよ… ヒロちゃんじゃ。 こんなトコで何しちょるんじゃ?」


洋榎「見て分からんのかい! 足がミゾにハマってもうたんや…」

ちゃちゃのん「あ、ホンマじゃ…」ジロジロ



ちゃちゃのん「フムフム…」ウロウロ

洋榎「何をいつまでも見とんねん! 早よ助けてーな!!」

ちゃちゃのん「あ、うん… そうじゃったの。 見事なハマり具合に、ちゃちゃのん見惚れてしまったんじゃ…」ウッカリジャ


洋榎「何や自分、いつも以上に変やで…?」


ちゃちゃのん「とりあえず、ちゃちゃのんは どうしたらええんじゃろ―――?」






洋榎「あ、ま~ とりあえず 電話持っとるんなら貸してくれや?」チョイチョイ


ちゃちゃのん「ほーか、ほーか、ヒロちゃんの足を引っ張ればええんじゃな―――」フムフム

洋榎「ん、そんなこと言ってへんけど…?」



ちゃちゃのん「ヨイショっと…」


グイーーーーー


洋榎「あいたたた~~~~っ!! 痛い、痛い、痛いわ、ボケェ!!」

ちゃちゃのん「あっ、ゴメンの」パッ

洋榎「痛った~~~ 自分、ホンマ何やねん!!」

洋榎「誰も無理やり引っ張れなんて言うとらんやろ!!」

ちゃちゃのん「スマンのぅ…」テヘヘ



ちゃちゃのん「あ、そうじゃ… ちゃちゃのん名案を思いついたんじゃ!!」ポンッ

洋榎「おっ、何や何や?」




ちゃちゃのん「―――聴いて下さい、ちゃちゃのん音頭♪」

洋榎「はい…?」



ちゃちゃのん「いちごのように~ かわいくて~♪」

洋榎(うぉっ、コイツ 突然に歌い出しおったで!?)



