静「彼の名はウォーケン」 (623)

※初めに

・このSSは「静・ジョースターの奇妙な日常」の続き・第十六話です。
ジョジョの奇妙な冒険・第四部の16年語を書くオリジナルSSです。

・オリキャラやオリジナルスタンド、原作キャラの成長した姿なんかが登場します。苦手な方は閉じて下さい。

・毎度のことですが、投下速度遅いです。ごめんなさい

・遅いくせに長々続いてます。一つ一つは短いですので、どうか最初からお願いします。

・長くなりましたが、書かせていただいます。

一話
静・ジョースターの奇妙な日常
静・ジョースターの奇妙な日常 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363790589/)

二話
仗助「静のやばい物を拾ったっス」
仗助「静のやばい物を拾ったっス」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365094145/)

三話
静「ジャンケン教師がやって来た」
静「ジャンケン教師がやって来た」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367669400/)

四話
静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」
静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368951927/)

五話
静「泥棒をしよう」
静「泥棒をしよう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370177583/)

六話
静「ペーパー・バック・ライターは父親に憧れる」
静「ペーパー・バック・ライターは父親に憧れる」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373404472/)

七話
静「お見舞いへ行こう」
静「お見舞いへ行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379932767/)

八話
静「日本料理を食べに行こう」
静「日本料理を食べに行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383137249/)

九話
静「幽霊屋敷に住もう」
静「幽霊屋敷に住もう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386418852/)

十話
静「双葉双馬は静かに暮らしたい」
静「双葉双馬は静かに暮らしたい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391689545/)

十一話
静「吉岡純はお金が好き」
静「吉岡純はお金が好き」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398837668/)

十二話
静「杜王町の人々」
静「杜王町の人々」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404738764/)

十三話
静「静・ジョースターはキャンプをする」
静「静・ジョースターはキャンプをする」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408711275/)

十四話
静「町の背後霊」
静「町の背後霊」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432295512/)

十六話
静「ぼくは未来人」
静「ぼくは未来人」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445436858/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1454598348

…………

チェスタ「必要なものは『信頼できる友』である」

チェスタ「……メイは今、疑心暗鬼に陥っており……俺を『唯一無二の友』だと認識していない」

チェスタ「そして俺は……欲望をコントロールしなければならない。人の法に縛られず、自らの欲よりもメイの事を考えなければならない」

チェスタ「……俺自身も、先へと進まなければ……」

…………

…………

メイ「必要なものは『わたしのスタンド』である……『ザ・ワールド』」

メイ「……私の『イエスタデイ・ワンス・モア』は『ザ・ワールド』と同等……いえ、それ以上のパワーを持っているはずよ」

メイ「私のスタンドの先にこそ……人間がさらに先に進むべき道があるのよ」

…………

…………

チェスタ「必要なものは『14の言葉』である」

チェスタ「……メイ自身が忘れても、言葉がメイを忘れないように」

チェスタ「メイの背中に刻みつけた。しっかりと、深く……吸血鬼になっても神になっても消えないように」

チェスタ「深く、深く刻みつけた。……俺は、絶対忘れない」

…………

…………

メイ「必要なものは『勇気』である」

メイ「……私は、いつか……『勇気』を持って行動しなければならない。この『矢』を突き刺す事によって……スタンドを捨て去らないとならない」

メイ「……『イエスタデイ・ワンス・モア』は、誰よりも私の側にいた。家族として暮らしていた『有栖川家』の老夫婦よりも、チェスタよりも。……私は……」

メイ「……いつか、『私』を捨て去らないとならない」

…………

…………

「「そして……」」

…………

…………

ウォーケン「必要なものは『極罪を犯した36名以上の魂』である」

ウォーケン「……殺したなァ……いっぱい、殺した」

ウォーケン「罪人も、罪人じゃあない奴も、いっぱいいっぱい殺したさァ……」

ウォーケン「それも、もうすぐ終わり。……あと……」

ウォーケン「……『2人』……!」

…………

………………

……………

…………

………

……

…………

杜王町
とある場所――

ザッ!

高塔「ハァハァハァハァ……やっと戻ってきたぜェ~~……杜王町ッ!!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

高塔「クククキキィ~~ッ!……長かったぜ。あのクソサングラス女の能力のせいで、トラックに轢かれてボコボコに殴られて3ヶ月ばかし入院しちまったかと思ったら!……私が大切に保管していた23人分の『皮膚標本』が警察に押収されて、気付いたら刑務所病院だ……クソォ~あいつ……静・ジョースターめ。……こいつはメチャゆるさんよなああああ」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

高塔「しかし!そう悲観する事もねーッ。……私のスタンド能力『ディシプリン』は、右手の鞭で叩いた者を命令に従わす事が出来るッ!脱獄するなんて訳ねー事だったぜ。ハァハァハァハァ……すがすがしい……なァんてすがすがしい気分なんだッ!!」

高塔「だがまだ足りねーッ……このすがすがしい気分の奥底に、ちょっぴり陰った『雲』がある。……こいつをキッチリカッキリ晴らさないとよオオオオオ」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

高塔「……私は満足にゆっくりションベンする事も出来ないんだ。いや、ションベンは出来るか?まあどっちでもいいか……とにかく!私がこの町に戻ってきたのは、ぶどうヶ丘の女生徒を視姦するためじゃあね~~ッ」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

高塔「殺す……殺すぜ、静・ジョオオオオオオスタァァァアア……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

高塔「ただ殺すだけじゃあ生ぬるい。女として生まれた事を細胞一片になるまで後悔し続けるほど辱めてからだ……そして奴の皮膚はッ!この私が丹精込めて綺麗~~な標本にしてくれるッ!押収された皮膚標本はもうどうでもいい……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

高塔「毎日毎日標本にキスして精液ぬりたくって、テメェーの頭蓋骨を盃にして酒を飲んでくれるからな……静・ジョースタァァァァアアアア……!!!」

ポンッ

「はい、ストップ」

高塔「?……なんだ、おま」

ガガガガガガガガガガガガガガガ

高塔「えっえっえっえっえっえっええええ――っ」

「……悪いんだけどさ、もう杜王町にはロクな悪人がいないんだよ。『弓と矢』を使ってスタンド使いを作って悪人にしようとしても、その素質があるヤツすらいない。全く……困ったものだよ」

ガガガガガガガガガガガガガガガ

「という事でさ……噛ませは噛ませっぽく、出オチで死んでくれよ」

ズ !

「……」

ズ バ バ

サラサラ……

ウォーケン「……これで、残りは『1人』になった」

ニコリ♡

…………

短いですが、今回はここまでです。





Q.高塔って誰?
A.第一話で静にぶっ飛ばされた敵です

面白くて二週してしまった、支援
http://imgur.com/0bEeIPw

…………

ビュゥゥウウウウ……

静「ウゲーッ何よこれ……寒すぎるっての。チクショー」ズズッ

広瀬川「もう11月だもんね。多少は仕方ないよ」

虻村「けど俺聞いたぜ。今年は『暖冬』なんだってよォー」

静「『暖冬』?んなの関係ねーっての。問題は、今現在のあたしが寒くて凍え死にそーって事よッ!ハックショ!」ズズッ

委員長「おいおい、くしゃみを飛ばすのはやめてくれよ」

虻村「んなに寒いってーのなら、そのスカートもっと長くしたらどうだ?それ校則違反じゃあねーのかよ」

静「いい?虻村。ムサくて年中彼女いないアンタに言ってやるけどね、女の子のスカートっていうのは『気合』の表れなのよ。たとえ杜王町が氷点下の雪国になって、シロクマがノッソリ山の中から出てきても、あたしはミニスカをやめねーッ」

委員長「僕の前で堂々と校則違反を主張するなよ」

静「純なんてもーっと短いわよ。あたしのスカート長くする前に、あっちを長くしたらァ?」

委員長「そうだね、考えておくよ……風邪だけはひかないようにしなよ?」

ヒュウゥゥウウ……

広瀬川「そういや、中等部の時は『ストーブ』があったけど、そーいったのは出さないのかな?」

委員長「ああ、それなら明日にでも出すはずだよ。時代遅れの『石油ストーブ』だけどね」

静「この学校ってさー、たしか立て直したんだよね?ちょっと前に。前のは木造だったからさ」

虻村「?……それがどうかしたかよ」

静「なんでそん時に『床暖房』とか『エアコン』とか『自動ドア』とか『エレベーター』とかつけなかった訳?夏は暑いし冬は寒いし、最悪じゃん」

広瀬川「し、仕方ないよォ~~。最近は少子化とかで生徒の数も減ってきてるしさ。新しくなっただけ良かったと思わないと」

虻村「四季折々を肌で感じるのが日本人ってヤツなんだよ!カーッカッカ!」

静「うげ、あたしそーいうのパスッ!出来ることなら年中春みてぇーな気候でのんびり過ごしたいわよ……あ、花粉は無しね」

委員長「一年中全く同じっていうのも面白くないだろ……ほら、イベント事とか無いとさ」

虻村「そうそうッ!気候もイベントの1つみてーなモンだぜッ!寒くなって衣替えする事で、一年にメリハリが生まれるのよォ~~」

静「イベントねえ……たしかに一年中春だと、夏休みってのも無くなるしね……けどこの時期とか、別にイベント無いでしょ?」

三人「「「あるッ!!!」」」

静「!?」ビクッ

虻村「そろそろ決めていく時期だろ?くーっ!俺ァ~これが楽しみで楽しみで……なんてったって中等部とは規模が違うもんなッ!」

広瀬川「そうそうっ!たしか出店とかも許可されるんだよね?あ!あと特設ステージに有名人も来るとか……!」

委員長「実は明日のHR(ホームルーム)で、僕らのクラスの出し物を決める予定だったんだよ。君たち、考えておいてくれよ?杜王町の歴史~とかいうの出すのは、嫌だからな?」

虻村「任せろってェー委員長ッ!俺キッチリすげぇーの考えてっからよォー!!」

ワイワイ……

静「……?……えっと、一体何?……何かあんの?」

広瀬川「あ。そういえば静さんは転校生だったっけ……」

委員長「この時期は、僕たちぶどうヶ丘生が一番楽しみにしている時期なんだよ」

静「?……何よ、お祭りでもあんの?」

委員長「そうッ!まさしくその通りッ!!」ビシッ!

静「え?当たった?」キョトン

虻村「『ぶどう祭』……つまり、ぶどうヶ丘の『文化祭』だぜーッ!中等部と合同でデケェお祭りやるんだよッ!!」

静「……『文化祭』……」

広瀬川「月末の土日……28日と29日だね。そこで一般の方も招いての大騒ぎ!杜王町民が1つになってハメをハズす日なんだ!」

委員長「中等部はお金を取るような出し物は許可されていないんだけど、高校は別でね。なんでも、この出店でビックリするくらいの収入を得る生徒もいるとか……」

虻村「年々規模がでかくなっててよォー。去年はたしか、ステージに『AKIRA』来たんだったか?ここの出身だから特別にーってよ」

静「え!?嘘、あのライトハンド奏法の!?今世界で活躍してるギタリストの!?」

委員長「今年は誰が来るんだろうね……毎年ギリギリになって発表されるからなァ」

静「いやむしろAKIRAで!今年も一緒でいいじゃん!」

広瀬川「それはちょっと難しいだろうね……二年連続同じっていうのは」

委員長「で!今年は僕達のクラス、何を出すのかって決めないとね。早いところはもう決まってるし、僕らもノンビリしてられないや」

静「もう決まってるって……そんな早く決めてどーすんのよ?教室の飾り付けとか、まだ無理でしょ?」

広瀬川「隣のクラスは演劇をやるんだってさ。お金取る本格的なのやるらしいよ」

静「へーっ!演劇……あたしらもそーいうのやる訳?」

委員長「いや、前にコッソリ一人ひとりの希望聞いたんだけど、クラスの男子が嫌がった。台本なんかに脳細胞使ってられないってさ」

虻村「そうだぜッ!せっかくの文化祭がよォ~~、台本とにらめっこで舞台に縛り付けられるなんざ、ユルされる訳ねェ~~よなァーッ!」

静「そりゃあ残念。あたしが出たらアカデミー賞も真っ青確実なんだけどな~~」

委員長「…………」

広瀬川「ボクは中等部の時、杜王町ミステリーみたいなのをまとめてクラスに展示したけど……」

虻村「ああ、そんなのやったな……ありゃあ地獄だったぜェ~~……」オエッ

広瀬川「そ、そうかな?ボクは面白かったけど……あ、これその時展示した、宇宙生物のカケラね」ゴソッ

静「……あたしにはただの石ッコロに見えるわ」

広瀬川「面白かったけどなぁ。アンジェロ岩の秘密にせまる!とかさ。知ってる?アンジェロ岩って、実はある一定の感覚で脈動していて――……」

虻村「今年はアンジェロ岩にピッタリ張り付いて過ごすの勘弁だからな、俺はよーッ」

委員長「じゃあ何か他の出し物考えないとね。虻村君、何かアイディアがあるようだけど?」

虻村「おう、聞いてくれるか委員長ーッ。あのな、俺たちのクラスはよ……もっと近く寄れ。あのな……」ゴニョゴニョ

委員長「……本気かい?それって、服は……」ゴニョゴニョ

虻村「その点なら大丈夫だ。吉岡に、バイト代このくらいで……とりあえず、一つ試しにだな……」ゴニョゴニョ

委員長「しかし、それってマージンは……」ゴニョゴニョ

虻村「おお、カメユーで調べたんだけどよ、まとめ買いで……原価これだから、売値が……こうだろ?」ゴニョゴニョ

委員長「へえ、結構……」ゴニョゴニョ

虻村「あとよ、他のクラスのヤツと……けしててよ」ゴニョゴニョ

委員長「えっ!?」

虻村「シーッ!バカ、声がでけえぜーッ!」

静「……何やってんの、アンタ達」キョトン

虻村「なんでもねーっ!こっちの話だッ!……でな、その賭……で、うまくいったら……」ゴニョゴニョ

委員長「またバカみたいに……けたな。それ、クラスの女子が断ったら……?」ゴニョゴニョ

虻村「そん時ゃー委員長、お前が押し込めば……!」ゴニョゴニョ

委員長「まあ、いいけどさ……」ゴニョゴニョ

虻村「あと、大林のヤツが、カメラで……一枚500円……ワンコイン……」ゴニョゴニョ

委員長「ほー、それ意外といい稼ぎに……」ゴニョゴニョ

虻村「だろぉー?でさ……」ゴニョゴニョ

広瀬川「ふ、二人とも……なんだかワルい顔してるよぉ~~……」

静「虻村って結構、金の亡者よね……まあ、あたしも今ビンボーだけどさ」ハァ

虻村「で、どうよ?委員長。こーいう企画は……?」ゴニョゴニョ

委員長「良いと思うよ……他のクラスはもっと普通の店だし……話題性十分……」ゴニョゴニョ

静「ハーア……もう放っときましょ、康司」スタスタ

広瀬川「あ、うん……(き、気になるなァ~~……)」テクテク

静「……『文化祭』……かぁ……」ポケーッ

広瀬川「?……どうかした?静さん、そういうの好きそうだけど……」

静「まあ……好きだけどさ。そーいうイベント事は。けど……今は、その……」

静(『殺し屋』イワン・オーリオに襲われてから数週間……あれから何も起こる事なく、メイの居場所もわからないまんま)

静(メイの言う『天国』が完成するまで、このままダラダラと学生生活を楽しんでて……)

静(……いいのかしら。……あたしは……)

静(あたしのするべき事は――……)





……ペラペラ……

静「!!」

広瀬川「?……静さん?」

静「……」



紙人間『……ペラペラ』ペラッ……

バサバサバサバサ……

静「……『ペーパー・バック・ライター』……」ボソッ

広瀬川「え?」キョトン

静「あ、ゴメン康司。あたしちょーっと用事思い出したわ!じゃっ!そーいう事でッ!」シュビ!

広瀬川「え?あ、ウン……わかった。それじゃあね」

委員長「?」

虻村「あン?どうかしたかよー静?」

静「うっさいわねーッ。レディの秘密をズバズバ覗こーとするんじゃあないっての」スタスタ

虻村「?……??」

委員長「……久々に、例の『超能力』ってヤツかい?」

静「……」

タッタッタッタ……

委員長「……大変だな。僕たちも、何か力になれたらいいんだけど……」

広瀬川「委員長、たぶん静さんも……本当に困ったらボクたちを頼ってくれるよ。きっと。……大林君をとっちめた時みたいにさ」

委員長「……だといいんだけどな。彼女……何でもかんでも背負う所あるからさ……」

広瀬川「……」

虻村「二人とも、何ムズカしい顔してんだァ~?んな事より、文化祭の出し物なんだけどよーッ!」

委員長「……ホント、気楽だなぁ君は……」ハァー

…………

短いですが、本日はここまでです。

>>23
ありがとうございます。
独特なタッチでめちゃくちゃ格好良いっすね……家宝にさせていただきます。

AKIRAの人気にうっとり
それより静って転校生だっけか?

