( ^ω^)戦車道史、学びます!のようです (27)

昔から、名前には苦労をさせられた。幸いにしていじめに発展するようなこともなかったが、時として気の置けない友人でさえ名前を軽いからかいの対象にしてきた。

いかつい名前なのに幼い顔立ちで、偉そうな名前なのにぽわぽわして威厳がなく、荘厳な名前なのに平凡な容姿で、勇ましい名前なのに温和しい。「名前」を聞いたとき皆が僕に対して抱くギャップは、最後まで僕に名前に関する愉快な思い出を提供してはくれなかった。

まぁだからといって、特に両親を恨んだりということもない。からかわれた瞬間に不快と思わないわけではないが、子供心に「まあ可笑しいよな」と納得してしまえる程度には僕も自覚があったので。


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それに、名前が“変”だから笑われているわけではないのは救いだった。

自分で言うのも何だが、信長の野望辺りで統率・武勇90オーバーの強キャラとしてさらっと登場していても違和感を感じない程度には古風ながらイカした名前だった。
そのため名前負けしている自分を恥じても名前自体を恥じる必要は無い。

寧ろ、「名前負けしない程度には立派な人間になってやる!」と(明後日の方向へ)やる気を発揮する助けとなった。

みほ「────起立、気をつけ、礼!!」

「「「よろしくお願いしまーす!」」」

こうして、自分の名前とのつきあいが始まってから今年で25年。

みほ「着席!」

( ^ω^)「────では、授業を始めますお~」

ささやかな目標の達成は未だ遠く、僕───内藤芳頼(ないとう・よしより)は、今日も不釣り合いな名前をぶら下げて大洗女子学園で教師をやっている。

付け加えると、「ブーン先生」なる由来不明の渾名が新たに一つ追加された。

命名して下さった生徒会長様には、いつか心のこもったお返しをしてやりたいと思う。

~( ^ω^)戦車道史、学びます!のようです~

( ^ω^)「ええっと、確か前回は戦車道の基本的なルールと、レギュレーション内で使われる車両や弾薬、火薬、装甲の種類についてをまとめて一気にやったんだったおね」

麻子「……なので今日は章の2、戦車道の歴史のページからになrzzzzz」

( ^ω^)「冷泉さんありがとうだおー。一つだけ注文をつけるなら机に突っ伏しながら言うのは勘弁してほしかったかな、もう語尾にさしかかった段階で寝てるもんね」

沙織「すみません先生……ほら、麻子起きて!」ユサユサ

そど子「しゃんとしなさいよ冷泉さん!また出席日数足りなくなるわよ!!」

麻子「……出席ならちゃんとしている。だいたい、戦車道に座学があるなんて聞いてない」

杏「あっはっは、ごめんね冷泉ちゃん。別に隠してたつもりはないんだけど、廃校阻止のためのゴタゴタで座学については省略しちゃってたからさー」

(;^ω^)「最初につめとけおそこは。まぁ事情が事情だから仕方なかったとはいえ結果座学を教えられる人がいなくて、探す時間も無くなった挙げ句本来国語教師の僕にお鉢が回ってきてんだお」

杏「まーまー堅いこと言わないでよブーン先生、ほら、先生も戦車道好きじゃん」モッサモッサ

( ^ω^)「まぁ正直役得と思わなくも……おい待て何食ってんだ生徒会長」

杏「干し芋。先生も食べる?」

( ^ω^)「僕が聞いてんのは物じゃなくて行為そのものだお。てか解って言ってるだろお前」

杏「にっしっしっ」モグモグ

優季「ブーン先生は戦車道好きなの~?」

( ^ω^)「男だけど多少はね」

優季「私もブーン先生の授業好きよ~。ただ、もう少し自習の時間を増やしてくれたらもっと好きになりそう~」

( ^ω^)「わぁ可愛い、じゃあ先生自習にしちゃおうかなー……とでも言うと思ったか。

冬休みつぶしたくなかったら教科書開くおー。45ページ、章の2。“戦車道の歴史”からやるお」

優季「ξ」ムゥー

麻子「zzzzz」

優花里「!」ギンッ!!

カバさんチーム「!!」ギィイイイインッ!!!

