開拓者「安価で町などを作る」 (689)

開拓者「俺は開拓者」

開拓者「王直属の開拓者として、労働者を率いていくつもの町を作ってきた男だ」

開拓者「しかし先日、王に開拓の終了を宣告された」

開拓者「今もまだ納得していないが、王に説明や補償を求めるのは無理だ」

開拓者「急に無職になった俺は、王国の開拓者として初めて作った思い出の町を訪れたが、いろいろあって追い出されてしまった」

開拓者「そして再就職も諦めて、こうして一人で野山に小屋を建て、採集生活を送っているわけだ」

ネコ「にゃー?」

開拓者「だが、俺はくじけない」

開拓者「この小屋を開拓事務所とし、民間の開拓事業を引き受けることにした」

開拓者「今日から俺はフリーの開拓者だ。よろしくな」

ネコ「にゃー」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1593938646

※システムのお試しを兼ねた、開拓者の町を作るシリーズのオムニバス外伝です
※各4ターンで終わります

開拓者として初めて作った思い出の町はこちら(過去編)→開拓者「安価で思い出の町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507454884/)
王に開拓の終了を宣告されたのはこちら(花畑島編)→開拓者「安価でどこかに町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493451944/)

他の過去回は前回スレの一番下から飛べます
前回スレ→設計者「安価で平和に町を作るよ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1591173292/)

~ 依頼① ~

開拓者「安価でフォトジェニックな町を作る」

写真家「こんちわー! ここで開拓事務所やってるって聞いたんですけどー」

開拓者「たしかにここは開拓事務所だが……よくここが分かったな?」

写真家「街を作れる人を探してたら、親切な人が場所を教えてくれました」

開拓者「町を作るには、資金と資材、そして人手が必要だが、大丈夫か?」

写真家「持ち合わせがないんで、街が出来てからの出世払いというのは無理ですか?」

開拓者「出世払い……町の税金からまかなうのか?」

写真家「税金?」

開拓者「とりあえず自己紹介を頼む。どうも話がかみ合わん」

写真家「失礼しました。アタシはインスタグラファー」

写真家「略さず言うとインスタント・フォトグラファー……インスタントカメラ専門の写真家やってる者っす」

写真家「そこそこ人気があって、フォロワーが1000人ちょいいます」

開拓者「後援者が1000人以上いるのか。財力はありそうだな」

写真家「や、財力はないんですけど。でもアタシの写真を見て観光に行くって人、結構多いんですよ」

開拓者「なるほど。観光産業の収入で後払いということか」

写真家「とにかく写真映えすればいいから、機能性とかは考えなくていいです!」

開拓者「それは町としてどうなんだ……」

写真家「どう? 街作り、引き受けてくれませんか?」

開拓者「いいだろう。写真を撮りたくなるような、見て楽しめる観光地を作ればいいんだな」

1週目

称号:のどかな草やぶ
ランク:集落

●開拓地
・野原……都市の郊外にある未開拓地。草花が揺れ、小川が流れる。

●住民
・写真家……インスタントカメラで撮ったエモーショナルな写真をフォロワーと共有する。

●ステータス
第一次産業Lv.0
第二次産業Lv.0
第三次産業Lv.0


写真家「はいどーぞ!」

開拓者「花と蝶の写真か。見慣れた風景もこうして切り取ると美しいものだな……」

写真家「アタシ的にはこれもアリなんですけど、季節と時間帯を選べば王国のどこでも撮れますし、何より虫はウケが悪いんです」

開拓者「さて、開拓を始めよう。まずは作業用の小屋と畑を作るとするか」

写真家「カントリーとナチュラルいいね! やっぱり村っぽいのが得意なんですか?」

開拓者「いや、町が発展して工業や観光業が育てば田舎でも自然でもなくなるぞ」

写真家「あっ、そういうことではなくて、属性の話」

開拓者「属性? 消防士や田んぼは水属性か?」

写真家「とりあえず一旦何か建ててみてくださいよ」

開拓者「属性はなんでもいいんだな?」


安価↓1 施設を作ります(畑・建物・公共施設、他なんでも)

開拓者「川の近くに穴を掘り、底に石を敷き、水を貯め、フェンスを置き……」

開拓者「貯水池の完成だ。俺が個人で作れるのはこのサイズが限界だな」

パシャッ! ジー

写真家「現像できました。どうです?」

開拓者「どうと言われても、貯水池の写真だな」

開拓者「悪いが、あまりウケないんじゃないか?」

写真家「想像力が足りませんね」

写真家「自然の中にポツリと置かれた人工の池。透き通っていない水。廃墟のような外観……」

開拓者「失礼な。作ったばかりだぞ」

写真家「水中に引きずり込まれるような、ホラーな雰囲気を感じませんか?」

開拓者「……実物を知らなければそう見えるかもな」


●ステータス
#ダーク 1いいね


開拓者「なんだこれは」

写真家「これはタグ。#ダーク が好きな人に見て欲しいっていう、しるしです」

開拓者「俺としては農家志望の労働者に見て欲しいが」

写真家「え? 農家いります?」

開拓者「要るだろう。開拓の基本だぞ」

写真家「では、こうです!」


1週目

称号:人工池のある草やぶ

●開拓地
・野原……都市の郊外にある未開拓地。草花が揺れ、小川が流れる。
・貯水池……自然の中に置かれた人工物。廃墟感と不気味さを醸し出す。#ダーク

●ステータス
#ダーク 1いいね


開拓者「おい、産業レベルが消えたぞ!?」

写真家「産業がバズることってありますか? インフラ投資でいいねがもらえますか?」

開拓者「もらえるだろう……株主や町民から」

写真家「実用性なんて忘れましょ! 写真映えこそがすべて!」

開拓者「なんだこの町作りは……」

写真家「じゃあ逆に聞きますけど、一か月間で、あなた一人の力でここの近くの大都市を超えられますか?」

開拓者「……確実に無理だな」

開拓者「そうか、畑も工場も要らないのか……」

写真家「青空を反射する田んぼとか、夜も光ってる工場なら大歓迎ですよ!」

エネルギッシュ(赤) ・ クール(青) ・ ファンキー(黄) ・ キュート(桃)
ミステリアス(紫) ・ ノスタルジック(茶) ・ ロマンチック(紺) ・ オリエンタル(橙)
ナチュラル(白) ⇔ ダーク(黒)
カントリー(緑) ⇔ アーバン(灰)
エレガント(銀) ⇔ ノーブル(金)
ユニーク(虹)
シンプル(無色)


写真家「さて、建物や人物には属性があります」

開拓者「それぞれの属性の定義は何だ?」

写真家「定義?」

写真家「えーと、例えば開拓者さんはエネルギッシュとカントリーで、アタシはキュートですよね」

開拓者「雰囲気で感じろということか」

写真家「同じ属性の人や建物が揃うと、雰囲気に統一感のある街になって、世界観が演出できます」

写真家「逆にいろんな属性がちりばめられた街でも、グラファー的にはワクワクしますね」

開拓者「そういえば、『遊園地』『宿泊施設』は町によって異なる雰囲気のものを作っていたな」

開拓者「スポーティやマジカルが無いのは、競技や魔法の方向性で雰囲気が違うからだろうか?」

開拓者「この矢印⇔は……両立できない属性ということか」

写真家「お互いの魅力を打ち消しあいかねませんね」

写真家「まあ、あえてモダンなビルの間にカントリーな店をポツンと置いた風景もエモいんですけど」

写真家「あえてダークな果樹園とか、ノーブルな市役所とか、とがってて面白くないですか?」

開拓者「ついていけん……」


※主な属性
エネルギッシュ(赤) クール(青) ファンキー(黄) キュート(桃)
ミステリアス(紫) センチメンタル(茶) ロマンチック(紺) オリエンタル(橙)
ナチュラル(白) ダーク(黒) カントリー(緑) モダン(灰) エレガント(銀) ノーブル(金)

安価↓1、2 写真映えする施設を作ります(用地・建物・公共施設など、雰囲気も指定できます)

写真家「やっぱり、おじさんに頼むのは間違いだったかも……」

開拓者「ふん、何を言うか」

開拓者「俺はいくつもの観光地を作り出してきた男だ」

開拓者「魅せてやろうじゃないか……絵になる開拓を!」ザッ

パシャッ! ジー

写真家「クワを振る美しい姿勢、躍動する筋肉……!」

写真家「太陽光と土の似合う男! なんて芸術的!」


写真家「あっという間に畑を作ってしまうなんて……!」

開拓者「耕して植えるのは朝飯前だ」

開拓者「次は建物だな。小さいサイズになるが、写真映りさえよければ構わないんだろう?」

写真家「はいもちろん」

開拓者「本格派の建築を見せてやろう」スッ

●開拓地
・田園……見渡す限りの緑の畑。これぞ開拓地の美である。#カントリー
・教会……神々しく落ち着いた佇まい。写真を見ていると聖歌が聞こえてくるような気がする。#エレガント

・貯水池……自然の中に置かれた人工物。廃墟感と不気味さを醸し出す。#ダーク

・貯水池……のどかな田園の一風景。暗いオーラがあり単体で見ると不気味にも感じる。#カントリー #ダーク

●ステータス
#カントリー 2いいね
#エレガント 1いいね


写真家「ほら、ただでさえ広い畑ですけど、アングル次第でこんなに広大で美しい田園風景に見えるんですよ」

開拓者「なるほど、これが写真家の実力か」

写真家「田園風景の横に置くと、貯水池の写真もカントリーな風景に見えるでしょ?」

開拓者「よし、これで廃墟とは言われないな」


開拓者「教会の写真も見事だ。見えない部分は適当に仕上げたが、ここまで化けるか」

写真家「いやー、開拓者さんが作った天窓のおかげですよ」

開拓者「写真だけ見ると、天使が降りてきそうだな」


写真家「ではアタシは一旦これで」

開拓者「後援者に写真を見せに行くのか?」

写真家「はい! フォロワーに見せてコメントをもらってきます」

開拓者「ではまた来週だな。俺も他の仕事があるから、ここを離れなければいけない」

2週目

称号:小説に出てくる田舎の村

●開拓地
・野原……都市の郊外にある未開拓地。草花が揺れ、小川が流れる。
・貯水池……のどかな田園の一風景。暗いオーラがあり単体で見ると不気味にも感じる。#カントリー #ダーク
・田園……見渡す限りの緑の畑。これぞ開拓地の美である。#カントリー
・教会……神々しく落ち着いた佇まい。写真を見ていると聖歌が聞こえてくるような気がする。#エレガント

●ステータス
#カントリー 6いいね
#ダーク 1いいね
#エレガント 3いいね


作業員「うーっす。よろしくお願いしゃっす」

写真家「一週間ぶりですね!」

開拓者「ああ。……増えていないか?」

写真家「いいねの事ですか? 実際見せると思ったより評判良くって」

開拓者「そうではなく、後ろの二人だ」

写真家「二人はアタシのフォロワーです。お手伝いを頼んだら快く引き受けてくれました」

農家「私達、本業で力仕事してるから足手まといにはならないと思うわ」

開拓者「助かるな。人手が欲しいと思っていたんだ」

開拓者「評価を得るにはどうすればいいんだ?」

開拓者「現状、1000人いるお前の後援者のうち、10人しかいいと思ってないんだろう」

写真家「似た雰囲気の写真を上げ続けるとフォロワーは増えるんですけど、段々いいねが伸び悩むんですよねー」

農家「他の町と差別化が必要だわ。教会のある村は他にもあるから」


※主な属性
エネルギッシュ(赤) クール(青) ファンキー(黄) キュート(桃)
ミステリアス(紫) センチメンタル(茶) ロマンチック(紺) オリエンタル(橙)
ナチュラル(白) ダーク(黒) カントリー(緑) モダン(灰) エレガント(銀) ノーブル(金)

安価↓1、2 写真映えする施設を作ります(用地・建物・公共施設など、雰囲気も指定できます)

配達員「注文の品、確かに納品しました!」

写真家「これは?」

開拓者「今週のために必要な物資を発注しておいたんだ」

開拓者「一つはこの大きな鐘だ。鐘の意匠にもいろいろあるが、教会に似合うものを選んでおいた」

作業員「これ運べるんすか……?」

農家「こちらの物資は、羽根かしら」

開拓者「風車小屋を建てる。場所はの畑の近くに決めておいた」


●開拓地
・風車小屋……田園の背景に素朴な風車が回っているのが見える。中はがらんどう。#カントリー
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。その荘厳な音色は隣町まで鳴り響きそう。#エレガント


パシャッ! ジー

写真家「うん。普通にエモいですね」

作業員「カレンダーっぽいな」

開拓者「どうだ。これが俺の実力だ」

農家「先週とあまり変わりませんわね」

開拓者「なんだと?」

写真家「まあまあ。妥当な評価は得られると思いますよ」

3週目

称号:ディティールが細かくなった、小説に出てくる田舎の村

●開拓地
・野原……都市の郊外にある未開拓地。草花が揺れ、小川が流れる。
・貯水池……のどかな田園の一風景。暗いオーラがあり単体で見ると不気味にも感じる。#カントリー #ダーク
・田園……見渡す限りの緑の畑。これぞ開拓地の美である。#カントリー
・風車小屋……田園の背景に素朴な風車が回っているのが見える。中はがらんどう。#カントリー
・教会……神々しく落ち着いた佇まい。写真を見ていると聖歌が聞こえてくるような気がする。#エレガント
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。その荘厳な音色は隣町まで鳴り響きそう。#エレガント

●ステータス
#カントリー 15いいね
#ダーク 1いいね
#エレガント 6いいね


開拓者「ほう。いいと思っている後援者が合計22人に増えたか。調子がいいな」

写真家「うーん、そうですかね? アタシ的には1000いいね越えて欲しいんですけど」

開拓者「後援者以外からも評価されたいのか」

写真家「そのくらいバズらなきゃ、観光客であふれかえりませんよ!」

開拓者「そうか……何が足りない?」

写真家「方向性はいいと思うんです。ただ、見る人に『おや』と思わせる引っかかりが足りない!」

写真家「いくらいい写真が撮れても、埋もれちゃって見てもらえなくちゃ意味がありません!」

開拓者「そうなのか」

開拓者(最終目的は観光客を呼び込むことだ)

開拓者(いっそ写真映えを無視して、この町の売りになるものでも作ってしまうか?)

開拓者(ついでに写真も撮ってもらえば、写真家も満足するだろう)

写真家「何か悪いことを考えてませんか?」

開拓者「そんなことはない」


※主な属性
エネルギッシュ(赤) クール(青) ファンキー(黄) キュート(桃)
ミステリアス(紫) センチメンタル(茶) ロマンチック(紺) オリエンタル(橙)
ナチュラル(白) ダーク(黒) カントリー(緑) モダン(灰) エレガント(銀) ノーブル(金)

安価↓1、2 写真映えする施設を作ります(用地・建物・公共施設など、雰囲気も指定できます)

開拓者「実用性を加えつつ、なるべく多くの属性を狙ってみるか」

開拓者「それなら文句はないだろう?」

写真家「もちろん! 写真映えするなら実用性があっても全然いいですよ!」


●開拓地
・羊牧場……ふわふわでもこもこの白いひつじ達とふれあったり写真を撮ったりできる。#カントリー #ナチュラル #キュート
・チーズ工場……熟成中のチーズが並んだ光景は唾液の分泌を促す。#カントリー #ナチュラル #フード


ひつじ「めぇ~♪」

農家「かっ、かわいらしいですわー!」

写真家「この羊、絶対語尾に音符ついてまず!」

パシャッ ジー

開拓者「見た目重視で羊を選んできたんだ。ばっちりカメラ目線だ」


開拓者「こちらにはチーズ工場を建てた。牛はいないが、見栄えはいいだろう」

写真家「じゅるり……」

作業員「腹減ってきた……」

開拓者「このチーズは実際に食べることができる。チーズフォンデュを囲んで食事でもどうだ?」

開拓者「写真で見たとき美味しそうな料理ランキングの上位に入るんじゃないか?」

写真家「わ、分かってる~!」

4週目

称号:カントリーなあざとい村

●開拓地
・野原……都市の郊外にある未開拓地。草花が揺れ、小川が流れる。
・貯水池……のどかな田園の一風景。暗いオーラがあり単体で見ると不気味にも感じる。#カントリー #ダーク
・田園……見渡す限りの緑の畑。これぞ開拓地の美である。#カントリー
・風車小屋……田園の背景に素朴な風車が回っているのが見える。中はがらんどう。#カントリー
・羊牧場……ふわふわでもこもこの白いひつじ達とふれあったり写真を撮ったりできる。#カントリー #ナチュラル #キュート
・チーズ工場……熟成中のチーズが並んだ光景は唾液の分泌を促す。#カントリー #ナチュラル #フード
・教会……神々しく落ち着いた佇まい。写真を見ていると聖歌が聞こえてくるような気がする。#エレガント
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。その荘厳な音色は隣町まで鳴り響きそう。#エレガント

●ステータス
#カントリー 58いいね
#キュート 30いいね
#ナチュラル 10いいね
#エレガント 6いいね
#フード 5いいね
#ダーク 1いいね


写真家「祝、100いいね突破!」

開拓者「二つ質問いいか?」

写真家「はいどーぞ!」

開拓者「ナチュラルが付く条件はなんだ?」

写真家「白いもの、清潔なもの、健康的なものにつくことが多いですね」

開拓者「ああ、つまり牛乳や羊毛はナチュラルか」


開拓者「もう一つ。フードは雰囲気じゃないだろ」

写真家「そう言われても、#フード の写真ばかり好んで見る人もいるから仕方ないですよ」

写真家「なんだか料理がメインの写真って、邪道というか、全然ジャンルが違います。アタシの主観ですけど」


ひつじ「めぇ~♪」

観光客A「本当にかわいい~!」

観光客B「なでなで~」

開拓者「すでに一組だけ観光客が来ているな」

写真家「#カントリー で若干注目されてたところに、カメラ目線の羊が刺さったみたいです」

開拓者「俺は忙しいから今週の作業が最後だな」

写真家「あっという間でしたねー」


※主な属性
エネルギッシュ(赤) クール(青) ファンキー(黄) キュート(桃)
ミステリアス(紫) センチメンタル(茶) ロマンチック(紺) オリエンタル(橙)
ナチュラル(白) ダーク(黒) カントリー(緑) モダン(灰) エレガント(銀) ノーブル(金)

安価↓1、2 写真映えする施設を作ります(用地・建物・公共施設など、雰囲気も指定できます)

開拓者「お前に謝っておかなかればいけないことがあるかもしれない」

写真家「は、はあ?」

開拓者「小動物がメインの写真は、邪道じゃないか?」

写真家「いえ! 別のジャンルですけど、邪道じゃないです!」

配達員「ご注文の小動物たちでございまーす!」

イヌ「わふ!」

ネコ「にゃー」

アヒル「ぐぁっ」

カピバラ「……」

うさぎ「うさー」

ポニー「ぽにぃ~」

小熊「クマァー!」

ライオンの赤ちゃん「れおお~ん!」

写真家「後半、中に人が入ってませんか!?」

開拓者「入るわけないだろ。こんなに小さいんだぞ」

写真家「というか二匹ほど危険ないきものがいるんですけど。でもかわいい……。くやしい……」

開拓者「俺なら猛獣の成体が暴れても制圧できるが」

写真家「開拓者さんずっとここにいないでしょ!」

開拓者「まだ、お前に謝っておかなかればいけないことがあるかもしれない」

写真家「は、はい?」


パンッ パンッ ズダン!! ダン!! ガガガガガンッ!! シュウゥ……

猟師「うしっ、命中!」

ライフル選手「一発外してしまいました……」

ガンマン「ヒィーハァー!! 撃ち心地バツグンだぜェー!!」

竜騎兵「これぞ、王国式流鏑馬!!」

サラブレッド「ヒヒィーン!!」

写真家「誰ですかこの人たち! アタシのフォロワーじゃないっすよ!?」

開拓者「彼らは銃撃のエキスパートだ」

竜騎兵「我こそは竜騎兵! 馬に乗り銃を扱う騎兵である!」

写真家「ど、どうも」

開拓者「標的に狙いを定めて引き金を引く……それは被写体にカメラを向けシャッターを切る動きに通じる」

写真家「通じません!」

ライフル選手「では試してみましょうか」

猟師「狙った獲物は確実にフレームに収める……!」

ガンマン「俺様の連写から逃げ切れるかぁ? お嬢ちゃぁ~ん!?」

写真家「ハアっ……アタシの、勝ちっす……!」

開拓者「写真家の矜持を守ったな」

ライフル選手「カッコ良く撮られてしまった……」

ガンマン「撮るには撮ったが、俺様の連写……ブレっブレだぜェ……」

猟師「背後から回り込んでおいて、顔が写るように撮るとはな」

竜騎兵「貴君にはゲリラ兵の素質がある!」

写真家「無いです」

開拓者「この戦いを乗り越えて、写真家としてレベルアップしたんじゃないか?」

写真家「言われてみれば……!」


●住民
写真家Ⅱ……困難な状況でもインスタントカメラでエモーショナルな写真を撮ることができる。


写真家「今のアタシなら、戦場や災害現場でも人の感情に訴えかける写真を撮れる……?」

開拓者「いいねに命を懸けなくてもいい」


開拓者「俺が何をしたかったかというと、万が一の猛獣対策と同時に、射撃場で銃の写真を撮れるようにしたかったんだ」

開拓者「ところで、銃はどういう属性になるんだ?」

写真家「猟師さんとライフル選手はエネルギッシュ、竜騎兵はノーブル、ガンマンはファンキーです」

開拓者「一口に銃と言っても様々なんだな」

写真家「この射撃場は、開放型で青い空と緑の木々が見えます」

写真家「木立の中にある競技場……銃声に耳をふさげば、ナチュラルですね」

●開拓地
・ふれあい広場……かわいらしい小動物とふれあったり写真を撮ったりできる。#キュート #カントリー
・射撃場……的撃ちの訓練ができる。木立の中にあり、雨の日はお休み。#ナチュラル #エネルギッシュ


写真家「チーズ工場ともこもこの羊は #ナチュラル寄りなんですけど、#カントリーに吸われました」

開拓者「射撃場は全く吸われないんだな」

写真家「当たり前じゃないですか。スパイスを入れるにも限度がありますよ」

写真家「開拓者さんがしたことは、甘いパンケーキに唐辛子をふりかけるようなことです」

開拓者「パンケーキと唐辛子を別々に食べればいい」

写真家「まっ、その通りですね」

写真家「ふれあい広場も射撃場もバズる予感はしますよ。客層が違いますけど」

後日……

開拓者「写真家、調子はどうだ?」

写真家「端的に言って、バズりましたよ!」

開拓者「前から気になっていたんだが、バズとはどういう意味だ?」

写真家「アタシの写真館の前が騒がしいんです!」

開拓者「そういう意味だったのか」

写真家「……アタシ、開拓者さんに謝らないといけません」

写真家「実用性なんていらない、って言ったのは取り消させてください!」

開拓者「困惑こそしたが、そこまで気にしてはいないぞ」

写真家「いい写真を撮りさえすればお客さんが来てくれると思っていたアタシが間違っていました」

写真家「写真を見て、実際に触れて楽しもうと思わせることが集客につながるんですね」

村が完成!

称号:都会人の理想が詰まった村

●開拓地
・野原村……都市の郊外にある田園の村。草花が揺れ、小川が流れる。
・貯水池……のどかな田園の一風景。暗いオーラがあり単体で見ると不気味にも感じる。#カントリー #ダーク
・田園……見渡す限りの緑の畑。これぞ開拓地の美である。#カントリー
・風車小屋……田園の背景に素朴な風車が回っているのが見える。中はがらんどう。#カントリー
・羊牧場……ふわふわでもこもこの白いひつじ達とふれあったり写真を撮ったりできる。#カントリー #ナチュラル #キュート
・ふれあい広場……かわいらしい小動物とふれあったり写真を撮ったりできる。#キュート #カントリー
・チーズ工場……熟成中のチーズが並んだ光景は唾液の分泌を促す。#カントリー #ナチュラル #フード
・教会……神々しく落ち着いた佇まい。写真を見ていると聖歌が聞こえてくるような気がする。#エレガント
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。その荘厳な音色は隣町まで鳴り響きそう。#エレガント
・射撃場……的撃ちの訓練ができる。木立の中にあり、雨の日はお休み。#ナチュラル #エネルギッシュ

●ステータス
#カントリー 1720いいね
#キュート 935いいね
#エネルギッシュ 856いいね
#ナチュラル 545いいね
#エレガント 102いいね
#フード 15いいね
#ダーク 1いいね


開拓者「桁がおかしくないか!?」

写真家「だから言ったでしょバズったって!」

開拓者「要因は何だ? 俺もここまで伸びるとは思わなかった」

写真家「さっき言った通り、みんな、写真を見て実際に触りたくなったんですよ」

写真家「ふわふわのひつじを! ちっちゃなどうぶつを! そして騒音を気にせず撃てる銃を!」

開拓者「そういうことか」

写真家「序盤の風景作りも役に立ってますし、微妙に実用的な場所が少ないのも活きてます」

写真家「コメント読みますね。『大都市の近くでアクセスしやすい』『不便さも田舎感があってちょうどいい』」

写真家「『デートコースに迷わない』『王国の原風景』『理想の田舎』だそうです!」

開拓者「いつの間にか、勝手にレストランやホテルが作られているな……」

写真家「人の少ない場所を探して歩いたんですけど」

開拓者「教会もまあまあ混んでいるな……」


開拓者「初めはとまどったが、普段と違う視点での開拓も、案外悪くなかった」

開拓者「これで依頼達成ということでいいな?」

写真家「はい! アタシも気づかせられることの多い、いい経験でした!」

写真家「アタシから開拓者さんにいいねを送ります!」

開拓者「ふっ。ならば俺はお前のフォロワーにならせてもらおう」

写真家「やっと覚えましたね! ずっと後援者って言ってたのに」

開拓者「俺はおじさんじゃないからな。1か月もあれば覚える」


開拓者「さて、では報酬をいただこうか」

写真家「……」

開拓者「教会の鐘や風車、建築資材、銃、動物の調達費用、そして手間賃」

開拓者「後払いという約束だったな。これほど観光客が来たんだ。十分払えるだろう?」

写真家「……」

開拓者「黙りこくってどうした?」

写真家「実はここ、近くの大都市が所有してる土地だったらしくて……」

写真家「つまりアタシたちは、勝手に開拓して、勝手に人気スポットを作ってしまったんです」

写真家「市長に呼び出されて厳重注意されちゃいましたよ。……あははっ」

開拓者「では……報酬は」

写真家「ごめんなさい。全然払えません!!」

開拓者「ちくしょう!!!!」


開拓者の資産が減った。

変わった町作りの経験と新たな仲間(?)を得た。



おわり

一か月前に戻る。

開拓者「写真のことだけを考えた町か……変わった依頼だが、一応は町作りだ」

開拓者「さて、開拓の準備ができたら出発するか」

???「す、すいません! 開拓事務所ってここで合ってますか!?」


1.宗教を作る
2.強い男を作る
3.不思議な料理を作る


↓1から 先に2票入ったもの

今晩はここまで。明日から料理編です。
選ばれなかったものも、後の方にやることがあります(やらないこともあります)。

雰囲気(属性)ステータスは、よく出てくる遊園地や宿泊所にテーマ性・どういう雰囲気かを足すためのアイデアでした。
属性を指定する安価は扱いづらそうなので、今後使用するとしたら、該当する施設が出てきた時に改めて安価で選んでもらう形式になると思います。

~ 依頼② ~

開拓者「安価で不思議な料理を作る」

コック「す、すいません! 開拓事務所ってここで合ってますか!?」

開拓者「む? ああ、そうだが。お前も依頼か?」

コック「はい! 僕はコック。城塞の都でレストランを経営してます、コックです!」

開拓者「元気のいいコックだな」

コック「僕はまだかけだしのコックです。だけど、町を愛する気持ちは誰にも負けない!」

コック「開拓者さんは城塞の都をご存じですか?」

開拓者「ああ。観光地として人気の古都だったか。俺はほとんど関わる機会のなかった町だな」

コック「はい。でも今やすっかりさびれて、かつての活気もなくなってしまった……」

コック「観光客を呼び戻すため、僕にできることを考えました」

コック「それは、話題性のある新メニューを作ることです!」

開拓者「そうだな。俺への依頼は品質のいい食材を生産するための町作りか?」

コック「いえ。料理のアイディアが欲しいんです!」

開拓者「それはお前が考えた方がいいんじゃないか?」

コック「最近は、食用の花とか、地衣類とか、変わった食材を使った料理が増えました……」

コック「そんな料理を出す町に対抗する新メニューが、全然思いつかないんです!」

コック「どうか! 僕とともに食のフロンティアを開拓してください!」

開拓者「ううむ……俺の本業では無いが……。他の依頼と両立も可能か……」

開拓者「分かった。引き受けよう。だが、料理はお前がするんだぞ」

コック「ありがとうございます! もちろん、料理はこの僕が!」

1週目

称号:落ちぶれた伝統の都
ランク:都市

●開拓地
・城塞の都……州都の一つ。かつては美食、軍事、芸術で栄える大都市だったが今は観光が主産業。

●住民
・コック……どんな食材を使っても味を上手く調えられるのが特技。地元の再興を夢見る。
・市民……平均所得は高くないがプライドは高く、観光客を含むよそ者をこころよく思っていない。

●ステータス
第一次産業Lv.5
第二次産業Lv.4
第三次産業Lv.15
美食Lv.7
防衛Lv.8


コック「いらっしゃい、開拓者さん! 遠路はるばるようこそお越しくださいました!」

開拓者「少し町を見て回ってきたのだが、この町はレストランが多いな?」

コック「はい……もともとは美食の町でしたから」

開拓者「今は違うのか?」

コック「今の王様になってからですね……。新しい町がどんどん作られて、この町より人気のある町が増えてしまって……」

コック「先日、ついに旅行雑誌のグルメ四傑からも外されてしまいましたよ」

開拓者「ちなみに、そのグルメ四傑とはどこが該当するんだ?」

コック「食の都、リゾートの町、観光農園の町、そして城塞の都の代わりに入ったのが……癒しの花園です」

開拓者「半分以上俺のせいだな……」

コック「特に癒しの花園はグルメの方向性が近かったので、衰退しつつあった観光産業にとどめを刺されてしまいました」

開拓者「完全に俺のせいだな……」

コック「そんな事はありません! 自己責任ってやつですよ! へんっ!」

コック「この町の人たちは他人に自己責任って言うのが大好きなんです! ついに自分達に返ってきましたけどねっ!」

開拓者「先ほど町を見て回った時に察したんだが、この町の住民はよそ者が嫌いなんだな?」

コック「はい。それで観光客にも冷たく当たって……。トゲトゲした町より癒しの町を選ぶのは当たり前じゃないですか!」

開拓者「開拓の光と影か……。お前が否定しても責任を感じずにはいられない」

開拓者「教育でどうにか……いや、すでに完成している町の雰囲気は変えられないか」

コック「諦めてはいけません! 僕はまだこの町を見捨てない!」

開拓者「話題性のある新メニューで、町に観光客を呼び戻すんだったな」

開拓者「お前が自分で考えたメニューは無いのか?」

コック「あります! すぐに作るから、味見をお願いします!」


安価↓1、2 それぞれ食べ物や飲み物を指定

コック「『川魚の酸っパイ』でございます!」

開拓者「なんだって?」

コック「魚に火が通らないうちにお召し上がりください!」

開拓者「メニューの名前をもう一度言ってくれ」

コック「『川魚の酸っパイ』でございます」

開拓者「解説頼む」

コック「こちら、焼きたてのサクサクのパイ生地の中に、生の川魚の切り身・オニオン・ケールを入れて」

コック「レモン、塩、林檎、シナモンで作ったソースをかけたものです」

開拓者「試しに食べてみるか……」

開拓者「こ、これは……!」

開拓者「パイ生地と魚が食感にコントラストを生み、甘じょっぱいソースの香りが鼻に抜ける……」

開拓者「なんだこれは……どういう気分で食べればいいのか分からん!」

開拓者「前菜なのか、お昼のデザートなのか、はっきりしてくれ!」

コック「これは失敗作なんです」

開拓者「だろうな」

コック「川魚の切り身に、あっという間に熱が通ってしまうという重大な欠点があるんです……」

開拓者「欠点はそこなのか」

1週目

称号:伝統のレストラン

●メニュー
川魚のカルパッチョ 意外性D 完成度A 前菜・魚
アップルパイ 意外性E 完成度A デザート・フルーティー
川魚の酸っパイ 意外性A 完成度D 前菜・フルーティー

~巷の声~
若い男性「あの店は安いことで有名ですよ。観光客の方にはおすすめです」
中年女性「繁盛していてうらやましいわぁ。うちの店は常連さんしか来ないのよねぇ」


開拓者「市民の声……これは皮肉か」

開拓者「バカ舌のよそ者しか来ない店だ、と」

コック「別にうちが嫌われているんじゃないですよ。誰にでもこんな調子です」

コック「そんなことより、僕の作ったメニュー、どうですか!?」

開拓者「アップルパイとカルパッチョを別々に出せばいいだろ」

コック「それじゃ他のレストランにも、他の町にもかなわない!」

開拓者「そうなるな……」

コック「狂ったアイデアで構いません。どんどん出してください」

コック「たくさん作れば一品くらい大当たりが出るかもしれない!」

開拓者「そうは言ってもな……。狂ったアイデアって出しづらいんだぞ」

コック「大丈夫。僕はどんな無茶な食材の組み合わせでも味を調えることができます」

コック「どうぞ思いつく限り、あり得ない組み合わせを挙げてくだされば!」

コック「今週のテーマは軽食! お客さんが片手に持ち歩けるメニューのアイデアをください!」

開拓者「城塞の都の特産品を使わなくてもいいのか?」

コック「いいですよ。特産品なんてないですから」


テーマ『軽食(テイクアウト)』

安価↓1、2、3、4 材料または料理(1と3 2と4が混ざります)

開拓者「テイクアウトか……」

開拓者「パンに牛乳を入れて、まろやかな牛乳パンにするのはどうだ?」

コック「逆に驚くほど普通で素朴なメニューです!」

開拓者「すまん……では、ナンはどうだ?」

開拓者「オリエンタルなパンだ。もちもちしていて、主にカレーを付けて食べる」

開拓者「カレーの代わりにトマトを付けて食べるとか、いいんじゃないか?」

コック「開拓者さん、軽食ですよ」

開拓者「すまん……」


コック「試作品できました!」

開拓者「牛乳パンかと思ったら、牛乳が注がれたパンが出てきた」

開拓者「どうなっているんだ……?」

コック「『バゲットカップMサイズ ミルク』です」

コック「カップ型に焼いたパンの底を飴でコーティングして、牛乳を注ぎました」

開拓者「飴が溶けるんじゃないか?」

コック「はい! 飴が溶けてパンがふやける前に早く飲んでください!」

開拓者「持ち帰りにくい!」


開拓者「これは、真っ赤なナンか」

コック「トマトをたっぷり練りこんで焼いた『レッドナン』です」

開拓者「……思ったより味がしないな」ムシャムシャ

開拓者「……カレーをつけたくなるな」ムシャムシャ

●メニュー
バゲットカップ 意外性B 完成度C 飲料・テイクアウト
レッドナン 意外性C 完成度B ヘルシー・テイクアウト


開拓者「これは料理というか、新しい材料だ」

コック「もう少し改良を重ねましょう。付き合ってくれますか?」


安価↓1 材料または料理(バゲットカップに混ざります)

安価↓2 材料または料理(レッドナンに混ざります)

●メニュー
ちくわぶカップ 意外性S 完成度E 飲料・テイクアウト
レッドナンシーチキン 意外性C 完成度A ヘルシー・テイクアウト


開拓者「グルテンを増やさせてみたら、巨大ちくわぶが出てきた」

コック「自信作です!」

開拓者「むにむにして持ちづらいな……」グニュッ

コック「あっ」

バシャッ

開拓者「なおさら持ち帰れない!」


コック「レッドナンにツナを練りこんできました」

開拓者「奇抜な見た目のわりに、普通に美味いな」モグモグ

コック「見た目負けしている……」モグモグ

開拓者「魚とトマトが摂れる、健康的なパンだ。案外流行るんじゃないか?」

コック「実は味付けにマヨネーズが入ってるので、カロリーが結構……!」

開拓者「雰囲気はヘルシーだろう?」

2週目

称号:絶対こぼれるミルクと魚のレストラン

●メニュー
川魚のカルパッチョ 意外性D 完成度A 前菜・魚
アップルパイ 意外性E 完成度A デザート・フルーティー
川魚の酸っパイ 意外性A 完成度D 前菜・フルーティー
バゲットカップ 意外性B 完成度C 飲料・テイクアウト
ちくわぶカップ 意外性S 完成度E 飲料・テイクアウト
レッドナン 意外性C 完成度B ヘルシー・テイクアウト
レッドナンシーチキン 意外性C 完成度A ヘルシー・テイクアウト

~巷の声~
中年男性「絶対こぼれるこのカップは、何かの風刺のつもりか……?」
学生「レッドナンは一回だけ買っちゃうね。一回きりね」


開拓者「ふう……」

コック「こんにちは! おや、憂鬱そうですね」

開拓者「慣れない仕事ばかりでな……ここもその一つだ」

開拓者「気分を切り替えよう。評判はどんな感じだ?」

コック「レッドナンシーチキンが一番売れてます!」

コック「逆に、ちくわぶカップは評判が悪いです。怒って出ていくお客さんもいらっしゃいました……」

開拓者「客にあれを出したのか……」

コック「でもお客さんはいつもの人ばかり」

コック「町の外から新しいお客さんを呼び込むには、やはり意外性もSランク、完成度もSランクの料理を作らなければ!」

開拓者「不可能じゃないか?」

コック「今週のテーマはスイーツ! どんな味なんだろう? と、気になるようなアイデアをください!」

開拓者「甘くなくてもいいのか?」

コック「いいですけど、僕はスイーツっぽい見た目で作りますよ」


テーマ『スイーツ』

安価↓1、2、3、4 食材または料理(1と2それぞれに、3と4のどちらかが混ざります)

ほろほろのジャガイモ、あざやかなニンジン。

透き通る白滝、よく煮込まれた牛肉……。

そして地衣類……。

コック「『地衣じゃが』でございます!」

開拓者「……」パク モグモグ

開拓者「……驚いた。甘い」

開拓者「優しい甘みがうま味を包み込んでいる」

開拓者「箸が進む。ジャガイモもニンジンも、牛肉も甘い」

コック「みりんと少量の砂糖で味付けをしました」

開拓者「スイーツとは、砂糖をたくさん入れたデザートだけではないのだな……」

開拓者「だが、地衣類はいらん」

コック「そんな!」

開拓者「そもそも地衣の都にあるレストランのパクリだろ、これ」

コック「開拓者さんが提案したんじゃないですか!」

●メニュー
地衣じゃが 意外性B 完成度B 煮物・甘い
焼きバナナ 意外性D 完成度B デザート・高カロリー


コック「バターで焼いたバナナ……中々ありですね」

開拓者「外国では普通に食べられているからな。知ってる人は知っている」

コック「では、そこまで意外ではありませんね」

開拓者「まだアレンジができそうだ」


安価↓1 材料または料理(焼きバナナに混ざります)

●メニュー
焼きバナナクレープ 意外性E 完成度A デザート・高カロリー


コック「焼きバナナをクレープ生地で巻いて、チョコと生クリームを足したら、むしろ普通のデザートになってしまいましたが!」

開拓者「慌てるな。まだ完成じゃない」


安価↓1 材料または料理(焼きバナナクレープに混ざります)

開拓者「写真映えを狙うならトウモロコシのヒゲをこう……」

コック「何を気にしているんですか」

開拓者「冗談だ。メンマを入れて食感を足そうとも思ったが、それは食の都(竹林の町)のパクリになってしまうな」

開拓者「醤油……いや、美味くするなら、これか」

コック「赤ワインですか?」

開拓者「ソースに混ぜてみてくれ」


●メニュー
プレミアム焼きバナナクレープ 意外性E 完成度S デザート・高カロリー


開拓者「やはり! 赤ワインの風味が高級感をプラスし、ただ甘ったるいだけのスイーツではない、特別な日のごちそうを演出する!」

コック「食べ応えがありますから、クレープよりもケーキに近いですね」

開拓者「控え目に言って、美味すぎないか!?」

開拓者「普通に理想のスイーツを作りだしてしまったな」

開拓者「これで依頼達成でいいんじゃないか?」

コック「でも、一見ただのバナナクレープですよ」

コック「リピーターに期待するとしても、一度食べればしばらくは食べないと思います」

開拓者「人目を惹く必要があるんだな」

ガチャッ

騎士「やってっか?」

コック「いらっしゃいませ!」

開拓者「客か」

騎士「……」ジロッ

コック「彼は開拓者さんです。僕の新メニュー開発に付き合ってもらっているんです」

騎士「チッ。この野郎が開拓者か……」

開拓者「初対面で失礼な男だな」

騎士「てめぇの事は一方的に知ってんだよ。城塞の都の敵だってことをな!」

開拓者「騎士としてその言葉遣いはどうなんだ」

コック「ごめんなさい。彼は常連のお客さんで、普段はこうじゃないんです!」

騎士「おいコックさん。新メニュー開発はこんな奴に頼らなくてもいいぞ」

騎士「アイデアなら俺が出してやる!」


●メニュー
ラーメンドッグ 意外性A 完成度A 高カロリー・テイクアウト


開拓者「ホットドッグに汁なし豚骨ラーメンを挟んだパン……こんなものは軽食ではない!」

コック「とても良い出来です!」

開拓者「なんだと……?」

騎士「ここのコックさんはな、どんな無茶な要求をしても美味いメシ(完成度A)を作ってくれるんだよ」

コック「へへへ、ありがとうございます!」

開拓者「いや、何回か失敗しただろう」

コック「味以外の部分で失敗(刺身に火が通る、構造上こぼれる、など)することはありますよ」

騎士「俺の方がコックさんのことはよく分かってる。てめぇの出番はねーんだよ!」

騎士「帰れ帰れ!」

開拓者「ぐぬぬ……」

コック「ら、来週も来てくださいね……」

他の案件の最中……。

写真家「バズるグルメ?」

写真家「ちょっと安易かもですけど、カラフルなものを使えばいい写真が撮れますね」

開拓者「写真映えしたいわけでは……まあ、注目を集めるという意味では同じか」


建築作業員「やっぱデカ盛りじゃないか?」

建築作業員「味の濃いもの同士を混ぜたら、絶対美味いに決まってる」

開拓者「美食ではないが、真理だな……」

3週目

称号:学生を太らせる罠

●不思議なメニュー
川魚の酸っパイ 意外性A 完成度D 前菜・フルーティー
バゲットカップ 意外性B 完成度C 飲料・テイクアウト
ちくわぶカップ 意外性S 完成度E 飲料・テイクアウト
レッドナン 意外性C 完成度B ヘルシー・テイクアウト
レッドナンシーチキン 意外性C 完成度A ヘルシー・テイクアウト
地衣じゃが 意外性B 完成度B 煮物・甘い
プレミアム焼きバナナクレープ 意外性E 完成度S デザート・高カロリー

~巷の声~
女子学生「久しぶりにいつもと違うスイーツを見つけた!」
おじいさん「私にはどのメニューも重いなぁ」



開拓者「リベンジだ!」

開拓者「今週は秘策があるんだ。もう負けんぞ」

コック「常連さんなら今日は来ませんよ」

開拓者「なんだと……」


開拓者「ところで、確認だが、今まで使った食材をもう一度使ってもいいのか?」

コック「ユニークで美味しい料理ができるなら何でも構いません!」

開拓者「今までにできたメニューを使ってもいいか?」

コック「メニューによっては難しいですが、僕がなんとかします」

開拓者「食べられないものを使うことはできるか?」

コック「飾りか容器としてなら、使ってみましょう!」

コック「今週のテーマはメインディッシュ! 必ず焼いたり煮たりして火を通します」

開拓者「俺がサラダや生魚を指定したらどうする?」

コック「火を通します!」


テーマ『メインディッシュ(火が通る)』

安価↓1、2、3、4 食材または料理(1と2それぞれに、3と4のどちらかが混ざります)

ドン!!

コック「お待ちどう!」

開拓者「怪物が出てきたな……」

コック「牛肉の塊をそのまま焼き、その周りをチキンライスで固めて、卵でとじた、『オムビーフマウンテン』です!」

開拓者「頂上から骨が飛び出しているじゃないか」

開拓者「いただこう。……流石だ。味の整った良いオムライスだ……」

開拓者「牛肉はナイフでそぎ落として食べなければいけないな」

コック「正直に言うと、牛肉とオムライスを調和させられませんでした」

開拓者「うむ。食べきれそうにない……」

開拓者「パーティで頼むとウケそうな気はするな」


ドロォ~……

コック「ど、どうぞ」

開拓者「生ごみが出てきたな……」

コック「僕も味見はしていません」

開拓者「いや、まさか俺もタコと納豆を合わせるとは思っていなかった」

開拓者「見ているだけで吐き気がする」

コック「これは、捨てましょうか」

開拓者「いや、駄目だ。挑戦なくして前進なし」

開拓者「行くぞ……これが開拓魂だっ!!」

パクッ

開拓者「んっ、んんん……?」

開拓者「……美味い!!!!」

●不思議なメニュー
ゆでダコの納豆詰め 意外性S 完成度S ゲテモノ・スパイシー
オムビーフマウンテン 意外性A 完成度A パーティ料理・デカ盛り


開拓者「コリコリとしたタコの楽しい食感を、詰め物の複雑で奥深いうま味が引き立てる!!」

開拓者「お前はタコの中に何を入れたんだ! 納豆だけでこうはならんだろう!」

コック「スパイスをたっぷりと、ひき肉も少々!」

コック「僕が父から教わった、ロールキャベツのレシピを応用しました」

開拓者「びっくりしたぞ。お前も食べてみろ」

コック「では、僕も一口」パクッ

コック「納豆、ありですね……」

開拓者「そうだろう? 見た目に反して驚くほど美味い」

コック「いけます! この料理があれば、この町にたくさんのお客さんを呼べる!」

開拓者「……」

開拓者「最初の一口さえ食べてもらえれば、な」

コック「意外性も高く、完成度も高く……ハードルも高すぎますね」

4週目

称号:モンスターレストラン

●不思議なメニュー
川魚の酸っパイ 意外性A 完成度D 前菜・フルーティー
バゲットカップ 意外性B 完成度C 飲料・テイクアウト
ちくわぶカップ 意外性S 完成度E 飲料・テイクアウト
レッドナン 意外性C 完成度B ヘルシー・テイクアウト
レッドナンシーチキン 意外性C 完成度A ヘルシー・テイクアウト
地衣じゃが 意外性B 完成度B 煮物・甘い
プレミアム焼きバナナクレープ 意外性E 完成度S デザート・高カロリー
ゆでダコの納豆詰め 意外性S 完成度S ゲテモノ・スパイシー
オムビーフマウンテン 意外性A 完成度A パーティ料理・デカ盛り

~巷の声~
学生「クレープとナンが好きだけど、メニュー表に化け物がいるせいで行きたくなくなった」
中年女性「パーティ中に、私の大好きなゆでダコの納豆詰めを頼んだら、みんなに引かれてしまったわ」


開拓者「……客が減ってないか?」

騎士「てめぇ、余計なことしやがって」

コック「一口だけでも食べてもらえればと思い、お通しで出してみたら、一口も手を付けずに残されてしまいました」

騎士「味は最高なのにな。一見の客は勇気のないクソばかりだ」

コック「だいたい地衣じゃがの地衣類も残されます……」

開拓者「困ったな。意外性はあるが、グロテスクな方向では駄目か……」

コック「最後のテーマその1は一品料理!」

開拓者「なんでもいいってことか?」

コック「今までのメニューには無い料理がいいですね」

開拓者「カロリーが高すぎず、華やかなものがいいだろうか?」


テーマ『一品料理(なんでもOK)』

安価↓1、2、3、4 食材または料理(1と2それぞれに、3と4のどちらかが混ざります)

豆腐「・v・」

開拓者「遊んでるのか?」

コック「僕はいつでも本気です!」

コック「皿の中央に冷えた豆腐、周りにイクラを敷き、豆腐の上にイクラとワサビで顔を描いた、デザイン性重視の素朴な小料理」

コック「名付けて、『ひややっこ君』!」

開拓者「スベりそうで怖いな」


開拓者「残ったのはドングリとピーマン、俺が選んだ素材ではあるが、どうするんだろうな」

コック「できました!」

騎士「これ、タコの中身じゃねーか!」

コック「スパイスと納豆、ひき肉で作ったタネを使って、アクの強いドングリと苦みのあるピーマンに合わせました」

開拓者「ドングリ、思ったより柔らかいな」カリカリ

騎士「もっと硬くてもいいんじゃないか?」ポリポリ

コック「お二人のアゴが強いんですよ」


●不思議なメニュー
ひややっこ君(いくらと豆腐の盛り合わせ) 意外性B 完成度S 低カロリー・キャッチー
チャレンジサラダ 意外性A 完成度S スパイシー・ヘルシー

コック「本当に最後のテーマはドリンク!」

コック「食事と一緒に飲むカクテルでも、ちょっとしたお茶会用のメニューでも構いません」

開拓者「固形物は使っていいのか?」

コック「大丈夫です! ドリンクの底に沈めたり、コップの縁に飾ったり、すりおろしてドリンクに混ぜます」


テーマ『ドリンク』

安価↓1、2、3、4 食材または料理(1と2それぞれに、3と4のどちらかが混ざります)

開拓者「コックよ。お前はどんな食材を使っても上手く味を調えられると言っていたな」

コック「はい! これと言って得意料理の無い僕ですが、味の調整だけは自信があります!」

開拓者「では、これでも大丈夫なんだな?」

・青汁

・発酵した魚の缶詰

コック「ん゛っ」


●不思議なメニュー
魚介青汁 意外性S 完成度E ゲテモノ・健康食品
イチジクココアミルク 意外性C 完成度A ドリンク・フルーティー


コック「くーっ! まずい!」

開拓者「もう一杯!」

コック「要りません!!」

開拓者「ふっ、俺の勝ちだな」

騎士「何で張り合ってんだよてめぇ」

開拓者「こっちのイチジクココアはまあまあ美味いんじゃないか?」

騎士「てめぇも魚介青汁飲みやがれ」ガシッ

開拓者「や、やめろ! こぼれて服に付く!」

コック「いらっしゃいませ!」

がやがや

開拓者「昼食で人の多い時間とはいえ、混んでいるじゃないか」

コック「ゆでダコの話を聞いた人が、怖いもの見たさで来てくれているんです」

開拓者「よかったな。他の町から来ている客もいるな」

騎士「けっ。空いてるから好きな店だったのによ。落ち着かねぇや」


開拓者「人気メニューは、やはりゆでダコか?」

コック「いえ、一番人気はひややっこ君とバゲットカップです」

コック「味よりも、見た目の面白さで選ばれているみたいです」

開拓者「チャレンジサラダはおススメした方がいいぞ。お前のスパイス納豆はみんな一度は味わっておくべきだ」

開拓者「……どうだ? 町の空気は変わりそうか?」

コック「まだまだこれからですよ」

コック「変わった料理を出す店がある、と、雑誌の記者がうちに興味を持ってからが本番です!」

コック「僕はこの不思議な料理で、必ずこの町の人気を取り戻してみせる!!」

コック「開拓者さん、短い間でしたが本当にありがとうございました!!」

開拓者「ああ。来週また様子を見に来る」

開拓者「行列ができていることを期待しているぞ」

メニューが完成!