>>54
違いますね……間違えました。申し訳ないです……
この場合なんて言えばいいんだろ、帰国子女じゃないし、留学生でもないよなー……「引っ越してきた」とか、そういう感じですね

…………

ザッ

静「……なんかこういうの、久しぶりよね……アンタの後を追いかけるのもさ」

紙人間『……』

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「で!何の用?……あー、文化祭の出し物の話?あたしん所まだ決まってないわよ。明日色々話するらしいけど――……」

紙人間『静……『尾行(ツケ)られてないだろうな』?』

静「……は?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……尾行(ツケ)られてって……あたし、そんなのされるようなヤツぅ?っていうか、普段そんなの気にして歩いてないっての」キョロキョロ

紙人間『いいか、僕はいつでも真面目に話をしているんだ。さっきお前の近くにいたアホ共が、興味本位で近づいていないだろうな?という事だよ』

静「無いって。あいつらはそーいう事する奴じゃあない。それに、されてたらわかるし」

紙人間『……他の人間に尾行(ツケ)られたりは?』

静「……そんな、すれ違っただけのオッサンがあたしを尾行(ツケ)るとでもいう訳?」

紙人間『ああ。僕らが敵にしているのは、そういうものだ。つまり――……』

トテトテ……

紙人間『!』ピクッ

静「!」

トテトテ……

紙人間『……誰だ?そこにいるのは?』

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ



ヒョコッ

ネコ「ナーッ」

紙人間『……『ネコ』、か?』ホッ

静「あ、ドルバッキー」

紙人間『……』

ネコ「ンニャニャー」

紙人間『……何て言った?今』

静「あたし、このあたりに住み着いてる野良ネコに名前つけてんのよ。その白いのは四丁目のドルバッキーよ」

紙人間『…………』

静「よーしよし、ついてきたの?アンタ。お腹つついちゃる。うりうり」ツンツン

ネコ「ニャぁ~~ご」ゴロゴロ

静「あたしネコって苦手だったけどさー、コイツみたいに人懐っこいのは別ね。やっぱ動物って愛想振りまいてナンボよ。たとえ遭難したボートの上でコイツと二人っきりになっても、コイツは食べちゃう気にならないわ……」

ネコ「ンニャー」トテトテ

静「あ、ちょっと待ってよドルバッキー!逃げんなって……食べない!絶対食べないから……」

ネコ「ニャー」スリスリ……

静「……?……え?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

紙人間『……本題に入ってもいいか?静?……見た方が早いだろうが……その、ドルバッキーが語る『真実』ってヤツ』

建物の影になった場所に、黒い『塵』の山が出来ていた。
白猫がその山に身体を擦り付け、みるみるうちに黒く汚れていく……。

静「……双馬……こ、『これ』は……?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

紙人間『お前、見るの初めてか?僕もだ。……謎の魔人『ウォーケン』の『被害者』が……こうして残っているなんてな』

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「そ、それって、つまり……!う、ウエッ!」ブワッ!

紙人間『……』

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……ハァハァハァ……ハァハァ……!」タラリ

紙人間『よほど切羽詰っていたのか、それとも『バレちゃってもいいか』と思ったか……塵のカケラが残っている事は一、二回あったが、『人間一人分』の塵が残っているのは初めてだな』

静「……うっ、うううっ!……!」

紙人間『静……汗を拭け。ひどい顔だぞ、おい。吐くなよ』

静「この塵が……つい昨日まで、人間『だった』というの?」

紙人間『その通りだ。服着て杜王町を歩きまわり、飯食ってクソして寝ていた人間だ』

静「げ、現場保存!ドルバッキーが無茶苦茶にしちゃう!」

紙人間『僕らは警察じゃあないんだよ。その『塵』をいくら調べた所で、被害者のDNAくらいしか検出されないだろ……今必要なのは『この場所の情報』だ』スッ……

ペラペラペラ……

紙人間『物質が記憶している情報は、人間の記憶みたいに時が経てば経つほど劣化する。何十年経とうと情報自体は残るが……鮮明に記された情報というのは、少しでも遅れたら閲覧出来ない』

バサッ!

紙人間『警察が踏み込んで無茶苦茶にする前に!犯人が痕跡消し去る前に!……見つける事が出来て良かった。今日はツイてるぞ……静、誰も来ないように見張れ。今から地面の記憶を読む』

静「ううう……わかってはいた、いたんだけど……」

静「……やっぱり、人を……殺すなんて、おかしいわよ」

紙人間『ああそうさ。おかしいのさコイツらは。……そりゃあ、犯罪者の全部が全部悪い訳じゃあないのかもしれない。殺人犯の中には世の社会人よりよっぽど人格者だったり、話せるヤツがいるのかもしれない』

静「……」

紙人間『けどな……この男、魔人ウォーケンは『殺しすぎ』だ……引き返せるラインをとっくに超えて、なお殺しを続けているんだ。知ってるのかお前、ウォーケンの手による被害者の数。50人を超えてるんだぞ……被害者の数だけなら吸血鬼・メイより多い』

静「……」

紙人間『だから、お前はそれが許せないんだろうが。……おい静。お前、僕の事をどう思っている』

静「……どう、って……『親友』よ。……メイの言う、薄っぺらな『友達』なんかじゃあない」

紙人間『……』

静「たった半年かもしんないけど……あたしはこの半年間、アンタと一緒に行動して、様々な事を共有した。あたしはアンタの事……ムカツく事もあるけどさ、かけがえの無い親友だと思ってる」

紙人間『そう思うなら、その情けない顔をやめろ』

静「!……」

紙人間『お前が追ってるのは殺人鬼と吸血鬼だ。放っておけば人間なんて、簡単に次々死んでしまうんだよ……お前の目の前にある塵が、その『現実』だ。受け止めろ。殺人はテレビやドラマの中で起こってる事じゃあない。現実の杜王町で起こってるんだ』

静「……」

紙人間『遊びで追っているんなら、そんな『親友』こっちから狙い下げだ……そもそも僕の狙いは、メイが持ってる『弓と矢』なんだぜ。ウォーケンの調査は僕の目的じゃあない。……このウォーケンに関する『情報』は、杜王町を守るためにたった1人で命をかける、僕の『親友』のために送るものだ』

静「……」スッ……

パァーン!!

静「……オッケー、話して。地面が見た『情報』……『ウォーケン』について!」ジンジン

紙人間『……いいだろう。だが……あまり期待はするなよ』

ペラッ……

静「?……どういう意味?」

紙人間『いや、もしかしたら……クソ、やっぱりか!……こいつ、僕の能力を完璧に理解してやがる!顔を隠して見えないようにしているな。チイ……!』

静「……思うんだけどさ、地面って目ェ無いじゃん。顔見るとか見ないとかあるの?」

紙人間『感覚の目というヤツだ……どんな目でも、顔を隠されりゃあ見る事は出来ないさ。そこに存在しないんだから……だが体重はわかったぞ。49キロ……痩せぎすだな』

静「他には?」

紙人間『……こいつの能力……ぼんやりとだが』

静「……人を塵にする能力?」

紙人間『ニュースとかでは、犯人は『火炎放射器』を持っているとか言われてたか……人を焼き殺せるくらい大型の火炎放射器なんざ、持ち歩いてりゃあすぐに捕まるだろうに』

静「……純も前に似たような事言ってた。それで、本当は?……火を起こすスタンドとか?」

紙人間『いや。……こいつ、被害者の『肩』を触っただけで……塵に変えてる』

静「……は?」

紙人間『……人を殺してから、焼いて塵にしているとかでは無いようだ。人を『塵に変えて殺してる』……重要だぞ、この違いは。死因は刃物だとか拳による殴打とかでは無いって事だ』

静「しかも、火が出た訳じゃあないのよね?肩に触っただけ?」

紙人間『……そうだ』

静「他は?その……能力の特徴について」

紙人間『……殺す時、『音』がしているな。……『ガガガガガ……』という、ドリルでコンクリートに穴開ける時のような音だ』

静「『音』……?」

紙人間(……『音』……『塵』……もしや、こいつのスタンド……)

紙人間『……』

静「……双馬?……なんかわかったの?」

紙人間『いや、確証が無い……今話すべき事では無いな』

静「……」

紙人間『とにかく、一つわかった事は……ウォーケンに出会ったら、絶対に『触れられるな』……いいな?わざわざ肩に触っているという事は、射程距離は短いはずだ……身体に触れる事が能力のスイッチかもしれない』

静「簡単に言うわよね、アンタ。犯人の顔もわかんないのにさ」

紙人間『……被害者の顔はわかったぞ』

静「へ?」

紙人間『『高塔毬也』……覚えてるか?お前がこの町で、一番最初に出会ったスタンド使いだ』

静「タカトー?……あ、あーっ!……えっ!?あいつッ!?」バッ!

ネコ「ンナンニャ」ゴロゴロ

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……入院してるはずじゃ……」

紙人間『いつの話だ、それは。……とっくの昔に捕まって、刑務所にいた。スタンド能力を使って脱獄したようだが……ウォーケンに見つかってこのザマだ』

静「な、なんで……?なんで、高塔が……?」

紙人間『噂通りというか……何故かウォーケンは、『悪人』しか殺さないらしい』

静「……『悪人』……それって、『正義の味方』って訳じゃあないわよね」

紙人間『ああ。結構喋ってるぞコイツ……悪人がいなけりゃあ、スタンド使いにして犯罪をやらせるつもりだったようだ。……僕のクラスメイトの野高梨子も、おそらくはその流れか……』

静「……なんで、そんな事……何の目的があって?」

紙人間『そんな事、僕が知るか。……っと、待てよ……おい静』

静「何?」

紙人間『……ウォーケンの奴、最後に一言……こう言ってる』

静「……」

紙人間『『これで、残りは『1人』になった』……どういう意味かわかるか?』

静「……『『1人』になった?』……高塔を殺した事で?……杜王町にいるスタンド使い……じゃあないわね。あたしもアンタも生きてるし。……ぶどうヶ丘高校の?いや、それでも純がいるわよね。……うーん……?」

紙人間『……』

静「……杜王町にいる悪人の数、とかかな?流れ的に……」

紙人間『そんなもの、常に一定か?今現在杜王町には悪人がたった1人しかいないって?』

静「……言われてみればそうだけど……うーん、っていうかなんでコイツ、わざわざ悪人狙って殺してるんだっての?結局正体不明だし、謎ばっか増えてくわ……」

紙人間『……』

紙人間(……待てよ、『悪人の数』……?)

・ ・ ・

紙人間(……『残りは『1人』』……悪人……『殺す』……『死』……『魂』?)

紙人間(……悪人=……『極罪を犯した者』?)

紙人間(……ウォーケンは、50人以上殺してる。……『悪人の数』……『残りは『1人』』……)

紙人間(まさか、まさか……!)

・ ・ ・

紙人間『……マズいぞ、静……『杜王町の犠牲者は残り1人かもしれないが』……結果によっては、もっと死ぬ……!』

静「……何?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

紙人間『……地球上に住む全ての生命が、メイの作る『天国』へ連れて行かれるかもしれない……!まさか、もうそんなに近づいていたとは……!』

静「双馬、ちょっと……どういう事?マズいって言われても、ウォーケンが誰なのかわかんないし、メイの居場所だって――……」

紙人間『こいつの『殺人』はッ!『天国へ行く方法』だッ!!『極罪を犯した36名以上の魂』……それがそろった時、メイは天国への『鍵』を手に入れるッ!!』

静「!!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ネコ「ニャ~~ゴ……」ゴロゴロ

…………

今回はここまでです。

…………

キーンコーンカーンコーン……

ザワザワ……

「ちょっとそこ詰めて……詰めろって……おれもストーブ当たりてえんだよ~~」グイグイ

「男子ィーッ、ちょっと場所取り過ぎでしょ!ここ、あ・た・し・のォーッ。陣地っ!」

「う~~あったけえッ。ってかッ!11月なのに寒すぎっしょッ!マジやってらんねェ――ウシャシャシャシャ――アッ。ひーサムッ」

「しっかしフルくせーストーブだな。何これ。石油ストーブ?昭和かよ~~。おれら平成産まれだっつうの。なァー?」

プクゥ~ッ

「あっモチ焼けた。うほーっうまそ~~ッ!止めどなく出てくるぜ、ヨダレがよォ~~」ジュルリ

「ああっ!いい――なァ――モチッ!あたしもなんか焼こッ!そーいや朝にミカン食べてたあ~~アハハハハハハ!ラベンダーっつーかポプリっつーか!アロマってヤツぅ?柑橘系のイイ香りすっかもよ?」

「やめろってバカ。くせーだけだっつううの!」

ワイワイ……

静「……」ジッ

広瀬川「どうかした?静さん?お腹でもイタいの?」

静「へ?……いや、別に……」

虻村「なんだ静。オメーッ似合わねえ暗い顔してよーッ。モチ食うか?」

静「いや、いいわよ……いらないわ」

「虻村、そりゃーおれが持ってきたモチだぜーッ」

虻村「細けえ事言うんじゃあねえよ。いいだろ?俺だって食いてえんだからよーッ」

「カネだ、カネ払えッ。食いたきゃあそれが必要だぜ。それが社会のルールってもんだろうがよ~~」

純「ねえ、このモチいくら?」ヒョコッ

「一個50円だ!ショーユのオプション付きでな……っつーか、吉岡さん、食うの?マジ?」

純「50……セコい商売ねえ。どーせ家の冷凍庫かどっかに眠ってたの引っ張り出してきただけでしょ?50円くらいまけなさいよ……ん、おいしい」モグモグ

「あっあっ……ぜ、全部食うのはやめてくれよォ?」

静「純、アンタ何?そんな家計が厳チィーの?ウチん家で晩御飯でも招待しよっか?」ジトッ

純「カワイソーなモン見るような目ェやめろ、静ッ。最近ちょっと忙しくて、食うモンも食わず頑張ってたってだけよ」モッチャモッチャ

静「へー……バイト頑張ってんだ?」

純「へ?あー、まあ、ウン……そんな所……」モゴモゴ

静「……?」

静「何その反応……バイトじゃあないっての?けどアンタ部活とかやってないわよね?……他なんか、忙しい事ある?」

純「いっ、いろいろあんのよ!アンタと違ってさ!」

虻村「そっ、そぉーだぜェ~~!吉岡サンはマジで色々大変忙しいことが――……」

純「ちょっと黙ってろ、虻村」ギュッ

虻村「いでェ――!!カッ、カカトッ!カカトで踏むのはやめろッ!」ピョンピョン

「暴れんな虻村ッ!ストーブあんのに危ねえだろうがよォ~~!」

「そうだそうだどけどけ!ストーブの最前列いるんじゃあねーッ!」

虻村「ぐぬぬ、お前ら……俺は冷え性なんだぜーッ!ホラッ!指先カチンコチン!」

委員長「知らないよ、そんな事……」

ガラッ!

早人「はーいっみんなッ!もうとっくの昔にチャイム鳴ってるよッ!ストーブから離れてッ!着席!……なんかコゲくさくない?ちょっと、もしかしてストーブで何か焼いたの!?」

静「吉岡さんがモチ食いました」ハイ

純「私が焼いたんじゃあありません。男子が焼いてましたァー」ハイ

「けどミカンの皮焼いたのは女子です」ハイ

「暴れたのは虻村くんですゥ~~」ハイ

虻村「俺は一番関係ねェだろうがよーッ!!?」

早人「はいはい、静かにーッ!虻村くん、座りなさい!まったくもう、君たちは……」

早人「あんまりにもストーブで遊んだら、ストーブ使用禁止になるからね!わかった!?……田中くん、カバンからアルミ箔フライパンのポップコーンが覗いてるんだけど」

「えッ!?あ、ヤベ!」

早人「没収!学校は遊びじゃあないんだよ!?教室でポンポンはじけさせたら、さすがのぼくもプッツンするからね!!」

「「「「「はぁ~~い……」」」」」

「……ったくよー……せっかく視聴覚室の鍵パクってきたってえのに……」ヒソヒソ

「大スクリーンでスパイダーマン見ようと思ったのになぁ……ポップコーン無しか……」ボソボソ

「まあいいじゃん。DVDはバレてねえんだからよ~~……」コソコソ

早人「……何か文句でもあるの?そこの男子」ギロッ

「「「なっ、なんでもありませェ~~んッ」」」ニコォー

早人「えーっと、じゃあ、この時間はHR(ホームルーム)だったね……委員長。あとはお願いね」

委員長「わかりました」スクッ

スタスタ……

委員長「……ハイ。ではこの時間は、杜王町民の皆は、ご存知だと思うけど……」

カッカッ……

委員長「……月末に行われる、『ぶどう祭』についてッ!話し合っていこうと思いま~~す」カカッ!

ザワザワ……

「そういやそんな時期か」

「高校って規模違うもんな。どんなのやるんだ?マジでよ~~」

「ヤバかったよな、去年の高3の出しもんはよぉぉー」

「見た見た!映画っしょ?あれはマジ興奮しちゃった♡キャーッ!」

委員長「はい、みんな。楽しみなのはわかるけど……僕達もぶどうヶ丘高校の者として、精一杯お祭りを盛り上げなくっちゃあなりません。それでー……川尻先生、場所は?ここの教室ですか?」

早人「いや、一階と二階、それと運動場と体育館を使う事にして、他の所はお祭りでは使用しないよ。四階に出店なんか作っても、お客さん来ないだろうしね。……ぼく達B組は二階の空き教室を使わせてもらう事になってる。当日このB組の教室は、荷物置き場として使うんだってさ」

委員長「二階の、空き、教室……っと。大きさはこの教室と同じくらいですね……」カキカキ

委員長「えーっ、それでは、僕達B組は、何の出し物をするか……さっそく決めていきましょう」

・ ・ ・

委員長「たしか、この前僕がコッソリ聞いた時は……演劇はナシ!っていう、男子の希望があったね」カキカキ

「えーッ!?何でよ男子ィィ~~ッ!恥ずかしがり屋かッテメーッ。○○○○ついてんのかッ!」

「っせェーぞッブスブスブスブス!んなもん覚える脳ミソなんざ無ェーんだよッ!」

ザワザワ……

委員長「みんな、意見がある時は手を上げてハッキリ言ってくれるかい?わかりにくいんだよ……演劇だったらA組が、体育館使ってやるらしい。練習も夏休み前からギッチリやってるってさ。僕達にゃあ無理だろう」

シーン……

委員長「二階の空き教室で出来る事っていったら、小さなお店くらいかな。それか、展示作品とか……それでェ」

カッカッカッ!