みほ「」タジッ

( ^ω^)「宇津木さんすねない、冷泉さん寝ない。最前列五人、やる気出してくれてるのはありがたいけど意気込みすぎ。ほとんど殺気になってるからね。後ろで西住さんが気圧されてるからね」

( ^ω^)「……ま、とはいえ単に全部教科書通りに進んだって皆も面白くはないおね」

優季「それじゃあ、自習~?」

( ^ω^)「ちっげーおいくら好きでも冬休み潰してまで戦車道に携わりたいとは思わねえよ。

単に教科書をメインにして進めないってだけの話だお、補助には使うけど」

梓「え…でも、それだと授業に支障を来すんじゃ」

( ^ω^)「まあ勿論、教科書使って無難に授業を進めるのが“教師として”は模範的かも知れないお。

ただ、普通科の歴史の授業みたいにダラダラ年号覚えるだけじゃ皆も覚える気なくすお?」

エルヴィン「そうだ!もっとバルバロッサ作戦についての尺を増やせ!」

おりょう「いやいや、鳥羽伏見の戦いを掘り下げてほしいぜよ!!」

左衛門佐「そこは大坂夏の陣だろ!」

カエサル「そもそも学校の歴史の授業は内容が薄すぎて我々にとってもつまらん!!」

エルおりょ左衛「「「それだぁ!!」」」

( ^ω^)「そこの四名静かに。

別段筆記試験はないわけだし、要はテキストが期限内に終わりゃいいんだお。それなら教える側も教わる側も楽しい方が、戦車道のことを深く知られるし有意義だお」

梓(だ、大丈夫かな…)

( ^ω^)「さ、それじゃあ本日も戦車道座学、始めるおー」

( ^ω^)「今回皆が履修した“戦車道”だけど、これが“かなり古く、かつ世界的な武道である”っていうのは知ってるおね。

とはいえ当然今のような戦車が出てきたのは近現代に入ってからのことで、実は“明確に今の形になってから”の歴史は案外薄いんだお。

さて、問題。では、戦車道の大本になった武道・スポーツは何か?また、その発祥はどこか?考えをどんどん言ってみてくれお」

パゾ美「ええと、やっぱり中国の蜀?三国志に虎戦車、とか出てくるくらいだし……」

ねこにゃー「あ、あれはお話だから……ボクは前に戦車道板で、大英帝国が有力だって話を見たことあるけど……」

桂里奈「あい!ロシアだと思います!!なんか広くてでっかいから戦車道も生まれてる気がする!!」

カエサル「やはり古代ローマだろ。万物はローマに始まりローマに終わるのだ」

左衛門佐「戦車の前の大火力と言えばやはり大砲……ここはあえて、日本の戦国時代、大友宗麟か?」

優花里「しかしそれでしたら、火薬兵器という意味では元帝国の“てつはう”も有名ですよ?」

妙子「女性が主流の武道なんだから……ジャンヌ・ダルクとかが有名なフランス?」

ナカジマ「意外と西部開拓時代のアメリカ…ってそれじゃ最近過ぎるか」

麻子「……形は違えど遙か古代にも“戦車”はあった。チャリオット(戦馬車)全盛期の紀元前2500~2000年頃、東欧の可能性が高そうな気がするが」

あや「えー?戦車道の起源なんて簡単だよぉ。だってビッグバンさえ起源(自称)の国があるじゃん?」

( ^ω^)「おっおー、意見百出だおね。あと大野さん、そのネタはとても危険だからやめよう。今割とデリケートだからそこ、2年目にして懲戒免職になりかねないから先生」

柚子「でも実際、どれが正解なんですか?先生」

( ^ω^)「実は……どれも正解であり、どれも正解ではないんだお」

優花里「えっと……え?内藤教諭、そんなことがありえるのでありますか?」

( ^ω^)「あるんだなそれが。

さて、河嶋さん。どういう意味かわかるかお?」

桃「……先ほど先生も仰っていましたが、昔には鉄で覆われて石油で走る戦車なんか有りません。

ですが、現代の戦車道と今皆が上げたような武道や地域の文化、軍事技術は不思議と様々な共通点があります。

つまり、各地域で多様な武道形態・軍事技術が合従、変型を繰り返して、平行進行的に今のような戦車道に姿を変えていったのではないかと」

( ^ω^)「……お見事な回答。正直ほとんど付け加えるところがないお」

桃「ふふん」ハナタカダカー

( ^ω^)「後はその冷静さと理論的な思考をテストの時にも出せれば国語の点数ももうちょい上がるお」

桃「……次は頑張るからいいんです!!!」←頭はいいけど本番におっっっっっっそろしく弱いタイプ

( ^ω^)「頑張るのはいいけどケアレスミスも減らそうな」

桃「今言わなくてもいいじゃないですか!!」←調子に乗ってるときは「高ころびに、あおのけに転ばれ候ずる」タイプ

桃「ユズコチャーン」メソメソ

柚子「ヨシヨシ」

( ^ω^)「近年の“戦車道の起源”に関する学説は、今河嶋さんが言ってくれたとおりの内容が主流となりつつあるお。

強いて総合的な起源を上げるなら冷泉さんのチャリオットが最も近いと言えなくもないけど、それもあくまでも“戦車の起源”であって、“戦車を用いた武道”の起源ではないお」

