洋榎「新年早々やかましいのが来よった」セーラ「せやな」 (30)

ID:AEYD4/jDP
代行です

洋榎「ふわ~あ。昨日の紅白は、なんだかんだサブちゃんで盛り上がったなー」

絹恵「お姉ちゃん、おはよー。そんで明けましておめでとう」

洋榎「おう絹、おめでとー。オカンは?」

絹恵「お母さんは、朝から年賀状書いとったけど『あかん!挨拶回りの時間やー』言うて出かけてったで」

洋榎「そらまた年明けから忙しないことで」

洋榎「ならうちらは高校生ならではの、ぬくぬくとした正月を過ごさせてもらおか」

絹恵「うん、年賀状も色々来てるで」

洋榎「こっちは浩子からか。『10時に伺います』って、もう10時やけど・・・」


ピンポーン

浩子「伺ったでー、明けましておめでとうございます」

洋榎「ホンマに来よった、おめでとうさん。なんや、セーラも一緒か」

セーラ「来たでー、今年もよろしゅう!」

浩子「オバちゃんは?」

洋榎「オカンは挨拶回りや。OBやらプロのお偉いさんやら、世の中働きモンがようけおるらしいわ」

セーラ「名門校の監督ともなると大変なんやなあ。あ、チャンネル変えてもええ?」

浩子「よっこらせっと。やっぱり冬はコタツとミカンやな、うちも買えばええのに」

洋榎「・・・おい」

セーラ「ニューイヤー駅伝、コニカミノルタ強いな。明日の箱根はどうなるんかなあ」

浩子「チータラって、なんでこんなに美味いんやろな。考えた人、天才や思うで」

セーラ「駒澤断然みたいに言われてるけど、俺の注目は法政のオレンジ旋風が二年連続あるかで・・・」

洋榎「おいって。何ナチュラルに上がり込んでんねん!」

セーラ「ええやん。勝手知ったる人んちの居間や」

絹恵「まあ毎年のことやし。お姉ちゃん、正月は大勢の方が楽しいで?」

洋榎「ええことない!そこに座れ!お前らに礼儀ってもんを教えたるわ!!」

貧乏神『物件売ってお金にしようと思ったけど、売る物件が無いのねん!ボンビ~』


洋榎「やかましわ榎本60歳!ええから、徳政令カード買ってこんかい!」

絹恵「あー、アカン!江口さんに逆転されてもうた!」

セーラ「3回普通に一番乗りするより、「も」「く」「て」「き」「ち」カード集めてハワイに行くほうが好きやねん!」

浩子「そら、そうやろ。10年プレイで集める方も集める方やけどな」

洋榎「・・・実は、このゲーム11年目があったりするんやで・・・」

浩子「オプションの操作は禁止します」

洋榎「次や次!今度はこれしよ、ボンバーマン!」

浩子「なんでハドソンのソフトばかり、こんな大量に・・・」

絹恵「お姉ちゃん、お母さんが昔録画してた『大竹まことのただいま!PCランド』に最近ハマってるんや」

浩子「今どきCD-ROM2とPC-FXが現役稼働してる家庭なんて、そうは無いで・・・」

洋榎「浪速のハイスコアガールとは、うちのことや!街頭エンジンのコーナー、カムヒア!」

絹恵「お姉ちゃん、それやと福田英次がPCエンジン持って我が家に来てまうよ」

セーラ「そりゃあ!千式波動球!!」


パッカーン!


絹恵「バリアジャンパー(不可侵のセーブ)!」


ズバァッ!


浩子「羽子板の羽の軌道が放物線やなしに、一直線のレーザーみたいになっとる・・・」

洋榎「絹はキーパーやってたからな」フッフッッフ


スカカカカカカン・・・・!