委員長「意見がある人はどんどん言ってくださーい。クラスの出し物だからね。みんな、真剣に考えてくれよ?」

「……はーい、委員長」ピシッ

委員長「はい、何かな?」

「たこ焼き屋さんとかァ……いいと思いまーすッ」

委員長「たこ、焼、き……屋……と」カッカッ

委員長「オッケー、他は?」クルリッ

「……お化け屋敷」ハイ

「あたし喫茶店がいいかなーッ。お茶とかコーヒーとか出すの」ハイ

「クレープ!クレープ食べたい!」ハイ

「甘いのとかヤだぜーッ。焼きそば!祭りの定番ッ!!」ハイ

「焼きそばときたらお好み焼きだな」

「けどそーいうの、客来んのか?もっとカネ取れるヤツにしようぜ」

「知らねーよッそんなの。ガッツリ腹たまるやつがいいぜ……ラーメン屋台!」

「バ~~カ!んなのどーやってやるんだよッ!お前スープ作れンのかァ~~?」

ガヤガヤガヤ……

静「……」

~~~~

紙人間『……確かにマズい……マズいが、しかし……考えようによっては幸運だな』

静『……は?』

紙人間『杜王町の犠牲者は、残り一人……しかも、そいつは『悪人』なんだ。善良な市民がウォーケンの手によって犠牲になる事は、無いっていう事さ』

静『……けど、メイの手のよる犠牲者は……』

紙人間『今まで二つ存在してた殺人鬼が、一つに減る。それだけでも十分だと言えるだろう……メイの手による殺人は、最近ほとんど起こっていないしな』

静『……』

紙人間『この事を知ってると知らないでは大違いだ。ウォーケンの事でキリキリ胃を痛める必要が無くなったんだからな……有益な情報だよ、これは』

静『……』

紙人間『それに……最近じゃあウォーケンのウワサもあって、皮肉なことに……杜王町の悪人はメッキリ減ってしまった。わかるだろう?事件が無いんだ……ウォーケンの『せい』で、杜王町は平和になっている』

静『……笑えないわね』

紙人間『ああ。喜べないしな』

紙人間『こうも平和になっちゃあ、ウォーケンも動くに動けないだろう。尻尾をつかむのは今まで以上に困難だ。だが、逆に……』

静『……』

紙人間『逆にッ!今、この状況だからこそッ!『事件』がある所には……メイか、ウォーケンの獲物か、どちらかが必ずいるって事だ!』

静『!!……へえ』

紙人間『静……苦しいが、今は『待つ』所だ。じっとな……』

静『双馬……アンタ、なんか考え方が前向きになったわよね?』

紙人間『……お前のノー天気が感染ったのかもな……フン!』

紙人間『……待つぞ、静。事件が起こるまでな』

静『……事件あったら知らせなさいよ、双馬』

紙人間『ああ。何かが起こったら……真っ先にお前に教えてやる』

静『……捕まえるわよ、絶対……二人で、ね』

紙人間『……』

~~~~

静「……」

ポケーッ……

静(なんて……昨日『待つ』って、言ったけど……何もしないで、じっと……もしかしたら手遅れになっちゃうかもしれない状況を『待つ』っていうのは……しんどいし、つらいし、ダルいわね……)

ガクッ

静(ハア~~……今まで事件が『起きない』ように、放課後パトロールしたり調査したりしてたのになァ~~……まあ、効果はなかったけどさァ。それでも、その行動があたしの心を支えてた。……今後はそーいう事やらないようにして、事件が『起きる』ようにしないといけない訳……か……)

静「……はああああ~~~~……」

静(イヤになるわね……文化祭も素直に楽しめねーッ……)ゴロッ

純「……静、アンタ何辛気くせーため息ついてんの」コソッ

静「……何?純。今ホームルーム中よ?座ってなさいよ……」グテッ

純「私はいいのよ、私は。ほら、ちょっとついてきてよ」グイグイ

静「は?……え、今授業中でしょ?一応」

純「いいの。私は許可もらってっから。ほら!いいから便所行くよ」グイッ

静「何?なに?え、連れション?男の友情?……あたしら女よね?」

テクテク……

カッカッ……

委員長「……う~~ん……色々意見出してもらったけど、アレだよね。なんていうかさ~~……『普通』だよね……目玉がないっていうかァァー」

……ドヨドヨ……

「どーいう事だよォォー。委員長~~」

委員長「みんなも知っての通り、高校生はお祭りに来るお客さんから『お金』をとって、『商売』をする事が認められてる訳だけど……『焼きそば』とか『たこ焼き』とか、普通っていうかド定番でさァ……絶対、他のクラスとか学年とかやってるだろうしィィ~~。そんなんでお客さん来るのかな?って思って……あ!別にみんなの意見を否定する訳じゃあないよ!?ただ、そう思っただけでさ……」

ブーブー!

「じゃあなんか意見あんのかよ委員長ッ!」

「言いたい放題言いやがってよォ~~ッ!焼きそばの何が悪いんだコラッ!」

「言うなら何か良い意見出せーッ!」

委員長「だから僕は……まいったな」

虻村「ふっふっふっふ……どうやら、この虻村サマの出番が来たようだな」スクッ!

「?……ンだァ?虻村は座ってろよ。ダンマリ決め込んでたクセによッ」

「そうよそうよォォーッ!ホームルームに参加しない人に発言権なんてないわッ!!」

虻村「俺はな、この時……今!この瞬間にッ!『発言』するために……今まであえてダンマリ決め込んでたんだぜ……」

「……はあ?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

虻村(打ち合わせ通りだぜ~~ッ!皆が出す意見に委員長がイチャモンつける!そこで皆の不満が溜まった所で!この俺が素晴らしいアイディアを出すッ!すげえぜ……海を割ったモーゼのようにッ!俺が皆の先頭に立つんだッ!俺の意見を通すんだッ!!)

虻村「ワタクシッ!虻村千休はッ!一年B組の出し物として……『メイド喫茶』を提案しまァァ――すッ!!」

バァ――ン!!

「……」

「……」

「……」

「「「「「ええええええええ――z__ッ!!?」」」」」

「良く言ったッ!!」

「マジかッ虻村!?思ってもお前、それマジに言う?」

「反対、はんたーい!絶対はんたいでーすッ!!ふっざけんな虻村このエロダコ野郎ッ!」

「男尊女卑ですぅ。女子だけあくせく働かせて、男子は遊んでるって訳?死ねッ!」

「バカ、俺はメイドがよ~~、純粋に好きなだけだぜッ!」

「イヤらしい目で女子見てんじゃあねーッ!!」

虻村「うるせーッ!俺にも考えはあんだよッ!」

虻村「変なサービスなんかはしねーッ!表向きは普通の喫茶店だ!しかし、制服として『メイド服』を使用するッ!もちろん、男子は当日遊んでる訳じゃあねーッ!キチーンと裏方で、コーヒー作ったりケーキ切ったりするんだよ!フロアの女子と裏方の男子、役割分担だッ!そしたらよ~~、やっぱり女子の格好は目立つ方が、客入りいいはずだろう?役割分担で効率もいいッ!!」

オオオオーッ!

「そうだそうだ、その通りだぜーッ!」

「虻村、お前ってヤツは……うっうっ!おれ、お前の事信じてたぜッ!!」

「言ってる事の筋は通ってるな、珍しく……」

虻村(……って言えば意見通りやすいって、委員長に教えてもらったもんねーッ。ウケコッ!)

ザワザワ……

「……うーん、制服が可愛い喫茶店、って考えたら……いいかもしれないけど」

「絶対ギリギリなの着せるだろッ!胸元あいたヤツとかさァァ~~ッ。スケベ心が丸見えなんだよッ!」

「委員長、先生ッ!これってどうなんですかぁぁ~~っ?文化祭とはいえ、ふざけすぎとか無いですかァ~~?」

早人「え、ぼく?」

委員長「……んー……難しいところだね」

委員長「まあ、僕としては……メイド喫茶っていう提案は、『アリ』だと思うかな。そんなのやっちゃあいけないなんてルール、どこにも書いてないし……普通の出店なんかやるよりか、絶対にお客さんの量は多いはずだ。それに、そういう『イロモノ』だったら、料理の味で勝負しなくても良いだろうしね……言い方悪いけど」

「「「おおおおーッ!!」」」

「ナイスだ委員長ッ!」

「いよっ!男の中の男っ!」

ブーブー!

「見損なったわ委員長っ!信じてたのにッ!」

「やっぱり男はみんなオオカミなのね……くすん。泣いちゃう」

委員長「け・れ・どっ!……まだ話の途中だよ。その『メイド服』っていうのに少ーし問題があるかもしれないんだ。……ですよね?先生?」

早人「え、ああ、うん」

早人「この『ぶとう祭』っていうお祭りは、学校でのイベントだからね……風紀に反するような衣装なんかは、原則として認められないよ。例えばー……ゴホン、オホン!あー……性的なアピールが強いものなんかはね」

「そんな、先生!あアァァんまりだアァアァ」

「お固いぜ、ハヤセンーッ!ハヤセンだって見てえっしょォォ~~ッ?メイドッ!ヒッヒッ!」

早人「それに!その衣装はどうする気なのかな?女子全員分の服なんて、購入したら結構な値段になると思うけど?……喫茶店に使う食品代だけで、予算までいっちゃうんじゃあないの?」

委員長「ん~~ん~~ん~~……ごもっとも。さすが先生です。しかしまあ……つまり、こういう事ですね?」

委員長「衣装が風紀に反しないもので、それでいて安く!……そうですね、布代くらいで済む程度なら~~……オールオッケー!と……そう解釈して宜しいのですね?」

早人「?……あー、まあ、そういう事かな?」

委員長「女子のみんなも……メイド服のデザインに納得がいくのなら、この企画を通して良いって事だよね?」

「「「えええええーッ……」」」

委員長「文句があるのならッ!……他に、お客さんを呼び込めるようなアイディアをあげてもらいたいもんなんだけど」

「「「…………」」」

「そりゃあ……まあ、喫茶店のアイディア最初に出したの私だけどさ」

「コスプレっつーか、可愛い格好ならやってみたいけど……最初にメイドって、高くない?レベルがさ~~」

「っていうか~~そのメイド服ッ!いったいどうするんですかぁぁーッ。ドンキでも行くのかよ」

虻村「ウッケッケッケ……それはよォ~~……」チラリ

『え、ちょ、純?……は?いや、これェ!?これ着るの?だってこれさ……いや、着るけど、絶対これキツい……あ、ちょ!待って!自分でやる!!自分でやるから!!だから、その、無理矢理は……あっ、あっ!ダメ、コルセット締めるのやめてっ!やめ、ダメダメっ!そんな強くしたら……ひっ!やっ!』

「「「……?」」」

『ぎにゃああああああああァァァ………!』

「「「…………」」」

シーン……

「……何だ?今の?廊下から……聞こえたような……??」

「廊下っつーかよーッ、便所から聞こえたような気がしたね、俺はッ」

「今の『声』……なーんか、聞き覚えがあるような……なァーんて……」

ドヨドヨドヨ……

ガラッ

純「おいっすー、チッス。虻村ぁー、準備出来たわよ」

虻村「おおーッ!さっすがアネゴッ!ちょーど待ってた所だぜ~~ッ!」

純「その『アネゴ』ってのはやめろ」

「え?吉岡……さん?学年トップの?ウチのクラスの?」

「何してんの、純ちゃぁあ~~あん。アホの虻村とツルむと、純ちゃんまでアホになるよ?」

純「ダイジョーブ、仕事上の関係だから。プライベートな付き合い一切ないから」ズパッ

虻村「そ、そういう言い方は傷つくぜ~~……」

純「えーっと、どこまで話したの?メイド喫茶に決定?」

委員長「いや、メイド服のデザインと費用しだいって所で、モメてる感じだ……」

純「フ~~ン……えーっと、みんな聞いてね。実は、ちょっと前に虻村から依頼受けてさ、見本として、一着作ってみたのよ」

……ザワザワザワ……

「何?前から計画してたの?虻村」

「あいつアホのくせに行動力あるな~~」

純「まあ、女子のみんなも色々と思う所あるかもしれないけどさ……見本の服を見てから決めても、遅くはないんじゃあないの?」

「うーん、まあ、そうだけど……」

「え?純ちゃんが作ったの?……マジ?」

ザワザワ……

純(……っていうか、メイド喫茶に決定しなかったら、この服作った『バイト代』出ないって言われてんのよ~~ッ!お願いだからメイド喫茶にして!)ギリリッ

「おーい吉岡ァ。それでその、メイド服はどこなんだよ?その制服の下着込んでんのかァ?」

純「バ~~カ!私がんな服着るかッ!おーいモデル!出番よ!」

……シーン……

純「……モデル?……静?」

純「……えーっと、ちょっと待ってね」

ガラッ

『……静、何してんの』

『ちょ、ちょっと待って純。これスカート短くない?アンタ本当にサイズ測って作ったんでしょうね?』

『うっせぇなーッ、普通だ普通!いつもあんたミニスカでしょうが。はやく入りなさいよ面倒くさい』

『なんでこんな事……ありえねーっての……』

『いい?さっき指示した通りの台詞言うのよ』

『マジぃ?オーノーだズラ。あたしもうおしまいだズラ……こうなりゃヤケよ、くっそ~~……』

ガラッ!

静(メイド服)「お……おかえりなさいませェ――……――ご主人、様?……♡?……」

ズギャア――z__ン♡

「……」

「……」

「……」

「「「UOOOOOOOOAAAAAAAAA――ッ!!」」」

「「「きゃああああああああ――――ッ!!♡♡♡」」」

静「ひっ!?」ビクッ!

「マジか……やりやがったぜ、虻村の野郎~~ッ!!」

「写メ!写メ!俺メイドとか初めて見たッ!!」

「かなりレアだぜ、静さんのメイド服とかよ~~ッ。思ってたより露出はねえが、清楚な感じでいいな!」

「おめーっ何期待してたんだよ、バーカ!」

オオオーッ!!

「わーっ!思ってたより可愛いじゃんッ!フリルとかついててさァ~~!メイドっつーか、『お姫様』って感じィ?」

「こーいうのならアリッ!全然アリよッ!胸元あいてたらアウトだったけどォォーッ」

「デザインしたの吉岡さんなの?マジ?センスヤバッ!マジヤバッ!」

「っていうか、何?これ作ったの?ほへ~~……売ってるモンよりレベル高くない?訳わかんねーッ」

キャピキャピーッ♡

静「……えーっと、アレ?……あの、みんな?」

委員長「えーっと、それでは……僕達のクラスの出し物は、『メイド喫茶』という事で……いいかな?皆?」

「「「「「異議な――しッ!!」」」」」

グォォオオオォォォ……

純「フン!当然よ……この私のデザインなんだからね!」どやっ

静「……え、マジ?却下じゃないの?…………マジで、やんの?……ええー……」

ワイワイガヤガヤ……

…………

今回はここまでです。
日が空いて申し訳ないです……

ASB双馬のGHAは「双葉双馬は静かに暮らしたい」を元に

1「くらえッ!」ほんの一瞬ムービーで紙飛行機飛ばし
2「……今のが……僕の最大級の『攻撃』さ……」紙飛行機は画面外に消えて戦闘続行
3それから1分もしくはタイムアップ寸前になると突然ムービーが入って「ドラァッ!」
4「遅いぞ、静。」「悪かったわね。」背中合わせで並び立つ二人
5ドラドラryペラペラry
ドッ――
ペッ――
ラアアアアアアアアアアアアアアああああァァァァァッッッ!!!!
6「言っただろう?この『紙飛行機』は……僕の最大級の『攻撃』だって、な……!」二人で決めポーズ
7「ノリで殴っちゃったけどこいつ誰?」という声がフェードアウトしながら通常戦闘画面に遷移

みたいな想像してた
ポーズは支援絵を参考に

DIO(静邂逅時)「ジョセフの養子とか言ったな…ならば他の女よりも
少しは上等な糧だろうか?」

DIO(静敗北時)「ジョースター共ですら我が敵ではないというのに
まして小娘、その血筋でない貴様などッ!!」

ジョナサン「精神を受け継ぐのに血筋なんて関係無いよ
静、君も立派なジョースター家の一員さ」

寝る前にとっておきのを一つ

対リサリサ①「おじいちゃんのお母さんだからアタシのお祖母ちゃん…って、あれ(・_・?)」
対リサリサ②「怖い…とてもじゃないけど、お祖母ちゃんなんて呼べないッ!」 。

リサリサ「別にどう呼んでくれても構わないわ。私の孫なんだから」

…………

トンテンカーンッ

「おいッベニヤ足んねェーぞッ!こっちよこしやがれッ」

「バカッ!オメーッなんでそこ『ピンク』なんだよォ~~ッ!『白』だろッ!シックな感じにすべきだろッ!」

「うるせ~~な~~ッどーだっていいだろうがッ文字の色なんざよォー!周りにハートマークとかあるし、ここはピンクだッ!メイドの色はピンクッ!」

「なあ、ここ釘打っていいのか?いいんだよな?いいっけ?」

トンテンカーン……

ザワザワ……

広瀬川「……で、原価なんだけど、コーヒーがまとめ買いでこの値段なんだね?」

委員長「そう。それで、去年のぶどう祭の客数データがこれだ。あと去年に喫茶店を企画したクラスの売上データも。そこから計算して、余裕をもってこのくらいは仕入れておきたいんだが……」カリカリ

「コーヒーだけで結構いくもんっスねェ~~ッ。やべえんじゃあねえのか?他のメニュー全部含めたらよーッ」

委員長「そうだね……ケーキやその他ドリンクを含めて……今現在の布代とベニヤ、塗料代なんかのも入れると……」カキカキ

委員長「……こうなるか。多少増減はするけど」

「うげ、予算ギリ?マッジィ?やべぇ~~……どうするんだぁ?追加で服とかベニヤとか購入したらさァ~~」

「こんなギリだと打ち上げも出来ねえぜ……シケてんな~~。チェッ!」

虻村「おいおいおいおいおいおいおいィ――ッ。ザけた事言ってんじゃあねえぞぉこのスットコドッコイ!」ザッ!