華「“剣道の起源が日本刀”と主張するのと同じ、と言うことですね」

( ^ω^)「仰るとおり。ま、根本的な部分で言っちゃうと“チャリオット”と“タンク”も、役割面から見ても似て非なるものだから厳密にはつながりはないけれどね」

沙織「……あれ?ねぇ、チャリオットって壁画とかに出てくる馬車のことだよね?」

みほ「え?うん、そうだよ」

沙織「……西部劇と言えば馬、元はモンゴル、漫画とかでもヨーロッパのお話には馬が多く出てくるし……」

沙織「……先生、戦車道の歴史って、実は馬と関係が深かったりしますか?」

( ^ω^)「おっと、いいところに気づいたおねゼk……武部さん」

沙織「ブーン先生今とんでもない呼び方しようとしなかった!?」

( ^ω^)「……ソンナコトナイヨー」

沙織「酷く棒読み!!どこまで広まってるのあの渾名!?やだもーーー!!!」

( ^ω^)「さっき言ったとおり、戦車道は様々な文化や武道の融合体のようなものだお。

ただ、多くの地域で見られる共通点が一つ。時期に差はあれど、“あるもの”の存在が戦車道形成までの経緯に大きな役割を果たしていることが多いんだお」

優花里「先ほど武部殿が言っていた、騎馬ですね!!」

( ^ω^)「Exactly(その通りでございます)」

カエサル「……そう言えば、最近ニュースで古代ローマ騎兵に女性騎手が採用されていた可能性を示唆する資料が発見されたといっていたな」

( ^ω^)「うん、今ちょうど鈴木さんが」

カエサル「先生!本名ではなくソウルネイムでの呼称をお願いしますと何度も言っています!!」

( ^ω^)「たかちゃん呼びと苗字呼び、好きな方を選べ」

カエサル「私は鈴木です!!!!」

( ^ω^)「よろしい」

( ^ω^)「で、話を戻すと実は騎兵の存在が戦車道の前段階である“女性主体の武道の出現・発展”に大きく寄与していくんだお。

今丁度鈴木さんも話題に出してくれていたけど、紀元前800年頃から既にその傾向───すなわち、女性の“戦力化”の傾向が始まっていたとする学説は元々あったんだお。今回の発見はそれを裏付けするものだとして大きなニュースになってるおね」

優季「えぇ~?意外~」

あゆみ「うん。映画とかだと昔の女の人って“守られるだけのか弱い存在”って感じで、あんまり戦ってる姿ってイメージできないよね」

( ^ω^)「ま、そうなった経緯自体はぶっちゃけフェミニズムの欠片もないけどね。

要約するとこんな感じだお

~大昔のヨーロッパ~

(*^○^*)←異民族

彡(゚)(゚)←古代ローマ人

(*^○^*)「僕たち遊牧民族!たくさんお馬さん持ってるんだ!これで大陸公路を荒らし回ってやるんだ!!」

彡(゚)(゚)「なんやこの蛮族共[ピーーー]ぞむかつくんじゃ。文明人たるローマ人にたてつくとか、死んでどうぞ(迫真)」

(*^○^*)「はい弓騎兵どーーーーんwwwwwwwwwwwwww」

彡()()「ぐえー死んだンゴ」

(*^○^*)「ローマなんてクソ雑魚ナメクジなんだ!横はm……蛮族にもこんな戦い方があるんだ!!」ポジポジポジ

彡;(゚)(゚)「あかん、あの騎馬兵と弓兵の融合体クソ強い……機動力あるわ練度高いわで勝ち目あらへん」

彡(゚)(゚)「よっしゃ、同じ兵科創設して対抗したろ!!」

( <●><●>)「単に創設しただけでは、練度や数の差で勝ち目がないことは解ってます」

(;><)「対外的に雇ったりして間に合わせようにも焼け石に水だし、性能差の根本的解決にはならないんです!敵を上回る方法がわかんないです!」

彡(゚)(゚)「……」

彡(^)(^)「男より体重が軽い女の騎兵にすれば馬の足も速くなって機動力上回れるやんけ!!」

( <●><●>)><)「何言ってんだこいつ」

あゆみ「……あの、すみません。彡(゚)(゚)←こいつの思考の変遷が意味不明なんですけど」

( ^ω^)「……まぁ、古代人の方々の思考回路なんぞ僕らで理解する術はないお。経緯はともあれ、特に欧州においては騎兵の出現により女性の力がいろいろな意味で強まるきっかけが生まれたんだお。

