( ^ω^)その時、戦車道史が動いた!のようです (49)

※この作品は、下記2作の続編という形になっています

( ^ω^)戦車道史、学びます!のようです
( ^ω^)戦車道史、学びます!のようです - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1489304048/)

( ^ω^)戦車道史、教えます!のようです
( ^ω^)戦車道史、教えます!のようです - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1490100561/)

お先に目を通していただけると幸いです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491739394




九月もそろそろ末になり、太陽はようやく慎みというものを思い出してくれたらしい。頬をなでる秋風のひんやりとした心地が、連日の残暑に体力と睡眠時間を削られがちであった僕の心を癒やしてくれた。

商業区の店舗通りを歩いていると、既に店を開けた顔なじみの魚屋さんが声をかけてきた。何でも、大洗鎮守府所属の艦娘たちがサンマを水揚げしてくれたのだそうだ。

安くしとくよという声に、今は出勤中なのでと断りを入れる。今年一番乗りで新鮮なサンマを手が入る栄誉は確かに魅力的だが、買ったところで流石に今から家に戻る時間はない。学校で調理なんて企てれば、園さん率いる風紀委員が大挙襲来して瞬く間にお縄だろう。

断腸の思いで背を向けると、魚屋さんが「とっとくから帰りに買いにきな」と声をかけてくる。僕は一瞬だけ振り向いて頭を下げた。

( ^ω^)(今日の夕飯は確定だおね)

鼻歌で「上を向いて歩こう」を奏でつつ、少しだけ歩く速度を上げる。

元々、季節と季節の境目が僕は嫌いではない。その中でも、夏から秋へと移り変わっていく様がたまらなく好きだ。

八百屋の店頭に並んでいた西瓜が、栗と柿に変わっていたり。

服飾店の広告が、秋物のカーディガンやスーツを前面に押し出していたり。

海水浴場での深海棲艦に対する注意喚起を険しい表情で繰り返していたアナウンサーが──そもそも海水浴が出来る時点で日本の現状は非常に恵まれているが──にこやかに木の葉の色づきを伝えたり。

国語教師として文学的に表現するなら、近づいてくる「秋の足音」が自然と気分を高揚させる。

ただ。

《───続いてのニュースです。

インド外務省からの強い要請を受け、日本政府は昨日、防空指揮艦【ひゅうが】を旗艦とする第三機動防空艦隊をインド洋に派遣することを正式に発表しました》

今年の“秋”には、すぐ後ろに不穏な足音を一つ引き連れていた。

《深海棲艦出現以降では四度目となる海外への自衛隊の武力派兵となる見通しですが、今回のインド側の要請には“緊急性がない”として野党四党が強く反発。国会議事堂前には、今朝から反戦・反艦娘団体が集結し────》

( ^ω^)「……」

電気屋のラジオがはき出すニュースに一瞬足を止め、その後努めて聞こえていないふりをしながら小走りでその前を通り過ぎる。

………派遣艦として呼ばれた名前が【かが】ではなくてほっとしてしまうのは、やはり酷いことなのだろうか。


~( ^ω^)その時、戦車道史が動いた!のようです~





みほ「────起立、気をつけ、礼!」

「「「宜しくお願いしまーーす!!」」」

みほ「着席!!」

( ^ω^)「おっおー、本日も宜しくだおー。

さて、前回の授業では戦車道の原点的武道────砲車道の日本での誕生についてやったんだったおね」

麻子「zzzz」

( ^ω^)「………」

沙織「ちょっと、麻子!まーこ!!」ユサユサ

麻子「んぁ~……なんだ沙織、もう授業は終わりか?」

沙織「もー、逆だよ逆!今から始まるの!」

( ^ω^)「冷泉さん、砲車」

麻子「………砲車道が誕生した経緯として、まず鎌倉時代から室町時代後期にかけての三つの大きな転機が上げられる。

一つ、北条政子による女性武装兵団【女備え】の設立

一つ、日野富子による、【女備え】への民間人の雇い入れ

一つ、石山本願寺による民間女性への鉄砲の流布

甲斐武田家の松姫との文通で坂額御前の存在を知った織田信忠は、この三つの転機によって生まれた女性鉄砲兵の存在と併せて【砲車隊】を考案。

長篠合戦で戦果を上げたことから、信忠はこれを武道として領内に奨励した………これが、後に日本においては“戦車道”へと繋がる源流の武道とみられている。

この内容で間違いないな?」

( ^ω^)「くっそう秀才すげぇ、ぐうの音も出ねえ。その通りだお。

……とはいえ、出来る限り授業中起きていてくれると嬉しいおね」

麻子「……まぁ、善処ぐらいはしてみよう」

( ^ω^)「うん、助かる。

自動車部の皆は今日は大丈夫かお~?」

ナカジマ「あ、こっちも大丈夫です!」

スズキ「私ら前の授業古典だったんで!!」

( ^ω^)「その返しはその返しでダメだろ」

/ ,' 3
荒巻 骸ノ助(古典教師)
御年71歳。
生徒間での異名:絶対生徒眠らせるマン

( ^ω^)「さて、そんじゃおさらいも終わったわけだし今日の内容やってくおー。

前回は日本での“戦車道の始まり”について、今冷泉さんが説明してくれたとおりの流れでやったおね。

今回はヨーロッパに視点を移すお。11世紀~16世紀にかけて戦車道誕生の下地である【女騎士】文化が衰退していく過程、そして18世紀からの急速な復興について学んで貰うお」

典子「か、かんいんのヨーロッパについて……////」プシュー

優季「先生~、姦淫の内容に触れてる内に生徒に対して邪な気持ち抱いたりしちゃダメよ~?」イヤンイヤン

( ^ω^)「姦淫の内容をそんな事細かにやるわけないだろ常識的に考えて。

だいたいこちとらガキの頃からシューひとすzゴホン!!」

優季「え?」

沙織「先生その話詳しく!!」ガタァッ!!

あゆみ「シューって誰!?渾名!?幼馴染みなんですか!?」ガタァッ!!

( ^ω^)「クソッ、これが女子高生パワーかゼクシィ一号と二号の食いつきやべぇ!揃ってしいたけみたいな眼しやがって!」

あゆみ「待って私もそういう扱いなんですか!?」ガーンッ!!

沙織「なんでショック受けてるのあゆみちゃん!?」ガーーーンッ!!

