これから日記を書く (1000)
一日目(もう、何月何日なんてわからん)
気紛れに入った文房具屋に、当然ながら大量のノートとペンがあった。
放浪するようになってから、かなり経つが今思えば逃げるのに必死で記録を残していなかった。
今後も生き延びていくなら、日々どこで何があったか記録があれば、役には立つかもしれない。死んだ時も、俺を漁るヤツの参考にもなるだろうさ。
とりあえずこの国が誰の者でもなくなったのは、多分半年か、それ以上前。世界大戦の軋轢が高まり、シェルター作りやら胡散臭い研究所が作られていった。
俺はしがない土木系列の作業員で、カチャカチャスパナを回して、気が合う仲間と酒を食らう。それが続くのだと思っていた。
しかし、ある時理由も説明されないまま、避難命令が出されていた。らしい。
下水パイプの修理を一人でしてた俺に、パニックで混乱か、あるいは薄情だった現場の連中が、それを教えてくれるヤツはいなかった。
修理が終わり、次の仕事の指示を受けにもどった俺には、閑散として現場と。爆発と銃声だった。
断片的に覚えてるのは、今じゃ慣れたゾンビと、化け物。悲鳴。
なんで生き延びたかさえも、わからない。時折、あのまま死ねたら楽だっただろうなと、思う。
最初の内は騒がしいものだった。どうも市民はシェルターに運ばれていたみたいだが、行き着けたヤツ自体が少数らしい。
※シェルターから追い出されてた、といった女の言葉に嘘がないならな
しかし、それも三日も持たず静かになった。帰りに聞こえていたのは、ゾンビのうなり声だけだった。
その頃の俺は、金持ちが住む高層マンションに逃げ込んでいた。セキュリティーも、大型トラックが突っ込んでちゃ、意味は成してなかったが。
ただ、その代わりに中は完全に無人、さすが金持ち優先順位は高かったらしい。あと、トラックは正面出口に突っ込んでいて、無理をしないと入れないことも幸いして、しばらくの間は厄介になっていたが、今はどうなってるのやら。
一日目終わり
明日からは今の持ち物とか、あとは持ちきれなかった物があった場所とか書くとしよう
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413210272
突然ですが、宣伝です!
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なんと!つまらないと今話題のこのSSスレが…
とうとう宣伝用のスレになってしまったぁ!
文句があればこのスレまで
P「俺が…タイムスリップ?」
ex14.vip2ch.com
メロドラマみたいなバカな事やってる用な奴等なら話せない訳では無さそうか?
……自分達が一番だ、とか自惚れだのが無ければ
ふぅむ。一見義憤に燃える熱い展開だけど、それすらも 敵を騙すにはまず味方から→相手側が
複数の小隊からなり、別の小隊を呼ばせる為に逃がした。という可能性も捨て切れないってのがね……
後、見てみたかった展開としては
・スライム部屋に遊び相手(暴力振るってきたら食料にして良いぞという置き台詞付き)として監禁
・全員ひん剥いてアリスさんの実験動物として搬送コース
とかかな(鬼畜)
エクス「扱いがひどすぎやしませんかね!!」
こういうのを「おいしい」っていうんだよエクス
場外乱闘的な発生のしかただけどw
勝手(物資の横流し)は山中が許しません!
まぁ、放浪者も人間だし秘密ぐらいあっても仕方ないね
井門は、甘党(確信)
まぁ、ただ単に今の時代チョコが貴重なだけなのかもしれないけどw
マッスルやモンキーの変異が多いのは人間に近い動物の特徴が出てきてるからかな
プランター・ブラインド・狼男・スライムあたりの危険な変異が集団で襲ってくることは無いか
プランター適応のミュータントはアルラウネにでもなるんでしょうかね?