称号:エセ東洋グルメのレストラン

●おすすめ
ゆでダコの納豆詰め 意外性S 完成度S ゲテモノ・スパイシー
オムビーフマウンテン 意外性A 完成度A パーティ料理・デカ盛り
ひややっこ君(いくらと豆腐の盛り合わせ) 意外性B 完成度S 低カロリー・キャッチー
チャレンジサラダ 意外性A 完成度S スパイシー・ヘルシー

●単品
川魚の酸っパイ 意外性A 完成度D 前菜・フルーティー
レッドナン 意外性C 完成度B ヘルシー・テイクアウト
レッドナンシーチキン 意外性C 完成度A ヘルシー・テイクアウト
地衣じゃが 意外性B 完成度B 煮物・甘い

●デザート
プレミアム焼きバナナクレープ 意外性E 完成度S デザート・高カロリー

●ドリンク
イチジクココアミルク 意外性C 完成度A ドリンク・フルーティー
バゲットカップ 意外性B 完成度C 飲料・テイクアウト
ちくわぶカップ 意外性S 完成度E 飲料・テイクアウト
魚介青汁 意外性S 完成度E ゲテモノ・健康食品

~巷の声~
中年男性「サラダが美味しかったからゆでダコも頼んでみたよ。食べてみて正解だった」
男子学生「なんだかんだシーチキンナンとバナナクレープが鉄板なんだよな」
ゲテモノマニア「あえてちくわぶカップで魚介青汁を飲むのも乙なものだよ」
女子学生「豆乳系のドリンクも欲しかったかも」

翌週。

騎士「よう」

がらん……

開拓者「な、何があったんだ? また閑古鳥が鳴いているじゃないか!」

コック「開拓者さん……! 大変です……」

コック「興味本位で来ていたお客さんに、飽きられてしまいました!」

開拓者「バカな……。あのラインナップでか……? 堅実に美味しいお持ち帰りグルメもあっただろう!」

騎士「ひややっこ君は一回撮ればもういいやって言われてたぞ」

開拓者「ん?」

開拓者「なあ、客は今、別の場所に集まっているのか?」

コック「そうです! 聞いてくださいよ開拓者さん!」

コック「つい最近、城塞の都の郊外に、新しい観光地が出来てしまったんですよ!」

コック「田舎暮らしが体験できる雰囲気のいい村で、チーズフォンデュを囲んで食べるのが流行ってしまって!」

コック「かわいい小動物やひつじとも触れ合えるっていうんですよ!? たしかに、グロテスクなタコや顔を書いた豆腐よりもそっちに行きますよね!」

騎士「あそこも一応、城塞の都だろ?」

コック「いいえ! 郊外が発展したところで、城塞の都の中心地はさびれていくばかり!」

騎士「元気出せ。俺は銃が嫌いだからあの村も嫌いだ」

コック「開拓者さん……」

コック「僕の愛するこの城塞の都は、このまま衰退するしかないんでしょうか……」

開拓者「……」

開拓者「言い訳の余地なく、俺のせいだな……」


その後、コックは妥協して、郊外の村に屋台を出してみることにしたという。

城塞の都の未来は、ちょっとだけ明るい。



おわり

今晩は次パートの安価を出して終わります。

料理編は、以前から案だけはあった「安価で農村と美味いメシを作る」の料理部分を抜き出したものです。
その案では、開拓パートで作った食材を使って、まともな料理を作る形式で考えていました。
まともな料理の方が作りやすそうですね。

また、一か月前に戻る。

開拓者「写真映えする町に、ユニークな料理か……」

開拓者「俺は何だと思われているんだ?」

???「開拓者って人、いますか!」


1.宗教を作る
2.ダムを作る
3.大学を作る


↓1から 先に2票入ったもの

~ 依頼③ ~

開拓者「安価で大学を作る」

町民「開拓者って人、いますか!」

開拓者「それは俺の事だが、お前も依頼か?」

町民「はい。今、お時間はございますか?」

開拓者「今から、ある写真家の依頼で町を作りに行くところだ。すまんな」

町民「そうでしたか……。それは残念です」

開拓者「とりあえず要件だけ聞こうか」

町民「はい。私の依頼は、亜熱帯の町に大学を作ってほしいというものです」

開拓者「亜熱帯の町……知らない町だな」

町民「数年前まで村でしたから、知らないのも無理はありません」

町民「もしも依頼を受けてくださるのであれば、いつでも亜熱帯の町にお越しください」


2日後。

開拓者「貯水池を作るとホラーだと言われ、普通のメニューを提案すると叱られる……」

開拓者「あいつらは一体俺を何だと思っているんだ?」

開拓者「そういえば亜熱帯の町の依頼があったな。大学か……比較的マシな依頼だ」

開拓者「試しに行ってみるか」

1週目

称号:成長いちじるしい町
ランク:町

●開拓地
・亜熱帯の町……サトウキビのプランテーション農業に支えられた田舎町だったが、近ごろ工業が育ちつつある。

●住民
・町長……町を発展させるため色々な人に頭を下げている。
・町民……我慢強く働き者な町民性で知られているが、不平等や理不尽には町民一体となって立ち向かう。

●ステータス
第一次産業Lv.6
第二次産業Lv.5
第三次産業Lv.1


開拓者「ここに大学を作れそうな広い空地があるな……」

町長「もしや、あなたは開拓者さんでは!?」

開拓者「ああ。開拓者だ。今は王国の専属ではなく、フリーの開拓者をしている」

町長「なんと! 申し遅れました。私はこの町の町長です」

町長「フリーの開拓者ということは、私どもの依頼も受けていただくことも可能ということでしょうか……?」

開拓者「そうだな。なぜそんなに恐る恐る聞くんだ?」

町長「私達の町は、常に王国からの援助を断られ、時には公共事業を妨害されてきたのです」

開拓者「なぜそんなことを……いや、分かった。あのサトウキビ畑、プランテーションだな」

開拓者「元々、この町は王国領ではなかったんだろう。独立を恐れて力を持たせないようにしていたのか」

町長「しかし私達はコツコツと努力し、工場を作り、少しずつ町の税収を増やしました」

町長「現在は、町に大学を作り、専門的な職業教育を行うとともに、外から学生を呼び込もうと計画していたところです」

開拓者「それが依頼か……」

町長「はい。よろしければ私どもの町にお力添えをお願いします……」

町長「ご都合が悪ければ、無理は言いません……」

開拓者(今の話を聞いて断る気にはなれんな……)

開拓者(俺が設立に関われば、卒業生による今後の開拓への協力にも期待できるかもしれん)

開拓者「……頭を上げてくれ。その依頼を引き受けよう」

町長「よ、よろしいのですか……!? ありがとうございます!!」


後日。

指南役「お待ちしていましたよ、開拓者さん。町長から町の案内をするように頼まれています」

開拓者「お前は町長の側近か?」

指南役「いえ。僕も最近この町に来たばかりですよ」

指南役「町長さんから、警察官への戦闘指南役を依頼されまして」

開拓者「なるほど、町長が進めている計画は大学を作ることだけじゃないんだな」

指南役「僕以外にも、音楽家や、理工学者、王国の元役人など多数招かれているようです」

指南役「大学を作る際にご協力できることがあれば、呼んでください」

開拓者「分かった。もし体育関係で何かするときは頼りにしよう」

1週目

称号:真っ白なキャンパス

●大学予定地
・土地……広い面積の空地。開拓者が何もしなくても、基本的な建屋だけは完成する。
・事務局予定地……大学の運営事務所が建つ。
・教育棟予定地……一般的な教室の入った建物が建つ。
・図書館予定地……大学には必須な図書館が建つ。

●ステータス
魅力Lv推定…0(最大10)
学力Lv推定…0(最大10)
研究Lv推定…0(最大10)


元役人「以前図書の町で働いていた者です。町長からあなたのサポートを依頼されました」

元役人「大学に必要な要素は3つ」

元役人「町の外から学生を呼ぶために『学生生活を助ける・充実させる施設』を、」

元役人「町に専門性の高い職業を増やすために『職業教育カリキュラム』を、」

元役人「そして大学に残り研究を続ける学生のために『研究室』を作る必要があります」

元役人「それぞれ『魅力』『学力』『研究』の数値で表します」

開拓者「ふむ、難しいな……」

元役人「今まで開拓で何度も作ったことがあるんじゃないですか?」

元役人「計算上、2か月で町を作れるあなたなら、2、3週間ですべて最大値近くまで上げられるでしょう」

開拓者「……いや、実はな。普通の建物を建てたり、一般的な職業訓練を行うことはたやすいのだが、」

開拓者「高度な専門教育や設備が必要な大学については、作りたい学部だけ使者に伝えて丸投げしていたんだ」

元役人「この町にはちょうど多彩な分野の専門家が招かれています。問題はないのでは?」

開拓者「作れないわけではない。だが計算は狂うんじゃないか?」

開拓者「建築工学か教育の専門家なら余裕なんだろうがな……」

開拓者「というわけで、俺は大学を作ることに不慣れだ」

開拓者「他の依頼も抱えている以上、細かく指示したり作業に参加したりできるのは週に二件が限界だろう」

元役人「再計算した結果、すべての要素を最大値まで上げるには3か月かかると分かりました」

開拓者「完璧な大学を目指すことはできない。かなり妥協が必要だ……」


安価↓1、2 大学の施設・設備を作ります(教育分野・研究分野を指定、もしくは学生生活のための施設を建てる)

図書館予定地。

開拓者「すでに基礎の工事が終わっているな。ここに図書館が建つのか」

元役人「図書館は大学の構成要件の一つです。図書館がなければ大学は名乗れません」

開拓者「俺が手を出さなくても、普通に必要な図書館は建つわけだ」

元役人「図書館の仕様は……2階建て、地下書庫あり、初期スタッフは十名」

元役人「防湿、防虫、日焼け防止のマニュアル。蔵書は新聞、教科書、学術書が主です」

元役人「設立する学科に応じて並べる本の種類も変わることでしょう」

開拓者「ふむ、ちゃんとした図書館だな」


安価↓1 図書館に追加する設備、本のジャンルなど

開拓者「農業についての本を取りそろえるよう手配してほしい」

元役人「つまり農学部を設立するということですね」

開拓者「図書の町で働いていたのなら、伝手はあるだろ? よろしく頼むぞ」



理工学者「ワシは理工学者ジャ! 理学、工学のすべてはワシに任せなさいなのジャ!」

開拓者(濃い爺さんが来たな……)

開拓者「科学の研究には実験用の大きな機械が必要になるんだよな?」

理工学者「ウム。主に物理学と工学ジャな!」

開拓者「それなら、大きい建屋を作っておくか」

理工学者「おっと! キミ、自力で建てるつもりか?」

開拓者「俺が建てたらいけないのか?」

理工学者「実験棟には、実験内容に応じた設備が必要ジャ! 例えば、放射線防護壁、毒性のある気体や粉塵に対応した換気システムなどジャよ」

開拓者「そうなのか。ならば、ここは爺さんに任せようか」

理工学者「人使いの荒い若造ジャ!」

2週目

称号:農業理論専門学校

●大学予定地
・土地……広い面積の空地。開拓者が何もしなくても、基本的な建屋だけは完成する。
・事務局……大学を運営する職員が働く。
・教育棟……一般的な教室がたくさんある。
・図書館……大学に必要な量の蔵書が収められている。特に農業の本が多い。
・実験棟……大型の実験機械を入れることができる建物。まだ何も入っていない。

●ステータス
魅力Lv推定…0(最大10)
学力Lv推定…1(最大10)
研究Lv推定…1(最大10)


町長「開拓者さん! 農業学校にする予定なのでしょうか?」

開拓者「いや、まだ早まるな」

町長「車庫にトラクターと脱穀機を置きましょうか?」

開拓者「そこは実験棟だ」

元役人「農学部の条件として、実習用の畑、飼育舎などが必要ですが、学外で実習する手もあります」

開拓者「それよりも、魅力が0だとどうなるんだ?」

元役人「この町の住民以外が入学することはほぼ無いと言っていいでしょう」

開拓者「あまり良くはないが、致命的な問題ではないのか」


安価↓1、2 大学の施設・設備・カリキュラムを作ります(教育分野・研究分野を指定、もしくは学生生活のための施設を建てる)

開拓者「建物を作った」

開拓者「コンベンションホール、というのか? 研究者が学会で集まる場所だ」

元役人「一日で建ったんですか……!? それに、よく知っていましたね」

開拓者「単純な建築は得意なんだ。町民に手伝ってもらったからなお速かった」

開拓者「俺も何度か学会に招かれたことはあったからな」



人文科学者「文学部、それは人間にまつわる広範な分野の学問を内包する学部……!」

人文科学者「君も私とともに人間の本性を研究しないか? さあ、楽しい楽しい社会実験を始めよう……!」

開拓者(マッドサイエンティストみたいなのが来たな……)

開拓者「文学部にはどんな設備が必要なんだ?」

人文科学者「特に必要なものはない。しいて言えば、人間が必要といえる」

開拓者「そもそも文学部はどういうことを学ぶんだ? 本の読み方か?」

人文科学者「チッチッチッ、君は何も分かっちゃいないな」

人文科学者「言語学、歴史学はもちろんのこと、」

人文科学者「心理学、芸術学、宗教学……時には政治、経済、法さえも含まれる!」

開拓者「科学以外のすべてじゃないか」

開拓者「大量の図書とそれを保管するスペースが必要だな……新たに棟を建てるか」

3週目

称号:人間社会大学

●大学予定地
・土地……広い面積の空地。開拓者が何もしなくても、基本的な建屋だけは完成する。
・事務局……大学を運営する職員が働く。
・教育棟……一般的な教室がたくさんある。
・文学部棟……社会と文化についての諸分野を学ぶ学部の専用棟。
・実験棟……大型の実験機械を入れることができる建物。まだ何も入っていない。
・図書館……大学に必要な量の蔵書が収められている。特に農業の本が多い。
・コンベンションホール……学会を開くことができる広い会議場。

●ステータス
魅力Lv推定…0(最大10)
学力Lv推定…3(最大10)
研究Lv推定…3(最大10)


町長「本当にありがとうございます! 大学が完成しました!」

開拓者「いや、まだ完成してはいないんだが……」

町長「これで町の将来を担う人材を育成できます」

開拓者「気が早いな」

開拓者「まだ大学と呼べるものじゃない。職業教育も専門学校未満だ」

開拓者「実験棟なんてまだ何の役にも立っていないからな」

●学部
文学部(文学科・社会学科・法学科・芸術学科)
農学部

●卒業生の進路(推定)
町役場、農家 など


開拓者「確認しておきたいんだが……ひたすら学部を作るだけでいいんじゃないか?」

元役人「それでも体裁は整いますが、町に人を集めたいなら『魅力』を、」

元役人「手に職をつけた卒業生を増やしたいなら『学力』を、」

元役人「王国、ひいては世界の、知識・技術を進歩させたいなら『研究』を上げる努力をすべきです」

開拓者「といってもな……」

元役人「『魅力』を上げるには、勉強に関係ない、学生が息抜きできるものを作りましょう」

開拓者「なるほど、大学生の本分は勉強だが、大学生は勉強以外のこともしたがるな」

元役人「『学力』については、開拓での労働者教育と同じように考えてみるのはどうでしょうか?」

開拓者「農家を育てたければ農学部、ということか」




魅力Lv → 学生の生活や娯楽に関係する施設で上がる。高いと町の外からも入学者が集まる。

学力Lv → 専門的な職業を育成できると上がる。○○学者などの、産業に直接関与しない職業は含まない。専門学校に近い。

研究LV → 研究者のためのあれこれで上がる。分野は細かい方が専門性が上がる。

開拓者「あと2週間でどうにかなる気がしないんだが……最悪、町長に延長を頼んでみるか?」

開拓者「あの町長なら了承してくれるだろう」


安価↓1、3 大学の施設・設備・カリキュラムを作ります(教育分野・研究分野を指定、もしくは学生生活のための施設を建てる)

開拓者「亜熱帯の町にも貸家はあるようだが、やはり大学と言えば学生寮が必要だ」

開拓者「学生寮内は学生の自治で維持される。するとおそらく不衛生になる」

開拓者「学生寮の一階に食堂を設置し、外部の者も入ってくるようにして、廊下までは清掃員に掃除させよう」


開拓者「毎週ボランティアしてくれてありがとうな」

建築作業員「町の未来のためだ。なんてことないさ」

町長「大丈夫? 私ら邪魔になってない?」

開拓者「いや、大いに助かっている。一人で建築すると時間がかかりすぎるからな」

指南役「よっ、と」ピョン スタッ

開拓者「おい、ここ4階だぞ……どういう身体能力だ」

指南役「僕たちも作業を手伝おうと思いまして」

警察官「はい! 協力させてください!」

開拓者「この町は警察官も半袖なんだな。建築現場では暑くても長袖に着替えた方がいいぞ」

完成したカフェテリア。

開拓者「一昨日の昼食はチーズフォンデュだったな。昨日は、タコに納豆とひき肉を詰めたものを食べた」

建築作業員「俺はタコも納豆も食べるけど、なんだよそれ」

開拓者「写真見るか? 撮っておいたんだ」スッ

建築作業員「うえっ……汚なっ!」

開拓者「いや、それがな。絵面は最悪なんだが食べてみると案外」

店員「お料理お持ちしましたー」

開拓者「ん? まだ頼んでいないが」

店員「学生さんに提供する予定のメニューの一部です」

開拓者「瓜と肉の南国風炒め物と、香草の効いた卵スープ、そしてライスか」

開拓者「この奇妙な飲み物はなんだ? 底に異物が沈んでいるが……」

店員「お餅入りのお茶です。試しに飲んでみてください。楽しいですよ」


●メニュー
タピオカミルクティー 意外性S 完成度S ドリンク・もちもち #キュート #オリエンタル #フード


開拓者「……正解を見つけた気がする」

建築作業員「何の?」

店員「それは、町おこしのために試作を繰り返して作り出した、亜熱帯の町の新名物なんですよ」

開拓者(盗作はやめておこう)

4週目

称号:食事処付き人間社会大学

●大学予定地
・土地……広い面積の空地。開拓者が何もしなくても、基本的な建屋だけは完成する。
・事務局……大学を運営する職員が働く。
・教育棟……一般的な教室がたくさんある。
・文学部棟……社会と文化についての諸分野を学ぶ学部の専用棟。
・実験棟……大型の実験機械を入れることができる建物。まだ何も入っていない。
・図書館……大学に必要な量の蔵書が収められている。特に農業の本が多い。
・コンベンションホール……学会を開くことができる広い会議場。
・学生寮……4階建ての個室タイプ。1階には食堂も併設されている。
・カフェテリア……構内のオシャレな休憩所。美味しいドリンクを飲みながら談笑や自習ができる。

●学部
文学部(文学科・社会学科・法学科・芸術学科)
農学部

●卒業生の進路(推定)
町役場、農家 など

●ステータス
魅力Lv推定…3(最大10)
学力Lv推定…3(最大10)
研究Lv推定…3(最大10)


開拓者「結局、先週は大学としての施設には何も手をつけなかったな」

開拓者「おかげでバランスのいいステータスになったがな」

元役人「すべてたったの3です」

元役人「この町で唯一の大学なので、これでも十分ですが」

開拓者「延長を頼む予定だが、本来は最後の週だ」

開拓者「ある程度、完成形にするつもりで取り組もう」


安価↓1、3 大学の施設・設備・カリキュラムを作ります(教育分野・研究分野を指定、もしくは学生生活のための施設を建てる)

キャンパスから離れた亜熱帯の町の山沿い。

プランテーションの開発から生き延びていた原生林の一部に、開拓者たちは道を引いていた。

指南役「これは大学と何か関係が?」

開拓者「林業の勉強をするための林にするんだ」

開拓者「亜熱帯気候では、頻繁に嵐に襲われる。林の管理ができなければ治水は困難だ」


作業を終えた開拓者は大学に戻ってきた。

開拓者「カリキュラムの準備は順調か?」

理工学者「万事順調ジャ! 知り合いの研究者もみな乗り気なのジャ!」

元役人「参考書の手配も終わりました。私には理解できない分野でしたが……」

開拓者「しかし、とんでもない技術力だな」

開拓者「20年前は蒸気機関すら普及していなかった王国が、もう宇宙の時代か」


●学部
工学部(宇宙工学科)
農学部(林学科)

町長「よもや私どもの町で宇宙工学の研究が始まるとは、夢にも思いませんでした」

開拓者「赤道に近いほどロケットが飛ばしやすいという話を聞いたことがあったからな」

開拓者「だが、ゼミの開講が決まっただけで、設備は揃っていない」

開拓者「実験棟もまだ空っぽだしな」

町長「十分です。あとは私達がなんとかします」

町長「開拓者さん、まことにありがとうございました……!」

開拓者「……」

開拓者「相談なんだが、俺としては、このような中途半端な状態で仕事を終えるのは悔いが残る」

開拓者「大学の開校を延長してくれないか?」

町長「それは、もっと設備の揃った大学にしてくださるということですか?」

開拓者「ああ。今のままでは色々と中途半端だろう」

開拓者「どうだ? やはり無理だろうか……」

町長「大丈夫です。入試は来月以降に予定しているので」

開拓者「そうか。よし、それでは引き続き大学を作らせてもらおう」

5週目

称号:町に未来と宇宙工学の種をまく大学

●大学予定地
・土地……広い面積の空地。開拓者が何もしなくても、基本的な建屋だけは完成する。
・事務局……大学を運営する職員が働く。
・教育棟……一般的な教室がたくさんある。
・文学部棟……社会と文化についての諸分野を学ぶ学部の専用棟。
・実験棟……大型の実験機械を入れることができる建物。まだ何も入っていない。
・図書館……大学に必要な量の蔵書が収められている。特に農業の本が多い。
・コンベンションホール……学会を開くことができる広い会議場。
・学生寮……4階建ての個室タイプ。1階には食堂も併設されている。
・カフェテリア……構内のオシャレな休憩所。美味しいドリンクを飲みながら談笑や自習ができる。
・演習林……林業の勉強をするために管理された林。大学から離れた場所にある。

●学部
文学部(文学科・社会学科・法学科・芸術学科)
農学部(農学科・林学科)
工学部(宇宙工学科)

●卒業生の進路(推定)
町役場、農家、林業家 など

●ステータス
魅力Lv推定…3(最大10)
学力Lv推定…4(最大10)
研究Lv推定…5(最大10)


建築作業員「今週から工事を最大3件進めるって?」

開拓者「他の仕事がいくつか片付いたからペースを上げられるようになった」

開拓者「ただ、まだ仕事は残っているし、新たに重要な仕事も入ったからな……」

開拓者「一旦、2週間の延長としておく」

建築作業員「重要な仕事ってどんなだ?」

開拓者「詳しくは言えない。王国絡み、とだけ言っておく」

建築作業員「それじゃあ聞けないか。って、まさか王国の開拓者に復職か!?」

開拓者「いや、そういうことでもないんだ」


安価↓1、2、3 大学の施設・設備・カリキュラムを作ります(教育分野・研究分野を指定、もしくは学生生活のための施設を建てる)

建築作業員「ふう……建物を二つ追加で建てることになるなんて」

開拓者「すまんな」

開拓者「町作りにおいて、医者は必ず必要になる」

開拓者「すでに医者はいるんだろうが、町でも勉強できた方がいいだろう」

建築作業員「もう一棟は何に使うんだよ」

開拓者「研究室が入る棟だが、実質、宇宙工学の専用になりそうだ」

開拓者「文学部、医学部は専用棟があるし、農学部はフィールドワークが多く、講義も教育棟で十分だからな」


理工学者「巨大ディスプレイ付き教室の完成ジャ!」

人文科学者「ほほう。視聴覚教育が可能になったか」

人文科学者「暗記向きではないが、資料を提示しやすく高度な理解につながる」

元役人「高かったでしょう」

理工学者「ワシが作ったものジャから、無料ジャぞ!」

開拓者「最新鋭の薄型ディスプレイじゃないか」

開拓者「大学にはスクリーンに投影する形式で十分だと思うが、タダならこれでいいな」


●大学予定地
・教育棟Ⅱ……一般的な教室がたくさんある。いくつかある大講義室では前面の巨大ディスプレイで視聴覚教育も可能。
・研究棟……医学を除く理工学系の研究室が入る。
・医学部棟……医者の卵を養成するとともに、医学の研究も行う。

6週目

称号:堅実な教育と研究に力を入れる大学

●大学予定地
・土地……広い面積の空地。開拓者が何もしなくても、基本的な建屋だけは完成する。
・事務局……大学を運営する職員が働く。
・教育棟Ⅱ……一般的な教室がたくさんある。いくつかある大講義室では前面の巨大ディスプレイで視聴覚教育も可能。
・研究棟……医学を除く理工学系の研究室が入る。
・文学部棟……社会と文化についての諸分野を学ぶ学部の専用棟。
・医学部棟……医者の卵を養成するとともに、医学の研究も行う。
・実験棟……大型の実験機械を入れることができる建物。まだ何も入っていない。
・図書館……大学に必要な量の蔵書が収められている。特に農業の本が多い。
・コンベンションホール……学会を開くことができる広い会議場。
・学生寮……4階建ての個室タイプ。1階には食堂も併設されている。
・カフェテリア……構内のオシャレな休憩所。美味しいドリンクを飲みながら談笑や自習ができる。
・演習林……林業の勉強をするために管理された林。大学から離れた場所にある。

●学部
文学部(文学科・社会学科・法学科・芸術学科)
農学部(農学科・林学科)
工学部(宇宙工学科)

●卒業生の進路(推定)
町役場、医者、農家、林業家 など

●ステータス
魅力Lv推定…3(最大10)
学力Lv推定…6(最大10)
研究Lv推定…6(最大10)



開拓者「今度こそ最後の週だ」

開拓者「魅力を上げるか、さらに学問や研究のための建物を作るか……」

開拓者「実験棟をどうするかは……町長か理工学者に任せてしまってもいいか」

町長「最後は私も作業を手伝いましょう!」

開拓者「無理するんじゃない」

指南役「僕が二人分働くので町長さんは座っていてください」


安価↓1、3、5 大学の施設・設備・カリキュラムを作ります(教育分野・研究分野を指定、もしくは学生生活のための施設を建てる)

町長「さすがは開拓者さん、自分で図面を書いて建築を指示するんですね」

開拓者「まあ開拓団流の書き方だから、王国の本職の建築士にはまったく敵わないがな」

建築作業員「いつもと違う形式の建物があるな」

開拓者「これはサークル棟だ」

建築作業員「2階より上のフロアが、丸しか書かれてないけど」

開拓者「それはサークル塔だ」

建築作業員「円形のタワー……?」

開拓者「タワーの各階はレクリエーションや楽器の練習などに利用できるぞ」

町長「すみません。サークルとは?」

開拓者「学生の趣味の同好会みたいなものだ」


建築作業員「さらに追加で2棟……疲れた……」

開拓者「だらしない……と思ったが、普通はこうなって当たり前だな」

開拓者「開拓に投入される人員の数とそのやる気が異常なだけか」

開拓者「町長。この町に経済学者はいるか?」

町長「商学を学んだ者ならおりますが」

開拓者「商学も大事だが、マクロな視点で経済を分析することも必要だ」

開拓者「というわけで俺が特別講義を開こうと思う」

町長「開拓者さん自ら講義を!」

開拓者「俺がこの大学の第一号の講師になる。テーマは経済学だ」

開拓者「えー、需要を喚起するためには―――」

労働者「ふむふむ」

開拓者「目標は完全雇用の達成。しかしその状況下でもわずかな失業者は存在するし、貧困が解消されない場合が―――」

労働者「経済学って面白い!!」


●住民
・経済学者……まだ素人。経済学を勉強、研究している。


開拓者「これで地域経済研究所で働く者が生まれた」

開拓者「大学で経済を学んだ卒業生が所員になれば、研究所の質もさらに向上するだろう」



理工学者「皆の衆! よくぞ集まってくれた!」

理工学者「これを見るのジャ!」

バサッ

指南役「巨大な箱……?」

元役人「何かの機械でしょうか」

人文科学者「コンピューターか? 見たことがあるものよりも大きいが」

開拓者「……スーパーコンピューターだな」

町長「開拓者さんは物知りですね。ところで、コンピューターとは?」

人文科学者「電子計算機。電気の力で動く算板だ」

開拓者「ものすごく頭のいい箱だと思ってくれ。人間には不可能なとんでもない桁の計算を素早くこなすことができる」

理工学者「これさえあれば最先端の科学都市となるのも夢ジャなかろう! カッカッカ!」

開拓者「……」

実験棟。

開拓者「おや、実験棟に機械が運び込まれている」

理工学者「ロケット開発のための実験装置ジャ!」

開拓者「なるほど。理論だけじゃ宇宙工学の研究はできないからな」

開拓者「ところでお前に話があるんだが……」

理工学者「なんジャい?」

開拓者「お前の知っている宇宙工学の知識、最新鋭のディスプレイ、」

開拓者「そして極めつけはスーパーコンピューター……」

開拓者「明らかに常軌を逸した技術力だ。お前は何者だ?」

理工学者「ワシはただの理学と工学のエキスパートのじじいジャ!」

開拓者「心当たりはある」

開拓者「学問の都の三賢者、あるいは地底都市の関係者」

理工学者「三賢者はワシではないぞ!!」

開拓者「三賢者を知ってはいるんだな?」

開拓者「この町で何をたくらんでいる?」

理工学者「何も企んでないワイ! ただ、町長に頼まれて来ただけジャ!」

開拓者(……自覚がないだけ、か?)

大学が完成!

称号: 堅実な教育と研究に力を入れる大学

●キャンパス内
・事務局……大学を運営する職員が働く。
・教育棟Ⅱ……一般的な教室がたくさんある。いくつかある大講義室では前面の巨大ディスプレイで視聴覚教育も可能。
・研究棟……医学を除く理工学系の研究室が入る。
・文学部棟……社会と文化についての諸分野を学ぶ学部の専用棟。
・医学部棟……医者の卵を養成するとともに、医学の研究も行う。
・実験棟……大型の実験機械が設置されている。宇宙工学の実験に使う。
・電算室……スーパーコンピューターが置かれた建物。
・地域経済研究所……亜熱帯の町の経済発展と町民の生活のため、地域経済を研究する。
・図書館……大学に必要な量の蔵書が収められている。特に農学関連の本が充実している。
・コンベンションホール……学会を開くことができる広い会議場。
・カフェテリア……構内のオシャレな休憩所。美味しいドリンクを飲みながら談笑や自習ができる。
・サークル棟……学生サークルの部室が並ぶ建物。中央からタワーが伸びている。

●キャンパス外
・学生寮……4階建ての個室タイプ。1階には食堂も併設されている。
・演習林……林業の勉強をするために管理された林。大学から離れた場所にある。

●学部
文学部(文学科・社会学科・法学科・芸術学科)
経済学部(経済学科)
農学部(農学科・林学科)
工学部(宇宙工学科)

●卒業生の進路(推定)
町役場、医者、農家、林業家 など

●ステータス
魅力Lv推定…4(最大10)
学力Lv推定…6(最大10)
研究Lv推定…9(最大10)

町長「重ね重ね、本当にありがとうございました……!」

開拓者「ああ。こちらこそ延長を受け入れてくれて感謝する」

開拓者「おかげで納得のいく大学が完成した」

開拓者「この町は、いずれ王国でも大きな力を持つ都市に成長するだろう」

町長「町作りの専門家にそう言っていただけるとは、誠にありがたい限りです」

開拓者「さて、俺は他にも仕事があるし、寄っておかなければいけない場所があるから、もう出発するぞ」

町長「はい。次にいらっしゃるときは、遊びに来てください」

町長「町民総出で歓迎いたします」

開拓者「ああ。大学が開校したら見に来よう」

開拓者「普段の開拓と違い、完成した段階では普段の様子を知ることができないからな……」


開拓者「町長、最後に一つ」

開拓者「町の発展のため、方々から専門家を呼び集めるのはいいが……無茶はするなよ」

開拓者「素性の知れない者には用心した方がいい」

町長「いえいえ。開拓者さんは信頼できるお方ですよ」

開拓者(うまく伝わらなかった)

開拓者(王都の下水道には、電灯がついている区画がある)

開拓者(そしてこの区画にはやけに多くの配電盤がある)

開拓者(目的地の配電盤は曜日によって変わる)

開拓者(正しい配電盤の前で合言葉を言うと、その隠された都市へと招かれる)

開拓者「……高速で下降する小部屋。この感覚には慣れんな」


エレベーターを降りると、眼前にはきらめく光の群れ。

数学的に整った街並みの、平坦な通路を走る車輪と、空を飛ぶプロペラ。

植物や虫はもちろん、およそ有機物らしき素材が見当たらない。

ここは機械の都。

ごく限られた人間しか知らない、無人の地底都市だ。


開拓者(この町の正体は俺も知らない)

開拓者(はるか昔の天才の王様が作ったとか、神の仕業だとか)

開拓者(実は人類は一度滅んでおり、この都市は前の代の人類が作ったものだとか……いろいろ言われているが定かではない)

開拓者(この都市の高度な技術は俺にはまったく理解できず、開拓の役には立たない)

開拓者(しかし王国の脅威ではなく、軍がその気になればいつでも滅ぼせるらしいが、敵対的ではないので放置されている)


開拓者「久しぶりだな、アイコン」

アイコン「元開拓者さん。お元気でしたか」

開拓者(こいつは、なんちゃらAIコンピューター、統合…マザー…ホログラフ…? そんな感じの名前で、略してアイコンと呼んでいる)

開拓者(本人の発言から察するにおそらくこの都市の市長に相当する存在だ)

開拓者「今も開拓者だ。フリーの開拓者をしている」

アイコン「では、我々の依頼を引き受けていただけますか?」

開拓者「今はやめてくれ。ただでさえやることが多いんだ」

開拓者「今日は質問に来たんだ」

アイコン「亜熱帯の町の大学についてでしょうか?」

開拓者「ああ。お前、地上に技術提供していないか?」

アイコン「いいえ。地上の技術水準が我々の都市と同等になるまで、接触は最小限にとどめる方針です」

開拓者「では、近年のすさまじい技術力の発展の速さは、すべて研究者と技術者の努力の成果で、お前は何も関わっていないんだな?」

アイコン「関わっています」

開拓者「だろうな。科学技術の進歩が加速したのは、15年前、王都を作った時に、俺と王がこの地底都市を発見してからだった」


開拓者「しかしお前は直接の接触はしないと約束していたはずだ」

アイコン「……。……。……」

アイコン「……。優秀な知能を持つ人物の、脳にデータファイルを送信しています」

開拓者「珍しく言葉を選んだ結果がそれか……」

アイコン「データファイルはあくまで技術を閃くためのきっかけです」

アイコン「優秀な人物が研究を重ね、我々の技術を理解できる水準に達したとき、はじめてデータファイルが開きます」

開拓者「なるほど。結局は努力か」

アイコン「我々の技術を再現することに成功した人物は、現在35名しかいない送信者のうち、わずか8人です」

開拓者「王国に何人かとびぬけた天才学者がいるのはそのせいか!」

開拓者「亜熱帯の町の理工学者も、学問の都の三賢者も、兵器の町の開発者も、王都の新市街の計画者もそうだな?」

開拓者「彼らの作るものはこの都市のものに雰囲気がよく似ている」

アイコン「お答えできかねます」

開拓者「ところで、俺の脳には何も送っていないのか?」

アイコン「……。……。……。送る価値がありません」

開拓者「言葉を選んだ結果がそれか!!」



おわり

一か月前に戻る。三度目。

開拓者「だ、駄目だ。もう2週間が過ぎてしまった」

開拓者「写真を撮るための町も、変な料理も、大学も、まるで完成させられる気がしない……!」

コンコン

???「あのー、失礼します。開拓者さんはいらっしゃいますかー」


※5件目・6件目の依頼は決まっているので、最後の依頼選択になります

1.市場と名産品を作る
2.警備チームを作る

↓1から 先に2票入ったもの

今晩はここまで。明日か明後日から警備チーム編です。

レジャー施設やショッピングモールなどを作るスレは前々から考えていましたが、目指すゴールがだいたい一致していて、バリエーションが出せないと思ったことからボツになっていたので、手数を絞って試してみました。
手数が少なすぎました。

ダムと宗教も同じシステムを試す選択肢だったので、少なくともこのスレではやりません。

ちなみにロボットのいる地底都市は魔界編で名前だけ出てます。

>>177修正

大学が完成!

称号:亜熱帯の町の頭脳

忙しかったため再開は明日になります。すみません。

~ 幕間 ~

写真家との町作り、3週目。

開拓者「うーむ、少し塩気が足りなかったか」

写真家「やっぱりチーズフォンデュっていいですねえ! 年季の入ったテーブルとチェック柄のクロスによく合う!」

パシャッ ジー

開拓者「写真はいいからそろそろ食べたらどうだ」

写真家「はーい」


写真家「もぐもぐ、ごくん……ところで開拓者さん」

開拓者「どうした?」

写真家「開拓者さんの好きなタイプってどんな人ですか?」

開拓者「若くて綺麗で家庭的な女が好きだが、もし結婚するなら開拓について来れることが唯一の条件だな」

写真家「いや、そういうことじゃなく」

開拓者「なんだ、また属性で答えないといけないのか」

開拓者「そもそもお前が俺のタイプを聞いてどうするんだ?」

写真家「開拓者さんはバタフライ効果って知ってますか?」

開拓者「ああ、蝶の羽ばたきがめぐりめぐって天気を変える……という理論だろ?」

写真家「違くて。ちょうちょの話をすると本当にちょうちょが寄ってくる現象ですよ」

開拓者「そのバタフライ効果は聞いたことが無いぞ」

写真家「つまりアタシに話すことで、のちのち開拓者さんは本当にタイプの女性と知り合えてしまう!」

開拓者「そんなわけないと思うが……」

写真家「迷うならいくつか言ってくれてもいいですよ」


エネルギッシュ(赤) クール(青) ファンキー(黄) キュート(桃)
ミステリアス(紫) センチメンタル(茶) ロマンチック(紺) オリエンタル(橙)
ナチュラル(白) ダーク(黒) カントリー(緑) モダン(灰) エレガント(銀) ノーブル(金)

※依頼⑤か⑥に影響するかもしれない

安価↓1、2、3 上記の属性から選択

開拓者「その中だと、そうだな……カントリーがいいな」

写真家「へー素朴で田舎っぽい子が好きなんですね」

開拓者「そう言い直されると嫌な気分になった」

写真家「開拓者さんもカントリーってイメージですからね。お似合いです」

開拓者「選んだ理由は、さっき言った通り、俺の開拓についてこれそうな女性のイメージに一番近かったからだ」

写真家「だったら開拓者さんと同じ、カントリーでエネルギッシュな女の人がいいですね」

開拓者「でもそれはあくまで雰囲気の話だろう?」

開拓者「開拓で重要なのは見た目よりも中身だ」


開拓者「なあ、センチメンタルな人物ってそれこそ中身の話じゃないのか?」

写真家「この場合は雰囲気です。見た人がセンチメンタルな雰囲気を感じる人物のことです」

開拓者「なんだそりゃ」

開拓者「待て。最初会ったときは茶色の雰囲気をセンチメンタルではなくノスタルジックと説明していなかったか?」

写真家「だいたい同じなので」

開拓者「同じじゃないだろ」

写真家「同じでしょ。普通ノスタルジックな風景を見るとセンチメンタルな気分になりますよ」

開拓者「つまりお前の言うセンチメンタルな人物とは、ノスタルジックな雰囲気の人物のことか」

写真家「故郷を思わせ、懐かしく、感傷的な気分にさせる雰囲気の女性……」

開拓者「……ふるさとのおばあちゃん、だな」

開拓者「もう一つあった。ノーブルな女性だ」

写真家「成金? 貴族? それとも王族? 趣味わるーっ」

開拓者「育ちがいい女性は気品があって美しいだろう」

写真家「それを言うならエレガントの方ですよ」

開拓者「分からん」

開拓者「だが、お金持ちの女性というのもありだな」

開拓者「俺がいなくても生活に不自由しないし、開拓の資金源になる」

開拓者「もし俺が体を壊して開拓者を引退しても、お金の心配をする必要はない」

写真家「うわぁ……」

開拓者「今のはただの妄想だ」

開拓者「実際、ノーブルな女性は俺に興味なんて持つはずがないからな」

開拓者「俺の血統じゃ貴族や王族なんて絶対にありえん」

~ 依頼④ ~

開拓者「安価で警備チームを作る」

家政婦「あのー、失礼します。開拓者さんはいらっしゃいますかー……」

開拓者「ああ。俺が開拓者だが……まさかとは思うが依頼か?」

家政婦「は、はい。ご迷惑でしたか?」

開拓者「いや、そんなことはない。フリーの開拓者として、開拓の依頼は大歓迎だ」

家政婦「実は、開拓じゃない仕事の依頼なんですけど……」

開拓者(ちくしょう)

開拓者「とりあえず聞かせてくれ」

家政婦「貴族の○○さん、知ってますか?」

開拓者「当然知っている。彼はただの貴族ではない。複数の事業で成功し巨万の富を築いた大資産家だ」

家政婦「その方が、新しい邸宅を建ててお引越しをされるというんです」

開拓者「ほう」

家政婦「あたしはその邸宅のデザインを頼まれたんですけど、右も左もわからなくて……」

家政婦「お願いします、開拓者さん。あたしの代わりに邸宅のデザインをしてください!」

開拓者(どうする? すでに4件の依頼を並行して進めている)

開拓者(しかし、あの大資産家とのつながりができるチャンスは捨てがたい)

開拓者(あと2週間でいくつかの依頼が終わる。ここは頑張り時だな……!)

その屋敷は霧深い森の中にあった。

豪華な装いではあるが大変古びており、外装、内装ともにリフォームが必要だ。

開拓者「彼女から依頼を受けて来た。開拓者だ」

貴族「おお開拓者よ! よく来てくれた!」

開拓者(こいつ……大資産家じゃない! その息子だ!)

開拓者(苗字が同じだからだまされた!!)


貴族「さて開拓者よ。お前は我輩を守るための警備チームを作るのだ!」

開拓者「……ん? 邸宅のデザインではないのか?」

貴族「それはこの家政婦に任せる」

家政婦「え、ええっ……!」

開拓者「デザインについても俺に任せてくれないか?」

貴族「駄目だ!」

貴族「邸宅のデザインには美的センスが必要だ。そうなるとやはり若い女性がやるべきだ!」

貴族「そして、我輩を守るためのチームを組織する仕事は、お前のような屈強な男でなれば務まらん!」

家政婦(……)ジーッ

開拓者(家政婦が助けを求める目で俺の方を見ている)

開拓者(助けて欲しいのは俺も一緒だ……)

1週目

称号:心配性な貴族の引っ越し予定地

●開拓地
・湾岸要塞……王国軍をしのぐ防衛力を誇る町。空間のゆがみからたまに魔物が出てくる。
・湖畔の楽園……医療が進んでおりとても暮らしやすい。防衛力もかなり高い。

●住民
・貴族……王国の貴族の中でも有数の大資産家の息子。部下の反乱や盗賊の襲撃などを過度に恐れている。
・家政婦……長袖長ズボンの作業着にエプロン姿の女性。開拓者に屋敷作りを依頼したが……。

●湾岸要塞:ステータス
第一次産業Lv.6
第二次産業Lv.6
第三次産業Lv.3
防衛Lv.14



●湖畔の楽園:ステータス
第一次産業Lv.8
第二次産業Lv.6
第三次産業Lv.12
防衛Lv.10


開拓者「しかし、なぜ引っ越すことにしたんだ?」

開拓者「安全が欲しいのなら湾岸要塞に住んでいればいいだろうに」

開拓者(防衛Lv.14。数値上は王国軍の本部より高い)

貴族「確かに我輩は安全を求めて湾岸要塞に居を構えていたのだが、あの者たちは訓練に没頭し、ちっとも我輩の警備を引き受けてくれない!」

開拓者(当たり前だろ……。貴族一人より王国の防衛が大事だ)

貴族「しかも、話によると魔物は湾岸のどこにでも沸いて出るというではないか!」

貴族「そこで我輩は湖畔の楽園の近くに居を移すことにしたのだ」

開拓者「それなら普通にメイドを雇えばいいんじゃないか? あの町のメイドは強いぞ」

開拓者(ここの防衛力はLv.10。魔法の町や地底都市と同等の、王国最高クラスの防衛力だ)

貴族「市長に依頼したらこのメイドが来たのだ」

貴族「だが、どう見ても彼女一人に我輩の護衛が務まるとは思えん!」

開拓者「まあな……」

貴族「分かってくれたか!? 我輩を警備する専門のチームが必要であることを!」

開拓者(もはや断れるタイミングを通り過ぎてしまったな……)

開拓者「よし、あいつは帰った」

開拓者「湖畔の楽園の市長に、屋敷の警備を依頼してくる。そのあとは俺がお前の仕事に協力しよう」

家政婦「あ、あの。それでは足りないと思います」

開拓者「なんだと?」

家政婦「町の防衛Lvというのは、戦闘員の強さと町の防衛設備を総合的に見た数値にすぎないんです」

家政婦「もし弱点を突かれれば、簡単に崩壊します」

開拓者「弱点があるのか?」

家政婦「ええと、たとえば湾岸要塞なら、王国軍みたいに隙のない軍勢で攻めれば簡単に落ちますよね」

家政婦「湖畔の楽園は意外と対応力が低いので、メイドの間合いの外から攻撃できれば全く脅威じゃないです」

家政婦「しかも、このお屋敷そのものの防衛力は0ですよね?」

開拓者「お、おう」

家政婦「あっ、ごめんなさい。分からなかったですよね。あたしったら、うっかり……」

開拓者「お前は警備に詳しいのか?」

家政婦「し、少々?」

開拓者「少なくとも俺よりは詳しいようだ。俺は町の防衛Lvしか知らなかったからな」

家政婦「説明したいんですけど、今のところ誰もいないので……」

家政婦「訓練することすらできませんよね。困りました……」

開拓者「どこかの町でスカウトしてくればいいんだな」


1.柔道家
2.槍使い
3.拳銃に慣れた人
4.土木作業員
5.猟犬

安価↓1 警備員をスカウトします

開拓者「引退した猟師から猟犬を譲り受けてきた」

レトリバー「……」パタパタ

家政婦「尻尾振ってますねー。もうなついてます」

開拓者「警備チーム最初のメンバーが人間じゃないわけだが、これで説明ができるか?」

家政婦「はい。十分です」


1週目

称号:1匹わんちゃん

●兵員
・レトリバー……猟犬。人懐っこいが敵はきちんと見分ける。追跡1

●兵種ごと
追跡1

●ステータス
対応力Lv.1
速攻Lv.2
特殊Lv.0


家政婦「町の防衛力は『兵の強さ』『防衛設備』の二つに分けられて、」

家政婦「『兵の強さ』は『対応力』『速攻』『攪乱』の三つに分けられますね」

開拓者「屋敷そのものには防衛設備がないから防衛力が0ということだな」

家政婦「『対応力』は各兵種の最大値の合計値、」

家政婦「『速攻』は一番強い兵種の合計値の二倍、」

家政婦「『特殊』は特殊兵種の合計値の二倍、で表します」

開拓者「なるほど、分からん」

>>207修正 家政婦「『兵の強さ』は『対応力』『速攻』『特殊』の三つに分けられますね」

家政婦「たとえばですけど」

●兵員
・勇者……剣技1・格闘1
・剣士……剣技3
・僧侶……結界魔法1

家政婦「こういうチームなら」

●兵種ごと
剣技3(合計4) 格闘1 結界魔法1(特殊)

家政婦「こうなります」


開拓者「数値の大きい剣士の剣技3だけが採用されて、剣技3+格闘1で『対応力』はLv.4」

開拓者「勇者と剣士の合計で剣技4だから、二倍して『速攻』はLv.8」

開拓者「僧侶の結界魔法だけが特殊扱いで、二倍して『特殊』はLv.2……か?」

家政婦「その通りです!」

家政婦「このステータスを均等にすると死角のない警備ができると思いますよ」

開拓者「複雑で難しい要求が来たな……」


家政婦「簡単に言うと」

家政婦「対応力を上げるなら、いろんな戦法の兵員を増やす」

家政婦「速攻を上げるなら、同じ戦法の兵員を増やす」

家政婦「特殊を上げるなら、変な戦法の兵員を増やすんです」

開拓者「さらにまとめるなら、こうだな」


※まとめ
警備チームにいろんなメンバーを増やそう!

レトリバー「……」

なでなで

家政婦「最初は強そうな人を勧誘してくればいいと思いますよー」

開拓者「お前はゆっくりしてないで邸宅のデザインを頑張った方がいいと思うぞ……」


安価↓1、2、3 警備員をスカウトします(職業、武器、戦法、特技、種族など)

人の姿に見える樹木が生い茂り、子供が描いた絵のような奇妙な動物が歩き回る。

まるで異界か他の惑星のような不思議な光景が見られるこの森は、わずか数か月前に出現した。

すでに調査団や冒険者たちが立ち入っているが、帰ってこない者が続出している。

ここは王国の辺境の地。

誰が呼んだか、奇々怪々な森の名は、魔界林。


開拓者「なぜ俺はここに来たんだ?」

開拓者「そして理由は分からないが、来るのが早すぎたように思う」

開拓者「このタイミングで来なくても、半年以内に訪れることになりそうな予感がする」

開拓者「小説を途中から読むときに、先のページが開いて文字列が見えてしまった時のような気分だ」

アラクネ「……」

開拓者「あそこにいかにも通りかかった動物を捕食しそうな花が咲いているな」

開拓者「俺は熟練の開拓者であり、魔界からの生還者だから分かるんだ」

開拓者「こんな時は、開拓者奥義!」

開拓者「土返し!」グッ ドバッ!

スコップを用いて地面を深い位置からめくり上げて、植物を根っこごと地面から引き離す技だ!

ベテラン開拓者ともなれば、やや離れた場所から一直線に地面をめくりあげることもできる!

だが流石に身の丈を超える樹木には通用しない!

開拓者「よし。アラクネの植木鉢を手に入れた」

狼獣人「ガルルルル……」

開拓者「うおっ!? 狼人間!? 猫人間なら知っているが……」

狼獣人「グルル……ガウッ!」

開拓者「やるか!? 俺はそこらの人間よりは強いぞ!!」


狼獣人「ワウッ、ガウッ」

開拓者「な、なんとか手なずけることに成功した……」

開拓者「手なずけたというより、敵意が無い事を示して落ち着かせた感じだが」

開拓者「言葉が通じないだけで知能は決して低くなさそうだ。連れて帰って戦力にしよう」


開拓者「帰ったぞ」

狼獣人「ガルル」

家政婦「か、開拓者さん、その袋の中身は?」

開拓者「人食い花だ。扱いに気をつけろ」

エルフゲリラ「う、後ろにいる怪物は何者だ!?」

開拓者「お前が何者だよ!!」

●兵員
・狼獣人……骨格が人間でそれ以外が狼の魔物。犬と話せて連携が取れる。スピード型近接1(犬ブースト:犬の兵員がいると強くなる)
・アラクネ……近づいた動物を捕獲して長い時間をかけて消化する魔物。食人花1
・エルフゲリラⅡ……一般的なエルフゲリラよりも罠の扱いに長ける。工作2


家政婦「彼はプロのトラップマスターです」

エルフゲリラ「取り乱してしまってすまない。長く戦場に生きてきたつもりだが、獣人が実在するとは知らなかったよ」

家政婦「彼…か彼女か分かりませんけど、ここまで連れてくるときに目立ちませんでしたか?」

開拓者「お前らには言われたくないな……」


開拓者「ふむ。結局エルフゲリラとは何なのかよく分からなかったが、お前が罠の扱いに長けたベテラン戦士であることは理解した」

開拓者「警備チームに入ってくれるか?」

エルフゲリラ「もちろんだ。そのために私は参じたのだからね」

エルフゲリラ「だが、同僚が犬と獣人と植物とは……不思議な感覚だよ」

開拓者「お前も一応俺たちから見れば変わり者だからな」

レトリバー「……」フルフル

狼獣人「ワウッ。ワウン」ナデナデ

開拓者「ほら見ろ、おびえる猟犬を狼獣人が慰めているだろう」

狼獣人「ガウウウッ」シュシュッ

エルフゲリラ「くっ、正面から相手取るのは厳しいね」

開拓者「狼獣人の戦法は、両手に短剣を持った戦士に近いな。リーチは短いが速さで翻弄する戦い方だ」

家政婦「あっ、彼はスキルを持っているんですね。最初から持っているなんて珍しい」

開拓者「エルフたちにはスキルは無いのか?」

家政婦「特殊能力というわけではないんですけど、かなり鍛え上げた兵士が得る、戦局を変えるほどの強さのことです」

家政婦「彼は犬に呼ばれたときにスピードが上がるみたいですね」

開拓者「ふむ。猟犬が敵を発見して追いかけ、強化された狼獣人を呼び出す」

開拓者「いいコンビネーションだ」

2週目

称号:人外ギルド

●兵員
・レトリバー……猟犬。人懐っこいが敵はきちんと見分ける。追跡1
・狼獣人……骨格が人間でそれ以外が狼の魔物。犬と話せて連携が取れる。スピード型近接1(犬ブースト:犬の兵員がいると強くなる)
・アラクネ……近づいた動物を捕獲して長い時間をかけて消化する魔物。食人花1
・エルフゲリラⅡ……一般的なエルフゲリラよりも罠の扱いに長ける。工作2

●兵種ごと
追跡1 スピード型近接2 工作2 食人花(特殊)1

●ステータス
対応力Lv.5
速攻Lv.4
特殊Lv.2


アラクネ「キシャアアッ!!」ガバッ

開拓者「うおおお!? 入口の植え込みに隠していたのを忘れていた!!」

家政婦「おかえりなさいませ」

開拓者「邸宅のリフォームは順調か?」

家政婦「はい。エルフさんに手伝っていただいているんです」

エルフゲリラ「エルフの技と美をご覧あれ」

開拓者「手先の器用さが別の形で約に立ったな」

開拓者「貴族は彼らを見て何か言っていなかったか?」

家政婦「彼はこの一週間一度も戻ってきていませんよ」

開拓者「対応力と速攻に比べて、特殊は上げにくくないか?」

家政婦「そうですね……」

家政婦「この計算方法はあたしのうろ覚えなので、もしかしたら間違っているかもしれません」


安価↓1、2、3 警備員をスカウトする(職業、武器、戦法、特技、種族など)か、鍛えます(兵員を指定)

(アラクネって蜘蛛女では…)

>>223
ごめんなさい。アルラウネと間違えていました。
修正します。

>>214から修正



人の姿に見える樹木が生い茂り、子供が描いた絵のような奇妙な動物が歩き回る。

まるで異界か他の惑星のような不思議な光景が見られるこの森は、わずか数か月前に出現した。

すでに調査団や冒険者たちが立ち入っているが、帰ってこない者が続出している。

ここは王国の辺境の地。

誰が呼んだか、奇々怪々な森の名は、魔界林。


開拓者「なぜ俺はここに来たんだ?」

開拓者「そして理由は分からないが、来るのが早すぎたように思う」

開拓者「このタイミングで来なくても、半年以内に訪れることになりそうな予感がする」

開拓者「小説を途中から読むときに、先のページが開いて文字列が見えてしまった時のような気分だ」

狼獣人「ガルルルル……」

開拓者「うおっ!? 狼人間!? 猫人間なら知っているが……」

狼獣人「グルル……ガウッ!」

開拓者「やるか!? 俺はそこらの人間よりは強いぞ!!」


狼獣人「ワウッ、ガウッ」

開拓者「な、なんとか手なずけることに成功した……」

開拓者「手なずけたというより、敵意が無い事を示して落ち着かせた感じだが」

開拓者「言葉が通じないだけで知能は決して低くなさそうだ。連れて帰って戦力にしよう」

開拓者「帰ったぞ」

狼獣人「ガルル」

家政婦「か、開拓者さん!? そ、その人? ……誰ですか!?」

アラクネ「キャア! 犬あたま!」カサカサ

エルフゲリラ「う、後ろにいる怪物は何者だ!?」

開拓者「お前らが何者だよ!!」


●兵員
・狼獣人……骨格が人間でそれ以外が狼の魔物。犬と話せて連携が取れる。スピード型近接1(犬ブースト:犬の兵員がいると強くなる)
・アラクネ……下半身が蜘蛛の女性。蜘蛛のように壁を移動したり網を張れる。工作0.5・捕縛0.5
・エルフゲリラⅡ……一般的なエルフゲリラよりも罠の扱いに長ける。工作2


家政婦「彼はプロのトラップマスターです」

エルフゲリラ「取り乱してしまってすまない。長く戦場に生きてきたつもりだが、獣人が実在するとは知らなかったよ」

アラクネ「ここに来るとき騒ぎにならなかったの?」

開拓者「お前らには言われたくないな……」


開拓者「ふむ。結局エルフゲリラとは何なのかよく分からなかったが、お前が罠の扱いに長けたベテラン戦士であることは理解した」

開拓者「警備チームに入ってくれるか?」

エルフゲリラ「もちろんだ。そのために私は参じたのだからね」

エルフゲリラ「だが、同僚が犬と獣人と蜘蛛足の女性とは……不思議な感覚だよ」

開拓者「お前も一応俺たちから見れば変わり者だからな」

レトリバー「……」フルフル

狼獣人「ワウッ。ワウン」ナデナデ

開拓者「ほら見ろ、おびえる猟犬を狼獣人が慰めているだろう」

アラクネ「なんで逃げるの……?」

開拓者「鏡見ろ」

狼獣人「ガウウウッ」シュシュッ

エルフゲリラ「くっ、正面から相手取るのは厳しいね」

開拓者「狼獣人の戦法は、両手に短剣を持った戦士に近いな。リーチは短いが速さで翻弄する戦い方だ」

家政婦「あっ、彼はスキルを持っているんですね。最初から持っているなんて珍しい」

開拓者「エルフたちにはスキルは無いのか?」

家政婦「特殊能力というわけではないんですけど、かなり鍛え上げた兵士が得る、戦局を変えるほどの強さのことです」

家政婦「彼は犬に呼ばれたときにスピードが上がるみたいですね」

開拓者「ふむ。猟犬が敵を発見して追いかけ、強化された狼獣人を呼び出す」

開拓者「いいコンビネーションだ」


開拓者「アラクネ。お前は戦わないのか?」

アラクネ「戦うのは怖いわ……」

家政婦「彼女は人よりちょっと脚が多くて網を張れるだけの一般女性なので……」

開拓者「それでよく警備の仕事を引き受けてくれたな」

アラクネ「私、どこにも雇ってもらえないから、こういう仕事しか出来ないの」

開拓者「大変だな……」

2週目

称号:人外ギルド

●兵員
・レトリバー……猟犬。人懐っこいが敵はきちんと見分ける。追跡1
・狼獣人……骨格が人間でそれ以外が狼の魔物。犬と話せて連携が取れる。スピード型近接1(犬ブースト:犬の兵員がいると強くなる)
・アラクネ……下半身が蜘蛛の女性。蜘蛛のように壁を移動したり網を張れる。工作0.5・捕縛0.5
・エルフゲリラⅡ……一般的なエルフゲリラよりも罠の扱いに長ける。工作2

●兵種ごと
追跡1 スピード型近接2 工作2.5(最大2) 捕縛0.5

●ステータス
対応力Lv.6
速攻Lv.4
特殊Lv.0


アラクネ「あっ、網に反応が……!」

エルフゲリラ「侵入者かもしれない。見てきてくれ!」

アラクネ「えっ……こわいから誰か一緒についてきて……」

狼獣人「ワウー……(呆れ)」


玄関。

開拓者「た、助けてくれ……。網に捕まった……」

狼獣人「ワウ(呆れ)」



家政婦「おかえりなさいませ」

開拓者「邸宅のリフォームは順調か?」

家政婦「はい。エルフさんに手伝っていただいているんです」

エルフゲリラ「エルフの技と美をご覧あれ」

開拓者「手先の器用さが別の形で約に立ったな」

開拓者「貴族は彼らを見て何か言っていなかったか?」

家政婦「彼はこの一週間一度も戻ってきていませんよ」


開拓者「対応力と速攻に比べて、特殊は上げにくくないか?」

家政婦「この計算方法はあたしのうろ覚えなので、もしかしたら間違っているかもしれません」

開拓者「捕縛は特殊扱いじゃないのか」

家政婦「普通の軍にも網を仕掛ける工兵がいることはありますから」

開拓者「罠の設置に長けたエルフとアラクネを活かすためには、人の心理に精通した参謀が必要だな」

開拓者「そういうわけでお前に来てもらった」

心理学者「ああ。軍に入るより儲かりそうだ」

心理学者「人間心理を学んだ私は最高の軍師になると自負している」

心理学者「味方の心理さえも操り、最強のチームを作り出してみせよう」

開拓者「ほう。期待しているぞ」


アラクネ「あら、おかえり」

サキュバス「この人が開拓者さん? いい男ね」

狼獣人「ワオーンッ!」

心理学者「人間がっ……いないっ……!!」

開拓者「落ち着け。自分の心理を操るんだ」

開拓者「正直、知らん奴が増えていて俺も動揺している」


家政婦「彼女は有翼人です。鳥人間と言った方が分かりやすいですか?」

有翼人「よろでーす!」

開拓者「今度は、背中に翼が生えているだけの一般人ではないのか?」

有翼人「ウチは弓矢撃てます! あと、目もいいよ」

開拓者「それは強そうだな」

●兵員
・心理学者……敵の心理を読み解き戦略を立て、罠や待ち伏せの指示を行う。計略1
・有翼人アーチャー……背中に羽根が生えた女の子。昔から弓道を習っているらしい。制空1
・サキュバス……背中に蝙蝠型の羽根が生えた女性。主に男性の精神を操ることに長ける。対男性交渉1


開拓者「こっちの、紫色の肌をした女性は……」

家政婦「肌の色と羽根の形が違うだけで、彼女も有翼人ですよ」

サキュバス「サキュバスよ。よろしくね♪」

家政婦「サキュバスというのは、精神に干渉する魔法や色仕掛けを得意とする職業です」

開拓者「職業なのか……」

サキュバス「貴方たちでいう、女スパイに近いんじゃないかしら?」


家政婦「どうです? あたし、今回は戦闘のできる人を連れてきましたよ」

開拓者「人……うん、人だな」

開拓者(どこから連れてきたのか聞ける空気じゃない)

開拓者(俺だって変なところから狼獣人を連れてきたからな……)

有翼人「見てみて。このスカート可愛くない?」

アラクネ「うーん、私、長いスカートは履けないから……」

サキュバス「こっちのミニ丈ワンピならチュニック感覚で着れないかしら?」

アラクネ「あっ、これなら着れるかも。ありがと」


開拓者「そういえば、お前は湖畔の楽園から来たメイドなのに、エプロンドレスは着ていないんだな」

家政婦「あたし、その、脚が太いので……」

開拓者「すまん……」


レトリバー「……」パタパタ

心理学者「おー、よしよし」

開拓者「犬の心理は分かるのか?」

心理学者「ドッグセラピーだ」

開拓者「そうか……」

心理学者「でも、少し観察した限り、彼女たちとエルフ君の心理は人間と変わりない」

心理学者「私が慣れて歩み寄るべきなのだろうな」

3週目

称号:モンスター娘とエルフのギルド

●兵員
・レトリバー……猟犬。人懐っこいが敵はきちんと見分ける。追跡1
・狼獣人……骨格が人間でそれ以外が狼の魔物。犬と話せて連携が取れる。スピード型近接1(犬ブースト:犬の兵員がいると強くなる)
・アラクネ……下半身が蜘蛛の女性。蜘蛛のように壁を移動したり網を張れる。工作0.5・捕縛0.5
・エルフゲリラⅡ……一般的なエルフゲリラよりも罠の扱いに長ける。工作2
・心理学者……敵の心理を読み解き戦略を立て、罠や待ち伏せの指示を行う。計略1
・有翼人アーチャー……背中に羽根が生えた女の子。昔から弓道を習っているらしい。制空1
・サキュバス……背中に蝙蝠型の羽根が生えた女性。主に男性の精神を操ることに長ける。対男性交渉1

●兵種ごと
スピード型近接2 工作2.5(最大2) 捕縛0.5 追跡1 計略1 制空1 対男性交渉1(特殊)

●ステータス
対応力Lv.8
速攻Lv.4
特殊Lv.2


開拓者「ふう、ようやく写真家とコックの仕事が済んだ……。結果は散々だったが」

ビュン

開拓者「うおっ!? 矢文!?」

開拓者「丸文字で『はやくきて!』と書かれている」

開拓者「何か起きたのか?」


心理学者「見間違いではないのか?」

サキュバス「私は夜目が利くのよ。間違いないわ」

エルフゲリラ「しかし何も盗まれていないのか……」

開拓者「どうした? 盗みが入ったのか」

サキュバス「たぶんね……。知らない人が廊下を歩いていたのを見たのよ」

開拓者「外見の特徴は覚えているか?」

サキュバス「そうね……腕は二本、脚も二本。角は生えていなかったわ」

エルフゲリラ「情報が少ないね」

アラクネ「やっぱり、おかしいよね……」

有翼人「早く会いたいのにー」

開拓者「こちらは別の話か?」

家政婦「はい。貴族の方と連絡が取れないんです」

開拓者「なんだと?」

家政婦「二週間帰らないのは異常じゃありませんか……?」

心理学者「屋敷の様子を見て引き返したのではないか?」

有翼人「な、なんで?」

心理学者「その貴族は怖がりだと聞いた。であれば身の危険を感じて逃げたとしても不思議ではない」

アラクネ「えっ。ここ、何かいるの……? こわい……」


開拓者「依頼人がいなくなってしまったら仕事が成立しない」

開拓者「チームは解散か?」

家政婦「今、湖畔の楽園の諜報員に頼んで、行方を追ってもらっています」

開拓者「では、もう一週だけ様子を見るか」

開拓者「さて、チームの編成に戻ろう」

開拓者「対応力が高いということは、バランスの取れたチームではあるんだな」

家政婦「速攻を上げるには、今いる人と似た戦い方をする兵員を増やすといいと思います」

家政婦「特殊を上げるには、変わった戦い方をする兵員が必要ですね」


安価↓1、2、3 警備員をスカウトする(職業、武器、戦法、特技、種族など)か、鍛えます(兵員を指定)

王国の辺境、魔界林。

開拓者「また危険地帯に来てしまった」

アイアンゴーレム「キィィィン」

開拓者「こ、こいつは、俺が魔界を開拓したときに生み出したアイアンゴーレムじゃないか!」

全身が鉄でできているアイアンゴーレムは、石を食べて鉄分だけを摂取し大きくなる魔物だ。

本来は戦闘用ではなく、魔界に製鉄産業を生み出すために作られた存在だ。

開拓者「重量こそ脅威だが、後ろに回り込めばどうということはない」

開拓者「ん? 後ろにドアがある」

パカッ

ブレイン「くっ、見つかってしまったか」

開拓者「こいつは、喋る脳みその魔物!」

ブレイン「逃がしてくれるなら、ゴーレムの操縦方法を教えてあげよう」

開拓者「分かった。教えろ」


雪山の町。

ガシン ガシン

アイアンゴーレム「キィィィン」

妖怪マニア「見たこともない妖怪が山を登ってきます!!」

結界師「何ッオレの結界が通用しないだと!」

巫女「んー? あいつは妖怪じゃないわよ」

アイアンゴーレム「俺だ、開拓者だ。寒いからゴーレムの中に乗ってきたんだ」

善人「か、開拓者さん!? お久しぶりです!」

開拓者「――というわけで、幻術を使う妖怪はいないか?」

陰陽師「では、吾輩の手なずけた狸を与えよう」

陰陽師「出でよ妖怪狸」

どろん

妖怪狸「ヒヒヒっ」

陰陽師「この者の命に従え」

開拓者「ありがたい」

陰陽師「この程度の助力で良いのか?」

開拓者「十分だ」

陰陽師「その鉄の塊は妖怪ではないが、どのようなものだ?」

開拓者「ああ、これは魔物だ。話せば長くなる」

陰陽師「この世は、妖怪以外にも面妖な者で満ち溢れておる……」

開拓者「見たことのない人種も現れたしな……」


魔物……魔界にいる生物。
妖怪……人のうわさ話から生まれる。
雪山の町の妖怪……雪山の土地神が生み出したもの。
亜人種……どこから来たのか不明。


アイアンゴーレム「キィィン。ただいま」

妖怪狸「うヒヒ」ポン ポン

有翼人「わああ! ごついのと可愛いのが来た!」

●兵員
・アラクネⅡ……下半身が蜘蛛の女性。種族の技のほかに、八本の脚を活かした格闘術を習得した。捕縛1・工作0.5・多脚格闘0.5
・妖怪狸……幻術を操り敵を翻弄する。幻術1
・アイアンゴーレム……全身が鉄でできた人型の魔物。この個体は背中から中に入り操縦できる。搭乗ゴーレム1


