【咲】京太郎「今日から俺が須賀京子ちゃん?」初美「11に来たのですよー」【永水】 (1000)


○このスレは所謂、京太郎スレです

○安価要素はありません

○設定の拡大解釈及び出番のない子のキャラ捏造アリ

○インターハイ後の永水女子が舞台です

○タイトル通り女装ネタメイン

○舞台の都合上、モブがちょこちょこ出ます

○たまにやたらと重くなりますが笑って許してください

○雑談はスレが埋まらない限り、歓迎です

○(本番)エロは(本編には)ガチでないです





【咲ーSski】京太郎「今日から俺が須賀京子ちゃん?」【永水】
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【咲】京太郎「今日から俺が須賀京子ちゃん?」小蒔「大大突入の10です!」【永水】
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「あらあら、そうだったわねー」ウフフ

「あの子ったら恥ずかしがり屋さんだからー」

「一線超えちゃえば楽になるのに、まだ躊躇してるのねー」

京太郎「い、一線って…」

「でも、やっぱり十曽の血もあって人を見る目はあるみたいー」クス

「…表向きは穏やかそうだけど、内心に獰猛な野獣を飼ってるタイプねー」

「ずっとギラギラしてる感じじゃないけど…うん、こういうのも良いと思うわー」

…多分、これは褒めて貰えているんだろうな。
それは俺にも分かってるんだけど…でも、あまりにもマイペース過ぎると言うか。
自分のペースを全く乱さないから、若干、やりにくい感がある。
つーか、野獣って…別にそんなもの飼ってるつもりはないんだけどなぁ。
まぁ、人並み程度に性欲はあったりするけれど、それは一応、今、コントロール出来てるし。
一年前ならいざしらず今の俺は人並み程度には理性的なつもりなのだけれど。

「私、これまで似たタイプを何度か見てきたけれどー」

「その中でも貴方が一番、良い感じねー」

「私、須賀の血とは別に貴方の事気に入っちゃったー」

「私は貴方の事、歓迎するわねー」

京太郎「あ、ありがとうございます」

京太郎「それで、貴女は…」

湧「キョンキョン、お待たせ!」

…って、ここでわっきゅんが帰って来たか。
彼女の正体に踏み込めなかったのは残念だけど…まぁ、わっきゅんから後で聞く事も出来る訳だし。
何より、この状態でわっきゅんママに会ったら、それこそ不良か何かだと誤解されるかもしれないからなぁ。
だから、まずは傷口の消毒や装いを整えるのを優先しないと。


湧「って…おっかはん、何やっちょっの?」

京太郎「え?」

…おっかはん?
…………ってそれってつまりこの人がわっきゅんママだって事?
いやいやいやいやいやいやいやいやいや…さ、流石に若いと言うか幼すぎないか?
初美さんところのママさんだって、もうちょっとマシだったと言うか…。
年上感はあったけど、俺達の親世代とまでは流石に予想してなかったわ…。

「あらあら、そう言えば自己紹介まだだったわねー」

「私、湧ちゃんのママよー」

「宜しくねー?」

京太郎「あ、ハイ」

…しかし、こうしてにこやかに自己紹介するこの人に冗談の色は見当たらない。
その上、わっきゅんも嘘を口にしているようには思えないんだよなぁ。
彼女は隠し事が出来ない性格だし、二人で俺を担ごうとしているなら一目で分かるはず。
なのに、今の彼女は完全に真顔なんだから、この人は間違いなくわっきゅんの母親なんだろう。


「それで何をやっているかって言うとー」

「親睦を深めてたのよー、ねー?」

京太郎「ま、まぁ、そうですね」

湧「むー…」

…うん、まぁ、間違いじゃないよな。
自己紹介もままならず、後半は延々とあっちのペースに巻き込まれてたような気がするけど。
…ただ、なんで湧ちゃんは、面白くなさそうな顔をしているんだろうか。
父親とは違って、母親の方とはこうして仲良くなれたんだし、彼女にとって悪い事ではないと思うのだが…。

「あらあらー。もしかして湧ちゃん嫉妬してるのー?」

湧「べ、別にそげな訳じゃ…」

「良いのよー。否定しなくてもー」

「そういう所に男の人は結構、グって来るものなんだからー。ねー?」

京太郎「え、えっと…そ、そういうところもありますね」

そこで俺に振られるのはちょっと反応に困るが…実際、否定出来る事じゃないよな。
そうやって嫉妬してくれてるって事は、それだけ女の子がこっちの事を意識してくれてるって事だし。
よっぽど問題がある相手じゃなければ、それは寧ろ、嬉しい事だと俺は思う。
まぁ、流石に何から何までこっちを束縛しようとするのはキツイが、嫉妬を露わにするくらいなら全然、オッケーだ。


湧「……じゃあ」クイ

京太郎「ん?」

湧「…あ、あちき、急しこて救急箱とかしこたから…そん…」

…あー、そうか。
わっきゅんからすれば、これは結構な一大事なんだもんな。
俺を待たせないようにと急いで準備して帰って来たのに…。
肝心の相手が母親と歓談してたとなれば、そりゃ複雑な気持ちだろう。
それにわっきゅんに袖を引かれるまで気づかなかったんだから…こりゃ鈍感呼ばわりされるのも当然だよな。

京太郎「あぁ、ごめん。それとありがとうな」ナデナデ

湧「…うん」ニマー

毛細血管が破れたのは右腕の方だしな。
左腕の方は無事なんだし、そっちでわっきゅんを撫でてあげよう。
まぁ、利き腕とは違うから、普段とはやっぱり感触も違うし、ぎこちないものになったけれど。
でも、わっきゅんは機嫌を直したのか、何時ものような明るい笑みを見せてくれて。


「ふふ。本当に仲良しなのねー」

「お母さん、ちょっと羨ましいわー」

「私もパパに撫で撫でして貰って来ようかしらー?」

…しかし、こうして見ると、あの熊殺しをあんなに怯えさせてる人だとは思えないよな。
最初にイメージしたのは、ドス持ってこっちの事を睨み殺してきそうな怖い人だったのだけれど。
怖いどころか、雰囲気が大分、天然に近くて…何より、夫の事を深く愛しているらしい。
その頬に指を当てて呟きからは、未だ色褪せない恋の響きが感じ取れる。

湧「…そげんしっあげて」

湧「かった、今、おとっはん凹んでるから」

「あら、何かあったのー?」

湧「…あちきが顔も見ろごちゃねってゆーた」

「あらあらあら…それは大変ねー」

「パパは湧ちゃんの事大好きだから、そんな事言われちゃうと泣いちゃうかもしれないわー」

あ、あの人が泣いたりするのか…?
正直、動物園で見た熊よりもよっぽど恐ろしいあの人がそんな風になるとは思えないけれど…。
でも、恐らくわっきゅんママは世界で誰よりもわっきゅんパパの事を理解している人だろうしなぁ。
彼女が言うなら、案外、本気で泣いていたりするのかもしれない。


「でも、湧ちゃんは良い子だから、特に理由もなくそんな事言わないでしょうー?」

「何かパパとの間にあったのー?」

湧「…折角、キョンキョンが来てくれたのに意地悪ばっかした」

湧「酷いことだっていっぺ、ゆーたし、フォローを入れちょったりしてくれてたのを無視して…」

湧「…最後には10m離れたどうそっを拳圧で消せなんちゆーでっ…」

湧「しかも、そよ達成した代わいに、血管ひっちゃぶれたキョンキョンの事馬鹿って…」ムスー

そこでわっきゅんが面白くなさそうにするのは未だ許せていないからなんだろうな。
許すつもりではあるけれど、やはり腹立たしい気持ちは未だ消えきってはいないのが伝わってくる。
まぁ、さっきの今でそう簡単に気持ちが変わるはずないし、ここで俺が何かを言っても逆効果だろう。
今は俺の為にこうまで怒ってくれているわっきゅんに心の中で感謝を告げておくとして。

「あらあらあらー」

「何かやっているとは思ったけれど、そんな事があったのねー」

「…これはちょっとオシオキが必要かしら」

京太郎「っ」ゾクッ

―― 瞬間、聞こえてきた声は決して凄みのあるものじゃなかった。

その声音も中に込められた感情も、あくまでもニュートラルなものだ。
若干、何時もよりは間延びしていないように思えたが、変化らしい変化はそれだけ。
…しかし、にも関わらず、俺の背筋は鳥肌を浮かべ、筋肉が強張ってしまった。
まるで第六感だけが彼女のヤバさを感じ取ったように、空恐ろしさが肌を撫でる。


「それじゃあ私はちょっとパパのところに行ってくるからー」

「湧ちゃんは京太郎君とイチャイチャしておいてねー」トテトテ

…それはわっきゅんパパとはまったく方向性の違うヤバさだ。
五感から何からでこっちを押しつぶそうとしていた彼とは違い、この人のヤバさはギリギリまで感じ取れない類のもの。
そのどちらが恐ろしいかは…正直、俺には断言出来ない。
ただ、一つだけ言えるのは…俺達に背を向けてトテトテと動く彼女が、わっきゅんパパと同等かそれ以上にヤバいと言う事。
そして今のわっきゅんママに狙われたわっきゅんパパが、無事では済まないだろうという事だけだった。

京太郎「(…なんつーか、ありゃビビるのも分かるわ)」

正直、見た目からはわっきゅんパパの方が遥かに強く思える。
事実、腕力その他は彼の方がずっとずっと上なのだろう。
だが、今さっき彼女から感じた恐ろしさはそれを容易く覆すものだった。
身体能力と言う目に見えるものではなく、何処か超然とした領域での強さは、俺如きでは計り知れない。
正直、彼女が超能力を持っていても、きっと俺は驚かないだろう。


湧「…も、もう…お、おっかはんのゆー事気にせんでね」

湧「い、イチャイチャとか…あ、あの…あちき、まだするつもいないし」

湧「そ、そいよっかもキョンキョンの治療の方がでしじゃっで」

京太郎「……おう、頼む」

ただ、そんなわっきゅんママの恐ろしさは、もうわっきゅんにとって慣れたものなんだろう。
俺にとってあれほど恐ろしかった彼女に、わっきゅんは特に反応しなかった。
寧ろ、イチャイチャと言う言葉に囚われたのか、その顔を赤くしている。
その言葉を微かにどもらせるわっきゅんに、俺もまた意識をそちらへと戻して。

湧「それじゃあ、まずはその…ふ、服脱いで…」

京太郎「あぁ、そうだな」

湧「す、ストップ」

京太郎「…ん?」

どうしてそこで止めるんだろうか。
わっきゅんの言う通り、服を脱がなきゃ、ちゃんと治療も出来ないと思うんだけど…。
もしかして俺の脱ぎ方がガサツで気になったとか…か?


湧「あ、あちきがやるから」

京太郎「え?」

湧「今、体いとてあんまい動かすごちゃねでしょ?」

湧「じ、じゃっで…あちきがキョンキョンの事脱がして…あ、あげようかなって…」マッカ

あぁ、なるほど。
確かに今の俺はほぼ全身筋肉痛状態だしなぁ。
ほんのすこし身体を動かすだけでビリビリって痛みがクるし、正直、わっきゅんに脱がして貰えるのであれば有り難い。

京太郎「…でも、大丈夫か?」

湧「だ、だいじょっ!おとっはんの裸とか良く見てるし!!」

流石に父親の裸と歳近い異性の裸は違うんじゃないかなー、と思わなくもないけれど。
まぁ、わっきゅんにとっては、俺と父親は同じ『家族』のカテゴリーに入ってるって事なんだろう。
…ただ、あの筋肉の塊みたいな人と比べられるのは、若干、劣等感を感じてしまう。
俺だって、鍛えてない訳じゃないんだが…あの人は鍛えるとか鍛えてないとかそういう領域にいないからなー…。


京太郎「…じゃあ、お願いしようかな」

湧「うん…!」

ま、だからと言って、ここで拒む理由はないよな。
わっきゅんが真っ赤になってるから大丈夫か?なんて言ったけど、俺が彼女に裸を晒すのはこれが初めてじゃない。
一緒に入浴した事もあるし、夏には何度も海に泳ぎに行っていたんだ。
今更、半裸にさせられる程度で抵抗感を覚えたりしない。

湧「そ、そいぎ…」イソイソ

ただ、こうして脱がせられるってのは流石に初めてだからなぁ。
わっきゅんの顔が相変わらず赤いままなのもあって、ちょっとドキドキする。
実際に始まってみると気恥ずかしさも強くなってきて…何処と無く座り心地も悪いけど。
でも、わっきゅんは俺の事を想って、こうして脱がすのを申し出てくれたんだ。
恥ずかしいから、なんて理由で一度受け入れたのを止めるのもどうかと思うし。


京太郎「(それにそんな長く続く訳でもないしな」

湧「よいしょっと」

多分、わっきゅんも人を脱がせるなんて経験があまりなかったんだろう。
最初は若干、手間取っていたものの、少しすればそれにも順応した。
元々、わっきゅんがとても器用な子だと言う事もあり、数分後にはわっきゅんに最後の一枚を剥ぎ取られる。
瞬間、外気に触れた身体が肌寒さを感じるが、まぁ、それは震えるほどじゃない。
何だかんだ言って、俺も禊は良くやってるし、寒さには慣れてるからな。

湧「え、えっと…」カァァ

京太郎「…ん?」

…でも、なんでそんな俺を見て、わっきゅんは顔を赤くしてるんだろう。
血で濡れた右腕を見て、真っ青になるならともかく、赤くなるってのはちょっと分からない。
これまで何度も見てきているはずなんだけど…何か心境の変化でもあったんだろうか?


湧「…と、とととりあえず手当するね!」

京太郎「あぁ。頼む」

まぁ、今はその辺、考えても仕方がないか。
わっきゅんが嫌そうなら俺も突っ込むことを考えるが、別にそういう訳じゃないらしいし。
寧ろ、その顔には喜びのようなものが見え隠れしているような気さえする。
流石に喜んでるって言うのは俺の自意識過剰だろうが、でも、今のわっきゅんを見て止めるべきとは思えない。
既に彼女から大丈夫だと言われている以上、俺がここでやるべきは大人しく手当を受ける事だろう。

湧「じゃあ…ちっといてかもしれんけど…」

京太郎「大丈夫だって。これでも男なんだし」

京太郎「この程度で痛い苦しいなんて情けない事言ったりしないよ」

湧「…でも、ほんのこはちゃちっといてでしょ?」

京太郎「…まぁ、筋肉痛の方がなー」

ぶっちゃけ出血の方はさして痛くはない。
見た目は派手だったが破れたのが毛細血管と皮膚の一部だった所為か、見た目ほど痛い訳じゃなかった。
ただ、右半身を覆うような筋肉痛の山はちょっとキツイ。
少し時間が経った今は楽にもなって来てるけど…未だキリキリと引きつるような痛みを感じる。
おかげで身体が満足に動かせなくて、痛みと共に不快感を覚えるくらいだ。


京太郎「ただ、それも我慢出来ないほどじゃないし」

京太郎「それより、こうしてわっきゅんのお宅訪問が出来た事の方が嬉しいかな」

湧「…キョンキョン」

京太郎「だから、そんな顔するなって」

京太郎「何もかも覚悟してやった…なんて格好良い事言えないけど」

京太郎「俺はわっきゅんにそんな顔をさせたくてやった訳でもないんだから」

京太郎「初見で難題突破して格好良い!くらいの方が俺も嬉しいよ」

と言っても…難しいだろうなぁ。
わっきゅんは割りと生真面目な方だし…。
こうして励ますように言っても、すぐさま気分が上向いたりしないだろう。
でも、だからと言って、何も言わない訳にはいかないよな。
現実、俺の目の前で可愛い女の子がしょげてるんだから、少し大げさにでも励ますのが男ってもんだろう。


湧「…キョンキョンはいっでん格好良かよ」

京太郎「お、そうか?」

京太郎「格好良いかーそうかー」テレテレ

湧「うん。あちきの憧れだよ」

湧「ううん。ただ、憧れてるだけじゃねじ…」カァァ

京太郎「ん?」

またわっきゅんの顔が赤くなってる。
いや、ただ赤くなってるだけじゃなくて、物言いたげに俺の方にチラチラと視線を送ってるんだ。
普段、自分の言いたい事を素直にアピールする彼女らしからぬその姿に俺は内心、首を傾げる。
家族としての親愛程度なら日頃、俺もわっきゅんも口にしているし、こんな風に恥ずかしがる理由はないんだけどなぁ。
…それこそ俺の事を異性として好きでもない限り、こんなわっきゅんは見れないような気がする。

湧「な、なんでもない」

湧「そ、そいよっか…もう終わったよ」

京太郎「お、おう。ありがとうな」

…なんかそう思うとちょっとこそばゆいような気恥ずかしさを覚えるけれど…。
でも、今の俺にはそれに突っ込む理由も資格もない訳で。
わっきゅんがなんでもないとそう言っているんだから、ひとまず置いておくとしよう。
ここで下手に突っ込んで藪蛇になっても、俺はわっきゅんの気持ちに応える事は出来ないし。
何より、明星ちゃんの言っていた禁則事項は、わっきゅんにだって掛かって来るものなんだ。
恐らく、ここで突っ込んでも、俺にとってもわっきゅんにとっても良い結果にはならない。
だから…ちょっと情けない気もするが、そういう事を考えるのは実際に告白されてからにするとして。


湧「…え、えっとそいで…服じゃっどん」

京太郎「あー…」

とりあえず腕の方は消毒してもらって包帯まで巻いてもらったから大丈夫だ。
が、服の方はちょっとどうしようもないよなぁ。
完全に血が染みこんでしまった以上、洗濯してもそれが落ちきる事はないだろうし。
初美さんに選んでもらったお気に入りだったんだが…まぁ、仕方がないよな。

京太郎「悪いけれど、着替えになるものを貸して貰えるか?」

京太郎「流石にそれもう着れないと思うしさ」

京太郎「それ着て歩いたら完全に不審者だし…」

わっきゅんの家から俺達の屋敷まではそう遠くない。
屋敷の入口に当たる大階段まで歩いて数十分程度だし、まぁ、警察とばったり、なんて事はまずないとは思うけれど。
でも、袖の先まで赤く濡れた服で出歩いたら、間違いなくすれ違う人たちを怯えさせるだろうし。
怯えさせるだけならまだしも、今の御時世、不審者として警察を呼ばれてもおかしくはない。
その時にどれほど面倒な事になるかを思えば、やはりここで着替えを借りるのがベストだろう。


湧「ん。おとっはんの服があっでそれつこて」

湧「サイズは…ちっと合わんかもしれんけれど」

湧「でも、キョンキョンじゃったら不格好ってほどにはならんとおもし」

京太郎「ありがとうな」

ただ…やっぱり不格好にはなるんじゃないかなぁ。
上着だけとは言え、俺とあの人の身長は数十センチ違う訳だし。
腕の太さだって二倍以上の差があるんだから、あの人の服が似合うとはあまり思えない。
あまりにも日本人離れした体格過ぎて、わっきゅんパパの服が全てオーダーメイドでもおかしくないくらいだからなぁ。

湧「それとこん服はちゃんと洗ってみごつするよ」

京太郎「いや、でも…」

湧「初美さあといっどき、こけ行た、でしな服なんでしょ?」

湧「あちき知っちょっよ」

京太郎「…わっきゅん」

湧「そげな服をちっと汚えたからって捨てちゃうのは勿体無よ」

湧「きっと初美さあも悲しんじゃろし…」

湧「何とか血を落とせるようきばってせんたっすっで」グ

―― わっきゅんの目はとても真剣だった。

どこか必死ささえ感じさせるその目に、否と言えるはずがない。
経験則から洗濯しても無駄だろうと思っているが…さりとて、わっきゅんの優しさを無下にはしたくないんだ。
何より、俺の事を気遣ってくれるその言葉はとても有り難いのだから、ここは素直に甘えておこう。
ただ、もし、ダメだった時のフォローは先に考えておかないとな。
わっきゅんはとても責任感が強い子だし、ダメ元だったとしてもきっと自分を責めるだろうから。


京太郎「…じゃあ、頼む」

湧「うんっ」パァ

湧「じゃあ、これちっと漬け置きしてくるね」

湧「あれがえも持ってすぐ戻ってくるから!」ダッ

そう言って救急箱やタオル片手に去っていくわっきゅんに躊躇いはなかった。
…恐らく結構、俺の服の事も気にしてくれてたんだろうな。
俺がこの服の事を気に入ってるって事を彼女も良く知っていたみたいだし。
これでちゃんと血が抜ければ、わっきゅんの自責も大分、軽くなるだろう。
とりあえずそれに期待しながら、大人しくここで待って…。

京太郎「ぶえっくしゅ」

…うーん、流石にちょっとこのままは寒いし恥ずかしいな。
表の大きな門は閉じてるけど、屋敷の方の門は開けっ放しな訳で。
目の前に外の景色が見えていると、なんか野外露出しているような気分になる。
実際は水着とかよりも露出度が低いし、人目になんてほぼつかないから恥ずかしがる必要はないんだけど…。


「…ほら」ファサ

京太郎「うわっ」

―― 瞬間、俺の身体に掛けられたのは分厚くて灰色の布だった。

ちょっとゴワゴワしたそれはその厚みを感じられるほどに重く、また頑丈だった。
普段、俺が使っている服とはまったく違うそれを頭から持ち上げてみれば、それが道着である事が分かる。
その襟元に十曽の名前が刺繍されている事から察するに、それは恐らくわっきゅんパパのものなんだろう。

京太郎「(…なにせ、さっき聞こえた声はわっきゅんパパのモノだったし)」チラッ

「…お前のような貧弱坊やだと寒いだろう」

「それを着ておけ」

そう思いながら視線をあげれば、そこには予想通り、わっきゅんパパが居た。
…正直、これほど存在感のある人が触れるほど近くに来るまで気づけなかった事実に空恐ろしさを感じるが…。
でも、今の彼の顔に浮かんでいるのは、俺への敵愾心ではない。
寧ろ、その口調はぶっきらぼうなものだが、大分、罰が悪そうなものになっている。


京太郎「あー…わっきゅんのお父さん」

「貴様にお義父さんと呼ばれる筋合いはまだない!!!!」

京太郎「誤解です」

つーか、自己紹介もされてないんだよな。
正直、名前も分からない人の事を、一体、何と呼べば良いのか。
一番、無難なのは十曽さんかもしれないけれど、それに当てはまってしまうのはこの屋敷の中で最低でも三人いる訳で。
門下生達の中にも十曽姓の人がいるかもしれない事を考えれば、ややこしくなるだけだろうしなぁ。

京太郎「…それより、お借りして良いのですか?」

「…なんだ、気に入らんのか」

「一応、洗濯したのを持ってきたから汚くはないはずだが」

京太郎「いや、俺としてはとても有り難いです。ありがとうございます」

「…なら、最初からそう言えば良いんだ」

「お前は俺からすれば、まだまだ子どもなんだから、下手に遠慮せず受け取っておけ」

…まぁ、色々とあったけれど、こうしてわざわざ道着を持ってきてくれた辺り、悪い人ではないんだろうな。
ぶっちゃけ、娘可愛さに暴走している時は鬱陶しいけれど…でも、悪いと思ってなかったら、こうして道着を持ってこないだろうし。
ましてや、この人がやって来たのは、わっきゅんが去ってすぐ。
その気配をまったく感じ取れなかったから完全に予測になるけれど…。
恐らく、この人は俺に道着を手渡す為、近くでずっと様子を伺っていたんだろう。


「って子どもと言っても、お前と湧の仲を認めた訳ではないからな!」ビシ

京太郎「分かってます」

京太郎「…と言うか、それは誤解ですよ」

京太郎「俺とわっきゅんの間には別に疚しい事なんて何一つありませんし」

「つまり疚しささえ感じる領域など既に通り過ぎたと言う事か!?」クワッ

もうやだ、この人面倒臭ぇ…。
なんで今の話でそんな風に受け取るんだよ。
額面通りに受け取ってくれれば、まったく何の問題もなく丸く収まるってのに。
下手に裏を読もうとする所為で、また話がややこしくなっているじゃないか…。

「なんだ。その心外そうな顔は」

「貴様が言葉巧みに湧を騙し、混浴した事は既に知っているんだぞ!!」

京太郎「あー…」

……………………ヤバイ、否定出来ない。
いや、アレはどっちかって言うと俺が言葉巧みに誘導された結果なのだけれど。
しかし、俺がわっきゅんと混浴したのは事実で…また不幸な事故によってマイサンを押し付けたのもまた現実に起こった出来事なのだ。
流石のわっきゅんパパでも後者の方は知らないと思いたいが…しかし、混浴した事実を知っている以上、下手に言い逃れは出来ないし…。


京太郎「そ、それも誤解です」

京太郎「アレは決して俺が主導したものではありませんでしたし」

京太郎「そもそも他にも女の子がいて…お互いに水着を着用していた訳ですから」

京太郎「プールの延直線上のようなものだと思って貰えれば…」

「そのような繰言で俺を謀るつもりか…!」

「そもそも生まれてこの方、俺は女とプールになど行った事がないわ!」

「延直線上などと言われて、イメージ出来るはずなかろう!!」

京太郎「あ、ハイ。ゴメンナサイ」

勢いに負けて謝ってしまった。
…いや、でも、なんつーか、今のはしょうがないよな。
何も女の子とそういう事が出来ないなんて哀れだと上から目線な事を思ってはいないけど。
でも、この人の勢いは、こっちに反射的に謝罪を口にさせるほど凄まじいものだったし…。

「えぇい!謝るんじゃない!」

「良いか!俺は決してモテなかった訳じゃないんだ!!」

「ただ、女と浮ついた事をしている暇があれば、身体を鍛える方が良いとそう思っていたのだ!!」

「貴様のようななよなよした男とまったく違う人生だが、後悔してはおらん!!」

京太郎「そ、そうなのですか」

なんかちょっと言い訳っぽく感じるけれど…でも、まぁ、まったく嘘って事じゃないんだろうな。
少なくとも、この人の身体は浮ついた気持ちがあって作れるものじゃない。
きっと脇目もふらずストイックに強さだけを求めても、ここまで到達出来るのは一握り中の一握り。
ただの天才ではなく、努力する天才でなければ、おそらくこの人と同じ領域には手も届かないだろう。


京太郎「…しかし、それだったら奥さんとはどうやって出会われたのですか?」

「…そ、それは…」

…ってなんでそこで言い淀むんだろう。
自分の人生に対して、後悔していないと断言出来る人がここまで言いづらそうにするなんて。
…もしかしてこの人の中でわっきゅんママとの出会いはかなりの黒歴史なんだろうか。
それはそれでかなり気になるけれど、でも、下手に突っ込んでこれ以上機嫌を損ねるのはなー…。
とりあえずその口が再び動き出すのを大人しく待っておく事に…。

「あーなーたー?」ゴゴゴ

「ひぃっ!?」ビクッ


―― 瞬間、聞こえた悲鳴はあまりにも情けないものだった。

正直、これが目の前の化物のような男の人から漏れでたとは到底、思えない。
まだ俺は彼の事を良く知らないが、それでもヘタレや臆病ではないと言う事くらい分かっている。
拳一つで熊を殺したという話も決して嘘ではないだろう。
そう思うほどの豪傑が、今や野良犬に怯える少年のような顔をしているのだ。
…一体、どれほどこの人にとって奥さんが恐ろしいのか、俺には検討もつかないけれど。


「こーんなところにいたのねー」

「ちょっとお話があるから付き合ってくれるかしらー?」

「い、いや、俺は今、コイツとの話に忙しくて…」

「あらあらー。奥さんとのお話よりも、その子とのお話の方が大事なのー?」

「…これはまた念入りに搾り取ってあげないとダメかなー?」

「今すぐ行きます!!!!」ビシ

とりあえず念入りに躾けられてしまっているという事だけは良く分かる。
何を搾り取られるのか知らないが、この人が今にも敬礼しそうな勢いで背筋を正している訳だし。
恐らく、この二人の中で、もうどうしようもないほど上下関係が決定してしまっているんだろう。

「…と言う訳で、あんまりお構い出来なくて申し訳ないけれどー」

「ちょっと用事があるから、この人は連れて行くわねー?」

京太郎「あ、ハイ」

「もうちょっとで湧ちゃんも帰って来ると思うから待っててあげてー」

「うぅぅぅ…」

…その気になれば、素手でこの家を壊せそうなほどの豪傑と、その身長の半分程度しかない女性と言う組み合わせなのだけれど。
わっきゅんパパの方は顔を項垂れて、軽く青ざめているようにも見えるからなぁ。
それでも先導するように歩くわっきゅんママから逃げようとしない辺り、正直、某ドナドナめいた悲哀を感じる。
この後、無事に彼と会えるかどうか若干、不安になるくらいに。


京太郎「(まぁ、何はともあれだ)」

…とりあえずわっきゅんパパから貰った道着に腕を通しておこう。
何だかんだ言っても、俺の為にわざわざ持ってきてもらった訳だしな。
これを無駄にするのはわっきゅんパパの遺志…いや意思を無駄にするだけだろうし。
何より、何時迄も上半身裸で居続けるような趣味もないからな。

湧「お待たせっ」

京太郎「よう。おかえり」

湧「ってあれ?」

それから少ししてわっきゅんが俺のところに帰って来た。
トテトテと小気味良く廊下を踏み鳴らすその音は急いで帰って来てくれた証。
それに心の中で感謝を告げながら振り返れば、彼女は真っ先に疑問の声を漏らした。
それは多分、上半身裸だった俺が父親の道着を羽織っているからだろう。
俺の為に着替えを探してきてくれたであろう彼女が、どうしてと思うのも当然だ。


京太郎「悪い。さっきわっきゅんのお父さんが来てさ」

京太郎「寒いし、風邪引かないようにってこの道着貸してくれたんだよ」

湧「…そうなんだ」

まぁ、実際はもっとぶっきらぼうな言い方だったけれども。
それでもあの人は一応、俺の事を心配してくれていたんだろうし。
それに何時迄もわっきゅんが父親と仲違いしているのも見ていて辛いからな。
ちょっとお節介かもしれないけれど、ここはオブラートに包んだ言葉を伝えておこう。

湧「じゃあ、これどうしよう…」スッ

そこでわっきゅんが広げるのは、恐らくあの人のジャケットなのだろう。
ただ、少々、独特というか…肩の辺りに鉄製のパッドが入ってるんだよな。
そのサイズがあまりにも大きいのと相まって、世紀末にヒャッハーしてる連中を彷彿としてしまうというか。
持ってきてくれたわっきゅんには悪いけれど、あんまり着たいとは思えない。


京太郎「そうだな…。でも、折角、本人から渡して貰った服がある訳だし…」

湧「…うん。そうじゃっど」

湧「こっちは後でこっそい元の所に戻しとく」

京太郎「悪いな」

湧「ううん。気にせんで」

湧「そいよっか、おとっはんがさっきまでこけいたってゆーちょったけれど…」

京太郎「あぁ。ついさっきわっきゅんのお母さんに連れて行かれてたよ」

湧「って事はちっとなごなるかなー…」

京太郎「やっぱりそうか」

わっきゅんのお母さんはマジで怒ってたみたいだしなぁ。
オシオキってのが一体、どういうものなのかは分からないけれど…でも、軽い説教じゃ済まないだろうし。
多分、あの二人にまた会えるようになるのはまだ先なんだろう。
んで、俺は一応、わっきゅんの両親に挨拶しに来ている訳で。
顔合わせが済んだだけで、まだ碌に話も出来ていないこの状況で帰る訳にもいかないし…。


湧「…キョンキョンの服をみごつするのもまだ時間が掛かるし」

湧「さっさ、キョンキョンは何かしたい事ある?」

京太郎「そうだなー…」

京太郎「うーん…強いて言えば…わっきゅんが練習してるところが見たいかな」

湧「え…?」

別に俺は筋肉フェチって訳じゃないけれどさ。
でも、こんなに小さいのに俺にも負けないパワーを秘めた身体をどうやって作ってきたのかは正直、気になる。
出来れば、俺も同じ練習を…と言いたいんだけれど、今の俺は全身筋肉痛状態で、あっちこっちで内出血も起こしてるからなぁ。
流石にわっきゅんと同じメニューはこなすってのはまず無理だろう。

京太郎「(それに何より…)」

俺も運動部だったから分かるけど…一日のブランクって言うのは意外と大きいもんだしな。
試合後の休息日とか、そういう致し方無い理由以外に、あまり鍛錬は休むべきじゃない。
でも、こうして俺にくっついていたら、わっきゅんは自分を鍛える事なんて出来ないだろうし。
俺の為にブランクを作らせるってのも申し訳ない話だから、やっぱり見学させて貰うのが一番だと思う。


湧「あ、あんまい見てて面白てものじゃねと思もよ」

湧「いっぽむっ地味だし…別にビームとか出せる訳じゃねし…」

京太郎「流石にそこまで過大な期待はしてないよ」

京太郎「俺が見たいって言ったのも、ただ面白がっている訳じゃなくって」

京太郎「わっきゅん達の練習を俺の方でも活かせないかってそう思ったからだしな」

つーか、拳圧だけで10m離れた蝋燭を難なく消せるってだけでも正直、面白いと思うんだけどなぁ。
少なくとも、普通の人間が同じ事をやっても、その蝋燭の炎を揺るがせる事すら無理だろう。
しかも、わっきゅんは俺と違って、音の壁を突き破っても、平然としているし。
俺が手加減知らずに全力でぶち抜いたって言うのもあるんだろうけれど、筋肉痛もまるでないっぽいのは凄いと思う。

京太郎「まぁ、嫌だって言うんなら、俺も無理にとは言わないよ」

湧「い、嫌て訳じゃねよ」

湧「寧ろ、あちきはキョンキョンにそうゆーて貰えて嬉しし」

湧「ただ、ちっとげんねしくて…あの…」モジモジ

恥ずかしい…かー。
まぁ、練習中はあんまり見てる人の事を意識なんてしないだろうしなぁ。
取り繕ってる余裕なんかもないだろうし、その気持ちは俺にも少し分かる。
ただ、嬉しいってそう言っていた時の彼女は、決して嘘を吐いている感じはなかった。
わっきゅんはあまり嘘の吐けない子だし、きっとその言葉は本心からのものなんだろう。


湧「…良か…よ」

京太郎「本当か?」

湧「う、うん。ちびっとげんねけれど…」

湧「じゃっどん、あちき、キョンキョンの為にきばっ」グッ

京太郎「ありがとうな」

正直、握り拳を作るほど、気合を入れる必要はないと思うんだけれど…。
まぁ、でも、こうしてわっきゅんが良いって言ってくれたんだ。
下手に彼女の気持ちに水を掛けるよりは素直にお礼を言っておいた方が良いだろう。

京太郎「さて、それじゃあ…」

湧「うん。まず道場の方から案内するね」

湧「門下生の皆もキョンキョンの事気にしちょったから、きっと歓迎してくるっとおもし」

…歓迎…かー。
いや、まぁ、わっきゅんの言っている事に嘘はないんだと思うよ。
きっとわっきゅんの言う通り、他の門下生も俺の事を気にしていたんだろう。
ただ、その筆頭であるわっきゅんパパがいきなり敵愾心むき出しにしてた所為か…正直、あまり良い風には受け取れない。
流石に新人イビリをされるような事はないと思うが、にこやかに受け入れられる光景がまったく想像出来なかった。


京太郎「(ま、まぁ、大丈夫だよな)」

さっきの事が尾を引いて、ちょっと思考が悪い方向に引っ張られているだけだ。
これまでわっきゅんの話を聞いている限り、門下生の人たちもかなり彼女のことを可愛がっているみたいだけれど。
でも、それだけで敵視されるような事が一日にそう何度も起こるはずがない。
きっとわっきゅんの言葉通り、門下生は俺の事を歓迎してくれるはずだ。



―― …そう言い聞かせながら、道場へと足を踏み入れた俺は。

―― 周囲の屈強な男たちに頭の天辺から足まで値踏みされるように眺められ。

―― 敵意混じりの視線と言葉に晒されてしまうのだった。




………


……





ってところで今日の投下は終わりです
尚、京ちゃんのやったマッハ突きは某克己んレベルには到底、及びません
あくまでも千年前に中国拳法が通った時とほぼ変わらないレベルです

あぁ、物理法則までオトしちゃったか・・・(某武偵並感)

唐突だけどわっきゅんは気合いで排卵できそうだよね

乙ー! 筋骨隆々なお父さんが妻や娘に弱いのいいよね…

この京ちゃんなら梁山泊でもやってイケるな

わっきゅんパパママをなんか銀魂の神晃と江華で想像しちゃったけど、あんまり間違ってない気がして一人ワロタ

搾り取る・・・
性的免疫の低い男性が怯える・・・
あっ(察し)

やっと追い付いた…乙です、いつも私とムスコが御世話になっております
それにしてもわっきゅんパパンとママンの馴れ初めって絶対パパンが道場破りにいってママンに返り討ちにされたパターンだろ…娘包帯ぐるぐる巻きじゃないけどさwwww

下1 @2

1 姫様 130 憧れの人
2 霞 200 愛してる
3 巴 91 特別な友人
4 はっちゃん 200 愛してる
5 はるる 200 愛してる
6 湧 171 好き
7 利仙 147 意識している
8 絹恵 200 愛してる
9 ハインデル怜 200 愛してる
10 洋榎 169 あぁああああああ!!!
11 美穂子 愛してる
12 智葉 200 愛してる
14 宥  200 愛してる
15 恭子 184 え…え?も、もしかして… ※カリスマ使用済み

ぎゃあ次スレ誤爆うううううううう
まさかここでやらかすとは思わんかったわ…(白目)

これはおしおきだね(ニッコリ)

上がってるから何かと思ったら

これは25日にともたんイェイ~の投下くるね……

ともたんイェイ~!

自スレ誤爆とかいうレアケース

自スレ誤爆とかもうわかんねぇな

乙です
京ちゃんの肉体スペックがワシズ様級になってて笑ったけど
意外と原作でも肉体スペックは同じくらいだったりしそう

多分、明日投下します(小声)

だ、大丈夫です ちゃんと投下するから…(震え声)
ただ日付は変わるかもしれないです(´・ω・`)ちょっと量が多いので…

ヒャッハー!投下だー!(白目)


………


……






―― 十曽の技は他の流派と違う。

最初に俺にそう説明してくれたのは、この道場で師範代を務める壮年の男性だった。
わっきゅんパパとほぼ同年代に思える彼は、野生の狼を思わせる引き締まった身体をしている。
クマのようなわっきゅんパパと方向性は違うものの、この人も相当な実力者。
そう思うほど雰囲気のある人に、ほぼ付きっきりであれこれ説明して貰えるのは有り難い。
有り難い…のだけれど。

「…」ゴゴゴゴゴゴ

京太郎「(無言の圧力がががががが)」

この人はわっきゅんパパのように最初から敵対心を露わにしている訳じゃない。
寧ろ、表面上はとてもフレンドリーに接してくれている。
…だが、その裏では明らかに俺に対する敵意が渦巻いていると言うか。
こっちに対して色々と思うところがあるのが伝わってくる。
目に見えて不機嫌なのが分かるだけに…今の俺は針の筵だ。
正直、説明なんて良いから、他の人の指導を優先してあげて欲しいと言いたくなる。


京太郎「(…まぁ、大体、その理由も分かるけれどさ)」

そうやって俺に敵意を向けるのは、何もこの人だけじゃない。
この道場にいる殆どの人間が、俺の事を敵視している。
だが、俺は彼らの事を殆ど知らず、碌に会話もした事がない。
皆の前に立って挨拶はした程度で、まだ名前すら知らない人も多い。
にも関わらず、ここまで敵意を向けられているのは、きっと俺そのものに原因がある訳じゃなくて ――

京太郎「(…わっきゅんが連れてきた男ってのが気に入らないんだろうなぁ)」

つまるところ、わっきゅんパパと同じだ。
あの人よりは多少、マイルドではあるが、彼らもわっきゅんに対して過保護なのだろう。
事実、彼らが俺に向ける視線と、わっきゅんに向ける視線では天と地ほどの差がある。
俺に対しては疑念と侮蔑混じりのその目が、彼女に対しては庇護欲で一杯になるのだから。
わっきゅんよりも年上な男性が多い事から察するに、きっと彼らは彼女を妹や娘のように思っているのだろう。


京太郎「(でも、それはわっきゅんが彼らの中で弱いって事を意味しない)」

湧「ふっ!」トンッ

「っ!」

いや、寧ろ、彼女はこの中でも頭一つ抜けている。
俺がそう思うのは目の前で繰り広げられる組手があまりにも一方的なものだからだ。
わっきゅん一人に対して、男が三人。
それも囲むようにして戦っているというのに、彼女は一歩も引いたりしない。
寧ろ、その三人と互角以上の闘い、今、一人の男に膝をつかせていた。

京太郎「(…アレが気を呑む技か)」

詳細は俺も良く知らないけれど…十曽の家に綿々と受け継がれてきた武術は、人を殺す事に特化しているらしい。
極めれば、離れた位置からでも心の臓を止める事が出来るのだそうだ。
流石にそれは眉唾ものだと最初は思ったけれど、でも、今のわっきゅんを見ていると案外そうでもないような気がしてくる。


京太郎「(今、彼女が見せたのは、ただの掌底)」

京太郎「(トンっと僅かに触れるだけのそれに、しかし、組手相手が動けなくなってる)」

京太郎「(顔も真っ青で、過呼吸のような呼吸を繰り返していて…)」

京太郎「(正直、尋常な様子じゃない)」

本来ならば、今すぐにでも対処をした方が良いであろうその状況に、しかし、彼らはまったく動揺しなかった。
明らかに演技ではなく苦しんでいる仲間を驚きもせず、平然と見つめている。
それは彼らの中に仲間意識がないのではなく、それが何時もの事だからなのだろう。
彼らにとって腰も入っていない小さな少女の掌底一つで戦闘不能になるのは、ごくごく当然の事なのだ。

「しぇああああああああっ!!!」

湧「きえあああああああああっ!!!!」

その間に繰り広げられる攻防は、決して止む事がなかった。
通常、組手相手が仲間である時には、硬直状態に陥りやすいはずなのに、彼らにはそれがない。
ある程度、お互いの手の内や実力が分かっているにも関わらず、常に攻め、そして守り続ける。
その一つ一つの速度を見ても、正直、目を疑うレベルだ。
あれほどの速度を出そうと思ったら、どうしても威力を犠牲にするしかない。
そんな速度を平常のものとして出しあい、主導権を奪い合っている。


京太郎「(…当然、それは彼らの武術が一撃必殺のものだからだろう)」

彼らにとって物理的な威力というのはさほど重要なものではない。
ただ、一発当てさえすれば、相手を問題なく無力化出来るのだから。
だからこそ、極限まで『軽く』なった打撃の攻防は正直、とても見応えがあるものだった。
ほんの一瞬でも目を逸らせば、決着がついてしまうギリギリの闘い。
それに俺は今、完全に魅入られていた。

京太郎「(…いや、と言うよりは)」

湧「せああああああああああっ」ドンッ

「ぐ…おおおっ」ユラ

…わっきゅんに魅せられたと言った方が良いかもしれないな。
自身と同じ武術を習っている門下生たち相手に3対1で闘い、そして今、二人目を下した彼女に。
その小さな身体から信じられないほどの強さを誇る彼女から、俺は目を離せない。
ゴムで纏めたその髪が揺れ、疲れと緊張感から汗が流れる姿が、とても綺麗だとそう思ってしまう。


湧「……」グ

ただ、そんな時間も長くは続かない。
わっきゅんは3対1でようやく互角に持っていけるような実力者なのだ。
最後に残った彼がどれだけ強かろうと、その差は圧倒的。
二人目が倒れて一分も経たない間に、彼女は一瞬の隙をついて左の拳を叩き込んだ。
軽いジャブのようなそれに最後の一人も崩れ落ちたのを見ても、わっきゅんの警戒は解けない。
崩れ落ちた三人が立ち上がれぬのを視線でジっと確認しながら、構えを続けて ――

「そこまでだ」

湧「…ふぅ」

そこまでとそう宣言した師範代の言葉に、彼女はようやく警戒を解いた。
戦闘終了からおおよそ三分ほど経過してのそれは正直、長過ぎると思う。
だが、彼らがここで学んでいるのは、護身術の類ではなく暗殺拳の一種なのだ。
残心と言うものを必要以上に求められるのも当然なのかもしれない。


湧「あいがとぐゎした」ペコリ

そう思ってる間に、わっきゅんは丁寧に頭を下げる。
組手をしていた三人に感謝を告げるその所作はとても美しかった。
普段のわっきゅんから感じる可愛らしさというのは、今の彼女からはまったく感じられない。
一人の立派なレディであり…何より尊敬するべき格闘家である事が伝わってくる。

湧「キョンキョンっ」ダッ

京太郎「おぉ、わっきゅん」

湧「どうじゃった?」

京太郎「あぁ。すっごく格好良かったし、何より綺麗だったよ」ナデナデ

湧「えへへぇ…♪」

…しかし、そんなレディも残心が途切れた途端に形無しだ。
見惚れるほどの美しさは霧散し、まるで子犬のように俺のところへと駆け寄ってくる。
そのままキラキラと瞳を輝かせて、前へと座り込む彼女の髪を俺はゆっくりと撫でた。
瞬間、汗で蒸れた感覚が指先に伝わってくるが、それは決して不愉快なものではない。
寧ろ、彼女がそれだけ頑張った証なのだから、余計に褒めてあげたくなる。


京太郎「わっきゅんさえ良ければ、また見たいくらいだよ」

湧「…げんにゃあ?」

京太郎「おう。げんにゃあげんにゃあ」

京太郎「正直、さっきのはそれくらい凄い攻防だったよ」

京太郎「見学させて貰って良かったとそう思ってる」

まぁ、参考って言う意味ではちょっと難しいけれどな。
彼らの攻防は、少々、特殊過ぎるものだったし。
俺の能力で模倣する事は出来るだろうが、あくまでもそれだけ。
俺自身の糧として吸収し、次に活かすと言うのは恐らくかなり難しい。
彼らの攻防はその技あってのものだし…また彼らほどの特殊な剛拳使いと現代日本で闘う事なんてまずないからなぁ。
この攻防を見られて良かったと心から思っているが、ここで得た知識を使う事はないだろう。

京太郎「(…つーか、これだけの剛拳のやり取りをしてるのに…)」

京太郎「(この人たち、柔拳に関してもかなりの腕前なんだよなぁ)」

まぁ、柔拳剛拳に関しては、あくまでもどちらを先に習うかの違い程度であって…。
いずれ到達する境地はまったく変わらないって言う話も聞いた事があるけれど。
しかし、さっきのハイレベルな攻防は決して剛拳だけを用いたものではなかった。
フェイントと防御にそれぞれ柔拳の要素を用いたその攻防は、彼らの拳が柔剛併せ持ったものである事を感じさせる。
多分、これまで真剣に武術を嗜んでこなかった俺ではその凄さを完璧に捉えられちゃいないんだろう。


湧「…そいじゃあ、また来る?」

京太郎「そうだな。今回は俺も練習に参加出来なかったけれど」

京太郎「次は一回、どんなものか体験してみたいし」

「おうおうおう。兄ちゃんよぉ」

「体験なんて軽い気持ちで、ここの敷居跨いで貰っちゃ困るんだよなぁ」

「門外不出の武術を間近で見れただけでも感謝しないとダメだぜ、メェーン」

だからこそ、今度はその攻防がどんなものだったのか味わってみたいとそう思ったんだが…。
やっぱり俺は門下生の人たちにこれっぽっちも歓迎されてないらしい。
まぁ、彼らは十曽の家系からより優られたエリート中のエリートなんだ。
ここまで力を磨き上げてきている事からも、彼らが真剣に拳法に打ち込んできた事が伝わってくる。
そんな彼らからすれば、一回体験してみたい、なんて言うのはあまりにも軽すぎて不純に思えてもおかしくはない。

湧「でも…」

京太郎「いや、良いよ。わっきゅん」

京太郎「確かに俺がちょっと図々しかった」

京太郎「この人達の気持ちを考えれば、当然の反応だよ」

…まぁ、でも、それだけじゃないよなぁ。
確かに彼らの言葉には一理以上のものがあるが、それはきっと建前なんだろう。
なにせ、俺へと近寄ってきたこの三人の門下生は、未だ俺に値踏みするような視線を送ってきているし。
恐らくこの場で俺がどう反応するのかを試金石の一つとしているのだろう。


京太郎「(…でも、それに付き合う必要はないよな)」

ここでお願いしますと頭を下げるほど俺は必死な訳でもない。
彼らの言っていた通り、俺が体験してみたいと言うのは軽い気持ちだしな。
既に俺には山田さんと言う立派な師匠もいるし、ここで無理を押し通すべきところじゃない。
十曽流の体験そのものはわっきゅんがいれば出来る訳だし、彼らが不愉快になると言うのであれば、潔く引き下がるべきだろう。

「…ケッ」

「ヘタレが」

「それでも男かよ、メェーン」

湧「…」ムー

そんな俺に帰って来た言葉にわっきゅんは明らかに不機嫌そうな顔を浮かべた。
彼女からすれば自分が提案した事に思いっきり横槍を入れられた訳だしな。。
俺がまたこの家に来るのが嬉しかったのか、頷いた瞬間には顔をキラキラさせていたし。
それを横から台無しにさせられた事に対して、怒りを覚えていてもおかしくはない。
基本的にわっきゅんは温厚な子だから、一回くらいならこうも不機嫌さを露わにしないだろうが…。
わっきゅんパパの時と合わせて本日二回目となれば、そりゃ面白いはずもないだろう。


「あ、い、いや、違うんだ、湧ちゃん!」

「そ、そう。ここでご指導ご鞭撻よろしくお願いしますって言うくらい気概がないとさ!」

「うちの鍛錬は厳しいから、ハンパな覚悟で入ってきても苦労するだけだと思ったんだよ、メェーンが!」

ガララ

「…何をしているんだ?」

湧「…あ」

そこで道場の中に入ってきたのは、数時間ほど姿が見えなかったわっきゅんパパだった。
…だが、その身体がさっきよりもやつれて見えると言うか…何処と無く精気がない。
さっきはあれほど力に満ち溢れていた身体が、今は心なしかやせ細って見えるくらいに。
特に頬の当たりは目に見えて肌の艶がなくなり、まるで痩せこけているようだ。

「い、いや、その…」

「…まさかそいつを虐めてるんじゃないだろうな?」

「滅相もないです!」

「えぇ。そんな事しませんって!なぁ、おい!!」

「お、おう。ちょっとお話してただけですって、メェーンと!」

そんな状態でも門下生にとってわっきゅんパパは恐ろしいのだろう。
わっきゅんに対して言い訳をしていた時とは違い、その声には怯えの色が浮かんでいた。
わっきゅんパパは、さっき三人相手に大立ち回りしたわっきゅんでさえ足元にも及ばないほど強いらしいし。
指導もかなり厳しいらしいから、門下生たちにとっては逆らえない相手なんだろう。


「…それならば良いがな」

「だが、何をするにせよ、程々にしておけよ」

「そいつはうちのが気に入っているんだ」

「下手に何かすると怪我じゃすまないぞ」

「「「ひぃいい!!!」」」

…で、そんなわっきゅんパパよりも、わっきゅんママの方が恐れられてるのか。
わっきゅんパパの言葉は流石に冗談だと思うんだけれど…こうして怯える彼らに嘘の色は見えない。
寧ろ、その表情は引きつり、背筋も微かに震えている。
元々、わっきゅんパパは入婿で、この中では比較的新参に当たるらしいけれど。
それでも今は師範となってこの道場の実質的な主となっているんだ。
そんなわっきゅんパパよりもわっきゅんママの方が恐ろしいって…一体、あの人は何をしたんだろうか。

「…まぁ、何はともあれ、今日はここまでにしよう」

「そろそろ晩飯時だしな」

「そうですね。では、整列しましょうか」スク

わっきゅんパパの言葉に、俺の隣に座っていた師範代の人が立ち上がった。
そのまま整列を指示する彼に門下生の人達もわっきゅんも従っていく。
それぞれの定位置に進もうとする彼らの中には、わっきゅんに倒された人々の姿もあった。
ずっと床で横になっていたその身体をヨロヨロと動かし、何とか整列しようとするその姿は正直、痛ましい。
門外漢の俺からすれば休んでおけよと言いたくなるが…しかし、これがここでは普通なのだろう。


「良し。じゃあ、今日も死人なく終われた事を感謝しながら解散だ」

「「「「「「「「ありがとうございました!!!!」」」」」」」」」

…流石に死人無く終われた事に感謝っていうのは冗談だと思いたい。
俺の目の前で繰り広げられてたのが暗殺拳の応酬だったとしても…彼らはその道の達人なんだから。
手加減もしっかりと心得ているだろうし、死人などまず出ないはずだ。
……ただ、わっきゅんに軽く一発入れられただけで今も青い顔してる人たちの姿を見るとなぁ。
組手に白熱しすぎてつい…なんて最悪の予想が脳裏を過ぎるのもまた事実だった。

京太郎「(ま、まぁ、それはともかく)」

元々、わっきゅん達の組手が最後の予定だったから、彼らの気持ちも緩んでいたけれど。
こうして改めて師範から終了を告げられると言うのは、やはり格別なのだろう。
整列した状態からそれぞれ動き出した門下生達からは若干の開放感すら感じられた。
明日も休日だという事も相まって、今から町中に飲みに出ようとそう話している人達さえいる。

「…よう」

京太郎「あ、さっきはありがとうございます」ペコリ

そんな彼らを遠巻きに見ていた俺にわっきゅんパパが近づいて来た。
その巨体にも関わらず、ほぼ足音をさせない彼に俺はそっと頭を下げる。
わっきゅんパパにはそんなつもりはなかったかもしれないが、俺はさっき彼に助けて貰ったも同然なんだ。
その御礼もまだだったのだから、頭くらいは下げるべきだろう。

「礼を言われるような事じゃねぇよ」

「あいつらはうちでも有望株だからな」

「それを詰まらない事で死んだりして貰ったりしちゃ困る」

京太郎「あ、あはは」

…しかし、これは一体、どう反応すれば良いのか。
個人的にはわっきゅんパパなりのジョークだと思いたいが…そう断言するにはあまりにも顔が真剣なんだよな。
それだけわっきゅんママが恐ろしいのだと言わんばかりのそれに、俺は愛想笑いくらいしか出す事が出来ない。


「それより…お前、今日の飯はどうするつもりだ?」

京太郎「え…?」

「……もし、特に予定がないなら食っていけ」

「色々あって碌に話も出来てないからな」

「うちのもそのつもりで料理の準備をしているし…ゆっくりしていけ」

京太郎「ありがとうございます」

京太郎「では、お言葉に甘えて…お世話になります」

…なんだろう、この違和感。
いや、違和感なんて言ったら失礼かもしれないけれど…でも、おとなしすぎるぞ。
さっきはあんなに面倒くさかったのに、今は随分とマトモになったと言うか…。
まるで賢者モードを彷彿とするほど、俺に対して優しくなっているような気がする。
…一体、この数時間の間にこの人に何があったんだろうか?
若干、やせ細っているようにも見えるくらいだし…よっぽど恐ろしい目にあったのかな…?

湧「…おとっはん」

「…安心しろ、湧」

「これ以上、何か余計な事をするつもりはない」

「まぁ、まだ色々と思うところがあるのは確かだが」チラ

そう言って、俺に向ける目はとても複雑そうなものだった。
色々とあって優しくなったみたいだが、それでも俺の事を認められないのだろう。
まぁ、何故か俺は娘の男友達じゃなくて、わっきゅんの恋人のように勘違いされているし。
男親としては色々と複雑な感情を抱え込んでいて当然なんだろうと思う。


「それでも俺はお前に嫌われたくないからな」

「お前の気持ちを精一杯、尊重するさ」

湧「…あいがと、おとっはん」ニコ

「礼なんて言わなくても良い」

「寧ろ…その、すまなかったな、湧」

「折角、こうして呼んでくれたのに、色々と意地悪をしてしまって」

湧「…んーん。良かよ」

湧「あちき、おとっはんの事大好きじゃっで…許してあぐっ」ニコ

「湧…っ」ブワ

わっきゅんはとても良い子だし、わっきゅんパパがちゃんと反省すれば許すだろうと俺も思っていたけれど。
それでもこうして父親の事を笑顔で許す彼女を見るといい話だなって言葉が素直に胸の中から浮かんでくる。
…多分、それはわっきゅんパパの涙が、とても純粋で…そして綺麗なものだからって言うのもあるんだろうな。
娘の許しに彼は今、心から感動し、感謝しているんだ。


「…お前は本当に良い子だな」

「だが、何時迄も良い子ではいられないんだ…」

「…お前も俺の元から飛び立つ時期が来たと…そういう事なんだろう」

湧「おとっはん…」

「…あぁ。目を閉じれば…つい昨日のように思い出せる」

「湧が初めて生まれた日、湧が初めて俺の事をおとっはんと呼んでくれた日、湧が初めて俺の絵を書いてくれた日…」グス

「湧がバレンタインに作ってくれたチョコレートの味も…」

「本当にお前は優しく…良い子に育って…」

「…そんな湧が…湧が…こんな奴に…」グッ

…あ、あれー?
なんか途中までいい話だったのに、急に雲行きが怪しくなってきたぞぅ。
…まぁまだ俺に複雑な感情があるんだから、素直にお願いしますなんてならないのは分かってたけど!
なんか一人で結婚式みたいな盛り上がりを見せた後、少しずつその声に怒りを混じらせるのは理不尽だと思うんだ!!
いや、その理不尽さがわっきゅんパパらしく感じてしまう俺もいるんだけれどさ!!!


「ゆ、許さん!絶対に許さんぞクソ虫めが!!」

「ジワジワと嬲り殺しに…!!」

湧「…おとっはん、おっかはん呼っよ?」

「…今のは聞かなかった事にしろ」キリッ

京太郎「あ、ハイ」

…うん、まぁ、ちょっと調子が良すぎるんじゃないかとは思わなくもないけれど…。
でも、実際に怪我させられたならともかく、この程度で根に持つのも格好悪い話だ。
何より…さっき何があったのかは知らないが、この人は大分、焦燥してる感じだからな。
さっきと同じ事をわっきゅんママからされたら、自分一人では立ち上がれなくなるかもしれない。
色々と思うところはあるが、別に心の底から嫌いって訳じゃないし、ここは本人の希望通り、聞かなかった事にしよう。

「…まぁ。とりあえず居間の方に来い」

「ここにいても退屈だし寛げんだろう」

「湧も鍛錬明けは風呂に入りたいだろうし、その間、こっちに付き合え」

京太郎「えぇ。分かりました」

正直、わっきゅんパパと話をするってのは若干、不安だけれど。
でも、居間だったら料理しているらしいわっきゅんママとの距離も近いだろうし。
さっきみたいに暴走しようとしても、わっきゅんママが止めてくれるはずだ。
この人の言う通り、道場じゃゆっくりと話をする事も出来ないし…ここは大人しくついていくとして。


湧「ぅー…」

そこでわっきゅんが不安そうな声をあげるのは、多分、俺のことが心配だからなんだろう。
実際、わっきゅんは俺がわっきゅんパパに無理難題を押し付けられているところを見てる訳だからなぁ。
それを許したとは言え、やはり俺にその時のイメージは中々、払拭出来ないんだろう。
そうやって声を漏らす姿からは、二人っきりにして良いのかとそんな風に思っているのが伝わってくる。

京太郎「そんなに心配しなくても大丈夫だって」

京太郎「いざって時の対処法は俺も良く分かったしさ」

京太郎「わっきゅんがいなくても大丈夫だよ」

でも、この人だって決して悪い人じゃないんだ。
俺にこの道着を貸してくれたように、優しいところはちゃんとある。
下手に刺激しなければ、さっきみたいに暴走する事はまずないだろう。
…まぁ、問題は変に曲解したり、自分で思いつめる所為で、刺激するポイントが未だ分からないって事なんだけど。
もうこればっかりはどうしようもないと諦めた方が精神衛生上にも良いと思う。


湧「…でも」

京太郎「…じゃあ、約束して貰ったらどうだ?」

湧「…約束?」

京太郎「あぁ。わっきゅんはお父さんからかなり大事にされているんだ」

京太郎「ちゃんと約束すれば護ってくれるだろう?」

「……」ゴゴゴゴ

…うん、なんか『お父さん』って言った瞬間にまたプレッシャーが強くなったけど。
それでも声をあげないのは恐らく必死に我慢しようとしてくれているからなんだろう。
最初に会った時に比べれば、格段の進歩…ではあるものの、俺は何度、そういう意味じゃないと説明すれば良いのだろうか。
……まぁ、多分、何度、説明しても無駄だろうし、とりあえずそれは脇においておくとして。

湧「…おとっはん」

「お、おう。どうした?」

湧「…キョンキョンにぎろ悪せんって約束でくっ?」

「子どもじゃないんだ。約束出来るに決まってるだろ」

湧「…うん。じゃあ、あちきも信じっ」ニコ

他の門下生の人たちも、話している間に皆、更衣室の方へと向かったらしい。
もうこの道場には俺達しかおらず、また遠くから出汁の効いた良い匂いが漂って来ているんだ。
特に運動していない俺でさえ食欲を唆るその匂いに、わっきゅんが我慢出来るはずもない。
彼と約束を交わしたわっきゅんもこうして笑顔を見せてくれた訳だし。
彼女が早めに夕食にありつけるよう、ここはわっきゅんを送り出してあげよう。


京太郎「じゃ、わっきゅん。また後でな」

湧「うん。すぐみごつにして戻ってくるから…!」

京太郎「まぁ、わっきゅんは何時でも綺麗だけど」

京太郎「あんまり焦らないで良いからな」

京太郎「疲れてるだろうし、ゆっくりしててくれ」

湧「う、うん…っ」デレー

…とは言ったけれど、あの感じじゃ多分、早めに戻ってくるな。
まぁ、汗さえ流せばとりあえずサッパリするし、問題はないっちゃないんだろうけれど。
でも、その原因が多分、俺だと思うとちょっと申し訳なくなる。
わっきゅんは活発な子ではあるけれど、だからって女の子を辞めてる訳じゃないんだ。
アレで結構、お風呂も好きだし、出来れば、ゆっくりさせてあげたいんだけどなぁ。

「…お前…!」ゴゴゴ

京太郎「え、何でしょう?」

「確かにあの子は世界で一番可愛らしいが…」

「父親であるこの俺の前で、良くもあんな口説き文句を…!!!」ギリギリ

京太郎「いや、これくらい普通ですって」

「年頃の女に何時でも綺麗だなどと言うのが普通なものか!!」クワッ

人間関係を構築する上で大事なのは、物怖じしない事だと思うけれど。
それを維持し発展させていく為に必要なのは、些細な変化に気づく事と、お礼と謝罪を忘れない事。
とりあえず、それさえ出来ていれば、よっぽどの事がない限り、険悪になる事はない。
これまでの人生の中でそう学んできた俺にとって、わっきゅんはもう家族と言って良いほど気のおけない仲な訳で。
ぶっちゃけ、アレくらいは割りと他の子にも日常的に言っているし、口説き文句には程遠いと思う。


京太郎「あれくらいは挨拶レベルだと思いますよ」

「つまり他の女もあんな風に口説いていると言う事か…!!」

「おのれ…!湧がいるというのになんとふしだらな…!!」ワナワナ

京太郎「ですから、口説き文句じゃないですし」

京太郎「何より、俺とわっきゅんはそういう関係じゃないですってば」

京太郎「…ただ、こっちの配慮が足らなかった所為で不愉快にさせたのは事実でしょうし」

京太郎「申し訳ありませんでした」ペコリ

「む…」

…ただ、俺の発言がこの人を刺激するものであった事は確かだ。
さっきは俺も対抗心を燃やして、『いつも通り』を意識していたけれど。
この人はもう反省して、わっきゅんとも約束してくれたんだ。
それをこっちが挑発するような事を言ってしまうのはあまりにも格好悪い。
そのようなつもりがなかったとは言え、ここはしっかり謝罪しておいた方が良いだろう。

「…まぁ、分かれば良いんだ。分かれば」

「以後、気をつけろよ」

京太郎「はい」

まぁ、今の俺にとって最も優先度が高いのはわっきゅんだからな。
必要以上に挑発するのもどうかと思うが、彼女とのスキンシップを止めるつもりはない。
見た目通り、甘えん坊なわっきゅんを寂しがらせない為にも、スキンシップは必要不可欠。
しかし、それを口にしても、一端は収まったこの人の怒りにまた火を点けるだけだ。
今、俺たちの側にはわっきゅんの姿もないんだから、素直に頷いておこう。


「…では、行くぞ」

「ついて来い」

京太郎「はい」

そう言って歩き出したわっきゅんパパは決して早いものではなかった。
流石にこっちと肩を並べてくれるなどというフレンドリーさはないが、その背中が遠ざかる事もない。
それはきっと彼が俺の体調を気遣ってくれているからなのだろう。
俺とわっきゅんパパでは身長が違いすぎる上に、俺はまだ筋肉の強張りを残している状態なのだ。
まったくこっちに気遣いなく歩かれてしまったら、きっとあっという間に引き離されていただろう。

京太郎「(…ただ、無言の時間と言うのが続いて)」

彼がこうして先導するように前を歩いている以上、世間話をするのに向かない状況だと言うのもあるだろう。
だが、それでもこうして無言の時間が続くのは…多分、わっきゅんパパがさっきの事をバツが悪いとそう思っているからだ。
娘にあぁやって約束したのに、また暴走してしまった事を、彼はきっと後悔している。
少なくとも、俺の1.5倍はありようなその背中はさっきよりも少し小さくなっていた。


京太郎「…そう言えば」

「なんだ?」

京太郎「わっきゅんのお母さんってどうしてあんなに恐れられてるんです?」

で、俺はそんなこの人をあんまり見たくない。
別にこの人の事が好きじゃないし、未だ若干の苦手意識もあるけれど。
でも、この人はわっきゅんのお父さんであり、何より、男として憧れを覚えるほどの強さを持っているんだ。
その全身から迸るような強さを伝える彼に、叱られた子犬のような背中は似合わない。
そう思った俺はこの暗い雰囲気を吹き飛ばそうとわっきゅんパパに疑問を投げかけた。

「…まぁ、この道場にいる殆どの人間にとって、アイツは頭が上がらないからな」

京太郎「それだけ強いんですか?」

「恐らく十曽の技を誰よりも使いこなしているのはアイツだ」

「現役を退いたとは言え、門下生レベルでは相手にもならん」

「俺が殺すつもりでやって、アイツ相手に若干、有利に持っていけるかってところだろうな」

現役退いてそれって…もう殆ど化物みたいなもんじゃないかなぁ。
わっきゅんパパが戦ってるところは見た事がないけれど…。
それでもわっきゅんでさえ相手にならないのは彼女本人から聞いているし。
そんな彼が殺すつもりで戦って、若干、有利レベルだなんて…。
一体、わっきゅんママの全盛期はどれほど強かったんだろうか。


「だが、アイツが恐れられてるのはその強さだけが原因じゃない」

「ここに来るのは基本的に周りから神童だ天才だなどと持て囃されてる連中なんだ」

「周りに自分と同レベルの闘いが出来る奴など殆どいない状況で、天狗になるなと言う方が難しいだろう」

「…で、先代師範だったアイツはそんな天狗の鼻を片っ端から折っていった」

「そのプライドがバキバキになり、大の男が涙するほど叩き伏せた訳だ」

京太郎「マジですか…」

あの見るからにほんわかのんびりな人がそんな事をしてたのか…。
いや、まぁ、わっきゅんパパと鉢合わせした時の彼女はとても恐ろしかったし…。
絶対にそんな事をしないと言えるほど、俺はわっきゅんママの事を知っている訳じゃないけれど…。
でも、だからこそ、彼女のマイペースな部分しか知らない俺には、無慈悲にプライドを折るわっきゅんママの姿と言うのがあまり想像出来ない。

「まぁ、最初から謙虚に技を習おうとしている奴にとっては優しかったし」

「天狗になった連中に身の程を教えるのも師範としての大事な仕事だ」

「それをあいつらも理解しているから恨まれたりって言うのはないが…」

「しかし、その時のトラウマからして、アイツに逆らえる奴はそういない」

「十曽の技を習って幾らか差が縮まった今も、門下生たちにとってはどうしても逆らい難い相手だって言うのが…まず一つ」

京太郎「もう一つあるんですか?」

「…アイツは案外、魔性の女なんだよ」フゥ

魔性の女…?
…いや、正直、それこそ想像出来ないんだけれど。
言っちゃ何だが、わっきゅんママの体型はわっきゅんとほぼ変わらない訳で。
色気と言うよりも愛らしさを感じる彼女には魔性の呼び名は似合わないと思う。


「さっきも言ったが、ここに来る連中は天才と呼ばれていた連中だ」

「ライバルと呼べる奴くらいはいたかもしれないが…」

「自分を息一つ乱さず叩き伏せる女など、周りにいるはずがない」

「それだけでも否応なく意識するのに、稽古中以外のアイツはとても優しいんだ」

「無理をすればすぐにストップを掛けるし、折を見て差し入れやマッサージなどもしてくれて」

「少し稽古が長引いた時には、アイツの料理を振る舞われる事もある」

「…その結果、拳一筋で生きてきた連中が初恋なんて甘酸っぱいものを覚えてしまうのは責められんだろう」

京太郎「あー…」

なるほど、確かにそれは責められないよなぁ。
俺も運動部だったから分かるが、可愛い女子マネってだけで部員たちの憧れなんだ。
その上、自分よりも強くて指導までしてくれるとなったら、そりゃ意識するし、好きにもなってしまうだろう。
しかも、それを計算してやっている訳じゃないだろうから…魔性の呼び名も致し方なしってところか。

「まぁ、アレは誰に告白されても首を縦に振る事はなかったらしいがな」

「アレは身持ちの固い女だし、好きでないのに付き合ったりはしたくなかったらしい」

…その言葉から自慢気な響きを感じるのは、そんなわっきゅんママの心を射止めたのが自分だと言う自負があるからなんだろう。
実際、俺はこれまで二回しかわっきゅんママと遭遇していないけれど…。
それでもわっきゅんパパへ向ける深い愛情がその言葉の端々から伝わってきたくらいだし。
そんな彼女と長く一緒にいるわっきゅんパパには愛されている実感と言うのがあるのだろう。


「ともあれ、お前も分かるように男にとって初恋の相手と言うのは特別なんだ」

「その上、初期の頃に植え付けられたトラウマも癒えていないとなれば、怯えるのも当然だろう」

京太郎「なるほど…」

しかし、だからこそ、解せないところもあるんだよなぁ。
今、こうして聞いていたのはあくまでも門下生達の話なんだ。
話振りからして、大分、他人事って感じだったし、この人がわっきゅんママを恐れる理由と言うのはまた別なんだろう。
一体、奥さんの事をアレ呼ばわりするほど亭主関白なこの人が、頭が上がらない理由は何なのか。
正直、そんな風に好奇心が疼くけれど…。

「ついたぞ」ススス

わっきゅんパパが障子を開けた瞬間、真っ先に俺の目に飛び込んできたのはちゃぶ台だ。
洋風化が進んだ現代社会では見かけなくなったその家具の向こうには、和箪笥が二つ並んでいる。
床に敷き詰められた上等な畳に良く似合うそれらに、俺は昭和どころか大正時代の匂いを感じた。
でも、今の俺にとって、その光景は決して見慣れないものじゃない。
寧ろ、その居間は俺へと親しみを覚えさせるものだった。


京太郎「(お屋敷も大体、こんな感じだしなぁ)」

勿論、細かい違いは山程あるが、日頃、俺が生活しているのと同じ雰囲気を感じる。
まぁ、雰囲気が同じと言っても、人様の家である事に変わりはないから…。
あまりリラックスしたところを見せる訳にはいかないけれど。
でも、今の俺にとって下手なリビングよりもずっとずっと居心地の良い空間である事は確かだ。

「…とりあえず座れ。今、飲み物でも出させるから」スッ

京太郎「ありがとうございます」

「おーい」

わっきゅんパパの促しにお礼を言いながら、俺はそっと座布団の上に腰を下ろした。
瞬間、大きく声をあげたわっきゅんパパに誰も応える人はいない。
しかし、だからと言って、その声が誰にも届いていない訳ではないのだろう。
彼が声をあげてから数秒後してからパタパタと言う音が廊下から聞こえてきた。


「はいはい。何ですかー?」

「あら、京太郎君。久しぶりー」パタパタ

京太郎「えぇ。数時間振りです」

「…挨拶は良いから、コイツに何か飲み物でも出してやってくれ」

その足音は、やっぱりわっきゅんママだった。
障子から顔を出した彼女はニコニコとした笑みのまま、俺に小さく手を振る。
パタパタと手首だけで指を揺らすその仕草は可愛らしく、到底、大の男のプライドを叩き折るような人とは思えない。
こうして改めて彼女と会っても、やはり人を泣かせるよりは笑顔にさせる方が似合うとそう思う。

京太郎「(…ただ、やけにツヤツヤしてるんだよなぁ)」

まるでわっきゅんパパの艶が、彼女に移ったかのようにツヤッツヤになっている。
その上、初めて会った時よりも上機嫌なのが、その仕草から伝わってきていた。
一体、どんなオシオキをしたのかは知らないが、それによって彼女は機嫌が良くなっているのだろう。
…外見は可愛らしいの一言に尽きる人だけれど、案外、サドって奴なのかもしれない。


「カルピスでも良いかしらー?」

京太郎「お願いします」

「はーい。それじゃあちょっと待っててねー?」トテトテ

そう言って去っていくわっきゅんママの仕草は育ちの良さを感じさせるものだった。
言葉そのものは大分、フレンドリーだが、その一挙一動にまで気持ちが行き届いているのが分かる。
旅館の仲居さんを彷彿とさせるそれは、やはり良家のお嬢様だからなのだろう。
アレでわっきゅんもそう言ったところはかなりキッチリしてるし、多分、そういうお家柄なんだろうな。

「…さて、アレが来るまでの間、お前の話を聞かせてもらおうか」

京太郎「俺の話…ですか?」

「あぁ。さっき俺がお前の質問に答えた」

「なら、次はお前の番だろう」

京太郎「まぁ…そうですね」

ターン制RPGって訳じゃないが、それが一番、フェアな形だろうな。
俺もまだまだ聞きたい事があるだろうけれど、それはわっきゅんパパも同じだろうし。
俺とわっきゅんが付き合ってるって誤解は未だ解けていないんだから、かなり突っ込んだ事を聞かれるはずだ。
何を聞かれても良いようにある程度、覚悟を固めておいた方が良いだろう。


京太郎「でも、何を聞きたいんです?」

「そうだな…。では、お前の生まれから今までを聞かせてもらおうか」

京太郎「一応、それはご存知なのでは…?」

「滝見が纏めた資料は俺も目を通している」

「が、あんなもので人を図れると俺は思ってはいない」

「一番はコイツで語る事なんだが」グ

「…今のお前と勝負なんぞしたら、逆に俺が殺されかねない」

京太郎「あ、あはは」

…ホント、気持ち良いくらいの戦闘民族思考だな。
まさか拳で語るのが一番だなんて、リアルで聞く事になろうとは。
でも、まるで世紀末の世界から抜け出してきたようなこの人なら…その言葉も良く似合う。
ただ、今の俺は怪我人な上に、既に一度やらかしてイエローカード出されてる訳だしな。
いくら戦闘民族思考でも、一番だと分かっているその手法を取る事が出来ないんだろう。

「だから、次善の策って事で…お前の口から直接聞かせろ」

「それでお前の人となりと言うものが大分、見えてくる」

京太郎「分かりました」

…しかし、これは結構、難題だな。
俺は彼の半分も生きてきちゃいないが、それでもこれまで色々とあったんだ。
大雑把に輪郭だけをなぞるのは簡単だし早いが、それでは俺の事をあまり伝えられない。
それぞれ節目にあった出来事くらいは掘り下げていったほうが良いと思うが…一体、どれほど掘り下げれば良いのか。
…今まで自己紹介なんかは幾度となくしてきたが、これまでの人生を語るなんて殆どなかったし。
真剣に考えると…これで案外、難しい気がする。


京太郎「(…でも、嘘だけは吐きたくないよな)」

…いや、より正確に言えば、嘘が吐けない…かな。
今の俺の目の前にはわっきゅんパパがいて、俺に真剣な眼差しを送ってるんだ。
まるで一切の虚偽を許さないって言わんばかりのその目に、俺程度の誤魔化しは通用しない。
自分を少しでも良く見せようと嘘を吐いた瞬間、その目が不信と失望に変わるところがアリアリと想像出来る。
…それにまぁ、相手はわっきゅんのパパで、こうして真剣に俺の事を判断しようとしてくれているんだ。
一方的に決めつけられていた時からは想像も出来なかったこの状況で、俺は嘘を吐きたくない。

京太郎「…で、俺は今のお屋敷に連れて来られた感じです」

京太郎「ただ、ぶっちゃけ、最初は戸惑いと躊躇いの連続でしたね」

京太郎「部活こそ女所帯でしたが、生活環境丸々女性ばっかり…なんて初めてでしたし」

京太郎「致し方ないとは言え、女装する事まで求められた訳ですから」

京太郎「今ではもう慣れましたけれど、最初は男の尊厳を切り売りしてるようにも思えました」

「あぁ、うん。それは素直に同情する」

「……が、ちょっと待て」

京太郎「え?」

そう思って話し始めた頃には、わっきゅんママがカルピスとお菓子を幾つか運んできてくれた。
それを潤滑油と腹の足しにしながらの話は、やっぱりそこそこ長くなってしまう。
それなりにかいつまんで話してきたつもりだが、もう十分くらいは軽く経過しているはず。
そんな事を思いながら語り続ける俺に、わっきゅんパパが突然、ストップを掛ける。
その顔に心からの同情を浮かべながらのそれに、俺は思わず疑問の声を返してしまった。


「そろそろ湧がこっちに来るぞ」

京太郎「大丈夫ですよ。別に聞かれて困る話じゃありませんし」

「…そうか。ならば、聞かせろ」

ぶっちゃけ、俺にはわっきゅんが帰って来る足音も気配も感じないけれど…。
でも、俺よりもずっと敏感だろうこの人が、わざわざこうして話を中断させたんだ。
俺には分からなくても、わっきゅんパパには感じ取れる何かがあったんだろう。
それに従って、ストップを掛けてくれるのは嬉しいけれど、でも、俺の話に後ろ暗いところがある訳じゃない。
わっきゅんにだって聞かれても問題ないんだから、このまま話をするとして ――

湧「ただいまっ!」シュターン

京太郎「っと」

瞬間、小気味良い音と共に、居間の障子を開いた。
木製の枠をそれぞれ端にぶつけるようなその音に、俺はわっきゅんパパから視線を外す。
瞬間、俺の視界に入ってきたのは、その髪に水気を残したわっきゅんの姿だった。
何時ものようにゴムで髪を纏めてもいないし、恐らく、身支度もそこそこにして、急いで戻ってきたんだろう。


京太郎「(んで、気配を殺していたのは…多分、わっきゅんパパ対策なんだろうな)」

今のわっきゅんパパは最初からは考えられないほどフレンドリーだ。
変に裏を読まれたりしないし、こっちの話を真剣に聞いてくれている。
だが、それは当事者である俺だからこそ、分かっている事なんだ。
この場にいなかったわっきゅんとしては色々と不安になるのも当然の事。
だからこそ、偽りのない俺達の状況を知る為に気配を消して近づいたんだと思うが…。

京太郎「(…それをこの人はあっさり見破った訳か)」

俺はわっきゅんの気配をまったく感じ取れなかった。
わっきゅんパパに言われても尚、わっきゅんの存在がまったく分からなかったのである。
きっと彼女はまだ感知領域外にいるのだろうと俺はそう思うほど見事な隠形を、この人はあっさり見破ってみせた。
いや、ただ見破るだけじゃなく、俺に警告を出す余裕まであったのだから…やっぱりこの人は凄いと思う。


湧「キョンキョン、だいじょっ!?」

京太郎「大丈夫だって。もう仲良しになったからさ」

「…お前と仲良しになったつもりはないぞ」

京太郎「でも、こうしてちゃんと俺の話を聞いて、こっちを判断しようとしてくれてるじゃないですか」

京太郎「最初に比べれば、大分、仲良くなれたと思ってますよ」

「マイナスからのスタートだっただけだろうに」

京太郎「つまり関係が改善しつつある事に関しては異論はないんですね」

「む…」

まぁ、本来はこんな風にやり込めるようなやり方は好ましくない。
相手からすれば、俺は半分も生きていないガキな訳だからな。
そんな奴にやり込められたともなれば、あまり面白い気持ちにはならないだろう。
そう分かっていながらも、こんなやり方をするのはわっきゅんを安心させる為。
不安になるような事は何もなかったのだとそう彼女に伝える為に、ここは生意気なガキになっておこう。

湧「…げんにゃあ?」

京太郎「おう。本当だよ」

京太郎「わっきゅんのお父さんが大分、優しくしてくれてるお陰でちゃんと仲良くなれてるから」

京太郎「わっきゅんが心配するような事は何もなかったよ」

「……ふん」

そこでわっきゅんパパが面白くなさそうな声をあげるのは、多分、見破られちゃってるんだろうな。
さっき失礼なやり方をした分、関係改善の功績をわっきゅんパパに譲ろうとした事を。
こうして俺に向ける彼の目は「余計な気を遣うな」と言わんばかりのモノになっちゃったし。
…どうやら俺のフォローは成功したとは言えないらしい。


京太郎「それより、わっきゅん」

湧「どげんかした?」キョトン

京太郎「髪まだ濡れてるじゃないか」

京太郎「そんな状態でいたら風邪引くぞ」

湧「えへへ。ちっと急ぎすぎちゃって」

京太郎「それだけ心配してくれたのは嬉しいけどさ」

京太郎「でも、わっきゅんの身体と健康が一番なんだって事、忘れないでくれよ」

湧「…あちきにとっていっばんはキョンキョンだもん」

それはちょっと申し訳ないけれど…でも、謝罪しているような状況じゃないしなぁ。
とりあえず今はわっきゅんの事を優先しよう。
そう思って注意した俺にわっきゅんは素直に頷いてはくれなかった。
俺の言葉に頬を膨らませるようにして反論し、面白くなさそうにしている。


京太郎「…じゃあ、一番である俺の気持ちを優先してくれるよな?」

湧「……時と場合による」

京太郎「じゃあ、今回は?」

湧「…キョンキョンが髪拭いてくるっなら」

京太郎「…まったく、しょうがないな」

京太郎「おいで、わっきゅん」

湧「えへへーっ♪」ストン

「ぬぐぐぐぐぐぐぐぐ」

まぁ、正直なところ、躊躇う気持ちがまったくない訳じゃない。
わっきゅんパパの前でこんな事するなんて完全に挑発以外の何物でもない訳だからなー。
実際、わっきゅんが俺の胡座の上に座った途端、目の前にいる彼からは悔しそうな声が漏れているし。
今にも歯ぎしりしそうなその視線には敵意がひしひしと感じられる。

京太郎「(ただ、ここまで心配してくれた彼女に対するお礼もあって然るべきだし)」

京太郎「(何より、最優先はわっきゅんだってそう決めた訳だからな)」フキフキ

湧「ん~っ♪」

わっきゅんパパには申し訳ないけれど、ここはちょっと我慢しておいてもらおう。
そう思いながら俺はわっきゅんの肩に掛かったバスタオルに手を伸ばした。
そのままそれを彼女の髪の方へと持ち上げて、優しく丁寧に拭き始める。
その髪が傷まないそうに気を遣ったそれに甘えん坊のわっきゅんは心地よさそうな声を漏らした。


湧「そいでどげな話をしちょったの?」」

京太郎「あぁ、俺の事だよ」

京太郎「今までどんな風に生きてきたか知りたいってそう言われたから」

京太郎「丁度、今、一年前まで進んだところ」

湧「そなんだー」ポワァ

「……」ゴゴゴ

わっきゅんの背中を胸で受け止める俺には見えないけれど…。
でも、多分、今のわっきゅんは大分、上機嫌な顔をしているんだろうな。
その声は寝起きかと思うほど、力のないものになっているし。
何より…わっきゅんの顔を見ているであろうわっきゅんパパの不機嫌オーラがさらに強くなっているんだ。
今にも噴火しそうな怒りを何とか堪えているであろうその姿に、俺は地雷原でタップダンスしているような錯覚さえ覚える。

京太郎「…じゃあ、片手間になって申し訳ないですけど」

京太郎「そろそろ話を再開しましょうか」

「…おう」

しかし、それでもわっきゅんをどかせる訳にはいかない。
女の子にとって大事な髪を、彼女は俺に任せてくれているんだから。
どれほどわっきゅんパパが恐ろしくても、その期待と甘えにNOは返せない。
だからこそ、俺は背筋に鳥肌を浮かばせながらも、中断していた話を再開して。


京太郎「…まぁ、今まで起こった事をざっと纏めると…こんなところですかね」

「…なんというか波乱万丈だな」

京太郎「自覚はあります」

…なにせ、屋敷に来るまでの十数年と、屋敷に来てからの一年。
話にしてどっちの方が長かったかと言えば、正直、後者の方だったしなぁ。
相手が神代側の人間で、話も弾みやすいってのもあるが…。
それを加味しても、この一年間はちょっとイベントが起きすぎだと思う。
当時はその一つ一つを乗り越えるので精一杯だったからあまり自覚はなかったが…。
こうして言葉にすると、ホントこの一年って色々あったんだなぁってのが分かる。

京太郎「とりあえずそんなところですが…何か質問とかありますか?」

「…一つある」

京太郎「何でしょう?」

「お前は何時まで俺の娘を胡座の上に載せてるんだ…!!!」ゴゴゴ

湧「ふにゃ?」クビカシゲ

…うん、まぁ、そりゃ男親としては気になるよな。
俺が話を纏めるまでの間、結構な時間があったはずだけれど。
でも、その間、わっきゅんはずっと俺の胡座の上に座り続けている訳だし。
話の邪魔をしないよう基本的に大人しくしていたが、父親としては複雑な状況なのだろう。
それでもこうして黙っていたのは、決してそれを許してくれたからではなく、娘の怒りが怖かっただけなんだろうな。


湧「…ダメ?」

「だ…ダメだ」

「年頃の男女がそのようにふしだらな真似をするものじゃない…!」

「大体、お前の方が拒まなければいけないのに何をしている…!!」

それはわっきゅんの言葉に一瞬、躊躇った辺りからも伺える。
何だかんだ言って、この人は娘に甘い親馬鹿なんだ。
こうして強い言葉で責めるのもあくまでも俺の方だし。
わっきゅんに向ける言葉と俺に向ける言葉はその勢いも語気の荒さもまったく違う。

湧「でも、これくらいいっもやっちょっよ?」

「なん…だと…?」

わっきゅんの言葉は事実だ。
彼女は決してずぼらな方ではないが、とても甘えたがりなのだから。
わざと髪を適当に拭いて、残りを俺に任せるなんて何時もの事。
…まぁ、流石にこうして胡座の上でって言うのはあんまりないけどさ。
ただ、それも今までまったくない訳じゃなく、数える程度にはあったし。


「ゆ、ゆゆゆゆゆゆ許るさーーーーん!!」

「まだ二人は婚約も何もしていないのだから、もっと節度を持った付き合いをするべきだ!!」

湧「…じゃあ、キョンキョンと婚約させっくるっ?」

「こんな軟弱者に湧を渡してやるはずないだろう!!!」クワッ

まぁ、そうなるよなー。
何だかんだで態度が軟化してきたとは言え、それはあくまでも初期に比べての話。
わっきゅんの婚約相手として認めるには、きっとまだまだ足りないんだろう。
…まぁ、個人的はそっちの方が有り難いというかなんというか。
わっきゅんの事は嫌いじゃないんだが、俺は既に初美さんっていう婚約者がいる訳で。
その上、わっきゅんまで婚約…なんて、ゲスの極みにも程があるだろう。

湧「…じゃあ、やだ」プイ

「ゆ、湧!お父さんの言う事が聞けないのか…!?」

湧「おとっはんだって、あちきのゆー事聞いてくれんかったよ」

「うぐ」

仮にも子どもを思っての親の言葉と、子どもの心からの言葉。
それを同じ天秤に掛けるのは中々に難しいだろうけれども…。
ただ、何だかんだでわっきゅんが今日の事を根に持ってるのは確かなんだろうなぁ。
普段の彼女は基本的に素直な子で、あまりワガママを言ったりしない。
自己主張はするが、ちゃんと理詰めでダメだと言えば、分かってくれる子だ。


湧「…そいにこん程度、ちっと仲の良かけねなら普通だよ」

湧「あちき、明星ちゃとか初美さあにも良くやって貰ろてるし」

「そ、それは同性だからだろう!」

湧「あちきにとっては変わらんもん」

湧「皆、けねで…皆、大好き」

湧「キョンキョンだけ仲間外れにすごちゃねし」

湧「…そいに、あちきはキョンキョンとこうして触れ合てる時間がわっぜかでしなの」

湧「そよ取り上げようとするなら…どしこおとっはんでも許さないよ」

「う…うぅぅぅぅ…」

なのに、今のわっきゅんはこの人を相手に一歩も引かない。
あくまでも常識的な範囲で注意されているにも関わらず、その態度を頑なにしていく。
その言葉を翻す事は絶対にないのだとそう言わんばかりの娘に、わっきゅんパパの口から呻き声が漏れた。
自分がここで何を言っても、わっきゅんの気持ちが変わらないのが、彼にもきっと分かっているんだろう。

「あんなに良い子だった湧が、俺の言葉にこうも反抗するだなんて…!」

「お、お前の所為だぞ、須賀京太郎!!」

京太郎「…まぁ、正直、俺も若干の責任は感じていますけれど」

自然、その行き場のない感情は俺にぶつけられる。
それを理不尽だと言うつもりはない。
こうしてわっきゅんが態度を頑なにするようになったのは、俺にも一因があるのだから。
少なくとも、俺の胡座の上に座り続ける彼女を拒む事をしなかった時点で、言い逃れは出来ないだろう


京太郎「ですが、わっきゅんは決して自分の意志を持たない子ではありません」

京太郎「こうして態度を頑なにするのも理由がある故」

京太郎「悪い子になった反抗期になったなんて簡単な言葉で片付けるべきではないと思います」

「うちの可愛い娘を膝の上に置きながら言う言葉か!!」

京太郎「今の俺にとっての最優先は、わっきゅんの事なので」

京太郎「これで彼女に何か不利益が発生するならば話は別ですが…」

京太郎「不利益が発生しない状況で、俺から彼女を拒むつもりはありませんよ」

湧「キョンキョン…」キュン

だからと言って、サンドバックになるつもりはないけどな。
勿論、わっきゅんパパの気持ちも分かるが、やられっぱなしっていうのは趣味じゃないんだ。
俺に責任があるのは認めるし、悪いとも思っているが、わっきゅんと彼ではあまりにも好感度に差があり過ぎる。
普段から家族として一緒に暮らしている少女と、恐らくもう殆ど会う事もない彼では、前者を優先するのが普通だろう。


京太郎「それに偽りの姿で、わっきゅんとの関係を認めて貰うのは不誠実だと思いますし」

京太郎「極力、自然体の姿で、貴方の前にいたいとそう考えています」

「そんな綺麗事を口にしおって…!!」

「そもそも、その姿を認められんと言っているのだ!!!」

京太郎「では、感情論以外でそちらの言い分を認められる理由を下さい」

京太郎「こちらにも感情がある以上、そちらの言い分を丸々呑む事は出来ません」

京太郎「ぐうの音も出ないような正論か、或いはそちらの譲歩がなければ」

京太郎「この場限りの嘘で、貴方を誤魔化す事くらいしか俺には出来ません」

「ぐぬぬぬぬ…!!」

…正直、自分でも可愛げのないガキだと思う。
友人の親相手にこんな交渉めいた真似を仕掛けているんだから。
しかし、だからと言って、俺はこの場で引くつもりはない。
これは決して譲ってはいけないほど大事なものではないが、しかし、彼の言い分を丸呑みにして良い訳でもないのだ。
ここで譲れば、手を繋いだり、頭を撫でたりと言った比較的、軽いスキンシップにまで言及される事が目に見えている。
その時に彼を説得するのがどれほど大変かを思えば、ここは強気に打って出た方が良い。


「せ、世間体など色々とあるだろう!」

京太郎「お互いに誰彼構わず、また何処でもこんな事をしている訳ではありませんよ」

京太郎「須賀京太郎として、こんな姿を見せるのは信頼出来る人だけ」

京太郎「そして、その人達は俺とわっきゅんの関係がどういうものなのか知っています」

京太郎「兄妹同然に暮らしている俺達がこの程度のスキンシップを取っても…」

京太郎「何時もの事だとそう済ませてくれます」

それに交渉の主導権は今、俺が握っている。
あちらの提示した条件をこちらが評価する形になっているのだから。
最悪、この場限りの嘘もあり得ると付け加えた俺の方が圧倒的に有利。
霞さんから交渉術の初歩を教わったお陰で、勝機は十二分にある。

「だ、だが、そいつらに悪意があったらどうするんだ…!?」

「二人がこんなふしだらな真似をしていると言いふらされて…」

「この子の人生が滅茶苦茶になったらどう責任を取ってくれる!!?」

湧「…おとっはん?」ギロ

湧「あちきのけねを疑ごってゆーの?」

「そ、そう言う訳ではないが…」

正直なところ、今のはちょっとなーって俺も思う。
別に俺が疑われるのは構わないが…それは俺の大事な人達にまで矛先を向けた言葉なんだ。
何も知らない人に、まるで彼女たちが悪人のように言われるのは、あまり面白くない。
わっきゅんが不機嫌そうに言い返さなければ、きっと俺も平静ではいられなかっただろう。


京太郎「もしも、の話は止めましょう」

京太郎「証拠があるならともかく、まったくないのに人を疑うのは関係が拗れる元ですし」

京太郎「それよりも大事なのは俺にも彼女にも他意はないという事」

京太郎「わっきゅんにとっても俺にとってもこれはあくまでも家族としてのスキンシップです」

「…そうとは思えんからこう言っているんだ」

京太郎「流石にそれは穿ちすぎですよ」

京太郎「そもそも俺は婚約者がいる身ですから」

京太郎「わっきゅん相手にふしだらな感情は抱いていません」

湧「…」ムー

まぁ、正直、今も面白くない気持ちは続いているが、この程度で交渉を打ち切るのは子どもっぽ過ぎる。
先に交渉を仕掛けたのはこっちの方なのだから、まだまだあっちから提案と譲歩を引き出さないと。
…そう思って説明を重ねた瞬間、わっきゅんの方から拗ねているような気配を感じる。
不機嫌なと言うほど深刻なものではなく、何処か子どもっぽさを感じさせるレベルで落ち着いているけれど…
一体、どうしてわっきゅんは突然、そんな風に拗ね始めたんだろうか。
俺の言葉の中にはわっきゅんを拗ねさせるような要素はなかったと思うのだけれど…。


「…お前は」

「はーい。お待たせー」

湧「あ、おっかはん」

そんな俺に何かを伝えようと、わっきゅんパパがその口を動かした瞬間だった。
入り口でもある障子が動き、その向こうからわっきゅんママが現れる。
その手に大きな土鍋を持った彼女の姿に、わっきゅんはすぐさま立ち上がった。
そのままトテトテと近寄っていくわっきゅんは、廊下に停められた配膳台車からコンロや皿などを取り出していく。

京太郎「(…まぁ、でも、二人だけに任せる訳にもいかないし)」

京太郎「俺も手伝いますよ」

「良いのよー。こういうのは女の仕事だからー」

京太郎「でも、俺はご馳走してもらう側ですし」

「招いたのはこっちなんだから気を遣わなくても良いのよー」

「…そうだ。それにこういう時、男はどっしり座っておくべきだぞ」

京太郎「…分かりました」

正直、女性に家事任せっぱなしとかは今時、古いと思う。
男女同権が叫ばれて久しい今、男よりも稼ぐ女性なんて珍しくないからな。
ただ、十曽家では未だそういう価値観が根強いらしいし。
ここは郷に入っては郷に従えの精神で従っておくとしよう。


「待たせちゃってごめんねー」

「湧ちゃんの大事な人が来るからって私、張り切っちゃってー」

「一生懸命、肉団子作ってたら遅くなっちゃったー」

湧「って事は今日はちゃんこ鍋?」

「そうよー」

湧「やたっ」ニコー

そう思って再び座布団の上に座り直した俺の前で、わっきゅん親子は準備を進めていく。
会話しながらもテキパキと動く二人の手によって、あっという間に鍋の準備が終わった。
後はもう食べるだけ…とそう思ってしまうのは、閉じた土鍋から良い匂いがしているからだろう。
まるで食欲を揺り起こすようなその匂いに、口の中からよだれが出てきてしまいそうになる。

「さて、それじゃあ貴方」

「…うむ」

それはわっきゅんパパも同じなのだろう。
今にも待ちきれない様子で、土鍋に視線を注いでいた。
準備している間もそわそわとしていた事から察するに、もしかしたらこの人はちゃんこ鍋が好物なのかもしれない。
だが、それでも家長としてのプライドがあるのか、わっきゅんママから促されるまで静かに待ち続けて。


「今日はコイツもいるから少し違った食卓だが」

「コイツはいない者として扱って大丈夫だ」

「寧ろ、そう扱え」

「こんな生意気なガキに母さんのちゃんこ鍋なんぞ食わせてやる必要はない」

「あーなーたー?」

「う」

そのまま彼が口にする言葉を、わっきゅんママが遠回しに咎める。
…その振る舞いから立派な家長足らんとしている事が分かるが、やっぱりこの人は尻に敷かれているんだろう。
たった三文字の言葉に頬を引きつらせ、言葉も詰まらせている。
今日だけで数回、同じ光景を見たような気がするけれど…まぁ、さっきは俺もかなり可愛げのない奴だったし。
俺に愛妻の準備した料理を食べさせたくはないと彼がそう思うのも無理ない話だと思う。

「…ま、まぁ、しかし、十曽家が、もてなし一つ出来ないと思われるのも癪だ」

「仕方がないから、少しくらい分けてやるのを認めないでもない」

京太郎「ありがとうございます」

とは言え、娘と妻の圧力に、彼は耐えられない。
数秒ほどの沈黙の後、ぽつりぽつりと漏らされたそれは俺に対して譲歩したものだった。
元々、そのつもりで引き止めたんじゃって言う気持ちはあるが…しかし、ここで反論しても彼の機嫌を損ねるだけ。
また話がややこしくなって食事の開始が遅れるのも申し訳ないし、ここは素直にお礼を口にしておこう。


「…ふん。じゃあ、皆、手を合わせろ」

湧「ん」パン

「頂きます」

湧「いただきまーすっ」

「はいはい。どうぞー」パカ

京太郎「おー…」

頂きますの合図と共に開かれた土鍋から、真っ白な湯気が溢れだす。
まるで霧のようなそれが薄れた先に見えるのは、ところ狭しを敷き詰められた食材たちだ。
野菜や肉、きのこなど、ちゃんこ鍋の主役から脇役が勢揃いしているその光景に思わず感嘆の声が出てしまう。
さっきから刺激されっぱなしの食欲が一気に力を増した俺はもう我慢出来ないと言わんばかりに箸を伸ばして。

「ふんっ!!!」バババババ

―― それよりも早く動いたわっきゅんパパに肉の殆どを奪われた。

無論、わっきゅんママだって、決して肉をケチっていた訳ではない。
寧ろ、豚肉から肉団子までが大きな土鍋の1/3を占めている状態だった。
だが、その殆どをわっきゅんパパは一瞬で奪い取り、自分の取り皿へと運んだ。
まるで俺に肉など一つも渡してやるものかと言わんばかりに、取り皿に肉の小山を作っている。


「ふふん」ドヤァ

京太郎「(な、なんつー大人気ねぇ事を…)」

恐らくさっきの意趣返しなのだろう。
俺に向かって自身の戦利品を見せつけながら思いっきりドヤ顔をしている。
正直、俺でさえ碌に反応出来ない速度で全ての肉を奪い取って行ったその身体能力は凄いと思うけれど。
その使い方に関してはまったく尊敬出来ないぞ…。

「まさか卑怯だとは言わないだろうな」

「この世は所詮、弱肉強食なんだ。弱いお前が悪い」

京太郎「…いや、まぁ、そこまで肉に執着してる訳じゃないから良いですけど」

勿論、俺も育ち盛りの男だし、肉は好きだ。
でも、それがないとダメって程じゃないし、別にさほど悔しくはない。
それにわっきゅんママが作ってくれたこのちゃんこ鍋はかなり美味しそうだからなぁ。
肉以外の野菜達だけでも十分、楽しむ事が出来ると思う。


「もう。パパったら仕方のない人ねー」スッ

「…ってなんだ、それは」

「勿論、追加のお肉よー」

「最初に入れてた安肉と違って、最高級のねー」

「何だと…!?」

…と思ったが、どうやらわっきゅんママの方が上手だったらしい。
追加の野菜やきのこを別のザルに準備してくれていたのは知っていたが…まさか肉まで用意してあるだなんて。
しかも、それがさっきよりも高いランクのモノなんだから、最初からこうなる事が分かっていたとしか思えない。
恐らく、長年、夫婦として一緒に暮らしてきたが故に、ここまで先回り出来たのだろう。

「じゃあ、そっちを…」

「ダメよー。まずは取り皿に取った分を食べないと、湧ちゃんの教育にも悪いしー」

「何より、それだけお肉を集めたんだから、もうパパにはお肉要らないでしょー?」

「だ、だが…」

「…二回目のオシオキされたい?」

「わ、わーい!俺、安肉だーいすき!!」

…ホント、一体、この人はどんなオシオキされたんだろうか。
さっきまで不服そうだったのに、今のわっきゅんパパは笑顔を浮かべて肉を食べている。
勿論、それは表情を強張らせたぎこちないものだったが、それでも一気に大人しくなったのには変わりない。
こんな事言っては失礼かもしれないが、主人以外には懐かないように躾けられた大型犬のようだ。


「はい。と言う訳でパパは黙らせたからゆっくりと食べてねー?」

京太郎「…分かりました。ありがとうございます」

「いえいえー。お礼なんて良いのよー」

「悪いのはパパの方なんだしねー?」チラ

「……」メソラシ

…その寂しそうに肉だけ食べるその姿には哀愁を感じるが。
しかし、この人が俺憎しで娘や妻の分の肉まで持って行ったのは事実だしな。
一瞬、そっちに流れたわっきゅんママの視線に気まずそうな表情を見せるが、同情の余地はない。
彼女の言う通り、悪いのはあっちなんだし、俺はありがたく高級肉にありつかせて貰おう。

湧「あ、キョンキョン。あちきがとってあげようか?」

京太郎「良いのか?」

湧「今日はキョンキョンがおきゃっさあだし…」

湧「そいにいっぺー、めわっも掛けちゃったもん」

湧「何より、あちきがキョンキョンにしてあげたいし…出来ればさせっ欲しな」

京太郎「そっか。それじゃあ頼む」スッ

湧「うんっ」ニコ

まぁ、正直、迷惑とまでは思ってないんだけれどさ。
確かに今日一日で色々とあったが、決して悪いものばっかりではなかったし。
俺の知らなかったわっきゅんの一面も見れたんだから、来てよかったとそう思ってる。
でも、その辺の事は別に後でも言える訳だからな。
ここはまずわっきゅんの気持ちに甘えて、取り皿を預けてしまおう。


湧「ただ、まだお肉は出来ちょらんからやせだけになっしもけど…」

京太郎「大丈夫。すっげぇ美味しそうな鍋だから野菜だけでも満足出来るさ」

「あらあら、お上手ねー」ニコー

「と、ところで…母さん、俺にも…」

「自分で取ってねー」

「い、何時もはしてくれるじゃないか」

「何時ものパパは格好良いからしてあげるけれどー」

「今のパパは格好悪いからダメー」プイ

「うぅ…」

そこでわっきゅんパパが口を挟むものの、わっきゅんママから色好い返事は帰ってこなかった。
寧ろ、格好悪いと今の彼を一刀両断し、その顔を背けてみせる。
まるで顔も見たくないと言うようなその仕草に、彼の口から苦悶の声が漏れるが…。
まぁ、これも自業自得だし、擁護の余地はまったくないから放っておくとして。


湧「はい。どうぞ」スッ

湧「とりあえずお肉が出来上がるまでの繋じゃっで少なめにしておいたよ」

湧「出来上がったらまた取ってあぐっからゆーてね」

京太郎「おう。ありがとうな」

「ふふ。湧ちゃんったら随分と献身的なのねー」

「これは何時でもお嫁さんに行けるかしらー?」チラ

…何故か意味ありげな視線がこっちに流れてくるのが気になるけれど。
でも、まぁ、そういうのを差し置いても、わっきゅんは良い子だしなぁ。
ずっと一緒に暮らしていて、お互いの気心も知れていると言うのもあると思うが…。
受け取った取り皿に入っている野菜の量や種類は、俺にとってベストとそう呼べるものになっている。
ただ、闇雲に尽くすだけじゃなく、相手の事を知ろうとする気持ちがなければ、こうも好みにマッチしたよそい方は出来ないだろう。

京太郎「確かにわっきゅんなら引く手数多でしょうね」

湧「え、えへへ…」モジモジ

「あら、京太郎くんは貰ってくれないのー?」

「母親の欲目込みかもしれないけれど、うちの娘は良い物件だと思うわよー」

京太郎「確かにわっきゅんは魅力的ですが、俺はもう先約があるので」

京太郎「日本の法律では一夫多妻は認められてませんし、残念ですが、辞退とさせてください」

「あらー。じゃあ、法律がオッケーだったら貰ってくれるのー?」

な、なんだか思った以上に突っ込んでくるな。
女の子の家にお邪魔した時に良くある、親御さんからの冗談じゃないのかよ。
今まで宮永家でも何回か言われていたけれど、ここまで突っ込んで来られたのは俺も初めてだ。


京太郎「…まぁ、わっきゅんの気持ち次第ですね」

「私は京太郎くんの気持ちを聞いてるんだけどなー?」

京太郎「ぅ…」

そ、その上、誤魔化しは効かないらしい。
和やかな食卓に相応しい明るい声で、俺の逃げ道を塞がれてしまう。
声音そのものは変わってないが…ここまで容赦がないって言う事は、相手も本気なんだろうな。
この場での答えを試金石にしようとしているのが、その視線からも伝わってくる。

京太郎「(…まぁ、正直、わっきゅんの前で聞かないで欲しいって言う気持ちはあるけれど)」

ここで俺がどう答えても、わっきゅんとの関係がぎこちなくなってしまう。
最も無難な答えを封じられてしまった以上、俺に選べるのはイエスかノーかの二択なのだから。
だが、こうして真剣に投げかけられている以上、逃げる訳にはいかない。
心の中の躊躇いは決して小さくはないが…ちゃんとその答えに向き合うべきだろう。


京太郎「……そうですね」

京太郎「もしも…の話になりますが、そうなっても俺はわっきゅんを娶る事はないと思います」

湧「っ」

「あら、どうして…?」

京太郎「俺はわっきゅんの事が好きですし、心から大事に思っています」

京太郎「でも、それは決して異性愛ではありません」

京太郎「家族としての親愛です」

京太郎「そんな状態で彼女と結婚しても、不幸にするだけでしょう」

京太郎「俺は家族として、そして一人の男として、わっきゅんを不幸にしたくはありません」

…勿論、それは俺の婚約者である初美さんも同じだ。
だが、あの人の場合、俺が元々の婚約をぶち壊しにしたと言う致し方ない理由がある。
それに対して、わっきゅんに俺と結婚しなきゃいけない理由はない。
他の六女仙と違って、結婚相手を自分で選べるのだから、俺よりももっと良い男と結ばれた方が幸せだろう。


「でも、それだけ責任感があるんだし、もしも一線を超えちゃったら責任は取ってくれるでしょー?」

ってまだ突っ込んでくるのかよ…。
いや、もうホント、勘弁してください。
こっちはもう今の雰囲気を変えたくて仕方がないし…。
何より、わっきゅんが何処か落ち込んでる風にも見えてるのが気になるんだ。
この話題を続けても、悪化していく未来しか見えないし…早く打ち切らせて欲しい。

京太郎「…そうですね。そんな事はまずないと思いますけれど…」

「ふふー。言質取ーったー」ニコ

「…その言葉、撤回したら許さないからねー?」

京太郎「も、勿論です」

…い、一瞬、また寒気がしたけれど。
でも、とりあえずこれ以上、わっきゅんママも突っ込んでくるつもりはないらしい。
さっき感じた空恐ろしい気配も消えて、今は機嫌良さそうにニコニコしている。
その口から何か言葉が出てくる事はないし…今がこの雰囲気を払拭するチャンスだろう。


京太郎「そ、それより、一つ聞かせてもらって良いですか?」

「何かしらー?」

京太郎「二人がご結婚に至るまでの馴れ初めとか聞かせて欲しいんです」

とりあえず彼女に話の主導権を渡してしまってはダメだ。
あっちに主導権が渡ってしまえば、また変な質問を投げかけられてしまうかもしれない。
とは言え、招かれた客であるこっちばかり話しているのも、出しゃばりが過ぎる。
だから、ここで俺がやるべきは、主導権をこっちが握ったまま、相手を喋らせ続ける事。
質問への応答と言う形で、わっきゅんママの足止めをする事なんだ。

「うーん…馴れ初めとか語るのはちょっと苦手なのよねー」

「私ってお喋りは好きだけど、あんまり得意なタイプじゃないらしくてー」

「一生懸命、説明してるつもりでも、長くなって分かりにくいって良く言われちゃうのー」

京太郎「あー…なるほど…」

…そう思って時間が掛かるであろう馴れ初めを聞いてみたけれど、これはちょっと失敗だったかもしれないな。
相手がマイペースな人だって言うのは、これまでで良く分かっていたんだし。
長々と説明するのが苦手だって言うのは、十分、察する事が出来たはずだ。
戦術的にはこれが一番だったと言う持論に代わりはないが…もうちょっと相手の人となりを考えるべきだったかもしれない。


「でも、折角、質問されたのに答えないのも申し訳ないしねー」

「だから、極力、短く纏めるとー…運命かしらー?」

京太郎「…運命ですか?」

「そう。十曽の女の子はねー、必ず一人運命の相手がいるのよー」

「たった一人だけ赤ちゃん作りたいってそう思う相手がー」

「その人以外を十曽の女の子が好きになる事はないしー」

「その人以外で妊娠する事も出来ないのよねー」

京太郎「…ロマンチックなようでキツイ話ですね」

運命の相手がいる…ってだけなら、まだロマンチックですねで済むんだけどさ。
その後がちょっと重すぎると言うか…あんまり背景を想像したくない言葉が聞こえてきたんだけれど。
運命の相手以外を好きになれないだけならばともかく…その人以外と子どもが作れないなんてのは…。
今までにそれを試してきた人が、一人や二人じゃないって事を意味しているんだろうし…。
恋愛結婚が当たり前な現代社会で育った俺としては、中々にキッツイ話だ。

「まぁ、大丈夫よー。十曽の女の子は、好きになった相手と必ず結ばれる運命だからー」

「そうじゃないとここまでお家が続かないしねー」

京太郎「まぁ、確かにそうですね」

…ただ、まぁ、決して救いがないという訳ではないのだろう。
運命なんて言葉を信じる訳じゃないが、十曽の家はこうして綿々と続いてきているのだから。
一夜限りの関係かもしれないが、好きな相手と結ばれ、その血脈を保ってきたのは事実。
無論、その背景には俺が思い至らないような多くの苦難があったのだろうが…それは今、語られていない訳だし。
とりあえず湧ちゃんがその運命の相手とやらと結ばれるよう心に留めておくとして。


京太郎「じゃあ、貴女もその運命を感じたんですか?」

「えぇ。ぶっちゃけ、ほぼ一目惚れよー」

「見た瞬間、私にはこの人しかいないって…」

「心でも身体でも魂でもそう思っちゃったのー」

「…」カァ

…瞬間、わっきゅんパパが顔を赤くした気持ちは分かる。
正直、踏み込んだ俺だって、ここまで直球なノロケを聞かされるとは思ってなかった。
勿論、突っ込んだ手前、惚気けられるだろうな、とは俺も思っていたけれど…。
まさか心だけじゃなくて身体と魂も堕ちるほど激しく深い一目惚れだと告白されるだなんて考慮しているはずがない。
その上、その惚気は若干、エロさまで感じるもので…正直、ちょっとドキドキしてしまう。

「でも、それって私だけじゃないのよー」

「十曽の女の子は自分の運命の人が一目で分かっちゃうのー」

「あぁ、この人じゃないと私は妊娠出来ないだなーって」

「私の人生はこの人と出会う為にあったんだなーって心でも身体でも魂でも…そう思っちゃうんだからー」

「その所為か、私たちは一目惚れして結婚まで一直線ってパターンがほとんどねー」

京太郎「…なるほど」

…となると、わっきゅんが俺の事を好きってパターンはほぼ考えなくても良いかな。
初期のわっきゅんは俺と視線を合わせられないどころか、話す事も出来なかったくらいなんだから。
それが解消された後も純粋に俺を慕ってくれていた訳だし…そういう意味でわっきゅんに好かれている訳じゃない。
最近、ちょっと引っかかる事が多かったのも、きっと俺の自意識過剰だったんだろう。
…正直、早めにそれが分かって少し安心した。
ここ最近のわっきゅんの様子やわっきゅんママの話しぶりなんかで、色々と悶々としたものが強くなっていたからなぁ…。


湧「キョンキョン」

京太郎「ん、どうした?」

湧「お肉、もう煮えてるよ」

湧「そっちに入れてあぐっからお皿貸して」

京太郎「あぁ。頼む」

ま、わっきゅんママが十曽家の事を話してくれたお陰で、少し肩の荷が下りたし。
それにわっきゅんの言う通り、鍋の中で肉が煮えて、良い塩梅になってきているんだ。
話に夢中であんまり手をつけられてなかったけれど、まずは取り皿を一旦、彼女に渡すとして。
それが帰って来てからは食事に集中しよう。
他に色々と聞きたい事もあるけれど、ソレ以上に俺は腹が減ってきているんだ。
さっき補充された最高級の肉の味とやらも気になるし、適度に雑談しながら目の前の鍋を突いて…。

京太郎「…ご馳走様でした」

湧「ごっそ様でしたっ!」

「お粗末さまでしたー」ニコニコ

それから三十分ほどした頃には鍋の中身は空っぽになっていた。
わっきゅんママも結構な量を準備してくれていたが、ここにいる全員が平均以上に食べるタイプだったからな。
あっという間に鍋の中身を食べ尽くし、締めの雑炊も完全に平らげた。
俺達の腹を美味しさで満たしてくれた土鍋の中には、もう出汁さえ残っていない。


「…さて、それじゃあお片づけしましょうかー」

湧「じゃあ、あちきも!」

京太郎「俺もお手伝いしますよ」

「…お前はここにいろ。台所は女の戦場だ」

「男がやすやすと踏み込む場所じゃない」

「…それより」チラ

「はいはーい」

そんな鍋を作ってくれたお礼ついでに後片付けくらいしようと思ったんだが…。
最初の準備と同じく、わっきゅんパパとしてはNGらしい。
代わりに俺に何かさせたい事があるのか、わっきゅんママへと視線を送る。
まるで視線で促すようなそれに、わっきゅんママは軽く答えながら廊下へと出て行った。

「今日も一瓶だけですよー」スッ

「ん」

数秒後、居間の中に戻ってきた彼女が持っていたのは一本の瓶ビールとコップだった。
それをテーブルの上に並べていく光景を見ながら、わっきゅんパパは短く返事を返す。
分かっているとそう返すような声に、わっきゅんママは笑みを深めながら、後片付けを進めていって。


「…どうせ湧が帰って来るまで暇だろう」

「俺の晩酌に付き合え」

京太郎「俺、未成年だから酒は飲めませんよ」

「一緒に酒を飲めだなんて面倒な事は言わん」

「酒のつまみついでに色々と話をしたいだけだ」

話…となると、やっぱり、夕飯前の続きだろうか。
折角、有耶無耶になったんだから、続きをしたくないってのが正直なところだけど。
でも、こうして相手が話をするのを望んでくれているのに、嫌だからって理由だけで断る事は出来ないよな。
若干、どんな話をされるのか怖い気持ちもあるが、ここは頷いておこう。

京太郎「…分かりました」

「ふふ。それじゃあ京太郎くんの為にジュースを置いてってあげるわねー」

京太郎「ありがとうございます」

相手が酒を飲んでるのに、こっちは何もなしじゃ口寂しくもなるからな。
さっきまで飲んでたカルピスジュースを置いてってくれるのは正直、有り難い。
飲み物を口に運ぶ事でほんの数秒とは言え、時間を稼ぐ事も出来るし。
これから先、どんな話が待っているのか分からない俺にとって、それは心強い味方になってくれるはずだ。


「じゃあ、また後でねー」

湧「すぐ帰ってくるから」

京太郎「おう。待ってる」

…まぁ、出来れば、わっきゅんかわっきゅんママかのどっちかが残ってくれた方が心強かったけれど。
でも、二人は俺達の代わりに後片付けをしようとしてくれているんだ。
それをこの場に引き止めてしまえば、二人の迷惑になってしまう。
不安な気持ちもあるが、ここは大人しく二人を見送るのが一番だよな。

「ほら、何をしている」

「目上の相手がいるんだから、お前が注がないか」

京太郎「あ、はい」コポコポ

「…まったく全然ダメだな」

「話にならない。それでお酌しているつもりなのか」

京太郎「…いや、俺、そんなのした事ありませんし」

「使えない奴め」フゥ

京太郎「…」イラ

…いや、落ち着け、俺。
確かに今、思いっきり馬鹿にされたけれど…それで一々、目くじらを立てるのも馬鹿らしい話だ。
わっきゅんママ達が出て行った今、俺たちは二人っきりなんだし。
ここで下手に言い返してしまえば、お互いにヒートアップしかねない。
年下の俺が言うのもなんだが、ここは大人の対応と言うものを心がけるべきだろう。