乙
お付きの子供達の扱いは、拠点に着いてからの態度を見てからでないと判断しかねるな
来たらとりあえずあったかいものを出すべきかと
乙乙~
集まったらアレだな。丁度宣伝もしてるし、某亀達にあやかって「ミュータントサマザマズ」とか言うチームにさせようぜww
>>916
まぁ、覚の変異でわかるとおり、人間の持つ能力が強化(あるいは狂化)するのもミュータント化の一種としてます。マッスルとかジャンピングあたりはその典型。
(ジャンピングは半分獣化だけど)
もちろん、モンキーとかは元が近いのでたくさんいます。変異しやすいが人間性(りせい)を失ってるのはそこそこうようよいる感じ。
逆に言えば、>>916のいうとおり、かなり昔に遡らなきゃならないレベルの連中はそう数はいません。安心だね。
それならなぜコマンダーは少ないか、という疑問が出ると思うので答えると、硬い殻(ほね)に覆われてる中のものが膨張したら、どうなる? って話です。
>>917
たぶん光合成できるようになると思うよ。アルラウネみたいな人の形が残るかは、その人の肉体次第だけど。
>>918
あったかいもの、そうか、うどんだな。
>>919-920
またカオス会が始まるのか。鬼さんもうナレーターみたいな立ち位置でいいんじゃないかな。
アバウトでいいじゃない。ある意味、ゾンビものから逸脱し始めてるし。この作品。
とりあえず、残業させられなくてよかったぜ。これから昨日かけなかった分書くよー。
百三日目
何とか無事、明日には拠点へ戻れる距離までたどり着いた。子供達も、何とか無事だったというところだ。
今日は雪が降っておらず、寒さについてはだいぶ我慢できるレベルだった。しかし、来る途中にはいなかったはずのゾンビが多数うようよしていた。覚が止まるように進言するので、話を聞くと自分と同じタイプのやつがいると話す。すぐにコマンダーゾンビが頭によぎると、お会いしてたから理解が早かったんですねと、苦笑いしたように見えた。
佐原に覚と同系列の変異体がいることを伝え、特徴を話している間に、ゾンビがゆっくりとこちらに寄ってきた。急いでそいつを見つけ出して処理するよう命じると、覚が大まかな位置を教えてくれて、わかったっすと一足で塀を飛び越えて佐原は離れた。
子供たちには覚を守ること、そして俺達はおとり役になるというと、何でお前に従わなきゃいけないんだと、丸坊主の子供から声が上がった。
別に従わなくてもいいが、俺がお前を守る義務はなくなるなと、言って間近に迫ったゾンビの処理を始めた。コマンダーゾンビは、知ってる範囲ではゾンビを追込み猟のように操る。こちらが反撃に出たパターンでどういう動きに出るかは、想像はできなかったがどちらにせよ、逃げた先で囲まれるよりはコマンダーゾンビの兵士であるゾンビの数を減らしたほうが、結局賢明と判断した結果だ。
処理の間は子供達に気を配るという戦いのため、徐々に移動させられて左右から挟みこまれる状態になってしまった。一方方向から来るなら守りやすいが、背後の覚達をどう守るか考えていると、覚がゾンビの動きを混乱させますと、少し重い口調で進言してきた。
どうやってだという俺の言葉の前に、子供達がそんな無茶をしちゃダメだと反対の声を上げる。しかし、覚は静かにそうしなければ死んでしまうし、それにちゃんと私達を守ろうとしてくれる大人の人は、今までいなかったでしょ。とそういった後、集中するような仕草をした後、どこか耳鳴りが聞こえた気がした。
その後、ゾンビは本当に混乱したかのように、こちらに向かうわけでもなくゾンビ同士でぶつかったりし始めた。命令がなくなって、混乱している兵隊のように、俺には見えた。少しだけ呆然とそれを見ていたが、せっかく作った隙を逃すわけには行かず、片側のゾンビをすばやく切り捨て続け、退路を確保した。
こちらに来るよう指示すると、よろよろとした動きをする覚を子供達が支えながら、寄ってきた。そして、覚の両方の鼻から血が流れ、目を覆う包帯も血がにじんでいた。その時に、子供達が騒いだ理由も気づいた。ゾンビをコントロールしようとしたのか、コマンダーゾンビのコントロールを邪魔したかはわからないが、その力を使う時にかなりの負担が彼女に発生するということに。
無言で、覚を背中に背負い、包囲から脱出したところ、目の前に何かが飛び込んできて、一瞬ファントムの矢を撃ち込もうとしてしまったが、佐原だった。