「あ。アホが来た」

「アホだ。アホ村だ」

虻村「聞き捨てならんぞ、おめーらッ。これを見てもンな事言えるかよ~~ッ?」

ピラッ!

「!……そ、それ……」

「え、カネ?マジモン?万札?」

ザワザワザワ……

虻村「これでジャンジャン買ってくりゃあ問題ねーだろ?どーせなら男子の服も作ろうぜッ!『執事服』をよォ~~ッ」

オオーッ……

「虻村がマジだぜ……こりゃあ『降る』んじゃあねえか。『雪』とか『ヤリ』とかよ~~。ヘヘッ!」

「どこで手に入れたの、このカネ。降ってきた訳じゃあなさそーだけど」

「なんか虻村が男らしいぜ……ケッ!帰り道コケろッ!」

虻村「ギャッハッハッハッハッハ!ほれ、頭が高ェーぞッてめえらッ。もっと敬いやがれッ!」ヘヘーンッ

委員長「あー……ゴホン!オホン!エヘーン!……虻村クン?そーいうのは原則、認められてないんだけど」

虻村「えッ?は?マジか?んな事聞いてねーぞッ俺ゃ!」ワタワタ

委員長「……ハァー……」ヤレヤレ

広瀬川「あ、けど委員長。他のクラスは『カンパ』で予算を増やしてる所もあったよね?たしか、演劇の木のセット作るのに足りないからそうしたって聞いた気が……『気』ね。『気』」

「本当!?康司くん!じゃあーあたしらのクラスもそれしようよッ!」

「一人頭1000円でも集めりゃあ数万円にゃあなるか。それと虻村の軍資金合わせりゃあ結構余裕あるぜ~~」

「あ、じゃあ私今からカンパ集めてくる!」

ガヤガヤ……

委員長「……虻村君、この金って……」ヒソヒソ

虻村「おう、もうちっとばかり増えるかな~~。あとD組のヤツと、二年の先輩とかにも『持ちかけて』っから……っとォ!ウワサをすりゃあ来たな……」

スタスタ……

D組男子「……」

虻村「ホイ!俺の言った通りだぜ~~。ウチのクラスの出しモンは『メイド喫茶』!俺の言った事は正しかったなァ~~ッ?」

D組男子「チイ……絶対ィありえねーって思ったのによォ~~……マジにお前らやる気かよ?メイド喫茶?ハッ、馬鹿なんじゃあねえか……」ブツブツ

虻村「んな事ァどーでもいいぜ。で、お前言ったよな?確かよォ~~……メイド喫茶なんか出来る訳ねーッ、もしマジモンでメイド喫茶やるんなら……」

D組男子「わかってるよ、クソ!ほら……持ってけクソヤロー」サッ

虻村「ニョホホホホホホホ……毎度ぉぉ~~ン♡」ニヤニヤ

委員長「…………ハァ……」

広瀬川「え……い、委員長?あれって……『賭……」

委員長「僕達は何も見ていない。……い い ね ?」

広瀬川「……」コクコクコク

ガヤガヤ……

カンカン!

「手ェ空いてるヤツいるか?女子ィーッ!誰かどっかから画用紙もらってこれねえか?」

「あーッ!そこ!その看板はあたしらが飾り付けやるわよッ!キタネーッ飾り付けすんなッ!」

「おい、経営部門からもう数人こっち回せねえのか?委員長一人いりゃあなんとかなんじゃあねーのかよッ」

「頭脳労働ナメんなテメーッ。それに今からカメユー行って安く仕入れられねーか交渉すんだよ。おめー交渉出来んのかッ」

「あっちぃ~~……水!誰か飲みもんくれーッ!」

ガヤガヤガヤ……

静(メイド服)「へえ~~ッ。なんか結構、店っぽくなってるじゃあないの。ただの空き教室なのにさ~~」ポケーッ

カタカタカタカタ……

純「設計図はこれの通りね!書いてある通りに布切って、縫い合わせて!ミシン使えない子はこっち集合ーッ。手縫いで仕上げ作業教えるからッ!」

「純ちゃァ~~んッ!あたし、ここッ!ここの縫い方わからないナリィィ~~ッ」

「ここってさぁ、まつり縫いでいいの?あたしこーいうの全然わかんなくてェ~~」

純「こっち来て。教えるから!ミシンも手縫いも自信ない、静みてェーなのは男子の手伝いとかやってあげてねーッ。……まァ~~そんなヤツ、静くらいしかいねーだろーけどッ!」

静「純、静ちゃんを怒らせると怖いわよ。プリプリ」

静「っていうかさ、純。アンタが裁縫上手いとか、ちょっと意外」

純「別になんも意外な所ねーだろッ。女子として当然ンンーッ。これが私の『女子力』よ」

静「料理出来ないジャン。あたしより下手ジャンッ」

純「バーカ。本気出しゃあ料理だって楽勝よ、ラクショーッ」

静「嘘ぉぉぉぉおおおお~~ン?」

純「まあアレよ、昔っから親父に暴りょ……ケンカとかしてたからさ。それでよく服破いてたから、それ直すのでさ。……そんだけの理由よ」

静「フ――ン……まあ、それでも上手いわよね……マジで」ピラッ

純「破るなよ、汚すなよ、傷つけんなよ。試作型とはいえ本気出して作ったんだからな、それ」

静「いや、それは気をつけるけど……んー……」クイクイッ

純「何、文句でもあんの?超かわEーじゃん。似合ってる似合ってる」

静「文句っつーかさ~~……なんか、キツいのよ。サイズ」

純「は?……何、アンタ太ったの?軽いサイズ合わせくらいならやったげるけど……コーラ飲むのやめりゃあいいだろ」

静「いや、その……」

純「何?」

静「……キツいの、胸んところ……」グイッ

純「……」

静「……」

シーン……

純「…………静、何ヘンな見栄張ってンの」シラケーッ

静「見栄じゃあねーっての。リアルにトゥルーよ」

純「言っとくけどさぁ、私これでも眼は良い方なのッ。長い事一緒にいるテメーのサイズ見間違う事なんかねーわよッ!オメーはAAだッ!ヒンソーサイズッ!」

静「んな事言ってもキツいモンはキツいってのーッ!ギチギチよっ!?今にもはち切れそーだわッ!」

純「……ちょいと静、アンタ、服脱げ」

静「頭沸いてんのかこのノータリン。男子いんじゃん」

純「……詰め物か?詰め物してんのか?」

静「してる訳ねーだろ~~がよ~~。そんッなにあたしの胸苦しいの変か」

「二人ともォ~~ケンカとか駄目だよおっ!めっ!」

純「あーあーあー大丈夫。ケンカとかじゃあねーから。……静」

静「何?」

純「……一瞬、揉むよ」ワキワキ

静「待って、揉んでわかんの?メジャーではかるとかは?」

純「脱ぐのか?それとも脱がすか??私はどっちでも良いが」

静「……ちょい心の準備、OK?」

純「オッケー、1分以内な」

静「……スーッ、ハ~~ッ…………」

純「……」

静「……コオォォォォオオオ……」

純「……あと30びょーう。にじゅーくー、にじゅはーち、にじゅなーナッ……」

静「よーし……カマン、純。Come ON」パンッ

純「遅えよバーカ。……おいそこ男子ッ!オメーらこっち見てんじゃあねーぞッ!手ぇ止まってんだよッ!」

静「見せモンじゃあねーってのッ見せモンじゃあ~~。変態かッ!」

純「んじゃ、失礼するわよ」スッ

静「どんと来い」

純「……」スーッ……

もみっ♡

静「……」

純「…………」モミモミ

静「……」

純「…………」モミモミモミモミ

静「……純?」

純「ちょっと黙ってて」

静「え、あ、うん……え?」

純(……確かに、この触り心地は詰め物だとかじゃあねーっ……肉だ……マジモンの肉だわ……)モミモミ

静「……あの、ちょっと……くくっ!……くすぐったいんだけど……ヒヒッ!」

純(……けど、これ……もしかして、ひょっとして……?)モミモミ

静「あのー、純?いい加減もういいんじゃあねーのォ?ち、ちょっぴり恥ずかしいっての」

純「……静、アンタこれさ」

静「え、何?思ったより胸あったとかァ?けっこー馬鹿にしてた?」

純「……胸っつーか……『筋肉』じゃあないの?」

静「……」

純「……」

静「……へ?」

純「ねえ、これ筋肉よね?ね?」

「どれどれ?……うわ、何これっ!?キャー!!すごっ……どうなってんの?」フニフニ

「なになにー?あたしも触りたーい!」

「うわー、格好いい……何食べたらこんなのなるの?肉?」

「ひゃ~~ッ、これちょっと!抱かれたい女第一位なれるよ!アハハハハハハ!!」

キャーキャー!

静「…………し……」ボソッ

純「し?」

静「死ぬわ……あたし、もう速やかに死ぬわ……あたしは透明人間よ。存在感ない透明の……」ブツブツ

純「あーあーあーあー悪かった。悪かったわよ……胸、ある!AAからA……いや寄せて上げればBあるからっ!格上げッ!私が思ってたよりはおっぱいあったわよ……だからんなヘコむなよなァ~~ッ。よーちよち」ナデナデ

「キャーハハハハ!ごめんってェェ~~静ちゃん!けど筋肉すっごいのはマジよ?」

「逆に羨ましいけどなァァー。どうやったらそんな痩せられるのォ?格好いいよーッ」

「泣かないでよ、静ちゃァァーんッ。腹筋なーでなで」ナデナデ

静「ひっくひっく。えーんえーん」エグエグ

純「うわー、アンタってマジに泣き方ヘタクソなのね……泣き落としは無理だわ。女子力マイナス60てーんッ」

静「あたしの女子力差し引き140点ね」

純「マックス200点スタートかよッ」

静・純「「アハハハハハハハハハハハハハハハ」」

ドタドタッ

「おーいッ!女子ン中でよ~~、今暇なヤツいねえか?ヒマァーッ!」

純「何?デートの誘い?悪いんだけど、女子はほぼ全員服作りか、経営部門行ってるから……静なら自由に使っていいわよ」ドンッ

静「なんでよ、あたしだって服作るわよ」

純「いや、作んなくていいわよ……布がバカみてェーに無駄になるわ」

「ああ、じゃあ静さんに頼むわ。ほいコレ」サッ

静「?……なにこれ、メモ?」

「買い出しメモだよ。大したモンはねーけどさ~~、カラーの油性ペンとか画用紙とか釘とか。ホームセンター行ったら全部売ってるだろ~~からよォ~~。一つ頼むわッ!」シタッ!

静「ホームセンター?それってあの、結構遠くない?……って!オイ!ちょ、……まだ話途中じゃあないの!?……うわ、行きやがった。あの野郎……!」

純「丁度いいわ。静、パン買ってこいよ」

静「高ェーわよ~~。1000円くらい取るわ」

純「へーそう。そりゃあ面白いわ……リアルに大爆笑。腹筋崩壊。崩壊しすぎてお腹すいたから、早めにな」

静「人使い荒いわよね、マジに……買い出しってのも超荒いわ」

純「他のみんなは準備で忙しいからね……ちっとはアンタも役に立ちなさい」

静「ィYA~~ッ……」ノソッ

テクテク……

静「えーっと、何々……ペン、画用紙、釘、ベニヤ一枚に接着剤ィ?一回限りのお祭りに、かなり投資するわよね……」テクテク

ガヤガヤ……

静「……他の所も結構買い出しで外出てんのね。けど変な服着たまんま出なくっても良さそうなモンだけどォ~~……あ」ピタッ

静(マッズぅ~~っ……メイド服、着たまんまだったわ、あたしィ。……変かな?いやけど他の所も仮装とかしたまんまだし……ただの服なブン、まだマシよね……たぶん)

お爺さん「……お嬢ちゃん、そりゃ~~あれかい?最近流行っとるのかい?」ヒョコッ

静「へ?……あー、まあそんな所です。学園祭で……」

お爺さん「んーんーんー!いいのぉ若いってのは。ワシもあと5年若ければ……ヒョホホホホホホホホホ!」

静「……50年の間違いなんじゃあないの?……あ、文化祭、良かったら来て下さいね。喫茶店やりますのでー」

お爺さん「そりゃあ~~いいのォ~~。渋ーいお茶が出れば最高なんじゃが……ヒョホホホホ!オヒョホ!ゲッホ!エホエホ!」

静「……よろしくお願いしまーす」ペコリィ

テクテク

ガヤガヤ……

「子供に大人気、わたあめ屋!東棟一階でやりまーす!お面も販売しますので、よろしくお願いしまーす!」

「3年A組の超絶焼きそば!前売り券どうぞーっ。前売り券なら大盛りと普通盛りが同じ値段です。ウホ!こりゃあお得ぅぅぅうう~~ッ!」

ガヤガヤ……

静「なぁ~~るほど。買い出しをかねて宣伝か。あたしも本気でそーしよっかな……けど一人は恥ずかしいか」

テクテク

静「本当、杜王町が1つになって楽しむお祭りなのね……」

スタスタ……

双馬「……あ」

静「え?」

バッタリ

静「なんだ、双馬か。何?アンタも買い出し?」

双馬「ああ、そうだが……静、お前何だそれ。お前の私服ってそんな趣味だったか?」ジトッ

静「違っ……出し物よ。文化祭のッ!考えりゃあわかるだろーがよーッ」

双馬「着替えてから出てこい、着替えてから。『私はバカです』ってプラカード掲げて町練り歩いてるもんだぞ」

静「ちょっと言い過ぎなんじゃあないのォ~~?ケエーッ!」

テクテク……

静「双馬、アンタ何買うの」

双馬「色々だ。そう大したモンは買わないが……こうやって買い出しに出りゃあ、外でゆっくり出来るしな。ドーナツでも食いながら」

静「うっわ、性格ワルぅ~~ッ。そーいうのクラスで嫌われるわよ。ぼっちねぼっち」

双馬「クラスでは上手いこと取り繕ってるさ。お前と違ってな……なんだお前、ホームセンターに行くのか?」

静「なんかベニヤ板とか買ってこいって言われてさ……あ、もしかして運ぶの手伝ってくれんの?」

双馬「スタンド使えばいいだろうが。僕はツメの先一枚だって手を出さない」

静「チェッ。楽しようと思ったのにな~~……ドーナツ一個ちょうだいよ」

双馬「ん」スッ

静「サーンキュ」パクッ

静「で?双馬ん所は何すんの?文化祭」モグモグ

双馬「くだらないものさ……杜王町の歴史とか、そーいう感じの……パネルにレポート貼ったり、昔のお祭りで使われてた衣装なんか再現して展示したり」

静「そういうのってさあ、どの層に向けて作ってんの?貴重な休日のお祭りン時にわざわざ歴史の勉強とか、やりたいヤツいる?」

双馬「さあな……どーせ客なんざ全員高校の方行くだろ。こっちも見張りを一時間交代とかで立たせて、あとは出店を楽しむさ……どの層だろうが、客なんてどうでもいい」

静「アンタがその昔の祭りの衣装着て、腰振りダンスでもしたら客来るんじゃあないのォ~?」

双馬「そりゃあいいなーッ。だったらお前がやれ」

双馬「だいたい、僕はこういう行事は苦手だ……『一致団結』とか『力を合わせて』とか、歯がガタガタ浮くぜ」

静「そう?あたし好きだけど」

双馬「……」ジロリ

静「っていうか……あたし、この町が好きなんだと思う。……この、杜王町が」

双馬「……そうか」

静「この町は、あたしの産まれた町で……ここで育った訳じゃあないけどさ、なんだか凄く、安心するの。この町並みが、空気が、人々が、あたしの心に染み渡る。クラスメイトもみんな杜王町民で、みんなと話すとウキウキする。なんてことない日だけど、それがあたしはすっごく好きなの」

双馬「……」

静「あたしは杜王町を愛してる。……だから、守るの。ジョースターだからじゃあない。『あたし』だから。あたしが、あたしとして、守るの」

双馬「……そうだな。だが、まずは……」

双馬「杜王町民として、ぶどう祭を成功させないとな。……静、スカート破れてるぞ」

静「え!?ウソ!……げ!え、マジィ?」

双馬「どこかで引っ掛けたか?……それ、文化祭で使うんだろ。大丈夫か、それで」

静「うー……純に怒られるかな、これェ……ううーっ……」



――『ぶどう祭』の日は近い。

…………

今回はここまでです。

乙!
エルメェス兄貴にもπはあるってのに静ときたら……
コンプレックスは人間の成長にも影響を与えるというが、承太郎やジョセフ、仗助を理想のジョースターの方向として目指していたとしたら、ガチムチになってくるのも仕方ないのかもね

それにしても
>静「ドーナツ一個ちょうだいよ」
>双馬「ん」スッ
>静「サーンキュ」パクッ
このやりとりだけでこいつらがどんだけ仲良くなってんのか完璧に表現してて凄いと思った
そして俺のなかでいよいよ双馬が死ぬ予感が高まってきた

…………

『文化祭シーズン到来!』

ガヤガヤガヤ……

毎年10月、ぶどうヶ丘高校と中等部合同で行われる『ぶどう祭』は――
町の人たちにとって例年の楽しみであり、この日には仕事をお休みする人も多いです。
この時期のこのお祭りにはお楽しみがいっぱいです。

そう……『お楽しみがいっぱい』……

「いらっしゃいいらっしゃーい!焼きそばいかがっすかー!」

「1時からグラウンド特設会場にて、あの人気お笑いコンビがやってくる!軽音部のライブもやります。よかったらァァーッ」

「体育館で演劇やります。『ロミオとジュリエット』ォーッ!一年A組をヨロシクお願いしまぁ~~す!」

ガヤガヤガヤ……

???「…………フン!」

あいつにとっても、きっと『お楽しみがいっぱい』……

ウォーケン「『ぶどう祭』か……下らねェェ~~ッ。ヘドが出るぜ。『S(エス)・P(ピー)・E(イー)・W(ダヴリュー)』。SPEW(ヘド)だ。オエェーッてな。こういうの見ると……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ウォーケン「壊したくなるね、メタメタに……」

ザッ

…………

…………

「「「おかえりなさいませェェ~~ッ!ご主人様ぁぁー♡」」」

キャーッ!