浩子「これ、全然勝負着きそうにないな」

洋榎「二人とも、どんなオモシロ顔にしたろかなー」ワクワク

浩子「洋姉ちゃん、握った筆から手に墨汁垂れてきてんで」

セーラ「ふー、遊んだ遊んだ」

絹恵「でも冬休み明けたら、あとは春の選抜まですぐやなあ」

洋榎「せやで、こんなのんびり出来るんも今だけや」

洋榎「竜の字にも言っとけ、選抜ではきっちり白黒つけたるからクビ洗っとけってな!」

セーラ「ヘッヘッヘー、千里山は俺と竜華だけやないんやでー」

セーラ「フナQも成長しとるし、その上最強の秘密兵器がスタンバっとるんやからな!」

洋榎「なんやねん、秘密兵器って。ほんならうちには絹がおるわ。秋の大会でベールを脱いだ期待の新人、本格参戦や!」

洋榎「ゆーこと恭子も今年はレギュラーやし、漫はもっと大爆発すんで」

洋榎「そして何より新主将がめっちゃ強いんや。今年の姫松は凄いでー!」

セーラ「そんなん言うて、また準決で負けんなよ。伝統の大阪対決は姫松にかかっとるんやからな」

洋榎「おうおう、決勝でヘコまされて泣いとった奴がよう言うわ!」

セーラ「団体戦通じての総収支は、俺の勝ちやったけどな!」

洋榎「個人戦の順位は、うちのが上やった!」

浩子「ええ加減にせえ!大体今から手の内ペラペラ話してどないすんねん!」

絹恵「そやで、お姉ちゃん。まずはどっちも勝ち上がることやん。そんで、決勝みんなで卓囲も」

浩子「せや、絹ちゃんもレギュラー獲れそうなんやな。おめでとうさん」

絹恵「ありがとな、浩ちゃん。プレッシャーやけど、ホンマ嬉しい」

浩子「クックック・・・。こら、データ集めが捗るわー」

絹恵「悪い顔になってるでー」

絹恵「お母さんが『私は育成に専念や。今年の相手校分析は浩子に任せる』って言うてたけど、まさに影の監督やね」

セーラ「まあ、ええわ。どっちが強いかは春の中堅戦ではっきりさせたる」

洋榎「望むところや。その秘密兵器さんにも、いちびってトバされんようせいぜい釘刺しとくんやな」

セーラ「・・・ところで、コタツの上のミカンが無うなったんやけど」

洋榎「・・・無いな」

セーラ「食べたいな」

洋榎「せやな」

洋榎・セーラ「「取ってきて」」

洋榎「セーラ!こうなったらっ・・・!」ジャララララ

セーラ「なんやねん、いきなり雀牌取り出して」

絹恵「ま、まさかお姉ちゃん・・・!?」

洋榎「”9(ナイン)”で勝負や!」

セーラ「ないん?」

浩子「互いに1から9までの数牌を1つずつ持ち、その9牌から1つを任意に選び牌を伏せて出す」

浩子「2人が牌を出したらそれを表にし、数字が大きかった方が2つの数字の合計点数を得る」

浩子「残った牌で再び選んで対戦、これを9回繰り返す。最終的に得点が多かった方が勝ちや」

浩子「かつて東西を代表する代打ち同士がこれで伝説の勝負を繰り広げたという・・・」

セーラ「サンキュー、ものしり浩子」

セーラ「オモロそうやん、俺のスーパーウルトラグレートデリシャスワンダフル洞察力が火を噴くで!」

洋榎「かかったな、アホが!小学時代”サトラレ”の異名を持ったうちと対戦する おのれの不幸を嘆くがいいで!」

~10分後~


セーラ「オープン!3筒で、どうや!!」

洋榎「いっけーっ!うちの3萬!!」


ド ロ ー 


浩子「これで第一戦から7連続引き分け・・・」

絹恵「どっちも9から順番に強い数字出し続けてるな・・・」

浩子「高度な駆け引きの結果なんか、単に目についた一番強いのをつい出してるんか判断に迷うとこやな」

浩子「ただ、凄まじく低確率な事態が起きてることは確かや」

浩子「単純計算で約18万分の1やからな。そして、何より恐ろしいんは・・・」

セーラ(ここまで数字順に出してきたんは、この瞬間に対する布石・・・?)

