静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」 (138)
※初めに
・このSSは「静・ジョースタの奇妙な日常」の続き・第四話です。
長々続いておりますが、一話一話は短いと思いますので、どうか最初からご覧になって下さい。
・オリジナル展開・自分的解釈が多いです。苦手な方は回れ右。
・あと、今回たぶん短い上にスタンドバトルないです。ごめんなさい。
・長くなりましたが、書かせていただいます。
一話 静・ジョースターの奇妙な日常 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363790589/)
二話 仗助「静のやばい物を拾ったっス」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365094145/)
三話 静「ジャンケン教師がやって来た」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367669400/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368951927
日本、九州
福岡国際空港前——
ゴロゴロゴロ……
「まったく、承太郎さんも人使いあらいよなァ〜〜……アメリカの次は九州に飛べだなんて」
大きなキャリーバッグを転がしながら、小柄な少年のような男がグチをこぼした。
ただ、本気で言っているわけではないようで、口元には軽い笑みがこぼれている。
「でも、ま!仕事だから仕方ないよねー……九州といったらトンコツラーメンかな?仗助くんたちにはどんなお土産買って帰ろう?」
小柄な男は、かつて杜王町で『東方仗助』とともに殺人鬼『吉良吉影』と戦った、
『黄金の精神』を持つ人物……
『広瀬康一』であった。
康一「福岡市郊外……バスでここまで行けるのかなぁ〜?ちょっぴり地理がわからないぞ……」
ゴロゴロゴロ……
…………
…………
福岡市郊外——
ゴロゴロゴロ……
康一「……福岡市……3の1……苗字は……あッ、この家かな?」
康一の足が、ある一軒の家の前で止まった。
古臭い2階建ての家で、一回の入口のすぐ近くは、くすんで汚れたガラスのショーウインドウとなっていた。
今現在、そのガラス越しには、何かを置いているようには見えない。
昔は店であったのだろう……。
木で出来たこれまた古臭い看板が、庭に生えている梅の木の所に立てかけられていた。
康一「……うーん……今、誰か住んでいるのかなぁ〜?……いらっしゃったらいいんだけどお〜〜……」
ピンポオ〜ン……
……バタバタバタ……
ガラガラッ
男「はいはいィ〜ッ?何でしょう?新聞ならお断りですよ?宗教勧誘もイラネーッ」
康一「あッ、すみません……ぼく、『スピードワゴン財団日本支部』の『広瀬康一』といいます。……えっと、ここの『骨董品屋』の事で、伺いたいことがあるんですけどぉ……」
男「あー?……『スピードワゴン財団』?前にも同じようなの来なかった?世界でも有数の総合研究機関が、死んだじいさんのちっぽけな骨董品屋に何の用です?」
康一「少し、販売していた『商品』について聞きたいことがありまして……」
男「あッ、思い出した……。『また』それかァ〜ッ?どーせオンボロの『弓と矢』についてなんじゃあないの?」
康一「そっ、そうです!……えっと、前にも同じようなお話を……?」
男「したよ。したした……たしかあれも『スピードワゴン財団』の人じゃあなかったかな?僕はなにも知らないってのに、結構しつこく商品の事について聞かれたなァ。やれ誰に売ったかなど、やれ販売履歴は何処だなど……」
康一「それは……その、スミマセン……」
男「まあ〜〜あの時は仕事終わりで、結構疲れてたから適当にあしらっちゃったからなー……僕のほうにも非があるか」
康一「……えッ?」
男「……ウン、まあ入りなよ。お茶でも出しますから……じいさんの店について僕が知ってることは何もないけど、それでもわかってることだけなら教えてあげますよ。今日仕事休みだしィ〜〜」
…………
…………
康一「お、おじゃましま〜す……」テクテク……
男「まあ適当に座って下さい。お茶淹れてきます。……お茶菓子はたべっ子どうぶつでいいです?」スタスタ
康一「あ、あの、オカマイナク……」ストン
男「そう遠慮しないでいいですよ。それでは少し失礼……」スタスタ
康一「……」
男が奥に引っ込んだ後、広瀬康一は改めて部屋を見渡した。
畳の良い香りがする、古風な座敷であった。
壁には額に入れられた、大小様々な写真が何枚も飾ってある。
どうやら、かつてこの骨董品屋が商売をしていた時期の写真のようで、
今にも壊れそうなヒビだらけの器やボロボロの絵巻物の前で、ニッコリと笑う老人が写っていた。
康一「……」ジーッ……
男「お待たせしました。……ああ、写真が気になりますか?」
康一「あッ!いえ、勝手に失礼しましたっ!」
男「別にかまいませんよ。写真は死んだじいさんの趣味でね……ほら、この幸せそうなじいさん。……僕にも写真について色々教えてくれたんですよ。ここに飾ってあるのは大半僕が撮ったものでしてね」
男は手に茶が乗った御盆を持ち、脇の下に分厚い本のようなものを挟んでいた。
康一「……それは……『アルバム』ですか?」
男「ええ。ここにたしか載ってたはずなんですよ。失礼……」カチャカチャ……
バサッ
男「えーっと、たしか15年ほど前だから……1999年か2000年くらいか……」
バサッバサッ……