麻子「まぁ、そうなるな」

沙織「私の扱いなんか酷くない!?やだもーーーー!!」

華「それで、内藤先生。具体的にどのような経緯で欧州の【女騎士団】文化は枯れ散ってしまうのでしょうか?」

( ^ω^)「君も冷泉さんとは別ベクトルで凄くマイペースだおね。まぁ今回は助かるけど」

( ^ω^)「異民族の騎馬弓兵に対抗するために作られた、女性騎士団。主にローマ帝国を中心にヨーロッパ各地で活躍した彼女たちは高い地位を得る一方で、支配階級が姦淫におぼれる原因にもなってしまう。

結果、綱紀粛正を目論んだキリスト教会や各国為政者の手によって9世紀頃を境に衰退していく───このざっくりした流れは前回軽く触れたとおりだお」

優花里「しかし、当時の女騎士の皆さんは腐敗の原因も作っていたとはいえ軍の主力も担っていたわけですよね?そう簡単に力を奪い、規模を縮小することが出来たのでしょうか?」

( ^ω^)「良いところに気がついたおね秋山さん。

施政者や教会が女騎士の力を奪おうとした最大の理由は、姦淫の横行によるキリスト教権威の形骸化だお。
ただしその背景に、凋落が始まった9世紀頃から“そもそも女騎士自体が不要になり始めていた”という大きな要素があったからこそ、教会側も彼女たちの排除に動くことが出来るようになってたんだお」

あや「……あれ?でも先生、女騎士団の全盛期って7~8世紀だったんでしょ?それがなんで100年も経たないうちに“いらない”ってなっちゃうんですか?」

( ^ω^)「端的に言うと、製鉄技術の向上による甲冑の高性能化。このせいで戦場における“女性弓騎兵”の価値が下がったんだお」

あゆみ「えーと……鎧が強くなるとなんで女騎士がいらなくなっちゃうんですか?」

( ^ω^)「馬上弓の多くは、移動する馬の背で扱わなければいけない点を鑑みて小さく取り回しが利きやすい形で作られることが多いんだお。反面貫通力・射程距離に乏しい。

例えばよくお伽噺で出てくるような、全身を強固な鉄の鎧で包み込んだ騎士が────」

カエサル「────例としてプレートアーマーを装備した敵兵が相手なら、貫通力が乏しい馬上弓ではまともな打撃が与えられない。ましてや、男性に比べて平均的な腕力が落ちる女騎士の弓ならなおさら。

こういうことだな」

( ^ω^)「流石鈴木さん。お見事だお。

今鈴木さんが名前を出してくれたプレートアーマー……つまり西洋甲冑は登場が14世紀頃であり、直接的に女騎士の衰退に関わったわけではないお。

ただ、その前身的存在である鉄製スケイルアーマーが登場、東欧を中心に普及したことで騎馬弓兵の重要性が下がり、分けても非力だった女騎士は教会や施政者達によって真っ先に縮小されたんだお」

杏「納得できる部分もあるけど、若干こじつけじみてる気がするね~」

( ^ω^)「否定はしねえお。スケイルアーマーだって当時は“鉄製”というより“金属が含まれていた”程度の代物だし、チェインメイルよりマシなぐらいでどのみち刺突には弱いし。まぁ、そこまでこじつけて力を削がないといけない程度に女騎士団が教会や国家の腐敗に絡んじゃってたと言えるが。

とはいえ、当時の女騎士団がそういった理由で力を奪われ出したのは事実だお。大きな要因ではないにしろ、実際防具強度が上がったことは女騎士にとっては厳しかっただろうし」

カエサル「ところで先生、いい加減我々をソウルネームで呼んでいただいt」

( ^ω^)「どうかしたかたかちゃん」

カエサル「いえなんでもないです」

そど子「でも、何で当時のキリスト教会は女騎士団を解体しちゃわなかったのかしら。

そんな風紀を乱す団体、言語道断だわ!」

( ^ω^)「解体論は実際ローマをはじめとする欧州諸国でも出てはいたお。
ただ、結局のところ、女騎士団に骨抜きにされて力を奪うことに反対する勢力もかなりいた点、前回の授業でも触れた、“プロパガンダ部隊”としての側面から即座に解体することが難しかった点など幾つもの要因がかさなって段階的な弱体化に留めざるを得なかったという事情があるお」

桃「それに、実際いきなり女騎士団を完全に解体すれば欧州諸国も弱体化を免れなかっただろうしな」

( ^ω^)「河嶋さんの指摘通りだお。
鎧の高性能化による価値の減少はある程度事実でも、練度や規模を考えれば唐突な廃止は明らかな悪手。

寧ろ全体的な欧州軍の弱体化“程度”で済めばまだマシで、反発した女騎士団や彼女たちとつながりを持つ諸組織が結託すれば最悪大規模内乱が勃発しかねない。

こういった背景から、“段階的な弱体化に留めざるを得なかった”というのが正しいおね」

カエサル「……この間の先生の授業で興味が出て、その辺りのこと調べてみたんですけど」

( ^ω^)「すげえべ9-10世紀間の教会派と女騎士派の政争」

カエサル「ハイ。尋常じゃなかったです」

( ^ω^)「ここに宗派の違いによる教会同士の争いやら貴族間の利権争奪戦やら、果てには学園艦の介入まで起きてカオスの権化になるからな。応仁の乱時の日本のドロドロなんてマジで目じゃねえお」

沙織「うっわぁ……」

みほ「でも、逆に言うと教会派の女騎士団弱体化は必ずしもうまくいってなかったってことですね」

( ^ω^)「その通り。拡大の一途だったところに歯止めこそかかったけれど、一進一退って感じでこの時点では極端に衰退はしなかったお。

だけど11世紀の末、この状況が全てひっくり返り、女騎士団が一撃で“消滅”する大事件が起きるんだお」

麻子「11世紀……ヨーロッパ……」

カエサル「キリスト教……大事件……イェルサレム?」

( ^ω^)「そう、レコンキスタ運動の最中に起きた欧州キリスト教国によるアナトリア半島への大規模派兵。イェルサレム奪還を掲げた、宗教史上類を見ない巨大な【聖戦】。