ちゃちゃのん「いちごのように~ 甘酸っぱい~♪」

洋榎「おぅ、ちゃちゃ… 自分 ホンマどうしたんや? 今日の自分、マジで何やおかしいで?」ゾッ



ちゃちゃのん「それがいちごの、生きる道~~~♪」

洋榎(ヤバイ。コイツ誰かに操られとるみたいに、まるで瞳に光が宿っとらん―――)ブルブル



~~~~~~~~~~~♪



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ちゃちゃのん「ちゃちゃのん音頭、どうじゃったかの?」ワクワク


洋榎「あ… ええんちゃうか(とりあえず、刺激せんようしとくか…)」ハハッ

ちゃちゃのん「ほうじゃろ、ほうじゃろ♪ ちゃちゃのんみたいに、かわええ歌じゃろ~♪」ニッコニコ

洋榎「…せやな」イラッ



洋榎「そんなことより、早よ助けて~な…」

ちゃちゃのん「そんなこと―――?」

洋榎「あ、メッチャええ歌やったで~ もぅ全米のウチが泣いたんちゃうか!!」ヘヘヘ

ちゃちゃのん「ほうじゃろ、ほうじゃろ♪ ちゃちゃのんみたいに、かわええ歌じゃろ~~♪」ニッコニコ

洋榎(殴りてぇ…)イライラッ



ちゃちゃのん「とりあえず、もぅ一回 引っ張ってみようかの―――」ズイッ

ズボッ


ちゃちゃのん「あ…」

洋榎「あ…」



ちゃちゃのん「ん、しょ…」グイグイッ

ちゃちゃのん「へへへっ、ちゃちゃのんの子鹿のような足も、ハマってもうたみたいじゃ…」テレッ

洋榎「自分、ホンマふざけんな!! マジで何やねん!!」

ちゃちゃのん「えへへ、ちゃちゃのんはうっかりさんじゃけぇ…」テヘペロッ

洋榎(こんのド畜生がぁ~~~~)ブルブル



洋榎「自分、もぅええわ。 とりあえずケータイ貸し、レスキューでも呼べば何とかなるやろ」

ちゃちゃのん「残念ながら、バッテリー切れじゃ…」

洋榎「―――使えんヤツやな」ボソッ

ちゃちゃのん「今、なんか言うたじゃろ…」

洋榎「別にぃ…」





洋榎(はぁ~~ マジでどないしよ。 こんな裏道、普通 誰も通らんやろ~し……)


ちゃちゃのん「はぁ、ちゃちゃのんの優しすぎる心が あだになってしまったのう…」ヤレヤレジャ

洋榎「…………」イラッ



洋榎(しかも一緒におんのが、こんな突然歌い出すような 頭クルクルパーのアホたれやで……)


洋榎(あぁ~~ 絹ぅ~~ 助けてくれ~~~~)

洋榎(今度ブラジル人で住所不定の天然パーマおじさん、家に居候させてあげたい言うても反対なんかせんから~~~)



ガサッ

絹恵「――あれぇ、お姉ちゃん。 こないなトコで何しとるんや?」

洋榎「おわっ!? 何で絹がこないなトコに!!」

絹恵「何でやったかなぁ、気がついたら いつの間にかこんなトコに来とったわ……?」


洋榎「なんやそら。 まぁ~~ 今は何でもええわ―――」

洋榎「早く、ここから助けてくれへんか!? 足がミゾにハマってもぅたんや!!」(懇願)

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんからも お願いじゃ~~!!」(同上)



絹恵「あれ、もしかして佐々野 いちごさん!?」

ちゃちゃのん「うん、ちゃちゃのんは 佐々野いちごじゃよぉ~~♪」


洋榎「おっ、おい、絹!? 佐々野とか、どうでもええから―――」オイオイ

絹恵「お姉ちゃん、私 佐々野さんと話しとるんやで。 ちょっと黙っとってな~~~」キッ

洋榎「あ、はい……」



絹恵「私、佐々野さんのファンなんですよ~~♪ 写メ お願いしてもええですか~~?」ワァッ

ちゃちゃのん「えへへぇ、それは嬉しいのぅ~ 可愛く撮ってな~~~♪」ポーズ


絹恵「はい、ポーズ」パシャ


洋榎「……………」


. / /: :.,ィ: : : : : : : : : : : : : : : \i
/ / / i: : : : : : : : : :i: : : : : : : :.\
__i /  /: : : : : : : ;ィ: :}: : : : : : : : : : :.
 i 「`7 /!: : : :∠」_ ハ: i: : : : : : : : :i

=-x /// : :/   ! 「 卞}: : : : : : : : :}
::::i.   / / ==ェx、_ i/i: : : : : : : :/
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_/ ヘ    .i  \.    !:/
》ェ≪    |    \   /
.|| || 》__/     `ヽ

.|| |〃 ̄`ヾ      ハ





絹恵「うん、とっても可愛く撮れた♪」フフッ

ちゃちゃのん「え~~ ちゃちゃのんにも、見せて見せて~~♪」やいやいや

洋榎「いや あの~~ そんなことより、そろそろ助けをやな……」



ピロピロピロ


絹恵「あっ、電話や―――!?」ピッ

絹恵「あ、オカン? あ~ うん、そうなんだ… 了解やで~~」


洋榎(何でこの状況で、電話とか普通にしとんねん……)

ちゃちゃのん(やっぱりちゃちゃのんは、写真映りの方もバッチリじゃのぅ~~~♪)ルンルン


絹恵「ゴメンな~~ オカンからの急な呼び出しや。 私そろそろ行かなくちゃ―――」バイバイ

洋榎「えっ、ちょっ、絹!? ウソやろ、せめて携帯を―――」

ちゃちゃのん「急な呼び出しじゃ、しゃあないのぉ。 忙しいとこスマンかったのぅ~~」フリフリ

絹恵「そんな、私も楽しかったですよ。 あっ、お姉ちゃん。 オカンが夕飯までには 帰って来い言っとったで―――」 ジャッ


タッタッタッ… シーーーン




洋榎「…………うおぉ~~~いぃ!! いったい、何やね~~~~~~ん!!!」(怒号)


ちゃちゃのん「わっ、急に大きな声とか出してどうしたんじゃ。 ビックリするじゃろ……?」

洋榎「自分もさっきから何やねん!! 今、助けてもらう絶好のチャンスやったろ!?」ウガーー


ちゃちゃのん「……あっ、ホンマじゃね。 ちゃちゃのん、すっかり忘れちょったんじゃ…」テヘヘッ

洋榎「ぐぬぬぬ…… コイツはぁ~~~」ブルブル

ちゃちゃのん「ヒロちゃんは、とりあえず少し落ち着いた方がええ思うでぇ~~」

洋榎(何で急にエセ大阪弁やねん……)イラッ




ちゃちゃのん「そんな心配せんでも、大丈夫じゃって。 きっとまた心優しい人が 助けに来てくれるじゃろ~~」

洋榎「あのな~~ こんな辺鄙な裏通り、そうそう人なんて来るわけないやろ―――」



ガササッ

洋榎「!?」

ちゃちゃのん「ほら、やっぱり来てくれたんじゃ♪」

洋榎「は、うそやろ……?」




塞「あっ、あれ。 洋榎とちゃちゃのん――――」カチコチ

ちゃちゃのん「あっ、塞ちゃんじゃ~~ やっほ~~~♪」フリフリ

洋榎「このアホはど~~でもええから、早くウチを助けてくれんか!?」

塞「えっ!?」

ちゃちゃのん「………ヒロちゃんは酷いことを言うのぅ」




塞「―――なるほど、二人ともミゾに足がハマっちゃったんだ」フムフム

洋榎「そうなんや。 早よ、何とかしてくれへんか~~~!!」


塞「うん、分かった。 それじゃあ、とりあえずちゃちゃのんから―――」

洋榎「えっ、何で!?」

塞「えっ、駄目だった……?」キョトン

ちゃちゃのん「ヒロちゃん………?」



洋榎(何やここでグダグダ騒いどったら、まるでウチが器の小さい人間みたいやん……)


洋榎(どうせ二人とも助けてくれるはずやし、ここは冷静にウチの番を待つんや。 待つんやで洋榎……)ググッ



塞「それじゃぁ、ちゃちゃのん引っ張るね」

ちゃちゃのん「う、うん」



すぽっ

塞「あれ、何か思ったより簡単に抜けたね」

ちゃちゃのん「まぁ、ちゃちゃのんの足は細いからのぅ」ヘヘンッ

洋榎「………」イラッ




洋榎「じゃあ、お次はいよいよ…」ヨッシャ


塞「あ、ちゃちゃのん、足首の所ケガしてるよ」

ちゃちゃあのん「あっ本当じゃ。 どうりで痛いと思ったんじゃ……」

塞「バイキンとか入ったら大変だよ。 早くお医者さんに見てもらわないと。 歩ける?」

ちゃちゃのん「うん、ゆっくりじゃったら………」イタタッ



塞「それじゃぁ、ちょっとちゃちゃのん病院まで送ってくるから」

洋榎「いやいやいやいや、ちょっと待たんか~~~~い!!」

洋榎「その前にウチのこともチョチョイと助けてや!! 病院はその後でもええやろ!!」



塞「ちゃちゃのん病院まで送ったらまた来るから。 少しの間くらい待てるでしょ」

洋榎「いやいや、無理無理無理!! 実はウチも足が痛いねん。 きっと折れとるんや、助けて~~なぁ!!」イタタターー

塞「いや、それ絶対に嘘だよね……」シラーー



洋榎「いや、まぁ… それは、その……」ウッ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ウソは良くないんじゃよぉ…」(同情の眼差し)

洋榎「じゃかぁしいわ!! 自分に言われると、通常の三倍は腹立つでぇ!!」ムキーーー



塞「もぅ付き合いきれないよ。 ちゃちゃのん行こう…」

ちゃちゃのん「う、うん… ヒロちゃん、ゴメンのぅ。 後で助けに来るからのぅ~~」ヒョコヒョコ


スタスタ…… シーーーン




洋榎「……行ってもうた。 また一人か」

洋榎「ちゃちゃのヤツはクソの役にも立たんかったが、やっぱ一人は寂しいで……」





洋榎「な~~に、どうせまたすぐにガサゴソと、誰かがやって来るんやろ……」ヘヘッ



シーーーン


カァー カァー カァー


洋榎「誰も来ないな……」




シーーーン


洋榎「もぅ辺りはすっかり真っ暗。 カラスも帰ってまったで……」




洋榎「……うっ、ひっく、うぅ………」

洋榎「うわ~~~~~~ん!!」(大泣き)

洋榎「寒いよ~~ お腹空いたよ~~ 一人は寂しいよぉ~~~!!」

洋榎「絹~~~ オカン~~~ 誰か助けて~~~な~~~~!!」ウワーーン ワンワン




シーーーン


洋榎「もし雨とか降ってきたら、どないしよう……」


洋榎「うぅ、ウチ、このままここで死んでまうんやろか……」




ガササッ


洋榎「!?」ビクッ





雅枝「洋榎~~」


洋榎「おっ、オカン~~~!!」

洋榎「うわ~~~~ん!! ウチ、ホンマ怖かったんやで~~~~!!」ダキツキッ



雅枝「洋榎~~~」

洋榎「―――ん、オカン…? なんか様子変やで? それにその手に持った 凶悪な釘バットは何やねん?」タジッ



雅枝「洋榎ぇ、夕飯までに帰れ言うたやろ~~ そないな悪い子にはお仕置きやで~~~~」ゴゴゴゴ

洋榎「えぇっ、帰れ言われても、ミゾに足がハマってしもうたんやで!?」ホレホレ


雅枝「だからこのバットで、自分のケツかち上げて 引っこ抜いたろ言うとるんやないか~~~」ゴゴゴゴ

洋榎「アカン、このオカン瞳に光が宿っとらん。 まるで誰かに操られとるみたいや……」



雅枝「今から 私はお前を殴る! ていうか、かち上げる!!」

雅枝「しかし、これはバツのためじゃない、お前を励ますためなんや!!」

洋榎「ちょ~~~ 何やその泣き虫先生超ひも理論!?」




バッチィ~~~~~ンッ!!

洋榎「うぎゃああああぁぁぁ!!」(漫☆画太郎風)

ピクピク ピクピク



雅枝「あれっ、私はいったい――――?」ハッ

雅枝「確か絹から洋榎がミゾにハマっとる聞いて、迎えに出たはずなんやけど―――」キョロキョロ



雅枝「ん、洋榎…? こないなとこで、そない真っ赤に尻腫らして何 倒れとるんや?」





洋榎「…………あはっ」ブチンッ





洋榎「あはははははははははははははははははははははははははh」

雅枝「洋榎!?」ギョッ



洋榎「なんやこれーー!! めっちゃおもろいやーーん!!」あはははははは

洋榎「なんで誰もウチのこと助けてくれへんの~~~~!!」あはははははは

洋榎「必死にお願いしたよなぁ。 聞こえなかったとかないやろぉ~~~!!」あはははははは

洋榎「そっちがその気やったら、こっからは地獄甲子園編の開幕やで~~~~!!」あはははははは


雅枝「ひっ、洋榎。 と、とりあえずちょっと落ち着こうなぁ………」ドードーヤデ



洋榎「ええで、ええで~~ 今からウチはオカンを襲えばええんやな~~~~!!」ぐへへ


洋榎「すまんなぁオカン。 これも神の見えざる意思いうヤツやねん………」ワキワキ ツカツカ


雅枝「あ、足もぅ抜けとるみたいやで。 良かったな洋榎~~~」アセアセッ



洋榎「こっから先は18禁に突入や~~~~~~!!」ヒャホーーーッ

雅枝「ひっ、ひろえ~~~~~!?」ギャーーーー







キンクリッ(まさに外道!!!)




塞「―――洋榎、約束通り戻ったわよ」スタスタ

ちゃちゃのん「ヒロちゃ~~~ん、お待たせしたの~~~」ブンブン

胡桃「ちょっとぉ、何で私まで……」

絹恵「ま~ ま~ 丁度途中で会ったのも、何かの縁ですし―――」





雅枝「」ヒクヒク ハテッ

一同「「え"っ………」」ビクッ




ゆら~~~り…


洋榎「自分らもか~~~~~~~~~~~~~~ッ!!」キシャーーーッ






もいっこカンッ!!


幕間 終劇


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アホな内容でスミマセン。


筆者ではあの伝説の溝シリーズのような、ぶっとんだ鬼畜安価展開は到底出来ないです(今回は特にまんま使わせてもらった感じです)



これはOSaKadAteQさんや、他の安価スレを書かれてる方にしてもそうなんですが


このシリーズのイッチさんは無茶ぶり安価への対応が本当に上手で、とても筆者には出来ないな~と感心させられます。


このシリーズのちゃちゃのんは、可愛いんだけどイラつく面白いキャラになってますね。




この溝シリーズとちゃちゃのん音頭シリーズによって、SS界隈での洋榎、ちゃちゃのんの組み合わせは かなり認知度を上げたんじゃないでしょうか。


そういう意味でも、ちゃちゃのんSSを語るうえでは外せない作品だと思います(笑)




もし興味を持たれた方は、是非 一度読んでみて下さい。


尚、ミゾシリーズにはエロ、シモ、バイオレンス要素が多々含まれますので、そのへんは自己責任で宜しくお願いします。




【ネタ元作品等をいくつか紹介します】


・えり「近年巷では捨てちゃちゃのんが増えて問題となっています」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353842575

捨てちゃちゃのん。 この作品のほのぼのとした感じにとても癒されます。



・ちゃちゃのん「現実から逃げ出したい……」
http://blog.livedoor.jp/ssweaver/archives/25511696.html

ちゃちゃのんとやえさんのSS。 二人の魅力がとても伝わる名作だと思います。





【溝シリーズ・ちゃちゃのん音頭シリーズ】


・洋榎「近道したら足がミゾにはまってもうた」※安価スレ
洋榎「近道したら足がミゾにはまってもうた」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1351582240/)

溝シリーズ、始まりの基本形。 今回の話はこのネタをほぼ使わせて貰ってます。

尚 溝シリーズのネタ元は某エロ漫画なので、R18要素が安価に含まれやすいのはそのためだと思います。



・ちゃちゃのん「帰り道に足がミゾにはまってしもうた」※安価スレ
ちゃちゃのん「帰り道に足がミゾにはまってしもうた」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1390562679/)

溝シリーズちゃちゃのんver。 ちゃちゃのんを助けてあげて下さい。



・いちご「ちゃちゃのん音頭のCDが全く売れんのう・・・」※安価スレ
いちご「ちゃちゃのん音頭のCDが全く売れんのう・・・」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1352697243/l50)

ちゃちゃのん音頭シリーズ。 腹パン。 イケメンじゃない方のシロという言葉が個人的にツボです。



・玄「花田さんの頭のあれは、甘いフルーツの房!?」
玄「花田さんの頭のあれは、甘いフルーツの房!?」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354614617/l50)

カオスな内容ですけど、何か好きなんですよね。



・洋榎「妙な二人組に絡まれてもうた」\ワハハー/ \サトミー/ ※安価スレ

ちゃちゃのん出ません。 とにかくラストが笑撃的過ぎます。




・SS紹介 ちゃちゃのん音頭シリーズ(○○にはまるシリーズ)

筆者がお世話になった、まとめサイトです。 現在 紹介されているURL(リンク)は、ほぼ生きてませんが名前で検索してました。












【咲-Saki- SS】 ちゃちゃのん・大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第二章 愛が咲いた日













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天使のように愛らしい女の子。


子どもの頃はよぅそうやって、周囲から もてはやされちょった。




小学に通うようになった頃から、たびたび男の子たちから告白を受けた。


昔から気の弱かったちゃちゃのんは、それを上手に断ることも出来ず。


ただただ相手が諦めてくれるのを待ち続け、しまいにゃぁ泣き出す始末。



時にゃぁ そんことが、あらぬ誤解を招き問題となった……




『玉美ちゃんが広瀬くんのこと好きって知ってるくせに、広瀬くんを盗った!!』



ちゃちゃのん、ただ告白されただけなのに…


女の子たちからは男好き、ぶりっ子、泥棒ネコなどと陰口を叩かれ…



つらくても、悲しくても、ただ大人しくジッと耐え、文句ひとつ言えずに泣いているような…



そんな大人しいだけの子じゃった――――





クラス替えのたびにそんなことが起こり


噂を立てられないよう、ちゃちゃのん 出来るだけ男の子たちと距離をおくようになった。



男の子たちからの告白も、いつの頃からか本気のものではなくなり


ちゃちゃのんが断りきれず困ってる姿を見て、他の子たちが楽しむというような遊びに変わっていった。




そんなちゃちゃのんを支えてくれたんが、鹿老渡の婆っちゃや近所の爺っちゃたち。


ちゃちゃのんの楽しみは、婆っちゃたちとの麻雀と、アイドルになるという空想に胸を躍らせることじゃった――――





大学生になり、たびたび合コンや飲み会に誘われたが大半はお茶を濁して断った。



男子たちからの強引なお誘いを断りきれず、参加したサークルの飲み会。


男子たちからはもの珍しげにあれこれと質問攻めされ、やたらお酒を勧められ…


多くの女子たちからは白い目で見られ、そこはとても居心地 悪い場所じゃった。



大体まだ未成年なのに、何でみんな平気でお酒とか飲んどるんじゃろ…?


ちゃちゃのんがソフトドリンク飲んどると、ノリが悪いと非難され、周囲はイッキコールで盛り上がる。


突然放り込まれた大学生という場のノリっちゅうモンにも、ちゃちゃのんはどうも馴染めんかった。




一部の女子たちから、たびたび合コンのメンバーに誘われた。


どうもちゃちゃのんおると、医大生など上のランクの男子学生さんたちとの合コンがセッティングしやすいからということらしい。



体良く利用されちょるんじゃろうな、ということは分かっちょったんじゃが…


ちゃちゃのんたちの新設キャンパスにゃぁ学部が一つしかなく、授業メンバーも大体同じ顔ばかり…


そんな中であまり波風立てたくもなかったんで、時々 顔だけ出してちゃちゃのんは早めに切り上げた。





暫くして、ちゃちゃのんが枕やっちょるいう噂が流れた。


隔離キャンパスじゃったから、そんな噂はすぐ全体に広まった。


あることないこと囁かれ、ちゃちゃのんは周囲から奇異の目に晒された。



みんなにとって大切なのは本当ではなく、面白おかしいスキャンダルだったんじゃろう―――





そんなちゃちゃのんじゃったが、大学2回生の春にヒロちゃんたちと再会した。


愛想笑いでなく、本当の笑顔でいられる場所を ちゃちゃのんは得ることが出来たんじゃ。





ちゃちゃのん「そんでヒロちゃん、この前の胡桃ちゃんとの誕生日デートは楽しかったん?」

洋榎「デートて…///」

洋榎「ん、まぁ… そうやな、オモロかったで~~」ニカッ



ちゃちゃのん「ほうじゃ、ツイッターに万馬券当てた書いとったがありゃぁホントけ?」

洋榎「お、おぅ…」ドキッ


ちゃちゃのん「ほぇ~ ヒロちゃんは、ギャンブル運もスゴイんじゃの~~」

ちゃちゃのん「あの後 いっさい続報 流れんかったけぇ、ちゃちゃのんてっきり万馬券失くしたんかと思ったんじゃ―――」


洋榎「うぐぅっ(全くもって、その通りやっちゅうねん…)」グヌヌ



洋榎「そうそう、この前ちゃちゃと行った雑貨屋。 いいんちょに教えたったら、気に入ったみたいやで!!」

ちゃちゃのん「え、胡桃ちゃんに!?」

洋榎「そやで… ん、もしかして教えたのマズかったか…?」


ちゃちゃのん「そ、そんなことはないけぇ!! ほんで胡桃ちゃんも楽しんでくれたんじゃろか?」

洋榎「お~ いいんちょんヤツも意外と乗り気になって、後半は二人でメッチャはしゃいだで~~~」



ちゃちゃのん「そか、良かったんじゃ…」


ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのせっかくのハタチの誕生日が、酷い思い出にならんでホンに良かったのぅ」


洋榎「確かに… ハタチの誕生日ん思い出が、漫のヤツの爆発じゃ~ あんまりやしな~~」カカッ

ちゃちゃのん「まったくじゃね…」ヘヘヘ




【先日 行われた胡桃ちゃんのハタチのお誕生会】



洋榎「と、いうわけで、いいんちょ誕生日おめでとーー!!」

パンパンパーーーン


ちゃちゃのん「胡桃ちゃん、ハタチおめでとなんじゃ♪」カンパーイ

塞「胡桃、誕生日おめでとう」カンパイ

漫「おめでとうございます先生!!」カンパーイ

絹恵「胡桃さん、お誕生日おめでとです」カンパイ

胡桃「うん、みんなどうもありがとう♪」カンパイ


セーラ「これで堂々とビール買えるようなったなーー」ゴキュゴキュ

洋榎「いいんちょのナリじゃ、学生証 出さな捕まんで~~!!」

胡桃「そこ、うるさい!!」


胡桃「ねぇ、哩さん。 お店貸し切らせてもらっちゃったりして 大丈夫だったの?」

哩「ま、お前らは常連やしな。 店長も誕生日祝い言うとるし気にせんでええよ…」




洋榎「はい、スピリタスーー!!」テケテケッ


洋榎「でもって、泡盛との焼酎割り~~」ドバドバー

胡桃「ちゃんぽんだよ、それは!!」

洋榎「ほら、さあ、ぐいっと!!」

胡桃「絶対いや!!」ブンブン



漫「あっ、飲まないんですか?」

漫「じゃあも~~らい」 グイッ

セーラ「あ」

洋榎「あっ!」

胡桃「!!」

塞「あちゃー……」


漫「あ、もしかして乾杯まだしてなかっ――――」




ドババババババババ

洋榎「ぎゃーーーーっ、漫が爆発しおった~~!!」ウォォッ

胡桃「ネウロの被害者みたいなビジュアルで 胃液吐いてるぅっ!!」ヒィッ

絹恵「いや~っ!! 胡桃さんにプレゼントした SGGK森崎選手のサインがぁっ!?」ギャー



漫「」ビクッ ビビクンッ

ちゃちゃのん「ちょ、痙攣しちょるよ!?」アセアセ

塞「仰向けにして、ゲロで溺れるわ!!」

ちゃちゃのん「ふぇ、仰向けって危ないんじゃ――」アワワッ

セーラ「寝ゲロさすなら、とりあえず頭を少し高くして横向けとき!! ジミヘンやボンゾみたいんなってまうで~!?」



哩「うわっ、何やってんだ!?」

塞「そっち持って!!」

セーラ「こら、自分とりあえず大人しくしとき!!」

バタバタバタバタ




胡桃「……」

塞「あ、胡桃は外出てて」

胡桃「え?」


塞「誕生日、台無しにしてごめん――」

ちゃちゃのん「あはは… せめて楽しんできて欲しいけぇ、ここは任せてくれてええよ―――」

胡桃「で、でも……」

哩「私からも頼む」

哩「こいつちょっと外に出して、見張っておいてくれ」

洋榎「え、ウチも退場!?」

哩「当たり前だ。 出禁にせんだけ感謝してほしいばい…」


洋榎「うぅ……」





パタパタ パタパタ



ちゃちゃのん「塞ちゃ~ん、漫ちゃんの方はどうにか落ち着いたみたいじゃ。 今は絹ちゃんが一緒じゃよ」タッタ…

塞「ふぅ、了解。 店の掃除の方もあらかた片付いたトコ…」ハァ


哩「自分ら客なのに、手伝ってもらったりしてスマンかったなぁ」

塞「まぁ、汚したのは私たちだしね。 気にしないでよ」プーン


哩「それにしても、自分くっさいな~~」ウグッ

塞「悪かったわね。ずっと吐瀉物の中心で、漫ちゃん塞いでたのよ…」クッ

ちゃちゃのん「あはは、それは塞ちゃんお疲れさんじゃったね」

哩「備え付けの使ってええから、とりあえず今着てるもん洗濯してシャワーでも浴びてこいや」

塞「えっ、でも着替え――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのん仕事帰りじゃけぇ、着替えあるよ。良かったら使ってくれてええんじゃ♪」

塞「あ、うん… どうもありがと…」





塞「はぁ~ ようやくスッキリしたわ。 本当に今日は思い出深い誕生日パーティーになったわ」

ちゃちゃのん「あはは、漫ちゃんの記憶にゃぁ いっさい残っちょらんかもじゃけどね」ヘヘ

塞「ちゃちゃのん、この洋服どうもありがとね」

ちゃちゃのん「え~よ、え~よ♪ 塞ちゃんとは体型もそんなに変わらんしのぅ」



セーラ「何やいちご、それ仕事着かぁ~ 何か歌ったり踊ったりしてくれるんか~?」ヌッ

ちゃちゃのん「いや、しないから!!」モゥ

塞「あはは、さっきまでちゃちゃのんが着てた方を借りちゃったからね」

ちゃちゃのん「ゴメンの、一度着たのとか貸して」テレッ

塞「気にしないで、ちょっと良い匂いするしね」スンスンッ

ちゃちゃのん「――――///」



塞「胡桃たち、今頃どうしてるかなぁ…」

ちゃちゃのん「…………」


塞「案外 私たちのこととか忘れて、楽しいデートの真っ最中かもね」ハハッ

ちゃちゃのん「―――そうかもしれんのぅ」



塞「………」

塞「ちゃちゃのんは良かったの…?」

ちゃちゃのん「へっ、何がじゃ…?」


塞「二人だけで送り出しちゃってさ―――」



ちゃちゃのん「ヒロちゃんも胡桃ちゃんも、ちゃちゃのんにとって大事なお友達じゃ…」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのハタチの誕生日が楽しい思い出になるんなら、それはとっても嬉しいことじゃよ…」


塞「―――そうだね」





ちゃちゃのん「―――塞ちゃんこそ、何で胡桃ちゃんと行かんかったんじゃ?」

塞「えっ…?」



ちゃちゃのん「じゃって、塞ちゃんと胡桃ちゃんは昔からの親友同士じゃろ」

ちゃちゃのん「今日だって、みんなでのパーティーなければ 二人でお祝いやるはずだったってゆーし…」

ちゃちゃのん「毎週、二人でお泊まり会もやっちょる聞いたし… その……///」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは… 胡桃ちゃんのエスコート役は、てっきり塞ちゃんじゃと―――」




塞「ま、毎回 同じ顔だと… いい加減、胡桃のヤツも飽きるかなってね―――」ハハ


塞「それに胡桃はまだまだ外の世界を知らなさ過ぎると思うの。 だから、こういうのも良い勉強になるかな~って思うわけ…」ポリポリ


ちゃちゃのん「……ふふっ、塞ちゃん。 何だか、胡桃ちゃんのお母さんみたいじゃね」ヘヘヘ

塞「ちゃちゃのん、それは酷いよ~」

ちゃちゃのん「あはは、ゴメンの。 胡桃ちゃんの話をする時の塞ちゃん、心底 胡桃ちゃんのこと心配しちょるように見えたけぇ…」

塞「そ、そりゃ心配だよ。 ずっと一緒に育ってきた姉妹みたいなものだし―――」


塞「心配… しないわけないよ……」ボソッ



ちゃちゃのん「えへへ、胡桃ちゃんは幸せモンじゃね」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにも、そんな素敵な王子さまが現れんかのぅ…」ボソッ




塞「ちゃちゃのんってさ、もしかして理想の恋人が王子さまとかなの?」

ちゃちゃのん「えっ、ちゃちゃのんの理想の恋人が白馬の王子さまって、何で分かったんじゃ!?」ドキッ


塞「いや、分かるでしょ。 ていうか、大学生になって白馬って…」ブフッ

ちゃちゃのん「な、なんで笑うんじゃ~~///」カァァ



塞「馬って…… ジョッキーなの、北アメリカ大陸でも横断しちゃうの――」ブフォッ


ちゃちゃのん「お、女の子じゃったら~ 誰でも憧れるモンじゃろ~~///」



ちゃちゃのん「そ、そりゃちゃちゃのんじゃって… ちょっと子どもっぽいかの~~とか、思っちょるんじゃよ…」ボソボソ


ちゃちゃのん「て、いつまで笑っとるんじゃ~~~!!」コリャーー




塞「ごめん、ごめん… つい塞ぎきれなくて――」ククク

ちゃちゃのん「む~~~」ブゥ

塞「ちゃちゃのんらしくて、とても良いんじゃないかな」ハハ

ちゃちゃのん「塞ちゃん、絶対バカにしちょるじゃろぅ」ムゥ

塞「してない、してない(真顔)」ブンブン

ちゃちゃのん「じゃったら ええんじゃが――///」



ちゃちゃのん「その、何ちゅうかな… ちゃちゃのんじゃって、馬がど~こうゆーとるんじゃないんじゃよ…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんがツラい時に、しっかりちゃちゃのんのこと見つけてくれるような…」


ちゃちゃのん「そんなシンデレラの王子さまみたいな人がええんじゃ―――///」テレテレッ




塞「ぶふぅっ…」

ちゃちゃのん「今、スッゴイ笑ったじゃろ…」ジトーー

塞「エッ、ナンノコト――?」シレッ



ちゃちゃのん「もぅ… ええんじゃ、ええんじゃ… どうせちゃちゃのんはお子さまじゃ……」スーン


塞「ほらほら、拗ねない拗ねない…」ハハ




塞「でもちゃちゃのんって、男の人ちょっと苦手よね」

ちゃちゃのん「そっ、そんなことはないんじゃ。 せーちゃんとも、仲ええし――」

塞「いやいや、アレは一応 生物学的には女だからね…」ブンブン


ちゃちゃのん「ん、まぁ… 子どもの頃、よぅからかわれちょったし……」

ちゃちゃのん「もしかしたら、そういう苦手意識はあるのかもしれんのぅ―――」


塞「あ~ 小さい男の子って、好きな子とか可愛い子によくイタズラするよね」

ちゃちゃのん「嘘の告白で泣かされたり、リコーダーや運動靴、体操着なんかをよく隠されたり 盗まれたりしたんじゃ…」ウゥ…

塞「あ~~~(察し)」



塞「でも白馬の王子さまだって野郎なわけでしょ。 それは良いの?」

ちゃちゃのん「アレは全く別の生き物じゃけぇ。 なんちゅうか、ちゃちゃのんにとってあまりリアルな存在ではないんじゃ…」

塞(ま、私にとってもリアルじゃないけど……)



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにとって王子さまは 囚われのお姫さまを助け出してくれるような、空想の中の憧れなんじゃよ…」


塞「南向きにしか歩けない勇者や、亀やゴリラにさらわれたお姫さまを助けに跳ねる ヒゲ兄弟の配管工みたいな…?」


ちゃちゃのん「―――そういう例えはヤメるんじゃ」




塞「でもそんなんで、アイドルの仕事とか平気なの?」


ちゃちゃのん「確かに、今でも少し戸惑うことはあるんじゃが――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはファンの子たちの笑顔、とっても大好きじゃよ♪」ニコッ

ちゃちゃのん「ファンの子たちが喜んでくれたり、幸せな気持ちになってくれるのが とっても嬉しいんじゃ…」


ちゃちゃのん「落ち込んどる人、疲れとる人に少しでも元気を分けてあげられた ええ思っとるんじゃ―――」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんもツラかった時、憧れのアイドルさんのキラキラな笑顔に いっぱい元気分けて貰ったけぇ――」


ちゃちゃのん「じゃけぇ、ちゃちゃのんもそんな素敵なアイドルさんみたいに なりたいって思ったんじゃ……」ヘヘ



ちゃちゃのん「今はまだまだ全然じゃし、本当はちゃちゃのんにゃぁ 向いとらんのかもしれんのじゃが――」


ちゃちゃのん「今はただ、まっすぐ前だけ見て頑張りたいって… 最近、ようやっとそう思えるようになってきたんじゃ……」




塞「そっか、ちゃちゃのんは偉いね」フフッ

ちゃちゃのん「へ、そうかの…?」


塞「うん、私たちの年でそれだけ考えられてるんなら 充分なんじゃない」

塞「芸能界のルールとかよく分かんないけど、ちゃちゃのん見てると何か応援したくなるんだよね…」


塞「それって実はアイドルとして、凄い才能なのかもしれないよ」ハハ

ちゃちゃのん「そ、そうかのぅ。 何だかテレるの~~///」テレテレ


塞「うん、ちゃちゃのん見てるとハラハラするっていうか、凄く心配になるし…」

ちゃちゃのん「それは、褒められとるんじゃよね…?」




セーラ「んじゃ、俺はこれで失礼すんで~~」ホナナ

哩「あぁ、またな」


カッチ


カッチ


カッチ



哩「そろそろ終電の時間やけど、アイツら結局 帰って来んかったな~」

哩「漫のヤツは落ち着けてから 絹たちと帰したってメールしといたし、お前らもそろそろ帰った方がええで――」



ちゃちゃのん「あ、うん…」

塞「これ以上いても迷惑だろうし、私たちもそろそろ帰ろっか…」スッ

ちゃちゃのん「そうじゃね…」ヨイショ




カラン コローン


ちゃちゃのん「わぁ~~ 綺麗なまん丸お月さまじゃのぅ♪」

塞「本当だ、今夜はとっても良い月だね」



塞「胡桃のハタチの誕生日も、もぅ終わりだね…」トコトコ

ちゃちゃのん「そうじゃのぅ」トコトコ



塞「二十歳の自分なんて、子どもの頃はどんなもんかなって思ってたけど――」

塞「やっぱりそんな劇的には変わらないものよね…」ハハッ


ちゃちゃのん「うん… まだまだちゃちゃのんたちは、大人の世界に片足入れただけのひよこじゃね」



塞「ちゃちゃのんは芸能活動もしてるし、きっと私たちの中では一番大人の世界を見聞きしてるんだろうね」トコトコ

ちゃちゃのん「そうかもしれんが…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはそこで一歩を踏み出せず、自分の殻から抜け出せずにおるしのぅ…」トコトコ




ちゃちゃのん「大人になるっちゅうことは、自分の中にある大切な何かを失うっちゅうことなんじゃろうか…?」カンカンカンカン


塞「…………」カンカンカンカン



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、ずっと今のままでいたいのぅ……」カンカンカンカン





プワァァァ――――――――ン


塞「―――私は外から来る 悪しき存在を境界にて防ぐモノ」 ガタタン ガタタン


塞「塞の神であり、中国・道祖神である。 さァ、かかってくるがいいよ…」ガタタン ガタタン



ちゃちゃのん「さ、塞ちゃん――?」ガタタン ガタタン



塞「はは、少し中二っぽかった…?」テレッ

塞「今のは私がチカラを使うときのイメージって言うか、設定なんだ…」ハハ

ちゃちゃのん「設定…?」


塞「そっ、設定……」



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http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira096612.jpg



塞「塞の神さまっていうのは、昔から日本に伝わる外からくるモノを防ぐ『防塞』の神さまなんだけどね」トコトコ

塞「今では中国の行路の神さまでもある『道祖神』なんかとも 習合しちゃってるの」トコトコ



塞「外から来るモノを退ける神さまが、外来のものと結びついて一緒くたになっちゃってるとか… 何だか変な話じゃない?」

ちゃちゃのん「確かにのぅ…」ホゥホゥ

塞「で、私は思ったわけ…」トコトコ



塞「塞の神さまは敢えて外から来たモノを防がず、その身の内に取り込んだんじゃないかって」トコトコ


ちゃちゃのん「身の内に、取り込む―――」トコトコ



塞「ずっと岩手に引き籠って、色んなモノから胡桃たちを遠ざけるだけじゃ 駄目なんじゃないかって」


塞「外の世界にも目を向けてみれば、きっと悪くないものだってあるはずでしょ」


塞「そういうことを、私は熊倉先生やトヨネ、エイスリンたちに教えてもらった気がするの―――」


ちゃちゃのん「塞ちゃん…」




塞「大人になったからって、たぶん私たちはそんなに変わらないよ」


ちゃちゃのん「そうかのぅ…」




塞「そりゃ… 生きてるんだし、少しずつ変化はしていくんだろうけどさ」


塞「それは何かを失うんじゃなく、きっと混ざり合っていくってことなんじゃないかな」



塞「大切なモノさえ見失わなければ、私たちはきっと大丈夫……」







塞「迷子になんてならないよ―――」







ちゃちゃのん「えへへ、道の神さまのお墨付きっちゅうわけじゃね♪」ニコッ



塞「ん、そんなトコかしら。 流石に、恥ずかしくなってきたけど…///」テレッ







そうじゃの、ちゃちゃのんたちはきっと大丈夫。




大切なモノさえ見失わなければ、何があっても きっと大丈夫なはずじゃ――――




塞「じゃ、私はこっちだから。 今日は洋服どうもありがとね」バイバイ


ちゃちゃのん「今日は塞ちゃんの中二なトコも見れたし、とっても楽しかったんじゃ♪」


塞「ちょっ、恥ずかしいから、胡桃たちには言わないでね///」


ちゃちゃのん「分かっちょるんじゃ♪ ほんじゃ~の」フリフリ






塞「あっ…」


ちゃちゃのん「ん…?」




塞「ちゃ… ちゃちゃのんはさ―――」






洋榎のこと…




どう思ってるの……?






ヒロちゃん―――?





とっても大切な……







とっても大切な、ちゃちゃのんの親友じゃ―――――







なぜ……





この時、あんな質問をしたのか……







ちゃちゃのんの、答えの意味するところを……






私、臼沢 塞は……









まだ本当の意味では、理解出来てはいなかったように思う―――――







秋が去り、そろそろ本格的な冬の到来を感じるようになってきた ある日の夕暮れ時。


もぅ今年も終わりなんじゃなぁ……


長いようでとても短い、そしてとても色んなことがあった 一年じゃったの――――




ワイワイ ガヤガヤ


ちゃちゃのん「…………」キョロ

金髪長身の男「やぁ、そこの可愛いらしいお姫さま。 もし良かったら、これから俺と一緒に タコスラーメンとか どうっスかね?」

ちゃちゃのん「えと、その… ちゃちゃのんは…」アセッ

金髪長身の男「あ、もしかしてタコスラーメン嫌いだった? じゃ~ 大阪っぽくお好み焼きデートとか?」


ちゃちゃのん「あ、その… ちゃちゃのん、待ち合わせしとるんじゃ…」アセアセッ

金髪長身の男「そ、そうなんだ。 にしても、キミみたいな可愛い娘を待たせるなんて、まったく酷いヤツだねぇ……」

ちゃちゃのん「そ、そんなことは… ないんじゃ――」

金髪長身の男「ところで、キミって野球とか興味あったりする?」

ちゃちゃのん「ほぇ、野球―――?」



洋榎「よっ、ちゃちゃ! 遅れてスマンかったな~!!」ヤホッ

ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃん♪ そ、それじゃ… ゴメンのぅ…」ペコリン タタッ

金髪長身の男「ありゃりゃ、残念……」ポリポリ

金髪長身の男「せっかく大阪組んだりまでスカウトに来たってのに、収穫はゼロかぁ。 はぁ、タコス買って帰ろ……」ガクッ




洋榎「何や自分、ま~た妙な男に絡まれとったな。 自分、ナンパ男とか引き寄せる特殊なフェロモンでも分泌しとるんか?」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんが、いつも遅刻するからじゃろ~~」モー


ちゃちゃのん「あ~いう時間は、ちょっと不安じゃ……」ポソ

洋榎「悪ぃ悪ぃ、夕べは胡桃たちとついつい徹麻で盛り上がってもうてな~」シシシ



ちゃちゃのん「もぅ夕方なんじゃが…」ヤレヤレジャ

洋榎「ヒロエちゃんは夜の女やねん!!」




洋榎「そういや、仕事上がりやったんか?」

ちゃちゃのん「うん、ちゃちゃのんお正月番組の出演も決まったんじゃよ♪」

洋榎「お~ 凄いやん、どうせモブキャラその一とかなんやろうけどな~」カカッ

ちゃちゃのん「―――どうせ、ちゃちゃのんはモブキャラじゃもん…」ズーン

洋榎「まぁ、そんなんイチイチ気にすんなって。 仕事増えてきたみたいやし、自分これからやろ!!」

ちゃちゃのん「そ、そうじゃね… ちゃちゃのん頑張るんじゃ♪」エヘヘ



ちゃちゃのん「…最近、みんなとなかなか会えんの~」

洋榎「最近はセーラやザワも、何や忙しいみたいやしな」

ちゃちゃのん「せーちゃんは麻雀部の方が大変そうじゃし、塞ちゃんも授業とかゼミの準備で忙しくなってきちょるよぅじゃの」

洋榎「バイトと漫にいたっては、脱浪人生活かかっとるしな~~」



洋榎「ま~ ウチはそれなりに顔合わせとるが、ちゃちゃはキャンパスも離れとるしな~」

ちゃちゃのん「こうやって、だんだんみんなと会えなくなっていくんかの……」ハァ

洋榎「だ~か~ら~ イチイチ落ち込むなって!!」

バカッ!!

ちゃちゃのん「あいたーーーーーっ!?」


ちゃちゃのん「じゃけぇ、そのすぐ頭を引っぱたくのヤメるんじゃ!?」ウルウル

洋榎「おおっ、悪ぃ悪ぃ… 自分のイジケ顔見とるとツイな~~」カッカッカ

ちゃちゃのん「暴力反対じゃよぅ……」

洋榎「アホ!! これは暴力やのうて、ツッコミやん!!」


スパーキーーン!!

ちゃちゃのん「大阪の人は何てバイオレンスなんじゃ…」フルフル




それぞれが忙しくなり、最近はだんだんとみんなで集まる頻度が減ってきちょった。



そんな中でヒロちゃんは、ちゃちゃのんに時間を合わせて こうしてたびたびお買い物なんかに付き合ってくれるようになった。





『せっかくのお誕生会、中止にしてしまってゴメンの』ポチポチ ポチポチ



『みんなへの連絡、どうかヨロシクお願いの……』ポチポチ ポチポチ



ちゃちゃのん「送信……と」ピッ





ちゃちゃのん「はぁ、残念じゃのぅ…」





12月14日はちゃちゃのんのハタチのお誕生日じゃが



その日はあいにく朝から仕事で、みんなとは会えそうもないので中止にしてもらった。





【12月14日】


ちゃちゃのん「どうもお疲れ様なんじゃ~~~」ペコリン

グラサンオヤジ「ちゃちゃのんちゃん、お疲れちゃ~~ん!!」




ちゃちゃのん(ふぅ… テッペンは越えんかったが、もぅすっかり遅くなってもうたんじゃ)トコトコ


ちゃちゃのん(うぅっ、今夜はいつも以上に冷えるのぅ)トコトコ


ちゃちゃのん(ちゃちゃのんのハタチの誕生日、もうすぐ終わりじゃの…)


ちゃちゃのん(あ、そういえばメールが入っちょったのぅ…)ゴソゴソ



ちゃちゃのん(胡桃ちゃんに塞ちゃん、せーちゃんや哩ちゃんたちからのお祝いメールじゃ!?)


ちゃちゃのん(パーティーに来れなくて残念、何のことじゃろ―――?)


ちゃちゃのん(でも、みんなどうもありがとの♪)



ちゃちゃのん(友達っちゅうんは、やっぱりぬくいもんじゃね……)フフッ





ちゃちゃのん(そういえば、ヒロちゃんからはお祝いメールなかったのぅ…)


ちゃちゃのん(ま~ また、いつもみたいにどこかで大騒ぎでもしとるんじゃろうね―――)





ちゃちゃのん「およ…?」

???「ガチガチ、さむさむさむ……」ブルブル


ちゃちゃのん(ちゃちゃのん家の前で、誰かうずくまっちょる…?)



ちゃちゃのん「あ、あの… だ、大丈夫かの…?」オズオズ

???「お、お、お……」


洋榎「遅いわ、こんボケーーーーー!!」ウガーー!!

ちゃちゃのん「うひゃ!? ひ、ヒロちゃん、何でここにおるん!?」ビクゥッ




洋榎「――――ホレ」ズイッ

ちゃちゃのん「あ、これ…?」

洋榎「胡桃たちからの誕生日プレゼントや。 さっきまで自分の誕生日祝いっちゅうて、一緒に飲んどったんや…」


ちゃちゃのん「え、でも… 今日のお誕生会は中止って、連絡お願いしたはずじゃけど…」



洋榎「………」

洋榎「悪っるい、そんこと伝えんのすっかり忘れとったわ♪」テヘヘ

ちゃちゃのん「えぇぇぇ~~~~~!?」ガビーーーン


洋榎「うひゃひゃひゃひゃ、主役抜きのお誕生会も意外と盛り上がったで~~~♪」ゲラゲラ


ちゃちゃのん「あわわ、胡桃ちゃんたちに悪いことしたんじゃ~~」ヒェッ




ちゃちゃのん「あ…」ジッ

洋榎「ん…?」


ちゃちゃのん「これ、ちゃちゃのんのマフラーじゃけど――」ホドキ ホドキ


ちゃちゃのん「ヒロちゃんちょっと震えちょるよ。 今夜はとっても寒かったじゃろ… よっと…」ファサァー


洋榎「お… おぅ、サンキュ…///」





洋榎「でも… 出来れば 部屋、入れてもらえんやろか…」サムイシ…


ちゃちゃのん「え、あ… そうじゃの… ちゃちゃのん、うっかりじゃ…!?」タハハ




【佐々野家】



洋榎「はぁ~ 人類の叡智こたつ、ホンマ生き返んで~~♪」ヌクヌク



洋榎「それんしても、ちゃちゃのヤツ。 なかなか戻ってこんな…」キョロキョロ


ちゃちゃのん「ヒロちゃんお待たせさんじゃ。 お湯入れて来たけぇ、ゆっくり温まって来てええよ♪」パタパタ

洋榎「えっ、風呂!? 別にそんなんええて!?」アセッ

ちゃちゃのん「冷えた身体にゃぁ、やっぱりお風呂じゃろ♪ 遠慮せんでもええから、ゆっくり入って来てのぅ♪」ニコニコ




かぽ~~~~ん


洋榎(くっ、ちゃちゃのヤツにすっかり流されてもうたで)ブクブク

洋榎(アイツ、時々強引なトコあんな。 あ、この入浴剤ええ香りやな……)


洋榎(それんしてもええ湯やな~~ 極楽極楽、はぁ~ ビバノンノン~~♪)





洋榎「おぅ、風呂サンキューな! 身体温まったで~~!!」


ちゃちゃのん「そうかそうか、それは良かったんじゃ♪」




ちゃちゃのん「それでヒロちゃんは、わざわざみんなのプレゼントを届けに…?」

洋榎「せやねん。 自分 今度はいつ会えるか分からん言うとったから、こうしてウチが預かって来てやったんやで~」

ちゃちゃのん「へへっ、それはどうもありがとなんじゃ♪」



ちゃちゃのん「でも そんならメールくれれば、あんな寒い思いせずに済んだんじゃ――」

洋榎「ははは、どうせならサプライズプレゼントといこ思ってな~~」ポリポリ

ちゃちゃのん「いつもの有り余るエンターテインメント精神が 裏目に出たんじゃね」クスクスッ

洋榎「あ、あんま笑うなや…///」




洋榎「それはさておき、アイツらのセンス悪いプレゼントの品評会でも始めようで♪」ウキウキ

ちゃちゃのん「え~~ そういうの良くないんじゃよぉ~~」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはプレゼントをくれるっちゅう、その気持ちが一番嬉しいんじゃ…」モー

洋榎「はいはい、ワロスワロス…」ガサゴソ


ちゃちゃのん「全然、聞いてないんじゃ…」ガクッ





洋榎「セーラのプレゼントは、いつも通りスルメやな…」ガサゴソ

ちゃちゃのん「せーちゃん、スルメ好きじゃのぅ」

洋榎「その場で自分がツマミに出来るからやろ……」



洋榎「ザワからは、何やよ~分からん絵本やな…」オモンナイ

ちゃちゃのん「ノルウェーの作家、ヨースタイン・ゴルデルの絵本じゃよ。この前、塞ちゃんとソフィーの話で盛り上がったんじゃ」

洋榎「絵本なら森のボノロンでええやん、洋モンはよー分からんで」ゴシャノホシ

ちゃちゃのん「ソフィー面白いのに―――」



洋榎「胡桃のプレゼントは、ドラマのDVDか…?」ガサゴソ

ちゃちゃのん「実写版ネギま、茶々丸登場シーン。 何じゃろコレ…?」

洋榎「ネギまってアレやろ、何や可愛い女の子がぎょうさん出てくる…」

ちゃちゃのん「ほうほう、そうなんか…」フムフム

ちゃちゃのん「この茶々丸って名前、ちゃちゃのんにちょっと似とるの。 やっぱ可愛ええんじゃろか…」ドキドキ

洋榎「はい、DVD鑑賞会スターート!!」ガチャ ウィーーーン

ちゃちゃのん「こ、こら… 何を勝手に―――!?」












洋榎「…………」

ちゃちゃのん「…………」







洋榎「……ホラー?」

ちゃちゃのん「いや、違うじゃろ!?」コラッ



ちゃちゃのん「茶々丸、ロボットじゃったね…」

洋榎「せやな…」



洋榎「ちゃちゃも、いつかあ~いうドラマの仕事が出来るとええな…」

ちゃちゃのん「え、あ… うん…… そうじゃの……」

洋榎「何やねん、その間は……」




ちゃちゃのん「ははは、それで… ヒロちゃんも、何かプレゼント持ってきてくれたんか?」

洋榎「あぁ、ウチからは… コレやな…」ゴトトッ


ちゃちゃのん「いちごのリキュールと、ミルク…?」

洋榎「いちごのリキュールの上に、ミルクを注いで『ストロベリー・みるく』いうカクテルになるらしいでぇ」

洋榎「見た目も綺麗で女子に人気やっちゅうから、ちょっと作ってみよ思って 持ってきたんや」ヘヘヘ




洋榎「―――何やねん、その意外そうな顔は…」ジッ

ちゃちゃのん「いや、じゃって… こんなマトモなモン、ヒロちゃんがくれるなんて… のぅ…」コウリョガ…

洋榎「ホンマ、失礼なやっちゃな~~ とりあえず、グラス2つと氷 頼むで…」

ちゃちゃのん「あ、うん… そうじゃね……」パタパタ





洋榎「自分、今まで未成年言うてアルコールちっとも飲まんかったやろ」コトッ

洋榎「せやから、せっかくのハタチの誕生日。 自分の好きそうなん、一緒に飲んだろ思ったんやで…」カランカランッ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん…」ウルウル



洋榎「ま~ どうせボッチな自分のことや…」トクトクトクトク

洋榎「ハタチの誕生日の夜を、寂しく枕でも濡らして過ごすんやろな思ったし―――」トクトクトクトク


ちゃちゃのん「どうも、ありがとうの…」ジワァ

洋榎「アホ!! こんなんでイチイチ感動すんなって!?」



ちゃちゃのん「うん、ゴメンの… でも―――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんのハタチの誕生日、もぅとっくに終わってもうたんじゃ…」エヘヘ

洋榎「眠るまでが誕生日。 ま、細かいことはええやん」ヘヘッ





洋榎「ほい、乾杯!!」コンッ


ちゃちゃのん「か、乾杯なんじゃ…」コツッ






洋榎「遅れてもうたが、誕生日おめっとさん!!」ゴクッ



ちゃちゃのん「どうも、ありがと、なんじゃ―――///」キュッ








ちゃちゃのん「ひゃひゃ、これは美味しいのぅ…///」コクコク

洋榎「おぅ、ウチも始めて飲んだが、なかなかイケルやん!!」ゴクッ


ちゃちゃのん「そうじゃの~ まるでいちごみるくみたいで、とっても飲みやすいんじゃ…///」トクトクトク

洋榎「ん、自分 ちょいペース早ないか…?」


ちゃちゃのん「そっ、そんなことはないけぇ!! 平気じゃ、平気ぃ!! うきゃきゃ♪」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんの髪型ってぇ、何じゃかヤシガニみたいでぇ… カッコええの~~♪」ヒャヒャヒャ


洋榎「あ、あ~ せやろ、流石やろ… ハハッ」


洋榎(コイツ、カクテル一杯で意識イキおったんか? 結構、酒癖悪そうやな……)



ちゃちゃのん「その髪切ってもええかのぅ? ヤシガニ屠るじゃけぇ~~///」キャッキャッ


洋榎「言うとる意味はよー分からんが、とりあえず自分のそのハサミはボッシュートやで!!」パッ

ちゃちゃのん「あっ、ちゃちゃのんのハサミがぁ!?」フェッ




ちゃちゃのん「ふぇ、ふぇぇぇん… ヒロちゃがぁ、ちゃちゃのんの~ 盗ったんじゃ~~~~!!」ウェーーーン


洋榎「こ、こら!! 自分、何でマジ泣きやねん!?」エェッ

ちゃちゃのん「ふぇぇぇ~~~ん えん えん……」




洋榎「ほれほれ、あんま~~~い いちごのドロップあるで~~」シュピッ

ちゃちゃのん「ふぇぇぇ… あ、いちご味じゃ……」ジー



洋榎「せやねん。 これサクマ式なんやでぇ、石とちゃうんやで~~」フリフリ

洋榎「自分が泣くのやめたら、コレ貰えるんやで~~~」ホレホレ

ちゃちゃのん「…………」ジー




洋榎「よ~しよし、ええ子やで~~~ ホイッ」


ちゃちゃのん「えへへ、ヒロちゃ… どうも、ありがとの―――////」ニコニコ






ちゃちゃのん「じゃけぇ ちゃちゃのん、やっぱりこっちがええんじゃ~~♪」ゴキュ ゴキュッ

洋榎「あ、バカ… 自分もぅヤメとけて!?」




ちゃちゃのん「ぷっはぁ~~~~っ!!」クゥーーッ


ちゃちゃのん「にゃは、にゃはは…///」ボーー


洋榎「おぅ、自分 平気か? とりあえず水でも飲んどき…」ホイッ




ちゃちゃのん「…………ヒロちゃんは、優しいのぅ…///」ポワーン


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、とっても感激なんじゃぁ…///」ポロポロ


洋榎「今度は泣き上戸かい!! ホンマ手のかかるやっちゃな~~」


洋榎「ほらほら、さっさとその涙ふき…」ハァ




ちゃちゃのん「ふにゅぅ~~~~~~~///」ダキツキー

洋榎「おわぁっ、いきなり何や!! そないにしがみつくなて!?」ウォッ


ちゃちゃのん「うにゃにゃにゃにゃ~~~~~~~///」ホオズリ ホオズリ

洋榎「こ、こら、お前 ホンマ離せって~~~///」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん~~~ 大好きじゃよ~~~~~///」チュッ チュッ チュッ


洋榎「ほっぺにチュッチュッすんな~~~///」ギャーーー







ヒロちゃの用意してくれた、ストロベリー・ミルクゆーカクテルは



とっても口当たりが良うて、ちゃちゃのんにも飲みやすいもんじゃった。




それはちゃちゃのんの好きな、いちごみるくのような――――




とっても可愛くて、ちょっと甘酸っぱい、そんな素敵な恋の味―――




このポカポカでホワホワな、不思議な気持ちはいったい何なんじゃろう――――





???「アカン… コイツ、完全にストパニっとるで!?」





ちゃちゃのんの目の前にいる… この人は誰じゃろぅ―――?




ちゃちゃのんの、王子さま――――?





ちゃちゃのん胸の内側から込み上げてくる




この暖かくて不思議な、甘酸っぱいモノは、いったい何じゃろう――――?






う… う…… うぇえぇぇぇ~~~~~~~~~







いちごのように~ かわいくて~♪



いちごのように~ 甘酸っぱい~♪




それがいちごの、生きる道~~~♪



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かぽ~~~~ん


ちゃちゃのん(うぇぇ、死にたい……)シクシク


ちゃちゃのん(酔って何も覚えちょらんのじゃが、思いっきりやらかしてもうたみたいじゃ…)シクシク



洋榎「おぅ、ちゃちゃ。替えの服、ここ置いとくで~~」


ちゃちゃのん「あ、ありがと…///」ブクブクブク


ちゃちゃのん(はぁ、自己嫌悪……)


ちゃちゃのん(きっと、呆れられてしもうたの……)ハァ







ちゃちゃのん「ひ、ヒロちゃん… どうも、さっきはゴメンの…」オズオズ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、酔っちょって何も覚えとらんのじゃが… 何か変なこととかしたかの?」


洋榎「あ、いや… 別に……///」ポリポリ