「…だが、まぁ、お前には見どころがないという訳でもないようだ」

京太郎「え?」

「…正直なところ、俺はお前にこの家の敷居を跨がせるつもりはなかった」

「幾ら須賀の末裔だろうと、あの蝋燭を消す事は出来んだろうと」

「それで情けなく逃げ帰る姿を見れば、湧も幻滅するだろうとな」

…でも、結果、貴方の方がわっきゅんに幻滅されてますよね…なんて言えないよな。
さっきまでのわっきゅんパパからは考えられないほど、褒めてもらってる訳だし。
もしかしたら、これが最初で最後のデレ期かもしれないと思えば、口を挟むのは無粋な気がする。
無反応で居続けるのは失礼だろうが、俺が何かを言うのはきっと今じゃない方が良い。

「…だが、お前は俺が課した試練を乗り越え、こうして十曽の家に踏み入れた」

「その上、お前は門下生達の殺意や敵意にも耐えて見せて」

「その気になれば自分を容易く殺せる連中から、あぁも敵視されて平然としていられたんだ」

「お前に敵意を向けていた俺が言うのも何だが、正直、どんな肝っ玉をしてやがるんだとそう思ったよ」

まぁ、その辺はぶっちゃけ慣れちゃっていると言うか何というか。
正直なところ、日頃、俺を鍛えてくれてる山田さんの殺意の方が遥かに恐ろしいからなぁ。
殺意の篭ったその視線だけでも一つの武器になりそうな彼に毎日、叩きのめされていたら慣れもする。
俺の見る限り、山田さんとわっきゅんパパはほぼ互角だと思うけれど、殺意の鋭さって意味じゃあっちの方が上だし。
最初こそビビリもしたが、この人が奥さんと娘に頭が上がらないのを知った今、それほど恐ろしさは感じなかった。


「まぁ、だからと言って、湧と付き合うなんて許さんがな!!!!!」

京太郎「アッハイ」

「本当に分かっているのか…!?」クワ

京太郎「分かってます」

「…ならば、良い」スッ

京太郎「はい」コポコポ

正直、なんかまたややこしくなりそうだな、と思ったけれど…。
思いの外、素直にあっちが引いてくれた。
これまで何度となく『わっきゅんとはそんな関係じゃない』と言い続けてきたのが少しずつ結実しているんだろうか?
…まぁ、なんにせよ、こうしてコップを差し出されたって事は、またお酌しろって事なんだろうし。
とりあえずまた瓶からビールを注いでっと…。


「それで話を戻すが……お前ならば、あの子の事を任せても良いのではないかと思った」

京太郎「え?」

「……さっきお前が言っただろう」

「湧の事は大事だが、そんな風には見ていないと」

「それを信じてやろうとそう言っているんだ」

京太郎「…どうしてですか?」

「…お前の目だ」

京太郎「…目?」

「あの時のお前はとても悲しそうな目をしていた」

「…恐らく湧とは違う想い人がいるんだろう」

京太郎「…それは」

……瞬間、脳裏に咲の姿が浮かんだ。
インハイ決勝で分かれてから、碌に連絡していない幼馴染。
最後の最後であいつの信頼を裏切った俺に…未だ想い続ける資格なんてないんだろう。
だが、それでも…俺と半生を共にしてくれた咲への想いはそう簡単に消えなくて。
春達の告白を聞いた時も…真っ先に俺の心に浮かんだのはアイツの姿だった。


「言わなくても良い」

「お前の恋愛事情になど興味はないからな」

「ただ、俺にとっては、その目はお前の言葉を信じるに足るものであり」

「…湧の苦労を感じさせるものだったと言うだけだ」

京太郎「…わっきゅんに苦労を?」

「…お前、十曽家の話を聞いて何も思わなかったのか?」

京太郎「ロマンチックなだけじゃなくてかなりヘビーだなーとは思いましたけれど…」

「…そうか」

…なんだろう、俺の返事は何か間違っていたのだろうか。
一応、正直に答えたつもりなんだが、わっきゅんパパはそっと目を逸らした。
まるでこれから起こるであろう惨劇から目を背けるようなそれに、内心の疑問が強くなっていく。
一体、あの話の裏にどういった意図があったのか、すっげぇ気になるけれど。


「…まぁ、何にせよ、湧もまた十曽家で世間一般の普通からは少しズレた子だ」

「正直、生半可な男には預けるどころか、近寄らせたくもない」

「しかし、あの子はお前に随分と懐いているようだし…」

「…俺よりもお前の方が好まれているようだしな」

「この期に及んで…もう悪あがきはすまい」

「お前に出来る範囲で良いから護ってやってくれ」

京太郎「当然です」

でも、それを尋ねる前にあっちからわっきゅんの事を頼まれてしまった。
当然、わっきゅんパパの表情は真剣で、視線にも強い力が篭っている。
そんな顔をされて…無理です、なんて言えないよな。
俺にとってもわっきゅんは大事な人なんだし、ここは素直に請け負っておこう。

「…礼を言う」

「あの子は一人にするには少し不安だからな」

「お前のような男が側にいてくれるなら…俺も安心だ」

…ただ、なんだかいきなり評価が高くなりすぎて、困惑する気持ちもあるんだよなぁ。
まぁ、話を聞いている限り、これまでも実は加点されてて、それが表面化したって事なんだろうけれども。
しかし、思った以上のデレ期に内心、戸惑いを隠せないと言うか。
一体、何が原因でずっと隠していた内心を吐露してくれるようになったのか、ちょっと思いつかない。


「…何を戸惑っている」

「所詮、酒の席での戯れ言だ。本気にするんじゃないぞ」カァ

京太郎「…分かりました」

なるほどな。
こうして顔を赤くしている事から察するに…酒の席だからと誤魔化せるからこそか。
まぁ、俺が注いだ二杯目もまだ殆ど減っていないし、何より、わっきゅんパパが話し始めてからまだ数分程度。
酔いが回るには早過ぎるとは思うが…こういう言い訳って言うのは大事だしな。
折角、素直に俺を評価してくれているんだから、まだ酔っていないんじゃ、なんて可愛げのない指摘は内側に留めておいた方が良い。

京太郎「(っと胸の内に留めると言えば…)」

京太郎「そう言えば、さっきも聞きそびれたんですけれど」

「うん?」

京太郎「お二人の馴れ初めってどんなものだったんですか?」

「うぐ…」

そこで言葉に詰まるわっきゅんパパには悪いけど…正直、それが凄く気になるんだよなぁ。
わっきゅんママに聞いた時にも望んだ答えは得られなかった訳だし。
それに彼は一度、その疑問に対して答えようとしてくれていたんだから、絶対に言いたくないって訳でもないのだろう。
今は雰囲気的にも大分、緩くなっているし、きっと答えてくれるはずだ。


「……言っておくが、お前が期待しているようなロマンスがあったりはしないぞ」

「ただ、自分を天才だと勘違いしてた馬鹿な男が、それ以上の天才に出会っただけの話だからな」

京太郎「…え?」

それってつまりわっきゅんパパが天才じゃないって事か?
…うーん…だが、そんな事はないと思うんだよなぁ。
わっきゅんパパの身体は武術家として誰もが望むであろう完成形に到達しているのだから。
ボディビルダーのように巨大なのにも関わらず、実用性に溢れたその身体は間違いなく一種の才能だろう。
その拳を全力で振るうだけで数人の男が吹っ飛んでいきそうな彼に才能がないとは到底、思えない。

「…ま、順を追って説明していこうか」

「とりあえず、昔の俺は自分が武神に愛されていると本気で思っていた」

「こと武術に関してはどんな分野であってもあっという間に先達を追い抜き、マスター出来ない技など一つもなかった」

「それに嫉妬した先輩や武器を持った不良どもに囲まれても、余裕で返り討ちに出来たからな」

「きっと俺は最強になるべくして生まれてきたと…当時は本気でそう思っていたんだ」

それは驕りであると俺には言えなかった。
事実、彼の身体は人並み外れているのだから。
その凄まじい身体が何時完成したのかは分からないが、それは突然、ポンと出てきたものではない。
子どもの頃から自分の恵体を自覚し、それを鍛えていなければ、これほどの領域には到達出来ないだろう。


「…まぁ、そんな奴が一処で留まり続けられるはずがない」

「俺は中学卒業から、ずっとあっちこっちに放浪して技と身体を磨いてきた」

「勿論、その途中、路銀が尽きる事はあったが…」

「その度に道場破りしたり、ヤのつく自営業の連中を締めあげたりして」

「適当に金を稼ぎながら、旅をしてたんだが…」

「…俺が19の時の春に、アイツに会っちまってな…」

多分、そのアイツって言うのはわっきゅんママの事なんだろうな。
俺の前で遠い目をする彼の顔には染み染みとしたものだけではなく、愛しさも浮かんでいる。
亭主関白と言った風に振る舞ってはいるが、彼もわっきゅんママの事を深く愛しているのだろう。
それを心の奥で感じさせる表情を見ながら、俺は次の言葉を待ち続けた。

「当時の俺は山籠りして身体を鍛えようと田舎に向かってる最中だった」

「その時、近くの山で熊が大暴れしているのを聞いた訳だ」

「しかも、その首にかなりの賞金まで掛かってると聞いたんだから…まぁ、完全に天狗になってた俺が止まるはずないよな」

「ちょうど、路銀も少なくなってた俺は自分の最強伝説に新しいエピソードを加えようと意気揚々と山に入ったんだが」

あぁ、それで熊殺し…なんて呼ばれるようになったのか。
考えても見れば、現代社会で熊と遭遇するケースなんて滅多にないからなぁ。
精々、登山中にバッタリくらいで、それも対処を間違えなければ、襲われたりする事はほぼない。
人を簡単に殺せると学習した結果、集落などを襲うようになった熊相手でもなければ、戦闘になる事はまずないだろう。


「…それが全ての間違いだった」

京太郎「え?」

「当時の俺は軽く考えすぎていたんだよ」

「普通の熊なら猟友会なんかが仕留められる」

「が、その熊はかなり暴れまわっているってのに、未だ放置されていて…その上、懸賞金まで掛かってたんだ」

「並の熊じゃないから辞めておけって周りの連中も止めていたのに…俺はまったく聞かなかった」

「俺の拳で砕けないものなんてないなんて最初はそう笑っていたんだが…」

「…実際の熊に会った時には笑ってる余裕なんざなかった」

ぽつりぽつりと語られるその言葉には嘘も謙遜も見当たらなかった。
正直、幾ら熊が相手だろうとこの人が苦戦するとはまったく思ってなかったんだけれど…。
しかし、こうして話しているのを聞く限り、相手はよっぽどヤバイ熊だったらしい。
ただ、あんまりその辺の事を良く知らない俺には、その危険度があまり伝わってこないんだよなぁ。
動物園で大人しく寝転んだりしてる熊しかイメージ出来ない俺に分かるのは、なんだかやばそうだって事くらいだ。

「アイツは…地元の猟師たちに黒兜って呼ばれてた熊は…生粋のハンターだった」

「獲物を罠へと誘導し、そして一気に仕留めてみせる」

「それは人間だって例外じゃない」

「山を知り尽くしているはずの猟師でさえ罠に掛かってしまうほど…」

「アイツは山を、そして獲物の心理を知り尽くしていた」

…なるほど、確かにそれは化物熊だな。
猟師は山を知っているだけではなく、狩りのエキスパートでもあるんだから。
そんな彼らでさえ、罠に掛かってしまうと言う言葉が本当なら…あまりにも知能が高すぎる。
その上、人喰いまでするとなれば、懸賞金が掛かっていてもおかしくはないだろう。


「だが、何より…黒兜がヤバかったのは…その身体はあまりにもデカすぎた事だ」

「俺の二倍以上…5m近い巨体を誇っていたんだからな」

流石にそれはホラを吹きすぎ…と言いたい。
確かこれまで確認されている中で最も巨大な熊でも4mには届かなかったはずだ。
それをさらに1mを超える巨体を自然界に生きる熊が維持出来るはずがない。
その上、猟師を相手に狩りが出来るだなんて…まるで漫画の中に出てくるモンスターのようだ。

「狩りが出来るから身体が大きくなったのか」

「或いは身体が大きくなりすぎたから、必要に迫られて狩りを覚えたのか」

「俺には分からないし、興味もないが…」

「しかし、一つだけ言えるのは…奴は並大抵の熊じゃなかったって言う事」

「んで…こうして偉そうに語ってる俺も奴に罠に掛けられてしまったって事だ」

ただ、わっきゅんパパが大げさに話を盛ってる…とはあまり思えないんだよなぁ。
こうして過去を語る彼の表情は染み染みとしたもので、嘘を吐いているようには思えないし。
何より、彼が今も無事に過ごしていると言う事は、その大熊も倒されているという事なんだ。
その死体を測定する事くらいは当時の人々もやっていただろうし、裏を取るのはそう難しくない。
明確な物的証拠が残るところで話を大げさに盛っても、嘘つき呼ばわりされるだけ。
そんな簡単な事を、この人が分かっていないとは思えなかった。


「俺がアイツに誘い込まれたのは、切り立った崖だった」

「当然、後ろには下がれず、左右に動く余裕もほとんどない」

「その上、見上げるほど大きな大熊が目の前に立ちふさがっているんだ」

「普通に考えりゃ、詰んでると言っても良い状況だろう」

「まぁ、調子に乗ってた当時の俺は目的の熊を見つけた事を喜んでいたんだが」

「すぐに喜んでいる余裕さえなくなった」

「これまで鍛え上げてきた俺の拳がアイツには碌に効かなかったんだからな」

「ダメージはあったが、アイツの身体を僅かに後退させる程度」

「イメージしていたように一撃でぶっ飛ばすなんて不可能だった」

正直なところ、ほんの僅かとは言え、後退らせるだけでもかなりのもんだと思うんだけどな。
そもそも熊ってあまり打撃が有効ではない上に、その黒兜って熊は並のヒグマの二倍近い身長を誇っているんだから。
普通のヒグマの体重が500kgくらいはある事を考えると、黒兜とやらはトンの領域に突っ込んでいてもおかしくはない。
そんな相手を殴りつけ、少しでも後退させられるような武術家が果たして日本にどれほどいるか。
あんまり俺は武術の事に詳しくないけれど、どれほど多くても片手の指は超えないと思う。


「んで、さっきも言った通り、俺は崖を背にしている状態で」

「最初は良いが、戦闘が長引けば長引くほど地形的な不利が響いてくる」

「だが、そこから脱出しようにもアイツは決して俺を崖から逃さず」

「少しずつ俺を崖の方へ崖の方へと追い詰めていっていた」

「…その時は流石に死ぬのを覚悟したな」

「崖に落ちたらタダじゃすまないのは目に見えていたし」

「目の前のコイツが落ちた程度で諦めるような奴じゃないのも分かっていた」

「だが、アイツは自分の急所だけはしっかり護っていて」

「俺が疲れ果てるか足を滑らせるかを辛抱強く待ち続けてやがった」

「だから、もう破れかぶれで突撃して急所を撃ちぬいてやろうかって時に…」

「アイツが…俺の運命がやって来た」

…運命、か。
若干、気障な言葉に感じるが…でも、わっきゅんパパは本気でそう思ってるんだろうな。
ポツリと漏らしたその表情は真剣そのもので、恥ずかしそうな色さえほとんどなかった。
きっと彼にとって…いや、彼らにとってその出会いは、運命以外の言葉が見つからないほど、特別なものだったんだろう。


「最初、見た時はヤバイと思ったよ」

「お前の知っての通り、アイツは見た目、ほぼガキのまんまだったからな」

「なんでこんな危険なところにガキがって思った俺は怒鳴るようにしてアイツを遠ざけようとした」

「でも、アイツは逃げるどころかこっちへと近づいてきて」

「んで、あの化物熊を張り倒したんだ」

「…正直なところ、最初、何が起こってるのか分からなかったよ」

「俺があれほどぶっ叩いてビクともしなかった大熊が…俺の半分程度しかないガキに叩かれて怯んだんだから」

「まったく威力があるようには見えなかったビンタと俺の全力の拳」

「それを同等に並べられたような状況に頭がどうにかなりそうなくらいだったよ」

多分、それは十曽家が使う気を呑む武術とやらの効果なんだろうな。
どうやらアレは人だけではなく動物相手にもかなりの効果を発揮するらしい。
まぁ、鍛え上げたその使い手が人間をほぼ即死させられる事を考えれば、やっぱり熊相手だと幾らか効果も薄くなっているんだろうけれど。
それでもわっきゅんパパの全力と同等かそれ以上の威力が出せるって…聞いているだけでも何かが間違っている気がする。
多分、実際にそれを見ていた当時の彼にとって、理不尽だと言いたくなるような光景だったんだろうなぁ。


「でも、命の危機に晒され続けた身体は勝手に反応して、俺は崖に追い詰められた状態から脱する事が出来た」

「ただ、だからと言って逃がしてくれるほど黒兜は諦めの良い奴じゃなくてな」

「俺とアイツを完全に敵認定した奴はそのまま襲いかかって来た」

「だから、俺達も自然と共闘する事になったんだが…基本アイツが俺の前に立ってさ」

「黒兜の攻撃から俺の事を護ってくれてたんだよ」

十曽家の技は、極論、人を殺す為のモノだ。
だが、それは単なる暗殺拳である事を意味しない。
十曽家の役割は、神代家の事を護る事にあるのだから。
その人並み外れた殺人技巧も要人を護る為のもの。
それを考えれば、わっきゅんママが盾となって彼の事を護ろうとしたのも当然の流れだったんだろう。

「正直、ショックだった」

「これだけ小さいガキに護られてるのもそうだし」

「それに安心感を感じてしまう自分がいるってのも情けなくて仕方がなかった」

「…だけど、ソレ以上に俺の心を埋め尽くしていたのは感嘆の感情だったな」

「こんな小さな身体であの化物熊と互角に渡り合ってるのが凄くて」

「その身動き一つ一つに視線を引き寄せる効果があるのを知って」

「護る為の暗殺拳としか言いようのないその歪さに俺は魅せられていた」

多分、武術家ではない俺に、わっきゅんパパの気持ちを推し量る事は出来ないだろう。
…だが、常識からはかけ離れた理不尽な強さに、それまで積み重ねてきた自信を粉々にされた経験は俺にもあるんだ。
完全にその気持ちを推し量る事が出来なくても、共感するくらいは出来る。


「まぁ、それでも戦いを辞める事はなかったが…一時間掛けて黒兜の頭蓋を砕いた時にはあまり感慨はなかったな」

「一時は命の危機があったのも、二人とは言え熊殺しを成し遂げたのも…すぐに忘れちまった」

「頭の中にあったのは、どうやったらあの技を教えてもらえるかって言う一点のみ」

「だから、俺は黒兜の絶命を確認した後、すぐさまアイツに頭を下げた」

「どうかその技を俺に伝授してくれと」

「何でもするからその技を俺に教えてくれと頼み込んだんだ」

「それまで自分の才能に有頂天になってた俺が土下座しながらさ」

「…んで、そんな俺をアイツは受け入れてくれた」

「男の人にそこまで頭を下げられちゃ断れないよーって軽く言いながら」

「俺の事を自分の家に案内してくれたんだが…」

「……今から思えば、それは全部、罠だった」

京太郎「え?」

なんか良い話で終わりそうだったのに、なんかすっげぇ不穏な言葉が聞こえてきたんですが。
これまで武術が一番だったわっきゅんパパが、わっきゅんママに出会った事で自分の向かうべき方向性を悟り。
十曽家の技を覚えながら、愛を深めていくっていうそんな話になるんだろうと俺は予想してたんだけど…。
罠って事は、まだ何かどんでん返しがあるんだろうか?


「アイツは俺に丁寧に尽くしてくれたよ」

「飯を作って、食事を口に運んで、マッサージをして、背中まで流してくれて…」

「正直、硬派を気取ってた俺にとっては恥ずかしい状況だったけれど」

「でも、アイツから技を教えてもらう為だからと恥ずかしいのを我慢して受け入れていた」

「だからこそ、俺はアイツが夜に部屋を訪ねてきた時も警戒せず向かえ入れて」

「…そして一瞬でほとんどの関節を外された」

京太郎「…はい?」

「…アイツが俺に寄りかかってきたと思ったと瞬間、そのまま絡みつかれてな」

「まるで軟体生物か何かのように全身の関節を外されて…抵抗出来なくされたんだよ」

「…正直、あの時の事は今、思い出しても鳥肌が立つぜ」

「黒兜相手にだって、死を覚悟してもビビる事はなかった俺が…」

「あの時のアイツには本気で恐怖を感じてた」

「怖くて、強くて、得体が知れなくて……何より、見惚れるほど綺麗だったんだよ」

京太郎「へー…」

怖いけれど、綺麗…かー。
その辺はちょっと俺には想像がつかないなぁ。
ただ…こうして聞いている限り、それはよっぽどわっきゅんパパの心を掴んだんだろう。
色々と複雑そうな言葉を漏らすその顔には、酒気とも照れとも違う朱色が混じっていた。
きっとその時、彼は恋に堕ちてしまったのだとそんな言葉さえ浮かんでくるその色に、俺はついつい笑みを浮かべて。


「…まぁ、その後、喰われたんだけどな」

京太郎「えっ」

「…だから、その…性的な意味で…ヤられちまった訳だよ」

「しかも、関節外されたまま、ほぼ丸一日な」

なんという肉食系。
まぁ、わっきゅんパパの方から積極的に口説いていったなんて俺も思っていた訳じゃないけれど…。
でも、まさか出会って一日で逆レだなんて言うのは正直、予想してなかったわ。
俺の知るわっきゅんママはかなり穏やかな人だって言うのもあって、信じられないくらいだぞ。

「んで、ようやく解放された頃には…まぁ、逆らう気力がなくてさ」

「正直、男としては情けないと思うんだが…アレは最初からかなり情熱的で」

「身体の相性も良かったし、本来、門外不出の技を教えてもらうって言うのもあったから」

「アレに押し切られる形ではあったけれど、結婚する事になったんだよ」

…ただ、普通、逆レされました、なんて中々、人に言えるもんじゃないからなぁ。
その上、わっきゅんパパは硬派と言うか、かなり価値観が古い人だし。
例え、今の妻であったとしても、女の人に犯された、なんて嘘は吐かないだろう。
こうして続ける言葉にも特に齟齬は見当たらないし…本当に犯されて結婚する事になったのかもしれない。


「まぁ、キッカケこそ酷いもんだったが…アレは本当に出来た女でな」

「十曽の血が騒いで一目惚れだった…なんて言ってたけれど」

「まるで昔から俺の事を知っていたように尽くしてくれて」

「俺も…一緒に暮らせば暮らすほど、アイツの事が気になっていった」

「アイツの腹に湧が宿る頃には、結婚しても構わないじゃなくて」

「結婚して良かったって気持ちになってたんだ」

しかし、だからと言って、それは決して不幸せなものではなかったんだろう。
俺が知る限り、わっきゅんママは古き時代を思い出させる大和撫子な性格をしているんだから。
まぁ、ちょっとスタイルとか身長が足りないし、肉食系ではあるみたいだが、夫に尽くそうとする気持ちは人一倍強い。
今のわっきゅんパパが形式だけとは言え、亭主関白のように過ごせているのも、わっきゅんママが彼を立ててくれているからだ。

「んで…生まれてきた湧を見たら…これがもう可愛いのなんのって」

「あんまりにも可愛すぎて…俺は今までの自分が恥ずかしくなったくらいだった」

「強さなんてモノにあんなにも拘っていたけれど」

「こうして生まれてきた命の方がずっと凄くて、尊いじゃねぇかって」

「そんな当たり前の事に…湧は気付かさせてくれた」

「結婚しても尚、『最強』なんて下らない夢を捨てきれなかったガキを、アイツは『父親』にしてくれたんだ」

…その言葉がどれほど重いものなのかは、きっと彼自身にしか分からないだろう。
『最強』と言うのは自分の芯がどれほど頑ななものだったのかが分かるのはわっきゅんパパなのだから。
だが、少なくとも、彼のその芯はわっきゅんママと出会い、愛を育んでいても、決してなくなる事はなかった。
きっとそれが並々ならぬ想いによって作られたものである事くらいは、俺にだって分かる。
だが、そんな芯をわっきゅんが溶かして…彼は『父親』としての一歩を歩み出す事になったんだろう。
勿論、それは夢を引き換えにした一歩ではあるが、だからと言って、彼は決して弱くなった訳じゃない。
むしろ、わっきゅんパパは本当に大事なものの為に、夢さえ捨てられる強さを得たのだと俺は思う。


「…ただ、そこからが少し問題があってな」

京太郎「問題…ですか?」

「あぁ。実はアイツと出会う前に若気の至りでちょっと非合法な集団に参加してててな」

「殺人拳だの活人拳だのにやたらとこだわってる連中だったが、その技術は一流で学ぶべきところも山程あったんだ」

「…ただ、そういう非合法なところでも派閥や何だかんだでややこしくてな」

「派閥争いとか下らないものに巻き込まれる暇があったら最強を目指していたかった俺は適当に距離を取ってたんだが…」

「一度入った以上、そう簡単に抜けさせては貰えないのがそういう組織だ」

「俺が子どもを作って人並みの生活を享受してるって知った奴らは…その子を差し出せと言い始めやがった」

「俺の才能を受け継いでいるであろうその子を立派な殺人拳の使い手に育ててやる…なんて言ってたけれど」

「実際は組織への忠誠心を試してたんだろうな」

って、軽く言ってるけれど、それってかなりヤバいんじゃないかな…?
わっきゅんパパの言う非合法な集団がどれほど巨大な組織なのか分からないけれど。
しかし、彼が一流と呼ぶだけの連中が丸々、敵になってしまったんだから。
まぁ、こうして普通に過ごしているって事は、大事なく切り抜けられたんだろうとは思うけれど…。


「で、俺にとって湧もアイツも新しい生き甲斐みたいなもんだったから」

「即答で断って、追っ手もぶっ飛ばしてきたんだが…それで終わるはずがない」

「俺が生きているか、或いは組織がなくならない限りは…連中は湧たちにちょっかいをかけてくるだろう」

「だが、俺はそんな下らない戦いにアイツらを巻き込みたくなくて」

「一人で決着をつけようと思って…家を出ようとしたんだ」

「だが……そこでアイツに見つかってしまってな」

「色々と説得しようとしたがアイツは首を縦に振らず」

「…結局、二人で組織を潰しに行く事になったんだよ」

京太郎「それは…」

それはつまり生まれたばかりのわっきゅんから両親を引き離すって事なんじゃないだろうか。
いや、勿論、彼らもそうしたくてそうした訳ではないのは分かっているし。
そうしなければいけない理由があったのも理解している。
でも、親と引き離されると言う言葉に一種のトラウマめいたものを抱いている俺にとって、それは複雑なもので…。


「…まぁ、お前の言いたい事も分かるよ」

「だが、生まれたばかりの湧を連れて行く訳にもいかなかったし…」

「それにこの家にいる限りは安心だとそう思ったんだ」

「当時はまだあのクソジジイ…湧の爺さんも現役バリバリだったしな」

「後ろ髪引かれる気持ちはあったが、俺達は爺さんに湧の事を任せて旅立った」

「で、組織をぶっ潰し、残党も掃除し終わったのが三年後」

「それまで一心不乱に戦いに明け暮れてた俺たちは久しぶりに日本に帰って来て、湧と再会したんだが…」

「…その頃にはもう言語の学習も終わってて、あの子はガッチガチの鹿児島弁を仕込まれてた」

京太郎「あー…」

だから、素のわっきゅんは鹿児島弁を使っちゃうのか。
わっきゅんパパやママが標準語使ってたから、少し疑問だったんだよな。
赤ん坊っていうのは身近にいる人たちの言葉から、第一言語を習得していくんだから。
標準語を使う両親とずっと一緒にいれば、彼女もまた標準語を話すようになっていたはずだ。
だが、実際の彼女は標準語を使おうとすると、どうしても辿々しくなってしまう訳で。
きっと子どもの頃、面倒を見ててくれた人たちが鹿児島弁を使っていたから、鹿児島弁の方を先に習得してしまったんだろう。


「まぁ…ガッチガチの鹿児島弁にちょっと驚きもしたが、湧は昔から人懐っこい子だったからな」

「どんな理由があろうとも…アイツを置いていった事には変わりがないのに」

「居場所がバレたら命の危険があるからと今まで連絡の一つも出来なかったのに」

「アイツは最初から俺たちの事をおっかはんおとっはんって呼んでくれたんだよ」

「…あの時は本当、嬉しかった」

「申し訳ない気持ちもあったけれど…でも、ソレ以上に…あぁ帰って来たんだなって」

「成長した娘に父と呼ばれた瞬間、心の底からそう思えてさ」

「気づいたら泣きながら、アイツの事を抱きしめてた」

多分、それはわっきゅんと離れていた三年間が壮絶なものだったからなんだろうな。
正確な相手の規模までは分からないが、しかし、海外に行かなきゃいけないほど強大な組織である事は確かなんだ。
命の危険に晒されたのはきっと一度や二度ではないだろうし、山程の苦難が彼らの前に立ちはだかっていたはず。
それを乗り越え続けた三年間は…きっと大変だったなんて言う軽い言葉では片付けられないものなんだろう。

「まぁ、そういう訳だから、俺達は今までの分を取り返そうと色々と頑張った」

「極力、湧の側にいたし、湧と遊んだし、湧を愛した」

「そんな俺達に湧も全力で応えてくれて…問題なく家族としての仲を修復出来たんだが…」

京太郎「何かあったんですか?」

今までの話だけでも波乱万丈と言う言葉に足るものだったと思う。
多分、彼が自伝を書けば、小説として世に受け入れられるんじゃないかとそう思うくらいに。
だが、わっきゅんパパの口振りは、まだまだ問題が残っていたとそう示すもので。
正直、先を聞くのが怖いが…しかし、ここまで聞いた以上、引き返す事など出来るはずもない。
一体、彼らの身に何があったのか、最後まで聞かせて貰おう。


「まだ組織の残党が残ってた可能性もあったから、俺たちはあの子を自分たちの手元に置いておきたかった」

「とは言え、無闇矢鱈と縛り付けようとした訳じゃない」

「湧自身、俺達と離れたがらなかったし、何より、あの子は俺と同じで身体を鍛えるのが好きな子だったから」

「幼稚園や保育園に行くよりも、俺達と一緒に鍛錬している方が良いってそう言ってくれた」

「だから、俺たちは湧を幼稚園や保育園に預けず、手元で勉強を教える事にしたんだが」

「…その所為であの子は友達と呼べる相手を近くに作る事が出来なかった」

「それがどれほど残酷な事だったのか俺達が思い知ったのは…あの子が小学校にあがってから」

「小学校であの子が虐められている事を知ってからだったんだよ」

京太郎「…え?」

「当時のあの子は今よりもずっと酷い鹿児島訛りでな」

「同じ鹿児島に住んでいる子ども達でも、中々、分からないくらいだったんだよ」

「で、あの年頃のガキってのは自分とちょっとでも違うとちょっかい出したくなるもんらしくてな」

「湧の事を爺さんみたいな話し方だと誂った事から始まって」

「どんどんあの子は孤立し、イジメられていったんだよ」

一見、淡々と語っているようなその言葉の裏には…未だふつふつと燃え上がる怒りの色があった。
彼にとって愛娘は自分の人生を変えたキッカケでもあり、帰るべき場所でもあったんだから。
そんなわっきゅんを下らない理由で傷つけられたとなれば、激怒するのも当然の事。
きっと俺が彼の立場であっても、その怒りは容易く忘れられるものじゃない。
実際、話を聞いているだけの俺も加害者達に対して、ムカムカとした気持ちが湧き上がってくるからな。


「…それに俺たちは気づいてやる事が出来なかった」

「俺達に迷惑を掛けまいとあの子はずっと隠していて」

「…さりとて、その窮地を助けてくれる友達も、相談できる相手もおらず」

「俺達が気づいた頃には、あの子は学校に行こうとしても行けない状態になってた」

なにせ、それは今も完全に解決した訳じゃないんだ。
わっきゅんが本当の自分と言うものを中々、人前に出せないのは、きっとその時のトラウマが残っているからこそ。
クラスメイトに言葉遣いを論われ、イジメられた経験は、今も彼女の心を縛っている。
あれほど人懐っこく、明るい少女が、学校では大人しいとそう思われているのも間違いなく、それが原因なんだろう。
…そう思うとムカムカが怒りに近いものになっていくけれど。

「まぁ、虐めてたガキどもにはしっかり焼きは入れておいたが」

「だからと言って…心まで治る訳じゃない」

「あの子が俺たち以外の相手と話せるようになったのも数年前」

「それまでは知らない人の前に立つだけで泣き出しそうになるくらいだった」

「石戸のところの明星ちゃんが湧の事を気にかけて、色々と働きかけてくれなかったら」

「もしかしたら今も学校に行けてなかったかもしれない」

だが、それは過去の話だ。
加害者たちに対してわっきゅんパパが何をやったのかは知らないけれど。
これだけ娘を溺愛しているわっきゅんパパがそう簡単に許すはずがない。
間違いなく、犯した罪に足る償いや贖いはさせたはずだ。
ならば、俺がここでするべきは、加害者たちに対する怒りを燃やす事じゃない。
こうしてわっきゅんパパに教えてもらった情報を、これからどう活かすかだろう。


「…京太郎、俺は最低の父親だ」

「昔、てめぇが好き勝手やってた代償を全部、娘に背負わせて」

「あの子の心が限界になるまでイジメの事にも気づかなかったクズだ」

「…だが、それでも俺は湧の事を心から愛してる」

「あの子が幸せになるなら…命だって惜しくはない」

「…だから、頼むぜ」

「あの子の事を幸せにしてやってくれ」

「俺があの子に重いもん背負わせてしまった分、支えてやって欲しい」

京太郎「はい」

そう言葉を結ぶわっきゅんパパに、異論など返すはずがなかった。
元々、俺はわっきゅんの事が大事で…そしてその気持ちは今、さらに強まっているんだから。
これからもわっきゅんの事を支えて、幸せにしてあげたい。
そう心から思う俺は、彼の前で力強く頷いて。


「……話は以上だ」

「今日は泊まっていくんだろう?」

「こっちはもう良いから風呂にでも入って来い」

京太郎「一番風呂なんて貰っちゃって良いんですか?」

「俺はもう入ってるから問題はない」

…入ったって、それって何時の事なんだろうか。
流石に昨日からずっと同じ湯を貯め続けてるって訳じゃないだろうし…。
まさかわっきゅんパパへのオシオキって搾精の類で…その後、身体を綺麗にする為に風呂に入ったとか?
……い、いや、流石にそれはないよな、うん。
ここまで聞いた話、わっきゅんママはかなりの肉食らしいけれど。
まさか大の男がガチで怯えるほど搾り取ったりはしないだろう         多分。

京太郎「(ま、まぁ、それはさておき)」

京太郎「分かりました。では、お先に頂きます」スク

「あぁ。それと…」

京太郎「え?」

今、大事なのは家長である彼から譲られた風呂に入る事。
そう思って立ち上がった瞬間、わっきゅんパパの付け加えるような言葉が聞こえた。
それに視線を動かせば、気まずさと迷いが入り混じったような表情が目に入ってくる。
だが、さっきまでのわっきゅんパパは酒の勢いを借りたとは言え、スラスラと自身の半生を話してきたんだ。
なのに、今更、こんな風に躊躇われると何を言われるのかちょっと不安になってしまう。


「…十曽の女は例外なく一途で…尚且つ愛が重いタイプだ」

「さっき運命だとアレが言っていたが…十曽の女は大抵、それを信じてる」

「つまり生半可な事じゃ諦めたりしないし、障害に対しても燃え上がるタイプが多い」

「…だから、一応、気をつけろ」

「十曽は良い女は多いが…その分、ハマったら二度と出られない泥沼のような連中だからな」

それってつまり、これから出会う十曽の女性に対して警戒しろって事なんだろうか。
そうやって忠告してくれるのは有り難いけれど、でも、それ警戒しようがないような気がするんだよなぁ。
わっきゅんパパの例を見る限り、十曽の女性は一目惚れがほとんどのようだし。
出会って一日で関節外されて逆レだなんて警戒してどうにかなるようなもんじゃないだろう。
出来る対策と言えば、十曽家の女性に惚れられない事を祈るくらいじゃないかなぁ…。

京太郎「分かりました。忠告感謝します」

「…ん」

とは言え、折角、俺に対して忠告してくれたんだ。
活かすのは正直、難しいと思うけれど、その気持ちは有りがたく受け取っておこう。
そう思って感謝の言葉を告げた俺に、わっきゅんパパはもう何も言わなかった。
短く言葉を漏らした後、その視線をビール瓶の方へと向けている。
きっと本当に話すべき事は全て話し終わってしまったのだろう。


京太郎「それじゃ、また後で」

そんなわっきゅんパパに掛けた言葉に、返事は帰って来なかった。
…ただ、それは彼が俺の言葉を無視した訳ではないんだろう。
居間から出る瞬間に見えた彼の頬は若干、赤くなっていたんだから。
でも、それはきっと酔っているからじゃないよな。
結局、彼が口に運んだビールは1杯だけなんだから。
きっと自分の過去からわっきゅんへの想いまで、赤裸々に語ってくれた反動がやってきてしまったんだろう。

京太郎「(…まぁ、仲良くなれる…と言うのにはこれまで色々と有り過ぎたけれど)」

でも、こうやって彼の方から大きく歩み寄る態度を見せてくれたんだ。
それに応えないのは、男として、わっきゅんの友人として、あまりにも格好悪い。
勿論、これからもわっきゅんパパとは色々とあるだろうし、今日以上の無理難題を押し付けられるかもしれないが…。
それに対抗するように意地を張ったり、険悪になったりしないようにしよう。
そう気持ちを新たにしながら、俺は風呂場へと向かって ――


………


……




ってところで今日は終わりです
何かわっきゅんパパがこのまま疾走し、わっきゅん達にかつて両親が潰した組織の残党が刺客を差し向ける…なんて展開がありそうですが
わっきゅんメインルートを進んでいないこのスレでは、わっきゅんパパは疾走しません(´・ω・`)そしてわっきゅんのヒロイン回はもうちょっとだけ続くんじゃよ

おつー
これは襲われるかな...


このわっきゅんパパとの長い話し合いの間、わっきゅんママがいろいろと仕込んでるんだろうなあ
わっきゅんパパが疾走?決闘疾走かな?

わっきゅんママが一目惚れなだけで十曽の女が全員運命の相手には必ず一目惚れするとは言ってないんだけど、京太郎はその辺分かってないようだね
これは関節全部外されて逆レコースかなぁ...。パウチカムイ辺りをコピーして関節を戻すくらいしか未遂に終わらす方法なさそうだけど

乙です
次回は間違いなく逆レ……

哲学する柔術家とか裏ムエタイ界の死神とかが顔を覗かせたような話だったなぁ

喧嘩百段かな?

>>33
生理周期くらいコントロール出来ないと一流の武術家とは言えないですしね(錯乱)
まぁ、でも、確実に一発で孕む術とかは十曽に伝わってもおかしくありませんよね
相手が既婚者でも全力でNTRに行くのが十曽なので(´・ω・`)多分、十曽流房中術なんかもあります

>>34
これも所謂、一つのギャップ萌えですね!!!
妻や娘の方も蔑ろにするんじゃなくちゃんと愛情があるのが好きです(´・ω・`)

>>35>>158>>159
条件さえ満たせば、自分で再現可能な技を全コピー出来るのがここの京ちゃんですしねー
でも、梁山泊はわざと条件満たしてコピーなんて甘い事やらせてくれないでしょうし
何より、条件満たしてもスペック的に使うのが難しい技が多そうなんで、結局、原作通り一から十まで扱かれまくる気がします
まぁ、わっきゅんメインルートだと、昔のわっきゅんパパの知り合いがあちこちから出てきて鍛えてくれる展開になりそうですが
今回はわっきゅんメインルートではないので血腥い展開になったりはしません(´・ω・`)タブンネ

>>36
申し訳ないが少年誌でガチ勃起した人はNG
銀魂のパパも格好良いですよねー
某ボス戦での頼もしさはガチだと思います

>>38>>153>>156>>157
何を考えているのか知りませんがここはKENZENなスレです><
当然、逆レなんてあるはずないじゃないですかーやだなー(棒読み)
後、すっげぇ分かりにくいですが、京ちゃんはあくまでも自分で再現可能な技しかコピー出来ません
パウチカムイはコピーしても、カムイ本体との縁がなく、また格納も出来ないので呼べません(´・ω・`)つまりわっきゅんがその気になるとヌプヌプされます

>>39
予想と違ってごめんなさい(´・ω・`)折角だし伏線として出してた熊殺しのネタを入れたかったんや
そして、どうしてこんなにKENZENなスレでムスコがお世話になるような事があるのか
これが分からない(目そらし)

>>42>>43>>46>>47
まだ自スレで良かったと言えば、良かったんですけどね…
他のスレに誤爆した時はホントマジで顔から血の気が引きますし…(´・ω・`)おのれJaneの調子が悪くなって再起動さえしなければ…

>>44>>45
巴さんのも書きたかったんですが、ちょっと時間ががががが
おでんスレが予想以上に長引いたのとリアルが残業山盛りになったので…(´・ω・`)書き溜め進めるので精一杯でしたの

>>48
穏乃の身体能力から考えると、京ちゃんがそれ以上でもおかしくはないんですよねー
まぁ、流石に鷲巣様みたく空は飛べません    まだ

>>154
多分、嫁と娘の為に最高に高めたフィールで最強の力を手に入れようとするんでしょう(目そらし)
仕込むって言葉がやたらと意味深に聞こえますが、その辺はきっと次回分かると思います(ゲス顔)

なんだろうな。もう十曽湧っていうキャラがここのわっきゅんでないと違和感感じるレベルだ
明星はまぁ大概こんな感じだろう感はあるっちゃあるけど、わっきゅんとか見た目に似合わずっていう所が多々あるっていうか。それなのに他のssで湧ちゃんがわっきゅんのキャラじゃなかったら首を傾げるのよね

ところでエロ書きたかったら小ネタで書いてもええんやで?

俺は逆に十曽湧とわっきゅんが完全に別人になってる
なんというか顔とかガワが一致しない

HAHAHAナニを想像させる様に調教した人がなんか言ってるよー

この調子じゃあ童貞はわっきゃんのものやね
はるると明星ですら振り払えないんじゃわっきゅんは無理(物理的な意味で)

>>161>>162
このスレのわっきゅんでないと違和感を感じるのも、このスレのわっきゅんと湧ちゃんが一致しないの
どっちもスレをやってる側としてはとても有り難いと思います
それだけこのスレのわっきゅんに入れ込んでくれているって事でしょうしね
正直、安易に方言キャラとかにして本当に良かったのかと思うところもあるのでそう言ってくださると嬉しいです
またエロは書きたいんですが、今はちょっと時間がー…(´・ω・`)やるとしたらはっちゃんとのなし崩しックスになると思いますが

>>163
調教だなんていやらしい…
それはさておき、そういう風になるのって素質がなければダメだと思うんですよね!(´・ω・`)つまり私は悪く無い

>>164
やだなーこのスレはKENZENなスレなんですから、童貞云々なんて話になる訳ないじゃないですかー
ましてや性的な意味で捕食される展開なんてありませんよ(目そらし)
そういう展開やれるなら、多分、京ちゃんははるるに三回は捕食されてますしね!!!

しかし、最近、ヒロインと京ちゃんのイチャイチャばっかり書いてるので男友達との馬鹿な話とかもやりたいんですよねー…


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           l   `ヽ、 f ヽ、`ヽ、  `ヽ、  l           / !
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           }二二匁≡⊃><ヲ‐≠ォ{! ./´  \
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男友達枠はこいつらで京ちゃんと合わせて三馬鹿扱いされるとかー


            _,...---、_,.、

           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`
      /:::..     |  ,. _/            おっぱいの大きい年上のお姉さんが最高に決まってんだろおおおおお!!!!
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
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             ル |: i: :ハ:|___     -──-::レヘ; : :!: : :.:|:::..
               /: : |: |: :|     __ `    . ___  .::i : |: : : :!:::..
.            ハ: :.|: |: :l/ /辷ぅ ヽ V⌒V  辷ぅ > }. .; : : : !:::..
               }: |. lト={         /  ヽ       ノlノヽ: : :!:::..
                |: |:._|. ` ─── ´   i  ` ̄ ̄ ̄ ´  .::f⌒l:!:::..
             八l´ヽ                    ::/^.||:::..       死ね 変態
               | ハ                      .:ハ 儿:::..                              真顔で!?>京ちゃん
              \ ,                   .:/ /:::..
               ヽ_、         r ‐‐ ,      .:/7:::..
                      丶         ̄ ̄      .:, ':./:::..
                  \               .:/!: :{:::..
                     ルハ 、          .:/  |:八:::..
                        '. ` ー -‐  ´   |^ヽ:::..
                     r}         _ -‐´ \_:::..
                   _|  ̄ >< ̄ ̄´      〉\:::..

                     {三≧V___>=三}.   /   \:::..
                  /)三三{三三{三三三}  /      \:::..
                 / (三三.人三_人三三ノ/            \:::..


     _ / ,  / //|     , | ,:  |  V  :.
     ` ̄ /  ' | |∧ |  / },l --|   |   |
       /,イ  { |-- 从 / /,ィrtォ、 , |   |
       /  ∧ |,ィtォ、∨ '  Vり {,イ /-、  }
      / イ{从{ Vり }/       |イ l) } 从
      ̄    Vr:l    '           //        つーか、小さいもの好きを公言してるお前にだけは変態って言われたくねぇ(真顔)
          l叭    _      r ' /

             、  `ー`    イ  {
             \      /  |∧」
                ` r‐ ´「 ̄ ̄ ̄}
              「 } |    |///// ∧
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    /イ  ! |: :|/リ ̄`         '"´爪 `ヽ }ニⅥ:i: :i::. : i: |
        |  |:‘, :,′  ,.==ミ  、__{   廴j  ノ   リⅥ.:i,.- 、:.′
        |  |: :Ⅳ/ 〃 ,爪  }´  ゝ----- '"       リ'"/ヽ}′
.     //.l .!={ `ヽ ゝ'’/ ,              ! 、 │
.      /'′ Ⅵ:ヘ`ー― ´                   /_: /
         リヽハ                       ,ノ         は?????
          │'.             、         厂:./                     ごめんなさい、俺が悪かったです>京ちゃん
              \!      ,,<¨¨¨ア ′      イ: : :′
              '.       ̄ ̄         /イ: :ハ{
                 \              /  |:./ l|
                  丶            /   │|
                 ` 、.. __ ..   ´     |lリ
                   |       ,.    ´ ̄ ̄'
                   |      ´        '.
                  _,.|  /            ,.\
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         |l:.ハ.:.ヽヽ',:.:.ヽヽヒエ才‐ヽ  ',  l:.:.||.|
         |l:{ }:.:.|.ヽ_:.ト.:.ヽヽ      . > ノ.:.l                    シスコンにだけは言われたくない>>二人
        / |l ヽ.||:ヽ:.|ヽ:.:.ヽ\  、 ..-‐'/ヽ:.| `

          ヽ }|:.:.:.',ヽ`ヽ:.', 、   '¨, 'ヽ.{ ヽ                  
           ´ l:.|:ノヾ、___.ヽ  >‐-':.|  ヽ
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    _ , -‐ ´ : : : : : (ノ`=´: :} }--‐‐} } 丱: : : : : : : : :  ̄l¨}       ',        ,'ヘ
 _ - ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |: : : : : | |: : : : : : : : : : : : : |: :l        ヽ、____ノ 〈
r' : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| | : : : : : | |: : : : : : : : : : : : ,': /        ヽ`ヽ── '´イ
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',: : : : : ヽ : : : : : : : : : ._ , ----' 」 : : : : : ヽニニニニニヲ: : :|:/        /\\\_ イ、
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.::/ \メ、 `¨¨¨´  v.:::イ   ゝ一ァ' /.::/  _xkァ==イ::::ムミ

:/  ` `三≡==一zl.:/     / //  >'"´ _   _」:/
′      ‐ ==ァ斗 ´        /L_ イ    {{℃fL}{}
          |          /   ヽ、ヽ、  `¨¨¨|l ,ィ/              だから、シスコンじゃないと言っているだろう!!!
、         {               \ `≧xz={彡イ:
::ヽ         |   、             `   `≧´.::::
\l                       ー==ニ二:::__::,:::::
          /` ‐-  _               /.::::::
         ハ、      `丶、           /.::::::::::::
',       ∧_」三三ニ=‐ .、 ハ        /.::::::::::::::::::

∧      /三三三三三==三L」        //.::::::::::::/.::
/∧    /三三三三/       l     /イ.:::::::::::::/.:::::



みたいな

そんなコミュ力お化けの京ちゃんと頭脳お化けのルルと肉体お化けのかたなし君が適当にぬるーい感じで青春を送るスレを誰か立てて下さい(´・ω・`)

後はー



                         ヾミミ\ \
                       ヾミミ\ \
                           ヾミミ\ \
             (   ,.-=-、         ヾミミ\ \
  _    、     ,. `ニ'⌒`ヾヽ.         ヾミミ\ \
',´‐-ヽ、 ヾ、._,,..-‐=二三ニ≧-丶.       ヾミミ\_,.\__
メ,._`ヾ、(`ヽ ,. '"彡三三三ニニ\  ( _,,....,.ィ'州州州州li;,、

、ノ⌒≧ヾ`ニニ彡,/〃 {'r'"-=三ニ\._,ゝ,..','州州州州州州州、
,.'",.ニ=--,.ニ三彡'ノ'r‐=、’ ,ゝ、,ゝ二三三三;'州i"i' }! 〃-ー=;州州

〃/,.-‐,=ニ‐-、\==- ̄≧_、¬-<,.==ニニリ/l,トl!./!{!  l,.}!-!il!州}、
  (_,.;'.,.-=二ニ≧<"r≦三三ニ==二ニニ,'/"´゙__、,,,..''",,..-川!州\
¬、(_,.〃 /⌒ヾ、_ヾ=ーゝ._((ー_,,(,,...-=ニニ_!l!/7///};;' ,,,.ニ{!|;ヽ}lミミ\

‐-.._ー=_ノ;、-―-、ー==ー二二三三三二ニl ヾ//ノ;;' ''´`’ l込゙ムヽミミ\            この人が本能寺の後
≧二二三ニニ三三二ニニ二三三三三ニニヒー ';;;;' ヽ _ヽ'州州ソミ;< ̄\‐-、
ニ=‐¬气二二三三二二二三三三二>Vヾ,li';ヽ.__''ー ,. ィノ/州州il!.ヾミミ\ \ .ヽ 、

;"ヽ ノリ ('" '" ̄ラ彡彡ニ==>"〃{('、{!ー'l 'li,` ̄^~、;ヾ´州州州、,ヾミ゙\ \   \ヽ、_
  ̄"´  ``   /〃// (,.'"´ ,.イ{!'   !ノj /リ l! ";巛;ゞ゙ / ,.l!l i゙}!l州i,゙ヽ,ヾミ゙\ \/,`ヽ   ̄'"` 、
,..=-...ゝ、_`ー;"ノ'/,イヽ/ .、  `{.リ、l、ノ { .ノ l l!ヽ 、  ,.' / !;}ノ,'リ州ilゝ=.,,ヽミ゙\  .l  l、、ー---―
'",.''" ̄ゝ-‐二ニ,.イ'" ̄_ヽ ,ノイ丶  .!.{  .l` ゙、ヽ   ' ./' ,l(;"))州ヽ._  ヽミ゙\ l._,i. ヽ.ヽ\
/ヾ、 ,./'//;'"./  ̄    .((、_`、  !  .∧ヽ\ヽ_,.,.ノ'/l!、_ノ州州州「l=-ヽミ゙\/  / } ヽl!
   (.{((../´         ヽ  :   .V   ∧  `! l ll !   .l!/ ,イ州i{ ノ,! /.  ヽミ.{  / ノヽl}
  _,.‐'"_           .ヽ. :   ∨  .∧. └|_|L!  l'!、{(州ili、ー゙l  ,'   ヽミー、_,.' /、ー-
''"   -―=-`ヽ、   、     .::i.;    ∨  .∧、    !  l,'! `ー)州) .!_,/-= __ヽミミ゙ー' \
     ̄二=‐-≧ 、_  ヽ、 /;:}      ∨  .∧ヽ  ゙,  !/!(`"〃' .l州州ヽ,.ノ  `ヽミミ\  \








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.  ′: : : : : : : : : : :|.: : : : : : : : : :.|: : : : : :ヽー'⌒
  |: : : : : i: : : : : i: :l: : : : :i: : : : : :l\ : : : : |
  |: : : : : |: : : : : |:∧: |: :.:l: : : : :.i:l⌒ヽ.: : :.|          この子に転生する話とか
  |: : : : : |: : : : : |匕Ⅵ: /ト、: : /从   |: : : |
  |: : : : 八: : : :.i:|:{   V ノ ∨ ,ィ   |: : : |
.  : : : : : : ヽ: : 从   _      ≠⌒ Ⅵ:/}
  \: : :{⌒\:.{  r==ミ    , ::::::::::Y
    乂: \r'     :::::::::::        uノ
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        _ヘr─ァ、ー ┬ 、 ≦-─、
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            |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|       おう、なんかえらい頑張ったのに無念の死を遂げて可哀想やな
              八:::::::::::::{ ̄ ̄ ̄ ̄}::::::::::::八      よっしゃ、いっちょおっちゃんが平和な異世界に連れてったるで!
               ヽ:::::::::ヘ       ノ::::::::ノ
            /:::::::::::::|i     il|:::::::::::::\
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.     ゚ ○    l:::::::::::::::::::|i     il|:::::::::::::::::::l
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        | |    l:::::::::::::::::::|i  ∩ il|::::::::::|::::|:::!  。   | |






   |ニニニ三三ム.    /三三三ム    /三三三三ム     /三三三ム
   |ニニニ三三仏  /三三三三ム  /三三三三三ム   /三三三三ム
   |ニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三

   |ニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
   |ニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
   |ニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
   |ニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
   |ニニニ三三三三三,r==、三三三三三三三三三三三三三,r==、三三
   |ニニニ三三三三三|::::::::|三三三三三三三三三三三三三|::::::::|三三         ただし、ワイTS好きやからTSしてな!!!!
   |ニニニ三三三三三|::::::::|三三三三三三三三三三三三三|::::::::|三三
   |ニニニ三三三三三|::::::::|三三三三三三三三三三三三三|::::::::|三三
   |ニニニ三三三三三 `ー"三三三三三三三三三三三三三 `ー"三三
   lニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三

    ‘,ニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
.    ‘,ニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
     ‘,ニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
       ‘,ニニニ三三三ヘ                           /三
        ‘,ニニニ三三三ヘ                      /三


               __,. : : : ¨¨¨¨: : : . 、
             ,. :´: : : : : : : : : : : : : : :`ヽ、
           /: ,: : : : : : : : : : /: : : : : : : : :\

            .': : :/: : :,: : /: :/: /: : : : : :.|: : 、: : :ヽ
          /: : :/: : :/: : ': : :': :i: : : |: ! : |: : : ,: : : : :.
         .': : : ': : :.:|:{: :|: : :|: :{: : : |、|:_/: :|: :|: |: : : ::.

         |: : : |: : :|:|_l,.ムイ}:/从: { }/ }`ヽ: : ,: \: :.
         |: : : {: : :^{从ィ笊ミ、 ∨ ,ィ笊ミ/}: /: : | \}
         |: : :∧: : | { ん::刈     ん:刈ムイ : : |
         |: : :{ \:、 r弋こソ    弋zソcl:.|、: :|          そんなこんなで強制的にTSさせられ異世界転生を経験する事になった魔王さま

            从: : 、 '  乂ノ:.:.:.    '   :.:.: |/ \:}
          Ⅵ、: ー: .、    ___     人  `
            乢: : :|  . (__,.---- 、_) イ
             从 :|  >  __.  ´
                  Ⅵ      |、
             /::::::\     ,::::\
            /:::::::::::::::::\___{::::::::::\



                   -=ニ二ニ          ニ二二二二二二二
                 二二二二  二二        二二ニ  ニ二二二

                     ニ二二二   ニ二  ニ二二ニ           ニ二二
                 ̄    ____       ̄ニ二二ニ  ニニ       二二
             ニ二ニ   ニ二二二二二ニ     二二ニ ニニ      二二
              ニ二         ┐  ̄ニ二二二二ニ=  ニ二 二ニ     二二
                    /::::/       ̄ニ二二二ニ  ニ   ニ    ニ二二
               /  /::::::::/...-―≠ニア{    ̄ニ二ニ  ニ二ニ     ニ二
                   /{ /::::::::::::::::::::::::::::::::-=<.. 二ニ  二ニ ニニニ ニ   ニ二
             二{::∨::::::::::::::::::::::::::::::::::-=く:::::\二ニ ニ二  二二二二  二ニニ
               二二〉::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\⌒    ニ   ニ二二ニ  二ニニ=
               二/:/:::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::\二ニ ニ   二二ニ   ニニ=
               /:::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.⌒丶ニ __二二二二ニ   ニ=
           ⌒i::|:::|:::::|::|:::::::::|:::|::::::::|::::::::: |::::::|乂__ /: :.:|二二ニニ   =
ニ             ニ二|::|:::|:::l:|::|::::l:l::|:::|::::::l:|::::l:::: |:l::l:| ̄/: : : : |二二ニニ     ニ         転生直後はこんな感じで尖ってた模様
二.            二|::|:::|:::l:|::l::::l:l::|:::l\从:::l:::: |:l::l:l/: : : : : :/二二ニ  二二二
ニニ            二|从:|::从八从乂{´廴}乂::::从劜: : : : : :./二二二二二ニ 二ニ=-
 ニニ.          二二)イ::圦     ,     ∧/----: : :__:_/二二二二二ニ  二二ニ=
   二ニ= =ニ二 ニ=  二}//> . - . イ:::::: : : : :/´ ̄∨ ̄ ̄\二ニニ    二二ニニ
=ニ二二ニ  二二二 ___∠{: : : : : :| ̄ _」::: : : : :./    l|     | |__     二二二ニ
  ニニニ   ニニニ //   ∧: : : : :.ー―.:: : : :/} ___ }   リ リ    =ニ二二二ニニ
   二ニ=  =ニニニ ノノ   \{ {\: : : :.  .: : :/ニ/ l/ ̄\__彡'--  、  \ニニニ=
=ニ二二ニ 二二 { {      ̄ハニ、:_:_,:.//ニニ/   |ニニニニニニニニニニニ二\   \ニニニ
二ニ  ニ二 二=/\   ___/二|`ー ‐┼┼≦___} -=ニ三三三三ニ=-  \   \二
ニニ   二二ニ/   / ̄ ̄ 二八   ,{三三三三三三三≫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`   \
ニニ  二  ´   /二ニ  =ニ二二}    \三ニ=- ̄{ ̄ ̄    =ニ二二ニ==   \
ニニ:/   /  二ニ ニニニニ|     \三三三ニ=- __    -=ニ二二二ニ
二/    /二ニ= =二 二二ニ _|     /≧=====┬=ニ三三三ニ=- ニニニニニニニ
. /   =ニニ二二  二二二ニニ/ {廴___/´  / ̄ ‘,     ___ .... . -――-
/ /ニニニ二二二二____. .: ::|  \     ___/  --- ‘,  /: : : : : : : :./::}:_:_:_/::
,/ニニニ:/ ̄ ̄/: : : : : /: : :人    ̄ ̄   /: :|: :\: : ̄: : : : : : : : : :/::/: : /::::::


               ,..  / ヽ ´⌒> 、

             /             \
            /      |  }!      \⌒
.           /  /   !   |   | ヽ   \
           /ィ  :|  \∧  | /| |! トー―
           | _|VT示r ∨j/示rx/ V(

            レ1(  弋,り   弋り {ソ V            __
             |/V{   ___   从|>ー―――r―――/ /         が、このコミュ力お化けに出会ったのが運の尽き
             ___/>、 V /  イ7   /     /――-、  \
          ___/   | | ー 77 /   /     /      ー―
         ノ  (    | |  / /    /     /
       /     \|   | | / /    /´ ̄ ̄ ̄
     /        !   ∨∨ /  /(
  _/\     /|/   ∨ / / /  ⌒ヽ
 ー  / \    / 人   〈 /  /       |
   し′     ̄  ,  >==≠  | /⌒ ト{_
             |    | |/    |/|   |::::}!
             |   \| {___/::/|   |::/




                                                  _ , 、

                                                /ィ--∨  :.- 、
                                              __/  , ,:   } l \
                                            ` ー-, | /{ { l  | |  .
                                             /_/  | / 从 :  ,-}/、 |l |
                                              /   从 -rォⅥ /rォ- }イ {
                                           _` ̄´ { {rI ゞ ,}' ゞ  } }∧
             ____                        Y {{ |Y }  从∧  _    八{
          ,. : :´: : : : : : : : :`: : . 、                        「l | || | | |    Ⅵ 、 ` ー` イ / '
       ,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : :`: : .、                    { ー '' ' | /^〉 「//}` ー ´r'-、
      /: : : : : : : : : : : : : : : : :、: : : \: : \___,             |       ' ノ_,」// |    |/()|
     ': : : : : : : : : : : : :|: : : :|: : |、-:、: : ヽ: :_:ヽ ̄             :.   /´ //////∧_ r '///>- 、
     /: : : : : : : : : : : : : :l: : : :|: : | ヽ} ヽ: :}: :、 `\               ∧ _人 イ///////∧-}//////////> 、
    .': : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : | ,イ、 }从: : 、              {//\___「///////// ∨////////////∧        最初は尖ってた第六天魔王も
    |: : : : : : : : : {: : : : : : :从:{\{ { r、 イ:{、:}\             |////()/}//////////{/////====/// //|        気にせず声をかけてくる京ちゃんに少しずつ心を許し
    {: : : : : : : : : :∨: : : : : : 、` ` : ヾ} 乂__                 ////// //////////(_)//////////|////|
   ,'|: : : : : : : : : : :∨: : : : : 、\  、   :.:.:.:.: {               ,'//////イ/////////////////////l|////|
   / ',: : : : : : : : : : {^\: : : : :\` :.:.:.:.:.:.    ;                ////////j//////////////////////|////|
    ∧: : : : : : : : : 乂 \:、_: :\  , ~~ ,            {////////{//////////////////////|////|
    {  、: : : : : : : r、: :  ̄「`\  ̄       ,            ∨//////イ////////////////////// ///∧
      \__: 、 ∨: 从   ::......___,..イ==- 、             マ//// |//////////(_)///////// {//////}
        `ー-_、\ }: : { \    / ̄´:::// `_ヽ::\             ̄   |/////////////////////,イ///// |
       と二二_ヽ ∨、:ミ    /:::::::::::// /  \::\            |/////////////////////} 〉/////|
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                               / / / 从   { 、\_ \ | ト、   、
                          / イ /  , { \ ∧ ´ \  | } /l }  |`\
                        _...-――-Ⅵ / 从- \ { ,ィ==从}/ イ_,ノ   ,
                     ,. : ´: : : : : : : :/ イ/ ∧ ィ= `     /'   , / /
                    /: : : : : : : : : : : : : : :/ イ从{   、          | ハ}
                  /: /: : :/: : : ,: : : : : : : : 、: : : :叭  v ― 、  ,  从{
                  .': /: : :/: : : /: : /: : : : : : }: : : : ::. \ `こ   /   |\            数年後にはこうなる模様
                  |: ': : :/: : : /: : /: : :イ: !: /: : : : :∧:、` r ´       !  、
                  {/: : : r-、/: : :/': / l: l , : ,:.|: : : : |:_\ :.     / |   ∨、
                 /} : : : { {^|: : /,{:/-- }: /,.イ: |: :.|: :.|/、  }     ,:   |    〉 \
                   /:イ 、: : 、 、: | 、__, /イ __,}:/: :.}、: |//\/       〉  /////\_
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   ___        ,:=''"/   .//:.:.|:.:.|ィ≠=、 !、:.:| z≠=、ハ:.:.i:.:.l/-―ァ    /   ノ
  (     ` ̄ ̄`ヽ.;-ノ    //:.:.:.:ト、;!b:;;;;: ! ヽi  b:;;;;::i ソ:/:./_:.:.:.:. ̄`ヽ//   /           第六天魔王と呼ばれた頃の気性は残しているが
  `ー-、__/    `      !\::.ム.! ー―'   ,  ┴--' ノ:/:ノ ):.:.rv‐/ /   / \_        自分のみ知った日本と違う現代社会に牙を抜かれた魔王さま
  ___ノ          ノ   )、ヽ:、 "" r―‐┐ "" !ナケ' ̄フ'/ / //   /、`ヽ、 `ヽ
 f        __       ∧ ,.へ iヽ! \  、___ノ   / / / // / / /   '"  ̄ヽ!__/
 `ー-----r‐'" i        r/ /   ,  |ノ!   `ー----ァ'"   / i! '"  / 〈  i         ̄  `ヽ
       \  ヽ     !_ノ _/__ノ ヽ、  \ /  /  !、  i    V   、_    、____ノ
        )  | 、ヽ_,ノ、_/---、〈   `ーァ、___,、_/   !: : ̄ヽ,_/    `        )
        (_ノ  ソ  /:.: : : : : : _〉   ,,"   ゛、     ノ: : : :/       _`  /  (ヽ
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                 |: : /|: |ィ´斧ミ从: : ∧:{、 : : |:|\: : : :': : :.'
                 |: /イⅥ:{ 比::(_,   、{ ィ斧ミ:/:|:|: ヽ: /: : /
                 |'  |:/|、|弋zソ     ん::::(_ ∨:}: : :/: : /
                  |Ⅵ :.:.:.:  ,  弋こソ l/|: :イ: : ,

                    人   、     :.:.:. /: j' ,ノ/:/
                      、    ´    ム:イ-' /:イ         昔のうつけ呼ばわりされた時のポンコツさをあますところなく発揮する
                      / ::`:::-,--==≦「イ:/:イ
                    { {:::::::::∧  , -┴::::ヽ
                    | ∧:::::/ ノ /:::::::::::::::::::::\
                    | {:.:.、/¨/:::::::::::::::::_::::::::::\
                    | Ⅵ:{/::::::/´>----、\::::::
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                    { /、ノ、:.:.// __  . \}

                    /:.:.「   ´ {/ ̄ ̄\ |  |
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   ./:.:.:.:::::::::::. 'フ:.::::|:.:.:.:.:.:.:::.:.:.:.:::::.:.::::::::i.:.:.:.::::|:.:.:.:. '::::::|:.:.:.:.i::'| :: |':::.:.:」ィ芹丐:::Ⅵ|:.:.:: ∧:.://:.:.i          第六天魔王だからね、仕方ないね

   /:.:.::::::::. '´ /:.: :::∧:.:.:.:.:.:::.:.:.:.::::.:. :::.:: |.:.:.::::∧:.;.::′:::|:.:. /:: |':.:.x豕刋: 芍⌒マⅥ:.:::∧ V:.'i:.:. |
  ./:.::::. '´  ' :.:.:::/:∧:.:.:.:.:::.:.:.:::::.:.:::::: /|.:.:.::::':::V::;|::::::::|:.:/:::.:.:.:,狄i[_ o -i| :.:. }! |:::/ i i:. |:.: ′
 / . '´    .i:.:::::/i/ ∧:.:.::::::.:.:.::::.:.::: /:::|:.:.:.:.':::::∨|::::::::|:/:::::.:.:.:.:.:.汽,.  、汐:.:.: リ .|イ / /:.:.:|:.:′
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             .|:/:./ .|:.:.:.:. 厂:´ト、. ヽ            _..     /:/ |′
             .|':./  |:.:.:.:∧:. /|:.:`¨¨へ          '´      ./ iル′
             .|/'  |: / ∨: !、:.::/ |>o。_          /  .!-ー--  .._
           {.     |:./   ∨{. Y/ |:.:.:.:./i:.:¨7 T¨¨¨¨¨¨´    ^ー 、     ` ̄

尚、他にもかつての英雄が転生してきたりして、その子達の心をコミュ力お化けが癒してきた結果
正妻の座を争う大戦争へと発展し、宝具なんかが飛び交うスーパーオカルト大戦になるスレを誰か立てて下さい(´・ω・`)

境ホラ×咲クロスは私も考えた事ありますが、ぶっちゃけ一巻分が限界ですねー…
キャップ出したいけれど、二巻出すと明らかに男キャラが足りぬです(´・ω・`)いや、足りないところは原作そのままでも良いかもですが


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          ,. : :´: : : : : : : : :`: : . 、
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     ': : : : : : : : : : : : :|: : : :|: : |、-:、: : ヽ: :_:ヽ ̄

     /: : : : : : : : : : : : : :l: : : :|: : | ヽ} ヽ: :}: :、 `\
    .': : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : | ,イ、 }从: : 、
    |: : : : : : : : : {: : : : : : :从:{\{ { r、 イ:{、:}\
    {: : : : : : : : : :∨: : : : : : 、` ` : ヾ} 乂__            心というか魂は男なので、この気持ちは恋じゃないと言いはる咲ちゃん
   ,'|: : : : : : : : : : :∨: : : : : 、\  、   :.:.:.:.: {            勿論、お嫁さん発言も否定する
   / ',: : : : : : : : : : {^\: : : : :\` :.:.:.:.:.:.    ;
    ∧: : : : : : : : : 乂 \:、_: :\  , ~~ ,
    {  、: : : : : : : r、: :  ̄「`\  ̄       ,
      \__: 、 ∨: 从   ::......___,..イ==- 、

        `ー-_、\ }: : { \    / ̄´:::// `_ヽ::\
       と二二_ヽ ∨、:ミ    /:::::::::::// /  \::\

        /ィ-r、  }:::「'   _/:::::::::::/イ /    ∨:::::.
        ´ ,、 Ⅵ   ,:::|_/ /:::::::::://:,Ⅵ       ∨:::}
          ∧::、 ,:  Ⅵ、   /::::::::::/イ:/ 〉       ∨'




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       ,. ' ´:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.`  、
      /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.丶
     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶
    ,/:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i....:.................ヽ
    l:.:.:.:./:.:.:.:./:.:.:.,:.:.:.|:.:.:.:.:l.:..:i.:..:...:....:.....',
    li:.:.:.|:.:.:.:.:l:.:.:./l:.:./!:i:.:.i:ハ:.:|l:.l:.:.:.:l:.:.:...i           が、戦国時代では衆道とか普通だったし別におかしくはないよね
   |:.r‐!:l:.:.`iー/‐ァァT':.:/フTナiT´:.:.|:トi、|          と最近、自分の中で言い訳を見つけちゃう咲ちゃん

    {:.{ ‐N、:.:{r―r-r l/!'―r-i'|:.:.:,リ:リヽ!
    ヽ!ヽ _ `{. _ヒソ    _ヒソノ/イ:|
     `ヽ!ゝ ////////////j:i:/|ハ!
   ,∠_ ̄〈: :` こ__ー--_ュ,/く'
  i: : : :ヽ 、ヽ : : ヽ 丁:i : : i: :ハ

  |.: : : : :ヽi :ヽ: : : V: : |: : :}:/ : l
  {: : : : : : :} : : ヽ: /: : :l : : l': : : |
  ハ: : : : :ヽ! : : : V: : :/: : :/:/ : ヘ



何時か京ちゃんのAA使ったスレ立ててみたいな―と思って極力AA使ってみましたがやっぱ難しいですねー…(´・ω・`)AA探すの大変だわ
あ、それはさておき、明日投下します(小声)


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               . : : : : : : : : : : : : : `丶、
             / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
           . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\

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.            ,゙ : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\: : .
          | : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : :\: : :│ : : : : :、
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          |.: : : : : :│.: : : :/: : /: : : /|: : : |∧: i : : : :|.: : : :.\
          |: |: : : : : |: : : : :| : /|: : :/: : : :-匕厂 .: : :│  ̄ ̄
          |八 : : : :八: : : :|:斗匕/ / : /ァiケ7: : .ィリ
               丶: : {⌒、 : :代ケア]厶イ └'゙ 厶イ: | |         (わしは男 わしは男 わしは男 わしは男 わしは男…!)
               \乂__\| 、、     '  人: : 八j
             _/レく \     -‐ /  ]X
           厂\   /∧ >   _ イ   ノハ                 おーい、咲。そろそろ寝るぞー>京ちゃん
             /   \ /∧   {  │  /' /}‐┐
          /_.._   \/∧   {/ │ i∨  /⌒L,
            /   ─=ミ_ 丶∧   {/ | i7/ /   ノ∧
           ,゙       \ ∨\   } |_,厶 ≠ミ,   /∧
          ,゙         \廴.._>く⌒´      \ /∧
.          ;              \ \ \       У⌒^\
        |       `、       \_ハ  _      _,/    -<)
         |       `、   __,彡く__j/ `7⌒⌒|>'"´     〉
          |         `、      ∨   /〉    |    __,,,  〉
.        |    \     `、      /      |_,.. <〕  `'く|
.         |      丶    `、 ‐-=彡         |七´\ハ.    |




     /: : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : : ヽ
    /: : : :,: : : : : : : : : ://: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨: : : : : : : .
 _,. :´: : : : :/: : : : : : : :/:/ ': : : : : : : : : : : : : : : : | : : : : : : : : : ∨: : : : : : :.

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     /:,: : : : :,: / {  {∧: {: : : : : 从: : :| \{、: : :|: : : : : : ,: |: : : : : : :|

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      |: |: : : ': /|    --    \: : |           V: : : : : :': .' : : : : : : |
      {八: : :|:,: :},ィ≠≠ミ     \|  --      从: : : :/}/: : : : : : ,: |
      l  、 : |: V            ィ≠≠ミ、 / |: : : イ/⌒V: : : :/:/         はーい♥
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         人      __              _ イ:/

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、::....:ミ、:::\  \:i     ̄ """  .i /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.゙、:.:゙、、  /
:::\i::\メーヌ__           |_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:゙、:.:V`Y   /       TSした咲ちゃんにメスの顔晒させたい
..::::ナー--メf'´:::::::し、   `   ,ノ   |\ `ーr-、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.>、!__| i /
:\:::ヽー-|l、::.:.::::::.:.:} ,,,   ,    i  ヽ. i /\.:.:.:.:.:.:.|  \ !.|

、:::::\:`ー!、`ー--‐';;;;;;   ´    ノ    ヽ|  `ー-、_|_/>、_)
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 `ー-、::::`ーニ二ニー'<__´`ー-、 _..-┴‐┴'´:.:.:..:f-----、_`ヽ'

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              _____,ノi´ ̄`ヽ

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     _, -‐ ´.i.: ..:::::i:;イi:::|リiノ ソ;--、!::::ヽ     丶
_, -‐ ´ .     |..:.i::::i::イ::;ハ;ン   . :::: ヽ:i、|      \          昔は出来なかった熟睡を京ちゃんの前でだけ出来るようになった咲ちゃんが書きたい
        i:.:.|:i::゙、ヾ/:::::     _   }:|        i
     --―'.ノ:.;i:|\゙、      (´ ノ  /ヽ         ノ
::、         ー'リ::゙、::{'ヾ      U  /      , -‐ ´
 ゙、      /ノヽiヾー-‐'ヽ   -‐'゙、__,....--rrァ
゙、:::゙、.           ヾヾi´`ヽ     >、:.:.:.:.:.:|.|:ハヽ        /
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          /.   ゙、゙、i  \ ゙、       |/´
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               ゙、i    | ゙、   /
                 !i    iヽy'´
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             .': : : ' : : : / : /: :,: : イ: : :|: }: : |: : :|: : :∧
            , : : : |: : : / : /l: /: / }: : ,:.イ : /: }: :}: :!: : :.
             | : : : |: : /:{:_/_}ム/ / : /、_|:_/: /: /: :|: : : :.
             {: / : | : ィ´}//イ /}: / / }/`ヽ:イ: : ': : : : :
          〉,: :, {: : | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} : /:|\: : |

          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{           京ちゃんの事考えると自然と胸がモヤモヤして
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ           葛藤で胸が苦しくなるけれど、嫌いになれない咲ちゃんが書きたい

                ___/-'-'-- 、/〉「-、/ '
          ,.. <:::::::::::::::{======ミ`ヽ|〉::`::::...._
         /⌒\\:::::::/`ヽ:::::::::::∨, {::::::::::::::::::>-、

          {==、 {:\/   〈7 ー、{ ̄|:::::::::::://,ィ^.
            ,   \Ⅵ       /   | ,::::::::/イ:.:./  ∧
         {      `|  、      |_/= ´イ:.:.:,イ  /  }
         |     Ⅳ    \      | ̄´:.:.:.:/= }イ   |
         |    /     }    /-r  ´    |
         ∧   ,       |    /__」        ,    |
        {:::,   /       |   ,:.|:.:|      {
        L∧ /      /   /:.:|:.:..        |    |
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            ,′                       ;.
            /                         /
              / {         ニニ二三三二ニニ       /
          /  \     ニ二二三三三二二ニ    /  イ
            /\_ \ ___   ニニ二三三二ニニ   ∠ イ |         生前の経験から裏切りというものに敏感で
        /  ,ィ   ̄ ̄三三|:ニニ三王 三l 三|ニニニ= | | |         京ちゃん以外の相手を心から信じる事が出来ない咲ちゃんが書きたい
.        厶イ |  i  二| 三トニ二三ト、三ト、 ト、ニニ= | |/
         j  j从|  | |、 | | | ト、ニ王ニ{{ o }}ニ=  | !
                 |  ト、圦乂| 乂| \{ \| ヽ{ヽ{   イノ
                 乂_{ jハ               从イ/´
               -=ニ`ト .    -    .イ二ニ=‐- 、_
              r=ニ    =ニ二|`ト   _ . r |二ニ   ニ7 }ニ〉
             ハ マニ   ニ二ハ         !二ニ    / / /ヽ
.            / Vハ \     ニ二ハー-  -一 j二ニ   / / / ∧
            ′ \\\   ニ二ハ───‐/二ニ  //イ /
            |      \\\  二∧    /二ニ ///,/ ,/  1
            |   }八  {\\\ 二∧  /二 /// // ∧   |


                 ~~    ~~
                   -―――-    ~
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           .:::::::::::::::::::::::::::│::::::::::|\:::|\::::|:::::::::::::::::::::::. }
         } /::::::::::::::::::|::::: / | ::|:::::::ト- ::|--∨\ ::::::::::::::::| {
       { /::::::::::::::::::/|::::::|ノ|:八 ::::| _..斗-=ミ\| ::::::::::|::::|
      /::::::::::::::| :: /-匕-=ミ\|\|  〃⌒゙ヾⅥ :::::::: |::::|  }    生前、自分も浮気してたのに京ちゃんが他の女に目移りする事が許せなくて
        ̄ ̄ |::::::|::イ /〃⌒ヾ     {{    }} }|/| ::::::|::::|  {     さりとて束縛するような立場になれるほど開き直れないから
      {  |:: 八ハ{ {{   }}     ゞ==(⌒) | :: /:::::|       ついつい内側に溜め込んで涙目になっちゃう咲ちゃんが書きたい

       } |/|::: {. ハ (⌒)==''         ///  |/}:::::|
            |:::: ヽ_| ///              __,ノ :::::|  }
.          { レヘ::八     _.. ‐~‐-、   イ ::::::::::::/  {
           }   ∨个 .._ (_,,.. ‐~~' イヘ:::/|/∨
                 \|  _≧=一ァ  〔/⌒T:iT7ス
                r=Ti:i:i:i:i:i:7____/i:i:i:i:i:i:i/ ∧  }
               {  ∧i:i:i:i:i:i:i:i:|   /i:i:i:i:i:i:i/   / ∧ {
                } / {\/⌒)_∠二二/|    / ∧
              /  ゙T{  二(__ `ヽ        _ヽ
            /   ∨ハ.  {_  /     \/  _〉
.            { /\ _ |  ノ   _) 人._     |_/|/ }
              } \_____,|/  /i:i\     ̄ ̄`ヽ  j  {
             ∨ /   /|i:i:i:i:i|\            |
              /     /´|i:i:i:i:i|  丶 ... ______丿
               〈         Ⅵ:i:i|       |    }
              、___/    Ⅵ:i|       |   {





           / ̄ ̄\

            |  そ   |    -─-
            |  ん   |.:'´::::::::::::::::::::::::\
            |  な  |:::::::/{:::::ト、:::::::::::::::
            |   |   厶|:/ノ\トⅥ:::::::::::|
               \___乂V| ┃   ┃ V):::::リ       が、時間がないのと明らかにニッチな人向けなスレなのでやれない…
                  人  ヮ  ,ィ/|/
                   アTLチ\

                   /\_|/_/ハ
                     / Y ート-'7  |

TS純愛もっと流行れ……!!!(´・ω・`)

TS純愛良いよな
話がわかるじゃねえか

TSくっそ読みたいんですけど……

タイムスリップとトランスセクシャルをかけるとは大した奴だ……
やはり変態か

咲ちゃんだけじゃなく全員に様々な歴史上の人物が乗り移っていいのよ

転生TS純愛とか初めて聞いた……けどすごく良いです

豊臣秀吉→シズ(猿)
お市→照(魔王の血縁者)
太公望→誠子(釣り人)
ジャンヌダルク→菫(女騎士)
マリア→美穂子(聖母)
劉備→小蒔(仁の人、身内思い)
伊達政宗→もこ(独眼)

こんな感じか?

聖母(ただの浮気)と仁の人(よく考えると893)はNG

永水メンバーの中に卑弥呼がいそう

>>193
TS純愛良いですよね…(´・ω・`)TSした女の子は親友キャラやイケメンとラブラブチュッチュするべきなんだよ
輪姦やレイプとか痴漢プレイとかよりも愛される悦びに目覚めていく作品もっと増えて欲しい…

>>195>>197
かなりニッチな作品傾向なのに普通に受け入れられてて驚いたでござる
私も凄く書きたいんですが、時間が足りないのですよねー…(´・ω・`)リアルさん強敵すぐる

>>196>>198>>199>>200
そ、そうやろ?いやぁ、これ思いついた時は自分でも天才や思ったんや!(…言えない。そんなつもりはまったくなかっただなんて…!)
それはされおき、史実で人妻のキャラだとNTRっぽくて抵抗感があるのと、私も劉備→小蒔はちょっと違和感がありますねー
個人的には美穂子は火に飛び込んで悟りを開く一助になった例のウザギとかが似合うかなーと(´・ω・`)自己犠牲的な意味で
姫様は>>200さんがあげてくれている通り、シンプルに卑弥呼か壱与で良いと思います
他は特に異論ありませんと言うかぶっちゃけ咲ちゃん以外に思いつかなかったんで是非>>198を使わせて欲しいくらいです

と言いながら、ヒャッハー!本編投下だー!!!



………


……







京太郎「ふー…」

十曽家の風呂はお屋敷のものよりも狭かった。
しかし、だからと言って、十曽家の風呂が俺にとって窮屈な訳じゃない。
そもそもお屋敷の方が温泉として人を招けそうなほど広々としているだけなのだから。
一般家庭のモノよりは大分、広いし、十分に手足を伸ばしてゆっくりする事が出来る。

京太郎「(とは言え、あんまりのんびりはしていられないけれどな)」

お屋敷じゃ基本的に俺が最後だし、時間が許す限り、風呂を楽しむ事が出来る。
だが、ここはお屋敷じゃなくて、わっきゅんの実家なんだ。
何時もと同じ感覚でのんびりしてたら、他の人が風呂に入れない。
急いで身体を洗う必要はないが、普段よりも早めに切り上げた方が無難だろう。


湧「キョンキョン」

京太郎「って、わっきゅんか?」

湧「うん」

そんな事を考えながら、髪を洗ってる最中に、背後からわっきゅんの声が聞こえた。
俺の後ろにあるのは脱衣所の扉だけだし…きっとわっきゅんは今、脱衣所にいるんだろうな。
…でも、どうしてこのタイミングでわっきゅんが脱衣所にやって来たんだろうか。
さっきシャワーを浴びたばかりの彼女が、こうして脱衣所へやってくる理由なんてすぐさま思いつかない。

湧「着替え、こけ置いておくね」

京太郎「ありがとうな」

って、着替えの事、すっかり忘れてた。
屋敷じゃ脱衣所の中に浴衣が用意されてるからなぁ。
こっちでパジャマを準備して…なんて殆どなかったし、頭から抜け落ちてたぜ…。
まぁ、何はともあれ、わっきゅんがわざわざ着替えを用意してくれたんだし。
自分の間抜けさを嘆くよりもそれにお礼を言って。


湧「それと…」ガチャ

京太郎「…え?」

―― 瞬間、脱衣所の扉が開く音が聞こえた。

勿論、常識で考えればそんな事あるはずがない。
俺は今、入浴中で、浴室へと繋がる脱衣所には俺と話しているわっきゅんがいるのだから。
わっきゅんが入ってくるはずがなければ、彼女以外の誰かが入ってくる可能性もない。
だからこそ、完全に油断していた俺は驚きの声をあげながら振り返って。

京太郎「お、おぉ…」

瞬間、俺の口から漏れたのは感嘆とも驚きとも言い切れぬ微妙な声だった。
だが、それも仕方のない事だろう。
なにせ、振り返った俺の視界に飛び込んできたのは、正気を疑うほど布地の少ないマイクロビキニなのだから。
ほんの数センチ程度の布地で乳首や秘所を隠したそれはエロいと言うよりも痴女い。
少なくとも、こんな水着で海水浴やプールには絶対に行けないと思う。


京太郎「(しかも、それを着ているのがわっきゅんで…)」

こう言っちゃ何だがわっきゅんはかなり平坦な体型をしている。
くびれなんかは微かに見て取れるものの、胸の部分はまったく膨らみがない。
いっそ悲しくなるほど幼い身体を、今、マイクロビキニと呼ぶのも悩むような布だけが隠しているのだ。
健康的なわっきゅんの身体には似つかわしくない、背徳的な香りを感じ取ってしまうのも致し方無いだろう。

湧「え、えへへ。どう…かな?」モジ

京太郎「あ、うん。その…なんつーか…」

下手をすれば裸よりもエロいんじゃないかと思う水着になんと言えば良いのか。
勿論、俺だって馬鹿じゃないんだから、ここでわっきゅんが肯定的な意見を求めているのは分かっている。
だが、ここで下手に似合っているなどと言えば、彼女が人前でこんな水着を着るようになるかもしれないのだ。
わっきゅんの事を血の繋がらない妹のように思っている俺としては、それはどうしても見過ごせない。


湧「…似お-てない?」シュン

京太郎「い、いや、そんな事はないぞ」

京太郎「ただ、その…男としてはちょっと目のやり場に困るかなって…」

湧「…そや興奮するって事?」

京太郎「う…ま、まぁ…おおよそそんな感じだ」

湧「そ、そう…なんだ」テレテレ

だからこそ、遠回しに辞めた方が良いと伝えたいんだが…果たしてこれからどう言葉を繋げれば良いのか。
俺の言葉にわっきゅんは気恥ずかしそうにしながらも、決して嫌そうではないし。
あまり上からやめろと言ったら、嬉しそうな彼女に水を指してしまう事になる。
そう考えると…やはりここは男としての心理と危険性を説くのが一番だろうか。
わっきゅんだって決して物分りが悪い子じゃないし、恋人と二人っきりでもないのにでそんな水着を着るべきじゃないと分かってくれるはずだ。


京太郎「い、いや、でもな、嫁入り前の娘さんがそう簡単に肌を晒すべきじゃないだろ」

京太郎「わっきゅんの気持ちは嬉しいけれど、でも、そういうのはちょっとまずいというか…」

京太郎「わっきゅんの親父さんにもこんなところ見られちゃ誤解されるかもしれないしさ」

京太郎「早めに風呂に入りたいなら俺がもうあがるから」

湧「…ダメ」

瞬間、わっきゅんは唯一の出入り口を塞ぐようにその背中を扉へと預けた。
どうやら彼女はよっぽど俺と一緒にいたいらしい。
まぁ、俺もわっきゅんの事が好きだし、そこまで思ってくれるのは嬉しいんだけれど…。
でも、ちょっと動けば乳首がポロンと溢れだしそうなわっきゅんと一緒にいるのは流石に問題だと思う。
最近、禁欲続きな上、この前も結局、性欲が発散できなかったから…またケダモノのようになるかもしれないし…。

湧「あちきはキョンキョンのお手伝いに来たの」

京太郎「お手伝いって…?」

湧「ごて洗ったげる!」グッ

…でも、ここで逃げる選択肢はないよなぁ。
なんでマイクロビキニなのかと問い詰めたい気持ちもあるが、わっきゅんは俺の手伝いに来てくれたんだから。
俺の理性が心配だなんて理由で、その厚意を無碍に扱いたくはないし…。
何より、もしかしたら彼女に欲情するかもなんて言って、気まずくなりたくなかった。


京太郎「(以前、混浴した時は結構、キツかったからなぁ…)」

普段、人懐っこいわっきゅんから避けられ続けた数日間がどれほど居心地の悪いものだったか。
それを未だにアリアリと思い出せる俺にとって、選べる選択肢は一つだけ。
その危険性を意識しながらも、彼女の提案を受け入れる事だけだった。

湧「…ダメ?」

京太郎「いや、そんな事ないよ」

京太郎「折角だし、頼む」

…まぁ、危険性って言っても、俺が暴走したりしなければどうにかなる話だしな。
正直、性欲はかなり溜まってるが…相手はわっきゅんな訳だし。
俺の好みと真逆の体型をしている彼女相手に、そうそう間違いは起こらない。
俺がしっかりと欲望の手綱を握っていれば、最悪の事態にはならないだろう。


湧「じゃあ、しこね」シャワシャワ

京太郎「ん」

そう言いながら、わっきゅんは壁に取り付けられた棚から石鹸とスポンジを手にとった。
その両者をゆっくりと擦れ合わせる彼女の手から透明な泡が広がり始める。
丁寧に泡を作っていくその動きからは、わっきゅんがとても真剣である事が伝わってきた。
正直、その格好にはかなり面食らったが、俺の手伝いをしたいと言った気持ちは嘘じゃないんだろう。

湧「じゃあ、洗ってくよ」コシュコシュ

京太郎「おう」

そんな事を思ってる間にわっきゅんがそのスポンジを俺の背中に押し付けてきた。
そのままコシコシと動かされるスポンジの感触は正直、心地良い。
普段から気をつけて洗うようにしているが、そこはどうしても手が届きにくい場所だからなぁ。
他人に洗って貰えるのと自分で洗おうとするのでは天と地ほどの差がある。


湧「力加減はどう?」

京太郎「丁度、良いよ。ありがとうな」

湧「えへへ、気に入って貰えて良かった」

湧「いっもおとっはんの背中流しちょっからコレくらいかなーって思てたんじゃっどん」コシコシ

京太郎「あぁ。なるほど」

何より、わっきゅんの力加減は絶妙だった。
強すぎず弱すぎずと言う丁度、良い力で俺の背中を擦ってくれている。
多分、これも普段、わっきゅんがわっきゅんパパの背中を流してあげてくれているからなんだろうな。
わっきゅんが普通の女の子よりも身体を鍛えてるってだけじゃ、これだけ絶妙な力加減は発揮出来ないはずだ。

湧「…でも、こうして見っとキョンキョンの背中ってふてーね」

京太郎「ま、これでも男の子ですから」

京太郎「いざって時は隠れてくれて良いんだぜ?」

湧「ふふ。つんとあちきくらい隠れられそうじゃっどん」

湧「でも、あちきそげな弱え子じゃねよ」

湧「むしろ、いざって時はキョンキョンの前で戦うから」

京太郎「うーん…やっぱり男としては前は止めてほしいなぁ」

京太郎「せめて隣くらいにしといてくれないか?」

湧「と、隣…っ」カァァ

…ん?何で鏡越しに見えるわっきゅんの顔が赤くなっているんだろう。
もしかして、さっきの隣を人生のパートナー的な意味に捉えちゃったとか?
……いや、多分、それはないよな。
俺が初美さんと婚約している事は彼女も良く知っているし。
さっきはっきりと親愛以上のモノはないと言い切ったんだから、幾ら何でもそんな勘違いはしないはずだ。


湧「…で、でも、キョンキョンの隣って競争率高じゃっとよね」

京太郎「そうか?」

湧「少のとも、学校の人は結構、狙ろてると思もよ」

湧「特にもいっき三年生が卒業するし…」

京太郎「あー…」

もう二ヶ月後には卒業式が控えていて…小蒔さんも依子さんももうすぐ卒業だ。
自然、依子さんと結んだスールの契が無効になり、俺はある意味、フリーとなる。
そこから次の契を結ぶかどうかは人によるけれど…でも、依子さんの次を狙ってる人って言うのは少なからずいるんだろう。
既にそれらしいアプローチを下級生たちから受けていると言う自覚はあった。

京太郎「アレもどうしようかなぁ…」

京太郎「出来れば、スールの契なんて結ぶのはこれっきりにしたいんだが…」

ただ、それに応えるつもりというのは今の俺にはなかった。
俺が本当に女の子ならばともかく、彼女たちが見ている【須賀京子】は全て偽りなのだから。
今のまま契を結んだところで、相手をずっと騙し続けなければいけない。
それは正直、心傷む事であるし…。


京太郎「(…何より、俺にとって依子さんって特別なんだよなぁ)」

致し方ない理由とは言え、事情のある俺と契を結んでくれた人。
常に一生懸命な頑張り屋で、誰よりも自分に厳しくて、理想も芯もしっかりと持っていて。
『自立した女性』と言う言葉にピッタリと嵌まるその姿に、俺はとても好感を覚えていた。
その上、意外とお茶目なところもあり、たまに俺だけと甘えてきてくれるんだから…特別にならないはずない。
正直、『お姉さま』としての依子さんの存在が大きすぎて、他の子と契を結ぶなんて考えられなかった。

湧「むー…」ゴシゴシゴシ

京太郎「い、いてて。わっきゅん、ちょっとキツイ」

湧「知たんっ」プイ

…って考えてる最中にスポンジが潰れる勢いでゴシゴシと擦られたんだが…。
これはもしかしてわっきゅんといる時に依子さんの事を考えていたからなんだろうか。
女の子って特になんとも思ってない相手でも、自分と一緒にいる時に他の子の事考えられるのは嫌みたいだし。
今まで咲にも何度か注意されて来てたし気をつけるようにはしてたんだが…どうやらまたやってしまったらしい。


京太郎「と、ところで、わっきゅん」

湧「…何?」ジ

京太郎「そ、その…」

とは言え、ここでゴメンと謝ったところで機嫌が悪くなるのは確実だし。
出来れば、この雰囲気を有耶無耶に出来るようなキャッチーな話題を…とは思うんだけれど。
そんなもんそう簡単に出てくるなら、俺は今頃、きっとモテ街道を邁進していた事だろう。
…いや、まぁ、今も空前絶後のモテ期は来ているんだけれど、それまでが灰色過ぎたからなぁ。

京太郎「…わっきゅんの昔の事、聞いた」

湧「え?」

京太郎「どうして人見知りになってしまったのとか…そういうの」

湧「あ、あうぅぅ…」カァァ

まぁ、それはさておき…とりあえず今はわっきゅんに対して興味を持ってますよアピールが重要だろう。
真っ向から謝る事が出来ない以上、それが彼女の機嫌を治す一番の近道なんだから。
それに何より、彼女のことを他の人から聞いたのを隠しておくってのもどうかって気がするし。
ここは素直に胸の内を明かしておこう。


京太郎「勿論、話を聞いただけの俺じゃ…わっきゅんの気持ちを全部、分からないけれどさ」

京太郎「それでも、これまでわっきゅんがとても大変だった事くらいは分かってる」

京太郎「…だからって訳じゃないけれど、その…なんだ」

京太郎「………ありがとうな」

湧「え?」

京太郎「こうして俺と友達になってくれて」

京太郎「多分、わっきゅんの境遇からすれば、突然、屋敷に放り込まれた俺が怖くて仕方がなかっただろうに」

京太郎「それを乗り越えて、俺と仲良くなろうとしてくれてありがとう」

湧「…キョンキョン」

その言葉は決して誤魔化しなんかじゃない。
わっきゅんパパから聞いた彼女のトラウマは、俺が想像していた以上に辛いものだったんだから。
こうして俺と仲良くなるまでの間に、きっと多くの躊躇いがあったはずだ。
それを乗り越えて、俺と仲良くなりたいとそう言ってくれた彼女は凄いと思うし、有り難いと思う。
もし、わっきゅんが今も俺に対して身構えていたら、今ほどお屋敷のみんなと仲良くなる事は出来なかっただろうしな。


湧「……ご礼をゆーのはあちきの方だよ」

湧「しょちっ、いっばんさっ…あちきもキョンキョンの事、わっぜか怖かった」

湧「でも、いっどき暮らしちょっ間に、キョンキョンのたっが分かってきて…」

湧「きっとすっごく良か人なんだって…そう思たから」

湧「じゃっで、あちきも勇気を出す事が出来たんだよ」

正直、それは俺の事を過大評価しすぎだと思う。
俺は自分のことをそんなに良い奴だと思っちゃいないんだ。
嫉妬だってするし、下らない事で怒ったりもする。
仲間とそう呼んだ奴らから逃げ出した事もあるようなヘタレ野郎だ。
…だが、そんな俺を良い人だと評価してくれるわっきゅんの前で情けない事は言えない。
言ったところで、彼女に気を遣わせてしまうだけなのは目に見えているんだ。

湧「そいに…わっきゅんはわぜー格好良かった」

湧「色々とわっぜえなのはあちきも分かっちょっけれど…そよあちき達に見せんようにして」

湧「何時だって…誰かの為にいっぺこっぺで…ヒーローみたいじゃった」

京太郎「さ、流石にそれは持ち上げすぎだろ」

…と思ったけれど、流石にヒーローはこそばゆい。
実際の俺はヒーローどころか、状況に流されてばっかりなんだから。
その過程で誰かの事を助けた事までは否定しないが…それは人として当然の事。
ヒーローだなんて持ち上げられるほど大層な事はしていない。


湧「ううん。キョンキョンはヒーローだよ」

湧「すっのとも、あちきにとってはそう」

湧「じゃっで…あちきも…」ス

京太郎「…ん?」

そこでわっきゅんの言葉が唐突に止まった。
いや、止まったのは言葉だけじゃない。
さっきまでずっと動いていたスポンジも今、ピタリと止まっている。
まぁ、俺の背中はもう殆ど綺麗になったし、別にそれは問題ないのだけれど。
一体、わっきゅんの身に何かあったのだろうか?

湧「え、えと…失礼しまーす」スッ

京太郎「え…!?」

―― そう思った瞬間、わっきゅんはその身体を俺の横へと移動させた。

スルリと意識の隙間に入り込んでくるようなその動きに、俺はまったく対応出来なかった。
鏡越しにしか彼女の姿を捉えていなかったなど言い訳にもならない。
完全に油断していたところを突かれた俺の足をわっきゅんが軽々と乗り越える。
そのまま俺と鏡の間へと割り込む彼女に俺の身体はようやく声をあげて。


湧「わ、わぁ…」ゴク

京太郎「ちょ、ちょ、わっきゅん!?」

も、勿論、それだけなら特に問題はない。
これが事前に打ち合わせられていた混浴ならば、俺はここまで狼狽する事はなかっただろう。
だが、これは完全にサプライズであり…俺は水着の一つも準備出来ちゃいないのだ。
こうして俺の前へと回りこまれると当然、露出したムスコやらも見られてしまう…!

湧「な、なにこれ…ふてー…」ハァ

湧「黒ろてふとーて…わ…わぜぇ…」ジィ

京太郎「い、いやいやいやいやいやいや」カクシ

とりあえず反応した両手がムスコを隠したけれど…でも、完全に間に合ってないよなぁ。
ムスコに視線が突き刺さるほどガン見されてしまったし…そ、その上、大きいとまで言われて…。
元々、サイズにはちょっと自信はあるけれど…でも、今、こんな事言われるとちょっとドキドキしてしまう。
男としての象徴を女の子に褒められるのは男の夢同然だからなぁ…。


京太郎「ま、前は俺が洗うから」

湧「ダメだよ。そげなの」

湧「きゅはあちきがおきゃっさあじゃいキョンキョンにご奉仕するんじゃっで」

京太郎「も、もう十分、ご奉仕してくれてるって!」

京太郎「背中洗ってくれるのも気持ちよかったし、感謝してるよ…!」

湧「…そいでもまだ足(た)っしらんもん」ムゥ

京太郎「た、足りないって…?」

一体、何が足りないんだろうか。
正直、家族としてのスキンシップとしてはもう十分なくらいだと思うのだけれど。
でも、わっきゅんの不満そうな顔には嘘偽りは見当たらなくて…彼女は本当に不足を感じているのが伝わってくる。

湧「…キョンキョンにはひみっ」

湧「じゃっどん…あちきだって引けないじゆがあっと」

湧「…こんまま引き下がったらいっぺー、くけする」

湧「…じゃっで、お願い」

湧「前も洗わせて」

京太郎「ぅ……」

その上、彼女の言葉はとても真剣なものだった。
きっと本心からお願いしているであろう彼女に…俺も応えてあげたい。
しかし、ここではいと言った後に、俺が我慢出来る自信と言うのがないのだ。
目の前にマイクロビキニ姿のわっきゅんが立っていると言うのに…何時迄も勃起をコントロール出来ない。
きっと遠からず俺は彼女に醜態を晒してしまうだろう。


湧「…………仕方ない。じゃあ」スッ ヌリヌリ

京太郎「って、わっきゅん何を…!?」

そう迷ってる間にわっきゅんが壁面の棚にある乳白色のボトルを手に取った。
小さくボディソープと書かれたボトルを、わっきゅんは二度三度を押す。
そうやって出てきた白い粘液を彼女は躊躇いなく自分の身体に塗りたくっていった。
…その光景から凄い嫌な予感を感じるけれど、きっと俺の気のせいだよな。
幾ら、今日のわっきゅんが意外と押しが強い性格でも、流石にそこまでは… ――

湧「…キョンキョンがご奉仕させっくれんならむいやり押しきれっておっかはんがゆーちょった」

湧「あちきも…こや流石にげんねけれど…でも…」

湧「キョンキョンの為なら…あ、あ…あちきの胸で洗ったげる!」

ちょっとおおおおおおおおおおお!!!!!
わっきゅんママ、娘に一体、何を教えこんでるんだよ!!
これ完全にアウトな奴だって!!
娘に教えこんじゃいけないって言うか、普通の娘さんは知っちゃいけない類の知識だから!!!
いわゆる、ソーププレイじゃねぇか!!!!!


湧「おっかはんが男の人は皆、おなごん子のごてで洗って貰ろのが好きだってゆーちょったから…」

湧「こ、これならキョンキョンもオッケーしてくるっよね…?」モジ

アカン(アカン)
これ完全にわっきゅんママの事信じこんじゃってるわ…。
いや、まぁ…実際、ソーププレイは男のロマンだけれど!!
恋人に一度はやってほしいプレイ上位には入るだろうけれども!!!
だからって、ここではいと言うには、俺たちの関係は近すぎるんだよ…!!!

京太郎「(だからと言って…ここでダメだなんて言ったら…)」

湧「…」ジッ

…わっきゅんの目は思い詰めているのが伝わってくるものだった。
多分、ここでNOと返せば…きっと彼女は実力行使に出るだろう。
そして残念ながら…俺にそれを止める術はない。
身体能力はこっちの方が上ではあるものの、それではどうにもならないほど俺とわっきゅんの実力はかけ離れている。
もし、彼女が本気になったら、俺は為す術もなく、身体を洗われてしまう事だろう。


京太郎「…………分かった」

湧「ホント!?」パァ

京太郎「ただし…スポンジでな」

京太郎「流石に身体で洗うのは色々とヤバすぎるし」

京太郎「それと…股間部分は流石に勘弁してくれ」

京太郎「ソレ以外だったらもう何処を洗っても良いから」

湧「うんっ!」ニコー

…つまり、ここで俺に選べるのは、先に譲歩して条件を付け加える事だけ。
最悪の事態を防ぐ為、最悪の手前で事態を収拾する事だけなんだ。
そんな自分が情けないとは思うが…風呂に入ってしまった時点で俺はほぼ詰んでいた訳で。
パァと一気に晴れやかになったわっきゅんの笑顔を前に肩を落としてしまう。

湧「そいじゃあ、肩から行くね」

そんな肩にわっきゅんはスポンジをそっと押し付ける。
そのままコシコシと洗うその力加減は背中よりも幾分、優しいものだった。
背中は比較的感覚が鈍い部分だし、同じ力加減だと痛いかもしれないと判断してくれたんだろう。
その細やかな心遣いは勿論、嬉しいんだけれども…。


湧「~っ♪」

今のわっきゅんは俺の目の前に立ってる状態なんだよなぁ…。
俺がバスチェアに座っているのもあって、彼女の胸と俺の顔の距離があまりにも近すぎる。
正直、ペタンとした幼児体型のわっきゅんに欲情なんてしない…と言いたいところなんだけれど。
やはり健全な男子高校生としては間近に女性の胸があると思うとどうしても興奮を抑えきれない。

京太郎「(しかも、すっげぇ良い匂いするんだよなぁ…)」

多分、それはさっきわっきゅんが自分の体に塗りたくったボディソープの匂いじゃない。
甘いミルクのような香りは、ソレ以前から微かに漂ってきていたのだから。
男では到底、出せないであろうフェロモンのようなそれは…間違いなく彼女の体臭。
オスの本能を刺激するようなそれに俺は、呼吸を乱さないので精一杯だった。


京太郎「(お、落ち着け、俺。相手はわっきゅんだぞ」

京太郎「(お前は家族相手に欲情するつもりか…!!)」

そんな自分を抑えようとする言葉も、今は少し虚しかった。
俺がわっきゅんの事を家族だと言っているのは決して嘘じゃない。
だが、こうして俺の身体を洗う彼女は、普段、意識しない女らしさと言うのに溢れているんだ。
僅かにくびれた腰周りやなだらかなラインを描く腹部、意外と肉付きの良い太ももなどなど。
思いの外、女性らしいそれらが目の前に広がるその光景に、俺はどうしても目を奪われてしまう。

湧「はい。今度は腕をあるからねー♪」

京太郎「オネガイシマース」

結果、興奮を抑えるのに必死な俺と違い、わっきゅんはとても上機嫌だった。
今にも鼻歌を歌いそうな勢いで、俺の身体を洗ってくれている。
勿論、そんなに喜んでくれるのは俺も嬉しいけれど…正直なところ、健全な男子高校生にこの状況は辛い。
このままわっきゅんの事を見ていたら、性癖まで変わってしまいそうなだけに早く終わって欲しいと言うのが本音だった。


京太郎「(正直、自分でも贅沢な悩みだと思うけれどな)」

俺にとっては家族でしかないが、わっきゅんは紛れも無く美少女だ。
それも巨乳派の俺がコロっと言っちゃいそうなほど魅力に溢れている子なのである。
そんな子に身体を洗って貰えるなんて、きっと諭吉を複数人積まなきゃ受けられないサービスだろう。
だが、俺とわっきゅんの関係はあくまでも家族であり、決して手を出して良い相手じゃないんだ。
どれほど興奮しても一線を超えてはいけない状況と言うのは、男にとって針の筵に近いものだった。

湧「んっと…もうあるとこないかな?」

京太郎「あ、あぁ。もう大丈夫だと思うぞ」

湧「…そっかぁ」

だからこそ、俺にとってその時間は一時間以上にも感じられた。
和の能力まで持ちだして、勃起と鼻息のコントロールをし続けていたのだから。
一歩足を踏み外せば、わっきゅんとの関係が壊れかねなかったその時間に神経がささくれ立っているのが分かる。
だが、そんな生き地獄のような時間ももう終わり。
足の指までしっかりと洗われた俺に、彼女が洗えるところはもう残っていないんだ。


湧「残いも洗っちゃダメ?」チラ

京太郎「ダメ」

湧「…ぅー」ジィィ

京太郎「そんな目で見てもダメだ」

京太郎「最初からそういう約束だっただろ?」

湧「…はーい」

…まぁ、最初に約束したってだけだったら、別に譲歩してあげても良いんだけどさ。
でも、ここからさらにマイサンなんかを洗われると、流石に我慢出来なくなる。
幾ら能力を使っても、勃起は抑えきれないし、鼻息だって荒くなるだろう。
その時、わっきゅんとの間がどれほどぎこちなくなるかを思えば、ここはわっきゅんに甘い顔をするべきじゃない。

湧「…じゃあ、はい」

京太郎「おう。ありがとうな」スッ

そう思って彼女にはっきりとNOを突きつけた俺にスポンジが差し出された。
まだ泡が残っているそれを俺は右手で受け取る。
後はこれで残った部分…主にムスコ周りを洗えば、完了なのだけれど…。


湧「あちきはシャワー浴びっね」

京太郎「おー…うぉ…!?」

…だが、まだわっきゅんが俺の目の前にいる状態なんだよなぁ。
さっき彼女が自分の体に塗りたくったボディソープは未だ残っているし。
これから何をするにせよ、まずはそれをシャワーで洗い流したいんだろう。
それを理解しているのに、こうして驚きの声をあげてしまったのは…偏にわっきゅんの後ろ姿が原因だった。

京太郎「(こ、これもうほぼ紐じゃねぇか…!)」

正直、前もかなり際どかった。
ほんの少し運動すれば、色んなところがポロリしてしまいそうな布地の少なさなのだから。
が、それでも背面に比べればマシ…とそう思うのは、わっきゅんの背中に布などまったく見当たらなかったからこそ。
ぷりんとした可愛らしいお尻もその殆どを露出しており、紐がなければ裸と見間違いそうなくらいだった。


京太郎「(一体、こんな水着何処で買ってきたんだよ…)」

京太郎「(初美さんでも水着はもうちょっとマシだったぞ…)」ジィ

湧「…ん♪」ゾク

ん…?今、わっきゅんから変な声が聞こえたような…。
しかも、普段、彼女が口にしているものよりもずっと色っぽくて甘い声だった気がしたんだけれど…。
流石にそれは気のせいだよな。
今のわっきゅんは俺に背中を向けて、シャワーを浴びてるだけだし。
それだけで快楽を得ているような声を漏らすはずはない。

湧「……♥」フリフリ

京太郎「お…おぉ…」ゴク

って、思った瞬間、わっきゅんの腰が動き出して…!
右へ左へフリフリと、お尻に視線を引き付けるような動き……!
何時もならばともかく…能力を使ってなんとか興奮を抑えている今の俺にとって、それは目に毒だ。
谷間を開けばアナルまで見えてしまいそうなエロ水着と相まって、エロダンスにしか思えない…!!


京太郎「(お、おおおお落ち着け、俺!)」

京太郎「(これは…これは罠だ!!)」

京太郎「(罠じゃなくても…罠なんだ…!!!)」

多分、わっきゅんは俺に魅せつける為にこんな動きをしている訳じゃない。
シャワーを浴びて上機嫌になった身体が勝手に動いているだけなんだろう。
だからこそ、こんな風にガン見し続けていると、わっきゅんに対して失礼になってしまう。
そんな事は俺も分かっているのに…どうしても彼女のお尻から目を背けられない。
パソコンでエロ動画を見ている時のように視線がそっちに集中して…!!