第1回十字軍遠征だお」

( ・`ω・´)←アレクシオス一世

彡(゚)(゚)←ウルバヌス二世

从'ー'从←最大派閥女騎士団団長

(,,゚Д゚)←ブルゴーニュ伯ボードゥアン

( ・`ω・´)「ようやくノルマン人の奴等をバルカン半島から叩き出したぞ。

ヴェネツィア共和国との同盟が効いたな、先代の軟弱な外交姿勢が招いた問題を、ようやく一つ払拭できた」

(民^ω^)「その代わりヴェネツィア共和国に特権わんさか渡して後々大問題にもなるけどな!謝れ!」

( ・`ω・´)「すマグナ・グラエキア!」

( ・`ω・´)「だがしかし、アナトリア半島をはじめとする小アジアは悉くセルジューク朝トルコの手の内だ。

奪還しなければコンスタンティノポリスが危ないが、半ば内乱状態とはいえ我が国単体では奪還などできん」

( ・`ω・´)「……ミラノ勅令の影響で我が帝国は国教がキリスト教だ、ここは教皇に働きかけて増援を頼もう」

( ・`ω・´)「……というわけで、援軍を頼みたい!」

彡(゚)(゚)「アナトリア……イェルサレムのある場所やな」

彡(゚)(゚)(欧州全体での人口増加や温暖化、農業の進歩、それらによる経済の安定化で社会はかなり活気に満ちあふれとる。

女騎士共との癒着のせいでズタズタやった各教会の権威も、社会風紀の安定に併せて回復を始めた)

彡(゚)(゚)(ここで「教皇主導で派遣したキリスト教の軍勢」が大戦果を上げれば、教皇の権威にもキリスト教の権威にも箔がつく。

幸いセルジューク朝は内紛で意思統一ができとらん、動かん手はないで!)

彡(゚)(゚)「よっしゃ任せろや!!蛮族共を僻地にたたっかえすで!!

乳と蜜の流れる地は、あいつらには勿体ないわ!」

( ・`ω・´)「! 感謝する!」

~1095年 クレルモン教会会議~

彡(゚)(゚)「てなわけや!敬虔なるキリスト教徒の聖地巡礼を邪魔するクソ共をこれ以上のさばらせたらあかん!イェルサレム奪還や!

各教会、各国騎士団並びに女騎士団、皆力を貸してくれや!」

(,,゚Д゚)「解った!任せな!」

从'ー'从「あれれ~、解ったよー」

从'ー'从(……ウルバヌスさんが色々教会の改革をしちゃったせいで、ここのところ私たちの力は落ちる一方なんだよねー。

セルジューク朝の内実はボロボロらしいし、「私たちだけ」で大戦果上げちゃおうかな~)






(;><)「女騎士団が“隠者ピエール”とかいう謎の人物を押し立てて民衆を勝手に組織、総勢10万でイェルサレムへ単独進撃を開始したんです!!」

彡(●)(●)

(,, Д ) ゚゚

(;><)「因みに通過途中で略奪とかしまくってるらしいんです!!味方領でも!!!」

彡ⅲ()()

(,,ⅲ Д )

この後滅茶苦茶壊滅した


( ・`ω・´)「……女騎士団と、彼女たちが率いた民衆軍は我が東ローマ帝国領内でも略奪を行った」

(,,ⅲ Д )サーセン

( ・`ω・´)「君たちは違うと思いたいが、はっきりいって信用できない。この場で我々への忠誠を誓ってくれ」

(,,ⅲ Д )ハイ、ワカリヤシタ

(,,#゚Д゚)「……栄誉ある聖地奪還の戦いでなんでクソッタレ共のケツ拭いなんかしなきゃなんねえんだゴルァッ!!俺ぁキレたぜ、この戦争で領土を分捕って聖戦の執行者に相応しい国を建ててやる!!」

彡#(゚)(゚)「あのま~ん(笑)どものせいでキリスト教の権威がまた泥まみれになっとるやんけ!!何してくれてんじゃクソゴミ共!!」

彡#(●)(●)「今回のアナトリア半島における壊滅で最早女騎士団はまとまった兵力さえもっとらん、ただのクソの集まりや!

各教会は速やかに解体せぇ!!」

梓「………その、何というか」

ホシノ「残念ながら当然、以外の感想が浮かばない………」

( ^ω^)「だわな。

この第1回十字軍に先駆けて行われた“民衆十字軍”の大失敗によって、女騎士団は衰退どころか一足飛びに“消滅”までこぎ着けちまうんだお。そもそもアナトリア半島で壊滅的打撃を受けた結果、組織機構を維持できる兵力が残らなかったというのも大きいおね」

忍「因みに、从'ー'从←こいつの本名が出てこなかったのは何故ですか?」

( ^ω^)「ガン切れしたウルバヌス二世が全ての歴史書から彼女の名前が書かれた部分を削り取らせたらしいお。民衆でもタブー扱いされて、伝聞すら残らんという悲惨さだお」

カエサル「隠者ピエールの伝説の方でも欠片も言及されてないのが凄いな……主にウルバヌス二世の恨みが」

エルヴィン「気持ちは解らないでもない、正直」

( ^ω^)「一応一説によると、隠者ピエールこそが実はその主導者たる女騎士の隠語なのではないかというのもあるおね。

そんだけ多数の民衆軍が集まったってことはカリスマ性はあってもおかしくないし、それなりに慕われてたのかも知れないお。

ただ、無駄に慕われた結果教皇派に怒りだけでなくいらぬ警戒心まで持たせちゃってるからとことん裏目だけど」

ねこにゃー「け、警戒心……ですか?」

( ^ω^)「そ。単刀直入に言うと、これが中世ヨーロッパにおける“魔女狩り”に直結するんだお」

エルヴィン「ブーン先生、確か魔女狩りの発生時期は15~18世紀頃と記憶しているが」

( ^ω^)「ノーマン=コーンの学説だおね。組織的な魔女狩りは恐慌状態に陥った民衆が松本さんが指摘した時期に行っていたもので、12世紀頃のそれはカタリ派弾圧と混同されていただけだとするって奴。

実はこの学説、戦車道史という観点から改めて見た結果ひっくり返りつつあるんだお」

優花里「せ、戦車道史が正史の歴史観に影響したのですか?」

華「何とまぁ……」

( ^ω^)「順を追って説明していくお。

まずウルバヌス二世の改革や社会情勢の安定で多少権勢を回復したとはいえ、長らく腐敗しまくりだったキリスト教はまだまだ民衆から信頼されていなかったんだお。

信頼、求心力を一挙に取り戻すために企画されたのが十字軍なわけだけど、これはイェルサレム奪還という大目的こそ達成したものの民衆十字軍によるやらかしやソレを受けた十字軍国独立で非常に中途半端な感じに終わっちまったんだお」

