これから日記を書く 七冊目 (1000)

このSSについて簡易QA。これを見れば何となくわかるよ。

Q,ジャンルは?
A,ゾンビ近未来ファンタジー人外日記式SSだよ

Q,ただのSSでいいの?
A,ダイスが全てを決めるSSだよ

Q,主人公は?
A,主人公格がいるだけで、主人公という扱いはいないよ

Q,キャラは死ぬ?
A,緩いけど、死ぬ時は容赦はないよ

Q,なんかゾンビ以外のがちらほら
A,何をいまさら

新スレ、うおぉつっっ!

何か変なのに埋められそうだったけど、何とか>>1000は踏めたな。取り入れてもらえるかは別として

物好き用簡易設定&用語集。読めばまぁ、最初から読まなくて済むようにしたい。

モチーフ:
読者がゾンビ(その他もろもろ)がばっこする世界を生き、各地にある生存者の日記やメモを読んでいるという設定で書いてたのが、もはや形骸化してるだけ。

基本はリアルタイム形式で、紙媒体更新はキャラ一人につき、作品内での1日の間で基本1レスのみ。展開自体に深くかかわらない「ブレイクタイム」、本編には一応関係ない「幕間」、それ以外での記録媒体とか、台本形式とか、地の文ありとかの場合は特に制限はありません。


ダイス:
TRPGのごとくダイス様を振って、その結果でその日一日がどうなるか決まる仕様。6面ダイス5個を振り、合計値が高ければ良い結果、低ければ悪い結果。後は細かい判定に12面、8面、4面ダイスまで投入されている。

オール6:
出たら、むっちゃ良い事起こるよ(死ぬ場面だと、奇跡的に生き残るよ)

オール1:
出たら、死ぬよ(死ぬような場面でなければ、不幸な目に合うだけ)


ゾンビ:
モチーフはロメロ型感染拡大型ゾンビ。全人類の敵。ゾンビ化初期の頃なら走ってくるが今は大体のろのろしてる。ただし、そのまま放置してると更に凶悪な存在になったりする。

強化ゾンビ:
より凶悪、より脅威になったゾンビの総称。筋肉だるまのようなマッスルゾンビ、猿のようにいろいろ移動できるモンキーゾンビ、更にはそう言った類の亜種など、多種多様な存在がある。

ミュータント:
ゾンビ感染によって変異した際、何らかの適応をした存在。人間の意志が残ってるか、人間またはその種以外になってしまったものを指す。

また、変異後に更に変異する場合もあります。強化ゾンビもカテゴリ的にはこの分類。

登場人物:
ダイスの結果によっては死にます。書き手であれば更新がなくなり、書き手でなければ仲間が書いて知ることができます。が、状況によっては書かれることなくお別れになる場合もあります。 まぁ、今は日記(しょめん)形式少なくなってきたからどうなるやら。


勢力:
作中に出てくる登場人物以外の周囲で、それ以外の生存者達のグループを指します。


感染:
ゾンビからの攻撃を受けた場合、あるいは変異に関するものを摂取した場合に発生。これによりゾンビ化、あるいはミュータント化する。適切な治療あるいは肉体耐性があればそのまま。 感染は何によって引き起こされるかは、実のところまだ不明。

これ以外に通常の病気感染などもある。


物資:
探索の際に回収したり、生産したり。食料、建築、作成、弾薬、戦闘用具といった分類がある。食料以外は無くても生き延びることは一応できる。ダイス様に愛されればよろし。 愛されすぎると人間辞める羽目になるけど。


惨劇:
ゾンビが発生した日(事件)を指す。この世界でのアポカリプスの始まり。


WWP:
世界大戦プロジェクト。諸悪の元凶らしい研究機関。 U.S.A.Uが共同出資して設立。

第三次世界大戦を仮定した研究が主で、わりとろくでもない研究が目立つ。 ちなみにこの機関に関連するプロジェクトや制作物が下記。


ホムンクルス:
HP(ホムンクルス計画)で生み出された存在。登場人物である藍が該当。

HPはかいつまんで言うと、人工的に優秀な兵士を作るぞ計画。詳しくは2スレ目>>742を参照。


アラクネシリーズ:
戦闘用の義足。基本的は通常時は2本足で、戦闘時は槍のような足だったり、特殊な足が飛び出す。

神経接続装置が組み込まれていて、自分の足のように動かせる。

現在は戦闘を前提とされたペガサスが作製されている。詳しくは6スレ目>>76あたりを参照。


ファントムシリーズ:
アラクネの神経接続装置のノウハウを生かした特殊な装着具。

かいつまんでいうと、盾付きで左腕から杭打機で杭を撃ちだし、右腕はフックショットがついていて、上り下りや鞭に利用でき、足は空気の噴射でダッシュ、ホバリング、多段ジャンプが可能。ついでに剣も、神経連動で高周波を発生させて切れ味抜群。その上空も飛ぶ。

世界感:
実はあんまり踏み込んでなかった気がするのでこちらにて。世界は現代よりも先に進んだ近未来、国際情勢はロシアによる各国への軍事介入により緊迫感を増し、第三次世界大戦の幕開けを世界的に薄々感じていた状況。

技術などは今よりも緩やかに向上しており、ある程度のエネルギー問題の解消等は図れていた。ただし、直面する問題を先延ばしにする程度のもので、根本的な解決に至ってはいない。

ロシアが中国を併合した後、一気に緊張感が増したことにより各国々で連合や共同体が結ばれ、そのまま一気に世界大戦が起きると思われた矢先、惨劇が発生した。


U.S.A.U:
世界中のきな臭い国際情勢を理由に、日本、東南アジア、アメリカ、カナダなどが連合を組んだ共同体のこと。WWP創設をした共同体でもある。

登場人物

放浪者:
主人公格、人間だと思われる。ファントムシリーズを装着した、奇襲されても剣でカウンターする化け物で、ダイス様が最も寵愛してる存在。拠点兼探索組リーダー。なお、自分が化け物並という自覚はやや薄いけど、最近当たり前みたいにヘリとか落とし始めた上、五感が研ぎ澄まされて更に勘が鋭くなった。


山中沙奈:
アラクネシリーズを装着した研究者。放浪者の相棒といえる存在。怒ると怖い。拠点兼探索組サブリーダー。表だって誰も言わないが、完全に拠点サイドのおかん。結構ヒロインしてますが、最新のアラクネシリーズのペガサスのおかげで、近接だけでなく高速移動によるヒットアンドウェイもできるように。


野木賢介:
研究所主任。WWPの不穏な動きを察知し、研究所を緊急時用に魔改造していて、完成できないままに惨劇を迎えた。ヘビースモーカー。

最近は印象が薄いという特徴すら薄れてきた気がします。


アリス・ブルーフィールド:
善良なマッドさん。アラクネの神経接続装置とファントムの開発者という天災。アニメや漫画などをヒントにして開発を行っている。やっぱり天災。

放浪者が凶悪してるのも大体この人のせい。というか、彼女が絡んだ装備は大体凶悪してる。


エクス:
天才ハッカー。オンライン上で情報を集め、監視カメラで放浪者達の安否確認しながらサポートしたり。重要な位置についてます。そして過労気味です。

その上、不遇のおまけつき。>>1に増やされたり消されたりとか。


保安官:
着てる服装はウェスタン調だが、保安官と名乗ってる。ライフルの免許持ちで、たまに狩猟に出かけるナイスミドル。放浪者達とは別行動だが、拠点メンバーにとっておとん的な立ち位置。出番はあまりないけれど、都市の東側のエリアを一人で抑える化け物。

それ以外はBARでお酒をふるまうマスターでもある。最近出番が薄いやも。


スライム:
ミュータント。放浪者達のマスコット。健気。拠点における癒しといえる存在。ちなみに拠点組最初に加入した仲間がスライムだったりする。

子ども扱いすると怒るよ。


浜村美香音:
拠点警備組のリーダーで、拠点内の設備の管理や設置もこなす電子技師。酒好き。畑いじりも板についてきた。

なんだかんだで人の面倒見のいい姐御肌。それでいて、拠点の脇を固め。


蒲谷勘二郎:
拠点警備組。わりとオタク。最近手先の器用さを生かして建設作業をこなしてる。簡易シャワーも出来て、次は発電施設の着手に移行中・

名字の読みは「かまや」と読む。


井門圭司:
元防衛軍兵士。敵だったけど味方になった。物事に対するバランス感覚は優れるが苦労人気質。拠点メンバーで唯一きっちり銃を使いこなせ整備もできる、貴重な要員。そして、放浪者、山中がいない時の拠点リーダー代行、やっぱり貴重な要員。後、わりと武器マニアで、銃器をいじってるのが楽しかったり。


一ノ瀬美尋:
医大生。戦うお医者さん。割と不幸気質で、何かのトラブルの際ほぼ被害にあっている。生き延びられてるところからして悪運はあるらしい。

後、妹気質が強いです。


覚美弥:
ミュータント。目がつぶれた代わりに、人の視界を見たり頭の中を読んだりできる。その能力はカオスなメンバーの人間関係の均衡を裏で支え、拠点周囲の危険な存在を感知する生体レーダー。立場的に出番薄めだが、割と強い存在感は主張してる気がする。

名字の読みは「おぼえ」


佐原有登:
ミュータント。ワーウルフになった舎弟気質な奴。わりとというか、そこそこバカ。でも60kgのハンマー貰って振り回したり、重い瓦礫をスリングで投げ飛ばしたり、とげのついた盾でぶん殴ったり、地味に凶悪な戦闘力を持っている。そして、印象もなぜか地味。

名前の読みは「あると」


三間弘幸:
仕立て屋と言えるまでにはまだまだ修行中。性格は普通だが、見た目は女っぽい、いわゆる男の娘。レインコート作ったり、佐原に合う鞄を作ったりと、腕は上がってきているが、いかんせん>>1が最近そういったところ描けてない。でも、最近は放浪者用の防弾仕様の革ジャン作ったりした。


大木勝:
覚を守る小さな騎士。金属バットでそこそこのゾンビを処理してきたので、わりと強い子供。警備組と覚の世話を兼任している。最近は日本刀貰って、林道に本格的な武術訓練中。

遠征に参加してわりとピクニック気分だったりするところはまだまだ子供。

ジェーン・カナリー:
保安官が拾ってきた金髪さん。かなり悲惨な目にあったのに、救ってくれた保安官に一目惚れ中で、奥さんになるため花嫁修業中。ここのところ空気ですけど、私は元気です。

名前の元ネタはカラミティ・ジェーン。


藍:
ホムンクルス。四肢なら自由に、それ以外は表面までを自由に変形、変質できる。尊大な態度をとるが、普通にいい子。武術の教えも身につけて、戦闘力も充実。

スライムとは義理兄弟姉妹の関係で、お姉ちゃんしてます。


西切緑:
弓使いなカメラマン。那須与一さんレベルで弓矢の扱いに長け、遮蔽物越しに敵の急所を狙い撃ったりする。放浪者と山中の様子が気になっている模様。

この名前も某ゾンビゲーのシリーズから1つずつ取ってたりする。


小間城:
ミュータント、人間ではなく犬が感染し、結果として四本の触手を持つことになったワンコ。群れに入れず1匹でいたところを放浪者が飼いならすことに成功。以後、拠点内を自由気ままに過ごしている。放浪者のことを群れのボスと認識して、敬意を払っている。

作ってもらった犬小屋(段ボール)に敷かれた布団をもふもふしたり、スライムから貰った人形をもふもふしている。


ビジョン:
赤外線や無線などを視認し、そしてそれを捻じ曲げたり、いじったりすることができるが、生体的エネルギーも視れてしまうため、何でも視える。それを使って遠距離間通話もできるそういう超能力者。話す前に必ず笑うが、楽しくて笑う訳ではなく勝手にそうなる。

現在、光線銃を使いこなすために鍛錬中。また、光の屈折をいじることで視覚的な意味合いでの認識させないレベルで姿を消せる。


林道正綴:
小学校教諭。田舎で古武術を習い師範クラスの実力を持っている。棒術と柔術をベースにしていて、棒を使いゾンビを転がした後素早く首をへし折ったりする。その古武術を藍と勝に教えている。 子供達への勉強を教える関係で、探索組と警備組を両方兼任する。また、亡くした小林の関係で、子供達への危険が関わることは割と過保護的な反応をすることも多い。

この人も教員日誌ある割に空気という。強いは空気のこれ日。


ハンター:
各地を放浪する生存者。常にコートを着用していて、その中には大量の火器と弾薬が詰まっている。愛用しているのは改造した小型のチェーンソー。家族をミュータントと思われる化け物に殺され、すべてのそういった類を殺すために各地を放浪している。

デルフィアという新しいCPP規格の義手を手に入れて、大暴れしていたがDJフレンドの遠回しな呼び掛けで現在拠点に留まり、都市で大暴れしている。


DJフレンド:
ラジオ放送をしている女性と思われていた人物で、実際は性同一性障害の男性。情報と称して、今まで得てきた体験などを話し、音楽を録音で流している。拠点と研究所では、数少ない娯楽としてリスナーも多い。

4スレ目にて放浪者が接触したことで、勢力間での同盟を結び、放浪者などが得た情報をラジオで放送するようになっているが、>>1が作品に合いそうな曲がなかなか見つからず、最近は皆さんのリクで成り立ってる気がするよ。

伊吹くるみ:
元々覚の勢力にいた子供の一人エクスの下でハック技術を学び、サポートしている。サポートチームの人員として欠かせない存在。放浪者に好意的な反応を見せる。クールな性格で、エクスに毒舌を浴びせるが、気心の知れた相手にしかしないので、彼女なりの砕けた接し方の模様。


錬浄:
戦うお坊さん。錫杖の先端を尖らせたものを武器として利用し、ゾンビを供養するため処理していたお坊さん。放浪者を超える寡黙なお方。ゾンビに咬まれたが、ミュータント化もゾンビ化もしていない。ただ、佐原のようなミュータント張りの身体能力を持っていて、放浪者並に亜種とサシで勝てたりする。そして強すぎて空気。

名前の読みは「れんじょう」


千護 巴:
元防衛軍狙撃兵。井門と同じ、彼がいた部隊の隊長にしごかれた。オリンピックに出場して活躍した経歴を持つ。アビスと呼ばれるWWPの大型研究施設を探していて、現在研究所から得た情報をもとにとある新興都市で探索を進めている。性格は爽やかな姐御肌。

苗字の読みは「せんご」。元ネタは巴御前。


ロバート・ハイマール:
WWPの元研究者。RP(再生計画)という計画を研究していて、それがゾンビ化現象の原因ではないかと考え、解明しようと千護と行動を共にしている。小心者で話す時は大体どもってしまう。それでいて優しくて不器用。出番はあるけど、大体ビクビク怯えてます。

名前の元ネタはある。ヒントはニューヨークに存在する島。


平山源子:
各地を放浪し、ハンターから拠点に関する話を聞き、やってきた生存者。ブラストシューターと呼ばれる自作射撃武器を使って戦う。現在回収組のリーダーを担っている。クールな性格で、女性版の放浪者のような存在。最近までいろいろあって自身を追いつめていたが、心機一転力強い活動をしている。


岸本フェイ:
平山の相棒ともいえる生存者。平山が作製したディフェンススパイクと呼ばれる武器を使って戦う。かなり足が速く、生き延びてきた理由もそれ。佐原みたいだが、どちらかといえば、こちらの方がアホの子。料理大好きで、拠点での調理も率先してやりたがる。唐辛子は使わせるな。


EVE:
MEP(ミトコンドリアイブ計画)により、山海沙維により生み出されたオーパーツに近いアンドロイド。元々足のない山中の介護を目的として作られた。学習し学ぶことも、人間と同じく忘れることもできる。自己再生する人工皮膚とシリコンにより、見た目も感触も人間そのもの。ただし額に「∵」の形で光るダイオードが見える。

自分と同じ、アンドロイドを見ていろいろ思うところがある様子。


ミーナ:
DJフレンドの勢力にいる地下アイドルグループ『ヴァルキリー・ミラージュ』の1人。歌唱力が高く、その部分での評価が高かった。主張ははっきりの気の強いタイプ。ちょっとした銃器マニアで、主に周辺の警備をしている。


ミーシャ:
DJフレンドの勢力にいる地下アイドルグループ『ヴァルキリー・ミラージュ』の1人。こちらはダンスの方が得意。常日頃からアイドルを意識するのか、わりと妙な口調で話す。好き勝手するようで、ちゃんと周りは見てる方です。


ファイブキラー:
DJフレンドの勢力にいるメンバー。思い込みがひどく、ミーシャに執事になってよと言われて燕尾服着たり片眼鏡つけてメンバーの補佐をしている。 けど最近は、執事の振る舞いや仕事も板についた。


西村新:
ハンターに助けてもらった経緯でDJフレンドの勢力に転がり込んだ人。話好きで、とある胡散臭い商人達でも和やかに会話したりする。>>1のせいでよくわからない関西弁なのかすらも怪しい方言っぽい話し方をする。放浪歴が長い分、実はDJフレンド勢力内では一番強い方。


風虎:
生物兵器。鳥のような顔と立派なくちばしを持ち、背中に大きな翼がある。前脚とかで思いっきりゾンビをぶん殴ると吹っ飛んでくぐらいには強い。

のだが、親と認識したからか放浪者にべったりの甘えん坊で、まだ放浪者達と一緒に寝たがる。


喜読都:
いろいろ危険すぎる局面で見つかった生存者。男っぽく見える女性(というか>>1が男だと書いたのを忘れてた)。営業マンらしく、交渉事を請け負い行商やモーテルでの交渉を一手に担っている。

名前の由来は、キャラ設定の一部を皆様の投票で決めたので、読者と入っている。


佐田豊吉:
最近拠点にやってきた生存者。今までのメンバーに比べると社交性は低く、頑固おやじタイプな人。平山に機械工学を教えていた師匠に当たる人。

独断で勝手に動くが、その分精力的に活動する人。拠点の施設の設置や増設も積極的。

登場人物(NEW)

門日泊姚:
サムからの情報により、拠点を目指しやってきた女医さん。なんだかんだで拠点に慣れてきてるけれど、時折拠点の特殊性に面食らってたりする。胸はない。

名前の読みは「もんび はくよう」


フェアリー:
超能力創造計画 (PCP)により生み出された超能力者の1人。物を浮かす、というシンプルな超能力だが、対象に制限がない(ただし基本単体にしか効果を発揮しない)。また、自分自身もそれは対象であり、空を飛ぶことも浮遊することも可能。人見知りは激しいが、懐くと無邪気に甘えてくる。

超能力者グループのリーダー、芸羅と離れて彼女を探している。現在、サポートチームにいる仲間だったビジョンが調査してくれるということで、拠点の活動を手助けしている。


本造 文彦:
元々は覚の勢力にいた男の子。研究所の技術者達に教えを受けている技術見習い。技術者達も自分の技術を引き継ぐ存在として、手厚くしごかれ中。

もともとNEWじゃないんだけど。書き忘れっていう。


ストーク:
レジスタンスの一員。現在千護のいる新興都市で活動している。WWPが新興都市で活動していることもあり、現在手を組んでいる。性格は優しい方だが、押しには弱い。


アイビス:
レジスタンスの一員。彼女も同様新興都市で活躍している。性格はかなり難があり、毒舌も割と吐く。

また、この惨劇により変異したミュータントでもある。見た目が変化したのは、見る角度によって色味が変わる眼で、そこから何種類かの周波を発生させられる。これにより、マイクロ波をゾンビに照射して、急速加熱で頭をボン、なんてことも可能。


カミロ:
元WWPのメンバーで、現在WWPから脱走している陽気な黒人さん。また、その経緯でレジスタンスと思われる勢力に接触しようとしている模様。

これから日記を書くWIKI

http://ss.vip2ch.com/ss/%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8B%E3%82%89%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%82%92%E6%9B%B8%E3%81%8F_%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA#.E3.83.95.E3.82.A1.E3.82.A4.E3.83.AB.E9.9B.86


有志の方が作成していただいたWIKIに、>>1がつらつらと情報書き入れてます。
どちらかというと、奇特にもまだお読みされている方向けで、初見の方はネタバレ祭り。

ただまぁ、地味に何かしでかす時の告知とかもしてたりと、あと閲覧者1万超えるとか思わなかった。うん。

>>3
はい、どうも!

>>4
うーん。正直悩みどころではあるのよねぇ…。実のところ>>1がダイスを振る時にひりついてないと、この世界に反映されてない気もしてね。
まぁ、折角なので要検討というところですかの。


と言う訳で、今日は新スレ作成のみです。それに時間かかりすぎな気もするけどNE。

>>1
他のスレでも950付近で現れて埋められたから今後も気をつけた方がいいかも
sage推奨ですな

これ日は振り直しとかしない方が現実味があって面白いと自分は思ってるが>>1の好きにしたい様にすれば良いと思います

>>15
うーん。まぁ、振り直しというか、そこいらはやってみんことにはねぇ・・・。


あぁそうそう、WIKIの告知欄に変なことしでかしてみたので、興味あったらどうぞ。

>>1
とりあえず投票しといた

そろそろラストスパートっぽいけど最後まで見とるから頑張って

EVEの中に広がるVR空間は、本当の意味で現実と同じだった。触る地面の感覚や、流れる川の冷たさ、何よりエクスを驚かしたのは。

「やぁ、旅人さん。お泊りかな? それだと、あそこの建物が宿だからそこに行くといいよ」

「あ、あぁ。わかった。どうも」

予想していないやり取りに、エクスはやや挙動不審なりながら村の中に入っていく。なんであれ、今の時代も前時代と同じ、こちらから話しかける(クリック)することで、内部のAIは反応した。自立的に反応するのは自動的に始まるイベント絡みぐらい。

今、エクスに話しかけた門番も、自動判定なのかもしれないが、それでも彼の動きを見て不思議そうな顔をしたりと反応が現実味を帯びている。

気持ちを落ち着けたかったエクスは、そのまま言われた通りに宿に入って、そのまま部屋を取った。荷物管理はシステム管理なので普段持ち運ばなくてよく、支払いも手間がないということろは、ゲームとして認識出来る部分に少し安堵した。

「やれやれ、その調子で大丈夫かね?」

ベッドに座って一息ついたエクスの前に、山海のAIがビジョンのように現れる。

「何もかもついていけてねぇよ」

「そうか。私には君の理解力が早いと考えている」

どういう訳か、山海のAIは満足そうだ。言ってしまえばエクスはハックによって内部に入った不法侵入者、恐らくEVEの管理が目的であろう目の前のAIにとって、排除すべき対象のはず。

「君なら、EVEを理解できるだろう。根幹の意味を持ってね」

「どういうことだっての、もったいぶらずに教えろよ」

「山海の思考を持つ私が言うのであれば、解というのは、与えられるものではなく、自身で解析するもの。少しすればイベントが起きるだろう。それまではゆっくり休むと言い」

伝えたいことは伝えた、という様子で山海のAIは姿を消した。

探索組に起こった異変は比較的すぐだった。警察署での制圧作業が終わり各班に分かれて、細かな処理と物資収集に移行してから攻撃が起こった。

襲われたのは一ノ瀬、西切、藍の3人。周囲にゾンビがいないことを確認してから探索に入った建物は、すでに包囲されている状況。予想できるのは、パラノイアの攻撃が始まった。元々覚悟していたこともあり、3人が冷静にいることが、この状況下での救いだろう。

3人は素早くバリケードを張り、立て籠もる。他のメンバーに連絡は幸い取れていて、自分達に出来るのは可能な限り生き延び続けることだけだった。

西切は建物内から、バリケード破壊が可能なマッスルゾンビや、侵入してこれるマッスルゾンビやモンキーゾンビを優先して弓矢で射る役目、一ノ瀬と藍はバリケードの隙間から破壊しようとするゾンビを処理することになった。

「…なーんか、妙ですねー」

統率がとれているところを考えると、コマンダーゾンビ、つまりパラノイアだと思える状況なのに、彼女のいる矢によって、マッスルゾンビなどの変異体は処理されてしまっている。だからこそおかしい。警察署での籠城の際、彼女の弓矢は当たりはすれど急所を外れ、思った結果を発揮することが出来なかった。

こうも当たると、この包囲自体が自分達を使った罠なのではないか。そんな疑問すら湧いてくる。

連絡を受けて、最初に放浪者とフェアリーが包囲を受けている3人の下へ、文字通り飛んできた。見える範囲でも、それなりの数がいるのを確認しながら、放浪者はすぐに違和感を覚える。

「…妙だな」

「なにがーなにがー?」

前の籠城に比べて、ゾンビの総量が圧倒的に少ない。緩衝地帯からゾンビを兵として引っ張れないとしても、まだまだ警察署エリア内をうろついているゾンビは多数いる。今回のゾンビの数は、例えばコールゾンビに叫ばれて囲まれた時より少し多いぐらいだ。

何より、西切が処理したと思われる変異体が転がっている。彼女は当時の包囲された時、パラノイアは狙撃を予知して急所に当たらず、なかなか処理できなかったとすまなさそうにしていた事を思うと、これは何か違う可能性を帯びていた。

「…周囲に妙な存在がいないか偵察を頼む。恐らく、頭部が肥大しているはずだ」

「頭が大きいんだね、わかったー!」

周囲の偵察をフェアリーに任せ、放浪者はそのまま群れの中に突撃して、ファントムスピアを使い厄介な変異体を処理する。

「(…俺の攻撃を把握してない?)」

今処理した変異体は攻撃を受ける寸前まで、3人に対しての攻撃を意識していた。どうも、これはパラノイア以外の何かが絡んでいるようにしか、放浪者は思えなかった。

「あれかなー? みーつけたー!」

フェアリーは興味津々と言った様子で、そのまま変異体に向かって急降下する。子供のような無邪気さは、時に危険性を理解しないまま、アクセルを踏み込んでしまう。それとも、幼くなってしまった心ながら、自身の超能力に過信でも抱いているのか。

そこにいる変異体は長髪で、肌は珍しい褐色。どういう訳か、人間と同じように武器を所有していた。全体的に人間味を帯びているが、赤い目が普通の人間でないことを表しているようだ。

「ねーねー、お姉ちゃん達襲っちゃダメだよー」

恐らく、人間ではないという意識からだろう。人見知りなはずの彼女が、その存在に後ろから話しかける。変異体は、振り向いて彼女に気づいた後、武器、消火斧を振り下した。しかし、それよりも早くフェアリーの超能力を使い、変異体は浮き上がらせて、壁に叩きつける。

「むー、悪いのはやっつけちゃうぞー」

近くにあった瓦礫を浮かび上がらせ、更にフェアリーが変異体に投げつけると、素早い動きで回避された。そのまま襲ってくる、そう思って構えたものの、変異体はそのまま逃走を始める。

「あー! 逃げるなー!」

追いかけようと彼女が浮遊しようとした時、放浪者が様子を見にきた。

「…フェアリー、いたのか?」

「うん! あれ? 見えなくなっちゃった」

さっき逃げた方向を指差した時には、その変異体の姿は見えなくなっていた。それからしばらく、2人は周囲を探索したが件の変態は見つからず、その間に届いた連絡は包囲が解けたというものだった。

「感度の方は良好かい?」

新興都市における千護達の活動は、一歩ずつ全身を見せている。WWPがこの都市での活動を開始したこともあり、それに伴う防備として今いるアジトの周囲に監視カメラを設置した。

今はその試験テストの為、いつもアイビスが使っている端末に配線を接続したところだ。そういうことに慣れた人間がメンバー内に居なかったが、幸い監視カメラから映像は端末に無事届いた。これで、ある程度の安全性を確保できることになった。

もっとも、活動を続けているWWPの目的がわからなければ、対応としては後手だ。そろそろ危険を冒して今行っている任務がなんであるのか探らなければいけない。ただ、意外と言えば意外なのだが、これだけ大規模に動いているにもかかわらず、まだWWPの駐屯地らしきところは見つかっていない。

どこか、この都市にあるWWPの施設を利用している可能性もある。そうなると、うかつに近づくのはかなり危険なのは想像できた。

「アイビス、悪いがそれでここの守りを頼む」

「言われなくてもそうしますよ」

だが、それでも先に進むために、その場所を探すことは決定していた。その為に手薄になるアジトをカバーする為、今回の監視カメラを導入したのだから。

>>17
ありがとう

まぁ、流石にラストになるよねー?(ダイスを見ながら)


ちょっと予定があるので、ここまでです。続きは書けたらかなー。

ちょろっと投票の話もあったので、一応ここでやってます。お気軽にどうぞ。
(2番目は特に必須じゃないです)

http://start30.cubequery.jp/ans-0280075b

エクスって現実になぞらえると魔法職だと思うんだけど、ゲーム内で戦士職にされてるのは大丈夫?

五百八十六日目

警察署エリアの制圧について、コマンダーゾンビらしき襲撃を受けた。らしきというのは、コマンダーゾンビと一致しないところがいくらかある為だ。一つ目はフェアリーの証言だと、そいつの頭部の肥大化は確認されていない。二つ目は俺達の動きを感知していない所があった。

美尋達が建物内に入ってから包囲されたことを考えると、こちらの動きを把握している様子はあるのだが、救援に行った自分を含めて攻撃を仕掛けた時に反応した様子はなかった。それが一番の奇妙だな、何かしらの反応は絶対あるのだが。

頭部の肥大化が視覚上確認できないことを考えると、その能力が通常より低い可能性があるのか。それは覚も同じで、あいつはかなりの範囲を感知しているはずなんだがな。

ただ、消火斧を攻撃に使ったということから、目は生きているようだ。コマンダーゾンビの知能で、視覚もあるなら武器を使うことは不思議ではない。それはそれで厄介だがな、もしかしたら銃なんかを使っている可能性がある。

後は、同じ地域に2体以上のコマンダーゾンビがいるというのは聞いたことはない。パラノイアと何らかのトラブルが起きそうなものだがな。

いろいろ謎だが、新たな脅威というところか。パラノイアまでとは言わないが、厄介なのは変わらない。幸いなのが、包囲によりゾンビが集められていたことで、思いのほか制圧処理がスムーズに進んだぐらいだな。

レポートNO.149

井門圭司


新たな脅威と遭遇ってところだな。コマンダーゾンビらしい動きをしながら、そうじゃないところもある。亜種なのは確からしい。武器を使うところをフェアリーが目撃してるってのが、今までのゾンビと違うのはそこだな。

まぁ、コマンダーゾンビの亜種ってなら不思議な事じゃないか。奴等はもしかしたら俺ら以上の知能を持ってる可能性すらありやがる。武器位使ったって、当然かもな。連中が使わないのは、大体視覚がないか、良い状態じゃないからってところだろ。闇雲に振り回したって意味はないからな。

ただ、そうなるとそれ以外の武器を使うこともあり得るだろうし、それ以外の攻撃手段もあるかもしれねぇ。要注意ってところだな。

【脅威の中で】
「…パラノイア戦を前に、まるで前哨戦のような戦いだったな」

「あっけなく総崩れになったところが気になりますね…」

「…同一エリア内にコマンダーゾンビが複数いる。個体数の少なさから考えたことはなかったが、それで問題はないものか」

「少なくとも、互いに干渉しあうのは間違いないでしょうし、大型駅エリア内でなんらかの変化が起きているのかもしれません」

「…次も同じ変異体が襲ってきたら、俺達を狙っているのは間違いないだろう」

「幸い、そこまで強いコマンダーゾンビの亜種ではないようですけど…」

「…コマンダーゾンビとしての基本的な能力な部分はな。武器、道具を使うという部分を考えると、生存者を相手にするような厄介さかもしれない」

「緩衝地帯の確保は、もう間もなくです。それまでに処理できれば…」

「…そうだな」

>>24
まぁ、そこは一応ゲームですし。


>>21の修正
×それからしばらく、2人は周囲を探索したが件の変態は見つからず、その間に届いた連絡は包囲が解けたというものだった。
○それからしばらく、2人は周囲を探索したが件の変異体は見つからず、その間に届いた連絡は包囲が解けたというものだった。

乙!
向こうにゃまだ捨て駒ゾンビを用意する余裕があるか……

まぁ戦士職は単純にやりやすいし...

この存在って割と珍しくない気がしてきた・・・。

DJフレンドがいる隠れアジトの周囲は混沌と化してきていた。WWPと情報提供者がこのあたりをうろついている。流石の彼等も、WWPと連続して交戦する気はなかったらしく、身を隠しているようだ。フレンド達は当然、隠れアジトからほとんど出ることはできない状況だ。

幸いなのは、WWPは春になったからかヘリを飛ばしてくる様子はない事。ただし、軍用車両や人影はそれなりに見るようになってきていた。そんな場所に新たな人影が現れた。

「…。WWP。手がかりが…」

その人影は外套をかぶっていた。顔も覆われ、姿を見ることはできない。それでもわかるのは、ここにいるのは目的あってのことなのは、明確だった。

人影の周囲から、音が消えていく。それは文字通りの無音だった。その周囲だけ音を目印にその周囲と外で区切られていくようだ。

「…。3人、WWPと無関係。5人、こっちが目的の方達。それ以外は、WWP…」

胸をなで下ろすように、右手をそっとその場所に人影は当てた。どんな方法かわからないにしても、その存在が周囲を知覚できるのは間違いなかった。

「…。皆を見つけるんだ…」

足取りも確かに、人影はDJフレンドの隠れアジトへと向かっていった。

「……この上」

たどり着いたDJフレンドの隠れアジト、だがしかしそこにたどり着くには、今いる場所の上、2階部分あたる部分の空中廊下に行かなければならない。人影も他からの侵入ができないか調べてみたが、この場所ぐらいしか見当たらなかった。

また、周囲から音だけが消えていく。それが何を意味しているかは分からなくても、人影がただの存在ではないことを証明している。

「DJフレンド。僕の声、聞こえる?」

人影の耳は、フレンドが息を呑む音を捉えた。

「聞いて。僕は敵じゃない。聞きたいことがあるんだ。お願いだ、聞いたら僕はすぐいなくなる。約束する」

それは誰が聞いても必死だった。何かを叶えるために、ただがむしゃらに突き進むような愚鈍さえも感じさせる純粋さだった。目の前にいないはずの声、お願いだと言い続けるそれを聞き流そうとするフレンドは、目を閉じる。

「お願い、その場で話して。それで僕は聞こえる。だから、答えて…」

『……そこはまだ危ないよ。中に入れるから、待っていてね』

その必要はない、人影は驚きながらいった事に、フレンドはここで目立たれると僕達も困るからねと、素直に理由を答えた。

人影はDJフレンドが普段いる放送室の中にいた。落ち着かない様子で、周囲を見渡していると、メンバーへの説明を終えたDJフレンドが中に入ってくる。扉を閉めようとして、人影は制止する。

「音が、この場所だと聞こえない。閉めないで…」

フレンドは言う通りに、扉は閉めずに開いた椅子に腰を掛けた。

「…聞きたいことは何かな?」

外套代わりにしていた一枚布はテーブルに置かれ、姿を現した人影。ウエーブがかった長い髪に、シュッと伸びた鼻先。耳がやや尖っているのも特徴的か。手足も長く、日本人には見えない。それに何より。

「僕はエコー。こう見えても男なんだ」

フレンドは少しばかり呆然とする。その美しさに加えて女性らしい肉体、明らかな胸のふくらみとくびれも見受けられるのに、男と言ったのだから。

「…。身体が、こうなだけだよ」

「……。それは自分もよくわかるよ」

エコーはハッとしてフレンドを見るが、フレンドはただ微笑むだけだった。

「それで、聞きたいことは何かな?」

「ミーシャって人が言ってた、空を飛ぶ人は、どこで見たかは知らない? きっとフェアリーのことなんだよ」

その名前には聞き覚えがあった。というよりも、それは拠点にいるその超能力者(ひと)で間違いないだろう。状況から推察するに、どう考えてもエコーと名乗る目の前の存在も、そうと思われる力でフレンドに接触してきたのだから。

「そうじゃないかなってのは知っている。でも、教える前にこちらにもいろいろあってね。まず、聞いてどうしたいんだい?」

「僕が、あいつらに捕まったせいで、皆を困らせちゃったんだ。謝らないと、いけないんだ」

贖罪の顔、誰もかれもこの世界を生きる者はこの顔を持っている。

フレンドは、信用していいと思えた。PCPに関連する超能力者は、何らかの精神的あるいは肉体的なトラブルを抱えていると聞いている。状況からして、エコーは性別を誤認している可能性があった。後天的に、性同一性障害にさせられるなど、その苦しさを知っているフレンドからすれば、同情せざるを得なかった。

「…そうか。知っているまでは言えるよ。でも、それを答えていいかまでは、まだ判断がつかない」

「どうして? 教えてくれないの?」

「そうじゃないよ。簡単に言うと、許可がいるんだ。君は、WWPに追われている身だよね? ある勢力もWWPとは敵対している。そしてその場所に聞いた子はいる。だけど、その場所を伝えた後、君が捕まってしまえばそこがバレてしまう恐れがある。だから、その場所に許可をもらわないといけないんだ」

わかってくれるかな、と穏やかに言うフレンドに対して、エコーは頷いた。

「DJフレンド。貴方の言葉(おと)に嘘はなかった。信じるよ、後はその勢力が良いって言ってくれれば、教えてくれるんだよね?」

「そうだね…。でも、音で嘘を言ってないのかわかるのかい?」

音は僕そのものだからと、エコーは答えた。

>>29
まぁ、かき集めた分以外でも、そこから出た所の先にいるゾンビは駆りだせますしの

>>30
とりあえず要領よく叩け。



さて、予定してなかった生存者判定がフレンドのところにて発生。しかもまた超能力者である。もうちょっと判定難易度上げるべきだろうか。
おかげでこんな時間ですよ。続きはまた余裕があればです。

あ、引き続き投票はお待ちしてます。

オト・ソ・ノモノ!? いや、多分、分かりやすく言ってるだけだよな
存在が稀っていうなら、もうちょっと判定基準上げても良いかもね
そのままでも、まぁ、被験体の数も半端じゃなかっただろうし。もしかしたらまだ新たな被験被害者も居るかも知れないしね?

惨劇からしばらく経ってるし今も生きてる人間は普通じゃないのが普通だと思うから正常じゃ?

普通ってなんだっけ?(哲学)

乙!
いや、まだ、ちゃんと普通の貧弱一般人代表の三間君が居るから、一応だとしても普通の概念は守られてるぞw

「あぶな、このやろ!」

剣を大振りで叩きつけ、モンスターはダメージを負って霧散した。このVR空間において、プレイヤーのレベルは上がらない。そもそもステータスというものは存在しない。ダメージを負い、それが致命傷であると判断されれば消えてなくなる。それはエクスも例外ではない。

VRを用いて、リアリティを追求したRPGがあった。それもこのシステムに似ていたが、それでも爪で引っ掛けられた痛みは、恐らくなかっただろう。幸い道具としてある、傷を塞ぐ塗り薬があってすぐに治ったものの、また同じ怪我を負う気はさらさらなかった。

「RPGのキャラの気持ちって、こんなもんなんだろうな…」

戦闘が終わり、近くにあった木に寄りかかる。肉体的な疲れはなくても、精神的な疲れがこの世界における疲労なのかもしれない。なまじ、現実と同じ感覚が与えられるこの空間では、意識が無意識に疲労を呼び起こしている。

「あそこに必要なものがあるっつー話だけどな…」

起きたイベントはよくあるものだ。この先に必要な物を聞かされて、それがある洞窟までたどり着いた。後は中に入るだけだが、この道中での戦闘でも十分命がけだっただけに、気後れするところはある。

ただ、現にこのゲーム攻略がEVEのAI解析となっていることは間違いなかった。AIの構成と構築部分に関するデータも、そ半透明なタブレットように開かれたウィンドウ内に表示されている。

「そこに必要なものがあるのは間違いない。しかし、呼び出しが来たようだ」

その言葉に従うと、もう1つウィンドウが開かれた。伊吹からの緊急呼び出しだ。

「ここはゲームには違いない。このまま君が戻るのを待つとしよう」

「いいのかよ?」

良くも悪くもないだろう。いつも通り、山海のAIは澄ました様子だった。

五百八十七日目

警察署エリアの制圧は進んでいる。好調とまではいかなかったが、それでもトラブルがあるよりはマシだろう。少なくとも、昨日フェアリーが目撃した変異体が今日も襲ってくるということはなかった。もっとも、ただ単にその準備が整っていないだけとも考えられるか。

警察署エリアの緩衝地帯の確保は、もう間もなく終わりになる。そうなると、最後に残る大型駅エリアの探索が残されるのみだ。それは当然、パラノイアとの最終決戦を迎えることを意味する。しかし、すぐにそれを実行できるかと言えば、違うな。

パラノイアを処理することだけを考えれば、できるだろうと考えられる状態にはなっている。だが、そこにメンバー全員の生存、都市を可能な限りそのまま確保することを考慮すると、相変わらず厳しいのは変わらずか。

出来れば、BAPの解析によって操作するタイプのアンドロイドでも構わないな。こちらは一人でも多く人員が必要だ。その意味でフェアリーが参加したことは、ありがたいことなのだがな。

後は例の変異体もそうだな。パラノイアと挟み撃ちになんて合えば、犠牲が出るのは間違いない。少なくとも、そいつを処理するまで本格的な探索は難しいだろう。

一ノ瀬DIARY Mar.31

警察署エリアの任務は進んでるよー。もうそろそろ終わりみたい。そうなると、準備が出来たら大型駅エリアに行くことになるんだろうな。

パラノイアと戦うと思うと、やっぱり、怖いよ。探索組の中で私は戦える方じゃないから、皆の足を引っ張りそう。そんなことを言っている場合じゃないのは、わかってるんだけど…。

何かもっと、パラノイアに向けていい方法はないのかな。放浪者さんは誰かを犠牲にするような方法は選ばない、そして私もそんなことは絶対に嫌。そんな都合のいい方法があればなぁ。

でも本当に脅威なのはパラノイアだから、なんとかしてパラノイアがいる位置を調べて皆で一気に攻撃すればいけるような気がするんだけど…。

>>37
覚えてるのは、タコ・ソ・ノモノかな。

まぁ、数値変えてもダイス様のご意向なのでね。そもそも判定時に26なんて出る時点でご意向だよもう。

>>38
普通は普通だよ(思考放棄

>>39
まぁ、強さの面でいけば彼は普通だね。属性変だけど


587日目はもうちょっとだけ続くんじゃ。

「回収組の活動エリアを変える」

今までの活動内容を参考にして、平山は現在の都市入口エリアでの任務をいったん終了することにした。元々、最初期に確保されていたエリアであり、ゾンビも少しはいたが回収組の活動でほとんど見られなくなり、バリケードの修繕や補強も完了した。物資も細かな探索をしたことで大体は集まったと言え、もうメリットと言えることはなくなっていた。

それに伴い、どのエリアで活動をするかが焦点になった。候補は商業区南エリア、都市中央大型公園エリア、都市中央大通りエリア。どれも、今探索組が確保している緩衝地帯より手前のエリアになる。目的は緩衝地帯を超えられた際を含めた、確実な逃走経路の確保。

全てのエリアでその任務を行う時間は、確実に無い。その為、どのエリアで活動するかを絞らなければいけない。フェイもそのこともあり、どこで活動するのか気になった。

「大通りエリアだ。あそこは、都市東エリアに隣接してる。保安官殿が抑えているエリアだが、それだけに未知だと言える。あの方でも全てのゾンビの処理は出来る訳もない。そこから何を招き寄せるかもわからんからな。防波堤の役割も想定する」

ほとんどその活動を意味を成す時間はあるかはわからない。しかし、何もしないという選択肢は、拠点側には残されていない。

3/31 担当門日 朝

パラノイア以外の新しい変異体ねぇ…。

フェアリーちゃんしか見てなくて、パラノイアが目撃されてないなら、やっぱりそうなんだろうね。


担当浜村 昼

きな臭くなってきたわね。

気を引き締めるわよ。死にたくはないでしょ。


担当平山 夜

死なない為の戦いです。

サポートチームより無線連絡あり。放浪者さんに取り次ぐ。

「…新しい超能力者か」

『そのようだね…。場所を教えていいかの確認だよ』

DJフレンドからの緊急入電が、夜に入った。フレンドの勢力にPCPにより生み出された超能力者が訪れている。そして、彼等の周囲はかなり危険な状況となっていることも知った。

この通信もビジョンの能力を使ってのもので、盗聴の心配はないが、それでも以前の逃走時にそれ自体を感知されたことがあった。それに、いかに強力な超能力を持っていたとしても、集団で襲われてただですまないのは自明の理。この状況下で教えた後にその超能力者が捕まってしまえば、拠点の危険性はパラノイアだけでは済まなくなる。

しばらく熟考し、放浪者は口を開く。

「…教える必要はない」

『……。そうだね、それは仕方のない判断だよ』

「…あぁ、俺が直接迎えに行く」

2人分の息を呑む音が聞こえた。DJフレンドと、回線を繋ぐビジョンからだ。

「君は何を言ってるんだい。そんな簡単に来れる場所じゃないんだよ、それに君の拠点だって君が抜ける訳にはいかない」

「…フェアリーの超能力を使えばいける。フロートボードをあいつの超能力を浮かせれば、理屈的に少ない推進力と消費電力で移動できる。以前のスカイミッション時に、フレンドのいる地域を超えた所まで移動できているのと、そちらの状況も解消しなければいけない」

いつも通り淡々としていた。誰が聞いても、無茶でしかないことだが、彼には出来るという確信を持っている。

「そこまでしなくていいんだ。君には君の守るべき勢力があるだろう?」

「…それならフレンド、お前達の勢力も、俺には守るべきものだ。それに、この話を聞けばフェアリーは飛び出していくだろう、それを避ける為には必要なことだからな」

もちろん、そんな悠長な時間があるかはまったくの別だ。したいことなのか、しなければならないことなのか。放浪者はわからない人間ではない。

しかし、教えないことでエコーがDJフレンドに何をしでかすかもわからず、教えたとしても先ほどの危険性が伴う。エコーが拠点に紆余曲折を経て拠点にたどり着こうとするのは確かで、更にフェアリーがこの話を何かで聞いて拠点からいなくなられても戦力の喪失になる。

それならば打てる最善が、フロートボードを使ってエコーを迎えに行くこと。それが彼の結論だった。

「…たどり着き次第、フロートボードの充電を行い、その間に情報提供者及びWWPの問題を可能な限り解消。当日中には拠点に帰還する」

『ひひひ。放浪者の旦那、いくらなんでも無茶が過ぎる』

普段なら口を閉じているビジョンが、思わず釘をさすのも聞かず、このまま任務のサポートを頼むと彼は告げた。

「…僕を迎えに? どうやって?」

それはDJフレンドにとっても説明が難しかった。すでに放浪者とフェアリーは飛び立ったと報告を受けており、こちらに向かっていることは間違いない。言葉に窮したフレンドは、とりあえず空を飛んでとだけ伝えると、フェアリーを知っているからか、エコーは静かに納得した。

「……。エコー、自分もそれなりにWWPについては話を聞かされている。君達、超能力者がPCPというもので生み出され、そして人間を恨んでいるともね。だからこそ、不思議なんだ。どうして人間である自分達に話を聞こうとしたのか、やっぱり皆に会いたいからかい?」

エコーは首を振った。間を置いて、自身は恨んでいないと答える。ひどい目にはあったのは間違いはなく、けれど、この1人で放浪している間で、生存者達に救われたこともあった。憎むべきはWWPであって、全てではないと。

それと合わせて、エコーはフレンドの放送に共感していた。音を操るエコーは、フレンドの言葉(おと)が新年を持ち、そして危険を承知で善意で行われていることを理解できた。そんな人間なら、きっと悪いことはしないだろうと確信をもって、超能力を駆使してここにきたのだ。

「そうなんだね」それだけ言う言葉も、照れくささと喜びが混ざっていることが、エコーにはわかる。

「でも、情報提供者さんだったよね。その人は勘違いしてるみたいだよ、悪い人達じゃないから話せばちゃんとわかってくれると思う」

「…。それなら、彼に任せた方が良さそうだね。今までどんな無茶も最高の結果を出してきたんだ、今の状況も、きっと」

彼の任務は相変わらず無茶だとは思っている。しかし、彼が出来ると考えているなら、きっとうまくいく。そう思わせる力が、放浪者は持っていた。

【緊急時こそいつも通りに】
『エクスは倒れちゃいそうだかラ、私がナビゲートするヨ!』

「…助かる」ビュオー

『フロートボードは前のスカイミッションより研究が進んデ、それから移動を重点に改良した奴だから行き来はできると思うヨ』

「…一応だが、夜の間にはたどり着くな?」ビュオー

『もちろん』

「…闇に紛れないと、WWPに見つかるからな。それならいい」ビュオー

『それはいいけど、早く戻らないとダメだよ?』

「…問題はない。次の夜には戻る」ビュオー

『……。ちなみになんだけど、そのエコーって人には何を求めてるノ?』

「…さてな。会ってみなければわからんが、一人でも多くの戦力が俺達には必要なのは確かだ」ビュオー

『ふぅん』

「…納得できないか?」ビュオー

『少しネ』

「…。だろうな」ビュオー

『………』

「…無難も、ベターも、それだけでは足りないのが、この世界だ」ビュオー

『そうだネ』

「…迷惑をかける」ビュオー

『いいヨ。でも、ちゃんと帰ってきてネ』

「…あぁ、バレットパレードを開始する」ビュオー

「開始だよー!」ビュオー

判定結果とか選択肢とか自分が出しているうえで言うなら、放浪者のむりっぷりに自分もついていけてないよ?


>>46の細かい訂正


×「君は何を言ってるんだい。そんな簡単に来れる場所じゃないんだよ、それに君の拠点だって君が抜ける訳にはいかない」
○『君は何を言ってるんだい。そんな簡単に来れる場所じゃないんだよ、それに君の拠点だって君が抜ける訳にはいかない』

×「そこまでしなくていいんだ。君には君の守るべき勢力があるだろう?」
○『そこまでしなくていいんだ。君には君の守るべき勢力があるだろう?』


>>47の訂正

×音を操るエコーは、フレンドの言葉(おと)が新年を持ち、そして危険を承知で善意で行われていることを理解できた。
○音を操るエコーは、フレンドの言葉(おと)が信念を持ち、そして危険を承知で善意で行われていることを理解できた。


>>32の訂正

×幸いなのは、WWPは春になったからかヘリを飛ばしてくる様子はない事。
○幸いなのは、WWPは春になってもヘリを飛ばしてくる様子はない事。

乙!!
デスゲームだけど中断許されてたんだ、アレ。解析データも、クリアしなきゃダメとかじゃなくて段階開放みたいだし。意外と甘かったか?死ぬとこを除けば。でもヘタに帰れる事で油断も少しは湧きそうだな

放浪者、本当に無茶すぎ(汗
でもまぁ移動中にトラブルさえ無ければ、本当に大体の問題は解決してくれちゃいそうだな。フレンドと情報提供者達は直接対話する必要はあるだろうが
そしてエコー君もまた読心勢(副次的効果だけど)……チートが増えるよ!やったね放浪者!

電波を操るビジョンに音を操るエコーに人の意識を操る(リスク有り、実質感知)の覚

これもう死角ねぇな
やろうと思えばパラノイア達撹乱しまくって電撃作戦いけるんじゃね?

フレンドの拠点では、話し合いまで持ってって無事に終わってほしいもんだねぇ

長い一日が始まる…。

なっ、んだとぉ……?

闇夜に紛れて、未確認の飛行物体が弾道のように上空を進んでいく。それを目撃する者はいなかったが、それでも耳を澄ませば、風を切る音は聞こえたかもしれない。

『フレンドの居る場所は覚えてル?』

大まかな位置は放浪者も覚えているが、当然うろ覚えになっている記憶だ。そのままアリスに、場所の誘導を指示する。

まだまだ相変わらず、夜間帯のこの移動は寒さが伴う。それでも幾分なしなのは、フェアリーが抱き付いた状態で一緒に航行しているからだろう。今回の無茶な任務にも、彼女は返事1つで同意した。そこにはもちろん、散り散りになった新たな仲間に会えるというシンプルな理由だけ。まだ、複雑なことを統合して判断できるようには、戻れていないのだ。

今も、早く会えないかなとのん気な様子がその証拠だろう。もちろん、放浪者は誰にであれ対等な立場として話をする。向かう先の危険性なども説明していて、この状態なのだ。その分自分が気を引き締めるしかないかと、放浪者は心の中でぼやく。

『もうそろそろ、見えてくると思うヨ!』

ナイトビジョン越しに、暗闇の地上に目を凝らす。確かに前見たような工場地帯が遠くに見え始めた。

「…加速する、しっかり掴まれ」

グンとスピードをフロートボードは上げ、少し慌てた声がフェアリーはあげた。

「……。君に驚かない要素はあるのかな?」

本当にたどり着いた放浪者に、驚き、戸惑い、諦めといったものが混ざった、言葉にできない感情をフレンドは覚えた。こちらに向かうと言っていたが、なかば半信半疑ではあったからだ。放浪者が信頼に足り、有言実行を続けた人間だとしても、それほどにこの移動と拠点の状況は芳しくはない。

だから、エコーに拠点の場所を教えていいかのやり取りで、その必要はないだけ言われた時に、フレンドは仕方のない判断したほどなのだ。本来、ここは彼がいるべき場所ではない。

「おおー! 本当にいらっしゃりますよって、自分、西村新言います」

「…話には聞いている。西村さん、すまないが、そこのフロートボードの充電を頼めるか?」

お安い御用と、西村は早速フロートボードをファイブキラーと一緒に、隠れアジト内に運び込んでいく。

「…他の2人は?」

ヴァルキリーミラージュの2人は、エコーの見張りを兼ねて一緒にいるとのことだった。音を操る相手と聞いたこともあり、放浪者は簡単に言っていいのか聞くと、わかる相手だから了承はもらっているという回答だ。

「早くエコーちゃんに会いたいよ…」

放浪者に隠れながら、フェアリーが催促する。時間が限られた任務ということもあり、話も早々放浪者もエコーへの対面に向かった。

「…フェアリー!」

「エコーちゃん!」

休憩室にいたエコーは、フェアリーを見て立ち上がる。フェアリーもエコ-を見つけると、放浪者から離れて抱き付いた。離れ離れになった仲間との再会を果たしているのだから、当然の光景だったが、放浪者にはそれを悠長に見ている時間はない。

フレンドに、現状の状況を再確認する。今このエリアで活動しているのは、DJフレンドに敵対する情報提供者のグループと、WWPの小隊。その2つの勢力自体も敵対している状態で、三者三様の勢力が動き、そこにゾンビが絡んでいるような状況だ。

「…何にしても、まず情報提供者と会う。エコーだったな? 音から相手のことがわかると、フレンドから聞いている。間違いはないか?」

少し身構えているエコーに代わり、フェアリーが間違いないと答えた。それなら、情報提供者達も危険な状態にあるということだ。それに、見た目には若い人間のグループということもあって、今後の人員補給も見込める。下手に敵対すれば全体を危険に陥ることも考えられるが、そこまで高い可能性ではないと踏んでいた。

むしろ、この拠点における問題は、WWPが活動していること。そしてその活動理由についてだ。仮にすべて掃討したとして、それが危険なものだとすると奴等にはいてもらう必要がある。その危険から身を守るための盾として。

「…夜の今ならまだ見つからずに移動できる。エコー、位置は特定できるか?」

警察署エリアでの任務を終え、ここまでの強行軍をしたはずの放浪者に、疲れの色は見えない。

「…皆はここにいてくれ。エコーも出入り口付近で、情報提供者の位置を確認したら、ここに戻ってくれ。逐一の連絡は携帯を介す、質問は?」

普段使っている地下道の休憩室と思われる一室、そこに放浪者、DJフレンド、フェアリー、エコーの4名がいた。作戦はシンプルなものだ、放浪者はWWPに見つからないよう情報提供者達に接触し、その後この休憩室で会合を設ける。

隠密行動を得意とする放浪者とはいえ、他の人間を連れてとなればその特技は生かせない。問題は、休憩室までの戻り道がどうなるかという部分だろう。

「話した通り、未明になれば戻るから、放浪者も見つからなければ、素直に戻ってね」

「…考えておく。では悪いがエコー、ついてきてくれ」

検討しているかは怪しい様子で、放浪者はエコーを連れて出ていった。休憩室に残されたのは、天井に張り付いて距離を取るフェアリーと、真剣な眼差しで携帯を持つフレンドだけになった。

「……本当に考えてるの?」

恐る恐るという様子で、放浪者の後ろを歩くエコーはそう言う。エコーが捉えた音は、嘘でも本当でもないという、微妙なものだった。

「…そうならないよう終わらせるだけだ」

エコーにとって、初めて会うタイプの人間だった。エコーもこれから行うことは危険なのは想像できていて、容易いことだとは思えない。だというのに、目の前の男は出来て当然のように振る舞っている。

短い時間で、フェアリーから彼は超能力者ではないこと、ファントムシリーズという特殊なものを装着していることは聞かされた。その上で、まるで超能力者のように戦うとも。その意味は、この側にいてエコーは察していた。

音。彼から発せられるそれはとても静かだった。その上、目の前で見てるにも関わらずどこかおぼろげにさえ感じる。気付けばゾンビの背後に回り、首を刎ね飛ばすという話が現実味を帯びていた。

「…扉を少し開ける。探査を頼む」

もちろんあったばかりのエコーだったが、放浪者今、この時も、普段通りなのを感じながら、周囲の音を引きつけた。

>>50
まぁ、殺すことは目的にしてないからね

あとは放浪者の無茶いつも通りだけどねぇ(遠い目


>>51
どうなんだろうね。


>>52
さてどうなるやら


>>54
むしろ長くならない訳がない。


さて、まだまだ深夜帯ですよ。588日目は。なので続きはまた・・・。かけたら(なんでか予定一気に入った)




引き続きこちらでも投票募集中です。
http://start30.cubequery.jp/ans-0280075b

や、本当にお疲れ様です

乙 エコーもなかなか頼もしそうだ

放浪者は闇に紛れていた。彼の視界には、WWPの兵士が動いているのを捉えているが、兵士達は放浪者を視界に捉えてはいない。普段の彼なら、目の前にいる8人程度の兵士を、理解できる間もなく屠れる確信はあった。しかし、彼としてはわずかな危険性だとしても、それを冒す価値は今のところない。

重要なのは情報提供者と名乗る、DJフレンドに敵対している勢力。エコーの音響探査によって潜伏しているであろうと言われた場所へ急ぐ。

工場地帯は、その立地や建築物の関係で潜みやすいところが大半だ。集団とはいえ、少数の人間を探すには骨が折れるだろう。それに、まだWWPの目的ははっきりとしていないが、それを理由にここへ訪れているであろうWWPとって、情報提供者を探すのは二の次だろう。精々、探索の障害として認識され、目撃したら容赦なく撃ち殺す、その程度の腹積もり。基本的な部分について、放浪者はそう読んでいる。

ただ、気になる点がない訳ではない。情報提供者は、明らかにWWPが敵と認識して攻撃と思われる発言があったのはミーナ達から聞いている。小競り合いのようなその時の戦いも、元々は情報提供者が仕掛けたのかもしれない。そうなってくると、事情は変わってくる。情報提供者がDJフレンドについて、気に食わないのが解消できなかったとしても、同じ敵と認める相手なら一時協力は見込みやすい。

バレットパレードに与えられた時間は短い。可能な限りの状況をシミュレートしながら放浪者は目的の建物に、音も存在もなく侵入した。

「…先輩。マジ、寝すぎ」

「仕方がないわ。無茶をしているのは先輩なのだし…」

1階に部分の物置が物資を置くためと思われる小さめの部屋に、三人組はいた。先輩と呼ばれている男は簡易に作られた寝床で横になっている、疲れているのか側にいる女が額の髪を払っても、身じろぎもしない。もう1人の女は、その部屋の北側にある2つのうち右側の窓から外を警戒している。

この部屋にあるのは、建物内部から入る為のメインと、裏口に当たる2か所の出入り口があり、部屋の中央には2列金属製の収納棚が、4つずつ並んでいる。ある程度は実を隠せるのと、気付かれず棚を押し倒せば足を止めることもできる。何より出入り口が複数あれば逃げ出しやすい。3人とも明らかに若いが、この世界で生き延びてきたことを感じさせる選択だった。

だが、もしそうだとしても、放浪者のような人間がいるとは、想定はしていないかもしれない。

「…誰か、マジでいる?」

「何を言って…」

時間も経ち、わずかとはいえ劣化している工場。立てつけも悪く、裏口部分の出入り口は開閉時にやや音が鳴るのを確認していた。建物に通じる出入り口は普通ではあったが、音が少なくなって久しいこの世界であれば、それは注意さえ怠らないという前提で、警報装置の役割を果たすはずだった。

しかし、気付けば闇に紛れていた放浪者は、ゆっくりと3人の前に姿を現した。

2人の少女共に、銃へと手を瞬間的に伸ばそうとして、止まった。1人は自身が身に着けた護身術から相手の戦力を理解してしまい、もう1人は攻撃しようとした時に相手の攻撃を止められない予感が身体を貫いた。頼りの綱は眠っているもう1人の仲間だが、それでも目の前の男に敵う想像は出来ない。じわりと、汗がにじむ。

「…驚かしてすまない。俺の名は放浪者。単刀直入に言おう、DJフレンドとの会合の場を設けたい。着いてきてくれるか?」

放浪者の言葉を2人が素直に受け止めることはない。それは彼もわかってのこと。しかし、敵対する気はないと理解に時間を割くより、目的を話した方が齟齬は起きないと判断してのことだ。

「マジで、どうしよう…」

「放浪者…、さんでしたね。そもそも私達がなぜDJフレンドとお話しなければならないんですか?」

その質問に、何も隠さない。3人組について、状況からどういう勢力であると考えているかや、自分とDJフレンドの関係を伝える。まだ、半信半疑な様子は隠せず、ゆっくりと2人は放浪者から距離を取ろうとしている。だが、この状況から逃げ出すとは放浪者は思っていない。眠っている仲間がまだいて、かつ追跡者に追いかけまわされながら、WWPがいる地域を逃げ回るのは現実的ではない。

目の前で自分と対話しようとしている女、いや、少女はかなり理知的と言えた。こちらを探るために、あえて対話をしようとする意志も感じられる。それだけにやりやすさを放浪者は感じていた。

「…一部、信じられない話をしたとは思うが、事実だ。あとは君達がどうするかに任せる」

「……。えぇ、わかりました」

後は本当にこの勢力の判断次第だ。自分達は敵対意思がないことを伝える、という最低限は達した。その上で、可能であれば今後どうすればいいかの話もしたい訳だが、無理強いできることではない。

ただ、この若い男女3人組を少なくともDJフレンドの勢力として組することが出来れば、結果としては最高になる。

「ど、どうすんの?」

「…先輩を起こそう。話は、それからだよ」

放浪者はそれを聞いて、ゆっくりと、壁にもたれかかり待つこととした。

「それであんたは、DJフレンドの知り合いなのか!?」

「…騒ぐな。奴等に気取られる」

警戒を含めて、放浪者が剣の柄に手をやるのを見て、3人とも身構える。信頼を勝ち得るとも思っていない放浪者は、それを特に気にする様子はなかった。

「…同盟を組んでいる者だ。敵対しているWWPがこの周辺で活動し、君達もいると聞いた――」

「え、あんたらWWPと敵対してんのか?」

その言葉に驚いた様子。エコーが言っていたはどうやらその部分にありそうだ。しかし、そのことを解消するよりも前に難しい問題が1つだけある。簡単に肯定だけして、会合をするのであれば着いてきてもらうが、WWPと遭遇の危険性もある。その上でどうするか決めてほしいと言ったのものの。

「そりゃあ、人から聞いて信じられねーからな。直接会って確かめるとするぜ」

「…決まりでいいか? これ以上時間をかければ日の出だ。全員で行動は出来なくなる」

放浪者は3人に目をやる。少女の1人は不安げに、もう1人の少女は決断を待つ表情で、少年の一言を待った。

「おう、連れてってくれ」

「…了解。準備があるなら十分以内に頼む」

頷き、3人とも出る準備を開始した。

>>61
ありがとう

>>62
さて、どこまで実力を出すのやら


投票は引き続き。今月末までが締め切りです。
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乙!
よしよし、ここまで何とか上手くいってる!

久しぶりに普通の生存者グループっぽいな

世闇の中を4人は進む。当然、WWPの兵士は周囲にいる、場合によっては放浪者が持ってきたナイトゴーグルのように、闇に対しての装備を備えている可能性もあるだろう。そういう装備を自分達は揃えられないのだから、一ヶ所に留まってやり過ごすことが賢明ではある。

だというのに、放浪者の足取りに迷いはない。3人にとって内心ヒヤヒヤする場面があって、それでも放浪者は問題ないの一言で突き進んでいき、見つからずに済んでいる。今のところは。

相対した時から3人は、それぞれに放浪者に対して気圧されていた。そして、この振る舞いを見るだけで、有利な状況で3人で襲い掛かっても、勝てる想像が出来ない。彼等もここまで生き延びてきた生存者、それなりの戦いの経験を積んでいる。その上での話だ。

「…先輩、大丈夫だと思います?」

その深層的な恐怖感は、心配という形で表面に出た結果、香坂と名乗った少女が小声で問う。その瞬間、放浪者は左手を上げる。即席のハンドジェスチャーで止まれ、という意味だ。

次に、3人を一回ずつ指差して、その後、近くにあった瓦礫を指差した。これはそのまま、指定の場所に隠れる為の指示と、最後に口元へ人差し指を当てた。これはプラス、絶対にしゃべるなという意味だ。3人――香坂だけは焦ったように――は素直に隠れる。

鋭い眼差しで指示をした放浪者のこともあり、3人とも顔を見合わせて誰一人として口を開かず、ジッと彼が戻ってくるのを待つことにした。

しばらくの間、3人の息遣いだけが響いた。香坂が話したことだけなら、注意すれば済むだけのはず、こうやって身を隠すよう指示した以上、何かが起きた。そう彼は判断したということだ。しかし、疑念が残っていない訳ではない。もし仮に、放浪者がDJフレンドとの関係者ではなく、WWPに組する者だとしたらこれ自体が罠ではないのかと。

恐怖感から育まれたその疑念を持って、香坂は先輩と呼ぶ少年。新井へ視線で訴える。しかし、そうされても彼は答えようがない。この状況下で3人だけで行動して、果たして無事に隠れ場所へ戻れるかと言えば、ほとんどあり得ない。彼等が潜んでいた建物はかなり離れてしまっている。

静かなやり取りは、緊迫による時間経過の遅さを助長させる。もう一人の少女、大倉もその緊張感に耐えられない様子で震えている。

その調子でいた3人に放浪者がいつの間にか側にいた。驚きはしたが、全員は声は出さない。またハンドジェスチャーで付いてくるよう指示を出すのを見て、それに従う。

その後は特に何事もなく、隠し通路に当たる出入り口にたどり着いた。全員が入り込んだのを確認してから、放浪者は静かに施錠した。

「…声を出して構わない。あと少しだ」

また、先導する為に前へ出ようとして、放浪者は振り向いた。

「…香坂、だったな。なぜ喋った?」

それは質問だった。そして、それは明確に微弱な怒りを含んでいる。そのことを感じた香坂は、言葉に詰まる。

「放浪者さん、わざとやったわけじゃー…」

「…声を聞かれたわけではないが、WWPの兵士がそのことで起きた違和感で、移動する俺達へ向かってきてしまったのは事実だ」

 どこまでも断定的だった。使用しているファントムシリーズの影響で、五感が研ぎ澄まされている彼だから理解できることであり、だからこそ誰も理解できることではない。

「でも、聞かれたのでないなら…」

「…信じるも信じないも自由。どちらにせよ、対処せざる得なかった。迂闊な行動は避けてくれ、それだけだ」

話はそれだけだという様子で、踵を返して再度移動を開始した。納得できない様子の香坂に、新井は肩に軽く手を触れてから、行こうと呟き、彼女は頷いた。

しばらく地下道を歩く。何のための通路か、放浪者含めわからない。しかし、それでもWWPがここを見つけていない為か、足音と、それとどういう訳かが生きている電気が通電する音だけがする。

先ほどの放浪者の発言もあってか、3人は一言も発していない。放浪者もそのことを気にする様子もない。ただ淡々と目的地に歩いていくだけだ。その状態で、しばらくすると彼はとある扉の前で立ち止まり、1度だけ軽いノックをする。しばらくしてから、そこから誰かが飛び出してきた。

「遅いよー、おにーちゃ…ひゃ!」

それも、出てきたのは文字通り飛ぶ少女。恐らく、見たことはないものを見るだろうとだけ言われていた3人は、想定してないことに固まる。その少女も、放浪者に隠れてビクビクと固まっているのだが。

「…連れてきた。DJフレンドは中にいる。俺はもう少し、WWPの様子を伺ってくる」

その少女が付いていくと駄々をこねるのをなだめてから、まだ中にいる、エコーという人間に扉を開けておくから危険を感じたらすぐに全員で逃げるよう言って、また放浪者は元の道へ戻っていった。

3人は恐る恐るという様子で、中を見ると、そこには女性が2人いた。1人は中央に置かれたテーブルの向かいの椅子に座り、もう1人はその右斜め後ろに座り、まるで耳を澄ますように目を閉じて軽く俯いている。

「自分がDJフレンドだよ。君達が、情報提供者だね?」

「そうだ。で、あいつがあんたはWWPの味方じゃねーって…」

時間はある。ゆっくり話そうと、フレンドは座るように促して、会合は始まった。

>>68-69
はてさて、どうなることやら。

>>70
うんまぁ、多分。


一応こちらも引き続き。月末までなので、出来ればご協力つかーさい。
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乙!
香坂さんって人はちょっと危うげね
それにしても放浪者はいつ見ても半端ないな

会合の結果はもうダイス様ってるの?それとも今日?