湧「………ふふ♪キョンキョンのエッチ…♥」キュ

京太郎「うぐっ」

……それがようやく外れたのは、わっきゅんのシャワーが終わってからだった。
たっぷり数分ほどシャワーを浴びていた彼女は…俺の視線に気づいていたんだろう。
シャワーを止めながら、わっきゅんはポソリと言葉を漏らした。
俺の事をエッチだとそう呼ぶ言葉に軽蔑の色はないが、それでも強い気まずさを覚えてしまう。


湧「…あちきのしい、もちっと見ろごちゃっ?」

京太郎「え?」

湧「…キョンキョンなら…良かよ…♥」

湧「キョンキョンが見ろごちゃっなら…いっぺー、エッチな動きしてあぐっ…♪」ペロ

京太郎「っ」

そんな俺に振り返るわっきゅんの顔はとても嬉しそうなものだった。
まるで望外の喜びを得たようなその表情に、俺は思わず言葉を詰まらせる。
勿論…俺にだってわっきゅんの言葉が冗談だって事くらい分かっているんだ。
だが、自身の唇をペロリと舐める今のわっきゅんは、見惚れるほど艶っぽくて。
もしかしたら、彼女は本気なのかもしれないとそんな言葉が脳裏に浮かんでしまう。

京太郎「ず、ずっと見てたのは悪かったよ」

京太郎「でも、あんま誂わないでくれ」

京太郎「んな事言われちゃ…こっちも本気にしちまうだろ」

湧「…本気にして良かのに」

京太郎「俺がわっきゅんのお父さんに殺されちまうわ」

…正直、ここで頷いてしまいたい気持ちは俺の中で強かった。
いや、わっきゅん公認でさっきのようなエロダンスが見たいという気持ちは今も根強く俺の中に残っている。
それをなんとか理性でねじ伏せながら、俺はそっとわっきゅんから目を逸らした。
これ以上、彼女と話していたら、誘惑めいた冗談に負けてしまいそうだったから。


京太郎「それよりわっきゅんは…」

湧「せっかっじゃっでお風呂も入っていこうかなって」

湧「こん格好の所為もあって、ちっと冷えちゃったし」

京太郎「そ、そっか。じゃあ、先に入っててくれ」

湧「うん。そうする」

出来れば、そのまま出て行って欲しかったんだけれど…。
でも、もう冬を間近に控えた今、裸に近い姿でいるのは流石に冷えるだろうし。
何より、俺の身体を洗ってくれたわっきゅんを邪魔者のように外へと促すのはちょっとな。
ちょっと恥ずかしいが…とりあえず俺から離れてくれるだけで良しとしよう。

湧「はふぅー…♪」

京太郎「(まぁ…それでも距離は近いんだけれど)」

浴槽に浸かって心地良さそうな声を漏らすわっきゅんとの距離は恐らく1m弱程度。
その視線がバスタブの縁まで下がってる今、上から覗き込まれる…なんて事はないけれど。
でも、わっきゅんは目もかなり良いし、油断する訳にはいけない。
ここで気を抜いた結果、ムスコを見られてGWの再来…なんて笑うに笑えないからなぁ。


京太郎「(だからこそ…用心に用心を重ねて…)」

殆どわっきゅんが洗ってくれたお陰で、俺が洗うべき場所は本当に数えるほどしかない。
だが、そこは決して露出してはいけない恥部であり、俺にとっての最後の砦なのだ。
さっさとこの状況を終わらせてしまいたいという気持ちも抑えて…じっくりと攻めていこう。
わっきゅんが浴槽に浸かってる今、あんまり早く終わらせても手持ち無沙汰になるだけだしな。

湧「…ふふ」

京太郎「ど、どうした?」

湧「…キョンキョン、むぜ」クス

京太郎「えー…」

そう自分に言い聞かせながら慎重に身体を動かす俺に、微笑ましそうなわっきゅんの声が届いた。
クスリと小さく笑いながらのそれに俺は思わず不満気な声を漏らしてしまう。
勿論、それはわっきゅんなりの褒め言葉だと分かっているが、俺はもう大人に片足を突っ込んだ年頃の男なのだ。
可愛いなどと言われて喜べるような時期はもう十年近く前に過ぎ去っている


湧「あちきの事…そげん意識してくれてるんだもん」

湧「むぞ見ゆっのは当然だと思もな」

京太郎「当然…なのかなぁ?」

わっきゅんは当然と言うけれど、正直、あんまり分からない。
多分、男と女性じゃ、その辺は受け取り方が違うんだろう。
まぁ、何にせよ、ここで意識するのを辞めると大惨事を引き起こしかねない訳だし。
可愛いと言われたのは気になるが、慎重に身体を洗い続けよう。

湧「でも、そげんあちきの事気にせんじも良かよ」

湧「あちき、キョンキョンのならだいじょっじゃっで」

京太郎「…つっても俺が恥ずかしいし」

京太郎「それにGWの時、あんなにギクシャクしただろ」

湧「GWの時とは違ごよ」

湧「今はほんのこてだいじょっだもん」

…一体、どうしてそこまで自信を持って大丈夫と言えるのか。
俺にはあんまり分からないけれど…でも、きっと彼女の中で何かしらの変化があったんだろう。
それが気になる気持ちは俺にもあるが、あまり突っ込む気にはなれなかった。
ここでエロ画像を見まくって、チンポに慣れた…とか言われたら、卒倒しそうだしな…。


京太郎「(まぁ、それに何より)」

幾ら慎重に慎重を重ねても、俺に残された作業はほんの少しだけなんだから。
こうしてわっきゅんと話してる間に、その工程もほぼ終了してしまった。
後はシャワーを浴びて、泡を逃せば、後は浴槽に浸かってのんびりするだけ。
ちょっと面食らうようなイベントが多かった風呂も、そろそろ終わりに近づいている。

京太郎「ふー、さっぱりした」

湧「ふふ…キョンキョン、みごつなったね」

京太郎「おう。イケメンになっただろ?」ドヤァ

湧「うん。百点満点!」ニコ

京太郎「そ、そう持ち上げられると流石に恥ずかしいな」

ドヤ顔混じりの冗談をストレートに返されるのは恥ずかしい。
これが咲のように軽く流すニュアンスならばまだしも…わっきゅんは本気で俺の事をほめてくれているんだから。
心の底から俺の事を満点だとそう言ってくれる彼女が微笑ましいが、ソレ以上にくすぐったくて仕方がない。
まぁ、本気だからこそ、自己評価以上に持ち上げられても、決して嫌な気分になったりしないんだけれど…。


湧「はい」スッ

京太郎「…ん?」

…そんな事を考えてる間にわっきゅんが身体を移動させてる。
これってもしかして…その空いたスペースに俺が浸かれって事なのか?
い、いや、流石にそんな事はないよな。
今の俺は全裸な訳だし…下手に浸かろうとすると色々と見えてしまうんだ。
幾らわっきゅんでもそれを望んだりはしないだろう。

湧「キョンキョン、ここね」パシャパシャ

京太郎「ここね、じゃないです」

湧「えー…」

…と思いたかったんだが、どうやらわっきゅんは本気だったらしい。
水面をパシャパシャと叩きながら俺を誘った彼女はその顔に不満そうな色を浮かべた。
今にもその頬を膨らませそうな顔をしている辺り、かなり期待してくれていたのかもしれないけれど。
流石にその要望に応えてあげるには色々と障害が多すぎる。


京太郎「流石に全裸で女の子と混浴は拙いって」

湧「でも、キョンキョン、あちきの事、けねとしか思てないんでしょ?」

京太郎「そ、それはそうだけど…」

湧「じゃったら、混浴してもだいじょっ」

湧「あんちゃんと妹がいっどきお風呂にいっのとそう変わらんよ」

京太郎「子どもの頃はそれで良くても俺らの年頃でそれはまずいだろ…」

湧「ないごて?」

京太郎「どうしてって…ま、間違いとか色々…」

湧「キョンキョンはまっげを犯してくるっの?」

京太郎「う…」

だ、ダメだ、完全にわっきゅんのペースになってる。
このままじゃ彼女に押し切られてしまいそうだ。
そう分かってるのに…この状況を打開できる何かと言うのが俺には思い浮かばない。
襲われる側であるわっきゅんにここまで言われて尚、混浴を避けようとするのは彼女の言葉を肯定する事に繋がるし…。


湧「おとっはんとおっかはんの前であげんつよゆーたキョンキョンなら」

湧「ここで逃げ出すごちゃっせず、混浴してくるっよね?」ジィ

…その上、全てを有耶無耶にして逃げ出すと言う方法も封じられてしまった。
どうやら俺はわっきゅんとの混浴を避ける事が出来ないらしい。
その事実に肩が落ちそうになるのを堪えながら、俺はゆっくりと口を開いた。

京太郎「……あぁ、もう、分かったよ」

湧「えへへ」ニマー

京太郎「…ただし、流石に恥ずかしいから適当に壁のほう見ててくれ」

湧「うん。分かった」

そのまま俺が漏らす敗北宣言に、わっきゅんが嬉しそうな笑みを浮かべた。
勝ち誇るようなものではなく、ニコニコと心から嬉しそうなそれは微笑ましい。
ただ、普段と違って、こっちも笑顔になったりしないのは、俺にそんな余裕がないからだろう。
こうして敗北宣言をした今でも、俺の心の中に躊躇いと言うのは残っていたんだ。


京太郎「(…でも、わっきゅんは素直に言うことを聞いてくれている訳だし)」

俺の言葉にわっきゅんはそっと顔を背けて、背後の壁を見つめていた。
浴槽へと浸かる俺に極力、配慮しようとしているそれを見て、今更、逃げ出す気にはなれない。
どうしてかは分からないが、彼女は俺との混浴をとても楽しみにしてくれているようだし…。
ここは躊躇いに構わず、一気に浴槽へと入るべきだろう。

京太郎「っふぅ…」

とは言え、何事もアクシデントと言うものは存在する。
幾ら急いでいるからと言って、股間を無防備に晒す訳にはいかない。
そう思った俺は男の象徴を両手で隠しながら湯船に浸かり、その口から吐息を漏らす。
暖かい湯気で満たされている浴室は決して寒い訳ではないが、やはりお湯の中に身を浸すのは格別なのだ。
身体の芯からジィンと温まっていく感覚に思わずため息が漏れ出てしまう。


湧「…もう良か?」

京太郎「あぁ。もう良いよ」

しかし、だからと言って、完全にリラックスする訳にはいかない。
この浴槽に浸かっているのは決して俺だけではないのだから。
これ以上、わっきゅんが俺のムスコと目撃したりしないよう体育座りをしておいて…っと。

湧「じゃあ…って」クル

湧「キョンキョン、それ窮屈じゃね?」

京太郎「仕方ないだろ。これくらいしか隠す方法ないんだから」

そんな俺に振り返ったわっきゅんの第一声は俺を気遣うものだった。
まぁ、この浴槽は二人でも余裕で入れそうなくらい大きいのに、こうして身体を丸めて縮こまってる訳だからなぁ。
俺の為にスペースを空けてくれたわっきゅんとしては、やはり気になるんだろう。
ただ、全裸のまま彼女と混浴してる俺にとって、足を伸ばしてゆったりするなんて論外な訳で。
若干、窮屈ではあるが、これがベストだと思う。


湧「もう。キョンキョンは気にしすぎだよ」

湧「そげんげんねがらなくても良かのに」

京太郎「いや…つってもわっきゅんだって見たくないだろ」

湧「あちきはどっちかってゆーと見ろごちゃっけれど」

京太郎「う…じゃ、じゃあ、わっきゅんだってこういうところ見られたくないだろ?」

湧「げんねけど…キョンキョンが見ろごちゃっなら、いっでん見せっあぐっよ」

あ、ダメだ、コレ。
根本的に価値観が違うというか、前提が違う…!!
多分、わっきゅんは俺の事を本当に家族の一員だとそう思ってくれているんだろうなぁ。
だからこそ、見ても気にしないし、見られても構わないと言う事が出来るんだと思う。
が、俺は彼女の事を家族だと思っている部分と美少女だと認識している部分がある訳で…。
正直、そこまで吹っ切るのはまだまだ難しい…と言うか、多分、これから先も無理だと思う。

京太郎「(こんなに俺とわっきゅんで意識の違いがあるとは思わなかった…!!)」

湧「…でも、せっかっのお風呂じゃってそげんこーもなっちょっの可哀想だし…」

湧「あちきがうしと向けば、もちっとゆっくい出来っ?」

京太郎「…良いのか?」

湧「うん。キョンキョンにはあちきのやから聞いてんろてるし」

湧「これくらいはオッケーだよ」

京太郎「…じゃあ、悪いけど、頼む」

そのすれ違いに俺が冷や汗を浮かべている最中、わっきゅんが譲歩案を提示してくれた。
勿論、背中を向けられていると言っても、アクシデントが起こらないとは言い切れないが…。
しかし、もしもの事ばかりを考えて、彼女の厚意を拒むのも可哀想な話だろう。
俺としてもゆっくりしたい気持ちはある訳だし、ここは彼女に甘えてしまった方が良い。
そう考えた俺は微かな躊躇いを覚えながらも頷いた。


湧「了解。それじゃあ…」クル

京太郎「よっと…」ノビー

そう思った俺の前でわっきゅんがクルリと身体を反転させる。
さっきのように顔だけを動かすのではなく、身体全体を動かしたわっきゅんは俺に背中を晒してくれた。
傷一つない白い肌が滑らかな曲線を描くその後姿には、正直、ちょっとドキリとしたけれど。
でも、今はわっきゅんの言葉どおり、ゆっくりするべきだと俺は足を伸ばして。

湧「ふふっ」ススス

京太郎「って!?」

そんな俺の足を滑るようにしてわっきゅんの背中が俺へと近づいてくる。
まるで浴槽の壁に俺の背中を押し付けようとするそれに俺が声をあげてもわっきゅんは止まらなかった。
その背中で波を作るような勢いで俺の身体に密着する。
瞬間、胸板にぶつかった波が小さく弾け、俺の顔に掛かるが…今はそんな事を気にしている場合ではなかった。


京太郎「ちょ…な、何してるんだよ」

湧「キョンキョンにハグされに来た!」

京太郎「いやいやいやいや」

勿論、俺も決してそれが嫌いって訳じゃない。
わっきゅんの小さくて暖かい身体は俺にとって最高の抱き心地なんだ。
胸の中にすっぽりと収まる彼女を抱きしめるのは正直、好きと言っても良いくらいだけれど…。

湧「でも、いっもやっちょっよ?」

京太郎「そりゃ服着てる時と今とでは状況が違うだろ」

わっきゅんはほぼ全裸に近い状態で、俺は完全に素っ裸なんだ。
そんな状態で何時も通り足の上に乗せるのはヤバイ。
挿入こそしていないが…完全に背面座位の姿勢だからなぁ。
わっきゅんの身体が思いの外、女の子しているのも相まって、ドキドキが強くなってしまう。


湧「…ダメ?」ジィ

京太郎「ダメ」

湧「…キョンキョンの好っなエッチな動きしてあげても?」

京太郎「す、好きじゃないし…そもそも余計ダメだって」

今のわっきゅんは、完全に俺の太ももに腰掛けてる状態だからなぁ。
ほんの少しでも反応してしまうとムスコが足の間から飛び出して、彼女のお尻に触れかねない。
正直、あのエロダンスにまったく興味がないとは言えないけれど…。
でも、ここであの動きをされると絶対に勃起して、気まずくなってしまう訳だからなぁ…。

京太郎「つーか…コレ、GWの時とほぼ同じじゃないか」

京太郎「コレが危険なのはわっきゅんも良く分かってるだろ」

あの時は背面座位じゃなくて対面座位の形だったけれど。
しかし、それでも風呂場でこんな事をするのがどれほど危険なのかを、わっきゅんは良く分かっているはずだ。
なのに、どうしてその時と同じ轍を踏もうとしているのかはまったく分からないけれど…。
でも、わっきゅんは決して物分りが悪い子じゃないんだから、ちゃんと説得すれば引いてくれるだろう。

湧「危険じゃねよ」


湧「危険じゃねよ」

京太郎「いや、で、でもさ…」

湧「あちき、キョンキョンが我慢出来なくてもだいじょっだもん」

湧「…ううん。我慢なんちさせっあげたくない」

湧「だって…キョンキョン、いっつも我慢しちょっでしょ?」ス

京太郎「ぅ…」

…なのに、わっきゅんは俺の上から退こうとしなかった。
いや、それどころか、その腕で俺の手を挟み込み、手のひらでゆっくりと指を絡め合わせる。
一見、恋人繋ぎにも見えるそれは、しかし、わっきゅんから齎された一方的なモノ。
そうと分かっていても…俺は彼女の指を解く事が出来なかった。
あまりにも情熱的で…尚且つ色っぽいそれに俺の心は引き止められてしまう。

湧「部屋でも春さあと姫さあと一緒で…気も抜けなくて♪」

湧「ずっとムラムラしちょっの…分かっちょっよ♪」

湧「キョンキョンのかざ…ずっとずっと濃ゆなっちょっから…♥」

う゛あー…マジかー…。
ヤバイ、ちょっと…いや、かなりショックだわ…。
よりにもよってわっきゅんに分かるほど…変な匂いをさせていただなんて…。
普段から嫌味にならない程度の香水とか使うようにしているけれど…もっと強いのを選んだほうが良いのかもしれない…。


湧「…あちきなら良かよ…♪」

湧「キョンキョンのすっぺ、受け止めてあぐっ…♥」

湧「キョンキョンのしたい事…何ちーして良かから…♪」フリフリ

京太郎「く…ぅ」

ちょ、ま、待って、わっきゅん。
そ、それは反則だから。
そんなにいぢらしい言葉を、艶っぽく口にされるだけでも、興奮するってのに…!
その上、俺を誘惑するように腰を振られたら…ど、どうしても反応してしまう…!!
元々、ムラムラしてるのも相まって…ムスコがゆっくりと持ち上がって…!!

湧「あはぁ…♪」

湧「…キョンキョンのエッチになっしもたねぇ…♥」

京太郎「ま、待て。まだ慌てるような時間じゃない」

湧「…そうじゃっど…♪せけっ事をしそこののは嫌だし…♥」

湧「ゆっくい…しよっか…♪」スリスリ

京太郎「うお…」

な、なのに、なんでわっきゅん離れないんだ…!?
太ももの間から飛び出した瞬間に切っ先に触れたこの感触は…間違いなく彼女のお尻か太ももだよな…!?
背中とかとは比べ物にならないほどやわらかな感触に挟まれている訳だし…俺の思い違いなんて事はないはず…!!
だが、わっきゅんは狼狽するどころか、嬉しそうに腰を振って来るんだけど…!!

湧「…どう?気持っ良か?」

湧「あちきのしい…♥キョンキョンのエッチなの受け止めてあぐっしいで…♪」

湧「気持っ良く…なってくれてる…?」

京太郎「い、いや、その…」

湧「…そう♪まだ足っしらんんだ…♥」

湧「じゃったら…もちっと…エッチにならなきゃ…ダメだよね…♪」カクカク

京太郎「っ」

って縦はまずい…!!
いや、横でも十分、まずかったけれど…縦になるとさらにヤバさが増すっていうか!!
勃起したムスコが扱かれて…完全に素股プレイになってる…!!
正直、気持ち良すぎて、半勃ちのムスコにどんどん血液が集まっていくんだよ…!!
このままじゃ遠からず、ガチ勃起してしまう事に…!!!

湧「キョンキョンの…ふとーなってってるよぉ…♥」

湧「あちきのしいでシコシコされてぇ…♪」

湧「ずっと我慢しちょっエッチなの…受け止めて欲しって…ゆーてる…ぅ♪」カクカク

京太郎「ちょ、ストップ!マジでストップ!!」

京太郎「こんなの洒落にならないって…!」

湧「…洒落じゃねもん♥」ギュゥ

…洒落じゃ…ない?
え、それって、つまり…本気だって言う事か?
いや、待て、そんな素振り…は正直、今までにまったくなかったとは言えないけれど。
でも、わっきゅんは俺の事、そんな風に思っていないはずじゃ…。


湧「あちき本気だよ…♥」

湧「本気でキョンキョンとエッチしたい…♥」

湧「あちきのごてで、キョンキョンのつれーのをすっぺ、吐き出させっあげたいの…♥」

京太郎「な、なんでそこまで…」

湧「…………だって、これくらいせんと…」

湧「キョンキョン、あちきの事、以上に見てくれんでしょ?」

京太郎「…あ」

……つまり、コレは、俺がさっきわっきゅんママに言った言葉が原因って事か。
家族以上のつもりはないと…告白されても断るとそう言ってしまったから。
だから、無理矢理、一線を超えて、責任を取って貰おうとしたんだよな…。
だとしたら…。

湧「…あちき、ちんちくりんだし、他ん皆と比ぶっと顔も良くねもん」

湧「おなごん子らしい趣味のいっちゃも持ってないどころか、武術が好きで…」

湧「いっどきいても面白くないおなごん子だって、あちきが良く分かっちょっ」

湧「キョンキョンの妹分が関の山だって事くらい…良く分かっちょっの」

湧「……でも、嫌なんだもん」

湧「けねじゃ…妹じゃ嫌」

湧「あちき、キョンキョンともちっと深こー…強よー結びつきたい」

湧「心でもごてでも…そん向こにある魂までも」

湧「二度と離れられないくらい…キョンキョンのモノになりたか」

…この状況は俺の自業自得だ。
俺がわっきゅんの気持ちを知らずに、あんな事を言ってしまったから。
これほど強い気持ちを秘めてくれてるわっきゅんを妹として扱い続けていたから。
だから…わっきゅんも我慢出来なくなって、こんな強硬手段に訴えたんだろう。


京太郎「(…なら、ここで俺がするべき事は)」

京太郎「…わっきゅん)」ギュ

湧「っ♥」

色々と言いたい事もあるし、やらなければいけない事もある。
だが、ここで俺が真っ先にするべきは…わっきゅんを落ち着かせてあげる事だ。
好きだと言う言葉を使わずに…告白してくれた彼女の事を。
鈍感な俺にでも分かるほどはっきりと気持ちを言葉にしてくれた彼女の事を。
その言葉と背中に自嘲を浮かべている彼女を力強く抱きしめて、俺の言葉が届く下地を作る事なんだ。

京太郎「…ごめん。俺、わっきゅんがそんなに想ってくれてるなんて想像もしてなかった」

湧「………………うん。キョンキョンは鈍感だもんね」

京太郎「正直、否定は出来ないなぁ…」

今の今までわっきゅんは自分の気持ちにしっかりと蓋をしていた…って訳じゃないからなぁ。
一時は俺も疑っていたように、彼女はチラチラとその片鱗を見せてくれていた。
だが、俺は積み重なっていく情報の咀嚼に失敗し、ずっと誤解し続けてきた訳である。
結果、ここまでわっきゅんを思いつめさせたのだから、申し訳無さで胸が痛いくらいだった。


京太郎「でもさ、そんな鈍感の俺にもわっきゅんの気持ちは伝わったから」

京太郎「無理にこんな事しなくても良いんだぞ」

湧「むいなんかしちょらんもん」

京太郎「でも、冷静じゃないだろ」

湧「…それは」

冷静だったら、実家の風呂場でこんな事は出来るはずがない。
恐らくわっきゅんママの方は彼女の後押しをしていたんだろうが…わっきゅんパパを説得するのはまず無理だからなぁ。
ここで彼女の望み通りに一線を超えてしまえば、折角、改善の兆しが見えたあの人との仲が悪くなる。
それはわっきゅんも決して理解していない事じゃなかったんだろう。
俺の言葉に言葉を詰まらせ、そっと顔を俯かせるのが分かった。

京太郎「勿論、冷静じゃなくても、気持ちは変わらないかもしれないけれど」

京太郎「でも、勢い任せでこういうのやっちゃいけないと思うんだよ」

湧「…ダメ?」

京太郎「少なくとも、俺は後悔するかな」

京太郎「わっきゅんの事をそういう風に見れてないからじゃなくて」

京太郎「わっきゅんの事が大事だからこそ、俺はきっと流されてしまった自分を一生許せない」

湧「……」

それはわっきゅんだけが理由じゃない。
ここで俺が流されてしまったら、春や明星ちゃんとの約束も台無しになるし。
何より、初美さんとの婚約だって、ご破算になってしまう可能性が高いのだ。
結果、再び彼女の結婚が宙に浮いてしまうのだから、容易く流される訳にはいかない。


京太郎「だから、その気持ちだけ受け取らせてくれないか?」

湧「…じゃあ、何時になったら、あちきのごてを受け取ってくるっの?」

京太郎「…誘惑しないって選択肢はないのか」

湧「キョンキョンもおっかはんの話聞いちょったでしょ?」

湧「あちきにとって運命の人はキョンキョンなんだよ」

湧「他ん人はキョンキョンじゃねじも良かかもしれんけれど」

湧「あちきはキョンキョンじゃねと…満たされないんじゃっで」

湧「絶対に諦めるつもいはないよ」

アレはただの迷信だろ…なんて言えたら、どれほど良かっただろう。
だが、俺はオカルトと呼ばれる不思議な力が存在しているのを知ってしまったんだ。
特に神代に纏わる家々はそんな不可思議な力を自在に操っているのだから、ただの偶然や迷信と突っぱねる事は出来ない。
少なくとも、わっきゅんママの言葉が真実であるとわっきゅんが信じている以上、下手な言い訳は聞かないだろう。

京太郎「…じゃあ、せめて初美さんと相談させてくれ」

京太郎「俺と初美さんは婚約者な訳だし…俺一人じゃわっきゅんの扱いを決められない」

湧「…そいでダメじゃったら?」

京太郎「あー…そうだな」

…正直、そこでダメって初美さんが言うビジョンが見えないんだよなぁ。
何だかんだ言って、初美さんは家族大好きな人だし。
十曽家の事も知っているだろうから、容易く否とは言わないとは思う。
だが、俺のイメージしてる彼女たちの像と、実際の彼女たちがズレているのはついさっき証明されたばかりなんだ。
俺の予想とは違い、初美さんからの猛反対にあう事は十二分に考えられるだろう。


京太郎「…その、やっぱり初美さんを裏切るのは無理だ」

京太郎「わっきゅんには俺しかいないかもしれないけれど…」

京太郎「初美さんにも俺しかいないんだから」

京太郎「ここで婚約解消なんて事になったら、本当に初美さんの貰い手がいなくなっちまう」

勿論、俺は二人とも等しく大事だ。
出来れば、両方共傷つけたくはないと心の底から思っている。
…だけど、もし、俺がわっきゅんか初美さんのどちらかを選べと言われたら、俺はきっと後者を取る。
どちらも条件は同じかもしれないが…しかし、彼女の方が先約なのだから。
俺の所為で婚約解消となった初美さんに、再び婚約解消の憂き目を味わわせたくはない。

湧「…へぇ」スリスリ

京太郎「ちょ、わ、わっきゅん!?」

湧「じゃあ…やっぱいここでして貰ろしかないよね…♪」フリフリ

って、一応、真剣に応えたのに、わっきゅんが腰を動かし始めたんだけれど…!
折角、良い話で収まりそうになったのに…そんな動きをされたらまたムスコが反応しそうになるわ…!!
当然と言えば当然だけど、そんなにさっきの俺の答えが気に入らなかったのか…!?


京太郎「お、落ち着いてくれ!あ、あくまでも今のはもしもの話!」

京太郎「で、出来るだけ、初美さんを説得出来るよう頑張るから…!!」

湧「…そいでダメじゃったら、あちき選ばれないんでしょ?」

湧「……じゃったら、逃げられないよう今の間に既成事実作っとかなきゃ…♥」

あ、ダメだ、コレ…!
完全にわっきゅん肉食モードに入ってる…!!
こ、このまま放置してたら絶対に喰われる…!!!
わっきゅんパパみたいに関節全部外されてでも、逆レイプされる未来しか見えねぇぞ!!!

京太郎「わ、分かった。わっきゅんの気持ちは良く分かった!!」

京太郎「つまり…後の保証が欲しいって事だな…!!」

湧「…そげなのなくても今、ここでキョンキョンとエッチすれあ良かだけだもん♪」

つまりもう既に譲歩はしてたって事かよ…!!
んで、それを台無しにされたんだから、まずはその為の材料を寄越せと…!!
く、くそ…弱い立場からの交渉ってのがどれほど大変なのかは霞さんに教わっていたけれど…。
でも、まさかここまで八方塞がりな状況になると思ってなかったわ。


京太郎「で、でも、わっきゅんは初美さんの事だって好きだろ」

湧「…………あちきは皆よりキョンキョンの方がでしだもん」

湧「キョンキョンが手にいっんなら、あちきは他に何も要らん」

京太郎「そこまで思ってくれるのは嬉しいけれどさ」

京太郎「でも、俺はそんなにしてまで手に入れなきゃいけないほど大層な奴じゃないし」

京太郎「何より、犠牲を払って手に入れて欲しいと俺は思ってない」

だからこそ、時間稼ぎついでに、感情論に訴えようとしたんだけれど…これが思いの外、わっきゅんに対して、有効だったようだ。
俺の言葉にわっきゅんは躊躇いを見せ、その腰の動きも止めたんだから。
未だ俺に背中を向け続ける彼女の表情は見えないけれど…。
少なくとも、今すぐ実力で俺の事をどうこうするつもりはなくなったらしい。

湧「…じゃあ、キョンキョンはないごて欲しの?」

湧「あちきよっか初美さんの方がでしだってそうゆーたキョンキョンの事を…」

湧「あちきはどう信じれば良かの?」

京太郎「まずそれが間違いなんだよ」

湧「え?」

京太郎「俺は決してわっきゅんへの気持ちが初美さんに劣るものだと思ってない」

京太郎「さっき俺があぁ言ったのも初美さんの方が先約だったからで」

京太郎「もし、わっきゅんの方が先だったら、俺はわっきゅんの方を取ってたよ」

…ただ、だからと言って、打開策が見つかった訳じゃない。
わっきゅんが抱いた俺への不信感は、きっと俺が考えている以上に深く大きいものなんだろう。
ポツリと漏らされた彼女の言葉は、絶望の淵に立たされているような暗いものだった。
さっきまで興奮の所為か甘く間延びした声音だったが、本心では落ち込んでいた事が今のわっきゅんから伝わってくる。


京太郎「こうなった以上、多分、どっちも傷つけないなんて無理だと思う」

京太郎「だけど…俺はわっきゅんにも初美さんにも悪いようにはしたくない」

京太郎「二人が納得してくれるような妥協点を見出す事を絶対に諦めないと約束する」

京太郎「…だから、俺の事を信じてくれないか?」

京太郎「ほんの少しだけで良い」

京太郎「わっきゅんが惚れた男に…格好良いところを見せる時間と機会をくれ」

湧「…………キョンキョン」

正直、これは賭けだ。
相手の感情にこうも訴えた後に、理詰めを持ち出しても逆効果。
本来ならば理で相手を追い詰めた後に、感情論をトドメに持っていくべきだった。
だが、彼女を理で納得させられる方法が見つからない以上、ここは賭けに出るしかない。
多少、無謀だと言う気持ちはあるが…ソレ以外に俺が取るべき道が見つからなかったんだ。


湧「……良かよ」

京太郎「そ、そうか…」ホッ

湧「ただし…もし、ダメじゃったら、あちき、キョンキョンの事監禁すっで」

京太郎「…え?」

湧「だいも知られないとこいに閉じ込めっ…」

湧「ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと」

湧「…いっどきいて、エッチして、おかたって」

湧「あちき以外の他ん誰も見がならんようにしてあぐっ…♥」

京太郎「あ、あはははは…」

…多分、これ冗談じゃないよなぁ。
わっきゅんの顔は相変わらず見えないけれど…彼女の声音はガチなんだ。
きっと俺が失敗したら、彼女は容赦なく、俺の事を攫いに来るだろう。
…んで、俺はそれに間違いなく抵抗出来ない。
本気で気配を消した彼女にまったく気づけない今の俺には、彼女の口走る暗い未来を防ぐ手立てはないんだ。

京太郎「(な、なんとしてでも、それだけは阻止しないと…!!)」

俺に想いを抱いてくれているのはわっきゅんだけじゃない。
春や明星ちゃんもまた俺に対して並々ならぬ好意を抱いてくれているんだ。
彼女たちの方は小蒔さんの卒業まで後回しで良いらしいが…それでもちゃんと答えは用意しておかなきゃいけないし。
その前に俺が消えてしまったとなれば、きっと二人にも一生残る後悔をさせてしまう。
…それを考えると、初美さんは絶対に説得しなきゃいけないんだけれど。


京太郎「(…冷静に考えると、成功しても茨の道だよな)」

…成功した場合でも、春や明星ちゃんの問題がより大きくなってしまう。
元々、俺は初美さんとの婚約を理由に二人の事を拒むつもりだったけれど…説得が成功するとそれが使えなくなるのだから。
勿論、ここでわっきゅんを受け入れなければ、逆レイプ待ったなしの致し方ない状況だったとは言え…。
説得成功の暁には、わっきゅんと言う婚約者公認の浮気相手を手に入れる事になるのだ。
俺に好意を寄せてくれる二人が、どうしてわっきゅんだけなんだとそう思うのも当然だろう。

京太郎「(……何だかすげぇ泥沼に進んでいるような気がする)」

俺はその場その場で最善或いは次善の道を選んでいるつもりだが…どんどんと逃げ道が塞がって行ってないか。
もう腰までずっぷり嵌って抜け出せなくなってしまった気分さえするんだが。
…正直なところ、今の状況がかなり拙いのは分かるんだが…どうすれば良いのかまったく分からない。
進むも戻るも地獄過ぎて、もう詰んでいる感が半端じゃ無いんだよな…。


湧「とりあえず、姫さあの卒業式までは待ってあぐっ♥」

…ってまた小蒔さんの卒業式か。
一体、その時に何があるんだろう。
きっと何か重大な転機になる事は間違いはないんだろうが…春や明星ちゃんも教えてくれなかったし。
正直、すっげぇ気になるけれど…聞いても無駄なんだろうな。

湧「…でも、そいずい我慢っあちきにご褒美欲しな…♪」

京太郎「え、エロ関係以外でお願いします…」

湧「…そげんあちきとするの嫌?」

京太郎「逆だよ。したら後戻り出来なさそうだから遠慮してるの」

わっきゅんパパも、十曽の女には気をつけろってそう言ってたからなぁ…。
実際、わっきゅんは俺が最初に思っていたよりもずっと肉食だったし…。
わっきゅんパパと同じように一日掛けて完全に籠絡されてもおかしくはない。
ただでさえ、俺は童貞で、初めての女性をそう簡単に忘れられるはずはないし…。
ここは極力、エロを避けていかないと、ただでさえ泥沼な状況がさらに悪化してしまう。


湧「後戻りいなんちせんじも良かのに…」

京太郎「まぁ、どうなるにせよ、いずれ進む道なんだ」

京太郎「もう少しだけ楽しみに待っててくれよ」ギュ

湧「…ん♪」

…まぁ、それも結局、問題の先延ばしでしかないんだけどさ。
これから先、どうなるにせよ、俺はわっきゅんとそういう事するのは確実なんだろう。
多分、どう足掻いても、俺は責任を取らなきゃいけない。
でも、だからと言って、ここでわっきゅんとヤっちゃうと色々と台無しになってしまうんだ。
わっきゅんは随分と乗り気だけれど、ここは力強く抱きしめて我慢して貰わないと。

湧「…じゃあ、こんままあちきの事ギュってしちょって♥」

京太郎「そんなので良いのか?」

湧「いっばん、したいのはダメだって言われちゃったもん…♪」

湧「…じゃっで、代わいに…すっぺ忘れられるくらいギュってして…♥」

京太郎「…了解ですよ、お姫様」ギュゥゥ

湧「あふぅ…♪」

わっきゅんの言葉に力強く抱きしめれば、彼女から心地良さそうな声が漏れた。
リクエスト通り、結構、強めに力を入れているが、それがわっきゅんにとっては良いらしい。
その身体からふっと力を抜いて、俺の背中を預けてくるのが身体全面から伝わってきている。
俺の腕の中が心地良くてリラックスしてしまうと言わんばかりのそれに俺は笑みを浮かべて。


京太郎「(…でも、この身体と俺はエッチしちゃうんだよな)」

京太郎「(こんなに小さくて、可愛いわっきゅんに俺のチンポをねじ込んで…)」ムクムク

湧「…あ…♥」

あああああああああ!!!
や、やっちまった!本気でやっちまった…!!
確かにわっきゅんとエッチするのは確定とは言え、なんでそんな事考えたんだよ、俺!!
んな事考えたら意識するだけじゃすまないだろうに…!!
興奮するし、一端は収まり掛けたムスコがまた大きくなるのは分かりきってただろ!!!

京太郎「(し、しかも…何よりまずいのが…)」

湧「キョンキョン…♥」

京太郎「は、はい」

湧「またふとーなっちょっよ…♪」

京太郎「す、すみません…」

…それをわっきゅんに感じ取られちゃってる事なんだよなぁ。
さっきそう言うのはナシで、と言った俺の方が勃起するなんて、正直、格好悪すぎる。
あんまりにも酷すぎて、謝る事しか出来ないレベルだぞ…。


湧「…だーめ。許してあげない…♪」

湧「こげんふてーのをあちきに押し付けたんじゃっで…♥」

湧「後でまた別のお願い聞いてもろからね…♪」

京太郎「が、頑張ります…」

ただ、わっきゅんはそれを盾に俺に対してエロを迫るって事はしなかった。
これまで何度も俺が拒んできたし、ここで押し通そうとしても無駄って言うのが分かったんだろう。
代わりに別のお願いって言うのを要求されたけれど…まぁ、それくらいなら問題はない。
最悪、わっきゅんが我慢出来なくなって、逆レイプされる事だってあり得ただけに、これくらいで済んで安心したくらいだ。

湧「…でも、今は♥」ギュウ

京太郎「…ん」

湧「こんままあちきの事ぎゅってしちょってね…♪」

湧「こんふてーのがこもなるまで♥」

京太郎「…もし、逆上せたら?」

湧「あちきがかびょっしたげる♪」

京太郎「…今すぐにでも大人しくさせます」

正直、わっきゅんの看病プレイと言うのに、心惹かれる俺はいるのだけれど。
でも、今の彼女に無防備な姿を見せてしまうと逆レイプされる未来しか見えないんだよなぁ…。
初美さんにも相談出来ていない現状、一線を超えると大変な事になってしまうし。
なりふり構わず萎える事ばっか考えまくって、すぐにでも鎮火した方が良い。


京太郎「(しかし、そうは言っても、俺の上に座るわっきゅんの身体がなくなる訳ではなくて…)」

京太郎「(萎えた先から彼女のすべすべの肌やお尻に意識がそっちに引き寄せられちゃうんだよなぁ…)」

一進一退の駆け引き。
一歩進んで二歩下がり、二歩進んで一歩下がるのを延々と繰り替えしているような感覚。
まるでかたつむりが進んでいるようなその歩みに、俺は内心の焦りを隠しきれなかった。
だが、それでも俺は欲情の源になっているわっきゅんを離そうとは思えない。
下手に彼女の機嫌を損ねれば、逆レイプ一直線だし…何より、俺はわっきゅんに我慢を強いている側なのだから。
そんな彼女が交換条件として出してきた事くらいしっかりと叶えてあげたい。
だからこそ、俺は背筋をチリチリと焦がすような焦燥感にも負けず、理性の手綱を引き締めて。




―― 結局、俺はムスコが大人しくなるまでに十分近くの間、自分の欲望を格闘し続けなければいけなかった。





………


……





ってところで今日は終わりです(´・ω・`)次回ちょこっとエピローグ的なのをやって初美ヒロイン回に行きまする
尚、最初、入った時からソーププレイさせるつもりでしたが、流石にそれだと素股からの本番を避ける方法がなかったので大きく書き直しました
ここはKENZENなスレだからね、仕方ないね

乙したー やっぱり逆レ(未遂)じゃないか(歓喜)

京ちゃんそこは迷わずイこうよ・・・

おつー
やっぱりなんか文や台詞が長いから京ちゃん余裕に思えるなぁ。殺されそうになってるのに敵の技を解説するかのような戯言遣いに近しいものを感じる

次がはっちゃんとなると、その次が巴さんでその次が霞さん。最後に卒業式で姫様が告るのかね

ああいや、そういや霞さんは明星フォロー回でちゃっかり告ってたな
となるとはっちゃん→巴さん→姫様の順になるか

独占欲を満たしてあげられないなら、それ以上の幸せで心を満たしてあげれば良いんだよ京ちゃん!
だからハーレムは決して悪いものではないんだよ!(法律から目を逸らす童貞感)

乙です
姫様と依子さんの卒業寂しいなぁ…

乙ですー
なんだ、関節外される京ちゃんはいないのか……


たぶんわっきゅんママからはヤっちゃいなさいくらい言われてるよねコレ
それでわっきゅんパパに対して風呂場に近づかないようにって微笑みながら言ってる姿が目に浮かぶよ


―― 現実というのは時折、信じられないほどの偶然が重なる事がある。

時に奇跡とも呼ばれるそれは決していい方向に働くとは限らない。
少なくとも、その日、起こった『奇跡』は京太郎にとって最悪と言っても良いものだった。
何時も通りの日常の最中、勧められるままに食事を口にした瞬間、身体が燃えるように熱くなってしまったのだから。
そのまま後ろにぶっ倒れた彼からすれば、何が何だか分からなかっただろう。

―― その理由を知っているのは周りの少女たちのみだった。

最近、霧島神宮のそばに出来た怪しげな雑貨屋。
そこで売られている媚薬を、彼女達はついつい購入してしまったのだ。
勿論、それが本物であると本気で思っている訳ではない。
ただ、鈍感な京太郎に一線を超えるキッカケになって欲しかっただけ。
だからこそ、彼女たちはそれぞれの手法で、京太郎が口に含むものに媚薬を加えたのである。


―― だが、それは決してお互いに申し合わせたものではなかった。

春は京太郎が口にする箸に。
明星は京太郎の皿に。
霞は京太郎の飲み物に。
巴は京太郎の食べ物に。
湧は京太郎のコップに。
それぞれのチャンスを活かして加えたそれは過剰摂取とそう呼ばれる領域に達していた。
結果、まったく知らずにそれらを口にした京太郎は意識を閉ざし、少女たちは半狂乱になってしまったのだが。

京太郎「う…うーん…」

初美「…まったく」

そんな騒ぎの中、真っ先に冷静になったのは初美だった。
他の少女たちとは違い、媚薬を盛らなかった彼女は、半狂乱になる春達を落ち着かせ、事情を聞き出したのである。
結果、導き出された答えに内心、頭を抱えたくなったものの、未だ混乱の収まらない彼女たちの前で、思考を閉ざす訳にはいかない。
見事にポンコツ化してしまった彼女たちが立ち直る為にも、まずは京太郎を落ち着かせるのが先決だとその世話役を買って出た。


初美「(…が、ちょっと早まったのかもしれないのですよー)」チラ

無論、初美とて京太郎の世話をするのが嫌いな訳ではない。
色々と憎まれ口を叩く事もあるが、彼女にとって京太郎は大事な家族だ。
血の繋がらない弟のように思っている彼女にとって、それは決して苦ではない。
それでも早まったと初美が思ってしまうのは、京太郎の局部が異常なほどに腫れ上がっているからこそ。

初美「(こ、これ、どうにかしなきゃいけないんですよね…?)」

初美も決して性的な知識がない訳ではない。
積極的にそういう知識を仕入れようとするタイプではないが、それでも男性の平均サイズくらいは知っている。
が、今、初美の前で盛り上がる京太郎のサイズはそれを遥かに超越したものだった。
大きさだけでも20cmは優に超えてしまいそうなそれが、京太郎のズボンの中でパンパンに張っている。


初美「(姫さま達を追い出して正解だったみたいですねー…)」

今にもはちきれんばかりにズボンの中で大きくなっている肉棒。
それは性的な知識を持たない小蒔に決して見せられないものだった。
無論、他の少女たちにとっても同様である。
好きな想いが積み重なりすぎて、ついつい馬鹿な行動に出てしまった彼女たちがこんなものを見ればどうなるか。

初美「(…絶対、乱交になるのですよー)」

元々、彼女たちは男性と隔絶した生活を強いられていた。
日々、女として成熟しているのに、それを見せる相手がいなかった彼女たちの性欲と愛情が一体、どれほどのものか。
一人、蚊帳の外にいる初美には分からないが、しかし、平穏な形で終わるはずがない。
きっと我先にと京太郎の上に跨がり、精一杯の『謝罪』を続ける事になるだろう。
結果、妊娠という事になれば目も当てられないし、ここはブレーキとなれる自分が処理を買って出るべき。


初美「(そ、そう分かっていても…中々、踏ん切りがつかないのですよー…)」

普段から露出過多な格好をしているとは言え、初美は決して淫乱な訳ではない。
彼女にとってアレはただのファッションで恥ずかしがるようなものではないのだ。
だが、これから自分がしなければいけないのは、明らかに淫らな行為。
本来ならば、婚姻を結んだ男以外にするべきではないものなのである。

初美「(これは治療行為これは治療行為これは治療行為これは治療行為…)」

それに抵抗感を覚える自分に初美は同じ言葉を何度も繰り返した。
まるで言い聞かせるようなそれに彼女の手はおずおずと京太郎のズボンへと伸びていく。
それは躊躇い混じりのぎこちないものではあったが、しかし、止まる事はなかった。
この状況で最も辛いであろう京太郎を救う為に、初美は顔を真っ赤にして京太郎のズボンを脱がせていき。


ブルン

初美「~~~~~~~っ!!!!!?」

そのままパンツまで脱がせた瞬間、初美の視界で反り返ったのは黒い剣だった。
その表面に血管を浮き立たせたそれは太く、また大きい。
ズボンの上から想像していたよりも遥かにすさまじいその姿に初美は思わず言葉を失った。
これが本当に人体から生えているものなのか。
隠し武器の一種ではないのかとそんな言葉が彼女の脳裏を過る。

初美「ま、まぁ、これくらい初美おねーさんにかかれば余裕ですよ、よゆー」

そんな自分を鼓舞するように初美は強がりを口にした。
だが、その声は彼女が思っていた以上に震え、頼りないものに聞こえる。
鼓舞するどころか、自分を追い詰めてしまいそうな情けない声は、勿論、初美が京太郎に呑まれてしまったからこそ。
初めて見る本物の肉棒に、メスを犯す為の器官から感じる迫力に、強気であるはずの初美は萎縮していた。


初美「ま、まぁ、ヘタレな京太郎君にしてはそれなりなんじゃないですかね」

初美「えぇ。あくまでもそれなりなんで驚いたりはしてないのですよー」

京太郎「う…う」

初美「ひぅ!?」ビクッ

瞬間、京太郎の口から漏れるのは、決して初美の言葉に答えようとしたからではない。
京太郎は倒れたその時から意識を闇へと閉ざし、自身の身体の変調にも未だ気づいていないのだから。
だが、内心の怯えを必死で隠そうとしている初美にそれが分かるはずがない。
彼の口から漏れた呻き声についつい身体が反応し、その口から小さな悲鳴が飛び出てしまう。

初美「うー…うー…!」

そんな自分を初美はどうしても許せなかった。
彼女にとって、京太郎は出来の良いようで悪い弟なのだから。
姉である自分が、弟にビビらせられるなんてあってはいけない事。
そんな反発心が、初美の中でどんどん大きく膨らんでいく。
それを表現するように頬を膨らませた初美は、キッと京太郎の肉棒を睨んで。


初美「き、京太郎君の癖に生意気なのですよー」

初美「こ、こんなに大きいの生やしちゃって…私の事、びっくりさせるなんて…」

初美「お、オシオキです…!」フルフル

そう言葉にしながら、初美はその手を京太郎の男根に伸ばしていく。
それは勿論、ズボンに手をかけた時よりも怯えと躊躇いの強いものだった。
その指先を微かに震わせる様からは、『オシオキ』の言葉が虚しく思える。
が、それでも初美はその手を止める事はなく、京太郎の男根へと触れた。

ビクン

初美「ひゃあ!?」

が、初美が気丈だったのはそこまでだった。
艶やかな初美の肌に反応した肉棒に、彼女は再び悲鳴をあげて手を離してしまう。
そんな自分を恥ずかしいと思いながらも、今の初美は自分を取り繕う事さえ出来ない。
一瞬とは言え、確実に肉棒へと触れた指先をもう片方の手で抑えてしまう。
その上体も京太郎から距離を取ろうとするように反り返り、身体全体で怯えを表現していた。


初美「うわー…もう…うわー…」

初美がそう言葉を繰り返すのも無理は無い事だった。
元から巨大な京太郎の肉棒は、普段の欲求不満と媚薬によって限界を超えているのだから。
普段よりも一回り大きくなったそれは、処女である初美にとって、あまりにも強敵過ぎる。
まるでカイロのような熱も、鉄のような硬さも、その奥にある血と肉の蠢きも。
未だ男を知らない初美にとってはあまりにも強烈で、忘れられないものだった。

初美「(…正直、怖いですけれど…でも…)」

初美「ふんっ」バチン

しかし、だからと言って、初美はそれに心とらわれたりする事はなかった。
無論、初美にとって、その肉棒は恐ろしささえ感じるものではある。
だが、それは彼女の大事な弟が苦しみ、悶えている証でもあるのだ。
早急に何とかしてやらなければ、京太郎が苦しむだけだと怯える身体に喝を入れる。


初美「…べ、別にお前なんか怖くないのですよー」

初美「えぇ。これっぽっちも怖くないのですー」

その言葉は相変わらず強がりからのものだった。
だが、それはさっきとは違い、まったく震えていない。
強がりである事に代わりはないが、自分を取り繕う程度の余裕は取り戻す事は出来た。
その言葉で自身の背中を押しながら、初美は再び京太郎の肉棒へと手を伸ばす。

初美「うわあぁぁ…」

そのまま触れた初美の口から、さっきと同じ言葉が漏れる。
だが、彼女の手はしっかりと京太郎の竿を掴み、離れる気配を見せなかった。
一回目の接触で心の準備を整えた初美にとって、それはすぐさま逃げなければいけないものではなくなったのである。


初美「(まぁ…硬くて太くて大きくてドクドクしてて…)」

初美「(正直、怖いと言えば怖いですけれど…)」

でも、それは逃げるほどのものではない。
初美の意識によって十分、押さえ込めるレベルだった。
そして、そうやって掴んでいる間に、少しずつ肉棒への萎縮というのが消えていく。
そのあまりの大きさと迫力に呑まれてしまったものの、これは決して人を傷つけるものではない。
初美の意識から放たれるその言葉が、ようやく身体に行き渡り始めたのだ。

初美「(…と言うより、こうして落ち着いてみると…)」

初美「(案外、愛嬌のある感じかもしれませんね)」

初美の手に握られた肉棒は、今、快楽を求めていた。
もう数ヶ月も禁欲し続けている上に、媚薬まで飲まされてしまったのだから。
身体の中で燃え盛る熱は制御不能になり、射精欲求が際限なく高まっている。
その最中、柔らかなメスの手に掴まれた男根はピクピクとその切っ先を揺らしていた。
まるで刺激をオネダリするようなそれに、初美は少しずつ慣れを覚える。


初美「(まぁ、可愛いなんて事には絶対になりませんけれど)」

初美「(怯えるほどじゃないっていうのが正直なところですねー)」

初美「(…ただ)」

そんな肉棒にどうやって応えれば良いのか、初美には分からなかった。
勿論、初美も一般的な性知識は持っており、どうすれば射精に至るのかくらい分かっている。
だが、彼女はこうして男根に触れるどころか、見るのも初めてな生娘なのだ。
どの方法がもっとも正しいのかなんて分かるはずがない。

初美「(と、とりあえず…)」シコ

京太郎「っ!」ビク

一通り試してみよう。
そう思った初美が選んだのは肉棒を掴んだその手を動かす事だった。
その半分も覆う事が出来ていない肉竿を掴んだまま皮を上下させるそれは所謂、手コキと言うもの。
オナニーにおいては基本でもあるそれに京太郎の身体がビクンと跳ねた。
媚薬によって普段よりも敏感になっている今の彼にとっては、おずおずとしたその手コキでも十二分なものだったのである。


トロォ

初美「う、うわぁ」

だからこそ、京太郎の先端からあっという間に先走りが溢れ出た。
既にその入口ギリギリまで漏れだしていたそれが初美の動きに合わせてトロトロと漏れだしていく。
まるで自分の手が肉棒から透明な粘液を絞り出しているようなその光景に、初美は思わず声をあげてしまった。
初美もそれが男性における愛液のようなものだと理解しているが、まさかこうも簡単に出てくるとは思わなかったのである。

初美「(し、しかも、どんどん出てくるんですけど…!)」

通常、男性の先走りは、女性の愛液ほど激しく滴るものではない。
特殊なプレイの最中でもなければ、その先端を軽く濡らす程度で収まる。
が、今の初美の前で染み出す愛液の量は、そんなレベルではなかった。
二度三度と手を上下させるだけでその亀頭から零れ落ちそうなほどの粘液が染み出してきたのだから。


初美「(こ、これって媚薬の所為…?)」

初美「(それとも…これが男の人にとっては普通なんですかー…!?)」

勿論、普通なはずがないが、媚薬の所為だと言うのも正しくはなかった。
元々、京太郎は性豪であり、性欲も人並み以上に持ち合わせているのだから。
並桁外れたオスの能力を、媚薬でブーストされているというのが現状だ。
だが、比較対象すら持たない初美は、心の中で戸惑いを浮かべながらも手を動かすしかない。

京太郎「はぁ…は…あぁ…っ」

初美「(と、とりあえず…これで良い…んですよね?)」

そんな初美の動きに合わせて、京太郎の声が切羽詰まったものになっていく。
その胸を上下させながら漏らされる声は、普段の彼とはかけ離れた色気混じりのもの。
だが、初美はそれを意識する余裕すらなく、戸惑いの中、手を動かしていく。
シコシコヌチュヌチュと、漏れでた先走りが指に絡むのも構わず動かし続けたそれは、京太郎の身体を絶頂へと連れて行き。



京太郎「っく…うぅ」ビュルル

初美「きゃああ!?」ビックゥゥ

瞬間、先端から吹き出した精液に、初美は三度、悲鳴をあげた。
今までのものよりもよりハッキリとしたそれに、しかし、精液が止まるはずがない。
一度、達した肉棒は、そのリピドーを発散しようと、止まった初美の手の中で何度も跳ね続けた。
その度に辺りに撒き散らかされる白濁液は、当然、初美の身体にも降りかかっていく。

初美「うぅぅぅ…うぅぅぅ…!」

ほんの数秒。
たった数回の脈動で、初美の身体は精液で穢されてしまった。
その髪から指先までゼリー状の精液がべったりと張り付いている。
しかし、それでもまだ足りないと言わんばかりに京太郎の肉棒は蠢き、精液を吐き散らかしていく。
まるで今までの鬱憤を晴らそうとしているようなその勢いは中々、収まる気配がなかった。


初美「うわぁ…」

それがようやく収まったのは一分ほど経過した後だった。
だが、その短い間に、初美たちがいる今は完全に様変わりしている。
京太郎の周りにあるもので白濁液が掛かっていないものはなく、彼の身体自身も精液まみれになっているのだから。
その上、辺りには精液の匂いがムンムンと広がっているのだから、初美が頭を抱えたくなるのも当然だろう。

初美「(正直、甘く見てたのですよー…)」

所詮、精液など精嚢の中に収まる程度でしかない。
撒き散らかされても大した量にはならないだろう。
そんな風に考えていた自分を初美は心の底から恥じた。
辺りに撒き散らかされた量は十二分に大した量であり、せめて何かで受け止めるべきだったと。


初美「(…まぁ、これだけ射精したらスッキリして…)」チラ

京太郎「ぅ…」バキバキ

初美「(…ないんですかー!?)」

それでもまだ京太郎が収まっていれば救いがあった。
だが、禁欲生活続きの身体に媚薬を飲まされた京太郎はこの程度で収まるはずがない。
初美が心の底から後悔するほどの量を射精しても、まだその肉棒は硬く反り返っていた。
まったく萎える気配のないその根本では、既に次の射精の準備が始まり、精液が際限なく作られていく。

初美「…はぁ。これはもうしょうがないですねー…」

正直に言えば、今すぐシャワーを浴びてしまいたい。
おしゃれに人並み以上の情熱を注ぐ初美にとって、オスの匂いをプンプンさせた自分など耐えられないのだ。
精液がべったりと張り付いたままにすると髪も傷みそうだと思うと、今すぐにでも風呂場に直行したくなる。
だが、今は自分の事よりも、不幸な偶然で倒れてしまった京太郎を優先するべきなのだ。
ここで下手に手を抜いて、障害が残るなんて事になったら悔やんでも悔やみきれない。


初美「(ま、何だかんだでコツも分かりましたしねー)」シコシコ

京太郎「は…あぁ…」

そう心の中で漏らしながら初美が動かす手は、最初とは比べ物にならないほどスムーズなものだった。
肉棒に張り付く精液を潤滑油にしながらのそれはニチュニチュと淫らな水音を慣らしていく。
その細い指に精液を絡めながらの手コキは絶頂が終わったばかりの京太郎に耐えられるものではない。
初美の手が上下に動く度に、熱い吐息を漏らし、肉棒を震わせてしまう。

初美「(…やっぱりこうやって手で扱かれるのが良いんですねー)」

初美「(動けば動くほど反応が強くなってくのが丸わかりですよー)」

勿論、そうやって京太郎のモノを扱く事に抵抗感と言うものはある。
だが、それでもこうしてスムーズに身体を動かせるのは、偏に彼女の中で吹っ切れたからこそ。
突然の射精 ―― しかも、身体に精液を掛けられてしまった初美は色々と麻痺してしまっているのだ。


初美「(それに…何だかんだ言って結構、これも楽しいかもしれないですよー)」

そんな初美の心に浮かぶのは、『楽しい』と言う感情だった。
それは勿論、普段、自分を悪しように言う小生意気な弟が、無抵抗になっているからである。
何時もは自分を貧乳だと言う京太郎が、この小さな手に逆らえず、こうも甘い声を漏らしているのだ。
その身体の奥から湧き上がるゾクゾク感は、心の一部が麻痺した今の初美に抗えるものではない。

初美「ほーらほら…♪」

初美「そんなに簡単に喘いでちゃ…またすぐにイっちゃいますよー…♥」

その言葉が京太郎に届かないのを初美も良く分かっていた。
それでもこうして声を漏らしてしまうのは、その方が『ゾクゾク』するからこそ。
理性では、極力、京太郎を刺激するべきではないと分かっているのに、彼女の唇は止まらない。
まるでこの異常な状況に適合しようとするように、その心と身体が興奮を覚えていく。


初美「…まぁ、私としてはそっちの方が楽ですけれど…♪」

初美「男の子としちゃあんまりにも情けないんじゃないんですかー?」クス

一種の逃避行動でもあるそれに、初美はのめり込んでいく。
気絶したままの京太郎を相手に届くはずのない挑発を繰り返すのだ。
虚しささえ覚えそうなそれに、しかし、初美はその顔に笑みを浮かべる。
京太郎本人は眠っていても、その肉棒があまりにも饒舌である事を彼女は既に知ってしまっているのだ。

初美「こんな早漏じゃあ…はるる達にも幻滅されちゃいますよー…♥」

初美「まぁ、こうやって私に手コキされてビクンビクンって喜んでる京太郎くんには…♪」

初美「そっちの方が良いかもしれないですけれどねー…♪」

初美の手コキに合わせて、京太郎の肉棒はあまりにも敏感に反応してしまう。
眠っている意識に代わって、本能が再びの射精を求めているのだ。
自然、ビクンビクンと反応するその肉棒に、初美は言葉を重ねていく。
その蠢きを京太郎からの返事に見立てた彼女は、延々と独り言のような言葉責めを続けて。


初美「あ…また大きくなったですよー…♪」

初美「またイきそうなんですかー?」

初美「この堪え性のないチンチンから…精液出そうなんですかー…?」シコシコ

京太郎「あぁ…っ」

初美「っ」ゾクゾク

その最中、再び大きくなる京太郎の肉棒に、初美はぺろりと舌なめずりをしてしまう。
普段の彼女とは違う嗜虐的なその仕草を、京太郎は感じ取る事が出来ない。
だが、それでも初美の手コキが早くなった事だけは肉棒からいやというほど伝わってくる。
結果、それに甘い声を漏らして反応する京太郎に、初美の背筋が微かに震えた。

初美「あ…はぁ…♪」

初美「ここでそんな女の子みたいな声をあげるなんて…♥」

初美「京太郎君は…本当に変態ですー…っ♪」

初美「変態…♪この…ド変態のマゾ男ぉっ♪」

その内側に走り抜けるのは間違いなく快感だった。
彼女が生来持っていた嗜虐的な嗜好が、このアブノーマルな状況で開花しつつある。
そんな自分にストップを掛けようとする初美は何処にもいなかった。
この状況で、初美が真っ先に停止させたのは理性だったのだから。
この異常なシチュエーションの中では足かせにしかならないそれは既に彼女の中で機能していない。


初美「良い…ですよぉ…♥」

初美「一杯出して…構いません…♥」

初美「このチンチンから…マゾチンチンから…っ♪」

初美「さっきみたいにビュービューって…っ♪」

初美「精液…吐き出させてあげるのですよー…♪」

京太郎「う…ぅ…」

結果、ストッパーを失った今の初美が止まるはずがない。
自身の手の中で京太郎が大きくなったのを感じ取った彼女は、その手の動きをさらに激しくしていく。
京太郎を射精へと追い詰めようとするようなそれに、意識のない京太郎が耐えられるはずがなかった。
さっきよりも遥かに強烈な絶頂がグイグイと近づいていく感覚に、その口から呻き声が漏れ出る。

初美「ほら…イきなさい…っ♪」

初美「どうせ…我慢なんて出来ないんですから…ぁ♥」

初美「中身空っぽになるまで…射精しまくりなさい…っ♪♪」

京太郎「あぁ…あぁああっ」ビクククン

初美「きゃんっ♥」

瞬間、至った二度目の射精に、初美は再び声をあげてしまった。
しかし、それは一回目と違って、悲鳴のようなものではない。
その中に艶と媚を込めたそれは、悲鳴よりも喜声に近かった。


ビュルル ドビュルルルル

初美「あ…あぁ…っ♪」ゾクゾクゥ

さっきのようにまったく分からないまま、至らせてしまった絶頂ではない。
初美が自分の意思で到達させた初めての絶頂なのだ。
オスをその手で屈服させた錯覚さえ覚える強い充実感に、初美の喉は震える。
何処か快楽さえ感じさせるそれは降り注ぐ精液の中で彼女に笑みを浮かべさせて。

初美「…んふふ…♪」シコシコ

京太郎「~~~っ!!」

順調に嗜虐的な素質に目覚めていくのがハッキリと分かる意地悪な笑み。
それを顔いっぱいに貼り付ける今の彼女が、京太郎に対して容赦などするはずがなかった。
未だ射精が続く京太郎の肉棒を、その小さな手で扱き始める。
射精中でもお構いなしなそれに、敏感になった京太郎の身体がビクンと跳ねた。


初美「どうせ二回射精したくらいじゃ収まらないんですから…♥」

初美「このダメチンチンの射精…手伝ってあげますよー…♪」

京太郎「うあぁっ」

それでもまだ最初は躊躇いの色があった。
初美は京太郎をイかせたいのであって、イジメたい訳ではない。
もし、射精中に扱かれるのが逆効果だったらどうしよう。
そんな気持ちが彼女の中にもあったのである。

初美「(でも…これ、大丈夫…っ♥)」

初美「(京太郎君…喜んでくれてますから…っ♪)」ゾクゾク

しかし、それは杞憂だった。
射精中に注がれた快楽は、そのまま射精の助けになる。
再び自分の身体を穢す精液の勢いからそう判断した初美はその手を少しずつ激しいものへと変えていく。
その根本から先端まで、まるで絞りだすようなそれに京太郎はその腰を震わせながら射精を続けて。


初美「一杯…射精するのですよー…っ♪」

初美「もう中身が空っぽになっちゃうって泣いちゃうくらい…っ♥」

初美「私が…絞り出してあげるのですー…♥」

京太郎「あ…ぐあぁ…っ」

初美「あ…」

それが収まる気配を見せても、初美の手は容赦しなかった。
むしろ、本当に精液を絞り出そうと手コキの勢いを激しくしていく。
降りかかった精液が辺りへと撒き散らかされるのも構わず、繰り返されるそれに京太郎から声が漏れ出た。
気持ち良すぎて何処か苦悶にさえ思えるそれに、初美はようやく肉竿から手を離す。

初美「はぁ…はぁ…♥」

だが、それでも初美の興奮は収まる気配がなかった。
初めての肉棒とそこから浴びた精液は、彼女をメスとして目覚めさせていっているのだから。
少しずつ、だが、確実に足を踏み外しつつある初美が、今更、冷静になれるはずがない。
部屋の中でまた濃くなっていくオスの匂いを、空気と共に吸い込んだ彼女は、その身体をモジモジと揺らした。


初美「(こんなんじゃ…足りない…♪)」

初美「(もっともっと…したい…っ♥)」

初美「(京太郎君が泣いちゃうくらい…絞り出してあげたい…っ♪)」

その欲求をぶつける対象は、未だ健在だった。
二度の射精を経て、縮こまるどころか、むしろ大きくなっていっているようにも感じる。
今や初美の手のひらを2つ合わせても覆いきれないほど太くなったそれに彼女は近づいていった。
変わらずギンギンに反り返った肉棒に心惹かれるようにして、その両手を伸ばして。

初美「あ…♪」タラァ

瞬間、髪からこぼれ落ちてきたゼリー状の精液が彼女の頬を伝う。
そのドロドロとした粘性を余すところ無く発揮したその精液は、まるでナメクジのように遅い。
精一杯重力に逆らおうとしているそれに、発情しつつある彼女は甘い声を漏らした。
そんな自分に気恥ずかしさを感じた初美はそれをそっと指ですくい取る。


初美「(…凄くネバネバで…ドロドロで…♪)」

初美「(その上…オス臭さでムンムンしてて…♥)」

さっきまでの初美はあらゆる意味で余裕がなかった。
この異常なシチュエーションに、そしてそれが故に興奮に飲み込まれていたのだから。
マジマジと精液を観察する事もなく、京太郎を射精させる事だけに心砕いていた。
しかし、こうして指先で掬い取ってしまった今、自然とその存在を意識してしまう。

―― 色や匂いや感触、そして何よりも。

初美「…ん♪」ジュルゥ

味。
勿論、普通ならば、そんなものに好奇心を唆られたりしない。
初美は格好こそ過激ではあるが、決して痴女と言う訳ではないのだから。
だが、少しずつ足を踏み外しつつある意識が、目覚めつつあるメスの本能が、彼女に大胆な行為を選ばせる。
その口に指先で掬った精液を運び、その舌にどろりとした粘液を載せてしまうのだ。


初美「(んー…やっぱり美味しくはないですよねー)」

初美「(若干、エグみのある味って言うか…オス臭さが強烈って言うか…)」

初美「(正直なところ不味いと言っても良いくらいなんですけれどー)」

初美「……はむ」ジュルル

当然、初美にとってそれは決して美味しいものではなかった。
そもそも精液など人が口に含む為のものではないのだから。
それを美味しいと言う人もいるが、それは好きな人の精液だからこそ。
京太郎を弟としか思っていない初美に、そのような意見が出てくるはずがない。

初美「(そのオス臭さとエグさが癖になっちゃうっていうか…ぁ♪)」

初美「(凄く…エッチな味に…感じちゃってぇ…♥)」

しかし、だからと言って、初美がそれを嫌いになるという訳ではなかった。
むしろ、一秒ごとに興奮を強める今の初美にとって、それは癖になる味。
口にした途端、不味いと思いながらも、またもう一つ口にしてしまう類のモノ。
そんな自分を浅ましいと感じるが、初美の手も口も止まらない。
自身のあちこちに張り付いた精液を指先から掬い、口へと運んでしまう。


初美「ん…あぁあ…♥」ゾクゾク

その度に初美の身体を駆け抜けるのは背徳感混じりの快感だった。
自分が今、こんなにも淫らで、はしたないことをしている。
こんなに不味い精液を美味しいものように何度も何度も食べてしまっているのだ。
異常の上に異常を重ねた自分に、初美の心は転がり落ちていく。
精液が放つその淫らな味に負けるように、彼女はよりメスの発情へと近づいていっていた。

初美「(止まらない…っ♪)」

初美「(エッチになるのも…精液食べるのも…興奮するのも…ぉ♥)」

初美「(全部全部…止まらなく…なっちゃってますよぉっ♪)」

そんな自分を初美はコントロールする事が出来ない。
今の彼女の中には理性と呼べるほど御大層なものは存在していないのだから。
心と身体と本能が求めるままに舐め、しゃぶり、そして堕ちていく。
より淫らに、本能だけのメスに追い込まれていく自分に、初美の下半身から愛液が滴り始めた。


京太郎「ん…」

初美「~~っ♪」

瞬間、京太郎が漏らした声に、大きな理由があった訳ではない。
ただ、未だ眠り続ける意識が、少し覚醒へと進んだだけ。
だが、それを聞く初美に、そんな事が分かるはずがない。
京太郎の精液に夢中になってた初美にとって、それは京太郎のオネダリ以外の何者でもなかった。

初美「…ふふ♪そうですねー…♥」

初美「今、優先しなきゃいけないのは…京太郎君の方…♪」

初美「ごめんなさい…♪すっかり忘れてたのですよー…♥」

そう言いながら、初美は再び京太郎へと身体を近づけていく。
しかし、それはさっきのように手を伸ばすだけのものではない。
その上体を彼へと倒していくように大きく深く、傾いていくのだ。


初美「…だから、今度はこっちでお詫びするのですよー♥」レロォ

京太郎「あぁ…っ」

そんな初美の顔が辿り着くのは、京太郎の股間。
最も精液が濃いそこに初美は躊躇いもなく舌を這わせた。
その表面に張り付く精液をなめとるようなそれに京太郎の口から声が漏れる。
手とは一線を画する生暖かくもヌルヌルとした刺激は、童貞チンポには荷が重い。
射精後に幾らかインターバルを置き、神経も落ち着いたが、裏筋から湧き上がる快感はあまりにも強いのだから。

初美「ちゅぅ…♪くしゃいのがいっぱぁい…♥」

初美「ホント…こんなにきちゃなくして…ダメチンチンなのですよー…♪」チュルゥゥ

そう言いながらも、初美は熱心に肉棒を舐めしゃぶっていく。
その言葉とは裏腹に完全に夢中になっていくその丁寧さは、京太郎のみならず初美自身にも興奮を与えていた。
自分は今、こんなにも情熱的に京太郎を、弟としか思っていなかった男に肉棒を味わってしまっている。
未だ恋人のこの字も出来る気配がないというのにフェラチオまで経験しているのだ。



初美「(もう…エロ過ぎて…頭がどうにかなちゃいそうなのですよぉ…♪)」

ほんの数時間前からは想像もしなかったほど大胆かつ淫らな事やっている自分。
しかも、それに身体も心も悦んでいるのだから、もうどうしようもなかった。
精液から湧き上がる淫らな匂いと相まって、彼女の心は発情を強めていく。
まるで目の前の肉棒しか見えなくなっていくような自分に、初美はトロリとした笑みを浮かべて。

初美「…あむぅ♪」パク

京太郎「~~~っ」

そのまま初美が口に含んだのは京太郎の金玉だった。
肉竿の下にぶら下がったプリプリとしたそれを、初美は躊躇なく口へと招き入れる。
瞬間、彼女の口の中で据えた汗の匂いが広がるが、初美はもうそれを不潔とは思えない。
ソレ以上にオス臭い精液を幾度となく口に運んだ彼女からすれば、それはもう興奮剤以外の何者でもなかった


初美「じゅ…ちゅぅ…♥」シコシコ

だが、初美はそれだけで満足したりはしない。
その口に金玉を含んだまま、京太郎の肉竿に両手を伸ばした。
精液の代わりに自身の唾液でベトベトになったそれを、彼女は丁寧に扱き始める。
その口の中でコロコロと金玉を動かすのに合わせて、ゆっくりと上下していく彼女の手に京太郎の肉棒は再びカウパーを漏らした。

初美「(ふふ…♪本当に堪え性のない子なのですよー…♥)」

初美「(そんなエッチなのを先っぽから漏らしてオネダリするなんて…♪)」

初美「(気絶してるのが信じられないくらいエッチな身体じゃないですかぁ…っ♪)」

それが自身の指先に触れた意味を、初美は正確に理解した。
京太郎の肉竿はこの程度では満足していないのだと。
もっと激しい愛撫を求めているのだと、彼女はそう感じ取ったのである。
そして今の初美にそれに応えない理由はない。
京太郎のカウパーをその指に絡ませながら、その両手をリズミカルに動かし始めた。


京太郎「あぁぁ…っ」

初美「(ほらほら…♪先っぽも…根本も…気持ち良いですよね…♥)」

左右から挟み込むのではなく、前後それぞれ別の部分を掴んだ初美の手。
それが上下に動くその度に根本が扱かれ、カリ首が指先に引っかかる。
それだけでも十分なほど気持ち良いのに、初美の口は彼の精嚢をコロコロと口の中で弄んでいるのだ。
男の弱点を可能な限り、慰めようとするその動きに、京太郎の腰が反応を見せる。

初美「(あは…♪腰が勝手に動いちゃうくらい良くなってくれてるなんて…♪)」

初美「(嬉しいですけど…でも、エロ過ぎますよぉ…♥)」チュパァ

初美「もう…どれだけムラムラしてたんですかー…♪」

さっき手で扱いていた時よりも激しく、そして何よりエロティックな動き。
快感に積み重なった射精欲求を堪えきれず、腰を動かすその仕草に初美は口を離した。
瞬間、さっきまで精液まみれだった精嚢が、唾液まみれになりながら彼女の目の前で揺れる。
フリフリと誘惑するようなそれに初美は再びそれを口にしたくなる衝動を覚えた。

なしくずしックスって言うよりは痴女プレイだコレー!!!(´・ω・`)やっぱ京ちゃんが最初から起きてた方が良かったかなー
と思いつつも、とりあえずこのままで小ネタ進めようと思います(´・ω・`)後、明日、出来たら投下しまし

いきなりの小ネタ…一瞬本編かと…
持病が発症したんですね(白目)
乙です

『謝罪』をみせてくれー

確かに弟扱い=婚約(堕ちる)前なら、なしくずックス前にいつものケンカップル要素があったほうが面白そうだなー
それでいつもの軽口を入れたら、平静を装ってても実は媚薬に全然抗えてなかった京ちゃんが乗ってきてなしくず……とか
でもイッチのことだしきっと一刻も早くエロシーンが書きたかったんだろう、搾精ロリ痴女で何の問題もないぞ

はっちゃんが睡姦プレイしていく内に本格的に堕ちるはっちゃん回だと思ってました

もうこれが本編でいいのでは

なしくずしックスってそっちかー……
これはこれでいいね

ヒャッハー!もう我慢出来ねぇ!投下だー!!


………


……






―― それからは比較的、穏当な時間が続いた。

そう思うのは風呂場での一件がかなり大変だったからなんだろうな。
アレから俺とわっきゅんが一緒に入浴してたって事に、わっきゅんパパが怒ったり。
そんなわっきゅんパパをわっきゅんママが寝室に無理矢理、連れ込んだりしてたけれど。
ソレ以上のイベントは特に起こらなかったんだから。
正直、泥沼に沈み込んでいくようなイベントばっかりだった混浴よりはずっとずっと心と身体に優しい。

京太郎「(まぁ、でも、そんな時間も終わりだ)」

風呂から上がった後のわっきゅんは、俺に対してグイグイやって来たりはしなかった。
俺の良く知る『十曽湧』の姿で、俺に接し、笑顔を向けてくれている。
十曽夫妻が寝室に引っ込んだ後もそれは変わらなかったし、きっと今日はもう捕食しに来るつもりはないのだろう。
少なくとも、もう寝るだけなんだから、これ以上、何かイベントが起こったりしない。


京太郎「(…そう思っていた時期が俺にもありました)」

……今、俺がいるのはわっきゅんママから充てがわれた客室だった。
居間よりも清潔感に溢れる反面、必要最低限の家具しか置かれていないその部屋が決して嫌な訳ではない。
純和風のその客室は、俺にとって慣れ親しんだもので、他人の家で寝るという緊張を緩和させてくれている。

京太郎「(…ただ、問題は俺の目の前にある布団が一組だけであり…)」

湧「~♪」

…尚且つ、わっきゅんもここで寝るって事なんだよなぁ。
六女仙に選ばれ、あのお屋敷に住むようになった今、わっきゅんの部屋はここにはない。
あるのは、かつて彼女の部屋だった場所だけ。
それがこの部屋なのだから、彼女がここで寝るのも当然と言えば当然なんだろう。


京太郎「(だけど、なんで布団が一組だけしか準備されてないんだよ!)」

京太郎「(しかも、ご丁寧に枕だけは二つ揃ってるし…!!)」

京太郎「(これ完全に間違いを犯させる気満々じゃねぇか…!!)」

いや、わっきゅんの気持ちを知った今、わっきゅんママの企みも大体、見えてきているけれど!
既成事実作らせて、俺に責任取らせる気満々なのはもう分かってるけれどさ!!
でも、流石にこれはちょっとストレート過ぎるって言うか…ヤバ過ぎるわ!
同じ部屋で寝るだけでも若干の不安を感じるわっきゅんと同衾だなんて…絶対に喰われる…!!

湧「キョンキョン?」キョトン

京太郎「あー…えっと」

…ただ、こうして上機嫌に寝る準備を進めるわっきゅんは何時も通りなんだよなぁ。
風呂場でのアレコレなんて完全に忘れてしまったように、純真な顔を俺に向けてくれている。
アレは俺の白昼夢だったのだとそんな錯覚さえ覚えてしまいそうなそれに、危機感が小さくなっていくのが分かった。
わっきゅんにそのつもりはないのだろうし、別に同衾くらいしてしまっては良いのではないか。
そう事態を気楽に考える自分が少しずつ、心の中で顔を出してくる。


京太郎「…と、とりあえず、他に布団はないのか?」

湧「ないよ」

京太郎「い、いや、でも、他の部屋に予備の布団とか…」

湧「ない」キッパリ

そんな自分を押さえつけながら、口にした言葉に、わっきゅんは同じ言葉しか返してくれなかった。
だが、ここはお屋敷ほどではなくても、それなりに大きい家なんだ。
ここ以外に客室はあるだろうし、他に予備の布団が一枚もないなんて事はないだろう。
にも関わらず、こうして頑なにないと続けるのは、彼女が俺との同衾を望んでいるから。
そんなわっきゅんに応えたいという気持ちは俺の中にもあるのだけれど。

京太郎「じゃ、じゃあ、俺は布団の外で寝るわ」

京太郎「まだ12月前だし、布団なしでも風邪引いたりしないだろ」

湧「ダメ」ギュ

京太郎「い、いや、でもさ…」

…それでも俺にとって、目の前のその布団が罠以外には見えなかった。
勿論、俺はこれまでに何度か春や小蒔さんと同衾をしてはいる。
が、小蒔さんは俺の事を家族としか思っておらず、また春の方も俺を襲うつもりはなかったのだ。
俺さえ我慢すれば最悪の事態にはならないとと言う状況だったからこそ、俺は二人を受け入れたのである。


京太郎「(…が、今回は下手に我慢すると詰んでしまう訳で)」

こうして拗ねるように俺の袖を掴む姿からは想像も出来ないが…わっきゅんはかなりの肉食系だ。
隙あらば俺の事を捕食し、責任を取らせようとしてくる。
勿論、俺もそんな彼女が嫌いじゃないし、どう足掻いても結末は同じ気がするが…。
さりとて、ここで食べられてしまっても良いなんて事にはならない。
春や明星ちゃん、それに何より、初美さんへの筋を通していないのに、そんな事をする訳にはいかないんだ。

湧「…そげんあちきといっどき寝たくない?」

湧「春さあや姫さあとはいっどき寝ちょっのに…」

京太郎「ぅ…」

…ってそりゃわっきゅんも同衾の事くらい知ってるよな。
春達と仲が良いのは決して俺だけじゃないんだし。
毎日、情報交換なんかもしている彼女たちに、同衾の話が伝わっていないはずがなかった。
…なのに、こうして頑なにわっきゅんの事を拒んでしまうと、また彼女の目が厳しくなっていって…!


京太郎「いや、そういう訳じゃないぞ」

京太郎「ただ、その…色々な意味でわっきゅんは特別というか…」

湧「…信頼出来ん?」ジィ

京太郎「い、いや、信頼はしているぞ、勿論」

や、ヤバイ。
わっきゅんの目がどんどんと厳しくなっていってる…!
それで不機嫌になる程度ならまだ何とかなるが…彼女はその手に逆レイプって言う最悪のジョーカーを握ってるんだ。
あまりにも追い詰めすぎて、その札を切らせてしまうと俺の命運は間違いなく尽きてしまう。
何より、俺自身、わっきゅんが決して嫌いじゃないし、その誤解は解いておきたいのだけれど…。

湧「じゃあ、良かよね」

京太郎「で、でも…」

湧「良かよね?」ニッコリ

京太郎「…はい」

既に俺はツーアウト。
これ以上、失態を重ねると本当に容赦しない。
……そんな言葉が脳裏を過ぎったのは、わっきゅんの目が有無を言わさないものだったからだろう。
俺の言葉を遮るようにして重ねられたそれに、俺はもう頷く事しか出来ない。
正直、かなり格好悪いと思うけれど…でも、迂闊な発言で彼女を傷つけてしまったのは事実だし。
何より、わっきゅんの逆レイプを防ぐ手立てのない俺は、どうしても最終的に譲歩するしかないんだ。
…………多分、核爆弾を抱えてる国との交渉って、こんな気分なんだろうなぁ。


湧「…だいじょっだよ。あちきは襲ったりせん」

湧「勿論、キョンキョンが何かする分には歓迎するけれど」

湧「キョンキョンが不安がってるよな事は絶対にせんってやっじょする」

…まぁ、とは言え、あっちも決して物分かりの悪い子じゃない。
俺が決して譲れないラインくらいは分かっているのか、ハッキリとそう約束してくれる。
それは風呂場で口にした言葉を『約束』と置き換えたものだが、それでも有り難い事に代わりはない。
わっきゅんは一度、口にした約束を簡単に破るような子じゃないし、その言葉を信じても良いだろう。

京太郎「…分かった。それじゃあ」

湧「あ、先にお布団に入ってて」

湧「あちき、水差しとか取ってくるから」

京太郎「あぁ。分かった」

そう言って歩き去っていくわっきゅんを俺は見送る。
瞬間、一人になった俺の心に浮かぶのは、ここがかつてわっきゅんが暮らしていた部屋だと言う情報だった。
この部屋の中で幼いわっきゅんが飛んだり跳ねたり遊んだりしていたのだと思うと、少し微笑ましい。
そんな部屋でこれから彼女と同衾する事を考えると、何処となく背徳的な気分にもなるが…。


京太郎「(…馬鹿な事を考えてないで寝よう)」

こんな事を考えてしまうのも、風呂場の一件がまだ俺の中で尾を引いている所為だ。
俺の身体は日頃から我慢し続けている上に、風呂場では二度も勃起してしまったのだから。
何とかそれを理性で抑えこんだものの、その燻りは今も俺の中に残っている。
キッカケさえあれば、すぐさま理性の蓋を持ち上げそうなそれを、俺に何とかする術はない。
いや、あると言えばあるのだが…この状況で自家発電をする訳にはいかないし。
ここはとっとと眠って、燻りが消えるのを待つのが一番だろう。

京太郎「(まぁ、部屋の主が帰ってくるよりも先に布団に入ってるのも申し訳ない気がするけれど)」

京太郎「(でも、わっきゅん自身、それを望んでくれていた訳だし…)」

それに今の時期は布団の中も冷たくなっている。
流石に声をあげたくなるような冷たさはないものの、布団に入ってすぐさま熟睡出来るような気分にはならないだろう。
それを考えれば、先に布団に入って、温めておくのもそう悪いものではない。
まぁ、ここから台所はそう遠くないし、わっきゅんもすぐさま戻ってくるだろう。


京太郎「…ふぅ」

そう思いながら入り込んだ布団はやはり若干の冷たさがあった。
だが、それも少しすれば、春の雪融けのように薄れていき、布団の中に熱が篭もり始めるのが分かる。
分厚い布団の中が、天国のように心地良い場所になっていく感覚。
この時期にしか味わえないそれに俺はつい吐息を漏らしてしまった。

湧「ただいま」

京太郎「あ、おかえり」

瞬間、部屋の襖が動き、その向こうからわっきゅんが現れる。
その手に持った木製の盆に透明の水差しとコップを載せた彼女は、後手に襖を閉めてこちらに近づいてくる。
そんな彼女を出迎えようと上体を持ち上げた俺の後ろに、わっきゅんは手に持った盆を置いた。
俺達の枕のすぐそばにそれを置いたのは、布団から出ずに飲めるようにという配慮だろう。


京太郎「悪いな、そっちにばっかり働かせて」

湧「んーん。これくらいだいじょっ」

湧「そいに好っな人に…夫にすっぱいすのは女の幸せじゃっで」ニコ

京太郎「お、おう」

まさかわっきゅんがそんな事を言うとは正直、想像してなかった。
俺の中での彼女はとても活発な子で、尽くす女性のイメージとは程遠いんだから。
勿論、その外見からは想像も出来ないほど家事が得意な事は知っているし…。
こうして俺の為に率先して動いてくれるところは今まで何度も見てきている。
だが、やっぱり尽くす女性って言うと、真っ先に出てくるのは巴さんなんだよなぁ。
巴さんは尽くしすぎて、一歩間違えれば、男をダメにする素質を秘めてるし…ってそれはさておき。

京太郎「(こうして俺に微笑む彼女の表情からは、見栄や誤魔化しの色は感じ取れないし)」

京太郎「(きっとわっきゅんは本気で俺に尽くす事が嬉しいとそう思ってくれているんだろう)」

京太郎「(だけど、夫って言うのは…)」

…わっきゅんの中ではもう俺との結婚は確定しているんだろうか。
いや、まぁ、現実、俺がわっきゅんに性的な意味で捕食される未来は決まってるも同然なんだろうけれど。
それでも、その言葉には少し引っかかるものがある。
一応、俺の婚約者は初美さんな訳で…もし、俺が結婚するにしても彼女の方になるんだけれども…


湧「他になにか欲しものはない?」

京太郎「いや、大丈夫だよ。ありがとう」

湧「そっか。そいじゃあ…」

って、今は考え事してる場合じゃないよな。
こうしてわっきゅんが水差しを持ってきてくれた以上、お互いに寝る準備は完了しているんだ。
彼女はさっき自分から手を出すつもりはないと言っていたけれど、気を緩める訳にはいかない。
わっきゅんにその気がなくても、俺がその気になってしまう可能性もあるし、しっかり理性を保たないと。

湧「お邪魔しまーす♥」モゾモゾ

京太郎「はい。どうぞ」

ま、とは言っても、春や小蒔さんに挟まれていた時ほどヤバイ事にはならないだろう。
あのおっぱいサンドイッチと言っても良い状況は、本気で理性が死ぬとそう思ったけれど。
でも、わっきゅんは色々と控えめな子で、密着してなければ、欲情を覚える事もないんだ。
風呂場のようにほぼ裸で抱き合うならばともかく、一緒に眠るだけなら平和に終わるはず…。


湧「…えい♪」ダキ

京太郎「ってえぇ!?」

な、なんでわっきゅんが馬乗りに…!?
つか、いつの間に俺の上に乗っかってたんだ…!!
幾ら考え事してたとは言え、まったくその予兆を感じ取れなかったんだけど!!
俺の右側に入り込んでたはずの子がいつの間にかマウントポジション取ってたとか恐怖体験以外の何者でもないぞ!!

湧「…きゅはあちきがキョンキョンの布団になったげるね…♥」

京太郎「ふ、布団って…」

湧「キョンキョンへの気持っがいぃっぱい詰まった…特製肉布団だよ…♪」

に、肉布団って言うけれど…正直、あんまり肉々しさがないような。
わっきゅんはどちらかと言うとスレンダーな子で、胸以外もちょっと物足りないところが多いからなぁ。
……って、今、突っ込むべきはそうじゃないだろう、俺…!
今はわっきゅんにこんな事止めるよう説得しないと…!!


京太郎「わ、わっきゅんの気持ちは良く分かってるけれどさ」

京太郎「で、でも、これはちょっとやり過ぎじゃないかな?」

湧「やり過ぎなんち事はないよ♪」

湧「だって、あちきはただ布団になろうとしちょっだけだもん…♥」

湧「エッチな事も…なぁんにもしちょらんから♪」

な、なんという屁理屈を…!
とは思うものの…碌に反論が思いつかないのも事実なんだよな。
これがわっきゅんの身体が俺のムスコを圧迫してるとかならばともかく。
彼女は俺のそこには触れないように身体の位置を調整してくれている訳で。
…ぶっちゃけ、布団の中だと言う事を除けば、普段、抱き合っているのとそう代わりはない。


京太郎「(…ただ、それでもこうして俺が躊躇いを覚えてしまうのは…)」

京太郎「(わっきゅんに馬乗りになられているっていう状況に本能的なヤバさを感じているからなんだろうけれど)」

湧「そいに…キョンキョン、あちきに一つお願いする権利があっと忘れてない?」

京太郎「って、まさか…」

湧「ふふ…♪きゅのキョンキョンはあちきの敷布団だよ…♥」

湧「ちっと重いかもしれんけれど…いっぺー、可愛がってあぐっから許してね…♪」ツツ

京太郎「っ!」

多分、それは間違いじゃないよな…!
だって、俺の上に乗ったわっきゅんが…今、俺の鎖骨の辺りを撫でたんだし…!!
明らかに俺を誘惑する気満々の仕草…!!
局部に直接触れなくても勃起させる気満々なのが指先から伝わってくる…っ!!

京太郎「い、いや、重いなんて事はないけれどさ」

湧「げんにゃあ?」

京太郎「あぁ。わっきゅんは小さくて可愛いし、重さなんて殆ど感じないよ」

湧「んふー♪」スリスリ

…正直、この状況はかなりヤバイ。
勿論、俺は春や小蒔さんと同衾した事はあるけれど…それはあくまでも安心する為のものだったんだ。
だが、今のわっきゅんは自身が安心する為ではなく、俺を興奮させる為に同衾という手段を選んでいる。
今は上機嫌に顔を摺り寄せてくれているけれど、きっと少しすれば…。


湧「…じゃあ、きゅはこんままいっどき寝ようね♥」ギュゥ

京太郎「ぅ…」

って思った途端にわっきゅんの足が俺の足を完璧に捕まえてしまっている。
まるで逃がさないと言うようなそれは俺に蜘蛛の前足を彷彿とさせるものだった。
…って事は今の俺は蜘蛛の巣に引っかかってしまった獲物って事だろうか。
自分で思い浮かべておいてなんだが笑えない想像だな、おい。

京太郎「ほ、本気なのか?」

湧「こげな事、わやっじゃ出来んよ♥」

湧「きゅのあちきはこんままキョンキョンとハグしかたで寝っの…♪」ギュゥゥゥ

湧「でも、け眠っよっかしたい事あるなら…あちきはいっでん付き合たげるよ…♪」

湧「キョンキョンからすっとはだいじょっだもんね♥」ニコ

京太郎「っ」ドキ

―― 瞬間、わっきゅんが見せる表情は背筋が冷たくなるほど綺麗だった。

障子の向こうから差し込む月明かりに照らされた彼女の顔は、俺の知るものよりもずっと艶っぽい。
幼さを残すその顔にむせ返るほどの色気を込めたわっきゅんから、俺の目は離れようとしなかった。
何処か恐ろしささえ感じさせるその美しさに、俺はわっきゅんパパの言葉を思い出す。
確かに今の彼女は怖くて、強くて、得体が知れなくて……何より、見惚れるほど綺麗だったんだ。


湧「キョンキョンは何がしたい?」

京太郎「そ、それは…」

湧「あちきはキスがしたい…♥」

湧「あちきの事見てくれてるキョンキョンと…思いっきり幸せなキスがしたいな…♪」コツン

そんなわっきゅんが俺に顔を近づけて来た。
その額同士をぶつけるようなその距離に、彼女の顔が視界一杯に広がる。
興奮のせいか、それとも気恥ずかしさが残っているのか…その頬を微かに赤く染める彼女がとても愛らしい。
そうやって可愛らしくおねだりをしてくれるわっきゅんに応えてあげたい気持ちは俺の中にもあるけれど…。

京太郎「(で、でも、ここで良いよなんて言ったら絶対に止まらないだろ…!!)」

わっきゅんは全然、諦めたりしていなかった。
約束を破らない範囲で、俺との既成事実を作ろうとガンガン迫ってきている。
そんな彼女を少しでも受け入れる態度を取れば…きっとそのまま押し切られてしまう。
ただでさえ禁欲続きの今、わっきゅんからの誘惑に耐え切る自信が俺にはないんだ。


湧「…ダメ?」

湧「ダメってゆーてくれなきゃ、キスしちゃうよ…♪」

湧「キョンキョンのココに…あちきのはいめっのキス…あげちゃう…♥」ツツ

京太郎「だ、ダメだ…!」

湧「むー…」

正直、わっきゅんの指先に唇をなぞられた時はかなりドキリとしたし、心惹かれる俺もいたけれど…。
でも、だからこそ、まだ取り返しのつくところで彼女のことを拒んでおかなきゃいけない。
そう思った俺の言葉に、わっきゅんはその頬を膨らませて不満の色を見せた。
わっきゅんとしても勇気を出して誘惑してくれていたんだろうし…。
ここまで強く拒絶されると女の子としてのプライドが傷つくのだろう。


京太郎「その…ここでキスとかしちゃうと俺、最後まで流されちゃうしさ」

京太郎「まだ責任取れるかどうかも分からないし…ここで流されるような格好悪い真似させないでくれ」

湧「…キョンキョンのそげな責任感の強えーとこいは好きじゃっどん」

湧「こげな時はもうちっと無責任になっても良かと思もな」

京太郎「相手がなんとも思ってないなら、俺も無責任になれるかもしれないけどさ」

京太郎「でも、俺はわっきゅんの事が本当に大事なんだよ」

京太郎「責任取れる確証もないのに流されたりはしたくない」

湧「……」

京太郎「…だから、こうやって眠るのは拒絶しないけど、そういうのは勘弁してくれ」

湧「…やだ」ギュゥ

京太郎「わっきゅん…」

説き伏せるような俺の言葉に返ってきたのは、たった二文字の短い言葉だった。
まるで子どもの我儘のようなそれと共に、彼女の両腕が俺の身体に絡みついてくる。
さっきのような艶っぽいものとは違うダダのようなその腕からは、わっきゅんの強い想いが感じられた。
風呂場ではこれで説得できたが…どうやら彼女の気持ちはあの時よりも高まっているらしい。


湧「あちきも…いっばんさっは我慢しようと思たんだよ…♥」

湧「やっじょじゃっでって…キョンキョンもそよ望んでないって…思たんじゃっどんぉ…♪」

湧「こげなの我慢出来んよ♪」

湧「あちきにだって…性欲くらいあるんじゃっで♥」

湧「運命の人と同衾しちょっのに…何もせんなんちむいだもん…♥」

じゃあ、別の場所で…って言うのは流石に口にしちゃいけない言葉だよな。
わっきゅんは俺の事を運命の相手だと思うほど好きになってくれたんだから。
布団を一組しか準備しなかったのはわっきゅんママだろうが、彼女もまたそれを喜んでくれている。
だからこそ、こうも暴走してしまっている彼女に再び他の布団の事を持ち出すと、下手に追い詰めかねない。
今の俺は何時、捕食されてもおかしくないところを、彼女の慈悲で見逃してもらっているんだ。
幾ら約束だとは言っても、強く拒絶しすぎると、わっきゅんが強硬手段に訴えるかもしれない。

湧「そいに…あちき、きゅが終ったや…キョンキョンといっどき寝っのも当分ないんだよ…」

湧「普段、キョンキョンといっどき寝ちょっのは、春さあと姫さあなんじゃっで」

湧「あちきが入り込ん余地なんち…もう何処にもない」

湧「最低でも姫さあの卒業式まで我慢せんといかんって考げたら…」

湧「…キョンキョンの事欲し気持が収まらんの…♥」

湧「誰いも邪魔されないこん状況で…キョンキョンと結ばれたい…♪」

湧「キョンキョンの事、独占出来っのはきっときゅだけじゃっで…♥」ギュ

…何より、わっきゅんの気持ちはまったく分からないでもないんだ。
まぁ、流石に女の子の性欲という、男にとってはどうしようもない部分は無理だけれども。
しかし、その他の部分 ―― 今日は特別で千載一遇のチャンスなんだと言う部分は俺にもちゃんと理解できる。
実際、わっきゅんのライバル達が暮らすお屋敷に戻ったら、今のように俺と二人っきりになる事すら難しいだろうからなぁ。


湧「じゃっで…これくらいは許して…♪」

湧「エッチすっとは…何とかきばっからぁ…♥」

湧「キョンキョンのあすこに触ったりせんから…イチャイチャだけは…♥」

湧「きゅの思い出を…きゅだけん『特別』をあちきに頂戴…♪」

…その上で、このオネダリだ。
ここで俺が引かなければ、最悪の事態もあり得ると示唆しながらの譲歩案。
それを飲まないなんて選択肢は、俺の中にはなかった。
悲しいかな、俺の立場はわっきゅんに対して、あまりにも弱すぎるのだから。
それがどれだけ危険な事だと分かっていても、要求を丸呑みにするしかない。

京太郎「…分かったよ」

湧「キョンキョンっ♥」スリスリ

京太郎「で、でも、あんまり過激過ぎるとストップ掛けるからな」

京太郎「それくらいの権限くらいは俺にくれるだろ」

湧「うん…♥」

まぁ…その権限を使って、わっきゅんが止まってくれたら良いんだけれどな。
だが、今の興奮した彼女の様子を見るに、それが目論見通りに機能するとはあまり思えない。
まったく抑止力にならないって訳じゃないが…今の彼女はソレを簡単に超えてしまいそうなほど熱を帯びている訳で。
…正直、興奮と言うよりも発情と言った方が正しく思えるくらいだった。


京太郎「(ま、まぁ、それでも、俺との約束を破りたくはないと思ってくれてるみたいだし)」

湧「…ちゅ♥」

京太郎「んお…!?」

俺さえ我慢すれば、この状況を無事に乗り切れるかもしれない。
そう思った瞬間、わっきゅんの唇が俺の首筋に押し付けられる。
ちゅっと言う音と共に吸い付くそれは思った以上に情熱的だ。
俺が驚きの声を上げて尚、数秒経つが、彼女は俺の首筋から離れようとしない。

湧「ん…ちゅぅ…♪」

十数秒ほど経ってそれがようやく終わったかと思えば、また首筋に唇が吸い付いてくる。
さっきとは違う場所に押し付けられた唇からは、甘く心地よさそうな声が漏れでた。
俺にキスする事が心底、嬉しいのだと言わんばかりのそれに、俺の内心で興奮が騒ぎ出す。
密着した身体から感じるフェロモンのような匂いと相まって、俺の身体は早くも追いつめられ始めていた。


京太郎「(だ、だが…ここで勃起するとわっきゅんも余計に興奮してしまうよな)」」

男である俺には女の子の性欲とやらがどれほど強いのか分からない。
が、それでも、こうして俺を襲ってしまうほどに強い衝動である事が彼女の身体から伝わって来ているんだ。
それほどまでに強い欲求を、何とかギリギリのところで抑えこんでくれているわっきゅんに勃起してしまったらどうなるのか。
GWの時のように怯えられるのならばまだリカバリーも出来るが…火に油を注いで一線を超えてしまう未来しか見えない。

京太郎「(それを防ぐ為にも、ここは…耐えるしか…!)」

湧「…えへぇ♪」

そう俺が自分に言い聞かせている間に、わっきゅんの二回目のキスは終わった。
瞬間、わっきゅんの口から漏れるのは気の抜けたような声。
まるで今の自分が幸せで幸せでたまらないと言うその笑い声はすぐそばにある俺の耳に容易く入り込んでくる。
その声音や思いだけではなく、欲情までもを伝えるそれに興奮を堪らえようとする俺の身体が強張るのが分かった。


湧「キョンキョンのごて…わぜよぉ…♥」

湧「チューするだけで…こげんも幸せに…嬉すなれるなんち…♪」

湧「いっどきお風呂入っちょった時よっか…ずっとずっと…わっぜぇ…っ♥」

湧「あちき…キョンキョンのごてにチューするの…癖になっちゃいそう…♥」

湧「ワンちゃんみたいにペロペロするのがらいしゅきに…なっしも…ぅ♪」ペロォ

京太郎「っく…」

そんな俺の身体に今度はわっきゅんの舌が押し付けられる。
唇よりももっと柔らかく、熱く、そしてヌメヌメとしたそれは俺にどうしようもなく性的なものを連想させた。
その舌とキスを交わせば、一体、どれほど気持ちよく、そして幸せになれるだろうか。
そんな好奇心とも欲望ともつかない言葉が俺の胸に浮かんでくる。

湧「そん上…美味か…♥」

湧「キョンキョンのごて…わっぜか美味かよ…♪」

湧「何いも味なんちせんはずじゃって…幸せの味がするぅ…♥」

湧「ひのひしてでも…ペロペロ出来ちゃうよぉ…♥」

京太郎「そ、それは流石に勘弁してくれ」

唾液と言うとあまり意識はしないかもしれないが、それは結局、酸性の液体でもある訳だからなぁ。
それを塗りつけられ続けると次第に皮膚が溶け、肉や血管が露出してしまう。
事実、それを利用した拷問なんかもある訳だし、一日中は流石に勘弁して欲しい。
流石にそこまでされると絶対に俺の理性も保たないからな…。


湧「えへ…♪そいじゃあ…♥」ナデナデ

京太郎「う…」

湧「ここ…気持良か…?」

瞬間、わっきゅんの手が俺の首から離れ、浴衣越しに脇腹辺りを這いまわる。
ただ、俺の身体を撫でるのではなく、その輪郭を指先で確かめるようなそれは正直、気持ち良いものだった。
勿論、今すぐ勃起するほどハッキリとした快感ではないが、それでも興奮の勢いが強まった事は否めない。
…正直、美少女に身体を撫でられると言うのが、これほど興奮するものだとは思わなかった。

湧「キョンキョンのごったましごて…♥あちき大好きだよ…♥」

湧「こげんして…ナデナデしかたで確かめるだけで…すっごくドキドキしちゃう…♪」

湧「あちき、キョンキョンの男らしさに…♪もうメロメロになっちゃってる…♥」

京太郎「そ、それは俺としても嬉しいけれどさ…」

その上、わっきゅんの言葉はまったく容赦がなかった。
一度、俺に告白して吹っ切れたのか、好きと言う言葉を躊躇いもしない。
熱い吐息と共にその想いを伝えてくる彼女の姿は、正直、今の俺にとって猛毒と言っても良いものだった。
熱病に浮かされたような熱い指先がねっとりと這いまわる最中に、こんな事言われては、どうしても気持ちがわっきゅんへと傾いてしまう。


湧「そう…♥嬉しんだ…♪」

湧「じゃあ…ご褒美あぐっぅ…♥」チュゥゥ

京太郎「っ…」

湧「えへへ…♪三個目のキスマークぅ…♥」

湧「あちきの跡…またキョンキョンにつけちゃったぁ…♪」

あぁ、さっきからやたらと情熱的だったが、俺の首筋にキスマーク作ってたのか。
それ事態を拒むつもりはないんだけれど…しかし、この後の対処はどうしよう。
キスマークなんて言うが、つまるところは鬱血だからなぁ…。
数日は引かないって言うし…絆創膏か何かで隠すしかないだろうか。

湧「まだまだ…いっぺーつけてあぐっね…♥」

湧「首筋だけじゃねじ…胸や腕にも…♪」

湧「きゅの事忘れられないように…いっぺー…いっぺー、チューするぅ…♥」チュゥゥ

それでも、あっちこっちにキスマークをつけられると誤魔化せなくなるって言うか…。
人前に肌を晒す事は滅多にないとは言え、着替えの時とか大変な事になるから遠慮して欲しいんだけれど…。
でも、それを言っちゃうと夢中で俺にキスするわっきゅんの気持ちに水を差す事になるからなぁ。
正直、後処理をどうすれば良いのか悩むし、かなり興奮するけれど…ここは彼女の好きにさせておいてあげよう。
その衝動や性欲を少しでもキスで発散してくれる方が、今は有り難いしな。


湧「ん…ちゅぅ…♪」スリスリ

京太郎「あっ」

って、んな事考えてたら、俺の口から変な声が…!?
胸元にキスされながら、脇腹撫でられたとは言え、今のはちょっと恥ずかしすぎる。
一人の男としては、今の声は黒歴史認定したいくらいだったんだけれど…。

湧「…キョンキョン、むぜ…♥」

京太郎「…忘れてくれ」

湧「やーだ…♪絶対にきゃあすれんもん…♥」

湧「キョンキョンのむぜとこいも、格好良かとこいも…♪」

湧「すっぺ、あちきの思い出に…♪好っなじゆになるんじゃっで…♥」

…まぁ、忘れてはくれないよなぁ。
こうして言葉にすると自意識過剰っぽいが…わっきゅんは俺の事を心から好きでいてくれているんだから。
自分を見失っているんじゃないかって勢いでスキンシップを求めてる相手の情報を、彼女が忘れてくれるはずがない。
俺の上からトロリと滴るような甘い声も、断固とした強い意思を込めていた。


湧「そいよっか…今の声、もちっと聞かせっ…♥」

湧「もちっともちっと…キョンキョンのむぜとこい見せっ…ぇ♪」レロォ

京太郎「っ」

そう言って、俺の首筋をねっとりと舐めるわっきゅんに、俺は応える訳にはいかなかった。
彼女が求めているのは俺にとって黒歴史以外の何者でもないのだから。
ここで声をあげてしまうと俺はまた死にたくなってしまう。
最近、受け身になることは多いが、決してマゾではない俺にとって、それは目に見えている地雷も同じだった。

湧「キョンキョンのぎろ悪…♥」

湧「でも…そげなとこいもむぞて…良かよ…♪」

湧「何より…そげなキョンキョンに声をあげさすいって考ぐっと…♥」

湧「あちき…お腹の奥から興奮しちゃう…♥」

京太郎「…」ゴク

…でも、そうやって耐えたところで、活路を見いだせる訳でもない。
むしろ、我慢する俺に興奮すると言わんばかりに、わっきゅんは強気な言葉を口にする。
絶対に俺の我慢を砕いてやるのだと言う挑戦状めいたそれは、脳を痺れさせるほど甘い響きを伴っていた。
淫らで、嗜虐的なメスの声に、思わず生唾を飲み込んでしまう。


湧「…それじゃまずはぁ…♪」スス

京太郎「ってぇ!?」

そんな俺の前でわっきゅんが選んだのは、俺の浴衣の内側に手を差し込む事だった。
スベスベとしたその手が直接、胸板に触れる感覚に、俺は驚きの声をあげる。
わっきゅんの手は浴衣越しでも俺に興奮と微かな快感を与えてきていたんだ。
それが直接、触れてくるとなると俺の理性も本格的に追いつめられてしまうかもしれない。

京太郎「(しかし、ここでわっきゅんを引き離す事は出来なくて…!)」

あまりに過激過ぎれば、ストップを掛けると事前に口にしてはいるけれど。
これは暴走を続けるわっきゅんを納得させられるほどヤバいスキンシップじゃないんだ。
その快感は決して我慢出来ないほどじゃないし、ムスコに触れられている訳でもない。
謂わば、グレーゾーンのような場所で、ストップと口にすれば、燃え盛る彼女の興奮に油を注いでしまう可能性さえある。


湧「えへへ…♪キョンキョぉン…♥」デレー

俺の心中を知ってか知らずか、わっきゅんはむき出しになった俺の胸板に顔を摺り寄せていた。
いっそだらしないと思うほど緩んだその表情は、自分で脱がした俺の身体に興奮と喜びを覚えてくれているからだろう。
一人の男として、それを喜ばしく思っているのは確かだが…俺の中ではソレ以上に危機感が強い。
ストップと言えないグレーゾーンに、理性が酷使される未来が今からでも見えているんだ。

湧「ちゅ…るぅ…♪」

京太郎「く…」

だからこそ、気を引き締めようとする俺に、わっきゅんは再び舌を這わせてくる。
しかし、それはさっきのように首筋を味わうものではなかった。
マウントポジションから、俺を横から抱き込むような姿勢となったわっきゅんは、硬い胸板にその舌を押し付ける。
興奮の所為か、さっきよりもベットリとしたその粘膜は、俺の胸をチロチロと這いまわり、くすぐったさに似た快感を与えてきた。


湧「んふ…ぅ♪」

それに思わず漏らしてしまった声に、わっきゅんは満足気な声を漏らした。
だが、その最中も彼女の舌は止まらない。
チロチロクチュクチュと唾液を塗りたくるようにして俺の身体を動き回る。
首筋を舐めていた時よりも情熱的なそれに快感が止まらない。
ジワジワとムスコの内側を炙られるようにして昂ぶっていくのが分かる。

京太郎「(い、いや、だが、まだだ…!)」

京太郎「(この程度で俺の理性は負けたりしない…!)」

京太郎「(そう…絶対にわっきゅんのスキンシップに屈したりなんか…!!)」

湧「れ…るぅぅ…♥」サワ

京太郎「くぉ」

い、いや、今のはノーカンだから。
舐めながら胸のところを撫でられるとか、流石に今のは耐えられないって。
勃起こそしなかったが、どうしても声くらいは出てしまう。
決して俺がわっきゅんに屈した訳ではない。


湧「~♪」

京太郎「う…うぐぐ…」

……ないんだが、心なしか俺の上で舌を伸ばすわっきゅんの顔が勝ち誇るようなものになった気がする。
それが俺の胸に訪れた否定出来ない敗北感の生み出した錯覚なのかは…正直、俺には分からないけれど。
しかし、今の俺が、こうしてわっきゅんに良いようにされてる状況を恥ずかしく、そして悔しく思っているのは確かだ。

京太郎「(何より…わっきゅんがさっきから熱心に愛撫しているのは俺の胸な訳で)」

これが女の子であれば、それも当然の事と受け入れられるかもしれない。
だが、俺は男であり、胸が性感帯であるという認識はまったくないのだ。
にも関わらず、こうして胸板から注がれる快感は、決して否定出来るものではなくて。
羞恥と悔しさの中に、どうしてという躊躇いもまた浮かんでくる。


京太郎「(ま、まぁ、何はともあれだ)」

京太郎「(今、俺が考えるべきはこの状況でどう我慢し続けるかだろう)」

幸い、約束に縛られたわっきゅんは俺のムスコに触れる事はない。
つまりこれ以上の愛撫はまず起こらないと思って良いだろう。
ならば、この感覚に一刻も早く慣れられるよう集中した方が良い。
…いや、それも色々とまずい気がするが、それでもここで慣れなければジリ貧なのだ。

京太郎「(正直、興奮はするが…しかし、所詮は胸)」

京太郎「(落ち着けば、決して対処出来ないものじゃない)」

京太郎「(焦る事なく、この感覚を受け流していけば、いずれわっきゅんも…)」

湧「…きゅ♪」

京太郎「うぉ…!!」

って思った途端に胸の先から快感が来たんだけれど…!!
し、しかも、胸板よりも遥かに強くて激しい奴が…!!
こ、これってもしかして…いや、もしかしなくても…っ!!


湧「…あはぁ…♥」クリクリ

京太郎「ふ…おぉ…っ」

ち、乳首だ…!
わっきゅん、俺の乳首を摘んできてる…!!
そ、そんなところで感じるなんて男としての沽券に関わるレベルなのに…!
でも、わっきゅんの愛撫が上手過ぎるのか…声が抑えられない…!!
く、悔しい…!でも、感じちゃう…!!

湧「ちゅぱ…♪キョンキョンのちくっ…♪むぞて敏感さんなんじゃっど…♥」

湧「ちっとクリクリしてあぐっだけで…キョンキョンがエッチな声あげてくるっぅ…♪」

京太郎「うぐぐぐ…!」

悔しいかな、胸から離れた彼女に否と返せるだけの理屈が、俺の中にはなかった。
わっきゅんの言うとおり、俺は彼女の指先にあっさりと屈し、声を漏らしてしまっているのだから。
自分では想像もした事がないほどの敏感さを発揮する乳首に、こんなの嘘だ幻だと言う言葉くらいしか出てこない。
だが、幾らそんな言葉を繰り返しても、ムスコのモノと異なる鮮烈な快感は俺の下半身に溜まっていって ――


京太郎「す、ストップ!ストップだ!」

湧「…えー」

それが勃起に繋がる前に、俺はついに制止の言葉を口にした。
正直、ここで札を切るのは悪手だという気持ちは俺の中にもある。
だが、ここで切らねば、俺は男としての尊厳に修復不能なダメージを受けてしまうかもしれないのだ。
男としてそれに忌避感を覚えてしまうのは致し方無い事だろう。

京太郎「そ、それは流石に過激過ぎだからNG指定です」

湧「…ちゅこっはキョンキョン、ちくっで感じてるの?」

京太郎「そ、それは…」

だが、そんな俺に返ってきたのは予想外の言葉だった。
元々、乳首責めを回避しようとしか考えていなかった俺にとって、確かめるようなわっきゅんの言葉を肯定することは出来ない。
今の俺の背中を押しているのは、男の尊厳を護ろうとする衝動めいた想いなのだから。
ここで肯定してしまえば、護ろうとした尊厳に深いキズをつけてしまうことになる。


湧「…そう…♥やっぱいキョンキョン、ここが良かんだ…♪」

湧「男じゃってちくっで感じちゃう…♪エッチなごてなんじゃっど…♥」

京太郎「ちょ…おぉ!」

それに俺が躊躇ってしまったのが悪かったのだろう。
俺のストップに一度は止まったわっきゅんは再び俺の乳首をこね回し始める。
指の間でクリクリと転がすようなそれに俺の声は上ずってしまった。
そんな俺にわっきゅんはドロリとした嗜虐的な笑みを向けて。

湧「ほら、ちゃんといっかせっくれんと…止まらんよ…♥」

湧「どげな風に気持っ良くなっしもたのとか…すっぺね…♪」

湧「そいずいあちき、キョンキョンのちくっ、いっぺー可愛がってあぐっ…♪」

湧「キョンキョンが説明しやすいようにね…♥」

京太郎「ぬぁ…っ」

それは明らかに方便だ。
元々、わっきゅんに止まるつもりなんてない。
俺に説明を要求しているのも、こうして愛撫を続けているのも、全て先延ばしにする為だ。
嗜虐的な性質を開花させつつある彼女にとって、俺の乳首はどうしても手放しがたいものなんだろう。


京太郎「(そんな彼女を止める為には…言うとおりにするしかない)」

京太郎「(でも…それは俺にとって大事なものを引き換えにすることで…!)」

湧「ちゅるぅ…♥」

京太郎「あぁあっ!!」

って、こっちに考え事をする時間もくれないのかよ…!
一瞬、わっきゅんの指が離れたと思ったら…今度はわっきゅんの口が右の乳首に吸い付いて…!!
指とは違うヌルヌルとした感触に、また声が出ちまった…!!
こんな声出したら、彼女を興奮させるだけだってわかってるのに…く、くそぅ…!

湧「ちゅぅぅぅぅ♪」スリスリ

京太郎「はぅあぁ…!」

そ、その上…わっきゅんの足が俺の太ももを挟みながら、擦ってくる…!
相変わらずムスコにはノータッチだけど…ソレ以外の性感帯を責めてきているんだ…!!
多分…彼女はここで勝負を決めようとしているんだろう。
それが分かっているのに…どうしても抗えない…。
乳首も太ももも全部、気持ち良くて…も、もう…俺…!!


京太郎「…っ」ムクムク

湧「~~~~っ♪♪」ブルブル

…やっちまった。
今まで必死に我慢してたのに勃起しちまった…。
しかも、わっきゅん、俺の乳首に吸い付きながら、震えてるし…。
まるで嬉しさが抑えられないって言うようなその仕草は…間違いなく俺の勃起を感じ取ったからだろうな。
となると…次に来るのは… ――

湧「しようよ…ぉ♥ねぇ…エッチしよぉ…っ♪」

湧「あちき…皆に黙ってるからぁ…♥」

湧「絶対絶対…他ん誰いもゆーたりせんから…っ♪」

湧「きゅの事、きゃあするっから…エッチしてよぉ…♥」

湧「あちき…もう欲すーて欲すーて堪らなかとぉ…っ♪」

湧「キョンキョンのコレ…ぇ♪」

湧「あちきで勃起しちゃった…ぁ♪ふとーてふてーのぉ…♥」

湧「あちきの子宮が…♪キョンキョンの事欲しすぎて泣いちゃってるよぉ…っ♥」スリスリ

京太郎「~~~っ!!」

誘惑。
それは俺も分かっていた事だし、覚悟していたつもりだった。
だが、わっきゅんから齎されたその言葉は、俺が思っていたよりも熱っぽく、そして何より余裕がない、
身の内を焦がす炎に負けてしまいそうなのだと、その身体を摺り寄せてくる姿に俺は言葉を失ってしまう。
ほんの一瞬、目を逸らした隙に、オナニーを開始しそうなほど、今のわっきゅんは淫らな顔を見せていた。


京太郎「(だ、ダメだ…このままじゃ…)」

間違いなくヤられる。
わっきゅんの方は完全に火が着いてしまった。
風呂場の時なんて比ではないほどの欲情と興奮が、今の彼女を揺さぶっているのが分かる。
ここでほんの少しでも躊躇いや拒絶を表に出せば、わっきゅんはさらに暴走してしまうだろう。

京太郎「(…だから、ここは…!!)」

湧「え…?」

俺が選んだのは責める事だった。
今までのように受け身であり続けても、逆レイプは回避出来ない。
そう判断した俺は今まで無抵抗だった身体を動かし、わっきゅんの上へと覆い被さる。
瞬間、わっきゅんが驚きの声をあげるが、俺は決して容赦しない。
開いた彼女の手首を強引に掴み、布団へと押し付ける。


湧「…き、キョンキョン?」

京太郎「わっきゅん、お前は誰のモノだ?」

湧「え…?」

突然、反攻に出た俺の質問に理解が及ばなかったのだろう。
戸惑いをその顔に浮かべたわっきゅんは、俺の言葉に聞き返した。
だが、今の俺は彼女に対して、懇切丁寧に説明してやる余裕がない。
少しでも、素に戻れば、再びわっきゅんに主導権が渡ってしまうのだから。
ここは強引に押し切ってしまった方が良い。

京太郎「…今、それを分からせてやるよ」チュ

湧「ん…んっ♥」

そう自分に言い聞かせながら、俺はわっきゅんの唇にキスをした。
勿論、それは唇同士を触れ合わせるだけの子どものようなキスである。
ぶっちゃけ、それ以上のキスをしてしまうと、俺の理性がぶっ飛びかねない。
身体が勃起してしまった以上、俺の理性は消滅のカウントダウンを始めているのだから。
主導権を得ようとディープキスまでしてしまったら、俺の方がケダモノと化して我慢出来なくなる。


京太郎「(…それにこれだけでも十分だ)」

湧「ふぁ…あぁぁ…♥」トローン

唇を離した瞬間、俺の視界に入ってきたのはわっきゅんの蕩けた顔だった。
さっきまでの彼女が浮かばせていたものとは違い、幸福感で満たされた笑み。
きっと俺からキスされたと言う事が、わっきゅんにとって心満たされるほど嬉しいのだろう。
夢見心地と言っても良いほど、彼女の表情は緩んでしまっている。

京太郎「…もう一度、聞くぞ」

京太郎「わっきゅんは誰のモノだ?」

湧「きょ…キョンキョンのモノ…ですぅ…♥」

京太郎「よし、良い子だ」チュ

湧「~~~~っ♪♪」

そんなわっきゅんを誤魔化すのはちょっと申し訳ない。
…が、この状況を打開する為には、これしかないのだ。
どっちが上で、どっちが下なのかを、彼女の身体に教え込む。
逆レイプなんて出来ないようにしっかりと手綱を握って、逆らえないようにするしかないんだ。


京太郎「…さて、それじゃあ、良い子なわっきゅんは…俺の言いたい事が分かるよな?」

湧「え、と…」

京太郎「今日はお預け。これ以上はまた今度だ」

湧「う…うぅぅぅぅ…」モジモジ

…とは言え、そう簡単にわっきゅんの発情が止まるようなら彼女もここまで暴走してはいないだろう。
言い聞かせるような俺の言葉に、わっきゅんは太ももを擦らせながら、不服そうに見上げてくる。
その目尻に今にも涙が浮かびそうになっているのは、きっと並々ならぬ欲情を覚えているからこそ。
さっきわっきゅんが口走った淫らな言葉は全て本当なんだろう。

京太郎「安心しろ。約束は護る」

京太郎「今日はお預けだが…全部、終わったら、必ず満足させてやる」

京太郎「今日、我慢させた分まで気持ちよくさせてやるから」

湧「~~~っ♥♥」ゾクゾク

だが、そんなわっきゅんを受け入れる訳にはいかない。
また我慢を強いて悪いとは思うが…ここで一線を超えては初美さんの説得も難しくなるんだから。
アレで意外と鋭い婚約者に隠し事が出来るとは思えないし…初美さんの説得が成功するまでこれ以上の事をする訳にはいかないんだ。


京太郎「それに今日は望むだけキスもくれてやる」

京太郎「…だから、今日は我慢しろ」

湧「は…いぃ…♥♥」ギュゥ

…よしよし。
とりあえず説得とも言えない力技だけれど、どうにか出来たか。
後はこの状況を朝まで続けられるかだが…それはもう俺のご主人様適性を信じるしかない。
今のわっきゅんは、下手に気を抜けば、性的な意味で喰われてしまう猛獣だからなぁ…。
この一夜を乗りきれるか乗りきれないかで、きっと今後の俺達の関係が変わってしまうんだろう。

京太郎「(…まぁ、正直、不安で一杯だけれど)」

湧「キョンキョン…ぅ♥」

京太郎「わかってる。そうせがむな」チュゥ

湧「~~~っ♪♪」

一歩間違えれば、制御不能となってしまう恐ろしい猛獣。
しかし、だからと言って、そのケダモノが決して可愛くない訳ではないのだ。
むしろ、俺に押し倒された姿勢になったわっきゅんは、甘い声でキスを強請る。
まるで雛鳥のような愛らしくも淫らなそれに、俺もまた我慢が出来ない。
請われるがままにその唇を落とし、彼女とのキスを楽しんで ――




―― 結果、数えきれないほどのキス経験を代償に、何とか童貞だけは死守する事に成功したのだった。






十曽家の取扱説明書
1)拒みつづけると力づくで手に入れようと逆レされます
2)受けいてすぎるとあっちもオッケーなのだと思われて逆レされます
3)結論を先延ばしにすると決心をつけてあげるからと逆レされます
4)逃げても地の底まで追いかけられて逆レされます


結論)惚れられたら逃げられないから諦めろ




ってところでわっきゅん編はこれにて終了です(´・ω・`)次回はアナウンスしていた通り初美編にいきます

>>263
KENZENなスレでも逆レ(未遂)くらいあっても構わないですよね(錯乱)
そして迷わずイったら後戻り出来なくなっちゃうんで(´・ω・`)ある種、霞さんレベルで間合いに入ったら即アウトなのがわっきゅんです

>>264>>265
余裕に関しては一人称でやってるのでどうしてもって感じですねー
さらに冗長さが増すと思って一人称でやって来ましたが、やっぱ三人称の方が良いんでしょうか(´・ω・`)
そしてそれ以上の幸せ(意味深)で満たしてあげればハーレムでも良いんですね(ゲス顔)

>>266
そう言って貰えるとスレやってた甲斐があります
姫さまの卒業辺りでこのスレも最終回を迎える予定ですが、それまで頑張っていきます

>>267
関節外されたら逆レルートまったなしなので…(´・ω・`)正直、エロ書きたい気持ちとの葛藤がヤバかったです

>>268
そんなつもりはないと断言されてガチ凹みしてたわっきゅんに色々と仕込んだのはわっきゅんママですしねー
恐らく舞台裏ではわっきゅんパパへの足止めもしてくれていたでしょう
ここのママンは娘がハッスルしてるところを想像して、パパンを襲うくらいには肉食なので、下手をすれば足止め(意味深)かもしれませんが

>>304>>307>>308
やだなー本編でこんなエロネタ入る訳ないじゃないですかー
ここはKENZENなスレなんですよ?(´・ω・`)だが、睡姦プレイで目覚める女の子は書いてみたいかもしれない シズとかユキ辺りで
そして、このネタは前々スレでリクエストされてたものなので…持病とは一切無関係ですよ、えぇ(目そらし)

>>306>>309
くそ…!そんな面白そうな事言われたら書き直すしかないだろ!!!
多分、この内容じゃなしくずしックスをリクエストした人が満足できなさそうなのでちょっとアイデア貰って書き直します
そして>>309さんはなしくずしックスで一体、何を想像されたんだろうか…(´・ω・`)ちょっと気になる

>>305

  ブス…  ∫ ;′ ∫  ,;′
   ブス…',. -――-゙、  ;'  ジジジ…

    ;  /      へ `>、'; ∫
   _;'___{.  ,>-/、/=;´イヽ;'_       す、すみませんでした…
  /三三j='rー、\_>、)_℡, >;;〉三'`、ジジ…

 /三三└'゙ー:;‐;;‐;;'`ー;;ヾ'`"´三'三;`、
 囮ヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱ囮
 囮災炎災炎炙災炒炎災灸災炭囮
 ◎┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴◎

ssで高い文章力求めんのもあれだけど、ぶっちゃけ>>1は極端なんだよな
地の文を入れるときは台詞と台詞の境界で三行以上はほとんど入れて1レス内で八行くらいとかがデフォだし、入れない時は入れた方が表現しやすいって時でも入れないし
入れない時は大抵安価スレで即興作る時だからいいんだけど、書き溜めする非安価スレならその辺織り交ぜるのもいいんじゃないかなと
余裕無いときとかは一行の短いものにする他にも、しっちゃかめっちゃかなこと長々と語らせるのとか、一人称の文でも地の文で分かってないアピールせずに台詞だけで「あ、こいつ分かってねーわ」と伝わるような表現の仕方もあるからね

念の為にもう一度言っておく
ssで高い文章力求めんのもあれだけど

>>1がssとは思えないボリュームで書くからついつい口出したくなるんだよねぇ...

