水木聖來「アタシは恋愛ヘタレじゃないっ!」 (100)


恋愛ヘタレな水木聖來さんの話です。


また何故かRに飛ばされてしまいました…
残念ながらえっちな話ではないです。健全です。


聖來「アタシは恋愛ヘタレじゃないっ!」


沙理奈「ほんとぉ?」


聖來「ホント!」


沙理奈「なーんか、そうは思えないんだけど」


聖來「そもそも恋愛ヘタレってなに!?」


沙理奈「今の聖來みたいな」


聖來「だーかーらー!」


沙理奈「声でかいわよ」


聖來「たしなめないでよ! アタシの方がお姉さんなのにー!」


沙理奈「そういうところが子どもっぽいっつってんの」


聖來「うぅー…ばかー!」ポカポカ


沙理奈「聖來今メキメキと精神年齢下がってるわよ」


わんこ「ワンっ」


聖來「わんこ…ありがとう…もうアタシわんこと結婚する…」


沙理奈「おめでとうPさんも式に呼ぶ?」


聖來「……ばか」


沙理奈「ああもう、ごめんってば。ちゃんと相談に乗ってあげるから」


聖來「……うん」


沙理奈「ほら、お酒まだ飲む? それとも水?」


聖來「……おさけ」


沙理奈「はい」


聖來「……ありがとう」


沙理奈「…で、もう一回聞くけど、聖來はPさんをどう思ってるの?」


聖來「さ、さっき言ったじゃん」


沙理奈「ちゃんと声に出して。Pさんが?」


聖來「……す、すき……です」


沙理奈「ん。よろしい。いつから好きなの?」


聖來「え…わかんないけど、気づいたら…かな」


沙理奈「まあ、ずっと一緒にいるし、自分のこといちばん近くで見てくれてる人だしね。わかるわかる」


聖來「え…さ、沙理奈も…?」


沙理奈「アタシ? アタシはそういうんじゃないかなー。いい友だちみたいな? 頼まれたらおっぱいくらい触らせてもいいけど」


聖來「だ、ダメだよ、沙理奈…!」


沙理奈「ジョーダンだって。で?」


聖來「で? って…?」


沙理奈「Pさんと付き合いたいの?」


聖來「えっと、その、でも、できるのかな…?」


沙理奈「何、アイドルとプロデューサーなのを気にしてるの? バレなきゃいいんじゃない結局」


聖來「あ、そ、そっか…立場的にもだよね、うん」


沙理奈「あ、今の顔、それを理由にして諦めてもいいよね的なこと考えてたわね」


聖來「な、なんで!?」


沙理奈「酔った聖來は普段以上にわかりやすいの。立場を気にしてないなら何が不安なの?」


聖來「そ、その……Pさんは、アタシをどう思ってるんだろう、とか」


沙理奈「少なくとも仲はいいでしょすごく。後はちょっとひと押しするだけよ。わかるでしょ?」


聖來「………わかんないよ」


沙理奈「え? いやいや、だって、今の聖來がラジオに送られてきた似たような相談で答えてたことよ? 経験あるでしょ?」


聖來「………ないよ」


沙理奈「あ、そうなの…? じゃあ、どういう付き合いしてきたのよ」


聖來「………ないよ」


沙理奈「は?」


聖來「アタシは! 誰とも!! 付き合ったことが!!! ないの!!!!」


沙理奈「………ハァァァァァァァ!?!?」


聖來「うわーん!!」


沙理奈「………え、じゃあ、デートの経験は?」


聖來「……ないよ」


沙理奈「手を繋いだのは?」


聖來「…修学旅行のオクラホマミキサーなら」


沙理奈「勿論ノーカンよ。キスは?」


聖來「…あるわけないじゃん」


沙理奈「セッ」


聖來「いちばんないよ!!」


沙理奈「……はぁ〜〜〜」


聖來「……なに、そのため息」


沙理奈「聖來、奥手なだけじゃなくて全くの恋愛初心者だったのね…よく今までラジオの恋愛相談にあんなに上手に答えられたわね。どこでそういう知識仕入れてくるの? すごい」