男「ぼくがここに来て間もない頃だからなあ……バタバタしていてあまり覚えていないんだけど……」
康一「……『ここに来て』っていうのは、前は別の所に?」
男「ええ、まあ……昔は本州の、S市に住んでいたんですけどね。親戚のこの家に引き取られたんですよ。まあ色々ありましてね」バサッバサッ……
康一「『S市』?へえ〜ッ奇遇だなあ〜!ぼくそこに住んでいるんですよ!」
男「本当ですか?それは凄い偶然……あそこはいい町ですよねェ。子供の頃はいじめられたりもしたけど、良い友人にも恵まれたし……彼、今も元気にしてるかなあ。もう十年以上も会ってないけど……あッ、あったこれだ」
バサッ
康一「……!」
男が見せたアルバムの1ページには、同じく骨董品屋の店内の写真で、
様々な奇妙な物品の前で、にこやかに手をふる老人が写っている。
壁にかかっている写真よりも幾分若い。
男「これ……1999年の春先に撮った写真です。この、壁のところ……これでしょう?」
男の指差す所には、
写真の老人の、すぐ後ろにある壁の所には……
たしかに見間違えようの無く、『弓と矢』が綺麗に収められていた。
康一「こッ!これ!これです!やっぱりこの店にあったんだ……!」
男「だけどわかっているのはこれだけですよ……本当すみませんけどね」
康一「えっ……」
男「この『弓と矢』を何故探しているかは知りませんけどねーッ、この商品はある日ふらっとじいさんが店に入れてきて、そしてすぐに売ったらしい。次の年の写真には、この『弓と矢』が写っていませんからね」
バサッ
康一「……やっぱり『販売履歴』なんかは……」
男「こんなちっぽけな、個人でやってる骨董品屋にそんなものある訳無いでしょお?僕も本当詳しいことは知らないし、誰に売ったかのかもわからない。だけど、まぁ、こうやって店にあったっていう『証拠の写真』はあるんだからさーッ、これで勘弁してくれませんかねえ?悪いけど。・・・・・・こちらの写真は差しあげますから……」
康一「あ……ありがとうございます……」
男「……まぁ、お茶でもどうぞ」スッ
康一「……」ジッ……
男「お茶もじいさんの趣味でね〜〜こんなシブいのしかなかったんですけど、買いに行くのもメンドーでしてね。お口に合わなかったら失礼」ズズッ
康一「……」
男「まあその、遠慮せずに。どうぞ……たべっ子どうぶつでも。ゾウは僕が食べたいから残しておいてくれると助かるなァ」
康一「……」
男「……あー、まあ、何です?……広瀬さん、S市に住んでるんでしたっけ?どのあたりに——」
康一「あ、あのォ……」
男「——はい?」
康一「こ、この……この写真に写っている、『これ』は……?」
康一は、写真の『弓と矢』のすぐ近くの、少し影となった所を指さした。
男「?……どれですか?暗くなってて見えないなァ」
康一「ぼくは……『実物』は見たことがない。だけど、『財団』の上司や承太郎さんから、『これ』の怖さは聞いている……まさか、でも、いや……もしかして、これは……!」
男「……?」
康一「かつて、承太郎さんが倒した、『DIO』という男を『生み出したもの』……まさか、なんで、こんな所に……?」
男「……ああ〜、これですか?これはねェ、昔っからこの店にあったそうなんだけど、『弓と矢』とほぼ同時期に売れたんだよなア。高値で売れたってじいさんが騒いでいたから覚えているよ。ウン、すごくね」
康一「こッ、これは今どこに!?」
男「それについてはわからないけど……うーん、もしかしたら、あれかな?」
康一「何です!?」
男「もしかしたら……『弓と矢』を買った人と、同じ人が買ったのかもなあ」
康一「……!」
男「なんせこんなヘンピな品物が、ほぼ同時期に両方とも売れるんだもの。そんな感じがスゴクするなァ」
康一「も、もし、そうなのだとしたら……『つじつま』が合う。けど、それって……『仗助くん』が預かっているものって事になる。だったら……『弓と矢』も『同じ状況』って事……?」
男「?……おい君、すごい顔色だよ?大丈夫かい?」
康一「……まさか……『彼』が『2つとも』買ったっていうの……!?」
……康一の持つ写真の暗がりには、
禍々しい威圧感をはなつ『仮面』が……
『石仮面』が、壁にかかってあった。
…………
本日はこのあたりで。
昨日は投下出来なくてごめんなさい。
次いつ書けるかなぁ……仕事やめて一日中SS書きたい……
…………
ぶどうヶ丘高校・グラウンド——
キィ〜ン コォ〜ン カァ〜ン コォ〜〜ンッ……
大柳「おいっノロノロ歩いてんじゃあねーぜッ!チャイムが鳴った!体育の授業はもう始まってるぞーッ!駆け足!集合!並んで座れ!『体育座り』だぞッ!」
ガヤガヤ ワイワイ……
静「はああ〜っ……いい天気ねえ〜……」
虻村「最近よぉ〜〜めっきり暑くなってきたよなあぁ〜ッ。こりゃあもう夏かあーっ?」
広瀬川「本当、目を閉じたらセミの鳴き声でも聞こえるんじゃあないの?ってくらい暑いよね。こんな日に外で体育っていうのはちょっぴりツライなあ……」
大柳「おいっそこ!いつまでダラダラしゃべってんだ?さっさと座れーッ!」
広瀬川「ご、ごめんなさいっ!」
静「スイませェん……すぐ座ります」
タタタタッ……
大柳「よし……今日の体育の授業なんだけど……5月に入り、あったかあァァ〜くなってきた所で、イキナリで悪いけど『体力テスト』を行いまーすっ」
ザワザワ ワイワイ……
「聞いてねェ〜よォォ〜」
「ダルすぎるぜぇぇー」
「成績に影響すんのーッ?」
大柳「はいはい静かにッ!今日の種目は『ハンドボール投げ』を行うっ。体育委員は記録係になって、男女別れてやる事ッ!ズルはするんじゃあないぞ?それじゃあさっそく始めーっ」
ガヤガヤ ゾロゾロ……
ピーッ!