ガヤガヤガヤ……

「コーヒーお淹れしましたァ♡ご主人様ぁ♡」

「オレンジジュースですね!すぐお淹れしまーす!」

バタバタバタ

委員長「広瀬川君!コーヒー3つだ、すぐに!虻村君、何遊んでいるんだい?ケーキ切ってくれ、ケーキだ!クッキーでもアイスでも無いぞ!予想してたより客入りがすごい!」

虻村「遊んでいる訳じゃあねーぞッ!ヒーッ!こりゃあウレシイ悲鳴だぜーッ!」

広瀬川「こ、コーヒー3つ!?もうペットボトルが1ケース空になったよ~~」

「あのォ~~ッ、写メ一枚いいっすかァァーッ。超ッ!超超ッ!可愛いんだものォォォ――ッ」

大林「あ、ゴメンナサーイ。写真は一切お断りしてるンすよ。拡散とか怖ェーしィー。代わりに2SHOT写真撮りますよ。ポラロイドで。一枚500エンっす~~」

「カネ取んのかよッ!ま!いいィ~~けどォォォーッ。一枚頼むわ!そこの子と一緒に」

大林「毎度ありーっス。マイドマイドッ」

ガヤガヤガヤ……

静「うへ、すげー人ね……こりゃあグレートだわ」コソッ

純「静、オメーも働けッ!裏方引っ込んでないで、ほらさっさと出ろッ!」

静「……」ジロリ

純「……あ?何よ、その目はァァーッ」

静「いや別に……メイド服すら着ずにスマホいじってるアンタに言われたくないなーとか、そんな事ぜーんぜん、全く思ってないしィ~~」

純「ハンッ!悪ィーけどそんなバカみてェーな格好する気になんないのよ。私の仕事はメイド服作るので終わってんの。今日はゆっくり出店巡りするのらァー」

静「そーいう御託はいいからさ~~、さっさと服着て働きなさいよ」

純「ああ、そもそも私、自分の分のメイド服作ってねーのよね……だから本当、働きたくても働けないっていうか~~……いや実際、自分の分のメイド服あったら働いてたわよ?マジに。けどそんなもん無いから、私は仕方なく出店巡りすんの……おわかり?」

静「……」ムスッ

「あ、純ちゃんのメイド服だったら、あたし作ったわよー」ヒョコッ

純「……は ぁ?」

「ほらッ!純ちゃん自分の分作り忘れてるなーって思って!あたしコッソリ作ってたの!一応手芸部だし、ちょっぴり純ちゃんに似合うよーにアクセント加えたわよッ!胸のあたりとかセクシー♡でしょッ!?キャー!」

純「…………」

静「ナーイス、ミッちゃん(アダ名)」

…………

…………

静・純「「おかえりなさいませェ~~♡ご主人様ァ――!!」」

ギャ――ン♡

純「……なんだこれ、死にてェー……なんかもう飛びたいよ~~窓から飛び降りたいよォ~~」ブツブツ

静「ブツブツ何言ってるか聞こえねーぞィ~~っ。あたしの目みて話せェーイ」

純「……」ギロリッ

静「おっと、殴んのはナシよ」ササッ

純「今日さ、最下位だと思うのよね……『牡羊座』。アンタ占い見た?何位か知ってる?」

静「さあ……5月産まれの牡牛座は一位だったわよ。『友達の事をもっと深く知るチャンス!』だってさ。確かに、アンタのメイド服が結構似合うってェー事知れたのは、良い事かもね……」

純「……今度から牡羊座も見とけ。私4月産まれだからな」

静「自分で見なさいよ、自分で……あたしはA型の運勢も見ないといけないんだから」

委員長「おーい二人とも!何しゃべっているんだい?静さん、2番テーブル付いてくれーッ!」

静「はいはーいっ」タタッ

静「……えっと、大変お待たせしました。ご主人――……」

仗助「……」バン

億泰「……ププッ」ババン

那由他「……わーっ……!」バババン!

静「げ」ギクリ

仗助・億泰「「ギャァ――――ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」」

那由他「お姉さま、似合ってますっ!すごくッ!」

億泰「ブワハハハハハハー静この野郎~~すげー格好じゃあねえかーグワハハハハ――馬子にも衣装だなァ~~~~!!」

仗助「ちくしょう滅茶苦茶おもしれェーじゃあねーか!喫茶店って聞いてたけどこんなんやってんのかー!!」ドワハハハ

億泰「ギャハハハハハハハハハハハハハ!ヒーヒー」バタバタバタ

静「……~~ッ……!」プルプル

仗助「イイッ!こりゃスゲーイイッ!」

億泰「ああ~~くるヒィィィ~~~~は……腹イテェーよォ~~~~」

静「な……何しに来たのよ。仕事は?」

億泰「うちは今カミさんが店やってる。午後から交代だ。那由他をぶどう祭に連れて来たかったしな~~」

仗助「大学は今日休みだぜ。そもそも世間一般は休日だ……ところでよォ、静ァ~~」

静「……何よ」ムスッ

仗助「ほらッ!おれこーいうの、詳しくねーがよォ~~……テレビで見たんだよな。こう、来店したお客様によ、言うべき台詞あるんじゃあねーのか?」

静「……」

仗助「……」ニヤニヤ

億泰「……」ニヤニヤ

那由他「……」キラキラ

静「……おッ……」

静「……おかえり、なさい……ませェ~~……♡……ご、ご……ご主人、さま……♡」プルプル

億泰「ブワアッ――z__ギャハハハハハハハハ」バタバタバタ

仗助「可愛いぜーッ静ッ!ヒーッ!ヒーッ!」ドンドン

静「…………」ピクピクピク

静(『殺す』ッ!このクソオヤジどもッ……絶対に、帰ったらブチ消して、殺してやるから~~ッ……!!)ゴゴゴゴゴ……

那由他「もうッ!パパ!じょーすけさんッ!あんまり笑っちゃあカワイソーでしょッ!?めっ!」ペシペシッ!

仗助「あたたっ!イテーイテー!叩くのはやめてくれ那由他ちゃんッ!おじさんが悪かったからよ~~!」ワハハ

那由他「お姉さま、あたしはすっごく似合ってると思います!可愛いですよすごく!あ、写真とっていいですか?」サッ

静「あー、いや、写真はダメって決まりなんだって。お父さんにお願いして、あそこにいる暗ーい顔したお兄ちゃんに言って撮ってもらって」

大林「聞こえてるぜー、静ッ!ケーッ、これでも俺ァモテるんだぜ?」

那由他「うう、残念です……このカメラでとりたかったのに」

静「わ、何それ、デジカメ?」

那由他「この前パパに買ってもらったんです!ほら、キャンプの時みたいに、みんなで遊んだ時の思い出を残したいなーって思って!」ニコニコ

静「へーっ!ちっこくってかわいーッ!那由他ちゃんみたいね」

仗助「……億泰、あーいうのっていくらするんだ?」コソッ

億泰「1万しねーよ。6、7000円くれーかな。那由他がモノ欲しがるなんて珍しいからよ~~、ちょっと奮発したぜ」コソコソ

仗助「ほー、なかなか……けどよォ億泰、オメーッパソコン使えんのか?」

億泰「バカにするんじゃあねー仗助。そこん所はちゃーんと!……カミさんにやってもらってる」

仗助「」ガクッ

静「じゃあ、後で一緒に文化祭周る時とかに撮ろおっか!那由他ちゃん」

那由他「本当ですか!わあ――♡」キャッキャッ

仗助「静、何時まで働くんだ?」

静「午後からは別の子と代わるわよ。それまでは売り上げに貢献すんだから……ほら、さっさと頼んでよ。メニュー。ここはお喋りするだけの場所じゃあねーわよ」

億泰「ホイーッス。えーっと……紅茶ある?『ミルクティー』」

仗助「コーヒーはあんのかよ?『カプチーノ』とかよォ~~」

静「『ミルクティー』はあるけど『カプチーノ』は無いわよ……コーコーセーの文化祭に何求めてんの」

億泰「那由他、オメーはオレンジジュースでいいな?後は――……」

仗助「おッ!見ろよ億泰」

億泰「あアン?」

仗助「『萌え萌え♡オムライス』ってあるぜ……こりゃあチト興味あるよな~~」

億泰「『萌え萌え♡』……ププッ!えーっと、『メイドさん』……プククッ!あの、このメニューはよ~~、一体どんなんなんだ?プハッ!」

静「……大量に仕入れて原価を極限まで下げた冷凍のチキンライスをチンして、古くなったタマゴを焼いたヤツを乗せたヤツ」ブスッ

純「おーい静、オメーあんま本当の事ばっか言うなよ!コラッ」

静「純、アンタはそっちのテーブル接客してて……こっち入ってこないでよ」

億泰「なんだ、そんだけなのかよ?もっとあるんじゃあねーのか?」

仗助「そーだぜ!ほら、ケチャップとかでよ~~」

静「……『ケチャップ』」

仗助「こう……ハートマークとか書いてよ~~」

静「『ハートマーク』」

仗助「美味しくなる魔法を、萌え萌えーキュン!……とかァ!」

静「お……『美味しくなる魔法』」

仗助「……やらねえのか?」

那由他「……」

億泰「……プッ……ププッ!」

静「……」

静「……や……ってる、けど」ボソッ

仗助「……」

億泰「……」プルプル

仗助「……やってんのか?」

静「……やってる」

仗助「……ハートマーク?」

静「……ハートマーク」

仗助「……美味しくなる魔法?」

静「……美味しくなる魔法」

億泰「……クククッ!ヒヒッ!も、もうダメだ……苦チィー!」ジタバタ

仗助「……まさかとは思うがよ~~……『萌え萌えキュン!』も……あんのか?」

静「…………」

静「……ある」ボソッ

仗助・億泰「「ギャァ――――ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」」

仗助「マジかッ!静、オメーッ最高ォォーッ!見てえーッ!超!見てェェ――!!」

億泰「ゲホッ!ゲホガホッ!駄目だ際限なく苦しいぜーッ!想像するだけでヤベェーッ!じゃあ、それ3つ!!」

仗助「待て億泰!オムライス3つはよ……」

億泰「?……何か問題でもあんのかよ、仗助」

仗助「……『萌え萌えキュン!』も『3回』だぜ」

仗助・億泰「「ブワ――アハハハハハハハハハハハハハハ!!!」」ジタバタ

静「……」プルプルプルプル

那由他「お、お姉さま……落ち着いて。ネッ?悪気があった訳じゃあ……ない、かな?たぶん……いや、きっと……」

スタスタ……

静「注文!コーヒー!ミルクティー!!オレンジジュース!!!オムライス!!!!3つ!!!!!」

委員長「はいはい……賑やかだね」カキカキ

静「委員長……あそこの客、追い出してくれない?」ジロッ

委員長「君の家族だろう?ゆっくりしてもらったらいいじゃあないか」シレッ

静「……消えたい……」ションボリ

…………

今回はここまでです。
次は水曜か金曜には更新します。

(ごめんなさい、更新遅れます。木曜に更新予定……です)

(リアル忙しいですごめんなさい……火曜更新予定です。おそらくたぶんきっと)

…………

ゴトゴトッ!

静「……ご注文のオムライスです」ボソッ

仗助「ああん?聞こえんな~~。もっとよォー、言うべき台詞があるんじゃあないっスかァ~~っ?」

静「……」ギロリ

億泰「おれもガキ産まれてトシ食ったかよ~~。ハッキリ大声で言ってもらえねえと聞こえねえんだよな~~ッ」

仗助「そうそう。シッカリ!ハッキリ!言ってもらわないとな~~。えっと、億泰?おれらオムライスいくつ頼んだっけ?」

億泰「えーっと!ひい、ふう……三つだな。確かに頼んだぜ、『萌え萌え♡オムライス』三つ……プッ!」

那由他「あの……もうそのあたりでやめよーよ。ね?」

億泰「那由他……パパたちはな、別にイジメてる訳じゃあねーんだぜ。ただ、これはシッカリとしたルールだからな~~。ルールに従った事やってもらわないと、店って成り立たないからな。忠告してるだけだぜ……食事のマナーみてェーなもんだな。ウン」

那由他「えっ、マナー?」ピクン

静「那由他ちゃん、真に受けないで……全然違うから」

仗助「で?静よ。オメーッ言ってくれるんだよな?例の台詞……」ニヤニヤ

静「……」ポキポキッ

静「『萌え』ッ!!」ドゴォ!

仗助「ぐほっ!?」

静「『萌え』ッ!!!」バゴォ!

億泰「げはっ!?」

静&ワイルド・ハニー「『キュ――ン♡』!!!」

ドッグォォオオン!

仗助・億泰「「うだらば――ッ!?」」

ドグシャアッ!!

那由他「あー……」

ドバギャアッ!

「うおーっ!?何だァッ!?ここのメイド喫茶は注文してもいねーオッサンがふっ飛ばされて運ばれてくんのかーッ!?」

静「申し訳ありませーん、ご主人様ァァーッ。ちょっぴりドジこいちゃいましたー。あたしの可愛さに免じて許してね♡」バン

仗助「き……効いた……久々に殴られんのはクラクラきたぜ……」フラッ

億泰「うぐぐ……仗助、鼻血出た……治してくれ……」ヨロヨロ

静「あ、兄さんその前に、ブチ当たった拍子に机の足折れたから治してね。ほらさっさと立つ、立つ」

仗助「オメーは兄貴使いが荒いんじゃあねえのか?チックショー……」

ガヤガヤガヤ……

純「ったく静のヤロー、他のお客もいんのに暴れんなっつうの……あ、申し訳ございませんご主人様。あちらのメイドがノータリンでやかましくって……」

噴上「いや、構わねえよ。あいつらがやかましいのは昔っからだ。……えっと、純ちゃん、だったか?」

バン!

純「?……あ!えっと、キャンプん時の……オッサン」

噴上「噴上裕也、だ。オッサンはやめてくれ……傷つくぜ」

アケミ「うんうん!裕ちゃんはまだまだ若いよネッ!けど気をつけないと、最近お腹タルんでるわよ?」ニコニコ

噴上「余計な事言わなくていいんだよ、アケミッ!っていうかお前、何コーヒー飲もうとしてんだ」

アケミ「え?ああ、間違えちゃった。こっちは裕ちゃんのね」

噴上「腹ン中のガキに何かあったらどうすんだッ!!テメーは牛乳でも飲んでろッ!」バッ!

純「……あー、えっと……奥さん、ですか?」キョトン

アケミ「どーも~~ッ。裕ちゃんの妻のアケミです。あなたが純ちゃん?話は聞いたわよー。想像以上にカワイイッ!」

噴上「どォーしてもぶどう祭に行きたいっつってな……ちょっとだけ足運ぶ事にしたんだよ。邪魔するつもりはねーから安心してくれや」

純「あー、いえいえ。どうぞごゆっくり――……」

「「裕ちゃ――ん!」」

純「……ん?」クルリ

レイコ「裕ちゃん、久しぶりーっ!」ガシッ!

ヨシエ「久しぶり、裕ちゃァァア――ん!!」ヒシッ!