(あぶねぇっす! と言われたが、登場の仕方が毎度モンスターの奇襲みたいなやつが悪いと思う)
話を聞くと、それらしいゾンビを見つけて鉄パイプでぶん殴っといたとのこと。それなら長居は無用と、置いてきたエレバイクに乗り込んでそのエリアを離脱した。
覚の出血は止まっているが、まだ良好とは言いがたい状態だ。彼女の力の強大さを理解しつつ、その反動が大きすぎる。頼りすぎれば彼女が最悪死んでしまうことも、簡単に想像できた。
何にせよ。明日には拠点には戻れる。そこで一之瀬に体の状態を見てもらうしかないな。
百三日目終わり
12月1日
浜村さんの風邪は治った様子だった。ただ、周囲への伝染の恐れからもう一日だけ安静にしているよう伝えておいた。
引き続きガーデニングショップ通りの処理を私と井門さんで行った。あまり記載すべき内容はない。どちらかというと処理というよりは、亡骸の焼却処理に追われたよう形だ。それに専念できるということは、やはり都市の安全は高まったといって差し支えはないだろう。
そういう状態だからか、今日処理を追えて拠点に戻ってからしばらくした時、生存者がふらりと拠点近くに寄ってきた。いろいろ汚れたロングコートにそれに合わせたつばのついた帽子をかぶり、手には小さめのチェーンソーを持っていて、残念ながらはたから見て友好的とは言いがたい格好をしていた。
その時警備をしていた鎌谷さんが私を呼び、その男と話しに向かう。バリケード越しで話してみると意外にまともな調子で、何か食料はないか、代わりにこちらが持っている物資と交換してほしいと交渉してきた。何を持っているかと聞くと、コートを広げて見せる。
その中には弾薬や火器がしまい込まれていて、おたくらも火器はあるみたいだが、こんなにはないだろとかっこつけたように鼻で笑う。本物かどうかを疑い、少しの間が開いた後に男は銃を抜き、化け物がいるじゃねぇかと銃口を、スライムに向けた。
あわてて射線上に入り、あの生き物は人間には無害だと説明するが、いいや、すべての化け物は殺すべきだと男が熱を上げ、嫌な予感が頭をめぐったその時だ。
一之瀬さんが、更に自分の前に出て、それなら私を撃ち殺してくださいと、凛とした声で男に告げた。
男は何を馬鹿なとたじろぐと、あの子はいい子です。私達の言うこともわかります、意思や感情もあります。もし、あの子が元々人間だったなら、望んであの姿になりたかったとは思いません。それでもあの子を化け物だから殺すというなら、まず私を殺してください。とまくし立てた。
しばらくの間沈黙が続き、男は銃を下ろした。警戒自体は解かない、隙を狙っている可能性があったからだ。鎌谷さんに適当な食料を見繕ってもらうように頼み、ただ静かににらみ合うように男を見る。
交渉自体は終わった。インスタント食品類と弾薬をいくらか交換した。男は、交渉が終わった後、素直に熱くなって悪かったと詫び、家族が、ゾンビじゃなくそういう化け物に殺されたもんだからなと、呟いた。名を聞くと、ハンター、化け物を殺す狩猟者ってとこだよと、最初に対面した時のように、格好つけたように笑って去っていった。
彼を見送りながら、前の放浪者と同じように孤独な人間なのだなと感じられた。それに、彼にとってその化け物を殺すまでは、きっと放浪の旅は、終われないのだろうから。
山中沙奈記す
レポートNO.5
井門圭司
やれやれ、また一之瀬にはひやひやさせられた。ハンターとかいう奴が、わりぃ奴じゃなかったからよかったものの、下手したら本当に撃ち殺されてたかもしれなかったんだしな。
それに、ハンターって奴の気持ちもわからないでもない。身内が化け物に殺されたとなれば、嫌でもスライムは憎むよな。
まぁ、俺も似たようなもんだが。違うのは隊長が変わっていくのがわかって、止められなかったってことだ。だから、放浪者がその暴走にピリオドを打ったことは、ある意味でそうなることはわかってたし、俺もそうあるべきだったかもしれないって、思ってる。
今は無様に生きてる、けど、ここで俺がメンバーを守っていけば、意味があることだって、信じてる。いや、そう思い込んでる。
だからもし、ハンターが一之瀬を撃ち殺してたら、俺もあのまま引き金を引いただろうな。そうならなかっただけ、よかったことにしねぇと。
ほんと、狂った世の中に、なっちまったな。
まぁ、これが普通の人の反応ですよね(拠点の皆は麻痺してるが)
この人は言うならば、山中さんに出会わず化け物に鈴木さん達が殺された放浪者verってとこかな?