ももがー「ゲームはクリアしたけど、フラグ構築ミスってエンディングでヒロインが爆散した感じナリか?」

( ^ω^)「おい武美さんの話はやめろトラウマなんだ」

ぴよたん「あれを全年齢対象ゲームと言い張るコ○ミぇ…」

ねこにゃー「手紙……縦読み……ウッアタマガ」

( ^ω^)「それ以上いけない。

……話を戻すと、キリスト教並びに教皇の権勢に箔を付け求心力の回復を更に加速させるというウルバヌス二世の目論見は消化不良に終わるお。この結果、腐敗に耐えかねて分派していたカタリ派が南フランス地方を中心に力を持ち始めるんだお」

おりょう「キリスト教混沌としすぎぜよ……そりゃ幕府も禁制する」

( ^ω^)「カタリ派に関しては流石に本筋からずれまくるから詳細は省くけど、“滅茶苦茶禁欲的なキリスト教の一派”とだけ覚えておいてくれ」

桂里奈「きんよくてき?」

紗希「………色んな楽しいことを我慢すること」

桂里奈「そっか───!?

せんせー、じゃあ“かたりは”の人たちはアニメも特撮も見なかったんですか!?」

( ^ω^)「見られなかったんじゃねえかななんせ中世ヨーロッパだから」

梓「……桂里奈ちゃん、900年近く前だからテレビもDVDもないよ」

桂里奈「そっか!」

( ^ω^)「君本当に脊髄反射的に喋るよな。

キリスト教指導層が恐れたのは、このカタリ派と解散後各地に隠遁した女騎士団の残党達の結託。

カタリ派は、古き良きキリスト教の教義の体現者として当時支持を徐々に広げていたお。

そして女騎士団は、先の“民衆十字軍”で彼女たちのブランド性、カリスマ性、求心力の高さがいかに大きいかを知らしめたお」

左衛門佐「なるほど、この二つが力を持ち牙をむいてくることを恐れたと」

( ^ω^)「ま、カタリ派が立ち上がった理由を考えれば彼らが女騎士と組んだ可能性は極めて低いと言いざるを得んがね。

ただ、解散させられたばかりの女騎士団はまだ権力の座に返り咲くことを諦めていなかったようだお。教皇側からすれば、どれだけ小さなものであっても“火種”は何としても消しておきたかった。

そして、カタリ派への弾圧と同時に女騎士狩りが────異端審問を通した魔女狩りが行われたお」

『女騎士団はヨーロッパの各地に潜伏し、神の名を騙り今なお民衆を誑かしている。最早彼女たちは神の使いではない、神の意志に背く魔女である。

我々はこれを断罪する。不適当な集会や不適当な集団武装を行うものたちは、魔女と同類の者として処罰する』

( ^ω^)「これは当時、教皇派が領内並びにキリスト教信仰国に出した触書の和訳だお。ここでの魔女とは後世に言われるような魔法を使う存在というより、単に“キリストの教えに反する者”ってことね。

この書は実はフランスの戦車道流派の家で近年見つかったもので、12世紀から異端審問が明確に“魔女と呼ばれる存在”が対象だった証左として注目されているお。

この“魔女”の弾圧は相当熾烈だったらしく、1209年から行われたアルビジョワ十字軍もカタリ派弾圧より女騎士団の残党殲滅が主目的だったのではないかと言われているお。
またかの有名なジャンヌ・ダルクも、落ち延びた女騎士の末裔と見なされて謀殺された説が議論されてるおね」

麻子「集会、武装の禁止……なるほど、これでは戦車道の前身になるような“武道”が生まれにくくなるな」

( ^ω^)「まさしく。

個人的にはこの流れ本当に残念だおね。15世紀のフス戦争なんて馬車をバリケードとして用いつつマスケット銃で馬車の中や陣の内側から弾幕張るなんて塹壕戦と戦車戦を掛け合わせたような戦い方も取られてるんだお。

民衆十字軍のやらかしと女騎士団の解体、この流れに沿った“魔女狩り”がなければ、ヨーロッパでは日本より遙かに早く“戦車道の直系的な前身”が生まれていた可能性は高いお。もし欧州で先に発展がなされていれば、今日の戦車道もまた違った形になっていたかも知れないおね」

妙子「先生、今名前が出たジャンヌ=ダルクは戦車道とは関係が薄いんですか?」

( ^ω^)「夢を壊すようで悪いけど薄いというか、寧ろマイナス要因になったお。

ジャンヌ=ダルクによる大規模な民衆蜂起と兵の士気向上、オルレアンの解放はフランス王室にとって望外の活躍ではあったけれど、それは一方で“武器を振るい先頭に立つ乙女”────即ち【女騎士】のカリスマ性があれだけ弾圧したにもかかわらず民衆のあいだで未だ健在だったという証拠。ジャンヌが魔女として処刑された後、ヨーロッパ全域での“魔女狩り”は更に激しさを増し“女性主流の武道”はますます生まれる余地を無くしていくんだお」

妙子「ええー……」

あけび「なんかショックだね……」

( ^ω^)「今でこそ名誉回復されて聖女なんて言われてるけど、当時のフランス王室の掌返しはマジでドン引きせざるを得ない。

そんなわけで、ジャンヌ=ダルクの再来を防ぐために思想統制・弾圧を徹底するキリスト教勢力。女騎士団────この頃には単に子孫達が小規模な隠れ里を作って暮らしていた程度のものだから団とは厳密には言えないけれど、とにかく彼女たちは教会の眼を逃れつつ戦々恐々と暮らしていく。

この状況に変化を与えたのは、16世紀のマルティン=ルターによる宗教改革の始まり。

世界史でも習う重大事件だけど、これは欧州の戦車道文化にとっても大きな転機となるんだお」

ξ゚⊿゚)ξ←エリザベス一世

('A`)←ドレイク提督

(`・ω・´)←フェリペ二世

(`・ω・´)「我が義理の妹ながら、エリザベスはプロテスタントの宗派に属してけしからん。あんな奴にイギリスを治める権利はない!」

ξ゚⊿゚)ξ「女王になったのはいいけれど、スペインの内政干渉がうざったいわね……それに欧州はカトリックが多数派、私の王位の正当性にけちを付ける奴は他にもたくさん居るわ」