サキュバス「魔力を使わずに幻を見せられるの? すごいわね」ナデナデ

妖怪狸「キュキキッ♪」


アイアンゴーレム「キィィン」

エルフゲリラ「な、中に乗ってみていいか?」

開拓者「ああ。操作は簡単だぞ」


レトリバー「フーッ フーッ!」ダッ

妖怪狸「ヒュイ!?」ダダッ

心理学者「猟犬は妖怪を敵視しているようだ」


アラクネ「わ、私、強くなりました!」

家政婦「頼まれたので、あたしが武術を教えてあげたんです」

開拓者「ほう。では俺と試しに組手でもしてみるか」


開拓者「ぐはぁ!!」

アラクネ「あっ、だ、大丈夫ですか……!」

開拓者「脚六本での連続蹴りをさばくのは無理だ!」

アラクネ「まだ回転連続蹴りもあるんですけど……」

開拓者「俺にはやらないでくれ」

4週目

称号:不思議博覧会

●兵員
・レトリバー……猟犬。人懐っこいが敵はきちんと見分ける。追跡1
・狼獣人……骨格が人間でそれ以外が狼の魔物。犬と話せて連携が取れる。スピード型近接1(犬ブースト:犬の兵員がいると強くなる)
・アラクネⅡ……下半身が蜘蛛の女性。種族の技のほかに、八本の脚を活かした格闘術を習得した。捕縛1・工作0.5・多脚格闘0.5
・エルフゲリラⅡ……一般的なエルフゲリラよりも罠の扱いに長ける。工作2
・心理学者……敵の心理を読み解き戦略を立て、罠や待ち伏せの指示を行う。計略1
・有翼人アーチャー……背中に羽根が生えた女の子。昔から弓道を習っているらしい。制空1
・サキュバス……背中に蝙蝠型の羽根が生えた女性。主に男性の精神を操ることに長ける。対男性交渉1
・妖怪狸……幻術を操り敵を翻弄する。幻術1
・アイアンゴーレム……全身が鉄でできた人型の魔物。この個体は背中から中に入り操縦できる。搭乗ゴーレム1

●兵種ごと
スピード型近接2 工作2.5(最大2) 捕縛1 追跡1 計略1 制空1 対男性交渉1(特殊) 多脚格闘0.5(特殊) 幻術1(特殊) 搭乗ゴーレム1(特殊)

●ステータス
対応力Lv.8
速攻Lv.5
特殊Lv.3.5


家政婦「先週のステータス計算を間違っていたので、修正します。ごめんなさい」

開拓者「やっぱり複雑じゃないか」

開拓者「そして特殊はやはり上がりにくい」

サキュバス「そんなことより! 大変よ!」

諜報員Ⅲ「お探しの貴族の居場所が分かったぞ」

開拓者「しかし現れないところを見ると……無事ではなさそうだな」

諜報員Ⅲ「ああ。未開拓地を転々としている武装集団に連れ去られたのを確認した」

開拓者「狙いは身代金か?」

諜報員Ⅲ「彼の父親に、特に何か要求された様子はない」

開拓者「引っかかるな……。どこかを根城にしているわけではなく、未開拓地を移動しているのか」

家政婦「あたしをそこに案内してください」

開拓者「お、おい危険だぞ」

家政婦「別に接触はしませんよ。ただ、どの程度の戦力なのか確認してくるだけです」

開拓者「まさか戦うとは俺も思ってない。見に行くだけでも危険だ」

諜報員Ⅲ「素晴らしい。貴女の主人を思う気持ちに感服した……」

諜報員Ⅲ「行かせてあげてくれ。俺たち諜報員が家政婦さんを守る」

開拓者「頼むぞ……。家政婦まで失ったら、俺の責任は重い」

修正>>241


●ステータス
対応力Lv.8
速攻Lv.5
特殊Lv.7


家政婦「まだ間違えてました! ごめんなさい!」

開拓者「やはり管理しづらいな、このステータスは!」

家政婦「強さのバランスは取れているんですけどね……」

開拓者「こんなにミスが多くて大丈夫か? このステータスで敵に勝てるかどうか決まるんだろう?」

家政婦「きっと、軍の人はもっとしっかり管理してますよ」

亜熱帯の町、カフェテリア。

開拓者「……ううむ」

町長「どうしました? お悩みですか」

開拓者「ちょっと、他の仕事でな」

開拓者(というのは嘘で、理工学者のオーバーテクノロジーの出どころについても悩んでいる)

開拓者(まあその件は後で地底都市に確認に行くからいいんだが……)

開拓者(それよりも問題だらけなのが屋敷の仕事の方だ)

開拓者(貴族を誘拐した犯人の目的は何なのか、魔界林とは一体何なのか)

開拓者(亜人たちがどこから来たか、それを連れてきたあの家政婦が何者か)

開拓者(先日屋敷内に現れた人影は誘拐犯でいいのか)

開拓者(そして、警備用のチームのはずなのに、明らかに攻撃を想定したステータス計算になっているのはなぜなのか)

開拓者(今週でそのすべてが明らかになる……事はなさそうだな)

開拓者「さて、これでメンバーのスカウトと特訓も最後だな」

開拓者「正確には、特訓の仕事は最後ではないのだが、まあいい」


安価↓1、2、3 警備員をスカウトする(職業、武器、戦法、特技、種族など)か、鍛えます(兵員を指定)

開拓者「地底都市から帰ったその足で、またも魔界林に来てしまった」

開拓者「世界観がぐちゃぐちゃだ」

ジャッカル獣人「グルル……」

開拓者「狼獣人の亜種のような魔物が現れたな」

開拓者「どうせ攻撃パターンは同じだ! かかってこい!」

ジャッカル獣人「ガオオ!!」バッ

開拓者「何!? 狼獣人の直線的な猛攻とは違う!」

開拓者「くっ、背後に……やられる!」

その時、全身を鎧で固めた大男が間に割って入った。

重装戦士「私が相手だ!」

ジャッカル獣人「ガルルルッ」シュッ シュッ

重装戦士「いいぞ! もっとだ!」


ジャッカル獣人「ガウッ、ガルル……!」ガンッ ガンッ

重装戦士「どうやら落ち着いたようだね」

開拓者「まだ攻撃を続けているが」

重装戦士「申し遅れた。私は重装戦士。攻撃のターゲットを引き受け、攻撃を受け止め続ける戦いを得意としている」

開拓者「趣味じゃないのか?」

重装戦士「まるで私が変態だとでも言いたげだね。あくまで仕事として攻撃を受けているんだよ」

開拓者「今は何かの任務の最中か?」

重装戦士「いや、プライベートさ」

開拓者「プライベートでなぜ危険地帯に? 修行か?」

重装戦士「いや。ただ、この盾と鎧で衝撃を受け止める感触を忘れないためにね」

開拓者「やっぱり変態じゃないか」

ジャッカル獣人「ガルルッ!!」ジタバタ

重装戦士「はっはっは、暴れん坊め」

開拓者「万が一逃げ出して人を襲ったら大変だ。気をつけよう」

開拓者は魔界林から魔物を連れ帰る際、街道を通らず、道なき道を踏破している。

街道を横切るとき、人に見られないようにすることに苦戦していた。


開拓者「おや、家政婦。もう帰っていたのか」

蝙蝠人「男の人が3人……」

開拓者「また新しい人を連れてきたのか」

重装戦士「この子の目はどうしたんだ?」

家政婦「彼女は夜行性の有翼人で、もともと目がないんです」

サキュバス「私も夜行性だけど、目が見えるタイプの有翼人よ」

重装戦士「なるほど、それは失礼なことを聞いてしまった」

蝙蝠人「気にしてないよ」

開拓者「この子は戦えるのか?」

家政婦「高い所から石を投げるだけでも十分な戦力になりますよ」

蝙蝠人「真っ暗闇なら、わたししか動けない。敵の人、何もできない」

開拓者「体は強くなさそうだ、無理はするなよ」

重装戦士「そこで私の出番だ! すべての攻撃は私が受け止めてみせよう!」

●兵員
・ジャッカル獣人……骨格が人間でそれ以外がジャッカルの魔物。狼獣人に比べて変則的な動きをするが戦法は大体同じ。スピード型近接1
・蝙蝠人……夜行性の有翼人の中でも特に暗所に適応した種。目が見えない代わりに音波で広範囲を視ることができる。制空1(探知能力:暗所での戦いで強くなる)
・重装戦士Ⅱ……盾と鎧で守りを固めた戦士。催眠術の一種で敵の攻撃を強制的に自分に向ける。攻められるのが好き。囮2

●ステータス
対応力Lv.8
速攻Lv.6
特殊Lv.9


レトリバー「ワンッ」パタパタ

ジャッカル獣人「?」

狼獣人「ワウッ、ガウッ」

ジャッカル獣人「ガオオ……」

開拓者「狼獣人が通訳を引き受け、仲良くなったようだ」


家政婦「開拓者さん。貴族の方をさらった武装集団について話があります」

開拓者「無事に情報を集めてこれたんだな」

心理学者「その話、私も交ぜてもらっていいか?」

開拓者「ああ。もし救出作戦を実行するなら、お前の軍師としての働きが必要だ」

家政婦「あたしが探ってきた、武装集団のステータスはこうなってます」

対応力Lv.7
速攻Lv.6
特殊Lv.3
防衛Lv.1

開拓者「……全てにおいて俺たちのチームが上回っているな」

心理学者「早まるな。施設の防衛力を考慮した方がいい」

家政婦「とりあえず、戦闘についての説明をしますね」

開拓者「ああ」

家政婦「ここではじめて、防衛力をいくつかに分けた意味がでてきます」

家政婦「お二人とも、戦闘は先制攻撃を仕掛けた側がペースを握る、ということは分かりますね?」

心理学者「当然の真理だ」


家政婦「まず、攻撃側が隙のない安定した陣形で攻めてきた場合、防御側はどうにかしてその陣形を崩す必要があります」

家政婦「そこで登場するのが『速攻』です。強力な兵員を先頭に猛攻を仕掛けて、陣形を崩すことでペースを奪えます」

心理学者「陣形を崩すほどの攻撃ができず、ペースを奪えなかったらどうなる?」

家政婦「防御側が圧倒的な不利になりますね」


開拓者「では攻撃側が速攻をかけてきたら、こちらの防御も崩されてしまうわけだ」

家政婦「そこで役に立つのが『特殊』な戦闘員です」

家政婦「速攻型陣形は兵種ごとの連携が取りづらく対応力が欠けていますから、慣れない攻撃に弱いんです」

開拓者「逆に言えば、攻撃側が特殊な攻め方をしてきても、防御側が『対応力』で上回れば勝てるということだな」


家政婦「まとめると」

対応力→速攻→特殊→対応力 (攻撃側→防御側)

家政婦「こうなります」

開拓者「だからバランス良く上げた方がよかったのか。納得した」

開拓者「しかし、攻撃側が圧倒的に有利だな。相手の弱点さえ分かっていれば楽勝だ」

心理学者「そこで出てくるのが施設の防衛力だな?」

家政婦「はい。防御側だけが防衛力の恩恵を受けられるんです」

●開拓者軍ステータス
対応力Lv.8 速攻Lv.6 特殊Lv.9 防衛Lv.0

●武装組織ステータス
対応力Lv.7 速攻Lv.6 特殊Lv.3 防衛Lv.1


家政婦「せっかくですから、開拓者さんが攻めるときの陣形を決めてみませんか?」

開拓者「いや、俺は戦略には疎い」

心理学者「そう言わず、さあ。直感で選んでもいい」

開拓者「軍師が戦略を素人に丸投げするな」

開拓者(対応力で攻めるなら、相手は速攻+防衛が高くないとほぼ負け確定)

開拓者(速攻をかけるなら、相手は特殊+……ん?)

開拓者「まさか」


1.バランスの取れた陣形で攻める
2.強い兵種を先頭にして攻める
3.特殊な戦力を活かして攻める

安価↓1選択

開拓者「どういう攻め方をしても勝てるだろ」

心理学者「ほう、君も気づいたか」

家政婦「大正解です!」

家政婦「では……一番安全に勝てそうな、特殊な戦法を中心に据えて攻め込みましょう」

心理学者「唯一のネックは人質の存在だ」

家政婦「あたしが無事を確認しました。彼らは貴族に手を出せませんよ」

開拓者「何?」


開拓者「これより、俺たちの雇い主である貴族の奪還戦を決行する!」

エルフゲリラ「いよいよだね」

アラクネ「本当に戦うんだ……。緊張してきた……」

開拓者「目標は無血での勝利!」

有翼人「難しそー」

蝙蝠人「わたしたちはサポート役だね」

開拓者「作戦概要は心理学者から説明する」

心理学者「武装集団が現在いるのは、放棄された鉱山だ。周囲に柵があり、柵の内側に隠れる場所はない」

心理学者「敵は銃を持っている。正面からの突入にはリスクが伴う。そこでまずは―――」

チームが完成!

称号:亜人変人大集合

●兵員
・レトリバー……猟犬。人懐っこいが敵はきちんと見分ける。追跡1
・狼獣人……骨格が人間でそれ以外が狼の魔物。犬と話せて連携が取れる。スピード型近接1(犬ブースト:犬の兵員がいると強くなる)
・ジャッカル獣人……骨格が人間でそれ以外がジャッカルの魔物。狼獣人に比べて変則的な動きをするが戦法は大体同じ。スピード型近接1
・アラクネⅡ……下半身が蜘蛛の女性。種族の技のほかに、八本の脚を活かした格闘術を習得した。捕縛1・工作0.5・多脚格闘0.5
・エルフゲリラⅡ……一般的なエルフゲリラよりも罠の扱いに長ける。工作2
・心理学者……敵の心理を読み解き戦略を立て、罠や待ち伏せの指示を行う。計略1
・有翼人アーチャー……背中に羽根が生えた女の子。昔から弓道を習っているらしい。制空1
・サキュバス……背中に蝙蝠型の羽根が生えた女性。主に男性の精神を操ることに長ける。対男性交渉1
・妖怪狸……幻術を操り敵を翻弄する。幻術1
・アイアンゴーレム……全身が鉄でできた人型の魔物。この個体は背中から中に入り操縦できる。搭乗ゴーレム1
・蝙蝠人……夜行性の有翼人の中でも特に暗所に適応した種。目が見えない代わりに音波で広範囲を視ることができる。制空1(探知能力:暗所での戦いで強くなる)
・重装戦士Ⅱ……盾と鎧で守りを固めた戦士。催眠術の一種で敵の攻撃を強制的に自分に向ける。攻められるのが好き。囮2

●兵種ごと
スピード型近接3(最大2) 工作2.5(最大2) 捕縛1 追跡1 計略1 制空2(最大1) 対男性交渉1(特殊) 多脚格闘0.5(特殊) 幻術1(特殊) 搭乗ゴーレム1(特殊) 囮2(特殊)

●ステータス
対応力Lv.8
速攻Lv.6
特殊Lv.9



悪党A「おいリーダー! いい加減こいつどうにかしろよ!」

貴族「ひ、ひいっ! わ、我輩に手を出したらタダでは済まないぞ! 分かっているんだろうな!?」

リーダー「分かってる」

悪党B「でももう連れてきて半月経ったぞ」

悪党C「何も利用価値がねぇんだから、もういいだろ」

リーダー「でもな、そんなことをしたら俺たちはおしまいなんだよ」

悪党D「おーい!! 敵襲だー!!」

悪党E「まさか王国軍に嗅ぎつけられたか!? 最悪だ!」

アイアンゴーレム「キィィィン」

開拓者(俺もチームの一員だが、まさか前線に送り込まれるとは思わなかった)

重装戦士「はっはっは! かかってきたまえ!」

悪党A「な、なんだ!? 鉄の化け物をなんとかしたいのに……!」

悪党B「鎧の野郎に攻撃しちまう!」

重装戦士「実にいい攻撃だな! 気持ちいいくらいだ!」

開拓者「よし、正面ドアはゴーレムでふさいだぞ」


悪党C「一旦退くぞ! 敵の正体がつかめない!」

悪党D「リーダー! 行きましょう!」

リーダー「…………」

悪党C「リーダー?」

リーダー「ケヒャヒャヒャ……!」ドロドロ

悪党D「うああああ! リーダーが笑いながら溶けた!!」

悪党C「おい、視界が真っ黒だ! 何も見えない!」

悪党D「ちょっ、脚を掴むなっ、倒れる!!」

妖怪狸「ヒヒッ……」

サキュバス「ここでゆっくりしていきなさいよ」ナデ

悪党E「は、はい……」


リーダー「畜生……! なんだよ、この化け物集団……!」

有翼人「みんなー! こっちに逃げたよー!」

レトリバー「ワオーン!!」

リーダー「い、犬?」

ザッ ザッ

狼獣人「ガルル……!」

ジャッカル獣人「ゴルル……!」

リーダー「くっ……!」

開拓者「おい、貴族を回収した。退却するぞ」

蝙蝠人「坑道の中に一人逃げたよ」

開拓者「放っておけ。おい、お前。」

リーダー「……!」

開拓者「どういうつもりか知らんが、二度とこんな真似はするんじゃないぞ」

貴族「化け物だぁあああ!!」

重装戦士「なんと無礼な!」

心理学者「ついに言ってしまったな」

開拓者「獣人二匹は例外だが、他は言葉の通じるれっきとした人間だ」

家政婦「そうです。エルフさんとアラクネさんを中心に、彼らも別邸の改築に協力してくれました」

開拓者「そういえばいつの間にか完成していたな」

貴族「そ、そうなのか……。すまなかった。今の発言は取り消させてくれないか?」

有翼人「いいよー。みんなもいいよね?」

エルフゲリラ「初めて会って混乱したんだろう? 今回は水に流すよ」

蝙蝠人「わたしは同じ有翼人からも言われたことあるから……」

サキュバス「別にどうってことないわ」

アラクネ「……!」がーん

心理学者「彼女とは後で私が話しておく」

開拓者「頼んだ」

レトリバー「ワン! ワン!」

ワー ギャー

開拓者「外が騒がしいな……あいつらは!」

悪党A「さっきと同じようにはいかねぇぞ化け物ども!」

悪党B「本気で相手してやる。出てこいやぁ!」

リーダー「この屋敷は包囲した! 降参して貴族を引き渡せ!」

狼獣人「ガウウ……」

重装戦士「一階に侵入されてしまった。この私がいたというのに……!」

家政婦「窓を破って入ってきましたから、仕方ありません」

開拓者「空を飛んで近くの町に助けを呼びに行けないか?」

有翼人「無理かも。外に銃を持った悪党が何人か残ってる」

開拓者「鳥撃ち用のショットガンだな。あれは避けられん」

貴族「頼む! 一階で持ちこたえてくれよ……!」

開拓者「俺もゴーレムに乗って支援に向かおう」

心理学者「いや、行かない方がいい」

開拓者「なぜだ? 重装戦士もなぜ残っている」

心理学者「一階は罠だらけだ。邪魔になる」

開拓者「なるほどな」


妖怪狸「キゥゥ……」

悪党C「捕まえたぞクソだぬき! もう幻は見せられねぇな!」

悪党D「気をつけろ、ドアを開けるたびに死角から刃物が飛んでくる」

悪党E「ぐあっ! 網踏んじまった!」

悪党D「じっとしてろ、糸を切る」

アラクネ「行きます! 回転連続蹴り!」クルルルル

悪党D「ぎゃあああ!!」

アラクネ「おいで、狸ちゃん」

エルフゲリラ「やっと三人片付いたが……まずいね。敵は三人一組で別行動している。外から梯子で上の階に行く敵もいた」

アラクネ「ええっ、それじゃ上のみんなが危ない……!」

エルフゲリラ「獣人たちが頑張ってくれるといいが……」

二階。

レトリバー「ワン! ワン!」

ジャッカル獣人「グルルッ!(狼獣人と引き離された!)」

悪党F「3対1だ! 人間の底力見せてやんよ!」

悪党G「リーダーたちは先に上へ行ってくれ!」


三階。

心理学者「もうそこの階段まで来ている!」

開拓者「なぜだ? なぜここまで苦戦している」

家政婦「敵は……隙のない攻めをしています。打ち破れる可能性があるのは獣人たちとエルフゲリラさんとアラクネさんだけ……」

開拓者「奴らの対応力はLv.7で、俺たちの速攻はLv.6で防衛力無し……」

開拓者「なるほど、普通に戦ったら負けるわけだ」

貴族「な、なに!? では我輩はまた奴らの手に落ちるしかないというのか!?」

開拓者「ここから逆転する手は無いのか?」

家政婦「優秀な軍師がいれば、あるいは……」

心理学者「すでに私の策は崩されている……」

開拓者「急襲だったから仕方ないな」

開拓者「残念だ。もっと強力な戦力を用意しておけば……」

家政婦「……ちょっと、外しますね」

ガチャッ パタン

開拓者「何をする気だ?」

ワー ドッ ゴッ ギャー

開拓者「……」

貴族「……」

ガチャッ

開拓者(悪党たちが廊下に倒れており、家政婦は男の襟をつかみ引きずっている)

開拓者(その男は、武装集団のリーダーだ)

リーダー「ち、畜生……バカな……」

家政婦「お掃除、終わりました」

貴族「……す、素晴らしい!」

開拓者「……。貴族の警備、家政婦一人で良かっただろ」

家政婦「いえ、そんなことはありません……。だいぶ人数が減ってたから、なんとかなったんです」

家政婦「パンチが運よく顎に入ったんです!」

開拓者「で、お前たちの目的だが」

リーダー「そんなもんねぇよ」

開拓者「は?」

リーダー「俺たちの仮のアジトにその貴族が迷い込んできたんだよ」

リーダー「で、胸倉つかんで突き飛ばしたらよ……そいつはあの大資産家の息子だって言うじゃねぇか」

リーダー「そんな大物を怒らせたら王国軍が出てきて俺たちは殺される……」

リーダー「だからずっと隠していたし、お前らから奪い返して口封じをしようと思ったんだよ」

開拓者「そんな嘘でごまかせると思ったのか?」

リーダー「ほら。そういう反応になるだろ。だから帰したくなかったんだよ」

心理学者「今の話は本当か?」

貴族「ま、迷い込んだだと? わがいはいがそんなミし、ミスをするはずが」

心理学者「目が泳ぎ、手も震え、顔も引きつり、全身で動揺を表現している」

開拓者「では本当にこの悪党の言うことが正しかったのか」

リーダー「第一、俺たちが悪党っていうのもてめぇらの決めつけだろ」

リーダー「俺たちは、王国の町に住むことを許されていないんだ」

開拓者「そうか、お前たちは辺境民か」


有翼人「えー、帰しちゃったの!?」

開拓者「ああ。同情してしまってな……」

開拓者「仕事が一段落したらあいつらに開拓を教えに行くつもりだ。略奪をしなくても生きていけるように」

貴族「我輩が良いと言ったから良いのだ!」

家政婦「少し臆病だけれど寛大な人でもあるんですね」

夜。

開拓者と貴族、家政婦、そして警備チームの面々は一つの長テーブルを囲んでディナーを楽しんだ。

開拓者「ふう、これでこの仕事も終わりか」

開拓者「一時はどうなるかと思ったが」

アラクネ「……で、で、で」フラフラ

蝙蝠人「どうしたの?」

アラクネ「で、出たの……」

エルフゲリラ「侵入者か?」

アラクネ「ひぃ! き、来たぁ!!」

開拓者(急いでドアを振り返ると、そこには青白い肌の男が!)

幽霊「デ、テ、イ、ケ……」

有翼人「キャアアア! お化けぇえええ!」

蝙蝠人「えっ、何? 何かいるの? 探知できない!」

アラクネ「と、飛んで逃げるなら私も連れてってー!!」

サキュバス「間違いない、私が見たのはこの人よ!」

幽霊「ミ、チ、ヅ、レ」

貴族「ぎぃやぁあああ! 我輩はまだ死にたくないぃいいい!」ダダダッ

エルフゲリラ「ま、待つんだ! 外はもう暗くて足元が悪い!」

レトリバー「ワンッ! ワンッ!」

心理学者「置いていかないでくれ!」

幽霊「コ、コ……ワ、ガ、ヤ、シ、キ……」

幽霊「デテイケェー!!」

アラクネ「怖いので仕事は辞めます……」

有翼人「ウチもお化け屋敷はいや!」

貴族「我輩もこんな邸宅には住めん! 引っ越すぞ!」

心理学者「チームが散り散りになってしまった……」


開拓者(こうして、犬と妖怪狸と魔物を残して、みんないなくなってしまった)

開拓者「事実上のチーム解散だな」

家政婦「警護する人もいなくなりましたからね……」

開拓者「お前は主人を追いかけなくていいのか?」

家政婦「えっ。彼は別に主人ではないです」

開拓者「何? 貴族が市長に依頼してお前が派遣されたんじゃなかったか?」

家政婦「はい。あたしの所属は湖畔の楽園なので、ここに住まないならもう他人ですよ」

開拓者「ドライだな……」

家政婦「あとできっちり給料をいただかないと」

開拓者「俺も報酬をもらっていなかったな……」

家政婦「まずは市長に報告しに行きましょう」

狼獣人「ガウッ」

ジャッカル獣人「ゴウッ」

アイアンゴーレム「キィィィン」

開拓者「こいつらはどうしようか……」



おわり

警備チーム編について。

今回のシステムは計画者が王国軍の要塞を作る話の実験です。
一回試しておいて本当によかったと思います。ミスだらけ。

最初に犬が選ばれたのでスカウト安価に種族も指定できると書き足したらすごいことに。
回収していない謎については後ほど。

~ 依頼⑤ ~

開拓者「安価で恋人を作る」

市長「給料は私が責任をもって請求しておきます」

開拓者「よろしく頼んだ」

家政婦「では、家に帰りましょうか?」

開拓者「ああ。急いで戻ろう」

市長「まさか、あのお化け屋敷に戻られるんですか?」

開拓者「いや、他の町に家があるんだ」

家政婦「あたしたち、一つ屋根の下に住んでいるんです」

市長「な、なんですと?」



2週間前に戻る。

フォトジェニックな町と不思議な料理の依頼を終わらせた直後、開拓者は友人に会っていた。

開拓者「奇遇だな。まさか城塞の都でお前に会うとは」

船員「ラッキーだったぜ。ちょうど開拓者さんに耳よりな話を持ってるところだったんだよ」

開拓者(こいつは船員。釣り仲間で、とある魔性の女にひっかけられた被害者仲間でもある)

開拓者(花畑島の開拓……王国の開拓者としての最後の仕事で、親しくなった労働者の一人だ)

船員「開拓者さん、次の開拓で妻を見つけるって言ってたよな」

開拓者「ああ。それは叶わぬ夢になったがな」

開拓者「王に解雇された今の俺はフリーター同然だ。結婚はさらに遠のいた」

船員「そんな友人に朗報だ。いい仕事の話があるんだ」

開拓者「仕事か……。あいにく多忙なんだ」

船員「ま、聞くだけ聞いてくれよ」

船員「花畑島の近くに、新しく無人島になった島があるんだよ」

船員「まだ使える建物もあるし、若者たちでその島を再開拓しようって企画があって、参加者を募集していたんだ」

船員「住み込みの開拓を通じて人脈の輪を広げる……と銘打ってるけど、実際のところ、男女の出会いの場だ」

船員「開拓しながら女の子と交流もできる。まさに、開拓者さんにぴったりの仕事だろ?」

開拓者「若者が集まるのなら、俺は浮くんじゃないか?」

船員「30代の女性も来るからそんなことないと思うぞ」

開拓者「ふむ……それなら」

船員「あっ、でも開拓者さん多忙って言ってたよな。じゃあ住み込みは無理か」

開拓者「大丈夫だ! 他の仕事の時だけは島を離れるが、それで良ければ参加しよう!」

開拓者(この機会を逃すわけにはいかない!!)

開拓者(下心があるのは当然だが、これが唯一まともな開拓の仕事だからな!!)

船員「よっしゃ! それは心強いな。開拓者さんがいれば俺たちも大助かりだ」

開拓者(む? もしや担がれたか? 面倒な作業をすべて押し付けて若者だけでいちゃつくつもりじゃなかろうな?)

開拓者(……いや、そんなことは無いはずだ。友人を信じよう)

1週目

称号:家屋と家畜が残された無人島
ランク:集落

●開拓地
・無人島……最近まで人が住んでいたのでまだ使える建物が残っている。
・家(古びている)……人が寝泊まりできる唯一の家。増築できそうだ。
・牧場(使用不可)……家畜は逃げ出してしまった。
・畑(荒廃)……大量の雑草と岩が散乱している。

●ステータス
第一次産業Lv.0
第二次産業Lv.0
第三次産業Lv.0


船員「ついたぞ、開拓者さん」

開拓者「花畑島からも見えていた小さな島……ここが今回の開拓地か」

船員「花畑島の開拓前からこの島には集落があったんだ」

船員「一か月前までここには老夫婦が住んでた。その二人が最後の住人だ」

開拓者「老夫婦はどうなったんだ?」

船員「心配しなくても生きてるよ。今は花畑島のホームにいるぜ」

開拓者「それなら安心だ」


船員「集まったのは俺と開拓者さんも併せて6人」

船員「その6人でのんびりと、畑をたがやしたり、牧場を大きくしたり、家を改築したり、舟屋を建てたり……」

船員「そして最終的に村を完成させて王国の地図に載せるのが目標だ」

開拓者「それだけでいいのか?」ガシッ

船員「クワと工具セットを持つにはまだ早いぞ。みんなが来るまで待ってまず顔合わせを」

開拓者「ええい、止めるな! 慣れないことばかりさせられてうっぷんが溜まっていたんだ!」

開拓者「さあ、開拓だ!!」

開拓者「行くぞ、うおおおおおおおおお!!!!」ドドドドドド


開拓作業をします(修繕するもの、作る家具、植えるもの)

自動↓1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、、、、、,,,,,,,,__________________

村が完成!

称号:開拓者が一日でやってくれました
ランク:村

●開拓地
・牧場島……のどかな開拓ライフを送れる。
・小道……歩きやすく整えられた道がある。
・家Ⅲ……全員でテーブルを囲めるリビング、キッチン、そして全員の個室がある。二階にはテラスと来客用のベッドルーム。
・牧場……家畜たちは帰ってきた。
・畑……雑草と岩は完全に取り除かれ、一面がしっかりと耕されている。
・舟屋……ここから船員が各地に船を出せる。

●ステータス
第一次産業Lv.2
第二次産業Lv.0
第三次産業Lv.0


開拓者「よし、一旦ここらで止めておくか」

船員「人間重機かよ」

開拓者「俺は開拓者だぞ」

開拓者「開拓を得意とする俺は、村くらいなら一人で作ることができる」

船員「開拓終わらせてどうすんだよ」

開拓者「心配するな。町を作るには労働者たち……色々な職業の力が必要だ」

開拓者「6人で力を合わせて、立派な町を作っていこうじゃないか」

船員「だからもう目標の村は作り終わってるんだよ」

開拓者「なんだと? 開拓はこれからが本番だろう」

船員「結婚相手を探しに来たってことを忘れたのか?」

開拓者「忘れてはいないが……そうか、開拓はメインではないのか……」

開拓者「船員が残りの4人を迎えに行ってそろそろ2時間経つが……」

開拓者「おっと、船が見えた。到着だな」


※とりあえず安価で1名だけ作ってみます

安価↓1 年齢

安価↓2 職業

安価↓3 性格か趣味

明日再開を予定しています。

船員「ただいま。みんな、彼が開拓者さんだ」

男性「初めまして。よろしくお願いします」ペコリ

女性A「本物を見るのははじめてかも」

女性B「ん。やっぱり」

開拓者「船旅ご苦労だった。とりあえず荷物をおろして座らないか?」

開拓者「飲み物を持ってくる。皆、飲みたいものはあるか?」

女性C「あっ。あたしが持って参りますので、開拓者さんは座っていてください」

開拓者「いいのか?」


船員「じゃあ、改めて軽く自己紹介だな」

船員「俺は船乗りのセイン。この島の近くにある癒しの花園に住んでる。趣味は釣りだ。よろしくな!」

開拓者(そのまんまじゃないか)

女性A「うん、よろしくね」


【NAME:セイン JOB:船員 AGE:29 HOMETOWN:癒しの花園 HOBBY:釣り】


開拓者(名前を名乗る流れなのか? 開拓では肩書きで呼ぶのが当たり前だが、やはりノリが違うな)

大学生「俺は学問の都に住んでる大学生です。大学の友達からはダイちゃんって呼ばれてるんで、できればみんなもそう呼んでくれると嬉しいです」

女性C「ダイさん、ですね。よろしくお願いします」

大学生「ははは、硬いですよ」


【NAME:ダイ JOB:大学生・モデル AGE:22 HOMETOWN:学問の都 HOBBY:旅行】


女性A「あっ。名乗りづらかったらあだ名でもいいんだね……」

大学生「そうですね。俺はモデルの仕事もしてますから、あだ名ですいません」

女性B「全然いいよ~」

女性A「……」

大学生「右回りだから次、あなたですよ」

女性A「そ、そっか。えっと……」

画家「私は、エソラってペンネームで画家として活動してます」


【NAME:エソラ JOB:画家 AGE:26 HOMETOWN:緑の町 HOBBY:カフェめぐり】


画家「出身は緑の町です。緑色以外にもいろんな風景を描きたいな、と思っています……」

開拓者(緑の町はカントリーでボタニカルな農業の町だ。この町は建物まで緑色に塗っている)

女性C「風景画がご専門なのですか?」

画家「そ、それだけじゃないです。人物でも、食べ物でも何でも描きますよ」

画家「あ、でも、開拓に来たからにはちゃんと働きます……! よろしくお願いします!」

船員「おう。女の子たちはあんまり無理しなくていいからな」


女性C「次はあたしですね」

家政婦「あたしはフリーの家政婦です。今は湖畔の楽園と呼ばれる町で働いています」


【NAME:家政婦 JOB:メイド(付き人派遣サービス) AGE:25 HOMETOWN:湖畔の楽園 HOBBY:掃除】


家政婦「呼び方は家政婦で構いません」

開拓者(貴族の屋敷を作る仕事の依頼人だ。こいつも参加していたのか……)

大学生「ニックネームとか、趣味とかないですか?」

家政婦「ニックネームをつけられたこと……ないですね。趣味は……掃除です」

画家「お掃除を楽しめるのって、うらやましいです」

開拓者(この家政婦は謎が多い)

開拓者(若い女性でありながら妙に防衛に詳しい上に、)

開拓者(どこからか、下半身が蜘蛛の人間や、背中に翼が生えた人間を連れてくる……)

開拓者「俺のことはみんな知っているんじゃないのか?」

家政婦「はい。最近まで知りませんでしたが……」

船員「王国の有名人だよな」

画家「ごめんなさい。私は世間のことに疎くて……」

開拓者「では名乗っておこう。俺は開拓者だ。呼ばれ慣れているから開拓者と呼んでくれ」


【NAME:開拓者 JOB:開拓業 AGE:36 HOMETOWN:住所不定 HOBBY:大人の遊び】


開拓者「最近までは王国の専属だったが、現在はフリーの開拓者としていくつかの仕事を並行して進めている」

家政婦「この綺麗な家も開拓者さんが作ってくれたんですよね?」

開拓者「ああ。少し気合が入ってしまってな。外の畑も耕してしまった」

大学生「仕事のできる男ですね。憧れます」

開拓者「趣味は畑仕事と日曜大工だ(嘘)」

画家「筋金入りの開拓者なんですね」


開拓者(さて、あと一人だが、この女性も見覚えがあるんだよな……)

女性B「最後はわたしだね~」

大学生「あの、あなたは『生産者』さんですよね?」


【NAME:生産者 JOB:農林業、畜産業、漁業の教育および支援 AGE:30 HOMETOWN:北風の村 HOBBY:たき火】


生産者「わたしは生産者じゃないんだけど、そう言う人もいるよ」

大学生「やっぱり。来るときから気になってたんですよ!」

開拓者「有名なのか?」

船員「王国各地の村で、生産者を教育したり、植えるものを助言したりしてる人だっけか?」

大学生「はい。旅先でよく噂を聞いてます」

開拓者「ほう、まだ若いのに優秀な女性だな。よろしく頼む」

生産者「む~。わたしのこと知らんぷりして~」

開拓者(生産者は子供っぽく頬を膨らませた)

開拓者「あ、お前まさか!」

生産者「やっと気づいたの? お兄ちゃんのバカ」

開拓者「20年ぶりじゃないか! 元気だったか!?」

画家「えっ、い、妹さん……?」

船員「聞いてないぞ!?」

開拓者「ああ、正確には妹ではないんだ。血のつながりも戸籍上のつながりも全く無い」

開拓者「ただ幼少期から16の頃まで寝食を共にしてきただけの赤の他人だ」

生産者「おさがりを着て毎晩隣で寝てた他人だね~」

大学生「そんな他人いませんよ」

家政婦「家族の形は多様ですね」


船員「よし、これで全員の紹介は終わったな」

船員「みんなでこの村をもっと住みやすく、楽しい場所に変えていこうな」

画家「はいっ。プロの方の足を引っ張らないように頑張ります……!」

生産者「よし。じゃあ二階に行って自分の部屋を決めようか?」

大学生「家政婦さん、荷物持ちますよ」

家政婦「いえ、ダイさんの荷物をあたしが運びますよ」

1週目

称号:あつまれ牧場島 ~ 男女6人開拓物語

●開拓地
・牧場島……のどかな開拓ライフを送れる。
・癒しの花園……王国各地の傷ついた人々が集まる町。モダンでおしゃれな観光地としても知られる。

●住民
・船員……癒しの花園で働く船乗りの男。開拓地を転々とする開拓者にとって数少ない友人である。
・大学生……学問の都から来た品のいい青年。学業のかたわらモデルの仕事もしている。
・画家……緑の町から来た気弱な女性。
・生産者……20年ぶりに再会した開拓者の妹分。各地の村で第一次産業の振興をする仕事をしている。
・家政婦……湖畔の楽園から来た素朴なメイド。謎が多い。


こうして、男女6人の共同生活が始まった。

開拓者はこの島から、仕事のために亜熱帯の町や湖畔の楽園、そしてもう一か所の仕事場所へ通う。

この間、開拓者は開拓事務所を留守にしている。

依頼人が開拓者に会えないため、ついにしばらくの間、新規の依頼が入ってくることはなくなった。


開拓者「しかし、共同生活と言っても、何をすればいいんだ?」

開拓者「開拓は大体終わらせてしまったからな……」

コンコン

開拓者「ん? 入っていいぞ」

大学生「失礼します。ダイです」

開拓者「お前か」

開拓者(ふむ、カジュアルながらきちんとして見えるコーディネートだ。さすがはモデルだな)

開拓者(顔もいいし、いかにも女にモテそうだ。属性でいうとやはりクールだろう)

大学生「ご友人でも女の子でもなくてすいませんね」

開拓者「別に構わん、意外だっただけだ。何か用か?」

大学生「俺……実は、開拓者のファンなんです」

開拓者「ん?」

大学生「いや、実際にどういう人なのかは全然知らなかったんですけどね」

大学生「俺、旅行が好きで、いろんな町に行ったことがあるんですよ」

大学生「そしたら、開拓者という人が、短期間で魅力的な町をいくつも作って回っているということを知って……勝手に憧れていたんです」

開拓者「なるほどな。実際会ってみてどうだ?」

大学生「思ったより若くて話しやすそうでした。もっと髭がフサフサで寡黙なおじさんを想像してましたから」

開拓者「なんだそりゃ」

大学生「これから開拓のこと、いろいろ学ばせてもらいます。それじゃまた夕食で」

ガチャ バタン

開拓者「いけ好かない男だと思っていたが……なんだ、見どころのある奴じゃないか」

開拓者「そうか。俺も誰かと話に行けばいいのか。交流が目的だからな」


安価↓1 話す相手を選択(船員、画家、生産者、家政婦)

開拓者(一階のテラスで画家が早速絵を描いていた)

開拓者「見てもいいか?」

画家「あっ、開拓者さん……」

開拓者(画家は緑の町出身らしく、装いもカントリーだ)

開拓者(ちょっと目線を合わせるのが苦手なようだが、初日で緊張しているだけだろうか?)

開拓者(正直、外見は参加者の中で一番タイプだ……)

開拓者「海と畑を描いているのか」

画家「海、あんまり描く機会がないので……」

開拓者「まあ緑の町じゃあな」

開拓者「画家はどうして開拓に参加しようと思ったんだ?」

画家「……。似合いませんよね」

開拓者「別にそんなことは無いぞ」

画家「みなさん、すごい方ばかりですし……私は場違いです」

開拓者「すごい、か……。俺も、俺以外は開拓の素人が集まると思っていたな」

画家「そうです。ダイくんは高学歴ですし、セインさんも家政婦さんもプロの方で……」

開拓者「いや、少なくとも船員は大した奴じゃないぞ」

画家「そ、そうですか……」

開拓者「……町ではどうだか知らんが、少なくとも開拓地では職業に貴賎なしだ」

開拓者「画力も立派なスキルだ。もう少し自信を持っていい」

画家「はい……」

開拓者(わずかに画家との仲が深まったような気がする)

開拓者(画家は5人の中で最も俺との心の距離が遠い。仲良くなるには根気が要りそうだ)

船員「みんなで畑を改良しよう!」

開拓者「俺はしっかり耕したぞ」

船員「ダイくんの発案で、カカシを作ったり、畑に何か植えたりしようって話になったんだよ」

大学生「生産者さん、この畑で育てるなら何がいいと思いますか?」

生産者「暖かいけど乾燥してるからオリーブとブドウかな~。開拓者はどう思う?」

開拓者「同感だな。花畑島での需要が多い作物だ」

開拓者(基本的に人前でお兄ちゃん呼びはしないらしい。安心した)

家政婦「農業は未経験なので、何をすればいいかわかりません……」

大学生「俺も同じくです」

画家「私も……」

開拓者「思うようにやってみればいいんじゃないか? 分からないことがあったら俺か生産者に相談してくれ」


開拓者(船員はオリーブとブドウの苗を真面目に運んでいる)

開拓者(家政婦は畑のわきで草刈りをしている。鎌の扱いが驚くほど上手い)

開拓者(生産者は丘の上にのぼりたいと言って、動きやすい服装に着替えに行った。なぜ今のぼるんだ)

開拓者(画家は大学生と一緒にクワを振っている。もう耕したんだが……)

開拓者(さて、畑仕事は俺の得意とする分野だ)

開拓者(頼れる男っぷりをアピールしよう)


1.船員と一緒に苗を運ぶ
2.家政婦と一緒に草を刈る
3.生産者を追いかける
4.画家・大学生と一緒にクワを振る

安価↓1選択

大学生「よっ! よっ!」ザクッ ザクッ

画家「えいっ! えーい!」ザクッ ザクッ

開拓者「畑はもう十分耕したぞ」

大学生「はい。でもやっぱり開拓と言えばクワじゃないですか」

開拓者「そんなことは無いと思うが」

画家「クワが振れないと開拓に参加する資格はありません……」

開拓者「そんなことは無いと思うが」

大学生「でも俺たち、クワを振りたいんです」

開拓者「それなら仕方ないな。俺が振り方を教えよう」


30分ほど、開拓者たちは特に意味のない作業をした。

家政婦は草刈りに熱中して畑から離れたところまでひたすら草を刈り進んでいた。

そんな一同を生産者は上から見ていた。

船員「あれ? 俺しか働いてなくね?」

画家「難しい……」

開拓者「コツをつかんでも結局は筋力が無いとな」

大学生「エソラさん、クワを振る姿をスケッチしてみたらどうですか? 何か掴めるかもしれないです」

開拓者「俺がクワを振り下ろしてる写真ならちょうど持ってるぞ」

画家「写真……」ピクッ

開拓者「どうした?」

画家「描きます」ザザザッ

大学生「デッサンですね。おおー早い早い」

画家「できました!」

開拓者「写真よりも躍動感が増しているな」

画家「ありがとうございます」ニコリ

開拓者(嬉しそうだ。写真にライバル意識があるのか?)


大学生「ご指導ありがとうございました」

画家「そろそろセインさんの手伝いに行かなくちゃ」

開拓者(二人との仲が少し深まった気がする)

生産者「ただいま~」

大学生「うわっ、生産者さん、服が土だらけじゃないですか」

生産者「心配させてごめんね。ちょっと遠くまで行ってきちゃった」

開拓者(冒険好きなところは30歳になっても変わっていないようだ)

開拓者(最初は気づかなかったが、喋り方のアクセントも、身にまとう雰囲気も何も変わっていない)

開拓者(生産者を見ているとノスタルジックな気分になる)

開拓者(写真家の言っていたのはこれか。画家はカントリーだしな)

大学生「洗わなくて大丈夫ですか?」

生産者「いいよ。こんなのいつもの事だから」

開拓者「生産者は今、各地で農業を教えているんだったな?」

生産者「うん。漁業も畜産も教えてるよ」

開拓者「漁業もか?」

生産者「あれから勉強したからね~」

開拓者「成長したな……林に火を放っていた頃が懐かしい」

生産者「あーそういうこと言っちゃう? 開拓者はおっぱいを目で追いかける癖は治った?」

開拓者「この話はやめよう」

大学生「降参早いですね……」


開拓者「ところで何しに行ってたんだ?」

生産者「探索だよ。開拓地をよく知っておくのは基本、って団長さんから教わったの忘れちゃった?」

開拓者「忘れてはいない。町を作るのなら俺もそうしたさ」

生産者「あ~」

生産者「開拓者、クビになっちゃったもんね」

開拓者「うぐっ」

開拓者「妹が丘にのぼっていたのも地形を把握するためか」

開拓者「俺も村の外を探索しておいた方がいいな」

丘を越え、村の反対側に降りた。

開拓者「おや、誰かいるぞ」


安価↓1選択 そこにいたのは(船員、大学生、画家、生産者、家政婦)

船員「よっ」

開拓者「お前も探索か?」

船員「いやぁ、釣りだ」

開拓者「こんな小さな池じゃ美味い魚は釣れないんじゃないか?」

船員「いいんだよ。釣れさえすれば」

開拓者「そういうものか」

船員「なあ、開拓者さん。どうだ? 誰狙いだ?」

開拓者「まだ数日だが……今のところ、気になっているのは画家だな」

船員「一番接点がない所に行ったなー」

開拓者「単純に好みの顔というのもあるが、放っておけなくてな」

開拓者「ただでさえ自信がないタイプなのに、他の二人の存在がさらに自信を奪っている」

船員「まあ、農作業や家事じゃあ敵わないよな……」

開拓者「お前も気にかけてやってくれ」

船員「わかった。でも、構いすぎも良くないと思うぜ」

開拓者「そうか?」

船員「男子がみんなでエソラちゃん一人に構ってたら、二人は気分良くないだろ」

開拓者「確かにそうだ」

船員「それに、あんまりガツガツいくとあの子は引きそうだと思う」

開拓者「ああ、あり得るな」

開拓者「しつこい男は大抵誰でも嫌うんじゃないか?」

船員「そうかもな」

開拓者がリビングで休憩していると、玄関から家政婦がたくさんの荷物を抱えて入ってきた。

家政婦「ただいま戻りました」

開拓者「おお。すごい荷物だな」

家政婦「シェアハウスを飾るための小物や家具を買ってきました」

家政婦「よいしょ、っと」ドサッ

開拓者(長袖シャツと長ズボンの上にエプロンをつけた彼女は、女性陣の中で最も特徴のない人物に見える)

開拓者(ナチュラルな飾らない魅力……というよりは飾り慣れてない雰囲気がするな)

開拓者(しかし家事をする際の動きはさすがに素早く丁寧で、洗練されている)

開拓者「屋敷の方のデザインもしないといけないのに大変だな」

家政婦「あちらはもうアラクネさんとエルフさんに任せています」

開拓者「職務放棄か?」

家政婦「いいじゃないですか。本当はあたしが警備チームの編成をするつもりだったんですから」

開拓者「そういえばそうだったな」

開拓者(謎の人脈……そして謎の警備への自信……)

開拓者「一つ確認なんだが……お前は普通の人間だよな?」

家政婦「普通ってなんですか?」

開拓者「ちょっと他人と違うパーツが付いているとか……袖をめくるとウロコがあったりしないか?」

家政婦「ありませんよ……」


開拓者「一人でその荷物を運んできたのか?」

開拓者「まさか水中で呼吸ができたりは」

家政婦「しません。ちゃんとセインさんに送ってもらいました」

家政婦「小物はエソラさんと二人で選んだんですよ。ついでにお茶もしてきました」

開拓者「ほう。お前が誘ったのか?」

家政婦「はい。こちらから歩み寄らないと、関係性が築けないと思ったので」

家政婦「最悪、居心地が悪くていなくなってしまうかもしれないですし……」

開拓者「ああ、お前も心配していたのか……」

開拓者(誰かをデートに誘うにはまだ早いが、何かの用事を兼ねて一緒に出かけることは可能か……)

開拓者(俺も家政婦のように、誰かを誘ってみるとしよう)

開拓者(行き先は……レストランでいいな)

開拓者(ん? どういうわけか、行く町によっては新たな出会いがありそうな予感がする)


1.花畑島
2.高原の環境都市
3.城塞の都

安価↓1 行き先選択


1.画家
2.生産者
3.家政婦

安価↓2 誘う相手選択(デートは女性しか誘えません)

ミス、アルファベットにしていませんでした
安価の秒数を見ると、意図的に選んだわけではなさそうなので改めて選択



A.画家
B.生産者
C.家政婦

安価↓1 誘う相手選択

開拓者「生産者、明日時間があったら高原の町に行かないか?」

生産者「ん~? デートのお誘い?」

開拓者「積もる話もあるだろう」

生産者「いいよ。あの町のごはん美味しいしね」



翌日。

船と飛行機を乗り継いで、二人は高原の町へと移動した。

広大な水田と野菜畑、果樹園、牧場、薬草園を有するこの町は、食の都に次ぐ王国の穀倉地帯である。

また、エコロジーをテーマにした遊園地や、新鮮な食材を使ったレストランが観光客に人気で、

観光農園の町、高原の環境都市などとも称されている。


生産者「月並みだけど、空気がおいしい~」

開拓者「環境の維持に全力を注いだからな」

生産者「あ、ここもお兄ちゃんが作った町なんだ」


病弱な姫が療養するための町を作るよう指示された開拓者は、ひたすら自然環境を守る開拓を行った。

王国トップクラスの環境学者を育て、山の民の意識改革を行い、ある程度の工業開発も可能にしたうえで、全く工業を育てなかった。

その過剰なまでの取り組みにより、王国で最もおいしい空気と水が維持されている。

※高原開拓の詳しい様子は 開拓者「安価で高原に町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476533102/)


開拓者「レストラン、予約しておいて正解だったな」

生産者「うーん、美味しい。これは一流シェフの腕だけじゃないね」

開拓者「農作物の量では食の都に劣るが、質はこちらが上だ」

開拓者「食の都で思い出したが、お前はあの開拓のあと開拓団に帰ったよな?」

生産者「うん」

開拓者「それからどのくらい開拓団にいたんだ?」

生産者「開拓団はすぐ無くなったよ」

開拓者「何?」

生産者「お兄ちゃんの活躍でわたしたち開拓民の社会的地位も認められたでしょ?」

生産者「王国に村を接収されることもなくなったし、各地を転々として暮らす理由が無いじゃない」

開拓者「それもそうか。じゃあ定住したんだな」

生産者「人それぞれだね~」

生産者「わたしはオレンジの村に移り住んでから勉強して、学問の都のバイオ大学で勉強して、今の仕事をはじめてから5年かな~」

開拓者「団長はどうしてるんだろうか?」

生産者「わたしも知らない」

開拓者「担当者の爺さんやお前みたいに、どこかでひょっこり会えればいいんだが」

開拓者(その後も俺たちは思い出話や、仕事の話などをたっぷりとした)


ウェイトレス「お皿をお下げいたします」

開拓者「ああ、頼む」

ウェイトレス「あ、あなたは! 開拓者のおじさま!」

生産者「知り合い~?」

開拓者「いや」

ウェイトレス「あら、この姿では分からなくて当然でござったわ」ドロン

開拓者(胸の前で手を組むと、ウェイトレスの姿は一瞬だけ煙に包まれ……)

姫「おじさま! お久しぶりでござるわね」

開拓者「姫様……! なぜレストランに……」


【NAME:姫 JOB:忍者 AGE:16 HOMETOWN:高原の環境都市 HOBBY:逃走】


生産者「なんで!? 忍者なんで!?」

開拓者「ああ、混乱するよな……」

姫「わらわはこの高原の町で療養し、健康となり、そして修行を重ね、一人前の忍者になったでござるのよ!」

開拓者「姫様、そんな話し方でしたか……?」

姫「忍者には忍者にふさわしいマナーがあるでござるわ。ニンニン」

生産者「結局忍者なんで!?」

開拓者「いろいろあってな、この町にはニュー忍者の里という裏の顔がある」

開拓者「姫の護衛として忍者を鍛えたつもりだったんだ。まさか姫様が忍者になるとは思わなかった」

姫「父上には怒られてしまいましたわね、でござる」

開拓者「あの時は大変でした。姫様本人に弁解していただいていなければ、私は拷問を受けて死んでいたことでしょう」

生産者「お兄ちゃんも王女様も面白いね~」

ザザッ

忍者教官「……見参!」

開拓者「うおっ、忍者!?」

忍者教官「……ご無沙汰でござる、開拓者殿」

忍者教官「……時に、姫様を見なかったでござるか?」

生産者「王女様なら今ここに、あれ?」

ウェイトレス「それでは失礼いたします」ペコリ

忍者教官「……お待ちを。拙者の目はごまかせませんぞ」

姫「っ、ここで捕まるわけにいきませんわ!」

姫「逃げるが三計、如かずにござる!」ダッ

忍者教官「……姫様の護衛は我らの職務! 決して逃がしはしません」ダッ

開拓者「……。よく分からないことを言って逃げていったな」

生産者「逃げるのが好きなのかな~」

開拓者(姫と忍者の乱入こそあったものの、妹と久しぶりに水入らずの時間を過ごせた)

開拓者(20年の空きがあっても案外、関係は変わらないものなのだな)


船員「よし、ついたぜ」

生産者「楽しかった~。ありがとうね、開拓者」

開拓者「ああ、また機会があったらよろしくな」

姫「素敵な島でござるわね」

船員「いつの間にか知らない女の子が乗ってた! 密航者か!?」

開拓者「姫様!?」

姫「共同生活、楽しそうね。わらわも混ぜていただけないでござるかしら!」

生産者「わたしはいいけど~……」

開拓者「困ります。姫様、お戻りいただかないと、今頃高原では姫様が行方不明で大騒ぎになっていることでしょう」

開拓者(最悪、俺が誘拐したことにされる気がする!)

姫「問題ありませんでござるの。分身を残してきましたから」

姫「ではわらわはお先に家に入らせていただきますわね。ニン!」

船員「ひ、姫!? どういうことだよ開拓者さん!」

開拓者「あとで説明する……」

●住民
・姫(忍者Ⅲ)……国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。スピード型近接2・工作1.5(変化の術:特殊Lvが1増える)


大学生「この方は、王様の娘さんですよね……知ってますよ」

姫「否。わらわは姫の姿に化けているだけのしがないクノイチでござる……」

家政婦「なんて強い忍者……! ぜひチームに誘いたいです」

開拓者「貴族を守るために王女に戦わせるのか……」


開拓者(姫は色素の薄い金髪の美少女で、王族らしいノーブルな雰囲気を持つ)

開拓者(が、しかし、首から下は忍装束だ……)

開拓者(写真家の言っていた出会い、最後の一人が姫ということか)


画家「王女様もこちらに住まわれるのですか……?」

船員「姫が暮らせるように準備しましょう、みんなで!」

家政婦「急ぎ、調度品を揃えに行って参ります」

姫「みな、堅苦しゅうござる!」

姫「わらわのことは一人の居候の忍者として接しなさい、でござる」

開拓者「わ、分かった」

開拓者(普通に接しろと言われても失礼なことは言えないしな……面倒な客人であることに変わりはない)

1週目結果

画家 26歳 #カントリー 交流0(初期値)→★★
1.緑の町から来た気弱な女性。他の参加者の優秀さに気おくれしている。

生産者 30歳 #ノスタルジック 交流★★(初期値)→★★★
1.20年ぶりに再会した開拓者の妹分。村の農業などを支援する仕事をしている。

家政婦 25歳 #ナチュラル 交流★
1.湖畔の楽園から来たメイド。あまり自分のことを語りたがらない。

姫 16歳 #ノーブル 交流★
1.国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。

大学生 22歳 #クール 交流★(初期値)→★★
1.学問の都から来た品のいい青年。旅行が趣味であり、町を作る開拓者に憧れを抱いている。

船員 29歳 #エネルギッシュ 交流★★★★★
1.癒しの花園で働く船乗りの男。開拓地を転々とする開拓者にとって数少ない友人である。


※目標について※
船員は前回の開拓でも交流しているため、最初から交流が★5個分溜まっています。
開拓者が恋人を作るには彼の★の数を超える必要があります。
複数人が超えていた場合、もっとも高い人物のエンディングになります。
★が同数の場合、どうにかします。


~住民の声~
画家「みなさん、気を使っていただきありがとうございます……」
大学生「あの開拓者さんと生産者さんから学べるなんて夢みたいですよ」

2週目

●住民
・船員……交流★★★★★
・大学生……交流★★
・画家……交流★★
・生産者……交流★★★
・家政婦……交流★
・姫……交流★


2週目前半。

船員「リフォーム大作戦だ!」

開拓者「何? 俺の作った家にケチをつけるのか?」

船員「いや、家自体は悪くないんだけど、内装はもっとオシャレになると思うんだよ」

家政婦「あたしの買ってきた家具に問題があるんですか?」

画家「もしかして私のセンスが悪い……?」

船員「だからそういう事じゃないんだって!」

大学生「今日はみんなで工作して、暮らしに彩りを与えようっていう企画です」

生産者「DIYってやつだね~」

姫「材料にどこにあるのでござるかしら?」

船員「……やべぇ」

家政婦「仕方ありませんね……。材料調達から始めましょう」

開拓者「俺にとってはいつも通りだな」

開拓者(家政婦は林に木材の調達に向かった)

開拓者(画家はテーブル作りに挑戦している)

開拓者(生産者と大学生は庭先で石を積み上げている。窯作りか?)

開拓者(姫は……一体、何を作っているんだ?)