聖來「……少女漫画とか、好きだから」


沙理奈「意外なソースだった。憧れてるの?」


聖來「……うん」コクン


沙理奈「かわいっ。そういえば、前にタイタニックをテレビで見た時も随分食いついてたわね。ジャックとローズから目が離せなかった?」


聖來「離せないよ。だって、あんなカッコいい人と船で恋して、でも、死に別れちゃって……むしろ、沙理奈はなんであんなにドライに見れるの」


沙理奈「余計なこと考えちゃうのよね。ディカプリオは今のおじさんの方がいい男よねとか。ローズって美人だけど18歳設定にしてはちょっと老けてない? とか」


聖來「え…18歳なんだ…」


沙理奈「あとPさんから前に教えてもらったパロディAVのタイトル思い出しちゃって。知ってる? 「パイパニック」だって。あはは!」


聖來「……最低」


沙理奈「Pさん、嫌いになった?」


聖來「……すき」


沙理奈「そっかそっか。それならね、聖來。明日からアタシが出すお題をひとつずつクリアしていくってのはどう?」


聖來「お題…?」


沙理奈「勿論、最初は簡単なやつからだから。ちょっとずつ耐性つけていけば、自然と勇気も出せるんじゃない?」


聖來「沙理奈…ありがとう」


沙理奈「いーの。聖來もPさんも好きだしね。上手くいって欲しいし」


聖來「……うん。わかった。やってみる」


沙理奈「オッケー! じゃあ、早速お題ね!」




ーーーーーーーーーーーー



【1日目 Pさんの目を見つめる】


聖來(酔ってたとはいえ…簡単に引き受けるべきじゃなかったかなあ)


聖來(確かに今まで普通に目を見て話してたけど、意識しちゃうと難しいよー…)


P「聖來、お疲れ様」


聖來「ひゃっ! あ、Pさん…」


P「そんなにびっくりするなよー。レッスン終わりか?」


聖來「え? う、うん。そうだよ」


P「そっか。で、今度の仕事の件なんだけど…」


聖來「えっと…ああ、わかった。衣装決まった?」


P「お、よくわかったな」


聖來「Pさんとは長いからね。で、どんな衣装? 見せて見せて!」


P「そう慌てるなって。ほら、聖來のイメージに合わせて…」


聖來「うんうん…」


聖來(…あれ? 普通に自然に話せてる?)


聖來(そっか、そうだよね。変に意識さえしなければ、いつも通りに…)


P「…聖來?」


聖來「あ、ごめん! 何?」


P「いや、大体説明終わったから。何か聞きたいことある?」


聖來「あーうん、今のところないかな。大丈夫」


P「そっか。じゃあ俺営業行くわ」


聖來「え、はや、ちょ、ちょっと待って!」グイ


P「おおっと」ズイ


聖來「ひゃっ」


聖來(か、顔、近い…!)


P「……えーっと、どうしたの?」


聖來「え!? あ、えーと、何だっけ…?」


P「と、とりあえずちょっと離れようか……キスしそうな距離だし」


聖來「! ああうん! そうだね!」


P「よっと…。はは、ちょっとドキッとしちゃったよ。聖來、やっぱめっちゃ美人だな」


聖來「か、からかわないでよ、もう…!」


P「からかってないよ。本心だよ」


聖來「あ……あり、がと」


P「……あ、そういえばさ」


聖來「え、あ、何?」


P「前に聖來が行きたいって言ってた店、この前たまたま見つけたんだよ。明日一緒にリハーサル行くだろ? その帰りにどうかなって」


聖來「えっと、それって、インドカレーのお店だよね?」


P「そうそう。大通りから外れたところにあったんだ。俺も食べたいなって。どう?」


聖來「…うん。Pさんがアタシと一緒でいいなら」


P「オッケー。じゃあ、そろそろ行くな。あ、その前に…」


聖來「え、ど、どうしたの…? 顔近いよ…?」


P「…」スッ


聖來「え?」


P「さっき転びそうになってもつれた時、髪乱れちゃってたから。せっかく綺麗な髪してるのにもったいないだろ」


聖來「あ…ありがとう」


P「ん。じゃあ、また後でな」


聖來「いってらっしゃーい…」


聖來(…)


聖來(…ど、どきどきしたー!)


聖來(目、見つめられたけど、あんな至近距離じゃなくていいよ! もう、キスの距離じゃん!)


聖來(あー…心臓がドキドキしすぎて痛いよー…こんなに緊張したのはじめてのダンス発表の時以来だよ…)


聖來(…一応沙理奈には何があったか報告して次の日のお題を決めるってことにしたけど、初日からこんなんでアタシ、持つのかな…?)