>>76-77
香坂の反応はまともな反応だね。他の2人も話をうのみにしてる訳ではないけれど。

まぁ、放浪者はいつも通りです。いつでも。

>>78-79
判定はその日の間で起こり得ることは全て出してから。なので、この長い一日の基本的な顛末は決まってます。
まぁ、あえて基本的と書いたのは、書き起こしてる間にこういう判定が起きないかと気づいて補足的な追加の
判定をするので、何かしら変わることもありますが。

まぁ、まだまだ未明ですね。しばらくは地の文続きや。


今日もちょっと続き書こうと思ったけれど、最近ちょくちょく行ってるお店で遊び呆けてこんな時間や。
まぁ、明日(今日)には休みなので更新はします。夜に中途半端な予定入ってるけど。

『でモ、会合に出なくてよかったノ?』

1人になった放浪者に、アリスは当然の疑問を投げかけた。勘違いがほぼ濃厚で、人間として悪い連中ではないであろう3人組だったが、何が起こるかがわからない。それが世の常だ。それが惨劇後であれば尚のことで、更にエコーやフェアリーの存在が、更にカオス化させる可能性もある。

「…問題なのは、他勢力に気付いているWWPの動向だ」

そのことを踏まえたうえで、放浪者が重要視しているのはやはりWWPの存在だった。3人組との接触は、いざ戦うことになった際の危険性と彼等の安全を守る為のものであり、WWPそのものに関しての解決にはならない。

それに、頭を悩まさなければならないのは、ここにいる部隊がWWPの全部隊ではまったくないことだ。HP(ホムンクルス計画)によって、兵隊はいくらでも増やすことができる。その事実がなんであるかと言えば、ここにいるWWPを殲滅したとしても、また次の部隊がやってくる。それも、より武装を強固にした上で。

そのことを考えれば、会合への参加よりも戻りの際に対処せざる得なかったことで、WWPの動きに変化がないか偵察する方が重要と言えた。

「…出入り口に着いた。通話はこのままにしておくが、緊急及び通達事項がある場合を除き会話は禁ずる。通達事項は話す前に通話口を2度叩いてくれ。以上」

2度目となる出入り口から出ると、空は白んできていた。夜が明ける、それは間違いない。しかしそれはまだ、長い一日の一区切りを知らせる程度のものに過ぎなかった。

「なるほどね」

3人組の事情と共に、DJフレンドに敵対していた理由もわかってきた。まず彼らのメンバーである香坂、どうやら身内が惨劇前にWWPの手によって殺された疑惑があるとの話だった。

3人は同じ学校の先輩後輩という間柄で、香坂と大倉がクラスメート。それ以外での関係は特になく、偶然惨劇時に行動することとなり、今に至る。その間に、香坂の話から彼等独自で惨劇の事実を追っていた。

DJフレンドが敵対的な発言をしていたのは、初期以降、WWPに触れられることがほとんどなかった事から、乗っ取られたか手を結んだ疑念を持った為。もっとも、これはリーダー格の新井の思い込みの部分があり、他の2人はそうは思っていなかったらしい。

「そうかー。やっぱり香坂がいうみてーに、あぶねーからしてなかっただけか…」

「ただ、フレンドさん。なぜ、今この場所であんなにWWPが? 関連付けられるような情報を発信していたとは私達も思えません」

そのこと自体はフレンドもわからないとしか答えられなかった。自分達が気づかなかっただけで、ここに何らかのプロジェクト関連が眠っている。それが一番可能性は高い。そう聞かされた香坂は、まだ疑念が残った眼差しのまま、考え込んだ。

「…。もう1つだけ、あの放浪者という方は、何者なんですか?」

それは、いろいろな意味でDJフレンドにも答えづらいものだった。フレンド自身も、彼をどう説明すればいいのかが難しい。ただ1つ言えるのは、不可能と思えることを現実にしてきた人間。

「彼は、人間離れしているからね。聞きたい気持ちもわかるよ。でも、悪人じゃない。それだけは、間違いないよ」

人間離れという部分に、3人組は納得していた。闇夜に紛れるとはいっても、放浪者の場合はまるで闇そのもののように、付いていく時もそこにいるのか確信を持てないことがあった。大倉に至っては、実は幽霊と遭遇しているのではないか、とも思ったほどに。

「でもあれ、人間離れつーか。へんな機械とかも着けてるし」

「…。それを説明する前に、WWPに関してこちらが知る情報を説明しないといけなさそうだね」

WWPは研究機関であり、多数に及ぶプロジェクトが存在していたが、それはそれぞれ独立していたことや、予算の関係で争いけして一枚岩の組織ではなかったことを伝えた。その上で、放浪者が使っているものは、その元WWPの研究所が作り出した、ファントムシリーズと答える。

「…。それが、嘘でない保証はありますか?」

揺さぶりと言っていいだろう。香坂は、内に敵対的意識を抱えて、答えを待った。

「どちらにも嘘はないよ」

それに答えたのは、DJフレンドではない。その後ろにいたエコーだった。会話にいきなり入ったこともあり、全員の視線がそこに向く。

「………。言葉(おと)に嘘はつけない。言っても信じないだろうけど、僕は音が操れる。だからわかる」

「音を…、操る?」

放浪者が危険を感じたら逃げろと言った相手が、恐らくエコーにだったのだろうと香坂は思い出す。妙なことを言うと不思議には思っていたことは、疑問へと変わる。

「……。信じるかは任せる。僕と、そして後ろにいるフェアリーは超能力者。WWPのプロジェクトで生み出された。力のせいで、記憶が曖昧で場合によっては肉体が変形した仲間もいた。僕達は、人間がそんなに好きじゃない」

醒めた様子でいるエコーと、震えながらこちらを伺うフェアリー。エコーの超能力の真偽ははっきりしない、しかし、相変わらず浮いているフェアリーを見れば、嘘だと切り捨てることも難しい。

「それに、僕はフレンドの仲間じゃない。フレンドに超能力者の情報がないか、聞きに来たんだ。今はこういう状況だから、協力してる」

それだけ、と呟いてエコーはまた俯いて目を閉じた。言葉通りなら、音を捉えて危険を感知しようとしているということになる。無言の間が続いてからしばらくして、香坂が口を開く。

「…。こちらも、この状況が終わるまでは協力します。ただ、何かあれば自分達は逃げます。それでいいですよね。先輩」

「そーだな。大倉もそれでいいか?」

「2人がそういうなら、平気」

これで、ひとまずの問題は解消に至った。しかしまだ、WWPの脅威という大きな問題が、差し迫っていた。

ぼちぼち出かけるのでこれまで。ようやっとの夜明けでございます。


宣伝も引き続き。投票は今月末までが締め切りです。
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乙乙

ひとまず情報提供者の問題は片付いたけど次はWWPをどこまで引っ掻き回すかが問題だな

乙!
アンケ書いたけど、本当は必要だと思う物事の所に、ネタで[メタルウルフ(搭乗者に大統領魂を刷り込む仕様)]って書こうとしたけど、最後には冷静さが勝って、普段からの願望を書いといた

陽は当に昇っている。朝特有の澄んだ冷たい空気で、放浪者は開けた窓から入るそれを肺に満たした。WWPの動きは慌ただしいが、警戒の度合いを高めたことは容易に理解できる。情報提供者と名乗っていた新井達を救出するのは当然であったとはいえ、これからの任務の難度が上がったことに心の中でため息をつく。

もちろん、だからといって放浪者がこれからすべき任務。ここにいる目的を知るための偵察をしない、という選択肢はそもそもなかった。新井達の件は、言ってしまえば本来DJフレンド達で解消すべき事態。だが、WWPは彼等だけでは手が余る事態で、そこにエコーが絡んできた。

隠れおおせれば、WWPのこともどうにかはなるだろうと考えていた放浪者も、エコーが絡んだことで静観できる状況ではない判断を下すしかなかった。もっとも、彼にとってはエコーという超能力者を、とりあえず一時協力させることもでき、DJフレンドの活動を正常化できるちょうどいい理由付けとは思ったようだが。

危惧しないことがなかったわけではない。突然現れた新たな武器を使うコマンダーゾンビの存在だ。昨日時点での襲撃はなかった、しかし、それがもし今日探索組や回収組あるいはハンター、もし考えづらくそして最悪を含めるなら拠点を襲うという状況も想定できる。

だがこれまでも、彼が離れたからと言ってどうにかなるような、そんなメンバーとは微塵も思ったことはない。それぞれに役割を理解し実行できる強さを持っている。ハンターも猛者の1人で、その亜種とも互角に渡り合えるだろうし、メンバーの近くで行動すること自体を守れば、その間にメンバーが救助に向かうことも出来る。なんら心配する要素はないと彼は考えている。

唯一の危惧があるとすれば、この任務、バレットパレードの補佐をしているサポートチームの負荷だ。すでにエクスはVRによるハッキングで体力を消耗しており、BAPの解析を進めるアリスが付いている。何より、生体回線とも言えるビジョンの負荷は、接続を継続している以上は避けられない。

一気にけりを付けたかった放浪者にとっては、昇ってしまった朝日は恨めしいものだが、急ぎすぎることは任務の失敗を招きかねない。危惧していることや、自身の体調のことを考えればそろそろ小休止が必要だ。1人で放浪していた時代なら、3時間以上眠れる機会があれば幸せなことだった。それを思えば今回もそれぐらいは眠れそうな算段がつく以上、気楽な任務だろう。

「…聞こえるか?」

動きを監視しながら、放浪者は呼び掛ける。少しして、間の抜けた、恐らく寝ぼけたであろうアリスから返ってきた。

『くくく、すまない放浪者の旦那。アリスの姐さんも、BAP関連で徹夜明けなんだ』

「…奇遇だな。WWPは警戒を更に厳しくしているが、むしろ奴等の任務に力を入れているようだ。生存者を探す素振りはない…。ある地点を中心に集まっている様子だが、もうこれ以上は近づけず詳細不明。言い換えれば、その間は休みがとれる。いったん、回線を切ってくれ。追って再コンタクト希望時間をオンラインに上げる」

ありがたいことだと笑うビジョンの声は、疲労の色合いが見え隠れした。この手の任務の際、ビジョンの時間的な拘束は回線を繋いでもらう以上かなり多い。放浪者には珍しく、まとまった時間休もうという提案は、乗らない理由は全くない。

海戦は途切れ、放浪者はそのままDJフレンドの隠れアジトに戻ることにした。会合の是非については、あまり心配はしていない、そんな足取りだった。

放浪者がDJフレンドの隠れアジトに戻る。彼としては自然に入ってきたつもりだが、その姿にミーナやミーシャが驚くのを見て、少しだけ不思議そうな顔をする。

「せ、せめて入るとか言ってくれよ」

「放浪者さん、実は昔暗殺者だったりしたのかな☆」

いや、とだけ言いながら放浪者は近くの椅子に座る。いったんの休憩という認識があるからか、疲れと眠気が混ざった疲弊した様子をわずかに見せる。ミーシャがDJフレンドを呼んでこようかという提案に、静かに頷いた。

しばらく放浪者が座って休んでいると、DJフレンドが疲れた様子を見せ、その後ろに飲み物を持ったファイブキラーとミーシャがやってきた。ミーシャはそのままミーナを連れ、ファイブキラーも飲み物を置くと一礼して部屋から去っていった。

DJフレンドのメンバーが食事などで使う広い共同スペースに、DJフレンドと放浪者の2人だけがいる状況だ。

会合の結果は悪くはない。3人の最低限の協力を得られる。ただ、この事態が終わり次第、ここに留まることなく彼等の目的の為に去るのは残念な結果となった。それでも、彼等の内で新井と香坂は多少のPCスキルを持っているということから、稼働可能な端末から不定期だが放浪中の情報提供ということはするという形で、同盟は結べたのだから御の字だろう。それは結局、拠点とも同盟を組んだと言えるのだから。

「…2人は?」

DJフレンドはわずかに思案して、フェアリーとエコーは用意した部屋で休んでいると答えた。そして軽く、フェアリーを見てどのメンバーも驚いていたと軽口をたたいてみるが、放浪者が表情を崩さないままなのを見て口を閉ざす。

「…すまない。後は3人組も用意された部屋というところか」

「あぁ、そうだね」

ここにいる人間の中で、一番疲れているのは放浪者なのはわかっている。DJフレンドは彼も休むよう促すと、恐らく部屋の外で待機していたであろうファイブキラーがスッと現れ、こちらへと案内の為に出てきた。放浪者も休むことに同意して、ファイブキラーの案内に付いていった。

朝はもう明けきっていた。これからまた緊迫した一日が始まる、更に言えば放浪者の目が覚めてから本番。WWPの目的を調べがつき、そして放置すれば危険性がある場合、あるいはWWPの手に渡ってはいけないものと判断すれば一戦交えることになるだろう。

どう転ぼうとも、各自身体を休める必要がある。DJフレンドもその例外ではない。ゆっくりと立ち上がり、淹れられた飲み物を全て胃に流し、私室へと戻っていった。

探索組は、当然放浪者不在のまま、警察署エリアの緩衝地帯確保の任務を進めていた。日は昇り、昼になるかならないか程度と、井門は考えながら周囲を見回す。今いるのは井門を主体とした一ノ瀬、林道の3名の班だ。役割は集合地点の確保とその周囲の探索といったところ。

今は集合地点に彼1人だけ、残った2人が周囲を探索している為だ。安全そうに見えるが、実はそうでもない。一番怖いのは銃を持った生存者、言葉を正せば略奪者だ。狙い撃ち出来るような場所で黙っていれば、ホールドアップは間違いなしで、だからと言って回収した物資を盗られるのも癪。

なので、定期的に周囲を確認しつつ、適度に集合地点を動き回る。適度な緊張を維持できるというのは、優れた兵士と言えるだろう。油断をしている素振りは、一切見えない。

その彼が、サプレッサー付きの拳銃を取り出し、構えた。わずかにだが、足音を捉えたからだ。しかし、近づくようなことはしない。何かがいることは間違いないのなら、単独で向かうのは危険。ゾンビならその内出てくるだろうし、生存者もこちらが警戒しているとわかれば攻撃を仕掛けづらいだろう。明らかな警戒状態の姿勢を見せれば、声を出さずとも今離れている2人にも異常を伝えることができる。そういった点も踏まえながらだ。

力強く、蹴る音が響きその方向の上空を見る。ジャンピングゾンビが、こちらに飛びかかってくる光景。反射で1発放ち、膝の力を抜いて前に前転した。その動作から1秒前後で、後ろを滑る音と薬きょうの落ちた音が聞こえる。

素早く井門は立ち上がり、視線だけそこに向けると頭部が欠けたジャンピングゾンビが少しだけ痙攣して、気を少しだけ抜こうとしたその時、先ほどの足音が聞こえた方面から、今度は。

「ちっ、きやがったか」

それなりに想定の範囲内であった井門は、忌々しく呟きながら、アサルトライフルに持ち替える。その向こうには、ぞろぞろと湧いて出るようにゾンビが路地から出てくる光景があった。

>>86
その前のひとまずの休憩です

>>87
れっつぱーりぃー!! 
アンケートご協力ありがとうございます。


さて、とっくに気づいてるだろうけど、本気で長い一日が続きます。


さて、投票は明日(今日)までとなっております。登場人物だけでも結構なので、よろしければお願いします。
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>>92の訂正
×素早く井門は立ち上がり、視線だけそこに向けると頭部が欠けたジャンピングゾンビが少しだけ痙攣して、
○素早く井門は立ち上がり、視線だけそこに向けると頭部が欠けたジャンピングゾンビが少しだけ痙攣しているところ、

素早く丁寧に、一弾一弾をゾンビの頭部に滑り込ませる。このあたりは制圧が終わり、ここまでのゾンビがいるはずはない。潜んでいた、と考えるのが無難だろう。そんな策を実行してくる相手は、パラノイアか例のコマンダーゾンビの亜種のどちらか。

井門は、あの警察署包囲網時以外でも戦っている経験から、この理知的さはパラノイアにはないと判断して、亜種が襲ってきていると判断していた。となると、自分は徐々に包囲されていると考えるべきかと、いったん射撃を止めて周囲を見回す。

「(…。いねぇな)」

来るのは前方からのゾンビの集団のみ。井門が主要に持つ武装は、文字通り火器。目立った遮蔽物もなく、建物が左右にある通りは、変異体であっても文字通り的に成り下がる場所だ。うまくやれれば、1人だけで目の前の集団を処理できなくもない。しかし、井門はそういう甘さは持たない男だ。

「集合ポイントより井門。例の亜種と思われる襲撃に遭っている、繰り返す、例の亜種と思われる襲撃に遭っている。現状、集合ポイント確保と探索兼ね合いで、班を分けポイントにいるのは自分だけになる。支給救援を求む。以上」

連絡から伝わる情報とは裏腹に、井門の報告は淡々と冷静だった。

「急がなきゃ!」

発砲音が聞こえた2人、一ノ瀬と林道は集合ポイントへと走っていた。井門の戦闘スタイルは、あまり音が出ないよう、基本はサプレッサー付きの拳銃とナイフで戦うことが多い。発砲をするということは、その音によって後々ゾンビが集まる可能性を差し引いても、必要な状況ということだ。

それがなんであるかは、2人も大方察しはついている。だから、最も近くにいる自分達がそこにたどり着く必要がある。

「止まるんだ…! 来るぞ」

林道が一ノ瀬を制止する。アリスから支給された電気ロッドを構えると、マッスルゾンビが2体現れその奥に、話に聞いた褐色、長髪、赤い目。そして、今回は盾と剣らしきものを持っている。その剣を2人に付きつけるように向けると、マッスルゾンビが2人に襲い掛かった。

「くぅ…!」

ボーガンの初弾は急所を外し、頭上から降る拳を、後ろに飛びながら盾で受け止める。身体は当然、そのまま吹っ飛ばされる。なんとか着地し、腕のしびれは多少残るものの、最小限の威力に抑えられたことで一ノ瀬に怪我はない。

一方、林道も苦戦していた。電撃ロッドで麻痺を狙おうとするが、マッスルゾンビは回避し、その新たな亜種の剣が側面、それも死角から襲ってくる。彼が素晴らしいのはそれを難なくいなすことができる、卓越した生存者ということだ。切っ先が首筋を目がけていることを理解し、それを攻撃により空ぶった姿勢の状態のまま、柄を使って切っ先を払う。身体の勢いが消えないうちに、今度は身体を反転して亜種の腹部に蹴りを入れて距離を稼いだ。

幸い、この3体の他にゾンビが含まれていない。しかし、それがいつまで続くのかが、この場合の問題だった。

厄介なのは、コマンダーゾンビの指揮下にいるからか、マッスルゾンビの動きは通常よりもいい。巨大すぎる筋肉が肉体のバランスを崩した結果、緩慢な動きをするのがもはや常識。それを覆していることになる。

距離が取れている間に、一ノ瀬がボーガンの矢を装填している。林道も、その隙に横へ立つ。

音を気にしなければ、2人とも拳銃は所持している。しかしながら、的確に当てる技量は持ち合わせていない。これからのパラノイア戦のことを思うと、無駄遣いは避けたいという余裕が邪魔な形で2人に残っていた。

ゆっくりと3体が向かってくるのを見て、もう一度ボーガンの矢を、今度は亜種に撃ち込む。しかし、マッスルゾンビが盾となって、ダメージには至らない。

無線は井門が持っている。その代わりに、ホイッスルは一ノ瀬が持っていた。それを使って救援を呼ぶこともできる。ただ、彼女が危惧していることがある。

「(ここに亜種がいるのに、どうして井門さんは銃を…)」

それはつまり、井門が戦っている相手はパラノイアなのではないか。そうなればホイッスルは、邪魔でしかない可能性もある。林道が視線を向ける、どうすべきかの結論はあと数秒以内で彼女は決めなければならない。

ここまで。あっちもこっちも大騒ぎである。


さて、投票結果です。とりあえず、一位が出せる程度にはご参加いただきました。では発表。

1位は放浪者&スライムでした。同数ですね。


後は、やはり古参キャラが上位というところです。新規さんとかも頑張らせないとね・・・。

あっと、忘れてた。もう一つの質問の方はその内の悪だくみに使わせていただきます。ではでは

まじかー。悪だくみに使われちゃうのかー

ホイッスルを取り出し、大きく息を吹き込む。甲高い音が周囲に広がっていく。この状況下で支援にすぐ来られそうなのは、高速移動が可能になった山中、身体能力が強化された佐原。井門は当然交戦中。

援護がすぐに来るわけではないことを察し、一ノ瀬は吹く覚悟を決めた。一番まずいのは、互いの状況がわからないこと。そして何より、人数的な意味では井門よりもこちらの方が多い。それがたった1人であろうとも。いや、1人で出来ることが限られるなら、誰かいることはとても力強いことだ。

「やりましょう!」

自分は探索組の中で、最も弱いということに引け目を彼女は感じていた。メンバーは誰も気にしたことなどなかった。そう、気にする必要などそもそもなかったのだ。

林道が再度マッスルゾンビに攻撃を仕掛ける。そのタイミングで、亜種が振るう剣が、殺意と防御の意図をもって奔り、その間に一ノ瀬の盾が滑り込む。振り上げられた盾の縁(ふち)を剣はなぞり、亜種は大きな隙ができる。これを逃すまいと、メイスが亜種の頭部目がけ振り落とされて、相手の盾とぶつかる音が響く。

それがゴングの合図代わりだったように、マッスルゾンビの拳が振り下ろされた。バックステップで一ノ瀬は距離を取ると、入れ替わりに林道がその腕を使って飛びあがる。跳躍の勢いのままマッスルゾンビの顎と頭頂部をそれぞれ両手でつかみ、身体をひねった勢いで首の頸椎を破壊すると、まずは1体目は地に伏した。

こういった光景を目の前にすることで、彼女は劣っていると思い込むが、結局彼女もまた、放浪者が作った探索組のメンバーなのだ。一介の生存者、などではない。

戦闘力が高い変異体を1体でもすばやく処理できるのは、もちろん話が変わってくる。相手に状況を知らせつつ、井門の負担を減らすを持ってホイッスルを吹いたのだから、これでより優位に事を進められる。

林道、もちろん一ノ瀬も人間と同じように武装して、それなりに踏み込んだ攻撃をしてくる亜種に面食らったが、それでも戦えないという訳ではない。2人いれば、十分相手の虚と捉えることが可能だ。

林道の武道家としての感覚は、戦いになれる前に仕留められれば、そこまでの脅威ではないという認識を、亜種に対している。パラノイアと戦って時はこちらの意図を読まれて苦戦したものの、この亜種はどうもこちらの動きを読んでいる節がない。何故なら動き出した後に合わせているからだ。

ただ、ゾンビを操っているというのはマッスルゾンビの動きを見る限り、間違いはない。ただ、それを踏まえるとこの場にゾンビがいないことは、解せない。

「(井門君のところに集まっている、というところかな)」

まだいくらか銃声は聞こえている。放浪者、山中の補佐を務める彼が簡単にやられるとは思えない。けれど、それを考えて余裕を持つという考えを持てない経験を、林道はしている。急ぎ目の前の亜種を処理する、それがこの忌々しい状況を解消できる策なのは間違いない。

電気の出力を上げて、構える。狙うは、ここ戦いの頭、先にいる赤い目の亜種だ。

乙!
さて、とりあえずお二人は来てくれるのかどうか……

素早く弾倉を入れ替え、再装填を終えた井門はトリガーを引く指を休めない。目の前には、彼が処理したゾンビ達が並べ、覆いかぶさるように倒れている。しかし、それでもゾンビの群れも休むことを知らないように前進を続けていた。

まだ援護が来る気配はない。それでも井門に焦りの様子はなかった。それもそうだ、変異体と言える襲撃は最初のジャンピングゾンビの強襲ぐらいで、今いるのはゾンビだけ。スプレーゾンビによって強化もされていない、言ってしまえば普通のゾンビだ。

処理の仕方がわかり、ある程度の弾薬を持っていて、かつ真正面からノロノロとしか進んでこないなら、焦る理由はない。

「(…一ノ瀬たちのとこに早めにいきてぇんだがな)」

発砲音から自分の状況を想定できるにも関わらず、ホイッスルを鳴らしたい意図を井門がわからないはずもない。あちらにも似たような状況が起きているということだ。話に聞いた亜種がいない以上、そっちにいる可能性が高い。

しかし、そうだとすれば、このゾンビの群れが説明できない。回収ポイントは制圧処理を行ってから確保している、一種の安全地帯だ。それまでにゾンビを処理しているのだから、今相手にしている量が残っているとは考えられない。何らかのコントロールによって隠れていたと考えていい。近くの建物にはちょうど、7階建てのビルがあってそこに隣接する路地から出てきている。その想定に間違いはないはず。

そうなると問題なのは、このゾンビの群れを操っているのは何なのか、ということだ。これまでの培った経験が、これはパラノイアではないと告げていた。

思考に気を取られていた井門に、瞬間的に赤い棒状のものが映り、瞬時、地面を蹴って横に避けた。金属質の音が響き、ちょうどいた場所の後ろに消火斧が突き刺さっている。

「この…!」

次の瞬間に、また斧が彼に襲い掛かってきた。アサルトライフルを盾にし、受け止める。今度は斧だけではなく、その亜種も現れ、そして文字通り攻撃を仕掛けてきた。咄嗟に前蹴りを放ち、亜種と距離を取る。そのまま銃弾を叩きこんで、この戦いを終わらせようとした。

だが、このわずかな間にゾンビが押し寄せてきているのに気づく。一部は亜種の壁になるよう動き、残りはそのまま井門になだれ込んできている。

突然の攻撃の対処で体勢を崩していた井門は、いったん距離を取る。コマンダーゾンビとの戦いの厄介さを感じながら、持っていた手榴弾のピンを抜き、ゾンビの群れに紛れた亜種がいた方に向かって投げつける。放物線を描いて、転がっていき破片をまき散らして地面で爆発したのを見届けた。

>>99
そのうちねー

>>102
はてさて


訂正いっぱいあるけど、この時間なのでねます・・・。

乙!
井門さん一人じゃ厳しくなってきたな。手榴弾は何個残ってるかな

爆発した周囲に亜種の姿は確認できない。ただ、井門にそれを確認している余裕はなく、引き金を絞る。

彼はサポートすべき存在や、守るべき存在がいる時に、結局一番力を発揮できる。惨劇後の世界で、1人というのはゾンビとの戦いで、もっとも大きなデメリットでしかなく、彼は1人の時に力を発揮できるタイプではない。

信頼していた者が狂っていくのを止められず、心ならずも略奪行為を行わなければならなかった。その自分に生きる価値があるのかを、問い続けることを止めるか。答えを見出さない限りは。ずっと。

退路は十分にまだある。けれど、迫るゾンビを目の前にして井門はどこか、来るべき日がきたのだと感じていた。それが一時撤退という考えを失わせ、ただ交戦することだけを選ばせている。

そんな状況が続けば、持ってきている弾薬の数は心もとなくなってきている。相手のゾンビも、少しは減ってきているがコマンダーゾンビという系統であるなら、恐らくすぐに追加されてしまうだろう。彼の冷静な側面はそれを理解している。けれどまだ、撤退の道を選ぼうとはしていない。

新しい弾倉に入れ替え、再度銃を構えて発砲を続ける。それが無限に続くのではないかと思わせた時、頭上から灰色の物体が降ってきた――。

一ノ瀬と林道は苦戦していた。コンビネーションやコンディションについては、まだ2人は何ら問題ない。しかし、亜種と操っている変異体のコンビネーションもまた、かなり高度なものだった。互いに決定打に至らないのは、一ノ瀬達が感染の恐れからくる、負傷覚悟の一撃を加えられないのと、亜種側は数が少ないということにあった。

そう、まだ2人はゾンビの攻撃は受けていない。あえて言うなら変異体のみと戦っている状況だ。マッスルゾンビを倒した後に、ジャンピングゾンビ2体が追加された。普段なら、他の変異体以上に動物的な反応を見せるジャンピングゾンビが、亜種の周囲を取り巻くようにして側におり、すぐに襲ってこない。それこそ、その亜種を守るかのように。

数が少ないなら、あえてこのまま井門のところへ向かう。そういうことも考えたが、コマンダーゾンビは思考を読む相手、それをかき消して一ノ瀬は戦いに集中していた。林道はどこか考え事をしているようで、動きが普段より精彩を欠くようなところがある。

亜種、マッスルゾンビ、ジャンピングゾンビのコンビネーションによる攻撃を2人は退けた。そう思った矢先、死角となっていた場所から、もう1体のジャンピングゾンビが一ノ瀬へ向かって飛びかかってきた。

「しまっ…!」

反応は林道、その後に一ノ瀬という順番で、林道が動き出した時にはもう半分まで、彼女とジャンピングゾンビの距離は詰まっていた。防御行動をし始めているが、間に合うか。本能で考えながら動く刹那のわずかな時間に滑り込んできたのは、たなびく白い何かだった。

ジャンピングゾンビの右あばら部分に、鋭い金属の足が突き刺さり、それこそ鈍い音というべきものが聞こえた気がした。

「ご無事でしたか」

山中がそういって二人の前に降り立った。ペガサスの鉄製の足による蹴りは、一ノ瀬を襲おうとしたジャンイングゾンビに深いダメージ与えた。痛覚があるのかはわからないが、悶えているように動く。慈悲を含め、展開したペガサスの足で頭部を貫いた。

優位に立った3人は亜種達と対峙する為、向かい合おうとした。しかし、そこにいるのはマッスルゾンビとジャンピングゾンビの2体だけ、亜種は姿を消していた。そのことに驚きの声をあげ、急いで処理をしようとする彼女を、山中が制止する。

「落ち着いて、一ノ瀬さん。まずはこの場を切り抜けるのが大事、井門君の援護に向かう為にもです」

その言葉に同意しつつ、林道は更に付け足す。

「それにこの亜種は、どうやら俺達の思考は、読めてないようだよ」

それを聞いた2人は、わずかに驚いた表情を見せた。

>>106-107
はてさて、どうなるでしょうのう。

佐原!いつの間にアメリカンヒーロー着地を習得したんだ!?(まぁ跳ねるのは狼男の移動の基本だから、序盤で塀跳び越えて放浪者に紛らわしいと言われてた頃から兆候はあったんだけどねw)

「これで一通り片付いたぞ」

変形させた両腕を戻し、藍、そして佐原が井門がいる場所へ戻ってきた。ある意味では自主的に追い詰められる形になった井門の援護は、佐原とその背中に乗った藍の2人。複数になったことで連携が取れるようになった3人に、ゾンビだけの集団はそこまでの時間を置かず壊滅した。

しかし、井門に直接攻撃を仕掛けた亜種の姿は、すでにない。

「亜種はいねぇか…。手榴弾でやれりゃあ御の字だったんだけどな」

ボヤキながら、無線を使って危険が去ったことをまだ来れていないメンバーに報告する。ひとまずの苦境を終え、井門はゆっくりと側にあったビルの壁に寄りかかった。目の前に広がる惨状は、いつも脳裏に惨劇初期の光景を思い起こさせる。何かを思い出すのはいつも、防衛軍として活動していた時期だ。

「井門さん、どうシたんすか?」

ヘビーハンマーを肩に乗せながら、聞かれた。なんであるかは、もはや古い付き合いと言えるほどの関係の井門にわからないことではない。

「……。本気で死ぬ気はねぇさ。俺含めて、メンバーを守るのが俺の役目だ。じゃねぇと、放浪者さんまで裏切ることになる」

それを聞いて、佐原は静かに頷く。ミュータントとなった彼は、今は誰かを守ることを出来る力を持っている。だが、前の勢力に居た時の彼は、無力で、そしてメンバーを失っている。自由奔放、マイペースと思われているが、内心ではあの時に今の状態だったならばと思うこともあるのだ。

守りたかったものを守れなかった。それが、2人の共通項であり、そして多くの生存者が持つ、重く苦しい体験。

「…何の話だぞ?」

だからこそ、それを知らない者がいるに越したことはないと、2人は思えるのだった。

「皆さん、無事集合できましたね」

山中の点呼で、放浪者を除くメンバー全員の生存を確認する。コマンダーゾンビの新たな亜種の襲撃を受け、切り抜けることができた。件の亜種を処理できなかったことが悔やまれるものの、誰か欠けることがないのが、常に最高の結果なのだ。

亜種に遭遇した3人の話を統合すると、それぞれに違う亜種と戦ったことになる。盾と剣を持つ1体、斧を持つ1体。パラノイアほどの脅威は持たないとはいえ、そもそもが厄介なコマンダーゾンビ。全員がその事実に更なる緊張を抱いた。1人を除いて。

「自分が戦った感覚では、相手はこちらがどう攻撃できるか理解していなかった。西切さんが、以前の襲撃に比べて矢が当たったというお話を統合すると、ゾンビ達を操るだけのコマンダーゾンビなのではないかと考えています」

武器を使ってきているのは知能を持っているから、待ち伏せのような襲撃はゾンビの視界を監視カメラ代わりに使っているからだろうと、林道は追加した。

彼の話はあくまで憶測の域ではある。しかし、2回受けた襲撃の情報をまとめると、筋が通る考えだった。これを絶対と考えるのは危険ではあっても、特徴として捉えれば今後戦いやすくなる。

「どちらにしても、3体のコマンダーゾンビが確認された今、今後単独での行動は禁じます。最低でも2人1組で行動をしてください」

指針が決まれば、迷いない行動が可能になる。それもまた、惨劇後の世界を生き延びるの、重要な事だ。

日が傾いている、もうそろそろで夕方になろうとしていることもあり、探索組は今日の任務を終える拠点へと戻ることにした。

>>112
>>1的には、佐原の登場シーンはバイオのハンターが飛び出してくるのをイメージしてます。

追い付いたと思ったら結構危ないところだった、乙

DJフレンドの隠れアジト内は、説明しがたい空気が流れている。WWPの多数の部隊がこの地域で活動していることでの、刺激を帯びた圧迫ような感覚。他勢力の人間が、同じ密室めいた環境に固まる息苦しさ。そして、圧倒的な力を持つ人間がいることの安心感。それらが混ざりあい、神経だけが摩耗していくようにフレンドは思えた。

「…状況はどうだ?」

この中で、その最も力を持つ放浪者が共同スペースにやってきた。来た時と様子は変わりはない。それでも、ゆっくり休めたことでこれからの活動は楽になったはず。

状況に大きな変化があったことを伝える。WWPの部隊が、どうやら今回の目的の場所を発見したのか、大多数を同じ場所に集めている状態になっていた。残りは、その活動に問題が起きないよう防備に回っている様子。おかげで動きやすいといっていい。

「問題は、何の任務を帯びているかだね」

放浪者がすべきことは、それを探ること。そして、その内容によってはその目的を破壊することが必要になってくる。

今までこの工場地帯で活動をしていたDJフレンド達が、その何かによって危険に晒されたことはない。完成していないか、それとも暴走するようなものではなかったと考えられる。

勝手に動き暴走しないのなら、BAP(有機人造兵器計画)のようなアンドロイドではないだろう。WWPが必要とする、という部分では何らかの兵器の可能性は高い。幸いここは工場地帯で、何らかの製造作業をしたところで隠し通すことは可能だろう。

なら、もしそれが該当するなら、ついでに兵器の破壊も出来れば、完璧な任務の遂行。その為に使えそうな道具と言えばファントムジャベリンに、エレクトロスピアを装填して兵器に撃ち込むあたりだろう。ただ、問題は残ってしまうエレクトロスピアが相手に手に渡ってしまうこと。それは上手いやり方とは言えなかった。

それに、バレットパレードに設けられた時間は少ない上に、破壊となれば最悪戦闘することも前提にしなければいけない。戦闘後に対象を破壊するとなれば、そのまま追跡を振り切り、夜の間に拠点へ一気に戻らなければ、ばれずに逃走するのが難しくなるどころか、拠点へいつ戻れるかもわからなくなる。諸々を考えれば、その内容によって、確認しただけでそのまま撤収するのが、今はベストな方法と判断がつく。

「そろそろ出るのかい? 無茶しないようにね」

「…考えておく」

そもそもが拠点の任務を終えてから、徹夜をしてまでここに来ていることが、そもそもが無茶。だからこそDJフレンドは、君にとっての無茶だけは絶対にしないでねと、強調した。

>>117
あらま殊勝な。


もうそろそろ、この長い一日も区切りがつきそうですが。帰るまでが任務です。

乙!
やれやれ、今回のびっくりドッキリ企みはどんなモノなんだか……

放浪者は装備を整えている。外は夕焼けの朱から、黒に染まりつつある蒼に変わり始めていた。夜が来る、そしてバレットパレードに与えられた時間も、終わりに迫りつつある。

三間が仕立てた防弾性の革ジャン、通常のカーゴパンツ、右腕にスパイダーウィップ・ツィンズ、左腕にジャベリン。両足にブースター、腰にウェーブソード・デュエルを差す。ファントムシリーズを装着すると、時折自分は人間なのか、アンドロイドなのか。そんな疑問をよぎらせる。BAP(有機人造兵器計画)を見つけてきた時からは、そう思うことも多くなってきていた。

しかし、だからといって放浪者がすべきことは何も変わらない。これから行う任務も、拠点に戻ってから行う任務も、全てはただ静かに暮らす為、必要と判断したから行動しているに過ぎない。強い意志を保てる彼が何者になろうと、結局、彼は放浪者なのだ。

「またおにーちゃんだけ出掛けるの?」

フェアリーは不満げな様子で、放浪者の周囲をゆっくりと飛び回る。彼女も周囲にWWPがいることは承知だが、同じ場所にずっと籠っているということが不満のタネになっていた。

「フェアリー、わがままを言っちゃダメだ」

エコーは、椅子に座り目を閉じたままでいた。音を操る超能力者ということもあって、視覚よりも聴覚での周囲の把握するのが楽になっていた。もちろん、空中を浮いて移動できるフェアリー――そして動作が静かな放浪者――は、わかりづらい。

それに聴覚での探知は、音を発していることが前提だ。制止されてしまえば、視覚に頼ることになるが、それでも探知するということにおいて、優れていることは間違いない。

「…奴らに動きはないか、探ってくれ」

頷いて、深くWWPの動向(おと)を探っていく。それが広範囲になればなるほど、訪れる音が洪水のように流れ込む、大まかな位置や内容は理解できても、混戦したラジオを聞いているかのようだ。

「位置は、変わってないよ。放浪者がいってた、兵器を探してみるみたいだ」

予想していた内容ということなら、後はどういうものなのかが重要になる。強力な戦車や戦闘機、あるいは戦闘ヘリ。それとも、想定もしないものか。アーマークラッシュのような、特殊な武器である可能性もある。

何にしても、探りに行かなければ答えは出そうにない。2人には出発の準備だけはするよう伝えて、放浪者は部屋から出ていった。

>>121
さて、そこいらもある意味ダイス様次第だねぇ

乙!
もう、何難去って何難目なんだろうねぇ……

「まだ発見できないのか!」

「ADSP(自動防衛システム計画)に関わる防衛装置により、探索は難航しております」

苛立たしげな指揮官風の男と、少し色白な中性的で恐らく男と思われる兵士が、話をしている。その報告も何度も繰り返されたもので、指揮官は感情のままに簡易机を叩く。それを見ても、兵士は眉ひとつ動かさず、命令を待つ機械のように立っていた。

「…クソ。引き続き任務は継続だ、お前らを殺(や)った生存者が近づいてくるやもしれん。警戒を怠るな、行け!」

敬礼も何もせず兵士は簡易テントから出ていく。残された指揮官風の男は、簡易机の側にあるパイプ椅子に座り目の前の端末を見てため息をついた。与えられた任務も、惨劇後に置かれた自分の状況も、何もかも納得できずいる苛立ちが、心に平穏を与えない。

苛立ちは集中力を乱し、そして隙を生じさせる。だからこそ、側、それも背後にいる放浪者にも気づけない。指揮官が端末にパスワードを撃ち込んだのを見届けた上で、ウェーブソード・デュエルの、もう1つの刃を首筋を横に払う。それに違和感を感じた指揮官は、左手を上げて触れた時、視界が落ちた。

後頭部から地面に落ち、その衝撃で白濁する意識の中で見たのは、冷酷に映える放浪者の真顔と、首のない自分の身体だった。

『OK、ハッキング進めるぜ』

そちらも休みが十分取れたのか、エクスは指揮官が操作していた端末をハッキングを開始した。ここにいるWWPの目的を探る間、放浪者は先ほどの死体を隠して、物陰に身を隠していた。定時報告から間を持たず指揮官を処理していることから、発覚までに時間はあると言える。だからこそ、安全を追う必要があった。

孤立無援で、単独であるということ。その意味を知っている放浪者が、この行動をするのはむしろ自然なことだ。

携帯を通し、サポートチームがハッキングをしている作業音が聞こえてくる。周囲にはWWPの兵士が動き回ることでのざわめきが感じられる。このざわめきは、その何かが見つかるまでは続くだろう。

『…。兵器の類だな、Wings of Icarus Project。通称、WIP。イカロスの翼計画ってとこだろーな』

兵器と聞いたことで、放浪者は少しだけ安堵する。それなら少なくても、フレンド達に危険性はない。ただ、問題になるのは、それを回収された場合に自分達へ向けられた場合だ。

「…どういう用途だ?」

その場合に向けての確認、もし後々に脅威になっていくのならその破壊は回避できないことだからだ。

タイピング音が激しくなる。エクスもバレッタパレードの時間が迫っていることを知っている。既に、研究所へ新種の亜種2体が確認されたことは報告されていた。その状態で放浪者、そしてフェアリーが欠けたまま拠点の活動を、かなりの危険性となる。

夜は長く、そして短い。闇に紛れて、高速で移動する。それも、フロートボードに3人ほど乗せた状況で。そうなると、移動に使える時間は多ければ多いほどいい。この任務、というよりこの世界で重要なのは生きて、帰ることだ。そして放浪者が戻ってくることを、誰しもが待ち望んでいる。

『……、対空兵器みたいなもんだな。でもって、目的は…、衛星の破壊?』

それはあまりにも高度すぎる場所だが、考えられることすれば、ミサイルを発射できる戦車とか、砲台のようなものを想像させた。ただ、それでもWWPが作るものなら考えの斜め上に行く。更に凶悪な何か、と放浪者は考え直すと、それは同時だった。

『放浪者、聞こえるかい。フレンドだよ…。こちらの位置を捕捉された。だから、頼みたいことがある』

渡されていた無線から、緊急を知らせる内容が届く。なぜ、位置を捕捉されたかは今は問題じゃない。それを解決する案に同意できるかどうかだ。

『WWPの目的のものを、奪取、あるいは破壊して欲しい。指揮系統が乱れれば、何とかして見せる!』

「…了解した」

対空兵器ならばと思っていたが、こうなったなら何もしない訳にはいかない。フレンドがいっていたのが、ここの部隊なのか別働部隊かどうかさえも不確かな今、サポートチームに確認を依頼する。

バレッタパレードのフィナーレは、もう始まっている。

>>125
大丈夫、もう終わると思うよ。誤字がひどいから締まらないけどね!


>>128の訂正
×タイピング音が激しくなる。エクスもバレッタパレードの時間が迫っていることを知っている。
○タイピング音が激しくなる。エクスもバレットパレードの時間が迫っていることを知っている。

×それはあまりにも高度すぎる場所だが、考えられることすれば、
○それはあまりにも高度すぎる場所だが、考えられることとすれば、

×バレッタパレードのフィナーレは、もう始まっている。
○バレットパレードのフィナーレは、もう始まっている。

乙!
イカロスの翼なんて縁起悪い名前付けてくれたおかげで、羽ばたきすらさせずに壊せそうかね?
まぁそれ自体は飛べるモノですらなくて、飛ぶ鳥を落としたいマシーンの様だけどww

>>130
はてさて、結末はダイス様のみぞ知るとだけ。


いかんせん、ラストには向かっているので筆は遅くなってます。しばしお待ちを。

あ、流石にそろそろきり良いとこで終わらせる感じ?
そこからエピローグより未来の事も、どうなるのかざっくりとは教えて欲しいところだなぁ

無線を切り、DJフレンドは拳銃を構える。今いるのは、3人組との会合で使った休憩室がある地下道だ。放浪者の指示で、隠れアジトが発見されないようその場所に待機の為に移動した。それは結果的に、功を奏して一方では今の危険な状況を招いていた。

功を奏したのは隠れアジトそのものが発見されたわけではないという部分。そもそもそこに隠れていれば見つからなかったのではないか、という疑問は起きる。だが、別働部隊が隠れアジト方面から増援としてやってきたのだ。状況からして、WWPが敵対的な生存者からの攻撃を受けたことによる応援だろうとフレンドは予想している。

幸い今いる場所は地の利がある。すぐには見つからないだろう。あくまで、すぐには。人海戦術を使える相手にしらみつぶしにされれば、ひとたまりはない。

人数的には分隊程度、DJフレンドの5名、新井達3人、超能力者の2人。フレンド達の勢力は戦いに慣れていない。それ以外で残った者が主力、それも超能力者が2人もいる。強力なそれは大きく当てにはなる、問題になるのは協力的にやってもらえるかということだ。

「終わりだよー」

フレンドが近づこうとすると、バリケードの設置を終えたフェアリーは、エコーの後ろに隠れてしまう。それに意を介さず今度はそのエコーに音響探査で、どれぐらい近づいているか確認をしてもらう。

今のところ、推移は順調だった。無作為にバリケードを作りながら、退避をするというシンプルなもの。この状況に置いて、突発的な逃走となったこと。それに、ほとんど見も知らずの人間が混ざり、それなりの数がいるとなると、指示は単純明快にならざる得ない。幸い、バリケード敷設は、フェアリーの力でほとんど時間をかけずに出来ている。追ってきている相手が撤去するなり、破壊するなりの手間。それも逃走方向とは関係のないところにもバリケードを作っている。このまま逃げ切る時間は十分に稼げる。

――それはあくまで、この地下道にいる相手に限っての話だ。

エコーの探査で、このバリケードで時間を稼げていることは確認できても、その考えがあるフレンドの顔に余裕はない。この集団のリーダーがその表情をしているの必然的に全体へと伝播していく。

「フレンドさん、これからどーするってんです?」

新井が聞いてくる。笑みはなく、焦りさえも感じられる様子。今時間を稼いでいるのは、別働部隊が放浪者がいるあたりに向かわせない為の陽動でもあったが、それを続けられる余裕はそろそろで無くなる。まだ、流石に放浪者もWWPの目的のものを見つけられるほど、無線連絡から時間は経過していなかった。

「…。今、地上に出るのはまずい。ここの中に入ってきた兵士達も、まさか全員じゃないだろうからね。出入り口は、隠れアジト近くのを抜かして3ヶ所。2ヶ所は放浪者が今潜入しているエリアに入っていて、残った1ヶ所が候補だけれど、ついさっきその方向から兵士がやってきたからね。放浪者が、その目的のものをどうにかしてくれた時に起きる、混乱のどさくさに紛れて逃げるしかない」

作戦らしい作戦ではないのは、フレンドも承知だった。それはあまりにも希望的観測が過ぎると言っていい。放浪者ならその目的のものを破壊できるだろう。しかし、自分達がそれまでに耐えられるのかということが問題だった。

香坂が口を出そうとして、止める素振りを見せる。言いだしたところで仕方のない。この状況で、やれることを提示してくれるだけマシなのだ。大抵の場合、ただ逃げるだけになり、今頃被害も出していることだろう。小規模とはいえ、勢力の長を務め、慎重にそれでいて大胆に情報発信を続けてきた人間。緊急時において即座に判断し、紛いなりでも指揮を執れる人間は少数だ。

「全員、持ってこれた銃の弾薬と状態チェックをお願いするよ。もうそろそろ行けば、出口と行き止まりに分かれる通路に繋がる。その前に、この場所で銃撃戦をして時間を稼ぐよ」

倒す必要はない。必要なのは放浪者が任務を完了するまで、自分達が生き延びている時間だけだった。

>>133
一応コメのラストはこのバレットパレードに関してかな。ただまぁ、放浪者達が何を目的にしてるかを考えれば、それも自ずとわかるかと。
そこの未来展開ばかりは何ともね。ダイス様は知ってるだろうけども。

乙!
いやいや完結しちゃうのかと思って焦ったんだぜ。どうかWWPは遅く来ます様に

それは静かな戦場だったといっていい。兵士達は恐怖するまもなく斬り伏せられていく。闇にまぎれて動く放浪者は、もはやそれが意思を持って彼らに襲い掛かっているかのようだ。

彼は間違いなく人間だが、彼がここまで培ってきた人知を超えた体験、そして得た武装はオーバーテクノロジーと形容できる。その2つを生かすことのできる彼自身の高いポテンシャルも相まって、それこそ人間離れしている。

しかし、それは表面上のことに過ぎない。彼という存在を形成するものということでは、切り離せはしないが、器の部分ではない。彼を支える器の部分は、どんな局面でもあきらめることはない、揺らがない信念。

それはまるで進み続ける古い蒸気機関車のようだ。己の信念で出来たレールの上、達するべき目的地へ向け、表面には見えない熱い意思を元で作られたその強力な推進力をもって、障害を破壊しながら進む。その後ろには、どうしようもなかった多数の犠牲が転がりながらも、ただ前へと。

今、彼の手で作り出した夥しい死の光景も、その犠牲の1つに過ぎない。だからこそ放浪者は、虚しさを覚えていた。その上で、彼は前に進むしかない。同盟を組む者達を救うため、羽ばたく翼を撃ち落すためにだ。

「地上部隊及び、確認に向かった部隊からも応答はございません」

報告した兵士は淡々としていた。軍服の上から巻かれた包帯に血が滲み、戦闘が行われ生々しい負傷の姿には、あまり似つかわしくはない態度だった。

その姿とは対照的に負傷のない、ここの指揮官として活動している男は地上で放浪者が暗殺した指揮官とは違い、まだ平静さを装っていた。それでも、生存者との小競り合いで兵士が負傷し、次に分隊規模の兵士が消息を絶ちしばらくして斬殺されていたことを確認。そして今は、小隊規模の兵士の消息が不明。戦闘行為が行われたにしては異常だ。

攻撃の状況から見ても、WWP(じぶん)を対象にしているのは間違いない。今こんなことが出来る勢力は、例の組織が浮上する。

「ありえない。だとしても、戦闘が起きた報告はできるはずだ」

激しい銃撃戦が行われたとしても、誰かしら連絡する時間はある。それが出来なかったとすれば、瞬間的に部隊が壊滅に陥る攻撃を行うしかない。ただの人間がそれをやるなら、それこそ罠を張り、ほぼ同時に爆殺するといった、そんな手段が必要だ。しかし、それが実行されれば、地下のこの研究所にもその余波は感知できる――。

「奴等か…!」

男は1つだけ答えになるものを持っていた。ただの人間でない、なら、そうではない集団がひとつだけある。芸羅率いる、超能力者達のことだ。

まずい、それしか言葉は浮かばない。たった1人でも能力の種類によっては一部隊と遜色ない力を持つ。研究所(ここ)にいる部隊は、内部のADSPの防衛装置を鎮圧したとはいえ、負傷者も抱えている状況。とても太刀打ちできない。

援軍として来ている別働部隊が、生存者に攻撃を仕掛けていると聞いたことも、今は恐怖の種でしかない。その相手が超能力者だったら、一気に叩き潰すため地下道へと誘い込み、一網打尽にする罠とも最悪は考えられる。

飛び出す身体のまま、男は無線を取り別働部隊に連絡を入れる。同じ地下、中の本隊に連絡が取れずともそちらの地上部隊とは連絡が取れるはず。祈りながら周波数を合わせ、激昂とも取れる声量で呼びかける。

そして繋がった先も、混乱の渦中にいた。それは内部での戦いにおいて、想定していない事態により起きていることだった。心が張り裂ける手前まで、男を追いやっていく。

「生存者の中に超能力者がいる」そう、はっきり聞いた時、無線がみしりと音を立てた。もはや、WIPのサルベージどころではない。部隊が壊滅するか否かの瀬戸際に立たされている。

すべての部隊が健在だったなら、痛手を負いながらも勝利は出来たかもしれない。だが、半分以上失われた今出来るのは、敗走の言葉だけ――。

「…。『サンシャイン』の稼動急げ!」

その言葉が心を満たす前に、男は思い出す。自分達が回収した目的のもの、その兵器の名を。それはまさしく、今の状況に射す希望の光と言っていい。

本来の目的である、衛星を落とすための装置はここまで懐に入られれば利用できない。だが、懐に入られることや、その兵器を爆撃機が狙うという状態を想定はしている。

今この場において、もっとも有効と思われる対空砲や機銃は、その兵器に当然積まれている。サンシャイン、それは高高度の位置にある衛星を破壊するに飽き足らず、移動する要塞のごとく大量の火気も備えていた。

>>138
とりあえず終焉はまだとだけ。目処は決めてるけどね。はてさて、どうなることやら


>>140の訂正
×芸羅率いる、超能力者達のことだ。
○芸良率いる、超能力者達のことだ。

>>142の訂正
×移動する要塞のごとく大量の火気も備えていた
○移動する要塞のごとく大量の火器も備えていた。


そこいらに転がってる防衛装置なんかとは訳が違う兵器群が相手か……幸運の女神よ、どうかまた、放浪者に微笑みを

「…そうか」その事実をエクスから知らされた放浪者は、いつも通り冷静だった。これから破壊するものが、もし使える状況だった場合、たった1人で立ち向かわなければいけない。それも、そういった大型兵器破壊できる重火器は所持していないという状況にも関わらずだ。

『お、前なぁ…』

エクスが言いよどむのは間違いないことだ。稼働していなければそれは鉄の塊だとしても、動いていれば人間一人ぐらいミンチにするのもたやすい武装も有している。

拠点と研究所をここまで発展させた功労者だが、当初会った時から考えて、この人間離れしていく感じは、時折得体のしれないものを見せられる気分になる。

それでも、エクスを含めた拠点、研究所のメンバーが彼についていくのは。

「…心配するな、無事に戻る」

彼の行動が、仲間を守る為にあるということを、理解しているからだ。

侵入した研究所内は明らかに慌ただしい動きをしている。ロック&サーチと類似するであろう装置も、破壊されていた。この場所をWWPが支配下に置いた、そういう状況だ。

その代償として、ここの部隊は何人かの死傷者を出しているのも見受けられた。素早くここの兵士を処理すれば、兵器、サンシャインを稼働させないまま破壊することもできる。

破壊の方法は、すでにエクスと相談して決まっている。サンシャインの正体は、巨大なレーザー砲。それを使って上空にある対象の衛星を燃やし尽くすものだった。その大量のエネルギーを暴走させれば、内部から自壊させることができる。

その制御は当然システムで管理されている。そこにエクスがハッキングをかけて暴走させる手はずだが、内部に兵士がいれば対処されてしまう。その兵士を処理してサンシャインを無効化する、それまでが放浪者の役割になる。

『中は武装やらそういう装置を詰め込みまくってかなりせめーな。乗り込まれてたら、厄介だぜ』

かなり内部まで侵入しているが、処理した兵士は3人ほど。その厄介ということは、真実という確信を放浪者は抱く。バレットパレードも大詰め、だとしても大きな困難は望みはしない。

素早い足取りで、サンシャインがあるとされる格納庫に向かい続ける。兵士の数も多くなり、必然的にそれは目的のものが存在していることを示していた。

エクスが調べた情報で完成間際とあったそれが、稼働しない状態とは想像できない。すべてが情報通りに研究が推移しているなら、この先は困難が待ち受けている。最後の兵士の首を跳ね飛ばして、格納庫の出入り口を鏡を使って覗き込んだ。

鏡に映るのは、城塞のように見える兵器だった。長方形型、詳しくはわからないが装甲車をモチーフにしているようだ。前方に機銃4門、側面にも何門か機銃のようなものが飛び出している。上部から大きな砲身らしきものが1門と、それより小さいその左右に2門ずつある。大きな砲身は、恐らくメインとなるレーザー発射部分。そして、何よりもデカい。

そう、デカい。分厚い装甲は見るだけでわかり、大型トラックを左右二台分、高さもちょうど2台分ぐらいか。見たこともないこれまた分厚い車輪が前と後ろに2つずつ付いている。そもそもこんな大きさのものが走れるのかという疑問さえ湧く。

だが、間違いなくただの人間がこれに立ち向かうことはできない。戦車という兵器があって、ようやっと攻撃が出来ると判断できるものだ。ただ、攻撃をしてダメージを与えるというだけならば。

けたたましい警報が鳴り、天井が開いていく。そしてサンシャインは昇降機によって地上へと昇っていく。つまりこれは、今このサンシャインはWWPの手によって稼働を始めようとしているということだ。このまま様子を伺うという、悠長なことをしている暇は、なくなった。

瞬時、放浪者は格納室に突入し、地上へ姿を現していくサンシャインに向かって跳躍した。

>>144
ただの防衛装置と、人間が登場した兵器、さぁ、どちらが厄介か。

乙 放浪者はいったいどこまで上っていくのか    

乙!
ちょっと、こんなのガンハザのヴァンツァーとかそんなんに乗ってようやくの仕事でしょ!?
武装があるからって、アルベルト氏みたいに腕立て伏せさえしてりゃ無事って訳じゃあるまいし、生身でする事じゃないじゃんか……!

これ知ってる
コマンド間違えると即死するカプコンの例のアレでしょ?(ゲーム脳)

照明や可動を示すランプにより格納庫が照らされる中を放浪者は駆ける。流石に警戒している相手だけあり、少しの間を置いてから前方の機銃が一斉に放浪者へ向けられた。まだ、昇降機が上がりきらない今、近づいてくる敵に対抗できる手段はそれしかない。

拒絶の咆哮のように、一斉に火を噴く。普通なら、そう普通ならミンチになる運命だ。生身で特攻を仕掛けるなど、牙を持つ鉄の塊に敵う要素など、ただの人間ならば一切ない。

だから、その銃弾の嵐の中から瞬時姿を消す人間は、それでもうただの人間な訳がなかった。

そこにいたはずの人間を見失い、操縦席から機銃を端末で操作する兵士は戸惑っていた。今まで認識していた人間が存在しないはずはない。そしていたとしても、そこには血が飛び散っているはず。あるのは無機質な弾痕だけだ。

端末を忙しなく操作する兵士の視界に、一瞬闇が落ちる。フロントガラスを見上げるとそこには何もいない。だが、他の仲間が何かが上に行ったと声を出した。

敵の侵入を許した、それも今の一瞬の出来事を考えれば、超能力者かもしれない危険な存在を。自然とその緊張感は全体へと伝播していく。

大体の兵器に言えることだが、内部への侵入を想定した作りはしていない。その前に破壊されるか、破壊するか、撤退するかといったことを想定するからだ。もちろん、内部に限らず、例えば外壁部分に張りつかれることも想定しない。

だから、戦車なら歩兵が随行するし、艦艇だとその時点でミサイルや砲は意味をなさなくなる。サンシャインも間違いなく強固で強力な兵器と言っていいだろう。だからこそ同じ弱点を持つ。

そして今、敵は上部にいる。運転席にいる兵士達はほぼ同時にその認識を持った。もちろん、できたとしても通常はそれまで。ぎりぎり相手が人間だったとして、機銃を避けられるほど俊敏な動きをするには、重火器を持つことはできない。この状況でありうることは、設置するタイプの爆薬を所有して、出入りできるハッチを爆破しての侵入程度。エンジン部は外部から破壊できる位置にはなく、それ以外で恐れることと言えば、ハッチではなく足を止めるために車輪を爆破すること。

だがそもそも、相手が超能力者ならばいったい何をしでかすかすらも想定できるものではない。運転席中央にいる指揮官の男は、一斉に武装準備の号令を出した。その合間に一度ガシャンという鉄同士が衝突する音がして、何かが転がるような音を聞いて、サンシャインが大きく内部から揺れた。

少しおいて、対空砲の弾薬庫部分が爆破されたと報がくる。話の状況から、杭のようなものが発射機関に食い込み、手りゅう弾何個か投入されたようだ。言ったように、兵器は間近に接近されることは想定しない、その上、対空砲がある位置はサンシャイン上部。砲の内部に攻撃を仕掛けられた際の対策など、していない。

この状況で、対空砲に配置されていた兵士に死傷者が出ている。弾薬自体が暴発する恐れもあり、急ぎ人員をそちらに回す。

指揮官の男の内情は、黒く蠢く。ただのプロジェクトの試作品を回収するはずが、増援部隊を呼ぶ羽目になり、あまつさえそれも含めて全滅の危機に瀕している。どこで、歯車が狂った? そもそも今襲撃を仕掛けているのは何だ? まだ報告では超能力者を含めた集団と別働部隊は交戦中というのが事実なら、攻撃を1人で仕掛けてきた人間。人間か? 自分の目が捉えていた人型は、本当に、人間なのか?

もはや混乱状態だった。指揮官の男は別働部隊に超能力者の勢力は攻撃を集中させていると考えていた。いくら連中でも、少数、それこそ単独で攻撃を仕掛けてくるはずはない。その読みは大きく狂わされ、内部からかなりのダメージを負わされた。

サンシャインを使えば、状況は幾らか好転する。しかし、その陽の光は曇天により遮られ、イカロスの翼をもぎ取ることは出来なくなりつつある。

「全部隊! 出入り口を塞げ! 絶対に侵入させるな!」

だが、指揮官の男もこれまでに修羅場を潜り抜けてきた人間であることに変わりはない。絶望に蓋をし、この戦いに生き延びる渇望を糧に、部下に指示を飛ばす。不意を突かれ、対空砲を潰された事実は変わらない。だが、それでも変わらないのは相手がこの中に侵入してこれないという現実だ。

対空砲が潰されたところで、実際のところ痛手ではない。手数を稼げる機銃が潰される前にサンシャインを超能力者にぶつけ、細切れにしてやればいい。それが終われば、今襲撃をかけている人間の始末をつける。そう、フロントガラスの前にい――。

強化を施し、そこいらの銃弾では傷もつかないそのガラスが、1本の太い杭で穴があけられて、指揮官の男の右腰の上側を貫き、壁に張り付いた。そして、先ほどやった手段と同じだろう。その穴の中に手榴弾を放り込む。あっという間の状況に誰も反応できず、爆発とともに運転席も内部からダメージを与えられた。

その間姿を消してきた放浪者(にんげん)は、ボロボロになったフロントガラスを蹴破り内部に侵入してくる。中にいた者達は、うめき声を上げることしかできない状況だった。

「な…、ぜ」

指揮官の男は、今の状況の疑問が勝っていた。死ぬのは覚悟できてなかったが、こうなれば諦めの境地だというのもあるのだろう。

「…工具はどんな硬いものでも加工できる。それだけだ」

放浪者(にんげん)が腕を振るうと、指揮官の男は数秒後に意識が途絶えた。

>>150
いやぁ、ほんとにね

>>151
どこぞの動画で生身プレイしてるのは見たけどねぇ。実際にやることじゃあないわな。やっちゃったけど

>>152
何度か周回してる癖に、ナイフシーンは常にハラハラしてたよ



ちなみに防弾ガラスを、釘打ち機でぶち破って宝石を堂々と盗んだっていうのをTVで見たのを思い出してこんなことに。
まぁ、アリス特製のファントムシリーズだしできるよね。うん。

サンシャインの内部の抵抗は激しい。その上、エクスの情報どおり通路は狭く、人がすれ違うのもやっとというところだ。こうなると、いくら放浪者でも、その空間で起きる弾幕の中を潜り抜けて攻撃を仕掛けるのは難しい。彼の殺意なき攻撃や動作は、動きを認識しづらくするだけであり、銃弾が彼そのものをすり抜けるわけではない。

放浪者も、運転席で処理した兵士達から奪った銃で応戦しているが、場は拮抗している。卓越した身のこなし、剣技を持つ彼だが銃の取り扱いについて今一つ。兵士側は扱いに慣れているとはいえ、この狭い通路では有効な攻撃を加えるのは難しい。自然とその場に縛り付けられるのは自然な流れだった。

4つ目に装填した弾倉が空になり、無造作に投げ捨ててリロードしなおす。慣れない長銃の使用は、それなりの負担をもたらしていた。それに、自分に向けられる銃弾の雨は、神経の方もすり減らしていく。それに、この撃ち合いは技能的な部分だけではなく、物資面からも放浪者には不利だ。処理した兵士分の数しか弾薬はないのだから、このまま続ければ先に弾切れになるのは放浪者だ。

だから、この状況を変動させるのに必要な、ちょっとしたきっかけを用意する必要がある。

『OK、まだ引きつけてくれ』

向こう側から激しいタイピング音が聞こえてくる。まだ制圧しきってはいないが、レーザー砲のシステムにハッキングを仕掛けている。対処される可能性は高く、暴走させた際、下手をすれば放浪者も巻き込まれる恐れがある。

エクスも当然止めた、賭けにしてはあまりにも危険すぎる。生身で移動砲台の武装の一部を破壊して、指揮官らしき人間を処理できたならそれだけで十分すぎる戦果。そう説いた。だが、それ以上を考える放浪者の答えは当然ながら拒否だった。

放浪者の考えるそれ以上、今後のDJフレンドの安全確保だ。発見され戦闘中のはずと考えられる彼らは、まだDJフレンドとは知られているはずもない。それはまだいいのだが、このWIPの襲撃に関連した生存者達と判断されることがまずい。恐らく、虱潰しにするように探し出そうとするだろう。

だから、生半可な勢力だと判断されるのが一番怖い。下手に手を出せば自分達もやられかねない。強大な相手だと思わせることが重要だった。

それには、このサンシャインの破壊は効果的だ。城壁を思い起こさせる巨大な移動砲台。惨劇後にそれを破壊できるほどの戦力があるところなど、WWPも想像しないだろう。

大きくキーを叩く音の後、銃弾が一瞬だけ止んだ。それを待っていた放浪者は通路へ飛び出し、奥にいる兵士へ向かいブースターを使い弾け飛ぶ。

人がそれこそ高速で飛んでくる、システム暴走の報を受け士気が乱れている彼らに、その乱れが拍車をかける。このサンシャインと同じく、許してはいけない接近をされ、斬り払われていく。

点と線、範囲だけ考えても近距離でどちらの攻撃が危険かはいうまでもない。それに加えて、銃には狙うという初動作が必要。同じようにナイフに切り替えるとして、抜き身の剣と収納しているナイフ。リーチの差もあれば、取り出すまでのわずかな時間も、この場合致命的な時間だった。

それはあまりにも瞬間的な出来事だったが、そう片付けるにはやはり甚大な被害だった。対空砲の弾薬庫の暴発を防ぐために移動していた兵士達は、壊滅を余儀なくされた。

「…ナビゲートを頼む」

暴走を止められるわけにはいかない。まだ残存兵力がいるであろう場所の案内を、彼は依頼した。

サンシャインを載せた昇降機はすでに上がりきり、その姿を工場地帯の一角に晒していた。その姿は、放浪者が感じたとおりに威圧的ではあった。しかし、対空砲から煙が出、フロンドガラスが叩き割られた状態を見ると、城壁のような圧倒は薄まっている。

その状態で、奇妙な、振動と言えばいいのか。何かがサンシャインから発せられていた。それは徐々に増幅していき、それを感じる範囲を広げていく。

ついには、サンシャイン自身が振動していることに気付く。内部で何かが起きていることは間違いない。入り込んだ侵入者が何を仕掛けたかを考えれば、起きている事態は想像に難くない。

そしてしばらくして、ガラス部分から強烈な光が内部から照射された。その光を浴びた周囲は焼かれていく。その後、上部が大爆発により吹き飛び、上空へと大量の光が放出された。

天へと飛ぼうとした者の羽をもいだ光、暗闇に映える光は、まさしくそれを形容しているようだった。

その後、サンシャインからの光は電源を切ったように消える。残ったのは陽の光に溶かされ、内部からの爆発によって砕かれた鉄の塊だけだった。

サンシャインの崩壊の姿を見ている者達がいた。DJフレンド達に攻撃を仕掛ける別働部隊、その地上で待機している兵士達だった。それが何であったのか最初はわからなかった、しかし、それが自分の目的のものであったことに気づき、それは同時に破壊された事実を突きつけられることでもあった。

戦慄が奔った。それもそうだろう、サンシャインを破壊に至れる戦闘車両の姿はどこにもないのだ。それどころか重火器を使ったような爆音があったかも怪しい。そういったものを使わずにあれを破壊する、事前に受けたブリーフィングで受けた能力を考えて、想像できない。代わりに想定は出来た。

「全部隊、撤退開始! サンシャインは破壊された! 繰り返す、サンシャインは破壊された! 地下にいるのとは別の敵と想定され、先発隊も壊滅と判断して相違ない! 繰り返す、撤退を開始しろ!」

その想定は、別の超能力者達による攻撃。それ以外にありえない。それに、今地下にいる超能力者グループは時間稼ぎと思われる行動をしていたのは、逃げる時間ではなく、自分達をこの場に留めることが目的としていた可能性が高い。そして、サンシャインを破壊できる超能力者ならば、自分達は吹けば飛ぶような存在だと言っていい。

「こちら、WIP回収後続隊! 作戦は失敗した! 超能力者達が待ち伏せを仕掛け、サンシャインは破壊。先発隊は壊滅している! 後続隊はこのまま撤退する。本部の許可を待つつもりはない!」

乗ってきていた車両に次々と乗り込み、WWPの残存勢力は工場地帯から退避していく。静けさと、陽の光により燃える草木があるだけだった。

乙!
これはWWPからすれば、サンシャイン回収部隊の内部分裂と捉えた方が自然に思えそうだな……(汗

DJフレンド達は、しばらく地下道に籠ってからエコーの音響探査の結果を基に、地上へ移動していた。激しい戦闘があったにも関わらず、ゾンビの姿がないのが救いだろう。過去には、強力な武力を持っていた裁判所の勢力が周囲の処理を進め、DJフレンドも定期的に経過をしている。元々、人がいる地帯ではないことを含めると、このあたりにはあまりゾンビはいないという事実だろう。

フレンド達もサンシャインの残骸にすぐ気づけた。陽の光によって燃える周囲が、その場所を照らしているからだ。急いでその場所に全員向かう。フレンドの依頼通り、放浪者はサンシャインを破壊した。その放浪者の姿は、どこにもいない。無線を使って呼びかけても、返答はない。

「まさか…」DJフレンドから言葉が漏れる。何があったか想像できない。しかし、もはや事が終わったというのに放浪者が姿を現さないということは、何か予期しない事態が起きた。最悪の場合。

サンシャインの周辺を探すようフレンドは指示を出す。もしかすれば負傷して動けないでいる可能性もある。それ以上のことは、考えることを放棄した。まずは放浪者の痕跡を探すことが先決だった。

「……何も聞こえない」

エコーの呟きも、フレンドは頭の隅に追いやった。

「おにーちゃん、どこー?」

天真爛漫と言えるフェアリーも、心配そうな様子で飛び回るのが印象的だ。

DJフレンドと新井がサンシャイン内部を探索しているが、ほとんど熱で変形している状態。彼等にはサンシャインの詳細は知らされていないが、内部が融解した状態から考えられない高音が発生したことは伺わせた。もしこの中に人が留まっていれば、跡形もなく消えてしまうだろう。新井は首を振り、DJフレンドは更に奥へと入っていく。

「…あり得ないよ。放浪者さんが、こんなことでやられたりしないよ」

「ミーシャ……。まだやられたって訳じゃねぇ。あっち探してみようぜ」

放浪者の実力を知る者は、そういうことが起きたという可能性すら否定していた。

「殺されてしもたんやろか…。ご無体な、自分らを守るために…」

「この惨状では、そうだとしか…」

その惨状という言葉は、香坂の意図は少し違っていた。サンシャインの破壊された事だけではなく、その周囲に斬り伏せられた兵士の死体の数だ。放浪者が単騎で行動していることは、当然周知のことで。その上で、目の前の死体分、彼は相手にしたということだ。

それは、到底信じられないことだ。どう戦おうとも、自分の中の戦闘能力(じょうしき)で解を出すと、不可能の文字しか浮かびあがらない。そして、目の前にある巨大な兵器の残骸。WWPが自ら破壊する理由はない。恐らく、この惨状に対しての対抗として起動し、そして放浪者がこうするに至った。どうやったかまでは、想像さえもできない。それに、彼女は身震いする。

「この音は…」

エコーは何かを捉えた。何かが高速でこちらに近づいてくる。その音は、エコーには一度聞いたことのあるものだった。

今はもう、WWPはここに来る理由はない。それでいて、高速で移動できるものを持っている存在がなぜこちらの方面に向かって移動しているのか。エコーは、音が聞こえる方、闇に向かって聞き耳(ぎょうし)した。

聞き覚えがある音は、迷いなく一直線に近づいてくる。風切り音と、その上に何かが存在しているような音が特徴的。ついにその音は、周囲の炎に照らされる形で姿を現す。フロートボードに乗った、放浪者その人である。

「…どうした、何かあったか?」

周囲の状況を見て聞いてくる。自分が探されていたなどというのは、露ほども思っていない様子だった。彼が着陸した近くにいたファイブキラーが、今の状況と今まで何をしていたかの尋ねる。

「…あぁ、別働部隊の追撃だ。1台は残して殲滅しておいた」

さらりと、とんでもないことを言ってのける。拠点にいるメンバーなら驚きもしなかっただろうが、聞いていた人間は絶句した様子を見せる。例外としては、超能力者の2人は反応はなかった。

騒ぎに気づいたDJフレンドが、サンシャインから出てくる。そのまま放浪者に気づいたフレンドは彼に走り出し、礼を言う。

「…任務も終了だ。悪いが急ぎアジトに戻り、フロートボードの充電を頼む」

それでも放浪者、いつも通りだった。

>>164
まぁ、確かにいろいろ錯綜してるからねぇ・・・。


>>165の修正
×陽の光によって燃える周囲が、その場所を照らしているからだ。
○陽の光によって燃えた周囲が、その場所を照らしているからだ。

>>166の修正
×サンシャインの破壊された事だけではなく、
○サンシャインが破壊されている事だけではなく、

乙乙

1日でこれだけの事が起きたの?マジで?
WWPからしたらレジスタンスか芸良達かと考える事あって大変そうだが残した部隊がどんな風に報告するのやら

最初のスレじゃ生き延びるだけで精一杯だった放浪者が今では立派な戦闘マシーンに
やだ素敵

WIPの回収部隊は、壊滅状態に陥っていた。唯一残った後続部隊の兵士達も、仲間が無残にやられ配送するしかできることはない。残った指揮官も失い、頼みの綱は残された無線だけ。だというのに、今から連絡しようとする中性的な兵士は、どこか淡々としている。別人だが、最初に放浪者が処理した指揮官に報告した兵士と、同じ雰囲気を漂わせていた。

後続隊も大多数失ったこと、その原因を読み上げるのように無線から告げる。事務的な冷たさがあった。

この結果は、WWPにとって損失でしかない事態だ。責任をとれる上官がいれば、どんな処罰が下されるかもわからない。彼らにとって最悪なのはWIPに残されたプロトタイプ、サンシャインは完全に破壊されている。一部回収されたデータの解析が進み、再現はできるかもしれない。しかし、惨劇後の世界は物流は止まり、必要な物資を収集できる見込みは薄いとなれば、そのプロトタイプを確保できることが、一番の成果。その機会は永遠に失われてしまった。

そして報復すべき判断する相手は、WWPの間でも始末に負えないと評されている、あのPCPで生み出された連中。縛るべき鎖がない、超能力者。

ただ、驚くべきことはWWPにはあった。超能力者たちに共通する、自分は人間とは別であるという認識。その特異性ゆえに排他された彼らは、人間を憎んでいる。徒党を組むとすれば超能力者同士でのみと思われていた。それが今回、人間と共闘していたという事だ。

それは更に厄介さを増したという事だ。超能力は程度があれ、脅威に変わりない。だが、人数は少ない。それは勢力維持の観点でかなりの不利を意味していた。だから、WWPも『ある程度』の無視を決め込むことができたのだ。

とはいえ、事ここに至りその判断は早急に切り替えなければいけなくなった。手を結んだ人間が、超能力者の力を発揮できるようサポートするだけで、被害は拡大していく。それこそ、今回のようにだ。

状況からして目撃はされていないが、PCP時代のリーダーである芸良が今回の指揮を執ったと考えていい。どこで今回の任務を知ったかは不明でも、ハッキングにかかわる超能力者がいなかったわけではないし、人間の中でそういったことに長けた人物がいてもおかしくはない。

もはや全力を持って叩かなければいけない勢力に成長している。連絡を受けた本部はそういう認識になった。

詳細を知りたい本部は、指定した救助ポイントへ向かうよう指示し、車両はそこへ向かって走る。あそこまで苛烈に攻撃を仕掛け、なぜ自分達が生き延びられたのかという疑問は、もう少しでこの任務が終わるという気持ちで忘れ去られていく。

先ほどの感情がないように見えた兵士にしても同じことだった。脳裏には仲間の無残な姿が焼き付いている。思い出すたび、身体が震えた。それは他の生き延びた仲間も同じ。忘れ去られていくと言うよりは、忘れたいと言うべきだ。

まだ、今この時も空中から強襲を仕掛けてきた人型が、自分達の隙を狙っている。その想像は恐怖を胃の奥底からこみ上げさせる。惨劇後は死が常に纏わり付いてくるが、それでもこれはその中でも異質だ。

捉えられず尋常ではない体捌きで襲われる。瞬く間に、頭を胴体を、時には四肢を、仲間の体から分断される様は、地獄絵図と言わなければなんと呼べばいいのか。

それはまるで死、そのもの。それが具現化して仲間を襲った。超能力さえも超える、超常現象のよう。それが、生き残りの兵士達の心を蝕んでいる。

乙!
そんなどうしても逃れようのない現象の様な人物が生まれるに至った原因(ゾンビ化物質散布)はWWPが作り出した訳だからな
いつか壊滅させられる時が来るなら、それは因果応報と言う以外に無いね

「あなたは何者なの?」

出発準備を進めている放浪者に、エコーは当然とも言える質問をした。超能力者といっても、今回のサンシャインの破壊ができる存在は限られてくる。エコーの持つ超能力についても攻撃能力は存在するが、あの城壁のような装甲には無力だ。次にフェアリーならば、単体ならば何も問わず浮かすことができる。だが、近づかなければいけないという部分でいくと、奇襲以外だと大きな危険が伴う。

超能力者であってもそういう状況なのだから、いくらファントムシリーズを有している放浪者と言えど、そこから更に困難が伴う。その事実が、超能力者であるエコーにとっても、驚愕するしかない。

「…そこいらにいる生存者と変わらんさ」

ありえないと言ってやりたいが、その音(こえ)は本気でそう思っていた。わかってしまうと、それ以上に追求もできない。そういう人間なのだと思うしかない。「そう言うなら…」としか言えなかった。

準備が終わった放浪者が、近づいてきた。軽く身構えるエコーに差し出されたのは、右手だった。

「…しばらくの間、よろしく頼む」

逡巡してから、エコーも手を差し出して握手を交わす。無骨な手だったが、握り返す手は優しかった。

今後のことを含めて、DJフレンドと放浪者は放送室で会議をしていた。まず、フレンド達がこの場所から退避するかについてだったが。

「…必要はない。今回の件、どうも奴等は超能力者の集団によるものと誤解したようだからな」

WWPの追撃時に、兵士達が超能力者だと叫んだことを放浪者は聞き逃さなかった。そして、それは都合のいい解釈と言えた。DJフレンドの勢力がいたと言う事実を覆い隠せる暗幕になる。

「エコー達がいたのが幸いだったということだね…」

だが、利用すると言うことは彼らにとっては気持ちがいいものではないだろう。誤解を受ければ、不和を受ける可能性さえある。

「…俺から説明するつもりだが、エコーのことだから聞いているだろうな」

隠し事をするつもりはなかった放浪者は、あえて放送室の扉を開けて話をしていた。彼にとって普通だが、今回の戦果でエコーが自分にあまり良いとはいえない印象を受けたのを感じたからだ。

だから、少なくとも敵対する気はないこと、何かに利用する気はないことを理解してほしいという考えがあった。

「それにしても、ここいらの発電がWIPという関連のものだったなんてね」

工場地帯のみならず、周辺で電気が使えていた理由は、サンシャインのメインであるレーザー砲への充填用の発電システムによるものだった。DJフレンド達も発電所等がたまたま生きているのだろうとしか思ってなかった。

電気を必要となる活動をしているフレンド達にとっては、プロジェクトの副産物を享受していたことになる。皮肉な事実だが、それによって得られる強みは、他の勢力の人間にはないものだろう。

「…しばらく外には出ないほうがいいだろう。新井達のことも頼む」

危険な勢力と判断されただろうとはいえ、実際に起きた被害やその勢力の位置を把握しようと動くことは想像できる。当然、生存者がこの周囲をうろついているとなれば、関連する人間と判断して捕らえようとするのもまた、必然の話だ。

危機を完全に脱したわけではない。しかし、脱することができればしばらくDJフレンドの安全は確保できる。そしてここからはもう、フレンド達が成すべきことだ。

開けられた扉がノックされる、そこにいたのは香坂の姿。神妙な面持ちで、放浪者と話がしたいとのことだった。話をしなければいけないことは大体終わり、DJフレンドも全体への周知の為、放送室を後にする。

扉は閉められ、二人きりになる。だからと言って恐縮する様子もなく、彼女の眼には強い光が宿っている。

「単刀直入に聞きます。貴方は本当に、ただの生存者なのでしょうか?」

少し食傷気味になる程度に、聞きなれた言葉だった。それだけに、そうだとしか答えようがない。

「ただの人間がこんなことができるとは思えません」

香坂の胸中にあるのは、畏怖。あの惨状は、彼女の眼にも焼き付いていた。だから恐れている、ここまで一緒にやってきた2人の仲間、それが何かのきっかけで同じ目に遭う事を。

放浪者はしばらく黙した。有効な言葉が浮かばないというのもあるが、ここまで来た自分の軌跡を思い出していたからだ。相棒、山中と会うまでは一介の生存者でしかなかったのは事実。しっかりとした休みはあまり取れず、武器もわずかにしかなかった頃、ゾンビ、そして兵士といった人間相手にここまで大立ち回りをすることは、想像もしていなかった。

けれど、それが自分だけの力でやっていると、放浪者は思ったこともない。全てはメンバーに支えられてきたからこそ。探索組と共に危険を退け、回収組のおかげで背中を任せられ、警備組がいるからこそ拠点で穏やかに過ごせる。

手を結ぶ者たちの存在もそうだ。研究所のサポートにより困難を切り開き、DJフレンド達の放送で世界は動いていることが知れる。保安官の店で語らう事も惨劇前の幸福を思い出させ、ハンターの苛烈さを見て現実を再確認する。千護達の切実な誓いが希望を思い起こさせる。

そして、今目の前にいる若き香坂達も未来に託せる存在として、彼は見ている。

「…俺はただの人間に違いない。俺一人でここまでやってこれた訳じゃない。君達と同じく、俺を信じてくれる人間がいたからこそ、死なずにやってこれた。この力も、そのおかげで得た。それだけだ」

そう語る放浪者の目は、とても穏やかなもので。それは衝撃的なものだった。彼女の印象は冷たく、彼の鋭い目が強く残っていたからだ。

>>169
1日で起きてるんじゃよ。
結果はこういう風に誤認した感じやね

>>170
人間というか、もはやそのまま放浪者というくくりよね。彼は

>>174
まぁねぇ。でも末端の人間ならそもそもよくわかってない可能性もあるからねぇ。



>>171の訂正
×仲間が無残にやられ配送するしかできることはない。
○仲間が無残にやられ敗走するしかできることはない。

乙!
んで、サンシャイン騒ぎの熱も冷めやらぬ内に拠点に出戻りか……予想された襲撃に、放浪者はまた顔を顰めるだろうな

「…ではな、しばらくは気をつけてな」

ここにいるすべての人間は、屋上に集まっていた。放浪者達の見送りの為だ。彼が来てから少ししか経っていないように思えるが、もうまもなくで、1日が経過しようとしている。

フロートボードの上に、放浪者、エコー、フェアリーの順で乗っていて、放浪者とエコーはアクシデント時に備えて腰と腰をロープで結んでいる。バレットパレードの任務の終了は、まだ真の意味で終えていない。WWPに気取られず、『無事』に戻る。それが出来てこそ、この任務は完璧な遂行となる。それが分かっている放浪者に、いつも通り気を抜いた様子はない。

窮地を救った英雄は、いつも通りの様子で飛び立っていった。また、惨劇後の日々が戻ってくるように感じられる。しかしまだ、この戦いの余波は残っている。ここまでのお膳立てをしてくれたことを、水泡に帰す訳にはいかない。

その思いを胸に、DJフレンドは全員に戻って身体を休めるよう、指示した。

用意された部屋に戻る最中、香坂は放浪者の言葉を反芻していた。畏怖する気持ちは残っていたが、あの短い間での会話でそれはだいぶ薄れている。この世界において、彼が実直な人間だと理解できたおかげだ。

『…もし、君達の目的を無事に終えたら、ここでも俺たちのところでもいい。戻ってきてくれると助かる』

WWPが親の死にどう関わっていたのか調べ、どうなるにせよその後に3人でどこかの場所で拠点を構えることになる。そういった事を話し合ったわけではないが、そんな未来を彼女は想像していた。だから、戻れる場所などないと思っていた。それはもう、失われたものと考えていたからだ。

自分達を迎え入れてくれる場所があること、それも大切だが、重要なのは失われないこと。その経験を色濃くしている香坂にとって、その事の恐れは人一倍だった。畏怖するほどの力を持つ放浪者がいる場所、あるいは関連する場所(ここ)なら、その心配は他よりは低い。その提案は悪いものではなかった。

「どしたん、香坂」

彼女の様子に気付いた大倉が話しかける。マイペースないつもの調子でいることに、落ち着きを感じる。部屋に戻ったら話す、それだけを伝えた。

『じゃあ、あんたらの帰還を待ってるぜ。伊吹が残るから、なんかあったら言ってくれ』

エクスとのやり取りも終わり、聞こえてくるのは風切の音。WWPの別同部隊追撃時に無茶をさせたが、今のところ不調の様子はない。

「あとどれくらいでつくのー?」

離れた位置にいるフェアリーの声が、風切の音の中でも鮮明に聞こえた。彼女が大声を出しているわけではなく、エコーの超能力によって聞き取りやすくなっている状況だ。1時間程度と伝えると、眠いと訴えられる。

「フェアリーの力が頼りなんだ。しっかりして」

「あいあいあー」

少々不安な帰路ではあるが、その能力は電力消費を抑えるのが目的だ。今のままでいけば、戻るまで余裕はある。夜空も程よい闇を提供してくれている。WWPの調査隊と鉢合わせにならない限りは、このまま姿を消して移動できるだろう。

サンシャインに関わる戦いの熱は、夜風によって冷めていくのを放浪者は感じていた。


身体が夜風によって冷え切った頃、放浪者達は無事に研究所の屋上へと降り立った。危惧していたWWPとの遭遇はなく、拠点という存在を気取られないままの帰還だった。

出迎えに来た野木主任達と共に、放浪者は今回の結果報告を含めて会議室へと向かう。その場に残されたのは、エコー、フェアリー、そしてビジョンの3人。

「ひひひ、無事で良かったーよ。エコーの旦那」

「うん…。そっちも、無事で…、良かった」

思わず泣き出すエコーの頭を、フェアリーが心配そうになでる。ここにきてようやっと、探していた仲間が2人も見つかって安堵したのと、サンシャインに関わる戦闘の緊張も相まって、緊張の糸が切れたようだった。

「くくく、疲れただろーさ。部屋は準備してもらえたかーら、案内するーよ」

それに対するように、ビジョンはいつも通りの様子で案内しようと背中を向けて屋上の出入り口へ歩き出すが、エコーは戸惑ったようにその場に立ち尽くしてから、ただごめんと謝った。ビジョンは立ち止まる。