開拓者(船員は町へ釘などを買い足しに行ったため、島を留守にしている)


1.家政婦の手伝いをする
2.画家のサポートをする
3.生産者と大学生の作業に加わる
4.姫の様子を見る

安価↓2選択

画家「……」トントン

開拓者(画家は集中して釘を打っている。だがその手つきは危なっかしい)

開拓者(生産者も家政婦もいない今、俺が見ていなければ)

画家「ふぅ……」

開拓者「がんばってるな」

画家「開拓者さん。ご自分のDIYの方はいいんですか?」

開拓者「俺は日ごろからいろいろ作っているからな」

画家「開拓者さんから見て、私の動き、合ってましたか?」

開拓者「初心者にしてはかなり上手いと思うぞ」

画家「そ、そうですか?」

開拓者「本当だ。だが少し、ケガのリスクが高い持ち方をしていたのが気になった」

画家「ええっ」

開拓者「画家は指が大事だろう? 正しい持ち方をした方がいい」

画家「で、でしたら教えてください」

開拓者は画家の後ろから手を握り、指を打ちにくい持ち方と姿勢を教えた。

開拓者「材料をしっかり固定することが大事だ。あとは力の加減も大事だぞ」

画家「は、はいぃ……」

開拓者「どうした?」

画家「ちょっと……暑いです」

開拓者「おっと、すまん。密着しすぎてしまったな……」

画家「い、いえ! 教えてくれてありがとうございました」

画家「さすが開拓者さんです。私、なんだか上手くなったような気がします!」

開拓者「そ、そうか。良かった」

画家「は、はい」

二人はそわそわしながらテーブルを作った。

開拓者(画家との仲が深まった、か? 嫌われてなければいいのだが……)

生産者「お皿を焼いたよ~」

大学生「俺のは割れちゃいました……」

家政婦「木材、余りましたね」

船員「玄関先の丸太の山、あれ全部家政婦ちゃんが伐ったのか……?」

画家「このテーブル、少しガタガタしますね……」

開拓者「手作りの証拠だ。気になるならあとで調整しておくぞ」

姫「」

開拓者「ところで姫は何を作ったんだ?」

姫「残念でしたわね! それは今しがた作った身代わりでござる!」

画家「あれっ、本当だ!」

船員「やべぇ、どう見ても偽物なのに意識の外にあって気づかなかった……!」

2週目、後半。

開拓者「―――というわけで、大学の仕事と屋敷の警備の仕事は昨日で終わった」

船員「家政婦ちゃんは昨日の夜帰ってきたけど、開拓者さんは何してたんだ?」

開拓者「別の仕事だ」

船員「まだ仕事があったのか……!」

開拓者「まあ、あと一つか二つだ。大した負担じゃない」

船員「話を聞いてると、開拓者さんって結構頻繁に危ない目にあってるよな」

開拓者「ああ」

船員「開拓者さんの嫁になる女性は只者じゃないんだろうな……」

開拓者「どうしてそうなる?」

船員「単純に、開拓者さんが何の変哲もない人と結婚するとは思えないというのもあるけど、」

開拓者「心外だな」

船員「開拓についていける女性は心身ともにタフなんだろうなってさ」

開拓者「それは俺も考えていた。万が一の時、俺には妻を守り切れる自信が無いからな」

開拓者「無理そうなら町に残ってもらおうと思っている」

船員「まあ、それが現実的だよな」

開拓者「さびしい思いをさせてしまうがな……」

開拓者「ふう、すっかり帰りが遅くなってしまった」

開拓者「ん? リビングの灯りがついている」


開拓者の帰りを待っていたのは

1.画家
2.生産者
3.家政婦
4.姫と大学生

安価↓2選択

開拓者「ただいま。おや、珍しい組み合わせだな」

大学生「おかえりです」

姫「ニン」

大学生「あいさつをニンで済ませるんすか?」

姫「ニンニン」

大学生「ニンは一回!」

開拓者「ずいぶん打ち解けたんだな……」

大学生「姫さん面白いんですよ。王族とは思えないくらい」

大学生「本当は姫を自称しているだけの忍者じゃないんですか?」

開拓者「残念ながら忍者を自称している本物の姫なんだ」

大学生「とにかく楽しい人なので、ついこんな時間まで話し込んでしまいましたよ」

姫「夜は忍びの時間よ。まだ余裕ですわ。ふわぁ……」

開拓者「眠気で喋り方が戻ってるぞ」

大学生「忍者とか結構好きなんで、東洋にも旅行してみたいんですけどね」

姫「わたくしも一度は行きたい、忍びの総本山!」

開拓者「あっちは情勢が危ないからな……」

開拓者「もともと忍者が王国にやってきたのも、忍者の里が滅ぼされたからだと言っていたな」

姫「あっ、そうですわ! おじさまはフリーの開拓者でしたわね!」

姫「開拓者よ。東の地に忍びの里を作って参れ!(低音)」

開拓者「お断りします」

姫「危険は承知よ。立ちふさがる敵は皆わたくしが倒しますわ!」

大学生「おー、姫さんカッコいいっす!」

開拓者「無茶だと思うがな……」

三人は夜遅くまで忍者トークをして過ごした。

船員「よう、友人。聞いて驚け」

船員「実は俺……デートしたんだ!」

開拓者「何!? 誰とだ!?」

船員「……ダイくんと」

開拓者「……男か」

船員「それが案外楽しかったんだ。湾岸要塞に行ってな、二人で軍艦を見てきた」

開拓者「女ウケしない場所だな」

船員「つまり何が言いたいかというと、女の子とデートするなら女の子が喜びそうな町がいいぜ」

開拓者「何を当たり前のことを」

開拓者(俺は仕事柄、女性が楽しめそうな町にたくさんの心当たりがある)

開拓者(これは大きなアドバンテージなのではないか?)

開拓者(勇気を出してデートに誘ってみよう)

開拓者(……女性を誘うのにわざわざ勇気を出す年齢ではないな)


1.花畑島
2.湖畔の楽園
3.フォトジェニックな町

安価↓2 行き先選択


A.画家
B.生産者
C.家政婦
D.姫

安価↓4 誘う相手選択(デートは女性しか誘えません)

開拓者「なあ画家、ちょっと話があるんだが」

画家「な、なんですか? 私が何か……」

開拓者「いや、別に何かを注意するわけじゃない」

開拓者「俺は最近、『絵になる町』を作ったんだ」

開拓者「もし良かったら、その町に遊びに行かないか?」

画家「私と、ですか?」

開拓者「俺と二人じゃ嫌か?」

画家「いえ、そんなこと無いです。行きましょう!」


フォトジェニックな町は二週間と少し前に、城塞の都のはずれに作られた新しい人気観光地だ。

都会人の理想とする、動物とのふれあい、田舎のごちそう、田園風景などが楽しめる。

若い写真家が旗振り役になったことで、写真撮影をメインにした観光客が数多い。


画家「わぁ、素敵な町……! 町……?」

開拓者「町としてはまだ開発中だな」

画家「すごいです……これを一人で?」

開拓者「一人ではないが、たしか4人くらいだったか」

画家「早速スケッチしてもいいですか?」

開拓者「絵になるスポットは田園だけじゃないんだ。まずは見てまわ」

コック「いらっしゃいませー!!! 新商品、ナットーナンはいかがですかー!!??」

開拓者「声がでかい!」

コック「って、開拓者さんじゃないですか! 後ろの方は彼女さんですか?」

画家「い、いえ」

開拓者「彼女は俺の仕事仲間だ。お前と似たようなものだ」

開拓者「で、ナットーナンってなんだ?」

コック「ゆでタコの納豆詰めの中身をレッドナンの中に詰めてみたんです。味見どうぞ!」

画家「ん。変わったお味……」

開拓者「無理しなくていいぞ。こいつの作る料理のうち半分はハズレなんだ」

開拓者と画家は絵になる風景を見て回った。

画家「この教会の下描きに着色してみます」

開拓者「完成が楽しみだな」

写真家「あれ? 絵を描いてる人がいる。写真の方が早いのに」

画家「……」ピクッ

写真家「あっ、開拓者さん! 来るのが早かったですね」

開拓者「いや、今日は開拓に来たわけじゃないんだ」

写真家「ああ、デートですか」

写真家「ほら、アタシの予言した通り! カントリーでセンチメンタルな可愛いお姉さんと出会いましたね!」

開拓者「センチメンタルなのか?」

写真家「はい、雰囲気に出てます。そういえばセンチメンタルとノスタルジックはやっぱり別々ですね」

開拓者「ほらみろ」

写真家「はじめまして。アタシはインスタント・フォトグラファー。インスタントカメラでエモーショナルな写真を撮る写真家です!」

パシャッ ジー

写真家「お近づきのしるしに、どうぞ」

画家「いりません。ただの写真じゃないですか」

写真家「んっ?」ピクッ

画家「私は画家です。特に風景画と静物画、人物画をよく描きます」

写真家「画家さんでしたか。でもこの時代に風景画は流行らないと思いますよ」

画家「絵は芸術作品です……。そのまま切り取っただけの写真なんかと一緒にしないでください」

写真家「写真は芸術じゃないだなんて古臭いですねー。美しい風景はそのままで美しいんですよ」

コック「あわわ……バチバチだ」

開拓者「お前はなぜついてきたんだ?」

画家「写真家さんは属性を知ってますか?」

写真家「はい、知ってますけど? あなたこそ知ってるんですか?」

画家「この教会の属性は?」

写真家「エレガント。なんですか、このテスト?」

画家「時間さえあれば、写真よりもエレガントな絵を描けます」

写真家「それって捏造ですよね? 時間をかけていいならアタシもベストショットが出せますよ」

写真家「開拓者さんは写真と絵、どちらが好きですか?」

開拓者(俺に振るのか……)

開拓者「どちらにもいい所はある……が、俺は画家の方が好きだな」

画家「……!」パァッ

写真家「えー。納得できない」

開拓者「……そうだ、写真家。貯水池の写真を持っているか?」

写真家「ありますけど」スッ

開拓者「なあ、画家。この場所をホラーな雰囲気で描いてみてくれ」

画家「ホラーですか……。苦手ですけど、やってみます」


開拓者(俺の予想通りだった。写真では『言われてみれば…』程度だった、貯水池のダークな雰囲気を画家は見事に強調してみせた)

開拓者(半分まで描いたところで、画家は怖くなって筆を止めた)

画家「も、もう無理です……」

開拓者「この貯水池は俺も近づけない……」

写真家「ひいっ」

開拓者「時間をかけてもこの恐怖は撮れないんじゃないか?」

写真家「認めましょう……。絵には絵の良さがあります!」

画家「やったっ……」


開拓者(画家は帰りも機嫌が良かった。やはり写真をライバル視しているようだ)

2週目結果

画家 26歳 #カントリー 交流★★→★★★★
1.緑の町から来た気弱な女性。他の参加者の優秀さに気おくれしている。
2.写真家に対抗意識を燃やし、いつになく積極性を見せた。

生産者 30歳 #ノスタルジック 交流★★★
1.20年ぶりに再会した開拓者の妹分。村の農業などを支援する仕事をしている。

家政婦 25歳 #ナチュラル 交流★
1.湖畔の楽園から来たメイド。あまり自分のことを語りたがらない。

姫 16歳 #ノーブル 交流★→★★
1.国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。
2.もともと体が弱かったためか、手に入れた自分の強さにやや酔っているようだ。

大学生 22歳 #クール 交流★★→★★★
1.学問の都から来た品のいい青年。旅行が趣味であり、町を作る開拓者に憧れを抱いている。

船員 29歳 #エネルギッシュ 交流★★★★★
1.癒しの花園で働く船乗りの男。開拓地を転々とする開拓者にとって数少ない友人である。
2.船員らしく船が好き。大学生と二人で軍艦を見に行きテンションが上がったという。


~住民の声~
画家「ごめんなさい、私、動物は触れないので描くだけにします……」
姫「ダイさんを忍者修行にお誘いしたら、やんわり断られましたでござるわ」

3週目

●住民
・船員……交流★★★★★
・大学生……交流★★★
・画家……交流★★★★
・生産者……交流★★★
・家政婦……交流★
・姫……交流★★


船員「釣り大会しようぜ!」

姫「セインさんが勝つための提案でござるじゃない!」

開拓者「恥ずかしくないのか?」

船員「何かみんなでレクリエーションしたいと思って考えたんだよ」

船員「この島で他にできることがあるか?」

生産者「それ、エソラちゃんが参加できないよ」

大学生「魚もダメですか?」

画家「生きてなければ……」

開拓者「ダメだな。では大会は中止ということで」

画家「だ、大丈夫です。私は調理を担当するので、みなさんで楽しんでください」

家政婦「ここはお言葉に甘えましょうか?」

大学生「そうですね」

家政婦「魚が多いときはあたしも手伝うので、遠慮なく呼んでください」

開拓者(生産者と船員は船に乗って沖で大物を狙うようだ)

開拓者(仲のいい姫と大学生は二人並んで釣るようだ。歳が比較的近いというのもあるのだろうな)

開拓者(家政婦は、画家が手持ち無沙汰にならないよう、最初は釣れたらすぐに家に持っていくらしい)

開拓者(画家は家の中で魚を待っている)


1.生産者と船員の沖釣りに参加する
2.姫と大学生と一緒に行動する
3.家政婦と並んで釣る
4.あえて一人で釣る

安価↓2選択

開拓者「隣いいか?」

家政婦「いいですけど、ここ、釣れませんよ。場所を変えようと思ってました」

開拓者「そうか。ならば俺がいい場所を探してやろう」

家政婦「急ぎましょう。エソラさんを待たせてますし」


二人は島の沿岸を周り、釣る場所を探す。

開拓者「……お前と二人きりになるタイミングが意外と無かったな」

家政婦「あたしに聞きたいことがあるんですよね」

開拓者「気づいていたか」

家政婦「自分のことを話していない自覚はあります」

家政婦「質問いいですよ。一つだけなら何でも正直に答えますよ」

開拓者「一つか……」

開拓者「では、お前がこの開拓に参加した理由はなんだ?」

家政婦「え、動機?」

家政婦「そんなことでいいんですか? 一つですよ?」

開拓者「正直に言うと、いろいろ気になっていることは多いが、あまり話したくないことなんだろう」

開拓者「もうしばらく共同生活を続ける以上、無理に聞き出して空気を悪くしたくない」

家政婦「気が利きますね」

開拓者「まあな。最近は特に心掛けているぞ」

家政婦「……あたしが開拓に参加した理由は、仕えたい人を見つけられるかもしれないと思ったからです」

開拓者「なるほど、あの貴族は失格か」

家政婦「当たり前じゃないですか……」

開拓者「しかし、湖畔の町のメイド派遣サービスにいるのなら、顧客は絶えないんじゃないか?」

家政婦「大抵、一泊二日の観光客向けの貸し出しなんです」

家政婦「特に、あたしはB級メイドなので、中長期の仕事はあまりないんですよ」

開拓者「A級メイドは、あの人間味の無いお世話ロボットみたいなメイドたちか……」

家政婦「C級以下はカフェで働くか、戦闘訓練をしていますね」

開拓者「お前は仕えるならどんな人がいいんだ?」

家政婦「長く仕えられる人がいいですね」

家政婦「過去に仕えた人と対立する羽目は、もうゴメンですから……」

開拓者「おっ、そこの岩礁がいいんじゃないか。魚から姿を隠せる」

家政婦「あの……槍はありませんか?」

開拓者「槍?」

家政婦「海に入って魚を突いてこようかと」

開拓者「危ないし、使うなら槍じゃなくモリだ……」

開拓者(家政婦は魚を何匹か手づかみで捕獲すると、急いで画家のもとへ持っていった)

開拓者(画家を待たせたくないと言っていたが、ずぶ濡れで帰ると気を遣わせるだろ……)


船員「大漁大漁っ!!」

生産者「マグロ釣ってきたよ~」

大学生「さすが、プロはスケールが違います」

姫「わらわとダイさんのサバが小魚に見えるでござるものね」

画家「こんな大きな魚、どこから手を付ければ……」

家政婦「あたしがやりますよ」スッ

生産者「お~、上手~」

開拓者「刃物を使わせたら右に出る者はいないな」

3週目後半。

開拓者「雨か……外で作業はできんな」

開拓者「大学生以外、私用で出払っているから家も静かだ……」

開拓者「ん? お前も残っていたのか」


リビングにいたのは

1.画家
2.家政婦と大学生
3.姫
4.生産者

安価↓2選択

開拓者「今日は花畑島にスケッチに行くんじゃなかったか?」

画家「この天気ですから……」

開拓者「やめておいて正解だな」

画家「開拓者さんは、雨は嫌いですか?」

開拓者「そうでもないな。どちらかというと日照りの方が困る」

画家「植物が枯れちゃうからですね」

開拓者「ああ。そういう地域の開拓はなかなか大変だ」

画家「やっぱり、いろんな環境の土地に行くんですね」

開拓者「そうだな。放っておいても町ができるような土地を開拓する機会はあまりない」

開拓者「砂漠、雪山、熱帯雨林、そうした極端な気候の土地に行かされることが多いな」

画家「きっと、素敵な景色が広がってるんでしょうね……楽しそう」

画家「あっ、ごめんなさい。楽しそうだなんて、大変な仕事なのに……」

開拓者「いや、楽しいぞ。俺も楽しくなければこんなキツくて割に合わない仕事はしていない」

画家「みなさん、自分の仕事に誇りを持っているんですね」

開拓者「お前は好きで絵を描いているんじゃないのか?」

画家「私は……プロじゃないんです。好きなだけなんです」

開拓者「何? そうだったのか、そんなに上手いのに意外だな」

画家「上手い人はいっぱいいますから、絵画の世界で活躍できるのは一握り……」

開拓者「聞いたことはあるな。美術展に作品を出し、画商に目をつけてもらい、初めてプロとしての仕事が生まれると」

画家「私も、もう26歳です」

画家「そろそろ夢を諦めて……結婚するか、父と兄の仕事を助けるか……しないといけません」

画家「私、この開拓に参加すれば、畑仕事に慣れたり、動物を克服できたり……」

画家「あわよくば、素敵な男性に出会えるかもと思ってたんです……」

画家「何言ってるんだろう、私」

画家「……ふ、不純ですよね。開拓を汚して、ごめんなさい」

開拓者「不純なものか」

開拓者「俺だって似たような理由でここにいるんだからな」

画家「えっ……?」

開拓者「この島の開拓は俺には役不足だ。目的は開拓ではなく、コミュニケーションにある」

開拓者「結果、妹と再会できたし、俺を慕っているらしい若者にも会えた」

開拓者「せっかく縁ができたんだ」

開拓者「お前が今後どうしたいのかは分からないが、俺にできることなら協力するから、遠慮なく頼ってくれ」

画家「……ありがとうございます」

画家「で、でしたら……あの…………。…………」ソワソワ

開拓者「……」

画家「わ、私と…………」

開拓者「……」

ガチャッ

船員「ただいまー!」

画家「ひゃっ!?」ビクン

船員「いやー、やっと雨やんだな!」

開拓者「貴様ぁ!」

船員「ど、どうした友人! らしくない剣幕だぞ!?」

画家「ほっ……」

ある日。

生産者「ただいま~」

画家「楽しかったー」

大学生「ん? おかえりなさい」

家政婦「お土産です。どうぞ」

開拓者「トウモロコシ? どこに行っていたんだ」

家政婦「スイートコーンの村です」

画家「生産者さんのお誘いで、女子会をしたんですよ」

生産者「わたしが作った自慢の村を紹介できて良かったよ~」

大学生「えー、いいっすね。俺も誘って欲しかったです」

開拓者「女子会だって言ってただろ」

開拓者「姫は誘わなかったのか?」

生産者「列車に忍者がいたって言って、途中で飛び降りちゃった」

開拓者「無事なのか……?」

スタッ

姫「この通り、無事ですわ!」

画家「よ、よかった……心配したんですよ!」

大学生「天井に穴が……」

開拓者「いつの間にか忍者屋敷に改造されている……」

開拓者「自分で作った町を自慢する、か」

開拓者「したと言えばしたが、高原では姫の乱入で、先週は写真家と画家の口喧嘩で、それどころじゃなかったな」

開拓者「俺も自信のある町に誰かを連れて行ってみるか」


1.芸術と娯楽の町
2.妖怪と雪山レジャーの町
3.砂漠のカジノシティ

安価↓2 行き先選択


A.画家
B.生産者
C.家政婦
D.姫

安価↓4 誘う相手選択(デートは女性しか誘えません)

開拓者「明日、砂漠の町に行くんだが、お前も来ないか?」

生産者「いいよ~」

開拓者「まさか二つ返事とは思わなかった」

生産者「暇だからね~」


開拓者と生産者は、共同生活を営む牧場島から遠く離れた、国境に近い砂漠にやってきた。

二人は鉄道馬車に乗っていた。馬車を引いているのはラクダだ。

開拓者「砂漠の町は1、2年前に俺が作った町でな」

開拓者「それ以来、一度も訪れていなかった。久しぶりに様子を見に行くついでにお前にも感想を聞こうと思ったんだ」

生産者「別に言い訳しなくてもいいよ、デートでしょ?」

開拓者「俺はそういうつもりじゃないぞ」

生産者「ん~?」チラッ

開拓者「どうした、窓の外に何かあったか?」

生産者「広ーい農園が見えるけど、ちょっと変じゃない?」

生産者「オアシスにしては広すぎるし、地下水路で水を引いたのでも無いよね?」

生産者「なんだか気候がおかしいよ」

開拓者「よく気づいたな」

生産者「どうやったの? お兄ちゃんでも気候は変えられないと思うけど」

開拓者「冒険者が、その……超常的な存在を発見したんだ。そいつに頼んで緑化してもらった」

生産者「へ~。その人に会いたいな~」

開拓者「今後接触しない約束と引き換えに引き受けてくれたんだ。もう会えない」

生産者「え~、残念」

※砂漠開拓の詳しい様子は →開拓者「安価で砂漠に町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454661413/)

砂漠を越え、大農園の先に見えてくるのは、ピラミッドの上に備え付けられた巨大な砲台。

このランドマークは、凄腕の武道家が集まり、王国軍の駐屯地も有している砂漠の町の防衛能力の高さを誇示している。

温暖で過ごしやすくいつでもカジノを楽しめる砂漠の町は、富裕層の別荘地としても人気だ。

ついたあだ名が、世界一安全なカジノシティ。


ヒーローA「諸君! 観光は楽しんでいるかな?」

ヒーローB「お金を使いすぎないよう、くれぐれも気を付けたまえよ!」

生産者「はーい。すごいねこの町、ヒーローが見回りしてるんだ」

開拓者「彼らはまだ弱い方だぞ。この町は一般人の強さのアベレージも高い」

開拓者「どこにでもいそうな中年女性ですら、鋭い突きや蹴りを放つこともある」

生産者「あっ、見て。学校。あの動き、なんていうんだっけ?」

開拓者「四股だな。道着を着た子供たちが四股を踏んでいる」

開拓者「女の子もいるな。相撲がスポーツ化しているのか……?」

生産者「お兄ちゃんがいた頃は違ったの?」

開拓者「学校で武道を教えてはいなかったはずだ。俺が呼んだ強者たちの影響が形を変えて広がっているようだ」


開拓者「町の風景もかなり変わっているな」

生産者「高級店がいっぱいだね~」

開拓者「開拓直後はもっと粗削りな雰囲気の町だったが、洗練されている」

開拓者「そういえば経営学を教えて、銀行も作っていたな。需要に応じて新しい事業を立ち上げる土台が整っていたわけか」

生産者「お兄ちゃん、そういう町作りもできるようになったんだ」

生産者「成長したね~」

開拓者「当たり前だろ」

開拓者「さて、ではカジノに」

生産者「はいストップ」ガシッ

開拓者「何をする」

生産者「お兄ちゃんは賭け事になると勝つまでやめないタイプだから、ダメ」

開拓者「……あれから何年経ったと思っているんだ? 俺は成長したんだ」

生産者「嘘をつくときの顔してる。成長してないね~」

開拓者「だ、だが、カジノに行かなければこの町に来た意味がない!」

生産者「カジノの周りでパフォーマンスもやってるし、バーもあるから十分楽しめるよ」

生産者「お兄ちゃんが作ったのはカジノじゃなくって町でしょ?」

開拓者「ぐっ……」

生産者「わたし、高級ホテルに泊まりたいな~」

開拓者「カジノで遊ぶより高くつくぞ」

生産者「一緒に泊まる?」

開拓者「それは駄目だろ」

生産者「二室借りると高いじゃない」

開拓者「駄目なものは駄目だ。倫理的に」

生産者「倫理観なさそうなのに~」


開拓者(俺たちはパフォーマンスを見たり、高い酒を飲んだり、イルミネーションを見て和やかなひと時を過ごした)

開拓者(その結果……)

生産者「もーあるけない~~」

開拓者「30にもなって酔いつぶれて背負われて、みっともないな」

生産者「のみすぎた……ごめんなさい」

生産者「……お兄ちゃんの背中、なつかし~……。いいにおい~~」

開拓者「加齢臭じゃないか?」

生産者「そんなことないよ~~」

生産者「……おもくない~?」

開拓者「いや、全然軽いぞ」

生産者「そう~……?」

開拓者(酒に酔ってへろへろになった妹を放っておけず、結局同室に泊まった)

開拓者(少しだけ、ドキドキしてしまった)

開拓者(しょうがないだろう……血のつながりは無いんだからな)

城塞の都のレストラン。

船員「男子会!!」

開拓者「なぜここなんだ」

船員「人がいないから貸し切りできるだろ」

大学生「コックさん、すいませんね」

コック「屋台よりは儲かるから大丈夫だよ!」

船員「オムビーフマウンテンと、ゆでダコの納豆詰め、それと地衣じゃがと……」

開拓者「馬鹿、頼みすぎだ! オムビーフマウンテンだけでちょうどいいぞ」

大学生「ドリンクはみんな魚介青汁でOKですか?」

開拓者「目に見えた地雷を踏むのか!?」


船員「さて……男子会を開いたのはお前らに質問があるからだ」

船員「ぶっちゃけ、みんなは誰狙いだ?」

大学生「合コンですか?」

開拓者「お前、船の上でも聞いてきただろ」

船員「気が変わってないかと思ってさ」

開拓者「俺は今のところ、変わらずに画家だな」

大学生「見てて思うんですけど、開拓者さんのそれは、恋心より親心って感じじゃないですか?」

開拓者「どういう意味だ?」

船員「俺も同感。悪いとは言わないけど、開拓者さんがエソラちゃんに一方的に与えてるだけに見えるぜ」

開拓者「俺は楽しい時間をもらっているぞ」

開拓者「俺は言ったからな。お前らの番だぞ」

船員「俺は生産者さんだな。一つ年上だけどおっとりして可愛いんだよなー。あとエロい」

開拓者「お前、兄の前でよくそんなことが言えたな」

大学生「保護者ですか?」

開拓者「保護者だ」


船員「最後、ダイくんは誰が好きだ?」

大学生「6人の中だと、開拓者さんですかね」

開拓者「う、うおおっ!?」ササッ

船員「だ、ダイくん。別に趣味は否定しないが、開拓者さんはゲイやオネエに強烈なトラウマがあるんだ。許してやってくれ」

大学生「ご、誤解ですって!」

大学生「そもそも俺、恋愛目当てで参加してないんですよ!」

船員「マジで?」

開拓者「そうだな……大学生くらいイケメンなら、ここで恋人を探す必要もないだろう」

船員「あー、納得。彼女いっぱいいそうだもんな」

大学生「いやいや、一人もいませんよ」

大学生「勉強に専念してるので」

船員「そういや聞いてなかったけど、ダイくんってどこ大学?」

大学生「学問の都のセントラル大学理学部、惑星環境科学科です」

開拓者「すごいことを研究しているんだな……」

大学生「まだ習ってるだけですよ。それに、勉強したいことと少し違いましたし」

船員「それ、どういうことを勉強するんだ?」

大学生「いろいろです。天文学に、気象学に、あとは岩石のことや植生のこととか」

開拓者「ほう。俺たちにも関係がある分野だな」

そして話が逸れたまま、男三人で2時間ほどお喋りを続けた。

3週目結果

画家 26歳 #カントリー 交流★★★★→★★★★★
1.緑の町から来た気弱な女性。他の参加者の優秀さに気おくれしている。
2.写真家に対抗意識を燃やし、いつになく積極性を見せた。
3.画家として生き続けるのを諦めかけている。開拓者に何かを頼もうとした。

生産者 30歳 #ノスタルジック 交流★★★→★★★★
1.20年ぶりに再会した開拓者の妹分。村の農業などを支援する仕事をしている。
2.今なお開拓者のことを誰よりもよく分かっている。

家政婦 25歳 #ナチュラル 交流★→★★
1.湖畔の楽園から来たメイド。あまり自分のことを語りたがらない。
2.仕えていた人と対立した過去があるらしい。

姫 16歳 #ノーブル 交流★★
1.国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。
2.もともと体が弱かったためか、手に入れた自分の強さにやや酔っているようだ。

大学生 22歳 #クール 交流★★★
1.学問の都から来た品のいい青年。旅行が趣味であり、町を作る開拓者に憧れを抱いている。
2.現在恋人はおらず、学業に専念している。専門は惑星環境科学。

船員 29歳 #エネルギッシュ 交流★★★★★
1.癒しの花園で働く船乗りの男。開拓地を転々とする開拓者にとって数少ない友人である。
2.船員らしく船が好き。大学生と二人で軍艦を見に行きテンションが上がったという。


~住民の声~
家政婦「姫様とお近づきになりたいんですけど、何を話せばいいものか……」
生産者「迷惑かけてごめんね。わたし酔って変なこと言ってなかった?」

4週目

●住民
・船員……交流★★★★★
・大学生……交流★★★
・画家……交流★★★★★
・生産者……交流★★★★
・家政婦……交流★★
・姫……交流★★


生産者「そろそろ作物を収穫しないとね~」

家政婦「もうですか? 早いですね」

開拓者「開拓用の特別な肥料を使っているからな。味は劣るから調理が大事だ」

船員「みんな、聞いてくれ」

画家「は、はい」

姫「ニン」

船員「明日、ダイくんの誕生日なんだ」

開拓者「ほう、知らなかったな」

船員「気を遣わせると思って黙ってたんじゃねーかな」

船員「せっかくだから俺たちでお祝いしないか?」

画家「いいですね!」

生産者「だったら、収穫したものでごちそうを作ろうか?」

家政婦「料理はあたしに任せてください!」

姫「皆、思い出に残る宴にするでござるわよ!」

開拓者「とんとん拍子で決まったな」

船員「ダイくんが帰ってくるのは明日だ。早速、準備に取り掛かろうぜ!」

開拓者(生産者はブドウの収穫に向かった。今日から何か作るのか?)

開拓者(家政婦はプレゼントを買いに出かけるらしい)

開拓者(画家は乳しぼりに挑戦するようだ。大丈夫か……?)

開拓者(姫と船員は室内を飾り付けている。忍者風にならないか不安だ)


1.生産者の収穫を手伝う
2.家政婦と一緒にプレゼントを選びに行く
3.画家の様子を見に行く
4.姫と船員の作業に加わる

安価↓2選択

牛「ブモォー」

画家「お、お邪魔しまーす……」ソローリ

開拓者「画家、大丈夫か? 生産者から聞いたぞ」

画家「あ、開拓者さん……」

開拓者「お前、動物が苦手と言っていなかったか?」

画家「はい……。恥ずかしながら、全然ダメで……」

画家「牛は私より大きいので、怖いんです」

開拓者「犬と猫はどうだ?」

画家「噛んだり引っかいたりしそうで怖いです」

開拓者「魚は噛まないぞ?」

画家「暴れるのでダメです……」

開拓者「イモムシは?」

画家「む、虫は気持ち悪いです!」

開拓者「鳥も暴れたりつついたりするから無理か」

開拓者「前から思っていたんだが、よく緑の町で生きていけたな」

画家「私もそう思います……」

開拓者「小さい頃はどうしていたんだ?」

画家「昔から、動物に触れる機会が少なかったので……」

開拓者「俺には想像ができない環境だ」

画家「開拓者さんは幼少期から開拓団にいたから慣れてるんですよね」

画家「私もそうだったら慣れたのかな……」

開拓者「そうだな。でも今からでも慣れることはできる」

開拓者「試しに牛に触ってみろ」

画家「えっ、でも……」

開拓者「何かあったら俺が、いや、何かあることはない」

開拓者は牛をポンポンと軽く叩いた。

開拓者「おとなしい牛だ。そっと触れてみろ」

画家「……はい」

ちょんっ

牛「……?」

開拓者「手のひらで」

開拓者は画家の手首を持ち、そっと牛の側面に押し付けた。

牛「……」

開拓者「そのまま撫でてみろ」

画家「ほ、本当に大丈夫ですか……?」

開拓者「牛は信じなくていい。俺を信じればいい」

画家「……はい」

牛「モー」ヌッ

牛が振り向いた。

画家「きゃあっ!」

牛「モー」サッ

怖がらせたことが分かると、牛はすぐに正面に向き直った。

開拓者「な。大丈夫だったろ」

家政婦「ただいま戻りました。……何してるんですか?」

開拓者「牛タッチだ」

家政婦「ああ、動物に慣れる訓練ですか」

開拓者「画家にとっては大きな一歩だ」

家政婦「あたしもその相談を受けたんですけどね」

開拓者「何かアドバイスしたのか?」

家政婦「魚を全然克服させてあげられなかったので、あたしの先生を紹介しようと思ったんですけど」

開拓者「メイド学校の先生か?」

家政婦「いえ、指導者と呼ばれている先生です」

開拓者「あいつか。だがあいつは今……」

家政婦「はい……。先生は今、ご都合が悪いですよね」

画家「よし、30秒。新記録……!」

生産者「乳しぼり終わった~?」

画家「あっ」

開拓者「俺も忘れてたな……」


翌日。

船員「ハッピー、バースデー!!」

大学生「うわっ、えっ!? 俺、誕生日教えましたっけ!?」

船員「悪い。この間、レストランで手帳のカレンダーが見えてしまったんだ」

大学生「あー、仕方ないです。気を遣わせてしまいましたね」

生産者「ううん。ちょうど収穫祭をしようと思ってたところだったんだよ~」

家政婦「誕生日パーティ用の料理に変わっただけです。お気になさらず」

開拓者「半分くらいはこの島の食材でできたケーキもあるぞ」

生産者「レーズンと牛乳とバターくらい?」

姫「わらわがクリームでダイさんを描いたでござるのよ!」

開拓者(これ、大学生を描いていたのか。驚くほど下手だ……)

画家「わ、私が搾った牛乳を使ってます」

大学生「エソラさん、牛に触れたんですか? すごい、おめでとうございます!」

家政婦「ダイさんへのプレゼントを用意しました」

大学生「開けてみていいですか?」

ガサゴソ

大学生「いいタオルのセット!」

家政婦「いくつあっても困らないと思いまして」

大学生「本当その通りです! 旅行先に持っていきますよ」

姫「わらわも用意したでござるよ。ニン!」

ガサゴソ

大学生「……忍装束?」

姫「ここに刺繍もしましたでござるわよ」

姫「ダイさんもこれを着て一緒に忍者になりなさいでござる!」

大学生「あはは、今度の旅行は高原の町でもいいかもしれませんね」

船員「あれ、ものすごいプレミアがつくんじゃ……」

生産者「急だったのによく用意できたね?」

姫「いつも人に配れるように荷物に入れてるでござるのよ」

開拓者「すまん。俺たちは用意できなかったんだ」

生産者「ごめんね~」

船員「もっと早く言えばよかったな」

大学生「いいですよ。いつも色々してもらってますから」

画家「私、今何か描きましょうか?」

大学生「では、今度旅行に行くときについてきてもらって、俺の絵を……なんてね」

大学生「写真をもとに描いてもらうことってできます?」

画家「もちろん。では、いつか描きますね。約束です」

大学生「今日はみなさん、本当にありがとうございました」

大学生「このメンバーから祝ってもらったこと、俺、たぶん一生忘れないと思います」

早朝。

開拓者「よし、仕事の日だ」

船員「船を出す準備できたぜ。まだ仕事終わらないのか?」

開拓者「あと少しで終わる。今が正念場だ」


お弁当を片手に、開拓者を呼び止めたのは

1.画家
2.生産者
3.家政婦
4.姫

安価↓2選択

生産者「おーい、開拓者~」

船員「ん? 呼んでるぞ」

開拓者「どうした?」

生産者「今日もお仕事でしょ? はい、お弁当」

開拓者「おお。そういえば今朝からキッチンに灯りがついていたな」

開拓者「ありがとう」

生産者「苦手なものはなかったよね」

開拓者「ああ」

船員「うらやましいぜ。生産者さんってたしか名産品を使った料理のプロデュースもしてるんだろ?」

船員「絶対うまいぞ、それ」

生産者「あとで感想聞かせてね~」


翌日。

開拓者「帰った。生産者はいるか?」

生産者「いるよー」

開拓者「弁当、すごく美味かったぞ」

生産者「腕を上げたでしょ~」

開拓者「そりゃあな。お前、昔はなんでも丸焼きにしてただろ」

開拓者「しかし変だな。どこか懐かしい味がした」

生産者「覚えてる? 開拓団の保母のおばさん。あの人の味を研究して再現したの」

開拓者「そうか……これが俺にとっての『実家の味』だったか」

生産者「気に入ったなら、これから毎日作ってあげてもいいよ~」

開拓者「そういう提案は俺じゃなく、将来の旦那にしてあげろよ」

生産者「ん~。いい人いないんだよね~」

開拓者「お前も村を転々としているなら、やはり浮気されたりするのか?」

生産者「それはマシな方」

生産者「仕事の引退を迫られたこともあったし、」

生産者「わたしを村に定住させるために、誘拐して閉じ込めて、無理やり子供を作らせようとする村もあったよ~。こわかったな~」

開拓者「外道が。滅ぼしてやろうか……!」

生産者「お兄ちゃんこそもういい歳でしょ?」

開拓者「俺もな……王の直属の部下だから、財力があると誤解されて、金目当ての女ばかり寄ってきた」

開拓者「仕事であまり家に帰ってこないのも都合がいいんだろうな」

生産者「それで普通の恋愛ができなくなって、風俗にハマったんだね……」

開拓者「なんで知ってるんだ!!」

生産者「あれ? 当たった?」

開拓者「やられた……」


生産者「まともな人もいたけど、みんな、わたしから離れていくんだよね」

開拓者「おそらく、家庭的でおっとりした女性が好きな男は、お前の活動的で好奇心旺盛なところを快く思わないんだろうな」

生産者「でも、自分の性格を曲げてまで一緒にいられないよ」

生産者「一番波長が合う男性は、開拓者かも?」

開拓者「それは兄妹だからだろ」

生産者「血のつながった兄弟でも仲の悪い人たちはいるよ~」

開拓者「では、俺たちは幸運だったな」

生産者「……そうかな~」

生産者「お兄ちゃんじゃない開拓者と出会えたらよかったのにな」

開拓者「どういう意味だ……?」

※現在の交流の★数

・画家……交流★×6
・生産者……交流★×5
・船員……交流★×5
・大学生……交流★★★
・家政婦……交流★★
・姫……交流★★

共同生活の終わりもあと数日に迫った。

画家「1か月、あっという間でしたね……」

船員「まだ数日残ってるし、やり残したことは今のうちにやっておこうな」

大学生「一つ提案なんですけど、最後にみんなでどこかに旅行に行きませんか?」

大学生「大学だと、卒業前に仲間と卒業旅行に行くっていう文化があるんですよ」

画家「それは楽しそうですね」

姫「ちょうどいいものがあるでござるますわ! じゃん!」

開拓者「これ、開拓候補地カタログじゃないか!」

開拓者「どこから持ってきたんだ?」

姫「あら? 普通に王宮からでござるわよ」

家政婦「姫さんは顔パスですからね」

姫「いえ、窓からこっそり侵入しましたでござるけれど」

開拓者「なんてことを……」


船員「いろんな土地の情報が載ってる。面白いな」

画家「大丈夫ですか……? 見たら何かの罰を受けてしまいませんか……?」

姫「王国は開拓をやめましたから、こんなのは機密文書でもなんでもないでござるでしょう?」

生産者「むしろここにある方が自然だね~」

開拓者「気になる土地はあったか?」

画家「この、疎林と四季林で絵を描いてみたいです」

開拓者「どちらも開拓が難しい土地だな……」

家政婦「そうなんですか? 住みやすそうな風景に見えますが」

生産者「まあね~。行ってみれば分かると思うよ~」

生産者「あれ? 密林が残ってるのは意外だね?」

開拓者「そういえば熱帯を開拓したことは無かったな」

船員「へえ、この地峡と干拓地って土地はいい港町になりそうだな」

船員「ってこれ、運河建設も干拓もまだ計画段階なのか。やっぱり機密文書だったんじゃ……」

生産者「洞穴群だって。洞窟の中じゃ農業できないね~」

姫「ふ、吹雪のやまない土地、北限!?」

姫「こんな場所を開拓させようとしていただなんてパパは鬼畜でござる!」

大学生「うーん、行くならこの日没浜ですね」

大学生「でも、ここってまだ町はないんですよね?」

開拓者「ああ。開拓候補地だからな」

大学生「それじゃ、旅行には向いてませんね」

姫「はっ、確かに!」

開拓者(結局、安全性を考えて、旅行先は大きな都市になった)

開拓者(だが、遠くの町にも行ってみたいとは皆思っていたようだった)

開拓者(最後のデートには遠くの町を選んでみるか)


1.地衣の都
2.亜熱帯の町
3.孤島の町

安価↓2 行き先選択


A.画家
B.生産者
C.家政婦
D.姫

安価↓4 誘う相手を選択(デートは女性しか誘えません)

画家「あ、あの……開拓者さん……」

開拓者「どうした、画家?」

画家「先日の件でお話が……」

開拓者「先日? 何かあったか?」

画家「私の将来について、開拓者さんはご自分を頼るようおっしゃってくださいましたよね……?」

開拓者「ん? ああ、確かに言ったぞ」

開拓者「もう日数も少ないが、何か頼みたいことがあるのか?」

画家「……はい」

画家「わ、私と……」

画家「ゴクリ…………で、デート、していただけませんか?」

開拓者「お安いご用だ」ニッ

開拓者「では、どこへ行こうか? 行き先は決まっているのか?」

画家「いいえ……」

開拓者「では、亜熱帯の町はどうだろうか?」

開拓者「俺が最近、仕事で訪れた町でな。町民の気風がよく、のんびりと観光できる町だ」

開拓者「今の季節ならそこまで暑くないはずだ」

画家「で、では、そ、そこにしましょう」

開拓者「そう緊張しなくていい」


家政婦「あんなに引っ込み思案だった彼女が自分から誘うようになるとは……」

大学生「恋は人を変えるんですね」

姫「でもなんでエソラさんがおじさまに惚れたのか分からないでござるわ」

家政婦「二人で過ごす時間が多かったのと、苦手を克服できたのが大きいのでは?」

大学生「人が誰かに恋するのに理由なんてないんじゃないですかね?」

亜熱帯の町は、サトウキビ栽培や国際的な競争のために、王国が植民地として支配していた地域の町だ。

現在は一応、本土にある町と同じ権利が与えられているものの、国の支援がほとんど無く様々な面で発展が遅れている。

交通の便の悪さもその一つだ。

亜熱帯の町への移動には、実際の距離以上に時間がかかる。


船内。

画家「思ったより遠いですね……」

開拓者「すまんな。ただ、遠いからこそ気候が違うし、珍しいものもみられる」

開拓者「野生の植物も、料理も、人の服装も違うぞ」

画家「楽しみです。画用紙は多めに持参しました」

開拓者「最後の旅行に間に合わせないといけないから、思う存分描く時間はないかもしれない」

画家「大丈夫。下描きだけちゃんと描いて、着色は記憶を頼りにします」


町に到着した開拓者たちはまず町長を訪ねた。

町長「またいらっしゃっていただき光栄です」

町長「お連れの女性は?」

開拓者「今、別の仕事で、6人で同じ家に住んでいるんだ」

開拓者「今日は二人で観光に来た」

画家「素敵な町ですね。活気があって、私みたいなよそ者にも親切で、温かい町です」

画家「特にあのサトウキビ畑、ぜひキャンバスに収めたいです」

開拓者「町長……悪気はないんだ」

町長「いえ、客人が喜ぶのならなんでも構いませんよ」

画家「えっ? 私、何かまずいことを……」

開拓者「ああ、この町は好きでサトウキビ栽培を始めたわけじゃないんだ」

町長「今でも町を支える産業の一つです。気を悪くしてはいませんよ」

町長に頼んで宿を確保した二人は、まっすぐ大学へと向かった。

開拓者「2週間前と様子は変わっていないな」

画家「亜熱帯総合大学? なぜ大学へ?」

開拓者「ここの学食が美味いんだ」


画家「あっ、この炒め物美味しい」

開拓者「だろう。このメニューには俺は関わっていないからな。純粋にこの町の食文化のレベルの高さがうかがえる」

画家「このメニューには、ですか?」

開拓者「そういえば言っていなかったか。この大学の建築には俺が関わっている」

画家「そ、そうだったんですか!? そっか、ここが……」

画家「絵になる町を作ったのもすごいですけど、この大学もすごい仕事です」

開拓者「いや、まあ、普段はもっと大きな町を作っているわけなんだが……」

画家「そうでした!」

開拓者「お前の住んでいる緑の町も、俺が作った町だしな」

画家「えっ、それは初耳です……!」

開拓者「言ってなかったか?」

画家「私は聞いてませんよ! と、ということは私はずっと前から開拓者さんのお世話になっていたんですね」

画家「不自由なく生活できるのも、絵を描いていられたのも開拓者さんのおかげ……」

開拓者「それは大げさだ」

開拓者「俺が世話するのは苗を植えるところまで。それを枯らすも大樹に育てるも、町民の働き次第だ」

開拓者「感謝するべきは、お前のご両親、そして身の回りの人々に対してだな」

開拓者「大学の事務局にも絵が飾られているんだな」

開拓者「画家に会ってから、絵を気に留めるようになった」

画家「興味を持ってくれて、私もうれしいで…す………あれ?」

開拓者「この絵がどうかしたのか?」

画家「うそ……。そんなわけ……」

画家「これ、私が描いた絵です……」

開拓者「な、何? よく似た絵ではないのか?」

画家「間違いないです。どうして知らない町に……?」

開拓者「心当たりはないのか?」

画家「……帰ったら父に聞いてみます。何か知っているかも」

開拓者「な、なんか妙な展開になってきたな……」


ほのぼのとするどころでは無くなってしまった開拓者たちだが、気を取り直して、町の各地で絵を描いたり、タピオカを飲んだりしながら、他愛もないおしゃべりをした。

開拓者「この町は夜景が明るくない分、星がきれいに見えるな」

開拓者「絵に描くのは、暗いから無理か」

画家「はい。でも、綺麗な景色は、見るだけでも楽しめます」

開拓者「それもそうか」

画家「……。開拓者さんは、本当にすごい人です」

開拓者「あらためてどうした?」

画家「素直にそう思っただけです。開拓者さんは、時代に名を残す傑物です。……私とは、比較できないほどに」

開拓者「そうだ。俺は客観的に見て、とても優れた仕事をしてきた男だ」

開拓者「だが、そんなに褒めちぎってくれるのはお前と町長くらいだ……」

画家「ええ? みなさん、見る目がないですね」

開拓者「そうだな。だから珍しくこうして褒められるととても嬉しい」

開拓者「しかし、一つだけ訂正させてもらおう」

開拓者「前にも言ったが、自分を卑下するな。お前にはお前の長所がある」

画家「……はい」

開拓者「……。少なくとも俺は、お前を下には見ていない」

開拓者「俺に気を遣う必要はないんだ。無理に褒めちぎらなくていいんだぞ」

画家「ち、違います! 私が、開拓者さんをすごいと思っているのは本当で……」

画家「でも、だからこそ、私は……」

開拓者「気を遣っているのか」

画家「だめですか……?」

開拓者「本当に俺のことを考えてくれるのなら、壁を作らないで欲しいがな」


画家(二人きりになれるのはこれが最後かもしれない)

画家「だ、だったら、今、はっきり言います」

画家「分不相応なのはわかっていますけれど……」

画家「わ、私は、開拓者さんの事が好きです」

画家「男女のお付き合いが、したい、です……」

画家「……」

開拓者「そうか……」

開拓者は画家をそっと抱き寄せた。

開拓者「俺もだ」

そして、口づけを交わした。

恋人ができました!

称号:10歳差の初々しい二人 ~ 自信のない恋心

●恋人
・画家……交流★×7

●住民
・船員……交流★★★★★
・大学生……交流★★★
・生産者……交流★★★★★
・家政婦……交流★★
・姫……交流★★



開拓者「俺は、お前の世話を焼きすぎたかもしれないな」

開拓者「自分でも、これが恋心なのか、親心なのかわからなくなってしまった」

画家「恋心で、あって欲しいです」

開拓者「俺はそれを確かめたい」

画家「……それなら、私が、開拓者さんに、私を好きにさせてみせます」

開拓者「期待しているぞ」

二人は牧場島へ帰った。

画家「間に合ったかな……?」

家政婦「はい。出発は明日ですね」

開拓者「結局、どこに行くことに決まったんだ?」

大学生「ここから一番近い大都市ということで、日光林州の州都です」

船員「そこってどんな町だったっけな」


王都から7時の方角にある日光林州は温暖な地方であり、開拓者が最後に作った町である癒しの花園と、今いる牧場島もこの州に位置している。

そんな日光林州の州都は……

『◎◇の都』と呼ばれている。


安価↓1 ◎に入る文字

安価↓2 ◇に入る文字

日光林州の州都は、かつてこの土地が王国では無かったころの、今は無き国の首都として栄えた歴史のある大都市だ。

しかし現在、州都の中では経済力、人口ともに下から数えた方が早い。

その主な理由は台地の上という町の立地の悪さである。

大昔は交通の要衝であったものの、今では海沿いの道もしくは海路の方が利便性が高くなってしまったのだ。


大学生「主産業は農業、鉄鋼、観光」

大学生「年中温暖で過ごしやすい気候から、『常春の都』と呼ばれています」

生産者「コーヒー豆やお茶の葉の生産量が多い州で、近くに喫茶の町もあるよ~」

開拓者「この地域はあまり開拓に来たことが無いな」

大学生「州全体としてはそれなりに栄えているんですよ」

大学生「あまり競争を好まない気風も影響していると言われてますね」

姫「一年中、春だなんて、不思議でござるわね?」

大学生「この辺りは、冬は温暖で、夏は雨が多くて暑い気候なんですけど、」

大学生「常春の町は標高が高いので、夏も気温が上がりにくいんです」

船員「さすがは現役の惑星環境学科だな」

画家「どこかから音楽が聞こえる……」

大学生「常春の都といえば音楽と芸術。王国の支配下に入ってからは歌劇や宗教画の文化が根付きましたけど、」

大学生「気楽に楽しむのが元々の文化って感じがします。だって町の人が普通に演奏してるんですよ」

ギターおじさん「ヘイッ!」

画家「へ、へい」

その後、一行は自然と3つのグループに分かれて散策していた。

開拓者は船員と土産物屋を見て回っていた。

船員「にしても変だな。常春の都なのに花が全然咲いてない」

開拓者「年中暖かいとはいえ、花の咲く季節じゃないからな」

開拓者「だが、今夜は花火が上がるらしいぞ。特に何の記念日でもないらしいが……」

船員「いいな、花火! 恋愛といえば花火だよな!」

開拓者「……そうか?」

船員「俺が見た恋愛ものの小説や劇には、その半分以上に花火のシーンがあったんだよ」

開拓者「今までいくつ見たことがあるんだ?」

船員「えーと、1、2……両手の指で数えられるくらいだな」

開拓者「全然見ていないじゃないか」

大学生×姫……交流★★★★


ワァァァァ

大学生「闘技場か……」

姫「戦闘に興味があるでござるのですか?」

大学生「いや、正直、血生臭いのは苦手です」

姫「それは不健康でござるわね」

大学生「……ひょっとしてですけど、姫さんがよく言ってる『健康』って、『強さ』の事を言ってるんですか?」

姫「それ以外にないでござるでしょ?」

姫「……強くないと、パパにも隊長にも迷惑をかけてしまうわ」

大学生(家出して、勝手に動き回ってる方が迷惑をかけると思うけどなぁ……)

大学生「姫さん、ちょっと真面目な話をしてもいいですか?」

姫「説教は嫌でござるよ」

大学生「じゃあやめときます。一般人の俺が王族に偉そうな事は言えないんで」

姫「……分かってるわ。いつまでも逃げて隠れて忍んではいられないって」

姫「……わたくしには一国の王女として、パパに決められた家に嫁ぎ、役割を全うする責任があるから」

大学生「逃げることも時には必要だと、俺は思いますよ」

大学生「俺にとっての旅行も似たようなものですし」

大学生「社会に出たら、自由に旅に出るのは難しいですからね」

大学生「だからまあ……捕まるまでは自由でいてもいいんじゃないですか」

姫「だったら、捕まらなければいいでござるのね」


大学生「それにしてもちょっと意外だな。この町で人と人の戦いを見世物にしているなんて」

姫「普段はしていないでござると思うわ。大会があるからその予選じゃないかしら?」

大学生「大会?」

姫「王国最強の人を決める、戦闘大会でござるよ」

船員×家政婦…交流★★★★


家政婦は宿で荷物の番をしていた。

船員「よっ。疲れたから先に戻ってきた」

家政婦「開拓者さんは?」

船員「エソラちゃんたちと合流したそうだったぜ」

家政婦「セインさんは、結局恋人を作れませんでしたね」

船員「うっせ。……一番過ごした時間が長かったのは家政婦ちゃんだったかもな」

家政婦「いつも買い出しに付き合ってくださいましたからね」

船員「仕える人を探してるなら、俺に仕えてみないか?」

家政婦「悪くないですけれど、保留させてください」

船員「まあな、その強さを活かすなら俺よりもっといい男はいっぱいいるもんな」

船員「つーか、思ったよりいい返事をもらえてびっくりしたぜ」

家政婦「あなたは、あたしの過去を知っても受け入れてくれたので」

船員「傭兵やってたって話か。ただ者じゃないとは思ってたし、別に驚きもしなかったな」

家政婦「上手く隠せていると思っていたのですが……」

船員「みんな気づいてると思うぞ」

家政婦「いえ、流石にそんなことはありません」

家政婦「あたしが、人を殺したことがあると聞いて、何も思わないはずが……」

船員「平和な世の中で暮らしてきたエソラちゃんとダイくんには刺激が強いかもしれないか」

家政婦「……あたしは正体を明かした方がいいんでしょうか?」

家政婦「それとも、皆さんを騙したまま、明るくお別れした方がいいんでしょうか」

船員「みんなを裏切っているようで気分が悪いなら、言っちゃった方がいいと思うぜ」

船員「開拓者さんと生産者さんなら受け入れてくれるだろ」

家政婦「―――ということなんです。あたしの正体は人殺しでした。騙していてごめんなさい……」

生産者「やった~。予想があたったよ~」

開拓者「嘘だろ……? お前、その異常な戦闘力を隠せていると思っていたのか……?」

家政婦「あの、職業については、何も思わないんですか?」

開拓者「ああ。俺もお前と同じ無戸籍民だったからな」

生産者「拾われたのが開拓団じゃなく傭兵団だったら、わたしも家政婦ちゃんみたいになってたかもね~」

生産者「別に、好きで傭兵になったわけじゃないんでしょ?」

開拓者「少なくともお前は傭兵団を離れて、生き方を変えようとしている。違うか?」

家政婦「はい」

画家「……」チラッ

家政婦「あっ」

画家「す、すいません……聞いてしまいました」

家政婦「……」

画家「私、安心しました。家政婦さん、包丁も鎌もすごく扱うのが上手かったじゃないですか」

画家「ほぼ同い年なのに、私と全然違ってすごいと思ってて……」

画家「同年代の女性がみんな、家政婦さんくらい刃物の扱いが上手いわけじゃないんですね……!」

開拓者「家政婦の腕が標準であってたまるか」

家政婦「包丁の扱いについては先生に教わったので、傭兵の技ではないのですが」

家政婦「家事のスキルに不安があるのなら、あたしが教えましょうか?」

画家「ぜ、ぜひお願いします!」

家政婦「しかし、もう共同生活は終わってしまいましたね」

画家「それなら、私の家に来ていただけませんか?」

開拓者(家政婦がやけに防衛に詳しいのも、傭兵団にいたのが理由だったか)

開拓者(結局、亜人種とのつながりについては分からなかったな)

開拓者(まあいい。開拓を続けていれば、いずれまた亜人と出会うこともあるだろう)

生産者×開拓者……交流★★★★★


生産者「……困ったな~」

生産者(わたしも、もう若くないから当然わかるよ)

生産者(この『好き』は、家族への『好き』とは違うってこと)

生産者(こんな気持ちになるなら、再開しない方がよかったのかな……)

開拓者「……」


生産者の目の前で、開拓者が居眠りをしていた。

椅子に座って休憩しているうちに、ついまどろんでしまったのだ。

他の面々は宿の近くの売店に出かけている。


開拓者「……」

生産者(わたしと開拓者は、社会的にも、遺伝学的にも、他人で、ただの幼馴染……)


開拓者の隣に、生産者が腰を落とした。


開拓者「……」

生産者(兄妹であることを示す根拠はどこにもない……)


生産者の顔が、開拓者の顔に近づく。


開拓者「……」

生産者(王国には家族でもキスをする文化があるから、何も悪くない……)


それは王国のすでに古くなり廃れた文化であり、しかも開拓団にそんな文化は無かったという内心の声を聞き流し、生産者は目を閉じた。


開拓者「……」

生産者「……」

そして、触れる寸前で離れた。


生産者(だめだよ、わたし)

生産者(何も根拠はなくても、主観的には兄妹なんだから)

生産者(それに……もう若くないから、当然わかるよ)


画家「ジュース買ってきました」

生産者「ありがと~」

画家「あれ? 開拓者さん、寝てる?」

開拓者「起きてるぞ!」ガバッ

画家「寝落ちしてた人の反応だ……!」

開拓者「起きたから火はつけるな……ん? 団長はどこだ? 妹は?」

画家「しかもしっかり昔の夢を見てます……!」

開拓者「懐かしいにおいがしたんだが……夢か」

画家「どんな夢を見てたんですか?」

開拓者「俺と妹が寝ているところに、開拓団の団長が『とっとと起きないと焼くぞ』と脅してくる夢だ」

画家「では、その悪夢をスケッチ」

開拓者「するなするな」


生産者(……開拓者とエソラちゃんが惹かれあってるってこと)

ヒュルルルルル... ドン!! ドドン!!


開拓者「花に例えられる、炎の芸術、花火……」

船員「一瞬しか見れないのが残念だよな」

大学生「花の咲かない時期は、週に二、三回、晴れた日に、こうして夜空に花を咲かせると聞きました」

生産者「いつでも春らしくしようと工夫するなんて、常春の都らしいね~」

姫「あれを忍術に活かせないでしょうか……でござる」

家政婦「砲撃みたいで、鳥肌が立ちます」

開拓者「画家は楽しめているか?」

画家「大変です、開拓者さん……!」

画家「あっという間に消えるので、スケッチもできませんし記憶もできません……!」

大学生「今だけは描くことを忘れて楽しんだらどうですか?」

船員「花火師が空というキャンバスに描く刹那のアートを……」

生産者「うわー、キザだね~」

開拓者「こんなこともあろうかと、インスタントカメラを持ってきておいたんだ」

開拓者「写真に収めて、それを絵に描けばいいだろう?」

画家「カメラにはこんなメリットがあったんですね……」

大学生「カメラがあるなら、記念写真を撮りましょうか?」

開拓者「そうだな。画家、カメラにはもう一つのメリットがある」

開拓者「それは、絵の素人でもスイッチ一つで風景を記録できることだ」

船員「姫さんは写って大丈夫なのか?」

姫「忍者にも、姿を残したい日もあるでござるのよ」

船員「そういうことじゃないんだけどな……」

生産者「誰がシャッターを切るの~?」

家政婦「あたしがやります。ボタンを押したあと、素早くそちらに移動すればいいんですよね」

開拓者「無茶だろ……」

姫「分身に任せればいいでござるわ。分身の術!」

姫(分身)「みなさん、並んでくださいまし。口角をあげるおまじないでござるよ!」

姫(分身)「わらわに続けて……はい、ニンニン!」

開拓者「ニンニン!」

画家「ニンニン!」



おわり

最終結果

画家 26歳 #カントリー 交流★×7
1.緑の町から来た気弱な女性。他の参加者の優秀さに気おくれしている。
2.写真家に対抗意識を燃やし、いつになく積極性を見せた。
3.画家として生き続けるのを諦めかけている。開拓者に何かを頼もうとした。
4.農業・畜産の盛んな町の出身でありながら、生き物に触れる機会のない幼少期を過ごした。
5.引っ込み思案だった彼女だったが、自ら開拓者をデートに誘い、告白し、自分のことを好きにさせてみせると決意した。

生産者 30歳 #ノスタルジック 交流★★★★★
1.20年ぶりに再会した開拓者の妹分。村の農業などを支援する仕事をしている。
2.今なお開拓者のことを誰よりもよく分かっている。
3.波長の合う男性と出会いたい。今のところ開拓者が一番波長が合うようだ。
(4.王国には家族同士でもキスをする文化があると言い、開拓者とのキスを試みた。)

家政婦 25歳 #ナチュラル 交流★★
1.湖畔の楽園から来たメイド。あまり自分のことを語りたがらない。
2.仕えていた人と対立した過去があるらしい。
(3.その正体は傭兵団の一員。開拓者が所属していた開拓団と同じ、無戸籍民の集団であるようだ。)
(4.傭兵としての生き方を捨て、その戦闘能力で大事な人を守る存在として生きようとしている。)

姫 16歳 #ノーブル 交流★★
1.国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。
2.もともと体が弱かったためか、手に入れた自分の強さにやや酔っているようだ。
(3.忍者をしているのは王女としての人生からの逃避行動でもある。)
(4.王や近衛兵を二度と心配させないために、何があってもケガも病気もしない究極の健康を求めている。)

大学生 22歳 #クール 交流★★★
1.学問の都から来た品のいい青年。旅行が趣味であり、町を作る開拓者に憧れを抱いている。
2.現在恋人はおらず、学業に専念している。専門は惑星環境科学。
(3.本当に興味があるのは開拓ではなく冒険かもしれない。しかし現実的に冒険をする自信はない。)
(4.学んだ知識を活かして、開拓や冒険をサポートできる職業に就けないかと考えている。)

船員 29歳 #エネルギッシュ 交流★★★★★
1.癒しの花園で働く船乗りの男。開拓地を転々とする開拓者にとって数少ない友人である。
2.船員らしく船が好き。大学生と二人で軍艦を見に行きテンションが上がったという。
(3.世界をまたにかける貿易船に乗るという夢を追いかけると、開拓者のように結婚が遠のくことを気にしている。)


~住民の声~
画家「開拓者さん……私の家に、来てくれませんか?」
姫「しばしのお別れでござるでしてよ! ドロン!」
大学生「どこか開拓するときはぜひ俺も呼んでくださいね」

今晩は投下だけ。明日から最後の依頼編です。

恋愛編について。

こちらは案だけあった「安価で農村と美味いメシを作る」の恋愛部分を抜き出したものです。
この編だけはシステムのお試しではなく、開拓者にそろそろいい思いをさせてあげたいというテーマでした。

ついでに過去作で作った町を登場させようとしました。これがマズかった。
町のどこを訪れるかとどんなイベントを起こすかを考えるのがすごく大変でした。もっと行動を安価にゆだねても良かったかもしれません。

安価を踏めなかったレスも含めると、生産者派の人も割といたのでしょうか?

