【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開1回目】 (1000)

このスレは安価で結城友奈は勇者である。を遊ぶゲーム形式なスレです


目的
全バーテックスの殲滅
学校に行く

安価
コンマと自由安価を含む選択肢制

日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
SP:特殊な攻撃をするために必要なポイント 満開とはまた別
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%



wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420369048



前スレ

【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開0回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開0回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419254842/)


√4月4日目の放課後


コンマ判定表

01~10 バーテックス
11~20 
21~30 クラスメイト
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 クラスメイト
71~80 家からTEL
81~90 
91~00 バーテックス


↓1のコンマ   空白は何もなし


√4月4日目の放課後


「神樹様に、拝」

教師のその号令で

生徒たちが一転に向かって一礼する中

天乃はそそくさと鞄を持ち上げ机に置く

沙織「久遠さん、ちゃんとやらないと……」

天乃「いやよ」

数秒程度の拝が終わって椅子を引いたりなんだりする騒がしい音が校舎のあちこちから聞こえる

そんな中での暗い一言に

天乃のクラスメイト、伊集院沙織は言葉に詰まって俯く

沙織「ごめん」

それは言葉が見つからなかったからではなく

自分のそれが天乃に対しての失言だったと気づいたからだ

天乃「……たとえ嘘でも、したくないの」

沙織「うん……ごめん」


沙織「そういえばさ」

天乃「?」

沙織「今日はあの子、久遠さんがいるって知らないんだよね?」

天乃「そうだけど……」

既視感を覚えそうな会話に天乃が顔を顰めると

沙織は嬉しそうに天乃の鞄を持つ手を掴み

グイッと体を寄せてきた

天乃の身長のせいで

見上げるのは天乃で見下ろすのが沙織という

何ともおかしな見た目だが

沙織は気にすることなく瞳を輝かせる

沙織「一緒に帰らない?」

天乃「えっと……」


大きい人に迫られることには慣れている天乃だが

投げ飛ばしたり蹴り飛ばしたり

突き飛ばしたりできない相手に思わず困惑すると

沙織はごめんと、また謝る

沙織「じゃぁ、あの子との用事がないんだよね?」

天乃「え、ええ……特には」

沙織「じゃぁ、一緒に帰ろう?」

天乃「なんで2度いうのよ」

沙織「つい段階飛ばしちゃったから。ほら、久遠さんとあの子に用事がないが聞かずに聞いたし」

天乃「居ること知らないのに用事なんてないと思うけど……」

沙織「……………」

沙織はちょっとだけボーっとしてから

はっと気づいたように空いた手で顔を覆う

沙織「うん……知ってた」

天乃「はいはい」



1、一緒に帰る
2、寄り道無しならいいわよ
3、悪いけど……今日はちょっと無理よ


↓1


天乃「悪いけど……今日はちょっと無理よ」

沙織「そっか、残念」

天乃「貴女には私以外にも友達いるんでしょう?」

沙織「いるけど……だからって久遠さんの事そのままはなんか嫌だから」

断られたことに落ち込みながら

沙織は天乃のことを思って答える

沙織「下校だって学校だから。また明日、一緒に帰ろうね」

バイバイと手を振った沙織は一足先に教室を出ようとしていた別の友達に声をかけ

そのまま教室から出ていく

天乃「……変わったのね」

前はあんなことはなかったのに

そう思ってすぐに天乃は首を振る

天乃「何をしめじめと……バカみたい」

沙織の重みの消えたひだ李手を何度か上げ下げする

教室から出るまで、

生徒達からは噂のせいか嫌悪感をひしひしと感じていた


天乃「……さて」

沙織からの申出を断った天乃に与えられた自由時間

一昨日、昨日連日来たバーテックスも

嬉しいことに来る気配はない

久しぶり……のようにも思えるその時間

周りからの視線を受けながら

天乃は不意に足を止める

天乃「…………………」

犬吠埼樹に誘われた勇者部

自ら行くというのは実に憚れることなのだが

昨日の戦闘の後の様子も見ておきたい気持ちが天乃にはあった

乃木園子のあの尋常ではない身体的損傷

起きるほど疲弊しなかったとはいえ

そもそも常識外のシステムを利用しているのだから

だからといって無事とは思いにくかった



1、電話:風、友奈
2、メール:風、友奈
3、勇者部へ
4、銀のお墓
5、寄り道:イネス、公園


↓1


天乃「まぁ……でも。何かがあったなら連絡くらい……」

そっと自分の携帯を見て

そういえば昨日は別の場所に戻ったんだ。と呟く

前回は東郷がいただけであって、自分に関しては結城友奈でさえ特に触れることはなかった

その程度なのだろう

正直な気持ちは【あんな人はどうでも良い】と言うものなのだろう

そんな普通なら嫌な思いするものを

天乃はほくそ笑んで受け止める

それが久遠天乃の望む対人関係なのだ

天乃「……の、はずなんだけど」

ついさっきまでの自分を思い出して

頭を抱えた天乃は心の中で大きく唸る

天乃「ダメなのに……ダメなのかな。ねぇ、銀」

静かに呟いて

しばらく行くことを躊躇ってきた親友の墓を思い出す

天乃「久しぶりに……行こうかな」


√三ノ輪銀の墓


天乃「……久しぶり」

三ノ輪家が今もしっかりとしているため

まったく荒れた様子のないお墓

その中央に醤油ジェラードを設置する

天乃「結局、私にはこれのおいしさが理解できてない……と言うか、あれ以来食べてないんだ」

語りに対して答えることのない冷たい墓石

それを天乃はそこに銀がいるかのように

墓石の角を頬を扱うように優しく撫でる

天乃「貴女の味覚はおかしいっていうと、貴女は私の辛い物好きがおかしいって言ったのよね」

いくらでも思い出せる記憶

いくらでも掘り出せる記憶

でもそれは言い換えてみれば

掘り返したり思い出すことでしか

彼女の存在を記憶の上には持ち出せないということに他ならなかった


紙の本だったらもうよれよれで

紙の中の文字はきっとすれて読めなくなってしまっているだろう。と

天乃は不確かになってしまいそうな記憶を掴む

天乃「忘れたくない。終わらせたくない。そうは思っても、記憶は積み重なっていく」

だからといって忘れるとは限らない

でも、思い出し続けていると

積み重ね続けていると

どこかで記憶がくっついて

無関係なことと混ざり合って……元が、解らなくなる

天乃「ねぇ……銀。なぜ、どうして……死んだの?」

天乃は聞くまでもないことを問う

三ノ輪銀のことを天乃は良く知っていて

鷲尾須美と乃木園子を含めた3人が勇者と聞いて解った

天乃「貴女はどうせ、無茶をしたんでしょう? 2人のためか、世界のためか。定かではないけれど」


天乃「……貴女は守れて誇らしいかもしれない。でも残念っ」

ぐっと泣くのを堪えながら

天乃は握りしめた拳を

人に対する優しさに包んで墓石にぶつける

天乃「貴女は私の事……守れなかったよ」

なんて。と震える声で呟いて

天乃は無理やりにクスクスと笑い声をこぼす

天乃「自意識過剰だなんて言わないでよ……冗談に決まってるじゃない」

記憶の中の三ノ輪銀

彼女の笑い声の混じった言葉に当時と同じように返す

天乃「……私も。勇者になっちゃった」

墓石に向かって天乃は告げる

天乃「どうするべきかちょっと迷ってるんだ……」

周りの勇者と仲良くやっていくべきか

周りの勇者とは一線を引いての付き合いに留まらせ

どちらが失われても影響がないようにするか

天乃「……どっちがいい?」


天乃「まぁ、聞くだけ無駄よね。というより、誰に聞いてるのよ。私」

自分の言葉に苦笑しながら

天乃はスカートを軽く払って立ち上がる

天乃「そのジェラート、私の奢りよ」

日に当たって少しずつ溶けていくジェラート

それは本当に少しずつ食べて行ってくれているようで

天乃は少しだけ嬉しくなってかぶりを振る

天乃「貴女の後輩……でいいのかしら。勇者は私を抜いても4人もいるのよ?」

学年的には先輩なのだが

勇者としては後輩の勇者部

天乃「東郷はともかく、他は全員貴女みたいに攻めの姿勢でね…いつ死ぬかも解ったものじゃないの」

だったら。

だったら天乃はすることくらい、解ってんじゃないの?

天乃「……悩んでるから、聞いたのよ。馬鹿ね。貴女は」

聞こえるはずのない親友の声に対してそう言い返し

天乃はゆっくりと踵を返す

ジェラートはゆっくりと静かに……どこかへと消えていった


√4月4日目 自宅での夜


コンマ判定表

01~10 友奈
11~20 
21~30 バーテックス
31~40 
41~50 沙織

51~60 
61~70 
71~80 バーテックス

81~90 
91~00 沙織


↓1のコンマ   空白は何もなし


√4月4日目 自宅での夜


いつもより1週間が長く感じる

まだ木曜日明日で明日でようやく金曜日

学校の授業は退屈で

1限1限が終わるまでが異様に長い

それもあるのかもしれないが

やはり一番はバーテックスとの戦闘で

次点で勇者部だ。と

天乃は大きくため息をつく

天乃「……この変なアプリ、ずっとメッセージが入りましたって五月蠅いんだけど」

死神「ウルサイ?」

天乃「ええ……キミ、ちょっと電脳世界で遮断してきてくれる?」

死神「ヒツヨウナイ、ヒツヨウナイ」

天乃「冗談よ。冗談」


さていったいどうしたものかと思案する

明日もまたバーテックスとの戦闘はあるかもしれないし、ないかもしれない

だから夜更かしなんてできないし、もともとするような生活リズムでもない

犬吠埼風とは電話もメールもしづらいし

結城友奈はそこまででもないけれど

特に話すようなことも……ないと言えばウソにはなるかもしれないけど……

勇者部で使っているというこのメッセージアプリは

夜のちょうど空いた時間だからか結構盛んに更新され続けており

部外者に近く、嫌われ者の自分が入るのはいかがなものか

天乃「あの子には連絡手段も何もないし」

あの子。とはクラスメイトの伊集院沙織である

以前登録はしたものの、自らの手で抹消したため手元にはかけらも残ってはいないのだ



1、電話:風、友奈
2、メール:風、友奈
3、アプリを開く
4、4ちゃんねる
5、学校裏サイト
6、寝る


↓1



コンマ判定表

01~10 東郷
11~20 友奈、東郷、風、樹
21~30 風、友奈
31~40 東郷、風、友奈
41~50 友奈
51~60 風
61~70 友奈、東郷、風、樹
71~80 友奈、東郷
81~90 友奈、東郷、風
91~00 ログインした瞬間、ログアウト


↓1のコンマ   空白は何もなし


ログインしてみると

騒がしい更新の連続は終了しており

犬吠埼風の横に天乃がポンっと表示されてしまった

風『………………』

天乃『……………』

両者とも一言も発することはなく

けれどもログアウトすることもなく

沈黙を続ける中で

不意に虹のように曲がった黄色い一閃が画面に迸り

その中央には風からの言葉が綴られていた

風『いまさら何言ってんだって思うかもしれない』

風『でも、あえて言うよ』

風『私達は上手くやってはいけないと思う。樹や友奈は良いかもしれない。でも、東郷が絶対に嫌って感じで……私も』

そこで風の言葉はいったん途切れて

少ししてから言葉が流れ込む

風『私も。不確定要素は組み込みたくないんだ……ごめん。みんなのためにも。それは出来ないんだ』

風『だから今後はもう余計な干渉はしない。互いにそれで手を打とう。こっちから勝手に来てたくせに……悪いけど』


犬吠埼風のことは見えないが

天乃は携帯を握りしめている彼女の表情が何となく見えた気がした

求めていたことだ

望んでいたことだ

勇者部からの干渉はなくなってくれる

はれて【孤独】に舞い戻ることができる

天乃「………………」

だが、喜ばしいはずのことをあまり喜ぶことは出来ない

それでいいはずなのに、良いと思えない

天乃「……銀。どうしたらいいと思う?」

素直に受け入れるか

いまさら何を言っているのかと言うか

戦闘の時だけは限定で付き合う。と

底だけでもフォローを入れるか………


1、解ったわ
2、今更何言ってるのよ。明日、勇者部行くから覚悟しなさい
3、戦闘の時だけは……協力するわ


↓1

明日から普通に。なので
ここまでにしておきます。ありがとうございました

戴いたイラストですが
@wikiにて紹介させていただいています
1枚でも多いのに、6枚ほど戴けて感謝しています
編集技術があれば、もっと有効活用できるのですが……


アニメと同じくしようと思いましたが果てしない時間を要すると感じたので断念しました
http://i.imgur.com/Oy81osb.png

wikiの登場人物の一言が不覚にも名言に思えた
ジャンプとかの名場面で使われてそうだなとくに沙織ちゃんの方
あと沙織ちゃんの最後は冗談なのかがちなのかkwsk

少ししたら再開しようかと思います
大体21時ころを予定しています


天乃『戦闘の時だけは協力するわ』

天乃は少し考えて

そこだけでも。と譲歩の言葉を打ち込む

けれど

風『ごめん。東郷に話してみないと答えられない』

風『今の関係では悪いことになりかねないし……』

風『こんなのわがままだってわかってるけど』

風『もう少し早く……それが聞きたかった』

風の言葉は意外性はあったものの

考えてみれば当然なのかもしれない

勇者部のチームワークを破壊し、瓦解させかねないのが今の天乃と勇者部の面々との関係

何かと戦うという事柄において

チームワークを乱すというのは致命的すぎるのである

風『ごめん。でも嬉しいよ。ありがとう久遠。何とか説得してみるから』

風のその言葉の後に、ログアウトしましたという文字が続く


天乃「いうなれば虫のいい話……ってやつよね」

久遠天乃の今までの言動

顧みれば酷いものばかりだ

もっとも、東郷が本気で天乃を避けるようになったのは

友奈の自滅なのだが

天乃「もとはと言えば私が無茶を言ったせいなのは事実……」

仲良くならない。という結果はイイが

過程を見誤ったようだ

天乃「結果ばかり気にして過程を見失ったか……見るべきは過程だろうに」

もちろん、

結果がなければ過程も何もないのだが

天乃「……明日も学校。かぁどうしよう……授業が退屈すぎていきたくない」

とはいえ

明日こそは一緒に帰りたいと沙織に言われ

どうするべきか悩む天乃はなかなか寝付くことが出来なかった

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(協力申請)
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・伊集院沙織:交流有(登校、昼食+2)

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流有(お墓詣り)

4月の4日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 4(絶望的に低い)
  犬吠埼樹との絆 1(絶望的に低い)
  結城友奈との絆 9(低い)
  東郷三森との絆 -2(最悪)
伊集院沙織との絆 28(少し高い)

  乃木園子との絆 15(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(高い)


√4月5日目 自宅での朝


コンマ判定表

01~10 バーテックス
11~20 
21~30 沙織
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 風
71~80 
81~90 偶数:さおり 奇数:バーテックス
91~00 


↓1のコンマ   空白は何もなし

経験値稼ぎの時間だ(ポジティブ)

http://i.imgur.com/q1TF4nM.png

√4月5日目 朝 樹海


天乃「うーん……良い目覚ましだった」

大きくため息をつきながら

清々しいほどに様変わりした景色を眺め

握りつぶす勢いで携帯を握る

天乃「いつでもお構いなしってわけなの?」

死神「カンケイナイ、カンケイナイ」

天乃「あっそう……」

バーテックスには時間も何も関係ないらしい

なんという面倒くさい相手だろう

戦う意思もそがれてしまうというものである


マップを表示させ

自分以外の勇者の位置と

バーテックスの現在位置を探す

まだ登校もしていない時間帯とあって

見事にバラバラな勇者部一同

天乃「……この場合」

勇者部はおそらく合流を目指すだろう

バーテックスは一番近くの勇者に接近するはず

なら…と

天乃はふっと息を吐いて勇者の姿へと移り変わる

天乃「私がとるべきは」



1、移動(桃色になっている場所にのみ可能)
2、集中(SPを8消費して 命中・回避+15)
3、隠密(SPを15消費して 1ターンの間狙われなくする)


http://i.imgur.com/4u7M7Xz.png


↓1


天乃「向こうは向こうで集まってくれなきゃ危ない」

だからといって私自身が前に出ることも……いや

そうしないと向こうに行かれるから仕方がない

天乃「私のコレ、なんだかスピードがなくてね。貴方からも来てもらわないとダメなのよ」

天乃はそう言って苦笑しながら

少し先にいる巨大な怪物を見つめる

天乃「鬼さんこっちら、手の鳴る方へ~……なんてね」

若干おちゃらけているようにも見えるが

本人はいたって真面目

天乃「本当にこっちくるあたり……どうやら風達は合流を優先したみたいね」

敵から注意がそれない程度にマップをちらっと確認

友奈は東郷の機動力の低さをカバーしているからか

足は遅いが、樹と風の機動力でカバーし

合流はとりあえずすんだらしい

天乃「うん。とりあえずはいつも通りの形だわ」


http://i.imgur.com/q14NoPT.png

http://i.imgur.com/ZvGI7xB.png

2ターン目


天乃「あのバーテックス……この距離で何もしてこないっていうことは移動しながらじゃ攻撃が出来ない?」

見た目は頭の上? にベルをつけた奇奇怪怪な姿

もっともその存在自体が奇怪なのだが……

天乃「とはいえ、向こうがどんなものかわからない以上この足で囮は危険?」

むしろ攻めていった方が

天乃にとっては安全な可能性もある

逃げたはいいが攻撃範囲内

そうなったら悪手だった。どころの話ではなくなってしまう

かといって、むやみに接近するのも厳しいのかもしれない

天乃「……うーん」




1、移動(桃色になっている場所にのみ可能)
2、集中(SPを8消費して 命中・回避+15)
3、隠密(SPを15消費して 1ターンの間狙われなくする)

↓1

狙われない(MAP攻撃が当たらないとは言ってない)


http://i.imgur.com/ZvGI7xB.png


天乃「……ここは前回同様、ちょっと」

死神「!」

天乃「力を貸して」

死神「ゲドーメ」

天乃「何がよ。いいから早く」

天乃は死神の力を借りて身を隠し

息を押しとどめて気配までも完璧に隠蔽する

ただ太極拳を訓練していただけでは身につかない技法

兄を全力でからかうことに徹した自由人、久遠天乃のたまものである

……意味があるのかは定かではないが

天乃「……これで向こうは私を見つけられない」

このまま動かなければ

バーテックスは風達の方に向かうだろう

しかしその場合、天乃の攻撃破移動後でも届かない可能性が高い

もちろん、風達が動かなければ。の話だが


1、移動
2、待機


↓1



天乃の気力は93

選択可能なのは第一式格闘術のみなので



↓1 命中判定  174%  ぞろ目または 41~45でCRI

すまぬすまぬ


ダメージ+  ↓1

回線が不安定ですねID変わりまくるかもしれません


455ダメージ


試しレスです


http://i.imgur.com/pZTm4Hq.png


天乃「私のアレが特殊な力なのかどうかわからないけど」

地面を力強く踏み込み

天乃は勢いよく相手へと突っ込む

天乃「そんな大きい体してるから、こうなるのよ!」

不思議でもなんでもなく

外す気なんて全くせず

天乃は大きく体を回転させ、バーテックスの体に踵をねじ込み

その白い体をはじけさせる

死神「ゲドーメ」

天乃「敵なんだから良いでしょう?」

死神「ゲドー」

天乃「良いのよ」


風達も個人的に移動してきたようだが

まだまだ距離が足りずに攻めあぐね

バーテックス側も天乃を見失ったからか立ち往生し

動きはない

そして、回復する様子もない

天乃「……やっぱり」

自分の能力の特異性を確信したところで

犬吠埼風からの着信が入る

風『ごめん、後回しにした』

天乃『……別に』

風『まぁその……見ればわかるけど、東郷は久遠の事』

天乃『解ってるわ』

風『でも……東郷はちゃんと見てる。だから、久遠の意思を見せればきっと考え直してくれる』

天乃『どうしてそう言えるの?』

風『友奈の件が自爆だって友奈が謝ったからだよ』


天乃『………信じたの?』

風『友奈が嘘をついてるのかどうかくらい、東郷には解る』

天乃『……そう』

風『この戦いが終わったらさ』

天乃『?』

風『学校で会おう』

天乃『……考えておく』

一方的に電話を切りながら

一方的に電話を切られながら

久遠天乃と犬吠埼風は互いににやりと笑う

負ける気なんて、しない



1、移動(桃色になっている場所にのみ可能)