「ききき、誰もエコーのことを責めちゃいないーさ。本当に、無事で良かったーよ」

「…うん!」

仲間に拒絶されたらどうすればいいのか、そう思っていたエコーに、その言葉は優しく染み渡った。

>>181
どんなに熱くてもいずれ熱は冷めゆく。まぁ、放浪者の場合は次々烈火の中に飛び込んでいきそうだけども。

乙!
また、一つの事態の鎮静化と、感動の再開……でも、ここからが殊更にキツいんだよなぁ

長い一日だったな。疲れはだいぶ残っているが、今後の為に簡単に情報は残すことにする。

バレットパレードは588日目に行われた、DJフレンド勢力下に置けるWWPを含めた脅威の排除、及びエコーの回収を目的としたもの。用意された時間は、拠点の状況もあり24時間。選出されたメンバーは俺とフェアリーの2名だ。

到着後すぐに、情報提供者と名乗っていた3名の学生グループと接触。事前にエコーから悪意ある勢力ではないと聞いていたこともあり、処理はせず説得。結果はDJフレンドと3人の会合を設けることができた。

3人を連れてDJフレンドの待つ場所へ移動する際、そのメンバーの香坂が話したことによるトラブルが発生。そのグループの兵士を処理することになった。

早朝を迎え、その後のWWPの動向を偵察した後、DJフレンドの隠れアジトに戻りいったんの休憩を取った。

夕方から任務を再開。すでに慌ただしい動きを始めていたWWPの簡易キャンプに潜入。報告を受けていた指揮官らしき人間を処理した後、エクスのハッキングによりWIPという計画の為に活動していることが判明。

その直後、DJフレンド達がWWPの別働部隊に発見され交戦状態に。隠れアジトから別の避難場所に移動の際に見つかったのが不幸中の幸いとなった。この状態を打破する為に、WIPにより作られた、サンシャインの破壊が必要となった。

サンシャインは巨大な移動砲台。衛星をも破壊できるレーザー砲を持ち、そのほかの装備として対空砲2門と多数の機銃を備えていた。印象的には、移動する城壁のようだった。

破壊する手筈は、そのレーザーを発射する為の装置をエクスのハッキングで暴走させ内部から破壊。ただ、サンシャインはすでに兵士が乗りこみ稼働していた為、そのハッキングが妨害を受ける可能性もあり、突入。

危険はあったが、無事にサンシャイン内部の投入が完了し、内部の兵士を処理。暴走による自壊にギリギリのところで巻き込まれずに脱出した。
(どうもこの際、DJフレンドから借りていた無線を落とした模様)

サンシャインの破壊を確認した別働部隊が撤退を開始。急ぎDJフレンドの隠れアジトに戻り、フロートボードを回収して追撃。

警戒はしていたようだが、統率のない状態で移動していることもあり、奇襲は容易だった。この際、超能力者の襲撃と叫ぶ声を聞いたこともあり、全て処理する予定だったが、1台は見逃して別勢力による戦闘と報告してもらうことにした。

追撃後に戻ると、DJフレンド達に死者は出ていなかった。連絡できないまま追撃したこともあり、俺がやられたかの心配をかけてしまったようだ。

結論として、バレットパレードは成功を収めた。期間の際もフロートボードの不調もなく、WWPと鉢合わせせずに済み。エコーも連れてくることができた。

拠点ではなく、研究所に来たのは、任務の報告もあるがフロートボードをサンダーボルトへの改修と、エコーをビジョンに会わせるためだ。後はBAPの具体的な進捗についてもだな、EVEがいない状況が続くのはきつくいったん戻せないかの相談も必要だ。

明日も明日でまた忙しくなりそうだな。もう眠るとしよう。

4月1日

警察署エリアの制圧作業については、例の亜種の襲撃により中断状態となった。襲撃を受けたのは井門さんを主体とした一ノ瀬さん、林道さんの3名。運悪く、井門さんが集合地点の確保と他2名が周囲の探索で分かれた所で攻撃を受けた形となった。

その襲撃について、どうやらコマンダーゾンビ系列の亜種が2体いることがわかった。以前、フェアリーが目撃した斧を使う亜種と、更に剣と盾を使う亜種。林道さんが言うには、ゾンビを操る能力は健在でも、人間の思考は読めていないようだったと話している。

井門さんは1人で襲撃を受けたこともあり、そこまでの推察が出来る状態ではなかったと答えている。ただ、前の襲撃を受けた際も、予想よりあっけなく攻撃が当たったという証言は出ている。彼の推測は、恐らく正しいだろう。

次の襲撃があれば判明すると考えられるが、しかし一番手っ取り早いのはその襲撃の際に処理してしまうことだ。そうすれば、パラノイア以外のコマンダーゾンビに悩まされるということはなくなる。

もっとも、それができるまでは2人1組での活動は絶対になる。この状況下で1人でいるのは、あまりにも危険だ。


山中沙奈 記す

「はぁい、DJフレンドだよ。世紀末の世を生きる皆さんこんにちは」

「4月を迎えることができたね。この国ではこの月がいろいろな始まりな訳だけど、この世界ではもう、始まりは自分で進んで行くことなんだろうね」

「さて、オンライン上は珍しく情報が錯綜しているようだよ。とある地域で、謎の光を目撃されたみたい」

「自分は見ていないから詳細はわからないけれど、結構な数の報告があるから、多分何か起きたんだろうね」

「懸命なのは君子危うきに近寄らずかな。多分何かの爆発とかだと思うから」

「ただ、それだと説明がつかないところもいくつかあるんだけどね…。調べられればいいんだけど」

「とりあえずの注意喚起の放送だよ。皆も何か起きているような場所に近づくなら、可能な限り慎重にね」

「さて、ここいらで音楽を1つ。とあるところからお勧めされたのなんだけど、アニメ『けものフレンズ』より曲目『ぼくのフレンド』。よくは知らないんだけど、有名らしいね。聞いてみたけどいい歌だと思う」

「それでは良い終末を」

【とあるところ】
「やった」

「大倉、何もフレンドさんのとこで聞く意味あるの?」

「このリク自分のだし」

「……。何してるの貴方」

「いいじゃん。他でもマジでリク受けて放送したみたいだし」

「放浪者さんのところかな…。あまり迷惑かけないでね」

「香坂はそういうところ、マジで真面目だよね」

「ここに居させてもらってるんだから、当然でしょう」

「香坂も何かリクすればいいのに」

「あんまり音楽聞いてないからわかんないよ」

「ふーん、じゃあ一緒に聞こうよ」

「本当に貴方は自由ね」

>>187
うん、言ってしまえば一つのことが終わった。それだけなのよねぇ。



長い一日とはいったけれど、まさかここまでかかるとは。まぁ、ちょっと毎日やれてなかったのが原因だけれどもね。
これにて588日目、バレットパレード終了と相成ります。

乙乙

日記の読者(物語の中の人)から見たらあっさり流されてるけど実情を知ってるメタの俺たち的には長い1日だったなw

放浪者的には第一次パラノイア襲撃の1日がもっとも一番長く感じたんだろうなぁ
そもそもそんな余裕さえ無かったか

五百八十九日目

警察署エリアの制圧作業は進んでいる。今日で予定していた緩衝地帯エリアの確保は完了している。話に聞いていた新たな亜種二体の襲撃は無かったのは幸いだが、明日の最終点検時に襲ってこないとも限らないだろう。処理するまでは警戒を怠ることはできない。
(二体の亜種については、それぞれソードマン、アクスマンと呼称。発案は佐原だ)

EVEについては研究所にまだ残ることになった。当人が残ることを望んだからだ。選択をしたと言う以上、それはEVEの中にあるAIが自我に目覚めた。ということなのだろうか。それが良い事かはわからない、映画ではそう言った存在は人間に関して反旗を起こすというのはよくあることだ。しかし、相棒の父が人類と共に歩む新たな存在だというなら、俺はそれを信じることにする。

エコーについては拠点の活動の協力をしてもらえることになった。今のところ探索組として活動してもらうことにしている。本来なら回収組か警備組に回ってもらいたいところだが、パラノイアの件を考えると今探索組に回せる人材はいくらあっても足りないからな。

DJフレンド達については、今のところ特にWWPが来る気配はないようだ。できれば来てしまってそのまま去ってくれた方が話が早いのだがな。こればかりは仕方がない事か。

レポートNO.150

井門圭司


警察署エリアの制圧も、何もなければ明日で無事終了って訳だ。長かったような短かったような気がするな。パラノイア襲撃までには間に合わねぇと思ってたんだが。いや、考えようによっちゃあ、今受けてるあの亜種共の攻撃、パラノイアが仕向けてるやつだろうな。

林道さんが言ってた、亜種は俺らの思考を読めないってのは同意見だ。じゃなきゃ、あの時俺はとっくの昔にくたばってる。あの消火斧当たりでも喰らうか、かなりうまく包囲されて、そのどっちかでだ。

佐原のつけた、あのアクスマンか。妙な縁が出来ちまったな、奴に取っちゃ俺は仕留めようとしてし損なった相手、コマンダーゾンビが脳の肥大化でゾンビをコントロールするっていうんなら、感情は間違いなくあるだろう。しつこい奴なら、俺を狙ってくる可能性は高い。

その時はきっちり迎撃できるかってところだ。自信はあんまないな。放浪者さんはパラノイアに目を付けられてる見てぇだけど、それに比べりゃいくらか気楽だろうけどな。

4/2 担当勝 朝

なんか新しい人来た。エコーっていうらしい。

女の人なのに自分は男って言ってる。変なの。


担当喜読 昼

WWPの手による超能力者ということなので、何らかの影響なのでしょう。

しかし、本当にこの場所はいろんな方が来る場所ですね。


担当フェイ 夜

いろいろ来るのは良い事だよ!(笑顔の絵)

エコーはいろんな音が聞けたり操れたりするって言ってたよ

でも、操ってどうするんだろう?(疑問の顔の絵)

放浪者さんは無事お帰りに、それでお話には出てた超能力者さんは無事お連れになりました。まる。

いやもういろいろやりすぎててこの程度普通に思えちゃうのが怖いかなー、なんて。

更に聞くと、どうもサンシャインなる兵器があったようで、それも単騎で破壊したとかなんとか。

メンバーの皆様方もあんまり驚いてなかったというか。新しい方は驚いてはいましたけども。

しかし、そのサンシャインというのを使えないのは残念というか。そこを移動拠点にしたら楽そうですし。

でもWWPの目をかいくぐるのは難しそうですから、結局危険かな。

後は学生さん達の勢力もいたそうな。同盟ということで手は結んでますがフレンドさんのところには残らないご様子。

それでも、こうやっていろんな活動をしている人と繋がれるのはいいことでしょうし。他の地域とかもそういう方のおかげでわかる訳で。

後は今後のエコーさんの様子に注目ですねー。

【それが正常】
「……」

「あれ、門日先生。どうしたんですか?」

「あぁ、三間君。ちょっとね、心の整理がいろいろと」

「心の整理ですか? 何か悪い事でもあったんですか?」

「…三間君は、放浪者さんの話を聞いてどう思ったのかな?」

「えーと。いつも通りの放浪者さんだなって」

「そ、そうか」

「あ、エコーさんがちゃんとやってくれるのかが心配なんですか?」

「それはそれとしてだね…。そもそも今回の、バレットパレードだったね、それが1人でやるどころか時間的なものが少なすぎると思うよ」

「そうなんですかね? 俺ずっと警備組だし、放浪者さんはいつもそれぐらいやってたんで…」

「…うん。いやいいんだよ。自分の考えすぎなんだと思うからね」

「そうですか? でも何かあったら言ってくださいね」

「うん、ありがとう」

「(なんだか自分が正しいのかわからなくなってきたね…)」

>>193
しばらく話せるほど濃密な1日も、要点だけ書き起こすと短く。

襲撃時は突発的かつ放浪者ですらかなりの疲労があったからねぇ。体感的にはむしろ短いかも。



久しぶりの形体に戻ったらそれはそれで書きづらくなっているという。ペースはこれぐらいを維持できればなぁ

乙!
無事ラジオも再開して、放浪者達も普段通りの苦境へ(汗
EVEの関連もどうなる事やら

明らかにその存在は執着を隠そうとしていなかった。あの標的は1人でいる。あの数の部下を退け、自分の攻撃さえも防いで見せた。仕留められると考えていたアクスマン、そう名付けられた亜種はその対象である井門を付け狙っていた。

男は今日も1人である地点を守っている。部下の視線から男を監視し、襲うタイミングを計っていた。同じミスを犯すつもりはない。今度こそは仕留める。その気概に溢れていた、部下の視界が消えていく中、それでも下す指示は突撃だけだ。

攻撃は手筈通り、2方面から井門をゾンビで挟撃する。銃を持った攻撃は強力で、すぐに倒せないのはわかっている。そして、時間をかけていれば奴らの仲間が増援として駆けつけてくることも。つまり、短時間で一気に近づかなければいけない。

部下による攻撃の成果は期待していない。壁として利用し、そして持っている消火斧を持って仕留める。近づけば近づくほど響く銃声に臆することもなく、アクスマンは紛れるように井門へと近づいている。

包囲網は狭まり、一気に近づけば攻撃を仕掛けられるところまで近づいた。アクスマンは、持っている消火斧を強く握りしめた。

「獣は飛び込んだ!」

井門は無線越しにそう叫んだ。アクスマンは咄嗟のことで反応できなかったが、意味は理解した。分かれて行動していたはずの男の仲間達が、自分達を包囲している。

「なぁ、アクスマンよ」

自分のことに気づいていた男は、こちらを睨みつけ、真剣な表情で言った。

「これが、人間が得意な戦術ってやつだ。卑怯なんて言うなよ?」

銃弾が飛んでくる。寸でかわしたが、また部下が何人か失われた。この壁も、いくつもの視界が急速に消えていくことを思えば、長い時間は持たない。そして、今は逃げ場のない包囲を自ら味わっていた。

自分が消える。考えたこともなかったことに、アクスマンは言いようのない感覚を覚えた。それがなんであるかは理解することはない。しかし、その感覚に押されたように、アクスマンは井門に飛びかかった。消えるのであれば、敵を一人でも始末する。無意識の覚悟を決めたからだ。

「なめんな!」

不意を突かれなければ、兵として、そして惨劇下の修羅場を潜り抜けた強者の一人。それが井門だ。見え見えの攻撃を流し、ウェーブナイフで首を一突き。

「じゃあな」

素早く引き抜いて、今度は頭部に刺しこまれる。程なくして、アクスマンはその意識を永遠に失った。

五百九十日目

警察署エリアの制圧に関する最終点検は終了した。これで、警察署エリアと高速道路エリアを結ぶ緩衝地帯の確保が終了したということだ。後残されているところは、大型駅エリアの探索。というところか。

こちら側の朗報としては話に出ていた亜種の一体、アクスマンを処理することに成功した。作戦の立案は井門、前回の襲撃で殺しきれなかった自分を狙ってくる可能性が高いことから、囮を買って出た。通常のコマンダーゾンビなら全く賛成できないものだが、今回の亜種は俺達の思考を読めない可能性があったことから、それを判明させる意味合いもあり許可をした。

はっきり言うならかなり危険な賭けではあったが。実のところ読めないというのが演技という可能性も少なからずあったからな。だが、結果は俺達の予想通りだったこと、アクスマンを処理出来たということは大きな戦果だろう。

問題はこれからだな。恐らくアクスマンは、パラノイアの配下、と考えていいはずだ。貴重な配下を失った奴が、このまま攻勢を仕掛けてくる可能性は十分にある。このままいけば小競り合いが大きくなることは明白だからな。

このまま大型駅エリアの探索して奴とぶつかるか、それとも確保したエリアの更なる制圧を進めて安全性を高めるか。選択というところだな。

一ノ瀬DIARY Apr. 3

警察署エリアの最終点検は終わったよ。後は、アクスマンって名前を付けた亜種も倒せたから、すごくこれからは楽になると思う。でもまだ、ソードマンっていう亜種が残ってるから、気をつけなきゃ。

それに、今回のは井門さんがすごく危ない事をしたから倒せただけなんだよね。普段なら安全面を気にする井門さんらしくない気がする。終わったこととしてはすごく良い事なんだけど…。書いたらお話に行こうっと。

そうそう、エコーさんの超能力を見たけど、かなり強力みたい。エコーさんいわく、音が収集できる範囲なら何がいるかはわかるみたい。それと、バインドみたいに音を弾みたいにぶつけてた。音をわざと立てなきゃいけないから、そこが多分ネックなのかな?

自分のことを男の人だと思ってる以外は、何か精神的疾患も見られなくて、超能力者さんの中では普通な方なのかも。

【心配なのです】
「ん、一ノ瀬か。どうしたよ?」

「えと、お元気かなと」

「俺か? いつも通りってとこだな」

「そうなんですけど、今日とかも危ない事してましたから…」

「そりゃあそうかもな。放浪者さんに比べりゃマシだろうけどな」

「…違うんです」

「何がよ?」

「なんかその、井門さんが死にたいんじゃないかって…」

「…ねぇよ」

「本当、ですよね?」

「あぁ、誓ってな」

「……何かあったら言ってくださいね」

「わかってるって」

>>200
いつも通りの苦行だねぇ。EVEは、うん、どうなるかな。

やっと追いついた
今週は仕事もそこそこにずっと読んでた

井門は別に、死にたいとか死に場所云々って感じじゃないかな
やられた際に、死んだらそれまでとかは思うかも知れないけど

乙!
ヤバめの刺客ではあると思っていたが、放浪者が帰って来てからの事だから内心安心していた

放浪者とフェアリーは大型駅エリアの上空にいた。放浪者はサンダーボルトの上から双眼鏡を使ってエリアの状況を偵察し、フェアリーがそれに着いてきているという状況だ。パラノイアに感知されないよう、一定の感覚と距離を取る為、旋回するように移動している。

「(…当然だが、奴も俺達の対策は打ってきてるようだな)」

そこに見えるのは、既視感のある大きな城壁を思わせるもの。エリアの名称となっている大型駅を中心として、大きなバリケードが張り巡らされていた。

これは惨劇時に行われているバリケードである。という可能性はない。大掛かりなバリケードを敷設できる余裕はなく、そもそもここのバリケードは倒壊した建物の瓦礫も利用している。今こんなものを作り出せるものと言えば、パラノイアぐらい存在しない。

バリケードは全体的にかなりの高さだ。通りや建物に隙間なく積み上げられ、人どころかゾンビの通り道すらないように思える。完全に区切られ、周囲から独立した立地。その場所で俺達を迎え撃とうとしているのだろう。

バリケードは自分の、言わば拠点を確保する目的と、もう1つの狙いが放浪者の中でよぎる。探索組の中であのバリケードでも越えられるのは何人かいる。つまり、それが出来る出来ないでメンバーがわかれる。協力すれば全員で乗り越えることはできるが、その隙を狙って攻撃を仕掛ければ戦力の分散させられるだろう。

戦力が分散されることはコマンダーゾンビとの戦いに良いとは言えない。戦略・作戦の意味で、メンバーを班分けをして行動するなら別として、突発的に分散されることはかなり致命的なことになりかねない。

パラノイアもこれだけで全てを塞ぎきれるとは思っていないはず、そういう部分を持ってこのバリケードを敷設したと考えられたが、少しだけ引っかかることが放浪者にはある。その疑問の元となる、フェアリーを一瞥する。

いくら強固なバリケードを敷いても、シンプルで強力な対象を浮かすという能力の前では無力だ。フェアリーがバリケードを破壊するまでの間、全員でその援護をするだけで内部への突破は可能だ。可能性を挙げるなら、パラノイアはその能力を軽視したか、認識していないか。

前者はあまりにも考えづらい。素早くバリケードを破壊するということは不可能だ、しかし、破壊そのものができないということではない。そうなれば、バリケードの意味は無くなってしまう。となると、やはり後者の認識がないという考えが妥当になってくる。

パラノイアとの直接的な戦いは、警察署での包囲網戦以降無くなっている。攻撃を仕掛けて着ている事実はあるが、それはあくまで配下を仕向けたものでしかない。直接戦った時の攻撃の苛烈さを考えれば、居なかったと断定していいものだ。その部分だけで考えれば、フェアリーの認識していなくても不思議ではない。

ただ気になるのは、処理をしたアクスマンとフェアリーは接触している。そこから情報が共有されてもおかしくはない。その上で考えられるのは、彼女はアクスマンを浮かして吹き飛ばし、瓦礫を投げ飛ばしただけでその能力の真価を見せた訳ではない。そこまで含めると、認識していない可能性は高いが、認識したとしても超能力を過小評価しているという結論が正しいものになるだろう

「(…予期しない超能力者二人の力でパラノイアは十分混乱させられるだろう、それとあえて、分断作戦に乗ってみるとするか)」

放浪者の眼下に映るのは、高速道路エリアから伸びる、1つの文字通り高速道路だった。

研究者も技術者も、大多数がBAPの急速な解析により雑魚寝の様相で倒れていた。そんな中で、疲労は隠せていないが野木とアリスが最終チェックの段階までこぎつけたアンドロイドの操作を行っている。

研究所がこうなるまで解析を急いだのも、拠点から届く任務の進捗に合わせたというのもある。もうすでに大型駅エリアの探索を開始しているとなれば、それは当然パラノイアとの戦いは秒刻みになってきていることを意味した。この戦いの結果、拠点がどうなるかで研究所の行く末も決まる。これはどちらかと言えば、必要に迫られたという結果だ。

「…。動作チェックを頼む」

いつも元気なアリスも、頷くだけで端末の操作を開始する。エクスがEVEにプログラムされたAIを解析し、それをこのアンドロイドに引用する訳だが、その前に正常な動作をするのかという部分を解消しなければ使いようがない。

合わせて、もし解析できなかった場合にはこのアンドロイドを何らかの形で、パラノイアとの決戦時に稼働させなければいけないのだから、動作確認は言うまでもなく必要なこと。

いくつかの試験的な動作用のプログラムを起動させ、動作1つ1つに問題ないかをチェックして、全ての確認を終えた。原型はほとんど回収してきたアンドロイドと同じだが、6本足の先端に車輪がついており、悪路でも動くことができるよう工夫されている。

「あとは、エクスの仕事だネ…」

そうだなと、答えて椅子に野木が腰かける。ドスンと音がしたのが聞こえて目をやると、アリスがそのまま机に突っ伏して眠ったところだった。

>>207
追いつかれるとはお疲れ様です。お仕事はほどほどに。

>>208
まぁ、他のメンバーに比べれば、生きようとする気概は希薄かもねぇ。責任(つみ)を抱えてるだけに)

>>209
放浪者がいればとりあえずなんとかなるんじゃないかという風潮。
まぁ、>>1もそう思ってますが。



>>211の訂正
×その隙を狙って攻撃を仕掛ければ戦力の分散させられるだろう。
○その隙を狙って攻撃を仕掛ければ戦力が分散させられるだろう。



一番負担かかってるのはエクスなんだろうけどアリスもかなり働いてるよなぁお疲れ

乙!
寝てる……だけだよね? ね?

EVEの中に存在するVR空間内、そのハッキングをエクスは再開していた。松明を片手に、この洞窟に必要と言われたものを探しに探索を進めている。

ここのところの急務で肉体的な疲労を感じている。そのことが影響するとすれば、何かの事態に対しての反射ぐらいで、この空間で身体を動かすことそのものに影響はなかった。身体と思考がわかれているかのような矛盾を抱えて、闇の奥へと進んで行く。

この洞窟に入る時に、君なら大丈夫だろうと慰めにもならない言葉をかけて消えた以降、山海を模したAIは姿を見せていない。何を企んでいるかわからない分、いないことの方が余計な心配がよぎる。もはや背後には明かりはなく、狭く暗い空間に居れば明るい発想は出来なかった。

奥へ奥へと入っていくと、下り階段が現れた。その先を見ようと松明を掲げると、眼下に扉が見えた。何かがいる様子はない。ここまで罠といったものはなかったが、変な物はないか警戒しながら降りていく。

長く感じるその道を降りきる。見えていた扉は、灰系統の色合いで出来た石できている。高さはエクスの2倍はあって、あからさまにこの先には何かあると言っているようだ。

1つ、2つと意識的に呼吸をしてから、扉に手を触れる。軽く押すと、重さを感じずに開いていく。この先に何があるのか、AIの構成と構築部分に関するデータが表示されるウィンドウはまだ、答えは表示されていない。

五百九十一日目

大型駅エリアの偵察を行った。結論から言うと大型駅を中心として、パラノイアの拠点が築かれている。そう言って差し支えない状態だった。残念ながら、奴の所在は全くわからない。まぁ、堂々と屋外で活動する訳もないだろうからな。

敷設されたバリケードの中心に大型駅があることから、恐らくその周辺にいるのは確かだろう。大まかな位置さえ後はいい、どうせ一筋縄ではいかない相手だからな。

また、敷設されたバリケードはかなり高い。とりあえずは二階程度の高さがある、簡単に飛び越せるようにはできていない。全員で乗り越えようとする間に攻撃を喰らえば、メンバーが分断されるのは見えている。防護壁であるのと、そのことが目的のものだろう。

それ以外でも何か仕掛けてはいるはずだ。なんせ、バリケードの内部はゾンビの姿が見えなかった。外側の付近でも同様なのだから、恐らく意図して潜ませている。考えられるのは、俺達が徐々に徐々にゾンビを処理してきた際の戦力減を避ける為か。

今のところ、考えているのは二手に分かれての大型駅エリアに突入。一つはフェアリーをメインにしたバリケード破壊班、もう一つは高速道路から直接内部に突入する強行班。戦力を割くこと自体、危険性は高まる。しかし、バリケード内部に侵入した際、負傷か何かによって行動不能になれば、助ける手立ては難しくなる。安全性の確保と早急な行動を求められる以上、避けられはしないことだ。

それに、研究所からの報告でBAP、いや、研究所仕様のアンドロイドの試作機が完成したと報告が来た。そいつの性能を活かす為にも、移動できる経路の確保は、必須だ。

4月4日

今日は大型駅エリアの偵察を行うこともあり、残ったメンバーはその大型駅エリアと隣接するエリアの境目を中心に、ゾンビ処理を進めることとなった。

その偵察の結果、パラノイアはこちらの攻撃に対しての用意を進めている。バリケードで自分が確実に感知、及びゾンビのコントロールが効く範囲を囲ったと考えている。バリケード内部に入れば、間違いなく強烈な攻撃を仕掛けてくると予想できる。

今のところ案としては、バリケードを破壊する班、内部に強行突入する班の2班にわかれてパラノイア攻略を行う。突入する班は、バリケード破壊までの陽動、パラノイアの処理。破壊する班はバリケード破壊と破壊後の逃走経路の確保が主な役割になる。

現状のメンバー構成は検討中ではあるが、バリケードの破壊する班についてはフェアリーが組み込まれるのは間違いないだろう。回収した物資で爆破といった破壊は出来なくなくても、量がある訳ではない。今回は1ヶ所だけではなく、複数個所を破壊する予定でそうなると無難なのが彼女の超能力を利用することだ。

ただ、いまだ放浪者とエコー以外と行動を取りたがらないことを考えると、うまくいくかは不安ではある。来た当初よりメンバーと交流するようになってはいるから、大事にはならないと思いたいところだ。


山中沙奈 記す

4/4 担当蒲谷 朝

いよいよ大型エリアの探索か。

何があっても動けるようには、しておかないと。


担当佐田 昼

コマンダーゾンビか、見たことも遭ったこともない。

だが、やり手の連中が警戒するぐらいだ。よほどの相手なんだろう。


担当平山 夜

私も片鱗を知っている程度ですが、恐ろしい相手です。

しかし、恐れを感じるほどに脅威なら、排除するしかないのです。

文明を復活させるためにも。

『将軍(ジェネラル)が殺された、か』

月明かりが差し込む、大広間。壇上に置かれた大きな椅子にいつも通り何者かが座っていた。その近くで跪くのは、側に剣と盾を左右においた褐色肌の赤い目の亜種。ソードマン。

それは、次の言葉を待つかのような態度なのだが、この場所に響き渡るのは無音という名の音だけ。しかし、音に限らなければ確かに圧迫感もこの場所を支配している。

『また、大切な血が流された。なぜ、放っておかない?』

まるでこの場所に存在するのは矛盾だけのようにも思える。何もないが高音、あるいは、叫びはあるような、存在を主張してくる。何もありえないはずなのに。

『……。お前も失う訳にはいかないが、攻撃を仕掛けるのだけは忘れるな。外の者は好きに使って構わん』

そう思えるのは、この場所に飾られた装飾品の類が飾られているからだろうか。何もないはずなのに、華美であることの矛盾が、違和感としてそう思えるのかもしれない。

『…………。許さん』

飾られているその作品の詳細はわからない。一部かすれているが、例えばアリエとまで読める作者名が絵画なら書かれているぐらいだ。

『絶対に、許さん』

圧迫感はますます濃く、矛盾を持ってこの場所の中を広がっていく。

>>215
まぁ、研究所もなんだかんだで大忙しだからねぇ

>>216
綺麗な顔してるだろ。寝てるんだぜ。

乙!
なぜほっとかないかといえば、まず場所が悪い。砂丘ででもやっていろ
次に、知性があると分かっていても、既に交渉など出来ない状況なうえ、ゾンビ共の食料が基本的に人間で、そっちから襲ってくるからだ

アリエ……アリエ……アリエール

扉の向こうには現実で見ることはないエクスの眼前に光景が広がっていた。前方には今入ってきた扉と同じ石でできた祭壇らしきのものがある。台形型で恐らく四方から登れる階段があるように見えた。そして、その祭壇の上部には光り輝くクリスタルが浮かんでいる。

必要なアイテムと言われたものは、どう考えてもそれぐらいしかない。問題はゲームの世界でよくいるボスがいるかいないか。ステータスといったものが存在しない以上、自分はゲームの中で強くはならない。これまで出てきた敵も情けないながら倒したというのに、更なる強敵となれば、考えたくもなかった。

クリスタルの明るさで視界は確保できている。松明を置き、武器を装備しなおして祭壇へと向かう。緊張が思考を支配し、現実と同じように手から汗がにじむのを感じる。祭壇手前まで来て左右を見回してみたが、何かがいる様子はない。

「うっし」

静けさに呑まれそうになり、声を出してから階段を上がっていく。その先にあるクリスタルを無事確保できるのか。更にこの命がけの茶番を続けなければいけないのか。いろいろな思考が浮かぶ中、1つ、理由のない確信があった。

この世界のことを、理解できているという感覚が、エクスの中に存在し始めていた。

ここのところ、天候が大きく荒れることのなかった拠点周辺だが、今日の限って大雨が続いていた。視界は悪く、濡れたい服は体力を奪う。こんな日に活動すべきではないが、だからといって悠長にやっていられない状況が続いている。

ハンターは大雨の中で佇んでいた。いつも通り独りで単独行動は、アクスマン処理前から、つまりずっとそうしていた。

煙草でも吹かしてみたいところだったが、生憎の大雨のおかげで火は意味をなさない。既に身体はずぶぬれで、今更雨宿りする意味はない。ゆっくりと、近くにあったコンクリートの瓦礫で、腰かけられそうなところに座る。

見上げたそこには灰色のカーテンでも見たような空模様。終始ほの暗いのが、今日は続くことを思わせる。気が滅入る、そう思ってからチェーンソーを起動させた。遠くから変異体交じりの一団が見える。動きの感じからすると、統一性があるようには見えない。自分に向かって、単調に歩いている。

エンジンを吹かし、力強い動きで斬りこんでいく。だが、一瞬見せた動きでハンターも素早く攻撃を取りやめると、自分の居た所にジャンピングゾンビが左右から飛びかかってきた。

「ち、コマンダーってことは。ソードマンあたりか」

視界が利いて、かつ広い場所ならやれなくもないが、楽しい楽しいパラノイアとの戦いの前に負傷する可能性は負いたくなかった。

「ま、大将に言っとけや。放浪者と同じようなやつが、まだいるってな」

それに、自分の戦闘力を見せる訳にはいかなかった。未知であることは誰にとっても脅威だが、知ることが武器のコマンダーゾンビには、出来うる限りの手の内は見せないことが、処理する為の近道だ。

相手の思考が読めないと考えられるソードマンとの接触で助かったな、あえて退避を選び、危機的状況が去ったわけでもないにも関わらず、ハンターはそんなことをのん気に考えていた。

乙!
ハンターさん、最近何してるのかと思ったら、濡れ鼠になっていたとはw

うまく にげきれた!

予期していた事態だったが、DJフレンドのいる工場地帯に新たなWWPの部隊が派遣されてきた。人数は前に比べれば多くはないが、明らかに重武装されているのと戦闘ヘリの姿もあった。幸いなのは、光線があった地域を調べているだけで、大々的に交戦相手を探している様子はないということだった。

DJフレンド達は隠れアジトから確認できる範囲から、WWPを偵察している。しかし、相当な部隊が処理されたというのに数日もせずそれに近い戦力を送ってくる。元々強大な勢力だと認識はしているが、それでも拠点やレジスタンスと言った勢力からは敵対されている。

レジスタンスは知らないが、少なくてもこれまで気づかれずに拠点や放浪者絡みでWWPの部隊が壊滅に追いやられた情報はいくつかある。その上で、この状態を維持できるというのは、やはりHP(ホムンクルス計画)があってこそなのか。

愚痴交じりにこぼすフレンドのその内容に、西村は「人間がすることやおまへん…」と嫌悪感を露わにしていた。

放浪者が処理した兵士達は、疾病対策としてすでに処置を終わらせていて、回収可能なものも全て隠れアジトに運び込みは終わっている。更に言えば、WIPに関する情報は全て研究所でバックアップを取った後、全て情報は消し去っている。ある種のもぬけの殻状態だった。

交戦から間を置かずにこの部隊がきていれば、それこそ徹底して敵対する生存者を見つけ出そうとしただろう。どのような判断で今時点でこちらに来たのかはわからないが、好都合なのは間違いなかった。

後はこの嵐が何事もなく過ぎ去るのを、DJフレンド達は待つしかない。

「長かったね…」

もう慣れてきた簡易な寝床で、横になった千護は、同じく隣の寝床で横になるロバートに話しかけた。探索を引き続き行っている新興都市において、アビスがあるかははっきりしていない。しかし、それでも大型研究施設があると思われる情報を得ることができた。

惨劇が過ぎ去った後の彼女は、言葉にするならそれこそ生きた屍だった。仲間をすべて失い、守るべきものは壊された世界に、ただポツンと自分はいるような感覚を今も覚えている。自分が生きた屍だとさえも思った、そう思うたびに八つ当たりでゾンビを処理して回っていた。

そんな時に出会ったのがロバートだ。情けなく逃げ回る男の代わりに、ゾンビを処理してやり、関わる気もなくて去ろうとした。そこで言われたのが、ゾンビ化現象を解明する為に力を貸してほしい。だった。最初は内心喜んだ、無為な自分に色を与えられる、そういう任務だとさえ思えた。

だが、目の前の人間がその惨劇の原因だと聞かされた時の激昂が喜びを取り去った。

今でもロバートに対して、千護は愛憎めいた感情を抱いている。不思議な感情である。

「もし、解明できなかったら殺してやるから覚悟しなよ」

「う、うん。頑張るよ…」

だからこそ言葉こそ物騒にも関わらず、ロバートがそこまで怯えていないのは、これまでの信頼を含めた。その語気に真意ではないことがわかるからだろう。

>>223
まぁ、互いの主張はどうやってもあわんからねぇ

>>224
エリエール

>>227
雨も滴る良いハンター

>>228
しかし、回り込まれてしまった!


いろいろ修正あるけど、もう寝まふ

乙!
ハンターさん回り込まれちゃったの?

>>232
ノリなんでそういう訳では。


ちょと疲れのせいかあんまり集中できなかったので、もう寝ますだ。
明日は出来ると思うけれど。

ご無理のありませんように

五百九十二日目

今日から大型駅エリア、いや、パラノイア討伐戦の為に動き始めることになった。作戦はバリケード内部に入りパラノイアを処理する強襲班と、バリケードを破壊して脱出路を確保する工作班の二手に分かれて侵攻する。今日からはその侵攻ルートを確保する為の、足がかりを進めたというところだ。

強襲班は、高速道路エリアから大型駅エリアに伸びる経路の一つを確保する。高速道路からバリケードを一気に乗り越え、内部に侵入。その後、更に二手に分かれて内部をかき回しながら、パラノイアを探し出し処理する。指揮系統の混乱させることで、脱出路の確保の時間を稼ぐのも目的の一つだ。

はっきり言うと、強襲班はかなり危険を伴う。内部は何の仕掛けを施されているかはわからない。戦力も正直言って未知数だ。死者を出す可能性はかなり高いだろう。はっきり言うなら俺一人でやるつもりだった。だが、この班に参加するとして名乗り出たのが、佐原、藍、錬浄の三名だ。藍に関して林道さんはかなり反対していたが、本人の強い意向に折れたというべきか。

工作班はその残ったメンバーで行う。主力は『浮かす』ことが出来るフェアリーと、火器が扱える井門の二人でバリケード破壊を行い、他のメンバーはそのバックアップ。まず一カ所破壊できたなら、まず付近のゾンビを処理してから更に内部からバリケードの破壊を進めていく。この行動は、万一パラノイア討伐に失敗した時を含めて考えると、次からの攻撃が容易になるという状況は奴らにとって許しておけるものではないからな。

だから、どちらの存在も容易に無視できるものではないとするのがこの場合の一番だ。わかったところで、被害が避けられない。そういう状態にするのが望ましいからな。

自分達以外の人間が当日どう動く予定かは不明だ。俺達も大まかな作戦しか伝えていない、その状況が全体がうまく動けるかはわからないのは、どうしようもない。

さぁ、ラストの詰めだ。これで水の泡になるかが決まる。拠点のこれまで積み上げてきたものに対しての審判が決まるな。それを決めるような存在がいるというなら、ここまで放置したことに対して首を刎ねてやるが。

レポートNO.151

井門圭司


今日からパラノイア処理の為の任務が始まった。部隊は放浪者さんが率いる強襲班、山中さんが率いる工作班に分かれる。強襲班は文字通りパラノイア処理の為、俺達はバリケードを破壊して逃げ道を作るの役割だ。

まぁ、強襲班に組まれたメンバーなら、バリケードを破壊しなくても、負傷さえしなけりゃ行き来できるだろうけどな。念には念をってとこだ。

問題なのはむしろ工作班側じゃねえかって気もする。主力はもちろんそっちにいる訳で、バリケード破壊なんてしようもんなら、大多数はこっちに向かってきそうなもんだ。

ただ、それが普段のコマンダーゾンビならって考えもある。攻撃そのものはどうやったってパラノイアは苛烈だろうから、どっちかに偏るなんてあるかどうか。でも、この間のアクスマンから感じた、執着、みたいなもんは絶対パラノイアにはある。となると、あと一歩まで追いつめた放浪者さんが一番やべぇのは確かだ。

…あの人を死なすことはできねぇ。それは拠点そのものの崩壊になるっていっても過言じゃないからな。

【譲れないこと】
「絶対だめだぞ、自分は強襲班にいくぞ!」

「藍。強くなったのは認めている。しかし、こればかりは認める訳にはいかない」

「嫌だぞ!」

「藍、どうしてそこまで強襲班にいきたいんだ?」

「放浪者が言ってたぞ。パラノイアさえ倒せば、ここは安全な場所なるって」

「だが…」

「安全になれば、スラが怖がらなくて済むぞ。それに、自由に遊ばせてやれるぞ」

「……」

「それに、いずれ…。自分はお父様を探し為にここを離れるんだぞ。だから、スラが安心して過ごせるようにしてやらなきゃいけないんだぞ」

「藍…」

「自分はお姉ちゃんだから、スラを守ってやらなきゃいけないぞ。でも、ずっとずっと一緒じゃないんだぞ。だから…、だから、パラノイアは自分が倒すんだぞ!」

「……。無謀だ、藍。参加するメンバーの中で、はっきり言うなら君が一番弱い。もし、何かの拍子に1人で戦うことになれば、多勢に無勢だ」

「大丈夫だぞ。皆一緒に戦うんだから、怖い事なんてないぞ!」

「…。その強情さ、誰に似たんだか…」

「何の話だぞ?」

「わかった。本当に短い時間しかないが、更に教えをつける」

「わかったぞ!」

>>234-235
うんまぁ、なんだろうね。妙に眠いというか。知らないうちに疲れてるのかねぇ。


決めるような存在「私を消したいというのなら、ダイスという存在・概念を消してこいというのだ」

最初にその違和感に気づいたのは西切だった。大型駅エリア攻略の為、工作班に割り振られた、フェアリーを除くメンバーが途中までの侵入路の確保、周囲の確保及び状態の確認を行っていた。

ゾンビの数は相変わらずだったが、変異体の姿は奇妙なほど見当たらない。パラノイアがバリケード内に確保していることは予想されたが、それにしても奇妙といってよかった。

変異体は、ゾンビの更なる変異状態だ。言ってしまえば、ゾンビいる限りその脅威は常に内包している。今この時も、探索しているエリア内に変異体に生まれ変わっていることさえもありうること。

任務を開始してから、終了まで折り返しへきている時間までに、1体も確認できないこと。それは不自然といって差し支えなかった。

「…なぜか、変異体の姿がありませんねー」

いつもどおり飄々と、それでいて、言葉の意味は重い。彼女ほどの手練れが、今の状況がいつもと違うと告げている。薄々と違和感に気づいていたメンバーの一部は、無言で賛同を返す。

「何体か…。潜んでいるよ、待ち伏せじゃないかな」

耳を『澄まして』いたエコーが、周囲の状況を報告する。待ち伏せ、という事であれば、亜種を含めたほとんどのゾンビは本能のまま動くことを踏まえ、コマンダーゾンビの仕業か、後は何らかの生存者か。

ただ後者も、このゾンビが跋扈する中でただの人間が待ち伏せできるはずがない。ここまでの結論から導き出せるのは、残った新たな亜種、ソードマンが何かを張り巡らせている。その予感だった。

乙!
どれだけの防衛線が張ってあるのやら

メンバーのいる地点は、前後が十字路に繋がっている道路。大型駅エリアに近いからか、道幅そのものは広い。左右は大型の建物が連なっていて、逃げ込むことはできる。しかし、考え方を変えれば、十字路を抑えられれば包囲と挟撃を余儀なくされる位置。

前進したとして、待ち伏せの奇襲を受ける危険。この場に留まれば包囲される危険。内容は違うだけで、策謀の渦の中にいるのは間違いはなさそうだった。

山中は素早く後退の判断を下した指示をする前に、甲高い、いや、表現しがたい高音が背後から響き渡る。ほとんどのメンバーが振り向いた頃には音は止み、爆ぜる音がして頭部がないゾンビが倒れるのを目撃した。少し遅れて、エコーが地面に片膝をつく。

「音は…、集めたけど、ゾンビ達が来ちゃう…。逃げよう」

エコーの超能力は、亜種のバインドに近い。自身で高音を発する、ということはないが、周囲に発生した音を収束、対処に向かって放ちそれこそ打撃を与える。コールゾンビが発するそれを集めて対象にぶつければ、人体を破壊するに至るものだった。

井門は素早くエコーに肩を貸し、全メンバーは交代を始める。途中、何かが破裂した音がどこかに聞こえたように、感じられた。エコーが何かを告げる前に反応したのは、少し鳴き声を出し、前脚で鼻をこする小間城だった。

後方の十字路にたどり着くころには、音で招き寄せられたゾンビと、正面からは早足で近づいてくる強化ゾンビの姿があった。自身に迫る予想された危険に晒されていることを、全メンバーはしっかりと自覚する。それをこれまでに培ってきた信頼を持って、山中はこの場での迎撃を指示した。少し戸惑っているのは、新参のエコーだけ。

確かに今、後方についてはゾンビの姿は見えない。更なる後退が可能なように、見える。しかし、この襲撃はソードマンが仕向けたと言っていい状況だ。こんなに都合よく挟撃できる位置にいた状態で、コールゾンビが背後で鳴き、正面でスプレーゾンビが爆発することは、そうそうあり得ない。

林道の読み通り、自分達の思考が読めないとしても、コマンダーゾンビとしての知能がある以上、逃げる先を誘導している可能性は十分ある。3方向から攻撃を受けると言う事態は本来避けなければいけないが、全ての勢力が自分達に集中する前に、現時点の危険を排除する方が賢明。それが彼女が下した判断だ。

ペガサスを展開した彼女は素早く正面にある電柱を、槍の足で刺し壊してバリケードを作成する。その間に、遠距離攻撃が可能なメンバー、井門、西切、エコーが正面の強化ゾンビに攻撃を加え、残ったメンバーは左右からのゾンビが十字路に侵入されるまでの時間を稼ぐ。

主要な戦力を持つメンバーほとんど強襲班に組み込まれた今、その補助に回ることが多かったメンバーの底力が試されていた。

>>240
それ消しちゃうとこのSS進行しなくなっちゃうからねぇ。

>>242
まぁ、面倒なことはしてくれてるでしょう。

乙!
始まった、か。

DJフレンドがいる工場地帯にいたWWPの調査隊は、もうすでに姿を消していた。WIPのサルベージに来た部隊の残した記録や、サンシャインの破壊状況を確認しにきたと考えて間違いない。

WIPの情報に関しては、バレットパレード時点でエクスのハッキングにより研究所にデータを移動させてから、ビジョンの能力によって端末はすべて破壊している。WWPにとってその痕跡を確認できるのは、融解したサンシャインが全てと言っていい。

もちろん、派生のプロジェクトや他にバックアップを取っている者が残っている可能性は高い。しかし、それを担当していたであろう研究者が存命しているとは思えない今、サンシャインが再現される可能性は、ごくわずかなことだ。

フレンド達は、ヘマをやらかす連中ではないとは思うが、何か新しい情報はないかと調査隊が何か残していないか一帯を確認している。

「…何もなさそうだね」

フレンド達が回収しなかった、テントなども無くなっており、ここにWWPが存在していた痕跡は残っていない。

「けど、あれを持ってくたー思わなかったな」

そして、その最大の痕跡であるサンシャインも、新井の言う通りこの場所から消え去っていた。

「それで、どうする気ですかストーク」

いつものアジトで、アイビスは彼に回答を求めた。彼女が聞きたいのは、千護とロバートの2人についてだ。少なくともレジスタンスとしては、千護の持つ戦闘能力、ロバートの持つ研究可能な知識、どちらも貴重なものだ。千護と気が合わないということを、彼女として置いておけばだが。

「どうするもこうするも、仲間ってことでいいんじゃないか?」

「ストーク、やはりあなたは馬鹿ですか? いい加減2人のことを組織に黙っているのは、難しいと言っているのです」

レジスタンスが創設されたのは、WWPへの対抗。元であり、彼の意思であった訳ではないが、ロバートはWWPのメンバーであったという事実が、報告を遅らせていた理由だった。すでに、2人と接触した時点でレジスタンスにその事は報告しているが、詳細な情報はまだわからないと結論は出していなかったのだ。

「ただの協力者って訳にはいかないか?」

「既に千護は元防衛軍兵士、ロバートは怪しい研究者風の男と伝えています。このまま黙っているのは、ここの活動に関して良い心証は得られない訳がありません」

考えてなかったわけではないが、ストークはその部分をどうすべきか、しばし思案した。

>>246-247
はてさて


でもまぁ、どう考えたってその時は今でも、近くでも不思議じゃないからねぇ

>>249の訂正

×「既に千護は元防衛軍兵士、ロバートは怪しい研究者風の男と伝えています。このまま黙っているのは、ここの活動に関して良い心証は得られない訳がありません」
○「既に千護は元防衛軍兵士、ロバートは怪しい研究者風の男と伝えています。このまま黙っているのは、ここの活動に関して良い心証は得られる訳がありません」


どうしてこうなった

乙!
巨大な鉄くずを持ち帰るか……まぁ資源として使えない訳ではないしな

怪しいが、事態のカギを掴み取る可能性はある  とかそんな報告ならどうなんだろ

五百九十三日目

大型駅エリアに侵入するため、高速道路からの侵入路確保は進んでいる。工作班については、ソードマンと思われる攻撃を受けたようだが、負傷者はなく迎撃自体はできたようだ。残念ながら、ソードマン自体の処理には至っていない。

アクスマンに比べると、まだソードマンは理知的に見える。比較的力任せなのがアクスマンだとすれば、ソードマンは堅実的な罠を仕掛けていたようだからな。狡猾な相手、という方がこちらとしてはかなり厄介だ。

可能であれば、パラノイアとの一戦を交える前に処理してしまいたいところだが、奴がどう判断するかだな。奴のいるエリアまで近づいていることは確かで、そのことも認識しているはず。

防衛の為にソードマンを残すか、戦力を削るためにこちらへ向かわせるか。今回の戦いの結果をどう捉えるかだな。

もっとも、俺が確実に迫ってくると考えれば、後先考えずに全勢力を仕向けてくる。その予想に外れはないだろうが。

しかし、アクスマンやソードマンを通して、こちらの戦い方を把握している部分を考慮すれば、それでメンバーの危険が薄まる保証はどこにもない。

奴にもっと、俺に集中させるように動かなければな。

>>253
まぁ、持ち帰って正直価値ってそれぐらいしかないよね

>>254
でもまぁ、痕跡が残っているわかりやすいものってそれぐらいよね



うたたねしてしまったので、今日はこれまでですだ・・・。

教員日誌 四月六日 林道正綴

パラノイアを倒す為の作戦で、今日はソードマンが相手と思われる攻撃に遭った。計算された攻撃なのは認められて、それでいてこちらの動きに合わせて作戦を変える柔軟性はなかった。自分が読んだ通り、ソードマンは思考を読めない、それに確信を持てる戦いとだった。

ただし、倒しきれなかったことは心残りだ。パラノイアを倒す時にソードマンが残っているのは、藍のことを考えると避けたい。パラノイアが手強いことに違いない、そこに補強できるソードマンもいれば、より苦戦は避けられない。

藍への手ほどきは入念にしている。しかし、全て出来るほどの時間もない。疲労が溜まり実践となっては何ら意味を成さない。何よりあの子の命にかかわる部分になってくる。それでいてどちらにも過不足な対応はできないということでもある。

本人の意思を組んでいるといっても、それは死地に追いやることだ。自分に出来る全てを、あの子に教えなければいけない。

4/6 担当浜村 朝

当たり前だけど、ピリピリしてるわね。

ほんと、背が高くてイケメンで、バズーカでも持った兵士達がディナーもついでに用意してきてくれないかしら。

は、いてくれたらこんな苦労してないか。


担当三間 昼

本当にそういう強い人がきてくれたら…。

でも頑張ってる放浪者さん達に失礼かもしれないですね。そう考えるの。


担当フェイ 夜

そうだよ。放浪者達は強いから大丈夫だよ(力こぶの絵)

フェイ達も当日はお手伝いするよ。すごく、怖いけど。

【それぞれの意義】
「…………」スッヒュンッ

「…………」

「…どうした、錬浄」スチャッ

「いろいろ、気負われているようですな…」

「…かもしれないな」

「…………」

「…錬浄。一つ聞かせてくれ」

「なんなりと…」

「…お前がこの戦いに参加する意味だな」

「というと……?」

「…本来、お前の目的はWWPのことを知ること。今までの経緯でどんな連中かはわかるはずだ」

「御意…」

「…目的は果たしている、俺にはそう思える」

「…………」

「…協力は求めている。それでも、沈むかもしれない船に乗せるのは強制するつもりもない」

「…………」

「…………」

「拙僧の道は…、人々を救うこと…」

「…………」

「故に、お手伝いさせていただいてるに過ぎませぬ…」

「…ならいい」

>>258の訂正

×そうだよ。放浪者達は強いから大丈夫だよ(力こぶの絵)
○そうだよ。リーダー達は強いから大丈夫だよ(力こぶの絵)

「あ、アビスじゃないっていうのかい?」

その事実を知り、先に声を挙げたのはロバートだった。2人がこの新興都市に来たのは、エクスの調査結果を元に、ここにアビスがある可能性があったからだ。

「組織が調べた情報によれば、地下研究施設のアビスではないときています」

「…けど、何かあるんだろ? もったいつけないで続けてくれよ」

説明とは順序立てるものだろうと、少し嫌味を含んで千護に答えてからアイビスは続けた。

「2人がお話しているアビスは、北米にあるとの情報を得ました。なので、ここにあるのは別のものということになります。その姉妹的な関係に当たる地下研究施設。名称は『ディープノア』と呼ばれているそうです」

ディープノア、それはアビスの派生した研究施設であり、目的はアビスが行っているプロジェクトとは別のアプローチで研究を行ったり、補助を目的としていた施設。そして、この場所で行われていたプロジェクトで行われていたのは、確信的な冷蔵保存技術の確立。ありていに言えば冷凍睡眠(コールドスリープ)。

「U.S.A.Uは来たる第三次大戦を勝利する為、違法合法問わないプロジェクトを行っていた。ディープノア、というよりアビス関連は最悪を想定したプロジェクトを進めているみたいだ」

説明をストークが引き続く。WWPが想定した最悪は、核ミサイルを撃ちあうことによる文明の崩壊。アビスに関連するプロジェクトは、その崩壊後に素早く文明を復活させるためのもので、ディープノアは重要な人材を冷凍保存(コールドスリープ)させ、汚染が除去される時期に解凍。その後、文明を復活させる目的だったようだ。

「け、研究設備自体があるなら、だ、大丈夫だよ」

そもそも、アビスが行っているプロジェクトが目的だったわけではない。ほとんど壊れていない可能性が高い、設備を利用し、ゾンビ化現象を解明する。その事に変わりがある訳ではない。

強襲班、それにプラスしてフェアリーは高速道路の確保の任務を行っていた。高速道路はその構造上、ゾンビが多数いる訳ではない。動線、つまりは移動経路として重要な意味はあるが、何かが留まるような場所ではないからだ。それと合わせ、基本的には高速道路の出入り口や点検の為の出入り口以外、ゾンビが寄ってくることは少ない。

その意味では、強襲班のような少人数でも確保の任務を進めることはできる。しかし、だからといって安全とは言い難い。高架状にあるのと、基本的な行き来は前後だけだ。つまり、何かの拍子で囲まれれば一切の逃げ場はない。ほとんどないとわかっていても、強襲班は本来の目的のルートと、それと別に分かれるルートにメンバーを分けて処理を進めていた。

そうすることで、囲まれるリスクを抑えている。目的のルートは放浪者、藍、フェアリー。その他のルートは残った佐原と錬浄の2人だ。フェアリーは侵攻ルート上に塞がる障害を取り除くためにいて、佐原と錬浄はその逆にゾンビを処理したうえで簡易なバリケードを作るのが目的だ。

今のところ、任務について問題は起きていない。そのはずだが、静かに放浪者はウェーブソード・デュエルを抜いた。

ちょいと出かけるので、中途半端ですがここまで。


>>261の訂正

×そして、この場所で行われていたプロジェクトで行われていたのは、確信的な冷蔵保存技術の確立。ありていに言えば冷凍睡眠(コールドスリープ)。
○そして、その場所で行われていたプロジェクトは、革新的な冷蔵保存技術の確立。ありていに言えば冷凍睡眠(コールドスリープ)。

乙乙

アビスは北米にあるのか
って事は惨劇が初期から広がったのはアメリカと姉妹施設があった日本か…

乙!
抜いた。って事はお出ましか

3人の前方には横転している大型トラックがある。道路中央からやや右寄りにあり、貨物部分が後ろに運転席が前で斜めに倒れている状態だ。そのトラックから姿を現したのは、褐色肌に長髪の赤い目をした人間。それぞれ剣と盾を持ち、明らかにこちらを待っていた様子だった。

「あれー、この間のゾンビさんに似てるなー」

のんびりとした様子で、フェアリーは額に手のひらを合わせ相手を見る。それとは対照的に、藍も戦闘形体に変わり放浪者は当の昔に準備が出来ている。それを待っていたかのように相手、ソードマンが剣をこちらに付きつける。その動作は戦闘開始を知らせる合図代わりのように、貨物の扉が開け放たれ変異体が飛び出してくる。

コールゾンビが高音を発し、ゴーレムゾンビが前衛の壁として歩み寄り、後続としてマッスルゾンビが迫る。その間からジャンピングゾンビとクローゾンビが飛び出してくる混成部隊。通常ではありえない、変異体ばかりの集団。それと対峙することは、攻撃を行うという事前準備でもなければ、限りなく死に近いものだ。

それを迎え撃つのは、人間離れした技量を持つ生存者、驚異的な肉体構造を持つホムンクルス、単純故に凶悪な力を持つ超能力者の、たった3人。

これから日記を読む



ジャンピングゾンビの攻撃を避けると、クローゾンビの爪が伸びてくる。その対応に手間取っていれば、近づいてくるゴーレムゾンビとマッスルゾンビの強力な攻撃、そして奥から集まってくるゾンビもそれに加わることになる。

「くう、こんなの初めてだぞ!」

変異体のみによる波状攻撃は、ここまでやってきた探索組の誰も経験したことはないことだったが、放浪者は心の奥底で思う。ゾンビが変異体への道を歩んでいるのなら、これもその内、当たり前になるという事実を。

高い金属がぶつかる音が響く。この攻撃に対して、更にソードマンも加わりその剣を放浪者に振るい、それを放浪者はウェーブソード・デュエルで受け止めた。その剣越しから見えるソードマンの表情、それを見た放浪者は言葉に出さずとも意志を感じた。

自分を処理するという、強い意志。

ソードマンを蹴り飛ばすと、背後から迫りゆっくりと殴り掛かってきたゴーレムゾンビの頭部にジャベリンの杭を打ち込む。数は減らせているが、まだまだメンバーに危険は残っている。コールゾンビの高音で佐原達が気づいているとしても、増援に来れるまではまだしばらくの時間はかかるのは事実だ。

>>264
アビスがゾンビ化現象の研究元だったのか、はてさて

>>265
なんでかきちゃったというね(ダイス的には襲撃確率低めだった)

>>267
お付き合いいただければ幸いです。


ちょいと短いですがここまで。

ゾンビの癖に意思があるとか、ナマイキなんだよッッ!(強がり)

誰が見ても窮地であるのは間違いない。その上で、放浪者は気落ちも恐れも感じさせない。むしろ、ソードマンの意志に共鳴し、彼もまた強い意志を瞳に宿している。

ソードマンをこの場において処理するという意志を。

昨日の工作班へ対しての攻撃、以前の一ノ瀬と林道へ対しての攻撃、そして今回の襲撃。それらを統合して放浪者は1つ用意しておいた仮説を、確信として理解した。ソードマンはやはり特殊な亜種であり、ゾンビではなく変異体を操るコマンダーゾンビなのだということを。

「…フェアリー! ゴーレムゾンビをマッスルゾンビにぶつけるんだ。藍! そのカバーをしてくれ!」

ゴーレムゾンビはまさしく障壁として立ちはだかっている。飛び越えていくことは可能でも、更に何かを用意している可能性は高い。だからこそ、陣形を崩し、相手のペースを乱すことが何よりも肝要。あるいは、完全な虚を突くかだ。

「えーい!」

「フェアリー! ちゃんと周りを見るんだぞ!」

いつでも離脱できるという余裕で、不用意に近づき超能力を行使するフェアリー。そこへ攻撃を仕掛けてきたジャンピングゾンビを藍は斬りつけて逸らす。カバーのおかげでゴーレムゾンビの頑強な体は浮き上がり、それを叩きつけられたマッスルゾンビは、トラックの貨物とその体の間に挟まれる。

障壁の一角に、穴が開いた。

音もなかった。それは藍達を含めて誰も認識できないまま、放浪者はすでにソードマンの目の前に存在していた。ソードマンすら、そこまでの接近を許してなお、彼が攻撃の姿勢になってからやっと反射したように後方へと体を動かし――、盾を持つ左腕は斬り飛ばされた。

『―――――――――!』

声はない、苦痛もない。浮かんだ表情は明らかな困惑。

策を練り、強力な兵で強襲し、まだ優勢だとさえソードマンは思っていた。陣形が少し乱された程度で、間隙を突かれるなど、想像するはずもなかった。この一撃はもはや、結果だけが起きたかのような錯覚に陥る。それを現実として受け入れるまでの、同じくわずかな間。

その間を埋めるように、放浪者が持つ刃がソードマンの身体へ再度滑り込んだ。

カランと音を立て、左腕が落ちる。その間を理解できないソードマンが残った腕で剣を振るおうとして、右半身は後ろに、左半身は右側に向かってそれぞれ倒れる。

放浪者が振り返ると、変異体の集団が止まり、藍達も何が起きたか理解していない状況。その奥から法衣を纏った人間と、灰色の狼男がこちらに向かっているのが見えた。

「…殲滅を開始する」

そしてまた、彼は一陣の風のように、烏合の衆と化した変異体の群れへと斬り込んでいった。

輝くクリスタルの前に、エクスは立っていた。VR特有の、現実味を帯びた非現実の美しさがそこにある。これが、話にあった目的の物なのは間違いなさそうだった。

彼は、体力の消耗を感じていた。特にこの場所に来て、クリスタルへ向かう一段一段が、一瞬とは思えないほど長く感じられることもあった。本音を言えば、いったんこのまま倒れて眠りにつきたいと思っている。

「ふむ。予定通りに到着したか」

山海のAIが、当然のようにスッと現れて、エクスに声をかける。予定通りの意味を聞きたいが、それすらも億劫なほど疲れがあり、次の言葉を待つことにした。

「この場所は、EVEの根幹が眠っている。山海が、時期が来るまで封印したものだ」

「時期…?」

天才という事だからこその、当然の危惧があった。自身が生み出した学習するAIは、すべてを学習できる。それだけにこの惨劇を招いた、そう断定していい人間に対して、嫌悪する可能性があった。

今のEVEは、ゾンビを含め攻撃を行わない。それは、その本来のAI部分も封印した結果に他ならない。開放した際に、EVEは人間と同じく思考を持つこととなる。その時に、理解を得られないまま人間を、EVEは攻撃しないとも限らない。

だからこそ。

「君のように、プログラムを熟知する人間を、VR空間に招く必要があった」

言葉は出せず、エクスは息をのんだ。AI解析としてハッキングをしていたはずだが、その実ここに招き寄せられたという事なのだから。

「長く1人で廃墟の中を彷徨った孤独感、そして、自分が人間ではないことへの疎外感を、理解しないままEVEは過ごしていた。故に、あのアンドロイドに仲間として興味を示していた。それ自体は構わないが、アンドロイドだけで固まれば、どこぞの超能力者集団のような顛末を待つだけだ。我々はアンドロイドと人間はわかりあえるという確信を、山海と山海として生み出された私は持っている。だからこそ、架け橋足りえる存在は今のEVEには必要だった」

名づけるのであれば、AI思考。それを持つ人間を作り出すことが、今後アンドロイドと人間が共に歩むために必要。山海、そのAI、2人共の総意だった。そしてこのVR空間は、そのために用意し、山海のAIは必要となる時まで管理し続けていた。

「クリスタルに触れるといい。今の君なら、理解できる。それで私の役割も終わる」

こびりついた無愛想な表情に、疲れを帯びた安堵のものに変わっている。そしてエクスは、クリスタルに触れるのを躊躇し、そして魅せられているプログラムの世界に触れた。

強烈な情報がエクスという媒体を通っていく。頭がはち切れそうになる感覚の中で彼が見たのは、美しいクリスタルではなく、消えていく山海のAIだった。

>>270
まぁ、実際ゾンビが意思持って襲ってこられたらこっち何もできんよね。

日記ハザードだと思ってたら日記無双になってた
な、なにをいっ(ry


やっぱ、やまだのじゅつは強力だなー
まぁそれ以上に放浪者の戦闘力が飛び抜けまくってるんだよなぁ
そしてそれゆえに、いまだ放浪者の一本柱で成り立ってる組織という枠を越えられていないのが、今後どう響くか……

エクス は クリスタル に ふれた!
クリスタル が エクス の なかに はいりこむ!

...さんかい は くだけちった!

五百九十四日目

高速道路の侵入路確保は進んでいる。今日の大きな成果は、ソードマンの処理に成功したことだ。変異体のみの攻撃を受けるという、今までにない経験だったが、幸い想定より早くソードマンを処理出来たことでメンバーへの被害はない。

これでパラノイアの配下と思われる亜種は処理出来た訳だが、同時に俺達への憎しみは高まったことになる。俺達を向かい受けるつもりだったのが、打って出てくる可能性も高まってきたな。

だが、油断は出来ない。パラノイアはアクスマンとソードマンを、自分の支配下に置かず俺達への攻撃を仕向けさせた。それは、そうしてもいい戦力がまだあのバリケード内に眠っていると考えていい。それが何なのかは、わかりはしない。ただ、そういう隠し玉を持っているだろうな。

あくまで予感に過ぎない。しかし、俺としてはそれは間違いと思っている。問題は、どういう厄介さを備えているかということだな。少なくとも、自分と同じコマンダーゾンビ。それも亜種を失っても、それと同等と考える備え。

もう一つ間違いないのは、それは間違いなく、厄介極まりないだろう。ということだ。

それは 紛れもなく やっかいさ~

4月7日

工作班による地上ルートでの侵入路確保について、本日はトラブルもなく進めることができた。これも強力な戦力が強襲班へ攻撃の為、ソードマンが強力な変異体を集めていたからだと考えられる。

現状、脅威としていたアクスマン、ソードマンの2体を無事処理を完了し、拠点としてパラノイア攻略に勢いがついているといっていい。しかし、放浪者はその中でこの程度ではないという判断を下している。

確かに彼は、根本的に慎重な人間だ。その意味では想像できる判断とも言えるが、どちらかと言えば危惧しているというよりも、そうであると確信しているように思える。

ファントムシリーズを長く着用していることに起きている、感覚の鋭敏化。それが元々あった彼の、勘としか表現できないそれを強化している。予知とさえも言っていいその部分を持つ彼が言うのだから、それは間違いない。

それが現実的ではないことは、承知している。私が、彼に個人的な感情を抱いていることを差し引いても、彼の言葉の重さは、この拠点のメンバーにさえ、ないものだ。

私は彼のことを信じている。


山中沙奈 記す

「お目覚めになられましたか?」

それは流暢で、それでいて聞き覚えのない口調だった。全身に鉛でも注ぎ込まれたように重く、エクスは身じろぎもできないまま、瞼をゆっくりと開ける。

薄暗い室内、そこにいたのはEVEだった。

「連続した時間、VR空間にいたため、身体が消耗しております。このまま休まれるのと、食事をお取りになれば回復いたします」

「…そうかい」

会話している間、EVEの様子が変わったことはすぐ理解したものの、自分に流れ込んできたプログラムが、嵐のように頭を駆け巡っている。パチパチと火花が出る感覚に、またエクスは瞼を閉じた。

「友よ、貴方に伺わなければいけません」

「…。自己AIの移植だろ? お前の好きにすればいい」

よろしいのですかと重ねてEVEは確認する。仕方なく、エクスは自身は問題ないと思うが、実際にやるかは野木かアリスあたりに相談して決めてくれと、返した。

「……。山海のAIが気にしてたけどよ。お前、人間は嫌いだとは思ってねーのか?」

「…。私が知っている人間は、拠点や研究所の皆様、物語を通してでしかわかりません。学んだのは、人間にはいろいろな側面を持っていること。そして、皆様は悪人ではないということだけです」

それならいい。エクスは本格的に意識を闇にまた落とすことにした。

大広間。その壇上にある机には深々と斧と剣が突き刺さっていた。そして、その机の前に何者かが立っている。それはゆっくりとした動作で、机の中央へ手を持っていき、中央にあった蝋燭に火をつけた。

『将軍(ジェネラル)が死に、今度は公爵(デューク)が殺された。奴等は我々からいくらの血を奪えば気が済むのだ?』

怒りを湛えて、強く握る右手が震える。作戦に失敗がしたことに、怒りなどない。公爵は勇敢に戦いを挑み、そして敗れた。その結果自体に、何も疑いはない。

内包する怒りは、ただ美しい世界を守ろうとする自分達を襲う、蛮族達だけにしかない。

『貴様らの血はけして無駄にはしない。無駄にしてなるものか!』

だんと、机に拳が振り落とされる。その事に痛みを受ける様子もない。ただ、その瞳に映る蝋燭の炎。それがまるで業火のように広がるように映る。

『蛮族の王、放浪者。けして許しはせぬ』

その机の剣を引き抜き、高らかに頭上へ突き出す。

『血濡れの蛮族、略奪者どもよ。貴様らは一人残らず、根絶やしにしてくれる!』

そしてそれを、横になぎ、蝋燭の炎は消えた。

【それぞれの意義2】
「…………」

「あ、放浪者さん。ここだったんですねー」

「…どうした。西切」

「ははは。こんな状態ですから、まぁ、お話でもと思いましてー」

「…そうか」

「どうせ無茶されるのはわかってるんですけど、バリケードの中で1人に成ったりしないでくださいよー」

「…考えておく」

「えぇ、まぁ。そう言われるとは思ってんですけどね」

「…西切、一ついいか」

「はいはい、何なりと」

「…お前は何でこの戦いに参加する?」

「……んー。どういう意味でしょうか」

「…この惨劇の真相を突き止めること、それがお前の目的だろう」

「えぇ、そうですねー」

「…それなら、千護達やカミロあたりに付いていった方が、その近道だろう」

「…………」

「…長くやってきた仲間だから言う。沈むかもしれない船に、無理に乗る必要はない」

「………。はー、放浪者さん?」

「なんだ?」

「自分にやりたいことがあるから、危険な皆さん放ってさよならー。なんて社会に出て通用することじゃないですよ?」

「………」

「好きでいるんです。そりゃあ、その内真相を知れる機会があるとなったら、いなくなるかもしれませんけども」

「…そうか」

「あ、でも気にしてくれて嬉しかったですよー」

「…当然のことだ」

「ははは…。じゃあそんなとこです。今日はお疲れ様でしたー」

「…あぁ」


「(…そりゃあ、怖くないなんて言ったらウソですけど)」

「(だから、まぁ、居るんですよね)」

「(ここが無くなるのも、放浪者さんが居なくなるのも、そっちの方が、あたしには怖いから)」

>>276
うん、いろいろ変わりすぎたよ

>>277
シンプルゆえの脅威。

まぁ、放浪者もそこらへん危惧して、後の連中を育ててる節はあるけどもね

>>278
クリスタルと言えばFFだね

>>280
カーン


寝落ち更新なり

ロウソクを消すとハートが出ます。

もうダイス様が何求めてるのかわからんよ

一体これ以上何が起きたってんだ…

「じゃあフレンドさん、お世話んなりました!」

新井達3名は、身支度を整えて隠れアジトの外にいた。DJフレンドのメンバーも、警備としてミーナを残して全員で見送りをしているところだ。

WWPは姿を見せなくなったとはいえ、それはまだ数日。危険性を話して、まだ留まった方がいいのではとフレンドも提案したが、新井は香坂の両親の件があるからと断った。

勘違いからオンライン上で目の敵にされていた訳だが、大きな火種にならずに終えられた事も、バレットパレードにおける成果と言えるだろう。

「今後いただきましたアドレスからご連絡を取らせてもらいます。お世話になりました」

「マジでお世話になりましたー」

それでも、若い人間が危険な道を歩むことに関して、フレンドとしては止めたかったことではある。だが、強い意思を持つ止める手立てがないのも、また事実だった。

3人が去るということは、本当の意味でフレンド達がいる工場地帯にいつもの日常が戻ってきている。しばらくの間続いた重圧から、開放されるのを感じてフレンドは胸を撫で下ろしていた。

いつもの仕事にかかる為、それぞれのメンバーが隠れアジト内に戻っていく。最後まで彼らを見送ったフレンドが戻ろうとした時、その視界に人影を捉えた。

こちらの存在には気づいているようで、その生存者は軽く手を振っている。この時代において、無用心なことだが敵意はない様子ではあった。警戒は怠らず、フレンドはそっと拳銃に手を当てながら近づいてくるのを待つ。

近づいてきて見えたのは、いろいろと奇妙な格好をした男の生存者だ。頭には消防士がかぶるヘルメットと、衣服には加工した金属の鉄板――恐らくはガードレールを加工したもの――が縫いこまれている。鉄板は両手の前腕部分、脛と太ももにある。スポーツ用品と思われる肘当て、膝当ても身に着けて、登山用と思われる大型のバックと、主装備らしい消化斧も持っていた。

「おたくらも、DJフレンドの話にあった例の光の正体を見に来たクチ?」

手をさし伸ばしてきたのを一瞬逡巡しながら、握り返す。その手からうえける感覚で、この生存者の力強さを感じる。敵意は本当にないようで、西村とは違うさっぱりとした人懐っこさを感じさせた。

「そういうわけではないかな。失礼だけど、君は?」

「俺かい? 柳瀬ってんだ。見てのとおり各地をぶらぶらしてる。おたくさんは? どっかで聞き覚えがあるんだけど、会ったことあったっけ?」

正体を隠している訳ではない。当然、不要なトラブルを招く可能性もあったが、素直に自分がそのDJフレンドだと名乗る。

「あー、通りで聞き覚えのある…。へ? おたくがフレンドなの?」

まるで有名人にでも会ったかのような反応に、DJフレンドは少し苦笑した。

「ここがその場所ですね」

以前、佐原と藍が見つけた、大型駅エリアの中心に繋がる地下道、そこにアクセスできるルートの1つを、工作班は確認していた。

地下道はバリケードを通り抜けて唯一侵入できる場所だ。しかし、すでに佐原がその場所には大量のゾンビが埋め尽くされているということから、パラノイアもその場所の危険性は把握していると判断できる。しかし、それは考え方を変えると、非常に厄介な場所であるということだった。

「佐田さん、お願いします」

「ふん、周囲の警戒を頼む」

探索組は、最後の障害となるであろうパラノイア攻略に挑む。それは当然総力戦となってくるだろう。戦いが長引きこう着すれば、その地下道を埋め尽くす大量のゾンビは、十分強力な戦力であり、伏兵としての奇襲も兼ねることができる。

佐田は溶接機が稼働させて、出入り口部分を固めていく。変異体によっては効果的とは言えない可能性はあるが、即座に利用できない、そのわずかな時間を稼げれば十分なのだ。何より、あのバリケード自体がパラノイア、その配下達も自由に行き来できなくなっている。つまり、この地下道――あるいは別の手段――で出入りの手段を確保しているのは間違いない。

だからこそ、この移動経路の封鎖はパラノイアへの先手を打てると、山中は判断していた。

>>286
たまに鳥の丸焼きも出るね

>>288-289
いやまぁ、言うほど大したことでもなかったのだけれどね。けども、この状況下で、放浪者のとこじゃなくて
DJフレンドに生存者イベント発生とか出されても、事ここに至って出るキャラを今更どうすれば(ry

という苦悶が昨日あって寝ました。能力的には、体力とカリスマ性がむっちゃ高いけど、頭が少し悪くて、
運も悪いというキャラになりました。


なにその主人公みたいな奴
頭脳派の相棒がいると最強の二人組的なアレ?