ーーーーーーーーーーーー



【2日目 Pさんにあーんする】


聖來(あーんって。それってもう付き合ってからするやつじゃんどんな流れですればいいのバカバカ沙理奈のバカ)


P「…聖來?」


聖來「んっ!? な、何?」


P「いや、何っていうか。ナン咥えて固まってたから。辛かったか?」


聖來「あ…ううん。大丈夫。美味しいよ」


P「ナンも出来立てで本格的な店だよなー。ガッツリ食べれて800円は安い」


聖來「そうだね。男の子とかは嬉しいかも」


P「聖來もリハで疲れたろ。たくさん食べろー奢ってやるから」


聖來「え? いいよ別にワリカンで」


P「いいって。男にカッコつけさせてくれよ」


聖來「でもさ…」


P「あ、じゃあ、聖來のカレーも一口食べてみたいな。そのチキンカレーも美味しそうだし」


聖來「え…そんなんでいいの? はい、どうー」


P「……聖來?」


聖來「あー…あのさ、えっとね? はい、あーん…」


P「え」


聖來「ほ、ほら、冷めちゃうよ。あーん…」


P「あ…あーん」


聖來「…おいし?」


P「ん。こっちも美味いな。お返しに聖來も。あーん」


聖來「うぇ!? あ…あーん…」


P「美味しいか?」


聖來「あ…こっちも美味しいね」


P「…また来ような」


聖來「う、うん!」




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【3日目 Pさんにハグ】


聖來「さーりーなー!」


沙理奈「おっはよー、聖來。朝から元気ね」


聖來「ハグって! いきなり難易度上がりすぎでしょ!」


沙理奈「そう? あーんまでしたならそんなでもなくない?」


聖來「っ……そうかな…?」


沙理奈「うんうん」


聖來「でも、ハグってどうすれば」


沙理奈「じゃ、ちょっと見てて」スタスタ


聖來「え?」


沙理奈「Pさん、おっはよー♪」ギュウウウ


聖來「」


P「おはよ、沙理奈。背中におっぱい当たってるぞ」


沙理奈「当ててるの♪ 元気になった?」


P「…どういう意味で?」


沙理奈「さあ?」


P「あいにく今はそんなことしてる場合じゃないの。しっしっ」


沙理奈「あら、残念。じゃ、また後でね♪」


P「おう」


沙理奈「ハイッ聖來っ」


聖來「無理だよっ!」


沙理奈「えー?」


聖來「あんな、いきなり後ろから…!」


沙理奈「スキンシップよただの。大丈夫だって」


聖來「でも…アタシ沙理奈くらいおっきくないし…」


沙理奈「聖來もイイもの持ってるじゃない。思いっきり押し付けたげなさいよ」


聖來「でもぉ…」


沙理奈「…ここでやめとく? 諦める?」


聖來「っ! ……も、もう! わかったよ! えーい、ままよ!」スタスタ


沙理奈「ままよって」


聖來「Pさんっ」


P「お、聖來か。おはよう」クルッ


聖來「〜〜〜!!」ギュウウウ


沙理奈「あら」


P「え? え?」


聖來「あっ…」


聖來(Pさんが振り向いちゃったから、思いっきり前から抱きついて…!)