そしてここからさらにモンスターハウス化が進むと言う
とりあえず、昨日分はここまで。
ハンターさん大人やな
化け物はみんなコロコロするとか言うようになってもおかしくなかろうに
あと井門さんが守るってことを強く意識してくれててちょっと感動した
あとはスライムと仲良くしてくれたら満点だぜ
乙!
また話の味に深みが出たな。ハンターか。悲しい旅人だが、こんな世界じゃ、結構居るタイプの人なんだろうな
しかし覚えちゃん……ガンダムXの耳血の人みたいな欠点があったとは。あんな風になられるんじゃ、強い力はなるべく使わないでほしいなぁ
一之瀬さん勇敢だったな。命を守るという事に、感情値も無視する程のブーストが掛かったのかな
正直、ちょっと撃ってもらいたかった気もする
別にスライムが嫌いって訳じゃなくて、スライムに弾丸が通用するのか気になってたんだ
司書室にある資料の量は膨大で、そしてその一冊一冊が分厚い。
女騎士「まったく、いちいちくだらないことを、大げさにくどくどと書けるな」
しかし、その中身は女騎士からすれば、余分な肉がついた文章にしか見受けられなかった。それでなくても時間がない今、神の教えを一から聞いている余裕は、民にはないのだから。
女騎士「これは外れか」
聖イマキルペセに関する経典を棚にしまい、今度はこの宗教都市に関する歴史書を手にする。最初は、この都市に聖イマキルペセの神が舞い降りという長々しい文章に、更にへきえきとし始めたが、それ以降は通常通りこの都市の発展について綴られていた。
女騎士「……(これは)」
今回の件には関係あるかはわからないが、神はいつの日かくる崩壊の時に備え、それに対抗しうる者をその地に送ったという記載があった。
女騎士「…それが、メイドだったら気楽だったんだが」
人としての生命が弱まりが、ある意味では崩壊の時とも言えなくはない。メイドの魔法に効果があれば、対抗しうる者として聖女として扱われたのでは、そんな想像を女騎士はした。
>>931
ご、誤爆なんやで。並行して下で書いてるの間違って投下しちゃった。キニスルナ!
女騎士「黒パン固ぇwww」
女騎士「黒パン固ぇwww」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407778080/)
>>932
どんまい!
キニシナイ!
>>925
知識がなければ普通の反応だね。そして、拠点のモンスターハウス化は止まらない。
たぶん、鈴木さんとこで残ってて、ゾンビや化け物にメンバーが殺されたとしても、放浪者は憎みはすれど、それだけで殺して回るということはしないと思う。それに、あくまでハンターは復讐者、というイメージで描いてる。今後出るかはしらんけど。
>>927
大人は大人だけど、人を殺すことはベクトルが違うからね。
ただまぁ、化け物は殺すというスタンス自体は変わらないけれど、まぁたぶん、似てたんでしょ。何かがね。
井門も苦労人だからねぇ。尊敬してた隊長が狂っちゃって、略奪者に落ちて、そして仲間(放浪者)がその隊長を殺した張本人で、いろいろ考えるところはあると思うよ。
でも、その上で自分の居場所を確保することが、守るって意識なんだろうさね。スライムは、まぁ、彼も略奪中いろいろ見てるから、敵じゃないんだけど、どうすればいいのかっていう感じなのかと。敵対してるってわけではなくね。
>>928
出たかな? 出たならありがたいけど。
まぁ、そりゃあごろごろいるかと。何せ、死んでいく世界だけど、救えなかったという意識は、罪よりも重い。
基本的にどんな存在でもデメリットになる要素を含んでます。覚は元が強力な分、反動もでかいし、そもそも目が見えないしね。
一之瀬もいろいろあるのよ。そりゃあ仲良くしてる存在って言うのもあるだろうけどね。
>>929-930
単純に言うと、強固かつ柔軟性にとんだラバー素材を使って液体を閉じ込めたものに弾丸を撃ち込む感じです。
あと、前回の一之瀬の件もあるようにわかるけれど、死ぬ時は死ぬ世界です。そう、唐突に今日、あらゆる娯楽、苦痛、そして関わったすべての人間と自分は無関係になる。それが死です。私含め、皆なぜか日常にいると忘れちゃうけどね。