↓1


http://i.imgur.com/qtr5fHo.png


天乃の気力は96

選択可能なのは第一式格闘術のみなので



↓1 命中判定  174%  ぞろ目でCRI


ダメージ+

↓1




一応ステータスを貼りますね。天乃の方

http://i.imgur.com/zDNIFcn.jpg

どうでもいいけど今回追加ダメの出目が腐ってるな


440ダメージ



死神の効力が消え、姿が露わになった天乃だったが

すでにバーテックスの背面に回り込んでおり

決して高くない跳躍力を補う攻撃力でバーテックスの体に自身の拳を打ち込む

下から救い上げるように左の掌底を打ち込み

回復が阻害され、にも込まれることがないのを利用して肩を押し当て

すぐに右肘が左肘に当たりそうなくらいに半身を捩じり

反動を利用した利き手での掌底を叩きこむ

雄叫びも何もあげたりはしないバーテックスだが

その体は天乃によって半分近くえぐり取られていた

天乃「……風!」

風「任せなさいッ!」

リーダーでありながら殿のような役割を務める犬吠埼風が突進する勢いで詰め寄り

その大剣を構え、サイドからは友奈と樹が近づき

封印を施す


命中判定↓1 風 112%
命中判定↓2 樹 128%
命中判定↓3 友 125%

全員ぞろ目で CRI

475+400+520=1395ダメージ

バーテックスの討伐に成功しました

討伐者は不確定なので各30の経験値
天乃に10+10+(攻撃成功×2で20)、
東郷に+10(戦闘参加) 
友奈に+50

  風に+50
  樹に+50

YPは各自+50


友奈「やっぱり久遠先輩は特別でしたね」

樹「バーテックスが再生しませんでした……」

風「死神だからねぇ? 神様にだって死を与える効力があったりして」

天乃「じゃぁ、私が敵になったら終わるわね、色々と」

もしも天乃の特殊な能力がそんな効果がある場合

神様である神樹様もひとたまりもないわけで

流石に神様にも死与えるなんてことはない。と

適当に笑い飛ばす

そんな明るい空気の中、遠くから彼女はやってきた

東郷「すみません、風先輩。中々射程に入れられず……」

風「良いの良いの。気にしない気にしない……それで、どうだった?」

風はやや満足げに天乃にウインクすると

東郷を一瞥して問う

風「久遠はちょっと自由で、不器用で、人付き合いが苦手で、悪戯っ子だけど……頼りにはなると思うのよ」

東郷「……………」

天乃「おかしくない?」


風「事実でしょーが。あの時だって久遠がちゃんと友奈が自滅したって言ってれば」

天乃「あの時の信頼関係で誰が信じたのよ」

風「少なくとも私は信じた――……かもしれないじゃない」

自信なさげに声のトーンを落す正直さに

天乃は大きくため息をつき

そのせいか言おうとした言葉はどこかへと消える

友奈「あ、あれはその……本当にごめんなさい。成せば大抵何とかなると思って」

天乃「…………………」

風「だからさ。まぁ……大目に見てあげてよ。子供の悪戯だと思って」

天乃「あのさ……」

友奈「子供……」

天乃の嫌な単語に反応した友奈は

じーっと天乃の体を見つめ、「もしかして」と頷く

天乃「なによ」

友奈「風先輩、久遠先輩は飛び級したのかもしれません!」

天乃「ふざけんな」


天乃「中学生で飛び級って何? 出来るわけないでしょう」

東郷「外国というところでは、その昔、飛び級。と言うものをして若くして有名になった人もいたとか」

天乃「続ける意味あるの? その話」

樹「たぶん……友奈さんなりのスキンシップかと」

天乃「どう考えてもからかわれているのだけど……」

疲れる

天乃ははっきりとそう感じ

大きくため息をついて頭を抱える

厄介な部活と関わってしまった

厄介な連中と切ることのできない面倒な間からになってしまった。と

先行き不安な現実に連続でため息をつく

東郷「……久遠先輩」

天乃「なに?」

東郷「先の非礼はお詫びします……ですが、先輩ももう少し人に対して柔らかくすべきかと思います」


風「んー……どっちかと言うと東郷」

東郷「はい?」

風「久遠は東郷に似たタイプよ」

東郷「どこがですか?」

風「東郷からした友奈のような相手、久遠」

天乃「なによ」

風「いるでしょ」

ニヤニヤと笑う風は

何かを知っているぞ。と脅すようなそぶりを見せながら

ぐいっと天乃に顔を近づける

天乃「何のことだか……」

風「だからって久遠さんのことそのままなんか嫌だから」

天乃「っ……」

聞き覚えのあるセリフに天乃が目を見開くと

風もそのp反応は意外だったのか言葉に困って頭を掻く

風「いやーほら。3年だし、同じ階だし、もしかしたらいるんじゃないかーと教室覗こうとしただけなんだけど」



1、アレは違うからッ
2、あの子が勝手に言ってるだけ
3、だからなんだっていうのよ
4、見たのね? 聞いたのね?
5、沈黙

↓1


天乃「だからなんだって言うのよ」

風「えっと」

天乃「別に良いじゃない。私がだれと親密にしてようが貴方達には関係ないでしょう?」

風「き、気に障った?」

天乃「物凄く」

風「それは……その、ごめん」

これまた想定外の反応に

風はこれは全面的に自分だと頭を下げる

友奈「風先輩、それってもしかして久遠先輩の――」

東郷「あっ、空間が閉じるわ友奈ちゃん! 舌をかまないように口を閉じて!」

友奈「えっ!?」

東郷の言葉通り

空間はその姿を歪ませ、光の中にかき消していく

戦った後に学校

これは行くの止めるべきだ。と

建前に賛同する天乃はまっすぐに自宅へと送還された


√四月の4日目  自宅での朝


天乃「……学校で会いましょう? ふざけてるの?」

風の言葉でただでさえ枯渇している行く気力を

更に奪われた天乃はそのままベッドに倒れこむ

天乃「このまま目をつぶれば寝れる」

そう言いながら目を瞑った天乃だったのだが


【沙織「下校だって学校だから。また明日、一緒に帰ろうね」】


天乃「~~~~っ!」

風のせいで彼女との別れ際の言葉が鮮明に再生され

寝ようとするたびに彼女の残念そうな姿が浮かぶ

天乃「うるさい、うるさい、うるさいっ!」

枕に顔を埋め

布団に潜り込む天乃は大きくうめいた



1、学校に行く
2、何が何でもサボる


↓1


√4月5日目 学校


天乃「そう。これは別にあの子や勇者部のためではなく、ただそうしたいなと思っただけ」

自分は自由な人間で

その自由の中でどうするかと考えた時

よしじゃぁ学校にでも行こうかと思っただけ

天乃「そう、それだけ」

と言い続けてたどり着いた学校

やはり生徒たちはあまり歓迎ムードではない

疫病神の噂があるにしろ無いにしろ

久遠天乃とはとんでもない不良生徒だともっぱらの噂が出回っているのだ

授業はすべて欠席

にも拘らずテストの点数だけは上位に居座ることから

教諭すら脅しているのでは? と言うものまであるとかないとか

沙織「久遠さん、やっぱり来てくれたね」

天乃「別に貴女のためじゃ……」

沙織「そうだよ? これは久遠さんのための登校だよ」

天乃「……まぁ、そうね」

沙織「うん」

やはりクラスで歓迎するのはたった一人だった


√4月5日目 給食時間



コンマ判定表

01~10 勇者部
11~20 沙織
21~30 風
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 東郷 友奈
71~80 
81~90 勇者部
91~00 沙織


↓1のコンマ   空白は何もなし


√4月5日目 給食時間


沙織「く」

友奈「失礼します! 久遠先輩はいますか?」

天乃「………………」

友奈の登場は2度目なのだが

勇者部は学校の中でボランティア部として割と有名であり

その部員のことも多少知られている

その内の一人、結城友奈」が二度も先輩のクラスに。しかも天乃に用事ともなれば

周りがこれはもしかしてと息を飲む

止めるべきだ、先生を呼ぶべきかも、可哀想に。と

周りの同情するような視線が友奈へと向く

友奈「あの、久遠先輩」

天乃「なに?」

友奈「実はその、東郷さんからの提案で一緒に昼食でもどうかな~って」


友奈「東郷さんのおいしい牡丹餅があるんですよ」

天乃「彼女は牡丹餅以外作れないの?」

友奈「そんなことはないですよ。ただ、それには及ばないからって敬遠してるみたいで……」

あははっと笑った友奈はどうですかともう一度問う

勇者部で2年生の後輩は天乃の舎弟ではなかったことに安堵しながらも

そのフランクな物言いに周囲の生徒が目を見開き

手をパタパタと横に振り

それ以上はいけない! とフリップを掲げる

天乃「そうね……」

牡丹餅は抜きにしても。と

考える天乃に対し、後ろにいる沙織が口を開く

沙織「行ってみたらいいんじゃないかな? せっかくの後輩からのお誘いなんだし」

天乃「貴女……」

沙織「わ、私は先約があるし」



1、友奈。貴女達が2人ならこっちも2人。条件呑める?
2、それなら……行ってくるわ
3、あら、そう。でも私は好きに食べたいからパスするわ



↓1


天乃「それなら……行ってくるわ」

沙織「うん。行ってらっしゃい」

ニコニコと笑う沙織は

天乃に対して見送る妻のように手を振る

天乃「で、どこで?」

友奈「もちろん勇者部部室です! 残念ながら樹ちゃんと風先輩はダメでしたけど。私と東郷さんがいますから」

天乃「はぁ……まぁいいわ。移動するなら時間がもったいない。さっさと行くわよ」

友奈「ラジャー!」

びしっと手慣れた動作で敬礼する友奈に

天乃はわずかながら東郷の気配を感じて後退り、そのあとについていく

残された沙織は天乃達が見えなくなってから小さく息を吐く

沙織「……ね、ねぇ。そっち入っても良い?」

「無茶したねー」

沙織「えへへ……久遠さんには私だけじゃなくてみんなと仲良くなって欲しいし」

「その分、自分が蔑ろにされる。人付き合いってそういうもんよ?」

沙織「解ってる」

「それならいいけど」

「さっすが、バツイチは言うことが違う」

「大変! 記憶が混濁しているみたい! 救急車呼ばなきゃ!」

沙織「あはは……はやく食べよ? 時間無くなっちゃう」

「そうだね」

「滑ったな」

「男子五月蠅い」


√4月5日目 給食時間


東郷「すみません。来ていただいて」

天乃「別に」

友奈「さぁどうぞどうぞ。座ってください」

パイプイスを軽く引いた友奈は

座ってと手を差し向ける

天乃「で? 貴女はただ親交を深めたい。だなんて理由じゃないんでしょう?」

天乃の言葉と視線を一身に受けた東郷は

しばらく見つめあったまま口を閉じ、

やがてそれを開く

東郷「折り入ってお話があります」

天乃「どんな?」

東郷「……久遠先輩は現在、部活をされてはいません」

天乃「そうね」

東郷「ですから、いつもすぐにおかえりになられていると思います」


天乃「そうね」

東郷「戦闘時の初期位置を見る限り、それでは私達と距離が離れすぎているように見受けられます」

天乃「そうみたいね」

東郷の遠回しな言い方を聞き終えるよりも先に

天乃は東郷の言いたいことを理解し

深くため息をついて、「つまり」と口を挟む

天乃「私に勇者部に入れ。と?」

東郷「はい」

天乃「…………」

可能であれば。とかではなく

そうしてほしい。そうするべきだ

と言うような意思を込めた瞳で東郷は天乃を見つめる

友奈「久遠先輩もきっとなじめると思います! みんな優しいし! 楽しいし、帰りに食べるおうどんはおいしいですよ!」

天乃「うどんはどうでも良いわ。割と真面目に……これ以上ダイエットしても減らない物を大きくしたくないの」

友奈「?」



1、そうね。考えておくわ
2、悪いけど、部活はパス。色々と縛られそうだから嫌いなの
3、良いわよ。別に。自由参加でしょう?


↓1


天乃「悪いけど、部活はパス。色々と縛られそうだから嫌いなの」

友奈「そんな……」

東郷「勇者部だからですか?」

天乃「そうじゃなくて、部活というもの自体が好きじゃないの」

箸を進めながら天乃はその理由を簡潔に告げる

天乃「部活に入ると行事やルールが増えるでしょう? そういうの、嫌いなの」

東郷「そうですか」

天乃「そうなのよ」

東郷の言葉に似たような言葉を返した天乃

友奈は残念そうにしていて

何とかして……と考えていたようだが

天乃の気持ちを汲んだ東郷に宥められてなくなく頷く

東郷「無理強いはしません。でも、可能であれば放課後などは校舎のそばにいてください」

天乃「考えておくわ」


東郷の策を見破った天乃は

即座にそう切り返してクスクスと笑う

天乃「部活に参加すれば良し、しなくても可能であればそばにいて欲しい。それだったらって受けさせるのが狙いでしょう?」

東郷「……そんなつもりは少しだけありました」

天乃に対し

含み笑いを浮かべることもなく答えた東郷は

惜しかったですね。と

少し残念そうに言って首を振る

東郷「気が向いたら立ち寄ってください」

天乃「ええ、考えておくわ」

東郷「勇者部一同、お待ちしています」

東郷の心からの言葉を受けてもなお

勘ぐって頷くことを避けた天乃は黙々と食事を進めたものの

移動もあったせいか意外と早く。お昼は終わった

キリは悪いですが、時間も時間ですのでここまでにさせて頂きます
wikiへのステータスの追加ですが
出来たらやっておこうかと思います

こんな感じ?
三頭身ですまぬ
http://i.imgur.com/PNs52nm.jpg

>>210
可愛いですね。ありがとうございます

wikiの方ではすでに報告済みですが
ステ-タス一覧の方、作ってみました
不具合がありましたらご報告の方お願いいたします


http://i.imgur.com/dtFMifV.png
技術のない人が装置だけを手に入れた末路です

昨夜は途中で切ってしまいましたし
今日は今から再開しようかと思います


√ 4月5日目の放課後


コンマ判定表

01~10 友奈 風
11~20 
21~30 友奈 奇数なら+東郷
31~40 
41~50 沙織
51~60 
61~70 風 樹
71~80 
81~90 勇者部
91~00 


↓1のコンマ   空白は何もなし


√ 4月5日目の放課後



天乃「やっと終わった」

沙織「授業、退屈だった?」

天乃「そうね。常に教科書読まされ、問題解かされ……面倒くさかった」

沙織「あはは……お疲れさまだね」

天乃の大きなため息に

沙織はちょっと困ったように笑う

楽しませてあげるつもりなのに

やっぱり……自分には何もできてない

そんな負の念が沙織の心に靄をかける

天乃「……? どうかした?」

沙織「う、ううん。なんでも」

天乃「……そう」



1、ならボーっとしてないで帰るわよ
2、今日もちょっと用事があるの。先に失礼するわね
3、ちょっと勇者部によるんだけど……来る?
4、何か気になることがあるなら言ったら? 言えなくなってからじゃ、後悔するわよ?
5、ならいいけど……それじゃぁ私。帰るから


↓1


天乃「ならいいけど……それじゃぁ私。帰るから」

沙織「あ、うん……」

頷いた沙織は少しためらいがちに

ちょっと待ってと天乃の裾を引く

天乃「どうかした?」

沙織「大したことじゃないんだけど」

天乃「だけど?」

沙織「………やっぱり、大したことかも」

天乃「うん?」

沙織「下駄箱まで一緒でも良い?」

残念ながら沙織が下から見上げる。という形にはならないものの

懇願するような瞳は相も変わらずで

別にそこまでならと天乃は軽くうなずいた


天乃「……………」

沙織「……………」

天乃の隣に並ぶ沙織

歩く速さは天乃の方が圧倒的に早いのだが

一緒に。と言う言葉を受けた以上

いつも通りにとは行けずに沙織の歩幅と歩速に合わせる

天乃「……別に、黙ったままでもいいのだけど」

沙織「…………………」

天乃「何か言いたいことがあるから一緒にって言ったんじゃないの?」

ふと足を止めた天乃よりも数段下に下りた沙織は

俯いたまま、黙り込んだまま

その場で足を止める


沙織「久遠さん」

天乃「……どうしたの?」

沙織「その……今日は金曜日でしょ?」

天乃「そうね」

沙織「と言うことで、明日は土曜日」

天乃「ええ」

沙織「だ、だから、明日は学校がないお休みの日」

天乃「そうだけど……」

煮え切らない沙織の物言いに

天乃はちょっとだけ顔を顰めるが

何を言いたいのかなんとなく想像ついて

頼み事する前の小学生だと思えば可愛いものだと

くすっと笑う

天乃「明日は土曜日で休みの日。だから?」

沙織「だから……えっと。遊び、とか。行ったり、とか。うん、いや、家から出たくないなら久遠さんのおうちとか……」



1、家ならいいわよ
2、別に良いわよ。出かけても
3、あら……貴女の家って選択肢はくれないの?
4、そうねぇ……朝の気分しだいだわ
5、悪いけど……何かあったら困るからパス


↓1


天乃「悪いけど……何かあったら困るからパス」

沙織の願いを受け

ほんの少し悩んだ末の答えはそれだった

天乃「別に貴女が嫌っていうわけじゃないの」

沙織「うん……」

天乃「上手く説明できないし、そもそも言えるようなことじゃないことがあってね」

沙織「久遠さんはそれにあたしが巻き込まれるかもって心配してくれてるの?」

天乃「べ、別にそういうわけでもないわ。そう判断したいならそれでもいいけれど……」

断られたのに嬉しそうに笑ったことに驚いて

天乃はすぐに顔を逸らす

天乃「とにかく、私ばかり気にしてないでほかの人のことも気にしてあげるべきだわ」

沙織「付き合ってる人とかいるならそれも考えるけど……あいにく相手がいなくて」

天乃「友達がいるでしょう。友達が」

沙織「うん。いるよ」

天乃「そっちの輪に入りなさい。千切れた糸なんか、一々拾わなくていいから」


沙織「千切れた糸だって、結べば繋がるよ」

天乃「…………」

沙織「要はそれを必要だと思うかどうかだってあたしは思う」

にこっと笑う沙織を一瞥し

天乃は大きくため息をつく

そういえば、こんな子だった

沙織「だから案外、蚊帳の外なあたしが久遠さんの力になれたりするかもしれない」

天乃「どうかしらね」

沙織「えへへ、希望的観測ってやつかも。でも、かもしれないは侮れないよ?」

天乃「へぇ?」

沙織「かもしれないは可能性。可能性は――一つの選択だからね」

そういった沙織は

今の自分もかもしれないを選んだ結果だから。と

嬉しそうに続ける

沙織「久遠さんの悩みは知らないけど、行き詰ったらあたしに言ってくれてもいいんだからね?」


天乃「期待しないで考えておくわ」

沙織「あはは、辛辣」

天乃「だって貴女の言う通り蚊帳の外だからね」

久遠天乃は勇者である

伊集院沙織は勇者ではない

表面上ではたった一線でも

よく見れば底の見えない深い谷が出来ている

それほどの差が、そこにはある

天乃「休みだからって浮かれないで、出歩くなら車に気を付ける」

沙織「あたし中学生だよ?」

天乃「……関係ない」

沙織「え?」

天乃「事故に性別も年齢も関係ない。来るときは来る。その時に、回避できるように気を遣えって言ってるの」


ハッと気づいたように口を閉じた天乃は

今だけは身長で優っているのをいいことに

階下の呆然とする沙織の頭をポンッと叩いて先に下っていく

天乃「さっさと行きましょう」

沙織「久遠さん、もしかしてだけど……」

天乃「行きましょ」

沙織「……うん」

天乃の振り向くことない言葉にただならないものを感じた沙織は

余計なことを言うことをやめて頷き、

天乃の隣に数段飛んで着地する

沙織「そういえば久遠さん、あたしのアドレスとかまだ持ってる?」

天乃「……消したわ」

沙織「なんとなくわかってた。一応再登録してねっ」

天乃の携帯には

新しく伊集院沙織の名前が追加された


√4月5日目 自宅での夕方


今朝にバーテックスとの戦いがあり

それでまた夕方や夜に来る

なんてことをされたらたまったものではないのだが

どうやららそんなことはなさそうだ

天乃「明日……どうしようかしら」

沙織からの誘い

いろいろ複雑な心境ではあったものの

少しは嬉しい気持ちもあった天乃

だが、言った通り困ったことになってはどうしようもないがゆえに

どうしようもないのだ

天乃「私は神樹の勇者やってて、時々姿消すけど気にしないでね? とか? 馬鹿なの?」

自分で言って蹴飛ばした天乃は軽く体を伸ばして欠伸した



1、寝る
2、電話:風、友奈、沙織
3、メール:風、友奈、沙織
4、お兄ちゃんとお話
5、太極拳の特訓


↓1


こんこんっとドアを叩くと

なんだー? と事務的な返事が返ってくる

天乃「作業中……かな」

天乃の兄は家で仕事をすることもあり

その時に話しかけたりすると

8割が事務的な返事しか返って来ないうえに

その時に聞いた話は100%記憶にない

天乃「入るよ?」

「んー」

天乃「……………」

ドアを開けて中をちらっと確認

兄の姿と

歩けるスペースが存在しているのを確認してから

天乃はゆっくりと部屋に忍び込んだ


天乃「お兄ちゃん、何してるの?」

「んー」

天乃「……?」

カタカタカタっとキーボードを打ち続ける兄の瞳は画面にくぎ付けで

その画面は黒い文字がずらーっと並んでおり

一瞬で視力が下がりそうな危機感さえ感じる

天乃「なにしてるの?」

「色々」

天乃「その色々が何なのかを聞いたつもりなんだけど」

「色々」

天乃「……そっか」

これはただの機械のようだ

本人はどこか別の場所にいるらしい。と

一瞬だけ思考を逃がして冷却

ふっと息を吐いて兄の肩を叩く



1、勇者部に私のこと頼んだのお兄ちゃん?
2、ねぇ、自分とは決して越えられない一線のある相手とはどう付き合ったらいいと思う?
3、お兄ちゃんは……私が死んだらどう思う? やっぱり、悲しい?
4、また胸が大きくなったんだけど、男の子に揉まれると大きくなるって事実だったのね


