【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part4 (765)

◇インフォメーション◇

・概要
 タイトルの通り、魔法の存在するファンタジー世界で生きるスレのPart4です。
 主人公がどのような道を歩むかは安価とコンマ次第です。

・世界観
 ファンタジーです。文明レベルは国や地域によって様々ですが、現存文明のほとんどは魔力や魔法を主軸としたものです。
 なお話の都合により設定が一部変更されたり新しく生えたりする可能性はあります。ご了承ください。

・安価について
 安価、コンマの連取りは原則禁止です。ただし最後のレスから30分経過しても安価が踏まれなかった場合は連取り可とします。
 また、内容によっては部分採用や再安価となる場合があります。ご了承ください。
 なおシステムやルールは途中で変更されることがあります。こちらもご了承ください。

・注意
 更新頻度と筆は遅めです。ライブ感で書いているため、展開にガバがあります。
 また、物語の展開や安価コンマの結果によっては、最悪の場合キャラクターが死んだり消えたり闇堕ちしたりすることがあります。
 苦手な方はお気を付けください。


◇用語◇

〈魔法〉
 この世界で生きるための必需技術。
 ほとんどの国や地域に広く普及しており、人々の生活を支えている。

〈魔力〉
 習得した魔法を行使するためのリソース。
 この世界のほとんどの生命は生まれながらにこれを保有・生産・出力する能力を持つ。
 魔力の保有量・生産量・瞬間出力量は生まれつきの才能によって決まるが、多少は訓練などで伸ばすこともできる。
 魔力は一晩熟睡する程度の休息で概ね全回復する。ポーションなどの薬物で即時に回復させることもできる。
 魔力を全て失った生命体は死亡する。ただし普通の人間はある程度まで魔力が欠乏すると意識を失うため、日常生活において魔力枯渇死を心配する必要はない。

〈魔法の属性〉
 大抵の魔法は、火や水などと言った特定の属性を有する。
 属性を持たない魔法は無属性として扱われる。
 属性間に有利不利はほとんどないが、光と闇のように相克し合う関係はいくつかある。
 既存の属性に当てはまらない新属性が発見されることもある。

〈得意属性〉
 ほとんどの生命体は、得意とする魔法の属性を一種類持つ。
 得意属性の魔法は習得コストが低く、行使における燃費が良く、発動する効果・威力も高い。
 そのため、基本的には得意属性の魔法を中心に習得していくのが普通である。
 研究の進んでいない希少属性やユニーク属性の持ち主は独学にならざるを得ない。

 その他質問等あればいつでもお気軽にどうぞ。

前スレ
Part1
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1704196175/)
Part2
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/)
Part3
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part3 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1721452715/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1726896316

◇登場人物:旅の仲間その1◇
……………………………………………………………………………………
【名前】クロシュ
【種族】シャドースライム
【性別】女
【年齢】3
【容姿】羊羹くらいの透明度の粘体に真紅の核。容姿は自由自在だが普段はフメイと同様の黒髪赤目セミロングヘアーロリの姿を取る
【性格】臆病でコミュ能力に難あり。恩は忘れない
【魔法】反映魔法。自分の見え方と質感を知ってるものに変換可能
【備考】親友のフメイと共に、人と魔が助け合って暮らす小さな集落でひっそりと暮らしていたスライムの少女
集落を失ってからは、失踪したフメイを探すために旅を続けている

【能力】
・擬態(外見のみ。属性や能力は変化しない)
・同化(道具や物質の属性や能力を一時的に身に付けることができる。多重使用可)
・合成(同化した物品同士を合成して新しいものを作ることができる)
・吸収(食べたものの技能・能力の一部を稀に身に付けることがある)
・分裂(分体を作成することができる。現在、分体は擬態以外の能力は使えない)
・再現(覚醒時のみ。普段は使えない)

【主な技能】
・剣技[3]
・防御[3]
・魔法[3]
・お絵かき[☆]
・ぱわー[☆]
・毒耐性[☆](お酒にも強い)
・カナヅチ(フメイちゃんのせい)

【主な擬態】
・フメイちゃん(普段の姿)
・犬(犬の姿)
・蜘蛛絹(さらさら)
・スライム騎士、幼女騎士、女騎士(騎士鎧をまとった姿)
・木版印刷機(大量印刷可能)
・貝類(カタツムリやオオキイタニシなど。ゆっくり動く)
・イカダ、小舟、大亀(他者を乗せて水上移動できる)
・光学迷彩(透明になる)
・トカゲ(単独行動時、水面移動、高速移動できる)
・オオキイ(大きくなる。力も強い)
・その他クロシュが直接見たり触ったり食べたりしたもの

【主な同化】
・ウニ盾(ウニ盾騎士の姿。防御+、反撃+)
・メイドブレード(メイド剣士の姿。剣技++、加護+)
・竜珠の杖(魔女っ子の姿。魔法++、全能力+)
・大きな巻き貝(ウミタニシの姿。水属性◯)
・バーニングスライム(炎の姿。炎属性☆)
・踊り子の双剣(踊り子の姿。剣技+、舞踊+++)
・光精の祝福(光の姿。光属性☆)
……………………………………………………………………………………
【名前】妖精
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】秘密
【容姿】銀髪セミショートの妖精。くすんだ光の翅を持つ
【性格】口は悪いが面倒見は良い
【魔法】自然魔法。そこにある自然の力を借りることができる。また、妖精類独自の魔法にも精通する
【備考】クロシュと共に旅をしている妖精。人間嫌いだが、人間以外も割と嫌っている
他の多くの妖精類と同様、固有の名を持たない
生命の在り方を悲観して苦しみのない世界を望んでいるが、それが叶うことのない望みだということもわかっている。それでも望まずにはいられず、諦めて朽ちることもできない
かつて緑の国フォレスティナを興した建国の太母という妖精と同一人物だったことが判明した
【主な技能】
・妖精魔法[9]
・自然属性[9]
・隠密[7]
・カナヅチ

◇登場人物:旅の仲間その2◇
……………………………………………………………………………………
【名前】イリス・プラネット
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】17
【容姿】髪は少し橙が入った赤のポニーテール。身長は女性の平均くらい、やや童顔気味だけどスタイルは良い美少女。旅に適した魔術師のローブを着て、魔術師用の杖を持っている
【性格】明るく元気いっぱい、前向き。基本的に温厚で礼儀正しいが、やや負けず嫌いなところも。善人だが理知的でもあり、考えなしに人助けに走るわけじゃない。けど周りの人に危機が迫ったときはやっぱり体が勝手に動いちゃうときもある
【魔法】属性:星。自分たちが住むこの星の根源の魔力にアクセスする。この星の様々な自然の力を扱うため、火、水、土、風、光など、一見多数の属性の魔法を使うように見える
現在は自身の属性を把握し、小規模ではあるが星属性の魔法を使うことができるようになった
【備考】お師匠様のような立派な魔法使い目指して修行の旅の途中。その中で自分の謎な魔法属性も把握できればと思っている(達成済み)
既に魔法使いとしての腕前はかなりのものだが、お師匠様にはまだ届かないと思っており、邁進中
旅の日記をつけているが、その中でその地域の料理や料理法も書き留めている。彼女自身料理するのも食べるのも好きで、かなり料理上手
元々知的好奇心が強く、結構な知識通。女性の一人旅なので、魔法の他に護身術、杖での格闘術も使えるが、一流の戦士にはさすがに魔法抜きの近接戦は分が悪い
いろんな人とすぐ打ち解けちゃう良く分からない魅力がある。
現在は魔法の修行をしつつクロシュたちと行動を共にしている
【主な技能】
・杖術[2]
・魔法[6]
・五大属性[5]
・星属性[5]
・料理[6]
・水泳[8]
……………………………………………………………………………………
【名前】ミスティ・クローバー
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】16
【容姿】黒を基調とした衣服に身を包んだ、儚い雰囲気の女性。長い黒髪で痩せ気味
【性格】根は心優しいがやや悲観的で冷めている
【魔法】氷
【備考】故郷を襲撃されて天涯孤独の身になって以来、自分にとっての安息の地を求めて旅をしている。動物が好き
現在のパーティに居心地の良さを感じており、無謀な復讐を思いとどまって仲間たちと共に力を付ける道を選んだ
フォレスティナに住む森妖精の子に好かれており、ミスティ自身も彼女を気にかけている
【主な技能】
・短剣術[2]
・魔法[6]
・氷属性[7]
・操ソリ[6]
・カナヅチ
……………………………………………………………………………………
【名前】ローガン
【種族】人間
【性別】男
【年齢】37
【容姿】ボサボサの金髪で無精髭を生やした長身の男性。身なりを整えればなかなかのイケオジ
【性格】元は真面目で正義感の強い性格だったが、今は後述の事件がきっかけで自暴自棄ぎみになっている
【魔法】鋼魔法。魔翌力を使って鋼の武器や防具を作り出したり、その他様々な攻撃が出来る
【備考】かつて、ユーシリア帝国の魔法騎士団に所属していた男で当時はそれなりに名の知れた存在だった。しかし妻と息子が魔物に襲われて命を落とし、騎士でありながら大切な者たちを守れなかった自分に絶望。その後は騎士を辞めて、まるで死に場所を探すかのように放浪の旅を始める
革命前の魔族自治区にてクロシュらと出会い、どうせ死ぬなら今度こそ誰かを守って死んでやろうとの思いでパーティに加入した
【主な技能】
・剣技[7]
・防御[7]
・魔法[3]
・鋼属性[5]
・道具製作[5]
・指揮[4]
・水泳[9]
……………………………………………………………………………………
【名前】エバンス・ブレイカー
【種族】人間
【性別】男
【年齢】23
【容姿】長身で細身ながらも筋肉質な体つき。日に焼けた肌。ボサボサの黒髪、黒い瞳。鋭い目付きだが端正な顔立ち。長剣が武器で、防具は急所を守る程度と比較的軽装。
【性格】普段は冷静だが、情に厚く仲間思い。
【魔法】大地の属性の魔法が得意。使い捨ての品物を作成したり、地面に穴をあける魔法を使う。
【備考】孤児の生まれで傭兵団に拾われて傭兵になった人物。口下手な傾向があり、一言足りていなかったり言い方が悪かったりするのが玉にキズ。
傭兵団では家事を担当しており家事全般が得意で、特に料理はそんじょそこらの飯屋よりも美味しいくらいに得意。
全年齢板で出番はないだろうがR的な能力が非常に高い。
かつてクロシュたちの住んでいた集落の者たちに命を救われたことがある。
集落の危機の際には救援へ駆けつけようとしたが、途中で馬車が谷底へ転落して大怪我を負い、救援に失敗した。
その後港湾都市ウォーターポートで飲んだくれていたところをクロシュたちと出会い、上記の縁もあってパーティに加入した。
【主な技能】
・剣技[7]
・防御[5]
・魔法[3]
・地属性[5]
・料理[6]
・カナヅチ

◇登場人物:集落の生き残り◇
……………………………………………………………………………………
【名前】フメイ
【種族】人間?
【性別】女?
【年齢】10歳前後?
【容姿】背が低く、肩までの長さの黒髪の子供。燃えるような赤い瞳を持つ
【性格】物静かで感情を表に出さない
【魔法】炎属性の魔法が得意。魔法を使う時には髪が赤くなる
【備考】親友のクロシュと共に、人と魔が助け合って暮らす小さな集落でひっそりと暮らしていた少女
自分やクロシュのような者たちが平穏に暮らせる世界を作るために、アリシラと共に星の力である世界樹の光を追っている
本心ではクロシュと一緒にいたいと思っているが、集落のみんなを焼き殺した自分にはその資格がないとも思っている
トコナツ火山島にて星の力[炎]を獲得し、さらなる力を得た
クロシュの周りにいる人間たちのことはあまり快く思っていない
……………………………………………………………………………………
【名前】アリシラ
【種族】人間(半死人?)
【性別】女性
【年齢】15
【容姿】薄茶色の髪をした青白い肌の小柄な少女
【性格】気弱で臆病で周りの人物を気にして常にビクビクオドオドしている
【魔法】吸収魔法(無属性)周囲の生命から魔力を(強制的に)吸収する 自身の魔力に変えて別の魔法として利用することもでき、各属性の魔法の勉強をすれば全属性の魔法を使うことも可能だが加工した分燃費や効果・威力が通常より劣ってしまい、使用した分の魔力はその分周囲から無差別に吸収してしまう
【備考】生まれた時は死産だったが両親の魔力を吸収して蘇生したが、自身の魔法で無理やり生き残った反動なのか常に魔力が少しずつ消耗し、それを補うように自動的に周囲の生物の魔力を少しずつ吸収しながら生きていく必要があった
普段であれば怪我や病気、魔法の使用等で無駄に体力や魔力を消費しなければ日常生活に支障がない程度の吸収量だったため、周囲に気を遣いながら割と平穏に暮らしていた
しかし襲撃者によって殺されかけた時に吸収魔法が暴走し、襲撃者や同じく殺されかけていた両親の魔力を限界まで吸収し殺害。罪悪感を抱えたまま生き残ってしまった
現在は人が変わったような強気な性格になっており、何らかの意志を持ってフメイと共に世界樹の光を追っている
フメイが星の力を獲得したことで、最近は機嫌が良い
クロシュの周りにいる者たちには実はあまり興味がない

◇登場人物:旅は道連れ◇
……………………………………………………………………………………
【名前】メルル・マインドストーン
【種族】魔族と人間のハーフ
【性別】女
【年齢】14歳
【容姿】見た目はほぼ人間の女の子だが、額に第3の目があり、帽子で隠している。緑髪のセミショートへア。体格は年相応
【性格】好奇心旺盛だが、夢中になると回りが見えなくなる。
【魔法】地属性が得意だが、周囲の景色に溶け込める迷彩魔法も使用できる。
【備考】世界のあらゆるものを見たいとあてのない旅をしている
クロシュ一行とは少々の縁があり、時折行動を共にすることがある
一行には命を助けられたこともあり、また再会した時は何かしら恩返しがしたいと考えている
……………………………………………………………………………………
【名前】リュアン
【種族】人間
【性別】女
【年齢】17
【容姿】銀のウェーブのかかったセミロングにキラキラとした青の瞳。身長は130cm前半と小柄。胸は平坦(大分気にしている)
【性格】大人しいが自分の中の信念は絶対に曲げない頑固者。メンタルは年齢相応
【魔法】光魔法(?)。眩い光を放つ。現時点では目眩しとしてしか使えないが……?
【備考】従者と共に追手から逃げていたお嬢様。従者は既に亡くなっている。
自身の魔法が何やら特別なものであるらしく、その存在を知られてからというもの、行く先々で襲撃に遭うように。
何気に足が速い。
旅の途中で触手から逃げているところをクロシュ一行に助けられ、一時期行動を共にした。クロシュからはちゃん付けで呼ばれている

少し前、芸術都市の悲劇に巻き込まれて自分を守ってくれていた従者を失った
最近、芸術都市の郊外で開催されている新興宗教の集会に参加している姿が目撃されている
……………………………………………………………………………………
【名前】暗黒行商少女
【種族】人間(たぶん)
【性別】女
【年齢】10代半ばくらい(正確な年齢は本人にもわからない)
【容姿】黒髪ツーサイドアップ。ややツリ目。エプロン系の装備を身に着けていることが多い
【性格】利己的。調子に乗りやすい。仲間とみなした相手にはかなり甘い
【魔法】闇魔法。護身術程度には使える
【備考】港湾都市ウォーターポートでクロシュ一行に魔導飯盒を騙し売りした詐欺商人
元は出自不明の孤児だったため、他者の助けを借りず自力のみで生きようとする意思が強い。詐欺については騙される方が悪いと思っている
紆余曲折あって幽霊船に監禁されていたところをクロシュ一行に救助され、一時期行動を共にした
クロシュ一行と共に過ごしてからは少しだけ考えを改め、違法な商売は控えるようになる
一行には命を救われたことや他様々な面倒を見てもらった恩があり、必ず恩を返すと約束した
その後商業都市イスファハーンで再会を果たし、クロシュ一行に助力している