P「えっと…聖來? どうした? 何かあったのか?」


聖來「あ、ごめ、違くて、その」


P「あーいいから。落ち着いて」ナデナデ


聖來「あ…」


P「そうだよな。聖來だってまだ23の女の子なんだししんどい時だってあるよな。いつもみんなのお姉さん役してくれてるから忘れてたよ」ナデナデ


聖來「…!」


P「辛い時とかしんどい時はいつでも俺を頼ってくれ。って言っても、俺も聖來よりひとつ年上なだけだけどな」


聖來「…うん。ありがと」


P「なんだかそんな聖來はじめて見たな。可愛い」


聖來「か、可愛いって」


P「可愛いよ? それと聖來って意外とちっこいんだよな。頭が撫でやすい」ナデナデ


聖來「あーもう! いいから!」


P「ん。何があったか知らないけど少しは元気出たか?」


聖來「……うん。忙しいのにごめんね?」


P「いいって。気にすんな」


聖來「……ありがとう」


P「おう」


聖來「じゃあ、またね」


P「ん」


聖來「…」スタスタ


沙理奈「聖來!すごいじゃない! ハグしてたよハグ! 頭撫でられてたし! すごいすごい!」


聖來「…」


沙理奈「…せ、聖來?」


聖來「あ…アタシ、幸せすぎて、わかんないよぉ…顔、緩みっぱなしで…」


沙理奈「おーよしよし。頑張ったわね、えらいえらい♪」ナデナデ


聖來「さりなぁ…ありがとう…」


沙理奈「いいって。でも、ここまでイケるなら、これからはもっとハードル上げて行かなくちゃね!」


聖來「へ…?」




ーーーーーーーーーーーー



【4日目 膝枕】


聖來「さ、沙理奈ー…ホントに大丈夫なの?」


沙理奈「大丈夫大丈夫♪」


聖來「起きたり怒られたりしない?」


沙理奈「起きるかもしれないけど、そのまま膝枕しちゃえばいいでしょ。怒られないわよ」


聖來「噛みつかれたり…」


沙理奈「Pさんは番犬ガオガオか何か? さっさとやる!」


聖來「…沙理奈はやったことあるの?」


沙理奈「アタシ? ないわよ」


聖來「な、ないの!?」


沙理奈「だから特別感があるんでしょ。ほらほら!」


聖來「すぅー…はぁー…うん。わかった。ちゃんとそこで見ててね?」


沙理奈「オッケーオッケー。早くしないとPさん起きちゃうわよ?」


聖來「…じゃあ、行ってくるね」


沙理奈「行ってらっしゃい♪」


聖來「…」ソロソロ


P「……すぅ」


聖來「と、隣、失礼するね…?」


P「……んん」


聖來「お、起きて…ないよね? Pさん、頭、アタシの膝に乗せるね…?」


P「……」ポスン


聖來「んっ…」


聖來(ちょっとくすぐったいけど…こうしてると、なんだか落ち着く…)


聖來(Pさんの寝顔、こうしてみるとなんだかちょっと可愛いかも)


聖來「…♪」ナデナデ


P「ん…」ゴロン


聖來「え、ちょ、寝返りうたれたら、アタシのお腹に、顔が、く、くすぐったい…」



〜♪



聖來「あ…Pさんのスマホの着信音だよね? んーっ…だめだ、届かない」


聖來「ちょっと残念だけど…Pさん、Pさーん? 電話来てるよー?」ユサユサ


P「…んぅ? でんわ…?」


聖來「そう、早く起きて」ユサユサ


P「…わかったー…よいしょ…」ムニュ


聖來「え」


沙理奈「あ」


P「ん? ……え、聖來?」


聖來「…ひっ、ひゃああああ! バカバカ!!」ポカポカ


P「ごめっ、え、でも、なんで聖來が!?」


沙理奈「あーはいはい。ふたりとも落ち着いて」


P「沙理奈!?」


沙理奈「Pさんはとりあえず電話出て! 詳しくは後で話すから!」



………

……………

…………………



P「えっと、つまり聖來が疲れて寝ていた俺の為に膝枕をしてくれてた、と?」


沙理奈「そうそう。で、Pさんはそれを知らなかったから、起き上がる時にソファの背もたれを掴もうとして、聖來の胸を掴んじゃったと」


P「…すみませんでした」


沙理奈「と、いうワケだけど…聖來?」


聖來「っ」


沙理奈「許してあげたら? 顔上げて」


聖來「べ、別に怒ってるわけじゃないよ。ただ…」


沙理奈「ただ?」


聖來「は、恥ずかしくて…」


沙理奈「まあまあ。事故みたいなもんなんだから」


P「聖來、ごめん!」


聖來「え、あ、うん…大丈夫」


沙理奈「……よし、聖來、責任とって貰おう!」


聖來「へ!?」


P「せ、責任?」


沙理奈「そ。聖來のお願いをなんでも一個聞くの。どう?」


P「俺はいいけど…」


聖來「お願いって…なんでも?」


P「ああ、なんでも聞く」


聖來「じゃあ…明後日さ、ライブ終わった後…一緒に打ち上げして欲しい…Pさんの部屋で」


沙理奈(あら)