↓1


天乃「また胸が大きくなったんだけど、男の子に揉まれると大きくなるって事実だったのね 」

「!」

ガタッ、ガタンッ! っと大きな音を立てながら兄がイスから転げ落ち

倒れた椅子のキャスターがカラカラと回る

「な、おま、それ」

天乃「嘘よ」

「お、お前……ついていい嘘とついちゃいけない嘘ってものが……」

天乃「お兄ちゃんが私の言葉を無視するからいけないの」

「だからってなぁ……」

困ったように頭を掻いた兄は

倒れた椅子を元に戻しながら続ける

「そのちんちくりんな体でバストが84cmから増えるとか拙いってレベルじゃないぞ?」

天乃「ん?」

「さらしまいたりすればちょうどいいと思うんだけどそれじゃちょっと苦しいだろうし」

天乃「ちょっと待って。私それ言ってない」


「それ?」

天乃「バスト」

「胸の大きさがどうかしたか?」

天乃「なんで知ってるの?」

「家族だからな」

天乃「だからって……」

「そうだ、お前さ。いくら好きだからって黒い下着は止めとけ。中学生でそれはない」

天乃「……それはお母さんのだよ」

「一番大きいブラがお前のなんだから騙されたりしないって」

天乃「……………」

「もう一人の妹なんか寄せてあげてんだからな? 一緒に洗ってもらうの止めとけ。泣くぞ」

天乃「あのさ……」

「ん?」

天乃「データは保存した? 3秒だけ待ってあげるから今すぐした方が良いよ」

「ま、待てこれは俺の仕事のデータ――」

天乃「頭の方だよ馬鹿ッ!」

全力の掌底が兄の頬を撃ち抜いた


「っ~……本気でやることないだろ……」

天乃「いくらお兄ちゃんとはいえ許せないこともあるの」

「仕方ないだろ? 妹の発育がどの程度か知りたくなるのが兄の性なんだから」

ベッドに座る兄は

全力でぶたれたにもかかわらず

大して色変わりしない頬に氷袋を押し当てる

「そもそも、嫌なら手で洗っても良いんだぞ? 下着」

天乃「お兄ちゃんが失明すればいいんじゃないの?」

「間違って触っても許してくれるか?」

天乃「何に?」

「俺が育てた果物。日夜寝る間も惜しんで育てたからな。そろそろ収穫頃合いだろ?」

天乃「今すぐ左頬を差し出せば掌で済むけど」

「おっと、それ以上は仕事が出来なくなる。許せ妹」


天乃「あのさ」

「ん?」

天乃「まさか寝てる時に触ってないよね? 本当にこれ以上大きくなるのは嫌なんだけど」

「不登校児への罰としてちょっとだけだよ。安心しろ」

天乃「ほう?」

妹の厳しい視線を受けた兄は

冗談ぽく笑って天乃の頭を撫でる

「昨日今日はちゃんと行ったな」

天乃「誤魔化されないよ?」

「触るわけないだろ? 型崩れしちゃうじゃないか」

天乃「………ごめん、なんだかすごく気になる言い方なんだけど」

「気にすんな」

天乃「……………」

「それより……うすうす気づいてると思うが、勇者部を呼んだのは俺だ。悪かったな」


天乃「この流れでそれを言う?」

「だからこそだよ。お前から言われるっていうのもおかしな話だしな」

頭から手を離した兄は眼の前の妹をじっと見つめる

足元からゆっくりと、じっとりと

撫でるように、舐めるように

産毛に掠る程度の優しくもくすぐったい距離感で

迷路を進むかのように慎重に、冷静に

見えない背後を想像して

背後に回り、一周し

天乃の体に視線を着せる

「……やっぱり身長がなぁ」

天乃「ちょっと待って何の話?」

「勇者部の犬吠埼さんくらいの身長が欲しいな」

天乃「まさか勇者部の子が見たくて呼んだんじゃ……」

「そんなわけないだろ。呼んだ理由はお前が学校行かないからだ」


「お前があの子がいなくなって相当精神的に来たのは解ってる」

でも。と、兄は言葉をつなぐ

「だからって学校行かないのは無しだ。むしろ行ってやるべきだっただろう」

天乃「……………」

「勉強サボったっていいさ、授業中にゲームしようが携帯弄ろうが、私語してようがなんだって良い」

天乃「いやそれは………」

「良いんだよ。授業がつまらないのは母さんも俺もあいつもみんなが同意してるしな」

ははははっと苦笑した兄は

けれど、それさえもあの子は解らないままだったんだと呟く

「それをお前が経験して、あの子に話してあげるべきだったんじゃないか?」

天乃「……………」

「お前が報告に行かないから、寂しそうだったぞ? しかも、毎日毎日引きこもってるから元気にしてるとしか言えないし」

天乃「……ごめん」


「そんなに神樹様が憎いか?」

天乃「…………」

「たった11歳で死なせた神様が」

天乃「……………」

俯き、黙り込む妹の手を優しく引っ張り

兄はその小さな体を腕に抱く

「朝礼でも、下校でも。神樹様に感謝して、屋上には小さな祠がある」

讃州中学がそういうところなのではなく

すべての教育機関が、そういうところなのだ

この世界は神樹様に守られている

だから感謝するべきだ。と

「辛いよな。嫌だよな。お前にとって……そんなの拷問だっただろ」

天乃「………………」

「でも、そのうえで俺は登校させた。なんでかわかるか?」


「学校には友達がいるだろうし、会えばお前が少しでも明るくなれると思ったからだ」

天乃「…………」

「結果はどうだった?」

天乃「結果?」

「楽しめたか? 友達と会って、話して。神樹様は嫌いでも、友達は好きになれたか?」

妹のことを抱きしめながら

その頭を優しく撫でて、彼は言う

散々だめだと、許さないと

言い続けてきた言葉の肯定

「ダメだったのなら、学校なんて止めて良い。友達も何もないのなら、苦行を積む意味すらないからな」

天乃「……ダメだって言ってたくせに」

「それはお前が学校から逃げてるだけだったからだ。ちゃんと行って、負けたなら。許してやるさ」




1、大丈夫。頑張れるよ
2、……………………
3、好きになれた友達なんていない


↓1


天乃「大丈夫。頑張れるよ」

兄の腕の拘束に抗うように手をつき

天乃は見えた瞳に視線を向け、笑みを浮かべる

天乃「困った子がいるの」

「ん?」

天乃「どれだけ言っても聞いてくれなくて」

本当に困った人がいる

1年からずっとクラスが一緒だった

そんなこと、天乃は知らなかったのに

たった一度、助けただけなのに

天乃「私の事、気にしてくるの……放っておけないって言ってくるの」

「……そうか」

天乃「私が学校やめたらあの子まで止めそうな気がする」

「良い子じゃないか」

天乃「良くない……全然よくないよ。お兄ちゃん」


「なんで?」

天乃「私が死んだらあの子が私みたいになりそうだから」

「死ぬこと前提にすんなよ馬鹿」

ごんっと妹の額をどつき

天乃の兄である青年は目つきを鋭くする

「お前のことは俺が守ってやるから安心しろ」

天乃「無理だよ」

「布団にももぐりこんでるからな、。夢の中でも俺が守ってくれてるだろ?」

天乃「本当に無理。お兄ちゃんの手は届かない」

はっきりと言い切った妹

それを驚いて見る兄はしばらく黙り込み

何かを悟ったように頭を撫でる

「大丈夫。お前には俺がついてる」

天乃「だから」

「ずっと、お前には俺の技術を注ぎ込んできたんだ。たとえ俺自身がいなくても。それがお前を守ってくれるさ」


な? と

言って笑う兄を見つめる天乃は

すぐに胸元を隠す

天乃「何見てんの?」

「……いやぁ、やっぱ良い制服だなと」

天乃「ねぇ、本当にさっきの理由なんだよね? 私に制服着て欲しいとかじゃなくて」

「犬吠埼さん程度にスカート短くても良いんだぞ?」

天乃「あのさ」

「ほら、ちょっと上げてみろ」

天乃「ちょ、待って下着見えるから!」

スカートに触れようとした兄の手を強く弾いて飛びのいた天乃に対し

痛む手をさする兄は首をかしげてため息つく

「どうせ今日は白だろ? それに、いつも見てるんだかr」

久遠家全体に響くほど力強く

何かが破裂したような音が響いた


√ 4月5日目の夜


コンマ判定表

01~10 友奈からの電話
11~20 
21~30 風からの電話
31~40 
41~50 沙織からの電話

51~60 
61~70 
71~80 沙織からの電話

81~90 
91~00 


↓1のコンマ   空白は何もなし


いつの間にか23時でしたね
明日もまだ平日なのできょうはここまでにさせて頂きます
ありがとうございました

お兄さんのキャラが大変なことになってしまいました
実は晴信だったっていう設定が使えませんね


では今日も再開していこうと思います


√4月5日目の夜



天乃「ったくもぅ……」

兄の配慮のない言動にため息をつく

まさかそんなことはないと思う

そんな前提はあるものの

少々不安だった天乃は兄が逮捕されなければならないようなことはしてないよねと

自室の箪笥を一段ずつ調査していく

天乃「……黒い下着」

ブラではない方を一枚広げ

買い物とかで確かめるように腰元にあてる

天乃「……色が好きなんだもん」

黒は大人っぽい。というものがあるからか

今の自分には不相応

そんな気がした天乃は頭をふってそうつぶやく


外はすでに真っ暗になており

人によってはもう布団に入っているだろう時間

この時間にもバーテックスが襲ってくる可能性はあるのだが

今朝来て夜に。なんていうこともさすがに無いだろう

そう思った天乃は体の力を抜いて椅子に座りこむ

天乃「たった2日……」

テスト関係なく2日も連続で登校した

特に頑張った。という感じはしない

行こうと思えばいつでも行けた

でも、行きたくなかった

神樹様への信仰が大嫌いだった

だから、反抗期のように自分はやりたいようにやるんだと

学校には行くのをやめた

天乃「とか言いつつ……テストだけは受けてたのは失敗だったかな」


天乃「いや、それは関係ないかな」

伊集院沙織が天乃を気にしだしたのは

テストだけしか来ないことではなく

そもそも学校に来てくれないことだった

天乃「不登校になった時点で、私はあの子に目をつけられてたのよね」

つまり

最初からどうしようもなかった。ということだ

天乃「なんだかな……」

嬉し良いんだか嬉しくないんだか

複雑な心境の天乃はくすっと笑って彼女のアドレスを開く

天乃「……アドレス、変わったりはしてないのね」

覚えやすい名前と誕生日のシンプルなアドレス

これなら、登録なしでも打てたのかもしれない



1、電話:風、友奈、沙織
2、メール:風、友奈、沙織
3、兄のお部屋
4、姉のお部屋
5、寝る

↓1


メール。内容


1、一応、今度から学校には行くから
2、明日、少しくらいなら付き合うよ
3、ねぇ……もしも私が死んだらどうする?
4、お兄ちゃんがね? 妹のことを性的に見てるみたいなの。どうしたらいい?
5、その他、現在の天乃の性格上でおかしくないもののみ


↓1


明日少しくらいなら付き合うよ

天乃は簡易な操作でそう打ち込むと

少し考えてメールを送る

自分自身が勇者として活動していることもあり

やはり、戦ったりした際のことを考えれば

何も知らない人と行動するのは望ましくはないだろう

しかし、さすがに3日連続で襲撃してくることはないだろう。という

安心感もわずかにあった

戦ったりしなければ困ったことになる心配もない

樹海が枯れたことによる事故

変な場所への強制送還

何も心配はない……はずだから


沙織からのメールは少し時間がかかったものの

しっかりと空メールが送られてきた

天乃「……なんでよ」

Reがついた以外何も変わらない返信

それに困惑しているとすぐ沙織から2通目が届く

沙織曰くさっきのは嬉しくてつい誤送信してしまっただけで

悪戯とかではないとのことらしい

天乃「……なるほど」

明日は丸一日空いてるから

いつでもどこでも行ける

翌日が日曜日だからお泊りだって出来るよとまでつづられており

明日という言葉と少しと言う言葉は

沙織には見えなかったということが鮮明に伝わった


喜んでいるところ悪いけれど

明日限定そして少しだけ

という沙織にとって非情なメールを送る

天乃「そんなに嬉しかったのかな」

教室で見る彼女は天乃が登校しただけで喜ぶ姿を見せており

天乃が原因ではあるが落ち込んでいる姿も良く見せている

天乃「……私なんかと出かけるのが」

何をするのだろう?

ただただ散歩?

お店に寄って、買えそうもないものに手を伸ばしてみたり、

自分の身長より少し大きい服を着てみて見栄を張ってみたり

沙織と出かける自分を想像して、勝手に恥ずかしくなって

赤くなる顔を手で覆って頭を振る天乃の携帯を

沙織からのメールが震わせる


それでもすっごく嬉しい!

朝からで良い? お昼から?

それとも、夜?

どこで待ち合わせする? 解りやすいように髪型とか決めておく?

どこに行く? など

浮かれていることがビシビシと伝わってくる沙織からのメール

天乃もぉ……浮かれすぎだよ」

質問ばっかり

自分は何時が良い、どこで待ち合わせが良い

どこに行きたい

自分自身のことはほったらかして

全部天乃に合わせようというつもりらしい


1、貴女が決めて良いわよ
2、朝:自宅、イネス、校門前、公園、駅、沙織の家
3、昼:自宅、イネス、校門前、公園、沙織の家
4、夜:自宅、公園、沙織の家


↓1

『選択肢から時間と場所を一緒に選択お願いします』


天乃「……………」

朝からと言うのも良いのだが

朝にバーテックスの戦いがあれば

それ以降は安心して楽しむことができる

そう考えた天乃は決めさせてもらえるのならと

明日のお昼、イネスに集合という条件を提出

それに対し沙織は

じゃぁ一緒にイネスでごはん食べよう。と返信

天乃「お昼ご飯……まぁ、良いかしら」

中学生ゆえにバイトも何もしていなくて

お小遣いでしか自分のお金のない天乃だが

何も買ったりできないほど困窮しているわけでもない

その条件で決定だとメールを送ると

沙織から『解った。お休み久遠さん。楽しみで寝られなそうだけど』と

最期に絵文字付きのメールが返ってきた


天乃「楽しみすぎて寝られないって……子供じゃないんだから」

沙織のメールを読み終え

携帯を棚に置いた天乃は布団の中に潜って一息つく

天乃「また朝から戦うかもしれないし……寝ておかないと」

もぞもぞと動いて体をリラックスさせ、目を瞑る

まだ4月。もう4月

寒いような温かいような

夜の微妙な室温を肌全体に感じる

天乃「……携帯充電してるよね?」

少しだけ体を起こし、携帯の充電中のランプを確認する

天乃「うん。してある」

もう一度体を倒し

軽く身じろぎして寝返りを打つ

天乃「……ちゃんとした服あったかな。普通に可愛い服? 男の子っぽい……のは元々無いや。スカートかズボン……うーん」

夜は更けていく


1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(戦闘)
・  犬吠埼樹:交流有(戦闘)
・  結城友奈:交流有(戦闘、昼食)
・  東郷美森:交流有(戦闘、解決、昼食)
・伊集院沙織:交流有(登校、下校、約束)

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()

4月の5日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 5(絶望的に低い)
  犬吠埼樹との絆 2(絶望的に低い)
  結城友奈との絆 11(低い)
  東郷三森との絆 2(まだまだ低い)
伊集院沙織との絆 31(少し高い)

  乃木園子との絆 15(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(高い)


ではこのまま6日目に行こうと思います


√ 4月6日目の朝


コンマ判定表

01~10 ばーてっくす
11~20 
21~30 お兄ちゃん
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 お姉ちゃん
71~80 
81~90 沙織
91~00 


↓1のコンマ   空白は何もなし


√4月 6日目の朝


天乃「うーん」

昨日バーテックスが襲来した時間帯

一応身構えていた天乃の基に

彼らが訪れることはなかった

もちろん、毎回同じ時間に来ると限ったわけではなく

まだまだ油断は出来ないのだが

天乃「当面の問題は私が来ていく服だよね」

私服は色々とあるのだが

自分ひとりならともかく

誰かと出かける場合、相手とどれだけ調和しているのかが気になってしまう

自分が派手で相手が地味

そうなったら相手が可哀想だし

自分が地味で相手が派手だと自分が物凄く……あれだ


天乃「どうしよう」

さて誰に相談するかと考えて携帯を見る

風、友奈、沙織、姉、兄、母、父

家族が4人

友人? 3人

その友人のうち1人は今日出かける相手だ

その相手にどんな服が良い?

とはさすがに聞きたくない

そう思った天乃は頭を抱えた


1、電話:風、友奈
2、メール:風、友奈
3、お兄ちゃん
4、お姉ちゃん
5、お母さん
6、自分で決める:可愛らしく、大人っぽく、男の子っぽく、派手に、地味に

↓1


天乃「お兄ちゃん、ちょっといい?」

「ん? どうした? 安心しろ、風呂は入らないから」

天乃「何の話?」

「ほら。お前の後に入ったら下着見たーって怒るだろ? 事実だけど」

天乃「……………」

しれっという兄を睨んだ天乃は

相談しに来ているんだから落ち着けと深呼吸

表情を柔らかくして、にこっと笑う

天乃「ちょっと相談があるんだけど」

「……そうだん?」

天乃「うん」

「下着の色なら落ち着いた色がいいと思うぞ。黒はダメだし白けりゃいいってものでも」

天乃「違う!」


「なんだよ。冗談だろ?」

天乃「私はまじめな相談なの。茶化さないでよ」

「それを俺に相談するってことは……」

兄はそごとの時のようなまじめな表情で天乃を視姦すると

ハッと気づいたように目を見開き

そんなバカなことがあるのかと呻く

天乃「どうしたの?」

「……お、お前まさか」

天乃「なに?」

「お、男か……? デートするから男目線で服選んでほしいのかッ!?」

天乃「………………」


1、もじもじする
2、そうだけど……悪い?
3、相手は女の子だからね?
4、そういうわけじゃないけど、自分以外の視点で服を見て欲しいの


↓1


天乃「それは……えっと」

「ぁ……ぇ………ぁ」

妹に男がいる

昨日のはただの冗談ではなく

男がいるということを伝える事前準備

いわば練習だった?

兄の思考がそこに行き着いたとき

彼は呼吸を忘れた

視界の中にではなく、

世界に眼球が飛び出してしまうような感覚

「……はっ……ぅ………ぁ」

天乃「……? ちょ、ちょっとお兄ちゃん!?」

「ぁー……ぁ……」

天乃「息止めないで呼吸! 死ぬよ!?」

「呼吸って……なん、だっけ……」

天乃「そんなふざけたこと言わなくていいから!」


「いや、いいんだ……」

天乃「お兄ちゃん?」

ガクッと膝を落した兄は

慌てて駆け寄ってきた妹の胸元に顔を埋めながら

弱弱しい手を伸ばして頭を撫でる

「俺が生きていたらお前の男をぶん殴るだろうからな……」

天乃「ごめん、それは――」

「もじもじしてるお前……やっぱ、女の子だったんだなって思えた」

天乃「あ、あの……」

「幸せに……なれよ?」

天乃「だ、だから!」

「俺は今幸せだからきにするな……今、ノーブラみたいだし」

天乃「う、うん。まだ着替えてないから……って、うん?」

「お前は何を着ても可愛いさ。でも、できれば胸を強調しないやつにしておけ。脱いだ時の感動……でかいぞ」

天乃「覚悟はいい? 答えは聞いてないからね?」

ドンッ! と大きな音がした


「酷いな……」

天乃「私の胸に触ったくせに」

「お前が近づいてきたからだろ? 不可抗力だって」

殴られた癖にツヤツヤ

そして清々しい笑顔を浮かべる兄は

不意にまじめな表情を浮かべる

「で、本当に男なのか?」

天乃「え?」

「男だっていうなら、俺は兄として検閲しなくちゃならん」

天乃「なんでよ」

「大事な妹だぞ。ちゃんとした奴ならともかく、胸に飛びつくような男に付き合う権利はやれないな。二つの意味で」

天乃「二つ?」

天乃が首をかしげると

兄はにやりと笑って頭を撫でる

「気にしなくていいぞ」

妹への情報の検閲削除担当の兄

実にうれしそうな笑顔だった


天乃「えっと……とりあえずだけど」

「なんだ?」

天乃「お兄ちゃんだったら私にどんな服を着て欲しい?」

「……ん。そうだな」

兄は妹の体を上から下までじっと眺めると

困ったように顔を顰めて、んーっと唸る

「とりあえずスカートだな」

天乃「どうして?」

「お前は背が低いし、そうでなくてもまだまだ女の子であって女性じゃない。可愛いの代表的衣装のスカートは鉄板だ」

天乃「そ、そうなんだ」

「あと、胸元が開いてるのは無しだ。あれはエロいが可愛くない。子供には要らん」

天乃「そもそも持ってないからそんな服」


「で……お前は無駄にでかいだろ?」

天乃「う、うん」

「だからセーターだったりシャツだったり。服が大きく張られてでかく見えるのは無し」

天乃「でも、中に来たりしないと」

「その上にカーディガンだったり、制服のあれ……ブレザーみたいなやつを羽織ると良い」

天乃「そう……かな?」

「でもそれは自分をおしゃれに見せたい場合の話だ」

天乃「つまり?」

「可愛く見せたいなら変に着飾ることなく、軽い気持ちで服を選べ」

天乃「……………」

「見た目を気にしすぎて一番大事な部分を消してるのが最近は多いからな」

天乃「お兄ちゃ」

「犬吠埼さんのチョーカーなんて反則だぞ? あれはいいセンスだ」

天乃「じゃぁ、私も付けた方が良い?」

「それは無しだ」


「とにかく、男相手なら綺麗、エロい、オシャレより、中学生らしく可愛いのにしておけ」

天乃「解った」

「ただ」

天乃「ただ?」

「手は繋ぐなよ?」

ぎりっと奥歯をかみしめながら

兄は悔しそうに、辛そうに、嫌そうに

苦虫をかみつぶしたような表情で天乃を見る

「男はな? 放送禁止用語なものを触った手を洗わずに女の子と手を握ろうとするんだ」

天乃「何それ」

「そして、帰ってからにやつくんだ。あの子は僕のアレを触ったんだと」

天乃「……ごめん、なにいってるのかさっぱり」

「……そうそう」

思い出したように言い出した兄は

妹の頭をポンポンっと叩くと財布の中身をチェック

鞄の中に携帯と財布を入れ、洋服を準備する

「俺もついていくからな」

天乃「来なくていいからね?」

とりあえず、可愛い……と、思う服にすることにした

もう色々ひどい…


√4月6日目 昼



天乃「……もう来てる」

待ち合わせ場所のイネスの入り口前

約束の15分前に来た天乃だったのだが

沙織はその時にはもうすでに待ち惚けていた

腕時計を確認し

前髪や後髪を何度も手入れしながら

そわそわと天乃の到着を待つ沙織

天乃「……バカね。いつから来てたのよ」

軽くため息をつきながら

その表情は明るい天乃

おもむろに足を進め近づく天乃に気づいた沙織は

満面の笑みで大きく手を振った


天乃「いつから待っていたの?」

沙織「んー……久遠さんの15分くらい前」

天乃「つまり30分前なのね?」

沙織「そうなるかな」

えへへっと照れ笑いする沙織を見る天乃は

困ったように笑って息をつく

天乃「そこまで無理するようなことなの?」

沙織「あたしよりも久遠さんじゃないのかな。無理したの」

天乃「別に無理はしてないわ」

沙織「そう? ならよかった」

嬉しそうに笑う沙織

その横を歩く天乃

沙織の方がはるかに高い調子ではあるものの

天乃もまた楽しげな笑みを浮かべる

それ以上に困ったような感じではあるが


沙織「ねぇ、どうする?」

天乃「どうって?」

沙織「まずはご飯食べるよね」

天乃「……そうね」

今はちょうどお昼どき

どこのお店もきっと混んでいるだろう

だからといって昼食を抜くというのは望ましくない

なぜか

じゃなければ身長が伸びてくれないと思ってるからである

もっとも、それをまじめにしっかり栄養を偏らせることなく続けてきて148cmなのだが

沙織「やっぱり……おうどんにする?」



1、そうする
2、イタリアン
3、中華
4、ファストフード


↓1


天乃「私、中華がいいかな……なんて」

沙織「う、うん! 中華も良いよね!」

少し遠慮がちに言った天乃の言葉を拾い上げ

ぎゅっと手を握って振る

沙織「中華にしよう」

天乃「あ、ありがと……」

勢いに押されて天乃の声が小さくなる

はたから見ている人には

姉に押し込まれる妹に見えているのかもしれない

ほほえましいものを見るような顔をする従業員に見送られながら

天乃と沙織は中華を専門とするお店に入っていった


沙織「久遠さんは――」

天乃「麻婆は確実かなっ」

沙織「そ、そっか……ヵゎぃぃ」

家ではあまり出てくることのない中華料理

それが食べられるというだけあって嬉しそうな天乃

いつもと違うそんな姿を見る沙織は

天乃もやはりそういう部分は残っているんだと

安堵して胸を撫で下ろす

天乃「どうかしたの?」

沙織「ううん、なんでもない」

黙り込んでいたことを慌てて誤魔化した沙織は海鮮チャーハンを

天乃は麻婆……茄子の方をオーダー

他には小籠包など

軽めのものをいくつか頼んだ


沙織「久遠さんは中華が好きなの?」

天乃「まぁね。辛いものが好きってこともあるけど」

沙織「そうなんだねー……また一つ久遠さんについて知れてうれしい」

何の考えもなく口を突いて出た言葉

沙織はすぐに口元を隠して照れ笑いを浮かべ

天乃は一回り小さく見えてしまうくらいに縮こまって

頬を人差し指で掻く

天乃「知ったって……別に良いことでもないでしょ」

沙織「そんなことないよ。久遠さんの事だし」

天乃「……そう」

沙織「うん」

小さく呟いただけの声がふわふわと浮き上がり

店員が卓にお皿を置いた音で

それはいともたやすく掻き消された


天乃「いただきます」

沙織「いただきます」

軽く手を合わせて自分の皿に麻婆茄子を少量移し

天乃はまず一口を口に含む

どろっとした麻婆のスープはねっとりと舌の上を流れていく

辛みがピリピリと伝わり

香辛料のツンとする匂いが鼻を突く

天乃「……………」

口に麻婆を含んだまま息を吸うと

全身にその辛みと刺激が伝わる

天乃「辛さは弱いけど……うん。悪くない」

茄子はしっかりと麻婆と絡み合い、

スプーンで掬わずにお箸でつまんでも身崩れしないほど良い感触

口に含めばじゅわぁっと甘辛い水分が広がっていく

天乃「おいしい」

沙織「良かったね」

天乃「うん」


沙織「海鮮チャーハンも美味しいよ」

天乃「そう? 良かったね」

沙織「……………」

天乃「……?」

スプーンを止め、それを見つめる沙織は

不意に天乃のことを見つめると

あのさ。と口を開く

天乃「なに?」

沙織「食べる?」

天乃「チャーハン?」

沙織「うん。チャーハン」

頷いた沙織は逡巡ののちに

チャーハンを自分のスプーンで掬うと

天乃の方に差し向ける

沙織「美味しいよ?」



1、受ける
2、小皿を差し出す
3、あえてこちらも麻婆を差し出す


↓1


天乃「こっちのも美味しいよ」

沙織「!」

天乃「………………」

同じようにひと掬い分だけを向けた天乃と

向けていた沙織はじっと見つめあい、

ちょっとだけ目を逸らす

天乃「……提案」

沙織「な、なに?」

天乃「目を瞑って同時に食べましょう。それなら、自分で食べてるだけだし」

沙織「……わかった」

ごくりと唾をのみ

二人してゆっくりと互いに差し出しあうスプーンに口を近づける

沙織「せ、」

天乃「せーのっ」


「「あーん……」」


二人して口を開き、同時に口に含んだ



コンマ判定表

01~10 風
11~20 
21~30 友奈
31~40 
41~50 モブ女
51~60 
61~70 ばーてっくす
71~80 
81~90 バーテックす
91~00 