それ聞くとやっぱ放浪者はもう放浪者ってカテゴリーになってるんだなって

乙!
柳瀬君の一般人が用意した精一杯の対策装備感好き

敵側出入り口溶接!これは良い仕事だ

EVEは研究所にて開発されたアンドロイドの側にいた。その様子を伺うように、野木を含めた研究者達とエクスが立っている。EVEとアンドロイドには互いを繋ぐケーブルで繋がれている状況だ。

目的は、覚醒したEVEのAIをアンドロイドに複製すること。それにより、もう1体の自立したアンドロイドを生み出し、対パラノイア決戦兵器とすることができる。

「うまくいくのか、エクス」

「さぁね。こればっかりは試してみないとな」

まだ疲労はある様子ではあったが、それでもエクスは飄々としている。それを見て、アリスはVR空間へのハッキング前と雰囲気が違うような気がしてならなかった。それは言葉に出せるほどの違和感ではなく、他の誰にも説明できないズレ。

彼女の様子に気づいたのか、エクスが視線をよこす。首を横に軽く振ると、彼はまたEVEの方に視線を戻した。確かにそのズレは重要なことかもしれないが、今この場において大事なのは、自分達の生み出すアンドロイドがどうなるかの局面なのは、間違いなかった。

「やっていいぞ、EVE]

「わかりました、友よ」

駆動音が響き渡り、しばらくしてアンドロイドに繋いだ端末の中にデータがインストールされていくのが表示される。エクスは、その内容をチェックしながら、少しだけ眉をひそめた。

駆動音が止まり、EVEは自らケーブルを外した。インストールが終わったはずの端末を忙しなく操作するエクスを見て、心配そうな表情をしている。

「気にすんな。やっぱり互換性の問題ってやつだ」

EVEの優れたAI、もはやそれは一個人と言っても差し支えないレベルのものだ。また、自我を抜かしても基本的な行動や学習するというのは、この世界をどこに探しても存在しない。唯一無二と言っていい。

その優れ過ぎたAIであるが故に、それを受け入れる器は早々簡単に作れるものではなかった。稼働させる部分に相違からのトラブル起きるのは予想していたが、ここまで完全に不完全になるのは想定外というか。そのAIを実行できる器を生み出した山海の天才さを伺わせるものだった。

ここにいる研究所のメンバーは、一流といっていい実力を持っていて、その結晶であるアンドロイドでこの結果なのだから。

「だがま、俺様がこのAIをカスタマイズしてやりゃあ問題はない。EVEみたいなってのは無理だが、それでもそこらのAIなんぞよりも良いのにはなるだろうさ」

問題はその良いAIを、パラノイア攻略前までに改良しなければいけない。エクスはそれだけシンプルに考えて、まだ疲れの残る身体に鞭を打ちキーをタイピングを続けた。

>>294
熱血系おバカ主人公。いろいろ登場が遅すぎる。

放浪者はまぁ、放浪者です


>>295
前からやりたかったスクラップ装備をつけてもらいました。こういうとりあえずの防具もゾンビ世界ならではよね


>>296
手に入れてからちょっとしか役立ってなかった節のある溶接機の出番です。



>>291の訂正
×その手からうえける感覚で、この生存者の力強さを感じる。敵意は本当にないようで、西村とは違うさっぱりとした人懐っこさを感じさせた。
○その手から受ける感覚で、この生存者の力強さを感じる。敵意は本当にないようで、西村とは違うさっぱりとした人懐っこさを感じさせた。

乙!
エクス有能

五百九十五日目

強襲班による高速道路からの侵入路確保の任務は進んでいる。高速道路から例のバリケードへ近づける範囲まではもうだいぶ近づいている。予定している確保のラインまでは、もう間もなくだが、トラブルを想定すると隣接する別ルートへ向かう部分の確保も進めなければいけないだろう。

工作班についても侵入路の確保は進んでいるようだ。また、地下道への入り口を封鎖する活動もしていると相棒から聞かされた。佐原の話に合った地下道にいるゾンビの群れ、パラノイアが利用しようとすればその危険性は高いからな。

それに、奴もバリケード内に閉じ込められている訳はない。地下道を含めて移動経路は確保しているはずだ。そしてそれは多くはないはず。少しでもそう言ったところを封じられれば、奴も焦りが生まれるだろう。

また、朗報として解析を終えたEVEが戻るとの報告があった。つまりは研究所でアンドロイドが完成したということなのだろうが、その事は何も聞いていない。パラノイア攻略戦において参戦するのは確かだろうが、結局知らない方がいい。

それに、EVEの持つ防御能力も重要だ。それに、パラノイアに知覚されない貴重な存在だからな。奴と戦う前に戻れたことのは喜ばしいことだ。

その上で、全員無事で奴との戦いを終わらせる為には、更に予期しない戦略を打ち出す必要があるか。

レポートNO.152

井門圭司


工作班の任務は順調ってとこだ。侵入ルートの確保以外にも、地下道の封鎖もやってる。これで少なくても地下道経由でゾンビの増援を送って、攻撃を仕掛けるってのは難しくなってくだろ。もっとも、大型駅エリアはパラノイアが周辺の奴らを集めたから、他とは比較できねぇ量だがな。

ありがたいことにEVEが戻ってくるのは決まってるから、工作班もこれで楽になるな。1体でも多くの戦力が欲しい訳だし、特に今回みたいな足を止めてバリケード破壊するってんなら、防壁になれるEVEの存在はでかい。

それに、話に聞いたアンドロイドも当日に参加するみてぇだし、こっちの準備は着々ってとこだな。パラノイアがそれに関してどう動くってのは気になるところではあるけどよ。元々、この侵入ルートの確保の邪魔でアクスマン達をよこしてたはずだからな。

手駒が無くなった今、それ以上になんかしでかしてくるのかってことだよな。

4/8 担当勝 朝

なんだか緊張してきた。パラノイアについてはもうそろそろだよな。

俺も、当日戦いたい。


担当門日 昼

それは流石にダメじゃないかな。

放浪者さんが認めない気がするよ。


担当平山 夜

そう思います。拠点が狙われる、その可能性は十分にある。

ほとんどの戦力になるメンバーはいなくなることを考えれば、そう判断されるかと。

【それぞれの意義3】
「お疲れ様でございます、放浪者さん」

「…どうした、喜読」

「はい、山中さんよりもう休むよう伝えてほしいと、言伝をいただきましたものですから」

「…もうこんな時間か」

「えぇ、夜の番は警備組はいつも通り行いますので、お休みください」

「…そうだな」

「………どうされましたか?」

「…悪気はないが、なぜまだ喜読はここに残っている?」

「どういう意味でございますか」

「…パラノイアの脅威を身をもって知っているのは、一番は喜読だろうからな。それと戦うとなれば、逃げ出したいと考えても普通だ」

「なるほど、そういうことでございますか」

「…無理に危険と付き合う必要はないとだけ、伝えておく」

「考えておきましょう。その時が来た場合にはでございますけれど」

「…………」

「パラノイアの危険は知っております。そしてもう1つ、知っていることがあります」

「…なんだ?」

「事情がなんであろうと、皆様はあの窮地の中で私を救いだしていただいたということです」

「…当然のことだ」

「はい、それでしたらそのお礼を返すのも当然のことではございませんか?」

「…そうか」

「疑問は晴れましたなら幸いです。明日も早いと伺っていますので、お早めにお戻りください」

「…おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

>>300
まぁ、名の売れる程度にそっちの道のプロでございますからの。
まぁ、VR空間で何か刷り込まれてますが。

乙 みんな頼もしい存在に成長してるな 戦闘能力に限らずね

エンタキーを少し強めに叩いてから、エクスは目頭を押さえながら椅子にもたれかかった。操作していた端末には、EVEのコピーされたAIを、彼特製のソフトによってアンドロイドの仕様に合わせて、自動的に改良されていることが表示されている。これが終われば、ついにアンドロイドの完成に至る。

彼がいる開発室にEVEが飲み物を持って入ってくる。その動作が前に比べれ自然であり、もはや額の発光ダイオードを見ない限りは、EVEがアンドロイドであると見ただけで判断するのは困難だろう。エクスの為に飲み物を置く動作さえも、もはや人間のそれだった。

「友よ。あの子は問題なさそうですか」

心配そうに、生み出されたアンドロイドを見て確認をしてくる。確信はあっても確証を持てないエクスは、多分として答えられなかった。異次元の天才である山海を抜かせば、自立しそして自ら判断するアンドロイドの製作は、惨劇前を含めても今この時が初めてなのだから。

ソフトが改良を終えたことを示す表示がされる。起動するかの選択肢を少しの間眺めてから、エクスは『YES』と答えた。

機動を知らせる駆動音がアンドロイドからわずかに零れ落ち、しばらくしてから自ら旋回して、エクスとEVEの方を向く。

「…。マイマスター、ご命令を」

「……。人間の文明復興をお手伝いします。よろしいですか?」

畏まりましたと、アンドロイドは応えた。

五百九十六日目

強襲班による高速道路からの侵入路の確保は進んでいる。大まかな予定は進んでいるから、後は全体的な補強と確認か。おおよそ奴も侵入してくるであろうルートは予想しているだろうから、その妨害を防ぐ意味合いになる。

まぁ、どちらにしてもパラノイアとして、侵入が予想できる箇所に対策はすでにされていると考えるべきだろうな。妨害に戦力を割くよりは、その方がよっぽど現実的な手段だ。少なくても、確実に俺を処理したいであろうパラノイアにとって、侵入されての迎え撃つ以上、その対策に手を抜く理由は一切ない。

一番厄介なのは、その対策に加えて思考を読むことでの臨機応変さが、当然コマンダーゾンビ特有の脅威だからな。どんな対策をされてるかによっては、抵抗も出来ず処理されるかも知れない。

しかし、そうはわかっていても、都市解放には大型駅エリアの探索は抜かすことはできない。何より、凶悪な存在が隣接しているなど、安定した活動もできないからな。

その上でもし、この戦いで俺達が負けたとしたら、もう大型駅エリアを消滅するような攻撃を加えるしかないだろう。

一ノ瀬DIARY Apr. 9

工作班の大型駅エリア、パラノイアの侵入ルート確保は進んでます。地下道からこっち側に出られるところの封鎖も始まって、今のところ問題はないかな。

地下道の封鎖は、パラノイアが私達の裏をかいて拠点を襲う可能性を封じられるから、出来る限りちゃんとやらなくちゃ。多分、回収組の2人も佐田さんも参加する気がするから、そうなるとほとんど人がいなくなっちゃうし…。

研究所の人達がきてくれるかもしれないけど、聞いたアンドロイドの事とかで拠点から離れちゃうかもしれないから。うーん。

でも、ようやっとEVEちゃんが戻ってきてくれたから、もっと楽になるね。研究所に行く前とだいぶ様子は変わってたというか、本当の人間みたいになっててビックリ。話に聞くと、本来眠ってた力も解放出来たからみたい。機械はよくわからないけど、良い事なんだと思う。

これで、明日からはもっと安全にやっていけそうだなー。

【それぞれの意義4】
「ふん、バリケードの補強は終わったぞ」

「助かるわ。これで、襲われてもちょっとは大丈夫そうね」

「どうだかな。聞く限り、パラノイアはかなり厄介そうだ」

「あたしも遭ったことも見たこともないけどね。少なくともここまでゾンビが大量に来る事態になったら、多分そういうことよ」

「ふん、難儀なことだ」

「……。言おうと思ってたけど、別にあんたがここに居なきゃいけない理由もないし、嫌なら出てってもいいのよ?」

「気が向いたらな」

「それとも、あんたの弟子だった平山が気になるってとこ?」

「……。知っている限り、不出来だろうとなんだろうと、俺の技術を唯一引き継いだ弟子だ」

「だから残るって訳?」

「ふん。何か問題あるのか」

「ないけど。一応警備組のリーダーらしいから、そういうのは確認すべきじゃない?」

「そうか」

>>306
士気の高い連中相手にするのは、大変な物よねぇ

乙!
アンドロイド起動おめでとう!
しかしEVE共々、世界レベルの快挙なんだけれども、こんな情勢にならなければ作られていなかったんだろうな、と考えると複雑だね
それはそうと、「友よ」って呼びかけ方格好良いなw


前書いた理想のアンドロイド部隊に近づきつつあるね
むしろ資材と人員さえあれば達成出来そう

シールダーのEVEが、人間性解放して帰って来たッッ!
キャタピラガンナーの……呼称未定君を引っ提げてッッ!
ここからの二体の活躍、大いに期待だッッ!

確かにそう言ったけどもさ・・・。

研究所にて製作されたアンドロイドは、初めて成功したアンドロイドとしてロッサと名前を付けられた。自立しての活動できるように生み出すことは出来た。だからこそ、ロッサは絶対的に経験不足だった。

EVEとは違い、ロッサは戦うことを前提として作られたアンドロイドだが、間違いなく今は赤子と全く変わりのない状態に過ぎない。そして、その状態でパラノイアとの決戦を迎えれば、逆に足を引っ張りかねない。

回収していたライフルを装備させ、実射訓練をさせていた。その指導についているのは、やはりエクスだった。

静止しての射撃は文句なく高水準を叩きだしたが、的を移動させたり自身が動いての射撃となると、エクスが想定していた水準を下回っている。

恐らく当日は、全体の援護の為にロッサは駆けずり回ることになる。認識できない戦闘可能な存在がいることは、パラノイアにとって無視しようがない事態だからだ。つまり、留まるような動きではロッサを活かすことが出来ない。

「ロッサ。もっと予測しろ、入力された正しい射撃方法だけが全てじゃねぇぞ」

「はい。情報(データ)を累積します」

今この時ですら、いつ拠点から任務開始の連絡がきてもおかしくない。それまでに最低限の調整をすることも、エクスに求められる急務だった。

>>312
まぁ、ここまでじゃないけれどアンドロイドもどきは以前触れられた分ではあるんだけどね。
「友よ」はプログラムに戻った山海のAIの名残だね

>>313
作るだけならまぁそれでもいいんだろうけどね。

>>314
そんな訳で名前が決まりましたよと。一応元ネタはあります。



さて、597日目の判定がまた悩ましいので気分転換に外言ってきて戻ったら書きますよっと。

乙!
”あ”が4っつ……四阿(あずまや)かな?






























































ああ
2017/07/12(水) 17:38:04.11ID: FO/WkdNt0 (4)
372: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
乙です
2017/07/12(水) 17:46:27.91ID: HeBea9beo (1)
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『皆様にお伝えしておきます。この状況ですが、あまり良いとは言えない人間が都市に紛れ込んだようです。警戒頂くのはもちろん、可能なのであればその方に警告はしてください。また…、脅威が生まれるのも、なられるのも厄介ですから』

任務へ向かう前に、覚から受けた忠告を平山は反芻していた。それは自分達回収組だけではなく、全体に周知されたものだったが、最後の脅威が生まれるという部分に胸騒ぎを覚えなければいけなかった。

パラノイアだけでも脅威極まりないのに、新たな第三勢力の存在は抜き差しならない事態にもなりかねない。話しの感じからして単独で動いている相手にも思えるが、もしかすればその背後に何らかの勢力が付いている可能性も十分にある。

だからこその、忠告ということではあるのだろうが。

「大丈夫スかね…」

その事を聞いているフェイも、普段より警戒した様子でいた。本能で動くゾンビの対処はいくら慣れていても、対人としての対応に慣れているとは、自分達は言い難い。それに、悪意ある相手だとして、躊躇なく攻撃できるか。

ゾンビに成ってしまった人間を処理出来ても、人間そのものを処理できるかはまた、別のことだ。

歩む先に、左右の視界が聞かないT字路の交差部分が近づいてくる。視界が通らないのは、バスが壁になっている左側。見える範囲ではバス内にゾンビの姿は見えない。ハンドサインで平山はフェイに停止と周囲の警戒をするよう指示し、小さな手鏡を懐から取り出す。

まず、バスを背にして、正面の通りを慎重に確認し、そちらにゾンビがいないことを視認してから、手鏡を使って反対の通りを確認した。こちらの通りにも何もいない、そう判断して手鏡をしまおうとしたその時だった。路地裏から1人の生存者が、姿を現した。

鞄を背負って、鈍器系の武器を持っている以外はどちらかというと身軽な出で立ちだった。しばらく様子を見ていたが、その後に仲間が続く様子はない。単独で間違いないなら、覚から話の合った生存者に違いないはずだ。

問題は接触をするかどうか、人数的な分や相手がこちらに気づいていないという有利な状況。だからといって友好ではないだろうと想定できる生存者にわざわざ接触するのも、かなりのリスクだ。

「(接触する気はないが…、大型駅エリアに近づかれても面倒だからな)」

慎重に通りへ出て、その生存者の背後を身を隠しながら尾行を始める。目的は大型駅エリアのパラノイアの脅威を知らせる為。そして、それは直接接触しないという難儀なものが追加されていた。

工作班の新たな任務である、バリケード外にある地下道へアクセスできる出入り口の封鎖の任務は、探索中に手に入った地図の情報によって好調に進んでいた。もちろん、EVEによる対応の多様性が取り戻せたという事実も大きい。

アクスマンやソードマンといったわかりやすい襲撃もなく、この好調に1人だけ危機感を覚えているメンバー、それは井門だった。

もちろん、全体的に油断があるとまでは言わない。しかし、わずかな隙間のような緩みがあるのは、否定できない状況の中で、井門だけ違うのは彼の持つ性格と今まで受けてきた影響によるところが大きい。

更に言えば、連携は確かに取れていると言っても、EVEは以前と変わったことを踏まえて、その変化に注視しているところもある。

バランスが良いからこその、全体の把握。それができるからこそのサポートの動きを最も得意とする彼らしい反応だった。

「井門さーん、どうしたんですか?」

「いや、なんでもねぇよ。封鎖終わったのか?」

一ノ瀬が終わりましたという声に、じゃあ次だなと周囲の警戒を怠らない井門。彼のその姿を見て、彼女はいつもよりピリピリしているなという感想を抱いた。

強襲班の高速道路からの侵入路確保については、ほとんどの終わりが見えている状況だった。後は工作班での侵入路の確保さえ終われば、後はパラノイアとの決戦が待っている。

放浪者は高速道路から眼下にあるバリケード内部を、いつも通りの無表情で見ている。恐らくは何かの新たな策を練るための何かがないか探っていた。

無線からの報告で、工作班の出入り口封鎖も順調に進んでいることは聞いている。それに近い事をできないか、そんなことをあえて模索している状態だった。

「兄貴、どうシたっすか?」

確保がある程度終わり、戻ってきた佐原が放浪者の様子を見て声をかける。その態度はいつもの、突拍子のなく考えていることを実行に移しかねない、そんな空気を漂わせていたからだ。

「…いつ突入するか考えていた」

ある程度の任務の進捗が進んでいることもあり、それは当然の検討内容で、佐原は少し胸をなで下ろしてた。確かに、この侵入路の確保もあまり時間をかけてはいられない。悠長にしていればパラノイアが何かしでかしてくるのは、当然のこと。

「…四日後だ」

だが、その断定した日程を聞かされるとは、佐原は思っていなかった。

五百九十七日目

強襲班による高速道路からの侵入路確保はほぼ終了したと言っていい。残っているのは、他のルートへ繋がっている部分のゾンビ処理程度だからな。後は工作班の任務の進捗によるが、パラノイアの決戦が待つだけだ。

それを持って、俺の本来の任務になる文明復活の為の足がかりが出来るということだ。始まってすらいないことを始める為の終わりが、奴を倒すということになるな。

しかし、気がかりな不確定要素も増えた。覚が感知し、回収組が確認した生存者だ。覚が言うには友好的とは言い難い相手のようだ。他の勢力でひっそりと物資を盗み出すタイプで、戦闘経験もそれなりにあるようだ。

平山さんは直接的には接触せず、大型駅エリアの危険を知らせるメモを描いた用紙を石にくるんで、それを側に投げ飛ばしたらしい。相手が拾うところまで確認してから離脱したようだから、情報は伝わっていると思っていいはずだろう。

後は、DJフレンドのところにも新たな生存者がきているようだ。名前は柳瀬という元消防士で体力自慢の男らしい。とりあえず敵ではなさそうだが、経過を見ているといことだ。バレットパレードの時に比べれば小さな事態だが、何かトラブルが起きなければいいが。

さてさて、工作班の侵入路確保と地下道の封鎖も順調ですね。

あんまり好調過ぎて、井門さんがパラノイアの策略じゃないか的にいつもより警戒してましたね。

ありがたいことにそういった事は特になし。

でも、もうパラノイアはあたし達を感知しててもおかしくないはずなんですけどねー。

多分配下じゃないかって言われたアクスマン、ソードマンを処理されて、ただ黙ってるタイプにも思えず。

うーん。全く想像できないかな。

覚ちゃんが言ってたのは、極彩色の世界を守るために動いてるってなことらしいんですけどね。

想像できない世界かな。なんでそんな世界を頑なに守ろうとしちゃうのか。

まぁ、分かるような相手じゃないのは確かなんでしょうけどね。

とりあえずは、EVEちゃんも戻ってエコーさんも居てくれてる訳ですから。

やれることをやるしかありませんね。

ただまぁ、放浪者さんがまた勝手しそうな雰囲気で気になりますなところですけども。

「ふんふふーんふー♪」

フェアリーは楽しそうに、拠点の外で、その周囲に浮遊していた。放浪者の側にいる訳でもなく、1人でいる状態だ。

「フェアリー、ここにいたんだね」

「あー、エコーちゃん!」

嬉しそうにフェアリーは、エコーの周りと飛び回る。その後、抱き付いてきたフェアリーの頭をエコーは優しく撫でた。しばらく、その状態が続いてから、ゆっくりとフェアリーは離れ、愛らしく笑い、そして首をかしげて何か用事があるのか聞いた。

「そうだね。以前より、楽しそうにしていたから」

「えー、楽しんじゃダメなの?」

そういうことじゃないよと、言いたかった真意が言えず言葉が止まってしまう。結局のところ、エコーが知るフェアリーは人見知りで、自分達超能力者以外で懐くことは想像できなかった。それこそ、放浪者にあそこまでべったりしていること自体も、驚きだったのだから。

その上で、今はまだおっかなびっくりな様子はあっても、拠点のメンバーに接することができている。それが出来るとさえ、エコーは思っていなかった。

「(…。この子が信じる人達なら、きっと大丈夫かな)」

もちろん、エコーもここにいることに不安を感じていない訳ではないが、それでもフェアリーのこの様子を見て、それは多少和らいでいた。

男は一枚の紙きれに目を通していた。内容自体はシンプルなもので、この都市にある主要な駅の周辺に近づくなというものだった。

この都市で活動している勢力が、その場所を根城にしていることからの警告だと思い、近づいてみると大掛かりな工事でもしたようなバリケードが張り巡らされた場所を発見した。最初はそこが、警告を発した勢力の居場所と判断して確認してみると、不気味なほどの無人だった。

今はいったんそこから離れて、適当な商業ビル内にあった宿直室にいる。そして、この都市を歩き回って分かったのは、大型駅があったバリケードの周辺と、それ以外の場所ではゾンビの個数が明確に違うということだった。

この周辺を活動している勢力がいることを含めても、気になる偏りだった。まるで、何かがバリケード周辺にゾンビを集めた、そんな表現ができそうだった。

警告には嘘はなさそうだ。そして、何らかの勢力がバリケードを警戒していることは想像できた。めぼしい物資を持っていそうな雰囲気もあり、わざわざ警告してくる程度にお人よしな連中なのも想像できる。が、今は敵対的な行動は避けた方が良さそうだと判断していた。少なくとも、バリケードの正体が知れるまでは。

宿直室にあるベッドへ横になり、明日はここいらにいる生存者を見つけて、どこに根城があるか確認することにして、眠りについた。

【緩やかに見える時間】
「………」カラン

「もうそろそろか、放浪者」

「…あぁ、パラノイアとの決着は、秒読みと言っていい」

「それが終われば、後はのんびりできるといいんだがな」

「…しばらくはな。まだ問題は山積みだ」

「やれやれ、無茶しないようにな」

「…そのつもりだ。保安官」

「……文明の復興、できるかね?」

「…するさ。それが、俺の平穏に生きるという願いにも繋がる」

「平穏ね、なんだかお前さんには縁遠く感じるぜ」

「…好戦的なつもりはないんだがな」

「今までの無茶を思い出せってこった」

「…ふむ」

>>319
なんだろね?


謎の生存者が生き残る道は放浪者に捕らえられて街から出ることかなー?
ってか放浪者なら明日に単独で動いて捕らえてそう

乙!
警告メモには、素直に大規模戦闘の予定があるから近付くなって書いた方が脅しになったかねぇ?

こんなとこに居ると思えない生存者って書いたけど、そういや喜読さんも大型駅エリアで発見したんだっけな

対パラ戦ではなぜか生存者に水を差される事が多いのか……
ダイス神の望みはアニメみたいな場面引き伸ばし……?

来るなら面倒臭いから食べもんだの多少用意しといてやるか?それでなおせびる様なら……

>>331
まぁ、生きながらえるならそこらかね

>>332
どこまで提示するかが問題よね

>>333
まぁ、喜読も警察署でひょこって出てきてるからね

>>334
いろいろ聞きたいよダイス様には

>>335
素直に来るかも謎だけどねぇ


ちょっといろいろ判定の擦り合わせ難航&ちょっと時間取れないのでまだちょっとかかりますでや



乙!
まぁた>>1的判定地獄かぁ。如何せん、判定してもらう事が多過ぎるみたいだからなぁ

そしてたまの登場、みんなのおとん。また狩猟もしてほしいなぁ。出来れば技術修得にお供を数人引き連れて……

『もう1つ(IF)のフェアリー』

WWPの兵士達は恐怖していた。理解できない、その超能力(いじょうげんしょう)に。もちろん、相手は想像もできない力を持つ超能力者であることは承知の上での話だ。これまでもゾンビ、同じような異常を持つ変異体とも戦ってきた部隊を持ってして、そう感じられる相手だった。

そう、殺したにもかかわらず次々現れる敵、しかもそれは同じ可憐な少女なのだ。

銃で撃ち殺して倒れた後、力なく地面に崩れ落ちて透明になって消える。切り殺そうと、爆殺しようと、同じよう死を感じさせる動きをして消え、そして新たな同じ少女が周辺で微笑んでいる。

殺したはずなのに殺せないのか。そもそも自分達が幻覚を見ているのか。少なくても、相手はどこからか回収した武器を持ち、攻撃を仕掛けてくる。近接武器なら、それは感触を持って襲ってきた。こちらが刺し殺す時も、その感触は手に残る。だから、これは少なくても幻覚ではない。

こんな戦いを続ければ、銃弾は空にならざる得ない。兵士全体で合わせて50人以上と相手をしたのだ、これは通常の一戦闘行ったのと等しい。なのに、いくら処理しようと少女達(それ)は包囲するように居る。

そして今度は、お返しとばかりに隠していたらしい火器を持っていた。兵士達は装備があるとは言っても、生身に当たれば死に、そのまま残る。

――降る銃弾の中で、また新たに出現することなど出来る訳もない。

骸が転がり、血が広がる。その中で這いずるように動くのは1人だけ、コツコツと何かが近づいていく。誰であるか、瀕死の兵士には否応にでもわかりきったこと。肩を蹴飛ばされ、仰向けになると少女がほほ笑んで顔に向けて銃で狙いを定める。

「ふふ、私と遊んでくれてありがとう」

発砲音がこだまして、粘ついた液体に金属が落ちる。戻ったのは静寂と、残ったのは撃った骸、そして一人の少女の姿だけ。

>>337
まぁある程度はダイス様にしない方が統合性は取れやすいんだけどね。

それができるようになるのは、都市解放出来たらかな。



フェアリーの超能力候補の1つ、肉体複製(ドッペルゲンガー)。イメージ的には特殊能力を持たない近距離型スタンドを
複数体生み出す感じです。ざっくり言えば分身の術。

まぁ、今の能力自体もダイス様で決まってるので、こっちだった平行世界もあったって感じですかの。



今回の幕間は、時間が取れないのとちょっと時間かかってるので、執筆開いてるのでその準備体操がてらのものです。

乙!
パラレルの分身フェアリーちゃんは、殺し合いを遊びとか言ううえにサイドテールも相まって、もうほぼフランちゃんやな

探索組と回収組が任務遂行へ向かってからしばらくして、行商が久しぶりにやってきていた。相手をするのはいつも通り喜読と、その側に浜村もいる。内容自体はいつも通り、拠点で生産された野菜を元手に不足しがちな物資を交換している。

一通りの取引も終わり、行商達も帰り支度を始める。浜村も喜読に物資を保管庫へ搬入をお願いして、見張りの意味を含めて行商を様子を見ていた。

「どうかされましたかぁ?」

彼女が行商達に良い印象を持っていないということもあり、それが視線に出ていたのだろう。何でもないと取り繕うことは出来たが、一応の協力相手ということもあり話さなければいけないことがあった。

「あんたら、大型駅がある辺り通る予定はないわよね?」

「ございませんよぉ。そちらがどうされましたかぁ?」

覚も言っていたが、今不確定にパラノイアを刺激したり、あるいは、襲われた生存者が出るのは避けることだった。前々から行商達にパラノイアの危険性は伝えていたが、今はより明確に、その戦いが最終段階に進んでいることを伝えた。

「もしかしたら、次に来たら無くなってるかもね」

笑えない冗談だと、当人も思いながらその言葉で締めた。社長もいつも浮かべる胡散臭い笑みも、少しばかり陰る。

「別に協力して欲しい訳じゃないし、まぁ、しばらくは離れてた方がいいわよ」

「…さようでございますねぇ」

社長は部下に呼ばれて、ではまたと言葉を残して去っていった。もしかすれば行商達が二度と来なくなる可能性はあったが、今は目先のパラノイアとの戦いが先だった。

「えーっと、どこらへんにあるスかねぇ」

フェイがいるのは大人向けのおもちゃが売られているショップ。いわゆる、アダルトショップなどではなく、価格帯的にもやや高めなラジコンと言った分類のものだ。それ以外にも個人用の無線も売られている。あまり荒らされた形跡がないのは、それをすぐに必要とする生存者がいなかったからというところだろう。

今回のパラノイアの戦いにおいて、いくつかの携帯型の無線の確保は可能であれば必要だった。連絡手段は恐らくパラノイアが攻撃にしてくる対象になりえる。予備の無線機があれば、いざという時の役立つ。

据え置きタイプの無線機が目立ち、持ち運ぶものがあまり見当たらない。そういう趣味の人は、持ち運ぶより家の中でいじる方がいいのだろうかと、フェイは思いながらいろいろ漁っていく。

なかなか思ったようなものは見つからず、仕方なく店内そのものに何かないか探す。誰の手も入ってないとなれば、その分手つかずの物資が残っている。店柄、良いものがあるかは少し想像できなかったが。

「お、これは見たことあるスね」

四方に埋め込み式のプロペラが組まれた、飛行させるタイプのラジコン。その用途を閃き、フェイは持ち帰ることにした。

「そんな訳で持ってきたス」

フェイが回収したのはドローンと呼ばれる撮影に特化した、マルチコプターと呼ぶものだった。かなりの広範囲を飛行させることもできる優れたものだ。

彼女の考えはこれを使って今度偵察などに利用できないかということだった。それに、パラノイアとの戦いにおいても、素早く状況を把握できることはかなり優位になる。うまくやれば、サポートチームとの連動でより高度な情報収集、各組との連携がとれるかもしれない。

「いい考えだが、操作は出来るのか?」

「え? 飛ばせばいいんスよね?」

はっきり言って、持ってきたドローンのコントローラーを見て、平山はかなり難解そうな印象を受けている。多分いじればわかると、フェイはコントローラーを持ったまでは良かったが、動かない。まずは電源はどこからか探すところから始まった。

何とか説明書を読み解き、起動するところまでは成功させた。後は飛ばすだけというところで、次は安定して飛行させることがなかなかできない。

「ああぁ、どこいっちゃうんスかー!」

仕舞いにはドローンがあらぬ所へ飛んで行ってしまう始末だった。

「あれは…、井門君。あそこに飛んでいるのが何かわかるかな?」

林道が指さす方向を、井門は双眼鏡を使って確認する。そこには四方にプロペラがついたマルチコプター、ドローンらしきものがあった。WWPがまた何らかの理由でこの都市の何かを探しに来た、最初はそう思ったのだが、どうにも動きがフラフラしているというか、見当違いな飛び方をしている。時折、建物の壁にぶつかっていたりするものの、大きなバランスを崩さず飛べていることが、いろいろと奇跡的な状況だ。

見たものをとりあえずメンバーに報告して、万一撮影だった場合に備えてドローンから隠れた位置に全員移動する。その間も明らかに挙動不審な動きでドローンは飛び回っている。

「……。何なんでしょうかね、井門さん」

「わかんねーな」

一ノ瀬の問いに彼も答えようがない。言えるのは、とにかく奇妙だということだけで、今は無線を持っている山中が情報共有がてら各チームに連絡を取っているところだ。もしかしたら、それで何かわかるかもしれない。とりあえず今は、あの奇妙な飛行物体から目を離すことはできない。それは間違いなかった。

>>340-342
属性的にもEVILタイプなので、まぁ、放浪者でも躊躇なく襲い掛かってたかもねと。
どうなるかは、うん。屠るか仲間にするかのどちらかだろうね。

乙!
とりあえず不審物として撃ち抜かれなくてよかったなw

空を飛ぶドローンの姿は、都市に紛れ込んでいる生存者の目にも映っていた。奇妙な動きをするそれに、誰であっても警戒心を抱かない訳がなかった。

生存者の目には、それはこの周囲を活動している勢力が偵察の為に飛ばしているものに見えていた。その割に下手なのは、恐らくそこに映っている映像を頼りに飛ばしているからだろう。警告してきた自分がまだいないかの確認や、バリケード周辺を刺激しない方法としては、かなり優れている。

そうなってくると、警告自体はかなり真実を帯びている。間違いなくそこには変異体か何かの危険な存在が眠っているのは想像に難くない。気になるのはあの見えるバリケードは、どちらが作ったのかということだ。

このゾンビの量を考えれば、ここにいる勢力がやったとは思えない。なら、中にいる存在が自らの為にということになる。知恵を持つ、かなり危険な相手。

そこまで推察して、後ろから何かに飛び付かれ、生存者は潜んでいた室内の廊下に倒れこむ。何とか、身体を仰向けにすると、襲い掛かってきたのはジャンピングゾンビであることに気づき、手のひらが自分の顔目がけ降ってくる光景だった。

右顎と頬の部分にそれはぶつかり、固い床に後頭部が叩きつけられ、意識を集中させることが出来なくなった。

ジャンピングゾンビが生存者の上をどけると、後から入ってきたゾンビが、その生存者を食べることなく、どこかへと連れて行った。

あ、あら?雲行きが何かおかしな事に……

ともかく乙!

五百九十八日目

強襲班による高速道路の確保はほとんど終わっている。工作班の任務も新たに追加されたものを含めてかなり好調のようだ。推移は悪くなく進んでいると言っていい。

ただまぁ、今日は回収組のメンバー、フェイのせいでひと悶着あったようだがな。回収したドローンが高性能でかなりの範囲まで飛び、工作班が活動しているエリアまで奇跡的に飛んだらしい。ドローンは無事工作班の手によって回収している。

時期が時期だけにあまりトラブルは起きてほしくはないものだが、仕方がないか。大事に至らなかっただけまだよかったというしよう。この好調に水を差すのは、良くはないからな。

後は来たるパラノイアの決戦については、間違いなく近日中に行う予定だ。この侵攻ルートの確保が読まれていることは重々承知している。今この時も奴が対策を進めているのはわかり切ったことだからな。

だが、それはいつであるかをはっきりさせることはできない。それだけは確かだな。

4月11日

工作班による大型駅エリアの侵入路ルート確保、及びバリケード内と外側を繋ぐ地下道の出入り口に封鎖は好調に進んでいる。トラブルらしいトラブルは、回収組がテストで飛行させたドローンが、制御できないまま工作班の任務エリア内まで来てしまったことぐらいだろう。

ドローン自体は、無線でのやり取りで状況を把握したため、破壊せずに回収している。それ以外はむしろ好調に任務を終えることが出来たと言っていい。

しかし、それが続けば最終的なパラノイアとの決戦も早まると考えていいだろう。放浪者も具体的な日程は言っていないが、近い内ということは話していたようだ。とりあえず、これを書き次第具体的なことは聞こうと考え
ている。

また、1点だけ気がかりな生存者の気配についてだが、覚ちゃんいわく認識できない状態と報告を受けている。大型駅エリア付近ともなると、拠点から大幅に離れていることもあって、存在を感知出来る程度ということもあり、死んだかどうかははっきりした訳ではないが、何か起きた可能性は高いだろう。


山中沙奈 記す

さて、連れ去られた生存者の未来は、ダイスで何分岐?

人質にするのかおびき寄せる為の餌にするのか…
後者っぽいなぁ…

まぁ、危険を冒してまで助ける人材じゃないって所が誤算だろうけど

山中が記録を書き残して、一息ついた頃。放浪者が寝室の中に入ってきた。いつも通りの様子でベッドに腰かけたが、ここのところ普段の寡黙さから更に押し黙るような雰囲気を出している。もっとも、それがわかるのは最も近しい山中だからこそだろう。

「そろそろパラノイアとの、戦いを始めるということでいいですか?」

放浪者はその言葉に即答せず、目を閉じた。互いに総力をかけることになるそれは、全て安易に決められることでは一切ない。何より総力戦ということは、どのような結果であれ双方に血が流れることになる。メンバーに何も問題なくパラノイアを処理する。その願いは、絵空事と言ってもいい。もしできればそれは、奇跡という言葉が相応しい。

不可能を可能にする、そういえることを何度か実行した放浪者でもそれは容易なことではない。例えるなら、英雄は1人、2人なら救えるだろう。だが全ては救えない。それは放浪者も同じことだ。

それを理解し、そして戦いは避けようがない現実を突きつけられている。その上で放浪者は、誰も死なず、その上でパラノイアを処理するという不可能に挑む。そう、結局のところ、やらなければ永遠にそれは成せない。

「…三日後だ」

短くもはっきりと彼は答えた。山中は頷き、ゆっくりと近づいて彼の手に触れる。何も言わず、そのままゆっくりと撫でる。温かみの中に、武骨で力強い手触りだった。

「どうされようと、貴方を信じます」

「…あぁ、苦労をかける」

そのやり取りの意味がわかるのは、2人だけだった。

>>348
全くである

>>350
どうなることやら


>>353
それは見てのお楽しみ

>>354
確かにそうなるねぇ



眠気がきつすぎて断念。すまぬ

>>1さんは最近どう?夏バテったりしてない?

これは拠点壊滅ゲームオーバーで更新なしですわ

パラリと、いくつか持っている手帳を西切は目を通していた。彼女がこの惨劇中に起きた情報が詰まった、重要なものだ。今まで自分が見聞きし、書き残したものに何か見落としはないか。彼女の習慣のようなものだった。

「ふわー、あれ。西切、まだ起きてたの?」

「あぁ、浜村さん。ちょっと眠れないものでー」

欠伸をしながら入ってきた浜村は、西切のその様子を気にする訳でもなく、冷蔵庫から飲み物を取り出す。西切も同じように、また目線を手帳に戻した。しばらく、互いに会話はなかったが、その口火を開いたのは浜村からだった。

「パラノイアと戦い。三日後なんだって?」

西切は当然驚いた。そういった話は、まだ放浪者や山中からは聞いてない。それに、そういうことは思考を読むパラノイアに知られるのはまずいことだ。だから、やるとすれば思い付きのように実行するとばかりと彼女は考えていた。

「その様子、聞いてないって感じね。佐原が放浪者がそう言ってたってのを聞き出したんだけど、周知してない感じなのかしら」

「さぁ、どうなんでしょうね」

あまり言わない方が良さそうねと言う言葉に、西切は頷く。一部だけに伝えていること、それ自体に何かの目的が放浪者にあるのは、想像しやすかった。

「ううーん。うまくいかないス」

室内にて回収したドローンを飛ばし、操縦の訓練していた。風の影響を受けない室内とはいえ、かなり難しい精密な作業を要求される。大ざっぱなところがあるフェイにはあまり相性のいいこととは言えなかった。

しかし、今回の一件。偶然かどうかはさておき、飛行自体が出来ていたと聞いたこともあって、自分ならできると彼女は思ってしまったところだ。

また、ドローンを壁にぶつけて、ため息をついて机に置く。もちろん遊び目的でこんなことをしている訳ではない。このドローンをうまく飛ばせるようになれば、そのことで優位に立てることも多い。これからのパラノイア戦において、こちら側が優位に立てる可能性もある。

もちろん、そこまで容易く身につけられる技術である訳ではない。一朝一夕でどうにかなるのであれば、それに資格が必要になるものではないのだから。

「…もうちょっと頑張るス」

誰に言うまでもなく、フェイは操作の練習を再開した。まだまだ自在に操れる訳ではないが、それでも徐々に、操作そのものに彼女は慣れ始めているのは事実だった。

>>357
バテるってまでではないけど、寝落ちしてること多くなったから疲れてはいるんだろうねぇ

>>358-360
始まった当初はリアルタイムだったけれど、今は判定等の作業量の都合で関係なくなったからねぇ。
単純に仕事が多くなったのと、苦手な夏の暑さにやられ気味ってとことです。


というか、疲れとかの言い訳もあるけれど、だらだらしすぎたね…。あんまり延びないようにはするでや。

一ノ瀬は、火器保管室にいた。銃を整備している井門の姿をジッと見ていて、いつも通りのことに彼もそのことを気にしている様子はない。そのいつも通りが崩れたのは、佐原がそこに姿を現したからだった。

「井門さン、今大丈夫っすか?」

真面目な様子に、井門は作業を止めてそちらに向き直る。言うべきかどうか、明らかに迷っているのが佐原の態度から出ている。

「井門さんも、何も聞いテないっすかね?」

何をという問いも、そのこと自体が言いにくいことのようで、うーんとうなる。一ノ瀬もどうしたのかと困惑した表情をしていた。

急かした所で意味はなさそうだと判断した井門は、そのまま佐原から話すのを待った。

「ソの、パラノイアとの戦いの日―――」

そこまで話した彼に、井門は素早く手を上げて静止した。

「それは言うな。パラノイアに読まれちまう」

「てことは、放浪者さんから聞いたノはやっパり、俺だけっすか」

井門は頷き、それを見た佐原は一ノ瀬を見るが、今度はきょとんとした顔をしていた。

「奴とやりあう日は迫ってるってことだ。放浪者さんが佐原にいったのは、人狼になっちまったからそうは読めないだろうってとこだろ」

「なるほどですね…」

ただ1つ気になるのは、放浪者が佐原にそのことは誰にも言うな。といった様子がなかったことだった。思慮深い彼には少し考えられないことに、井門はしばし考えを巡らせた。

「スラ、いるんだぞ?」

「(いるよー)」

スライムの為に用意された手作りの小屋の中は明かりはなく、外も明かりが失われた今、ほとんど暗闇と言っていい状態だった。

迫る戦いは周知されていなくても、拠点を包む空気でわからせるものだ。それは、幼さを残す2人が、敏感に感じるのは当然の事だった。いつもは仲良く話す2人が、ただ静かに側にいるだけだ。

「(お姉ちゃん)」

スライムのひんやりとした手が、探りながら動き、触れた藍の手に乗せる。暗闇の中で、お互いを認識できるのはその感触だけだった。

本当の姉妹ではけしてない。作られた人造の生命、変異により種さえも変わった生命、それはどちらも交わることはない。それでも、前からそうだったと言える絆が2人にはある。

「ちゃんと帰ってくるぞ。安心するんだぞ」

「(うん…)」

優しく手が握られる。それに応えて藍も握り返す。暗闇の中、2人はただ互いを感じていた。

いつものように花を添え、いつものように今日のことを一言二言だけ話し、そして小さな墓から拠点へと林道は戻ってくる。拠点の裏側、研究所へと続く道から中に入ると、錬浄が設置されたベンチに座り、空を仰いでいる姿があった。

何も言わずに、林道はその横に座る。放浪者を超える寡黙さを持つ錬浄も、それに何も言わずに視線を真っ直ぐ戻した。

「…。この戦い、勝機はありますかね?」

答えない、いや、それは誰も答えられない。以前、包囲されたという事実はあれど、探索組はパラノイアに追い詰められた。誰も死なず、喜読を救出できた。それは言ってしまえば、奇跡でしかない結果。

この戦いで誰しもが望むのは、誰も死なないという同じ結果。それはつまり、また奇跡を起こさなければいけないということだった。

「為せば成る為さねばならぬ成る業を成りぬと拾つる人のはかなき…」

「…。確かに、やらなければ勝ちようもないですね」

御意と、言葉を返した後、また錬浄は空を仰ぐ。そこには明かりを失った代わり、星の明かりが目に付いた。そしてこれが本来の夜空の姿。

錬浄は目を閉じ、周囲を感じて、そうあることが自然のように佇む。その姿勢は、隣にいる林道と対照的なものだった。

戦いの中に身を置くようになったとは言っても、それでもまだ2年にも満たない。それなのに、惨劇後の記憶はどの記憶よりも色濃かった。それが、時間の経過を誤認させる。

負傷により失った片腕、そして得た強力な片腕。本来無いはずのそこが疼くのは、デルフィアを外しているからか、それとも元々あった名残が残っているからか。この感覚を覚えると、ちょっとした衝動を抑えなければならないことに、ハンターは複雑な気分を味わっている。

家族を奪ったミュータントは未だに見つかっていない。道中それらしい情報を聞き出し、見つけ出したのはそれとは違う驚異の存在達ばかりだった。そしてその戦いも熾烈を極めていた。

そう言った存在と戦う時に、彼に恐怖心がない訳ではない。しかし、それを上回っているのは、殺意。家族と同じように人間に仇名すことへ、そして何より、それから守ってやれなかった自分へ対して。

無くなった右腕の感覚が疼くと感じる衝動は、結局のところ、うっすらと自覚している無力だった自分を責める思いが起こさせている。きっとそれから解放されるのは。

「…。そろそろ大暴れできそうだな」

来たるパラノイアの決戦に思いを馳せて、そう呟いた。

ここまで。やっぱり涼しいのはええのう。

乙!
いやぁ、全くですなぁ



放浪者が言った4日後ってのがブラフの可能性も出てきたか敵を騙すならまず味方からっていうし

>>369
のう

>>370
もちろんその可能性も充分やの


現在帰省中です。普段ならなんか特別編でもやりますが、こう差し迫ってる状況もあり。やるとするなら幕間か通常更新です

とりあえずコメ返と近況報告まで

実家から戻っておりますが、妙な頭痛に悩まされております。まぁ、寝れば治るでしょうがの。相変わらず帰省時は休めはしてないので。

まぁ、ここのところほとんど更新できてなかったWIKIをいくつか追加してます。まぁ、全部ではありませんが。
本編は問題なければ明日予定。寝ますだ。

まぁ、無理せんでボチボチ頼むで

黙々と針を動かす。だがそれはいつもの動きと比べて精彩を欠いていた。そのことをわかっていながらも、何かしなければ三間は落着けないでいる。

ゾンビが攻めてくることを前提とした備えにより、だんだんと様変わりしていく拠点。それはこれから来る戦いが、否が応でもやってくること、その事実を自分に突き付けられているようだった。

変わらないことを望み、そして、友を失った。それが拠点に来るまでの間に、彼が経験したことだ。また望まぬ変化が起きようとしているこの状況に、動揺を隠せるほど彼はまだまだ成熟していない。

「三間君、大丈夫かい、うん」

その様子に気づいた蒲谷が、彼に声をかける。力のない返事を聞いて、少し沈黙の間が空いた後。

「僕も、うん。怖いよ」

彼もまた、安全な研究所から出れず、家族を助けに行こうという思いはあっても、恐怖でそれができなかった経験を持つ。だからこそ、言えることもあった。

「だからもし、うん。彼らがどうしようもなくなったら、僕らも駆けつけよう。何かできなくても、そこに、うん。見たくないことが待ってたとしてもね」

2人はあまりにも非力だ。そうしたからといって、何かできることはほとんどないだろう。だが、2人に共通する仲間を大切に思う強い気持ちは、間違いないことだった。

「こ、こんばんは…」

恐る恐るという様子で、フェアリーは拠点の2階にあるテラスの外側から、顔だけ出して平山に挨拶した。最初は驚いていた彼女も、最近では当たり前になったこともあって、どうしたのか確認する。

「ん~ん、なんにもないよ」

その言葉とは裏腹に、フェアリーはテラスの中に入って、平山の後ろに浮遊している。何かいたずらをするということもないので、彼女も気にしないで警備に戻った。

まだ冷たい夜風が入り込む。肌寒いが、それが刺激になることで重要とわかりつつも、冗長になりやすい警備の仕事で起きる眠気を取り払ってくれる。

「ねー、みなこおねーちゃん」

「なんですか?」

振り向きはしないものの、話を聞いている態度から、フェアリーは言葉をつづけた。

「おにーちゃんとみなこおねーちゃんは兄弟なの?」

それが、放浪者とのことだと少し遅れて気づいて、流石に驚いた平山は振り向く。フェアリーはおずおずとした様子ながら、だって2人とも似てるからと理由を告げる。

「いえ、自分には兄弟はいないはずですから、違いますよ」

「そうなんだー、でもおにーちゃんといる時みたいに、みなこおねーちゃんといるとホッとするよー」

慣れてきたのか、微笑みながらその場でクルクルとフェアリーは回る。

「(似ている、か)」

考えたことはなかった。だが、そう言われたことに、彼女は悪い気はしなかった。

今となっては門日が治療室の主となっていた。ここへ来る前の放浪期間、そして身を置いていた他勢力のように、この場所が常に負傷者で利用されると思っていた彼女にとって、在庫管理と警備の任務だけで済む日々は、穏やかなものではあった。

探索組、回収組が優秀なのは今更語るまでもない。だが、そんなメンバーがここに運び込まれる――であろう――日が迫っている。その思いから、ここの処治療室の管理に力が入ってしまっているのが、ここのところだった。

ノックの後、扉が開く。入ってきたのは喜読だった。聞いても具合が悪い訳ではないようで、診察用に置いてある椅子に彼女は腰掛け、門日と対面する形になる。

「どうしたのかな」

「今回のパラノイアとの戦い、門日様はどのようにお考えでございますか?」

「…それは、難しいことを聞くね」

危険にわざわざぶつかる必要はない。それが門日の本音だ。拠点のある位置と、大型駅エリアのある位置はかなり離れている。下手に刺激するぐらいなら、そのままにした方が結果的に安全なのではないか。そう思わないでもないのだ。

しかし、現実にパラノイアは地下を使って拠点へゾンビを差し向けた経緯、これまでの小競り合いを考えれば、それはもはや願い事と言うしかない。

「そうだね、やっぱり難しいよ。どうなるかが想像つかなくてね」

それが答えだ。

乙!
思えば最初期から因縁があった訳だしなぁ。まぁそいつはみんなと佐原が何とか頭を潰してくれたけど
まさか二体目が出てくるなんてなぁ

一方の喜読はやや身体を震わせていた。一度、彼女の身体に刻まれた斬り傷を門日は見ている。その傷は、以前パラノイアに襲われて、操られたクローゾンビによって負ったものだとは聞いている。

この意味がなんであるかと言えば、拠点のメンバーの中で最もパラノイアの脅威を知っているのは、喜読。そう言い切れるということだ。

「私は、はっきり言うなら逃げ出してしまいたい。そう考えています」

いつもの営業的な微笑みもない。冷たい恐怖に侵された、無機質のような怯えの表情。

「ここの、探索組の皆様に恩はございます。それでも、私があの存在に立ち向かえるのかは…、わからないのです」

死への一歩手前へ追いやった存在にトラウマを抱くな、そう言えるわけもなく、そう出来る訳もない。骨身に染みる死の恐怖が簡単に取り除けるほど、人間の理性は完全なものではない。

「……。それは自分も同じさ。未だにそういう存在を自分は知らない、けど、ここにいるメンバーが脅威と口々に言うなら、それは間違いない。それに自分が立ち向かえるのかどうかなんて、程度の違いがあっても、わからないさ」

かけるべき言葉があっているのかはわからない。それでも、その答えに喜読は頷いた。

>>373-374
まぁ、なんのかんの言っても自由気ままにやってるだけだからねぇ

>>378
思えばそうね。覚が一番大変な目にあってるやも

おつ
おずおずフェアリーちゃん可愛いねぇ

モーテルの台所には、佐田が自分で書いた図面に目を通していた。拠点にこれから設ける予定の大型の発電施設。これができれば、この場所における施設の建設、設備の設置など、大掛かりなものの着手が可能になってくる。

しかし、今回の発電施設は大がかりのものだ。知識がある者は限られているのは当然として、物資に関しても潤沢ではない。失敗した、では済まされるものではない以上、その真剣さはいつもより増している。

「……何を見ているの?」

与えられた部屋から飲み物を取りに来たらしいエコーが、その様子が気になり声をかける。佐田はエコーを見て、何も言わず図面に視線を戻す。

聞ける様子もなく、エコーはそそくさと飲み物を取って去ろうとした。

「ふん、発電システムについてだ」

話しかけられると思っていなかったエコーは、少し驚いてゆっくり振り向いた。

「この都市(ばしょ)に化け物がいなくなれば、必要なものになる。ふん、それがどうなるかはわからんがな」

「電気…、足りてないんだ」

それは明確に、呆れたという意味で長く鼻からため息を佐田は漏らす。

「どう考えてもカツカツだな。今のままでは電気を使う設備は増やせん。ふん、今後また大がかりな戦闘の時に、本格的な医療設備が使える方がいいからな」

「…また大きな戦いがあるの?」

「ふん。それが人の世の常だろう。パラノイアが片付いても、WWPがいるなら何も変わらん」

エコーは少しだけ驚いていた。佐田は明確に、次の段階のことを考えている。パラノイアの脅威を知らないはずはない彼が、なぜその心配を抱かないのか不思議でならなかった。

勝は静かにトレーニングをしていた。彼には守るべき存在が居る、肉親と言ってもいい覚美弥のことだ。パラノイアとの戦いにおいて、誰よりも彼女を守ることに比重を置いている。林道から教えを施されるようになってから、自主的に始めたそれは、ここのところ念入りに行われていた。

水を少し飲みほして、一息つく。拠点(ここ)に来てから、彼も成長している。教えと訓練のおかげで鍛えられた身体になり、更に一回り大きくもなった。

覚はその姿を自分の目で見ることができないことを、寂しく思っている。彼女にとっても、勝は愛おしい、弟のような存在。メンバー(ひと)の目から彼の成長を伺えても、それはまるで切り貼りされた写真を見ているようなもの、どんなに望んでも失った眼はもう戻らない。そんなことは、強化され肥大化している脳で、理性的に理解もしている。どうしようもないのだと。

それがただの人間以上に、欲を理性でコントロールしていたとしても、溢れて洩れることは止められないのも、人間である以上変わらなかった。

だからこそ、もう1つの思いがそれ以上に漏れ出るのは仕方のないことかもしれない。静かに彼女が手を伸ばし、それに気づいた彼はその手を握る。そのまま優しく引っ張られ、勝は覚の胸の部分に頭を預ける形になり、ゆっくりと頭を撫でられる。

やや不満そうな表情を勝は浮かべるものの、覚がこうすると落ち着くと言われてされるがままになっている。胸の中にある暖かさと、撫でる髪の感触。自分自身の五感を通して、しっかりと勝を感じられる。だから、彼に呼びかけ、「ん」と短い返事がきた。

「死んじゃ、嫌だからね」

「死なねーよ」

出来るだけ軽く、それでも重いやり取りを短く終わらせた。

EVEはいつも通り、与えられている夜間の警備を行っている。アンドロイドであるEVEには、多少の明かりがあれば周囲を見回すことが可能だ。また、ある程度の遠方も見ることができる。何より睡魔が存在しない彼女にはこの任務は適任だと言えた。

眠っていた部分が解放され、人間味を増した今でも、この結論に変わりはない。しかし、1人で佇むことになるのが多いこの時間帯で、EVEもまた人と同じように考え事が多くなっていた。

生まれ落ちた自分は、なぜ1人しか存在しないのか。ロッサという存在が生まれた今でも、彼女の中で湛える孤独という虚無は眠っていた。そしてその思いさえもまた、自分を生み出した山海による産物に過ぎないのではないか。という思いが、その孤独を色濃くさせている。

救いなのは、自分をここの存在を必要としていて、頼りにもされているということ。そしてAI思考を理解することになったエクスのことも、心の拠り所と言えた。

小さな鳴き声が聞こえ、足元を見ると小間城がいる。普段なら寝ているはずだが、眠れない様子だった。ゆっくりと膝をついて目線を近づけ、そのまま小間城の頭を撫でると気持ちよさそうに尻尾を振る。

知識にあるそれが、犬が喜んでいる動作だと認識して、EVEも認められたとして静かに喜んでいた。

そこには多くの群衆らしい人影がいた。壇上の上にある机には蝋燭が灯され、群衆はその前の広いフロアにある外周に身じろぎもせず立っている。そしてその中央には、両腕を一人ずつ捕まれ、膝立ちの状態になっている人間がいた。その中央部分の周囲にも蝋燭が灯され、人間を拘束しているのは、ゾンビだ。

壇上に1人だけいた人影がゆっくりとその人間に近づく。人間、男は恐怖に染まる顔が蝋燭から放たれる柔い光で浮き彫りで、足音だけが近づいてくることで増す恐怖が、身体をも震わせる。

足元が見え、そして全体が現れる。褐色肌に、赤い目。羽毛付きの白色のロングコート、腰には西洋の剣が鞘に収まっている。その存在が、ゆっくりと男に近づき、顎に手を添えた。その表情は、言ってしまえば品定めをするようなものだ。

『貴様のような下賎の者が、なぜ我が王国に来るのだろうな?』

男は衝撃を受けた表情をする。それは直接、脳の中に叩きつけられた言葉、聞く聞かないではなく。聞かされるものだった。

『だが光栄に思い給え。我が王国は、試練さえ乗り越えればどんなものでも受け入れる』

にいと、褐色肌のそれは口元を歪ませた。それは、人間が遠く昔に忘れた、捕食者の顔。本能で理解できた男は、声にならない嗚咽のような悲鳴を上げ、拘束を振りほどこうとする。だが、捕縛された際に負ったダメージが、その抵抗を弱弱しくさせている。

歪んだ口元を大きく開け、男の首元にかぶりつき、そして引きちぎる。褐色肌のそれが、口のものを吐き出すと拘束していたゾンビは男から手を離す。首元に手をやり、出血を抑えようとするが、そもそも身体に力が入らなくなった男は、そのまま床に突っ伏す。

『ほぉ…』

しばらくして、ビクンと男は身体を跳ねあがらせ、激しく痙攣を始める。それを見て、ますます褐色肌のそれは嬉しそうに微笑んだ。

『試練を乗り越えたようだな…。貴様を歓迎しよう』

見る見ると変異していく男に、その言葉が届いたかは、定かではない。

【プロジェクト】
「主任ー、ロッサの調整はどうなってるノー?」

「順調だな。そっちはどうなんだ?」

「うーん、準備はしてるけどどうなるかわからないヨ」

「…。いつ彼等が決行するかだな」

「何も聞いてないノの?」

「聞いていない。簡単に決められないからだろう」

「ふーン」

「考えても仕方はない…」

「そうだネ。こっちもやらなきゃいけないプロジェクトばっかりだヨ」

「いずれやらなくてもいい日が来ることを祈るしかない」

「……。うン」



【いつも通りに】
「ねぇ、保安官(シェリフ)」

「どうしたい」

「放浪者達は、何も言ってないの?」

「あぁ、何も言っちゃいねぇ」

「そうなんだ…」

「戦いに行くときゃあ、連絡あるだろ。俺が出てる時は、その対応はまかせたぜ」

「うん…」

「元気ねぇな」

「だって、保安官、死んじゃうかもしれないんだよ…」

「そりゃ誰だってそうじゃねぇか。俺もジェーンもな」

「そうだけど…、そうだけど…!」

「おいおい泣くなよ」

「………」グスッ

「死にゃあしねぇよ。お前も守ってやる。約束は守ってやるさ」

「…。絶対だよ」

「あぁ」

>>381
好奇心とおっかなびっくりのせめぎあいだねぇ


さて、それぞれが進み。これからどうなることやら。

乙 敵のコマにされちゃったか  厄介だね

っというかパラノイア進化してない?
自分の意思をゾンビじゃない普通の人間に直接頭に伝えるって
つまり覚がした自爆を放浪者相手にも出来るんじゃ…?

乙!
バケモノが増えたか……ハンターさんの血が騒ぐな

俺だって、みんなに死んでほしくなんかねーよっ……!

五百九十九日目

強襲班による高速道路からの侵入路確保は完了した。パラノイア攻略において、安全にバリケードを突破して中へ強襲する目途はついた。安全という部分については、比較的というところではあるがな。それでも、俺以外のメンバーにトラブルが起こらない為ということでは、重要なことだ。

工作班も順調に侵入路の確保と、バリケード内に通じている地下道の出入り口部分の封鎖も進めているようだ。強襲班が地下道を使っての脱出ができなくなるというデメリットもあるが、結局のところ包囲されない状態を作る方のメリットの方が大きい。

後は、全体がうまく奴との決戦時に機能することを祈るしかない。機能して全員無事かは別でも、機能しなければ無事である可能性は出てこない。

後はいかに俺が、パラノイアを引き付けられ続けるかだな。それによって、全てが決まる。俺はそう思っている。だが、そうだとしてもはっきり言ってどうなるかは、もはや誰も、パラノイアすらも分らないだろう。

明日は早い、もう寝なければな。

レポートNO.153

井門圭司


工作班の大型駅エリアの侵入路確保は進んでる。次の地下道の入り口封鎖出来る場所までは手が遠いけどな。それでもやれることはやってる訳だしな。

もちろん、時間は全然足りねぇ。昨日の佐原の話じゃ、パラノイアとの戦いは秒読みってとこで、強襲班の侵入路確保は終わったってことだからな。放浪者さんがその気になりゃあ、もうすぐにでもだろ。

佐原に話したことだけは謎だけどな。山中さんにそれとなく聞いたけど、あの人は何も答えなかった。知ってる感じはしたけど、こうもバリケード近くまで俺達も近づいてる訳だから、相手が相手なの含めやっぱ話してはねぇんだろうな。

全体が大まかな意思疎通しかできねぇってのは、やっぱりきついな。とりあえず、何が起きてもいいようには心構えだけはしとかねぇと。

4/12 担当蒲谷 朝

あんまりいい天気とは言えないかな。雨とかにならないといいけど。

視界が良くないと、パラノイアとの戦いに影響はありそうだからね。


担当浜村 昼

見えないよりは見えたほうがいいわよね。

ロックとサーチとかも、その方がスムーズに反応するだろうし。


担当平山 夜

ロックとサーチは今や拠点のメインの戦力ですからね。

ただ、銃弾を使う以上過信はできない事と考えなければいけませんね。

>>388 >>390
はてさて、それがゾンビ程度なのかそれともなのか

>>389
まぁ、覚はコマンダーゾンビの完全体と言っていい存在なので。そこらはね。
ただまぁ、放浪者達がとてつもない集団になっていること。ゾンビ達は変異を続けていること。
それ自体はまぁ、同じこと。

>>391
欠けるか否か、ダイスのみぞ知る。作者もわからないってとこが、このSSの妙なとこよねぇ

乙!
明日か……

深夜。拠点でもこの時間活動しているのはEVEと、今日の夜間警備に配属されたメンバー以外は休みを取っている。その自室で、放浪者は静かに探索へ出る為の装備を暗闇の中で整えていた。暗闇に射しこむ、わずかな月光に照らされる彼の表情は、いつも通りに見える。

装備が整い、彼はその明かりを下で、滑らかにメモ用紙にペンを動かす。必要なことを書き終えて、ペンに蓋をして静かに机の上へそれを置く。

振り返ると、自分のベットで横になる相棒、山中の姿があった。自分のベッドの方には、フェアリーがベッドの上、風虎がその下で眠っている。惨劇後の世界には似つかわしくない。穏やかな光景がそこにはある。

静かに目を閉じて、ここに来てからのことを反芻する。早いのか遅いのか、一年半以上の月日がたった今、ようやっと都市をゾンビの手から解放するという目標に、手が届く状態になった。だが、それもパラノイアという障壁により、どうなるかわからない状況だ。

もちろん、人的被害や都市機能の破壊を考慮しなければ、倒すことは不可能ではないと言えるだろう。しかし、それらは、文明復活という目的に相反するものになる。自分達の否定であり、そして拠点という勢力の力を、失わせてしまう結果をもたらす。

目を開け、椅子から立ち上がり、この困難を処理するという決意は、もはや不変のものとして、彼は外へ出る。

「……信じていますからね」

「…当然だ」

メンバーを、仲間を、全てを。守ることに彼は躊躇などしない。

いつも通り、静かに気配もなく拠点から出た放浪者は、拠点の外れまでフロートボードを持って歩く。稼働しても音が聞こえないであろう距離まで来てから、フロートボードを地面に置いた。

1本だけ持ってきていた煙草を咥え、火を点ける。ゆっくりと煙を肺に入れ、吐き出す。久しぶりに吸引するそれは、身体が少しだけ拒絶したように感じられたが、特にむせることはなかった。

「あれ? 放浪者さんって、煙草吸うんですねー」

その話しかける感じもいつも通りで、放浪者も驚きもせず振り返る。そこにいたのは、西切だった。

「…どうした?」

「もー、それはこっちの台詞だと思うんですけどね?」

そして彼に近づく彼女の距離感はいつもとは違った。吐息が感じられそうなまでの近い距離、間近に見えるその表情は、悲しみとも、寂しさとも取れた。

「……山中さんがお止めしてないなら、言えるのはこれだけです。どうか、ご無事で」

「…当然だ」

わずかに吸った煙草を、放浪者は地面に捨てて足で踏み消した後、フロートボードに乗り、西切に目配せした後、月夜の空に飛んでいった。

「……止めたかったな」

その言葉が、今流れた風と共に、放浪者へと届けばと、彼女は思わずにいられなかった。

夜空の闇を、フロートボードで疾走するのはこれで何度目になるだろうか。放浪者はそんなことを考えていた。それと同時に、そういうことをする時は重要な任務しかないなとも。

遠くに、大きなバリケードが見える。人ではない、それもゾンビが設置した物など誰が想像できるだろうか。いや、想像できないことしか起きないのが、もしかしたらこの世界ではもう普通なのかもしれない。

何か頭に甲高い音が響いた。何かと直接つながる感覚、それなりに馴染んできた感覚。

『貴様はキングの名において何があって、殺す』

純粋な殺意が言葉と共に放浪者へ流れてくる。聞き覚えのある声では当然なく、誰であるかなど分かりようもない。しかし、なんであるかはそれはあまりにも明確過ぎた。

「(…仲間を犠牲にして逃げた、そんなことも忘れたか?)」

息をのんだように、それはすぐに言葉を送ってはこない。

「(…俺は何があってもメンバーを守り、そして俺が死のうともお前、いや、キング。お前とそしてその全てを処理する)」

接続されたその感覚を払う。時折、感じていた感覚がやはり覚からのものだったかと納得しながら、バリケード上空を突破して内部に突入した。

ビルの合間を、フロートボードが縫い飛ぶ。ゾンビや変異体の姿は見えない。まるで誘うようだと思い、わずかに光に照らされたそれを、ウェーブソード・デュエルにて斬り払った。

斬った感覚からして、ロープかワイヤーか。恐らく自分が単独で投入することは、想定済みだったのだろう。更にその先には、多数のモンキーゾンビが何もない空中を移動してきていた。夜の明るさで見えないが、今斬ったものを伝っているのだろう。

1体、2体と合わせたようにモンキーゾンビが放浪者へ向かって突撃する。モンキーゾンビが仕掛けてきているのは、7回程度の高さからだ。下に何かなければ、モンキーゾンビであってもただで済む高さではない。やや変異体の中で知能があると思われている存在が、躊躇なく仕掛けてきているのは、それはキングの支配下からだ。

移動する経路上の線は全て断ち斬り、モンキーゾンビの突撃は回避する。ゾンビの処理がメンバーの安全を確保できる方法だが、設置された線はフロートボードでの移動に伴う危険性、という部分もある。しかし、素早く移動できることで奇襲、布陣を整えられることによる、メンバーの危険性を下げることが優先された。

この単騎による突撃は、すべてはメンバーの安全の為に。全ての危険を飲み込み、望む結果を得る。その事に何ら、変わりはない。

>>396
NOWです


これを持って、599日目は終了。600日目になだれ込みます。
…さて、どうなるやらね。

乙!
このキリの良い日数……狙ったものかな?

いっつも大変な場面は独断専行単機突入の癖が付いてるな。放浪者……あんたはSTGの自機か何かかい?(-_-;)

まーた、放浪者が放浪者してる(褒め言葉)

仲間達は、多少無理をしてでも追って来るだろうか?

放浪者が拠点を出て、パラノイア。いや、キングがいるバリケードへ突入してから、今は朝日が出たばかりの状況だ。彼が残していたメモは山中が確認し、全メンバーにその短い一言が告げられる。

「パラノイア討伐を決行する。各組の奮闘と、生き延びることを死守せよ。以上です」

表を見ようと裏を見ようと書いていることはそれだけだ。ここにいるメンバーは、彼がいつから拠点を抜け出したのかは知らない。もちろん、山中と西切を除いて。

「……。山中さん、準備及びブリーフィングが終わり次第、各組、各班行動を開始いいですよね」

「そんな、井門さん。そんな悠長な時間があるなんてとても思えませんよ!」

彼の発言に、三間が食いつく。いつ出たかもわからないこの状況において、パラノイアと1人戦い続けることは、放浪者であっても難しい。1分1秒でも早く、そこへ向かうのが放浪者を救う唯一の道――。

「違ぇな。あの人は無茶はするけど無謀はしない。勝算ありでやってる、なら、慌てて動くのは得策じゃねぇ。警備組は悪いんですが、各勢力への報告頼みます」

「言われなくてもやるわよ。ほら、サンマ、あんたもきびきび動く!」

慌ただしい様子で警備組は集められた応接室から出ていき、何故か佐田だけその場に残った。

「師匠、行かれないのですか?」

「ふん。パラノイアという奴を攪乱させればいいんだろう? なら、1つ提案がある」

この場の状況に置いても、佐田はいつも通りマイペースな様子でこの戦いに参加を表明した。

「なんであいつは、いつも1人で行っちゃうんだぞ…?」

パラノイアとの戦いに向けた準備中、藍はそうこぼす。結局のところ、それは彼にしかわからないことだが、わかるのは全てメンバーを守るためということだ。

馴染んでいる武装のチェックが終わった佐原は、その言葉を聞いていた。もちろん、佐原にもそんなことはわかりようがない。

「うーン。兄貴は、正しいと思ったラやっちゃうタイプっすカらなー」

「でもだぞ。こんなの危険すぎるぞ」

藍の頭に過(よ)ぎるのは、自分を生み出した父を探しに行き、WWPに捕らわれた時のことだ。西切が側にいて1人ではなかったにせよ。多勢に無勢は、身に染みたことでもある。放浪者が挑んだことは、どう考えてもそれを超える状況なのは、藍にとって容易に想像できる。

「そうっすナー。でも、誰かやらナきゃいけなかったら、兄貴はやっちゃウっすよ」

「違うぞ。自分達だって強くなったんだぞ、もっと信用してくれてもいいはずだぞ!」

それを聞いて、佐原はそれこそ大げさに肩をすくめて、ちっちっと言いながら立てた人差し指を左右に動かし。

「信用していルからやったんすヨ」

「支度は整いましたか…」

2人のやり取りの間に入り、錬浄は2人の状態を確認する。準備自体は終わっている2人は、その言葉にうなづいた。そして、そのまま3人で玄関へと向かう。

「もう1つ聞きたいぞ…。なんで佐原はいつも通りなんだぞ?」

「そりゃあアれっすよ。どうせ兄貴がパラノイアを処理しちゃう訳っすシ。なら俺達がやるのは、イつものゾンビ処理っす」

そのいつも通りでいられる佐原が、藍には羨ましかった。

>>402
狙おうとして狙えるなら苦労しねーです。つまりはダイス様です

>>403
丁度当人空飛んじゃうしねぇ

>>404
いつも通りです

>>405
それぞれに戦いに赴くことにはなるねぇ。

MGSやってるとスネークってもしかして放浪者なのかなと思うようになった。

乙!
本能的に楽天家タイプ。だが、キレたりやる時はやれる様になった狼男

佐原に決行日を伝えたのは佐原の平常心をかってるからだろうな
なんだかんだで長くやってきた舎弟だし

「たく、あのバカ野郎はなぁ…」

無線からの連絡を受けて、保安官は愚痴る。半分は薄々勘付いていた事ではあっても、実際にそれを実行されると、頭も無性に掻きたくなるというものだ。しかも、独断による単体による強襲。それぞれにある都合というものがあることを含めれば、尚のこと。

「ジェーン。俺はこのまま援護に向かう、お前は拠点のところに行ってこい。多分、研究所のサポートチームが来るだろうからな、そのまま協力してくれ」

「1人じゃ危ないよ! 保安官も拠点に行って、誰かと合流してから行かないと!」

彼女のいうことはもっともだ。保安官も手練れの生存者であるとはいえ、彼の持つスキル、狙撃は本質的に多数と戦うのに向かない。つまり量、という武器を持つパラノイアとは、彼の持つスキルは相性が良くはないのだ。

しかし、状況は明らかにひっ迫している。放浪者がいつ飛び出したのかははっきりしていない。冷静な彼が、常に戦い続けているとは思わないまでも、話しに聞いたバリケードの内部に何が眠っているかはわからない。

「先に偵察ってもんが必要だろ? 安心しろ、こっちに向かってくる班が来るまで戦いやしねぇよ」

「…わかった。絶対死なないでね!」

おう、約束だからなといつも通り豪快に笑う保安官を見て、ジェーンは少し落ち着いた様子を見せた。それは、保安官の内心とは対照的なものだった。

「強襲班、早く乗れ!」

ジープの貨物部分に立つ井門が、指示を飛ばす。メンバーは素早くジープに乗車すると、そのまま勢いよく発進していく。車両を運転しているのは、佐田だ。

「しかし、良いンすか? 浜村サんだいぶ怒っテたっすよ」

「ふん、だからどうしたというんだ?」

佐田が提案したのは、攪乱と素早い移動を兼ねた作戦だ。と言っても、内容自体はシンプルなもので、強襲班を所定位置とした高速道路の入り口まで搬送後、バリケード周辺を高速移動しながら機関銃による掃射を行い、その間に向かってくる工作班と合流する。

これにより疑似的に、2か所の戦闘エリアを作り出すことができる。内部で、恐らくまだ戦いを行っているだろう放浪者を含めれば、パラノイアが全体の把握について負荷をかけられる。探索組は、sの提案を採用した。

「井門殿、保安官殿とは合流いたしますか…?」

「いや、このまま行きます。あんまし固まっても仕方ないですからね」

それぞれがそれぞれで動く。情報のやり取りも必要最低限、作戦を実行するということでは、これ以上に最悪な状況はない。兵士である井門がそれをよくわかっている。

各個の能力、特に反射的な事態の対応を何もないまま敵陣に突入させて求めるなど、愚の骨頂でしかない。

「(それができると考えて投入できるほど、俺は化け門じゃねぇからな)」

もうそろそろ危険域に入る。銃座にいる井門は構えなおし、ジープは速度を上げた。

都市を駆ける存在は1台だけではない。この騒ぎの中で、実は姿を確認されていなかったハンターは、もうすでに戦いの渦中へと自らの意思で飛び込んでいる。

どこから回収したのかわからないが、バイクに乗り込み、ただ真っ直ぐとバリケードへ向かってひた走る。その表情は、狂気を宿した笑みと言ってもいい。それに呼応するように、速度もますますと速くなっていく。

ハンターはこれまでバリケードに周辺へ近づかないよう言われ、自身もこの戦いの時に備えてそれ以外の周辺でゾンビと戯れていた。拠点メンバーの記憶から、ハンター自体の存在は認識されているかもしれないが、戦う時にいつも1人である彼の強さは、その惨状でしか知る者はいない。

言ってしまえば、パラノイアにとっても、そして拠点にとっても、不確定要素ということだ。

アクセルを全開にして、バイクは更に加速を進めていく。その先には、壁の壊れた部分があり、そして更に先にはバリケードが存在している。そう、彼が走っているのは高速道路の上だ。

躊躇もなく、壁のないその場所へ向かってバイクは駆け、車体は飛び出していった。

「搬入終わったか!?」

「あと少しです!」

研究所は慌ただしく動き回っていた。ロッサの搬入、それに伴う機材の搬入など、それらが急ピッチで進んでいく。まだまだロッサの調整は終わっているとは言えない、その状態で即実践となればどんな不具合(バグ)が発生するのか、想像もできない。

友人様、と抑揚もなくロッサはエクスに呼びかけた。

「文明の復興は、この戦いで成るのですか?」

「…わからねーよ。けど、パラノイアをぶっ倒して、そしてあいつらが全員生き延びてもらわきゃ、どうしようもない。そしてお前はその手助けが任務だからよ」

ロッサは、少し間を置いてから了解しましたと返した。まだ、グレーゾーンの要素について、ロッサのAI自体の認識は甘いのだろうと、エクスは理解する。

「サポートチームはそのまま研究所に残る。指示は俺から出すことになると思うが、場合によってはついてく奴等かEVEに判断を仰いでくれ」

同伴する研究者、技術者にエクスが目を向ける。そこにはロッサの現地で対応するメンバーとして選ばれた本造と、心配そうに話している伊吹がいた。

「大丈夫ですか、本造先輩…」

「敵に突っ込んでいくわけじゃないから。多分な。行ってくるわ、くるみ」

彼が去っていくのを見守る伊吹。研究所としても初めての戦い、それがどう転ぶかは、誰もわからない。

乙!
ハンターさん!?そんな突入危な過ぎいっ!!バイクをヨッシーみたいに乗り捨てて、サムスのグラップルとかファイターロアのぶら下がれるやつみたいにすれば平気なのかも知れんけど!それにしたってだよ!