◇登場人物:セイントレア王国◇
……………………………………………………………………………………
【名前】サイン
【種族】人間
【性別】男
【年齢】享年22
【容姿】金髪碧眼。襟足長め。全体的に華奢で小柄。
【性格】何事にも揺れない(様に見えた)、冷静沈着で口数が極端に少ない
【魔法】光魔法。出力がおかしい。地形に影響があるくらいは朝飯前
【備考】故人。勇者と称された人物
魔族自治区が成立したあたりで突然血を吐いて斃れた。王国は彼の死を隠蔽している
……………………………………………………………………………………
【名前】セイン
【種族】人間?
【性別】男?
【年齢】10代前半程度?
【容姿】金髪碧眼。襟足短め。外見年齢相応に小柄。
【性格】冷静沈着で口数が少ない
【魔法】光魔法。出力がおかしい。地形に影響があるくらいは朝飯前
【備考】勇者サインに似た容姿の少年。勇者サイン同様、強力な光魔法を操る
王国の尖兵だったり、緑の国の革新派の護衛だったり、ロイエ教原理派幹部の仕事仲間だったりするが、彼の正体や目的は未だ闇に包まれている
船を失って漂流していたところをクロシュ一行に救助され、一時期行動を共にしたことがある。その縁もあってか、クロシュ一行と争うことには消極的な姿勢を見せる
芸術都市での大破壊の後、生死の境を彷徨ったが奇跡の生還を遂げる。理由はわからないがセインは生還できたのはクロシュたちのお陰だと考えており、クロシュ一行とは争いたくないという思いを強める
……………………………………………………………………………………
【名前】ガッタ・ファーブ
【種族】人間
【性別】男
【年齢】50
【容姿】身長は高い。白髪で頭部の両端にクワガタの顎のような髪型をしている。鼻は少し長くカイゼル髭を生やしている。白衣を着ている。
【性格】昆虫(もしくは昆虫型モンスター)が好きでいつも昆虫の事を考えている。人をあまり信用していなく疑い深い性格。ネチネチと小言をよく言っている。小言が多いが仕事仲間には優しい気にかける事がある。
【魔法】昆虫魔法
・普通の昆虫を使役し操る事が出来る。
・オリジナルの昆虫を召喚して操れる(例えば火に耐性があったり、切っても分裂できる等)。
・自身の体の一部を昆虫の一部に変える事が出来る(例えば背中に蝶々の羽を生やす、両足をバッタの足に変える等)。
【備考】王国で護衛兼学者とやっている。結構頭もよい。昆虫に関する論文で高い評価を受けたり、新種の昆虫型モンスターを発見したして、学者の間では結構有名。武術も強く、護衛の為に習ったら才能が開花した。武術に関しては王国の騎士隊長以上に強くなっている。その強さから王国にも認められている。王国の命令があれば必ず遂行する。セインとはともに仕事した事がある。自身の魔法もおり混ぜて戦う戦闘スタイル。一人称は「ミー」でよくカイゼル髭をいじっている。
セインのことはかなり気に入っており、フレンドシップを感じているらしい
……………………………………………………………………………………
【名前】アルベール・ド・セイントレア
【種族】人間
【性別】男
【年齢】45
【容姿】長身ですらりとした姿
茶髪で肩ぐらいの髪
【性格】穏やかで理知的
有事には威厳のある王として振る舞う
【魔法】炎属性のみだがかなり上位の腕前
【備考】王国(の人間)の民には優しく公平な王
王としての才覚もなかなかのもの
一方で魔族には過激かつ排他的な政策を進める
そのあまりの差には一部の側近にも不思議に思われている
王国に代々伝わる炎の魔剣を自在に扱い、個人的な武力は世界でみてもかなり上位
実はかなりの愛妻家
卑劣なテロには断固として戦う意思を国民に示し、芸術都市の悲劇を経てその支持率は更に高まった

◇登場人物:魔族国◇
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【名前】フラナ=バイオレット
【種族】吸血鬼
【性別】女
【年齢】439歳
【容姿】金髪ロングの幼女
【性格】ややわがままだが知識・経験は豊富
【魔法】血を操る魔法が得意だが闇魔法も使える
【備考】日の光はある程度平気なのでよく外に出て魔法薬の材料を探している
現在の魔族国の実質的な統治者だが、本人は早く後任を見つけて魔法や薬の研究に没頭したいと考えている
姉についての手紙を受け取って以降ややピリピリしており、クロシュの無茶な行動を聞いた際はその軽率さに苛立ちをつのらせた
しかし後にクロシュがまだ幼いスライムであったことを思い出し、イリスへクロシュを見捨てるよう促す手紙を送ったことを後悔している
……………………………………………………………………………………
【名前】マリー・セイントレア
【性別】女
【年齢】24
【容姿】金髪ショート、スレンダー体型
【性格】真面目
【魔法】身体強化魔法が得意な他、雷魔法も使える
【備考】現セイントレア王の子息。王族内での地位は高くない
内心は皆仲良くできればな・・・と願っているがなかなかうまく行かない
王国騎士団魔族自治区駐屯地の部隊長だったが、現在は魔族国の捕虜となっている
最近捕虜にも労働が課されることとなり、アラクネたちの指示に従って蜘蛛絹の製糸を手伝っている。依然として自由は制限されているが労働条件は悪くなく、充実した捕虜生活を送っている
ミュージアの悲劇を聞き及んだ際は激しく動揺した。敵国であるにも関わらず支援物資を送った魔族国には感謝している
……………………………………………………………………………………
【名前】聖女
【性別】女
【年齢】19
【容姿】亜麻色の髪を背中の辺りまで伸ばした、柔らかい雰囲気の女性。普段は修道服に身を包んでいる
【性格】博愛の心を持つ
【魔法】ロイエ教の神聖魔法を修めているが、得意属性は異なるため習熟度は低い
【備考】ロイエ魔族国教会に務める年若いシスター
誓願を立てた時に彼女の名は神へ捧げられたため、個人名を喪失しており、魔族国の者たちからは様々な意図を込めて〝聖女〟と呼ばれてしまっている
なお現在のロイエ教において名を神に捧げる習わしを堅持している派閥は多くなく、穏健派を初めとした多くの派閥ではその習わしは時代にそぐわないとして撤廃する方針が主流となっている
普段は炊き出しや子供の遊び相手を務める他、教育を受けられていない子供たちに読み書きを教える等、様々な奉仕活動を献身的に行っている
少し前に教会からの緊急要請があり、復興支援の為に単身芸術都市ミュージアへ向かった。魔族国の子供たちやオークたちは寂しがっている

◇登場人物:緑の国フォレスティナ◇
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【名前】ティセリア
【種族】エルフ
【性別】女性
【年齢】約1500才
【容姿】外見では二十歳前後。緑髪のポニーテール、スタイル抜群の爽やかな雰囲気の美少女
【性格】明るく快活ながらも、慈愛と威厳も併せ持った女性
【魔法】精霊との親和性が非常に高い。様々な属性の精霊の力を借り、千年以上の研鑽を積んだ武術に上乗せする
【備考】
他種族との平和な暮らしを望む、冷静で大局的な判断もできる首長
多忙ではあるが、他の国の文化も興味を持って知ろうとしている
お菓子作りが得意で身近な人におすそ分けしたりしている
彼女の魔翌力が籠もったお菓子は食べると心身ともに元気になる
精霊や子供に懐かれやすいが、懐かれやすすぎてちょくちょくじゃれつかれまくってあわあわ言ってる
現在は鎖国したフォレスティナにて、世界樹の光を追って旅立った妖精の代わりに政務を執っている
ここ最近は鎖国の混乱も落ち着き始めており、余暇を使って木苺堂の手伝いや子供たちとの触れ合い、森妖精の子へのお菓子作り指導などを行っている
芸術都市ミュージアの悲劇を聞いた際は、敵国であろうとも民に罪はなしとして支援物資の輸送を決意した
……………………………………………………………………………………
【名前】サリー(紫髪のエルフ幼女)
【種族】エルフ
【性別】女
【年齢】約1000歳
【容姿】見た目は紫ショートの幼女
【性格】冷静沈着だが時折腹黒な一面も
【魔法】基本地属性魔法が得意だが、幻術も使える。
【備考】ティセリアの補佐を務めるエルフの少女。
毎日業務に追われるもそれが使命だとして日々励んでいる。その経験からか人の心を見透かすこともできる。
現在は首長代理であるティセリアの補佐を務めつつ、鎖国によってダメージを受けた産業の根を絶やさぬよう尽力している
鎖国の混乱も落ち着いてきた最近は、ティセリアが手伝う木苺堂でスイーツに舌鼓を打つ姿が度々目撃されている
なお風船スライムと風の精霊の力でミュージアへ安全かつ大量に支援物資を送るアイデアを考案したのは彼女である
観光客に人気だった風船スライムたちも現在は暇を持て余していたため、その仕事を快く承諾してくれた
……………………………………………………………………………………
【名前】マーベル・クライス
【種族】エルフ
【性別】男
【年齢】約600歳
【容姿】フォレスティナの伝統衣装の上に今国際的に流行りのブランドマントを着けている。笑顔が特徴的な薄金髪のお兄さん。
【性格】脱田舎思考のシティボーイ。新しい物好き。気さくな時とシリアスの時のギャップがある。
【魔法】金属を生み出し操る
【備考】世界を渡り歩いた国際通として革新派から出馬。人当たりがよく選挙活動の一環で街に出没して色んな人に握手を求める。
森しかない祖国に多少のコンテンツを増やす目的で一部森林の開拓を主張する。レジャーやスポーツ、その他娯楽施設を開業することで国民の幸福度は上がるわ、業者から裏金が入ってくるわとWin-Win。彼の事務所には王国やその他の外国の者たちが出入りしてるが、いったい何なのだろうね。
祖国は歴史的に伝統派が強く、そのため進歩が止まっている事実に悲観し、森>進歩の現状を変えようと心から思っている。それはそれとして汚職はする。
現在はフォレスティナの地盤や星脈の状態調査や、鎖国が解かれた時の為の再開発計画作りに勤しんでいる
ここ最近は事務所を空けていることが多く、フォレスティナ内でも姿を見かけないことが多い
マーベル印の機械製品は妖精や精霊たちからは評判が悪いが、ドワーフや馬頭族からはとても評価が高い

【名前】森妖精の子
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】7歳
【容姿】深い緑色の髪をサイドテールにした、妖精の幼子
【性格】気弱で泣き虫。命を愛する心を持つ
【魔法】癒やしの魔法。特に植物へ施すのが得意だが、毒や呪いを浄化するほどの技量はまだない
【備考】とても幼い森妖精の子。自身の住処であるおうちの木の中で生まれ、おうちの木に守られながら育った
おうちの木を救ってくれた復権派に深く感謝しており、特に依頼を受諾してくれたミスティを慕っている
本心ではミスティに緑の国にいて欲しいと願っていたが、旅人であるミスティを縛り付けてはいけないという思いもあり、口には出せなかった
最近はティセリアの指導により、お菓子作りが上達してきた。将来の夢はおうちの木で小さなお菓子屋さんを開くこと
芸術都市への支援物資には木苺堂の日持ちするお菓子も入っており、その中には彼女が丁寧に作ったお菓子も含まれている

◇登場人物:トコナツ火山島◇
……………………………………………………………………………………
【名前】モーリィ・フースーヤ
【種族】半竜人
【性別】女
【年齢】2000歳
【容姿】赤毛ロングの小柄な少女
【性格】勝気な性格
【魔法】火炎魔法・素手も強い
【備考】トコナツ火山島の島長(しまおさ)。親のドラゴンの血で不老不死となっており、勝気ながらも達観した所もある
現在は火山活動によってもたらされた被害地域の復興活動を精力的に行っている。自分の力のみで事態を収めようとして失敗したことは反省しており、最近はコルトを初めとした周囲の人員ともよく話し、他者に仕事を任せることも増えた
最近は星竜の子供に竜としての生き方を指導しているが、教えるのはあまり上手ではないらしく、コルトや溶岩エイにしばしば助けられている
……………………………………………………………………………………
【名前】コルト・キャルト(猫人の男)
【種族】猫の獣人
【性別】男
【年齢】35
【容姿】茶髪で猫の耳がある。顔に猫の髭。糸目。茶色の猫の尻尾がある。背が高く、痩せ型。
【性格】どんな方にも紳士的に対応する。
【魔法】(主に使う魔法や得意属性など)
砂魔法(砂を操る事が出来る魔法。砂嵐や流砂も作れる)剣と組み合わせて切れる砂を放つ。
【備考】元々別の国の出身だが若い頃にトコナツ火山島に移っている。生態系を研究している学者だったが現地の人達との交流を重ねて今では火山島でも一目置かれる名士となった。レイピアを所持しており、戦闘では魔法と合わせてそれを使っている。どんな方でも敬語で話す
現在はモーリィと共に復興活動を行っており、人の住む地域だけでなく動植物や魔物の住む場所の保全にも力を入れている
故郷であるテラヌス・ウルスの干ばつ被害を心配していたが、最近島を訪れた猫耳の商人から近況を聞いて一安心した
……………………………………………………………………………………
【名前】レッド
【種族】バーニングスライム
【性別】男
【年齢】1000
【容姿】ボコボコマグマを垂れ流している危ないスライム。
【性格】面倒見が良い。
【魔法】冷凍魔法
【備考】マグマを垂れ流すその姿から、周囲に疎まれていた。そのため、世界中を放浪しており最終的にこの島にたどり着いた。周囲にマグマを垂れ流し嫌われることに耐えられなかった彼は冷凍魔法を極め自身を常に冷やし続けている。それはバーニングスライムである彼からしたら苦痛でしかないがもう誰からも嫌われたくなかった。
現在はモーリィらの復興活動の手伝いをしつつ、クロシュたちの身を案じている。少し前、なんとなく自分の欠片が役立ったような気がした
星の力がもたらした異変はひとまず沈静化しているものの星脈は未だ安定していないらしく、最近は溶岩エイと共に火山内の見回り活動などをしている
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【名前】エイパチ(黒丸メガネのタコ人おじさん)
【種族】半タコ人
【性別】男
【年齢】55
【容姿】スキンヘッドでムキムキの腕4本脚4本。黒丸メガネ着用
【性格】ストライクゾーンが広く女の子に甘いが気のいいおっちゃん
【魔法】吐く墨で色々な物を作れる(主に料理道具)
【備考】トコナツで屋台やってる料理人。観光客はいいお客さんなので良くしてくれる。人魚の肝っ玉お嫁さん持ち
復興地で炊き出しを行い赤字を出したが、お嫁さんは了承済みのため気兼ねなく大盤を振る舞った
最近東の方から島を訪れた人魚の一団に鼻の下を伸ばし、お嫁さんにそれを目撃され無事折檻された

◇登場人物:芸術都市ミュージア◇
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【名前】レーティア・フォン・ロスチャイルド
【種族】人間
【性別】ないしょ
【年齢】ないしょ
【容姿】中性的で笑顔が素敵な白髪美人
【性格】お人好しでよく騙される正直者と思いきや結構頭はキレる。善人が好き。
【魔法】闇魔法
最近闇魔法の出力が上がっている気がする
【備考】とある大富豪一族の一人。お金や権力の闇を散々見てきたから、そんなものに染まりたくないと出奔。芸術家になる。一族からは高位の職につけと圧力が加えられている。散々見てきた真っ黒い人たちは少数派だ。人の性は善だと信じて、誰かが困るとお金を貸したり、助けたりと人の言ったことを信じて生きてきたがどうにも騙されることが多い。金持ちも貧乏人も悪性は変わらないのかとうちひしがれ、自分の心まで真っ黒に染まりそうなところを芸術に逃げることで何とか立ち止まっている。別にお金なんていくら盗られても問題じゃない。でも心が痛い。正直芸術のセンスより金稼ぎのセンスの方が高い。そのため、売れない芸術家であるのにこの街ではかなりリッチな生活をしている。
先日の芸術都市で起きた惨事に対しては、個人として最大の支援を行っている。元々お金はあり余っていたため出費はそれほど痛くないが、どちらかと言うと数多くの芸術が失われてしまったことに心を痛めている
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【名前】芸術妖精
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】秘密
【容姿】金髪ショートの妖精。三角巾に塗料で汚れたエプロンを身に着けている
【性格】陽気。やや迂闊
【魔法】自然魔法。練度はそこそこ
【備考】芸術都市ミュージアで活動している芸術家の妖精
美術、工芸、彫刻など、物質的なものづくりに関する技能は一通り習得している。演劇も多少できる。音楽は不得意
普段は似顔絵描きをやったり、レーティアの提案で〝売れる〟ものを作ったりして生計を立てている。芸術作品と商用作品は別物と区分けしている
近年はややスランプ気味……だったが、レッサースライムたちに食われかけたこと、クロシュに助けられたこと、そのクロシュが芸術的ぱわーを秘めていたことなど、多くの出来事が立て続けに起こり、ここ数年間感じられなかった自身のぱわーが再燃してきた
芸術祭が終わった後は緑の国フォレスティナへ向かう予定だったが、荒れ果てた芸術都市に背を向けて一人街を出る気にはなれず、結局街に残って復興支援活動を行っている