↓1のコンマ   空白は何もなし


友奈「あれ? 久遠先輩!」

天乃「っ!」

沙織「!」

ガタッ! と大きな音を立て

二人で勢いよく別の方向を向き

天乃は胸を軽くたたいて心を落ち着かせ、何度か咳払いする

天乃「な、なにしてるの? ここ、一応お店の中よ?」

友奈「えへへ、実は家族で来てるんです」

嬉しそうに笑いながら友奈は頭を軽く掻く

最悪のタイミングだった

そう悪態つく天乃の気持ちも知らずに

結城友奈は笑う

友奈「やっぱり、久遠先輩の後ろの席の先輩ですよね?」

沙織「そ、そうだけど……」

友奈「やっぱりお二人って仲が良かったんですね。よかったです」


天乃「友奈、貴女家族で来てるなら早く戻りなさい」

友奈「あ、はい。すぐ戻ります。もしかしてと思っただけですし……それではまた今度」

天乃にもしっかりとした友人がいたことがそんなに嬉しいのか

友奈はニコニコとその場を去っていく

天乃「………」

沙織「………」

残された2人はぼーっと黙り込み

自分のスプーンを見つめて目を逸らし

素早くひと掬いして無造作に口の中に突っ込む

天乃「……何してたのかしら。私達」

沙織「ちょ、ちょっと興奮しすぎちゃったね」

天乃「……そうね」

辛みの消え失せた麻婆茄子を食べながら

天乃はふと思う

店の中だということを忘れていたのは

ひょっとして自分達なんじゃないのか? と


では時間も時間ですのでここまでにさせて頂きます

お兄さんの言動は8割冗談で構成されています
男がいるという冗談への仕返しでの理解できない冗談なので
あまり気にしないでください。頭が痛かったんです


二人は友達……ですよね?


友達友達(適当)

わっしーと園子様もやってたろ
口移ししたわけでもないし食べさせ合いなら友達でもやる
男は奪ったりかじりついたりだが
女の子はかじりついたり差し出し合う

ところでwikiにお兄ちゃんが乱入してるんだが
あんな紹介で大丈夫か?

>>407
大丈夫ですきっと


気力についてですが
1、攻撃を外す 2、攻撃を命中させる 3、撃破される 4、撃破した 5、1ターン経過
などで上昇していき
攻撃側1、+2 2、+3 3、±0 4、+5 5、+5
防御側1、+3 2、+2 3、±0 4、+5 5、+5
と言う感じです

MPの上昇については個人で差があり、

1、攻撃を外す 2、攻撃を命中 3、撃破された 4、撃破した 5、1ターン経過

天乃 1、+2 2、+3 3、+10 4、+10 5、+5
友奈 1、+3 2、+3 3、+05 4、+10 5、+5
東郷 1、+5 2、+3 3、+10 4、+05 5、+5

  風 1、+4 2、+5 3、+10 4、+08 5、+5
  樹 1、+1 2、+6 3、+10 4、+10 5、+5
夏凜 1、+5 2、+3 3、+10 4、+05 5、+5


と言う感じです
一応、wikiの方で分かりやすく表にしましたので、解りにくい場合はそちらを参考にしてください


昼食で色々と過ぎたことをしてしまったことを後悔する2人は

心なしかぎこちなくそして距離はわずかに開く

会話がしにくくて

口の中に残った食事の名残が

あの時の恥ずかしい行いを何度も思い出させる

天乃「………………」

沙織「……………」

黙り込む2人

対して楽しげな空気のショッピングモール

そんな正反対の空気に耐えかねたのは沙織だった

沙織「ね、ねぇ!」

天乃「……なに?」

沙織「お洋服見てみない?」

天乃「……服?」

沙織「うん」


下を向くのを止め

沙織が指さす先のお店を見る

子供からしてみれば高いかもしれないが

大人からしてみれば良心的な価格のお店

天乃「……まぁ、良いけど」

沙織「ほんと! じゃぁいこっ」

天乃「っ」

ごく当たり前のように沙織は天乃の手を掴むと

お店の中へと引っ張っていく

「いらっしゃいませ」

ニコニコと笑顔の接客

それが当たり前なのかもしれないが

今の天乃には自分のことを見て笑っているように思えて

思いっきり床と見つめあっていた


天乃「………うん」

とりあえず適当な服を手に取ってみた天乃だが

自分に合うサイズがないことに納得して頷く

148cmでバスト84cm

トップとアンダーの差もあり

どうしても大きめのサイズを着ることになるのだが

それだとどうしても小太りに見える

というのも

胸で引っ張られるため、浮いて見えてしまうのだ

沙織「久遠さん、これなんかどうかな?」

天乃「どうって……」

沙織の手にある服と沙織を見比べて考え

すぐに首を振る

天乃「それ、貴女には小さいんじゃない?」

余計なラインがなく、少しくらい色合いの服

良くて155くらいの子が着るようなものだし

天乃「貴女ならもう少し明るい色の方が良いんじゃない?」


沙織「あははっ、違う違う」

天乃の言葉を受け

沙織は軽く笑ってから服を広げると

天乃の体に着せるように押し当てる

天乃「ちょ、ちょっと」

沙織「うーん……深青はちょっとやりすぎたかな」

天乃「貴女のじゃないの?」

沙織「せっかく来たんだもん。選んでみたいんだよね」

そう言いながら、

次はこっちと別の色

けれどもやはり暗めの色を沙織は広げる

沙織「久遠さんって好きな色は?」

天乃「黒……だけど」

沙織「じゃぁ、こっちかな?」


沙織「久遠さんってうらやましいくらいに胸が大きいでしょ?」

天乃「うらやましいものじゃ……」

沙織「それに、身長に適してないから余計に大きく見えるし」

天乃「……………」

完全にその通りだと頷く天乃

その服を真剣に考える沙織は困って首をかしげる

沙織「胸を強調しないために暗い色を選ぶのはいいんだけど、最悪背が低く見えちゃいそうなんだよね」

天乃「これよりも?」

沙織「それよりも」

天乃に向かってごまかすことなく告げた沙織は

両手の人差し指と親指で作った長方形の中に天乃を収める

沙織「下手に靴を上げると、久遠さんの可愛さが崩れそう」

天乃「可愛さって」

沙織「……靴を上げるのは無し。かといって下手すれば背が」

それ以前に

沙織と一緒にいることで低く見えることを

店員は良心から決して口には出さなかった


沙織「ベージュとか、良いかなと思ったんだけど」

天乃「けど?」

沙織「申し訳ないけど物凄く無理してるように見えちゃう」

困ったように言いながら

沙織は頬を掻いて首を振る

沙織「久遠さんはシンプルなデザインだとまず胸に目が行くよね」

天乃「そうなの?」

沙織「無地に綺麗な凹凸が出来てるようなものだよ? まず見るよね」

天乃「そっか……」

普通にシンプルなデザインな物を着て

その上に軽く羽織っているだけの自分の姿

周りを見渡したものの、気にしているような人はいない

天乃「今のこれも失敗だった?」

沙織「う、ううん。そのシャツ似合ってると思うよ。ボタン閉めたら大変なことになりそうだけど」

シュンとした天乃を慌てて慰める沙織は

最後の候補として選んでいたトップスを見せる

沙織「そ、そうそう。これなんかどうかな」


グレーの落ち着いた感じの色合いで

暗すぎはしないために一応は天乃の好きな黒も併せられる

少々大人っぽくはなるものの

あと一年で高校生になるという程度なら

問題はないのだが

沙織からそれを受け取った天乃は

おもむろに羽織って見せる

天乃「……似合う?」

沙織「うーん……」

天乃をじっと見つめる沙織は似合ってはいるけど……と

言葉にしがたい違和感に首を傾げる

沙織「似合うんだけど、可愛くないから駄目だね」

天乃「そ、そう……よね」

沙織「服が久遠さんのことダメにしてる……悔しいなぁ。あたしのセンスじゃ久遠さんを活かせないよ」


本気で悔しがりながらも

しかたがないからとあきらめる沙織

結局、自分の服は一秒たりとも探すことはなかった

沙織「………………」

天乃「………………」

自分の手が及ばなかったからか

悔しそうに俯く沙織は軽くため息をついて

天乃とは別の場所を見つめる

天乃「…………………」

お昼を食べて

買うことはなかったけれど洋服を選んで

大体二時間くらい、すでに経っていた


1、……ありがと
2、手を握る
3、ねぇ、ちょっと紹介したい食べ物があるんだけど
4、屋上に行かない?
5、馬鹿ね。私の体型がいまいちなだけでしょう?


↓1


天乃「……ありがと」

落ち込む沙織の袖を軽く引いて

けれど、自分に向けられた視線には決して視線を合わせることなく

聞こえるか聞こえないかの瀬戸際な声でそう呟く

天乃「買ったりは出来なかったし、しなかったけど」

でも。と

天乃は続けて言う

天乃「選んでくれたのは……嬉しかった」

沙織「っ」

ピタッと足を止めた沙織のせいで

前につんのめった天乃を見下ろす沙織は

今にも泣きそうな顔だった

天乃「……バカね。物がなくてもいいじゃない。頑張ってくれたんでしょう?」

沙織「……っ」

天乃「行きましょう。もうちょっと、貴女に付き合ってあげるから」

差し出された小さな手を

沙織は涙を振り払って握る

沙織「ありがとう……久遠さん」

天乃「私は何もしてないわよ」

そう言った天乃の声は本当に嬉しそうなものだった


√ 4月6日目の夕方 イネス


沙織「夕方だね」

天乃「そうね」

朝にバーテックスは来なかった

昼にもバーテックスは来なかった

残りは夕方か夜

もしくは、来ないか

沙織「ねぇ、久遠さん」

天乃「なに?」

沙織「もう……帰っちゃう?」

少し残念そうながら

覚悟を決めた表情の沙織

天乃「そうね………」


1、もう帰るわ
2、もう少し付き合っても良いわよ
3、貴女の家に行ってみたいのだけど
4、そうね。帰りたいわ……どう? ついてくる?


↓1


天乃「そうね。帰りたいわ……どう? ついてくる?」

沙織「良いの?」

天乃「言いも何も、誘ってるのよ」

沙織「じゃぁ……行きたい」

少し躊躇してから沙織は言う

天乃の自宅に行ってみたいという気持ち

もう少し天乃と一緒にいたい気持ち

それらがありながらも躊躇するのは

天乃に迷惑をかけないか心配な気持ち

天乃が危惧している困ったことが起きないか不安な気持ちがあるからだ

天乃「貴女の事、招くのは初めてよね?」

沙織「う、うん。今日みたいに二人きりっていうこと自体初めてだし」


天乃「そっか」

以前どんな風に付き合っていたのか

思い返してみればあまり個人としての付き合いはなかったように思える

そうだった

あの時は周りに人が多かったんだった

天乃「じゃぁ行きましょ」

沙織「うん」

嬉々として着いてくる隣の沙織を横目に

天乃は少し笑みを浮かべる

悲しそうにしたりなんだりと本当に忙しい子

放っておけないのは果たしてどっちなのかしら

天乃が沙織のことを見上げると

何かと首をかしげる沙織と目が合う

天乃「……お兄ちゃん、変態だから気を付けてね?」

沙織「えっ?」

事実ではあれど

逃避のために兄のことを疎めたことを

少しだけ……申し訳なく思った


√4月6日目 夕方 自宅


「ん、初めまして」

沙織「は、初めまして」

初めて見る天乃の兄に沙織はペコリと頭を下げる

兄の視線はそのまま沙織を一周し

軽く息をついて天乃へと移る

「なんだ、結局それにしたのか」

天乃「……悪い?」

「いや、悪くないし可愛いとは思うぞ」

しかしそれは小学生の時のやつだろう

もう少し別のでもよかったんじゃないか?

――いや、小柄な分。下手に着飾るのを避けたのなら仕方ないか

「まぁ、ゆっくりして行ってくれな。飲み物は何が良い? 準備だけしておくぞ」

沙織「あ、えっと……なんでも」

兄は下手なことは言わず「解った」とだけ答え

天乃と沙織が階段を上がっていくのを

「やべっコンタクトが落ちた」

見守った


沙織「久遠さんのお兄さん、良い人だったね」

天乃「時々はね。でも、普段が全然ダメなんだよ」

天乃の厳しい評価とさっきの印象

比べる沙織は首をかしげる

そんな悪いのかな?

普通に良いお兄さんに見えたんだけど

こんこんっとノックする音が聞こえ

入るけど平気かと兄の声が聞こえる

沙織「あ、今開けます」

なんだ

やっぱり普通の良いお兄さんだね

久遠さん、お兄ちゃんを取られたくないのかな?

沙織「ふふっ」

ガチャッとドアを開けた沙織は

飲み物とお菓子の乗ったトレイを受け取り

ありがとうございますと会釈する

沙織「クッキーだよ」

心配しなくてもとったりしないよ

そんな意図を込めての笑みを

天乃は気づかずに首を傾げた


√ 4月6日目の夕方


コンマ判定表

01~10 バーテックス

11~20 
21~30 ちょっとしたイベント 
31~40 
41~50 
51~60 ばーてっくす

61~70 
71~80 
81~90 ちょっとしたイベント

91~00


↓1のコンマ   空白は何もなし

ちょっとした(バーテックス比)


沙織「久遠さんの部屋、結構可愛いお部屋だよね」

天乃「なによ急に」

沙織「学校で冷たくしてるとは思えないくらい明るい色ばっかりだし」

天乃「私が買ってるわけじゃないもの」

別に褒めるようなことでもないのに……

なんでそういうところを褒めるのよ

意味わからないし……恥ずかしくなるし

天乃「あまり見渡さないで」

沙織「恥ずかしがらなくてもいいのに」

天乃「別に恥ずかしいとかじゃなくて」

沙織「じゃぁ、なんでダメなの?」

天乃「それは……」

返しに困って視線を彷徨わせる天乃

初登校時が嘘のような反応に

自分の内側からぽっと熱くなるのを感じた沙織は

かぶりを振って瞬きする

沙織「ご、ごめん……つい嬉しくて」


ダメだ。落ち着こう

お昼の時みたいに暴走したらダメだ

家の中

しかも久遠さんの家

もう二度と口をきいてくれなくなったりしちゃうかもしれない

そんなの――嫌だ

沙織「そ、そういえばなんだけど」

天乃「なに?」

沙織「その、なんどかクラスに来てるあの子」

天乃「えっと……」

沙織が天乃に振るようなあの子とは誰か

考えるまでもなく一人しかいない

天乃「友奈のこと?」

沙織「……友奈?」


天乃「そう。勇者部の結城友奈。貴女、別に知らないわけじゃないでしょう?」

以前、沙織が勇者部の子と言っていたことを思い出し

天乃が首をかしげると

沙織は不自然に「う、うん」と頷く

まさか忘れていたとか?

いやいや、あの性格であの五月蠅さ

早々忘れるわけがない

と、天乃は思って苦笑する

天乃「あの子がどうかしたの? 名前思い出せなかった?」

沙織「そういうわけじゃ、ないんだけど……」

天乃「?」

沙織「えっと……その、友奈ちゃんもこの家に呼んだことあるの?」


兄が呼びはしたが

天乃自身は呼んだことはない

東郷美森が不運なことに一緒に送還された時も

別に家に来てほしいとは言ったことはない

だから呼んだか呼んでいないかと聞かれれば呼んだことはないのだが

来たのか来ていないのかと聞かれれば

来たと答えるほかない

天乃「来たことはあるわよ」

沙織「そ、そうなんだ」

天乃「ええ」



1、登校しましょうって五月蠅くてね。大変だったわ
2、でも、それは勝手に来ただけであって、呼んだのは貴女が初めてよ
3、他にも……勇者部は全員来たことあるかしら
4、でも。それがどうかしたの?



↓1


天乃「でも、それは勝手に来ただけであって、呼んだのは貴女が初めてよ」

沙織「そうなの?」

天乃「ええ。貴女だけは私が正式に招き入れたお客さんよ」

くすっと笑う天乃のことを見つめ

沙織はほんの少しだけ暗くなっていた心を撫でる

馬鹿みたいだ

名前で呼んでくれない

貴女としか言ってくれない

そんなことで焼餅焼くなんて……でも

だけど

羨ましいって……思っちゃう

沙織「えへへっ、なんだかうれしい」

天乃「些細なことで大げさね、貴女は」

沙織「嬉しいことは嬉しいんだもん」

言葉とは矛盾して胸がちくりと痛む

久遠さんが何かを言うたび、あたしは【貴女】と呼ばれる

嬉しい。それは嘘じゃない

でもなんだか少し、悲しい


天乃「……まぁ、私がこうなる前はもっとたくさん呼んでいたんだけどね」

沙織「知ってるよ。あれだけ友達がたくさんいたんだから。でも、じゃぁなんで初めてって」

疑問符を浮かべる沙織をちらっと見た天乃

天乃「私が変わってから。私の周りが変わってから、貴女が初めての私の……」

思わず語ろうとしていることにハッとして声を小さくし

子猫か子犬か

様子をうかがうように沙織を上目遣いに見つめて首を振る

天乃「なんでもない」

沙織「なんでもないの?」

天乃「ええ、なんでもないわ。ほんとう。なんでもない」

誤魔化すようにクッキーを頬張って

天乃は目を逸らす

ここ百合ラブコメやるスレだっけ…


気にならなかったかと聞かれると

気になりませんでしたと言うのは嘘になる

でも、自分から聞いて言って貰うのはなんだか違う気がした

沙織「……もうすぐ、夜だね」

天乃「……そうみたいね」

学校で何かをしているときよりも

学校をさぼって何かをしている時よりも

ずっと早く時間が流れているように感じた

……つまりそれって

どれだけ否定しても、証拠は頭の中にびっしりあるのよね

天乃「……今日は楽しかったわ」

沙織「本当?」

天乃「嘘はつかないわよ。こんな時に」

沙織「そ、そっか、そうだよね……ごめん。あたしも楽しかった。楽しかったって言われてすごく、嬉しい」


またしても泣きそうな沙織に呆れながらも

天乃は自分のポケットにしまわれていたハンカチで目元を拭う

天乃「貴女、涙もろいのね」

沙織「そんなことないよ……」

天乃「意地張った意味ないわよ。ハンカチ、ちょっと濡れてるんだから」

天乃が広げたハンカチは

涙がにじんで一部の色が濃くなって見える

物的証拠

見せつけられる沙織の瞳は笑顔の天乃へと向く

嬉しそう

楽しそう

うん、よかった。これで良かったんだ

もしかしたらあたしの我儘一つで壊れていたかもしれないし

そうなるくらいなら、あたしはずっと【貴女】でいい

久遠さんのこと、変に困らせたくないから

良いよね? それで

沙織は軽く、頷いた


沙織「もうすぐ夜だし、帰らないと」

涙をこらえた沙織は優しく笑う

天乃「……そういえば、もうすぐ夜なのよね」

今さっきの会話を思い出し

時計を見てそうだったと頷く

バーテックスは結局来なそうだし

なんだかんだ言って

お昼から夜まで付き合わせてしまった

一度断っておきながら

なんて図々しいんだろうか

自分を卑下する天乃は軽く苦笑する

沙織「久遠さん?」



1、どうせなら泊まって行きなさい
2、家まで送るわ
3、今日はありがとう。また月曜日。かしらね


↓1


天乃「どうせなら泊まって行きなさい」

沙織「えっ!?」

天乃「平気なんでしょう? 貴女」

昨日の沙織の気分の高揚の化身と化したメールを開き沙織に見せる

もちろん

自分本位に考えたのではなく

メールでの沙織の高揚を思い出したからこその申出

これはいわばお礼みたいなものだった

喜びすぎたうえでの発言

家に招いただけであの喜び様

それを踏まえ

ここまでバーテックスの襲撃がなく

そういう付き合いもいつできるかも解らないということを考えた末だった

天乃「嫌なら、良いけど」

そういった天乃の両肩に手をのせた沙織は

不意に抱き寄せ、力一杯に抱きしめる

天乃「ちょっ、胸、くるし」

沙織「うんっ! 泊まりたいっ!」

伊集院沙織は泣き顔でそう言った

今日はここまでとさせていただきます

wikiは随時追加等していくので
何か要望などありましたらこちらのスレか、あちらのコメントにどうぞ
良い日常回ですね。バーテックスが夜に壁ドンしてくるかもしれません


勇者部の影が薄いですが
勇者部は原作イベントで必ず絡むので大丈夫です(次は一ヶ月後ですが)
今のところ友奈、風しか連絡先を知らないので
その他の子が知りたければ勇者部に通うといいかもしれません


沙織と天乃は友達です。特典PCゲームのお泊り会みたいなやつです。健全です


むしろここから健全でなくなったらどうしたらいいのかと

ゆゆゆのスレじゃなくてゆゆゆ要素0の百合スレじゃん・・・
思ってたのと違う・・・

>>487
序盤でだいぶ突き放してたと言うのが影響はしてますが
電話やメールをしたり、勇者部に参加したりすると変わるかと


では今日も細々と再開したいと思います


「パジャマはお母さんの予備を使ってね」

沙織「は、はい。ありがとうございます」

「ううん、こっちこそありがとうね。妹が急に言い出したんでしょ?」

沙織「そんなことはないです。元々、あたしが昨日の時点で平気って話しちゃってましたし」

沙織と談笑する姉の心境はほんのりと不安があり

大きな嬉しさがあった

あの妹が

不登校になってやさぐれていた妹が

友達を家に連れてくるどころか、家に泊めるのだから

友奈の件を知らないわけではないが

あれは母親に押し付けられたようなものであり

天乃の本位ではなかった

「ほんと、ありがとね」

姉がいまいちど沙織にお礼を述べると

沙織は小さく笑いながら「いえいえ」と、返した


沙織「久遠さんのお兄さんもお姉さんも、お母さんたちも、みんないい人たちだね」

天乃「……まぁね」

兄がいまだに良い人枠なのが気になりつつも

天乃は少しそっけなく返す

後からになって――もちろん、もう取り返しはつかないのだが

自分が沙織のように血迷っていたんじゃないのかと思い

迷惑をかけてはいないかとちら見する

沙織「えへへっ」

嬉しそうね

心配する必要もない……のかしらね

天乃「…………」

沙織「ねぇ、久遠さん」

天乃「なに?」

沙織「久遠さんって裸を見られても平気?」


天乃「……へっ?」

前振りも何もなく

身構えていなかった天乃の脳を直撃した言葉

ブレーカーが落ちたのか

思考も体も何もかもが停止し

天乃「きゅ、急に何言ってるのよ!」

唐突にフル稼働した喉が怒鳴る

沙織「あっ、いや、その……」

天乃「貴女一体何考えて」

沙織「その、お風呂一緒に入れるかなって。2年生の修学旅行……久遠さん来なかったし」

恥ずかしそうに訂正する沙織は

修学旅行と切り出したところで声のトーンを落とす

沙織「修学旅行の時、恥ずかしがる子もいたし……久遠さんもダメなのかなと思って」

天乃「……………」

沙織「ごめん、言葉を省略しすぎちゃって」


天乃「そもそもなんでお風呂に一緒に入る必要があるの?」

沙織「色々とお礼がしたくて……でも、できることなんて全然ないし。だから背中を流したりできればなって」

天乃「だからってお風呂なの?」

沙織「父の日とかにお礼に流してあげるって言うとすごく喜ぶんだよね。お父さん」

自信あるよとでも言いたげに微笑む沙織を見つめ

天乃は小さくため息をつく

それは色々な意味で大丈夫なのだろうか?