工作班も、強襲班から遅れて出発を開始した。目指すは、第一破壊目標としているバリケードへ。放浪者が強襲をした以上、次々とバリケードに向かって進撃を開始することは、パラノイアはわかっているはずだ。もしかすれば、この道中で待ち伏せがあり攻撃を仕掛けられる可能性は十分ある。

車両は2台に分かれている。前方に山中、西切、フェアリー、小間城、風虎のワゴン。後方は残った一ノ瀬、林道、EVE、エコーが乗る乗用車だ。

反動を握る山中の目線は、強い意志を持っている。不安の陰りも見えない、最初からこうなることを知っていたかのようで、それを見た西切は確信を抱いた。

「やっぱり、止めなかったんですね。山中さん」

答えはなかった。反応する素振りさえも、まるで聞こえていなかったようにも見える。

「まぁ、私も止められなかったんですけどねー」

「だと思っていましたよ」

逆に自分は、その言葉に反応してしまう。その返しも、確信も持った強いものが宿っていた。

「でも、その事に怒ったりもしません。あの人はどうあれ、止められるような人じゃない。そして、約束を破る人でもありません。なら、それでいいんです」

「…はは、敵わないなー」

心配を抱いているなら、結局それは、信じきれないということ。そのことを理解した西切は、そうこぼすしかなかった。

>>409
あっちはリアル路線で、こっちはファンタジー路線的な隠密さだけどね

>>410
佐原は基本的にわーわー言ってるようで一番冷静なタイプ

>>411
そこは間違いなく信頼はあるね

>>416
彼もまた出来ると思ったら躊躇ないからねぇ


>>417の訂正
×前方に山中、西切、フェアリー、小間城、風虎のワゴン
○前方に山中、西切、フェアリー、小間城、風虎の乗るワゴン

>>406の訂正
×「……。山中さん、準備及びブリーフィングが終わり次第、各組、各班行動を開始いいですよね」
○「……。山中さん、準備及びブリーフィングが終わり次第、各組、各班行動を開始でいいですよね」



さて、ここまで書きましたが、これからについてはまだ未判定です。どうなるかも全く自分も知りません。
とりあえずは、長い一日になるのか、それともあっけない一日になるのか。そしてどうなるのか。

ただ1つ言えるのは、終わり間際が最も長い、ってことですかね。

回収組の2人も、パラノイア討伐の為の準備を終えていた。その状態で平山が足を運んでいたのは、覚の居る寝室だった。扉を開けると、そこに佇んでいるのが当然のようで、まるで絵画然とした覚がベッドに腰かけていた。

「答えなければいけませんね。私が、今のところ戦いの場に赴く予定はありません。私は、自分の身を守るにはあまりにも無力ですから」

平山がここに訪れた理由を、聞かずに答える。緊張や不安、それらにまったく無縁に思えるほど、静かな言葉だ。

把握しているからと言っても、今回の戦いに犠牲が出る可能性は高い。いくら、全体を把握してもどうしようもならないことはいくらでもある。だから、この落ち着きように違和感があった。

「私が行った精神攻撃は、次は容易くさせてくれることはないでしょう。それこそ、命を賭さない限りは、防がれるのが二の次です」

「…わかりました。なら、自分達はもう向かいますね」

それならと、覚は保安官が向かっている場所を伝える。彼に合流して戦った方が、何かと優位には立てるはずだろうと。

「ありがとうございます、では」

ゆっくりと寝室の扉を閉め、足早に玄関へと向かう。平山の気配が建物から出たことを認識してから、一つ大きく覚は息を吐き出した。

ジープが都市の中を疾走する。あれだけゾンビを処理してきたというのに、バリケード周辺に近づくと、それこそぞろぞろと姿を現している。まだ、変異体の姿はないのは、罠か、それとも温存か。

「ふん、正面を突っ切る。うまくやれ!」

「言われなくたって!」

まだ、機関銃の火は吹かない。移動する道中、何かのトラブルがあった時に構えてはいた。しかし、今はまだ使う時ではない。メインのバリケード破壊時の防衛、そこが使用するメインのタイミングだ。だから代わりに、ジープに積んでおいたサブマシンガンを井門は持ち、その弾頭を最も数が多いゾンビの群れに向かって流し込んだ。

倒すことではなく、数を減らすことが目的である以上、精密な射撃はしていない。火線をばらまき、とりあえず当たればいいという動きだ。ここにある火器を複数で、それも同時に使わなければ今こちらに向かっているゾンビの群れは、止められることはない。

「(間違ってもアクスマンなんぞと格が違うってことだな)」

使えるゾンビ(コマ)に限度があったとしても、それでも一度にこの量を操れはしないだろう。アサルトライフル1丁、兵士1人で抑えられる時点で十分、どうとでもなるように彼は思えた。

「井門、揺れるぞ。捕まれ!」

正面は明らかにゾンビの群れもなく、移動するのに適している。にも関わらず、佐田は狭い路地の道をスピードを出したまま左折した。車体は慣性で大きく左に寄ってからその路地の中へ入る、捕まりはしたものの、身体を車体に押し付けられる感覚はいい物ではない。

「できればもうちょっと早くお願いしますよ!」

「ふん。出来るならやっている!」

井門は体勢を立て直し、路地に入ってこようとするゾンビに向かって、また弾丸を放つ。強襲班の突入、そしてバリケード破壊の時間を、この消費と等価にいくら手に入れられるのか、そんな思いを抱いて。

ジープが旋回するたびに擦れるタイヤの音、定期的に聞こえる銃声は、音のない都市の中ではよく響く。高速道路の上を走る強襲班も、その音が聞こえていた。自分達の移動を催促するようなそれは、自然と藍を肩に背負う佐原と、錬浄の足を速めさせる。

「井門達、大丈夫なんだぞ…?」

「音が聞こエてるうチは大丈夫っすよ」

そう、聞こえている内は。聞こえなくなればそれは2人に何か起きたということになる。そして、強襲班はそれがわかってもバリケード向こうへの突入を決行しなければいけない。今、重要なのはパラノイアを処理すること、その1点だけだからだ。

処理したはずのゾンビが高速道路上にちらほらと見える。幸い量は多くない、井門達の攪乱のおかげか、すでに突入している放浪者のおかげか、どちらにせよ今いる3人で危険視するレベルのものではない。すれ違いざまに処理しながら、目的の位置まで走り切る。

何かの拍子で壁が崩れており、その下に距離はあるもののバリケードが存在している。当初の予定なら、放浪者のスパイダーウィップを使って滑走するところだったが、飛び越えるしかない状況だ。

「下を…、妙に新しいバイクが落ちております…」

「……。もウ他に誰か入ったってコとっすかね。状況的にハンターさンが濃厚っすナ」

それなら、中での戦いも楽になりそうだと、気楽に言いながら佐原は少し下がり、錬浄もそれに合わせる。

「じゃア、大暴れの時間っすよ! うおおおおおお!」

「わわ、早いぞ佐原!」

一気に崩れ落ちた壁に向かって一斉に走り出し、躊躇なくその向こう側へ3人は身を投げ出した。

ここまで。回収組のところを抜かせば、今回書いた部分はもちろん判定した結果のものですよ。

乙!
ここ一番で振り回されてるな、研究所は

自由落下していく身体は、下から突き上げられるような感覚を纏い、胃もせり上がって息苦しさを感じさせる。眼下に見えるのはバリケードの足場、どうやって積み上げたかはわからない瓦礫、そのコンクリートの上部へ身を飛ばす。

その短い時間、それを狙いすましたようにジャンピングゾンビの数体が、その身を弾丸として3人に向かって射出してきた。

空中での行動はかなり限定化される、そこを狙い撃ちにするのは当然のことだった。だが、強襲班に属するメンバーは、探索組の中で選りすぐりの戦闘力の持ち主達だ。

錬浄は身を翻してから、1体のジャンピングゾンビの背中を足場として利用して、落下地点をずらした。藍は、そのまま佐原の方から飛びあがり、接近する2体のゾンビを斬りはらう。佐原は残った1体に対し、身体を回転させた勢いで、空中でその頭蓋骨を叩き割った。

一瞬を増大させるようなやり取りの後、3人は目的の位置に落下した。縁(ふち)に着地した藍がバランスを崩して落下しかけたが、それも佐原が藍を引き戻して事なきを得る。

「なカなか派手な歓迎っすナ」

「そんなのん気なことを言ってる場合じゃないぞ! 早く放浪者を助けに行くんだぞ!」

兄貴は心配するだけ損だと答えて、今度はバリケードから下へ降りる。他の2人もそれに続いたが、今度はジャンピングゾンビが襲ってくるということはなかった。

JZ「俺を踏み台にしたぁ!?」

降りたそばには、先ほど確認したバイクがあった。壊れた状態もごく最近と思える状態に、ハンターがこの中にいる。その確信を抱ける。気になるのは、彼が愛用しているチェーンソーの音が全く聞こえないということか。外ではなく中で戦っているのか、それとも。

「先ほどのジャンピングゾンビ以外、寄ってくる気配がありませんな…」

「何を企んでるんだぞ…?」

想定していたゾンビの殺到はなく、静かな瓦礫の街並みが並んでいるだけだ。これで周囲に処理されたゾンビでも転がっているならわからなくもないのだが、当然それはない。何かを企んでいると藍が考えるのも仕方のないことだ。

ただ、佐原と錬浄は何となくの予想はついた。奥底に招き寄せ、こちらを飲み込もうという意図だろうと。パラノイアも馬鹿ではない。強襲班を潰すことが出来れば、探索組には大きな痛手だ。放浪者という例外を抜かせば、次に最も狙われるのは自分達。その事に何ら変更はない。

「何にしてモ、中心地に向かうしかナいっすな。虎穴に入らずんば…、とりあえずナんか得られないっすからな」

「御意…」

佐原の先導の元、そのまま大型駅エリア中心部に歩を進める。その先に何があるかは、誰もわかりはしない。

>>423
まぁ、なんだかんだで放浪者の方が無茶ぶり始めるようになったからね

>>425
わりといつものことです。


さて、この後予定があるので短いですがここまで。


>>413の訂正
×探索組は、sの提案を採用した。
○探索組は、その提案を採用した。


>>417の訂正
×反動を握る山中の目線は、強い意志を持っている。
○ハンドルを握る山中の目線は、強い意志を持っている。

×その返しも、確信も持った強いものが宿っていた。
○その返しも、確信を持った強いものが宿っていた。


はてさて、更新が遅くなり申し訳ない。まぁ、展開が展開なのとちょい忙し目で停滞気味です。

まぁ、まずは第一陣の戦闘分ぐらいは早ければ明日ぐらいに更新予定です。しばしお待ちを。

乙!
状況はどのように動いていくのか

たどり着いたのは広場のようになっている場所だった。仕掛けてくるとするなら、絶好の場所。3人はそれを感じつつ足を踏み入れる。整って植えられた木々が左右に並び、一定間隔でベンチが置かれている。中央には大きな噴水もある。そしてその向こう側から、それらはやってきた。

今までどこに存在していたのか、そう思いたくなるほどの量。ゾンビのみならず、変異体も多数混在するその群れは、こちらを襲う意図をもって歩み寄っていることは明確だった。周囲を見る必要はなかった、この時点で自分達が囲まれていることは明白なのだから。

「優先は変異体でよろしいか…?」

「当然っす、俺達は『変異』しなイっすかラね」

変異済みである佐原、変異しなかった錬浄、変質化により生半可では傷を負わない藍。ただのゾンビであっても、変異することの脅威がない以上、彼等の戦い方はシンプルに戦闘力が高い対象を処理することになる。

工作班がバリケードを破壊するまで、この場所から脱出することは困難。つまりは退路はないということ。今することが許されるのは、強襲班という名に恥じぬよう、パラノイアの群体に一撃を与えることだ。

「予想通りジャンピングゾンビが来たぞ!」

「じゃア、ちゃっちゃト叩き潰すっすよ!」

それはまさしくなだれ込むと言っていいものだった。惜しげもなく投入されるジャンピングゾンビは、四方から3人へ向かって飛びかかってくる。普通なら狼狽するどころではなく、それだけで死を予測できる一手。だが。

次に起きる場面は、それを否定する。佐原がヘビーハンマーを叩きつけるたびに、藍が刃の両腕を振るうたびに、錬浄が錫杖を鳴らすたびに、ジャンピングゾンビは吹き飛び、貫かれ、切り裂かれ、脅威然とした飛び付きは無に帰していく。

瞬く間の電光石火に、連携が鈍ったと感じさせるのは間を置かずに襲ってきたモンキーゾンビ。仕掛けるタイミングが良ければ、3人の内を誰かを最低でも負傷出来る上空からの飛びかかり。

「イつも通り過ぎっすナ!」

今度はそれをスパイクシールドで、カウンター代わりに殴り飛ばす。飛びかかりのタイミングが遅れたとは言っても、ここまでうまく処理出来ているのは、佐原の言葉通りこれまでパラノイアの支配下の有無にかかわらず、多くの戦いで積んできた経験と練度が成せる業だった。

工作班と合流を急ぐ井門達だったが、想定以上に攻撃が激しさを増していた。確実に拠点のメンバーの人員を減らそうとしている。そんな意図を持っているようにも思えた。

井門が救いだと思っているのは、運転手が佐田ということだった。運転技術ということも十分あるが、この状況に置いてもさほど動じていない。もし、これが他の警備組のメンバーだったとしたらこうはいかなかっただろう。

「ふん、予定地点から遠ざけられているな」

「なんとなく予想はつきますがね」

火線をあまり止めないように、自分へ向かってくるゾンビへ撃ち込みつつ、この状況になったことを判断する。

「(つまりは、銃を使う奴が結局厄介ってことだな。パラノイアにとっても)」

バリケードの破壊は、一時とはいえその場所に待機しなければいけない。そうなると、距離を詰められるまでに襲ってくるゾンビをいかに減らせるか、それが成功へのカギとも言える。言葉を変えれば、それを阻止することがパラノイアにとっての成功のカギということだ。

今やっていた作戦自体、強襲班をバリケード内部へ侵入させる為の攪乱ではあり、それは恐らくは成功している。だが、パラノイアも又その成功の代わりに自分達も目的地へ行かせないという手に、切り替えた可能性が高い。

「遠回りだが…。ふん、いったんエリアから出るぞ!」

「快適なドライビングで頼みますよ!」

ほざけと短く返して、佐田はアクセルを踏み込む。彼であっても今襲ってきているゾンビの間を縫って、合流ポイントへ向かうのは至難だった。ならば、放浪者の言葉に従い、確実な手段を選ぶしかない。合流が大幅に遅れたとしても、それが生き延びる為なのだから。

>>429
現状はこの通り。強襲班はパラノイアの第一波と交戦、井門達は作戦行動に遅延というところ。


次はもう少し早めに交信できればいいんだけどねぇ

乙!
もしもコーエーなら、これ日の世界をどういう風に作ってくれるかねぇ?言うなれば、探索者無双?
いや、そう書くとまずはクトゥルフ系TRPGが連想されちゃうか?

今回の佐原のカウンターのモーションは、丁度サムスリターンズのメレーカウンターが良い例っぽいかな?

明らかに射撃音が遠ざかっていく。井門達との合流ポイントとして大まかに決めたエリアから。そこへ向かう工作班は2人がトラブルに巻き込まれたことを確信した。だからと言って移動の歩みを止めることはない。

「時間がありません、バリケードの破壊を急ぎます」

山中は冷静な表情で指示を飛ばし、先陣を切る。すでに、ゾンビだけだが工作班にもその群れはやってきていた。これ以上の遅れは、バリケードそのものへたどり着くことさえもこんなになりかねない。変異体の姿が見えないのは気がかりだが、罠を躊躇することは許されない。それは中へ突入したメンバーを、見殺しにするのと同じだ。

例えそれが、今危機に瀕している可能性がある2人を切り捨ててでも、バリケードの破壊は急務だった。

「(…音がする限りは、大丈夫)」

一ノ瀬は助けに行きたい気持ちを、そう考えて抑えている。本当に避けなければいけないのは、私情に駆られて勝手な行動をした末、探索組全体が壊滅の憂き目にあうことだ。そのことも、井門本人からきつく言われている。だから、信じるしかない。彼がその危機を何とか自力で切り抜けることを。

「…音をぶつけるよ」

持っていた爆竹に火をつけて、投げ捨てる。目の前で火花が爆ぜたにも関わらず、そこから音は聞こえない。その代わり、正面にいるゾンビ達が何かにぶつかった動きをして、その動きが鈍る。

それに合わせて西切がいくつかの矢を放ち、その急所を貫く。音の打撃によって動作が鈍ったか、それとも各エリアで発生している戦闘の処理が、パラノイアでも追いつかないのか。それは今のところ、定かではない。分かっているのは、群れに亀裂が入った。その事実だけだ。

ペガサスを起動させ、山中は飛翔する。白衣をなびかせ、展開した槍と刃で群れに接近し、処理を開始した。それに続き、フェアリー、風虎、小間城がその群れへ飛び込み、ゾンビの身体は空中を舞い、壁に叩きつけられ、噛み砕かれていく。

「いつも通りカオスな光景ですよねー、林道さん」

「この状況でのん気に言える貴方もなかなかですよ。西切さん」

残った4人、一ノ瀬、西切、林道、EVEも到着しその群れを切り裂いていく。向かうのは先にある第一に破壊目標のバリケードだ。

ハンターは薄暗い闇の中にいた。奇妙なほどゾンビがいない状況でバリケード内を歩き、招かれるように訪れたのは地下道だった。大型駅に直通する大きなそこの左右に、店舗などが見受けられる。

ここだなと直感したハンターは、愛用のチェーンソーを起動させる。ガソリンの匂いが、ちょっとした閉鎖空間に紛れ、動作音がこだまする。そして用意しておいた懐中電灯を、床に置き、非常灯で淡く見える通路へ向けて点灯させた。

その向こうにいたのは、ゴーレムゾンビで出来た壁と、そこから飛び出してきたクローゾンビの2体だ。奇声をあげながら走り、爪が同時に迫るのをそのデルフィアで防ぐ。力比べは流石に分が良いとはいえず、爪を掴んで1体を引き倒した。

愉しい。ハンターはそれで身体が満たされていることを感じ取っていた。今日この時まで、大暴れすることができなかったことを思えば、それは十分な対価なのかもしれない。

そして何より、今視界に捉えている範囲にただのゾンビは1体もいない。変異体のみで構成された、絶望的な光景が映っている。

更に爪を振りかざしてきたクローゾンビの顔面に、チェーンソーを突き立てる。粘着質が混ざった悲鳴の後、顔が半分に割れて倒れる。

「全部、狩り獲りがいがありそうだなぁ。おい?」

加速する狂気を象徴するように、赤く染まるチェーンソーはエンジン音を轟かせ、刃は回転した。

>>434
まぁ、しいて言うなら生存者無双かな? 一部の連中がそうなだけだけど。

>>435
やってるところをみたけど、距離を取るよりはそのままスパイク部分を顔面にシューって感じかな。

乙!
チームプレイな場面は今のところ気楽に読めるけど、ハンターさんの場面は肝が冷えるわ

俺にとって、チェーンソーと言えば、ジェイソンか神殺しか、ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱー!のアイツなんだよなぁ……だから何だって話だけどw

>>440
まぁ、ワンマンプレイだからねぇ

>>441
なんとまぁカオスなキャラ・・・


割と真面目に重めの風邪でダウンしておりました。だいぶ治ってので早ければ明日に更新予定です。一応のご報告までに。

なっ、なんと。お大事に

『ロッサ、準備はできてるな?』

通信越しで友人であるエクスが、ロッサに入力された文字(じょうほう)で話しかけてくる。ロッサもそれに対して、文字入力にて完了している旨を返答した。目標は監視カメラにて確認したゾンビの群れ。走り抜けるジープに井門と佐田が乗っているのを確認しており、その後へ向かって移動していることから、何らかの事情で2人はロッサと同じ遊撃を行っているとサポートチームは判断した。

それならば、アンドロイドであるロッサならば、勘付かれずにその本体の横腹に攻撃を仕掛けることができると判断し、ロッサは全速力で廃墟の都市を駆け抜けている。

ジープまでとはいかずとも、キャタピラによる走行は遅い訳ではない。それでも、不整地で荒れた地面を走行するという経験はまだなく、即実践による経験の累積を余儀なくされている。それはつまり、自身のスペックを発揮できるかは未知数ということだった。

「目標を視認、処理モードへ移行します」

音は聞こえているはずだが、まだそれに反応しないのはパラノイアの支配下にいる為か、近づくロッサの方をゾンビの群れは見ようともしない。

射撃に関する基礎は、はっきり言うなら人間用のものだ。ロッサのように両足がキャタピラになっている人間などいない。的を使った射撃による調整は行ってきたが、俊敏とは言えないまでも動くゾンビが今は対象だ。

ほとんどのことが初めてのロッサにとって、全てのことが素早い情報処理を要求される。人間でいうなら高度な数式を暗算しながら精密な動作とその学習を要求される、そんな状態なのかもしれない。もしかするなら、すでに赤子の頃に人間、いや生命はその経験を経て、成体となるのだろうか。

無機物の赤子は、ゾンビの群れに距離100mの位置から両手にそれぞれ持つアサルトライフルの銃口から、火花を咲かせた。

『精密な射撃はまだ考えるな。急所に当たればいい程度に狙いながら、弾をばらまけ。侵攻の足止めと、群れを分断させてやれ』

友人からの指示に素直に従い、急所として入力されている頭部を狙いつつも火線を全体に広げるように撃ち込んでいく。

やはり、想定外だったのか予期しない攻撃に群れの動きは中断する。それがなんであるか確認するように、ゾンビ達は攻撃を受けた方面を見る。そこにいたのは銀色を纏い、脚部がキャタピラになっている人型の何か、それが銃を持ち自分達を狙っている。見た通りの事実を視認(にんしき)した。

「友人様の助言に従い、貴方達を排除いたします」

そして次に視えたのは、その手に持つ銃が火を噴きながらこちらに突撃するところだった。

都市内の戦闘の激化が、各地から聞こえてくるわずかな音で知らしめるようだ。保安官との合流を急ぐ回収班の2人も、覚から聞いたエリアに向けて急いで移動していた。

拠点から大型駅エリアまではどうしても距離がある。その手前のエリアにいると言っていたとはいえ、時間はかかる。合流できるかははっきり言うと確実ではない。むしろここまで音が聞こえてきているのなら、その音の1つが保安官の可能性もある。

「止まれ!」

小さいが力強い声で、平山はフェイを制止した。そのまま出ようとした通りを、鏡を使って見ると小規模ながらゾンビの群れが移動しているのが見えた。

「どうするすか…」

回収組は、残念ながら戦闘に特化している訳ではない。処理もするが、正面だって戦うことは基本的に避けている。だが、今ここに至り、そんな悠長なことを平山は言うつもりはなかった。

「群れにはなっている。しかし、以前のパラノイアとの戦いの時に比べて、動きに統一はない。恐らく支配下から抜け出したゾンビだろう。となると、それはそれで厄介だ。撤退時に障害となりかねない。やるぞ」

「うぅ、こうなったらヤケす」

出来れば保安官と合流出来たら、そう考えていたフェイにとっては本音として避けたいところだった。

平山は通りから飛び出して、ゾンビの群れに向かってブラストシューターが弾丸を吐き出させる。銃弾に比べて劣る部分はあるが、この武器にしかない利点も十分にある。石や瓦礫と言ったいくらでも回収できるものを使い、拳銃に比べれば静音だという事。気兼ねなく使える遠距離武器で、尚且つ連射もできる。

音に気付いてただウロウロと近づいてくるゾンビだけの群れなら、回収組でも油断さえしなければどうにかなる。気になるのは変異体が周辺にいないか、その1点。

この決戦において、パラノイアも戦力の出し惜しみをするとは、平山には想像しがたかった。ゾンビと変異体の混成で攻撃を仕掛けて着ているはず、その読みがあったからだ。

「フェイ、周囲の警戒は怠るな。モンキーゾンビ、ジャンピングゾンビが居そうな場所は、特にだ」

「了解す!」

フェイも、それがあって平山との距離が離れないよう、最近練習していた投げナイフを取り出した。ブラストシューターのダメージが薄く、比較的近づいてきたゾンビに絞り、手首のスナップを利かせて投げつける。

ナイフの投擲が百発百中とは言えなくても、その攻撃も相まって何とか危険域になるまで近づかれないよう連携して処理は出来ている。しかし、平山はこれがどこまで維持できるか、それとも、危険になる前に処理しきれるか、慎重な思考で次の手を計算し始めていた。

>>443
まぁ、大体完治。咳は出るけど



大体の戦闘の開始まではようやっと行けた感じだねぇ・・・。

乙!
どれだけ、動く為に動けるかだなぁ

風邪ひきはじめの喉には大根飴が良い……って、老女的少女ひなたちゃんで書いてた

>>449
連携の取れない強き意志の個々と、連携の取れる孤独な群体。さてどちらが目的の為に動けるか。

>>450
大根飴、そんなものがあるのか



さて、別に風邪はもうなんともないですが、正式な会社の歯車になったり休みに予定が入って割と環境的にバタバタしてます。
時間取れるのはまだちょいと先になりそうなので、近況までに。

ぐわぁ~、そういう状況か……本当にお疲れ様です。

oh...

『オリジン』

死人が歩き回る世界、そして私がいる世界。はたして、どちらが地獄か考えてみた。死を恐れる場所がない、それだけ聞けば天国だと、外の人は思うのかもしれない。でもここは、砂上の楼閣。捕らわれている私は外へ出る術はない。私は静かに長い時間をかけて死に絶えるしかない。

今日も窓の外を見る。強化ガラスで作られた景色は、以前と変わり映えはしない。あるのは、自然の光景。そこへ行きたくても、忌々しい透明な境目は破壊することはできない。指先で、つま先でその冷たい境界を触れる。

ここに来たのはいつのことかも覚えていない。そもそも、今私を捕らえている人間達が誰かさえもわからない。ただ私はずっとここにいる。

最近では私の力に関する分析もされなくなった。唯一の出入り口が開かなくなって、久しい。それはつまりこの場所も、安全ではなくなったということかもしれない。けれど、出られないということは、入っても来られないということでもある。死人のことを考えれば、その方がいいのかもしれない。

外に出たいという願いはかなわず、正気を失おうにも力によってそれもできない。長い、長い生は、どこに終着しようとしているのか。

窓の外にある木の葉に、手のひらを向ける。しばらくすると、そこだけ枯れ、風によって散っていく。

「少しだけもらうのじゃ」

ゆっくりと、部屋の中にあるベッドに向かう。その隣の化粧棚の上には、小さな鏡があり、変わらない顔が映し出されていた。見慣れたそれが今日はいつも以上に嫌になり、静かに伏せてから、ベッドへ横になる。

この場所だけ、全てから隔離され、そして時が止まっている。それが動き出すことを望みながら、ゆっくりと目を閉じた。

>>452
働きたくないでござる

>>453
うん



さて、あまりにも期間が置きすぎているんので、リハビリ程度の幕間です。まぁ、本編出るかも怪しいのに、
設定だけ作ってた人が題材です。

乙!
まさかのドレインとはね。オリジンてのも中々えげつない

おつ~
オリジンさんは女性なの?んでもってのじゃロリなの?
それとも普通にお年寄りな感じなの?

ところで、小生も常々働きたくないと思ってるでござる

よりにもよって書くのが一番大変そうな所で……

十年も経てばハイライト消した目で全自動で会社にいる自分が出来上がるよ(狂気)

放浪者が放浪すればいつか助けてもらえる…はず

>>456
もしくは そうしてぇ! の方かも

保安官は聞こえてきていた音に向かって移動していた。自分の能力を最大限生かす為、探索組を狙撃による援護する、予定だった。

入り込んだ建物内のゾンビに包囲される。十分警戒している彼が、そんな油断をする訳もない。パラノイアもこの決戦について、そういう行動があるのは読んでいる範疇だった。そう考えるしかない。

幸いまだバリケード近くではないエリアだからか、変異体の姿は見えない。それとも、音が鳴る周辺に集まっているのか。

素早く投げ縄を飛ばし、近くのゾンビの首にかけて引き倒す。素早く抜いたナイフで手慣れた様子で急所を保安官は貫いていく。

「1人でやってきた頃に比べりゃあ、楽なもんよ」

軽口交じり、いつもの豪快な笑みを浮かべたまま、近距離にいたゾンビを処理して、少し移動するには距離のあるゾンビは、拳銃にて仕留めていく。ライフルに比べれば不慣れ、という程度の腕前は、その近さもあり難なくこの状況を退いていく。

問題なのは、ここからのことだ。この動きがあったということは、保安官もパラノイアのテリトリー内に入ったことを示している。恐らく数分後にはまた同じようなゾンビが来ることを匂わせる状態だ。素早い行動は求められた。

「戦闘は続々と始まっているようですねぇ」

屋根の身体を出せるところから身を乗り出し、双眼鏡で都市の状況を見守っていた行商の社長、装甲車の運転席には課長が座り、社長の横には機関銃を持って警戒する平の姿がある。

にこやかな笑みのまま、社長ははてと手に口を添える。大掛かりな戦闘があると聞き、しばしの間遠方には回らず、都市の様子を見守っていた。そこにはいろいろな観点がある、拠点が壊滅されるのはある程度の痛手になることや、もし仮に壊滅するならば、当然めぼしい物が眠る宝箱に違いはなかった。

そういった事の色々を考えて、社長は装甲車の屋根を軽くノックすると、動き出す。彼が中に入る間も、平は都市と周囲に目を離さず警戒を続けている。

「それで…?」

「恩ぐらいは売っておきましょうかねぇ」

社長が見る限りでは、戦局は五分五分と言ったところ。どうなるかは読めるものではないし、自分達が言ったところで局面が変わるとも考えられない。その上で、手を貸すことを協力したのは、物資面のこともあるが。

「(話を聞く限り、DJフレンドと同盟を組まれているようですし、自分達の悪評が流れるのはいただけませんからねぇ。協力した方がお得ですよねぇ)」

もちろん、自分達の利が最大の理由だ。

駆ける装甲車は、見かけたジープを目標に移動を開始した。スピードを上げた車両は、瓦礫で荒れた道で時折大きく揺れ、そのたびに社長は課長に商品が悪くなると小言を挟む。課長はそれに顔色を変えることはないが、面倒くさそうに少しため息が聞こえない程度に漏れた。

平の機関銃が音を上げ、装甲車は大きく右にカーブする。商品も押し付けられたが、社長は何も言わずに上部の蓋を開けて身を乗り出した。先ほどまでは確認していなかった、ゾンビの群れと変異体のマッスルゾンビが何体か。

社長も素早くマシンガン取り出して応戦する。エリア外でうまく活動できていたつもりだったが、こうも移動先容易く抑えられたなら、パラノイアの感知内に入っていたのだろう。

「やれやれ、これじゃあ思ったより貢献できそうにありませんかねぇ?」

撃ちきったマガジンを取り換えて、やれやれと社長は次の目標に狙いを定めて引き金を絞る。2人の分の火線は群れを近づけないのに十分だったが、大きな肉体を持つマッスルゾンビは当然、進攻ルート防ぐのにも、そして装甲車にダメージを与えかねない脅威として障害でしかなかった。

「しかし、あの筋肉だるまは邪魔ですねぇ。何か良い品はっと」

のん気にそう言って中に入る間も、平は淡々と掃射を続ける。機関銃の弾は、確かに並のゾンビならかなりの威力を持っている。マッスルゾンビにも確かに効果は発揮できる。

しかし、それでも分厚い筋肉はその弾丸の威力を吸収してしまう。狙うことそのものに適している訳ではない以上、余計の弾薬の消費を強いられる。

もちろんそれを社長は望まない。今後の為に必要な出費であるとは考えているが、経費がかさむことを良しとしたわけではない。だから取り出したのは、その機関銃のように強力さを現した長身の銃。

「ふんふん。使うのは初めてですがねぇ」

対物ライフル。人の身を撃つにはあまりにも強力過ぎる代物だが、マッスルゾンビのように肉体的な防御力を持つ変異体には、有用な代物だろう。

1発、外れ。2発、肩への着弾。3発、再度外れ、4発、左太ももへ着弾。

穴の開いた左足からマッスルゾンビは崩れ、地面に足を着く時に結合部分がちぎれた断面がそこに着いた。

「邪魔ですよぉ」

最後の5発目で、ようやっとマッスルゾンビの頭を吹き飛ばし、倒れた身体を踏みつけながら、装甲車は都市内部へと入っていった。

「えいやー!」

いつも通り、気の抜けた声でフェアリーが瓦礫を撤去していく。その後ろでは、それぞれの戦闘音が奏でられていた。バリケードについてはまだ現時点、破壊には至っていない。

幸いなのは、井門がいないという戦力が減った状態で、まだ防衛状態を維持できているということだ。これが崩れれば、バリケードの破壊どころではない。工作班のバリケード破壊のコアであるフェアリーに手を届かせないこと、それがこの決戦、この班での命題だ。

「井門さん…」

その事を肝に銘じている一ノ瀬ではあっても、最も親しい井門の身を案じるのはそれもそれで当然だろう。案じることが暴走しないのは、次々とやってくるゾンビの群れに思考は忙殺されるという、皮肉なメリットがあるからだ。

「…銃声が多いですね」

「えぇ、気になるところではありますねー」

状況に周囲を確認する山中と西切。唯一突入する前の放浪者と会話し、それぞれ止めなかった者と止められなかった者。結果は違えど、意志は同じ。この任務を無事に成し遂げ、そして、放浪者を助け出す。それが2人を冷静であり続けさせている。

>>456
プラス、CPCの超能力者と違って精神疾患がある訳でもない

>>457
のじゃロリっぽい何かかな。

働かないでお金がほすぃ

>>458
うんまぁ、いろいろあるのよ

>>459
放浪者マジ助けて…。になるわけですのう

>>460
変態機動なあの人か。


さて、いろいろと。保安官は合流(工作班または回収組)失敗、単独戦闘。業者は援軍判定失敗、井門合流失敗ってな感じですね。

くだらない訂正ですよっと

×業者は援軍判定失敗、井門合流失敗ってな感じですね。
○行商は援軍判定成功、井門合流失敗ってな感じですね。

乙!
よーし、よし。まだ順調な流れのまんまだな。ただ、行商に(勝手にやった事とは言え)借りを作っちまったのは微妙な所か?

それにしても合流失敗とは、今頃井門氏はどうなってる事か

保安官さんも頼れるねぇ~

乙!
対物ライフルの外れ弾勿体なさ過ぎる

>>468
一応、それぞれの班で致命的なトラブルはないね。行商はいつぞやの浜村とのやり取りで発生したイベント。
井門は、まぁ、ダイスが知っておるよ

>>469
表に出ないだけの実力者だからねぇ

>>470
まぁ、武装はあるけど根本素人だからね。


仕事の内容は変わってないけど、勤務体系変わったりプライベートが予定込みでなかなか更新できないという相変わらずの言い訳タイムです。
次の休みは特に予定ないから更新は可能な限りはする予定。

「井門、聞こえてるか!?」

「いくらなんだって、近くの銃声ぐらい聞こえますよ!」

聞こえる感じ、音は移動していた。自分達と同じように車両で移動しながら、銃撃をしている。そう感じられる。探索組のメンバーで、自分達以外に車両を使いながら戦闘を行う予定はない。それに音が聞こえてきた方向も、明らかに進攻予定のルートではなかった。

つまり予期していない、第三者がこのタイミングで紛れ込んできた。その可能性が高いということだ。

「(くそ。知らずに来たんじゃ死ぬだけだ)」

パラノイアは、関係ない第三勢力だからと言って容赦する相手ではない。車両も武装も持っているのを想定すれば、すぐにやられはしないとして、それはそれで作戦行動に影響が出る可能性さえ秘めている。

「ふん。誰かは知らんが、俺達の作戦が優先だ、行くぞ!」

ジープは加速度を増し、工作班へ合流する為、死に柄の街を抜けていく。死を彩るゾンビの数も、パラノイアからの支配から外れてきたからか。数はおおよそ減りつつあった。

高速道路エリアと大通りエリアを繋ぐ大型の道路、そこをジープは横切る。バリケードがあるのは進行方向右手だが、そこは惨劇時に敷設されたと思われるバリケードによって塞がっていた。

そして、もう1つの銃声は明らかにその向こう側から近づいてきていた。

このバリケードの向こう側は、建物に挟まれていて左右に抜けられる場所はない。井門はそう記憶している。言い換えれば、第三勢力は袋小路に入り込んだということだ。

「(どうする、助けに行ってる余裕なんてあるか?)」

しかし、そんな疑問も更なる疑問によって押しつぶされていく。射撃音が止むことも、車の駆動音も明らかに止まらない。

「――離れるぞ!」

瞬時判断した佐田は、バリケードから離れる位置にハンドルを切った時だった。何かが乗り上げる音がして、そこを井門が見ると、ワンテンポ遅れて装甲車がバリケードから飛び出してくる光景だった。

スローモーションのそれが、通常速度に戻ると何度かバウンドしてから大型道路の中央に止まった。装甲車の頭に顔を出している2人に、見覚えはある。拠点に物資交換に訪れる、行商達だ。

夕食の材料買いに行くので、いったんここまで。

判定には従ってるけど、割とやりたいことは書いてる。

おゆはん美味しいと良いね!

それにしても火器積んだ車でジャンプなんて危ない事を……まぁでもこの形で合流して、そのまま付いて来てくれるんなら、それ程頼もしい事はないが

「あー、どうもどうもぉ。お噂はかねがね伺っておりますよぉ」

敵意がないというように柔らかく、聞いたこともあるその口調だが、態度は前に見たのとは違う。勢力を指揮する者として、事態を把握すべく周囲の警戒を怠らない。油断は、いつものそれと違うが、ない。

相手を確認する為、佐田が急停車した間にも、業者がジャンプしてきたバリケードから、一番最初に落ちたであろうゾンビがごしゃりと音を立て地面に突っ伏し、その後続いてゾンビが流れ込んでくる。さながら最初のゾンビは身を挺したクッションのように、無傷のゾンビがジープと装甲車に迫ってきた。

「そりゃあ、装甲車が飛べる状態なら、ゾンビも降りてこれるか…!」

再度ジープの駆動音が高鳴り、前進と井門のサブマシンガンが火を噴く。装甲車も遅れて発信を開始し、ちょうど2台並走して走る形になった。

「何のつもりだ!? とっとと逃げやがれ!」

「まぁまぁ。多少のご助力は希望でございますでしょう?」

戦闘車両は並走して2台になった。それを追いかけるゾンビの波は、未だ変わらない。

ドンとヘビーハンマーが頭から下に地面とぶつかる音がした。バリケード内にある大型公園での戦闘は未だ続いている。第一波と思われる攻撃は終わり、佐原は大きく息を吐いて地面に置いたヘビーハンマーの柄の先端に、右腕を軽く乗せた。

戦闘はまだ終わっていない。それは今いる第一波を全滅した上で、3人は理解している。今はそう、言うなら第二波へ対する、小休止。それでも、やはり全方位からの変異体交じりのゾンビの大群をやりあうのは、彼等であっても体力は消耗している。

「疲れたぞ…」

「同感っすガ…、バリケードはまだ壊れテない見タいっすからなあ」

どの位置のバリケードが壊れたかは言われないが、破壊した旨についてだけ報告は来ることになっている。それがきていないということは、工作班もまた猛攻にあっているということを示していた。

しかし、時折何かが大きく崩れる音が時折していたことを思えば、何もできてない訳ではない。強襲班にはそれで十分すぎるものだった。

「きますぞ……」

シャランと錬浄の錫杖が鳴る。それに呼応したように、2人は構え、ゾンビの第二波が視界に見える範囲に文字通り波のように押し寄せてきた。

>>476
さてどこまで付き合ってもらえるのやら。

夕飯は相変わらず水っぽいシチューになりました。



とりあえずはここまで、ちょいとおでかけ。もう1つの方も戻り次第やれればいいけど。

元軍属だと戦力不透明の連中と組むのはやりにくそうだな

乙!
むしろ行商の武器を井門に使わせた方が

一陣の風が、都市の全域が見える丘の上を吹き抜け、その後ろにある木々の中に吸い込まれていく。都市からは聞こえてくる銃撃の音は、耳をすませばその風に乗って聞こえるのかもしれない。

風に紫煙が紛れる。それ以外そこにあるのは自然そのものだ。あるがままのように見える。

戦いはまだ続いている。この都市をゾンビから取り返せるか。否か。運命がどちらに判定を下すかという次はない。余地がなければ、全力を出すのは容易く、だからこそ戦火は更に大きくなることも想像させた。

そしてそれと対比するように、この丘の状況は静かだ。その事と何も無関係と主張するような、あるべき静の姿。惨劇を迎えた後でも、戦いを止められない人間を皮肉るように、取れるのかもしれない。

もしかしたら戦いこそが、人のあるべき動の姿なのかもしれない。あるいは、動物にカテゴライズされる存在は、それがすでに自然なのかもしれない。生きる為に動く(たたかう)という自然の摂理に、従っているだけ。

一陣の風が吹き抜けた。あるのは自然のそのものだった。

オイルライターの蓋が開く金属音と、着火石から火花が出る音。薄暗い地下道で小さな火は目印としては十分なものだ。その火に咥えた煙草に火をつけて、ハンターは手首のスナップでオイルライターの蓋を閉めた。

彼がおいた懐中電灯とわずかに光る非常灯でうっすら見えるのは、襲撃を仕掛けてきたクローゾンビ2体と、ゴーレムゾンビ数体、残りちらほらと見えるのは、ジャンピングゾンビとそのほかだ。

息を切らせた様子もなく、ハンターは火種を明るくして紫煙を深く肺に取り込んで吐き出す。足りない戦闘の欲求をそれで満たしているにも見える。

吸い終えた煙草を落とし、踏みつけて火を消す。口元は、また歪んだ笑みを浮かべる。

彼にとって更にこちらに来たその量、数えるのも面倒な変態交じりのゾンビの群れ、それすらも彼にとってはただの追加された獲物でしかないのだろう。

血染めのチェーンソーがまたうなりを上げる。主人と同じように、それもまた喜びを表現しているのか。それこそ、ただの思い込みの現物か。

ハンターは走り出す、次なる獲物に向けて、どす黒い閃光のように。

>>480
意図不明で胡散臭い連中だしねぇ

>>481
火器は間違いなく井門の方が使えるだろうけど、レンタル費用とかでそうよね。



さて、相変わらずこまごまと予定があるので、短いですがここまで。しばらくの内は進められるうちはやる感じですかの。

変態交じりの……異が抜けとるw

油断をしていた訳ではない。この状況に置いて、死を覚悟しなければいけない以上、だからこそ死なない為の心構えは全員済ませている。

平山がブラストシューターの盾でゾンビを押し返し、止めを刺そうとした時だ。1体のモンキーゾンビが突如、文字通り落ちてきた。一瞬の陰影で何とか、平山は盾で体当たりを防いだが、支えきれず地面に背面から倒れ、覆いかぶさる形になる。

背負ったタンクや、盾を挟んで覆いかぶされた状態で、素早くゾンビに平山は攻撃できず、他のゾンビもそこに集まり始めた。死の予感がよぎる思考は、冷静さを霞ませ、生まれる焦りが事態の解決を遅らせる。

ワンテンポ遅れて動き出したフェイが、モンキーゾンビを蹴り上げて救出した後、いったんの撤退を余儀なくされた。行動に遅延が起きたという問題も当然あるが、何よりフェイがその一連の間で軽度の負傷を負った。今後の活動に支障が出ることは間違いない状況だ。

今も、平山が外を見張り、フェイは自身でその治療を行っている。2人がいるのはいったんバリケードから距離を取ったエリアだ。緩衝地帯と言う訳ではないが、確保したエリア内、何もなければ安全性は他より高い。

幸いフェイの負傷は咬み傷といったものではない。ゾンビ化の心配は、とりあえずはない。右手首をひねり、不慣れな左手でテーピングといった治療を施している。

「(…。自分の不始末だ)」

この状況下で誰が悪いということはない。しかし、起きた結果が責任を伴うのなら、誰かがそれを負わなければいけない。もちろんそれを果たす前に、しなければいけない絶対的な任務がある。

「しかし、死ななくてよかったす」

「この戦い、生き延びるが最も大事なことだからな」

治療は終わったようで、固定具合をフェイは確かめながら、少しだけ顔をしかめている。咄嗟に力を入れたり、重いものを持つといったことは、しばらくは無理だろう。負傷したのが足でなかったことは、撤退できた要因だが、それでもこのまま任務続行できるかは怪しい。

フェイを戻すべきか、そもそも戻したとして平山1人だけで活動することができるか。その判断を安全な今のうちにしなければならない。

「(せめて、他の班や協力者がどこに居ればわかればな…)」

連携が取れない。それは問題が起きた時において、致命的を選びかねない厳しい条件として、回収組に立ちふさがり始めていた。

何度かあった襲撃を退け、保安官はちょうどいい狙撃ポイントになる屋上へたどり着いていた。遠くでは工作班がバリケード破壊を進めているのが見える。スコープを使って確認する距離からは、合流するには少々遠い。何より、そこへ向かって移動しているゾンビの群れが、一種の壁となって存在していた。

もちろん、これら全てを流石の保安官でも処理しきることはできないが、それで変異体を優先して処理すれば、その群れの危険性をグッと下げることができる。

スコープを通して、処理すべき変異体を確認する。動物の狩猟の際、命のやり取りと感じるものが、ゾンビ達をその中に入れた時は、どこか遠くの絵空事のように、保安官は感じることがある。その雑念が、混ざりつつも弾丸は対象に飛んでいき、頭蓋を弾き飛ばした。

自分がやったことに対して、ここまで虚無を感じるのはなぜかと思いつつも、保安官はライフルをコッキングして次弾を装填した。

次の弾丸を発射した時に思ったのは、この戦いが終わった後、友達が戻ってきたら、もうこんなことをしなくて済むのか。それだけだった。

相変わらずの猛攻に変化が起きた。そろそろ立て籠もることも検討していた強襲班が、自分達を襲う群れの攻撃が緩やかになったのを、気付かない訳もなかった。

第二波を撃破し、3人は休憩を取る余裕もあった。もちろんそれはあり得ないことだと承知で、これからの戦いの為に、違和感を抱えたまま飲み物を藍は飲み込む。

「いったいなんなんだぞ…」

パラノイアを相手にする、その時点で予測できないこと自体だらけになるのは想像できても、ここまで殺そうとした集団にあっけなく手を翻し、猶予を与えることは、どう解釈してもあり得ないことだ。

あのまま力でねじ伏せることも、正直言えば出来たことだ。もちろん、その分の戦力は失うことにはなっただろう。それを嫌った、といえなくもない。

「なンか起こっテるのは確かっすな」

パラノイアにとって、強襲班の処理よりも優先すべき自体が起きた。そう考えるのが妥当な結論だった。そして、それを肯定した上で言うなら、今がパラノイアの懐に入り倒せる可能性があるチャンスでもある。

罠であるかは強襲班に関係ない。今はもう、パラノイアを処理できるかどうかが重要なことなのだから。簡単な休憩が終わり、3人はまた歩き出す。更なる奥地にある、大型駅を目指して。

>>485
キニスルナ!


>>483の訂正
×彼にとって更にこちらに来たその量、数えるのも面倒な変態交じりのゾンビの群れ、
○彼にとって更にこちらに来たその量、数えるのも面倒な変異態交じりのゾンビの群れ、


はてさて

乙!
よりによって、カバー人員が居ないチームで負傷者が出るかぁ

保安官は一番安牌なやり方してくれてるが、残弾は保つのかね?

放浪者がついに奴と接触でもしたか……?

「目標の殲滅を確認、次なる任務(オーダー)まで待機」

『OK、よくやった。弾の数と武装のチェックだけしてくれ。周囲をもっかい見る』

エクスの指示を元に、ロッサは手早く残弾と武器の状態を確認した。残弾はともかく、武器の状態についてロッサ自身も常時把握できるものではない。入力されたプログラムに従って、問題ないかを確認し『全て問題なし(オールグリーン)』にて完了した。

井門達は気づくことはなかったが、ロッサの手により分断されたゾンビの群れは、彼等を襲う数を少なくさせた。群れはロッサの動きに対して、全くと言っていいほど後手を取った。相手の状況を読み取り、最善手のみ打てたパラノイアにとって、脅威度は高いだろう。

しかし、高速で動きかつ思考から位置を特定することができない、脅威度が高いと判断するロッサにまで一群を率いて攻撃を仕掛けていないのは、それが理由なのは違いない。

状況として、パラノイアを処理する可能性が高いとすれば、ロッサが挙げられるかもしれない。もちろん、このままならどうにもならない訳だが。

『うし、工作班の動きも確認した。急いでそのままいったん、第一目標のバリケード地点に向かえ!』

「次なる任務(オーダー)を確認。友人様、畏まりました」

キャタピラは旋回し、次なる戦場へ銀色の重戦車が廃墟の都市を駆けていく。

『ジェーンいるか』

「うん、いるよ。どうかした?」

拠点内も慌ただしい動きが続く。想定内の成果を出したロッサから流れる情報の逐一の確認、またロッサ自体の状態の把握など、学習するAIという高速演算に研究者、技術者はついていくのが精いっぱいだった。

たまたま拠点に来ることになったジェーンも、猫の手も借りたいということで協力している状況だ。今は自分の端末を、仮設置した机に置き、サポートチームからの無線連絡にも対応している。

『保安官のおっさんは、元気に変異体をスナイプしてるとこだ。なんかあったら教えっから、集中してくれよ』

「うん、ありがとう」

『それから本造、つってわかるかな。うちの一番若いガキいるだろ、ちゃんとやれてっか?』

そう言われて見当がついたジェーンは、技術者が集まっている一画を見ると、少しぶかぶかな作業着を着て、動き回る少年の姿があった。「大丈夫そう」と答えると、ぶっきらと「そうか」と返ってくる。

『ロッサは補給無しでいったんバリケードに向かわせた。非常時に備えて出られるように伝言頼む』

「わかったよ」

無線が途切れた。次の連絡が悪いものではないことを祈りつつ、ロッサの今の動向についてジェーンは拠点に来ている研究所メンバーへ報告の為、椅子から立ち上がった。

それ自体は想定していたことだが、予想よりもその数は多かった。フェアリーの活躍により、第一目標のバリケードは破壊できたが、その向こう側から変異体を先頭にした群れが工作班に突撃を仕掛けてくる。しかし、タイミングは逸していた。

彼女の『浮かす』能力は、場合を選ばなければ大打撃を受ける可能性が高い。限定された出入り口、バリケードとして使用していた大型の瓦礫群。

本能か、それともセンスか、フェアリーは躊躇なく破壊の為にどかしたバリケードの部品を、その群れに投入していく。最初はそれを殴り返していたマッスルゾンビも、生身では対応が不可能な質量が飛んできた時に、呆気なく他を巻き込みながら潰された。

その頃には反応が出来たメンバーたちが見たのは、子供がおもちゃと赤の絵具で周囲をまき散らしたような光景だった。それに、対して反応をしなかったのは、エコー。

「フェアリー、これじゃあまた通るのが難しくなるから、どかさないとダメだよ」

「あー、そっかー」

山中は理解せざる得なかった、超能力者にとってこれぐらいは日常になれる。そういう力を持っているのだと。

地下道の中を進んで行く。置いていた懐中電灯を拾って、血に染まったコート姿と、同じく血でまみれたチェーンソーを持ち、狂気を含んだ薄ら笑いで歩くハンターは、はっきり言ってスプラッター映画の殺人鬼のようだ。

第二派を撃退し、悠然と闇の中を進んで行く。ハンターの中には確信があった。この地下の厳重さはただの侵入路を防ぐ為だけのものではない、ということに。

何故なら本来自分は、拠点の勢力とは別の存在。今まで直接読まれる機会は与えず、背後で淡々とそういった存在がいるとだけしか、他のメンバーを通じてパラノイアには理解できてなかったと言える。

その自分に対して仕向けてきている攻撃は、完全に殺しにかかってきていた。広いとは言えない閉鎖空間に、ゴーレムゾンビの壁とクローゾンビを仕向けてきた。

誰に対しても殺意があるのは間違いない。自分が今まで行ってきたミュータントや変異体との苛烈な戦いの記憶を、抜き取ったとしても不思議ではない。だからこそ言えるのは、やりすぎだということだ。

ハンターがもし、自身がパラノイアだとしたら、他の脅威があったとしても、確実に放浪者を殺す為に全力を注ぐ。そう考えるからだった。

暗闇の向こうに繋がる先は、大型駅。そこが本陣だと踏み、ハンターの足取りは強さを増していった。

戦いの火種は大きくなり続ける。

それを小さくするのはどうすればいいのか。

答えるまでもない事ではある。

だが、戦いが続けば続くほど、その事に疑問を持つ。

それは自然なことだ。

あの存在は、そんな疑問を抱くか。

それは考える必要もない事だろう。

一陣の風が吹く。

目指すべき場所へ向かって。

>>491
確かにねぇ

>>492
まぁ、保安官は支援が目的だろうけどもね。どれぐらい持ってこれてるのやら

>>493
ダイス様が知っているよ。

モッピーは知ってるよ(言いたかっただけ)

このターンはわりと順調に推移って感じかな?

『拠点を継ぐ者』

男は歩いていた。左手に木々という自然物と、右手に廃墟という人工物の残骸の中を目的もなく進んで行く、ぐぅと腹の虫が鳴り、食料の算段をしなければならないなと、そこに手を当ててさする。

空腹には慣れた、死に危険に関する直面は以前よりぐっと少なくなってきているが、それでも自由に食料を得られた昔を思えば、これから人間はまだまだやらなければいけないことが増えているなと。そんなことを思う。

枯れた落ち葉を踏みしめ、草木がこすれ、廃墟側で潜める息遣いといった音は捉えているが、男は大したことはないとのん気に歩き続ける。想定できる脅威は、自身を鍛えてくれた仲間の一人だけと比べてもさしたるものではない。そう感じているからだ。

「手を上げろ!」

もちろん、無力化するのだからそう言わざる得ないのはわかっている。けれど、聞きなれ過ぎたその言葉は、何かに替えられないものかと、呑気に考えていた。

「お前、死にたいのか?」

「悪いけど、殺せるのか?」

男が持っている武装で目立つのは、腰に差した日本刀だ。それ以外は、惨劇前の日本ではありふれた格好、Gパンと革ジャンの中にTシャツが見える。略奪者達からして、構えもせずにこちらは周囲を銃を突き付けている状態。圧倒的な優位の状態で、男は自分が殺されることを本当に想定していないがよくわかる――。

「はいよ、1人」

瞬間だった。全員がそのたった一歩を見逃し、男に接近を許した略奪者の一人は手首を外され、顎を左肘で強打された後、地面に崩れ落ちた。落ちてから状況の判断が完了した略奪者の残り4人は、一斉に銃弾を感じられた危機感のままに撃ち込み、また男の姿を見逃した。

「はい、2人」

いつの間に跳躍したのか、空中で頭が下になっている状態の男がそこにいて、しかも略奪者の後ろに位置し、そのまま後頭部を殴りつける。虚を突かれた攻撃はその略奪者の意識を奪うのに十分。

「あいつ、な、なんなんだよ!」

それを問われても聞かれた略奪者2人は答えようはない。あんな動きをする人間がいる訳がない、噂で人外のような活躍をする放浪者という人間がいると聞いたが、このエリアで活動しているはずはない。でも、もしその噂通りが事実なら、こんな動きでも不思議ではなかった。

「戦ってる最中に、集中切らすなっての」

今度はその大声を出した略奪者の側により、側面から柔道らしい捌きで男は相手を地面に背中から落とし、更に動こうとした残り二人は、腰に差した日本刀を鞘がついたまま抜き出し、1人は喉元、1人はみぞおちへ滑り込ませる。完全に敵の無力化を終わらせて、男は日本刀を腰に差し直し、またのんびりと歩き出した。

「あーあ。やっぱセンセーと放浪者みてぇにはいかねぇなー」

ここまで圧倒しておきながら、今の戦いにおける出来は、その表情から納得は出来てないようだった。

空腹の音が鳴り、それが去った後。痛みで呻く声だけがそこに残った。

>>500
そして私は残念ながら知らなかったぜ

>>501
まぁ、基本的に負傷しなければいい結果です。



ちょっと間が空いているので幕間でリハビリです。

乙!
なるほど。未来で、彼だけが残ってしまったか、彷徨っている状況か

しかし、~~を継ぐもの ってのを見ると、どうしても星を継ぐものが浮かんでくるな

結局また、人が減ってゆく……

ロッサ君も活躍してるなー

状況の推移は最悪だった。かく乱を企んだ戦闘車両を、工作班と呼ぶ部隊から遠ざけることに成功し、目的の地点まで誘導を進めるところで、想定外が起きる。正体がわからない謎の銀色の機械に、蛮族共に恩を売ろうとする商人の一団。それらが横槍を入れるどころか、商人は合流を果たし一筋縄に討伐できる状態ではなくなった。

何より脅威なのが銀色の機械だ。思考を読むことが出来ず、銃器を扱い何よりそれ自体が高速に移動する。監視カメラ代わりのゾンビから、行き先を追おうとすることはできるが、すでに多数のエリアで行われている戦闘も考慮しなければならない。

バリケードもすでに破られ、次のエリアに移動を開始していて、それを支援する存在も厄介だ。移動自体は同様のバリケード破壊、複数個所破壊することで脱出や、自身の処理を優位に進めること、それが目的だ。バリケードに関しては、即時に修復できるようなものではない。1ヶ所だけならまだしも、複数となれば防衛力に影響が出る。

更に頭を悩ませるのは、内部に入った化け物じみた3人組と1人。あれだけの量を送り込んだのに関わらず、疲弊する程度で具体的なダメージは与えられていない。3人組は大型駅に向かい、1人は地下道から期せず同じ場所へ向かっている。そして、バリケードが破壊された今、3人組はそれを知っても戻る意思はなく、1人は知ったところでこの戦いに悦びを見出しているのだから、同様に戻ることはないだろう。

集めた兵士達はまだ、潤沢とも言えるほどに存在はしている。それでも、出来ることには限界があった。指揮下にいる以上、高度な連携は取れるとしても、兵士達そのものに出来ることは決まっている。効率の良い戦いそのものの限界。

それさえ考えなければ、物量に任せた力押しを続けて内部にいる敵を排除することはできるだろう。だが、それさえも奴の策だとするなら、その思慮の深さに奥が見えない。

無理を押して討伐しに来ると言う予想は外れ、散発的な攻撃を加えては去っていく。しかも、行き当たりばったりではなく、殺された兵士の多くは力ある英雄達であり、そのことは確実に意図的だった。

そして、自分を処理するということへの意識に、全くのブレは存在していなかった。

不在の間に誰かしらを討伐しておきたかったという思いが叶わず、今の最悪さも相まって苛立ちだけが募っていく。そして、それをぶつける意味合いで、補助に感知範囲を広げ入り次第共有するように指示を飛ばす。

奴がもう間もなく戻ることには確信がある。すべきなのは、奴を含めて予期しない作戦を実行して、全滅に至るための流れを生み出すことだった。

>>504
まぁ、ぶらぶらと。

確かにそんなタイトルあるねぇ

>>505
うんまぁ、こんな世界だからね

>>506
なんだかんだ正面から戦える強さではないからね。

パラノイア焦れってる、ヘイヘイヘイ!

しかし、奴が用意する、予期せぬ作戦とは……

回収組は負傷したフェイを抱えて、高速道路側の緩衝地帯まで後退していた。この行動は明らかに中途半端と言える、決戦に参加しているとは言いづらく、何かあった際の補助をするには距離がありすぎる。フェイの右手首を治療するなら、拠点に戻った方が無難。

痛々しく映える簡易な治療を施した右手と、左手にはコントローラーが握られていた。その側にはドローンが置かれている、その操縦のためのものだ。

『OK、ドローンに内蔵されたカメラに接続できた。うまくやれよ。後は伊吹が引き継ぐ』

「了解ス。ふふん、初めての時は落とさずに飛ばせてたんだから大丈夫ス」

妙な自信のままフェイは電源を入れて、ドローンを浮かせる。飛んでいくドローンは先ほどまで大型駅エリアに向かって何とか飛んでいく。

平山はドローンの状態を確認する為、今いる屋上で更に高い給水塔に膝立ちで立ち、望遠鏡で状態を見ながら指示を出す。

「うーん、だいぶちっちゃくなったス…」

『大型駅のバリケード前エリアに突入、今のところ映像はクリアに来てます』

その中途半端でない理由が、ドローンを使った大型駅エリア全域の現状の偵察を行うことだった。

ドローンは何とか航行を続ける。わずかな間とはいえ、飛ばす練習をしていたのはあるが、高度とその不安定ながらもバランスを維持しているのは、フェイ自身の天性、あるいは本能的なもので成しているのかもしれない。

カメラに移されるのは、これまでの探索組などとパラノイアとの間で起きた戦いの跡だ。何かを追って移動した一部の群れや、その横ばいから攻撃を受けた一部といった、処理されたゾンビの姿。別の群れの攻撃を受ける、2台の戦闘車両。ライフルを担ぎ、ウェスタンハットをかぶった人間と、どこかへ向かうキャタピラ付きのロボットの姿。

更にその奥に進むと、大規模のバリケードの姿があり、その一箇所は穴が開いていた。そこからゾンビが溢れてくる様子はなく、バリケード沿いを進んで行く生存者の一団の姿もある。

『まもなくバリケード内に入ります、慎重にお願いしますよ?』

「慎重と言っても、こっちはもう何も見えないス」

給水塔にいる平山の方からも、小さな点しか見えないという報告をしてから、すでにフェイの近くに戻っていた。

『ひっひ。こちらに来る映像が唯一の視界な訳だーな』

「フェイへの指示を頼む。言った通り双眼鏡でもすでに見えない状況だ」

通常よりも念入りに処理を行った緩衝地帯エリア内とはいえ、パラノイアと決戦中という特殊な状態もあり、平山は操作中のフェイをカバーするように周囲の状況を伺っている。フェイも何とか勘でバリケード内を航行しているような状態だ。

「うぅ。ただ意味もなくコントローラーだけいじってる気分ス」

『フェイさん。ちょっと高度を落としてもらえないですか?』

気になるものがと、言う伊吹に従い何とか高度を落とそうとするが、何も見えないフェイからすれば、どの程度がいいのかすらも全く手探りだ。何とか、伊吹の指示を元に調整を試み続けると。伊吹から大きな声が聞こえ、次に平山のどうしたという大き目の質問が飛んだ。

『わかりません。何かがドローンぶつかったみたいで…、どこかに堕ちたみたいです。飛ばせないか試してもらっていいですか?』

フェイが何とか再度浮かしてみようと確かめてみたが、動きはするものの浮き上がる様子はない。カメラ機能は生きているが、どうやらプロペラが壊れた可能性が高かった。

「ぐぬぅ。誰が壊したんスかね」

『多分、画面に映っているモンキーゾンビ当たりでしょうね。死んでますが』

警戒して破壊を命令されたからであろうモンキーゾンビが、頭から落下してピクピクと痙攣している映像が、ドローンのカメラから映し出されていた。

「マイマスター、次なる任務(オーダー)をお願いしたい」

ドローンが撃墜されるほんの少し前、ロッサは破壊されたバリケード前に到着して、EVEに指示を請うた。ドローンにビジョンの生体回線を一時的に移していることもあり、今のロッサにとっての指揮系統はEVEに移っている状態だからだ。

『ロッサ、今どういう状況ですか』

「友人様の指示により、工作班が破壊されたバリケード前に移動。その後の任務(オーダー)は受理しておりません」

少しだけの間、その後にEVEは意志を持って問うた。

『ロッサ。それは貴方の意思で判断なさい。次なる任務(オーダー)は、友人様から連絡があるまでの間、貴方独自の判断で、拠点の手助けをすることです』

「マイマスター、了解いたしました。このまま突入いたします」

両手のライフルを持ち直し、ロッサはキャタピラを回転させてバリケード内部に突入していく。それは今までの任務(オーダー)を前提とした機械的なものではなく、またこの世界に意志ある存在(もの)が確立しようとする姿にも映る。

『ご武運を、ロッサ』

それに対して、ロッサは答えない。いや、答え方がわからない。しかし、宿り始めた意志で何かを掴めそうな解析(よかん)は出来そうと感じている。

>>510-512
なんて無茶を

>>513
まぁ、大体>>1も予期しないからね。作品柄。

乙!
どうしよう。自我はっきりしてきたら「オーダーを寄越せ!」とかって譲治声で言う様になったら

怪我はするし、ドローンは壊されるしで、踏んだり蹴ったりだな回収組

「オーダーきついですよ~」

見えないのにドローン操縦出来るとか、フェイ凄いな

行商と合流し、一度はゾンビの群れから脱したものの、井門が乗るジープは工作班との合流を果たせていない。すでに第一目標のバリケード破壊の報は聞いているのが、せめてもの救い。少なくても、自分達に向けられている分の群れは、工作班から引き離せているということだ。

残弾についは流石に心もとない状態が続いている。このままジープに乗って迎撃を続けるには、あまりいい量とは言えない。すでに、銃撃による迎撃は必要最低限に抑えている状況だ。

付かず離れずで並走する装甲車に目をやる。助力が必要だろうと、手助けをいきなり現れてしている訳だが、喜読が信用ならない相手、と言っていたことと。この状況で浮かべるうすら寒く感じる社長の笑みは、いつも通り、いやいつも以上に不気味であった。

弾丸の再装填の為か、警戒を平に任せて社長は装甲車の中に入っていく。パラノイアにとって行商は間違いなく敵だろう。だが、拠点にとって味方であるかは、それもまた謎だ。

その引き金がいつ自分に向けられるかはわからない。全てが出払っている今、もしかすれば拠点へ別の勢力を仕向けている可能性すらある。油断ならない相手、守る者である井門にとって、内在する脅威と認識するのは当然のことだった。

装甲車の中に戻った社長は、所狭しと商品が詰め込まれた車内で素早く弾丸を込めてから、自分用の水筒を手に取り、中の水分を口に含んだ。

「それで…?」

課長が井門達のジープの動向を意識しながら、この貢献をいつまで続けなければいけないのか。確認を社長に取る。

社長は、糸を理解してはてと手に口を添えながら、大仰に考えている素振りを取る。それを見て、課長は彼へわずかに向けていた視線を戻し、運転に集中する。それは彼の部下だから良く知っていることだ。

「引き続きあの方達の支援を継続しますよぉ」

課長は返事をしない。決めたことに対して、曲げない時のクセがさっき出ていたのを見て、結論は出ていたからだ。

「…社長」

「なんですかぁ?」

上部の開閉口を開けようとしていた社長は、開閉部分に手をかけたまま、課長の言葉を待った。

「この酔狂はいつまで?」

「簡単ですよ」

ガチャリと扉を開けて、営業的ではない。意志を持った笑みを浮かべ。

「財閥も足元に及ばない大企業になるまでは、続きますよぉ。覚悟してくださいねぇ」

課長は何も返さない。ただ、ハンドルの握る力は、いつもより少し強くなった。

言っても社長が自分で動かなきゃいけないレベルで、人員は不足だし、拾えてもいない訳ね

「やれやれ、老体にゃ堪えるな」

保安官は工作班がバリケード破壊を破壊し、移動するのに合わせて行動しようとしていたが、それを妨害するよう差し向けられたゾンビやモンキーゾンビといった群れを迎撃に手間取っていた。

何とか波は引き、小休憩を取れる状態にはなっている。工作班は見失ったが、バリケードになぞって移動している様子から、すぐに見つけられはするだろうと考えている。気になるのはむしろ、ついさっきバリケード内へ飛んでいった飛行物体と、突入した銀色のロボット。

ロボットについての見当はついている。研究所で作成されたアンドロイド、EVEのことがあるとはいえ、放浪者が例の研究所から情報を回収してからの日にちはあまりにも短く、与太話のようにも思えていた。実際に動いているところを見ると、本心ではないにしてもWWPの組み込まれた研究者集団の実力というものが伺えた。

しかし、気になるのはロボットが突入する前に飛んでいった飛行物体だ。仮にWWPのものならと考え、撃ち落とすことも検討したが、結局、可能性があるのは拠点メンバーの所有物と思いそのままにした。それが正しかったのかは、まだわからない。

ふと、新しい何かがバリケード内に入っていくのが見え、保安官はライフルのスコープを双眼鏡代わりにそれが何か確認する――。

>>519
いろいろ怖いぜ

>>520
エリアから離れてるから判定難易度は低いんだけど、怪我はねぇ。ドローンは飛ばす方は成功判定だけどもね

>>521
がんばれハンター

>>522
たまたまだと思うよb

>>525
まぁ、社員募集してどうやって人が集まるのか

乙!
新しい何か……?他に誰か来る予定あったっけかな?

しかし、バリケード壊すのは良いけど、崩れて上から降ってくるなんて羽目にはならないだろうね?

『放浪者ああああああああ!』

怒声。飽きもせず、繰り返される憎悪を主体とした殺意を攻撃を模すように、パラノイア、いや、キングは放浪者へ耳ではなく脳みそへ直接それを叩きこんだ。

純粋な殺意を、感覚器官の集合体であり脳へ直接送り込まれているにもかかわらず、放浪者に動揺も、恐れも、それこそ、その事へ反発するような敵意もなかった。あるのは、完全なまでに刻み込まれた目的。

「………」

何も答えない。それはもう終わったことだ、何度目かの強襲、その間に言葉を介さない精神(テレパシー)を使った問答は済んでいる。分かり切っているのは、互いに潰す敵でしかないこと。

もちろんお互い、相手を処理することに関して一切の躊躇はない。だが、放浪者だけはキングに対して憐れみを感じていた。もし、変異体(ゾンビ)にさえならなければ、もしかしたら――。

僅かに宿った夢想はかき消して、大型駅エリア。その大型駅前にある大きな広場の前に放浪者は降り立つ。周囲には、当然とばかりに用意された変異体を主体にしたゾンビの群れが彼を包囲する。

「…処理を再開する」

ウェーブソード・デュエルを抜き、放浪者同じようにその群れの中へ音もなく紛れ込んでいった。

放浪者の姿を捉えていた強襲班も、その進撃に勢いが増していた。拠点の長である彼が無事であるという事実、それは何よりもの吉報。彼が移動した航路を考えると、自分達が向かおうとしていた大型駅、彼もそこへ向かっていると考えて間違いなさそうだった。

「でも、なんで放浪者は今来たんだぞ!?」

「わかりませぬが…、一時離脱されていたのかと…」

放浪者が飛び出したと判明し、現在はまもなく昼時になると考えれば、かなりの時間経過していることは間違いない。いくら放浪者であっても、そこまでの時間を戦い続けることは不可能。フロートボードさえ問題なければ、彼だけはバリケードは関係なく行き来できるのだから、不思議なことではない。

「そうかもっすナ。ちょくちょく処理されテるゾンビの姿も、移動途中デあったっすし」

だが、そんなことは些細なことだ。今はこの勢いのままに、パラノイアを一気に処理出来る可能性がある。強襲班としてそのフォローの為の大暴れは、必須のことだ。

「さぁ、兄貴に続クっすよ!」

拠点の精神的支柱、いや、拠点そのものと言っていい彼の生存の確認、そうかもわからない時に比べるまでもなく、士気を上げるに至る事態となって伝播していく。

>>528
この人でした

>>529
もちろん、悪い判定なら起こりえるで



少しおでかけ、余裕があればもう少し更新予定。

『放浪者の野郎、生きてやがった。ロッサ、大型駅に向かってる。援護にいけ!』

「次なる任務(オーダー)を確認。友人様、畏まりました。マスターの援護へ向かいます」

散発的に破壊されたバリケード付近でゾンビを処理していたロッサに、次なる任務が下る。生存を確認した放浪者(マスター)への援護。

自身のEVE(マイマスター)が仕えるトップ。それがロッサが放浪者に対する認識(データ)だ。重要な存在を危険な場所へ突入し、戦いをすること自体、ロッサについては奇妙なことではある。そういう存在ほど、何かがあった時に備えて後方にいるべきなのではと、入力された情報をもとに意見(こたえ)を出している。

そういう存在と認識しているからこそ、インプットされた地図情報を元に最短で向かおうとする。だが、整備されていない荒れた道は、キャタピラとはいえ走破するのはなかなかの試練だ。そもそも情報通りの道もない、事故車両で封鎖されていることなどザラだ。そう、想定外のことが起きるのが、今の都市攻略では自然な事。

『ロッサ! 正面注意! 見たことねぇデカブツだ!』

横転していたはずのバスが、轟音と共に地面に付いたまま回転し、側の壁に激突。その向こう側から、それこそ象が思い切り地面を踏みつけるかのような、重い音と共に巨体と、その両手に持っている瓦礫をロッサ目がけて投げ飛ばした。

飛んでくる瓦礫を判断し回避したが、足を取られ回避しきれず左腕の二の腕部分にぶつかる。その衝撃で腕は変形し、持っていたライフルを落とす。どうするかの判断に気を取られている間に、その巨体はかなりのスピードでロッサへとつっこんできていた。

『ロッサ、とにかく回避しろ。お前でもまともに受けたら、無事にゃすまねぇ!』

完全に脅威を認識し、エクスから連絡があったとはいえ、不意を喰らっての瓦礫に比べればまだ、その突進は会費は容易かった。何より、直線的な動物的な突撃で、素直に横へ避けるだけで済むのは大きい。

だが、脅威が終わったわけではない。この巨体は自分を明確な敵として襲ってきている。それを処理しなければ、放浪者(マイマスター)の援護へ向かう任務(オーダー)はこなすことができない。

瓦礫を受けた左腕の状態だが、可動に関わる部分へのダメージがあり、動かすことが難しい状態だった。また、落としたライフルについても、今の突撃の際に踏まれたのか、無残な状態で路上に散乱している。つまり、右腕に残ったライフルで、相手を対処しなければいけない。

無効にはマッスルゾンビなど目ではない巨体が、壁にぶつかり動きを止めている。高さ的には建物2階部分に相当し、全身の筋肉が隆起している。もはやゾンビと称するにはかけ離れた、化け物(モンスター)と表現してもいいだろう。

『パラノイアの隠し玉だ! 名前はとりあえずオーガと呼称、いったん引け!』

「いいえ」

EVE(マイマスター)が言っていた、人間の文明復興の手伝い。それが継続して続く、任務(オーダー)。目の前にいる存在は、それを確実に邪魔をすると分析(りかい)したからだ。ならば、選ぶのは逃走ではなく。

「マイマスターより直々頂いた任務(オーダー)、人間の文明復興のお手伝いの為、貴方を脅威と判断。処理します」

残る武器を構え、徹底抗戦の意思を、ロッサは示した。

ここまで。もちろん何もない訳がない。


>>533の訂正
×その向こう側から、それこそ象が思い切り地面を踏みつけるかのような、重い音と共に巨体と、その両手に持っている瓦礫をロッサ目がけて投げ飛ばした。
○その向こう側から、それこそ象が思い切り地面を踏みつけるかのような、重い音と共に巨体を現し、その両手に持っている瓦礫をロッサ目がけて投げ飛ばした。

>>534の訂正
×「マイマスターより直々頂いた任務(オーダー)、人間の文明復興のお手伝いの為、貴方を脅威と判断。処理します」
○「マイマスターより直々に頂いた任務(オーダー)、人間の文明復興のお手伝いの為、貴方を脅威と判断。処理します」

まだあったい

>>534の訂正
×完全に脅威を認識し、エクスから連絡があったとはいえ、不意を喰らっての瓦礫に比べればまだ、その突進は会費は容易かった。何より、直線的な動物的な突撃で、素直に横へ避けるだけで済むのは大きい。

だが、脅威が終わったわけではない。この巨体は自分を明確な敵として襲ってきている。それを処理しなければ、放浪者(マイマスター)の援護へ向かう任務(オーダー)はこなすことができない。

○完全に脅威を認識し、エクスから連絡があったとはいえ、不意を喰らっての瓦礫の回避に比べればまだ、その突進は回避は容易かった。何より、直線的な動物的な突撃で、素直に横へ避けるだけで済むのは大きい。

だが、脅威が終わったわけではない。この巨体は自分を明確な敵として襲ってきている。それを処理しなければ、放浪者(マスター)の援護へ向かう任務(オーダー)はこなすことができない。


オーガやべぇ

乙!
ロッサ、せめて佐原チームが合流するまで耐えてくれよ……!

オーガ、な……ウイスキーでも直に飲ませたら、何か変わるかね?

ロッサが持つアサルトライフルが火を噴く。オーガと呼称された新たに確認され、そして即座に脅威と判断された変異体。恐らくはマッスルゾンビの亜種の身体、建物にぶつかりそのままになった背後にめり込む。

そう、それは文字通りめり込んでいた。筋肉が厚い背部に当たった弾丸は、内部まで貫通するどころか表面にその弾があることを視認できた。

『ロッサ。強襲班に援護を要請した。だけど、無茶すんじゃねぇぞ。お前がやられても、意味はねぇ!』

「友人様、ご配慮いただきありがとうございます」

エクスも、ロッサの視界(カメラ)からその脅威を確認している。はっきり言って、今まで確認した変異体の中で群を抜く脅威だ。建物から出てきたオーガの突進は、それこそ動物のサイや象を彷彿とさせる圧倒勘と速さ。何より、振るわれる拳の威力もかすっても致命的なダメージになりかねない勢いで、ぶつかった物を破壊する。

初陣であるロッサであっても、自身が動作不能(はかい)に至る可能性を理解した。だからこそこの脅威の排除は避けて通れないと分析(はんだん)している。

「すごい音が聞こえるぞ!」

エクスからの要請により、強襲班はロッサがいると指定されたエリアに急いでいた。本来なら、大型駅に向かった放浪者の援護に行くのが、優先すべきこと。確かにロッサを失えば、この戦いにかなりの影響が出る。それは間違いない。

だが、ロッサは生み出すことができたアンドロイド。EVEとは違い、壊れてもその気になれば同じものは量産できるだろう。究極、使い捨てにしても問題はなかった。

「早くしないとヤバいっすナ!」

「御意…」

しかし、探索組はそのEVEと共に死線を潜り抜けてきた。アンドロイドを新たな種として受け入れた、エクスとは別の意味での友人達だ。それは放浪者であっても同じだろう。

放浪者という存在が確認できた以上、パラノイアの討伐は彼が行うべき任務だ。強襲班がすべきなのは、彼が動きやすいように援護をすること、そして窮地の仲間を救うこと。ならば仲間であるロッサの援護に行くのは、当然の流れだった。

だが、それを汲んでの動きをパラノイアは見せる。ロッサの援護をさせんとばかりに、そこへ辿り着く道をゾンビで埋めていく。この鬱陶しさは、本当にどの変異体にもないもので、佐原は内心辟易としていた。妨害が予想通りだとしてもだ。

幸いがあるとすれば、妨害に利用した分の戦力は、放浪者にそれだけの負担が減っているということ。

「ぐぬぅ、いちいチ相手にしてたら、キリがなイっす」

「どうするんだぞ。このままじゃ間に合わないぞ!」

一点集中にて倒して通り抜けるには、文字通りの肉の壁となって押し寄せるゾンビの群れには不可能。そして遠回りしている余裕はない。

僅かにどうするかの思考する間に、向かうべき方面から甲高い音が鳴り響いた。連絡はないが、下手をすればロッサがやられた可能性さえも想像できる。

「強行突破するほかありませぬ…」

その群れに飛び込み、錬浄はゾンビの肩や背を足場にして一直線に駆けだす。

「錬浄さンも、わりと大概っすよネ。いクっすよ、藍」

「うわわわ!」

有無を言わさず藍を脇に抱えた佐原は、それに倣って同じように一直線に駆けだした。

>>537
イメージ的にはバキのアンチェインさんがそのまま変異体になったらな感じ

>>538
実は地味に合流自体は今回失敗判定です。

>>539
燃やした方が早いかな。



>>534の訂正
×無効にはマッスルゾンビなど目ではない巨体が、壁にぶつかり動きを止めている。
○向こうにはマッスルゾンビなど目ではない巨体が、壁にぶつかり動きを止めている。

乙!
ロッサの明日は、どっちだ

オーガとの戦いは防戦が精いっぱいの状況が続く。その巨体に似合わない速さは、狙い撃つという動作の余裕を与えない。分厚い筋肉に覆われている以上、明確な急所、頭部に攻撃を加える他ない。

機械(アンドロイド)による緻密な計算(プログラム)を持つ正確な射撃も、回避を優先して荒道を走り回らなければいけない状況では、意味をなさない。何より、ロッサはそういった事の経験はほとんどない。その上、これまでの調整も、片腕が使えないという状況は一切想定もされていなかった。

人間であれば、この状況は絶望し、恐怖を覚えるだろう。そして大抵、その恐怖を活かせないまま、強力な拳で肉片にされるのがオチだ。アンドロイドであるロッサにそれはないことが救いか、どうか。

避けられることにしびれを切らしたように、オーガは突進後側にあった自動車を持ち上げ、ロッサに投げつける。剛速球のように飛んでくるそれを、かろうじてロッサは避けた。

同時に、投擲によって動作を止めたオーガの頭部に向けて、銃撃を行う。それが、これまでの防戦の中で唯一出来た狙える隙だった。

飛び出した銃弾はオーガの頭部を貫かず、丸太のような左腕が盾となり防いだ。ロッサの思考がパラノイアは読めない以上、それはこのオーガ自身が持つセンスとしか言いようがない。

つまり、決定打を与える為にはわずかな隙を狙うのではなく、相手が防御を取れない状態にするしかない。しかし、残された弾数はわずかで一度体勢を立て直す余裕は、自身の分析で極めて困難と結論を出す。何か、変化がない限り――。

シャランと、金属が奏でる小気味いい音を拾う。オーガ、そしてロッサも聞こえたほうを見ると、その向こうには僧が錫杖を左手に持ち、右手を供えて念仏を唱えている姿だった。その異様と言える様子に、オーガはターゲットを変えて、僧に向かって突進を仕掛ける。

「喰ラええええっす!」

物陰になっていた位置から、人型の狼が飛び出す。咄嗟のことにオーガも反応が遅れ、振りかざされたハンマーが側頭部に叩きつけられた後。

「これでトドメだぞ!」

その狼男の背後から今度は子供が飛びだし、刃状になっている両腕でオーガを斬りつけた。

だが、それでもオーガは倒れる様子は見せない。藍の斬りつけは急所ではなく、反射的に防いだ右腕、その右手の中指の第一関節部分、人差し指の第二関節部分を斬り飛ばし、上腕を斬りつけたに終わった。2人はそのまま、オーガを壁として蹴り、距離を取る。

処理できなかった事実は変わらないが、先ほどまでのロッサの戦いと違い、明確な怪我を負わせた。それに側頭部を打ち付けられたからか、反応はだいぶ鈍くなり始めている。攻めるなら、今しかない。

その判断(ぶんせき)を下したロッサは駆ける。人間の文明復興、その脅威の排除は何にかけても優先すべき任務(オーダー)。それを逃す理由はなかった。

ロッサの動きを察知した錬浄が、次に飛びかかる。それは、急所への攻撃ではなく、膝。いくら筋肉が隆起していようとも、根本的に筋肉がない部位。そこに錬浄の力を持って殴りつければ、砕けない道理はなかった。立つのが困難になった巨体は、仰向けてアスファルトの路面に崩れ落ちる。

崩れ落ちたと同時に距離を詰めていたロッサは制止し、機械が持つ緻密な計算(プログラム)での射撃を持って。

「排除いたします」

数発の銃弾はすべて、オーガの顔面に撃ち込むことに成功した。

COOL!コンビネーション!