乙です
たかみーも睡姦似合いそう

>>359
何度も同じ意見貰ってますし、尤もだなぁと思って今日は何時も以上に意識して長くしないように書き始めたんですが
今のところ、何時もと同じ風になっちゃってます…(´・ω・`)多分、心理描写が長すぎるんだと分かってはいるんですが
しかし、心理描写を何処まで削って良いのかって言うのがどうにも把握出来ないんですよねー…(´・ω・`)十数年掛けて今のスタイルに辿り着いちゃったので…
他のスレを例に出すのもアレですが、みやながけの人のようなスタイルだと読んでくれる人にとっても優しいとは思うんですけれどねー…
最低限の描写にしようと思っても、ついつい色々と付け加えて、真似しようと思っても出来ないのが現状です
これからも諦めずに改善しようとは思いますが…(´・ω・`)もう変に癖ついちゃってるので中々、治らないと思います、ゴメンナサイ


―― 須賀京太郎の高校生活は忙しい。

麻雀の名門白糸台。
つい昨年から共学となったそこに、京太郎は数少ない男子生徒として入学した。
京太郎からすれば少しレベルの高い学校ではあったが、幼馴染の姉と会う為に必死になって勉強したのである。
どの努力が実って入学には成功したものの、周囲の環境が彼に努力を止める事を認めなかった。
ほぼ補欠に近い成績で入学した京太郎にとって、日々の勉強についていくのも精一杯。
予習復習を欠かさなければ、すぐさま取り残されてしまう状態だった。

―― だが、京太郎は勉強だけに苦心している訳にはいかない。

彼が白糸台を志したのは幼馴染の姉に会う為だ。
仲睦まじい姉妹であったのに、ある日、決別してしまった二人をこのままにはしてはおけない。
そう思った京太郎は二人の仲を取り持つ為、白糸台を、いや、白糸台麻雀部を目指した。
そんな彼にとって、大事なのは自身の勉強よりも、幼馴染の姉に ―― 宮永照に近づくこと。
幸い、それは離れる前の二人が仲が良かった為に容易く達成出来たが。

京太郎「ふー…」

今の京太郎の立場は白糸台麻雀部のトップチーム、虎姫のマネージャーだ。
しかし、中学時代、ハンドボール部だった彼にマネージングのイロハが分かるはずもない。
ましてや、京太郎は麻雀初心者で、役の一つも知らない状態だったのだから。
日々の予習復習だけではなく、慣れないマネージング。
体力自慢の京太郎がため息を吐いてしまうのも無理はない話だった。

尭深「京太郎君」

京太郎「あ、たかみー先輩」

しかし、だからと言って、京太郎はそれに甘えるつもりはなかった。
確かに今の環境に慣れるのは大変だが、自分は立派な男。
弱音なんて吐くのは格好悪い。
何より、声を掛けてきた相手は渋谷尭深 ―― 若干、地味ではあるものの、容姿の整った先輩なのだ。
白糸台では貴重なおっぱい枠を前に情けないところは見せられない、とテーブルに伏せていた身体を伸ばす。


京太郎「また照さんが迷子になりましたか?」

京太郎「それとも淡の奴がまた揉め事を…?」

尭深「ふふ。違うよ」

京太郎「そうですか」フゥ

微かに笑った尭深の言葉に、京太郎は胸を撫で下ろした。
チーム虎姫のマネージャーと一口に言っても、麻雀初心者の彼に出来る事はそう多くない。
精々、牌譜を作る事と、録画した他校の試合を見やすく編集する事程度。
しかし、それは他の部員でも出来る事であり、わざわざ肝入でマネージャーとして招き入れるほどの仕事ではない。
それでも彼がチーム虎姫のマネージャーであり続けられるのは、偏に白糸台が誇る問題児二人を制御出来るからだ。

尭深「…でも、お疲れみたい?」

京太郎「問題ない…と言いたいところなんですけれど」

レベルの高い学校に、慣れないマネージング業務。
その上、問題児の面倒を押し付けられた京太郎にとって、その言葉はあまりにも虚しいものだった。
正直なところを言えば、身体に溜まった疲労はかなりのもの。
ある意味ではハンドボールで全国を目指していた時よりも疲れてしまっている。


尭深「…じゃあ、今日も私特製のハーブティ、いる?」

京太郎「良いんですか?」

尭深「うん。今日は私も特に予定がある訳じゃないし」

尭深「何時も頑張ってる京太郎君を労ってあげたいから」ニコ

京太郎「た、たかみー先輩…」ジィン

そんな京太郎にとって、渋谷尭深と言う少女は癒やしだった。
地味な外見からは想像も出来ないほど見事なスタイルをしているというだけではない。
その優しい性格に、彼は幾度となく胸を震わせ、癒やされてきている。
どこぞの問題児二人にもこの優しさを見習って欲しい。
そんな言葉を胸中に浮かばせてしまうほど、京太郎は尭深に惚れ込んでいた。

京太郎「…じゃあ、お願いします」

尭深「うん。それじゃあちょっと待っててね」トテトテ

京太郎「(あぁ…たかみー先輩、マジ天使)」

京太郎「(出来れば、男としてはあぁいう人と結婚したいなぁ)」デヘヘ

京太郎「(…っといけねぇ)」

京太郎「(デレデレしてる暇があったら、とっととこの牌譜終わらせないと)」

二人がいるのは名門白糸台麻雀部が持つ複数の麻雀部室の一つ。
しかし、その中にいるのはもう彼と尭深の二人だけだった。
部活の時間はもう終わり、殆どの生徒が下校している。
明日の事を考えれば、これ以上、作業を長引かせる訳にはいかない。


京太郎「(…それにたかみー先輩のお茶ってすごくリラックス出来るし、疲れも取れるんだけれど…)」

京太郎「(なんて言うかリラックスしすぎて…)」

尭深「京太郎君?」

京太郎「あ」

そう考え事に耽っていた京太郎に、尭深の声が掛かる。
それに京太郎が首を動かせば、その手に分厚いマグカップを持った尭深の姿があった。
京太郎専用のそれを大事に両手で抱える彼女は、そのまま彼の側に近づいてくる。

尭深「どうしたの?何か考え事?」

京太郎「あ、いえ、何でもないです」

京太郎「ただ、たかみー先輩のお茶が楽しみだなって」

尭深「ふふ。そう言ってくれるのは嬉しいけれど」

尭深「私にはお茶くらいしか出せないよ?」

京太郎「十分っすよ」

京太郎「俺はたかみー先輩のお茶大好きですし」

尭深「も、もう…」

京太郎の言葉に尭深の頬が赤く染まる。
チーム虎姫に所属する尭深は、白糸台の中でも最上位の ―― ひいては全国でもトップクラスの雀士だ。
だが、彼女は麻雀だけではなく、お茶もこよなく愛している。
麻雀とは違って、あくまでも趣味のレベルではあるが、それでも高校生達にとっては十分過ぎる。
京太郎はこれまでの人生で尭深ほど上手にお茶を淹れる人を見た事がなかった。


京太郎「ぶっちゃけ、たかみー先輩のお茶ってお金取れるレベルだと思うんですけどねー」

京太郎「喫茶店のマスターとかどうっすか?」

京太郎「俺、たかみー先輩のお茶飲めるなら毎日でも通っちゃいますよ」

尭深「持ち上げすぎだよ」

尭深「…でも、そこまで言ってくれるのは嬉しいな。ありがとう」ニコ

京太郎「いえいえ」

故にそれは決して世辞ではない。
だが、普段からお茶に親しむ尭深にとって、自分の未熟さや荒削りさは良く分かっているのだ。
こうしてほめてくれるのは嬉しいし、頬も染まるが、さりとて、本気には出来ない。
後輩の戯れ言だと軽く流してしまう。

京太郎「(こういうところも大人だよなぁ…)」

瞬間、京太郎の脳裏に浮かぶのは年上なのに、年下っぽい幼馴染の姉だった。
麻雀では文字通りトップクラスの実力を発揮するのに、実生活ではあまりにもポンコツな彼女。
口を開けばお菓子と言い、ところかまわず京太郎に甘え、目を離せばすぐさま迷子になる。
そんな宮永照より目の前の尭深の方が年下だとは到底、思えない。
何処となくふわふわとしているけれど、その言葉遣いや立ち振舞からは『大人のお姉さん』感が伝わってくる。


尭深「それより冷めちゃうと美味しくないから」

尭深「早く飲んじゃって」

京太郎「あ、そうっすね。すみません」グビ

とは言え、そんな彼女に何時迄も見とれてはいられない。
自分の目の前には尭深が入れてくれた美味しいお茶があるのだから。
敬愛以上の感情を抱く先輩が抱いてくれたものを決して無駄にはしたくない。
そう思った京太郎は尭深の勧めるままに、マグカップを受け取り、緑色の液体を嚥下する。

京太郎「ふー…やっぱたかみー先輩のお茶は美味しいですね」

京太郎「なんつーか…身体の中からリラックス出来ます」

尭深「京太郎君専用ブレンドだからね」

京太郎「アレ、そうだったんですか?」

尭深「うん。ほかの人には絶対に出さないよ」

尭深「京太郎君だけの…特別」

京太郎「へー…なんかそう言われるとちょっと嬉しいですね」チビ

そう言ってマグカップからまた液体を口にする京太郎は尭深の目に宿った光に気づかなかった。
それよりも彼は目の前のハーブティに夢中だったし、何より、彼はお人好しなのだから。
尭深がこうしてお茶を勧めるのも他意があっての事など想像してはいない。



京太郎「う…っく」

尭深「…そろそろ来ちゃった?」

京太郎「えぇ…すみません…」

瞬間、クラリと頭を揺らした京太郎が謝罪するのは、酷い眠気が腹の底から湧き上がってきたからこそ。
まるで徹夜した後のようなその眠気に、京太郎は顔を覆う。
しかし、そうやって眠気を押さえつけようとしても、まったく意味はなかった。
まるで腹の底から湧き上がってくるようなそれらが、京太郎の身体をどんどんと鈍くしていく。

尭深「ううん。気にしないで」

尭深「そうやって眠くなるくらいにリラックスしてくれるのは嬉しいし」

尭深「それだけ眠くなるって事は、京太郎君が疲れてるからだもんね」

尭深「だから、何時も通り、そこのソファーで横になって良いよ」

尭深「部室の鍵は私が持ってるし…ゆっくり休んで」

京太郎「…ホント、すみません」ヨロ

言い聞かせるような尭深の言葉に、京太郎は抗う事が出来なかった。
既に眠気は脳にまで達し、その思考まで鈍くなっている。
その上、こうやって彼が居残りの最中に眠くなってしまうのは一度や二度ではないのだ。
尭深のハーブティを飲む度に、疲れが表面化し、抗いがたい眠気が襲ってくる。
最初はそれを何とかしようとしていた京太郎も、二度三度と尭深に甘える内に素直に促されるようになっていった。


京太郎「うっと…」ゴロン

尭深「京太郎君、大丈夫?」

そんな京太郎の心とは裏腹に、その身体は中々、言うことを聞いてくれない。
まるで脳との間に幾つものプロキシが入り込んでしまったように、命令から実行までにラグがあるのだ。
結果、ソファーに寝転ぶのではなく、倒れこむに近くなった京太郎に尭深は心配そうな声をあげる。
そのままトテトテと近づいてくる彼女に京太郎は鈍い唇を何とか開いて。

京太郎「だ、大丈夫…です。けど…」

京太郎「…もう限界…っぽい…っす」

尭深「……うん」

尭深「おやすみ。ゆっくり休んでね」ナデ

尭深が京太郎を撫でる手はとても優しいものだった。
何処か慈愛の色すら感じさせるそれに、限界だった京太郎の身体は抗えない。
半ば閉じかけていたまぶたをストンと落とし、その意識を眠りの中へと放り込む。
数秒もすれば、安らかな寝息を立て始めた彼に、尭深はゆっくりと立ち上がった。


尭深「ふふ…ふふふふふふ…♥」

瞬間、漏れだす笑い声は、京太郎のまったく知らないものだった。
優しく温和な彼女に決して似つかわしくない、支配的なメスの笑み。
その頬を興奮に赤くし、唇からは熱い吐息を漏らす尭深を京太郎が知覚出来るはずがない。
今の彼は尭深が仕込んだ睡眠薬に屈し、眠りの中に落ちているのだから。
これから二時間の間、何をしようとも京太郎が目覚める事はない。

尭深「今日も一杯…いぃっぱい…癒やしてあげるね…♥」

そう言って京太郎に手を伸ばす尭深にとって、これからするのは医療行為に他ならなかった。
誰よりも頑張り屋で、優しく、そして何より、頼りになる男の子を癒やしてあげたい。
不良に絡まれていたところを助けてくれた時から好きになった京太郎に尽くしてあげたい。
だが、それは尭深にとっては恥ずかしい事で、何より、告白も出来ていないのに容易くして良い事ではなかった。
だからこそ、京太郎を眠らせた彼女は京太郎の服を脱がせながら、彼の身体へと馬乗りになって。

尭深「…だから、私の事も…一杯気持よくして…欲しいな…♪」

ねっとりと漏らす尭深の言葉に応えるものは誰もいない。
疲れていた京太郎は知らぬ事ではあるが、麻雀部の扉は既に尭深によって施錠されているのだから。
教師の見回りが始まり、京太郎が起きるまでの間に、何が起こるかは彼女しか預かり知らぬ事。
決して誰にも言えない秘密をまた一つ、京太郎の上で積み重ねる背徳感に尭深はクスリと笑った。


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あくまでも医療行為!医療行為ですよ!!!!(´・ω・`)でも、たかみーの睡姦って多分、こんな感じになりそう
シズの場合は好奇心から疲れマラで勃起しちゃう京ちゃんに手を伸ばして、ユキの場合は好きな気持ちが高じて、暴走しちゃうって言うのが似合うと思ってます
そしてハーブティなのはアレだ
普通の緑茶とかじゃカテキンとか色々と作用して睡眠薬の効きが悪くなるかもしれないから…(震え声)

そして私はどうして初美のなしくずしックスの前にこんなネタを書いてるのか(´・ω・`)これも全部>>360って奴の仕業なんだ!

失望しましたまこさんのネタ一つ消去します

イメージ的には睡姦する前からメスに目覚めてるのがたかみー
好奇心から手を出した結果、京ちゃんのチンポにドハマリして、憧にアンタ最近、エロくなった?って言われるのがしずもん
京ちゃんの事が好きなのでうろ覚えの知識から処理してあげようとするけれど、途中で京ちゃんが起きてヤられちゃうのがユキなんじゃないかなーと

>>387
なんでや!わ清澄の可愛い次鋒は関係ないじゃろ!?

―― 現実というのは時折、信じられないほどの偶然が重なる事がある。

時に奇跡とも呼ばれるそれは決していい方向に働くとは限らない。
少なくとも、その日、起こった『奇跡』は京太郎にとって最悪と言っても良いものだった。
何時も通りの日常の最中、勧められるままに食事を口にした瞬間、身体が燃えるように熱くなってしまったのだから。
そのまま後ろにぶっ倒れた彼からすれば、何が何だか分からなかっただろう。

―― その理由を知っているのは周りの少女たちのみだった。

最近、霧島神宮のそばに出来た怪しげな雑貨屋。
そこで売られている媚薬を、彼女達はついつい購入してしまったのだ。
勿論、それが本物であると本気で思っている訳ではない。
ただ、鈍感な京太郎に一線を超えるキッカケになって欲しかっただけ。
だからこそ、彼女たちはそれぞれの手法で、京太郎が口に含むものに媚薬を加えたのである。

―― だが、それは決してお互いに申し合わせたものではなかった。

春は京太郎が口にする箸に。
明星は京太郎の皿に。
霞は京太郎の飲み物に。
巴は京太郎の食べ物に。
湧は京太郎のコップに。
それぞれのチャンスを活かして加えたそれは過剰摂取とそう呼ばれる領域に達していた。
結果、まったく知らずにそれらを口にした京太郎は意識を閉ざし、少女たちは半狂乱になってしまったのだが。

京太郎「う…うーん…」

初美「…まったく」

そんな騒ぎの中、真っ先に冷静になったのは初美だった。
他の少女たちとは違い、媚薬を盛らなかった彼女は、半狂乱になる春達を落ち着かせ、事情を聞き出したのである。
結果、導き出された答えに内心、頭を抱えたくなったものの、未だ混乱の収まらない彼女たちの前で、思考を閉ざす訳にはいかない。
見事にポンコツ化してしまった彼女たちが立ち直る為にも、まずは京太郎を落ち着かせるのが先決だとその世話役を買って出た。

初美「(…が、ちょっと早まったのかもしれないのですよー)」チラ

無論、初美とて京太郎の世話をするのが嫌いな訳ではない。
色々と憎まれ口を叩く事もあるが、彼女にとって京太郎は大事な家族だ。
血の繋がらない弟のように思っている彼女にとって、それは決して苦ではない。
それでも早まったと初美が思ってしまうのは、京太郎の局部が異常なほどに腫れ上がっているからこそ。

初美「(こ、これ、どうにかしなきゃいけないんですよね…?)」

初美も決して性的な知識がない訳ではない。
積極的にそういう知識を仕入れようとするタイプではないが、それでも男性の平均サイズくらいは知っている。
が、今、初美の前で盛り上がる京太郎のサイズはそれを遥かに超越したものだった。
大きさだけでも20cmは優に超えてしまいそうなそれが、京太郎のズボンの中でパンパンに張っている。

初美「(姫さま達を追い出して正解だったみたいですねー…)」

今にもはちきれんばかりにズボンの中で大きくなっている肉棒。
それは性的な知識を持たない小蒔に決して見せられないものだった。
無論、他の少女たちにとっても同様である。
好きな想いが積み重なりすぎて、ついつい馬鹿な行動に出てしまった彼女たちがこんなものを見ればどうなるか。

初美「(…絶対、乱交になるのですよー)」

元々、彼女たちは男性と隔絶した生活を強いられていた。
日々、女として成熟しているのに、それを見せる相手がいなかった彼女たちの性欲と愛情が一体、どれほどのものか。
一人、蚊帳の外にいる初美には分からないが、しかし、平穏な形で終わるはずがない。
きっと我先にと京太郎の上に跨がり、精一杯の『謝罪』を続ける事になるだろう。
結果、妊娠という事になれば目も当てられないし、ここはブレーキとなれる自分が処理を買って出るべき。


初美「(そ、そう分かっていても…中々、踏ん切りがつかないのですよー…)」

普段から露出過多な格好をしているとは言え、初美は決して淫乱な訳ではない。
彼女にとってアレはただのファッションで恥ずかしがるようなものではないのだ。
だが、これから自分がしなければいけないのは、明らかに淫らな行為。
本来ならば、婚姻を結んだ男以外にするべきではないものなのである。

初美「(これは治療行為これは治療行為これは治療行為これは治療行為…)」

それに抵抗感を覚える自分に初美は同じ言葉を何度も繰り返した。
まるで言い聞かせるようなそれに彼女の手はおずおずと京太郎のズボンへと伸びていく。
それは躊躇い混じりのぎこちないものではあったが、しかし、止まる事はなかった。
この状況で最も辛いであろう京太郎を救う為に、初美は顔を真っ赤にして京太郎のズボンを脱がせていき。

ブルン

初美「~~~~~~~っ!!!!!?」

そのままパンツまで脱がせた瞬間、初美の視界で反り返ったのは黒い剣だった。
その表面に血管を浮き立たせたそれは太く、また大きい。
ズボンの上から想像していたよりも遥かにすさまじいその姿に初美は思わず言葉を失った。
これが本当に人体から生えているものなのか。
隠し武器の一種ではないのかとそんな言葉が彼女の脳裏を過る。

初美「ま、まぁ、これくらい初美おねーさんにかかれば余裕ですよ、よゆー」

そんな自分を鼓舞するように初美は強がりを口にした。
だが、その声は彼女が思っていた以上に震え、頼りないものに聞こえる。
鼓舞するどころか、自分を追い詰めてしまいそうな情けない声は、勿論、初美が京太郎に呑まれてしまったからこそ。
初めて見る本物の肉棒に、メスを犯す為の器官から感じる迫力に、強気であるはずの初美は萎縮していた。

初美「ま、まぁ、ヘタレな京太郎君にしてはそれなりなんじゃないですかね」

初美「えぇ。あくまでもそれなりなんで驚いたりはしてないのですよー」

京太郎「う…う」

初美「ひぅ!?」ビクッ

瞬間、京太郎の口から漏れるのは、決して初美の言葉に答えようとしたからではない。
だが、突如として自分のズボンが脱がされた感覚と言うのは眠っていてもなんとなく分かるものなのだ。
下半身から伝わってくる開放感と冷たさに意識がゆっくりと表層へと浮かび上がってくる。
それに初美が驚きの声をあげてしまったのも相まって、京太郎の意識は完全に覚醒し。


京太郎「…アレ…俺…」パチ

初美「あ、あうあうあうあう…」

京太郎「…………初美さん?」

京太郎「これは一体…って…」ガチガチ

京太郎「な、なんじゃこりゃあああああああ!?」

そこで京太郎が大声をあげるのは、自身の下半身が完全に露出していたからこそ。
何時も通り、夕飯を口に運んでからの記憶が、京太郎にはまったくないのだから。
一体、どうして自分の下半身が丸裸になっているのか、分かるはずもなかった。

京太郎「(つ、つか、なんで初美さんが側に!?)」

京太郎「(い、いや、まずは隠さないと…!!)」スッ

京太郎は両手で股間を覆うが、しかし、悲しいかな、彼のモノはそれで隠れるレベルのものではなかった。
元々、人並み外れていたその肉棒が、今、媚薬によって強化されている状態なのだから。
ハンドボールをやっていた京太郎の手のひらは人並みよりも大きいが、それでも一部が露出してしまう。


初美「(な、何というか…こ、コレはコレでエッチぃと言うか…)」

初美「(隠されてると…なんか余計に背徳的なものに見えちゃうのですよー…)」ゴク

その黒い肉幹と先端にあるピンク色の粘膜。
それが視界で見え隠れする光景に初美は思わず生唾を飲み込む。
一時は彼女を圧倒していたその肉棒は、あまりにも初美に衝撃を与えすぎたのだ。
初めて男性器と言うものを生で見た初美が、その腫れあがった肉のかたまりに淫靡なものを感じてしまうほどに。
最初は怯えていた彼女に否定出来ない興奮を与えるほど、それは逞しく、そして凄まじいものだった。

京太郎「ちょ、は、初美さん、見ないでくださいよ…!」

初美「ばっ!別に見てないですよー!」

初美「い、一体、誰が京太郎君の粗チンを見てたって証拠ですかー!?」ヌガー

さりとて、それをガン見していたなど初美が認められるはずがない。
初美にとって京太郎は小生意気な弟であり、ケンカ友達でもあるのだから。
そんな男の象徴に、目を奪われるなどあってはいけない事。
そう思った初美はその顔を真っ赤にしながら、勢い良く口を開いたが。



初美「……」チラ

見てしまう。
一つ主張が済んだ途端、その目が京太郎の股間に吸い寄せられてしまうのだ。
そんな自分をはしたないと思いながらも、初美は自分の身体を制御出来ない。
まるで尋常ならざる体験をした人の心が歪み、それを好意的に捕らえてしまうように。
彼女に多大なショックを与えた肉棒から、初美は目を離せなくなっている。

京太郎「い、今も見てるじゃないですか…!」

初美「そ、それは…ほら、隠されてるから!」

初美「京太郎君が隠してるから気になっちゃう的な心理ですよー!」

京太郎「じゃあ、目を逸らしてくださいよ!」

京太郎「じゃないとこっちも隠し続けるしかないじゃないですか!!」

初美「え、えぇい…!そ、そんな男らしくない事言うから余計に気になるのですよー!!」

初美「どうせもうバッチリ見られてるんだから、フルオープンするくらいの気概はないんですかー!!」

京太郎「無茶苦茶過ぎるわ!!」

無論、初美も自分が無茶苦茶な事を言っている自覚くらいはある。
だが、これから性欲処理と言うところで、京太郎に覚醒された初美にも余裕はないのだ。
その上、相手が京太郎と言う事も相まって、ついつい憎まれ口が先に出てしまう。
そうしていては話が先に進まないと分かっていても、これまで積み重ねてきた経験と業はそう簡単に拭い去れないのだ。


初美「と、とは言え、この状況、どうするつもりですかー?」

京太郎「ど、どうって…」

初美「…ぶっちゃけ、それ辛いでしょう?」チラ

京太郎「そ、それは…」

そこで再び股間を流し見る初美に、京太郎は否とは言えなかった。
起きた時から信じられないほど張っていたその肉棒は、今、とても敏感になっているのだから。
こうして隠しているだけでも快感を感じ、先端からカウパーが漏れてしまう。
今は右手でそれを隠しているものの、いずれ初美にバレてしまうのは京太郎にも分かっていた。

京太郎「ま、まぁ、このくらいなら何とか出来ますって」

初美「…嘘つき」

京太郎「いや、嘘なんかじゃ…」

初美「の割には、今も全然、萎える気配ないじゃないですかー」

初美「私に見られて恥ずかしいくらいガッチガチになってますし」

京太郎は知らないが、それは霞たちが盛ろうとした媚薬の効果だ。
標準の約十倍近い量を一度に摂取した京太郎が、そう簡単に身体を落ち着かせられるはずがない。
一人で処理しようとしても、はたして上手く行くかどうか。
初美がそう思うほど、京太郎の肉棒は激しい自己主張を繰り返していた。


京太郎「と、言っても…何とかするしかないじゃないですか」

京太郎「こんなの他の誰かに手伝って貰う訳にはいきませんし…」

初美「え、えぇい…!またそうやって遠慮する!!」

京太郎「い、いや、遠慮って言うか…」

初美「しゃらっぷ!」ビシ

京太郎へと突きつける初美の指先には容赦がなかった。
勿論、彼女も京太郎の言葉が正しいのだという事くらいは分かっている。
だが、彼に媚薬を持ったのは初美と小蒔を除く、五人の家族達なのだ。
彼女たちの姉を自称する初美にとって、それはどうしても償わなければいけない事。

初美「こういう時くらい甘えるべきなのですよー」

初美「本当は我慢するのも辛いくらいなんでしょ?」

京太郎「う…」

何より、初美自身、京太郎に遠慮させたくなかった。
彼女にとって、京太郎は大事な大事な弟なのだから。
流石に性欲処理をする事になるとは思っていなかったが、それも決して嫌な訳ではない。
京太郎が必死に自分の性欲と戦っているのは丸わかりなのだから、出来るだけ助けてあげたいと思う。


初美「ま、京太郎君の早漏チンチンをノックアウトするなんてよゆーですから、よゆー」

初美「ここは私に任せておくのですよー」

京太郎「ま、任せると言われても…」

初美「…しゃあないですねー」

京太郎「うぐ…!」

とは言え、それを京太郎が受け入れられるかは別問題だ。
性欲処理など本来は自分一人でしなければいけない行為なのだから。
幾ら、姉のように思っている初美とは言え、そう簡単に任せられるはずがない。
そんな躊躇いを言葉にする京太郎に初美はそっと手を伸ばした。
その小さな指先をピンと伸ばしたそれは京太郎の露出した肉棒へと寄り添い。

初美「う…うわぁ…」

初美がそう言葉を繰り返すのも無理は無い事だった。
元から巨大な京太郎の肉棒は、普段の欲求不満と媚薬によって限界を超えているのだから。
普段よりも一回り大きくなったそれは、処女である初美にとって、あまりにも凶悪過ぎる。
まるでカイロのような熱も、鉄のような硬さも、その奥にある血と肉の蠢きも。
未だ男を知らない初美にとってはあまりにも強烈で、忘れられないものだった。


初美「(見た目通り…と言うか、下手すりゃソレ以上に凶悪なのですよー)」

初美「(こ、こんなの…本当に女の子が受け入れられるモンなのですかー…?)」

京太郎「あ、あの、もうそろそろ…」

初美「ば…馬鹿にするんじゃないのですよー!」

初美「こ、この程度で引き下がってたまるもんですかー!!」

京太郎「でも、うわぁって言ってたじゃねぇか」

初美「そ、それは…あ、アレですよ、アレ」

初美「ま、まぁ、ヘタレで浮気症な京太郎君からすれば悪くないモノかなぁの略です!」

京太郎「流石に無理がありすぎんだろ、初美ィ!!」

初美「うっさい!こっちだって余裕ねーんですよおおおお!!」

ぶつけてくるような京太郎の声に、初美も大声で切り返す。
ここで怯んでしまったら、もう二度と京太郎は肉棒に触らせてくれない。
ほんのすこしでも怯えを浮かべれば、こっちを気遣った京太郎が、無理矢理にでも逃げ出してしまう。
その結果、自己処理出来るならばともかく、今のこの屋敷には飢えた肉食獣めいたメスがうようよしているのだ。
こんなにも欲情した京太郎を逃せば、他の彼女達に喰われてしまうだろう。


初美「つーか、もう良いからその邪魔な手どけなさい」

初美「休日にリビングで寝っ転がる夫みたいなのですよー!」

京太郎「なんとなく言いたい事は分かるがひでぇ例えだな、おい」

初美「言葉なんてニュアンスで伝われば良いんですよー」

初美「それより…それをどけないつもりなら…」

京太郎「…つもりなら?」

初美「…その手をどけるまで脇腹を擽ります」

京太郎「また微妙な嫌がらせを…」

初美「し、仕方ないじゃないですかー!」

初美「こんな状況で良いアイデアなんて思いつきませんし…」

初美「あ、ゴールデンボールクラッシュと言う案もありましたね」

京太郎「おい馬鹿やめろ」

まるで妙案を思いついたような初美の顔に、京太郎の顔が青ざめる。
今の京太郎は様々な意味で、手も足もでない状態なのだ。
男にとって急所であるそこも半ば野放しにされている。
もし、初美が本気でゴールデンボールをクラッシュしようとすれば自分は為す術もないだろう。
それが分かっているが故に京太郎からは血の気が引き、その声も真剣なトーンへと変わった。


初美「まぁ…流石にクラッシュはアレかもしれないですけれど」サワ

京太郎「くぉっ!」ビクン

初美「う、うわ、反応すご…」

瞬間、初美が触れたのは件の金玉だった。
その内側にたっぷりと精液を込めたぷりぷりとした肉の球をほんのすこし撫でただけ。
しかし、それでも媚薬に犯された京太郎にとって十分過ぎた。
普段はあまり弄らない場所からのハッキリとした快感に、思わず声が漏れでてしまう。

京太郎「ちょ、は、初美さん…!?」

初美「…言っときますけど、止まるつもりはないですよー」

初美「こっちもそれなりに色々と覚悟してるんですから」

初美「大人しく私の手でイくのですー」

京太郎「ぬ…うぅ…」

それを制止しようと声をあげる京太郎に初美はハッキリとNOを突きつけた。
無論、京太郎の躊躇いも分かるが、今はあまり猶予がある訳ではないのだ。
京太郎の身体に染み込んだ媚薬は致死量一歩手前なほどなのだから。
早く処理してしまわなければ障害が残る可能性だって考えられる。


初美「それに…京太郎君だっていい加減、分かってますよね?」

初美「今の自分が尋常じゃない状況だって事くらい」

初美「…割りとマジで放っておくとヤバイんで、ここは私に任せるのですよー」

京太郎「で…も…っ」

初美「なぁに、京太郎君程度の粗チンなんて私がかるーく満足させてあげますから」

初美「大船に乗ったつもりでいて良いのですよー」

その言葉は当然、強がりだ。
初美にとってそう断言出来るほどの材料も経験もない。
だからこそ、その声は微かに震えていたが、しかし、それでも初美は止まろうとはしなかった。
さっき触れた金玉をサワサワと指先で撫で、京太郎に快感を与えていく。

初美「まぁ…何を言おうとこっちは正直ですしねー」

初美「…さっきから私の目の前でビックンビックンしてるの丸わかりですよー」

京太郎「うぅぅぅ…」マッカ

そしてその度に京太郎の肉棒は切っ先を震わせていた。
初美のぎこちない金玉責めに喜ぶようにしてビクンビクンと反応している。
それを言葉にする初美も恥ずかしいが、言葉にされた京太郎の方はもっと恥ずかしい。
よりにもよって初美に対してこんなところを見せなければいけないなんて、と絶望めいた言葉が浮かんでくる。


初美「普段、私の事、ボロクソに言ってますけれど…」

初美「身体の方が正直って…奴ですかー?」

京太郎「女の人がそういう事言うもんじゃ…」

初美「へー…私の事、女だってそう思ってくれてるんですかー?」ニマー

京太郎「うぐ…!」

瞬間、初美がイタズラっぽい笑みを浮かべたのは、京太郎が彼女に対して容赦がないからだ。
その胸のサイズからファッションセンスまでを悪しように言う弟分が、自分を女だと意識している。
他の少女とは違い、京太郎に心奪われた訳ではない初美にとって、それは決して嬉しい事ではないが。

初美「(…これ、結構、楽しいかもしれないですねー)」

男にとって性欲処理の最中と言うのは、何よりも弱くなる時間だ。
武術を嗜み、常在戦場を心がける男であっても、その時間だけは気を抜いてしまう。
当然、一般人である京太郎が、それに抗えるはずもない。
彼がついつい漏らしてしまった言葉は、決して意図したものではなかった。


初美「ほーら、女の私がいぃっぱい可愛がってあげるですよー」

初美「だから、その手を早くどけるのですー」

初美「じゃないと、女の私に気持ち良くして貰えませんよ」

京太郎「こ、この…調子に乗って…!」

初美「そりゃ京太郎くんの弱点握ってますからね」

初美「調子にくらい幾らでも乗っちゃうのですよー」サワサワ

京太郎「おうぅ…」

当然、京太郎も初美に対しての反発心を覚えていた。。
だが、初美の手に包まれた精嚢は、あっという間に彼女に屈してしまう。
サワサワと肌をこするようなその動きだけで、声と先走りが漏れだした。
そんな自分を情けなく思うものの、今の京太郎に初美を引き離す術はない。

初美「ほらほら、このままじゃ金玉だけでイかされちゃいますよー?」

初美「一生、金玉だけでイっちゃった男だって私に誂われ続けて良いんですかー?」

京太郎「この…性悪女…!」

初美「ふふ。最高の褒め言葉なのですよー」ニンマリ

圧倒的に有利な立場にある初美にとって、京太郎のその言葉も負け惜しみ同然。
そもそも彼女は決して自分が『大和撫子』と呼ばれる類の性格をしている訳ではない事を自覚しているのだから。
霞たちに同じ事を言われたら流石に怒るが、自分に言われたどころで毛ほども痛くはない。
むしろ、その顔に勝ち誇ったような笑みを浮かべ、京太郎の敗北感を強める。



京太郎「あ、後で覚えとけよ…」スッ

初美「典型的な捨て台詞過ぎて関心するのですよー」

初美「(…まぁ、でも、こうしてチンチン晒しちゃった訳ですし)」

初美「(捨て台詞の一つでも言い放ってやりたい気持ちは分かりますけれどねー)」

そんな京太郎に選べる選択は、一つしなかった。
初美の言葉に従い、肉棒の表面を明け渡す事のみ。
勿論、それによって訪れる敗北感や屈辱感は無視出来るものではないが、今の彼にとってそれはもう何より優先しなきゃいけないものではなかった。

京太郎「(さっきから我慢してたけど…ムラムラがヤバイ)」

京太郎「(このままじゃ…マジで初美さんの事襲っちゃいそうだ…)」

京太郎「(正直…悔しいし、申し訳ないけれど…)」

京太郎「(ここで突き放そうとしても初美さんは納得しないだろうし…)」

春達が持った媚薬の影響は決して肉体だけに留まる訳ではないのだ。
京太郎の心や精神にも強い影響を与え、快楽と絶頂に飢えさせている。
それをこれまで堪えて、何時も通りに振る舞う事が出来たのは京太郎の精神力が尋常ならざるものだからこそ。
だが、そんな鋼と言うべき精神でも、身の内から湧き上がる欲求不満が抑え込めなくなって来ている。


初美「って…匂いすご」

京太郎「…そんなにマジマジ見ないで下さいよ」

初美「い、いや…正直、悪いと思ってますけれど…」

初美「でも、これはしかたがないと思うのですよー…」

再び初美の前に現れた肉棒は既にその先端が濡れていた。
トロトロと透明な先走りを漏らし、黒い素肌を黒光りさせている。
まるで愛液のようなそれは、無色ではあれど、無臭ではない。
その中に精液の残滓でも混じっているのかオスの匂いがムンと増した。

初美「(…コレ、思った以上にヤバイかもしれないですね…)」

初美「(京太郎くんの手が離れた瞬間…私、ドキっとしちゃったのですよー…)」

まるでフェロモンのような匂いと、凶悪さが増したようなその外見。
その2つは、一度、京太郎の肉棒に魅入られた初美にとって、強い興奮を齎した。
心臓は甘く高鳴り、身体の表面が落ち着かなくなってしまう。
今にもモジモジと身体を揺らしてしまいそうな衝動は意識的に堪えなければどうしようもないほどだった。


初美「(ま、まぁ、今は私の事よりも、京太郎君の事ですね)」スッ

京太郎「うぁ…!」ビクン

初美「ひぅ!?」

それを何とか押さえ込みながら、初美はそっと京太郎の肉竿に手を伸ばした。
瞬間、根本からビクンと震える肉棒に、彼女の口から怯えにも似た声が漏れる。
何だかんだで主導権こそ握っているが、初美もまた処女である事に変わりはないのだ。
突如として反応する肉棒におっかなびっくりである自分が顔を出してしまう。

京太郎「ひぅって…また可愛らしい悲鳴を」

初美「え、えぇい…うるさいのですよー!」

初美「つーか、そっちだってうあぁぁって情けない声あげてたじゃないですかー!!」

京太郎「お、俺はチンポ握られてるからしゃあないですし」

初美「ち、チンポとかそんな卑猥な事言うんじゃないのですよー…」

京太郎「いや、そっちだってチンチンだの言ってるじゃないですか」

初美「ち、チンチンはオッケーなんですー!!」

チンチンは幼稚園の先生も使う言葉だ。
同じ言葉の繰り返しだし、可愛げもある。
だが、チンポとなると、そうはいかない。
その言葉の響きからして下品だし、何より性行為を連想させる。
そう思う初美にとって、その言葉はNGも良いところだった。


京太郎「…チンチン」

初美「ぅ…」ピクン

京太郎「チンポ」

初美「うぅ…」ピクン

京太郎「…どっちも反応かわらなくね?」

初美「う、うるさいのですよー!」

初美「んな下らない事やってないで…こっちに集中しなさい…!」シコ

京太郎「お、おぉぉ…」

自分の主張をひっくり返された初美は、その顔を真っ赤にしながら指を動かす。
京太郎の肉幹をがっしり掴んだその手を上下に動かすそれに彼の身体が耐えられるはずなかった。
待ち望んだ鮮烈な快感 ―― いや、快楽に肉棒が揺れ動く。
まるで初美の手に扱かれる事を悦んでいるようなその反応に、彼女はニコリと笑みを浮かべて。


初美「ふふー…♪ホント、京太郎君のチンチンは弱すぎなのですよー」

初美「ちょっと扱いただけですーぐメロメロになっちゃうんですから」

京太郎「だ、誰が初美にメロメロになるかよ…!」

初美「ほほーぅ。そんな事言っちゃいますかー」

初美「…なら」シコシコ

京太郎「うあぁあっ」

当然、京太郎のそれが減らず口だと初美も分かっている。
だが、それで何もかも許してやるほど甘い性格でもないのだ。
逆らうならば逆らうだけの罰を与えてやる。
そんな嗜虐的な言葉を思い浮かばせながら、初美はその手を激しく動かし始めた。

初美「ほらほら…こんなにビックンビクンして…」

初美「これでもまだメロメロじゃないなんて言うんですかー?」

京太郎「は、初美さん!待って…!ストップ…!」

初美「ふふ。だーめですよー」

そんな彼女に制止の声が掛かるが、初美はそれを聞き入れない。
普段、色々と言われている分、ここで仕返しをしてやろうと手コキを続けていた。
シコシコと肉竿を撫で扱くそれに、京太郎の身体は耐えられない。
心臓がドクンドクンと脈打ち、熱い血潮が肉棒へと流れこんで ――


京太郎「あぁあぁあああああっ」ビュルルル

初美「ううぇええ!?」ビックリ

それに肉棒が膨れ上がった瞬間、切っ先から白濁した粘液が吹きあがる。
ビュルビュルと音を立てて噴き出すそれは天井に近づくほど勢いのあるものだった。
一瞬で視界を通り抜けていくその粘膜に、初美の身体は驚きの声をあげる。
一体、それがどういうもので、どうして京太郎が制止を掛けたのか。
京太郎への仕返しと興奮で頭が一杯だった初美にはそれが分からないのだ。

初美「(こ、こここここ…これってもしかして…!?)」

初美「(精液…!?ザーメンって奴なのですかー…!!?)」

しかし、それも長くは続かない。
初美だって人並みに性教育を受けているのだから。
男性器から飛び出す白濁液を精液と呼び、その現象を射精と呼ぶ事くらい知っている。
それが彼女の頭の中で結びつかなかったのは、あまりにも性的経験が少なかった所為。
京太郎をイかせたいとは思いながらも、それが実際にどういうものなのか初美は想像すらしていなかったのだ。


―― 故に起こったわずか十数秒の硬直。

一分にも見たないその僅かな戸惑いは、初美にとって最悪の結果を産んだ。
吹き上がった精液はそのまま重力に引かれ、京太郎の周辺に落ちて来るのだから。
射精の度にビクンビクンと揺れる肉棒と相まって、白濁液は辺りに飛び散っていく。
初美がそれを精液なのだと気づいた頃にはもう手遅れ。
畳も彼女も京太郎から撒き散らかされる精液塗れとなっていた。

初美「あう…うぅぅぅ…」

女の命である髪から自慢の肩までを精液でベッタリと穢されてしまう感覚。
それはどう好意的に見ようとしても、心地良いと呼べるものではなかった。
まるでゼリーのように指でつまめる粘液が、ベタベタと張り付き、妙な熱を伝えてくるのだから。
触れた場所から火照らせるような独特の熱は、しかし、その粘つきとあいまって歓迎したいものではない。
正直なところ、気持ち悪いと言うのが初美にとっての正直な意見だった。


初美「(で、でも…精液の勢い止まりませんし…!)」

初美「(さっきからビュルビュル出っぱなしなのですよー…!!)」

媚薬によって高められた京太郎の性欲は、並大抵の射精では満足しようとしなかった。
ビクンとその根本から震わせる激しい射精をさっきから何度も繰り返している。
初美が立ち直って一分が経過しても尚、空高く舞い上がるそれに、彼女はどうすれば良いのか分からない。
このままではいけない事くらいはぼんやりと思い浮かぶものの、実際に何がいけないのかさえ今の初美には見えて来ないのだ。

京太郎「はー…はー…」

初美「……」

結果、初美は京太郎の射精が終わるまで、ずっと棒立ちのままだった。
手コキを続ける事もなく、かと言って、肉棒から手を離す事もなく。
延々と戸惑い続けた数分間の果てに、初美は沈黙を選んだ。
それは勿論、彼女の中で何を言えば良いのかが未だ形にならなかったからだが ――


初美「(…臭い)」

初美「(臭くて…ベトベトして、気持ち悪くて…)」

初美「(その上、変に熱くて…最悪な気分ですけれど…)」

初美「……大丈夫ですかー?」

それでも初美は真っ先に京太郎を気遣う言葉を選ぶ。
それはさっきまで上体を起こしていた彼の身体が、再び畳の上に落ちていったからだ。
まるで力尽きたようなその仕草に、根が優しい彼女はどうしても心配を浮かべてしまう。

京太郎「…大丈夫です。ちょっと気持ち良すぎただけなんで」

初美「え?」

京太郎「……悔しいですけど、今までで一番の射精だったと思います」

初美「へ、へー…」

ポツリと漏らされた京太郎の言葉は、思いの外、素直なものだった。
そこには結果的にとは言え、無理矢理、自身をイかせた初美への怒りも何もない。
ただ、渦巻くような虚脱感と、射精の余韻だけが詰まっている。
そんな声音で、一番だったとそう告げられた初美は、嬉しいような恥ずかしいような複雑な感情を覚えた。


初美「ま、まぁ、私はゴールドフィンガーはっちゃんと呼ばれた事もありますからねー」

初美「京太郎君の早漏チンチンなんて、アリアハン周辺のスライム程度なのですー」

京太郎「いや、見栄張らなくても良いですから」

初美「み、見栄なんて…」

京太郎「射精にビビってたの誰でしたっけ?」

初美「うぐ…!」

そんな初美が胸を張る言葉に、京太郎は鋭いツッコミを返した。
射精の最中は頭が真っ白になっていたが、それでも何も感じ取れなかった訳ではない。
射精した瞬間に、彼女がどれほど驚いていたかは京太郎にも伝わってきていた。
そもそも普段はお屋敷にいる初美が、そのような異名を持てるほど男遊び出来るはずもない。
自信満々にドヤ顔しているが、これが初めてであろう事は容易く感じ取れた。

京太郎「…つーか、ごめんなさい」

京太郎「おもいっきり汚しちゃって…」

初美「…まぁ、ぶっちゃけ、今すぐお風呂に入りたい気分で一杯ですけれど」

初美「京太郎君が気にする事じゃないのですよー」ネッチャァ

瞬間、頬に滴り落ちてくる精液を初美は手の甲で拭った。
出来れば、その全部をシャワーか何かで洗い流したいが、今はそんな事をしている暇はない。
京太郎の肉棒は今もガチガチを張って、その切っ先を天井に向けているのだから。
まるで萎える気配のないその逞しさは、勿論、京太郎がこの程度で満足していないからだろう。


初美「…じゃ、第二ラウンドいきますかー」

京太郎「いやいやいやいやいやいや」

初美「はい。却下でーす」

京太郎「ちょぉ!?」

そう判断した初美は二度目の性欲処理に入ろうと手を伸ばす。
だが、その手が肉棒を掴み直す前に、彼の手が局部を再び覆った。
まるでさっきのように肉棒を隠そうとするそれに初美は容赦しない。
絶頂の余韻で力の入らないそれをあっさりと払い、男根を掴んだ。

初美「何か文句でもあるんですかー?」

京太郎「い、いや、文句って言うか…も、もう十分でしょ?」

初美「十分って感じのチンチンじゃないからこうして続けようとしてるじゃないですかー」

京太郎「そ、その気持ちは嬉しいですけど、でも…」

初美「…ぶっちゃけ、私に顔射しまくった時点で今更です」

初美「遠慮とかして許される時期はもうとっくの昔に過ぎ去ったんで諦めなさい」

京太郎「遠慮させなかったのはそっち…いぃっ」

言葉の途中で京太郎の声が上擦ったのは、初美の手が動き出したからだ。
有無を言わさず、肉竿を扱くその手に射精直後の京太郎が敵うはずもない。
その喉だけではなく足までもビクリと反応させ、初美に快感をアピールしてしまう。

ってところで一時も過ぎたんで今日はもうねまーす(´・ω・`)ちなみに明日からちょっと本格的に修羅場りそうなので下手すると更新速度堕ちるかもです


            _,...---、_,.、

           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`
      /:::..     |  ,. _/ 突然だが、咲と朗読プレイがしたい!!
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
   /     |::::..         ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
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 /::      `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__       /!   i      / iu-゙、
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 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::.         _,.-‐'"




        ,. . . -――- . . .、

      ,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
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   /: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ

   /. . . . . . . .    / l: : : : : ト、 : : : : : :.
  ,' : : : : : : : : : : : : /  l . . . . l .',: : : : : : : :.
  ,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :!  ',: : :l: : : : :.
  i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
  !: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ  l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !     いきなり何を言ってるの京ちゃん
  ',: : f⌒\{  {l   l}    {l  l}Ⅵ : 、 : : !
  ',: {      乂_ノ     乂ノ .l: : :} \ノ
   ',:乂_          `    .!ヘ:ノ
   ',: : : : 丶、 U   ,--、 u  ノ

    ヽ{\ : : ㍉      ̄   ,, ''
       `^≧|   ┬ァiフ¨
      ///∧   Kヽ、

     //////∧    }//> , 、
    / \//////∧ー―l///// }


京太郎「いや、落ち着いて聞いてくれ」

京太郎「とても大事な事なんだ!」

咲「大事さはまったく感じないけれど…」

咲「まぁ、長い付き合いだし聞いてあげなくもないよ」

京太郎「ありがとう、咲!」

京太郎「と言う訳で…まずは朗読プレイの魅力から語ろうと思う!」

咲「わーぱちぱち」ゴロン

京太郎「まず朗読プレイの良いところは、手軽にちょっと変わったプレイが楽しめるって事だ!」

京太郎「元手は官能小説代のみ!」

京太郎「その上、野外プレイのように不必要なリスクを背負う事もない!!」

京太郎「これは俺たち学生にとって、救世主と言っても良いのではないだろうか!!」

咲「そうだねー」ポリポリ


京太郎「だが、その手軽さとは裏腹に、朗読プレイは奥が深いんだ!」

京太郎「女の子に官能小説を読ませるそれは一種のイメージプレイでもある!」

京太郎「何より、官能小説を読むのを強要されるって点で、SMの要素も含んでいるんだ!」

京太郎「台本のあるプレイである以上、先も容易く想像出来るし」

京太郎「序盤からも自然と期待と興奮が高まっていく!!」

京太郎「だが、読まなければ先に進めない以上、自然とお互いに焦れていき」

京太郎「ようやく至った本番に強いカタルシスを得られるんだよ!!!」

咲「そうなんだー」ペラ

京太郎「だから、朗読プレイしようぜ、咲!!!」




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      {八: : :|:,: :},ィ≠≠ミ     \|  --      从: : : :/}/: : : : : : ,: |
      l  、 : |: V            ィ≠≠ミ、 / |: : : イ/⌒V: : : :/:/           お断りします
       \|: ,  :.:.:.:.     '             |:/ /⌒} }: : :/}/
         V{                  :.:.:.:.:.  /    ノ 人:,:' /
         人      __              _ イ:/

           `      乂 ̄   ー‐ァ      イ: :/: : :/
           rrr==≧=- `  --  ´  r_:_´/|イ{: イ
             /|.||...................../ ̄| ̄´   7......`.. ̄ ̄≧=-、
          ,イ |.||.....................{---- 、  /...............///⌒ヽ
           /  |..V、.................|     /...............///   ∧}


京太郎「なんでだ!?」

咲「いや、何でも何も…恥ずかしいし」

咲「それに私は普通のでも満足してるもん」

咲「そんなアブノーマルなプレイにオッケーするような変態じゃありません」

京太郎「嘘だな」ジッ

咲「う、嘘なんかじゃないよ」

京太郎「……咲の部屋の本棚、左側の上から二段目」

咲「うぐ」

京太郎「…巧妙にカモフラージュされてるけれど、そこ官能小説が置いてあるよな」

咲「な、なんのことかなー?」メソラシ

京太郎「よし。じゃあ、今すぐそこの本をおじさんに…」

咲「わーわーわーわーわーわーわーわっ!!!」


京太郎「…何か言う事は?」

咲「ひ、人の本棚の中身を勝手に見るなんてさいてー…」

京太郎「だったら、普通の本に偽装するなよ」

京太郎「俺だって最初、開いてびっくりしたっての」

咲「うー…だ、だって、隠す場所他に思いつかなくて」

京太郎「それで本棚に隠すだけならばともかく」

京太郎「そこから勝手に本を持ってって良いとか言う辺り、ポンコツだよな」

咲「ポンコツじゃないもん…」プイ

京太郎「一日中、外出して、一度も迷子にならなくなったらポンコツじゃないって認めてやるよ」

咲「そ、そんなの無理に決まってるじゃない!」

京太郎「そこで無理って言うからポンコツ扱いされるんだよ」


京太郎「まぁ、ともかくだ」

京太郎「官能小説買うくらいエロエロな咲が興味ないだなんて、そんなオカルトありえません」

咲「え、エロエロなんて言わないでよ…」

京太郎「俺とそういう事した後も順調に官能小説増えてってるんだぞ」

京太郎「エロエロ以外の何だって言うんだ?」

咲「た、ただの文学的好奇心だし…」

京太郎「ほー…そう言うかー」

京太郎「じゃあ、俺の目の前で読んでても、濡れたりしないよな?」

咲「結局、そう話を持って来んだ…」

京太郎「実際、興味ない訳じゃないだろ?」

京太郎「官能小説読みながら、『こういうの俺としてみたい』とか思わなかったか?」

咲「…も、黙秘権を行使します」

京太郎「それもう暴露してるようなもんだと思うけどなぁ」


京太郎「で、どーよ?」

咲「…………ま、まぁ、ここまで言われてダメなんて言っても面倒な事になりそうだし」

咲「い、一回くらいなら付き合ってあげなくもないよ?」チラ

京太郎「俺の幼馴染は心が広くて嬉しいなー」ボウヨミ

咲「…幼馴染?」ムスー

京太郎「あー………………ごめん」

京太郎「やっぱ、恋人でお願いします」

咲「……ん。よろしい」ニコ

咲「じゃあ、素直な京ちゃんの頼みを、恋人として聞いてあげちゃいますかー」

京太郎「わーい」

咲「あ、でも、題材はこっちで選んで良いよね」

咲「後、折角だから一冊だけじゃなくて三冊…いや、五冊分くらい付き合って欲しいな」

咲「どれも名作だから、きっと京ちゃんも気に入ってくれると思うし!」グッ

京太郎「お、おう」

深刻なキョウサキン不足…(´・ω・`)誰か京ちゃんに付き合ってあげるフリしているけれど、本当は京ちゃんよりもエロい咲ちゃんのスレを立てて下さい…

春「今日は私の誕生日...。メインヒロインの私に誕生日ネタが来ない筈はない」フンス

明星「そういえば、明日は私の誕生日でしたね」ソワソワ


―― 須賀京太郎と滝見春の始まりと一言で表すなら『ウマがあったから』だろう。

共に高校生一年生の夏 ―― インターハイの最中に出会った二人は、妙にお互いの存在が噛み合った。
スタイルはともかく、自己主張の控えめな春にとって、話し上手な京太郎の存在は有り難かったし。
京太郎にとって、スタイルの良さとあいまって、何処か放っておかない春の事が気がかりだった。
その上、二人は運命の赤い糸で結ばれているように偶然を重ね、何度も出会い続けたのだから。
人懐っこい京太郎の性格も相まって、二人が仲良くなるのに時間は掛からなかった。

春「…」ボー

京太郎「春」

春「ん」

そんな出会いから数年。
二人は同棲するまでに至った。
いや、より正確に言えば、二人だけではない。
京太郎の親が用意した部屋には何人も住んでいる。
京太郎を除くその全てが、見目麗しい美少女揃いなのだから、ハーレムなどという陰口も決して不適切ではないだろう。


―― が、悲しいかな、京太郎と彼女たちは特別な関係ではなかった。

京太郎「そろそろ昼飯だから黒糖はそろそろダメだぞ」

春「……じゃあ、もう一袋だけ」

京太郎「ダメだって言ってるだろう?」スッ

春「…」

テーブルに座った春の手元にある黒糖を、京太郎はサッと取り上げた。
それに春が露骨に寂しそうな顔をするが、京太郎はそれを元に戻す事はしない。
こうして黒糖を取り上げるのも春の為なのだと心を鬼にしてみせる。

京太郎「俺は春の両親から春の事任されてるんだ」

京太郎「その黒糖ジャンキーを治して下さいってな」

春「……分かってる」

そんな京太郎に春は決して拗ねたりしなかった。
無論、黒糖は彼女にとってソウルフードと呼べるほどの大好物である。
昼食までの間に食べたいという衝動が、今も彼女の中に残っていた。
しかし、春はソレ以上に京太郎の世話になっている事を自覚しているのである。
自分たちの中には下手にワガママを言って彼を困らせる者もいるだけに、自分くらいは素直に従っておかなきゃいけない。


春「…でも、それならいつものが欲しい」

京太郎「いつものって…」

春「…京太郎の」

京太郎「いや、うん、分かってるけれど…」

それでも口寂しさは抑えきれない春の言葉に、京太郎はそっと目を背ける。
こうして一緒に同棲し始めるに当たって、京太郎は春の事を努めて意識しないようにしていた。
春以外の少女達を含めて、自分が面倒を見ているのは、彼女たちの両親から信任を得ているからこそ。
俺でなければ、彼女たちを支えられないとそう思ってもらったから、こうして同棲などを許されているのだ。
その信頼は決して裏切りたくはないと根が真面目な京太郎は思う。

京太郎「(…が、俺もぶっちゃけ男な訳で)」

京太郎にとっての庇護対象になったその時から、春に対するドキドキと言うのは目に見えて減っている。
だが、それでも滝見春と言う少女が見目麗しい美少女である事に違いはないのだ。
そんな彼女から『京太郎が欲しい』と言われて興奮しないほど、彼は枯れている訳じゃない。
あくまでも庇護対象だからこそ、一緒に住んでいても手を出さずに済んでいるだけなのだから。


京太郎「(…まぁ、そういうエロい意味じゃないし)」

京太郎「(春は素直で良い子だし、代替品をあげるのは吝かじゃないんだけれど)」

春「…ダメ?」

京太郎「いや、どうして俺の指なんだろうと思って」

春が求めているのは京太郎の指先だった。
それも指先ならば何でも良いと言う訳じゃなく、右手の人差指がベストなのである。
正直、彼にはその違いも、自分の指が春に求められる理由も分からない。
無論、これまで京太郎は何度となくそれを尋ねてきたが ――

春「京太郎の指は安心する」

京太郎「安心かー…」

春「うん。黒糖と同じ…安心の味」

春「だから、私は京太郎の指が好き」

春「何時までもしゃぶっていたい」

京太郎「流石に何時までもは許して欲しいかなぁ…」

春の言葉は真剣そのものだった。
心の底から京太郎の味を好きだとそう言ってくれる彼女に、彼も少なからずドキドキする。
それでも真っ先に抑制の言葉が出るのは、春なら本気でそれをやりかねないからこそ。
この何処か神秘的な雰囲気を持つ少女が、あまり冗談を口にするタイプではない事を京太郎はよく知っている。



京太郎「まぁ、もう最後の味付けをするくらいだし」

京太郎「右手の人差指くらい春に舐めてて貰っても良いけれど」

春「…じゃあ、はい」アーン

京太郎「う」

だが、ソレ以上に春は独特の感性を持つ少女だ。
あくまでも一般的な感性を持つ京太郎にとって、さっきの安心の味と言う意味も良く分からない。
ましてや自分に対して、こうも無防備に口を開き、オネダリする様には困惑さえ覚えてしまう。

京太郎「(…それだけならまだそういうのは辞めろで済むんだけれどなぁ)」

春「きょぉはりょぉ?」

京太郎「分かってるよ」

春は決して自分からしゃぶろうとはしない。
京太郎に対して従順な彼女は常に彼からのアプローチを求めていた。
その方が『安心』するのだという春の言葉がどういうものなのか京太郎には分からない。
分かるのは、彼女にお説教をしたところでそれを改めるはずがないという事だけだった。


京太郎「…ほら」スッ

春「ん」パク

無論、京太郎も本来ならば、そんなはしたない真似を止めさせるべきだと分かっていた。
だが、春は京太郎だけだから良いと譲らず、自分が指を差し出すまで何分でもそのまま待ち続ける。
その口からよだれが漏れだし、桃色のセーターが濡れてしまうのだっておかまいなしだ。
そんな彼女の姿を何度も見てきた彼女は、肩を落としながら人差し指を差し出す。
それを口に含んだ春は、トロンと目元を緩ませ、ぼんやりとした顔に心地良さそうな表情を浮かべた。

春「きょおたりょぉ…美味ひぃ…♪」

京太郎「相変わらず微妙な褒め言葉ではあるけれど、一応、ありがとうと返しておくよ」

春「~♪」チュルル

京太郎「ぅ…」

そんな春とは裏腹に、京太郎の表情は決して芳しいものではなかった。
幾ら、庇護対象であるとは言え、見目麗しい美少女が自身の指先に吸い付いているのである。
しかも、それが心底嬉しそうなものなのだから、どうしてもオスの興奮を擽られてしまう。
意識的に興奮を抑えなければ、マトモに彼女の事を見る事さえ出来ない有様だった。


春「(…京太郎、可愛い…♥)」

そして、そんな京太郎の事が春は大好きだった。
普段はしっかりしすぎるほどしっかりしている彼が、こうも自分に弱い姿を見せてくれている。
まるでもう一人の母親のように世話を焼いてくれる彼が、『一人の男』としての目を自分に向けてくれているのだ。
その感性が普通とは違うとは言っても、春も一人の女の子。
心の底から信頼し、信用している男からの興奮混じりの視線が、嫌なはずもなかった。

京太郎「…ま、とりあえずキッチンの方に行くぞ」

京太郎「そろそろ味見とか色々あるしさ」

春「ん…♪」

まさか同居人がそんな事を考えているとは思ってもいない京太郎は、彼女をキッチンへと誘導する。
その右手を春の口元にあげた状態で一歩一歩確かめるように歩くのだ。
決して春の口から自身の指が抜け出ないようにと注意を凝らしたそれが春にはとても嬉しい。
その仕草の一つ一つから、自分はとても大事にされているのだと言う実感が湧き上がってくるのだから。



春「(…やっぱりここに来てよかった)」

春「(ここ来なかったら、きっと京太郎にこうも甘える事は出来なかっただろうし)」

春「(こんなにも充実した毎日を送るなんて不可能だった)」

無論、同年代の異性と同居するという話に、春の両親も最初は難色を示していた。
ましてや、相手は春以外の何人もを囲った状態で、新生活を始めようとしているのだから。
幾ら、彼が面倒を見なければ現代社会で生きていけなさそうな問題児ばかりとは言え、ハーレム野郎と愛娘と一緒に置いておきたくはない。
そう強硬に反対していた彼女の両親も、京太郎の人となりを知り、二度三度と話をする内に態度を軟化させていった。
今ではもう半ば娘婿のようにして扱われ、頻繁に酒の席にも呼ばれている。

春「(…だから、私はこの生活を維持したい)」

春「(ずっとずっと京太郎の側にいたい)」

そう思っているのは決して春だけではなかった。
彼と暮らす他の少女たち ―― 京太郎曰くポンコツ達も同じように思っている。
その殆どが彼に好意を抱いているのにも関わらず、京太郎は他のだれとも恋人関係になったりしてはいない。
これだけ周囲を美少女に囲まれた京太郎が時折、恋人が欲しいと虚空に愚痴っているところを春は何度か目撃している。


春「(…私も出来れば、京太郎の恋人になりたいし)」

春「(独り占めをしたいとそう思ってる)」

春「(京太郎にお世話して貰うのは私だけで十分だって)」

春「(そう他の子達にも言いたいけれど…)」

それでも二の足を踏んでしまうのは、春と他の少女たちがあまりにも近すぎるからだ。
その年齢や出身地、性格まで、かなりの差があるものの、共通しているのは一点。
京太郎に依存し、京太郎がいなければ生活出来ないと言う事。
その面であまりにも似通いすぎている彼女たちにとって、京太郎以外の同居人はもう一人の自分も同然だった。
京太郎がいなければ死すら選んでしまいそうな自分から、彼のことを奪ってあげたくはない。
今の二人の生活は、そんな彼女たちの共通認識の上に成り立つ薄氷のようなものだった。

春「(…まぁ、今はともかく)」

京太郎「んー…ちょっと塩が足りないかな」

春「…ん」スッ

京太郎「おう。ありがとうな、春」

春「~♪」ニコ

キッチンに辿り着いた京太郎は少女たちの昼食の味見をしていた。
最後に味を整えて完成させようとする彼の呟きに、春は俊敏に反応する。
自分が口にして使えない右手の代わりになろうと目の前の戸棚から塩のケースを取り出した。
それをソっと差し出す彼女に、お礼を言う京太郎へと春は微笑みを浮かべる。


―― それは京太郎と出会う以前の彼女を知る人が見れば、目を疑う光景だった。

滝見春と言う少女は、元々、あまり感情表現が得意ではない。
親しい仲間といる時も、彼女は碌に感情を、その顔に浮かべたりしなかった。
例外は、彼女にとってソウルフードと呼べる黒糖を褒められた時のみ。
そんな春が今、黒糖と無関係であるただのお礼に、ハッキリと微笑みを浮かべているのだ。
彼女と親しければ親しいほど、偽物ではないのかと思わせるその光景に、京太郎は特に違和感を感じない。
彼にとってはこうして春に微笑まれるのが常であり、それが大した事であるという認識はないのだ。

春「…」ジィ

京太郎「…って、そんなに見つめても、それほど手伝う事はないぞ?」

京太郎「もう殆ど出来上がってるから、春にもストップを掛けたんだからさ」

そんな京太郎にとって、春の物言いたげな視線から感情を感じ取るのは容易い事だった。
彼が面倒を見ているポンコツの中には宮守出身のダルマスターもいるのだから。
春よりもよっぽど分かりにくい彼女と長年、接していれば、春の言いたい事など容易く感じ取る事が出来る。
だからこそ、子犬のように期待と浮かばせる彼女に、京太郎はそう返したものの。


春「…」シュン

京太郎「そう落ち込むなって」

京太郎「手伝いたいって思ってくれるのは嬉しいし有り難いと思ってるしさ」

春「はぅん…♪」

見るからに気落ちして肩を落とす春の頭を、京太郎はそっと撫でる。
無論、幾ら気易いからと言っても、彼は誰かれ構わずそのような事をする男ではない。
これも春が頭を撫でても嫌がらないと分かっているからこそ。
事実、春はうつむき加減になっていた頬をトロンと緩め、閉じた口から心地良さそうな声を漏らす。

京太郎「まぁ、そうやって良い子にしてる春には、今日も少しだけ多めに入れてやろうか」

春「ぁ…」

とは言え、それは長く続かない。
京太郎が今、やっているのは昼食の支度なのだから。
一分一秒で味が変わっていく仕上げの段階で、唯一残った左腕を何時迄も春に向けてはいられない。
だからこそ、彼女の頭から放した腕に、春は一瞬、寂しそうなものをその目に浮かべた。


京太郎「どうした?」

春「……」フルフル

京太郎「ん…それなら良いけれど」

それに疑問の声を向ける京太郎に春は素直な気持ちをぶつけられなかった。
これが同じくお世話されている淡辺りであれば、もっとなでてと素直に言えたかもしれない。
だが、基本的に彼女は引っ込み思案であり、比較的、京太郎に対しても従順な少女なのだ。
譲れない一線以外で京太郎に迷惑を掛けたくはないとそう思っている。

京太郎「……まぁ、寂しいのなら、また食後にでも撫でてやるよ」

京太郎「ちょっと前倒しになるけれど…三時のおやつの黒糖と一緒にな」

春「~~~~~っ♥♥」

だが、そんな春の気持ちを京太郎は見通していた。
だからこそ、彼女のワガママを後で叶えようとするそれに、春の身体がブルリと震える。
黒糖も京太郎も大好きな彼女にとって、それは天国の宣言も同じなのだ。
今からでもその時間が待ち遠しくなり、身体が落ち着かなくなってしまう。


春「ん…っ♪」ダキ

京太郎「ってちょ…!?」

結果、我慢出来なくなった春の身体が京太郎に飛びついた。
その豊満な身体をグイグイと押し付けるようなそれに京太郎から驚きの声があがる。
普段の春ならば、それに理性を取り戻し、身体を引き離す事が出来ただろう。
しかし、今の彼女は自身の胸中に渦巻く歓喜と恋慕の念をまったく制御できていなかった。

京太郎「…まったくもう。しょうがない奴だな」

春「んふぅ…♥」

そんな春を京太郎は積極的に引き離そうとはしなかった。
何だかんだと言いながらも、京太郎は彼女たちに甘いのだから。
彼女たちと同じく譲れない一線はあるが、ソレ以外ではついつい譲歩してしまう。
結果、彼女たちの依存がより深まっていくと分かっていても、彼は彼女たちを拒めない。
誰かに必要とされる実感というのはまるで麻薬のように人の心を蝕むのだから。
一種の共依存に近い今の彼が、春達に甘い顔をしないはずがなかった。


京太郎「…昼飯、器に盛るまでの間だけだぞ」

京太郎「それが終わったら、他の皆も呼びに行かなきゃいけないんだしさ」

春「ふゅむ…♪」チュル

京太郎「って、返事の代わりに吸うなよ…!」

だからと言って、京太郎の中の興奮がなくなる訳ではない。
滝見春と言う少女は、彼にとって性癖のど真ん中を貫くタイプなのだから。
このような形にさえならなければ、付き合いたいとそう思うほどの美少女が自分に抱きつきながら指を吸っている。
その片方だけならばともかく、両方となると流石に色々と我慢出来ない。
彼女たちを気遣って、普段から禁欲している彼の中でムラムラとした感覚が沸き起こる。

春「きょうぅたろぉ…♥」

京太郎「あー…もう…」

その上、京太郎に抱きつく春はとても心地良さそうな顔をしているのだ。
まるで今にも眠りに堕ちてしまいそうなその穏やかな表情に、京太郎の興奮は強くなっていく。
それを何とか抑えこむには、彼女を庇護対象であると自分の中で定義し直す必要があった。
だからこそ、京太郎は仕方なさそうに言いながら、春の頭に再び手を伸ばして。


―― 結局、その日は本来の予定よりも十分遅れて昼食が始まったのだった。




こんな感じで共依存京ちゃんがポンコツヒロインと同棲するスレを誰か立ててください(´・ω・`)ちょっと遅刻したけど、はるる誕生日おめでとう

そんなー(´・ω・`)


―― 夢を見ていた。

その時の俺は微睡みの中でどうにか目を開いている状態だった。
しかし、体は指一本動かせず、ただ呼吸を繰り返すのみ。
まるで意識が引き離されてしまったような無防備さ。
そんな俺の上に一人の女性が乗っていた。

―― それは目を見張るほど美しくて。

―― 背筋が冷たくなるほど恐ろしくて。

―― そして何より。

「…お兄さま…♥」

何も出来ない俺に、その女性がスルリと肌を重ねてくる。
寝巻き越しに触れる彼女の肌は驚くほど滑らかで、そして気持ちが良い。
その豊満な胸を押し付けるようなその仕草だけで、俺の股間がムクムクと持ち上がる。
眠気で鈍った理性では、体の興奮を押しとどめる事は出来なかった。


「ふふ…♪今日も元気ですね…♥」

「明星はお兄様がとても元気で嬉しいです…♥」ペロリ

―― なのに。

なのに、その女性は ―― 俺の婚約者と同じ顔をし、俺の婚約者と同じ名前を名乗る彼女は、まったく嫌がる気配を見せなかった。
むしろ、その口から舌を伸ばし、ペロリと舌なめずりして見せる。
何処か女豹を彷彿とさせるその仕草の奥 ―― 彼女の瞳には、鈍い光が宿っていた。
刃物のようなギラギラとしたものではなく、鈍く静かなその光に、俺は欲情の色を感じ取る。

「明星はお兄様の事が大好きですし…♪」

「お兄さまと『遊ぶ』のも…大好きなんですよぉ…♥」

「だから…今日も…一緒に遊びましょう…♥」

「一杯一杯…他の人には言えないエッチな遊びで…♪」

「明星の事を…お腹一杯にしてくださいね…♥」バサ

…だけど、それは俺の知る婚約者じゃ…明星ちゃんじゃない。
だって、明星ちゃんは俺の事をお兄さまとも呼ばないし、大好きだなんて言う事もまずない。
ましてや、彼女のようにコウモリのような翼を背中に生やしている訳でもないんだ。
だから、これは夢 ―― 決して現実ではない一時の幻なんだろう。


―― そうだ。夢…。

―― これはただの夢なんだ。

「んふぅ…♪」チュル

…………なのに、どうしてか、俺はキスの感覚を敏感に感じ取っていた。
今までキスなどした事ないはずなのに。
記憶を整理する夢に、自分の経験した事がない感覚が沸き起こるはずはないのに。
無遠慮にヌルヌルと俺の中へと入ってくる舌は…俺にハッキリとキスの感覚を伝える。
それが俺の口の中を舐め回すところも、唇に甘く吸い付くところも全部。
おかげで俺の興奮はさらに強まって…ムスコがぐんぐんと大きくなる。

「あふゅぅん…♥」

そして、彼女は、夢の女性はそんな俺に躊躇しない。
勝手知ったる俺の口を熱心に舐めまわしながら、彼女の手が俺の服に触れた。
そのままするすると器用に寝巻きを脱がせていく彼女に、俺の体は逆らえない。
いや…逆らわない。
こうして俺の夢に彼女が出てきたのは、これが初めてではないのだ。
彼女に従っていれば、どれほど気持ちよくなるかを、俺はもういやというほど知ってしまっているのである。


「んぷぁ…♥」レロォ

そんな格好悪い俺を、彼女は嬉しそうに受け入れてくれる。
俺の知る彼女なら、「しっかりしてください」と叱咤の言葉が飛ぶだろうに。
彼女と同じ顔をしているこの人は、その目を喜色に輝かせながら体全体を摺り寄せてくれるんだ。
まるでむき出しになった俺の体に自分の匂いをつけようとしているような甘くも淫らで…本能的な動き。
現実世界では未だ童貞続きの俺にとって、それは理性のタガが外れてもおかしくはないほどだった。

「ふふ♪相変わらず、私にねっとりとされるキスが大好きなんですね…♥」

「ほんのすこしペロペロしただけで…もうこんなにガチガチになっちゃって…♥」

「私の中に入りたい入りたいって…オチンポさんが言ってるのが分かりますよぉ…♪」

彼女が俺から離れたのは、俺の股間が露出したのとほぼ同時だった。
ズボンごとずり下げられた下着の向こうからボロンと飛び出した肉の棒。
それに我慢出来ないと言わんばかりに彼女は手を伸ばし、甘い言葉を口にする。
オスを興奮させる為の淫らなそれと共に、彼女はゆっくりと手を動かし始めた。
肉棒の表面を撫でるような…さりとて、それだけでも十分に気持ち良い愛撫。
既にガチ勃起した俺をさらに追い詰めようとするその動きに、俺の体は否応なく昂ぶっていく。


「でも、まだダメですよ…♪」

「折角、今日一番の…濃くって美味しいザー汁なんですからぁ…♥」

「まずは一杯シコシコして…我慢してぇ…♪」

「熟成させてくれなきゃ…勿体無いです…♥」

一体、何が勿体無いのかは俺には分からない。
だが、毎夜、俺の夢に出てくる彼女は、『熟成』とやらを怠った事はなかった。
一度、挿入した後は延々と搾り取られるが、その前まではまさに地獄。
この素晴らしい手コキでイきたくてもイけないところで延々と寸止めされてしまうのだから。

―― だが、それを嫌だと言う事は俺には出来ない。

そもそもこれは夢である上、俺の体は碌に動かないのだ。
慣れ親しんだ布団の上で力なく横たわる俺には、声すら出す事が出来ない。
彼女に射精を強請る事もなく、延々と受け身であり続ける俺に出来るのは、早く『熟成』が終わるのを祈る事だけ。
それに今日も期待とも絶望ともつかない感情を浮かべる俺の前で、彼女はニコリと見惚れるような美しい笑みを浮かべて ――



「…さん」

京太郎「う…うぅぅーん…」

「京太郎さん、起きてください」

「もう朝ですよ!」

京太郎「…朝…?」パチ

―― 目を開けた瞬間、俺の視界に飛び込んできたのは昨夜、俺をこれでもかと搾り取った美しい女性だった。

京太郎「うぉあ!?」ビク

「…うわ、とは随分なご挨拶ですね」ジト

京太郎「…あ」

…いや、違う。
これは、昨日も夢に出てきたあの人じゃない。
俺のよく知る婚約者 ―― 石戸明星ちゃんの方だ。
俺に向けられる慣れ親しんだジト目がその証拠になるだろう。


明星「まったく。仮にも寝坊した婚約者を起こしに来たんですけれど」

明星「よもやそんなバケモノを見たような反応をされるとは思ってもみませんでしたよ」

京太郎「わ、悪い。ちょっと夢見が悪くてさ」

明星「夢…?」

京太郎「あぁ。まぁ、色んな意味で悪夢だったよ」

毎日、俺と『遊び』に来てくれる彼女には悪いかもしれないが…あれは悪夢だ。
俺の体は一切動かせない上に、彼女はまったく俺に対して容赦してくれないのだから。
最初の『熟成』もさる事ながら、その後の連続絶頂はかなりキツイ。
毎夜、部屋が白むまで搾り取られる俺としては、淫夢と言うよりも悪夢に近かった。

明星「まぁ、それなら挨拶の件は許さなくもないですが…」

明星「だからと言って、寝坊して良い訳じゃありません」

明星「京太郎さんは石戸の娘婿になる人なんですから」

明星「もっとシャキっとして貰わないと」

京太郎「あぁ。悪かった」

正直、彼女とそっくりな明星ちゃんに、こうも叱咤されるのは色々と複雑だが…。
しかし、アレはあくまでも夢であり、現実の彼女とは別人なのだ。
夢の中の彼女へと向けるモヤモヤとした気持ちを、明星ちゃんにぶつけるべきじゃない。
その言葉もキツイけれど、彼女の言っている事は正しいし。


京太郎「(…何より)」

京太郎「毎日、起こしに来てくれて感謝してるよ」

京太郎「明星ちゃんがいなかったら、俺は今頃、出席日数がヤバかったかもなぁ」ハハ

明星「笑い事じゃありませんよ」

明星「事実、最近の京太郎さんは私が起こすまで碌に起きる気配もありませんし」

明星「さっきだって、目覚ましが鳴っていたのに気づかなかったんですか?」

京太郎「まったく…」

明星「ふぅ…夜更かしも程々にしてくださいね」

京太郎「いや、夜更かしなんて最近はしてないはずなんだが…」

あの夢を毎日、見るようになったのは数カ月前からだ。
以前から親交のあった明星ちゃんが俺の婚約者になった時から始まったのである。
だが、それまでの俺は、体力バカと言っても良いタイプで、朝もしっかりと起きられたし。
何より、今は夜更かしだってまったくやってない。
あの淫夢の所為で寝不足になっているのか、22時には布団に入りたくなってしまう。


明星「じゃあ、どうして起きられないんですか?」

京太郎「いや、俺にもマジで理由が分からない」

京太郎「(…まさか淫夢を見てますなんてのは無関係だろうしなぁ)」

明星「…一度、病院に行ってみましょうか」

明星「もしかしたら、生活環境が変わって、少し体に変化が出ているのかもしれません」

明星「放っておけば手遅れになるかもしれませんし、今度の休日にでも一緒に病院に行きませんか?」

京太郎「あー…そうだな」

正直なところ、病院はあまり好きじゃない。
あの独特な清潔感というか、消毒液の匂いに体が落ち着かなくなってしまう。
しかし、明星ちゃんがこうも言ってくれているのに、個人的な好悪で断る訳にはいかない。
何だかんだ言いつつも優しい明星ちゃんは心配してくれているのだろうし、ここは彼女に従っておこう。


京太郎「でも、悪いな、心配掛けて」

明星「べ、別に京太郎さんの事を心配なんてしていません」

明星「た、ただ、京太郎さんは私の婚約者ですから」

明星「下手に体調なんかを崩してもらうと困ります」

明星「特に…い、今はこうして一緒に暮らしてる訳ですから」カァァ

そこで明星ちゃんが頬を赤く染めるのは、きっとこの環境にいまだ慣れていないからなんだろう。
まぁ、俺自身、正直、慣れてないって言うか…色々と複雑だけれどさ。
幾ら、婚約が決まったとは言え、年頃の男女を一つ屋根の下で暮らさせるとかどうかしている。

明星「い、所謂、お試し同棲と言う奴ですが…」

明星「ここでの結果が芳しくないと、私は霞お姉さまに失望されてしまいますし」

明星「私の所為で体調を崩したなんて記録が残るのも不名誉な話です」

明星「だから、申し出ただけであって…京太郎さんの事が特別と言う意味では…」

京太郎「あぁ。勿論、分かってるよ」

悲しいかな、俺の婚約者は、所謂、同性愛者と言う奴なのだ。
その心はとうの昔に彼女の言う霞お姉様 ―― 石戸霞と言うすんばらしいおっぱいの持ち主に奪われてしまっている。
彼女に失望されるのが何より恐ろしいと公言して憚らない明星ちゃんにとって、俺との婚約など不本意も良いところ。
婚約と相成ったのも彼女の行き過ぎた従姉妹愛にあちらのご両親が危惧を抱いたからなのだし、誤解をする余地すらない。


明星「…むー」

京太郎「って、どうした?」

明星「…何でもありません」プイ

…のだが、たまにこうして明星ちゃんは俺に拗ねた顔を見せる。
年が近く、両親同士の仲も良い事から、半ば幼馴染のようにして過ごしてきた相手ではあるが、こうして拗ねるタイミングが俺には分からない。
一つ屋根の下で、二人っきりで生活している今、以前よりもより知るところが増えてきたと思うのだけれど…。

明星「それより早く顔を洗ってしまいますよ」

明星「京太郎さんが今日も寝坊したおかげで時間がないんですから」フキフキ

京太郎「んぐ」

瞬間、俺に濡れタオルを押し付ける明星ちゃんの手はまったく容赦のないものだった。
さっきの不機嫌さをアピールするように、ゴシゴシと俺の顔を擦ってくる。
それでも決して嫌ではないのは、それがわざわざ俺の為に用意されたものだからだろう。
丁度良い温度に蒸されたその濡れタオルに、残った眠気が汚れと一緒に拭き取られ、スッキリしていくのが分かる。


明星「はい。終わりです」

明星「着替えも早く済ませてしまってください」

明星「朝食ももう出来てますから」

京太郎「ちなみに献立は?」

明星「鮭の切り身に、お味噌汁。ブロッコリーの胡麻和えに納豆ですよ」

京太郎「パーフェクトだ、ウォルター」

明星「誰がウォルターですか」

明星ちゃんは呆れるように言うが、それはまさしく俺が理想とする朝食なんだよなぁ。
しかも、料理上手な明星ちゃんが作ってくれてるって事は、それら一つ一つが絶品と言っても良い代物な訳で。
そんなものを一日三食、かかさずに食べさせて貰えていると思うと、それだけで彼女と婚約してよかったと思う。

京太郎「それだけ楽しみって事だよ」

明星「…まったく。そんな風におだてても何も出ませんよ」スク

何より、彼女は意外と分かりやすいタイプだ。
幼馴染の俺には色々と容赦のない言葉を投げかけるが、案外、大事に思ってくれている。
そう思うのは、俺の前から立ち上がった彼女の足取りが、とても軽かったからこそ。
今にもルンルンとスキップしそうなそれに、思わず明星ちゃんの顔が見たいという欲求が浮かぶけれど。


京太郎「(ま、今はそれよりも着替えの方が大事だよな)」

明星ちゃんはとても真面目なタイプだ。
彼女の理想である霞お姉さまに近づくべく、日々、努力している。
そんな彼女にとって、未来の旦那である俺を置いていく事は出来ないらしい。
俺が寝坊して遅刻寸前になっても、明星ちゃんは決して先に行こうとはしないのだ。
それを思えば、とっとと着替えて、彼女の負担を減らしてあげるべきだろう。

京太郎「(決して好きあって婚約した訳じゃないとは言え…)」

京太郎「(このままいけば明星ちゃんは俺の奥さんになる訳だしな)」

一方的に妻ばかりに負担を掛けさせるような夫になりたくはない。
台所は女性の戦場だと言うが、男でも手伝える場所は沢山あるのだから。
学校も当然大事ではあるが、今の俺にとって最も最優先するべき事は明星ちゃんに相応しい夫になる事。
同性愛者だということを除けば、何処に出しても恥ずかしくはない幼馴染と釣り合う大人に成長する事なのだ。


京太郎「(でも、結婚って事は…)」

京太郎「(まぁ、つまり、あんな事やこんな事をするかもしれない訳で…)」

…する、とハッキリ言い切れないのが自分でも悲しいところだけれど。
でも、まぁ…次代を残す為に婚約した訳だし、多分、そういう事はするだろう      きっと。
って事は、明星ちゃんも、あの女性のように俺の上で乱れて、嬌声をあげながら絶頂するかもしれない訳で… ――

京太郎「…やべ」

…ついつい想像して勃っちまった。
あー…もう、昨日もまたあんだけ絞られたってのに…。
……ってアレは夢だから関係ないのか。
……でも、よくよく考えてみるとあの夢を見てから朝勃ちなんて殆どしてないような気がする。
やっぱり夢とは言え、馬鹿に出来ない影響が…っていや、そうじゃなくて…!

京太郎「(まずはこれを静めないと明星ちゃんの前に出れない…!)」

京太郎「(だから、静まれ…静まれ静まれ静まれ静まれ…!!)」


―― しかし、根がスケベな俺の身体は何度、そう言い聞かせても中々、静まる事はなく。

―― 俺が明星ちゃんの待つ食卓に足を運んだ時には、ずっと食べるのを待っていた彼女から粘着くようなジト目を向けられてしまったのだった。




………

……




明星「はー……」

……今日もやっちゃった。
京太郎さんに理不尽な理由で怒ったり…可愛くない事ばっかり言っちゃって。
折角、お父様とお母様に背中を押してもらったのに…まったく進展なし。
相変わらず、京太郎さんは私の気持ちに気づいてくれないまま。

明星「…どうしてこんな可愛げのない女になっちゃったのかしら」

…子どもの頃はまだ良かった。
一人っ子だった私にとって、一歳上の京太郎さんは兄同然で。
「おにいたま」なんて言いながら、何処に行くのもついていったのを良く覚えている。
けれど、小学校に入った辺りから…色々と拗らせてしまって。
気づいた頃には…お兄様と昔の呼び方さえ出来なくなってしまった。


明星「本当は…好きだって言いたいのにな…」

でも、言えない。
自分が京太郎さんの事が好きな事に気づくまで…私はあんまりにもこじらせ過ぎちゃったんだもの。
意識している自分を認められなくて、好きだって気持ちから目を背けて。
成長と共に大きくなっていく自意識が、過剰な自己防衛反応を覚えてしまった。
結果、私は京太郎さんに対して、あまりにも素直ではない女になって…好きどころか嬉しいと言う気持ちさえ口に出来ない。

明星「(…でも、悪いのは私だけじゃないと思うのよね)」

明星「(京太郎さんだって、鈍感って言うか…ヘタレだって言うか…)」

明星「(毎日、アピールだけはしているのに全然、気づいてくれないし…)」

明星「(折角、一つ屋根の下で暮らしているのに襲ってもくれないんだもの)」

明星「(それでも何かドキドキするイベントがあれば変わるのかもしれないけれど…)」

一つ屋根の下で若い男女が暮らすと言うシチュエーションは、フィクションでは良くあるけれど。
でも、現実は決してフィクションではなく、そんな都合の良い事は早々、起こらない。
私が恥ずかしがりながらもガードを緩めたところで、京太郎さんが気を遣ってくれたら変なトラブルは起こらないし。
もう数ヶ月は一緒に暮らしているのに、脱衣所でばったりなんてイベントすら私たちには無縁だった。


明星「あー…もう…」

明星「……ホント、どうすれば良いのかしら」

一緒に暮らせば…何か変わると思った。
でも、実際、変わった事はあっても、それは私が望んだような変化じゃなくて。
ただ、『幼馴染兼婚約者』として一緒にいるだけ。
それでも…きっと恋に苦しむ人にとっては羨ましい立場なのかもしれないけれど。
でも…こんなに近くに居て仲良くしているのに…『恋人』にはなれないというのは辛い。

明星「(…今度のデートで、好きだって言おうかしら)」

明星「(…いや、やっぱりそれは止めておきましょう)」

明星「(もし、京太郎さんの病気が大変だったら、それどころじゃなくなるし…)」

明星「(下手をすれば不謹慎だって怒られちゃうかも…)」

そんな私にとって今度の休日のお出かけは立派なデートだった。
勿論、その目的は京太郎さんの異常を調べる事だって分かってる。
でも、私にとって大好きな人とのお出かけである事に代わりはないんだもの。
病院の後はそのままウィンドウショッピングにでも付き合って貰おうと考えていた私の脳裏に邪な考えが過るのも致し方無い事だと思う。


明星「(…そう言えば京太郎さん、夢って言ってたわよね)」ゴロン

明日の仕込みを終わらせ、布団の上でゴロゴロとしながら愛しい人の言葉を記憶から呼び起こす。
悪夢とそう告げる京太郎さんの顔は苦しそうで…そして微かに期待の色が浮かんでいた。
まるでその悪夢を見る事に期待しているようなその反応が私の心に引っかかる。
彼の言うことが正しければ、最近の寝不足はその夢が原因なのに…一体、どうしてなのかしら?

明星「(もしかしてエッチな夢でも見てるとか?)」

…そんな言葉が真っ先に出てくるのは、私もここ最近、同じ夢を見ているからだ。
京太郎さんと一つ屋根の下で暮らすようになってから…毎日、続く淫らな夢。
寝ている彼に夜這いし、朝まで乱れに乱れるそれは…最初の内は抵抗感が強かった。
自分はこんなにはしたない女じゃない。
こんな事を望んでいる訳ではないと思い悩んでいたけれども。


明星「(…最近は色々と吹っ切れちゃったと言うか)」

明星「(アレは夢だって…自分の中で納得しちゃったと言うか…)」

明星「(どの道、自分の意思じゃ身体は動かせないし…どれだけ抵抗しても最後までやっちゃう訳だから…)」

ま、まぁ、結局のところ…慣れちゃったのよね。
なまじその夢が気持ち良くて、美味しくて…何より、京太郎さんが可愛いのもあって、夢なんだから別に良いやと開き直っちゃったの。
何より、夢でもなければ、私は京太郎さんの事を『お兄さま』と呼ぶ事も出来ないし…。
好きだとか愛してるだとか…そんな言葉だってきっと素直に口にする事が出来ない。
内心、伝えたいそれをストレートに示してくれるその夢が…私は正直、嫌じゃなかった。

明星「(…ま、何にせよ)」パタン

そんな言葉を思い浮かべながら、私は布団の上で読んでいた本を閉じた。
京太郎さんの変調が病気によるものなのか、調べて見ようとしたけれど…それらしい症状は乗ってない。
と言う事は家庭レベルでどうこう出来る類の病気ではないか、或いは精神的なものに起因するものかの二種類だろう。
そのどちらもが私にとって荷が重いし、ここは大人しく休日まで待った方が良い。


明星「(それにそろそろ時間だもんね)」チラ

そっと流し見た時計は夜中と言っても良い時間を示していた。
流石にそろそろ寝なければ、明日に差し支えてしまうだろう。
そう思った私は図書館から借りてきたその本を枕元に置き、モゾモゾと布団の中に入る。
そのまま手元のリモコンを操作すれば部屋の電気が消灯されて。

明星「(…京太郎さん…♪)」モゾ

瞬間、私の中に浮かびあがるのは期待と興奮なんだと思う。
これから私が見るのは…とても奇妙で、そして淫らな夢なんだから。
それを完全に受け入れてしまった今の私は興奮に身体を熱くし、期待に胸を疼かせてしまう。
なのに、一度、布団の中へと入った私は、高まる気持ちとは裏腹にドンドン眠気へと囚われていき…。
代わって、私の奥から…『何か』が…… ――












「…お兄様♥」

「今日も…明星は来ましたよ…♪」

「さぁ…何時も通りズボンを脱ぎ脱ぎして…エッチなお遊びしましょうね…♥」

「明星…お兄様もエッチなお遊びも…♥」

「だいだい…大好きです…っ♥♥」






多分、咲ュバス世界線で永水スタートだとこんな感じになります(´・ω・`)お互い知らない間に調教されてく的な
この後、京ちゃんが姫様達とも仲良くなって、婚約そのものが危なくなっていく内に、明星ちゃんの中でサキュバスとしての自分と一致していき
ついに京ちゃんを意識的に逆レイプして京ちゃんと結ばれたと思ったのもつかの間
姫様達もサキュバス覚醒して、皆で京ちゃんを貪るようにしてセクロスし始めるスレを誰か立てて下さい(´・ω・`)今日は日付変わる前に投下出来たからオッケーなはず…

そんなー(´・ω・`)


「…好きです。付き合ってください」

京太郎「…悪い。俺、付き合ってる人いるんだ」

「…それってやっぱり宮永さん?」

京太郎「あぁ」

「…でも、宮永さん、胸小さいよね」

京太郎「どう贔屓目に見てもAしかないな」

「で…その、私の方が…胸は大きいと思うんだ」

「だから……その…私の事…」

京太郎「それ以上は言わないでくれ」

「…須賀君」

京太郎「別に知らない仲じゃないんだ」

京太郎「それ以上言わせて、お前に恥を掻かせてやりたくない」

「っ!」


「……うん。分かった」

「ちょっと私も変だったかも」

「聞かなかった事にしてくれると嬉しいな」

京太郎「聞かなかったも何も、俺は最初から何も聞いてないぞ」

「…そっか」

「うん。須賀くんはそういう人だよね」クル

「だから…私も頑張って、須賀君の事諦める」

「………でも、これからも友達で居ても良いよね?」

京太郎「当たり前だろ」

「…ありがとう」

「それじゃ…私…っ、も、もう…行くから…っ!」ダッ

京太郎「…………」


ガサガサ

咲「…京ちゃん」ヒョコ

京太郎「なんだ、咲。見てたのか?」

咲「そりゃ…恋人にラブレター出されちゃってるんだもん」

咲「気になるに決まってるでしょ」

京太郎「まさか…俺が浮気するとでも思ってたのか?」

咲「うん」キッパリ

京太郎「ま、真顔で頷くなよ…」

京太郎「流石の俺も傷つくぞ」

咲「…………だって、あの子、私よりもちょっぴり胸が大きいし…」

京太郎「ちょっぴりどころかトリプルスコアくらいつけられてもおかしくないと思うぞ」

咲「さ、三倍くらいどうって事ないもん」

咲「ジンバブエドルのインフレ加減をみてれば、そんなもん微差だよ微差!!」

京太郎「お前が思うんならそうなんだろうな、お前の中では」


咲「…それはさておき、京ちゃんは…その胸が大きい子が好きなんでしょ?」

京太郎「おう!大好きだ!!」キリリ

咲「…胸のサイズを気にしてる恋人の前で良くもまぁ、そうも言い切れたもんだよね」ジトー

京太郎「と言われても…ここで嘘を吐いても何の意味もないしなぁ」

京太郎「むしろ、俺にとって巨乳は人生の意味と言っても良いんだし、まだオブラートに包んでいると思うぞ」

咲「…何時も、嫌がっても私のおっぱい揉んでる癖に」ポソ

京太郎「そりゃ俺にとって咲のちっぱいが一番だからな!」

咲「ふぇ!?」カァァ

京太郎「何がふぇだよ。可愛いんだよ、オラァ」ナデナデ

咲「や、ちょ…ご、誤魔化さないでよ…!」

京太郎「いや、誤魔化してるつもりはないんだけどさ」

京太郎「咲のちっぱいが一番だって俺は本気で言ってるし」


咲「……でも、大きいおっぱいが好きなんでしょ?」

京太郎「まぁ、それは生まれ持った性癖として否定出来ないものではあるけれど」

京太郎「でも、男にとって性癖ってそれほど融通の効かないモンじゃないんだよ」

京太郎「大きくなれと思いながら毎日、揉んでるし、まったく効果は出てないけれど」

咲「よ、余計なお世話だよ…!」

京太郎「でも、そんなの気にならないくらい俺は咲にゾッコンなんだって」

咲「~~~~~っ♥」

京太郎「どうだ?今の格好良かっただろ?」

咲「……最後にそうやって付け加えなかったら、惚れ直しちゃってたかも」

京太郎「ちぇー」


京太郎「ま、何はともあれだ」

京太郎「男にとって一番はやっぱり自分の好きな女の子の胸なんだよ」

京太郎「例え、それがまったく膨らみのない貧しいちっぱいだろうが、乳首だけやたらと敏感なエロっぱいであろうが」

京太郎「成長性皆無で育てる事すら出来ないようなもんだろが…」

咲「…京ちゃん?」ジト

京太郎「せ、性癖よりも好きな気持ちの方がずっとずっと大きいんだよ」タラ

京太郎「だから、そんな風に不安にならなくても良いって」

京太郎「俺にとって咲の胸が一番だって言うのは決して揺るがないんだからさ」

京太郎「幾らおっぱいの大きい子に告白されようが、気持ちが浮つく事はねぇよ」

咲「…ホント?」ジィ

京太郎「そこは素直に信じてくれよ…」

咲「…だって、京ちゃん、未だに巨乳のエッチな本買ってるし」

京太郎「それはそれ!これはこれだ!!」キリリ

咲「さいてー…」ジトー


京太郎「いやいや、これはとても大事な事なんだぞ」

京太郎「幾ら至高の胸であろうと毎日味わってたら、どうしても飽きが来るんだよ」

京太郎「それを回避する為にはやっぱり真新しいおっぱいに目を向ける必要があるし」

京太郎「性癖の暴走を未然に防ぐと言う意味でも、巨乳のエロ本は必要なものなんだ!!!」

咲「ギルティ」

京太郎「えー…」

咲「理屈は分からないでもないけど…やっぱり恋人としては納得出来ないもん」

咲「そうやって私との…え、エッチ以外で発散されると勿体無い…じゃなくて、モヤモヤするし」

咲「一番だってそう言ってくれるなら、性癖を変えるか…」

咲「或いは…私のおっぱいを大きくする努力をしてくれても良いんじゃない…かな?」チラ


京太郎「いや、どっちも無理だな」キッパリ

咲「そこまで言い切らなくても良いんじゃないかな!色々な意味で!!」

京太郎「だって、どうしようもならないもんはどうしようもならないからなぁ」

京太郎「無駄な努力して、落ち込む咲を俺は見たくないんだよ…」

咲「無駄とまで言っちゃいますかー…」フフ

京太郎「…あれ、咲さん?」

咲「…もうあったまきた」

咲「ぜえええええったい、京ちゃんの性癖、変えてやるもん!」

咲「私のおっぱいが名実ともに最高で他のなんて目に入らないくらいに!!」

咲「…だから、あの、今日も…その…」モジ

京太郎「…とりあえず帰ってからな」

咲「さ、流石にここでなんて言うほどエロエロじゃないよ!!」

京太郎「どうだかなー?」

咲「もぉぉぉ…京ちゃんなんて知らない…!」

京太郎「悪かった悪かった」

京太郎「機嫌直してくれって」ナデ

咲「つーん」プイッ

疲れている時には甘いモノが良い → 京咲は甘い → そうだ京咲を書こう(錯乱)
それはさておき、今日は初美の続きやってきます


初美「そうは言っても、身体は正直なのですよー」

京太郎「それ男が言うセリフだと思うんですけど…!」

初美「女の子が言っちゃいけないって決まりがある訳じゃないんでセーフですー」

初美「…と言うか、こんなにビックンビックンしてたら、言われて当然だと思うんですよー」

京太郎「好きでさせてる訳じゃないっす…!」

初美「まぁ、色々と致し方ない理由があるのは私も良く分かってますけれどね」ヌチュゥ

京太郎「うあっ」

あくまでも遠慮する姿勢を崩さない京太郎に初美の指が容赦無く動く。
その表面に張り付いた精液をヌチュヌチュと鳴らしながらの手コキ。
ただ、肉竿を撫でられるよりもずっと淫らなそれは、京太郎に今の状況を意識させる。
自然、高まる興奮は媚薬の効果と相まって、もう止まらなかった。


初美「ふふーん。やっぱり京太郎くんが激弱チンチンですねー」

初美「どうせまた瞬殺されるんですから我慢せず射精しちゃった方が気持ち良いと思うのですよー」

京太郎「ぬぐ…ぬぐぐぐ」

そんな京太郎を揶揄するような初美の言葉に、彼の口から悔しそうな声が漏れた。
一度目の射精による倦怠感からか、再びの射精に対する期待感からか。
今の京太郎の身体は殆ど動かず、初美にされるがままになっている。
しかし、だからと言って、男のプライドがなくなった訳ではなく、反論の一つもしたくなるが。

初美「ほーら、ここが気持ち良いんでしょう?」クリクリ

京太郎「あっくぅ…!」

事実、京太郎の肉棒は弱すぎた。
彼女の手コキ一つで脱力してしまい、突き出たカリ首を弄られればどうしても声が漏れてしまう。
射精を経て一時は収まったと思っていた興奮も、快楽を得て、ムクムクと膨れ上がっていくのが分かった。


初美「うわ、先っぽからドロドロって出てきてる…」

初美「もう射精準備始めちゃってるんですかー」

初美「ちょっと堪え性がないってレベルじゃないと思うのですよー」

初美「恋人がこんな早漏チンチンだったら絶対に女の子も満足出来ないのですー」

京太郎「ふ、普段はここまで早くないですよ…!」

最近はご無沙汰ではあるが、京太郎もこれまで何度も自分を慰めてきた経験がある。
だが、自身の記憶をどれほど遡っても、これほどまでに敏感になった経験などなかった。
幾ら禁欲を続けていたとは言っても、もうカウパーが染み出し始めるのはおかしい。
未だ彼の中に残るプライドが、震える口にそんな反論を浮かばせた。

初美「へー…って事は普段はどれくらいなんですかー?」

京太郎「な、なんでそんな事言わなきゃいけないんですか…っ」

初美「教えてくれなきゃ…この真っ赤に腫れ上がった先っぽを責め続けます」クリ

京太郎「うひぃっ」

肉竿の先端に触れる初美の手は、決して強いものではなかった。
腫れ上がった粘膜を上から包むようなそれは少なくとも悲鳴をあげるほど刺激のあるものではない。
だが、今の京太郎は尋常ではないほど身体が敏感になっているのだ。
未だ絶頂の余韻が引かず、ジンジンとしたままの粘膜を擦られてはその背筋もビクンと跳ねてしまう。


京太郎「は…つみさ…っ」

初美「ほらほら、どーなんですかー?」

初美「この激弱チンチンは何時もはどれくらいでイっちゃうんですー?」

初美「私に教えて欲しいのですよー」クリクリ

京太郎「~~っ」

しかし、それでも初美は容赦などしなかった。
京太郎の反応が快楽に依るものだと言う事を彼女も良く理解しているのだから。
肉竿を扱く手も、亀頭を弄る手も止まるはずもない。
震える京太郎の事を見上げながら、強烈な快楽を叩きつけてくる。

初美「(あは…♪京太郎君…可愛い…)」

初美「(これ…結構、癖になっちゃうかも…ですねー)」

最初から初美はこのシチュエーションを楽しんでいた。
普段は小生意気な弟分が自分にだけ情けない顔を晒してくれる。
そんな時間に心踊らせ、自分でも驚くほど熱心に奉仕し続ける事が出来たのだ。
だが、異常なシチュエーションに酔った彼女はそこから一歩踏み出してしまう。
自分に為す術もない京太郎を誂っている間に、彼女の中に秘められた嗜虐的な部分が目覚め始めていた。


京太郎「そ、そんなの…日によってまちまちですし…分かりませんよ…!」

初美「ふーん…それじゃあ平均はどれくらいなのですかー?」

京太郎「へ、平均なんて図った事ないですし…」

初美「じゃあ、今から計算してください」ニッコリ

初美「それが終わるまでは…チンチンフィーバータイムですよー」ギュチュ

京太郎「くああぁぁあっ!」

そんな彼女が京太郎に対して情けなど見せるはずがない。
震える声で何とか応える彼の肉竿をさらに激しく扱き始めた。
その指先に粘液を絡ませるようなものではなく、ハッキリと裏筋を圧迫するような愛撫。
まるで無理矢理、射精させられるようなその刺激の強さに、京太郎は甘い叫び声をあげた。

初美「~~~っ♪」ゾクゾクッ

初美「(あー…もう反則…こんなの反則ですよー…)」

初美「(これだけでっかい身体して…そんな可愛らしい悲鳴あげるなんて…)」

初美「(そんなの…もっともっとしてあげたくなるじゃないですかー…!)」ニヤ

彼の声に支配欲を刺激された初美は、背筋に冷たい感覚を湧き上がらせる。
何処か青い炎を彷彿とさせるその冷たい興奮は、彼女に嗜虐的な笑みを浮かばせた。
まるで獲物を弄ぶ猫のような表情のまま、初美は愛撫を続けて。


初美「あれあれー?おかしいですね」

初美「京太郎君、もうイっちゃいそうですよー?」

初美「まだ何も応えてくれてないのに…チンチンバッキバキになっちゃってますー」

初美「もうさっきからビックンビックンしまくりで…私の手の中で全然、大人しくしてくれません」

初美「まさか…二回目なのに、一回目よりもずっと早くイっちゃうんですかー?」

それを受け止める京太郎の身体はあっさりと限界へと突き上げられていく。
一度目よりもずっと上手で、思いっきりの良い彼女の愛撫に、今の京太郎が勝てるはずがないのだ。
嘲るような初美の言葉に反論すら出来ず、背筋に快楽が這い上がっていく。
それと引き換えるようにして心臓から送り込まれる血液は、京太郎の肉棒を再び射精直前の大きさへと引き上げていった。

初美「まだチンチンフィーバータイムが始まって一分も経ってないのに…」

初美「ビックンビックンって精液のオネダリして…恥ずかしくないんですかー?」

初美「私はこんなにダメチンチンの持ち主と一緒に暮らしてたって事が恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ないのですよー」

京太郎「…っ!!」

それでも京太郎は我慢を続けようとしていた。
罵る初美の声に最後の意地を見せようと言葉もなく堪らえようとしているのである。
例え、それが無駄な努力だと分かっていても、彼はそれを止められない。
絶対に初美の思い通りになってたまるかと必死に歯を食いしばって。


初美「はい。ドーンっ♪」

京太郎「あぁあああああああっ」ビュルルルル

しかし、それも初美の手によって一瞬で決壊させられてしまった。
先端と肉竿の両方をギュっと掴むような圧迫感に我慢ごと握りつぶされてしまったのである。
結果、京太郎は食いしばっていたはずの口から声をあげ、初美の手の内で精液を撒き散らす。
その腰をブルブルと震わせながらのそれは、一回目の時とまったく遜色ないものだった。

初美「(す、すっごいビチャビチャ来てる…ぅ)」

初美「(私の手の中で暴れるように射精して…)」

初美「(なんだか…なんだか少し…興奮しちゃうのですよー)」

初美にとって京太郎はあくまでも義理の弟のような存在だ。
その小さな胸には彼への愛が詰まっているが、それは家族としてのもの。
だが、両手で彼の射精を感じると、否応なく、意識してしまうのだ。
須賀京太郎という弟分がただの男ではなく、自分を孕ませるだけの能力を持った立派なオスだと言う事を。


初美「(少なくとも…射精が全然終わる気配がありません)」

初美「(最初の時と勢いが変わらないだけじゃなくて…長さまで一緒で)」

初美「(こんなに長くゼリーみたいな精液をずっと注ぎ込まれたら…)」

初美「(どんな女の子でも…屈しちゃうのですよー)」

初美「(例え、安全日でも関係ない…)」

初美「(こんなにオス臭くて元気な精液を膣内射精されたら…絶対に妊娠しちゃうのですー…)」ゾクッ

瞬間、初美の身体に走った快感はさっきの嗜虐的なモノとはかけ離れたものだった。
心から生まれるそれよりももっと深い部分から生まれたその快感が果たして何なのか。
未だ状況に呑まれていく一方で冷静さを取り戻していない彼女には分からない。

初美「ほらほら…もっと射精すのですよー」

初美「私の手のひらに…精液無駄撃ちしちゃうのですー」

初美「子どもなんて出来ない射精で、どんどん気持ち良く…馬鹿になってくのですよー」

京太郎「あおぉ…おぉぉお…!」

しかし、今の彼女にとって、それが分からなくても何も問題はなかった。
今、自分がするべき事は、京太郎の欲求不満を解消する事なのだから。
媚薬のオーバードーズの所為で、壊れてしまった造精機能が破綻する前に一滴残らず射精させてあげなければいけない。
嗜虐的な欲求と未だ変わらぬ優しさを一つの目的へと集約させた彼女は、射精を続ける京太郎の肉竿に刺激を与え続ける。


―― 弾ける精液を亀頭へと塗りこむような右手と根本から精液を搾り取るような左手。

そのどちらも射精中の肉棒にとって、猛毒と言っても良いものだった。
射精中の敏感な男性器は、悶えるように射精を続ける。
それと相まって、京太郎の口からなんとも言えない声が漏れるが、初美は決して愛撫を止めない。
自信が刺激するほど彼の射精が力強く、またその声が気持ち良くなっていく事に彼女は気づいているのだ。

京太郎「あ…ぅああ」ピク

初美「はふー…」

そうして始まった二度目の射精は、京太郎に多大なダメージを与えた。
その根本から精液が出なくなった彼は完全に畳の上で脱力する。
その口から漏れるのも取り留めのない呻き声ばかり。
到底、マトモではないその様子に、初美はふぅと一息吐いた。


初美「(…これにて一件落着なら良いんですけれどねー)」

初美「(でも、実際の彼は…)」チラ

しかし、それでも初美は気を抜く訳にはいかなかった。
京太郎の疲労困憊っぷりとは裏腹に、肉棒は未だ元気なままなのだから。
むしろ、最初から最後まで搾り取られるような射精が気に入ったのか、より大きくなっているようにさえ見える。
元々、凶悪な形がさらに恐ろしくなるその光景に、初美は内心、冷や汗を浮かべた。

初美「(…これ一体、何時になったら収まるんですかね)」

初美「(流石に…ずっとこのままとなると私でもどうしようもないんですが…)」

京太郎「う…うぅぅぅぅ…」

初美「(…いや、弱音を漏らしてる場合じゃないですね)」

初美「(射精が終わったばかりなのに、京太郎君、もう苦しそうになってますし…)」

畳へと横たわった京太郎が浮かべるのは、疲労の色だけではない。
むしろ、それよりもずっと強い欲求不満が彼の中に見え隠れしていた。
長さも勢いも一回目と遜色ないほどの射精を経験しておきながら、彼はまるで満足していない。
それどころか、より貪欲に射精を求めているようにさえ初美は思えた。


初美「だーいぶ、良い感じに馬鹿になって来ちゃってますねー」

初美「でも、まだまだ足りないのですよー?」

初美「京太郎君のこの回数と形だけは立派なダメチンポが…」

初美「もうだめぇ許してーって言っちゃうまで…」

初美「イかせてイかせて…イかせまくってやるのですー」

京太郎「ふぁあ…あっ」

そんな彼女の優しさは、京太郎への言葉には浮かんでこなかった。
相変わらずの意地悪な言葉のまま、彼の肉棒を責め立てる。
それはただ彼女が嗜虐的な性質に目覚め始めたからではない。
ここで京太郎を気遣うような姿勢を見せれば、彼が申し訳なくなると思ったからだ。

初美「(まぁ、京太郎君も気持ち良くなってくれてますし)」

初美「(とりあえずwin-winって事で…楽しみましょうか)」ペロ

初美自身、まだまだ満足してはいない。
普段からは想像も出来ないほど可愛らしい弟分の姿に、未だ興奮が昂ぶり続けていた。
だからこそ、初美は趣味と実益を兼ねた京太郎の搾精作業に熱中して ――


―― 30分後、初美は自分の考えがあまりにも甘かった事に気づいた。

初美「はー…はぁ…」

今の彼女は、その口から大きく呼吸を繰り返す有様だった。
だが、それは興奮が故ではない。
勿論、それも無関係ではないが、それよりも大きいのは彼女の中に溜まった疲労だった。

初美「(い、いやいやいやいや)」

初美「(いやいやいやいやいやいやいやいやいや)」

初美「(お、おかしいですよね)」

初美「(もう…京太郎君10回以上はイってるじゃないですかー)」

初美「(私の手の中で無様に射精しまくってるのに…)」

京太郎の京ちゃん「…」ギンギン

そんな初美とは裏腹に京太郎の肉棒には力が満ちたままだった。
半時間もの間、初美に幾度となく射精へと追い込まれたそこは未だ欲求不満に滾っている。
まるで底なしのような馬鹿げた性欲に、初美の身体の方が先にギブアップしてしまった。
今の彼女はもう京太郎の肉棒を掴む事すら出来ず、ただ両手で触れる程度のものになっている。


初美「(流石にこんだけ精力漲ってるのなんて予想外なのですよー!)」

初美「(つーか…こ、これどうすりゃ良いんですかー…!)」

初美「(もう握力なんて殆どありませんし…)」

初美「(さりとて、コレに口をつけるほどの勇気もありませんし…!)」

幾ら京太郎が可愛い弟分だと言っても、フェラまでは出来ない。
少し常識から離れてはいるが、彼女もまた一人の少女なのだから。
ファーストキスもまだな身で、弟分の肉棒にキスをする気にはなれなかった。
手コキ程度ならば介護処理の一貫として認められるが、それ以上はやりすぎだろう。

初美「(でも、チンチンの欲求不満は射精する度に増してってるような気がしますし…)」

初美「(な、何より、一番、ヤバイのが…)」

京太郎「初美さん」ムク

初美「ひぅ…!?」ビク

今の京太郎は最初ほど射精に翻弄されなくなっていた。
三度目四度目と繰り返す度に耐性を身につけ、こうして言葉もしっかりしている。
無論、初美もそんな京太郎が嫌いという訳ではない。
二度目の射精が終わった時には身動きすら碌に出来ないほどグロッキーだった事を考えれば、喜ばしい事だとそう思う。


初美「(で、でも…目が…目が違うのですよー)」

初美「(最初はまだ…その目に理性があったのに…)」

初美「(今はただギラギラとケダモノじみた欲情だけが満ちていて…)」

京太郎「…俺、もう」ギュ

初美「っ…!」

―― 事ココに至って、初美は自分の選択が間違いである事に気づいた。

京太郎が目を覚ました時に、自分は彼を放り出すべきだったのだ。
他の皆の分も責任を取らなければと、思いつめるのではなく、知らぬ存ぜぬを貫き通すべきだった。
そんな言葉が初美の胸に浮かぶが、時既に遅し。
度重なる搾精によって完全に目覚めたケダモノが、疲労した彼女の腕を掴んだ。

京太郎「マジで我慢出来そうにないんですけど」

初美「え、えっと…な、何の事ですかー?」

京太郎「今更、とぼけるのはなしにしてくださいよ」グイ

初美「きゃあ!?」

そのまま押し倒す京太郎の身体に初美は抵抗出来ない。
元々、二人の体力差や体格差は比較するのも馬鹿らしい程なのだから。
その上、今の初美は疲弊し、碌に身体を動かす事すら出来ない。
対して京太郎は理性の代わりに精力を身体に満たしているのだから、逃れようとする事すら不可能だった。


京太郎「俺もね、何度か我慢しようとしたんですよ」

京太郎「初美さんにこんな事しちゃいけないってそう思ってたんです」

京太郎「…でも、ここまでされて投げ出されちゃ収まりがつかないんです」

初美「まままままま、待って!」

初美「い、今はちょっと疲れてるから休憩…!!」

初美「す、少し休ませて貰えば、またやってあげますから…!!」

京太郎「俺は今、初美さんが欲しいんです」

初美「っ!」キュン

それはあまりにもストレート過ぎる言葉だった。
理性をなくしたケダモノになった彼には自分を取り繕う余裕などない。
そんな事が分かっている初美でも、ついつい胸をときめかせてしまうほどに。

京太郎「挿入れたい…!」

京太郎「初美さんの事を…滅茶苦茶に犯したくて堪らない…!!」

京太郎「俺に生意気な事ばっかり言ってたお前を…」

京太郎「二度と逆らえないように…身体の奥から俺のモノにしてやりたい…!!」

初美「あ…う…ぅ…」ビク

しかし、だからと言って、京太郎から漏れ出るその熱っぽい声を受け入れる事は出来なかった。
獣欲に満たされたその言葉は、初美がよく知る弟分のモノとかけ離れているのだから。
減らず口を叩いていても、常に優しさを残す彼と同一人物とは到底、思えない。
まるで目の前で見知った弟分が恐ろしいケダモノに変わっていくようなその光景に、初美は声を震えさせた。


京太郎「今更、ビビっても遅いんですよ」

京太郎「俺は…俺は…もう…マトモじゃないんですから…ね!」バッ

初美「~~~~~っ!!」

肌蹴けるようにして着こむそのファッションを、彼女はその時、初めて恨んだ。
ちゃんと服を着ていれば、自身を脱がそうとする京太郎の手に抗えたかもしれないのだから。
だが、現実、彼女は何時も通りの格好で、一秒も掛からず帯が解かれてしまう。