噴上「おうおう、よく来たなお前らー」ヒシッ

アケミ「ヨシエ!レイコ!」

ヨシエ「レイコ!アケミ!」

レイコ「アケミ!ヨシエ!」

三人「きゃ――♡!!」ピョンピョンッ

噴上「おいアケミ!暴れんじゃあねえぜッ!それにレイコ、おめーっ確かガキ産まれたばかりじゃあねーのかよ、三人目のッ!ガキはどーしたガキは」

レイコ「今日は旦那に預けてんの。久しぶりに裕ちゃんに会いたくって!♡」

噴上「ったくよ~~、変わんねえなお前は」ハァー

ヨシエ「ああ……裕ちゃんだ。久しぶりの裕ちゃん……変わらないわね、裕ちゃん……」グリグリ

噴上「ヨシエ、オメーも元気そうだな。旦那はよくしてくれてんのか?」

ヨシエ「……うっ、うっ……!」ポロッ

噴上「?……ヨシエ?」

ヨシエ「駄目……駄目なの、裕ちゃん。旦那はよく働いてくれるし、カネもある。あたしに贅沢させてくれる……けど、『愛』が無いの……あたし、やっぱり裕ちゃんの事が……!」

噴上「おい、やめろヨシエ。おれァーしがない時代遅れのバイクショップ経営者だ。テメェーの旦那にゃあ逆立ちしても敵いっこねえぜ」

ヨシエ「それでもいいのッ!やっぱり裕ちゃんは、いつの時代でも格好いい……裕ちゃんの事を思うだけで、心があの頃に戻るの。裕ちゃん……」

噴上「……ヨシエ……」



純「……あのォ~~……よそでやってくれませんかね?」オエーッ

仗助「おっ?裕也じゃあねーか。オメーも来てたのか」

億泰「ああん?裕也ァ~~?」

噴上「チッ、おめーら空気読め。今日はプライベートなんだよ。シッシッ」

那由他「わ。なんだかキャンプの時みたいですね!」

仗助「そう言われてみたらそうだな~~。おい静、早人のヤツはいねーのか?」

静「あー、たぶん学祭の見回りとかやってると思う。廊下歩いてたら出会えるんじゃあない?」

億泰「大変なもんだな、センコーってのもよ~~」

仗助「ふーん。どーせだったら全員集めようかと思ったがよー」

噴上「全員っつっても、康一のヤツがいねーじゃあねえか。あいつどうした?由花子にベッタリか?」

仗助「あーいや、康一は今仕事でブラジルかどっかだ」

億泰「『ブラジル』ぅ~~?どこだ?そこ」

那由他「日本の裏側だよ、パパ」

静「あー良かった。那由他ちゃんがお母さん似で」

億泰「おい、どーいう意味だ?静?那由他はおれに似てパッチリおめめだろーが」

那由他「うん、似てるってよく言われるよね。パパ」

静「……あー、ウン。そういう事にしとこっか」

噴上「で、何だ?ブラジルってよ。スタンド絡みか」

仗助「らしいぜ。サンパウロにスタンド使いが現れて、殺傷事件起こしてんだってよ。年寄りらしいが、相当腕が立つらしく、マフィアやらギャングやらが殺されてる。……普通の警察とかにゃあ捕まえられねえからな。スピードワゴン財団が動く事になった」

噴上「フーン……財団に属してるスタンド使いは大変だな。他にいねーのかよ」

仗助「ジャンケン小僧の大柳は、試験受けたけど落ちたんだっけか」

億泰「あいつサッカーやってばっかだったからな~~。せっかく試験前に康一が勉強教えたっつーのに」

噴上「大柳?今は体育教師やってんだろ?」

仗助「そうそう!『身体動かすの得意だし、保険体育だったら満点取れるぜ!!』とか言ってよ……プッ!」

仗助・億泰・噴上「「「ぎゃははははははははははははは!!!」」」

静「……」シラケーッ

純(あー、こういうノリ苦手だわ……抜けだそうかな……)

ガラッ!

静「ん?あ、おかえりなさいませェー。ご主人……」

シーラE「失礼(し・トウ・れい)ィィィィィ~~。来てやったわよ。静ちゃん」スイッ

フーゴ「へえ、これが学園祭か。なかなかスゴイな……」

バン!

静「あ!シーラEさん!フーゴさん!!」

シーラE「へええ~~……ウン、なかなか可愛いジャン。いいわ、イケてる。スカートのフリルが可愛いわ」ナデナデ

静「本当に来てくれるとは思ってなかったです。LINE、返信してくれないし」

シーラE「悪いわね、日本語読み書きするの苦手なのよ。アンタの文章かなり誤字多いし。とりあえずこの日学校でイベントあるのはわかったから、来たってだけ……ムーロロのヤツに電話で言ったら、羨ましそうにしてたわ。フフン」

フーゴ「最近は追跡も煮詰まっているしね……たまには息抜きも必要だよ」

静「とりあえず、こっちの席へどうぞ。……あれ、席空いてない?」キョロキョロ

シーラE「ああ、ゆっくりでいいわよ。フーゴにでも座って待ってるわ」

フーゴ「え?ごめん聞こえなかった。なんて?」

バキ!ドガ!ビシ!

純「おい静……お前変な客連れてくんなよな。あの二人もスタンド使いか?なんか小競り合いしてるわよ」

静「まあそんな所。けど別に変じゃあねーっての。ただのギャングよ」

純「は あ ?」

静「それよりさ、これ客どーなってんの?ギュウギュウ詰めじゃん。エラい事なってない?」

委員長「……その通りだよ……」ヨロッ

静「え?委員長?」

委員長「男子総出でドリンクやら食事メニューやら作ってたけど、ここに置いてたのが全部なくなった。今からちょっと四階までコーヒーとか取りに行ってくるよ」

静「ああ、あたし達の教室に在庫置いてんだっけ?……しかし遠いわね」

委員長「結構忙しいだろうけど、スキを見つけて休憩とか取ってくれよ。この分だと昼時にはもっと凄くなるから……」

純「あ、じゃあ私行ってこ」シレッ

静「は?え、純?」

純「じゃ!頑張ってネェ~~静ッ」ヒラヒラ~

静「え、ちょ、待――……」

ガラガラピシャンッ!



純「……フ~~~~ッ……!」

純(あー助かった……マジで人多すぎるわ。そもそも私はメイドやるつもりなかったっつーの。後はもうゆっくり一人でブラブラ学祭楽しもう……)

ガヤガヤ……

純「……ん?」

双馬「…………」ポツン

純(……あれ。双馬?……ウチの店の前で、何してんだ?)ジッ

双馬「……」

双馬「……」キョロキョロ

双馬「……」スッ

双馬「……」ソーッ……

双馬「……チラリ」

純「……」

純「……ウチのお店に何かご用ですかァ~~?ご主人様ァー」

双馬「!!……いや、用は無い。ただ、混んでいるなと思っただけ――……」ピタリ

純「……」

双馬「……純。お前何だ、その格好」

純「メイド喫茶の前で挙動不審なってるテメーに言われたくねえな~~」

純「何だお前、メイドに興味あんの?見た目オタクっぽいしな~~。そういう趣味なのも納得ぅ~~」

双馬「興味なんざあるか馬鹿。メガネはオタクっつー短絡思考、バカっぽいからやめたほうがいいぜ?」

純「またまた!テレちゃってェ~~。ダイジョーブ、私結構理解ある方よ?アンタがそーいう趣味でも気持ち悪がったりしねーって!うぷぷ!」

双馬「違うと言ってるだろ。ただ――……」

純「『ただ』……何?」

双馬「……」

純「なあなあ?何?『ただ』……何なの?言わないとわかんないな~~」

双馬「……何でもない」プイッ

純「……」ジッ

双馬「……何だよ」

純「ハア~~、まったく。素直じゃあねえんだから」

双馬「黙ってろ」

純「……ちょっと付き合いなよ、双馬」

双馬「は?……嫌だが」

純「……」

双馬「……」

純「……やっぱお前、嫌いだわ」ズバッ

双馬「何だ、気が合うな。僕もだ」

純「……私さ、一人で学祭回ろうと思ってたんだけど、それも寂しいでしょ?……どーせお前も一人だろ」

双馬「……」

純「……」

双馬「……」

テクテク……

双馬「一件だけだぞ。おすすめとかあるのか、純」

純「三年のやってるラーメンがメチャウマらしいわ。あとこれ気になるわよね……『メガスーパーボールすくい』」

双馬「『メガスーパー』?『頭痛が痛い』の親戚か?それは?」

ガヤガヤガヤガヤ……

…………

今回はここまでです。
あと二回か三回で終わりの予定です。

…………

ガヤガヤ……

静「ふ~~ッ。よーやくヒマんなってきたわね……今更感あるけど」リボンクイッ

ガラッ

純「うーす。お疲れさんン~~……あ?何静。メイド服は?なんでガッコの制服着てんの?」

静「交代よ。あたしも休憩行くの。兄さんとかみんなもう外出ちゃったし、今結構お店落ち着いてるしね……ってか純」

純「は?何よ」

静「アンタ、その……何?両手いっぱいに色々持ってさ」

純「ああ。別に……何でもないわよ、何でも」ズシッ

静「メッチャ楽しんでるじゃん、祭り」

純「全ッ然。チョーつまんねー祭りだったわよ……あ、そだ静。コレあげるわ。メガスーパーボール」ズシッ

静「でかっ!重ッ!なにこれ?」

純「私はさ~~、別にもういいっつってんのに、あの野郎マジになっちゃって!『これ取るまで僕は動かないからな!』とか言ってさ~~……マジ爆笑。つまんなかったけど」

静「……『あの野郎』?」

純「マジつまんなかったけど、『僕は男だからな』とか意味わからん理論振りまいてオゴってくれんのは助かったかもね。ラーメンはメチャウマだったわよ。静、メシまだなら行ってみたら?」

静「ヘイ、ヘイヘイヘイヘイ……ちょっと待って」

純「何よ」

静「……あー、えっと、その……誰と祭り回ったの?」

純「メガネ」

静「……メガネ」

純「……あー、あいつ名前なんだっけ?」

静「……双馬?」

純「あ、そうそれ」

静「…………」プクーッ

純「静、なにそれ?ブッサイクなってるわよ」

静「……ほっといてよ。ふくれっ面してんの」プクッ

純「あのさあ、別に楽しんでた訳じゃあないからな?お互い一人で学祭回ろうとしてたから、一緒にいただけだ……って」ツンツン

静「むくっ……」プニプニ

純「っつーか今から休憩なら、アイツと回ったら?」

静「双馬どこ行ったの?」

純「あー……中等部帰ったわね。見張りの交代だって」

静「……」プックゥー

純「めんどくせ~~わね~~ッ。学祭なら明日もあるだろーがよーッ」

静「そういうんじゃあなくってさ、こう……あたしも呼べよ」

純「だから、別に楽しくもなんともなかったっつってんだろうが。ウソだと思うなら休憩行ってこい。テメーのアニキ達と回るんでしょ?」

静「……そうだけどさァ~~……なんか、なあア~~……」

純「ったく……」

「おい!いねーのかッ誰かッ!メイドおッー!がっ!がっ!」

純「ゲ、なんか呼んでんじゃん……はいはーい、何でございましょうか?ご主人様ぁ~~っ?」ノソッ

静「……」

純「はい、なんですかァー?っつっても私休憩上がったばっかなんで、ムチャ言われても困るンすけどー」

「がっ!がっ!テメェはよ、がっ!おかしいだろ……なんだ?このコーヒーは」

純「『コーヒー』?」

「熱すぎる……バカに熱いぜ、おい。がっ!どうなってやがるんだ?熱い……熱いぜ、がっ!」

純「……そー言われましても……冷めるまで待ったらどうですか?」

静「……?」ジーッ

ボコ……ボコッ!

静「……」

・ ・ ・

ボコボコボコ……グツグツ……

静「……え?」

カーテンで仕切られたバックヤードで、静は『奇妙』なものを見た……。
『コーヒー』だ。いや、コーヒーだけでは無い……。

バックヤードにある飲み物全てが、ペットボトルに入った飲み物が……。
『沸騰』しているのだ。グツグツと……。

ボコオッ!ボコッ!

静「なッ!?」

ドロォ……!

静「ペットボトルが溶け……え?これは……いっ、たい……!?」ハッ!

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

「あつい……あつすぎるんだよォォ~~ッ……がっ!がっ!」ボコッ!

純「……は?」

ボコボコボコ……!

「あつ、うう……『腹』だ……『腹の中』で沸騰……がっ!ががががっ!がががががががががががががが……」

グツグツグツ!

純「何!?」

すでにアゴから下が無いッ!
腹の辺りが、赤く沸騰し溶けているッ!!

静「その客から離れろ!純――ッ!!!」

純「うっ!」バッ!

ドパァァアン!!

ビチャビチャビチャ……

静「」ピチャッ!

ジュウウ……

純「……」

静「……は」

「「「「「…………」」」」」



教室内が、静まり返る。
目の前で、一人の男が死んだのだ。
沸騰し、はじけ飛んで。

「「「きゃあああああ――ッ!!!」」」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

「何!?今、人が……」

「殺人だッ!人が、はじけ……お、オエーッ!!」

「イヤアアアアアア!!た、助け……」ボコッ

ボコボコボコ……

「たす、け……ボコッ!ボコボコ……」

パアン!

グチャアッ

「「「ああああああああああああああ!!!」」」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

大林「何だ、これはァ~~ッ……何がッ!一体ッ!?」

純「静……『ウォーケン』だ。それしか考えられない……ヤツが、動いた」

静「……なんで?……言ったじゃん。『残りは『1人』』って……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「なんでッ!死んでんだよォォォオオオ――ッ!!?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

純「落ち着け静ッ!取り乱すなッ!それと言っておくぞ……私はお前を『手伝わない』」

静「!?」クルッ

純「……私は普通に暮らしたいんだ。アンタが私の事を『悪友』って呼んでベタベタすんのは勝手だが、メイやウォーケンを敵にして命を懸けるつもりは無い。アンタよ……アンタ一人で戦うの」

静「……」

「うが……ああああオレも熱……ががが」

パン!

ビチャビチャッ

静「ううッ!」サッ

純「ウォーケンは間違いなく、校内にいる……行くしかないのよ、静。テメェー口だけ星人か?杜王町を守りたいなら……アンタが戦うしかないの。私は絶対戦わね~~」

静「……ちくしょう……チクショウッ!!」

ダッ!

静(絶対ブチのめすッ!!こんな……こんな酷い方法でッ!何の罪もない人をッ!殺すなんて……)

静「『あたし』がッ!『ジョースター』が許さない!!」ダダッ!

ボコッ!

静「!?」

ボコボコボコッ!!

静「な……『窓ガラス』ッ!!?(沸騰している!!)」

プクウッ……!

静「嘘……これって……!」

純「!……ボサッとしてんじゃあねーぞ静ァ――ッ!!」

ドッパォオオ!!

純「『ルビー・チューズディ』」

ルビー・チューズディ『パァァアアキパキパキパキパキパキパキパキィィイイ!!』

バキ!バキ!バキ!!

静「純!?」

ゴッ!!

純「っ……!(防ぎきれないッ!溶けたガラスが……!)」サッ!

バッショオッ!

純「ぐっ……ああああああああああ!!」ジュウウウウッ!!

静「あ……ああっ!そんな……純――ッ!!」ダッ!

純「く、そ……マズったわ。戦うつもりなんざ、ぐう……無かったのにさ」ハァハァ

静「そんな……あ、あたしを……かばって……」

純「……ケ!かばったつもりは無いわよ。ただ、あー……アンタがこんな所でやられたら、結局私もウォーケンに殺されんのよ……わかるか?わかるよな?私何も変な事言ってねぇーよな~~?痛えッ!」

静「純、怪我は――……」

純「あー……軽傷」

静「は?」

純「『ルビー・チューズディ』……身体を皮膚より硬い『ルビー』に変えた。あと、溶けたガラスもルビーに変えてたわ。ルビーの融点とか沸点とかは知らねーが、ガラスなんかよりは遥かに上だろ……まあそれでも、熱いルビーの固まりがブチ当たったのには変わりないから痛いけどさ。それにアツアツに溶けたガラス殴ったから、拳が大やけどだわ……クソ」

パキィン!

静「……良かった」グスッ

純「あ、おい。なんだその顔?オメーそんな顔で戦えんのか?気合入れろよ、コラ。泣いてる場合じゃあねーッ、状況を見ろ。死んでるわよ……今この瞬間にも」

静「!!……」ゴシゴシゴシ

ワー!キャアアーッ!

静「……学校中大騒ぎだわ……きっとウチで飲み物飲んだ人が死んだり、ガラスが破裂したり……してるのね」

純「まだ間に合う、だろ?静。オメーならいつもそう言って強気に笑う。そうだろ?……で、『ウチで飲み物飲んだ人』って?」

静「……沸騰してたの。バックヤードにあったペットボトルの飲み物が……たぶん、ウォーケンの能力は『加熱』……それで、コーヒーなんかをゆっくり温めて、腹の中で沸騰するよう、に……!!」ハッ!

純「……つまり、ウチのクラスの人間か、ここに客として来た人間のうち誰かがウォーケンって事か?……ちょっと静、何?その顔」

静「……兄さんが……」

純「は?」

静「……客として来てる。飲み物……飲んでるわ」

純「……!!」

静「探さなきゃ!も、もしかしたら兄さん、死――……」

純「だから、そんなヒマは無えんだよッ!痛た……静!お前なぁ……さっきからどうした?」

静「え?……え?」

純「おかしいわよ。アンタさっきから急に立ち止まったり泣いたり、甘ったれた事言ったりよォ~~……ちょっと待って。アンタ……」

ガシッ

純「ふ……震えてんじゃん。静……」

静「……」ガタガタ

純「……何?それが……静・ジョースター。アンタだっていうの?」

静「……あ……甘ったれてたの」

純「……」

静「目の前で……人が死ぬ。そんなの……空想の世界だったの。実際に……起こるもんじゃあないって思ってた」ガタガタ

純「……」

静「駄目よ、あたし……今、恐ろしくて恐ろしくて仕方ない。自分が死ぬのも、家族が死ぬのも、親友が死ぬのも、見たくない。ジョースターに憧れてるだけの、子供(ベイビー)だったの、あたし……あたしも一緒に叫びたい。泣き崩れてしまいたい」ガタガタ

純「……」

キャアアアアア……

アアア……

「おがぁ……ぢゃん……」ボコッ

パアン!

純「……くそったれ……出来るんなら、私だって泣き崩れたいわよ。けどさ……」

静「……」

純「……目の前で、人が死んでる。それを許せないって思うのは……『アンタ』なの?」

静「……え」

純「アンタが……『静』が許せないって思うの?それとも、『ジョースター』なの?」

静「……」

純「……」

静「……『静』だよ」ポロッ

純「……」

静「『静』が……『あたし』が許せない……『あたし』なのよッ!!『あたし』が決めた事なのよッ!!『あたし』が……『あたし』の思いでッ!ウォーケンを許せないって……思ってる!」ポロポロ……

純「……だったら憧れなんかいらねえな~~。子供(ベイビー)ですって?テメェーはしっかり自分で考えて動ける、女(ハニー)だろうが」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

大林「ヒイィィイ~~ッ……なんなんだよこれ……一体何が……」ガタガタ

純「大林ッ!クラスのみんなは?」

大林「な……何人か死んだ。フーセンが割れたよォーな音たててよォ~~……女子の大半は逃げたし、残ってるのは目の前で爆発見ちまって、コシ抜けたか吐き出した奴らばっかだ……かくいう俺も吐きそうだ」ウップ

静「康司たちは……?」

大林「休憩行ってる……たぶん生きてるよ。あいつらは店のジュース飲んでなかったもんな。死んだのは飲み物パクッて裏で飲んでダラダラしてた奴らだ……チクショウ」ギリッ

大林「確かに……ダラついてたかもしんねェけどよォ~~……あいつら良い奴だったんだ。エロ本の回し読みしたり、コンビニで買い食いしたり、スケ見つけたらケツ追い回したり、ロクな思い出無いけどよォ~~……高校生活楽しんでたんだ……俺たちは同じクラスのッ!仲間だったんだッ!!」ギリッ!