ξ#゚⊿゚)ξ「スペインの力を削ぎつつ大陸におけるプロテスタント派の信者を増やすわよ!ネーデルランドの反乱に介入しなさい!」

~イングランド、八十年戦争に介入!~

ξ゚⊿゚)ξ「カトリック派に長らく弾圧されていた戦乙女達よ、敬虔なるプロテスタントの教徒と共に立ち上がりなさい!我がイングランド王家は、女騎士団の正当な再結成とキリスト教における貴女たちの権利の復活を約束するわ!」

\イエス、マイロード!!/

ξ#゚⊿゚)ξ「貴女たちの新たなる新天地はネーデルランドにあり!今こそ腐敗したカトリックのあり方に怒りの声を上げよ!」

\イエス、マイロード!!/

ξ゚⊿゚)ξ「あ、アンタはとりあえずスペインの商船襲いまくりなさい。奴等の海上物流を滞らせて」

('A`)「ういっす」

優花里「こうしてみると、戦車道の設立には意外と著名な男性も多く関わっているのですね」

( ^ω^)「突き詰めれば根源は戦争技術発展の歴史と二人三脚だしな、言ってしまうと。

で、ルターの宗教改革による“プロテスタント派の分派”は、これまでのカタリ派やフス派のような細々としたものじゃすまなかったお。国家ぐるみでの改宗まで起きる中でカトリック派は混乱、この間隙を突く形で、弾圧・迫害されていた“女騎士団”の末裔達も息を吹き返すお」

柚子「あれ?魔女狩りって確か、その頃が一番激しかったはずじゃ……」

( ^ω^)「確かにそう。

ただし、激しかった理由は“弾圧される側からの反撃”があったためだお。

プロテスタント派は過去に類を見ない巨大な勢力としてカトリック派と対立し、シュマルカルデン戦争のように実際に軍事的な衝突ができるほどの力を持っていたお。そしてプロテスタント派は、同じ“迫害対象”である魔女───女騎士たちに目を付け、彼女たちを支援した。

中でも強力な支援が行われたのは16世紀末、エリザベス一世によるものだお」

ξ゚⊿゚)ξ←エリザベス一世

('A`)←ドレイク提督

(`・ω・´)←フェリペ二世

(`・ω・´)「我が義理の妹ながら、エリザベスはプロテスタントの宗派に属してけしからん。あんな奴にイギリスを治める権利はない!」

ξ゚⊿゚)ξ「女王になったのはいいけれど、スペインの内政干渉がうざったいわね……それに欧州はカトリックが多数派、私の王位の正当性にけちを付ける奴は他にもたくさん居るわ」

ξ#゚⊿゚)ξ「スペインの力を削ぎつつ大陸におけるプロテスタント派の信者を増やすわよ!ネーデルランドの反乱に介入しなさい!」

──オランダ人の反乱、勃発!──

ξ゚⊿゚)ξ「カトリック派に長らく弾圧されていた戦乙女達よ、敬虔なるプロテスタントの教徒と共に立ち上がりなさい!我がイングランド王家は、女騎士団の正当な復活とキリスト教における貴女たちの権利の復活を約束するわ!」

\イエス、マイロード!!/

ξ#゚⊿゚)ξ「貴女たちの新たなる新天地はネーデルランドにあり!今こそ腐敗したカトリックのあり方に怒りの声を上げよ!」

\イエス、マイロード!!/

ξ゚⊿゚)ξ「あ、アンタはとりあえずスペインの商船襲いまくりなさい。奴等の海上物流を滞らせて」

('A`)「ういっす」


ア ル マ ダ の 海 戦

ズタボコズタボコズタボコ
  ( 'A`) =つ≡つ);:)ω;´).,,';
  (っ ≡つ=つ ⊂  ⊂)
  /   ) ババババ (   \
  ( / ̄∪      ∪ ̄\_)

(`(∴∴)ω(∴∴)´)「前が見えねえ」

('A`)「実際には上のaaほど一方的ってわけでもないがな」

ξ゚⊿゚)ξ「とはいえ、スペインの無敵艦隊を破ったのは事実だわ!!」

ξ#゚⊿゚)ξ「ヨーロッパのプロテスタント達よ、今こそ立ち上がりなさい!!(国益にかなう範囲で)我々イングランドが貴方たちを支援するわ!!」

\女王陛下バンザイ!!/

ξ゚⊿゚)ξ(まぁ利益にならなくなったら見捨てるけどね)

沙織「うっへぇ……」

華「流石はダージリンさんの国ですね……」

( ^ω^)「あの人はファッションイギリス人だからやめて差し上げろ。ただの神奈川県人だからあれ。

……付け加えると、この後イギリス軍は結局スペイン軍に制海権を奪還され、最終的に敗戦に近い形で1604年のロンドン条約によってこの英西戦争を終えることになるお。

とはいえ、プロテスタント国であるイギリスがカトリック派国家の中でも高い国力を持つスペインに土を付けたという事実は、他の欧州諸国に大きな影響を与えたお。

加えてスペインは、この英西戦争によって国富をすり減らし対外的な影響力を一時的に減退させざるを得なくなったお。これが結果として、プロテスタント並びに女騎士団の末裔達の勢力的な生存、そして発展へと繋がっていくおね」

優花里「では、ここから欧州戦車道も誕生を!?」

( ^ω^)「残念ながらそう簡単にはいかないんだこれが。女騎士団の末裔達───エリザベスによってNun Protestantと名付けられた一団は確かに表立って戦いの中に身は投じていったけれど、その後動乱の欧州の中で消えたり復活したり、全く別の組織に変わってしまったりと凡そ150年ほどのあいだに目まぐるしく立ち位置が変わっていくんだお。

ただ、この過程で非常に重要なのが、Nun Protestantたちの活躍によって欧州でも大きく遅れながら日本同様に“民間への武具の流布”が進み始めたこと、“女性武装集団の組織的な戦場への参画”が再び始まったこと、そして何より───Nun Protestantら当時の女性兵達が、歴史の中で徐々にキリスト教の影響下から脱却していくことだお」

( ^ω^)「そして皆さん、今日の“その時”がやって参ります(松平定知風)」

みほ「…先生、ソレハマってるんですか?」

( ^ω^)「時は下って18世紀末。13植民地とイギリス本国の経済的・政治的軋轢から勃発したジョージ=ワシントンによるアメリカ独立戦争。

1775年に起きたこの戦争は、フランスやスペイン、ネーデルランド連邦共和国などの支援によって歴史書に記されるとおり13植民地軍が勝利、パリ条約によってアメリカ合衆国が設立するお」