乙~
生産者派だったけど安価の時間合わないのと画家派すごかったから正直半分行く前に無理だなって思った


自分は画家派だったけど、むしろ最終的に生産者が恋人になると思ってドキドキしてた

後、家政婦に関しては設定に興味あるけどコレは何か重要過ぎて攻略進めなくても別の形明かされると思えた
姫はまぁ立場以前に犯罪だし

>>401
やはり安価で作ったキャラは強かった。
どのキャラも安価で作っていればもっとバラけたのでしょうか……

>>402
実際、>>371で生産者が選ばれていたら★6で画家と並ぶという僅差でした。
ただし初期値が画家★0と生産者★2で差があるので今考えるとフェアじゃなかったですね。

>>404
スレ立て前は恋人になるかならないかで設定が変わるキャラだったのですが、警備チーム編で亜人を連れてきたことで一気にただ者ではなくなってしまいました。
姫は★5を超えても恋愛にはならず一方的に惚れられる予定でした。

今回はかなりしくじった感があるのですが、思いつきで自分の首を絞めてしまった部分が多く、
まとめると、
―――――――――――――――――――――――――――――――――
開拓に同行できそうな恋人候補を3人用意した。全員★1個で開始予定。

『警備チームを作る』で先に家政婦を出してみようと思いつく。

安価要素を増やすため>>194でキャラの性格を決めてもらう。センチメンタル・ノーブル・ダークが選ばれたらそれらしい過去作のキャラを追加してみようと急に思いつく。

見事にセンチメンタルとノーブルが選ばれてしまい、用意していたキャラのうち2人が消える。

妹分・家政婦・忍者姫だと大学生以外全員が開拓者の関係者になってしまうが、家政婦は今更消せない。

安価でもう一人作ってみることを思いつく。

内気なキャラ登場。家事と戦闘は得意だがそれ以外のことになると全く自信がなくなるという家政婦のキャラ付けが変更される(一部かぶったので)。

いっそ全員安価キャラにしようかとも思ったが、ここで>>194がネックになる。

男3人、女4人でバランスが悪いがもはや誰も消せない。最初から姫がいるのも不自然なので高原に行ったら出てくることにする。忍者だけに隠れキャラ。

初対面の引っ込み思案な10歳差の異性と、仕事仲間と、幼少期一緒に育った家族が、全員交流★1なのは不自然だと思い、差をつけてしまう。

結局、姫もすぐに登場する。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
素直に用意してたキャラで始めるか、3人全員安価で作るかした方がよかったですね……

~ 依頼⑥ ~

開拓者「安価で強い男を作る」

二か月前にさかのぼる。

開拓者「亜熱帯の町に大学を作ってほしい、か」

開拓者「一応、気に留めておくか」

開拓者「さて、では写真家のもとへ行こう」

弟子「開拓者って人、いるか!」

開拓者「また客人か。開拓者は俺のことだが」

弟子「頼む! オレを弟子にしてくれ!」

開拓者「弟子ということは、開拓者志望か。残念だがもう王国は開拓を――」

弟子「オレは……最強の男になりたいんだ」

開拓者「頼む相手を間違えていないか?」

弟子「師匠は人を鍛えるのが得意だって聞いたぜ」

弟子「めちゃくちゃ強い武道家やめちゃくちゃ強い忍者を鍛えたことがあるんだろ?」

開拓者「まだ師匠と呼ぶな。そして誰に聞いたんだ」

開拓者「確かに、俺は開拓地でいつも労働者教育を行ってきたし、盗賊や野獣に負けない程度には強い」

開拓者「しかしお前はすでに強そうに見えるが」

弟子「まだ足りねぇんだ」

弟子「マフィアにさらわれたオレの妹を連れ戻すには!」

開拓者「警察や軍には知らせたのか?」

弟子「何もしてくれやしないんだ、オレたちには」

開拓者「ふむ……」

弟子「頼む! 指示さえしてくれれば、どんな過酷な修行でも一人で乗り越えてやるから!」

開拓者「指示だけならば時間はかからないな……」

開拓者(何よりこの男……すごくいい体をしている。素晴らしい原石だ。こいつは強くなるぞ)

開拓者(個人への教育は初めてだが、挑戦したくなるほどの魅力がこの男にはある)

開拓者「……俺の修行は厳しいぞ。覚悟しろ」

弟子「……! 師匠! よろしくお願いします!」

1週目

称号:端っこの都の端っこ

●開拓地
・貧民街……町の厄介者たちが不法占拠している区域。彼らを強引に追い出しても、行き場のない彼らはまた集まってくる。

●住民
・弟子……最強の男を目指す青年。才能はあるが最強には程遠い。
・ごろつき……無限沸きするザコ敵のような人々。
・下っ端……貧民街の住民から金を巻き上げて暮らしている組織の一員。


開拓者(ここは州都の中で最も栄えていない町、端っこの都)

開拓者(つまり城塞の都よりもさびれていることになるが、実は都心部だけ見るとそうでもない)

開拓者(この町で一番の問題点は、郊外にある貧民街の存在だ)

開拓者(王国の端の州では最も近代的であるこの町には、住んでいた土地を追われた流れ者や、無戸籍の捨て子、そして王国各地の無法者などが集まってくる)

弟子「師匠、怪我は無いか?」

開拓者「ああ。軽く散策してきたが、本当に治安が悪いな」

開拓者「ちょっと歩くだけでごろつきとエンカウントする。もっとも俺の敵ではないがな」

弟子「さすがは師匠。オレの見込んだ通りの強者だぜ」

開拓者「さて、お前の妹はどこの連中にさらわれたんだ?」

弟子「貧民街を支配するマフィア、残酷組だ」

開拓者「頭の悪そうな名前の団体だな……」

弟子「でも実力は本物だ」

弟子「残酷三人衆の一人、残酷格闘家には貧民街の誰も勝ったことがねぇんだ」

開拓者「あとの二人についても教えてくれ」

弟子「残酷剣士って奴がいる。剣が無ければ大したことないけど、とにかく弱いものイジメが好きなクソ野郎だ」

弟子「もう一人の方は何も知らねぇ」

開拓者「剣士か……。ということは肉弾戦だけでは厳しいかもしれんな」

開拓者「指示の前に、まずはお前の実力を見せてくれ」

弟子「師匠と戦えばいいのか?」

開拓者「ああ、かかってこい!」

弟子「よっしゃ……いくぞオラァ!」


1週目

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅠ……スポーツをしている人と同程度。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅰ……多少の苦しみは我慢できる。
動体視力Ⅰ……ザコの攻撃なら余裕で見切れる。

●ステータス
攻撃力Lv.1
耐久力Lv.1
リーチLv.1

●総評
治安の悪い貧民街でチームなどに入らず一人で生きていけるほどの強さを持った青年。
現状はちょっと強いケンカ野郎に過ぎないが、大きなポテンシャルを秘めている。


開拓者「くっ……腕を痛めてしまった」

弟子「や、やりすぎたか?」

開拓者「いや、これでいいんだ。今の一戦でお前の強さは大体わかった」

開拓者「鍛えているのは分かったが、技が何も身についていない状態だな」


開拓者(この仕事は要するに、いつもやっている労働者教育を一人に対して行うようなものだ)

開拓者(開拓と違い、教えた内容のすべてを弟子一人が身に着ける)

開拓者(普通のトレーニングをしてもいいし、敵に合わせた対策もありだな)

開拓者(それとも、武器を与えるか? 魔法や特殊能力の類も、上手くいく予感がする)

開拓者(余裕があれば、彼が真面目に生きていけるように職業訓練をしてもいいかもしれない)


安価↓1、2 特訓内容を指示します(上げる能力を直接指定してもOK)

開拓者「まずは武道の基本を教えよう」

開拓者「本職ではないから間違っているかもしれないが」

開拓者「基本……それは『気』を知ることだ」

弟子「気? 気功ってやつか?」

開拓者「ああ。体内を循環するエネルギーだ。これを自在に制御することで、肉体の限界を超えた強さを手に入れることができる」

開拓者「と、俺は思っている」

弟子「すげぇ! 師匠、気功が使えるのか!」

開拓者「かなり初歩だがな」

開拓者「まあ、初歩だけでも体調を整えるのには使えるぞ」


開拓者「深呼吸し、体内の気の流れを見つけるんだ」

弟子「スゥーーーー」

開拓者「目を閉じて、精神を研ぎ澄ます」

弟子「ハァーーーー」

開拓者「……寝るなよ」

弟子「……やべぇ、ちょっと眠くなってた」

弟子「気がどこにあるのか全然わからねぇよ……」

開拓者「俺が次に来るときまでに見つけておけ」シュッ

パシッ

弟子「いきなり殴んのか。何すんだよ」

開拓者「よし、反射神経も十分だな」

開拓者「攻撃が見えさえすればしっかりと対応できることが分かった」

開拓者「次は動体視力を鍛える方法を教える」

弟子「それで強くなれるのか?」

開拓者「まあ、剣士への対策だな」

開拓者「相手の動きがはっきりと分かれば、武器を持った相手も恐れるに足らない」

開拓者「というわけで、高速で動くものを目で追う訓練をするんだ」

弟子「鳥を見るとかか?」

開拓者「自分の拳を動かして、それを目で追うだけでもいい。結構疲れるぞ」

弟子「お、おおっ、マジで目に来るな」ブン ブン

開拓者「それをたくさんやっておくといい。ただ、自分の体だと次にどう動くかわかるからあまり良くないかもしれんな」

弟子「だったら、羽虫とか使えるんじゃないか?」

開拓者「いいアイデアだ。そうだな、そんな具合に自分でも工夫してトレーニングするといいと思うぞ」

下っ端A「よぉよぉそこのおっさん、見ねえ顔だな」

下っ端B「ちゃんと俺らに生活税払ってるか?」

開拓者「また沸いてきたな」

弟子「待て開拓者さん。そいつらは倒しちゃいけねぇ」

下っ端A「倒すだと?」

下っ端B「俺たち残酷組に手を出すとどうなるか知らねぇようだ」

開拓者「こいつらが残酷組か。ごろつきとの違いが分からないな」シュッ

下っ端A「ぐはぁ!?」


下っ端B「覚えてやがれ!」ダダダッ

弟子「お、おい! 残酷組の幹部が来るぞ!」

開拓者「別に俺が倒してもいいんじゃないか?」


ザッ

残酷剣士「おやおや、誰かと思えば大物ではないですか」

残酷格闘家「違うぞ兄貴。元・大物だぜ」

残酷剣士「ええそうですね弟よ。今は無職でしたね?」

開拓者「フリーの開拓者をしている」

残酷格闘家「ぎゃははは! そりゃ無職ってことじゃねぇか!」

開拓者「お前は今、多くのフリーターと自営業者を敵に回したぞ」

残酷剣士「貴方は立場を分かっていないようだ」

残酷剣士「国王の庇護を受けていない貴方にわたくしたちが何をしようともリスクはないのです」

残酷格闘家「身ぐるみはがして全財産を搾ってやるよ、クソジジイ♪」

開拓者「なめられたものだな……」

開拓者は上着を脱ぎ捨て、両の拳を構えた。

開拓者「さあ、一人ずつかかってこい」クイックイッ

残酷格闘家「まとめてかかってこい、じゃねぇのかよ」

残酷剣士「いいですよ。一対一で構いません」

残酷剣士「わたくしと貴方の、残酷なまでの力の差というものを思い知らせてあげましょうか!」

開拓者(残酷格闘家の強さは見た目で大体わかった)

開拓者(背中の筋肉が特に発達しており、拳にはトゲのついた金具をつけている)

開拓者(殺傷性の高いパンチが奴の武器だろう)

残酷剣士「フッフッフ、苦しむ準備はお済みですか?」

開拓者(こいつの武器は、剣というよりはノコギリだな)

開拓者(あまり武器として強いとは思えない。宣言通り、相手を苦しめるのが目的だろう)

残酷剣士「フフッ」バッ!!

開拓者(しかし、速い!)

開拓者はノコギリ剣をしゃがんで避け、残酷剣士に組み付き、投げ倒した。

残酷剣士「くっ……!」スルッ

開拓者(今の衝撃で剣を手放さないか! そして、離脱も上手い……)

開拓者「よし、弟子」

開拓者「逃げるぞ!!」

弟子「はあっ!?」

残酷剣士「フッハッハッハ! 恐れをなして敵前逃亡ですか!」

残酷格闘家「ぎゃははははは! この町にいる限り俺たちからは逃げられねぇぞ!」


弟子「ふざけるな! なんでダサい真似を……もうてめえなんか師匠じゃねぇ……!」

開拓者「さっきの一戦で奴らの実力は分かった」

弟子「えっ……」

開拓者「お前の目的は、妹を助け出すことだろう?」

開拓者「案ずるな。最後に笑うのは俺たちだ」

2週目

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅠ……スポーツをしている人と同程度。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅰ……多少の苦しみは我慢できる。
動体視力Ⅱ……高速で通り過ぎる列車に乗っている人の顔がはっきりと見える。
反射神経Ⅰ……見えさえすれば大抵の攻撃は余裕で避けられる。
気功Ⅰ……体内の『気』を操り、体の調子を整える。

●ステータス
攻撃力Lv.1
耐久力Lv.1
リーチLv.1

●総評
優れた身体能力と、人並み外れた動体視力を持つ青年。
指先まで感覚が研ぎ澄まされており、戦闘より球技の方が向いている。


弟子「師匠、久しぶり!」ダンッ ダンッ

開拓者「お前は何をしているんだ?」

弟子「バスケだよ」ポイッ バスッ

ごろつきA「ナイッシュー!」

ごろつきB「ちくしょう……ほらよ、金だ」

弟子「よっしゃ、晩飯代ゲット!」

開拓者「スポーツで金を奪い合っているのか……」

弟子「殴り合いのケンカよりよっぽどいいだろ?」

開拓者「奴らの実力はこんなものだな」


敵1:残酷剣士
ノコギリ型の剣・強い握力・回避上手
●ステータス
攻撃力Lv.3
耐久力Lv.2
リーチLv.2

敵2:残酷格闘家
体幹が強い・拳にトゲ付き金具をつけている
●ステータス
攻撃力Lv.3
耐久力Lv.5
リーチLv.1


開拓者「今までの開拓で出会ったり鍛えたりした強者と比べると、てんで大したことのない連中だ」

弟子「でも師匠は負けたよな」

開拓者「よく頑張った方だろう? 俺は戦闘が専門ではないんだ」


安価↓1、3 特訓内容を指示します(上げる能力を直接指定してもOK)

開拓者「お前のために武器を買ってきたぞ」

弟子「これは、槍!? すげぇ高そうな……」

開拓者「王国軍も採用している伝統の槍だ」

開拓者「いいか? 槍というのは白兵戦において最強の武器だ」

開拓者「比較的軽く経済的。そして何よりリーチの長さにおいて圧倒的に有利だ」

弟子「今は拳銃とかあるだろ?」

開拓者「弓や銃、装甲車両、それと魔法は確かに強いが、本人の身体能力が活かせないからな」

開拓者「肉体の強さを最大限に活かせる武器、それが槍だ!」


開拓者「驚いた……軽く教えただけなのに、ここまで使いこなせるとは」

弟子「そんなにか?」シュバババ

開拓者「やはりすごい才能だ」

開拓者「もう職には困らないな。王国軍でも町の警察でも採用間違いなしだろう」

開拓者と弟子は並んで座禅を組んでいた。

弟子「なんだこれ?」

開拓者「東の地域に伝わる精神統一の修行だ」

弟子「気功とは違うのか?」

開拓者「俺も詳しくないが、近いところはあるんじゃないか?」

開拓者「そうだな……体に流れるエネルギーを感じるのではなく、心を安定させることに集中するんだ」

弟子「普通に体動かすより難しいな……」

開拓者「さあ、私語は禁物だ。黙して、座禅に取り組もう」

弟子「……」

開拓者「……」


数時間後……。

弟子「……」

開拓者「……」

残酷格闘家「兄貴! 先週の逃げ足野郎を見つけたぜ!」

開拓者「……さらばだ弟子! また来週!」ダダダッ

残酷格闘家「寝てるかと思ったら起きてやがった!」

弟子「……」


一時間後。

弟子「……あれ? 師匠がいねぇ」

3週目

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅠ……スポーツをしている人と同程度。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅱ……精神攻撃に強い耐性を持つ。
動体視力Ⅱ……高速で通り過ぎる列車に乗っている人の顔がはっきりと見える。
反射神経Ⅰ……見えさえすれば大抵の攻撃は余裕で避けられる。
気功Ⅰ……体内の『気』を操り、体の調子を整える。
槍術Ⅰ……標準的な王国兵と遜色なく槍を使いこなせる。

●ステータス
攻撃力Lv.2
耐久力Lv.2
リーチLv.3

●総評
槍術家Ⅱ。
ピンチにも動じず、正確に突きを繰り出すことができる。
相手の突きを的確にかわすことにも優れ、槍術の試合なら負けることはそうそう無い。



開拓者「おい、弟子、こっちだ」コソコソ

弟子「師匠! なんで先週は勝手に帰ったんだよ」

開拓者「残酷組の連中に見つかったんだ」

開拓者「また見つかる前に、さっさと特訓するぞ」

弟子「なあ。結局、座禅は何の役に立つんだ?」

開拓者「残酷催眠術師が出てきた時だ」

弟子「最後の一人だけそんな変な奴なのか」

弟子「あとはひたすら槍の特訓をすればいいんじゃないのか?」

開拓者「万が一の時、手元に槍が無かったらどうする?」

開拓者「それに、武器を破壊するのに長けた者もいるからな」

開拓者「武器がない状態でも強くなることは重要だぞ」


安価↓1、2 特訓内容を指示します(上げる能力を直接指定してもOK)

二日連続空いてすいません。明日再開します。

王国の東部に、異国出身の民が集まってできた町があった。

誰もがもっと東から来た民で、王国人から見たら区別がつかないとは言え、出身地はみんなバラバラ。

しかし彼らには一つだけ共通点があった。

『王国ではみんな仲良く助け合おう』の理念のもと、その共通の文化を町の通称とした。

ここはオリエンタルでエネルギッシュな―――

同じ釜の飯を食べる町。



開拓者「ずいぶん久しぶりにやって来たな」

弟子「旨そうなにおいがする街だ」

開拓者「ここは東洋街。間違ってもここで暴れるんじゃないぞ」

開拓者「この街には、素手での戦闘に長けた武道家が大勢集まっている」

開拓者「彼らに素手で太刀打ちできる者は、王国には50人くらいしかいない」

弟子「結構多いな」

開拓者「王国軍の精鋭と、砂漠の町の武道家の中で最強級の面々を合わせたらそのくらいはいる」

開拓者「さて、どこを探せばいいか」キョロキョロ

ムエタイ「お困りですか?」

開拓者「ああ。人を探している。武道家だ」

ムエタイ「武道家の知り合いなら多くいますから、案内しますよ」

開拓者「ありがとう。親切な一般人に出会えてよかった」

弟子「一般人がクソ強そうなんだけど」

柔道家「どうも。お久しぶりです」

開拓者「今日はこの弟子に柔道を教えたくて来たんだ」

弟子「この人に教わるのか? 町の人たちより弱そうだけど」

開拓者「確かに体格は良くないが、それを覆す強さが柔道にはある」

開拓者「先週、俺が残酷剣士を投げた、あの技も柔道の技だ」

柔道家「まあ、体格がいいに越したことはありませんが」


ダンッ!

開拓者「一本!」

弟子「いっつ……! 柔道強いじゃねぇか!」

開拓者「武道のぶの字しか知らないお前ではな」

弟子「槍さえ使えりゃ……」

柔道家「ぶ、武器はやめてくれ!」

弟子「掴まれたら一巻の終わりだな。ヒット&アウェイを心掛けてもう一戦だ!」

開拓者「お前は何をしに来たのかわかってるか?」

弟子「ごめん、勝つために来たわけじゃなかったな」

柔道家「ではもう一度、型の稽古をしましょう」

柔道家「正しい型で投げるので、正しい受け身を取れば全く痛くありません」

力士「おお、やってるやってる」

カンフースター「受け身はどんな武道家にも一般の方にも有用な技術ですよ」

テコンドー「柔道を選んだのはいい判断だ。俺と同じくらい初心者への指導に慣れてるからな」

弟子「なんかぞろぞろ集まってきたぞ」

開拓者「彼らも武道家だ。以前の開拓では世話になった」

テコンドー「いや俺のは違うよ。スポーツだから」

力士「私がやっているのも違いますね。儀式ですから」

カンフースター「ただのスタントマンです」

開拓者「世界チャンプと横綱と耐久力お化けが何を言うか。いらない謙遜はやめろ」

カンフースター「事実、町の2トップに比べると我々の武道なんてお遊びでしょうし」

弟子「まだ強い奴がいるのか?」

開拓者「その内の一人に今から会いに行く」


開拓者「邪魔するぞ」

老師「いらっしゃい」

弟子「……! この爺さん、強い」

開拓者「気づいたか」

弟子「見た目はさっきの柔道家さんよりよっぽど弱そうだけど、強い気を感じる……」

老師「いいえ。どこにでもいる、健康体操が好きな老人ですよ」

開拓者「その謙遜は流行っているのか?」

開拓者「突然だが、この男に気功を教えてやってくれないか?」

老師「あなたの頼みなら、と、言いたいところですが……」

老師「青年。君はなぜ強くなりたいのですか?」

弟子「さらわれた妹を助け出すためだ。だからマフィアを倒すための強さが要るんだ!」

老師「それだけですか? 他の理由を隠していませんか?」

弟子「……すげぇな。気功を極めると人が何考えてるか読めるのかよ」

老師「いいえ、邪念を感じただけです」

開拓者「……弟子、何か隠しているなら今教えてくれ」

弟子「もう、隠せないか」

弟子「オレは皇国に村を滅ぼされて、それから妹と二人でギリギリ生きてきた」

弟子「強くなりたい理由は……皇国への敵意……復讐心なのかもしれない」

開拓者「自分でもわからないのか?」

老師「そういうものですよ。感情というものは」

弟子「……オレは、王国と皇国の間にある村で暮らしていたんだ」

開拓者「どの大国もほとんど放置している地域だな」

開拓者「その地域に昔からいる有力者が治めていることになっている……要するに小国の中のさらに辺境と呼ぶべきか」

開拓者「お前はそういう場所に住んでいたんだな」

弟子「まあ、そうなんだろうな……? オレもよく分かってねぇ」

弟子「とにかく、村の生き残りはオレと妹だけ。オレが妹をどれだけ大事に思っているか、分かってくれるよな?」

開拓者「なるほどな……」

カンフースター「話は聞かせてもらいました」

柔道家「我々も、皇国に地元を征服された仲間なんですよ」

力士「皇国軍の攻撃から生き延び、あるいは迫りくる危機から逃れるため、家族を連れて王国へ移り住んできたのです」

テコンドー「俺たちからも頼む。老師さん、彼を鍛えてあげてくれ!」

老師「……手に入れた強さを、悪しきことに使わないと約束できますか?」

弟子「ああ!」

開拓者「俺も約束しよう。落ち着いたら弟子には職業訓練を行い、安定した生活が送れるようにする」

老師「では、私の技を伝授しましょう」

老師「明日の正午過ぎ、道場へ来てください」

開拓者(こうして、弟子の武道の修行が始まった)

開拓者(来週、どれほど強くなっているだろうか……)

4週目

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅠ……スポーツをしている人と同程度。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅱ……精神攻撃に強い耐性を持つ。
動体視力Ⅱ……高速で通り過ぎる列車に乗っている人の顔がはっきりと見える。
反射神経Ⅰ……見えさえすれば大抵の攻撃は余裕で避けられる。
LVUP! 気功Ⅱ……体内の『気』を操り戦う。気は武器にも伝播する。
槍術Ⅰ……標準的な王国兵と遜色なく槍を使いこなせる。
NEW! 柔道Ⅰ……投げ技、絞め技に特化した武道。東洋のレスリング。

●ステータス
攻撃力Lv.2→3
耐久力Lv.2→3
リーチLv.3

●総評
気功槍術家Ⅱ。
精神を統一して放つ鋭い突きは、防御されても強い衝撃を与える。
仮に槍を手放しても、隙をついて絞め落とす戦法で勝利を狙える。



開拓者「修行の調子はどうだ?」

弟子「自信あり。座禅や動体視力を鍛える特訓も続けてるよ」

弟子「聞いてくれよ。実は、武器に――」

ざわざわ

開拓者「……あれは!」

残酷剣士「フフフフフッ!」ザクッ ザクッ

子供「」

母親「もう……やめてぇ……!!」

残酷剣士「金を払えなければどうなるか! これは見せしめなんですよ!」

通行人「お、お前止めて来い」

ごろつき「俺にもああなれって言うのかよ……」

弟子「子供、か……?」

開拓者「バラバラ死体を作る現場に居合わせてしまったか……」

残酷剣士「おやぁ? 貴方たちは先日の」

残酷剣士「まあいいでしょう。さあ、次は母親、貴方の番ですよ」ガシッ

母親「やだ、嫌だ、助けて……!」

残酷剣士「地獄でお子さんがお待ちですよ。フッフッフ……!」

弟子「……おい」

残酷剣士「はい?」

弟子「残酷組は後でまとめて潰すつもりだったけど、気が変わった」

弟子「てめえだけは今ここでぶっ潰す!」

※戦闘の勝敗について
スキルとステータスを見て、勝ち目がありそうなら勝ちます


開拓者(頑張れ、弟子。今のお前なら勝てない相手ではない!)

しかし開拓者の予想と違い、怒りに燃える弟子の連続の突きは、残酷剣士にひらりとかわされる。

残酷剣士「遅いですねぇ」

弟子「くっ……当たれ!」

弟子は敵の動きが見えているが、敵もまた槍の動きが見えているのだ。

開拓者(槍術の練度の低さが問題か……。だが、リーチのおかげで残酷剣士は防戦一方だ)


下っ端「処刑の邪魔をするな!」

弟子を背後から攻撃しようとする下っ端たちを、先ほどまで見ているだけだった観衆が食い止めた。

通行人「邪魔はお前らだ!」

ごろつき「下っ端どもは任せろ!」


激しい連続攻撃はスタミナを消耗する。

弟子の動きが鈍った隙を、残酷剣士は見逃さなかった。

残酷剣士「もらった!」

首を狙ったノコギリ剣の突き。

それを、弟子は落ち着いて、槍を手放しつつしゃがんで回避し、残酷剣士に組み付き、柔道の技を使い地面に倒す。

残酷剣士(この男、師と同じ技を……!)

開拓者(ここまでは俺の戦いと一緒だ。ここからどうする?)

素早く離脱し立ち上がる残酷剣士と、素早く槍を拾う弟子。

弟子(チャンス!)

立ち上がったばかりの残酷剣士は、体勢を崩していた。

残酷剣士は回避が間に合わないと判断し、ノコギリ剣で穂先を受け流す。

残酷剣士(残念でしたね、その程度の突きでは簡単に防御が間に合う。そしてわたくしの強靭な握力は絶対に剣を手放さない!)

その瞬間、残酷剣士の視界が回転した。

残酷剣士(何が起きた……?)

地面に横たわる残酷剣士の剣へ、再び槍の一撃が当たる。

ボキッと嫌な音がした。

残酷剣士「ギッ……」

残酷剣士の肘と肩が外れた音だ。

残酷剣士「グァアアア!!」

ごろつき「おい、とどめは刺さないのか?」

弟子「オレはそういうのは禁止されてる」

ごろつき「じゃあ勝手にやらせてもらうぜ」

背後を振り返らず、開拓者と弟子はその場を後にした……。


弟子「よっしゃあ! 残酷三人衆、一人撃破!」

開拓者「さっきの技はなんだったんだ?」

弟子「武器に気を流したんだよ」

弟子「そうすると、オレの筋力と槍の重さの合計よりも強い威力の突きになるんだ」

開拓者「しかし、なぜあいつは槍を受け流そうとして吹っ飛んだんだ?」

弟子「オレは剣を弾き飛ばそうと思って剣を狙ったんだけど、」

弟子「剣を手放さなかったから、体ごと持っていかれたみたいだ」

開拓者「その次は剣を手放さなかった代わりに、脱臼した、と」

弟子「どんだけ握力強いんだよ」

開拓者「剣での攻撃より直接握力で攻撃される方が恐いな」

開拓者「さて、最後の指導になるが……俺に教えられることはもう無さそうだな」

弟子「先週みたいに、何を習得すれば強くなれるか、教えてくれるだけで十分だよ」


安価↓1、3 特訓内容を指示します(上げる能力を直接指定してもOK)

湖畔の楽園。

弟子「今日はずいぶん雰囲気の違う町に来たな」

弟子「オレには似合わない町だ……」

開拓者「目的地はここじゃない」

開拓者「この先の森の中にあるリフォーム途中のボロ屋敷だ」

開拓者「ちょうど他の仕事をしている時に、お前の特訓にちょうどいい相手を見つけたんだ」

弟子「へえ、どんな人か楽しみだ」


屋敷へ到着した。

開拓者「そこ、気をつけろよ。罠があるからな」

弟子「どんな屋敷だよ!」

家政婦「開拓者さん、おかえりなさいませ。……その方は新しいメンバーですか?」

開拓者「いや、違う。今、諸事情で俺が特訓メニューを組んでいる男だ」

家政婦「戦闘に関する仕事を二つも並行しているなんて、大変ですね……」

弟子「このメイドの姉ちゃんが、スパーリングの相手なのか?」

開拓者「そんなわけないだろ。相手は奥にいる」

弟子「そうか? 気の量がやべーんだけど……」

家政婦「え、えっと? 器量がとてもいいってことですか?」

開拓者「良かったな」

家政婦「あっ、大きな蜘蛛の巣があるのでご注意ください」

弟子「掃除しとけよ! って網でけぇ!?」

※時系列上で、弟子編の4週目は警備編の2週目に相当します。ジャッカル獣人はまだいません。


弟子「モンスターハウスだ!!」

開拓者「失礼な。モンスターは一匹しかいないぞ」

狼獣人「ガルルル……」

開拓者「お前にはこの動きの素早い獣人とスパーリングをしてもらう」

弟子「あっちの蜘蛛女とかとは戦わなくていいのか?」

アラクネ「ひいっ」

開拓者「彼女たちは大人しい。しかし獣人一匹では少し物足りないな」

エルフゲリラ「必要なら、私も加わらせてもらうよ」

開拓者「おお、ちょうどいい」

開拓者「彼はエルフゲリラの中でも特に優秀なエルフゲリラなんだそうだ」

弟子「エルフゲリラってなんだよ」

開拓者「俺に聞くな。俺にもわからないんだ」


一同は屋敷の外へ移動し、木立の中で実戦練習を始めた。

狼獣人「ガルル!!」バッ

弟子「く、くそ! 素早い!」

弟子「しかも獣人の相手をしていたら、ゲリラを見失ってしまう……!」

エルフゲリラ「後ろだよ」

弟子「くっ……」

開拓者「お前には2対1でも優位に立ち回れる注意力と回避技術の習得を目指してもらう」

開拓者「というわけで家政婦、とりあえず1週間は彼の面倒をみてやってくれないか?」

家政婦「承りました」ペコリ

弟子「えっ、オレ一週間モンスターハウスで過ごすのか?」

こうして、わずかな期間の共同生活が始まった。

結果的に、亜人たちと過ごす日数は開拓者よりも弟子の方が多くなった。

●スキル
LVUP! フットワークⅡ……狼の群れも突破できる緩急自在な機動力。
LVUP! 動体視力Ⅲ……集中すれば銃弾もスローモーションに見える。

●交流
・家政婦……★
・有翼人アーチャー……★★★★
・サキュバス……★
・アラクネ……★
・エルフゲリラ……★★★
・心理学者……★


高速で飛行する有翼人アーチャーが撃った矢。

弟子はそれをしっかりと目で追い、キャッチして見せた。

有翼人「弟子くん、ここまでできるようになったんだよ!」

弟子「避けるのなんて朝飯前だ!」

狼獣人「ワウッ」

弟子「獣人とも渡り合えるフットワークも身に着けたから、矢の雨が降り注いでも避けきる自信があるぞ」

エルフゲリラ「私の作る罠も半分以上回避されるようになってしまったよ」

弟子「でも見えてないと回避が間に合わないんだよな」

開拓者「予想以上に成長したな……」

開拓者「うむ。これなら残酷三人衆の残り二人にも勝てることだろう」

弟子「よし! 帰ったら早速乗り込むぞ!」

有翼人「ええ? もう帰っちゃうのー!?」

弟子「用事が済んだらまた来るよ」

エルフゲリラ「ああ。お互い生きてまた会おう!」

狼獣人「ワオーン!!」


開拓者「ずいぶん仲良くなったんだな?」

弟子「はじめはモンスターだなんて失礼なこと言っちゃったけど、普通に可愛い女の子だったよ」

開拓者「ほうほう」

開拓者「どんなことを話したんだ? デートの約束はしたか?」ニヤニヤ

弟子「そういうんじゃないって。有翼人の町の様子とか、歴史とかだよ」

開拓者「真面目にすごく気になるんだが……」

弟子「でもこういうこと、勝手に話しちゃダメだと思うんだよな。知りたかったら本人に聞いてくれ」

弟子「師匠、1か月間本当にありがとうな」

弟子「オレ、行ってくる!」

開拓者「待て。俺も行こう。最後まで見守って初めてこの仕事を達成したことになる」

弟子「危ないぞ」

開拓者「自分の身は自分で守るさ。危なくなったら先に逃げる」


貧民街、残酷組アジト。

下っ端「なんだ貴様ら? 納税に来たようには見えねえな」

開拓者「どけ」

弟子「いるんだろ。残酷格闘家」

???「あいつは留守だ」

弟子「お前は……」


1.残酷はかせ
2.残酷番長
3.残酷奏者

安価↓1選択

弟子「お前は……」

下っ端「残酷はかせ!」

残酷はかせ「ワタシの名前は残酷はかせ!」

残酷はかせ「今日も残酷で楽しい実験の時間のはじまりはじまりー!」

残酷はかせ「良い子は真似しちゃいけないよ!」

弟子「すっげえ変な奴が出てきた」

開拓者「残酷催眠術師の方がマシだっただろ」

残酷はかせ「さて今日の実験は~?」

残酷はかせ「じゃじゃん! ヒトを兵器に改造する実験ー!」

残酷はかせ「用意するものは10代後半の女の子!」

残酷はかせ「小さすぎる女の子だと成長して故障しちゃうから、絶対に15歳以上の女の子を用意してね!」

残酷はかせ「男の子を使うと残酷さが足りなくなるけど、可愛い男の子なら」

開拓者「もういい、放っといてアジトの中に探しに行くぞ」

弟子「ああ、くだらない実験は勝手にやってろ」

残酷はかせ「完成したものがこちら!」

人間兵器「に…さん……」ガタガタ

弟子「は……?」

残酷はかせ「おっと! まだ完成していなかったね!」

残酷はかせ「最後にこのスイッチを押せば、人格は消去されて、完全な兵器に生まれ変わるんだ!」

人間兵器「私…指…切ら……」

人間兵器「もう…ピアノ…けない」

開拓者「どいつもこいつも胸糞悪い組織だ……!」

弟子「妹なのか!? なあ!」

人間兵器「…ん……。にーさん、ご……なさ…」

残酷はかせ「そろそろいいかい? スイッチオーン!!」

人間兵器「逃…て」

ガシャン!!

拘束具が外れ、人間兵器が両腕を前に出し、両手の指先を弟子に向けた。

開拓者「離れろ!」

弟子「っ!」

指先から放たれた熱線が足元の雑草を焼いた。

残酷はかせ「人間兵器は自立思考が可能で、ターゲットを自らの判断で的確に追い詰めるんだ!」


敵3:人間兵器(残酷はかせ)
指先からレーザー・全身装甲
●ステータス
攻撃力Lv.5
耐久力Lv.3
リーチLv.5

トリップで次安価の(弟子にとっての)最適解を示しています

開拓者「あのビーム、当たればおしまいだな」

開拓者「しかも全身が装甲で覆われていた。槍の攻撃が通じるか分からん」

弟子「……そういう問題じゃねぇだろ」

開拓者「そうだな……」

弟子「なんなんだよこれは!! 妹は元に戻せるのか!? なあ!?」

開拓者「…………」

弟子「……あれは本当にオレの妹なのか? 別人って可能性は……」

人間兵器「標的発見」

弟子「くそっ!!」

開拓者(どうする……?)

開拓者(元に戻せる可能性に懸けるなら、俺が指示するべきは……)


1.槍を使って戦い、装甲を破壊する
2.槍を使わずに柔道技で倒す
3.回り込んで、残酷はかせを倒す

安価↓2選択

勝手にやってろってスルーしといてからの妹かもでの手のひら返しは印象悪いな

>>455 長々と残酷な実験の説明をしているだけで何も始めるそぶりが無かったためです
 実験の準備をしてたら目的は後回しにして止めます(>>436のように)
 開拓者たちが去りそうになったため、博士は隠していた完成品を慌てて出しました

開拓者「覚悟を決めろ」

開拓者「全力で戦わなければ、殺されてしまうぞ」

弟子「でも、オレ、あいつに武器を向けることなんて……」

開拓者「気持ちは分かるが……そうだな……」

開拓者「装甲だけ破壊することはできないか? 戦闘の継続が難しくなれば止まるかもしれない」

弟子「難しいこと言ってくれるな……」

開拓者「他に方法はないだろう。俺が囮になる。隙をついてちょうどいい一撃を入れてやれ」


弟子「やるしか、ない……」ダッ

迷いの混じった一突きは簡単に弾かれてしまった。

人間兵器「……」ジロッ

弟子「やばっ」

開拓者「力を抜きすぎたか……!」

ビームを放つ指が弟子へ向けられる。

弟子(集中……!)

弟子(指の向きからビームの線を予測しろ……!)

ジュッ

開拓者「弟子!」

弟子「かすっただけだ!」

弟子「もう一度だ……今度は強く……」

弟子「装甲の表面だけに気を這わせる……!」

精神を落ち着け、狙い通りの一突きを命中させると、人間兵器の体表から装甲が剥がれ落ちた。

弟子「やったか……?」

人間兵器「対象不明!! 対象不明!!」

開拓者「うおっ、暴走した!」

人間兵器は全ての指先からビームを出したまま、腕を振り回し、四方八方を焼き始めた。

弟子「ここがアジト付近で良かったよな……。隠れる物陰が多くて、巻き込みそうな人もいないし」

開拓者「おい、あいつ、どこかに走っていくぞ!」

弟子「マズい! 人の多いところに行かれたら最悪だ……!」


残酷はかせ「まったく。はかせの話は最後まで聞くべきだよ!」

残酷はかせ「結局実験方法については何も話せなかったじゃないか!」

人間兵器「対象発見!!」

残酷はかせ「ん? 人間兵器がこちらへ向かってくる!」

残酷はかせ「スイッチオーフ! ……。オーフ!」

残酷はかせ「制御装置が壊されてる!?」

残酷はかせ「うわあああ!!」

>>451は #ju-do-u つまり柔道でした



開拓者「むごい死にざまだな……自業自得でしかないが」

人間兵器「……」

弟子「師匠! 妹が目を覚まさない……」

開拓者「眠っているだけ……であればいいんだが」

弟子「おい、何か知らないか?」

下っ端「は、博士は、制御装置が壊れたと叫んでたぞ」

開拓者「制御装置……装甲のことか」

弟子「あれを壊したら駄目だったのか……」

開拓者「悪かった。俺の判断ミスだな……」

弟子「いや、師匠が指示してくれなかったら、オレは何もできなかった」

弟子「きっとこれも、マシな結果だったと思う」

弟子は眠ったままの妹を背負った。

下っ端「……俺たちは見逃してくれるのか?」

弟子「別に、もう目的は達成したからな」

弟子「たとえどんな悪党でも殺すなって、気功の師匠に言われてるし、」

弟子「ここでてめえらを潰したところで、別の組織ができるだけだって、分かってんだよ……」

翌日、弟子の家。

開拓者「……妹は目を覚まさないか」

弟子「ああ。ひょっこり起きてこないかと期待してたんだけどな」

貧民街に医者はいない。いたとしても、弟子に医者を呼ぶお金は無かった。

開拓者「……」

開拓者「お前の妹を目覚めさせる方法と、受けた改造を元に戻す方法……心当たりは無くもない」

開拓者「技術者、医者、魔法使い、この王国には多くの天才がいるのを知っている」

開拓者「彼らを頼ることができれば、治せる可能性はある」

開拓者「あくまで可能性であって、保証はできないが……」

弟子「十分、希望が持てたよ」

開拓者「金は俺が工面するから心配するな」

弟子「いや、そもそも、オレがもっとしっかりしてたら妹が連れ去られることもなかったんだ」

弟子「情報だけでいいよ。あとはオレが何とかする」

開拓者「そうか……」


弟子「なあ、師匠」

弟子「オレはもっと強くなりたい」

開拓者「……目的は?」

弟子「王国戦闘大会に出場する」

開拓者「戦闘大会だと!? もう開催は一か月後だぞ!」

弟子「知ってるさ。でも、出場しないといけない理由ができた」

開拓者「何だ?」

弟子「昨日、開拓者さんが帰った後、噂を聞いたんだ」

弟子「その前に、ちょっと話は変わるけど、」

弟子「オレの村を滅ぼした皇国の兵士は、たった一人の男だったんだ」

開拓者「中々大胆な攻め方をしたな。一人だと返り討ちにされかねないだろうに」

弟子「奴は、身の丈を超えるほどの巨大な武器を持っていて、大人が集団で反撃しても全く歯が立たたなかった」

弟子「奴はこう名乗ってた……『征服者。町を奪う者だ』と」

開拓者「皇国の征服者か……」


弟子「で、オレの聞いた噂なんだけど」

弟子「身の丈を超える巨大な武器を持った黒装束の謎の男が、王国戦闘大会の決勝トーナメントに出場するらしい」

弟子「話によると、他を寄せ付けない異常な強さで、話し方は皇国なまりだった」

開拓者「お前の仇が大会に出ているということか」

開拓者「だが、お前はそいつと戦ってどうする? 復讐するのか?」

弟子「……勝ちたい」

弟子「オレは、オレの仇よりも強くなって、それを証明したい」

弟子「でも、もし何も反省していなくて、今もまだ同じことを繰り返しているのなら、オレは許せないかもしれない」

開拓者「俺も同感だな。町を作るのは大変なんだぞ」

開拓者「それを奪うことを生業にしているとは許しがたい。町が欲しかったら自分で作れと言いたい」

開拓者「復讐は良くないが、場合によっては倒して王国軍に引き渡そう」

弟子「協力してくれるのか?」

開拓者「俺の判断ミスの尻拭いをせねば気が済まんからな」

開拓者「せっかくなら優勝して、妹を助ける方法がないか王に直談判してこい!」

昨日。

王国戦闘大会、端っこの都予選会場にて。

残酷格闘家「楽勝だぜぇ!」

司会「残酷格闘家、強い! サーベル戦士を一蹴だ!」

観客「長い武器持ちが相手でもものともしない……前評判通りあいつが優勝か」

治療班「腕の切り傷を治療します」

残酷格闘家「いらねぇよ、この程度治すまでもねぇ!」

残酷格闘家「決勝の相手、さっさと出てきやがれ!」

残酷格闘家「サクッとひねってやるぜ♪」


司会「端っこの都最強の男を決める、決勝戦!!」

司会「残酷格闘家 VS 黒装束の男!!」

黒装束「……貴方が残酷組の頭か」

残酷格闘家「おう! 弱っちい兄貴が死んじまったおかげでな!」

黒装束「……端っこの都で老人を殺して回っているのは本当か?」

残酷格闘家「社会のウジを駆除してやってんだよ。家族も負担が減って大助かりだろうぜ」

残酷格闘家「死体の処理もちゃんと俺がやってるから負担もかけてねぇ。な? 善行だろ?」


司会「試合、開始!!」


ざわっ

司会「なんと! 一撃だあああ! 無類の強さを誇る残酷格闘家までも一撃で屠ったあああ!」

治療班「急いで蘇生を!」

黒装束「……不要だ。もう、彼は蘇らない」

黒装束「……邪悪な魂はこの大鎌で貰い受けた」

開拓者「少し情報収集をしてきた」

開拓者「征服者は、最新の兵器で武装した軍隊を単独で蹴散らす怪物だといわれているらしいな」

弟子「村の大人じゃ歯が立たなくて当然か……」

開拓者「確認なんだが、生き残りはお前と妹の二人だけだったな」

開拓者「その後、村はどうなったんだ? 大人は連れていかれなかったのか?」

弟子「あいつは、建物も畑もすべて破壊していった。邪魔する村人はみな、殺された……!」

開拓者(妙だな? 征服者というからには建物は使える状態で奪うはずだ……)

開拓者(村人も捕虜として捕らえて労働者として使った方が、征服がスムーズに進む……)

開拓者(嘘をついている様子もないし、詮索しないでおくか)


開拓者「……キツいことを言うが、」

開拓者「結論から言うと、今のお前は決して征服者に勝てない」

開拓者「それどころか、トーナメントで征服者に当たる前に負ける可能性が高い」

弟子「なんだと……オレ、結構強くなれたと思ってたんだけど」

開拓者「そうだな。だが、トーナメントは甘くない」

開拓者「俺の知る範囲でも、大胸筋で砲弾を跳ね返す男と、相手の技を盗んだり分身したりできる忍者はおそらく出場する」

開拓者「そんな彼らでも決勝トーナメントでは一回戦で負ける可能性が高い」

弟子「そ、そんなにか?」

開拓者「戦闘トーナメントだからな。格闘トーナメントではないから何でもありだ」

開拓者「これから1か月は、今まで以上にハードなトレーニングになる」

開拓者「覚悟はいいな?」

弟子「もちろんだ!」

開拓者は調べものをして帰ってきた。

開拓者「まずい。もうほとんどの州都で予選が終わっているぞ!」

弟子「大会は来月だろ?」

開拓者「それは決勝トーナメントだ」

開拓者「決勝に進むには、各地の州都で行われている予選で優勝し、州都の代表として認められるか、」

開拓者「決勝前日の予選トーナメントで勝ち抜くか。その二択だ」

開拓者「予選トーナメント勝ち上がり組は、心身の疲労によって、翌日の決勝で不利になるのは言うまでもない」

弟子「じゃあ今やってる予選で勝った方がいいんだな!」

開拓者「まだ予選が終わっていないのは、常春の都、食の都、王都……」

開拓者「今のお前でも勝てる可能性があるのは……」


食の都。

弟子「師匠、なんで変装してるんだ?」

開拓者「俺はこの町を出禁になっているんだ……」

弟子「それなら他の町にすればよかったのに」

開拓者「王都と常春の都の優勝者は分かり切っているからな……。お前では手も足も出ない」


ストランドビースト「……」カシャカシャ

風を受けて自動的に前進する竹製の奇妙な構造物に、槍の一撃が突き刺さる。

次の瞬間、構造物は爆発した。

審判「勝者、キネティックアーティスト!」

キネティックアーティスト「ビースト達の動作は良好だ。さて、どこまで火薬が通用するか」

弟子「変なアートに負けた……!」

開拓者「だから戦う前に言っただろ。人を狙えと」

弟子「車に乗って逃げ回るから、先に武器を壊そうとしたんだよ」

弟子「あんなの追いつけないだろ! 乗り物はありなのかよ!」

開拓者「戦うのが人ひとりであれば何を使ってもいい。それが戦闘大会だ」


竹槍戦士「決勝の相手はやはりお前か、筋肉戦士!」

筋肉戦士「食の都で最強の男は、我だ」

審判「試合開始!」

竹槍戦士「ウォオオオー!」

筋肉戦士「ハァアアアー!」

開拓者「因縁の対決だ……」

竹槍戦士は棒高跳びの要領で跳びまわり、上、もしくは背後からの突きを繰り返している。

筋肉戦士は筋肉の鎧で攻撃を耐え、人間離れした筋肉での一撃を叩き込むチャンスをうかがっている。

弟子「どちらも、変な戦い方をする奴らだな……」

開拓者「動きをよく見ておけ。お前が強くなるヒントになるかもしれない」


1.竹槍戦士
2.筋肉戦士

安価↓1選択 勝者は

竹槍戦士「おりゃおりゃおりゃおりゃあ!」

筋肉戦士「……!」


弟子「なんて速い連続突きなんだ……! まるでボクサーのパンチだ。集中しても避けきれる気がしない……」

開拓者「竹槍の強みは軽さだ。お前の槍では、鍛えてもあの速度は出せない」


筋肉戦士は槍を掴もうとしているが、手が届いていない。


弟子「おかしいぞ……? よく見ると、槍が体に当たってない」

開拓者「あいつの突きは飛ぶんだ。空飛ぶ鳥も打ち落とせる」

弟子「どれだけ鍛えたらそんなことができるようになるんだ?」

開拓者「もちろん直接当てた方が威力は出るが……おっ、攻め方を変えたぞ!」


竹槍戦士は距離を取って顔を狙い始めた。

顔面は鍛えられない。たまらず顔を腕で守る筋肉戦士に、竹槍戦士は一瞬で肉迫する。

竹槍戦士「ウォオオオッ!!」ゴウッ

みぞおちへの渾身の一撃に、筋肉の鎧はついに砕けた。

筋肉戦士「お、のれ……」ドサッ

槍は最後まで刺さらず。

しかし腹部への強い衝撃を受けた男はたまらず崩れ落ちる。

審判「勝者! 竹槍戦士!!」

竹槍戦士「ウォオオオー!!」

竹槍戦士たち「「ウォオオオー! 俺たちの勝利だぁー!」」

ボディビルダー「そんな! 筋肉戦士さんの筋肉が負けるだなんて!」

開拓者「どうだ? 何かつかめたか?」

弟子「あの速さは俺には真似できねえ」

弟子「でも、この技だけは再現できそうな気がする!」

弟子は気を込めた槍を地面に突き立て、宙を舞った。

開拓者「なるほど。竹槍のようにしならない槍でも、気功を併用すれば跳べるのか」


●スキル
高跳び……槍を支えに棒高跳びの要領で跳びあがり、短時間だけ滞空できる。


開拓者「残りの予選は王都と常春の都だけか……」

開拓者「州都予選での勝ち抜きは絶望的……と、なると決勝前日の予選トーナメントを見据えて鍛えていかなければな」

弟子「前日にもチャンスがあるんだな。諦めずに特訓を続ければ、まだ間に合う!」

開拓者「だが、もう一つ問題があるんだ」


開拓者「王国戦闘大会はこれまでも不定期に開催されてきた」

開拓者「大会の目的は、近隣諸国に王国人の強さを誇示することだ」

開拓者「開拓も終わり、情勢が不安定な昨今、戦闘大会を開き他国をけん制しておきたかったのだろう」

開拓者「しかし、戦争が始まるのではないかと国民を不安にさせないため、大会には娯楽性と競技性を持たせてカモフラージュしている」

開拓者「そのためのルールが、『出場者は町の代表であること』」

開拓者「『町対抗、最強の男決定戦』として見世物感覚で楽しんでもらおうという狙いだ」

弟子「つまり、出場するにはどこかの町に認められないといけないのか」

開拓者「正確には市長や町長に認められることだな」

弟子「でも師匠が作った町がいっぱいあるんだろ? 頼めば代表に選んでもらえるんじゃないか?」

開拓者「そうだといいんだがな……」

開拓者「ほとんどの市長は素性の知れた男を選出する。何かの間違いで王国人以外が優勝したら台無しだからな」

弟子「そりゃ王様に怒られるな」

開拓者「無戸籍のお前を代表に選んでくれる市長は少ないだろう」

開拓者「まあ、強ければなんでもいいという市長もいるが……」

弟子「そんな市長もいるのか」

開拓者「町の名を背負った代表が勝ち抜くたびに、町の宣伝や、町の住民によるショーなどが行える」

開拓者「大きな経済効果を得るために、リスクを覚悟で知らない奴を代表に選ぶこともあるんだ」

弟子「それって結局、師匠がオレを紹介すれば何とかなるんじゃないのか?」

開拓者「俺も今はあまり立場が良くないからな……」

開拓者「いくつか考えはある」


開拓者(弟子の言う通り、知っている町長に頭を下げて頼み込むのが一つ)

開拓者(あるいは、誰も出場する予定がない町の町長に、弟子の強さを見せて、町の看板を背負わせてみないかと誘う)

開拓者(既存の町に頼れなくても、俺には新しい町を作る腕がある)

開拓者(今すぐフォトジェニックな町に引き返し、独立した町と呼べる規模に拡張し、町であることを認めさせ、)

開拓者(その町の代表になる……という策もある)

1.フォトジェニックな町の開拓を続けてちゃんとした町にし、そこの代表になる
2.開拓者と関係のある市長・町長に直談判してみる
3.出場予定者のいない町を探す

↓1から 先に2票入ったもの

開拓者「よし、さらに忙しくなるが……やろう」

弟子「何を決意したんだ?」

開拓者「俺はこれから、お前への特訓と並行して……」

開拓者「お前が代表になるための町を作る!」

開拓者「さあ、開拓再開だ!!」

~ 依頼①+ ~

開拓者「安価で勝手に町を作る」

5週目

称号:都会人の理想が詰まった村

●開拓地
・野原村……都市の郊外にある田園の村。草花が揺れ、小川が流れる。
・貯水池……のどかな田園の一風景。暗いオーラがあり単体で見ると不気味にも感じる。#カントリー #ダーク
・田園……見渡す限りの緑の畑。これぞ開拓地の美である。#カントリー
・風車小屋……田園の背景に素朴な風車が回っているのが見える。中はがらんどう。#カントリー
・羊牧場……ふわふわでもこもこの白いひつじ達とふれあったり写真を撮ったりできる。#カントリー #ナチュラル #キュート
・ふれあい広場……かわいらしい小動物とふれあったり写真を撮ったりできる。#キュート #カントリー
・チーズ工場……熟成中のチーズが並んだ光景は唾液の分泌を促す。#カントリー #ナチュラル #フード
・教会……神々しく落ち着いた佇まい。写真を見ていると聖歌が聞こえてくるような気がする。#エレガント
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。その荘厳な音色は隣町まで鳴り響きそう。#エレガント
・射撃場……的撃ちの訓練ができる。木立の中にあり、雨の日はお休み。#ナチュラル #エネルギッシュ

●ステータス
#カントリー 1720いいね
#キュート 935いいね
#エネルギッシュ 856いいね
#ナチュラル 545いいね
#エレガント 102いいね
#フード 15いいね
#ダーク 1いいね



開拓者「期間は一か月。労働者も足りない。急いで取り掛からねば」

写真家「あれ? 開拓者さん、帰ってきたんですか?」

開拓者「この町をもっと大きくする必要ができてしまってな」

写真家「そうですか! 開拓者さんもバズる喜びが分かったんですね!」

写真家「アタシと力を合わせて、もっともっと写真映えする街を目指しましょう!」

開拓者「断る」

写真家「へ?」

開拓者「俺はあと一か月以内に、この写真映えする地区を、城塞の都とは独立した町として広く認めさせなければならない」

開拓者「そのために、この町の産業を育てる!」

写真家「町として認められるには、やっぱりもっと観光客を集めるべきですよ」

開拓者「いいや。今はもう写真映えなどいらない」

写真家「いります! このいいねの数を見てもまだ言えますか?」

開拓者「では、こうだ!」


5週目

称号:都会人の理想が詰まった村
ランク:田舎町

●開拓地
・野原村……都市の郊外にある田園の村。草花が揺れ、小川が流れる。
・田園……見渡す限りの緑の畑。野菜が植えられている。
・貯水池……主に農業用の用水を貯めておく場所。
・風車小屋……素朴な風車。中は空っぽであり、あくまで観光資源。
・羊牧場……ふわふわでもこもこの白いひつじ達とふれあえる。
・ふれあい広場……かわいらしい小動物とふれあえる。
・チーズ工場……チーズを熟成している。
・教会……落ち着いた佇まいで、観光客に人気。
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。
・射撃場……的撃ちの訓練ができる。木立の中にあり、雨の日はお休み。
・レストラン……城塞の都の一般的な料理が食べられる。
・ホテル……高級でも格安でもない、普通の宿泊施設。

●住民
・写真家Ⅱ……困難な状況でもインスタントカメラでエモーショナルな写真を撮ることができる。
・フォロワー……写真家の撮った写真を評価している人々。労働者のように働いてくれるが、学習速度は速くない。

●ステータス
第一次産業Lv.2
第二次産業Lv.1
第三次産業Lv.4


写真家「ああっ! タグを全消しされました! なんてことするんですか!」

開拓者「たとえどれだけのいいねを集めようと、国王も、城塞の都の市長も、ここが別の町であることを納得しない!」

写真家「ぐ、ぐぬぬ……」

開拓者「今は写真映えのことは忘れるんだ。俺はここを実用的な町にする」

開拓者「我慢してくれれば、お前の写真の宣伝にもなるんだぞ」

写真家「どういう意味ですか?」

開拓者は、王国戦闘大会について説明した。

開拓者「最近いつの間にか開発されていた、広域通信魔法を使って、全国に生中継されるらしい」

写真家「王国全土に、アタシの写真を見てもらえる……?」

開拓者「町が完成し、俺の弟子が決勝に進めればの話だがな」

写真家「ぜひやりましょう! ここを、城塞の都の近隣の町として発展させますよ!」

開拓者「おお、やる気になってくれたか!」

開拓者「目標は『二つの産業Lvを5以上にする』だ」

写真家「フォロワーの皆さんもご協力よろしくお願いします!」

フォロワーA「OK! お祭りです!」

フォロワーB「城塞の都をあっと驚かせてやろう!」


安価↓1、2 施設を作ります(用地・店舗・公共施設ほか)