純「大林、残ってる人たちを避難させろ!またガラスが沸騰して爆発するかもしれねーッ!」

大林「そりゃあお断りだ……お前がやれ、吉岡」

純「大林ッ!!」

大林「吐きそうなんだ……ついでによォ~~……俺も死にそうだ」

静「!!」

大林「うっぷ」ボコッ!

純「お、大林……アンタ……!」

大林「飲むんじゃあなかったよなァ~~……一杯だけ……つい一杯だったんだ。商品に手ェ出したら駄目ってわかってたけど……『集団心理』ってあるよなァァ~~ッ。『ちょっとくらいなら大丈夫』とか思って、いつもなら出来もしない『悪い事』だって、平気でしてしまう……そんな気分になるっていうよォー……」ボコボコッ

静「そんな……大林ッ!!」

大林「だから、避難させるのはオメーの仕事だ。吉岡。俺にはよ……やるべき事がある」

ギャン!

大林「『ナイト・ウォッチ』!!シャッターを切れッ!!犯人の姿を捉えろォ――!!」

ドッヒャア――z__ッ

ナイト・ウォッチ『パシャ!パシャ!パシャッ!!』

純「やめろ大林!死にたいのかッ!?スタンドを飛ばすなーッ!!」

大林「もう死んでんだよッ!俺はな~~もう死んでンだッ!!くそォ~~なんで……なんでなんだよォォオ……!」ポロポロ……

大林「俺だって本当はこんな事、やりたくねえんだ……泣きたくもない。なんで俺は泣いてンだ?『集団心理』だ……『集団心理』なんだよォォオオオ!!俺は泣きたくないんだぁぁああ!!」

ドシュウ!

ナイト・ウォッチ『パシャ!パシャ』ゥゥゥ……

キャアアア……

ナイト・ウォッチ『チイ……何人も死んでるぜ。いたるところで死んでる。内側から沸騰したヤツに、沸騰したガラスひっかぶったヤツに、あと色々……』

ウオオアアア……

ナイト・ウォッチ『犯人がいるとしたら、ガラスが降り注ぐ所や、パニックになった人に押し潰されるような場所にはいねーはずだ……上の階か?どこか……この惨状を見渡せる場所にいるのか?』

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

大林「は……はやく見つけろ、『ナイト・ウォッチ』……俺ももうヤバい……熱いぜ、今11月なのによォ~~、熱い……内側からぽかぽかだぁァ~~」ボコボコッ

静「純ッ!アンタの『ルビー・チューズディ』で大林の身体を……!」

純「無理よ、静……沸騰して爆発しないようにするには、内臓から身体の外まで全部ルビーにしないといけない……そうすると、生命活動が出来なくなって死ぬわ」

静「……ぐ……」ギリッ

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ナイト・ウォッチ『上の階……見渡せる場所……』フワッ……

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ナイト・ウォッチ『……この教室は……』

・ ・ ・

ナイト・ウォッチ『……誰もいない、か……』

ガシッ!

ナイト・ウォッチ『ぐッ!?』

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

???「……」

大林「み……『見つけた』……ここは、『四階』――……」

ガ!!

大林「ぃぃぃいいいいいいいああああああああ――ッ!!」ガガガガガガガガガガ!!

ボン!ボン!ボン!!

静「大林ィ――ッ!!!!」

純「ち、『塵』に……大林、お前ッ!!」

大林「くそがァァァアア……写真、一枚……すら、撮れなかった……なんだコイツはよォォオオ……!!」ガガガッ!

大林「あああああー……死にたく、ねえ、なあ」ガッ!

ズバッ!!

サラサラサラ……

純「おっ……」

静「大林……!!」

ォォォォ……

「『クレイジー・ダイヤモンド』ッ!!」

クレイジー・ダイヤモンド『どぉららららららららららららららららら!!!』

ドヒュ!ドヒュ!!ドヒュ!!

静「!!」

純「えっ!?」

ドグオォォオオ!

ドヒュ――ン!!

大林「……!!……あっ!?えっ、えっ!?」キョロキョロ

「間一髪、だったな……男見せたじゃあねえか。大林正雄」

静「にっ……」

静「兄さん!!?」

仗助「無事だったか……静」

バーン!!

仗助「学校中大騒ぎだからな……心配になって戻ってきたんだ」

億泰「そんな事よりよォ~~仗助ッ!やべェーぞこの教室内はッ!!まだ息があるヤツもいる、治してやれッ!!」

静「ちょ……ちょっと待って!いや、治しながらでいいから、聞かせてッ!!」

仗助「?」

静「なッ……なんともないの?その……二人とも?」

億泰「……?」

仗助「……ああ、おれ達はなんともねーッ。那由他ちゃんなら家に帰ったぜ、無事だ。……それがどうかしたか?」

静「……」

仗助「静?」

静(……飲み物が『沸騰』してた。店に来た人はみんな、攻撃されたかと思ったけど……違うの?)

静(……いや、そうじゃあないわ。たしか、あの飲み物は――……)



――『ここに置いてたのが全部なくなった。今からちょっと四階までコーヒーとか取りに行ってくるよ』
『ああ、あたし達の教室に在庫置いてんだっけ?……しかし遠いわね』――



静(――……あれは『補充分』だ。ウォーケンは、補充分の飲み物に近づき、能力を使ったんだ。……つまり――……)

静「ウォーケンは四階……『1年B組』の教室にいる」

ダンッ!

仗助「静、どこへ行く?戻れ!おーい!!」

億泰「仗助、後だ!こいつ、もう脈が……!」

仗助「ぐ……クソッ!」ズギュン!

ダダダッ……

フーゴ「シーラE、君は西だッ!ぼくは東の棟を探すッ!!」

シーラE「ええ!……?……あれ、静ちゃん?」

フーゴ「え?」

静「……」ダダッ!

紙人間『静!』パララッ!

静「双馬……そっちは無事?」

紙人間『中等部ではガラスの爆発は起こってない。が、高校の方へ行ったヤツが何人か死んだ。そっちに比べたらマシだ』

静「そう……」ダダダッ

紙人間『北の階段は昇るな!ガラスが沸騰してる!昇るなら違う階段だッ!』

静「……ありがとう」ダダッ

紙人間『……わかっているんだな。もう……ウォーケンがどこにいるか』

静「ええ」

紙人間『……覚悟は、出来ているんだな』

静「……どういう意味?犯人をブチのめす覚悟なら、とっくの昔に完了してるわよッ!」

紙人間『……一つだけ、言っておく』

紙人間『教室の中にいるのは……ウォーケン一人だ』

静「……?」

紙人間『……すまない、静。僕は……お前についてやれない。お前が乗り越えるしかないんだ』

静「……は?」

ザッ!

静「……どういう意味なの?」

『1-B』

静「……誰が……いるの?」

・ ・ ・

静「……」グッ……

ガラッ!!

静「……」

「……」

シ……ン

静「……え?」

「……『初めまして』……と、言っておこうか?」

委員長「僕の名前は『大間ケンヂ』……親しい『友達』からは、『ウォーケン』と……呼ばれているよ」

静「……嘘」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

今回はここまでです。
遅れて申し訳ありません。書きにくかったんです、マジで……

静「嘘でしょ委員長!」
静「虻村と康司はどこへやった!?答えろおぉーっ!!」
ウォ員長「我が行動に一点の曇りなし…!全てが正義だ」
こんな展開になりそう…やば、目からシャボンランチャーでてきた

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「……」

委員長「ようこそ来訪者……ククク……」

静「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「……あッ……」

委員長「……」

静「危ない、わよ……委員長。……こ、この教室には、ウォーケン……殺人鬼がいるの」

委員長「…………」

静「だから……だから、こんな所にいたら……」

委員長「……」スッ

静「はッ!」

ズォォオォ――ン!!

静「うッ!」ブシュッ!

シュゥウウウ……

静「……は……」ツゥッ……

委員長「目は覚めたか?わかるかよ?頬をかすったみたいだが……痛みは理解出来るか?」

静「……」

委員長「これは現実だぜ、静。次ィ甘ったれた事言いやがったら、コナゴナにしてやる。……僕は会話を楽しみたいんだ。ウォーケンとしてお前と話すのは初めてだからな。現実逃避されっとよォォー……面白くもない」

静「……なんで」

委員長「……」

静「委員長……なんで?」

委員長「この世は全て作り物。だから、ネェ……仕方ないさ」

静「……」

委員長「作り物なのさ。『委員長』なんていうのはさ、全部作り者……」

静「……」

委員長「本当の僕はッ!……勉強だって出来やしない。秀才気取っているけれど、人の万倍必死コイて勉強しなきゃあマトモな学力すら保てない落ちこぼれさ」

静「……」

「運動なんて、練習してもどうにもならない。走るのも泳ぐのもドン亀だ。ボールを投げりゃあ明後日の方向に飛んで行く。何度自分のことを、人の形をした出来損ないだと思ったことか……」

「そんな醜く何も出来ない自分を、恥ずかしいから必死こいて隠してた」

「弱い自分を、人を導く立場という仮面で隠して」

「ゴミみたいな自分を慰めていた」

「本当は、羨ましくて。妬ましくて。憎くて。悔しくて。 欲しかった」

「普通の人が普通に暮らせる、その能力が欲しくって」




「普通の人が普通に暮らせる、この世界が大嫌いだった」


「死にたかったんだ」

「けど、僕には死ぬ勇気なんかないから」

「殺したかったんだよ」

「けど、殺す力なんて無いんだ」

「しかし……そうッ!『しかし』……だ」

「……持っちゃったんだもんなァァあ~~……あはは……アハ……」

「仕方ないさ……仕方ないさ……仕方ないさ……アハハ……」

「僕は、選ばれた……力を手に入れてしまったんだから」

「だから、仕方ないのさ……」

「この世は全て作り物。だから、ネェ……仕方ないさ」

「僕は、作り物の自分と世界を殺して……メイの言う『天国』へ向かう」

委員長「だから……殺すぜ、静」

静「……」

・ ・ ・

委員長「殺すんだよ。もう後には退けない。大勢殺したんだからな……お前は乗り越えなければならない存在なんだ。僕が『人間・大間ケンヂ』を捨てて、『魔人・ウォーケン』となるために。日常のお前を……殺さなければならないんだ」

静「……う」ハァー、ハァー……

委員長「お前には……覚悟が出来ているのか?」

静「……な、に……?」

委員長「僕を殺す覚悟は、出来ているのか?と聞いている」

静「お……おかしいわよ、だって……だって!委員長ッ!アンタは操られてるのッ!メイの能力で、『友達』に――……」

委員長「知ってるさ」

静「……」

・ ・ ・

静「……え」

委員長「知ってるんだよ。わかってる。この世は全て作り物……メイと僕の間にある『友情』も、偽りの嘘っぱちのニセモノさ」

静「……だったら……!」

委員長「だが!……僕は、この偽りの『友情』に……救われたんだ」

静「……」

委員長「メイは、本当の僕を認めてくれた。許してくれた。僕を……救ってくれたんだ」

静「……」

委員長「静……偽りの『委員長』としての僕しか見なかった、お前と違ってな」

静「……」ポロ……ポロ……

委員長「今、偽りの友情を、本物にする。……今日僕はッ!前へと進むんだ!幾千万の魂を抱えて、僕は天国へ進むッ!!」

静「い……委員長……委員長ッ……!」ポロ……ポロ……

委員長「そのためには……お前は邪魔だ。静。……メイに仇なす存在は、魂まで塵へ還さなければならないッ!!」

静「委員長……それでも、あたしはッ……!」

静「あたしは……あなたの『友達』よ……『友達』なのよッ!!!」

委員長「……ハッ」

ドッヒャアッ!!

委員長「塵に還りながら同じ台詞が吐けるかアァ――ッ!!」ギャン!

静「う……おおおおおあああああああ!!!わ……『ワイルド・ハニィィィ』ィィイイイイイイ!!」

ワイルド・ハニー『ドラア!!』ドン!

委員長「フン」

ドグシャアッ!!

静「!!当たっ――」

ガガガッ!!

静「!?」

ボロッ……

静「!!……えっ!?あ……あ痛……ッ!!」ガクッ!

殴ったはずの、静の右拳が『無くなった』!!
赤黒い『塵』が舞う……!!

委員長「おい静……お前今、殺す気で攻撃したか?不公平だろ……こっちはお前を殺す気でヤッてんだぜ?お前もそうじゃあないとよォ~~平等じゃあねえじゃあねえかよ~~……殺せよ。殺す気でこいよ、ほら……頼むから」

静「こッ……この能力はッ!?『沸騰』じゃあ……!?」

委員長「僕がこの身にまとっているスタンドは、触れたものの『分子』を『振動』させる事が出来る……電子レンジの原理わかるか?あれは水分子にマイクロ波を当て振動させ、分子同士で押しくらまんじゅうさせる事で温度を上げてんだ……おっと!ついいつものクセで、知ったかぶりの知識を披露しちまったァァア~~」

静「ハァ、ハァ……!」

委員長「……振動とは『崩壊』の世界だ。物質は全て塵に還る。僕の強さ理解出来たか?殺す気で来ないと死ぬぜ」

静「う……ううっ!」

ヨロヨロ……

静「ハァ、ハァ……(本当に……本当にッ!委員長は……『殺す気』だッ!)」

委員長「……おい、逃げる気か?この狭い教室でどこにだよ……ったく」スッ

グォォォォォッ

委員長「『分子空動波』ッ!」ギュウウウム

ド――ン!

ガガガガガガガガ

静「うっ!あああッ!!」ガクガクッ

ドロオッ!

グツグツ……

静「きッ……(教室の壁が、沸騰して……!)」

委員長「外したか……面白くもない」

静「くっ!」

ワイルド・ハニー『どっ……!』

スゴオッ……!

静「らああああああああ!!!」

ドバアッ!

委員長「無駄だって……机やイスなんか投げても」ドッ!

サラアッ……

委員長「僕に近づく物!生物!あらゆる物質!全て塵にかえる……」

静「ううう……ああ……!」

静(勝てない……あたしは、あたしは……!)

委員長「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「あああ……ハァーッ!ハァーッ!」

静(殺す気で……友達を、殺すつもりで……!?)

委員長「……いい顔だな」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静(ころ……せない……けどッ!殺す気でいかないといけないッ!『殺す』!友達を……『殺してやる』!くそっ!やってやる……やるのよ、静・ジョースターッ!!)

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「ああああああああ!!」バッ!



「心が迷ったなら……攻撃するのはやめなさい」

静「!?」バッ!

シーラE「後は……あたしらがやるわ。静ちゃん」

フーゴ「……」

バン

シーラE「アンタがやれないっていうのなら……汚い仕事は、あたしらの管轄よ」

静「……シーラE、さん……フーゴさん……」

委員長「……おいィ……ふざけんなよ。今いい所だろうが。何邪魔してやがる……!」ギリッ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

今回はここまでです。遅くなってすみません
あと一、二回で終わりの予定です。二週間以内に更新します

時を止めれば『振動』なんて…ってことで、
無敵の『スタープラチナ』でなんとかしてくださいよぉーッ!

(次の話を読む前に、静ジョ12話『静「杜王町の人々」』の序盤を読んでもらった方が良いかもしれません)

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

シーラE「……血相変えて走ってくもんだからさァー、静ちゃん……後をツケてみりゃあ、ビンゴとはね」

フーゴ「……こいつが、『殺人鬼』……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

シーラE「クンクン、このにおい……他の生徒たちに紛れてわかりにくかったが、今面と向かって嗅いでみりゃあ一発よ……久しぶりだな」

委員長「……お前ら、アレか。チェスタの野郎を殺そうとしてた……」

ザッ

シーラE「静ちゃん、あとは任せなさい。アンタはここで――……」

静「い、嫌……駄目です、シーラEさん……!」

シーラE「……」

静「あたしが……あたしがッ!戦わないと……こっ、こっ、殺さないと……いけないんです。彼は……委員長は、あたしの……友達だから」

フーゴ「……」

静「逃げちゃあ、駄目なんです……きちんと、向き合わないと……!」

シーラE「下がってなさい」

静「し、シーラEさん!」

シーラE「アンタは、普通の高校生よ。杜王町っていう小さな町の、ぶどうヶ丘高校に通う、一人の女の子なの。……アンタには、荷が重すぎる」

静「……」

フーゴ「外法には外法を。大量殺人を犯したコイツを殺すのは……同じ殺人者の、ぼく達の役目だ」

静「……う、ううう……!」ガクッ

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

委員長「おい……おいおいおいおいおいおい……何勝手に話ィ進めてる?僕はなァ、必死に僕を殺そうとする静を殺したいんだよ。そいつの首をメイの所へ持って行って、つま先にキスをしたいんだよ。興ざめだぜ……今なら許してやるから、クルリと回って外へ出ろ」

シーラE「……」

フーゴ「……おい、ナメてんじゃあねえぞクソガキ」

委員長「はあ?」

フーゴ「ちょっぴり強い力を手に入れただけで調子乗りやがって……このオレに向かってナメた口きいてんじゃあねえぞ、この……クサレ脳みそが」ギン!