乙!
良かった!みんな間に合ってくれたんだ!
でもこれで残弾使い切っちゃったうえに損傷もあるし、ロッサは退却かな?
足場にした後追いゾンビが来てない道があれば、だろうけど

念のため、佐原が更にヘビーハンマーでオーガの頭を殴りつぶす。大きくオーガの身体は跳ねて、その後動く様子はなかった。

「お前がロッサっすナ。間に合ってよカったっす」

「援軍に来ていただき、誠にありがとうございます」

強襲班も、オーガの脅威は一目見て理解できた。もし、第一波の中に紛れ込んでいたら、自分達も生きていたかわからない。ロッサの状態もそれを物語っている。

合流には時間はかかったが、無事ロッサの援護が出来、このバリケード内で確認された変異体の中で1番危険な存在も処理出来た。後は、強襲班はこのまま大型駅に向かうだけだ。

『助かったぜ。ロッサ、早急にメンテナンスが必要なのと、補給がいる。今度こそ戻れよ』

「脅威は排除いたしました。友人様の任務(オーダー)に従い、帰還いたします」

ロッサはエクスの指示に従い、入力されたポイントへ移動を開始しようとして、止まる。そして、旋回して強襲班に向き直ってから。

「ご武運を、皆様」

引き続き死地へと向かう強襲班の3人に、EVE(マスター)にかけられた言葉を、真似て伝えた。

ふふ、粋なAIだぜ
彼独自の成長も、楽しみになってくるな

>>544
わりと判定厳しかったけど何とかなりました。

>>548
むしろこうでもしないとヤバい存在とも言える

>>549
二度目の合流判定は無事成功。その後、共同での撃破判定も成功してこの通りに。
まぁ、帰還できるかの判定もこの後だねぇ。


では寝まする

お休みなさい。疲れが少しでも取れますように

撃破乙!

∮'s ~ The end justifies the means

「これで終わりー!」

工作班も2つ目のバリケードの破壊に成功していた。1つ目の破壊の時に比べ、かなり迅速に任務を終えることができたのは、フェアリーがその作業に慣れが出来たからか。それとも先ほどのバリケード内部で起きた、オーガとの戦いによる影響。あるいは、生存を確認された放浪者にパラノイアがかき乱されているからか。

だが、どれであろうと結果は変わらない。強固な城壁として立ちはだかっていたバリケードは、今や城門を破壊された城と同じになった。複数の侵入路があるということは、それだけ守る側には負担がかかる。パラノイアと言えど、もはや許されざる状況になってきていた。

エクスからの通達で、放浪者の生存、ロッサが一時撤退と亜種のオーガ処理について報は、すでに工作班にも届いている。ロッサの撤退は一時撤退は痛手だが、その他の情報は工作班の士気を上げるのに十分なものだった。

報復として送り込まれたであろう、新たなゾンビの群れの包囲も、工作班にとって脅威ではない。乗り換えるべき壁でしかなかった。

「EVE、右方向のゾンビをせき止めを! 正面を林道さん、一ノ瀬さん。左方向はフェアリーちゃんと、エコーさんで処理を! バリケードの方は私と西切さんで対応します!」

素早く全方向のきているゾンビの量、その内訳を判断してメンバーの分配を素早く指示する。自身の思考は読まれているのは承知のこと、だからこそ出来るのは当然の組み合わせ。いつも通り、当たり前を崩すというのは容易い事では消してない。それがパラノイアであったとしても。

「来るよ。一ノ瀬君」

「はい。林道さん!」

それぞれの得意の獲物を構え、ゾンビと対峙する。その量はけして少ないとは言えないが、もはやそのこと自体に既視感があり、言ってしまえば今更だった。

林道が持つ技術で放たれる電気ロッドは、ゾンビを素早く無力化していき、一ノ瀬はそのカバーの為に振るうメイスが、ゾンビの頭をくぼませる。彼等の当たり前を積み重ねていく。

不意に、何かがこすれる音がした。その後、駆動音がこちらに近づいてくる。2人が向けた視界の先には、2台の戦闘車両。その先頭にいるジープを立って乗り、アサルトライフルを構え狙う井門が、2人に向かうゾンビの群れに向かって銃撃を開始した姿だった。

回収組は、継続してその場からの偵察を行っていた。フェイの負傷が尾を引いている形で、撤退したとして役立つことはなく、バリケード周辺に近づこうにも2人でこの攻勢を凌げる状態ではない。

結局のところ、パラノイアの感知外と思われるエリアから、ゾンビの群れがやってこないか偵察する。脅威になる動きがないかを、戦闘地域の近隣から確認するのも、重要で回収組としてできることだった。

そんなフェイの、双眼鏡越しの視線の先に、一瞬動く影が見えた。素早く確認しようとしたが、物陰に入り見えなくなってしまった。動きそのものは、ゾンビや変異体のように緩慢ではなく、意志があるように彼女は見えた。

注意深く更に見ていると、十字路の右側。建物の陰で見えなかったところから、銀色のアンドロイドが現れ、こちらに向かって走ってきている。

「平山さん! なんか来てるっス! ロボットっス!」

「こちらも、大型トラックが向かってきてる。恐らくは研究所のアンドロイドだな」

それならちょうどいい合流になる。平山はそう思って、フェイに合流する為建物から出ると指示を出した。

>>551
どんな風に成長するのかねぇ

>>553
ちょっと寝すぎたかな

>>554
本当に倒さないといけない相手はまだ残ってるけどねぇ

>>555
《目的の達成は手段を正当化する》 かな。ググったら出たけど。
まぁ、そんなもんよね。

>>555のはキリ番からのファイズ繋がりなレスだろうね

乙!
いやーしかし、日に二度も更新されるなんて、今日はツイてるな!

工作班は人数多い筈なんだけど、戦闘はキツそうに感じるな

ロッサが研究所の研究者及び技術者によって、修復されていく。損傷を受けた左腕については、予備用の左腕に取り換えることで対応している。そのほかにも、瓦礫の破片などで受けた小さな傷や、内部に問題ないかのチェックも進められていた。

「どうも、本造っていいます。回収組の人、ですよね?」

「そうス!」

まだまだ新米の本造が、警備を申し出た2人に近づいて話しかけた。

「申し訳ないですけど、この場所、ロッサの補給地点にするんで、バリケードとか作る間まで見てもらってもいいですか?」

「それは構わない…。しかし、私達はロッサと共にバリケード付近まで近づく予定だ。君達だけで大丈夫なのか?」

その事には、少し本造が言おうとして濁す。言いづらいことがある態度を取った。フェイは首を傾げ、平山は大方の察しはついた。

その察しが当たっているか、おおよそ居るであろう場所に目をやると、刀を持った少年と、目が包帯で覆われた少女がこちらに向かって歩いているところ。

その少女、覚が流石ですねと答えるように、平山に向かって静かに微笑んだ。

「覚ちゃん!? 今回は拠点にいるんじゃなかったスか!?」

驚いたフェイが、彼女に尋ねながら走って近づいた。もちろんそれを聞かれるのは承知だった覚は、いつものように神聖性を持ち、落ち着いて答える。

現状、拠点側の任務の遂行は、妨害にあり遅延は合ったものの進んでいる状態だ。攪乱作戦を遂行していた井門、佐田の2人も無事工作班と合流。一時的とはいえ、行商のメンバーも手を組んでいる。

援護に来ている保安官も、消費した弾丸を補給する為に、それを用意したポイントへ移動している最中。強襲班も生存を確認した放浪者の援護の為、大型駅エリアに侵攻。

具体的なトラブルは、ロッサの損傷と、フェイの負傷。それ以外にパラノイアは拠点にダメージを与えられていない。うまくいけばと考えられなくもない状況にまで持ってきている訳だが。

「…パラノイアではない、空白の意思を感じるのです」

それを言葉にするのは難しかった。確かにそこで存在することは感じられるのに、思考や感情がない。あえて言うなら、監視カメラのようにその場をそのまま映しているような存在。

それがなんであるか把握する為、覚はこの場所まで近づいてきたのだった。

それがなんであるかは、平山は聞けなかった。パラノイアと同じく、相手を全知する能力の覚がわからないと言っているなら、意味はないことだからだ。

「意思がない存在など、ありえるのだろうか…」

「少なくとも、感知できるということは生存者かゾンビの類には違いありません。そして、大型駅エリアのバリケード内、そこで動かず佇むように存在している。パラノイアがそのような生存者を見逃す訳はありませんから、恐らく何かの変異体の一種」

オーガという脅威が去ったにも関わらず、内部にはまだ不気味で静かな何かがいる。その情報は、ブラストシューター、ディフェンススパイクを持つそれぞれの手が、強く握られる。

修復は終わったぞと声が上がり、元通りとなったロッサが改めて都市へ向けて移動を開始した。その存在がどのような脅威かはわからないが、もしかしたら新たな苦戦を用意しているのかもしれない。

「私はこの場で感知を続け、同時にこのポイントの維持を行います」

「俺もこの場所と美弥ねぇを守る!」

日本刀の柄に手を置き、やる気に満ちた勝の様子は、前のパラノイア包囲戦よりも一段とたくましくなっていた。

「お2人が行ったら、防衛装置の設営もバリケードと設置と一緒にします。お気をつけて」

「回収組の皆さま、ご同道いたしますのでよろしくお願いいたします」

これからの回収組とロッサの新たな任務は、破壊されたバリケード自体の確保。破壊したとしても脱出時に、ゾンビによる妨害を受けるのは明白な事。だからこそ、その妨害を遅らせる為に必要なことだった。

回収組とロッサが移動開始したのを見届けて、研究所のメンバーは防衛装置とバリケード設置に動き出す。現状、覚が感知する限りでゾンビの存在は確認できない。緩衝地帯であるのと、以前パラノイアがゾンビを招集したことで、このあたり一帯は自然と空白地帯になっているのを、彼女は実感する。

覚の感知を抜けて、このポイントまで襲撃をかけるということは、パラノイアでも不可能なこと。意思を持たずに行動するということは、生き物にはできない。思考まで読めなくても、小間城、風虎の感情は読み取れ、位置もわかる。例の空白の存在、それ自体は読み取れるのだから。

だからこそ気になる、感知して尚、その精神(なか)を探れない存在。今でになかったこと、全知である覚にとってはそれは異質すぎた。

だからこそ、この場所に来ている。それに、来たことで確信を頂けたこともある。この存在は近づけば近づくほど、パラノイアと同じように存在の気配が大きくなる。それはつまり。

キンという音を、覚の周囲の人間は聞いた気がした。それに反応して、心配そうに彼女を見るのは、勝と本造の2人だけ。

「安心して」

それを理解している彼女は2人にそう声をかけた。

「次こそ、あの攻撃を仕掛けたら私は死んでしまう。放浪者さんが言っていた通り、この戦いで優先すべきは生き延びること、私もそれに従う。けれど、メンバーの皆さんが生き延びることも優先すべきことだから」

精神への直接的潜入(ダイブ)、その中で自身の意思の爆発はもはや自滅行為だが、相手の精神集中(コンセントレーション)を乱すには好都合だ。

大多数のゾンビを操り、状況の把握を行い、そして指揮を行う。その一連の中に入る異物。

「(…お久しぶり、でしょうかね)」

『貴様、次々と邪魔を…!』

極彩色の映像と、強烈な一方的なまでに蛮族と罵る憎悪。気持ち悪さはあったのも、前の戦いで理解した彼女にとって、慣れたものだった。

『忌々しい蛮族共め、我々の邪魔をするな!』

「(それは、違いますよ)」

その意思の言葉は、何よりも冷たい。それこそ、何物もにも突き刺すことができる氷のナイフのように。

「(貴方は独り、ずっとずっとそうだったのをお忘れですか)」

パラノイアの精神に刺しこまれた。

>>560
動画のネタとかで刺しこまれてる程度に知らないからなぁ。そうなのか。

>>561
一応休日以外にも更新できるように心がけて維持できてない始末。

>>562-563
人数増えた(想定外付き)方がまぁ、安全は安全だからね。
パラノイアには良いのかちょっと何とも言えないけど。


>>566の訂正
×その情報は、ブラストシューター、ディフェンススパイクを持つそれぞれの手が、強く握られる。
○その情報は、ブラストシューター、ディフェンススパイクを持つそれぞれの手を、強く握らせた。


>>567の訂正
×現状、覚が感知する限りでゾンビの存在は確認できない。
○現状、覚が感知する限りでこの周囲でゾンビの存在は確認できない。

×気持ち悪さはあったのも、前の戦いで理解した彼女にとって、慣れたものだった。
○気持ち悪さはあったものも、前の戦いで理解した彼女にとって、慣れたものだった。

乙!
意思を消し、静かに隠れ潜むインテンションステルスアンノウン……パラノイア視点で言うロッサの様な存在の正体とは、一体何なのか

操れるから仲間意識だけは生まれるだろうけど、それでも明確で強固な意識を持っているのはパラノイアだけだもんな

覚ちゃんがさとりみたいだから、こいしみたいなのが湧いて出て来たのか?w

大型駅はこの都市が近年で大きく経済的な発展を遂げたことにより、改修された。それ自体がすでに大型の集合施設となっており、1階部分が駅の主要な部分と、一部軽食などを扱った店舗。2階以上はそのまま商業施設が入っている。商業施設と駅の部分だけで行けば5階建てだが、正面右端に連結しているホテルも含めると20階以上の高さになる。

大型駅の正面に当たる北口の前は、バス停が並び、噴水などもある広場になっている。大型駅自体の外観は、全体的にガラス張りで、右側に高層ホテルが伸びている。その北口の左右に日本の柱が立ち、その中央に提灯がつけられているのが印象的だ。

その場所に降り立った放浪者は、静かにその出入り口へと向かって歩いている。彼の周囲に倒れる、処理されたゾンビの群れなど、最初からいなかったような振る舞い。冷徹なまでの意思を持ち、歩みを止めない。

自動ドアのガラスは破壊された状態で、開閉されていた。どういう訳か、電気は生きているようだ。それとも、不思議ではないのかもしれない。

財閥系列の企業にWWPの息がかかっていた事、それは拠点でも周知の事実だ。なら、街そのものに息がかかってなかったかと言えば、それは間違いなくNOだろう。そもそも、風虎を生み出すに至ったMOP(混合生物計画)はこの都市に地下に眠っていた。なら、こういう施設はWWPにとっても重要、『何かあっても』機能する用意はされているのは、想像に容易い。

中には、外の群れを処理することを前提としたように、第二波がもう用意されていた。咆哮を上げて突っ込んでくる。クローゾンビ数体、数が少ない変異体をここまで集められるのは、やはり亜種としてのパラノイア(キング)の力だろう。

コマンダーゾンビは、個体も少なければ遭遇して生き延びた生存者も少ない、情報が限られている変異体。だが、少なくても変異体を操ることができない、というのが生き延びたことのある放浪者の元々の認識だった。それを覆したのが、パラノイアだ。だから、この状況に驚きもしていない。ただ冷静に、全て斬り払うだけだ。

変異体の中で素早さが上位になるクローゾンビ、洩れなく全てすれ違いざまの斬撃を受けて、その速さのまま倒れ、光沢のある床面をすべっていく。慣性の力が無くなり、そのまま動くことはなかった。

剣をその群れの中で、目立つ数体に突きつける。彼の視界の先には、倒したはずの亜種である変異体の姿がある。褐色肌で赤い目をした、それぞれの得意な武器を持つ。アクスマンとソードマン、それと同類と思われる存在。

「…奴は、いないようだな」

正面を切って戦う性格ではないのは、すでに把握している。いないことにも、落胆はない。だが、拠点のこれまでを確定させるために、パラノイアに、落城か配送か、それを選ばせるつもりは放浪者にはなかった。

剣戟による響きが広がる。放浪者が一気に、ゾンビや変態の群れを割け、その褐色肌の亜種に攻撃を仕掛け、それを相手の持つ槍で塞がれた形だ。アスクマン、ソードマン共にこちらの動きに反応する、ということはなかったが、今回の亜種は全員予期した動きをしている。

「(…ゾンビと変異体は、これまで通りワンテンポ遅れているな)」

広域な支配範囲の戦闘を全て操作する。そんな脳が肥大化したとはいえ、処理能力に負担をかける状況でパラノイアはいる。故に、以前よりも繊細な動きを欠いているように彼は感じられていた。その中で、目の前の亜種達は自分の動きを読み切った動きを見せる。

攻撃についても、コンビネーションを意識されており、それはさながら探索組が普段行う戦い方にも似ていた。

驚きはしない。戦きもしない。その事だけわかれば、放浪者には十分すぎた。もはや人の域を超えたという表現も、不思議ではなくなった彼にとって、自分達が行うそれに比べて、児戯だった。それと同時に、無意識とさえいえるレベルの、殺意なき攻撃は読み取れる亜種にとっても、脅威だった。

ウェーブソード・デュエルの機能を使い、防ごうとした槍ごと1体を斬り分け、それに動揺した近くのもう1体の首元にスパイダーウィップ・ツィンズの杭を撃ち込む。杭を展開し、巻き付ける力で残りの亜種に投げつけ、回避の動作で横へ飛び、その着地地点にいた放浪者に首を斬りはらわれる。

最後の1体は、読み取れることに何の意味も感じられなくなっていた。むしろ沸き立つのは、黒い水が沸騰するような恐怖。これから、自分がどうなるかという、理解。逃げ出しても追いつかれるという、諦め。

意を決して、震える手で無様に剣を持ち上げた右手を振るおうと、走り出そうと足に力を入れた時には、すでにその最後の1体の眉間に放浪者の持つ剣が突き刺さっていた。

>>569
なんだろうねぇ。

>>570
まぁ、そういうところでもあるね

>>571
キャラ的にいても不思議ではないっていう。


さて野暮用でこれまで。戻って更新できるかは微妙。

>>574最後の一体「(放浪者に対して)こんなんチートや!チーターや!」

意を知るとて追い付けぬもの 放浪者 それと接敵してしまったゾンビは1D6のSANチェックです。

ハンターは、地下道を経由して大型駅の地下にある広場にたどり着いていた。戦闘が長引いていたからだろう、流石の彼も疲れを感じている様子で、水が流れていたであろう噴水の縁に腰かけ、紫煙を纏っている。そして、その周囲にあるのは、いつも通り処理されたゾンビや変異体の無残な姿が、地に伏せる。

もちろん、この状況にハンターは違和感を覚えている。状況から、この大型駅内部に噂のパラノイアがいると彼は想定していた。その本陣に潜り込んだ、だというのに今処理した以降の敵の増援はやってきていない。

こうやって自由に振る舞えるほどの実力がある彼だとしても、スタミナには限界がある。その部分については、ゾンビの方が圧倒的に優位だ。疲れるということを知らないように、動かす身体(きかん)に何も異常がなければ、追いかけ続けてくるのだから。

そうされれば、ハンターも当然。抗いようもない。そしてパラノイアがその事を理解していないはずはない。

つまり、自分がほおっておいてもいいと思えるほどの事態が、この付近で起きている。と、結論付けるにはもう一つの違和感によって出来なかった。

もう一つの感覚。それは何と言えばいいのか。真夜中、物静かな部屋で無音のテレビをつけた時のような、無いと発信された音を聞くような、そんな感覚。

つまり、何かがいる。パラノイアかも知れないし、全く別の変異体。あるいはミュータントの類。それがこの周囲にいると、ハンターは考えた。

「…。はん、そうすることが答えってことだろ?」

チェーンソーを起動して、右口角を上げて歪んだ笑みを浮かべる。つまり、今までは気づかれず別の場所に居させる為に、自分に何も仕向けなかったということだ。だから、自分の考えが当たっていたという証明として、ぞろぞろと新しい群れが押し寄せてきていた。

自衛の為と考えるのがシンプルだろう。パラノイアが自身の居場所を隠す為、何もせずハンターが通り過ぎるのを待ったという可能性はなくにはなかったが、そもそも好戦的な相手と聞くだけに想像できない。なら、たまたま今、パラノイアが対処しなければいけない事態が解消したから、攻撃を再開した。とも彼には思えなかった。

明確に、パラノイア以外がいると考えたタイミングで起きている。それはつまり、同じような存在がこの大型駅にいるということを、応えてくれたのだ。

チェーンソーの駆動音が木霊する。まだ見ぬその相手を、威嚇するように。

>>576
うんまぁ、そう思われても仕方ない。

>>577-579
一応放浪者は人間です、それだけは言っておきます。うん。


ちょと買い物、何もなければ再開予定。

乙!
謎のやつは地下だったか

はっ、しまった!>>1さん誕生日おめでとう!!

ロッサとの共闘の後、強襲班は大型駅にたどり着いた。すでに、処理されたゾンビの群れが駅の前の広場に横たわっている状態だ。

ここに来るまでの間、妨害と言えるゾンビの襲撃はなかった。正しく言いなおすのであれば、3人にとって妨害と言えるほどのものではなかった。

放浪者の姿は見えない。恐らくすでに内部へ侵入しているのだろう。それを追いかけようと大型駅内部へ入ろうとしたが、大型駅自体とまた外周からゾンビと変異体の群れが、飽きもしないように3人を襲う。

「良い機会ですな…」

その光景を見て、ボソリと錬浄は呟く。もちろん、藍はどういう意味かと尋ねた。

「放浪者殿はすでに内部おられるとすれば、我々がこの場所を抑えることによって、パラノイア自身の増援を抑えられます…」

「おー、確かにそウっすな」

もちろん、大型駅の出入り口は他にもあり、地下道も繋がっている。主要な北口を抑えたところで、パラノイアの防衛に回す増援自体ができない訳ではない。

だが、それでもこの広場を抑えられるのは痛手になる。そもそもが、強襲班を放浪者と合流されるのは最も避けるべきであり、その場所に縛り付けなければいけない。その為に差し出す犠牲は避けられない、そしてその分だけパラノイアを守るための戦力は確実に減少する。

だから、錬浄の意図をくみ取った2人はその提案に乗る。もちろん、ここまでの戦闘は連続しており、長期化している。簡単な休憩を取ったとはいっても、疲労が3人に蓄積している状態だ。一度撤退の判断を下しても、何も不思議ではない。

しかし、強襲班の一念はパラノイアを処理する一点だけだ。これを成すことが、全てと言い切っていい。

「じゃあ、ちゃチゃっと大暴れすルっすよー」

「ここは通さないぞ!」

もちろん、そもそもの問題はパラノイアがこの大型駅に居るのか、という部分だ。放浪者がこの場所にいる可能性は、広場に倒れていたゾンビの処理された状態を見れば、十分に高い。そして、間違いなく放浪者はパラノイアを追いつめている。

彼がいるならパラノイアはいても不思議ではない。それだけの事実で、強襲班は十分だった。

部隊を構成するはたったの3名。そして、当然。人の域を超えたと評せる放浪者をトップとした部下であり、それぞれがそれぞれに、人ならざる部分を持っている。それを相手取るのは、パラノイアの民と言える。我を持たず、操られるゾンビ達。

「この者達を、極楽浄土へ導かん…」

一騎当千の異形と、単一の意思しか持たない群衆がまたぶつかり合った。

>>583
はてさて

>>584
あんがとさん。


さて、今日も短いですがここまで。なんでこの月末に忘年会やら予定が連続するかね?

乙!
そこは単純に、年末だからなんじゃあないんでしょうかねぃ?

年末最後まで乙です

一騎当千の異形(一応、適応者なだけのムキムキマッチョマンのモンク一人は除く)

>>588
忘年会無しで新年会やるかぁっていってて結局やるというね

>>589
年末までに区切りを作りたかったけどねぇ

>>590
まぁ、見た目は異形ではないね


実家帰省中ですが、素でダイス等を忘れたので戻るまでは更新はないです。
いつもの新年お祭りについては、この状況なのでね。そちらもなしの予定です。

ではよいお年を。

あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いしま~す!

あけましておめでとうございます
今年も放浪者達の日常を楽しませてもらいます

>>592
うん、よろしく

>>593
日常っていうとほのぼのなイメージあるよね


実家より戻ってまいりました。とりあえず、環境変わったのもあるので、休み更新が主になるかと。
そろそろスパートだねぇ。

回収組とロッサもまた、工作班が最初に破壊したバリケードにて悪戦苦闘していた。こちらにも当然、ゾンビの群れが押し寄せていて、バリケードの確保を進める為、文字通り障害としていつも通り立ちふさがっている。

もちろん、それに対しての戦闘は主にロッサが行い、支援はフェイ。平山は破壊されたバリケードの整備及び再構成。人数の不足はどうしようもない、そして繰り返しになるが拠点に属する者に『何もしない』という選択肢はない。

「(く、想定以上にまだゾンビがいる…!)」

平山の予想を大幅に超える総数、覚悟はしていたとしても絶望的な状況に変わりはない。そう、作戦の進捗の中で『まだ』重傷者や死亡者を出していないだけであり、いつそうなってもおかしくない状況から何も変わってないのだから。

「くぬぅ、まだバリケード敷設も出来てないスのに…!」

『後方、更なる増援を確認。残弾チェック忘れんな!』

言葉に従い、ロッサは残弾のチェックを瞬時終わらせる。このままのペースでいけば、確実に使い切るのは簡単な量で、もちろん回収組でもわかり切ったことだった。

フェイの目には、建物の屋上の端にしゃがみこむジャンピングゾンビの姿が見えた。それは、猫科の動物のように飛びかかる姿勢を見せている。もちろん、それは特技の飛びかかりの予兆。

視線を向けた先、ジャンピングゾンビも同様に見ているその場所、平山はバリケードの設置を急ぐあまり、今置かれている状況を把握できていなかった。サイドブレーキを下した自動車を移動させて、今自分に攻撃が降りかかるとは露ほども思っていない。

それに気づいたフェイが声をあげ、同時にジャンピングゾンビが跳ねる。顔を上げる平山が見たのは、途中で顔がはじけ飛び、地面に落下したジャイアントゾンビと、反射的に上げた盾に付着した肉片。

「何が…」

その言葉の間にも、今度は聞こえた発砲音の後に、近場のゾンビの頭がはじけた。平山とフェイは、破壊されたバリケード入り口の方に振り返ると、ウェスタン調の男がライフルを構え、こちらを見ている。保安官の姿があった。

「今のうちだ、敷設を終わらせるぞ! 2人とも引き続き頼む!」

「畏まりました。戦闘を継続いたします」

ロッサのアサルトライフルが唸り、フェイはその補助や囮を担う。バリケードを敷設しても破壊されのは目に見えているが、それでもそれを準備させる時間を奪うことは、できる。

ここまで。


自分の役割はこれを書き切ることなんだろうなと、何となく思う。
とりあえず、いろいろあった。それだけです。

新年から忙しいだろうという所に隙を見ての更新、ありがとうございます!
それにしても平山さん、ヤバいとこだったな

保安官キター!

でも想定以上には居るらしいから、カバーしきれるのかどうか……

井門と行商が合流した工作班は、勢いに乗り3つ目の破壊に成功する。これだけの脱出候補を用意すれば、工作班としての役目は果たしたと言っていい。バリケード破壊の報告の後、防御に向いた塀に囲まれた建物に入り、防衛態勢を維持したまま、全体的に小休止を取る。

工作班として考えられる行動は2つ。このままバリケード前に残り、そこに残存するゾンビを可能な限り処理すること。あるいは、バリケード内部に突入してパラノイア討伐に加勢する。

小休止をやっととれたという状態で、メンバーの消耗が激しいのは事実だ。ここまでのバリケード破壊をノンストップで行えた事自体が、強行軍という行動に他ならない。そう考えるならば、このままバリケード前に残る方が無難だ。

しかし、それは自分達の身を考えているだけに過ぎない。中に入ったメンバーが、そもそもこの破壊したバリケード前にたどり着ける確率は、高いとは言えない。徹底したパラノイアの抵抗を受け、満身創痍で大量のゾンビを相手取りながら戻ることになるのだから。だが、先に触れた通り工作班は消耗しているのは変わらない。

『生き延びることを死守せよ』、その命令を最大限に生かす判断を、山中はすでに決断していた。

「バリケード内部に突入します。危険も皆さんの消耗も承知していますが、パラノイアが持つ戦力、それを自由に使わせること、それが最も我々を危機へと導くと判断します」

「……。全員、持ってる武器のチェックを、10分後出発。でいいですか、山中さん」

えぇと、肯定を井門に彼女は返す。疲労の色は隠せはしないが、全員にこの決定へ関して不満や反対の様子は見えない。むしろそれが当然であるかのようにも見える。

だが、その表情そのものが見えない。言ってしまえば異物がこの場には居る。

行商、本来であれば拠点も、それこそパラノイアも予測していなかった第三勢力。こんな状況でも、いつもの微笑みを漏らす社長は、異質でしかない。

「で、あんたらはどうするつもりなんだ? 言っとくが更にヤバくなる。のん気なドライブはできねぇぞ?」

「ふむぅ、そうでございますねぇ」

井門の疑いを含む視線を受けて、社長ははてと手に口を添えて、大仰に考えている素振りが食わせ者として、拠点メンバーには映り、それを横で見た課長は、そっとため息をつき、平はただ機械のように突っ立ている。

「もう少々だけお付き合いいたしますよぉ。もしお入りのものがございましたら、この間でお売りいたしますがいかがいたしますかぁ?」

「…やめとく、すでに高くついてそうだからな。わりぃが、そっちはそっちで身を守ってくれ。あんたらの戦い方は知らないからな」

身を護る術は心得ていると言って、社長は課長と平を連れて外へと出ていく。恐らく、愛用の装甲車で準備が必要なのだろうと考え、井門は特に止めなかった。問題は、どこまでその助力をこちらに押し付けてくるか。後々の交渉に悪影響がない事だけを、祈った。

だが、そんな井門との考えよりも、社長の考えは先にあった。時折聞いていたこの拠点が目的とする文明復活、それはつまりその場所に人々が根付くということ。これまでの戦いの状況を見るに、この勢力は考えている以上に力を持っている。その目的を達成できる可能性は十分にあった。

それならば、完全にそう言った場所が出来る前に、危険承知で恩を売れば、自分の会社の繁栄に結べる。好立地、あるいは好条件で店を提供してもらえる可能性は、高くなるだろう。それならば、命や物資を担保にする価値は十分にある。自分の会社を惨劇後の大企業にする、それが、社長の命題なのだから。

>>598
まぁ、いろいろとね。

ちょいと演出もありきのところもあるけどね。

>>599
おとんの安心感

>>600
まぁねぇ。



というか、行商さんが思いのほか離脱判定失敗せず、未だに付き合ってくれてるという不思議な状況に。

乙!
バリケード内に入って、進もうかっちゅう所で離脱判定出たりしてw

中で彼らを待ち受けるのは……

>>605
でちゃうやもねぇ

>>606
なんだろうな


本日お休みでしたか。どうも意欲が出ず、ここのところ放置してたWIKIだけ手を加えました。
前に見直しした時に入れてなかったプロジェクトがいくつかだけです。多分まだ漏れがあるんだろうけど。

準備を整えた工作班はバリケード内部に突入を開始した。期せずして、拠点の勢力はほぼその場所へと集まっている。それぞれの班は、任務の進捗以外に詳しい状況の説明はしていない。にも拘らず、それは導かれているようにも思える。彼等に、そんな考えなど微塵もないだろう。

もちろんそんな状況を知らない工作班は、新たに向けられたゾンビの群れに対処しながら侵攻を続ける。前方は山中、林道。中央に井門、西切、エコー。その左側に行商の装甲車、右側にEVEが盾として配置。後方はジープを運転する佐田と、後方確認の一ノ瀬。残りの小間城、風虎、フェアリーは遊撃として動く。

内部に入ってからの攻撃は、バリケード破壊時よりも苛烈になっていくが、どこか手ぬるさも感じられた。言うならばそう、集中を欠いているような状況だ。

山中に想像できるのは、強襲班がパラノイアを追いつめている可能性だけだった。自身が安全な状態であれば、各地で起こっている戦いだけに全てを注ぎ込める。しかし、危険な状態が迫ればそうはいかない。

あと1つ考えられるとするなら、その想定をして踏み込んでくる自分達に対して、危険な何かを用意しているか。

短いけれど、ちょとおでかけでいったん中断。

勘がいい人ならわかるだろうけど、この後判定です。

乙!

「荒い息遣い…。来る、警戒して…!」

エコーの音響探査の報告と同時に、小間城と風虎も合わせて明らかな警戒態勢を取った。今まで群れの襲撃の度に警告を発していたそれぞれが、それ以上を示す反応は全体に警戒を奔らせる。井門は素早く、その数と方向を確認した。

「5体それぞれ、四方から来てる…! 速い、一体何…?」

工作班が進んだ位置は、T字路の手前。左手にテナントビルが並び、右手奥に工事現場があり、右手はコンビニとその駐車場があって、その後ろは同じようにテナントビルが並ぶ。

高速で迫る相手は限られてくる。ジャンピングゾンビやクローゾンビと言った変異体が代表的だ。しかし、エコーは聴いたことがないという様子から、もしかしたら亜種か。確認されていない新たな存在である可能性が高い。

何より不穏なのは、今は群れがこちらに襲い掛かってこず、姿が見えないことだ。何を企んでいるかなど、想像もつかない相手だが、わかることは一つだけある。

その高速で迫ってくる存在は、間違いなく自分達にとって脅威である。ということは。

工作班は素早くT字路付近に集まり、それぞれの方向を警戒する。左側はビルによって壁になっている状態だが、変異体によってはそれを意味をなさない場合が多い。もちろん、元々から壁ではなく人が入れる作りなのだから、行き来は出来るものではある。

しかし、どんな方法でこちらに来るかわからない相手であるなら、その場所に向かって警戒するのは当然のことだ。なぜなら。

何かが割れた音、そう一ノ瀬が呟き、「来た…!」とエコーが言った時には、2度目の割れた音の後、彼等の頭上にガラス片が降り落ち、それに対抗するように動くそれに井門が反射的に銃弾を撃ち込む。

着地したその相手のフォルムは、もはや狩りをするためだけに、作り出されたように見える。肘から先はすべて刃となっていて、もはや人間というより獣のように鼻先は延び、牙も伸びている。変異の過程で破れたパンツから見える脚部は、しなやかさと強靭さを感じる筋肉を感じさせ、長い足先でその力で地面を蹴りその脅威的な速度を持ってこちらにやってきたことを想像させる。

クローゾンビの亜種にも見えるが、どちらかというとスラッシャーの亜種に、山中には見えた。言うなら、上位種。それが、次々と4体彼等を包囲した。

>>610



はてさて。

>>612の訂正

×言うなら、上位種。それが、次々と4体彼等を包囲した。
○言うなら、上位種。それが、更に4体次々と飛び降り、彼等を包囲した。


訂正洩れ。いやいっぱいあるんだろうけどもね。


上位種が5体か、キツいな

まるで妖怪:カマイタチだぜ……!(汗

素早く動いてきたのは、EVEの側にいる1体の上位種。最初に飛び降りたということもあり、体勢が整ったと同時にその刃を振りかざす。状況分析を終わらせているEVEは、それを冷静にイージスの盾で受け止める。

「いくら変異体(あなたがた)が凶悪になろうとも」

まるで地団太のように叩きこまれる刃を受けながら。

「ここは通さない」

エクスによるAI解析後、EVEは明確な意思を示し始めている。それは何を意味をするのかはわからない。しかし、少なくてもそれはアンドロイドという種の始まりだろう。それが続けられるかは、この脅威に対処できるのか。いや、もしここが終わっても彼等は脅威の対処を続けることになる、戦いの歴史以外が刻まれるのは、いつになるのか。

「動きを止めるよ…!」

新たな爆竹に火を点け、上空にエコーは投げる。聞こえない破裂音の代わりに、光が発するタイミングで周囲の上位種達は打撃を受けたような動作を取る。

「うーん。足が速いなー」

西切も同じように後方にいる1体の上位種の足を、矢で貫いた。

「やれやれぇ、足を止める我々には厄介な相手ですねぇ」

左側に着地した1体の上位種は、その驚くべき跳躍力で装甲車の上部に着地し、急いで閉めたハッチに向かってその刃を叩きつける音が車内に響いている。

幸いというか当然というか、その刃が固い装甲を破ってくるということはない。しかし、このままではらちが明かない上、大きいとは言わないまでも装甲に傷がつくのは当然のことだ。それを黙って過ごすというのは、営業時に見せる車両としてはいかがなものか。

上部は確かに目に入りづらい所ではある。それでも、見張りに立つ時、人員は高い所に配置するのが一般的。つまりは、上部の方が目に止まりやすい情報になる。

「うーん。まぁ、こんなものでいいですかねぇ?」

販売の品の中から取り出すのは、フラッシュライト。軍用の懐中電灯で、通常のものと比べて明るさが段違いに違う。

「じゃあ、平君。合わせてくださいよぉ」

素早く自分側、かつ未だ殴られるハッチを開け、社長は上位種の顔面に向かって光を放つ。明るい状態とは言え、いきなりの強烈な光は上位種の視界を奪う。

社長がまたハッチを閉めたと同時に、機関銃を構えた平がその鉛玉を叩きこんだ。

>>615
ついに上位種が出る始末。まぁ、そもそもオーガ出てますが

>>616
名称それでいい気がする。

乙!
新しい上位種出現にも、苦戦どころか動揺すらしないとは。いやはや、やはりとんでもないお方々よ

商人達もやるねぇ

次に明確に動き出したのは、正面、山中と林道がいる方面に向かって、2体の上位種が攻撃を仕掛ける。気合の雄たけびをあげ、林道は電気ロッドを振るう。上位種は、それを左の刃で受け止め、残った刃で彼の胸中央部分目がけて勢いのまま貫こうとした。

その右の刃が触れた感触は、空だった。何もなく、視界に林道はいない。その状態で左半身に強烈な衝撃が奔り、虚を突かれたことで抵抗も出来ず、上位種は衝撃のまま後ろに倒れていき、今度は腹部へ鋭い先端が突き刺さり、更に加速した勢いで全身を地面に打ち付けた。

カチンという音共に、全身がはじけるような衝撃を伴う痛みで、上位種は痙攣する。腹部へ突き刺さった感覚のそれが無くなり、全身の力が抜けて、首元に鈍く形容したくない音が最初に来て、喉元に溜まった何かを吐き出して、身体を動かすことが出来なくなった。

「次…!」

林道はこの処理を電気ロッドがあったからに過ぎないと考えている。無手で遭遇すれば、この速さを考えると逃げることもできるかどうか。だからこそ、処理の早さは早い方がいい。時間が残れば、その脅威は簡単に牙を剥くのは誰でもわかりきったことなのだから。

林道が上位種の1体を処理している間、山中は2つの刃をペガサスの右足で受け止めていた。ペガサスは高速移動を兼ね備えているが、下手な避けることはそのまま後方へ侵入を許す。それはつまり、回収組の陣形の真ん中へ入られてしまうということだ。

ギリギリと、力比べが続く。展開して、攻撃をするには相手の隙を狙わなければならない。相手も、それを本能で感じているのか、他の上位種とは違い刃を何回も叩きつけることはなく、押し込もうとする。

状況を打開する為、山中は左足の空気を噴射し刃に沿って上空に飛び出す。バランス崩しながら前進してから、飛びながら反転した後、獲物として認識した山中の行き先を、上位種は見上げる。そしてそこには山中はいなかった。

「根本は変わりませんね」

冷静に解析している声の後、側面から上位種の左脚部、脛の部分から曲がるのを感じてから、身体は地面へ叩きつけられる。立ち上がろうとした上位種が最期に聞いたのは、後頭部から何かが砕ける音だった。

上位種は着々と3体、地に伏せた。被害は出ていないが、それでも予断は許さない。それぞれは言葉にしないが、ここにきての、変異体。それも亜種からの更なる形態の出現は、これからの彼等の行く末を想像させる。すでにそうであろうオーガの存在を聞くのと、今そうであろう上位種を目の当たりにするのは、別か。

「ふん、足に矢を受けた割には速い…」

刃を受け止めた一ノ瀬の横から、佐田の機械仕掛けの槍が飛び出すが、当然のように上位種は避けた。それを見た佐田は、射出した槍を戻し構えながら愚痴る。

すかさず抜いた拳銃で井門が追撃を仕掛けるが、まさしく縦横無尽という言葉が合う。動きを読んで出なければ、銃撃で処理することは厳しい状況だ。

「はいはい、もうちょっと引きつけてくださいねー」

井門の射撃に合わせて、西切が更なる支援の為に弓を引く。確かに動物的な瞬発力のある本能的な動きは、予期しない回避をすることが多い。それでも。

射る矢は、スムーズに飛び。上位種の肩を貫く。西切にとってなら、ある種直線的な動作しかとらないなら、まだ当てられる範疇だった。

>>620
この連中に奇襲で襲われたWWPの兵士ってどんな気分だったんだろうねぇ

>>621
まぁ、伊達に危険にいくようなお仕事してないからね。

乙!
作品のキャラってのは本当に凄いな。放浪者はその辺も冷静に視野に入れてそう

専用武装を持てる人の格が違うって事だろうけどね

この世界に宮本明氏がいたら、状況はどれくらい変わるだろうかね?
あ、吸血鬼共はおまけで付いて来なくて良いから。     来るなって!

【新約・吸血鬼】
血に餓えていた。そして、望めるのであれば、新鮮な血を啜りたいと願いながら道を進む。目の前を歩く彼女の首筋が、その餓えのせいで目に入ってしまうことに気分も滅入る。

この体になって、この感覚を覚えることへの制御はそれほど難しい事ではない。自分にとっての新たな食料に、血が含まれたというメリットもある。でも、時折仲間を間違って襲うかもしれないという心配も、当然付きまとう。

やむを得ず、ポシェットに入れた残り半分の血液パックを取り出して吸う。少々劣化しているそれは、普通の人間が口にすれば吐き出してしまいかねない味でも、自分にとってはまだまだ嗜好品の味の域だ。でもできるなら、やはり新鮮な血が一番。

「また。血が欲しくなったの?」

自分の様子に気づいた仲間、彼女は振り返って微笑む。血の衝動を患うものの、その代わりに得た強靭的な身体能力を持って彼女を救い、それからはずっと一緒に放浪を続けている。

「そうなんだ…。また君の血を呑みたくなってしまったからね」

「別に遠慮しなくていいよ? その分、僕が食料をもらっているんだから」

普通の食事は、自分には味気ないものになってしまった。血だけでは生きていけないから、食べるには食べる。それでも一番は血の味で、それが飲めるのならそちらがいい。彼女にその分の食料をあげ、彼女から血をもらう。そういった共存関係とも言えるのかもしれない。

彼女の手が、ソッと自分の頬に触れる。少し上気したような顔を見ると、まるで魅了を受けたように思える。身体の変化は、強靭的な素養。純粋な肉体の向上や、怪我の治癒の早さは元より、その姿そのものにも影響を与えた。

ちらりと、壊れたガラスの一部に映る自分の姿を横目で見やる。そこには白髪となり、赤い目をした美しき姿があった。それは、以前の自分の姿とは異なっていた。美しいと形容されるような容姿ではなかった。

「いや、構わない。君への負担の方が心配だから」

「…優しいね。じゃあ、近くに病院あるみたいだよ。血液パック、探しに行こうか」

非常に魅力的な提案に、もちろん自分は反対しなかった。それでも、血を呑んで衝動が落ち着いた今でも、彼女のうなじは、目についた。

>>626
まぁ、放浪者はそこいらは考えてるだろうね

>>627
持てるだけの評価ってことdからねぇ

>>628
こうなった。まぁ、例の人は扉の隙間に刃通してロックを切り飛ばすとかしてくれてるから、
そこそこ変わりそうではあるね。



まぁ、そんな訳でリハビリがてらでした。これ日版の吸血鬼(ミュータント)ってとこです

明確な一撃を与えられない苛立ちからか、上位種は再度一ノ瀬に攻撃を仕掛けようとして、後方にいる井門へ飛びかかった。フェイント、本能的な動きをすると思っていた相手だけに、誰しもその行動に虚を突かれた。

「なめんな!」

だが、仕掛けた相手が悪かった。井門は自身が持つバランス感覚のおかげで、メンバー内で最も状況分析に長けている。簡単に不意をついたぐらいで動揺する人間ではない、それさえも最悪の1つとして片隅に置いておいたものの1つ。予期しているなら、人は動ける。

飛びかかりに噛みつきを、ライフルの銃床をその口に入れてそのまま突き出す。空に浮いていた身体は、その勢いで回転して仰向けに倒れた。ライフルで口から頭を押さえつつ、井門はウェーブナイフを頭に突きさし、粘ったその1体も地に伏した。

「エネミーダウン!」

これで残りは、EVEが抑えている最後の1体、素早く体を起こしてそこに向かう井門の目には、そのEVEと超能力者の2人、フェアリーとエコーの姿だった。

この短い戦いも、あと1体の上位種を処理することで完了する。飽きもせず、奇声を上げながら最後の上位種はイージスの盾を叩きつけている。EVEはそれを、何事もないような無表情のまま抑えていた。

「フェアリー、僕が動きを止める。止まったら攻撃するんだ」

「あいあいー」

エコーはホイッスルを取り出し、勢いよく息を吸ってからそれを加え、音を『鳴らす』。そしてそれはもちろん、誰にも届かない。音は実体を持ったように上位種へと降り注ぎ、衝撃のまま身体は揺れ、動きが止まる。

「飛んじゃえー!」

本当に空高く、上位種は飛んでいく。身体が落ちるように空中へ浮くと言う事態に、上位種は理解できずに空中であがくように四肢をばたつかせる。だが、空を飛ぶ事が出来ないのと、身体の機能上、バランスを崩した状態で受け身を取るのは難しい。

自分の持つ質量と重力を持って、地面へ改めて落ちる。受けたダメージは軽いものではなく、身動きを取れるようになるまで、回復の時間は必要だったが、無慈悲に落ちてきたコンクリート片の瓦礫が降り注ぎ、それは叶わなかった。

「…スラッシャーからの新たな変異。エクスから共有のあったオーガも、マッスルゾンビからの亜種ではないかもしれませんね」

戦いにおける状況の確認と、武装のチェックを兼ねて、工作班は小休止を取っている。その間に山中と井門は、今回の上位種について調べていた。その他のメンバーも、思い思いに武器のチェックや警備を行っている。

その光景を行商の社長が眺めていた。そのきびきびと動く様は、恐らく合流する前から変わっていないだろうと予想できた。そして、つい先ほどまでの戦いぶりを見ても、今まで接触したどの勢力よりも凶悪な力を持っていることを、想像ではなく実感として理解する。

だからこそ、社長の中で純粋にこの戦いの行く末に興味が出てきた。ここまできて、崩壊するのか。あるいは、このまま奇跡的にすべて無事に終わるのか。どちらか、それとも更に想像しない何かになるのかを、見届けたい。

「(たまには、そんな余興に付き合うのもいいかもしれませんねぇ)」

これから先も、どんな隠し玉があるかはわからない。はっきり言うならリスクだけが大きくなっているのはわかっている。好奇心は猫を殺す事にもなりえるだろう。だからこそ、あえて動向を続けることに社長は決めた。

ここまで。行商さんがなんでかずっといますよ。

乙!
やー、本当凄まじいな。味方も敵も。まぁどっちにとっても大一番だから、こうなるのが自然なんだろうけれども

ここでは吸血鬼になると白髪になるのか。まぁ、にょきっと生える城に住んでる某CV若本の吸血鬼さんも白髪だし、そんなもんなのかな

「飛んじゃえー!」の無邪気感好き

そういやトムさんとか今頃何してるんだろうなー

それぞれの準備が終わり、工作班は侵攻を開始する。放浪者や強襲班がどこで戦っているのか――そもそもハンターがこのエリアにいることさえも――知らない彼らに、向かうべき場所はわからない。

しかし、あらためて向けられるゾンビの群れを考えれば、それだけでも彼等の手助けになることは確実だった。

「やはりか…」

戦いの中、林道はずっと抱いていた疑念を理解した。それは、先ほどの上位種、カマイタチ。合わせてエクスから共有の在ったオーガの情報。共通していたのは、それらの戦闘中にゾンビの群れも一緒に攻撃を仕掛けて着ていなかったこと。

「もしかすると、パラノイアは亜種以上の存在は、操れないのかもしれませんね」

「…、詳しくは後でお聞きします」

もちろん、と山中の返事に林道は頷く。推測があっているかは、いつも通りわからないところだ。だからと言って思い付きと言う訳ではない。オーガは聞き伝い程度でわからないが、カマイタチは明らかに連携を取った行動はなかった。それぞれがそれぞれに工作班へ攻撃を仕掛け、結果破れた。

操れず強力な変異体がいる、その戦いにゾンビを投入すれば、恐らく無駄な被害が出るだろう。それを避けたのかもしれない。また、操れないだけで暗示を刻み込み。一定エリアから出ないようすれば、疑似的に戦力として置いておける。バリケード破壊の暗示をかけたと思われるパラノイアなら、不可能ではないはずだ。

つまり、この先にも、同じような強力な変異体が、眠っているかもしれないという、証明にもなる。

何かがいるという感覚を強く受けるのに、その正体がわからない。ブランクとハンターは勝手に呼ぶ相手は、この大型駅の地下にいることは確信していた。寄ってくるゾンビや変異体を処理しながら、それがなんであるのか探る。

もう1つの確信がある。この存在は残しておくには危険性が高い。物理的な脅威というよりも、言うなら存在すると厄介な、例えばレーダーのようなもの。

そして、その核心を抱いている自分がいることを許さないように、彼に向けられたそれらが、今は姿を見せなくなった。

いる、それもすぐそばに。なのに関わらず、姿が見えない。しかし、その事自体にハンターは違和感を覚えている。なぜなら、先ほどの無音を感じられる。それも強力に。

今いる室内は体育館やホールのようなところだ。正面に壇上があり、中央部分に何か宗教じみた配置で溶け切った蝋燭が放置されている。その周囲には血が飛び散っていて、より一層不気味な雰囲気を醸し出している。

だからこそ気づけたのだろうか。その中央部分に、ぺたんと両足を広げて座り、中空をぼんやりと眺める、褐色肌で赤い目をした変異体が、言葉通り出現したように、ハンターには見えた。

召喚儀式……?まさかマジもんのオカルト系怪異が呼び出されでもしていたのか……!?

ゆっくりと近づいていく。珍しくチェーンソーを起動させることもなく、それこそ淡々とした様子でハンターはその変異体に近づいていく。褐色肌の、アクスマンやソードマンの亜種と同類と思われるそれは、その彼に反応することはない。

だが、抵抗と思われるゾンビや変異体がハンターの入ってきた出入り口から、殺到してきた。いつもなら好戦的な態度を示す彼が、今に限ってどこかその状況を他人事のように見ている。もちろん、戦意を失ったわけではないが、処理する時のそれも普段の激しさはなかった。

説明するまでもなく、ハンターが全て処理し終えた後。亜種、いやブランクへと近づいていく。首を切断できるまで、あと一歩というところで、頭に叫びが叩き込まれる。

『やめろおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!』

「やめねぇよ」

チェーンソーではなく、持ち替えていたナタでブランクの首を斬りはらった。叫びはブツンと途切れ、静かに聞こえたのは『あ、りが…ぅ…』という、か細い声。

「……。胸糞のわりい」

これからあるかは知らない。それでも、憐れみを感じた初めての変異体だったことが、ハンターの心に刻まれた。

もしかして、いつかの攫われた人……かなぁ
パラノイアは父親気分だったんだろうか?

>>636
総力戦だからね。仕方ないね

>>637
何が理由って訳じゃないけど>>1がそういうイメージなのが強い

>>638
まぁ、子供(帰り)だからねぇ

>>639-640
サムだね。まぁ、これやぼ的なことはしてないから何ともだけど、無事なら東京周辺にいるかと

>>643-644
うんまぁ、COMPとかのプロジェクトない限りは一応怪異的な物はない。と思われ。
ブラインドというよりは、どちらかというと意識操作系かな。

>>646
ヒント。パラノイアの類似性。
多分これでパラノイア(というかもうキングなんだけど)の厄介さが1つわかるかな。

成長(進化)で操れなくなる……一人立ちって事、なのか?

放浪者は大型駅に隣接するホテル内部にいた。大型駅の商業施設にいないと、感じたのが理由だ。その事自体に理由は、いつも通りに。あえて言うなら、いつもの勘。

しかし、その上で彼はキング(パラノイア)を追いつめていると、ホテルの中に入って確信を持てた。何故なら、自分に対する抑えきれない怨嗟をひしひしと感じることができるから。それは何も不思議なことは何もない、今までしてきたことが、そのまま答えとして向けられた感情。

ウェーブソード・デュエルを抜き身のまま、階段へ飛び移る。飛び前にいたのはホテルのロビー、真ん中正面に3基のエレベーター、その左横に4階まで続く階段。右手はホテルの出入り口で、後ろの右にフロントと大型駅に直通する出入り口がもう1つ。真ん中には待合にも着ける革張りのソファーとガラス机が何組と、その横に観葉植物がある。

3階部分へ飛び移り、更に着地した柵から飛びあがって、4階部分まで一気に到着する。何度か往復し、先ほどの再突入時に、メンバーや仲間が任務の遂行をしている姿を確認していた。となれば、もう戻ることは許されない。メンバーの安全確保に費やせる時間は無くなり、メンバーの無事を確定する為にキングを討つことが、何より重要なことになる。

ならば、飛ばした1階から3階の間で構えているゾンビと、やりあっている暇はない。


ひっっさびさの放浪者サイドだね

予定調和としてゾンビは放浪者へ対して、壁として向かってくる。室内は、当然のことながら行動に制限がかかる。幸いなことに、このホテルはゆったりとした広い作りになっており、放浪者からすると頭上はがら空きだった。

順当にキングに近づいている確信をもって、ゾンビの群れの上部を通り越し、そのまま真っ直ぐ進む。もはや、変異体にすらも放浪者は気にしていない。あるのは、キングを処理する一点。それが彼のすべき事であり、彼だからこそできると、信じられていることだ。

行き止まりの先には、非常階段を示すラベルが扉の上部に張られていた。扉が開錠されているのをドアノブを回して確認した後、蹴破ってすぐ横の壁に回りながら移動すると、矢が数発その向こうから飛んできて、何本かが壁に突き刺さった。

知恵を使う相手なのだから、何も不思議なことはない。だから、非常階段に突入したと同時に感じた殺意と、聞こえたは銃声、通り過ぎた後の床に出来た弾痕にも、放浪者は驚きはしなかった。

非常階段内は螺旋階段になっており、真ん中が吹き抜けになっている。放浪者の動きを読むように、吹き抜けを通って上部に移動しようとした瞬間、その経路を狙って銃弾が撃ち込まれた。

彼が上部を見ると、羽毛付きのフードがついた白色のコートらしきものを着た、褐色肌の赤い目をした変異体が、柵から身を乗り出して持っている拳銃を使い、こちらに発砲している様子だった。

「…捉えたぞ」

もはや、彼に階段など無意味というような動きで、ファントムブースターとスパイダーウィップを使って、まさしく吹き抜け部分を飛びあげるように、急上昇していく。

その変異体。いや、キングは狙撃を諦めて中へ戻っていった。あるいは、新たな策の為に自身を囮にして中へ中へと誘っている可能性もあるだろう。今付きまとう危険さえも、放浪者はいつも通りと受け取っていた。いつも通り、ハイリスクでリターンを得ることそのものに、何も変わりはない。

キングが見えていた階層にたどり着き、放浪者は開け放たれた扉へ向かって一気に飛び込んだ。

>>649
うーん、パラノイア自身による限度ってとこかな。

>>651-652
まぁ、真打ですからのう。

上に落ちる冷徹

ゾンビに癖に銃使うとか生意k……あぁ、変異体だから最早ゾンビじゃないってか

もしかしたら、最初に撒かれた変異物質自体を進化させる為に、人体を触媒にでもしているのか?ゾンビ化や変異はその副作用みたいなもんで……

【それも1つの系譜】
「こんのぉ! 負けてられっかよぉ!」

その人間は、全身に薄こげ茶の毛が全体的に生え、頭部の額両脇に鋭い角があり、目は全体的に黒い。一瞬なら、もしかしたらただの人間に見えたかもしれないが、それは明らかに人間とは思えない容姿をしていた。

何より、この人間。いや、ミュータントはマッスルゾンビの全力の殴りを両腕の防御で受け、その威力で後ろに後退させられたに過ぎない。ダメージはあまり受けてないだろう。それは、その声と同時に飛び込んで殴り飛ばしたマッスルゾンビが、そのまま仰向けで倒れたのがいい証拠だ。

「だあああ! 変異体が多すぎる!」

言葉通り、そのマッスルゾンビ以外にも、彼の周囲を取り囲んでいる多数のゾンビと、少数の変異体。かなりの戦闘力を見せつけたとはいえ、数自体はどうしようもない。

この事態を打開する武器を持たないミュータントは、側に倒れ、半分折れていた電柱を持ち上げ、それを一番数が多いと思う群れの方向へ投げつけた。いくらかを巻き込みながら、落ちた電柱は瓦礫へと変わる。

「くそ、もっともっとだ!」

そこからは手あたり次第だった。こちらへ来るのが物理的に遅くなるのも兼ねて、ブロック片や大型物を投げつけていく。そこまで狙っていた訳ではないが、最終的に積み重なったり、それである程度処理が出来たことで、ミュータントは囲まれずにすんだ。

「…仲間誰かなってくんねぇかな。いねぇよなぁ。そうだよなぁ」

ここのところ多くなった独り言を漏らしながら、ミュータントはその包囲から抜け出して、一息つける場所を探すことにした。

>>656
それに狙われるってどんな気分だろうねぇ

>>657
変異体としても異質な知恵のある変異だから、道具ももちろん使える。

>>658
面白い推測だねぇ。いや、ダイス様決めるやもだからなんとも>>1が言えんのだけどね。



と言う訳で、幕間。純正パワータイプです。

乙!
喋れても信用してくれる人に出会えない。ってのは、ツレぇよなぁ……

こういう人知れず戦ってるミュータントいるんだろな
佐原に合わせてやりたいんもんだ

飛び出した先は、ホテルの廊下。そして、入るタイミングに合わせて、弾丸が放浪者に向かって飛んでくる。そして、それは彼に当たることなく、廊下の向こう側へと消えていった。

足を止めることなく、その弾丸を放つキングの下へ、飛び出していく。物陰になるようなものはなく、左右均等に扉がある。キングは廊下の一番奥、横倒しにしたテーブルを盾にして今度はどこで手に入れたのか、アサルトライフルが火を噴いている。

キングの銃弾は、ある意味では正確である意味では正確ではない。人の行動を読み取れることから、射撃をするタイミングは完璧だろう。しかし、銃の扱い自体は慣れている訳ではない。知識として『収拾』したものがあるだけなのだ。

もし、キングに井門ほどの技術があれば、放浪者でも弾丸の回避は難しいだろう。もちろん、元々銃弾の回避自体が容易ではない、という前提を抜かしてだ。

一気に近づいた放浪者は、ウェーブソード・デュエルを振るう。同時にアサルトライフル投げ捨て、腰にある剣を引き抜きながら、キングはその一太刀を受け止めた。

つばぜり合いの状態になる。激しい憎しみの表情を見せるキングとは対象に、放浪者はどこまでもいつも通りの表情だった。彼も、この戦いがこの都市攻略における、最後の山場という理解していてその事への力むは一切ない。

『貴様だけは、貴様だけは絶対に…!』

その、すまし顔とも言っていい放浪者の状態に、キングは気づくことすらできないほど、憎しみを募らせている。キングはこの戦いで、ひたすらに失い続けていた。アクスマン、ソードマン、そして内部にいたオーガといった上位種や、ハンターが処理したブランク。

それに対して、放浪者は何も失っていない。もちろん、全ての状態を彼自身把握出来ている訳ではないが、感知できるキングだからこそ、その状況を嫌でも理解しなければならない。だからこそ、憎い。自分達の楽園を踏みにじりながら。

―――何も失わないなど。許せるわけもない。

背後の廊下にある、全室の扉が開けられ、その中から一斉にゾンビの群れがこちらに向かって飛び込んでくる。自らを囮にし、キングは放浪者を殺すことに、今、全てを注いでいる。

キングはつばぜり合いの状態でテーブルに蹴りを入れる。が、読んでいた放浪者はまだ余裕のある後方へ飛び、更に勢いをつけて、テーブルを飛び越えながらキングへを斬りつけ、読み切ったキングはそれを受け流し、横にあったもう1つの非常口に飛び込んで扉を閉め、鍵をかけた。

キングの階段を昇っていったであろう足音と、迫りくる背後のゾンビのうめき声が聞こえる。その事に放浪者は焦りもせずに振り返った。背中にある窓明かりを頼りに、その群れの詳細を確認すると、今まで戦った群れに比べて、明らかに変異体の数が少ない。急ごしらえの罠なのは想像がついた。それぐらい、キングも追い込まれているということだ。自身を囮にする必要があるほどに。

つまり、これまでの作戦の推移は何も問題なく、全メンバーや仲間が進めてこれたという証明。当然、他と全く連絡を取っていない放浪者では知りえない。そんな事態が起きていることはあり得る可能性は十分ある。

だが、もしそんな事態が起きていたとしても。いや、起きているのであれば、彼がキングを処理できなければ、それこそ顔向けできないことになる。

放浪者は押し迫るゾンビに、ウェーブソード・デュエルを構えなおした。

>>661
まぁねぇ・・・。自分のせいでもないってのが辛い所だろうねぇ

>>662
それなりにいるよ。サムもしかり。まぁ、この幕間も序盤で話し出たのだけど。
佐原も基本的には、今の状態になってすぐに放浪者に運よくあえただけだから、同じ道だったかもねぇ・・・。

乙!
マスクドポーカー ワンダラー

まーた撤退かあんにゃろうは……!

素早く、ウェーブソード・デュエルを横に一閃する。狙いは、最前列のゾンビ達の脚部。移動する為の部位を失ったゾンビは、切断面を滑るように倒れていく。その上を、後方のゾンビが踏みつけ、転倒してその上に連なっていく。

足止めは終わり、後方にある窓ガラスを蹴りわり、放浪者は外へと飛び出す。そのまま身体を反転させ、スパイダーウィップを壁に食い込ませ、ファントムブースターで姿勢を整えた後、一気に今度は上へと飛びはねる。

キングが非常階段に入った際、階段で移動する音はわずかながら聞こえ、それは上に行ったと放浪者は確信していた。しかし、本来のコマンダーゾンビに共通するのは、自身の危険を感じた際に逃げ出す。ならば、上の階層を目指すのは得策ではない。逃げ道が限定化する上、袋小路に陥る可能性すらある。そして、知恵あるキングがそれをわからないはずはない。

だが、2人はある種の共鳴をしていた。今日を持って、この戦いに終止符を打つという、共通の意思が、そうさせていた。

だから、来いと言っている。だから、放浪者はそれに応えるべく飛び、最上階の窓ガラスを突き破りながら中に入る。

中は、パーティー会場に使われるような丸型のテーブルが、壁際へ均等に並べられている。自分側の後ろに扉、その最奥にグランドピアノ、その手前には剣を抜き構えるキングの姿があった。

『貴様だけは、絶対に殺す!』

「…同感だ」

最後の戦いが始まった。

>>667-668
まぁ、基本的に表情豊かではないからねぇ

>>669
そしてそれもここまで。後はダイスのみぞ知る。


前スレの>>1000、どうなることやらね。

乙乙!
遂に最終局面かっ!?

意外と整えられてた舞台

電撃弾を撃ち込まれたマッスルゾンビは痙攣し、膝から崩れ落ちながら痙攣する。油断するなと、襲われかけた一ノ瀬へ井門が冷静に声をかけたあたりで、工作班。いや、全てのメンバーと仲間達がゾンビに対して違和感を覚えた。

今までの取れていた、統一のある動きではなく、それこそそれぞれがそれぞれに蠢くように、自分達に襲い掛かっている。少なくても、パラノイア(キング)の支配下にいるゾンビ達とは思えない。

誰かがパラノイアを放浪者が処理したと呟き。そして、冷静な者はそれはないと否定した。もし、彼が任務を完了したのであれば、絶対に報告を入れてくる。例え持っている無線でなくても、何かしらの合図はある。

つまり今、パラノイアはゾンビを支配して操るどころではない状況に追い込まれたと、考えるべきだ。

「(放浪者さん、待ってますからね)」

「(貴方を信じます。相棒として、皆を守ります)」

それぞれがそれぞれの決意を固める。この戦いへの終止符が打たれる時が、近づいたことを感じて。

剣戟による金属音が、室内に響き渡る。キングは全身全霊を持って放浪者を把握し、それを基に攻撃を仕掛ける。放浪者はそれを意に返さない、殺意無き斬撃を放つ。

お互いにひかない。両陣営の大将同士の戦いは、意外にもたった二人きりだった。放浪者も、また自身を罠として誘っていると、キングのことを思っていた。今まで自らの戦いを放棄していた存在が、今の今になって正面から戦うことなどあるかどうか。そういう印象をキングに持っていたからだ。

『なぜ我々の楽園が奪われねばならぬ!』

慣れてきた、言葉が直接頭に叩き込まれる。キングが口を動かしている様子も、音として耳で捉えられていない以。わかってはいたことだが、これはテレパシーに違いなかった。

『なぜ我々の同胞が奪われねばならぬ!』

もし仮に、人間が本当に憎悪し、それを思いと共にぶつけられたとしたら、今受けているそれがそのままなのか。放浪者はそう感じていた。

『なぜ我々のことを、放っておかない!』

「…放置するには、貴様の力は強大すぎる」

ゾンビとの共存など想像すらできない。何より、それを1つにまとめ上げ、人間を蹂躙できる存在など、文明復活の為、都市を解放を目的とした拠点にとって、見過ごす訳にはいかないのは、誰が考えても同じことだった。

>>672
多少の前後はあるとしても、もうその段階だね

>>673
整っている。それが意味するのは。


ちなみにブランクさんの能力のチョイバレですが、もし仮にハンターが処理出来てなかった場合、
>>674時点でも広域のゾンビ支配のよる統一した攻撃は可能でした。

乙!
なんと、前スレ>>1000のはまだ使われてなかったのか

糾弾も どこ吹く風の 放浪者

事実を言うのであれば、どちらの力も強大すぎる。キングは一例をあげるのなら、まずその支配権の広さ。距離によって程度があると言っても、バリケードを超えてキングはゾンビの群れをつくり、工作班や回収班、その他のメンバーを苦しめた。

放浪者は、確かにファントムシリーズを装着しているという事実はある。だが、それを除いたとして彼の力が無くなるかと言われれば、それはありえない。もはや常人で追うことすら難しいであろう、気付けない無の動き。剣技を持つとは言えないキングが斬りあいを出来ているのも、相手を読めるコマンダーゾンビの能力があるからに過ぎない。

それほどの高みに、彼は立っている。そして何より恐ろしいのは、彼にとっては驕ることや誇示することではない。当たり前のことだと認識していることだ。

側に強大なもの同士があるなら、ぶつかり合うことは必然。だからこそ、この戦いも必然だったと言っていいのかもしれない。

『どうして、届かぬのだ!』

懐から新たな拳銃を抜き、射撃も追加する。放浪者はそれを確認したうえで、射線から外れ、弾丸を避けた。

だが、強大さには決定的な違いがあった。それは、どこどこまで言っても、キングの能力そのものは個であり続けたということだ。己の思考の下、ゾンビや変異体を操る。美しき世界を守るための手駒、当人はそう考えていないかもしれないが、それは誰がどう考えてもそういう結論に至れる。

一方、放浪者はその力を支配には使っていない。あくまで、自分を信じてくれる拠点のメンバーや仲間の為に振るわれる守護の為のものだ。どんな時でも、彼は見捨てず最高(さいぜん)を尽くした。それを知っているメンバー達は、それに惹かれて募っている者が大半だ。

数は確かに、キングの方が圧倒的だ。人間の方が少ない今、多数のゾンビを従えられる。数の暴力に、太刀打ちできる人間は限られる。しかし、観点を変えれば、それらは全てキングであり、単一。放浪者側はそれぞれが考え、動ける集団。今は、そちらの数の暴力が勝った。

独自思考でそれぞれが対応して、それぞれがキングの策略を破る。とある補助があり、脳の肥大化、強化があったとはいえ、キングは各地で複数発生する戦闘の処理を同時にすること。それはコマンダーゾンビの持ち味を奪うことに、文字通り成功した。

『貴様は…、人間なのか…!?』

当たらない銃弾、合間を縫って行われる斬撃、その全てがキングを上回っている。

実のところ、キングもこの決戦において、その技術を磨いていた。大型駅内で放浪者と対峙した亜種も、その訓練相手としていたのだ。だが、結果は無残な敗北。具体的なダメージも負わせられないどころか、脅威を改めて理解させられた。

はっきり言うなら、キングの技術は処理された亜種達と何ら変わらない。今何とか、放浪者に付いてきているのは、全身全霊で能力を使い放浪者に集中し、激情という感情を糧に喰らいついているからだ。

だが、感情というものにも限界がある。すべからく、維持し続けられるものではない。喜び、悲しみ、怒り、楽しみ。それらを四六時中、維持し続けられる存在はいない。それは生き物として、変化し続けなければならない以上、避けられないことだ。

『この…!』

だからこそ、拙速を生む。防戦ではない勝てないという焦りが、許してはならない隙ができた。そして、対峙している相手はそれを見逃すような、相手ではないことはキングが何より知っていた。

一閃。

キングにはあり得ない、気付けば放浪者は後ろにいた。まるで時間を切り抜いたように、そこに。キングは振り返ろうとして、上半身がそのまま仰向けに落ち、下半身は両足をクロスさせながら横に倒れた。

それは間違いなく、この決戦と、この長い戦い自体に終止符を打つ一撃だった。誰がどう考えても長く苦しい戦いに勝利した、そう言っても過言ではないにも関わらず、放浪者に微塵の油断もない。あくまで、上半身と下半身を斬り分けたに過ぎない、まだ、脅威である頭部の破壊は終わっていない。そう考えてだ。

『…。くく、はははははは!』

放浪者の頭の中で、意図がわからない笑い声が木霊する。諦めではなく、どちらかというと狂気に満ちたものだった。

『蛮族の王、放浪者! わが身が朽ちようとも!』

キングは胸ポケットから、何かを取り出す。何かのリモコンのようなものに放浪者は見える。

『光栄に思え! 我が城を墓標と出来ることをな!』

無意識の理解だった。放浪者は窓へ向かって走り出す。

『貴様だけは絶対に逃がさん!』

そのスイッチは押された。その瞬間、2人がいた室内、壁際に置かれていた丸型のテーブル。その足元から爆発が次々と起きた。

>>677
さてどうなることやらねぇ・・・。

>>678
まぁ、いつも通りです。いつまでも、どこまでも。

ラストダンジョンは崩壊する……普通だな!(錯乱)
乙!

死なば諸共の捨て身の策だが、放浪者はそれすら想定していなかった訳ではない


バケモノって言うには、その意思力も行動も、人間と同じ過ぎる

新環境適応人間(放浪者)VS上位支配変異人間(キング)

『―――――――!』

爆発音とそのすぐ後に、声とは認識できたものの、高音すぎるそれは何であったかさえも聞き取れない。何より、予期せず襲った直接脳に叩きつけられたそれのせいで、バリケード外周も含めて、全員が頭を押さえた。

「くぅ、なんなんだぞ!?」

「とニかく、離れルっすよ!」

大型駅正面の広場で処理を行っていた強襲班は、その高音と、ホテル最上階の爆発により降ってくる瓦礫から逃れる為に、急いでその側から走り離れる。先ほどまでいたあたりに、ガラス片や瓦礫が次々と落ちてきた。

「中では何が…」

放浪者は基本的に爆発物の類は所持していない。使うとしても、明確な作戦がある時ぐらいで、見た目とは裏腹に所持するもの自体は軽装と言っていい。だから、そこで彼が戦っていることを前提としても、この爆発も何かがそこにあったから起きた。という判断ぐらいしか錬浄は出来なかった。

『こちら山中。強襲班、聞こえますか。フェアリーちゃんから高層ビル状の建物の最上階が爆発してると報告を受けてます。何かわかりますか?』

「こチら佐原っす。まったくわかんなイっす。多分、兄貴だとは思うっすが、姿は見エてないっす」

『こちら山中、急ぎそちらに向かいます。まだ、ゾンビの群れが規則正しく動く兆候はありませんが、もし、パラノイアを処理出来ていればそちらに集まります。警戒は怠らないように』

「こちら佐原、了解っス。オーガみたいな化け物に、そっちも気をつけテくださいっす」

無線からの連絡は途絶えた。流石に爆発までの規模が起きたのと、明らかにゾンビの群れの指揮系統が乱れたことで、山中は連絡をしたようだが、佐原としてはこのやり取りは大丈夫なのか。少しだけ心配だった。彼からすると、まだパラノイア討伐の報は放浪者からされていないのだ。

少なくとも、あの高音は多分パラノイアだろうとは思っている。そして、爆発も二人の戦いの結果で起きたとも。だとすれば、放浪者が勝ったとも思っている彼としては、放浪者からまだ連絡が来ないことに違和感があった。

「あ、放浪者のサンダーボルト。持ってこれなかったぞ」

「そういえば…」

爆発も収まり、近づくのは危険ではあったが、おおよそサンダーボルトが置かれていた場所の瓦礫を、佐原と錬浄で取り除く。

取り除いた瓦礫の下に、サンダーボルトは埃がまみれただけで無事な状態で見つかった。放浪者の所有物なら、ある意味では不思議ではないことかもしれない。

「さてと、後は肝心ナ兄貴っすね」

幸いホテルの爆発は最上階部分を吹き飛ばした程度だった。恐らくだが、2階分ぐらいは壊れているように見える。あそこで爆発が起きたとするなら、逃げ場はない。佐原であってもあの高度から飛び降りれば、命はないだろう。

だが、放浪者はファントムシリーズを装着していて、スパイダーウィップやファントムブースターがある。この二つを駆使すれば飛び降りても着地等は出来る。しかし。

「助かるとすれば、飛び降りるしかありませぬが、この瓦礫を避ける必要もありますからな…」

もう1つ浮かぶとすれば、スパイダーウィップを使って、うまく他の階へ窓を破って中に入りなおす方法。もちろん、どちらにしても、咄嗟の回避で実行できるかは怪しい。

「おう、随分騒々しいが何があったんだよ?」

正面玄関から、ハンターがそう言いながら工作班の3人に話しかけてきた。佐原はここまでの顛末を説明する。

「ふーん。あそこで爆発ねぇ」

爆発部分を見ながら、ハンターが思うのはどちらかというと、自分でパラノイアを処理したかったということで、放浪者のことはあまり心配していない。

>>684
王道だよね! まぁ、最上階爆発しただけだけど。

>>685
してそうで怖い。というかそもそもしてたから咄嗟に動いたんだろうけども

>>686
うんまぁ、キング(パラノイア)は徐々に改めて歪んだ自我に目覚めてた感じだから

>>687
どっちみち怖いっていう。

乙乙!
これ日史上、最もしつこく手強い相手が、遂に、漸くいよいよ斃れたか……いや、この重要極まる場面で死亡確認せずにその気になるのは迂闊に過ぎるか……?

<<よう、放浪者。生きてるか?>>

兎にも角にも、彼が生きていてくれない事には、喜べるものも喜べない

そして、その姿は当たり前のように現した。ハンターにつられて強襲班のメンバーも、爆発した部分に目を向けている。直視していても気づけるかが危ういその人物は、当たり前のように4人の下へと、もちろん歩いて、気付かれず近づいた。

「…佐原、無線はあるか?」

「うわぁ! 兄貴!? びっくりスるっすよ、もう!」

残りのメンバーも、いきなり現れたように感じた放浪者に驚く。ただ一人反応は違ったのは、ハンターだけだった。

「よう、パラノイアは処理しちまったか?」

「…あぁ、パラノイア。キングの処理は確認した。後は全メンバーが無事に拠点へ戻るまでが任務だ」

あの爆発の後、スパイダーウィップを使い、下の階層に窓を突き破って瓦礫を回避した。それから、もう一度戦いの場であった現場に戻った放浪者は、その瓦礫の中にあったゾンビの全ての頭部を破壊し、非常階段から降りてきたということだった。

「放浪者は本当に人間なんだぞ?」

「はん。ホムンクルスが言うってことは相当だな」

その言葉に、ハンターはおかしそうに笑った。

佐原は無線を渡す。放浪者はそれを受けとり、全メンバーへ通達した。

「…こちら放浪者。パラノイア、キングの処理に成功した。繰り返す、キングの処理に成功した。これ以上のバリケード内及び周辺での活動は、詳しくは後で話すが上位種と説明できる変異体を目撃している状況もあり、危険を伴う。全メンバーは早急に拠点へ撤退せよ。繰り返す、撤退せよ」

それだけ言うと、放浪者は佐原に無線を投げ渡した。そこから、山中や他のメンバーが呼びかける声がしている。

「…俺が殿(しんがり)と、目撃した上位種を優先して処理する。全員、2倍のほどの大きさになったマッスルゾンビ、後は肘まで刃の変異体は目撃したか?」

「エクス殿が、オーガと名付けた変異体が、おっしゃられているマッスルゾンビと思います。それは1体、処理致しました…」

そうか、と言いながら放浪者は錬浄からサンダーボルトへ乗り込んだ。相変わらず返答を返さない放浪者に、無線からの声は混線しているような状態だ。

「兄貴は何体ぐらい処理しタんすか?」

「…オーガと呼んでいるのは8体、両腕が刃状になっているのは13体だ。悪いが相棒にはお前から殿(しんがり)についたことを説明してくれ。どうせ聞いてくれないだろうからな」

返答を待たずに放浪者は飛び立っていった。上空から状況を把握するつもりなのだろう。

「兄貴はドこどこまでいっても、いつモ通りっすな」

仕方なく、佐原が山中にその事を説明する為、無線を出た。

>>692
無事死亡確認です(判定結果)

>>693
《よし、花火の中に突っ込むぞ!》

>>694
まぁ、生きてましたよ(これも判定結果)

超乙!
良かったああああ!生きてたああああ!パラキン滅してたああああ!
あ、でも……討伐し終えたって事は、一区切り付いたって事で、それはつまり、これ日が終了しちゃうって事で……そうかぁ……終わっちゃう、のか……

じゃあせめて、文明復興とXデイ以前の日常に大きく一歩近付いたという意味を込めて
この曲:ブリーフ&トランクスの「コンビニ」を、フレンドラジオにリクエストさせてもらっちゃおうかな☆

おつっ!
……えっ、待って。みんながあれだけ協力してやっと一体倒せた相手を、既に8体もやっているって……?

