【FGO】ぐだお「山の翁と90人の忠騎」 (49)
山の翁はじめハサン・サッバーハ達の台詞ネタバレがあります
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『呪腕のか。悪魔の腕を取り付けてまで何を掴んだ? 己の愚かさか? では――首を出せ』
『静謐のか。毒に浸した肢体で何を護った? 野に咲く花すら護れぬ孤独か? 馬鹿め――首を出せ』
『百貌のか。無数の知恵で何を積み上げた? 百の魂で一の信義を奪い合う欲望か? 愚か者め――首を出せ』
ぐだお「待ってください、山の翁」
山の翁『何か。我が契約者よ』
ぐだお「何かは俺の言いたいことです。どうしてハサン達の首を取る必要があるんですか」
山の翁『……我はハサンを[ピーーー]ハサンなり。ハサン・サッバーハが堕落を見せた時、その首を断つ事が我が役目』
ぐだお「ならその必要はありません。呪腕のハサン・サッバーハ、静謐のハサン・サッバーハ、百の貌のハサン・サッバーハ。皆優秀で、俺が信頼するサーヴァント・アサシンだ。貴方の言う堕落は彼らから最もかけ離れた言葉だと、俺が保証します」
山の翁『……』
ぐだお「言葉で足りないのなら、今の彼らの力を見てもらうしか無い。どうか、それまではその剣を収めて頂けませんか」
山の翁『……良かろう。汝の意志に従おう』
ぐだお「消えた……ふぅ。怖かった……」
呪腕のハサン「……魔術師殿」
ぐだお「何?」
呪腕「先程の助け舟、感謝の極み。ですが……無理をなされるな。我らハサン・サッバーハ、初代様の手にかかることは光栄の極み。あの方が首を出せと言うのならば我々は喜んで差し出しますぞ」
百の貌のハサン「それに、あのお方は我が軍勢、そして呪腕と静謐が束になっても到底叶わぬ力量の持ち主。例え我等を失っても、初代様さえいればそう痛手ではありますまい」
ぐだお「痛いに決まってるだろ!」
「「「!?」」」
ぐだお「……ごめん。でも、皆を失うのは俺にとって最大級の痛手だ。呪腕のハサン、百の貌のハサン、静謐のハサン。皆、最後の戦いまで素人の俺に文句一つ言わずついてきてくれたし、戦いが終わった今も三人とも残ってくれてる……俺はみんなの事を信頼してる。例えどんなに強いサーヴァントが味方になってくれてもそれは変わらないよ。信頼できるサーヴァント三人……いや、八十八と二人。失う訳にはいかない」
静謐のハサン「……マスター。やはり……あなたに出会えてよかったと。心の底から申し上げます。我が主、もう一度、この場で……永久の忠誠を誓わせて頂きます……うぐっ、ひっく」
百貌「ええい泣くな静謐の、気が早い! 我らが力量、見せねば首が飛ぶのは変わらんのだぞ!」
静謐「は、はい、百貌様。ですが、申し訳ありません、勝手に……止まらなくて」
呪腕「よせ、百貌の。お主とてこれほどまでに仕える相手に求められたことはあるまい」
百貌「それはまぁ……そうだが。えぇい、どうしたものか……!」
ぐだお「大丈夫だよ。山の翁には何度も助けられたから、多分優しい人だと思う」
百貌「呑気なものですなぁ、我が主は!」
呪腕「あたるな。であればこそ世界は救われたのだ。魔術師殿の長所であろう」
ぐだお「ちょっとだけ気にしてるんだけど、俺そんなに危機感無い?」
呪腕「はぁ。私の呪腕に握手を求めて来たのは未だ魔術師殿だけです故に」
ぐだお「マジかぁ」
静謐「……ですが、マスター。私達の為にマスターが危険な目に遭う必要は……」
ぐだお「言いっこなし。皆には今まで散々、俺の為に命を張って貰ったからね」
禁止ワードあるの忘れてました。翁の台詞が一部アレになってるけど内容はお察しください
ぐだお「ダ・ヴィンチちゃん、レイシフトお願い。俺、マシュ、呪腕のハサン、百の貌のハサン、静謐のハサンで」
ダ・ヴィンチ「りょうかーい。空白があるけどいいのかい?」
ぐだお「うん。来てくれるハズだから――」
~オルレアン~
呪腕「柘榴と散れ!」