セーラ(いや、ちゃう・・・乾坤一擲のブラフを隠れミノにした正攻法で来るっ・・・!)

洋榎(・・・と、思わせて裏の裏のそのまた裏やろ?)

洋榎(天津飯は騙せても、この洋榎さんはそうはいかんで・・・あれ?裏の裏の裏って1筒と2筒、どっちやったっけ?)

浩子「もうどう出しても合計点数引き分けで決まっとるのに、それに気づいてないで互いに真剣に悩んどることや」

絹恵「浩ちゃん。私、ちょっとだけ選抜が不安になってきたわ・・・」

セーラ「そりゃーっ!こいつで勝負や!この瞬間に俺の全てをかける!!」

洋榎「吠えろっ!うちの・・・


ガラガラッ


雅枝「ただいまー。なんや、浩子とセーラも来てるんか。たこ焼き買ってきたでー」

洋・絹・浩・セ「「わーい!」」ダッ

セーラ「たまにはお前らも千里山遊びに来ーや。色々紹介したるで」モグモグ

洋榎「けどなあ・・・。オカンの職場に行くんて、なんか微妙やろ」モグモグ

絹恵「子供の頃は何回か付いて行ってたんやけどね」

雅枝「遊びには分からんけど、近々練習試合は組む予定やで。もう向こうの監督代行さんとも話はついとる」

浩子「それ、ええですね。なんやかんや全国クラスの他校選手と打てる機会は貴重やし」

雅枝「春の選抜、そして夏のインターハイに向けて実戦でのレベルアップは必須やからな」

雅枝「うちと姫松だけやない。新しい留学生が加入する臨海、主力が残る新道寺なんかも本気で優勝を狙っとる」

雅枝「去年の永水や龍門渕みたいなんが出てこんとも限らんしな」

雅枝「そして何より、白糸台の宮永照がいよいよ最終学年や」

雅枝「今年のインハイは10年前を超える史上空前のレベルになると、今日の集まりでも話題やった」

洋榎「そんなんいつものことやん。有馬記念かて、秋口には史上最高のメンツが揃うって毎年言われてるで」

洋榎「・・・もっとも、姫松に関しては間違ってないけどな」ゴッ

雅枝「ほーう、そいつは頼もしいな。で、その姫松の大エースさんは冬休みの宿題もさぞかし余裕なんやろうな?」

洋榎「・・・あ、明日からやるわ・・・。まだ1月になったばかりやし・・・なあ、絹?」

絹恵「え、私はもう終わったけど・・・。そもそも冬休みはそんなに宿題出ーへんし・・・」

セーラ「アッホやなあ、洋榎は。何事にもケイカク性って大事なんやでー」

浩子「そういう江口先輩は、宿題終わってるん?」

セーラ「雑巾二枚はもう用意したで!」

雅枝「・・・特待制度も、そろそろ考えるべきときに来ているようやな・・・」

雅枝「まあ、今日はええわ。ほら、お年玉や。セーラも浩子も手出し」

セーラ「監督、俺らもええんですか?」

雅枝「子供は風の子、外で遊んでこい。私はビール飲んでまた寝る」

洋榎「話せるやん、オカン!よっしゃ、神さんに必勝祈願や!神社まで競争やで!!」ガタッ

セーラ「そんで出店巡りやな!探せ!屋台の全てをそこに置いてきた!!」ダッシュ

浩子「・・・さっきまで私らが食べてたのは一体なんやろね」

絹恵「今年も賑やかな1年になりそうやなあ。皆さん、改めましてどうぞよろしくお願いします」ペッコリン


積(カン)!

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