( ^ω^)「因みにこの時ネーデルランド連邦────つまりオランダから、英西戦争の時にイギリスの手引きで流入したNun?Protestantの子孫達が【義勇聖女軍】として大陸軍に参加。アメリカ独立時にそのまま合衆国に残るお。

そして彼女たちがアメリカ戦車道の原点となっていくんだけど、それはまた別の話。

今回の視点は、このアメリカ独立戦争に最も熱心に支援を提供した国───フランス王国だお」

沙織「18世紀、フランス……」

桃「───フランス革命、か」

( ^ω^)「河嶋さん、正解。

長らく続いたフランスの絶対王政が音を立てて崩壊し、激動と戦乱の時代へと欧州全体が飲み込まれていく転換期。

この時、歴史的な面でも欧州戦車道史的な面でも、極めて重要な一人の“英雄”が頭角を現した。

彼の名は────ナポレオン=ボナパルト」

(´・_ゝ・`)←ルイ16世

( <●><●>)←ジャック=ネッケル

ミ ゚Д゚彡←ナポレオン

(,,゚Д゚) ('(゚∀゚∩ ( ><)←名も無き市民達

从 ゚∀从 川*` ゥ´) |゚ノ ^∀^)←名も無き女性市民達

1783年、ヨーロッパは火山灰に包まれた!!

   (⌒⌒)

   ii!i!i  ドカーン
    ノ~~~ \
  /`・ω・´ \

,,/        \,,,,,
 ↑ラキ火山

从#゚∀从「税金は重い、食べ物は高い、そのくせ貴族共は少しも節制しやがらねぇ!!」

|゚ノ #^∀^)「貴方たちの生活を支えてるのは私たち民衆なのよ!?私たちに飢えて死ねというの!?」

川#` ゥ´)「いい加減にするのよさ!庶民は我慢の限界なのよさ!!ワケわかんない戦争なんてしてる場合じゃないのよさ!!」

\そーだそーだ、ギャーギャー!/
(,,#゚Д゚)(#><)('(゚∀゚#∩

(;´・_ゝ・`)「あわわ、国民が怒り狂っている。かといって既に真っ赤っかな国家財政で税金を下げるわけには……

ネッケル君、なんとかしてくれよ!」

( <●><●>)「貴方一度私のことクビにした(※)くせによくもぬけぬけと招聘できましたね……」
※1781年にネッケルは一度財務長官の職を追われている

(´・_ゝ・`)「そんなこと言わないでさぁ、ねっけえもーん。なんか財政を回復するアイデア出してよー」

( <●><●>)「語呂悪いなおい……以前も言いましたが、財政回復なんて無駄金食いの特権貴族共が蓄えてる私財絞るぐらいしかもうないことは解ってます。

というか、前任のテュルゴーさんがそれをやろうとして貴族共が反発したせいで私は別の方法模索しなきゃいけなかったんですよ?」

(;´・_ゝ・`)「そ、それはそうだけどさ。ほら、貴族とか司祭も色々あるし、ね?」

( <●><●>)「……とりあえず、第三身分である市民達からこれ以上の課税はできません。特権階級に何としても課税・節制を呑ませるしかない。

三部会を招集して国民の声を直接聞かせれば少しは現状を認識するでしょう、話はそれからです」

1789年 三部会

(*^○^*)「本日からの三部会で問題を解決───」

( ・∀・)「の、はずでしたがぁ!!一部会1票にして既得権益を守りたいので会議を引き延ばします!!」

(;´・_ゝ・`)(;<●><●>)「もーいや!」

从?゚∀从?川*`?ゥ´)?|゚ノ?^∀^)

(,,゚Д゚)( ><)('(゚∀゚∩?

「「「よろしい、ならば戦争だ」」」

\球戯場の誓い!国民議会発足!/

(#・∀・)「はぁ!?国民議会だぁ!?んなもん認めるかこの三下共がぁ!」

(*^○^*)「フランスにはこんな軍隊が居るんだ!国王陛下、とっととパリに軍を駐留させて不届き者を威圧するんだ!!」

(´・_ゝ・`)「わ、解りました」

(*^○^*)「あ、ついでにこんな価値のない会議をさせたネッケルはクビにするんだ」

(´・_ゝ・`)「わ、解りました」

(;<●><●>)「何やってんだてめぇええええええ!!!」

(,,;゚Д゚)「ネッケルさんがクビになっちまったぞゴルァッ!!」

(#><)「明らかに貴族共は話し合う気が無いんです!僕たちの代表を議会から閉め出したり、自分たちのことしか考えてないんです!!」

('(゚∀゚#∩ 「もう奴等の脳みそは治せねえよ!戦争だよ!!」

7月14日、バスティーユ牢獄襲撃!!

从#゚∀从「やっぱり王室も貴族もあたしら庶民の敵だ!!」

川#` ゥ´)「こっちは子供に食わせるパンすら買えないのに、砂糖たっぷりの菓子を貪ってる奴等は許さないのよさ!!」

|゚ノ #^∀^)「王族共を捕らえるわよ!!」

10月5日、ヴェルサイユ宮殿襲撃!!

从#゚∀从「オラァッ、捕まえたぞ!」

|゚ノ #^∀^)「逃げられないわよ!観念なさい!」

(;´・_ゝ・`)「ひ、ひぃいい……すみません、すみません!

人権宣言も認めますし大人しく宮殿から退去するので見逃して下さい!!」

川#` ゥ´)「………とりあえず連れ出すのよさ。

逃げようとは思わないことだね、あんたの命まで取ろうって奴は今は少ないけど、逃げだそうとしたらどうなるか解らないよ」

ミ ゚Д゚彡~♪
※フランス革命発生当時のナポレオンはこの件に関心が薄く、普通に実家に帰省したりしてる

妙子「…………」

麻子「予想してたがドロドロのぐちゃぐちゃだな」

( ^ω^)「因みにこれフランス革命の“導入”な。マリオで言うと1-1」

典子「えぇ…(困惑)」

( ^ω^)「この時期の欧州についてなんて研究したら本何冊書けるか解ったもんじゃねえお。

まぁこの授業はあくまでも戦車道史なので、ここからナポレオン登場までの流れはがっつり省くお。

流れだけ簡潔に説明すると、この後フランス革命の波及を恐れた周辺の列強国が内政干渉をしだして、ルイ16世一家が脱走・亡命を試みたこともあって革命政府はオーストリアらに宣戦を布告。世に言うフランス革命戦争が始まるんだお。