洋榎「酔いの方はもぅ大丈夫なん?」


ちゃちゃのん「う、うん… もぅ落ち着いたけぇ、大丈夫じゃよ…」




洋榎「まぁ、何や… とりあえず自分は人前で飲むの、もぅヤメとき…」


ちゃちゃのん「あ、うん… そうするんじゃ―――」シュン…





洋榎「服、借りてまってスマンなぁ」


ちゃちゃのん「そんなんちゃちゃのんのせいじゃし、ええんじゃ…」

洋榎「サイズ、全然合っとらんけどな…」ボソッ

ちゃちゃのん「あはは、そうじゃの…///」


洋榎(丈はウチのより短いクセに、胸まわりダボダボ、腰まわりキツキツ。 この怒りどうしてくれようか…)グヌヌ


ちゃちゃのん「…………ん?」ハテナ?





ちゃちゃのん「あ、そうじゃ…」


洋榎「………?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、来年の伊勢神宮のテレビ中継に出ることになったんじゃ♪」ヘヘッ

洋榎「お~ それは凄いんちゃうか~ 弥次、喜多さんやん!!」


ちゃちゃのん「伊勢神宮の大祭『式年遷宮』の企画らしくてのぅ、ちゃちゃのんは巫女服姿で出る予定じゃよ♪」

洋榎「巫女さんっちゅうと、あの永水のおっぱいさんと、ロリ痴女のヤツが真っ先に頭に浮かぶのは何でやろな~~」

洋榎「特にあのロリの方、何となくやたら印象に残っとるで……」



ちゃちゃのん「そりゃぁ まぁ、あのインパクトにゃぁ 誰も勝てんしのぅ……」トオイメ

洋榎「ちゃちゃもあのロリの格好で出たら、きっと目立てるんちゃうか?」カカッ

ちゃちゃのん「いや、普通に捕まってまうじゃろ!?」



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ちゃちゃのん「そんでな、ちょっと不安じゃし… 今度、一度 伊勢神宮に参拝してこよう思っとるんじゃ…」

洋榎「おっ、そんならみんなも誘って、大晦日から元旦はお伊勢さんに二年参りと行こうや!!」



ちゃちゃのん「えっ、でも… これはちゃちゃのんの私用じゃし!?」

洋榎「きっかけなんて何でもえーねん!! 自分かて、久しぶりにみんなと会いたい言うとったやろ!!」


ちゃちゃのん「う、うん。 そうじゃけぇ……」


ちゃちゃのん「でもちゃちゃのん、まだその日 行けるか分からんよ」

洋榎「まぁ、そん時ゃそん時でええねん。 とりあえずみんなに声掛けといたるわ!!」シシシッ

ちゃちゃのん「うん、ありがとの。 みんなとお伊勢参りかぁ、楽しみじゃね♪」





ちゃちゃのん「ぁ…… ふわぁぁ………」

洋榎「何や、眠たなってきたか?」


ちゃちゃのん「う、うん…/// 今朝早かったし、お酒もまだ少し入っとるみたいじゃ…」

洋榎「んじゃ、もぅそろそろ寝よか? 時間も時間やし、泊まってってもええか?」



ちゃちゃのん「え… あ、うん… ええ…ょ///」テレッ


ちゃちゃのん「でもいくら可愛くても、ちゃちゃのんのこと襲ったりしちゃダメじゃよ」


洋榎「襲うか、ボケ!!」

ボカッ

ちゃちゃのん「あいたーーっ!!」





洋榎「そんじゃ、流しちょっと借りんで~」ヨッコイショ

ちゃちゃのん「うん、ええよ~」




ちゃちゃのん「……………」カキカキ


洋榎「はぁ~ スッキリ。 んじゃ寝よか… て、何しとんねん?」ペタペタ

ちゃちゃのん「あ、別に… 何でもないんじゃよ」エヘヘ

洋榎「ふ~ん… ま、ええけど…」



ちゃちゃのん「毛布用意したけぇ、ヒロちゃんはカーペットに毛布でええかの?」

洋榎「え~ そんなん腰痛いわ、ちゃちゃのベットに寝かせて~~な!!」

ちゃちゃのん「え、でも… そんなん……///」

洋榎「このサイズなら二人くらい平気やろっと…」ボフッ



洋榎「はぁ~ ふかふかでご機嫌やで~~ 何やちゃちゃの匂いもすんで~~~」ゴロゴロ クンクンッ

ちゃちゃのん「ちょ… そういうのヤメるんじゃ!?」アワワ

洋榎「あ… 変な毛とか落ちとらんかな、ミクロの決死圏やで!!」



ちゃちゃのん「あ~~ もぅ、電気消すんじゃ!?」///



ポチっとな…


洋榎「あ、クソ!! せっかくの未知との遭遇が!?」





ちゃちゃのん「お、お邪魔… するんじゃ…///」ソロソロ

洋榎「お~う、良きにはからえ~~!!」コイコイ


ちゃちゃのん(な、何でちゃちゃのんが……///)ソロソロ




ちゃちゃのん「………///」ドキドキ


洋榎「朝 起きたら寝ゲロ詰まらせて、隣で変死体とかマジ勘弁やで~~」


ちゃちゃのん「ヒロちゃんのバカ…」グスン…


洋榎「ジョークや、ジョーク♪」カッカッカ



カッチ

カッチ

ペロンッ

ちゃちゃのん「きゃっ!?」

洋榎「お、手ぇ当たったか? スマン、スマン♪」


ちゃちゃのん「……もぅ///」



カッチ

カッチ

カッチ

ちゃちゃのん(いつもは気にならん時計の音が、今夜はやけに耳に入るんじゃ……)

ちゃちゃのん(うぅ、何じゃか緊張して眠れなくなってきたのぅ…)ドッキ ドッキ ドッキ


洋榎「…………」



カッチ

カッチ

カッチ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん…」

洋榎「ん……」

ちゃちゃのん「今日は… どうもありがとの……////」ドッキ ドッキ ドッキ


洋榎「ん… ぐぅうぅぅぅぅ~~~~~~~」


ちゃちゃのん(………寝付きええの~~ その性格が、ちゃちゃのん ちょっと羨ましいんじゃ…)




洋榎「ぐぉおぉぉ~~~~~」モミッ

ちゃちゃのん「ちょっ、ど、どこ触っとるんじゃ!?」アワワッ

洋榎「ぐふふ、なかなかええで~~」モミモミ モミモミ

ちゃちゃのん「あっ、ちょ、やっ、やめっ……///」ヒャウッ



洋榎「でも絹ぅ~ ちょっと、小さなったんちゃうか~~~」ウヘヘェ

ちゃちゃのん「…………」ピシッ


ギュッ


洋榎「アウチ!?」


洋榎「ありゃ、夢…?」キョロキョロ


ちゃちゃのん「…………バカ///」





【いちご日記】


12月××日(はれ)



いちごのハタチの誕生日、友達のヒロちゃんにお祝いしてもらったんじゃ♪



みんなからのプレゼントも嬉しかったのぅ~~




それからヒロちゃんの持って来た、ストロベリー・ミルクいうカクテルも飲んだんじゃよ。



いちごも もぅお酒を飲める年齢なんじゃよ。



ストロベリー・ミルク、とっても美味しかったんじゃが、その後の記憶が全然ないんじゃ。



どうもいちごは、お酒に あまり強くないみたいじゃ。



ヒロちゃんにも注意されたし、これからはちょっと気をつけようかのぅ……





婆っちゃとも、一緒にお酒を飲んでみたかったんじゃ――――






いちご「の、のぅ、ばっちゃ……」


老婆「ん、なんじゃ。 ちゃちゃのちゃん?」


いちご「いちごが… き、キラキラんアイドルなるんに、まずひつようなモンって何じゃろぅ…?」


老婆「そうじゃのぅ、歌とか踊りとか、色々あるんじゃろうが… まずはやっぱり、アレかの…」


いちご「アレって…?」ワクワク



老婆「呼び方じゃよ♪ 愛称っちゅうんか? アイドルさにゃ、そがぁ可愛ええ愛称みたいのあんじゃろ?」カッカッカ


いちご「かわええ、あいしょうかぁ♪ いちごじゃ、ダメかのぅ?」


老婆「いちごも可愛ええ思うが、名前に親しみを込めた呼び方が愛称っちゅうんじゃないんかのぅ」


いちご「そうなんじゃ。 何だか、むずかしいのぅ…」シュン


老婆「そがぁ難しゅう考えんでもええじゃろ。 ちゃちゃのちゃんが呼んでもろーて、嬉しい思う呼び方とかでええんじゃ」


いちご「うれしい、よび方…?」



老婆「ちゃちゃのちゃんは、何て呼ばれた時が一番嬉しいんじゃ?」






いちご「ちゃちゃの… ちゃちゃの、ちゃんって…」モジモジ



いちご「そう、ばっちゃに言ってもらった時が… いちばんうれしいんじゃ……///」エヘヘ






老婆「ヒッヒッヒ… そか そか。 ほじゃけど ちゃちゃのじゃ、名前じゃのうて 苗字んなっちまうがええんか?」


いちご「…………」コクコク




老婆「ほうじゃのぉ……」


老婆「じゃったら、ちゃちゃのちゃんを短くして、『ちゃちゃのん』とかどうじゃ?」


いちご「わぁぁ、ちゃちゃのん♪ アイドルみたいで、とってもかわええんじゃ~~~♪」パァァァッ


老婆「お、ちゃちゃのん… 気に入ったんかぁ?」


いちご「うん♪ これからいちごは、アイドル『ちゃちゃのん』じゃ♪」ニッコリ



老婆「お~ お~ ぶち可愛ええ笑顔じゃな♪」カッカッカ


いちご「ほぇ…?」


老婆「アイドルっちゅうんは、みなを笑顔にしてくれるモンなんじゃろ」


老婆「じゃったら、まずはアイドルである ちゃちゃのんがいつも素敵な笑顔でおらにゃぁのぅ」ナデナデ




いちご「う、うん… ちゃちゃのんのえがおで、みんなをえがおに… えがおに……」フルフル


老婆「何じゃ、どうかしたんか?」




いちご「ちゃちゃのん、ちょっと自信ないんじゃ…」ウル


いちご「ちゃちゃのん… 学校だとばっちゃといる時みたいに、わらえないんじゃ…」フルフル


いちご「いつもからかわれちょるし… ちゃちゃのんは、きっとかわいくないんじゃ……」ウルウル


老婆「ちゃちゃのん…」





老婆「お~ぅ… 今日はちゃちゃのんに、プレゼントがあるんじゃ!!」カッカッカ


いちご「えっ、何じゃろう?」ワクワク


老婆「じゃっ じゃじゃ~~~ん♪」テケテケッ




いちご「えっ、何じゃコレ… いちごもようの… 布?」ピロン


老婆「カッカッカ… ちゃちゃのん位の年じゃと、あまり馴染みがないんかのぅ…」


老婆「こりゃぁ、いちごパンツゆー女性用の腰巻きじゃよ」


いちご「ほへぇ~~ これがパンツ言うんかぁ~~?」ジロジロ



老婆「ワシらの若い頃はの、このいちごパンツゆーんは選ばれし美少女のみが着用を許されちょった 伝説の宝具じゃったんよ!!」ドーーーン


いちご「そ、そうなん…?」


老婆「そうじゃとも。 バアさんも若い頃いちごパンツ履いちょるトコを、映画監督目指しちょった爺さんに見初められてのぅ――――////」ウンヌンカンヌン





いちご「ほへぇ~~ いちごパンツっちゅうんは凄いモンじゃの~~」キラキラ


老婆「そうじゃよ。これさえありゃぁ、ちゃちゃのんも選ばれしヒロインじゃ!!」ドヤッ


老婆「じゃけぇ、もっと自分に自信持ち。 お前はワシの可愛ええ、可愛ええ孫娘なんじゃ」ナデナデ


いちご「ばっちゃ……」ウルッ




老婆「すぐにゃぁ無理かもしれんけぇ、ちぃーとずつでもええんじゃ」


老婆「勇気を出して、一歩ずつでええから 歩み寄っていってみるんじゃ…」



老婆「そうすりゃ… いつかきっとちゃちゃのんの良さを分かってくれる、そがぁな友人も出来るじゃろ―――」ギュッ


いちご「へへへ、ばっちゃ… どうもありがとの…///」


いちご「ばっちゃは、とっても ぬくぬくなんじゃぁ…」ギュッ






いちご「ばっちゃ… ずっと、ちゃちゃのんの… そばに―――」




いちご「いつまでも… いなくならんでのぅ――――」ギュゥーーー







「ぐぉぉ~~~ お前、いい加減に離れろや~~~~!!」ギブギブッ



ちゃちゃのん「ばっちゃ―――ッ!?」ギュゥーーー


洋榎「だ~か~ら~~ 離せ言うとるやろ~~!!」

ちゃちゃのん「ほぇ……?」パチクリッ


ちゃちゃのん「えっ、えぇぇっっ!!!?」バッ ズルッ



洋榎「あっ!?」

ちゃちゃのん「ふぇ…!?」



ドンガラガッチャーーン!! ガンッ! ゴンッ! ゴスッ!! ドガドガ ドガガガッ!!!


ちゃちゃのん「あいたたたぁ~~~~ ベッドから思いっきり、ピタゴラスイッチ落ちして死にかけたんじゃ~~!!」




洋榎「…………」ジーー

ちゃちゃのん「―――ヒロちゃん?」


洋榎「なるほど、それがいちごパンツいうヤツかぁ…」ホゥ ホゥ




ちゃちゃのん「…………///」カァァァッ


ちゃちゃのん「きゃぁぁぁぁーーーーーーっ!!」



パッシーーーーーーーーン!!





チュン チュン チュン チュン…



洋榎「あいたた、思いっきり引っぱたきおって。 大体、自分が朝ぱらから寝ぼけてやな――」イテテッ


ちゃちゃのん「うぅっ、ヒロちゃんゴメンのぅ……」ゴシゴシ



洋榎「―――自分、何や夢でも見て泣いとったんか?」


ちゃちゃのん「あ… 何でもないんじゃ、ちゃちゃのんは元気じゃよ~~♪」ヘヘヘッ




ちゃちゃのん「てぇっ、もぅこんな時間じゃ~~~!?」アワワ

洋榎「ん、何かあるんか…?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、今日も仕事じゃよぉ!! は、早く出ないと~~!!」アタフタ


洋榎「ったく、ホンマ慌ただしいやっちゃな~~~」





ちゃちゃのん「鍵をしてっと…」カチャリ



ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん。 夕べはどうもありがとの♪」ヘヘ


洋榎「まぁ、なかなか楽しかったで! じゃ、お伊勢参りにはちゃんと来るんやでぇ!!」フリフリ


ちゃちゃのん「―――うん♪」ニコッ





久しぶりにみんなとのお出かけ。


みんな元気にしとるかのぉ、何だか今から楽しみじゃ♪




あっ、胡桃ちゃんにメールでもしておこうかの。


『お伊勢参り、今から楽しみじゃね。 ちゃちゃのんも行けたら行きたいんじゃ♪』ポチポチポチ



あっ、塞ちゃんにも…


『伊勢神宮の2年参り、今から楽しみじゃね♪ でもちゃちゃのん、その日 行けるかまだ分からないんじゃ。 一緒に行けたらええね…』ポチポチポチ



ポチポチポチ


ポチポチポチ


ポチポチポチ






【大晦日・伊勢神宮】


ちゃちゃのん「はぁ、はぁ… 遅くなったんじゃ。 みんなまだ待っててくれとるじゃろか…」カッコ カッコ カッコ


ドンッ

ちゃちゃのん「きゃっ!? ど、どうもスマナイんじゃ…」ペコリン


ちゃちゃのん「うぅ… それにしても、なんて人が多いんじゃ…」ウルウル


ちゃちゃのん(よく見ると、警察の人も結構いるのぅ―――?)





洋榎「――お前らウチを何だと…」


胡桃「見た目はオトナ、頭脳はコドモ」

塞「理性というアプリをうっかりアンインストール」

胡桃「超えちゃいけないラインの上で反復横跳び」

塞「見ている分には楽しいけど、傍に置いておきたくないタイプ―――」


洋榎「ウチだって泣く時は泣くでぇ?」グヌヌ



洋榎「まあ、とにかく、もう来るから待っとけて―――」




ちゃちゃのん「はい、どーん!!」セナカドーン

胡桃「うわ、びっくりした…」

塞「あ、来たんだ」

ちゃちゃのん「リアクション、うっすぅ!?」ガーン



塞「いや、まあ… そりゃあ、ねぇ…」

胡桃「さんざっぱら来られたら来たいって、スパムかってくらい毎日メール送ってくるし」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんこれでもテレビとか出とるんじゃよ、もっと驚いちょくれよぉ…」ウルル

胡桃「でも、そのわりにマスクもないのに全然注目されないよねぇ」


ちゃちゃのん「……所詮、量産型の雨後の筍アイドルじゃけぇ……」ズーーン


塞(イマイチぱっとしないの、気にしてたんだ……)





胡桃「まぁ、本当のことはさておき、ちゃちゃちゃん久しぶり♪」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは相変わらず、言うことがキツイのぅ…」ヘヘッ

ちゃちゃのん「じゃけぇ、そんなトコも可愛ええんじゃぁ♪」ダキツキッ

胡桃「こら、そうやってすぐ人にひっつくんじゃないわよ!!」キモチワルイッ

ちゃちゃのん「じゃって、みんなと会うのも久しぶりなんじゃもん。 ちゃちゃのん、とっても嬉しいんじゃ♪」キャッ キャッ



塞「ていうか、ちゃちゃのん振袖じゃん。 着崩れするよ!?」

胡桃「まさか、そんなに気合入れて来るとはねぇ」バカミタイ…

ちゃちゃのん「えへへ、せっかくのお伊勢参りじゃけぇ。 どれをレンタルしようかとか、随分 悩んだんじゃ~」ヒラヒラ


ちゃちゃのん「今日はちゃちゃのんも、塞ちゃんと一緒のお団子頭じゃよ♪」クルリンッ

塞「ちゃちゃのんのは左右に一つずつのふわっとしたツインだね。とっても似合ってるよ」ハハッ



洋榎「何や自分。 やけに遅いと思ったら着物選びと、着付けで遅れとったんか!?」

ちゃちゃのん「えへへ、ゴメンのぅ。 久しぶりにみんなと会える思ったら、嬉しくてのぅ…///」テレッ

洋榎「まぁ 自分の場合、基本的にカタチから入るタイプやもんなぁ…」

ちゃちゃのん「うぅ、返す言葉もないんじゃ……」



胡桃「でも私たちは普段着だし、一人だけ超浮いてるよね」

ちゃちゃのん「そ、それは、考慮しとらんかったんじゃ…」ウゥッ

塞(考慮してなかったんだ……)




ちゃちゃのん「そっかぁ、せーちゃんは今日は千里山の時の友達と―――」カッコ カッコ

塞「漫ちゃんと哩は、それどころじゃないだろうしねえ…」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、今日は二人の分まで合格祈願しておくんじゃ!!」グッ





ワイワイ ガヤガヤ


塞「それにしても、本当に人が多いわね」

胡桃「まぁ~ 今が一番の書き入れ時だろうしね」

洋榎「ホンマ、人がゴミのようやな!!」

胡桃「言うと思ったけど、アンタもそのゴミの一部だからね」



ちゃちゃのん「えっと、伊勢神宮には内宮、外宮、別宮など合わせて125の宮社があり、外宮から内宮の順序で回るのが習わしと…」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「参道の中央は神さまが通るから、通っちゃいけん。 鳥居の前では軽く一礼を…」ヨミヨミ フムフム


ちゃちゃのん「みんな分かったかの? て、あれ…?」ポツーーン





ワイワイ ガヤガヤ


ちゃちゃのん「はわわっ… ちゃちゃのん、さっそくハグレてまったんじゃ!?」ガーン


ちゃちゃのん「こ、こんな時こそ慌てずに… 文明の利器、ケータイじゃ!!」シャキーン!!


バッテリー切れ…


ちゃちゃのん「うぅ、電池切れなんじゃ……」ガックシ







???「おいっ!!」グィィー


ちゃちゃのん「うひゃぁっ!?」ビクゥッ


洋榎「自分、何やっとんねん!! さっそくはぐれんなや…」アホカ…


ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃん…」ホッ




胡桃「早くしなさいよーー! 置いてくわよ!!」


洋榎「まったく、ちゃんと付いてくるんやで…」


ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃん!!」カッコ カッコ

洋榎「ん…?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん来るまで、みんなを引き留めてくれてありがと~な♪」ニコッ


洋榎「たまたまや、たまたま…」





ちゃちゃのん「あっ、参道の真ん中は神さまの通り道なんじゃ…」ダメジャ


ちゃちゃのん「しっかり鳥居に一礼せんとのぉ…」ペコリン



洋榎「自分、ホンマさっさと来いって!! 大体、こんなぎっちぎちの人ごみん中で 神様の通り道もクソもないやろ!!」


ドゲシッ

ちゃちゃのん「あいた~~~っ!?」





胡桃「ほらほら、はぐれないようにね!!」プリプリ

洋榎「相変わらず保護者やなあ、いいんちょ」カカッ

ちゃちゃのん「見た目は一番コドモなんにのぅ♪」クスッ

胡桃「うるさいそこっ!!」



洋榎「ほな、手、つないどこか~」

胡桃「こ、コドモ扱いしないでってばっ!!」

洋榎「まぁまぁ、マジで離れられても困るしな♪」



胡桃「うぅ……」ぎゅっ

洋榎「はっはっは」

胡桃「は、はっずかしいこれ…」




洋榎「………」

洋榎「ウチら、こうやって手ぇ繋いでたら 恋人に見えたりするんやろか?」

胡桃「ななっ///!?」



塞「いや、いいとこ親子じゃない?」

ちゃちゃのん「確かに、ちゃちゃのんがもう片方の手を持ったら、親子ーって感じになるのぅ」ぎゅっ

塞「あ、それは拘束された宇宙人って感じになるね」ハハッ

胡桃「そこまで小さくないから!!」ウガー





ちゃちゃのん「えへへ、ホンに胡桃ちゃんは ちんこでやおいじゃけぇのぅ~♪」ナデナデ

胡桃「は…?」ギョッ

洋榎「ちん…」ンッ?

塞「!?」



ちゃちゃのん「ほぇ、どうかしたんか…?」キョトン

胡桃「え、いや… 別に……///」シセンソラシ

洋榎「はよ、行こうや…///」シセンソラシ


塞「………」ポチポチポチッ




塞(広島弁でちんこは身長が低い、やおいは柔らかい… か―――)フムフム


塞(今のうちに少しは自覚させとかないと… あの子、今にお茶の間ドン引きさせかねないわね……)


塞「ちゃちゃの――!?」ハッ



ワイワイ ガヤガヤ


塞「はぐれた………」ポツネーン






ゴーーン


ゴーーン


洋榎「おっ、除夜の鐘や…」

胡桃「もぅ… グズグズしてるから、二年参り間に合わないじゃない」

ちゃちゃのん「これだと普通の初詣ってことになるんかのぅ…?」

洋榎「まぁ、どっちでもええやん!!」カカッ


ゴーーン


ゴーーン


洋榎「煩悩の数が108いうのは、その人ごとに違う具体的なモンやっけ―――?」

洋榎「それとも、仏教的なアラヤシキぃ~みたいな難しい漢字のが決まっとんのやろか?」


胡桃「三毒だっけ? 一応、決められた108種はあったと思うけど…」

胡桃「―――でも108っていうのは、すごく多いよってことでも良かったんじゃなかった?」

胡桃「宗派とか教義によっては、煩悩の数が4万以上あったりするって話だし。 よくは知らないけどさ…」

ちゃちゃのん「ほぇ~ 煩悩ってそんなにいっぱいあるんかぁ…」


洋榎「4万以上て… そらアクロバティックに鐘を撞く、少林坊主の血管も切れてまうでぇ!!」カカッ

ちゃちゃのん「あ、ちゃちゃのんもそういうお坊さん見たことあるんじゃ――」クスッ

ちゃちゃのん「みんなで、サッカーするんじゃよね♪」

胡桃「いや、それはきっと違うと思うよ――」



洋榎「とりあえず、ムッツリーないいんちょは煩悩の数も多そうやな~~」

胡桃「何でそうなるのよ!!」




ゴーーン


ゴーーン



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんが呉におった時は、大晦日にゃぁ除夜の汽笛を聞いて年越ししたのぅ」シンミリ

洋榎「おっ、あの呉港に停泊しとる艦船が一斉に『ボーーーーン!!』って汽笛鳴らすゆーアレか!! 何やカッコええやん!!」

胡桃「へぇ~~ 何か良いね…」


ちゃちゃのん「うん。 アレは知らんと、ホンにビックリするんじゃ…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、小さい頃はいつもアレで泣いとったらしい…///」テレッ


胡桃「あれ… そういえばちゃちゃちゃん、そっちに住んでたことあるんだ?」

ちゃちゃのん「ん… うんと小さい頃と、中学の時に……」

洋榎「ほぅ、ほぅ…」


ゴーーン


ゴーーン



洋榎「ウチが戦艦になったら、さしずめ『重巡洋艦・愛宕姫』やな!! 何やカッコええやろ!!」ドヤッ

ちゃちゃのん「ヒロちゃんの洋もかかっとるんじゃね」ツヨソウジャ


洋榎「自分らは雑魚キャラやしな。 きっと青色の『駆逐艦・胡桃 & いちご』やろーなー!!」カッカッカッ

ちゃちゃのん「うぅ、いちご船は何か弱そうじゃ…」

胡桃「何かムカつくわね…」イラッ


胡桃「あんたなんて、蟹工船にでも乗ってなさいよ」

洋榎「そんなんストライキやっちゅねん!!」

ちゃちゃのん「カニ、食べたいのぅ…」


ゴーーン


ゴーーン



胡桃「ん、そういえば塞は…?」

ちゃちゃのん「ありゃ、いつの間にかおらんね…?」キョロキョロ


洋榎「銀色の『軽巡洋艦・臼沢丸』はレイテ沖にて散ったんやな…」ホロリ

胡桃「何言ってんの!? てか、何で塞の方が私よりレアリティ上なのよ!!」

ちゃちゃのん「レアリティ…?」



ゴーーン


ゴーーン


ゴーーーーン



ちゃちゃのん「あ、年越しじゃね」


ちゃちゃのん「皆さま 明けましておめでとうございます… なんじゃ♪」フカブカ


胡桃「ん、あけましておめでと」ペコッ


洋榎「おめでとさんさん さんころり~♪ ハッピー ニュー イヤーやで!!」シュバッ







胡桃「あ、ケータイ見たら塞から着信たくさん来てた…!?」ピッ ピピッ



胡桃「塞、あけましておめでとう~♪」フフッ


洋榎「お、ちょい貸してんか!!」パシッ



洋榎「よっす、おめでとさんやで~~♪ 今、どこおんねん?」



ちゃちゃのん「あっ、ちゃちゃのんにも…」


洋榎「お~ お~ 了解やで~!!」ピッ プツッ

ちゃちゃのん「あ――」



洋榎「ん、何や…?」


ちゃちゃのん「ん~ん、何でもないんじゃ……」シュン





そんなこんなありつつも 塞ちゃんと合流し



目的であるお伊勢参りを済ませた、その帰り道のこと―――






ちゃちゃのん「そういえば、ちゃちゃのん 年またぎジャンプするの忘れとったんじゃ…」ガッカリ

胡桃「いや、別にしなくて良いでしょ。 ていうか、それって何の意味があるの?」


塞「あ~ 『年越しの瞬間、俺は地球いなかったんだぜ! 凄くね!!』って言うアレだよね。 アレって結構みんなヤルもん?」

洋榎「そら一度はヤルやろ! ちなみに愛宕家は全員やっとんで~!!」ケラケラ

塞(愛宕の家系。 残念な人たちなんだね……)




塞「大体 地球にいなかったって言うには、地表から500kmはジャンプで離れないといけないらしいよ」

ちゃちゃのん「ほぇ~ 塞ちゃんは物知りじゃね。 ちゃちゃのんも頑張ってジャンプせんと…」フムフム

洋榎「ま~ 細かいことはど~でもええやん!!」バンバンッ

塞「ちょっ、肩を叩かないでよ…」モー




ちゃちゃのん「あっ、そうじゃ… せっかくじゃし みんなで記念の写真撮らん?」

洋榎「お~ ええんとちゃう!!」

胡桃「うん、私も撮りたい、かな」

塞「いいと思う」





ちゃちゃのん「それじゃ まずはちゃちゃのんが、みんなの写真を撮るんじゃ♪」カッコ カッコ

洋榎「いやいや、そんなら誰かに頼んで撮ってもらおーや!!」キョロキョロ




洋榎「そこのタコみたいなおっちゃ~ん! 悪いんやけど、ウチらの写真撮ってくれへん?」タタッ

洋榎「今ならそこの売り出し中のアイドルと、一緒の写真 撮らせてもらえんで~~♪」

ちゃちゃのん「ちょっ、ヒロちゃ…///」アセッ

タコみたいなおっちゃん「おっ、本当かぃ!?」




洋榎「おっ、タコ社長 男前やな~~!! ハイ、チーズやで~~」

タコみたいなおっちゃん「―――何か、年甲斐もなく照れちゃうねぇ」ワクワク ソワソワ

ちゃちゃのん「もぅ、可愛く撮っての~~///」テレッ


洋榎「社長~~、しっかり女優さんの腰に手ェ回してやらなアカンでぇ~~」

ちゃちゃのん「!?」

タコみたいなおっちゃん「おっ、そうかい?」デレデレ

洋榎「おっ、ええで、ええでぇ~ そのだらしない表情 頂きやで~~」


塞「バカやってないで、早く撮る!!」バシッ

洋榎「あたっ!?」カチッ


パシャ






タコみたいなおっちゃん「それじゃ~ 可愛いお嬢ちゃんたち、写真 撮るぞ~~!!」

洋榎「おぅ、可愛く頼むで~~!!」メガネ ソウチャク

胡桃(何、馴染んでんだか…///)


塞「ていうか、洋榎… 何そのメガネ…」ダサッ

洋榎「西暦メガネ知らへんの?」ミレニアーーム


塞「ニューヨーカーたちの うかれメガネでしょ、知ってるわよ」

ちゃちゃのん「あ~ 2000年頃から始まったっちゅう、0と0の部分がメガネになっちょるヤツじゃの」

胡桃「確か2010年に死滅するとか予言されてたらしいけど、何だかんだで現在まで生き残ってたんだね…」

ちゃちゃのん「マヤのアレみたいなモンかのぅ…」フムフム



塞「そんなのしてたら、可愛くも何もないでしょうに…」クスッ

洋榎「何やねん、ザワの怪盗キッドも似たようなモンやろ!!」ムキー

塞「うっさい!! そのネタいつまで引きずってんのよ!!」

胡桃「一緒に写るの、ちょっと恥ずかしいね」フフッ

ちゃちゃのん「まぁまぁ、おめでたいお正月じゃけぇ。 みんなで仲良くのぅ♪」エヘヘ



ちゃちゃのん「あの… メガネしてるのと、外したの両方 撮って貰ってもええじゃろか…?」ペコリ



タコみたいなおっちゃん「おまかせあれだぜぇ!!」ガッツポ



一同「「お願いしま~~す♪」」


パシャ


パシャ


パシャ





ワイワイ ガヤガヤ


洋榎「いや~ 話の分かる、ええオヤジやったな~」カッカッカ

塞「私はあんたの厚かましさが怖いわよ」

胡桃「結局、ちゃちゃちゃんにサインまで書かせてるし」

洋榎「ウチなりのマネージメントや、マネージメント!!」シシッ



ちゃちゃのん「ホンに『タコ社長さんへ (はぁと)』なんてコメントで良かったんじゃろか…」


洋榎「おっちゃんがそれでって言うんやから、別にええやん」





ちゃちゃのん「――えへへ、可愛く撮れとるのぅ」ジッ

胡桃「ま、約一名 超浮きまくってるけどね」クスッ

ちゃちゃのん「もぅ、それは言いっこなしじゃよ~~」





ワイワイ ガヤガヤ


洋榎「にしても、駅までの道も相変わらずの人ごみやな」スタスタ

胡桃「まぁ、さっきまで程ではないけどね」トコトコ

塞「こりゃ、帰りの特別電車も混んでそうね」


ちゃちゃのん「あぅ…」ヒョコヒョコ




洋榎「ん、ちゃちゃ…?」

胡桃「ちゃちゃちゃん…?」


ちゃちゃのん「あはは、何でもないんじゃ――」ヒョコヒョコ




洋榎「て、自分 足引きずっとるやん!!」

胡桃「もしかして、靴擦れとか?」

ちゃちゃのん「ん、ちょっと捻っちゃったみたいじゃ…」

塞「ちょっとそこのコンビニで湿布とか買ってくるから、そこのベンチで待ってて!!」タタッ



胡桃「痛い?」

ちゃちゃのん「ん、ちょっと…」

洋榎「そんな慣れん厚底のこっぽりみたいん履いてくるからやで」

ちゃちゃのん「うぅ、ごめんのぅ…」シュン





塞「とりあえず使えそうなの買ってきたんで、応急処置だけしちゃおっか」タタッ

洋榎「おつかれさ~~~ん」

ちゃちゃのん「塞ちゃん、後でお代は支払うからの…」

塞「えっ、別に良いって…」ペタペタ マキマキ



塞「はい、完了!! これでだいぶマシになったんじゃないかしら」

ちゃちゃのん「どうもありがとの…」



洋榎「よっこらしょっと…」シャガミ

胡桃「?」

ちゃちゃのん「ヒロちゃん…?」



洋榎「あと少しなんやし、駅まで位ならウチが担いだるわ…///」

ちゃちゃのん「えぇっ!! そんなんええよ!?」


洋榎「そんなんでまたハグレられたら面倒やろ!! ええからしがみついとけて!!」ウガッ

ちゃちゃのん「えぇ… でも、のぅ…」チラッ


胡桃「ま、良いんじゃない…」

塞「洋榎がへばったら私が代わってあげても良いよ」フフッ

洋榎「アホッ、ウチがそんくらいのことでへばるかい!!」



ちゃちゃのん「あ… じゃぁ、その… お願いするんじゃ…////」ペコッ


胡桃「じゃ、ちゃちゃちゃんの履物は私が預かっとくわね…」





ちゃちゃのん「ん、しょっ…」シガミツキ

洋榎「お、何や背中に柔らかい感触が…」ムニュ ムニュ

ちゃちゃのん「うぅ、恥ずかしいんじゃ……////」ギュゥ

胡桃(――う、羨ましくなんか、ないんだから……)ジブンノムネ ペタペタ

塞(胡桃……)ドウジョウ




洋榎「ふんぬっ!!」グオッ

ちゃちゃのん「うひゃっ!?」ガクンッ

塞「ちょ… 大丈夫…?」

洋榎「へっ、平気や 平気ぃ~~!!」プルプル

胡桃「全然、平気そうには見えないけどね」


ちゃちゃのん「うぅ~ これじゃと、まるでちゃちゃのんが重いみたいで 恥ずかしいんじゃ~~///」カァァッ

塞「まぁ、胡桃よりは重いんだろうけどね」

胡桃「そこで私を比較に出されてもねぇ…」フクザツ



塞「この際 三人で騎馬戦持ちでもして、お神輿みたいに揺すりながら駅まで運ぶ?」

胡桃「ぷっ…」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんにゃぁ 騎馬戦の下は無理じゃろ。 ちゅーか、それは流石に恥ずかしすぎるんじゃ…///」ヤメテッ

洋榎「あ"~~ もぅ自分ら少しは黙っとれってぇ!!」ズンズン ズンズン

ちゃちゃのん「あっ、ゴメンの……///」




スタスタ スタスタ……


ちゃちゃのん「…………////」


洋榎「ふん…………///」






【帰りの電車内にて】



ガタンゴトン ガタンゴトン…


洋榎「はぁ~~ メッチャしんどかったわぁ~~」ゼェゼェ ハァハァ

胡桃「お疲れさま」

塞「途中で諦めると思ったけど、ホントよく最後までやったわね」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ホンにゴメンの~~~///」ワタワタ


胡桃「注目されまくりで、私たちも恥ずかしかったわ」




塞「あっ、あっち座席一つ空いたし、ちゃちゃのん座って来て良いよ」

ちゃちゃのん「えっ、でも…」キョロ

洋榎「え~て、え~て、取られる前にさっさと座っとき!!」シッシ


ちゃちゃのん「う、うん……」スゴスゴ






ちゃちゃのん「…………」チラッ


ちゃちゃのん(さっきの写真、やっぱりみんなとってもええ顔しとるのぅ……)フフッ






プシューーッ


ちゃちゃのん(あ、隣の座席が空いたんじゃ…)


黄色髪の少女「ゔっわぁーーい!! 空席み゙ぃっけ~~~っ!!」ダダダーーーーシュ!!

黄色髪の少女「ほっ!!」フンギ スポッ


ちゃちゃのん(何じゃか、元気な子じゃのぅ。 でもこんな時間に大丈夫なんじゃろか?)

眠たげな少女「もぅ、そんなに走ったら他のお客さんに迷惑だよー」トトト…


黄色髪の少女「に゙しし、ごめ゙~~~ん゙!!」ポリポリ

眠たげな少女「もぅ中学2年生なんだから、その喋り方も治した方が良さげだよー」



ちゃちゃのん「中学生… 保護者の人とかおらんの? 子どもだけで、この時間は危ないんじゃよ…」

眠たげな少女「あっ、すみませんー 途中まで保護者代わりのお姉ちゃんと一緒だったんですけどー」

ちゃちゃのん「あ、ゴメンの… つい心配んなって、聞いてみただけなんじゃ…」ブンブン



黄色髪の少女「おっきなおもちを追っかけてって、そのままハグレちゃったんだぞ~~っ!!」フンヌッ

ちゃちゃのん「おもちを追いかけて…? 保護者のお姉さんの方がハグレちゃったんか…?」

眠たげな少女「まぁ、いつものことなのでー さっき連絡とれたし、私たちは先に帰ろっかーっていう所存ー」

眠たげな少女「そういうお姉さんも、なかなか良いものをおもちのようでーー」

ちゃちゃのん「ふぇっ!? そ、そうじゃろか…?(さっきから、いったい何の話じゃろ…?)」



ちゃちゃのん「そのお姉ちゃんがちょっと心配な気もするんじゃが、帰り道は二人で大丈夫なんか?」

黄色髪の少女「ゔん゙!! 駅に゙レジェンド呼ん゙だから゙平気だよ゙~~っ!!」フンギッ

眠たげな少女「レジェンドは私たちの先生ですよー」

ちゃちゃのん「ほか、ほか、この子 しっかりしとるし、先生来るなら安心かの…」





眠たげな少女「振り袖姿ってことは、お姉さんもお伊勢参りの帰りですかー?」

ちゃちゃのん「うん、そうじゃよー お嬢ちゃんたちも そうなんじゃね?」

黄色髪の少女「ゔん゙! 今年はア゙ゴヂャーと、シズヂャーたちの大学受験だし、ア゙ヤ゙ヂャーは高校受験だがら゙ーーっ!!」

眠たげな少女「友達の合格祈願にお伊勢参りしたいと考えた所存ー」



ちゃちゃのん「お姉ちゃんも今日は友達の合格祈願に来たんじゃよ。 みんなが受かるとええね♪」エヘヘ

黄色髪の少女「ゔん゙! あ゙り゙がどゔ~~!!」ニコニコ




ちゃちゃのん「あっ、この席… 座ってくれてええんじゃ…」ヨット…

眠たげな少女「えっ、でもー」


ちゃちゃのん「ええよ、ええよ。 ちゃちゃのんの友達はあっちにおるしのぅ♪」フリフリ





ちゃちゃのん「それに 一人だけ座席がないんは、やっぱり可哀想じゃろ……」


ちゃちゃのん「座るんなら、みんな仲良くが ちゃちゃのんはええんじゃ―――」


黄色髪の少女「ん゙ん゙――?」

眠たげな少女「お姉さん、どうもありがとー♪」ニッコリ




ちゃちゃのん「それじゃ ちゃんと保護者さんたちと連絡とり合って、しっかり帰るんじゃよ」バイバイ

黄色髪の少女「ばいばーーーい!!」ブンブン

眠たげな少女「ご心配、痛み入りますー」ペコリ





ちゃちゃのん「えへへ、来ちゃった…」ヒョコヒョコ


洋榎「自分、何やっとんねん」アホ


胡桃「お人好し」フゥ


塞「はは、まー 良いじゃない…」





洋榎「おっ、あっちのグレイ優先シートが空いたで~! 今度はいいんちょ 座って来ぃ!!」


胡桃「あれはシルバーシートよ! 拘束されたグレイ型宇宙人違うから!!」



塞「そんなネタ、いったい誰が分かるってのさ…」ハァ





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宇宙人優先席




みんなとのお伊勢参り、ホンに楽しかったのぅ。


ヒロちゃん、胡桃ちゃん、塞ちゃん…


みんな、とってもキラキラしちょったんじゃ。




これはちゃちゃのんが 幼い日に憧れた。



あのキラキラなアイドルさんに感じとったもんに似ちょるんじゃろか。





ちゃちゃのんにとって、それは何より尊くて、大切なモノ。


それが、今 この瞬間にゃぁ 確かにあったんじゃ。



ちゃちゃのんは、それを失いたくないんじゃ。







みんなと一緒に写ったこの写真は、ちゃちゃのんの宝物―――



この日のことを、ちゃちゃのんは きっと忘れないと思うんじゃ――――






【胡桃の部屋】



ちゃちゃのん「みんな~ 遅れてごめんじゃよ~~」トタトタ ガチャッ

ちゃちゃのん「仕事が長引――――」


セーラ「」ゲロゲロゲロゲロ

ちゃちゃのん「うっきゃ~~! 玄関から地獄絵図ッ!?」ヒェエェーー


セーラ「ゲロが出るでー……」ビビクン

ちゃちゃのん「ちょ、大丈夫!?」


洋榎「大丈夫、大丈夫!!」

洋榎「セーラはサークルで吐き慣れとるし、マジのヤバいボーダーライン弁えとるからな」

胡桃「ウチの床は無事でも なんでもないからね!?」モー



洋榎「ま、メンツも揃ったことやし、学生らしく恋話でもするか!?」

ちゃちゃのん「うわぁ、珍しいのぅ!?」

塞「さっきまで酒飲みながら、自分たちの大学時代は色恋沙汰がなさすぎるって くだまいてたのよ…」フゥ

塞「鬱陶しいなら、洋榎を"塞ぐ"けど……」

ちゃちゃのん「その手のアクエリアスは―――」アセッ




一月の松の内も終わる頃、いつもの胡桃ちゃんの部屋でみんなと新年会じゃ♪





ちゃちゃのん「大体 恋話っちゅーても、このメンバーじゃ盛り上がらんじゃろ…」

ちゃちゃのん「ヘタしたらみんな恋人居ない歴=年齢じゃあ……」

胡桃「寂しいこと言わないでよ!!」


洋榎「―――しかし、残念ながら……」チラッ

塞「……」チラッ




セーラ「あー 吐いたらすっきりした!!」

ちゃちゃのん「え…?」


胡桃「もう、床は自分で拭いてよね!!」

セーラ「はい、はい」


胡桃「あと、この罰でのろけ話よろしくね!!」

セーラ「はい、はい」



ちゃちゃのん「え、ええええええええええええええええええ!?」






洋榎「千里山で、参謀っぽいメガネおったやろ」

ちゃちゃのん「う、うん!!」


洋榎「アレと付き合うとるらしいで」

ちゃちゃのん「えぇっ!?」



塞「しかも高校卒業時に告白されて、ずっと続いてるんだとか…」

ちゃちゃのん「ほぇぇ~~~」


胡桃「しかも遠距離恋愛だって…」

ちゃちゃのん「すごいんじゃ~!!」オメメキラキラ




ちゃちゃのん「のー のー、なんて告白されたん!?」


ちゃちゃのん「今、どのくらい会っちょるん!?」


塞「メチャクチャ食いついてる……」

胡桃「乙女だねっ」



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船久保 浩子(フナQ)




塞「それで、その…… どこまでイッたの?」

ちゃちゃのん「えぇっ!? 塞ちゃん、そんなんエッチじゃよぉ!?」キャッ

塞「い、いいでしょ別に… 女しかいないんだから!!」

塞「き、きき、気になるじゃない!!」テレッ


ちゃちゃのん「確かに、気になるのぅ……///」カァァッ




セーラ「あー、ヤッたで」

ちゃちゃのん「きゃーーーーっ!! きゃーーーーーっ!!」////

塞「うわー、おっとなーーっ!!」



ちゃちゃのん「え、ど… どど、どうやってその、したん…?」///

塞「やっぱりホテルとかいくの?」




きゃーーーーっ!! きゃーーーーーっ!! きゃーーーーーっ!!




洋榎「あの食いつきっぷりが怖い……」カタカタ


胡桃「アレがオトナになるってことなのかな……」カタカタ





ドンッ!




一同「「あっ――」」




洋榎「また壁ドンされてもうたな……」アーア

塞「ちょっと騒ぎすぎちゃったか…… ごめんね」

セーラ「今度は壁ドンし返してみるかーー?」

胡桃「やめて!!」

ちゃちゃのん「うぅ、たびたび すまないんじゃ……」



洋榎「なんもかんもバイトが悪い!!」

胡桃「え…?」


セーラ「そうやな、哩が素直に店で酒盛りさせてくれたら良かったんや!!」

胡桃「今日が何月何日か、分かって言ってる?」


セーラ「何もかんも浪人が悪い…」

洋榎「二浪ってやっぱクソやわ!!」

胡桃「酷い言い草」

塞「本人が聞いたらブチ切れるわよ…」




ちゃちゃのん「でも、どうせ恋話するなら、哩ちゃんにも来て欲しかったのぅ…」


塞「あー……」

胡桃「結局 付き合ってるのかなぁ、あの二人って……」



洋榎「あ~~ デビ子なぁ…」

セーラ「誰やっけ…?」

洋榎「ほら、あの新道寺で大将やっとった」

セーラ「おー おー あのデビルマンレディーみたいの!!」ポンッ


胡桃「いい加減、その共通認識やめなさいって…」


塞「二人は同棲してるって話だし、やっぱり付き合ってるのかな…?」




洋榎「ん~~ あれは付き合っとるやろな…」

塞「まぁ… 洋榎ん家に行った時も、手繋いで歩いてたしね」

洋榎「それになぁ。 ウチ 沖縄旅行で、見てもーてん…」

ちゃちゃのん「あ、去年の夏に胡桃ちゃんと哩ちゃんと行ったっていう……」



洋榎「風呂場でな、あいつの首元にキスマークついとってん…」

塞「うわぁ…」

セーラ「何で見とんねん!!」

洋榎「いや、シャンプー取ろうと横向いたら、ちょ~どあいつが髪の毛洗ろててな」


洋榎「こう、ちらっと…」


ちゃちゃのん「えっ、えっちぃのぅ……///」カァァ





塞「でも、もしかしたら虫さされかもよ」

胡桃「キスマークがどんなものか、よく知らないけどね…」

洋榎「いや、その、なんや……」



洋榎「胸にも同じようなのがあってん…」

ちゃちゃのん「うわわわわっ///」アワワッ


胡桃「何でそんなとこまで見てるのよ!?」

洋榎「いや、首のキスマークから思わず目線そらしたら、胸が目に入ってきて……」


洋榎「ええなー あんくらいの乳欲しいな~~ 思って凝視しとったら、キスマークが……///」

ちゃちゃのん「うわぁ… ヒロちゃんはヒロちゃんで、えっちじゃのぅ…////」


塞「凝視は駄目でしょ!!」

洋榎「なんでや! 大きかったらつい見てまうやろ!!」

胡桃「―――おっきい方がいいんだ……」ムゥ

洋榎「そらな…」

洋榎「絹の触ったことあるけど、アレはホンマ異次元やで~~」ワキワキ

塞「触るなよ……」モー




ちゃちゃのん(…………////)カァァ


セーラ「どないしたんや?」


ちゃちゃのん「えっ、あっ… うぅん、何でもないんじゃ!!」




ちゃちゃのん(誕生日の夜のこと、思い出しちゃったんじゃ……////)カオ マッカッカ





セーラ「まあ、気になるんなら、本人に聞いてみればええやん!!」

塞「えっ!?」


洋榎「せやな! 壁ドンされた恨みつらみも言いたいしな!!」

胡桃「ちょ…」



洋榎「と、いうわけでお電話やー!!」ピポパポピ…

洋榎「―――出んなぁ」トゥルルルル… トゥルルルル…


セーラ「こら、出るまで電話やろ!!」

洋榎「おう!!」トゥルルルル… トゥルルルル…


胡桃「殺されるわよ……?」


ちゃちゃのん「もぅ、ヤメた方がええんじゃよ~~」アセアセッ




セーラ「とぅるるるるるるるるるるるるん… はい、もしもし―――」

洋榎「で… 自分はスルメを耳に当てて、いったい誰と電話しとんねん…」


コノデンワハ ゲンザイ デンパノ トドカナイ トコロニアルカ…

胡桃「あ、着信拒否られたかな」





その日の夜更け…



「ぐぉお~~ ぐおぉ~~~」



「う~~ん、むにゃむにゃ……」




ちゃちゃのん「はぁ… 何だか、すっかり目が冴えてしもぅたみたいじゃ…」


ちゃちゃのん(そりゃぁちゃちゃのんじゃって、そういうことに全然 興味がなかったわけじゃないんじゃ)


ちゃちゃのん(素敵な人と恋に落ちて、いつかは… その… そういう関係に、なるんじゃろうなって……////)


ちゃちゃのん(でも、正直 それはもっと遠い未来の話で… ちゃちゃのんたちにゃぁ関係ないことじゃって、どこかでそう思っとったんじゃ……」




ちゃちゃのん「こうやって、みんな大人になって行くんじゃな……」ボソッ


???「まだ、起きてたんだ…」


ちゃちゃのん「あ、胡桃ちゃんけ…?」


胡桃「何だか私も目が冴えちゃって、ちょっと散歩でもする…?」


ちゃちゃのん「う、うん……」



塞「…………」






アオォーーーン ワォン ワォンッ…




ガコッ ガコンッ


胡桃「はい、いちごミルクのホット」ソッ

ちゃちゃのん「あ、ありがとなんじゃ…///」アチャチャッ


ちゃちゃのん「胡桃ちゃんがこんな時間に夜歩きなんてして、補導とかされんじゃろか…?」ドキドキ

胡桃「少なくともアンタより、年上ですからね」プシュ



ちゃちゃのん「…………」プシュ

胡桃「はぁ、何かビックリだよね。 あ~いうのって、あんま免疫ないしさ…」

ちゃちゃのん「そ、そうじゃね……///」コクコク



ちゃちゃのん「……漫ちゃんと哩ちゃん。 試験上手くいくとええのぅ」

胡桃「う、うん、そうだね……」コクコク

ちゃちゃのん「…………」





ちゃちゃのん「こ、恋のこととか… 胡桃ちゃんはどう思っちょるんかの……?」チラッ

胡桃「な、何よ、急に……」


ちゃちゃのん「あはは、何となくなんじゃけど……」テレッ



胡桃「こい、こい、こい……」


胡桃「と、とりあえず… カープ坊やは、もぅ少し野球に集中するべきなんじゃないかな……」

胡桃「ラグビーとかプロレスとか。 プロゴルファー猿・the野球じゃないんだからさぁ―――」

ちゃちゃのん「いやいや、マエケンとか堂林とか 赤ヘル談義はまた今度でええじゃろ!?」


胡桃「また今度でもしないわよ…」


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ちゃちゃのん「そうじゃのぅて… 人を好きになるって、どういうことなんじゃろねって……」


胡桃「あ~~ まぁ、分かってたけどさ……」





胡桃「好きな人に、こうであって欲しいっていう 自分の勝手な願望を求めたり…」


胡桃「好きな人を、自分だけのものにしたいって思ったり…」


胡桃「そういう、自分本位な幻想の押し付け―――とか?」




ちゃちゃのん「もぅ、胡桃ちゃんは夢のないことを言うの~~」


胡桃「恋に恋する… そんな年でもないでしょう……」フゥ





胡桃「じゃ~ 一応 聞いとくけど、ちゃちゃちゃんはどう思ってるわけ?」


ちゃちゃのん「――――ちゃちゃのん、よぅ分からんのじゃ……」シュン


胡桃「何それ、バカみたい」




胡桃「大体 ちゃちゃちゃんって、昔からモテたんでしょ…」


胡桃「誰かを好きになるって気持ち、分かんないの―――?」








婆っちゃのことが大好きじゃ。


ヒロちゃんや、胡桃ちゃん、塞ちゃんたちのことも大好きじゃ。


鹿老渡のみんなのこと、今でも大切に思っとる。



その気持ちに、嘘はないはずじゃ―――




じゃけぇ この大好きっちゅう気持ちと、恋をするっちゅう気持ちは…



やっぱり、ドコかが違っとるんじゃろね。






恋をするっちゅうこと。


誰かを本気で愛するっちゅうこと。



胡桃ちゃんにゃぁ、言えんかったけど…




それは、自分の全てを相手に差し出すっちゅうこと。



自分の全てを捧げてもええっちゅうこと、だったりするんじゃろか……?





そして、季節はバレンタインの頃――――






【某スタジオ・楽屋】



チハヤ「あれ、ちゃちゃのん それって…?」

ちゃちゃのん「あ、うん… 手作りチョコの作り方を調べとったんじゃ…」


チハヤ「え~ もしかして、ちゃちゃのん熱愛発覚!? お相手は誰なのかな~?」


ちゃちゃのん「あ、そんなんじゃないんじゃが… その、大切な人に感謝の気持ちを伝えたくてのぅ……///」



チハヤ「てぇ、それ何も違わないでしょ~~ 羨ましいわね~~~!!」コノコノッ

ちゃちゃのん「あはは、チハちゃんもちゃちゃのんにとって大切な人じゃけぇ~ バレンタイン楽しみにしちょってのぅ♪」イタイ イタイ

チハヤ「そか、じゃ~ 見逃してあげる…」



チハヤ「まぁ… アイドルなんて言っても、一人のおんなの子だもん――」


チハヤ「もし本気の相手がいるんなら、くれぐれも後悔しないようにしなさいよね……」


ちゃちゃのん「―――ん」コクンッ









ちゃちゃのん(バレンタイン、一日仕事が入っちゃったの……)



♪~ チャン チャン チャン チャラランラ…


ちゃちゃのん(ヒロちゃんから、メール……? いつもの胡桃ちゃんたちとの集まりかの…?)



『―――その日はちゃちゃのん、一日仕事なんじゃ。 ゴメンの…』ポチポチ ポチポチ


ちゃちゃのん「送信……と」ピッ



ちゃちゃのん「みんなにチョコ渡すの、別の日になっちゃうのぅ……」ハァ






結局 今年のバレンタインは、ファン感謝イベントで一日終わっちゃったのぅ。




カラン コロン…


哩「いらっしゃい。 おぅ佐々野か、久しぶりやな~」

セーラ「おいーーっす!!」

胡桃「ちゃちゃちゃん、お久しぶり」

塞「やっ」



ちゃちゃのん「みんなお久しぶりじゃねぇ。 はい、ハッピー バレンタインなんじゃ♪」ドゾッ

哩「わざわざ手作りか? 悪いな…」

セーラ「おっ、美味そうやん!!」

胡桃「ちゃちゃちゃん、わざわざありがとね♪」

塞「ちゃちゃのんは良い子だね」ナデナデ



ちゃちゃのん「えへへ、少し遅くなっちゃってゴメンの。 当日は一日仕事だったんじゃ……」



胡桃「それにひきかえ、アイツときたら…」フンッ

ちゃちゃのん「アイツ……?」


哩「…………」





カラン コロン…



洋榎「えー、というわけで…」

洋榎「二日酔いで潰れとったわけなんで……」

洋榎「もうバレンタイン終わったけど、皆チョコくれへんかな~~って」ナンカ、チョーダイ!!



ちゃちゃのん「もう、しょうがな――」

哩「死ね!!」

塞「ないわよ!!」

セーラ「もう残っとらんでー」


胡桃「ちゃちゃちゃんも、こんな奴にあげなくていいから!!」

ちゃちゃのん「え、あ… うん……」



洋榎「なんでや!!」

洋榎「別に約束してたわけでもないし、ええやん!!」

塞「ま、そーなんだけどさー」

塞「でもバレンタイン終わったし、チョコあげなくてもいいでしょって…」

洋榎「うぎぎぎぎ……」


胡桃「バカみたい…」フンッ



ちゃちゃのん(胡桃… ちゃん……?)






結局 その後、ヒロちゃんにチョコをあげることはなかった。



ちゃちゃのん(バレンタインのチョコ、ヒロちゃんにあげそびれてしもうたのぅ……)パリポリ



ズキンッ



何故じゃか、ちょっぴり胸が痛かった――――






二回生での最後の試験も終わり…




ちゃちゃのん「みんなは試験の方はどうじゃったん?」


塞「あ~ 私はいつも通りだったけど。 胡桃の方が……」ハハッ


胡桃「あ~~ あんなヤツらと勉強会なんてするんじゃなかった…」

胡桃「電車で無理なものは、やっぱりバイクでも無理なのよ……」ブツブツ


ちゃちゃのん「ん…?」


塞「試験期間中に洋榎やセーラと徹麻してて、見事に試験に寝坊したらしいよ」


ちゃちゃのん「そ、それはご愁傷様なんじゃ……」






胡桃「あ、そういえば… この前の伊勢神宮特集の、ちゃちゃちゃんの巫女服姿見たよ」


塞「あ~ みんなで一緒に見てて、洋榎がテンション上がって爆笑してたらしいね」


ちゃちゃのん「うっ、別に爆笑するトコなかったじゃろ……」










冬が終わり、また新たな春がやって来る。


ちゃちゃのんたちは、三回生へと進級しとった。




胡桃ちゃんに家庭教師をしてもらっちょった、一浪中の漫ちゃんは


第一志望じゃった、ちゃちゃのんたちと同じ大学にゃぁ受からんかったものの


同格とされる隣県にある大学の方は見事に合格、今年からは晴れて大学生っちゅうことじゃね。





そして、二浪中の哩ちゃんじゃが


どうやら、今年も西の最高学府にゃぁ 届かんかったそうじゃ。






哩「今年落ちたら、受験は終わりばい」



哩「やりたかった研究は、代わりにあいつがしてくれているばい」


哩「麻雀部の時と同じで、重荷にするのは心苦しか―――」


哩「けど… 夢は、代わりにあいつが叶えてくれると信じとるばい」


哩「だから、心置き無くドロップアウトできる……」




――これは後から胡桃ちゃんに聞いた話じゃが


そう言っていた哩ちゃんは、どこか寂しげであり


どこか安心したような、そんな表情をしとったそうじゃ。





きっと夢を託した後輩の姫子ちゃんのこと、心の底から信じちょるんじゃろうね。



そう思える人がいるっちゅうこと… それはとても羨ましいことじゃと、ちゃちゃのん 思うんじゃ。





そんな大学受験を諦めた哩ちゃんじゃが…



当面は今のお店で、料理の勉強をしながらバイト生活を続けるそうじゃ。





何でも、哩ちゃんにゃぁ 新しい夢が出来たとか―――




哩「それに… 新しい夢も出来たしな……」




哩「――幸せな家庭」テレッ








哩ちゃん、姫子ちゃんと末永くお幸せにの。




ちゃちゃのんは、いつでも二人のこと応援しちょるけぇのぉ♪




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そして、ちゃちゃのんたちはっちゅうと…



ちゃちゃのんと塞ちゃんは、ゼミが始まりそっちに多くの時間を取られるようになった。



せーちゃんは麻雀部の最上回として、最近ではそっちの活動がメインになっちょるそうじゃ。




ヒロちゃんはっちゅうと…


結局、ゼミも決まらんかったようじゃね。


まぁ~ 自業自得なんじゃし、仕方ないんじゃけど。



胡桃ちゃんは、まだあまり生活的な変化はないようじゃった。





――そんなこともあってか…



最近はヒロちゃんと胡桃ちゃん、二人で遊んどることが多いようじゃ。






たとえどんなに環境が変わろうと


変わるはずなどない、ちゃちゃのんたちの関係。



でも、たぶんそれは胡桃ちゃんのいう恋と同じ。


ちゃちゃのんの中にある、勝手な幻想だったんじゃろう。



まだこれといって、変わったことなどないはずなんじゃが…


ちゃちゃのんたちの周りの何かが、少しずつ変わり始めとったんじゃと思う。





それがいったい何じゃったんか。


ちゃちゃのんにゃぁ、まだよう分からんかったが。



ただ漠然とした不安だけが、ちゃちゃのんの胸の内から離れんかった。






ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


ちゃちゃのん「えへへ、ツモじゃよ♪」パララ…

胡桃「ん…」

セーラ「あちゃー」