ツギハ カトウー!
委員長「……はーっ……『体力テスト』かあ……」
虻村「おいおい委員長ォ〜見てみろよーッあの女子!脚がグンバツでよォォ〜思わず『ドキッ!』っとしてしまうよなあァ〜ッ!あっ!こりゃたまらん!」
委員長「君はノー天気でいいよなあ……ウラヤマシイ……」
広瀬川「なんだか元気ないね、委員長……どうしたの?」
委員長「どうしたもこうしたもないよ……僕は頭を使うテストだったら得意だけど、こうした身体を使うテストは苦手なんだ。……さっきの僕の投げ方見ただろう?動物園のアシカのほうがもっと上手くボールを投げれるぜ?」
広瀬川「それは……えっと、人には『向き不向き』っていうのがあるし、気にしないでいいんじゃあないかなあ……?」
委員長「ハアーッ……これからの体育、『体力テスト』が続くと思うと憂鬱だ。……虻村君が羨ましいよホント。君、『ハンドボール投げ』どころかほとんどのテストは満点だろう?」
虻村「まあなあ〜ッ!おれ身体動かすの結構好きだからよーッ!……けどよ、おれだって悩み事の一つや二つあるんだぜ?」
広瀬川「えっ?」
委員長「それは……少し、意外だね。一体どんな?」
虻村「あのよォォ〜〜……おれって、いわゆる『不良』ってヤツじゃあねーか?」
広瀬川「……うん?」
委員長「……ん?」
虻村「そんなヤローがよぉぉーこんな『体育の授業』ごときで、本気出して点取りに行く!っていうのも、なんだかマジメちゃんぶってるみてェ〜でよォーッ、変に気持ち悪く思うんだよなァーッ!だからといって点取らないのもイヤだしよォ〜〜……一体どうすればいいのかッ!?って考えちゃうんだよなぁ〜コレがッ!」
広瀬川「へ……へえ、そうなんだ……」
虻村「なあ康司ィ〜ッ、おれ一体どうすりゃあいいんだろうなーッ?本気『出す』のか?『出さない』のか?永遠の謎だぜェ〜こりゃあ〜〜ッ!」
広瀬川「うーん……そのお……エット、まず……」
委員長「君って……『不良』なのかい?」
虻村「……あん?」
広瀬川「……」
委員長「……」
虻村「……」
静「『本気出して』点取りに行くっていうのがイヤなら……『本気出さないで』点取ればいいのよッ」
ザッ!!
委員長「!……」
広瀬川「……静さん……」
虻村「……女子は向こうだろーがよーッ、静〜……」
静「……フンッ」
女生徒「次ー、静・ジョースターさん……静さん?」
委員長「……呼んでるよ」
静「…………」
クルッ
スタスタ……
…………
…………
静「どッッッ——」
グオオッッ!!
ワイルド・ハニー『——ッッラアアアァァァァァッッッ!!!!』
ドッ!!
ギュオオオ——z__ン!!
・
・
・
女生徒「し……静さん……記録、ひゃ……『100メートル以上』?……はあッ?」
委員長「……『超能力』かな……羨ましいなあ……」
虻村「それにしても飛びすぎだろーがよッ!マヌケかあいつは?」
広瀬川「なんだか、ズルだとしても素直に凄いなあ……ズルだけどお〜〜」
静「やっチッタァァァァーッ……ちょっぴり飛ばしすぎちゃったかしらね〜〜ッ。けどこれであたしの『体力テスト』は余裕の満点……大柳先生もビックリだわねー、ルンルンッ……」
クルッ……
大柳「……」ギロリ
静「……げッ(近ァ!)」
大柳「……静・ジョースター……」
静「……HOLY SHIT……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
大柳「ぼく……言ったよな?『ズルはするな』って……え?言わなかったか?聞いてなかったのか?どっちだ……?」
静「お……大柳先生、さっきまで男子の方見てたじゃあないですかァァ〜〜……そんなにあたしの事気になりました?それって『恋』ってヤツゥ?キャー!」
大柳「…………」
静「……お、オホン……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
大柳「静・ジョースター……君は……君なァ……」
静「……ハイ……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
大柳「君に言いたいことはたったひとつだ……たったひとつのシンプルな事……」
静「……『やりなおし』?それとも……『減点』……?」
大柳「いいや……」
静「え〜っと、それじゃあ……あの、ひょっとして……?」
大柳「出さなきゃあ負けよォ〜ッ!!『ジャア〜〜〜ンケン』ッッ!!!」
グオーッ!!