その後、革命政府内でも派閥争いが激化、ドロッドロのグッチャグチャになりながら戦争は全方位に飛び火していくお」

杏「……先生~、ちょーっと適当すぎじゃない?」

(;^ω^)「自覚はあるけどマジで勘弁してくれお。語り尽くそうとしたら丸一年この辺りの解説を授業に費やさないといけなくなるから。

さて、ここで一つ思い返してほしいのは、ヴェルサイユ宮殿への突入とルイ16世一家を捕らえたのが、“女性の民衆”であるという点。

大半はパリ市民だったのだけれど……実は、近年の研究で彼女たちを扇動・武装指導したのはフランス南部出身の女性達だったことが判明しているんだお」

梓「フランス南……あっ!」

優花里「カタリ派、そして女騎士団が魔女狩りの際に潜伏していた地方です!」

( ^ω^)「その通り!このパリ市民を扇動した南仏女性達は、まさに女騎士団の末裔達だと推測されているんだお。あくまでも状況証拠や、記録に残る彼女たちの断片的な言動からの予想であって確定ではないけどね。

このヴェルサイユ宮殿を攻撃した一派はそのまま武装民兵の一団として革命政府に参画、フランス革命戦争に際しては他の軍同様各地を転戦するお。

────そして、この武装女性兵団とナポレオン=ボナパルトが出会うことで、ずっと進んだり戻ったりをくり返していた欧州戦車道の歴史が大きく進んでいくんだお」

~1793年~

ミ ゚Д゚彡(……)

<ドカーン、ドカーン
<グェー!シンダンゴー!

ミ ゚Д゚彡(やはりトゥーロンを陥落させるには、ル・ケールの丘を占領しなければ話にならん。このまま無為な攻勢をかけても、兵を損失させるだけだ)

ミ;-Д-彡(しかし、上層部は私の戦略を認めて下さらない。支援は僅か、直轄の指揮下兵力自体も雀の涙、これではどうしようも………)

ミ ゚Д゚彡「………ん?」

从 ゚∀从 川 ` ゥ´) |゚ノ ^∀^)

ミ ゚Д゚彡「(軍服を着た女性……?)何だ君たちは、ここは戦場だぞ。早く帰りたまえ」

从゚∀从 川` ゥ´) |゚ノ^∀^)

ザッ、チャキッ!!

ミ ゚Д゚彡「………なるほど」








ミ ゚Д゚彡「歓迎しよう、我が兵士達よ。ナポレオンの軍へようこそ」

ミ#゚Д゚彡「───突撃、前へ!!」

从#゚∀从川#` ゥ´)|゚ノ #^∀^)
「「「うぉおおおおおおおっ!!!!」」」

↓サミュエル=フッド
( ゚д゚;)「なっ、女性兵部隊だと!?

応戦しろ、蹴散らせ!」

从#゚∀从「怯むんじゃねえ!!あたしらには古代ローマより脈々と受け継がれし戦乙女の血が流れてるんだ!!男相手でも、負けんじゃねぇええ!!!」

|゚ノ# ^∀^)
「「D'accord!!」」
川#` ゥ´)

( ゚д゚;)「ル・ケールの丘が………くっ、退却!!全軍、退却せよぉおーーーー!!」





パゾ美「────ヴィヴァンディエール」

( ^ω^)「お~……金春さんよく知ってたおね」

パゾ美「あの……映画を……よく見るので。

フランス革命を題材にした映画で……何度か……」

( ^ω^)「なるほど。

どうせだから、ヴィヴァンディエールがどんなものかも説明してくれるかお?」

パゾ美「はい。

ヴィヴァンディエールは……フランス軍で1700年頃から活躍していた女性の従軍部隊です……

とはいえ、登場した当初はあくまで“従軍しているだけ”で、役割はお酒の販売や移動喫茶店……それと場合により慰安婦、です」

典子「あうぅ///」ボヒッ

そど子「………///」カァ~ッ

優季「……」

桂里奈「???」

紗希「……」ヨシヨシ

杏「まー、戦争中の男って環境的にはものすごーく禁欲的だしねー」モッサモッサ

( ^ω^)「そうだけどホント明け透けに言うね……おい食うなコラ」

パゾ美「……ヴィヴァンディエールは規模や規則には何度か変化はありましたけれど、役割についてはさっきの内容からしばらく動きませんでした。

……事情が変わったのは今やったフランス革命戦争に入ってから。

“無言の忠節”を経てナポレオン=ボナパルトの指揮下に入った女性兵士の一団が…ヴィヴァンディエールとして組織されました。

彼女たちは後に、フランス革命戦争からナポレオン戦争にかけて常に最前線で戦い抜くことになります。

ナポレオンがワーテルローの戦いに敗北する、最後の瞬間まで」

( ^ω^)「うん、完璧な回答をありがとうだお」

( ^ω^)「因みに、夢のない話をしてしまうと“無言の忠節”───トゥーロン攻囲戦で女性兵団が沈黙のままにナポレオンに臣下の礼を取ったとする逸話は、後世が創作したという説が濃厚だお。

とはいえ、トゥーロンでナポレオンの指揮下に加わった女性兵団がこれの攻略に大きく貢献した点、彼女たちがナポレオン軍のヴィヴァンディエールとして従軍し、ナポレオン没落まで付き従い続けた点、彼女たちが常に最前線で砲兵或いは銃士として戦っていた点はいずれもまごう事なき事実だお。

そしてヴィヴァンディエールは以後各国に広まりつつ第一次世界大戦まで続き────ある乗り物が戦場に出現したとき、彼女たちの多くはその搭乗兵に選ばれることになる」

優花里「おぉおおおお………第一次大戦!乗り物!!つまり!!!」

( ^ω^)「そう、Tank。

日本で生まれたのが“戦車道の元となる武道”なら───欧州・フランスで生まれたのは、“女性戦車兵の元となる兵科”。

ナポレオンの指揮下でヴィヴァンディエールの役割が激変したことにより、女性戦車兵誕生の直接的な下地ができたんだお」


キーン、コーン、カーン、コーン……

( ^ω^)「っと、本日の授業はここまで。丁度よく欧州の戦車道の下地が終わったおね。

次回はアメリカ合衆国と日本の開国、そして幕末期における戦車道の発展について─────」

《────全教員に通達。連絡がありますので、至急職員室にお集まり下さい。

繰り返します、全教員に………》

( ^ω^)「………」

優季「……ブーン先生?」

( ^ω^)「あ、何でもねえお。じゃあ、先生急がなきゃいけないからこれで解散!」

「「「ありがとーございました!」」」

ガラッ、ピシャッ!!