『と言う訳なんで、俺らもバリケードかラ出るっす。山中さんモ戻っテ大丈夫っす』

「えぇ、『よくわかりました』。通信終了します」

佐原から放浪者の言伝を聞き、山中が笑顔のまま怒っているのは、長い付き合いのあるメンバーならわかり切ったことだ。

ただ、感情にかまけてすべきことが見えなくなるような人間ではない。いったん理路整然に状況を分析した上で、彼女も当然、このままバリケード外に出るのが得策なのは理解した。

パラノイア(キング)という脅威は去ったとはいえ、ここで新たに目撃されたオーガ、及びスラッシャーの更なる変異と遭遇している。それ自体の純粋な戦闘能力は、残念ながら道具を使うパラノイアの方が劣る。長時間に及び戦闘で、全体の疲労も蓄積している上、スラッシャーの上位種との戦闘を経験している工作班は、素直に後退を開始した。

「そんで? あんたらはどうするんだよ?」

「バリケード外まで同道いたしますよぉ。それ以降は、流石に仕事がございますのでお別れでございますねぇ」

社長は井門の質問にそう返した。流石に行商でもこのバリケードを単独で移動するのは危険度が高い、当然の判断だ。何より、その方が安全と判断できる集団なのだから。そうするのは自然なことだった。

「うああああああああス!」

「くそ。このタイミングでオーガが来るなんて…!」

破壊されたバリケード周辺の確保を行っていた回収組は、何とか確保用のバリケードを再設置した後、その場で襲ってくるゾンビを処理しながら待機。放浪者からの無線連絡を受け、後退しようとした時、2体のオーガが襲い掛かってきた。

いくら足の速いフェイであっても、その巨体の早さは五分か、それ以上。撤退の命令(オーダー)を受けたことでロッサは2人から離れた位置におり、保安官も今その自体に気づいて狙撃の体勢に戻ったところ。平山、フェイが最もその側にいた。

「死にたくないス!」

ここまで来たようやっと来たのに、その思いがフェイの足を速くする。しかし、蓄積した疲労は、障害物にぶつかってバランスを崩し、立て直せず転倒する。加速した身体は勢いよく転がっていき、地面に耳が近づいたことで、オーガの足音が良く聞こえた。

声にならない、嗚咽のような悲鳴を彼女を上げて、動かせなくなった身体を丸め、目を固く閉じた。

風が吹いた。そうフェイは感じた。地響きのような足音は消え、重いものが何かにぶつかる音がする。しばらくしてなお、自分の身体が踏みつぶされるようなことはない。更に、銃声のような音が響くと、重い何かが地面を滑っていく音も聞こえ、彼女は恐る恐る目を開けた。

「…無事か、フェイ」

「リーダー…、うえええええ、怖かったスーーーー!」

感極まり、フェイは放浪者の胸に飛び込んだ抱き付いた。しばし、放浪者は戸惑ってから、あやすように頭を撫でた。

離れた所で、平山がもう一体の、頭が飛んだオーガの死亡確認をしたところと、遠くで親指を立てて恐らく豪快に笑っているであろう保安官が、建物屋上の端に片足を乗せて立っていた。

「マスター。オーダーは引き続き、撤退でよろしいでしょうか?」

「…無論だ。こんな危険な場所に長居は無用。皆で帰る、いいな」

畏まりましたと、ロッサはライフルを構えながら周りと歩を合わせて移動を開始した。今しがたの事態を学習したのと、撤退には全員で行うとオーダーを受けたからだ。

放浪者はフェイを平山に預け、引き続き殿(しんがり)を続けること、ロッサに回収組と保安官と共に拠点へ戻るよう伝え、再度空へと飛び立った。

「…ふぅ。折角ここまで来て、誰かが欠けて帰る。なんていうのは避けられたようですね」

「なんかあったのか? 美弥ねぇ」

回収組に起きた事態を、覚は勝に話す。フェイが危なかったことは当然心配していたものの、心の中に去来するのは話に聞いているオーガを、簡単に処理してしまった放浪者への強さへの嫉妬だった。

「…勝はこれからも強くなれる。急がなくてもいいのよ」

「うん? そうだな。まだまだセンセーに教えてもらわなきゃいけないこともたくさんあるからなー」

今回は、覚の警護、及び研究所から派遣されたメンバーで拠点の防備はなると判断した浜村が、許可を出して拠点外へ出れた。覚を守りたいという意思は間違いないものだが、そこに混ざっていたのは外に出て自分の実力を確かめたい。それが日増しに彼の中で強くなっているのを、彼自身。そして覚もわかっていた。

「勝、撤収準備はもうちょっとかかる。警戒引き続き頼むぞ!」

「わかった。文にぃ!」

この局面を乗り切り、全員拠点に戻れさえすれば、上位種という新たな脅威が生まれた今でも、都市解放は成る。その核心は覚の中であるのと同時に、その次の始まるある予感が、優しく勝に向けて微笑んだ。

>>698
まぁ、そこらは以前から言ってる通りです。

リクエストの曲は嫌いじゃないけど。使いどころがそれまでにあるかねぇ・・・。

>>699-700
まぁ、放浪者なので。


なお、前回の>>1000については今回のフェイの件で消化と相成りました。

キング(パラノイア)の支配下から離れたことにより、自由になった上位種がバリケード内で暴れ始める状態の為、
処理後も撤退判定を行った結果、回収組が見事の失敗。なので上記通りの展開という感じですね。

なお、放浪者が言ってるオーガ、カマイタチ(仮称)の処理数もサイコロにて25という数値がでた判定結果によるものです。
これにより元々暴れる上位種が大体処理されてて、撤退の何度もグッと下がってたんだけども。最後の最後までフェイが
やられた最終決戦でした。

>>704の訂正
×その核心は覚の中であるのと同時に、その次の始まるある予感が、優しく勝に向けて微笑んだ。
○その核心は覚の中であるのと同時に、その次に始まるある予感が、優しく勝に向けて微笑えませた。

>>696の訂正
×そうか、と言いながら放浪者は錬浄からサンダーボルトへ乗り込んだ。
○そうか、と言いながら放浪者は錬浄からサンダーボルトを受け取って乗り込んだ。



まだいろいろあるのは知ってるけどざっくり訂正。後上の何度→難度です。

乙!!
しっかし、最近特にツイていないなぁと思っていたら……ダイス様は本当はフェイを逝かせるつもりだったんか……
取ってて良かった前スレ>>1000

おっつんこ~☆
いんや~すんごい戦いだったにぃ☆
みんなとっても大変だったよね。お疲れ様っ!
これでやっとお家に帰って、少しは落ち着いて休みるにっ☆
まー、そう出来るのはちょーっとだけかもだけど、休憩が終わったら、またガンバって行こぉー!

さーっあっあ、親(キング)が寝(永眠)たから
なーんでも、やりたい放題よ~ なーにをしーよーうー?

強襲班、工作班、回収組、研究所の補給部隊。それぞれがバリケード外に出て、拠点へ戻る帰路についたのは放浪者確認した。その移動の流れから外れているのは、見覚えのある装甲車が1台。どういう訳か、協力をしてくれていたようだ。

「(…1体でも多く、上位種を処理しておかなければ)」

先ほど、回収組のフェイが襲われたのは、キングの支配によるくびきからゾンビ・変異体が外れたことだ。全員であれだけの処理を行ったとは言っても、それ自体は氷山の一角に過ぎない。キングは全力だった、それは間違いないにしても、集めきった全ての戦力を一気に使い果たすことも又、難しい。

強襲班、保安官で合わせて2体と、自分が処理した9体。オーガは計11体。例のスラッシャーの上位種は13体。広域な戦闘になったとは言っても、それだけの数がバリケード内に存在していたのだ。

今のこの混乱の内に、可能な限り上位種を処理しきる。それに、今確認している2種以外にも存在していても全くおかしくない。その思いが、他のメンバーが向かう方向とは別に、彼を逆走させようとした。

『――駄目ですよ』

サンダーボルトを反転させようとした時、直接声が頭に届いた。

『戦いの勝利したにもかかわらず、その主賓がいないというのは、興ざめですよ――』

クスクスと穏やかに笑う声が聞こえる。こちらが何を思って行動しているか、それをわかっている相手に、放浪者は何も考えない(こたえない)。

『それに、貴方の相棒である山中さんは、かなりのお怒りです。もし、このままお戻りにならなかったら、私でもお止めはできません』

「(…どれくらいだ?)」

とても、とだけ伝える覚は、楽しそうだった。明確に口からため息を漏らして、放浪者は仕方なく帰路へとついた。

『…。それに、以前の包囲網の時と同じく、放浪者さんの疲労も限界なのを見逃すわけにはいきません』

そんな様子は微塵も見せていなかったが、放浪者の疲れはそれこそ、芯まで侵していた。そうなっているのも、当たり前のことだ。深夜に拠点を飛び出し、大立ち回りをしていったん退却。小休止はしていたが、メンバーが行動を開始するまで、上位種を優先した処理をしながら、長期的に往復していたのだ。

それはもちろん、メンバーの危険度を下げる為だけに行った、ある種身勝手な無茶(こうどう)で累積した疲労だった。

『…。無事戻られたことは山中さんに伝えておきますね』

「(…つまりは、相棒の差し金か)」

それもありますねと、伝える言葉の楽しそうでまた伝えてくる。予測できることである以上、驚きはしないが、少し。自分はそんなにわかりやすいのかと、彼は思わないでもなかった。

『この先何があるかはわかりません。けれど、ようやっと終わりを目前に出来ましたね。それも、いつも通り最高の形で』

「(…俺だけの力じゃない。全て、皆が俺を信じてくれたからだ。覚もな)」

疑いようはない。その力を持って、メンバーの調和を維持している彼女にとって、彼は仲間を裏切ることも、実行することへ対しての失敗も、想像できなかった。信頼することそのものが、当たり前とさえいえる。

「(…終わりだな)」

『えぇ、万事全て、滞りなく』

もはや後方にあるバリケードの周辺を見る。いくつかの破壊され、その奥の中心には長く、そして短い戦いとなり、最後に消滅したホテルらしき形も見えた。

キングとの戦いは終わった。ただそれは、あくまでその戦いが終わったとしか、放浪者は認識している。

夕方が迫る頃、この戦いに参加したメンバーは全員、拠点前に集合していた。放浪者は、いつも通りの無表情で、都市側にあるバリケードを背にして位置で、全員の前へ立った。

「…全組、全班の生存。及び、協力者の全員の生存を確認した。無線にて報告したが、通称パラノイア。自称キングは無事に処理を完了している。現状、都市で最も脅威なのは、新たに確認した上位種ということになる」

全員、任務における結果を静かに聞き、そして真剣な眼差しで彼を見る。

「…上位種は、戦闘能力だけ考えればキングよりはるかに強いだろう。しかし、総合的な部分を見れば、キングよりは下回ると言っていい。結論、都市解放における最大の障壁は、取り除くことができた」

そこまで言ってから、放浪者はゆっくりをウェーブソード・デュエルを抜き、それを斜め前に掲げた。

「…都市解放は成すことを、全員の前で正式に誓う。引き続き全メンバーの協力を頼む。研究所のメンバーも支援、ありがとう。本日はこれにて全員の任を解く、それぞれ好きに休んでくれ。以上だ」

ウェーブソード・デュエルを収め、この最終決戦すらも何もなかったように、放浪者は解散を告げた。

>>707
まぁ、演出的な部分はあるけど。回避に使えたからね幸い。
失敗自体はマジですが

>>708
ようやっとの終わりです

>>709
やるべきことは変わらないかな。

完走、お疲れ様です!ありがとうございましたー!!

しかし、これだけ長い事やってもらって
あれだけ色々な細かい設定も作ってもらったのに
終わるのはとっても短い一瞬でしかなかったなぁ

>>715-716
うぃ、誤解があるようなので先に言うと

キング(パラノイア)討伐でend→×
大型駅エリアを確保でend→○

です。あくまで拠点の目的は文明復活と、都市解放なので主要な施設があるエリアの確保は必須条件になります

簡単に言うと、もうちょっとだけ続くんじゃ

おっと言葉が足らなかった。

大型駅エリアのバリケード内は、書いたとおりキングがゾンビ、変異体をかき集めきってるので、他のエリアと比べるまでもなく密集地帯です。なので拠点としてはまだ大型駅エリアは確保できてません。まる

おっしゃあ(続行歓喜)!
でもそうか……大型駅って、あんま変わってないのか。統率されし変異窟(魔窟のもじり)から、無法地帯の変異窟になっただけで。
しかしまぁ、それは次の突入での話。今はまず、拠点残留班とスラちゃんからのお帰りの突撃を受けるのだっ

もうちょっと(半年くらい?)

それぞれがそれぞれの帰宅の路に着く。保安官とジェーンは、外のベンチに座っている放浪者に一声かけ、自分達のいる店(ばしょ)へと戻っていく。

「マイマスター。お力添えが必要であれば、何なりと及びください」

「ありがとう。ロッサ。貴方は研究所警護の任務を、お願いします」

仰せのままにと深々と頭を下げてから、ロッサは大型トラックの荷台に乗っていった。研究所のメンバーも、そのままの足で、居るべき場所へと帰っていく。ハンターは疲れたと言ってモーテルへとさっさと戻ったが、明日には拠点を出ていくだろう。

長い、長い一日だったが、彼はその長い一日を何度も経験してしまっているせいか。いつもとそこまで、変わらないように思い始めていた。陽が沈む、それさえもいつも通りと思えた。

「放浪者」

いつの間にか側にいたのは、不機嫌そうな顔をしている藍と、その隣にいるスライムだった

「なんで勝手に1人でいっちゃうんだぞ? 皆心配したんだぞ」

「(そうだよー! スラもしんぱいだった!)」グニュグニュ

心配してくれる存在、声はわからずともスラもそう言っているのが分かり、放浪者は静かに微笑み、2人の頭を撫でた。

「むぅ、そうじゃないんだぞ」

「…心配させたのは謝ろう。だが、作戦上必要なことだった。俺は何一つ、2人も、メンバーも疑ったことはない。トラブルがあっても無事に生き延びて、任に当たってくれる。そう信じたからこそ、こうしただけだ」

この作戦の中で最も賭けだと放浪者が思っていたことは、バリケード内部への侵入だった。ありとあらゆる戦力をキングはかき集めたその内部は、想定通り、想像もしない上位種の姿があった。

対処がわからない相手と対峙する、それが一番、何が起こるかわからない状況に繋がる。そして、その状況を生めば、キングが見逃すはずはなかった。それだけに、誰よりも一番早く、バリケード内部に入り込み、場を混乱させ、上位種(アンノウン)を可能な限り事前に処理しておく。

それが、彼が考えたメンバーの生存率を上げる。最も効率の良い方法と判断したことだった。

藍の様子を見るに、納得していない様子ではあった。スライムも恐らく、信用している姉の態度を見て、一緒に怒っている事もわかる。

「…ありがとう。少し疲れたからな、部屋で休むとする」

放浪者は立ち上がり、自分の部屋のある拠点内へ戻る。塀を横切り、そのまま玄関のノブに手が触れようとした時だった。

「あたしも、わりと納得してないんだけど」

そう声をかけてきたのは、建物内側の塀に寄りかかっていた浜村だった。藍の不満顔なんかは目ではないぐらいに、全身とその態度から、納得以前に怒りを露わにしていることを理解する。

「…実行した作戦がか?」

「あんた、生き延びることを死守しろって命令したわよね。自分は、それに含まれないって訳?」

それを聞いて、放浪者は当たり前のように首を振る。

「…俺も例外ではない。出来ると思ったからやったまでだ」

「それで死んだら、あんた、どうする気なの?」

射抜く。そう表現するのが正しいと思えるぐらいに、怒りを真っ直ぐ放浪者へ彼女は向ける。

「…。仮に、俺が死んだとしても、メンバーは生き残るならそれで構わない」

「それが、無責任だって、知らない?」

この苛烈な様子で、彼女が放浪者に食って掛かってきたことがあった。その時は、初めてあった時、思えば彼女は不安で、自分本位な怒りだった。けれど今の怒りは違う、放浪者自身への心配を含め、メンバーのことを前提とした、優しい怒りだった。

「…。死んだのならそうだな」

「死んでなければいいっての?」

警備組のリーダーを勤める浜村のことも、放浪者は信用していた。どんな状況でも、動揺せず指示を飛ばす姿を見て、拠点の留守を任せられると考えていた。この怒りを見て、放浪者はその判断に間違いはなかったと、確信を抱けた。

「…それでいいという気もない。無謀で1人突撃をした訳でもない。全て出来ると判断した上での行動だが…、心配してくれてありがとう」

想定しなかったお礼の言葉に、浜村は、言いよどむ。

「……。あとは山中に怒ってもらいなさいよ」

「…それはなかなか手厳しそうだな」

彼にとっての、この任務の大きな山場は、案外そこにあるのかもしれない。

家の中に入り、浜村に突き付けられたその重い事実に、いつもより足取りが重くなるのを放浪者は感じていた。内心、出る前に山中と一言交わしてから飛び出したのだから、そこまで怒ってはいない。と高を括ろうとしたが、自室の中に入り、目に入った相棒の様子は、当然のように怒っていた。

もちろん、デスクに向かって今日の任務について記録を無言で残しているだけだが、彼だけにはわかる怒りを、こちらに向けてきている。ゆっくりと、中に入りドアを閉める。そのまま自分が使っているベッドに腰かけて、彼女の動くのを待とうとした。

だが、思うのより早く、彼女は立ち上がる。ゆっくりとした動作で放浪者の前にたって、膝立ちになり恨めしい顔を彼の顔に近づけた。吐息を感じる。

「…苦労を掛けた」

苦し紛れと言っていい言葉の後、山中は両手を、放浪者の頬にそれぞれ触れた後。つまんだ。力はそこそこ入っていて、わりと痛い。

「貴方はどれだけ皆に心配かければ気が済むんですか」

「…ふみゃない(すまない)」

その上で、ぐにぐにと回すのは、正直かなり痛いと言ってよかった。

山中の怒りが収まるまで摘ままれた放浪者の両頬は、それなりに赤くなった。

「…オーガ、及び先ほど名付けたカマイタチという上位種は、恐らくバリケード内に潜んでいる。引き続き、大型駅エリアそのものの脅威は変わりない。大型駅確保も、当面の活動に関わる。あのエリアを解放、そして確保してようやっと文明復活の足がかりが整う」

「いよいよの大詰めになりましたね」

全体の集合時にも、放浪者は言っていたが、拠点として最大の障害、キングの処理は終わった。しかし、その上で更にやらなければいけないのは、文明復活の足がかりとする都市の解放が待っている。勝利の喜びに浸れるのは、残念ながら眠るまでの少しの間だけ。目が覚めればまた、同じような日々が待っている。

「…あぁ、後少しだ」

「……。えぇ、待ってます」

希望は未だ残り続けている。それが、任務の終了まで残り続けるかはわからない。それでも、平たく人間は、希望を信じていたい。それは2人であっても、変わりはなかった。

>>719
受けました。

>>720
わりと洒落にならないんだけど、否定できない自分が嫌。

乙!
理不尽な怒りをぶつけられるんじゃなければ、落ち着いたもんだなぁ

井門は火器保管庫にいた。彼もまた、今回の戦いにおいて消耗した弾薬のチェックや、火器のメンテナンスをいつも通り行っている。移動距離としては、彼が最も大立ち回りをしたと言っていい。その事での疲労も十分あるのにこうしているのは、井門の持つバランス感覚が、重大な戦いの後だとしても浮かれられない。ちょっとした損な気質とも言える。

「井門さん、いますかー?」

「あぁ、どうした。一ノ瀬」

これまた別のベクトルでいつも通りの様子で、一ノ瀬が火器保管庫に入ってきた。人懐こい笑みも、そのままだ。

「本当に怪我とか大丈夫ですか?」

「いったろ、運良くしてねーよ。怪我らしい怪我したってのも、フェイぐらいみてーだしな」

それはそれで、井門は探索組は化け物だなとつくづく思う。が、生憎というなら、彼自身もそれに組み込まれる存在なのに、気付いていない皮肉はある。

「フェイちゃんは強い娘なので大丈夫です」

「あぁ、うん。そうだな」

断定的に、なぜか胸を張って笑う一ノ瀬に、井門は苦笑するしかなかった。

「なんていうか…」

テラスの上から、外を警備しながら三間が呟く。隣にいる蒲谷は、その声に緩く顔を向け、次の言葉を待った。

「すごい戦いがあったはずなのに、何か、昨日と同じになっちゃうんですね」

「うん。そうだね」

放浪者も、キングを討ったにも関わらず、それに関して祝いをするということもなく、各自休むよう通達している。その事も相まって、三間はこんな大変だったことさえも、放浪者は普通のことなのかと、恐れを含んだ違和感を覚えていた。

「あれだね。彼としてはまだやることは終わってないからね。うん。そういうことじゃないかな」

「でも、パラノイア。じゃなくて、キングが処理出来たなら、皆さんの実力があったら大丈夫だと思うんですよ」

暗闇に沈む空を、蒲谷は見る。この空が当たり前になってから、いくら経ったのか。この状況もあって、そう思う。

「そう思えないんだよ。彼は。うん、そして多分、それが探索組に必要な素養なのかもね」

どんな事態も起こりうる。どんなに最善を尽くしても、いずれ来る最悪を覚悟する。それが放浪者が常に思うことだ。奇跡そのものは信じていないということでもある。

「…。俺、放浪者さんと、皆に会えて良かったです。俺だけだったら、多分そう思えないし」

「大層なもんじゃないよ。まぁ、放浪者君は別にしてね。うん」

しかし何より。

――とどのつまり、これまでの奇跡と言える成功は。全て出来るという意思のもので行われた。ということでもある。

「小林…、無事皆で生き延びることができたよ…」

月明かりの中、林道は小林の墓の前で今日のことを報告していた。補給部隊に覚と勝が来ていたことに驚いたこと、同時にそれが自然な流れなのだと納得したこと。この奇跡とさえいえる勝利は、間違いなく放浪者によって得られたことなどを、思い思いに。

「…。勝は、きっと近いうちに独り立ちするだろう。それまでに、教えられる技術は教えておかないと。何かあったでは、遅いのだから」

シャランと、金属の奏でる音がした。音は後方、振り向くとそこには錬浄の姿があった。

「経は必要か…?」

「…。いえ、今日は大丈夫です。錬浄さんの方がお疲れでしょうからね」

それぞれが行った任務に、何らかの差があるかと言えば無い。しかし、あのバリケード内で活動し続けるというのは、神経さえも侵される疲労があったのは、想像に難くない。

「我らの任務など、放浪者殿に比べれば微々たるもの…」

「…。今この時ほど、こう思うことはありません」

もっと早く、彼に会えれば、小林は救えたのではないか。それが出来なかった自分への自傷を込めた、言葉だった。

>>728
まぁ、本人怒られてるのもわかってるからね。


何かできました
【安価】これから日記を書く 生存者サイド プレオープン【コンマ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1519663978/)

乙!
あの時は確か、位置的に言えばチャンスが全く無い訳ではなかった筈なんだけど、気付いたのは、事後の怒りの波動を覚ちゃんが感知してやっとの事だからねぇ。早い事会えなかったのは、俺らとしても悔やまれます

「ねぇ、勝」

いつも通り優しく、覚は声をかける。あの戦いがあった後だというのに、彼もまた、なんでもなかったように携帯ゲームで遊んでいた。

「もし、ね」

「なにさ?」

彼女の様子を見て、勝は珍しいこともあるものだと思っていた。いつも自信、いや、どちらかというと確信をもって話すのに、それが言い淀んだ様子だからだ。

「勝が、この拠点の外に出たいって言っても、私は止めないよ」

「…。なんで出なきゃダメなんだよ」

放浪者の言葉通り、勝は次世代の強さを持ち始めていた。だが、それと同時に、自分の強さを外でならどうなるのか。そういう好奇心めいた衝動も、抱え始めていた。

今はまだ、覚という彼にとって守らなければならない存在が、楔となっている。しかし、このまま拠点が順調に文明を復活させていけば、その必要もなくなる。それに彼にとってもここのメンバーは、信頼に足る相手なのだから。

「もし、そう思ったら、だよ」

「美弥ねぇは心配性だな。ちゃんと一緒にいるって」

その言葉に嘘はないのは、覚もそれは嫌でもわかる。けれど、人の機微を気付ける彼女にとって、それは確定的な未来としても、視えてしまっていた。

「フェアリーねむねむだよー…」

そう言いながら、フェアリーは放浪者のベッドの上でごろごろしていた。今日の一日は、精神が幼くなった彼女には少し騒がしい一日ぐらいのものにしか、映ってないのだろう。

風虎が、そのフェアリーの様子をジッと見つめている。その眼差しは、小間城が風虎がここにやってきた時と同じ眼差しだった。

生まれたばかりの風虎ではあるが、見た目も含めて幼い相手はわかるのだろう。後からやってきた子供を、小間城に倣って守る意識があるのかもしれない。それとも、そもそも親と思っている放浪者に感化されているのか。そこのところは、正直誰にもわからない。

「…虎ちゃんおいでー」

手を伸ばしてくる。それの意図を察して、風虎はゆっくりと近づき、頭をベッドの縁に乗せる。それを見たフェアリーは、まどろんだ笑みのまま、ゆっくりと風虎の頭を撫でる。

「ふわふわー……」

もうそろそろで、フェアリーは眠りにつく。ここのところのこのやり取りをしてから、安らかに彼女は眠る。風虎もそれを見てから、ゆっくりとベッド下の脇、風虎用に作られた寝床で丸くなって眠った。

EVEにとって、夜間の警備の時間は1人、思考に没頭する時間でもある。昼間、探索組をメインにして拠点の人間と関わる。創作物(しょうせつ)を読み、仮定の人間を通して理解を深める。

EVEの中に眠る、天才山海の、いわば原初の思い出。0と1の中で、打ちこまれる言葉だけでの日々。そして今の、現実に直接影響を与え、そして与えられる日々。自分にない方される、映像(きおく)。

EVEとしてのすべてが解放され、高度な自我が目覚め、それが自身の自我として確立されようとしている今、幼子の疑問のように、EVEはその違いがなんであるかを考え続けていた。結果(けつろん)は当に出ている、しかし、自我がそれを肯定しようとせず、アンドロイド。AIが解を出せないという事態に陥っていた。

「(EVE、撫でろ)」パタパタ

ここのところ、小間城はEVEが見張りをしているとその隣にいることが多い。いつも通り、頭を撫でるのを催促している。これも、EVEに直接与えられる影響の1つだ。

求められるということに感じることも、まだEVEは解を出せていない。しかし、そうすることで喜んでもらえるならと、小間城の頭を、EVEは撫でた。

>>733
小林ちゃんについては、ある意味で拠点が唯一関わった犠牲者の側面があるからねぇ・・・。

ああ、穏やかな時間って良いなぁ……。

「なんか、なんか納得いかないス」

「お前は何を言ってるんだ…」

フェイは不満そうにしているのは、今回の戦いで彼女だけが唯一負傷したこと。後は、もはや単純に殺されかけたのと、ドローンさえも破壊されたことだ。一番割を食った、と言ってもいいだろう。

「怪我しちゃったし、ドローンとかも壊されちゃうし、これだと、フェイ役立たずみたいじゃないスか…」

「むしろ、その程度で済んだことに安心すべきだがな。正直、オーガに襲われて、お前が転倒した時は…、肝が冷えた」

後々で聞いたが、放浪者はメンバーがバリケード内に突入する前に、上位種のいくつかを処理したと聞いている。もし、まだ多数の上位種がいたなら、彼は回収組の救援に間に合ったのかどうか。

惨劇後の世界は、今日まで話していた相手が、目を離した瞬間に居なくなる。それが、今、この世界における常識と言っていい。

強大な相手を処理した今となっても、その事実だけは変わらない。

「…。怖かったス」

「あぁ…。文明が復活するまで、いや、それ以後も続くかもしれない。それでも。やるしかない。回収組は、拠点のサポートを続行する」

平山の決意は決まっている。回収組として、拠点のフォローを別動隊として行う。それが、与えられた役割であり、自身の意思にも違いなかった。

氷がグラスの中で音を立てる。それから、クルクルとグラスの中に入った氷と、ウィスキーを静かに回してから、佐田は一口含む。良い匂いを楽しんでから、それを呑みこんだ。

彼がいるのはモーテルの一室、キッチン兼待合室になっているそこのテーブルには、今置いたロックグラスと、ここに来てからずっと書き起こし続けている図面が並べられている。もうすでに、これからに向けて動き出していた。

「ふん、気になるのか?」

影から、こっそりと自分のことを見てるエコーに声をかける。エコーは驚いたように声を上げた。

「俺でも、薄暗い廊下からジッと見られたら集中できん。用がないなら、部屋に戻れ」

「あ、うん。ごめんなさい…」

エコーも飲み物を取りに来ていた。今回の戦いでの熱が、まだ中で火照っていたからだ。ただ、佐田のその全体的な、一種の絵になる光景を、ある種見とれていた。

「どうせ明日も早い。ふん、とっとと寝ることだ」

「あ、ありがとう」

気遣いがされているのは音からわかる。けれど、なんでここまでぶっきらぼうなのか、エコーにはわからなかった。

ここか

>>738
いいよね


投稿ミスさえやらかさなければ・・・。タブ管理止めようかなぁ・・・。

乙!
動物的には、EVEから生命の気配がしない事は、どう感じられているんだろう?

「ハンターさん、いるっすカー」

「おう、どうしたよ佐原」

ハンターが泊まっているモーテルの一室に、佐原が現れた。手には、食料が主に入った袋を持っている。放浪者が今回の報酬として持っていけと言われた旨を伝えて、それをハンターに手渡した。

「やったのはブランクぐらいだがな」

「十分じゃアないっすかね。聞いた感ジだと、残ったコマンダーゾンビの亜種みたいだっタみたいっすし」

それに、渡せる報酬として少ない方だと言ってたという旨も、ハンターは笑う。

「まぁ、使った物資に見合ってるかって言われれば、足りねぇな。貸しにしとくって言っといてくれ」

了解と、佐原は部屋を出ていった。

また、ハンターはこのやり取りを考えて笑う。ここのところ、牙が抜け落ちていた気がした。以前の自分なら佐原がいくら良い奴だとわかったとは言っても、殺す欲求に満ちていただろう。

しかし、バリケード内へ突入する時の感情は、自分で言うのもなんだが、狂気そのものだった。無条件で、害をなす相手に対し、躊躇も微塵もない感情。そして、その中でブランクを殺した時に感じた憐れみ。

今更になって思う。自分はまだ、人間なのだと。だから、笑ったのだ。

「ここが使われる事態にならなくて、本当によかったよ」

「えぇ、まったくでございます」

門日と喜読は、診察用の机にお茶の入った湯呑を、それぞれ置いた。いろいろあったが、結局どうにかなってしまったというこの事態に、戸惑いを隠せないでいる。

入って浅い2人でも、ここまでの事態は早々ないのはわかっている。2つ分の勢力や、その他、関係する生存者が一挙に工芸を仕掛けたこと。恐らく、他の勢力で同じようなことをしたところはないと言っていい。それぐらいに規模が大きすぎる。投入する人数は負けたとしても、少なくても規模は大きい。そして、攻撃する相手は、あまりに多い。

それを、事もなげに全員生存と、敵の大将の首を討つ。そんなこと、誰が想像できるのか。そして、自分達のリーダーはそれができると思っていた事実。

どう考えても、今いる場所は、彼女らが知る範囲であっても、規格外だった。

「……。喜読さんは、ついていくかい?」

「えぇ、生憎と恩義はございます」

「そりゃまぁ、自分もそうなんだけどね」

乗った船が、泥船でもなく、木船でもなく、帆船でもない。軍艦だったという事実。それはもう出航してしまっている。今更降りる選択肢もない。それに文字通り、2人は命を救われた。

それもまた、事実だ。

放浪者は、闇の中にたたずんでいた。月が出ていれば、明かりのない世界だとこんなにも空は明るい。そう思いながら、眺めている。

「寝れないんですか。放浪者さん」

いつもの飄々とした様子で、西切れ、ベンチに座る放浪者の隣へ座った。彼はそれを見る訳でもなく、そのまま空を眺めていた。けれど、何となく彼女もわかる。話したいことがあるなら、聞くぞと、無言で伝えてきていた。

「うーん……。そうですねぇ」

言いよどむ。今、WWPとも主だった接触もなく、キングという脅威を排した拠点は自由な状況。それを踏まえると、目立った脅威がない以上、彼女がいて欲しいという希望自体が拠点にはない。西切も自由な状態になったと言える。

ならどこに行こうと、自由だなと放浪者は考えていた。

「お選びするのは山中さんなのはわかってるんですが、あたしも候補に入れてほしい。なんてとこですよ」

「…西切?」

そっと、彼女は立ち上がる。その表情に、悲壮な様子はない。穏やかなものだった。

「大型駅エリアが確保できるまでに、ちょっとだけでも考えてくれると嬉しいですよ。おやすみなさい」

それは、放浪者であっても、自室に戻っていく西切れに、声をかけられなかった。

>>741
いろいろと申し訳ない

>>743
どうなんだろうね。少なくとも生き物としての匂いはしないけど、中の演算処理の兼ね合いで起きる
排熱で体温的な暖かさは有してるからね。EVEは、なんか変な生き物ぐらいかと。



>>745の訂正
×2つ分の勢力や、その他、関係する生存者が一挙に工芸を仕掛けたこと。
○2つ分の勢力や、その他、関係する生存者が一挙に攻撃を仕掛けたこと。

>>746の訂正
×それは、放浪者であっても、自室に戻っていく西切れに、声をかけられなかった。
○それは、放浪者であっても、自室に戻っていく西切に、声をかけられなかった。

六百日目

キングとの長い戦いに終止符が打たれた。奴との長い因縁は消え、何もなければ残されたのは都市の解放のみとなった。

新たな脅威があったものの、危険な存在が群体として襲ってこない以上、後はその成就をこの手に収めるのみだ。当然、そこに緩みも傲慢さもあってはならない。都市解放という可能性が高まった、しかし、それは高まっただけだ。手中に収めてはいない。僅かでも問題をはらむのなら、有利であって絶対ではない。もうこの世界は、絶対以外は全て憂慮すべきことだ。

今までキング攻略の為に行ってきたことで、死者を出さなかったが全て最良の結果だ。仮にキングを討てなかったとしても、メンバーや仲間に犠牲が出ないことが一番なのだから。

このことは、DJフレンドに明日報告する予定だ。遠くでただやきもきさせる訳にも行かなかったからな、それであちらの活動に支障が出ても困る。

キングについては、思うところはある。すでに、変異体というには違いすぎるほどの自我。自身の美しき王国という妄念に憑かれ、その事にまっすぐだったことは。ある意味では感嘆とすべきなのかもしれない。

だが、同時にあいつは、恐らく根本的に自身が美しくないと考えていたように、テレパシーで憎悪をぶつけられた時に感じた。だから、変異によって変わったゾンビは美しい世界の住人で、人間、元々の自分は醜く思っていたのかもしれない。

キングの出で立ちは、あいつの配下であった部下たちと同じく綺麗だったが、もしかすると、その美醜の感覚が変異に浮き彫りになったのか…。以前のジャイアントスパイダーのクイーンの状況を思うに、何らかの特異な状態がやはり変異に強く影響を及ぼすのは、間違いなさそうだ。

そうなると、こういった存在は他の地域にも眠っているか、脅威を振りまいているのは、想像に難くないな。


後は西切のことだが…。俺はそれにどう応えるべきなのか。正直なところ、わかるはずもなしか。

キングについて

パラノイアが偏執的な妄念により、もう一段階変異を遂げた上位種。パラノイアの時点で、変異体までなら操れる能力を有していたが、歪んだ妄念を持つことにより生まれた明確な自我を持つに至る。

また、人間としての能力も取り戻し始め、ホテル内にあったトラップや銃での攻撃は、ゾンビからの知識を収集したものを応用している。ただし、あくまで知識としてであり身に着けた知恵ではないので、完璧ではない。

結果的にホテルの爆発も、実のところパラノイアの予定していた爆発規模ではなかった。パラノイアの知識としてはホテルを半分まで壊せる威力のもので、放浪者が仮に外へ飛び出したところで殺せる予定だった。

またキングになったことで、キング経由での感染した生存者を、下記のどれかを1つを持ち、自分の配下としておけるコマンダーゾンビへ変えることもできるようになっていた。

1.ゾンビを操ることができる(思考が読めないことを除いて、通常のコマンダーゾンビと同じ)
2.変異体を操ることができる(ゾンビが代わりに操れない)
3.生存者の思考を読み取れる(ただし操れない)

なので、時間を置けば置くほど、簡易コマンダーゾンビが量産されるという、凶悪な状態にあった。

また、放浪者達の予測通り、支配下ではないエリアへの攻撃も、暗示という形でゾンビや変異体に刷り込むことで実行させていた。本来操れないオーガなども上位種も、これを駆使して一定エリアから出ないこと、一定エリアに居る存在を排除するというのを刷り込んだことでバリケード内に配置することができていた。

ただし、同種以外は排除するという暗示の為、ゾンビ達も蹴散らしてしまい、結果上位種がいるエリアには上位種しかいない状態になってしまった。


亜種以上を操ることができないのは…。とりあえずこれ日がいったん区切りがついたらWIKIにでも書きます。もしかしたら触れるかもしれないし。

ブランクについて

キングが生み出した中で、特殊なコマンダーゾンビとして変異。

変異される過程で、自身は死んだと認識したことで、思考や自我が眠った状態の器となった。得たのはコマンダーゾンビとしての限界まで、全体を細かく把握できる距離の広さ。また、キングの状況把握処理を代行して行う、補助が出来る演算処理も兼ね備えていた。

それが結果として、キングをバリケード内外で起こる指揮の正確さを損なわせずに済んだ虎の子の存在。

ただしブランク自体は最低限の本能、死への拒絶を抜かして何もなく、身体を動かすこともない。その為、ハンターが自分に気づき、そして処理しようと認識した際に防衛を回した。

更なる防衛策として、相手に自分が存在しないと誤認させることで、認識できず視認させないこともできたが、ハンターの動物的な、居るという勘で存在を認識されたことによって、突如現れたように見えた。

なお、元々は五九八日目に捕らわれた生存者である。

え、西切さん、えっ!?
っていうか、このこれ日世界でまさか、恋愛系の告白なんて事が起ころうなんて……!!?

『―と言う訳で、DJフレンドから言伝さーね。そういうことは、なんであれ事前に教えてほしいとーさ。じゃあ定時報告終わーり』

「…あぁ、わかった」

キングとの決戦から翌日、拠点は全体で今日の活動は休み。休暇とすると放浪者が指示を出した。本来なら、この間に彼が研究所へ行って今後の打ち合わせをしに行くのだが、今日こそ休みを取らなければどうなるかわかっていますねと、青筋を立てた山中の怒りにより、彼は拠点で過ごしている。なお、移動手段となるサンダーボルトは山中、自動車といった鍵は浜村、ついでに車自体にも藍とスライムによるペアでの見張りがついているおまけつきだ。

「(…そこまで信用がないものか)」

実行するということに関して、今まで強引を通した結果ではある。その意味では信用があるとも言えるだろう。

だが、どこにいても都市攻略について考えることはできる。キングという脅威が去った今は、大型駅エリアをどう確保していくかが問題だ。バリケードがあっても、結局オーガのような存在がいれば破壊されるだろうし、カマイタチも飛び越してくる可能性がある。

あのうず高く積まれたバリケードは、今はその本質を変え、内部のものを抑える必要があるものになった。だが、生憎それを破壊したのは自分達だ。そこから上位種が都市へ流れてくる可能性を作ってしまった。

それを踏まえ、これからの拠点の活動を視野に入れる――。

六百一日目

今日は久しぶりに拠点で一日を過ごした気がするな。キングのことで常に気を張っていたのは事実だ、その意味では、俺以外の全員も本当の意味で休暇になったかもしれない。

ただ、相棒はそうでもなさそうだったがな。俺がサンダーボルトで出ないか警戒していた。行かないと言ったら俺は行くことはないんだが。

後は、相棒に言われたからか、藍達が車の中にいて何をしているのか近づいたら、ダメだぞと怒って見張っていた。2人はまぁ、楽しそうにしていたから良かったか。

とりあえず、これからだが、大型駅エリア自体を、バリケード内と外で区分けする。探索組はバリケード外を制圧次第、バリケード内の制圧に乗り出す。とまぁ、普通の内容だ。

一部、地下道を封鎖したない場所もあったから、そこからバリケード内を優先して処理することも検討出来なくもないが、撤退するところが限定化されることはよくはないからな。

やるべきことは変わらない。後は何もなければ、あのエリアを解放するだけだ。

>>751
まぁ、それだけ余裕が出てきたということですのう。

ほう。つまり強者の余裕ってやつだったのか(違
乙!

とうとう言ってしまったというか。あたし自身も気づくのが遅かったというか。

山中さんには勘付かれてるでしょうし、大きな問題はないとは思いますけども。

まぁ、選ばれるとは思いませんけどもね。選んでほしいなとは思いますけど。

はっきり放浪者さんが愛してると気付いたのは、本当に最近ではありましたが。

でも、自覚はないだけで、ずっとそうだったというのは間違いはない。

言えたことにすっきりしつつ、明日からはいつもの西切緑に戻らないと。

お2人にこのことを知られるのは問題ないにしても、他の人には知られると。いろいろあれなわけで。

覚ちゃんは信頼できる娘で、隠しようもないからいいとしましてね。

明日からも引き続き、いつもの飄々としたあたしでいないとな。

4/14 担当勝 朝

あんなに人がたくさんいたのに、いつも通りだなー。

スラ達何やってるんだろ?


担当蒲谷 昼

放浪者君の対策みたいだよ。

まぁ、僕としてもあれだけやったんだから、休んでてほしいかな


担当平山 夜

今日は流石に拠点からは出られなかったようですね。

しかし、あれだけのタフネスさは、いったいどこからくるのか・・・。

>>755
うん(違

あれだけのタフネスさは、いったいどこから……<ダイス様「ワイやで」

六百二日目

大型駅エリア、バリケード外の探索を開始した。目標はこのエリアのいったんのゾンビ処理と、工作班で破壊したバリケードの確保と、再度のバリケード補強だ。

幸い、最初に壊した箇所は回収組が簡易ながらバリケードの再設置を行っていた。なので、今のところ優先すべきは、何も手を付けていない残り二か所の確保とバリケードの再設置。これを行うことで、内部にいる上位種がバリケード内からの流出するのを防ぐのが目的だ。

それらが完了次第、バリケード内への探索を進め、大型駅を確保できたなら大型駅エリアの確保完了と定めた。そして、それが終わり次第主要な個所を抑えたということで、都市解放は完了との宣言をする。

もちろん、都市自体にはゾンビはまだごまんといる。とりあえず、都市機能として必要な部分を抑え、都市入口エリアまで完全に修復。そこで生存者を募り、最初の文明復活の場所とする。

まだ少し先だが、これが今のところの拠点予定だ。

4月15日

大型駅エリアバリケード外の探索は進んでいる。元々、この場所からバリケード内に入れる地下道の封鎖などで、活動しているエリアではあったが、それはあくまでキングとの戦いに備えてのもの。

今は、本来の任務に戻り、あの場所を確保する為に動いている。1番は、バリケード内からの上位種流出を止めること。そして大型駅自体の確保だ。

大型駅に隣接したホテルの上部が爆破されたことにより、施設の一部が破壊されている可能性はある。そもそも、鉄道を動かす知識を我々は持たないが、それでも物資の大量な搬入が可能になる公共機関の1つ。その後、重要になるのは確かだ。

ここまでやってきた。そして、ここまでやってきて、それは始まりに過ぎないのだ。我々の文明復活の歩みは、都市を解放してから、ようやくの始まりだ。長い長い、始まりに手が、今は届きそうだ。


山中沙奈 記す

4/15 担当蒲谷 朝

今日から大型駅エリアの本格的な探索か。

オーガとかカマイタチとかいう上位種もいるらしいから、こっちも気は抜けないわね


担当喜読 昼

幸いなのは、処理が進んでるエリアということで、変異体化するゾンビが少ない。というぐらいですね。

何にしても、ゾンビと基本形の変異体の時点で処理を進めなければいけませんか。


担当フェイ 夜

フェイ達は引き続ぎ大通りエリアの回収と、簡単なゾンビ処理してるよ。(都市の絵)

でもそういうの聞いたら、回収組も都市入口エリアでゾンビ処理した方がいいのかな(悩む顔の絵)

蒲谷さんがカマ谷口調……

【全ては】
「ふぅ、まだ上位種が見えねぇとはいえ、このエリアはしんどいな」

「あともうちょっとなんですけどね。井門さん」

「バリケードから流出してんのか、キングが戦闘時に配置してたゾンビ共かはわからねぇけど、量がな…。一ノ瀬は大丈夫か?」

「渡しは何とかです」

「本戦はバリケード内だろうけどな。カマイタチの脅威を知ってる以上、あそこはかなりまずい。それでもキングと戦うよりはマシだろうけどな」

「まだまだやること一杯ですね…」

「あぁ、でも後はWWPとか妙な脅威さえ無い限りは、俺達のやろうとしてる文明復活はできる」

「そうしたら、のんびり農作業とかできそうですね!」

「…好きなのか?」

「どっちでもないですよ?」

「そうか…」

>>759
まぁ、そうだけども

>>763
どうしてこうなった


>>762の訂正
×オーガとかカマイタチとかいう上位種もいるらしいから、こっちも気は抜けないわね
○オーガとかカマイタチとかいう上位種もいるらしいから、こっちも気は抜けないね

乙!
農は出来ないよりゃ出来た方が良い

六百三日目

大型駅エリア、バリケード外の探索は進んでいる。進んでいると言っても、やはりキングがゾンビを招集したこともあり、その多さには嫌気がさすな。

バリケード付近まである程度は早く片がつくと踏んでいたが、この状態だと少し時間はかかりそうだ。まぁ、この任務の集大成だと考えれば、ある意味ではらしいといえばらしいのか。始まりの為の終わり、というのが何とも言えないところだがな。

始まりに至るまでに、もう一年半以上を費やした。これから文明を復活させるとなると、この二倍か、それ以上かかるのかという想像も容易い。何より怖いのはWWPの存在だ、対抗できるまでに体制が整わなければ、飲まれるのはわかっている。

俺達の勝利はあくまで、影の中だ。奴等の力を出せないまま、奇襲にて倒してきたに過ぎない。正面だっても、倒しきる必要がある。

その為には、まず空の攻撃を想定した対空兵器なんかも必要になってくるだろうな。その意味では、サンシャインは破壊せず奪うべきだったかもしれないな。

レポートNO.154

井門圭司


大型駅エリアのバリケード外の探索は、とりあえずトラブルなしってとこだ。攪乱作戦とはいえ、大立ち回りさせられた因縁の場所ってのはあるけどな。

まぁ、今は探索組として動いてられるから、あの時みたいな大変さもない。フェアリーとエコーもある意味で、ようやっときっちりと探索組として動いてもらえるわけだし、むしろ気楽は気楽か。油断はしねぇがな。

出来れば、ロッサの奴もこっちに来てほしいけど、あいつは研究所唯一の戦力ってところみてぇだし、わがまま言っちゃアレだよな。

上手くいけば、もう一機ぐらい、研究所が作ってくれるのを期待してみるか。

4/16 担当門日 朝

やれやれ、なんだかんだで落ち着いたねぇ。

これからは今まで通りに、なるといいねぇ。


担当勝 昼

キング倒したからなると思うけど、でも、WWPとか上位種とかいるからなー。

気は引き締めたほうがいいと思うぞ。


担当平山 夜

勝殿の言う通りですな。強大だったとはいえ、あえて言うなら問題の1つを解決したに過ぎない。

今この時でさえ、すべきことはまだまだ山積みと言えます。それでも、良い方には向かってはいるでしょう。

【成長】
「…ふむ」

「どうしたスか、平山さん」

「あぁ、最近の勝殿についてだがな」

「勝がどうかしたスか?」

「…。恐らく放浪者さんや林道殿と接しているからだろうが、先を見据えるようになってきている」

「ほほぉ」

「子供と侮っていたつもりはないが…、戦いの技量も身につき、自然といろいろ考えているのかもしれない」

「最近、林道さんとの修行もすごいスからね」

「そのようだな。成長か…。やはり、これからの、惨劇後の子供はあぁなっていくのかもな」

「いやいや、勝結構すごいスよ? ああいう子どもばっかりだったらいろいろ怖すぎるス」

「そうか」

「(平山さんも、たまにずれてるスよね)」

>>766
この世界だと出来る環境の時点で上等だからね。

六百四日目

大型駅エリア、バリケード外の探索は進んでいる。今のところ上位種が流出した形跡はない。もしかしたら、キングが居なくなったとはいえ、かけられた暗示は中途半端に解けていない可能性がある。あるいは、解けてはいるが影響を受けてバリケード外に出ようとは思えなくなっているか。

だがどちらにしても、時間が経てば無くなるものだろうな。その時こそは上位種がバリケード外に出てくる可能性がある。

恐れるのは、大型駅エリア内で留まらなかった場合だ。それが最悪、拠点に来た場合、考えられる被害はけして小さなものではないだろう。オーガに関しては、ロッサの戦闘力を持って苦戦を強いられたようだから、最悪、あの戦車砲を使うしかない。まさか想定される相手が変異体から出るとはな。

キングとの戦いに備えた準備段階からそうだったが、やはりフェアリーとエコーの超能力は強力だな。フェアリーの飛行能力は偵察に最も適していて、死角の位置はエコーの音響探査が頼りになる。

探索組の増強は、正直十分な域だな。次の生存者が仲間になったら、回収組に優先して充てるとしよう。

それと、ハンターはいつの間にか去っていったらしい。昨日の夜のうちにでも出ていったのだろう。相変わらず、一言ぐらい声をかけてもいいと思うんだがな。

一ノ瀬DIARY Apr. 17

大型駅エリアのバリケード外の探索してるよ。この全体のエリアを探索と、確保が終われば、ひとまずの都市解放は終わりって放浪者さんが言ってた。長かったなぁ、まだ終わりじゃないんだけどね。

でも、油断できないことばっかり、工作班として遭遇したカマイタチとか、あとオーガっていうフェイちゃんとロッサを襲った上位種はまだまだいるみたい。まだまだ油断できないことばっかりかな。

放浪者さんは、探索組に強力なメンバーが固まりすぎているから、次に仲間になる生存者は回収組に回さないとなっていってた。たまに佐田さんが手伝う以外は、2人しかいないもんね。探索慣れしてる2人だけど、やっぱり上位種と遭遇したら、かなり厳しいと思う。

今後モーテルに来た人を勧誘とかするのかな?

4/17 担当浜村 朝

キングのことがあったから今更だけど、だいぶ暖かくなったわね。

最近ちょっと、布団から出るのが億劫なのよね。


担当喜読 昼

確かに暖かくなりました。

残念なのは曇り空が続いていることでしょうか。布団類の洗濯をしたいところです。


担当フェイ 夜

ふかふかのお布団!(布団で寝る人の絵)

やっぱり寝るのは大事だよね。早く晴れてくれないかな(人がとりあえずお願いしてる絵)

【スライムと藍とフェアリー】
「ふむふむ、これがバトミントンなんだねー」

「そうだぞ。この羽を打ちあうんだぞ」

「(いくよー、フェアリーちゃん!)」プルパシュン

「うわわ」パシュン

「(えーい)」プルパシュ

「わっと!」フワ、パシュ

「うん、だめだぞ」ドリュ、パシ

「あれ、なんでとっちゃったのー?」

「空を飛ぶのは、フェアリーの移動方法だから仕方ないぞ。でも、羽を浮かせたりするのは、ルール違反だぞ」

「(浮かしちゃだめー!)」プルプル

「むー。でも負けちゃう」

「自分も、腕伸ばしてとかはしないぞ。ルールはちゃんと守るから、勝ったら嬉しくて、負けたら悔しいんだぞ」

「そっかー。気をつけるねー」

「(じゃあもう一回!)」プル、パシュン

「負けないぞー!」

ここまで

実は結構長い間地の文でこれ日書いてたから、日記媒体に戻った今、どうやって書いてたっけってちょっとなってる

乙!
特殊ルール版のは、超次元ミントンとか言うんですね。分かります

大型駅エリア、バリケード内の探索は順調だったが、雨が強さを増していた。探索組も、一時的に建物内へ避難している。

雨音が全てを包み、雨音だけがこの場を支配している。他の音を聞けないのは厄介だなと、山中は感じていた。エコー、後は耳のいい佐原、小間城、風虎以外で何かの異音に気づくのが遅れてしまう。上位種がいるエリアでは、そういう警戒は重要なことだ。

「こちらでしたか、山中さん」

「西切さん、どうしましたか?」

いつも通り飄々と、しかし、山中の心中で何かを感じ取っていた。言うなら、警戒していた異音と似たような何かを。

「まぁ、もしかしたらお察しかも知れませんけれども」

あまり聞きたくはない。そしてそう思ったことで、おおよそ、その何かを理解してしまった。

「出来るなら、あたしも候補に入れてほしい。キング討伐の夜、放浪者さんにそう言いました」

「…そうですか」

その反応に、西切は、少し落胆めいた気持ちを抱いた。出来れば、怒りを見せてほしかった。最も彼に近い人である彼女だからこそ、なぜ、そんなことをと。

「私の考えている通りの候補というなら、それを決めるのは彼です」

「……。その言葉を、あたしは鵜呑みにするかもしれませんよ?」

お任せします。とだけ、山中は答えた。

「そうか、そりゃあ問題だね」

アイビスの話に、軽いノリで千護が話す。その様子に青筋をアイビスは立てるが、もはやこれが2人のコミュニケーションめいているところもあり、男2人は冷や汗はかくが、以前よりはマシになった。

「軽くおっしゃられていますが、今後の支援の問題もあります。貴方達の報告は、かなり深刻なものとお考え下さい」

「た、確かにどんな相手か不透明なのに、ぼぼ、防衛軍兵士だったり、だ、WWPの科学者なんて。君達の勢力からしたら、あ、怪しすぎるね」

意外にだが、ロバートに対してはアイビスはつっけんどんな態度は取らない。むしろ、流石お話が分かって助かりますと、好意的に返す。ある意味では、千護への当てつけなのかもしれない。

「しっかし、んなこと言っても話してることが全てなんだけどさ」

「それはわかってる。でも、こんな状況もあってレジスタンスの連中は疑い深くなっててね…」

これまでの活動で、相互理解はここの人間なら終わらせている。だが、アイビス、ストークの所属するレジスタンスの連中は、胡散臭いのにプラス、面倒な連中と千護は認識した。

「と言う訳です。まだ報告の詳細は保留にしますが、ご協力は仰ぐと思ってください」

「はいはい、わかりましたよっと」

それに、確かにまだこの2人に話してないことはあった。拠点のことだ、WWPに続き、レジスタンスにも伝えていいかは、それこそレジスタンスと同じように疑い深く千護はなっていた。

>>777
放浪者は弾の気配を消して打ちだし、山中は多脚ラケットを振り、しまいには小間城は有線式ファンネルのように触手でラケットを振る。

この勢力の事 す っ か り 忘 れ て た

普通のミントンの羽「やめろー!そんな事(超次元ミントン)したら俺の体が持たないだろーっ!」

六百五日目

大型駅エリアの、バリケード外の探索は、雨ではあったが問題なく進んでいる。状況的にはあまり、トラブルなどで後手を踏んでいる余裕はないからな。どんな状況であれ、予定の進捗は進めなければならないか。

しかし、ここのところ相棒の様子が妙だな。少しピリッとしているというべきか。何かあれば話すはずだが、今のところそんな様子もない。

それ自体でトラブルが起きている訳でもない。こういうことで、何でも覚に頼るのも自身の目で判断することを曇らせる。後々、そう言った部分が大きく活動に影響が出る。出来ることならばあくまで、自分ということだな。

西切もあの夜からは特に変わった様子はない。それとも、俺が見抜けないだけか。人の心というものには、どうにも俺は疎いからな。

これからの活動を考えると、そういう部分も意識していかなければいけないか。今は、気心が知れて信用してもらえるメンバーばかりだが、文明復活を進めるなら、もちろんそれだけでは済まないからな。

4月18日

大型駅エリアのバリケード外の探索については、今のところ順調に推移している。ゾンビ数が多いこともあり、今月中に終わるかは正直怪しい所ではある。上位種のことを考えれば、短縮できないかを検討しなければいけない。

今のところは、再度強襲班と工作班に分かれ、強襲班は上位種の処理、工作班はバリケード外の確保を進めるというのが妥当だろう。少なくともキングの影響下にいる相手ではないのだから、あの戦いに比べて危険性は低いと考える。

これからのことは、とりあえずこの程度だろう。大きな枷は取り外せたのだから、今やるべきことはシンプルにしかならない。

今気になるのは、やはり西切さんのことだ。彼女を嫌う訳ではないけれど、同じ相手を愛しているという事実は、重くない訳はない。

気持ちが抑えきれず、けれど、私に対して一種の遠慮も感じられる。それがこじれる可能性をはらんでいる。一番は彼がはっきり決めてもらうことではあるが、残念ながら。今は都市解放の任務に集中している、先送りしている訳ではないのはわかっているが、時間はかかるということ。


山中沙奈 記す

4/17 担当勝 朝

今日は雨かー。

水集める為の容器集めてこないと。


担当蒲谷 昼

なかなか雨がやまないね。

探索組と回収組に何もなければいいけど。


担当平山 夜

ご心配ありがとうございます。

春になりましたが、そういうことで風邪をひかないよう気をつけます。

【それぞれの強さ】
「やあああ!」ヒュン、シュバ

「…精が出るな。丸坊主」

「放浪者、どしたん?」

「…何、お前の師匠から最近ますます強くなったと聞かされたからな」

「センセーが言ってたのか? まだまだ勝てそうにないけどなぁ」

「…俺のは我流だが、以前試合をした時より、良い太刀筋をしてる。成長しているということだ」

「まぁ、放浪者がいうならそうなんだろうけど」

「…俺が言えるのはこれだけだ。強くなれ、だが、けして驕るな」

「どういう意味さ」

「…勝てると思った強さは、負けや死に繋がる。それだけだ」

「ふーん」

>>781
まぁ、何やってるかわからん勢力だしね。正直

>>782-783
佐原とか錬浄とかのパワープレイヤーだとバシバシ壊れそうよね。

なんで12分の1が出るねん・・・。


なぜ出るか?判定候補の枠に入れたから

>>790
そうなんだけど、そのせいで今更にカオスな判定でどういう展開にすればいいかわからんようになってきたぞー

「うーん、今日もいい天気だなー」

柳瀬がDJフレンドの下を訪れてから、1週間強経った。それまでの間、彼以外にその例の光を見てここにやってくる生存者はいない。

いろいろとDJフレンド達から話を聞いたりしながら、そのまま滞在し、警備の任務もその代わりとして引き受けている。力自慢や体力自慢というの見た目通りの力もあって、DJフレンド達も助かっていた。

「…うん? 誰かいんな」

そんな彼が、DJフレンドの隠れアジトに戻ろうとした時、何かを見つけた。素早く身を隠し、相手を見る。時期が時期だからか、まだ黒いロングコートを羽織り、ブーツと両手も黒い手袋を着用しているのがわかる。それに、柳瀬は見覚えがあった。

「(おいおいおい、まさか、あいつがなんでこんなとこに…!)」

「5秒以内に出てこないと、撃ち殺すよ。出てくるなら何もしないさ。1、2、3…)」

その言葉がハッタリではないのを知っている柳瀬は慌てて、その生存者が見えるように姿を出した。言葉通り、その生存者は持っていた拳銃を懐に戻した。サングラスのせいで見えないが、表情は一部見えないが、明らかに

「やっぱり、あの光を見てここいらに来たわけか」

「お前が近くに居ると知ってたら、来なかったよ…」

こちらとしては好都合だったよと、取られたサングラスの奥にあった眼は、人間のものではなかった。

「それで…、お知り合いなのかい?」

「知り合いっていうか、ストーカーっていうか」

ひどいことを言うと、その生存者は笑う。対して柳瀬は明らかに嫌そうな顔をしているのが対称的だった。厄介事の雰囲気はあるが、ここまで連れてこられてしまった以上は、丁寧な応対をするしかない。

それにしても、室内だというのにサングラスを外す様子がない。何かあるのは想像しやすい、というより、そういう存在を多く有しているところと付き合いがあるのだから、DJフレンドも、そのどちらかだろうと検討をつける。

「ふーん、流石情報を発信してる大元か。僕のこともある程度見当はついてそうだね」

「まぁ、そうかな。妙に肌を出さないような装備からして、ミュータントというところかな。貴方は」

ご名答だよと、答えて外したサングラスは、先ほどと同じく人間とは違う形をしていた。昆虫の、複眼のようなものが、そこにはめられているようだった。

「…。知識があるにしてはあまり驚かないね。それとも、これぐらいは情報を扱う者としては見慣れたものかな?」

「それこそ、いろいろ見せられることにはなるからね」

その言葉に納得したかはわからないが、目の前のミュータントは、ゆっくりとサングラスをかけ直した。

「話せるなら聞きたいんだけど、その眼は、どうなっているんだい?」

ラジオで流さないならと、条件を付けてきたことについて、DJフレンドはもちろんと頷く。

「見ての通り昆虫の複眼と同じ。目が外に出た訳ではないけど、視野は広くなったように思う。視力は落ちたけど、その代わり動体視力がかなり上昇している。銃弾もある程度は見える。僕自身の解析できる範囲では、これぐらいかな」

「ていうか、なんで俺を追いかけてきたんだよ」

いい加減目的を知りたいという様子で、柳瀬が喧嘩腰交じりに確認する。ミュータントは、サングラス越しでもわかるぐらい、彼に恨めしい目線を投げつけた。

「さてね。追いかけられてる理由もわからない、程度の低い頭に、僕の話が理解できるかどうか」

「頭はあんまし良くないけど、喧嘩売ってんなら買うぞおら」

人様の勢力で騒ぐのは感心しないよと、わざとらしくミュータントはDJフレンドに顔だけ向けると、その意味を分かった柳瀬は、少し静かになった。

「君が見つかってから、とは思ったけど。目的が2つ同時に達成できるとはね」

「…目的?」

恐らく聞き捨ててはダメであろうワードに、DJフレンドは触れる。

「…。貴方が放送している情報の、提供元はどこか。それを知りたい」

その言葉に、その場の空気が重くなったのは、確かだった。

ここまで。

まさかのDJフレンドで生存者イベント発生。プラスそいつがミュータントになるというおまけ付き。
DJフレンドもカオス化していくのだろうか・・・。

あぁ、そうそう。必要ないとは思うけれど。ステータス的に天才です。

今までのキャラの中でインテリは26という最高数値を叩きだしました。(6面ダイス5個振っての数値)

出ただけで終わりそうなのが非常に怖いですがね。

Youは何をしに(求めて)拠点へ?

乙!
?カオス化する  ○地球の70~80%程が既にカオス

『と言う訳なんだ』

探索組が戻って、夜になってからDJフレンドの連絡が放浪者に入った。その件のミュータントと、柳瀬のことでの話だ。

もちろん、柳瀬だけなら通り過ぎる生存者として連絡するつもりも、DJフレンドはなかったが、情報提供元、つまりは拠点を知りたいというミュータントが居れば、話さざる得なかった。

「…俺達自体のことを知っている。と言う訳ではないんだろう?」

『あぁ。自分がこうなった理由を、よく知っていそうなところとの手引きをしてほしい。そういう交渉だよ』

それはDJフレンドでもいいが、恐らくそのミュータントの目的は、その上でより具体的にその相手。つまりはWWPに接触をするかを、リアルタイムで知れるところと、手を組んでおきたいということだろう。

「…仕方ない。フェアリーと一緒にまたそちらへ向かう。キングの件も片がついたから何とかなるだろう」

『また無茶を…、そちらに引き込むつもりなの?』

本人が望む以外はそれはないという言葉は、いつも通りだった。

「…そういう訳だ、また留守を頼む」

放浪者は急ぎサンダーボルトの準備と、拠点のメンバーへの状況の周知をする。

「それは構いません。今までに比べれば、緊急的なことではないですからね」

「…。DJフレンドからの話の感じからして、恐らく頭は切れる相手だろう。自身の変異も冷静に分析しているようだから、敵対的な事さえしなければ大丈夫ではあるだろう」

そのやり取りをしていた2人に、エコーが寝ぼけ眼のフェアリーを連れてきたと報告する。眠いとフェアリーは訴えているのを、放浪者が頭を撫でてなだめる。

「僕も行こうか…? 相手が真実を言っているか、僕ならわかる…」

「…構わないが」

山中も、目配せしてきた放浪者に対して頷く。どこまでやり取りが真実かも含めて対応した方が、拠点自体の安全性を高めることができる。

いくらミュータントとはいえ、数々の修羅場と奇跡を起こしてきた放浪者と同格は早々いない。罠や相手の土俵に立つということがなければ。とはいえ、その場合はDJフレンド達のテリトリー内でもあるのだから、そんな無茶はないだろう。恐らく純粋な交渉と踏んでいいはずと、2人は結論を出している。

「フェアリーも、心配だからね…」

「ねむねむー…」

無事にたどり着くためのキーであるのは事実だが、いつも通りなフェアリーに放浪者は、少し諦めの気持ちを抱いていた。

以前と同じように、暗視ゴーグル付きで放浪者はDJフレンドの下に訪れていた。夜闇に紛れ、WWPとの接触はなく、恐らく他に目撃はされていないだろう。

「ほんに、この乗り物は便利ですよって」

「…お出迎えありがとう、西村さん。前と同じく充電を頼む」

はいはいと、西村とそしてファイブキラーでサンダーボルトを中へもっていく。本当につい最近見たばかりの光景だなと、放浪者は思った。

「じゃあ、その客人の待たせているところに向かうよ」

「…わかった。エコーも同伴する、フェアリーは他の場所で寝かせておいてくれ」

はれほらひーともうよくわからない言葉を言いながら、フェアリーは放浪者に背負われていた。もう寝かせるほかない、帰りは明日の夜になるだろう。

DJフレンドの案内で、柳瀬とミュータントの2人が、ミーナの見張りがいる中で待機している場所へと、移動する。

柳瀬は、DJフレンドに連れられて入ってきたのが、最初はエコー1人だと誤認していた。それは動体視力が向上したと言っていたミュータントも同様だった。

「…2人、というより、そちらのサングラスの人間がこちらに用がある。ということでいいか?」

声をかけられて、ようやっときっちりと認識した。思えば視界には入っていたし、いるのはわかっていた。そう、当たり前すぎて、いないと勝手に思い込むぐらいに、自然だった。

「(……。なるほど、DJフレンドが言う通り、僕と違う意味で普通ではない)」

「(やべぇぞ。あいつが変なこと言って、この人敵になったら、勝てんのか?)」

それぞれがそれぞれ、認識と同時に戦力差を理解した。2人もそれなりに経験を積んでいる生存者、相手の戦闘力の把握は、生き残る必須と言っていい。その優れた分析力、そして動物的な勘で、相手が本気になったらどうなるかわからないと、告げた。

「そうだよ。よろしく、放浪者さん」

「…よろしく。横にいるのはメンバーの一人、エコーという。同伴させてもらうが、問題ないか?」

そちらも、普通ではないことを感じながら、ミュータントは問題ないと、答えた。

>>797
WWPとの喧嘩売りでした

>>798-799
残りのパーセンテージも普通なのかわたしゃ自信ないよ。 

????「はらひれほろはれ~♪」

おつ~
柳瀬さんは何でストーキングされてんだろ?

乙~
上昇中にフェアリーが寝落ちしなくて良かったねぇ

それにしても昆虫系変異者はこれで二人目かぁ。人基準で容姿値はマイナスだけど、知識がパないなら威容として昇華される可能性もあるかなぁ?

乙!
高INTが役立つ機会が少なかったとしても、秀でてくれてるだけありがたいですな

ミュータントは深山(みやま)と名乗った。ミュータント化の影響が強く、本人自身に関する記憶はあまりないと答える。それに対して、エコーはその能力を使って他には聞こえないよう、放浪者にだけ嘘ではないと伝える。

「少なくとも、こうなった原因はこの馬鹿のせいだけれど」

深山の説明だと、ゾンビの襲われた柳瀬をかばい感染。そして、その当人は自分を死んだと思い込み、そのまま逃走した。かろうじて生き延びて気づけばこうなっていたということだった。

「腹立たしいから追いかけまわして、今日(こんにち)に至るわけだよ」

「…そうか。聞きたいのはこうなった原因であろう、WWPについてだが。俺達が知るのはDJフレンドと変わりはないが…、構わないか?」

放浪者は知る限りのことを説明する。もちろん、前提としてこの変異における原因であるという情報は得ていないことを含めて、深山に説明をした。

「……。変異そのものの情報はない。ただ、間違いなく黒に近いグレーな研究機関。そこの変異に関する研究所さえ見つけ出せれば、このミュータント化の解消が出来るかもしれない…」

「…。えげつねぇ、なんか腹立ってきたぞ」

それぞれがそれぞれの反応を示す。今のところエコーの反応は、正常だった。

「ところで、そのWWPの本拠地のようなものは、わからないところなのかな」

「…あぁ。俺達もその内ぶつかる相手なのはわかっているものの、自分達の下地作りで忙しい。WWPだけを追う為の部隊を編成する、という余裕はまだない」

深山もそんな集団が、すぐに尻尾を出すとは思っていない。彼なりに放浪者を見る限り、嘘をついている様子もなかった。信頼は出来る、隣にいる彼女を同伴させているのはわからないが、恐らくは秘書のような立場かと想像する。

「…一番手っ取り早いのは、話しをした研究施設を回る。後は同盟を組んだ者からの共有で、電波の中継基地らしいものも作っているようだ。そこいらを当たってみた方が早いだろうな」

「なるほどね」

これで、明確な相手は確認できたと言っていい。100%である必要はない、この忌々しい眼を生み出した、責任を取ってもらうだけなのだから。

「お前、まさか1人で殴りこむ気か?」

「ん? それこそまさかだよ。君と一緒に殴りこむ」

口を開けて呆然とする柳瀬に、深山は当てにしているよと追撃した。

「…お2人はそれなりに出来るのは見受けた。だが、舐めない方がいい。本当に何が飛び出してくるか、わからない相手だからな」

失敗はない、そう言える放浪者であっても、WWPの一筋縄でいかない闇の深さは、警戒をせざる得なかった。そのプロジェクトの中には、もしかすれば彼の能力の天敵足りえるものがあるかもしれない。ただの兵士の集団であれば、どうとでも。という思考に関しては、もはやいうことはないだろう。

「迷惑はかけない。それに、策を巡らせるのは得意だから」

「…熟慮出来るというならいい。下手に死なれるよりは、生き延びる道を選ぶべきだからな」

本来なら、こういう情報のやり取りをするなら物資のトレードも検討したかったが、同じ相手を敵として見るなら、遠回しな味方になる。ある意味ではそれでいいだろう、相手は強大、当てにできる戦力が多いならそれに越したことはない。

「…協力してもらえるなら、DJフレンドの情報提供者になってくれればいい。望むWWPの情報を、優先して報告できるだろうからな」

「ギブアンドテイクということなら、構いはしないよ」

とりあえずは、友好な関係を結べそうならそれでいい。今日来た役割もこれで果たせただろう。後は、それがうまく転がってくれるのを祈るしかない。

>>805
結局この言葉って誰が言いだしたんだろうね


>>806
さっくりいうとこんな感じの理由


>>807
まぁ、2人目だね。まだいるんだろうけど。高度な知識を持ってる宇宙人にも見えなくない

ちなみにDJフレンドへの移動に関しても合否の判定は振ってますので、失敗したら落ちてたやも


>>808
まぁ、やっぱり自分の武器になる能力って大事だからねぇ

乙!
化けて出る(存命)が理由とはねぇ...(苦笑)

まぁWWPは撒いたモノの影響の大きさからして、絶対に因果応報なツケを払わされるだろうがね

六百六日目、まさかまたDJフレンドのところに来ることになるとはな。

新たな生存者を2人確認、柳瀬、深山という。柳瀬は一般的な生存者、深山は昆虫ベースのミュータントと言ったところ。恐らくサムと同種な変異なのだろう。

聞く限りだと、視力に特化しているようだな。まず、動体視力が良いようだ。集中さえしていれば、銃弾などの早いものさえ、奴にはスローモーションに見えるらしい。視野もある程度広がっていて、夜間も大体は周囲を見渡せるということだ。

身体能力も、多少の向上はあるらしい。筋力がそれなりについているそうだった。手を握らせてもらった時の質感は変わりないが、確かに力強さはあった。ただ、佐原や錬浄に比べればそこまででもない。変異の形態によって、強化される部分も変わるのだろう。

とりあえず、明日の昼間はDJフレンドの仕事を手伝って、その夜に拠点に戻る予定だ。とりあえず何事もなければだな。

レポートNO.155

井門圭司


放浪者さんはDJフレンドの連絡で飛んで行っちまったな。それにしても、新たなミュータントか。佐原は気にしてたみたいだったけど。

ミュータント化は、ゾンビ化と一緒と考えられてる。だから、ここにいる誰でも、ミュータント化してない奴ならなる可能性はある。もちろん、その前にゾンビ化する方が落ちなんだろうけどよ。

話しによると、ミュータントは頭が切れるみたいだからな。別段俺達と知られたわけじゃねぇが、DJフレンドの裏にいる提供者達の推測をしてたみたいだし。

まぁ、わざわざ会う必要はないとは俺は思うが、何かあった際の確認だろうな。今はキングもいなくなってこっちとして緊急性がないってのが、あの人の動きを軽やかにしてるんだろ。

ただ、それはちっと問題っちゃ問題んだけどな…。

4/19 担当門日 朝

キングもいなくなり、トラブルも今のところない。

医者が動いてない方が、世間は平和ってことだね。


担当喜読 昼

そうですね。緊急事態は起きないに越したことはありません。

今の世界では、起きていないことをありがたく思うほかありませんけれど。


担当フェイ 夜

またリーダー飛んでっちゃった。(飛んでる人の絵)

なんでも新しいミュータントさんだって、佐原さんみたいな感じかなー(狼人のような絵)

【変異以上のもの】
「……。拠点のリーダー、放浪者さん。か」

「お前が変なこと言いださないか、すっげぇひやひやした」

「…。僕が力量もわからないとでも? 仮に、2人がかりで攻撃したとして、無傷で済むとは思わないよ」

「マジか。俺一人じゃ無理だなってのは思ったけど」

「くぐってきた修羅場の数が違いすぎる。WWPの兵士との戦い以外にも、いろいろな経験を積んでる。ミュータントとの戦いも、恐らく熟知してるだろう」

「聞きたくねぇけどさ」

「なんだい?」

「それに全部、勝ってきたってお前の頭でも思うのか?」

「それ以外にない。DJフレンド、なかなか恐ろしい所と繋がっていたようだ。少しなめていたよ」

「この少数でよくやってるとは思ってたけどな…」

「仮に、この同盟がやられたとしても、後ろに放浪者がいるなら、仇は取ってくれる。そもそも、彼と組んでいたらやられるような目に遭うかどうかも…。それぐらいの力量はある」

「……。話しに出たWWPとどっちが厄介だと思う?」

「それは答えるまでもない」

「…」

「彼だよ」

>>813
まぁ、そんな案外でかい理由でもないという

>>814
やったことに関しては何かしら返ってくるだろうさね。

乙!
まぁダブピもどうせまた裏でこそこそと強化策練ってるんだろうけどな

フレンドが拠点と繋がってるとはいえ、時間に猶予の無い危機での救助要請では間に合わないんだけどね

「…。発つのか?」

DJフレンドの警備の任務を終えて戻ってきた放浪者は、柳瀬と深山が出る準備をするのを見かけて声をかけた。

「ここに留まる理由はもうない。ようやっと、正確に憎むべき相手の名前がわかったのだしね。ついでに横にもいるけれど」

「だから、別に見捨てた訳じゃねぇって…」

柳瀬の反応を見るに、恐らく深山がいった事そのことに間違いはない。放浪者はそう思っているし、エコーも特に何も言ってなかった。ただ、正しくはあるのだが、その底の部分が何か違う。そんな予想はある。

遠回りとはいえ、同盟を組んだ間柄だが、たかだが一日程度の付き合いだ。そのそこに在る部分は、信頼を得なければ話されることはない。そして、放浪者もそれを知ろうというつもりはなかった。

「放浪者さんが、仲間を救うために向かった場所へ向かってみる。基地の位置を特定できれば、お互いに利益だろうからね」

「…あぁ、無理だけはするな。基地規模なら、恐らくADSP系統の防備ぐらいはあるだろう」

それに、あの夏の逃走時の規模を考えれば、間違っても2人で殴りこんで勝てる人数ではないのは想定できた。

「そうそう、放浪者さんにお願いが一つあってね」

どうしたと聞くと、深山はサングラスを取る。特徴的な複眼が、当然目に付く。

「本気で僕を斬りつけてほしい。自殺願望じゃなく、単に貴方がどれだけのものか知りたい」

「お前、何言って――」

止めようとした柳瀬が言い切る前に、放浪者いいだろうと答え、ゆっくりとウェーブソード・デュエルを引き抜いた。息を呑む動作にも関わらず、2人はいつまでも殺気を感じることが出来なかった。

「(…全力で注視して、動きを把握できるか。それによって、この人が持つ力が理解できる)」

「(ヤバい、ヤバいって空気は感じて、殺気も殺意も感じねぇ。気持ちだけ焦ってるみてぇだ…)」

それぞれの感想を抱いている間に、放浪者は滑り込むように深山の胸部部分を撫でる位置で、太刀筋を止めた。深山の身体は、少しだが後方に下がっている。

「…満足か?」

「えぇ。おおよそは」

だからこその結論だが、WWPより放浪者の方が脅威という認識は、彼の中で確実なものになった。

では、DJフレンド達を読んでくると、放浪者は部屋の外を出ていく。見送った後、柳瀬は近くの椅子に座りこみ、深山も緊張をほぐす為、煙草に火をつけて紫煙を取り込んだ。

「お前、今の話は、どう考えたって自殺願望ってやつだろよぉ…」

「確かめたかった。この動体視力の全力をもってして、動きを捉えられるかと」

深山の中にあったのは、初対面時にいたことに気づけなかったことだ。もし、そもそも気づけないような力なら、ミュータントで強化された身体以外、深山は無力化されることになる。

「結論から言う。動きを捉えることは出来た、ただし、途中からだけど」

武術の教えを受けた訳ではないが、人間は無意識が存在する。有名なのは、動作する瞬間までのわずかなラグ、そこに意識が介在しない瞬間が必ず起きる。推察するに、ある種の相手の無意識を読み取り、攻撃を仕掛けてきている可能性があると深山は示唆した。

「できんのかよ。そんなこと」

「…。2度だよ、あらゆる動作を見落とす訳のない僕が2度、認識できないことが起きた。なら、それは偶然じゃなくて、事実。放浪者に自覚があるかどうかは推察できないけど、相手の認識を突いて攻撃を仕掛けられる。絶対的無防備へ対しての攻撃は、誰が考えても。脅威だ」

これが、悪党でなかったことが不幸中の幸いだ。深山はそう考えるしかなかった。

>>820
それはいつも通りです。ウェスカー張りにいつも通り

>>821
まぁね。WIPの時みたいに持ちこたえなければ。結果はね。

乙!
なんちゅーか、アレだな。内家拳ってのに爪先かかってるんじゃないのか?放浪者はw

それで言えば、サイバネ武術家属性まで持ってるけどなww

六百七日目

無事DJフレンドの場所から戻ってこれた。サンダーボルトによって、行き来が楽になっているのはいいのだが、やはり人目を気にしなければならない。その意味では移動できる時間帯が限られているのはつらいところだな。普通の生存者ならまだしも、WWPに見られるのが一番厄介なところだ。

今回で知り合いとなった柳瀬と深山だが、どちらも間違いなく強いな。柳瀬は体力と力自慢、話しによると錬浄のように変異しなかったという訳でもなさそうだから、その意味では俺の知る範囲で一番力がありそうなところか。深山もミュータントの持つ動体視力、後はあの鋭い読みを支える頭の良さを感じた。組み合わせとしてはいい2人だろう。因縁はあるようだが。

二人の行き先は、藍を生み出した研究者が居たとされたエリアだ。二人にはその事実は話していない、あくまで仲間がWWPに捕まり、それを救出に向かった。という形で話している。藍はWWPにとって重要人物だからな、流石に教えることはできなかった。

一応、あの周辺に基地があるというのは俺の読みだが、外れてはいないだろう。追跡されていた当時の動きを考えれば、不思議ではない。もしそれが見つかれば、俺達にとってプラスなのは間違いない。

一ノ瀬DIARY Apr. 20

探索組の大型駅エリア、バリケード前の探索は問題なし。放浪者さん達が抜けてちょっと心配だったけど、なんとかなったよ。

でも、もしかしたらこう言う事態の方が多くなるかもしれないから、放浪者さんいなくても皆大丈夫だって、思ってもらえるぐらいにならないといけないかな。

お話に聞いたミュータントさんは、昆虫が持つ複眼があったみたい。そっちのことはあんまり詳しくないけど、視覚的な部分が大幅に変わってるはず。人間は視覚を頼りにする生き物だから、いきなり得られる情報が変わったら歩くのも大変だったんじゃないかな…。

でもその代わりに得られたのは、弾丸も見える動体視力みたい。身体能力も上がってるらしくって、ちゃんと見えて距離があるならかわせるんだって。でも、放浪者さんの攻撃はかわせなかったみたい。ちょっと不思議。

後、夜でも良く見えるみたい。いろいろ不思議な眼みたい。

>>826
教えたら普通に習得しそうで怖いです

>>827
とあるところの「サムライ」の要素はあるよねぇ。反射速度向上のものかとアリス作ったら普通に埋め込みそうだし。

4/20 担当浜村 朝

とりあえず、放浪者は夜に戻るって連絡あり

いつも思うんだけど、拠点のトップがほんとポンポンどっかいきすぎよね


担当蒲谷 昼

そうだね。腰を据えていてほしいのは本音だけど。

こうするのが彼の甲斐性なんだろうから、これからもだろうね。


担当平山 夜

放浪者さんの実力は疑いようもありませんけれど、あまり不在というのも考えものです

彼のストッパーである山中さんが、止められないのであれば我々ではどうしようもないのも事実ですが

【空の旅】
「今のところ変な音は聞こえないよ…」

「拠点はまだかなー、スラちゃん達と遊びたいなー」

「…もう少しで到着する。我慢しろ」

「あいあいあいー」

「あの人達、大丈夫かな…」

「…無茶をしないと信じるしかないだろう。ハンターには及ばないが、2人の実力は十分ある」

「深山って人は、すごくWWPを恨んでたみたいだから…」

「…当然だろう。それに、それは、お前達もそうじゃないか?」

「僕にはよくわからない。こうなる前の方が、1人だった気もする…」

「…そうか」

「んぃー! 眠くなってきたー!」

「…頑張れ」

「んあいあー」

ここまで

今思ったけど、生体音響探査、生体反重力装置搭載、実質仕様爆撃機のサンダーボルト。普通にヤバい代物でしかない気がしてきた。

着く直前で描写カットとは、もしや、何かあるのか……?