京太郎「…へぇ」

初美「くうぅ…」

瞬間、彼女が感じたのは自身を品定めするようなねっとりとした視線だった。
露出した乳首から下着までをジロジロと眺めるその目にはまったくの遠慮がない。
全くもって不躾で失礼なそれに、しかし、初美は何も言う事が出来なかった。
気丈な性格をしているとは言え、彼女も普通の女の子なのだから。
これから見知った相手にレイプされるという状況で、平静でいられるはずもない。


初美「(で、でも、せめて、ココだけは…)」スッ

京太郎「隠すな」ガシ

初美「っ!!」

それでも何とか一番、大事なところだけを隠そうと初美はその手を動かした。
だが、それが目的地へと辿り着く前に、彼女の両手首は京太郎によって捕まえられる。
大きなその手のひらを限界まで広げて捕まえるそれは、初美が力を振り絞ってもビクともしない。
まるで鋼鉄で出来た手錠のように彼女の手を拘束する。

京太郎「まぁ、もう隠しても無駄だけどな」

京太郎「…濡れてるのはもう丸わかりだ」クチュ

初美「~~~~っ!!」

そのまま京太郎はもう片方の手で、初美の下着を撫でる。
薄いブルーのそれはクロッチ部分を撫でられた瞬間、クチュリと音を立てた。
それは勿論、彼女の汗でも小水でもない。
京太郎を責めている時に彼女の中から染みだした愛液だ。


京太郎「俺のを扱いてるだけで、こんなになってるなんて…」

京太郎「そっちだって人のこと言えないような早漏女じゃないか」

初美「そ、それは汗ですよー」

京太郎「汗がこんな粘着く訳ないだろ」

さっきまで自分が放っていたのと同じような嘲りの声。
それを否定する初美自身、汗だと思っている訳ではなかった。
京太郎を一方的に射精させている間、どれほど自分が興奮していたかを忘れた訳ではないのだから。
下着の奥から熱い汁が滴り落ちる感覚もハッキリと思い出せる彼女にとって、それは自分でも白々しく思える言葉だった。

京太郎「…まぁ、濡れてようが濡れてまいが、俺にとっては関係ないけどな」

京太郎「どっちにしろ、やる事は変わらない」グッ

初美「い、嫌…!!」

無論、そんな言葉を京太郎が信じるはずもない。
彼は冷たくそう突き放しながら、初美のショーツから手を離す。
そのままグっと身体を倒してくる弟分の姿に、彼女の口から拒絶の言葉が放たれた。
もうすぐレイプされてしまう。
絶対に抵抗しなきゃいけない。
そんな言葉に突き動かされる身体は、しかし、悲しいほどに無力だった。


京太郎「嫌、か」

京太郎「そんなの今更、遅いんだよ」

京太郎「お前は男を…俺を舐めすぎた」

京太郎「その報いは受けなきゃいけないだろ?」

初美「う…うぅぅ…」ポロ

無駄な抵抗を続ける初美に京太郎は冷たい言葉を突きつける。
どう足掻いても無駄なのだと、後戻り出来る場所はとうの昔に過ぎ去ったのだと。
そう現実を突きつける彼に初美は涙を浮かべた。
調子に乗った自分が悪いのは分かっているが、さりとて、男に襲われそうになって涙の一つも浮かばせないほど達観してもいない。

京太郎「泣くほど嫌なのかよ…」

初美「だ、だって…」

京太郎「あー…もう分かった…」

京太郎「流石に…俺だって泣かれてまで襲うほどの度胸はねぇよ」

初美「じゃ、じゃあ…」

そんな初美に京太郎は無情になりきれなかった。
心の中に浮かぶ衝動は未だ強く燃えたぎっているが、そこには微かな理性の色が浮かび始めている。
泣いている初美を無理矢理、襲ってしまってはいけない。
そう自分に言い聞かせる僅かな光に初美は希望の色を顔に浮かべて。


京太郎「その…代わり…!」グイッ

初美「ひぅ…っ」

瞬間、初美の下着に熱いものが押し付けられる。
まるでその内側で熱が暴れているようなそれは硬く、そして何より大きかった。
それがグリグリと自身の身体に押し付けられている感覚に、初美は再び悲鳴のような声をあげる。

京太郎「これくらいは…許してくれよな…!」グリグリ

初美「っくぅ…!」

それは所謂、素股プレイと言う奴だった。
挿入せず、お互いの性器を押し付ける擬似的なセックス。
文字通り、薄皮一枚で踏みとどまった京太郎は有無をいわさず腰を動かす。
射精漬けの時間が終わった時からずっと溜まっていた欲求不満を晴らさんと無遠慮に初美の大陰唇を押し込んでくるのだ。

うーん…なんかガチレイプっぽくなっちゃって、京ちゃんも案外、余裕っぽそうでダメだなー
>>515から書きなおそう


京太郎「…お願いします。良いって…言って下さい」

京太郎「じゃないと…俺、もう本当に…」

京太郎「初美さんを…レイプしてしまうかもしれない…」

初美「ぅ…」

そこで言葉に詰まる初美も分かっていた。
これは目の前にいる京太郎の見せる最後の理性なのだと。
もうどうしようもないほどに高まった欲求に霞んだ理性が、レイプだけは回避しようとしているのだと。
だが、そうと分かっていても、ここで頷く事なんて出来るはずがない。
ここで彼に許しを与えれば、自分が犯される事は目に見えているのだから。

京太郎「初美…さん…!」ギュゥ

初美「~~~!」

とは言え、必死に自分に縋り付くような京太郎を放ってもおけなかった。
自分の上にのしかかる彼の姿は恐ろしいが、その実、あちらの方が余裕のない状態なのだから。
慣れ親しんだ弟分が、足を踏み外しそうになっている光景に初美はその肩を震わせて。


初美「…素股なら」

京太郎「え?」

初美「本番はダメですけれど…でも、素股なら良いですよー」

それが彼女に出来る最大限の譲歩だった。
お互いの性器をこすりあわせて行う擬似的なセックス。
それを弟分と共にするのはやはり恥ずかしい。
だが、それくらいでなければ、京太郎を満足させる事は出来ないのだ。
羞恥に悶える心にそう言い聞かせながら、初美はポツリポツリと声を漏らしていく。

初美「だ、だから…あの…私はもう逃げたりしませんし…手も…」

京太郎「初美さん…!」グイ

初美「きゃぅ…!?」

離して欲しい。
そう彼女が口にする前に、京太郎の手が動いた。
もう我慢出来ないとばかりに両手を彼女の巫女服へと向ける。
通常からは考えられないほど肌蹴たそれは強引な彼の手に一秒も経たず、剥ぎ取られてしまう。

やっぱ時間空いちゃうとエンジンかかるまで時間かかるなー(´・ω・`)と言いつつそろそろ眠気がマッハなので寝ます…

つまりバーサク京ちゃんに攻撃されると防御という名の理性を貫かれてアヘアヘになっちゃうって事だな!!!(´・ω・`)
あ、今日も続きやってきまする


京太郎「はぁ…はぁ…!」

初美「ちょ、き、京太郎君…!」

京太郎「う…おぉぉ…!!」ズリ

初美「ひあああっ!?」

それに初美は声をあげるが、京太郎の頭の中には射精する事しかなかった。
ギリギリのところでレイプだけは回避しようとした京太郎だったが、彼女の言葉と同時に限界を迎えたのだから。
自然、彼女の声に構わず、むき出しになった初美のショーツに肉棒を擦り付ける。

初美「(な、なんですかーコレ…!)」

初美「(て、手で触るのと…ぜ、全然違うのですよー…!)」

初美「(熱いのも…硬いのも…さっきよりもずっとずっと強く感じて…っ!)」ギュゥ

初美にとって、それは未知の感覚だった。
指先で触れた時よりも下着越しに擦られる方がハッキリと京太郎の欲望を感じるなどあり得ない。
そんな言葉を心の中で繰り返すが、彼女の身体は正直だった。
ズリズリと肉棒を擦り付けられる度に、意識がそちらへと引っ張られ、甘い痺れが沸き起こる。


初美「(こ、これ…もしかして、私…)」

初美「(か、感じちゃってるって…事ですかー?)」

初美「(京太郎君に素股させられて…き、気持ち良くなってる…って事ですかー?)」

無論、彼女もこれまで幾度と無く自分の身体を慰めてきた。
こうして下半身から湧き上がる痺れも、彼女のよく知る快感とそう違いはない。
しかし、だからと言って、それはそう簡単に受け入れられるものではなかった。
半ばレイプに近い状況で、自分が感じているなどあり得ないと頭を振って。

京太郎「あぁぁ…!」ズチュ

初美「くぅっ…」

だが、その間にも動き続ける肉棒が、初美の耳に粘ついた音を届かせる。
グチュグチュと粘液をかき混ぜるようなそれは、勿論、京太郎の精液によるもの。
射精に射精を重ねた彼の肉棒は先走りと精液でベタベタになっているのだ。
だが、こうして粘ついた音が鳴るのは、決して彼由来の粘液だけではない。
京太郎が肉棒を擦り付ける前から、初美のショーツは濡れていたのだから。


初美「(確かに…京太郎君に色々やって興奮してましたし…)」

初美「(エッチな気持ちになったのは否定しないですよー)」

初美「(そもそも、あれだけやって、まったく無反応なのは人としてどうかってくらいですし…)」

初美「(だから、別に濡れてるのはおかしくありません)」

初美「(えぇ、あくまでもシチュエーションに酔ってるだけなんですから)」

初美はそう自身に言い聞かせるものの、それはあまりにも薄っぺらいものだった。
彼女自身、それが方便の一種に過ぎない事を理解しているのだ。
事実、彼女は今も尚、身体の奥から愛液を滲ませてしまっている。
京太郎の肉棒に擦られた粘膜の奥から、トロトロと、さっきよりも激しい勢いで。

初美「はぁ…あぁ…っ♪」

自然、彼女の声も少しずつ艶っぽくなっていく。
それはさっきまでの嗜虐的な興奮に満ちたものではない。
今の彼女は京太郎に捕まり、碌に抵抗も出来ないような状態なのだから。
その声に浮かぶのも、より原初に近い興奮と欲情。
致し方なしに受け入れたはずの素股で、彼女は感じて来ている。


京太郎「初美…さん…!!」ズリィ

初美「きゅぅ…っ♪」

京太郎「あぁぁ…!うぉ…おぉおぉ…!」ズリズリ

その上、京太郎の腰使いはがむしゃらと言っても良いものだった。
最早、歯止めの掛からない欲情のまま、必死に腰を振るっている。
ただ、自分が射精する為だけのそのピストンは、しかし、少しずつ上手になっていく。
自分がより良く感じるポイントを、彼の本能は見出し始めていた。

初美「(は、激し…ぃ)」

初美「(本当…激しすぎなんですよー…っ)」

初美「(私の事とかまったくお構い無しで…自分の事ばっかりで…!)」

初美「(なのに…私…)」

それは初美にとっても無関係ではなかった。
京太郎の腰が激しく、迷いなく突き入れられる度に、彼女の粘膜も圧迫されるのだから。
ショーツと大陰唇という2つの壁を隔てても、尚、激しく感じる興奮に、初美の身体も反応してしまう。
ましてや、今の京太郎が激しく擦っているのは、丁度、彼女の肉穴にあたる部分なのだ。
ショーツ越しで見えないにも関わらず、本能が探し当てた自身のウィークスポットが一突き毎に甘く疼くのを感じる。


初美「(こ、こんなのが…良いって言うんですかー?)」

初美「(こんな風に滅茶苦茶にされてるだけなのに…)」

初美「(私…さっきよりもずっとずっと感じちゃって…)」

初美「(エッチな汁も…もう止まらなくて…!)」

初美「(気持ち良く…なっちゃってます…)」ゾクッ

認めたくない。
そんな気持ちとは裏腹に、強くなっていく快感から彼女はもう目を背けられなかった。
自分は京太郎の肉棒に感じて、愛液まで漏らしてしまっている。
そうハッキリと自覚した彼女の背筋にゾクリとした冷たい興奮が這い上がり。

京太郎「あぁあああっ」ビュルル

初美「っっっ!!」

瞬間、再び京太郎の肉棒が爆ぜる。
ビクンビクンと精液を撒き散らすその動きに初美の身体は硬直した。
京太郎を射精させるのと、京太郎に射精されるのとではまったく違う。
前者は慣れていても、後者は初めてな初美に白濁した精液が降り注いでいった。



初美「(ビチャビチャってザーメンぶっかけられて…)」

初美「(私…今、すごい…穢されて…ます…)」

初美「(京太郎君に…思いっきり匂いつけられて…)」

初美「(マーキング…されて…)」

初美「(もう京太郎くんの匂いとれないくらい酷い状態なのに…ぃっ)」ゾクゾク

それを初美は嫌だとは思えなかった。
勿論、未だ彼女の中に忌避感はあるし、抵抗感も残っている。
だが、ソレ以上に彼女の背筋を走る興奮が強すぎたのだ。
さっき感じていた嗜虐的な快感を180度反転させたそれは被虐の快感。
彼女の中で眠っていたもう一つの本性が、今、ゆっくりと目覚めようとしていた。

京太郎「う…っくうぅぅぅう!」ズリ

初美「ひあぁっ♪」

そして勿論、理性を失った京太郎に、そんな事が分かろうはずもない。
ただ、快楽と射精だけを求める彼は射精を続ける肉棒を彼女の股間へと擦り付ける。
自然、薄青のショーツはあっという間に精液で穢され、見るも無残な姿へと変わった。
だが、それを履く初美の口からは甘い声しか出てこない。


初美「(染みこんで…来るぅっ)」

初美「(京太郎くんの精液が…オス臭いザーメンが…っ)」

初美「(ショーツの中に染みこんで、私のアソコに…っ)」ゾクゾクゥ

オスの欲望がドンドンと自身の本丸へと近づいていく感覚。
それは初美にとって幾ばくの恐怖と、そしてソレ以上の快感を覚えるものだった。
京太郎という弟分に孕ませられるというその想像だけで、身体が熱くなり、子宮が疼く。
結果、さらに敏感になった初美の身体は、ショーツへと注ぎ込まれる精液に甘い反応を返してしまう。

初美「(手や顔に掛けられるのと…全然…違う…)」

初美「(布一枚隔てた先で射精されるのが…こ、こんなにドキドキするなんて…)」

初美「(もし…もし、これで…本当に奥で射精されたら…)」

初美「(私…本当におかしくなっちゃうかもしれないのですよー…)」

それに困惑する彼女の理性も、あまり逞しいとは言えない状態だった。
彼女もまた京太郎の性欲処理に長らく興奮し続けていたのだから。
目の前で射精を続ける肉棒に、メスの本能が目覚め始めている。
そんな状況で射精による快楽を拒めるはずがなく、硬くなった身体の奥底に期待の色を浮かばせてしまう。


京太郎「ぬ…おぉぉ…!」ガシ

初美「きゃんっ」

そんな初美の両足を京太郎はグっと抱き上げた。
そのまま自分の胸の前でガッチリと固定する。
まるで強制的に足を閉じさせるようなそれは、京太郎がより快楽を求めようとしているからこそ。
射精の勢いこそ弱まりつつあるものの、彼の興奮は未だ色褪せる気配がなかった。

初美「(こ、これ…すごいのですよー…っ)」

初美「(さっきよりも京太郎君のチンチンを感じて…)」

初美「(逞しく…強く脈打ってるのが分かって…)」

初美「(何より…私のクリトリスが擦れちゃうのですー…)」

京太郎「あぁあっ」ズッポジュッポ

京太郎の手によって作られたその隙間に、撒き散らかされた精液が貯まる。
それを潤滑油にして肉棒が動く度に、さっきよりも淫らな音が鳴り響いた。
より性交の音に近くなったそれだけでも初美の興奮は強くなる。
その上、姿勢が変わった所為で、擦れる場所が変わった彼女は、今、肉棒で淫核を責められている状態だった。


初美「あ…あぁっ♪あいぃ…ぃっ♪」

それは決して強いものではない。
そもそも京太郎には淫核を責めるつもりなどまったくないのだから。
自分勝手に腰を振るうその場所に、淫核が含まれているだけの事。
だが、それでも興奮と欲情を高める初美にとっては十分な快楽だった。
彼の男根が動く度に、その口から甘い声が漏れでてしまう。

初美「(く、悔しい…のですよー)」

初美「(京太郎君なんかに…こ、こんな声あげさせられるなんてー…)」

初美「(で、でも…チンチンゴリゴリされると…堪えきれないんですー…)」

初美「(気持ち良くて…ビリビリ来て…っ)」

初美「(恥ずかしい声も…エッチな汁も…もうずっと出っぱなしでぇ…)」

それはもう初美が行う自慰よりも気持ち良いものだった。
京太郎は決して彼女を感じさせようとしている訳ではないが、その肉棒はあまりにも圧倒的過ぎるのだから。
それが擦れる度に生まれる快感は、自分の指で弄るのとは比べ物にならない。
代わりに弱点ばかりを責めて貰える訳でもないのだが、それは今の彼女にとってそれほど気にならない事だった。
自分の意志とは無関係にあちこちを責められるような感覚に、被虐的な部分が興奮を覚えているのだから。


初美「(こ、このままじゃ…イっちゃうかも…)」

初美「(い、いや、そんな事はあり得ないのですよー)」

初美「(わ、私が京太郎君にイかされるなんて…それこそオカルトか何かなのですー)」

初美「(そ、そう、だから…別に身構える必要…もぉ…っ)」ビクン

自分の記憶よりもハッキリと追いつめられつつある事に、初美は強がりを胸中で浮かべた。
だが、幾ら強がったところで、京太郎に晒された肉芽が消える訳ではない。
そこから湧き上がる快楽もまた確かなもので、彼女の肉を淫らに震わせた。

京太郎「はぁ…うぅぅ…」

京太郎「ぬおぉ…おぉおおぉお…っ」

初美「(そ、それに…京太郎君の方がヤバイですから)」

初美「(わ、私よりもずっと…ずっとだらしない顔してますし…)」

初美「(べ、別にイっちゃっても…)」

初美「(い、いや…そ、それだけはやっぱダメなのですよー…!)」

結果、その気持ちが少しずつ揺らいでいく。
京太郎にイかされたくはないと思う反面、彼女の身体はどうしようもなく感じてしまっているのだから。
このままでは遠からずイかされてしまうのを感じ取った心が、現実とプライドの中で折り合いをつけようとする。
だが、それを拒絶する薄墨初美と言うのもまた強く、中々、彼女の中での踏ん切りがつかない。


京太郎「うあぁああぁあっ」

初美「っくぅ…♪」

瞬間、初美の上に再び精液が振りかかる。
彼女の太ももに圧迫されながらの素股に、今の京太郎が長時間耐えられるはずもないのだ。
一回目のそれよりも早く放たれたそれが彼女の身体にマーキングを再開する。

初美「(あー…もう自分だけ気持ちよさそうにイっちゃって…)」

初美「(こっちはまだイって良いのかイっちゃダメなのか判別もついてないのに…!!)」

初美「(羨まし…くはないですけれど…!)」

初美「(でも、何かムカムカと言うかムラムラするって言うか…)」

一回目の時とは違い、初美の心は狼狽してばかりではなかった。
まだ慣れたと言う訳ではないが、射精されると言う感覚を、普通のモノとして受け止める事が出来る。
そんな彼女の心の中に浮かんだのは、羨望と嫉妬、そして何より欲情だった。
初美の下着に二度目の射精をする京太郎の表情は、今にもその口からヨダレが溢れ出そうなほど気持ちよさそうだったのだから。


初美「(私も…イかせて欲しいのに…)」

初美「(有無も言わさずにイかせてくれれば…)」

初美「(私の迷いだって…すぐに消えていくのに…)」

初美「(一人だけ…構わずにイっちゃって…!)」

その言葉に混じる不公平感がどれほど危険なものかを彼女は頭の隅で理解していた。
だが、それにストップを掛けるには、初美はもう興奮しすぎてしまったのである。
精液臭い部屋の中で延々と擦られ続けるショーツの奥で、疼きがドンドンと強くなっていった。
代わりにプライドや理性と言うものが薄れていく彼女の前で、京太郎は初美の足から手を離す。

初美「え?」

京太郎「はー…はぁ…っ」ガシッ

初美「ちょ、き、京太郎君…!?」

射精の最中に動き出す彼の手は、困惑する初美の声に止まる様子を見せなかった。
彼はそのまま両手を初美のショーツへと向け、剥くようにして彼女の股間から引き離していく。
瞬間、顕になるのは白と透明な粘液が糸を引く初美の大陰唇。
ピッタリと閉じているはずの肌がピクピクと不満気に揺れる光景だった。


初美「(ま、まさか…それ挿入れちゃうつもりなんですかー!?)」

初美「(我慢出来なくなって…レイプしたくなっちゃったとか…)」

京太郎「初美さん…!」ズリ

初美「ひゃ…っ♪」ビク

むき出しになった初美の股間に、京太郎は再び肉棒を擦りつけた。
再び蘇るレイプの恐怖に身体を強張らせた初美は、それに驚きの声をあげる。
だが、彼女が想像したように、肉棒が初美の中に入る事はない。
まるで精液を塗りたくるように初美の入り口を擦っている。

初美「ふあぁ…っ♪いや…あぁぁ…♪」

初美の口から嫌と漏れるのが、それがあまりにもギリギリ過ぎる状況だからだ。
京太郎がもう一歩足を踏み外せば、自分は彼に犯されてしまう。
最早、護るものさえなくなった肉穴に、凶悪と言っても良い代物をねじこまれてしまうのは確実なのだ。
その未来を声に出して拒絶しようとする初美の顔は、しかし、淫らなものに染まっている。


初美「(気持ち良い…っ)」

初美「(これ…さっきよりもハッキリ擦れて…)」

初美「(チンチンも…ずっと近くで…)」

初美「(クリトリスもアソコも…さっきとは比べ物にならないのですー…っ)」

京太郎の手に剥ぎ取られたのは薄布一枚。
だが、それが肉棒の感覚をどれほど遮断していたかを、彼女は今、身にしみて理解していた。
熱も硬さも精液の勢いも、よりハッキリと近くに、そして何より淫らに感じられる。
特にぷっくりと膨れたクリトリスや大陰唇の向こうで愛液を滴らせる肉穴への刺激は別物と言って良いほどに激しい。

初美「(コレ…イけちゃう…っ)」

初美「(絶対に…イかされちゃうのですよー…っ)」

初美「(射精チンチンでズリズリされながら…)」

初美「(レイプ一歩手前なチンチンに…私…我慢出来なくなっちゃうのですー…)」

そして焦れた初美にとって、それは何より嬉しいものだった。
目に見えてハッキリと迫ってきた絶頂の気配に、初美の中から喜びの声があがる。
ついにイけるのだとイかされてしまうのだと期待混じりのそれに、もう理性は働かない。
一突き毎に強くなっていく快感だけが、彼女の頭を満たしていく。


初美「(だから…もっと…もっとしてください…っ)」

初美「(私のアソコにズリズリって…エッチなの…ぉっ)」

初美「(京太郎君のチンチンこすって…イかせて欲しいんです…っ)」ギュゥ

京太郎「はぁ…はおぉ…おぉ…!」

瞬間、初美の足が京太郎の前でピタリと閉じる。
さっきショーツを剥ぎ取られた時からそのままだったその足を密着させるのは、もう彼女が我慢出来ないからこそ。
ここで中断などされては堪らないと初めて自分から動いた初美に、京太郎の口から声が漏れた。
喜悦混じりのその鳴き声と共に彼の動きはより激しさを増していく。

初美「(まったく…夢中で…チンチンフリフリしてぇ…っ)」

初美「(そんなのされちゃ…イっちゃうじゃないですかー…)」

初美「(嫌でもイっちゃう…)」

初美「(イかされたくなくても…イっちゃう…からぁ…)」

初美「(このままイかせてください…っ♪)」

初美「(私にも…気持ち良いのくださいぃっ♪)」

京太郎「あぁぁぁ~っ!!」ズンッ

初美「~~~~~~~~~っ♪♪」

初美のトドメになったのは今までよりも大ぶりな腰使いだった。
彼女の晒された大陰唇からクリトリスまでを大きく抉るようなそれに初美の意識がふわりと浮き上がる。
瞬間、身体の奥から湧き上がる快楽は、今までとは気色の違うものだった。
単色ではなく様々な場所からの快楽が混ざり合ったようなそれは、まさしく集大成。
複雑という言葉では物足りないそれはオルガズムと呼ばれるものだった。


初美「(あぁぁ…っ♪イく…イっちゃってます…ぅ♪)」

初美「(私…京太郎君のチンチンでぇ…♪)」

初美「(好きでもない…弟分のチンチンでおもいっきりイかされちゃってるぅう…っ♪)」

初美「(恥ずかしいですよー…♪それに…悔しいですー…ぃ♪)」

初美「(でも…でもぉ…っ♪)」

それはとても気持ちの良いものだった。
彼女の身体に刻み込まれた快楽が一気に蘇ったような錯覚さえ覚えるほどに。
恥ずかしさや悔しさでは揺るぎもしないほどの圧倒的な快楽は初美の小さな身体を満たしていく。
それに安堵とも虚脱とも言えぬ感覚を覚える彼女はそっと力を抜いて。

初美「ひぃいんっ♪♪」

しかし、そんな彼女の口から悲鳴のような声が漏れた。
ようやく至った絶頂に満たされた身体には不釣り合いな声。
一端は脱力しようとした身体から甘く淫らな悲鳴を漏らさせたのは、京太郎の肉棒だった。
初美の絶頂にも構わず、動き続けるそれが、満たされたはずの彼女の身体をさらに追い込んでいく。


初美「ま、待って…っ♪」

初美「休憩…っ♪休憩させてください…っ♪」

初美「五分…いえ、三分…一分でも良いですからぁっ♪」

初美「少しだけ休ませてええっ♪」

京太郎「おぉおぉおっ!」

必死に訴える初美に、しかし、京太郎が止まるはずがない。
そんな事は初美にだって分かっていた。
だが、一度、オルガズムと言う区切りを迎えた身体に、快楽を注ぎ込まれるのは辛いのである。
ダメだと分かっていても、哀願をその口から放ってしまうほどに。

初美「お、お願い…ぃっ♪気持ち良いんですよぉっ♪」

初美「私…イっちゃったからぁっ♪」

初美「京太郎君のチンチンでイかされちゃったからぁっ♪」

初美「そんなにズリズリされると良すぎるんですううううっ♪」

初美「身体が気持ち良すぎて…ぎゃ、逆に辛いのぉっ…♪」

その言葉にはもうプライドの欠片もなかった。
素直に気持ち良いとイかされたと伝えるそれは、それだけ彼女の身体が敏感になっているからこそ。
絶頂を迎えた時から刺激され続けた身体は、絶頂直前の貪欲さを今も余すどころなく発揮している。
思考や意識とは裏腹に暴走したその身体から、辛いほどの快楽が湧き上がってきていた。


初美「こ、このままじゃ…私、すぐにまたイっちゃうぅっ♪」

初美「イったばかりなのに…イかされちゃうううっ♪」

初美「き、京太郎君のチンチンにまた負けちゃうなんて嫌なんですよぉおっ♪」

そしてそれは初美の中で絶頂と結びついていく。
オルガズムにも構わずに注ぎ込まれ続ける快楽は、昂ぶった身体を二度目の絶頂へと連れて行こうとしていた。
今でさえ降参と口にする初美が、それに耐えられるはずがない。
そもそも彼女は自慰でイった事さえほどんどないのだから。

初美「だから…ゆ、許してぇ…♪」

初美「お願い…お願いしますぅっ♪」

初美「な、何でもするからぁっ♪」

初美「なんでもするから止まってえぇっ♪」

性的な経験の少ない彼女にとって、二度目の絶頂は恐怖以外の何者でもなかった。
これ以上、気持ち良い事など想像したくもない。
だが、京太郎が止まらねば、それは想像ではなく現実になってしまう。
だからこそ、何でもと口にする初美に、京太郎はズリズリと腰を擦りつけ続けた。


初美「ば、馬鹿ぁあっ♪」

初美「京太郎君のあほぉおおおっ♪」

初美「鬼っ♪悪魔…ぁ♪ケダモ…のぉおっ♪」

初美「あ、後で覚えてるのですよー…っ♪」

初美「ぜ、絶対に…し、仕返しして…やり…ます…ぅ♪」

初美「で、でも、今なら許してあげますよぉっ♪」

初美「まだ何とかなります…からぁああっ♪」

だからと言って、怒っても京太郎が止まるはずもない。
そもそもその声は、淫らに蕩けた嬌声混じりのものなのだから。
怒っていると言うよりも媚びているに近いそれに京太郎は止まるどころか激しく腰を振るっていく。
自然、ソレを受け止める初美の身体も昂ぶり、大陰唇の向こうで絶頂の予兆が始まった。



初美「だ、ダメえぇえっ♪」

初美「イ…イっちゃうぅうっ♪」

初美「も、もうアソコキュンキュンしてるううっ♪」

初美「き、京太郎くんにまたイかされる準備させられて…っ♪」

初美「も…もう…私…ぃいっ♪」

それを隠すだけの余裕さえ、今の初美にはなかった。
何か言わなければ、と言う気持ちだけが空回りし、淫らな実況を漏らしてしまう。
当然、それを聞く京太郎はまた興奮を高め、初美の腰をガッチリ掴んだ。
絶対に自身を逃すまいとするその両手に固定させた初美はビクンと背筋を浮かせて。

初美「イっきゅうぅううぅううううううぅううううっ♪♪」

鳴き声にも似たその宣言と共に、彼女は二度目の絶頂へと押し上げられる。
一度目のそれよりも激しく、そして容赦のないピストンから生まれたそれは初美の想像以上に苛酷なものだった。
身体の内側で無数の電流が流れ、あちこちでバチチと火花を散らすような激しいオルガズム。
筋肉があっちこっちで悶え、身体が揺れ動くが、しかし、京太郎の手からは逃げられない。


初美「ひいぃいいぃいいんっ♪♪」

何処にも逃げ場のない地獄のような快楽。
その真っ只中で、初美に出来るのは嬌声のような悲鳴を漏らす事だけだった。
身体の中で暴れ狂う快楽を少しでも外に逃がそうとするそれは、決して止まらない。
そうやって声を出した先から京太郎の腰が動き、さらなる快楽が注ぎ込まれてしまうからだ。

初美「(身体が…っ♪身体が…も、もう…おかしいのですよぉ…っ♪)」

初美「(あっちこっちが気持ち良くて…バチバチってしてぇ…っ♪)」

初美「(その度に筋肉が暴れてるから、自分の意思で殆ど動けないのですぅ…っ♪)」

初美「(何…何よりぃ…っ♪)」

初美「(アソコが…む、ムズムズ…するぅ…♪)」

初美「(まるでオシッコする時みたいに…欲求が高まっていって…っ♪)」

初美「(も、もう…げんか…いぃいいぃいっ♪♪)」プッシャァアア

その果てに、初美の身体は潮を吹いた。
注ぎ込まれる快楽に限界へと至った彼女は、大陰唇の向こうで弾けるその液体を止められない。
尿意によく似たそれを羞恥心が堪らえようとするが、身体はそれに応えてはくれなかった。
今の彼女の身体を支配しているのはオルガズムであり、彼女の意思ではなかったのである。


初美「(漏らし…ちゃったぁ…♪)」

初美「(チンチンでズリズリされるの…気持ち…良すぎてぇ…♪)」

初美「(京太郎君の前で…オシッコ漏らしちゃったのですよぉぉ…♪)」

精神的にも限界に近い今の彼女に、それが潮吹きだと分かるはずもなかった。
彼女にとってハッキリと分かるのは尿道に近いところから何かが吹き出した感覚だけなのだから。
普段の排泄よりも気持ち良い感覚はあるが、それが絶頂に依るものなのか潮吹きに依るものなのか分からない。
結果、彼女の精神はさらに追い込まれ、京太郎の前でグッタリとした身体を晒した。

初美「は…ひぃ…♪は…ひぃぃん…♪」ピクピク

京太郎「ふー…ふー…!!」

時折、絶頂の余韻か、ピクピクと揺れる幼い身体。
それは本来、京太郎の嗜好とは一致しないはずのものだった。
だが、射精を経る毎に貪欲になっていく彼にとって、それはもう些細な事に過ぎない。
彼にとって重要なのは二度の絶頂を経た初美の身体からメスの匂いがムンムンと伝わってくるということだけ。


京太郎「…っ!」グイ

初美「ひあ…あぁ…♪」クパァ

結果、限界を超えた京太郎の手は彼女の大陰唇へと触れる。
そのまま左右へと開く彼の手に、初美は抵抗する事が出来なかった。
快楽に痺れる思考は未だ胡乱で、また身体の方も彼を拒んではいない。
むしろ、自分を二度もイかせたオスを求めるように、彼女の粘膜はヒクヒクと反応していた。

京太郎「はー…ふー…っ」グッ

初美「っ!!」

初美がそれに気づいたのは、粘膜に京太郎が肉棒を押し付けた瞬間だった。
だが、それは決してその感覚が嫌だったからではない。
既に二度も肉棒にイかせられた彼女にとって、その硬く大きなモノへの忌避感は大分、下がっているのだ。
こうして初美が意識を取り戻したのも、粘膜に触れるそれから、強い熱と快楽が伝わってきたからこそ。


初美「ま、待っ~~~~~~~~~~っ♪♪」

だが、それはあまりにも遅すぎた。
初美が意識を取り戻したのは、京太郎が彼女に肉棒を差し込む寸前なのだから。
待ってと言う言葉すら間に合わず、彼女の中に硬い肉棒が入り込んでくる。
初美の小柄な身体にはあまりにも不釣り合いなそれは、彼女に強い圧迫感を与えた。

初美「か…は…っ♪♪」

ミチミチと肉が無理矢理、押し広げられていくような感覚。
それに呼吸さえままならぬ初美の中に、しかし、痛みはなかった。
本来なら痛みに悶てもおかしくはない異常なサイズをねじこまれているのに、ただ違和感しか感じない。
それは二度の絶頂が彼女の身体を弛め、京太郎を受け入れる準備をさせたからだった。


初美「(な、なんで…ですかぁぁ♪)」

初美「(もうこれ…完全にレイプなのに…っ♪)」

初美「(こっちの意思なんてお構いなしに犯されてるのにぃ…♪)」

初美「(なんで…私、痛くないんですかぁああっ♪)」

勿論、初美とて痛いのは嫌だ。
幾ら、嗜虐性と被虐性を併せ持つとは言え、彼女は痛みに喜悦を覚えるタイプではないのだから。
だが、今は初美が望んでセックスに至ったのではなく、弟分にレイプされているのだ。
一人の少女としての忌避感とあるべき反応の無さが、彼女の心をさらに追い詰める。

初美「あ…ぐううぅ…♪」

困惑に身悶えしそうな初美の中を、京太郎の肉棒が進んでいった。。
グチョグチョになった膣肉を強引に広げられるそれに、圧迫感以外の感覚が強くなる。
鋼のような硬さに、蕩けるほどに高まった火照り。
征服者とそう読んでも過言ではないそれに初美は苦悶の声を漏らして。


―― ジュン

初美「~~~~っ♪」

同時に彼女は濡れていた。
否応なく犯されているのを感じる感覚に、子宮がどうしても反応してしまう。
被虐的な本性が目覚めてしまったその肉袋は、肉棒に媚びるようにして本気汁を垂れ流した。
自然、それを潤滑油にする肉棒はドンドンと奥へと入り込み、彼女の内部を拡張する。

初美「う……ああぁぁ…あ…♪」

その感覚が一段落した時には、初美の肉穴はもう一杯だった。
膨れ上がった先端を子宮の入り口まで受け入れているのだから。
グイグイと子宮口を圧迫する亀頭の感触が、どうにも慣れそうにない。
その最奥までを京太郎にうめつくされた彼女の声が震えるのも、その圧迫感の所為だった。

うーん…なんかエロくない感(´・ω・`)素股プレイとかもうちょっとエロく出来たと思うのになー…
なし崩しックスって言う題材はすっごく良いと思うのに調理の仕方が間違ってるような気がする(´・ω・`)でも寝るっ!

たぶんなしくずしックスって、日常と非日常の境界がはっきりしないってのがポイントだから
行為とか一人称で心・体の方にフォーカスを当てすぎちゃうとなし崩し感が薄れちゃうんじゃないかな
コいたり素股してるときに他の女仙とか学校とかの日常的な話(というかほぼ普段の本編の会話)を入れたらそれっぽくなったかも
ぶっちゃけがっつりエロ書きたがり+マジカルチンポ強調前提のイッチにはあんまり親和性が高くない題材だと思う

まあ僕は姉貴分はっちゃんの堕ちっぷりを見たいだけなのでこの路線でまったく問題ないです

なるほど…分かった(´・ω・`)つまり足りなかったのはロッカーなんだな!!!!(錯乱)
>>561さんのおかげでモヤモヤが晴れました(´・ω・`)でも、ここから書き直すとなるとほぼ最初からになるんでこのままヤらせてください…

あと路線変更なのかめんどくなったのかわかんないけど、いつからかハートマークがないよね
♪マークだとイマイチ堕ちてる感が...

>>564
それは単純に初美がまだ堕ちてないからですねー
まだ好きじゃない相手に♥使うのはなんだかなーと言うのが私の中であるので(´・ω・`)でも、これからはちょっとずつ増えていくと思います 多分


初美「(お、お腹一杯ぃ…♪)」

初美「(私、奥まで京太郎君に犯されて…え♪)」

初美「(もう入らないくらい…パンパンになってる…のにぃ…♪)」

しかし、それでも尚、京太郎の肉棒は余っていた。
初美の限界一杯まで挿入しているにも関わらず、根本まで入りきってはいない。
並桁外れた京太郎の大きさと彼女の小柄さから生まれたその余裕に、初美は背筋を冷たくする。
それは勿論、ハッキリと目に見えるほど余った肉棒を京太郎が放置しておくとは到底、思えないからだ。

初美「はっぐうぅうううっ♪」

初美「うあぁあああああっ♪」

そしてそれは数秒も経たぬ内に現実となる。
挿入されたばかりの初美の中で、京太郎の肉棒がさらに奥へと進もうとするのだ。
未だ硬い子宮口を何とか押し上げようとグリグリゴツゴツと肉棒を擦りつけてくる。
強引という言葉でも尚足りないその動きに初美は困惑と苦悶を声へと浮かばせた。


初美「も、もう入ら…ないのですよーっ♪」

初美「そ、ソレ以上は…無理なんですーっ♪」

初美「い、幾らねじ込もうとしても入りませんよおっ♪」

京太郎「うぅぅぅぅっ」

初美「ひぃいぃんッ♪」

耐え切れず、もう無理だと言葉にする初美に、京太郎は応えなかった。
まるで彼女の声など聞こえていないかのようにその腰を動かし始めている。
暴走した本能に突き動かされるその動きに初美の声は少しずつ艶っぽさを増していった。

初美「(な、なんで…なんですかー…っ♪)」

初美「(私、こんなに滅茶苦茶にされてるのに…ぃ♪)」

初美「(痛くないだけじゃなくて…少しずつ敏感になってってるって言うんですかー…っ♪)」

初美「(お腹の奥をグリグリされて…苦しいだけじゃなくなってるなんて…♪)」

初美「(そんなの絶対、変なのですよー…♪)

その源は初美の子宮口だった。
京太郎の肉棒で今も擦られ続けているそこは、少しずつ柔らかくなっていっている。
まるでオスの肉棒を受け止める事に慣れ始めたようなそこからは、少しずつ快楽のようなものが浮かび上がってきていた。
それは勿論、クリトリスを擦られていた時ほどハッキリとしたものではないが ――


初美「ああぁ…っ♪あ…ふぅうう…っ♪」

初美「(なのに…声出ちゃう…♪)」

初美「(こんなのおかしいって頭が幾ら言っても…気持ち良いの耐え切れなくて…♪)」

初美「(身体だけが先に…認めちゃってるのですよー…♪)」

初美「(エッチな声出して…気持ち良いって…認めちゃってる…ぅ♪)」ゾクゾク

しかし、一度、意識してしまえば、もう終わりだ。
肉襞の奥で感じているという認識は、彼女の身体から強張りをなくしていく。
これは決して怖いものではないし、恐ろしいものでもない。
寧ろ、気持ち良いものだと認識した肉体が、少しずつ、京太郎の事を受け入れ始めているのだ。

初美「(あ、あり得ない…っ♪)」

初美「(レイプされてるのに…気持ち良くなっちゃうなんてあり得ないのですよー♪)」

初美「(こんなの…嘘…ぉ♪)」

初美「(嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘ぉっ♪)」

初美「おふぅうっ♪」

そんな肉体に対して、意識は抵抗を試みようとするものの、それは既に手遅れだった。
既に彼女の身体が、京太郎から気持ち良くされるという事を受け入れてしまったのだから。
今更、ブレーキを掛けようとしても、身体が止まるはずがない。
初美が嘘だと胸中で呟く最中にも、彼女の口から淫らな声は止まらなかった。


京太郎「うあぁぁぁっ」

初美「ひぃんっ♪」

寧ろ、ドンドンと強くなっていくその淫らさに京太郎の肉棒がビクンと跳ねた。
瞬間、理性もない鳴き声をあげながら京太郎の腰が別の動きを見せる。
今までのように奥へ奥へと入り込もうとするのではなく、彼女の中を抉る為の動き。
俗にピストンと呼ばれるそれに初美は、その声に再び苦悶を浮かばせる。

初美「(でも、これさっきよりも全然…楽で…っ♪)」

初美「(楽などころか…気持ち良いくらいで…ぇ♪)」

初美「(たった一回挿入されただけなのに…私…もう慣れちゃったのですよー…♪)」

初美「(この怪物みたいな京太郎君のチンチンを受け入れられるようにされちゃったのですー…っ♪)」

だが、それは数秒もした頃には消え去ってしまう。
最初の内は圧迫感だけが強かったものの、ジワジワと快感が彼女の中で強くなっていっていくのだ。
膣奥を叩かれるのよりは鈍いその変化は、しかし、もう目を背けられるものではない。
京太郎のピストンに肉穴が反応し、快楽を得てしまっている事を、彼女は否応なく自覚させられていた。


初美「きゅぅううっ♪」

そんな彼女にとって、一番、辛いのは膣奥を突かれる事だった。
ズシンと遠慮無く突き上げるその肉棒に、声の艶が一段階上がってしまう。
まるでそこだけ特別なのだと言うようなそれは初美の心に強い羞恥心と困惑を呼び起こす。
どうして自分の身体がこんな風になってしまったのだろうか。
そう言葉を浮かべて理由を求める彼女の中で、京太郎は常に動き続ける。

初美「(こ、コレが…悪いのですよー…♪)」

初美「(ぜ、絶対、このチンチンが…何かしてるのですー…♪)」

初美「(オカルトか何かで私の事をおかしくしてるに決まってます…っ♪)」

初美「(じゃないと…こんなのあり得ない…っ♪)」

初美「(初めてでこんなに気持ち良くなるほど…私、淫乱じゃないのですーっ♪)」

その度に湧き上がる快感は、もう彼女に否定出来るだけのものではなくなっていた。
ピストンの回数が10を超えた辺りからは、もう圧迫感すら殆ど気にならなくなってしまうのだから。
それに負けないほど高まった快感が彼女の思考や感情を押し流そうとする。
それを拒もうとする初美の中で、京太郎の肉棒は諸悪の元凶になっていた。


初美「こ、の…ぉ♪調子に乗らないで…欲しいのですよー…♪」

初美「私…か、感じて…ませんからぁ…♪」

初美「京太郎君のチンチンなんかに負けませんからぁ…っ♪」

初美「こんな卑怯でエッチな形をしたチンチンなんかに絶対負けにゃああああっ♪♪」

自然、諸悪の元凶である京太郎に強がろうと初美は必死に声をあげる。
心では認めてしまった快楽を否定するそれは、自分を鼓舞する為のもの。
しかし、それを最後まで口にする前に、快楽の声が上書きしてしまう。

初美「(お、おっき…♪おっきくなったのですよー…ぉっ♪)」

初美「(京太郎君のチンチンが…ぁ♪私の中でドクンって跳ねて…♪)」

初美「(もっともっとやらしく卑怯に…なってくのが分かります…♪)」

初美「(私のアソコを…もっとグチョグチョにする形に…ぃ♪)」

一気に膨れ上がる海綿体は、初美の中をさらにグイグイと押し広げていく。
既に限界近くまで膨れ上がったそれに彼女は苦悶の声さえあげなかった。
初美の身体は京太郎の肉棒がねじこまれた時から圧迫感を快楽と書き換えるよう調教が始まっているのだから。
一回り大きくなったとは言え、今更、痛みや苦しさを覚えたりはしない。



初美「(き、気持ち…良い…っ♪)」

初美「(ただ、大きくなっただけじゃなくて…硬さも増してますし…♪)」

初美「(熱だけでもエッチな汁が出ちゃいそうなくらい熱いのですよー…♪)」

初美「(で、でも…これって…やっぱり…ぃ♪)」

寧ろ、居間の初美は快感をより強く感じていた。
太く激しくなった肉棒に脳を満たす快楽の量が一気に増える。
順調に調教されていっている彼女にとって、それは決して軽視出来るものではない。
気を抜けば、その顔を蕩けさせてしまいそうになる。

初美「だ、ダメ…っ♪それだけはダメですよーっ♪」

初美「膣内射精したら…子ども出来ちゃいますからあっ♪」

初美「私だって妊娠くらい出来ちゃうんですよおおおっ♪」

京太郎「おぉおおおおっ」

それにずっぷりと嵌まる事が出来ないのは、それが意味するところを理解しているからこそ。
そうやって肉棒が大きくなるのは本格的に射精の準備を始めたからだと彼女は良く分かっているのだ。
だからこそ、制止の声を張り上げるが、京太郎は止まらない。
メスを孕ませると言うのが嬉しいのか雄叫びのような声をあげながら肉棒を押し込んでくる。


初美「いひいいぃいいっ♪」

初美「んあぁあぁあああっ♪♪」

それは今までのものよりもさらに激しく、そして自分勝手なものだった。
射精と言うエサが目に見えたケダモノはより張り切って、京太郎の上で腰を振るう。
グチョグチョヌチュヌチュと淫らな音が鳴り響くピストンに、初美は快楽の声をあげた。
制止する事も出来ないほどの気持ちよさが彼女の胸を打ち、本来出るべき言葉を上書きしてしまう。

初美「(こ、このままじゃ妊娠させられちゃう…っ♪)」

初美「(京太郎君に…っ♪ただの弟分に…っ♪)」

初美「(孕まされて…女にされて…メスにされてぇ…っ♪)」

初美「(私…もう戻れなくなっちゃうのに…っ♪)」

初美にとって不幸な事は、二人の体の相性が良すぎた事だ。
まるで赤い糸で結ばれてしまったかのように二人はお互いに強い快楽を与え合ってしまう。
それはレイプされている今も変わらず、京太郎の事を完全に拒絶する事が出来ない。
ただ、痛く苦しいだけならば、殴って離れる事が出来るのに、気持ち良さに溶けた身体は彼女の思うがままに動いてくれないのだ。



京太郎「はぁ…っ!はおぉぉ…ぉ!!」

初美「~~~~~~っ♪」

結果、彼女の身体の中で京太郎の肉棒が弾ける。
彼女の腹の奥まで響くようなドクンと言う強い脈動。
それと同時に放たれたドロドロとした熱い粘液が、彼女の中を穢していく。
最奥の子宮口前ではなく、中腹ほどで起こったそれに初美は言葉を失う。
膣内射精されるという禁忌に近い感覚に、彼女は背徳感と快感を覚えていた。

初美「(熱い…っ♪激しい…っ♪強いぃ…っ♪)」

初美「(私の中に…ビチャビチャ来てます…ぅ♪)」

初美「(手で扱いてる時と変わらない勢いで…思いっきり暴れてぇ…♪)」

初美「(やらしい…っ♪こんなの…やらしすぎるのですよぉ…♪)」

初美「(こんなのダメなのに…私…精液で興奮しちゃうぅ…っ♪)」

初美「(私の身体が…膣内射精が気持ち良いの…覚えちゃうのですー…♪)」

既に初美の膣内は、最低限の開発が済んでいる。
濡れてさえいれば、京太郎ほどの肉棒を受け入れても傷まないそこは貪欲かつ敏感だ。
オスの精液で穢されると言うシチュエーションに、本能めいた悦びを覚えてしまう。
忌避感にも負けないそれに初美の肉穴は震え、ひとりでに肉棒へとしがみつき始めた。


京太郎「うあぁぁ…っ」

初美「ひぅぅうううううんっ♪♪」

もっと射精して欲しいとオスに強請るようなそれは当然、彼女が意識したものではない。
しかし、だからと言って、肉穴からそこから伝わってくる感覚が止まる訳ではないのだ。
順調に淫らになっていくその粘膜から震えるほどの快楽が伝わってくる。

初美「(激弱チンチンだった癖に…逞し過ぎるのですよぉおっ♪)」

初美「(こんなに硬くて大きくなられたら…私の方もダメージ大きいじゃないですかー…っ♪)」

初美「(キュンキュンって締め付けたら…その分だけ気持ち良くなっちゃって…っ♪)」

初美「(私…余計にダメに…なっちゃうんですー…っ♪)」

初美「(チンチンの形や硬さとか…すっごい意識しっちゃって…も、もぉ…♪)」

忘れたいと彼女は最初、そう思っていた。
コレは一時の間違いであり、一夜の夢に過ぎないのだと。
だが、こうして肉棒を締め付ければ締め付けるほどに彼女の身体は覚えてしまう。
京太郎と言うオスが、一体、どれほど逞しいのか。
どれほど自分を気持ち良く、そして夢中にさせてくれるのか。
彼の興奮にあてられるように目覚めていくメスの本能が、それをしっかりと刻み込まれてしまうのだ。

筆進まない上にちょっと眠気がマッハなんで寝ます(´・ω・`)すっげー満足出来ない出来ですがそろそろ完結させたい…

幾らお酒入ってたとは言え、昨夜の投下分酷すぎてワロエナイ…
正直、ちょっとこの続きから書ける気がしないんでいっその事最初からやり直した方が良い気がしてきた…

ちなみに本編は昨日書き上がって、見直し待ちです
出来れば今日に投下したいですが、五万文字近くあるんで明日までかかるかもです

まず初美が堕ちてなくてレイプっぽくなってるのがワンアウト
なし崩しックスなのに、なし崩し感がないのでツーアウト
そもそも初美相手だと京ちゃんからヤらせてって言わせられないからスリーアウトだよ!!!!!(´・ω・`)おのれ
とりあえずなし崩しックスの勉強から始めようと思います

なし崩しックスだと男がグイグイ行くってイメージが強いですが前の美穂子ロッカーの時みたく女の子からアピールするってのも有りなんですかねー
媚薬盛り盛りよりも初美からアピールしてって感じの方が良いんでしょうか
でも、あんまりヤろうぜってなる初美がイメージ出来ない私もいるのですよねー…(´・ω・`)うーむ…

はっちゃんが媚薬っちゃえばいいよ

十曽家で最大限にムラムラさせられて帰ったら初美編とかいう、はっちゃんからヤらせるきっかけとして本編がベストタイミングなんですがそれは

>>584
そういう意味では始まりに期間が空いてそうだから効果ないかも
湧の所に行ってる間に湧とはっちゃん以外媚薬入手して盛る。晩飯に盛るというよりお菓子や間食に盛り自室で食わせようとした時にはっちゃん乱入で一緒に食べる。薬の効果が出てくる時に京太郎は薬の影響や湧の一件で自分は実際にはロリ好きなのかと思い込み、はっちゃんは媚薬と分かったが自分が出ていくと他のメンツが色々やらかしそうで出ていけない。そして薬の力で二人はなし崩しに…とか書いてたら長文になったスマソ

なし崩しって事はさ
何時も通りじゃれあってるつもりなのに、ふとした拍子に肌に唇が触れちゃってドギマギするんだけど、はっちゃんが強がって「そんなのなんでもないですよー」とか言って胸板触るとかスキンシップしてたらお互い興奮してきて、そのまま距離(物理)が短くなっていってどちらともなくキスしたりしてそのままsexに雪崩込む事じゃないかな?

長文すまん

乙です

高校を卒業して別々の大学に進学した京ちゃんと部長が帰省したときにばったり出会って高校時代の思い出話に花を咲かせつつお酒を飲んでいって
若干理性の回ってない感じでどちらともなくホテルに入って行って致すみたいにお互いの理性のハードルが無いのがなし崩しっくすらしさかな?

なんか俺のリクのせいで悩ませてるみたいでごめん
どうしてもあれだったら飛ばしても……

エロに対して真摯に向き合い、本編5万字あることに驚きもしない…
>>1よ 住人の調教は順調ですぜ

もう数年の付き合いだからね

部員共スレとはまた違う意味で変態という名の紳士が集まる場所になってるからな

生乳ももう随分前の話なんだな

>>583>>585
はっちゃんが媚薬持っちゃうとなし崩しックスじゃなくて計画通りックスになっちゃうので…
>>585だと媚薬盛った子が乱入しない理由がないので初美とのなし崩しックスになるのはちょっと難しそうです…(´・ω・`)3Pとかなら有りなんですが
個人的には>>586とかすっげーそれっぽいんですが、咲ちゃんならともかく初美でそれをやれる自信があんまりないです
ここの初美はあんまりスキンシップにグイグイ行くタイプじゃないので、その結果の事故をうまい事演出出来る気がしませぬ
折角、アイデアを頂いてるのにアレもダメ、コレもダメばっかりでごめんなさい(´・ω・`)でも、みなさんのおかげでなんとなく流れは自分の中で出来てきました

>>584
ギクリ

>>587
久の部屋に運んだ後に、実は昔好きだったんだってポツリと告白されるところまで妄想余裕でした
久と咲はなし崩しックスが似合いそうな二大ヒロインだと思います(´・ω・`)正直、それも書きたい…

>>588
悪いのは初美とのなし崩しックスって言う美味しい題材を上手く料理出来てない私なので謝らないで下さいな
それにみなさんのお陰で再び挑戦出来るだけのプロットが私の頭の中に出来ましたし(´・ω・`)今度こそ満足して貰えるようななし崩しックスを…!

>>589>>590>>591>>592
考えても見れば、今の職場の人たちよりもずっとずっと長い付き合いなんですよねー
ホント、こんなに冗長な作者にこまで良く付き合ってくれているものだと思います
これからも京太郎スレを続けて住民の調教もとい変態という名の紳士になって貰おうと思ってますので(´・ω・`)よろしくおねがいします
そしてそろそろ生乳並のインパクトのある何かを考えるべきだろうか(錯乱)


―― 薄墨初美達にとって物の貸し借りと言うのは日常茶飯事だ。

一つ屋根の下で長年、暮らしてきた彼女たちは、実の姉妹以上に仲が良い。
あまりおしゃれを許されない環境であるのも相まって、私服の貸し借りなども活発だ。
初美はその特異なファッションセンスから服に関してはあまり世話になる事はないが、ソレ以外では色々と貸し借りを繰り返している。

初美「あれー?」

そんな初美の手元には、ポータブルDVDプレイヤーがあった。
それは神域にあまり家電を持ち込ますまいとする老人たちを誤魔化して、彼女が購入したもの。
だが、それは娯楽に飢える彼女達の間で貸し借りを繰り返され、長らく初美の手元にはなかった。
それがようやく返ってきたので、久しぶりにDVD鑑賞でもしようとポータブルDVDプレイヤーの蓋を開けたのだが。


初美「(DVDが入ってるままなのですよー)」

初美「(でも、これ、一体、何でしょう?)」

初美「(表面は完全に真っ白で文字の一つも書いてないですし…)」

初美「(何のDVDかまったく分からないのですよー)」

首を傾げながら、初美はそのDVDにジっと視線を送った。
だが、どれだけ見ていても、その中身まで分かるはずもない。
彼女は神々から力を借り受け、数百メートルならば転移出来るほどの巫女だが、電子データをそのまま読み取る力などないのだから。

初美「(…確か最後にこれを使ってたのは京太郎君でしたっけ?)」

初美「(って事は…これは京太郎君の忘れ物って事ですよねー)」

そのまま彼女が思い浮かべるのは、この屋敷の黒一点である須賀京太郎の事だ。
初美にとって小憎たらしい弟分と言った彼との付き合いも、もう一年近くになる。
その間に様々な苦難を共に乗り越えてきた彼女にとって、京太郎は特別な男だった。
もし、自分に好きな男がいるとするならば、きっと彼なのだろうと思ってしまうくらいに。


初美「(…まぁ、これも京太郎君が私のDVDプレイヤーに忘れ物をした所為ですし)」

初美「(DVDが入っているのにも気づかず、起動してしまうって言うアクシデントがあっても…)」

初美「(悪いのは私ではなく、京太郎君の方ですよねー?)」ニマー

そんな初美にとって、そのDVDは素直に返して良いものではなかった。
京太郎に並々ならぬ関心を注ぐ彼女は、そのDVDの中身が気になって仕方がないのだ。
もしかしたら、小生意気な弟分に、有利に立てるようなネタでもあるかもしれない。
そう思いながら、初美はプレイヤーの蓋を閉じ、再生ボタンを押した。

初美「(ま、あのヘタレな京太郎君の事ですし)」

初美「(精々、アニメくらいが席の山なんでしょうけれど…)」

「あんっ♪」

初美「ふぇっ!?」ビックゥ

瞬間、プレイヤーから漏れでた音声に、初美は肩を跳ねさせた。
何の前置きもなく、聞こえてきたそれはあまりにも色っぽい。
オスに対する媚を隠そうともしないメスの声に、彼女は驚きを隠せなかった。
ついつい声をあげて、その目を見開いてしまう。


―― そんな彼女の視界に飛び込んできたのは裸体の女性だった。

年の頃は25前後。
ショートカットの茶色い髪を揺らす彼女は、絶世とは言わずとも美人の領域に入る顔立ちをしていた。
だが、それよりも遥かに目を引くのはその胸にぶら下がった大きな2つの胸だろう。
軽くGはあるそれをゆさゆさと揺らしながら、画面の彼女は淫らな声を幾度となくあげた。

初美「(こ、ここここここれって…)」

初美「(所謂、エロ動画って奴じゃないですかーーーーーー!!!)」

お嬢様校である永水女子へと通い、今も現役巫女として働いている初美には性的な経験というものがまったくない。
だが、だからと言って、まったく知識がない訳ではないのだ。
小蒔のような純真なタイプではない彼女は、その動画の趣旨を理解する。
そして、同時にその用途もまた。


初美「(人から借りたプレイヤーで、お、お……おな…にーとか…)」カァァ

初美「(そ、その…ともかく、良い度胸じゃないですかー…!)」

初美「(幾ら、このお屋敷が、年頃の男の子にとっては色々と毒な環境だって言っても…!)」

初美「(こいつぁめちゃ許せんのですよー…!!)」

そこで握り拳を作る初美に怒りの色が湧き上がってくる。
勿論、日頃、京太郎が『溜まっている』のは分かっているし、男がそういうのが必要だという事も理解していた。
だが、自分の貸したプレイヤーで、このように淫らな映像を見られているとなるとやはり納得出来ない。
穢されたと言うほど彼の事を嫌っている訳ではないものの、頬の一つも膨らませてしまう。

初美「(つーか、この女優なんですかー!)」

初美「(はるるサイズのおっぱいユサユサ揺らして、あんあん喘いで…!)」

初美「(まったく持って下品極まりないのですよー!!)」

何より、初美を不機嫌にさせるのは、画面で動く女優が自分とかけ離れているからだ。
出るところは出て、引っ込むところは引き締まっているその肢体は同性でも淫らに見える。
きっと男である京太郎にとって、それは堪らないものなのだろう。
そう思うだけで。彼を特別視する初美の胸が痛くなる。


初美「(私だって寄せてあげればこれくらい…)」ギュ

初美「(い、いや、もうちょっとくらい…)」ムギュ

初美「(た、谷間くらいは…!!)」ムギュギュ

それに抗うようにして初美は両手を身体の前へと回した。
だが、ぺたんとした凹凸のない身体には谷間は出来ない。
その後、前かがみになったり、脇下の部分から肉を寄せようとしても結果は変わらなかった。
9歳の頃から成長がピタリと止まってしまった彼女はどう足掻いても谷間を作れない。

初美「うー…うぅぅぅぅぅ…」

瞬間、初美の胸に去来するのは圧倒的な敗北感だった。
京太郎の好きなスタイルに近づくどころか、スタートラインにさえ立つ事が出来ない自分。
それに初美はグッタリと肩を落とし、一人悲しそうな声をあげた。
だが、一人自室でDVDを鑑賞しようとしていた彼女の声は誰にも届きはしない。


「あんっ♪良いぃっ♪」

「イくイくっ♪もうイっちゃうぅうっ♪」

初美「…」ジトー

そんな彼女の耳に届くのはエスカレートしていく女優の嬌声だった。
イくと甘く訴えるそれに落ち込んでいた初美はジト目を向ける。
だが、画面の向こうにいる女優にそれが届くはずもない。
既に終わった過去であるその女優は、初美のジト目を受けながら激しく腰を振るう。

初美「(まったく…何がイくですかー…!)」

初美「(どーせこんなの演技に決まってるのですよー!)」

初美「(こんなのでこーふんするなんてホント、男って馬鹿なのですー)」

初美「(女の子はココロで感じるんだから、仕事でヤっても良いはずないじゃないですかー…!)」

「あんっ♪あぁぁあぁあああんっ♪」ビクンビクン

初美「…」ドキ

ムカムカとした言葉を胸中に浮かべながらも、初美は再生を停止する気にはなれなかった。
正直なところ、決して面白い動画ではないが、これを見て京太郎が自慰をしていたのはほぼ確実。
ならば、下らないと一笑に付すよりも、しっかりとコレを見て、後学の助けにした方が良いのではないか。
その体型からどうしてもアピールで出遅れているのを自覚している彼女は、心の何処かでそう思ってしまう。


初美「…」ジィ

―― それに何より、その女優はとても淫らであった。

彼女に才能があるのか、或いは経験を積んだベテランなのかは彼女には分からない。
だが、そうやって絶頂に揺れ動く身体から、初美は目を背けられなかった。
ビクンビクンと跳ねる腰も、目をギュっと閉じて余韻にひたるその顔もとても気持ち良さそうなのだから。
演技だ演技だと言う初美も、「もしかしたら本当に達してしまっているのでは?」と思ってしまうくらいに。

初美「(例え、これが演技であっても…これが多くの人のイメージする絶頂である事に間違いはないのですよー)」

初美「(少なくとも、相手はプロですし、可能な限り、それっぽく演技しようとするはずですしね)」

初美「(つまり…女の子の身体がイっちゃうと、こんな風に気持ちよさそうになるって事で…)」ゴク

初美はあまり性欲旺盛なタイプではない。
別に忌避感を覚えるほど潔癖ではないが、自慰の回数はそれほど多い訳ではなかった。
自然、彼女は自分の身体で絶頂を覚えた事はなく、その感覚もまた知らない。
興味はあるものの、そこに到達する前に、怖くなって止めてしまうのだ。


初美「(…私もこんな風になるんですかー?)」

初美「(京太郎君にエッチされると…)」

初美「(こんなに恥ずかしい声をあげながら…気持ちよさそうにして…)」

初美「(イかされちゃうって…事なんですかー…?)」ドキドキ

初美「はぅぅ…」カァァ

その想像は彼女の胸を激しく脈打たせるものだった。
心臓から熱い滾りを送り出すようなそれに初美の顔は赤くなる。
そのままほぅと熱い吐息を漏らすのは、その想像を嫌だと思えないからこそ。
幾ら性欲が強くなくても、好きな人を結ばれるというイメージは恋する乙女にとって媚薬に働くのだ。

「んふぅ…♪気持ち良かったよぉ…♪」

「でも、お陰で私、火が着いちゃったの…♪」

「こんなに気持ち良いオチンポ…離したくない…♪」

「だから…もっとしちゃおう…♪」

「私のエロマンコでヌキヌキグチョグチョになって…気持ち良くなっちゃおう…♪」

初美「わ、わぁ…」

しかし、その間もエロ動画は続いていく。
絶頂に至った女優は、まるで満足出来ないと言わんばかりに足を絡めた。
何処か女郎蜘蛛を彷彿とさせるそれに男優は声をあげて腰を動かし始める。
目の前のメスを必死で貪ろうとしているのが透けて見えるその腰の動きに、初美は感嘆とも羞恥ともつかぬ声をあげた。


初美「(す、凄いのですよー…)」

初美「(男の人の腰ってこんな風に動くんですかー…)」

初美「(女優の太ももがぱちゅんぱちゅんって音鳴っちゃうくらい激しくて…)」

初美「(普通、痛いくらいだって思うのに…)」

「ひぃんっ♪あぁあぁっ♪」

初美の想像とは裏腹に、女優の顔は甘く蕩ける。
見開いたその目に喜悦を浮かべながら、ベッドに横たわるその身体を動かすのだ。
男から逃げるのではなく、自分から腰を押し付けようとするそれに初美は女優の興奮と快楽を感じ取る。
そこにはもう嘘も偽りもなく、ただただ自分からオスを求めようとしているのが分かった。

初美「(…京太郎君も…こうなんですかー?)」

初美「(もし、エッチする事になったら…こんなに激しく腰振って…)」

初美「(私の事…パンパンするんですかー…?)」ズキ

初美「~~~っ!」

それにより淫らさを増していく想像は、もう彼女の内側では収まりきらなかった。
ズキリと甘い疼きが身体の中に走ったかと思うと、彼女の乳首がゆっくりと持ち上がっていく。
ムクムクとニプレスの奥で自己主張をするそれに初美は肩を震わせる。
よもや自分がエロ動画でこうも興奮するなどまったく思っていなかったのだ。


初美「(で、でも、今月はまだしてないですし…)」

初美「(ムラムラしちゃうのは仕方ないですよね)」

初美「(うん。別にこのエロ動画が原因って訳じゃないですから)」

初美「(丁度、したくなるタイミングが重なっただけですし…)」スッ

しかし、初美はそれを素直に認められなかった。
彼女にとって、未だ目の前の動画は仇敵と言っても良い相手なのだから。
家族同然に過ごす彼女たちならいざ知らず、一時とは言え京太郎の興味を奪われたのは面白くない。
だからこそ、ついつい意地を張った言葉を胸中に浮かべながら、初美はその手でゆっくりとニプレスを剥がして。

初美「きゅぅっ♪」ピン

瞬間、顕になる乳首は、初美でも見たことがないほど硬くなっていた。
その根本から先っぽまでを硬く伸ばすそれは思いの外、敏感になっている。
少なくとも、ニプレスを剥がしただけでそんな声が出る事なんて今まで一度もなかった。


初美「(うわぁ…これ絶対、ヤバイ奴なのですよー…)」

初美「(触ったら、すっごく気持ち良くなるって…今からでも分かっちゃいますー…)」

初美「(正直、ちょっと怖いくらいですけれど…)」サワ

初美「ひんっ♪」

その怖さは、好奇心と興奮には勝てなかった。
今までにないほど興奮しているその身体についつい手を伸ばしてしまう。
瞬間、彼女の口から短い声が漏れでたのは、彼女自身の指が乳輪に触れたからこそ。
小柄な身体に相応しいピンク色の小さなそれは、ただ触れられただけでもゾクゾクしてしまう。

初美「(や、やっぱり…気持ち良い…)」

初美「(何時もよりもずっと気持ち良くって…声出ちゃったのですよー…)」

初美「(何時もは乳首触ってもハァハァってなる程度なのに…)」

初美「(乳輪触っただけで…もうこんなにエッチな声を出しちゃって…)」

「あぁっ♪んあぁああああっ♪」

初美「…」ム

それに興奮が色濃くなっていくのを感じる初美の前で、女優の喘ぎも激しくなっていく。
また再び絶頂へと近づいていくようなそれは、彼女のそれよりもずっと強いものだった。
彼女の嬌声をあっという間に飲み込む女優の喘ぎが、初美にはあまりおもしろくない。
まるで自分を未熟者だと言われているようで、ついつい不機嫌さを顔に浮かばせてしまう。


初美「(まぁ、女優に対抗心を燃やすのは馬鹿らしい話ですけれど)」

初美「(でも、目の前でこんなに喘がれてちゃこっちも面白くないのですよー)」

初美「(私だって…まだ気持ち良いところは沢山、残してる訳ですし)」

初美「(その気になれば…そっちみたいな声だって…)」クリ

初美「きゅふぅっ♪」

それは決して理性に抑えきれるものではなかった。
子どもじみた対抗心だと分かりながらも、初美はそっと勃起した乳首を摘む。
両手の人差し指と親指で挟み込まれたそれはゾクゾクとした感覚を、彼女に伝えた。

初美「(な、なんですかー…コレ)」

初美「(私、こんなの知らないのですよー…)」

初美「(何時ものじんわり来るのと…全然、違う…)」

初美「(ビクンビクンって胸の奥まで突き刺さって来るのですー…)」

今まで初美が感じていたのは快感だ。
気持ち良さよりも心地よさが勝る、ぬるま湯のようなものだったのである。
だが、こうして興奮を強めた彼女は、今、ハッキリと快楽を感じていた。
時にその心を追い詰めるほど激しくも辛いそれに彼女は驚きを隠せない。


初美「(でも…嫌じゃないですー)」

初美「(と言うか…こんなに気持ち良いの…初めてなくらいで…)」

初美「(ハッキリと気持ち良いのが…分かっちゃうのですよー)」クリ

初美「は…うぅうんっ♪」

しかし、その驚きは決して長続きするものではなかった。
興奮にその背を突き動かされる彼女にとって、それは決して拒むべきものではないのだから。
寧ろ、女優に対して対抗しようとしていた初美はその結果に満足さえしていた。
これならば、目の前の女優にだって負けはしない。
京太郎が興奮していた女優よりもエロく淫らになれるとそんな確信さえ浮かんでくる。

「はぁっ♪あぁああああっ♪」

「もっとぉっ♪もっとしてええっ♪」

「乳首もぉっ♪乳首もイジってぇっ♪」

「オマンコだけじゃ嫌ぁっ♪胸も…おっぱいもエッチにしてよぉおっ♪」

初美「ぅ…」

そして、それは驚きと同じく、長続きしないものだった。
興奮に身を委ねる女優はさらに淫らなオネダリを初美の前で繰り出すのだから。
腰を振るう男に対して、胸もイジってと子どものように訴えるその顔にはもう理性の色はない。
完全にセックスに夢中になっている女優に、上をいかれてしまったと初美は感じる。


初美「(ず、ズルいのですよー…)」

初美「(私だって…私だって、京太郎君がいれば…)」

初美「(京太郎君に…こんな風にエッチして貰ったら絶対に負けないのに…)」

初美「(絶対に…この女優よりもエッチになれるのに…ぃっ)」キュ

初美「きゅふううぅうっ♪」

それに悔しさを覚える心とは裏腹に、初美の身体は正直だった。
一度、覚えた快楽をさらに得ようとその指先に力を込める。
上下からキュっと挟み込むようなそれに、初美の口から甘い声が漏れた。

初美「(でも、これはこの女優は超えられないのですよー…)」

初美「(少なくとも…私はこの人みたいに理性を投げ捨てる事は出来ません)」

初美「(気持ち良い事は気持ち良いですが…あくまでもそれだけ)」

初美「(ケダモノになるには…どうしても足りないのですー…)」

だが、それはさっきのように勝利の確信を得られるほど激しいものではない。
無論、初美がやっているのはあくまでもオナニーで、女優が身悶えしているのはセックスだ。
決して同じ土俵に乗っていないのだから、単純に勝敗を決められるものではない。
そんな事は初美も分かっているが、さりとてそれで心は納得しない。
相手よりも淫らになれるビジョンが心の中にさえ思い浮かばない初美にとってそれは紛れも無く敗北だった。



初美「(…じゃあ、どうすれば勝てるですかー?)」

初美「(どうすれば…この人よりも京太郎君に興味を持って貰えるんですかー…?)」

初美「(考えるのですー…薄墨初美)」

初美「(そうしなきゃ…貴方ははるる達に勝つ事が出来ないんですから)」

初美「(せめて床上手くらいの個性がなきゃ…皆に置いて行かれちゃうですよー)」

薄墨初美にとって家族でもある仲間達は、皆、京太郎に並々ならぬ好意を抱いている。
そんな中で目に見える有利性を持たない彼女は、内心に強い焦りを感じていた。
このままでは自分は京太郎に見向きもされないのではないだろうかと言うそれを、彼女は普段、心の中に押し込めていたのである。
だが、彼の好みと言うものをまざまざと魅せつけられ、そしてそれに敗北してしまった今、その焦りを理性で覆い隠す事が出来ない。

初美「………京太郎…君」ゾクッ

そんな彼女が選んだのは、自身の中に浮かぶイメージを強める事だった。
目の前の動画を参考に、イメージの中で京太郎とセックスする。
先ほど浮かんだ僅かなイメージでもアレほど興奮したのだから、よりハッキリとイメージすれば超えられるはず。
そんな展望を抱いた初美が、彼の名前を口にした瞬間、その背筋にゾクゾクとしたものが走り抜けた。



初美「(これ、思った以上に…良すぎるかもしれないのですよー…)」

初美「(まさか名前を呼んだだけで…こうも感じちゃうなんて…)」

初美「(このまま気持ち良いところイジっちゃったら…果たしてどうなっちゃうのか…)」ゴクリ

初美「京太郎…くぅん…♪」

それに恐れを感じる初美と言うのは彼女の中にも確かにいた。
だが、それはもう初美にとってのストッパー足り得ない。
真っ昼間からオナニーを初めてしまった時点で、彼女の中のタガは一度、外れてしまったのだから。
気持ち良さと淫らさを求める気持ちは、もう止まる事はない。

初美「ふ、普段は私の事、貧乳だの対象外だの言う癖に…ぃ♪」

初美「そんなに私の乳首イジるなんて…♪」

初美「まったくもって素直じゃ…ないのですよー♪」

初美「結局、京太郎君もロリコン野郎じゃないですかーぁ…♪」

今の初美にとって、自分の指は京太郎のモノだ。
こうして乳首をいじっているのも自分ではなく彼。
普段、自分に可愛げのない口を効く弟分が夢中になって、自分の胸を摘んでくれている。
その想像をついつい言葉にしながら、初美はほぅと熱い吐息を漏らした。


初美「ううん…♪ただのロリコンじゃないですね…♪」

初美「乳首摘むだけじゃなくて…く、クリクリまでしてぇ…♪」

初美「エロエロのロリコン野郎…略してエロリコンなのですよ…ぉ♥」

初美「もう生きてる価値なしのド変態…なのですー…っ♥」

まるで罵るような言葉には、しかし、抑えきれない媚が浮かんでいた。
小生意気な言葉を選んでこそいるが、彼女の恋慕は本物なのだから。
普段の癖で憎まれ口を叩いてしまうが、こうして自分を求められて嫌になるはずがない。
例え、それが虚しい妄想であろうと、その顔に隠し切れない歓喜と期待を浮かべてしまうほどに。

初美「こっちも…したいんですよね…♪」

初美「私の…私のアソコも…ぉ♪」

初美「エロリコンの京太郎君は、気になって仕方がないんでしょぉ…♥」スッ

摘んだ乳首を指の間で転がす程度では、今の初美は満足出来なかった。
さっきよりも強い快楽が乳首の根本で弾けるが、彼女の望みはセックスなのだから。
今も彼女の目の前で体位を変えて続けられるそれに初美の期待は高まる一方だった。
だからこそ、彼女は右手で袴の紐を解き、その内側へと手を差し込んでいく。


初美「そんな…エッチな手で…撫でて…ぇ♪」

初美「内側ナデナデ…しても…無駄ですよー…♪」

初美「エロリコンの京太郎君に…簡単に股開くほど安い女じゃないのですー…♥」

初美「その程度でこの初美様を堕とそうなんて…百年早いのですよー…ぉ♥」サワサワ

しかし、その手はすぐさま初美の本丸 ―― そのショーツへと攻め込まなかった。
代わりに彼女の右手が選んだのは内股を撫で擦る事。
キュっと両足を合わせた内側を撫でるそれに慣れ親しんだ快感が浮かび上がってくる。
それは勿論、未だ抓みっぱなしの左乳首から感じる快楽よりも弱いものだが ――

初美「精々…興奮するだけですよー…♪」

初美「京太郎君の手で…ドキドキしちゃってぇ…♥」

初美「エッチな声…出ちゃうくら…いぃ…♪」

それでも彼女にとっては十分過ぎる。
初美は自分が感じる上で、興奮と言うものがどれほど大事なものなのかを良く理解しているのだ。
快楽と快感を持ってして自身を昂ぶらせようとするそれに初美の身体がブルリと震える。
こうして自慰を開始して数分だが、今の彼女はもう今までにないほど昂ぶってしまっていた。


初美「ひゃぁ…っ♪」

初美「無理矢理は…無理矢理はダメですよー♥」

初美「そんな力づくで太ももこじ開けられると…レイプになります…っ♥」

初美「幾ら私が欲しいからってレイプするなんて最低ですー♥」

そんな自分を初美はもう抑えきれなかった。
内股を撫でていたその手で彼女は右太ももを持ち上げる。
強引のスペースを作ろうとする自身の手に、初美は抵抗しなかった。
そうして開けられた太ももの奥には早くも疼きを覚え始めた肉穴があるのだから。
早く触って欲しいとそう訴えるようなそこに初美は躊躇いなく手をのばす。

初美「あぁあああぁっ♪」ゾクンッ

初美の声がトーンを一つ高くしたのは、その指先が前貼りに触れた瞬間だった。
興奮に疼くその場所は、もう乳首に負けないほど敏感で貪欲な場所だったのである。
トイレの後始末などで触れる時からは想像もつかないほどの気持ちよさが彼女の腹部へと這い上がった。
まるでその奥に快楽の中枢があるようなそれに初美は思わず身体を固くして。


初美「そ、そこは…ダメなのですー…♪」

初美「私、自分でもそこは殆ど触った事ないんですから…っ♪」

初美「全然、気持ち良いのも…慣れてなく…てぇ…♥」

初美「京太郎君でも…こ、声出ちゃうのですー…♪」

初美「変態エロリコンの手が気持ち良くって…ゾクゾクしちゃうぅ…♥」

それでも初美はその手を止めなかった。
一人イメージプレイに勤しむ初美は前貼りの上から何度もそこを撫でる。
筋のように閉じる大陰唇の上から動くその手に彼女の声は蕩けていった。
自慰でも殆ど触れた時のない場所からの快楽に、初美は早くも虜になろうとしている。

初美「で、でも、それだけなのですよー…♪」

初美「気持ち良いだけ…ですから…♥」

初美「だから、それ以上は…ダメ…ぇ♪ダメ…なのですー…♥」

初美「前貼り外して…直接触れられたら…♪」

初美「私…き、きっとおかしくなっちゃいますからぁ…♪」ベリ

当然、そうも心を奪った快楽を彼女が我慢出来るはずがない。
前貼りの上からこんなに気持ち良いなら、実際に触れてしまったらどうなるのか。
そんな好奇心に胸を疼かせながら、初美は自身の前貼りを外していく。
ビリリと肌に張り付くそれが剥がれていく感覚は、ニプレスの時よりも淫らで、彼女をより興奮の高みへと押し上げていった。


初美「うわぁ…あぁ…♪」トロォ

初美「み、見られ…ちゃったぁ…♥」

初美「京太郎くんに…変態エロリコンにぃ…♪」

初美「私のアソコ…トロトロになってるところ見られちゃったのですー…♥」ゾクゾクゥ

前貼りを剥がしきった瞬間、大陰唇から汁が溢れるのを初美は感じた。
粘性の強いそれはまるで涙のように筋からこぼれ落ち、アナルの方へと堕ちていく。
それが愛液であると悟る初美にとって、自身の肌を滑る愛液は快感すら覚えてしまうものだった。
例え、妄想の中であっても、自分は今、最も淫らな部分を見られてしまっている。
愛しい人に痴態を見られるというその興奮に彼女の大陰唇がヒクヒクと反応した。

初美「くふうぅうううっ♪」

初美「だ、ダメって…♪ダメって言ったのにぃ…♥」

初美「触っちゃおかしくなるって言ったのに…っ♪」

初美「なんで見るだけで我慢出来ないんですかー…♪」

初美「私のアソコに…触っちゃうんですかーぁ…♥」

そこに触れる指先は決して技巧のあるものではなかった。
そもそも彼女は自分の感じるポイントさえちゃんと把握しきれていないのだから。
特に肉穴は殆ど触ってこなかった所為か、どういじれば良いのか分からない。
しかし、その筋を直接撫でるだけで、今の彼女は十分過ぎるほど感じていた。
ぷにぷにとした大陰唇を二度三度と撫でるだけで、その奥から再び愛液がしみだすほどに。


初美「で、でも、まだ我慢…出来るですよー…♪」

初美「おかしくなんて…ならないぃ…♥」

初美「変態エロリコンになんて…負けないのですー…♪」

初美「あ、アレを挿入れられなかったらぁ…♪」

初美「本当にレイプされなかったらぁ…♥」

初美「私が…京太郎君に負けるはずが…ないのですー…♥」

トロトロと滴り出す愛液はもう止まらなかった。
初美の心は既に興奮に呑まれ、快楽を求めてしまうのだから。
意地を張るようなその言葉も、結局のところはオネダリ。
京太郎に挿入される事を期待しているからなのだと彼女自身良く分かっていた。

初美「はぁ…はぁぁ…♥」

それでも、彼女が自分の指をそれ以上奥へと進める事は出来なかった。
彼女にとってその場所は京太郎の為にあるのだから。
幾らオナニーとは言え、自分の指を入れて良いとは思えない。
それは京太郎に対する重度の裏切りのような気がしてどうしても逡巡してしまうのだ。


「あぁあっ♪オチンポ良いぃいっ♪」

「アクメするのぉっ♪またオチンポにイかされちゃうううっ♪」

「メス堕ち幸せアクメ、キちゃうううぅうううっ♪」

初美「はぁ…うぅ…♪」

だが、そんな初美の前で、動画の中の女優は通算2度目の絶頂を迎える。
最初のそれよりもずっと淫らでだらしないその顔は、本当に幸せそうなものだった。
オスの肉棒に屈服するのがどれほど心地良いものなのか、そう思い知らせるようなそれに初美の心は揺れ動く。
触りたい、でも、触りたくない。
そんな二律背反は少しずつ前者に傾いていって。

京太郎「あ、あの初美さん?」

初美「ひゃあああああああああああ!?」ビックゥ

京太郎「うぉ…!?」

―― それが傾ききる直前に、襖の向こうから京太郎の声が聞こえてきた。

初美の手が大陰唇を開こうとした瞬間に聞こえてきたそれに、初美は驚きを隠せない。
まるで深夜の廃病院で、幽霊でも見てしまったかのような声をあげてしまう。
理性や欲望が一時の衝動に消し飛ばされたようなそれに襖の向こうの京太郎もまた驚きの声をあげた。

ってところでそろそろ出勤準備するんで今日はここまでです(´・ω・`)明日の朝も書ければ良いなとは思ってます

これが五万字以上の初美編ファイナルの出だし…!ついに本編でもここまでタガをゆるめたかーと思ったらいつものだった
騙されたぜくそう乙です

なんかロリコンにされてるなww

ひゃあ!もう我慢出来ねぇ!投下だー!!


―― 須賀京太郎の半生は、決して華々しいものではなかった。

その顔立ちは悪くなく、運動神経もトップクラス。
どんな相手ともすぐさま仲良くなれるコミュニケーション能力と、優しくも献身的な心を併せ持っている。
その上、実家は小金持ちと呼べる彼だが、これまでまったくと言って良いほど、異性にモテなかった。
どれほど告白を重ねても、「そんな相手には見えない」と取り付く島もない断り文句を受け取っていたのである。

―― その理由は京太郎が残念なイケメンというだけではない。

確かに京太郎の外見は軽く思われやすく、またその言動から性癖も透けて見えてしまう。
だが、須賀京太郎と言う少年はその程度では色褪せない魅力を持っているのだ。
幾度と無く繰り返した告白の中、お試しで付きあおうとする少女が出てきてもおかしくはない。
それでも尚、彼がこれまで独り身でありつづけたのは、その側に幼馴染の存在があったから。
そして何より、その血に宿った先祖の異能が京太郎を『能力』のない女性から遠ざけていたからである。


―― 結果、京太郎の女性経験はあまりにも偏っていた。

気の置けない友人のように接するのは得意だ。
特に意識しなくても、その口からは多彩な話題と巧みな話術が漏れていく。
しかし、そうやって仲良くなるのは得意でも、『恋人』になるにはどうしたら良いのか分からない。
ましてや、『浮気されかけた婚約者』に対してどんな言葉を投げかけるのが正しいのか、京太郎に分かるはずなどなかった。
だからこそ ――

京太郎「…」ザ

初美「…いきなり何をやってるんですかー?」

堪らぬ土下座であった。
その大きな身体を弁当箱のように小さく縮め、額を畳へとこすり付けている。
何処から見ても非の打ち所のない土下座に、初美は驚きを隠せない。
ついさっき十曽の家から帰って来た婚約者が、自室にやって来た途端、土下座して見せたのだから。
十曽の家で何かあった事くらいは予想出来るが、神ならぬ身の彼女に、婚約者の真意が分


京太郎「初美さん、お話があります」

初美「…話があるのなら、まず顔をあげてからにするのですよー」

初美「ぶっちゃけ、その態勢じゃ落ち着いて話も聞けないですし」

京太郎「…いえ、このままでお願いします」

初美「理由は?」

京太郎「申し訳なさすぎて、顔を見て話が出来る自信がないからです」

初美「……」

呆れるほど愚直な言葉に、初美は黙りこんだ。
仮にも一人の男がこうして土下座しながら話そうとしている。
その話の重大性に、敏い初美が気づかないはずがなかった。
正直なところ、嫌な予感が胸中を過るが、さりとて、ここで逃げる訳にはいかない。


初美「(仮にも惚れた男が突然、土下座しながら話をしようとしてる訳ですしねー)」

初美「(…嫌な予感がさっきから止みませんが、京太郎君はやたらと必死みたいですし)」

初美「(聞く以外の選択肢がないも同然じゃないですかー…)」フゥ

初美「…分かりましたよ」

京太郎「…すみません。こちらの我儘で」

初美「謝るくらいなら、せめて顔だけでもあげろですよー」

京太郎「ですが…」

初美「私の事、後ろから抱っこすれば顔は見えないでしょう?」

勿論、初美も京太郎がどれほど硬い覚悟を持って、この場に臨んでいるかくらい分かっている。
きっと今から彼が口にするのは真剣そのものな話題なのだろう。
少なくとも、仲睦まじいカップルのようなスキンシップをしながら、口にする類ではないだろうと彼女は思う。

初美「(…でも、これくらい譲歩して貰ってもバチは当たらないと思うのですよー)」

わざわざ婚約者が訪ねてきたと思えば、いきなり自分の足元で土下座を始めたのだ。
有無を言わさず、自分のペースに巻き込もうとする奇襲のような手口。
いっそ卑怯だとさえ思うそれに乗っかったのだから、これくらいの役得はあってしかるべき。
不安の色を隠し切れない身体を、そんな言葉で叱咤しながら、初美は京太郎へと近づいていく。


初美「ほら、顔をあげないと土下座した状態で座られちゃいますよー」

初美「それとも京太郎くんはそういうのが趣味なんですかー?」

初美「幾ら私が懐の深い聖母のような婚約者だと言っても、ドンビキしますよ、マジで」

京太郎「…いや、違いますけど」

初美「じゃあ、とっとと顔くらいあげなさい」

初美「大の男が何時迄も情けない格好をしてるんじゃないのですよー」

初美「それでも、私の婚約者なんですかー?」グイグイ

京太郎「っと」

京太郎の身体を無理矢理、起こそうとする初美の手は、決して強い力が入っていた訳ではない。
少なくとも、京太郎が本気で抵抗すれば上体が起こされるような事はなかった。
しかし、そこに込められていたのは力だけではなかったのである。
不器用ながらも京太郎を慮り、叱咤しようとするその手に彼はどうしても逆らえなかった。

初美「よいしょっと」ストン

結果、上体と膝の間に出来たスペースに初美はスルリと入り込む。
まるでそこが自分の定位置であるかのような動きには、一切の遠慮がない。
京太郎が何かを言う前に彼の膝に陣取ってみせる。


初美「ふふふ。やっぱり生意気な金髪イケメンを尻に敷くと気分が良いのですよー」

京太郎「う」

グフフと笑う表情は誰がどう見ても悪役そのものだった。
その笑みに嗜虐的なものさえ浮かばせる初美はそのまま京太郎の胸板に背中を預ける。
自分の全てを預けるのではなく、可能な限り、彼へと負担を掛けようとするような動きだ。

初美「…ま、そんな訳で今の私は上機嫌ですし」

初美「大抵の事なら聞き入れてあげますから遠慮なく話すが良いのですよー」

京太郎「…初美さん」

だが、それは決して彼の事が憎いからではない。
根が気にしいの京太郎に対しては、こうやって横柄な態度を取るくらいで丁度良い事を初美は知っているのだ。
何時も通りの小生意気な自分であれば、彼に必要以上の遠慮をさせる事はない。
そう思ったからこそ、初美は京太郎に背中を預けながら、大仰に話を促す。


京太郎「…その…何というか…真面目な話なんですが」

初美「ふんふむ」

京太郎「…俺、わっきゅんに惚れられてしまったらしくて」

初美「はい?」

京太郎「昨日、告白…って言うか、襲われかけました」

初美「お、襲われ…」

京太郎「…それに二回も」

初美「二回…!?」

無論、話を促した以上、初美も色々と覚悟を決めていた。
最初に土下座を見せられた時から、世間話で収まるレベルではないだろうとそう思っていたのである。
だが、それでも、京太郎が口にする言葉は、事前にイメージしていた範疇に収まるものではなかった。
勿論、初美も湧が京太郎の事を好いている事くらい知っていたが ――

初美「(ま、まさか襲うほどだなんて思ってないのですよー…!)」

初美「(普段の湧ちゃんからは想像も出来ない大胆さじゃないですかー…!!)」

初美「(しかも…二回…!?)」

初美「(一回だけならまだ未遂か暴走で済んだかもしれないですけれどー…)」

初美「(二回となると…完全にヤっちゃう気満々だったとしか思えないのですよー…)」

十曽湧と言う少女は、学校で言われているように大人しい少女ではない。
過去のトラウマから人見知りは激しいものの、本来の彼女は人懐っこく、明るい性格をしている。
それは初美も知っているが、だからこそ、彼女と逆レイプと言う言葉がどうしても結びつかない。
初美にとって、十曽湧は敬愛する『姫様』と同じく純真なタイプで、そういった事とは無縁な少女だった。


初美「(…でも、ここで京太郎くんが嘘を吐く理由なんてありません)」

初美「(こんな嘘、彼にとって得になるどころか損しかないですし)」

初美「(何より、京太郎くんは無意味に嘘を吐くタイプじゃないんですから)」

しかし、ソレ以上に初美は京太郎の事を知っている。
長年、一緒に暮らしてきた家族よりも、ずっとずっと彼に気を配って来たのだ。
そんな彼女が京太郎の嘘に騙されるはずがない。
こうしてぽつりぽつりと言葉を漏らす顔は見えないが、その言葉はきっと事実だろうと初美は思う。

初美「(…となると京太郎君は湧ちゃんとヤっちゃったって事ですかー?)」

初美「(この身体を…あの子に好き放題されて…)」ム

それは初美にとって、とても面白くない想像だった。
勿論、彼女も湧の事をとても可愛がっている。
何かと面倒を見てきた春ほどではないが、妹のようにして思っていた。
だが、それとこれとは話が別なのである。
好きな男を ―― 自身と婚約を結んだ京太郎を、自分ではない女が好き放題していたかもしれない。
そう思うだけで初美の胸の内側がムカムカし、表情が不機嫌そうなものになっていく。


初美「(でも、今はあんまりムカムカしている場合じゃないのですよー)」

初美「…で、そ、その…あ、アレは無事だったんですかー?」

京太郎「アレ…ですか?」

初美「だ、だだだ…だから…あの…ど、童貞…ですよー」

京太郎「いや、ちょっと待ってください」

初美「ま、待つ訳ないじゃないですかー!」

初美「婚約者的にはそこは超大事ですよー!!」

京太郎「あ、いや、うん。分かりますけれど!分かりますけれどね!!」

その感情を抑えての言葉に、京太郎はストップを掛ける。
勿論、婚約者として事実関係の確認をするのは大事である事くらい彼にだって分かっていた。
だが、自分が童貞であるとそう断定するような初美の言葉に、うんとは言えない。
幾ら相手が婚約者である初美と言えど、張りたい見栄があるのだ。


京太郎「でも、その…ど、童貞とか女の人が口にするもんじゃないと思いますし」

京太郎「それに…俺が童貞だったと決まった訳じゃ…」

初美「はっ。チェリーが見栄張ってるんじゃねーですよ」

初美「京太郎君に交際経験なんてモンがないのはしっかりばっちり調査済みですからねー」

初美「コッチに来てからは、ほぼ女装しっぱなしですし、初体験なんて済ませられるはずないじゃないですかー」

京太郎「うぐ」

しかし、それはあっさりと初美に見透かされてしまう。
完全に図星を突かれた形になる京太郎は言葉を詰まらせ、反論する術を失った。
普段ならそんな京太郎に、初美は勝ち誇った笑顔を見せていただろう。
だが、今の彼女にとって、そのような局地的勝利に何の意味もない。

初美「…で、どうなんですかー?」

京太郎「い、いや…その…無事っすよ」

京太郎「とりあえず、何とか凌いだんで」

初美「…嘘じゃないですよね?」

京太郎「マジですって」

京太郎「こんな初美さんにとってもわっきゅんに対しても失礼な嘘吐かないですよ」

初美「…まぁ、私もそれを信じたいとは思っていますけれど」

初美の知る十曽の家と言うのは、捕食者の家系だ。
一度、ロックオンした相手を決して逃さなかったからこそ、今日までその血脈が受け継がれてきた一族。
ある種、神代家よりもずっと危ないその一族が、娘の想い人をそう簡単に逃がすとは思えない。
それまで十曽など何の興味もなかった男が、たった一日で骨抜きにされた逸話なども知っているだけに、どうしても信じきれなかった。


初美「(…或いは、案外、湧ちゃんの方にも迷いがあったのかもしれないですね)」

初美「(あっちには秘伝の媚薬なんかも伝わってるらしいですし)」

初美「(その気になれば、幾らでも既成事実を作れたはずですから)」

京太郎の精神力を初美も良く知っている。
彼女の妹分である滝見春がそれにどれほど泣かされたのかを、これまで具に聞かされて来たのだから。
だが、幾ら京太郎が鋼の精神力を持っていたとしても、格上の相手が仕込む媚薬はどうしようもない。
湧がそのつもりであったならば、媚薬が回るまでの間に京太郎を拘束し、じっくりとその身体を使って籠絡していただろう。

初美「(まぁ、その辺は湧ちゃんに聞いてみないと分からないですけれど)」

初美「(でも、あの子がそう簡単に淑女協定を破るような子とは思えないんですよねー…)」

初美「(きっと二度も暴走してしまったのも、何かしらの不可抗力があったからこそ)」

初美「(そうせざるを得ないだけの何かが、昨日あったとそう予想しているんですが)」チラ

京太郎「…?」

しかし、今は湧との事を根掘り葉掘り聞くべき時間ではない。
京太郎の話は中途半端なところで、止まっているのだから。
これまではただの前提であり、本題はまだ口にされてはいない。


初美「…で、私に言いたい事はそれだけじゃないでしょう」

初美「続きもあるんですよね?」

京太郎「…えぇ」

初美「じゃ、まずはそれを聞かせて欲しいのですよー」

初美「今回の件に判断を下すのはその後ですー」

その内容も初美は殆ど予測出来ていた。
しかし、ここでそれを口にしてやるほど彼女は甘くない。
その内容は初美にとって好ましいものではないし、何より、それは京太郎が口にしなければいけないものなのだから。
ここで自分が口を開いても、京太郎を甘やかす結果にしかならないだろう。
そう思いながら、初美は京太郎に本題を促した。

京太郎「…昨日、俺はわっきゅんを落ち着かせる時に約束しました」

京太郎「二人にとって最良の結果になるよう最大限、努力すると」

京太郎「初美さんもわっきゅんも納得出来るような答えを出すと」

初美「…で?」

京太郎「…………その為にこんな事をお願いするのは心苦しいですが」

京太郎「…どうか、お願いです」

京太郎「わっきゅんとの関係を認めてくれないでしょうか?」

初美「…………」ギュ

京太郎の言葉は、今度こそ予想の範疇だった。
しかし、だからと言って、その言葉に胸が傷まない訳ではない。
幾ら予想していたとは言え、好きな男からの浮気宣言はあまりにも辛すぎるのだから。
理不尽極まりないその言葉に、女としての薄墨初美が泣き崩れそうになる。
それを何とか堪らえようと握りしめた手のひらは、彼の服の裾を内側へと閉じ込めた。


初美「それはつまり私との婚約を解消するって事ですかー?」

京太郎「いえ、違います」

京太郎「婚約そのものを違えるつもりはありません」

京太郎「初美さんさえ良ければ、予定通り結婚したいとそう思っています」

初美「…湧ちゃんと言う相手がいるのに、ですかー?」

初美「それがどれほど私を侮辱してるのかって事くらい分かってますよね?」

まるで京太郎に行かないでと縋るようなその手とは裏腹に、初美の言葉は厳しかった。
女としての初美は深く傷ついてはいるが、彼女はそれだけで出来ている訳ではない。
かつてないほど手酷く自分を傷つけた愛しい男に、燃え盛るような怒りを覚える彼女と言うのもまた存在していた。

京太郎「分かってます」

京太郎「俺がどれだけ無茶苦茶な事を言っているのかも」

京太郎「それによって初美さんにどれほどの負担を強いる事になるのかも」

初美「それでもこうして私に言うって事は…」

初美「私よりも湧ちゃんの方が大事だって…そう思っても構わないですかー?」

京太郎「いいえ。そんな事はありません」

だからこそ、冷たく、強く、返ってくるその言葉に、京太郎は怯えを見せなかった。
だが、彼の胸中は決して穏やかなものではない。
その小さな身体に静かな怒りを滾らせる初美の姿に、内心、怯えている。
今までモテる気配のなかった自分が、どうして突然、こんな修羅場に放り込まれる事になったのか。
そう嘆く気持ちさえ彼の中にはあったのである。


京太郎「(…ここで怯んでいたら、初美さんにもわっきゅんにも申し訳が立たない)」

京太郎「(こうもブチキレてる初美さんを見るのは初めてだし…)」

京太郎「(こんな事言うのもかなり胸が傷むけれど…)」

京太郎「(しかし、どんな結果になっても、俺が責任を取れるようにしておかないと)」

京太郎「(最悪、わっきゅんと初美さんの仲が拗れて修復不能なものになってしまう)」

だが、彼にとって最も大事なのは一過性の感情ではない。
これまで家族として過ごしてきた二人の少女たちの方だ。
胸に浮かぶ無数の感情の中でも、それは決して揺るがない。
だからこそ、彼は怯えを抑えて、その手に握り拳を作った。

京太郎「俺にとって二人に優劣はありません」

初美「んな言葉に騙されるとでも思ってるんですかー?」

初美「実際、湧ちゃんの事を優先して、私に最悪な提案をしてますよね」

初美「それは一体、どう説明するつもりですかー?」

京太郎「…それは」

それでも京太郎が言葉に詰まるのは、彼も半ば湧に脅されているからこそ。
初美を説得出来なければ、拉致してでも手に入れるとそう断言されている事を、今の彼女に伝えればどうなるか。
静かに、けれど、ハッキリと怒っている初美は、その感情を自分ではなく湧の方に向けてしまうだろう。
結果、二人が仲違いするところまで容易く想像出来るだけに答えに窮してしまうのだ。


初美「…やっぱり京太郎君もあのマダオと同じです」

京太郎「え?」

初美「私の事よりも自分の事ばっかり…」

初美「…私の事なんて本当はどうでも良いんでしょう?」

京太郎「っ!違います!俺は!!」

初美「何が違うって言うんですかー!」

初美「この…!ロリコン!変態!!浮気症!!!」

その間にポツリと漏れた言葉は怒りではなく、悲しみからのものだった。
声のトーンこそ変わらないが、その中に込められている感情は180度違う。
そうハッキリと感じる初美の言葉に、京太郎は反射的に声をあげた。
だが、それで初美が納得するなら、話はこうまで拗れてはいない。
京太郎の反論に初美は罵りを口にしながら、彼の身体から立ち上がって。

初美「…………ホント、馬鹿みたいじゃないですかー」

初美「私…これでも結構、今の関係が楽しかったのに…」

初美「一時だけの…お遊びのようなものでも…」

初美「霞ちゃんでも…はるるでも…姫様でも手に入れられない場所に座る事が出来て…」

初美「本当は…心の底から喜んでたんですよー?」ギュ

京太郎「初美…さん…」

そこで初美が作る握り拳はあまりにも力のないものだった。
今の彼女の中では怒りの感情が弱まり、代わりに悲しみが勢いを増している。
やはり自分は誰にも愛される事はないのだと。
女の幸せなど到底、望むべきではなかったのだと。
そんな自嘲とも絶望ともつかない声が彼女の小さな胸を支配する。


初美「…こんな事言われるなら、最初から全部なかった方がマシでしたよ」

初美「婚約なんて形だけのモノだって破棄してくれた方が…」

初美「下手に希望なんて持たされない方が…ずっとずっと楽だったのに…」

初美「…その程度の気持ちなら…どうして…」

初美「どうして…あんな事言ったんですかー!?」クル

京太郎「あ…」

そこで堪えきれずに振り返った初美の目には涙が浮かんでいた。
勿論、彼女も京太郎が自分の事を好いてくれていると思っていた訳ではない。
しかし、『婚約者』と言う唯一無二の立場は、初美にとって特別であり、拠り所でもあったのだ。
それを愛しい男手ずから壊されたのだから、こみ上げる熱いものを止められない。
泣いてはダメだとそう分かっているのに、その目尻に涙を溜めてしまう。

初美「それさえなければ…こんなに心乱す事なかったのに…」

初美「どうして…!!」

京太郎「そんなの初美さんが大事だからに決まってるじゃないですか」

初美「嘘つき…!どうせ湧ちゃんの時みたく流されただけでしょう!!」

京太郎「嘘じゃないです。俺は本当に…」

初美「だったら、どうして湧ちゃんに期待を持たせる事言うんですか!」

初美「私の事が大事なら…いえ、せめて婚約者として私を受け入れてくれているなら!!」

初美「そこは断るべきところでしょう!!」

京太郎に投げかけるその言葉には再び怒りの色が強くなっていく。
今の彼女にとって、京太郎の言葉はただの誤魔化しにしか思えないのだ。
どうして、と言う根本の部分を説明されていない以上、心から信じる事が出来ない。


京太郎「…………それが出来ない状況だったからです」

京太郎「わっきゅんを受け入れなかったら、俺は襲われてました」

京太郎「いえ、下手をすれば、今、ここにいる事さえ出来てなかったかもしれません」

京太郎「それくらいに…切羽詰まった状況でした」

もう京太郎に言葉を選んでいられるような余裕はなかった。
今の彼女は自分の言葉にさえ傷つくほど、ナイーブな状態なのだから。
そんな婚約者の前で、事実を誤魔化し続ける事など出来るはずもない。
真正面から事実をぶつける以外に、その悪循環を止められる方法を京太郎は思いつかなかった。

京太郎「…その上、俺はここで初美さんを納得させられなければ、わっきゅんに拉致されます」

初美「はい?」

京太郎「少なくとも、わっきゅんにそう言われました」

京太郎「そして、それは俺が決して嘘や冗談の類ではないと思っています」

京太郎「それくらいの覚悟で臨まれていたのは俺が良く知っていますし…」

京太郎「何より…その…十曽の家は色々と特殊みたいなので」

初美「あー…」

気まずそうに漏らす京太郎の言葉を、初美は嘘だと思えなかった。
浮気相手として湧を認めろと口にした京太郎に思わず冷静さを失ってしまったものの、十曽家の肉食性は彼女も良く知っている。
自身の本能を目覚めさせた相手と結ばれる為には実力行使も辞さない彼女たちが、婚約程度の壁で止まるはずがないのだ。
むしろ、覚醒した十曽の女を前に良く逃げ出してこれたものだと、今更ながらそう思ってしまう。


京太郎「わっきゅんは俺でないとダメだと言いました」

京太郎「俺以外の人は好きになれないし、子どもを作る事すら出来ないのだとも」

京太郎「それが嘘かホントかは分かりませんが、彼女はそう信じているみたいです」

京太郎「……そして情けない話ですが、俺はそんなわっきゅんから逃げきれる気がしません」

京太郎「ただでさえ、実力がかけ離れている上に…あっちは実家のサポートも完備ですから」

初美「…まぁ、個人での犯行ならばともかく、実家ぐるみで隠されちゃうとどうにもなりませんね」

京太郎「えぇ…」

瞬間、京太郎がそっと肩を落とすのは、敵戦力が膨大だからこそ。
自身よりも格上である湧のみならず、彼女の母親まで敵に回るのは確実なのだ。
その上、一人一人が暗殺拳の使い手である門下生や、何だかんだで湧に甘い父親も敵になるかもしれない。
神代家頭首と言う後ろ盾こそあれど、物理的な戦力に乏しい京太郎に、十曽家をどうこうする術はなかった。

京太郎「…正直、こんな脅迫めいた事を言いたくありませんでした」

京太郎「出来れば…俺が悪者になるだけで済ませておきたかったんです」

京太郎「が、その所為で、初美さんに誤解させて、傷つけさせて…」

京太郎「本当に…申し訳ありませんでした」ペコリ

初美「……」

土下座。
再び身体一杯使って謝罪を示す京太郎に初美はなんと言えば良いのか分からなかった。
求めていた答えを手に入れた今、京太郎の言葉を信じられない訳ではない。
きっと彼も辛い立場にあったのだろうと今ではそう思える。


初美「(……でも、ここで簡単に許すには、ちょっと色々と取り乱しすぎたのですよー)」

初美「(恥ずかしいところもおもいっきり見せちゃいましたし…あーもー…もぉぉぉぉ…)」

初美「(誰か数分前からやり直す方法とか教えてくれないですかねー…)」

京太郎は決して自分の事を蔑ろにした訳ではなかった。
むしろ、絶対的な危機を前にして、最大限、自分を慮ってくれていたのである。
それを知らずに、思いっきり当たり散らしてしまった過去を、初美は抹消したくて仕方がなかった。
もし、その方法を教えてもらえるならば、全財産を捧げても構わないとそう思うほどに。

初美「…………つ、つまり…アレですか」

初美「京太郎くんは私の事が…好きだって言う事ですかー?」

京太郎「…はい」

初美「ふぇっ!?」ビク

しかし、どれだけ初美が心の中で思っても、やり直すオカルトなど手に入ったりはしない。
だからこそ、重苦しくも気恥ずかしい雰囲気を何とかしようと冗談めいた言葉を口にする。
だが、決して本気ではなかったそれに返ってきたのは、京太郎の真剣な言葉。
たった二文字で示される肯定の意に初美は驚きを隠せなかった。


京太郎「ぶっちゃけ…俺も意外でした」

京太郎「初美さんの事は尊敬していましたけれど…喧嘩友達って言う面も強くて」

京太郎「正直、そんな風に意識しているつもりはあまりなかったんですけれど」

京太郎「でも…ここ最近、色々とあって…痛感しました」

京太郎「俺にとって初美さんは…特別な人なんだなって」

京太郎「婚約者になった時から、俺にとって絶対に護らなきゃいけない人になったんだなって」

初美「あ…ぅ」モジ

京太郎「それが異性としての好きなのかはまだ分かりません」

京太郎「でも、俺にとって初美さんは他の皆と少し違います」

京太郎「わっきゅんにどれほど誘惑されても…譲りたくはない」

京太郎「そう思う俺の心には…間違いなく初美さんがいました」

初美「ちょ、も、もう良い!もう良いのですよー!」

土下座しながら放たれるその言葉はあまりにも明け透けなものだった。
普段、言葉での殴り合いをしているとは思えないほど素直でストレートな言葉に初美の方が耐え切れなくなる。
最初は気恥ずかしそうにモジモジと揺らしていた身体を硬直させ、京太郎にストップの声を掛けた。


初美「…ほ、ホント、京太郎君は卑怯者なのですよー」

初美「そこまで言われて、許さないなんて言えるはずないじゃないですかー」

初美「仕方ないですし、許してあげます」

京太郎「…初美さん」

初美「いーからとっとと顔をあげなさい」

初美「男が一日に二度も土下座なんてするもんじゃねーですよー」

そう京太郎を促す初美の顔は未だに真っ赤だった。
表面上は何とか何時も通りに取り繕う事は出来ても、その肌に浮かぶ感情はどうにもならない。
こうして話題を打ち切った後も、京太郎の言葉が胸中で響き続ける。
まるで反響するようなそれに、初美の頬は今にも緩みそうになっていた。

初美「……それに今回は情状酌量の余地があるみたいですしね」

初美「ぶっちゃけ、まだ許せない気持ちがない訳じゃないですが」

初美「私は聖母のように優しいので、そのくらいは飲み込んであげようじゃないですかー」

京太郎「…ありがとうございます」ホッ

そこまで言われて、京太郎はようやく上体を起こした。
瞬間、彼の口から安堵の吐息が漏れる。
最初に予想していたよりも深刻な事態になりかけたが、どうにか収束に近づく事が出来たらしい。
一時は初美との破局さえ見えていただけに、京太郎の安堵はとても大きいものだった。


初美「そ、そこで素直にお礼と言われると調子が狂っちゃうですよー」

京太郎「…とは言え、俺が初美さんに滅茶苦茶言ったのは事実ですし」

初美「言わされた、の間違いでしょう?」

初美「ぶっちゃけ、元凶は湧ちゃんの方なのですよー」

京太郎「それは…まぁ、そうなんですけれど…」

初美「…大丈夫ですよ。別に湧ちゃんの事が嫌いになった訳じゃありませんし」

こうして事実を口にした以上、初美と湧が仲違いをするのではないか。
そう心配する京太郎に、初美は杞憂だとハッキリ口にする。
勿論、まったく思うところがない訳ではないが、それは敵意に繋がったりはしない。
むしろ、肉食獣の狩猟本能めいた想いをこれまで良くぞ我慢してくれていたものだとさえ思う。

初美「そもそも今のシステム自体、十曽の子には合わないものですしねー」

京太郎「え?」

初美「…何でもないのですよー」

初美「ま、言えるのは…私自身、かなり卑怯な立場にいるって事です」

初美「京太郎君に流されたとは言え、湧ちゃんの事をとやかく言えないくらいに」

京太郎に惚れ込んでいるのは、湧や初美だけではない。
今や、この屋敷に暮らす全ての少女たちが京太郎を愛しているのだ。
そんな中、婚約者と言う唯一無二の居場所を手に入れてしまった自分が、彼女たちを悪しように言えるはずがない。
妹分である春が我慢強くなければ、京太郎との婚約が成立した時点で刺されていてもおかしくはなかっただろうと思う。


初美「(…ま、そんなに重要な立場だからこそ、それが奪われるんじゃないかって思って)」

初美「(さっきはおもいっきり取り乱しちゃったんですけれどねー)」

初美「(って思い返すんじゃなかった…)」カァァ

初美「(アレは黒歴史なんですから、可能な限り、早く忘れるのですよー…!)」フルフル

京太郎「?」

突如として目の前で顔を赤くし、その身体を震わせ始める初美。
そんな彼女に京太郎が不思議そうな目を向けるが、彼女はそれに答えようとはしなかった。
ここで掘り返しても、きっと微妙な事にしかならない。
そう分かっているからこそ、彼女は京太郎へと視線を戻して。

初美「(…それに今は)」ストン

京太郎「初美さん?」

そこで初美が選んだのは再び京太郎の膝に腰を下ろす事だった。
しかし、それはさっきと違い、彼に背中を向けるものではない。
真正面から向き合い、その顔を近づける。
瞬間、頬が再び熱を強くするのを感じるが、初美は逃げようとはしない。
背中に回そうと空中で遊んだ手を、数秒ほど迷った後に彼の肩へと伸ばした。


初美「い、いや、別に他意はないんですけれど…」

初美「えぇ、まったくないですけど…でも、話も一段落した訳ですし…」

初美「今は仲直りの時間かなってそう思うんですが、どうでしょう」

初美「って言うかそう思えじゃないとレバー打ちするですよ」

京太郎「脅迫かよ」

照れ混じりに、しかし、最後は一息に言い切った初美の言葉。
それにツッコミを入れながらも、京太郎の顔も赤くなっていた。
あまりにも可愛げのないその言葉が婚約者なりの照れ隠しである事を彼は良く分かっているのだから。
その上、こうして対面座位のような姿勢になっていれば、自然と胸もドキドキしてしまう。

京太郎「まぁ、盛大に迷惑掛けまくったのは俺の方ですし、吝かじゃないですが」

初美「吝かじゃないぃ?」ギロ

京太郎「わーい初美さんと仲直り嬉しいなー」

初美「…ちょっとどころじゃなく棒読みなのが気になりなりますが、まぁ許したげるのですよー」

京太郎「そうやって細かいところ気にするから、胸がでかくならないんだよ」ポソ

初美「きーこーえーてーるーのですよー」キリキリ

京太郎「あいててててて」

京太郎の呟きに、初美は彼の耳へと手を伸ばした。
そのままグっと引っ張る彼女の指先には、ソレ以外の力は入っていない。
こうして憎まれ口を叩き合うのは、彼らにとって日常なのだから。
じゃれあいめいた彼の呟きに本気で怒るほど初美は狭量な女ではなかった。


初美「ったく…これだけ可愛い婚約者を貰って、文句つけるだなんて贅沢な男なのですよー」

京太郎「…まぁ、文句と呼べるほどのもんじゃありませんけどね」

京太郎「初美さんが頼れて、一緒に居て楽しくて、家事も万能で可愛くて…と非の打ち所のないのは事実ですし」

初美「は…?」

その後に続けられる言葉は、二人にとっての『日常』とは少しズレているものだった。
初美の知る京太郎ならば、ここで彼女の事を可愛いと言ったりしない。
むしろ、胸のなさを論う事くらいはして見せる男だった。
そんな彼がこうして本心を口にするのは、偏に二人の関係が変わったからこそ。

初美「な、何をいきなり言うんですかー…」

京太郎「さっき怒らせたんでご機嫌を取ろうかと」

初美「ほーぅ?」ポキポキ

京太郎「ごめんなさい、嘘です、本気で言ってます」

ポキポキとこれみよがしに指を鳴らす初美に京太郎は謝罪を口にした。
即座とそう言っても良いその反応は彼女の仕草に本気の色が浮かんでいるのを感じ取ったからこそ。
初美に本気で殴られたところでそれほど痛くはないものの、京太郎は彼女を怒らせたい訳ではないのだ。
結果、照れ隠しに誤魔化してしまった事を詫びる京太郎の前で、初美は呆れるような顔を見せる。


初美「…言っときますけど、急に恥ずかしくなって誤魔化すとか超格好悪いですからね?」

京太郎「し、仕方ないじゃないですか」

京太郎「俺だって…その色々と意識してるんですよ」

初美「意識って?」

京太郎「色々ですよ、色々」

彼女の婚約に突っ込むまで、京太郎にとっての初美は悪友めいた立ち位置にいた。
誰よりも早く仲良くなった彼女に、京太郎は甘えるようにして遠慮のない言葉を投げかける事が出来たのである。
だが、今の二人はそこから一歩進み、婚約者という関係になった。

京太郎「(んで、俺は初美さんのコンプレックスを知ってしまったんだよな)」

平均よりも遥かに小柄な身体。
そこから発生するハンデは、彼が最初に考えていたよりも遥かに大きいものだった。
結果、碌でもない男と無理矢理、結婚させられるところだった初美を、ただ悪しように言う事は出来ない。
彼女の魅力をよく知る京太郎にとって、それは恥ずかしながらも伝えなければいけない事だった。


初美「…その色々を聞かせて欲しいんですけれど」

京太郎「…察してくださいよ」

初美「やだなー。私がそんな察しの良い女な訳ないじゃないですかー」

京太郎「俺、初美さんはかなり敏い人だと思ってるんですけれど」

初美「それは過大評価ですね!」キリッ

その顔をキリリと引き締める初美の言葉は勿論、嘘だ。
京太郎が意識している何かに彼女はもう勘付いている。
だが、内心で生まれ出たその答えだけで、初美は満足する事が出来ない。
一人の女としてハッキリとそれを言葉にして欲しくなる。

初美「ま、察しの良い子は霞ちゃんにはるるに巴ちゃんにと供給が一杯ですし」

初美「バランスを取る為にも、私はこうやってグイグイ行くタイプの方が良いと思うんですよ」

京太郎「そんなバランスを取る必要はないんじゃないっすかねぇ」

初美「いやいや、バランスは重要ですよ」

初美「全員大人しい子だったら話も需要も固まってしまいますし」

初美「やはりカンフル剤として積極的に押す子は必要不可欠ですー」

京太郎「創作の話と現実の話を一緒にするのはどうかと思いますよ」

初美「でも、私達皆が巴ちゃんみたいなタイプだと京太郎君も息が詰まるでしょう?」

京太郎「それは…」

京太郎にとって狩宿巴と言う少女は決して嫌いな相手ではない。
むしろ、その努力家な有り様には心からの好感を覚えているし、尽くしたがりな性格には何度も助けられている。
しかし、だからと言って、周囲全てが巴に変わった環境が居心地の良いものになるとは思えなかった。
察しが良く、こっちの欲求に先回りして答えてくれる巴が七人もいれば、間違いなく自分は骨抜きになってしまう。
巴抜きでは生きていけなくなり、彼女たちに縋る光景がまざまざと脳裏に浮かんで来た。