沙織「久遠さんが嫌ならいいんだけど……」

天乃「…………………」


1、悪いけど……それはね
2、別に良いわよ。隠すようなこともないし




↓1


天乃「別に良いわよ。隠すようなこともないし」

沙織「ほんと? 良かった」

嬉しそうに笑う沙織を一瞥し

天乃は自分の無駄に大きいコンプレックスの塊に触れる

隠したくても隠せるものでもない

それに、お兄ちゃんならともかく

お礼したいという気持ちを拒絶するというのは

いささか気が引けた

沙織「結構得意なんだよ? 洗ってあげるの」

天乃「へぇ……じゃぁ少し期待してみようかしら」

沙織「あはは。ならがんばらないとね」

普段は一人で行くお風呂に二人で向かう

姉ではなく、母でもなく

当然、兄でも父でもなく友達と

その非日常的な現実を目の当たりにして

天乃はそれを選んだ自分自身に少しだけ驚いていた


√ 4月6日目の夜


コンマ判定表

01~10 バーテックス
11~20 
21~30 兄者
31~40 
41~50 姉
51~60 
61~70 ちょっとしたイベント

71~80 
81~90 
91~00 ばーてっくす


↓1のコンマ   空白は何もなし


√ 4月6日目 夜 樹海


天乃「………………」

自分はなぜこんな場所にいるのだろう

今さっき、友達と一緒にお風呂に入ろうとしていたはずだ

脱衣所で雑談しながら服を洗濯機に入れていたはずだ

なのになぜ、あの子がいない

なぜ、お風呂場も何もない

なぜ……

天乃「いや……逃げる意味なんてないか」

バーテックスが来たんだ

性懲りもなく、3日も連続で

天乃「どう説明すればいいのよ。これで外とか、学校とか、変な場所に戻ったらどうしてくれるのよ」

沙織に突然いなくなったことの説明どころではない

下着一枚で外に転移したとなったらもはや不登校では済まない

天乃「死神ッ!」

死神「!」

ビクッと震えた死神を睨むように見つめ

言葉に出すことなく即座に変身する

たとえ勇者部にだとしても、見せたくないものもある

http://i.imgur.com/ahdUNvE.png


いつもの流れで端末をタップし

現在位置などのマップを表示させる

天乃「……さっさと倒す。倒してお風呂に帰る。お風呂。絶対にお風呂」

じゃなければバーテックスを倒しても意味がない

というか戻れなければ

倒したのに社会的に自分が殺されかねない

そんな理不尽な話が合って欲しくない

天乃「友奈と東郷、風と樹はやっぱり一緒みたいね……」

犬吠埼は姉妹

東郷と友奈は隣人

だから当たり前の話である

天乃「……さて」



1、移動(マップ座標を入力)
2、電話:風、友奈



↓1


とりあえずは離れている友奈に連絡をしておきましょうか

今の状況も気にはなるし

願わくば自分と同じ状況で

ピンチに陥っていますように……とは思わずに電話をかけた途端

すぐにつながった

友奈『久遠先輩……また来たみたいです』

天乃『解ってるわよ。これで3日連続だわ』

友奈『私達は2人一組なので平気ですけど、久遠先輩は気を付けてください』

天乃『ええ。だからといって貴女も無理と無茶はしないように』

友奈『解ってます』

友奈の声は自身に満ち溢れているといことはないものの

決してぶれることのない不思議な安心感がある

天乃「……………」


友奈『久遠先輩、どうしますか?』

天乃『どうって?』

友奈『久遠先輩は基本、隠れてることが多いので誘導したりした方が良いのかと思って』

天乃『あぁ、なるほど』

まだ数回だが

バーテックスは今回含めれば5体相手にしているし

友奈もだいぶ学んできているらしい

なるほど、少しは私に合わせてくれるというわけね

天乃『ねぇ、友奈』

友奈『なんですか?』

天乃『東郷は自分の判断でも動けるのよね?』

友奈『もちろんです。むしろ私が指示貰わないとダメと言うか……』


1、移動を願う
2、東郷に指示を仰ぐように言う
3、待機するように言う


↓1

http://i.imgur.com/c4lenBq.png


貼り忘れました


↓1でお願いします

1

http://i.imgur.com/c4lenBq.png


↓1  場所指定

>>536が来ていたみたいなのでそっちで進めます

http://i.imgur.com/71JpyQ9.png


天乃『そのまま私の近くに…そうね、バーテックスの進路をふさいで頂戴』

友奈『解りました!』

何のためらいもなく引き受けた友奈は電話を切ると

跳躍しようと足に力を込める

東郷「友奈ちゃん?」

友奈「久遠先輩からの指示が来たから行くね」

東郷「でも」

友奈「東郷さんは遠距離で私は近距離。そばにいたらどっちかが不要になっちゃうよ」

ね? と言う友奈

それは解ってる

解ってるけど……でも。と

私情を挟みそうな言葉を飲み込んで頷く

東郷「……気を付けてね。友奈ちゃん。援護は全力でするから」

友奈「うん。私と久遠先輩、風先輩、樹ちゃん。みんなで力を合わせれば絶対に勝てるよ」

にこっと笑った友奈が跳躍し、すぐに小さくなっていく

それをスコープを覗きながら、東郷は見送った


天乃「……友奈は指示通りに動いてくれているみたいね」

今度は私

移動力のない私は

一つの行動ミスが致命的な遅れにつながる

それが全体を危険にさらすかどうかはともかく

攻撃に参加できないのは大きな痛手になるでしょうね

とはいえ、変身が解けて裸を見せてしまうというのも

好ましいことではないというか嫌

だけど……わがままも言っていられないでしょうね

再度マップを確認し移動先を検討する

どこに行くのがベストか



1、移動(座標選択)


http://i.imgur.com/71JpyQ9.png



↓1


天乃「私は……と」

天乃は友奈が近づくにつれて移動を開始

出来る限りバーテックスに近づけるように移動する

というのも

天乃には武装らしい武装がないためだ

接近する以外に道はないのはすでに言ったとおりである

ゆえに、近づく

天乃「……あれ?」

風達も近づく中

動き出したバーテックスに疑問を抱き

天乃は首をかしげる

近づいたとはいえ距離的には友奈が近く

進路をふさぐ友奈に向かうだろう

だから側面から狙えるはずだ

天乃の計算ではそうだったのだが


http://i.imgur.com/4qugTQB.png


天乃「どう見ても私を狙ってるわよね……この動き」


バーテックスは直進することなく、

わざわざ道を変えて天乃との距離を詰めた

それはもう、疑いようのない事実

本来の標的は神樹なのだろうが

対敵するにあたって

最優先は久遠天乃としているのか

それとも、ただ単に気まぐれか

友奈を避けようとした結果なのか……

天乃「友奈を避けたにしてはルートがおかしい」

あの位置からなら、東郷の方に躱そうとするはず

だって、東郷はまだまだ遠いはずだし

あんなところに伏兵がいるだなんて思わないはずだもの……

天乃「これは面倒なことになったわね」


本来なら、次の行動で友奈達がバーテックスを取り囲めていたのに

横にずれたせいでどう頑張っても届かない

攻撃も出来そうもない

これでは完全な――

天乃「後手だわ」

相手が移動後に攻撃できないのなら

まだ可能性はあるのだが

あの形状からしてそんな生易しいやつではない

むしろ近づいてきてそのまま突進してきてもおかしくない

天乃「……私が動かなかったとして。あれはどう動く?」

確実にこちら側に突っ込んでくるだろう

そして、可能なら攻撃を仕掛けてくる

天乃「……………」



1、移動(場所指定)
2、待機
3、隠密(30消費で攻撃対象に狙われなくする)
4、集中(15消費で命中・回避をUP)


↓1


天乃「……集中しましょう」

戦いが避けられないのなら

相手の攻撃を避ければいい

決して簡単なことではないけれど

それが出来なけれ痛い目を見るのは自分だ

深呼吸をしながら体の力を抜き

瞼を閉じ、起勢を行う

天乃「大丈夫、でも。慢心はしない」

精霊に守られている

だから大丈夫なのではなく

別に守られていなくても平気な状態でなければ

いずれやられる

天乃「……ふぅ」


http://i.imgur.com/4qugTQB.png

1、移動(場所指定)
2、待機

↓1

http://i.imgur.com/H2nnQX3.png


友奈「このぉっ! ――って、あれ!?」

樹「!」

風「樹ーッ!」

天乃「なんなのよもうっ!」

天乃のためにと前進した友奈を放置したバーテックスは

止まる寸前のところで真横にいた樹に狙いを定める

一歩下がったのが幸運だったのか

それとも不運だったのかは解らないけれど

このままでは樹が不味い

でも、誰も手の届く人はいなくて――

樹「っ!」

樹は自分で何とかするしかないと身構える



↓1 樹回避判定  01~79 で命中 それ以外で回避



樹は決して運動が得意でもなければ

武術の訓練を積んでいるわけでもない

けれど、だからといって何も考えてないわけではない

自分には出来ない動きだと

諦めることも確かにある

けれど、頑張ろう。という気にもならないようなことは一度もない

誰かの足を引っ張っても良いなどと

自分の行動を疎かにするようなこともない

大きな頭を樹の方へと振り下ろしてきたバーテックス

樹はそれを見計らって

樹「ここで――こうっ!」

相手の頭をあえて足場にして跳躍し

頭突きをギリギリで躱す

風「樹……」

樹「やった……避けれた!」


回避

http://i.imgur.com/ckSNQ1Z.png


天乃「何とかなった……みたいね」

私はともかく

勇者部のメンバーは封印しなければバーテックスは倒せない

そのあたりを考慮してあげないと

勇者部は少し動きづらくなる……?

天乃「風! 貴女どこに行くの?」

風「あたしは……友奈のとこにいくわ!(N10)」

天乃「なるほど……」

だとしたら。と

天乃はマップを見つめて考える

封印するには囲む必要がある

風と樹で両端を囲むとなれば友奈の行き先は一つ(M9)

天乃「私は」


1、移動(場所指定)


↓1


http://i.imgur.com/ckSNQ1Z.png


天乃の使用可能技

現在気力110


1、第一式格闘術  威力450
2、第二式格闘術  威力600 命中+5



↓1


命中判定↓1


命中率119%   ぞろ目ならクリティカル

追加のダメージ+  ↓1


712ダメージ



天乃「あの子が待ってるのよ。だから、早く帰らせて貰うわよ」

頭突きした頭を引き戻すバーテックスの足元?