勿論中東諸国のように、宗教的な理由から女性の権威拡大に歯止めがかかり最終的に戦車道文化に繋がるような変遷が起こらなかった地域もあるけれど」

桃「そうなると中国も似たような変遷をたどってそうだな。あそこも騎馬主体の異民族との関係は歴史的に切っても切れない」

( ^ω^)「いいところに気づいたおね。河嶋さんが言うとおり中国にも女性騎兵隊の存在は前漢、つまり紀元前200年頃に確認されているお。

更に言うと、“女性騎兵の心構え”を書いた後漢末時代のものと思われる本まで見つかってるお」

カエサル「……くっ、流石中国四千年…!だがローマも負けてはいない!」

( ^ω^)「お前は何と戦ってるんだ。

因みに著者は不明だけど、最有力としてあげられているのは孫夫人だお」

ももがー「孫夫人……孫尚香なりか!?」

( ^ω^)「日本では某ゲームの影響もあってその名が一般的だおね。あくまで有力説の域だけど、孫夫人が自身の侍女達に“馬上での戦い方を教えるために用いた”といわれているお」

アリクイさんチーム「ほへー……」

( ^ω^)「余談だけど、中国における学園艦の祖についても三国時代の呉王朝孫家だとする説があるお。この部分に関しては第四章の“学園艦と戦車道”の項で触れていくおー」

梓「あの、となると日本でもローマみたいな経緯で女性の社会進出が行われたんですか?」

( ^ω^)「全くの無関係とは言わないけれど、日本においてはそこの事情はやや異なってるお。そもそも、個人の馬上武芸文化は多彩かつ高いレベルにあっても、物量的な騎馬戦術は日本では発達しなかったんだお」

梓「え、そうなんですか?」

典子「意外だなぁ。大河ドラマとかでも騎馬隊ってかなりの頻度で出てくるけど」

杏「日本は全体的に山々しい地形だからねー。大規模な騎兵隊を並べて突撃しようにも、当時の国内事情だとそれをこなせるだけの馬を育てる牧場面積が確保しにくいんだ」

麻子「……本格的に“騎兵”が大量運用されだしたのは明治の大日本帝国陸軍になってからだ。

それ以前の“騎馬武者”はあくまで“指揮官・高級軍人の象徴”程度の扱いで、それこそ大河ドラマに出てくるような何千頭もの馬が侍を乗せて突撃していく映像はフィクションに過ぎん」

梓「へー…」

左衛門佐「……そう、即ち武田の大騎馬軍団も、真田信繁の赤備えによる夏の陣大突撃も、基本は足軽主体であってフィクションに過ぎないと言うことだ。

───畜生!!」ドンッ!!

エルヴィン「落ち着け左衛門佐!」

おりょう「まだ負けたと決まったわけじゃないぜよ!!」

( ^ω^)「だから君らはいったい何と戦っているんだ」

( ^ω^)「とはいえ、日本においても戦車道誕生の大元のきっかけが“女傑”の活躍であることには変わりがないお」

典子「…おケツ?」

( ^ω^)「女傑。今日日荒巻のおっさんでも言わんおそのギャグ」

/ ,' 3
荒巻 骸ノ助
御年71歳。
生徒間での渾名:頭シーラカンス先生

( ^ω^)「さて、戦車道誕生の大前提条件にあたる“女性権威の増大”。日本においてもそれが始まったのが何時かについては未だ議論の真っ最中だけど、その最大の象徴である“女性武人の著名な活躍”の祖については、ほぼ全ての歴史学者・戦車道学者が意見を一致させているお。

ヒント:源平合戦」

ほぼ全員「「「巴御前!!」」」

( ^ω^)「と思うじゃんwwwwwwwwwwwwww?実は正解は───」

「────坂額御前」





みほ「建仁の乱にて活躍し、吾妻鏡にも名が残る“実在した女性武将”です」


みほ「源平合戦……正式には治承・承久の乱において没落した平家方に属する越後の豪族、城氏の挙兵に端を発した建仁の乱。坂額御前は鳥坂城にて反乱軍側として乱に参加、要害を巧みに利用して奮戦。

自ら弓を引き絞り鎌倉方の武士を散々に射落とし、城資盛と共に討伐軍を大いに苦しめます」

みほ「後に鎌倉方に両足を射貫かれ捕虜となりましたが、幕府将軍の面前に引き立てられようとも臆せず動ぜず、その勇姿に感心した浅利義遠という武士が将軍に頼み込み妻としました」