乙!
そうは言っても、生体ユニット二人の力を借りられなければ、ただ移動に便利な突撃機というくらいでしかなくなっちゃう訳ですけれど

六百八日目

大型駅エリアバリケード外の探索を進めている。生憎の曇り模様だったが、探索自体に影響はなく、今日も無事完了している。今のところ定期的に上位種が外に出ていないか、俺とフェアリーで偵察しているが、その様子はない。

開けられたパンドラの箱のようなものだな。閉じ込められたのは希望らしいが、それすらもない箱。そして、その箱の中へ否応なしに入らなければいけないのが、俺達ということか。

だが少なくても、この任務さえ終われば拠点強化のための活動に全てを注げられる。ゾンビ処理そのものは変異体化の兼ね合いでし続けなければいけないが、メインに据えなくても済む。滞っている発電所の設置、拠点エリア自体の防衛の物資収集。人員増加時の建物の保守点検。まだ、やることは山積みだ。

命がけの大きな障害を取り除いた。だが、それ以外の小さな障害は残り続ける。一つ一つ、飽きずに潰し続けることでしか、生き延び続けることは難しいということか。

4月21日

放浪者も戻り、今日から改めて、元の人員で大型駅バリケード外の探索を進めている。大きな変化はなく、トラブルも起きていない。キング討伐以降、平穏と言っていい。

それはもちろん、我々は長い間キングという、脅威にさらされ続けた緊張感からの解放による勘違いだろう。もうすでに、新たな上位種という脅威にさらされているのだから。違いは、そこに知性が介在するかどうかだけだ。

もちろん、少しだけ平和になったということは変わらない。だが、それは微々たるもの。本当に平和にする為には拠点自体の強化も進める必要がある。ひとまずは電気の確保、この場所でも電気に頼るものが増えてきているのと、更なる安全確保のために、避けられることではない。

やることは未だに山積み。まだまだ人材の確保も必要だ、また、出ていったハンター経由でよい人が集まるといいのだが。

そもそも生存者自体が貴重な存在なのだから、高望みになってしまうか。今は今で乗り切ることを考えよう。


山中沙奈 記す

4/21 担当三間 朝

そろそろ電動ミシンとか欲しいなぁ。

もし、衣類品も物資交換するなら、そういう機材がいると思うんですよね。


担当勝 昼

服かー。それでご飯貰えるならあった方がいいのかな。

俺マント欲しい。


担当フェイ 夜

フェイも新しい服欲しいなー。(洋服のいろいろな絵)

オシャレとかも大事なことだもんね。(いろいろなポーズをした人の絵)

【重要施設】
「ふん、大まかな図面は出来たが、結局回収できるパーツ次第か」

「佐田さん。うん、発電所のことかな?」

「あぁ、ここが建設予定地だからな、見ていた。そろそろ図面などでの下準備もほとんど終わった。後は物資だけだ」

「うん、放浪者君達もまだまだ忙しいみたいだからね」

「ふん、わかっている。だが、事実これが出来なければ立ち行かなくなるぞ」

「僕達だけで例のエリアにいける力があればよかったんだけど、うん」

「物資回収中に戦闘できる人間も考えれば、数が圧倒的に少ない。探索組が手が空き次第か」

「せめて上位種さえどうにかできれば。うん」

「ふん。難儀なことだ」

>>834
基本ブレイクタイムと記載あるところは、本編自体に関わりない1シーンですだ

>>835
正直、この世界だとそれだけでも十分すぎるけどもね

探索組による大型駅エリアバリケード外の探索は、今日も引き続き進められている。量は多いものの、ここのところの探索組の活躍により、その数は収束の方向へ向かっていた。今すぐではないにしても、この状態を維持できれば、次は本題のバリケード内へと向かうことができる。

今はある程度の処理が終わり、使えそうな物資がないかいくつかの班に分かれ、建物などに入って、実入りがありそうな場所を調べて回る。

エコーと井門は、今一ノ瀬と山中が入った建物の出入り口の警護、及び周辺の確保の為、建物外周を回っていた。会話は特にない、エコーはその能力の割には、物静かな性格だ。井門も普段なら軽い会話はしようとするが、その性格を見抜いて声をかけようとしない。

お互い、無言のまま歩いていると、塀にぶつかり、その後電柱に叩きつけられた装甲車があった。状態からして、動かせそうな様子はない。後ろの両開きの扉が片方開いており、そこからのぞいてみたが、物資が残っている様子はなかった。井門はとりあえず、扉を両方開ける。

「ん…。こりゃあ」

そこにあったのは、機械式のメガホン。拡声器がその後ろに隠れていた。

お、エコー君の専用装備かな?
乙!

六百九日目

大型駅エリアのバリケード外の探索は引き続き進んでいる。この調子でいけば、必要な範囲の確保はそろそろ半分行けるかどうかというところだな。やれやれ、出来ればひと月もかからずやりたいところだが、そうもいかないな。キングも厄介な手土産を残していってくれたものだ。

それと、井門からの報告だが、拡声器を手に入れたとの報告があった。用途的に必要があるかは微妙なところだが、音を武器とするエコーには向いている道具で、回収してきたとのこと。確かに爆竹などの音を立てるものをエコーは持っているが、いかんせん消耗品だ。そういうものがあった方がいいだろう。

ただ、動きながら使うのには向かないだろうな。声を出さなければいけない以上、呼吸が難しくなる。それに、小さい道具とも言えないからな。持ち回りが良くて、音も任意に高く出せるものか、少し検討しておくべきかもしれない。

何であればこういう小さな前進が続けられるなら、問題はないだろう。1人の強化は全体の安全に繋がる。生き延びるのが最重要な任務なら、それが正しいことだ。

なんだかんだで春の陽気、のんびりぽかぽかと眠りたい気分ではありますねぇ。

探索組の活動も、前と変わりなし。キングがいたのも遠い昔になるのかと。

その意味では、まぁあたしとしては寂しい訳で、あの時の告白も昔のことになっちゃいそうで。

まぁ、こんな迷いがある時点で山中さんには敵わないんですけどね。

放浪者さんは間違っても人を雑に扱うような人じゃないですし、何の意図かはわかってるとは。うん。

こういうことで、探索組の連携が乱れちゃうのもアレなんで、普段はいつも通りにはしてるつもりですけど。

ちょっと、2人きりになりたいなっていう気持ちは、やっぱり抑えるのは難しいですね。

うーん。大丈夫かな。

4/22 担当喜読 朝

ポカポカという心地よい暖かさですね。ただ少し曇っているのは残念でしょうか。

モーテルを開いたと言っても、やはりそうそう利用者は現れませんね。

後で、部屋のチェックいたします。


担当勝 昼

もっといろいろできないかなー。

とりあえず、もっと走り回って良い所欲しい。


担当平山 夜

メンバーが増えないと難しい所でしょう。

ただ、モーテルの部分を抜かすと、メンバー加入があった際の部屋はありませんね。

と言っても、簡単に拡充するには警備組の負担が増えます。難しい所です。

【師と弟子】
「気をつけ、礼!」

『ありがとうございました(ぞ)!』

「よーし、スラ、今行くぞー!」タタタッ

「あいつ何であんな元気なんだろうなぁ」

「勝、いいか?」

「ん? センセーどしたん」

「勝、君は随分と強くなった。恐らく以前の君とは比べものにはならないだろう」

「そうかなー?」

「…実感はあるのだろう? その強さ、どこまで通用するかという気持ちは、君は間違いなく持ってる」

「………んー」

「その事自体は悪い事じゃない。けれど、行き過ぎた時が問題だ」

「…うん」

「その力(つよさ)を、何に使うべきなのか。そのことだけは、じっくり考えるんだ。いいね」

「わかったようなわかんないような気がするけど。考えてみる」

「そうか、もういって構わないよ」

「はーい」

「………。近いうちではないにしても、その先では自分を超えるかもしれないな。だから、今のうちにちゃんと、身に着けた強さがなんであるか。考えるんだぞ、勝」

>>842
久しぶりの特殊アイテム判定でした。そのほかは、モーニングスター、ロケットランチャーなど。

乙!
まぁ頑丈な広告用紙とかあれば、勢い良く振る事で
爆音出せる折り紙もあるけどね

もういって構わないよ  そう言う事なのかな?

六百十日目

大型駅エリア、バリケード外の探索は進んでいる。進捗そのものに問題はないが、路線を変更することにした。とりあえずは、破壊したバリケードのところまで安全に生けるルートを確保する。正直、この量の多さを考えると、もう少し処理をしてからにしたかったが、上位種の脅威の方が最優先だ。

これで、いったんの任務の進捗は早まる。その分、安全性を考慮しないということにはなるが。このやり方が、急ぎすぎかどうかはこれからわかることになるだろうな。

その上で急がなければいけないのは、やはり壊したバリケード自体の再封鎖だな。幸い回収組が一ヶ所だけ簡易にバリケードを張り直しているから、何もできていない二か所が優先になるだろう。

正直、オーガのような上位種は破壊するだろうし、カマイタチももしかしたら脚力で飛び越えるかもしれない。ただまぁ、バリケードの向こう側に行こうとする理由がなければ、恐らくはその場に留まるだろう。

そうして時間を稼ぎつつ、上位種を全て処理出来れば、後は大型駅の確保をして大まかな都市攻略は完了になる。

それはもう少しだけ、かかりそうだな。

レポートNO.156

井門圭司


探索組の大型駅エリアのバリケード外の探索は、方針変更になった。制圧メインでやってきてたが、やっぱり量が多いってのもあって、とりあえず破壊したバリケードまでのルート確保ってことになった。

理由はそこじゃなく、上位種の流出の懸念ってやつだな。俺としても同意見、その為の危険は出ちまうが、上位種があのバリケードから放たれて、下手をして拠点に来られたらジエンド。最悪はそれで、バリケードが壊されちまったり後は探索中に突発的に襲われる可能性はあるからな。

まぁ、後者はエコーやら小間城やら風虎がいるし、フェアリーの上空の偵察とかも含めると早々ないとしても、やってきたところが壊されるのはアレだからな。

良いか悪いかは別にして、俺自身は悪くないと思うね

4/23 担当浜村 朝

今日は晴れたわね。あんまり天気悪いと畑に影響あるから助かるわ。

もっとも、冬も終わったから水の確保が重要になってくるけど。


担当門日 昼

畑か。製薬までといかないまでも薬草類の栽培にも着手したいね。

上手くいけば医療にも使えるのと、物資交換にも役立つだろうさ。


担当フェイ 夜

お薬かぁ、確かにお薬も作らないとダメなんだよね(錠剤の絵)

でもフェイはその前に、お肉とか卵食べたいです(牛の絵や卵焼きの絵)

【食も道楽】
「うむむむむ…」

「…フェイ」

「あ、井門さん」

「変な声上げてどうしたよ」

「ちょっとここの食事情に飽きてきたス」

「…お前今、すげー贅沢なこと言ってるの知ってるか?」

「それぐらいわかってるス! そういうことじゃなくて、もっと新しい食料を探すべきじゃないかと思ってるス」

「あぁ、例えば鶏とか牛とかか?」

「そうス」

「ま、それなら合点はいく。保安官さんがたまに持ってくるのじゃなくて、安定した生産が出来たほうがいいからな」

「でもまぁ、なんだか保安官さんに悪そうな気がするスけどね」

「飼育がうまくいくかもわからねぇからな、それはなんともだな。養鶏場は結構前に確認してるらしいけど、いけてないみてぇだし。上位種のこともあるけど、あえて班分けて探しに行くのもいい気がするけどな」

「卵焼き…、食べたいス」

「だなぁ…」

>>848
なるね。使った後が問題だけど

>>849
ここでの意味は、まだ話が終わったよってとこです。

春になり、気持ちのいい陽光が射すようになった。拠点の畑の作物も、その陽を浴びてすくすくと成長をしている。今日、収穫できる作物を浜村が淡々と籠に入れていく。

「しっかし、あっついわね…」

ビニールハウス内はその日光で温められ、暑さとして感じられる状態だった。これから夏になればこれ以上の温度になる。温度管理が難しくなると彼女は感じていた。

それに合わせて、今使っている畑についてもそろそろ問題が出ている。貰った肥料で補っているが、ずっと作物を作り続ける弊害として、その場所の栄養が徐々になくなってきてしまうことだ。

かと言って、現状すぐに他の場所で畑を作れる場所はない。そうなると拠点事態の拡張もしなければいけないのだが、そうなると途端に拠点内でしなければいけないことの量が大幅に増え、現状の警備組の人数では賄い切るのは難しい。

貴重な食料をちゃんと得られたという喜びは、その事からどこか上の空になるような状況だった。

六百十一日目

大型駅エリアバリケード外の探索は進んでいる。目的を破壊したバリケードまでのルート確保ということもあり、進捗としてはかなり早くはなってきているな。もちろん、その分の危険性は高まったことを含め、油断は一切できないが。

今のところ、定期的な偵察をする限り、上位種らしい存在がバリケード外に出ている様子は確認できない。研究所のサポートチームも定期的にはチェックを入れてもらっているから、今のところは高確率で大丈夫だろう。

俺達が探索中に上位種と遭遇するのが、最も最善なトラブルだ。対抗が難しい、回収組、最悪拠点での遭遇が一番危険だからな。回収組は大通りのエリアの物資探索兼、簡単な制圧をしてもらっているが、エリアの境には来ないよう言ってある。恐らく、早々なことはないと願うしかない。

後はフェイから鶏肉が食べたいとごねているのを聞いた。確かに新たな食料自給を検討してもいいだろう。ただ、蒲谷さん達からも発電所を作るための物資等の回収もしてほしいときている。どちらを先に、という検討になりそうだな。

教員日誌 四月二十四日 林道正綴

キングとの戦いの後、勝が鍛錬における身の入り方は以前よりも増している。子供としての純粋な強さを求める気持ちなのだろうな。わからないでもない、側に絶対的な強さを持つ存在がいるのだから。

この場所を出て、今まで身に着けた強さを試したいと言ってくる日は、そう遠くはない。そう、今はただ自覚がないだけだと自分は思う。

それは巣立ちとなるのか、それとも若さゆえの過ちになるのか。それを決める為に、強さの在り方を勝自身で考える必要がある。助言はしても、考えて答えを出すのは当人。その答えを間違わないことを祈る。

4/23 担当蒲谷 朝

今日もいい天気だね。しばらくはこんな感じかな。

やっぱりキングがいなくなって、ピリピリしなくなったから、穏やかな気分だよ


担当三間 昼

そうですね、いる頃は皆どこかピリピリしてました。俺もだろうけど。

浜村さんが獲った野菜、乾燥させなきゃ。


担当平山 夜

キングがいなくなってから緊張感がなくなったのは間違いありません。無くなりすぎてはいけないものですが。

夜はまだ冷えます。しっかりと布団をかけて寝なければいけませんね。

【バックゥギャバー】
「………!」ビクン

「おっと。うん、起こしちゃったか。ごめんね、喜読さん」

「いえ、お気になさらないでください。ぼんやりしてしまいました」

「この陽気だから。仕方ないよ。うん。僕なんて見張りの時眠くて眠くてね」

「お気持ちはよくわかります」

「うん、放浪者君が聞いたら、緊張感がないって言われちゃいそうだけどね」

「他よりも安全ではございます。危険がない訳ではございませんからね」

「うんうん。わかってはいるんだけどね、今は上位種が問題になってるけど、野犬の群れとかくるかもしれないし」

「まだまだこれからということでございますね」

「そうだね。じゃあ僕は戻るよ、うん」

「いってらっしゃいませ」

ここまで。ゆっくりと、ゆっくりと。

乙!
林道さんは良き師だな

六百十二日目

大型駅エリアバリケード外の探索は進んでいる。探索自体は現状いつも通りが続いている。だが、それがいつまで続くかだ。目的の上位種が逃げ出せば、そのいつも通りも崩れる。ようやっとキングの脅威も無くなり、全体的に穏やかな環境を崩されたくはない。

もちろんそれでだらけられても困るがな。今は少なくとも、そういう状況ですり減った精神を回復する時間に充てたいというところだ。

後は、今日は建材になりそうな資材をいくらか回収した。順調に集まれば、発電所を囲む塀が作れるようになるだろう。発電所は簡単に入り込めては問題になる。これからの拠点の生命線というところだからな。

蒲谷さん達からも発電所用の資材、主にソーラーパネルの回収はできないかと相談もきているからな。やれやれ、やるべきことが多い。ありがたいことなのだろうが、それをするための人員がどうしても不足しているな。

可能ならまたハンター当たりの経由で、拠点に友好な生存者が来てもらうのを祈るしかないか。

4月25日

大型駅バリケード外の探索は問題なく進んでいる。また、建材になる物資の回収も出来た。これで、拠点の拡張をする時に役立つだろう。

今のところ、拡張するとすれば以前から話が出ている発電所の設置だ。これが出来れば、ロック&サーチの防衛装置や監視カメラの増設も出来るようになる。人員確保が難しい今、こういった部分で賄える方法を確保できるのは大きい。

ただ、拡張する為の負担が警備組にはどうしても発生する。その部分は考慮しなければいけない。それに、その発電所自体のメンテナンスという問題もあるのだから、それが出来れば無条件に良くなると言う訳ではないのも念頭に入れなければいけない。

しかし、拠点の更なる発展には避けられない部分。しないという選択肢はないが、その前に最悪1人でもメンバーになる生存者が現れてくれればいいのだが。


山中沙奈 記す

4/25 担当佐田 朝

良い日和だな。のんびりとドライブするにはうってつけだ。

叶うなら、北海道の土地を走りたいが、あちらはどうなっているやら。


担当門日 昼

運転が得意とは聞いてたけど、そもそもがドライブが趣味なんだね。

北海道か。行った事がないから、興味はあるね。


担当フェイ 夜

フェイは行ったことあるよ。寒かった。(寒がる人の絵)

でもご飯がなんでも美味しかったよ。お腹空いた(お腹が空いたと思われる表情の絵)

【もふもふ】
「佐原だー」ピューン

「ん。フェアリーっすナ。どうシたっすか」

「何もないよー」クルクル

「そウっすか」

「あ、触っていい? 触っていい?」

「いいっすヨー」

「おー…、もふもふ…」ナデナデ

「まぁ、動物の毛になってるっすカらねぇ」

「いいなー」

「でも、夏になるト、しんどいっすヨ。暑くて」

「そうなんだー」

「今は秋ガ一番っすなー」

「もっと触っていい?」

「いいっすヨー」

>>861
教員の師であり、武術の師でもある。二重の師。

まぁ、教員としては若いので、武術の師と要素のが強そうだけど。

ちょいと今日は疲れたのでお休みします。

というか、このスレでまだ終わらんよね。どう考えても。

うん。終わらなそうだね。乙!

「やっぱり、あいつらの目的はディープノアってことか」

「組織からの情報と場所がほぼ一緒だから、間違いないか」

都市に紛れながら、WWPの動向を千護とストークは偵察している。状況から、奇しくもWWPと千護達の目的は同じということだった。このまま真っ直ぐいけば、ディープノアを制するのはWWP。

「だが、確保できてる様子はないな。何か起きてるのか?」

「じゃなけりゃ、逐一戦力の投入なんて馬鹿な真似しねぇだろうさ」

それは言葉を返せば、ディープノアには眠れる。いや、目覚めた厄介な代物がある可能性が高い。あるいは、ただこの都市にあるADSPの類が侵入をまだ防いでいるだけかもしれないが。

「…。万が一にも中入ってロバートが死んだってなりゃあ、あたし達の目的は終わりだ。何があるか、もうちっと調べねぇと」

「コールドスリープ以外の何か、研究内容自体に即危険性がありそうなものは…。わからないな」

いかれたWWP(れんちゅう)のことなんて、わかりないだろと言う言葉が、ストークにとってあまりにも正答に感じられた。

六百十三日目

大型駅バリケード外の探索は進んでいる。進捗についていうべきところはないが、好調が続かない限り今月中に終わるのは難しそうだな。まぁ、仕方のない事ではあるが。

昨日、建材になる物資を回収したことで、佐田さんから愚痴交じりにこれで多少の予定は進められると言われた。進めると言っても、発電所を囲う塀の部分の建設になる。その機能自体を急いで作る必要があるなら、当然ソーラーパネルの回収が必須だ。

商業エリアの北西エリア、そこの高級住宅街周りにあったのは確かだ。ただ、以前行ってから日にちも経っているからな。無事な状態かはわからない。とりあえず回収をできるだけして、拠点の電力復旧に努めなければな。

その電力周りを強化出来れば、養鶏場の運営と、畑のハウスも効率よく回せるはずだ。安定して鶏肉を供給できるように成れば、それはそれでこの拠点の売りにもなるからな。

ただ、鶏肉を使うとするなら、酒蔵のようなものがあってもいいかもしれない。物資交換時の良い条件で出来る可能性が高そうだからな。

もっとも、それを安全に行う為の人員確保もその場合急務になりそうだが。

レポートNO.157

井門圭司


大型駅エリア、バリケード外の探索は今んとこ問題なし。全体的に緩んだ空気はねぇし、問題はねぇかな。キングがいた頃の緊張感はないとしても、ありゃあ非常時だったってだけのことだからな。

あとは建設用の物資が手に入ったから止まってた発電所も、ちょっとだけ再開のめどが立ったみてぇだ。電気はあるに越したことはねぇから、もうちょい積極的にその手のやつも集められりゃあいいんだけどよ。

いかんせん、上位種の脅威を知っちまってるからなぁ。カマイタチが拠点に紛れ込んだなんて想像したら、被害が出るのは確実な訳だ。それも生き死にの方で。

リアルな話、誰かに死なれても拠点の活動はかなりきつい。人数がやっぱり少ねぇからな。確かにエコーとか増えてきてるけど、その増え方が遅いっていうか。前みたいに平山さん達みたいな感じでポッと増えると助かるんだがな。

4/25 担当三間 朝

良い日差しだなぁ。起きたばっかりなのに眠くなる。

キングとかいろいろ片付いたけど、他の地域はどうなってるのかな。


担当喜読 昼

確かにそろそろ他の地域も目を向けなければいけませんか。

放浪者さんのサンダーボルトのような、電気主体の乗り物が必要になってきますね。


担当平山 夜

電気自動車やエレバイク辺りが一番でしょう。

数が集められれば、探索における移動もかなり楽ではありますが、どこにあるのか…。

【それは風景画に溶け込むように】
「………」

「おっと、いらっしゃったんですか。放浪者さん」

「…あぁ、邪魔だったか喜読」

「そのようなことは。お近くにいたのに気づけなくて申し訳ございません」

「…気にするな。ただ、ベンチ(ここ)で月を見ていただけだ」

「(本当に気づけない。慣れてしまったものの、ここまで気配を消せる人が、他にもいるのだろうか)」

「…どうかしたか?」

「そうでございますね。放浪者さんが、惨劇前でもこのような感じだったのか。少し気になりまして」

「…さてな。変わったつもりはないが、知る人は変わったと思うかもしれん」

「そうかもしれませんね」

「…良い月だ」

「えぇ」

>>868
だよねぇ


>>869の訂正
×いかれたWWP(れんちゅう)のことなんて、わかりないだろと言う言葉が、
○いかれたWWP(れんちゅう)のことなんて、わかりようないだろと言う言葉が、

乙!
おだやか(な所しか見えてないからそう見えるだけ)

六百十四日目

大型駅バリケード外の探索は進んでいる。好調でもないが、問題もない。ただ淡々と目的をこなしているような状況だな。まぁ、この間物資収集もあったのだから、変わり映えがない訳ではないのだが。

今までキングにかかりきりだった分、そろそろ拠点に関しての活動も優先したいのは確かだ。メンバーの受け入れ体制を整え、食料自給の為の畑の拡張や新たな食料源の調達。電気の確保は言うまでもなくだ。

区切りはやはり、今のバリケード外の、破壊したバリケード前までの確保でだろう。その内でどれか一つを着手したいところだ。メインはやはり電気の確保になりそうだが、その時の状況次第だな。

後は自分達のことで気が取られていたが、新興都市にいる千護達の様子も気になるな。連絡は恐らくサポートチームでとってはいるだろうが、そこにもWWPが現れたという共有は来ている。

二人が迂闊なことをするとは思えないが、いかんせん相手は大勢だ。特にロバートが元WWPの研究者であることを考えれば、見つかっていないことを祈るしかない。

一ノ瀬DIARY Apr. 27

大型駅エリアのバリケード外の探索は今のところ問題なし。でも今までキングのせいで全然できなかった拠点の設備とかのいろいろも進めないとって、皆言ってるところかな。

でも、あのカマイタチは本当に危なかったからなぁ。ちょっとでも油断したら、私は多分死んでたと思う。それぐらい早かった。

あんなのがいる大型駅エリアはやっぱり放置はしておけないし、言ってることもわかるから急ぎたいところなんだけど。好調とは言えない感じかなぁ。かといって悪い訳でもなくて。うーん。

何にしても、拠点そのものがもっと良い状態になったら人も増えたりいろいろ良い事も多いもんね。その為には今の任務を頑張らないとなぁ。

4/27 担当門日 朝

今日は曇りか。ちょっと残念だね。

そろそろ雨が降ってくれないと困るのも確かだね。畑にも医療にも必要だから。


担当蒲谷 昼

ハウスの中が暑い暑い浜村君がうるさいからちょうどいいかもしれないね。

何にしても、早く発電所の着手したいよ。


担当フェイ 夜

電気かー。たくさんあればこのあたりも前みたいに夜は明るくなるのかな(該当の絵)

でも明るいといろいろきちゃうかもしれないんだよね。うーん(考えてる人の絵)

【アザーゼに咲く花を】
「……」パタン

「読書ですか、EVEさん」

「サンマさん。はい、そうです」

「(EVEさんまで姐御の影響受けちゃったの、どうにかできないかな)」

「サンマさんは、この本を読まれたことはありますか」

「いやぁ、多分、EVEさんが読むような…。あれ、これって」

「特殊な方法で生まれた男の子が、鬼という仮想の存在を、喋る奇妙な動物を用いて処理するお話です」

「ええと、まぁ、うん。それは読んだことありますよ」

「(これがAIとして独自に分析したことなんだろうけど、ずいぶん印象変わるなぁ)」

「最終的に男の子は鬼の財宝を、故郷へと持ち帰る訳ですが、なぜ、奪われたところに返さないのでしょう。やはり所有権がはっきりしない部分の問題でしょうか」

「うーん。児童書ってやつだから。多分そこまで深い部分は考えられてないと思うけど…。悪い事したら倒されちゃうよってことだけだと思います」

「なるほど」

「でも、深読みしたらわかんないですけどね。たまたま鬼達は金山銀山を持ってただけで、主人公はそれを勝手に奪っちゃったってだけかもしれないとか」

「そういう考え方も、あるということですか」

「かなって。綺麗な花が咲いてて、たまたま誰かが摘み取って、それを誰かに奪われたとして。じゃあ本当に持ってていい人って、誰なんだろうな。そんなことになっちゃう気がします」

「その土地の、所有者…。では?」

「俺にはわかんないですけど、でもきっと、本当は誰のものでもない気がします」

「……。参考にいたします」

「参考になりますかね?」

「えぇ、とても」

>>875
まぁ、トラブルがなければ穏やかなもんですよ

乙!
今回のブレイクタイム、AIの基本的常識も、ちょっとブレイクされたのかな?

おつおつ
「特殊な方法で生まれた男の子が、鬼という仮想の存在を、喋る奇妙な動物を用いて処理するお話です」
この言い回し面白いw

六百十五日目

大型駅エリア、バリケード外の探索は進んでいる。今日も曇り空でそろそろ大きな一降りが来そうな気がするな。あまりひどいようなら、探索自体もどうするかは検討しなければならないか。ひどい悪天候なら、俺も流石にサンダーボルトで外に出ることはできないからな。

その意味では、雨の中でも移動できるサンダーボルトも必要になってくるが、まぁ、それこそ飛行機やらヘリコプターを作ればいいかという話か。あるいは、自分が横になってアタッチメントのようなものを外につける。ただ、その場合下が見れないからな、要検討かもしれない。

後はそのサンダーボルトの簡易版を、探索組全体に作れないかという希望もある。神経を使った操作をする必要はないから、簡単な操縦桿とブレーキとアクセルといったものをつけただけのもの。と素人考えだからそれをつけてコントロールできるようにするのが難しいのだろうがな。

となると、今は自転車で移動しているが、発電所を作ることを込みで考えるなら。エレバイクや電気自動車の確保が、探索組と回収組で必要なものになってくるかもしれないな。

キングとの戦いから早2週間。なんだかそんなに早く経ったとは思えず、正直昨日のことのように思う自分がいますね。

あの戦いは、本当に苦しい記憶しかないかな。それこそ、本当にずっと戦っているみたいな。

なんだかんだ言って、放浪者さんの所在がずっと不明でしたからね。生きてるとわかった時、あたし含めて皆が元気になったのは当然かなと。

そんな中で山中さんだけは平然としていたように見えたなぁ。信じ切ってるから、と言われたらそれまでですけどね。

信じきれないところはもう、あの人に敵わないと気付かされているところだから。まぁ、仕方はないですけどね。

4/28 担当佐田 朝

発電所そのものではないが、周囲の建材がもう少し集まれば再開できる。

といっても、本体となるソーラーパネルと蓄電装置がなければ、意味はないがな。


担当浜村 昼

それを急がなきゃいけないのは確かだけど、上位種とかってのも脅威だしね。

今んとこは、ついでに物資収取してもらうの期待するしかないんじゃない?


担当平山 夜

こちらでも収集できればいいのですが、建材になるようなものとなると、残念ながら量が難しくなります。

運搬方法なども、新しい方法を考えなければいけないかもしれません。

【Re:シミュレート】
「……………」キュルキュルキュル

「ロッサ。どこにいるのかと思ったここか」

「友人様、訓練をしておりました」

「そうかい。まぁ、AIつっても訓練(データ)の蓄積は必要だからな」

「はい。この度の任務(オーダー)である、人間(みなさま)を守ること。達することができない局面がありました」

「あぁ、確かフェイか。ありゃあ、混乱状態だったし、正直あいつが生きてたのは運が良かっただけだぜ」

「いいえ。危険を排除する為に先頭へ立つため、後退しました。しかし、元々の危険度を考えれば、先頭ではなく後方支援(バックカバー)をすれば、あの事態は避けられたと分析します」

「固いね。仕方ないと言えば仕方ねーけどな」

「この考えに何か問題がありますか」

「あえて言えばねーよ。そして更に言えば、それは答えでも何でもない、結果論だ」

「結果論でございますか」

「じゃあ、お前がバックカバーしたとして、どういう訳か後退する方にオーガがいたという仮定を置いたらどうだ? それは、正答か?」

「その場合は誤りになります」

「そういうこった。現実はな、自分で見たり聞けたりする範囲でしか情報がもらえない。その状態で、最高の形で任務を終えられるやつは…、まぁ、そうそういねぇよ」

「しかし、その場合任務(オーダー)を与えられる意味が無くなります」

「守ることは確かだ。じゃねぇと意味ねぇ、けど絶対じゃねぇってことだ。絶対ができるんなら、そもそもロッサ、お前は苦戦したか?」

「いいえ」

「そういうこった。あんまり背負いすぎんな。お前はEVEもいるし、何なら俺もいる。1人じゃ出来ねぇから、皆でやるんだよ。それは人間だろうがロボットだろうがかわんねーさ」

「畏まりました」

「ま、今の話が本当にわかったら、俺んとこにでも話しに来い。じゃーな」

「はい、それではまた」

>>881
良くも悪くも成長するAIだから、ゆっくりブレイクしていくよ

>>882
AIだからの視点を持って台詞を作るってなかなか難しいのよねぇ。いかんせん自分はその視点じゃないし。



ちょっと筆乗らず今日の更新に。

乙!
ロッサ君も健気ね

ちなみに桃太郎だけど、生まれ方はどっちのタイプのを読んでたんだろ


そういえば、安価・コンマの方、>>1さんの望むような物事は得られてますか?

六百十六日目

大型駅エリアバリケード外の探索は進んでいる。進捗自体に問題なし、何かトラブルもないということで、それ以上に書きようがない。良い事ではあるが、日常として慣れてしまい、重要なことを見逃してしまうような気がしてならないな。

恐らく、こういう時が一番大きなトラブルが起きる時だろう。弛緩した空気は感じないが、もしそれを感じるようになったら、注意していくしかない。かくいう俺とて、そんな油断をするかもしれないからな。重々に注意しなければいけない。

後は、建築用の物資を探すようにしているが、やはり片手間な分あまりうまくいっていないな。せめてソーラーパネルが集められない代わりに、それだけでも集めて進められるようにしたいと思っていたのだが。

研究所の物資にもよるが、サーチ&ロックとは別に新たな防衛装置の増設で、発電所を増やしても人員のカバーが出来る。後は例のテンタクルがいる病院で仕える医療用具を回収すれば、拠点の衛生面や医療面は向上する。それはひいてはメンバーの受け入れ態勢、人口増加に繋がることだ。

畜産もまだ検討したいが、例の養鶏場が不確かな今は、発電所の手配が一番現実的だろうな。

4月29日

大型駅エリアバリケード外の探索については、特に記述すべきことはない。喜ぶべきことだが、放浪者はいつも通りこのことで緩みが出なければと懸念しているようだ。

キングの件が終わった今でも、彼は変わらない。その姿勢そのものが、あった頃から変わっていないという事実は、実は驚くべきことなのかもしれない。なんであれ、人は変わっていくものなのだから。

それとも、自分が気づかないだけで、彼は変わってしまっているのだろうか。あの時、自分がカプセルを使いあの場所で降り立ち、そこで会った時の彼とは。

今となっては、わからない。無限と思える濃密な時間を彼と過ごしてきた。そこにいる彼はいつも変わらないように思える。いつでもメンバーの前に立ち、困難を最前線で打ち砕いてきた。

彼は言っている。自分だけで立つ組織はいつか崩壊する。だから、自分のようにメンバーを導ける存在が必要だと。そして、それは自分ではないとも。そして、その誰か自分もわかっている。

だからこそ難しいのだ。放浪者、その存在はすでに、誰かに代替になることなど、誰も考えられないのだから。


山中沙奈 記す

おつ~
放浪者の人生的負担は増えただろうけど、まぁ仲間も増えてるからな、多少はマシになってるんじゃないかなぁ

4/29 担当蒲谷 朝

今日は打って変わって快晴だね。

こういう日が続かないと発電できないから、蓄電装置も急がないとダメかね。


担当勝 昼

電気かー。無いと困るもんなぁ。

でも、俺達だけでソーラーパネル取りに行けばいいんじゃないか?


担当フェイ 夜

ダメダメ。上位種の問題解決してないから危ないよ!(手をクロスした人の絵)

それに、結構遠いから皆でいかないと! 危ないんだよ!(怒った人の絵)

勝くん、ここぞとばかりに……やっぱ活躍したいんだろうな

【それは帰るためのもの】
「放浪者さん」

「…三間、どうした?」

「(放浪者さんはちゃんと苗字で言ってくれるなぁ)」

「………?」

「あ、すいません。前からずっと考えてたんですけど」

「…何をだ?」

「この場所を示す、国旗みたいなものがあったらいいなって思って、デザインとかも考えてて――」

「…すまない。それは今許可できない」

「え、どうしてですか?」

「…まだ、この場所を特定できるようなものは、許可できない」

「でも、皆が帰る場所の印があったらいいなって、そう思って」

「…気持ちは嬉しい。だが、まだこの拠点であっても、上位種、そしてWWPという存在や、その他やらなければいけないことは山積みだ」

「………」

「…その前に、躓く可能性のある要因は、可能な限り排除したい。ただ」

「ただ?」

「…それらが終わったら、俺達が帰る場所の印を、作ろう。お前の手でな」

「…はい!」

放浪者さん……!これは惚れられてもおかしくないわ

>>888
与えられたプログラムに忠実というのもあるけどね。

若返る方ではなくて、パッカーンする方です

>>889
こっちと同じで、基本同じくあ、そうなるんだと思ってやってます。そもそも速攻00出て、門日さん出張してますし。

>>892
仲間がいるからこそ、輝ける孤高なのかもね

>>894
活躍したいのもまぁ、嘘じゃないけど、スポーツ的に学んだことを実践したいって方向かな

ただそこまで維持、もしくは繁栄出来るかどうか

ここのみんなは、これ日と少女終末旅行みたいな世界を選べるとしたら、どっちを選ぶんだろな

乙!
放浪者が海外出張までして活動したら、きっとNINJAって言われるな

首飾りをした男「ふむふむ、変わった桃太郎に興味があるなら、この日本財団昔話「桃太郎」なんてどうだろうか?」

「これは、ドローンですか」

「えぇ、そうでございますよぉ」

行商が訪れ、物々交換をする。社長と喜読を通してみる、その光景は拠点では当たり前になってきていた。目の前にいる行商の長、社長は各地でそういう活動を行っているらしいが、自分達と同じようなところがあるのか。顧客情報として何も漏らさない以上、それは想像の域を出ない。

「なんでまた? 他に必要なものはトレードしたし、別にいいわよ」

「いえいえ、先の戦いで失われたものとお伺いしましたので、その代わりの進呈でございますよぉ」

相変わらずの読めない笑みと、静かに警戒を見せる喜読。いろいろと拠点内にも喰えないメンバーもいるが、惨劇後の世界で一番喰えないのは、間違いなくこの目の前にいる男。

「随分と拠点(うち)に気を回すわね。何かあるの?」

だからこそのストレートさだった。浜村は、算段を踏んだ会話は苦手なのと、それで事をうまく進ませようとするのが、基本的に嫌いだった。

「まぁ、そうですねぇ。まだこれは我々も決定事項ではありませんが、実はご協力仰ぎたいことがございました」

「それはなんでございますか?」

喜読は自分が話を聞くというような態度で、浜村の前に出た。それを見て、にぃと笑みを社長は広げる。

「もしよろしければ、我々の社員を派遣して、この場所に支店を出させてもらえないかの、ご相談でございますよぉ」

それは確かに、一メンバーが独断で判断できるような内容では、なかった。

放浪者は上空を、フェアリーと共に飛んでいた。大型駅エリアバリケード外の探索は、トラブルもなく順調に進んでいる。好調に進むのが望ましいが、キングの招き寄せたゾンビのおかげでなかなかそうはいかない。

この探索のメインである、上位種がバリケード内から出る前に、破壊したバリケードを改めて設置しなおす為、そこまでの経路確保を行いながら、今のように上空からの上位種の移動がないか偵察をしている。

サポートチームを絡めた監視カメラのチェックも、動作しているものが限られている以上、確実ではない。その為に、直接見るという必要性がある。

「うーん、手がおっきいのいないねー」

「…そうだな」

バリケード内外どちらも偵察はしているが、それらしい姿が見えない。カマイタチならまだしも、巨体のオーガが見当たらないのが、放浪者にとって気がかりだった。

カマイタチは、あの早さと手の刃もあり、恐らく対人相手ではオーガよりも上かもしれない。しかし、あらゆる意味での破壊であれば、それはオーガに軍配が当たる。そのことから、放浪者が最も処理しようと考えているのはオーガなのだが。

「(…まだ、俺達が気付けていない特徴でも、上位種にはあるのか?)」

答えになるようなヒントはないが、放浪者はそんなことを想像した。

>>896
尚無自覚です

>>898
まぁねぇ

>>899
緩やかな優しい絶望と、可能性(きぼう)だけは見える障壁の絶望。さぁ、お好きな方を。

>>900
NINJAもありそうだけど、死神とも言われそう

>>901-902
その存在まで出て着たら放浪者達もいい加減絶望するよ


ちょっとイベント絡み判定&疲れでちょっと遅くなりました。少しだけでも進めるよ。

乙!
単純に、姿を消したり出来るのか?
それとも、どっかの変異存在から姿消しの特性を”ラーニング”したとか?
それか、オーガは変身とでも言うような状態で、普段はマッスルゾンビだったりするのか?

まぁSCPはなぁ……ありとあらゆる物事全てに対して、とにかく微に入り細に入り穿って斜に構えてる世界だものな

乙!
しかし支社を構えたいとは、随分と大胆な提携を申し込むもんだ

『強力無比に付きまとう幻想』

閃光、その後に鈍い、というべきか、重い、というべきか。ブゥンという音。その後に火花が散るような音が続く。光が着弾した壁には、焦げた跡が残った。

閃光を放った相手に、閃光が迫った相手、カマイタチが一気に飛びかかる。本能でそれを回避したかはわからないが、危機が迫るのは事実だった。

その脅威の右手の爪が、振りかぶってくる。閃光を放つ、その存在はそれを紙一重で避けながら、左手をカマイタチの腹部に触れると、光が爆ぜた。周囲には一瞬だけ白い光が照らされ、文字通りの小さな破裂音がその後に続く。

そしてその後に動きがあったのは、後方にはじけ飛んだカマイタチが、まるで勢いを反射されたようにそのまま背中から倒れこむ。そして、立ち上がろうとする様子もない。いやむしろ、痙攣していた。

閃光を放つ存在は、腰につけていた十手のようなものを取り出す。十手違うのは、先端の長さが2本とも同じだということだ。そして、バリバリバリと音たてて、その間から光が飛び出してカマイタチに向かって振り下ろした。

少し焼け焦げた臭いの後、カマイタチは真ん中から、それこそ焼き切れていた。

「……どこに」

首を振り、その存在はそれだけ呟いてその場を後にした。

>>906
むしろどれもありそうなのがこれ日

>>907
あの世界ってある意味もう終わってる世界なんだよね

>>908
自分の企業を世界一にするのが目的だからねぇ。


ちょっとお出かけ予定があるんで、久しぶりの幕間でお茶濁しです

おおー、応用じゃないビーム使いまで存在したか
とりあえず うつ なぐる(斬る) がむしゃらこうげき のビームが使える様だが

SCP世界は、むしろ終わってる方が苦しまなくて済むよね
詰みの詰み^(乗)みたいになってる世界なのに、中途半端に終わってないし、人が滅んだらまた構築しなおす機械(エラーあり)とかがあって終わらせてもらえないしで、これもうわかんねぇな

六百十七日目

大型駅エリアバリケード外の探索は問題なく進んでいる。フェアリーと共に上空から偵察はしているのだが、上位種の姿は確認していない。その内外を含めてだ。

キングとの戦いの際において、カマイタチはともかく、オーガについては視認しやすかった。ここのところの、定期的にバリケード外に出てないか確認をしていて、まだ一体も確認できていない。それ自体は、まぁ悪い事ではない。元々、キング討伐時に俺が優先して処理し、他のメンバーもいくらか処理している。だから個体数は多くはない、と言える。

だが、だからと言って全くいないはずはない。それが杞憂というなら救いだが、この惨劇後にそんな甘い算段はしたくない。もしかすれば、俺達が気づいていないだけの特徴を有しているのかもしれない。もう少し情報が欲しいところだな。

更に考えなければいけないことがもう一つ。例の行商だが、自分達の勢力のメンバーをこちらの拠点へ寄越し、支店の場所を提供してもらえないか。という内容だった。

まだ、喜読からの聞き伝手で詳細は不明だが、拠点の活動もある程度は協力はしてもらえるそうだ。ただし、あくまで同盟としての協力であり、仮に襲撃の際はその支店を守ることの尽力するし、いざとなれば自分達だけで脱出する。ドライな関係と言っていいだろう。

人数不足の俺達としては悪い提案ではないが…、あの喰えない社長をどこまで信用できるかだな。それに、行商経由で入る物資が、ある程度固定で交換できるという部分ではかなり大きい所ではあるし、拠点のモーテル以外の売りにもなる。

相手もまだ検討中という旨は言っていたからな、すぐに答えを出す必要はない。が、喜読さんが言うには、本気だろう、ということだ。

レポートNO.158

井門圭司


大型駅エリアバリケード外の探索は、とりあえず書くことは無しだ。それよか気になることが起きてるからな。

あの行商の社長ってやつが、俺達に支店を出店する形の協力申請をしてきたって話だ。胡散臭いこと極まりねぇが、あの時の戦いを見るに素人ながら戦い慣れてる。警備組で戦闘に当てになるって言ったら、勝と佐田さん、あとはロックとサーチぐらいなもんだ。

それを考えれば、ある程度の戦いに覚えがある人間が、程度はどうあれ襲撃やらの迎撃に多くいた方がありがてぇのは確か。それに、今は行商が来ての不定期に物資交換してるのが、ある程度好きな時に出来るようになる。これも間違いなくメリットだろうな。

けど、あいつらをどこまで信用していいのか。それに、いつもの三人組から支店を置くわけじゃないらしい、予想はしてたが、どうやら他にメンバーがいるようだな。恐らく、普段は奴らの物資の番をしてる連中ってところだろう。

放浪者さんもその件は流石に即決はしてない。俺としては、奴等の内情を知れてからとは、思うけどな。

4/30 担当門日 朝

今日は曇りか。もうそろそろ大きな雨が来そうだねぇ。

おや、行商が来たようだね。良い医療物資があるかな。


担当喜読 昼

行商から提案された支店出店の許可。もちろん私個人では判断しかねますが。

意見を言うのであれば、推奨はいたしません。


担当平山 夜

物資面や人員といった部分での有益な部分は、魅力的ではあります。

しかし、彼等が信頼できるかと言ったら、それはもちろん違うところではありますね。

「はぁい、DJフレンドだよ。世紀末の世を生きる皆さんこんにちは」

「もう間もなくで、4月が終了するよ。今日が終われば5月、何だけどこれは録音だから皆がどのタイミングで聞くかだね。ただ、これを聞いた時点でもう5月だと思えばいいかな」

「さて、このラジオも続けてきているし、今更いうことでもないけど、食べられる山菜はもうだいぶ生えてきているね」

「ただ、当然だけれどそういった関係の本を持っていった方がいいよ。中には毒になるものと似ているのがあるからね」

「後はそう、変異体の話は前からしていると思う。けど、新たな種を確認したよ」

「新しい、というには違うのかもしれないけれどね。以前話したマッスルゾンビ、それの上位種に当たる存在。とりあえずはオーガと呼ぶことにしたよ」

「どんな存在かと言えば、非常にシンプルで、皆が知ってるであろうそのマッスルゾンビを、更に筋骨隆々になって身体も一回り大きくなってるそうだよ」

「力も当然として、素早さもかなりのものみたい。幸い、直線的な動きをするようだから、逃げるなら何とか誤魔化すしかないかもしれないね」

「銃火器といったもの、あとは余程腕に覚えがなければ、逃げることを進めるよ。脅威が排除されるのが一番だけど、僕達は生き延びることが第一だからね」

「さて、ここいらで音楽を流そう。ちょっといい曲が見つからなくてね、普段流してるやつになるのは許してほしいかな」

「それでは良い終末を」

【プラットフォーム】
「………」

「考え事かな、放浪者さん」

「…門日か。もう話は聞いているとは思うが。例の件だ」

「行商さんを受け入れるかどうかってやつかい?」

「…人員不足の現状、即席の補給代わりになること。他勢力の物資交換が行いやすくなる」

「悪い話ではない、というだけではないということだね」

「…あぁ、いかんせん行商の長があの通りの喰えないタイプ。ビジネスライクな付き合いを続けられるなら、問題はなさそうだが」

「その問題があった時の対処が問題と」

「…そうなる。それに、支店用のバリケード拡張などやらなければいけないことも出るからな、まだ思案中だ」

「ふむ。今後も、こういうことが多くなるのかな。どう思う?」

「…無くはないだろうな」

>>911
なるほど、そっちに思われたのか

>>912
その意味である意味終わっているという認識かな。
理由は毎回違えど、滅びを焼き直してまた戻すだけの世界。



さて、共有ですが8面ダイス紛失しました。わりと判定に絡むとこなので買い直すまで幕間になるかもです。

おつ
どれに思われると想定してたのかな。ライトセーバー?

ブラウザでダイス振れるサイトを利用するのはどうでしょう?
>8面ダイス

検索条件 ブラウザ ダイス だけでもそこそこヒットしますよ。

ダイス新調した途端に出目が悪くなるTRPGあるあるがこのスレに無ければ良いが

曲が足りないですか
では小林幸子さんで 雪椿 おもいで酒 辺りなんてどうでしょうかね

たまには>>1さんからの紹介のものも聞きたいかなとは思うけど

まさかダイス様がお逃げになられるとは……

んー、それが大事(大事MANブラザーズ)とか?

「…久しぶりだな」

『あぁ、そうだね。悪いね、こんな時間にさ』

サポートチームから呼び出しがあったのは、探索組が戻ってから比較的すぐだった。連絡内容は新興都市でゾンビ化の究明を進めようとしている、あの、千護から。放浪者は何も言わず、すぐに携帯電話を代わった。

内容は現状の新興都市での物資収集の報告もあったが、それは本題ではない。重要なことには違いなかったが、彼女が彼に聞きたかったのは。

「…そうか、レジスタンスと接触してるのか」

『そ。そこの2人は、ま、悪い奴等じゃない。けど、レジスタンスそのものが良いかって言われたら、別な訳でさ』

今、千護とロバートが置かれているのは、そのままレジスタンスに身を置くかどうか。協力体制であることが、彼女として望ましいが、残念ながら相手は組織で、自分達は野良。それに、現状のWWPがアビスを探っている部分から考えて、支援なしでは到底無理な状況だ。

『あんたらのことを話すべきかどうかってところで、話を聞きたかったのさ』

「…そういうことか」

一方で、拠点はレジスタンスの情報を少なからず持っている。彼等の隠した物資も抑えており、例のメモリチップも。メンバーは少ないとしても、戦力部分はどこにも引けをとることはない集まり。規模は不明でも、対等と言える条件は揃っていた。

「…答えはノーだ」

『……了解、ま、そんな気はしたよ』

だがその上で、放浪者はレジスタンスにもまだ拠点の存在が知られるのを避けたかった。回収組、主に平山を通してその存在を確認しているが、その内情はやはり不鮮明だ。

少なからず、WWPに敵対しているのは確かなようだが、それだからといって拠点にとって味方かは、わからない。何より拠点自身がしなければいけないことも、また山積みなのも変わらない。今、何かに割ける余力はまだ残らない状況だ。

『あんたらとの関係は変える気はないけど、いざとなったら匿ってくれよ』

「…あぁ、2人の帰りは待っている。何かあれば連絡してくれ」

帰りを待っているという言葉は、千護の気持ちに重く触れた。帰れる場所があるというのは、この世界ではやはり、貴重なことなのだ。

話は終わりと伝え、千護はゆっくりと通話を切る。あまり長く話もしたくない、何より、この世界でこの姿を見られること自体が、場合によってはあまりよろしくないのだから。

レジスタンスとより深く接触する。彼女なりに、どういう組織か、見極めることにした。

>>919
まぁ、ストレートに言うと電気です

>>920
それでもいいんだけどね。やっぱり振った方がいいなっていうアナログなのです

>>921
どうなるんでしょ。メイン判定の6面ダイスだから、8面で影響出るかはなんとも

>>922 >>925-927
いろいろありがとう。嫌いじゃなかったり悪くはないんだけど、元々曲自体は
これ日の雰囲気作りな側面だから、その意味ではこれだっていうのがないのが
現状かな

>>923-924
わりと前に6面ダイスの1つ逃亡して、クトゥルフダイスを一時期使ってたりする。



そんな訳で、8面ダイスの代用で10面ダイス買いました。

乙!
んじゃー寿司は寿司でもORANGE RANGEの寿司食べたいはどうなのかな
世界の終わりの日がどうとか、ワンフレーズあったはずだし

六百十八日目

大型駅エリアバリケード外の探索は進んでいる。とりあえず、このままいけば一週間強かそこいらで終わる見込みだ。とりあえず、その段階が見えるようになったことを喜ぶとする。

今日だが、新興都市にゾンビ化の研究のため、アビス。正しくはディープノアか、それを探している千護から連絡があった。内容は、レジスタンスについてだ。

前々からの話で、その地域にいる生存者と協力しているとは言っていたが、それがそもそもレジスタンスの構成員だったようだ。

WWP、レジスタンス、そして千護達は奇しくも同じプロジェクトを追っているという状態のようだ。WWPとレジスタンスは何を目的として、ディープノアを追っているかは不明だな。まぁ、レジスタンスは重要度の高いプロジェクトと判断して、内容の確認をしていたというところだろうが、WWPはコールドスリープに何の目的があるのか。

それに、どういう訳かディープノアの確保についてWWPは苦戦しているようだ。ADSPの防衛装置が暴走しているというのはあるだろうが、それにしても時間がかかりすぎている。それ以外の何かがある、と千護が言っていたことと、俺は同意見だな。

プロジェクトは全てパンドラの箱。開けるまで何が残っているか、わかりようはない。

一ノ瀬DIARY May.1

大型駅エリアのバリケード外の探索は順調だよ。放浪者さんがもうそろそろ区切りがつけられそうって言ってたから、次は本番の中になるかな。そうなるといよいよ上位種との戦いかぁ。

でもあのカマイタチの戦いは、何とかついていけたってぐらいだからなぁ。井門さん、私、西切さん、佐田さんが連携して、ギリギリだったよ。生きてるのが、本当を言うと不思議なくらいかな。

でも、今のうち処理しておけば、今後の拠点の為になるし、今回は放浪者さんもいるから大丈夫。だよね。

今までも、放浪者さんが居たから、何とかなってきたんだし、多分、これからも。ううん、そんな考え方してちゃダメだね。もっともっとここが大きくなったら、放浪者さんがずっといてくれるわけじゃないんだから。

大丈夫だって、言えるようにならないと。

5/1 担当勝 朝

今日はいい天気だなー。

センセー戻ったら、修行してもらわないとなー。


担当蒲谷 昼

のんびりとした日が続くね。今までがそれどころじゃなかっただけかな。

ただまぁ、こういう日が良いと、発電所のこともあって勿体ないなと思っちゃうね。


担当フェイ 夜

千護さんから連絡あって、リーダーが話してたよ(携帯電話を持つ人の絵)

なんか重要なお話みたいだったけど、なんだったんだろ(腕を組んで考える人の絵)

【それぞれの責務(たたかい)】
「……………」

「よう、エコー。どうした?」

「井門…」

「何か考えてるみてぇだったからな」

「うん…、他の皆、どうしてるかなって…」

「あぁ、他の超能力者達のことか?」

「そう。僕のせいで、皆大変なことになっちゃったから…」

「どの道、超能力者達(おまえら)はWWPに狙われてたんだろう? 結果は同じだったじゃねぇか?」

「でも…」

「偶然とはいえ、ビジョンとフェアリーは無事だったんだ。超能力者なら俺達より生き延びるのは簡単だろうし他の奴らもきっと…、ま、気休めだけどな」

「…………」

「拠点(ここ)は別に敵対するってんじゃなけりゃ、誰でも受け入れる方針だからな。拠点のことを手伝ってくれるってんなら、俺達もエコーの超能力者(なかま)探しは付き合うぜ」

「うん……、ありがとう」

>>931-933
ほいほい。まぁ、いいタイミングで使えればいいけど。

乙!
彼には悪いけど、その散り散りになってくれたおかげで、エコー君も拠点に来てくれてる訳だから、ありがたい事だよね

乙です
時間がなくてしばらく追う事が出来なかったので、最初からちょくちょく読み直しましたが、前スレ後半からの最後の研究所突入からパラノイアもといキングとの決戦までの熱く、濃い展開には目が離せずに、思わず一気読みしてしまいました。
危ない所もあったけど、メンバー全員が無事でホッとしました。

それにしても放浪者は本当に人間離れ&人外誑しになりましたねぇ…(しみじみ)

「深山さん達からの連絡が来たんだね」

「そうです、フレンド様。こちらになります」

サポートチームによって用意された、安全に情報を送信でき、情報提供者として協力している者しか知らない場所へ、彼等からの連絡が来たとファイブキラーから連絡があり、DJフレンドはその内容に早速目を通していた。

まだ、藍が連れ去られたエリアにはたどり着いていないようだが、だいぶその付近まで近づいているようだった。そして、その上でその周辺では確実にWWPが活動している様子が見受けられるというもの。

それは、藍達が当時、エクスの調査で向かった建物に入った後、待ち伏せというには早すぎる襲撃を加味して、放浪者がその付近に駐屯基地があるという。その予測を肯定する内容とも言える。

もっとも、連絡を取るための中継基地があるだけかもしれない。まだそこまでの答えは出ないが、気になる画像もアップロードされていた。

「これは…、何か大きなコンテナかな」

「私にもそのように見受けられます」

戦闘車両の間に挟まれるように、そのコンテナを乗せた大型の車両が走っているところだった。

「これで情報はあちらに届いたようだね」

ノートパソコンを閉じて、深山はそれをリュックサックに仕舞う。外を警戒している柳瀬が、それに気づいて彼に視線を戻す。

「どうよ。フレンドさんとこはなんて?」

「貰ったURLは双方やり取りじゃなく、一方通行だよ。データが消されたから、確認してるのは間違いないだろうけどね」

これで、何か役立つ情報がもらえれば御の字だろうが、その可能性は低いと深山は思っていた。重要そうに運搬されていたコンテナ、その中身が見れている訳じゃない。この地域で、活動のあるプロジェクトを追えたとして、そこから該当のものを調べるのは無理だろう。

ここのところ、WWPとの遭遇率は高かったが、その中でもひと際目立つ存在だったこともあり、深山の判断で写真など含めてDJフレンドに報告したところだった。

「よくわかんねーけど、大丈夫なのかよ。ヤバい入ってるかもしれねーし」

「危険性があることは覚悟してるさ。けど、向かう先にいる把握してる連中かもしれない。DJフレンド経由で調べがつくのが一番だろう」

それで、どこまで攻められるかの指標にもなる。WWPの復讐を前提とする深山には、未確定の今のこれ程度で引く理由が見当たらなかった。

>>939
ある意味の皮肉ではあるけれどね。まぁ、探してる連中2人も見つけられたなら御の字な気もする

>>940
あれまぁ、この量を読みなおしとはまた。たまに見直しで読むけど、初期の頃の放浪者って実は別人なんじゃないかってぐらいになったねぇ

乙!
このコンテナによるダブピの新たな動きは、伏線足りうる判定によるもの?

「…これで幾らか発電施設の敷設も進むか」

雨が降る中ではあったが、今日の探索組の任務は通常通り進んでいた。その中で、建材になる物資の収集も出来たのは僥倖だろう。

「ソーラーパネルも早めに集めないとダメですね」

「…井門の言う通りだな。もうそろそろバリケード外の探索の目処もつく…。そろそろ商業区北西エリアの、高級住宅街のあたりに行かないといけないか」

そうですねと答え、井門は今いる建物の中から外を見る。久しぶりの雨は、全てを濡らしていく。ふと、こんな悪天候の中での方が、いつも事の進みがいい気がした。

全天候に対応する部隊がもしあるとすれば、それは選りすぐれた特殊部隊になる。思えば自分達はどのような天候でも、ほぼ探索をしていたことを思うと、なかなかに無茶をしてきたことになる。それと同時に、それは自然とそういう部分が鍛えられていたとも言えるのか。

「ひどい雨ス!」

そんな思考を吹き飛ばす素っ頓狂な声と共に、建物の中に入ってきたのは。

「…奇遇だな」

「これは、放浪者さん達もお戻りのところでしたか」

平山が押す大きな台車の中には、探索組と同じように建材となる物資が積みこまれていた。

六百十九日目

大型駅エリアバリケード外の探索は、雨の中での任務であったが今日も問題なく進んだ。合わせて、発電施設の建材に使えるものも回収できた。回収組でも同じ種類の物資を集められ、一気にその部分の開発は進められる状況になってきている。

とはいえ、それはあくまで発電施設のメインの部分ではないからな。梱包だけ整って中身は何もないのと同じ。必要なソーラーパネル、蓄電装置、変電装置なども考えると、まだまだという状況か。

畜産業の部分も手を入れたいが、それらを支える発電施設の着手が現状の優先だ。電力が安定すれば、ビニールハウスでの温度調整も出来るようになるだろうし、畜産業で動物用にも使うことができる。

もっとも、ソーラー発電である以上、常に一定の発電ができないという部分は考えなければいけない。平行して風力発電も作れればいいのだがな。今の規模を考えれば過剰かもしれないが。

今はまだ春先だが、電力による暖房が整えられれば、今年の冬はかなり改善されるだろう。去年利用した炭の消費量も抑えられ、暖が取れることで体調を崩しにくくなる。

それらの為にも、今の任務が早めに終われるよう努めなければな。

今日は比較的ずっと雨の一日でしたね。ここのところまとまった雨がなかったので、水不足は大丈夫かなー。

濡れちゃうと体調を崩しかねないので、定期的に休憩が多かった割にこれといった問題なし。

いやはや、慣れというのは恐ろしいものです。

合わせて発電所の物資の収集も順調、そして回収組も同じタイミングで同じ物資を収集ですね。

これで、多少は施設の開発が進められると蒲谷さんが大喜び。佐田さんは相変わらずぶっきらぼう。

しかし、当初から考えても拠点の規模が少しずつ少しずつ大きくなってるなぁ。

それに比べて、メンバーは思ったより増えていないというか。それ自体はそんなものでしょうけどね。

けど、今後ハンターさん経由とかでくる生存者さんの勧誘とかも、考えなきゃいけないかな。

覚ちゃんがいるからそこらは大丈夫だとは思うんですけどねー。

5/2 担当門日 朝

うん、思ったよりかなりの雨だね。

水を集める準備をしないといけないね。


担当喜読 昼

いくらか集めることが出来ました。

後は煮沸などで殺菌しておかないとダメですね。


担当平山 夜

確かにひどい雨でした。この中で建材の物資が集められたことは幸いです。

そろそろで梅雨にもなりますから、気をつけないといけませんね。

【それは恐らくはサガ】

「ふん、ちょっといいかお前さん」

「佐田様、どうされましたか?」

「お前さんを生み出した、山海という奴はどんな奴だ?」

「山海様ですか…。気難しい方ではございましたが、山中様の為に、私を生み出した優しい方でございます」

「…優しいな、案外作れたから作ってみたのかと思っていた」

「それはどういう意味でございますか?」

「ふん、何かを作れるなら、ただ出来るからという理由で、いらぬものを作る奴もいる」

「私の存在は、不要だということですか?」

「それはない。不要というより、生み出すことによって起きる。危険性ということを危惧しないやつが多い」

「危険性でございますか」

「EVE、お前さんは確かに介護が目的で作られたんだろう。だが、必要であったとはいえロッサという、戦闘用のアンドロイドも生まれた。それが、俺の言う。危険性だ」

「………」

「別にお前さんを責める気など毛頭ない。ただ、その山海という奴が、その危険性は熟慮したのか。気になった」

「そう、ですか」

「ふん…。お前さんは人間と同じく考えられるのだろうが、今の話を気にする必要はない」

「……」

「その事を考える必要があるのは、技術者で、技術者がすればいいことだ。ではな」

>>944
ダイス様次第なので何とも。何かが起こるやも、ぐらいで大丈夫です

乙乙
大雨の中でも難なく探索に成功する拠点の面々凄いなぁ…

かみ「サガときいて」

曲リク 懐かしのゲーム バーニングレンジャー OP 炎のANGEL

六百二十日目

大型駅エリアバリケード外の探索は、今日も問題なく進んでいる。ここから好調いけばすぐ終わる段階で、進捗通り進めば数日程度で終わる見込みだ。今のところ、上位種の流出は確認されていない。

もしかしたら、中にいる上位種は囲われているという認識がないのかもしれないな。もし、自分がそうだと感じたなら、出たいと思うのが本能だろう。元々が人間であるなら、尚のことそうだと思うが、まぁ、相手は変わってしまった存在。それらが必ずしもそうとは限らないだろうが。

後は、畑の作物も無事に収穫出来たようだ。しばらくはありがたい食事にありつけるだろう。

それと発電所の開発も昨日の物資回収で、少しだが再開を始めている。発電所を囲う壁作りということだが、実際にソーラーパネルが回収してから建造する予定だそうだ。まぁ、それもそうだろう。壁を無駄に作って、日光を遮るようでは意味がないからな。

ただ、下準備でも進められるということなら話も変わってくるだろう。少しでも重要な施設の敷設が進んで行くこと自体が重要だ。何よりも何も抱えていないという今の状況で。

惨劇後において、どんなトラブルが舞い込んでくるかなど、想像しようがないのだから。

5月3日

大型駅エリアバリケード外の探索は、現状問題なく進んでいる。進捗についても終わりに近づいていており、残すのは大型駅エリアバリケード内を残すのみだ。

バリケード内の目的は2つ、大型駅そのものの確保と全上位種の処理。これらが終わった後、定期的にゾンビの処理を進め、完全に制圧が終わった後、バリケードの再封鎖を行う。そうすることで、完全に安全な空白地帯を作ることができる。

今の拠点からそこに移動するかは未定だが、少なくともどこよりも安全な地帯になることは確かだろう。その為に移動も、後々検討しなければいけない。

キングというあの変異体が残した、その城の再利用というのは場合によって嫌悪感を招くかもしれないが、これ以上のない防壁は、想定できる襲撃に対して堅牢な盾になるのも事実だ。

究極、破壊したバリケードを同じように防ぎ直し、行き来だけを地下道だけに限定すれば更に安全性も高まる。

ただ、それをするにも大規模な人員と物資収集は必要になってくる。今のところだと構想止まりと言っていいだろう。


山中沙奈 記す

5/3 担当浜村 朝

発電所の敷設、ちょっとだけ再開ってところね。

本格的に開発になったら、あたしも手伝わなきゃいけないか。


担当三間 昼

そういえば、姐さん電子技師ですもんね。

となると、警備とは別に設備の点検は姐さんがしないとダメなのかな。


担当フェイ

そういう技術的なことはフェイ達じゃわかんないもんね(?マークをいっぱいつけた人の絵)

後は車の整備士さんとかも欲しいなぁ。佐田さん出来るみたいだけど、手一杯だと思うから(車とスパナの絵)

【恐らく今の立ち位置は】
「………」

「今日も月を見られているのでございますか?」

「…喜読か。何かあったか?」

「これといったことは何もございませんよ」

「…ならいい」

「……。何か御考え事でございますか?」

「…そうだな」

「私でよろしければ、お話をお伺いいたします」

「…。大したことじゃない、今の拠点の現状を考えていた」

「なるほど」

「…ここまで来たのは事実だ。だが、その上で思うことがある」

「なんでございましょう?」

「…俺達は、スタートラインにこれから巻き込まれるのだと、な」

「スタートラインに巻き込まれる?」

「…あぁ。ハンター、千護、カミロ、レジスタンス、新井、深山、そしてWWP。それらがこの拠点の外で、それぞれに動き出してきている。いずれ、その波はこの拠点にも何らかの形で押し寄せてくる」

「………」

「…それがいつになるかはわからないにしても、だ。その為に、その波に耐えられる状態にまだまだしていかなければならない。そう思った」

「なるほど…」

「…引き続き、協力を頼む」

「えぇ、仰せのままに」

>>951
まぁ、前々からよほどの天候じゃなければ探索し続けてたからねぇ

>>952
ばらばらに、してやろうか

>>953
どうもどうも。ただまぁ、あんまりリク貰っても消化できるかはわからんからそこは了承のほどに。

空耳は温野菜
仮面ライダー555より Ego-Eyes Glazing Over をリクエスト

乙!
そーいや最近、スラちゃん描写見てねーなー

乙!
拠点組は、スタートラインに着く前に、ものゴッツい障害物(キングとかいうコマンダー超級上位種)が既に居やがったから、他のとこより出遅れ気味かも知れんがな!(終わった後だから半で済んでるギレ)

>>959
ほいほい。どうもどうお

>>960
スラちゃんはいつも通りプルプルしてます。
平均的に全体の描写出来る機会が限られるのが難点よねぇ

>>961
覚等等の存在があるとはいえ、内政面でもどこよりも進んではいるのだけどね。

まぁ、単騎でWWPの軍隊及び、上位種の群体を屠れるトップがいて、
その後方に控えてるメンバーもサラッと人間離れしてて、単騎ではないにしろ同じぐらい戦えなくもない部隊があり。
食料生産もバックアップがあるとはいえ安定していて、内乱の可能性はないと言える勢力。

多分強くてニューゲームか何かだと、他の連中は思うね。



あと、放浪者のいうスタートラインというのは、達しようとしている目的、文明復活の開始が自分達これからってな意味合いです。
なので、他は目的(千護ならゾンビ化解明、DJフレンドならラジオ放送で協力呼びかけ)の為にすでに動いていて、スタートラインに立つ今、この時にまた騒動に巻き込まれるかも知れない。そんな懸念というところ。

さて、ちょっといろいろあって更新できてませんが、とりあえずのコメ返信です。

ほーん。さとりのしょ ってのはPeeping Lifeのテーマ曲なんか
Peeping Lifeっつーならここもそうっちゃそうだよな。これ日に出て来る人達のライフをピーピングさせてもらってるんだし

『工業用装着式作業スーツ、HeWS。』

ガシャンガシャンと、機械が港湾地域にある工業地帯を歩く音が響く。潮風に乗ってくるのは、合わせて死と煙の匂い。ブレンドされたそれは、眉をしかめるには十分だった。

『南の方からでかいやつ! DJフレンドの言ってるマッスルゾンビ!』

「あいよ! 遠藤達は大丈夫そうか!?」

『1機、HeWS使ってて大丈夫じゃなかったらキレる!』

だろうなと、その機械の中央部に乗る男は、全力でそれを走らせた。HeWSと呼ばれる、工業作業用に作られたパワードスーツ。外観はまさしく武骨な小型のロボット、中央部に操縦席があり、簡単に鉄パイプで覆われている状態。両腕は作業用に合わせて部品を換装させることができ、二足歩行で移動する。大きさはマッスルゾンビと同じぐらいか。

男の乗っているHeWSの両腕は、グラップルと言われるものを挟み掴む運送用のものだ。本来は木材等を運ぶものではあるが、今はこれをゾンビとの戦いに使用している。

「消えやがれ、化け物ども!」

自分の拳の代わりに、鉄製の拳をマッスルゾンビにぶち当てる。流石に、重量のある攻撃にマッスルゾンビものけぞるが、よろめきながらも自慢の拳で殴り返してきた。

「ぐ…!」

HeWS自体は流石に無事だが、中の人間にはその衝撃は少々堪えるものだ。男はかなりHeWSの操縦に慣れているが、無茶な動きをさせた時、操縦者の快適さは全く持って皆無。その状況に合わせて。

『HeWSのメンテナンスだった楽じゃないんだから、壊さないでよ!』

「へーへー、優秀なメカマンは人よりメカの方が大事ですかい!」

もはや手足ぐらいには慣れた動きで、グリップ部分を開き、マッスルゾンビの手首部分を掴み引き倒す。ちょうどいい位置に頭が倒れこんだのを確認して。

「あばよ!」

上げた片足で、その頭部をHeWSの全体重を乗せて踏みつけると、ベキリという音がして潰れた。厄介な変異体はいったん処理は完了した。

「遠藤達はどうだ?」

『どうにかなりそうだけど、早く行ってあげて』

はいはいと男は答えて、今日の襲撃は長くなりそうだと心の中でぼやいた。

>>970
まぁ、確かにそうだのう。


リハビリがてらの幕間。ちなみに、WWPのプロジェクトじゃない民間で最近出回り始めた工業機械という設定。元ネタは言うまでもなく、パワーローダー。

やっぱり結局の所、こういう状況になった世界だと、汎用人形作業用ロボがものを言うよな。それかパワードスーツ

六百二十一日目

大型駅エリアバリケード外の探索は、いつも通りの状態が続いている。天気は生憎の曇り空というところだが、その事には変わりはない。もしかしたらまた強めの雨が降るかもしれないが。

発電所の周辺、主に壁などの設置による敷設の再開は進んでいる。重要施設を作る前の箱作りとでもいえばいいか。少なくても、ソーラーパネルを敷設する時の安全性は高まると考えていい。拠点エリアはほとんど危険がないとはいえ、何かが起きない保証はないからな。

何より、拠点にとって初めてと言える重要施設になる。今後の警備についてもかなり厳重にしなければいけないし、今後もしどこかの勢力と敵対した時に狙われる可能性が高いところだ。その意味での警備体制も今後詰めていかなければいけない。

その為には、信用に足るメンバーを増やす必要が出てくる訳ではあるが、その安定した確保が難しいと言ったところか。ハンター当たりから流れてくる生存者に期待するしかないな。ここまで来れる実力があれば、戦闘面も多少期待もできる。

その意味では養鶏場も含めると、まだまだ人員の不足は慢性的に続きそうだな。

レポートNO.159

井門圭司


大型駅エリアバリケード外は特に問題なし。とりあえずは終わりは見えてるってとこだ。上位種をバリケード内に封じ込めるのが目的の作業だから、いつも通り油断なくだな。

後は発電施設の開発は進んでる、とりあえずは施設の防御を固めるって感じだな。今は医療関係の機器にメインの電力らしいけど、後々はロックとサーチみてぇな防衛装置に使うのは目に見えてる。

防衛装置は間違いなく頼りになるけど、なんせ確保できる電力はその発電所だけだ。もし何か戦いになった時、そこを潰されると一気に防衛力が無くなる。その意味では壁作りもかなり重要なところになってくるな。

まぁ、いざとなったら蓄電装置も増設するんだろうけど、そういう危険性は念頭に入れておかねぇと。

【プルプルプルプル】

「(……眠いよう)」ポヨンポヨン

「(ん、あの感じ。多分スラちゃん眠い感じね)」

「(……んん)」ポヨン

「ほら、起きなさいよ」ポン

「(わー!)」ビクプルン

「放浪者がいつも言ってるでしょ、眠いなら部屋に行って寝なさいよ」

「(んー、今ので眠くなくなった)」プルプル

「ありゃ、目が覚めたって感じね。まぁいいわ、スラちゃん風邪みたいなの引いてもこっちじゃどうしようもできないんだから、気をつけてね」

「(はーい)」プルプル

>>973
シンプルに身を守れ、攻撃もできる。メンテナンスもWWP系列ほど複雑ではないなど、メリットは大きいね。

これから日記を書く 8冊目
これから日記を書く 8冊目 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526317713/)


と言う訳で次スレです。恐らく、何もなければ宣言した部分が完了次第いったん区切りをつけるので、このスレで終わる。よね。
いつもやってる>>1000については、いつも通り採用可能だったら組み込んでみますってな感じになります。

ほい、相変わらず本調子戻らずな>>1です

まぁ、本来自分が口出すことじゃあないだろうのと、必ずしも採用できるかは
約束できないのに提案はするという暴挙はあります。


1、発電施設作りに必要なソーラーパネルの確保の確定(ある場所は特定してますが、使えるかの判定がある状態)
2、養鶏場絡みのイベント(鶏発見とか、準備自体は整ってないですが、大きく進展します)
3、生存者さんイベント(仲間にしたいとか簡単な職業とか書いてくれれば合わせて採用できます〔むしろないと勝手に判定します〕。まぁ、ミュータントですだとか超能力者ですよとかは難易度下げて判定しますけど、流石に)


まぁ、確実に反映しやすい今絡みの状況でいけばこんなところ。もちろん、それ以外でも
出来るようなら採用はします。

>>1000なら養鶏場関係イベント!

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