◇登場人物:砂漠都市テラヌス・ウルス◇
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【名前】ヨードリー・ソウル・ソサエティ
【種族】人間(魔族とのクオーター)
【性別】女
【年齢】100歳
【容姿】銀髪ロングの女性。スレンダー体型。
【性格】真面目
【魔法】風・闇魔法が得意だが、剣技にも秀でる。
【備考】テラヌス・ウルスの議会において最も高い影響力を持つテレス族の首長
先代から首長の座を受け継いだばかりで、先代に恥じぬために日々頑張っている。
料理が得意。
砂漠の干ばつが解決した今は、光のミイラの襲撃によって破壊された街の修繕等を精力的に行っている
魔族を追い出さずに済んだことで重圧からも解放され、以前よりも顔色が良くなったと評判
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【名前】アニス・スターグラス
【種族】人間
【性別】女
【年齢】20代後半
【容姿】長い艷やかな黒髪、褐色肌に瞳の色は紫。身長160cm後半
砂漠の国風のやや露出多めのへそ出し衣装(フェイスベール付き)を好んで着用する。真面目な会談の時などには王国風の正装を着こなす
【性格】あらあらうふふ系お姉さん。語尾を「〜」で伸ばす癖がある
いつも柔和な笑みを浮かべているが、商家の長らしく抜け目のない強かな性格で国や家のためなら非情な決断を下す胆力も併せ持つ
【魔法】氷系統の魔法。「魔法の才能はあまりない」と称し普段は周囲をひんやりさせる程度に留まっているが
その実才能を隠しており、いざとなれば周囲一帯を凍結させてしまうほどの力を秘めている(消耗が大きい&ここぞというタイミングまで切札的に伏せている)
【備考】テラヌス・ウルス議会議員の一人。テレス族の幹部
若くして急死した父親の跡を継いだ才女であり、テラヌス地方の商人ギルドであるテラヌス商会を束ねる大商長でもある
人・魔の関係においてはどちらかに大きく肩入れすることなく中立的なスタンスを保つが、その思想の根底には子供の頃から親しかった魔族の幼馴染が大きく関わっているらしい
先代から跡を継いだばかりのヨードリーと境遇が近いこともあり、首長としてまだ少し不慣れなヨードリーを支える
干ばつが解決し国内情勢も安定してきた最近は、本業であるテラヌス商会での活動に注力している
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【名前】ラハニ四世
【種族】人間
【性別】男
【年齢】80
【容姿】金刺繍を施したターバンを頭に巻いた、痩せぎすのおじーちゃん。刻まれた深いシワも相まって枯れ木のような印象を受けるが、鋭く赤い瞳からは生命力の強さを感じる
【性格】丁寧な口調ながらも意思を曲げない頑固者
【魔法】金細工魔法。テラヌスの結構な収入源になっている
【備考】テラヌス・ウルスの議会において二番目に高い影響力を持つスピーゲル族の首長。より多くの人々のため、少数が犠牲になるのを是とするが、それはそれとしてテラヌスという共同体全体が出来るだけ良い条件で王国と結びつくべきと考えていた。その交渉をやり遂げる自信もあった
しかしその後干ばつ解消により王国と連帯する必要がなくなった際は、非人間排斥法案をあっさり取り下げる。未だ野心はあれど、国益を損なう行為は彼の本意ではないからだ
現在はテラヌス商会のアニスと共に金細工の販路拡大を模索している
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【名前】ミラ・スピーゲル
【種族】人間
【性別】女
【年齢】28
【容姿】スタイル抜群の金髪美女だが、いかにもプライドの高そうな雰囲気を漂わせている
【性格】プライドと自意識と上昇志向の塊。自分の考えは絶対に正しいと信じて疑わない
【魔法】鏡魔法。魔法を反射させたり自分の分身を作り出したりする事が出来る
【備考】テラヌス・ウルス議会議員の一人。スピーゲル族首長ラハニ四世の実孫
生まれも育ちもテラヌス・ウルスだが、幼少期にとある魔族の一団に両親を殺害され、魔族に対して強い憎しみを抱くようになる
それ以降は魔族を排斥するべく、様々な手段や首長の孫という身分を駆使して今の地位まで成り上がった
水不足の問題が持ち上がった時は、これ幸いとばかりに中立を捨てて王国の支援を受けるべきだと訴えた
現在は非人間排斥法案が否決され魔族を追い出すことに失敗し、失意と酒とシーシャにまみれた日々を過ごしている
スライム排除の依頼を冒険者ギルドに出したのは彼女だが、実はスライムのことは人型の魔族ほど嫌いではないらしい

【名前】リアンノン・ルルゥ
【種族】亜人(通常の人間形態と爬虫類系の亜人形態の両方の姿を持ち、自由に変身できる種族)の父と人間の母のハーフ
【性別】女性
【年齢】17
【容姿】(人間時)緑の髪を三つ編みにした細身の華奢な女性。
(爬虫類型に変身時)2メートル程の体躯と鋭い牙や爪、長い舌や大きい尻尾をもつ二足歩行の緑色のトカゲ。血液も緑色になる
【性格】引っ込み思案で大人しいが心優しい性格
【魔法】水魔法。爬虫類型に変身時は牙や爪や舌や尻尾を駆使した格闘術、強酸性の血液や胃液を水魔法を使って飛ばしたりする
【備考】テラヌス・ウルスの議会における影響力の低い少数部族ホトルスの首長。前首長の父が急死したことで若くして後を継いだ
完全な人間とも魔族・魔物とも違う微妙な立場だが、それでも自分を頼ってくれる人の為に首長の役目を勤める
以前はトカゲに変身した自分の姿があまり好きではなかったが、クロシュに褒められたことで少し好きになれた
最近は大柄で力強いトカゲの姿を生かし、都市の警備や力仕事などを積極的に行っている。光のミイラ襲撃事件での活躍により兵士や住民たちから人気を獲得し、今では大きなトカゲの戦士として人々に親しまれている
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【名前】ベスティア・バッドエンド
【種族】悪魔
【性別】女
【年齢】2000
【容姿】黒髪長髪で虚ろな目をした美人さん。強力な認識阻害結界を自身にかけているため、立派な悪魔翌翼と悪魔角を持つが他者はそれを認識できない。自称人間。
【性格】誰よりも優しい臆病者
【魔法】結界魔法。常に薄い皮膜のような防御結界を自身にかけているので、奇襲に強い。その他様々な結界を自身に張っている。
全力の防御結界は世界の何よりも硬い。
【備考】ホトルス族の一員。首長であるリアンノンの補佐を務める
悪魔族は魔王化しやすいという迷信が古くから信じられており、差別排斥の対象となることが多かった。そんな中逃げるように各地を放浪していた彼女は、テラヌスウルスに辿り着く。自身が悪魔だとバレるのが何よりの恐怖であるが、困っている人がいると助けずにはいられない。そのため首長補佐という面倒事を引き受けている。自分なりに差別のない理想郷を創りたいと思っているが、何もなせていない絶望が強い。
クロシュヴィアとは腐れ縁で2000年近く昔、理想郷の建設を語り合った仲だがいつしか離散。
干ばつ解消後もホトルス族で魔族の地位向上を目指して活動を続けている。長く生きてきた分知識や技術が豊富な為、物知りな先生として慕われることが多い
クロシュヴィアの提唱したデロデロの世界をあの時は否定したものの、結局何も為せなかった自分に彼女の理想を否定する資格などあったのかと悩んでいる

◇登場人物:国際商業都市イスファハーン◇
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【名前】リチャード・デンネル
【種族】人間
【性別】男
【年齢】36
【容姿】スーツを着ており、背が高く筋肉質。スキンヘッドでサングラスをかけている。腰には蛇腹剣を付けている。
【性格】平等主義者で人、魔物関係なくフレンドリーに接している。流行に敏感。
【魔法】頭脳魔法(ユニーク魔法で自身のIQを上げる魔法)、雷魔法。
【備考】イスファハーンで最も大きな富と権力を持つ一族の当主。かつてはある魔法騎士団の参謀を勤めていたが辞めてからは当主となる。その頭脳を活かし都市経済をさらに発展させた。戦闘も得意で頭脳魔法で相手の魔法や攻撃などを瞬時に分析、相手の攻撃や動きを何パターンか予測する事で対応できる。他にも蛇腹剣を巧みに操り、雷魔法を駆使する。フラナ・バイオレットやマーベル・クライスとは個人的に親交がある
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【名前】エミリオ・ゲンズブール
【種族】人間
【性別】男
【年齢】12
【容姿】サラサラとした金髪の美少年。服装は見るからに高そうなスーツに半ズボン
眼の色は髪同様に金色だが、魔法発動時は片眼が紫色のオッドアイ状態になる
【性格】子供とは思えないほど落ち着いており、常に丁寧な口調で話す
だがそれ故に年相応の子供らしさは感じられず、却ってそれが不気味さを漂わせている
【魔法】魔眼魔法。この魔法の使い手は彼以外にも複数確認されているが、どのような効果が現れるかは使い手によって大きく異なる
ちなみに彼の場合は相手を見つめることで相手が最も恐れているものの幻覚を見せ、心身共に蝕むというものである
殺傷能力はないが、場合によっては精神が崩壊して最悪死に至ることもある
【備考】イスファハーン最大富豪であるデンネル家の分家、ゲンズブール家の現当主
先代の当主であった父が病に倒れた為、代理という形で12歳という異例の若さで当主を務めることとなる
当初は子供が当主を務めることに反発も多かったが、幼い頃から父に徹底した帝王学を叩きこまれていたお陰で、いざ当主の座に就くとその手腕を遺憾なく発揮し周囲の声を一気に反発から称賛へと変えることに成功する
だがその一方先代の病気に関して、「自分は父よりも優秀な存在だ」と感じた彼自身が当主の座を奪う為に引き起こしたのではないかという噂がまことしやかに囁かれており…
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【名前】シュヴィア・オーデルシュタイン
【種族】オリハルスライム
【性別】男
【年齢】1200
【容姿】煌めく黄銅色のスライム。人間に擬態する際は、むすっとした顔のスーツを着た黄銅髪の青年の姿をとる。
【性格】気難しい
【魔法】空間魔法
【備考】オリハルスライムの中でも希少金属の含有量が大幅に高く、オリハルコンそのものスライム。レア中のレア。何しても物理的なダメージは受けない。しかし希少なスライムだと追いかけ回され攻撃され、それで身体が傷付くことはないが心が痛くて仕方がない。レアというだけで誰も受け入れてくれない恨みつらみが現在の彼を形作っており、基本的に同じオーデルシュタイン家の者かスライムにしか心は開かない。人間、特に冒険者は嫌い。
攻撃されるトラウマから強力な兵器や私兵、諜報機関を作り上げた。反撃能力を越えて他国と大戦争でもするつもりかという武力を備えてしまっている。大昔に存在したと言われるスライムの王国を復活させることが夢。スライムたちが幸せで脅かされず安寧に生きていくためには武力が必要と結論付けた。
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【名前】グラドス
【種族】阿修羅
【性別】男
【年齢】34
【容姿】癖毛で長い黒髪。焼けたかのような赤い肌。一見長身痩躯だが筋肉質ないわゆる細マッチョで、四本の腕を有する。獰猛な野獣を思わせる野性味溢れる面構え。
【性格】三度の飯より戦が好きな生粋の戦闘狂。堅気の人間に(積極的には)手を出さない主義で、戦闘が絡まなければ気の良いあんちゃんでもある。イスファハーンの中では善良な人物。
【魔法】天
【備考】シュヴィア・オーデルシュタインが運営するオーデルシュタイン軍警に務める精鋭の一人。なおオーデルシュタイン軍警は戦闘や警備業だけでなく、傷病者への各種支援や福祉、基地や街道をはじめとしたインフラの整備など幅広い分野の産業を担う巨大複合企業でもある。
グラドスはイスファハーンに古くから存在する名門の一族の当主で、野性的な顔立ちとは裏腹に古風な話し方をし頭も良く一族の当主としても前線の指揮官としても非凡な才覚を見せる。
己の生き方を何よりも優先するタイプで、それゆえに自身も前線に出て強い者に戦いを挑む癖がある。
王国の異種族排斥に対しては「気に食わない」と思う反面、闇雲に戦争することには反対であり、シュヴィアには王国内の穏健派や反体制派への支援、異種族の保護などを推進し避戦を働きかけるよう提言している。
魔法を剣に纏わせて戦う魔法剣士で薙刀と投げナイフが武器。防具は急所を守る程度の軽装。
手数の多さと初見の敵でも弱点を見抜き攻める洞察力、対応力の高さなど攻撃能力が非常に高いのが特徴で、四つの魔法を合成するという切り札を持つ。
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【名前】シモンズ・オーガス
【種族】人間
【性別】男
【年齢】45
【容姿】青髪でリーゼント。マッチョの大男。タバコを咥えている。ハンマーを装備している。
【性格】情に厚く涙もろい、豪快な性格。
【魔法】岩石魔法(地属性の亜種で岩石を操る事が出来る)
【備考】シュヴィア・オーデルシュタインが運営するオーデルシュタイン軍警に務める精鋭の一人。元傭兵をやっていた事があり、武器や兵器など詳しい。誰かを守りたいと思う気持ちがあって都市の防衛や治安を守っている。本人の性格から魔物にも人気がある。ハンマーで豪快に攻撃したり岩石魔法をハンマーに纏う事も出来る。もちろん岩石魔法で攻撃も出来る。どんな攻撃を受けても最後まで立っていた伝説がある。
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【名前】マリッサ=マガジン
【種族】人間
【性別】女
【年齢】不明
【容姿】金髪ショートで青い服を着た女性
【性格】普段は冷静沈着だが可愛い「女の子」を見ると理性を失い暴走する
【魔法】土や布でできた人形を操る魔法や、光魔法が得意
【備考】イスファハーンの文化・芸術を支える一族の当主。
自分のミスで友人を死なせた過去を持ち、彼女の精巧な魔導人形を製作する研究を続けている。

◇登場人物:シノホシ◇
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【名前】レイン・フォール
【種族】エルダーサキュバス
【性別】女
【年齢】120
【容姿】金髪オッドアイで黄色いパーティードレスを着たナイスバディ美人。泣きぼくろがチャームポイント。
【性格】気が強く孤高の寂しがり屋
【魔法】心理支配が最も得意で催眠や読心などを行える。
攻撃系統だと闇魔法も得意。触れたら消滅する強力な闇の塊を生み出し操るが、心理魔法ほど練度は高くない
【備考】かつて勇者サインと恋に落ちたサキュバス。勇者に一目惚れしてつきまとうようになり、いつしか勇者も受け入れてくれた。何故魔物である自分を受け入れたのか、そんな勇者の心は魔法をもってしても最期まで見透かすことができなかった。今はもう愛した勇者はいない。たった一人になった彼女は、勇者に誘惑催眠をかけたサキュバスと人類社会から烈火の如く憎まれ、勇者と仲良くしている裏切り者と魔物社会からも侮蔑の限りを尽くされていた。それらに抵抗するうちにいつの間にか国際指名手配の極悪人。賞金稼ぎに狙われ、傷つけられ、既に心は世界への復讐心にとりつかれていた。そのため、今では自分を迫害してきた社会に対して、悲しみと怒りをぶつける手段としてテロに興じる。
彼女はただの一度だって勇者に催眠をかけたことはない。あの時感じた純粋な恋心を魔法なんかで汚したくはなかった。
現在は国際テロ組織シノホシに所属し、勇者を死後も利用し続ける王国を破壊する為に活動している
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【名前】フレメア=バイオレット
【種族】吸血鬼
【性別】女
【年齢】444歳
【容姿】赤毛ロングの幼女
【性格】普段は無口だが怒ると暴言をまき散らす
【魔法】巨大化魔法。全身は勿論一部分だけ大きくもできる。
【備考】フラナの腹違いの姉。より高位の魔族を血を受け継いでいる
妹との仲は悪く、互いに家族の情はほとんどない
かつて強烈な破壊衝動で理性を失い荒野を彷徨っていたところをザイルに発見され、狂気を除去されて助けられた
現在はその恩人であるザイルが指揮するテロ組織シノホシに所属し、不真面目に活動している。シノホシのことはそれなりに気に入っている
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【名前】アウル・フォクシー
【種族】狐の獣人
【性別】男
【年齢】25
【容姿】銀髪で狐耳と狐の尻尾がある。顔は整っておりイケメン。長い槍を背負っている。いつもニヒルな表情をしている。
【性格】腹黒い性格。本人は自覚していないがナルシストなところがある。
【魔法】毒を操る魔法(毒液や毒霧も可能)
【備考】昔暮らしていた村が人間によって滅ぼされてしまった過去がありそれ以降人間を憎んでいる。魔物に対しては結構普通に接している。ある組織に所属している。槍術と毒の魔法が得意。腹黒い性格もあって騙し討ちもする事がある。テンションが上がるとヒステリックな笑い方をする。実は緑の国に滞在時、世界樹の果実を潰しそれから五色の光が放たれている様子を目撃している。
人間への復讐を果たして魔族が平穏に暮らせる国を再興するというザイルの理念に賛同し、テロ組織シノホシの構成員となった