洋榎「てぇ、ちゃちゃはまた平和(ピンフ)かい!! 男だったら、もっとデカイ手も目指そうや!!」

ちゃちゃのん「じゃって… おっきいの狙うと、決まってヒロちゃんに潰されるんじゃもん…」オンナジャシ…



洋榎「平和なんてクソくらえなんや、クルックーしとる東鳩を見たら豆鉄砲やでぇ!!」ビスビスビスッ

ちゃちゃのん「え~ 平和はとっても大切なんじゃよぅ…」

胡桃「東鳩さんに怒られるわよ…」



セーラ「せやねん、俺らは破壊と混沌の探求者。 デトロイトでメトロイドはオモロイドやねん!!」

胡桃「とりあえず、アンタもよく分からずに 口走るのやめなさいね」



洋榎「これよりウチらは超ピンフバスターズ、漢字に直して超平和バ―――あたっ!?」ビシッ

胡桃「だから、そういうのいいから!!」シャー

洋榎「へーーい…」



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ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


洋榎「いちごの~ように… かわいくて……」ボソッ

ちゃちゃのん「……?」


洋榎「いちごの~ように… 甘酸っぱい……?」

セーラ「ん……?」


洋榎「それがいちごの~ 生きる道~~」

胡桃「今度は何よ…?」




洋榎「おぅ。 何やちゃちゃのヤツが、今度CDデビューするらしいやん」


洋榎「ほなここは一つ ウチらでちゃちゃが歌いそうな、ヒット間違いなしの新曲でも作ったろ思ったんや!!」カッカッカ

ちゃちゃのん「いや、確かに今度CDデビューはするんじゃが… 何で音頭調なんじゃ?」


セーラ「ええやん、ええやん!! 何や面白そうやし、みんなで考えようや♪」ヨッシャー


胡桃「コイツラって、基本的に面白ければ何でも良いのよね…」


ちゃちゃのん「何じゃろう。 気持ちだけは嬉しいんじゃが、正直 イヤな予感しかしないんじゃ…」






「ま~ とりあえず、いちごをプッシュしとけばええんちゃう?」


「あの…」


「そこはちゃちゃやしなぁ。 やっぱアホっぽい方がええやろ…」


「ちょっ…」


「サビんトコは『ちゃちゃのん音頭~♪』で決まりやな!!」


「じゃけぇ、何で音頭なんじゃ!?」


「2番はどうすんねん?」


「一応、可愛い感じにしといてあげたら。 あと可愛い自分が大好きな感じで…」


「ひどっ!?」






洋榎「そういや今年の学祭は、ずいぶんと早い時期にやるらしいやん…」

胡桃「あぁ、そういえば今年は春季大学祭だったね」

ちゃちゃのん「大学祭のぅ。 そういえば去年は行けんかったし、あまり大学祭の思い出ってないのぅ…」



洋榎「来年はウチらも4回生で、どうせ無理やろうし…」

洋榎「今年くらいはウチらのサークルで、何か参加せーへん?」

ちゃちゃのん「あっ… まだその自称サークル設定、生きとったんじゃね…」

胡桃「でも今だってセーラや、塞、ちゃちゃちゃんはかなり忙しいんだし。 ちょっと難しくない?」


洋榎「まぁ、何でもええねん。 ようは思い出作りみたいなもんなんやから!!」




セーラ「そんなら、ちょっとした上映会とかどうや?」

洋榎「上映会って映画撮影か? それこそ知識とか機材いるやん?」


セーラ「そのへんのことは浩子に頼めば何とかなるやろ。 丁度、ゴールデンウィークに帰省するらしいで…」

洋榎「あー、フナQのヤツこっち帰るんや」

ちゃちゃのん「それって、確かせーちゃんの恋人さん…///」



胡桃「それでそのフナQさんに頼めば、何で大丈夫なわけ?」


セーラ「言っとらんかったっけ? 浩子のヤツ『絶対 黒沢とか、なんとかスキー兄弟みたいな映画監督なるで~~』言うて、東京の芸大に行っとんねん」

ちゃちゃのん「ほぇ~~ そうなんじゃね…」



セーラ「丁度 帰省中にてきとうな短編撮りたいから、何人か手頃な役者捕まえとけって頼まれとったんや」シシシッ


胡桃「あれ、何か体良く利用された?」


ちゃちゃのん「でも、何か楽しそうじゃね…」エヘヘ






【ゴールデンウィーク】


フナQ「ちょっと、カメラさん!! もちっとシャッキリ動いてや~!!」ビシッ

セーラ「へーーい!!」ヨット



洋榎「えっと、突然やねんけど… ウチの名前は愛宕洋榎……」

洋榎「かっこ 超絶☆美少女である。 かっことじ」ヨミヨミ

フナQ「ちょー ちょー ちょー 役者さーん。 な~にセリフでカッコとか読んどんねん!!」アホナン?



フナQ「自分が台本に手を加えたい言うから、書き直したったんやで~~ あと天才セサリストって何やねん!?」

洋榎「あっ、スンマセン…」ペコッ




ちゃちゃのん「聴いて下さい… ちゃちゃのん音頭…///」モジモジ

ちゃちゃのん「いちごのように… かわいくて……///」ボソボソ

フナQ「ストップ、ストーープ!!」

ちゃちゃのん「えっ…」ビクッ


フナQ「女優さ~ん!! 何を恥ずかしがって、ボソボソ歌っとんねん!!」

フナQ「この場面の意味とか、ちゃんと分かっとるんですか? お客さんに『コイツはヤバイヤツ…』って思わせんでどないすんねん!!」


フナQ「自分は理不尽な神の意志に操られた哀れな人形。 マリオネットなんやで~!!」

ちゃちゃのん「すっ、すまないんじゃ…」ペコリン

フナQ「別に謝らんでもええですわ!! とりあえず、あんま舐めくさった演技しとるようやと―――」


フナQ「アンタ、マジで沈めんでぇ…!!」ギラリッ


ちゃちゃのん「あわわわわ……」ガクガク ブルブル





塞「うわぁ、こりゃ思ってたよりも本格的だね。 ちゃちゃのん、超涙目だよ」

胡桃「うん、私 雑用メインで良かった」


塞「私はこの後、そこそこセリフあるのよね。 うぅ、緊張するなぁ~~~」

胡桃「フフッ、塞の大根っぷり楽しみにしてる」


塞「いや、ま~~ 確かにそういうのは、得意じゃないけどさぁ……」

胡桃「対局の時なんかは、結構 中二設定ノリノリじゃない」

塞「うぐっ、それ冷静に言われると結構キツイなぁ……」



塞「だいたい何なのよ、このアホな台本…」ペラペラ

胡桃「溝シリーズっていう、結構有名なシリーズものなんだってね」



塞「ブッ飛んだ神の意志に操られるゲストキャラと、それに苦しめられる主人公を神の視点から笑う滑稽劇で――」

塞「お約束の展開が多数存在するがゆえに、その演者の力量、監督のセンスや技量が問われる作品―――だっけ?」


塞「基本プロットは船久保さんらしいけど、洋榎とセーラがかなり悪ノリで手を加えたみたいだよ」

胡桃「バカみたい…」



フナQ「照明さ~ん、しっかり仕事してな~~!!」

塞「あっ、はい!!」





フナQ「はい、カーーット!! 暫く、休憩しとってや~!!」

セーラ「浩子もお疲れさーん!! ホイ、ドクペ飲むやろ!!」スッ

フナQ「あ、うん… ありがとさん……///」ソッ


フナQ「カメラ結構重いやろ、腕とか平気…?」

セーラ「おーう、余裕 余裕♪ 普段から鍛えとるからな、体力と麻雀だけが取り柄やねん!!」グッ グッ

フナQ「うん、よぅ知っとるでぇ。 他にも、ええトコ ぎょうさんあるゆ~~のもなぁ…///」

セーラ「ん、そんなトコあったやろか…///」ポリポリ

フナQ(ウチはセーラのことなら、何だって知っとるんやでぇ……)




洋榎「はぁ~~ こりゃ予想以上にシンドいで~」パタパタ

胡桃「ん、お疲れさま… はい、ジュース」スッ

洋榎「おっ、さっすがいいんちょ 気ぃ利くやん!!」


胡桃「フナQさんだっけ、何か凄い人だね~~」

洋榎「ま~ アイツは昔から職人気質やからな。 凝り性やし、妥協ってヤツが出来ひんヤツやねん」ゴクゴクッ

胡桃「そういえば、確か従姉妹なんだよね?」


洋榎「せやねん。 ウチのオカンから見て、姪っ子やな」

胡桃「じゃ~、もし二人がくっついたら、いずれはセーラとも――」

洋榎「うっ、イヤな想像させんなや……」



洋榎「まぁ… アイツとは昔からライバルやけどウマも合うし、どのみち長い付き合いにはなるんやろうけどな」

胡桃「クスッ、確かにアンタら良いコンビよね」

洋榎「ん、そう見えるか?」


胡桃「うん。 カトケンみたいな迷走しっぱなしの、ダメダメ珍コンビってヤツ?」

洋榎「うっわ、何やねんその古っるい例え!? 岩手めんこいTV、どんだけ時代に取り残されとんねん!!」

胡桃「もー 多方面から怒られるから、そういうのやめなさいってば~~」フフッ




ちゃちゃのん「…………」ボー

塞「ちゃちゃのん、お疲れさま」

ちゃちゃのん「あ、塞ちゃん…」

塞「気になる……?」ヨイショ

ちゃちゃのん「えっ、何がじゃ…?」ギョッ



塞「あの二人、最近よく一緒にいるよね」


ちゃちゃのん「え、あ… うん、そうみたいじゃね……」





ズキンッ



あぁ、またじゃ。



三回生になった頃からじゃろうか。



うぅん、もぅ少し前からだったんかもしれんの。



あの二人見ちょると、何だか胸のトコがチクチクするんじゃ。





以前までと何も変わらん、あの二人のたわいない談笑。



それなんに 何かが違って見えるんは、どうしてなんじゃろぅ。



その何かが、今もちゃちゃのんの胸を締めつけとるんじゃろうか――――





雅枝「おっ、やっとる やっとる!!」スタスタ

絹恵「お疲れさまで~す」ガサガサ



フナQ「あれ、オバちゃんと絹ちゃんやないですか…」

セーラ「おっ、監督さん ちーーす!!」ブンブン

雅枝「浩子がこっち帰ってる聞いてなぁ、ちょっとした挨拶でもと思ったんや。 絹!!」チョイッ


絹恵「あっ、これオカンからのカンパのお菓子とジュースです」ドサドサッ


フナQ「あ、こりゃどーも… ホンマ助かりますわ~~」



洋榎「何や知らんが、愛宕一族が続々集まってきたで~~」

胡桃「これはきっと、何か良からぬことが 起こるわね…」

洋榎「いや、別に何も起こらんやろ!? 怖いこと言うなや…」ブルッ




フナQ「あ、そうや!? オバちゃんと絹ちゃん、この後 時間ある?」

雅枝「ん、まぁ~~ ゴールデンウィーク中は、それなりに空いとんで?」

絹恵「私もです……」


フナQ「ちょ~~ シーン追加したい思っとったんやけど、手ぇ~ 貸してくれへんかな~~」ニタニタ

雅枝「ん… ま~ 何や面白そうやし、別にええで…」

絹恵「はぁ、ま~~ 私も構へんけど…」

絹恵(浩子ちゃんのあのニタニタ顔は、ちょっとイヤな予感がするけど……)




フナQ「じゃ、撮影再開すんでー!! 二日で終わらせなアカンのやから、気合入れてくで~~!!」ギラリ

洋榎「へ~~い!!」

ちゃちゃのん「ひっ!!」ビクビクッ



フナQ「あっ… そこのおチビさんは、釘バット作っといて貰えるかな?」

胡桃「え"っ……」





【そして、打ち上げ会――】


セーラ「撮影終了… クランクアップを祝して、カンパ~~イ!!」


一同「「かんぱ~~~い!!」」




ワイワイ ガヤガヤ


哩「船久保か~、久しぶりやな」

フナQ「おろろ~ 誰や思いましたら、これはこれはお懐かしゅう…」

フナQ「辛酸なめちゃんな二浪生活の末、大学受験を諦めたっちゅう 元新道寺のエースフリーターさんやないですか~」ニヤニヤ

フナQ「インターハイん時は、大変お世話んなりました~~ すっかり大阪弁も達者になられたようで 何よりやね~~~」ニタニタ


哩(コイツ……)イラァッ



セーラ「ハハッ、可愛ええヤツやろ。 浩子はごっつい照れ屋さんやねん!!」

フナQ「もぅ、セーラったら… こないな人前でおノロケなんて、ウチ恥ずかしいわ~~///」バッシ バッシ!!


ドス ドス ドスッ


セーラ「あたっ、あたたっ… マジ痛いで、浩子さん~~!!」ギブ ギブ





塞「でも撮影は終わっても、これからの編集作業がまた大変でしょ」

セーラ「ま~ その辺のことは、浩子に任せとけば平気やろ~~」


フナQ「色々とコキ使ってもーたしなぁ、そっちの方はウチに任せとき!!」

フナQ「そもそも編集作業こそ、映像制作の醍醐味なんやで~~」ジュルリ


セーラ「浩子は昔からデータ収集とか緻密な分析とか、そういう影の努力を惜しまん ガンバリストやねん」カッカッカ

塞「あ、そうなんだ…」ハハッ


フナQ「もぅ、セーラったら… こない人前でそないノロケんでも、ウチ恥ずかしいわ~~~///」バッシ バッシ!!


ゲシ ゲシ ゲシッ


セーラ「あたっ、あたたっ… 弁慶の泣き所を的確に攻めるんはマジ勘弁やで、浩子さ~~ん!!」ギブ ギブ



セーラ「浩子がどんだけ、ガンパリストかやて?」


セーラ「そら小さなヒシャクでタイタニック号にチマチマ水を注いで、デカプリオ沈めてまうレベルのガンバリストやねん!!」ヒャヒャヒャッ

フナQ「もぅ、ウチ ホンマ恥ずかしいわぁ~~///」テレッテレーーッ


塞(フナ幽霊……?)ハハハ…





洋榎「う~~ん… やっぱアイツら、ホンマ仲ええなー」ゴクゴク

胡桃「少し独特だけど、ちょっと羨ましくなるね…」


洋榎「いいんちょでも、あーいうバカップルな感じには憧れ持つんやな?」カカッ

胡桃「そりゃ、私だって女ですから… それくらいは、ね……///」ボソッ




胡桃「ところで、お尻の方はもぅ大丈夫…?」

洋榎「大丈夫なわけあるかい!? オカンのヤツ、もぅ少し手加減しろっちゅうねん……」クッソ…

胡桃「確かに、アレはやばかったね…」アハハ


洋榎「あ、ウチちょいトイレ……」

胡桃「もぅちょっと恥じらい持ちなさいよ…」バカ…




洋榎「は~~ やっぱまだ尻がズキズキすんで~~~」イテテッ

セーラ「おぅ、洋榎!! この後ちょっと時間ええか……?」

洋榎「お~ ええで~~」


セーラ「まーなんや… 浩子んこと、自分には色々世話んなったしな……」ヒソッ

洋榎「ん、ああ――――」







ちゃちゃのん「…………」ズズッ

フナQ「CQ CQ ハロー トビー君!!」ヨッ

ちゃちゃのん「あっ、浩子さん…」



フナQ「女優さんが一人こないな外で、しみったれた顔して何やっとんの?」

ちゃちゃのん「あ… ちゃちゃのん、お酒に弱くて…」

ちゃちゃのん「場の空気に酔いそうじゃったから… その…」メセンソラシ



ベロンッ


ちゃちゃのん「うひゃっ!! ひっ、浩子さん……!?」エェッ

フナQ「ん~~ あんたが今、嘘をついとるんか、舐めてみれば分かるかな~ 思ったんやけど……」

フナQ「これは何の味やろな~~ あいにくとデータ不足で、よー分からんわ~~」ペロリッ

ちゃちゃのん(ひぇぇ~~ やっぱりこの子、怖いんじゃ……)ビクビクッ



フナQ「今、ウチのこと怖い思ったか? インハイの相手がアンタみたいのなら、こんだけで調子崩して きっと楽勝やろうなぁ~~」

ちゃちゃのん「えと…」





フナQ「アンタ可愛ええのぅ。 アイドルなんやって…?」

ちゃちゃのん「あっ、はい…」

フナQ「ウチなぁ… 色んな人の心理とか、行動のサンプルなんかを集めるんが好きなんや」

フナQ「でな~~ この二日間アンタんこと見とって、ちょっとうまそーやなー思っとったんや…」

ちゃちゃのん「えっ…?」





フナQ「アンタの内側に溜まっとるモンに、興味ある言うとるんや―――」




フナQ「ウチにアンタの全部、根金際しゃぶり尽くさせて貰えへんやろか~~~」ベロリッ


ちゃちゃのん「ひぃぃっ!?」カタカタ



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フナQ「アンタさぁ、好きなヤツとかおらへんの?」


ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのん、よぅ分からないんじゃ……」

フナQ「はぁ~ 自分のことなんに分からへんの?」



ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのん、今までそういう気持ちになったことなかったけぇ…」

フナQ「…………」フーーン





ちゃちゃのん「あ、あの……?」チラッ


フナQ「やっぱそうや。 ウチが何でアンタに興味持ったんか、ちょっとだけ分かったわ……」

ちゃちゃのん「それって……?」



フナQ「ウチな~ アンタんこと、メッチャ嫌いやわ~~ ごっつ気に食わんヤツやなって思うでぇ~~!!」

ちゃちゃのん(えぇ~~~!?)フルフル




フナQ「アンタ可愛ええもんなぁ。 今まできっと努力なんてせんでも、相手の方から勝手に言い寄って来たんやろ」


フナQ「努力せんでもええから、恋に価値を見い出せんかったんやないんか?」


ちゃちゃのん「……………」フルフル





ズキンッ



努力しなくてもええ。



それはかつてちゃちゃのんが、最も言われたくない思った言葉じゃった。



自然と目頭が熱くなる、視界が滲む、ちゃちゃのん 弱虫じゃけぇ――――






「佐々野さんはええじゃろ。 可愛ええんじゃから…」



「勉強出来んでも、運動出来んでも 別に問題なんてないじゃろ……」




そう言われたくなかったけぇ、ちゃちゃのんはいっぱい いっぱい努力したんじゃ。




勉強も、運動も、麻雀も。



誰よりも、いっぱい努力したつもりじゃった。



でも いつん頃からか、それら全てが無駄だったと悟らされた―――




いくら頑張っても勉強の方は中の上が精一杯。



運動に到っては人並み以下、ノロマじゃ、ウンチじゃと よぅからかわれちょった。




そして、ちゃちゃのんが 何よりずっと努力を続けてきた麻雀さえも…




「32000―――― 思ったより痛いんちゃうか?」





ちゃちゃのんにゃぁ、みんなを見返すだけの才能なんて 初めからなかったんじゃ……





そして、ちゃちゃのんにゃぁ…



可愛ええだけで何も出来んヤツっちゅう、周りからの視線だけが残された。




惨めじゃった――――






フナQ「アンタみたいに綺麗に産まれて ずっとモテてきた子には、きっとウチみたいなんの気持ちなんて分からんやろな~~」



フナQ「とりあえずそうやって泣いときゃ、頭空っぽの男連中なんかが チヤホヤしてくれたんやろ……」




――アンタだって、外見以外の全部を否定されてきた、こんな惨めな私の気持ちなんか……



――きっと、分かりっこないじゃろぅ………






フナQ「そんなんやからなぁ、本気で誰かを好きになったことも ないんとちゃうか―――」




ちゃちゃのん「―――アンタに、ちゃちゃのんのいったい 何が分かるって言うんじゃ!!」


フナQ「!?」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんじゃってなぁ、いっぱいいっぱい努力したんじゃ!!」


ちゃちゃのん「勉強も、運動も、麻雀も、いっぱいいっぱい努力してきたんじゃぁ!!」



ちゃちゃのん「そんでも、いつだって褒められるんは… 見た目んことだけで――――」フルフル




ちゃちゃのん「まるでそれ以外のこと 全部が否定されちょるようで、辛かったんじゃ… 痛かったんじゃ……」ポロポロ




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、これまでの人生――――ずっと努力を否定されて 生きてきたんじゃよ………」ポロポロ








ちゃちゃのん「それに、ちゃちゃのんにだって……」




ちゃちゃのん「好きだって… そう想える人くらい… いるんじゃよぉ……」ポロポロ






涙と一緒にこぼれ落ちた、思いがけない告白。



その告白に一番驚いたのは、きっと他ならぬ私。




――ウチのこと覚えとるか?


――よっしゃ、これで決まりやな! 5人集まった!!


――その愛宕さんいうの やめとき。 何や、落ち着かんでかなわんわ



――ま~ なんや… 暫くそばに居たるから、自分ちょっと落ち着き……




――ほい、安モンのプレゼントやで~~




――遅れてもうたが、誕生日おめっとさん!!




その時、私の頭の中にあったもの――――それは愛宕 洋榎という人との想い出だった。






ああ、そうだったんか…




私はいつの頃からか貴方に、本気で恋しとったんじゃね―――







ずっと、親友だと思っとった。



もしかすると無意識のうち、そぅ思い込むようしとったのかもしれん。





貴女と胡桃ちゃん。



最近は二人のことばかり、ずっと見ていたような気がする。



二人が楽しげに談笑しとる姿を見て、胸がズキンと苦しくなった。



私の知らない話題で盛り上がる二人に、胸がきゅーーと締めつけられた。



きっとこの感覚が、本気で恋をするということだったんじゃな―――





ずっと感じとった違和感。



それはきっと、私の中にも、二人の中にも―――



以前までとは違う…



友情とは別の、恋心という感情が……



確かに芽生え始めとったからなんじゃろう――――







フナQ「…………」




ベロンッ


ちゃちゃのん「うっひゃっ!? なっ、なに……」ビクゥッ


フナQ「ふ~ん、この涙の味… きっとこれがアンタの真実の味――――なんやろね」ペロリッ

ちゃちゃのん「えっ、えっと……」



フナQ「やっぱアンタ―――ウチが睨んだ通りの極上の味やったでぇ……」ニヤリ


ちゃちゃのん「えと、その……」キョトン




フナQ「―――あはは、ごめんな~~~ さっきまでのなぁ、実は全部 お芝居だったんやわ~~~~!!」

フナQ「ど~してもアンタのこと、知りたくてな~~ 悪いとは思ったんやけど、アンタが何に対して怒るのか 試させてもらってん!!」

フナQ「ホンマ、堪忍したってや~~~~」ヒラアヤマリ



フナQ「あ、因みにこの『その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ―――』っちゅうんは、とある偉人さんの教えでな~~」

ちゃちゃのん「あぅ あぅ……」パクパク





フナQ「ウチな~ 興味あるモン目の前にすると、ど~しても抑え利かなくなってまうねん!! ホンマ困ったクセやで、しかし…」


ちゃちゃのん「こ、怖かったんじゃ……」ポロポロ ポロポロ


フナQ「おわっ、マジ泣き―――!?」


フナQ「ここまで泣き虫とは、流石のウチも考慮しとらんかったで……」アセアセッ





唐突に引き戻された現実―――



全身の力が抜け、そして今度は先程までとは別の感情により 身が竦んだ―――



他者から向けられた害意ではなく、私自身が向けた悪意の感情、そして嫉妬の感情に気づかされた―――



普段 決して表に出すことのない、そういう黒い感情の発露にも慣れとらんかったけぇ――――



ただただ、そのことにカラダが震え、涙が溢れた――――





ちゃちゃのん「えぐっ、ひっく……」ポロポロ

フナQ「ええ子、ええ子、浩子ちゃんは怖ないで~~」サスリ サスリ




ちゃちゃのん「うぅ、ゴメンの… ちょっと落ち着いたんじゃ…」

フナQ「そかそか、いちごオレでも飲むとええで~」ホイッ

ちゃちゃのん「うん、どうもありがとなんじゃ…」ズズッ

ちゃちゃのん「…………」




ちゃちゃのん「浩子さん、その… さっきは、ゴメンの……」

フナQ「ん…?」



ちゃちゃのん「『アンタにちゃちゃのんの 何が分かるんじゃ――』とか、酷いことを言ったんじゃ……」シュン

フナQ「はぁ~~ それウチが無理やり言わせたようなモンやし、なんでアンタが謝んねん」



ちゃちゃのん「経緯とかは関係ないんじゃ―――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんが申しわけないと思っちょるから謝る。 それだけなんじゃ…」ペコリ


フナQ「こりゃまた、ずいぶんとまっすぐにお育ちだこと……」





フナQ「――ウチも、今回はちょっと反省したで。 流石にやり過ぎやったと思うわ」

フナQ「本心ではないにしろ、アンタの心の傷をえぐるような真似して ホンマすまんかったな」フカブカ


ちゃちゃのん「そか… それじゃ、これでちゃちゃのんたちは仲直りじゃね♪」ニコッ

フナQ「ん……///」



フナQ「アンタぁ、今後ウチのセーラに そういう笑顔とか向けんの禁止な!!」ビシッ

ちゃちゃのん「ええっ、何で!?」

フナQ「うっさい!! 理由なんてどうでもええんじゃ!!」クワッ


フナQ「アンタ、やっぱ気に食わんわ―――」フンッ

ちゃちゃのん「えぇ~~~」フルフル




フナQ「あ~ あと浩子さんもやめとき、何や気持ち悪い!!」

フナQ「とりあえず、浩子とかフナQとかにしたってや!! あっ、Qちゃんは無しやで!!」

ちゃちゃのん「う、うん……」コクッ



ちゃちゃのん「……浩子ちゃんって、ちょっとヒロちゃんに似とるのぅ」クスッ

フナQ「あんなアホたれと一緒にせんといて~~~!!」ガッデムッ






フナQ「なぁ、アンタさっき―――見た目のことしか褒められたことない、言うとったやろ?」

ちゃちゃのん「う、うん……」コクッ

フナQ「それって、そないコンプレックスみたいに思うことなん?」

ちゃちゃのん「…………」


フナQ「それって、そんだけアンタの容姿が周囲から見て 突出しとったいうことなんやろ?」




ちゃちゃのん「そんなん… ちゃちゃのんが努力して、自分の力で手に入れたものじゃないけぇ……」ポソッ

フナQ「だから誇れないか? ハッ、何をアホ抜かしとんのやろな、この子は…」


フナQ「可愛いだけしか取り柄がないって、そら結構なことやないかい!!」

ちゃちゃのん「!?」




フナQ「それがアンタの一番の武器なんやろ? だったらそれを、何よりも誇らんで どうすんねん!!」



フナQ「そこをさらに磨かんで、どないするんや―――?」アァンッ





フナQ「ええかぁ、世界っちゅうんはな~~ どこまでいっても不平等なモンなんやで!!」

ちゃちゃのん「じゃけどっ―――」




フナQ「望む、望まざるに関わらず―――」


フナQ「神さまの恩恵にあずかれるヤツ、あずかれんヤツは存在するんや!!」



フナQ「だから アンタは与えられた武器を、ただ活かせばええねん―――」



フナQ「実際 アンタがアイドルなれたんやって、ソイツのおかげなんちゃうんか?」

ちゃちゃのん「それは………」




フナQ「それはアンタの両親が与えてくれた武器。 だったら、もっと胸張ってもええんちゃう―――?」


ちゃちゃのん「お父さんと、お母さんが……」





ちゃちゃのん「そう、かもしれんの――――」








フナQ「それになぁ……」

フナQ「アンタ、ヒロエ以上に麻雀で勝つための努力―――してきたって言えるか?」

ちゃちゃのん「それは……」




フナQ「アイツは昔からバカで アホで いい加減なヤツやけど、麻雀が大好きで大好きで 仕方ないヤツやで~~」


フナQ「悔しいけどなぁ… アイツは麻雀に関してだけは、天才や思う―――」

フナQ「アイツの麻雀は、どこまでも純粋でガキみたいな楽しい麻雀や」


フナQ「分析に分析を重ねて 理論でガチガチに固めた、ウチのデータ麻雀とは根本的にちゃう」

フナQ「モチロンどっちが正しいとか、そんなん無いんやけど―――」




フナQ「アイツ以上に才能あるか、アイツ以上に麻雀に対して全力でなきゃ―――アイツには勝てんのとちゃうか?」


ちゃちゃのん「そうじゃの、ちゃちゃのんは―――」


ちゃちゃのん「多分ヒロちゃんほど、麻雀バカにゃぁ なりきれちょらんね……」




フナQ「ま… 負ける時は負ける、それも麻雀なんやけどな~~♪」カカッ


ちゃちゃのん「ふふっ、そうじゃね♪」







フナQ「さっき言うとった好きなヤツの話やけど、アンタこれからどうしたい思っとるんや?」


ちゃちゃのん「―――そんなん、よ~~分からんよぉ///」モジモジ…




ちゃちゃのん「浩子ちゃんとせーちゃんの時は、どうじゃったん?」チラッ

フナQ「ウチか…?」




フナQ「ウチな~~ 好きなヤツの事は、何でも知っときたいタチやねん……」

フナQ「セーラへの気持ちに気付いた後は、それこそセーラのこと無我夢中になって調べ尽くしたで~~」ジュルリ

ちゃちゃのん「調べ尽くす―――?」



フナQ「ウチにとって、情報いうんは光や―――」

フナQ「光があるから、世界の色やカタチがくっきりと浮かび上がる。 見えるからこそ、安心して真っ直ぐ歩くことも出来るんや」

ちゃちゃのん「それは、何となく分かる気がするんじゃ…」





フナQ「佐々野いちご、ニックネームはちゃちゃのん。 家庭の事情により、幼少時から数回の引越し歴アリ――」

フナQ「身長は高校時代と変わらず148センチのままだが、バストの方は文教堂さん特典サイズにまで成長――」ケッ

フナQ「高校の時よりちょっぴり体重が増えたと、現在ダイエット中。 特に感じやすいところは―――」

ちゃちゃのん「ちょっ、ちょっ、ちょーー!! いったい何の話じゃ!?」アワワッ



フナQ「ん? こんくらいは普通、本人と会う前に要チェックやろ?」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんのことは、別にええんじゃよ~~(大体 特典てなんじゃ!?)」

フナQ「何や、ホンマ肝っ玉の小さいヤツやな~~」ヤレヤレヤ



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文教堂さん特典




フナQ「ま… そうやって色んなモン調べることで、ウチはセーラへの想いをカタチにしていったんや」

フナQ「セーラの好きなモン、好きな場所、好きな匂い、好きな食べ物。 嫌いなモノから、何気ない仕草や細かな癖――」

フナQ「セーラの弱いトコ。 月の予定日。 爪の伸びる長さからの、その好不調に至るまで―――」

フナQ「愛する人の全てをしゃぶり尽くす程に、調べ尽くすこと―――それがウチの愛し方やねん………」

ちゃちゃのん「………………」アウアウッ



フナQ「ま… そういうの きっと世間さま的に言えば、キモいとか、ストーカーや言われるんやろうけど……」


フナQ「でもなぁ、セーラんヤツは違ったんや――――」



フナQ「アイツはこんなウチの性格も何もかんも… 全部ひっくるめて、笑って受け入れてくれたんや」

フナQ「アイツはウチの全てを包みこんでまう程、どこまでも懐が深くて、どこまでもおっきいヤツやねん―――」ウットリ


フナQ「ホンマ… アイツからオッケー貰えた時は、気が狂うかと思うくらい嬉しかったで~~////」クネクネ

ちゃちゃのん「あはは、やっぱせーちゃんはカッコええね♪」



フナQ「アイツに変な色目とか使うたら、その左右にぶら下がっとるパタパタ引っこ抜いたるでぇ……」ギロリッ

ちゃちゃのん「しない、しない!! 絶対にしないんじゃ!!」フルフル パタパタ





フナQ「せやけど… お互い離れた大学に入って、遠距離恋愛 続けとるうちに…」


フナQ「ウチの方が寂しさに耐えきれなくなって、一度は本気で『別れよ―――』いう話にまでなったんやで……」

ちゃちゃのん「えっ!?」



フナQ「今頃、セーラのヤツ浮気しとるんやないかとか。 ホンマはウチのことなんて、どうでもええ思っとるんちゃうかとか…」

フナQ「離れとると相手のこともよう見えなくなって、ドンドン光も薄れていって、不安だけが積もってまってなぁ―――」


フナQ「ウチ… セーラ以外から可愛ええとか褒められたこと無いし、女としての自信もなかったんや……」

ちゃちゃのん「…………」




フナQ「せやからメールの返事遅かったり、セーラからウチの知らんヤツのこと楽しげに話されたりすると、どうしようもなく腹が立ってなぁ…」

フナQ「そんなんで随分、セーラのヤツに当たり散らしたりもしたわ……」



フナQ「そんな自分がどうしても許せなくなって、ウチの方から『お互いのためにならんから、もう別れよか―――』て言ったんや……」


ちゃちゃのん「浩子ちゃん……」





フナQ「そしたらセーラのヤツ、『今の大学辞めて、すぐ自分のトコに行ったるわ!!』とか本気で言い出しおって―――」


フナQ「ホンマ、どうしようもないアホやねん…////」


ちゃちゃのん「えへへ、そんだけ本気で愛されとるんじゃね……」ニコッ


フナQ「おっま、自分 何を恥ずかしいこと言っとんねん!? 嫌やわ、も~~/////」テレテレッ



グリ グリッ ギュゥゥーーーッ


ちゃちゃのん「いたっ、いたたっ!! ちゃちゃのんのツーサイドを、グリグリするんはやめるんじゃ~~!?」ヤメテーー



フナQ「おろっ… このシッポ、メッチャ もふもふしとるやないか♪」モフモフ モフモフ


ちゃちゃのん「ちょっ、人の髪で もふもふするんもヤメるんじゃよぉ!?」アワワッ




もふもふ もふもふ もふもふ……


フナQ「はぁ~~ 自分のシッポ、なかなかの もふもふっぷりやったで~~♪」タンノウ タンノウ



ちゃちゃのん「うぅ… ちゃちゃのん、弄ばれたんじゃ……」シクシク





フナQ「アンタはやっぱネコやろかなぁ、でもそういうヤツに限って意外と―――」ククク…

ちゃちゃのん「浩子ちゃん…?」



フナQ「セーラのヤツなぁ、普段はあない男前なくせして… あっちの方はてんでネコやねんで~~」クックック


ちゃちゃのん「ネコ…? ニャンコちゃんのことけ?」ハテナ



フナQ「ネコっちゅうんはな~~~~~」ゴニョゴニョ

ちゃちゃのん「~~~~ッ!?」ボッ




フナQ「クックック~~ッ アンタは一体どっちなんやろな~~ 興味あるで~~~」ニヤニヤ

ちゃちゃのん「アゥゥ……////」カオ マッカッカ



ちゃちゃのん「えと… ちゃちゃのん、そろそろみんなのトコに戻ろぅかの……///」アセ アセッ

フナQ「おっ、せやな。 随分と長話してもうたし、そろそろ片付け入っとるかもな~~」





カラン コロン


塞「あ、ちゃちゃのん。 ずっと見なかったけど、どこいたの?」

ちゃちゃのん「ちょっと、酔い冷ましに外で涼んどったんじゃ…////」

塞「本当だ、顔 真っ赤だよ。 今日は珍しく随分と飲んじゃったみたいだね……」ダイジョウブ?

ちゃちゃのん「えっ、コレはその… う、うん… 大丈夫じゃょ……////」カァァ



フナQ(あ~いう反応されると、もっとからかいたなるで~~)クックック



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カラン コロン


セーラ「そんじゃ、お疲れさ~~ん!!」ブンブン

胡桃「お疲れさま」

塞「うん、またね」バイバイ

ちゃちゃのん「ほんじゃーの♪」フリフリ





フナQ「佐々野……」チョイチョイ

ちゃちゃのん「あ、浩子ちゃん。 今日はいろんなお話、聞かせてくれてありがとの」



フナQ「―――ま、さっきの話なんやけど…」

フナQ「正直 ウチはアンタの恋路とか、そういうのどうでもええねん」

ちゃちゃのん「ん―――」


フナQ「ただ、何もせず… 何の答えも出さずに不戦敗とか、そういうのイっちゃんイヤやねん―――」

ちゃちゃのん「…………」



フナQ「せやから、もし好きなヤツがおるんなら―――」

フナQ「自分みたいのは無様な突撃かまして、盛大に玉砕でもしてまえばええねん……」ククッ

ちゃちゃのん「うぅっ、酷いんじゃ…」



フナQ「ま… ウチはウチで、アンタはアンタや―――」

フナQ「後は勝手にしたらええわ………」ジャーナ



ちゃちゃのん「浩子ちゃん、今日はどうもありがとな」



ちゃちゃのん「……………」








愛宕 洋榎―――



今日 私は貴方のことが好きだったことを、初めて自覚した。




それはきっと、大好きな友達や婆っちゃに向けてきた好きとは違う好き。




私はいつの間にか―――貴方に、恋しとったんじゃね。






そして、それを知ることで…



私の中にあったモヤモヤの正体が、嫉妬だったと気付かされた。




ちゃちゃのんは―――――これから、一体 どうすりゃええんじゃろぅか。






【後日――】



カラン コロン


ちゃちゃのん「みんな、お久しぶりじゃのぅ」

胡桃「ちゃちゃちゃん、久しぶり」

哩「佐々野か、らっしゃい」



ちゃちゃのん「ヒロちゃんやせーちゃん達は、まだ来とらんのじゃね?」キョロ

胡桃「うん、塞は今日はゼミの飲み会だって」



ちゃちゃのん「結局 ちゃちゃのん、GW序盤に例の撮影やって、あとサンマにちょっと参加しただけじゃったのぅ…」

胡桃「ちゃちゃちゃん、仕事忙しくなってるもんね。 アイツは相変わらず暇みたいで、ウチに来てはグダグダしてたけど…」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんとヒロちゃんは、相変わらずみたいじゃね…」ヘヘ

胡桃「ん、最近は麻雀のメンツ集まらなくてもフラッと来て、二人でお酒飲んだりとかしてるかな」


哩「駄目な大学生の典型やな。このモラトリアム満喫組が…」チッ


胡桃「アンタにそれ 言われたくはなかったけど―――」


胡桃「まぁ 私も今の『流されるままにハーレム島的な自堕落生活はどうなの―――』とは思ってる……」ハァ




カラン コロン


洋榎「よっ、お待たせさんやで~~!!」

セーラ「よーそろーー♪」

ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃんとせーちゃん」

胡桃「本当に待ったわよ」

哩「相変わらずのいつものメンツやな」



胡桃「で… この前のフナQさんから届いた、完成フィルムの件はどうなったの?」

セーラ「おーー アレならポシャったで~~!!」ゲラゲラ

洋榎「ウチら非公式サークルやし~~」

洋榎「元の溝シリーズが18禁いうのもあって、学校側から上映許可 降りんかったわ~~!!」カッカッカ


胡桃「は……?」


ちゃちゃのん「えぇえぇぇぇぇ~~~~~~~っ!?」





あの苦労はいったい、なんだったんじゃ…



この件はちゃちゃのん達の間では黒歴史とされ、なかったっちゅうことにされたんじゃ―――







洋榎「近道したところ、足がミゾにはまってもうたんや…」


お蔵入り 決定!! ドン!!





ちゃちゃのん「そんなん、考慮しとらんよ~~~~~」ポロポロ


               ___

            ,. .:': : : : : : : :`: : ..、     l二二二 フ
           /..:: : : : : : : : : : : : : : : \      / <[][]
         /: : : /: : : l: : : : : : :.l : : :', : :ヽ.__  .//ヽ.ヽ
      ,. .-v': : : :,' : : ノ!: : : : : : :.lト:、 :.',: : : ヽ: :、 ̄    ̄
     /: : : ,': : ; :.,:/: :l l: : : : : : :.l i: :.\il: : : : :; : :ヽ  O
    ,': : : :.!: : i: :lト;: : |:Lゝ:'; : j.: / .j: :./:リ.!: : : : :i: : : i  o

     i: : : : l: : :l: :l! ,,ム示、ヽ从/ .示半z, jl: : : l/i: : : !
    ゝ: : 人: :ゝ:|./lkr必l!     lkr必!.} j/: ノト; :.:丿
    ((. i:.(:ト;.:.`ーイ とつ''¨   '   とつ .l!:l : : i ):.l
    ヽ ー=-: :l:ト   |!''''   --    ''' .j、l: : : !'イ
     /: : l|.: l:lゝ, {;  (     )    ノ人: : :.i
      //: :.l!: :.i:l:j: :.>..          ...:く:(: : :.!: :..i
.     i:iヽ: :l!: : Y: l: : l: :> .. __ .. <:.l: :!:i ): :.j: : :.i
      ゝ ): :.';: :.ト、j: : !: :!=|      |: : l: j:.l': V : : .人
     丿:!: :.): !:|:l Yi/ ` 、 _r'´ \リ/:.:.(: : :.( _ ))

    /:.イ:.:/:ヽY!jヽ;!!   /  ̄|ト、. .|/: :/):) 、: :、:(
.  ./:/  ,l: iイ )/.  リ /:::>‐._//`ヽ!: :.i'イ  .): :) ヽ
   !::! ./ ゝニ=-    ´  l::::::::::/   `j/  , 'イ ヽ
   ゝ./ ヽ   /       ヽ:-:〈      \  / |
.    /   ', l         |:::::::i       `// !






洋榎「ま、そんなわけでや。 ウチとセーラで相談した結果…」

胡桃「まだ何かあるの?」


洋榎「ウチら非公式サークルの学祭参加を拒否した、大学側への抗議の一環として~~」


セーラ「ここはやっぱり、定番のゲリラライブやろ!!」ビシッ



ちゃちゃのん「えっ、そういうの普通にマズイんじゃ―――」

胡桃「また、思い付きだけで…」ハァ




洋榎「ちゃちゃ、自分がギターとメインボーカルやで!!」ビシッ

ちゃちゃのん「えぇぇっ、ちゃちゃのんも参加するんか!?」アセッ



洋榎「前にライブとかもしっかり出来るよう、いっぱい練習しとる言うとったやん!!」

ちゃちゃのん「そっ、それはそうなんじゃけど―――」アウゥ…

胡桃「それに、衣装とか演奏機材とかも用意しないとだし…」



洋榎「機材の方は代行に頼んだら、何とかしてくれる言うとったで~~」ニシシ

胡桃「姫松の代行さん、いったい何者なのよ……」



ちゃちゃのん「ほんなら、ライブ衣装の方は……」

洋榎「それも、ウチに秘策アリや――」ニヤリッ

ちゃちゃのん「………?」



洋榎「ちゅーわけで、これから暫く時間あるヤツは練習には強制参加やで~~」

胡桃「で、練習場所は……?」

洋榎「当然、いいんちょの部屋―――」

胡桃「壁ドンで三・三・七拍子されるっての!!」





【でもって、大学祭・当日】



ワイワイ ガヤガヤ


洋榎「おー おー なかなかの盛況っぷりやな~~」

胡桃「あっ、あそこのワタ飴とチョコバナナ美味しそう♪」テテテッ

塞「あはは… 胡桃ったら、あんなにはしゃいじゃって…」

ちゃちゃのん「…………///」モジモジ



メガネの男「あのぉ、ちゃちゃのんさんですよね? 一緒に写メ良いですか?」モエーー

ちゃちゃのん「あ、はいにゃ……///」

洋榎「おっ、写メならウチが撮ったるで~~♪」ヨコシ



パシャ パシャ


メガネの男「どうもありがとうございましたぁ♪ 今度、CD買いますね~~///」モエモエ

ちゃちゃのん「あ、ありがとなんじゃ……///」フリフリ


洋榎「にゃんにゃんカフェ『にゃんじゃけぇ』もヨロシク頼んまっせ~~!!」

メガネの男「あ、はい…」ヘコヘコ





遡ること数時間前――



ちゃちゃのん「衣装って、これにゃんこオバちゃんトコの制服じゃろ!?」

洋榎「可愛ええし、自分にはコレが似合っとるからええやん!!」


ちゃちゃのん「じゃけど… にゃんこのおらんトコで着とったら、ただのねこミミメイドコスじゃし…///」モジモジ

洋榎「そんなん自分やったら、すぐに気持ち良ぅなるやろ!!」カカカッ

ちゃちゃのん「人のことをどこかの、変態美術教師みたいにゆーのはヤメるんじゃ!!」




洋榎「ちなみにウチらバックは、ライブ用に高校時代の制服を持参したでぇ~~」

塞「それはそれで、ちょっと恥ずかしいんだけどね……///」


洋榎「ちゃちゃは制服の使用料代わりに、今日一日これ着て店の宣伝しながら 学祭まわるいう契約になっとるでぇ!!」

ちゃちゃのん「うぅっ、オバちゃんまで酷いんじゃ…」



洋榎「自分がウチら以外の学生とも馴染めるよう、気ぃ利かせてくれたんちゃうか?」

ちゃちゃのん「オバちゃん……」ジーン


洋榎「まぁ、嘘やけど…」シシシッ

ちゃちゃのん「うっ……」



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哩「らっしゃーい、SAN値直葬・ロマンシング佐賀弁当はいらんかね~~」

洋榎「おっ、自分らこんなトコで何やっとんねん?」

胡桃「あれ… 哩ちゃんと、それに姫子さんも…」

姫子「皆さん、おいでませ~~♪」


哩「ウチの店長から学祭の出店で売って来い言われてな、今日は姫子に手伝ってもろて出張販売中ばい」

姫子「あ、これはウチの地元の名物弁当ばい」ドゾッ



胡桃「あっ、先生の目玉焼き 美味しそう~」

塞「このモンスターの肉ってヤツ、何の肉なのか超怖いんだけど…」ブルッ

哩「食い合わせ表いるか?」


塞「……食って、セミにんげんとかにならないでしょうね?」

胡桃「いや、流石にそれはないでしょ…」



洋榎「さしずめバイトはローニンやなぁ♪」カカカッ

哩「もぅ浪人ちゃうわ。 出会い頭チェンソーでカッさばいたろか…」イラッ





哩「で、佐々野は… なんでねこミミメイド?」

姫子「あら、可愛い♪」キャッ


ちゃちゃのん「うぅ… ちゃちゃのんにも、よぅ分からんのじゃ……」

塞「ま、あまり触れないでおいてあげてよ」ハハハッ



洋榎「そや… せっかくやし、ちゃちゃ。 弁当の売り子、手伝ったればええんちゃう」

ちゃちゃのん「そうゆーと思ったんじゃ。 哩ちゃんにゃぁ いつもお世話になっとるけぇ、少し手伝ってもええじゃろか?」ニコッ

哩「そりゃ助かるが、ええんか?」

ちゃちゃのん「うん、モチロンええよぉ♪」




ちゃちゃのん「佐賀名物、ロマンシング佐賀弁当はいらんじゃろか~~?」ニャー


覆面の男「あ、本物のちゃちゃのんさん。 サイン良いですか?」

ちゃちゃのん「うん、ええよ~♪」ニコッ

覆面の男「えと、『覆面パパさんへ――』でお願いします…///」

ちゃちゃのん「ええけど、何で覆面しちょるん…?」

覆面の男「ポリシーなもので…」フッ

ちゃちゃのん「そ、そうなんじゃね……」





イラッシャイマセーーー


哩「それにしても、佐々野のヤツは本当に働きモンやな~」

胡桃「哩ちゃんも、相当だとは思うけどね」パクパク

姫子「やけん、何してこげん早か時期に大学祭なんてすっと?」

塞「就活のこともあるんだろうけど、秋にはもぅ大体の高校生が志望大学決めちゃってるから――」

塞「少しでも早くやって、この学祭も大学案内の一環として組み込むって方針なんじゃないかな~~」モグモグ

姫子「あぁ、そげん意味もあっとね」ホーー



塞「―――私たち、二人のお邪魔だったりしないかな」ヒソッ

哩「アホ、気ぃ使いすぎや。 大体、家ではいつも二人やし……///」ゴニョゴニョ


塞「ご馳走さまでした…」フゥ

洋榎「ぷはぁ… 雑な味かと思ったが、なかなかイケたでぇ!!」

哩「人の佐賀、舐めんなや―――」




ちゃちゃのん「ふぅ… やっとお弁当、売り終わったんじゃ♪」トコトコ

哩「お疲れさん♪ あれ、分けといた佐々野の分の弁当は?」

洋榎「ん、アレそうやったん? スマン、食ってもうたわ」タハハ…




胡桃「ふぅ、ご馳走様でした」

塞「七英雄がなかなか手強かったね」

胡桃「塞のはダンターグバーグ? 私のはシーフードスービエだったよ」

塞「あれ、みんな同じじゃないんだ。 無駄に凝ってるな~~」




ちゃちゃのん「あれ、ちゃちゃのんだけ 何も食べとらんのじゃ…」ポツーン

洋榎「荒れ野のマナでも、食べたらええんちゃう?」シランケド…

ちゃちゃのん「既に腐敗して、悪臭放っちょる時間じゃろ……」


胡桃「ちゃちゃちゃん、さっき買った りんご飴あるけどいる?」ハイッ

ちゃちゃのん「胡桃ちゃん、ありがとなんじゃ…」パクッ

塞(それで良いんだ……)




哩「さ~て… 仕事も終わったし、私と姫子はこれから二人で学祭 楽しむばい!!」

姫子「ばいば~いばい♪」

洋榎「おー この後のウチらのライブ、見に来るんやで~~」

哩「どうせゲリラやろ。 自分らが捕まって、説教くらうトコなら見とってやるわ」




【とある教室】


ジャラ ジャラ ジャラ……


ちゃちゃのん「あれ、ここって……?」

洋榎「うっ、流石にここには居づらいで……」コソッ



セーラ「おーーう!! 洋榎たちやん、ここで一局せーへん?」ブンブン

洋榎「あのアホんだら、デカイ声で呼びおってからに!?」


塞「ここは麻雀部員からあがったら役に応じた景品を貰える、麻雀部の出し物みたいだね」

胡桃「あ~ 麻雀特待生で入学したくせに、途中でドロップアウトしたから…」

ちゃちゃのん「そりゃ、顔も出しづらいじゃろ…」



ザワザワ ザワザワ……


洋榎「くっ、バレたからにはもぅええわ!! 麻雀部のヤツらから、景品ふんだくったるで~~!!」フンヌッ

セーラ「おぅ、洋榎ェ… 途中退場しおったヤツが、あんまウチらのこと甘く見ん方がええで~~」ゴオォォォッ

洋榎「上等じゃ、コラァ!!」ゴオォォォッ

セーラ「今日こそ、どっちが上か思い知らせたるわ!!」



塞「あっ、何か変なスイッチ入ったみたい…」

胡桃「バカみたい…」ハァ

ちゃちゃのん「長くなりそうじゃけど、ちゃちゃのんたちはどうしようかの?」キョロキョロ

塞「数局やって、アッチ長くなりそうならよそ行こっか…」



アッ チャチャノンダ…

ナンデ、ネコミミメイドフク?

コノマエノトクシュウ ミタデー

オレノチンロートーヲ… イワセネーヨ!!





塞「ちゃちゃのんの卓は、やっぱり大人気だったね」

ちゃちゃのん「ギャラリーが多くて、何だか恥ずかしかったんじゃ…///」ウゥッ

胡桃「あのギャラリー達の反応で、ちゃちゃちゃんの手牌とか自摸が大体 想像ついたしね…」

塞「まっ… お祭りだし、あんまりマナーとか厳しくは言えないもんね」フフッ



ちゃちゃのん「それに漫ちゃんと、絹ちゃんも遊びに来とったのぅ」

塞「うん、お互いの大学の友達連れて遊びに来てたね」

胡桃「漫ちゃんも今の大学に、ずいぶんと慣れてきたみたいだった」



塞「こうやって高校時代とは別のメンバーで、遊ぶようになっていくんだもんね。 ちょっと不思議…」

胡桃「まぁ、一部 腐れ縁っていうのもあるみたいだけど……」

塞「ハハッ、そりゃそうだ……」

ちゃちゃのん「…………」





こうしてイベント終了時刻となり、いよいよゲリラライブの決行じゃ―――






洋榎「―――詳細はこの前話した通り、屋外ステージでの全日程終了とともにミッション・スタートやで!!」

セーラ「最終ステージの部長には俺が既に話付けといたから、まぁ楽屋での準備の方は問題ないやろ」

塞「もぅ、どうにでもなれよ…」

胡桃「私たちサークル全体での最後の思い出作りとか言われたら、そりゃ断れないよね…」


ちゃちゃのん「あの、バンド名なんじゃが―――本当にアレでええんか?」

一同「「……………」」



洋榎「ま、ええんとちゃう」ハハッ

セーラ「他にコレといった案もなかったしな」カッカッカ


胡桃「やっぱり『まー☆じゃん天使』とか『スーチー牌』にする?」

ちゃちゃのん「……………」





セーラ「ヤバイ思たら即撤収、各員の健闘を祈る!!」




洋榎「オペレーション・ラグナロク―――開始やでーーッ!!」



一同「「おーーー!!」」








ワーワー キャーキャー



みなさ~~ん、こんばんは~~~!!



自分ら、大学生活はしっかり楽しんどるか~~?




ちゃちゃのんたちの歌を、聴いて欲しいんじゃーーー!!




俺たちの歌、しっかり聴いたってやーーー!!




チャチャノーーーン


セーラサマーー


オネーチャーーン


キッド~~~


センセー ガンバッテナ~~


キャーーッ イチゴチャーーーン!!




ワーワー キャーキャー





『聴いてください―――




いちごのように可愛いちゃちゃのんと 考慮しとらん仲間達で――――』







みんなで楽しもうと始めた即席のバンド。



短い時間ながら、みんな頑張って練習したんじゃが



きっと褒められたような 出来ではなかったじゃろうね。





そんでも 学祭を精一杯 楽しもうという、会場全体の熱気も相まって



ちゃちゃのんたちは、最高に楽しい時間を過ごさせて貰うことが出来たんじゃ。




そん時のことは、あんまりにも無我夢中で



ちゃちゃのん、正直 よう覚えちょらんのじゃけどね――――







ワーワー キャーキャー



(」・ω・)」うー! (/・ω・)/にゃー! (」・ω・)」うー! (/・ω・)/にゃー!




胡桃「あっ、係員が来た!?」


セーラ「ホナ、撤収と行くで~~~」ダダッ


ちゃちゃのん「みんな、今日はどうもありがとなんじゃ~~~」フリフリ


洋榎「ちゃちゃ、早よズラかんでーーー!!」ダダダッ


ちゃちゃのん「う、うん!!」



ドテッ

ちゃちゃのん「あぅっ!?」ヘタリコミ


洋榎「ちゃちゃ!?」アノバカ!?


係員「ちょっとキミ、こっち来なさい」グイッ



シャープシュート!!(物理) シュバ゙ッ


係員「ぐほっ!?」ドスッ


ちゃちゃのん「えっ!?」


洋榎「バカ!! 惚けとらんで、今のうちにさっさと逃げんで!!」グイッ


ちゃちゃのん「あ、うん… 係員さん、ゴメンの…」タタタッ






セーラ「二人とも、こっちやでぇーー!!」ダダダッ

洋榎「あれは代行の!?」ダダダッ

ちゃちゃのん「はぁ、はぁ…」フラフラッ



代行「ふふふっ… こんなこともあろうかと、待機してたのよ~~♪」

洋榎「ナイスや代行、出してええで!!」バッ

代行「は~い!! ぶっ飛っばすわよ~~~♪」グンッ



ガオンッ グォンッ グォンッ ガロロロロロロ~~~~ッ

ウヒャーーーーーー!!


代行「こういうのって、何だか燃えるわよね~~♪」ドルン ドルン ドルルルンッ

洋榎「安全運転!! とりあえず安全運転で頼んますーー!?」ウヒィィィッ

塞「ちゃちゃのん、大丈夫!?」ペシペシ

胡桃「あ、恐怖のあまり息してない……」プラン






係員「あたた、さっきのはいったい何だったんだ…?」




???「―――なかなか楽しませてもらったぞ。 キュアピースにちょっと似た少女よ…」フッ







【後日――】


ちゃちゃのん「はぁ…」

胡桃「どうだった?」

ちゃちゃのん「大学からも事務所からも、こってり怒られたんじゃ…」ウウッ

塞「まっ、ちゃちゃのんは完全に顔バレしてたしね~」

胡桃「セーラたちも大学側から、厳重注意されたみたいだよ…」



ちゃちゃのん「とりあえず注意だけで許してもらえて、本当に良かったんじゃ…」ウルウル

胡桃「セーラも部の方には影響ないみたいで、良かったって言ってた…」

塞「まぁ、セーラは言いだしっぺの一人だから仕方ないけど、ちゃちゃのんの仕事に影響しなくて本当に良かったね」



塞「それと軽い怪我した係員さん。 ちゃちゃのんのファンだったみたいで、フォロー入れてくれたんだってね」

ちゃちゃのん「うぅっ、悪いことしたんじゃ。 後でちゃんと謝らんと…」

胡桃「興奮した観客にヤられたって話だし、別にちゃちゃちゃんのせいじゃないでしょ」

ちゃちゃのん「そうじゃけど、やっぱり気になるじゃろ……」






ちゃちゃのん「―――でも、楽しかったのぅ…」ヘヘッ



胡桃「ふふっ、そうだね」フフッ



塞「うん、バカみたいに楽しかったね」クスッ






【いちご日記】


5月××日(はれ)




三回生の大学祭―――



また一つ、みんなとの大切な思い出が増えたんじゃ。



みんなと協力して何かをする、こんなん高校の時 以来じゃろうか。




あん時は、ちゃちゃのんのせいで悲しい結果になってしまったんじゃが…




鹿老渡のみんなは、今でも元気じゃろか。




今日のちゃちゃのんたちのライブ、婆っちゃたちにも見てもらいたかったんじゃ。








ちゃちゃのん「かろうと高校 まあじゃん部…?」


老婆「そうじゃ、ワシャ高校ん時にそこの部長だったんじゃ」


ちゃちゃのん「じゃったら、ちゃちゃのんも ぶちょーさんになりたいのぅ…」


老婆「ほいじゃが、今はここもあん頃以上に過疎が進んどるで… もぅ麻雀部も残っとらんそうじゃ……」


ちゃちゃのん「そうなんじゃ……」シュン



老婆「ワシが子どもん頃に通っとった 鹿老渡の小学校も、今はもぅないしのぅ…」


老婆「爺さんたちとの思い出がだんだんと のぅなってくようで、それはやっぱり寂しくもあるかのぅ……」