百貌「戦いは数なり!」
静謐「ごめんなさい、殺します」
マシュ「皆さん、凄いです……あの時、あれ程苦戦したワイバーンが次々に倒されていきます。町への被害は軽微です」
ぐだお「皆、あの頃とは比べ物にならないぐらい強くなってるからね。それはマシュも同じだよ」
マシュ「ありがとうございます、先輩……っ、先輩! 強大なエネミー反応! ドラゴンがやってきます……!」
ぐだお「……ッ!」
百貌「我が主ッ! 急ぎ伝えなくてはならないことが……!」
ぐだお「ドラゴンだね、分かってる」
呪腕「ワイバーン程度ならばどうにでもなりますが……我らは所詮対人特化。アレは流石に分が悪いですな」
静謐「……力量不足です。至らない身で申し訳ございません」
ぐだお「でも、アレを町に近づけさせるわけにはいかない」
呪腕「……ですな。マシュ殿。魔術師殿を頼む」
マシュ「はい、シールダーの名に懸けて、マスターをお守りします! ですが、ハサンさん達は?」
呪腕「無論、龍を狩ってくるまでのこと」
マシュ「ですが……!」
百貌「シールダーよ、我らを侮る無かれ。確かに我ら、相手取って来たのは人間ばかり。しかし」
静謐「……しかし。我々ハサン・サッバーハは『必ず[ピーーー]』一芸を持っています。主の命あれば、龍の命であろうと摘み取って参りましょう」
ぐだお「……ああ。ハサン・サッバーハ。頼む」
「「「承知!」」」
呪腕「チッ! 短刀では鱗を貫くのが限界か。決定打にならぬな」
百貌「弱音とはらしくないな、呪腕の。我らに勝機があるとすれば、それは貴様だぞ」
呪腕「無論、把握の上。そしてその為の道筋、お主達も見えておろう?」
静謐「……はい、呪腕様。先に参ります」
百貌「良かろう。次は我らが」
呪腕「頼む」
マシュ「……先輩。ハサンさん達は、大丈夫でしょうか」
ぐだお「勿論。勝ち筋は皆にも見えてるハズだからね」
マシュ「勝ち筋……ですか?」
ぐだお「うん」
静謐「熱く、熱く、蕩けるように」
ぐだお「まず、静謐のハサンの毒で動きを鈍らせる」
百貌「我ら群にして個、個にして群。いざ!」
ぐだお「次に、八十八に分かれたハサンが気を引き、足を、尾を狙い、完全に止める」
呪腕「――苦悶を零せ」
ぐだお「最後に、紛れて近寄った呪腕のハサンが心臓を獲る」
「妄想毒身」
「妄想幻像!」
「妄想心音!」
マシュ「先輩! 呪腕のハサンさんの宝具が命中しました!」
ぐだお「うん、みたいだね……どうかな、山の翁」
山の翁『……確かに腕は上げていよう』
マシュ「!? い、いつの間に……」
山の翁『今。この瞬間なり』
マシュ「あ、そうでしたか……ご丁寧にありがとうございます」
「GYAAAAAAAAAAAAAAAA!」
マシュ「……っ! 先輩、ドラゴン、未だ健在です!」
山の翁『仕損じたか』
ぐだお「いや、呪腕のハサンは確かにドラゴンの心臓を潰した。もう勝負はついてるよ……でも、生命力、魔翌力の塊のドラゴンは心臓を潰されても暫く動ける。そして、彼等にトドメを刺すことは出来ない。それが出来るのは貴方だけだ」
山の翁『……』
ぐだお「山の翁。あの長くはないドラゴン、救ってやってほしい。それとも、貴方達の神は人間以外に救いをもたらさない?」
山の翁『……背中を押せ』
ぐだお「ああ、分かった。オーダーチェンジ! ……っとと、キャッチ!」
静謐「このままではっ……えっ、あれ、マスター? あっ、いけません、毒が、今は抑えていますが、名残が……」
ぐだお「大丈夫、大丈夫。俺は毒では死なないよ」
静謐「あ……はい。触れて頂いて……ありがとうございます……」
マシュ「せ、先輩! もう静謐のハサンさんを抱きかかえたままでいる必要はないかと!」
山の翁『神託は下った……!』
呪腕「初代様!?」
山の翁『聴くがよい。晩鐘は汝の名を指し示した。告死の羽、首を断つか――死告天使!』
呪腕「……初代様」
山の翁『答えを得たか』