【名前】セレスティア・ベールグラッド
【種族】ドラゴン
【性別】女
【年齢】1800
【容姿】赤いドレスと赤い眼、金髪、立派な龍角を持つ妖艶美人で真の姿は赤いドラゴン。龍角から加工した大業物の槍を持つ。
【性格】面白いものが何より好きで、退屈が何より嫌いな気分屋。自由人。基本は気さくだが、心から誰かを愛さないし心から憎むこともないどこまでいっても爬虫類。仲良くなった相手でも必要があれば敵対するし、その逆もある。
【魔法】ドラゴンとしての溢れる魔翌力を魔法というよりドラゴンブレスとして雑に魔翌力の塊をぶつけるだけのストロングスタイル。変身魔法も使えるが杜撰。
【備考】国際テロ組織「シノホシ」のメンバー。面白そうというだけで特に目的意識も忠誠心もない。組織のメンバーになれるだけにかなりの実力者。組織の任務以外には傭兵業をこなして生計を立てている。世界でも稀な純正純粋のドラゴンだが、めんどくさいいざこざに巻き込まれないため普段は人間の姿をしている。しかし度々龍角が生えちゃうくらい爪の甘い変身っぷりで、その度にファッションだからと変な言い訳をしている。空を飛べ、普段はフワフワ空中で揺られながら昼寝してる。気に入った相手は背に乗せてくれる。気に入った相手でも必要であれば躊躇なく殺す。空から不法入国を繰り返す常習犯。本質はどこまでも冷めた人であり、戦いの中で、唯一ひりつく感情の中で死にたい。
実のところシノホシの理念や目的には一切興味がないが、強者が集い強者と戦えるシノホシでの仕事にはかなり満足している
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【名前】ザイル
【種族】魔族
【性別】男
【年齢】1000歳
【容姿】銀の長髪、中肉中背
頭にある二本の角、背中には黒い翼を持つ。それ以外は特徴を持たない普通の青年
【性格】泰然自若。知識を尊び、色んな物事に興味を示し、他者の話に良く耳を傾け、良く喋る。だが自身の価値観は頑なに譲らない。力こそ全てとし、力で意志と矜持を貫き通す。一方で身体が弱くても、強き心を持つものには敬意を払う
【魔法】圧倒的な出力の光魔法
【備考】産まれてから暫くの間、非力でそこらの村人より弱かった魔族
力なき故に他の魔族から虐げられ、飢えと渇きに苦しみながら、死にたくない一心で生き続け、鍛え続けてきた
ある時、長年自身を虐げてきた魔族を殺害。その魔族が貯め込んだ食料を喰らうことで、生まれて初めてのまともな食事にありつく
かつて自分より遥かに強かった魔族を倒し、飢えから解放されたことにより、力さえあれば飢えることもなく、尊厳も守れると力に執着していった
研鑽の日々の中、滅ぼされた村の生き残りの少女を虐げて楽しむ魔族を見つける
力こそ全て。ならば、少女が虐げられるのも弱いが故
そう考えるも怒りを覚えたザイルは魔族を屠り、少女を助けた
その後、助けた者の義務として少女を養う。始めは義務感のみで少女と接していたが、次第に情が移り兄妹のように仲良くなる
しかし、かつて虐げていたザイルが自分達より遥かに強くなったことを妬んだ魔族達が義妹(少女)が連れ去る
だがザイルの実力を見誤った魔族達は、義妹を人質にザイルを脅す間もなく皆殺しにされる
このことから、大切なものを守り通すにも力が必要と信じるようになる
やがて圧倒的な力と知識を手に入れたザイルは、繁栄も豊かさも平和も、人材すらも力で得られると、周辺の者を種族関係なく従える
そして自分の思う通りの法を整え、思い通りの国を作らせ、その国を亡き義妹の名前からリーリアと名付けた
かつての飢えの経験から、食事がなによりの楽しみ。一番の好物は義妹の得意料理だったシチュー

しかし国は、王国から放たれた一筋の光に焼かれ、呆気なく滅んだ
国を包んでいた、民の笑い声。平穏な日常。明日への希望。どれもが、燃えて灰となった
力こそ全て。国が滅んだのもまた、自身の弱さ故
されどこの怒りは。この哀しみは。この苦しみは。力なき者として当然の末路を、なぜ受け入れられぬ
灰の中に燻る激情の熱が、決意と共に蘇る
王国を滅ぼし、国を再興せん
光を――。義妹と同じ力を放つ世界樹の光を、我が手に――

◇登場人物:その他◇
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【名前】メイ841
【種族】メイド型オートマトン(機械人形)
【外見】メイド服を着た黒髪ロングの15歳くらいの少女
【年齢】不明
【性格】無機質で機械的な喋り方をする
【魔法】魔法は使えないが護衛用に右手にブレード、左手にマシンガンを仕込み、両足にローラー、背中にジェットエンジンを備える。
【備考】かつて機械都市で量産されたメイドロボの一体。その核には妖精類を加工して造られた精核が使われている
何らかの不具合により精核が元となった妖精の自我を半端に取り戻し、人間たちへの復讐と同胞の救出を目的に機械都市と港湾都市で殺戮と破壊を繰り広げた
最期にはクロシュに精核を呑み込まれ、対話の後にブレードを遺して吸収された
吸収された後もその遺志の断片はクロシュの中で生き続けており、クロシュが魔剣に乗っ取られた時はブレードにその遺志が宿り、クロシュ救出の為に魔剣と激しい戦いを繰り広げた
元となった妖精はフォレスティナの出身だったとされる
自分のメイドブレードこそが最もクロシュの役に立っていると思っている
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【名前】ブラッド(冒険者ギルド命名)
【種族】スライム類の一種と推測される
【性別】♀
【年齢】不明
【容姿】血のように赤いスライム。人間に擬態する時は、真紅の髪を足元の辺りまで無造作に伸ばした幼子の姿を取る
【性格】わがまま。感情の起伏が激しく、気に入らないことがあるとすぐに癇癪を起こす
【魔法】詳細は不明だが、通常のスライムとは一線を画す卓越した擬態能力と同化能力を有する
【備考】幼い外見とは裏腹に異常な力を有しており、何人もの冒険者を血の海に沈めている
単純な戦闘能力も高いが、擬態能力を活かして不意打ちや騙し討ちをする等の狡猾さもあり、危険
過去に起きた災害級の事件に関与している疑いがあり、冒険者ギルドは調査を進めている

ここ最近にわかに動乱の気配が沸き起こっているのを感じ、多数の分体を大陸中に放って動向を観察している
未だに人間のペットをやめない黒いスライムのことが気に入らない
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【名前】レイ・アンバー
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】18
【容姿】長身だが猫背で地面につくほど長い灰色の髪をした陰鬱なオーラを醸し出してる女性 体中にタトゥーのように無数の魔法陣が刻まれている
【性格】根暗で対人恐怖症で常に不安と恐怖に囚われている
【魔法】体中に刻まれた魔法陣の影響でによって禁呪扱い・あるいは歴史の中で忘れ去られた魔法や呪術を含めて多数の魔法を使える
【備考】かつてはとある国(どの国かは作者に任せます)の孤児院で暮らしていた普通の少女だったが、その孤児院は邪神(とロイエ教では扱われている)を信仰するカルト教団が運営しており、彼女は邪神の器として選ばれてしまいその際に魔法陣が刻まれる。そして邪神を彼女に憑依させる儀式の直前にカルト教団を滅ぼすためにロイエ教原理派が襲撃。その混乱に乗じる+魔法陣によって使えるようになった魔法を駆使して脱走に成功したものの、カルト教団とロイエ教原理派双方によって全世界の冒険者ギルドに捕獲や討伐の依頼が出されお尋ね者になってしまい、常に怯えながら逃走生活を続けている。しかしお尋ね者でまっとうな職に就けないとはいえ盗みを働いて金や食糧を得たり、不安と恐怖が強すぎるあまり追手と勘違いして無関係の一般人を攻撃したりと単純な被害者とは言えない行動をしてしまっている。過去のことで善良な心が歪んでしまったのか、あるいは元から邪神の器に相応しい素質を持っていたのか……

密航した貿易船を紆余曲折あって幽霊船と化させ、その奥に引きこもっていたところをクロシュ一行に叩きのめされた。その後彼女の処遇について紛糾していたところ、クロシュの進言によって命を救われ(?)、クロシュのことが気になり始める
逃亡生活は現在も続いており、少し前に海上を漂流していたところを再びクロシュ一行に見つかって救助される。そこでまたクロシュやクロシュの仲間たちの優しさに触れ、久しぶりの安らぎを得た
その後国際商業都市イスファハーンに到着する前にクロシュたちの迷惑にならないようひっそりと一行から離れ、孤独な逃亡生活に戻っていった
……………………………………………………………………………………
【名前】クロシュヴィア・スウィートエンド
【種族】スライム
【性別】なし
【年齢】2000
【容姿】特に一つの姿に頓着せず、様々な姿に変身する。普段は風になって漂っている。
【性格】姿形を変えられるように性格もいくらでも変えられる。普段は朗らか風。しかし本質はことなかれ主義の悲観論者。
【魔法】体積も質量も材質もエネルギーも無視して何にでもなれる。コピーした相手の能力魔法すら使いこなせる。
【備考】人間が魔物を嫌うようにどんな種族でも別の種族を嫌ったり好いたりと差別心を心に抱えている。そんな世界でもみんなから好かれるため嫌われないため、相対する種族に合わせて姿を変え偽り生きてきた(人間相手には人間として振る舞うなど)。伝説のスライムだがスライムとしての本来の姿にはもう長いこと戻っていない。
どうにもならない現実を目の当たりにしすぎた結果、最期には生命の在り方に絶望して風の中に溶けていったと言われている

それから千と数百年後。芸術都市での大破壊の後、彼女は再び人々の前に現れた。全ての生命を救う、真の正しい世界の導師として――

というわけで新スレです。よろしくお願いいたします

>>前スレ990
シュヴィア氏はとても純度の高いオリハルコンを含有しているオリハルスライムなので、もし彼を捕獲してオークションに出品することができればとても大きな値が付くことが予想されます。ただし彼を捕獲しておくのは様々な事情から非常に難しく、彼を捕らえるほどの技術や武力を用意するとなると割に合わないかもしれません

>>前スレ991
シノホシ結成秘話みたいなのは確かに面白いかもしれません。いつか余裕のある時に幕間の小話として書くことがあるかもしれません
芸術都市での戦闘は、前スレで猫写や言及された以上に特徴的な事態は多分あまり起きていないかと思われるので、ちょっと難しいです。そしてIFシナリオについては……流石に文字書きカロリーが高すぎるため、無理だと思われます……

>>前スレ992
何やら裏で糸を引く怪しい何者かがいるようです。気を付けた方が良いかもしれません
クロシュ氏は以前、分体を5体くらい作れたようです。がんばればもっと作れるかもしれません。しかし分体は擬態はできても同化ができないため、今のところ戦力として数えるにはやや不十分なようです。数を多く見せかけて相手をびっくりさせるくらいならできるかもしれません。また、安全地帯から分体を斥候に出すみたいなこともできますが、分体は作れば作るほどお腹が減るため、作った分体はなるべく回収しないと食費が上がります

>>前スレ993
運命賽をあの場で手に入れることができたのは、残りがあと1つだけだったというのもあります。たくさん持っている状態でさらに手に入れようとした場合、手に入る可能性は低くなっていたかもしれません。買い物がそればかりになってしまうのは実際あまり良いことではないので、今回はやや特別な例だったと思っていただければ幸いに思います

>>前スレ994
あの時は最後のレスから30分以上経っていたため、>>1にある規定の通り連取り可となっていました。また、運命賽というアイテムについて少しだけ掘り下げることもできたので、運命賽について安価を出すことは特に問題ないと思います。その時の運命賽所持数やその他の様々な状況を総合的に見て最終的な入手確率が決定されると思われるので、お気になさらないでいただければ幸いにおもいます

>>前スレ995-996
自分ではよくわかりませんが、たぶん殺伐展開が好きというわけではありません……と思います
また、今作では運命賽以外の強引な救済措置などは一切講じない予定なのでご安心ください。だめなときはだめなので仕方ありません

>>前スレ997
>>1がどんな気持ちで書いているかはわかりませんが、実のところ運命賽という保険のお陰で一番気楽になっているのは>>1自身かもしれません。一回の失敗で取り返しのつかないシビシビなやり方は>>1にとっても少し厳しいようです

>>前スレ998
バイオレット姉妹に仲の良かった時代があるかどうかは今のところわかりませんが、今後シノホシやフレメア氏と激突していく過程で明らかになっていくこともあるかもしれません
旧魔族国時代のフラナ氏は、今の新魔族国の子供たちにはとても見せられないような恐ろしい吸血鬼であったとハーピィ記者のルフ氏は語っています。バイオレット姉妹の昔話と共に、もしかしたら幕間の小話等で少しだけ語られることがあるかもしれません

>>前スレ999
白銀スライムちゃんがどうなってしまったのかは今のところ全くわかりません。クロシュさんは白銀スライムちゃんのことをとても心配しているようです
セインくんとレイさんの過去編については……実際、メインシナリオを追っていくうちに明らかになっていく可能性が高いです。お楽しみにしていただけると幸いにおもいます

>>前スレ000
今作では百合らしい百合猫写を書いているつもりはあまりなかったのですが、言われてみればレイさんのクロシュちゃんに対する感情や態度とかには少しそういう風に見える面があったかもしれません(もちろんレイさんは同性愛者というわけではなく、クロシュ個人を好いているだけです)
しかし既に表出した登場人物の感情や関係性を無理矢理修正するというのはとても難しいため、既存の関係性についてはご容赦いただけると幸いにおもいます
また、>>1がセーフと思っていても平均的な人間の感性ではアウトとなる事例も多分あるので、完全に排除するというのもまたかなり難しいのではないかとおもいます。一応気を付けようとは思いますが、あまり期待しない方が良いかもしれません(あまりにも極端に排除しようとするとたぶん>>1のモチベーションがデロデロに溶けてしまうので、ご容赦くださいませ)
なお、登場キャラクター募集などの際に備考欄に「百合NG」みたいな記載を入れていただければ、当該キャラクターに関しては確実にそういった猫写をしないよう努めることができます。もしご投下の予定などがございましたら、ご一考いただけると幸いです

―国際商業都市イスファハーン 滞在7日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のローブ   飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:革の鎧      飾:

◇暗黒行商少女[闇の商人]
武:魔銀のナイフ   盾:         飾:貝殻の髪飾り
武:         防:闇のエプロン   飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[5/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[4/8](エバンス)
・魔法[2/6](エバンス)
・剣技[2/8](ローガン)
・魔法[1/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

ー朝
 シルバーコイン 客室

 チュンチュン

イリス「ど、どうする……? これから……」

ミスティ「……捜しましょう。ここまで来てあの子を見捨てるなんてありえないわ」

暗黒行商少女「ちょ、ちょっと待って待って! 私たち実際もうかなりヤバい立場なのよ!?」

ミスティ「知ったことではないわ。こんな国の法律なんてクソ喰らえよ」

暗黒行商少女「不法侵入と器物破損は大体どこの国でも違法じゃない!」

ミスティ「じゃあどこの国の法律もクソってことよ!」

暗黒行商少女「ああああ!! なんで暗黒商人の私が法令遵守を説いているのよ!?」

イリス「い、一旦落ち着こうよ! ね、妖精さん!」

妖精「……うん。まあ、この国の治安組織を実質的に握っているのはシュヴィア・オーデルシュタインだから……あいつらを信じるなら、すぐに私たちの身柄がどうこうって話にはならないと思う」

暗黒行商少女「うむむう……。まあ、それはそうだけど……」

ローガン「……信用しても大丈夫か?」

妖精「それは……う〜ん……」

暗黒行商少女「……まあ、さっきはああ言ったけど多分大丈夫よ。御三家の一角が崩れた今、デンネル不在の隙を狙って多くの魑魅魍魎が蠢き出す混乱が訪れるわ。そんな時にわざわざ旅の一行なんかに構っている暇なんかないはず」

エバンス「なるほど、確かにそうだ。仲間の救出に夢中な奴らなんか放っておいても大した害にはならねえもんな」

暗黒行商少女「そういうこと。とは言っても、デンネルの後釜……例えばあのエミリオとかが、建て直しの片手間に私たちへ刺客を差し向けてくる可能性もあるから注意は必要だけど」

妖精「そうだね……。ひとまず、私もあのステラスライムを捜すのに賛成。ただしあのステラスライムは御三家のうち二つ……マガジンとデンネルに狙われてたから、追う過程で本格的に奴らを敵に回す危険性もある……。もしもの時はすぐにこの街を離れられるように準備をしておく必要はあると思う」

ミスティ「妖精……!」

イリス「……私も賛成。やっぱり、このまま放ってはおけないよね」

ローガン「フッ……私も付き合おう。法に背いて弱きを助くというのも、悪くない」

エバンス「旦那ってけっこうノリが良いよな。俺も賛成だぜ。あ、でも傭兵団に迷惑がかかるとまずいから顔と身分は隠させてもらいたいが……」

暗黒行商少女「ああもう、このお人好し共め……! わかったわよ、私も手を貸すわ! でも何かあったら本当にすぐ逃げる準備を整えておくのよ!?」

妖精「うん。ありがとう」

暗黒行商少女「宿も変えた方が良い……ていうかここで誘拐されたんなら、この部屋で呑気に作戦会議してるのってめちゃくちゃヤバイわ!」

イリス「い、言われてみれば!」

妖精「そ、そうだった! すぐ出よう!」


クロシュ「……」ウツラウツラ

妖精「クロシュ――は疲れてるか」

クロシュ「んぇ……。あ、えと……」パチクリ

ローガン「クロシュくんは私がおぶっていこう。もう少しの間、人間の姿で辛抱してくれ」

クロシュ「あ、うん……」

イリス「次の宿に着いたらご飯にしよ! 夜通し働いて朝ご飯も食べてないもん、私たち!」

エバンス「ゆっくり休む暇もなかったからな……」


↓1
イスファハーン滞在7日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―シルバーコイン ロビー

エルフの看板娘「チェックアウトですね、かしこまりました!」

妖精「あそうだ、昨晩この宿の近辺とかに不審者を見かけたりしなかった?」

エルフの看板娘「不審者ですか……? 私は特に見ていませんが……」

妖精「そっか、わかったよ。ありがとう」

エルフの看板娘「チェックアウトの前に、イリス・プラネット様宛にお手紙が届いていますのでお渡ししておきますね」スッ

イリス「え、私に?」

 フラナからの手紙「」ポン

↓1コンマ
01-35 日傘修理キット
36-65 ハーミットローブ
66-95 マジカルブラッドワイン
96-00 ハーピィ記者

 手紙『この前は酷いことを言った気がするわ。お詫びにこのワインを送る。リチャード・デンネルは油断ならない男よ。奴を相手取るなら搦手は愚策。これを飲んで力を示しなさい』