( ^ω^)「……」

みほ「彼女の類い稀な姫武者ぶりは、吾妻鏡にて以下のように評されています。

『女性の身たりと雖も、百発百中の芸殆ど父兄に越ゆるなり。人挙て奇特を謂う。この合戦の日殊に兵略を施す。童形の如く上髪せしめ腹巻を着し矢倉の上に居て、襲い到るの輩を射る。 中たるの者死なずと云うこと莫し』」

( ^ω^)「…『撃てば必中、守りは固く、進む姿は乱れ無し。鉄の掟、鋼の心』」

みほ「西住流の門下生たちや娘が、最初に必ず受ける薫陶です。

その時に併せて、彼女の名前も教えられます。西住流の理想を体現した、女性の一人として」

優花里「西住殿……」

みほ「───私も、戦車道を始めたとき、母に最初に教わりました」ニコッ

( ^ω^)「……」

肩ポンッ

( ^ω^)「二つの意味で、よく言ってくれたお」

みほ「……はい」

( ^ω^)「───今西住さんが言ってくれたとおり、この坂額御前が女性の権威拡大の“はしり”として戦車道学においては知られているお。

勿論巴御前も全面的に間違いではないにしろ、彼女の場合一次資料に名前が残っておらず実在性に疑念が残ってしまう点から、現時点では“最有力候補”にはなっていないお。

勿論、逆説的に言えば巴御前の実在を確定させる資料が見つかれば、活躍時期的に考えて彼女が取って代わる可能性も十分にあり得るおね」

桂里奈「えっ!?巴御前って架空の人なんですか!?」

あや「なんか、がっかりー……木曽義仲と“武人夫婦”って感じで好きだったのにー」

( ^ω^)(……巴御前が木曽義仲のお妾さんであることは言うまい)

( ^ω^)「因みに、坂額御前のことについてはテキストの方にも乗ってるおー。こっちでは“板額”となっているけれど、これは後世彼女をモデルとした物語が書かれた際に変形し、一般化した結果だおね。

筆記テストが無い以上あんまり気にする必要も無いけど、せっかくだから“坂”の方で覚えて貰えるとそこは嬉しいおー」

一同「「「はーい」」」

( ^ω^)「さて、今ので“戦車道が古代から現代へどのように繋がっていくのか”、“戦車道が「女性の武道」になる下地は何故作られたのか”は終わったお。

次は本格的に“戦車道”の誕生に関する解説を────っと」

\キーンコーンカーンコーン……/

( ^ω^)「あー……時間かお。んじゃ、まださわりしか出来てないけど本日はここまで!」

優花里「そ、そんな!!?」ガタッ

おりょう「まだほんっっっとうにさわりなのに終わりぜよ!?」ガタッ!!

エルヴィン「ブーン先生も授業が遅れてるって言ってたし、延長でもいいじゃないか!?」ガタッ!!

左衛門佐「せめて、せめて戦国まで!!」ガタッ、ピッ!!

( ^ω^)「うん、夢中になって聞いてくれてたのはありがたいけど少し落ち着けお。

最後の1名はその真田紐をしまえ。絞める気か?それ絞める気じゃないだろうな?」

────内藤芳頼、教員生活2年目

( ^ω^)「ハイハイ!ちゃんと次回は戦国以降にも触れていくからとっとと解散解散!」

桂里奈「ええいっ!!芳頼公のご命令なるぞー!」

あや「解散じゃー!解散じゃー!」

( ^ω^)「唐突に名前いじり始めやがったなお前ら!」

優季「紗希ちゃん、今日の授業どうだった~?」

紗希「……」

優季「そうなんだ、良かったわねぇ」

やたらと立派な字面の名前と、

沙織「あれ?みぽりん、次の授業なんだっけ?」

みほ「あ、荒巻先生の古典だね」

麻子「…最高じゃないか」キラッキラ

優花里「心置きなく寝られるから、でありますか……」

華「まぁ、らしいといえばらしいですね」

由来不明の渾名をぶら下げて、

杏「んじゃ、ブーン先生次回もよろしくね~」

( ^ω^)「本当にどっから来たんだおその渾名」

大洗女子学園で、先生をやっている。


( ^ω^)戦車道史、学びます!のようです<古代史編>

~終わり~

この作品は、ss速報VIPと
内藤ホライゾンの提供でお送り致しました

`___ ♪ ∩ ∧∧
/∥ ̄∥  ヽ(^ω^)7
L∥_∥  /\ノ  ┌┘
| ̄\三/ ̄/\_ ノ
|  |/ /   )_) ♪

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