だから、死ぬ時は死ぬと思ってください。
>>933
いえあ
百四日目
無事、佐原と子供達を拠点へと護衛することができた。覚についてはすぐに、一之瀬に診察するよう指示して診させた。
拠点に戻る前、佐原を攻撃しないよう保安官がいるBARに寄ったが、姿がなかった。物資もまたどこかに移している様子だったため、何かあったのかと不安になったが、森に出かけたと聞き一応胸は撫で下ろしたが、なぜ出かけたのやら。山菜や木の実といったものが、冬に入った時期に採れるものなのだろうか。
拠点の様子はいつもどおりだった。話によると浜村さんが風邪をひいていたらしい。確かに今時期はそういうものがはやる季節だ。あの強行軍で移動した子供達が風邪を引かなくてよかった。俺も気をつけないとな。
しかし、うちのメンバーはスライムのせいでいろいろ慣れてしまったのか、佐原の姿を見ても特に驚く様子がなかった。が、それもどうなんだろうな。もしかしたら似たような奴が敵で来るかもしれないし、ある程度は危機感を持っていてほしいのだが。
覚の診断結果は、とりあえず命に別状はなしということだった。力を使う際、どのように体へ作用しているかはわからないが、少なくとも連続で使えば命に危険が出るのは間違いないと、一之瀬は深刻そうな表情で言った。
診断を終え、まだ少しつらそうだったが覚と子供達を集めて、これからのことを話した。
元々、覚を含めた子供達は、拠点に置いておくつもりはなかった。安全なエリアとはいえ、ゾンビや変異体が来ない場所ではない。それに、子供達を常に守っていられるほど、人員に余裕はないからだ。だから、素直に明日研究所に連れて行くことを話す。
その話を聞いて、子供達に疑いの気持ちが湧いたらしい。それもそうだ、今まで聞いたこともなく、その上研究所という得体の知れない場所に行くといえば、そういう気持ちが湧くのも無理はない。どういう目的の研究所であったか、そしてここよりも安全であることを説明している間、覚は静かに聴いていた。いや、俺の思考を読んでいたのだろう。
一通り説明し終わった後、覚はそこで畑作りを手伝えばいいのですねと、聞いてきた。そうだと答えると、しかし、私は見ての通りで何もできませんよと、続ける。
確かに覚は、周りを知覚できるということ、そして例の力を使うことを抜かせば、はっきり言えば障害者となんら変わらない。その意味では彼女は役にたてることはない。だからこそ、読んでいたであろうことを告げた。
君の体から、もしかすればこの惨劇を救う何かを見つけ出せるかもしれない。と。
子供達はそれを聞いて更に反発する。それもそうだ、いわば人体実験をするといったのと変わりないし、丸坊主は食って掛かる勢いで俺に詰め寄ってきた。そして、それを制したのも覚だった。
私はそこにいっても、役立てるのですね。と優しい言葉で。それを聞いて、子供達はシンと静まり返った。
俺は、更に丁寧に説明するよう心がけた。当然、子供達を一種の労働力として見なしていたことや、マイナスになることも包み隠さずにだ。そもそも、覚がいる以上、隠し事なんてできないのだから。最終的に、子供達は俺の考えを受け入れてくれた。
そして、最後に君達がある意味で、ここにいる大人達の希望だとも伝えておいた。いくら賢明に文明を復活させようとしても、それを継いでくれる人間がいなければ意味はない。
その後は、拠点にある物資でうどんを作り、メンバーに振舞う。久しぶりの暖かい食事に、子供達は文句を言うこともなく、うれしそうに、そして一部は泣き出した。まぁ、無理もないことだな。
その後は、佐原にも明日研究所に行ってもらうと告げた。お前の体から、何か発見できるかもしれないと告げると、兄貴がいうならそうするっすと、軽い調子で了承した。時折、佐原のこの軽いノリがうらやましく感じる。
後は離れていた間、拠点と都市の状況について山中さんから情報をもらう。ガーデニングショップ入り口と都市入り口エリアのゾンビの処理は大方済んでいて、ガーデニングショップの資材回収はいつでもできるということで、順調に任務が進んでいることにほっとする。