 マジカルブラッドワイン「」ポン

妖精「こ、これは……」

ミスティ「少し遅かったみたいね……」

イリス「でも……良かった! 短いけれど、今回の手紙にはフラナ先生のいつもの優しさがこもってる気がする!」

妖精「書いてあることは強行突破だけど……今回の作戦もほとんど強行突破みたいなものだったし的確だね。ていうかフラナはリチャードのことを知ってたのかな?」

イリス「まあ……御三家のトップだし、フラナ先生が知っててもおかしくはないかな……?」

 ☆マジカルブラッドワインを1つ手に入れました

 ◆

―国際商業都市イスファハーン
 ホテル「ゴールドコイン」

メイドの看板娘「いらっしゃいませ。お泊りでございますか?」

暗黒行商少女「ええ。7人分、スイートを2部屋でお願い」

メイドの看板娘「承知致しました」

 *

―ゴールドコイン スイートルーム

 シャンデリア「」キラキラ
 豪華な内装「」キラキラ

 最新の魔導保冷庫「」ピカピカ
 最新の魔導キッチン「」ピカピカ

 ふかふかなソファ「」フカフカ
 もふもふなクッション「」モフモフ
 ふかふかなベッド「」フカフカ

イリス「わ、わ、わわわ……!? こ、これがスイートルーム!!?」

ミスティ「こ……これが、お金持ちの景色なの……」

暗黒行商少女「一応言っておくけれど、この部屋に泊まったのには理由があるわ。まず、このホテルが御三家のどことも比較的関わりの薄い系列の運営であること――そしてこのスイートルームが最も高いレベルのセキュリティを有しているからよ」

妖精「私たちだけじゃどこの宿が安全かどうかなんて見分けが付かないから、助かったよ」

暗黒行商少女「まあ、私にとっても他人事ではないから……。ああでも、あんたたちの宿代までは流石に肩代わりできないわよ! あのスライムを助けるって言ったのはあんたたちなんだからね!」

イリス「わ、わかってる! 教えてくれただけでも十分助かるよ、ありがとう!」

ミスティ「オークション前の金稼ぎがこんなところで役に立ったわね……」


クロシュ「……」ウツラウツラ

妖精「クロシュ、もう宿に着いたよ。お風呂に入って休もう」

クロシュ「あ、うん……」パチクリ

ミスティ「ふわ……。今すぐいろいろ調べたいところだけど……流石に今日は休んだ方が良さそうね……」

イリス「せっかく最高の部屋を取ったんだし、今日一日はゆっくり堪能しよう」

 ◆

―夜
 ゴールドコイン スイートルーム

イリス「……」zzz
ミスティ「……」zzz
妖精「……」zzz
暗黒行商少女「……」zzz


スライムクロシュ「……」モニョ

スライムクロシュ「……」


スライムクロシュ(銀色のスライムちゃん……)

スライムクロシュ(探しにいかなきゃ……)

 モニョモニョ…

 *

―深夜
 学術区 公園

 噴水「」シャワシャワ

スライムクロシュ「……?」モニョ?

 噴水の下の方「」モニョ…モニョ…

スライムクロシュ「!」モニョニョ!

 噴水「」シャワシャワ

スライムクロシュ「」ピョンッ

 *

―イスファハーン地下水道

 モニョニョニョニョ――
 スポンッ!

スライムクロシュ「!」モニョッ!


「〜〜?」モニョニョ?


↓1コンマ そこにいたスライム
01-40 レッサースライムたち
41-80 シティスライムたち
81-95 オリハルスライム
96-00 スピリチュアルジェル

シティスライムA『わぁ〜』モニョモニョ

シティスライムB『こんばんは!』モニョニョ

スライムクロシュ『えと、こんばんは』モニョモニョ

シティスライムB『この辺じゃ見かけない黒いスライムだね。旅スライム?』モニョモニョ

スライムクロシュ『うん……』モニョニョ

シティスライムA「わぁ〜」モニョモニョ

スライムクロシュ『えと……昨日の夜……銀色のスライムちゃんを、見なかった……?』モニョモニョ

シティスライムB『銀色のスライムちゃん?』モニョニョ?

スライムクロシュ『うん……。えと……悪い人たちに、捕まりそうになってて……』モニョモニョ

シティスライムB『ん〜わかんないなあ……』モニョニョ…

シティスライムA『ボク見たよ!』

スライムクロシュ『! え、えと……どこで、見たの……?』モニョモニョ

シティスライムA『えっとね――』


『待て』モニョモニョ


シティスライムB『わ、その声は――』モニョニョ

シティスライムA『シュヴィアさん!!』モニョニョ!!


スライムシュヴィア『……そこで何をしている。黒いスライム』モニョモニョ


スライムクロシュ『!』モニョ!

スライムシュヴィア『この街はもう懲りただろう。早く出ていった方が身のためだ』モニョモニョ

スライムクロシュ『……』モニョ…

スライムシュヴィア『それとも……他にやることでもあるのか?』モニョモニョ


↓1〜2 自由安価 シュヴィアとどんな話をする?

スライムクロシュ『えと……銀色の、スライムちゃんを、探してて……』モニョニョ

スライムシュヴィア『銀色のスライム? 例のスピリチュアルジェルのことか?』モニョモニョ

スライムクロシュ『うん……』モニョ…

スライムシュヴィア『お前たち一行は、マガジン家への義理を果たした。あのスピリチュアルジェルを探さなければならない理由はないはず』モニョモニョ

スライムクロシュ『でも……。あの子……ずっと、捕まってたって……言ってて……』モニョモニョ

スライムシュヴィア『……』

スライムクロシュ『……わたし……自由に、してあげたい……』モニョモニョ

スライムシュヴィア『……マガジン家を敵に回してでも?』モニョニョ?

スライムクロシュ『……敵に、なって欲しいわけじゃ、ないけど……。もし、酷いこと、するなら……わたし、立ちはだかる……』モニョモニョ

スライムシュヴィア『…………』

スライムクロシュ『…………シュヴィアさんは……知らない……?』モニョニョ…?

スライムシュヴィア『……僕は、知らない』モニョモニョ

スライムクロシュ『……』モニョ…

スライムシュヴィア『…………命が惜しければ、諦めろ。マガジンとデンネルが絡んでいる以上、この件に首を突っ込めば待つのは死……あるいは、それよりも悍ましい末路だ。同じスライムとして、忠告はしておく』モニョモニョ

スライムクロシュ『……』モニョニョ…

スライムシュヴィア『わかったら、早くこの街から離れろ。仲間たちが命がけで救ったお前の命を、無駄にしたくなければ』モニョモニョ

スライムクロシュ『……心配……して、くれてるの……?』モニョニョ…?

スライムシュヴィア『…………違う。僕は……お前がスライムだから、老婆心として言っているだけだ』モニョモニョ

スライムクロシュ『……最初に、会った時は……力づくで、殺そうとした……』モニョモニョ

スライムシュヴィア『あの時は…………お前がスライムだと、気付けなかったからだ』モニョニョ…

スライムクロシュ『どうして……スライムには、優しいの……?』モニョモニョ

スライムシュヴィア『……仲間だからだ。同じ、スライムの』

スライムクロシュ『それなら…………。あの、銀色のスライムちゃんは……?』モニョモニョ

スライムシュヴィア『………』

スライムクロシュ『あの子だって……スライムなのに……。どうして……諦めろなんて……言うの……?』モニョモニョ

スライムシュヴィア『……………』


↓1コンマ
01-40 早く帰れ
41-80 黙れ
81-95 ……
96-00 ??

スライムシュヴィア『………』

スライムクロシュ『……』

スライムシュヴィア『……………』

スライムクロシュ『…………』

スライムシュヴィア『…………命を賭けてくれる仲間に囲まれている……幸せなスライムのお前に……ボクの……ボクたちの苦しみが……』モニョニョ…

スライムクロシュ『…………?』モニョ…?


スライムシュヴィア『……』クルッ モニョッモニョッ


スライムクロシュ『あっ……』モニョ…


スライムシュヴィア『忠告はした。後は好きにすればいい』モニョッモニョッ


スライムクロシュ『シュヴィアさん……』モニョニョ…


スライムシュヴィア『もう夜も遅い。僕は帰る』モニョッモニョッ…


スライムクロシュ『…………』モニョニョ…



シティスライムB『シュヴィアさん行っちゃった』モニョモニョ

シティスライムA『行っちゃったねえ』モニョニョ

シティスライムB『なんだかむつかしそうなお話してたねえ』モニョモニョ

シティスライムA『してたねえ』モニョニョ


スライムクロシュ『……』モニョ…

シティスライムA『ねえねえ黒いスライムちゃん。さっきのお話の続き、聞く?』モニョモニョ

スライムクロシュ『んえ……?』モニョ…?

シティスライムA『銀色のスライムちゃんを見たって話!』モニョニョ!

スライムクロシュ『!』モニョ!

シティスライムA『えっとね、昨日の夜遅くに街をお散歩してたらね……なんと、銀色のスライムちゃんを抱えながら空を駆ける黒いもやもやな人影を見たの!』モニョモニョ

スライムクロシュ『!!』モニョニョ!!

シティスライムA『スゴく速かったよ! ボクでなきゃ見逃してたよ、絶対!』モニョモニョ

シティスライムB『こいつスッゴく眼が良いんだよ〜。魔法で姿を誤魔化してるトカゲとかも簡単に見つけちゃうんだもん!』モニョモニョ

シティスライムA『えっへん!』モニョッ!

スライムクロシュ『え、えと……どっちに行ったか、わかる……?』モニョニョ

シティスライムA『郊外の方……あっちは、オーデル軍警の駐屯基地がある方だったかなあ』モニョモニョ

スライムクロシュ『わかった……! えと、ありがと……!』モニョモニョ

 ☆白銀スライムを連れ去る人影と、人影の向かった方角についての情報を得ました

 ◇

―深夜
 ゴールドコイン スイートルーム

妖精「クロシュが……いなくなった……」ゲッソリ

ミスティ「こ、今度はクロシュが……!?」

イリス「まさか……今度はクロシュちゃんが行方不明に……!?」

暗黒行商少女「……一人で起きて、どこかに買い物にでも出たのかもしれないわ」

妖精「クロシュが一人で買い物に行くことなんて今まで一度もなかったし……」

ミスティ「でも独断専行する悪い癖はあるから……。ただの独断専行であればまだ良いけれど……」

妖精「良くないよ!! あのバカ……こっちの気も知らないで……!!」


 扉の隙間「」モニョニョニョニョ…

 スポンッ!

スライムクロシュ「!」モニョッ!


イリス「あ」

ミスティ「……」クスッ

暗黒行商少女「……あ、はは……」

妖精「………………」

 *

 ゲシッゲシッゲシッゲシッ

妖精「ばかクロシュ!!! 一人で外に出るなら書き置きくらいしてけ!!!」ゲシゲシ

スライムクロシュ「〜〜…」モニャニャ…

ミスティ「でも良かったわ、何事もなくて……」

イリス「本当に何もなくて良かったよ! クロシュちゃん、妖精さんのお叱りはしっかり聞かなきゃだめだからね!」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

妖精「……え? 銀色のスライムを連れ去った人影……!?」

ミスティ「!」

イリス「情報を集めてきたの!?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「人影は銀色のスライムを抱えて、郊外の……オーデル軍警駐屯基地の方へ飛んでいっただって!?」

スライムクロシュ「〜」モニョ

暗黒行商少女「え……そ、それ本当……?」

スライムクロシュ「〜」モニョニョ

妖精「駐屯基地そのものかはわからないけど、方角的には一致してるみたい……」

イリス「軍警駐屯基地……!? もし本当に軍警駐屯基地に連れ去られたのなら……」

ミスティ「相手は……この国の実質的な軍事力ってことじゃない!!」

 ◆

―国際商業都市イスファハーン 滞在8日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のローブ   飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:革の鎧      飾:

◇暗黒行商少女[闇の商人]
武:魔銀のナイフ   盾:         飾:貝殻の髪飾り
武:         防:闇のエプロン   飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  
氷精の魔導書
ブラッドワイン*2
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[5/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[4/8](エバンス)
・魔法[2/6](エバンス)
・剣技[2/8](ローガン)
・魔法[1/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―??

 遥か彼方の空に浮かぶ白い光「」ユラユラ

 地上に瞬く無数の光「」チカチカ


クロシュ『』モニョモニョ


白銀スライム『クロシュちゃん……届いて……』モニョ

クロシュ『!!』モニョニョ!!

白銀スライム『良かった……繋がった……』モニョニョ

クロシュ『銀色の……スライムちゃん……!!』モニョモニョ

白銀スライム『えっとね……。私は……大丈夫だから……。クロシュちゃんは……もう、この街を離れて……』モニョモニョ

クロシュ『え……? そうなの……?』モニョニョ…?

白銀スライム『うん……。きっと……仕方のない、ことだから……』モニョモニョ

クロシュ『……』モニョ…

白銀スライム『あの、オークションの時……助けてくれて……本当に、ありがとう……。あんな風に、助けてもらったの……生まれて、初めてだった……』モニョモニョ

クロシュ『……』モニョニョ…

白銀スライム『私……がんばれるよ……。クロシュちゃんに、助けてもらったこと……クロシュちゃんの仲間の皆さんに、優しくしてもらったこと……全部、全部……忘れないから……。きっと……大丈夫……』モニョモニョ

クロシュ『…………』モニョニョニョ…

白銀スライム『それじゃあ……さよなら……』モニョ―

 プツン――

 ◆

―朝
 ゴールドコイン スイートルーム

 チュンチュン

スライムクロシュ「!」モニャッ!

ミスティ「わっ! ど、どうしたのクロシュ……」

 モニョモニョ…ポン!

クロシュ「……夢の中で……銀色の、スライムちゃんに……会って……」

ミスティ「え、夢の中で……?」

クロシュ「…………もう……大丈夫だから……街を、出ろって……」

ミスティ「……」

クロシュ「でも……あんまり………大丈夫じゃ、なさそうだった……」

ミスティ「………」

 *

暗黒行商少女「いやいやいやいや、冗談じゃないわ!! だって駐屯基地でしょ!? 無謀も無謀よ、絶対だめよ!!」

クロシュ「んゅ……」

暗黒行商少女「イスファハーンタワーとはわけが違うわ!! あれは最高の警備を雇っていたとは言っても、その役割は富の象徴と単なるビジネスの場! 本来戦いとは無縁の場所なのよ! でも駐屯基地は違う! 初めから殺る気満々の戦闘狂が跋扈する魔窟なのよ!! そんなとこを攻め入るなんて絶対だめ!!!!」

エバンス「…………クロシュちゃんにゃ悪いが、こうなっちまうと流石に俺も反対だ。前回はその軍警が味方にいたわけだが、今回は俺たちしかいない。むざむざ死にに行くようなもんだ、相手が悪すぎる」

イリス「……」

ローガン「……もし本当に駐屯基地に囚われているというのなら、その救出は困難を極めるだろう。エバンスくんの言う通り、成功率は限りなく低いと言える。それでも、行く意思はあるのか?」

クロシュ「…………」

ミスティ「…………」

妖精「……何も、突撃して強引に救出しなきゃならないわけじゃない。幸い私たちには御三家やそれに関係する者たちとの繋がりがある。あのステラスライムを連れ去った目的とか、解放の余地があるかどうかとか、いろいろ情報収集してからやり方を考えても遅くはないよ。クロシュ」

イリス「わ、私も……まずは、お話してみるのが良いと思う! 力じゃ勝てない相手だもん、別のやり方を探そうよ!」

クロシュ「うん……」

ミスティ「……わかってるわ」

暗黒行商少女「まあ……正直御三家の奴らと接触するのは危ないし嫌だけど、突撃するよりは良いと思うわ。うん」


イスファハーン滞在8日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

妖精「そうだクロシュ、分体作れたよね? これから一人でどこかに行ったりする時は、伝言用に小さい分体とかを残していったりできない?」

クロシュ「!」ピコン!

 モニョモニョ…プチッ!

ちびスライムクロシュ「」モニョモニョ

ミスティ「あら、小さいクロシュ……」

 モニョモニョ…ポン!

ちびクロシュ「でんごん……できる……!」

イリス「わあ! ちっちゃい人型のクロシュちゃん!」

妖精「な、なんか妖精みたいな大きさ……」

ちびクロシュ「ようせい……」

 モニョモニョ…ポン!