初美「はい。口篭ったってことで私の勝ちですねー」

京太郎「そんなルールだったんですか」

初美「私が今、決めました!」

京太郎「勝利条件まで決められちゃ俺に勝ち目ないじゃないっすか…」

初美「ふふーん。京太郎君如きが私に勝とうだなんて百年早いのですよー」

初美「私と婚約した以上、一生、尻に敷いてやるので覚悟するのですー」

京太郎「はいはい。初美さんみたいな美少女の尻に敷かれて光栄ですよ」

初美「そんな言い方じゃ愛が足りないですね!」

京太郎「えー…」

不満気に声を漏らす京太郎の前で初美は大きく胸を張った。
まったく膨らみのない胸部を強調するような姿勢のまま初美は自慢気に口を開く。


初美「やっぱりここは罰ゲームとして、もっと熱っぽく私に愛を語るべきだと思うのですよー」

京太郎「罰ゲームで愛を語られて満足なんですか」

初美「…ま、まぁ、その…さっきもそうでしたけど、マジに語られるとこっちが恥ずかしいってのもありますし」

初美「それに…京太郎君が意識してるってのもそれ関係なんでしょう?」

京太郎「…やっぱ察してくれてるじゃないですか」

初美「何の事ですかー?」ニコ

京太郎「……面の皮が厚い婚約者を持てて俺は幸せですよ」

初美「私は愛の言葉を冗談でさえ口にしてくれない男が婚約者で不幸ですねー」

自身を不幸だとそう言う初美の顔は、決して暗いものではなかった。
遠慮のない言葉を投げかけながらも、彼女はこうしたやり取りを楽しんでいるのだから。
その声音も明るい今の初美を不幸だと思うものは誰一人としていないだろう。


京太郎「あー……もう、分かりましたよ」

初美「ふふ。最初からそう言ってれば、変に恥ずかしい思いをしなくても済んだのですよー」

京太郎「…仕方ないじゃないっすか」

京太郎「今までが今までだったんで、そうそう素直にゃなれんです」

京太郎「つーか、初美さんの方だって全然、素直じゃないですし」

初美「素直じゃない女の子はツンデレと言う言葉で全てが肯定されるんでオッケーなんですよ―!」

京太郎「…いや、まぁ、確かに男のツンデレよりはずっとマシですけれどね」

そこで肩を落とす京太郎には、未だ羞恥心が残っていた。
こうして追い込まれたとは言え、初美の前で素直になるのはやはり恥ずかしい。
だが、さっき初美を傷つけたと言う負い目もある彼が、初美の攻勢から逃れられるはずなかった。
こうも婚約者が望んでいるのだから、少しくらい素直になっても良いのではないか。

京太郎「(何より、俺はさっき初美さんの事を特別だってハッキリ言った訳だしな)」

京太郎「(あの時はかなり追い詰められていたから、ついつい言っちゃった面もあるけれど)」

京太郎「(でも、一度、言った言葉を補強するだけなんだから、そんなに恥ずかしがる必要はない)」

京太郎「(勢い任せとは言え、一度、出来たんだから、問題なく口に出来るはずだ)」

京太郎「……その、なんつーかですね」

京太郎「普段、色々と言ってますが…俺と初美さんは婚約者な訳ですし」

京太郎「こうして顔が近いとやっぱり意識しますし、ドキドキもします」

初美「へ、へぇー…」

京太郎「つーか、初美さん、可愛いんですよ」

京太郎「その上、目の前でコロコロ表情変わって、飽きませんし…」

京太郎「こんだけ近いと良い匂いもするしで、ぶっちゃけ、役得だって言っても良い状況です」

初美「あ…うぅ…」カァァ

そう自分に言い聞かせた京太郎の言葉に、初美は自身の紅潮を抑える事が出来ない。
最初はまだ京太郎の告白に、平静を保とうとしていたが、今はもうそんな気持ちさえ吹っ飛んでしまった。
彼女が嬉々として踏み込んだそこは、京太郎だけではなく初美までも巻き込む地雷原だったのだから。
京太郎が口にする言葉一つ一つに、心が喜び、身体が落ち着かなくなる。


京太郎「最初はちゃんと婚約者としてやっていけるのかって不安に思ってましたけれど」

京太郎「正直なところ、俺は今、別の意味で不安です」

京太郎「…こうしているだけで初美さんから女を感じてしまって…」

京太郎「自分の性癖が変わっちゃいそうで危機感を感じる俺がですね」

初美「~~~っ!!」マッカ

京太郎「だから…その、さっき言ったのもあながち嘘じゃないんですよ」

京太郎「俺は初美さんが普段言っている通り、鈍感でヘタレな奴ですから」

京太郎「しっかり者の初美さんならちゃんと俺の事支えてくれるでしょうし」

京太郎「一生、尻に敷かれるのも悪くないと思ってます」

京太郎「なので…」

初美「すすすすすすすすすとっぷ!!」ビシ

結果、今回も初美の方が先に耐えられなくなってしまう。
その紅潮がドンドン強くなっていく初美の前で、未だ言葉を続けようとする京太郎に初美は手のひらを突きつけた。
無論、彼女の中にも続きを聞きたい気持ちはあるが、これ以上はあまりにも恥ずかしすぎる。
まさかここまで真面目に応えられると思っていなかった初美にとって、それはもう羞恥プレイと言っても良いものだった。


京太郎「…もう止めちゃって良いんですか?」

初美「や、止めてくれないとこっちがどーにかなっちゃいそうなのですよー…」

初美「つーか、マジ過ぎると恥ずかしいって言ったじゃないですかー」

京太郎「すみません。俺、察しが良くないんで」キリ

初美「ぐぬぬぬぬ…」

赤くなった顔のままチラリと物言いたげに送られる初美の視線。
それに京太郎は、さっきの初美と同じくキリリと引き締まった顔を見せる。
自身を察しの良くないと言いながらのそれは、彼なりの意趣返し。
それを理解する初美は悔しそうな声を漏らした。

初美「京太郎君の癖に生意気なのですよー」

京太郎「と言われても、俺は初美さんのリクエストに応えただけですし」

京太郎「生意気なんて言われるのは心外です」

京太郎「むしろ、自分からストップをかけちゃう初美さんがヘタレなだけじゃないでしょうか?」

初美「調子に乗って、また色々と言ってくれてるじゃないですかー…!」

初美「ほ、本当は京太郎君の方も…ど、ドキドキしてる…癖に…」モジ

京太郎「(やべ)」

瞬間、初美が見せるのは悔しさと羞恥心、そして何より嬉しさが入り混じったものだった。
京太郎がドキドキしているのだとそう返すだけで、さっきの羞恥心を思い出すようなそれは、とても可愛らしい。
普段の小生意気な姿が何処に言ったのかと思う前に、身体が初美の事を抱きしめそうになる。
何処か本能めいたそれに思考と羞恥心はストップを掛けたものの、体が覚えた胸の高鳴りは決して消えなかった。


初美「な、何を黙ってるんですかー?」

京太郎「あー…いや、その…今の初美さんが可愛かったんで」

京太郎「ちょっと見惚れたって言うか…ドキッてしました」

初美「っ!!」カァァ

少し照れが混じった京太郎の言葉に、収まりつつあった紅潮が再び勢いを増した。
その頬だけではなく額まで真っ赤にした彼女は、彼から視線を逸らしてしまう。
そんな事をしては京太郎に誂われるかもしれないと思いながらも、今の彼女は彼を直視出来ない。
反射的に京太郎から離れないよう、彼の肩を掴む手に力を込めるのが精一杯だった。

京太郎「つか、もって事は初美さんもドキドキしてるんですか?」

初美「ば…馬鹿言うんじゃないですよー!」

初美「京太郎君如きに私をドキドキさせられる訳ないじゃないですかー!」

初美「私をドキドキさせたいならア○ノルド・シュワルツェネッガーくらい連れてくるのですー!!」

京太郎「流石にハリウッドスターを連れてくるのは無理ですねー」

初美「って言う事は、一人で勝手にドキドキしてる京太郎君の負けですね!」

初美「ふ、ふふ…また勝ってしまったのですよー」

初美「まったく…敗北が知りたいくらいなのですー」

京太郎「はいはい。初美さんの勝ちで良いですよ」

一息に勝利宣言までしてみせる初美は未だ京太郎と顔を合わせられない状態だった。
その言葉を普段通りの小生意気なものにしながらも、顔は未だに真っ赤である。
そんな状態で勝ち誇られてムキになるほど、京太郎は勝負に執着してはいない。
むしろ、精一杯、自分の膝の上で強がろうとする初美に微笑ましそうな目を向けていた。


京太郎「で、今度はどんな罰ゲームをすれば良いんです?」

初美「え?」

京太郎「さっきと同じように初美さんの事を好きだって言えば良いですか?」

京太郎「それとも初美さんを褒め称える歌でも作ります?」

京太郎「或いは今度こそドキドキして貰えるよう抱きしめたりしましょうか?」

初美「だ、抱き…!?」

京太郎「その他、何でも初美さんの言葉に従いますよ」

京太郎「負けてしまった以上、言う事聞くのは当然ですしね」

初美「うぅぅぅ…」

それは奇妙な光景だった。
勝って京太郎への命令権を持つ初美が気圧され、負けて命令される側の京太郎が余裕を見せている。
まるで価値観が入れ替わったようなそれは、初美が京太郎の提案に惹かれてしまうからこそ。
胸中の大半を支配する羞恥とほぼ同じだけの興味が彼女の中に湧き上がってきている。


初美「(く…こ、このままじゃ良いようにされっぱなしなのですよー…!)」

初美「(何とか…何とか主導権を奪い返さないと…!)」

京太郎「…さぁ、どうしたんですか」ニヤ

京太郎「早く俺に命令してくださいよ」ニヤニヤ

初美「(何時迄もこのにやけっ面を見せられる事になるのです…!!)」グッ

自身を地獄の未来から救い出してくれた京太郎に、初美は一人の少女として恋をしている。
元から整っている彼の顔立ちは、今、恋慕補正によって数割増しで格好良く見えた。
しかし、だからと言って、目の前でこれ見よがしににやけてみせる京太郎の事を受け入れる事は出来ない。
そんな顔も魅力的だと思う以上に、初美の中のプライドが刺激されてしまうのだ。

初美「(今の京太郎君は…私を…この私を舐めている…!)」

初美「(普段、ヘタレまくりな癖に、私に勝ったと良い気になってるのですよー…!)」

初美「(その借りは…必ず返さないと気が済みません…!!)」

初美「(だから…っ!!)」

初美「……じゃあ、一つお願いがあるんですけれど」

京太郎「何でしょう?」

初美「…湧ちゃんにされた事、洗いざらい私に言いなさい」

京太郎「え゛っ」

初美の言葉は京太郎にとって予想外なものだった。
幾ら鈍感な京太郎と言えど、彼女が湧に嫉妬していた事くらい理解しているのだから。
だからこそ、具体的な内容まで踏み込まなかった彼の前で、初美が真実を要求している。
それに声を詰まらせる京太郎の前で初美はビシリと指を突きつけた。


初美「よもや婚約者の私に言えない…なんて事はないでしょうね?」

京太郎「ま、まぁ…言えない、なんて事はないですけれど」

初美「…なんですかー、その反応は」

初美「やっぱり湧ちゃんと一線超えちゃったんじゃ…」

京太郎「超えてませんって」

初美「どーだか」

初美「女の子と違って、男は幾らでも嘘が吐けますしねー」

ジト目になりながら、初美はそういうものの、その胸中が変わった訳ではない。
京太郎と湧は一線を超えていないだろうという確信は、未だ彼女の中にもあった。
それでもこうして疑惑の目を向けるのは、京太郎に仕返ししたいから。
そして、何より ――

初美「(色々と思うところはありますし…聞けば苦しくなるだろうなと分かってますけれど)」

初美「(でも、これって決してなあなあにしてはいけない事じゃないですよー)」

一体、昨夜の二人に何が起きたのかは初美には分からない。
だが、それでも京太郎が湧を初美公認の浮気相手にしようとするほどの『何か』が起こったのは確実なのだ。
婚約者としては、それを把握するのはとても大事な事だと初美は思う。
彼女にとって、それは浮気に他ならないのだから。
京太郎の所有権を公言出来る立場ではないとは言え、寝取られたままで良しとするほど初美は大人しいタイプではない。


初美「ま、ともかく、その辺、判断するのは私ですー」

初美「京太郎君はキリキリ吐けば良いのですよー」

京太郎「…分かりましたよ」

京太郎「でも、あんま無理しないでくださいね」

京太郎「昨夜の事を隠したいって訳じゃなくて…初美さんの事が心配ですから」

初美「京太郎君の分際で、私の事を心配するなんて100年早いのですよー」ペチペチ

京太郎「流石にそれは酷い扱いじゃないっすかね」

初美「浮気した京太郎君に人権なんてあると思ってるんですかー?」

京太郎「…ありませんよね」

ペチペチと自分を軽く叩く初美の言葉を、京太郎は否定する事が出来なかった。
致し方ない事情があったとは言え、京太郎は湧を婚約者公認の浮気相手にしたのだから。
女の敵だと罵られて当然の事をしている以上、初美に刺されても文句は言えない。
そう自覚する京太郎に出来るのは、彼女の言葉をまるごと全て受け入れて、肩を落とす事だけ。


京太郎「じゃあ、観念して話していきますね」

初美「あ、ちょっと待ってください」ポチポチ

京太郎「え?」

初美「よし。録音準備完了なのですー」

初美「これでいざって時に裁判所に提出する証拠もばっちりですね!」

京太郎「(が、ガチだ…!!)」

そんな京太郎の前で、初美は懐からスマホを出した。
そのまま録音機能を起動する彼女に、京太郎の背筋は冷や汗を浮かべる。
勿論、初美も本気で婚約解消に関する民事裁判を起こそうとしているのではない。
こうしてこれ見よがしに録音しようとしているのも、自身を追い詰める為だと彼も分かっている。


京太郎「(だけど、こうして録音されると…)」

京太郎「(話す言葉に困るって言うか…ついつい躊躇いが強くなって…)」

京太郎「(頭の中で考えていた話の順序とか全部、吹っ飛んだんですけれど…!)」

初美「ほーら、何をビビってるですかー?」

初美「特に後ろめたい事がないのなら録音されても問題ないはずですよね」

初美「なのに、録音しようってなった瞬間、黙りこむって事は…」ジィィ

京太郎「い、いや、まったく後ろめたい事がない訳じゃないですけれど」

京太郎「でも、俺は初美さんに嘘を吐いてないですよ」

初美「じゃあ、録音されてても正直に告白出来ますよね?」

京太郎「えぇ。勿論です」

とは言え、ここで下手に躊躇っていると、余計な不信を買ってしまう。
自分は既に憎まれてもおかしくはないだけの事をしているのだから。
これ以上、彼女の不興を買って、数年後の結婚生活を不幸なものにしたくない。
そう自分に言い聞かせた京太郎は録音されているという事実を意識の外へと放り出す。


京太郎「…まぁ、それで俺はわっきゅんを大人しくさせる事に成功したんですが…」

初美「……」

京太郎「初美さん?」

それから京太郎が語る出来事は、初美にとってあまりにも面白くなさすぎるものだった。
無論、彼も決して望んでそのような状態になった訳ではない事くらい分かっている。
いや、京太郎だけではなく、湧にとってもそれは不本意なものだっただろう。
元々、湧は真面目で、人に対する思いやりも強い少女なのだから。
タガさえ外れなければ、京太郎を何度も逆レイプしようとはしなかったはず。

初美「(…ですけれど、それとこれとは話が別って言うか)」

初美「(頭では納得しても、心の方が納得しないのですよー…!)」

京太郎も湧も、被害を最小限に食い止めようとしていた。
そして、事実、それに成功したのだろうという思考は初美の中にもある。
しかし、それとは別に、彼女の女としての部分は納得出来ない。
どうして婚約者である自分よりも先に、湧が同衾しているのか。
キスされているのか、抱きしめられているのか、押し倒されているのか、肉棒を押し付けているのか。
そんな無数の疑問と不公平感が彼女の胸中を埋め尽くしていた。


初美「……とりあえず京太郎君が潔白だって事は分かったのですよー」

京太郎「そうですか…」ホッ

初美「まぁ、それはそれとしてギルティですけれどね!!!」

京太郎「ですよねー」

当然、初美の中に京太郎を許すと言う選択肢があろうはずもない。
覚悟していた以上のアプローチが湧からされていたのもあって、どうしても声を荒上げてしまう。

初美「つーか、京太郎君、ヤられ過ぎですよー!!」

初美「我慢我慢我慢って…痴漢されてる女学生ですかー!!」

初美「我慢してたら大人しくなるどころか調子に乗らせるに決まってますよー!!!」

京太郎「いや、まぁ…初美さんの言う事は正しいと思うんですが」

京太郎「あそこで下手に抵抗するとわっきゅんがガチで容赦しなくなりそうだったんで…」

京太郎「何とか譲歩と妥協を繰り返して時間を稼ぐしかなかったんですよ…」

初美「それは…そうかもしれませんけれど…」

申し訳なさそうな京太郎の言葉に、初美の勢いも削がれる。
不機嫌さを思いっきりぶちまけこそしたものの、彼が苦しい状況の中で足掻きに足掻き続けた事くらい理解しているのだ。
そんな彼の言葉に容易く否と返す事は初美には出来ない。
彼女は衝動任せに京太郎を責めるには、本気になった十曽の女を知りすぎているのだ。


初美「……でも、ぶっちゃけ、すっごく…すううううううううううううっごく面白くないのですよー」

初美「今の私がどれだけモヤモヤしてるか分かりますかー?」

初美「これだけ頭と感情が別れてぶつかってるのなんて…初めてなくらいですー…」

京太郎「…初美さん」

初美「勿論、突っ込んだ私の自業自得と言えば自業自得なんですけれどね」

初美「でも…だからと言って、モヤモヤが晴れれば苦労はしないのですよー」

初美「…多分、婚約者を寝取られた気分ってこういうのを言うんでしょうね…」ハァ

京太郎「えっと…」

結果、初美はその勢いを弱めながらも、愚痴るような言葉を止められなかった。
勿論、こんな事を京太郎にぶつけてもどうしようもないって事くらい分かっている。
さりとて、今の彼女はそれを胸中に押さえ込めるほどの余裕がないのだ。
心の奥底から湧き上がるため息さえ誤魔化せない彼女の前で、京太郎は狼狽を浮かべる。

京太郎「すみません。俺に出来る事なら何でもするんで…」

初美「だから、湧ちゃんの事許してあげてとか言ったら、幾ら仏の私でもぷっつんなのですよー?」

京太郎「流石にここでわっきゅんの事出すほど命知らずじゃないですよ」

京太郎「まぁ…出来れば、許してあげて欲しいですけれど」

初美「ほーぅ」ゴッゴッ

京太郎「ま、待って!レバーは!!レバーはやめて!!」

京太郎の言葉に初美の拳が彼の脇腹へとぶつけられる。
ゴッゴッと鈍い音を鳴らしながらのそれは、普段のモノよりもずっと遠慮がなかった。
無論、本気には程遠いが、何時ものじゃれあいほど怒っていない訳でもない。
それを感じさせる鈍い打撃に、京太郎は悲鳴のような声をあげた。


初美「まぁ…終わった事をグチグチ言っても仕方ないですしねー」

初美「許すとさっき言っちゃいましたし、水に流してあげます」

京太郎「わーい、初美さんは優しいなー」

初美「…まったく」

初美「(…優しいのはどっちなんですかー)」

それでも水に流すと初美が言えるのは、京太郎に不機嫌さをぶつけて少し気が晴れたからだ。
もし、彼が湧を許してあげて欲しいと言わなければ、自分は未だ悶々としていただろう。
それを自覚する彼女にとって、さっきの京太郎はあまりにもわざとらしすぎた。
わざと自分に大義名分を与えてくれたとしか思えない年下の男に、初美は胸中で言葉を返す。


初美「…でも、私が許しても、薄墨裁判所は別ですー」

京太郎「え?」

初美「え?じゃないですよー」

初美「これだけ浮気の証拠をベラベラ喋ってくれたのに、何もナシな訳ないじゃないですかー」

初美「さっきもちゃんとギルティと…有罪だと言いましたよね?」

京太郎「…言ってましたね」

初美「って事で、京太郎君は薄墨裁判所の定める法律に則り、罰を受けてもらうのですよー」

京太郎「じ、情状酌量や執行猶予とかは…」

初美「あると思ってるその浅はかさは愚かしいのですよー」ニッコリ

無慈悲に有罪判決を下す初美は、京太郎にニコリと微笑む。
さっきまでの不機嫌さが嘘のように明るいそれに、彼は機嫌の良さを感じ取る事が出来なかった。
その笑顔は底抜けに明るいものの、目がまったく笑っていないのだから。
まるで形だけ取り繕ったようなそれに京太郎の頬がひくつく。

初美「被告人は可愛い可愛い婚約者がいるのにも関わらず、他の女の子と浮気した罪」

初美「あまつさえ、それを婚約者へと伝えて、傷つけた罪」

初美「また詐欺師のような理屈で、公認を企んだ罪」

初美「ついでに私を誂った罪により、今日一日、私の言う事を聞く罰が与えられるのですよー」

京太郎「え?」

それは京太郎が思っていたよりもずっと軽い罰だった。
元々、彼は一日どころか一生を賭けてでも彼女に償い続けるつもりだったのだから。
自分の罪はそれくらいでなければ償う事は出来ないと彼はそう思っていたのである。


初美「なんですかー?」

初美「初美裁判所の公正な裁判に不服があるとでも?」

京太郎「弁護士もつけて貰えず、一方的に裁かれる裁判が公正な訳ないだろ」

京太郎「と言うか…そんな軽いので良いんですか?」

初美「逆に聞きますが、京太郎くんは重い方が良いんですかー?」

京太郎「まぁ…重すぎると不当裁判だって言いたくなりますけれど」

京太郎「でも、俺がしたのはその程度で許されて良い事じゃないですし…」

初美「あー…もう。分かってないですね」ギュ

京太郎「え?」

初美「……私はもう許したって言ったじゃないですかー」

初美「こうやって罰を与えるのも…まぁ、言い訳と言うか方便みたいなもんですー」

初美「幾ら鈍感だって言っても、それくらい察するべきなのですよー」

驚きの声をあげる京太郎を抱きしめながら、初美はポツリと漏らした。
元々、彼女は本気で京太郎を罰するつもりなどない。
初美は婚約者ではあるものの、その立場は一時的なものなのだから。
いずれ時がくれば、それは自分一人のものではなくなってしまう。


初美「(そんなあやふやなものを拠り所にして京太郎くんを責め立てて嫌われるよりは…)」

初美「(スキンシップの理由にした方がずっとずっと建設的ですよね)」

初美「(それに仮にも婚約者にアレコレされて黙ってるのも癪ですしね)」

初美「(湧ちゃんがつけた痕を…全部、私で上書きしてやりますとも…っ!)」

婚約者である自分よりもずっとずっと過激なスキンシップの数々。
それに初美は強い対抗心を覚えていた。
湧がそこまでやったのであれば、婚約者である自分は当然、それ以上を求めるべき。
最低限、京太郎が昨夜の事を気にしないでいられる程度の要求は必要だろう。

京太郎「あー…その、すみません」

初美「本当ですよー」

初美「幾ら京太郎くんが女心に鈍いと言っても、ここまで鈍感だと笑えないのですー」

初美「もう軽い羞恥プレイさせられたみたいで、こっちも激おこ状態なのですよー!

京太郎「本当にごめんなさい。まさかそこまで初美さんが俺に甘えたがってくれているとは…」

初美「え?」

京太郎「普段、小生意気だけど頼り甲斐があって優しい初美さんが!」

京太郎「まさかヘタレで鈍感で浮気症の俺を、それほど求めてくれていただなんて!!」

初美「わーわーわーわーわーっ!!」

突然、大仰に叫ぶ出す京太郎の声に、初美は思わず大声をあげた。
彼に対抗するようなそれは、勿論、彼の言葉が図星だったからこそ。
意図的に無視していた自分の欲求をこうも見事に言い当てられては、初美も冷静にはなれない。
こんな反応をしては図星だと分かってはいるものの、ついつい慌ててしまう。


京太郎「はは」

初美「ぬぐぐぐぐ…!京太郎くんの癖に生意気な事を…!!」

京太郎「こっちだってサンドバックじゃないんですから仕返しの一つくらいしますよ」

初美「…さっきは重く罰して欲しいだなんてマゾっぽい事言ってた癖に」

京太郎「アレはアレ。コレはコレです」キリリ

初美「…面の皮の厚さは一級品ですね」

京太郎「初美さんとお似合いでしょう?」

初美「ば、馬鹿…」カァ

クスリと笑った京太郎の言葉に、初美は顔を赤くしてしまう。
安心したのか再び生意気になった彼に、お似合いだなどと言われるとは思っていなかったのだ。
完全な不意打ちになったその言葉は初美の胸を甘くときめかせている。


京太郎「(チョロい)」

初美「…今チョロいって思ったでしょう?」

京太郎「い、いや、そんな事ないですよ」

初美「…嘘吐かなくても良いのですよー」

初美「ぶっちゃけ、私も自分でチョロいと思ったので」

京太郎「…………思いました」

初美「そーですかー」ムニー

瞬間、京太郎の頬を初美は摘んだ。
自身の言葉を肯定した彼を引っ張るその動きは、決して痛みを与えるものではない。
とは言え、決して心地良いと言う訳でもなく、京太郎は彼女に物言いたげな視線を向けて。

京太郎「あにょ、嘘ちゅかなくて良ひって…」

初美「嘘吐かなくて良いとは言いましたが、許すとは言ってないですよー?」

京太郎「おとにゃってひきょーら…」

初美「まぁ、私も可愛い子どもだったらこんな事やりませんが」

初美「喜々としてこっちを誂ってくるクソガキに容赦してやるほど大人しい性格でもないのですよー」パッ

そのまま卑怯だと訴える彼の頬から、初美はそっと手を離した。
人の事を誂ってくれた仕返しをずっとし続けるのも良いが、今はそれよりも大事な事がある。
チョロい扱いされた事も、決して本気で怒っている訳ではないのだから、この辺りで手打ちとしておくべきだろう。


初美「…ま、そんな面の皮が厚い京太郎君に第一の命令です」

京太郎「なんでしょう?」

初美「…湧ちゃんにやった事とされた事」

初美「全部、私と再現…いえ、それ以上の事をするのですよー」

京太郎「そ、それ以上って…」

初美「勿論、せ…せ、セックスまでですよー」カァァ

京太郎「うぇ…!?」

初美「さ、先に言っときますけど、私は本気ですから」

初美「つーか、婚約者でも何でもない湧ちゃんにそこまでヤられて大人しくしてたら女が廃ります」

初美「ここは格の違いを魅せつける必要がありますし…湧ちゃんと同じじゃ許さないのですよー」

そう思った初美の言葉は真剣そのものだ。
湧にした以上のスキンシップを求めるその目は、京太郎から背けられはしない。
勿論、彼女もそれがどれほど大胆な事か分かっているし、その頬は再び紅潮を見せ始めている。
それでも、こうしてハッキリと要求を突きつけるのは、決して譲れない想いがあるからこそ。


京太郎「そんな対抗心を燃やさなくても…」

初美「燃やさせたのは何処の誰なのか良く思い出してみると良いのですよー」

京太郎「いや、まぁ、俺だって事を忘れた訳じゃないですけれど…」

京太郎「でも…その、なんつーか…勢いでやるにはかなり拙いっすよ」

初美「それくらい京太郎君の婚約者になった時から覚悟してる事ですし」

初美「大体、そんな拙い事の一歩手前まで他の子としちゃったのは何処の誰なのですかー?」

京太郎「うぐ…」

かと言って、京太郎がそれを受け入れられるかは別問題だ。
彼にとって初美は家族だと言う意識が強く働いているのだから。
その上、未だ幼馴染の事を忘れられていない身で、初美との関係を先に進めて良いものか。
そう思ったが故の言葉に、にべもなく返された京太郎は言葉を詰まらせる。

初美「つーか、霞ちゃんとかならまだ100歩…いや、1000歩譲って我慢出来るかもしれませんが」

初美「相手は湧ちゃんで…言っちゃあなんですが私よりもおっぱい小さいじゃないですかー」

京太郎「どんぐりの背比べですけれどね」ポソ

初美「ほーぅ」ゴッスゴッス

京太郎「ご、ごめんなさい!」

初美の目の前でポツリと呟かれたその声は決して大きい訳ではなかった。
だが、今の初美と京太郎は今にもキス出来そうな距離で顔を合わせているのである。
幾ら小さくても、その呟きが聞き逃されるはずがない。
だからこそ、怒りを浮かべた初美が再びレバーを打ち始める衝撃に京太郎はすぐさま謝罪の言葉を口にした。


初美「まったく…よりにもよってどんぐりだなんて失礼しちゃうのですよー」

初美「良いですかー?おっぱいなんて所詮は相対評価によるものに過ぎないのですー」

初美「周りの皆がちょっと大きすぎるだけで、私は世間一般的には普通なんですからね」

京太郎「せめてバストサイズをCにしてから言えよ」

初美「漫画とかはさておき、現実だとCは十分、巨乳枠だと思うんですよー」

京太郎「AAAがそう言うんならそうなんだろうな。AAAの中では」

初美「AAAなんてサイズはないはずですけど」

京太郎「あら不思議、あるはずのおっぱいが、辺り一面見渡しても何処にもないわの略だよ」

初美「失礼な!ちょっとはあるですよー!!」

京太郎「そうやって見栄張るのは、ブラにパッド入れるのと同じくらい虚しいからやめといた方が良いですよ」

初美「…京太郎君、今日は私に命令権があるの忘れたですかー?」ニッコリ

初美「崖の上から紐なしバンジーさせてやっても良いんですよー?」

京太郎「すみません。調子に乗りすぎました」

ニコリと笑いながらの初美の顔は紛れも無く本気のものだった。
これ以上、誂ったら躊躇いなく、彼女はそれを実行に移すだろう。
そんな言葉さえ浮かばせる独特の凄みに京太郎はすぐさま頭を下げた。


初美「…で、話を戻しますけれど」

京太郎「はい」

初美「ぶっちゃけ、湧ちゃんとそこまでやれて、私と一線を超えられないって言うのは納得出来ないですー」

初美「一応、私、京太郎君の婚約者だって事くらい理解してくれてますよね?」

京太郎「勿論、分かってますけれど…」

初美「じゃあ、別に良いじゃないですかー」

初美「どの道、一年もすれば嫌でもする事でしょうし」

初美「今からやっても何の問題もないのですよー」

京太郎「その理屈、あんまりにも男らし過ぎません?」

初美「どっかの誰かがヘタレ過ぎる所為で、バランス取る為に男らしくなるしかないのですよー」

京太郎「まぁ…そういう意味でも申し訳なく思ってますけれど」

初美「…じゃあ、具体的にどうしてダメなんですかー?」

初美「しっかりとした理由を説明してくれないとこっちだって納得出来ません」

京太郎「あーその…なんつーか…」

ジィと京太郎に視線を送る初美に、京太郎は言葉を濁らせる。
一切の虚偽を許すまいとするその瞳を前に、彼はどうしても偽る事が出来なかった。
自身の中の躊躇いを言葉にするのは恥ずかしいし、申し訳なくも思うが、こうも真剣に言われるとこっちも直球で返すしかなくなってしまう。


京太郎「…初美さんと婚約した事に後悔はありません」

京太郎「それが最善だったと思ってますし、初美さんは俺には勿体無いくらいの人です」

京太郎「でも…俺の中でまだ迷いみたいなのはあるんですよ」

京太郎「これから初美さんと結婚するのが嫌って訳じゃないですし、スキンシップも楽しみにしてる俺もいるんですが…」

京太郎「…情けない話、俺の中での一区切りがついてないんです」

初美「…それはつまり」

だからこそ、一切の冗談なく、まっすぐに返す京太郎に、初美は言葉を区切った。
無論、彼女も京太郎の中での『一区切り』がどんなものなのか内心、予想がついている。
こうして彼女が言葉を区切ってしまうのも、その先が聞きたくないからこそ。
しかし、ここで明確に答えを貰わなければ、どうしても自分の中で納得する事が出来ない。
そんな言葉を胸中に浮かべた初美は一度、閉じた口をオズオズと動かして。

初美「それはこの前も言ってた好きな人の事を今も忘れられてないって事ですかー?」

京太郎「…………はい」

初美「………………」ズキッ

返ってきた肯定の言葉に、初美は胸が痛むのを感じる。
京太郎の想い人が別にいる事くらい理解していたとは言え、やはりハッキリと言葉にされるのは辛い。
彼女にとって京太郎はただの恩人というだけではなく、初恋の相手であり、婚約者でもあるのだから。
今現在、最も勝利者に近い立場の自分でさえ、京太郎は本当の愛を向けてくれてはいない。
その残酷な現実に初美は目尻を潤ませながら、俯いてしまう。


京太郎「だから、その、そういうのはもう少し後で…」

初美「……なですよー」

京太郎「え?」

初美「舐めるなって言ったんですよー」ゴゴゴゴ

京太郎「お、おうふ…」

見るからに落ち込む初美に京太郎が極力、言葉を選びながら口を開く。
彼の言葉を遮るようにして呟かれたその声は迫力に満ちていた。
まるで地の底から響くようなそれに彼は完全に呑まれてしまう。

初美「ぶっちゃけた話、そのくらいこっちだって分かってるのですよー」

初美「分かってて、その上で、京太郎君にして欲しいとそう言ってるんですー!」

京太郎「い、いや、でも…」

初美「でも、じゃないのですよー!」

初美「大体、区切りがついてないからどうだって言うんですかー!?」

初美「例え、その心に他の誰がいようが、京太郎くんが私の婚約者である事に間違いはないのですー!!」

未だ彼女の目尻には透明な粒が浮かんでおり、その胸には深い悲しみが湛えられている。
だが、今の初美は燃え上がるような怒りを原動力に口を開いていた。
小さな初美の胸を内側から焦がすようなそれは、京太郎だけに向けられているものではない。
京太郎の心に未だ根ざす恋敵に対しても、それを排除しきれない自分に対しても、等しく怒りが向けられている。
その三つの怒りを胸中で結びつけた彼女は、半ば京太郎を睨みつけながら口を開いて。


初美「私は京太郎君の婚約者になった時から覚悟を決めたと言いました」

初美「それは…京太郎君の心の中にいる誰かも全部、ひっくるめての話なのですよー」

初美「貴方の心の中に誰がいようと…私は知った事じゃありません」

初美「その誰かごと愛するつもりですし、また愛してもらうつもりですー!」

京太郎「初美さん…」

初美「大体、何時までその子の事を理由にしてるつもりですかー!」

初美「京太郎君にとっての誠意はそういうものなのかもしれませんが…」

初美「事あるごとに持ち出してたら、忘れられるものも忘れられません!」

初美「一発ぶちゅっと一線超えちゃった方が踏ん切りもつくですよー!」

彼女が口にする言葉は、湧の件を聞いた時よりも激しいものだった。
湧の時はまだ幾らか後ろ暗さもあったが、今回にはそれがまったくないのだから。
無意味な操を立て続ける彼に逆効果だとハッキリ突き付けてみせる。


初美「だから…んな風に気負うんじゃないですー!」

初美「京太郎君はもう私のモノなんですから」

初美「その心の中にあるしこりもいずれ消えます」

初美「いいえ、消してみせます」

初美「だから…私に堕ちなさい」

初美「下らない事は全部忘れて、私のモノに…なるのですよー」

京太郎「……」

その言葉を少しずつ縋るようなものにしていく初美に京太郎はどう応えれば良いのか分からない。
幾ら彼が鈍感でも、これだけ独占欲と嫉妬をむき出しにされれば、彼女の気持ちが分かってしまう。
こうして自分を縛り付けようとしているのも、コンプレックスによるものではない。
荒ぶる感情の根本には、自分への好意がある事が伝わってくる。

初美「(…って私、勢いに任せて何を言ってるんですかー…!?)」

初美「(確かにすっごく腹が立ちましたし…私の事を馬鹿にしているにも程があるとも思いましたけれど…!!)」

初美「(でも、だからってこんな事言っちゃ、霞ちゃんががががががが)」

そんな京太郎の前で、初美は心から後悔していた。
誠意の意味を勘違いしている彼に感情のまま言葉を叩きつけたのは良い。
だが、その結果、京太郎は自分の気持ちに気づいてしまったのが、ハッキリと見て取れるのだ。
彼女たちの間で結ばれた約定に違反している訳ではないが、それでも勢い混じりの告白などして他の少女達が面白く思うはずもない。


特に京太郎に対して、並々ならぬ執着を見せる霞は絶対に納得しないだろうと初美は背筋を冷たくする。

京太郎「(でも、何か言わなきゃいけないよな)」

京太郎「(遠回しってレベルじゃないけれど、初美さんは俺の気持ちをぶつけてくれたんだから)」

京太郎「(ここでだまり続ける事ほど、不誠実な事はない)」

京太郎「……初美さん」

初美「……ホント、空気読めない男ですね」ギュ

初美「普段はとやかく言いませんけど…こういう時くらい対等な婚約者として扱ってくれても良いじゃないですかー」

そんな初美にとって、京太郎の顔を直視するのはとても難しい事だった。
真正面から向き合っていたらどうにかなってしまいそうだと、逃げるようにして彼へと身体を預けて行く。
そのまま彼の胸板に顔を埋める彼女は、甘えるように言葉を漏らした。


京太郎「……えっと、初美」

初美「…ばーか。遅いのですよー」

京太郎「いや、ホント、ごめん」

初美「謝るくらいなら…私が望んでいる事してくれますよね?」

京太郎「……」

初美「京太郎君?」

京太郎「いや、やっぱ一線超えるのは無理だ」

京太郎「幾らそれを初美が望んでくれていると分かっていても…それはやっちゃいけない事だと思う」

京太郎の謝罪を足がかりに踏み込んでくる初美に、京太郎はそっと頭を振った。
勿論、勢い任せとは言え、初美も本気で自分の事を求めてくれていると分かっている。
そのキッカケは湧に対する対抗心かもしれないが、こうも彼女が暴走してしまったのは恋慕故の事。
そんな彼女を拒めば、立つ瀬をなくしてしまう事くらい京太郎も理解していた。


初美「いずれ結ばれて責任を取らなきゃいけない相手なのにですかー?」

京太郎「勿論、それは俺も分かってるし、婚約って言葉を軽視しているつもりもない」

京太郎「でも、いずれ責任を取らなきゃいけないからこそ、俺はここで踏みとどまらなきゃダメだって思うんだよ」

京太郎「責任って言うのは、身体や戸籍だけで取れるものじゃない」

京太郎「もっとこう…深いところで責任を取れるようになるまで、そういうのは控えるべきだってな」

初美「…格好良い事言ってるようですけれど、それ私のメンツ丸潰れなの理解してくれてますかー?」

京太郎「勿論、分かってる」

京太郎「でも、俺にとってそれは譲っちゃいけない一線なんだよ」

京太郎「初美がそう言ってくれているのは嬉しいし、原因が俺にある事も分かっているけれど」

京太郎「でも、ここで流されてしまったら、俺はきっと初美に一生、甘えっぱなしになる」

京太郎「俺はそんな男にはなりたくない」

京太郎「俺がなりたいのは、初美が…俺の自慢の婚約者が、他人に自慢だって言えるような格好良い夫なんだ」

いずれ自分は初美に心溶かされ、彼女を愛する事になるだろうと京太郎も思う。
しかし、だからと言って、自分から堕ちてしまって良い訳ではない。
譲れない一線を譲り、初美に甘えるだけの男など、彼女に相応しいとは思えないのだ。


初美「…じゃあ、一体、その責任は何時取れるようになるんですかー?」

初美「まさか結婚するまで…なんて巫山戯た事言わないですよね?」

初美「正直、今でも湧ちゃんが我慢出来てる事の方が不思議なくらいですから」

初美「そこまで待ってたら…先を越されちゃいますよー」

京太郎「分かってる」

京太郎が初美と結婚するのは彼の卒業後 ―― つまり一年以上先だ。
決して初美は我慢の出来ないタイプではないが、それほど先となると流石に痺れを切らしてしまう。
ましてや、その問題には、十曽湧と言う少女もまた関係してくるのだ。
最早、一種の狩人に近い彼女が、一年も京太郎の事を我慢し続けられるはずはない。
初美のメンツをギリギリのところで保つには、湧と一線を超えるよりも先に、彼女の事を受け入れる必要がある。

京太郎「だから、悪いけれど…二ヶ月」

京太郎「小蒔さんの卒業式まで待ってくれないか?」

初美「ちなみにその期限に何か理由は?」

京太郎「そこまではわっきゅんも我慢するって言ってくれているんだよ」

京太郎「だから、この二ヶ月の間に決着つけて、初美と向き直るって約束する」

京太郎「わっきゅんだけじゃなく、他の誰よりも優先して、その気持ちに応えるって」

初美「……」

強い力が込められた京太郎の言葉に、初美はそっとその顔を彼から離した。
そのままジっと見上げる瞳には、彼の覚悟を問うような色が浮かんでいる。
そんな彼女の視線に、京太郎は凛とした顔を崩さなかった。


初美「…ダメですよー」

京太郎「っ」

初美「ぶっちゃけ、それ私にメリットがなさすぎるじゃないですかー」

初美「京太郎君の方はそれで良いとしても、私のメンツは丸潰れなままですよー」

初美「期限つけて先延ばしにした後で私を優先するのは当然の事ですし」

初美「幾ら、約束されたところで埋め合わせには足りません」

初美「正直、交渉のテーブルに着く気さえ起こらないような条件ですね」

京太郎「ぬぐ…」

数秒後、彼女から返ってくる言葉は、まったく遠慮のないものだった。
京太郎なりに考えた提案を根本から否定する言葉の数々。
それに彼が反論する事が出来ないのは、初美の言葉が正論だとそう思うからだ。
事実、自分は彼女が納得するだけの理由を示せなかったのだから、なんと言われても仕方がない。


初美「………まー、でも」

初美「そこまで言う京太郎君に抱けと言っても盛り上がらないでしょうし」

初美「私も人並みには初体験というものに夢を抱いて生きてきてましたから」

初美「湧ちゃんのように逆レイプで初めてをって気にならないのも事実ですー」

京太郎「えっと…」

初美「……察しが悪いですねー」

初美「今日のところはそれで我慢してやるって言ってるのですよー」

無論、さっき口にした初美の言葉は全て本心だ。
彼が並べた言葉は全て自分の都合ばかりで、考慮に値するものとは到底、思えない。
だが、何だかんだ言いながらも、初美は京太郎に対して、とても甘い性格なのだ。
厳しい事を言う事は多いが、それも彼の事を強く想っているからこそ。
そんな彼女にとって、京太郎の都合と言うものは、無視しきれるものではなかった。

京太郎「あ、ありがとう!」

初美「…お礼を言う前に私の事を抱きしめるくらいやったらどうですかー?」

初美「どうせ湧ちゃんにも同じ事をしてるんでしょうし」ジトー

とは言え、初美は未だ納得している訳ではない。
京太郎に譲ってここは諦めるつもりだが、心の中は色々と複雑なのだ。
だからこそ、つい言葉に棘を浮かばせ、視線をじっとりとしたものにしてしまう。


京太郎「せ、精一杯、愛情を込めて抱きしめさせて頂きます」

初美「私を拒んだ上での愛情だなんて安っぽくしか聞こえないのですよー」ジトト

京太郎「所謂、家族愛的なアレだからセーフだ」ギュ

初美「はぅん…♪」

瞬間、自分を抱き寄せる京太郎に、初美は声を漏らしてしまう。
それはさっきまで不機嫌であった事を完全に忘れ去ってしまったような甘いものだった。
愛しいご主人様に構って貰っている子犬を彷彿とさせるそれに初美の顔が赤くなる。

初美「(なななななな、なんて声をあげてるんですかー!)」

初美「(こ、こんな大好きオーラ全開の声出しちゃうなんて…は、恥ずかしいにも程があります…!!)」

初美「(私は湧ちゃん達みたいな本能全開勢じゃないんですから、もうちょっと慎みを持った声をですね…!!)」

初美「(い、いや、そもそも、こういう状況で声をあげるべきじゃないですよー!!)」

京太郎の身体がどれほど暖かく安心するものなのかは彼女も良く分かっていた。
彼とスキンシップした回数こそ少ないものの、初美はお姫様抱っこまでして貰っているのだから。
今日も照れ隠しついでに何度か抱きついているし、その感覚にも慣れていたつもりだったのである。


初美「(でも…京太郎君から抱きしめてもらうの全然、違います)」

初美「(私よりもずっと力強くて…ギュって硬い胸板に押し付けられて…)」

初美「(京太郎君が…この人が男だって身体全部で感じちゃって…)」

初美「(この人になら全部預けても大丈夫だってくらい身体が安心しちゃうのですよー…)」

京太郎「どうだ?」

初美「ま、まぁまぁってところですねー」

それでも初美は京太郎の言葉に素直になる事が出来なかった。
一時の感情や衝動からつい意地を張る明星とは違い、彼女には『頼れる姉貴分』と言うポジションが意地を張らせているのだから。
今まで二人で築き上げてきたそれを容易く投げ捨てる事など出来ない。

初美「(ま、まぁ…今回はこれくらいで勘弁してやりますかね)」

初美「(ぶっちゃけ、まだまだ複雑ですけれど、あんまり辛く当たりすぎるのも情けない話ですし)」

初美「(私はそれで良いと一度、譲歩しちゃったんですから、表面上は大人しくしてあげる方が良いのですよー)」

だからと言って、ずっと不機嫌さを維持出来る訳でもない。
身体全体から感じる安心感はムカムカする心を包み込み、あっさりと溶かしてしまっていた。
こうして胸中に浮かぶ言葉も、自分の中で体面を取り繕う為。
自分が弟分に抱きしめられて、あっさりと機嫌をなおすほどチョロい女だと彼女は思いたくなかったのだ。


京太郎「そっか。そりゃ良かった」

初美「…私が言う前に行動してくれてたらもっと加点してあげても良かったんですけどねー」

京太郎「流石に自分から振っといて、抱きしめるなんて酷い事出来ねぇよ」

初美「…ヘタレ」

京太郎「自覚はあります。いや、マジで」

初美「改善する気は?」

京太郎「勿論。…証拠も見せようか?」スッ

初美「あ…っ」

そんな初美の憎まれ口に京太郎の右手が動いた。
左手は未だ彼女の背中を抱き寄せたまま、右手で初美の顎を上向かせる。
まるで自分の顔と角度を合わせるようなそれに彼女の胸がドキリと高鳴った。

初美「き、京太郎君…」

京太郎「流石に一線超えるのはダメだけど…これくらいはさ」

初美「…好きじゃない女にして良いんですかー?」

京太郎「婚約者にキスしても誰も文句は言わないだろ」

京太郎「それに…初美だからするんだよ」

初美「~~~っ!」

瞬間、初美の肩はブルリと震えた。
『薄墨初美』に根強いコンプレックスを抱いている彼女にとって、その言葉は殺し文句に近い。
こうして言葉を失ってしまうのも、京太郎の言葉が ―― 自分だからと言う言葉が嬉しくて仕方がないからこそ。
一瞬で胸の内を満たす喜色に翻弄される彼女は、自然と京太郎から目を背けられなくなってしまう。


京太郎「(…正直、やっちゃって良いのかって気持ちは俺の中にもある)」

京太郎「(が、昨日、俺はわっきゅんを抑える為に数えきれないほどキスした訳で)」

京太郎「(キスに対してのハードルは大きく下がっているし…)」

京太郎「(何より、初美の言う通り、俺はまったく彼女に対して譲歩出来てないんだ)」

京太郎「(わっきゅんよりも優先して欲しいって言う至極当然な要求を拒み続けていただけ)」

京太郎「(それじゃあ初美も納得出来ないだろう)」

そんな初美の目に映る京太郎には迷いはなかった。
無論、その心に幼馴染の影は残っているし、躊躇いがない訳でもない。
だが、ソレ以上に、このままでは勇気を出して誘ってくれた初美に対して不誠実だと言う気持ちの方が大きいのだ。
完全にメンツが丸潰れになった初美の為にも、今度は自分から踏み出さなきゃいけない。
胸中に浮かぶそんな言葉が幼馴染の影と躊躇いを阻み、初美にしっかりと向き合わせる。


京太郎「(…何より、今の初美は可愛すぎる)」

京太郎「(普段、あんなに憎まれ口叩きまくってるのに…今は顔を真っ赤にしていて)」

京太郎「(声も普段の明るさがまったく感じられないくらい小さいし…すごい女の子って感じがするんだ)」

京太郎「(勿論、普段の彼女が魅力的じゃないって訳じゃないけれど…)」

京太郎「(今の初美には、普段とは違う、ギャップめいた魅力を感じる)」

初美「き、京太郎…君…」

京太郎「目、瞑って」

そして初美は魅力的な少女だった。
もし、幼い頃から彼女と一緒にいれば、自分の性癖は変わっていたかもしれないと京太郎が思うほどに。
そんな彼女が期待と興奮混じりに見上げてくれているのに、決心がつかない訳がなかった。
蚊の鳴くような声で自身の名前を呼ぶ初美に、京太郎は短い言葉を返す。
彼女が怯えないようにと極力、落ち着かせたそれは初美の心にストンと堕ちた。

初美「ん……」スッ

京太郎「良い子だ」チュ

初美「~~~~っ♥」

思いの外、素直に瞳を閉じた初美に、京太郎の唇が触れる。
ほんの一秒にも見たない邂逅に、初美の身体がブルリと震えた。
その足の先から頭の天辺まで痺れが走ったようなその反応は、彼女にとってそれが特別なものだからこそ。
ファーストキス ―― 彼女にとって最初のキスを愛しい相手に捧げられたという感覚に、初美は幸福感すら感じていた。


京太郎「…初美」スッ

初美「ぁ…♥」

そんな初美の唇を京太郎の指先が撫でる。
自身とキスをした証を確かめようとするような彼の指先に初美は甘い声を漏らしてしまう。
何処か不満気なそれと共に目を開いた彼女を、優しい京太郎の顔が迎えた。

京太郎「満足した?」

初美「す、する訳…ないじゃないですかー…」

初美「こんなキスを…京太郎君は何回もしたんでしょう?」

初美「私よりも先に…湧ちゃんと…」

京太郎「あぁ。そうだ」

初美「……だったら、私にはそれよりも多くするべきなのですよー」

初美「じゃないと…私、許さないんですからね…」ギュ

悪びれもせず、ただ肯定する京太郎に、初美はもう怒りを感じなかった。
その胸中にあるのは、微かな嫉妬とそれを埋め尽くすような期待だけ。
こんなに幸せなキスを他の女としていたのだとそう思うだけで胸が痛むが、それは彼女の表には出てこない。
ソレ以上の期待に初美は胸を疼かせ、縋るように京太郎の服を掴んだ。


京太郎「可愛いな」

初美「ば、馬鹿。いきなり何を言うですかー…?」

京太郎「仕方ないだろ。可愛いってそう思ったんだから」

京太郎「そんなに可愛らしくオネダリする初美が悪い」

初美「お、オネダリじゃ…」

京太郎「でも、して欲しいんだろ?」

初美「~~~っ♥」

生意気だと初美は思った。
何もかも自分の心を見透かしてくる上に、わざと恥ずかしがるような言葉を選んでいるのだから。
普段、憎まれ口を叩き合うのとはまた違ったその生意気さに、しかし、初美は何も言えない。
弟分としてではなく、一人の男としての意地悪に、心がのめり込んでいくのが分かる。

初美「…………」コクン

京太郎「ホント、可愛いなぁ、初美は」ナデナデ

初美「あ…うぅぅぅ…」

結果、初美は憎まれ口さえ漏らす事が出来ない。
恋人のような甘いやり取りに慣れていない彼女にとって、それは未知の領域なのだから。
知らない京太郎に、知らない自分。
その2つに翻弄される彼女は、京太郎に撫でられながら、恥ずかしそうな声を漏らすしかなくて。


京太郎「だから、ご褒美な」チュ

初美「っっ♪」

瞬間、触れる唇は彼女にとって不意打ち気味のものだった。
気恥ずかしくて顔を逸らしてしまいそうな感覚の中、触れ合う唇。
しかし、それはさっきと違い、すぐに離れたりしなかった。
まるで試しは終わったのだと言わんばかりに、キスし続ける。

初美「ふぁぁ…あぁ…♪」

京太郎「…もうメロメロだな」

初美「うー…うるさい…のですよぉ…♪」

数秒ほど経って、二人が離れた時には、もう初美の顔は陥落してしまっていた。
唇から心地良さそうな吐息を漏らす彼女の頬は、早くも緩み始めている。
凄むように口にする言葉に覇気はなく、潤む瞳と相まって媚びるようにさえ思えた。
そんな初美の顔に京太郎が我慢出来るはずもなく、再びその顔を近づけていく。


初美「ふ…ぅうん…♥」

京太郎「ん」チュッチュ

初美「ふ…あぁ…ぁ♥」

三度目のキスは一度で終わるものではなかった。
キスしては離れ、そして再びキスをされる。
啄むような甘い愛情表現を繰り返されるその時間は、初美にとってあまりにも効果的過ぎた。
女として愛される事を諦めていた自分がキスによって、溶かされていくのをハッキリと感じる。

初美「(京太郎君…♥)」

初美「(京太郎…くぅん…っ♥)」

初美「(こんなの…反則…ですよぉ…♪」

初美「(こんなに一杯キスされたら…私…もっと好きになっちゃいます…♥)」

初美「(好き好き…♥あぁぁ…京太郎君…っ♥本当に好きですよー…っ♥)」

初美「(他の皆にも、はるるにも…本当は渡したくないくらいに…♪)」

初美「(だいだいだいだい…大好きなのですー…っ♥♥)」

ドロドロとなった心の中に現れるのは、抑えきれない京太郎への愛しさだった。
キスされる度に強まっていく好きだと言う気持ちは、もう彼女の小さな身体では収まりきらないほど高まっている。
これがキスの最中でなければ、協定などお構いなしに愛しさを口にしていたかもしれない。


初美「(だから…もっとしてください…♪)」

初美「(大好きな京太郎君のキスを…私にもっと下さい…ぃ♥)」

初美「(もっともっと…京太郎君を好きにならせて…♥)」

初美「(はるる達の事も受け入れられるくらい…ゾッコンにして…欲しいのですよー…♪)」

そんなキスを初美が拒めるはずもない。
繰り返される愛情表現にすぐさま夢中になった彼女は何時しか自分からキスをするようになっていた。
ただ受け身になってされるのではなく、自分から唇を求める初美を京太郎は拒まない。
むしろ、自分から彼女を迎えに行くように唇を合わせ、キスを続ける。

―― そして、その部屋には彼と彼女の二人だけ。

繰り返される無数のキスにストップを掛けられるものは誰もいない。
京太郎も初美もキスを ―― 愛情だけを相手に伝える、拙いながらも情熱的な口づけを望んでいるのだから。
興奮とキスに呼吸が追いつかなくなり、ハッキリとした吐息を漏らすようになっても二人は止まらない。
ただ、他には誰もいない部屋に、ハァハァと言う二人の声だけが満たされていく。


京太郎「(ヤバイ…な、コレ)」

京太郎「(普段、サバサバしてるタイプだから、夢中になるのは最初だけかと思いきや…)」

京太郎「(初美はまったくキスを止める気配がない)」

京太郎「(薄目になった幸せそうな表情で…キスし続けてくれている)」

京太郎「(勿論、俺もそんな初美が可愛いと思うし、決して嫌ではないのだけれど…)」

京太郎「(このまま続けると…俺の方が我慢出来なくなるかもしれない…)」

幸せそうな顔には似つかわしくないほど必死に自分のキスを求めてくれている初美。
普段、憎まれ口を叩き合っている相手とは思えないその様子に、男である彼が平然としていられるはずがなかった。
昨夜、死ぬような思いをして湧を抑えこんだ反動もあり、キスの最中に欲情が浮かび上がってくる。
興奮よりもずっと色濃く、独り善がりなそれは気を抜けば、勃起しそうなほど強いものだった。

京太郎「(だからと言って…受け身になってたらヤられる)」

京太郎「(それは今までの経験で嫌って程、理解してきた)」

京太郎「(だから、ここは…)」チュゥ

初美「~~~っ!?」

そんな京太郎にここで防御に回るという選択肢はなかった。
美少女たちの誘惑を幾度となく袖にしてきたその経験から、ここは攻めるべきだと本能で感じ取る。
だからこそ、京太郎は今まで閉じていた唇を微かに開いて。


初美「(ぬ、ヌルヌルしたのが唇の周りに…♥)」

初美「(ちょっぴりベタついちゃいますけれど…でも、嫌じゃないですよー…♪)」

初美「(京太郎君の事も…キスされている事も…より強く感じて…♥)」

初美「(私のドキドキも強くなっていくのが分かります…♥)」

初美「(こんな…キスもあるんですね…♪)」チュ

京太郎「…」ナデ

初美「ふぁぁ…♥」

京太郎から与えられる新しいキスを、初美もすぐさま受け入れる。
性経験の乏しい彼女にも、それがより親愛を伝えようとするものだという事は理解できているのだ。
愛しい男からの愛情表現にその胸を甘くときめかせながら、自分から唇を差し出してみせる。
まるで食んで欲しいと言わんばかりのそれに京太郎の腕が再び初美の頭を撫で始めた。


初美「(ま、また子どもみたいに私の事撫でて…ぇ♪)」

初美「(まぁ…嫌じゃないからするなとは言わないですけれどねー…♥)」

初美「(でも…キスしながらそんな事されたら…私、もっとトロトロになっちゃうじゃないですかー…♥)」

初美「(本当に…京太郎君なしじゃ生きていけない…♪)」

初美「(京太郎君に依存する…ダメ女に…されちゃいますよー…♪)」

初美「(ちゃんと…その責任取ってくれるんですかー♥)」

初美「(取って…くれますよね♪)」

初美「(取らないと…絶対に許さないのですよー♪)」

初美「(だって…だって、私…もぅ…♥)」

それはさっきと違い、頭頂部から後頭部に掛けて行われるものだった。
キスに夢中になる初美を支えるような、逃すまいとしているようなそれに彼女の心は媚びるような言葉を浮かべる。
普段、男など尻に敷いてやると豪語して止まない少女の姿は、もうそこにはなかった。
目の前の男に心奪われ、心からキスを悦んでいるのが見て取れるほど、初美の顔は蕩けきっている。

京太郎「…」チュル

初美「~~~~~っ♪」

そんな初美の口腔に京太郎の粘膜が入り込んでいく。
外側だけではなく内側までもを穢そうとするようなそれに初美の肩がブルリと震えた。
何処か怯えにも似たその反応だが、彼女は京太郎を拒もうとはしない。
むしろ、彼が舌を入れやすいように、そっと唇を開いて見せる。


京太郎「…ん」ナデナデ

初美「きゅぅ…うん…♥」

それを誉めるように深く撫でる京太郎の手に初美は甘い鳴き声をあげた。
まるでメス犬か何かのように情けないその声を、彼女はもう恥ずかしいとさえ思えない。
京太郎にキスされるというシチュエーションに羞恥心は全て吹き飛んでしまったのだ。
彼女の心の中に浮かぶ幸福感と歓喜の色は、ドンドンと強くなり、他の感情を塗りつぶしていく。

京太郎「れ…りゅ」

初美「く…ぅん♪」

その間にも動き続ける京太郎の舌は、初美の口腔をヌルヌルと這いまわっていく。
彼女の小さな口を確かめようとするようなそれに、初美は確かな快感を感じていた。


初美「(あぁ…♪他人に…京太郎君に口の中、ペロペロされて気持ち良いなんて…♥)」

初美「(普通なら恥ずかしくて死んじゃいたいくらいなのに…♪)」

初美「(今の私は嫌がるどころか、心から受け入れてしまってるのですよー…♥)」

初美「(京太郎君のキスに…ペロペロキスに…ぃ♪)」

初美「(もう完全に夢中になって…されるが…ままに…なってるのですー…♥)」

初美「(私…本当に…変態みたいなのですよー…♪)」

オナニーほどではなくとも、気持ち良いと断言出来るそのキスに初美は夢中になっていた。
日頃、小生意気な事を言っていても、彼女もまた一人の女なのだから。
他ならぬ愛しい人に口の中を蹂躙されるのが嫌なはずもない。
変態みたいだと自嘲するように言いながらも、彼女は京太郎から離れようとはしなかった。

初美「(でも…良いですよね…♪)」

初美「(京太郎くんは私の婚約者…なんですからぁ…♥)」

初美「(一杯…一杯、ペロペロして貰っても…平気ぃ…♪)」

初美「(うぅん…♪むしろ、して貰わなきゃダメなんですよー…♪)」

初美「(他の女の子とキスしても…私の事、忘れられないくらいに…♥)」

初美「(私の味を…京太郎君に覚えて貰わなきゃ…いけないのですー…♥)」

初美「(だから…ぁ…♪)」

代わりに動くのは初美の舌だった。
彼女の口腔の奥に座していたそれがヌルリと前へと伸びていく。
何処かオズオズとしたその動きは、彼女の中にも躊躇いがあるからこそ。
雰囲気に酔い、勢いに流されているとは言え、本当にそれをして良いのだろうかと言う迷いが初美の中にもあった。


初美「(…え、えぇい…!女は度胸なのですよー!!)」

初美「(大体、私の事、こんなに舐めまくってる京太郎君が嫌がるはずないじゃないですかー…!)」

初美「(絶対に応えて…喜んでくれるはずです)」

初美「(京太郎君は私の勇気を汲み取れないような情けない男じゃないんですから)」

初美「(きっと最高に幸せなキスを教えてくれます…!)」

あまりにも欠如している女としての自信のなさ。
しかし、それはもう彼女の足を引っ張るものではなかった。
初美は自分以上に京太郎の事を信頼しているのだから。
確かにヘタレな所はあるし、鈍感ではあるが、人の想いに応えないような男ではない。
そう自分に言い聞かせながら、初美はそっと自身の粘膜を、京太郎の前に晒した。

京太郎「ちゅぅう」

初美「ふぅうんっ♪」

その舌を、京太郎はすぐさま自分の粘膜で捕まえる。
チュルリと音を立てて初美の舌を這いずるその独特の熱は、とても淫らだった。
自然、さっきよりもより強くなった快楽に、初美は鼻から媚びるような声を漏らす。、


初美「(う、うわぁ…♪これ…思った以上にエッチなのですよー…ぉ♪)」

初美「(京太郎君がねっとり動くの…全部分かって…♥)」

初美「(私…食べられちゃってます…ぅ♥)」

初美「(今、京太郎くんに味わわれて…食べられてるのが分かるぅ…♪)」ゾクゾクゥ

次いで彼女の中を走り抜けるのは、被虐の実感だった。
自分は今、京太郎に捕食されているのだというそれが、彼女の中に冷たい感覚を呼び起こす。
先ほど感じた肉体的な快感とは一線を画するそれは、初美の被虐性から沸き起こったもの。
愛しい男から与えられる淫らなキスに、彼女は眠っていたままの本性を、少しずつ目覚めさせていた。

初美「(それに…美味しいのですよー…♪)」

初美「(常識で考えれば、そんな事あり得ないはずなのに…♥)」

初美「(京太郎君は毎朝、しっかり歯磨きする子だから、味なんてないはずなのにぃ…♥)」

初美「(私…ハッキリと甘いの…感じちゃってます…♪)」

初美「(京太郎君の味…ぃっ♥好きな人の…つばの味ぃっ♥)」

初美「(こんなに…こんなに美味しいの…幾らでも食べられちゃうですよー…♪)」チュルゥ ゴクッ

しかし、今の初美はそれを知覚出来ない。
彼女の思考を満たしているのは、京太郎のキスと、彼から伝わってくる甘さだけ。
水饅頭のようにスッキリとした甘さに彼女はもう虜になってしまった。
その顔に喜色を浮かべながら舌を動かし、喜んでそれを嚥下するくらいに。


初美「(もっと…もっとくださいぃ…♪)」

初美「(この美味しいの…たくさん欲しいのですよー…っ♥)」

初美「(私、一杯、ペロペロしますからぁ…♥)」

初美「(京太郎くんに一杯、ディープキスしますから…ぁ♪)」

初美「(だから…もっと…私に京太郎くんの味を下さい…っ♪)」

初美「(私…この味…大好きなのですよー…♥)」

京太郎「(…これ拙いな)」

そう強請るような言葉さえ浮かべる初美が簡単に満足するはずがない。
京太郎の思惑とは別にドンドンとキスがエスカレートしていく一方だった。
それに拙いと思考が浮かべるが、今更、ストップだなどとは言ってやれない。

京太郎「(こうしている間にも…俺の中での限界が近づいていってる)」

京太郎「(ジリジリと理性が焦がされ、追い詰められているのをハッキリと感じるんだ)」

京太郎「(だから…本来は心を鬼にして、ここで初美を引き離すべきなんだろう)」

京太郎「(だが、そんな思考とは裏腹に…俺は彼女を離したくはない)」

京太郎「(目を細めるほどの幸福感を顔いっぱいに浮かべて…)」

京太郎「(必死に拙いキスを繰り返してくれる彼女を曇らせたくないんだ)」

京太郎「(……だから、ここで俺が選ぶべきは…!)」ニュル

初美「ふあぁっ♪」

自身の中で結論を出した京太郎は舌の動きを変化させる。
ねっとりと彼女を味わうような動きから、より密着感を重視したモノへ。
その粘膜を精一杯伸ばして、初美を先に満足させようとするそれは、彼女にとって心揺れ動かされるほど嬉しいものだった。


初美「(京太郎君の舌が一杯、私の事、舐めてくれてるのですよー…♥)」

初美「(ペロペロチュルチュルってさっきよりもやらしく…エッチに動いて…ぇ♪)」

初美「(舌の表側も裏側も…好きだって言うみたいに可愛がってくれて…♪)」

初美「(こんなに情熱的なキスされてるってだけでも…もう胸がキュンキュンしちゃうのに…っ♥)」

初美「(流れ込んで…来るのですよー…♪)」

初美「(京太郎君のツバが…♥私の…婚約者の味がぁ…♥)」

初美「(ドロドロって舌を伝って、私…無理矢理、飲まされて…っ♪)」

初美「(美味しくて気持ち良くて…どうにかなっちゃいそうなのですよー…っ♥)」

限界ギリギリまで伸ばした粘膜の向こうから唾液が増産されていく。
さっきよりも勢いを増したそれは、京太郎を見上げながらキスをする初美の口に全て流し込まれていた。
否応なく彼女を満たそうとするそれに、初美の心は喜悦を爆発させる。
被虐感混じりのそれは彼女の胸をキュンと甘く疼かせ、その瞳を完全に閉じさせた。


初美「(あぁ…感じる…ぅ♪)」

初美「(目を閉じると…京太郎君の舌の動きも…♪)」

初美「(京太郎君の味もぉ…♥)」

初美「(よりハッキリ分かっちゃって…興奮しちゃう…♪)」

初美「(世の中に…こんなにドキドキするものが本当にあったのかって…♥)」

初美「(そんな言葉さえ出てきちゃうくらい…ぃ♥)」

それでも初美は完全に受け身にはならない。
目を閉じながらもヌルヌルと舌を動かしていく。
だが、それは決して京太郎に反撃する為のモノではない。
むしろ、彼がより責めやすく、しゃぶりやすくする為に、自ら身を晒すような動きだった。


初美「(絶対…絶対、忘れられないですよー…♪)」

初美「(私…もう完全にキスの虜になっちゃったんですからね…♪)」

初美「(これ思い出して…オナニーしちゃうぅ…♥)」

初美「(京太郎君とのキス思い出しながら…はるるみたいにオナニーしちゃうの…確定ですよー…っ♪)」

初美「(これも…全部、京太郎君の所為ですからね…っ♪)」

初美「(京太郎君が…私にこんなに素敵なキス教えるからぁ…♥)」

初美「(こんなにエッチなキスするのに…本当のエッチしてくれないからぁあっ♥)」

初美「(だから…私、オナニーで我慢するしかないじゃないですかーっ♪)」

初美「(こんなの知って…二ヶ月もお預けなんて生殺しも良いところなのですよーっ♥)」

胸中でそんな言葉を浮かべながらも、初美には彼に逆らうつもりはなかった。
まるで唾液を流し込まれるような一方的なキスに、彼女の被虐性はさらに高まっているのだから。
愛しい男からされる悦びを知った彼女に、自分から犯すと言う選択肢は浮かんでこない。
悔しいし焦れったい気持ちはあるが、それでも耐えなければとそう思ってしまう。


初美「(私…結構、殊勝な女なんですよー…♥)」

初美「(私の優位性なんて…少ししたらなくなっちゃうのに…♪)」

初美「(それでも…こうして我慢しようとしているんですからね…♥)」

初美「(そんな私に…適当なキスするなんて許さないのですよー…♥)」

初美「(もっと…してください…っ♪)」

初美「(オナニーする時…京太郎君の事がすぐさま思い浮かんじゃうくらいに…♥)」

初美「(京太郎君とのキスを想像しながらイけちゃうくらいに…ぃ♥)」

初美「(私に…貴方の素敵さを…キスの気持ち良さを…♪)」

初美「(思いっきり…刻み込んで欲しいのですー…っ♪)」ギュゥ

その分の欲求不満は全て京太郎へのキスに向かっていた。
これから我慢しなければいけない分の先払いだと言わんばかりに彼女は全身で京太郎へと抱きつく。
その四肢にギュっと力を込めながら彼を挟み込むのは一般的にだいしゅきホールドと言われる動き。
決してキスを止めまいとする硬い意思を感じさせるそれはキスの甘さに少しずつ蕩けていき。

初美「は…あぁぁん…♥」

―― 数分も経過した頃にはもう骨抜きにされていた。

粘膜を擦れ合わせる度に、より深みへとハマっていくような感覚。
それに夢中になりすぎた初美は、完全に腰砕けとなっていた。
京太郎が抱きしめてくれていなければ、座ってもいられないほど、今の彼女は力を失っている。
ついさっきまで強引だった四肢も今はダラリとして、京太郎に身体を預けていた。


京太郎「(な、何とか間に合った…)」

京太郎「(多分、後一分もキスし続けてたら俺の方がヤバかったけれど…)」

京太郎「(でも、何とか勃起せずに済んだ……んだが)」

初美「ふにゅぅ…うん…♥」トローン

京太郎「(…何この可愛い生き物)」

京太郎「(キスだけでもうこんなにトロットロになっちゃってさああ!)」

京太郎「(顔とかヨダレ垂れ流しなのに幸せそうだし…)」

京太郎「(見てるだけでもムラムラするような顔なんですけど…!!)」

今の初美に自身を取り繕う余裕などあるはずもなかった。
彼女の心の中にあるのはキスの余韻だけだったのだから。
恥ずかしいという気持ちさえ溶かされた彼女は、心からの喜悦にふにゃりとした笑みを浮かべた。
自分の口から垂れる唾液にさえ気づかないその緩みっぷりに、京太郎の胸もドキリとしてしまう。


京太郎「(ま、まぁ、ともかく、初美さんも満足してくれたはずだし)」

京太郎「(今はこれからの事を考えるべきだよな)」

京太郎「(まるで絶頂した後みたいに今の初美さん力入ってないけれど)」

京太郎「(それはキスの所為であって、俺から離れたいって訳でもないだろうしなぁ)」

京太郎「(寧ろ、何処か媚びるように俺の事を見ているし…)」

京太郎「(こうしている今も何かしらのスキンシップが欲しいんだろう)」

京太郎「(だからってだけじゃないが)」グイ

初美「~~~~っ♥」トサ

初美の部屋に来て、半時間ほど。
その間、ずっと正座をしていた京太郎の足はそろそろ痺れを訴えていた。
普段は一時間でも余裕で正座出来るが、今回はその足の上に初美が乗り続けている状態だったのだから。
今すぐ動けなくなるほどではないが、そろそろ足を解しておきたい。
そう思った京太郎は初美の身体を優しく抱き寄せながら、ゆっくりと身体を前へと倒していく。
それに抗う気持ちも力もない彼女は、京太郎に畳へと押し倒されて。

初美「あ…あぁぁ…♥」

京太郎「初美さん」ナデ

初美「きゅ…うぅ…♪」

期待と興奮に声を震わせてしまう初美の顔は、唾液と涙でグショグショだった。
それをまずは何とかしてあげようと、京太郎は右手で彼女の口元や目元を拭う。
それから彼女の頬を労るように撫でるその手は、とても優しい。
普段の小生意気な弟分からは想像も出来ないほど優しいその愛撫に、初美は目を閉じた。


初美「(あぁ…これホント、気持ち良すぎなのですよー…♥)」

初美「(キスも素敵でしたけれど…こっちも私の事を心から喜ばせてくれて…♪)」

初美「(幸せな気持ちがずっとずっと続いてるのですー…♥)」

初美「(まったく…鈍感な癖に、こういうのは腹立つくらいに上手なんですから♪)」

初美「(はるる達も…きっとこうやって堕としたんでしょう…♥)」

初美「(この優しくて暖かくて…心の中まで入り込んでくるような手で…♥)」

初美「(他の皆も…京太郎君抜きじゃ生きていけないようにしちゃったに決まってるのですー…♥)」

そのまま頬や顎を彼へとすり寄せる度に、初美は途方も無い充実感を得てしまう。
自分から京太郎に甘えて得るそれは、無防備な彼女の心に深く刻み込まれていった。
きっと自分はもうこれを忘れられず、京太郎から離れる事も出来ない。
そう思うほどの依存心は、完全に彼女の恋心と結びついてしまっていた。


初美「はふぅん…♪」パチ

京太郎「起きたか?」

初美「…えぇ。起きちゃったのですよー」クス

初美「まぁ、まだ完全復活とまではいけないですけどね」ギュ

京太郎「確かに…普段の初美だったら俺の事、蹴っ飛ばすくらいやるもんな」

初美「流石にそこまで暴力的じゃないのですよー?」

初美「一回、私を袖にしておいて、何やってるのかくらいは言ってたかもしれませんけれどね」スリスリ

京太郎「や、やんごとなき事情があったんです」

しかし、心の奥まで満たされるような甘い時間は長くは続かない。
撫でられたり、頬や額にキスをされたりしながらも、彼女は『自分』と言うものを取り戻していったのだ。
十数分も経った頃には、目を開き、言葉を口にする事も出来るようになる。
勿論、それは熱を帯び、小さく囁くようなものだが、それでも一時から比べれば大分、マシになっただろうと初美は思う。


初美「(まぁ…京太郎君の身体掴んで逃がさないようにしたり…)」

初美「(未だ頬ずりするのを止められなかったりしますけれど…)」

初美「(それでも『薄墨初美』を取り繕う程度にはなれましたし…)」

初美「…とりあえず、ですね」

京太郎「おう」

初美「フレンチキスは当分、禁止なのですよー」

京太郎「あー…気に入らなかった?」

初美「逆ですよー逆」

初美「気に入りすぎて…気軽にされるとちょっとヤバイんですー」

初美「(…正直、下半身とかビショビショになっちゃってますしね)」

流石に最後の言葉を口にする事は出来なかった。
初美は明け透けな性格ではあるが、それでも羞恥心は持っているのだから。
愛しい婚約者に、キスだけで下着交換が必要になるような淫乱だとは思われたくはない。


初美「だから、フレンチキスは一日に一回」

初美「…お互い寝る前だけなのですよー」

京太郎「あ、する事はするんだ」

初美「だ、だって…あんなの知ってお預けなんて逆に辛いですし…」

初美「そもそも…私にあそこまでやった京太郎君が諸悪の元凶なんですから」

初美「ちゃんと責任取って、毎日、キスして欲しいのですよー」ジィ

京太郎「まぁ、俺も嫌って訳じゃないんだけれどさ」

京太郎「(…ただ、これはまた理性が危なくなりそうだな)」

初美とのキスは決して余裕のあるものではなかったのだ。
一歩間違えれば勃起してしまっていた可能性が高い。
無論、勃起したところでそのまま間違いに発展する訳ではないが、身体が発情してしまった事には変わりはないのだ。
それを収めるのにどれほどの労力が必要かを考えれば、躊躇う気持ちも生まれてしまう。


初美「じゃあ、オッケーって事ですね…♥」スリスリ

京太郎「…あぁ。分かったよ」

京太郎「一日一回のキスくらい婚約者として面倒見てやるさ」

初美「一体、何時からキスが一日一回だけだと錯覚していた…?」

京太郎「なん…だと…?」

初美「当然、それとは別に朝昼晩と三回のバードキスを要求するに決まってるじゃないですかー」

京太郎「ひ、昼もかよ」

初美「まぁ、平日は難しいでしょうし、昼の分は朝か夜に二回って形でも構わないのですよー」

初美「ただ、ちゃんと一日四回はキスして貰わないと絶対に許しません」

京太郎「マジかー…」

順調にキス中毒としての道を歩み始める初美に、京太郎は否定の言葉を挟む事は出来なかった。
既に一番の爆弾は受け入れてしまった上に、彼女には湧と何度もキスした事も伝えているのだから。
こうして決まりとなるのは恥ずかしいが、さりとて、拒めるだけの理由が京太郎の中にはない。


京太郎「…ちなみにペナルティなんかは」

初美「勿論、湧ちゃんを呼んでの逆レイプなのですよー」

京太郎「誠心誠意キスさせて戴きます!」キリリ

初美「…それはそれでちょっと納得出来ないものがありますが」

初美「まぁ、分かってくれたようなので今は良しとしておくのですー」

何より、そのペナルティは彼にとって最も恐ろしいと言っても良いものだった。
今も何とか自分を抑えようとしている湧が、婚約者の初美に背中を押されたらどうなるのか。
その問に浮かんでくるのは、鎖を引きちぎったケダモノのように襲われる自分だった。
その結果、起こりうる諸問題を思えば、自分の中の気恥ずかしさなど些細な事。
そう思いながら力強く返事をする京太郎に、初美は若干、不満気な視線を送って。


初美「ちなみに多い分には問題ないですが、愛のこもってないおざなりなキスはカウントしないので」

京太郎「まぁ、婚約者としておざなりなキスなんてしないつもりではありますけれど」

初美「じゃあ、カウントしてるかしてないかは一々、伝えなくても良いですね」

京太郎「えっ」

初美「毎回毎回、全力でキスしてくれるならそんな情報必要ないですし」

初美「そもそもそうやって判定基準を満たせなかったキスをされた時点で、京太郎君の愛が足りてないのは確定なので」

初美「もっともっと私の事を好きになって貰えるように関係を先に進めるのは婚約者として当然ですよね?」

京太郎「ぬぐぐぐぐ…」

初美「ふふ♪」

試すような初美の言葉に、京太郎は歯噛みする事しか出来ない。
たった一回の油断も許されないそれは条件としてはかなりの厳しさだ。
だが、立場の弱い京太郎は初美の提案をただ受け入れるしかない。
それに悔しげな声を漏らす京太郎とは対照的に、初美は嬉しそうな笑みを浮かべて。

初美「ま、私はどっちでも構わないですよー」

初美「どう転んでも、私には損はないですし…」

初美「どっちでも精一杯、愛してあげますからね♥」ナデ

京太郎「う…」

そう言って京太郎の顔を包む初美の両手はとても優しかった。
思いの外、心地良いそれは京太郎に、年上らしさと彼女の熱を感じさせる。
可愛げのない事を言いながらも、自分の事が好きだと素直にアピールしてくれる彼女に、京太郎はついつい声を漏らしてしまった。


京太郎「……さっきあんなにトロ顔晒してた癖に」

初美「えぇ。そうですよー」

初美「一杯一杯、恥ずかしいところ見られちゃいましたし…これからも見られちゃいますから」

初美「こうして生意気な事言ってるのも、婚約者の京太郎くんに甘えているからですー」

初美「男としては…当然、受け入れてくれますよね?」

京太郎「……なんかすっげー逞しくなったな」

初美「ふふ。男子三日会わざれば刮目して見よなんて言いますけれど」

初美「女の子はキッカケさえあれば、何時でもパワーアップしちゃうんですー」

初美「ちょっとでも目を離したり侮ったりすると置いてっちゃうのですよー」

京太郎「流石に置いてかれたくないなぁ」

初美「…じゃあ、私の事、もっとギュってすると良いですよー」

初美「今の私は何時もの激かわ初美ちゃんではなく、スーパー初美ちゃんなんで」

初美「ちょっとくらいなら初美パワーを分け与えてあげても良いですし」

京太郎「なんか代償に身長とか胸が縮みそうなんで要らないです」

初美「ほーぅ」ツネー

京太郎「いひゃひゃひゃひゃ」

だからと言って、京太郎は早々、素直になれない。
包容力を発揮する初美に甘えてしまいそうなのが悔しくて、ついつい憎まれ口を叩いてしまう。
結果、初美にその頬を抓られた京太郎から、初美は中々、手を離そうとしない。
ジトーと何かを言いたげに京太郎の事を見上げ続けている。


京太郎「わひゃった。わかりまひた」

京太郎「ギューでもハグれも何でもひまふ」

初美「最初からそう言っておけば良かったのですよー」パッ

初美「京太郎くんが一生、私に勝てないのは確定的に明らかなんですから」

初美「抵抗するだけ無駄ってなもんですー」

京太郎「…俺にも男の意地ってもんがありましてね」

京太郎「こうして初美さんに生意気言っちゃうのも甘えているからで…」

初美「二番煎じとか恥ずかしくありません?」

京太郎「くそぅ…!せめて最後まで言わせてくれよ…!」

初美「やーですよー」

初美「私はそんなに甘い女じゃないんですー」

初美「…まぁ、キスしてくれたら少しは優しくなるかもしれないですけどね?」

京太郎「さっきキスしたのにすぐ元通りになったじゃないですかーやだー」

初美「アレは京太郎君のキスが足りなかったからですねー」

初美「多分、後、五秒長ければ、仏の初美ちゃんって呼ばれるレベルになってましたよー」

京太郎「それその五秒を絶対、埋めきれない奴じゃねぇの?」

初美「さぁー?京太郎君の努力次第じゃないですかねー?」クス

クスリと笑う初美は何時も通りの顔に戻っていた。
その口からは考える前に言葉が飛び出し、軽口の応酬が始まる。
ついさっき目の前の男とキスしていたとはまったく思わせないほどに彼女は何時も通りだった。


京太郎「つーか、仏の初美とか絶対に気持ち悪いと思う」

初美「えー、そんな事ないですよー」

初美「そもそも、私は普段から天使と名高い訳ですしね」

初美「優しさ数割増しでも十分、仏レベルなのですよー」

京太郎「優しさ数割増しでも巴さんに勝てない未来しか見えないのは俺だけだろうか」

初美「巴ちゃんは、逆に尽くし過ぎて危ない子ですから」

初美「あそこまで言っちゃうと優しさが逆に成長を妨げる要因にしかなりません」

初美「だから、私は涙を呑んで、京太郎くんに試練を与えてるのですよー…!」グッ

京太郎「…本音は?」

初美「ざまぁ。私の事誂うからこうなるのですよーってハッ」

京太郎「ハッじゃねぇよ。この初美ィ」ムニィ

初美「むにゃー!」

自身の頬を抓み返す京太郎の手に、初美は声をあげる。
必死に不服を訴えるようなその声だが、しかし、身体は抵抗しようとしなかった。
京太郎ならばきっとすぐに離してくれるとそう想っているからこそ、彼女は彼に身を委ねる。
長年、一つ屋根の下で暮らしてきたが故の信頼感も以前と大きく変わるものではない。


京太郎「まったく…この性悪ロリめ」パッ

初美「と言うか、さっきからウダウダと言ってますけれど」

初美「そんなに私とキスしたくないですかー?」ジィ

京太郎「……それ反則じゃねぇ?」

初美「さっき京太郎君、自身が性悪だって言ったじゃないですかー」

初美「私はその通りに行動してるだけなのですよー」

京太郎「だからってお前、ここでそれ言われたら俺完全に悪役じゃないか…」

初美「私を人様から奪っといて悪役じゃないとかちゃんちゃら可笑しいのですー」

京太郎「うぐ」

しかし、二人の関係がまったく変わらないという訳ではなかった。
普段通りの軽口をやり取りし、じゃれあうのはあくまでも表面上の事。
京太郎の手から解放された初美の瞳には、期待だけではなく不安の色も浮かんでいる。
もしかしたら、京太郎は自分とキスをするのが嫌なのではないだろうか。
冗談めかした『何時も通り』の向こうに見えるその微かな想いは、言葉に詰まる京太郎の庇護欲を擽った。


初美「で、私と略奪婚しようとしている京太郎くんはどうなんですかー?」

京太郎「…………あー、もう俺の負けだよ」

京太郎「色々と複雑なところはあるけれど、初美とのキスは嫌じゃない」

京太郎「したいとそう思ってる俺は間違いなくいる」

京太郎「…だから」グイ

初美「っ♥」

そう言って再び迫る京太郎の顔に初美は言葉を失った。
さっきまで考えずとも動いていた唇が、今はもう動かない。
キスへの期待と興奮が彼女の中で一気に燃え上がり、自然と瞼が閉じていこうとする。

京太郎「そんな不安そうな顔をすんなって」チュ

初美「べ、別に不安な訳じゃ…」

京太郎「嘘つき」チュ

京太郎「それくらい分かるっての」チュ

初美「はぅ…ん…♥」

そんな初美に京太郎は言葉と共にキスを降らせる。
彼女の唇だけではなく、頬や額にも繰り出されるそれは、初美の閉じかけた瞼を完全に堕とした。
瞬間、彼女の唇から漏れ出る甘い声は、京太郎に甘えきったモノ。
軽口を叩きながらもオネダリを続けていたキスがようやく与えられたのだから。
期待が充実感へと代わり、胸の内から再び溶けゆく感覚に、初美は身体から力を抜いて。





―― それからも初美は軽口混じりのオネダリを繰り返し、二人っきりの部屋の中で何度もその顔を蕩けさせるのだった。



ねりゅうううううううう(´・ω・`)オヤスミ


初美さんかわいすぎ


なんだこのメインヒロインというか正妻

もう>>697
ここは攻めるべきだと本能で感じ取る。
 舌を入れる
>胸を愛撫する
とかいう選択肢からなし崩しックスルート行きでいい気がする(エロゲ脳)

あと細かいとこだけど、>>625のラスト切れてるとこが気になる

※このスレのヒロインは初美です

おつー
はるるやあっきーや霞さんにやられたのはノーカンなんでしょうか?

生意気な口利くようだけど、なんつーかイッチが作家なら編集やりたいような気持ちに駆られるな
全体の話はいいんだけど、表現の仕方とかの細かいところで納得言ってない感じ
イッチの持ち味殺しそうな不安も同時に感じるけれども


京太郎「だ、大丈夫ですか?」

初美「だだだ大丈夫に決まってるじゃないですかー」

初美「寧ろ、大丈夫過ぎて困っちゃうくらいなのですよー!」

初美「(お、落ち着くのですよー)」

初美「(京太郎君はすぐさま襖を開けるタイプじゃないのですー)」

初美「(だ、だから、とりあえず今は時間を稼いで…!!)」バババ

乱れた服を直すのは、彼女にとって得意分野だ。
元々、彼女は服を着崩すのが好きなのだから。
ほんの僅かの乱れで大変な事になりかねないそれを一人で何度も直してきた。
そんな彼女にとって、自身の状態を取り繕うのは十秒もあれば事足りる。

初美「(後はプレイヤーを停止させて!)ピッ

初美「いやー、もう大丈夫じゃない状態を知りたいくらいなのですー」

初美「大丈夫過ぎて辛いわー。かーっちょー辛いわー」

京太郎「と、とりあえず大丈夫だって事は分かりました」

初美「宜しい」フゥ

それが終わった初美はプレイヤーを停止させて素の状態に戻す。
とりあえずこれで証拠は殆ど隠滅出来た。
ここで京太郎が部屋に踏み込んだところで、何か問題は起こらない。
そう思った初美は内心、胸を撫で下ろしながら立ち上がって。


ススス

初美「で、何の用なのですかー?」

京太郎「い、いえ、特に大したもんじゃないんですが……って」

京太郎「初美さん、なんか顔赤いですけど大丈夫ですか?」

初美「はぅあ…っ」ビックーン

そのまま襖を開いた初美は、京太郎の言葉に胸を跳ねさせる。
服装はそれらしく取り繕ったものの、身体の方はまだ興奮と混乱から立ち直れきれてはいないのだ。
その顔は耳まで真っ赤になっており、口からもハァハァと吐息が漏れ出ている。
一見、風邪を引いたのようにも見える彼女に京太郎は心配そうに顔を覗き込んだ。

初美「い、いや、大丈夫ですよー」

京太郎「でも、顔真っ赤ですし…」

初美「日焼けですー!」

京太郎「いや、日焼けってレベルじゃ…」

初美「私が日焼けだって言ったら、日焼けに決まってるのですよー!」ウガー

京太郎「は、はい」

無論、初美もそうやって心配してくれるのは嬉しい。
だが、そうやって近づいてこられると、さっきまで自分が自慰していた事に気づかれるかもしれないのだ。
そうなった時にどれほどの絶望と羞恥が自分を襲うかと思えば、ここは突き放すしかない。


初美「(だ、大体、こういう時に心配されたら変な気分になるじゃないですかー…)」

初美「(さっきまで私は京太郎君に襲われるのをイメージしながら…そのアレをしてた訳ですし…)」

初美「(そうやって真顔で心配されると申し訳ないやら恥ずかしいやら嬉しいやらで…)」

初美「(もう頭の中がパニックになっちゃいそうなのですよー…)」

京太郎「…まぁ、初美さんが日焼けだって言うのならそれでも良いんですけれど」

京太郎「どうやらかなり日焼けしてるみたいなんで今日一日は休んだほうが良いと思いますよ」

京太郎「皆には俺から伝えておきますし、やる事あるなら俺が代わりにやりますから」

初美「…大きなお世話なのですよー」

京太郎「でも…」

初美「良いから、そんな事よりも要件を先に言うのですー」ジッ

京太郎「…分かりました」

頑なな初美の言葉に京太郎はそっと肩を落とした。
京太郎は鈍感だが、それでも今の彼女が不機嫌なのはいやというほど伝わってくるのだから。
ここで何を言っても、根が頑固な初美が余計に頑なになるだけ。
一緒にいても彼女の神経を逆撫でするのは目に見えているのだから、要件を早く済ませてしまおう。



京太郎「まぁ…さっきも言いましたが大した用じゃないんです」

京太郎「今日返したプレイヤーに中身を入れっぱなしだったんで、それを返してもらおうかなと」

初美「あぁ、アレ、やっぱり京太郎君のだったんですかー」

京太郎「…も、もしかして中身見ました?」

初美「い、いや!見てない!!」

初美「まったくこれっぽっちも興味なかったんで見てないですよー!!!」

京太郎「そ、そうですか…」カァ

瞬間、首をブンブンと振る初美に京太郎の顔も赤くなる。
それは勿論、初美の仕草には羞恥の色がありありと感じ取れるからだ。
間違いなく彼女は中身を見てしまったのだろう。
それがハッキリと伝わってくる様子に、逃げ出したくなってしまうが。

京太郎「(でも、ここで逃げ出す訳にはいかないよなぁ)」

京太郎「(初美さんが不機嫌になるのも当然と言えば当然の話だし)」

京太郎「(何より…あのDVDを初美さんの手元においておくとどんな事になるか)」

既に初美は一度、中身を見てしまっている。
そんな彼女の元に預けっぱなしにしておくと最後まで見られてしまうかもしれない。
そうなった時に受ける心理的ダメージを思えば、ここで引き下がる訳にはいかなかった。
何としてでも件のDVDを返してもらわなければ。
そう決意を新たにしながら、京太郎は口を開いて。


京太郎「見てないのであれば良いんです」

京太郎「その…ちょっとプライベートな内容だったので」

初美「そ、そうでしたね」

京太郎「…初美さん?」

初美「あ、いや、そうなんですかー」

初美「いやー、まったく知らなかったのですよー」アハハハ

初美「(な、何をやっているんですかー、私!)」

初美「(あそこで同意しちゃもう見ちゃってるのバレバレじゃないですかー!!)」

初美「(とりあえずそれっぽく取り繕ったとは言え、今の私が窮地にある事は変わりないんですから!)」

初美「(もっと気を引き締めて相対しなきゃいけません…!!)」

そう自分に言い聞かすものの、初美の動揺はそう簡単に収まるものではなかった。
自慰の最中に人が尋ねてきたのも、アレほど気持ちの良い自慰も初めてだったのだから。
京太郎の顔を見るだけで恥ずかしくなる今の状況で、完全な冷静さを取り戻せるはずがない。


初美「ま、まぁ、ともかく!ともかくですー!」

初美「それくらいならお安い御用なのですよー!」

初美「ちょっとここで待っていて欲しいのですー」クル

京太郎「お願いしまうおぉ!?」ビクッ

―― だからこそ、彼女は失念していた。

今の初美の格好は普段とそれほど変わりがない。
元々、着崩していたのと初美の努力の甲斐あって彼に違和感を与えるものではなかった。
だが、部屋の中にはさっき彼女が剥がしたニプレスや前貼りが転がっているのである。
その上、脱ぎ去らなかった巫女服にはハッキリとシミが出来ていた。

初美「え?」クル

京太郎「あ、い、いや、その…」

そこまで情況証拠が揃えば、幾ら鈍感な京太郎でも察する事が出来る。
さっき彼女が赤い顔をしていたのも、自分の事を慰めていたから。
オナニーの最中と言う誰にも見られたくない時間に踏み込んでしまった事を感じ取ってしまうのだ。


京太郎「(多分、ベストなのは俺が気づかない振りをし続ける事…!)」

京太郎「(そうすれば、初美さんの名誉は保たれる…)」

京太郎「(だが、果たしてそのままで良いんだろうか…)」

京太郎「(あのままの状態でほかの人に会ってしまうとダメージが大きいし…)」

京太郎「(それとなく伝えてあげるべきじゃないのか…!?)」

初美「…ぅ」

結果、京太郎は振り向いた初美の前で沈黙を保ってしまう。
一体、彼は何に驚いてしまったのか。
その理由を片手の指が埋まるほど思いつく初美にとって、その無言はとても居心地の悪いものだった。

初美「(い、一体、何に気づいたって言うんですかー?)」

初美「(プレイヤーもちゃんと停止して画面も真っ暗な状態ですし)」

初美「(と、とりあえず格好はちゃんと見れるものにしたはずですー)

初美「(アソコを弄る時も横の穴から手を入れてましたし…)」

初美「(乳首とかもちゃんと隠れているはず…)」

初美「(そもそも京太郎くんの視線はさっきから私の身体とソレ以外を行き来していて…)」

初美「(一体、何を見てい…ああああああああああああっ!!)」

京太郎の視線を追いかける初美に、自身が剥がし去ったニプレスを前貼りが目に入った。
無造作に畳の上に放り投げられたそれに初美の羞恥が爆発する。
無論、それはすぐさま彼女の痴態に繋がるものではないが。


初美「(あんなところに不自然なニプレスと前貼りがあったら…ノーパンノーブラ疑惑くらいは出て来るですよー!)」

初美「(い、いや、まぁ、私は普段からニプレス派前貼り族なんでノーパンノーブラである事に間違いはないんですけれど!)」

初美「(今のこの格好が何時もとは違って無防備なものだって思われるのも当然で…)」チラッ

京太郎「っ」ビク

真っ赤になった顔で京太郎に視線を向ければ、彼はさっと視線を逸らす。
初美の懸念が現実になったようなそれに彼女は軽いめまいを感じた。
普段から痴女めいた格好をしているとは言え、初美にも譲れないラインと言うのはある。
それを完全にオーバーしてしまう状況に、胸中でざわめくような混乱が強くなっていった。

初美「(あうあうあうあうあうあうあう)」

初美「(ど、どうすれば良いんでしょう…!!)」

初美「(その疑惑を否定するには、実際に見せるのが一番と言えば一番なんですけれど!!)」

初美「(でも、今の私はニプレスも前貼りも剥がしちゃってる訳で…!)」

初美「(ここでアソコを見せようものならそれこそ痴女以外の何物でもなくなっちゃいますし…)」

初美「(って…あ゛っ)」

京太郎「は、初美さん…!?」

そこで初美はようやく自分の下半身の状況に気づいた。
京太郎に裸を見せるという状態になってようやく自身の愛液が袴にシミを作っている事を自覚したのである。
瞬間、赤くなった彼女の顔から血の気が引き、めまいが抑えきれなくなる。
フラリと今にも崩れ落ちそうな彼女に京太郎は驚きの声をあげながら踏み込んで。




京太郎「ふぅ」

初美「あうあうあうあうあうあうあうあうあうあう」

間一髪、初美が倒れこむのを防ぐ事に成功する。
それに吐息を漏らす京太郎とは裏腹に、初美はフルフルとその身体を震わせていた。
まるで現実を認めまいとするようなその震えに、京太郎はどうすれば良いのか分からない。
彼女を必要以上に辱めてしまったのは自分の間の悪さにあるのだから。

京太郎「え、えっと…その、とりあえず俺は何も見てないです」

京太郎「初美さんは大丈夫で…体調も悪くなくて…」

京太郎「だから…その、ここでは何もなかったってそういう事だって分かってますから」

初美「っ!!」

それでも何とかフォローを入れようとする京太郎に初美の身体が強張った。
精一杯、初美のメンツを崩すまいとするそれは、彼女にとって死刑宣告も同義だったのだから。
ここで何かあったのか、京太郎はもう分かっている。
自分がオナニーしていた事に、好きな人は気づいてしまったのだ。



初美「…ふふ」

初美「ふふふふふふふふふふ」

京太郎「は、初美さん?」

瞬間、初美の口から漏れるのは笑い声だった。
同じ言葉をいくつも重ねるそれに京太郎は底知れぬ恐ろしさを感じる。
自分はもしや、とんでもない事をしてしまったのではないか。
そんな事を今更、思い浮かべる京太郎の腕を初美は突然、掴んで。

初美「………気づいちゃったのですねー」

初美「私が…オナニーしてた事」

京太郎「い、いや、何の事かさっぱり…」

初美「あんな事言われてとぼけても無駄なのですよー…!」

初美「お陰で私、現実逃避さえ許されなくなったんですからね!」

初美「もしかしたら誤解してるかも、なんて逃げ道さえ塞がれちゃったんですから!」キッ

京太郎「ぅ」

そのまま京太郎を睨みつける初美の目尻には涙が浮かんでいる。
限界を突破した気恥ずかしさが彼女の胸から溢れ出ているのだ。
初美本人にも制御出来ないそれはぶつけるような彼女の言葉と相まって、京太郎に言葉を詰まらせる。


初美「不公平なのですよー…」

初美「私だけ恥ずかしい事気づかれるなんて…絶対に許せないのですー…!」

京太郎「い、いや、でも、初美さん、俺のDVD見たんでしょう?」

京太郎「それでお相子って事で…」

初美「それ見てオナニーしてたんですから、お相子になる訳ないじゃないですかー!」

京太郎「お、おう…」

今の初美は混乱の極みにあった。
羞恥心他諸々の感情が彼女の中で暴れ回り、自分が何を言っているのかさえ意識していない。
結果、不必要な情報まで与えてしまう彼女に、京太郎は気圧されるばかりだった。
人生経験の少ない彼にはオナニーを勘付かれて自棄になる少女を宥めすかす方法など思い浮かぶはずないのだから。

初美「だから、今度は京太郎君の番なのですよー」

京太郎「い、いや、俺の番って…」

初美「…お…お…オナニー見せてください」

京太郎「はいぃ!?」

そんな彼に突きつけられた要求に、京太郎は驚きを隠せなかった。
確かにオナニーの邪魔をしてしまったのは悪かったし、恥の上塗りをさせてしまった事は申し訳なく思っている。
しかし、どうして自分が初美の前でオナニーしなければいけないのか。
そんな言葉を胸の内に満たす京太郎の前で、初美はチラリとDVDプレイヤーへと目を向けた。


初美「そこに入ってるのって京太郎くんのですよね」

京太郎「そ、そうですね」

初美「…でも、ここで京太郎くんが拒否するなら、私、それを忘れて他の皆を呼んで…」

初美「ついつい中身の交換もせず再生しちゃうかもなのですよー」

京太郎「か、完全にそれ脅迫じゃないですか…!」

初美「うるさいのですー!それくらいこっちは切羽詰まってるんですよー!」

初美「だ、だいたい、京太郎くんがあんなDVD作ってるのが全ての原因なんですからね!!」

京太郎「い、いや、それは俺も悪いと思ってますけれど…」

しかし、だからと言って、はいそうですかと快諾したりは出来ない。
京太郎にとって薄墨初美と言うのは頼れる姉貴分なのだから。
幾ら彼女が望んでいると言っても、その前で自慰をするのは恥ずかしすぎる。


京太郎「(そもそも、ここでオナニーしたら余計に初美さんを追い込む事になるんだ)」

京太郎「(だから、ここは腫れ物に触るくらいの気持ちで初美さんを落ち着かせないと…)」

京太郎「と、とりあえず落ち着いて下さい」

京太郎「初美さんの気持ちは分かりましたが、そんな事やっても何の意味も…」

初美「私が納得出来る以外の理由が必要なんですかー!」クワッ

初美「もし、そうだと言うのなら…私、今すぐそれ持って霞ちゃんの部屋に駆け込むのですよー…!」

京太郎「(あ、ダメだ、コレ)」

初美の混乱は未だ収まる気配すらなかった。
自分がどれほど過激な事を言っているのか、彼女はまったく理解していない。
今の彼女を突き動かしているのは、ただ京太郎に幻滅されたくないという感情だけ。
その為に彼の弱みを握ろうとする間違った自分を、彼女は正す事も待たせる事も出来なかった。

京太郎「……分かりましたよ」

初美「だけど、また後日…なんて誤魔化しは通用しないのですよー」ジトー

京太郎「や、やだなー。そんな事言うはずないじゃないですかー」

京太郎「(…くそ。読まれてたか)」

そんな状態でも初美の勘は健在だった。
京太郎と長年、小気味の良いやり取りをしてきた彼女は、彼の真意をハッキリと言い当てる。
それに内心、冷や汗を浮かべるが、彼にはもうどうしようもない。
初美が完全に我を失っている以上、自分は彼女に自慰を晒すしかないのだろう。


京太郎「(…でも、どうしてこうなっちまったんだろうな)」

京太郎「(今日、寝坊して中身が入っているのを忘れたまま返してしまった俺が悪いのか)」

京太郎「(そもそもネカフェでこっそりお気に入りのエロ動画をDVDに焼いたのが悪かったのか…)」

京太郎「(まぁ、どちらにせよ、発端となってしまったのは俺な訳だし…)」

京太郎「と言っても、やっぱ恥ずかしいんで…」

京太郎「とりあえず後ろの襖くらいは閉めても良いですかね?」

初美「まぁ、それくらいは構わないですよー」

初美「…でも、逃げ出すかもしれないんで私がやります」

京太郎「逃げ出したら、俺の社会的信用が地の底に堕ちるじゃないですか…」

そう覚悟を決める京太郎から、初美はそっと離れた。
そのままトテトテと襖へと向かう足に、躊躇いはない。
これから京太郎が何を見せるのかを、彼女は本当の意味で理解出来ていないのだ。
だからこそ、彼女は恥ずかしがらずにピシャリと襖を閉じて。


初美「…さぁ、これで準備は出来たのですよー」クル

京太郎「いや、まだです」

初美「え?」

京太郎「何もなしじゃ男はオナニー出来ません」

京太郎「おかずの一つも提供してくれなきゃ無理です」

開き直るようなそれは一種の賭けだった。
完全に我を失っている今の初美を躊躇わせる為のブラフなのだ。
ここで羞恥心を思い出してくれれば、まだ説得出来る可能性もある。
思い直させる事も出来るはずだと京太郎は表情を引き締めて。

初美「…そこにあるDVDじゃダメなんですかー?」

京太郎「アレはもう何度も抜いちゃって飽きちゃいましたし」

京太郎「今の俺は貧乳の気分です」

初美「そ、それって…」

京太郎「初美さんがオカズになってください」

初美「~~~~~っ」ボンッ

精一杯、顔を引き締めた上での言葉は、初美の顔を真っ赤に染め上げた。
女として見られる事を半ばあきらめていた彼女にとって、それは殺し文句に近いのだから。
愛しい男が女として自分を求めてくれているという状況に、夢ではないかとそんな言葉さえ浮かんでくる。



京太郎「(良し。効いた…!)」

京太郎「でも、やっぱり無理ですよねすみません変な事言っちゃって」

京太郎「けれどやっぱり男の心理としてはどうしてもその辺譲れなくて」

京太郎「だから今回は諦めましょうそれが良いと思います」

京太郎「また時間が空いたらそれで興奮する気分にもなるかもしれませんしそれまで延期って事にするのが良いんじゃないですかね」

初美「む、無理じゃ…無理じゃないのですよー」

京太郎「え゛っ」

その顔が熟れたトマトのように真っ赤になった初美に、京太郎は最初、手応えを感じた。
このままならば押しきれるとそう思っていたのである。
だが、そんな彼に返ってきたのは想定外とも言える許容の言葉。
それに表情を強張らせる京太郎の前で、初美は自分の巫女服に手を掛ける。

初美「こ、これで良いですかー?」ヌギ

京太郎「うお…」

そのまま初美はシュルリと白装束をズラしていった。
半ば肌蹴かけたそれはあっという間に彼女の肩から滑り落ち、その肢体を京太郎の前に晒す。
夏にあれほど日焼けしていたとは思えないその純白の肌は、彼女の外見に相応しいきめ細やかなものだった。


京太郎「(な、なんつーか…ヤバイ)」

京太郎「(これ、ハッキリと分かる)」

京太郎「(絶対に手を出しちゃアカン奴だ…!)」

京太郎「(正直、見てるだけでも背徳感でドキドキするってのに…!)」

無論、京太郎も初美の実年齢は知っている。
9歳の頃から一切の成長を止めてしまった彼女が自分よりも年上である事くらい理解しているのだ。
だが、目の前に晒されている肢体はあまりにも小さく、そして幼い。
本能的に禁忌すら感じるその光景に、しかし、京太郎は目を背けられなかった。

京太郎「(なんで…そんなエロい顔をするんだよ…!)」

初美「は…あぁ…♪」

混乱の中で忘れられつつあったが、初美の身体はさっきまで興奮の真っ只中にあったのだ。
幾ら熱しにくく冷めやすい女性の身体とは言え、好きな人に裸体を見つめられれば熱も蘇る。
自然、彼女は自分でも持て余すほどの興奮を思い出し、熱い吐息を口から漏らす。
幼いその外見からは不釣り合いなほど熱っぽいそれは、京太郎に淫らな印象を与えた。


京太郎「(その上…乳首もピンと勃ってるし…)」

京太郎「(こ、こんなんエロ過ぎだろ…!)」

京太郎「(童貞にこんな光景見せられて我慢なんて出来るかよ…!)」ゴクッ

元々、京太郎は初美が動く前に冗談だと言うつもりだった。
さっき彼女にオカズを求めたのはあくまでもブラフに過ぎず、本気ではないのだから。
下手に彼女に恥を掻かせるよりかは自分一人で自爆した方がマシだろう。
そんな考えは、しかし、今の京太郎からは完全に消え去っていた。
目の前で晒される無防備な肢体に、彼は既に魅入られ始めている。

初美「どう…ですかー?」

京太郎「ど、どうって…」

初美「私の身体、興奮出来ますかー?」

京太郎「そ、それは…」

初美の疑問に、京太郎は即答出来なかった。
今の京太郎は少なからず興奮している自分を自覚出来ている。
だが、目の前で裸体を晒す少女は、京太郎にとって姉貴分兼ケンカ友達のような相手なのだ。
そんな相手に興奮すると言ってしまって、今までの関係が崩れたりしないだろうか。
逡巡を覚える彼の胸の中で、そんな言葉が浮かび上がってくる。


初美「…京太郎…君?」ジィ

京太郎「…………し、します、よ」

京太郎「初美さんのちっぱいで、興奮しちゃってます…」カァァ

初美「そ、そう…ですかー」モジ

京太郎「あうぅぅ…」

そこでモジモジと身体を揺らす初美に、京太郎は内心、頭を抱えたくなる。
普段の彼女ならば、ここでからかいの一つでも口にするはずなのだ。
だが、今の初美はそんな事を忘れてしまったかのようにその顔に喜色を浮かべている。
まるで自分で興奮してくれているという事が嬉しくて堪らないと言わんばかりの仕草に、京太郎の胸がトクンと反応してしまうのだ。

京太郎「(ま、まぁ、胸を見せてて興奮しないなんて言われたらそりゃ凹んでもおかしくないんだ)」

京太郎「(実際、さっき俺を呼んだ時の初美さんの目で不安そうなものだったし)」

京太郎「(これで良いと言う気持ちは…俺の中にもあるんだけれど)」

京太郎「(なんつーか…あんまりにも殊勝すぎてやりにくいっつーか…)」

京太郎「(何時もと雰囲気違いすぎてヤバイ気しかしねぇ)」

胸中に浮かび上がるその予感に、京太郎は従いたかった。
このまま流されると大変な事になってしまうのは今からでも目に見えているのだから。
だが、既に彼の逃げ場は全て潰されており、それによって生じるデメリットも無視出来ない。


京太郎「(…特にここで逃げたら初美さん絶対、傷つくだろうしなぁ)」

初美「じゃ、じゃあ…あの、お…オナニー…」

京太郎「…分かってますよ」

京太郎「ここまで来たら、俺も腹を括りました」

京太郎「やってやろうじゃないですか」

結局、自分の言葉で決定的に追いつめられてしまっている。
それを自覚する京太郎はその口から漏れ出そうになるため息を堪えた。
腹を括った上で漏らす溜息ほど格好悪いものはない。
ただでさえ、これから格好悪いところを見せなければいけないのだから、と京太郎は自分を戒めて。

京太郎「っと」カチャカチャ ヌギ ボロン

初美「ひゃ…っ」

京太郎「あー…その、すみません」

初美「い、いえ、大丈夫なのですよー」

ズボンと共にパンツを降ろした京太郎の前で、初美が怯えるような声を漏らした。
一々、一枚ずつ脱いでいくのも気恥ずかしいと全部、脱いだのが仇になったか。
そんな気持ちと共に謝罪する京太郎の前で、初美はフルフルと首を振った。



初美「た、ただ、ちょっと大きくてびっくりしちゃって…」

京太郎「ぅ」ピク

初美「え?」

京太郎「い、いや、あの…マジごめんなさい…」

無論、京太郎とて初美の事を決して怯えさせたい訳ではない。
だが、自身の肉棒に気圧されるような様子に、オスとしての部分が喜んでしまうのだ。
それを初美へとアピールするように揺れ動く肉棒に京太郎はそっと両手を重ねる。

初美「か、隠しちゃダメですよー」

初美「私だって…おっぱい見せてるんですから」

初美「ちゃんと見せてくれなきゃダメですー」

京太郎「わ、分かりましたよ…」

出来れば、そんな肉棒をマジマジと見られたくはない。
だが、先に胸を晒させてしまった以上、京太郎に拒否権はなかった。
ジっと視線を送る初美に肩を落としながら、ゆっくりと自身の恥部を開いていく。


初美「わ…わぁ…」

初美「(…こ、こうして改めて見ると…やっぱりすごい大きいのですよー)」

初美「(太くて硬くて…それにちょっとグロい形をしてて…)」

初美「(こ、これが…京太郎君のチンチンなんですかー…)」ゴクリ

京太郎「…」カァァ

瞬間、晒される肉棒に初美は無遠慮な視線を向ける。
何処かオスを値踏みするようなそれに京太郎の顔が紅潮を強めた。
だが、今更、隠す事は出来ず、彼は棒立ちになったまま局部を晒し続ける。

初美「(あの動画の男優よりもちょっと大きいくらいですねー)」

初美「(でも、まだダランって垂れ下がってる状態なんですが…)」

初美「(男の人の勃起って確か硬くなって上を向くんですよね…?)」

京太郎「…」ムクムク

初美「っっ!?」ビックゥ

その最中に肉棒が膨れ上がっていくのは初美の視線に興奮を抑えきれなかったからだ。
親しい少女にガン見されているという状況に、京太郎の身体はその気になって肉棒の先を持ちあげてしまう。
それに初美が驚きを隠せないのは、それ既に勃起した後だと思い込んでいたからこそ。


初美「(え、ちょ、ちょ、待って!?)」

初美「(もしかしてアレで勃起してなかったんですかー!?)」

初美「(あくまでも素のサイズだったって…そういう事なんですかー!?)」

だが、それは京太郎にとって全開ではなかった。
幾ら性欲の強い男子高校生とは言え、刺激もなしに完全に勃起する事は出来ない。
ましてや、京太郎は昨日、性欲を処理し、一端、落ち着かせたばかりなのだ。
幾ら目の前で初美が胸を晒しているとは言っても、半勃ち程度にしかならない。

初美「あ、あの…京太郎君?」

京太郎「な、何スか?」

初美「これ…一体、何処まで大きくなるんですかー?」

京太郎「い、いや、そんなの図ったことないからわかんないですよ」

初美「で、でも、ほら、感覚的にどれくらいとか…」

京太郎「あー…とりあえず本気になった時はここくらいまで来ますね」

初美「えー…」

初美の声に京太郎が示したのはへその上だった。
腹筋を超え、横隔膜にも届きそうなそのサイズに初美は困惑を禁じ得ない。
本当にそれだけ大きくなるのだとしたら、一体、誰がその肉棒を受け入れられると言うのか。
少なくとも自分が完全にそれを受け入れるのは無理だろうと今の時点でも分かる。

エロまでいけなかったけど出勤準備ー(´・ω・`)じ、次回からはエロくなるから…

乙です
黒人かなにかかな?



本編と小ネタがはっちゃんだから投下されたものが一瞬本編?小ネタ?って迷う

俺も
でも最近の初美推しめっちゃ大好きありがとう>>1

前みたいにトリ変えてほしい

乙です
エロ漫画で見た事ある!!