開拓者「ふう、工廠の完成だ」

開拓者「写真うつりだけを考えればよかった今までと違って、中身まで作るとなかなか骨が折れる」

フォロワー「すごく本格的だ! よく作り方を知ってたな」

写真家「軍需工場……!? こ、これって勝手に作ったらいけない施設じゃないんですか?」

開拓者「そうだな。勝手に開拓しているし今更だと思うが」

写真家「いや、全然危険度が違うと思うんですけど……」

開拓者「実際には、銃の管理用の施設だな」

フォロワー「でも、銃をメンテナンスできる人を探してこないと意味なくね?」

ガンスミス「私が引き受けよう」

開拓者「ちょうどいい所にガンスミスが」

写真家「なんで!? 開拓者さん、持ってますね!」

ガンスミス「私は君のフォロワーだよ」

写真家「スキンヘッドでヒゲでマッチョのおじさんが、アタシのフォロワー……!?」

ガンスミス「たしかに似合わないかもしれないが……」

ガンスミス「君の撮る写真は、時に、重厚さや奥深さを感じられて、好きなんだ」

写真家「そ、それはどうも」

開拓者「良かったじゃないか。お前が思うより、お前の写真は幅広い層に評価されているようだぞ」

●開拓地
・乗馬場……馬小屋で馬を飼育しており、乗馬体験ができる。
・工廠……軍用品の製造・修理を行う施設。

●住民
・ガンスミス……銃を作り、メンテナンスする職人。

●ステータス
第二次産業Lv.2
第三次産業Lv.5
牧場Lv.3


開拓者「馬を調達した」

写真家「高かったんじゃないですか?」

開拓者「ああ……。ギリギリだ……」

開拓者「だが、これも先行投資だと思っている。この町が独立し、俺の弟子が大会で活躍すれば、儲かるはずなんだ……!」

写真家「ギャンブラーの思考みたいになってる……」


馬「……」パカラッ パカラッ

観光客「は、はやーい!」

開拓者「羊や小動物とのふれあい、チーズ工場と合わせて、牧場的な産業が多くなってきたな」

写真家「でも乗馬場の属性はエネルギッシュですね。馬は可愛いのではなく、カッコいいんです」

開拓者「馬も可愛いぞ?」

竜騎兵「銃の訓練ができて、メンテナンスを頼めて、乗馬もできるとはすばらしいな!」

竜騎兵「城塞の都より住み心地が良い。我もこの町を拠点としよう!」

●開拓地
・屋台……コックの作る不思議な料理をテイクアウトできる。

●住民
・竜騎兵……馬に乗り銃を扱う騎兵。高速で移動しながら同じく動く標的に銃弾を命中させる腕を持つ。
・コック……どんな食材を使っても味を上手く調えられるのが特技。地元の再興を夢見る。


写真家「町の入口のあたりに知らない人が来てるんですけど……」

開拓者「あれは、屋台を設営しているのか?」

コック「開拓者さーん!」

開拓者「おお、誰かと思えばコックじゃないか」

開拓者「この町のせいで客を奪われてしまったお前が、なぜここへ?」

コック「お客さんが来ないなら! 僕がお客さんのところへ行けばいい!」

騎士「屋台を出すっつって、聞かねーんだよ」

開拓者「俺もいい考えだと思うぞ。都のレストランの集客につながる」

写真家「む! ここは城塞の都ではありませんよ! 帰って下さい!」

騎士「はあ? 気に入らねえけどここも城塞の都だろうが。法律でそう決まってんだよ」

開拓者「会わない方がいい二人が会ってしまった……」



5週目終了

~住民の声~
写真家「アタシの写真が全国中継……。10万いいねも夢じゃない……」
ガンスミス「私はスキンヘッドではなく、残念ながら禿げているんだよ」

~来訪者の声~
騎士「俺はこんな浮ついた街を認めねぇ。更地にして欲しいぜ」
観光客「カピバラやクマまでいるのに、乳牛はいないのね。あくまで観光牧場ということかしら」

6週目

称号:のどかな牧場と銃声の村
ランク:田舎町

●開拓地
・野原村……都市の郊外にある田園の村。草花が揺れ、小川が流れる。
・田園……見渡す限りの緑の畑。野菜が植えられている。
・貯水池……主に農業用の用水を貯めておく場所。
・風車小屋……素朴な風車。中は空っぽであり、あくまで観光資源。
・羊牧場……ふわふわでもこもこの白いひつじ達とふれあえる。
・ふれあい広場……かわいらしい小動物とふれあえる。
・乗馬場……馬小屋で馬を飼育しており、乗馬体験ができる。
・チーズ工場……チーズを熟成している。
・教会……落ち着いた佇まいで、観光客に人気。
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。
・射撃場……的撃ちの訓練ができる。木立の中にあり、雨の日はお休み。
・工廠……軍用品の製造・修理を行う施設。
・レストラン……城塞の都の一般的な料理が食べられる。
・ホテル……高級でも格安でもない、普通の宿泊施設。
・屋台……コックの作る不思議な料理をテイクアウトできる。

●住民
・写真家Ⅱ……困難な状況でもインスタントカメラでエモーショナルな写真を撮ることができる。
・コック……どんな食材を使っても味を上手く調えられるのが特技。地元の再興を夢見る。
・フォロワー……写真家の撮った写真を評価している人々。労働者のように働いてくれるが、学習速度は速くない。
・ガンスミス……銃を作り、メンテナンスする職人。
・竜騎兵……馬に乗り銃を扱う騎兵。高速で移動しながら同じく動く標的に銃弾を命中させる腕を持つ。

●ステータス
第一次産業Lv.2
第二次産業Lv.2
第三次産業Lv.5
牧場Lv.3


写真家「ひややっこ君、#キュート でいいですね。もっといろんな表情のものを作れませんか?」

パシャッ ジー

コック「写真家さんのフォロワーはいろんな町にいるんだってね! いい宣伝になるよ!」

開拓者「ウィンウィンで何よりだ」

開拓者「あとは第一次産業か第二次産業をLv.5まで上げれば、十分、町と呼べるようになる」

写真家「果たしてそれで認めてもらえるか、ちょっと不安ですね」


安価↓1、3 施設を作ります(用地・店舗・公共施設ほか)

ひつじ「めぇ~♪」

開拓者「……もこもこの羊だな」

写真家「そうですね」

開拓者「もこもこの毛を狩り、製品に加工して売るか」

ひつじ「めぇっ!?」

写真家「可愛い羊のトレードマークが!!」

開拓者「また生えてくるとは言え、観光資源か……」

開拓者「仕方ない。羊の数も増やそう」


コック「工場に保管されているチーズを分けてくれませんか?」

開拓者「構わんが、使ったら買い足さなければいけないぞ」

コック「チーズ工場なのに、チーズは作っていないんですか!?」

開拓者「元々は写真撮影用のセットとして建てたものだからな」

コック「あるものを使わないなんてもったいない!」

コック「牛を買いましょう! 買うべきです!」

開拓者「まあ、確かにな……」

開拓者「で、チーズは何に使うんだ?」

コック「魚介青汁に混ぜてみようと思います!」

開拓者「待て。他にあるだろ!」

●開拓地
・牛舎……乳牛を飼育している。乳しぼり体験やチーズ作り体験もできる。
・ウール工場……羊から刈り取った毛を加工し、毛糸や織物を生産する。

●ステータス
第一次産業Lv.3
第二次産業Lv.3
牧場Lv.4


開拓者「羊と牛を大量に購入し、工場を建てたぞ」

開拓者「金が飛んでいく……」

コック「も、もう無理しないでください! 僕も牛代くらいは出します!」

開拓者「開拓には、金がかかるものだな……。フリーになって改めてスポンサーの重要性を知った」

開拓者「仕事を増やすか……。金払いのいい日雇いの仕事を……」

写真家「今、いくつ仕事してるんですか?」

開拓者「亜熱帯の町に大学を作りながら、湖畔の屋敷の警備をする人員を集めて、弟子の指導を行って、お前達と町を作っている」

開拓者「帰る先は花畑島の近くだ。そこで住み込みの開拓の仕事をしている」

写真家「家に帰っても仕事ですか!?」

コック「開拓者さんが死んでしまう!」

フォロワー「亜熱帯の町から湖畔って……移動距離やっば」

開拓者「今週末にその二つは終わるんだ。だから大丈夫だ」

開拓者「俺は王国一タフな男、開拓者だぞ」

富裕フォロワー「お金なら支援しましょうか?」

富裕フォロワー「もし独立できず、大会に出場できなくても、この町なら一定の利益は見込めるでしょう」

富裕フォロワー「親しい投資家にも話をしてみます。誰か一人くらい興味を持つかもしれません」

開拓者「な、なんと! お前は神か!?」

コック「ほら、やっぱり無理してました」

6週目、週末。

パシャッ ジー

写真家「うん。建物が増えて、町の風景も撮りがいが出てきた」

写真家「でも観光客が増えたから、人の写らない写真を撮りづらくなっちゃったなー」

カメラ片手にぶらぶらと歩く写真家の前に、気になる観光客がいた。

写真家「あれ? 絵を描いてる人がいる。写真の方が早いのに」

画家「……」ピクッ

写真家(ん? 隣の人は……)

写真家「あっ、開拓者さん! 来るのが早かったですね」

開拓者「いや、今日は開拓に来たわけじゃないんだ」

二人はデートで開拓途中の町を訪れていた。

この時、写真家は不用意な発言で画家の不興を買ってしまい、口喧嘩に発展してしまったが、開拓者の機転によって画家の実力を認めるに至った。

写真家「認めましょう……。絵には絵の良さがあります!」

画家「やったっ……」

写真家「でも、絵を描くだけじゃつまらなくないですか?」

写真家「この町では、乗馬体験も乳しぼり体験もチーズ作り体験も射撃体験もできますよ!」

開拓者「……。見事に全部、画家の苦手な分野じゃないか」

画家「ごめんなさい……」

画家「でも、素敵な町だと思います」

開拓者「体験型の観光をしなくても、見て回るだけでも楽しい町だということだな」

開拓者「お前も悪い気はしないだろ?」

写真家「そうですね」

画家「あ、それと……」

画家「ここの牧場っぷりに比べると、私達の島って全然、牧場島じゃないですよね……」

開拓者「……俺もうっすら思っていた」



6週目終了

~住民の声~
写真家「アタシは絵心もあるんですよ! 写真の方が好きなだけで」
富裕フォロワー「結構な額が集まりそうですよ。なんだかんだで開拓者さんの過去の業績は知られているようです」

~来訪者の声~
画家「毛織物を買おうかと思ったんですけど、地元も牧場島も暖かいから使う機会がなさそうです……」
写真好きの観光客「張りぼてみたいな頃も、俺は嫌いじゃなかったよ」

7週目

称号:カウボーイ・ビレッジ
ランク:田舎町

●開拓地
・野原村……都市の郊外にある田園の村。草花が揺れ、小川が流れる。
・田園……見渡す限りの緑の畑。野菜が植えられている。
・貯水池……主に農業用の用水を貯めておく場所。
・風車小屋……素朴な風車。中は空っぽであり、あくまで観光資源。
・羊牧場……ふわふわでもこもこの白いひつじ達とふれあえる。
・牛舎……乳牛を飼育している。乳しぼり体験やチーズ作り体験もできる。
・ふれあい広場……かわいらしい小動物とふれあえる。
・乗馬場……馬小屋で馬を飼育しており、乗馬体験ができる。
・チーズ工場……チーズを熟成している。
・ウール工場……羊から刈り取った毛を加工し、毛糸や織物を生産する。
・教会……落ち着いた佇まいで、観光客に人気。
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。
・射撃場……的撃ちの訓練ができる。木立の中にあり、雨の日はお休み。
・工廠……軍用品の製造・修理を行う施設。
・レストラン……城塞の都の一般的な料理が食べられる。
・ホテル……高級でも格安でもない、普通の宿泊施設。
・屋台……コックの作る不思議な料理をテイクアウトできる。

●住民
・写真家Ⅱ……困難な状況でもインスタントカメラでエモーショナルな写真を撮ることができる。
・コック……どんな食材を使っても味を上手く調えられるのが特技。地元の再興を夢見る。
・フォロワー……写真家の撮った写真を評価している人々。労働者のように働いてくれるが、学習速度は速くない。
・ガンスミス……銃を作り、メンテナンスする職人。
・竜騎兵……馬に乗り銃を扱う騎兵。高速で移動しながら同じく動く標的に銃弾を命中させる腕を持つ。

●ステータス
第一次産業Lv.3
第二次産業Lv.3
第三次産業Lv.5
牧場Lv.4


写真家「どことなくワイルドな雰囲気の町に変わってきてます」

開拓者「家畜を育てる人間は、優しいだけではなく、力強さを備えているんだ」

開拓者「銃を持った客が増えたのも影響しているな」

写真家「あのおじさん、なかなか有名なガンスミスだったらしいですね。遠くの町から訪ねてくる人もいました」

開拓者「……」

パシャッ ジー

写真家「見たことない表情してたので、つい撮っちゃいましたよ」

写真家「疲れ顔なのに妙に落ち着いてるというか……一仕事終えた顔にしてはまだ気が抜けてないような」

開拓者(地底都市と魔界林をはしごして、武装集団と戦った後に、のどかな町での開拓に帰ってきたからな……)


安価↓1、2 施設を作ります(用地・店舗・公共施設ほか、今ある施設のLVを上げることも可能)

●開拓地
・養殖場……食用の淡水魚を育てる。
・鍛冶屋……町で使用される金物を製造する。


開拓者「産業の種類を増やすため、マスの養殖を始め、鍛冶屋を建てた」

開拓者「鍛冶屋で作られた道具は、工廠や各種工場などで使用される予定だが……」

開拓者「これは失敗したかもしれんな……」

写真家「あれ? 産業Lvの更新を忘れてますよ」

開拓者「いや……これで正しいんだ」

開拓者「この町で魚を育てても、道具を作ってもあまり儲からない」

開拓者「数字で表すと3.5といったところか」

写真家「目標はLv.5でしたよね」

開拓者「ああ。来週までに間に合うかどうか、分からなくなった」

フォロワーA「開拓者さん、大変だ!」

フォロワーA「マスの注文が大量に入った!」

開拓者「何!?」

フォロワーB「鍛冶屋もだ。城塞の都の会社やギルドから、相談が来てる」

開拓者「すぐそこに大都市があることで、魚の消費量と金属加工の需要が増えたのか!」

開拓者「いつもの開拓とは違う、まさかのメリットだ……!」


●ステータス
第一次産業Lv.4
第二次産業Lv.4

コック「いらっしゃいませー!!」

コック「チーズ魚団子はいかがですかー!!」

開拓者「また珍妙な料理を作ったな……。魚の身の原型が残っていないじゃないか」

コック「味見どうぞ!」

開拓者「これは……酒のつまみにぴったりだ!」



7週目終了

~住民の声~
コック「この調子で名産品ができたら嬉しいですが、流石に難しいでしょうか」
ガンスミス「金属加工は専門じゃないんだ。すまないね」

~来訪者の声~
カバン職人「もう少し安く請けてくれないか?」
観光客「銃声が最悪! 動物とのふれあいが台無し!」
ライフル選手「射撃場のお客さんが増えてきて、今日はついに順番待ちになってしまいました」

8週目

称号:城塞の都を支える村
ランク:田舎町

●開拓地
・野原村……都市の郊外にある田園の村。草花が揺れ、小川が流れる。
・田園……見渡す限りの緑の畑。野菜が植えられている。
・貯水池……主に農業用の用水を貯めておく場所。
・風車小屋……素朴な風車。中は空っぽであり、あくまで観光資源。
・羊牧場……ふわふわでもこもこの白いひつじ達とふれあえる。
・牛舎……乳牛を飼育している。乳しぼり体験やチーズ作り体験もできる。
・ふれあい広場……かわいらしい小動物とふれあえる。
・乗馬場……馬小屋で馬を飼育しており、乗馬体験ができる。
・チーズ工場……チーズを熟成している。
・ウール工場……羊から刈り取った毛を加工し、毛糸や織物を生産する。
・養殖場……食用の淡水魚を育てる。
・教会……落ち着いた佇まいで、観光客に人気。
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。
・射撃場……的撃ちの訓練ができる。木立の中にあり、雨の日はお休み。
・工廠……軍用品の製造・修理を行う施設。
・鍛冶屋……町で使用される金物を製造する。
・レストラン……城塞の都の一般的な料理が食べられる。
・ホテル……高級でも格安でもない、普通の宿泊施設。
・屋台……コックの作る不思議な料理をテイクアウトできる。

●住民
・写真家Ⅱ……困難な状況でもインスタントカメラでエモーショナルな写真を撮ることができる。
・コック……どんな食材を使っても味を上手く調えられるのが特技。地元の再興を夢見る。
・フォロワー……写真家の撮った写真を評価している人々。労働者のように働いてくれるが、学習速度は速くない。
・ガンスミス……銃を作り、メンテナンスする職人。
・竜騎兵……馬に乗り銃を扱う騎兵。高速で移動しながら同じく動く標的に銃弾を命中させる腕を持つ。

●ステータス
第一次産業Lv.4
第二次産業Lv.4
第三次産業Lv.5
牧場Lv.4


コック「町の人の声を集めてきたんですが、」

コック「フォトジェニックな町への印象がかなり良くなっているみたいです!」

開拓者「いい事なんだろうが、複雑だな……」

写真家「独立しようとしてるのを知ったら、反動でかなり印象悪くなりますね……」

開拓者「あと少し、第一次産業か第二次産業を育てれば、独立した町として認められる可能性が生まれる」

写真家「頑張ったけれどあくまで可能性止まりですか……大都市を相手にするのは大変です」

開拓者「他に決め手があればいいんだがな」


安価↓1、2 施設を作ります(用地・店舗・公共施設ほか、今ある施設のLVを上げることも可能)

開拓者「しまった。今週は弟子の最後の調整に集中しすぎて、開拓に来るのが遅れた……」

フォロワー「役に立ちそうな施設、我々が作っておきましたよ!」

開拓者「何? まさか写真映えを狙ってないだろうな」

写真家「もうぜんっぜん写真に撮りたくないくらい、牧場のことだけを考えました!」

開拓者「いや、そこまで徹底しなくてもいいが……」


●開拓地
・牧場……町一番の名所。
 ・豚舎……豚を飼育している。
・品種改良研究所……作物や家畜の品種改良をしたい。研究者がいない。

●ステータス
牧場Lv.5


写真家「どうですか!」

コック「名産品を生み出す準備もしておきましたよ!」

開拓者「……終わった」ガクリ

フォロワー「開拓者さん!? なぜ膝を折るんですか!?」

開拓者「……小規模な牧場において、豚を育てるのはやや効率が劣るんだ」

開拓者「牛乳や羊毛などの畜産物が手に入らないからな」

開拓者「一定以上の頭数を安定して育てられるならば、他の家畜に劣らないのだが……」

コック「研究所は悪くないんじゃないですか!?」

開拓者「なお悪い」

開拓者「品種改良というものは、通常なら数年単位で時間のかかる研究だ」

開拓者「その分野の第一人者がどんなに急いでも2週間はかかる」

開拓者「今週中に間に合わないんだ……!」

コック「な、何とかなりませんか!?」

開拓者「豚が生きたまま体から豚肉を生み出せるように、一瞬で品種改良を施すことができれば……」

写真家「現実逃避してる!」

開拓者「どこかにいないだろうか……そんな能力を持った人間が……」

写真家「正気に戻って下さい! この世界にそんな恐ろしい人いませんよ!」


開拓者(……この研究所の建屋をどうにかこうにかして、)

開拓者(第一次産業に関係する施設にすれば、豚舎と合わせてLv.5には届くかもしれない)

開拓者(しかしこの方法は、良かれと思って品種改良研究所を作った住民たちに失礼だ)


開拓者「……よし」

開拓者「研究所は後々使うかもしれないから置いておこう」

開拓者「第一次産業を伸ばすだけなら……俺が全力を出せばいい」


安価↓2 屋外施設を作るまたは拡張します(建物は作れません)

開拓者はクワを握った。

開拓者「一時間で、田園を二倍に拡張する! うおおおおおおお!!!」

パシャッ ジー

写真家「あまりの速さにブレて写真に撮れません!」

コック「速いだけじゃない! 土が柔らかくて、石や根っこも取り除かれてる……!」

写真家「目に焼き付けよう……あれが開拓者さんの真骨頂!」


●開拓地
・田園Ⅱ……一枚の写真には収まらないほど広大な緑の畑。野菜や飼料作物が植えられている。

●ステータス
第一次産業Lv.5


耕し終えた開拓者は引き続き、開拓用の肥料を混ぜ、野菜や豆の種をまいた。

開拓者「……こんなものだろう」

写真家「すごい……。町を作るより農家の方が向いてるんじゃないですか?」

開拓者「失礼な。農作物を丁寧に育てるのは農家にしかできない仕事だぞ」

写真家「あっ、農家の方をかばうんですか」

開拓者「とにかく、豚舎と、この広大な畑があれば十分に交渉できるだろう」

フォロワー「目標達成ですね!」

開拓者「ああ。皆、俺の勝手な開拓に協力してくれて感謝する」

コック「どういたしまして!」

写真家「コックさんは何かしましたっけ……?」

フォロワー「建築作業中に昼食を無料で提供してくれましたよ」

開拓者「写真家こそ、何もしていないんじゃないか?」

写真家「えっ、そ、そんなことないでしょ!?」



8週目終了

~住民の声~
写真家「冷静になって町を見てみると、独立した町には見えないような……?」
竜騎兵「町の宣伝に、我も協力させてもらおう!」

~来訪者の声~
市職員「新しい観光地がいつの間にか牧場地区になっていた」
弟子「この町を背負って戦うのか……。オレには似合わないんじゃないか?」
生産者「わたしを呼んでくれればよかったのに~」

王「久しいな、開拓者よ」

使者「王様、まだ2か月しか経っていませんよ」

開拓者「王様本人にいらっしゃっていただけるとは……」

使者「あなたって本当に根っからの開拓者なんですね」

使者「放っておくと勝手に町を作ってしまう」

開拓者「俺にはこれしかできることはないからな」

王「それで良い」

王「国民の意思を汲み、公式に開拓は終了せざるを得なかったが……」

王「開拓こそ王国の発展につながると、余は今でも信じている」

開拓者「ありがたきお言葉」

使者「王様。こちら、観測者さんの報告書です」

王「うむ。城塞の都の牧場区と見なすこともできる」

王「しかし、開拓者よ。此度はそなたの働きに応えよう」

王「牧場の町を、王国の新たな町と認定する!」

王「ただし、町長は城塞の都との協議の上で、余が選ぶこととする。良いな?」

開拓者「ははっ」

町が完成!

称号:観光牧場の町
ランク:町

●開拓地
・野原……草花が揺れ、小川が流れる、のどかな風景。
・田園Ⅱ……一枚の写真には収まらないほど広大な緑の畑。野菜や飼料作物が植えられている。
・貯水池……主に農業用の用水を貯めておく場所。
・風車小屋……素朴な風車。中は空っぽであり、あくまで観光資源。
・牧場……町一番の名所。
 ・羊牧場……ふわふわでもこもこの白いひつじ達とふれあえる。
 ・牛舎……乳牛を飼育している。乳しぼり体験やチーズ作り体験もできる。
 ・豚舎……豚を飼育している。
 ・ふれあい広場……かわいらしい小動物とふれあえる。
 ・乗馬場……馬小屋で馬を飼育しており、乗馬体験ができる。
 ・チーズ工場……チーズを熟成している。
 ・ウール工場……羊から刈り取った毛を加工し、毛糸や織物を生産する。
・養殖場……食用の淡水魚を育てる。
・教会……落ち着いた佇まいで、観光客に人気。
・鐘楼……教会には大きな鐘が備えられている。
・射撃場……的撃ちの訓練ができる。木立の中にあり、雨の日はお休み。
・工廠……軍用品の製造・修理を行う施設。
・鍛冶屋……町で使用される金物を製造する。
・レストラン……城塞の都の一般的な料理が食べられる。
・ホテル……高級でも格安でもない、普通の宿泊施設。
・屋台……コックの作る不思議な料理をテイクアウトできる。
・品種改良研究所……作物や家畜の品種改良をしたい。研究者がいない。

●住民
・写真家Ⅱ……困難な状況でもインスタントカメラでエモーショナルな写真を撮ることができる。
・コック……どんな食材を使っても味を上手く調えられるのが特技。地元の再興を夢見る。
・フォロワー……この町に住む労働者のほとんどは、写真家の撮った写真を評価している。
・ガンスミス……銃を作り、メンテナンスする職人。
・竜騎兵……馬に乗り銃を扱う騎兵。高速で移動しながら同じく動く標的に銃弾を命中させる腕を持つ。

●ステータス
第一次産業Lv.5
第二次産業Lv.4
第三次産業Lv.5
牧場Lv.5

弟子「町が王様に認められたのか!」

開拓者「意外だったか?」

弟子「いいや。見れば分かるよ、オレが住んでた村の十倍は発展してる」

生産者「特に口出しするところは無さそうかな~」

開拓者「俺が気候や土壌に合わない作物を植えるようなミスを犯すと思ったか」

生産者「ううん~。あ、でも一つだけ気になったんだけど」

生産者「開拓者って、町を作るとき必ず守備隊を作らないと気が済まないの?」

開拓者「違うんだ。その気はないが結果的にガンマンが集まってきただけだ」

開拓者「高原の開拓では忍者の方からやってきて、砂漠の開拓では防衛力を上げるよう指示されていたんだ」

生産者「ふーん」

弟子「師匠、この人誰なんだ?」

開拓者「……同業者だ」

開拓者(今のこいつに妹の話はマズいだろう……)

生産者「ん~。開拓者はわたしの先輩だよ」

開拓者(空気を呼んでくれた。以心伝心だ)

牧場の町 町長「開拓者くん、ご苦労だったね」

牧場の町 町長「君のおかげで、区長になるはずだった私が町長になってしまったよ」

開拓者「そうだな。俺の力だ」

開拓者「そこで町長。俺から一つ頼みがある」

開拓者「数日後に迫った王国戦闘大会の件なのだが、」

牧場の町 町長「ああ! もちろん出場する予定だよ!」

牧場の町 町長「代表は竜騎兵君だ」

竜騎兵「町の代表として、一戦でも多く勝ち抜く所存!」

開拓者「待ってくれ。代表にはあそこに立っている青年を推薦する」

牧場の町 町長「彼が? 冗談言っちゃいけない」

牧場の町 町長「機動力、射程ともに竜騎兵君と比較にならないではないか」

牧場の町 町長「何より、動物と銃の町の代表として彼ほどふさわしい男はいない」

開拓者「た、たしかにそれはそうだが……」

牧場の町 町長「私は竜騎兵殿が決勝に進出することを確信している」

牧場の町 町長「彼を選ぶ理由などないのだよ」

竜騎兵「ご安心召されよ!」

竜騎兵「貴君の作り上げた素晴らしき町は、我がしっかりと宣伝して参ろう!」


開拓者「と、いうわけでお前は出場できなくなった」

弟子「この1か月の特訓は何だったんだよ!!」

開拓者「俺の1か月の開拓も何だったんだろうな!!」

~依頼⑥+~

開拓者「安価で王国最強の男を作る」

生産者「開拓者。すごくいい話があるんだけど」

開拓者「ここまで来たんだ。まだ諦めるものか」

弟子「ああ。乱入でも何でもして出場してやる!」

生産者「今ね、ちょうど戦える人を探してる町があって」

開拓者「弟子よ。乱入するなら当日ではなく、今じゃないか?」

弟子「同じこと考えてたぜ。オレがあいつより強いって証明すりゃいいんだろ?」

生産者「わたしがお世話になってる町長さんが、機会があるならぜひ大会に出場したいって」

開拓者「しかし、竜騎兵に無傷で勝つのは難しい」

開拓者「ケガをした状態で大会に出場するのは避けたいところだが……」

弟子「でも他に方法はないんだろ? だったら挑むしかねぇ!」

生産者「ね~、わたしの話聞いてる~?」


※これで本当に最後の4ターンです

弟子「あいつを倒して、絶対に大会に出る!」

生産者「そんなことしなくても出れるのにな~」


1.生産者の話を聞く
2.竜騎兵に挑む

↓1から 先に2票入ったもの

開拓者「待て。生産者が何か言っている」

生産者「やっと聞いてくれた~」

弟子「なんだよ。ゆっくり話してると、あいつ行っちまうぞ!」

生産者「追いかけなくていいんだよ」

生産者「今ね。ちょうど戦える人を探してる町があるの」

生産者「わたしがお世話になってる町長さんが、機会があるならぜひ大会に出場したいって言ってたんだよ」

開拓者「どこの町だ?」

生産者「緑の町」

開拓者「そうか。あの町には農業局があったな」

生産者「そうそう。物資や品種の提供から、流通と広報までいろいろお世話になってるんだよ~」

開拓者「俺にとっての王家と同じだな」

弟子「つまり、オレは緑の町の代表として出場できるんだな?」

生産者「知らない町でも大丈夫?」

弟子「別にどこの代表でもいいんだ。大会に出られさえすれば」

弟子「でも、師匠はそれでいいのか? せっかく町を作ったのによ」

開拓者「構わん。牧場の町の出来には納得しているからな」

開拓者「お前と竜騎兵がともにファイナルまで進んでくれたら俺としては申し分ない」

そして、王国戦闘大会、予選当日。

弟子「ついにこの日が来たんだな」

開拓者「ああ。お前は厳しい特訓によく耐えた」

開拓者「この大会に、鍛えたすべてをぶつけて来い」

開拓者「そして……目的を果たせ」

弟子「言われるまでもないさ!」


開拓者「お、家政婦。お前も出場するのか?」

家政婦「あたしは出たくなかったんですけど、市長がどうしてもというので……」

家政婦「女騎士か諜報員に頼めばいいのに……」

開拓者「湖畔の楽園は観光地だからな。全国中継での宣伝はぜひやりたいのだろう」

家政婦「ファイナルトーナメントって、宣伝が終わったあとに試合するんですよね」

家政婦「あたし、もし予選を突破できたら、一回戦で降参しようと思います」

弟子「なんて消極的なんだ……」

近衛兵隊長「開拓者殿。貴方も来ていたか」

開拓者「ああ」

近衛兵隊長「後ろにいる男は出場者か?」

開拓者「そうだ。序盤でお前と当たらないことを願うばかりだ」

開拓者「今大会もお前が優勝だろうな」

近衛兵隊長「それはまだ分からん。今大会から新しく出場する町は、どこも強者ぞろいだと聞く」

近衛兵隊長「予選を勝ち抜く強者たちは、これまでとは違う顔ぶれになるだろう……」

近衛兵隊長「ところで、姫様を見ていないか?」

開拓者「……見ていないな」

近衛兵隊長「そうか……ご協力感謝する」

近衛兵隊長「では、また会場で会おう」


弟子「今のは……」

開拓者「王族を守る盾である近衛兵たちの隊長だ」

開拓者「今までの王国戦闘大会では毎回、隊長が優勝している」

開拓者「彼こそ、王国最強の男で間違いない」

開拓者「お前の仇も、先に隊長が倒してしまうかもしれないな」

弟子「確かに……そうなってもおかしくないと思えるほど、凄まじい気の量だった」

開拓者「王国戦闘大会、ファイナルトーナメントでは、16の町の代表がしのぎを削る」

開拓者「その内8枠は、州都予選で優勝した面々ですでに確定している」

開拓者「予選では残りの8枠を争うことになる」

弟子「AからHのブロックがあって、オレはEブロック予選か」

開拓者「予選は4ブロックずつ行われる。お前の出番は後だな」

開拓者「俺の知り合いが多いDブロックを見に行こう」


予選Dブロック

1試合目 家政婦(湖畔の楽園) VS 二刀剣士(癒しの花園)


最新の人気観光地同士の激突となったDブロック一戦目。

両手に剣を持った二刀剣士は、癒しが売りの町の代表とは思えない、まるで悪党か怪人のような風貌の男であった。

そんな彼だが、愛する町を外敵から守ろうとする信念は本物であり、住民からの評判は決して悪くない。

癒しの花園はまだまだできたばかりで伸び盛りの町。アピールしたいスポットが山ほどある。

市長と住民たちの期待を背負って、町の戦闘員たちを代表し、二刀剣士はファイナルトーナメントを目指す。

二刀剣士「降参してくれないか?」

二刀剣士「俺はこんなナリだが、女の子に暴力をふるう趣味はないんだ」

家政婦「お気持ちはありがたいんですけれど、あたしはファイナルトーナメントの一回戦まで進むことを依頼されているので、退けません」

二刀剣士「でもなあ……治療班がいるとはいえ、攻撃できねぇよ……」

家政婦「では、こういうのはどうでしょうか?」

家政婦「相手に、勝てないと思わせたら勝ち」

二刀剣士「寸止めルールか……。難しいけど、やってみるか」

しぶしぶ仕掛けた左右の連続攻撃は、寸止めするまでもなく空を切った。

二刀剣士「お?」

家政婦「今の、本気ですか? でしたら降参してくれませんか?」

二刀剣士「……悪いけど、俺もやすやすと譲ってやることはできないんだよ」

二刀剣士「ペース上げていくぞ!」

しかし、まるで攻撃が当たらない。

二刀剣士「えいっ! このっ!」ブンッ ブンッ

二刀剣士(おかしい! 俺はすでに当てるつもりで振っている!)

二刀剣士「おりゃああ!」

二本の剣で挟み込むように攻撃するも、頭上を跳び越えられて避けられる。

しかも、跳ぶ寸前、二刀剣士はアゴを撫でられた。

これが打撃だったならば……。

二刀剣士「……まいった」

家政婦「ふう……。ありがとうございます」

二刀剣士「俺は狭い町の中で最強だとうぬぼれていた……」

二刀剣士「俺は弱かったんだな……。女の子に一回も当てることすらできないなんて」

家政婦「弱くはなかったと思いますけど……」

二刀剣士「残念だ……。船員さんに約束したのにな、牧場島の宣伝は任せろって」

家政婦「えっ、牧場島を?」

二刀剣士「知ってるのか?」

家政婦「知ってるも何も……。あの、もしよろしければ、あたしが代わりに宣伝してきましょうか?」

二刀剣士「い、いや、それは駄目だろう? 湖畔の宣伝はどうするんだよ」

家政婦「一回戦の分しか用意してないと聞いているので、きっと大丈夫です」

湖畔の楽園 市長「別にいいですよー!」

家政婦「ほら、市長もああ言ってます」

二刀剣士「ありがてぇ……ありがてぇよ……」

二刀剣士「あなたは女神か!?」

家政婦「いえ、ただのメイドです」


開拓者「お人よしめ……。家政婦は結局、ファイナルで二回戦まで進まないといけなくなってしまったな」

開拓者「まあしかし、俺たちの作った村の宣伝のためだ。ぜひ勝ち抜いてくれ」

予選Dブロック

2試合目 提督(チョコレート・ハーバー) VS 警察戦闘指南役(亜熱帯の町)


Dブロック二戦目は、無名の町と王国定番の観光地との一戦。

だが、対戦相手にとっては、知らない名ではなかったようだ。

港町 市長「亜熱帯の町だと? 外人がなぜ戦闘大会に出てきている?」

提督「市長、お言葉ですが外人ではございません。すでに王国に併合されているため、王国人です」

指南役「おや、本土の方は想像以上に差別的ですね」

亜熱帯の町 町長「いえ、ここまで露骨なのは珍しいことです」

亜熱帯の町 町長「チョコレート・ハーバーは植民地からの商品の運搬で栄えた町ですから」

指南役「ならば、亜熱帯の町に感謝するのが筋ではないですか?」

提督「何を言うか。お前ら亜熱帯地方はサトウキビ栽培が無ければ、産業も文化も何もない土地だったじゃないか」

港町 市長「我々が栄えさせてやったも同然」

提督「感謝しろだと? この恥知らずが」

指南役「町長。やりすぎて構いませんね?」

亜熱帯の町 町長「いけません。目をつけられてしまうと困ります」

亜熱帯の町 町長「できるだけ穏便に……勝ってください」

指南役「了解!」


弟子「なんであんなに殺伐としてるんだ?」

開拓者「あの港町はチョコレートが名物でな。その材料はカカオ豆と砂糖だ」

開拓者「その砂糖は、亜熱帯の町で作られているサトウキビが原料だ」

開拓者「亜熱帯の町は、サトウキビ栽培以外の選択肢を奪われ、経済的に支配下におかれた過去がある」

開拓者「国民の知らないチョコレートの裏側だ……」

チョコレート・ハーバーの海軍基地のトップである提督は、類まれな巨漢であることで知られる。

鍛え抜かれた肉体を持つ彼と同じ訓練メニューを部下にも課すことから、海兵たちからはひどく恐れられている。


開拓者「前大会ではファイナルに進出した強者だ」

開拓者「だが、俺は指南役が勝つと思っている」

弟子「オレもそう思う。気の量を見ればわかる」


提督は鎖のついた錨を持ち、砲丸投げのように回転しながらじわじわと指南役に接近する。

並みの戦士ならば、成すすべなく弾き飛ばされてしまうだろう。

だが、指南役の身体能力は並みではない。

跳躍し、回転の中心にいる提督の頭部を蹴りぬいた。

指南役「よっ、と!」スタッ

提督「まだだ!」

土煙の中から姿を現した提督は、いつの間にか大砲を構えている。

指南役「…っ!」

次の瞬間、提督が爆発に巻き込まれた。

港町 市長「な、何ーっ!! 提督ぅー!」

治療班「死亡を確認!」


弟子「おい、殺しちまったぞ!」

開拓者「問題ない」

開拓者「治療班は、時間を戻す魔法を使用し、選手を試合開始前の状態に戻すことができる」

弟子「もうそいつらが最強だろ」

開拓者「そうでもない。戻す時間の長さと範囲の広さに応じて、必要な魔力の量が莫大になっていくため、多用はできないらしい」

開拓者「また、蘇生には条件がある。全身の部位が揃っている事と、魂が体を離れていない事だ」


開拓者「さっきは何が起きたんだ?」

弟子「オレ、見たよ」

弟子「港町の代表が大砲を撃って、それを亜熱帯の代表が蹴り返したのを」

開拓者「まったく見えなかったが、そんなことをしていたのか……」



予選Dブロック

決勝 家政婦(湖畔の楽園) VS 警察戦闘指南役(亜熱帯の町)


この二か月で開拓者が関係を持った町・人物によるDブロック決勝である。

開拓者「二人とも、異常に強い事は知っているが、どちらが強いかは分からん」

開拓者「どちらが勝っても俺が作った施設が紹介されるのか……」

開拓者「残念だ……。両方に勝ってほしい」


指南役「おやおや、お久しぶりですね」

家政婦「あっ……奇遇ですね」

家政婦「あなたも出場なさっていたんですか……」

指南役「気持ち悪いですね、君の敬語は」

家政婦「別にいいじゃないですか」

家政婦「もう傭兵は辞めたんですから……」


開拓者「ん? あいつら知り合いか?」

開拓者「小さな声で何を話しているんだ?」


家政婦「……たとえあなたが相手でも、あたしは戦いますよ」

家政婦「先生と市長、エソラさん達のため、あたしは勝たないといけないんです」

指南役「なるほど。いい表情をするようになりましたね」

指南役「では、僕は棄権しましょう」

家政婦「えっ……!?」

指南役「その対価として、亜熱帯の町の宣伝をよろしくお願いします」

家政婦「ちょっと、それは困ります!」

家政婦「あたしはすでに牧場島の宣伝も任されているんですよ……!?」

指南役「だからこそ依頼したんです。条件は同じじゃないですか?」

家政婦「で、でもあたしが3回戦まで進めるとは限らないし……」

指南役「この大会のレベルなら、あなたが3回戦まで進むことはたやすいことでしょう」

家政婦「現役のころより腕は落ちてますから……あ、あなたが代わりに、宣伝してくればいいんじゃないですか!?」

指南役「そうできれば良かったんですが」

指南役「亜熱帯の町がこれ以上戦闘で目立つと、王国を警戒させてしまいます」

指南役「独立運動を起こそうとしていると思われると、亜熱帯の町にとって困ったことになる……」

家政婦「あたしだって、目立ちすぎると今後の仕事に響きます……!」


指南役「審判の人! 僕は棄権します」

審判「了承した」

審判「Dブロック勝ち抜きは、湖畔の楽園代表、家政婦!!」

指南役「じゃ、後は頼みましたよ」

家政婦「そんなぁ……」


開拓者「なぜ家政婦は勝ったのに落ち込んでいるんだ?」

Aブロック決勝 忍者教官(高原の環境都市) VS 暗殺者(金融都市)


忍者教官「……Dブロックの勝者は家政婦殿でござるか」

家政婦「不戦勝ですけどね……」

忍者教官「……一回戦の動きは見事でござった。拙者といい勝負ができるやもしれぬ」

家政婦「……? あなた、あたしと会ったことありましたっけ?」

忍者教官「……見ず知らずの婦人に親しげに話しかけてしまうとは、まるで拙者は不審者でござる」

忍者教官「……さらば!」シュタタタ

開拓者「Aブロックは忍者教官が勝ち抜いたか。やはり出てきたな……」

開拓者「Bブロックは……リゾートの町」

開拓者「Cブロックは、おおっ!」

弟子「写真と牧場の町、ってあそこだよな?」

開拓者「竜騎兵は勝ち抜いたようだな。お前も負けていられないぞ」

弟子「ああ! そろそろ移動しようか」

予選Eブロック

1試合目 ??(??の町) VS ??(??の町)

2試合目 気功槍術家(弟子) (緑の町) VS ??(??の町)



・重装騎士……敵のターゲットを自分に向ける術を極めた鎧の戦士。攻められるのは大好きだが、攻めるのは得意ではない。

・ゲリラ……フードで頭部を覆い隠した、元ゲリラ戦のプロのトラップマスター。一体何者なんだ…?

・ガンマン……トリガーハッピーな連射フリーク。機銃と散弾銃を装備している。


最初の対戦相手は

1.重装騎士(滝の町)
2.ゲリラ(深緑の町)
3.ガンマン(金鉱山の町)

↓2

初戦はガンマンに決定



力士……横綱。短期決戦においては最強とも称される。スタミナが切れやすく長期戦に向かないと言われるが…?

テコンドー……世界チャンプ。長い脚で多彩な蹴り技を繰り出してくる。下段蹴りが無いため軸足を攻められると弱いと言われるが…?

カンフースター……耐久力お化け。爆発や電流などの演出にも耐える。あくまで俳優であり実戦では強くないとも言われるが…?


予選決勝の対戦相手は

A.力士(岩塩の町)
B.テコンドー(瓦の町)
C.カンフースター(俳優学校の町)

↓2選択

予選Eブロック

1試合目 カンフースター(俳優学校の町) VS テコンドー(瓦の町)



テコンドー「まさか一試合目でカンフースターさんに会ってしまうとは運が無い……」

カンフースター「お互い様ですよ……。雇われておいて初戦負けでは面子が立ちません」


弟子「あれ? あの人たち、なんで他の町から出てるんだ?」

開拓者「緑の町代表が言うことじゃないだろ」

弟子「そうだった」

開拓者「一応、関係なくもない町から出ているしな」

弟子「横綱は来てないのか?」

開拓者「Gブロックに名前があった。あのブロックには図書の町がいるから勝ち上がりは厳しいかもな」


テコンドー(一発二発叩き込む程度じゃカンフースターさんは倒せない。長期戦にはしたくない)

カンフースター(彼は蹴り技が主体で、どこからでも飛んでくる……。距離を取るべきではないですね)

二人(取るべき作戦は、猛攻!!)


ガンマン「俺様の出番はまだか。早く撃ちまくりたいぜェ……!」

弟子(試合を始める二人)

弟子(その姿を見ながら、オレは1か月間の厳しいトレーニングを思い返していた……)

5週目

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅡ……狼の群れも突破できる緩急自在な機動力。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅱ……精神攻撃に強い耐性を持つ。
動体視力Ⅲ……集中すれば銃弾もスローモーションに見える。
反射神経Ⅰ……見えさえすれば大抵の攻撃は余裕で避けられる。
気功Ⅱ……体内の『気』を操り戦う。気は武器にも伝播する。
槍術Ⅰ……標準的な王国兵と遜色なく槍を使いこなせる。
柔道Ⅰ……投げ技、絞め技に特化した武道。東洋のレスリング。
高跳び……槍を支えに棒高跳びの要領で跳びあがり、短時間だけ滞空できる。

●ステータス
攻撃力Lv.3
耐久力Lv.3
リーチLv.3

●総評
気功槍術家Ⅱ。
卓越した動体視力で素早い相手をも捉え、気功で強化された槍の一撃を放つ。
仮に槍を手放しても、隙をついて絞め落とす戦法で勝利を狙える。



開拓者「王国戦闘大会に向けた強化訓練を始める」

弟子「おう!」

開拓者「まず今のお前に必要なのは、遠距離攻撃への対策だ」

開拓者「逃げ回って遠くから攻撃される戦法の厄介さは、食の都の予選で身に染みただろう?」

弟子「ああ……追いつけない限り絶対に勝てないからどうしようもなかった」

弟子「避けるだけならできると思うんだけどな」

開拓者「点や線ではなく、面の攻撃だと厳しいぞ。例えば矢の雨が降り注げば、見えていても避けきれないはずだ」

弟子「個人で矢の雨を降らせる奴がいるのかよ」

開拓者「いるぞ」

開拓者「気功を無効化してくる相手も難敵だ」

弟子「そんなのいるのか?」

開拓者「老師から気功を学んだ者はお前だけじゃないだろうし、独学でその領域に至った者もいるだろう」

開拓者「優れた気功の使い手にとって、お前は目がいいだけの普通の槍使いだ」


※トーナメント編では、修行回想システムを採用しています。

※現在の時間軸で戦う相手を見てから対策できます。ずるい。


安価↓1、2、3 特訓内容を指示します(上げる能力を直接指定してもOK)

>>533 大したミスではないですが 重装騎士 → 重装戦士



開拓者「まず、お前にはこの本を読破してもらう」

弟子「なんか、小難しそうな本だな」

開拓者「図書の町で買ってきた、医学の入門書だ」

開拓者「あの町の本は値が張るが、特殊な加工が施されていて、学習効率が非常に高い」

開拓者「難しそうに見えるが、読んでいればスイスイ頭に入ってくるはずだ」

弟子「分かった。特訓の合間に読んでおくよ」


城塞の都の隣町、中心の通りから細い路地に入った先に、その槍術教室はあった。

開拓者「邪魔するぞ」

ガラリ

門下生「何者だ!」

槍英雄「彼は開拓者だ」

開拓者「まだ指導を続けていたか」

槍英雄「体が動かなくなるまで引退はしないさ」

弟子「この爺さんは?」

開拓者「お前が生まれる前の戦争で活躍した元王国兵だ」

開拓者「あらゆる槍の扱いに精通し、食の都の竹槍術を実戦レベルまで改良したのも彼だ」

槍英雄「槍英雄と呼ばれている。よろしく」

弟子「よろしくお願いします! 師匠、オレは槍英雄さんに鍛えてもらえばいいんだな?」

開拓者「ああ。しばらく師匠交代だ」

弟子と槍英雄は軽く槍を打ち合った。

槍英雄「君は、不思議な技を持っているな?」

弟子「気功のことか?」

槍英雄「時たま見た目より攻撃が重くなる。有効な技だが、しばらく封印して欲しい」

槍英雄「純粋な槍の腕を磨くにはその方が好都合だ」

弟子「分かった。そうする」

槍英雄「もう一つ、開拓者から君に教えるよう頼まれた技がある」

弟子「槍投げだな」

槍英雄「私は使いにくい技だと思っているが、開拓者には考えがあるんだろう」

弟子「さっき試しに投げてみたんだけど、意外とまっすぐ飛ばないんだよな」

槍英雄「これは練習でも危険な技だ。門下生がいないときに練習しよう」


弟子は1週間のあいだ、槍術教室の門下生との槍の特訓に明け暮れた。

休憩時間には医学書を読み、人体の急所について暗記した。

弟子「……肝臓……腎臓……心臓への突き」

門下生「おい、休憩時間終わったぞ」

弟子「おっと、悪い! 集中してた!」

門下生「すげぇ恐いこと呟いてたけど、練習で急所は狙うなよ……」

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅡ……狼の群れも突破できる緩急自在な機動力。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅱ……精神攻撃に強い耐性を持つ。
動体視力Ⅲ……集中すれば銃弾もスローモーションに見える。
反射神経Ⅰ……見えさえすれば大抵の攻撃は余裕で避けられる。
★NEW!! 急所攻撃Ⅰ……人体の急所となる部位と、それぞれの部位にダメージを受けたらどうなるかについて理解している。
気功Ⅱ……体内の『気』を操り戦う。気は武器にも伝播する。
★LVUP!! 槍術Ⅱ……槍を自分の体の一部のように使いこなせる。突きは素早く、戻すのも素早い。
柔道Ⅰ……投げ技、絞め技に特化した武道。東洋のレスリング。
高跳び……槍を支えに棒高跳びの要領で跳びあがり、短時間だけ滞空できる。
★NEW!! 槍投げ……槍を遠くまでまっすぐ投げる技。事前動作が大きく、使用すると武器を手放してしまうため、慎重に使う必要がある。

●ステータス
攻撃力Lv.4
耐久力Lv.3
リーチLv.3~5
スピードLv.3

●総評
気功槍術家Ⅲ。
巧みな槍術に気功を組み合わせて威力を増幅している武術家。
卓越した動体視力で、いかなる時も相手の隙を見つけ出す。

弟子(オレはしっかりと遠距離攻撃を覚えた。ガンマンとの試合は大丈夫だ)

弟子(問題は予選決勝。何をしてくるのか見極めておこう)



武道家同士の戦いは佳境に入っていた。

テコンドー家は唇が切れ出血しており、ダメージは大きそうに見える。

一方でカンフースターも防御の上から効かされ、腕と脚が悲鳴をあげつつあった。

だが、テコンドー家はそれに気づかず、自身が一方的に押されていると錯覚していた。

彼は俳優。痛みを表情に出すことなどない。

カンフースター「次で決めます……!」ダッ

テコンドー(まずい……!)

上半身に素早い連撃を浴びせるカンフースターの体が、ふいに傾いた。

カンフースター「ぐっ……!?」

テコンドー(解禁するしかなかった……拳法家流 下段蹴り!)

~~~~~~~~

テコンドー「おい、本当に行かないのか!?」

拳法家「会議で、最後まで皇国に抵抗すると決まったんだ。俺だけ逃げるわけにいかない……」

拳法家「……お前にこれを預けておく」

テコンドー「それは武道家の魂だ。預かれない!」

拳法家「もしも俺たちが全滅した時は、その書物だけが俺たちの技を伝える最後の希望になる」

拳法家「無事に王国についたら、拳法を広めておいてくれよ!」

~~~~~~~~

テコンドー(まだ他人に技を教えられるほど、俺も拳法を使いこなせている自信はない)

テコンドー(だからこそ、今こそ試すとき! 拳法家流 正拳突き!)

腰を落とし、気を込めて打った突きは、軽く弾き落された。

テコンドー(は……?)

体勢を崩していたはずのカンフースターはすでに万全の構えを取っている。

テコンドー(拳法家流 回し受け――)

防御は間に合わず、怒涛の連撃ががら空きの急所に打ち込まれる。

カンフースター「……技の引き出しが多いのは結構」

カンフースター「身についていない技を使うより、得意の脚技で押し切るべきでしたね」

審判「勝者、俳優学校の町!」

治療班「治療を始めます、こちらへどうぞ」


開拓者「あれだな。先に回想に入った方が負ける、というやつだ」

開拓者「終わってみればカンフースターの圧勝か」

弟子「いや……あれ、脚をやられてる。気を操って立ってる感じだ」

弟子「パワーは大したことなさそうだけど、連続攻撃は全部が急所に入ってた」

開拓者「お前と似たタイプか。武器を持っている分お前の方が有利だな」

予選Eブロック

2試合目 気功槍術家(弟子)(緑の町) VS ガンマン(金鉱山の町)



観客A「緑の町が出てくるのって初めてだよな」

観客B「相手は、ファイナルトーナメント1回戦負け常連の金鉱山の町か」

観客A「銃の性能も向上してるし、今回は2回戦まで行けるんじゃないか?」


ガンマン「……開始の合図はまだか」

弟子「マズい、始まった瞬間撃つ気だ……」

弟子(相手は間違いなく距離を取りたがる。とにもかくにも接近しないと始まらない!)

ガンマンは機銃を構えて銃口を向け、弟子は腰を落として突進の構えで待つ。

審判「……開始!!」

ガンマン「ヒィーハァーッ!!」ドガガガガガッ

弟子「痛ッ……!」

開拓者(肩に被弾した! 大丈夫か!?)

左肩に激痛を感じながらも、弟子は精神力でこらえて、身をかがめたまま走り続けた。

狙いは武器。

銃を槍で叩き落とせば、ガンマンは降参するほかない。

ガンマン「チィっ!」ガチャッ

当然、相手が何を狙ってくるかはガンマンにも分かっていた。

バックステップしながら、機銃から散弾銃に持ち帰る。

弟子(あれは、正面の広範囲に弾をばら撒くタイプの銃……!)

弟子(今度こそ避けられない!)

ガンマン「ハチの巣だァ!!」

弟子(一か八か……!!)

ブンッ

開拓者(投げた!!)

ガンマン「ぐふッ……」

弟子(刺さった……けど浅い!)

銃での闘いに慣れているガンマンは、相手の動きに対して咄嗟に体が動く。

槍は急所を外れた。しかし同時に、弟子も銃の射線から外れた。

弟子(まだか……!!)

ガンマンが銃を構えなおす一瞬で、弟子は背後に回り込み、寝技を仕掛ける。

弟子(落ちろ……落ちろ……!!)

武器に頼った男の身体能力が、鍛えた弟子にかなうわけもなく。

ガンマン「参、った、ぜ……俺様の、負けだ」

審判「勝者、緑の町!」

わずか十数秒の死闘であった。

治療班「治療が完了しました」

弟子「完全に治ってる。傷なんてなかったみたいだ」

開拓者「この大会は治療班がいるからこそ成り立っている」

弟子「選手がどんどん死にまくって、瀕死の二人で決勝戦なんて誰も見たくないよな……」

開拓者「強豪を倒すとは、本当に成長したな」

弟子「相手の機動力が無くて助かった。追いつけなかったらどうしようもなかったよ」


弟子「もう次の試合なのか」

開拓者「精神は落ち着かせたか?」

弟子「問題ないよ」

柔道家「カンフースターさんとの試合ですか」

柔道家「彼は想像以上に間合いを詰めてきます。お気をつけて」

弟子「柔道家さんは出場しなかったのか?」

柔道家「自分はどこからもお声がかからなかったもので」

弟子「もったいないな」

予選Eブロック

決勝 気功槍術家(弟子)(緑の町) VS カンフースター(俳優学校の町)



カンフースター「もう気づいているでしょうが……」

カンフースター「気功を使えるのはあなただけではありません」

弟子(師匠の読みが当たった!)

カンフースター「老師には遠く及びませんがね」

弟子「オレからは特に言うことはない。始めようぜ」

審判「……開始!!」

次は、弟子が距離を取る番だった。

懐に入られると槍での攻撃が難しくなる。

後退しながら槍を突き、前進しながら槍を払い、二人は試合場をくるくると周る。

弟子(気を抜くともぐりこまれる!)

至近距離での戦闘を許せば、先ほどのテコンドー家のように、急所への連撃を浴びせられてしまうだろう。


開拓者「動き回っているが、戦局は停滞している」

ガンマン「さっきみてぇに槍を投げつけちまえばいいだろ」

テコンドー「そんなことしたら弾かれて一瞬で終わるぞ」

ガンマン「弾が一発しかねぇってのは不便なこったな」

ついに戦局が動いた。

カンフースターが槍を払いのけずに、柄を掴んだのだ。

弟子「離せ……っ」グッ

カンフースター「……」ググッ

一見お互いに動いていないように見えるが、その実、槍を介して、気功による激しい力の駆け引きが行われている。

ふいにカンフースターは槍を離し、半歩前進。懐に潜り込む。

気功対決においてはカンフースターに軍配が上がったようだ。

怒涛の連続攻撃が弟子を襲う。


柔道家「やられた……!」

開拓者「いや、まだだ! 何が起きたかは分からんが……」

テコンドー「背負い投げか? でもノーダメージだ」


仰向けに倒れていたのはカンフースターの方だった。

連続攻撃の一瞬、弟子はその高速の拳技を見ていた。

そしてわずかに動き、急所ではない位置で攻撃を受け、そのまま腕を取り、背負い投げを決めたのだ。

カンフースター「……ふっ」スタッ

弟子(平気そうに見えるけど……気が乱れてるぜ、俳優!)

再び拮抗。

しかし少しずつ、槍の穂先が当たりはじめる。

そして、カンフースターは突如、後ろに跳びのいた。

カンフースター「……参りました」

弟子「えっ……」

審判「勝者、緑の町!!」

審判「Eブロック勝ち抜きは、緑の町代表、気功槍術家!!」

弟子「なんでだ? まだいけただろ?」

カンフースター「負けを悟ったんです」

カンフースター「あのままでは、すぐに槍が直撃し、大量出血は免れなかった」

カンフースター「命がかかっているわけでもなし。潮時でしょう」

弟子「そうか」

弟子「でも、耐久力がすごいって言われてたのに、普通に槍でケガするんだな」

カンフースター「打たれ強いとよく言われますが……ただ我慢強いだけですよ」


開拓者「よくやった!」

ガンマン「やったぜ! 俺様を倒した男が決勝に進んだ!」

テコンドー「俺を倒したカンフースターさんをよく倒せたな!」

カンフースター「優勝目指して頑張ってください。同じ気功使いとして応援しています」

弟子「同じブロックの全員に見送られるの、なんだか照れるな」


柔道家「力士さんが初戦で負けた……!?」

力士「何が起きたのか全く分からず……。情けない!」

開拓者「Gブロックだろ。あそこには図書の町の代表がいるからな」

開拓者「戦闘に関するあらゆる知識を暗記し、人間離れした反射神経で戦う、ファイナル常連だ」

柔道家「いえ、図書の町の代表も、力士さんと同じ相手に倒されて敗退したようです」

弟子「一体どんな技を使う奴なんだ?」

力士「すまない。何も覚えていない……」

開拓者「負けた後、治療班に時間を戻されていたら覚えていなくて当然だ」

Fブロック決勝 魔物ハンター(湾岸要塞) VS 聖人(聖堂都市)

ざわざわ

魔物ハンター「…………」スタスタ

シスター「聖人様あああ!!」

神父「おお、主よ……。これが貴方の意思なのですか……」

観客A「なんだあいつ、光弾を全部食らってたのにびくともしねぇ」

観客B「要塞の代表選では一人で戦艦を撃沈したらしいわよ……」

観客C「戦艦が勝ってたらどうやって会場に来てたんだよ」


Gブロック決勝 ダンサー(芸能の島) VS クイズ王(図書の町)

クイズ王「うえぇ~ん!! うえぇ~ん!!」

審判「図書の町代表、幼児退行により、戦闘継続不能!」

審判「Gブロック勝ち抜きは、芸能の島代表、ダンサー!!」

ダンサー「私は証明する。人を無力化するために武力は不要なのだと」

観客D「ただ踊っているだけで……あのクイズ王がみるみる動けなくなっていった」


Hブロック決勝 達人(カジノシティ) VS 看守(監獄の町)

観客E「おいおい! 看守が素手の相手に負けるのは初めてじゃないか!?」

観客F「あの男が犯罪で捕まっても逃げ放題ってことだろ……」

観客G「監獄の町の信用にかかわる大事件です……!」

達人「脱獄が不安ならば、この我と、我らの町の武道家が助太刀しよう」

達人「悪のはびこる世の中であってはならない。武は正義のためにある!」

観客A「おい、今回の予選は大荒れだぞ」

観客B「FからHのブロックでファイナル常連のメンツが全滅してるし、Bブロック以外どこの町も初出場だ!」

観客C「でもさ……結局、優勝は無いだろ」

観客D「だな。王国のトップ4は揺るがない」


家政婦「あ、開拓者さん。ファイナル進出おめでとうございます」

開拓者「いや、出てるのは俺じゃないんだけどな」

家政婦「あの。いつも出てる人たちに比べて、あたしたちって知ってる情報が少ないじゃないですか」

開拓者「そうだな。こんなことなら今までの大会もしっかり見に来ておくべきだった」

家政婦「実は、あたしの町の諜報員たちが、他の出場者のデータを分かる範囲で集めてきてくれたんです」

開拓者「おお、町単位だとそういう戦術も使えるのか」

家政婦「そこで相談なんですけど、お互いの知ってる情報を共有できませんか?」

開拓者「それはお前にメリットが無いんじゃないか?」

家政婦「町を作った開拓者さんだからこそ分かることもあると思うんです」

開拓者「どういう労働者教育をしたかくらいしか思い出せないぞ?」

家政婦「それ、すごく大事な情報です!」

開拓者「確かに……俺は多くの町の手の内を知っているのか」


開拓者と家政婦は出場者の情報を共有した。

家政婦は、各町の住民の構成、有名な出場者の経歴を。

開拓者は、出場者たちの予選での戦いぶりについての情報を、それぞれ手に入れた。

ファイナルトーナメントの舞台は、海辺に作られた広大な闘技場である。

この闘技場は、海岸線と観客席を合わせると、ちょうどOの形になるように作られている。

観客席が舞台を囲っていないのはなぜか。

それは、観客を巻き込む可能性がある形状では、王国最強を競う者たちが全力を出せないから。


集うのは16の、人間を超えた者達。

王国戦闘大会ファイナルトーナメント、開幕――!!