ちび妖精クロシュ「ぱたぱた、できる……!」パタパタ

暗黒行商少女「妖精みたいな翅が生えたけど……飛べてないわね」

クロシュ「んゅ……飛ぶのは……難しいみたい……」

妖精「まあとりあえず試験運用ってことで、今日はこのちびクロシュをここに置いてってみよう。もし侵入者とかが来ても見ておけるし」

イリス「あ、でも悪意ある侵入者が来たりしたら、殺されちゃったりしないかな……? この子……」

ちび妖精クロシュ「!」ピコン!

 モニョモニョ…ポン!
 スゥー…

ちび光学迷彩クロシュ「かくれんぼ……できる……!」

イリス「ええっ!?」

ミスティ「分体なのに光学迷彩まで使えるの!?」

クロシュ「えと……光学迷彩は……同化じゃ、ないから……。擬態なら、分体でも、できる……」

妖精「……分体、思ったより凄いかも」

暗黒行商少女「いや、本当に凄いわ……! 私にもこんな力があれば……!!」

ミスティ「ろくでもない悪さに使いそうね……」

 ☆ちびクロシュをスイートルームに置いていきます

 ◆

―中央区
 高層住宅街 オーガネ通り

 そびえ立つ高層住宅「」ヒュオオオオ――…

イリス「ひええ……あれが、人の住む場所なの……!?」

暗黒行商少女「ええ。上流階級の資産家にのみ居住を許された、最高のステイタスとなる高層住宅……通称〝タワマン〟よ」

エバンス「大風が吹いたらぶっ倒れちまいそうだが……イスファハーンピラーも倒れてないし今更か」

ローガン「景色は良さそうだが、住居としての機能はどれほどのものなのだろうか」

暗黒行商少女「さあ……私は住んだことがないから……」

ミスティ「私は緑の国の高層樹木住居の方が良いわ」

妖精「あはは、緑の国の高層樹なら住み心地もばっちり良いと思うよ」

 *

貴族の男「」HAHAHA
貴族の娘「」キャッキャ

貴族の貴婦人「」アラアラ
貴族のマダム「」オホホ



イリス「……ここで情報収集するの?」

暗黒行商少女「……まあ、普通の金持ちは基本的に心の余裕があるわ。下々からの求めにも気軽に応じてくれる可能性は高い。情報収集もしやすい……と思う」

ローガン「何事もやってみなければわからん。当たって砕けるのが良いだろう」

クロシュ「ん……!」


↓1コンマ 情報収集結果
01-05 ??
06-35 マリッサの過去
36-65 オーデルシュタインの暗部
66-95 御三家が共同で開発した魔導機械技術の噂
96-00 ??

身なりの良い男性B「お、また会ったなアンタら!」スタスタ

妖精「げっ、いつぞやの陰謀論者!」

暗黒行商少女「あんたここの住人だったの……」

身なりの良い男性A「俺もいるぜ。嬢ちゃんたちはまた情報収集か?」

イリス「は、はい」

ミスティ「御三家について、何か面白い情報はない?」

身なりの良い男性B「そうだな……御三家の面白い情報ならいくらでもあるが」

ミスティ「あなたじゃないわ……」

身なりの良い男性A「てことは俺か? そうだな……それならマガジンの魔女についてなんだが――」

 *

今でこそマリッサ・マガジンは才色兼備のクールな魔導研究者として名を馳せているが、実はあの魔女にもちょっと可哀想な過去があってな……。

なんと、かなり昔とある魔導実験に失敗して相棒を死なせちまったことがあるらしいんだ!

そんで今マガジン研が熱心に王国の高度な魔導人形を研究してんのは、その死なせた相棒の魂を魔導人形に降ろして蘇らせることを目論んでいるかららしい! 人形遣いらしい死者蘇生へのアプローチだよな! まあ実際のところは陰謀論だと思うが。

ただ、近年はデンネル主導の法改正で資金繰りが厳しくなってきてるらしくて、研究も難航してるらしい。これは陰謀論じゃなくて事実だぜ。実際にマガジン研の研究者たちが愚痴ってるのを俺は何度も聞いたことがあるからな。デンネル死すべしってな。

まあそうは言ってもデンネルはイスファハーン最強の大富豪。強引な方法でデンネルを破滅させりゃあこの都市そのものが傾くし、そもそも強引にでもデンネルを滅ぼすなんて不可能だ。例え当主のリチャードが突然暗殺されたとしても、頭がすげ変わるだけでこの支配体制は変わらんと思うぜ。どうにかして穏便にこの体制を覆すには……都市全体を洗脳でもしない限り不可能だろうな。まあそんなことこそ絶対に不可能だが!

 *

イリス「なるほど……マリッサさんにそんな事情が……」

身なりの良い男性A「マリッサ・マガジンの過去については本当にただの噂話だから話半分にしといてくれよな」

ミスティ「でも資金繰りが厳しいって話は収穫だったわ。ありがとう」

身なりの良い男性A「どういたしましてだ!」

身なりの良い男性B「ところで、マリッサ・マガジンは実は重度のロリコンだという噂があるんだが――」

暗黒行商少女「あーはいはいロリコンねロリコン」

 ☆マリッサ・マガジンおよびマガジン研究所の事情についての情報を得ました

 ◇

というわけで本日はここまでとなります。次回は再び御三家のどこかと接触を図る編からとなります

新スレそうそうクロシュちゃんが動きました。やはり主人公がいるとお話もスライムらしくなる気がします。これからもがんばっていただきたいところです
そして不穏な様子を見せるシュヴィア・オーデルシュタインと、過去の話を勝手に面白おかしく語られてしまったマリッサ氏でした。夢の中でクロシュと話をした白銀スライムさんの運命はどうなってしまうのか。クロシュは、巨大な力を持つ相手にどう立ち向かえば良いのか――

クロシュ氏やシュヴィア氏がクロシュヴィアの名前の一部を持っている理由については、今のところよくわかっていません。スライム界では伝説スライムの名前の一部をもらう習わしがあるのかもしれませんが、実際のところがどうなのかは名付けた人に聞いてみない限りわからないでしょう。ちなみにクロシュの名前はクロシュ自身が付けたものではないようです

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

マリッサ氏にもいろいろ事情があるようです。でもだからといってスライムにひどいことをするのは良くない、とクロシュはおもいました
聖女氏はセクリエ・ロイエから派遣される立場で魔族国教会に来ているそうなので、こうした緊急事態の際は招集されることがあるようです。芸術都市の惨状を見て彼女が何を思いどう行動するのかはわかりませんが、聖女と呼ばれるような人なのできっと真面目に働くと思います

魔女とは厳密な定義があるわけではありませんが、魔法に熟達した成人以上の女性をそう呼ぶ場合があるようです。魔女という言葉には、大抵の場合尊敬や畏敬の念が込められています

オーデルシュタインの暗部が明らかにならないのは、もしかしたら情報統制ができている証なのかもしれません。そんな恐ろしい相手とことを構えるのはとても危険なことですが、クロシュたちはこの先一体どうなってしまうのでしょうか

―中央区
 高層住宅街 公園

ミスティ「……やっぱり、御三家のどこかと接触を図るべきではないかしら?」

妖精「……確かに、その辺の人からの情報収集にも限界があるしね。でもやっぱり今の私たちはちょっと危ない立場だし……」

イリス「一番安全そうなのはマガジン家のマリッサさんかな……? デンネル家とはついこの間不法侵入したばかりだし、オーデルシュタインはまさしくあのステラスライムの子を囚えている疑惑があるところだし……」

エバンス「マガジン家もマガジン家であのステラスライムの子を監禁してたわけだし、今でも探してるわけだろ? まあこちらから情報を漏らしすぎなければ即敵対ということにはならないだろうが……」

ローガン「どの陣営も危険があるのは変わりないな……。慎重に考えなければならん」

クロシュ「……」


↓1〜3多数決 どこと接触を図る?
1.マガジン家
2.デンネル家
3.マガジン家&デンネル家
4.オーデルシュタイン家
5.その他(自由安価)

―イスファハーン・ピラー
 応接室

エミリオ「……で? 強盗団の皆様が一体何の用ですか?」


イリス(も、物凄く機嫌が悪い……!)

ミスティ(でも正面から堂々と訪問したら入れてはくれるのね……)


ローガン「うむ……まずは先日の非礼を詫びさせていただきたい。クロシュくんを助ける為とはいえ、デンネル家の魔導人形を多数損壊し、その他様々な被害も出してしまった」

エミリオ「ではスピリチュアルジェルを返してください。そうすれば他の様々な損害は見逃して差し上げますよ。元はと言えばそこの黒いスライムがオークションで強盗を働いたのが原因でしょう」

クロシュ「んゅ……」


↓1〜3 自由安価 エミリオとどう話す?

ローガン「そのことなのだが……実は、オーデルシュタインにスピリチュアルジェルを奪われてしまったのだ」

エミリオ「……」

ローガン「あのスピリチュアルジェルの秘密は君も知っているだろう? オーデルシュタインに奪われてしまった今、200億どころではない事態に発展する恐れがある」

エミリオ「……200億どころではない事態? 下らない作り話は結構です」

妖精「作り話じゃない。あの子……スピリチュアルジェル自身が言ったんだよ。イスファハーン洗脳支配計画……聞いたことはない?」

エミリオ「……!」

ローガン「その顔……どうやら心当たりがあるようだな。200億どころではないということの意味もわかるだろう?」

エミリオ「……確かに、そのようですね。戦争屋のオーデルシュタインなどに持たせるには危険すぎる力でしょう」

妖精「オーデルシュタインだけじゃない。誰であっても、あの子の力を恣意的に利用することは許されないよ」

エミリオ「……」

妖精「……私たちは、あの子を保護して他者に利用されることのない安全な場所に送り届けようと思ってる。異論はある?」

エミリオ「どこの馬の骨ともわからない旅の一行など信用できると思いますか?」

妖精「……仕方ない。これでどう?」スッ

 精霊の印「」ポン

エミリオ「これは……! 中央大陸の、緑の国フォレスティナで認められた者に授与される、精霊の印……!?」

妖精「富豪一族の当主をやってるなら聞いたことあるでしょ、建国の太母ってやつ。あれ私のことだよ。顔とか調べられる?」

エミリオ「け、建国の太母!? ちょっと待ってください……ブレア!」

スピーカー『はい、エミリオ様』ピピッ

イリス「えっ!?」

ミスティ「な、なに?」

エミリオ「建国の太母とこの妖精は同一人物か?」

スピーカー『はい。彼女は99.992%の確率で、建国の太母と呼ばれる妖精と同一人物です』ピピピ

ローガン「な、なんだこれは……」

エミリオ「これはデンネルを中心に御三家の技術を結集して作られた情報生命体、通称電子妖精のブレアです。基本的にはこの塔の維持管理を担っていますが、僕やリチャードが働けない際は代わりに当主としての仕事を代行する権限および能力を持ちます」

イリス「情報……生命体……!?」

暗黒行商少女「噂には聞いていたけれど、実在したのね」

エミリオ「別に隠しているわけではありませんが、大っぴらに宣伝しているわけでもないのであまり知られてはいないようですね。しかし……ブレアが言うのなら、恐らくあなたは本物の建国の太母なのでしょう」

妖精「え、うん……。いや、私が言うのも何だけど……そいつ、本当に信じられるの?」

エミリオ「そこらの人間より遥かに優秀です。こと情報処理に関しては、頭脳魔法を持つリチャードを上回る能力を持っています。余計な感情も持っていないので、仕事のパートナーとしてこれ以上に優れた存在はいないと僕は思いますね」

クロシュ「……ブレアさん……そうなの……?」

スピーカー『はい。私はそこらの人間より遥かに優秀です。こと情報処理に関しては、頭脳魔法を持つリチャード様を上回る能力を持っています。余計な感情も持っていないので、仕事のパートナーとしてこれ以上に優れた存在はいないと私も思います』

エバンス「おい、エミリオの言葉をそのまま繰り返したぞこいつ。本当に優秀なのか?」

エミリオ「ブレアは人間の言葉を繰り返す癖があるだけです」

妖精「そ、そう……。まあとりあえず、私たちのことは信じてくれた?」

エミリオ「……建国の太母は仲間の強盗を容認するということですか?」

妖精「うっ……そ、そのことだけど……そもそも出品者が怪しいと思わない? 初めから罠だったんだよ! 出品者をとっちめてお金を払い戻させればそれで解決でしょ!!」

エミリオ「滅茶苦茶ですね……こんなのが本当に建国の太母なのですか?」

スピーカー『はい。99.992%の確率で彼女は建国の太母です。伝説の人物像とは少々食い違いが見られますが、長年かけて各地に伝わる過程で美化されて尾ひれが付いたのだと考えられます』

エミリオ「……まあいいでしょう。出品者の素性を突き止めて200億我々に返すことができたら、この件は不問と致します。失敗したら国際問題ですよ」

妖精「う……言わなきゃ良かった……」

暗黒行商少女「でも出品者の素性についてなら、あのオークションはデンネル主催なんだからあなたの方が詳しいんじゃないの?」

エミリオ「……オークションの後でわかったことなのですが、件の出品者情報はダミーだったのです。実在する名のある富豪の名前だったので問題なしとしてしまったのですが、後日確認してみると本人は何も知らなかったようで。リチャードが頭脳魔法で確かめても全く記憶がありませんでした」

エバンス「マジかよ」

エミリオ「ま、あなた方が失敗したら緑の国に請求するだけですので」

妖精「うへぇ……」

ローガン「話を戻すが、例のスピリチュアルジェルはオーデルシュタイン軍警の駐屯基地に囚われているようなのだ。どうかこの国の為に、奪還に協力していただけないだろうか?」

エミリオ「ええ、わかりました。200億の方も話が付きそうですし、僕としてもそんな危険な洗脳兵器をオーデルシュタインが所持しているのは看過できません。協力しましょう」

ローガン「うむ。よろしく頼む……。ところで、リチャード氏は?」

エミリオ「さあ。賊にやられた傷が深すぎてまだ動けないんじゃないですか?」



クロシュ「……」

エミリオ「……? 何ですか? もうあなたには用はありません。今更ねだっても茹でカニもお刺身もあげませんよ」

クロシュ「………あの銀色のスライムちゃんは……兵器じゃない……」

エミリオ「……」

クロシュ「オークションの邪魔、したのは……ごめんなさい……。でも……エミリオさんは……あの子と……仲良く、なれない……」

エミリオ「…………そうですね。もう取り繕いませんよ。僕はあのスライムと仲良くなれない。仲良くなるつもりもない。そんなもの、僕にはいりません」

クロシュ「……友達は……いないの……?」

エミリオ「必要ありますか?」

クロシュ「…………必要あるとか、ないとかじゃ……ないと、思う……」

エミリオ「………」

クロシュ「……友達…………できると、いいね……」

エミリオ「…………」

 ☆デンネル家と協力関係を築きました

 ◆

―国際商業都市イスファハーン 滞在9日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のローブ   飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:革の鎧      飾:

◇暗黒行商少女[闇の商人]
武:魔銀のナイフ   盾:         飾:貝殻の髪飾り
武:         防:闇のエプロン   飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  
氷精の魔導書
ブラッドワイン*2
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[5/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[4/8](エバンス)
・魔法[2/6](エバンス)
・剣技[2/8](ローガン)
・魔法[1/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―朝
 ゴールドコイン スイートルーム

 チュンチュン

暗黒行商少女「はああ〜〜……。昨日は本当に死ぬかと思った……」

イリス「でもエミリオくんの協力も得られたし、けっこう上手くいきそうじゃない?」

妖精「まあ、出品者をとっ捕まえないとティセリアたちに物凄く迷惑をかけてしまうことになっちゃったけどね……」

暗黒行商少女「まあ……実際デンネル家からしてみれば、200億で競り落としたものを横から盗まれたのは事実なんだから、法に則るのなら仕方がないと思うわ」

ミスティ「そうね……。頑張って、胸を張ってこの街を出られるようにしましょう」

クロシュ「うん……!」


イリス「ところで、オーデルシュタインの基地に行くのは明日なんだよね?」

暗黒行商少女「もし本当にあのステラスライムを利用した洗脳計画なんてものがあるなら、実際は一刻の猶予もないと思う。でも流石に昨日の今日で出陣ってほど簡単にはいかないんでしょうね」

妖精「あれ、半分くらい憶測の適当なデマカセのつもりだったんだけど、エミリオの様子を見るになんかけっこう事実っぽいんだよね……。放って置くと本当にけっこうまずい事態なのかも……」


イスファハーン滞在9日目です。この行動終了後、オーデル基地攻略編に移ります
↓1〜3 自由安価 何をする?

―学術区 公園

 噴水「」シャワシャワ

妖精「へえ、ここの地下水道で街のスライムとシュヴィアに会ったんだ」

クロシュ「うん……」

妖精「じゃあ私たちはここで情報収集してみよう。もしかしたら、その時みたいに有益な情報が手に入るかもしれないし」

クロシュ「うん……!」


↓1コンマ 情報収集結果
01-30 レッサースライムたち
31-60 マリッサの過去その2
61-90 マリッサ「本人に直接聞いたら?」ヌッ
91-00 ??