体の下の方に移動した天乃は

腰を深く落として身構える

たった一撃、されど一撃

この一撃は兄をも倒す

天乃「―――ふっ!」

勢いよく駆け出し

接触する寸前でわざと足を留め

打ち出す掌底の威力に

前に引っ張る引力を加え、体にねじ込む

天乃「はぁッ!」

手に感じる柔らかい感触

装甲が薄い

そう気づき、前足でなく両足で地面を蹴って衝撃を上乗せする

ドンッと強い衝撃がバーテックスの皮膚を二重に伝って細胞を破壊し、体の約半分をそぎ落とした


風「相変わらずえげつない……封印行くよ!」

樹「解った!」

友奈「はい!」

風の掛け声に合わせて2人も封印の作業を開始

天乃の一撃を喰らったからか

身動きの取れなかったバーテックスは容易く封印に落ちる

東郷「……狙撃します」

それを見逃さないのが東郷美森だった

彼女は本来、届くはずのない中距離銃を構えると

精霊の力を借りてその射程をやや無理矢理に伸ばす

東郷「――!」



東郷の命中率は  125%  ↓1 ぞろ目でCRI

↓2で ダメージ+


756ダメージ


その正確無比な射撃はコアを確実に撃ち抜いたものの

残念ながら威力が足りずに壊しきることは出来ない

射程などの問題で連射することもできない東郷は

ふがいなさに面持を暗くする

そんな中、続くのはやはり

友奈「凄いよ東郷さん……私も、頑張るッ!」

自分よりも巨大なバーテックスのコアを見つめる

友奈「大丈夫、成せば大抵、なんとかなる」

言いながら心を落ち着けるために深呼吸

刻一刻と封印可能時間は経過していく

友奈「結城友奈、行きます!」

地面を力強く踏みしめて跳躍

逃げようとするコアを追いかけ――

友奈「勇者――――っ、キィーック!」



命中判定  ↓1 01~76 で命中  ぞろ目でCRI

ダメージ +  ↓2 


729ダメージ


東郷の残した爪痕を追撃することは叶わなかったものの

コアに深く大きな罅を入れることには成功

残るはあと少し

そこで風は樹の背中を押す

風「樹、頑張ってみて」

樹「で、でも」

風「大丈夫よ。樹」

樹「…………」

ごくっと生唾を飲み、樹はコアと対峙する

封印していられる時間はごくわずか

コアの耐久値もあとわずか

ここで決めなくて――いつ決めるのか

樹「えーいっ!」


↓1  命中判定   01~82 で命中  ぞろ目ならCRI

ダメージ +  ↓1


樹の出した蔓のような薄緑色の糸はコアを絡み取り、

木端微塵に粉砕する

成功したことに喜ぶ樹と風

それを横目で見る天乃は

自分よりもえぐいと思う。なんて心の中に言い残す

天乃「これで終わりよね?」

風「そのはず」

友奈「まさか今日も現れるなんて」

風「そうね……大赦の方に確認してみた方が良いかもしれない」

風は神妙な面持ちでそう呟き、

おもむろに携帯を取り出す

風「ついでに久遠のことも報告しとくからね」



548ダメージ

バーテックスの討伐に成功しました

樹に110の経験値 100YP
風に20の経験値 50YP
友に20の経験値 50YP
東に20の経験値 50YP
天に20の経験値 50YP


天乃「私の事?」

風「久遠のその特殊な能力の事よ。一応言ってからにしようと思って連絡しようと思ったらコレだったのよね」

風はやれやれと言わんばかりに手を広げ

小さくため息をつく

風「バーテックスがこうも間をおかずに来るなんていうのもおかしいし……」

天乃「なに?」

風「もしかしたらだけど、久遠が狙われてるのかもね……さっきもそうだけど」

風はいたって真面目な表情で言う

確かに可能性は無きにしも非ずだ

本来、進路を阻む勇者を狙うはずが

わざわざ遠回りのような動きしてまで天乃の方向に進み

あまつさえ、結城友奈を無視して直進してきたのだ

天乃「…………警戒はしておくわ」

本当に狙われている

とは思いたくないけど……

不安な気持ちをかき消すように視界は揺らいで帰還が始まる

天乃「どうか元の場所ですように!」

√ 4月6日目の夜


コンマ判定表

01~10 
11~20 
21~30 
31~40 
41~50 兄者の部屋

51~60 
61~70 
71~80 
81~90 
91~00 

↓1のコンマ   空白は元居た場所

√ 4月6日目の夜


……さん

……んさん

天乃「?」

沙織「久遠さん!」

天乃「あっ……」

沙織「大丈夫?」

どうやら無事に戻ってくることができており

沙織の目線では天乃が一瞬ボーっとしていただけらしい

心配そうにのぞき込む

というか見下ろしてくる沙織の額に手を当てて、軽く押す

天乃「平気よ。ちょっと考え事していただけ」

沙織「そう? ならいいけど」

天乃「そんなことより早く入りましょう」

沙織「うん」

嬉しそうな沙織を見て、天乃も少しだけ嬉しそうに笑う

良かった。なんとか瞬間移動という奇妙なことにはならずに済んだみたい

今回はここまでにさせて頂きます
戦闘が入ったので物語としてはなかなか進みませんでした


あとは1日のまとめを出して6日目は終了ですね


年表を確認してみたのですが、どうやら夏凜は5月でなく6月
物語の開始時期がそもそも4月後半だったみたいです


wikiですが
勇者部の1スレ目の選択肢纏めと
友奈の軽い注意点だけを更新しました

選択肢纏めは同じタブで開くので注意してください

少ししたら再開しようと思います


沙織「久遠さんって髪から? 体から?」

天乃「髪からね。上から洗っていかないと結局汚してるように思えちゃって」

沙織「潔癖症?」

天乃「潔癖症の人間が人が使ったスプーンを咥えるとでも?」

沙織「あはは。だよね」

冗談じみた返しをする天乃だが

その心のうちはドキドキと五月蠅かった

幼稚園くらいの時、兄や姉と入った記憶が微かにある

小学校低学年でも、姉と入った記憶がある

小学生の修学旅行でも、大人数での経験がある

だけれども

友人と2人きりと言うシチュエーションは経験がないのだ

天乃「………っ」

背後の沙織の気配に敏感に反応する天乃

沙織「お湯いくよー」

そういった沙織は

掛かっていたシャワーを手に取り

給湯温度がお湯なのを確認して、蛇口ハンドルをひねる

待っていましたと言わんばかりの勢いで吐き出すシャワーノズル

その瞬間、

天乃「ひゃぁぁぁっ!!」

天乃が大きく悲鳴を上げ、体をのけぞらせた


沙織「く、久遠さん?」

天乃「久遠さんじゃ、ないっ……」

キョトンとする沙織を振り返りざまに睨みながら天乃は背中を抑える

シャワーノズルまでの長いホースの中にたまっていた水が

天乃の背中に降り注いだのだ

天乃「もぉっ!」

沙織「ご、ごめんっ」

意識していれば我慢できるが

他のことに脳を使用し

お湯。と言われてからの水は我慢も何もない

沙織「で、でも久遠さん」

天乃「なに?」

沙織「可愛い声だったよ?」

天乃「貴女じゃなかったら殴ってるかもしれないわ」

沙織「ご、ごめんなさい」


沙織「久遠さんの髪ってサラサラしてるよね」

天乃「一応手入れはしてるから」

沙織「風とか吹くと下の方がサラサラーって靡いてて凄いなって」

沙織は何でもないようなことを嬉しそうに話し

天乃の髪に優しい香りのシャンプーを泡立てる

解いたままならもっと凄いんだろうか

解いたままの方が、実は似合っているんじゃないだろうか

頭の中で天乃を着せかえる沙織の手には次第に力がこもっていく

天乃「ねぇ、握りつぶしたりしないでね?」

沙織「え、ぁ、あはは。そんな力ないよ」

天乃「でしょうね」

鏡に映る自分

その後ろに見える沙織の体は自分で隠れてほとんど見えないが

伸びた腕はしっかりと見えていて

健康体ではあるのだろうが、力があるようには見えない


天乃「ねぇ」

沙織「なんですかお客様ー」

天乃「お客様って……」

沙織「えへへ、お店気分だよ」

天乃「……………」

バーテックスとの戦闘を経てここにいる天乃は

身体的にというより

精神的に疲れており

ツッコミを入れる気力を節約して問う

天乃「貴女、弟とか、妹とかいるの?」

沙織「どうして下限定?」

天乃「髪を洗うのが物凄く丁寧で、手慣れているからよ」

沙織「それはそうだよ。あたしだっておん――」

天乃「それもあるだろうけど、手加減を知ってる。さっきの頭はともかく、他人へのやり方を心得てるでしょう?」


沙織「久遠さんは騙せそうにないなー。まぁ、騙すような理由もないけど」

天乃「やっぱり?」

沙織「うん。弟がいるよ」

そう答えた沙織は「流すよー」と言い

今度はちゃんとお湯かどうかを確かめてから

天乃の頭から降らせる

沙織「まだ幼稚園生。可愛いんだよね、これが」

天乃の髪を撫でるような優しいタッチで往復しながら

お湯を上から下へと浸透させしっかりと泡を洗い流していく

その心地よさに体を預けながら天乃はふと気づく

踏み込んでしまった

伊集院沙織と言う人間の家族関係につま先程度であれ、天乃は足を踏み入れた

もっとも、天乃側に引きずり込んだ今となっては

どうでも良い

むしろ、もっと知ってしまうべきなのかもしれない


沙織「次は背中なんだけど」

天乃「背中だけでいいからね?」

沙織「う、うん。解ってるよ」

天乃「ならいいけど」

女同士とはいえ触られるのは遠慮したい

天乃は沙織にそう告げてシャワーチェアに座り込む

初日に突き放していたのが嘘みたいだ

沙織は思い

任された背中をじっと見つめる

自分よりも少し筋肉質な体つき

それでいて柔らかい場所は柔らかく、そして大きく

なのに背が低い旧友の背中

なのになぜだろう

見た目よりも大きく見えるのは

>>630訂正


沙織「次は背中なんだけど」

天乃「背中だけでいいからね?」

沙織「う、うん。解ってるよ」

天乃「ならいいけど」

女同士とはいえ触られるのは遠慮したい

天乃は沙織にそう告げてシャワーチェアに座り込む

初日に突き放していたのが嘘みたいだ

沙織は思い

任された背中をじっと見つめる

自分よりも少し筋肉質な体つき

それでいて柔らかい場所は柔らかく、そして大きく

なのに背が低い級友の背中

なのになぜだろう

見た目よりも大きく見えるのは


ボディソープを手に取るのも忘れてその背に触れる

筋肉の固い抵抗ではなく

程よい少女としてのハリの良さ

人差し指で少し強く押せば凹んでしまう皮膚

天乃「何してるの?」

沙織「あ、ごめん。そう、アレ。アレ忘れてるなって」

天乃「アレ?」

沙織「トリートメント」

本当に忘れていたのだが

あえてごまかすために利用する

手に取り、伸ばして天乃の髪にもう一度触れる

沙織「……………」

自分には解らない何かを背負っているのだろう

沙織はそう直感した

何かあったら困る

天乃のその言葉がより大きな意味を持っている気がしたのだ


お風呂から出た後、沙織は自分の携帯の青いランプが光っていることに気づく

沙織「っ………」

天乃「どうかしたの?」

沙織「え、あ、ううん。なんでも」

携帯に届いたメールを見た沙織は

首をかしげる天乃に苦笑しながら答える

そう。自分には解らない何かだ

沙織は心の中で自分に言い聞かせる

沙織「ところで久遠さん」

天乃「なに?」

沙織「えっと………」

聞いてしまおうか

そして言ってしまおうか

考えて、首を振る

沙織「その、お風呂も一緒だったし、あの、本当に久遠さんが良ければなんだけど」

天乃「うん?」

沙織「一緒に……寝たいかなって」



1、それはさすがに……
2、ベッドと敷布団並んでってことよね?
3、同じベッドでね……まぁ、お客さんである貴女がそうしたいっていうなら別に


下1


天乃「ベッドと敷布団並んでってことよね?」

天乃の声は少しだけ震えていた

怖いわけではない

緊張しているのだ

お風呂に入り、部屋ではなく、寝具を共にするかもしれないからだ

だが

沙織「う、うん。そうだよ」

天乃「そうなの?」

沙織「そうだよ? なんだと思ったの?」

天乃「え、それは……その……」

顔を赤くして俯く天乃

その姿を見る沙織は笑みを浮かべ

けれども、その手にある携帯は力強さに悲鳴を上げる

沙織「寝よっか」

天乃「え、ええ。貴女がベッド。使っていいからね?」

沙織「ありがと。夜中のうちに落ちたらごめんね?」

天乃「落ちないように気を付けて頂戴」

ため息をつきながら

でも、怒るようなそぶりのない天乃

沙織は楽しげに笑って「頑張るよ」と答えた

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(戦闘)
・  犬吠埼樹:交流有(戦闘)
・  結城友奈:交流有(戦闘)
・  東郷美森:交流有(戦闘)
・伊集院沙織:交流有(遊び、食べさせ合い、気遣い、延長、お泊り)

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()

4月の6日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 6(低い)
  犬吠埼樹との絆 3(絶望的に低い)
  結城友奈との絆 12(普通)
  東郷三森との絆 3(まだまだ低い)
伊集院沙織との絆 38(少し高い)

  乃木園子との絆 15(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(高い)

このまま続行します


√ 4月7日目の朝


コンマ判定表

01~10 ばーてっくす
11~20 
21~30 沙織のイベント
31~40 
41~50 沙織ののしかかり攻撃
51~60 
61~70 布団の中に何か――沙織だ!
71~80 
81~90 沙織に起こされる
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 4月7日目の朝


目を覚ますと隣――正確には隣のベッドの上から寝息が聞こえる

ベッドから落ちるかもしれないという予言が外れたことに安堵し

天乃はふっと息を吐く

天乃「……気持ちよさそうに寝ちゃって」

寝息立てる沙織のことを

天乃は慈愛に満ちた表情で眺め、不意に目を逸らす

天乃「今日はどうしようかしら」

もっとも

どうしようもこうしようもなく

普通なら沙織を家に送り届けるべきなのだが

昨日遊んで今日も遊ぶ

なんていう自由な行動が天乃……というより久遠家だ


1、沙織を起こす
2、メール:風、友奈
3、電話:風、友奈
4、お兄ちゃんとお話
5、お姉ちゃんとお話
6、ベッドにもぐりこんでみる


下1


天乃「昨日はよくも……」

勘違いしたのは自分自身であり

よくも騙したなも何もないのだが、天乃はそうっとベッドに潜り込む

沙織「……ん」

天乃「ちょっ」

寝返りを打った沙織の腕が天乃の体を抱き込む

いつも。とまではいかないが

沙織は小さい弟と寝ることもあるため

警戒するどころか

弟だと勝手に認識しているのだ

沙織「もうちょっとねよー……」

寝ぼけ声でそういう沙織は

小さい天乃の体を抱きながら、頭を撫でる

天乃「っ……」

沙織「おやすみ~」


天乃「お休みじゃないんだけど……」

沙織「zzzz……」

天乃はもぞもぞと動きながら

ゆっくりと、静かに沙織の拘束から抜け出す

―――が

天乃「ぁっ」

沙織「ん~………」

胸がつっかえて完全には抜け出せず

沙織の足が天乃の半身をとらえ

抱き枕のように抱いて寝返りを打つ

天乃「もぅ……なんなのよっ」

圧迫される胸部を完全に無視しながら強引に体を動かす

沙織「お姉ちゃんのおっぱいは出ないよ~お母さんじゃないと~」

天乃「何言ってるのよ。馬鹿にしてるの?」

沙織「ん~?」

天乃を抱きしめる沙織は、寝ぼけ眼をこすって瞬きする

そして抱いているのが弟ではなく、天乃だと気付く

沙織「ご、ごめんなさい!」

悪いのは沙織ではなく

もぐりこんだ天乃自身である


久遠家の朝食はその日の気分である

母の夢に出てきたからと

朝から重すぎる焼肉が振る舞われたりするのだが

沙織がいるということで流石に適当にはしなかったらしく

和風のしっかりとした朝食らしい朝食だった

「ふぁ~あ……ふぅ……ねむ」

「ちょっと、沙織ちゃんがいるんだからだらしない格好してないでよ」

「嬌宴に備えてて寝不足なんだ……悪いな」

だらしのない兄に変わってごめんねという姉

それに対していえいえと笑って見せる沙織

三人をそれぞれ見る天乃に、兄は目を合わせてきた

「で、今日のご予定は?」

天乃「予定…………」



1、沙織と遊ぶ
2、特にない
3、勇者部に連絡を取ってみる
4、まだ考えてない


↓1


沙織「?」

天乃「……………」

沙織をちらっと見た天乃は箸を置き、軽く息を吐く

これは迷惑ではなかろうか

昨日の今日で遊ぶと言うのは久遠家では認められることだろう

むしろ推奨されるようなことかもしれない

けれど、沙織は久遠家の人間ではない

だから躊躇って、でも

久遠家の人間だからこそ、言葉にする

天乃「貴女が良ければ……だけど」

沙織「うん」

天乃「今日も……どうかしら」

沙織「……え?」


予想していなかった天乃の言葉

沙織は間の抜けた声をあげ

驚きに瞳を開いて口元を抑える

天乃「ダメ……よね? ごめんなさい。言ってみただけだから」

沙織「そ、そんなことないよ!」

天乃「っ」

沙織は勢いよく天乃の手を掴む

沙織にとって天乃から誘われるほど嬉しいことはない

沙織「家の事なら心配ないよ。OKしてくれる」

天乃「そうなの……?」

沙織「あたしの家も結構自由だから」

天乃「ならよかった」

互いに手を握り合う少女達を見る姉の瞳は優しく

兄の瞳は少し、疑うような目つきに変わる


「…………」

「ねぇ」

「…………」

「ねぇって!」

ごんっと脛を蹴られた兄は

真面目な表情から一転、苦痛に歪めた表情で天のではない妹を睨む

「何考えてんの?」

「何って……」

兄の瞳は一瞬だけ天乃――ではなく沙織の方へと向き

すぐに妹へと戻ってクックックと笑う

「俺も男だからな。一向に構わん」

「だから何が」

「妹が――っと」

兄はチョイチョイッと手招きすると、疑問符を投げかける妹の耳元でささやく

「天乃がもしかしたら女の子に恋をするんじゃないかな――ってぇ!」

再び足を蹴られ、兄がうめく

「そ、そんなの認めないよ!?」

「だからって蹴ることないだろ!」

「え、いや、だって――あ、そう。兄ちゃんが変なこと言うからだし!」

自分のことでとは知らない天乃は

口喧嘩を始めた2人を呆れた表情で見つめていた

今回はここまでとさせていただきます
明日の午前中にでもwikiを仕上げて、午後からやれたらなと思っています


天乃のキツイ態度は人を遠ざける為のものなので
2年間の突っぱねる癖が時々出てくることもありますが
その必要のない場合は基本的にはこうなってしまうかもしれません

後は程よい感じのを選択肢に入れておきます

次回から、鷲尾みたいに()での心理描写に切り替えようかと思ったのですが
それだとセリフ前の名前が違和感を醸し出してしまいそうですね


天乃「……………」

天乃(……お兄ちゃんの変態)

天乃は決してそれを口には出さなかった

――――――――――――――

「……………」

(……お兄ちゃんの変態)

天乃は黙り込み

言いたいことは心の中で呟いた


沙織のメールと兄が少し気になるな
文だけど、もしあれなら地の文段落空けしたら?
見る限り後者の方が見やすそうではあるが……
別に()を使わないままでもいいのよ?

天乃「……………」

天乃(……お兄ちゃんの変態)

 天乃は決してそれを口には出さなかった

――――――――――――――

「……………」

(……お兄ちゃんの変態)

 天乃は黙り込み

 言いたいことは心の中で呟いた

wikiの一通りの作成が終了しました
EDは追加しない方が良いような気がしたのでしていません

攻略のススメはあくまで現時点で。というものなので
今後変わる可能性もあります

追記の要望や修正点などございましたらお願いします


では再開していこうと思います


√4月7日目 昼


沙織「ごめんね、わがままで」

天乃「別に良いわよ。むしろ私の我儘だったわけだし」

沙織と今日も遊ぶ約束したのは良いが

2日間も同じ服装は嫌とのことで

一旦解散し、お昼に再集合することにしたのだった

沙織「学校でもないのに久遠さんと一緒にいられるなんて嬉しい」

天乃「何言ってるのよ」

沙織「だって、前は学校でも会えなかったわけだし……」

何とかしてあげたいと思いながら

何もしてあげられなかった1年半

それを思い出す沙織はちょっと悔しそうに笑みを浮かべる

沙織「だから嬉しいなって」

天乃「そう」


嬉しそうではあれ、どこか悲しそうな沙織

自分が不登校になったから

沙織に寂しい思いをさせた

沙織に辛い思いをさせた

沙織に後悔をさせた

そう、ならないためのものだったはずなのに

天乃「変に思い詰めすぎなのよ」

ぼすっと沙織の腹部を軽く叩く

天乃「私は好きで学校をさぼってただけなんだから」

沙織「……うん」

天乃「これから遊ぶっていうのに、つまらない気持ちにさせないで」

沙織「そうだね」

ちょっと照れくさかったのかもしれない

天乃はにこっと笑う沙織から目を逸らした


沙織「どうしよう?」

天乃「そうね……」

遊ぼうと誘った手前

天乃は何も考えていないとは言いにくい

とはいえ、昨日の今日でまたイネスとも言いづらい

ならどうするか、どうするべきか

沙織「あたしは久遠さんが行きたい場所ならどこでも良いし、したいことなら何でもいいよ?」

天乃「そ、そう」

それを言われたら困るのだけど……

心の中でため息をつく

どこでもいい、なんでもいい

なら寝よう。と言っても構わないのだろうか

唐突に意味不明な方向に向かう思考

いいやそれはないでしょう……たぶん


1、じゃぁ二度寝しましょう
2、庭園とアスレチックのある施設
3、兄からゲームでも借りる
4、沙織の家に行ってみたい
5、映画でも、見に行く?



↓1


天乃「じゃぁ、あの施設にでも行く?」

沙織「施設?」

天乃「ここから少し離れているけれど、アスレチックとかがあるところ」

沙織はあっと思い出したように声を上げる

言い出した天乃はもちろん

沙織も当然知っている……と言うより

現存する最大の観光地と言うこともあって

小学生でも学校で行き、家族とも行く

何度行ったかわからないような場所だった

沙織「うん。いいと思う。いこっ」

天乃「スカートだと問題だし、何度もごめんね。ジャージ持って駅に集合しましょう」

沙織「うん」

沙織は終始笑顔でうなずく

天乃と一緒ならなんでも楽しい、何でも嬉しい

沙織にとって天乃とは憧れであり、大切な人であり、好きな人であり

そして―――

沙織「またあとでね」

一緒にいなければいけない相手なのである


√4月7日目 昼 巨大施設


沙織「ここに来るのも久しぶりなんだよね。あたし」

天乃「私もよ」

アスレチックは一人で来ても良いのかもしれないが

全体的にはあまり一人で来るような施設でもないのである

ジャージの入ったカバンを片手に少女2人が施設の門をくぐる

沙織「んーっ」

大きく体を伸ばした沙織

その隣で天乃は伸ばすかどうかを躊躇する

その体ゆえ

学校ではいつも視線を集める行為

家では普通にやっているが、外ではおいそれとできない

沙織「どうかしたの?」

天乃「別に」

沙織「そう? じゃぁ、いこっ」


天乃「ところで、貴女運動はどの程度できるの?」

沙織「体育の成績が普通」

天乃「50m走は?」

沙織「10秒くらい」

天乃「普通ね。たしかに」

とはいえ

天乃からしてみれば遅い

もちろん、天乃は多少鍛えているからなのだが

天乃「先に庭園の方回っておく?」

沙織「それは後が良いかな」

天乃「普通ならそうかもしれないけど……」

本気で遊ばないにしても

アスレチックコースを回るのなら

普通の運動神経だと少々苦しいものがある

天乃に合わせたとなれば酸素不足、水分不足で倒れる可能性もあるだろう



1、貴女に合わせるわ
2、無理についてこなくても良いからね?
3、まずは庭園の方に行きましょう


↓1


天乃「無理についてこなくても良いからね?」

沙織「うん。久遠さんこそ、あたしに合わせたりしなくていいからね?」

久遠「……………」

沙織に意地悪を言ったつもりだった天乃としては

意外なセリフに言葉が止まる

沙織「久遠さんのことだから、あたしがもうだめだってなったら絶対に引き返そうとするから釘差し」

天乃「そんなことしないかも」

沙織「するよ」

天乃「……………」

沙織「するよ。久遠さんは……だって、優しい子だもん」

敵わないなと天乃は思った

すでに何度か諦めを覚えさせられたが

改めてそう思わされた

天乃「解ったわよ。じゃぁ、見捨ててあげる」

天乃の人間性が他人に対して厳しく、畏怖されるような悪いものではないと

沙織は心から、信じ切っていた


アスレチックコースを進んでいくうえで

天乃の背後に沙織はついてきていた

天乃は沙織に合わせまいと先へ先へと行く

置いていかれる沙織は追いつこうと足を先に進める

そして

一本木を片足で跳び移り、

網の上を全力で走り、

鉄棒にぶら下がりながら、腕力だけで先へと進む

その次のコースに移る寸前、沙織の足音が途絶えた

沙織「っ、はぁ……はぁっ、すごいなぁ……」

地面に四つん這いになって息を整える沙織を

少し離れた位置から天乃が見守る

すでに初級コースも中級コースも過ぎ上級者のコース

ここまでついてこれただけでもすごいことだった


中々立ち上がらない沙織

見守る天乃は先に行くか、戻るか、待つか

その三つの間で揺れていた

天乃「……………」

これは別に戦いではない

ここで見捨てたら沙織が死ぬ。なんていうこともない

それに、始める前に見捨ててあげると言ったばかりだ

天乃「……優しい、か」

沙織は自分を信じてる

絶対に助けると

そのうえで沙織は言った

合わせたりしなくていいと



1、戻る
2、先に行く
3、待つ


↓1


天乃はそこから先に進むのを止め

近くの用具の上に座って沙織が動くのを待つことにした

合わせ無くていいと言われ見捨てると言った

合わせなくていいと言ったのに、向こうは合わせようと必死になった

矛盾してる

何をしているんだか……バカね

沙織「ぁ……久遠さん」

天乃「……………」

数分休憩して動けるようになったのだろう

沙織はゆっくりと歩き、その視界に天乃が映り

足が止まった

沙織「合わせなくていいって言ったのに」

天乃「ちょっと疲れたのよ」

沙織「でも」

天乃「それともなに? 貴女にとって私は疲れ知らずの男子中学生に見えてるの?」


沙織が何か言おうとしたのを察して天乃はすぐに口を挟む

正直な話天乃は

普通の男子中学生に負けるような鍛え方はしていない

それこそ、

すでに大人である兄に出さえも太刀打ちできるように

それ以上に鍛えているような相手にでも抵抗できるように

天乃はしっかりと鍛えている

そのうえで胸部は余計な大きさになったのだが……

沙織「そ、そんなことない」

天乃「だったら休んでも良いわよね?」

沙織「うん。全然いいよ」

沙織は穏やかな笑みを浮かべて天乃のことを見つめる

やっぱり、見捨てられない

信じている通り、久遠さんは害のある人なんかじゃない

沙織はクスクスと笑う

沙織「そういうことにしておいてあげるね」

天乃「っ!」

反論があると眉をひそめた天乃を見つめる沙織は楽しげに笑う

役目のある少女たちの、休息だった


√ 4月7日目の昼


コンマ判定表

01~10 勇者部一同
11~20 
21~30 お兄ちゃんとお姉ちゃん

31~40 
41~50 
51~60 バーテックス

61~70 
71~80 
81~90 友奈

91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


少女たちが楽し気……とはちょっと違うのだろうか?