>>621
うへへ、騙してやったぜ(´・ω・`)
実際、本番はやってないんでここまではオッケーなんですよね、ここまでは

>>622
ロリコンじゃないと自分は手を出してもらえないと初美は思ってますので…(´・ω・`)基本、ここのはっちゃんは胸と反比例するようにコンプレックス大きめです

>>724>>726
婚約者だからね、仕方ないね
作中でも言ってますが、唯一無二のポジションについてるんでお互い、結構、積極的です
多分、両方共、相手に対して素直じゃないんで婚約者じゃなければなし崩しックスからの責任とるルートしかなかったんじゃないでしょうか
それに対してはるるはもうどのルートでも結ばれるのが確定してるんでやはりメインヒロインですね(錯乱)

>>725
ぶっちゃけ先にこっちを書いてたから、なし崩しックスでそのルート使えなかったんですよね…
まぁ、今のも最後まで話の流れが出来てるんで問題はないと思ってます(´・ω・`)だが、時間がががが
>>625の最後は『婚約者の真意が分かるはずもなかった』ですね。
眠気がMAXだったとはいえコピペミスってごめんなさい…

>>727
は、初美にとってはファーストキスですし(震え声)
それはさておき、ぶっちゃけ私も行き詰まりのようなものは感じてるんで、誰かに見て本格的に手直ししてもらいたいって気持ちはあるのですよね
今回は大分、意識して直したつもりですが、それでも多少マシになったレベルですし(´・ω・`)もう癖みたいなってる…

>>753
すまぬ…折角、服脱いで貰ってるのに本当にすまぬ…
ちょっと色々と忙しかったりぶっ倒れたりして手が回ってませぬ…
本編進めるので手一杯なのでもうちょっとお待ちを…(´・ω・`)月曜日にはなし崩しックスも進められるかも…

>>753
サイズは黒人並ですが、黒人とは違って硬いし熱いです
何よりマジカルチンポなんで初美に挿入しても避けたりはしません(´・ω・`)女の子が痛がるとエロくないからね、仕方ないね

>>754>>755>>756
これまでも何度か同じように指摘貰ってその度にやるんですけれど、ちょっと間が空いちゃうと忘れちゃうんですよね(吐血)
本当に申し訳ないです、次からトリの前に『初美のなし崩しックス』と言う文字を入れます(´・ω・`)ただ、初美のラストは上でもう終わりなので、もうほぼ出番はありませぬ
そして大好きと言って貰えたので今度こそ完結までいけるよう頑張るんだぜ(´・ω・`)何回も書き直ししまくってて本当ごめんなさい

>>757
オリジナリティあふれるエロ展開なんて私には無理なんや…(´・ω・`)そのフレーズで進研ゼミを思い出しました

スレ上だと良くも悪くも言いたいこと言っておしまいだからなー
求めてるのがアドバイスや敲きレベルじゃなくて本格的に手直しとなると、それこそ編集や共作レベルで関われる人が必要になるから
少なくとも速報でやるのは難しいというか無理筋だと思うわ

つーかさらっとぶっ倒れたとか書いてるけど大丈夫かイッチ
無理せんで書けるときに筆が乗ったら書いてくれりゃいいのよ、お大事に

短めのSS書いて、それを人がどんな風に改変してってくれるかーは私も興味ありますが
>>760さんの言う通り、かなり難しそうですねー(´・ω・`)ゴメンナサイ
もうちょっと心理描写減らせるよう頑張ります…(´・ω・`)だが即興では自重しない

そして心配掛けてごめんなさい
大したものじゃないんですが病院から貰った薬ですっげー眠くなってしまって中々、即興出来ません…(´・ω・`)おくしゅりしゅごいのぉお
そしてGW中は予定が詰まってるので投下するのは難しそうかもです…(´・ω・`)金曜日には投下出来るようにはしたい…

うん、ダメだ、頭回ってないですね!
大したものじゃないというか大した病気とかじゃないです(´・ω・`)ゴメンナサイ
そして23時くらいからまた投下始めます
次からは『初美のなし崩しックス』と名前のところに入れるので興味ない方は上の単語をNG登録しておいてくださいな


初美「(で、でも、京太郎君に対して大きいと言うのはなんとなく癪ですし…)」

初美「ま、まぁまぁですねー」

京太郎「さっき大きくてビックリしたって言ってませんでしたっけ?」

初美「あ、アレは所謂、リップサービスなのですよー」

初美「こ、これくらいのサイズなんて何度も見てきたのですー」

京太郎「処女の癖に無茶してんじゃねぇぞ、初美ぃ」

初美「しょ、処女じゃないですよー!」

初美「い、一体、誰が処女だって言う証拠ですかー!!」

京太郎「いや、何処からどう見ても処女じゃないですか」

さっきから初美は京太郎の肉棒に興味津々だった。
その視線は股間から離れる事はなく、ジィと見つめ続けていたのである。
気圧される最中でも目を離す事が出来ないその姿から、慣れは感じられない。
無論、処女性と肉棒への慣れは同列に語る事が出来ないものではあるが ――


京太郎「(本当に処女でないなら、感覚的にまだ大きくなるという事は分かるはずだ)」

京太郎「(で、実際、初美さんは勃起していくムスコに対して、驚くような反応をした訳で)」

京太郎「(慣れ云々以前に肉棒の事をまったく知らないのが伝わってきている)」

京太郎「(それで経験済みだなんて、到底、思えないよなぁ)」

初美「むむむ…」

胸中でそう結論付ける京太郎の前で、初美は悔しそうな声を漏らす。
京太郎の反論はあまりにもあやふやで抽象的なものだったのだから。
あまりにも反論しにくいそれに、半ば理性をトばした今の彼女がまともに答えられるはずがない。
頭の中は京太郎の肉棒の事で一杯になり、何とか反論しようとしている最中にも視線がそちらへと引き寄せられてしまう。

初美「(だ、だけど、このままだと負け同然なのですよー)」

初美「(な、何とか処女じゃない証を立てなければ、舐められてしまうのですー)」

初美「(京太郎くんにオナニーさせてようやく有利に立てるようになったのに…)」

初美「(ここでまた主導権を奪われるのはあまりにも悔しいのですよー…!)」

初美と京太郎は日頃から憎まれ口を叩き合っている。
その経験が彼女に、ここが分水嶺である事を伝えていた。
ここで負けてしまえば、自分はきっと当分、京太郎に頭が上がらない。
少なくとも、今日一日は京太郎にからかわれ続けてしまうだろう。


初美「(だ、だから…ここで私がするべきは…)」

初美「じゃ、じゃあ…その証を立ててあげるのですよー」ソッ

初美「ひゃああ!?」ビックゥ

そこで初美が選んだのは京太郎の肉棒に手を伸ばす事だった。
自分はこの程度、幾らでも触れられるのだとアピールするようなそれは、しかし、逆効果となってしまう。
その切っ先が緩やかに持ち上がりつつある男根に触れた瞬間、火照るような熱と肉の厚さが伝わってくるのだから。
初めて感じるその感覚に初美は驚きの声をあげた。

初美「(な、なんですかー、コレ…)」

初美「(こんなに熱くて本当に大丈夫なんですかー…?)」

初美「(と言うか…本当に大きいですし、思いっきり張ってますし…)」

初美「(ここからさらに大きく、硬くなるなんて想像出来ないくらいなのですよー)」

初美「(でも、京太郎くんが嘘を吐くなんて思えないですし…)」

初美「(それに何より…)」サワ

京太郎「ぅ…」ムクムク

それでも手を離そうとしない初美の前で、京太郎の肉幹に力が入り始める。
初めて感じる他人の手に身体がどうしても反応してしまうのだ。
初美の手が人並み以上にスベスベしているのも相まって、切っ先がさらに持ち上がっていく。
自然、それを支える肉幹も急速に太くなり、初美の前で完全な勃起へと近づいていった。



京太郎「ちょ、す、ストップ、初美さん」

京太郎「そ、それヤバイですって…!」

初美「ば、馬鹿言うんじゃないのですよー」

初美「これくらい…ち、超余裕ですから」

初美「京太郎君のチンチンなんか全然、ヤバくないのですー」

京太郎「い、いやいやいやいやいや」

それは目に見えるほどの強がりだった。
初美の肩は強張り、大きくなっていく肉棒に頬がひくついている。
事前にその最大サイズを聞いていたとは言え、そこには京太郎の強がりも入っていると彼女はそう思っていたのだ。
だが、目の前でその裏筋を晒し始める肉棒は、その証拠となるように大きく太くなっていく。

初美「(で、でも、ここでビビったら私の負けなのですー!)」

初美「(ちょっと大きすぎて怖いですけど…)」

初美「(血管とか浮き出てきてグロ感も強くなってますけど!)」

初美「(で、でも、この程度で引いたらまた処女だって言われてしまいますし…)」ナデ

京太郎「ふお!?」ビク

そんな肉棒から初美は逃げようとはしなかった。
寧ろ、内心の怯えを隠しながら、その手をゆっくりと這わせていく。
扱くと言うよりも撫でるに近いその仕草に、京太郎の口から驚きの声があがった。


京太郎「ちょ、初美さん…!?」

初美「う、うるさいのですよー」

初美「京太郎君は大人しく私にチンチンナデナデされておけば良いのですー!」

京太郎「いや、それ全然、良くないですし…!」

京太郎「って言うか、俺、オナニーするって話じゃありませんでしたっけ!?」

初美「高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応した結果なのですよー」

京太郎「それ行き当たりばったりって言いません…!?」

初美「え、えぇい、ホント、ああ言えばこう言うんですから…!」

初美「そ、そんな京太郎くんには、こ、こうなのですよー」ギュゥゥゥ

京太郎「痛っ!?」

今の初美は自分で自分を追い詰めていっているようなものだ。
何とか彼女を止めようとする京太郎に、初美が従うはずがない。
寧ろ、有無を言わせなくしてやろうと一気に腕に力を込める。
掴むを超えて押しつぶすようなそれに京太郎は思わず痛みを訴えた。


初美「ご、ごめんなさい…」パッ

京太郎「い、いや、大丈夫っす」

無論、初美も決して京太郎に痛みを与えたかった訳ではない。
彼女が彼に与えたかったのはあくまでも快感なのだ。
このまま勃起した肉棒を気持ち良くし続ければ、京太郎もダメとは言わないはず。
だが、初美は肉棒になど触った事はなく、力加減も分からない。
結果、痛みを与えてしまった事に初美は手を離しながら素直に謝罪を口にして。

京太郎「で、でも、その…色々と敏感な場所なんで…」

初美「つ、つまりもうちょっと優しく触れって事ですね…」サワ

京太郎「なんでそこで触る方向にぃっ」

再び触れる初美の手は、再び撫でるようなものになっていた。
さっき痛みを与えてしまった肉棒へと詫びるようなそれに京太郎の言葉が上擦りを見せる。
何だかんだと言いながらも、京太郎は快感を感じてしまっているのだ。
決して大きい訳ではないが、無視する事もできないそれに肉棒の熱も強くなってしまう。


初美「(う、うわぁ…またムクムクってしてるの分かるのですよー)」

初美「(ただ、ちょこっと撫でられただけなのに、こんなに反応するなんて…)」

初美「(可愛い…とまではいかないですけど…)」

初美「(でも、可愛げのない事ばっかり言う京太郎くんに比べたら、マシかもしれませんね)」

初美「(見た目はビキビキってすっごい悪人面ですけど、ちょっと力入れたらヘタレちゃう弱々チンチンですし)」フフ

京太郎「な、何か不名誉な事考えてません?」

初美「気のせいですよー」

そんな京太郎とは裏腹に、初美の方は今の状況に順応しつつあった。
さっきまで怯えにも似た感情を向けていた肉棒が、今の彼女にとってはもう恐ろしいものではない。
そこが見た目からは想像も出来ない場所であるという事を、初美は良く理解してしまったのだから。
意外と可愛いところもあると胸中で言葉を浮かばせながら、ついつい笑みを作ってしまう。

初美「(まぁ…チンチンなんて恐れるに足らずって事ですねー)」ナデナデ

京太郎「う…ぅ」

その最中も初美は京太郎への愛撫を止めはしない。
ナデナデと肉棒の表面に肌を這わせ、擽ったさにも似た快感を与えてくる。
最初はそれに喜んでいた肉棒も、物足りなくなっていた。
その刺激は勃起するには十分だったが射精するにはあまりにも弱々しすぎるのだから。
既に興奮が射精へと向かいつつある京太郎にとって、その刺激は生殺しと言っても良かった。


京太郎「あ、あの…も、もうそろそろ良くないっすかね」

京太郎「俺も良く分かりましたから…」

京太郎「初美さんがとっても経験豊富だって理解しましたし…ね?」

初美「そ、そうですかー?」

京太郎「えぇ。初美さんは立派なレディーですよ」

京太郎「お見逸れしました。俺の負けです」

初美「ふ、ふふーん。ようやく分かったのですかー」

初美「分かれば良いのですよー分かればー」ドヤァ

京太郎「…」イラッ

何とか初美を落ち着かせようとする京太郎の前で、彼女はドヤ顔をして見せた。
何処か自慢気なそれに彼の中に、なんとも言えない感覚が湧き上がってくる。
不機嫌と言う言葉にさえ届かないようなイラっとする感覚。
それを晴らそうと憎まれ口を叩きそうになる自分を京太郎は何とか堪えて。


京太郎「と言う訳で、そろそろ手を…」

初美「だが、断るのですよー」ギュ

京太郎「うあ…っ」

初美「こんな面白い玩具手放すはずないじゃないですかー」

初美「このままイかせてやるのですよー」

だが、それはもう遅かった。
初美はもう既に京太郎を感じさせるという事に味をしめてしまったのだから。
小生意気な弟分が思わず下手に出るほどの弱点を、そう安々と手放すはずがない。
これが終わった後も有利に立つ為だと指先に力を込める。

初美「これくらいだったら、まだ気持ち良いですよね」

京太郎「い、いや、初美さん…!?」

初美「ちゃんと答えないとまたギュってしますよ」

京太郎「き、気持ち良いです!」

初美「ふふ、そうですかー」ニヤニヤ

さっき京太郎に痛みを与えてしまった事を、初美は忘れてはいない。
その指先に込められた力は、さっきよりもずっとずっと小さなものだった。
だが、それでも彼女の指先は肉棒に微かな圧迫感を与えてくる。
撫でるような愛撫よりもずっと気持ちの良いその手に京太郎の声も甘いものを強めていった。


京太郎「で、でも、流石にそこまでやるのは…」

初美「そんなの今更じゃないですかー」

初美「大体、私は先に恥ずかしいところ見られて…おっぱいまで晒しちゃったのですよー」

初美「京太郎君にもこれくらいはして貰わないと割りに合わないのですー」シコ

京太郎「んな…理不尽な…!」

初美「そうは言いますけど…京太郎君だって結構、楽しんでるじゃないですかー?」

初美「私の手が動く度に…京太郎君のチンチン、熱くなってますし…」

初美「勃起しちゃってるんですよねー…?」ニヤニヤ

京太郎「う、うぅぅ…」

ニヤついた初美の言葉に、京太郎も反論したかった。
だが、幾ら好みではなくとも、初美ほどの美少女が自分の肉棒を扱いているのである。
そこから湧き上がる興奮と、初めて感じる他人の手のひらに肉棒がどうしても喜んでしまう。
口で何を言っても無駄なくらいに分かりやすいその反応に京太郎は恥ずかしそうな声を漏らした。


初美「それに私の手でイかされるのと自分の手でイくのとなんて大差ないじゃないですかー」

京太郎「いや、かなり違いますけれど…!?」

初美「それはつまり私の手でされる方が興奮しちゃうって事ですね」

初美「全く…本当に京太郎くんは淫乱弱々チンチンなのですよー」

初美「そんなチンチンは私が面倒を見てあげるしかないですー」

京太郎「あぁ…っ」

瞬間、初美が触れたのは肉棒の先端だった。
皮がズル剥けになったそこは肉棒の中でも特に敏感な部分なのである。
心の準備も出来ないまま、そのピンク色の粘膜に触れられた京太郎は声を抑える事が出来ない。

初美「へー…ここが気持ち良いんですね」

初美「あぁ…って女の子みたいな声出しちゃって…」クス

京太郎「ぬぉおおぉ…!」

初美「今更、悔しそうな声出しちゃっても無駄ですよー」

初美「私、もう京太郎くんの弱いところ分かっちゃったんですからね」スリ

京太郎「っ!」

また一つ痴態を晒してしまった自分に、京太郎は苦悶にも似た声をあげる。
初美に誂われるのが悔しくて悔しくてしかたがないと言うようなそれは、しかし、長続きしなかった。
京太郎の声にクスリと笑った初美はその右手を亀頭へとかぶせて来たのだから。
そのままスリスリと先端を撫でるようなその愛撫に、京太郎は身体を強張らせた。


初美「ほらほら…ここが良いんでしょう?」

初美「私は優しいですから、京太郎君の弱いところちゃんと可愛がってあげますよー」

初美「京太郎君はそれに感謝しながらアヘアヘになっちゃえば良いのですー」

京太郎「だ、誰が初美なんか…にぃ…」

初美「中々、強情ですね」

初美「でも、こっちの方は…もうそうは言ってないですよー」サワ

京太郎「うあっ」

それでも何とか強がろうとする京太郎に、初美は決して容赦しなかった。
誂うように言いながら、亀頭に自分の手を擦り付け続ける。
敏感なそこだけを責め続ける彼女に肉棒が最大仰角まで持ち上がった。

初美「もうガッチガチじゃないですかー」

初美「これ…もう完全に勃起してますよね」

初美「私に…私だけに興奮したんですよね…っ」ハァ

京太郎の前に立つ初美に裏筋を向けるような逞しい姿。
だが、それはもう初美にとって、ただの興奮する玩具でしかなかった。
女としての魅力に乏しい自分に、愛しい男が興奮してくれている。
それを否応なく感じさせる姿に初美は熱いため息を漏らした。


初美「霞ちゃんでもはるるでも姫様でもなく…」

初美「私にこんなアッツアツのチンチン晒して…」

初美「京太郎君は本当に節操なしなのですよー」

初美「こんな浮気症チンチンじゃ、恋人になった女の人が可哀想なくらいなのですー」

京太郎「し、仕方ないじゃないですか…!」

京太郎「生理的に無理な相手とかならまだしも、そこ握られたら大抵…」

初美「口答えするんじゃないですよー」キュ

京太郎「あぁっ」

独占欲を満たしてくれるようなその滾りに、初美はもう夢中だった。
だからこそ、それを否定しようとする京太郎の言葉を、彼女は拒絶する。
その手で亀頭を締めながらのそれに、京太郎はどうしても抗えない。
先端から伝わる快感は、もう快楽と呼べるほどに高まりつつあったのだ。


初美「(はぁ…京太郎君ってば馬鹿ですねー)」

初美「(そんな可愛い声出されたら…こっちも盛り上がっちゃうに決まってるじゃないですかー)」

初美「(大体、何ですか、その顔)」チラ

初美「(理性と気持ちよさでもう半分半分になってて…)」

初美「(可愛いだけじゃなくて、エロさまで感じちゃうじゃないですかー)」キュン

そこで肉棒から目を離した初美は、京太郎の顔へと視線を送る。
久方ぶりに見た彼の表情は、理性と快感で埋め尽くされていた。
理性と快感がせめぎあうのがひと目で分かるその姿に初美は胸をときめかせる。
他の男ならば穢らわしいと感じるかもしれないが、初美にとって京太郎は特別な相手なのだから。
二律背反すら感じさせるその顔を自分が作ったのだと思うと、ついつい興奮してしまう。

初美「これはもう教育しかないですね」

京太郎「きょ、教育って…」

初美「こんな簡単に勃起しちゃう浮気症チンチンは矯正です矯正」

初美「大事な人以外で勃起したりしないよう…しっかり躾けしておかないと」シコ

京太郎「はぁ…ぁ」

そんな彼女が京太郎に容赦するはずなかった。
肉棒よりも魅力的な京太郎の顔を見上げながら、左手を彼の肉幹へと伸ばす。
そのまま京太郎の肉棒を扱き始める手は、京太郎にすぐさま熱い吐息を漏らさせた。


初美「チンチンとその先っぽの同時攻撃ですよー」

初美「淫乱チンチンの京太郎くんはこういうの大好きですよね」

京太郎「い、いや、まぁ…気持ち良くないとは言いませんけれど…でも…」

初美「まったく…まだダメだとか言うつもりですかー?」

初美「いい加減、諦めるべきなのですよー」

初美「少なくとも、チンチンは私の手を気に入ってくれてます」

初美「ジンジンって疼くように熱くなってて、私の手で全然凹まないくらいに硬くて…」

初美「まるでフェロモンみたいな匂いも…ムンムン来てるのですー…♪」ハァ

京太郎「うぅ…」ビクン

それでもまだ否定の言葉を口にしようとする京太郎に、初美もまた熱い吐息と共に応えた。
彼女の胸で強まり続けた興奮は、もう体の内側に留めおけるものではなくなっている。
京太郎を責める為の言葉にさえ興奮と媚の色が隠しきれなかった。
まるで京太郎の肉棒が好きで好きで堪らないと言わんばかりのその声音に京太郎の肉棒がビクリと跳ねる。


初美「あは…♪今、ビクってしましたよね…♥」

初美「我慢出来ないって言うみたいに私の手の中で震えて…♪」

初美「その上…ほらぁ…♪」スッ  

初美「先っぽから愛液みたいなのがトロトロって出て来ちゃってますよー…♥」

初美「これってカウパーって奴ですよねー♪」ネバァ

京太郎「み、見せなくても良いですから…!」カァ

瞬間、鈴口から溢れでた粘液を、初美は京太郎へと突きつける。
指の間についたそれを弄ぶようにして糸を引かせながら、彼へと右手を突き上げるのだ。
それが自身から漏れでた粘液である事を否応なく感じさせるその光景に、京太郎の頬が赤くなる。

初美「確かこれって女の子の愛液みたいなもんですよね…♥」

初美「射精の準備が始まっちゃうと出てきちゃう…エッチな汁…でしょう…♪」

初美「そんなのを漏らすくらいに…京太郎君も興奮してくれてるって事はぁ…♪」

初美「やっぱり…京太郎君も私にされるの喜んでるに決まってるのですー…♥」

京太郎「あ、あくまでも生理的な反応です…!」

京太郎「つか、その感じてるから和姦みたいな論理止めま…んぉ!」

初美「んふぅ…♥」

それを京太郎は喜んでいる証だとする初美に、京太郎は必死で反論をしようとする。
だが、それも初美の右手が亀頭に戻った瞬間に止まってしまった。
これまでの間、京太郎の弱点を責め続けた彼女は、京太郎にとってベストな力加減を把握しつつあるのだから。
その小さな手のひらにスリスリと擦られるだけで、快感に声が上擦ってしまう。


初美「そういうのはせめて、そういうエッチな声を止めてから言うべきなのですよー♪」

初美「無理矢理、されてるのにそんなあんあん言ってたら、ドMか淫乱かのどっちかだけなのですー…♥」

京太郎「どっちでもないですし、無理矢理って分かってるんだったら止めてくれませんか…!?」

初美「やーですよー♪」

初美「射精するまでヤるって言ったんですから…そこまでは絶対に止まったりしてあげませんっ♪」シコシコ

京太郎「うぉお…」

その上、初美の左手もまた少しずつコツを掴んだ扱き方をし始める。
親指で裏筋にグっと圧力を掛けながらのそれは、もう京太郎自身とくらべても遜色ないものだった。
一往復する度に快楽に心が突き上げられ、射精へと近づいていく感覚。
京太郎はそれを何とか堪らえようとするものの、その原動力となる理性の力は大分、弱くなっていた。

初美「顔の方もどんどん情けなくなってるのですよー…♪」

初美「ただ赤くなるだけじゃなくて…今にも口からヨダレが出ちゃいそうなエロ顔ですー…♥」

初美「そんな顔見られたら…幾らはるるでも幻滅しちゃうのですよー♥」

京太郎「ぐ…」

初美「あは…♪我慢しても無駄ですー…♥」

初美「京太郎君のチンチンは私に絶対に勝てないんですから…♪」

初美「必死に我慢してもすーぐ情けないトロ顔晒しちゃうに決まってるのですよー♥」

自然、その顔も緩みがちになっているのを京太郎はまったくきづけなかった。
初美の愛撫に屈しない為に、彼は殆どの思考力をつぎ込んでいたのだから。
結果、陥落寸前であった顔を、京太郎は何とか引き締める。
その分、防御が薄くなった下半身を弄ぶように初美の愛撫は勢いを増した。


初美「ほらほら…京太郎君、ここが良いんでしょう?」

初美「先っぽ全体よりも…下の膨れ上がったところの方が敏感なんですよね…♥」

初美「チンチンも全体を扱かれるよりも先の方を重視した方が気持ち良くて…♪」

初美「緩急つけた方がお気に入りなの…もう丸わかりなのですよー♪」

京太郎「あぐぅ…っ」

より淫らになっていくその愛撫に、京太郎はもう何も言えなかった。
否定する言葉さえ封殺するその快楽に腰がおもわず引けてしまう。
だが、興奮に酔った今の初美は京太郎の事を逃がさない。
引いた分をすぐに詰めより、彼に快楽を与え続ける。

初美「ふふん♥今更、逃がすはずないじゃないですかー♪」

初美「京太郎君はここで私にイかされちゃう運命なのですよー♥」

初美「白いのドピュドピュして…最高に恥ずかしいところ私に見られちゃうのですー…♥」

初美「どれだけ抗おうとしても…無駄無駄…無駄ですよー♪」

初美「だから…負けちゃえ…♥」

初美「チンチンに…私にもう負えちゃえぇ…♪」

初美「気持ち良いのに…負けちゃうのですー…♥」

京太郎「ふー…ふー…っ」

そうして積み重なる快楽に、京太郎は呼吸を繰り返す。
グっと歯を食いしばった奥から漏れ出る強い吐息は、彼がもう限界に近い証だ。
もう目に見えるほどに絶頂へと近づいた身体が、初美の手に陥落しそうになっている。
それに抗おうとする心も、もう半ば欲情に呑まれていて、射精に向ける期待を抑えこむ事が出来ない。


初美「たった一言で良いですよー…♪」

初美「イきたいって…そう言ってくれれば…♥」

初美「私がとっても気持ち良い射精をさせてあげるのですー…♪」

初美「もうとっくの昔に負けちゃったエロエロ淫乱チンチンを思いっきり可愛がって…♪」

初美「オナニーとは比べ物にならないほどドピュドピュさせてあげるのですよー♥」

京太郎「~~~っ!」

その言葉は決して京太郎の内心を感じ取ったが故のものではなかった。
興奮と欲情に目覚めた初美の本能が、なんとなくでその言葉を選んだだけ。
だが、それは期待が膨れ上がる京太郎にとって、猛毒と言っても良いものだった。
ついつい心の中で期待の色が強くなり、残った僅かな理性も削られてしまう。

初美「さぁ…選ぶのですよー♪」

初美「京太郎君は…どっちが良いですかー♥」

初美「私に完全に負けちゃって…気持ち良く射精するか…♪」

初美「それまでずぅうっとお預けさせられて辛く苦しい思いをするか…♥」

初美「私は優しいから京太郎くんに選ばせてあげるのですよー♥」

京太郎「お、俺は…」

最早、趨勢は決していた。
京太郎の中に残った理性はもう見るも無残なほど小さく、欲情は見上げるほどに大きい。
初美の言葉に躊躇う事しか出来ないそれでは、飛ぶ鳥を落とす勢いで強まる欲情は止められなかった。
一秒二秒と時が経ち、沈黙を続ける京太郎がゆっくりと唇を動かし始める。
躊躇いはあれど、迷いはないその動きに初美は勝利を確信して。


小蒔「初美ちゃん」

京太郎「うぉああああ!?」ビックゥ

初美「~~~っ!?」ビックゥ

それが形になる寸前だった。
襖の向こうから聞こえてきた小蒔の声に、二人は驚きに身を固める。
お互いに欲情に呑まれつつあったとは言え、他人がすぐそこにいるのに構わず、身を委ねられるほどではないのだ。
ましてや、それが純真な初美となれば、高まりつつあった欲情も冷えてしまう。

小蒔「…あれ?京太郎君ですか?」

京太郎「あ、い、いや、その…は、はい」

小蒔「あれ…私、部屋、間違えちゃいました?」

京太郎「い、いえ、ここが初美さんの部屋で合ってますよ」

小蒔「そうですか。安心しました」ホッ

とは言え、そう簡単に冷静さを取り戻せるはずがない。
不思議そうな小蒔の声に、京太郎はぎこちなく返した。
普通なら何かあると感じ取るであろうその声に、しかし、天然気味な小蒔は気づかない。
襖の向こうで間違えじゃなくてよかったとそっと胸を撫で下ろしていた。


小蒔「あれ?でも、どうして京太郎くんが初美ちゃんの部屋に?」

小蒔「それに、さっきから初美ちゃんの声が聴こえないんですけれど…」

京太郎「え、えぇっと…」チラッ

初美「~~~!!」ブンブン

それでも彼女はその状況にまったく疑問を浮かべない訳ではなかった。
京太郎が初美の部屋にいるのに、どうして初美の声が聴こえないのか。
その答えに窮した京太郎は目の前にいる初美に視線を送る。
それに彼女は全力で首を左右へと振った。

京太郎「ちょ、ちょっと初美さんはトイレに行ってまして」

小蒔「あ、なるほど。そうだったんですか」

初美「…」ホッ

そこで初美が胸を撫で下ろすのは、ここで小蒔に踏み込まれると大変な事になるからだ。
その部屋の中は、京太郎が尋ねてきた時と同じであり、そして二人の姿は当時よりもずっと大胆なものになっているのだから。
お互いに服を着て、誤魔化すにしても数分は必要になってしまうだろう。
幾ら小蒔が純朴とは言え、その待ち時間に疑問を覚えないとも限らない。


初美「(そ、それに結構、匂いがヤバイ事になってるのですよー…)」

初美「(京太郎君のフェロモンがもうすっごくエッチで…ヤバイですし…)」

その匂いを、初美は小蒔に譲りたくはなかった。
それは京太郎が自分に興奮してくれた証なのだから。
自分一人で独占したいと、ついついそう思ってしまう。

京太郎「ち、ちなみに小蒔さんは何の用なんですか?」

小蒔「そろそろおやつの時間なんで、一緒におやつでもどうかなって」

小蒔「あ、京太郎君もどうですか?」

小蒔「京太郎君も後で呼びに行こうと思ってたんです」

京太郎「い、良いですね!」

初美「…」ム

そんな初美にとって、その状況はまったく面白いものではなかった。
ついさっき自分が独占していた京太郎が、今、自分を放っておいて小蒔と話しているのだから。
その上、彼女の誘いにも乗り気となれば、胸の中がムカムカしてしまう。
自分にイかされるよりも小蒔とのおやつの方が良いのか。
そんな八つ当たりめいた言葉を思考に浮かべた初美はそっと手を伸ばして。


京太郎「ぬぉっ」

小蒔「って京太郎君、大丈夫ですか!?」

京太郎「だ、大丈夫です!」

瞬間、京太郎が驚きの声を放ってしまったのは初美の手が再び自身の肉棒へと触れたからだ。
小蒔の呼びかけからずっと離れていた彼女の手との再会に、しかし、今の京太郎は喜ぶ事が出来ない。
途中で愛撫を停められた肉棒は欲求不満を覚えているが、今はまだ目の前に小蒔がいるのだ。
幾ら頭の中が冷えているのも相まって、容易く欲望に身を委ねられない。

京太郎「ちょ…初美さん…!?」ヒソヒソ

京太郎「い、今は拙いなんてもんじゃないですって…!」ヒソヒソ

初美「ふーんだ…京太郎君なんて知らないですよー」ヒソヒソ シコシコ

初美「姫様とのお話に夢中になってれば良いのですー」ヒソヒソ スリスリ

京太郎「な、なんで拗ね…てるんです…かぁ…ぁ」ヒソヒソ

そんな京太郎の抗議に、しかし、初美が止まるはずがない。
さっきと同じように右手と左手を動かし、京太郎の肉棒を責め立ててくる。
小蒔がすぐ目の前にいる事など忘れてしまったようなその愛撫に、京太郎の声はすぐさま上擦りを見せた。
頭の方は幾らか冷えても、体の方はまだ欲情に炙られ続けているのだから。
再開された愛撫に喜ぶようにして肉棒の先も跳ねさせてしまう。


初美「どーせ京太郎君には分からない事なのですよー」

初美「…それよりこんなにチンチンビクンってさせてて恥ずかしくないんですかー?」

初美「すぐそこに姫様がいるのに…こんなにエッチな動きして…」

初美「本当に節操ない…ダメチンチンなのですよー…♥」

京太郎「う…うぅ…」

だからこそ、京太郎は初美の愛撫を拒めない。
心まで陥落寸前だった彼もまた快楽を求めているのだから。
ギンギンに張った肉棒は衰える気配もなく、初美の愛撫に悦んでいる。
それを節操無しと罵る初美に京太郎はただ呻き声をあげるしかなかった。

小蒔「…京太郎君?」

京太郎「い、いえ、何でもないです…!」

小蒔「でも…何だか苦しそうな声でしたよ?」

小蒔「もしかして体調が悪いんじゃ…」

京太郎「そ…んな事ないですよ」

京太郎「た、ただ…ちょっと…い、色々…ありま…してぇ」

小蒔「色々?」

だが、京太郎は初美の愛撫に身を委ね続ける訳にはいかない。
彼には襖のすぐ向こうにいるであろう小蒔に誤魔化すという仕事があるのだから。
しかし、それも初美の愛撫によって、中々、上手くいかない。
誤魔化すどころか逆に心配されてしまうような有様だった。


京太郎「は、はい。その…くぉ」

小蒔「や、やっぱり苦しいんですか?」

京太郎「い、いえ…き、気持ち…良いです…」

小蒔「え?」

京太郎「き、気持ち良いんで…大丈夫ですっ」

初美「~~っ♪」キュン

それでもその状況を何とかしようとする京太郎から、気持ち良いという言葉が漏れる。
これまで頑なに彼から出てこなかったその言葉に、初美の身体が強く疼いた。
キュンと心臓と子宮が同時に悶えるようなその感覚は、彼女の中で喜悦へと繋がっていく。
結果、不機嫌さを駆逐された初美は、京太郎の下でニンマリとした笑みを浮かべて。

初美「ふふ…♪中々、可愛げのある事言ってくれるじゃないですかー…♥」

初美「これはご褒美あげなきゃいけませんね…♪」

京太郎「ご、ご褒美って…」

初美「んふうぅ♪」ストン

そのまま京太郎に甘く囁いた初美は、その身体を畳の上へと下ろしていった。
足ではなくその膝で身体を支えた彼女の前には、京太郎の肉棒が反り返っている。
その表面に血管が浮き出たそれが、今の初美には可愛らしく見えた。


初美「あー…んぅ♥」パク

京太郎「あぁああっ!」

その先端を初美は躊躇なく口に含んだ。
思いっきり開いた口に亀頭を含み、パクリと食べて見せる。
瞬間、京太郎の身体を走り抜けるのは今までにない快楽だった。
ドロリとした口の粘膜に閉じ込められた亀頭が、悶えるようにして震えるほどの。

小蒔「京太郎君!?」

京太郎「だ、大丈夫です…!ち、ちょっとびっくりしただけなんで…」

小蒔「で、でも…」

京太郎「き、気持ち良いです…から」

京太郎「これ、ホント…気持ち…良い…ぃ」

初美「~~~っ♥」キュゥン

結果、快楽混じりの声をあげてしまった京太郎に小蒔は心配の言葉を口にする。
それに応える京太郎の声は、さっきよりもずっと甘いものになっていた。
興奮と欲情を隠し切れず、気持ち良いと繰り返すそれに初美の疼きがまた一段強くなる。


初美「(はぁ…♪もう…どれだけ…エロいんですかー♥)」

初美「(姫様の前でそんなエロ声漏らすなんて…♪)」

初美「(幾ら姫様でも…気づいちゃうかもしれないですよー…♥)」

初美「(だから…足もブルブルさせちゃいけません…♥)」

初美「(チンチンも私の口一杯になるくらい大きくて…♪)」

初美「(唾液がよりドロドロになっちゃうくらいに熱くて…♪)」

初美「(何より…このオスくさい…エッチな匂いを止めないと…♥)」

初美「(姫様に…バレちゃうのですよー…ぉ♪)」レロォ

京太郎「あ…ふぁぁ…」

その胸中に浮かぶ言葉さえ、媚と興奮に塗れてしまう初美。
そんな彼女が京太郎の肉棒を味わうのを一秒だって我慢出来るはずがなかった。
大きく開いた口の中を埋め尽くすような亀頭を、初美はねっとりと舐め回す。
すぐそこにあるオス臭い肉棒を味わうようなそれに京太郎は心地良さそうな声を漏らした。


初美「(またそんな声出してぇ…♪)」

初美「(これ…もうオネダリですよね…♥)」

初美「(私にチンチンペロペロして欲しいって…♪)」

初美「(もっともっとおいしくなるから、気持ち良いおしゃぶりして欲しいって…♪)」

初美「(そう言っているに…決まってるのですー…♥)」レリュゥ

初美にとって、その肉棒は美味しいと言っても良いものだった。
その表面に浮かんでいるのは汗程度で、本来ならば僅かな塩味程度しか感じられない。
だが、粘膜で感じる肉の滾りは彼女に興奮を与え、また口腔内ではオスのフェロモンで満たされているのだ。
初美を否応なくメスへと堕とそうとするようなその匂いに、本能が肯定的な反応を示してしまう。

小蒔「それなら良いんですけれど…」

小蒔「でも、無理はしないでくださいね」

小蒔「辛かったら、遠慮無く私に言って下さい」

小蒔「私、精一杯、京太郎君の事看病しますから」

初美「っ」グ

京太郎「え、えぇ…ありがとうございま…すぅ…っ」

それでも、すぐそばにいる小蒔の事を初美は忘れられる訳ではない。
そのいじらしい言葉が初美の心をかき乱し、彼女の両手を肉幹へと這わせた。
両手を縦にならべるようなそれは人並み外れた京太郎の肉棒を大きく深く扱き始める。


京太郎「(やば…い。コレ…もうマジでヤバイ…!)」

京太郎「(イきそうに…なってる…!)」

京太郎「(先っぽ舐められながら扱かれて…)」

京太郎「(すぐそこまで精液がキてるのが分かる…!!)」ムクムク

初美「~~~っ♥」キュンキュン

今の京太郎は残った理性の全てを小蒔への対応に回している状態だ。
強まっていく一方の快楽に、京太郎が耐えられるはずがない。
初美の手のひらよりもさらにやわらかく、ドロドロとしたフェラとより激しさを増した手コキの快楽。
それに肉棒はあっさりと屈服し、その内側からゆっくりと膨れ上がっていく。

初美「(お、大き…大き過ぎるのですよー…♪)」

初美「(な、何なんですかーこの大きさはぁ…♥)」

初美「(今までだって十分大きかったのに…今はもうはち切れそうになってて…♪)」

初美「(こ、こんなのお口に入れてたら…顎が外れちゃいそうなのですよー…っ♥)」

それは京太郎にとって最終形態と言っても良いものだった。
オスの滾りをその内側に集め、ただただメスを孕ませるためだけに特化した姿。
よりメスの奥で射精しようとするそれに初美は顎への負担が強まるのを感じる。
その変化は一回りと言っても良い程度だったが、元から京太郎のサイズは大きすぎるのだ。
既に限界近くまで口を開いていた初美にとっての負担は決して軽視出来るものではない。

射精までイきたかったけど流石にちょっと眠気がマッハなんでねまーす(´・ω・`)オヤスミナサイ

途中純真な初美って書いてあって「え? 純...真...?(京ちゃんのマイサンを握る姿を見ながら)」ってなったわ。誤字ったのね
あとはっちゃんの髪型ってイラマチオする時の手綱みたいだよね

おいおい、ここはKENZENなスレなのでエロSS移転とかは関係ないだろHAHAHAHA(´・ω・`)……マジかよ
ありがとうございます、とりあえず次スレからは移転先で続ける事になると思います…

あ、後、順調にいけば金曜日にも本編投下出来ると思います(´・ω・`)色々遅くてごめんなさい

はっちゃんよかったよ

乙です
はっちゃんかわいい

>>799>>800
な、なんだよ、いきなり褒めて始めるだなんてびっくりするだろ(*´・ω・`*)反応なかったんで今回も微妙だったのかと正直ビビリまくってました
そう言っていただけて本当に安心しました…

>>795
さ、咲日和の方のはっちゃんは純真ですよ(´・ω・`)こっちは完全に喧嘩ップルの片割れ兼すぐ側にいる姫様に魅せつけるようにナメナメするような痴女ですけど
はっちゃんの髪型は後背位の時にも掴めますから、自前の手綱と言っても良いんじゃないでしょうか(錯乱)
実際やったら最中はハッスルしても、終わった後でブチキレられそうですが

GWでスレ見れてなかったよ
隠れてのHとかエロかった

>>1のおかげでロリに目覚めそうだぜ

えっ!?反応しないことにより>>1を放置プレイする流れじゃなかったの!?

まあGWで反応出来なかったってのはあるね


ガチャ

咲「ただいまー…」

京太郎「おう。おかえり」

咲「あ、京ちゃん。先に帰ってたんだ」

京太郎「あぁ。今日は特に何かあった訳じゃなかったしさ」

京太郎「勿論、部長に言われてネト麻はやってたけど」

咲「そっかー」ドサ

京太郎「かなり疲れてるみたいだな」

咲「ん…もうクタクタだよ」

咲「合宿ってこんなにキツかったんだ…」

京太郎「言っとくが運動部の合宿はこんなもんじゃねぇぞ」

京太郎「まぁ、ともかくおつかれさん」

京太郎「洗濯くらいはこっちでやるからゆっくり休んでくれよ」

咲「んー…」


ガチャ

咲「ただいまー…」

京太郎「おう。おかえり」

咲「あ、京ちゃん。先に帰ってたんだ」

京太郎「あぁ。今日は特に何かあった訳じゃなかったしさ」

京太郎「勿論、部長に言われてネト麻はやってたけど」

咲「そっかー」ドサ

京太郎「かなり疲れてるみたいだな」

咲「ん…もうクタクタだよ」

咲「合宿ってこんなにキツかったんだ…」

京太郎「言っとくが運動部の合宿はこんなもんじゃねぇぞ」

京太郎「まぁ、ともかくおつかれさん」

京太郎「洗濯くらいはこっちでやるからゆっくり休んでくれよ」

咲「んー…」


~リビング~

咲「はー…」

京太郎「どうしたよ、急にため息なんて吐いて」

咲「いや、もうGWも終わっちゃったなぁって」

京太郎「だな」

咲「……合宿ばっかりで全然、恋人らしい事出来なくてごめんね」

京太郎「そんなの気にすんなよ」

京太郎「皆が本気でインハイ出場狙ってる事くらい分かってるんだ」

京太郎「この程度で拗ねるほど器の小さい男じゃねぇって」

咲「…それはそれで寂しいんだけど」

京太郎「俺にどうしろって言うんだよ」

咲「だって…私は結構、寂しかったんだよ?」

咲「なのに、京ちゃんの方は普通そうにしてるし…」

京太郎「毎日、電話はしてただろ」

咲「そうだけどー…」

京太郎「まったく甘えん坊め」ナデナデ

咲「んふー♪」


京太郎「まぁ、別に今日明日で終わるような付き合いじゃないんだ」

京太郎「この分の埋め合わせは何時かまたして貰うし安心しろ」

咲「うん。…でも」

京太郎「でも?」

咲「折角のGWなんだから何か特別な事はしたいかなーって」

京太郎「つってももう明日から学校だし」

京太郎「何より、今日は咲も疲れてるだろ」

京太郎「夕飯も店屋物にするつもり満々だったんだけど」

咲「あ、じゃあ、私、親子丼食べたいな」

京太郎「んじゃ、今日は丼屋にすっかー」

咲「えへへ、ありがとう」

京太郎「お礼を言うような事じゃねぇって」

咲「それでも、ほら、私の為にご飯用意しようとしてくれてる訳だし」

京太郎「普段、晩飯作ってもらってるんだし、これくらい当然だと思うけどなぁ」


咲「それでも恋人としては何かしないとダメかなーと思う訳です」

京太郎「思う訳かー」

咲「うん」

京太郎「思っちゃうのかー」

咲「…うん」

京太郎「思っちゃったかー」

咲「……もー、京ちゃん」

咲「本当は分かってるでしょ?」

京太郎「いやいや、咲が何を言いたいのか全然、分かりませんなぁ?」ニヤニヤ

咲「そのにやけっぷりが全てを物語ってると思うな」

京太郎「いや、それは仕方ないだろ」

京太郎「恋人が俺の為に何かしようとしてくれているんだ」

京太郎「そりゃどうしてもにやけちゃうって」

咲「…ホント、調子良いんだから」ハァ


咲「…つまり…あ、アレだよ」

京太郎「アレ?」

咲「……え…えっ……と」

咲「え、偉い人が命令出来るゲームをしよう!」

京太郎「流石にそれ無理がある流れじゃないか?」

京太郎「つか、二人っきりでどうやって王様ゲームするんだよ」

咲「そ、それは……ほら、お互いに一つずつ命令していくんだよ」

咲「勿論、王様だからよっぽどでない限り、命令拒否は不可能で」

京太郎「つまりエッチなことも命令し放題と?」

咲「ぷ、プレイ内容に依るかなー?」メソラシ

京太郎「…ホント、咲はエロエロだな」ナデナデ

咲「え、エロくなんかないもん」

咲「これも京ちゃんの献身に報いる為なんだから」

咲「ほ、本当はこんなの恥ずかしくて嫌なんだからね」

京太郎「はいはい。分かっておりますよっと」



咲「そ、それじゃあ…先攻は京ちゃんに譲ってあげる」

咲「私に何を命令するの?」

京太郎「んー…そうだなぁ」ジィ

咲「…」ドキドキ

京太郎「……じゃ、まずは手堅くキスからして貰おうかな」

咲「…はぁい♪」チュ

京太郎「って…コレだけかよ」

咲「回数の指定はなかったし、こんなものでしょ?」

京太郎「ひっでぇな」

咲「ふふ。私だって京ちゃんに命令したいの沢山あるんだもん」

咲「命令は手早く簡潔に済ませないとね」

京太郎「まぁ、別に良いけどさ」

京太郎「で、咲は俺に何を命令するんだ?」

咲「…キスして欲しいな♥」

咲「それも…私の顔がトロットロになるようなエッチでディープなキス…♪」

咲「京ちゃんも私もエロエロになるようなそれを五分間…ね♥」

京太郎「仰せのままにお姫様っと…」チュ

咲「~~っ♪」


咲「ちゅ…♪ちゅるぅ…♥」

咲「はむ…♪んふぁぁ…♪」

咲「じゅ…ちゅぅぅう…♥」

咲「ふぅ…♪ふゆぅう……♪」

咲「ん…♥くちゅ…♪」

咲「はぷ…ぅ♪ぬ…ろぉ…♪」

咲「ちゅ…ちゅぅ…♥」ガク

咲「れるぅぅ…♥」ガクガク

咲「~~~~っ♥」ガクン

京太郎「っと」ダキ

咲「ふ…にゃぁ…♪」




京太郎「相変わらずキスに弱々だなぁ…」

京太郎「正確には図ってないけど多分、五分も経ってないってのに…」

咲「き、京ちゃんが上手過ぎるんだよぉ…♥」クタァ

京太郎「まぁ、そう言われて悪い気はしないけどさ」

京太郎「…それより今度は俺の番だよな」

咲「…うん♪何を…命令してくれるの…?」

咲「エッチなチューでトロトロになった私に…何をするの…?」

京太郎「…そりゃもうここまで来たらアレだろ」

京太郎「五分間、おっぱい触らせてくれ」

咲「京ちゃんのスケベ…♥」ムキ

京太郎「あんなオネダリの仕方した咲に言われたくねぇっての」

京太郎「お陰で俺も完全に火が着いちまったんだ」

京太郎「だから、まず手始めにこのちっぱいから楽しませてもらうぜ」サワサワ

咲「きゅふぅ…♪」


~この後滅茶苦茶王様ゲームセックスした~

こんな感じで王様ゲームと言う名目でエロエロする京咲か京憧を下さい…(´・ω・`)お願いします!父が危篤なんです!

>>802>>804
このリア充どもめ…(´・ω・`)隠れてHはアイデア貰った時から絶対に入れたいと思ってました
読者の皆に放置プレイされるなんて…悔しい…でも、感じちゃう…(ビクンビクン)

>>803
はっちゃんは合法だから…(目を逸らしながら)
ありがとうございます、もっと目覚めて貰えるよう頑張ります


で、とりあえず本編投下してその後、初美の続きいきまーす


―― それからも初美のオネダリは続いた。

それはキスだけに限らない。
一日の命令権を手に入れた彼女は日頃はあまり出来ないスキンシップを軽口混じりに求め続けた。
京太郎がそれに応え続けていたのは、決して負い目だけが理由ではない。
初美は小生意気な口を利きながらも、その目と声に媚の色を浮かばせ続けていたのだから。
普段はあまり見れない、女性としての初美が、京太郎は可愛くて可愛くて仕方がなかった。

―― しかし、だからと言って、めでたりめでたしにはならない。

二人は婚約者ではあるが、決して二人っきりで暮らしている訳ではない。
屋敷には、京太郎に恋い焦がれる他の少女達がいるのだ。
そんな環境では、初美も混浴や同衾を強請る事は出来ない。
して欲しいと言う気持ちは大きいが、自分がそれを強請ると他の少女たちも我慢出来なくなるのが目に見えているのだから。
他の少女たちも同衾や混浴を求めるようになれば、日頃から禁欲を強いられている京太郎の理性がさらに危なくなる。
神代小蒔の卒業式までは待って欲しいとそう言った彼に初美は余計な負担を掛けてやりたくはなかった。


―― そう殊勝な事を思う反面、心はどうしても納得しない。

そもそも京太郎が自分を受け入れてくれれば、何もこんな複雑な気持ちにならずに済んだのだ。
そんな言葉はどうしても初美の中から消えきる事はなかった。
結果、彼女は嫉妬の念を抑えきれず、そのスキンシップも過激なものになっていく。
同衾や混浴が出来ない分、他の部分での埋め合わせを求めていた。

京太郎「はふー…」

無論、京太郎もそんな初美の事が嫌いではない。
寧ろ、不器用ながらオネダリをする彼女が、それに応えた時の幸せそうな表情が、とても愛らしいと思う。
だが、今の彼は禁欲に禁欲を重ねている真っ最中なのだ。
あまりにも魅力的過ぎる婚約者に、オスの欲望を抑えるのも辛くなって来る。


―― そして彼にスキンシップを求めるのは初美だけではないのだ。

滝見春に神代小蒔、石戸明星に十曽湧。
その性質こそバラバラではあるものの、彼女たちは一様に京太郎へのスキンシップを求めるようになった。
特に告白から吹っ切れたのか、明星や湧の誘惑は激しい。
京太郎の顔を見れば抱きついてきたり、腕を組もうとして来たりする。
まるで恋人同士のように身近になったその関係は京太郎も決して嫌ではないが ――

巴「随分と疲れてるみたいね」

京太郎「あ、巴さん」

そこで京太郎に声を掛けたのは、巴だった。
一人、居間で突っ伏していていた京太郎はその声にクルリと振り返る。
その仕草にさえ疲れが見えるような気がした巴は、先ほど自分が開けた襖をそっと閉じた。


巴「珍しく一人みたいだけど、他の皆は?」

京太郎「小蒔さんと初美さんは舞の稽古中で、わっきゅんは里帰りしてます」

京太郎「明星ちゃんは霞さんの手伝いに呼ばれました」

京太郎「春は…多分、気を遣ってくれてるんでしょうね」

巴「気を?」

京太郎「俺が疲れてるから一人にしようとしてくれているんだと思います」

巴「なるほど。春ちゃんらしいわね」

そのまま京太郎の側へと進みながら、巴はクスリと笑った。
彼女の知る滝見春はとても我慢強く、そして何より甲斐甲斐しい少女なのだから。
自分の欲求よりも、京太郎の事を優先するそのいじらしさは同性から見ても可愛らしいと思う。

巴「(ただ、ちょっと胸が痛くなっちゃうのはきっと春ちゃんに嫉妬してる所為…なんでしょうね)」

巴「(私達の中でも最初に京太郎君の事を好きになって…)」

巴「(きっと今の状況は面白くないだろうに、文句の一つも言わなくて)」

巴「(その上、京太郎くんの為に身を引いてまで見せるんだもの)」

巴「(正直、真正面から勝負したら勝ち目がないと思うわ)」

京太郎「…巴さん?」

巴「あ、ううん。なんでもないの」

巴の中で、春の評価はとても高い。
あまり自己主張が得意なタイプではないが、いざと言う時は頼りになる事を彼女は良く知っているのだ。
だが、恋のライバルとして見ると、その評価の高さがそのまま壁となってしまう。
元々、彼女が自分にあまり自信が持てないのも相まって、つい表情を曇らせてしまうくらいに。


巴「となると私が側にいるのもダメな感じかしら」

京太郎「いや、そんな事ないですよ」

京太郎「丁度、話し相手が欲しかったところですし」

京太郎「巴さんさえ良ければ、話に付き合って欲しいくらいです」

巴「私で良いの?」

京太郎「と言うか、巴さんが良いんですよ」

巴「っ」キュン

京太郎「(巴さんは今の俺にとって数少ない安全圏だからな…)」

巴が表情を曇らせた意味を京太郎は理解していなかった。
根が鈍感な彼は自分が巴にどう思われているのかを誤解しているままなのである。
だからこそ、気軽に放たれた彼の言葉に、巴の顔が赤く染まった。
京太郎に他意はない事くらい彼女も分かっているが、好きな人から『自分が良い』と言われるとどうしても嬉しくなってしまう。

巴「も、もう、またそんな女の子を誤解させるような事言っちゃって」

巴「そういうのを簡単に口にすると、また大変な事になるわよ?」ストン

京太郎「巴さんも誤解しちゃうんですか?」

巴「え?」

京太郎「巴さんがどう誤解してどう大変な事になるのか俺、気になります!」ニヤニヤ

とは言え、巴はその喜びを素直にアピールする事は出来ない。
ついつい緩んでしまいそうな表情筋を叱咤しながら、彼女は釘を刺すような言葉を口にした。
それに京太郎がにやついた笑みを返してしまうのは、彼女の頬が未だ紅潮し続けているからこそ。
何だかんだ言いながらも、自分の言葉が嫌ではないのだとその顔から伝わってくるからである。


巴「あ、あくまでも一般論だけれども」

巴「女の子は自分のことを特別扱いしてくれる人に弱いのよ」

巴「だから、その…そ、そういう事言うと…」

京太郎「言うと?」

巴「ど、ドキドキ…し、しちゃったりとか、あの…」

京太郎「巴さんもドキドキしたんですか?」ニヤニヤ

巴「…っ」    コクン

初美ならば、そんな京太郎にげんこつで応えていただろう。
だが、根が真面目過ぎる巴には、そのような事は出来ない。
からかわれていると分かっていても、好きな相手を前にするとついつい正直に応えてしまう。

京太郎「巴さんは可愛いなぁ」ニマー

巴「ちゃ、ちゃんと応えたんだからもうからかわなくても良いでしょ?」

京太郎「いや、こっちは割りとマジで言ってます」

巴「ふぇ」

京太郎「ふぇって言う巴さんも可愛い!」

巴「も、もぉぉ…!京太郎君!」

京太郎「へへ。ごめんなさい」

頬を膨らませる巴に京太郎は謝罪の言葉を贈った。
だが、その顔はにこやかなもので、到底、謝っているようには見えない。
無論、巴が本気で怒っているのならば、京太郎もしっかりと謝罪はするが ――


巴「反省してる?」

京太郎「してます」

巴「もうからかったりしない?」

京太郎「それは無理です」

巴「…そこは嘘でもしないって言うところじゃないかしら」

京太郎「俺は巴さん相手に嘘を吐きたくないので!」キリリ

巴「そ、そんな格好良い顔をしても、許さないんだからね」プイ

―― そう顔を背ける巴の顔は今にもにやけそうなものになっていた。

狩宿巴にとって京太郎は好きな男と言うだけではない。
自分の事を本当の意味で肯定してくれたただ一人の相手なのだ。
そんな京太郎に可愛いと言われたのだから、心から拗ねられるはずもない。

京太郎「じゃあ、どうすれば許してくれます?」

巴「え?」

京太郎「真剣に可愛いって言ったら、許してくれますか?」

京太郎「或いは、もっともっと特別扱いをすれば、許してくれるでしょうか?」

巴「え…えぇぇぇぇぇっ」マッカ

それでも拗ねているように振る舞うのは、それが嬉しいだけのものではないからだ。
京太郎にからかわれるのは嫌いではないが、どうしても年上としてのプライドや羞恥心が刺激されてしまう。
結果、拗ねるように仕草を見せる巴は、改めて謝罪しようとする京太郎の言葉に紅潮をさらに強めて。


巴「え、えっと…あの、それは…」

京太郎「チョロいぜ」

巴「…京太郎君、口に出てるわよ」ジト

京太郎「やべっ」カクシ

巴「まったく…」

しどろもどろになる彼女の前で京太郎が漏らすのは、意地の悪い言葉とニヤリとした笑みだった。
まるで小悪党のようなそれに巴はジト目を送る。
それに彼は口元を隠すが、それで口走った言葉が消える訳ではない。
既に巴の顔からは期待の色は消え去り、呆れるような表情に変わっていた。

巴「(ホント、何時でもこっちの事、好きにしてくれるんだから)」

巴「(まぁ…そう言うのは私も嫌いじゃないけれど)」

巴「(でも、こうも思い通りになると流石にちょっと悔しいわね)」

一年前ならばまだしも、今の京太郎は自分の思っている事をそのまま口に出したりはしない。
鹿児島に来てからの日々は、彼の自制心を鋼と言っても良いほどに鍛え上げたのだから。
さっき口から漏らしたチョロいと言う言葉も計算してのもの。
今の雰囲気が長続きしないよう冗談で済ませてくれたのだろう。



巴「(…やっぱり勇気を出して、どっちかを即答するべきだったのかしら)」

巴「(そうすれば、京太郎君だって無碍にはしなかっただろうし…)」

巴「(ちゃんと私の事、可愛いって言ってくれたり、特別扱いしてくれていたはず)」

巴「(うぅぅ…そう考えるとすっごく惜しい事しちゃったかも…)」

巴「(京太郎君の側には大抵、誰かがいるし…)」

巴「(二人っきりになるのも難しいから、そういう雰囲気になれるチャンスは貴重なのに…)」

巴「(折角、そういう雰囲気になれるチャンスだったのに…)」

勿論、巴も今の時間がどれほど貴重なものなのかを良く理解している。
しかし、だからと言って、それで満足するほど乙女心と言うのは大人しい代物ではないのだ。
折角、二人っきりになったのだから、少しは彼との距離を縮めたい。
京太郎の側を取り巻く少女たちについつい遠慮してしまう彼女にとって、その願いは切実なものだった。


京太郎「巴さん?」

巴「あ、え、な、何?」

京太郎「いや、何かすっごい悶々としてるみたいなんで声を掛けただけなんですが…」

巴「そ、そんなに悶々としてた?」

京太郎「かつてないほどに」

巴「はぅ…」カァ

しかし、自分はそのチャンスを活かせなかった。
千載一遇と言っても良い好機を見逃してしまったのである。
その後悔を巴は内心に留める事が出来ない。
根が正直な彼女はついついそれを表に出してしまう。
結果、京太郎に気遣われる自分に、彼女の頬は気恥ずかしさに染まった。

京太郎「もしかして何か悩み事でもあるんですか?」

巴「…ない、とは言わないけれど」

京太郎「俺で良ければ、相談に乗りましょうか?」

巴「う、うーん…そう言ってくれるのは有り難いんだけど…」

幾ら正直者の巴と言えど、『貴方が好きすぎて困っています』などと相談出来るはずがない。
シラフでそれを口にするのは恥ずかしい上に、淑女協定や神代家のしきたりなどが彼女のことを縛っている。
心配してくれる彼には悪いが、言いたい気持ちよりも言えない理由のほうが遙かに大きかった。


巴「でも、大丈夫よ。それほど大したものではないから」

京太郎「そうは見えませんでしたけど…」

巴「多分、それは今の私がとても幸せだからだと思うわ」

巴「ちょっと落ち込むだけですっごく悩んでいるように見えるくらいにね」

はにかみながら巴が口にするそれは、決して誤魔化す為だけのものではなかった。
事実、今の彼女はかつてないほどに満たされ、日々が充実しているのだから。
無論、霞への劣等感はなくなった訳ではないし、京太郎の周りにいる家族にも嫉妬の念を覚える事は多い。
だが、そんな事が気にならないほどに、今の巴は幸せだった。

巴「だから、そんなに気にしなくても良いのよ」

巴「私の悩みなんて時間が解決する程度のものだし」

京太郎「そう…ですか」

巴「ごめんね」

京太郎「いや、謝らなくても良いですよ」

京太郎「深刻な悩みじゃなかっただけ俺も安心しましたし」

京太郎「まぁ、さっきからかった分のお詫びが出来るんじゃないかなって下心もありましたけど」

巴「そんな下心出すくらいなら、からかわない方が良いんじゃないかしら」

京太郎「巴さんをからかわない俺の人生なんて、ハンバーグのないハンバーグ定食みたいなもんですよ!!」

巴「流石にその比重はおかしいから、是正した方が良いと思うの」

京太郎「えー」

巴「えーじゃありません」

そう諭すように言うものの、巴は内心、喜んでいた。
勿論、京太郎も本気ではない事くらい彼女も良く分かっている。
だが、例え冗談でもメインのおかず並に自分を重視してくれていると言うのは嬉しいのだ。
だからこそ、彼女は京太郎を諭している最中にも、笑みを隠しきれない。


京太郎「ま、そういう訳なんで、何か俺にさせたい事があったら遠慮なく言って下さい」

京太郎「さっきのお詫びになんでも言う事聞きますよ」

巴「な、何でも?」

京太郎「えぇ。男に二言はありませんよ」

そんな巴に京太郎は突っ込もうとはしなかった。
代わりに彼が口にするのは、なんでもするという詫びの言葉。
さっきは追及の手を緩めたものの、彼は巴が悩んでいる事を忘れた訳ではないのだから。
こうして自分に何かさせる事で日頃、お世話になっている彼女の気晴らしになるかもしれない。

京太郎「(それに巴さんならあんまり無茶な事言ったりしないだろうしな)」

京太郎「(精々、今日一日、からかわずに大人しくしてて欲しいとかそんなもんだろう)」

京太郎「(それくらいなら別に俺に対してデメリットが発生する訳じゃないし)」

巴「(な、なんでもって…ほ、本当になんでも?)」

巴「(さっき言ってた特別扱いとか…可愛いって真剣に言ってもらったりとか…)」

巴「(或いは、それよりももっと凄い事をリクエストしても良いって事よね…!?)」ドキドキ

そう思って提案した京太郎の前で、巴は心臓をドキドキと脈打たせていた。
元々、彼女の悩み事とは千載一遇のチャンスを活かせなかった事から始まっているのだから。
それを補填するような京太郎の言葉に動揺と期待が胸の底から浮かび上がってくる。


巴「え、えぇっと…あの…その…」

京太郎「……」

巴「あのね…わ、私…私は…」ギュ

巴「と…とく……か、かわ…」

京太郎「…徳川?」クビカシゲ

巴「~~~~~~っ!!」

巴「またタコスが食べたいな!!」

巴「(うあうあうあうあうあうあああああっ)」

しかし、だからと言って、巴は素直に欲求を口に出す事が出来ない。
ワガママを言って嫌われてしまったらどうしようとそんな言葉が彼女の脳裏を過ぎってしまう。
結果、本心からは程遠い言葉を口にした巴は、後悔と混乱が入り混じった声を内心で撒き散らした。

巴「(でもでもでもでも…仕方ないじゃない…!!)」

巴「(こ、こんなの突然過ぎて全然、心の準備とか出来てないんだもの…!)」

巴「(何でもだなんて言われても、精々、タコスをお願いするくらいが関の山よ…!)」

巴「(これが姫様とか春ちゃんなら…もっと凄い事でもお願い出来たかもしれないけれど…)」

タコスを食べたいと言うそのリクエストは決して無から生まれ出たものではない。
愛しい人が作ってくれたタコスは、巴にとって大好物と言っても良いものなのだから。
しかし、それも自身の体はタコスで出来ていると断言する清澄の先鋒ほどではない。


巴「(そもそも京太郎くんは優しいからタコス作ってって言えば作ってくれるだろうし…)」

巴「(折角の何でもって言ってくれてる時にリクエストするような事じゃなかったわ…)」

巴「(と言うか、ここで食べ物をリクエストするなんて食い意地が張っていると思われちゃうかも…)」アワワ

京太郎「あのー…巴さん?」

巴「ち、違うのよ!私は京太郎君のタコスだから食べたいの!」カッ

京太郎「あ、はい。ありがとうございます」

京太郎「俺も巴さんのような料理上手な人にそう言って貰えると嬉しいです」

京太郎のタコスを強調する巴に、彼はお礼の言葉を口にする。
一体、どうしてそんな言葉が出て来たのか気になるものの、今の巴は目に見えるほど追い詰められているのだから。
何処か切羽詰まったその様子に、今は踏み込むのを避けるべきだと京太郎は感じた。

巴「ほ、本当?」

京太郎「えぇ。本当ですよ」

京太郎「俺にとって、巴さんの料理は毎日の楽しみですから!」

巴「も、もう。流石にそれは持ち上げ過ぎよ」

京太郎「いや、これはマジですって」

京太郎「食べ盛りの男にとっては美味しいご飯ほどの楽しみなんてそうありませんよ」

京太郎「ましてや、可愛い女の人の手料理となれば、そりゃもう楽しみで楽しみで仕方がないです」

巴「あうぅぅ…」カァァ

まるで褒め殺すような京太郎の言葉に、巴の顔は赤くなる。
そもそも彼女はあまり褒められると言う事に慣れてはいないのだ。
こうして自分を持ち上げてくれているのが愛しい相手だとなるとどうしても冷静ではいられない。
羞恥と歓喜が胸の内で混ざり合い、その顔も俯いてしまう。


巴「じゃ、じゃあ、今日はちょっと気合入れて作っちゃおうかな」モジモジ

京太郎「マジっすか」

巴「う、うん。そこまで言われたら、私だって嬉しいし…」

巴「丁度、今日は私の料理当番だから、何時もよりも美味しく出来るように頑張るわ」

京太郎「ヤッター!」

だが、それは決して彼女が嫌がっているからではない。
恥ずかしさこそ混じっているものの、その胸の内では歓喜が渦巻いているのだ。
だからこそ、巴はモジモジと身体を揺らしながらも、前向きな言葉を口にする。
そんな彼女の前で京太郎は、万歳とばかりに両手をあげて。

京太郎「あ、じゃあ、そん時、俺も付きあわせて貰って良いですか?」

巴「良いけれど…どうして?」

京太郎「さっき巴さんがリクエストしてくれたじゃないですか」

京太郎「俺のタコスが食べたいって」

京太郎「今からタコスを食べるとちょっと夕飯に差し支えそうですし」

京太郎「どうせだから夕飯の一品にしてしまおうかなって」

巴「あぁ、なるほど」

一秒ほど経ってからそれを降ろした京太郎の言葉に、巴は小さく頷いた。
混乱した頭でタコスをリクエストしたものの、彼女たちはついさっき昼食を口にしたばかり。
まだそれが胃の中に残っている状態では彼のタコスも心から楽しむ事は出来ない。
それならばいっその事、夕飯に回した方が良いと言う彼の言葉には納得出来る。


巴「(…でも、ちょっと複雑かしら)」

巴「(それは仮にも私がリクエストしたものなのに…)」

巴「(他の皆まで振る舞われちゃうと、特別感もなくなっちゃって、面白くないのよね…)」

巴「(勿論、他の皆が食べるのが嫌ってほどハッキリとした感情じゃないけれど…)」

巴「(でも、他の子が同じ扱いされるのが嫌ってくらい、独占欲を感じるようになるだなんて…)」

巴「(昔の私は自己嫌悪で沈んじゃいそうなくらい嫌な子になっちゃったわね)」チラ

京太郎「?」

しかし、そんな自分を巴は心から嫌悪する事が出来なかった。
その胸中にモヤモヤとしたものをもたらす嫉妬は、京太郎への好意から来ているのだから。
嫉妬の感情を否定してしまえば、彼への気持ちまで否定してしまう事になる。
だからこそ、中々、抑えこむ事も出来ないそれに、巴はチラリと京太郎へと視線を送った。

京太郎「あ、勿論、巴さんのは特別製ですよ」

巴「~~~っ」カァァ

京太郎「他の皆よりも気合入れて作らせて頂きます!」

巴「……バレちゃった?」

京太郎「まぁ、今のは俺があんまりにもデリカシーなさすぎましたし」

京太郎「寧ろ、気づくのに遅れて申し訳ないと言わなきゃいけないくらいですよ」

物言いたげな巴の視線に、京太郎は特別と口にする。
それに顔を赤く染める彼女の前で、京太郎はポリポリと頬を掻いた。
気まずそうなそれは自分の提案に、デリカシーが不足していると気づいたからこそ。


京太郎「(特に巴さんはコレで結構、寂しがり屋と言うか…コンプレックスのキツイ人だからなぁ)」

京太郎「(霞さんに対する劣等感なんかも未だ解消されきっては居ないだろうし…)」

京太郎「(二人っきりの時くらい、彼女の事を最優先にしてあげなきゃダメだろう)」

京太郎「(じゃなきゃ、俺に出来る範囲で、巴さんの力になるってそう誓った言葉が嘘になってしまう)」

瞬間、京太郎に浮かんでくるのは、『お祭り』の時の事だった。
あの時、彼は躊躇う彼女に何度も踏み込み、半ば強引に霞との対決を決めさせたのである。
その際に両親との離別まで決意させた京太郎に、巴は自分だけの味方になる事を望んだ。
それは霞への対抗心に依るものではなく、依存に近いものだったと彼はそう思っている。

京太郎「(巴さんは表面上に見えるよりもずっと危うい人なんだ)」

京太郎「(人に尽くしたがるその性格も、依存心の裏返し)」

京太郎「(自分を必要として欲しいからこそ、こうまで他人の世話を焼く事が出来るんだ)」

京太郎「(だから、もし、この人が悪い男に捕まってしまったら…何もかもを捧げてしまう)」

京太郎「(だから、出来うる限り、俺が支えてあげなきゃいけない)」

京太郎「(誓い云々以前に…俺はこの人にそんな道を歩んで欲しくないんだから)」

毎日、自分に尽くしてくれる年上の美少女が、ゲスな男の言いなりになってしまう。
その想像は、京太郎にとって決して面白いものではなかった。
胸の内がムカムカとして、存在すらしない男に対しての怒りが湧き上がってくるほどに。
未だ確定すらしていない未来に、怒りさえ覚えてしまう彼はその決意を新たにする。


巴「う、ううん。京太郎くんは悪くないわ」

巴「私たちは共同生活してる訳だし、容易く私だけを特別扱いなんて出来ないんだから」

京太郎「ありがとうございます」

京太郎「でも、やっぱ、お詫びの品ってのは必要だと思うんで」

京太郎「食後にフルーツタコスとかどうですか?」

巴「フルーツタコス?」

京太郎「チョコレートを混ぜ込んだトルティーヤにホイップクリームとフルーツを挟んだものですよ」

京太郎「まぁ、ちょっと変わったクレープみたいなもんだと思ってくれて問題はないです」

巴「へぇ…」

そんな自分をフォローしようとしてくれるのは嬉しい。
だが、それでも彼女が少なからず傷ついてしまったのは事実なのだ。
その言葉に甘えて、埋め合わせをナシにする事など出来ない。
胸中で結論づけた京太郎に、巴は興味深そうな声を返した。


巴「何だか美味しそうね」

京太郎「えぇ。多分、美味しいと思います」

巴「…多分?」

京太郎「レシピこそ覚えてますけれど、作った事ないんですよね」

京太郎「知り合いはそういうのよりもガッツリ行きたい!って言う女の子らしからぬタイプだったんで」

京太郎「他の子にデザートを作る時もぶっちゃけゲテモノに近いタコスに拘る必要はありませんでしたし…」

巴「…つまり私が初めてって事?」

京太郎「そうなっちゃいますね」

巴「そう…なんだ…」モジ

正直に経験の無さを告げる京太郎に、巴はその身体を揺らした。
何処か落ち着きのないその仕草は、京太郎の言葉に少なからず喜んでいるからこそ。
何もかもが後発な彼女にとって、愛しい相手の『初めて』と言うのは特別なのだ。
実験台などという言葉すら思い浮かぶ事はなく、その頬もニンマリと緩ませてしまう。


巴「…うん。私、それ食べてみたいな」

京太郎「うし。じゃあ、一緒に材料を買いに行きましょうか」スク

巴「あ、ちょっと待って」

京太郎「え?」

巴「お買い物はまた後回しね」

巴「京太郎君、疲れてるみたいだし、今はゆっくりしましょ」

話は決まったとばかりに立ち上がる京太郎に、巴はその首を振った。
勿論、彼女も京太郎との買い物を楽しみにしている。
この期を逃せば、他の少女たちの介入を許してしまうかもしれないという気持ちもあった。
だが、今の京太郎は美少女たちのアプローチを受け続け、精神的に疲弊しているのである。
一人でいる時についついため息を漏らしてしまうほどのそれは、巴にとって軽視出来るものではなかった。

京太郎「いや、でも…」

巴「焦ってお買い物に言っても、食材を冷蔵庫に入れるだけなんだし」

巴「それに京太郎君には色々と荷物を持って貰わなきゃいけないから」

巴「お買い物にいかなきゃいけない時間まで英気を養うって事で…ね?」

京太郎「…分かりました」ストン

巴「ふふ。良い子良い子」ナデナデ

京太郎「ちょ…」カァァ

巴の言葉に再び座り直した京太郎は彼女の手に頭を撫でられる。
まるで子ども扱いをするようなそれに、京太郎の顔は赤くなった。
ついつい男としてのプライドが刺激された彼は抗議するような声を漏らすが、巴の事を拒んだりしない。
優しい巴の手は京太郎に羞恥だけではなく、安心感も与えていたのだ。


巴「(でも、ここじゃあんまりゆっくりも出来ないかしら)」

巴「(ここは皆の共有スペースな訳だし、用事が終わった姫様達にもすぐ見つかっちゃうわ)」

巴「(そうなると、また京太郎君が疲れちゃうのは目に見えている訳だし…)」

巴「(それに何より…)」

巴自身、京太郎と二人っきりの時間を邪魔されたくなかった。
中々、彼と二人っきりになれない彼女にとって、今の時間は黄金よりも貴重なものなのだから。
幾ら家族達であろうと今だけは会いたくない。
そんな独占欲混じりの言葉が巴の胸に浮かんできている。


巴「だから…あの…下見と言うか、緊急避難経路の確認的な意味で、どうかしら?」

京太郎「まぁ、俺も巴さんの部屋に行くのが嫌って訳じゃないんですけど」

巴「け、けど?」

京太郎「居間じゃなくて女の人の部屋で寛ぐのは、逆に難易度が高いような気が…」

巴「だ、大丈夫よ。私たちは家族なんだし」

巴「それにこの前も一回、来てるんだからすぐに慣れるわ」

巴「少なくとも、私は京太郎君にとって居心地の良い環境作りをするつもりよ」

巴「気になるなら、京太郎君の部屋と同じようにしても…」

京太郎「い、いや、そこまでやらなくても大丈夫です」

巴「そう?」

そこで京太郎がストップを掛けるのは、巴が本気でそれをやりかねないからだ。
元々、巴は尽くしたがりな性格であり、部屋の私物もそう多くはない。
少なくとも、家具の配置を京太郎の部屋と合わせるくらいは余裕でするだろう。
思いの外、熱く語る巴の瞳から彼はそう感じ取った。


巴「…じゃあ、何か他に足りないものはある?」

巴「私、京太郎くんが寛げるようになるなら、何でもするわ」

京太郎「う、うーん…特に思いつかないですね」

巴「本当?遠慮してない?」

京太郎「まぁ、俺は巴さんの部屋にあがったのは数回だけですし」

京太郎「何が足りないなんてほどジロジロと観察出来ちゃいませんが」

京太郎「それでも何か足りないなんて事はないと思います」

京太郎「そもそも、俺は巴さんがいるだけで十分ですしね」

巴「~~~~~~っ!?」マッカ

瞬間、彼女の顔が真っ赤に染まるのは、京太郎の言葉に歓喜が爆発したからだ。
その言葉の意味を吟味する暇もなく起こった爆発は、あっという間に彼女の身体と思考を歓喜で満たす。
結果、何も考えられなくなってしまった巴は、京太郎の前で固まって。

京太郎「巴さんは何処でも誠心誠意、俺の世話をしてくれるでしょうし」

京太郎「巴さんと一緒ならきっと何処でもリラックス出来ると思います……って、巴さん?」

巴「……」ポー

京太郎「巴さーん?」ツンツン

巴「ハッ」

そんな彼女が復帰したのは京太郎に肩を突かれたからだ。
ツンツンと軽く突き刺すようなその刺激に、思考がようやく動き出す。
けれど、それは普段の彼女からすれば、あまりにも胡乱なものだった。
巴の中で広がった歓喜は未だ根付き、彼女の心をジィンと震わせている。


京太郎「大丈夫ですか?」

巴「え、えぇ。全然、問題はないわ」

京太郎「それなら良いんですけれど…」

巴「そ、それより…あの、さっきの…」

京太郎「あぁ。やっぱ、ちょっと気障過ぎましたか」

巴「う、ううん。そんな事ないと思うわ」

巴「と、とっても…素敵だったと…お、思うし…」モジモジ

京太郎「はは。そう言って貰えると恥ずかしい思いをした甲斐がありますよ」

京太郎にとってさっきの言葉は本心からのものだった。
だが、だからと言って、それを口にしたいと彼が思っていた訳ではないのである。
京太郎は自分の立ち位置が所謂、三枚目に近い事を良く理解しているのだから。
それでもこうして気障な言葉を口にしたのは、そうでもなければ巴を止められないと思ったからこそ。
事実、今の彼女には自分の部屋を改造するなどと言う考えは一切、浮かんで来なかった。


京太郎「あ、勿論、恥ずかしいつっても本心である事に間違いはないんで」

巴「そ、そう…」カァ

京太郎「喜んでくれました?」

巴「えぇ。……でも、分かっててそういう事聞くのは卑怯だと思うわ」

京太郎「へへ。すみません」

京太郎「巴さんの部屋でぐうたらしますから許してください」

巴「…間違ってはないんだけど、そうハッキリと言葉にされると何だか凄い響きよね」

京太郎「でも、巴さん、そういうのが好きでしょ?」

巴「…えぇ。好きです。大好きよ」カァァ

だからこそ、彼女は好きだとハッキリとそう口に出来てしまう。
彼女は恥ずかしがり屋で、また京太郎に対しての想いも極力、秘めなければいけない立場なのだから。
幾らそれが『誰かに甘えられるのが』と言う主語のものであっても、好きだなどとは言えない。
その心が強すぎる歓喜にタガを緩めていなければ、頷くのが精一杯だっただろう。


巴「(あぁ…もう恥ずかしくて嬉しくて…)」

巴「(頭の中…どうにかなっちゃいそうだけど…)」

巴「(……でも、言えちゃった)」

巴「(京太郎くんに好きだって…そう言えた…)」

巴「(多分、京太郎君には気づいて貰えないだろうけれど…でも)」フニャァ

そのドキドキと幸福感は巴の心を掴んだ。
たった二文字の言葉を口にする事がどれほど心地良いのかを彼女は覚えてしまったのである。
自然、その顔はひだまりで昼寝をする猫のように緩んでいく。

京太郎「(やっぱり巴さん、人に甘えられるの大好きなんだなぁ)」

京太郎「(まさかそんなに幸せそうな顔をしてくれるなんて)」

京太郎「(ぐうたらする…なんてのは流石に冗談だったけれど)」

京太郎「(でも、最近はあんまり巴さんにも甘えられてないし…)」

京太郎「(買い物行くまでの間くらい、巴さんに甘えまくるのも良いかもなぁ)」

京太郎への好意を隠さなくなった少女たちの攻勢はあまりにも激しすぎた。
毎日のマッサージこそ続けてもらっているが、ソレ以外の分野で巴と関わる事は少なくなってしまっている。
それを内心、気にしていた京太郎は、幸せそうな巴の顔に埋め合わせをしようと心に決めて。


京太郎「ま、ともかく、巴さんの部屋に移動しましょうか」

巴「う、うん。…あ、おんぶしてあげようか?」

京太郎「いや、流石にそれは勘弁してください」

京太郎「怪我してる時とかならともかく、ビジュアル的にも俺のプライド的にもヤバイですし」

京太郎「それに巴さんじゃ俺をおんぶするのはかなり厳しいと思います」

巴「そ、そうよね…」

巴は決して小柄な方ではない。
寧ろ、女性の平均身長よりも少し高いくらいだ。
だが、それでも京太郎との身長差は20cm近くある。
その上、京太郎の方は巴よりも遙かに筋肉質なのだ。
彼女も屋敷前に立ちふさがる長い階段で身体を鍛えているはいるが、京太郎を平然を運べるほどではない。

巴「(わ、私、何を言っちゃってるのかしら…)」

巴「(そんなの少し考えれば分かる事だったのに…)」

巴「(幾ら京太郎君に好きって言えて嬉しかったとしても、今のはちょっと間抜けすぎるわ…)」シュン

京太郎「…その代わりと言っちゃあなんですが」スッ

巴「え?」

京太郎「立たせてくれません?」

巴「…京太郎君」

まったくの考えなしに京太郎を辱めるような提案をしてしまった。
それに自己嫌悪する巴に京太郎はその手を差し出す。
落ち込む彼女をフォローしようとするそれに巴は一瞬、申し訳無さそうな顔をした。


巴「京太郎君は本当に卑怯だわ」

京太郎「え?」

巴「そうやって卒なく振る舞われると…たまにどっちが年上か分からなくなっちゃう」グッ

京太郎「自分じゃあんま卒ないつもりはないんですけどね…っと」

だが、それも彼の手を握った時には消えていた。
そうやって京太郎に気遣われる嬉しさが、申し訳無さを上回ったのである。
結果、巴は拗ねるように言いながらも、笑みを顔に浮かべてしまう。
そんな彼女がグイと引っ張るのに合わせて、京太郎は再び立ち上がった。

京太郎「それに俺は結構、巴さんに甘えてますし」

巴「甘えてくれてる…の間違いじゃない?」

京太郎「いや、甘えてますよ」

京太郎「俺だって四六時中、他人の事ばっかり考えてる訳じゃないんですから」

京太郎「巴さんにリクエストしてる内容も、全部、俺がして欲しい事ですし」

巴「…本当?」

京太郎「本当ですよ」

京太郎「今だって巴さんに立たせて欲しいなんて言ったのは、巴さんと手を握りたかったからですし」

巴「はぅ…っ」ドキン

明け透けな京太郎の言葉に、巴は短く声を漏らした。
驚きとも羞恥ともつかないその声は、彼の言葉が完全に不意打ちだったからこそ。
まさかここで手を握りたかったなんて言われるとは思っていなかった巴は、その身体を強張らせる。


京太郎「巴さんの手、スベスベしてて気持ち良いですしね」

京太郎「俺の手の中にすっぽり収まる可愛らしい大きさですし」

京太郎「なんつーか、すっげー女の子らしい手って感じです」

京太郎「手ぇ繋いでるだけでちょっとドキドキしちゃいそうですよ」

巴「あぅあ…」ドキドキ

京太郎「って、ちょっとセクハラっぽいっすかね」ハハ

巴「う、ううんっ!い、嫌じゃないから大丈夫!」グッ

京太郎「そ、そうっすか」

それでも巴は自嘲気味な京太郎の笑みを見過ごせなかった。
不意打ちに固まっていた思考が一気に動き出し、京太郎の言葉を否定する。
だが、その変化があまりにも急過ぎた所為で、言葉の勢いが強くなってしまった。
結果、何処か必死ささえ感じさせるそれに京太郎は気圧されたような声を返して。


巴「あ、あの……え、えっと…わ、私も…ね」

巴「京太郎くんの手…す…す…好き…だから…」

京太郎「…じゃあ、このまま巴さんの部屋まで手を繋いで行きましょうか」

巴「い、良いの?」

京太郎「良いと言うよりは、俺がそうしたいんですよ」

京太郎「巴さんの手、気持ち良い上に…最近、寒いですから」

京太郎「巴さんさえ良いなら、甘えさせて欲しいんですけど」

再び好きとそう口にする巴に、京太郎は手を繋ぎ直す事で応える。
瞬間、彼の胸に羞恥心が湧き上がってくるのは、普段、自分から手を繋ごうと提案する事があまりないからだ。
幾ら家族同然の仲だと言っても、異性を相手に自分から手を繋ごうとするのはハードルが高い。
基本的に彼が異性を手を繋ぐのは、相手の方から強請られた時くらいだった。


京太郎「(巴さんは俺の手が好きみたいだし)」

京太郎「(何より、この前、手を繋いだ時も結構、気に入ってくれてたみたいだしなぁ)」

京太郎「(でも、性格的に巴さんは自分の欲求をあんま口に出来ない人だし)」

京太郎「(ここはやっぱ俺から甘えるって形で叶えてあげるのが一番だろう)」

巴「う…うん。分かった…」カァァ

京太郎「よし。それじゃ、そろそろ行きましょうか」

巴「あ…うぅ…♪」グッ

そんな京太郎の気遣いに、巴は頬を赤く染めた。
羞恥よりも歓喜の色が強いその紅潮に、ついつい言葉もぎこちなくなってしまう。
困惑するようにも聞こえるその声だが、巴は京太郎から手を離したりはしない。
寧ろ、自身を握る彼に応えるようにしてグッとその手に力を込めた。

巴「(ど、どうしましょう…)」

巴「(まさか京太郎君からまた手を繋いで欲しいなんて言われるなんて思わなかったからすっごく嬉しいけれど…)」

巴「(でも、嬉しすぎてドキドキが止まらなくて、この時間が出来るだけ長く続けば良いって思っちゃう…)」

巴「(その所為か、足が勝手に遅くなって…)」

巴「(こ、こんなに遅く歩いちゃ迷惑かもしれないって分かってるんだけど…)」

京太郎「あぁ、そう言えば」

巴「ど、どうかしたの?」

そうして歩き始めた巴は、京太郎の言葉に声を上擦らせてしまう。
約一ヶ月ぶりの京太郎の手は、彼女の心をあまりにも満たしすぎたのだ。
結果、足が遅くなってしまう自分を、京太郎は咎めようとしているのではないか。
そんな言葉が脳裏を過ぎり、身体も硬くなってしまう。


京太郎「巴さんが作るって言ってたコスプレ衣装ってどうなりました?」

巴「え、えっと…その…」

京太郎「やっぱ最近、忙しかったから出来てないっすかね」

巴「う、ううん、そうじゃなくて…」

巴「……も、もう出来ちゃってるの」

京太郎「え?」

それは京太郎にとって予想外と言っても良い言葉だった。
巴がコスプレ衣装を作ると約束してもう一ヶ月近くが経過しているが、彼女は日頃から人の為に働き続けているのだから。
今も変わらず、京太郎や初美の為に服を作ってくれている彼女が、一ヶ月でそれを完成させられるはずがない。
まずはデザインを書き起こすところから始めなければいけないし、幾ら巴が優秀でも仮縫いまではいっていないだろう。

巴「あ、で、でも、ちゃんと京太郎君たちの分も進めてるから安心してね」

巴「私の分は一週間前には終わってたから」ワタワタ

京太郎「って、一週間も前にですか…!?」

巴「う、うん…」

京太郎にとっての誤算は、巴が思いの外、乗り気だった事だ。
恥ずかしがり屋な彼女が決心をつけられるまで幾らか時間が必要だろうと彼は思っていたのである。
だが、そんな彼の予想と反して、巴は撮影会を楽しみにしていた。
一ヶ月未満で衣装を作り上げる事が出来たのも、そのモチベーションの高さから来ている。


京太郎「まさかそんなに早く出来てるなんて…正直、ビックリしました」

京太郎「やっぱ巴さん凄いですね」

巴「す、凄くなんかないわよ」

巴「本職の人だと一日に数十着とか作る訳だし、それほど早いって訳でもないと思うわ」

京太郎「それはあくまでも仕事で一日何時間か決まって作業するからでしょう」

京太郎「素材や作り方だって、事前に決まってる訳ですしね」

京太郎「でも、個人でやる場合は素材集めから作り方まで全部手探りじゃないですか」

京太郎「そんな状態から一ヶ月未満で完成まで持っていくのは、並大抵の事じゃないと思います」

京太郎「…ただ」

巴「ただ?」

京太郎は決して縫製に詳しい訳ではない。
だが、京太郎は巴の作った服が、市販品にも負けないほど良く出来ている事を知っているのだ。
そんな服を一ヶ月未満で作り上げる彼女に、京太郎は感嘆を覚える。
それと同時に納得出来ないものを感じるのは、完成から発表までに一週間の遅れが発生しているからだ。
マッサージの時など伝える機会は幾らでもあったのにどうして教えてくれなかったのか。
巴が恥ずかしがり屋だと分かっていても、内心、彼女の撮影会を楽しみにしていた彼はどうしてもそう思ってしまう。


京太郎「事情があったんだとは思いますが、やっぱり出来上がった時に教えて欲しかったです」

巴「だ、だって…京太郎君、忙しそうだったし…」

京太郎「まぁ、確かにここ最近、色々とありましたけど…」

京太郎「でも、だからって巴さんの撮影会が出来ないほど時間がない訳じゃないですよ」

京太郎「結局、カメラとか機材とか買いに行けてないんで説得力はないかもですけど」

京太郎「それは早めに準備しちゃったら、巴さんの事を追い詰める事になるって思ってたからですし」

京太郎「本当は俺もすっごく楽しみにしてたんですから」

巴「本当…?」

京太郎「えぇ。正直、今からでも撮影会を始めたいくらいです」

巴「い、今から…!?」

京太郎の言葉に巴は驚きの声を返した。
撮影会に関しては彼女も乗り気だったとは言え、今から始めようとするとは思っていなかったのである。
京太郎が用意すると言っていたカメラもないのだから、撮影会は後日になるとそう思い込んでいたのだ。


京太郎「勿論、巴さんが嫌って言うなら諦めます」

京太郎「実際、俺の方の準備はまったく出来てない状態ですし」

京太郎「でも、やっぱ撮る方も撮られる方も経験が不足してる訳ですから」

京太郎「高価なカメラを準備するよりも、まずは慣れる事から始める方が重要だと思うんですよ」

巴「ぅー…」

京太郎「やっぱ急過ぎます?」

巴「…ちょっと。でも…嫌じゃないわ」

巴「私も…その、まったく楽しみにしていなかった訳じゃないし…」

巴「(それに京太郎君がそうしたいと思ってくれているんだものね)」

巴「(嫌だなんて言えるはずないわ)」

口に出さない最後の言葉は巴の中でとても大きいものだった。
京太郎が望んでいると言葉は彼女に羞恥心を乗り越えさせる魔法の言葉なのだから。
内心、楽しみにしていた事もあって、巴は戸惑いを浮かべながらもコクリと頷いた。


京太郎「よっし!」ガッツポーズ

巴「そ、そんなに嬉しいの?」

京太郎「そりゃもう。何度も夢に見てきた巴さんの撮影会がついに現実になる訳ですから」

京太郎「念願叶ったとそう言っても良いくらいっすよ」

巴「まったく。大げさなんだから」

京太郎「へへ」

大仰に喜びをアピールする京太郎に、巴はクスリと笑う。
演技だと分かってはいるものの、愛しい男がこうも喜んでくれるのは嬉しい。
そんな巴の前で京太郎は照れ笑いを浮かべる。

京太郎「まぁ、ちょっと大げさだったのは否定しませんけれど嬉しいのは事実ですし」

京太郎「何より、俺は期待してるんですよ」

巴「期待?」

京太郎「えぇ。巴さんが一体、どんな衣装を自作したのか」

京太郎「俺はその内容を全然、聞かされていないですけれど…最初の一作って本人の嗜好とかが出てきやすいと思うんですよね」

京太郎「で、巴さんはマゾな訳ですから」

巴「だ、だから、私はそうじゃないって…」

京太郎「でも、巴さんの作った衣装って絶対、過激ですよね?」

巴「ぅ…」

全てを見透かしたような京太郎の言葉に、巴は反論出来なかった。
事実、彼女が作った衣装は、自分でもちょっとやり過ぎではないかと思うほど過激なものだったのだから。
そんな衣装をもうすぐ披露しなければいけないのだから、ここで誤魔化しても問題の先送りにしかならない。
寧ろ、下手に誤魔化せば、それが普通に思うほど変態なのだと後で揚げ足を取られてしまう。


京太郎「そこで詰まったって事は肯定してるも同然…と言うのはとりあえずさておいて」

京太郎「巴さんが日常ではまずお目にかかれない過激な衣装を用意してくれてるんですから」

京太郎「男として期待するのが当然でしょう」

巴「と、当然なの?」

京太郎「勿論です。ここで期待しなきゃそいつはきっとホモですよ!!」

巴「そ、そこまで言ってくれるのは嬉しいけど、でも…」

京太郎「あ、大したものじゃない…なんて言っても無駄ですからね」

京太郎「巴さんがどれほど魅力的な人なのか、俺は良く分かってますから」

京太郎「今の時点で、胸がドキドキしてますよ」

だからこそ、言葉に詰まった巴を京太郎はからかったりしなかった。
代わりに力強く期待をアピールする彼に、巴はついつい顔を綻ばせてしまう。
京太郎の言葉に込められた期待の色は決して嘘でも誤魔化しでもないのだから。
こうもハッキリ期待していると言われると、不安よりも嬉しさの方が勝ってしまう。


巴「あんまり期待しないで欲しいってのは本当よ」

巴「私も頑張って作ったつもりだけれど…でも、やっぱり素人制作だから」

巴「本縫いまで終わってはいるけれど、どうしても本職さんとは比べられないわ」

京太郎「他人の服を月一着のペースで作ってくれる素人なんてそうはいないと思うんですけど」

京太郎「しかも、どれも頑丈で何回洗濯しても崩れる気配すらないですし」

京太郎「デザインセンスもバッチリなんですから、人に売れるレベルだと思ってますよ」

京太郎「実際、コレも巴さんお手製の奴ですが、市販の奴より気に入ってます」

巴「本当?」

京太郎「えぇ。そうじゃなかったら、何回も着たりしないですよ」

京太郎「一時は服不足でしたが、初美さんとも色々と買いに出てますし」

京太郎「最近は気に入った服しか着てません」

巴「…」チクリ

瞬間、巴の胸に走ったのは微かな痛みだった。
その胸の奥を小さな針で突き刺すようなそれに彼女の顔が陰りを見せる。
無論、それは京太郎が他の女性の ―― 初美の名前を口にしたからだ。
巴にとっては親友兼家族に、京太郎にとっては婚約者に当たるその名に彼女は嫉妬を禁じ得ない。


京太郎「あー…その、ごめんなさい」

巴「え?」

京太郎「女の人といる時に他の女の人の名前を出すべきじゃなかったですね」

京太郎「分かってるんですけど…たまについやっちゃって」

京太郎「本当に申し訳ないです」ペコリ

巴「う、ううん。気にしなくて良いのよ」

巴「京太郎君は決して悪くないんだから」

須賀京太郎の婚約者。
それは彼女たちにとって、喉から手が出るほど欲しいものだった。
例え、一時に過ぎなくても、それは紛れも無く彼の『特別』なのだから。
致し方ない状況だったとはいえ、その座が転がり込んできた初美にどうしても羨望の念を抱いてしまう。


巴「(だからって、京太郎くんに頭を下げさせて良い訳じゃないわよね)」

巴「(彼は私の事をフォローしようとしてくれていたんだもの)」

巴「(決して悪気があった訳じゃないし…)」

巴「(何より、悪いのは婚約者のいる彼の事を好きになってしまった私の方)」

巴「(だから…)」

巴「それより、先に部屋に入らない?」

巴「このまま廊下で話していると目立っちゃうし…」

京太郎「…巴さん、大胆っすね」

巴「え…?あ、い、いや、そういう意味じゃないのよ!?」ワタワタ

巴「べ、別に京太郎くんに変な事するつもりじゃなくて…!!」

その言葉はあくまでも話題を逸らす為のモノだった。
こうしてお互いの責任をアピールし続けていたところで、彼が気に病むだけなのだから。
実りのない結果しか見えていない事を続けるよりも、目の前に迫った自室に入ってしまった方が良い。
そう判断した巴は京太郎の漏らした言葉を顔を慌てて否定する。


京太郎「分かってますよ」

京太郎「つーか、何かやるとしたら俺の方だと思いますし」

巴「え?」

京太郎「これから俺は巴さんのせっくすぃーな姿を見る事になるんで」

京太郎「もしかしたら我慢出来ずに襲っちゃうかもしれません」

巴「っ!」カァァ

無論、京太郎もそんな巴の心遣いを理解している。
だからこそ、空気が重くならないよう冗談で応えたのだ。
だが、巴は好きな相手から襲うかもしれないと言われて、軽く流せるタイプではない。
冗談だとそう分かっていても、その顔が赤く染まっていく。

巴「お、襲っちゃうの?」

京太郎「そりゃもう。男は狼ですから」

京太郎「巴さんほどの美少女となれば、理性の鎖なんて容易く砕いちゃいますよ」ガオー

巴「あうぅ…」モジ

まるで猫のように左手をあげる京太郎に、巴はモジモジと身体を揺らした。
無論、その胸の内に、嫌な気持ちなどまったくない。
被虐性の強い彼女は、京太郎に襲われるのを内心、期待してしまっていた。


京太郎「まぁ、もし、そうなった時は遠慮なくぶん殴ってくださいね」

京太郎「流石に俺もグーで殴られたら正気に戻ると思いますし」

巴「そ、そんな事出来ないわよぉ…」

京太郎「はは。じゃあ、そうならないように頑張るとします」

京太郎に襲われるのは嬉しい事なのだから、拒絶など出来るはずがない。
そんな巴の言葉を、京太郎は彼女の優しさから出たものだと誤解していた。
だからこそ、彼は巴の前で軽く笑って。

巴「……頑張っちゃうの?」

京太郎「え?」

巴「う、ううん。なんでもない」

巴「そ、それより…私が襖開けないとダメだよね」

巴「気が利かなくってホント、ごめんね」ススス

京太郎「あ、いえ、全然、気にしてないですけど」

その言葉は巴にとって、決して外に出してはいけないものだった。
幾ら京太郎が鈍感と言っても、そこまで言えば気づかれてしまうかもしれない。
そう考える頭とは裏腹に、ついつい漏れでてしまった言葉を、巴は必死で誤魔化そうとしていた。
だが、焦りの所為で早口になってしまった今の彼女は、到底、なんでもないように見えない。


京太郎「(…ここで突っ込んでしまうのは流石に申し訳ない気がする)」

京太郎「(普段、マゾだなんだと言ってはいるけれど、本気で彼女をマゾ扱いしたい訳じゃないんだ)」

京太郎「(あくまでもからかいの一種であって、まさかこんなマジっぽい反応が返ってくるとは思わなかったし…)」

何より、京太郎は難聴ではないのだ。
手を繋ぐほど近くにいる巴が、その呟きに期待の色を浮かばせているのを感じ取っている。
それに突っ込むほど京太郎は馬鹿でも無遠慮でもない。
ほんの少しでもそこに触れてしまえば冗談では済まない事くらい分かっているのだ。

巴「と、ともかく、どうぞ」

京太郎「お邪魔します…っと」

だからこそ、招かれるままに踏み入れた京太郎は、彼女の部屋の変化に気づく。
以前、彼が尋ねた時にはなかった本が本棚に仕舞われ、裁縫道具なども目に見える範囲に置かれていた。
その僅かな変化に、京太郎は驚きの色を声に混じらせる。


巴「今、お菓子とか出すからくつろいでおいてね」

京太郎「いえ、お構い無く…っと言うか」

巴「どうかした?」

京太郎「もしかして、巴さん、コスプレ衣装を作るの気に入ったりしてます?」

巴「っ」ピシリ

そんな京太郎から巴はそっと手を離した。
勿論、彼女もずっと彼と手を繋いでいたいが、このまま棒立ちしている訳にもいかない。
折角、京太郎が部屋に来てくれたのだからと、押入れから座布団を取り出した。
そのままちゃぶ台の近くに丁寧に降ろした瞬間、巴は京太郎の言葉に身体を強張らせる。

巴「ど、どうしてそんな事を?」

京太郎「さっき撮影会が楽しみだったって言ってたのが一つ」

京太郎「もう一つは、整理整頓が得意な巴さんが目に見える範囲に裁縫道具置いてるからですね」

京太郎「以前はそれもちゃんと片付いていたのに、こうして表に出たままだって事は」

京太郎「片付ける必要性をあまり感じないほど熱心にやってたって事でしょうし」

京太郎「何より、あそこの本、付箋がいくつも入ってるじゃないですか」

巴「ぅ」

そう言って京太郎が指差すのは、本棚でも裁縫系の本が収められた部分だった。
彼や初美の服を作る為、以前から集められていたその本たちの中に、今、コスプレ関係の本が目に見えて増えている。
それだけなら彼女の真面目な性格故だと納得も出来るが、その本には無数の付箋が挟まれているのだ。
何時でも参照出来るようにと挟まれたそれから、巴の真面目さだけではなく、情熱が伝わってくる。


京太郎「元々、巴さんは裁縫が得意で俺達にも自作の服をプレゼントしたりしてくれていましたし」

京太郎「縫い方が分からない…なんて事はまずありません」

京太郎「少なくとも、あれだけあっちこっちに付箋を挟んだりはしないはずです」

京太郎「にも関わらず、あんなにチェックしてあるって事は、他にも色々と作ってみたいのかなって」

巴「…………せ、正解よ」

京太郎「そうですか。良かった」

巴「え?」

京太郎「いや、だって、それだけ気に入ったって事はですよ」

京太郎「巴さんもようやく趣味に近いものを手に入れられたって事じゃないですか」

その上で、巴の事を誂うほど京太郎は意地の悪い男ではない。
真面目な巴がコスチューム制作にこれほどの情熱を向けている事に驚きはしているが、あくまでもそれだけ。
意外さと驚きが入り混じったようなそれは、彼の喜びを超えるものではなかった。


巴「…京太郎君」

京太郎「もうちょっとで巴さんともお別れになるのに…まったく進展なかったですから」

京太郎「巴さんに趣味を作ってやる!なんて大口を叩いておいて、このザマだったんでかなり心残りだったんです」

京太郎「でも、何とか趣味に出来そうなものが見つかったみたいで安心しました」

巴「…多分、それは違うわ」

京太郎「え?」

巴「京太郎君の言う通り、自分のコスチュームを作るのは、かなり気に入ってる」

巴「今まで自分の服を作ろう、なんて思う事は殆どなかったし…」

巴「それがこんな可愛い服になるなんて思ってもみなかったから」

巴「京太郎君達の服を作るのはこれまでもやって来たけれど、それとはまた勝手が違って興味が出てきたのは事実よ」

巴「…でも、私の趣味は多分、もう見つかってるんだと思う」

京太郎「それは一体…?」

巴「京太郎君のお世話をする事よ」

巴「京太郎君に喜んでもらって、安らいで貰って、頼って貰って…」

巴「それが私にとって、一番、大事な事なんだと思うの」

京太郎「っ」ドキ

そう語る巴の表情は、気恥ずかしそうなものだった。
照れを誤魔化すように笑うその表情が、京太郎にはとても魅力的に映る。
そのいぢらしい言葉と相まって、京太郎は自身の心臓が跳ねるのを感じた。


京太郎「…でも、それ以前と変わってないんじゃ…?」

巴「ううん。そんな事ないと思うわ」

巴「勿論、私は以前から姫様たちのお世話をするのが嫌じゃなかったけれど」

巴「でも、それは好きって言えるほどのものでもなかったのよ」

巴「少なくとも…今の私みたいにドキドキしたりする事はなかったし、満たされる事もなかったわ」

京太郎「…って事は巴さんは今、満たされてるんですか?」

巴「えぇ。とっても」クス

巴「京太郎君のお世話をすると胸の奥が暖かくなって…」

巴「あぁ、幸せだなぁって…そう思っちゃうの」

京太郎「ぅ」ドキドキ

だが、それは一度きりで収まるものではなかった。
京太郎の疑問に答えている間に、巴の表情は照れ笑いではなくなっていく。
まるでその時の気持ちを思い出しているような朗らかで暖かな笑みへと。
自分が幸せである事を隠そうともしないそれに京太郎の鼓動はさらに強くなっていく。

京太郎「…ホント、巴さんは根っからの世話好きですね」

巴「……鈍感」

京太郎「え?」

巴「なんでもないです。…多分、それも間違ってないと思うしね」

それを何とか誤魔化そうと京太郎は言葉を口にする。
だが、それに返ってきたのは、本気で拗ねているような巴の声だった。
これまでのようなお遊びのものとは違うそれに京太郎は思わず聞き返す。
そんな彼からプイと顔を背けながら、巴は誤魔化しの言葉を口にした。


巴「(…勢い混じりとは言え、結構、勇気を出したんだけどなぁ)」

巴「(まぁ、気づいて貰えると思ってた訳じゃないし…)」

巴「(寧ろ、気づいてもらったら困る訳だけれど…)」

巴「(…でも、世話好きだから…なんて片付けるのはちょっとどうかと思うな)」

巴「(こっちはちゃんと『京太郎君の』ってつけてるのに…)」

胸中に浮かぶそれらは、どうしても言葉に出来ない。
そこまで言ってしまえば、幾ら鈍感な京太郎でも巴の気持ちに気づいてしまうのだから。
だからこそ、胸の内に押し留められた言葉は、そう簡単に晴れたりしない。
拗ねるような気持ちと共にモヤとなって、彼女の心を包んでいる。

巴「それより…はい、これお菓子ね」スッ

京太郎「ありがとうございます」

巴「ううん。気にしないで」

巴「後で私に甘えてくれたら、チャラにしてあげるから」

京太郎「…やっぱ巴さん拗ねてます?」

巴「私だって女の子なんだもの」

巴「たまには理不尽に拗ねたい時くらいあるわ」

京太郎「…その、すみません」

巴「謝るくらいなら行動で示して欲しいかしら」ジィ

京太郎「う」

結果、巴は普段よりも大胆になっていた。
何時もの彼女ならば、京太郎の言葉を肯定したりはしない。
ましてや、京太郎を責めるなどあり得ない事であった。
だが、今の巴は女としてのプライドを少なからず傷つけられてしまったのである。
そこから生まれる不機嫌さに背を押された巴は、京太郎に物言いたげな視線を送った。


巴「…おいで」ポンポン

京太郎「…分かりました」

京太郎を招くように自身の膝を叩いた巴。
そんな彼女に、京太郎は逆らう事が出来ない。
その理由はさておき、自分が彼女のことを傷つけてしまった事くらいは理解しているのだから。
内心に湧き上がる羞恥心を抑え込みながら、すぐそばに座った巴の膝に身体を傾けていく。

巴「ん…♪」

京太郎「…う」カァァ

巴「ふふ。赤くなっちゃって」

京太郎「し、仕方ないじゃないですか」

京太郎「女の人に膝枕される経験なんて殆どない訳ですし」

京太郎「しかも、その相手が巴さんとなれば、どうしてもドキドキしますよ」

巴「へー…そ、そうなの…」ニマー

自身の膝に頭を預けながらの言葉に、巴はその頬を緩めてしまう。
不機嫌さを完全に忘れてしまったような変化に、京太郎は気づく事が出来ない。
今の彼は巴の身体とは逆方向に顔を向けているのだから。
何より ――


京太郎「(巴さんいい匂いするし、柔らかいし…)」

京太郎「(ここ最近、胸のサイズも大きくなっていて…)」

京太郎「(こんなに近づいてしまうとドキドキだけじゃ済まなくなるんだよな)」

京太郎「(勿論、巴さんの身体から母性めいたものは感じるし、安心する俺もいるけれど…)」

京太郎「(今の俺はムラムラ感を抑えきれてない)」

京太郎「(幾ら最近、溜まりっぱなしだと言っても、これで勃起するのはちょっとヤバ過ぎるぞ…)」

これが日頃からスキンシップを求めてくる春達が相手ならば、まだどうにかなったかもしれない。
或いは二人っきりになるとすぐさま膝枕をしようとする小蒔ならば、京太郎も少しは冷静になれただろう。
だが、こうして彼が頭を預けているのは、彼に対して精々、手を繋ぐくらいしか求められない巴なのだ。
そんな彼女に膝枕をして貰っているというシチュエーションに、どうしても身体が反応しそうになる。


京太郎「と、巴さんの方はどうですか?」

巴「そうね。私も…その、ドキドキするって言うのが一番かしら」

巴「これまでマッサージとかはやってきたけれど、膝枕なんて初めてだったし…」

巴「こうして京太郎くんの重みが膝の上にあると思うと…」

巴「なんていうか…凄く安心するの」

京太郎「安心ですか?」

巴「えぇ。私、今、京太郎くんに頼られてるんだなぁって」

巴「そう実感しちゃうから…かしらね」ナデ

京太郎「っ」ドキ

そんな京太郎の頭を、巴の手が優しく撫でる。
髪の房を一つ一つ慰撫するようなそれは母性すら感じさせるものだった。
元々、興奮を強めていた京太郎が、それに耐えられるはずもない。
彼女の口から漏れる言葉がとても暖かいのも相まって、ついつい胸を跳ねさせてしまう。


京太郎「…やっぱり巴さんって危険な人ですよね」

巴「え…?」

京太郎「いや、だって、そんな事言われたら、絶対にダメになっちゃうじゃないですか…」

巴「…ダメになってくれるの?」

京太郎「なりたいですけど、我慢します」

京太郎「ここでダメになったら、ちょっと色々な人に顔向け出来ないんで」

巴「そんなの…」ハッ

京太郎「…巴さん?」

巴「う、ううん。何でもない」フルフル

そんなの気にならないくらいに甘えさせてあげる。
そう言おうとしていた自分を、巴はギリギリの所で抑えこんだ。
それは京太郎に自分の気持ちが気づかれると思ったからではない。

巴「(他の皆だって、きっと同じ気持ちなんだろうけれど…)」

巴「(でも、春ちゃんもはっちゃんも…それを我慢してる)」

巴「(その気になれば独占出来るような人たちまで自分を抑えてるのに…私がそれに負けちゃいけないわ)」

そう自分を戒めるのは他の少女たちへの申し訳無さが強いからだ。
幾ら、京太郎の事が好きだと言っても、その為に他の何もかもを投げ捨てられるほど向こう見ずにはなれない。
彼女たちを裏切るような事を口走るくらいならば、独占欲を抑えた方がずっとマシ。


そう思う巴は京太郎の上で小さく首を振って。

巴「そ、それより、折角だし、耳掃除なんかもしちゃいましょうか」

京太郎「あ、汚れてました?」

巴「ううん。そんな事ないわ。綺麗な耳だと思う」

巴「…でも、ほら、今の私はお詫びとして、京太郎くんに甘えて貰ってる訳だし」

巴「もっともっと色んな事をして、甘やかせてあげたいのよ」ナデナデ

京太郎「ほ、程々にしといてくださいね」

巴「うーん…その辺りは京太郎君次第かしら」

巴「あんまり私に意地悪すると、呼吸まで私がさせてあげたいなんて言い出すかも…」

京太郎「それ洒落にならない奴じゃないですか…」

生命維持にとって必要不可欠な分野まで、引き受けようとする巴。
そんな彼女に京太郎の背筋は冷や汗を浮かべてしまう。
巴から甘やかされる生活には興味も惹かれるが、そこまで行くと流石に忌避感の方が強い。


京太郎「(まぁ、流石に巴さんなりの冗談なんだろうけれど)」

京太郎「(それでもヤバいって気持ちが収まらないのは…それがただの冗談じゃすまない可能性が高いからなんだろうな)」

京太郎「(巴さんは、尽くしたがりな上に、依存心も高いんだ)」

京太郎「(もし、何らかのキッカケで足を踏み外してしまったら、冗談じゃなくなってしまうかもしれない)」

巴「…そんなにダメ?」

京太郎「勘弁して下さい…って言うか、実際、それどうやるんですか…」

巴「それは…え、えっと、キス…とか?」カァァ

京太郎「流石にポンプとかガチな事言わなかった事を喜ぶべきか」

京太郎「或いは、そんなに恥ずかしがるなら最初から言わなければ良いのにと口にするべきか悩むんですが」

後頭部を向けた状態で膝枕をされている京太郎に、巴の表情は見えない。
だが、その尻すぼみになっていく声から、彼女の羞恥はしっかりと伝わってきているのだ。
間違いなく、巴は自分の言葉に恥ずかしがっている。
そう確信を抱く京太郎の上で、巴は頬を赤く染めていた。


巴「ど、どっちも言っちゃってるじゃない…」

京太郎「おっと、これは失礼」

巴「まったく…そんな風に冗談ばっかり言ってると無理矢理、耳掃除しちゃうわよ?」

京太郎「んじゃ、もっと巴さんを辱めないといけませんね」

京太郎「俺は巴さんに耳掃除して欲しいですから」

巴「最初からそう言ってくれたら色々と早かったのに…」

京太郎「これも俺なりの甘え方だと思って我慢してください」

巴「勿論、それくらいは分かってるけれどね」

巴「でも、たまにはもうちょっと素直に甘えて欲しいなって思う時はあるのよ?」

京太郎「善処します」

巴「もぉ」クス

まったく達成する気の感じられない京太郎の返事に、巴は拗ねるように言った。
だが、その言葉とは裏腹に、彼女の顔には微笑みが浮かんでいる。
京太郎の甘え方が歪だとは思うが、巴は決してそれが嫌いな訳ではない。
二人の関係が半ば固定化された今では、京太郎らしいとさえ思ってしまう。

京太郎「それより今は耳掃除ですよ、耳掃除」ムク

巴「あ…」

だが、その微笑みも長続きはしなかった。
誤魔化すように話を打ち切った京太郎は巴の膝から頭をあげたのだから。
ムクリと上体を持ち上げるような彼に、彼女はついつい寂しそうな声を漏らしてしまう。


京太郎「そんなに残念そうにしなくても」

巴「だ、だって…」

京太郎「どれだけハマっちゃったんですか」

巴「このまま夜になって京太郎君が眠るまで膝枕してあげたいなーって思うくらいかしら…?」

京太郎「流石にその前に巴さんの膝が限界に達すると思うんですが」

巴「京太郎くんの安眠のためなら我慢するわ」グッ

京太郎「(これ本気で言ってるから質が悪いんだよなぁ…)」

無論、京太郎も巴の献身は嬉しい。
だが、自らの苦痛も顧みずに尽くそうとするその姿には、どうしても危険なものを感じてしまう。
ある意味、小蒔以上に目を離せない巴に一体、なんと言えば良いのか。
数秒ほど考えた京太郎はゆっくりと口を開いて。

京太郎「まぁ、その辺の事はとりあえず脇に置いておくとして」

京太郎「膝枕したままじゃ、耳かきだって取れないでしょう?」

巴「い、一応、頑張れば、ここからでも棚に手は届くわ」

巴「だから、京太郎くんは安心して私に膝枕されてて良いの」

京太郎「無理して耳かき取ろうとする巴さんに安心して頭を預けるのは無理ですし」

京太郎「そもそも、準備さえしてくれたら、幾らでも頭を預けますよ」

巴「じゃあ、すぐに準備するから…っ」バッ

京太郎の言葉に、巴は急いで立ち上がった。
そのまま棚の方へと近寄る彼女の背に、京太郎は鬼気迫るものを感じる。
一体、どうして膝枕の為に、ここまで必死になるのだろうか。
巴の本心に未だ気づかない京太郎は内心、首を傾げた。


京太郎「(まぁ、俺も巴さんの膝枕が嫌って訳じゃないし)」

京太郎「(そこまで気に入ってくれたのは俺も嬉しいけれど…)」

京太郎「(しかし、そこまで必死になるほどのもんなんだろうか?)」

巴「お待たせっ」ストン

京太郎「あ、はい」

その疑問に答えを出す前に、巴が京太郎の元へと帰ってくる。
そのまま膝を折り、畳の上に正座する彼女は、期待に目を輝かせていた。
待てを命じられた子犬を彷彿とさせる巴に、京太郎は思考を中断させる。
今は理由よりも彼女の欲求を満たしてあげる方が先だと再びその頭を彼女に預けた。

巴「はふん…♪」

京太郎「…なんでそこでため息を吐くんですか」

巴「だって、京太郎君の重みが膝の上に返ってきたんだもの」

巴「京太郎君がいなくなってから寂しかった気持ちも吹き飛んで…すっごく安心しちゃった」

京太郎「…なんかもう中毒みたいになってません?」

巴「……かも」

京太郎「正直、このまま膝枕続けて良いのかなぁって気さえするんですが」

巴「い、今、離れられたら泣いちゃうわよ」

京太郎「泣くほどですか」

巴「が、我慢はするけど…でも…」

巴はあまり自分の欲求を表に出す事が出来ない。
それよりも他人の事を優先し、自分の事は二の次三の次にしてしまうのだ。
そんな彼女にとって、この膝枕は特別と言う言葉でさえも物足りない。
京太郎からリクエストされたものではなく、自分でアピールして勝ち取ったものなのだから。
それを一度ならず二度までも中断されるとなれば、寂しさを抑えきれなくなってしまう。


京太郎「…まぁ、そこまで言われて離れるつもりはないですけどね」

巴「本当?」

京太郎「えぇ。勿論、さっき巴さんが言ってたみたいに夜までずっとは無理ですけれど」

京太郎「でも、買い物に出なきゃいけなくなるまではこのまま過ごしてても構わないですし」

彼女がこの膝枕をどれほど重視しているかを京太郎は計り知る事が出来ない。
だが、それでも悲しみ混じりの言葉が冗談ではない事くらい理解出来るのだ。
だからこそ、京太郎は彼女に優しく言葉を返して。

巴「撮影会の方は良いの?」

京太郎「別に今日絶対にやらなきゃダメって訳じゃないですから」

京太郎「撮影よりも巴さんの方がずっと大事なんで、そっちはまた後日にしましょう」

巴「…京太郎君」

京太郎「へへ。格好良かったですか?」

巴「えぇ。ドキっとしちゃった」クス

京太郎「チョロいぜ」

巴「えぇ。私、チョロい女なのよ」ナデナデ

京太郎「ぅ…」

冗談めかした京太郎の言葉に、巴は肯定の言葉を贈った。
何処か甘いその響きに冗談を口にしていた京太郎の方が言葉を詰まらせてしまう。
てっきりまた呆れるように返されると思っていた京太郎の頭を、巴はゆっくりと撫でた。


巴「…だから、私の我儘を受け入れてくれた貴方に精一杯のお礼をしたいの」

京太郎「我儘なんて事ないと思いますけれど…」

京太郎「でも、お礼をしてくれると言うのなら、俺は喜んで受け取りますよ!」キリリ

巴「ふふ。ありがとう」

巴「それじゃあ…まず耳かきから始めるわね」

京太郎「オナシャース」

そう言って巴は京太郎の耳にゆっくりと耳かきを近づけていく。
鉄製のそれを慎重に京太郎の中へと入れていくその顔は真剣そのものだ。
膝枕からの耳かきは一歩間違えれば耳垢が鼓膜の方へと転げ落ちていくのだから。
結果、京太郎の耳に悪影響を及ぼしかねないと思えば、気を抜く事は出来ない。

巴「(とりあえず、慎重かつ丁寧にやっていきましょう)」

巴「(舞の時と同じく指先にまで気を這わせて、残心を忘れなければ、ちゃんと掃除出来るはずよ)」

巴「……」モクモク

京太郎「(あ、あれー…?)」

だからこそ、無言で耳掃除を続ける巴に、京太郎は胸中で疑問の声を浮かべてしまう。
女の子に膝枕をされながら耳掃除されるというシチュエーションは、もっと甘々としたものだったのだ。
掃除されている最中も和やかな会話が途切れないそのイメージは、今の現実とはまったく相容れない。
真剣である事が伝わってくるその沈黙に、京太郎は口を挟む事すら出来なかった。


京太郎「(まぁ、耳掃除しながらイチャイチャするってイメージがそもそも間違ってるって事だな」

京太郎「(一見、甘く見えるけれど、掃除である事に変わりはないんだから)」

京太郎「(根が真面目な巴さんとしては、耳掃除の最中に気を散らすのはご法度なんだろう)」

京太郎「(何より、俺と巴さんは、イチャイチャを期待するような関係じゃないんだ)」

京太郎「(予想以上に真剣でちょっと面食らったけれど)」

京太郎「(でも、俺を綺麗にする為に、ここまで真剣になってくれていると思えば、嬉しいくらいだ)」

それに戸惑っていたのも、ほんの数秒の事だった。
巴と京太郎の付き合いは決して一朝一夕のものではないのだから。
もう一年近くを共に過ごした巴とは沈黙を続けても気まずくならない程度の関係を築いている。
そんな彼にとって、巴に無言で耳かきをされる時間というのは、決して嫌な時間ではなかった。

巴「(よし。また一つ取れたわ)」ヒョイ

巴「(これでおおよそ半分…と言ったところかしら)」

巴「(見える範囲でも耳垢が残ってるから、まだ油断は出来ないけれど…)」

巴「(でも、自分の手で好きな人を綺麗にしているって考えると、ちょっと楽しいかも)」

それは巴にとっても同じだ。
最初は硬い表情で耳かきをしていた彼女だが、今はその頬を緩ませている。
元々、綺麗好きであることも相まって、胸中の楽しさは強まる一方だった。
だからと言って、気を抜いたりはしないが。