静「うわあああっっっ!!やめてッ!やめて!それだけはッ!」
大柳「うるせェェーッッ!!!ズルしたお前が悪いんだろーッッ!!」
静「ホントーにッそれだけはやめてェェェ——ッ!!」
…………
今回はこのあたりで。
晩御飯作らないと……
…………
職員室——
大柳「まったく……前回の事で少しは『こりた』かと思ったのに、全然そんなことは無いみたいだねー……」ハァ……
静「『こりる』?何の話ですかァ?女子高生に手出したらイタい目見るって話ィ〜?」
大柳「バ〜〜カ!『スタンド』を悪用するな!って話だよっ。君はその能力の事を軽く見過ぎているぞ」
静「軽くなんか見ていないってのーッ。メチャ重要なんだからさッ!あたしのワイルド・ハニー』は!」
大柳「君さー……『スパイダーマン』って知ってる?」
静「?……何ですか?『スパイダーマン』?……?」
大柳「だからさァ〜『スパイダーマン』だよ。アメコミの……『スーパーマン』でもいいけどさ。知ってるかい?見たことある?」
静「……DVD借りて見たことあるわ。ヒロインがなんかムカつく奴で、半分寝ちゃったけど」
大柳「……見たことあるならわかると思うけどさ、(ホントーに見たのか?って事はおいといて……)彼らってすごい能力を持っているのに、それを一般人の前でホイホイ使ったりしないだろう?……何故だかわかるかい?」
静「……」
大柳「彼らは自分の、常人を超えた能力の怖さを知っているからなんだよ。……わかるか?君の『スタンド能力』は、常人を簡単に再起不能に出来るシロモノなんだ。その『怖さ』を君はすごく軽く見ているんだ……理解出来るかい?」
静「……せ、先生もあたしにいきなりスタンド攻撃しかけたでしょう?同じよおなじィーッ」
大柳「それについてはな……君は無罪で本当は、スタンド能力を犯罪に使うような奴らと戦っていた……って事を知らずに、いきなり攻撃をしかけたのは悪かった。反省しているよ。……だけどこっちもマジなんだ。命をかけてこの仕事やってる」
静「……大げさな事言うわねーッ」
大柳「ちっとも大げさじゃあないさッ!ぼくが生徒指導した生徒の中には、スタンド能力によって街の不良を1ダースも病院送りにしたような奴だっている。そんな奴に、シタデに出てヘーコラしたらどうなると思う?13人目になるのはぼくだぜ?」
静「……」
大柳「ぼくの能力は『スタンド使い』を『無力化』させる事に優れているからさ……多少強引な手を使ってでも攻撃せざるを得なかったんだ。まあ〜少しやりすぎてしまったと反省する所はあるけどね。お陰で減給3ヶ月……トホホ……」
静「そいつは自業自得でしょーッ?」
大柳「ま!少し話がズレてしまったが……君、本当に自分の『スタンド能力』について、深く考えたほうがいいぞ?たぶん君のお兄さんも、口をスッパクして言ってると思うけどーッ」
静「……先生もあたしの兄さんの事知ってるの?」
大柳「ん?ああ、まあね。というか、知り合った原因は君なんだけどさ」
静「……あたしィ〜〜ィ?」
大柳「君は赤ん坊だったから覚えてないだろうけど……透明になって行方不明になった君を、仗助さんやジョースターさん達といっしょに探したことがあるんだぜ?赤ん坊の君をだっこしてやった事もあるんだよ、実はね〜エ」
静「それは…………なんか、気持ち悪いわね」
大柳「失礼なヤツだなあ君は……まあいいや」チラリ
静「あ、もう結構な時間ですねーっ。そろそろ教室戻っていいですかァ〜?」
大柳「……いいけどさぁ〜……ぼくも仕事あるし、たしかに今時間が気になって時計を見たのは事実だよ。……けど君、本当に反省してる?……いいか?もっかい言うけどさ、スタンドを本当に、変な事に使うんじゃあないぜ?」
静「はいはいィ〜わかってまーすっとォ……」
大柳「……こんな『古典的』なこと言いたくないけどねーッ……『はい』は一回だッジョースターッ!」
静「ああもう、はいはい。わかりましたよッ」
大柳「お前ッ、この……わかってねーだろッ全然ンーッ!」
静「えッ?あっ、今のは無意識でしたッ!こりゃどうも4・2・0〜」スイッ
大柳「本気で教師ナメてるなァ〜〜君はッ……」ワナワナ
ガラガラッ
早人「大柳先生、少しいいですか?……ありゃ?静さん、また何かしたの?」
静「『また』っていう言い方やめてくれない?まるであたしが『問題児』みたいじゃあないの」
大柳「実際そうだろうが、全く!……それで?どうかしましたか、川尻先生?」
早人「ええ……実は、『彼女』の事なんだけど……」
大柳「……ああ、『彼女』ねェ……早人、君のクラスは『問題児』が多すぎるよ」ジトッ
静「あたしを見るんじゃあないわよッ。……先生達、『誰』のことを言ってるの?」
大柳「『不登校』の生徒だよ……君のクラスにいるだろう?」
静「……?」
早人「その『彼女』なんだけど……この前ちょっぴり会議で言ってた通り、一度家に訪問しようと考えたんだ。学ぶ意欲はあるみたいだから、学校のプリントとかも渡してみようと思ってる」
大柳「へーッ、そいつはご苦労様です……どんな生徒だったか教えてくれよ」
早人「で、今日伺いますって電話して、お家の方からオッケーももらったんだけど……実はぼく、他の仕事が入っちゃってさあ…………」
大柳「……おいおい、まさか、ちょっと待てよ。ぼくは行かないからな?」
早人「で、でも、君以外に頼める人がいないんだよッ!他の先生は、ほら……『アレ』だろう?」
大柳「『アレ』じゃあない先生だっているだろうがッ。違う学年の受け持ちだけどさーッ、そっちの先生に頼めよなーッ」
早人「で、でも!やっぱりこの学年に近い人じゃあないと……」
大柳「だからァ〜ぼくは無理だって!ぼくも仕事があるんだよ。誰かさんのせいで時間が……」
ジッ……
静「……あッ!センセェ〜あたしッ急用思い出したのでッ!失礼しま〜……」
大柳「まあ待て落ち着けよッ静!お茶でも飲んで……話でもしようや……」ガシッ!