老人「お~~~う!!」


ちゃちゃのん「あっ、漁師の爺っちゃ…」


老婆「子どもたちを連れとるのぅ?」


ちゃちゃのん「だ、誰じゃろ…」オドオド




老人「こりゃウチの娘夫婦んトコの孫娘たちじゃ。 夏休みゆーて、今はウチで預かっとるんじゃ!!」カッカッカ


快活な長女さん「どうも初めまして」ペコッ


陽気な妹ちゃん「うわ~ 現地人発見じゃ!! スッゲ~~♪」


しっかりものの妹ちゃん「ちょっと、そげな言い方 失礼じゃよー」アセッ



老婆「おー おー こりゃまた可愛ええ子たちじゃの」カカッ


ちゃちゃのん「ちゃ、ちゃちゃのんじゃ……」コソッ





快活な長女さん「うわっ、可愛い~ 芸能人みたいじゃ♪ キミ、ちゃちゃのんって言うん?」


ちゃちゃのん「う、うん…」コソコソ



陽気な妹ちゃん「のー のー ボクたちと一緒に遊ぼうよーー♪」


しっかりものの妹ちゃん「迷惑じゃなけりゃ~~ お願いします♪」ニコッ


ちゃちゃのん「えと、ちゃ… ちゃちゃのんは……」キョロキョロ



老婆「ふふっ、せっかくのお誘いじゃで… みなと楽しんどいで♪」


ちゃちゃのん「う、うん……」コクリ




快活な長女さん「じゃ、浜の方まで行こうよ!!」タタッ


陽気な妹ちゃん「うわっほ~~い!! 競争じゃ~~~♪」ダダダーー


しっかりものの妹ちゃん「ちょっ、待ちなさいってばーー!!」タタタッ


ちゃちゃのん「えっ、ちょっ… 待って―――」タッタッタッ コケッ アウッ


快活な長女さん「だ、大丈夫!?」


ちゃちゃのん「だ、大丈夫じゃ……///」イタタ…








老婆「感謝するよ…」


老人「そんなん、たまたまじゃ たまたま」


老婆「そんでも、やっぱ子どもは子どもと遊ぶんがええ…」


老人「そうじゃな、ワシらがずっと守ってやるわけにもイカンしの」



老婆「あの子の悲しむ顔は、見たくないのぅ…」






快活な長女さん「そっかぁ、ちゃちゃのんはアタシと同い年なんじゃね」


ちゃちゃのん「う、うん… そうみたいじゃ……///」ビクビク


しっかりものの妹ちゃん「アタシたちはお姉ちゃんより一つ下で、双子なんじゃよ~」


陽気な妹ちゃん「やっほーい!! カニ捕まえたんじゃ~~♪」ピョンピョン


ちゃちゃのん「姉妹かぁ、ちゃちゃのんは… 一人っ子じゃけぇ、羨ましいのぅ……」シュン



快活な長女さん「また、一緒に遊べばええじゃろ」ニコッ


ちゃちゃのん「あ… う、うん……///」コクッ




陽気な妹ちゃん「うおっ、なんじゃコリャ!?」ギョッ


しっかりものの妹ちゃん「たこ壺じゃない? 何でこんなトコに置いちょるんじゃろ…」




陽気な妹ちゃん「おおっ、あの丘の上にカタコンベ発見♪ 藤岡探検隊、行っきま~~す!!」ダッシュ


しっかりものの妹ちゃん「じゃけぇ、一人で行くなっての~~!!」タッタッタ



快活な長女さん「ゴメン、あんバカは空気読むとか出来ん弾丸じゃけぇ…」ハァ


ちゃちゃのん「えへへ、楽しい妹ちゃんじゃね…」ヘヘッ





ちゃちゃのん「ここはちゃちゃのんたち かろうとの人が通っとる、昔からあるお宮さんじゃよ」


快活な長女さん「そうなんだ、じゃ お参りでもして行く?」


ちゃちゃのん「何を、お願いするんじゃ?」




快活な長女さん「また、こうやって一緒に遊べますように……とか?」フフッ


ちゃちゃのん「あ、ありがとの……///」テレッ






快活な長女さん「あっちの岬の方にゃぁ、何があるんじゃ?」


ちゃちゃのん「えと… あっちは確か私有地じゃけぇ、島民はあまり近づかんのじゃが―――」


ちゃちゃのん「岬のゆうれいの噂もあるし、あっちにゃ行かん方がええよぉ……」フルフル


陽気な妹ちゃん「岬のゆうれい!? 何それ、チョー楽しそう~~♪」ダダダァーー


しっかりものの妹ちゃん「また行っちゃたけど、どうすんじゃ?」


快活な長女さん「そろそろ夕方じゃけぇ、暗くなる前に捕まえて帰るしかないのぅ…」ゴメンノ


ちゃちゃのん「うぅっ、ゆうれい怖いんじゃ…」フルフル






「あなたたち、誰……?」


快活な長女さん「うわっ、出たァ!?」


ちゃちゃのん「うっきゃーーーッ!! ゆうれいじゃーーーッ!!」ヒィィッ


「くすくす…」




ちゃちゃのん「ほぇっ…?」


儚げな少女「あはは、幽霊とか失礼しちゃいますわ。 私、一応 まだ生きているのですけれど…」フフッ






快活な長女さん「へぇ、都会の方から病気療養でここに…?」


儚げな少女「ええ… ここはご飯も美味しいですし、空気も綺麗ですから。 とりあえず夏休みの間だけということで…」


快活な長女さん「ちゃちゃのん、早く立ったら?」


ちゃちゃのん「あぅぅ… 腰が抜けて……」ウルウル






快活な長女さん「ちゃちゃのん、遊ぼ~~♪」


ちゃちゃのん「あ、婆っちゃ… これからみんなと遊んでくるの…」チラッ


老婆「カッカッカ… ワシんこたぁ気にせんでええけぇ、みなで遊んどいで!!」


ちゃちゃのん「うん♪ 今日は岬の子のウチで、みんなにまあじゃんを教える約束なんじゃ…」ヘヘヘッ





快活な長女さん「また負けたァ!? ちゃちゃのんは麻雀上手いのぅ」


しっかりものの妹ちゃん「むむっ、こりゃぁなかなかに難しいのぅ…」


ちゃちゃのん「えへへ、コツさえ掴めば簡単じゃよ~♪」


儚げな少女「テーブルゲームでしたら、私にも出来そうですわね」フフッ


陽気な妹ちゃん「あはは、いつもの病弱アピールが出たんじゃ!?」


儚げな少女「うっ… 私、そのようなつもりはなかったのですが……///」





陽気な妹ちゃん「あ、またツモったんじゃ!? コリャ何ちゅう役じゃろ…?」


快活な長女さん「自分、何でそないに強いんじゃ……」クッ


しっかりものの妹ちゃん「こんなカンだけで生きとるようなんに勝てんとは…」クツジョク


ちゃちゃのん「妹ちゃんは、まあじゃんの神さまに愛されとるのかもしれんね。 ちゃちゃのんも、ウカウカしてられないんじゃ…」




優しげな女性「皆さん。 お夕飯出来ましたから、どうぞ今日は食べていって下さいね」


儚げな少女「あ、お母さま…」


快活な長女さん「あ、どうもスミマセン」


陽気な妹ちゃん「うわぁ~い、ハンバーグ~~♪」


ちゃちゃのん「あ… ちゃちゃのん、遅くなるって連絡せんと…」






儚げな少女「あちらの山の方に、蛍がいると聞いたのですが?」カチャ


快活な長女さん「えっ、このへんホタルおるん?」モグモグ


ちゃちゃのん「うん。 天候とかの条件合えば、今の時間ならほたるの きれいな光も見れるんじゃ♪」


陽気な妹ちゃん「あ、ボクもホタル見たいかも~~~」ムシャムシャ



しっかりものの妹ちゃん「ほじゃけど、今の時期いるんじゃろか?」パクパク


ちゃちゃのん「う~~ん、どうじゃろ。 源平にゃぁ、ちょっと遅いかもしれんの…」


陽気な妹ちゃん「とりあえず行ってみれば分かるじゃろ~~~!!」ガッチャン スック


しっかりものの妹ちゃん「あ、ちょっと待って――」モゴッ


儚げな少女「まだ子どもが食べてるでしょうが!!」バンッ



陽気な妹ちゃん「―――?」ピタッ


快活な長女さん「ん―――?」


ちゃちゃのん「おょっ…?」ハテナ



しっかりものの妹ちゃん「もしかして、今ん笑いドコじゃった?」


儚げな少女「な、なんでもないですわ…///」カァァッ







ちゃちゃのんに出来た、初めてのお友達。




みんなと過ごした、夢のようにキラキラな夏休み。




でもシンデレラにかけられた魔法は、必ず解けるものなんじゃ――――






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【咲-Saki- SS】 ちゃちゃのん・大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第二章 愛が咲いた日









カンッ!







【幕間】




~ 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』~





ちゃちゃのん「皆さん、こんばんはなんじゃ!!」フリフリ




ちゃちゃのん「えっと、これにて第二章も終了となるわけなんじゃが……」



ちゃちゃのん「やっ… やっぱり、何じゃか 照れくさいのぅ~~~///」テレッテレー


???「チッ、カマトトぶりおって…」



ちゃちゃのん「さて、ほんじゃ~ こっから少しの幕間を挟んで、いよいよ物語が大きく動き出す 第三章の開始じゃよぉ♪」




ちゃちゃのん「因みにこの幕間は 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』として、筆者が語りたいことを語ったり…」

ちゃちゃのん「本編では登場しちょらんキャラクターをゲストさんとしてお呼びしたりする、ま~ 完全な息抜きの場じゃね」


ちゃちゃのん「なおこのラジオは海と大地と時の狭間に存在するものらしいんで、例のごとくここでの登場人物と本編の登場人物は 基本的には関係ないそうじゃ」


ちゃちゃのん「当然 キャラ崩壊も激しくなると思うんで、そういうのが嫌いな人は 完全スルーでヨロシクの~~」ペコリン


???「大体、咲の広島弁キャラいうたら ワシじゃろが…」ブツブツ


ちゃちゃのん「あっ、今回のゲストさんの紹介が まだじゃったね」ゴメンノ




ちゃちゃのん「それではさっそくじゃが、今回もゲストさんをお呼びしたいと思うんじゃ!!」


ちゃちゃのん「みんな大好き。 我らが主人公チーム・清澄高校麻雀部 次鋒の染谷 まこちゃんじゃよ~~♪」テッテレー



まこ「あ、ど~も。 清澄の染谷 まこじゃ…」



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ちゃちゃのん「まこちゃんゆーと、やっぱり広島弁のメガネっ娘―――」

ちゃちゃのん「メガネを外すと可愛さと雀力アップ。 そして極めつけはメイド服じゃのぅ♪」


ちゃちゃのん「こんな萌え要素いっぱいなうえに、主人公チームで、麻雀も上手い―――」


ちゃちゃのん「しかも後輩ちゃんたちへの気配りも出来る。 とっても優しくて頼りんなる、頭脳派の先輩さんじゃよね~~~♪」スゴインジャ


まこ?「わりゃあ――」


ちゃちゃのん「ほぇ…?」




やさぐれまこ「そげんことゆーとって… 心ん中じゃ~~ ど~せワシんこと、エセじゃ、ワカメじゃ、キンクリじゃと、せせら笑っとんのじゃろ~~~」ケッ


ちゃちゃのん「えぇっ!? まこちゃん!?」




ワカメ「おい、これ書いとるクソ筆者ーッ!! げに可愛ええ思っとんなら、何でワシを主役でスピンアウトさせんかったーーッ!!」


ワカメ「佐々野とか、単なるかませのモブじゃろ~~ッ!!」


ワカメ「コイツやエイスリンのせいでな~~ ワシが一体 どんだけ迷惑しとるか、ちゃんと分かっとんのか~~!!」ムッキーーーッ!!





ちゃちゃのん「ま、まこちゃん!! お、お、お、落ち着くんじゃよ~~!?」アワワッ


ちゃちゃのん「本当の自分を思い出すんじゃ~ 本編のまこちゃんは、とっても可愛ええ女の子じゃろ~~!!」ワタワタ



まこ「はっ!? ワシは今まで一体何を…? どうやら、何者かに身体を支配されとったよ~じゃ―――」


ちゃちゃのん「あっ、まこちゃん… 正気に戻ってくれたんじゃの♪」ヨカッタ…





まこ「えらい醜態を晒してまったようじゃのぅ。 申し訳ないことをしたんじゃ…」ペコリッ


ちゃちゃのん「えへへ、そんなん別にええよ~~ 同じ広島弁仲間じゃけぇ、仲良うしよ~ね♪」ニコッ




まこ?「本来 広島弁はワシ一人で充分だったんじゃ。 それなんに、何故こがーなキャラ被りするようなヤツを出したんじゃ…」ブツブツ


まこ?「コイツは侵略者、そしてワシは防衛軍。 仲良くなぞ、出来るわけないじゃなイカ……」ブツブツ


ちゃちゃのん「ま、まこちゃん――?」エット…



まこ?「うっさい!! わりゃあみたいんは、ワカメ巻いて写真集でも出しゃぁええんじゃ!!」ビシィッ


ちゃちゃのん「えぇっ、何でワカメ!?」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんとまこちゃんの関係と言えば、アニメ 咲-Saki- 放送当時―――」


ちゃちゃのん「まこちゃん役の白石涼子さんが、広島の呉出身である松来未祐さんに 広島弁を教えてもらっちょった事でも有名じゃね」


まこ「その説は、色々とお世話になったのぅ…」ペコリ


ちゃちゃのん「えへへ、そんなことはないんじゃよ。 まこちゃん、これからもちゃちゃのんの分まで頑張ってのぅ…」


まこ「…………」




ちゃちゃのん「こ、この話題はやめようかの。 ちゃちゃのん、何だか とっても切なくなってきたんじゃ…」ホロリ


まこ「そ、そうじゃの……」




ちゃちゃのん「ほんじゃ、そろそろ恒例のお便りコーナーに入ろうかの~~」


まこ「そうじゃの、進行 ヨロシク頼むぞ…」







ちゃちゃのん「まずは鹿児島県 ラジオネーム『清浄気玉利仙全君』さんからのお便りじゃ♪」

ちゃちゃのん「う~~ん、なんじゃか難しい名前じゃの~~ さっきので、読み方は合っちょたんじゃろうか…」



ちゃちゃのん「いちごちゃん、好き好き大好き~~~~~(*≧∀≦*)♪」ヨミヨミ


ちゃちゃのん「それで… その隣に座っている、緑色の海藻類は何なのですか――?」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「正直 いちごちゃんと同じ広島弁というだけで、私 許せないのですが…」ヨミヨミ


ちゃちゃのん「自分がいちごちゃんの引き立て役だということ、くれぐれもお忘れなきよう 宜しくお願い致しますわね」ヨミヨミ



ちゃちゃのん「―――という、ちょっと変わったお便りじゃね」

まこ?「―――おい!!」



ちゃちゃのん「緑色の海藻類って、何の話じゃろうね?」クノウセンパイ?

まこ?「わりゃあ、分かっとって わざと言っとりゃせんじゃろなぁ!!」


殺意のまこ「ちゅーか、このメールを採用したスタッフに、ワシャ殺意の波動が抑えきれんのじゃが……」グヌヌ…



ちゃちゃのん「よぅ分からんけぇ、とりあえずちゃちゃのんのことを 好いとってくれちょるようじゃね♪」

ちゃちゃのん「清浄君、どうもありがとの~~~~♪」フリフリ

殺意のまこ「よぅ分からんで 流すなや……」クソガ…






ちゃちゃのん「えっと、続きまして長野県 ラジオネーム『アイドル雀士とかマジうぜー』さんからのお便りじゃね♪」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんってさ~ じゃ~じゃ~ じゃろじゃろ 言ってっけど―――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「ロリババアか何かなの? マジ受けるんですけど~~~」ヨミヨミ


ちゃちゃのん「ちょっと顔が良いとかチヤホヤされてっけど、アンタこっち側の人間だってこと忘れないでよね」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「あとウチらの方がアンタよりも 出番多かったんだから、そのへんヨロシク~」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「あと乳デカいってだけでチヤホヤされてるヤツも、マジ爆発して欲しいっス」ヨミヨミ



ちゃちゃのん「うぅ、前のお便りで上げてもらった後に、思いっきり突き落とされたんじゃ……」ズーーン

まこ「じゃけぇここんスタッフは、何故に今のメールを 本人に読ませようと思ったんじゃろうな」ドSカ?


まこ「な~~んか今の口調とか、どっかで聞いたことあるような気もするんじゃが―――」ナガノジャシ…



まこ(怒)「たちまち、ロリババアとはなんじゃ。 わら いちびっとらんと、広島弁に謝りんさいな!!」

ちゃちゃのん「そうじゃよ~~ 別に広島弁はロリババアっちゅうわけではないんじゃよ~~」





ちゃちゃのん「でも、ちゃちゃのん お婆ちゃんっ子じゃし―――」

ちゃちゃのん「時々 お婆ちゃんっぽいねって、言われることはあるんじゃよ~~」エヘヘ


まこ「おっ、そうなんか? 因みにワシはお爺ちゃんっ子じゃよ」




ちゃちゃのん「縁側でお茶したり、にゃんことひだまりでお昼寝したりして、ぬくぬく過ごせたら幸せじゃと思うんじゃ~~♪」

まこちゃん「お~ そりゃぁええの~~ 何や、われんことちぃーと 誤解しとったかもしれんのぅ~~」


ちゃちゃのん「わぁ~~い、まこちゃんと理解し合えたんじゃ~~♪」キャッキャッ





ちゃちゃのん「ほぇ、さっきの『アイドル雀士とかマジうぜー』さんからの、追加メールがあるよぅじゃ―――?」ドレドレ


ちゃちゃのん「えっと、ま~ そうは言っても、同じ引き立て役に使われたもん同士―――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「少しくらいなら応援してやっから、雑魚は雑魚なりに とりあえず頑張ってみたら良いんじゃね…」ヨミヨミ



ちゃちゃのん「うぅ~~ 『アイドル雀士とかマジうぜー』さんは素直じゃないだけで、本当はとってもええ人なんじゃの……」ジワッ

まこ「えっ、たったこんだけで!? チョロいヤツじゃの~~」


ちゃちゃのん「別にちゃちゃのん、チョロくないんじゃよ~~」ムムッ

ちゃちゃのん「『アイドル雀士とかマジうぜー』さんはのぅ。 さっきはちょっと言いすぎたかなと思って、ちゃちゃのんのことを気遣ってじゃな―――」

飽きっぽいまこ「分ぁーった、分ぁーった。 その話長くなりそうじゃし、別に興味ないからええわ……」







ちゃちゃのん「そういえば ある世界線じゃと、ちゃちゃのんたちは はとこ同士らしいのぅ♪」

GSまこ「お~お~ そがぁなこともあったのぅ~~」



ちゃちゃのん「そっちの世界のまこちゃんは、京太郎くんっちゅう素敵な彼氏さんがおって―――」

ちゃちゃのん「カッコよく妖怪退治なんかも出来ちゃう、スーパー霊能力者さんなんじゃよね~~~」オメメ キラキラ

GSまこ「いや~~ 照れるのぅ……」ポポンッ オミミ ピョコピョコ



ちゃちゃのん「うわぁ~~ 黒猫ちゃんの尻尾とお耳じゃ~~♪」

GSまこ「ま~ ワシらの家系は化け猫や猫又を祖に持つ、霊的素質に秀でた一族じゃけぇのぅ」シッポ フリフリ


ちゃちゃのん「ええのぅ。 ちゃちゃのんは まこちゃんみたいな霊的素質があまりないけぇ、憧れるんじゃ―――」

GSまこ「ワレんトコの婆さんは、あんなに凄い霊能力 持っとったのにのぅ…」

ちゃちゃのん「うん。 婆っちゃは若い頃 お祓いとか降霊とか、そういうのが得意じゃって聞いたことあるんじゃ…」




GSまこ「ワシの場合はテンション上がったり 興奮したりすると、先祖返りで耳やシッポが出てしまうんじゃが―――」


GSまこ「ちゃちゃのんじゃって、意識を集中すりゃぁ 耳とシッポくらいなら出せるじゃろ」ピョコピョコ

ちゃちゃのん「うん、そんくらいなら ちゃちゃのんにも出来るんじゃ♪」



GSまこ「猫耳、出してもらってもええかの?」

ちゃちゃのん「う、うん。 久しぶりじゃけぇ、ちょっと緊張するんじゃ…」ドキドキ



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ちゃちゃのん「むむむっ… 集中、集中……」



ポポンッ

ちゃちゃにゃん「あは、出来たんじゃ♪」オミミ ピョコピョコ シッポ フリフリ


GSまこ「おぉっ、お見事♪ 相変わらずちゃちゃのんのは、上品で綺麗な三毛猫じゃな♪」



ちゃちゃにゃん「にゃはは… でもちゃちゃのんに出来るのはこれだけじゃし、まこちゃんみたいにゃぁ戦えんけぇ―――」


ちゃちゃにゃん「ちゃちゃのんのは、何の役にも立たん。 これといって意味もにゃい 能力なんじゃけどね……」ニャァ




GSまこ「ま、可愛ええからええんちゃう」ナデナデ


ちゃちゃにゃん「ふにゃぁ、ちゃちゃのん 耳とシッポが弱いんじゃよぉ~~~////」ニャァ ニャァ


ちゃちゃにゃん「それに一度出すと 酔ったみたいに言葉も変ににゃるし、上手に引っ込めたりも出来にゃくてのぅ~~」ニャーー

GSまこ「先祖帰りが弱点か!? ホンマ使えん能力じゃのぅ!!」


ちゃちゃにゃん「うぅっ、やっぱりちゃちゃのんは駄目にゃ子じゃ~~」フニャーー





ちゃちゃにゃん「えっと、とりあえずこのまま 次のお便りに行こうかにゃ」シッポ フリフリ

GSまこ「…………」ウズウズ


ちゃちゃにゃん「まこちゃん……?」ニャァ




GSまこ(横島)「とりあえず、ちゃちゃのんは 今からこのメイド服をきんさいな!!」バッ

ちゃちゃにゃん「にゃにゃっ、何でいきなりそうなるんじゃ!? しかもこれラジオじゃよ~~」ニャゼ?


GSまこ(横島)「理由とかど~~でもええんじゃ、そこに猫耳少女がおったらメイド服じゃろ~~!!」ニギニギ

ちゃちゃにゃん「ふにゃぁ~~ じゃけぇ、シッポと耳は触っちゃダメじゃよぉ~~~」ビビクンッ




フニャーー ヤメルンジャーー エエデハナイカ エエデハナイカ


ちゃちゃにゃん「うぅっ… よぅ分からんけぇ、メイド服に着替えさせられたんじゃ」ウルウル


GSまこ「ま~~ ワシも付き合ってやったんじゃけぇ、ええじゃろ別に」カカッ



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ちゃちゃにゃん「とりあえず気を取り直して、お便りに戻ろうかにゃ~~」


ちゃちゃにゃん「えっと、長野県 ラジオネーム『スガラブ 狂堕郎』さんからのお便りじゃ。 どうもありがとにゃ♪」シッポ フリフリ

GSまこ「スカイラブハリケーンじゃと……」ピクッ


ちゃちゃにゃん「うんにゃ、長野県の『スガラブ 狂堕郎』さんじゃよ~~」

GSまこ「また長野か、しかもちょっくり聞き覚えのある名前じゃの―――」

ちゃちゃにゃん「にゃはは、まこちゃんの気のせいなんじゃにゃいかのぅ」




ちゃちゃにゃん「ちゃちゃねぇ、にょんたか。 はい、にょんたか~~♪」ニャマリ

ちゃちゃにゃん「最近 色んな人から中二野郎とか、ハーレムンのホラ吹き男とか酷い言われようです―――」ヨミヨミ

ちゃちゃにゃん「まったくもって、風評被害も甚だしいです―――」ヨミヨミ

ちゃちゃにゃん「こんな可哀想な俺を、ちゃちゃねぇの愛の告白で癒して下さい。 宜しくお願いします」ヨミヨミ


ちゃちゃにゃん「じゃって―――このちゃちゃねぇ言うんは、ちゃちゃのんのことじゃろか?」ハテニャ?




GSまこ「ちゅうかさ~~」フルフル

ちゃちゃにゃん「まこちゃん―――?」ニャ


GSまこ?「この長野県のスガラブ 狂堕郎ってヤツ、ワシの彼氏の須賀 京太郎じゃないんかのぅ?」ミミポンッ シッポポンッ


GSまこ?「あんの浮気モンがぁ…… 次に会った時にゃぁ、シリに神通棍の刑じゃ!!」

ちゃちゃにゃん「まこちゃん、落ち着くんじゃ!? そんにゃことされたら、彼氏さん死んでまうんじゃよ~~」ニャニャッ


ちゃちゃにゃん「それにたぶん 須賀くんは須賀くんでも、まこちゃんの彼氏さんとは別の世界線の須賀くんじゃと思うんじゃ~~~」

GSまこ「なるほどのぅ、そういう考え方もあるんじゃな…」

ちゃちゃにゃん「落ち着いてくれて良かったにゃ~」ホッ





ちゃちゃにゃん「え~~と、風評被害にゃぁ ちゃちゃのんもあったことあるけぇ―――」

ちゃちゃにゃん「スガラブ 狂堕郎さんの気持ちは、ちゃちゃのんにもよぅ分かるんじゃ。 元気出してにゃ~~~♪」オミミ ヒョコヒョコ



GSまこ「それじゃ、ちゃちゃねぇからの愛の告白じゃな…」

ちゃちゃにゃん「えっ、それってホンにせんとダメにゃんじゃろか?」ドキドキ


GSまこ「そーゆー仕事じゃろ。 頑張ってのぅ~~~♪」カカッ

ちゃちゃにゃん「うにゃぁ~~ ちゃちゃのん、こぅいうのちょっと苦手なんじゃよぉ~~~////」





ちゃちゃにゃん「ス、スガラブ 狂堕郎さん―――」


ちゃちゃにゃん「ちゃちゃねぇが、ええ子ええ子してあげるけぇ―――」


ちゃちゃにゃん「そんにゃ、風評被害にゃんかに負けず、これからも頑張るんじゃよおぉ~~~////」フリフリ


GSまこ(横島)「コリャア!! ちゃんと愛の告白までせにゃぁ アカンじゃろ!!」クワッ

ちゃちゃにゃん「ふにゃっ―――!?」ビクゥッ




ちゃちゃにゃん「あ、愛しちょるよ~~ スガラブ 狂堕郎く~~ん!!」ミミマデ マッカ


GSまこ(横島)「まぁ… 今日んとこは、そんくらいで勘弁しちゃるわぃ」


ちゃちゃにゃん「ふにゃ~~ 恥ずかしかったんじゃ~~~////」ニャァーー





ちゃちゃにゃん「お次は、ニュージーランドにお住まいの『良かった探しでwaqu waqu』さんからのお便りにゃ♪」


ちゃちゃにゃん「海外の方からのお便りなんて、嬉しいにゃ~~ 『良かった探しでwaqu waqu』さん、どうもありがとにゃ♪」

まこ「ニュージーランド……」ピクッ



ちゃちゃにゃん「ワタシ日本の四季というものが、とてもダイスキデス」ヨミヨミ

ちゃちゃにゃん「さて、これはワタシがビート板で母国ニュージーランドに帰った時に起こった、ビックリなお話なのデスが―――」ヨミヨミ







ちゃちゃにゃん「ほぇ~~ それはキーウィもビックリにゃ お話じゃったの~~~」ニャァ

まこ「…………」


ちゃちゃにゃん「『良かった探しでwaqu waqu』さん、とっても楽しいお便りを どうもありがとにゃ――」シッポ フリフリ


ちゃちゃにゃん「にゃっ!? いつの間にかもぅコーナー終了のお時間みたいじゃ!? 何だか、あっちゅう間じゃったの~~」




ちゃちゃにゃん「にゃにゃっ!? 番組時終了まで、あと10秒――――!?」ニャント!?


ちゃちゃにゃん「えぇっ、にゃんでちっとも気付かにゃかったんじゃろ~~~!?」アワワッ


ちゃちゃにゃん「そっ、それでは今回のお相手は~~~」ニャニャニャッ


まこ「染谷まこ、と――――」


ちゃちゃにゃん「ちゃちゃの――――」



ブツッ






カンッ!



幕間 終劇




【続・ネタ元作品等をいくつかご紹介します】


個人サイト等の場合、思わぬご迷惑かかってしまうと困りますので URLは貼ってません。

興味を持たれた方は、タイトル検索から遊びに行って貰えるとありがたいと思います。



・私的素敵ジャンク

hannoverさんの、咲-Saki-等を扱った考察サイトです。

筆者も遠野物語等が大好物なので、とても興味深く読ませて頂きました。

宮守のオカルト話の参考にさせて頂きました。



・佐々野いちごのCHA-CHAラジオ!

かえんだん:オオムギさんの、咲関連SS等を扱うサイトです。

オオムギさんにはいつもご親切にして頂き、本当にありがとうございます。

佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』の参考にさせて頂きました(内容全然違うんですけどね…)



・GS染谷の忘備録 Report.10: 決戦! 全国高校麻雀大会 ‐インターハイ・遭遇編‐

ちゃちゃのんが登場するのはたぶん10と11で良いのかな。

ちゃちゃのんとまこがはとこで、にゃんこな世界線。 GS好きでしたね~~



・【咲】京太郎「ここが麻雀学園都市か……」※安価スレ
http://www59.atwiki.jp/toarukyoutarou/pages/1.html

Ⅰの須賀らぶではちゃちゃのんこと『ちゃちゃねぇ』が大活躍した、結構珍しい安価スレだと思います。

マイナーキャラがメインになるスレってやっぱり少ないので、とても嬉しかったのをよく覚えています。

主な能力はアイドルパワー、アルティメット・アイドルオーラ、結ばれし絆《アカイイト》、THE IDOLM@STER、卍解・天鎖斬月。

尚、筆者はアカイイトと聞くと、どうしてもこちらの作品が思い出されます。 とても大好きな作品です。



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【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第三章 オレンジワルツ













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次の年 いつも麻雀してくれとった、あの漁師の爺っちゃが亡くなった。



あの子たちが鹿老渡の爺っちゃのトコへ遊びに来ることも、もぅのぅなった。



病気療養のため避暑に来とったあの子も、その年以降 見かけることはなかった―――







男「やぁ、いちごさん。 初めまして。 お母さんに似たのかな、とっても可愛いらしい子ですね」


女「いちご、お父さんにしっかりご挨拶しんさい」



ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのん、です…」


男「ちゃちゃのん…?」


女「コラ、ちゃんと挨拶せんと…」モゥ


男「あぁ、良いんですよ。 ちゃちゃのん、可愛い響きですね…」ニコッ





ちゃちゃのん「あの、一つだけお願いしてもええじゃろか…」グッ


男「ええ、何でも言って下さい」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの名前。 今の佐々野のままじゃ、イカンじゃろか…?」


男「え―――?」


女「この子ったら、またそがぁバカなコト言って…」



ちゃちゃのん「あの人に、ちゃちゃのちゃんって… もぅ呼んでもらえなくなってまうんじゃ…」ギュゥゥ


女「あの人って、お婆ちゃんはもぅ―――」




男「―――いいですよ」


ちゃちゃのん「えっ……」


男「佐々野 いちご。 私もとても素敵な名前だと思います」ポリポリ


男「それはお父さんから貰った大切なモノでしょうし、きっと他にも理由があるんでしょう……」


男「いちごさんがそこまで言うのでしたら、私はそんなこと気にしませんから」ニコッ


ちゃちゃのん「ありがとう… ございます……」ポロポロ




物静かで、とても優しそうな人じゃった。



そしてその少し困ったような笑顔が、お父さんに似ているなと思った。





大好きな婆っちゃがいなくなったその年―――



ちゃちゃのんは、婆っちゃたちとの思い出の鹿老渡を離れた――――






♪~ いちごのようにかわいくて~~


ちゃちゃのん(ん、ヒロちゃんからのメールじゃ。 ヒロちゃん、昨日も胡桃ちゃんと一緒だったんじゃな…)ポチポチポチ



ちゃちゃのん(……………)ポチポチポチ









洋榎「おぅ、ちゃちゃ!! 久しぶりやな~♪ 元気しとったか?」ヨッ

ちゃちゃのん「う、うん… 元気じゃったよ……///」


洋榎「にしても、ちゃちゃからのお誘いとか珍しいやん!! しかもあん時に買った洋服着て来いとか…」



洋榎「ホンマ、何かあったん?」

ちゃちゃのん「きょ、今日はちょっと… またヒロちゃんに、バイト頼もう思って……///」カァァッ

洋榎「何や、また如何わしいバイトやないやろな?」カカッ


ちゃちゃのん「にゃんカフェ、別に如何わしくなかったじゃろ!?」モー

洋榎「で、バイトってこれからなん?」

ちゃちゃのん「バイトは夕方からなんじゃが…」

洋榎「何や、まだ全然時間あるやん!?」



ちゃちゃのん「う、うん……」

ちゃちゃのん「そんでな… きょ、今日は… ヒロちゃんに、もいっこお願いがあるんじゃ……///」

洋榎「お願い…? 金策とか宗教の勧誘以外なら何でも乗ったるから言うてみぃ~~!!」ニカッ



ちゃちゃのん「あぅ… あぅあぅ……////」フルフル

洋榎「ん―――?」





ちゃちゃのん「その、今日のバイト終了までの時間……」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんと、恋人デートして欲しいんじゃ……////」カァァッ







ゴメンの。


ヒロちゃん、胡桃ちゃん。


ちゃちゃのんは、ウソつきなんじゃ。




卑怯で臆病なちゃちゃのんは―――


ウソをつくことしか出来ないんじゃ―――



魔法使いの魔法で全てを偽り、みんなを騙すことしか出来ないんじゃ―――






洋榎「へっ… こ、恋人デートやて!?」エエッ

ちゃちゃのん「あっ、つもりでええんじゃよ!? 今度、仕事で恋人デートみたいなシーンがあっての…///」アセアセッ

洋榎「あ、あぁ… つもりか… ええで、ええで…」



洋榎「でぇ~~ その仕事、しっかり恋人同士の濡れ場もあるんやろな~~?」ニシシ

ちゃちゃのん「そっ、そんなんないんじゃ!!」カァァ

洋榎「何や… そりゃ、自分 残念やったな~~」カッカッカ

ちゃちゃのん「もぅっ…」




洋榎「で、恋人デート言われても… これからバイトまでの時間どないするんや?」

ちゃちゃのん「今日はヒロちゃんが王子さま役じゃけぇ、夕方までのエスコートは全部お任するんじゃ…///」


洋榎「そらいきなりやなぁ。 まぁ、ええで。 王子さまのガウ級攻撃空母に乗ったつもりで、安心してついて来たってや!!」ヨッシャ


ちゃちゃのん「せめて、タイタニック号がええんじゃ…」ウゥッ





洋榎「そういや、ちゃちゃ… 馬が好きとか言うとったし、競馬場でも行くか?」

ちゃちゃのん「そういう馬じゃないんじゃが…」ウゥ…



洋榎「ほんなら、とりあえず海遊館でも行っとくかぁ!! ちゃちゃ、そういうの好きやろ?」

ちゃちゃのん「わぁ、ペンギンとかイルカのメルヘンショーとか見たいんじゃ♪」ワクワク





シャークワールド!!


シャーク岸田「」バクバクバクッ

洋榎「うぉっ、スッゴ!? あんなデカイ生肉もペロリやで!!」

ちゃちゃのん「うぅっ、怖いんじゃ 怖いんじゃ… 海面が真っ赤に……」フルフル



洋榎「うぉぉっ、アッチで『メガ・シャーク対ジャイアント・オクトパスショー』もやっとんで!!」スゴッ

ちゃちゃのん「来週の予定は『メガ・シャークvsクロコザウルスショー』になっとるんじゃ…」フルフル

洋榎「もしかすると、あのメカ・シャークとグレート・タイタンショーも見れるんやろか!?」ウォォッ


洋榎「この観たら損するB級感、ホンマ最高やでェ!!」シャァァーーッ





洋榎「悪ぃ、悪ぃ!! シャーク特集やっとったから、ついついテンション上がってもうたわ!!」


ちゃちゃのん「うぅ、ちゃちゃのんはもっと可愛いショーが見たいんじゃ…」






ちゃちゃのん「わぁ~~ ラッコじゃ、ラッコ!! ヒロちゃん、あそこにラッコの親子がおるんじゃ♪」キラキラ

洋榎「しっかり見とるから、そない引っ張んなって!?」グイグイッ


ちゃちゃのん「ラッコって、確か秘密のポケットがあるんじゃよね?」ワクワク

洋榎「そない未来式ネコ型ガジェットVer2.31みたいなんちゃうて、貝割る石とか入れとく肉のたるみやろ」

ちゃちゃのん「ぶぅ、アレはポケットじゃ……」


洋榎「まぁ、なんでもええわ。 おっ、あのラッコ貝殻叩き始めたで!!」

ちゃちゃのん「ほ、ホントけ?」クルッ



ラッコ「」ブンッ

ガンッ

ちゃちゃのん「うひゃぁっ!?」ワタタッ



ちゃちゃのん「あ、あのラッコちゃん、ちゃちゃのんに貝を投げつけてきたんじゃ」フルフル


洋榎「なになに、ラッコは水槽のガラスに貝殻を叩きつけることもあります……やて」

洋榎「叩きつけすぎて、強化ガラスにヒビ入ったこともあるみたいやで」ヒヒッ

ちゃちゃのん「うぅっ、怖いんじゃ…」







ちゃちゃのん「クラゲはふあふあでええのぅ~ このまま何時間でも見てられそうじゃ~~」ホワワァ

洋榎「お婆ちゃんみたいなヤツやな… まぁ確かに癒されるけど…」




洋榎「おっ、この後 イルカやペンギンのお食事ショーいうのもあるらしいで」

ちゃちゃのん「わぁっ、見たい見たい!! ヒロちゃん、行こ 行こ♪」ピョン ピョン

洋榎「分かった、分かったて…///」アンマ ハシャグナテ





バッシャーーンッ!!


ちゃちゃのん「ジャンピングキャッチじゃ♪ イルカって凄いんじゃのぅ~~」ウヒャーー

洋榎「イルカは昔から頭ええ動物、言われとるしな~~」オオー

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんも知っとるよ。 イルカは海棲人類を育てたり、旧日本軍に軍事利用されたりしとったんじゃ…」

洋榎「それはドコソースやねん」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、もっと近くで見てくるんじゃ~~♪」タタッ

洋榎「あっ、あんま近づくと―――」



バッシャーーーーンッ!!


ちゃちゃのん「うぅっ、水浸しじゃ……」ビッショリ

洋榎「アホ、さっき解説のお姉さんが言うとったやん」



ちゃちゃのん「うぇぇ~~~」シクシク

係員「あの、大丈夫ですか…?」

洋榎「あ、気にせんとって下さい。 ただ残念な子なだけやさかい!!」フリフリ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、ペンギンショーも見たいんじゃ!!」ハヨイコッ

洋榎「まぁ、とりあえずドライヤーでも借りて 乾かしてから行くで…」

ちゃちゃのん「あ、う、うん…」





ちゃちゃのん「はぁ~~ イルカとペンギンのお食事ショー 楽しかったのぅ♪」ウットリ

洋榎「まぁ、楽しかったからええけど… あ~いうんは、いまいちスリルが足りんで…」

ちゃちゃのん「別にスリルとか、イランじゃろ!!」モー



洋榎「おっ、あっちに土産コーナーあんで?」

ちゃちゃのん「あっ、本当じゃ♪ ペンギンとかアザラシのぬいぐるみもあるんじゃ」トトトッ

洋榎「海洋堂のウシジマくんシリーズ、海洋深層水に沈むコンクリおじさんとかあったりせんやろか?」キョロキョロ

ちゃちゃのん「そんなんイランわ…」





洋榎「そや、何や欲しいもんあったら買うたるで?」


ちゃちゃのん「………ん」


洋榎「どないした、別に遠慮とかええんやで?」





ちゃちゃのん「ううん、別に欲しいのとかないけぇ… ええんじゃ……」エヘヘ


洋榎「そか、ならええんやけど…」




グウゥ~~~


ちゃちゃのん「ありゃ……?」

洋榎「スマン、ペンギンにエサやっとったせいか、ウチも何か食べたなってきたで~」ハハッ

ちゃちゃのん「ほんなら、ちょっと遅めのお昼でも食べよっか♪」クスッ






イラッシャイマセー


ガツガツ ムシャムシャ


ちゃちゃのん「ほぇ~ ヒロちゃんは、ホンによぅ食べるのぅ」

洋榎「戦士は身体が資本、食べんと24時間 戦えんやろ!!」ムシャムシャ


洋榎「ちゃちゃはもぅええんか?」

ちゃちゃのん「う、うん… ちゃちゃのん、ダイエットしとるし…」

洋榎「あんま無理なダイエットとかすんなや。 いくら自分がいいんちょより重いいうてもやな―――」カカッ

ちゃちゃのん「く、胡桃ちゃんは… 別に関係ないんじゃ……」プイッ



洋榎「ん―――そ、そんなら… そのポテト貰ってもええ?」

ちゃちゃのん「う、うん、ええよ…」




ちゃちゃのん「はい、あ~~ん♪」ヒョイ

洋榎「え゙っ……」


ちゃちゃのん「ん……?」

洋榎「いや、別に…///」キョロキョロ


パクッ


洋榎「はぁ、食った食った~」ポンポン

ちゃちゃのん「うん、美味しかったの…♪」





ちゃちゃのん「ほんじゃ、次は何処に行こっか」クルンッ


洋榎「せやなぁ、夕方からのバイトも梅田言うとったし、とりあえずHEP FIVEにでも行っとくか?」






洋榎「そや… この前、あの店 いいんちょと行った時にな―――」


ちゃちゃのん「―――何だか、ヒロちゃんデート慣れしちょるの…」


洋榎「ん……?」

洋榎「まぁ、いいんちょとは何度か来とるし……」ゴニョ



ちゃちゃのん「いくら恋人の演技っちゅうても、胡桃ちゃんに悪いことしとるんじゃろか…」ボソッ

洋榎「いや、別にいいんちょは―――」


ギュッ


洋榎「ちゃちゃ…?」



ちゃちゃのん「せ、せっかくのつもりデートじゃけぇ、手ぇくらい繋いでもええじゃろか…///」カァァ


洋榎「え、ええけど……///」





ちゃちゃのん「えへへ、相手がヒロちゃんじゃイマイチムードにかけるんじゃが―――」


ちゃちゃのん「お芝居いうても、せっかくのデートだもんね。 今日は、ヒロちゃんで我慢しておくんじゃ……////」ギュッ



洋榎「ふん、それはウチのセリフやっちゅうねん……////」








―――あの赤いおっきな観覧車、最後に二人で乗ってもええじゃろか…?




「えっ、せやけど… あの観覧車って確か…」


「ちゃちゃのん―――アレに乗りたいんじゃ…」スタスタ


「待てて、何やねん… ガラにもなく強引やな……」タタッ






ゴウンゴウン  ゴウンゴウン


「うわぁ~~ 凄っごい大パノラマじゃね♪」


「せやな、まるで人がゴミのようやで…」


「その例えは別にええわ。 ヒロちゃん、あの山は何じゃろう?」


「ありゃ、六甲山やで。 でもってあっちが生駒山で、そっちに広がっとるんが大阪湾やな!!」


「ふわぁ~ 凄いんじゃ……」






「きっと日が落ちた後の夜景も、素敵なんじゃろうね…」ポロポロ



「おいおい、こんなんでイチイチ泣くなって!?」



「あ、うん… ごめんの……」ポロポロ



「ちゃちゃのん、なんだか感動しちゃって……」ゴシゴシ





それから二人で、日の沈み始めたオレンジ色の空を ただ黙って眺めちょった――――








ゴウンゴウン  ゴウンゴウン


洋榎「よっと、足元 気ぃつけるんやで~」トッ

ちゃちゃのん「あ、うん… あっちゅう間の15分じゃったの…」ピョン


洋榎「そろそろバイトの時間やな」

ちゃちゃのん「そ、そうじゃね…」








ちゃちゃのん「ここじゃよ…」

洋榎「ここって、確か…!?」

ちゃちゃのん「オシャレなホテルじゃろ…」


ちゃちゃのん「関西じゃケッコー人気の結婚式場らしいんじゃが、ヒロちゃん来たことあるん?」

洋榎「あ、いや… 別に… 以前、哩のヤツが見とった雑誌で、見かけたな~~って!?」アセッ

ちゃちゃのん「哩ちゃんの夢は、素敵なお嫁さんじゃもんね…」フフッ





フレデリック「やぁ、いちごちゃん。 今日もベリーキュートなイチゴのツボミちゃんだね♪」

ちゃちゃのん「あ、おはようございます。 もしかして待たせてしまったじゃろか?」

フレデリック「いやいや、時間通りだよ♪ それで、そちらのお連れさんが例の…?」ホゥホゥ

洋榎「あ、どもです」ペコッ

ちゃちゃのん「は、はい。 だ、大丈夫じゃろか?」ドキドキ



フレデリック「流石いちごちゃんのご学友だ。 まだまだ原石って感じだけど、アイツに任せりゃ平気でショ!!」

ちゃちゃのん「よ、良かったんじゃ…」ホッ





フレデリック「じゃ、撮影準備に入るから お二人ともこちらへ」コッコッ



洋榎「あのイケメンな外人さんは何者や? あの物腰、ただモンやないでぇ…」ヒソッ

ちゃちゃのん「フリージャーナリストのフレデリックさん? 前はニューヨークにおったそうじゃけど、従軍記者なんかもしとったらしいのぅ…」

ちゃちゃのん「でもそういうの感じさせん、陽気で気さくなええ人じゃよ♪」




フレデリック「ロッキー、彼女たちの衣装とメイク頼んだよ」スパァーー

ロッキー「あ、あぁ… 任せて……///」ボソッ

ロッキー「あと、ここ禁煙、だから…」ボソッ

フレデリック「おっと、コイツは失敬…」ククッ




洋榎「あの陰気なマイケル顔した 長身お姉さんは? アレもきっとただモンやないでぇ…」ヒソッ

ちゃちゃのん「天才メイキャッパーのロッキーさん? オーストラリアと東南アジアのハーフで、色々とミステリアスな人みたいじゃけど…」


フレデリック「クックック、お姉さんね~ 確かに、彼 只者じゃないぜぇ…」ククッ

洋榎「か、彼て… あ、もしかしてそっちの人なん…?」




ロッキー「少し、ここで待ってて……」ボソッ

ちゃちゃのん「あ、はい…」






洋榎「にしても、ホンマに結婚式場の中なんやなぁ…」キョロキョロ

ちゃちゃのん「ここは18世紀フランスをイメージした『アイリスの間』ゆーそうじゃ」

洋榎「アイリスって、あのサ○ラ大戦に出てくる…?」

ちゃちゃのん「そん例えはよぅ分からんが、アイリスは『幸福』を表すフランス国花の一つじゃよ♪」



洋榎「そんなら、この黄色い紋様みたいのは?」

ちゃちゃのん「これは『フルール・ド・リス』ゆーて、アイリスやユリの花を意味しとって―――」

ちゃちゃのん「共和国になる以前のフランス王室が、紋章なんかに使っちょったりもしたそうじゃ…」


ちゃちゃのん「―――ちなみに、ユリの花もフランス国花の一つなんじゃよ」



洋榎「つーか、自分 何でそないに詳しいねん」

ちゃちゃのん「そりゃ、ま~ 仕事のことじゃし… 色々と事前に調べておいたんじゃよ…///」ゴニョゴニョ

洋榎「ま、大方そんなこったろう思ったで」シシシッ

ちゃちゃのん「ううう、うるさいんじゃよぅ……////」




ちゃちゃのん「でも、こんな素敵なトコで結婚式とか… やっぱり女の子の夢じゃよね……///」ハァ ウットリ

洋榎「せやろか、こういうトコはウチにはちょっと…」


洋榎「どうせやったら、こう―――もっとみんなでバカ騒ぎ出来るようなトコのがええねん!!」

ちゃちゃのん「くすっ、ロマンスよりも笑いのとれる式じゃろか? それはそれで、ヒロちゃんらしいんじゃ」フフッ


洋榎「そやで♪ アホみたいにスモーク炊いたり、ド派手なゴンドラで登場したり♪」

ちゃちゃのん「空中ブランコやったり、ワイヤーアクションしたり?」

洋榎「そうそう♪ 波平さんと海平さんの胸像でキャンドルサービスしたりな!!」カカッ

ちゃちゃのん「え~~~~~」

洋榎「そこのツッコミは『海平さん、火芯が一本多いですや~~ん!!』やで!!」

ちゃちゃのん「いや、そんなん知らんけぇ!?」






洋榎「ちゃちゃは―――やっぱ、こういうトコがええんか?」


ちゃちゃのん「う、うん… そりゃぁ、大好きな人と一緒ならどこでもええ思うんじゃが…」


ちゃちゃのん「やっぱり、こういうトコでの結婚式とか… ずっと憧れとったよ―――」


ちゃちゃのん「ゆ、夢、見過ぎじゃろか……////」カァァッ


洋榎「ウチの趣味やないけど… まぁ、ええんちゃう……」






洋榎「ていうか―――今更なんやけど、今日のバイトって……?」

ちゃちゃのん「うん… ジューンブライドじゃし、結婚式のPR活動のための カップル撮影っちゅう話じゃよ」

洋榎「ま、マジで!? ウチ、そんなん考慮しとらんで!?」アセッ

洋榎「大体、ウチら女同士やで―――」


ロッキー「それが、大事―――」コッコッ

ちゃちゃのん「あ、ロッキーさん…」

ロッキー「今回の企画は、最近少しずつ認知され始めた… 同性カップルに向けたもの…」



ロッキー「この式場は、以前からそういうカップルに対しても比較的 寛容…」

ロッキー「だから、この場所……」


ロッキー「この国では まだ法的に認められてないから、コレは その為の草の根活動……」

洋榎「あ、なるほど…」




洋榎「にしても、あの人 急に口数増えおったな…」ヒソッ

ちゃちゃのん「そんでヒロちゃんにゃぁ、今回の恋人役をお願いしたっちゅうわけじゃょ…」ヒソヒソ

洋榎「そう言われても、ウチ撮影なんて素人やで~~」

ロッキー「そういうのも、初々しくて良い…」ボソッ



ロッキー「俺もいつか、こんなトコロであの人と……////」ボソッ

洋榎「…………」






ロッキー「完了……」ボソッ

洋榎「うぉっ、タキシード!? 初めて着たんやけど、意外と似合ってまう自分がコワイで…」

ロッキー「少し、ここで待ってて……」ボソッ




フレデリック「おぉ、なかなか良いね。 さっきの私服姿も良かったけど、そのタキシード姿もなかなかに魅力的だ♪」コツコツ

洋榎「あ、ドモです。 で、ちゃちゃのヤツは?」

フレデリック「花嫁さんなら隣の部屋で準備中。 やはりあちらの方が時間かかっちゃうからね…」



フレデリック「でも、悪いね。 本当はキミも綺麗なウエディングドレスを着たかったんじゃない?」

洋榎「ええっ、ウチは別に!? どうせ、似合わんやろし…///」

フレデリック「そんなことはないさ。 きっとキミなら綺麗な花嫁さんになると思うけどなぁ」


フレデリック「でも、ま~ これもいちごちゃんなりの気遣いなのかもね」

洋榎「えっ…?」


フレデリック「ほら、よく言うでしょ。 結婚前にウエディングドレスを着ると婚期が遅れるって…」

洋榎「あ、あぁ……」

フレデリック「あの子、そういうジンクスとか結構気にするでしょ。 だからキミには仕事の手伝いで、そういうことさせたくなかったのかも…」


洋榎「ジンクス、ねぇ……」





梅田、HEP FIVEの観覧車に 恋人同士で乗ると別れる―――




洋榎(例のジンクスのこと、アイツは知っとったんやろか…?)


洋榎(ま、所詮 ウチらは今だけの つもりカップル… きっとどうでも良かったんやろな……)






ギィィィ…

ロッキー「お待たせ…」ボソッ


フレデリック「お、花嫁さんのご登場だ♪」

洋榎「えっ―――?」



コッ コッ コッ


ちゃちゃのん「その、どうじゃろか――?」ドキドキ

洋榎「あ、えと……////」ドキドキ



フレデリック「ククッ… 花婿さん 言葉を失うほど、可愛いってさ…」

洋榎「そ、そんなんちゃうでぇ!? ちゃうけど、その… 白が、よう似合っとんで……////」ボソッ


ちゃちゃのん「あ、ありがと……////」




ちゃちゃのん「その、ヒロちゃんも… とっても素敵じゃよ……////」


洋榎「お、おぅ… サンキューやで……////」ポリポリ




フレデリック「まったく、初々しいねぇ。 そんじゃ、ま~ そろそろ撮影始めさせて貰いますよ~」スチャッ

ちゃちゃのん「あ、はい… 宜しくお願いします…」

洋榎「えと、了解や…」カタカタ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ガチガチじゃの…」クスッ

洋榎「や、やかましッ!?」



パシャ パシャッ



パシャ パシャッ






フレデリック「それでは、結婚の誓いをお願いします」


聖職者「―――誓いますか?」



洋榎「あ、えと… ち、誓いますゥ……///」



ちゃちゃのん「…………誓います///」






高校3年のインターハイ。



初めて会った時の貴方の印象は



対局中やたら話しかけて来る、とってもマナーの悪い人。



粗野で粗雑で、私が恋焦がれた王子さまとは程遠い人じゃった―――





フレデリック「それでは、お次は指輪の交換をお願いします」


洋榎「うぅ、メッチャ緊張すんで……///」カタカタ


ちゃちゃのん「…………///」






―――大学二年目の春、私は貴女と再会した。



再会した貴女は、やっぱり粗野で粗雑で強引じゃった。



でも凄く優しくて、とっても行動力のある人だと知った。



そんな貴女に、私はいつだって振り回されっぱなしじゃった。



貴女はいつだって自由気ままに振る舞って、私に元気と勇気を分けてくれた。






そんな貴方だったから…



きっと私は、恋してしまったんじゃろうね――――






フレデリック「それでは、お二人の誓いのキスをお願いします」


洋榎「ち、誓いのキスて……////」


洋榎「えと、演技やろ……?」





―――貴方と再会してから…



ちゃちゃのん、いっぱいの幸せもらったよ。



きっと、この人は、誰かを幸せにする力を持った人なんじゃ。






貴方への恋心。



その気持ちに気付いてから、



ずっと、私の胸を締めつけるものがあった。






―――あの一年前の七夕の夜



屋根の上、視界の端で見た胡桃ちゃんは、あの時 何とゆーとったんじゃろう。



胡桃ちゃんの誕生日の夜、きっとあの日は二人にとって 特別なものだったはず。



あのバレンタインの日の、胡桃ちゃんの気持ちを想う。




貴方と胡桃ちゃん―――



二人の過ごした、私の知らない たくさんの時間――――






今なら、いくら恋に鈍い 私にだって―――流石に分かるんじゃ。



胡桃ちゃんは、きっと貴方のことが大好きなんじゃ。



そして、きっと貴方も、そんな胡桃ちゃんのことを――――






ちゃちゃのんは――――今、とってもズルいことをしているんじゃろうね。







ちゃちゃのん「ヒロちゃん……////」ドキドキ


洋榎「ちゃちゃ……?」ドキドキ


洋榎「お、おぃっ!?」////





唇と唇が触れ合うほどに、大好きな貴女と近づくけれど…



きっと貴方の心が、私の心と触れ合うことは ないじゃろぅ。





ちゃちゃのんは、きっと周回遅れのスタートだったんじゃ。



ちゃちゃのんは、もぅ充分過ぎるほどの幸せ もらったけぇ…



もぅ、胡桃ちゃんにお返しせんと……








ありがとう、ヒロちゃん―――大好きじゃったよ……






サヨナラ―――




ちゃちゃのんの、初恋の王子さま―――





幸せな想い出、いっぱいいっぱい ありがとな――――










パシャッ



ピトッ…


洋榎「へっ、指……?」ポカーーン


フレデリック「グ~~ドッ!! 最後のキスシーンは実に迫真だったね!!」


ロッキー「撮影は、これで終了……」ボソッ







ちゃちゃのん「恋人の魔法は… もぅ解けてしもぅたみたいじゃね…」



ちゃちゃのん「続きは… ヒロちゃんが一番大切な時のために、とっておいての……」





ちゃちゃのん「―――どうも、ありがとの……」ポロポロ



洋榎「ちゃちゃ、自分 何で泣いとるんや…?」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、まだもぅちょっと仕事で残るけぇ。 今日はホンに、ありがとう……」


洋榎「あ、あぁ……」







ちゃちゃのん「今日はちゃちゃのんの無理、聞いてもらってありがとうございました…」ペコリ


フレデリック「いやいや、恋人役の変更くらいお安い御用だけどさ…」


フレデリック「本当に、これで良かったの―――?」


ちゃちゃのん「」コクリッ




ロッキー「…………アッシュ」ボソッ









ポツ… ポツポツ…



ちゃちゃのん「雨…? 予報は一日晴れ言うとったのに…」




ちゃちゃのん「6月の空は、ホンに気まぐれで 嘘つきじゃ……」







この日 ちゃちゃのんは、自分の気持ちにウソを付くと決めたんじゃ――――











中学の頃―――



ちゃちゃのんは、鹿老渡を離れ呉に住んどった。



大好きだった婆っちゃをなくし、悲嘆にくれとったちゃちゃのんを元気づけてくれた人。



それが、あの幼い日に夢見たアイドルさんじゃった。




それは偶然、耳にしたラジオの放送。



鹿老渡では聞けんかったラジオ番組に、あの人が出とると知った。





それまで別世界のお姫さまのように思っとった人が…



ちょっぴりドジで色々悩みもする、ちゃちゃのんと同じ普通の女の子なんじゃと知った。



彼女に抱いとった憧れは、やがて親しみへと変わり…



改めて、ちゃちゃのんのアイドルとしての目標となっていった――――







ある日、ちゃちゃのんは自分の今の境遇や悩みを



手紙にしたため、彼女のやっとったラジオ番組に投稿してみた。



程なくして、番組内で彼女がそれを読み上げ、真剣にお返事してくれた。





それが彼女の仕事じゃから…



それはそうなんじゃろうが、彼女のその真剣なお返事がただ純粋に嬉しくて…



彼女が悲嘆にくれとったちゃちゃのんに、元気を与えてくれたのは紛れもない事実なんじゃ。





ホンの少しの希望や喜び、幸せな思い出があれば―――




人は絶望せず、生きてゆけるモンだと知ったんじゃ――――









【胡桃の部屋】


胡桃「最近、ちゃちゃちゃん あんまり顔出さないよね…」ズズッ

洋榎「仕事も軌道に載ってきとるみたいやし、ゼミとか色々忙しいんやろ。 最近、メール送っても何や素っ気ないねん…」ブスゥ

胡桃「あんた、最近 お昼からよく飲むね。 身体に良くないよ…」

洋榎「ええやん、別に。 いいんちょはウチのオカンかっちゅうねん!!」ゴクゴクッ