京太郎「(…なんだか巴さんの機嫌が良くなっていっているような気がする)」

京太郎「(顔は見えないけれど、その耳かきの使い方もどんどん軽やかなものになってるし)」

京太郎「(雰囲気からも真剣さが和らいでいっているのが伝わってくる)」

京太郎「(根が尽くしたがりな人だし、きっと耳掃除も楽しくなってきたんだろう)」

京太郎「(普通ならちょっと不安も感じるかもしれないけれど、でも、巴さんは楽しいからと言って、手を抜くような人じゃないし)」
京太郎「(失敗するとしたら、本当にどうしようもない時だけだろうから、安心して任せられる)」

その動きは少しずつ洗練されていく。
真剣さは巴にコツを覚えさせ、楽しさは彼女をその作業にのめり込ませていった。
結果、最初よりもずっと耳掃除に集中する巴はコリコリと外耳を擦りながら耳垢を取っていく。
その仕草に巴が楽しんでいるのを感じ取った京太郎は、無言で彼女に身を任せ続けた。

巴「…はい、こっちは終わり。次は逆側ね」

京太郎「あ、このまま顔を巴さんの方に向けても…」

巴「そ、それは恥ずかしいからダメよ」

京太郎「ちぇー」ムクリ

そんな時間の折り返しを伝えた巴に京太郎は冗談めかした言葉を漏らす。
それに巴は顔を赤く染めながら、首を左右へと振った。
断固拒否すると言うようなその様子に、京太郎は唇を尖らせながら上体を起こす。


巴「…そんなにしたいの?」

京太郎「いや、したいって言うほどじゃないんですけれど」

京太郎「でも、耳掃除されてる時間って結構、暇なんで」

京太郎「折角だから、巴さんのお腹でも突かせて貰おうかなって」

巴「そんな事されちゃ私の手元が狂っちゃうわよ…」

京太郎「ですよねー」

巴の前を横切るようにして、京太郎はその位置を反転させる。
そのままコテンとひざ上に頭を乗せる彼の上で、巴はクルクルと耳掻きを弄んだ。


巴「……だ、だから、耳掃除が終わった後でね」

京太郎「ってやって良いんですか?」

巴「だって…京太郎君、したいんでしょ?」

巴「は、恥ずかしいけれど…でも、それくらいなら、まだ大丈夫かなって…」

巴「それに…あの、私のお腹に興味あるって言ってくれて、ちょっと嬉しかったし…」

京太郎「…たまに巴さん、すっげー大胆になりますね」

巴「そ、そうかしら?」

京太郎「えぇ。つか、こんなのセクハラも良いところなんですから、ぶん殴っても良いんですよ」

巴「そんな事出来ないわよ。京太郎くんは私にとって大事な人なんだから」

巴「それに…京太郎君相手なら殴るよりも泣く方が有効でしょうしね」

京太郎「良くご存知で」

巴「えぇ。だって、『家族』ですから」クス

『家族』。
その言葉は巴にとって、とても重いものだった。
彼女はもう実家と絶縁宣言をし、親子の縁も切ったつもりでいるのだから。
そんな巴にとって、京太郎達は決して代替品でも偽物でもない。
血の繋がった親類よりもずっと心を開いている彼らを、彼女は自分に唯一、残された家族だとそう思っている。


京太郎「まぁ、俺も巴さんの泣き顔は見たくありませんしね」

京太郎「極力、巴さんの事を泣かせないようにからかいます」

巴「からかうのを止めるって選択肢はないの?」

京太郎「寧ろ、巴さんからかわれなかったら、逆に不安になりそうですし」

巴「そんな事…………な、ないとは言えないけど」

京太郎「やっぱり」クス

そんな巴が京太郎に嘘を吐けるはずもない。
消極的ではあるものの、つい肯定してしまう彼女に、京太郎はクスリと笑みを浮かべた。


巴「で、でも、変な意味じゃないって言うか…そ、そういう風に京太郎君がしたからで…」

巴「私はノーマルだし…へ、変な趣味なんて持ってないし…」

巴「わ、悪いのは全部、京太郎君だと思うわ」

京太郎「じゃあ、責任取って、これからも、巴さんの事をからかわなきゃいけませんね」

巴「もっと別の方法で責任取ってくれても良いんじゃないかしら…」

京太郎「と言われても、巴さん甘やかしたりすると逆に寝込みそうですし」

京太郎「やっぱりここは巴さんの被虐趣味を満足させてあげるのが一番かなって」

巴「京太郎君の意地悪…」

京太郎「えぇ。意地悪ですよ」

京太郎「でも、そんな俺に巴さんは変えられちゃった訳ですから」

京太郎「立派なマゾだと俺は思うんですけどね」

巴「ま、マゾなんかじゃないです」ムー

京太郎の言葉に、巴はプイを顔を背ける。
彼に対して嘘を吐けないとは言え、彼女は自分をマゾだと思っている訳ではないのだ。
京太郎も本気で自分を変態扱いしている訳ではないと分かっていても、ついつい拗ねるように唇を尖らせてしまう。


巴「あ、あんまり変な事言ってると耳掃除で大変な事になっちゃうわよ」

京太郎「そりゃ怖い」

京太郎「それじゃあ巴さんを怒らせないように、大人しくしときます」

巴「えぇ。ほんの五分くらいだからちょっと我慢しててね」

京太郎「五分かー…三分くらいならまだ自信あるんだけどなぁ」

巴「カップラーメンレベルなの…?」

京太郎「四分とか待たされるインスタントラーメンだったら我慢出来ずに途中で食べちゃいますね!」

巴「…私、食べた事ないけれど、それって大丈夫なの?」

京太郎「ちょっと麺が硬めになる程度ですから問題無いですよ」

京太郎「寧ろ、決められた時間よりも一分早い方が良いって人もいますし」

京太郎「興味あるなら、買い物ついでに買っちゃいます?」

巴「うーん…」

とは言え、それも長続きはしない。
京太郎の言葉が本気でなければ、彼女の仕草もまた本気のものではないのだ。
新しく齎される話題に、巴はさっきの不機嫌さを忘れたように考えこんで。


巴「でも、健康に悪いんでしょう?」

京太郎「一食程度なら問題ないと思います」

巴「そうなの…」

巴「そ、それじゃあ…ちょっとだけ悪い事しちゃおうかしら」

京太郎「ぐふふ。狩宿屋。お主も悪よのぅ」

巴「えぇ。お代官様に染め上げられてしまいました」ニコ

京太郎「…ぅ」

瞬間、巴が見せる笑顔はとても朗らかなものだった。
京太郎から受ける影響が嬉しくて嬉しくて堪らないのだと伝えてくる。
そんな彼女が漏らす幸せそうな声音に京太郎は再び不意を打たれてしまった。

巴「京太郎君?」

京太郎「い、いや、なんでもないっす」

京太郎「それより五分間我慢し続ける為に、終わったら何かご褒美ください」

巴「そうね…」ンー

巴「……今日は何でも京太郎くんの言う事を聞いてあげる…とか?」

京太郎「流石に五分我慢するだけでそれは巴さんの割に合ってない気がしますよ」

唇に人差し指を当てて考え込んだ巴の提案はあまりにも重すぎるものだった。
これが初美や春ならば冗談の一種で済むが、巴の場合はそうはならない。
自分の軽口に、彼女は本気で何でも応えようとしている。
その重さに京太郎は背筋に汗を浮かばせる。


巴「でも、ご褒美なんていきなり言われても思いつかないし…」

京太郎「だからって何でもはまずいですって」

京太郎「そんなの男に軽々しく言ったら襲われちゃいますよ」

巴「大丈夫よ。こんなの京太郎くんにしか言わないから」

京太郎「俺が襲う…とか考えないんですか?」

巴「今更、京太郎君の事疑うはずないでしょう?」

巴「それに京太郎君は姫様や春ちゃんと一緒に寝ている訳だし…」

巴「それで間違いが起こったりしてないんだから、私なんかが襲われるはずないわ」

京太郎「巴さんはなんかって言わなきゃいけないような人じゃないっすよ」ゴロン

巴「あ…」

自嘲の色を隠し切れない巴に、京太郎はそっと首の角度を変えた。
耳掃除の為に横を向くのではなく、彼女を見上げるような姿勢に。
自然、久方ぶりに交差する彼の視線に巴は微かな声をあげる。


京太郎「それはこうして膝枕されてる俺が良く知ってます」

京太郎「巴さんの魅力は、春や小蒔さんにだって負けてません」

京太郎「可愛いですし、優しいですし、話していて面白いですし、家事も上手ですし」

京太郎「女性としてまったく非の打ち所がないと言っても良いくらいですよ」

巴「…でも」

京太郎「他の皆も同じって言おうとしてるなら、それは違うと言わせて貰いますよ」

京太郎「確かに春達も非の打ち所のない魅力的な女の子達です」

京太郎「でも、だからって、巴さんの魅力が色褪せたりはしません」

京太郎「寧ろ、そんな中にあって埋没しないほど巴さんは魅力的な人です」

巴「…京太郎君」

京太郎が漏らすその言葉は本心からのものだった。
確かに巴は地味であり、自己主張も得意なタイプではない。
しかし、だからと言って、美少女揃いの六女仙の中で浮いている訳でもないのだ。
寧ろ、パズルのピースのようにしてピタリと嵌まる彼女が、魅力的でないはずがない。
それを伝る為に、京太郎は真剣な眼差しと言葉を巴にへと送り続ける。


京太郎「だから、自分の事をなんかって卑下しないでくださいな」

京太郎「んな事言われると、家族としても心苦しいですし」

京太郎「男としては申し訳なくなります」

巴「え?」

京太郎「だって、俺、これまで巴さんに極力、魅力を分かって貰おうとしてきた訳ですから」

京太郎「それがまったく伝わってなかったって事は俺の方法が間違ってたって事ですし」

京太郎「これはもう実力行使するしか…」

巴「じ、実力行使って…」カァァ

京太郎「そりゃ当然、身体で分かって貰うって事っすよ」ゲスカオ

無論、京太郎も本気で実力行使に打って出るつもりはない。
申し訳ないという気持ちは嘘ではないが、そんな度胸などヘタレな彼にあるはずがないのだ。
だからこそ、そうやって下卑た表情を浮かべるのも演技。
それは顔を赤く染める巴も良く分かっていた。

巴「わ、私なんかー」ポソ

京太郎「え?」

巴「う、ううん。何でもない…!」

巴「(ど、どうかしてるわよね)」

巴「(ここでわざと私なんかって言ったら…襲ってもらえるかも…なんて)」

しかし、だからと言って、冷静さを失わない訳ではない。
身体で分からせるという彼の言葉は、彼女にとってとても心惹かれるものだったのだから。
自分から誘惑する事は出来なくても、彼に襲って貰う事は出来るかもしれない。
そんな期待に彼女の口は勝手に動いてしまった。


巴「と、ともかく…その…ありがとうね」

巴「京太郎くんにそう言って貰えるとやっぱり嬉しいわ」

京太郎「いえいえ、俺も役得でしたし」

巴「え?」

京太郎「いやぁ…こうやって下から見上げるおっぱいってやっぱ良いですね」グヘヘ

巴「っ!!!」マッカ

セクハラ以外の何者でもないその言葉に、巴の顔は真っ赤になる。
勿論、彼の視界に自身の胸が入っている事を彼女も認識していた。
だが、京太郎の視線は真剣そのもので、まったくいやらしさを感じさせなかったのである。
結果、巴は京太郎に指摘されるまで、自身の胸を間近で見上げられているなど思い至る事すらなかった。

巴「わ、私のでも良い…の?」

京太郎「え?」

巴「だ、だって、ほら、私のって春ちゃん達に比べるとやっぱり小さいし…」モジ

京太郎「前も言ったような気もしますが、巴さんは十分、おっぱい大きいですって」

京太郎「おっぱいにインターハイがあれば余裕で出場出来そうな有力選手がこの屋敷に集まってるだけです」

巴「お、おっぱいのインターハイって…」カァァ

京太郎「それに…巴さん、最近、大きくなってますよね」

巴「な、なんで分かるの!?」

京太郎「あ、やっぱりそうですか」

京太郎「実は一ヶ月くらい前から大きくなってるんじゃないかなーと思ってたんですが」

巴「…京太郎君のスケベ」

そう言いながらも巴は決して嫌な気分ではなかった。
彼女にとって、その変化は京太郎の為に起こったものなのだから。
それにちゃんと気づいてくれていると思うと、胸の奥から嬉しさが湧き上がってくる。


巴「(まぁ、勿論、恥ずかしいし…)」

巴「(どうしようもない人だな…とは思うけれど)」

京太郎「うへへへ。ごめんなさい」

巴「まったく反省してるようには見えないわよ…」

京太郎「実際、あんまり反省してません!」

巴「もー…胸の事になるとホント、ダメダメなんだから」クス

そのどうしようもなさも今の巴には魅力的に映ってしまう。
多少、ダメなくらいが尽くしたがりな彼女にとっては丁度良いのだから。
まったく反省しようとしないそのダメさに、巴の顔は笑みを形作った。

京太郎「まぁ、ダメダメな俺がこのまま巴さんのおっぱいを見上げてると変な気分になっちゃいそうなんで」

京太郎「大人しく横向いて耳掃除スタンバイします」

巴「…別に見上げるのがダメなんて事はないわよ?」

巴「恥ずかしいけれど、京太郎君の為なら我慢出来るわ」

京太郎「巴さんがそういう事普通に言っちゃうから、こっちで自制が必要なんですよ」

巴「…むぅ」

京太郎の理屈は、決して巴に理解不能な事ではなかった。
彼が我慢しようとしてくれているのも、共同生活を円滑に進める為。
だが、そう理解する理性とは裏腹に、感情の方はすぐさま納得出来ない。
自分が勇気を出して見ても良いと言っているのに、どうしてそれを蔑ろにするのか。
そんな言葉が喉元の近くまで出かかってしまう。


巴「…ところで他に大きくなった人いるの?」

京太郎「初美さんやわっきゅん以外は大抵、大きくなってると思いますよ」

京太郎「ただ、特筆して成長していると言うなら、やっぱり明星ちゃんの名前が挙がりますね」

京太郎「石戸の血が本格的に目覚めたのか、さらに巨乳になっていってるのが分かります」

京太郎「あのまま成長したら、霞さんにも並ぶんじゃないでしょうか」

京太郎「実は最近、それを楽しみにしていたりも…」

巴「…と言う事は明星ちゃんの胸もジロジロ見てるのね」

京太郎「ハッ…誘導尋問なんて卑怯ですよ!?」

巴「何処からどう見ても京太郎くんの自爆でしょ」キッパリ

それを抑えての巴の言葉に、京太郎は見事な自爆を演じてみせる。
不機嫌そうな巴の気分を変える為、意図的に三枚目を演じる彼の言葉は、しかし、100%嘘と言う訳ではなかった。
明星の事を成長著しいと言うほど、観察していた事に間違いはない。
彼の優しさが嬉しい半面、それを面白く無いと思う自分も巴の中に存在していた。

巴「明星ちゃんにも後で教えてあげないと」

京太郎「か、勘弁してくださいよ…」

京太郎「明星ちゃんにこんな事知られたら、俺、また変態コールされちゃうじゃないですか」

巴「間違いじゃないし、別に良いんじゃないかしら」

元々、巴も本気で明星に密告するつもりはない。
明星は恥ずかしがり屋であり、またそんな事を知っても素直に嬉しいと思えるようなタイプでもないのだから。
京太郎が明星の胸の成長を感じ取っているなどと言えば、顔を真っ赤にして京太郎を悪しように詰るだろう。
その裏で自己嫌悪している事も分かっているだけに、あまり彼女の羞恥心に油を注いであげたくはなかった。


巴「(…何より、京太郎君の情報をあんまり他の人にあげたくないのよね)」

巴「(勿論、共有するべきところは共有しなければいけないって分かっているけれど)」

巴「(でも、こんな形でしか私は彼の事を独占出来ない訳なんだから…)」

巴「(皆で共有する必要の薄い情報は極力、私の内側に留めておきたい)」

京太郎「巴さーん…」

巴「ふふ。それじゃあ大人しくしてたら黙っててあげる」

まるで縋るような情けない声をあげる京太郎に、巴は小さく笑った。
頼られる事が嬉しくて嬉しくて堪らないと言うようなその表情に独占欲の色は見当たらない。
彼女にとって、それはほんの僅かな、子どもが親に拗ねる程度の反抗心なのだから。
京太郎を独占し、膝枕までしている現状、はっきりと表に出てくる事はない。


京太郎「おや、そう来ますか」

巴「えぇ。そう来ちゃいます」

京太郎「何だか腑に落ちないところもありますけれど…」

京太郎「でも、明星ちゃんに変態コールされて変な趣味に目覚めるのもアレですしね」

巴「大丈夫よ。私は京太郎君が変な趣味に目覚めても一緒にいるわ」

京太郎「まぁ、巴さんが一緒に居てくれるなら、多分、不幸にはならないでしょうけど」

巴「そ、そう?」

京太郎「えぇ。これはマジで言ってます」

京太郎「こんなにも俺に尽くしてくれる人がいるんですから、不幸になるはずがありませんよ」

京太郎「逆に三国一の幸せ者だってそう言っても良いくらいっす」

巴「も、もうまたそんなに持ち上げて…」

巴「そんな事言われたら、私、もっともっと京太郎くんに尽くしてあげなきゃいけなくなるわ」

京太郎「い、今の時点でも十分なんですけど」

巴「ダメです。それじゃあ私の気が収まりません」

巴が京太郎に寄せているのは、好意だけではない。
自身も所属する神代家が彼にした事を、彼女は決して忘れてはいないのだから。
今もその片棒を担いでいるに近い巴は、どうしても贖罪意識を拭い去る事が出来ない。
だからこそ、京太郎にもっと尽くそうとその手に持った耳掻きを強く握り締める。


巴「まぁ、まずは手始めに耳掃除の続きからやっていきましょうか」シャキン

京太郎「うぃっす」

そのまま耳掻きを再開しようとする巴に、京太郎は短く応える。
巴との会話は楽しいが、今日は買い物や夕飯の支度とやる事が沢山あるのだから。
あまりダラダラとし続けて、家族を空腹のまま待たせる訳にはいかない。
巴との下らないやり取りに心惹かれる自分にそう言い聞かせながら、京太郎はキュっと唇を真一文字に結んで。




―― それから巴が京太郎の耳に梵天を差し込むまでの数分間、彼は沈黙を護り続けたのだった。






………

……






ってところで今日は終わりです(´・ω・`)巴のコスプレ撮影会はまた次回やります
時間も遅いですがずっとお待たせしてますし少し休憩してからまた初美のなし崩しックス進めていきます


初美「(で、でも、この程度で私を負けさせられると思ったら大間違いなのですよー♥)」

初美「(これくらいならまだ我慢出来ないほどじゃありませんし…♪)」

初美「(何より…京太郎君がもうイきそうなの丸わかりなのですー…♥)」

初美「(美味しそうなチンチン、さらにガッチガチにしてぇ…♥)」

初美「(射精したいしたいって…オネダリしてるの分かりますよぉ…♪)」ジュプゥ

京太郎「く…おぉ…」

そんな肉棒を、初美は決して離したりしなかった。
寧ろ、丸呑みにしようと唇を進めていく。
結果、こすれ合う粘膜から粘ついた水音が鳴り響いた。
何処か性交を思わせるそれに京太郎の喘ぎ声が混じる。

小蒔「それでおやつの方なんですけど」

京太郎「い、今はちょっと取り込み…中で…」

京太郎「ちょっと遅れる…かもしれません…」

小蒔「そう…ですか」

自然、強まっていく快楽に、京太郎の理性は限界だった。
下半身から湧き上がる射精への欲求はもう制御出来るものではない。
一瞬でも気を抜けば、小蒔に構わず射精してしまいそうなほどだった。


京太郎「でも…す、すぐイきますよ…!」

小蒔「無理はしないでくださいね」

京太郎「だ、大丈夫…です…!」

京太郎「お、俺も…イきたいですから…っ」

初美「~~~っ♥」キュゥゥン

だが、小蒔の側で射精する訳にはいかない。
その一念で何とか堪らえようとする京太郎から『イきたい』と言う言葉が漏れた。
小蒔には願望に聞こえるそれは、初美にとってオネダリ以外の何物でもない。
ついに京太郎が陥落したのだとそう本能が判断し、子宮が疼きを走らせる。

初美「(ふふ…♪本当に堪え性のないダメチンチンなんですから…♥)」

初美「(でも、イきたいって言えばイかせてあげるって言ったのは私ですしね…♥)」

初美「(お望み通り、このエロエロチンチンから射精させてあげるのですよぉ…♥)」ジュッポォ

京太郎「~~~~っ」ビクン

瞬間、始まったのは初美によるピストンだ。
ゆっくりと男根を飲み込んでいた彼女は、その頭を前後に揺すり始める。
京太郎の肉棒を咥えながらのそれに童貞の京太郎は我慢出来ない。
擬似セックスと言う言葉が真っ先に出てくる激しいフェラが、京太郎のリ性にトドメを刺した。



京太郎「あ…あぁあああああああぁっ」ドピュルルル

初美「っっっ♪♪」

初美「(で、射精たのですよー…♪)」

初美「(京太郎君…私の口で射精してぇ…♥)」

初美「(ザーメン…ビュルビュルしてるぅ…♪)」

射精。
初美のフェラが始まった数分も経たずに始まった放たれた白濁液が彼女の口腔を叩く。
びちゃびちゃと撒き散らされるようなそれに初美の心と身体が悦んだ。

初美「(私の身体…穢されてるのですよー…♥)」

初美「(京太郎君のくっさいザーメンで…身体の中から京太郎君のモノになされてるぅ…♥)」

初美「(私のお口で我慢出来なくなって射精してくれてるのですー…♪)」

初美「(それが腹ただしいくらいに…嬉しいのですよー…♪)」

初美「(好きな人の精液を受け止められて…私、幸せにさえなっちゃってますー…♥)」

初美にとって、女としての魅力が不足している自分の身体はコンプレックスの塊だった。
普段はそれを気にしている素振りは見せないが、自分は女として愛される事はないだろうとそう思っていたのである。
だが、今の彼女は愛する男を絶頂に達させ、その精液を受け止める事が出来ているのだ。
一人の女として認められたであろうその証に、彼女は幸福感さえ感じている。


初美「(それに…何より…♥)」

初美「(京太郎くんのザーメン…くっさいですけど美味しいのですー…♪)」

初美「(そのオスくささからは考えられないくらいに甘くて…♥)」

初美「(私…これ幾らでも飲めちゃいそうなのですー…♪)」ゴクッ

その甘さは彼女の味覚から伝わってくるものではない。
コンプレックスが肯定されるその喜びに、彼女の心が創りだした妄想の産物だ。
だが、興奮の極地に立つ今の初美がそれを冷静に分析出来るはずがない。
彼女にとってはもう京太郎の精液は美味しいものだと固定されてしまったのだから。

小蒔「き、京太郎君?」

初美「(あぁぁ…♪私…飲んじゃってますぅ…♥)」

初美「(姫さまの前で…っ♪京太郎君の事を好きな人の前で…っ♥)」

初美「(京太郎くんの精液を美味しい美味しいって…ゴクゴクしちゃってぇ…♥)」

初美「(興奮しすぎて…もう頭がおかしくなりそうなのですよー…♪)」トロォ

その最中、襖の向こうから聞こえる小蒔の声に初美は背徳感を得てしまう。
あくまでも日常の中に立つ小蒔と、非日常の中で精液を味わう自分。
その両者を隔てているのが薄い襖一枚である事を意識してしまうのだ。
結果、湧き上がる背徳感は興奮を強くし、初美の奥からドロドロとした粘液の塊を滴らせる。


初美「(でも…呑まなきゃ…ぁ♪)」

初美「(絶対に一滴も無駄にしちゃダメなのですよー…♥)」

初美「(これは京太郎くんが私にくれた初めての精液ですし…♥)」

初美「(それに…ぃ♪)」

初美にとって、小蒔は庇護すべき対象だ。
家同士の関係がなくても、純真な彼女を守ってあげたいと初美はそう思っている。
しかし、だからと言って、彼女に対してまったく嫉妬していない訳ではない。
どんな相手にでも愛されるであろう小蒔に、初美はずっと鬱屈としたものを抱いていた。

初美「(これは…私の…っ♪)」

初美「(私の…精液なのですよー♥)」

初美「(姫様には…絶対にあげません…っ♥)」

初美「(全部…私がゴックンするんですからぁ…っ♪)」ジュルル

京太郎「~~~~!!」

それを独占欲へと書き換える初美は京太郎の肉棒を再びしゃぶり始める。
射精している最中に繰り出されるそれは、精液を強請るようなものだった。
既に一度、我慢が決壊してしまった京太郎がそれに耐えられるはずもない。
粘ついた音を鳴らしながら前後する初美の前で身体をブルリと震わせてしまう。


京太郎「(や…ば…!)」

京太郎「(初美さん…!え、エロ過ぎる…ぅ!!)」

京太郎「(こ、こんなの…マジで搾り取られるじゃないか…!)」

京太郎「(チンポ悦びすぎて…全部射精するぅ…!!)」

初美「んぴゅぅ…♪」ジュポォオ

それは決して技巧に優れたものではない。
初美はまだまだ初心者であり、また精液に対しても並々ならぬ思い入れを抱いているのだから。
一滴残らず精液を無駄にしたくはないと思う彼女にとって、まず精液を嚥下するのが最優先。
しかし、射精に身悶えする肉棒には、そんな愛撫でも十分過ぎた。
初美の口が前後するのに合わせて射精の勢いが強まってしまう。

初美「(も…もぉ…♥射精しすぎなのですよ…ぉ♪)」

初美「(さっきからビックンビックンしまくってるのに…全然、勢い落ちないですー…♥)」

初美「(精液がネバネバしすぎて…喉に張り付いちゃいますし…♥)」

初美「(このままじゃ私…精液で溺れちゃいそうなのですよー…♪)」

それを受け止める続ける初美の脳裏に、溺れると言う言葉が過る。
彼女の処理能力を超え続ける精液の勢いに、身体が危機を訴え始めていた。
だが、それで京太郎から離れるほど、彼女の興奮は柔なものではない。
身体から浮かび上がる訴えを本能で却下しながら、彼女はフェラを続ける。


京太郎「は…あぁ…あぁ…あ…っ」

初美「(またそんなエロ声出して…♪)」

初美「(そんな声出されたら…こっちも濡れちゃいますよぉ…♥)」

初美「(もうあそこヌレヌレなのに…さらに愛液が染みだしてぇ…♪)」

初美「(このチンチン欲しいって…アソコがキュンキュンしちゃいますぅ…♥)」

それは彼女にとって、とても幸せな時間だった。
喉の奥で詰まるような精液にも彼女は興奮してしまうのだから。
しかし、だからと言って、その幸福感がずっと続く訳ではないのだ。
粘ついた精液が胃に到達した頃から、彼女の身体の中で疼きの勢いが強くなっていく。

初美「(そこじゃ…そこじゃないのですよー…♪)」

初美「(このドロドロとした精液が欲しいの…お腹じゃないぃ…♥)」

初美「(もっと…もっと奥ぅ…♪)」

初美「(私の子宮が美味しい精液欲しいって叫んでるぅ…♥)」

胃の中に収めてもまったく熱が収まらないドロドロの精液。
それを肉越しに感じる子宮は、欲求不満を撒き散らし始めていた。
まるでメスの本能が急速に芽生えるようなそれを初美は制御出来ない。
胃の奥に精液を流し込もうと嚥下する度に、キュンと痺れるような感覚が脳天を突き上げる。


初美「(でも…精液を無駄にしたくありません…っ♥)」

初美「(このエッチなドロドロは…全部、食べてしまいたいんですー…♪)」

初美「(だから、私、どうしたら良いのか分からなくて…♥)」

初美「(あぁ、もう…っ♪悪いのは全部、このチンチンなのですよー…っ♥)」

初美「(京太郎君のチンチンがエロ過ぎるから私もおかしくなっちゃうのですーっ♪)」

初美「(だから、ここは…ぁっ♥)」ジュッポジュッポグポォ

京太郎「~~~~~っ!!」

その欲求不満をぶつけるように初美のフェラは激しくなる。
襖の向こうにも聞こえそうな勢いで、その唇の隙間からジュポジュポと淫らな音をかき鳴らした。
半ば八つ当たりにも近いそれに、しかし、精液の勢いはもう強くなったりはしない。
彼の絶頂ももう終わりが近づき始めているのだ。

初美「ぷあぁ…♥」ヌパァ

京太郎「う…くぅぅ…」

射精開始から数分ほど経ってから、京太郎の肉棒はようやく解放された。
粘ついた音と共に初美の粘膜から別離したそれはもうグッショリと濡れている。
根本まで初美の唾液でベトベトになったそれは冷えた空気の中でビクビクと震えていた。
まるで射精が気持ちよかったと言うようなそれに初美はついつい笑みを浮かべてしまう。


小蒔「あ、あの…」

京太郎「っ!」ハッ

小蒔「さっきからまた声が聞こえますけれど…本当に大丈夫ですか?」

京太郎「え、えぇ。大丈夫です」

京太郎「ちょっとい、色々とあったものですから…」

初美「ふふ…♪」ペロ

京太郎「ぅ…」

瞬間、聞こえてくる小蒔の声に、京太郎は余韻から意識が引き戻される。
射精に夢中になりすぎた所為で、また小蒔に心配を掛けてしまった。
それを何とかリカバリーしようとする京太郎に、初美は再び顔を近づける。
そのまま舌を伸ばして肉棒を舐めてくる姿は京太郎に発情期の猫を思わせた。

京太郎「(こっちをイかせて落ち着いたかと思えば、さらにエロくなってるなんて…)」

京太郎「(正直、そんな姿を見るだけでも色々と興奮してヤバくなるけれど…)」

京太郎「と、ともかく、後で初美さんと行きますからそっちで適当に始めていてください」

小蒔「…分かりました」

今は初美よりも小蒔の方が大事だ。
そう言い聞かせながら、京太郎は自身の欲望を抑えようとする。
だが、射精して幾らか落ち着いたとは言え、理性が完全に復活した訳ではない。
その声音に浮かぶ焦りや興奮の色に、流石の小蒔も違和感を感じてしまう。


小蒔「(…でも、京太郎君は大丈夫ってそう言ってくれている訳ですし)」

小蒔「(きっと私に言いたくない理由でもあるんでしょう)」

小蒔「(少なくとも、京太郎君は私に話すつもりはないみたいですから…I)」

小蒔「(ここは大人しく引き下がっておきましょう)」

小蒔「じゃあ、待ってますから、必ず来てくださいね」

初美「んちゅぅ…♪」チュッ

京太郎「分かっ…りました」

胸中の寂しさを抑えながら、小蒔は踵を返す。
そのまま立ち去っていく小蒔に、上擦った京太郎の声が届いた。
その途中で一回途切れたその言葉は、初美が京太郎の先端にキスをしたからこそ。
未だパンパンに腫れ上がったままの亀頭はその僅かな刺激だけで快楽を得てしまう。

京太郎「…で、初美さん」

初美「なんでちゅかぁ…♪」レロォ

京太郎「うく…っ」

それでも何とか流されまいとする京太郎に初美の舌が襲いかかる。
亀頭をペロペロと舐め回すそれは最初の頃よりもずっと滑らやかものだった。
円を描くように肉棒に擦り寄るその動きに京太郎は思わず快楽の声をあげてしまう。


京太郎「そろそろ止めてくれないと俺も色々と我慢出来ないんですけど…」

初美「一回射精しちゃった男が格好つけてるんじゃにゃいですよー…♪」チュ

初美「どーせ…このチンチンからまだまだ射精したりないんでしょう…♥」

初美「こーんなにガチガチにしちゃって…本当、やらしいのですー…♥」チュチュ

京太郎「先っぽにキスされながら言われても、そっちの方がエロエロだろとしか言いようがないんですけど」

初美「はぁ…♪京太郎君は見る目がないですねー…♪」スッ

京太郎の指摘に初美はゆっくりとその両手を自身の袴に回す。
そのまま彼女の指先が摘むのは、袴を縛り付けている紐の結び目だ。
それを京太郎の足元に傅いたままの姿勢で、初美はゆっくりと解いて。

初美「私はエロエロなんじゃなくてエロエロにさせられちゃったのですよー…♥」シュル

初美「京太郎君のこのチンチンをナメナメしてる間に…♪」ストン

初美「もう…こんなにグチョグチョになっちゃったのですよー…♥」

京太郎「っ」ゴク

瞬間、晒されるのは初美の下半身だ。
ねばついた粘液を膝まで滴らせるその光景は、京太郎からでもハッキリと見て取れる。
未だ肉棒を滾らせる京太郎はそこから目を背ける事が出来ない。
日焼け跡の残る小麦色の内股に目を引き寄せられ、ついつい生唾を飲み込んでしまう。


初美「ふふ…♪これで…もう裸同然ですねー…♥」

初美「今、京太郎くんに襲われたら…私、絶対に抵抗出来ないのですー…♪」

初美「このバカデカイチンチンを小さな私の身体に無理矢理ねじこまれてぇ…♥」

初美「無理矢理…京太郎君の女にされちゃうのですよー…♥」レロォォ

京太郎「くぅ…」

何処か試すような言葉と共に初美の舌は、再び京太郎の裏筋を舐めた。
その根本から切っ先までをたっぷりと舐るその動きに、京太郎は言葉を詰まらせる。
このままでは初美の思い通りになると分かっているが故の悔しさ。
そして、射精直後の肉棒を慰撫される心地良さが彼の胸中で交わっていく。

初美「…で、どうするのですかー?」

初美「私の事襲っちゃうのか…それとも姫様達とおやつ食べに行くのか…」

初美「私は…どっちでも構わないのですよー♥」ペロペロ

どっちでも構わないとそう言いながらも、初美の愛撫は止まらない。
彼女の身体は完全に火が吐いてしまったのだから。
京太郎に襲われたいと強請るようにして裏筋以外の部分を舐め回す。


京太郎「…選択肢なんてないも同然じゃないっすか」

初美「ふふ♪じゃあ、決めたんですね…♥」

初美「姫様との約束をブッチして…私の事を襲うんだって…♪」

初美「このチンチンで…私を犯してくれるんだって…♥」

初美「そう決めてくれたんですね…♪」スリスリ

そんな愛撫をされて迷い続ける事など出来ない。
ジリジリと焦がされるような快感に京太郎は屈してしまう。
どっちでも構わないと言いながらも、初美はとても不安そうにしていたのだから。
小蒔には悪いが、ここは初美の心を埋めてあげた方が良い。
そんな言い訳を胸中に浮かばせる京太郎の前で、初美は肉棒に頬ずりする。

京太郎「…頬ずりまでしてるのにレイプになるんですか」

初美「当然じゃないですかー…♪」

初美「私の身体にこんなチンチン挿入れられたら絶対に壊れちゃますよー…♥」

初美「京太郎君以外の男じゃ碌に感じられないようなガバマンになっちゃいますー…♥」

初美「そんなの…嫌に決まってるじゃないですかー…♪」

初美「だから、レイプですよ、レイプ♥」

初美「私は…抵抗むなしく京太郎君に犯されちゃうのですー…♥」チュゥ

そう言いながら初美は肉棒に唇を押し付ける。
チュゥゥと長引くそれはとても情熱的だ。
まるでキスマークをつけようとしているようなキスに、京太郎は嫌がるものは感じられない。
レイプだと言うのは初美にとって必要な言い訳なのだろうと彼は思った。


京太郎「…ま、良いですけどね」

京太郎「そんなに言うなら初美さんの事、レイプしてやろうじゃないですか」グイ

初美「あ…っ♥」

だからと言って、京太郎は冷静になる事は出来ない。
射精が終わった後も初美はスキンシップを途切れさせはしなかったのだから。
元々、性豪と言う事もあり、一度射精した程度ではこころも身体も落ち着かない。
だからこそ、京太郎は自身に傅く初美に手を伸ばし、優しく畳へと押し倒していく。

初美「ロリコンな上にレイパーだなんて…本当に救いようがない男なのですよー…♥」

初美「そんな男にこれから犯されるなんて…私はとっても不幸なのですー…♥」

京太郎「はいはい。なんとでも言って下さい」

京太郎「こっちはもう腹括りましたから」

京太郎「ちゃんと責任も取らせて貰いますよ」チュ

初美「んあ…♥」

自身を罵るような初美の言葉に、しかし、京太郎は萎えたりしなかった。
それは巴なりの照れ隠しだと彼は良く分かっているのだから。
可愛げがあるとは言えないが、それを気にして興奮が冷めたりはしない。
だからこそ、京太郎は力なく畳の上に横たわる初美にそっとキスをした。


初美「(あぁ…♪わ、私、キスされちゃってるのですよー…♥)」

初美「(京太郎くんに…好きな人に…チューされて…♥)」

初美「(さっき…京太郎くんのザーメンゴクゴクしてた口に…キスぅ…♥)」

初美「(コレ…すっごく幸せです…♪)」

初美「(チンチンフェラしてた時よりも…幸せぇ…♪)」

それはほんの一秒にも満たないキスだ。
子ども同士が親の真似事でするようなおままごとのような口づけ。
しかし、初美にとってはそれだけで十分過ぎた。
まさかキスをされるなど思ってもみなかった彼女は、京太郎に開いた身体からさらに力を抜いてしまう。

京太郎「っと」

初美「き、京太郎…君…♥」

京太郎「ただヤるだけ…なんて言うのも味気ないですし」

京太郎「無理矢理、キスさせてもらいましたけど、良かったですよね」

初美「じ、事後承諾とか最低なのですよー♪」プイッ

京太郎「やだなー。俺はレイパーなんですよ」

京太郎「わざわざ事前にキスして良いかなんて聞くはずないじゃないですか」

だが、初美はそれを素直に幸せだと言う事が出来ない。
ついつい意地を張って最低だと言ってしまう。
そのまま顔を背ける彼女に、しかし、京太郎は心を痛める事はない。
初美が内心、それを喜んでいる事を彼は良く理解しているのだ。


京太郎「だから、これからも不意打ちでキスしますけれど」

京太郎「初美さんには当然、拒否権なんてないんで」

初美「し、仕方…ないですね♥」

初美「私は…レイプされる訳ですから…♪」

初美「どうせ嫌だって言っても、無理矢理されるでしょうし…♥」

初美「甘んじて受けてあげるしかないのですよー…♪」

京太郎「えぇ、そうですよ」チュ

初美「ふぅん…っ♪」

そんな彼女を再び京太郎のキスが襲う。
意地を張るのを止められない初美を解そうとするようなそれに彼女は心地良さそうな声を漏らしてしまう。
普段ならば絶対に恥ずかしいであろうそれを、今の初美は止められない。
京太郎にキスされる度に、その小さな唇から声が出てしまうのだ。


初美「(すっごく…ドキドキしちゃう…♥)」

初美「(京太郎君にキスされるのも…そうですけれど…♪)」

初美「(彼の手が…私の身体を撫でていって…♪)」

初美「(むき出しになったお腹や太ももがゾクゾクしちゃうのですー…♥)」

それは京太郎なりの気遣いだった。
初美の言う通り、彼女の身体に自分のモノは大きすぎる。
下手に緊張を残しておけば、本当に裂けてしまうかもしれない。
幾ら欲情にその心を掴まれたとは言え、それは彼にとって歓迎出来る未来ではなかった。
だからこそ、逸る心を抑えて自身を愛撫してくれる京太郎に、初美は胸の鼓動を強めるが。

初美「(も、もう良いのですよー…♥)」

初美「(そんなのしなくても…私の身体、トロトロですー…♪)」

初美「(京太郎くんを受け入れる準備…出来ちゃってますから…っ♥)」

初美「(お腹の奥までキュンキュンしてチンチン欲しがっちゃってますからぁあっ♪)」ダキ

しかし、それは初美にとって不要な心遣いだった。
彼女の身体は自慰と京太郎への愛撫を経て、完全に出来上がっているのだから。
肉穴の奥では、興奮と欲情で愛液が垂れ流しになり、子宮からの疼きは強くなる一方だった。
勿論、胸中には未だ恐怖は残っているが、それはもうセックスへの期待に勝てるものではない。
だからこそ、初美は愛撫しようとする京太郎に自身の四肢を絡みつかせる。


京太郎「…初美さん」

初美「れ、レイパーが気を遣ってるんじゃないですよー…♪」

初美「どーせ…そのバカチンチンも限界なんでしょう…♥」

初美「私のアソコに入れたくて入れたくて仕方がないのなんて分かってるんですから…♪」

初美「早くレイプしちゃえば、良いのですー…♥」

京太郎「…えぇ。分かりましたよ」

犯して欲しいとそう訴えるような仕草とは裏腹に、初美の言葉はあまりにも可愛げのないものだった。
しかし、それでもその胸中を伝えてくれた彼女に、京太郎はコクリと頷く。
正直、不安は否めないが、初美の気持ちを無駄にしたくはない。

京太郎「(…何より、俺自身もう我慢出来ないんだ)」

京太郎「(早く初美さんとセックスしたい)」

京太郎「(そんな事ばっか考えて、チンポも熱くなっていく一方で…)」

京太郎「(このままじゃ…暴発してしまいそうだ)」グッ

初美「きゅぅ…っ♪」

セックスへの期待に滾る肉棒を京太郎は初美へと押し付ける。
彼女の股間をグイと押しこむようなそれはもうオスの欲望しか詰まっていなかった。
早くメスを犯したいとそう訴えるような肉棒の圧力に、初美は思わず声を漏らす。
何処か悲鳴にも似たそれに、京太郎は構わず、肉棒を擦り付けた。


初美「(今更ですけど…これヤバイのですよー…♪)」

初美「(京太郎君のチンチン…明らかに大きすぎます…♥)」

初美「(こうやってアソコに擦り付けられてるだけなのに…クリトリスまでグリグリって刺激されて…♪)」

初美「(気持ち良いのが子宮まで伝わって来ちゃいます…♥)」

その度に初美は強い快楽を感じる。
興奮と期待混じりのそれは、自分で秘所を弄るよりも遙かに強い。
だからこそ、愛液の勢いがまた強くなるのを感じる初美に、京太郎はそっと手を伸ばして。

クパァ   ドロォ

初美「っ♥」カァァァ

そのまま彼が開いた大陰唇の向こうから愛液が雪崩ようにしてこぼれ落ちてくる。
ピッタリと閉じていたが故に閉じ込められていたそれは彼女の臀部を伝って畳を穢した。
それを肌の感覚で理解する初美はその顔を真っ赤に染める。


初美「きゅふぅっ♪」

京太郎「…初美さん」チュ

初美「んふぅ…♥」

そんな初美に京太郎は肉棒を押し付ける。
さっきのように大陰唇の上からではなく、むき出しになった粘膜の真ん中へと。
瞬間、触れ合った粘膜同士がお互いの脳にビリリと快楽を走らせる。
火照った粘膜の感触と交じり合ったそれはお互いの興奮と期待を高めるのに十分なものだった。
だからこそ、京太郎は初美の唇を再び奪って。

京太郎「……っ!」グイ

初美「~~~~~~~っ♪♪」

そのまま京太郎が押しこむ肉は、やはり初美にとっては大きすぎた。
その切っ先が粘膜へと埋め込まれた瞬間から彼女の中で圧迫感が湧き上がる。
ギリギリと強引に身体を拡張されているようなそれに、どうしても肉が強張る。
結果、さらに狭くなっていく肉穴に、京太郎は無理矢理、肉棒をねじ込んでいった。

今日はお昼から病院なのでもう流石に寝ます(´・ω・`)明日も投下頑張ります


初美「(あぁっ♪ああああっ♪あ゛あぁぁぁあああっ♥)」

自然、強まる一方の圧迫感に初美の心は悲鳴のような言葉を撒き散らす。
唇を奪われているが故に外には出せないそれは、しかし、痛みに依るものではなかった。
勿論、彼の肉棒は彼女の小さな身体には不釣り合いなほど大きく、その挿入も強引だが。

初美「(ぜ、全然、痛くないのですよー…っ♪)」

初美「(ゴリゴリって来てるけど…でも、それだけで…っ♥)」

初美「(苦しいけれど…痛みとかは全然ない…ぃっ♪)」

初美「(こんなの…こんなのおかしい…のにぃ…っ♥)」

肉が裂けそうなほど拡張されているにも関わらず、彼女の身体はまったく傷んでいなかった。
多少、息苦しくもあるが、それは圧倒的なまでの異物感が源。
少なくとも、初美が覚悟していた破瓜の痛みには到底及ばない。


初美「(熱くて…っ♪大きくてっ♥硬くてぇっ♪)」

初美「(チンチンが凄いのが…分かっちゃうぅ…っ♥)」

初美「(挿入って来る度に…チンチンの情報が増えて…♪)」

初美「(私、エッチになってくのですよーぉ…♥)」

そうして入り込んでくる肉棒は、初美にとって好物と言っても良いものだった。
初美は彼の事を心から愛している上に、その味まで知っているのだから。
厭う事すら考えられないその逞しい肉棒に、心がどうしても媚びてしまう。
自分が知る京太郎のモノと完全に一致する情報は、彼女の身体に堕落を命じさせた。

初美「(苦しいのに…っ♪それが良くなってくぅぅ…♥)」

初美「(呼吸も碌に出来ないくらいお腹の中が滅茶苦茶にされてるのに…♪)」

初美「(これが良いって…思っちゃうのですー…♥)」

初美「(京太郎君のチンチンに…身体が媚びちゃうぅ…♥)」

それが痛み混じりのものであったなら、また結果も違ったかもしれない。
だが、現実の彼女は苦しさはあれど痛みを覚える事はなく、その心も既に堕ちていた。
結果、媚び始める身体は、少しずつ強張りをなくし、京太郎のモノを受け入れ始める。


初美「(ま、まだ…気持ち良くはないですけれど…っ♪)」

初美「(でも…濡れてくぅ…♥)」

初美「(京太郎君のチンチンに…子宮からエッチな汁が漏れちゃうのですよー…♪)」

初美「(もっともっと奥まで来てって言うみたいに…アソコがもうグチョドロになってぇ…♥)」

初美「(京太郎君がさらに奥…にぃいっ♪)」

その挿入が半ばを超えた頃には、初美の膣穴から新たな愛液がこぼれ落ちる。
挿入の最中に体内から染みだしたそれは興奮の証だ。
強張りが薄れたとは言え、未だ狭い自身の中を強引に押し広げるオスの肉棒。
被虐性を秘めた初美の本能が、それに反応しないはずがなかった。

初美「(こ、これ絶対にダメな奴なのですよー…♥)」

初美「(挿入してから数分も経ってないのに…これはヤバ…いぃっ♪)」

初美「(絶対に…気持ち良くされちゃう…っ♪)」

初美「(このチンチンに…私、イかされちゃうのが今からでも分かるのですーっ♥)」

加速度的に彼を受け入れつつある自分を、初美は自覚させられた。
ドンドンスムーズになる挿入は、彼女の脳に肉棒の情報を叩きつけてくるのだから。
圧迫感や異物感と手を結び、脳を揺さぶるようなそれに初美の中で淫らな予感が湧き上がる。
生意気な弟分にイかされてしまうというそれに彼女の心は僅かな抵抗感を浮かべるが。


初美「ん…ちゅぅっ♪」

初美「はりゅ…♥うじゅるうっ♪」

しかし、それはもう彼女に後戻りをさせるものではなかった。
初美にとって、それは京太郎にイかされるよりもずっと屈辱的な事なのだから。
途中でヘタれてしまうような情けない姿を、京太郎に見せたくはない。

初美「(何より…私も期待しっちゃってるのですよー…♥)」

初美「(京太郎君に…この人にイかされ…ちゃうのを…♪)」

初美「(結局、イけないまま放置された身体が…予感にキュンキュンして…♥)」

初美「(お腹の中からエッチに染まってくのが…分かるのですー…ぅ♪)」

京太郎「っ!」グッ

初美の理性は既に弾け、タガも吹き飛んでしまっている。
京太郎に小蒔との約束を反故にするよう誘惑を掛けるほどの欲情は、もう彼女自身でさえ制御出来ないものだった。
だからこそ、初美はその四肢をより強く京太郎へと絡ませ、自分から唇を押し付ける。
その挿入が決して嫌なものではないのだと精一杯アピールするそれに京太郎の腰にも力が入った。


初美「きゅっ♪うぅううぅううぅううう♪♪」ビクン

京太郎「っと」

それを拒むものは、もう初美の中にはいなかった。
心も身体も彼を受け入れた彼女は、そのまま京太郎に最奥を叩かれる。
自分自身でさえ触った事のない部分 ―― 子宮口への圧迫感に初美の口から声が漏れた。
そのままビクンと肩を揺らす初美から、京太郎はそっと顔を離す。

京太郎「…大丈夫ですか?」

初美「こ、これくらい…余裕なのですよー…♥」

初美「(ま、まぁ…ちょこっとお腹の中がパンパンで…♪)」

初美「(胃が裏返るような苦しさはありますけれど…♥)」

京太郎の疑問に、初美は若干の強がり混じりに応えた。
流石に自身の最奥まで貫かれると、圧迫感と異物感が強過ぎる。
ハァハァと繰り返される荒い呼吸に合わせて、その苦しさも上下した。
まるで横隔膜にまで影響を与えるような圧倒的存在感に初美はギュっと京太郎の袖を掴む。


初美「だ、だから…動いても大丈夫…なのですー…♪」

初美「どうせ…京太郎君も動きたくって仕方がないんでしょう…♥」

初美「レイプするようなケダモノに、我慢なんて出来るはず…ないですもんね…♪」

京太郎「ばーか。俺を甘く見るなよ、初美」サワ

初美「くぅんっ♪」

そのまま挑発するように漏らした言葉に、しかし、京太郎は応えなかった。
代わりに彼が返したのは彼女の身体を弄る事。
その身体に脂汗を浮かべて耐える初美の肌を撫で、リラックスさせてやる事だった。

京太郎「このまま腰振って射精して終わり…なんてしてやるもんかよ」

京太郎「思いっきり気持ち良くして辱めて…」

京太郎「二度と俺に逆らえないようにしてやる」

初美「~~っ♥」キュゥゥン

しかし、それを京太郎は言葉に出来ない。
ここで素直に胸の内を口にすれば、初美のメンツを潰してしまう事が分かっているのだ。
何より、京太郎にとって、彼女は悪友の一種であり、こういうシチュエーションでも中々、正直になる事が出来ない。
だからこそ、意地の悪い言葉を口にする彼に初美の胸は甘く疼いた。


初美「ば、バカな事言ってるんじゃないですよー…♪」

初美「京太郎君程度に私が負けちゃうはずないじゃないですかー…♥」

初美「寧ろ、そっちが私の名器にメロメロになって逆らえなくなっちゃうのですー…っ♪」

京太郎「じゃあ、勝負しますか?」

初美「は、はん。吐いたツバ飲み込むんじゃないのですよー…♪」

初美「その勝負、受けて立ってやるのですー♥」

だが、天邪鬼さでは初美も京太郎に負けていない。
それが彼の優しさだと分かっていても、ついつい可愛げのない言葉を返してしまう。
そんな彼女の胸に宿るのは抑えきれない期待と喜悦だ。
一体、これから自分は京太郎にどんな事をされてしまうのか。
脳裏を過るその言葉に、被虐的な本能がどうしても反応してしまう。

京太郎「じゃあ、手始めに…っと」チュ

初美「ふあぁ…っ♪」

初美「ちょ、ば、バカ…っ♥何処吸ってるんですかぁ…っ♥」

京太郎「何処って初美さんの首筋ですけど」

京太郎「本当は乳首を責めたいんですが、初美さん小さくて無理ですし」

初美「よ、余計なお世話なのですよーっ♪」

そんな初美に京太郎は躊躇いなく唇を寄せる。
そのままチュっとキスを落とす彼に、初美の身体が甘い痺れを走らせた。
快楽というほどハッキリとしたものではない。
けれど、間違いなく心地良いそれに初美は甘い声で応えてしまう。


初美「(で、でも…これ、安心…します…♥)」

初美「(京太郎君にキスされる度に…身体が喜んじゃって…♪)」

初美「(また幸せに…させられ…ちゃう…ぅ♥)」ハァ

初美「(京太郎君のキスに…また負けちゃうのですよぉ…♥)」

それはキスマークをつけようとするような激しいものではなかった。
ただ、唇との接触を繰り返すような拙いキス。
しかし、彼に恋い焦がれる初美にとって、それで十分だった。
技巧も何もないからこそ、親愛の情が伝わってくるキスに初美は安堵の溜息を漏らしてしまう。

京太郎「…なんつーか、アレですね」

初美「あ、アレって…?」

京太郎「こうして吸ってると思うんですけど」

京太郎「初美さんすっげぇいい匂いしますよね」

初美「ふぇっ!?」カァァ

京太郎「なんかフェロモンが出てるっつーか…なんつーか」

京太郎「優しくて暖かくて…何よりエロい匂いがします」

初美「~~~~~っ♥♥」キュンキュン

その上、京太郎が自身の身体を褒めてくれる。
コンプレックスの塊である小さな身体からいい匂いがするとそう肯定してくれるのだ。
初美の内心に浮かぶ安堵と喜びは一気に強まり、彼女は言葉を失う。
強くなりすぎた感情に翻弄される思考が、ここで何を言うべきかを見失ってしまったのだ。


初美「(は、反則…っ♪)」

初美「(反則なのですよー…っ♥)」

初美「(ここでそんな事言われたら…誰だってトキめいちゃうじゃないですかーっ♪)」

初美「(絶対に…嬉しいって思っちゃう…っ♥)」

初美「(顔も…もう思いっきりにやけちゃって…っ♪)」フニャァ

京太郎「おや、初美さん、嬉しいんですか?」

初美「そ、そんな訳ないじゃないですかーっ♥」

初美「セレブなイケメン男ならともかく、京太郎くんにいい匂いって言われて喜ぶなんてあり得ないのですー…っ♪」プイ

京太郎「でも、顔思いっきりニヤけてますし…」

京太郎「それに」サワ

初美「ひゃんっ♪」ビクン

そう言って京太郎が撫でる初美の腹部はぽっこりと膨れていた。
それはもちろん、初美が食べ過ぎたからなどではない。
それを作っているのは彼女の身体の内側に入り込んだ京太郎の肉棒だった。
小柄とは言え、少女の腹部に陰影を作るそれは、挿入が終わってから微動だにしていないが。


京太郎「さっきからこっちの方、嬉しそうにキュンキュンしてますよ」

初美「あ…うぅぅ…♥」マッカ

しかし、それはさっきから初美の肉穴に締め付けられていた。
キュンキュンと彼女の鼓動が甘くなる度に締め付けられるその感覚を、京太郎が見過ごすはずがない。
初美の最奥で留まらせる肉棒は彼にとってとても敏感な器官なのだから。
こうしている間にもジワジワと与えられる刺激に、肉の塊が悦ぶのを感じる。

京太郎「素直になれば、もっと気持ち良い事してあげますよ」

初美「だ、誰…がぁ…っ♥」

京太郎「ホント、素直じゃないですよね」

京太郎「そういうところも可愛いですけど」

初美「~~~っ♥♥」キュゥン

その快感を京太郎は理性でねじ伏せる。
ここで優先するべきは自身の満足ではなく、初美の安全。
下手に自分が欲望を優先しては、彼女の身体が壊れてしまうかもしれない。
欲情の中でもハッキリと浮かぶその不安を隠しながら、京太郎は甘く囁いた。


京太郎「ま、何にせよ、俺は初美さんの身体を楽しませて貰うだけですけどね」

初美「た、楽しむって…ぇ♪」

京太郎「いや、だって、勿体無いじゃないですか」

京太郎「俺、ロリコンの気なんてなかったですけど」

京太郎「でも、目の前にこんなに小さくてエロい身体があって…」

京太郎「その上、俺のチンポを一番奥まで受け入れてくれてるんですよ」

京太郎「勢い混じりではありましたけど…でも、これで終わりかもしれませんし」

京太郎「思いっきり楽しまなきゃ大損なんてもんじゃないですよ」サワサワ

初美「は…あぁ…あ…♪」

そのまま彼が口にするのは、決して口からでまかせではない。
無論、初美が少しでもリラックス出来るようにと多少、大げさにしてはいる。
だが、初美に興奮している事も楽しみたいと思っているのも事実なのだ。
だからこそ、その言葉は身体を弄られる快感と共に、彼女の中へと抵抗感なく入り込み。


京太郎「つーか、こうして触ってると初美さんの肌ってスベスベですよね」

京太郎「見た目以上に触り心地良いです」

初美「あ…ぁっ♪」キュン

京太郎「特に脇腹とか…ロリ体型なのにちょっぴり曲線描いてて」

京太郎「腰回りも見た目以上にぷにぷにしてるのが分かります」

京太郎「太ももも結構、肉付き良いですし」

京太郎「見てるだけじゃ分からなかったですけれど、結構、女の身体してますよね」ナデナデ

初美「う…うぅぅぅ…♥」キュンキュン

京太郎「健康的に焼けた肌と白い肌のコントラストもドキドキしますし…」

京太郎「そういう事するような男にしか分からないエロさというか、女らしさと言うか」

京太郎「ただ、ロリロリしいだけじゃなくて、かなり危ない魅力を持ってますよね」

初美「や、やぁあ…っ♪もう止めるのですよー…っ♥」キュンキュンキュゥゥン

京太郎「えー…」

しかし、それでもずっと受け入れ続けられはしない。
その言葉が本心であると分かるだけに初美の心から羞恥心が湧き上がってくるのだ。
歓喜と幸福感を伴ったそれに、彼女の方が先に限界に達してしまう。
京太郎にほめられる度に甘く肉穴を疼かせる彼女はついに制止の言葉を口にした。


初美「き、京太郎君がロリコンなのはもう十分伝わってきたのですよーっ♪」

京太郎「いや、ロリコンなんかじゃないですって」

京太郎「ロリコンじゃないですけれど…でも、初美さんには興奮するんです」

京太郎「見た目以上に女の子してて、孕む準備も出来てるって感じでムラムラするんですよ」

初美「そ、そういうのは要らないって言ってるのですよぉぉっ♥」

無論、京太郎の言葉を求める自分と言うのも、彼女の中にはいた。
京太郎が口にするそれらは、とても嬉しいものなのだから。
だが、天邪鬼な初美はその歓喜に浸る事が出来ない。
意地っ張りな自分さえ蕩けさせてしまいそうな言葉の群れに顔を真っ赤にさせてしまう。

初美「そ、それより…もう動いて大丈夫ですから…♪」

京太郎「いや、でも…」

初美「ほ、本当に…大丈夫なのですー…♥」

初美「もう大体、慣れちゃいましたし…♪」

初美「もう殆ど苦しくもないです…からぁ…♪」

代わりに初美は自分の身体を差し出す。
既に挿入の終わった肉棒にピストンの許可を出すその言葉は、決して嘘ではない。
褒め殺すような京太郎の言葉に、彼女の身体から強張りが完全に失せていた。
呼吸器にまで響くような圧迫感にも慣れ、呼吸のたびに苦しさを覚えるような事もない。


初美「(何より…私自身、もうドキドキが止められないのですよー…♥)」

初美「(京太郎くんに一杯褒められて…エッチな事言われて…♪)」

初美「(すっごく…すっごく期待しちゃってるのですー…♥)」

勢いを弱める苦しさと反比例するように、初美の中の期待は強まっていた。
甘い彼の言葉にさらに堕ちた心は、もう彼とのセックスを望んで止まない。
早く犯して欲しい。
肉棒の味を教えこんで欲しい。
そんな言葉が彼女の脳裏を過ぎり続ける。

京太郎「…じゃあ、動きますけれど」

京太郎「あんま無理はしないでくださいね」

初美「一体、誰にモノを言っているのですかー…♥」

初美「京太郎君のチンチン程度で私がどうにかなるはずうぅううううううっ♪♪」ビクン

―― 瞬間、初美の中に快感が走った。

それは未だ初美の中で形にならないものだった。
なにせ、彼女はその快感を一度も味わった事がないのだから。
胸を弄る時とも陰核を弄る時とも肉穴を弄る時とも違う。
粘ついた粘膜の奥で肉棒が動き出す本能からの快感は彼女の声を上擦らせた。


初美「(な…っ♪なんですか…これぇっ♥)」

初美「(お、お腹の奥で何か動いたと思ったら…♪)」

初美「(気持ち良いのが、奥までビリビリ響いてぇ…っ♥)」

初美「(こ、これ、もしかして快感…なんですかぁ…♪)」

初美「(快感ってこんなにハッキリ近くに感じられるものなんですかー…っ♪)」

初美「きゅふうぅうっ♪♪」

勿論、それは上擦りだけでは済まない。
それが快感であると気づいた瞬間から、彼女の中に困惑の色が消えてしまうのだから。
結果、残るのはそれが『気持ち良い』と言う事実のみ。
欲望に呑まれた彼女はそれを悦んで食み、快感混じりの艶声を漏らした。

京太郎「(コレ、予想以上にヤバいかもしれない)」

京太郎「(初美さん、マジでエロ過ぎだろ…)」

京太郎「(まず間違いなく初めてで…まだほんのちょっとしか動いてないってのに…)」

京太郎「(もうこんなエロ声をあげて…っ)」ゴク

それを間近で聞かされる京太郎は堪ったものではなかった。
初美の為に欲情に手綱を掛けなければいけないのに、彼女の声は今までのどんな声よりも色っぽいものなのだから。
ついつい欲情を強めてしまう京太郎は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
喉元まで出かかった自身の興奮を元の場所へと戻そうとするようなそれと共に京太郎はゆっくりと腰を元に戻して。


初美「んあぁあっ♪♪」

再び子宮口へと戻って来た肉棒に、初美の声がさらに艶を増す。
それは京太郎のオス肉に、子宮口をコツンと小突かれたからだ。
粘膜と共に少しずつ肉棒を受け入れ始めたそこはもう性感帯としての顔を露わにし始めている。
開発すればクリトリス以上に敏感になるその場所からの快楽に、初美は背筋を浮かばせた。

初美「(お、奥…まず…ぅっ♪まずいのですーっ♥)」

初美「(よ、予想以上に…気持ち良すぎる…ぅっ♪)」

初美「(チンチン動かれるよりも…奥小突かれる方がずっと良い…っ♪)」

初美「(こ、こんなの繰り返されたら…私…ぃっ♥)」

そんな初美に対して、京太郎の腰は容赦しなかった。
許可を得られたその時から彼の理性はボタンを緩めてしまったのだから。
今の彼に出来るのは、独り善がりになりそうなピストンを何とか抑える事だけ。
少なくとも、嫌がっている気配のない初美を前に、理性は働こうとしなかった。


初美「はぅあっ♪あぁあっ♪」

だからこそ、京太郎はその肉棒を前後に動かし続ける。
まだ何の技巧もないそれに、しかし、初美は声を抑える事が出来ない。
あんあんと火照った喉から甘い声を漏らし、その奥からも愛液を滴らせる。
今までのドロドロとしたものではなく、粘性の少ないサラリとしたそれは彼女が本気で感じ始めている証。
俗に本気汁と呼ばれるそれを、初美は漏らし始めている。

初美「(気持ち…良い…ぃっ♪)」

初美「(あぁぁ…♥嘘ぉ…♪)」

初美「(私…ドンドン気持ち良くなってるのですー…っ♥)」

初美「(奥をコツンってされる度に…敏感になってくみたいにぃ♪)」

初美「(エッチな気持ち良さが…強くなっていってぇ…♥)」

無論、初美もそれを期待していた。
自分を一体、どれほど気持ち良くさせてくれるのかと楽しみにしていたのである。
だが、そうやって膨れ上がる快感は、彼女の予想を遙かに超えるものだった。
その肉棒が一往復する度に強まっていくその快感に、坂から転げ落ちているような錯覚さえ覚える。


初美「(私…エッチになってく…ぅ♥)」

初美「(京太郎君のチンチンでズポズポされてぇ…♪)」

初美「(気持ち良く…なっちゃってぇ…♥)」

初美「(何より…私の中が…♪中…がぁあ…っ♪♪)」

そんなオスの塊を、初美が拒めるはずがない。
加速度的に増していくその気持ち良さに彼女の肉穴はさらに力を抜いた。
結果、動きやすくなった京太郎が、その腰の動きをジワジワと強くしていく。
抑えきれぬ欲情に背を押されるようなそれは、初美に自身の変化を思い知らせた。

初美「(あ、あんなにデカチンチンだったのにぃっ♪)」

初美「(最初は挿入いるかさえ不安なくらいだったのにぃ…っ♥)」

初美「(今はもう殆ど抵抗感すらないぃっ♪♪)」

初美「(ジュポジュポ…されてるぅっ♥)」

初美「(京太郎君のチンチンに合わされちゃったのですよぉ…っ♥)」

無論、だからと言って、それが初美の心に陰りを齎す事はない。
彼女にとって、須賀京太郎と言う男は唯一無二の相手なのだから。
その一生を捧げても惜しくはない彼に、身体が開発されていく。
京太郎を受け入れる為のその変化は、彼女にとって胸を震わせるほど幸せなものだった。


初美「(ドンドン…京太郎君専用になってくぅ…っ♪)」

初美「(私の身体…京太郎君のモノになるぅううっ♥)」

初美「(あぁぁ…っ♪悔しい…っ♥)」

初美「(こういう時…女の子の身体って…ホント、損なのですよー…っ♥)」

初美「(絶対に…勝てないぃ…♪)」

初美「(好きな人のチンチンに…絶対に負けちゃって…♥)」

初美「(その人の…形になっちゃうぅ…♪)」ゾクゾク

初美「ひああっ♪ふっくぅうううっ♪」

その幸せは今、初美の中で快感と結びついていた。
その両者は共に京太郎から与えられるものなのだから。
京太郎とのセックスは気持ち良く、幸せなものなのだと彼女の心と身体が覚え始める。
まるで急速にのめり込んでいくような自分を、初美は止められない。
敗北の言葉に被虐感を湧き上がらせる彼女にとって、それはもう拒めるものではなかったのだ。


京太郎「どうです?気持ち良いですか?」

初美「はぁ…んぁあ…っ♪」

初美「わ、分かって…分かってる…癖に…ぃ♥」

初美「鬼畜キャラなんて合ってないんだからとっとと止めるべきなのですよぉ…♥」

初美「じゃないとおかしくてへそで茶がわきゅぅううっ♪♪」

それでも初美はまだ京太郎に対して意地を張る。
しかし、それは彼女の意思が決定したものではなかった。
ドンドンと高まっていく快楽と快感に、初美はもう夢中になっているのだから。
その小生意気な言葉も、今までの関係が作り上げた反射的なものだった。

京太郎「いや、そうは言っても、俺は童貞なんで」

京太郎「ちゃんと初美さんが気持ち良くなってくれてるかまでは分からないですよ」

京太郎「だから、教えて下さいよ…っ!」グッ

初美「ひぃいぃんっ♪♪」

そんな彼女に京太郎はグっと腰を進ませた。
少しずつスムーズに動けるようになっていく膣肉を擦るようなそれに初美のお尻が震える。
そのプリンとした可愛らしいお尻の中に甘い痺れを走らせた彼女は悲鳴のような嬌声をあげて。


京太郎「さっきからやたらと反応が良いここをグリグリすると…」

初美「ふああああっ♪♪」

京太郎「何だかすっごいエロ声が聞けますけれど…これってどういう事なんですかね?」

初美「そ、それ…はぁ…♥」

京太郎「分かりません?」

京太郎「じゃあ、もっとやってあげなきゃいけません…ね!」グリィ

初美「くひぃいいっ♪♪」

二度三度と繰り返される愛撫に、初美は同じ反応を示してしまう。
今の彼女は子宮口を重点的に責められているのだから。
グリグリと亀頭を擦りつけられる快楽を、初美は制御出来ない。
このままでは弄ばれるだけだと分かっていても、口や身体で快楽をアピールしてしまう。

京太郎「ほらほら、さっきから膣内がキュンキュンしてますよ」

京太郎「本当はここももうエロくなっちゃったんでしょう?」

京太郎「チンポで擦られるのが大好きになっちゃったんですよね…!」ズッズゥ

初美「ち、調子に乗っ…んあぁああっ」

今の初美はウィークポイントを完全に握られた状態だ。
意地の悪い京太郎の言葉にもマトモに返す事が出来ない。
その言葉が最後まで形になる前に、子宮口を擦られ、嬌声に上書きされてしまうのだ。

一端きゅーけー(´・ω・`)今日はもう一回くらい投下したい

昨日はちょっとお酒に誘われて夜投下出来ませんでしたの(´・ω・`)流石にお酒も抜けているんで今から始めます


初美「(ほ、本当に調子に乗ってぇえっ♪)」

初美「(後で絶対に引っ叩いてやるのです…よぉっ♥)」

初美「(で、でも…今は…今…はぁ…っ♪)」

初美「(気持ち良…ぃっ♥)」

初美「(奥責め本当に良すぎるぅうっ♪)」

初美「(グリグリされる度にエッチな声出ちゃう…っ♥)」

初美「(京太郎くんに言い様に…されてぇ…っ♥)」

悔しい。
その気持ちは初美の中で決して小さいものではなかった。
だが、しかし、だからと言って、彼女がそれを悦んでいない訳ではない。
被虐的な本性を内に秘める彼女は、その悔しさを興奮の原動力にしている。

初美「あう…うぅううぅうっ♪♪」

京太郎「ちゃんと言ってくれないと何時までもこのままですよ」

京太郎「例えイっても、子宮口責め続けますからね…!」グリィ

初美「くぅううぅううんっ♥」

そんな初美から京太郎は肉棒を離そうとしなかった。
ぽってりとした厚みのあるそこに硬いオスの塊を擦り付け続ける。
その度にドロリと本気汁を垂れ流す子宮口は、もう陥落が目に見え始めていた。
与えられる快楽にクパクパと開閉を繰り返し、快楽で柔らかくなった穴が京太郎の肉棒へ吸い付き始める。


初美「(ヤ…ばいぃっ♪)」

初美「(これ…ホント、ヤバイのですよぉ♥)」

初美「(子宮口…ドンドンエロエロになってるぅ…♪)」

初美「(京太郎君のチンチン大好きになってぇ…♥)」

初美「(チンチンにキスしちゃってますぅうっ♥)」

重点的に開発されたポルチオが見せ始めるメスの蠢き。
オスに媚びる為のそれは初美に強い興奮と快楽を与えた。
自身の身体が殆ど京太郎に堕とされてしまったのだという実感混じりのそれに初美の脳がクラクラと揺れる。
あまりに強過ぎる両者に酩酊したような初美の中で、子宮がキュンと縮こまった。

初美「(こ、これ…っ♪これ…絶対ダメな奴ぅうっ♥)」

初美「(わ、分かるぅっ♪今からでも…分かっちゃうのですよぉおっ♥)」

初美「(私…イった事なんてないのにぃ…♪)」

初美「(初めて…なのにぃっ♪)」

初美「(これが凄いのが…本能で分かっちゃうのですーっ♥)」

まるで何かをスポイルするようなその子宮に、快楽が集まっていく。
ほんの十数センチ先にある肉棒から与えられる快楽を、彼女の子宮は急速に溜め込み始めていた。
甘くも激しい痺れを貪欲に飲み込み続けるそれに初美の中で予感が目覚める。
自身がもう絶頂を間近にしているのだと言うそれは彼女の中で恐怖の色と結びついた。


初美「(こ、こんなの味わったら私おかしくなるのですよー…っ♪)」

初美「(自分で弄っている時と全然、違うぅ…♪)」

初美「(子宮がキュンキュンしながら快楽を圧縮して…っ♥)」

初美「(こんなの味わったら…ぜ、絶対に後戻り出来ないぃ…♥)」

無論、初美に今更、後戻りなどするつもりはない。
ゴムもなしに彼の事を受け入れた時点で、妊娠する覚悟まで出来ているのだ。
だが、そんな彼女でも怯えてしまうほど、その感覚は凄まじすぎた。
今までの自分を壊すに足る予兆に、初美の心は弱まっていく。

初美「へ、変態…ぃっ♥」

初美「京太郎くんの変態ロリコンぅっ♥」

初美「わ、私に…そんなに気持ち良いなんて…言わせたいんですかぁ…っ♪」

初美「だ、だったら…い、言ってやる…のですよー…♥」

初美「わ、私は優しいですから…か、感謝するのですー…ぅっ♪」

そんな彼女にとって、選択肢は一つだけ。
子宮に快楽を注ぎ込み続ける肉棒を止めようと、初美はポツリポツリと声を漏らす。
だが、それは普段の彼女と同じく、意地っ張りで素直さとは程遠い。
初美の中に残るプライドが何とかそれを保とうと、嬌声混じりにでも強がってみせている。


初美「き…気持ち…良ぃ…っ♥」

京太郎「どんな風に?何が気持ち良いんです?」

初美「ああぁぁ…♪も、もう…バカぁ…ぁ♥」

初美「変態…っ♥スケベぇ…っ♥」

初美「し、信じられないくらい…ゲス野郎なのですー…っ♥」

当然、そんな初美にそうそう京太郎が許しを与えるはずがない。
致し方無いという体で漏らされた言葉に、京太郎は躊躇いなく踏み込んでいく。
初美を辱めようとするそれに初美は精一杯の罵詈雑言で返した。
だが、それも絶頂に近づく快楽の中では甘いものにしかならない。
様々な言葉で罵る最中にも、彼女の顔は蕩け続けていた。

京太郎「…で?」

初美「うひゅぅぅぅぅ…♥」

それでも京太郎はその腰を動かし続ける。
初美のトロ顔を真上から見つめながら、最奥をこすり続けるのだ。
いっそ嗜虐的とも思える無慈悲な腰使いに、初美の心が完全に折れた。
これ以上、絶頂に近づけば、自分はそれを我慢出来ない。
それを避ける為には京太郎に屈するしかないのだと心が叫ぶ。


初美「ち、チンチンで奥をグリグリされるのが良いんですーっ♥」

初美「わ、私のそこ…♪京太郎君の言う通り、エロエロになっちゃいましたからぁっ♪」

初美「チンチンでグリグリされると気持ち良すぎるんですよぉっ♪」

初美「良いけど…イっちゃいそうなくらいに気持ち良いけどぉおっ♥」

初美「なんか…なんか怖くて…嫌なのですぅうっ♪♪」

その叫びに突き動かされた初美は、快楽の告白を始める。
最初はポツリポツリと気恥ずかしそうだったそれは、勢いに乗ったようにして大きく、強くなっていった。
それは彼女の中で絶頂へのカウントダウンが今にも始まりそうだからではない。

初美「(い、言っちゃったのですよぉ…♥)」

初美「(京太郎くんに負けて…♪チンチンに屈してぇ…♪)」

初美「(気持ち良い…って言っちゃったぁ…♥)」

初美「(恥ずかしい事…言わされちゃったのですー…ぅ♥)」

元々、初美は被虐的な性質が強い。
そんな彼女にとって、快楽の告白は転落への第一歩だった。
京太郎に屈してしまった事をありありを自覚させられるそれに、被虐的な本能がズキズキと疼く。
まるで恥ずかしい事を言わされるのが嬉しいと言わんばかりのそれに初美の心が傾いていった。


初美「(自分で言うのと…全然、違う…っ♪)」

初美「(さっきの私も…オナニーしながら…エッチな事言ってましたけれど…♥)」

初美「(それよりも…ずっとずっと興奮して…頭の中がエッチになっちゃうのですー…っ♥)」

初美「(こ、こんなの一回だけで…十分…っ♥)」

初美「(二回三回ってやったら…きっと私、おかしくなっちゃ)」

京太郎「っと」ズチュゥ

初美「んああああああああぁあっ♪♪」

本格的に目覚めていく被虐の本能に、初美は蓋をしようとした。
絶頂を怖がる彼女にとって、それはオルガズムと同じく自身を壊すに足るものなのだから。
だが、その最中に京太郎の肉棒が、初美のポルチオへと擦り付けられる。
その先端に本気汁をからませたその動きに初美の腹部がボコリと浮き上がった。

初美「な、なんでええっ♪」

初美「い、言ったあああっ♥私、言いましたあああっ♪♪」

初美「恥ずかしいの我慢してちゃんと気持ち良いって言ったですよぉおっ♥」

京太郎「だって、ちゃんと言ったら止めてやるなんて言ってませんし」

初美「~~~~っ♪♪」ゾクゾクゥ

詐欺だと初美はそう思った。
自分の覚悟も何もかもを台無しにする最低な言葉だと頭ではそう思っているのである。
そんな思考とは裏腹に、心の方はそれを悦んでいた。
自身の抵抗も覚悟も、何もかも踏みにじるように、ただただイかされる事を、彼女は心の底で望んでいたのである。


初美「う、嘘つきぃいっ♥」

初美「さ、最低…っ♥く、クズぅううっ♥♥」

京太郎「なんとでも言ってください」

京太郎「こっちはもう大体、コツ掴みましたし」

京太郎「初美さんをイかせるなんてお手の物ですよっ」ググ

初美「あひぃぃいいっ♪♪」

それでも彼を罵るのを止めない初美の中で京太郎は肉棒の動きを変化させる。
最奥をただ擦るのではなく、子宮口を撫でるような動きへと。
やたらめったらと動かすよりも中心の子宮口を丹念に責めた方が効果的だと彼はそう判断したのだ。

初美「(ま、まずい…ぃっ♪♪)」

初美「(これ、本気でイかされちゃう…っ♥)」

初美「(京太郎くんのチンチンで…おかしくさせられちゃうのですー…っ♪♪)」

どれだけ動いても、その真芯だけは決して外さない腰使い。
ポルチオを開発する為のそれは初美にとって、苛酷と言っても良いものだった。
何とか絶頂をギリギリのところで押しとどめようとしているのに、さらなる快楽を注ぎ込んでくるのだから。
自身を満たす快楽に子宮は悦び震え、オルガズムへと突き進むのが分かる。


初美「と、止まっ♪止まってぇええっ♪♪」

初美「ほ、本当にダメなんですーっ♥」

初美「本当に私、イっちゃうんですよーっ♪♪」

初美「は、初めて…っ♥初めてイっちゃいますからあっ♥♥」

京太郎「そうです…かっ」ズリズリ

初美「やあぁああぁあっ♪♪」

それはもう手遅れだった。
快楽の量は最早、彼女がどうにか出来る量を超えてしまっている。
今すぐ京太郎に肉棒を抜いて貰っても、きっと自分はイってしまう。
そう思いながらも初美が懇願するのは、冷静さを失っている所為。

京太郎「大体、さっきからイヤだイヤだって言ってますけど」

京太郎「初美さんの身体、俺の事離してくれてないじゃないですか」

京太郎「腕も足も俺の事、ギュって捕まえて…」

京太郎「もっとしてってオネダリしてるようにしか思えないですよ…!」

初美「~~~~~~~っ♥♥」

そして何より、彼女の心はもう陥落していた。
一度、折れた心が、近づく絶頂に堕ちてしまったのである。
結果、彼女の身体は京太郎を拒絶するどころか、逆にそれを受け入れようとしていた。
その口から必死に懇願の言葉を口にするのも、彼女の本性がそれを望んでいるからこそ。
絶頂を止められない状況に陥った初美は、それを心から味わい楽しもうとしているのだ。


初美「ち、違…っ♥違ぅううっ♪♪」

初美「私、そんな…違…うんですーっ♥」

初美「そんなエッチな子じゃ…ないぃっ♪♪」

京太郎「人の事ノリノリで誘惑してた人が言えるセリフじゃないですよ…!」ズッポォ

初美「くひぃいいぃいいいいっ♪♪」

そんな自分を初美はどうしても認められなかった。
既に理性を飛ばしてしまった彼女にもプライドは残っているのだから。
京太郎に弄ばれ、強制的に絶頂させられるのを悦んでいるなど受け入れがたい。
だが、それさえも被虐感の餌にしてしまう彼女は、自身の中を動く肉棒の感触に嬌声を放った。

京太郎「俺は変態でロリコンかもしれないですけれどね…!」

京太郎「でも、そんな俺を誘惑したのは初美さんの方なんですからっ!」

京太郎「ちゃんと責任取って貰いますよ…!」

初美「んっくうぅうううっ♪♪」

京太郎の腰使いは最奥だけを責め続けるものではなかった。
ほんの僅かではあるが、腰を揺さぶり、初美の奥をコツンと突く。
彼女が見ていたAVよりもずっと弱々しいその刺激に、初美の背筋はブルブルと震えた。
本気汁でドロドロになった子宮口は完全に性感帯として目覚めてしまったのだから。
コツンとぶつけられる肉棒を喜んで受け止め、それを何倍もの快楽にしてしまう。


初美「イ…っ♪イきま…すううっ♥♥」

初美「私、も、もうイっちゃいますよぉおっ♪♪」

初美「そんなにコンコンされたらマジイキしますぅうっ♥♥」

初美「は、初アクメ決めちゃうって言ってるのにぃいいっ♪♪」

京太郎「っ」

そして、それを初美は隠す事が出来ない。
快楽に屈して、淫語を口にする悦びを彼女は知ってしまったのだから。
理性などとうに消え失せた頭の中に浮かぶ言葉を、そのまま声に出してしまう。
絶頂を告げながら媚びるようなその声に京太郎の身体にもまた火が着いた。

京太郎「イけよ…!」

京太郎「このままイっちまえ…!!」

京太郎「俺のチンポでイって…もっとエロくなれ…!!」

初美「ああぁああぁああああああっ♥♥」ギュッ

自然、京太郎の腰使いは少しずつ激しいものになっていく。
自分が気持ち良くなる為、肉穴に男根を擦り付けようとするその動きを、京太郎はもう制御出来なかった。
初美の事を気遣いたいという気持ちはあるが、彼の欲情はもうそれを上回ってしまっている。
結果、ゴツゴツと奥を叩きはじめる肉棒に、初美はギュっと彼の服を掴んで。


初美「イ…っくうぅううぅううううううううっ♪♪♪」ビビクン

―― 瞬間、子宮から快楽が爆発した。

初めて初美が味わう絶頂は、彼女の予想を遙かに超える気持ち良さだった。
快楽を詰め込むだけつめ込まれた子宮は、その全部を一気に放出したのだから。
まるで耐え切れずに破裂したようなその快楽は彼女の身体を埋め尽くす。
頭の天辺から足の先まで快楽で痺れるような感覚に、初美の意識がふわりと浮き上がった。

初美「(こ、これが…絶頂…ぉ♪)」

初美「(チンチンにイかされちゃう…本当のアクメ…なのですね…♥)」

初美「(気持ち…良い…っ♥)」

初美「(全身…悦んでる…ぅ♪♪)」

初美「(あっちこっちで気持ち良いのが響いて…堪らないのですー…っ♪♪)」

初美「(身体…動いちゃう…っ♥)」

初美「(気持ち良すぎて…ビビクンって身体が反応しちゃうのですよー…っ♪♪)」

まるで宙に浮くような心地良さの中、初美は自分の体がどれほど悦んでいるのかを感じ取ってしまう。
その細胞の一つ一つまでもを快楽で犯されるような感覚は、気持ち良いと言う言葉以外見つからないものだった。
全身をただ快楽神経に塗り替えられていくようなそれに、初美は幸福感すら感じている。


初美「(よ、予想以上…なのですよぉ…♥♥)」

初美「(京太郎君にイかされるの…こんなに気持ち良くて…幸せだ…なんてぇ…♪♪)」

初美「(こんなの…絶対に忘れられないぃ…♥♥)」

初美「(また京太郎くんにして欲しくなるぅ…♪)」

初美「(ムラムラした瞬間に京太郎くんのチンチン思い浮かべちゃうような…エロ女に堕ちちゃうのですぅ…♥♥)」

これが成り行きで結ばれてしまっただけならば、初美はこうも夢中にならなかっただろう。
だが、こうして彼女にトドメを刺したのは、初美の意中の相手であるのだ。
自身の心をいとも容易く奪っていった彼にイかされる感覚に、心も身体も抵抗出来ない。
幸福感混じりの絶頂が、心と身体の両方に染みこんでくるのを感じる。

初美「(でも…♪京太郎君は…コレで結構、責任感の強い男…ですし…♥)」

初美「(きっと…私を受け入れて…くれるはず…ぅ♥)」

初美「(だから…安心してハマっちゃっても…良いのですよーぉ…♥♥)」

初美「(京太郎くんにイかされるの好きになって良)」

京太郎「何休んでるんだよ…!」グリ

初美「ひぃいいぃいいいいいいっ♪♪♪」

しかし、京太郎は初美がそれに浸る暇さえ与えない。
絶頂に達し、その身体を震わせる彼女の中でオスの塊を動かし始める。
オルガズムでキュンキュンと締まる肉穴を蹂躙するようなそれは、初美に快楽を与えた。
絶頂前よりも遙かに鮮烈で激しいそれに、ふわりと浮かび上がっていた意識が身体へと引き戻されるのを感じる。


初美「ま、待ってえええっ♪♪」

初美「わ、私、イきましたああっ♥♥」

初美「京太郎君のチンチンでマジアクメしましたああっ♪♪」

初美「う、ううんっ♥今もイってますうっ♪♪」

初美「気持ち良いのビクンビクンって来ててっ♥♥」

京太郎「知った事かよ…!」ヂュプ

初美「んあああぁあああああっ♪♪♪」

初美がイッている事くらい京太郎も分かっている。
その最中に動かれては気持ち良すぎて大変だろうと言う思考も彼の中にはあった。
だが、一度、イッたとは言え、京太郎は童貞なのである。
目の前で美少女が脂汗を浮かべながらイくのを目の当たりにして我慢出来るはずがない。

京太郎「一人だけイってそれで終わり…なんて許されると思うなよ…!」

京太郎「俺もちゃんとイかせてくれなきゃ…離してやらないからな…!!」

初美「~~~~っ♥♥」キュゥゥン

嗜虐的なその言葉に、初美の胸が甘く締め付けられる。
今までよりも欲情を強く浮かべたそれは、彼女に快楽の沼へと飲み込まれる未来を想像させた。
二度と這い上がってこれないであろうそれに、彼女はもう恐怖を感じる事が出来ない。
むき出しになった本性は、何時終わるともしれない快楽に悦んでいた。


初美「イ、イかせてあげますからぁっ♪♪」

初美「あ、後でちゃんとイかせてあげますううっ♥♥」

初美「だから…い、今はっ♪今は休憩させてくださいっ♪♪」

初美「気持ち良すぎて辛いんですよぉっ♪♪」

初美「絶頂の後は敏感なんですうううっ♥♥」

それでも初美が制止を呼びかけるのは、それがあまりにも強すぎるからだ。
ただでさえ敏感にされた肉穴は、絶頂によってさらに淫らになっているのだから。
京太郎の肉棒が抉る度に、気持ち良さが膨れ上がる感覚は、辛さ混じりのもの。
絶頂を一度しか経験していない初美がそれに耐えきれるはずがなかった。

京太郎「悪いけど…こっちももうマジで理性トんでんだよ…!」

京太郎「初美がエロくて可愛くて…胸の中、ぐちゃぐちゃになってるくらいなんだ…!」

京太郎「初美を犯してやりたくて堪らない…!」

京太郎「またイかせてやりたくて…もうとまらないんだよ…!!」

初美「あ…ぁああああああっ♪♪♪」

そんな初美の声に京太郎は熱い声を返した。
欲情だけではなく快感も混じったそれと共に京太郎はまた一つピストンを放つ。
グチュンと肉穴の最奥を叩くそれは乱暴ながらも的確だった。
何度も弄った子宮口の位置を覚えているのか、ストレートに彼女の弱点を貫く。


初美「(悦んで…くれてるぅ…っ♥)」

初美「(京太郎くんが…わ、私の身体に夢中になってぇ…♪)」

初美「(欲望をむき出しにするようにして…求めてくれて…るぅう…♪♪)」

初美「(こ、こんなの…幸せに…決まってるじゃないですかぁああっ♥)」

初美「(もっともっと…好きになっちゃうに…決まってますよぉおっ♥♥)」

その快楽を、初美は拒む事が出来ない。
それは京太郎が自分の体に夢中になってくれている証なのだから。
例え、それが辛さ混じりのものであっても、子宮が悦んで受け入れてしまう。
被虐的な彼女に相応しい貪欲な肉袋は、その快楽に喜悦と幸福感を撒き散らした。

初美「ば、バカぁあっ♥」

初美「き、京太郎くんの大馬鹿ぁああっ♥♥」

初美「エロエロ魔神っ♥ドスケベロリコン野郎おふぉおおっ♥♥」

既にオルガズムも収まりつつある中で、新しく注がれる2つの悦び。
それに再び心が沈み込むのを感じながらも、初美の口から罵声が飛び出す。
あいも変わらず、意識せずに飛び出すそれは、彼女の最後を告げるものだった。


初美「せ、責任…取らせるのですよー…♥」

初美「ぜ、絶対に…タダじゃ済ませてやりませんっ♪♪」

初美「京太郎君なんか…わ、私の肉バイブにしてやるんですからああっ♥♥」

初美「何時でも…私がしたい時に…チンチン勃起させる性処理係にして…やりますう…っ♪♪」

初美「だから…っ♥だから…もう良いですよぉおっ♥♥」

初美「好きに…好きにすれば…良いじゃないですかああっ♪♪♪」

初美「気持ち良く…気持ち良く…なっちゃえぇ…っ♥♥」

初美「気持ち良く…してええっ♪♪♪」

京太郎「初美…さん…っ!」ゴクッ

彼女の中に残った最後のプライド。
それは絶頂の余韻と悦びの中で雪のように溶けていった。
この期に及んでもう意地を張る事は出来ない。
このままメスに堕ちるしかないのだと言うようなそれを彼女は止められなかった。
結果、初美の口から飛び出すのは淫らで甘い許容の言葉。
自身の快楽攻撃を受け入れてしまうそれに彼は生唾を飲み込んだ。


京太郎「もうイってるんだろ…!」

京太郎「さっきマジアクメしたって言ってたのに…!」

京太郎「まだ気持ち良くしてとか…どれだけエロいんだよ…!」

初美「し、仕方…仕方ないじゃないですかああっ♪♪」

初美「京太郎君が悪いんですよおおっ♥♥」

初美「チンチンっ♪チンチン気持ち良すぎてぇえっ♪♪」

初美「私、イっちゃったんですううっ♪♪」

初美「イっちゃったのに、エロエロになるの止められないんですよぉおっ♥♥」

そのまま自分を責め立てる彼の言葉に、初美は素直に応えてしまう。
彼の肉棒が気持ち良いのだと、その所為でおかしくなってしまったのだと。
普段の彼女であれば言えない事でも、嬌声と共に撒き散らしてしまう。

京太郎「くっそ…!可愛いんだよ…!」

京太郎「エロくなると素直になるとか一体、どれだけ男心を擽るつもりだ…!!」

京太郎「そんなの魅せられて我慢なんて出来るかよ…!!」グップゥ

初美「ひあああああぁあっ♪♪♪」

快楽の前にプライドさえ投げ捨てた初美の姿。
まるで玉葱の皮を向くようにして、本性と本能を露わにする彼女に京太郎もまた意地を張る事が出来ない。
彼女の事を可愛いとそう告げながら、その腰を深く前後させる。
肉穴の奥をゴリゴリと抉るその腰使いに、初美は自室の中に嬌声を響かせた。


初美「き、京太郎君…っ♥わ、私…可愛い…ですかあっ♥♥」

初美「こんなちんちくりんなのに…可愛いって思ってくれるんですかああっ♥♥」

京太郎「あぁ…!可愛いよ…!!」

京太郎「普段、生意気だけど…でも、俺たちの事を凄く気遣ってくれて…!」

京太郎「時々、照れたり甘えたりしてくれる初美が…可愛くて可愛くて仕方がなかったんだよ…!」

初美「ふあ…あぁあああっ♪♪♪」キュンキュン

それは初美にとって、あまりにも甘美過ぎる告白だった。
彼女が彼の事を好きになるまでの間に、二人の関係は半ば固定化されてしまっていたのだから。
京太郎を意識するようになった後も、憎まれ口を止められない生意気な自分。
それに内心、自己嫌悪を抱いていた初美は、その告白に心と身体の双方が追いつめられてしまう。

初美「そんな事言われたら…グチョマンキュンキュンしちゃうじゃないですかああっ♪♪」

初美「ただでさえ一回、イかされて敏感になっちゃったのにいっ♥」

初美「チンチン気持ち良すぎて、ピストンにも慣れ始めちゃったのにぃ…っ♪♪」

初美「そこでそんな事言われたら…好きになっちゃうのですよぉおっ♥♥」

初美「チンチン締め付けながら…私のオマンコ、またイきそうになっちゃうぅうっ♪♪♪」

既に初美の身体は一度決壊してしまっている。
絶頂を堪らえようとする気持ちを、京太郎によって壊されてしまったのだ。
そんな彼女にとって、二度目の絶頂は決して堪えられるものではない。
寧ろ、それを強請るようにして肉穴が京太郎へと絡みついていくのを自覚してしまう。


初美「オマンコダメぇえっ♪♪」

初美「チンチンにゾリゾリされるの気持ち良すぎるんですぅううっ♥♥」

初美「京太郎君のチンチン逞しすぎるからぁあっ♪♪」

初美「エッチになったアクメマンコ負けちゃうのですよぉおっ♥♥」

敗北を口にする初美の表情に、嫌そうなものはなかった。
彼女の中で眠っていた被虐的な本性はもう完全に目覚めてしまったのだから。
京太郎の肉棒に敗北させられるのも、また心地良い。
それをアピールするように彼女の表情は蕩けていく。

京太郎「幾らでもイけば良いさ…!」

京太郎「何度でもイかせてやる…!」

京太郎「二度と俺に逆らえないくらいイかせまくってやるから…!!」ジュポォ

初美「おほぉおおおぉおおおっ♪♪♪」

その唇の端から今にもヨダレが出てしまいそうなほどはしたない初美の姿。
それに興奮を擽られた京太郎は、そのピストンをより大きなものにしていく。
初美の深部だけで前後するのではなく、その中腹までを使った大きく力強いピストンへ。
加速距離の増した肉棒はより強く初美の子宮口にぶつかり、彼女の口から間抜けにも思えるほどの嬌声を放たせる。

ってところで出勤準備ー(´・ω・`)何時も感想や合いの手ありがとうございます お陰で頑張れます

今日は早めに上がれたので夜も投下しようとする→でも眠いから先にちょっと仮眠しよう→今ココ(´・ω・`)おのれ…
とりあえず今回で終わらせたい…(´・ω・`)そして京ちゃんは身体も心も魂も抱いちゃうマジカルチンポベッドヤクザだからね仕方ないね


京太郎「はは…!おほぉだってよ…!」

京太郎「一体、どれだけ感じてるんだよ…!」

京太郎「この淫乱ロリ女が…!」

京太郎「そんな初美はイキ顔晒すのがお似合い…だっての…!」

初美「や…ああああああっ♪♪♪」

そんな自分を嘲笑うような京太郎の声に、初美は一方的に追いつめられていく。
ジュポジュポと粘液を掻き出すような激しいピストンに再び子宮が快楽を飲み込み始めた。
京太郎の肉棒が動く度に、胸と共にキュンと反応する子宮はもう止まらない。
一回目よりも遙かに気持ち良いピストンにあっさりと陥落し、絶頂へと突き上げられていく。

初美「イくぅううっ♪♪」

初美「イくイくイくイくうぅうう♪♪♪」

初美「エロマンコイくぅうっ♪♪チンチンにっ♥京太郎君のエロチンチンにぃいっ♥♥」

初美「イかされ…りゅぅううぅうううううっ♪♪♪」ビビクン

結果、二度目のオルガズムは一度目よりもずっと早いものだった。
準備が始まったと思って数秒も経たない間に彼女は絶頂へと至ってしまう。
瞬間、彼女の身体が感じるのは一度目と同じ染みこむような激しい快楽。
ジィィィンとあっちこっちで反響を続けるそれに意識が揺さぶられるのが分かる。


初美「(う…嘘ぉおッ♪♪)」

初美「(こ、これ…最初のより…気持ち良いぃいいっ♥♥)」

初美「(最初の時点で…も、もうおかしくなるくらい良かったのにぃっ♪♪♪)」

初美「(アレで…私のタガは完全に緩んじゃったのにぃいっ♥♥)」

初美「(それよりも気持ち良いのが…身体の中で暴れてます…ぅうっ♪♪♪)」

だが、その勢いはさっきの比ではない。
一度絶頂に達したとは言え、彼女の身体はまだまだ未成熟なのだから。
それを愛しい相手にゆっくりと開発されていっている彼女の中で、快楽が強くなるのも当然の事。
思考すらトび始めた今の彼女にそれが分かるはずもなく、より強くなったアクメに絶望とも歓喜とも言えぬ感情を浮かべた。

初美「ひぃいいぃいいいいいいんっ♪♪♪」

そしてそんな彼女の中で京太郎は腰使いを止める事が出来ない。
キュンキュンと甘く締め付ける肉穴から初美の絶頂を感じ取るが、それは優しさに結びつくものではないのだ。
理性を投げ捨てケダモノに堕ちた今の彼にとって大事なのは、目の前のメスを貪る事。
結果、繰り出されるピストンはその色と勢いを変えず、絶頂に悶える肉穴をゾリゾリと削っていく。


京太郎「どうだ?イきながら犯される気分は…!?」

京太郎「変態マゾの淫乱ロリ女には効くだろ!」

初美「き、効きますうううっ♪♪」

初美「効きすぎですよおおおおっ♪♪♪」

初美「こ、これ気持ち良すぎるぅううっ♥♥」

初美「イきながらジュポジュポされるの良すぎて…ぇっ♪♪」

初美「あ、アクメが…も、もう見えてキちゃうううぅうっ♪♪♪」

まったくインターバルを与えようとしない京太郎のピストンに、初美の身体は身悶えしながらも悦んでいた。
貪欲な彼女の肉袋は絶え間なく与えられる快楽に震え、それを飲み込み始めている。
早くも三度目の絶頂が見え始めるそれに初美は気持ち良すぎるとそう訴えた。

京太郎「でも、それが良いんだろ…!」

初美「そ、そうですよぉおっ♥♥」

初美「イイのぉっ♪♪イかされるのすっごくイイぃいいっ♥♥」

初美「興奮するぅうっ♪♪アクメマンコがエロエロになるうううぅう♪♪♪」

未だ初美の中で二度目の絶頂は終わりきってはいない。
ジンジンと響くアクメの波は未だ勢いを残していた。
そんな状態で始まろうとする絶頂を、初美は厭う事が出来ない。
完全に陥落してしまった彼女の顔はより素晴らしくなるであろうオルガズムに期待の色さえ浮かべていた。


京太郎「確かに…エロエロだよな…!」

京太郎「最初から俺のチンポを咥え込んでたけれど…」

京太郎「今はさらに奥まで入るようになってるし…!」ゴツン

初美「んあぁあああああああぁあっ♪♪♪」

そんな彼女の膣肉は、蕩けていると言えるほど柔らかくなっていた。
まるでオス肉の塊に溶かされてしまったようなそこはドンドンと京太郎のモノを飲み込んでいっている。
最初は3/4も入りきらなかった狭い肉穴にドンドンと肉棒が入り込んでいくような感覚。
何もせずとも沈み込んでいきそうなその肉穴を京太郎は激しく貫いた。

初美「だ、だってええっ♥だって…好きなんですよぉおおっ♥♥」

初美「京太郎君の事っ♥♥だ、大好きなんですからああっ♥♥♥」

初美「チンチン挿入れちゃいますううっ♪♪」

初美「京太郎君のエロチンチン歓迎しちゃうのですうううっ♥♥」

初美「大好きな京太郎君のチンチンに悦んで欲しくてエロエロになるのぉおっ♥♥♥」

京太郎「~っ!!」

瞬間、初美の中から漏れ出るのは、本来、秘さなければいけない言葉だった。
約束の時まで抑えるべきだと家族と約定を交わしたそれを彼女はあっさりと破ってしまう。
それはもう彼女の中で、殆どのものが些事と化してしまったからこそ。
三度目の絶頂もすぐ間近に迫る初美にとって大事なのは、自分と京太郎だけだったのだ。


初美「だからっ♪だからもっと突いてぇえええっ♪♪」

初美「そこぉっ♥そこは京太郎くんの穴だからぁあっ♥♥」

初美「京太郎君専用のアヘアヘアクメマンコですううううっ♥♥」

京太郎「おま…!こんな…時に…ぃいっ!」

初美「あおおぉおおぉおおおっ♪♪♪」

快楽を求める為、愛しいオスに媚を撒き散らすその姿に京太郎は興奮してしまう。
普段の彼女からは想像も出来ないそれは京太郎の腰にさらなる力を与えた。
それを肉穴全体で感じ取りながら、初美はメスの鳴き声をあげる。

京太郎「んな事言われたら…一回じゃ済まないだろ…!」

京太郎「俺専用にする為に何度だって射精したくなるだろうが…!!」

初美「~~~~~っ♥♥♥」キュンキュンキュン

未だ京太郎は一度しか射精していない。
それも初美の手とフェラによる刺激であり、挿入からは一度も射精していないのだ。
そんな彼が一度きりで満足せず、二度三度と膣内射精を強要してきたらどうなるのか。
思考を放棄した今の彼女にでも、それは容易く想像がついた。


初美「こ、壊れ…ちゃいますうううっ♪♪」

初美「私…ぜ、絶対に壊れて…えええっ♥♥」

初美「京太郎君のチンチンから離れられないぃいっ♥♥♥」

初美「い、一生、チンチンケース女ぁああっ♪♪オナホ女確定ですうう♪♪♪」

何時でも何処でも発情し、京太郎の肉棒を強請ってしまうはしたないメス。
その為ならば彼の足元に傅く事さえ厭わないであろう自分を、初美は受け入れてしまっていた。
心も身体も堕ちてしまった今の彼女にとって、それは寧ろ、喜ばしい事だったのである。

京太郎「安心しろ…!ちゃんと…毎日使ってやるから…!!」

京太郎「一生、大事に使ってやる…!!」

京太郎「こんな気持ち良いエロ穴手放すもんかよ…!!」

京太郎「俺専用の初美を…他の誰かに渡してやるもんか!!」

そんな初美に京太郎は独占欲を露わにする。
理性をトばした彼にとって、初美はもう自分の女だったのだ。
少々、生意気ではあるが、ベッドの上では淫乱かつ従順な初美を他の誰かに渡したくはない。
その為ならば壊しても構わないのだと胸中で叫びながら、京太郎は初美の腰をグっと掴み。


京太郎「だから、このままイかせまくってやる…!」

初美「ひぃっ♪♪」

京太郎「俺とのセックスが忘れられないくらいに…!!」

初美「はひぃいっ♪♪♪」

京太郎「イかせてイかせて…俺のモノにしてやるからな…!!」

初美「あひぃいいぃいいいっ♥♥♥」

そのまま繰り出されるピストンは今までのものとまったく違った。
畳に横たわるだけの初美を固定しようとするそれは彼の腰使いからロスを大きく無くす。
その勢いこそ変わっていないが力強さはグンと増したそのピストンに、初美はもう耐えられない。
独占欲混じりの言葉が嬉しすぎるのも相まって、あっさりと三度目の絶頂へ堕ちる。

初美「んにゃああぁあああああぁあっ♥♥♥」

瞬間、初美の中で弾けた快楽は二度目の絶頂よりも遙かに激しいものだった。
未だ余韻の残る中で響くそれは一回目とはもう比べ物にならない。
彼女の肌を反響するその波は、最早、津波のようになり、彼女の意識を揺さぶってくる。
いっそ嗜虐的にさえ思えるそのアクメに、初美は猫のような鳴き声をあげた。


京太郎「今ので何回目だ…!?」

京太郎「何回イったんだよ…!!」

初美「しゃ、しゃんかいめええっ♥♥」

初美「京太郎君に三回もイかしゃれまひたああっ♪♪」

初美「アクメマンコジュプジュプしてイかさせて貰っちゃっらんですよぉおおっ♥♥♥」

三度目のアクメは、彼女の脳にさえ容赦しない。
その奥深くまで入りこんだ快楽の津波は、その言葉を舌足らずなものにしていく。
まるで言語野が蕩けていくようなそれを、初美はもう意識すらしていない。
あまりの快楽に初美は自分が何を口走っているのかさえ分からなくなり始めている。

京太郎「イくの嬉しいか…!?」

初美「はいいいっ♪♪嬉しひれすううっ♥♥」

初美「アクメらいしゅきいいっ♥♥チンチンもしゅきぃいいっ♥♥♥」

初美「おかしくなりゅくらい気持ち良くて幸せになっちゃうんですよぉおっ♪♪♪」

京太郎「じゃあ、お礼を言わないとな…!!」

初美「あ、ありがとうっ♪ご、ごじゃいますうううっ♥♥」

初美「イ、イかせへくれてええっ♥♥私、嬉しひぃいいぃいいいいっ♪♪♪」

だからこそ、初美は京太郎の言葉に何も考えずに返してしまう。
促されるままに快楽を肯定し、被虐感に堕ちていってしまうのだ。
そんな自分に初美は嬉しささえ感じながら、キュンと肉穴を緩ませて。


初美「はお゛おぉおぉおおおおっ♪♪♪」

瞬間、子宮口を突き上げた肉棒に初美の肉袋がぶじゅりと潰れた。
三度目の絶頂に柔らかくなりすぎたそこは、快楽の為に自身の居住区さえ売り渡そうとしていたのである。
結果、より深く入り込んでくる肉棒の感触に、初美の全身が震えた。
まるで身悶えするようなその震えは、快楽に悶える子宮から起こったもの。

初美「ひぐうううぅうッ♪♪」

初美「ま、まらイきますううううっ♥♥」

初美「よ、四回目ぇええっ♪♪四回目のアクメええええっ♪♪♪」

初美「あ、ありがとぉございま…ひゅぅうううぅうううううんっ♥♥♥」

しかし、初美はそれを自覚する事が出来なかった。
ほぼ同時に起こった四度目のアクメに、彼女の意識は引っ張られていたのである。
その源となった子宮が一体、どういう状況になっているのか。
まるで分からないまま、初美は今まで以上の悦楽に嬌声を口走った。


京太郎「ちゃんとお礼を言えたな…!」

京太郎「偉いぞ…初美…!!」

初美「はいぃっ♪♪はひぃいいいっ♥♥」

初美「い、言いましたぁああっ♪♪お礼言っちゃいまひたあああっ♥♥♥」

京太郎「あぁ…!だから、ご褒美に…もっと強く突いてやる…!!」グン

初美「あ゛ひぃいいぃいいいいいいっ♪♪♪」

そんな初美の前で京太郎はその腰を深く沈める。
代わりに軽く浮かせた初美を彼は下から強く突き上げた。
柔らかくなりすぎた子宮をズンと押しつぶすようなそれに初美はもう耐え切れない。
その脳天まで快楽が走り抜ける彼女の中で、また絶頂が生まれそうになる。

京太郎「こういう激しいのが初美は好きなんだろう…!!」

京太郎「壊れそうになるくらいレイプされるのが大好きなんだな…!!」

初美「は、はひぃっ♪♪好きぃっ♥♥これしゅきですうううっ♥♥」

初美「き、京太郎くんに激しくしゃれるのらいしゅきぃいいっ♥♥」

初美「子宮悦ぶぅううっ♪♪子宮アクメすりゅうぅううううっ♪♪♪」

初美「アクメ止まらないぃいいっ♪♪またイくぅうううぅうううう♪♪♪」

五度目の絶頂はあっという間に彼女の子宮から目覚めた。
まるで京太郎の肉棒が暴れていては安眠も出来ないと言わんばかりにすぐさま彼女の身体へと飛び散っていく。
しかし、だからと言って、それは決して弱々しい訳ではない。
四度目の絶頂の中で目覚めたそのアクメは、寧ろ、今までで一番、強いものだった。


初美「い、イキっぱなしれすうううっ♪♪♪」

初美「も、もぉアクメしっぱなしぃいいいっ♥♥」

初美「京太郎君のチンチンしゅごすぎるのぉおおっ♪♪♪」

初美「降りて来られないぃいいっ♥♥」

初美「アクメばっかで…エロエロレイプしゃれるうぅうううっ♪♪♪」

だが、初美にとってそれは快楽地獄の幕開けに過ぎなかった。
無遠慮に自身を貫き続ける京太郎に彼女の子宮は陥落したのだから。
そのアクメを燃料とするように次の絶頂の準備を初めてしまう。
より強くより激しくより淫らに。
むき出しになった本能でさえ身悶えするほどの悦楽に、初美は連続絶頂へと堕ちていく。

初美「良いのぉおっ♪♪」

初美「イきまくり良ひぃいいいいっ♥♥」

初美「あおっ♪♪はおっ♥♥ふお゛おぉおぉおおおおぉおっ♪♪♪」

京太郎「そんなエロ声出しまくってたら他の皆に聞こえるぞ…!」

初美「む、無理れすううっ♪♪声おしゃえるなんて無理ぃいいいっ♥♥♥」

初美「エロ声でるうううっ♥♥アクメ声止まらないぃいいいいっ♪♪♪」

初美「イキ声垂れ流しで…ま、まらイっきゅぅうううぅううううう♥♥♥」

そんな彼女に自分を抑えるという選択肢はなかった。
絶頂への恐怖を彼女はもう快楽によって溶かされてしまっているのだから。
子宮から湧き上がるアクメのままに声をあげ、身悶えする。
例え、それがすぐ近くで暮らす仲間たちに聞こえると言われてもどうしようもならない。
肉棒に屈した彼女はアクメ声をあげて、その腹部をガクガクと揺らす。


京太郎「はは。もう完全にメス堕ちしてんじゃねぇか…!」

初美「そ、そうなんれすよぉおおっ♪♪」

初美「わらひ…メスにゃんれすうううっ♥♥」

初美「京太郎君のメスぅううっ♥♥京太郎君だけのめしゅぅうううっ♥♥♥」

初美「チンチンに負けひゃって…イキっぱなしにしゃれひゃってええっ♪♪♪」

初美「も、もうチンチンと京太郎君の事しか考えられにゃいエロオナホにゃのぉおっ♥♥♥」

京太郎「っ!」

自身を人間以下の存在へと貶める彼女の言葉に、京太郎の興奮も限界に達した。
今までも胸中で燃え盛っていたそれは今や思考を焼くほど激しいものになっている。
自分の内側を真っ赤に染めるようなそれを理性を失った彼が我慢出来るはずがない。
その興奮に背を押されるがままに、京太郎は口を開いて。

京太郎「そのエロオナホのご主人様は誰だ…!?」

初美「き、京太郎君れすううっ♪♪」

初美「ご、ご主人しゃまああっ♥♥わらひの…大事なご主人様あああっ♥♥♥」

初美「あ、愛して…っ♥♥愛して…ましゅぅうう♥♥♥」

初美「チンチンらけじゃなくて全部しゅきぃいいっ♥♥」

初美「わらひはご主人様のモノになりまひゅぅうううっ♪♪♪」

京太郎「なら…!!」グリン

初美「ん゛あぁああぁあああああっ♪♪♪」

彼女を徹底的に堕とそうとするその嗜虐的な言葉に、初美は逆らう事が出来ない。
それが奴隷契約書に近いと理解出来ないまま、京太郎へと傅いてしまう。
今後の二人の関係を大きく変えるであろうその言葉に京太郎は満足しない。
寧ろ、ここからが本番なのだと言うように初美の身体を上下反転させる。


初美「(こ、これ、気持ち良ひぃ…♪♪♪)」

初美「(チンチンが私の中でグルンって回ってぇっ♥♥)」

初美「(ぴしゅとんしゃれるのと違う気持ち良さにイっきゅぅう…っ♪♪♪)」

京太郎「オナホ女にゃこっちの方がお似合いだろ…!!」

初美「ほお゛おぉおおぉおおおおおっ♪♪♪」

京太郎に傅く間も絶頂を続けた彼女は、もう肉襞の一つ一つが陰核に匹敵するほど敏感になっていた。
そんな肉穴で肉棒がグルンと回れば、当然、軽い絶頂を覚えてしまう。
だが、彼女にとって、それはもう過去のモノだった。
挿入したまま後背位の姿勢を取らせた京太郎は再びピストンを再開したのである。

初美「良ひぃいいっ♪♪これ良いれすううぅうう♥♥♥」

初美「ち、違うとこにあたりゅうぅう♪♪♪」

初美「チンチンがぁあっ♪♪奥に…っ♥奥にぃいいっ♥♥」

初美「んきゅぅううううぅううううううっ♥♥♥」

そこから生まれる絶頂は、今までのものと比べ物にならなかった。
より男に主導権を握られる体位に、彼女は被虐感を刺激されてしまう。
その上、京太郎の腰使いはさらに激しく、ストロークも大きなものになっているのだ。
その腰を掴みながら繰り出されるそれに、絶頂を繰り返す初美の視界が白く染まっていく。


初美「お、犯されへるううぅう♪♪」

初美「ケダモノみたいにゃ格好で…レイプしゃれへますうぅううっ♥♥♥」

初美「後ろからチンチンレイプしゃれへ…アクメしゅるううううっ♪♪♪」

初美「わ、わらひ…オナホらからぁあっ♪♪」

初美「ご主人様のエロエロおにゃほらからぁあ♥♥」

初美「イきまくりれすううっ♪♪アクメしっぱにゃしいいぃいっ♥♥」

初美「ごしゅじんしゃまのレイプらいしゅきですよぉおおおっ♥♥♥」

京太郎「っ!」

白く瞬くその視界に、もう京太郎の姿は映らない。
彼女の目に映っているのは自身の唾液がこぼれ落ちる畳だけだった。
だが、それでも初美は不安になったりしない。
今にも崩れ落ちそうなほどイキ狂った身体を支えてくれているのは京太郎なのだと。
自分を犯し続けてくれているのは愛しいご主人様なのだと。
腰で粘膜で子宮口で、感じているのだから。


京太郎「ホント、どうしようもないエロ女だよな…!」

京太郎「初めてでこんなにエロエロになりやがって…!!」

京太郎「そんなに良いなら…このまま最後まで犯し続けてやるよ…!!」グン

初美「あ゛あぁぁあああぁああああっ♪♪♪」

そんな初美に京太郎はさらにストロークを大きくしていく。
肉穴の入り口近くまで亀頭を抜き出した彼は、そのまま一直線に子宮口へと肉棒を叩きつけるのだ。
上から下へと滑るようなそれに初美の全身が震える。
より独り善がりになっていくオスのピストンに、子宮がさらに蕩けていった。

初美「(わ、分か…分かりゅぅうう…♥♥)」

初美「(これ…絶対にダメな奴…ぅ♪♪)」

初美「(これ以上されたら…私…もう後戻り…出来にゃいぃ…♥♥)」

初美「(今でももう無理だけど…ホントダメなところまで堕ちちゃうのが分かるのですぅうう…♪♪♪)」

初美「(で、でも…っ♪♪)」

初美「(でもぉおぉおっ♥♥♥)」

まるでオスの欲望を際限なく受け止めようとする子宮に、初美の本能が危機感を覚えた。
これ以上は流石にダメなのだとそう訴えかけるようなそれに、しかし、初美は従う事が出来ない。
彼女はもう身も心も快楽に ―― 京太郎の肉棒に支配されているも同然なのだから。
完全にアクメ漬けになった初美に、ここで中断するなどという選択肢が取れるはずもない。

ヒャッハー!新鮮な次スレだー!!!
【咲】京太郎「今日から俺が須賀京子ちゃん?」巴「12まで来ちゃったのね【永水】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1462820716/)

SS速報Rに移転したので、専ブラの方はお手数ですが板登録お願いします…(´・ω・`)


ズプゥウウゥ

初美「~~~~~~~~~っ♥♥♥」

―― 結果、彼女はそれを受け入れてしまった。

元々、初美の身体には素質があった。
京太郎のピストンに合わせて子宮を縮小させてしまうほどの柔らかさが。
人並み以上の柔らかさは、ゆっくりと子宮口まで降りて来ていたのである。
結果、柔らかくなったその穴は、ついに京太郎の肉棒に屈してしまった。
本来なら誰も子宮の中に、京太郎を迎え入れてしまったのである。

初美「お゛ほお゛おぉおおぉおおおおおっ♪♪♪」

京太郎「うあ…っ」

その快楽は今までと比べ物にならないものだった。
アクメの源である子宮に、快楽の主である肉棒が入り込んでしまったのだから。
より近く、直接的になる感覚に、初美の頭に悦楽が這い上がってくる。
まるで頭の中からショートするようなそれに彼女が耐えられるはずがない。
その肉穴だけではなく子宮までをキュンと唸らせ、肉棒を甘く締め付けてしまう。


京太郎「(ヤバイ…!これ、絶対ヤバイ奴だ…!!)」

京太郎「(明らかに挿入っちゃいけないところに挿入ってる…!!)」

京太郎「(これ間違いなく初美さんの子宮だって分かるのに…!!!)」

陥落するだけではなく屈服にまで追い込まれた初美の子宮に、京太郎は忌避感を覚えた。
幾ら彼が欲望に支配されていたとしても、事の重大性くらいは分かる。
しかし、だからと言って、今すぐそれを抜いてしまう気にはなれない。
彼の中で滾る興奮はもう限界に達しているのだから。
忌避感こそあるが、それはセックスを中断させるほど影響力のあるものではなかった。

初美「動い…てぇ…♪♪」

京太郎「え?」

初美「もっろぉっ♥♥もっとしへ欲しいのでしゅよぉおお♪♪♪」

初美「ここれ焦らすにゃんて…生殺し過ぎりゅのですうっ♪♪」

初美「何でも…しますかりゃぁぁ♥♥」

初美「何でもしゅるから動いてくだしゃいぃいいっ♪♪♪」フリフリ

京太郎「ぅ…」

結果、止まってしまう京太郎に初美はオネダリを始める。
その小ぶりな尻をフリフリと動かすそこに忌避感も何もなかった。
ただ、オスを求めようとするその動きに京太郎の忌避感など枯れ葉も同然。
勢いを取り戻した欲望にあっという間に吹き飛ばされてしまう。

続きは次スレでー
>>1000は可能な限り考慮以下略!

>>1000ならちっぱいを愛でる京太郎

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