…………
………
……
…
早人「——本当に、ムズかしい事じゃあないからさ?ただ、このプリントを渡して、様子を見てきてもらいたいってだけだよ、本当……」
大柳「連絡網をまわすよーなもんさ。ちょっとした『おつかい』だと思ってさ!な、頼むよォ〜静ッ!」
静「面倒なこと押し付けてさァ〜……先生の良心ってヤツはイタまないのかッコラアーッ!」
大柳「ああ痛むねーッバリバリ痛むよ!けどなァ〜……君がぼくの時間を奪わなかったら、ぼくが行けたんだけどなァ〜……誰かさんがぼくの時間を、あ!こりゃビックリ!奪っちまうんだもんなーッ……一体誰だろうね?ん?」
静「せ、先生が勝手にあたしを呼び出しただけじゃんかさーッ!あたしのせいかァ〜コレェ?」
早人「生徒が悪いことをしたら、正すのが先生の役目だよッ!当然じゃあないかッ静さんッ!」
静「……うーッ……分が悪いわよ……チクショー……」
大柳「おッ?行ってくれるのかい?助かるなァ本当!いい子いい子してあげようか?」
静「結構ですッ!……それで、その生徒の家は?」
早人「たぶん、すぐにわかるんじゃあないかと思うんだけど……『ドラッグのキサラ』の隣の所に、『そば屋』があるだろう?……そこだよ」
静「……『そば屋』さんなの?へーッなんか凄いわねーッ」
大柳「ああーっと、静……深い意味はないけどさーッ、『ヤバい』と思ったら、すぐ帰れよ?」
静「……どういう意味です?」
大柳「なんでもないよ……本当、なんでも」
早人「とにかく、任せたよ。……キチンとこのプリント渡してね?……『有栖川 冥』さんに」
静「…………」
…………
本日はここまで。
寝ます。おやすみなさい。
そば屋有す川をオーソンの横って書こうとしてた。あぶねぇ。
結構覚えてると思ってたけど、やっぱ実際に見ながら書かないと怖いですね。
静はスタンド(ワイルド・ハニー)にボールをブン投げさせたの?
>>64
スタンドに投げさせたというより、「スタンドと一緒に投げた」というほうがニュアンス近いかもしれません。
まぁ各々の勝手な想像でいいんじゃないかと思います。
明日の夕方〜夜に投下します。たぶん。
夜10時過ぎてもいなかったら、書けなかったと思って下さい。
…………
教室——
ガラッ
静「勾当台商店街の先……『そば屋有す川』か……あたしあんまりこっちの方来ないのよねーッ。迷わかったらいいんだけど」
スタスタ……
広瀬川「あっ、静さん帰ってきた」
虻村「おーう、スッゲェー長かったなあ〜〜〜ベンジョか?」
静「ちっげェーよバーカ。ずーっと職員室で怒られっぱなしだってのーッ。ホンット、カワイソーなあたしッ……」
委員長「これに懲りたらあんまり目立つような変な事するんじゃあないよ?……はい、静さんコーラ好きだったよねっ?」ポイッ
静「キャーッ!ありがとっ委員長っ!瓶のコーラとはわかってるじゃあないの〜〜ッ!」パシッ
虻村「委員長ぉ〜俺の分は?緑茶のホット」
委員長「暑くなってきたのにホットかい?売ってないだろ……買ってないしね」
虻村「ケエーッ、静には奢んのかよォ〜〜。なんか不公平だろォーがよーッ」
静「あたしはさっきまで先生に怒られて大変だったのよ?このくらい当然よ当然〜」コオオオ……
委員長「怒られてたのは君が悪いんだろう?『当然』だとか思わないでほしいなあ」
静「ああ、ゴメンゴメン委員長。コーラありがとう愛してるわよっ。今度なんか奢ってあげるわーッ」ポンッ!
委員長「まぁ、期待しないで待っているよ。うん。いつ奢り返してくれるのか楽しみだ……10年後とか?」
静「イヤミったらしいわねーッ……すぐに何か奢ってあげるわよ。それこそ今日中でもいいわッ」
広瀬川「あっ、それじゃあさー静さん」
静「何?」ゴクゴク
広瀬川「実はさっきボク達で話してたんだけど、今日帰りに『カフェ・ドゥ・マゴ』に寄らない?お話でもしようと思ってさーっ」
静「あー……今日?カフェねぇ……」
広瀬川「あっ、強制的に『奢らせよう』としてるわけじゃあないよ?ホント……ただ、一緒にお話出来たら楽しいだろうなって思って、ハイ」
静「んー、奢るのは別にいいんだけど……」
委員長「アレッ?本当に奢ってくれるの?冗談だったのに……別に僕は奢ってもらわなくてもいいよ」
虻村「おッ!んじゃあよォ〜〜代わりに俺が奢ってもらおうかなあ〜ッ!高いチョコレートパフェでも食わせてもらうぜーッ!ギャハハ!」
静「うーん……ゴメン康司、今日はやめとく。……別に奢るのがイヤだからって理由じゃあないわよ?ま〜虻村に奢るのはイヤだけど……そうじゃあなくって、他に予定があるってだけーッ」
広瀬川「あ、そうなの?……珍しいね、静さん部活とかやってないのに『予定』だなんて」
静「あたしだって本当はこんな面倒な事いやだってのッ。だけど行かないと後が怖いからさあ〜〜」
委員長「?……何処にだい?」
静「クラスメイトの家……先生に行けって言われたのよ。プリント渡しに行けってさーッ……マジで最悪」
虻村「プリントだあ〜ッ?欠席してた生徒にかよーッ?」
静「ええ……家が『有す川』っていうそば屋らしいんだけど、三人は何か知ってるゥ?」
広瀬川「!……知ってるも何も……」
委員長「……君、それ本当かい?」
静「……何が?」
虻村「『有す川』ってよお〜〜!オメー『メイ』の家に行くっつーのかあ〜〜ッ!?」
静「……『メイ』?」
委員長「ウラヤマシイなあ、メイの家に行くだなんて……僕まだ行ったことないよ」