ブブッ ブブブーーー

胡桃「あ、塞からメール…?」

洋榎「何や、これからこっち来るんか?」





胡桃「ちゃちゃちゃんが、倒れたって―――」


洋榎「んなっ――!?」ゴトッ









【某大阪の病院】



洋榎「ちゃちゃのヤツが倒れたって、ホンマなん?」ダダッ


塞「あっ、胡桃と洋榎。 うん… ゼミ休んでるって聞いて、 確認とったら―――」



塞「過労で、仕事中に倒れたんだって―――」








【病室】


ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃんと、胡桃ちゃんまで―――」

洋榎「おまっ、大丈夫なんか!?」

ちゃちゃのん「えへへ、みんな大袈裟じゃよ。 ちょっと疲れたまって、ふらついて倒れただけなんじゃよ…」

塞「過労で亡くなる人だっているんだから、甘く見ちゃ駄目だよ」

胡桃「そうだよ。 特にちゃちゃちゃんは、いつも仕事と大学でロクに休んでないんだから…」



ちゃちゃのん「仕事にも穴を空けてもうて、ホンに申しわけないことしたんじゃ…」ウゥッ

塞「またそんなこと言って… せっかくの機会なんだし、こういう時くらい何も考えずにゆっくり休みなよ!!」ポンポン

ちゃちゃのん「う、うん… 塞ちゃん、どうもありがとの…」




ちゃちゃのん「胡桃ちゃんとヒロちゃんも、わざわざ来てもらって申しわけなかったんじゃ…」

洋榎「―――こんアホんだら、倒れたんなら何でウチに連絡せんかったんや!!」


ちゃちゃのん「じゃ、じゃって… ここ病院じゃし、ケータイのバッテリーも…」

塞「洋榎… いくら個室でも、ここ病院だから……」シーー



洋榎「いや、スマン… 自分があんま水くさいんで、つい怒鳴ってもうたわ…」


洋榎「ウチら、仲間やんか………」チッ

胡桃「クスッ、確かにコイツのいう通りかもね…」

塞「うん、連絡くらいはして欲しかったね♪」


ちゃちゃのん「みんな、ゴメンの… 心配かけたくのぅて……////」シーツニモグリ




塞「ま、とりあえず大丈夫そうだし。 今日はこれで帰らせてもらうね」

胡桃「ちゃちゃちゃん、しっかり養生しなさいよ」バイバイ

ちゃちゃのん「うん。 せーちゃんや哩ちゃんたちにも、宜しく伝えといてな……」バイバイ






???「元姫松の洋榎さんに、元宮守のお二人さんですかー」コッコッ


???「どーやら いちごちゃんには、ええお友達おるみたいやねーー♪」




ちゃちゃのん「あ、憩(けい)先生―――」

憩「先生なんてイヤですよーぅ。 ウチは単なる医学生として―――」

憩「この病院でお手伝いさせて貰っとるだけなんやから、いつも通り 呼んで下さいー」


ちゃちゃのん「あ、うん… 憩ちゃん、ありがとな。 この個室も、憩ちゃんが融通してくれたそうじゃね…」

憩「お気になさらずー♪ この方がウチにとっても、都合良かっただけですからー♪」ウフフ

憩「それじゃ、今日の診察を始めちゃいますよーぅ」


ちゃちゃのん「う、うん……////」




憩「は~い、それじゃー 高校時代より大きく実った、そのお胸をぺろーんと出しちゃって下さいねー♪」

ちゃちゃのん「うぅっ、じゃからそういうセクハラ発言はヤメるんじゃ……///」モジモジ


憩「だって~、いちごちゃんの反応があんま可愛ええから~ ウチ、クセんなってもうたわー♪」ニッコリ


http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira097558.jpg
荒川 憩(あらかわ けい)




憩「ん~ まだ少し熱っぽいみたいやねー 過労は色んな病気を引き起こすから、気をつけなアカンよ~」ペタペタ サワサワ

ちゃちゃのん「とりあえず、自宅療養じゃ 駄目だったんじゃろか?」ウヒャッ

憩「そう言って、いちごちゃん絶対休まないやろ~~ だから、ダメですよーぅ」ペタペタ モミモミ

ちゃちゃのん「ちょーっ!? もーええじゃろ~~っ////」バッ

憩「むー そうやって反抗的だと、退院遅くしますよーぅ」

ちゃちゃのん「うぅっ、横暴じゃ…」ウルウル

ちゃちゃのん「…………」




ちゃちゃのん「のぅ、憩ちゃん……///」

憩「何ですかー?」




ちゃちゃのん「その、昨日ゆーとった話って… 本当なんじゃろか?」




憩「麻雀は――――大学でヤメる言う、アレですか……?」







ちゃちゃのん「うん。 インターハイで、個人2位の実力ある憩ちゃんなら…」


ちゃちゃのん「きっとプロでも実業団でも、やってけるはずじゃろ……」

憩「…………」



ちゃちゃのん「憩ちゃんは、プロになる力もないちゃちゃのんとは違うじゃろ。 それなのに―――」

憩「いちごちゃんなら、きっとプロや実業団からのお誘いだってあると思いますよーー」


ちゃちゃのん「それは、客寄せパンダとしてじゃろう……」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはアイドルじゃし、それが間違っちょるとは思っとらんけぇ…」

ちゃちゃのん「そうやって食らいついていって、そっから実力つけてくゆーのも一つの道じゃと思う―――」


ちゃちゃのん「でも、ちゃちゃのんは……」キュッ




なでなで

ちゃちゃのん「憩、ちゃん…?」フェッ


憩「将来んこと、色々と悩んどるみたいやねーー」ナデナデ




憩「アレはいちごちゃんが高校2年のことやったかな。 麻雀強くなりたい言うて、ウチんとこに教わりに来たことあったなー」


憩「年下のウチに必死に頼み込んで、ホンマ真っ直ぐで 一生懸命な人やなー思いました~~」

ちゃちゃのん「あ、あん時は… ホンにお世話んなったんじゃ……///」



憩「でもなー その何に対しても一生懸命過ぎるトコ、いちごちゃんの悪いクセなのかもしれんよーー」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか……?」





憩「ウチな、人の生命を救えるお医者さんになることが、子どもん頃からの夢やってん?」

ちゃちゃのん「憩ちゃんらしい、とってもええ夢じゃと思うよ……」



憩「これは医者だけに限った話やない思うんやけど、夢を叶える言うのはとっても大変なことだと思いますーぅ」

ちゃちゃのん「そうじゃろうね……」



憩「せやから、ウチはここできっちり麻雀を捨てよ思いました―――」


ちゃちゃのん「麻雀を、捨てる……」






憩「まだまだ戦いたい相手もいます。 未練がない言えば、きっと嘘になる思いますー」



憩「せやけど、本当にウチにとって一番大事なモノが何かと考えた時―――」


憩「そんことでだけは、後になって絶対に後悔はしたくないなーって思いましたーー」


ちゃちゃのん「憩ちゃんは、お医者さんの夢を選んだんじゃね……」





憩「もしかしたら ウチはいちごちゃんよりも、ちょっといい加減なのかもしれませんね―――」


憩「大切なモノ全部を掴むには、ウチの手は小さすぎると―――やってみる前に、見切りをつけてしまったんですよー」クスッ


ちゃちゃのん「そ、そんなことないんじゃ!! 憩ちゃんは、ちゃちゃのんの憧れるとっても凄い人なんじゃ!!」



憩「年下のウチに、何のてらいもなくそんなことが言えてまう。 そういう純粋さも、いちごちゃんの魅力やねー」ナデナデ

ちゃちゃのん「うぅっ、子ども扱いせんでよぅ……///」

憩「あはは、コレは失礼しましたー♪」






憩「それじゃー 今日の診察はこれでシマイやでー」バイバイ

ちゃちゃのん「け、憩ちゃん―――!?」

憩「―――?」


ちゃちゃのん「その、自分如きが何をって… 笑われてまいそうじゃけど……」フルフル




ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのんと、麻雀で真剣勝負して貰えんじゃろか!!」

憩「…………」





憩「―――ええですよ」


ちゃちゃのん「ほ、本当け?」



憩「でも、それは今じゃ~ないですね~~」

ちゃちゃのん「ほぇっ!?」


憩「当たり前じゃないですか~ 過労で入院してきた人と、そんなこと出来ませんよーー」フフッ

ちゃちゃのん「ほ、ホンなら……?」



憩「いちごちゃんの、退院の日―――そこでお相手させてもらいますよーーぅ」

ちゃちゃのん「憩ちゃん、ありがと~の!!」ペコリン






正直 あの憩ちゃんを相手に、ちゃちゃのんの麻雀が通用するとは思わんし…



憩ちゃんとの対局で、ちゃちゃのんの悩みが解決するわけでもないじゃろう。



それでも勝負を申し込まにゃぁ、おれんかったんじゃ。



ただ純粋に、今の憩ちゃんと本気で麻雀してみたい―――ちゃちゃのん、そう思ったんじゃ。








【そして―――退院の日】



ちゃちゃのん「はぁ~ 数日間じゃったが、こんなにのんびり過ごしたのは ホンに久しぶりじゃったのぅ…」



憩「いちごちゃーん、おはようございます~ 今日も楽しい楽しい 診察のお時間ですよーぅ♪」ワキワキ

ちゃちゃのん「ひぃぃっ、ちゃちゃのんはちっとも楽しくないんじゃよ~~!!」ウルウル


憩「はぁ~~ いちごちゃん遊びも今日でシマイや思うと、何や寂しいですねー」

ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのんもな、憩ちゃんと色んなお話出来て楽しかったんじゃ……///」




???「」ジーー

???「」ブツブツ


ちゃちゃのん「おょっ…? トビラのトコから、誰かが覗いとるんじゃが…」

憩「まったく もー 気の早い人たちですねーー」

ちゃちゃのん「だ、誰……?」ドキドキ



憩「今日、対局するって約束してたでしょー♪ 流石に二人じゃ、麻雀出来ませんからね~」

憩「ウチの患者さん、もとい… ウチの友達に声かけといたんですよーぅ」ニコニコ

ちゃちゃのん「それって、もしかして――!?」


憩「皆さ~ん、そないなトコで覗き見してるくらいなら、さっさと入って下さいよーぅ」





ガラ ガラ ガラッ


利仙「九州赤山の『藤原 利仙(りせ)』です。 お久しぶりですね、佐々野さん」ニコッ


もこ「」ブツブツブツ



藍子「知ってる思うけど、このブツブツ言ってんのが 愛知の星こと東海王者『対木 もこ』ね…」


藍子「―――でもって、アタシが静岡一位の『百鬼 藍子(なきり らんこ)』だよ♪」ヤホッ


絃「愛知の星は関係ないでしょう、藍子さん。 あ、私は一応 千葉MVPの『霜崎 絃(いと)』です。 いちごさん、お久しぶりです」ペコッ



ちゃちゃのん「わぁ~~ みんな久しぶりじゃね~~♪」


憩「ふふっ、あの時のメンバーに声をかけたらみんな集まっちゃいましたー」


藍子「アタシたち今でも荒川には色々世話になってるし、久しぶりにいちごにも会いたかったからね♪」



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利仙「何でも佐々野さんは、今では立派なアイドルさんになられたとか…?」フフッ

ちゃちゃのん「あ、うん… まだまだ駆け出しの、新米アイドルじゃけどね…////」エヘヘッ

もこ「」ブツブツブツ


利仙「あら、もこさんがサインを欲しいと仰っていますわ。 佐々野さん、もし宜しければ…」シキシ スッ

もこ「(―――言ってない!?)」ブツブツブツ


ちゃちゃのん「うん、ええよ♪ えっと、お名前は『もこちゃんへ――』で ええじゃろか…?」キュポンッ

利仙「あ、『りせちゃん LOVE(ハート)』で お願いしますわ―――」ニコニコ


ちゃちゃのん「う、うん…(もこちゃんへのサインなんじゃ…?)」スラスラッ



藍子「リセのヤツは相変わらずなんだな…」ヒソヒソ

絃「ええ、相変わらずの『いちごさん LOVE』みたいですね…」ヒソヒソ

絃「イベントには変装して、毎回参加されているようですし―――」

絃「先日行われた大学祭のゲリラライブにも、お手製のいちごちゃんグッズを身につけて駆けつけたとか」ヒソヒソ

藍子「素直にファンだって、言っちゃえば良いのに…」ヒソヒソ

絃「霧島山幽境に住む清浄な天女のイメージもありますし、それは照れくさいのでしょう…」ヒソヒソ


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利仙「―――そもそもりせと言うのは、もこさんの出世名の一つなのですわ」

利仙「でも私の名と被るので、普段はあまり使われていないようなのです…」ニコニコ

もこ「(―――違う!?)」ブツブツブツ



ちゃちゃのん「ほう、ほぅ、そうなんじゃね。 ちゃちゃのん、ちっとも知らんかったんじゃ…」フムフム

利仙(あぁ、私のこんなしょーもない嘘を間に受けて…)


利仙(いちごちゃんはマヌケでおバカさんなトコロも、また たまらなく愛らしいですわぁ……)ハァハァ

もこ「(―――コイツは…)」ブツブツブツ




憩「―――それでは、そろそろ対局開始といきましょうかー?」

絃「ここにいるメンバーは6人、対局には二人多いようですが…?」

利仙「私、今回は皆様の対局を見させて頂きますので… 後は佐々野さんと、憩さん以外が交代で入られては如何です?」

もこ「」ブツブツブツ

藍子「『了~~解!!』だってさ…」

ちゃちゃのん「流石、親友じゃね… もこちゃんの言葉、藍子ちゃんもしっかり聞き取れるんじゃの…」







ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


ちゃちゃのん「ほんじゃ、対局開始じゃね…」


憩「宜しくですよーーぅ」


もこ「」ブツブツブツ


藍子「にしても、本来なら医学生5年目からの臨床実習を2年目で何故かしてたり―――」

藍子「病院の個室を手配して患者と麻雀したり、荒川YBJ先生は本当に不良医師だよね~~♪」ニヤニヤ


憩「ナキリさん、うるさいですよー ウチは優良学生だから、特別なんですよーぅ」ニッコリ


もこ「(―――憩について、あまり深く調べてはいけない……)」ブツブツブツ





絃「それで利仙さんは、いちごさんのベッドで何をされているのですか?」ジッ


利仙「私、先程から少々体調が優れませんので、こちらで横にならせてもらっておりますの…」スンスン ゴロゴロ





ちゃちゃのん(うぅ… 憩ちゃんはもとより、みんなちゃちゃのんよりも格上じゃ…)ゴクッ

憩「宜しくですよーーぅ」ニコッ

藍子(荒川 憩、相変わらず底の知れないヤツ…)タンッ


もこ「(憩のヤツも、この場にいるヤツ全員ぶっ潰す……)」グゴゴゴゴゴ…



ちゃちゃのん(うぅ… 全身総毛立つような、凄いプレッシャーじゃ…)ゾゾゾッ


ちゃちゃのん(頭痛と悪寒を感じる。 それに何だか、身体も重く感じるんじゃ―――)

ちゃちゃのん(能力者の持つ場に与える影響力いうヤツにゃぁ、相変わらず慣れんのぅ……)フルフル


ちゃちゃのん(この感じは嫌じゃ、早くこの場から逃げたいんじゃ……)タンッ




憩(モコちゃんの対局時に於ける暴力的な精神的変調と干渉力、明らかに以前よりも強まって来てますねぇ―――)


憩(これは能力者耐性の低い いちごちゃんには、ちょっと酷だったかもしれませんねー)チラッ


ちゃちゃのん「」フルフル…




もこ「(―――ツモ!! 4100・8100)」バンッ

藍子「ちっ、ヤられたか…」


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藍子「ロン、3900~♪」パララッ

もこ「」ブツブツブツ




ズズズズ…


ちゃちゃのん(怖い、怖い、怖い、怖いんじゃ―――)フルフル



ちゃちゃのん(そんでも―――ちゃちゃのんだって、ちっとは成長しちょるんじゃ!!)グッ




ちゃちゃのん(ちゃちゃのんじゃって、ここは逃げずに攻めるんじゃ!!)タンッ

憩「ロン、8000ですよーぅ」パララッ

ちゃちゃのん「あぅ…」



ちゃちゃのん(ちゃちゃのんの一人へこみ、やっぱり憩ちゃんたちは強いんじゃ…)クッ


憩「…………」





憩(高校で始めて出会った頃よりも、いちごちゃんは確かに成長してますよー)


憩(本来 いちごちゃんの持ち味は、堅実な読みと生来の臆病さから来る 鉄壁の防御…)


憩(例えは悪いですけど、小動物特有の第六感。 危険地帯に踏み込まないためのレーダーが人より優れとる―――)





憩(……でも彼女は、自分のそういうトコを激しく嫌っとる)

憩(だから、いちごちゃんは ここぞって時に、強引な手に走る傾向がある―――)



憩(高い手を狙いにいく時に伴う、振り込んでまうかもしれんいう不安や恐怖―――)

憩(それを打ち消そうと、彼女は恐怖という感覚を遮断する。 そうやって、彼女本来の臆病な性質を意識の外に追いやってまう―――)


憩(―――それが臆病な彼女が知らず知らずのうちに身に付けた、攻めに転じる際に用いる方法であり武器…)





憩(だから攻めに転じた時の彼女には、本来 備わっとるはずの第六感・危険察知の直感が働かない―――)


憩(これだったら きっと大丈夫。 大丈夫なはず。 大丈夫であって欲しい…)

憩(そういう根拠のない希望的観測に走るから、危機を察して引き返すいう選択も出来なくなる……)



憩(勝利のため、時には多少の強引な攻めも必要ですよー)

憩(せやけど選択肢の狭まったその不用意な攻めじゃ、自分の手だって相手に読まれやすくなっちゃいますよね―――)




憩「ロン、6400!!」パララ

ちゃちゃのん「あぅ あぅ…」フルフル




憩(いちごちゃんの攻め―――)


憩(それは一見、恐怖を乗り越えたかのようにも見えますけどーー)



憩(クスッ… いちごちゃん。 それは本当の意味での、恐怖の克服じゃ~ ないんやで―――)





利仙「あぁ、いちごちゃん頑張って… でもその悔しさで、今にも泣き出しそうなお顔もまた素敵ですわぁ…////」ハラハラ ゾクゾク

絃「もぅ、どっちなのよ… でも実際、三人の能力者相手に 非能力者のいちごさんじゃ厳しいですよね…」


利仙「―――能力者と非能力者ですか。 麻雀の強さがそういうので決まるようになったのは、一体いつ頃からなんでしょうね…」

絃「それは、やっぱり小鍛治プロたちの頃からじゃないんですか?」




利仙「ここ最近のプロ麻雀界は、能力者による非能力者狩りの歴史とも言えますわ…」


利仙「特別な能力を持たない方でも、その能力を研究し柔軟に対応された方たちは 今でも何とか頑張られていますが…」



利仙「古い麻雀に固執した老人たちの多くが、能力者たちの前にその地位を奪われていきましたね」

絃「それって、確か荒川さんが話されていた―――」




利仙「今のままだと、あと10年で麻雀界から非能力者は駆逐される―――」


利仙「もしくは―――」




利仙「あ~~ いちごちゃん!? そんな今にも泣きそうな顔なさらないで下さい、私が応援していますから!!」アァッ


利仙「いちごちゃんの悲しみは、ファンみんなの悲しみ!? 私がいちごちゃんの分まで泣いて差し上げますわ~~!!」ポロポロ

絃「おいっ……」





オオーイ オイオイ…


藍子「何だか、外野がうっさいな~~」ポリポリ

もこ「」ブツブツブツ

憩「ふふっ、楽しそうですねーー」タンッ


ちゃちゃのん(くっ… ちゃちゃのんの麻雀じゃ、やっぱり全然 通用しないんじゃ…)




絃「あ~~ 結局、いちごさんの一人焼き鳥でしたか…」

利仙「うぅっ、いちごちゃん……」ポロポロ




ちゃちゃのん「も、もぅ一戦 お願いします!!」ギュッ

憩「いいですよーぅ」ニコッ


藍子「絃、そんじゃ交代しよっか…」

絃「了解です♪」スッ





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


ちゃちゃのん(憩ちゃんたちのチカラに、翻弄されとったらダメじゃ…)


ちゃちゃのん(憩ちゃんたちのチカラを見極めて、そこに活路を見出すんじゃ……)タンッ





絃「ツモです」パララッ

憩「霜崎さん、なかなかやりますねー」フフッ

ちゃちゃのん「うぅっ…」ウルウル


ちゃちゃのん(くっ、泣いたらダメじゃ… 今は対局に集中せんと…)グッ


ちゃちゃのん(ここで出しきらんかったら、きっとまた後悔するんじゃ…)



ちゃちゃのん(ちゃちゃのんは、一人でもやれるってことを―――証明するんじゃ!!)





藍子「こりゃ、今回もいちごは駄目そうだね。 スッゴイ涙目だよ…」カワイソ

利仙「そうでしょうか……」

藍子「ん…?」




利仙「あの泣き虫で弱虫な いちごちゃんが、これだけへこまされても まだ歯を食いしばって涙を堪えてますわ…」


利仙「そりゃ、あの嗜虐心を誘うキュートな泣き顔と、ショックで脱力した あの考慮出来てない姿も とても素晴らしいのですが…///」クネクネ

藍子「いや、そういうの良いからさぁ…」



利仙「チカラの差を見せつけられても、まだいちごちゃんは諦めてないんですわ」

藍子「ほぉ~~♪」





ちゃちゃのん(うぅ… コレは、何だかとてもイヤな感じがするんじゃ…)スッ タンッ


憩(あらら… 攻めの姿勢に入ったいちごちゃんが引くなんて、これはちょっと珍しいですねー)

憩(振り込むかもっていう恐怖に耐えながら、あくまでも冷静に打って来とんのやねー)


憩(見た感じあまり変わったようには、見えへんかったけど…)



憩(これも今の友達さんのおかげなんやろか…)


憩(いちごちゃん、麻雀以上に心の方も―――)


憩(ホンのちょっとずつやけど、成長してきとるんやね―――)フフッ





ちゃちゃのん「つ、ツモッ!! 2000、4000じゃ!!」パララッ

憩「ありゃ、これはヤられましたねーー」




利仙「きゃーーー!! いちごちゃ~~ん、よく頑張りましたわ~~~!!」ダーーーーッ

ちゃちゃのん「えっ!?」クルッ

利仙「藍子さん、病院で黄色い声援とか… いささか、はしたないですわよ…」グリグリ

藍子「えっ、アタシか~~!?」




もこ「」ブツブツブツ

絃「ここに来て、憩さんから満貫の親っ被りとはなかなかやりますね…」



憩(……今のは能力者を想定した打ち筋。 いちごちゃん、だいぶ研究の方もしとったみたいやね…)


憩(フフ、そうでなくっちゃ 面白くないですもんねー)ワクワク



憩(ああ、やっぱり…)


憩(麻雀って楽しいんやなーー♪)ゾクゾク






ちゃちゃのん「のぅ、憩ちゃん―――」


憩「―――?」



ちゃちゃのん「やっぱり麻雀って、楽しいのぅ♪」エヘヘッ



憩「実はウチも、そう思っとったトコですよーーぅ♪」ニコッ






憩(他の人の二倍も三倍努力して―――)


憩(よぅやっと頑張っとるって分かって貰えるような、そんな不器用で要領の悪い女の子…)


憩(いつだって一所懸命なのに、行き先 間違えてばっかりで なかなか前に進めんのやけど―――)





憩「いちごちゃんは、初めて会った頃とちっとも変わってないんやなー」クスッ



ちゃちゃのん「あぅぅ… やっぱりちゃちゃのんは、進歩なしじゃろかぁ~~」ウルウル





憩(悲しい時に泣き、嬉しい時に笑う―――)




憩(そんなどこまでも真っ直ぐな いちごちゃんだから、ついつい応援したくなってしまうんですよーー)



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憩「―――それで、まだ続けられますかー?」

ちゃちゃのん「う、うん… 宜しく頼むんじゃ…」


もこ「」ブツブツブツ

藍子「お、今度はアタシと、もこが交代みたいだね…」ヨシッ





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


もこ「(―――利仙、前にいちごが能力者じゃないかって言ってたよね?)」ブツブツブツ

利仙「ええ、真偽のほどは定かではありませんが… 少なくとも私は今でも、そうだと思っておりますわ」


もこ「(でも彼女からは、何のプレッシャーも感じない。 現に憩だって―――)」ブツブツブツ

利仙「そうですわね… おそらく彼女自身には何の力もないし、自覚すら出来てはいないのでしょう…」




利仙「でも、ファンである私はこう思うのです。 いちごちゃん、彼女自身が空っぽの聖杯なのではないかと―――」


利仙「自身に向けられた周囲の感情を空の杯に注ぎ込み、それを自らの輝きへと変換する―――」


利仙「彼女は―――そういう精神感応系の能力者なのではないでしょうか…」


もこ「(―――何それ?)」ブツブツブツ





利仙「要するに―――いちごちゃんは、私たちの応援を力に変える《アルティメット・アイドルパワー》の持ち主なのですわ~~!!」キラキラッ


もこ「(―――うわぁ~ 痛い人がいる……)」ブツブツブツ


利仙「貴女にだけは、言われたくはありませんわ……」クッ





利仙「人よりも無垢で繊細な天使のような少女は、周囲からの好奇の視線を鋭敏に感じすぎてしまうもの…」アァ…


利仙「その受け止め方すら分からない少女にとって、それは時に重荷であり、心を引き裂く刃でもあったはず……」ギュッ



利仙「そうして心も翼も傷ついて、外部との繋がりを絶った孤独な殻の少女―――」


利仙「そんな少女が自らの内にまで響く声、とても暖かな想いのカケラによって 再び羽ばたけることを知ったのですわ―――」ラララーー


もこ「(―――いや、だからそれはただの痛いファンの妄想だよね……)」ブツブツブツ




利仙「妄想でもなんでも構いませんわ~ 私たちファンの声援が力になる―――そう思わせてくれる何かが、彼女には確かにあるのですわ…」



利仙「そして彼女の最大の魅力は、チカラとした輝きを 私たちファンに幸せというカタチで与えて下さるトコロなんですのよ!!」キラキラキラッ


もこ「(―――だから、それはただのアイドルとファンの関係なんじゃないの……)」ブツブツブツ






ちゃちゃのん(さっきから向こうで、何の話をしちょるんじゃろぅ…?)タンッ

憩「ロンですよーーぅ」パララッ


ちゃちゃのん(あぅぅ、つい集中 乱してもうたんじゃ…)ガックシ




もこ「(―――やっぱり、気のせいなんじゃ……)」ブツブツブツ


利仙「そ、そんなことはありませんわ。 くぅぅっ、ここでは満足な応援も出来ませんわ……」







数時間後―――



ちゃちゃのん「どうも、ありがとうございました…」ハァハァ


憩「おつかれさまでしたー」フゥ


もこ「(―――もぅ、無理……)」ブツブツブツ


藍子「うぷっ、チカラの使いすぎで 吐きそう…」ゼェゼェ


憩「能力も万能じゃないんやから、使いすぎはアカンですよーぅ」



ちゃちゃのん(何でじゃろぅ… 誰かが応援してくれとるような気がして、途中から身体が軽くなった気がするんじゃ…)ハテナ





絃「流石に荒川さんは圧倒的でしたけど、それでもいちごさん 途中からだいぶ調子を上げてきてましたね…」


利仙「うぅっ、いちごちゃん… 本当によく頑張ったね……」ポロポロ





ちゃちゃのん「みんな、今日はどうもありがとの」ペコリン


絃「こちらこそ、楽しかったですよ」


もこ「」ブツブツブツ


藍子「もこも楽しかったってさ♪」




利仙「まったく、佐々野さんはまだまだですわね。 仕方ないので、今度 私が個人的にご指導して差し上げますわ…///」ブツブツ

ちゃちゃのん「えへへ、どうもありがとなんじゃ…」


利仙「そ、それでは… しょうがないので、メアド交換でもしておきましょうか…///」フンッ

ちゃちゃのん「うん… リセちゃん、どうもありがとの~~♪」ポチポチ ポチット




藍子「素直に大ファンだって、言えば良いのに…」シシッ

絃「そういう利仙さんも、私は可愛いと思いますよ♪」フフッ


もこ「(利仙、嬉しそう…)」ブツブツブツ




利仙(いちごちゃんのメアドゲットですわ~~~♪)ニヘラーー



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憩「いちごちゃん、この後 迎えが…?」

ちゃちゃのん「うん。 夕方にヒロちゃんが、来てくれるゆーとったんじゃ…」


憩「それじゃ、それまでの時間―――ちょっとお散歩でもせーへんかー?」

ちゃちゃのん「うん、ええよ…」コクッ




憩「いちごちゃんは確か、ゼミで現代能力者麻雀に関する運命論や流れの存在証明、確率干渉なんかについての勉強してましたよねー?」

ちゃちゃのん「ん、知っとったんじゃね…///」

憩「まぁ、ウチも自分らのチカラが何なのか~とか、そういうの随分と調べてきましたからー」



憩「それってやっぱり、能力者麻雀の対策や研究のためだったんですかー?」

ちゃちゃのん「んー ま~単純に興味あったちゅうのもあるんじゃけど…」



ちゃちゃのん「能力を持たん人たちは、こっから先 どうなるんじゃろうなって―――?」


憩「…………」




ちゃちゃのん「憩ちゃんは、やっぱり能力者は非能力者よりも優れとるって思う…?」


憩「うーん、それはまた難しい質問ですねーー」




憩「ま~ ある側面では優れてると言えますけど、だからと言って全てにおいて優れてるってわけじゃーないですよねーー」


憩「勉強の出来る子、運動の出来る子、麻雀の上手な子、優しい子、元気な子、そういう個性の一つみたいなモノだと思いますけど…」




憩「でも、世の中にはそれを上位人類だとか、ニュータイプ言って もてはやす人たちもいますよねー」


ちゃちゃのん「その力の有無で人の価値が決まってまうのは、やっぱりイヤじゃよね…」



憩「ウチもそう思いますー でも これまでだって、足の速い人や頭の良い人。そういう持って生まれた才能で、人は評価されて来たわけですよね…」


ちゃちゃのん「それが自分の才能と思って受け入れる。 そういえば、浩子ちゃんもそんなことゆーとったのぅ…」


憩「船久保さんですかー あの人はとても頭の良い人やさかい… 世の不条理とかそういうもんが、昔からよく見えてたんでしょうねー」





憩「さっきいちごちゃんは、能力を持たざる者がこれから先どうなるか―――言うてましたけど…」


憩「それは―――能力を持つ側にしたって、同じじゃないですかーー」

ちゃちゃのん「―――?」





憩「さっき一緒に麻雀しとった、リセさんやモコちゃん達…」


憩「あの子らとウチが どうして以前から親交あったんか、考えたことありますか―――?」

ちゃちゃのん「そりゃ、お友達だからじゃ―――?」


憩「そうですねー 確かに友達なんですけど、あの子たちはウチの患者さんでもあるんですよーーぅ」


ちゃちゃのん「えっと、ドコか悪いんじゃろか…?」




憩「能力の反動による後遺症、チカラの制御方法、メンタル面でのケア、その他もろもろ…」


憩「ウチはそういう能力者にしか分からない、身体的・精神的な悩みの相談役なんですわー」


憩「特にモコちゃんは能力の影響が強い分 チカラの制御が難しいみたいで、精神的 変調なんかが心配なんですよー」


ちゃちゃのん「そ、そうだったんじゃ…」



ちゃちゃのん「だったら、あんなにチカラを使わせてしまって良かったんじゃろか…?」

憩「アレはアレで彼女たちにとっては、良いリハビリにもなってますからねー」


憩「単純にチカラを恐れて遠ざけるんやなく、それと向き合って生きていくこと…」


憩「そういうバランス感覚が、何よりも大切なんですよ―――」





憩「能力者はまだまだ未知な部分も多く、とても不安定な存在です―――」



憩「せやから、ウチはお医者さんになって―――同じ能力者である彼女たちの力になりたい思ってるんですよーーぅ」


ちゃちゃのん「それで、憩ちゃんはお医者さん一本に―――?」





憩「……大切な人たちの生き死ににも、直接 関わるお仕事ですからねー」


憩「それくらいの覚悟で挑まんと―――」





憩「ウチは、きっと後になって後悔するやろーなって―――そう思うんですよーーぅ」



ちゃちゃのん「……憩ちゃんは、やっぱり凄いんじゃ」


憩「あはは、そうやろかーー」



ちゃちゃのん(憩ちゃんの覚悟… それはちゃちゃのんのとは、まるで質の違うモノなんじゃ――――)






憩「それと、もう一つ―――」

ちゃちゃのん「ん―――?」



憩「いちごちゃんのお友達の塞さんや哩さん、漫さんたちにも、一応 気をつけるよう伝えておいて下さい―――」


ちゃちゃのん「えっと、何に―――?」



憩「ウチらの能力は、何も麻雀だけに限られたものではないですよねー」

ちゃちゃのん「それってゆーと…?」




憩「ま~ 代表的なのが、一巡先を見ることが出来るいう園城寺 怜(とき)さんの未来視。 アレは麻雀以外にも色々と応用が利くそうやねー」

憩「他にも妹尾(せのお)さんのラックは、あらゆる幸運を呼び寄せるとも言われとりますー」


憩「この手の能力の発現は競技麻雀だけに限らず、ここ数年 様々な分野で見つかり始めとりますよねー」



憩「そんなものを、科学者たちが黙って見過ごしておくと思いますか―――?」

ちゃちゃのん「えっ…」ゾッ





憩「―――流石にこの国ではまだ表面化もされてませんし、強引な手段もなされてはいないようですけど…」


憩「治療と称した、合法的な研究は既に進んでますーー」



憩「他所の国では、人体実験やら人為的な非能力者の能力開発なんかも行われとるとか……」

ちゃちゃのん「えぇぇぇっ…」ゾゾゾッ






憩「とりあえず現在 園城寺さんや妹尾さんは能力者保護に務める龍門渕の監視下にあるので、安全は確保されとるようですけど…」


憩「とりあえず そういう如何わしい研究機関には、気をつけるよう伝えといて下さいー」

ちゃちゃのん「うぅっ… 分かったんじゃ……」フルフル




憩「それと―――」

ちゃちゃのん「ま、まだあるんか!?」ビクッ




憩「現在 各国で能力者と非能力者の確執が、水面下で広がりつつあるようですよーぅ」


憩「中にはどちらか一方の根絶を唱える声まであるようで、実際にそういう過激なテロを警戒した動きも見られとるようですねー」

ちゃちゃのん「そういえば、何度かそういう警察の人とか見かけたんじゃ…」





憩「そして、それは麻雀の世界でも同じこと―――」


憩「そのうち麻雀界も能力者と非能力者リーグで、完全に分断されるかもっちゅー話も出始めとるみたいですよー」

ちゃちゃのん「そ、そんな話まで…」ヒェェッ


憩「ま~ 実際問題、能力自体が完全に実証されとるわけではないので、まだ先の話や思うんですけどねー」





憩「ただ、これから先―――世界はこの手の問題で、大きく荒れる思いますよーーぅ」

ちゃちゃのん「」ゴクッ





憩「あ、一応… この辺のことは、まだ内密にしておいて下さいねー」


ちゃちゃのん「な、何でちゃちゃのんに、こんな話をしてくれたんじゃ…?」




憩「う~~ん、どうしてでしょうねー」


憩「ただ いちごちゃんには、しっかりと考えたうえで 将来のことを決めて欲しい―――」


憩「……そう思ったのかもしれませんねーー」ニコッ





憩「ま~ ホンマは今 話したこと、その全てがウチの妄想の産物かもしれませんけどね~」フフッ

ちゃちゃのん「ほぇっ…?」



憩「まー 今はまだ話 半分くらいで受け取っておいて下さ~~い」ホナ、マタナー

ちゃちゃのん「あ、憩ちゃん―――」



憩「ん―――?」

ちゃちゃのん「今年の大会―――その、頑張ってな…」


憩「ふふ… それは今年が最後になる、セーラさんにでも言ってあげて下さいーー♪」





憩「ウチは――――強いですからねー」スッ


ちゃちゃのん「それ、憩ちゃんのいつもの決めポーズじゃね…」エヘヘッ





憩「それじゃ、いちごちゃん。 またなーー」フフッ


ちゃちゃのん「うん… 憩ちゃん、ホンに色々とありがとうの―――」フリフリ







ちゃちゃのん「はぁ… それにしてもまるで雲を掴むような、全く現実味のない話じゃったのぅ…」


ちゃちゃのん「いつもみたいに、また憩ちゃんにからかわれたんじゃろか… それとも―――」





オーーーーーーイ


ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃんじゃ…」

洋榎「おぅ、もう元気になったんか~?」ツカツカ

ちゃちゃのん「あ、う、うん……」コクッ



洋榎「さっき離れてったナース服って、もしかして荒川か…?」

ちゃちゃのん「うん、今はこの病院でお手伝いとかしとるんじゃって…」


ちゃちゃのん「せっかくだし、声でもかけてく?」




洋榎「―――いや、ま~ 今日はええわ…」


洋榎「荷物くらい持ったるさかい、はよ よこし」ヒョイッ


ちゃちゃのん「あ、うん… ヒロちゃん、ありがとな……」ヒョコヒョコ







正直、今のちゃちゃのんにゃぁ―――世界の動きとか、そんな難しいことはよぅ分からんよ。



ただ目の前におる大切な人たちが 幸せであってくれたなら、それでええと思うんじゃ。



でもそんな当たり前の幸せを願う、みんなの想いが…



争いや対立を産んどるんだとしたら……





それはとっても悲しいことだって、ちゃちゃのん 思うんじゃ――――







今回の荒川病院編ですが…


これを入れると、どうしても最終的に消化不良になる部分が出るうえに、ラブコメものとして重くなるし


全体の整合性や世界観の統一感を損なうかな~と思ったんで、入れるかどうか結構悩んだトコでした。



でも、ま~ 思いついたネタは何でも詰め込もうが当初からのコンセプトだったので、とりあえずぶち込ませて頂きました。


自分としてはこの辺の話は番外編の部分と考え、マクロの中のミクロな世界こそが このちゃちゃのんの物語だと考えてます。


例え来るのが明るい未来でも、暗い未来でも―――自分に出来ることなんて泣いたり笑ったり、今を精一杯に生きることだけ。


ちゃちゃのんは英雄でも魔王さんでもなく、そういうごく普通の女の子なので……




尚 今回の利仙さんのキャラや、ちゃちゃのんの能力の一部は


【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」
【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1392028470/)


を参考にさせて貰ったんですけど、このいちごちゃんLOVEな利仙さんが凄く面白くて好きなキャラです(笑)









女「鹿老渡高校に行く―――? ほいじゃが、あそこは…」


ちゃちゃのん「お母さん、お願いじゃよ……」






中学を卒業し―――



ちゃちゃのんは、お母さんの反対を押し切って鹿老渡高校へ進学した。



呉を離れ、今度は自分の意思で―――



ちゃちゃのんは、もぅ一度 婆っちゃと過ごした鹿老渡に帰って来たんじゃ。






???「あれ… アンタ、もしかして…」


ちゃちゃのん「ほぇ……?」



快活な長女さん「あ~~ やっぱりちゃちゃのんじゃ~!? うっわぁ~ 久しぶりじゃね~~♪」



ちゃちゃのん「あ、あ、あ、アンタはーーー!?」




そこで再会したのは、小学生の夏休み一緒に遊んだ あの三姉妹の長女さんじゃった―――





快活な長女さん「しっかし、自分 相っ変わらず可愛ええのぅ~~」


快活な長女さん「中学でも、絶対モテモテやったろ~~♪」ウリウリィィィィッ


ちゃちゃのん「え、えっ… そ、そんなこと、ないんじゃよぅ~~///」アセアセッ





ちゃちゃのん「で、でも、何でわざわざ鹿老渡に…?」


快活な長女さん「ん―――? 何でて、約束したじゃろ……」


ちゃちゃのん「――――!?」





快活な長女さん「また… 一緒に遊ぼうなって――――」シシシッ






ちゃちゃのん「そ、そんな理由で… ちゃちゃのん、おるかも分からんかったのに?」


快活な長女さん「ん、ま~~ 本当はそれが半分なんやけどな……」


ちゃちゃのん「半分……?」



快活な長女さん「もぅ半分は爺さんが過ごした、この鹿老渡高校にも興味があったんじゃ…」ポリポリ


ちゃちゃのん「あ―――」


快活な長女さん「ん、何じゃ―――?」




ちゃちゃのんと、同じ理由じゃった―――



婆っちゃたちの思い出いっぱい詰まった この鹿老渡高校に、ちゃちゃのんは入りたかったんじゃ――――






???「あらあら、私もお仲間に入れて下さいませんか…」


快活な長女さん「お、お、お~~ アンタは!?」


ちゃちゃのん「ゆ、幽霊少女さんじゃ―――!?」アワワッ


物静かな女の子「幽霊じゃありませんから、私 ちゃんと生きてますから!!」モー


一同「「アハハ……」」クスクスッ



病気療養で来とったあの子は、今ではすっかり元気になって この鹿老渡に入学してきたらしい。





物静かな女の子「私… 今度こそ、しっかり蛍を見ますわよ~~」


快活な長女さん「あはは、今度 みんなで一緒に探しに行こうよ♪」


ちゃちゃのん「それは楽しみじゃね~~♪」







ちゃちゃのん「生徒の数も少ないし、やっぱり麻雀部はもぅないんじゃね…」ガッカリ


物静かな女の子「はぁ、残念ですわね…」



快活な長女さん「なんじゃ、なんじゃ、そない湿気た顔して… 無いんなら、また作ればええだけじゃろ!!」


ちゃちゃのん「ふぇっ、じゃって… ちゃちゃのんたち3人だけじゃ―――?」




快活な長女さん「来年にゃぁ、ウチの双子の妹も入ってくる予定じゃけぇ―――メンバーなら、きっと集まるはずじゃ!!」ドンッ


ちゃちゃのん「そ、そんじゃぁ……」



快活な長女さん「来年にゃぁ、鹿老渡高校麻雀部の復活じゃ!!」ピース


ちゃちゃのん「婆っちゃが… 部長さんだった、麻雀部が……」ウルウル


物静かな女の子「くすくす、いちごさんったら… また、おもひでぽろぽろしてますわ~~」ウフフッ


ちゃちゃのん「そ、そんなん… しとらんけぇ……」ゴシゴシ




快活な長女さん「とりあえず空き教室はたくさんあるし、埃かぶった雀卓も見つけたし―――」ヨッシャッ


物静かな女の子「来年の本格始動に向けて、今から準備開始ですわね~~」パチパチパチパチ


ちゃちゃのん「おっ、お~~~」グッ






婆っちゃと過ごしたあの古い母屋で、ゴロリと横になる。



い草の懐かしい香りが、ちゃちゃのんの心を穏やかな気持ちにしてくれた。




ちゃちゃのん「婆っちゃ… ちゃちゃのん、いっぱいいっぱい頑張るけぇ…」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん達の頑張り、しっかり見とっての――――」







陽気な妹ちゃん「わ~~い、またツモったんじゃ~~~!!」パララッ


しっかりものの妹ちゃん「くぅ~~ 相変わらずバカヅキじゃのぅ…」チィッ


ちゃちゃのん「妹ちゃん、前から強かったけど。 また更に強くなったのぅ…」ホェー


快活な長女さん「まったく… コイツにゃぁアタシらに見えん、何かが見えとるんじゃろか…」



陽気な妹ちゃん「へへっ… 凄く調子ええ時は牌が光り出して、話しかけたりしてくるんじゃよ~~」


物静かな女の子「えぇっ、そんなことってあるんでしょうか!?」


しっかりものの妹ちゃん「またバカなこと言って… アンタ、何かヤバイ遊びでもやってないでしょうね~~」


陽気な妹ちゃん「ヤバイ遊びって何じゃ~~ そんなんしとらんわ~~!!」ホッホーーーイッ







快活な長女さん「そんで部長の件なんじゃが―――アタシはちゃちゃのんが ええ思うんじゃが、どうじゃろか?」


ちゃちゃのん「えぇっ、リーダーじゃったら ちゃちゃのんなんかよりも―――」



物静かな女の子「いちごさんは私たちの麻雀のお師匠さまですし、異議なしですわ」ウフフ


陽気な妹ちゃん「ちゃちゃのんは、鹿老渡のアイドルじゃもんね~~♪」ワーイ


しっかりものの妹ちゃん「アタシは、このバカじゃなければ 誰でもええと思うんじゃ…」フンッ




ちゃちゃのん「み、みんな… どうもありがとの…」ペコリン


快活な長女さん「だから、イチイチ泣かない~~!!」カッカッカ


ちゃちゃのん「ま、まだ 泣いちょらんわ~~~///」ウルウル


一同「「ワハハハハーー」」







ちゃちゃのん「はぁ… 練習試合、勝てんかったのぅ…」トボトボ


陽気な妹ちゃん「負けちゃったけど、ボクはとっても楽しかったんじゃ~~」


物静かな女の子「先鋒の妹さんが作ってくれたリードを、守りきれませんでしたわね~~」


ちゃちゃのん「次鋒のちゃちゃのんが、ドジってもうたからじゃ……」ウゥッ


しっかりものの妹ちゃん「別にちゃちゃのん一人のせいじゃないでしょ…」


快活な長女さん「うん、アタシも大将戦で挽回出来なかったわけだしね…」




ちゃちゃのん(みんながちゃちゃのんを麻雀のお師匠ゆーてくれとるが、ちゃちゃのん 今じゃ妹ちゃんよりも弱いんじゃ…)


ちゃちゃのん(もっともっと頑張って麻雀 強うならんと、県大会にも勝てないんじゃ…)


ちゃちゃのん(ちゃちゃのん―――お飾りの部長さんにゃぁ、なりたくないんじゃ……)







憩「え、ウチに麻雀の稽古をつけて欲しい―――?」


ちゃちゃのん「お、お願いするんじゃ。 ウチの近くにゃぁ、満足に麻雀 教えてくれっ人もおらんし…」


ちゃちゃのん「そんで色々探しちょったら、憩ちゃんはこの辺では敵なしじゃって聞いたけぇ―――」ペコリッ



憩「ほな、時々で良ければ ええですけどー ただ同じ麻雀仲間としてのアドバイスってことでもええやろかー?」


ちゃちゃのん「どうも、ありがとなんじゃ!!」パァァ…






憩「今度はウチの友達にも声掛けときますから、部員さんたちも是非 呼んであげて下さいねー」ホナナー


ちゃちゃのん「うん、どうもありがとなー」フリフリ






祝・鹿老渡高校 第70回 全国高等学校 麻雀選手権大会出場――――!!





陽気な妹ちゃん「うわっ、すっげ~~~!! ちゃちゃのん、デカデカと雑誌で特集されちょるよ~~~!!」


快活な長女さん「やっぱ全国大会効果は凄いのぅ~~♪ ほんで、ちゃちゃのんは何で靴を持っとるんじゃーー?」カカッ


ちゃちゃのん「えと、カメラマンさんからの要望で……////」テレッ


物静かな女の子「このカメラマンさん、なかなか出来ますわね……」ムムッ




しっかりものの妹ちゃん「でもあの全国制覇の宮永照よりも、大きく特集されちょるなんて… ビックリじゃねぇ~~」


物静かな女の子「いちごさんの この凶悪なまでの愛らしさをもってすれば、これくらいは当然ですわ~~♪」ウフフッ


快活な長女さん「アンタ、そんなキャラだったっけ……?」





ちゃちゃのん「でも、何じゃか 申しわけないんじゃ……」ボソッ


快活な長女さん「ん―――?」



ちゃちゃのん「これも全部、みんなで頑張った結果なのに―――ちゃちゃのん一人が、こんなに注目されてもうて…」


陽気な妹ちゃん「ヒヒヒ……ッ」


しっかりものの妹ちゃん「まったく、もぅ…」フゥッ


物静かな女の子「やれやれ、ですわね……」クスッ




快活な長女さん「ええか… これはアンタだから、注目されてんの―――」



快活な長女さん「アイドル目指してんでしょ、だったらもっと自分に自信持ちなさいっての!!」ポフッ


ちゃちゃのん「う、うん―――///」ドキドキ



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快活な長女さん「アタシらも三年で、今年が最後の全国じゃのぅ…」ゴクッ


物静かな女の子「フフッ、そうですわね~~」


陽気な妹ちゃん「ボク、頑張っちゃうよ~~~!!」


しっかりものの妹ちゃん「今年はきっと、去年よりもたくさん注目される……」ドキドキ




ちゃちゃのん「この鹿老渡高校を全国にアピールする、最大のチャンスじゃね―――」グッ







婆っちゃたちの、思い出いっぱい詰まった鹿老渡高校。



その数年後の廃校は、ちゃちゃのんたちが入学する前から既に決まっていた。



それでも ちゃちゃのんたちの頑張りで、何かが変えられるかもしれんと―――



そう思いたかったんじゃ。





そう思って――――あの時、ちゃちゃのんたちは戦っとったんじゃ。








一回戦の相手は――



岐阜の斐太商業―――



石川の鞍月高校――――



そして南大阪からは、あの全国屈指の名門・姫松高校――――





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの相手は、あの不動のエース言われとる愛宕 洋榎さんじゃな―――」



ちゃちゃのん「それでも、ちゃちゃのんたちは… こんなトコで負けるわけにゃぁ、いかんのじゃ――――」





「まもなくインターハイ1回戦―――」



「第7試合から、第9試合が始まります!!」


ワァァァァッ…



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ザザザーーーン…


洋榎「うーみーーーー!!」イヤッホーイ

胡桃「何気にこのメンツで海来るのって、初めてだね~」

塞「あれ、沖縄に行ったんじゃ…?」

哩「その話はやめろ…」


ちゃちゃのん「みんな、何じゃか久しぶりじゃよね…」エヘヘッ

胡桃「ちゃちゃちゃん あれから結構経つけど、体調の方はもぅスッカリ大丈夫なの?」

ちゃちゃのん「うん、元気 元気♪ 最近はまたゼミと仕事漬けの毎日じゃよ~~」

塞「もぅ、ちゃんと休養とらなきゃ駄目だよー」



洋榎「それんしても 海なんて久しぶりやから、一人で水着コーナー入り浸ってもーたわ」カッカッカ

絹恵「言うてくれたら、付き合ったのに」バイーンッ

洋榎「絹はいっぱい持っとるやん…」ストーン


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんも、いっぱい持っちょるよ~~」ポヨンポヨン

漫「私も買いましたよ。 去年のでいいかと思ったけど、胸きつかったんでー」ドカーンッ

洋榎「………」ゲシゲシ

漫「あたー!?」

漫「ちょ、小キック連発 やめて下さいよ!!」

胡桃「……」ゲシゲシ

漫「先生まで!?」

胡桃「私なんてインハイ後の夏の水着、普通に着れるのに!!」

塞(胡桃なら、きっと小学生の頃のでも…)






洋榎「ま~ 何にせよ、今日は泳ぐでーー!!」


一同「「おーーーーーっ!!」」





  ク  ラ  ゲ  っ  !  !





洋榎「ちょ、一面クラゲやないかぃ!!」

ちゃちゃのん「ほわわっ、ふあふあじゃ~~~」

哩「まぁ、もう9月だしな…」

セーラ「試験終わった8月頭は、サークル組は合宿やらで忙しかってん。 しゃーなしやな…」カカッ

ちゃちゃのん「まっとうなサークル所属のせーちゃんや絹ちゃんは、8月半ばは大会じゃったしのぅ…」



塞「下旬は私達が岩手に帰ってたもんねぇ~」

洋榎「くそっ! 岩手についてきゃ良かったで!!」

塞「いや、連れてかないから―――」

胡桃「恥かかされちゃう…///」


セーラ「自分らの故郷ってアレなんやろ、行ったが最後 もぅ戻れない的な―――」

塞「どこのサイレントヒルよ…」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはせーちゃんの水着見て、ちょっと安心したんじゃ…」

セーラ「男モノかもしれん、思ったんかー?」カカッ

ちゃちゃのん「ま、ま~の…」


セーラ「俺はそうしよ思ったんやけど、浩子に張っ倒されたわ~」カッカッカ

塞「当たり前でしょ、アンタ捕まるからね……」



セーラ「永水の副将とか、龍門渕のマジシャンのはええんか?」

塞「あ、あれはま~ 何て言うの… この国って、何故かあ~いう人種の治外法権が認められてる的なとこあるし―――)ボソ

ちゃちゃのん「あ~いう人種……?」

哩「合法ロリ、言いたいんちゃうか?」

塞「そんなストレートに…」



洋榎「じゃ~ いいんちょなら、全然イケるやん!!」

胡桃「いや、別にしたくないから!?」

セーラ「せやねん、何で自分だけ そないケレン味ないかっこしとるんや?」ダメヤン

胡桃「いや、別に私 ノーマルだし。 ていうか、何その そうじゃなきゃイケない的な反応―――!?」





胡桃「ま、泳げないなら 砂場で遊べばいいか…」ペタペタ

ちゃちゃのん「胡桃ちゃん―――」

胡桃「何よ…?」ペタペタ

ちゃちゃのん「お遊戯しちょるみたいで、可愛いんじゃ~~!!」ダキツキー


胡桃「うっさいわよ、このバカ!!」ゲシゲシ





セーラ「ほんじゃ、バレーでもしようや、バレー!!」ポーーン

塞「トヨネがいたら負けないんだけどねぇ」

絹恵「運動なら任せてー」ブンブンッ

セーラ「あと一人誰かーー!!」

塞「胡桃、組まない?」

胡桃「私にバレーを勧めるとは、塞も随分と非道になったね…」チンマリ

塞「わ、悪かったわよ……」



胡桃「哩ちゃん、入ったら?」

哩「ん―――?」

胡桃「ボールびしばし当たるし、好きそうだから…」

哩「ちょっとばかし、私に対するイメージの修正を図ろうか―――」

胡桃「違うの?」

哩「違う…」


哩「大体、残り一人しか入れないのに、恋人をおいていくわけないだろう…」ギュッ

胡桃「公言してから、腹立つくらいイチャつくようになったよね…」シネバイイノニ…





セーラ「足引っ張ったら、おでこに乳の文字を―――」

漫「末原先輩方式ですか!?」

セーラ「焼印するで~~」カカッ

漫「違う、もっと禍々しい別の何か方式やった!?」コッワ



絹恵「私のキャッチング技術、見とってな~」グッグッ

塞「ちゃんと、弾き返してね!?」

絹恵「私のキャッチング技術―――」

塞「キャッチしたらダメだからね!?」



洋榎「あー くっそ、出遅れたわ~~」

胡桃「審判でもやる?」

洋榎「ルール分からん…」

ちゃちゃのん「あ、じゃあ ちゃちゃのんが審判やるんじゃ…」トトッ



ちゃちゃのん「これでもアイドルビーチバレー大会で、今年は2回戦まで進出したんじゃよ!!」フフン

洋榎「微妙やなー」

胡桃「パッとしないね…」

ちゃちゃのん「えぇっ、チハちゃんと頑張って、去年よりも成績上がったんじゃよ!?」ガーーン

哩(インハイじゃ宮守は、そのパッとしない成績だったような…)




ホイミ ベホイミ ベホマラー…


洋榎「しっかし、見事にクラゲまみれやなー」

胡桃「泳ぐのは無理そうだね…」


洋榎「バイトとデビ子は?」

胡桃「あっちで砂風呂してるよ」

洋榎「お、楽しそうやなー」


胡桃「……まあ、楽しそうではあったよ」

胡桃「凄い愉悦の目で、姫ちゃんがじわじわと哩ちゃん埋めてたし…」

洋榎「ふーん。 ウチもどっさりかけたろかな」

胡桃「やめた方がいいんじゃないかなあ、完全に二人の世界だったし」





洋榎「とりあえず、海に来たからには泳がんとな!!」

洋榎「クッローーーーール!」ザババババ

胡桃「砂の上を泳いでるっ!?」


洋榎「このへん柔らかいから、軽く潜れるでー!」ザババババ



バチコーーーン!!

ブクブクブク…


セーラ「すまんすまん、ボールこっち飛んでこーへんかった?」タタッ

胡桃「飛んできて、代わりにスイマーが吹っ飛んだ…」

セーラ「は―――?」





塞「ボール見つかった?」

セーラ「何や、洋榎のヤツに直撃したらしいわ」カッカッカ

漫「もぅ、何マーズアタックかましとるんですか~~」



セーラ「ヨッシャ、今度こそ決めたるでーー!!」

塞「次こそ塞ぐ!!」

絹恵「ペナルティーエリア外からのシュートなら、私に任したって下さい!!」

塞「だからすぐキャッチングしようとしないの!?」


ちゃちゃのん(ヒロちゃん、大丈夫だったんじゃろか―――?)



バッチーーーンッ!!

ドギュルルルーーーーーッ!!

ちゃちゃのん「うっひゃーー!?」ビックゥッ


塞「ちゃちゃのん、ボンヤリしてると危ないよ~」

ちゃちゃのん「あっ、うん。 ゴメンの…」

ちゃちゃのん「…………」



ちゃちゃのん「えっと、今ので点数、忘れてまったんじゃ…」タハハッ

塞「え~~~」

セーラ「ま~ そんなん、だいたいでええねん!!」カカッ



漫「あ、今度はウチが審判しますから、ちゃちゃさんも参加したって下さいよ」

ちゃちゃのん「あ、うん…」ドキドキ

セーラ「いちごか、ま~ 丁度ええハンデやな」

ちゃちゃのん「いきなり おみそ扱いされたんじゃ!?」




セーラ「パスやでー」ポーーン

ちゃちゃのん「よし、ちゃちゃのんアタックじゃ!!」タタッ


ズルッ ドベッ

ちゃちゃのん「ふぎゃっ!?」

セーラ「ギャハハ、何で自分 ワカメで転けとんねん!! やっぱ、いちごはウンチやなーー」ゲラゲラ