P「俺の部屋で?」


聖來「うん。沙理奈はよく遊びに行ってるらしいけど…アタシは行ったことないから」


P「そんなに面白いものがあるわけじゃないけど、それでもいいのか?」


聖來「…うん。いい」


P「そんなんでいいの? もうひとつぐらい何でも…」


聖來「じゃ、じゃあ…明日さ、一緒にわんこの散歩に付き合ってよ」


P「…うん。わかった」


聖來「約束ね? …ふふ♪」


沙理奈(聖來…ノッてきたわね♪)


沙理奈「ところでPさん、聖來のおっぱいどうだった?」


P「めっちゃ柔らかかった。ハリもあって最高」


聖來「ふたりとも!!」



ーーーーーーーーーーーー



【5日目 Pさんと手を繋ぐ】


わんこ「ワンっ」


P「おー、今度はそっちに行くのかー?」


聖來「あはは、Pさんっ、わんこが「もっと早く」だって!」


P「ひぇぇ…勘弁してくれー…」


聖來「だらしないなあ。わんこ、ちょっと待ってあげて」


わんこ「ワンっ」


P「ぜー…はー…ようやく一息つける」


聖來「ほら、水飲む?」


P「え…でもそれ聖來が口つけたやつだろ?」


聖來「……イヤ、なの?」


P「待ってちがうごめん、そうじゃなくて、ほら、間接…になるだろ」


聖來「……おっぱい触られちゃったのに今さらその程度で動じないよ」


P「うぐっ…その節は…」


聖來「いいよ。ワザとじゃないのはわかってるし」


聖來(…色々吹っ切れた気もするし)


P「あー…ありがとう、聖來。そう言ってもらえると助かる。担当降りる覚悟も一瞬したからなー」


聖來「そんなことで…とは言わないけど、担当降りるなんて思わなくていいよ。これからも、一緒に走っていきたいしさ」


P「…ああ、そうだな。俺もだよ。一緒に走っていこうこれからも」


聖來「うんっ……あれ? そういえばここ、アタシがよく踊ってたところだよ」


P「ここで?」


聖來「最近はレッスンルームで踊るのが多いけどね。たまに今でも踊ってるんだ。初心忘れるべからずって言うでしょ?」


P「そうか…ここで…」


聖來「どうしたの?」


P「いや…ここで踊ってた聖來は、ただのダンス好きな女の子だったんだなって」


聖來「ふふ、それが今ではアイドルだもんね。人生って不思議だよね。あの夜Pさんがアタシの前を通り過ぎてたら、きっとアタシはアイドルにならなかったろうし」


P「そうか? 聖來のことはきっと誰かが見つけてくれたと思うけどな」


聖來「誰か、じゃヤダよ。Pさんがよかったの。…最初はナンパかと思ったけどね」


P「たまーに通報される」


聖來「ふふ、ばーか。スカウトのやり方変えなよって言ったのに」


P「小細工は不要だ」


聖來「バカだよねPさん……プロデューサーバカ?」


P「褒め言葉だと思っておくよ」


聖來「ん。いいよそれで。……Pさんが見つけてくれなかったら、アタシはどうなってたかなあ」


P「アイドルにならなかった聖來か…ダンスのトレーナーとか?」


聖來「あー…かもね。あと、ペットショップの店員さんとか、犬のブリーダーとか」


P「美人店員だな」


聖來「う…うるさいよ。で、多分その繋がりで出会った人と結婚して子どもが生まれて…ダンスは趣味で続けるかな? ダンスは、誰にでもある夢を諦めたけどステキな青春の1ページになって…って感じかな」


P「それも幸せそうだけどな」


聖來「…うん。かもね」


聖來「あー…かもね。あと、ペットショップの店員さんとか、犬のブリーダーとか」


P「美人店員だな」


聖來「う…うるさいよ。で、多分その繋がりで出会った人と結婚して子どもが生まれて…ダンスは趣味で続けるかな? ダンスは、誰にでもある夢を諦めたけどステキな青春の1ページになって…って感じかな」


P「それも幸せそうだけどな」


聖來「…うん。かもね」


P「聖來は…今、アイドルになった自分を幸せだと思うか?」


聖來「え? うん、勿論。それはそうだよ」


P「そっか。うん、ならよかった」


聖來「どうしたの?」


P「ここ最近、聖來の様子が変だったからさ」


聖來「え」


P「何か、悩みでもあるのかなって。もしかしたら、アイドルを続けていくことが不安になったりしたのかなって」


聖來「えーと」


P「さっき聖來が話したような未来ってさ、平凡かもしれないけどそれなりに努力すれば手に入れることは難しくない幸せだと思うんだよ。アイドルとして幸せになることに比べれば」