広瀬川「ボクもだよ委員長っ!メイの体調が心配だから行きたい気持ちは強いんだけど、メイに迷惑かかりそうで……」
虻村「チクショーッ静ァ〜ッ!それのどこが『最悪』だっつうんだーッ?ああ〜〜ッ?俺もプリント渡すの付いて行きたいぜーッ!」
広瀬川「だ、ダメだよ虻村君!大勢で行ってメイの体調が悪化したらどうするのッ!?」
虻村「お、おう……わかってるけどよ〜〜、でも俺もメイに会いてーんだよなァァ〜」
委員長「気持ちは痛いほどわかるさ、虻村君。僕も本当ならメイに会いたいからね」
広瀬川「そりゃあ、たしかにボクもそうだけど、でもやっぱり……」
静「ヘイ、ヘイヘイヘイ……ちょっと待ってアンタ達」
広瀬川「?」
委員長「……何か?」
静「……どういう事?」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
静「アンタ達……何?全員……その、『有栖川 冥』って子と……」
広瀬川「?……えっ?『友達』だけど……?」
委員長「ああ。……?」
虻村「?」
静「……『何で』?」
虻村「……はあ〜ッ?」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
静「だって……彼女は……あたし、彼女の事『知らない』……学校に全然『来てない』じゃあないの……なのに、『友達』?……なんか、あたし以上に親しい『友達』みたいな感じで……」
広瀬川「?……静さん?」
委員長「……どうかしたのかい?」
虻村「ハラでもイテェーのかよ?冷てえコーラがぶ飲みすっからだろォ〜〜」
静「……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
静「…………『友達』って……なんなのよ……」
…………
本日はこのあたりで。
スタチュー吉良の出来いいね。
今日アマゾンで届いてテンション上がってます。
明日の昼〜夜の間に投下予定です。
たぶん明日の投下で完結します。短いですが……
…………
杜王町、勾当台——
テクテク……
静「駅からバスが出ていて良かったわ。無駄に迷ってウロチョロすんの好きじゃあないしね。……さ〜〜て!ケータイのナビによるとォ……」
カパ
静「『コンビニオーソン』……『ドラッグのキサラ』……で、『そば屋有す川』……か……」
クルリ
静「左から、『オーソン』…………『小道』……『ドラッグのキサラ』……『そば屋有す川』……って、なってるわね……」
静「……」
カチカチカチ……
静「このバカナビ……あたしのことナメてんのか?『小道』なんて何処にも書いてないじゃあねえかよーッ」
カチカチ……
静「だから兄さんのお古なんてイヤなのよ……デザインだってダサいし。今度新しいケータイでも買ってもらおうかな……」
パタン
静「でも、まっ……どうやらあの店がそうみたいねーッ……どお〜〜れ、見てやるか……『不登校』の、『引きこもり』の顔を」
ガラガラァ〜ッ
老婆「いらっしゃああ〜〜い」ニコニコ
静「……」
バァ〜〜ッ
静「……」
キョロキョロ……
老婆「ようこそお越し下さいました……どうぞお好きなお席に、ささ。ドーゾドーゾ……お客さんは初めてのお越しで?オススメのメニューは『有す川セット』ですよォ〜〜。『そばがき』がついていてとってもオイチィ〜んですよォ〜〜ッ。ささッ!お茶でも……」
静「せっかくですけど、ごめんなさい。あたし食事に来たんじゃあなくって……『クラスメイト』の顔を見に来たんです」
老婆「?……そばはいらないんですかァァ〜〜ッ?」
静「ええ……ここに『有栖川 冥』って子が住んでいるでしょう?貴女のお孫さん?……会わせてくれないかしら?」
老婆「あらッ!貴女メイの『お友達』ぃ?オホホホホ……ちょっとおじいさん!聞いて下さいなァ〜メイの『お友達』が来たよおーっ!そば作ってる場合ですかぁ〜〜っ!」
バタバタ
静「いえ、そんな……騒ぐほどの事じゃあないです。ただプリントを渡しに来ただけで……」
老婆「……だけどおかしいねッ!」クルッ
静「えっ?」
老婆「さっきお電話いただいた時は、先生が来るって聞いたのですけど……貴女先生?そのわりには小さいねェ〜〜〜ちゃんと食べてる?」
静「……あたしは学生です。……有栖川さんと同じクラスの、クラスメイト。……先生が来れなくなったんで代わりに来たんです」
老婆「オホホ!そ〜よそ〜よ、そお〜〜よねェ〜〜!こんな若い子が先生なわけがないですよねェーッ!オホホホ……ホホ」
静「……」
老婆「『娘』のメイなら二階に居ますよォー。奥にどうぞ。『テスタ』さんが案内しますので」
静「……『テスタ』?」
老婆「ささ!のれんの奥にどうぞ!……手は綺麗でしゅよねェ〜?一応聞いておきますけどォ〜〜……」
パサッ
老婆「こっちですよ……そちらがウチのおじいさん」
老人「……」ペコリ
静「あ、ドウモ……」ペコリ
老婆「それで、この扉の奥……」
ガチャ
老婆「テスタさん、メイのお友達が来られましたよ。……あたしどもは仕事がありますので、娘のことはお願いしますねェ〜……ささ、どうぞ」
静「……お、お邪魔します」ギィ……
バタン
静「……ここは……お店の人が住んでる所?」
ツカツカ……
男「ええ、そうです。……ようこそ居らっしゃいました」
静「……貴方は?」
男「メイの……お嬢様の『執事』……の、ようなものをやっています、テスタロッサという者」