桃「………会長」

杏「………ま、あの事だよね。とりあえず、今は黙っとこ。あんまり不安がらせても悪いしさ」




秋風の 吹けども青し 栗の毬

松尾芭蕉の俳句が思わず頭に浮かぶような、そんな季節。

窓から吹き込んでくる秋風も。
色づいていく木の葉も。
帰りに待っているサンマも。

それらは皆、僕に秋の足音を伝えてくれる。

「───私からは、以上です。では、蝶野教官。最後にご自身の挨拶を」

亜美「はっ!」

それでも。

亜美「今、教頭よりお話がありましたとおりです。

蝶野亜美一等陸尉、対深海棲艦特別国際協力法に基づき来月20日をもってして原隊復帰。敵の大規模上陸の兆候が見られるインドへ派遣されることとなりました。

任務が完了次第戻る予定ですが、お世話になった皆様に、前もってご挨拶をさせていただきます!」

(  ω )「………」





秋の真後ろからついてくる「戦争」の足音のせいで、僕はその音を楽しめない。








*(‘‘)*「ねーねーおねえちゃん!おねえちゃんはどこからきたの!?」

───オネエチャンハネ、海カラ来タンダヨ

*(‘‘)*「えーーー!?じゃあ、おねえちゃんは海に住んでるの!?」

───ソウダヨ。

*(‘‘)*「……あっ、解った!!おねえちゃん“かんむす”でしょ!!私知ってる!!」

───ウーン、オシイ!

*(‘‘)*「えーーー!?かんむすじゃないの!?じゃあおねえちゃんはなんなのさ!!」

────化ケ物、カナ

*(‘‘)*「もう!おねえちゃんヘリカルが小さいから馬鹿にしてるんでしょ!!

じゃあさじゃあさ、おねえちゃんはなんで海からここに来たの!?」

────アア、チョットネ









リ級elite『友達ト遊ビニ来タンダヨ』



ヘリカル=ニアリーは漁師である父の寝室に飛び込み、興奮気味に“自分が艦娘に会った”ことを訴える。

父は寝ぼけ眼でその報告を聞きながら、きっと何かの見間違いだと諭しながら、こんな夜遅くに出歩くとは悪い奴だとくすぐりの刑に処す。

そして翌朝、漁に出るために船へと乗り込んだ彼は、GPSが使い物にならなくなっていることに気づいて悪態をつく。

────天気予報は、今日のノルデンは快晴で、絶好の漁日和であることを伝えていた。

逆にベルリンの方は傘がいるらしいが、そんなことは彼には特に関係が無い。

ヘリカルの父は悪態をつきながら、GPSをなんとか直せないかと操作を始めた。

~( ^ω^)その時、戦車道史が動いた!のようです~

( ^ω^)はホームレスのようです
( ^ω^)はホームレスのようです - SSまとめ速報
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↑関係ない奴

( ・∀・)戦車道連盟広報部のようです
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川 ゚ -゚)艦娘専門店へようこそ!のようです
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( ´_ゝ`)流石な鎮守府の門番さんのようです(´<_` )
( ´_ゝ`)流石な鎮守府の門番さんのようです(´<_` ) - SSまとめ速報
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('A`)は深海棲艦と戦うようです
('A`)が深海棲艦と戦うようです - SSまとめ速報
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|w´‐ _‐ノv空に軌跡を描くようです
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l从・∀・ノ!リ人流石なれでぃと大騒動のようです
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↑共通世界観

( ^ω^)戦車道史、学びます!のようです
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( ^ω^)戦車道史、教えます!のようです
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(http://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1490100561/)
↑このシリーズ


('A`)より先にこっちのネタが思いついてしまったので書きました。なんだかんだブーン系10作目ですね。

余談かつ本編とは関係ありませんが、フス戦争について興味を持たれた方は是非『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』で検索を。
本当にいろいろな意味でオススメです

では、機会がございましたら今度こそ『('A`)はベルリンの雨に打たれるようです』でお会いしましょう。

ご清聴ありがとうございました、HTML申請をして参ります

~このssは内藤ホライゾン、ss速報vip、戦車道連盟の提供でお送り致しました~
      γつ
      / /
    ∧_∧/

    (^ω^)
    /⌒ ヽ
   / γ  i
   / / ヽ i
 ⊂⌒ノ /  〉

    / / /
   / // /
  / / / /
`/⌒/ ( ヽ

とノ    ̄

乙です!それと2人はさっさと結婚s(ry

学生時代は関心が薄かったけど、やっぱ歴史や政治って面白いよなあ…
あと生徒への当たり方が一々笑えるw

>>42
ご感想いただきましてありがとうございます。
欧州史は調べてるだけで胃もたれしてきますが本当に面白いですよ(白目)

胃もたれw
その通りなんだろうけど、連中は他国の植民地化まで平然とやってのけるし、時代とは言え相当惨いからなあ(^_^;)

乙乙
ブーン系で学ぶ世界史かと思った
ガルパンキャラとブーン系キャラの使い方が上手いですね

>>44
( ^ω^)「イングランドとか飛び抜けてるおね。あいつらそもそもプロテスタントに鞍替えした理由からしておかしいし」

( ^ω^)

( ^ω^)「あれ、僕国語教師だよな…?」

>>45
ご感想、コメントありがとうございます。キャラは極力不自然な絡みにならないよう考えつつ動かしているので、そう言っていただけると大変嬉しいです。

このシリーズは実際「( ^ω^)で学ぶ~史」の影響は多分に受けていますね。特にaaの使い方は参考にさせていただいてます

未来ある若者と読者のために頑張って…w
日本は敗戦のおかげで国体からなんから歪んじゃったけど、本来なら政治・軍事・歴史といった分野にはもっと向き合うべきだしなあ…
それにEU構想もドイツとか諸々のおかげで欧州の破綻に突っ込みそうだったり、世界中の泥沼含めて現代の状況も過激で面白いのに、大半は興味すら無いからねえw

幕末やるなら安神車にも触れてくだせぇ

>>47
( ^ω^)「いや…頑張るけど……戦車道好きだし……」

日本人は全体的に歴史や政治への興味が薄すぎる気はしますねー。まぁ自分が詳しいかと言えばせいぜい人並みですが

>>48
コメントありがとうございます。
あくまで次回があればの話ですが、幕末では安神車は絶対取り上げさせていただきます!ので、どうかお楽しみに!

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