呪腕「はっ。私が悪魔の腕を取り付けて得たもの。それは……此度の戦い其の物。私の背には、世界は余りにも重い物でありますが……我がマスターを守ること。それが私が生まれた意味かも知れぬ、と。今ではそう思っております」
静謐「初代様。仰る通り、私は生前……何も護ることが出来なかった、初代様の手で死んだ事だけが誇りであった半端者。ですが、我が主。私を孤独から解き放ってくれた我がマスターだけは……何に変えてもお護りしたく思います。この任、未だ半ばの道ではありますが……この毒の体で必ずや、最後まで護り抜く所存」
百貌「我が軍勢が積み上げてきた物。それは、彼の者との信頼にございます。我ら百の貌、その全てが彼の者を主と認めております。我ら全てが信義を誓ったのは、信仰の他には我らがマスターのみ……他に積み上げてきた物など、マスターの敵を排除し、命を守る為の術に過ぎませぬ」
山の翁『……良かろう。貴様らの精神、堕落を知らず。貴様らの技、劣化を見せず――鐘の音は聞こえぬ。その首、体に預けておく』
呪腕「……魔術師殿。改めて、礼を言わせて頂きたく」
ぐだお「いいよ。むしろ、俺が礼を言いたいぐらいだ。ハサン・サッバーハは皆働き者で、礼儀正しくて……俺なんかの指示を聞いてくれるし」
呪腕「俺なんか、とは良くないですなぁ。魔術師殿は既に歴戦の身。自信を持って我等を使ってくだされ」
ぐだお「んー……期待に応えられるように頑張るよ。だから、お互い様だ」
呪腕「……と、言いますと?」
ぐだお「呪腕のハサン・サッバーハは冬木から俺に付き合ってくれてる歴戦のアサシンだ。他のサーヴァントに引けを取ることは無い。自信を持って、その腕と短刀を振るってくれ……出来れば、首も差し出さないでほしいな」
呪腕「……ははぁ。これは一本取られましたかなぁ」
ぐだお「ま、たまにはね」
ぐだお「――うん、その荷物はあっちに。よろしく、ゴズール」
怪腕のゴズール「承知」
迅速のマクール「主、言伝を預かっております」
ぐだお「……うん、うん。分かった、ありがとう、マクール」
百貌「……呆れたものですなぁ、まさか全員の名を覚えようとでも? 私自身、どれだけの貌があるのか分かっていないと言うのに」
ぐだお「だって、分身じゃなくて皆で一人のサーヴァントなんだろう? だったらそう接しないと失礼じゃないか」
百貌「はぁ……要領が良いのか、悪いのか。ですが……悪い気はしませぬな」
マシュ「先輩、おはようございます。モーニングコールに参りました」
ぐだお「ん……おはよう、マシュ。ありがとう」
静謐「すー……すー……」
「「……」」
マシュ「静謐さん! 先輩のベッドに潜り込まないでください!」
静謐「ふぁ……おはようございます」
マシュ「あぁ、うん。おはよう」
山の翁『……』
「「「……」」」
静謐「しょ……初代様……?」
山の翁『……』
マシュ「い、いつの間に私の後ろに!?」
山の翁『今。この瞬間なり』
マシュ「そうでしたか、ありがとうございます。そしておはようございます」
山の翁『うむ』
静謐「初代様、こ、これは……その……」
山の翁『主に気取られず、一晩守り続けるとは見事なり。腕を上げたようだ』
静謐「……えっ、あの……こっ、光栄の極み!」
ぐだお「ふっ、はははっ。やっぱり山の翁は優しい人だ」
山の翁『……主よ』
ぐだお「はい、なんでしょう?」
山の翁『汝は異教徒ではあるが、信じるに足る者のようだ。特に心が良い。何事にも動じぬ精神こそ、我らに必要なものだった』
ぐだお「……ありがとうございます。マスターとして、光栄の極み」
山の翁『……うむ。それから、もう一つ』
ぐだお「何でしょう?」
山の翁『キングハサンと、呼んでもよい……』
終わりです。読んでくださった方がおられましたらありがとうございました。
<<25
の
マシュ「あぁ、うん。おはよう」
はぐだおのセリフです。
ゆるして
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