静「……『執事』ィィ〜ッ?」
男「ええ。……こちらにどうぞ」スッ……
静「いやいやちょっと待ちなさいよッ!老舗そば屋の、いかにも和風ゥ〜〜な家に、外人の『執事』ィ?何かのギャグかしら?アンバランスすぎるわよーッ。アハハハハハハハハ」
男「……」
静「……ハハ……」
男「……」
静「……お、オホン……」
男「……二階にどうぞ」スッ
静「……変なの」スタスタ……
…………
…………
コン、コンッ
ガチャ……
男「メイ……客人だ。クラスメイトが来たぞ」
静「…………」
少女「……いらっしゃい」スッ
カーテンの隙間から漏れる光の中、その少女はいた。
ベッドに身体を預け、開け放した窓の外をカーテン越しに眺めている。
髪も肌も着ている服も、何もかもが真っ白で、目の下には真っ黒なクマが出来ている。
整った顔立ちをしていたが、細い手足や痩せこけた頬がその美しさを異様なものに変えていた。
『まるでフランス人形の骸骨みたいだな』
と、静は思った。
見た目もそうだけど、健康状態も……
『骸骨』みたいに『生気』を感じないな、と思った。
少女「有栖川 冥といいます。初めまして」ニコリ
静「初めまして、有栖川さん。……あたしは静・ジョースター……先生の代わりにプリントを渡しに来たわ」
メイ「そう。ありがとう、『静』……私のことは『メイ』でいいわ。メイっておもいっきりなじるように呼び捨てにしてくれて構わない」
静「……それじゃあ、メイ。……貴女、学校を長いこと休んでいるみたいだけど……もしかして、その……体調が悪いの?」
メイ「……今日はずいぶんと良いわ。……普段は、太陽の光程度の刺激でさえ、苦痛に感じるのだから……」
静「……」
メイ「今日は良い天気ね……静。一緒に外を見ない?鳥が羽ばたくのを眺めましょう?」
静「……せっかくだけど、遠慮するわ。貴女、体調が良くないんでしょう?あまり長居すると迷惑っぽいし」
メイ「今日はいいのよ」
静「あたしは気にするわーッ」
メイ「いいのよ、別に……死ぬのが数日早まったって。私のこの『病』はもう……治ることがない……」
静「……」
メイ「残された短い時間を、貴女のために使ったって惜しくはないわ……」
静「……そんな身体で、よく学校に来て『友達』作ることが出来たわねーッ」
メイ「……ええ……たまには外出くらいするわ、私だって。……入学式の日は体調がとても良かったし」
静「……」
メイ「……私の『友達』に会ったのかしら?」
静「……ええ。康司と虻村……あと委員長……みんな心配していたわ……」
メイ「そう。……みんないい方ね」
メイ「『神様』は残酷だわ……私には大勢の『友達』が出来たのに、そんな私を殺してしまうのだから」
ゴホッ、ゴホッ……
静「!……『血』……」
男「メイ、平気か?」
メイ「大丈夫、大丈夫だから……何でもないわ。本当、大丈夫……」
静「あのォォ〜〜……あたし、そろそろ帰るわねッ。これ以上体調悪化したら駄目だしィ〜〜……」
メイ「……もう帰るの?静……もう少し、もうすこしだけ……お話をしましょう?私と、いっしょに……」
静「でも……」
メイ「……ねぇ、静?『神』って『何処』にいると思う?」
静「……『神』?」
メイ「くだらない話……本当に『神』がいるのなら、その『神』は『何処』にいるのか?……それが解れば、人間は『神』に文句だって言えるでしょう?さて、その『神』は何処にいる?」
静「……」
メイ「……『何処』?答えて……」
静「普通は…………『天国』なんじゃあないの?」
メイ「……フゥン……それも『正解』でしょうね」
静「……?」
メイ「だけど違う。……正解は『人々の心の中』よ」
静「……『心』……?」
メイ「人々は『天国』を見たことが無いのに、その存在を信じてる。そして、その『心の中の天国』に、勝手に『神』を住ましているのよ。……『神』を見たことが無いのにね」
静「……」
メイ「この世界の人々全てが『神』を信じているからこそ、『神』というものは存在する。……もしこの世界中の人が、『神』というものを知らなかったら……『神』なんて存在しないでしょうね」
静「……いきなり……何の話をしているの?」
メイ「……もしも、この世界中の人々と、知り合うことが出来たなら……その人はどうなるのかしらね?」
静「……」
メイ「……『素晴らしきこの世界』……その人はきっと、『神』と同じになって……この世界は、『天国』になるんじゃあないかしら……」
静「あたし……帰るわ。いきなり押しかけて……悪かったわね」
メイ「……あらそう?もう少しゆっくりしてもいいのに……」
静「いえホント……失礼しました……」
メイ「……フゥン……」
静(ヤッベェ〜〜よッ!こいつ相当のプッツン野郎だぜ〜〜ッ……家に引きこもりすぎて妄想と現実の区別ついてねェーよッ!話についていけねーッ!)
メイ「……『近付かない』のね……」
静「?……何?」
メイ「いえ……何でもないわ。……お客様をお送りして。『チェスタ』」
男「……はい」スッ
メイ「……また会いましょう、『静・ジョースター』」
静「……ええ、そうね。『有栖川 冥』」
…………
…………
静「ハァー……何なのよ、アイツ……」
テクテク……
静「結局何であんなヤツが、みんなと友達なのかわかんなかったわ……不思議な魅力ってやつかしら?……不思議すぎるっての……」
テクテク……
大柳「おッ!静ーッ、訪問は終わったのかっ?」シタ!