嬉しそうに笑いながらアスレチックを進む沙織を

待ちなさいと言いながら天乃が追う

そんな姿を見守る2人、4つの瞳

「もうこれ以上は可哀想だってば」

「そう思うなら帰ったらどうだ?」

「帰ったら変質者が捕まりそうだし」

「そんな奴は俺が」

「いや、兄ちゃんのことだからね?」

呆れたため息をつく妹を

視界の外に押しやって天乃を見つめていた兄は、

急に顔を顰めた

「……………………」

「なに深刻な顔してるの? 似合わないよ?」

「いや、その」

「ん?」

「見てるのばれた……逃げろ!」

「はぁっ!?」


一本柱の上で沙織向かい合って立ち止まる天乃は

兄と姉がいた場所をじっと見つめる

天乃「逃げた」

今からでも姉に追いつくことは可能だろう

兄は確実に無理だ

鍛えているだけあって逃げ足が速すぎる

沙織「どうかしたの?」

天乃「見られてる気がしたのよ。気のせいだったわ」

沙織「気のせいじゃないと思うよ」

天乃「?」

沙織「学校のジャージって結構際立っちゃうんだよね。だからさ、その、うん。久遠さんおっきいよね」

天乃「っ……なっ、ちょっと、貴女、どきなさいそこ! すぐに!」

沙織「ちょ、ちょっと待って!」

天乃「待たない!」

沙織が次に飛び移った瞬間にその場所へと移り、ほとんど一瞬で上級者用の跳び棒を突破した天乃は

あたりを見渡して胸を庇った

沙織「ジャンプしてたもんね。すごい目立ってたよ」

天乃「……言わないで」

顔を真っ赤にする天乃

見ていたのは沙織以外にもたくさんいたのだと、今更知ったのだった


沙織「ごめんね」

天乃「いや、アスレチックコースを選んだのは私だから」

とぼとぼと歩く天乃

アスレチックコースは残念ながら途中棄権

だがそれではない

自ら醜態をさらしてしまったことを

天乃は気にしているのだ

それを知りながら

「中々良い見世物になってたぞ」

兄は唐突に現れ言う

天乃「……なんでここにいるの」

「可愛い妹についてきた」

満面の笑みを浮かべる正直者のお兄さんは

次の瞬間には右頬を真っ赤に染め、地面に横たわっていた

天乃「それ、旧世紀の言葉でストーカーっていうんだよ? 犯罪だよ?」

「そう怒るなよ。別に下心あったわけでもないんだから」


天乃「じゃぁどうして?」

「こんなかわいい小学生みたいな子がいたら迷子だと思われるんじゃないかと思ってな」

天乃「ん?」

「だからまぁ、遠くからお兄ちゃんが見守ってるよー感を密かに醸し出してたんだ」

天乃「そこに意味は?」

「悪い虫が寄り付かない」

兄が自慢げに言う一方で

一緒に来ていた姉は沙織に小さく頭を下げる

事実、声をかけにくい存在にはなっていたのだろう

だけれども

隠れて覗いていたことはあまり良いことではない

「自覚持てよ。天乃と……伊集院さん。ナンパされても知らないぞ?」

「それも経験だよ。下手についていかなければ大丈夫ってば」

「どうだかな」


冗談を言いながら笑う兄を沙織は微かに警戒していた

女の子としての警戒ではなく、伊集院沙織としての警戒

様子をうかがう沙織の瞳に気づいた兄は

不意にその視線に瞳を向ける

沙織「!」

「どうした?」

沙織「い、いえ……」

言葉を濁して、沙織は目を伏せる

何かを見抜かれてしまいそうな気がしたのだ

「邪魔して悪かったな。天乃、明日は学校あるんだから、ちゃんと伊集院さんを帰すんだぞ?」

天乃「どういう意味?」

「また持ち帰ってくるなってことだよ。伊集院さんが明日困るからな」

兄は天乃の頭を優しく撫でると

もう一人の妹の頭を鷲掴んで踵を返す

天乃「……物じゃないんだけど」

よく理解していなかった天乃はそう呟いた


√ 4月7日目 夕方 庭園


朝露に葉を濡らし、朝日に照らされて光る花々も美しい

けれど、夕日に照らされて鮮やかに彩られた花々も綺麗だと

天乃は思った

天乃「……なんて」

思うだけで口にはしない

隣に誰も居ないのであれば口走っていたのかもしれないが

天乃は今、一人ではない

沙織「……綺麗だね」

天乃「そうね」

沙織「久遠さんはこういう……景色を見たりっていうのは好きじゃないの?」

天乃「そんなことはないけど」

沙織「けど?」

天乃「無いわよ。その続きは」


追及を逃れるように言った天乃の口元は綻ぶ

1年半……約、2年近い月日

それだけの間、友人を突き放した天乃

着いてくる人など

話しかけてくる人など

自分を歓迎する人など

いない

そう思っていた天乃に近づいた、迫ってきた、級友

彼女の横顔を見ていた天乃は視線を追って庭園を見つめる

天乃「……好きよ」

沙織「えっ?」

天乃「こういう、ただ景色を見るだけっていうのも」

沙織「あぁ……うん。そっか」


アスレチックでのせわしない時間の流れとは逆に

穏やかな時間が流れる

彼女たち以外にも人はいるが

みんなわいわいと騒いだりはせず

景色に目を奪われていた

天乃「……今日は、帰るべきよ」

沙織「うん。明日学校だからね」

天乃「なんだかんだ、楽しかった」

沙織「あたしも楽しかったよ。この2日間」

天乃「貴女、物好きよね……私に2日も費やすなんて」

可笑しそうに笑う小さな友人を見下ろしながら

沙織はちくりと胸を差す罪悪感を握り、首を振る

沙織「1年生のころから今まで。会えなかった分を取り戻したいなって……密かに思ってる」

天乃「これから毎日会っても無理よ。あと一年もしないうちに卒業なんだから」

沙織「……同じ高校に行けば、会えるよ」


天乃の言葉に間をあけずに返す

用意はしてた

いつでもいえる言葉

早ければ早いほど、実現しやすい、夢に近い言葉

天乃「……高校、ね」

沙織「行かないの?」

天乃「行けたら行くわ」

沙織「受験、久遠さんならどこでも受かりそうだけど……」

沙織の疑問符を見つめ

天乃は小さく首を振って目を逸らす

天乃「勉強方面じゃないわ」

沙織「学費なら特待生になればいいよ」

天乃「……そうね」

それでもない

天乃が抱える問題はこれから先もバーテックスと戦い

死ぬことなく生きていけるか。という生死の問題なのだ


沙織「……あたしと同じ学校は嫌だったりする?」

天乃「そう思ってるように見えた?」

沙織「ううん。ただの疑問」

天乃「……そう」

刻一刻と施設の締まる時間は近づいてくる

それにつれて、2人の少女を差し置いて人は減っていき

美しい庭園も段々と色黒く染まっていく

天乃「私がどこの高校に行くと言っても。貴女はついて来ようとするんでしょうね」

沙織「そう思った?」

天乃「今日みたいに、無理してでもついてくる」

沙織「……うん。あたし、久遠さんのそばにいたいから」

隠すことなく沙織は言う

天乃はでしょうね。と

驚くそぶりもなく苦笑した


天乃「……他に友達いるのに、疎かにしたら一人になるわよ?」

沙織「友達はいくらでも作れるよ」

天乃「……………」

沙織「……だけどその中に、久遠さんは一人だよ」

沙織はちょっとだけ語気を強めて言う

しかし、どこか寂し気に響く

沙織「久遠さんはあたしの恩人で、憧れなんだよね」

天乃「そこまですごい人間かしら」

沙織「凄いよ。すごかった……あたしにとって、あの時の久遠さんはヒーローよりも王子様よりも。救世主だった」

天乃「過大評価の行き過ぎよ」

天乃のぶっきらぼうな物言いに

沙織はかもしれないねと苦笑する


沙織「久遠さん」

天乃「……なに?」

沙織「久遠さんのそばに、いても良い?」

天乃「ダメって言ったって、貴女――」

沙織「……ちょっと迷ってるんだ」

天乃「なにを?」

沙織「このままでいいのかなって」

日が傾いたせいか

それとも、本当に暗いのか

沙織の表情は影に隠れてしまっていた

沙織「あたし……きっと久遠さんの足を引っ張ると思う」

天乃「どうしてそう思うの?」

沙織「アスレチックで思った。あたしは久遠さんの足を引っ張っちゃうんだって」

天乃「…………………」

沙織「なのに、傍にいても良いのかなって」



1、休憩するには、ちょうどよかったわ
2、貴女の好きにしなさい。私は、自由が好きよ
3、貴女一人でダメになるほど、華奢な女の子に見えるの?
4、……そうね。できれば。もう、関わらないでほしいわ


↓1


天乃「貴女の好きにしなさい」

沙織「………………」

天乃「私は、自由が好きよ。縛られるのは嫌いだけど、縛るのも好きじゃないの」

天乃は沙織に背を向ける

本当に言いたい言葉は何だったのだろう

死ぬかもしれないから関わりを絶っておきたい

これからも今まで通りの関係を続けたい

どっちだったのだろう

天乃は靄のかかった自分の心に目を瞑り

風を受けながら、

首だけを動かして、振り返る

天乃「貴女の言動が私の言葉で縛られるのなら、私は回答を控えるわ」

沙織「久遠さん……」

天乃「でも。あえて言わせてもらうなら」

沙織「?」

天乃「貴女に私が初めて声をかけた時、私と貴女はただの同級生でしかなかった。今よりも、ずっと赤の他人だった」

それでも天乃は声をかけた

赤の他人のような存在である沙織の前を、素通りすることは出来なかった

天乃は先を言わない。ただ、もう時間ねと呟いて

天乃「帰りましょう。怒られないうちに」

そう言った

√ 4月7日目の夕方


コンマ判定表

01~10 勇者部一同
11~20 
21~30 風・樹
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 沙織
71~80 
81~90 バーテックス
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 4月7日目の夕方 帰り道


施設を出て、バスに乗ったりなんだりと

自分たちの街に帰ってきた天乃と沙織

疲れているのか少し足取りの危うい沙織を支えるように歩いていると

見知った2人と目が合った

風「久遠……と」

沙織「伊集院沙織です」

風「あぁ、伊集院さんだったんだ」

ニヤニヤと女子力の削り残しみたいな表情を浮かべた風

天乃はその視線を無視して樹を見つめた

天乃「買い物?」

樹「はい。そこのスーパーが安いので」

天乃「でも、この時間だと特売は終わってるんじゃない?」

樹「そっちが目的ではないので大丈夫ですよ」


風と樹の両親は亡くなっており

何から何まで自分たちでやらなければいけないのだ

しかも、そのほとんどすべてを風が担っている

風「ごめん、久遠。謝るから無視しないで寂しい、と言うか悲しい」

天乃「風が余計なこと言わないと誓うなら気にしてあげるわ」

風「……誓えない。たぶん、言う」

天乃「正直者には口を利かないであげるわ。おめでとう」

風「ちょ、そこは報われるべじゃないの!?」

天乃「……ところでいつ」

風「くおーん!」

じゃれあっている……のかは定かではないが

互いに言い合う二人を樹と沙織は黙って見つめる

喧嘩にまでは発展しないだろうと言う

謎の安心感がそこにはあったからだ


それから程なくして、言い合いが終わると

樹「お姉ちゃん、注目されてたよ?」

と困ったように妹に言われた風は

樹に対してもごめんと謝る

148cmと163cmの少女

同級生の口喧嘩だと見破れた人はいたのかどうか

どちらにしても、あまり意味はないのだが

風「2人が何してたのかっていうのは口を閉じておくから」

天乃「賢明な判断ね」

沙織「……あの」

樹「はい?」

沙織「2人は久遠さんとは……」

風「あー……アタシ達は勇者部でさ。久遠を勧誘してたんだけどね」

沙織「入らなかったんですか?」

天乃「一昨日とか、下校できてないわよ」

沙織「そういえば、久遠さん入ってないって言ってたもんね」


風「せっかく会えたわけだし、もう一回くらい勧誘しようかとも思ったんだけど」

天乃「悪いけど――」

風「でも。断る理由があるみたいだしね……無理には誘わないよ」

天乃「なぜそこで私の隣を見るのよ」

風「別に?」

茶化すように言う風だったが

すぐに表情を一転させて天乃を見つめる

風「部活には入らなくても良いからさ、部室には顔を出してよ」

天乃「……………」

風「友奈や東郷だってまた会いたいだろうし、利点もある」

利点とは、バーテックス襲撃時のあの離れすぎの件である

遠くにいると当然のように樹海化後も離れているため、合流に余計な時間がかかってしまったり

連携もとりにくくなってしまうのだ

樹「占いとかもしてるので、ぜひ着てみてくださいね」

樹は笑みを浮かべ、軽く会釈をした



1、考えておくわ
2、……ねぇ樹。貴女のアドレスまだもらってなかったのだけど、今携帯あるかしら?
3、暇があったらね
4、占い? 当たるの?

↓1


天乃「ところで……ねぇ樹。貴女のアドレスまだもらってなかったのだけど、今携帯あるかしら?」

樹「は、はい。あります!」

樹はいそいそと携帯を取り出し

天乃とのアドレス交換が終わるや否や嬉しそうに笑う

部室に来てほしいと願って

でも、なかなか来てくれず、戦いでもあまり協力的には出来ず

自分は目に見えていないんじゃないかとまで思いそうだった樹

夢叶ったり、というような表情だった

風「喜んじゃってもー。久遠、あと誰か知らないのいる?」

天乃「あとは……」

言われて確認してみると

勇者部の中で一人、東郷の名前だけがない

天乃「東郷美森のがないわ」

風「んーわかった。アタシから後で言っておくから。今のうちに東郷のアドレスだけ送っとく」

天乃「ええ」

樹と東郷のアドレスを新しく登録した天乃は

それじゃぁと2人と別れ、

それから少しして、沙織とも別れた


今回はここまでにします
中々進んだようで進めなかったですね


まだEDのルートには全然入っていませんが
しばらくしたら少しずつレールを敷いていこうかと思います
バーテックス戦の被害で沙織が死なないことを祈るばかりです

乙乙
被害コンマ的中後の被害規模コンマとかで一発死亡ありうるんだろうか……


描写が綺麗っつーか純愛物書かせたらかなり良いSSが出来そうな感じだな
ラノベとかじゃなく、普通の文学小説みたいに易しく読みやすいのが良い
()とか絶対要らない


これ終わったら純粋百合SS書こう
でもこの2人やっぱ住む世界違うからバッドエンドの気しかしないんだよな...

コンマ神「どの百合の花を満開にするか悩む」


http://imgur.com/6GWRRbs

wikiの方でもコメントしましたが1スレ目の安価纏めを、1スレ目のページに画像として貼り付けました
↑の大きさなので、無理に開いたりしない方が良いかもしれません

交流数ですが↓の通り、なぜか終盤で出てきた沙織が一番多かったです

沙織:8 友奈:7 風:6 東郷:5 樹:0 夏凜:0



>>744
被害の大きさによってはあり得ます

>>745->>746 模倣している鷲尾小説が綺麗で読みやすいからですね

http://i.imgur.com/6GWRRbs.png
すみません、こちらですね

では今日も始めたいと思います


√ 4月7日目の夜


コンマ判定表

01~10 樹
11~20 
21~30 風
31~40 
41~50 東郷
51~60 
61~70 沙織
71~80 
81~90 お兄ちゃん
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 4月7日目の夜 自宅


天乃「……あの子の匂いがする」

今朝まで沙織が寝ていた自分のベッド

特に理由はないが

なんだか少し、気恥かしく思った天乃は枕を抱く

天乃「……楽しんじゃったな」

それは勇者にしろ、勇者でないにしろ

してはいけないことだと思っていた天乃

なのに、あっさりと今を楽しんでしまったことを

天乃は少しばかり後悔していた

天乃「あの子……きっと苦しめちゃうんでしょうね」

自分が戦いで死んだとき

自分が事故で死んだとき

沙織は昔の自分のように泣いてしまうのだろう

だとしたら、酷いことをしてしちゃったな。と

天乃は思った


夕食も終え、あとは寝るだけという時間

天乃はふと携帯を手に取った

伊集院沙織、犬吠埼樹、犬吠埼風、東郷美森、結城友奈

初期に比べればだいぶ少ない

でも、それ以上に意味のある登録のような気がしていた

天乃「とはいえ、2人ほどは勝手に登録されただけなのよね」

風と友奈

あの押しの強さには気が滅入ってしまいそうだったなと

そう遠くない過去のことを思い出し

天乃は苦笑する

けれど、すぐに笑いは消え、暗くなる

風も友奈も勇者部で、勇者

その友人や家族である東郷と樹も勇者

空想の怪物と戦っている設定などではなく、

正真正銘の勇者としてバーテックスと戦っている一同は

いつ、だれが欠けてもおかしくはない


天乃「そしてそれは、私も。なんだよね」

勇者としての戦いを知らない沙織の名を見つめ

天乃はふっと息を吐く

いっそ言ってしまおうか

冗談めかして、命がけで戦っています。と

いや、それでは冗談で受けていなければと

後悔させてしまうかもしれない

立ち往生する思考をシャットダウンし

天乃は額に手の甲を押し当てる

天乃「……なんで、あの子を誘っちゃったんだろう」




1、電話:風、友奈、樹、沙織、東郷
2、メール:風、友奈、樹、沙織、東郷
3、兄の部屋へ
4、姉の部屋へ
5、寝る


↓1

誰か選んで書かないと選択できない選択肢がある場合は下2だとありがたいかも


天乃「今日は疲れたし……もう寝よう」

枕をひっくり返してベッドに置く

布団からも、枕からも

自分の匂いに交じって沙織を感じる

それがどうしようもなく気になってしまうからだ

天乃「………………あったかい」

彼女に包まれているように感じるからか

ただ、布団に包まれているからか

天乃は答えを出さずに目を閉じる

天乃「……………」

だんだんと、闇の中に引きずり込まれていく

腕をつかみ、足を掴み

逃げられないようにして引きずり込まれていくような感覚

天乃「っ………!」

底知れないモノを感じた天乃が目を見開くと

眼の前に、死神がいた


天乃「……勝手に、出てこないでくれる?」

天乃は最初

性懲りもなくバーテックスが襲来したのかとも思ったが

携帯は静かに沈黙している

敵が来たわけじゃない

天乃「まさか、私を殺そうっていうの?」

死神「……コロス?」

天乃「そう。私を」

死神「コロサナイ」

天乃「ならどうして、そこにいるの?」

死神「イッショニ……ネタイカナッテ」

天乃「……えっ?」



1、あの子のまねしてるの?
2、何考えてるの?
3、勝手にしなさい
4、怖いこと言わないで
5、……良いけど



↓1


>>766
そうした方がよさそうですね。次から変更します


天乃「……勝手にしなさい」

自分の精霊の奇怪さに首を傾げながら

天乃はそう答えて布団を捲る

死神「クオンサン」

天乃「馬鹿にしてるなら投げ飛ばすわよ?」

死神「シテナイ」

ニコニコと笑い続ける死神は

天乃の鋭い瞳から逃れるように

布団の中へと潜り込む

天乃「……ほんと、なんなのかしら」

精霊とは本来、勝手に出てくるようなものではない

にも拘らず勝手に現れ、主人とともに寝ようとする

天乃「ちょ、ちょっと!」

死神「~」

天乃「布団はいいけど服には入らないで!」

死神は特異に他ならなかった

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(接触)
・  犬吠埼樹:交流有(接触、アドレス)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・伊集院沙織:交流有(遊び、交流、待機、返答)

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流有(添い寝)

4月の7日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 6(低い)
  犬吠埼樹との絆 3(絶望的に低い)
  結城友奈との絆 12(普通)
  東郷三森との絆 3(まだまだ低い)
伊集院沙織との絆 44(高い)

  乃木園子との絆 15(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 45(高い)
      死神との絆 10(普通)

兄「なら俺が服の中に入ろう」

ではこのまま続行します

√ 4月8日目の朝


コンマ判定表

01~10 お兄ちゃん
11~20 
21~30 死神
31~40 
41~50 沙織
51~60 
61~70 東郷
71~80 
81~90 友奈
91~00 

↓1のコンマ   空白はなにもなし


√ 4月8日目の朝 自宅


天乃「ん……」

朝日に目を覚ますと

すでに布団の中に死神はいなかった

そもそも、

布団の中で一緒に寝た。と言うこと自体がおかしいのだが

天乃「さて、学校に……行かないとね」

兄に大丈夫と言った手前

またサボると言うわけにもいかないのだ

自分が学校に行かないことで

寂しがる人もいるのだが

それは関係ないと心に釘を討つ

天乃「今日もバーテックス。来ないといいな」

少女の些細な願いは―――


√ 4月8日目の朝 学校


休み明けの月曜日

流石に休みに引かれてこないだろうと思われた天乃が姿を現したとき

やはり、学校自体が騒然となった

その中で

沙織「おはよう」

彼女だけは笑顔で迎え入れる

それを見た招かれながら、招かれざる少女は照れくさそうに目を逸らす

天乃「別に、貴女のために来たわけじゃないのよ?」

沙織「うん。それは聞いた」

天乃「……………」

沙織「…………」

教室までの道中

黙り込んだ天乃を横目に見る沙織は

嬉しそうに笑みを浮かべる

沙織「……おかえり。あたしたちのクラスに」

天乃「帰ってきたつもりなんて、ないんだけどね」


天乃の冷たい返しにも

沙織は慣れた様子で苦笑する

沙織「じゃぁ、あたしの前に。おかえり」

天乃「……席替えしたら変わるけどね」

沙織「人生的な意味だから。変わらないよ」

天乃が来たことが相当嬉しいのだろう

沙織は席につきながら、嬉しそうに言う

天乃「さっさと追い抜いちゃいなさいよ」

沙織に向かい、天乃は抑揚のない声で告げる

その瞳は沙織を見ているようで見ておらず、近くも見てはいない

それに気づいた沙織は少し、悲しげな表情を浮かべ

けれど、何も言わないずに口元をほころばせる

沙織「なら、追い抜くことが出来るまで」

天乃「?」

沙織「ちゃんと、前にいてね?」



1、私が死ぬかもしれないって言いたいの?
2、何言ってるのよ
3、ええ
4、沈黙
5、約束は、しないわ


↓1


天乃「私が死ぬかもしれないって言いたいの?」

沙織「そんなことは、ないよ」

天乃「そう言ってるように聞こえたわよ」

沙織「……そうだね」

讃州中学3年

そのクラスの中の喧騒

その中の沈黙

生み出す二人は互いに別々の方向を見る

そしておもむろに、沙織は言う

沙織「だって……久遠さん。なんだか遠いんだもん」

天乃「そう簡単に追いつけるような――」

沙織「そうじゃなくて」

天乃「じゃぁ、なに?」

沙織「もっと別の……なんていえばいいんだろう。解らないけど、遠いんだよね」


沙織は困ったような笑みを浮かべる

勇者であることがばれたのかもしれない

そう思い、訊ねようとした天乃に沙織は告げる

沙織「ごめん、変なこと言っちゃって。ごめんね」

悲しげな友人の声

天乃は下手に言葉を返せず、黙り込む

やっぱり

悲しませてしまうだけ

苦しませてしまうだけ

……なのだろうか

沙織に引っ張られて天乃の表情にも影が差す

沙織「一限目、道徳だよ」

天乃「ええ、解ってる」

朝から暗い雰囲気の2人

クラスメイトは何があったのかと伺いながらも

声をかけることはなかった

√ 4月8日目の昼


コンマ判定表

01~10 
11~20 バーテックス
21~30 
31~40 友奈
41~50 
51~60 風
61~70 
71~80 沙織
81~90 
91~00 バーテックス

↓1のコンマ   空白はなにもなし

http://i.imgur.com/pvzmIF8.png


√ 4月9日目 昼 樹海


風「いくらなんでもおかしいでしょ……これは」

天乃「なにが?」

風「バーテックスの来る頻度が高すぎる」

天乃「そういうのって決まってるものなの?」

風「神託によってある程度は予想されてるし、ひと月以内。という条件には当てはまってるけど……」

天乃「………………」

困った表情の風から携帯のマップへと目を向ける

敵は3体

なるほど。と

天乃は声を押し殺して笑った

この戦いで自分は死ぬのかもしれない

だから、沙織はあんなことを言い出したのかもしれない

天乃「……あれの狙いは、私。なのかな」

http://i.imgur.com/SEnyvkD.png


前回のバーテックスの奇行

あれを思えばこその予感

天乃は端末を切り替え、沙織のアドレスを表示する

当然、彼女には届かない

届いたとしても、彼女は出ることも、見ることもできない

天乃「風、東郷、友奈、樹」

友奈「久遠先輩?」

風「どうしたの?」

共に戦う勇者一同を見渡す少女は

少し、躊躇った


1、私は単独行動をとらせてもらうわ
2、私は自由にやらせてもらうわ
3、頑張りましょう
4、たとえ私が危なくなっても、気にせず敵を叩きなさい
5、……なんでもない。行くわよ


↓1


天乃「私は単独行動をとらせてもらうわ」

風「何言ってんのよ。敵は3体いるんだから協力を」

天乃「しない」

風「っ」

風のことを睨み上げる天乃は

しばらくして目を逸らし、ため息をつく

久しくついていなかったようなそれに

天乃は懐かしく思い、首を振る

東郷「今回も自分が狙われる可能性があるから。そうですね? 久遠先輩」

天乃「……………」

友奈「そ、それなら協力した方が良いですよ。久遠先輩!」

天乃「……勇者部は、4人でしょう?」

樹「でも」

天乃「相手はきっと連携が取れる陣形で来るわ。貴女達も、連携をとれなければ負けるわ」


http://i.imgur.com/SEnyvkD.png


事実。東郷加入時の戦闘では

バーテックスの巧みな連携にリーダー格である風が落されかけた

その前例があるからこそ

風は強く言葉を返せなかった

連携は重要

むしろ必要不可欠

そこに、つい先日まで険悪でさえあったような人が

入れるはずもないのである

天乃「そもそも、私は攻撃に距離がないからね。近づかないといけないのよ」

友奈「それは私もです」

天乃「……死ぬわよ」

東郷「それは、そのままお返しさせていただきます」

東郷の厳しい瞳

天乃はしばらく見つめあって、不意に逸らす

天乃「好きにしなさい。私は――見捨てるから」


1、移動(場所指定)