ちゃちゃのん「うぅ~ その言い方はヤメるんじゃ~~!!」





絹恵「臼沢さん!!」

塞「よっし!!」タタッ


セーラ「いちご、ブロックやで!!」

ちゃちゃのん「う、うん…」ピョンコ


バンッ

ちゃちゃのん「うぎゃっ!?」

セーラ「おぉっ、ナイス顔面ブロック!!」

絹恵「石崎さん、ナイスガッツやで~~!!」



塞「えと、ちゃちゃのん ゴメン…」



漫「水挿すようですけど、点数入ってますからね……」


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セーラ「サーブと見せかけて~ ドッチボールやーー!!」ズギューーン


バチーンッ

セーラ「なんやて!?」



絹恵「この程度のボール、片手で充分やで~~」シュゥゥゥゥ…

塞「絹ちゃん、凄っ!! 何か、手から煙とか出てるよ!?」



絹恵「ウチ渾身のタイガーラブショット、くらえーーーッ!!」グワッ



ドッギャーーーーン!!


塞「いや、蹴っちゃ駄目でしょ!?」






漫「―――今ので、ボール粉砕されたでーーー」


ちゃちゃのん「もぅ、メチャクチャじゃ…」




セーラ「ボールのうなってもぅたし、何や遊べそうなもんでも探してくるか…」


漫「あ、ほんならウチらも行きますよ~~」






ザザザーーン


ちゃちゃのん(あっちにおるんは、ヒロちゃんと胡桃ちゃん―――?)


塞「あの二人、あっちで何を話してるんだろうね…」

ちゃちゃのん「あっ、塞ちゃん…」




ちゃちゃのん「そういえば塞ちゃんと胡桃ちゃん、しばらく岩手に帰っちょったんじゃよね…」

塞「うん、お正月にも帰省はしてるけど、久しぶりに宮守のみんなと色々お喋りした……」



塞「シロのことは、前にもちょっと話したっけ?」

ちゃちゃのん「マヨヒガの白望(しろみ)さん? 確か東京の麻雀名門校 龍門谷大学で、麻雀部の部長さん頑張ちょるって―――」



塞「うん、そうだったんだけど… シロのヤツ―――」

塞「今年の春先に未成年部員の飲酒事件があって、部は夏までの活動休止。 そのことに責任感じて、引責退部したんだって…」


ちゃちゃのん「それは、白望さん 落ち込んどったじゃろうね…」





塞「うん… 確かに暫くは、それで落ち込んでたらしいんだけど―――」


塞「今年新しく入った一年の子の頑張りに触発されたのか、最近はだいぶ元気とり戻したって…」

ちゃちゃのん「そっかぁ、それは良かったんじゃ…♪」




塞「ま… 相変わらずのものぐさで『ダルぃ』とか言って、ロクにお風呂にも入らないから―――」

塞「周囲から『シラミ』とか、アダ名付けられちゃってるみたいなんだけど…」フフッ

ちゃちゃのん「女の子にシラミっちゅうアダ名は、あんまりなんじゃ…」



塞「あとこの前 大学の友達との旅行で、フランスにあるギュスターヴ・モローの美術館に行って―――」

塞「モローの螺旋階段とか、何とかっていう多翼祭壇画を見られたとか―――珍しく、ちょっと興奮気味に語ってたなぁ」クスッ


ちゃちゃのん「白望さん、芸術学部ゆーとったもんね。 ちゃちゃのんも綺麗な絵画とか、そういうのは大好きじゃよ♪」




塞「本当は私たちと一緒にって 関西方面の芸術科も受けたんだけど、こっちの方は落ちちゃったのよね」

ちゃちゃのん「ほんじゃぁ、もしかしたら白望さんが ここにおったかもしれんのじゃね…」


塞「まぁ、シロはシロで今の大学生活 楽しくやってるみたいだし、こういうのを縁って言うんでしょうね……」

ちゃちゃのん「うん、そうかもしれんのぅ―――」



塞「エイスリンは相変わらずちょっと不思議ちゃんだったけど、日本語の方は随分上手になってたなぁ―――」






ザザザーーーン


塞「―――熊倉先生 病気療養中で、あんまり良くないみたいなんだ…」


ちゃちゃのん「―――そっかぁ、早く元気になってくれるとええのぅ…」


塞「あっちに残ったトヨネ一人に任せちゃって、何だか少し申しわけないって思っちゃった…」




塞「私たちもそろそろ本気で就活のこと考え始めなきゃいけない時期だし、大学4年間なんて本当にあっという間だよね…」


ちゃちゃのん「うん、ホンにあっちゅう間じゃのぅ…」




塞「就職のこととか 考えてなかったわけじゃないけど、大学卒業したら 一度あっちに帰ろっかなぁ……」


ちゃちゃのん「…………」



塞「胡桃は―――あの子は卒業した後のこと、どう考えてんだろ……」





ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのトコにゃぁ、今もよぅ泊まっちょるの―――?」


塞「ん、うん… 最近はゼミも忙しいし、なかなか入り浸りってわけにもいかないんだけど―――」



塞「掃除とか洗濯の手伝いしたり、一緒にご飯食べたり、一緒に映画を見たりはしてるかな…」


ちゃちゃのん「相変わらず、仲良しさんじゃのぅ…」




塞「まぁ、そうしてる時間が私にとっては自然っていうか… 落ち着く時間だから……」



塞「胡桃といるとさ、何か 明日も頑張ろーーって気にさせてくれるっていうの? 」


塞「まぁ、そんな感じ―――」タハハ


ちゃちゃのん「ホンに、仲良しさんじゃね―――」クスッ



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塞「でも、胡桃に恋人とか出来たら―――きっと、そういう時間もなくなるんだろうね…」


ちゃちゃのん「それは、寂しいのぅ…」



塞「ま… それはそうなんだけど…」


塞「いくら姉妹みたいなもんでも、いつかはそういう日が来るって 分かってるからさ……」




塞「その時は、ちゃんとお祝いするよ――――」



ちゃちゃのん「塞ちゃん……」






塞「そういうちゃちゃのんは、たまには広島に帰ってるの?」


ちゃちゃのん「えと、仕事も忙しいし… 最近はなかなか帰れとらんのぅ―――」アセッ



塞「――――そっか」


塞「でも帰るとこあるんなら、たまには帰って 元気な顔の一つでも見せてあげなきゃ駄目だよ」


ちゃちゃのん「う、うん……」





ザザザーーーン



呉に住んどるお父さんとお母さんとは良好じゃけど…



何だか昔のお父さんに申しわけない気がして、ちょっと疎遠になりがちじゃった。




鹿老渡高校のみんなは、あの後も変わらず優しかったけど…



卒業以降、ちゃちゃのんは何となくみんなと会えずにおった――――






ザザザーーーン


洋榎「と、いうわけで、バーベキューやで!!」

塞「海辺のバーベキューか、なかなか素敵かもね」

セーラ「温泉やなかったけど、風呂も気持ち良かったでー!」フハァーー


洋榎「旅館の人のご好意で、焼き台借りられたでー!!」

哩「ちなみに食材は持参するルールだそうだ」

胡桃「え!?」


塞「誰か何か持ってきた!?」

ちゃちゃのん「よ、酔い止めのキャンディくらいしか……」アゥ

セーラ「フリスクあるでー」シャッシャッ

胡桃(あ、これはダメなやつだ…)



絹恵「バイク借りて、私 スーパー行ってこようか?」

塞「ここ来る途中にスーパー見かけた?」

絹恵「……」




洋榎「くらげって食えるんかな?」

胡桃「!?」

哩「まだ調理した経験はないな―――」

胡桃「まさか、食べる気!?」

ちゃちゃのん「目が本気(マジ)じゃ!?」

セーラ「うにくらげとか中華くらげはイケルんやし、何とかなるんちゃう?」

ちゃちゃのん「やめといた方が、ええと思うんじゃが…」



哩「安心しろ、毒見はかって出てやる」

洋榎「当然やろ」

胡桃(それさえもプレイなのかと思えてくる…)





洋榎「そうや、この後 定番の肝試しでもせーへん?」

胡桃「え~~~」

セーラ「えーでー そんじゃ、旅館の人にそれっぽい場所でも聞いとくか?」

塞「ていうか、もぅお盆シーズンでもないよね」



カタカタ カタカタ

絹恵「いちごさんが、そこで思いっきり震えとんでーー」

漫「ちゃちゃさんは相変わらずのヘタレっぷりやな~~」ケラケラ




ジュー ジュー ジュー

哩「調理、完了ばい―――」フゥ

洋榎「おっ、何や焼きゼリーみたいでイケそうなんちゃう?」

セーラ「ほな哩先生、毒見の方は頼んまっせ~~♪」カッカッカ




ぷるぷるぷる~

哩「――――」ゴクリ

塞「やっぱやめといた方が良いんじゃ?」





姫子「はぁ、何だかお腹すいてきたばい…」ボソ


哩「覚悟完了―――!!」クワッ



ガツガツ ごっくん


哩「―――完・食!!」フハァ




セーラ「おぉっ、流石は哩先生!! そこにシビレる―――」


塞「―――憧れはしないわよ…」



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洋榎「とりあえず即効性の何かはなさそうやし、ウチらも食うでーー!!」

セーラ「お… コリコリ食感で、なかなかイケるんとちゃう!?」クチャクチャ


胡桃「はぁ、仕方ないか… とりあえずお醤油でもつけて―――」チュル…

塞「まぁ、胡桃たちも食べるんなら……」



ちゃちゃのん「うぅ……」

洋榎「何やちゃちゃ、自分もしっかり味わっといた方がええで!!」カッカッカ


ちゃちゃのん「えとっ、ちゃちゃのんは… ダイエットしとるし、別にええんじゃ…」ビクビク

洋榎「まぁ、モノは試しやで。 こんにゃくゼリー思って食っとけて~~♪」ズズィッ

セーラ「そうやで、人生は何ごとも挑戦やで~~~♪」ホレホレッ


ちゃちゃのん「―――うぅ~~ や、ヤメるんじゃ~~~!?」






その後 みんなで体調崩して、ちゃちゃのんたちの一泊二日の旅行は終わったんじゃ――――







哩「私の調理は 完璧だったはずばい―――」


胡桃「あ、そこは自信持ってるんだ…」







瑞原 はやりの~~~♪



サラマンダーより ずっとはや~~~~い☆





♪~ チャチャチャチャッチャッチャ チャチャチャチャーーーーン☆



はやり「はーややー!! 良い子のみんなーー! こ~~んばんはーーーっ!! みんなのアイドル☆瑞原はやりだよ~~~♪」キュピーーン

ハッヤリーーン!! ハヤーーッ!! ハヤヤーーッ!! ハイノオネーーサーーン!!


はやり「今日は公開生放送ということで~ とっても素敵なゲストさんをお呼びしていま~~すっ☆」ダレダロー

ダレダローー?


はやり「ヒントはね~ 最近 関西の方で地味~~に人気を上げてきている、若手のアイドルさんなんだって~~」ダレカナーー

ダレカナーー?


はやり「あっ… でも17歳のはやりよりは、ちょっぴりお姉ちゃんなんだけどね~~~」テヘッ

ワハハハハ… ムリスンナーーー


はやり「今、(31)とか(39)とか言ったのは誰かな~~ そんな悪い子は~ 撲殺しちゃう~~ぞっ☆」ピピルピルピルピピルピーー

ワハハハハハハハ


はやり「はやや~~ そろそろゲストさんが来る頃だと思うんだけど、どうしたのかな~~~?」キョロキョロ

タムラウシローー!!




ちゃちゃのん「―――ど、どうも、初めまして… ちゃ、ちゃちゃのんなんじゃ…」ドギマギ

チャッチャノーーン!! イチゴチャーーン!! アイシテマスワーーー!!



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瑞原 はやり(17)




はやり「は~~い、というわけで~~♪ 今日のゲストさんは、はやりと同じアイドル雀士としても知られる 佐々野いちごちゃんだよ~~☆」パンパカパーーン


ちゃちゃのん「きょ、今日は、よ、ヨロシク、お願いしましゅ!!」カチコチ


はやり「あっれれ~~? いちごちゃん、もしかしてスッゴい緊張してる~~☆」



ちゃちゃのん「ひゃい!? あ、憧れの大先輩、牌のお姉さんのはやりさんの番組に出して貰えるなんて、思っても見なかったけぇ…」アセアセッ

チャチャノン ガンバッテーー


はやり「いちごちゃんのその飾らない広島弁って、とっても可愛いよね~~♪」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか…? じゃったら、ええんじゃが……///」テレテレ




はやり「いちごちゃんは高校生の時に、インハイにも出たくらい麻雀が得意だけど―――」


はやり「将来的にはプロだったり、牌のお姉さんを目指す気はあるのかな~~?」


ちゃちゃのん「ふぇっ!? ちゃちゃのんそこまで麻雀強いわけでもないし、牌のお姉さんなんておそれ多いんじゃ……」アワワ…


はやり「うん♪ それはそうかもしれないね~~~~☆」


ちゃちゃのん「あぅっ!?」

ワハハハ ハヤリンキビシーー





はやり「さてさて、それではお次は~ いちごちゃんへの今日の はややーな質問コーナーだよ~~~☆」キャルルーーン

ちゃちゃのん「は、はい!! ちゃちゃのん、頑張るけぇ!!」ドキドキ



はやり「ラジオの前のみんなも、いちごちゃんと一緒に想像力を働かせてね~~~♪」ジャンッ




はやり「今 いちごちゃんは、地上数十メートルのビルとビルの間に架けられた鉄骨を 不安定な状態で渡っています―――」

ちゃちゃのん「ほぇ……?」



はやり「鉄骨の上、前を歩む知人の石田さんを突き落とさなければ―――いちごちゃんは後ろから来る他の人に突き落とされてしまいます…」


はやり「さ~ こんな時、いちごちゃんなら どうしますか~~~☆」ハヤヤーー


チッチッチッチッ…

ちゃちゃのん「―――えっと、何じゃろ この質問…? そんなん、分からんよぅ……」アワワッ


はやり「はやや~ 時間切れ~ 哀れ、いちごちゃんは奈落の底へと突き落とされてしまいました~~~」ブッブーー


ちゃちゃのん「えっ―――!?」ガーーン

チャチャノン ドンマーーイ





はやり「それでは~ いちごちゃんが、もしどちらかとお付き合いするとしたら―――」


はやり「アカギ似のクロサワと、クロサワ似のアカギ―――どちらとお付き合いしますか~~~☆」ハヤヤーー


チッチッチッチッ…

ちゃちゃのん「えっと、誰じゃ―――?」



はやり「はやや~ 時間切れだよ~~~」ブッブーー


はやり「もぅ~ いちごちゃん、全然遅いよ~~ そんなんじゃ、はやりみたいな素敵なアイドルにはなれないぞ~~☆」


ちゃちゃのん「はぅぅっ―――!?」






♪~ チャチャチャチャッチャッチャ チャチャチャチャーーーーン☆


ザザ… ザザザ……



洋榎「―――何やねん、この番組…」キッツ…

哩「はやりんはあ~見えて、泥臭いギャンブル漫画とか大好きやからな…」キュッキュッ


胡桃「これが噂に聞く、芸能界の新人いびりってヤツかな」

哩「いや、ラジオのはやりんは大体こんなやで。 全く悪気とかはないはずばい…」

哩「弄られて輝くタイプは徹底的に弄り倒す、それがプロのMCいうもんやろ…」キュッキュッ


胡桃「あれ、もしかしてファン?」

哩「嫌いじゃないばい……///」キュッキュッ


洋榎「あ、おかわり…」ゴトッ

胡桃「あんた、まだ飲むの…」






はやり「いちごちゃん、今日はどうもお疲れさま~~♪」

ちゃちゃのん「は、はやりさん。 きょ、今日はどうもありがとうございました!!」ペコリン




はやり「いちごちゃん、何だか凄く緊張してたみたいだけど… 大丈夫だった?」

ちゃちゃのん「うぅ、色々とご迷惑おかけしてしまって、本当にお恥ずかしい限りなんじゃ…」


はやり「あはは、はやりは別に良いよ♪ ファンの子たちも楽しんでくれてたし、きっと今日はアレが正解だったんだよっ☆」

ちゃちゃのん「えと……」



はやり「アイドルってファンの子たちに楽しんで貰ったり、勇気付けてあげたり、夢を見て貰うための存在でしょー」

はやり「そのためのやり方っていうのも、当然 一つじゃないと思うんだ―――」


はやり「はやりたちを笑ってもらうことで、会場のみんなが元気になってくれるんなら それもきっと正解なんだよ~~」




はやり「だからいちごちゃんも、恥ずかしいとか、自分には出来ないなんて、怖がってちゃ駄目だよっ☆」

ちゃちゃのん「は、はい!! ちゃちゃのんも、もっともっと頑張るんじゃ!!」



はやり「うん、うん、その調子♪ やっぱり素直な子って素敵だよね―――」


はやり「お胸のサイズも、はやりはいちごちゃんくらいがアイドルとして最高だと思うんだ~~☆」

ちゃちゃのん「えぇっ!? ちゃちゃのんは、はやりさんが羨ましいんじゃ!?」



はやり「でも無理はしちゃダメだぞ☆ いちごちゃん、この前 撮影の時に倒れたっていうじゃない」

ちゃちゃのん「は、はぃ……」


はやり「現場の人たちに迷惑かけちゃうのもそうだけど、やっぱりファンの子たちを心配させちゃいけないからね~~」



はやり「アイドルは―――常にアイドルたれってねっ☆」テヘッ







ピリリリリリリ……

オオサカユキノ デンシャガ ハッシャイタシマス……




ちゃちゃのん(やっぱりはやりさんはとっても優しくて素敵な、凄いアイドルさんじゃったのぅ…)


ちゃちゃのん(自分がどう見られたいかとかより、ファンの子たちに楽しんで貰うことを 何よりも大切に思っちょるんじゃ…)


ちゃちゃのん(きっとはやりさんは、大切な人たちの笑顔のためにアイドルしとるんじゃろうね―――)


ちゃちゃのん(そういうトコ、やっぱりあの人に似とるんじゃ―――)





ブブッ ブブブーーー


ちゃちゃのん(哩ちゃんからメール…?)


ちゃちゃのん(クリスマスの前後に、みんなで集まってパーティーするんか…)


ちゃちゃのん(そういえば、最近 みんなと会えとらんのぅ―――)


ちゃちゃのん(せーちゃんは、今度の大会でいよいよ引退じゃな…)





ちゃちゃのん(ヒロちゃんと胡桃ちゃん、二人はクリスマスの夜 どうするんじゃろぅ……)




ちゃちゃのん(うぅん、ちゃちゃのんにゃぁ――――関係ないことじゃろ……)フルフル







ワイワイ ガヤガヤ


胡桃「わぁ、凄い人」キョロキョロ

洋榎「そら、関西リーグ優勝かかった大一番やからなぁ」

塞「優勝か準優勝で、東西頂上決戦だっけ?」

ちゃちゃのん「今年勝ったら、ウチは12年ぶりなんじゃって~~」

漫「詳しいですね」


ちゃちゃのん「もらったパンフに書いとったんじゃ~~」ホレホレ

漫「いいなぁ、皆さんはバス付きの応援ツアーですもんねぇ」

哩「こっちは自費での応援だからな…」

絹恵「はは… まぁ、私たちは学校ちゃいますしね」


漫「ていうか、ウチのとこはそもそも今日まで残れなかったし…」

漫「ヒメちゃんトコも今日出とるそうですけど、多分勝てないくらいの差がついてますね…」



洋榎「絹ンとこは、まだ十分圏内やろ?」

絹恵「ええよー、どうせ私はガッコじゃ麻雀してへんし。 知り合いも麻雀部にはおらんし―――」

絹恵「こっち側にいるのもバレへんやろうし、今日はこっちで応援するわ」

絹恵「知らない同じ大学の人より、セーラさん応援したいしなぁ!!」



ちゃちゃのん(さっき憩ちゃんトコ行ったけど、部の人と打合せしとって話せんかったな…)

ちゃちゃのん(今日 応援するんはせーちゃんじゃけど、また後で声でも掛けに行こうかの―――)







洋榎「お!」

胡桃「あ!?」

絹恵「!?」

漫「これっ……!!」


ちゃちゃのん「おおおおおおお!!」

哩「……ふっ」

洋榎「か、勝ったああああああああああああああ!!」

胡桃「す、すごい! 関西リーグ優勝!!」

塞「これ、東西戦でもいけるかもね!!」


ワァァァァァーーーーーーーッ





洋榎「お、セーラの奴、インタビューあるみたいやで!!」

塞「部長じゃないみたいだけど、エースではあるしね」

胡桃「デジカメ デジカメ―――」

ちゃちゃのん「あ… ちゃちゃのん動画撮っとくけぇ、写真頼んでもええ?」

胡桃「オッケー、後で交換しようね!」





パシャ パシャ パシャッ


セーラ「えー…… 高校時代からの悲願で、一度も成せへんかった優勝―――」


セーラ「それをついに今日、成すことが出来ました!!」


胡桃「思ったより、まともに受け答え出来てるね…」





セーラ「見とるかぁ、浩子ーーー!! 俺はやったでーーーーー!!!」ブイッ キィィィーーーーン



塞「うわ、はっずーー///」


洋榎「でもええなぁ、ああやって叫べる相手がおるって…」

胡桃「……ほんとにねぇ」


哩「………」ニヤニヤ

胡桃「うわぁ、渾身の羨ましいだろって顔」グヌヌ

洋榎「ホンマ、殴りたいわーーー」



ちゃちゃのん(せーちゃん、とっても幸せそうじゃ。 ホンに良かったのぅ……)ホロリッ



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洋榎「しっかしあれやな… セーラがガッツリ削ったから、今日試合ない ゆーこんとこが総合3位か」

洋榎「ちょっくら、祝辞述べてくるわー」

漫「あ、私も!!」



胡桃「そーいえば… 姫松の他の人とは、あんまり会ったことってないなぁ」

塞「まあ、どこまで行っても友達の友達って感じだろうしねぇ…」

胡桃「友達の友達でも、頻繁に会えたら友達にもなるんだけどね」

哩「じゃ~ 今度のクリスマスに連れてきてもらうか?」



哩「結構大きな会場も取れたし、友人連れて皆で集まって交流を広げりゃええ」

胡桃「おお、まともな提案」

哩「人脈は広げておきたいばいね」



哩「佐々野のヤツに頼めば知り合いのアイドルの子とか、もしかしたら連れてきてくれるかもしれんぞ…」

胡桃「あるかもだけど、ちゃちゃちゃん そういうの苦手そうだよね」


塞「そういえば、ちゃちゃのんもどっか行っちゃったね……?」





ちゃちゃのん「憩ちゃん、4年連続の東西戦進出 おめでとなんじゃ―――」

憩「あ、いちごちゃん。 うん、おおきにな~~♪」




ちゃちゃのん「さっき、ヒロちゃんおった?」

憩「あはは… 2位おめでとやで、2位おめでとやでって、2位を連呼されてまいましたわーー」ハハッ

ちゃちゃのん「そりゃまた… ゴメンの、ヒロちゃん無神経じゃけぇ…」


憩「まー 本当のことやさかい、別にええんやけどねーー」





憩「にしても、今日のセーラさんはホンマ強かったな~~」

ちゃちゃのん「うん、役も高いし、何かいつもより聴牌スピードまで速かったんじゃ…」



憩「きっとアレが、セーラさんの持つ強さの一つなんでしょうねー」

ちゃちゃのん「せーちゃんも能力者ってことじゃろか?」



憩「アレはウチらが呼ぶ、能力とはまた別のモンやろなーー」

ちゃちゃのん「それって―――?」





憩「確固たる信念を持つ者には、大事なところで牌が応えてくれる――――」




憩「強靭な意志のチカラがツキを呼ぶこともある、そういう古くからある精神論に近いものかもしれませんねー」



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ちゃちゃのん「えと、それって能力とどう違うんじゃ?」


憩「ウチら能力者のチカラは場の流れや確率とか、ある限定的な事象に直接干渉する イビツなチカラや思います―――」



憩「対して、さっきセーラさんが見せたアレは―――」

憩「非能力者ゆえか、もっと自然的な…… 全体に対して働きかけるようなもん やったんやないやろか―――」




憩「患部を直接切ったりして治療する、外科的な西洋医学と―――」

憩「人の本来持つ自然治癒力により全体を治療する、調和型の東洋医学とでも言えば分かり易いんでしょうかねー?」


ちゃちゃのん「ほぇ~~ なるほどの~~~」




憩「そしてそういうんは、一度ハマるとそうそう崩せるもんやないですから とっても怖いんですよーーぅ」

ちゃちゃのん「憩ちゃんでも、怖いって思うくらいなんじゃね~~」



憩「ま~ ウチらの能力と違って、自由に発動出来たりするようなもんやないですけどねーー」

ちゃちゃのん「そうじゃのぅ… あまりそれに頼るわけにもイカンよね…」






憩「なんにせよ… これでセーラさんは、プロなり実業団なりに行けるでしょうねーー」


ちゃちゃのん「せーちゃん、卒業後も麻雀一本で行くゆーとったし 嬉しい限りじゃね♪」





憩「それで洋榎さんの方は、卒業後はどうするとか言うてましたか―――?」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん―――たぶん、今もプロを目指しちょるはずじゃけど……」


憩「そうですか――――」


ちゃちゃのん「――――?」




ちゃちゃのん「ヒロちゃんが、どうかしたんじゃろか?」


憩「これはウチの勝手な想像なんやけどーー」





憩「――――たぶん今の洋榎さんじゃ、プロは無理やと思いますよーーぅ」







ちゃちゃのん「ヒロちゃんじゃ、プロにゃぁ なれん―――?」ドキッ


憩「ま~ それがウチが彼女の周囲の人から、話を聞いてみての率直な感想ですよーーぅ」



憩「大学に進学してからの洋榎さん、麻雀部もヤメて友達との対局しかやっとらんのでしょう?」

ちゃちゃのん「そ、それはま~ そうじゃけど… それは今のうちに麻雀以外の人生経験も、たくさん積んでおこう思ってのことみたいじゃし…」


ちゃちゃのん「それに今でもヒロちゃん、哩ちゃんやせーちゃん相手でも 決して引けは取っちょらんよ―――」


憩「それは麻雀ヤメてリザベーションも抜きの哩さんと、公式戦でないセーラさん相手での話ですよねー」




憩「仮に今日のセーラさんとやって、いちごちゃんは今の洋榎さんが勝てたと思いますかーー?」


ちゃちゃのん「そ、それは… たぶん、無理じゃろうね……」グッ





憩「洋榎さん、あの人は高校時代―――あまりに負けなさすぎましたかね…」


ちゃちゃのん「確かに… ヒロちゃんは全国大会でも、常にプラスの成績を残しちょったけぇ…」


憩「それが防御を得意とする彼女の強みでもあり、自信の源にもなっとるんやと思います……」



憩「麻雀いう競技は同卓の4人で点数を競い合うもんやけど、そこに持ち点共有の団体戦いう要素も加わると―――」

憩「必ずしも不安定な一位上がりよりも、安定した2位のプラス収支の方が大事になるいうこともありますよねーー」

ちゃちゃのん「それは、ま~ そうじゃろうね…」




憩「一位上がりこそ出来んかったけど 今回も自分はプラスやし、負けたんは他の人がへこみ過ぎたせいやと―――」


憩「個人戦の時でも、彼女はそうやって納得してまうクセがあったんやないかなーー」


ちゃちゃのん「……確かに、そういうトコあるかもしれんのぅ」





憩「全国でも常にプラスの成績だった彼女のことを、一部の人たちは非能力者最強とか呼んどるようやけど―――」



憩「その自尊心やプライドゆえか… 彼女は知らず知らずのうちに―――」

憩「分の悪い能力者との対局を無難に流し、プラスで終えようとする傾向があります…」


憩「せやけど、プロの世界では誰もがトップクラス。 それら全てを無難に流すわけにはいきませんー」




憩「そもそも彼女本来の持ち味は、自由にして天衣無縫な 対局相手すらも惹きつけてまう楽しい麻雀―――」


憩「それが失われてしまっては、仮にプロになれたとしても―――今より上は目指せんやろなーー」

ちゃちゃのん「…………」




憩「もしかしたら大学で麻雀を続けんかったのも、今の自分のメッキを剥がされるのが 怖い思ったからかもしれませんよーぅ」クスッ

ちゃちゃのん「そ、そんな!? ヒロちゃんは、そんな弱い人じゃないんじゃ!!」



憩「ま~ そうなのかもしれへんけど。 ともかく彼女は、高校時代に自分の中で一つの完成形を作ってしまったんやろな」




憩「彼女はまだ完成するには早すぎる―――ウチはそんだけの才能と可能性が、あの人にはある思ってますよって―――」フフッ


ちゃちゃのん「憩ちゃん……」






憩「せやから… 今の彼女が更に進化するには、そのプライドを一度粉みじんに粉砕する必要があるんやないかなーー?」ニッコリ


ちゃちゃのん「そ、それは―――」




憩「ただ流石のウチでも、洋榎さんクラスの人を一人で完膚無きまでにヘコますんは ちょっと厳しい思いますんで―――」


憩「そのうち洋榎さん潰すのに最適な人たち見つけて遊びに行きますよって、楽しみにしとって下さいねーー♪」アハハ


ちゃちゃのん「あはは……(憩ちゃんの笑顔は、時々 怖いんじゃ……)」フルフル





麻雀部員「憩さ~ん、そろそろ集合の時間みたいですよ~~」


憩「あ、すぐ行きますよーーーぅ」






憩「あの人には――――セーラさんと一緒に、将来 非能力者の柱になって貰いたい思ってますからねーー」ボソッ




憩「それじゃ いちごちゃん、またなーー♪」バイバイ


ちゃちゃのん「あ、うん… またの―――」フリフリ








そして、あのクリスマスイブがやってきた―――




「むしろイブこそサークル単位のイベントはない」ゆーことで、結局 パーティーはイブの日になったらしい。


恋人とクリスマスの夜を過ごしたいっちゅう人への配慮からか、昼前に集合して夜の11時を解散時間にしたそうじゃ。





ワイワイ ガヤガヤ


フナQ「よっ、久しぶりやなぁ~♪」ウィィーー

ちゃちゃのん「あ、浩子ちゃん。 お久しぶりじゃね…」


フナQ「なんや自分、相変わらずジュースなんか飲んで ショボくれたツラしとんな~~」ヒック

ちゃちゃのん「浩子ちゃんは、随分と楽しく呑んどるみたいじゃのぅ…」


フナQ「そらそうやろ、イブやでイブ!! 恋人たちと、星の鼓動は愛やで!!」



フナQ「ちなみにウチは、戸田尚伸センセの惑星(ほし)をつぐ者派やねん♪ 」カカッ


フナQ「岸センセの恐竜大紀行と、てんぎゃんなんかもええな~~~」ウヒャヒャッ


ちゃちゃのん「ははは……」ナンノ ハナシジャロウ?






フナQ「て言うか、自分… この前のセーラからのウチへの愛の告白、ちゃんと聞いとったんやろな~~♪」エイドリアーーン!!


ちゃちゃのん「う、うん… とっても情熱的じゃったのぅ…」ハハッ




オーーイ ヒロコーーー ドコイッタンヤーーー?


フナQ「おっと、ダーリンからのお呼びが掛かったみたいや。 あの寂しがり屋さんが~~~」カッカッカ


ちゃちゃのん「あ、浩子ちゃん。 そんじゃ、またの…」フリフリ


ちゃちゃのん「…………」




浩子ちゃんの他にも たくさんの友達の友達が集まり、会場はちょっとした社交パーティーみたいじゃ。



きっとこん中から、未来のプロ雀士になる人もたくさん出ることじゃろぅ。





そしてこの日は、ちゃちゃのんたちにとって―――



決して 忘れることの出来ん、思い出深い日となったんじゃ――――



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ワイワイ ガヤガヤ


ちゃちゃのん「………美味しいんじゃ」ボソッ



哩ちゃんの手料理は暖かくて、とっても美味しかった。



きっと哩ちゃんは、素敵な料理人とお嫁さんになれるじゃろうね。



会場はとても盛り上がっとって、ベロベロに酔いつぶれて居眠りする人までいるようじゃ。



こういう会場の持つ熱気みたいなモンに当てられ、ちょっとのぼせそうになる。



ちゃちゃのん(外に出て、少し夜風にでも当たろうかの…)





ちゃちゃのん「ひゃ~~ 今夜はいつにも増して、冷え込むのぅ…」ハァ


ちゃちゃのん「ありゃ、息が真っ白じゃ。 もしかしたら、雪でも降り出すかもしれんね…」



冬空の下の寒気が 上気した肌から熱を奪っていくのが感じられ、ええ気持ちじゃった。





ちゃちゃのん(…………)


ちゃちゃのん(何となく… あの場所に自分の居場所など、ないような気がしてしまう…)


ちゃちゃのん(ヒロちゃんたちと再会する以前によぅ感じとったこんな気持ちに、ちゃちゃのん 何で今更なっとるんじゃろぅ…?)




ちゃちゃのん「―――大阪の夜空は、やっぱり鹿老渡ほどロマンチックではないのぅ…」



そうやって暫くボンヤリしちょったら、視界の端によく知る二人がうつり込む。





あれは、ヒロちゃんと胡桃ちゃん。



いつになく真剣で、とても照れた様子のヒロちゃん。



前を歩くヒロちゃんと、静かにそれについていく 緊張した面持ちの胡桃ちゃん。




方向からして、二人は公園の方へと向かったみたいじゃ――――







ちゃちゃのん「ああ、今日が… そうなんじゃね―――」



何故じゃかそれを見ただけで、すんなりと納得出来てしまった。





ヒロちゃんと胡桃ちゃん。


最近も二人は、一緒にいることが多かったようじゃが…


まだ周囲からは、二人が正式に付き合い始めたゆー話は聞かされとらんかった。




もしかしたら、二人は既に―――とも思ったんじゃが…


塞ちゃんと哩ちゃんが、そのことに気付かんとも思えんし


何よりそうなった時に、ヒロちゃんたちが そのことをみんなに隠しておくとは思えんかった。


少なくとも、ちゃちゃのんたちの仲はそれくらいの信頼関係で成りたっとったはずじゃ。





ちゃちゃのん「これも… ちゃちゃのんの勝手な、希望的観測ゆーヤツなんじゃろか…」



そんな自嘲めいたことを思ってみたりもしたが、それはみんなに失礼じゃなと自己嫌悪する。






それに何となく、そうじゃないかと思っとったんじゃ。



だって、ちゃちゃのん―――今日一日、ずっとヒロちゃんのこと見とったけぇ……







今日は朝から、ヒロちゃんの様子がいつもと違って感じられた。



いつもこういう席では進んでお酒を口にするヒロちゃんが、今日はずっとソフトドリンクを飲んどった。


いつも通りハイテンションに振舞っとったけぇ、傍目で見ればそうと気付かんかもしれん。


ましてヒロちゃんは飲んでもあまり赤くならんけぇ、親しい者ほどいつも通り飲んどるって勘違いしてしまう。



それにカクテルかチューハイじゃ言わんばかりに、必要もないマドラーをソフトドリンク入ったコップにさしとった。


それでちゃちゃのんにも、何となく察しがついたんじゃ。




今日がヒロちゃんにとって、何か特別な日になるんじゃなって――――









――――恋人の魔法は… もぅ解けてしもぅたみたいじゃね…




ちゃちゃのん「ふふ、馬鹿じゃよね。 もぅあん時に、この気持ちも全部ウソにしたはずなのに…」



ちゃちゃのん「何でちゃちゃのん… 今でもヒロちゃんのこと、自然と目で追ったりしとるんじゃろぅ…」



ちゃちゃのん「はぁ… 未練がましいったらないんじゃ――――」







12月14日のちゃちゃのんの誕生日―――



今年はこのイブのパーティーもあったけぇ、特にみんなで何かしようゆー話もなかった。



去年の誕生日の夜は、ヒロちゃんにお祝いしてもらったんじゃったな。



たった一年前のことなのに、何だか随分と昔のことみたいに感じられるんじゃ。






あの頃は…



まだ何も考えずに仲良しの親友として、ヒロちゃんと接することが出来とった。



プレゼント品評会やったり、一緒にストロベリーミルクゆーカクテル飲んだり、一緒のお布団で寝たりもしたのぅ。



思い出すと恥ずかしさのあまり転げまわりたくなるような出来事も、今ではええ思い出じゃ。





ヒロちゃんたち、みんなと出会ってからの大学生活は―――ホンに楽しいことばかりじゃった。







ゴールデンウィークに、みんなと出かけた大阪観光。



ヒロちゃんと親友になれた、にゃんカフェバイトの夜。



初めてヒロちゃんちに行った七夕の夜に見た、大阪の星空。



ヒロちゃんと初めて二人でした、あの日のお買い物。



大晦日、みんなと一緒にお伊勢参りなんかもしたのぅ。



映画撮影やったり、ゲリラライブしたり、ドキドキがいっぱいじゃった。




あん時は きっとちゃちゃのんも、あのキラキラしたモンの中にいたんじゃよね。



何だか、ホンに随分と昔のことみたいに感じられるんじゃ――――







――正直 ウチはアンタの恋路とか、そういうのどうでもええねん



――ただ、何もせず… 何の答えも出さずに不戦敗とか、そういうのイっちゃんイヤやねん



――せやから、もし好きなヤツがおるんなら



――自分みたいのは無様な突撃かまして、盛大に玉砕でもしてまえばええねん……





ちゃちゃのん「アレ、なんでじゃろ……?」



不意に、いつの日だったか―――



浩子ちゃんに言われた言葉を思い出す。





ちゃちゃのんは―――



その答えゆーモンを―――ちゃんと出すことが出来たんじゃろか……?







――そんでヒロちゃん、この前の胡桃ちゃんとの誕生日デートは楽しかったん?


――ん、まぁ… そうやな、オモロかったで~~



――そうそう、この前ちゃちゃと行った雑貨屋。 いいんちょに教えたったら、気に入ったみたいやで!!





――何だか、ヒロちゃんデート慣れしちょるの…


――まぁ、いいんちょとは何度か来とるし……





――ほな、手、つないどこか~


――こ、コドモ扱いしないでってばっ!!


――ウチら、こうやって手ぇ繋いでたら 恋人に見えたりするんやろか?





ちゃちゃのん「出せたとか、出せないじゃない―――」



ちゃちゃのん「答えなんて、もぅ 最初から出とったじゃろ――――」ギュッ






それにちゃちゃのんは―――



何もヒロちゃんを、自分のモノにしよう思ったわけじゃないんじゃ――――





――ちゃちゃのんは… 胡桃ちゃんのエスコート役は、てっきり塞ちゃんじゃと…



――就職のこととか 考えてなかったわけじゃないけど、大学卒業したら 一度あっちに帰ろっかなぁ……



――胡桃は―――あの子は卒業した後のこと、どう考えてんだろ……



――胡桃といるとさ、何か 明日も頑張ろーーって気にさせてくれるっていうの?



――でも、胡桃に恋人とか出来たら―――きっと、そういう時間もなくなるんだろうね…



――いくら姉妹みたいなもんでも、いつかはそういう日が来るって 分かってるからさ……



――その時は、ちゃんとお祝いするよ――――





そういえば、今日の塞ちゃんからは香水の香りがした。



普段 そういうのすることのない彼女じゃけぇ、少し気になっとった。






塞ちゃんにとっての胡桃ちゃん。



二人が親友として、姉妹として過ごしてきた時間。





塞ちゃんは―――



きっと胡桃ちゃんのことを―――




一人の女性として、愛しちょるんじゃと思う――――







塞ちゃんは今日、胡桃ちゃんに その想いを伝えるつもりだったんじゃろか―――?




それとも 今の二人の関係を壊さないため、このまま何もせんつもりなんじゃろか―――?







ちゃちゃのんは―――




ただ大切なモノ、守りたかったんじゃ―――




みんなと過ごした、あのキラキラとした時間を壊さないため―――








だからあの日、ウソをついた―――




みんなとの幸せな時間、失いたくなかったけぇ――――












「――――――ちゃちゃ」





その時、不意に私が耳にしたもの――――それは大好きだった、貴方の声。








ちゃちゃのん「――――ひ、ヒロちゃん………?」



初めは幻聴かとも思ったけど、確かに貴女はそこにいた。




洋榎「なんや自分、顔 真っ青やで!! それにメッチャ身体 冷えきっとるやないか!?」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか……」




顔が真っ青―――?



身体が冷えきっちょる―――?



そう言われるまで、全く気が付きもしなかったんじゃ……





洋榎「すぐ何か買ってくるから、とりあえずウチのコートでも羽織って待っとけな」ファサッ


ちゃちゃのん「あ、うん……」




何でこの人はこんなトコにおって、私のことを心配してくれとるんじゃろう……?





タッタッタッタッ


洋榎「ほれ、あつあつの缶ジュースやで。 身体暖まるから、これでも飲んどき」ホイッ


ちゃちゃのん「あ、ありがと……」



カシュ カシュ…


洋榎「何や、指かじかんで開けられんのか? 相変わらず、すっとろいやっちゃな~~」カカッ


ちゃちゃのん「あぅ、そんなことは、ないんじゃ…///」



洋榎「ホレ、ウチが開けたるから ちょい寄越し」ヒョイ プシュッ


洋榎「ほいっ」


ちゃちゃのん「ん……」



コクコクッ

ちゃちゃのん「ふぁ… ぬくぬくじゃ…」


ちゃちゃのん「でも、おしるこて… ちょっと飲みにくいんじゃ…」


洋榎「ホットのいちごオレ、見つからんかったんや。 味覚がお子様の自分には、缶コーヒーは早いやろうしな♪」カッカッカ


ちゃちゃのん「むぅ… ミルクたっぷりなら、平気じゃもん!!」




最近、あまり二人きりで話してなかったけぇ―――



こういうヒロちゃんとの軽口が、何だかとても懐かしいものに感じられた。





洋榎「だいぶ落ち着いたみたいやな」


ちゃちゃのん「あ、このコート… ヒロちゃんだって、それじゃ寒いじゃろ…」


洋榎「え~て、え~て、もぅ少し貸しといたるわ」





洋榎「最近… こうやってサシで話す機会も、なかった気がするな…」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃったかの…」



洋榎「……ゼミと仕事、相変わらず忙しいんか?」


ちゃちゃのん「う、うん……」コクリ






それは―――半分は本当で、半分はウソ。



ちゃちゃのん、ヒロちゃんのことを ずっと避けとった。




会えない時間はツラかったけど、会えばもっとツラくなると思ったけぇ――――






洋榎「………」


ちゃちゃのん「………」


洋榎「………」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん……」


洋榎「ん………?」




ちゃちゃのん「……どうして、こんなところにおるん?」


洋榎「どうしてて、そりゃ―――」



洋榎「自分が会場のどこ探しても おらんかったから―――」





ちゃちゃのん「―――さっき、胡桃ちゃんと公園の方に行ったじゃろ…」


洋榎「あちゃ… アレ、見られとったんか…///」



洋榎「ちょっといいんちょと、大事な話しとってな……」






胡桃ちゃんと、大事な話―――



分かってはいても、ヒロちゃんの口から聞かされると やっぱりツラいのぅ―――





ちゃちゃのん「そ、そんなら―――」



ちゃちゃのん「いつまでもこんなトコにおらんで、早く戻らにゃぁ イカンじゃろ……」


洋榎「……………」





洋榎「今は、戻れん―――」


ちゃちゃのん「…………?」






そう言った、貴女は―――




何かを決意したような真剣な面持ちで、とつとつと言葉を紡ぎ始めた――――







洋榎「あのな、最初は別に… そんなんやなかったんやで…」


洋榎「ただの昔の知り合い。 その程度や思っとった…」



洋榎「せやけど…」


洋榎「久しぶりに会って話してみたら、すっごく楽しくて… 何や、気持ち浮かれてまってなぁ……」




洋榎「だから、ついつい 一緒に居るようになって…」


洋榎「出来ることなら、もっとずっと一緒にいたいって―――」


洋榎「そう思って、ウチの方から結構 声かけたりもしたんやで……」


ちゃちゃのん「…………」




洋榎「……初めは、コレもきっと友情の一種なんやろなって―――」


洋榎「そう思っとったんや……」





洋榎「セーラとフナQのヤツが… 前に一度、本気で別れそうになったことがあるんやけど―――」


ちゃちゃのん「…………」




それは以前に浩子ちゃんから聞いた、二人の話じゃった……







洋榎「遠距離恋愛いうことで、きっとお互いに不安とかいっぱいあったんやろ~な」


洋榎「そん時、ウチもセーラからいろんな話を聞いとってなぁ―――」




洋榎「そんで―――自覚した」



洋榎「ああ、それじゃあ ウチのこの気持ちも、恋なのかもしれん―――って」




何でそんなことを、ちゃちゃのんに話すんじゃ――――






洋榎「あ~~ その、なんや…」


洋榎「初めて会った時は… なんやイケ好かんヤツやな~~くらいに思っとったんやで」ポリポリ


洋榎「別に運命とか、そんなん感じたわけでもないしな…」



洋榎「でも大学で再会した時にな、何や不思議とビビビッときたっちゅうか なんちゅうか―――」


洋榎「よぅ分からんのやけど、とにかく胸が高鳴ったんや!!」



洋榎「一緒におると、めっちゃ楽しくて……」


洋榎「―――て、コレはさっき話したか…?////」タハハ


ちゃちゃのん「…………」





洋榎「べ、別に見た目が好みとかってわけやないんやで!!」


洋榎「何やチビやし、ガキくさいヤツやし……」


洋榎「大体、ウチ… 最近まで、自分はノーマルやって思っとたし―――///」





洋榎「―――でも、そういうの全部 吹っ飛んで関係なくなってまうくらい……」




洋榎「真剣に、惚れてまったんやろな――――」




違うじゃろ……







洋榎「だから、ウチな……」




ちゃちゃのん「違うじゃろ―――」




洋榎「ちゃちゃ―――?」






ちゃちゃのん「それを言う相手は… ちゃちゃのんじゃのぅて、胡桃ちゃんじゃろ…」




ちゃちゃのん「なんで、ちゃちゃのんに――――そんな話を、わざわざ聞かせるんじゃよぉ……」



洋榎「な―――!?」





洋榎「なんでそこで、いいんちょが出るんや!!」




ちゃちゃのん「そんなん、ヒロちゃんが―――」グッ




ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのことを、好きだからに決まっとるじゃろ!!」




洋榎「ち、違う――――」








洋榎「ウチは――――ウチはちゃちゃのことが、好きやねん!!」





ちゃちゃのん「―――――!?」








イッキに頭の中が真っ白になるのが分かった―――





目の前にいる貴女が何を言っているのか、理解が追いつかなかった――――








洋榎「いいんちょには、そのことで相談にのってもらっただけなんや!!」




でも、それじゃ…



胡桃ちゃんの貴方への想いは、いったいどうなってしまうんじゃ―――





ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、きっとヒロちゃんのこと――――」





洋榎「――――いいんちょは、ウチの大切な親友や」





とてもツラそうでいて―――




それでも迷いはないという決意の表情で、貴方はそう言った――――








洋榎「―――ホンマに、ちゃちゃのことが好きやねん」







洋榎「頼む――――ウチと、付き合って下さい…………」









決して聞くことなどない思っとった、大好きな貴方からのその言葉。




決して触れ合うことなどないはずだった貴方の心が、手を伸ばせば届くところにある。




そのことが ただただ嬉しくて、胸は激しく高鳴り、両の頬は紅潮し、瞳からはポロポロと涙が溢れ出た。





でも胡桃ちゃんの、胡桃ちゃんの貴方への一途な想いは どうなるんじゃ―――







あの日、あの時ついた、私のウソ―――




私は、貴方への想いよりも――――みんなとの変わらない関係を、あの時に選んだんじゃ。





私は、貴方のこと―――




もぅ既に一度、諦めてしまったんじゃ――――







小さい頃の私は―――



告白を受けるたび、どう答えればええか分からず…



ただ涙を流して、時が過ぎ去るのを待つような子じゃった。



そんなことをしても、その事実が消えるわけでもなく―――何の解決にもならんゆーのに。






ちゃちゃのん「うっ、うぅぅぅ…………っ」ポロポロ



洋榎「ちゃ、ちゃちゃ―――」




とても嬉しいはずなのに、凄く悲しくて、呼吸も満足には出来ない程に、胸が痛くて張り裂けそうで…




とめどなく溢れ出る私の涙に、とても戸惑う貴方。





貴方のこと、困らせたいわけじゃないのに―――




この涙は、ちっとも止まってはくれなくて――――







――胡桃は―――あの子は卒業した後のこと、どう考えてんだろ……




――胡桃といるとさ、何か 明日も頑張ろーーって気にさせてくれるっていうの?




――でも、胡桃に恋人とか出来たら―――きっと、そういう時間もなくなるんだろうね…




――その時は、ちゃんとお祝いするよ――――





不意に、混乱する思考に割って入ってきた ある一つのイメージ。







その次に、ちゃちゃのんがしたことは―――






大好きな貴方の気持ちに、ただ静かに頷くことじゃった―――――










ちゃちゃのんからの返事を貰えた貴女は―――




子供みたいな笑顔ではしゃぎ、そしてちょっぴり涙ぐんどった。




決意を持って気丈に振舞っとった貴方も、本当はとっても不安で不安で仕方なかったんじゃろうね。




大好きな貴方のその笑顔を守ることが出来て、ちゃちゃのんもとっても嬉しいんじゃ。







嬉しいはずなんじゃが……




何じゃろう、この虚ろな気持ちは―――




これがちゃちゃのんが憧れとった、幸せなんじゃろうか――――







結局、風邪をひいたかもしれんゆーことで



その日 ちゃちゃのんは会場には戻らず、そのまま帰宅した。



送ってくれるという、貴方からの申し出もあったが 遠慮した――――







サクサクサク…


ちゃちゃのん「雪じゃ……」




一人放心するよう、ゆっくりと電車に乗り―――



最寄りの駅に着いた頃にゃぁ、雪が降り出し 積もり始めちょった。





大好きな貴方からの告白を受け、付き合い始めることとなった思い出の聖夜。




ちゃちゃのん「ホワイトクリスマス……」





一人で眺める、電飾に彩られた聖夜の雪化粧が―――




ちゃちゃのんの心を、より寒く冷やしていく気がした――――







【いちご日記】




12月24日(ゆき)









いちごは、サイテーじゃ……




















いちご「の~ ばっちゃ…」


いちご「なして、まあじゃんは せっかく出会った大事なハイたちを、捨てにゃぁ いかんのじゃろ…」



いちご「ちゃちゃのんは、どの子とも お別れなんかしたくないんじゃ…」


いちご「ちゃちゃのんは… いつもみんなと一緒の方が、うれしいんじゃ……」



老婆「そうじゃのぅ… 確かに いつまでも、みんなで一緒にいられたらえ~の~~」ナデナデ






いちご「―――おとうさんは、いつ 戻ってくるんじゃろ…?」


老婆「…………」




老婆「ちゃちゃのん、何にでも別れっちゅうものは あるもんじゃ…」



老婆「―――そう遠くない未来… いつか婆っちゃも、ちゃちゃのんの前からいなくなるんじゃよ…」


いちご「ばっちゃが、いなくなっちゃうの……?」




老婆「そうじゃ―――それはどうしようもない、決まりごとなんじゃ…」



いちご「そんなん、イヤじゃょ~~~~」ポロポロ




いちご「ちゃちゃのんと、ずっと一緒にいてくれんとイヤなんじゃよ~~~」フエェーーーーーーーン







いちご「ふぇぇ~~~~ん、えん、えん……」


老婆「お~~ よしよし。 ホンに、ちゃちゃのんは泣き虫さんじゃの~~~」ナデナデ





老婆「ええか… 生きるっちゅうんは、そういうことなんじゃよ…」



老婆「ツラくて悲しい、受け入れられんような別れもあるじゃろぅ。 それは避けられんのかもしれん―――」



老婆「そんでも、それに負けずに生きてりゃ―――ドキドキと心の踊るような、嬉しい出会いだって きっとあるはずじゃて…」





老婆「いっぱい悩みゃ~~ええ、ツラい時ゃ いっぱい泣きゃ~~ええじゃろ」



老婆「そんでも全てを投げ出して、全部を無かったことにするんは駄目じゃ…」



老婆「それは、やっちゃいけねぇ―――」






老婆「それによ、サヨナラした牌たちとだって…」



老婆「ゲームを降りなきゃ、またいつかコンニチワも出来るじゃろ…」



老婆「だからよ、それでええんじゃ――――」ギュッ













【咲-Saki- SS】 ちゃちゃのん・大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第三章 オレンジワルツ









カンッ!






【幕間】




~ 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』 短縮 特別版 ~





塞「えっと、皆さん こんばんは…」ガチガチ

胡桃「…………」



塞「ちゃちゃのんが体調不良ってことで、今回は短縮 特別版らしいんだけど―――」

塞「ちゃちゃのんったらクリスマスに身体冷やしたか、お正月にお餅食べ過ぎたかしたのかな…」ハハ…



塞「ま、ま~ その代理として、今回 何故か私たち二人が急遽 呼び出しくらっちゃいました…」

塞「正直、何を話せば良いのかとか全然分からないんだけど、とりあえず宜しくお願いします」ペコッ


塞「え、私の名前? あ、はい… 臼沢 塞です。 ほら、胡桃もご挨拶を―――」


胡桃「鹿倉… 胡桃です……」ボソッ




塞「物語の佳境だった三章も何とか終了ということで、次はいよいよ終章ですね」


塞「この話の原作でもある『胡桃と洋榎の大学SS』を、既に読まれたことある方なら分かると思うんですけど―――」

塞「実はこの三章のクリスマスで、原作エピソードは ほぼ終了しちゃってるのよね」



塞「―――というわけで、終章は ほぼここの筆者が勝手に考えた『俺の考えた超人』的な、オリジナル展開になっちゃってます」

塞「出来る限りすばらな原作の雰囲気を壊さないよう努力してるつもりですけど、如何せん実力不足で拙い部分なんかも多々あるんじゃないかな…」



塞「ぶっちゃけ、『この先の話なんて蛇足なんじゃないの――?』とか思う部分もあるわけですけど…」

塞「ちゃちゃのんの物語としてここで終わらせるのは、やっぱりちょっと違うかな~~とか考えたそうです」


塞「ま~そんな感じで、最後まで楽しんで貰えたら 嬉しいかな~~と思ってます」ハハ…





塞「物語も終盤ということで、段々と欝展開が増えてきてるのは申しわけないトコでしょうか…」


塞「ちゃちゃのんを始めとする咲キャラを、もっと好きになって欲しいと思って書いてるのに―――」

塞「むしろこれ読んでちゃちゃのんのことキライになる人とかいそうで、そのへんちょっと不安だったり…」



塞「それと話の内容的に胡桃ファンの方にはツラい展開になってしまって、本当に申しわけないです」ペコリ

塞「筆者も胡桃のこと好きみたいなんだけど… これに関しては、ま~ デリケートなトコだと思うしね…」

胡桃「塞、そーゆーのいいから―――」


塞「あ、うん。 ゴメンね、胡桃……」





塞「なお終章では、ちゃちゃのん以外のキャラへの視点変更が数回入ります(これ重要!!)」




塞「構成力ないここの素人筆者が視点変更とか安易に使うと、読み手の人の混乱にも繋がると思いまして―――」

塞「これまで極力やらない方向で 進めてきたんですけど、話の展開的にどうしても必要だと思って そういう形式にしたみたい」


塞「後はこれまでずっとちゃちゃのん目線だったのを切り替えることで、他のキャラから見た『ちゃちゃのん』も描きたかったのかもね」






塞「ジャン=ピエール・ポルナレフではない方の ジャン=ポール・サルトルさんは、『地獄とは他人である』と言ったけど…」

塞「他者の視線に晒されることで、人は一つの存在として凝固し、対自から即自存在として確定されるってトコかしら」

胡桃「塞。 話が堅いし、何を言ってるのか 分からないんだけど…」

塞「あぁ、うん。 筆者もよく分かってないから大丈夫…」


塞「要するに一人のキャラを多面的に描きたいなら本人視点の他に、第三者目線っていうのも必要かもねってことで良いんじゃない?」




塞「とりあえず終章では視点変更入るから、気をつけてねってことかな(大事なことなので、二回言ってみました)」





塞「それじゃぁ、今回は短いですけどお喋りはこのくらいにして―――」


塞「この後にてきとうなあらすじとか、どうでも良い登場人物紹介があって、それからぼちぼち本編再開みたいですよ」