静「……何で先生がここにいるのよ」ジトッ
大柳「送り出したはいいけど、お前が心配だから急いで仕事終わらしてきたんだよ。……何だその嫌そうな顔は」
静「先生が行けばよかったじゃんかさーッ!なんであたしに変な手間かけさせるかなあ、もう!」
大柳「悪い悪い、いやけどホント、君が行ってくれて助かったんだよ。これはマジに本当。うん」
静「いい加減で調子いいことばっか言ってんじゃあないってのーッ!」プンスカ
大柳「それで……どうだった?」
静「何がッ?」
大柳「有栖川さんの事だよ……どうなの?」
静「どう、って……体調悪そうだったわ。入院させるべきじゃあないの?オツムもちょっぴりヤバそうだったわよ……ったく……」
大柳「……」
静「……何?」
大柳「フーッ……君……『アレ』になってないみたいだね……接触時間か、射程距離か……?」
静「……?」
大柳「何にせよ、『アレ』にならない人もいるって事か。それがわかっただけでも儲けものだ。本当助かった……うん……」
静「……『アレ』って?」
大柳「『友達』」
静「……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
大柳「……君も、『奇妙』だと思っていただろう?何故あの彼女は、あんなにも……『友達』が多いのだろう、って……」
静「…………まさか……何かの『能力』だっていうの……?」
大柳「『能力』か、『薬』か、『洗脳』か……方法はわからないけどね。彼女に接触した人はみんな、彼女の『友達』になっている……っていうのは事実だ。……教員すらね」
静「……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
大柳「彼女は、『長くない』みたいだけど……『危険』なのには変わらないよ。静……充分に注意しなよ。彼女と、彼女の『友達』には、ね」
静「……」
…………
…………
メイ「用心深い娘ね」
静・ジョースターが去った後、有栖川 冥はそうつぶやいた。
その顔から柔らかな笑みは消え、ぎりりと音をたてて爪を噛む。
メイ「あと一歩、もう一歩前に出れば……射程距離内だったというのに……」
チェスタ「あまりイラつくな。身体に響く……」
執事の格好をしていた男——チェスタ・テスタロッサが、背広を脱ぎながら言った。
本来このような格好は好きではないようで、乱暴にネクタイを放り投げる。
チェスタ「俺は君を『神』にすると、そう心に決めているが……君が死んでは、元も子もない」
メイ「……ごめんなさい、チェスタ……そうね。まだ、まだ……私は死ねないのよね、まだ……」
メイ「私が死んでも私は残る……だけど、まだ死ぬわけにはいかない。……やっぱり時間が足りないかしら?」
チェスタ「……君の今の体力では、メイ……夏を乗り切るのは難しいだろう」
メイ「ううん……今死んだら『神』にはなれないのよね。……やっぱり強硬手段しかないのかしら?」
チェスタ「……」
メイ「……『本』を手に入れて……『東方仗助』と接触して……『アレ』を手に入れる。……ううん……」
チェスタ「君の能力ならば可能かもしれない。2つ目と3つ目はな。しかし……1つ目は無理だ」
メイ「静……彼女の能力ならば、手に入れる事が出来るのに……」
チェスタ「……」
メイ「仕方ないわ。梅雨があけるころが、タイムリミット……その頃までに『彼』が動かないのなら、私達がやるしかない」
チェスタ「『ペーパー・バック・ライター』……あんなチンケな能力で、『本』が手に入る訳がない」
メイ「どっちにしろ、『アレ』を『東方仗助』から手に入れるには、私の能力じゃあないと駄目ね。チェスタ、貴方が『本』を手に入れる役になるかもしれないわ……覚悟は?」
チェスタ「出来ている。……が、勘弁してもらいたいな。杜王町全てと戦うようなものだろう?」
メイ「そうね。……だけど、やらないといけないの。私が『神』になるためには」
チェスタ「……」
メイ「……今日は本当に調子がいいわね……」
チェスタ「無理はするなよ」
メイ「していないわ。本当、全然……調子がいい。スガスガしい気分よ。……少し散歩に出てもいいかしら?」
チェスタ「……着替えを用意しよう」
メイ「お願いするわ」スルリ……
薄い服を脱いだ有栖川 冥の背中には、
英語でいくつもの『言葉』が刻まれていた。
細い線で、ひっかき傷のように刻まれた言葉は、
たしかにこう書かれていた……。
『らせん階段』
『カブト虫』
『廃墟の街』
『イチジクのタルト』
『カブト虫』
『ドロローサへの道』
『カブト虫』
『特異点』
『ジェット』
『天使』
『紫陽花』
『カブト虫』
『特異点』
『秘密の皇帝』
…………
⇐To be continued=・・・?
これにて四話終了です。最後マキぎみで連続投下しまくってすみません。
完璧時間配分間違えた……。はやく晩御飯作らないと……。
今回の話でわかる通り、これから先オリジナル展開ばかりになります。
私自身めちゃくちゃ怖いのですが、思い切って好きなようにやっていこうと思います。読者様がおられる限りは……。あと精神的体力続くかぎり。
次回から伏線ちょこちょこ回収していきます。
次回タイトルは
静「泥棒をしよう」
でいこうかと。
次回はバトル多いと思います。
ではまたどこかで……。
次スレのご案内です。
静「泥棒をしよう」
静「泥棒をしよう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370177583/)
明日も仕事ですので、今日は軽めに投下します。
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