聖來「うん、あのね?」


P「スポットライトを浴びれるアイドルのイメージは華やかだけど、その下では数えきれないくらいの女の子が夢を諦めたり、夢にしがみついて人生を棒に振ったりしてるわけで」


聖來「Pさーん?」


P「聖來も…その、アイドルとしてのスタートは決して早くはないし、俺が不甲斐ないから不安にさせちゃったりしたのが態度に出てのかなって。はっきり言ってくれ。違うか?」


聖來「え、うん。全然違う」


P「…は?」


聖來「なんで急に熱く語ったんだろうって思って聞いてた。悪いけど全然アイドルとしては不安はない…っていうのは大げさだけど、むしろそれが楽しいっていうか」


P「えっと…そうですか」


聖來「うん…」


P「……え、じゃあ俺なんかすごくイタいヤツじゃん!」


聖來「ちょっと、酔ってたね。自分に。「アイドルの隠れた苦悩に気づく俺」みたいな」


P「うわぁやめろよそういうのー!」


聖來「ちなみにアタシが本当にアイドル続けることとかPさんに不安を抱いていたらどうするつもりだったの?」


P「頑張って説得するつもりだった」


聖來「ほぼノープランじゃん。甘いよね、ツメが」


P「もうやめて! 恥ずかしいから!」


聖來「なんか…Pさんもカッコ悪いところあるんだね」


P「カッコ悪いって言うなよ! むしろ、今までカッコいいと思ってたのか?」


聖來「え? うん」


P「あ、そうなの?」


聖來「あ……まあ、うん。それなりに、ね」


P「なんだよそれなりって…」


聖來「い、いーから! 沙理奈にバラすよ!?」


P「やめろ! ……え、じゃあなんで最近様子がおかしかったの?」


聖來「それはっ…」


P「…聖來、顔赤いぞ? 大丈夫か?」


聖來「だ、大丈夫だから!」


聖來(なんでそうやって思い出させるの! せっかく自然に話せてたのにPさんのバカ!)


聖來(あ…色々思い出しちゃった。さっきの「これからも、一緒に走っていきたい」って、これってなんだか、告白…)


聖來「…う、うわぁー!」


P「え!? どうした!?」


聖來「Pさん! 走ろう!!」


P「は!?」


聖來「ほら! わんこもそろそろ動きたいって! 急がないと置いてっちゃうよ!」


P「お、おい待てよ!」ダッ


聖來「あ、お題! ほら、手、繋いで!一緒に走るんでしょ!? 」


P「いや、あれは比喩で! ていうか、お題って!?」


聖來「うるさい! ダッシュダッシュ!!」


わんこ「ワンっ」



ーーーーーーーーーーーー



【6日目 聖來の好きなように】


聖來(アタシ…変わった気がするよ)


聖來(恋愛云々もそうだけど…アイドルとおんなじで、自分の運命を変えるには勇気を出すしかないんだよね)


聖來(それにおっぱいも触られちゃったし、なんか、目を見つめるだのあーんするだのハグするだの膝枕するだの手を繋ぐだの、今ならなんだか全然高いハードルにも感じないよ?)


聖來(ダンスだけじゃなくて苦手だった歌も頑張って特訓して、ライブも大成功! ファンのみんなに喜んでもらえたし…ありがとう聖ちゃん…)


聖來(でも…でもさ…)


聖來(ここにきて投げっぱなしはキツいよーっ!!)


聖來(完全にPさんとふたりっきりだし、そもそもPさんの部屋だし、部屋中Pさんの匂いとかするし、視界に入るもの全部が新鮮だし心臓の鼓動が鳴り止まないし)


聖來(アタシ…なんだろ? このままドキドキしてショック死とかするのかな…やだよ…助けて…沙理奈…楓さん…肇ちゃん…)←ふたりにも恋愛相談をよくしてた


P「……聖來?」


聖來「ひゃいっ!?」


P「どうした? ボーッとして。疲れちゃってるんじゃないか?」


聖來「あ、ううん、大丈夫だよ!? 」


P「そっか。それならいいんだけど…」


聖來「う、うん。あ、あの! こ、これ、美味しいね」


P「あ、これな。酒によく合うだろ」


聖來「う、うん…」


P「…」


聖來「…」


聖來(…こんなことなら昨日いいカンジだった時に告白しちゃえばよかったな…)