※ファイナルトーナメント進出おめでとうございます。

※開拓者シリーズで今まで登場した強い町・強い人のオールスターでお送りします。

※対戦相手は、シナリオ上で、あるいは安価で強さを盛られた人々。人間をやめたレベルの人も多くいます。

※作者はできるだけ弟子を勝たせようとしますが、スキルを見て勝ち方が思いつかない場合、一回戦負けもあり得ます。

王「これより―――」

王「使者よ。第何回だ?」

使者「分かりません。手元の資料にもないですね」

王「―――王国戦闘大会を開催する!!!!」

わあああああああ


使者「実況はこの私、使者と!」

代理人「解説代理人だぜヨロシクゥ!」

使者「ご来場の皆様、一回戦の組み合わせが決まるまでしばらくお待ちください!」


開拓者「対戦の組み合わせはくじ引きで決まる」

開拓者「くじには1から13の番号が振られている。数字が小さいほど当たりだ」

弟子「どういうことだ? トーナメント表に番号が振ってあるわけじゃないのかよ」

開拓者「くじの番号が小さい順に、戦う相手を指名するんだ。運も実力のうちだな」

弟子「なんで13番までしかないんだ?」

開拓者「14番以降は何があっても指名権は回ってこないだろう」


使者「全員くじを引きましたね」

使者「番号を確認してください」

弟子「よっしゃ、5番!」

開拓者「1番から4番の誰かに指名されない限り、こちらから相手を指名できる」

使者「1番の方は」

忍者教官「……拙者でござる」

使者「では、1回戦の相手を指名してください。迷う時間は3分以内でお願いします」

忍者教官「……初めから決めていたでござる」

忍者教官「……隊長殿。勝負を挑ませていただく」

近衛兵隊長「いいだろう」

操縦士「いきなり隊長に行くのか……!」

超能力者「やるなあ」

忍者教官「……拙者の実力を示し、姫様の護衛に近衛兵は不要であると認めさせるでござる」

開拓者(本気で姫を守るなら近衛兵と忍者で協力すればいいだろうに、そんなに独り占めしたいのか……)

 忍者教官(高原の環境都市) VS 近衛兵隊長(王都)

※近衛兵隊長と忍者教官が登場する高原編は 開拓者「安価で高原に町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476533102/)


戦術魔導士「2番は私だね」

弟子「なんでおばあさんがここにいるんだ?」

開拓者「お、おい!」

戦術魔導士「私は魔女だよ……最強の魔女さ」

戦術魔導士「失礼な若造だ……最初の相手はお前にしてやろうか」

戦術魔導士「と、思ったがまずはお前だ」

黒装束「……老人をいたぶる趣味はないのだが」

戦術魔導士「お前、魂を集めているね?」

戦術魔導士「倒した相手を蘇生できなくするような不届き者は、先に追い出しておかないと皆が迷惑するだろう……」

開拓者(危うく一回戦で魔法の町の最強ばあさんと当たるところだった……)

開拓者(相手は端っこの都の代表か。布でくるまれているが、でかい武器を持っているな)

 戦術魔導士(学問の都) VS 黒装束(端っこの都)

※魔法の町は孤島編・山林編などで登場

※黒装束はこのスレで初登場 端っこの都は凍原編で登場

騎士「俺が3番だ」

騎士「初戦の相手はこのメイドにする」

騎士「予選でもまともに戦ってねえし、一番弱そうだ」

達人「女性に武器を向けるとは……!」

竜騎兵「騎士にあるまじき行為である!」

騎士「うるせぇ! 戦闘大会に出た時点で男も女もあるか!」

騎士「何者だろうと関係ねぇ、戦場では強い奴が勝つ! それが気に入らないなら戦場に出てくんじゃねぇ!」

戦術魔導士「ウフフ……その通りだね」

家政婦「うう……」

騎士「チッ。怖くなったんならとっととお屋敷に帰りな」

家政婦「せっかく4番を引いたのに……」

立役者「そっちですか」

エージェント「お気の毒に」

 騎士(城塞の都) VS 家政婦(湖畔の楽園)

※家政婦と騎士はこのスレで初登場

※湖畔編は 開拓者達「安価で素敵な町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486966618/)


弟子「4番が飛ぶから、次はオレの番か」

弟子「師匠? どうする?」

開拓者「少し待て。今考えている」

開拓者(まずは消去法で、常春の都の超能力者、リゾートの町のエージェントは外せる。どちらも準決勝常連だ)

開拓者(予選の戦績から判断して、達人、魔物ハンターも駄目だ。少なくとも初戦で選ぶにはリスクが高すぎる)

開拓者(残りは、竹槍戦士、立役者、操縦士、竜騎兵、ダンサーの5名)

開拓者(順にプロフィールを思い出そう)

食の都代表:竹槍戦士
攻5/耐3/リーチ5/速5
情報:素早い連続突き、突きの衝撃を遠くへ飛ばすことができる、棒高跳びと槍投げの技を持つ
予選:攻撃力と耐久力の高い筋肉戦士を撃破

※竹槍戦士の登場する竹林編は、開拓者「安価で思い出の町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507454884/)

開拓者(槍使いとは思えない身軽さ、速さ、そしてリーチ)

開拓者(食の都の予選を見に行った時点では、弟子の上位互換と言って差し支えなかった)

開拓者(果たして今はどうかな?)


鋼鉄の都代表:立役者
攻3/耐3/リーチ2/速2
情報:王国の人気アクション俳優、刀を使う
予選:ロケ地の村の細剣使いに圧勝

※鋼鉄の都が作られる山林編は、開拓者「安価と魔法で町を作ります」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590055886/)

開拓者(映画が人気の州都、鋼鉄の都からは人気役者が参戦だ)

開拓者(ステータスは高くないが……技巧派なんだろうな)


地衣の都代表:操縦士
攻8/耐8/リーチ3/速8
情報:大きい、速い、重機
予選:爆弾を使う土木作業員に勝利

※地衣の都が作られる凍原編は、設計者「安価で平和に町を作るよ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1591173292/)

開拓者(一方こちらはステータスが高すぎる。これは乗り物の強さだな)

開拓者(予選ではほとんどの相手を正面衝突で倒したようだ。小回りが効くのか?)

フォトジェニックな牧場町代表:竜騎兵
攻5/耐3/リーチ5/速7
情報:馬を走らせながら正確に的を撃つ、馬も強い、馬が傷つくとすごく怒る
予選:レスラーの眉間を撃ちぬいた

※竜騎兵はこのスレで初登場

開拓者(因縁の相手だな……)

開拓者(銃の腕に加えて、馬の脚の速さが厄介だ。馬に蹴られるだけでもかなり危険だ)


芸能の島代表:ダンサー
攻0/耐0/リーチ1/速3
情報:踊る、相手の様子がおかしくなる
予選:無敵の横綱と理論上最強の格闘家に、何もさせずに判定勝ち

※芸能の島が作られる南国編は、開拓者「安価で孤島に町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1462605431/)

開拓者(嘘だろ? まともなパンチも打てないのか。よく戦いに来る気になったな)

開拓者(俺の記憶だと、この町を開拓した時に踊りと学問、そして魔法をいくつか教えていた)

開拓者(つまり魔法を使うのか? しかしどういう魔法なのかが分からない)

開拓者「……ところで、征服者はいるか?」ボソッ

弟子「分からない。一人怪しい奴はいるけど、あんな感じだったか……?」

開拓者「あの黒装束か。だがすでに学問の都代表との試合が決まっているから選べない」

開拓者「挑めるとしたら二回戦だな」

開拓者「まずは勝てそうな相手を狙って、二回戦進出を目指すぞ」

弟子「で、誰を選ぶんだ?」

開拓者「速くてリーチのある竹槍戦士……」

開拓者「おそらく凄腕の剣士、立役者……」

開拓者「でかい重機に乗った操縦士……」

開拓者「因縁のある竜騎兵……」

開拓者「何をしてくるのかが謎のダンサー……」

開拓者「この中から選ぶ。お前は誰に勝てそうだ?」

1回戦の相手は

1.竹槍戦士

2.立役者

3.操縦士

4.竜騎兵

5.ダンサー

↓1から 先に2票入ったもの

弟子「この中だと……立役者だな」

弟子「いくら強い剣士って言っても、槍のリーチがある分オレの方が有利なはず」

開拓者「大丈夫か? 一般的な職業以外で○○者と呼ばれている者は、その分野の超人ばかりだ」

弟子「そうだとしても、とてつもなくすごい役者ってだけだろ?」

使者「残り30秒です」

開拓者「時間が無い。もうそれで決めよう」

弟子「よし。オレは立役者を指名する!」

立役者「受けて立ちます」

立役者「私達の都市は二百年戦争を生き抜いた鋼鉄の都。あなたは私を選んだことを後悔するでしょう」

開拓者(すごく美しい横顔だ。男か? 女にも見えるが)

開拓者(まあ、弟子はそれで集中を乱すことはないだろう。心配はいらないな)

 気功槍術家(弟子)(緑の町) VS 立役者(鋼鉄の都)


その他の面々も順番に相手を選んでいった。

ダンサー「私は彼を選ぶ。肉体の強さなど無意味なのだから」

達人「言ってくれるな。力無き者よ」

超能力者「地衣の都で。あんたみたいな奴はやりやすいんだ」

操縦士「げっ。飛べる奴に指名されてしまった……」

リゾート神「竜騎兵クンと戦ってくれ」

竜騎兵「良かろう! 相手に不足なし!」

竹槍戦士「じゃ、あまりもの同士よろしくな」

魔物ハンター「…………」

決勝トーナメント一回戦

1試合目 超能力者(常春の都) VS 操縦士(地衣の都)

2試合目 騎士(城塞の都) VS 家政婦(湖畔の楽園)

3試合目 弟子(緑の町) VS 立役者(鋼鉄の都)

4試合目 魔物ハンター(湾岸要塞) VS 竹槍戦士(食の都)

5試合目 エージェント(リゾートの町) VS 竜騎兵(牧場の町)

6試合目 ダンサー(芸能の島) VS 達人(砂漠のカジノシティ)

7試合目 戦術魔導士(魔法研究都市) VS 黒装束(端っこの都)

8試合目 忍者教官(高原の観光農園の町) VS 近衛兵隊長(王都)

1試合目 超能力者(常春の都) VS 操縦士(地衣の都)


使者「大変長らくお待たせしました!」

使者「王国戦闘大会! 一回戦をただいまより開始します!」

わああああああ

使者「それでは、選手入場! の前に、映像をご覧ください!」

もしもの時のため、客席と闘技場の間には魔法で見えないバリアが張られている。

そのバリアに、映像が投影される。

この映像は王国各地の中継映像でも見ることができるものだ。

ナレーション「冷え固まった大地。野菜の育たない土。凍り付いた川」

トナカイを連れた先住民の映像とともに、バラライカのどこか切ない音色が流れ始める。

ナレーション「人が定住できないかに思われた凍った平原に、都市が誕生した」

何もない広大な凍原にぽつんと位置する大都市の空撮映像に移り変わった。

ナレーション「都市の名は、地衣の都。王国の未来を背負うエネルギー都市である」

短い映像で、石油製品、発電所の外観、長距離列車が紹介され、映像は終わった。


使者「最強の馬力を生み出すのは人間の叡智、工業技術だ!!」

使者「ツンドラ工務社が送り出す最高性能の重機は、あらゆる人間を、轢く、はねる、追い抜いていく!!」

使者「凍原州 最強の男! 地衣の都代表、操縦士ィィィイイイ!!」

ガガガガガガガガ!!

観客A「でっか……!!」

轟音を上げて現れたのは牽引・地ならしなどに使用する車両を戦闘用に改造した、動く建築と言っていい代物。

一般的な王国人の知る車とはあまりにもスケールが違った。

観客B「あんなものにぶつかられたら、兵器の町の戦車でも吹っ飛ぶんじゃないの……?」

スピーカーから、ラテン調の陽気な音楽が流れ始めた。

マンドリンの軽快な音色に耳をすませていると、暖かい風が頬を撫でる。

ぶわっ

観客C「なんだ? 急に気持ちいい風が」

観客D「見て! 闘技場に花が咲いてる!」

超能力者「穏やかな日差し、心地よい春の風、そして満開の花畑」

超能力者「常春の都へようこそ!」

わあああああ

開拓者「映像を使わずに町を紹介したか!」

弟子「急に気温が変わったぞ。どうなってるんだ?」

開拓者「あいつは超能力で気候を変えることができる」


使者「人知を超えたサイコパワーに、不可能などない!」

使者「王国で5本の指に入る実力者は、今回こそ優勝を果たせるか!?」

使者「日光林州 最強の男! 天文の町出身、常春の都代表! 超能力者ッッッッ!!!」


※超能力者が登場する雪山編は、開拓者「安価で雪山に町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492415481/)

審判「試合開始!」

操縦士「アクセル全開! トップスピードで加速してぶち当たる!」

猛スピードで迫る巨大な鉄の塊の持つエネルギーは、もはや大砲と大差ない。

超能力者(念動力で止まらない……!? だったら、上だ!)


使者「な、なんと超能力者! 地衣の都の重機を浮かせたー!?」

代理人「あのスピードを受け止めるより、重力に逆らう方が楽だったようだな」


しかし浮き上がる直前、重機から分離したいくつかのパーツが小さな車になり、超能力者に向かって走り出す。

操縦士「リモコン式爆弾だ!」

超能力者「こりゃまずい。飛ぶか」

宙に浮いて爆弾を避けた超能力者は、重機をさらに高く持ち上げて、落下させた。


使者「とんでもない爆風と爆炎です! 果たして操縦士は無事なのでしょうか!」

代理人「普通の人間なら生きていないはずだが……」


超能力者はゆっくりと地面に降り立つ。超能力者といえども空を飛ぶのは疲れるのだ。

超能力者「よし、一瞬焦ったけど楽勝だった」

重機の残骸を覆う黒煙の中から、多数の犬が飛び出してきた。

サモエド「……!」

ハスキー「バウッ!」

超能力者「危ないっ!」

犬たちの決死の特攻は、テレポートであっさりとかわされた。

超能力者「重機だけじゃなく犬も操れるのか。やるな」

操縦士「でもやりつくした……ここまでか。負けた!」

審判「勝者! 常春の都代表!」

2試合目 騎士(城塞の都) VS 家政婦(湖畔の楽園)


アナウンス「王国最古の都市、城塞の都」

アナウンス「いつ来ても変わりばえのない町だと思っているそこのアナタ! 城塞の都の最新グルメをご存じですか?」

アナウンス「レッドナン、イチジクココア、納豆とドングリとタコのサンドイッチほか、観客用ロビーで好評発売中!」

アナウンス「英雄の孫、行きつけの店の味! 勇気を出してぜひ一度めしあがれ!」

ざわざわ

観客「城塞の都らしくない宣伝だったな?」

開拓者(騎士のやつ、行きつけの店だからと無理やり宣伝をねじ込んだな。よくやった)

使者「最強の騎士の血族が、ついに世代交代!」

使者「槍英雄の孫にして、前大会決勝を戦った男の息子! 重いプレッシャーを跳ね除けて、勝利を掴めるか!?」

使者「西洋林州 最強の男! 城塞の都代表、騎士ィィイイイ!!」


揺れるビデオカメラが一人の美形の青年を写し、別の男の声がする。

船員「花畑島渡し舟協会プレゼンツ」

船員「……癒しの花園から船で10分。新たな癒しを求めて、彼は画廊島へやってきました」

映像が飛び、島に上陸する。

船員「のどかな画廊島には宿泊所を完備。小さな料理店も併設されています」

青年が画廊の中に入る。

船員「画廊では王国各地の町と村を描いた絵画がずらりと並びます」

おぉー

観客「あれ、俺が昔住んでた村だ!」

開拓者(観客の反応は上々だ。俺と生産者の知る情報と、大学生が各地で撮ってきた写真をもとに、画家が描いた絵画だ)

開拓者(そう。実はだらだらと共同生活していたわけじゃない。俺たち7人は協力して島の名所を作り上げていたのだ)

大学生「……」

開拓者(それにしてもこいつは顎に手を当てて絵を見ているだけで様になるな。モデルをしているだけのことはある)

船員「ひときわ大きな絵画を押すと……なんと、回転扉になっています」

船員「この先は秘密! 他にも仕掛けがいっぱい! からくり画廊島へぜひ遊びに来てください!」

使者「ファイナルトーナメントに久しぶりの女性が登場!」

使者「果たしてどんな戦法で屈強な男たちに挑むのか!? 魔法か!? はたまた筋力かぁ!?」

使者「湖畔の楽園 最強のメイド! 家政婦ゥ!」


家政婦は普段の長袖長ズボンの作業着ではなく、ロング丈のエプロンドレスで登場した。湖畔の町のメイドの正装だ。

家政婦「お手柔らかにお願いします」

騎士「てめえ……さっきの宣伝は何のつもりだ」

家政婦「実は、予選で癒しの花園の代表の方に頼まれまして」

騎士「他の町の宣伝を先にしやがったな」

家政婦「はい。市長が画廊島を優先していいとおっしゃってくださいました」

騎士「つまり俺には楽に勝てるから湖畔の宣伝は後ですればいいって、そう言いたいんだな」

家政婦「いえそんなことは」

騎士「クソが。この大舞台でわけの分からねぇ施設を紹介しやがって。からくりに頼るくらい絵に自信がねぇんなら画家やめちまえ」

家政婦「……タコ納豆には言われたくないですね」ムッ

騎士「あぁ!? うめぇんだぞタコ納豆!」

家政婦「食材で遊んでいるようにしか思えませんが」


開拓者「やめてくれお前達。その言い争いは俺に効く……!」

開拓者「しかし、騎士には悪いが惨敗だろうな」

弟子「どうだろうな……」

弟子「槍英雄さんのところで修行してた時に何回か戦ったんだ。あいつ、気功を使わずに相手すると結構強かったぞ」

審判「試合開始!」

騎士は鎧を着用し、右手に槍、左手に盾を持った伝統の騎士スタイルで勝負に挑む。

家政婦(さて、さっさと武器を奪って降参を促しましょうか)

家政婦が回り込もうとすると、それに合わせて騎士は体の向きを変える。

踏み込むと、後退しながら槍を振り、けん制する。

素早く踏み込み、裏拳で攻撃を加えるが、盾できっちり防がれるとともに反撃される。

家政婦は身をひるがえして反撃の突きから逃れた。

家政婦(あれ……? この人、中々やりますね。ちゃんとした装備してくればよかった……)

距離を取ろうとすると重い鎧を着ているとは思えない速さでついてくる。

騎士(地味だが堅実。この戦い方で祖父も父も上り詰めたんだ)

家政婦「……ごめんなさい。あなたの強さを見くびってました」

家政婦「ここからは……少しだけ本気で相手をします」

そう言うと、入口横に用意しておいたモップを掴んで、家政婦は戻ってきた。

騎士「ふざけてんのかテメエ!」

怒りながらも正しい位置取りは崩さない。あくまで騎士は冷静だった。

家政婦「えいっ、たあっ」キンッ ドスッ

騎士「ぐっ、ぎっ……!」

騎士(おかしい。盾の防御が間に合わない! なぜモップがこれほど重い! あり得ねぇ!)

家政婦「あたし、武器の中で槍が一番得意なんです」ドスッ

騎士「グエッ……!」

家政婦「そろそろ降参してくれませんか?」

騎士「はあ、はあ……き、騎士に……降参は無い!」

家政婦「仕方ないですね……。それでは強めに……えいやっ!」


審判「勝者、湖畔の楽園!」

観客A「メイドにモップで倒される騎士がいるのかよ。笑える」

観客B「弱すぎる……本当に英雄の血を引いてるのか?」

3試合目 弟子(緑の町) VS 立役者(鋼鉄の都)


使者「出演した演劇、映画はすべて大ヒット! 州都予選でも全戦圧勝のトップスター!」

使者「歴史もので当時の王国になかった武器を使うのはいかがなものかと思います! でもアクションがカッコいいから許されてしまう!」

使者「海峡州 最強のアクター! 鋼鉄の都代表、立役者ァァァアアア!!」


わああああ キャアアアア

ユニコーンに乗って登場した立役者が笑顔で客席に手を振っている。

宣伝パートは、鋼鉄の都の近くに作られたばかりの、海峡都市の紹介映像だった。

開拓者「海峡都市か……王国の開拓、最後の大仕事だったか」

家政婦「先生の作った町ですね……」

開拓者「お、もう治療は終わったのか」

家政婦「あたしはノーダメージですよ」

弟子「なあ騎士、大丈夫か? 試合のこと覚えてるか?」

騎士「気ぃ失ってただけだ。時間は戻されちゃいねえよ」

騎士「てめえの相手は……立役者か。あいつの試合は生で見たことある」

騎士「俺の戦い方とそっくりだ。きっちり間合いを維持してくる」

騎士「生半可な技量じゃじわじわ追い詰められるぜ」

家政婦「少し魔力を感じますね」

家政婦「ただの剣士じゃないと思います」

開拓者「情報が今一つ足りないな」

開拓者「俺が分かるのは、ユニコーンに乗っているから立役者は女だということだ。あいつは男装している」

開拓者「試合の役に立つ情報じゃなくてすまん……」


続いて始まった農業局の広報映像を眺めながら、弟子は厳しい特訓を思い返していた。

6週目

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅡ……狼の群れも突破できる緩急自在な機動力。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅱ……精神攻撃に強い耐性を持つ。
動体視力Ⅲ……集中すれば銃弾もスローモーションに見える。
反射神経Ⅰ……見えさえすれば大抵の攻撃は余裕で避けられる。
急所攻撃Ⅰ……人体の急所となる部位と、それぞれの部位にダメージを受けたらどうなるかについて理解している。
気功Ⅱ……体内の『気』を操り戦う。気は武器にも伝播する。
槍術Ⅱ……槍を自分の体の一部のように使いこなせる。突きは素早く、戻すのも素早い。
柔道Ⅰ……投げ技、絞め技に特化した武道。東洋のレスリング。
高跳び……槍を支えに棒高跳びの要領で跳びあがり、短時間だけ滞空できる。
槍投げ……槍を遠くまでまっすぐ投げる技。事前動作が大きく、使用すると武器を手放してしまうため、慎重に使う必要がある。

●ステータス
攻撃力Lv.4
耐久力Lv.3
リーチLv.3~5
スピードLv.3

●総評
気功槍術家Ⅲ。
巧みな槍術に気功を組み合わせて威力を増幅している武術家。
卓越した動体視力で、いかなる時も相手の隙を見つけ出す。


弟子「とうっ!」ブンッ

開拓者「的の中央に命中。素晴らしい槍投げの腕だ」

槍英雄「彼はとても筋がいい。とても槍を使い始めて一か月とは思えなかった」

槍英雄「開拓者、このまま私に弟子を預けてくれないか?」

開拓者「あいにく、弟子に教えているのは槍術だけじゃないんだ」

開拓者「機会があったらまた連れてくる。その時はみっちり仕込んでやってくれ」

槍英雄「残念だ」

弟子「師匠、世の中には魔法を使う奴がいるんだろ?」

開拓者「ああ。才能のある一部の者しか使えないがな」

弟子「もしオレの気功みたいに、武器に魔法をかけて戦う奴がいるとしたらどんな魔法を使ってくるかな?」

開拓者「筋力では代わりにならない、炎や電気、冷気、精神干渉……。当たらない方がいいものばかりだろうな……」


安価↓1、2、3 特訓内容を指示します(上げる能力を直接指定してもOK)

開拓者「どんな魔法があるのか知っておくために、この本を読んでおくといい」

弟子「最近の師匠、本に頼りすぎじゃないか?」

開拓者「仕方ないだろ。魔法学の講師に呼べる知り合いがいないんだ」

開拓者「俺は最近まで魔法の存在を知らなかったからな」

弟子「嘘だろ? 王都の魔法街とか魔法の町があるのに」

開拓者「まさか本当に使えるとは思ってなくてな。オカルトだと思っていた」

弟子「貧民街に住んでるオレですら知ってたぞ」

弟子「師匠って案外常識がないのか? いつも開拓地にいるから」


弟子「なあ師匠、戦闘大会ではみんな武器を使うんだろ?」

開拓者「俺が調べた限りでは、今までの決勝では武器か特殊能力を使う者ばかりだったな」

弟子「調べた、って師匠、戦闘大会のことあまり知らない?」

開拓者「ああ。実際に見に行ったことはない」

弟子「まあいいや」

弟子「相手が武器を使ってくるなら、装備を破壊したり弾き飛ばしたりする技が必要だと思うんだ」

弟子「前言ってなかったか? 武器を破壊するのが得意な人もいるって」

開拓者「俺があの時意識していたのは、ハンマーや斧、あるいは腕力で、物理的に武器を折るような連中のことだった」

開拓者「お前が今から武器や戦法を変えるのは間に合わないかもしれん」

開拓者「だが、装備を外させることができればかなり有利になるな」

開拓者「柔道の技で押さえ込めばできるんじゃないか?」

弟子「武器を奪える体勢になったら、そのまま絞めた方が早いよ」

開拓者「どんな方法を使えばいいものか……」

開拓者(武器を落とさせればいいのか、鎧まで奪いたいのか、それでも話が変わってくる)

開拓者(考えつかないなら誰かに相談しに行くか?)

※実はトーナメントにも装備外しを狙ってくる参加者が4人いるが、全員違う方法を使う


↓2まで 装備の外し方(↓1が最優先、↓1が難しい場合↓2採用)

開拓者「今のお前なら気功を使えたら効率がいいな。老師に会いに行こう」

弟子「その前に、ちょっと師匠に見てもらいたいものがある」

弟子「たしかあっちに……あった」

弟子「これってさ、戦いに使えないかな?」

道端に生えている雑草に弟子が手をかざすと、茎がうねうねと伸び始めた。

開拓者「……驚いたな」

開拓者「もっとブワーッと一気に伸ばせないか?」

弟子「いや、これが限界だ。だから今まで言うまでもないかと思ったんだけど」

開拓者「こんなことができる人間は普通いないぞ。誰でも使えるなら開拓地で重宝する能力だ」

弟子「そんなにすごいのか。昔からできたから、大したことじゃないと思ってたよ」

開拓者「これは一体何に分類される能力だ?」

開拓者「お前にも分かるわけないな。専門家に見せに行くぞ」

天文の町はその名の通り、天文台があることで知られる町だ。

天文台ではかつては占星術師が暦を作り、現代では宇宙物理学者が日進月歩で研究を行っている。

しかしこの町では昔からその研究の方向がどこかずれていた。

具体的に言うと、人間の秘めた潜在能力に着目したのだ。

運命論……魔術……呪い……体内時計……磁覚……上位存在や宇宙知的生命体との念話による交信……。

子供たちはそうした特殊能力の訓練をすることが義務付けられている。

ここは非科学の最先端。


弟子「……すげぇ趣味の悪い町を作ったんだな」

開拓者「人聞きが悪い。ここは俺の作った町じゃないぞ」

開拓者「現在の常識で見ると不気味だが、かつてはこの町こそが学問の都だったんだろう」

開拓者「才能を持って生まれた能力者を見て、努力すれば誰でも能力が使えるようになると思い込み続ける……ある意味で残酷なことだ」


超常現象研究所。

研究員A「精神強度1.53md/rl。干渉指数P=150。天性の覚醒者です」

研究員B「素晴らしい。小学校の首席卒業者レベルだ」

謎のヘルメットを被らされた弟子は、サイキックであることが発覚した。

弟子「褒められてるのか貶されてるのか分からない」

開拓者「おや、この杖はたしか、マナに反応して音が鳴る魔力検知機だったな」

研究員B「ご存じでしたか」

開拓者「握ると魔法の才能があるかどうかが分かるんだろう。前に使ったことがある」

弟子「へえ」ビーッ

研究員A「音が鳴りました。一定の魔力が体内に蓄えられています」

開拓者「お前は何をしても才能があふれ出るのか……」

弟子「オレって、魔法や超能力をなんでも使えるのか?」

開拓者「まだ素人だろう」

研究員「いくら手先が器用で技術者の才能があっても、はじめて使う工具をうまく使える人はいません」

開拓者「だろうな。効率のいい鍛え方はあるか?」

研究員「サイコパワーは精神力に比例することが分かっています」

弟子「たしかに、前より遠くの茎も伸ばせるようになってる」

開拓者「ああ、座禅の効果か。こんなところに活きるとは」


開拓者「そういうわけで、気功で武器を弾くことができないか聞きに来たんだ」

老師「それは私が得意とするところです」

開拓者「お前の武は戦わないためのものだったな。武器を使わせないようにする技があるのは自然か」

弟子は槍を持つよう指示された。

弟子「……本気で突きに行っていいのか?」

老師「もちろん」

弟子「おりゃあ!」

老師「まずはこうです」バシッ!

腕を叩いて手を開かせる技。

老師「もう一度」

老師「武器を持ってない腕なら、こう」スゥ グイッ

弟子「うおっ!?」

老師が腕をつかみ、軽く上に持ち上げるような動きをすると、弟子は意思に反して武器を放り出してしまった。

弟子「これだ……!」

弟子は短期間で気功を極めるため、大岩を割る、体を鉄の棒で殴られるなどの過酷な修行を自ら進んで行った。

老師には無理をするなと釘を刺されたが、やめるつもりは無かった。

休憩時間には魔法についての本を読み、相手が使ってきた場合のイメージトレーニングに集中した。

試しに魔法を使ってみたら、最初のうちは手から火や水を出すことに成功したが、すぐに出せなくなった。

どうやら東洋街では魔力を補給できないようだ。

並行して、今までに習得した技が衰えないよう、槍術や動体視力の特訓も続けた。


その激しい修行の記憶を思い出した後、一度記憶を頭の隅に追いやる。

そして、瞑想……。

弟子「…………」

弟子「…………よし」

開拓者「気合が入ったか」

弟子「ああ。予選の時より気の流れがいい」

弟子「勝ってくるよ」

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅡ……狼の群れも突破できる緩急自在な機動力。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅱ……精神攻撃に強い耐性を持つ。
動体視力Ⅲ……集中すれば銃弾もスローモーションに見える。
反射神経Ⅰ……見えさえすれば大抵の攻撃は余裕で避けられる。
急所攻撃Ⅰ……人体の急所となる部位と、それぞれの部位にダメージを受けたらどうなるかについて理解している。
★LVUP!! 気功Ⅲ……体内の『気』を操り戦う。気は所持品や他人の体にも流れ込む。
槍術Ⅱ……槍を自分の体の一部のように使いこなせる。突きは素早く、戻すのも素早い。
柔道Ⅰ……投げ技、絞め技に特化した武道。東洋のレスリング。
★NEW!! 魔法Ⅰ……魔法についての知識があり、少しだけ使うことができる。
★NEW!! 植物操作能力Ⅰ……生育の早いツタを操ることができる。伸びる速さはアリの歩行くらい。
高跳び……槍を支えに棒高跳びの要領で跳びあがり、短時間だけ滞空できる。
槍投げ……槍を遠くまでまっすぐ投げる技。事前動作が大きく、使用すると武器を手放してしまうため、慎重に使う必要がある。

●ステータス
★UP! 攻撃力Lv.5
★UP! 耐久力Lv.5
リーチLv.3~5
スピードLv.3

●総評
異能槍術家Ⅲ。
気功以外の能力を隠すため、大会には気功槍術家としてエントリーしている。

巧みな槍術に気功を組み合わせて威力を増幅している武術家。
卓越した動体視力で、いかなる時も相手の隙を見つけ出す。

ナレーション「緑の町、農業局がお伝えしました♪」


使者「戦闘大会初出場の町が、急遽送り込んだ素性不明の青年!!」

使者「たとえ何者でも戦闘大会は拒みません!! 己の戦闘能力が身分証明だ!!」

使者「緑の町 最強の男! 気功槍術家ァァァッ!!」


弟子「オレの紹介ひでえ!」

開拓者(ほとんど空欄のプロフィールでエントリーしたからな……)

審判「……試合開始!」

立役者は腰に下げた剣の柄を握り、力強い目で対戦相手を見ている。

ざわっ

観客A「来るぞ……居合だ……!」

観客B「映画で見たのと一緒!」

観客C「まばたきするなよ!」

開拓者「観客が容赦なく戦法をばらしている」

観客のネタバレ情報に従い、まばたきせずに集中していると

立役者「ハァッ!」

ヒュオッ!

弟子「危なっ…!」

尋常でない動体視力を持つ弟子ですらおののく居合抜き、それに続く袈裟斬り、横斬り。

開拓者「あの剣は?」

忍者教官「……カタナでござる。東洋の刀剣の一種であり、とても切れ味が鋭い」

柔道家「忍者が来ているのは知っていましたが、侍も王国に来ていたとは。すでに皇国に全滅させられたとばかり……」

家政婦「でも本物の侍とは動きが違うような気がしますよ」

カンフースター「あれは演劇用の剣術……殺陣(たて)と呼びます」

開拓者「そうか、立役者とは殺陣役者のことだったのか!」

弟子(次の攻撃は、刃でない側が軽く当たるだけ。これは避けずに一突きを)

ガクッ

使者「おっと気功槍術家、崩れ落ちたーっ! 解説の代理人さん、これはどうしたことでしょう!?」

代理人「一体何が起きたんだろうな」

使者「分からないーっ!」


弟子(今の……電気か!?)

電気を蓄えたカタナは映画のようにパチパチと周囲に放電することは無かった。触れるまで電気が流れることには気づけない。

弟子(ヤバい、体が動かない。やられる……!!)


周辺に鉱山町を多く抱え、製鉄で栄えた鋼鉄の都。

この町が誕生した時点から存在していた魔法大学には、ある言い伝えが残っている。

鋼鉄の都の成立には一人の大魔法使いが関与していた、と。

大魔法使いは魔法によって雷を起こし、大地を操り、遠く離れた場所を繋いだという……。


弟子「っ……!!」ダンッ

弟子(気功で筋肉を動かして離脱できたけど……まだ力が入らねえ)フラフラ

ふらつく脚で後退は間に合わず、やむなく槍で受け止める。

パチッ

弟子(また電気! でもさっきより弱い……?)

ふと、目の前から立役者が消えた。

悪い予感。

弟子はすぐさま正面に槍を突き立て、気功の力も借りて棒高跳びで離脱した。

その瞬間、カタナが空を切る。

開拓者「何の前触れもなく背後に現れたぞ。あれはまさか魔法か?」

戦術魔導士「あれは短い距離のワープ。本来は利用価値のない初級の魔法だね」


弟子「ハア、ハア……」

立役者「素晴らしい。ここまで持ちこたえたのはあんたが初めてだ」

弟子(待ってくれるのはありがたい……)

弟子「お前、現れた時と全然雰囲気が違うじゃないか」

立役者「それは当然のこと。私は立役者」

立役者「男でも、女でも、善人でも、悪人でも、強者でも、弱者でも、演じることができる」

弟子「ああそうだな……ユニコーンさえ騙せるのか。本当のお前はこんなに冷たい殺気を放つ野郎なのによ」

立役者「それもまた一面を理解しているに過ぎない。私はサムライを演じているだけなのだから」

弟子(……なんかおかしくないか? ずいぶん待ってくれるな)

立役者「さあそろそろ始めようか」

弟子「ああ。おかげで調子が戻ってきたぜ」


立役者は本来、積極的に攻撃を仕掛けるよりも相手の攻撃に合わせたカウンターを得意としている。

しかし今回の相手はカタナよりリーチが長く、突きを得意とする槍術家。

普段の戦法に適した距離を保つのはむしろ危険であり、間合いを詰めなければならなかった。

グイッ

立役者(何者かに脚を掴まれた……!?)

弟子(かかった!)

弟子はそこを狙った。立役者の足首に植物が巻き付いていた。

1試合目の宣伝で超能力者が咲かせた花にまぎれて、蔓を忍ばせていたのだ。

弟子「くらえ!」

わずかにバランスを崩す立役者に対し、弟子は慌てずに一歩後退すると、槍を投げつけた。

立役者「くっ……!」

避けられない。立役者は仕方なくカタナで叩き落す。

すると、電光が槍を通って地面に流れるのが見えた。

弟子(やっぱりか! あのまま突いていたらまた電撃を食らってた)

弟子(でも、ここからどうする? 触れない相手をどう倒す?)

槍を回収し、構え直しながら、弟子は高速で対抗策を考える。


※ヒント1:短距離ワープは初級魔法
※ヒント2:電撃が弱いときがあった
※ヒント3:なぜか長話で弟子の回復を待ってくれた


1.できるだけ敵に触れないように回避し続けて、チャンスを狙う
2.積極的に攻めてチャンスを作る

↓1から 先に2票入った方

弟子(もう見抜いたぜ。お前の弱点!)

弟子(立役者。お前は、大した魔法使いじゃない!)

電撃にひるまず、弟子は攻撃を仕掛ける。

立役者はそれまで通りの気迫のこもった表情で、槍を避け、時にはカタナで払い、隙を見ては攻撃に転じた。

立役者(まずい……)

立役者(まずい、まずい!!)

しかし内心ではひどく焦っていた。

試合がここまで長引いたこと自体、彼にとっては想定外だったのだ。

立役者(なぜこの男は、電撃を浴びせても動き続けられる!?)

立役者(なぜこの男は、背後からの奇襲を回避できた!?)

苦戦していたのはお互い様。

武器の不利を悟っていた立役者は、早々に必殺の手札を二枚切り、そのどちらも決定打に至らなかった。

弟子「おりゃあ! ……うおっ」ガッ

弟子の足元の土が隆起し、つまずく。

弟子「ふんっ!」

しかしその程度の妨害で弟子が体勢を崩すことは無い。

立役者(完璧に決まったはず! なぜ転ばない!?)

片や、西洋の槍術と、東洋の気功。

片や、東洋の剣術と、西洋の魔法。

それらを組み合わせたオリジナルの戦闘術を使う二人は、似た者同士だった。

しかし決定的な違いは、サブウェポンの練度。

気功を鍛えた弟子の動きを、簡単な魔法で止めることは困難なのだ。

弟子(お前の電撃は、連続で使えないんだろ?)

弟子(さっきの背後へのワープも、地面を少しだけ持ち上げるのも、初級魔法だ!)

弟子(そんなお前の発電魔法は、剣に電気を貯めるスピードが遅い)

弟子(だからこそ、さっきお喋りで時間を稼いだし……頻繁に剣に当たっていればこの通り、静電気しか来ねえ!)

再び、背後へのワープ。

弟子は先ほどと同じように棒高跳びで離脱する。

立役者(やけくそになって攻撃しているわけじゃない……彼は冷静だ)

立役者(弱点を、見抜かれている)

心の隙。

その一瞬を、弟子は見逃さなかった。

弟子(受けてみろ……老師さん直伝、装備弾き!!)

その掌底は、まったく痛みを与えない。

しかしながら技を受けた者は必ず武器を投げ出してしまうのだ。

平和主義の老師らしい技である。

立役者「……勝負、あったな」

立役者「認めよう、あなたはとても強い」

使者「勝者、緑の町!!」

弟子「うおおおおおお!!!」


騎士「地味な試合だったな」

家政婦「まあ……一回戦の派手さに比べると、武器を振り回しているだけでは客席の反応は良くないみたいですね」

開拓者「そうだろうか」

開拓者「戦った本人たちにしか分からないことだが……」

開拓者「客には見えない技の応酬だったのかもしれないぞ」

治療班に電流のダメージを取り除いてもらい、控室に戻ってくるとすでに4試合目が終わっていた。


開拓者「4試合目は湾岸要塞の魔物ハンターと、食の都の竹槍戦士だったな」

弟子「どっちが勝ったんだ?」

騎士「湾岸要塞だった」

開拓者「残念だ。竹槍戦士が勝つと思っていたんだがな」

弟子「どんな戦い方をしてたんだ? 参考にするから教えてくれよ」

騎士「よく分からねぇ。ただ起こったことだけを言わせてもらうと……」

騎士「はじめは何もせず、ただ竹槍で刺されるままだった」

騎士「でもダメージを受けている様子は全然なかった」

開拓者「頑丈だったのか?」

騎士「いや……俺の目がおかしくなっちまったのか、体が衣服ごとへこんでるように見えたな」

騎士「そのあと、食の都の代表は鍛えた筋肉で絞め技をしかけた」

騎士「そうしたら、そいつは触った部分に大火傷を負ってた」

騎士「最後、食の都の代表に、湾岸要塞の代表は変な形の武器を突き刺して……食の都の方は動かなくなった」

開拓者「話を聞く限り、魔物ハンターというより魔物みたいな奴だな」

弟子「体温を上げる魔法でも使ってたのか?」

開拓者「何をされるか分からない相手は戦いにくいだろう。二回戦でも当たりたくない相手だ」

5試合目 エージェント(リゾートの町) VS 竜騎兵(牧場の町)



写真家「いよいよアタシの出番が来ました!」

開拓者「お前が出場するわけじゃないだろうに」

写真家「実際、出るんですよ。開拓者さんよりも先に」


写真を拡大印刷した巨大なパネルがスタッフに運ばれて、闘技場にずらりと並ぶ。

のどかな田園風景。品のある教会。うるうるとした瞳のひつじ。チーズフォンデュ。

ロングバレルの銃を発砲する男性。クワを振り上げる男性。

写真家「……」ガチガチ

写真家「……ア…タシはこの写真を撮っ……」

ざわざわ

観客A「なんて?」

観客B「聞こえないぞー!」

開拓者「まったく……世話の焼ける」

観客C「おい、あれって開拓者じゃないか?」

開拓者「王国の皆! 俺は開拓者だ!」

開拓者「この町を作ったのは、俺と、横にいる写真家の二人だ!」

開拓者「ご覧の通り、写真を撮りたくなるようなイカした町だ!」

開拓者「かわいい動物がたくさんいるし、銃の撃ち放題体験もできる!」

開拓者「城塞の都から出て徒歩5分!」

開拓者「フォトジェニックな牧場の町をよろしく頼む!」

写真家「た、助かりました……」


観客D「あいつ、まだ懲りずに町を作ってるのか」

観客E「でもさ、よく考えたらこの大会に出てる町ってほとんど開拓者が作ってない?」

観客F「俺は開拓者嫌いだけど、開拓者の作る町は好きだよ」

リゾート神「私はリゾートの町の市長、人呼んでリゾート神」

リゾート神「リゾートの町は毎日少しずつ姿を変える。何度訪れても新鮮な楽しみを提供することを約束しよう」

リゾート神「これから諸君に、私のリゾート開発をお見せする」パチン


リゾートの町の市長が指をはじくと、闘技場にヤシの木が生え、コテージが建ち、砂浜と海が出来た。

観客席から歓声が上がる。

写真家「えっ、ど、どうなって……?」

開拓者「彼はリゾート開発を極めた結果、『リゾートを創造し、リゾートを破壊する能力』に目覚めた、と聞いている」

開拓者「リゾート限定ではあるがまさに神のような、恐ろしい市長だ……」

パシャッ ジー

写真家「うわ、顔が真っ青。あの人と何かあったんですね」

※リゾート神の登場する孤島編は、開拓者「安価で孤島に町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1462605431/)


使者「王国最新の観光地の目玉は……動物と、銃!!?」

使者「この町を好きになり移り住んだ誇り高き騎士は、愛馬とともに堂々と戦う!!」

使者「フォトジェニックな牧場の町 最強の男!! 城塞の都出身、竜騎兵ィィィィッ!!!」


使者「リゾートの景観を損ねずゲストを守る、マッチョでハンサムな男たち!!」

使者「リゾート開発の雄、リゾート神の直属の戦闘部隊、『守護天使』を代表してやってきた!!」

使者「南国リゾートの町 最強の男!! エェェェェジェントォ!!」


写真家「……建物とかビーチが残ったままですけど!」

開拓者「超能力者の作った花畑もそのままだったから、そういう方針なんだろう」

写真家「それにしたって地形を変えすぎじゃないですか!?」

馬に乗り、馬の上からライフルで精密な射撃をする竜騎兵。

人間としては規格外の機動力を持ち、体術とリボルバーによる射撃を織り交ぜて戦うエージェント。

二人の試合は激しい銃撃戦だった。


使者「百発百中の腕を持つ竜騎兵、しかし銃撃が当たらない!?」

代理人「銃弾に銃弾を当てて弾いているんだ。人間技じゃねぇな」


この大会では動物は武器として持ち込みが認められる。

竜騎兵は馬を突撃させて馬の脚で蹴る、または踏みつけるという戦法も用いていた。

しかしエージェント相手にそれをすることはできなかった。

なぜなら……

写真家「あれは反則でしょ! 壁を蹴って空中戦なんて!」

開拓者「なんでもありとはいえ、有利な地形に作り替えておくのはさすがに問題かもしれんな」

開拓者「魔法使いたちが足場を全部マグマにしておいて、出場者本人は飛んでおけばほとんど勝てるじゃないか」

写真家「絶対に戦えない地形以外はOKってルールでもあるんですかね?」

開拓者「あらゆる地形での戦闘に対応できてこそ最強……という意図はあるんだろうが……」


1.王様に抗議しに行く
2.リゾート神に抗議しに行く
3.諦めて応援する

↓1選択

写真家「リゾート神に抗議しに行きましょう! 何が神じゃい、卑怯者!」

開拓者「ああ、行ってこい」

写真家「……。……あの人が怖いんですか」

開拓者「ああ怖いさ! 長く開拓をやってきたがリゾート神はトップクラスの脅威だったぞ!」

写真家「開拓者さんのいくじなし! もうアタシ一人で行ってきます!」


開拓者「結局、心配で様子を見に来てしまった……」

リゾート神「つまり、私の部下にとっての足場とは、竜騎兵クンにとっての馬と同じなのだよ」

写真家「屁理屈です! あの壁は出場者であるエージェント本人が用意したものではありません!」

リゾート神は困ったような顔をした後、写真家の頭の上に手をかざした。

開拓者(写真家をリゾート化するつもりか!?)

リゾート神「分かってくれ写真家クン。すべてリゾートのためなのだ」パチン

写真家「…………リゾート万歳! リゾート万歳!」

開拓者(なんてこった! 写真家が洗脳されてしまった!)

写真家「リゾートの写真を撮りたい! 今すぐ撮りたい!」

リゾート神「ほら、リゾートならそこにあるじゃないか」

写真家「……リゾート? ……ここはリゾートじゃない。二人の男性が本気で戦ってる場所です」

リゾート神「……大会で勝てば勝つほどリゾートがバズるんだ。フェアな戦いなんてどうでもいいだろう?」

写真家「バズればいいってものじゃありません!」

写真家「こんな戦い方で勝っても、待っているのは炎上ですよ!」

開拓者(いいぞ写真家! 洗脳されても信念はそのままだ!)

写真家「アタシの大好きなリゾート神様のリゾートが炎上するなんて、耐えられない!」

開拓者(ダメそうだ)

リゾート神「もういい、興ざめだ」パチン

写真家「あれ……? 記憶が飛んだ……?」

リゾート神「出てきなさい開拓者クン」

開拓者「バレていたか」

リゾート神「わざわざ私に抗議してまでフェアな戦いを望むか」

リゾート神「その先に絶望しか待っていないとしても」

開拓者「何?」


審判「試合中断!」

使者「ここで中断です! リゾートの町の市長が、片付けを忘れていたとのことです」

代理人「まあみんな気になるよな、あれは」


即席リゾートと花畑が片付き、元の闘技場に戻った。

開拓者「よし、これで壁蹴りジャンプは封印した。竜騎兵が戦いやすくなるぞ」

写真家「あれ……? 嘘でしょ?」

写真家「壁が無いのに、飛んでる……」


使者「おっとエージェント、空気を蹴って飛んでいる! 非現実的です! 一体どうなっているのか!?」

代理人「これじゃ状況はさっきと何も変わらねえな」

代理人「いやむしろもっと悪くなったか。遮蔽物が無いから、馬が走りやすい代わりに撃たれやすくなってるように見えるぜ」

リゾート神「今回、出場させたエージェントは過去のエージェントたちに比べて体格が良くない」

リゾート神「その代わりに身軽でああいう芸当ができるんだよ」

リゾート神「できれば2回戦まで隠しておきたかったのだがね」


竜騎兵の銃は単発式。

リボルバーを使うエージェントとは連射力に差があった。

馬を走らせているとはいえ、再装填中は隙になる。

やっと装填しても、銃弾に銃弾を当てられて弾かれる。

竜騎兵「これ以上続けても、愛馬を傷つけるだけか……!」

竜騎兵は意を決して馬から飛び降りた。


開拓者「降参か」

写真家「やぶ蛇でしたね……」

開拓者「いや、情報を得ることができたから決して無駄じゃない」

開拓者「仇はとってやる。まだ俺の弟子が残っているからな」

開拓者「おかしい……旗が上がらないぞ」


機動力を失った竜騎兵はまだ敵に銃口を向けている。

降参の意思がないことは明白だった。

しかしリボルバーの連射は容赦なく竜騎兵を襲う。

銃弾に銃弾を当てられるほどの腕前の射撃だ。何発も被弾し、ライフルも弾き飛ばされた。


写真家「一瞬、期待しちゃいましたけど……もう……」


うずくまる竜騎兵は片手を掲げ……

竜騎兵「翔べ! 我が相棒よ!」

降参せず、そう命じた。


エージェントの脚力は、馬の速さに匹敵し、空気を蹴って空を跳ぶことすら可能だ。

鍛え上げた人間はこれほどまでに超人的な力を得るのだ。

それでは、鍛え上げた馬ならどうなるか――


竜騎兵(貴君が連射可能な弾丸は6発……相棒を今撃つことはできまい!)

もはや壁を蹴ってジグザグに移動することもできない。身を隠すための遮蔽物も無い。

主人の重量から解き放たれ、空を翔ける馬の速さたるや、銃弾……いや、砲弾そのもの。

エージェントはあえなく蹴り落とされる。

突き進む馬はそのまま観客席のバリアを蹴り、闘技場の上空を舞った。


観客A「すげぇ……跳んだところの地面が陥没してる」

観客B「カッコいい……空飛ぶドラゴンみたい……!」


クレーターの中央で動かなくなっているエージェントを確認すると、審判は旗を振り上げた。

使者「勝者、牧場の町!!」

写真家「やったーーー!!!」

リゾート神「なんだと……!?」ガタッ

開拓者「あのエージェントも人間としては怪物だったが、馬にはかなわなかったようだな」

写真家「もう馬だけ出場すればいいんじゃないですか?」

開拓者「人間の頭脳が必要なんだろう。いくら凄まじい脚力があっても無策で突っ込むのは危険だ」

写真家「それじゃ、市長さん、地形を戻してくれてサンキューでした」

開拓者「実際、建物がそのままだったら負けていたはずだ。俺からも礼を言うぞ。ありがとう」

リゾート神「くっ……。まさか私の町が一回戦で落ちるとは……」


代理人「城塞の都にあれほどの実力者が隠れていたなんてな」

使者「例年は騎士、今大会に出場している騎士のお父上ですね。彼に敗れることが多かったようです」

使者「また、今大会が初出場の馬だそうです」

代理人「まさにダークホースってか」

6試合目 ダンサー(芸能の島) VS 達人(砂漠のカジノシティ)



観客(ショータイムだ……!!)

芸能の島の宣伝パートは、島のコメディアンや踊り手たちによるパフォーマンスだった。

夏を思わせる爽やかなロックミュージックと、トラディショナルな踊り、おかしな動きで笑わせるネタが特徴だ。

タレントA「それではまた、テレビでお会いしましょー!」

タレントB「王都では放送されてないのだ! うーむ残念!」

踊り手「芸能の島一同、出演依頼をお待ちしております」


観客(こっちもショータイムだ……!!)

砂漠のカジノシティの宣伝パートもやはり、町のコメディアンやミュージシャンによるパフォーマンスだった。

激しい重低音鳴り響くメタルと、マジックやパントマイムなどカジノ内で見られる芸が特徴だ。

ボーカル「スタジアムのみんな……カジノシティで待ってるゼェーーッッッ!!!!」

キーボード「ご清聴ありがとうございました!!」

パントマイマー「…………」パタパタ ペコリ

※カジノシティが作られる砂漠編は、開拓者「安価で砂漠に町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454661413/)


使者「いやー、芸能の島VSカジノシティのパフォーマンス対決、素晴らしかったですね」

代理人「どちらの代表も見ごたえのあるパフォーマンスだったぜ」

代理人「芸能の島は遠く離れた孤島とは思えない洗練されたダンスと音楽が魅力的だった」

代理人「カジノシティは毎日お客に披露してる分、演者に余裕があるのを感じたな」

使者「うーん、優劣つけがたい!! ここは審判に判定していただきましょう! 会場の審判さーん!」

審判「そろそろ始めてください」

使者「えーと、はい」

使者「選手入場!」

使者「楽しいパフォーマンスを披露してくれた踊り手の一人が、引き続き戦いでも魅せる!」

使者「予選では強豪の格闘家たちに完勝! その勝利の秘密はこの試合で解き明かされるのか!?」

使者「最果てのアーティスト・アイランド 最強の男! ダンサァァァアア!!!」

ダンサー「ふふっ」


使者「徒手空拳での王国最強はすでに決定している!」

使者「とくと見よ! 最高峰の肉体と武術! これが強さの王道だ!」

使者「砂漠のカジノシティ 最強の男! 王国武術大会優勝者 達ジィィィィィンッ!!!」

達人「礼!」ペコリ


開拓者「武術大会は俺が提案して開いた大会だ」

弟子「ってことはあいつとも知り合いなのか」

開拓者「ああ、あいつには砂漠の町で一番才能があった」

開拓者「東洋街の老師と、それと同じくらい強い師範を倒して優勝した」

開拓者「武器防具無し、魔法や特殊能力無しのルールなら、王都代表ともいい勝負ができるだろう」

開拓者「芸能の島も俺が開拓した町なんだが……」

弟子「そっちもかよ」

開拓者「あの時、戦える者を育てた覚えはない。あのダンサーは何なんだ?」

弟子「しかもあいつ、武器を持ってるようには見えないぞ」

ダンサー「私のダンスには宿っている。島の神の力が」

達人「我は神を信じていない。信じるのは己のみ」

ダンサー「私はあなたのような強き者の姿を変えた。塩をまく者はナメクジに。知恵ある者は赤ちゃんに」

ダンサー「宣言しよう。あなたは島の名産、ナマコになる」


審判「試合開始!」

ダンサーは達人から離れながら軽快なステップを踏む。

神のダンスの始まりだ。

使者「思わず見とれてしまうようなダンスです」

代理人「たしかに目が離せなくなるな。達人の様子は……」

使者「おおっと達人、目を閉じている! ダンスを視界に入れない作戦か!?」


達人「我なりにそなたの技について考えてきた」

達人「我の出した答えは……何を企んでいようと見なければ良い」

達人はのしのしと、正面に向かって歩き出す。

この対処法は正しかった。

ダンサーの戦法の正体は、戦う相手に効果を増幅する魔法をかけておいた状態で使う、催眠術である。

目を閉じていなければ、今ごろ手も足も出せなくなっていただろう。


ダンサー(想定内です。あなたの対応)

予選で、力士はダンスからわずかに視線をそらしながらダンサーにつかみかかろうとした。

しかしこのダンスは視界に入っていれば不可避。あえなく地を這った。

クイズ王は足元だけを見て戦おうとした。

しかし相手を見ずに攻撃を当てることは不可能。ちらちらとダンスが視界に入るたび知性を失っていった。

対処法が分かっていても対処できない。

誰もが突然、視覚を失った状態での戦いを強いられる。

観客「あれ? 急に腕が重くなってきた……」

写真家「脚に力が入りません。た、立てない……」

開拓者「なるほど、催眠術か」

弟子「分かったのか、師匠?」

開拓者は弟子に催眠ダンスについて説明した。

開拓者「効果増幅の魔法を受けていなくても長時間見ていると危険だな。催眠が効きやすい者はすでに不調を感じているようだ」

忍者教官「……足音がしない。姿をとらえずに攻撃を当てるのは至難の業でござる」

弟子「いや。オレならあいつ、楽に勝てるぞ」

弟子は目を閉じて言った。


同じく目を閉じたまま棒立ちしていた達人が、走り出す。

ダンサー(なっ、こちらにまっすぐ……!?)

達人は素早くダンサーの脚を払う。

倒れたダンサーの顔を狙ったパンチは、寸前で止まる。

達人「足音は消せても、気配は消せないようだな」

ダンサー「……参りました」

達人「気配を消す技術さえ習得すれば、そなたはまだ強くなれる」

達人「機会があれば、また闘おう!」

ダンサー「もう結構ですよ。荒事は」


弟子「砂漠の町の代表も、気功が使えるんだな」

開拓者「それだけじゃないぞ。東洋街の武道家たちの多くが武道を教えに来ていた」

開拓者「達人はそのすべての技術を吸収していると言っていい」

7試合目 戦術魔導士(学問の都) VS 黒装束(端っこの都)


アナウンス「国立セントラル大学――。都立マイスター大学――。私立バイオ大学――」

アナウンス「願書受付中――!!」

学問の都のPRは、やはり大学の宣伝だ。

弟子「すごい都市だな……。端っこの都とは比べ物にならない」

開拓者「学問の都の中心街の発展ぶりは異常だからな。王都の次に栄えている大都市だ」


使者「戦場は男だけのものじゃない! 女性で最初の戦闘大会出場者は、今回も優勝に王手をかけるか!?」

使者「究極の魔法は立ちふさがる若人たちをまとめて吹き飛ばす!」

使者「温暖林州 最強の魔女! 魔法研究都市在住、学問の都代表! 戦術ゥゥゥ魔導士ィィィ!!!」


開拓者「あのばあさんは戦績がすごい」

開拓者「初出場からずっと準優勝している」

弟子「そんな強い選手だったのか!? どんな魔法を使うんだ?」

開拓者「戦争用の魔法を使うらしい」

開拓者「戦争用と言うからには、立役者やダンサーの使う魔法とは格が違うんだろうな」

弟子「何も知らないのかよ」

開拓者「俺も戦績しか知らないんだ」


観客A「ぶちかませババアー!! 一回戦だからって手を抜くんじゃねーぞ!!」

観客B「あなたは女性の希望よー! 隊長に勝ってー!」


開拓者「観客も当然彼女が勝つと確信しているようだ」

開拓者「だが、その相手はおそらく……」

弟子「ああ……征服者だ」

端っこの都のPRは、草原を走る列車の映像や、中心街の落ち着いた街並みだった。

弟子「オレの知ってる町じゃねーな」

開拓者「王国中に見せても恥ずかしくない部分だけを抜き出している」

弟子「貧民街を見せられないのは分かるけどよ。他にもあるだろ」

開拓者「市長は、中心街以外は全て恥だと思っているということか……傲慢だな」

開拓者「……! 出たぞ、あの男だ」

入場口から現れた黒装束の男は身の丈を超える巨大な鎌を携えている。

開拓者「なんと禍々しい……!」

弟子「あんな武器だったかな……?」


使者「皇国からやってきた黒装束の死神が、老女に死を宣告する!」

使者「その大鎌でいったいどれだけの魂を狩り取ってきたのか!?」

使者「平原州 最強の男! 端っこの都代表、葬送者ァァァアアア!!!」


弟子「……葬送者?」

開拓者「堂々と征服者と名乗るわけにもいかんだろう」

開拓者「皇国から来たと紹介された。特徴が一致している……やはり間違いないか?」


黒装束「……申し訳ない」

黒装束「……俺は魂を奪う以外の勝ち方を知らない」

戦術魔導士「そうかい」

戦術魔導士「その鎌が私に届くことはないから安心しなよ」

審判「試合開始――」

審判「うわぁっ!」

合図とともに恐ろしいほどの加速を見せる黒い影。

戦術魔導士は一歩も動かず……

人間二人分の直径を持つ火の玉が、彼女の頭上から出現すると同時に撃ちだされた。

葬送者はまるで慣性を無視したかのように直角に移動し、火の玉の進路から外れる。

しかしそれで回避したことにはならなかった。

火の玉は破裂し爆発を起こす。

その衝撃波だけで葬送者は宙を舞う。

ここまで一瞬。一連の動きが見えていたのはそう多くない。

弟子(あの異常な動き、やっぱりあいつが……っ!!)