後は、一之瀬がブラインドに食い殺されたり、ハンターとかいう奴に無茶をしたと聞いて、二人きりで話した。お前がどんな理由で医者を目指したかは聞いてるが、無茶をして死なれたら、お前がいなくて助かる命も助からなくなる。だから、お前の命も大事にしろと伝える。後は、一之瀬がそれをちゃんとわかってもらうしかない。
誰も死なせるわけにはいかないのだから、これ以上の死は、たくさんだ。鈴木さんも、吉岡さんも、そしてあの隊長達も本来だったら殺さなくて済んだかもしれないし、子供達ももっと早く合えれば、もっと多く助けられたかもしれない。
後悔や考えることは、たくさんある。だからこそ、今日のメンバーとの食卓を守るためにも、誰ももう、死なせない。
百四日目終わり
>>935の訂正
×後は、一之瀬がブラインドに食い殺されたり、ハンターとかいう奴に無茶をしたと聞いて、二人きりで話した。お前がどんな理由で医者を目指したかは聞いてるが、無茶をして死なれたら、お前がいなくて助かる命も助からなくなる。だから、お前の命も大事にしろと伝える。後は、一之瀬がそれをちゃんとわかってもらうしかない。
○後は、一之瀬がブラインドに食い殺されかけたり、ハンターとかいう奴に無茶をしたと聞いて、二人きりで話した。お前がどんな理由で医者を目指したかは聞いてるが、無茶をして死なれたら、お前がいなくて助かる命も助からなくなる。だから、お前の命も大事にしろと伝える。後は、一之瀬がそれをちゃんとわかってもらうしかない。
いろいろ大変な間違いである。
12月2日
放浪者が帰ってくる。しかも、予想以上にたくさんの生存者と、ミュータントを連れて。彼はあらためて幸運の下に生きているのだなと、実感した。
一人、負傷した子供かと思った娘が、ミュータントと聞かされ驚かされる。それも、あのコマンダーゾンビのような力を持っているということだった。驚いてその娘を見たが、目が見えないはずなのにこちらを向いてにこりと笑いかけてきて、確かに普通ではないことを実感させられた。
その後、その娘は一之瀬さんの診察を受けた後、子供達を交えて放浪者と話し合いをしている間、メンバーとこのことを話す。浜村さんが、さすがに心の中を見られるとか、あんまりいい心地はしないわねと、少し否定的な発言が気がかりだったが、悪い子ではないようですからと答えると、放浪者が連れてきてるんだから、それぐらい大丈夫なのはわかるわよと言った。
蒲谷さんは、すごいね、うん。まるで小説やアニメみたいな娘だねと、どこか違う方向性で受け入れている様子だった。受け入れているなら、問題ない、か。一之瀬さんは、どちらかというと彼女の体調を気にしているようで、そのことは気にも留めておらず、井門はただ沈黙していた。
井門は黙るのはなんとなくわかる。元々望んではいなかったとはいえ、略奪をしていた人間だ。子供達はそういう大人達にひどい目に合わされてきたようだから、うかつはことは言えないだろう。
佐原さんは、どうも自由な人らしい。こちらが話し合っていることも気にせず、お前もミュータントっすかと、スライムと話しかけたり、拠点のバリケードを見て、もし俺みたいなのが襲ってきたら、これじゃ心もとないっすなーとか言いながら拠点を見て回っていた。その後、満足したのか私に歩み寄ってきて、山中さんっすか。兄貴から話し聞いてるんすが、すげぇ足の持ち主なんっすよねと子供のような純粋さで聞いてきた。アラクネについて説明すると、よくわかんないけど、すごい足なんっすね! と納得してまたうろうろし始めた。なんというか、とりあえず落ち着きがないようだ。
話し合いが終わり、先ほどの娘、覚ちゃんを含めて子供達は研究所にいてもらうことに決まった。私もそれでいいと考える。
その後は、歓迎パーティーと称して放浪者がうどんを振る舞い、私へいない間について聞いてきた。すべて聞いた後、苦労をかけたな、すまないといってくれて、私の肩の荷が下りたのを感じた。