聖來(あ、でもフられちゃったら絶対ライブに影響したよね…)


聖來(そうだよね、Pさんがアタシのこと好きって決まったわけじゃないんだよね…)


聖來(…ごめん、沙理奈。やっぱり、アタシ)




〜♪



P「お? 聖來、沙理奈から電話」


聖來「え、ああうん、ちょっと出てくるね」


聖來(なんだろう…?)


聖來「はい、もしも」


沙理奈『勇気出しなさいよ!』


聖來「!?」


沙理奈『ここまできてやめるの? そんなのらしくないわよ!』


聖來「な、なんでわかるの!?」


沙理奈『親友でしょ? わかるわよ。時間的にもそろそろかなって』


聖來「…サイキック?」


沙理奈『そんなようなものよ。正確には女の勘』


聖來「すごい…」


沙理奈『そんなのはいいの! 聖來、ここまできて諦めるの?』


聖來「で、でもタイミングが」


沙理奈『じゃあ聞くけど、聖來が今日立ったステージに立てたのはあの時Pさんに出会えたからよね? その出会いもタイミングを伺ったの?』


聖來「え」


沙理奈『違うでしょ。聖來が勇気を出して一歩踏み出したからでしょ! 人によってはPさんとの出会いなんて何の価値もなかったかもしれない。それを価値のあるものにしたのは聖來が勇気を出したからでしょ!』


聖來「…」


沙理奈『聖來が自分で運命を変えるの! タイミングがよかっただの悪かっただのは結果論でしょ! 聖來はそれでいいの? 今、しなくて本当にいいの?』


聖來「沙理奈…」


沙理奈『大丈夫よ。うまくいくって。アタシを信じて』


聖來「沙理奈……ありがとう。アタシ、やってみるよ」


沙理奈『…うん、頑張れ!』


聖來「うん! 行ってくる!!」


P「お、戻ったか。何かあったのか?」


聖來「Pさん!!」


P「え、はい」


聖來「アタシ、Pさんが好きです! !!アタシと……付き合ってください!!!!!」


P「あ…よろしく、お願いします…」


聖來「………………へ?」




ーーーーーーーーーーーー



【7日目 ?】


沙理奈「……それで?」


聖來「……それで? って」


沙理奈「つまり、昨日の電話をしてる時はまだ告白してなくて、アタシの電話は告白できてないであろう聖來を鼓舞する電話だと思った、と」


聖來「……はい」


沙理奈「前日にあんなに「アタシ、イケる気がする!」とか息巻いてたからとっくに両想いになってると思ったのに…」


P「…あの、ちょっといいか?」


沙理奈「何?」


P「話をまとめると、今まで沙理奈は聖來から恋愛相談されて、思い切って告白させるためにお題を出してた、と?」


沙理奈「そうよ。ぶっちゃけそんなの守らなくたっていいけど、生真面目な聖來なら守ると思ったの」


P「ああ、だから様子が変だったんだな」


聖來「…ていうか、沙理奈だって」


沙理奈「何?」


聖來「Pさんからも恋愛相談されてることとか、それとなく教えてくれたってよかったじゃん! 何より、Pさんといとこって何!?」


沙理奈「Pさんも聖來のこと好きだなんて言っちゃうほど野暮じゃないわよ。中途半端に「好きな人がいるらしい」とかだと、アタシのことだと思ってまたウジウジしてたでしょ」