着地を待たずして、次の火の玉が発射される。

空中にいて回避のしようがない葬送者は、戦術魔導士の周囲にいくつもの火の玉が浮いているのを見た。

まさに絶望的状況……。

戦術魔導士(終わりだね)

ついに火の玉が葬送者を飲み込んだ。

開拓者「やったか!?」


~~~~~~~~

戦術魔導士「私も参加させなさい!」

彼女がまだもう少し若いころ……王国戦闘大会に出場できるのは男性だけだった。

そんな中、60代の女性が男の世界である戦場に挑むと宣言したものだから、世間は嘲笑し、観客席からは過激な暴言で煽り立てた。

しかしその魔法の威力に出場者たちと観客は唖然とさせられた。

今までに出場した魔法使いとはレベルが違いすぎたのだ。

ただし、その快進撃は決勝戦で近衛兵の隊長に止められる。

世の男性たちはすっかり安堵した。別に隊長以外の男が負けた事実は変わらないのだが。

準優勝という好成績を収めたが、世間の反応は『やっぱり女は男に勝てないんだな』というものばかり。彼女は悔しさに震えた。

以来、ずっと隊長を倒すことだけを考え、他の選手のことは歯牙にもかけていなかった。

そう。油断していたのだ……。

~~~~~~~~


弟子「いや、まだ気を感じる!」

煙の中から葬送者が飛び出し――

葬送者が地に倒れ伏していた。

使者「勝者! 学問の都!」


開拓者「今のは負ける流れだっただろ!!」

弟子「えっ、征服者が負けた……? うそだろ……?」

開拓者「まあお前の仇敵とはいえ、王国の最強格の一人と戦えばこうなってもおかしくないが……」

弟子「もしかしてあいつ、征服者とは別人ってこと、ないか……?」

開拓者「特徴は一致していたが、偶然似ているだけだった可能性はある」

開拓者「だがそうだとすると、征服者は出場してないってことになるな」

弟子「……マジで?」

開拓者「……お前が聞いた噂はあの男の事だろう。他に特徴の一致する選手はいない」

弟子「やべえ、モチベーションが無くなった」


戦術魔導士「火の玉だけかと思ったかい?」

黒装束「……俺の身に何が起きたんだ?」

戦術魔導士「肉体強化魔法を使った私の手がお前の胴体を貫通したのさ」

戦術魔導士「決着がついたあと、私が時間を戻して蘇らせたんだよ」

黒装束「……そうか。俺が負けてしまうとは」

黒装束「……世界は広いな」

8試合目 忍者教官(高原の環境都市) VS 近衛兵隊長(王都)


~♪

忍者「ニン! ニン! ニン! ニンジャ!」

籠を抱えた忍者たちが闘技場を行進していた。籠の中には野菜や果物がどっさり乗っている。

高原の環境都市の宣伝タイムだ。

ひとしきり行進が終わると、忍者たちは大きな布を広げた。

『ようこそ 忍者山アグリカルチュラルパーク』

『離宮もあるよ!』

使者「療養中の姫を影から守るのが我らのつとめ!」

使者「空気がおいしくごはんもおいしい健康的な都市から、なぜか忍者が見参!」

使者「高原の環境都市 最強の男! 忍者たちのリーダー、忍者……教カァァァン!!」

次の瞬間、すべての忍者が煙となって消えた。

忍者教官「……すべて拙者の分身でござる」


闘技場の入場口から国王が現れると、観客席の、そして中継先の、王国民たちは一斉に拍手で出迎えた。

忍者教官だけが拍手をしていなかった。シツレイ!

王「王国民たちよ!」

王「長く続いた開拓を終え、王国は大きな岐路に立たされておる!」

王「だが安心して欲しい!」

王「王国には数多くの、強き者たちがいるのだ!」

王「この戦闘大会にて、その頂点が決まる!」

王「この力強き国で、最強の称号を手にする者……新たな王者の誕生を、余とともに見届けようぞ!」

わあああああ

使者「選手入場!」

使者「歴代の戦闘大会、そのすべてで優勝したチャンピオンが堂々登場だ!」

使者「王家を守る近衛兵たちを率いる、王の盾にして王の鉾!」

使者「王都最強の男! 近衛兵、隊長!!!」

近衛兵隊長「一戦目から油断はしない」

近衛兵隊長「王家のため、優勝するのはこの私だ」

試合開始の合図とともに、忍者教官は猛攻撃を仕掛けた。

煙玉で身を隠し、様々な角度から手裏剣を飛ばすと、隊長はその場から動かず、最低限の動きだけですべてを回避する。

忍者教官「……ならばこれはどうでござるか」

大量の分身を作りだし、隊長を包囲。

すべての分身が走り回りながら代わる代わるクナイで攻撃を仕掛ける。

しかしやはり隊長はほとんど動かずにそれを避け続ける。


使者「さすが隊長! 圧倒的なスピードと手数で攻めても、びくともしない!」

代理人「忍者はいろんな道具を使って戦うようだ」

代理人「他にどんな物を使ってくるか、まだまだ目が離せないぜ!」


開拓者「忍者! もっと色んな技を使え! 単調な攻撃では歯が立たんぞ!」

忍者教官「……あれで全力でござるよ」

開拓者「うおっ!? 忍者!? って分身か」

開拓者「観客席にまで分身を出す余裕があるのか?」

忍者教官「……拙者は本物でござる」

忍者教官「……分身も出してはおらぬ」

開拓者「何? だったらあそこで戦っているのは誰だ」

忍者教官「……なぜ反撃しないでござるか」

近衛兵隊長「勘弁してくださいよ……職務上、貴方に攻撃を加えることはできませんゆえ」

近衛兵隊長「私は何をすればいいのですか。命じられれば降参いたしますが」

忍者教官「それでは意味がないでござるの!」

ドロン

姫「わたくしは、あなたを倒すために戦闘大会に出たんですもの!」

ざわわっ

観客A「えっ、あれって姫様じゃない?」

観客B「まさか身代わりの術で姫を盾に!? 汚いな! さすが忍者汚い!」

使者「姫様ぁ!? そこで何をしてらっしゃるんですか!?」

姫「パパ! 聞いてるかしら!?」

姫「わたくし、隊長を倒して王国最強になりますの!!」

近衛兵隊長「困ります。それでは我々の仕事がなくなってしまう」

姫「それが嫌ならわたくしを倒すことね! で、ござる!」

近衛兵隊長「倒してもクビ、倒されてもクビ、私はどうすればいいんですか……」

近衛兵隊長「おや、あそこに本物の忍者殿が!」

忍者教官「……む?」

近衛兵隊長「貴方は姫様より強いだろう! どうか、姫様の代わりに戦ってくれないか!」

近衛兵隊長「そうしたら、姫様に攻撃を加えずに、私が姫様に勝てることを証明できる!」

忍者教官「……そうなるか?」

近衛兵隊長「来ないのならばこちらから行くぞ!」

急遽、本物の忍者教官が戦うことになった。

忍者教官「……分身の術」

近衛兵隊長(すべてまとめて攻撃すればいい)

姫「変化の術と分身の術!」

忍者教官(姫)たち「「これぞ二重分身の術でござるわ!」」

近衛兵隊長(姫様が邪魔だ!! 忍者に化けた本物の姫を巻き込んでしまう!!)


忍者教官「……土壁の術!」

近衛兵隊長(壁を突き破れば問題あるまい)

姫「わたくしと戦いなさい!!」サッ

近衛兵隊長(近ッ、ブレーキィィィィッ!!!!)

頻繁に割り込む姫に攻撃を当てないように立ち回ることを強いられた隊長は、ひどく疲労した。


忍者教官「……もう負けた(ことにする)でござる」

近衛兵隊長「ありがとう。心から、ありがとう」

使者「勝者は王都代表!!」

審判「えっ、まだ旗を上げてないのに」

姫「納得いかない!」


開拓者「姫、予選で暗殺者を倒してたよな……。それで十分だろう」

のちに、隊長は今までの戦闘大会で最も苦戦した試合だったと語った。


観客A「あの忍者、なんども姫様を盾にしやがった!」

観客B「予選で姫様を暗殺しようとしてたのか? 許すまじ、金融都市!」

嫌な火種も残った。


観客C「あの病弱な姫様があんなにたくましく……環境って大事なんだな」

観客D「うちの子も高原で療養させようかしら」

町の最高の宣伝にもなった。

使者「これにて王国戦闘大会、一回戦のすべてが終了しました!」

使者「どうですか、解説の代理人さん」

代理人「今大会は初出場の町と選手が多かったが、一回戦でほとんどいなくなっちまった」

使者「まだ達人、魔物ハンター、竜騎兵、気功槍術家、家政婦の5人が残っています」

代理人「達人と魔物ハンターには期待しているぜ」

使者「そうですね。一回戦ではどちらもまったく苦戦する様子を見せませんでした」

代理人「一回戦はいつもの面々も苦戦してなかったように見えたな」

使者「二回戦では優勝候補同士の激突もありえます。熱戦が予想されますね」

開拓者「行くぞ。二回戦の相手を決めるくじ引きが始まる」

弟子「オレ、何のために戦ってるんだっけ……?」

開拓者「たしかに、お前の倒すべき相手はいなくなった。あるいは元からいなかった」

開拓者「だが、忘れたか? お前には優勝を目指す理由があっただろう」

弟子「……!」

開拓者「妹を救うんだろう? 一戦でも多く勝ち進めば王国中の注目を集められる」

開拓者「優勝すれば国王を頼れるかもしれない」

弟子「師匠……ごめん。忘れていたよ」

弟子「今できるのはオレの強さを示すこと。やれるだけやらなきゃな」


使者「皆さん集まりましたね。まずは二回戦進出おめでとうございます」

使者「それでは順番にくじを引いてください」


家政婦「あのー、開拓者さんとそのお弟子さん」

開拓者「どうした?」

家政婦「もし5番までの数字を引いても、あたしを指名しないでいただけると助かります……」

家政婦「あたしは約束があって、絶対に3回戦まで進まないといけないので……」

開拓者「亜熱帯の町か……」

家政婦「はい……。市長がそちらの宣伝を先にするとおっしゃったので、ここで負けると湖畔の楽園の宣伝が無くなります」

家政婦「そうなったら市長が許してもあたしが自分を許せません。先生に会わせる顔がないです……」

開拓者「分かった。だが、大丈夫か?」

開拓者「二回戦ともなると、戦いたくない相手しか残っていない」

開拓者「運よく残った人間は一回戦でふるい落とされる。残っているのは人間をやめているような者ばかりだ」

家政婦「そうですね……。もうあまり自信はないです」


弟子「おおおっ! 1番だ!」

弟子「師匠! オレは誰を指名すればいいんだ?」

開拓者「誰も指名したくないな……。ちょっと考えさせてくれ」

開拓者(どいつもこいつも化け物だが、誰かを選ばないといけない)

開拓者(知っている情報を整理してみよう)

フォトジェニックな牧場町代表:竜騎兵
攻5/耐3/リーチ5/速7~10
情報:馬を走らせながら正確に的を撃つ、馬も強い、馬が傷つくとすごく怒る
追加情報:おそらく王国最強の馬、銃は単発式で連射できない


開拓者(知っていた情報よりも馬が強すぎた)

開拓者(竜騎兵の方を倒せばいいとはいえ、そもそも遠距離攻撃ができなければ一方的に攻撃され続ける強敵だ)

開拓者(そして、俺の弟子が倒してしまうと写真家に申し訳ないから、あまり戦わせたくない相手だ……)


常春の都代表:超能力者
攻10/耐2~6/リーチ10/速5~10
情報:超能力者らしいことは大体できる、気候を変えられる
予選:常春の都予選では優勝者が超能力者への挑戦権を得るが大抵手も足も出ずに負ける


開拓者(ベスト4常連。念動力、発火能力、瞬間移動、バリア……様々な超能力を使いこなす)

開拓者(超能力は思念の力だ。集中を乱すと使えなくなるという弱点は一応ある)

開拓者(しかし基本的に彼が集中を乱すことは無い)


学問の都代表:戦術魔導士
攻10/耐5/リーチ10/速1
情報:魔女の頂点、戦争用の魔法を使う
予選:パワードスーツを着た市長(兵器の町)を撃破


開拓者(いつも準優勝のばあさんだ)

開拓者(火炎魔法、強化魔法、その他様々な魔法。その一つ一つで簡単に大勢の命を奪うことができる)

開拓者(魔力が尽きると一時的に魔法が使えなくなるはずだが……どう考えても時間稼ぎができる相手じゃない)


砂漠のカジノシティ代表:達人
攻9/耐9/リーチ1/速4
情報:武道家の頂点、気功も使える
予選:王国武術大会優勝のため予選免除


開拓者(王国で一番強い武道家だ。俺が間接的に育てた)

開拓者(体術を極めている。気功も俺の弟子より強いだろう)

開拓者(リーチが短いためあらゆる武器や特殊能力が弱点と言えるが、簡単に倒れてくれそうにない)

湾岸要塞代表:魔物ハンター
攻3以上/耐10/リーチ2/速2以上
情報:体が変形しすべての攻撃を受け止める?、体から高熱を放つ?、奇妙な形状の武器を持っている
予選:戦艦を単独で制圧


開拓者(あまりにも情報が少ない。なぜか嫌な予感がする……)

開拓者(話を聞く限り、最もタフな選手だ)

開拓者(姿はおそろしく不細工な中年男性だ。脚が短すぎるし、顔が歪みすぎじゃないか?)


湖畔の楽園代表:家政婦
攻8以上/耐4以上/リーチ3/速3以上
情報:元傭兵、得意武器は槍
予選:一度も攻撃をしていない


開拓者(彼女が本気で戦っているところをまだ見たことが無い)

開拓者(観客は舐めていたが、騎士は決して弱くない。その鉄壁のガードがあまりにも軽く打ち破られていた)

開拓者(頼まれなくてもわざわざ挑もうとは思わない……)


王都代表:近衛兵隊長
攻8/耐10/リーチ2~5/速8
情報:これまでの戦闘大会ですべて優勝、剣士だが武器を持たなくても戦える
予選:王都予選は最もレベルの高い予選と言われる


開拓者(考えるまでもなく駄目だ)

開拓者(姫は勝てる見込みがあったのではなく、最初から隊長を超えることだけが目標だったから挑んだんだ)

開拓者(どちらにしろ勝ち進んだら決勝で当たることにはなるが……)

開拓者「誰を選んでも、一回戦とは雲泥の差だ……」

弟子「師匠! 時間がないぞ!」

開拓者(銃技と速度の竜騎兵か……)

開拓者(なんでもありの超能力者か……)

開拓者(破壊力の高すぎる戦術魔導士か……)

開拓者(純粋な強者、達人か……)

開拓者(正体不明の魔物ハンターか……)

開拓者(真の実力が分からない家政婦か……)

開拓者(ここであえての近衛兵隊長か……)

2回戦の相手は

1.竜騎兵

2.超能力者

3.戦術魔導士

4.達人

5.魔物ハンター

6.家政婦

7.近衛兵隊長

↓1から 先に2票入ったもの

開拓者「……超能力者だ」

弟子「分かった。師匠がそう言うなら、オレにも勝ち目があるんだな」

弟子「オレの相手は、超能力者にする」

超能力者「へえ。ここで俺を選ぶのか」

開拓者「お前の弱点は知っているからな」

超能力者「……あれはしょうがないだろ?」


使者「では2番の方」

近衛兵隊長「2番は貴方だぞ」

魔物ハンター「……」

目の焦点が合っていない醜い男は、無言で達人を指さした。

達人「触れることのできない者との闘いか。良い試練だ」

戦術魔導士「長く生きてきたけれど、薬指で指さす人は初めて見たよ」


達人「3番は我だ」

超能力者「俺、4番」

家政婦「えっ。順番が回ってくると思ってなかった」

使者「あなたの指名が終わると、残った二人の試合が決まります」

家政婦「何も考えてませんでした……」

家政婦「どうしましょう、開拓者さん」

開拓者「俺に聞くなよ」

開拓者「まあ、消去法でいいんじゃないか」

残っているのはいつもの優勝者と準優勝者。そしてもう一人。

家政婦「あっ、そうか。では、竜――」

戦術魔導士「おや、5番を持っているのは私だよ」

家政婦「はい? そんなわけ、あれ? なんで?」

家政婦「さっきまで確かにあたしのくじに5番って書かれてたのに……!」

戦術魔導士「私はお前と戦うことにするよ。なに、ケガさせやしないさ」

家政婦「そんな!?」

開拓者「家政婦、お疲れさま」

弟子「もう自分の町の宣伝した方がいいと思うぞ」

超能力者「おい、ばあさん……すり替えたろ?」

戦術魔導士「フフフ、証拠はどこにあるんだい?」

超能力者「隊長とは決勝で戦いたかったんだろ。このタイミングでぶつかって負けたら、連続準優勝記録も途絶えてしまうから」

戦術魔導士「それは証拠にならないねえ」

戦術魔導士「あとね、その理由は的外れだよ。準優勝にこだわりなんて無い。今年勝つのは私だからね」

戦術魔導士「ただ……お楽しみは最後に取っておくべきだろう?」

超能力者「ほとんど自白じゃないか」


竜騎兵「我の相手は隊長か」

近衛兵隊長「残念だったか?」

竜騎兵「騎士に臆病風は吹かぬ! ただ最善を尽くすのみ!」


使者「一回戦と同じく、試合順はこちらで適当に決めます」

使者「準備ができるまで待っていてください」

決勝トーナメント二回戦

1試合目 竜騎兵(牧場の町) VS 近衛兵隊長(王都)

2試合目 気功槍術家(緑の町) VS 超能力者(常春の都)

3試合目 魔物ハンター(湾岸要塞) VS 達人(砂漠のカジノシティ)

4試合目 家政婦(湖畔の楽園) VS 戦術魔導士(学問の都)

1試合目 竜騎兵(牧場の町) VS 近衛兵隊長(王都)



使者「お待たせしました!」

使者「これより、王国戦闘大会、二回戦を開始します!」

観客A「結構待ち時間が長かったね」

観客B「周りの親子連れがいなくなってるけど、どうしたんだろう」

使者「それでははじめに、映像をご覧ください!」

それは王国の歴史を15分にまとめたドキュメンタリーだった。

観客を睡魔が襲った。

観客A「ああ、これ子供は退屈かも……」

観客B「せめてもうちょっとアップテンポなBGMをつけて欲しかった……」

使者「続いて、牧場の町のPRに移ります!」

観客席のバリアに投影された映像が消えると、1m四方に分割されたバリアがそれぞれ回転し、映像が投影される面が闘技場側に向いた。

ざわざわ

観客A「今の、何か意味あるの?」

観客B「あそこ! 何か出てくる」

入場口から現れたのは……

使者「夢の世界から人間を萌え殺しにやってきたのか!?」

使者「あざとさ最凶のどうぶつ! ひつじぃぃ!!」

ひつじ「めぇ~♪」

使者「小さな王子様がみんなを食べちゃうぞ!」

使者「将来はきっと最強のどうぶつ! ライオンの赤ちゃああん!!」

ライオンの赤ちゃん「れおお~ん!」

使者「そして、どうぶつ軍団だぁ~!!」

たくさんの小動物が、闘技場を埋め尽くす!

観客席と闘技場を隔てるバリアに、牧場の町のパノラマ写真が投影される!

使者「出張版ふれあい牧場 オープンでございます!」

使者「混雑防止のため、13歳未満のお子様は入場を制限しております!」

使者「小さなお子様は、保護者の方とご一緒に入場してください!」

PR勝負では牧場の町に軍配が上がった。

使者「選手入場!」

使者「一回戦では圧倒的な強さで姫様……ではなく忍者に勝利した隊長が、早くも再登場!」

使者「対するは、リゾートの町のエージェントに逆転勝利を収めた、竜騎兵!」

使者「鍛えぬいた馬と銃の腕は、果たしてどこまで通用するのか!?」


竜騎兵「我が愛馬よ。試合が始まったらすぐに走り出せ」

近衛兵隊長「……」シャッ


開拓者「隊長が剣を抜いた」

弟子「さっきは結局どんな戦い方をするか分からなかったからな。ちゃんと観察しとこう」

開拓者「あまり期待すると拍子抜けするぞ」

弟子「なんでだ? 強いんだろ?」

開拓者「まあ、期待しすぎずに見ておけ」


試合開始。

竜騎兵は普段のセオリー通り、相手から離れて馬を走らせながら銃で相手を狙い撃つ。

しかし今回の相手は最強と名高い近衛兵隊長。

剣を片手に走る隊長は、馬の走力に匹敵していた。

使者「馬を追いながらもしっかりと銃弾を避けていく! 隊長には銃弾が見えている!」

代理人「闘技場は広いが、いずれ壁際に近づく瞬間が訪れる。そこが隊長の攻撃チャンスだ」

しばらく経ち、代理人の解説の通り、闘技場の壁際で隊長と馬の距離が近づいた。

剣の鋭い一振り。

竜騎兵は寸前で馬から飛び降りる。主人が降りたことで背中が軽くなった馬も加速し、斬撃から逃れる。

隊長は竜騎兵に狙いを絞った。

竜騎兵は至近距離での発砲で抵抗するも、銃口の向きを見切られ回避される。

開拓者「明らかに実力で負けている。だが……」

弟子「まだ馬がいる!」


地を連続で蹴り激しく加速する馬。

動体視力の弱い観客には、姿が消えたように見えたことだろう。

まるで彗星のごとき突進は、冷静に、小手で受け流された。

壁に激突する馬を後目に、隊長は剣を振り上げる。

竜騎兵「無念!」


使者「勝者、王都!!」

近衛兵隊長「わざわざ一度死なずとも、降参すればいいものを……」

近衛兵隊長「しかしその騎士の矜持、立派であった」


開拓者「隊長は、派手な攻撃も、異常な速さや耐久力も、特殊能力も持たない」

開拓者「一般的な武器と防具を使って、シンプルに戦うんだ」

弟子「でも純粋にめちゃくちゃ鍛えてる。そうだよな?」

開拓者「ああ。できれば達人と戦って欲しかった。究極の肉弾戦が見たかったな」

弟子「……よし、次はオレの出番だ」

2試合目 気功槍術家(緑の町) VS 超能力者(常春の都)



ナレーション「まるでデザート、スイートコーン♪」

ナレーション「そのままガブっと、スイートコーン♪」

ナレーション「スイートコーン村のスイートコーン。とってもスウィート!」

~~~~

母役「休日は?」

父役「やっぱりステーキ!」

子供役「ハンバーグ!」

ナレーション「牛々レストランのジューシーなお肉に家族で大満足!」

ナレーション「今なら付け合わせ一品無料!」

一家「ごちそうさまー!!」

ナレーション「……ビーフ村ッ!」

~~~~

ナレーション「お魚の栄養素、足りてますか?」


開拓者「これは緑の町の宣伝じゃないぞ!」

生産者「町長さんからわたしが枠をもらったの~」

開拓者「緑の町は農業局の宣伝しか無かったのか」

生産者「あの辺りにある農業や畜産系が盛んな村は、緑の町にも関係なくはないからね~」

生産者「開拓者も枠をもらって宣伝したら?」

開拓者「いや、遠慮しておく」

開拓者「一回戦の時点で半分くらい俺の作った町の宣伝だったからな……」

生産者「あ~。やっぱりすごいね開拓者は」

CMが終わると、急に闘技場の照明が落ちる。しかし闘技場に天井は無い。

生産者「あれ? 夜になっちゃった」

開拓者「時間帯まで変えられるのか? 一体どうなってるんだ」

生産者「超能力? 気温変えるのとか便利だよね」


闘技場の中央に、超能力者が浮いていた。

超能力者「天文の町が、皆さまをプラネタリウムにご招待!」


生産者「わ~、きれーい」

開拓者「常春の都の宣伝も一回戦で終わりだったのか」

生産者「ううん。出場者の出身地の宣伝をすることもよくあるらしいよ」

二人は偽物の星空を見上げて、10分間のショーを楽しんだ。


使者「二回戦の二試合目は、気功 対 念力! 不思議な力の激突だ!」

使者「巨大な工事用車両すら破壊する超能力者のパワーに、謎の槍使いは耐えきれるのか!?」


超能力者「その表情……何か秘策があるって顔だな」

弟子「お前は取り乱すと超能力が使えなくなるんだろ」

超能力者「あはは! 俺に精神攻撃できるのは戦術魔導士さんか神様くらいだよ」

弟子「そうか……」

超能力者「まさかそれだけってことはないよな」

弟子「……どうだろうな」ニヤッ

審判「……試合開始!」

審判の合図とともに、強烈な念動力が弟子を襲った。

弟子(やべっ……想像以上だ!)

だが弟子は踏ん張っている。気を重心に集中させて体を浮かせようとする力に耐える。

決して重量が増えているわけではないが、体に流れる気の力が念の力を防いでいるのだ。

超能力者「やるな……。じゃあ、これでどうだ?」

周囲の空気ごと持ち上げる念動力。

今度は、成すすべなく持ち上げられる。

超能力者「そして、こうだ!」

手のひらから少し離れた空間に火球が浮かび上がる。

それを投げつけると、炎が膨張して弟子を襲う。

パイロキネシス。念の力で炎を生み出す。

弟子「けほっ……」

わずかにダメージを負うも、今の弟子は簡単には火傷しない。

超能力者「これなら一回戦の方が楽しめたかな」

弟子(こいつ、遊んでる……!)

超能力者「次。こんなのはどうだろう?」

弟子「がッ……!?」

弟子(頭が、割れるように痛い……!)

強力な念波で対象の脳に負荷をかける技だ。

超能力者「まだまだ強くしていくぞ」

弟子「ぐっ、ああッ……」

苦痛の中で、弟子の頭の中にぼんやりと修行風景が蘇ってきた……。

7週目

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅡ……狼の群れも突破できる緩急自在な機動力。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅱ……精神攻撃に強い耐性を持つ。
動体視力Ⅲ……集中すれば銃弾もスローモーションに見える。
反射神経Ⅰ……見えさえすれば大抵の攻撃は余裕で避けられる。
急所攻撃Ⅰ……人体の急所となる部位と、それぞれの部位にダメージを受けたらどうなるかについて理解している。
気功Ⅲ……体内の『気』を操り戦う。気は所持品や他人の体にも流れ込む。
槍術Ⅱ……槍を自分の体の一部のように使いこなせる。突きは素早く、戻すのも素早い。
柔道Ⅰ……投げ技、絞め技に特化した武道。東洋のレスリング。
魔法Ⅰ……魔法についての知識があり、少しだけ使うことができる。
植物操作能力Ⅰ……生育の早いツタを操ることができる。伸びる速さはアリの歩行くらい。
高跳び……槍を支えに棒高跳びの要領で跳びあがり、短時間だけ滞空できる。
槍投げ……槍を遠くまでまっすぐ投げる技。事前動作が大きく、使用すると武器を手放してしまうため、慎重に使う必要がある。

●ステータス
攻撃力Lv.5
耐久力Lv.5
リーチLv.3~5
スピードLv.3

●総評
異能槍術家Ⅲ。
気功以外の能力を隠すため、大会には気功槍術家としてエントリーしている。

巧みな槍術に気功を組み合わせて威力を増幅している武術家。
卓越した動体視力で、いかなる時も相手の隙を見つけ出す。



開拓者「無事、気功を極めたようだな」

弟子「いや、まだ上があるって言われたよ」

開拓者「それはそうだが、いくら才能に溢れたお前でも一朝一夕じゃその領域にはたどり着けんだろう」

弟子「オレもそう思う。あと二週間しかないから、他の何かを伸ばしたい」

弟子「質問なんだけど、超能力って他にどんな技があるんだ?」

開拓者「俺もそんなに詳しいわけではないが、念動力、発火、念話、読心、テレポート、アポート、空中浮遊、」

開拓者「バリア、植物操作、透視、未来予知……と、まあ他にもある」

弟子「それ全部使える人っているのか?」

開拓者「俺が聞いた話だとそうでもないようだ。得意分野が存在するらしい」

開拓者「俺の知り合いは戦闘向きの超能力ばかりで、ESP系はさっぱり使えないと言っていたな」

開拓者「たぶん彼も戦闘大会にも出場するだろう」

弟子「ESPってなんだ?」

開拓者「テレパシーや透視、予知能力などのことだ」

弟子「もしバリアと瞬間移動を使われたら全然攻撃が当たらないよな……」

開拓者「バリアは一定以上の威力があれば何とかなる」

開拓者「瞬間移動は……どうすればいいのか俺にも分からん」


安価↓1、2、3 特訓内容を指示します(上げる能力を直接指定してもOK)

開拓者「しかしESPが戦闘に向いていないとは思えん」

開拓者「戦闘中に相手の考えが読めれば優位に立てるだろう」

開拓者「相手が右に避けるか左に避けるか、とかな」

弟子「気を読めば避ける瞬間は分かるけど、方向まで分かると便利だな」

弟子「でも超能力って才能が無いとどうしようもないんだろ。都合よくオレにESPの才能があるかな」

開拓者「ある」


天文の町で精神感応のテストをした。

エスパー「あった」

弟子「マジか」

開拓者「ほらな。お前は才能の神か何かに愛されている」

研究員「エスパーの才能とサイキックの才能を同時に発現するのは珍しいことです」

エスパー「でも、一つ忠告させて……」

エスパー「人の心の声が聞こえても、未来が見えてもいいことないよ」

弟子「あー、よくある話だ」

エスパー「人の心は醜いとは言わないけど……悪いことを考えている人は多いから」

開拓者「それはそうだろうな。誰かを殺したいと思ってもそれを実行に移す者は少数だ」

エスパー「それとね……みんなに嫌われる」

エスパー「だから、使えるようになっても普段はできるだけ使わないで、知ってしまったことも口外しないようにして」

弟子「使わないようにできるのか?」

エスパー「ええと、口に物を入れなければ味はしないでしょ?」

開拓者「ほう、そんなにシャットアウトできるなら便利だな」

研究員「彼女は先天性のエスパーなので、耳をふさいだ時くらいには聞こえているようです」

開拓者「強い感情や意思は騒音のようにすり抜けるか……。生きづらそうだ」

弟子は今までの特訓の復習に加えて、人の思考を素早く読む訓練を中心にエスパー修行を始めた。

エスパー「私にタッチできたらクリア。いい?」

弟子「テレポートは使えないんだよな? 余裕だろ」サッ

ひらっ

弟子「このっ、おりゃっ! これでどうだ!」シュッ シュッ ブンッ

エスパー「キックは危ない!」

弟子「ダッシュなら読めても避けられないだろ!」ダダダッ!

くるっ

弟子「うわあっ!?」ドテッ

エスパー「ちなみに私、天文の町で一番のテレパシストで、二番目の予知能力者だから」

弟子「はぁ!? 予知されたら何やっても無理だろ!?」

エスパー「身体能力はあなたの方がずっと高いんだから、こちらの動きが読めれば触れるよ。がんばって」


そして数日後……

開拓者「どうだ? 心が読めるようになったか?」

弟子「師匠、距離取りすぎ……」

開拓者「ある程度近くにいないとテレパシーは使えないと聞いたからな」

弟子「そうだな。それと、考えてることを一字一句正確に読み取れるわけじゃないみたいだ」

弟子「分かるのは大体どういうことを考えているかだけ」

弟子「師匠に気になってる女性がいるのは分かるけど、顔や名前までは分からない」

開拓者「この距離でも読めるのか……」

弟子「集中すればだけどな。あー、その人は、絵を描く人か」

開拓者「おい、やめろ」

弟子「手首が細くて綺麗な指の女の人だ」

開拓者「もうやめるんだ!」

弟子「師匠はその人とエッチなことをしたいと思ってる」

弟子「それと師匠は、心を読まれることを恥ずかしがってるな」

開拓者「俺は余計なことを習得させてしまった!!」

開拓者「その能力、普段は封印しておいてくれ」

開拓者「そうしないのならば、俺は逃げる」

エスパー「じゃあ何のために習得させたの?」

開拓者「戦闘大会のためだ」

弟子「わかった。下手に使うと人間関係がめちゃくちゃになるって釘刺されてたしな」

弟子「大会まで取っておくよ」

開拓者「いや。大会でも、使わないと勝てない時まで封印した方がいい」

開拓者「気功以外はできるだけ奥の手として隠しておけ」

開拓者「手の内は隠しておきたい。お前の技は多彩だが、見られれば対策はそう難しくないものばかりだ」


開拓者「それと、お前にプレゼントだ」

弟子「短い棒? トレーニング器具か?」

エスパー「それは製氷の杖。魔力を消費して氷を生み出せる、業務用の魔法道具ね」

エスパー「魔法の知識や技術が無くても、魔力さえあれば使える便利アイテム」

エスパー「氷のサイズは自由自在で、一度に出す量も調節できる。小粒の氷を一気に出せば吹雪も起こせるわ」

開拓者「俺の台詞! かなり詳細に読んだな!」

エスパー「脳内でしっかり文章化してたから、つい」

開拓者「それだけ自分で言いたかったんだ、分かるだろ……」

弟子「……業務用?」

開拓者「危険な魔法道具は一般人には売ってくれない」

弟子「でも氷って、これが効くのか?」

開拓者「送風の杖よりは効きそうだろ」

●スキル
★NEW!! ESPⅠ……透視、念話、予知。カードの裏の模様を当てたり、念じることで意思を伝えたり、嫌な予感がよく当たったりする。
★NEW!! 読心Ⅱ……集中している間、相手の思考をある程度詳しく読み取れる。
★NEW!! 吹雪魔法……製氷の杖を使用して吹雪を起こす。現在の弟子の魔力では一回きりしか使えない大技。

●総評
異能槍術家Ⅲ。
気功以外の能力を隠すため、大会には気功槍術家としてエントリーしている。

主に槍を使って戦うが、相手にあわせて様々な異能で対応を試みる戦士。
鍛え上げた気功と動体視力、テレパシーによって相手の動きを読み取る。

超能力者は今までに戦ってきた、ガンマン、カンフースター、立役者とは全く異なる相手だ。

決して槍の間合いに入らず、念動力は動体視力での回避が不可能。

前試合で使った植物操作による拘束も通用しない。

気の力で抵抗して意のままにされることを防いではいるが、思うようにフットワークを発揮できない。

今は遊んでいるため地上にいるが、本気を出せば飛んで逃げ回られて、手の付けようがなくなる。


開拓者(弟子が勝利するためには超能力を封じるしかない)

開拓者(製氷の杖を用意しておいて正解だった)

開拓者(超能力者には、雪山の神に精神を破壊された経験がある……)

開拓者(さあ! 吹雪で奴のトラウマを刺激しろ!)


超能力者「そろそろ気を失うんじゃないか?」

強力な念波に苦しむ弟子は、震える手で製氷の杖を取り出し正面に構える。

弟子(どうせ一回しかまともに使えないんなら、魔力の全てを注ぎ込んでやる!)

小さな氷の粒を大量に放出。

その勢いは凄まじく、吹雪というよりも雹に近かった。

業務用の製品も使いようによっては凶器になるのだ。

だが当然、バリアを張っている超能力者に直接ダメージを与えることはできない。

超能力者「……嫌なことを思い出すな!」

少し怒った超能力者は、熱風を作りだして吹雪にぶつける。

氷を融かした熱風はそのまま渦を巻き、闘技場全体を包み込んだ。

気候さえも塗り替える、念動力と発火能力の応用技だ。


使者「これは熱い! まるで砂漠に沸いた温泉のよう!」

代理人「火傷するほどじゃないから実況席にもすり抜けてくるのか!」

使者「ええ、魔法バリアの換気性能が裏目に出ましたね」


超能力者「今ので終わりか?」

弟子(くそっ……)

超能力者の精神は強靭だ。

ただ吹雪を再現した程度では、雪山の恐怖に心を縛られはしない。

しかし、わずかな油断を生んだ。

念動力による押さえつけが途切れたのだ。

弟子はそのチャンスを逃さず、走り寄る。

弟子(この一撃で決める……!)

槍の柄の中央を持ち、大きく後ろに引く、槍投げの構え。

それを見た超能力者はいつものようにテレポートをした。


この時、テレポート先を念じることにより、念波が発生する。

通常の思考よりも強い念波は、テレパシストにはしっかりと伝わるのだ。

しかしすでに重心を後ろに引き、あとは投げるだけの体勢。

ではどうするか。

ここでも気功の出番だ。

弟子は気を移動させて軸足を中心にぐるりと回転し、勢いを殺さずに槍投げの方向を変更。

驚愕の表情を浮かべる超能力者に向けて、槍を構えた腕を全力で振りぬいた……。

開拓者「な、何が起きたんだ……!?」

騎士「……アポートだ」


弟子(空振り!?)

超能力者「君の槍ならここ」

弟子「なっ……!?」

超能力者「ああ、掴んだわけじゃないよ。流石にちょっとヤバいと思ったから手元に引き寄せただけだ」

続けて、槍が忽然と消え失せる。

超能力者「槍はどこかに飛ばした。もう槍投げは使えないな」

超能力者(俺のテレポート先、読んだんだろ? 残念だったな)

超能力者(ここから武器無しでどうやって戦うつもりなんだ?)

超能力者「遊びは終わりだ」

弟子「うああっ!」

弟子は念動力で高く持ち上げられたあと、落とされる。

さらに、吹き飛ばされて観客席の下の壁に激突する。

弟子「……」ヨロヨロ

超能力者「まだ立ち上がるのか!? 思ったよりタフだな。バリアもないのによくやるよ」

常人なら死んでしまう衝撃だが、弟子は読心能力で先を読み、気功と受け身で威力を殺していた。

しかしもう攻撃手段が無い。

超能力者は宙に浮き、バリアを常に張っている。

手元にもう一本槍があってもまったく倒せる気がしてこない。

立ちはだかる、王国トップ5の壁。


騎士「終わりだな。俺たちのような武器に頼る選手にとってあいつは天敵だ」

開拓者「いや、まだだ……」

開拓者(俺の弟子は、あと一回の回想を残している……!!)


弟子は完全に追い詰められている。

この時、超能力者も、審判も、観客さえも、もうすぐ降参するだろうと思っていた。

しかしこの数秒後……

追い詰められていたのは超能力者の方だった!

超能力者「そ、そんな力を隠していたのか……っ!!」

弟子(一週間前から始めた特訓の成果、まだ身についていないかもしれないけど!)

弟子「付け焼刃でも、ぶつけるしかない……!!」

弟子「これが、オレの力の全てだ!!」


~~~~~~~~


8週目

●スキル
筋力Ⅰ……全力で殴れば大人を気絶させることができる。
フットワークⅡ……狼の群れも突破できる緩急自在な機動力。
体幹Ⅰ……同世代の男性に比べて明らかに筋肉質。
精神力Ⅱ……精神攻撃に強い耐性を持つ。
動体視力Ⅲ……集中すれば銃弾もスローモーションに見える。
反射神経Ⅰ……見えさえすれば大抵の攻撃は余裕で避けられる。
急所攻撃Ⅰ……人体の急所となる部位と、それぞれの部位にダメージを受けたらどうなるかについて理解している。
気功Ⅲ……体内の『気』を操り戦う。気は所持品や他人の体にも流れ込む。
槍術Ⅱ……槍を自分の体の一部のように使いこなせる。突きは素早く、戻すのも素早い。
柔道Ⅰ……投げ技、絞め技に特化した武道。東洋のレスリング。
魔法Ⅰ……魔法についての知識があり、少しだけ使うことができる。
ESPⅠ……透視、念話、予知。カードの裏の模様を当てたり、念じることで意思を伝えたり、嫌な予感がよく当たったりする。
読心Ⅱ……集中している間、相手の思考をある程度詳しく読み取れる。
植物操作能力Ⅰ……生育の早いツタを操ることができる。伸びる速さはアリの歩行くらい。
高跳び……槍を支えに棒高跳びの要領で跳びあがり、短時間だけ滞空できる。
槍投げ……槍を遠くまでまっすぐ投げる技。事前動作が大きく、使用すると武器を手放してしまうため、慎重に使う必要がある。
吹雪魔法……製氷の杖を使用して吹雪を起こす。現在の弟子の魔力では一回きりしか使えない大技。

●ステータス
攻撃力Lv.5
耐久力Lv.5
リーチLv.3~5
スピードLv.3

●総評
異能槍術家Ⅲ。
気功以外の能力を隠すため、大会には気功槍術家としてエントリーしている。

主に槍を使って戦うが、相手にあわせて様々な異能で対応を試みる戦士。
鍛え上げた気功と動体視力、テレパシーによって相手の動きを読み取る。

戦闘大会まで、あと一週間。

開拓者「…………」

弟子「師匠、オレは優勝できそうか?」

開拓者「……トップクラスの面々に通用するだろうか」

開拓者「征服者とやらがどの程度の強さなのか分からんが……」

弟子「オレは逆に王国の強い人たちを知らないから、分からないな」

開拓者「征服者が王国のトップよりも強いと仮定した場合……」

開拓者「お前の課題は、遠距離攻撃の少なさだ」

弟子「ああ、吹雪は一回きりの魔法だったな……。二回目はちょっとしか出てこなかったし」

開拓者「槍投げと合わせても二回だ」

開拓者「素早くて遠くから攻撃してくる相手……例えば竜騎兵には、その二回で仕留められなければ終わりだ」


開拓者「離れた相手に追いついて攻撃できるなら、遠距離攻撃の手段は要らないがな」

弟子「うん、征服者はそうしてた」

弟子「武器を頭上に構えて回転しながら飛んできた。猛禽類みたいに」

開拓者「猛禽類は回転しない」

開拓者「しかしどうやるんだ、その動きは」

弟子「オレが知るかよ」

トリップは準決勝の相手です


※最後の回想(安価で強化パート)です

※超能力者に勝った後の、準決勝と決勝の相手も意識する必要があります

※準決勝の相手は『近衛兵隊長』『魔物ハンター もしくは 達人』『家政婦 もしくは 戦術魔導士』の誰かです

トリップは決勝の相手です


超能力者攻略情報

※ヒント1:今の弟子の気功+槍術ならバリアは割れる
※ヒント2:超能力者は精神力と判断力がとても高い
※ヒント3:アポートが無ければ投げた槍が刺さって勝ってた

開拓者「なあ、エスパーは予知能力があるんだろう」

エスパー「うん。予言者さんほどじゃないけど」

開拓者「俺の弟子が戦闘大会で戦う相手について予知してくれないか?」

エスパー「いいけど、負ける姿が見えちゃうかもしれないよ」

開拓者「誰と戦うかだけ分かればいい。もしくは強敵がどんな戦い方をするのか、弱点は何かが分かればなお良い」

エスパー「そこまで細かく分かるとは限らないけれど」

開拓者「構わん」

エスパー「代金はこれくらいでどう?」スッ

開拓者「……高いな!」


1.準決勝の相手について
2.決勝の相手について
3.隊長の情報
4.魔物ハンターの情報
5.達人の情報
6.家政婦の情報
7.魔導士の情報

↓1、2選択

エスパー「見える……見える……」

エスパー「決勝戦の様子が見える……」

開拓者「おおっ! 弟子がそこにいるか!?」

エスパー「それは見えない……」

エスパー「剣を持った男の人が見える……」

開拓者「相手は剣士か」

エスパー「魔法を防ぐ装備品を自慢しているのが見える……」

エスパー「ブーツも自慢しているのが見える……」

開拓者「なんて自慢気なんだ」

エスパー「軍楽隊の演奏が見える……」

エスパー「王様の姿も見える……」

開拓者「もういいぞ」

エスパー「いいの?」

開拓者「誰のことか分かったからな。次は決勝以外の情報を教えてくれ」

エスパー「見える……見える……」

エスパー「不細工なおじさんが見える……」

開拓者「弟子と戦っているのか?」

エスパー「それは見えない……」

エスパー「戦ってるうちに、ますます不細工になっているのが見える……」

開拓者「殴られて顔が変形している……?」

エスパー「おじさんが光ってるのが見える……」

エスパー「周りの人が喜んでるのが見える……」

開拓者「不細工なおじさんが光ってなぜ喜ぶんだ」

開拓者「まさか適当なこと言ってないだろうな」

エスパー「人の形の何かが見える……」

エスパー「大きなドラゴンと、大きな鳥と、空間を操れそうな生き物が見える……」

開拓者「おい、もうやめていいぞ」

エスパー「うん……私も意味がわからなかったよ」

弟子「どこ行ってたんだ?」

開拓者「エスパーに戦闘大会のことを予知してもらったが、あまり役に立たなかった」

開拓者「決勝の相手は分かったが、対策を打てる相手じゃなかったな。とにかく鍛えるぞ」


安価↓1、2、3 特訓内容を指示します(上げる能力を直接指定してもOK)

気功弾(身体でも槍からでも飛ばせる)

同じ人が2つ書き込んでいるので>>670の方だけ採用
あと1つ

安価↓1

開拓者と弟子が出会ってから2か月、修行の仕上げとして選んだ場所は……魔界林。

開拓者「何度も来ていい場所ではないとは思うが、ここより修行に適した場所も無いだろうからな」

弟子「どういう攻撃を仕掛けてくるのか分からない変な生き物だらけだ」

最後の一週間、弟子は魔界林に住み、寝る間も惜しんで魔物と戦った。

時々、開拓者も様子を見に来た。


弟子「旨そうな弁当だなー。師匠が作ったのか?」

開拓者「いや、これは……知人が作ったんだ」

弟子「一緒に住んでる女の人か」

開拓者「おい、心は読むなと言っただろう!」

弟子「あっ、そうだった。悪い悪い」


そして、一週間はあっという間に過ぎ去った。

開拓者「仕上がったか?」

弟子「バッチリだ!」

開拓者「すまんな。最終的に、遠距離攻撃などの課題について的確な指示をできなかった」

弟子「大丈夫。答えには自力でたどり着いたさ」

弟子「まだ実戦で上手く使いこなせるかどうかは微妙なところだけど」

開拓者「奥の手は極力使うんじゃないぞ」

弟子「分かってるよ。オレもあまり使いたくない技だしな」

●スキル
気功弾……自らの気をエネルギー弾にして放つ奥の手。強力だが多用すると危険。
時間停止魔法……独自に習得した魔法。止められる時間は1秒にも満たないが、近接戦闘においてコンマ数秒の差は極めて大きい。

●仲間
(ドラゴン)……詳細未確定。

●ステータス
攻撃力Lv.5
耐久力Lv.5
UP! リーチLv.3~6
UP! スピードLv.3~7


~~~~~~~~


超能力者は不意を突かれた。

突然、バリアが割れ、見えない力で上半身を強打されたのだ。

超能力者「……ッ!?」ドサッ

超能力者(この激痛! 骨がいったか……!?)


使者「おおっと!? 万事休すかに思えた気功槍術家、謎の攻撃で一矢報いたか!?」

代理人「気功を使ったんだと思うが、一回戦では見せていない技だな」


開拓者「あいつは何をしたんだ?」

老師「これは良くない……」

開拓者「来ていたのか」

老師「気功弾は、体内の気を放出して飛ばす危険な技です」

老師「本来、気功とは気の流れを操るのみ……気の量は減りません」

老師「外に気を放出するということは、自傷に他なりません」

開拓者「使うたびに体力が減る技か……。しかし出す量を調節すればそこまで危険ではないんじゃないか?」

老師「あの威力を生み出すには相当な量の気を失います」

老師「あのまま気功弾を使い続ければ、衰弱し、死に至ることでしょう……」

開拓者「うむ、それはまずい……か?」

開拓者「死んでしまっても蘇生できるから問題ないと思うが」

老師「そうですか……」

開拓者「弟子は、死に物狂いで勝利を掴もうとしているんだ。それを止めるわけにはいかない」

まったく油断はしていなかった。

だが念動力と同じく、気功弾も目に見えない攻撃である。

しかもほとんど予備動作が無い。射線を見抜くか思考を読まなければ回避は困難だった。


超能力者「そ、そんな力を隠していたのか……っ!!」

弟子「付け焼刃でも、ぶつけるしかない……!!」

弟子「これが、オレの力の全てだ!!」

二発目。

超能力者は飛んで逃げようとするが、あえなく撃ち落とされる。

しかし同時に弟子も膝をつく。

弟子(やべえ、気を失いかけた……!)

超能力者の頭部からは血が流れている。

バリアが無ければ彼はもろい。

それでも、強靭な精神力で耐え抜く。

超能力者(相手も、限界だ……! まだ、俺は負けない……!)

王国トップ5の誇りを守るため、彼は勝利を諦めない。


超能力者にも、見えない弾で撃たれたことだけは理解できていた。

闘技場はとても広い。

距離を取って旋回すれば、当てにくいだろうとすぐに予測できた。

超能力者(頭が痛い……。あんまり高く飛ぶといざという時危ないかもな……)

弟子は狙い撃たず、標的へと走る。

確実に当てなければいたずらに自分の体力を削るだけだ。

超能力者(真後ろへのテレポートだ……回転している間に移動すれば逃げ切れる……!)

三発目。

背後へのテレポートを読み取っても、弟子は振り向かない。

後ろに蹴り上げ、かかとから気功弾を撃つ。

弟子(この技は、体のどこでも撃てる……!!)


ここで弟子の記憶は途切れる―――。

弟子「あれ……?」

弟子「ここはどこだ? 超能力者はどこに行った?」

開拓者「お前が勝利した」

弟子「勝ったのか? 覚えてない……」

写真家「意識が戻らなくて、医療班が少しだけ時間を戻したんですよ」

医療班「症状としては、栄養失調もしくは過労に近いものでした。後遺症はおそらくありません」

開拓者「どうやら、大量のエネルギーを消費して力の塊を撃ち出す技らしいな」

開拓者「それを結局5回もやったんだ。疲れ果てて動けなくなるのが自然だ」

弟子「次の試合に間に合うのか……?」

医療班「回復が間に合わなければ休憩時間も設けますのでご心配なく」

医療班「王様も観客の皆様も、万全の状態での試合を希望していますから」

騎士「おい、次の試合が始まるぞ。見なくていいのか?」

開拓者「ほう。治療室にも中継映像があるのか。ありがたいな」

3試合目 魔物ハンター(湾岸要塞) VS 達人(砂漠のカジノシティ)


輪郭の不自然な男は、黒いユニコーンにまたがって現れた。

弟子「あの馬は立役者が乗ってきた馬だよな?」

写真家「立役者さんの馬はこの写真。こう並べると全然違うんですよ」

騎士「あいつは一回戦でもあの不気味な馬に乗ってきた」

開拓者「黒いユニコーン? どこかで見たな」

開拓者「持っている武器も見覚えがあるような気がする……」


魔物学者「皆さまに世にも珍しい本物の魔物をお見せしましょう」

ブレイン「この私を見世物にするか」

ブレイン「ふむ、魔界では珍しい人間もこれほど大量に集まるとありがたみが無いものであるな」

魔物学者「まったく危険はございません。この膜に包まれた脳みそのような魔物は、頭がいいだけでとてもひ弱な魔物です」

ブレイン「なるほど、確かに私は虚弱な魔物だ。しかしあなどるな。私の知性は人間を遥かに上回っている」


開拓者「思い出したぞ!」

開拓者「黒ユニコーンも、手に持っている武器に見えるものも、魔界の魔物だ!」

写真家「え? どこで知ったんですか?」

騎士「魔界行ったことあんのか」

開拓者「いや……湾岸要塞の研究所で見たんだ」

開拓者(危ない。これは一般人に話してはいけないことだった)

開拓者(知られるわけにいかん……俺が魔界で数多くの魔物たちを生み出してしまったことを!)


※魔界開拓の様子は、開拓者「安価で魔界に町を作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1477723880/)

砂漠のカジノシティの宣伝映像は、富裕層をターゲットにしたラグジュアリーな施設とサービスの紹介だった。

ナレーション「私達の町が誇る屈強な武道家たちがあるゆる危険からゲストを守ります」

映像が終了。

使者「その武道家の頂点に君臨するのがこの男。達人だ!!」

使者「対するは、まるで魔物のような、おっと失礼。恐ろしい魔物を捕らえる男。魔物ハンター!!」

使者「一回戦ではありえない頑丈さを見せた魔物ハンターは、達人の拳にも耐えることができるのか!?」


審判「試合開始!」

合図とともに達人は距離を詰める。魔物ハンターも接近戦に応じるようだ。


写真家「変なパンチしてますね。調理器具が冷めてるかどうか確かめるときみたいにつっついてる」

騎士「正解だ。あの野郎の体は触れると火傷するくらい熱い」

開拓者「あの動き、図書の町のクイズ王に近いな」

弟子「ずっとツッコミたかったけど、なんでクイズ王が強いんだよ」

開拓者「戦闘に関連する本を大量に読み、その内容のすべてを会得しているらしい」

開拓者「そして優れた思考力で相手の先を読み、神経が集まっている部位や関節の隙間を早押しすることで、効率的に敵の戦力を削ぐ、と聞いた」

写真家「今、達人も同じことをしてるってことですか?」

開拓者「そうだな。他の町の格闘家の戦い方も勉強していたようだ」


達人は指の先で突く、いわゆる貫手で魔物ハンターの急所を破壊する。

触る時間が短く回数が少なければ、火傷の対策になると考えたのだ。

しかし幾度突こうとも、竹槍戦士が戦った際と同様に体表面がへこむだけ。

不細工な顔と体型がますます不細工になっていく。

魔物ハンターも武器を振り回してはいるが、雑な攻撃が達人に当たることはない。

達人(急所が存在しないのか?)

達人(ならば、威力を上げてみよう)

達人は突如、身をかがめると、地面に手を付いて蹴り上げた。

ぐらつく魔物ハンター。

達人は続けざまに、一歩分の助走をつけ、右足で踏み切って回転。

その勢いのまま、顔面にかかとを叩きつける。


写真家「何あのアクロバットな技! 超カッコいい!」

開拓者「跳び蹴りと、回し蹴りと、かかと落としか?」

弟子「あの吹き飛び方だと、気功も使ってると思う」

開拓者「蹴り技の無い柔道と相撲以外の、砂漠の町で学んだすべての技術を融合させているのか」

騎士「他にもっといい蹴り方があんだろ」

弟子「あれは足の裏で蹴ってるんだ」

開拓者「ああ。足の裏は皮膚が厚い。高熱を気にせず攻撃ができる」


魔物ハンターの顔面が完全に陥没していた。

しかしそれでも倒れない。痛がる様子も見られない。

使者「これは一体どうなっているのか!?」

代理人「あれだけされて血が一滴も出てないのもおかしいな」


達人(この男、人外か……!)

覚悟を決め、達人は拳を握りしめ走る。

目がつぶれているはずの魔物ハンターは正確に達人へと武器を振るが、当然のように払いのけられた。

達人「覇ァッ!!」ゴウッ!

鍛え研ぎ澄まされた剛拳が、魔物ハンターの腹部を貫き、風穴を空けた。

死んだ。

観客の誰もがそう思った、次の瞬間。

魔物ハンターの傷口が塞がり、達人の腕を拘束する。

達人「……ッ!!」

融けた金属に手を突っ込んだかのような、熱と痛み。

達人は憤怒の形相で、自身の腕と融合した男を何度も地面に叩きつける。

ようやく拘束が解除されたとき、達人の右腕は真っ黒に焼け焦げていた。

だが会場の視線はその腕には向いていない。


パシャッ ジー

写真家「な、なんですか、あの光の塊は。思わず撮っちゃいました」

騎士「……あれが本当の姿か」

流動し発光する不定形の魔物。

開拓者(見たことあるような気がする)


光の塊はリング状に変形し、宙に浮かんだ。

達人「何者だ、貴様は……!!」

幻精霊「キャハハ」

光の塊はさらに光量を増していき……

キラッ

まばゆい爆発は、観客席からの視界をすべて塞いでしまう。


戦術魔導士「驚いた……。私に匹敵する魔法使いじゃないか」

達人「がはっ……!」

幻精霊「あれれ?」


使者「な、なんと達人、生きていたー!!」


騎士「はあ!? あんなの俺の爺さんでも防げるかどうかってところだぞ!?」

弟子「気で体の表面に膜を張ったのか? 映像だけじゃ分からないな……」

開拓者(間違いない。あいつは幻精霊。魔界の魔王城で遭遇した上級魔物だ)


達人「魔法で我は倒せぬぞ、魔物!」

幻精霊「上を見てー」

達人「……!?」


弟子「でもなんで戦わないんだ? まだ左手と脚は残っているのに」

開拓者「上を見上げているな……。何も無いように見えるが……」

写真家「……えっ」


轟音と地響きが闘技場の外まで伝わった。

達人が立っていた場所にあったのは、巨大な拳の形をした何か。

前腕の部分を含めた全長は塔のように高く、闘技場の最上階を超えている。

金属のように見えるそれが空から落下して、達人を物理的に押しつぶしたのだ。

現れた瞬間は誰も目撃していない。

使者「勝者……湾岸要塞!! ……でいいんでしょうか?」

光の塊が巨大な拳に触れると、拳も光に変わり、塊へと吸い込まれていった。

幻精霊「回収ー」

グネグネ

魔物ハンター「……」

ざわざわ

観客A「何よあれ!?」

観客B「魔物だろ! 絶対に魔物だろ!!」


王国兵「開拓者さん。使者さんがお呼びです」

開拓者「ああ、そんな気はしていた」

弟子「……行っちまった」

写真家「やっぱりあの人何か知ってますよね?」

騎士「魔界に行ったことあるんだろ」

弟子(魔界林をスムーズに案内してたってことは、そういうことなんだろうな……)

1か月前、城塞の都で船員と再会し、共同生活の準備のために開拓事務所に一旦戻った時のこと。

使者「どうも」

開拓者「うおっ!? なぜここで待ち構えているんだ」

開拓者「もしや、クビの件、考え直してくれたのか?」

使者「開拓者さん」

開拓者「どうした。新たな仕事か?」

使者「魔王軍と名乗る魔物の集団が王国へ攻撃を始めました」

開拓者「ぶっ!?」

ひょんなことから魔界の開拓を強いられた開拓者は帰還後、自分が魔物を強化したという点を伏せて、国王と使者に報告していた。

つまり開拓者は重要参考人である。

使者「あなたにはこの一件の責任を取っていただきます」

開拓者「俺は事故の被害者だぞ」

使者「関係者ではありますよね?」

使者「責任を取ると言っても刑罰ではありません。あなたには対策会議の一員に加わっていただきます」

開拓者「なるほど……それならまあいい」

開拓者「しかし、ますます忙しくなるな……」



船員「開拓者さん、仕事が忙しいのに王都にも寄ってるって、何しに行ってるんだ?」

開拓者「……まあ、元王国お抱えの開拓者として、いろいろと事後処理があるんだ」

開拓者(他の仕事と違って他人に話せない……!)

そして現在。

開拓者「あの魔物は幻精霊と呼ばれていた」

開拓者「知っているのはそれだけだ」

使者「十分です。念のため呼びましたが本当に知ってたとは思いませんでした」

開拓者「まさか戦闘大会に潜入されるとはな」

使者「何が目的なんでしょうか? こちらの最高戦力がどの程度のものか偵察するだけなら、観客席に潜むはずですからね」

開拓者(なんとなく察しはつくが、黙っておこう)

使者「このままでは魔王軍の存在が王国中に知れ渡ってしまいます」

開拓者「今まで国民には無秩序な魔物の群れと認識されていたんだったな」

使者「どうにか捕獲できればいいんですが……」

開拓者「今のところ、一般人に危害を加える様子はない」

開拓者「試合で無力化もしくは死亡させ、蘇生の際に捕獲すれば騒ぎを起こさずに済むだろう」

使者「……あれに、誰か勝てるんですか?」

開拓者「分からん……」

家政婦「先生より強い魔法使い……はぁ、どうしよう」

家政婦「あっ、開拓者さん。あたし、どうすれば……」

開拓者「だから俺に聞くなよ」

開拓者「まあ……あのばあさんが相手じゃ落ち込むのも分からんでもない」


1.宣伝が終わったらすぐに降参すればいい
2.負けるにしてもやるだけやってこい

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