その後は、一之瀬さんの状態を確認するために、話し合いにまたいってしまったが、彼が戻ってきたことを実感できて涙が出てきた。
さぁ、明日からも忙しくなる。今日ももう眠ろう。
山中沙奈記す
一之瀬DIARY Dec.2
覚ちゃん、ちゃんと診れた訳じゃないけど、たぶんあの出血の仕方は体の内部にもかなりの負荷がかかってる。下手をしなくても、そのすごい力はもう使わせちゃだめだ。
放浪者さんも、そう考えてか、研究所ってとこで避難してもらうみたい。私も賛成。
今日、放浪者さんが私が死にそうになったから、話に来た。私が死んだら、誰が救うんだそう言ってた。それは、わかってる。でも、もう誰も目の前で死んでほしくない。鈴木さんも、見殺しにするように逃げた私ができることは、持ってる知識で皆を治療することなんだから。
それに、もう何もできずに、誰かが死んでいくのは嫌だ。だから、医者を志したんだから。やつれていくお姉ちゃんに、私は、なにもしてやれなかった。やさしいお姉ちゃんだったのに。何も。
スラちゃんだって、話せないだけでいい子なんだから。だから、もう、誰も、私の目の前で死なせない。
レポートNO.6
井門圭司
覚と佐原、か。まぁ、佐原は話せるし、単純そうな奴だからいいが、覚は、あまり接したくはねぇな。
人の心を見透かすとか、俺は今まで後ろ暗いことをしてきたやつだ。当然、それに気づいて嫌われるだろ。そういう連中にひどい目にあってきたらしいからな。
それは、しかたねぇことだけど、暴かれたいことだってわけじゃもちろんない。もし、覚の経由で一之瀬にそれがばれて、変にギクシャクするのは、よくねぇことだからな。
もし、それで変にひずみができるようなら、俺はここから出ていかねぇとな。迷惑はかけられねぇし、皆を守りたいって気持ちにうそはないからさ。
……、俺は独りでやってけるかな。放浪者さんみてぇに。
女兵士「起きろ」
ウェイター「んあ?」
そのまま急ぎ、ウェイターを起こすために女兵士は引き返す。寝ぼけたウェイターが何の騒ぎだという様子で、目をこすりながら起きる。
女兵士「生贄はないんだが、ここは旅人を殺して金品を奪う村のようだ。準備しろ」
ウェイター「え? 何言って…」
女兵士の真剣な眼差しを見て、ウェイターは緊急事態を察して、急いで装備を整えた。
ウェイター「何で言ってくれねぇんだよ」
女兵士「お前は嘘が下手なようだからな」
さらりと当たり前のように言われ、ウェイターはそんなに顔に出るのかと思いながら、女兵士の後ろについていく。
女兵士「……気取られたか、走り抜けるぞ」
ウェイター「おう、逃げるのは得意だ」
女兵士が指で逃げるタイミングを合図し、それと同時に二人は村の中を駆け出した。
>>940も誤爆だよ orz
複数タブで管理するのやめるかなぁ。意図せず変わってる…。
縁起悪いなぁwww
>>948
縁起悪いけど、おかげで邪神さんのせいにはできる。ニャルさんか、ヨグさんあたりかな?
ちなみにこのダイスは、アーカムホラーというボードゲーム用のダイスです。大ざっぱに言うと、ゲーム中、イベント発生時にこのダイスを振って、5か6出ると成功判定になります。ある意味このSSぴったりのダイスではある。
二つ名ねぇ。ある意味、放浪者、保安官、狩猟者あたりがそれな気がするけど、中2魂燃やして、つけてみますか。
放浪者(幸運に支配されし者『ラッキーマン』)
山中(未来的蜘蛛女『アラクネ』)
保安官(孤独に笑う者『ローンウルフ』)
浜村(皮肉な電子技師『エレキテル』)
蒲谷(頷き笑う通信技師『エビス』)
スライム『意志ある液体(ブロブ)』
井門(薄汚れた兵隊『ガーディアン』)
一ノ瀬(戦うお医者さん『メディック』)
覚(全てを理解する者『レーダー』)
佐原(自由な心『ワーウルフ』)
とまぁ、即興でこんな感じかな
ダイス次第だから幸運に「支配」されてるってのは的確だな
ダイスはなー……昔縁日で取ったお気に入りのやつじゃないとなんか出目が死ぬんだよな
うーん。COOL!
放浪者や保安官、ハンター等に続いてありそうなのは
ニンジャ(地下よりの殲滅者?)