塞「本編の方。 だらだらと無駄に長くなっちゃってますけど、ちょっとでも楽しんで貰えたら嬉しいかな♪」



胡桃「―――終章、私たちの出番あるのかな?」

塞「う~~ん、どうだろうね…」




塞「それでは、さようなら~~」フリフリ

胡桃「バイバイ……」フリフリ






カンッ!



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【~ショート ショート~】芋けんぴ、白馬の王子さまは動かない



洋榎「清老頭や。32000──思ったより痛いんちゃうか?」


ちゃちゃのん「そんなん考慮しとらんよ……」 ポロポロ





【鹿老渡高校 宿泊ホテル】


チュンチュンチュンチュン


ちゃちゃのん「…………」パチッ


ちゃちゃのん「―――チュンチュンが、チュンチュン鳴いちょる…」


ちゃちゃのん「最悪の寝覚めじゃ…」


ちゃちゃのん「もう何日もたつのに、未だに立ち直れん……」ゴソゴソ




ちゃちゃのん「ありゃ、ちゃちゃのんの 芋けんぴがないんじゃ―――」


陽気な妹ちゃん「あはは、あの芋けんぴ ちゃちゃのんのだったんじゃな!?」


陽気な妹ちゃん「ゴメンの~~ ボクが全部 食べちゃったんじゃ~~」テヘペロッ


しっかりものの妹ちゃん「もぅ、ホンに意地汚いんじゃから―――」


ちゃちゃのん「あぁ、別にええんじゃ… ちゃちゃのん、そういう気分でもなかったけぇ……」




『今日の占い、カウントダウーン!!』


『今日もっとも良い運勢は―――』



陽気な妹ちゃん「あっ、ボク『おはスタ』の方がええんじゃ♪」エイッ ポチッ

しっかりものの妹ちゃん「お子さまじゃのぅ~~」


陽気な妹ちゃん「そんなことないんじゃ、『コトリサンバ』もやっちょるよ♪」



ちゃちゃのん「はぁ、憂鬱な朝じゃのぅ…」フゥ






芋けんぴ、白馬の王子さまは動かない

カンッ!



白望「芋けんぴ、髪に付いてたよ」
白望「芋けんぴ、髪に付いてたよ」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348575833/)


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【― これまでのあらすじ ―】



高校卒業後、大阪の大学へと進学した佐々野 いちご(ちゃちゃのん)


ちゃちゃのんは大学二回生の春に、かつてインハイで破れた相手でもある愛宕 洋榎と再会する。


成り行きのままに、愛宕 洋榎、鹿倉 胡桃、臼沢 塞、江口 セーラらと一緒のサークル(?)に入ったちゃちゃのん。


サークルメンバーのたまり場となっている喫茶店でバイトをする浪人生の白水 哩、元姫松高校の絹恵や漫たちとも知り合う。


そして大学三回生になったちゃちゃのんは、自らの中にある愛宕洋榎への恋心に気がつき―――


そして、彼女たちの運命の輪が廻り始める。



みたいな話です…





【先人たちの、ありがた~い教え】


1、ぱんつは盗むな履かせるな

2、アカギには関わるな

3、ラスボスには触れるな

4、主人公を安易に殺すな

5、むやみにコンマを願うな





【― 登場人物紹介 ―】


※この登場人物紹介はこの作品内に於ける、各キャラクターたちの紹介文です。

原作 咲-Saki- のモノとは著しく異なりますのでご注意下さい。





◇ 佐々野 いちご(ささの いちご)(ちゃちゃのん)…12月14日生まれ。身長148cm(高校当時)



原作では、ほぼモブ的な扱いの本作主人公。 広島弁。

広島県 鹿老渡高校出身で、現在は洋榎たちと同じ 大阪の大学に通っている。

見た目は咲-Saki-キャラ屈指の可愛さを誇り(アニヲタWiki(仮)より抜粋)、当然 異性からは相当モテる。

高校時代からアイドル的人気のある美少女だったが、男の人はちょっと苦手らしい。

家庭の事情により家族とは疎遠になりがちなようだが、家族のことを大切には思ってる。 鹿老渡の婆っちゃ大好き。

大学進学後は大阪の事務所に入り、本格的にアイドル活動を始めるが…



性格は気弱で臆病なのんびり屋。 その場の状況に流されやすく、プレッシャーにも弱い。

日頃から用意周到をモットーとしているが、傍から見れば結構考慮出来てない。

とっても良い子。 努力家で勉強はそこそこ出来るが、ちょっと天然気味なアホの子 その1。

人見知りする方だが、仲良くなると途端にベタベタしだす、甘えん坊タイプ。

好きになった相手には、とことん尽くす性格。 駄目な人に引っかからないか心配。

綺麗なものや可愛いものが大好きで、怖いものや争いごとはとても苦手。

キャラクター生態系的には、ほぼ底辺にいるスライムのような存在。 あまり苛め過ぎないであげてね。


「底辺で這いずる者を見ておくのも、たまには…ね?」




尚、ちゃちゃのんの性格は原作 咲-Saki-というより、『胡桃・洋榎の大学SS』他、OSaKadAteQさんのちゃちゃのんをベースに

残りの味付け部分として、これ迄に松来未祐さんが演じられてきたキャラクターの要素を足した感じになってます。

やきうスレの方のちゃちゃのんは、洋榎をキングボンビーと呼んだり洋榎をライバル視してるトコもありますが、

こちらのちゃちゃのんは大学SS寄りなので、そういう要素はあまりありません。

勝てないと分かりつつも洋榎に置いていかれたくない一心で、必死に頑張るちゃちゃのんもいじらしくて凄く好きなんですけどね。

佐々木じゃのうて、ちゃちゃのんの名前は佐々野じゃ!!


主な呼ばれ方……佐々木、佐々野、いちご、ちゃちゃのん、ちゃちゃ、ちゃちゃちゃん、のんちゃん、赤ずきんちゃちゃのん





◇ 愛宕 洋榎(あたご ひろえ)7月18日生まれ。身長155cm(高校当時)



愛宕ネキ。 西の天才セサリスト。 後ひっかけの洋榎。 大阪弁。

大阪府 姫松高校出身で、基本的に頭はキレるが勉強は出来ないアホの子 その2。

現在はちゃちゃのんと同じ大阪の大学に通っており、サークルの発案者でリーダー格。


元々は麻雀特待生として大学入学したのだが、ノリが合わなかったという理由で麻雀部からはドロップアウト。

二回生の時に、ちゃちゃのん達の所属する非公式サークルをセーラや胡桃らとともに作る。

とりあえず集まって楽しいことしようが趣旨のごらく部で、特に明確な活動目的とかはない。



性格は楽しいこと大好きなお祭り娘で、誰とでもすぐ仲良くなれるタイプ。 悪く言うと厚かましい。

自由奔放で自信家のムードメーカー+トラブルメーカーだが、恋愛方面に関しては案外ヘタレなところもある。


対局中も口数が多く、トラッシュ・トークも多いため、対局者に注意されることも。

オカルト能力こそ使わないが、非常に優れた読みとカンを合わせ持ち 純粋に麻雀が強い。

楽しい麻雀が大好き。 つまらない相手はデク。 本来は防御を得意とし、ネットとかだと非能力者最強とか言われることもある。


「精神的プレッシャーは感じない、ただ強いだけだ」




妹はサッカー推薦で大阪の別大学に進学した愛宕 絹恵。

母親は元プロ雀士であり、千里山女子の監督をする愛宕 雅枝。

従姉妹には船久保 浩子がいる。 呪われた愛宕の一族である。



主な呼ばれ方……洋榎、ヒロちゃん、お姉ちゃん、ヘタレ、愛宕姉妹の残念な方、カニ道楽、ヤシガニ


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◇ 鹿倉 胡桃(かくら くるみ) 9月15日生まれ。身長130cm(高校当時)



岩手県 宮守高校出身。 表情の変化の少ないちびっこ。 ツッコミ役。

ちっちゃいけど結構気が強い委員長タイプで、わりと毒舌(ちっちゃくないよ!! )

マナーにも厳しく、対局時のトラッシュトークや無駄口の多い洋榎はよく叱られる。


「清澄には通用したみたいやけど一緒にしてもろたら困る、格が違うわ」

「そーゆーのいーから点数申告!」

「あ…… 5200です…」



麻雀の特徴として、火力は低いが守備が非常に堅い。

対局時はリーチをせず常にダマテンというスタイルで、テンパイ察知が困難。

一部では遠野物語に因んでカクラサマと呼ばれているが、それがオカルト能力なのかどうかは不明。



この作品の原作『胡桃・洋榎の大学SS』に於ける主人公。

大学で再会した洋榎に対して、友達以上の特別な感情を持っているようだが…

筆者も好きなキャラなんだけど、どうしても損な役回りになっちゃう可哀想な子。

大学一回生の時に同大学の洋榎と再会し、成り行きでサークルメンバーになることに。

浪人生だった漫の家庭教師の先生をしていた経緯から、漫からはセンセーとして慕われている。



主な呼ばれ方……胡桃、胡桃ちゃん、いいんちょ、センセー、座敷わらし、河童、ビリケンさん


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◇ 臼沢 塞(うすざわ さえ) 2月15日生まれ。身長154cm(高校当時)



岩手県 宮守高校出身。 赤髪お団子ヘアーと前髪パッツンが特徴的な女の子。 ツッコミ役。

作中屈指の常識人。 恩師に貰ったモノクル(スカウター)を愛用する知的文学少女。 でも理系の現実主義者。

同じ宮守高校だった胡桃と白望(シロ)とは昔からの友人で、姉妹のような関係(スール的でない方の)

ゼミ多忙な今でも週に一度は胡桃の家に泊まって、のんびりまったり過ごすのが彼女の習慣。

とても報われない恋してます(愛するがゆえに、見守る愛もあるんだよ…)



能力は見つめた相手の能力や役の進行を塞ぐ、防塞の力。

ただし、この能力は精神力と体力を激しく消耗するため、対局中ずっと使えるわけではない模様。

能力発動時に自らを塞の神さまとして振舞ったりと、ちょっと中二なトコもある。


「さァ かかってくるがいいよ…」

「悪石の巫女…!!」



親友である胡桃の紹介で洋榎たちと知り合い、成り行きでサークルメンバーになることに。

哩の働く喫茶店の常連で、メンバーが店にたむろするようになったのは塞の紹介がきっかけ。

メンバーの中ではちょっと距離を置き、保護者的な大人ぶった態度で自分の本音を隠す傾向がある。



主な呼ばれ方……臼沢、塞、塞ちゃん、ザワ、怪盗キッド、おばーちゃん、お団子、木星帰り、ハモンさん、


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◇ 江口 セーラ(えぐち セーラ) 4月22日生まれ。身長160cm(高校当時)



大阪府 千里山女子高校出身で、バスの発着を教えてくれるナイスガイヤデー

ショートカットのツンツン髪に学ラン羽織った出で立ちと男性的な格好を好み、スカートは苦手。

俺っ子だが、意外とお持ちのようだ(俺は男だ!!)

高い身体能力を持つ体力バカで、非常にアクティブ。 ここぞという場面で力を発揮する主人公タイプ。


細かいことに拘らないさっぱりとした男前な性格で、度量の方も大きい。

とても仲間思いで、自身の勝利よりもチームの勝利を最優先に考えている。



闘牌スタイルは基本的に高火力偏重型で、リーチを多用し大きく稼ぐのが得意。

ツモ上がりが多く、ここぞという場面での豪運火力っぷりにはワシズ様も目を見張るかもしれない。


「3900(ザンク)を3回和了るより、12000を和了る方が好きやねん」



同年代で同じ大阪出身の洋榎とは、以前からライバルであり親友の間柄。

洋榎と同じく麻雀特待生として大学入学。 麻雀部の活動の傍ら、洋榎たちのサークルにも顔を出している。

高校卒業時にフナQこと船久保浩子と付き合い始め、現在は遠距離恋愛中。



主な呼ばれ方……セーラ、せーちゃん、江口先輩、セーラー刑事(デカ)


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◇ シローズ鶴姫 ◇


◇ 白水 哩(しろうず まいる) 4月16日生まれ。身長159cm(高校当時)[図:左]


福岡県 新道寺女子高校出身。 常に表情を崩さない凛とした雰囲気が印象的な出来る女?

洋榎たち行きつけの喫茶店でバイトをしており、今では大阪弁が混じるくらい大阪に馴染んでいる。

とある研究の為 後輩の姫子と西の最高学府を目指していたが、二浪生活の末 先に合格した姫子に夢を託す。

現在は料理人と素敵なお嫁さんを新たな目標に、バイト生活に励む日々を送っている。


麻雀では、そこらの県代表エースとは格が違うと言われるほどの実力者。

哩が自らに飜数の縛りをかけ、その飜数以上で和了ると

姫子が同じ局で倍の飜数で和了れる『リザベーション』という能力を持つ。


尚、恋人である姫子とは同棲中。 もっぱら縛られる方が担当との噂だが…?




◇ 鶴田 姫子(つるた ひめこ) 3月26日生まれ。身長162cm(高校当時)[図:右]


福岡県 新道寺女子高校出身。 佐賀弁。

長い下睫毛が特徴的で、洋榎やセーラ等からはデビルマンレディやデビ子とか呼ばれてる。

高校卒業後は西の最高学府に一発合格を決め、入学を諦めた哩の分も とある研究を続けている。


縛られた哩にビビクンッとし、哩の成立させた『リザベーション』を開放するチカラを持つ。

現在は大阪にて哩と同棲中。 もっぱら縛る方に愉悦を感じるとか…?


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◇ 大阪 後輩組 ◇


◇ 愛宕 絹恵(あたご きぬえ) 1月20日生まれ。身長165cm(高校当時)[図:左]


大阪府 姫松高校出身。 ツリ目で眼鏡、姉よりも立派なモノをお持ちの洋榎の妹。

中学時代にサッカー部でゴールキーパーをしており、丸いものを見ると全力キックの衝動に駆られる。

高校時代は母と姉の影響で麻雀をしていたが、大学に入ってからはサッカー一本で頑張っている。

小さい頃はとてもお姉ちゃんっ子で泣き虫だった。


姉:愛宕 洋榎 母:愛宕 雅枝 従姉妹:船久保 浩子




◇ 上重 漫(うえしげ すず) 1月6日生まれ。身長148cm(高校当時)[図:中]


大阪府 姫松高校出身。 小柄で童顔だが、立派なモノをお持ちの弄られキャラ。

実家はお好み焼き屋さん。 大学受験に失敗して一浪していたが、胡桃の家庭教師のかいあってか翌年の受験は見事に合格。

駄目な時は全然駄目だが、調子の良い時には圧倒的なチカラを発揮する爆発力を持ったボンバーガール。

どうやら姫松時代の先輩のことが気になっているとかで、胡桃に恋愛相談をしていた。

胡桃のことをセンセーと呼び、洋榎によると若干のM気質だとか。




◇ 船久保 浩子(ふなくぼ ひろこ)(フナQ) 4月12日生まれ。身長165cm(高校当時)[図:右]


大阪府 千里山女子高校出身。 ジト目・眼鏡・外ハネが特徴。

研究者気質で分析能力に優れ、チームにおける参謀的なポジション。

先輩に対してもタメ口で話したりと、かなり容赦のない性格。

とにかく探究心の強い知りたがりさんで、時々 暴走することがある。


「うまいわー(うまいわ おまえのデータ…!!)」

「根金際しゃぶりつくしたるで…!!」


映画監督を目指し、東京の芸大にて勉強中。 今も恋人のセーラとは遠距離恋愛を続けている。

フナQとまこは書いてて楽しいキャラだし、筆者的お気に入りのせいかキャラ崩壊が特に激しいですね。

原作の彼女たちはもっと可愛いい女の子だということを、決して忘れてはいけない。


叔母:愛宕 雅枝 従姉妹:愛宕 洋榎、愛宕 絹恵


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◇ 荒川憩と愉快な仲間たち ◇


◇ 荒川 憩(あらかわ けい) 6月27日生まれ。身長153cm(高校当時)


大阪府 三箇牧(さんがまき)高校出身。 ナース服。 暗黒面には堕ちていない。

高校時代、インターハイ個人戦にて全国二位になる程の実力者。

ちゃちゃのんとは高校時代から親交があり、現在は医師を目指し大阪の大学病院に通うYBJな医大生。

以前から能力者の相談役等もしており、色々とそちらの世界のことに精通している。

院内でも特別な立場にいるようだが、彼女について探ってはいけない。

パンツ保持者の一人。 パンツは盗むな、履かせるな。




◇ 藤原 利仙(ふじわら りせ) 11月23日生まれ。身長156cm(高校当時)


鹿児島県 九州赤山高校出身。 オカルト能力者で荒川患者の一人。

天女のような服装をした女性で、インターハイでは個人戦代表。

モデルは紀伊神話に登場する、九州赤山(霧島山幽境)に棲む清浄気玉利仙全君。

本人には秘密のようだが、ちゃちゃのんの熱狂的ファンだったりする。




◇ 対木 もこ(ついき もこ) 10月1日生まれ。身長135cm(高校当時)


愛知県 覚王山高校出身。 麻雀を始めて五カ月で東海王者に登りつめた愛知の星。

普段からしている包帯は中二的なファッションであって、別に試合中に怪我をしたわけではない。

普段からブツブツと呟いており、干渉力の高いオカルト能力者。 荒川患者の一人。

能力の制御はあまり得意ではなく、対局中の精神的変調が大きく憩からは心配されている。

百鬼藍子とは、特に仲が良いらしい。




◇ 百鬼 藍子(なきり らんこ) 11月30日生まれ。身長158cm。


静岡県 后土学園出身。 静岡県の個人戦1位の実力者。

サバサバしたクールな性格だが、実は面倒見の良い色付きメガネっ子。

対局中に口から音波のようなものを出す。 オカルト能力者で、荒川患者の一人。

対木もことは特に仲が良く、もっぱら彼女の通訳担当。




・霜崎 絃(しもざき いと) 3月30日生まれ。身長163cm。


千葉県 須和田高校出身。 千葉県MVPの実力者。

何故かチャイナ服を着ており、転蓮華とか使える中国拳法の達人なのではと噂される。

メンバーの中では比較的常識人と思われる。 オカルト能力者で、荒川患者の一人。

余談だが 彼女と憩ともこは別世界線にて、ちゃちゃのんと同じスガラブメンバー。




◇ 熟した果実たち ◇


◇ 愛宕 雅枝(あたご まさえ) 7月11日生まれ。身長167cm。[図:左上]


全国屈指の強豪 大阪の千里山女子高校の麻雀部監督。元プロ雀士。

姫松高校の愛宕洋榎、愛宕絹恵の母であり、船久保 浩子の叔母にあたる。

性格は男勝りでイタズラ好き、ノリがよく強烈なツッコミが持ち味のようだ。




◇ 赤阪 郁乃(あかさか いくの) 10月7日生まれ。身長164cm。[図:左下]


前任である善野監督の入院期間、監督代行として赴任してきた姫松高校麻雀部の監督代行。

おっとり天然マイペースな性格で、そのあまりの空気の読めなさから「メンドくさい人」扱いされている。

意外な特技や謎の人脈など、色々と謎の部分の多い人物である。




◇ 水原 はやり(17) 7月13日生まれ。 身長151cm、体重49kg。[図:右]


島根県出身で、ベテランの感もある現役アイドルにして現役プロ雀士。 立派なおもちの牌のお姉さん。

安定感ある防御と、亜音速麻雀を得意とするスピード・スター。 その速度たるや、レンダーバッフェや冴木卓麻にも比肩する。

小学生の頃から地元のアイドル的存在で、子供麻雀大会にて何度も優勝し全国大会にも出場している。

彼女がアイドルを目指し、スピード・スターとなった経緯については、シノハユを読もう。

ツーサイドアップの髪型にフリフリ衣装、セットで上から☆を吊るしたりしているが キツくはない。

口癖は、「はやっ」、「はや~」等…


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◇ 幕間ダイバー ◇


◇ 小走 やえ(こばしり やえ) 3月20日生まれ。身長150cm(高校当時)


ニワカ先輩。 奈良県屈指の麻雀強豪校でもある晩成高校出身。

右をおさげ、左を縦ロールという奇抜な髪型が特徴的なツンデレさん。

努力と実力に裏打ちされた自信、王者の誇りを背負った威風堂々な振る舞い、

原作でのアレな扱いや、数々の名ゼリフ等からもよくネタにされがちな人気者。

メンタルの強さや堂々とした様には、ちゃちゃのんも憧れている。

ちゃちゃのんとやえさんの組み合わせ、筆者的にはアリだと思います。


「ニワカは相手にならんよ」


「お見せしよう、王者の打ち筋を!」


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◇ 染谷 まこ(そめや まこ) 5月5日生まれ。身長158cm(高校当時)


長野県 清澄高校出身。





◇ 鹿老渡高校 四天王 ◇

中央に鎮座まします 東西南北中央不敗スーパーアジアなちゃちゃのんを守護する、名もなき4人の聖闘士たち。

ちゃちゃのんと同じ鹿老渡高校出身の4人。 実際には名前はあるのだが、そのへんはま~ お察し下さい。




◇ 快活な長女さん


人見知りの激しい幼少時代のちゃちゃのんと、最初に友達になった快活な少女。 広島弁。

裏表のない快活な性格で、面倒見の良い 三姉妹の長女さん。 大将。

鹿老渡で漁師をしている爺さんの家に夏休みの間だけ泊まりに来たこときっかけで、ちゃちゃのんと知り合う。

本来 鹿老渡メンバーの中では、部長のちゃちゃのんではなく 彼女がリーダー格。




◇ 陽気な妹ちゃん


とても陽気で、好奇心旺盛、『考えるな、感じるんだ』のボクっ子弾丸アホ娘。 三姉妹の双子。 広島弁。

師父ヨーダに師事しフォースの力を感じ取ることで、不可思議なオカルトを使うことが出来る(大嘘)

本作内ではオリジナル設定として鹿老渡メンバー唯一のオカルト能力者になってます。 先鋒でチームの稼ぎ頭。




◇ しっかりものの妹ちゃん


しっかりものの常識人、ちょっと大人ぶるクセがある。 三姉妹の双子。 広島弁。

双子である陽気な妹ちゃんとは大の仲良しなのだが、素直になれずにいつも憎まれ口ばかり言ってしまう。

打ち筋はオーソドックスな守備型。 副将。




◇ 儚げな少女>物静かな女の子


幼少時代に南の都の南西9キロ地点から、病気療養のため鹿老渡の岬にある別荘に来ていた儚げな深窓の令嬢。

別名、幽霊少女。 鹿老渡メンバーでは、唯一の標準語(お嬢さま語)。 二年時は中堅、三年時は次鋒。

高校で再会した時には持病の方も完治しており、物静かな女の子として登場。 ちゃちゃのん大好き。

やや世間ズレしたテレビっ子で、好きな役者は田中 邦衛。 夕べの食事はビフテキ。

因みに原作 咲のパブリックビューイングに映っていた、黒髪ロングの女性は彼女である。


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◇ その他の人々 ◇


◇ 老婆


鹿老渡に住むちゃちゃのんの祖母。 広島弁。

本作のオリジナルキャラだが、ちゃちゃのんの人格形成に大きな影響を与えたわりと重要な人物。

若い頃はいちごパンツ派だったらしいが、晩年は……想像してはいけない。

ビジュアルとして、画太郎先生の描くような老婆を……想像してはいけない。




◇ チハヤ(本名:雨崎 千羽矢)

ちゃちゃのんとも仲の良い、同じ事務所に所属する島根県出身のアイドル歌手。

頭脳明晰スポーツ万能の完璧超人だが、それゆえか物事に対して関心の薄い時期があった。

アイドルビーチバレー大会にてイマイチ成績が振るわないのは、主に相方である ちゃちゃのんのせい。

ちゃちゃのんのアイドル友達としてやきうスレからの登場だが、その更に大元となる彼女がまた凄い。

持ち歌は アオイトリ。


「トッテモ、オイシイヨ!」




◇ マスター

哩の働く喫茶店の、空気のようなマスター。

気の良い人で、洋榎たちサークルメンバーにも色々良くしてくれるナイスガイ。

筆者の中でのビジュアルイメージは、まろまゆの「喫茶エトワール」マスター(CV.藤原啓治)




◇ 漫のオカン

気さくで陽気な漫の母。 大阪弁。

お好み焼き屋を経営する、大阪の明るいオバちゃん。

ちっちゃい胡桃がビリケンさんみたいと、とても可愛がっている。





◇ にゃんカフェ店長(にゃんこオバちゃん)


ちゃちゃのんの母方の叔母。 大阪在住。広島弁。

ちゃちゃのんのことを本気で心配してくれている、良い叔母さん。

結構ちゃっかりした性格で、客からも人気のあるちゃちゃのんを 自分の店で働かせたがっている。

制服のねこ耳メイド服はこの人の趣味で、黒猫やペルシャ、ミケなど色んな種類のものが用意されている。




◇ 捨てちゃちゃのん


個体差はあるが大体グレムリンサイズ。 雑食ではあるが、総じていちご味の物が大好きなペロリスト。 ちゃちゃ語。

基本的にちょっと臆病で、初対面の相手の前だと生まれたての小鹿のようにプルプルする。

性格は素直で従順。 こちらから愛情を示してあげれば、人懐っこく甘えん坊な性格も見せてくれる。

染まり易いので育て方を間違えると畜生化することもあるが、優しく愛情を持って接すれば 飼い主を守ろうと健気に頑張ったりすることも。

畜生化させなければ、特に呪われるということはない。 無性に泣かせたくはなるが、殴る蹴るとか『ダメ。ゼッタイ。』


「ちゃちゃー」 「ちゃちゃのんじゃ~~」 「ヤメるんじゃ~~」 「こうりょー」




◇ おつお(本名)


大阪在住。 高校の麻雀部監督(♀)と、その教え子(♀)の間から生まれた子。

上には父親(♀)と同年代の姉が二人いる。 わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。

クソ安価乙。




◇ タコみたいなおっちゃん


タコみたいな顔した、印刷工場を必死に自転車操業する粋なおっちゃん。

お喋りでお人好しで軽卒だが、情に厚い江戸っ子オヤジである。

「葬式無用。 生者は死者の為に煩わさるべからず」




◇ 覆面の男


なぞのじんぶつ。 覆面にテンガロンハット、電撃ムチ姿がよく似合うダンディなオジサマ。

ちゃちゃのんのファン。





◇ フレデリック・ランカスター 177cm・65kg [図:左]


国籍:O.C.U.オーストラリア。 元はニューヨークのトップ記者だったが、とある暴露記事を書いたことで左遷。

従軍記者として戦地を廻っていた頃は、自らも戦闘行為に参加。 回避や格闘にも優れるが、遠距離からの狙撃を得意とした。

当時 彼が著した記事「祖国達の島」は、社会に大きな影響を与えたという。

現在は戦地で知り合ったロッキーと共に、アジア圏を中心にフリーのジャーナリストとして活動中。




◇ ロッキー・アーミテジ 7月10日生まれ。190cm・80kg O型 ♂ [図:中左]


国籍:O.C.U.オーストラリア(オーストラリア人と東南アジア人とのハーフ)

とても寡黙だが、単に口下手なだけの模様。 天才メイキャッパー。 元陸防軍軍曹。

長身で眉目秀麗、エキゾチックな中性的容姿のため、女性からの人気は高いが当時から浮いた話はなかった。

除隊後フレデリックと行動を共にするが、戦場でのある報われぬ恋を今でも忘れられずにいる模様。

地雷処理部隊に所属していたこともある。




◇ クレバーなサム [図:中右]


とてもクレバーな男。




◇ 寂しがりのマーティン [図:右]


とても寂しがりの男。


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【OSaKadAteQさんのやきうスレ】 ※とても面白いですけど、非常に長いです(未完)

・咲「野球って楽しいよね。いっしょに楽しもうよ」※安価スレ
http://www34.atwiki.jp/sakipoke/pages/1.html











【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









終 章 いつかのひかり













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大人の女性「それじゃ~ みんな、今から椅子取りゲームを始めましょうね」


子供たち「「は~~~~い」」



♪~ チャラチャララララ チャラチャラララランン…








小さい頃から―――



告白というものが、わりと身近なトコにあったけぇ。



ちゃちゃのん、わりとそういうもんに慣れちょると、どこかで錯覚しとった。



実は自分は恋愛上手なんじゃろか―――とか思ってみたり。





でも…



本当はそんなこと これっぽっちもなかったんじゃ。



それくらいは、ずいぶん前から気が付いとったよ。



ちゃちゃのんは、いつだって受け身だったから……






「俺、前から佐々野んこと… ずっと可愛ええ思っとったんじゃ…」





「いちごのことが好きじゃけぇ、ワシと付き合ってくれんじゃろか!!」






クラスの男の子、近所のお兄さん、名前も知らない男の人。




この言葉をゆーのに、いったいどれだけの勇気を振り絞ったことか。







きっと、ちゃちゃのんは―――





これまで告白してくれた相手の気持ちなんて、ちっとも理解出来とらんかったんじゃろうね――――








持つものと、持たないもの―――




与えられた才能と、与えられなかった才能―――




愛された人と、愛されなかった人――――





いつだって、人の座れる席の数には限りがある――――







いくら愛しても、愛されない―――





愛する貴女に愛されるのは、いつだって一人だけ―――








あぁ、世界は 何て不平等なんじゃろう――――





ちゃちゃのんはそうと自覚せず、いくつもの想いを断ち切ってきたんじゃな―――――










【 ~~ 洋榎 ~~ 】




あのイブの告白から、早いもんで数ヶ月が経つ。


その間に、新しい春が来て、ウチらは四回生へと進級した。



あれが最後の輝きだったかのように、ウチらの青春時代から少しずつ光が失われていった。




ザワのヤツはこれまで以上に研究室に入り浸るようになり、バイトの店にも殆ど顔を出さなくなった。




バイトのヤツは相変わらず、料理の勉強に打ち込んどるようやけど。


浪人時代の癖なんか もう本気で受験するわけでもないのに、合間を見つけては参考書を読んどる。



で――――今年の受験も落ちたらしい。


たぶん『趣味:受験』で、来年も再来年も受けるだけ受けて、きっと不合格になるんやろうな。




セーラのヤツは東西戦でもええ成績叩き出して、卒業後のドラフト入りも確実視されとるらしい。




漫のヤツは、姫松時代にウチとも一緒やった恭子に告白して 上手くいっとるみたいやな。


前に漫からカテキョーだった いいんちょに、恋愛相談受けとるいう話は聞いとったが


まさかホンマにあの二人が付き合うとは、人生ちゅうんは分からんもんやで。







で、いいんちょは―――


これはウチも後から聞いた話なんやけど…



あのイブの夜、ザワのヤツがいいんちょのフォローをしてくれたらしい。


何でもお気に入りのコートを、いいんちょの涙と鼻水でグショグショにされたとか。



それを冗談めかして話してくれたのは、誰でもない いいんちょやった。



私は平気だから、アンタが好きになった人を しっかり大事にしてあげなさいって…


必死に強がって、そう言えるいいんちょはカッコよくて、


そんでも、やっぱりドコか弱々しくて、正直 胸が痛んだ―――




ウチみたいな無神経モンには、ホンマに勿体無いくらい 強くて可愛いヤツやで――――







あの日、あの春の勧誘ロードで―――




いちごとの再会がなければ、何かが変わっとったんやろか。





アカン、何をアホなことを考えとるんや。




こんなん、ちっともウチらしくないで――――







哩「おい、まだ飲むんか? 自分、飲みすぎやで」

洋榎「やかましいわ。 ええやん、別にこんくらい!!」ヒック

哩「まったく、胡桃のヤツがおらんと、誰もコイツを止めるヤツおらんからな」



哩「で、今日も佐々野のあがり待ちか?」ミズヤデ

洋榎「ん、ま~な… て、何でお冷やねん!!」

哩「この前、お願いして佐々野の部屋の合鍵 作ってもらった言うとったやないか?」

洋榎「ま~ そうなんやけど、一人でアイツの部屋におっても何や落ち着かんし…」



洋榎「な、何やねん。 『この恋愛初心者のヘタレめ…』っていう、その上から目線の嘲笑は!?」

哩「いや、ま~ そのまんまやで。 この恋愛初心者のヘタレめが…」クククッ



洋榎「しゃ、しゃーないやん。 アイツ付き合い出してから、ウチのこと ちょっと怖がっとる気ぃすんねん…」

哩「そりゃま~ こんな野獣が、うさぎの小屋に入ってくればそうもなるで…」

洋榎「ちょっ、誰がヴァースキ大尉やねん!! あの人も結構 優しいとこあるんやで!!」




哩「お前は佐々野のこと、どう思っとるんや?」

洋榎「何を藪から棒に。 そら、大好きに決まっとるやん―――////」


洋榎「そらま~~ アイツはドジで、ノロマで、泣き虫で、どうしようもないアホアホアーホやけど…」


洋榎「誰にでも優しいヤツやし、素直やし、いつだって一生懸命で、ウチには釣り合わんくらいに可愛いヤツなんやで…」

哩「コイツ、思った以上にノロケてきおったな……」クッ




洋榎「―――だからこそ、何でアイツがあの時 泣きながらオッケーしてくれたんか…」




洋榎「今、何を思ってウチと付き合っとるんか―――分からなくなって、怖いんやないか……」







ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん。 今日もお待たせしてしまったかの?」

洋榎「いや、別にそんなんええで。 さっきまでバイトと駄弁っとったしな」カカッ

ちゃちゃのん「もぅ、哩ちゃんお仕事中なんじゃから。 あんまり迷惑かけたらアカンよ」



洋榎「夕飯まだやったら、どっかそのへんで一緒に食わへん?」

ちゃちゃのん「あ、うん。 ええけど……」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、収録押しててっぺん超えることもあるんじゃし。 あまり無理せんでな…」

洋榎「アホ、誰が無理とかするか。 こちとら好きでやっとるだけやねん…」コツン

ちゃちゃのん「あいた。 そか、ありがとな…」ヘヘ





いちごのヤツと付き合い始めてから もぅ数ヶ月が経つが、ウチらの関係は以前とあまり変わっとらん。



ウチはもっとラブラブデートとかしたかったんやけど、いちごのヤツが二人きりの時以外は友達でいたいと言ってきたからや。



ま~~ 考えてみれば、コイツは今 人気も上昇中の結構な売れっ子アイドルやし、当然といえば 当然なのかもしれんが。




だから、まだウチら二人の関係を知っとるのは、ごく一部の近しい友人だけや。



同性同士っちゅうこともあって、こうして一緒におっても ハタから見れば ただの大学の友達同士やしな。





付き合い始めた頃は ただただ幸せで、ウチも浮かれまくっとったから――――全然、気にならんかったんやけど……





最近 時々、『本当にウチら付き合っとんのか?』と、不安になることがある―――






ちゃちゃのん「あ、このケーキ美味しいんじゃ♪」


洋榎「自分、何で夕飯にケーキとか食っとるんや? 太るで~~」


ちゃちゃのん「仕事の後は、妙に甘いものが食べたくなるんじゃ…」エヘヘ






さびしがりのマーチン「あの~~ もしかして、ちゃちゃのん……だよね?」

ちゃちゃのん「うん♪ そうじゃよ~~」


さびしがりのマーチン「あ、やっぱり… あの~ この写真集『いちご畑でつかまえて』にサインして貰ってもいいかい?」ゴソゴソ

ちゃちゃのん「あはは… こういう場所で改めて見ると、流石にちょっとテレくさいのぅ…///」


洋榎「おっ、いちごのエロい水着写真集やん!!」

ちゃちゃのん「べ、別に水着以外の写真もあるんじゃよ…///」

ちゃちゃのん「あ、サインじゃったね。 ちょっと、待っちょってね…」カキカキ




さびしがりのマーチン「ど、どうも♪ あの、そこの人は…?」

ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃんは学校の仲良しのお友達さんじゃよ♪」

洋榎「…………」


さびしがりのマーチン「ど、どうも… これからも頑張ってね…」スゴスゴ

ちゃちゃのん「うん。ありがとなんじゃ♪」フリフリ





ちゃちゃのん「それでヒロちゃん、就職活動の方はちゃんとやっちょるん?」

洋榎「いんや… どうせウチは、プロの雀士になるやろうし…」


ちゃちゃのん「そんための準備とか、何かしちょるん?」

洋榎「ま~ バイトと打ったり、漫や絹を捕まえてサンマしたりしとるけど―――」


洋榎「最近 アイツらデートやったり大学の仲間と遊んだりで、イマイチ集まり悪いんでちょっと困っとんで…」





―――たぶん今の洋榎さんじゃ、プロは無理やと思いますよーーぅ




ちゃちゃのん「……卒業まで、あと一年もないんじゃけぇ―――」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんも、しっかり考えないと駄目じゃよ……」

洋榎「わ~った、わ~~った。 また今度、ちゃんと考えてみるわ」


ちゃちゃのん「もぅ… ヒロちゃんはせっかく凄い才能持っとるんじゃけぇ、勿体無いんじゃよ…」

洋榎「わ~~た、わ~~た、 また今度 しっかり考える言うとるやん…」

ちゃちゃのん「ふぅ……」






洋榎「な~~ ちゃちゃ、この後 遊びに行ってもええか?」


ちゃちゃのん「え、あ… うん…」


ちゃちゃのん「でもお母さん心配するじゃろうし、長居は無しじゃよ……」


洋榎「ちぇ~ つまらへんな~~」






ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん見て見て♪ あそこに綺麗な夜桜が咲いとるんじゃ!!」

洋榎「お~~ ホンマや、軽くライトアップもされとるやん。 今度、みんな誘って花見でもするか?」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんは、どうせ花より団子じゃろ…」

洋榎「そらそうやろ。 いくら花見ても、ウチの腹は膨れんしな~~~」カカカッ

ちゃちゃのん「ホンット、風情がないんじゃから……」




洋榎「な~~ この辺なら人通りもないし、手ぇ繋いでもええか?」

ちゃちゃのん「え、あ… う、うん……////」

洋榎「…………///」キュッ

ちゃちゃのん「…………」





またや―――



付き合うようになって、改めて知ったことやが…



いちごはホンマ素直で優しくて、いいヤツや。



ウチの思い付きやワガママでも、大抵のことは何でも笑って許してくれる。



せやけど、ウチが恋人として接しようとすると、コイツはいつも決まってツラそうな顔をする。




コイツはウチのことを、本当はどない思っとるんやろか――――






洋榎「でも、さっきのアレ…」

ちゃちゃのん「アレ……?」

洋榎「ウチのこと友達って言うた、ファンへの対応。 何や自分、しっかりアイドルしとったで~」カッカッカ


ちゃちゃのん「あ、うん… そう、かもしれんの……」

洋榎「………」




言ってみて、自分でも 今のはちょっと嫌味な言い方だったかなと思った。



コイツの口から『友達』言われたことが、少し引っかかっとったのかもしれん。





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな、最近 あ~ゆ~ウソを普通に付けるようになってキタんじゃ…」



ちゃちゃのん「前は、すぐに顔に出ちょったはずなんじゃが…」




ちゃちゃのん「―――何じゃか、自分がドンドン汚れてくみたいで イヤじゃね……」シュン



洋榎「いやいや、その程度のウソ 今どき小学生のガキでも平気でつくやろ!?」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんがハタチになる前にな―――」


ちゃちゃのん「塞ちゃんと大人になるって何かな~~って、話したことあったんじゃ…」


洋榎「酒を飲んだり、ギャンブルやったり、ウチらはもぅすっかりアダルトな大人やで~~」



ちゃちゃのん「う~~ん… そういうんじゃなくて、もぅちょっとココロのお話じゃよ…」


洋榎「自分、そういう話 好きやな~~」






ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな、そん時 塞ちゃんにこう言ったんじゃ―――」




ちゃちゃのん「自分の中にある大切なモノを失ってまで、大人になんてなりたくないって……」




ちゃちゃのん「―――ずっと、今のままでいたいって……」



洋榎「…………」






ちゃちゃのん「そしたら、塞ちゃんは こう言ったんじゃ…」



ちゃちゃのん「人は生きてる限り、少しずつ変化していくだろうけど―――」




ちゃちゃのん「でもそれは何かを失うんじゃのぅて、混ざり合っていくってことなんじゃないかなって―――」


洋榎「失うわけやない、か……」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんには、今のちゃちゃのんはどう映っちょるんじゃろう―――?」



洋榎「…………」





いちごのヤツが何を一人で悩み、何と言って欲しかったんか―――正直ウチにはよぅ分からんかった。




そんでも夜桜を背に月明かりに照らされたいちごのヤツが、息を呑むほどに綺麗や思って―――



ウチの心臓は、ずっとドキドキしっぱなしやった。






ちゃちゃのん「塞ちゃんは、大人になってもそんなに変わらないってゆーとったけど―――」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、たぶん変わったと思うんじゃ……」



ちゃちゃのん(もしかすると、何も変われんかったのが 間違いだったんじゃろか―――)






洋榎「ちゃちゃは、今も昔も綺麗なままやで―――」



ちゃちゃのん「―――うん、ありがとな……」ヘヘッ





何でコイツは、こないツラそうな笑顔をするんや。




そういえば、ウチは最近 コイツの本当の笑顔を見とらん気がする。








ちゃちゃのん「ほんじゃ~、またの」フリフリ


洋榎「お、おぅ……」



いちごの部屋で軽くお茶をしながら 最近のことなんかを駄弁って、あまり遅くならない時間に別れる。






洋榎「ちゃちゃ―――」ガッ


ちゃちゃのん「ひ、ヒロちゃん―――」ビクッ




抱きしめて、そのままキスしようと思ったが―――



明らかにいちごの様子に怯えの色が伺えたから、結局 何も出来んかった。





ウチ―――もしかして、ホンマにヘタレなんやろか…




いや、せやかて いちごが嫌がっとんのに、強引にするわけにもいかんやろ。




ウチはいちごを幸せにするって決めたんや――――ウチはジョースターのダンナくらいの英国紳士やねん。






洋榎「こ、今度の休み、一緒に遊園地でも行かへん―――?」


ちゃちゃのん「えっ、で、でも………」



洋榎「そんくらいええやん。 頼んまっせ~ 神サマ、いちごサマ~~」ヒッシ


ちゃちゃのん「えっと… う、うん……」コクリ




いちごは人前でのデートとかを嫌がったが、こうやって拝み倒されると 困りながらも大抵のお願いは聞いてくれる。



ちょっとカッコ悪いが、ま~~ ウチも恋人の扱いにだいぶ慣れてきたっちゅうことにしとこやないか。



将来は『関白宣言からの関白失脚―――』って、うっさいんじゃ ボケぇ!!







まさかあのウチの告白も、ただ単に断りきれんかっただけやったとか、そんなんやないやろな。



でもコイツは告白に関してはこれまでも 随分と断ってきとるはずやし、流石にそれはないやろ。



もしそうやったら、流石のウチでも泣いてまうでぇ~~~




愛宕洋榎は、今日もクールに去るんやで――― シクシク








そういえば、いちごのヤツ 前にこんなことを言うとったな。



小さい頃に、とっても仲良くしてくれた男の子と女の子がおった。



人見知りの激しかったいちごは、学校におる時間はいつも その二人の後をついて歩いとった。



でもその関係も、男の子がいちごに好きだって告白したことがきっかけで壊れた。





女の子は、その男の子のことが好きやったから、いちごは一度に二人の友達をなくした。




その後 その二人なのか、別のヤツらなのかは知らんが、結構いじめられたりもしたみたいや。





もしかして ウチがアイツに告白したことで、そういうトラウマみたいのが蘇ったとか あるんやろか―――?






アサヤデーーーー!!


絹恵「あれ~ お姉ちゃん今日は随分とおめかしして、もしかしていちごちゃんとデート?」


洋榎「お、お~~ ま~~な……////」




絹恵「それにしても、お姉ちゃんがあんな綺麗で可愛い人と付き合うとるなんて…」

絹恵「正直、まだ信じられんで~~」

洋榎「何やねんそれ、ウチが頼まれたから付き合ってやっとるんやで~~~」



絹恵「へへっ、冗談やで。 お姉ちゃんのルックス以外の良さは、私だってよぅ知っとるよ♪」

洋榎「まずはルックスから褒めんか~~い!!」コラーー



絹恵「ま~ せいぜい嫉妬に狂ったファンの子たちから、夜道で背中ブッスリされんよう 気ぃつけるんやで~~~」ヒヒヒッ

洋榎「うぉ~~~ぃ、リアルに怖いこと言うの ヤメ~~や!?」ガクブル





洋榎(いよっし!! 今日のデートプランはバイトにも相談のってもろたし、我ながらパーペキやで~~~!!)



哩「―――佐々野のハートを、HQN DQN(はきゅんどきゅん)させるデートプランやと?」

洋榎「そうやねん。 何や、え~ アイデアとかないやろか? あ、縛りとかはなしの方向で頼むで…」

哩「自分、それが人にものを尋ねる態度か。 まったく……」フゥ


哩(―――私は、お前と胡桃のことも応援しとったんやがな…)




哩「そうやな… 一般的に人が恋人に求めるんは、自分にないものやろ…」

洋榎「ふんふん…」


哩「でや、可愛らしさや女の子らしさでは、自分がどんなに頑張っても佐々野には勝てへん…」

洋榎「何やごっつムカつくけど、ま~ ええわ。 そんで…?」


哩「せやから、自分はワイルドに引っ張ってくれる、頼りになる姿を佐々野にアピールするのがええんちゃうか?」

洋榎「おぉっ、ええやんそれ。 頂きやで♪」メモメモ







ちゃちゃのん「動物園―――? この前は確か、遊園地じゃって…」


洋榎「遊園地は動物園の後に行くで~ とりあえず動物園に行こうや。 ふわふわもふもふが、いっぱいやで~~♪」


ちゃちゃのん「う、うん… ちゃちゃのんも、ふわふわもふもふと 触れ合いたいんじゃ…」

洋榎「よっしゃ、決まりや!!」






カー カー カー バサバサバサッ


ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ここはドコなんじゃ… さっきからヤケに墓地やらカラスが多い気がするんじゃが?」


洋榎「この辺は最近出来た大阪の外国人街で、何や地図にも載ってない世にも奇妙な動物園があるらしいで~~」ドコヤロ?


ちゃちゃのん「うぅっ… ちゃちゃのん、ちょっと不安になってきたんじゃ……」フルフル






受付らしき老婆「―――いらっしゃい」

ちゃちゃのん「うひゃっ―――!?」ビクゥッ

洋榎「おわっ、何やこの婆さん いきなり…」



受付らしき老婆「中学生かい―――?」

洋榎「いや、ウチらは誇り高き戦闘民族やで…」



受付らしき老婆「だったら―――半額で良いよ……」


洋榎「とりあえず、ここが例の動物園でええみたいやな。 ホイ、二人分の半額」チャラ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの分、払うんじゃ…」ゴソゴソ

洋榎「え~て、え~て、今日はウチのおごりやで!!」

ちゃちゃのん「でも、何じゃか悪いのぅ…」





―――免責事項―――


当園は普通の動物園ではありません。 非常に危険です。

ケガや物損、生命の保証はいっさい致しかねます!


全ては自己責任です。


了承した上で、ご入園して下さい!!


尚 ご入園される際には、こちらの誓約書へのサインをお願い致します。







ちゃちゃのん「―――帰るんじゃ…」ボソッ

洋榎「へっ……」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、今すぐ帰るんじゃ~~~」ウワーーーンッ



ガッシ

洋榎「待ち待ち待ち~~!! 何や、面白そうやん」

洋榎「生命の危険とか誓約書なんてのはネタやてネタ、最近そういう話題作りとかあるやん?」


ちゃちゃのん「うぅっ… 確かに、この前 そんなニュースも見たけど…」


洋榎「な、な、大丈夫やって。 何かあってもウチが絶対 守ったるから平気やで!!」

ちゃちゃのん「でも、怖いのとかは やっぱりイヤじゃよぅ…」ビクビク

洋榎「せっかく来たんやし、頼むて!! ちょっとだけ、ちょっとだけでええから見て行こうや!!」ナッ ナッ



ちゃちゃのん「うぅ、ヒロちゃんがそこまで言うなら… まぁ、ええけど……」コクッ


洋榎「いよっしゃ、摩訶不思議な大冒険に出発やで~~~♪」





機関車―――


洋榎「おっ、機関車や…」

ちゃちゃのん「うん、機関車じゃね…」




軍用車、装甲車、戦車、軍用ヘリ―――


洋榎「おっ、アレはダグラスのアパッチいうヤツなんちゃう? あっちには61式に多砲塔、お菓子の列車砲まであるで…」

ちゃちゃのん「そうなん―――?」



ちゃちゃのん「ちゅうか、ふわふわのもふもふたちはどうしたんじゃ?」


洋榎「ええやん、ええやん。 この外国のB級テーマパークな感じがたまらんやろ?」カッカッカ






ちゃちゃのん「この扉はなんじゃろ――?」

洋榎「ま、とりあえず 入ってみようや!!」ギィィーー



アゴの割れたトミー「ヘ~~イ、チーズ!!」パシャッ

恰幅の良いスザンヌ「サンク~~ス♪」

ライオン「」グルル…



洋榎「げぇっ… アイツら放し飼いのライオンと一緒に、記念写真撮ってんで!?」

ちゃちゃのん「うっひゃーーーーッ!?」ダダダッ

洋榎「あっ、コラッ!! そない走ると危ないで!?」




バタンッ ズルッ ベチャッ

ちゃちゃのん「うぎゃっ!?」

洋榎「ほら、またコケた…」






ペロペロ ペロペロ

ちゃちゃのん「うひゃっ、ちょっ… くすぐったいんじゃよ~~」ヘヘッ



黒虎「」ペロペロ

ちゃちゃのん「――――!?」


キューーー ヘタッ


洋榎「あ、死んだ!? せやけど、あのブラックタイガーを相手取るんは、流石に虎縞愛 溢れるウチでも…」ガクブル





洋榎「ええい、ままよ!! 虎穴に入らずんば、伊達直人にはなれんで~~!!」ウチハトラヤ、トラニナルンヤ!!


洋榎「ちゃちゃ~ 待っとれやーー!!」


虎々ちゃん「あ、お客さん―――」





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コッコダヨ、コッコダヨ~~♪





【園内 休憩所】


洋榎「ほい、替えのタオル。 自分、ちっとは落ち着いたか~~」


ちゃちゃのん「ありがと。 はぁ~~ ホンに死ぬかと思ったんじゃ……」ウルウル




洋榎「アレにはウチもビビったが… 何やとらのあなの店員さんが言うには、小さい頃から教育されとって 人は襲わんらしいで!!」


洋榎「さっきのおっさん達、獅子舞みたいや言うて ライオンに頭カミカミしてもらっとったしな……」


ちゃちゃのん「そんでも、怖いもんは怖いんじゃ!!」





ちゃちゃのん「それで、他はどんなトコロがあるんじゃ?」


洋榎「園内のデートコースやと、獰猛カンガルーとのハートブレイク・撲針愚(ボクシング)対決、剣山地獄ヤマアラシ・イチャイチャ相撲―――」


洋榎「ハートキャッチ・恐怖のピラニア 吊り橋渡り効果、死のジブラルタル・ワニ海峡心中物語なんかあるらしいけど、一応 行っとくか?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん… そんな男塾名物みたいなんにゃぁ、絶対に行かんけぇの!!」カタカタ






ちゃちゃのん「それに、ここのメニューは 何じゃ?」




―――スペシャルメニュー お品書き―――


マザーアントのカリカリ揚げ――

毒針のネズミの姿焼き――

女囚さそりっぽい何か――

ジャイアントワームのポリポリ揚げ――

スネークのステーキ――

アマゾンオオトカゲの素揚げ――

銀ギツネのソテー――

クロコダインフライドアーム――




洋榎「食う―――?」


ちゃちゃのん「食わんわ!!」




ドキドキ動物園でウチのワイルドタイガーっぷりをアピール大作戦―――これで合っとったんやろか?







【テーマパーク】


ちゃちゃのん「あ~ アルパカマーくんじゃ。 ラスカルやカピバラさんもおるんじゃよ♪」

洋榎「こっちのオスカルたちは、ちゃんと柵に入っとるな」

ちゃちゃのん「当たり前じゃよ。 地図にも乗っちょらん非合法動物園とか怪しすぎじゃって…」ラスカルジャ…

洋榎「何でや、ドキドキがいっぱいで楽しかったやん!?」


洋榎(ま~ ライオンと同じ檻に入った時には、流石のウチもちょっとだけ チビりそうになったけどな…)



ちゃちゃのん「わっふーー♪ このうさちゃん にゃんちゃん、もふもふじゃ もふもふ~~♪」スリスリ





グオォォォーーーーーーーーーーーーッ


ちゃちゃのん「うっひゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


洋榎「うぉぉっ!!」




ちゃちゃのん「じゃから、ちゃちゃのん… 絶叫系とか、そーゆーのダメってゆーたじゃろ…」ゼェゼェ

洋榎「悪かった、悪かったて…」ハハッ





洋榎「せやけど、自分 そんなんでよぅリポーターの仕事とか務まんな~~」


ちゃちゃのん「怖がり方とかのリアクションがええゆーて、むしろそういう仕事を入れられて困っちょるんじゃ…」カタカタ

洋榎「カカッ、ソイツは災難やな~~」



洋榎「ほんじゃ、口直しにあそこのお化け屋敷にでも行っとくか?」


ちゃちゃのん「もぅ… そーゆーんは嫌じゃって、ゆーちょろうが…」





洋榎「おっ、アッチでお疲れ戦隊サンピンジャーショーやっとんで!!」


洋榎「とりあえず、お約束―――かおるクンの『遊園地でボクの握撃♪』してもらいに行こうで~~」


ちゃちゃのん「ヒーローショー? ちゃちゃのんは魔法少女の方がええかのぅ…」

洋榎「おっ、自分 魔法少女願望とかあるん?」


ちゃちゃのん「アイドルと魔法少女は、女の子の永遠の憧れじゃけぇのぅ♪」



ちゃちゃのん「やっぱりちゃちゃのんは、ピンクとかイエローに憧れるんじゃ…」

洋榎「自分、そないおデブなカレー好きがええんやな…」


ちゃちゃのん「それは昔の戦隊モノのイメージじゃろ。 魔法少女もののイエローはオシャレでキラキラした子じゃよぉ!!」







ちゃちゃのん「あっちにゃぁ、ガラス細工のお店とかもあるみたいじゃね…」


洋榎「んじゃ、ちょっと行ってみよか」






カララン…


ちゃちゃのん「わぁ、綺麗じゃの~~」キラキラ


洋榎「こういうの好きなん?」



ちゃちゃのん「うん♪ 手作りのガラス工芸は、その一つ一つがちょっとずつ違うんじゃ…」


ちゃちゃのん「じゃけぇ… きっとガラスの靴も、世界中でたった一人しか履けないんじゃ―――」


洋榎「せやけど、32文人間ロケット砲の女や、人間エグゾセミサイル使いの女でもなけりゃ、靴のサイズ同じヤツくらいおるやろ」


ちゃちゃのん「もぅ、そういうんはええんじゃよ~~~」ムーー







ちゃちゃのん「ガラス細工にゃぁ 長い歴史とか伝統があって、いっぱいの職人さんたちが魂込めて作ってきた心があるんじゃ―――」


洋榎「ま~ そうかもしれんな~~」




ちゃちゃのん「そもそもガラスっちゅうんは、腐食や酸化現象が起こらんけぇ―――半永久的に存在出来るものなんじゃ」


ちゃちゃのん「でもガラスっって、衝撃にゃぁ 凄く弱いじゃろ―――」





ちゃちゃのん「綺麗で透き通っちょって、光の透過でいろんな輝きを見せてくれて―――」


ちゃちゃのん「見とると心が落ち着くけど、次の瞬間にゃぁ 粉々に砕けてしま