 噴水「」シャワシャワ

レッサースライム「」モニョモニョ


妖精「あ、丁度スライムが……ってレッサースライムかあ。まあ聞くだけ聞いてみよう」

クロシュ「うん……」

 *

クロシュ『ちょっといい……?』モニョモニョ

レッサースライム『ほえ?』モニョ?

クロシュ『えと……御三家って、わかる……?』モニョモニョ

レッサースライム『ごさんけ……おいしいの〜?』モニョモニョ

クロシュ『んゅ……。えと、じゃあ……シュヴィアさんって、わかる……? えと、ぴかぴかの黄色っぽい色の……カチカチのスライムさん……』モニョモニョ

レッサースライム『あ〜、うん〜! しゅびあさん〜!』モニョニョ!

クロシュ『えと……どんなスライムさんか、わかる……?』モニョモニョ

レッサースライム『しゅびあさんはね〜。わたしたちのすみかをまもるスライムさんだよ〜』モニョモニョ

クロシュ『住処を、守る……?』モニョモニョ

レッサースライム『うん〜。ぴかぴかで、かちかちで、かっこいいんだよ〜』モニョモニョ

クロシュ『そうなんだ……』モニョニョ

レッサースライム『おなかすいたよ〜っていうと、ごはんもくれるんだよ〜』モニョモニョ

クロシュ『わあ……』モニョニョ

レッサースライム『んふふ〜、わたししゅびあさんのこと、だいすき〜』モニョモニョ

クロシュ『……うん。ありがと……』モニョモニョ

 *

妖精「……これは……」

クロシュ「やっぱり……シュヴィアさん、スライムにはすごく優しいみたい……」

妖精「みたいだね……。でも、それならどうして……?」

クロシュ「……」

 ☆レッサースライムのシュヴィアへの印象を知りました

 ◇

―商業区 市場

 ワイワイ ガヤガヤ

通行人A「オーデルシュタインについてだあ? 知るかいそんなもん」


通行人B「おっと、お嬢さん探偵ごっこかい? そんなことより僕とあのホテルに……げぼァッ!」


通行人C「ちょっとあなた、街を守ってくれてるオーデル軍警の方々に失礼よ」

 *

エバンス「……こりゃ、今回はダメそうだな……」

ミスティ「そうね……。まあ往来で治安組織の話を嗅ぎ回るのは実際良い選択とは言えなかった気もするわ……」


 武具屋の看板「」


エバンス「ん、武具屋か……。剣はこの前新調した魔銀の剣がだいぶ良い感じだから良いとして……防具はそろそろ買い替え時かもしれないな。ミスティちゃんも、そのローブけっこうボロボロになってきてないか?」

 精霊のローブ「」ボロッ…

ミスティ「……」

 ◆

―先日
 シルバーコイン 客室

風の精霊『ミスティさん宛にお手紙だよ〜』ヒュルヒュル

 手紙「」パサッ

妖精「ミスティ、風の精霊がお手紙だって」スッ

ミスティ「私宛に手紙……?」

 手紙「」ピラッ

ミスティ(その手紙は……緑の国の、あの森妖精の子からのものだった)

ミスティ(内容は、緑の国の平穏な日々を綴る温かいものと――)

ミスティ(私たちの旅を気遣う、心優しい言葉たち……)

ミスティ(……そして、緑の国を発つ前にあの子から贈られた……この精霊のローブについて)

ミスティ(もしボロボロになってしまっていたら、買い替えて欲しい。私の身の安全こそが最も大事だから……と……)

ミスティ(……いつだったかウォーターポートで、旅人の服を買い替えるのを渋ったクロシュに、私が言ったのと同じような内容……)

ミスティ(………あの時のクロシュも……こんな気持ちだったのかしら……)

ミスティ(でも……そうね……。あの子の気持ちに応えるのなら……感傷の為にいつまでもこれを着続けるのではなく……新しく、より身を守れるものを新調すべきよね……)

 ◆

―現在
 イスファハーン商業区 武具屋

武具商人「らっしゃい。ウチは仕立てもやっとるから気軽に見ていきな」


ミスティ(というわけで、今日こそ買い替えるわ……。いつまでも尻込みして、あの子の優しさを無碍にするわけにはいかない……)ゴゴゴゴ

エバンス「お、おお……なんかミスティちゃんえらく気合が入ってるな。よし、俺も良い装備を探すぜ!」


↓1コンマ ミスティが買い替える防具
01-70 氷精のローブ
71-95 氷竜革のローブ
96-00 極夜の衣


↓1コンマ エバンスが買い替える防具
01-40 硬質革鎧
41-70 魔獣の革鎧
71-90 サメの革鎧
91-00 竜の革鎧

ミスティ「……ん? こ、これは……!!」

 明るい水色のローブ「」ポン!

武具商人「ほほう、それに目を付けるとはお嬢さんお目が高い! それは正真正銘の氷竜の革でこしらえられた氷竜革のローブ! 熱と冷気に強いのはもちろん、魔力を伴う全般的な攻撃や、物理攻撃にも強い非常に優れた一品だ!」

ミスティ「す、すごいわ……! お値段は……まあまあするけど、意外と安いわね……」

武具商人「あー……その、ちょっとワケがあってな。氷竜の素材で作られた装備を身に着けると、普通の人は体を冷やしすぎちまうんだ。んで、氷属性が得意な人間ってのも少ないだろ? だから需要もあんまりなくて……」

ミスティ「なるほど……。なら丁度良かったわ、私は氷魔法使いよ」

武具商人「おお! へへっ、そりゃあ良かったぜ!」

 *

エバンス「おっ、ミスティちゃんは良いものを見つけたみたいだな! さて、それなら俺も竜の革鎧くらい――」

武具商人「兄ちゃんは革鎧か? 高級品は今仕入れ中でな……悪ィが今はこれしかねェんだ」

 硬質革鎧「」ポン

エバンス「……まあ、今着てるやつより質が良いのは確かだ!」

 *

ミスティ(E:氷竜革のローブ)「……」ビシッ

エバンス(E:硬質革鎧)「おお、機能性だけでなく見た目もかっこいいな!」

ミスティ「ええ……良いものを買うことができたわ。氷属性の力も感じられる……。エバンスは……あんまり変わってないわね……」

エバンス「まあ革鎧は質が上がっても見た目はあまり変わらんからな。でも前よりは硬くて丈夫になってるぜ」



 折り畳まれた精霊のローブ「」ポン

ミスティ(このローブは……大切に仕舞っておきましょう……)

ミスティ(今まで私を守ってくれて、ありがとう……)


 ☆ミスティが氷竜革のローブを購入し、装備しました
  精霊のローブは所持アイテムに移動します

 ☆エバンスが硬質革鎧を購入し、装備しました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は貧民街でオーデル家について聞いてみよう編からとなります

再びイスファハーンピラーへ赴き、エミリオくんとの対話を経て協力を取り付けたクロシュ一行でした。相手は一国の軍隊に等しいオーデルシュタイン軍警……果たして最大富豪の力を借りたとて、無事に白銀スライムちゃんを取り戻せるのでしょうか。エミリオくんに友達ができる日は来るのでしょうか

そしてレッサースライムからシュヴィア氏の印象を聞いてみたり、エバンス氏とミスティ氏が防具を新調したりもしました。今まで特にそういう猫写はなかったのですが、実はミスティ氏が装備していた精霊のローブは緑の国で森妖精の子から贈られた品だったという裏設定がありました。今回はそのローブがボロボロになってしまったので買い替える必要があったそうです。奇しくも、港湾都市でミスティに買ってもらった旅人の服を大切にするあまり買い替えるのを渋ったクロシュ氏と重なります。しかし道具は道具。例え大切にされた道具には想いが宿るのだとしても、身を守れなければ意味がありません。クロシュのように物をためこんだり合成したりできるスライムではない場合は、適宜更新するのが良いのでしょう

それでは本日もありがとうございました。明日は祝日なので多分更新できるかと思います。よろしくお願いいたします

スライム類の生き物はよほどお腹が空いている場合でもない限りスライム同志で争うことが滅多にないため、同類への警戒心が薄いようです。そういった事情が同類に対する親切さに繋がっているのかもしれません
ブラッド氏は同類に対しても厳しいように見えますが、実を言うとクロシュを本気で殺そうしたことはなかったりします(周りの人間は割と本気で殺そうと思ったりしています)。ああ見えてやっぱりスライムにはちょっと甘いのかもしれません

スライムの同化は、物理的に存在するものであれば大体何にでもできます。ただし液体や気体の物質は熟達したスライムでなければ難しいようです
そういうわけなので、クロシュは武器だけでなくローブや鎧、貝殻などといった防具と同化することももちろん可能です。もし同化させたいものがあれば、自由行動で指定してあげると良いかもしれません

フラナ氏が聖女さんと親しいかどうかは何とも言えませんが、聖女さんが魔族国で宗教活動を行えているのはフラナ氏の裁量も関係しているため、少なくとも険悪ということはないかと思われます。フラナ氏はロイエ教のことは好ましく思っていないようですが、聖女さん個人については日頃の貢献もあるのでまあまあ認めているのかもしれません

シュヴィア氏がオーデルシュタイン家を統率できているかどうかは今のところわかりません。彼は気難しいオリハルスライムですが、スライムたちを守りたいという想いは本物のように見えます。オーデルシュタイン家が何を目指しているのか――それは基地攻略編で明らかになるかもしれません

―イスファハーン貧民街

 ヒビの入った建物「」ボロ…
 割れた石畳「」ボロッ…
 荒れた花壇「」ザッソウ

ボロ服の子供たち「……」ジー

ボロ服の女性「……」ジッ…

ボロ服の男性「……」ギロッ…



イリス「うっ……み、見られてます……」

暗黒行商少女「そりゃそうよ。こんなとこに来る旅行者なんて珍しいもの」

ローガン「世界一の商業都市……その繁栄の側面か」

暗黒行商少女「自由な市場ってのは弱肉強食なの。直接的な食ったり食われたりがないだけで、この街の本質は自然界と同じよ。強き者は富み、弱き者は貧する」

イリス「……どうにもならないの?」

暗黒行商少女「さあ? 表向きはマガジン家とかが支援してるし、これでも昔よりはマシになったらしいわよ」

ローガン「ふむ……マガジンは今財政難らしいが、支援は継続しているということか」

暗黒行商少女「餓死や疫病が蔓延すれば街全体の健康や治安の悪化に繋がるから、多少は無理をしてでも支援費を捻出しなきゃならないとかあるんじゃない? 御三家の中で一番評判が良いのもマガジン家だし」

イリス「芸術や文化面だけじゃなくて、医療とかの魔導機械みたいな先端技術も担ってるんだよね。御三家はどれもこの街に欠かせない存在だと思うけど、一般の人々にとって一番ありがたいのは確かにマガジン家なのかも」


↓1コンマ 情報収集結果
01-30 マリッサの過去その2
31-60 オーデルシュタインの暗部
61-90 マリッサ「本人に聞いた方が早いわよ」ヌッ
91-00 ??

マリッサ「あら、マガジン家のことなら当主に直接聞いた方が早いわよ」ヌッ

暗黒行商少女「おわっ!?」

イリス「ま、マリッサさん……!?」

ローガン「……マガジン家の当主が、どうしてここに?」

マリッサ「今あなたたちが話していたじゃない。ここの支援も私たちの役目だからよ。実際の現場も見ずに支援なんてできないでしょう」

イリス「なるほど……えと、お疲れ様です」

マリッサ「ふふ、ありがとう。あなたたちこそ、どうしてここに来てるの? 旅人にとってここに面白いものはないと思うけど」


イリス(……ど、どうします……? 事情を話してみますか……?)

ローガン(うむ……目的の競合こそあるが、もし協力を得られれば明日の戦いもより楽になるはず。対話の価値はあるかもしれん)


↓1〜3 自由安価 どんなお話をする?

ローガン「ここの支援はマリッサ氏の代から始めたのか?」

マリッサ「支援自体は私の代から始まったわけではないわ。ただ、支援の内容を本格的に強化したのは私ね」

イリス「ええと、マリッサさんはどうして支援を強化したんですか?」

マリッサ「それまでの支援はあってないような雀の涙だったから。富める者の務めよ」

暗黒行商少女「ふうん……富める者の務めね。それなら他の御三家はどうなのよ?」

マリッサ「ウチほどではないけどあいつらも少しはしてるみたいよ、体裁を保つ程度には。まあオーデルシュタインはインフラ整備なんかも担ってるから、まあまあ頑張っている方じゃない?」

 割れた石畳「」ボロッ…

ローガン「……割れているが……」

マリッサ「それでも問題なく歩けるでしょ。それにオーデルシュタインの真価は目に見えない部分……例えばこの街の地下に張り巡らされた地下水道なんかは、どの地区も貴賎なく平等に整備が行き届いているはず……って何で私がオーデルシュタインなんかの擁護をしなくちゃならないのよ!!」

イリス「あはは……。マリッサさんから見て、オーデルシュタイン家はけっこう印象が良いってことですか?」

マリッサ「別に。インフラ整備は奴らの責務、行き届いて当然の最低ラインよ。それで高評価とはならないわ」

ローガン「手厳しいな」

マリッサ「それにオーデルシュタインは、平和の為だの人民の保護だのと大義名分を掲げて、独断で諸外国の紛争地に軍を派遣して暴れてるのよ。お陰で国外の敵は増えるし軍費も無駄に消耗するし。あのアホ、何を考えているんだか」

ローガン「イスファハーンの軍が紛争地に介入しているという話は私も聞いたことがあるが……シュヴィア氏の独断だったのか」

マリッサ「ええ。しかもあの軍警、無駄に血の気のあるバカが多いし、シュヴィアもそんなバカ共に慕われてるしで、誰も止める奴がいないのよ。本当に迷惑だわ」

ローガン「……オーデルシュタイン家が有する諜報機関については、何かご存知だろうか?」

マリッサ「ええ、存在は知ってるわよ。いつどこで何をしてるかまでは知らないけど」

ローガン「……ところで、先日のオークションだが……エミリオ氏によると、スピリチュアルジェルを出品した者の正体がわからぬらしい」

マリッサ「………それで?」

ローガン「そしてこれはある筋から手に入れた情報なのだが……オーデルシュタインの諜報員が、マガジン家に潜り込んでいるという話だ」

マリッサ「…………」

ローガン「おわかり頂けただろうか? 私たちは、その者こそがスピリチュアルジェルを持ち出し、そしてあのイスファハーンピラーから持ち去った犯人だと踏んでいる」

マリッサ「……なるほどね。部外者にしてはなかなか悪くない推理じゃない。確かに、渡りに船だったとはいえあのイスファハーンピラー攻略のとき急に協力を申し出てきたオーデルシュタインには違和感があるわ」

ローガン「うむ……。そして結局我々もあの後エミリオ氏に捕まってしまい、200億払うか犯人を捕まえない限りこの街を出られなくなってしまったのだ。ゆえに……今、オーデルシュタイン軍警を攻略する仲間を探していてな……」

マリッサ「え、何ですって? オーデルシュタイン軍警を……攻略する……!?」

ローガン「あまり大きな声を出さないでいただきたい。ここはまた共同作戦といくのはどうだろうか?」

マリッサ「……私がスピリチュアルジェルを取り戻す、最後のチャンスというわけね」

ローガン「……まあ、そういうことでもある」

マリッサ「…………」

イリス「あの……私、聞いたんです。マリッサさんは、大切な研究の為にお金が必要だって……。でも私……その為にあのスピリチュアルジェルの子を閉じ込めて、酷いことをするのには賛成できません。だから、その……」

マリッサ「……協力するだけ協力して、スピリチュアルジェルは諦めろと?」

イリス「……だ、誰かを酷い目に合わせて稼いだお金で、生き返らされた人は……ど、どんな気持ちになりますか!!?」バッ

マリッサ「……!」

イリス「ご、ごめんなさい! 知ったようなこと言って……! 私は、マリッサさんの相棒だって人のことも、マリッサさんのことも、何も知っていないんですけど……でももし、私が死んで……誰かを犠牲に生き返らされたら……どうすればいいか、わかんないです!!」

マリッサ「……」

イリス「……あっ! す、すみません……これ、ただの噂でしたよね。ごめんなさい! わ、私すごく恥ずかしいことを――」

マリッサ「……いいえ。事実よ。私は死なせた者を生き返らせる為に、今の研究をしている。資金が必要なのもその通り」

イリス「……!」

マリッサ「……もしあいつが生き返って、今の私を見たら……きっと軽蔑するでしょうね。そこまで堕ちたか、って」

イリス「……」

マリッサ「でも別に良いのよ。あいつが存在しない世界なんかより……存在する世界の方が、ずっと素敵だもの。例え私が、軽蔑されても……」

イリス「マリッサさん……」

マリッサ「……まあそうね。資金が足りさえすればあのスピリチュアルジェルは必要ないから、もしオーデルシュタイン攻略中に金塊の山でも掘り当てられたら手放してあげても良いわ」