↓1

http://i.imgur.com/N5Hpv33.png


自分を狙っているならそれでいい

けれど

そう簡単には落されはしない

相応の犠牲を覚悟して、掛かってこい

そう吠えるような力強い瞳をバーテックスへと向け

飛び出した天乃

背後の勇者部

彼女達ならうまく連携をとってくれるだろう

そう、自分勝手に、期待して

でも

その報いなのだろうか

天乃「っ!」

天乃よりも素早い風、友奈、樹の3人は

彼女の背ではなく――前に立つ


天乃「何をしてるのよ!」

風「そっちこそ、遅いくせに見捨てるとは片腹痛い」

大剣を軽々しく持つ風は

それを肩にのせながら、天乃の方へと振り返る

風「勇者部の一員じゃないとしても、久遠。貴女は勇者でしょ」

天乃「……………」

風「そして、今ここではわが勇者部のパーティメンバーなんだから」

樹「お姉ちゃんの言う通りです、久遠先輩」

天乃「……側面からの貴女達の連携に期待したんだけど」

友奈「その間、あの3体の攻撃を受けるなんてこと……させられません」

風「そーゆこと。だからまぁ。正々堂々正面から――私達勇者の連携! 見せてあげるわよ!」

勇んで歩む勇者の背中

天乃の瞳に映る3人の少女には確かに、それが見えた

天乃「……バカな人たちね。貴女達は」

樹「でも。だからこそ、久遠先輩のことは、見捨てません」

自分と同じ身長

しかし、年下の小さな勇者は対敵しているにも拘らず、笑みを浮かべた


http://i.imgur.com/N5Hpv33.png



勇者たちがそれぞれの思いをぶつける中で

うお座のバーテックスは樹海の根を突き破って地中に潜り

天秤座、水瓶座の2体のバーテックスは

寄り添い合って……やはり

天乃の方へと突き進む

天乃「やっぱり狙いは私のようね」

東郷「久遠先輩、あの2体のバーテックスは互いに何らかのカバー特性を持っている可能性があります」

天乃「……でしょうね」

東郷「接近しすぎないように注意してください」

天乃「接近しないと攻撃できないのよ。私は」

東郷に対しやや起こるように告げ

天乃は端末を確認

どうやら、地中に潜っていようと関係はないらしい

うお座の位置はしっかりとマークされていた



1、移動(場所指定)
2、集中(15消費で命中・回避+15%)
3、隠密(30消費で1ターンの間狙われなくなる)


↓2

http://i.imgur.com/N5Hpv33.png


天乃「……ふぅ」

敵を見据える瞳を一旦閉じて

天乃は深く息を吸い、吐く

体の力を抜いて、体も頭もリラックスさせる

天乃「地中に隠れてるバーテックスだけど……」

天乃の攻撃は格闘主体

だが、彼女には体内にのみダメージを与える技術がある

もちろん

それ単体では相手には通せないかもしれないが

応用すれば、地中にいてもダメージを通せる可能性はある

天乃「試す価値はあるけれど」

どうするか


1、移動(場所選択)


↓1


時間も時間なのでここまでにします
沙織関連で出現率上昇させたら見事にヒットしてしまいました
運があまりよくなさそうですね、天乃は


ちなみにですが、YPによるステータス上昇などを企画しています
多少値は張りますが、機動力も上げられる予定です
明日にはwikiに追加したいと思います

加えてですが、樹の占い結果によるステータスやコンマ補正を考えています


末尾Oの件に関してですが
スマートフォン等で不正しているとしても>>1には確認の方法もなく
疑いながらの進行と言うのも嫌なので規制等は考えていません
移動先ならコロコロ変わってしまいますのでそれだけのことかもしれませんし

とはいえ、1日の投下分の安価取得がすべて末尾Oの単発だったり
これは不正してるな。と言うような状況になるようなら手は打つかもしれませんので
そのあたりはご了承ください


あと、安価は今回から↓2進行にさせて頂きます
確かに、真下だととりあえず安価をとる。という方向になってしまうと思うので



本題ですが、一応wikiの方に特殊技能及び精神コマンドの一覧(必要YP・消費SP、取得可能キャラ)を作成しました

http://i.imgur.com/CdLmzaF.png


天乃「便利な物ね……このレーダーは」

地中にいようと、どこにいようと

バーテックスの位置も、仲間の位置も

すべてを教えてくれるレーダー

天乃はそれを随時確認しながら

うお座のバーテックスの正面であろう位置に降り立つ

その後方には2体のバーテックス

うお座が見えなくなっているため

天乃にははっきりと見え

そして、彼らもまた、どこかにある感覚で天乃を捉える




可能行動 【第一式格闘術 威力450】

自動で採用、判定へと移ります


命中判定 ↓1   134%  ぞろ目でCRI

追加のダメージ+   ↓2


647ダメージ



敵が目の前にいる

そして、足元にもいる

だからこそ、心を落ち着ける

天乃は身じろぎひとつせず、片手に端末を持ち

もう片方の攻撃のための手を、ゆっくりと引き下げる

天乃「距離は不明、ただ、すぐ下にいるということは把握してる」

地面の微かな揺れをその足に感じ

その時のために力を溜めていく

段々と揺れが激しくなっていく

自分との距離が近づいてきているのを感じる

けれど、天乃は怯えることなくほくそ笑む

天乃「さぁ、来なさい。私を殺したいのでしょう?」

地中のバーテックスとの距離が射程内だと感じた天乃は地面を打つ

風「何やって――」

一見、ただの自棄行為に見えるその行為に驚いた風

それに数秒遅れて、バーテックスは地中から飛び出してきた


天乃「おかえり、バーテックス」

遠い瞳の少女の見つめる先で

うお座のバーテックスは損傷した体の一部を輝かせる

けれど、いくら待っても、治癒はしない

風「久遠、いったいどうやって」

天乃「地中なら衝撃は伝わってくれるから、それを利用しただけの話よ」

風「衝撃って言ったってそんな」

天乃「私、そういうケガさせないで血を吐かせる攻撃得意なのよ」

風「えっ」

耐久力の高い兄に対する一撃必殺

もちろん、死ぬレベルのことも、救急車必須なレベルでもやったことはないが

腹痛を起こす程度になら、数知れず

それを思い出した天乃はくすっと笑って風を見上げる

天乃「嘘よ」

風「だ、だよねー……」

半分ほど信じかけていた風は苦笑して誤魔化した



風「友奈! 両端!」

友奈「はい!」

残念ながら、うお座、天秤座、水瓶座

この3体がしっかりと密集している現状では

封印と言う手段は中々に厳しいものとなる

動いてはいけないという条件があるわけではないが

囲むという行為自体が難しく

なおかつ、巨大なバーテックスにまとめて攻撃を受ける可能性もあるからだ

しかし

それができなければ御霊は出ない

そしてその御霊を破壊しない限り、バーテックスは永遠に蘇生し続けてしまう

なぜか天乃にはその行為は不要だったのだが

大赦の方に風が問い合わせたものの【原因は不明。調査中】という返答しかなかった

思慮を振り払い、風は目の前の御霊を睨む

風「久遠ばかりに頼るわけにもいかない……私達だって、勇者なんだから!」

彼女の大きな剣が、振り下ろされた



友 命中判定  ↓1 01~65 で命中
風 命中判定  ↓2 01~62 で命中   いずれも ぞろ目でCRI


風は数値以上ですがぞろ目なのでCRI


↓1 で友+ダメージ

↓2 で風+ダメージ

675+577=1252ダメージ


風と友奈の両端からの攻撃

対応しきれない御霊は危険と判断したのか

友奈の攻撃だけは直撃を避ける

だが、コンマ遅れの風の斬撃が直撃

樹「やっ――」

東郷「ってないわ」

切り落とされた御霊が地面にぶつかったことで巻き起こった粉塵

そのなかで動く御霊を、東郷は見逃さなかったのだ

スコープを覗き、タイミングを見計らう

東郷「……ここで一つ。確実に」

絶対にはずせないという状況下で

東郷は不思議と、緊張の色はなかった

おそらくは射程ギリギリ……けれど、確実にやれる

唯一の後方火力支援が可能な勇者は、狙いをすまし

そして――トリガーを引き絞った



東郷 命中判定↓1  105%  ぞろ目でCRI

↓2 でダメージ+

546ダメージ  うお座のバーテックス撃破
http://i.imgur.com/pzOF2TN.png


うお座の御霊は、遠方からの狙撃によって撃ち貫かれ

その小さな円形の穴からビシッとひび割れ、砕け散り

御霊を失った体はやはり、砂のようなものへと還る

東郷「次」

冷静な東郷は撃破したことを小さく喜びながらも

油断せず、次へと銃を構えた

まだ2体もいる

何があるかは終わるまでわからない

油断は……出来ない

気を引き締め、東郷はスコープを通してバーテックスを睨む

その前方、樹はうお座のバーテックスが消滅したのを確認して天乃の横を通り過ぎ、

友奈と隣接するように存在する水瓶座のバーテックスに仕掛ける

風がやった

友奈がやった

東郷がやった

そして、天乃でさえやった

だから自分も。と、樹は張り切っていた

樹「当たれー!」


樹  命中判定  01~88で命中  ぞろ目でCRI


ダメージ+ ↓1

http://i.imgur.com/Af9lr9K.png


水瓶座に230ダメージ(物理耐性・半減)


樹の攻撃はしっかりと命中した

いや、水瓶座のバーテックスは避けるそぶりさえ見せず

鞭のような光の線を甘んじて受ける

だが

樹「全然聞いてないよーっ」

その水球に威力を殺されたのか、まったくと言っていいほど

バーテックスにダメージは見えない

どうやら、水瓶座のバーテックスには物理攻撃に対する耐性があるようだ

天乃「私が一番戦いたくな――」

それを知っている

それを、解っている

だからこそ、と

嘲笑うように

天乃に対し、水瓶座のバーテックスは距離を詰めてきた


天乃「っ………」

近接戦闘に特化した天乃

それは言い換えてみれば

物理耐性のあるバーテックスが大の苦手とも言える

事実、彼女の攻撃は水球ですべて防げてしまう

だからこそ

眼の前にいた天秤座ではなく、水瓶座が出てきたのだろう

彼らにも、知能はあるのだ

天乃「…………」

強く唇をかみしめる

臆するな

前を向け、逃げられないのならどうするべきか

頭を働かせながら、相手の一挙一動を注視する

天乃「……きなさい、私は。ここにいるわ」

天乃の呼びかけに応じるように

水瓶座は両端にある水球の一つを、天乃に向かって振り下ろした



↓1  命中判定 01~44で命中  71~75でカウンター


当たればそのまま溺死させられる可能性のある水球

天乃「そう簡単に!」

水球との衝突直前

大きく身を翻し、その身長の低さを利用して回避する

天乃「的が小さいと当て辛いでしょう?」

風「自虐?」

天乃「違うわよ!」

大きくため息をつき

天乃は目の前のバーテックスを睨む

そして、

その瞳は大きく見開かれた

天乃「ちょ、なにを――」

水瓶座のバーテックスを通して見える天秤座

天秤座のバーテックスは大きく一回転すると

その遠心力を利用し、仲間である水瓶座を突き破り、

大きな分銅らしきものを天乃に向かって投げ出してきたのだ

天乃「ふざけないでよ!」

精霊のガードがあるとはいえ、衝撃は伝わる

あんなものをまともに受けたら死にはしなくても、被害は今までで最大級だろう

天乃は思わず、吠えた


↓1  命中判定 01~57で命中 


天乃「っ……躱す!」

伊達に今まで訓練してきたわけではない

もちろん、こんなバーテックスという化け物と戦う訓練ではなかった

だけれど、戦闘。と考えれば意味は同じ

天乃は迫りくる分銅を見据えて、地面を踏み込む

天乃「!」

瞬間、つむじ風のような軽さではなく

もっと重く鈍い風切音が天乃の真横を通過する

巻き込む風がかまいたちのように天乃の袖の一部を裂く

だが、その身に傷は一つもつかない。つけさせない

再び回転して背後から迫る分銅は最初の勢いもなく

軽々しく回避できた

天乃「……ふぅ」

怒涛の連続攻撃を回避しきった天乃は

思わず、安堵の息を吐いた

http://i.imgur.com/f1eoNyp.png


友奈「久遠先輩、大丈夫ですか?」

天乃「私はいいから集中しなさい。次、来るんだから」

風「それもおそらく久遠が狙いよ。何が何でも、貴女を殺したいみたい」

風はバーテックスを警戒しながら

天乃の方に近づく

風「無理だと思ったら下がっていいからね? 私達――」

天乃「どうせ、私は遅いから。逃げきれないわよ」

風「だけど」

次も躱せるという自信はない

あの一つ一つが致命傷に他ならない

迫る緊迫感

死ぬかもしれないという、恐怖

それらをしのぎ、天乃は風を見つめる


1、だから。私を死なせたくないなら。さっさと何とかして頂戴
2、だから。攻撃はすべて私が引き受ける。勇者部一同には――私の命、引き受けてもらうわよ
3、もしも、死んだら。あの子には……ごめんねって、言っておいてくれるかな
4、大丈夫、私は死なないわ
5、良いから集中!


↓2


天乃「もしも、死んだら。あの子には……ごめんねって、言っておいてくれるかな」

風「何言って……」

天乃「貴女は知ってるでしょ。昨日、会ったんだから」

風「そうじゃなくて」

風が言いたいことを、天乃はちゃんとわかっていた

何をバカなことを言ってるのか

何弱気なことを言ってるのか

自分でも、弱弱しい心に愛想をつかしてため息をついていた

でも、口は動く

天乃「こんな私の事目標にしてる馬鹿な子だけど……でも、勝手に居なくなるのって、やっぱり悪いことだと思うし」

風「久遠!」

天乃「……あと、一つだけ」

風「聞かない、アタシはそんなこと――」

天乃「しばらく、あの子の事よろしくね?」

http://i.imgur.com/f1eoNyp.png


風「っ…………」

風は強く唇を噛み締める

自分たちがどれだけ立ちはだかろうと

バーテックスは無視して突き進み、天乃を狙う

壁にも盾にも慣れない歯がゆさに、地団駄を踏む

天乃「敵は近いんだから、動くわよ」

風「守れない……けど、絶対。久遠のことは私達が助ける」

天乃「………………」

風「出来るだけ攻撃を回避して……久遠」

天乃「出来る自信はないわ。だからこそ、私は言伝をお願いした」

風「っ」

天乃「……でも、一応。前にいてねってお願いされちゃったから、できる限り、努力はするわよ」

風から目を離し、天乃は目の前のバーテックスを睨む

天乃「行くわよ、バーテックス」



1、第一式格闘術
2、集中
3、移動(座標入力)
4、勇者部の後に行動



↓1

命中判定 ↓1   129%  ぞろ目でCRI

追加のダメージ+   ↓2


ごめんなさい、気力119なので、第二式(威力:600)が使用できます
そっちに切り替えますか?

水瓶座に337ダメージ(物理耐性;半減)


天乃「っ!」

直前で軌道を変え

水球以外の場所へと直撃させたはずなのに

意外と素早く動く水球によって阻まれ

蹴り飛ばされた水が跳ねる

天乃「だけど、私の傷は……治らない」

どれだけ小さなダメージだろうと

天乃の攻撃は治癒できない

それはまさしく、死神の名の通り

死を与えているようなものだった

風「久遠、すぐ下がって! 狙われてるんだから!」

友奈「バトンタッチです、久遠先輩!」

水瓶座の位置はうお座のバーテックスが居た位置

風と友奈は継続して、封印を開始する



友 命中判定  ↓1 01~69 で命中
風 命中判定  ↓2 01~62 で命中   いずれも ぞろ目でCRI


むき出しにされた御霊は

風、友奈の連携を軽々しく回避する

風「なっ」

風と友奈は水瓶座が同じ位置だったために

うお座の御霊に対するものとほぼ同じ流れの連携をとった

片方が掠る程度でも

もう一方が直撃させられる完璧な形

だが

天乃「さっきの動きから……読まれた?」

もしも、それが水瓶座が誘ったものだとしたら

東郷「私と樹ちゃんの火力だけでは……っ」

水瓶座の御霊の残存が――確定

東郷の額に汗が浮かぶ

表情が歪む

あれを落せなければ余計な手間が増える、樹海が蝕まれる

なのにどうしようもない

どうにかしたいのに、どうにも、できない


東郷は焦る気持ちを何とか飲み込み

端末を操作して樹を呼び出す

東郷「……樹ちゃん」

樹『は、はいっ!』

東郷「もしかしたら私達の攻撃も構えられているかもしれないわ」

樹『ど、どうしたら』

東郷「私達も連携する。風先輩と友奈ちゃんのように……さっきとは別の手を打つ」

東郷はしっかりと身構える

樹『タイミングはどうしますか? 東郷先輩の邪魔にならないようにした方が……』

東郷「樹ちゃんはむしろ、私の邪魔をするような形で動いて」

じゃなければ欺けない可能性が高い

東郷は樹の姿を銃口で追いながら、御霊の隙を狙う

樹「い、行きます!」

東郷「……………」




東 命中判定  ↓1 107% 
樹 命中判定  ↓2 01~81 で命中   いずれも ぞろ目でCRI

↓1 で東+ダメージ

↓2 で樹+ダメージ

624+484=1108ダメージ


東郷の策が上手く行ったのか

樹の攻撃も、東郷の攻撃も

直撃させることは失敗したものの

御霊にはしっかりとダメージを通した

だが、やはり

圧倒的に火力が不足していた

東郷「っ、久遠先輩。ご武運を」

伏兵として伏せていた東郷は

自分のあまりにも遅すぎる足を動かして前へと進む

しかし、それが間に合うことはない

そして、間に合ったとしても。無意味でしかない

封印されている水瓶座の御霊は攻撃をするタイプではない

だが、その背後

天秤座のバーテックスは違う


自分の仲間が封印されている

それを無視して天秤座は天乃を捉える

天乃「良いわよ、来なさい」

あの巨大な分銅

精霊のガードごと圧殺できてしまいそうな威圧感

それが、向かってくる

1回転だけでなく、2回転を加えた分銅の速度はさっきよりも早い

天乃「……躱せるのかな」

ちょっと怖いかもしれない

死んでも良いって

死んでも大丈夫だって

あの子のことはもう心配ないって

思ったはずなのに

いや、だからこそ。なのかもしれない

友奈「久遠先輩!」

天乃「っ!」


命中判定  ↓1  01~72  命中


135ダメージ


天乃「!」

天乃の寸前で分銅が止まる

黒い光が迸る

それが、死神によるガードだと気付いた瞬間には

重圧が天乃の骨を軋ませ

いとも容易く、その身を浮かせる

天乃「っ、いっ……ぁ」

精霊のガードがあってもなお

うめき声すらあげられない

風「久遠!」

弾き飛ばされた体はすぐ近くの樹木へと直撃

その衝撃も死神は何とか和らげたが

天乃の体への負荷は、尋常ではなかった


天乃「はーっ、はーっ……」

死神「クオンサン、クオンサン」

天乃「う、うるさい……」

たった一撃

でも、天乃の小さな体にそれはあまりにも重かった

衝撃が脳にまで伝わったのか

うまく立ち上がれず、ふらつく

天乃「まだ、生きてるんだから……」

死神「ヒツヨウ?」

天乃「なにが」

死神「……クオンサン」

天乃「何が言いたいのか、良く判らないわ」

頭を軽く押さえながら立ち上がり

天乃は目の前を見つめる

いまだ健在の水瓶座

封印はそろそろ持たない。それが斬れれば、全部終わる

友奈「く――」

天乃「良いから攻めなさい! 私のことは……無視しておいていいから」

http://i.imgur.com/Qpjf27K.png


天乃「……っ、風!」

風「久遠、さがった方が」

天乃「さがってどうするの? 追撃されろって?」

風「だけど……次は」

天乃「あの程度ならもう一度くらいは平気よ」

問題はそこじゃない

水瓶座の封印がいつ解けてしまうか

今回は天秤座単体の攻撃だったから堪え切れた

しかし、そこに水瓶座が加わったりなんかしたら、確実に命は尽きるだろう

天乃も、風も

その場にいる全員が、それを悟っていた

天乃「あの封印、解除される前にあの御霊を破壊するわよ」

友奈「……東郷さん!」

東郷『解ってるわ』

友奈「風先輩、御霊は私達が破壊します!」

風「友奈!」


友奈が天乃よりも早く動く

封印はもってあと30秒程度だろう

その間にと、友奈が動き

その後方から東郷は御霊を狙う

東郷「ここで砕けなければ、久遠先輩がきっと……」

当てなければいけないという重圧

以前とは違う

外せば死ぬ。という重大な任務

それが東郷の手を少し、震わせる

友奈『東郷さん!』

東郷「友奈ちゃん……」

友奈『大丈夫! 東郷さんなら、絶対に当てられる』

友の信頼

東郷は瞳を閉じ、再び開く

その時にはもう、震えは収まっていた

東郷「……友奈ちゃん。合わせて」

友奈『了解!』



友奈 命中判定  ↓1 01~69 で命中
東郷 命中判定  ↓2 107% で命中   いずれも ぞろ目でCRI

↓1 で東郷+ダメージ

↓2 で友奈+ダメージ


御霊って封印中でも回復できましたっけ?
現在、御霊の体力回復させていないんですが……


映像確認したら合体レオはしてました
ただ、合体レオは特別。ということにしておきます
あれは複合タイプなので






568+702=1270ダメージ

水瓶座撃破


友奈「やった!」

東郷『まだ油断しないで友奈ちゃん』

友奈「う、うん!」

東郷と友奈の連携は完璧だった

直進型の友奈の攻撃の回避はいたって簡単

だが、簡単だからこそ単純な回避になる

回避が単純であれば、狙撃が容易になる

そして狙撃され、動きが止まれば

友奈の攻撃が当たりやすくなる

天乃「流石……仲良し」

風「久遠にもそういう相手がいるんでしょ? だったら、生きなさい」

天乃「まだ死んでないって、言ってるでしょ」

風「虫の息」

天乃「過呼吸よ」

風「なら下がって、アタシがやる」

天乃「ったく……」


http://i.imgur.com/Uw8FlHc.png



1、移動(場所指定)
2、第一式格闘術
3、第二式格闘術
4、集中
5、風に任せる

↓2

すみません。良い流れなのですが今日はここまでとさせていただきます
次スレは明日立てますので、このスレは残しておいてください


敵の攻撃は精霊のおかげでCRIが無いので
生きて帰れるかもしれません


アニメじゃぼた餅さんがやらかした穴は山火事で済んでるけどあれって被害率どれぐらいなのだろうか?

70~80ぐらいかな?(申し訳程度の情報操作)

>>988
大規模な山火事(小声)
交通事故(1話)

【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開2回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開2回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421235603/)


次スレになります
続きも、次スレでやっていこうかと思います


被害は判定になりますので
沙織と天乃の大切な思い出の庭園が火事でなくなるだけかもしれません

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