将軍(王将だけの棋盤)
殺人鬼(時代錯誤な殺人犯)
荒武者orムサシ(闘争に溺れし狂者)
こんなの……うん。無いかな
百五日目
覚、佐原、そして子供達を研究所に移動させた。
研究所につくと、白衣が土の汚れがついた主任がやってきて、佐原の姿を見て銃を抜こうとするのを制した。
(拠点の連中にも、これぐらいの警戒心が欲しいものだ)
研究所のいつもの検査を終え、そしていつものミーティングを行う。
佐原、覚について説明した後、子供達を預かって欲しいと話す。基本的には了承をもらった形だが、医療設備自体が用意されている訳ではないから、ちゃんとした検査は出来ないとのこと。
少なくとも、いつも検査に使うオートメーションシステムの結果だけでも、違いがわかれば何か判断できるかも知れないだろうと話す。後で覚と佐原の検査結果を確認すると言うことで話は終わる。
これまたいつも通りにアリスの元に向かうと、彼女の姿はなく、中にいた別の研究者が、アリスは自分が連れてきた生存者に会いにいったよと聞かされた。
仕方なくアリスを探すついでに、佐原にあてがわれた部屋の場所に向かうと、向こうの廊下から全力で走ってくる佐原と、息を切らしながらそれを追い掛けるアリスが見えた。
兄貴助けてくれっすと、佐原は俺の背中に回り、少ししてからアリスが息を荒げながら目の前で止まり、呼吸を数回繰り返した後、放浪者さんそのワンちゃんを捕まえてくださいと言われてしまう。
ひとまず、何があったかと聞くと、神経伝達がどうなってるか気になったので、調べさせて欲しいとアリスが迫ったらしい。無邪気ではあるが、狂気ともいえるその押しで、佐原は怖くなって逃げ出したようだ。
相手が嫌がってる時は強要するな、検査結果自体でてるらしいから、そっちの資料を見てこいと言うと、落ち込んだ様子で、わかりましタと言って去っていった。
(佐原もありがとうっす兄貴、と礼を言ってそのまま研究所内を見て回り始めた)
覚に会いに行くと、そこそこ顔色は良くなっていた。
思考を読んだのか、あまり深くは調べられないのですねと言い、そうだと答える。しばらくの沈黙の後、私の力が必要なら、いつでも呼んでくださいと言われ、それだけで会話は終わる。
ひとまずの生存者救出は成功だ。明日以降からはまた、都市と戦う日々になるな。
百五日目終わり
アリスさんが誰かが予想した通りの結果にww
12月3日
放浪者、覚ちゃん、佐原さん、子供達は研究所へと出かける。
今回、人数の関係と、ガーデニングショップの資材の回収を近日中に行う予定もあり、私は拠点に残った。
いつも通り井門と私で通りの処理を行い、一ノ瀬さんには都市入り口エリアの探索をお願いし、無線も持たせておいた。
処理は順調で、回収作業中に商業区から寄ってくるゾンビに備え、商業区手前のエリアもいくらか処理をしておいた。
ガーデニングショップの通りは文字通りそこだけ示しているので範囲は小さい。だから、このエリア内でめぼしいものはあまりない状態だ。
しいて言うなら鉄パイプなどの資材になりそうなものは、いくらか回収しておき、ガーデニングショップの物資も持ち運び出来るものはいくらか運んでおいてある。
拠点に戻り、蒲谷さんと警備を代わりしばらくすると、一ノ瀬さんが帰ってきた。
食料などの物資を回収してきたが、一つ奇妙な瓶を丁寧に持っていたので、何か尋ねると中身は濃硫酸で、触れたらエラいことになりますよと笑顔で言われる。
どこで見つけたか聞くと、なんでかポンと置いてあったんです。誰か私みたいに知識がある人が、武器にしようとしたのかもしれませんね、とのことで、これならブラインドに対抗できるんじゃないかと思ってと言った。
確かに、強力な酸だから生き物のブラインドも例外なく溶けるはずだろう。そうは回収出来るものではないし、貴重な武器になりそうだ。
山中沙奈記す
>>951
放浪者はダイス振る度にそう思うよ
今使ってるアーカムホラーのダイスは、肝心な時に裏切る感じです。はい。
>>952 >>954
その二つ名が使える人が出せるかが、ダイスさん次第です。しかも今呪われそうなダイスだしなぁ。
ミュータントが来て、アリスが暴走しないわけがない。
乙
突然だけど、拠点のみなさんがバンドを組んだとして、似合いそうな楽器を考えてみた
放浪者 サックスまたはトランペット
山中さん 木琴(音が似合いそうだったので)
保安官 ウクレレorクラシックギター
スライム コンガ系もしくはマラカス(マラカスの場合、アミーゴ!なイメージのでっかい帽子も被らせつつ)
蒲谷さん ベース
浜村さん シンセサイザー(職的に)
井門 ドラム(悪いが消去法)
一之瀬さん ボーカル
覚ちゃん オカリナ 語り
佐原 ギター
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