シーラE「フ~~ゴォ~~ッ……キレて解決するんなら、あたしだってキレてる。わかってんの?あいつさ……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

シーラE「……アンタの『パープル・ヘイズ』が効かないのよ……ウィルスが充満した中を、悠々と歩いて行った」ボソッ

フーゴ「……『効かない』?それは間違いだ……シーラE」

バッ!

フーゴ「『効くまで殺してやる』ッ!!」

パープル・ヘイズ『ブッシャアアアァ――ッ』ブオッ……!

委員長「……今なら許して……やれないなァ」

ドゴオ!!

ブショオォォオオ!

シーラE「くっ……フーゴ!」

フーゴ「近寄るなシーラE!『手加減する』ぞッ!!」バッ!

委員長「いやいや、意味不明……」

ドシュウ!

ギュウウウム……

ジュッ!ジュッ!

委員長「たとえウィルスだろうが、僕の身体に触れりゃあ分子を振動させてコナゴナだ。物覚え悪いのかよテメェはよ~~」

フーゴ「今のは『6割』ほど力を出した。次は……『2割』だ」スッ

委員長「!」

パープル・ヘイズ『ぐぅあるるるるるる……』スッ……

パキィン!

ブュウウゥ~~ッ!

委員長「!?(『ウィルス』の量が増えた!?……否!強くなっているんだッ!『ウィルス』がッ!より『凶暴』にッ!!)」

フーゴ「『パープル・ヘイズ・ディストーション』!!(手加減すればするほど……『ウィルス』は殺傷力を増す!!)」

委員長「しかし……無駄だっつってんだろうがァ――ッ!!」ブワッ!

ジュウウッ!!

フーゴ「!!……」

委員長「『効くまで殺す』だァ?『効かない』んだよ。ゼロを何回掛けようがゼロだ。『ろくご』は『30』だが『ろくゼロ』は『ゼロ』だぜ。こんな攻撃何度やっても――」

『エリィ――ッ!!!』

委員長「!」

ブードゥー・チャイルド『エリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリィィイ――!!』

ドゴドゴドゴドゴドゴ!!

委員長「……はぁ?床なんざ殴って、何して――」

ガバッ!!

委員長「!!」ガクンッ

教室の床に、大きな『唇』が現れる!!
その穴の中に、委員長の身体がスッポリハマった!!

シーラE「噛みつけ!胴体切断しろッ!!『ブードゥー・チャイルド』!!」

ォォオ――ン!!

委員長「効かねえと……何度言わすつもりだ!!『分子地動波』ッ!!」

ズババ!!

ゴボゴボオッ!!

静「う、ううっ!(床が……マグマみたいに沸騰したッ!!)」

委員長「お前の攻撃はな~~……僕の体勢をちょっぴり崩す事くらいしか出来ないんだよ。諦めろ……人は生まれながらにして平等じゃあない。ハッキリとした『差』を持ってこの世に生まれてくるんだ」

静(勝てない……シーラEさんとフーゴさんでは、委員長に……『勝てない』ッ!!)

シーラE「……体勢を?ちょっぴり?崩す事くらいしか?出来ない?……」

シーラE「『それで良い(ベネ)』ッ!体勢をちょっぴり崩す事が出来れば、十分!!」

委員長「?……何を――」

フーゴ「うおおおおおおおお!!」

パープル・ヘイズ『ウグゥァアアアアアアアア!!』グオッ……

ドゴォン!!

委員長「ぐおッ!?」ヨロッ……

ドッサアッ!

フーゴ「ぐうッ!!」ボコッ!

ボコボコ……!

フーゴ「く……お前を寝っ転がすのだけで、左手一本……犠牲か」

サラサラ……

委員長「痛う……何がしたいんだ、オメーはよ~~ッ。僕に触りゃあ塵になるんだぜ?今度は右腕も塵にすんのか?」

フーゴ「ああ」

バン

委員長「!?」

フーゴ「お前を殺す事が出来るならッ!腕の二本や三本くらい、くれてやるッ!!」

パープル・ヘイズ『うばしゃあああああああ!!』バッ!

委員長「こッ……!(『コイツ』ッ!何を考えて――……)」

フーゴ「お前に触れる物全てが塵になったとしても――……」

フーゴ「『口の中』はどうだァ――ッ!!」

パープル・ヘイズ『アアアアアアアアアア!!』

委員長「!!」

ドゴォォォンン!!

バシォオオ~ッ……

委員長「~~ッ!」ガクガク!

静「あ……!」ザッ!

シーラE「動かないで、静ちゃん。今行くと、ウィルスで死ぬわよ」

静「!……」

……ゥゥゥ……

フーゴ「……ぐ……」サラサラ……

委員長「」ガクッ

静「ぐ……あ、ああ……委員長……!」

シュウウウ……

シーラE「……」

フーゴ「……最後の食事、ゆっくり味わいな……」

委員長「……もっと良い物食わせろよ、最後ならよォ~~」ギロッ

ドン

フーゴ「!!」

静「え……!」

シーラE「な……(『口の中』を……攻撃したのにッ!?)」

ガシッ!

フーゴ「う!……ゲホ!……!」

委員長「当然だ。僕に触れる物は全て……塵だ。僕の口に手ェ突っ込んだ事で、もうウィルスは出せないようだが……」

ガ!!

フーゴ「うおおおおおおおおおお!!?」ガガガガガガガガガ!!

委員長「……ちょっぴりムカついた。念には念を入れて、塵にしとくか……」

静「や……やめて……」

静「もう……やめてェェェエエエエ!!」ウオオオ!

シーラE「やめろォォォオオオオオ!!」

ヴードゥー・チャイルド『エリィ――ッ!!』

ドグシャアアッ!!

スババッ!

シーラE「ぐッ!!ああッ……(右腕が……!)」サラサラ

委員長「おい、死に急ぐなよ。そうイキり立つんじゃあない。コイツを塵にしたら……次はお前だ」

シーラE「ふざけ……んなッ!死ぬのは……お前だッ!!お前一人だッ!!」

委員長「?」

ガパッ!

委員長「!!なッ……(殴られた僕の『頬』にッ!『唇』がッ!?)」

シーラE「『ヴードゥー・チャイルド』!お前の深層心理……丸裸にしてやるッ!!」

唇『……』パクパク

シーラE「深層心理からの罵倒を聞いて、無事でいられるヤツはいない……ショック死しろ、殺人鬼ッ!!」

委員長「……!!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

唇『…………』パクパク……

唇『委員長って……すっごいよなァ~~ッ。勉強出来るし優しいし、リーダーて感じィ。流石『委員長』だよ。みんなのお手本だよねェェ~~ッ……』

シーラE「……」

・ ・ ・

シーラE「……は?」

委員長「……」

シーラE(今のが……コイツの深層心理だというのか?コイツの心の奥底からの……罵倒、なのか……!?)

委員長「……こ……」

委員長「この世は全て作り物。だから、ネェ……仕方ないさ」ツゥ……

シーラE「……(泣いて……)」

委員長「やめろ、やめてくれ……それは僕じゃあない。僕は、僕は……醜い男さ。汚れた殺人鬼さ。『委員長』なんて、僕とは別の存在さ。だって……お前ら全員、僕の名前すら知らないじゃあないか!……うっ、うっ……!」

ポロポロ……

委員長「勉強なんて出来ない。優しくもない。『委員長』なんて、僕じゃあない……本当の僕を認めてくれよ。認めてくれたのは……メイだけじゃあないか。う、うううう……!」

ガシッ!!

シーラE「かっ!こ、の……!」

委員長「だから今日ッ!僕は作り物の『僕』を殺すッ!お前らを殺して!静を殺してッ!『委員長』という『僕』を殺してやるッ!僕は……僕はッ!!」

ガガッ!

ウォーケン「僕は『ウォーケン』だァァァアアアアアア!!!」

ガガガガガガガガガガガガガガガガ

フーゴ「うおおおおおおおおおおお!!」ズバババッ!

シーラE「きゃあああああああああああ!!」ババババッ!

ウォーケン「神よ!この火……消してみろォォォオオオオオ!!」

ヒュッ……

バシャアッ

委員長「!?」

・ ・ ・

静「……ッ……ハアーッ!ハアーッ!ハァーッ……!」ハァハァ

委員長「……何をした?静……お前」ベトッ

静「……ハァーッ……ハァーッ……」

委員長「……」パッ

ドサドサッ

フーゴ「ぐッ!」

シーラE「ゲホッ!……ハァ、ハァ……」

委員長「……静ァ……なぁ、お前……」

委員長「今ッ!何をしたんだッ!!答えろォォォオオオオオ!!!」ゴオッ!

静「やっぱり……あたし、『殺せない』……」

委員長「……」

シーン……

静「……殺人鬼でも、ひどいヤツでも、本性隠してたってヤツでも……アンタは、やっぱり……『友達』……」

委員長「……」

静「……ゴメン。『親友』じゃあないの。『悪友』でもない。だけど……大切なの。大切な……存在なの」

静「だから……せめて、あたしの手で……再起不能にしてあげる」

委員長「……」

・ ・ ・

委員長「ネボケてんのか?左腕一本で何する気だよ。僕に触れたら塵に――……」

静「やめて、委員長。もう……あなたは負けてるの」

委員長「……」

ベトオッ……

委員長「……『まさか』……!」

静「そう……『石油ストーブ』よ」

委員長「……」

静「今……『石油ストーブ』を透明にして投げた。もちろん、中の『石油』も透明にしてね。アンタにブン投げた。……能力を使ったら、アンタは爆発して『死ぬ』……」

委員長「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「だから……もう、やめて。委員長。……いえ、……大間……ケンヂ君」

委員長「……」

静「あたしから……友達を、奪わないで。あたしに……殺させないで」

委員長「……」

委員長「……試してみる価値はある。お前が残された左腕一本で僕を再起不能にする前に……お前を塵にすればいい。爆発しても……死ななければいい」

静「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

委員長「……」

静「……大間ケンヂ……」

委員長「……僕は……」

委員長「僕は『ウォーケン』だぁぁあああああ!!」バッ!

ズババ!

委員長「――!!」カッ!

ドッグオオォォォオォォオオオオン!!!

グォオオオオオ!!

委員長「……なん……の、これしき……」

メラメラメラ……!

委員長「くぉぉぉれしきの事ォォォオオオオオ!!」

静「『ワイルド・ハニー』」ギャン!

ワイルド・ハニー『ドォォォオオラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ』

静「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラぁぁぁぁああ!!!!」

ドゴォォォンン!!

委員長「!!……」メシャアッ!

委員長(塵にするより、早く……スタンドと本体で、殴るとは……)ヨロッ……

静「……」

委員長「だが……なんでだ?なんで……僕の攻撃は……当たらない?……ぼくの、うで、は……?」

静「……吹き飛んだわよ」

委員長「……」

静「爆発で……アンタの腕は、吹き飛んだ。……気付いて、なかったの?……」

委員長「……ははっ!」ヨロッ……

ドサッ

委員長「……どいつもこいつも、腕が無いでやんの。ああ、おっかしい」

静「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

…………

今回はここまでです
次回で16話完結です

少しずつ、少しずつ「閲覧」すればいいじゃあないか
少しずつ「閲覧」して

…………

バァァアア――……

静「……」

委員長「……」

メラメラメラ……

シーラE「……」

フーゴ「シーラE、さっきの爆発で火が……早く塵を集めて、ここを出た方がいい」

シーラE「わかってるわ。けど……ちょっと待って」

フーゴ「……」チラリ

委員長「……ああ、クソ。手が無いからメガネをかけ直す事も出来ない。静、ちょっとかけ直してくれないか?最後に……お前の顔が見たい」

静「……委員長……いえ、大間ケンヂ。怪我なら、兄さんが治してくれるわ」

委員長「……」

シーラE「待ちなさい。……口を挟むようだけど、静ちゃん」

静「……」

シーラE「この勝負……あたし達は負けて、勝ったのは静ちゃん。貴女よ。だから、決める権利はアンタにある。だけど……」

静「……」

シーラE「こいつは今すぐにでも殺さなくてはならないわッ!人の法で裁く事が出来ないコイツはッ!『コイツだけは』ッ!どんな事があろうとも――……」

フーゴ「シーラE!それはぼくらが言う事じゃあないッ!彼女が決める事だッ!」

シーラE「……くッ……!」

静「……」

委員長「……だ、そうだが?どうする気だ?静」

静「……あ、たし……」

静「あたし……あなたの、『友達』には……なれなかったのかな?」

委員長「……」

静「……」

委員長「それを聞いて……どうする気だ?」

静「……」

委員長「ハ!くだらない……けどな」

委員長「……君といたこの7ヶ月と少し……『委員長』としての僕にとって、かけがえの無いものだったさ」

静「……」

委員長「だからこそ、本当の僕を……矮小で醜い僕を、お前には……見せたくなかったよ」

静「……うん。……ごめん」

委員長「……足りない頭を振り絞って、よォ~~く考えてみろ、静」

静「……」

委員長「客入りの多い飲食店を企画して、何の罪もない人達を殺して、大怪我させて……こんな僕が、本当に……無実だと思うか?」

静「……」

委員長「それに、僕は……正直に言おう。僕は……『何の罪も感じていない』」

静「……」

委員長「お前が僕を殺さなかったら、きっと僕はこれから先、便所に行って手を洗う感覚で人を殺し続けるだろう。意味なんか無い。ただ、普通の人が普通に生きている、この世界が嫌いだからさ」

静「……」

委員長「『銃』ってあるよなァ~~……黒くってピカピカで、男の子の憧れのアレだよ。日本じゃあアレを所持する事は許されてないけどよォ~~……きっとこの世には、アレを手に持って、誰かに向かってぶっ放したいって思ってるヤツは一杯いる」

静「……」

委員長「僕は……『銃を手に持っちまった』んだ。だからこれは、罪ではなく性(サガ)。ただ、そうしたいってだけなんだ」

静「……」

委員長「『殺せ』……これは『罪』では無い。お前は進むんだ。僕が進めなかった……光り輝く道を」

静「……」

委員長「……」

静「……かけがえの無いものだったわ。あたしにとっても」

委員長「……」

静「だから……ごめん。本当に、ごめん。……再起不能で終わらすだけじゃあ……駄目、なのよね」

委員長「……そうだ」

静「……」スッ

委員長「……」

静「……」ギリッ

委員長「……」

シーラE「……」

フーゴ「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……ハァ、ハァ!……ハァ、ハァ、ハァ……!」

委員長「……どうした?振り下ろせ……その手を!その拳を!僕に真っ直ぐ振り下ろせ!!」

静「ぐ……!」プルプル……

静「……うう……うううう……う゛ううう~~ッ……!!」ポロポロ……

委員長「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

委員長「……ガキめ、静・ジョースター。だからお前は……僕の『友達』にはなれなかったんだ」

静「……」

委員長「……が!」

委員長「ガガガッ!ガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!」

ガガガガガガガガガ!!

静「!!」

シーラE「おい貴様!妙なマネを――……!!」ザッ!

フーゴ「待てシーラE!様子がおかしい!!」ガシッ!

委員長「ふふふ……静・ジョースタぁぁ~~……ガガガガ!!」

委員長「『必要なものは『極罪を犯した36名以上の魂』である』」

バン

静「!!……それは、『天国の……』……!!」

委員長「わかるはずだ……ガガガ!お前には、もうわかるはずだ……お前が僕を殺そうとも、殺さなくとも、同じ事……ガガガガ!」

静「ま、待って委員長ッ!あたしは――まだ『納得』していないッ!」

委員長「必要無いのさ。僕は……僕は幸せだぞッ!!死してなお、かけがえの無い『友達』のッ!メイの役に立てるんだッ!!僕は、天国への架け橋となるんだッ!!ガガガガガガガガ!!」

ボロボロボロボロ……!!

委員長「あ、ああ……静ぁ……!」

委員長「どうして……こんな事になったんだろう……な?……」

静「!!――……」

サラァ……

「じゅう、なんて……ほしく……」

「無――……」

バサアッ

サラサラサラ……

静「……」

シーラE「……」

フーゴ「……」

大間ケンヂは塵となった。
彼が消えたその場所には……

一冊の『本』が……残されていた。



⇐To be continued=・・・?

スタンド名― ビッキー・ホリディ
本体―大間ケンヂ(16歳)

破壊力―なし スピード―なし 射程距離―なし
持続力―E 精密動作性―E 成長性―E

身にまとうタイプのスタンド。
触れたものの『分子』を振動させる事により、物体を破壊したり沸騰させたりする事が出来る。
名前元ネタは筋肉少女帯の『ビッキー・ホリディの唄』から。

という訳で、16話完結です。
今回の話はかなり予想されまくっちゃって、ドギモ抜く事が出来なく申し訳ないと思っております……
しかしずっと考えていた流れを変えたくもなかったので……すみませんでした。
もう少しヒネっていきたいもんですね

次の話は

静「メイの世界」

にしようかと思います。
残り二話です。よろしくお願いします……

次スレです。

静「メイの世界」
静「メイの世界」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468158253/)

それでは最後まで、よろしくお願いします。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月25日 (木) 14:04:26   ID: f9gHwbQv

静・ジョースターすごい面白いです!
更新待ってます!

2 :  SS好きの774さん   2016年03月12日 (土) 08:15:20   ID: J-PCRL1Y

え、終わり?

3 :  SS好きの774さん   2016年04月01日 (金) 15:43:46   ID: DmFTkyFZ

終わってないよ
更新される

4 :  SS好きの774さん   2016年05月29日 (日) 03:00:08   ID: yg-OYH6r

面白すぎる、こんな発想できるなんて本当に天才的

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