聖來「それならよく遊びに行くのもPさんの部屋に行くのもいとこだからって言えばいいでしょ!?」


沙理奈「は? それだとつまらないでしょ? 」


聖來「沙理奈ァ!」


P「まあまあ、いいじゃないかもう。とりあえず、俺と聖來は付き合えたわけだし」


沙理奈「そう、それ! あのね、どうして告白して両想いになってキスまでイケたのに最後までしないのよ!」


P「いや、俺はしようとしたけど…」


聖來「だ、だって! キスしてるだけでも頭おかしくなりそうなのに、舌入れられて、む、胸触られて、ワケわからなくなっちゃったんだもん!」


沙理奈「は? そっから何事もなく一夜を越せる方がワケわからないんですけど??」


P「何でそんなギャルみたいな話し方なんだよ」


沙理奈「それならね、PさんもPさんよ! 押し倒しちゃいなさいよ!」


P「や、聖來、はじめてだって言うし、涙目だったし」


沙理奈「それをリードするのが男の役目でしょうがぁ!!」


P「チクショウ、ぐうの音も出ない!」


聖來「うぅー…」


沙理奈「……で?」


聖來「え?」


沙理奈「聖來は、Pさんとそういうことするの、イヤなの?」


聖來「イヤ…とかじゃないけど、やっぱり、怖いよ…それに、タイミングが」


沙理奈「またタイミング!? また昨日の電話の下りをするの!? 」


聖來「い、いいよ覚えてるから! ……結構感動したのに、まさかセッ…エッ…させる為の電話だったなんて…」


沙理奈「時間的にそういう頃かなって思ったの。……はあ、噛み合ってたようで噛み合ってなかったのね、アンジャッシュのコントじゃないんだから」


P「上手いこというな」


沙理奈「うっさい。……やっぱり、聖來は恋愛ヘタレじゃない」


聖來「なっ!? …あ、アタシは恋愛ヘタレじゃないっ!」


沙理奈「ふーん、なら、する?」


聖來「さっ、沙理奈が見てる中で!?」


沙理奈「違うわよ。アタシは帰るから」


聖來「あ、アタシもわんこにご飯をー」


沙理奈「はい、じゃあ鍵出して。アタシがお世話しとくから」


聖來「え、ちょ、待っ」


沙理奈「Pさん、聖來を大切にするのよ!」


P「お、おう」


沙理奈「じゃあ、ふたりとも明日はオフなんだから、ちゃんとね! じゃあね!!」バタン


聖來「さ、沙理奈ーっ!?」


P「」


聖來「……」


P「……」


聖來「え…えっと。や、優しくしてね…?」


P「え。いいの…?」


聖來「…うん」


P「聖來、いくらなんでも、これは今までのお題? とは違うし、無理しなくても」


聖來「あ、アタシが、したいの! Pさんと、だ…ダメ、かな…?」


P「…ダメじゃないです」


聖來「……よっ、よろしくお願いしますっ!」




ーーーーーーーーーーーー



P「…聖來」


聖來「……」


P「あの…こっちを向いてもらえると…その、優しくしたつもりだったんだけど…痛かった、よな。うん、ごめん」


聖來「…痛かった、けど…大丈夫」


P「それなら、何でこっち向いてくれないの?」


聖來「……は」


P「は?」


聖來「恥ずかしいよぉーっ! だって、あんなことされちゃったんだよ!? 」


P「…合意だったと記憶してるんですが」


聖來「あ、ごめ、違くて」


P「…いいって。ありがとうな。俺、すっごく嬉しかった」ナデナデ


聖來「〜!! な、なにさ、自分ははじめてじゃないからってさ、あんな、少女漫画みたいなこと言っちゃってさ、いつもより年上ぶっちゃってさ」


P「そんなつもりなかったけどなあ。…あ、でも聖來、いつもよりしおらしくてすっごく可愛かった。あとやっぱりめちゃめちゃ美人だな」


聖來「う、うるさいよ! 感想禁止! ……お、お題! Pさんにお題を出します!」


P「え、俺にも? 何だろう、これ以上難しいお題ってあるか? あ、職場でとかはダメだぞ」


聖來「職場でって…!? そ、そんなのじゃないよ! もっとシンプルだけど、難しいの!」


P「よし、受けて立とう。何だ?」


聖來「…あ、アタシをー」



聖來「ーアイドルとしても女の子としても、ずっとずっと、もっともっと幸せにすることっ!!」



聖來さん、お姉さんっぽさと少女っぽさがあってめっちゃ可愛い!そんな聖來さんが恋愛には奥手だったりしたらもっと可愛いと思います!

それでは、またの機会に。


61と62レスの内容が重複してしまいました。まとめていただける際はどちらかを省いていただけたらありがたいです…!

それにしても、どうしてRに飛ばされたんだろう…健全だよね?

乙乙
面白かった、ブラウザから立てるとRに飛ばされるバグだとか


>>98
なんと!そんなバグが。早く直って欲しいですね…ありがとうございました!

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