イリス「……!」

ローガン「それは、つまり――」

マリッサ「私も手伝ってあげる。脳筋のアホ共に、知の力というものを教えてやりましょう」

 ☆マリッサ・マガジンの協力を得ました

―国際商業都市イスファハーン 滞在10日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◇暗黒行商少女[闇の商人]
武:魔銀のナイフ   盾:         飾:貝殻の髪飾り
武:         防:闇のエプロン   飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  
氷精の魔導書      精霊のローブ
ブラッドワイン*2
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[5/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[4/8](エバンス)
・魔法[2/6](エバンス)
・剣技[2/8](ローガン)
・魔法[1/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―イスファハーン郊外
 オーデルシュタイン駐屯基地 付近

エミリオ「……まさか、貴女も来るとは思いませんでした」

マリッサ「あら、ゲンズブールの坊やなのね。ハゲのおじさんは?」

エミリオ「さあ? オバサンたちにやられた傷が深すぎて死んだんじゃないですか?」

マリッサ「まあいいわ。あの目立ちたがり屋のことだし、生きていればそのうちわかるでしょ」


ローガン「作戦の確認をさせてもらっても構わないか?」

マリッサ「ええ、失礼。作戦の大枠は前回のピラー攻略と概ね同じよ。陽動部隊が正面から突入して暴れている隙に突撃隊が侵入。一気に目標地点まで駆け抜ける」

暗黒行商少女「前回はオーデルシュタインの兵士たちが陽動部隊として暴れられたけど、今回はそれが敵になるわけでしょ? 陽動部隊なんて一瞬で潰されて終わりじゃない?」

マリッサ「マガジンの技術力を甘く見ないで欲しいわね。前回はオーデルシュタインが出しゃばって来たから役割を与えてやっただけで、奴らがいなければいないなりに陽動戦力くらい用意できたのよ」

イリス「つまり……今回は、マガジンの人たちが陽動部隊になるってことですか?」

マリッサ「いいえ。人ではないわ。私謹製の……オオキイ人形よ!」

 オオキイ人形「」ヌッ

クロシュ「わあ……!」

エバンス「おわっ……!?」

妖精「で、でかっ……! 巨人族くらいあるんじゃないの……!?」

ミスティ「でも外見は他の人形と同じでフリフリの可愛いメイド服だわ!」

イリス「こ、これ本当に動くんですか!?」

マリッサ「当然でしょう。有象無象が何人かかって来ようが捻り潰してやるわ」

エミリオ「へえ……。マガジンも本気ですね」

マリッサ「落とし前を付けさせるだけよ。それでこの子が暴れて混乱を引き起こしている間に私たちが侵入。偽造の制服や通行証はデンネルが用意してくれたのよね?」

エミリオ「ええ。さらにブレアにハッキングさせて警備システムも無力化します。現場が大混乱に陥っている隙に僕たちは悠々と目標地点まで向かえば良いというわけです」

イリス「おお……なんかすごい! いけそう!」

エミリオ「僕の魔眼があれば雑兵など取るに足りません。前回だって、その妖精が催眠解除魔法を使わなければ僕の圧勝だったわけですから」

エバンス「まあ……実際危うかったからな」

ローガン「うむ……」

マリッサ「じゃあ精々頼りにさせてもらうわよ、坊や」

エミリオ「こちらこそ頼みますよ、オバサン」

 ◇

―オーデルシュタイン軍警駐屯基地 踏破率[0/10] 持久力[10/10]


 オオキイ人形「」ズン ズン…


オーデル兵士A「巨大な……メイド服の巨人が歩いてくる!!」

オーデル兵士B「はあ? 何を言って……なんだありゃ!!?」


 オオキイ人形「」ブッピガン! グオオオオッ!!!


オーデル兵士A「おあああああ!!! 凄い勢いで突っ込んで来るぞ!!」

オーデル兵士B「敵襲、敵襲だ!! 本部、応答せよ!!!」


 オアアアアア!!!! ジャギーン!!!! ウオオオオオオ!!!!
  ドガァァァァン!! バグオンッ!!!!!!! ズバッシャアアアアッ!!!!

 *

―オーデルシュタイン軍警駐屯基地 内部

 タッタッタッタッ

マリッサ「よしよし、動作は好調! 現場は大混乱に陥ってるわね!」

ミスティ「あんな戦力を隠していただなんて……」

マリッサ「隠してるわけじゃないわ。世間に周知する必要がないだけよ」

エバンス「だが上手く侵入できたぜ!」

イリス「エミリオくん、ブレアさんのハッキングは上手くいったの!?」

エミリオ「ええ、首尾は上々のようです」

ローガン「うむ! 我々はこのまま急ぐぞ!」



クロシュ(……銀色の、スライムちゃん……)グッ

妖精「クロシュ、あんまり気負いすぎないでね。大丈夫、きっと助けられるから」

クロシュ「……うん!」


↓1コンマ
01-10 踏破率+3、強敵
11-30 踏破率+3、敵襲
31-50 踏破率+3、マナブロック(持久力+2、次回戦闘コンマ+10)
56-70 踏破率+3、レーション(持久力+4)
71-90 踏破率+3、携行魔導ミサイル(本日戦闘コンマ+25)
91-00 踏破率+3、???

―オーデルシュタイン軍警駐屯基地 踏破率[3/10] 持久力[9/10]

 タッタッタッタッ――

オーデル士官「ん? おい、止まれ! 貴様らどこのしょぞ――」

エミリオ「……」スッ
 魔眼「」ギラッ

オーデル士官「アバッ!?」ガクガク

 バタッ…

ミスティ「容赦ないわね……」

エミリオ「加減はしてますよ。社会復帰できないと労働力の損失になりますから」

イリス「そ、そういう理由なんだ……」


妖精「……ん? こいつ何か持ってるな」ガサゴソ

イリス「ちょ、妖精さん!?」

マリッサ「やめなさいよ、そういうコソ泥みたいな真似は……」

妖精「敵地に突撃しながらコソ泥も何もないでしょ! 使えるもんは何でも使うのが妖精流なんだよ!」

 マナブロック「」ポン

ミスティ「……これは?」

マリッサ「ウチの研究所が一昨年リリースしたマナブロックね。言わば固形マナポーション。マナポーション1本分をぎゅっと圧縮してこのサイズの固体に収めた上に味も改良されてる。確かに良いものだわ」

妖精「それみろ。クロシュ、食べる?」

クロシュ「ん……!」

 モニョモニョ…モグモグ…

クロシュ「…………おいしくない……」モグモグ…

イリス「えっ!?」

ミスティ「クロシュが……美味しくないですって……!?」

ローガン「まさかそんな物質が存在するとは……」

エバンス「一体どれだけ不味いんだこのマナブロックってやつは……!?」

マリッサ「ちょ、ちょっと!! 美味しいでしょ!? 美味しいはずよ!!!」


 ☆持久力が2回復しました
  次回戦闘におけるコンマが+10されます


↓1コンマ
01-10 踏破率+3、強敵
11-40 踏破率+3、敵襲
40-70 踏破率+3、レーション(持久力+4)
71-90 踏破率+3、携行魔導ミサイル(本日戦闘コンマ+25)
91-00 踏破率+3、???

―オーデルシュタイン軍警駐屯基地 踏破率[6/10] 持久力[10/10]

 タッタッタッタッ――

妖精「うぷ……はきそう……」パタパタ

イリス「そ、そんなに美味しくなかった……?」

ミスティ「食べてみるとけっこう美味しかったけど……妖精とクロシュにはまずかったのね……」

ローガン「人間用の味付けだった、とかだろうか……?」

マリッサ「妖精とスライムには不評……覚えておくわ。次までには改良させる」

エバンス「こんな時でも商品改良を考えるのか? 真面目だな」


オーデル兵士「……ん? おい、お前らどこに向かっ――」タッタッタッ

エミリオ「……」スッ
 魔眼「」ギラッ

オーデル兵士「オボッ……!?」ガクガク

 バタッ…

エバンス「強すぎるだろ……」

妖精「心属性の恐ろしさってこういうことなんだよ。私が無理してでも対策魔法を覚えた理由、わかるでしょ?」

エミリオ「なるほど……心属性対策がそのまま僕の魔眼対策にもなるんですね。それなら僕もそれを見越して魔眼の使い方を改良すれば――」

妖精「言わなきゃ良かった……」

マリッサ「妖精さんが何も言わなくても、この坊やならそのうち自分の弱点に気付いていたわ。ちょっと早まっただけよ」

エミリオ「それより……この兵士面白いモノを持っていますね」

 携行魔導ミサイル「」ジャン!

イリス「ええと、これは……何?」

ミスティ「長い……棒?の先に……何かしら、これは……」

クロシュ「鉄の……くだもの……?」

ローガン「これは……まさか、爆弾を発射する装置か?」

エミリオ「はい。オーデルシュタインが開発した最新兵器の一つ……携行魔導ミサイルです」

エバンス「携行魔導ミサイルだと……?」

エミリオ「使い方は多分僕しかわからないでしょうから、僕が持っていきましょう。これがあればもし魔眼が効かない敵が現れても戦えるので」


 ☆携行魔導ミサイルを取得しました
  今回の探索中、戦闘コンマが+25されます


↓1コンマ
01-10 踏破率+3、強敵
11-50 踏破率+3、敵襲
50-90 踏破率+3、レーション(持久力+4)
91-00 踏破率+3、???

―オーデルシュタイン軍警駐屯基地 踏破率[9/10] 持久力[9/10]

 タッタッタッタッ――

 扉「」バァン!

ローガン「この部屋は――」

エミリオ「……食料庫のようですね」

エバンス「せっかくだし少しかっぱらってくか?」

マリッサ「手早く済ませなさいよ。外のオオキイ人形がいつまでもつかわからないんだから」

 *

 レーションの空き缶「」カラン
 レーションの空き缶「」カラン
 レーションの空き缶「」カラン
 レーションの空き缶「」カラン

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

マリッサ「ちょ、何個食べてるのよ!?」

妖精「さっきのマナブロックってやつがまずかったから、口直しにたくさん食べたいみたい……」

マリッサ「ただ大食いなだけでしょ!?」


エバンス「しかし……この、レーションってやつは……なんというか……」モグモグ

ミスティ「……まずいわね」モグモグ

イリス「はっきり言ったね……」モグモグ

ローガン「うむ……。まずい……」モグモグ

エミリオ「これはオーデルシュタイン軍警が開発、生産してる軍用携行食品ですので……味も当主のシュヴィアが監修しているのでしょう。少なくとも味付けに関しては人間向けではないようです」モグモグ

 ☆レーションを食べて持久力が4回復しました

↓1コンマ
01-10 踏破率+3、強敵
11-90 踏破率+3、敵襲
91-00 踏破率+3、??

―オーデルシュタイン軍警駐屯基地 踏破率[10/10] 持久力[12/10]

 タッタッタッタッ――

「止まれ」ヌッ

「……やっぱりアンタたちだったのか」ヌッ


ローガン「……! 貴様たちは――」

エバンス「グラドス……シモンズ……!!」


グラドス「うむ。しばらくぶりだな、旅の一行よ」スッ

シモンズ「ハッ……こんな場所で再会することになるたあ思ってなかったがな!」スッ


エバンス「……俺もこんなとこで再会したくなかったよ。道を開けてくれないか?」

シモンズ「だはははは! 道を開けろと言われて開ける警備がどこの世界にいる!?」

ローガン「だが彼我の戦力差は明らかだろう。以前、貴殿らは私とエバンスくんの二人が相手だった時も勝利は我々だった。この人数差では――」

グラドス「舐めてもらっては困るな、ローガン殿」スッ
 薙刀「」バチバチ…ゴゴゴゴ…!!

イリス「複数属性のエンチャント……!?」

グラドス「某の薙刀術において、人数の差は決定的な戦力差とはならぬ。むしろ、人が増えて周囲に気を配らざるを得なくなった貴殿らの方が不利ではないか?」

シモンズ「ハッ、そういうこった! 今大将は大事な実験の最中だそうだ! お前らがどういうつもりで来たのか知らんが、邪魔はさせねえぜ!!」ジャキッ

クロシュ「……!」

妖精「実験の、最中……!? あなたたち、あの子をどうしたの!?」

グラドス「あの子……? すまぬが、某ら雑兵は実験の詳細を知らぬ。ただ主君を信じ、仕えるのみ」

シモンズ「おうよ! シュヴィアの大将がやることにケチなんてつけさせねえぜ!」


エミリオ「……はあ。盲目的に雇用主を信じるなんて、奴隷未満の愚鈍さですね。面倒なのでどいて頂きますよ」
 魔眼「」ギラッ


シモンズ「……ん? 目の色が変わったな、坊主。何の魔法だ?」

グラドス「魔眼だ、阿呆」


エミリオ「……何か対策をしていますね」

グラドス「うむ。悪いが対策済みだ。貴殿は最重要対策必須項目だとシュヴィア殿直々に指名されていたのでな」

エミリオ「へえ。それは光栄です。しかしそれなら――」

 魔導携行ミサイル「」ガシャコン!

エミリオ「自社兵器の対策はどうなんですか!?」ニヤリッ

グラドス「!!!?」

シモンズ「ん!!!?」


 ――戦闘開始 グラドス&シモンズ――


↓1コンマ(マナブロック+10、ミサイル+25)
01-10 痛恨 持久力-4
11-40 劣勢 持久力-2
41-90 優勢
91-00 会心

 携行魔導ミサイル「」シュボッ―

 ミサイル「」シュゴオオオッ!!!

グラドス「ぬおおおおっ!!」

シモンズ「んな豆鉄砲なんざ――」

 ドガァァァァアン!!!!


ミスティ「ちょ、いくらなんでも喧嘩っ早すぎるでしょ!?」

イリス「ミスティも時々あんな感じだよ! とにかく戦いが始まっちゃったからには私たちも畳み掛けよう!!」バッ

ミスティ「ええい、わかったわよ!!」

炎魔女クロシュ「ん!」チリッ

マリッサ「アハハハハ!! 面白いじゃない、追撃よ追撃!!」

 星弾「」バシュンッ!!
 氷塊「」バギュウンッ!!
 炎弾「」ゴウッ!!
 光線「」バシュウウウンッ!!!

 ドガァァァァァン!!!!


エバンス「お、おお……」

ローガン「こ、これは……」



黒焦げグラドス「……まだ……倒れる、わけには……」プスプス…

 ドサッ…

黒焦げシモンズ「ぐっ……うおおおおお!!! 俺は……まだ、倒れ――」プスプス…

妖精「無理しないで寝ときな」ペチッ

黒焦げシモンズ「がっ……」プスプス

 ドサッ…

 ――戦闘終了――

―オーデルシュタイン軍警駐屯基地 踏破率[10/10] 持久力[12/10]

 タッタッタッタッ

ミスティ「大丈夫かしら……? さっきの二人……」

エバンス「あれくらいで死ぬ奴らじゃないさ」

ローガン「うむ。少し経てば自力で起き上がれるだろう。彼らはそういう戦士だ」

マリッサ「それより奴らが言ってた実験ってのが気になるわ!」

エミリオ「ブレアによればこの先に実験室があります!」


クロシュ「!」

イリス「星の魔力を感じる! この先にいるよ、あの子が!!」

妖精「……どうか無事でいて……!」


 扉「」バァン!!

機械に繋がれた白銀スライム「」デロロ…


クロシュ「!!!!」

妖精「こ……これは……!!」


「まさか……ここまで乗り込んで来るとは」スタスタ


マリッサ「……あなたが全ての仕掛け人だったってわけね……シュヴィア・オーデルシュタイン!!」ザッ

シュヴィア「どの件についての話なのかは知らないけど、このスピリチュアルジェルを奪い、目的の為に利用しようとしているのは紛れもなく僕だよ」

クロシュ「シュヴィアさん……!! 銀色のスライムちゃんを……今すぐ、離して……!!」ザッ!!

シュヴィア「……お前は……結局この街を出ていくどころか、残ってここまでやってきたのか……」

クロシュ「離して……!! スライムが……仲間が、大切なら……どうして……!?」

シュヴィア「……何か勘違いしているみたいだけど……その子は、了承してるんだよ。こうやって、僕の目的の為に協力してくれることを……」

クロシュ「えっ……?」

シュヴィア「勝手にあの子が苦しんでいると決め付けて、頼まれてもいないのにこんなところまで来て、事態を引っ掻き回さないで欲しい。これは、僕の……僕たちの、悲願なんだ」

クロシュ「ひがん……?」

シュヴィア「スピリチュアルジェルの力を使って、星脈にアクセスし……この星に住む全ての生命を、支配する。そして――この世界の誰もスライムを脅かさない、伝説のスライム王国を復活させる」

クロシュ「???」

妖精「はあ!!!? そんなことできるわけ――」

マリッサ「……理論上は可能ね。理論上は。スピリチュアルジェルには星脈を通して他者と繋がる能力がある。それを発展させれば、他者を支配洗脳することも可能よ。でも――ただの交信ならともかく、支配の範囲を星全体にまで広げようとすれば――スピリチュアルジェルは膨大な情報を処理し切れず、核が焼き切れて死ぬでしょうけど」

シュヴィア「そんなことはわかっている。でも――彼に協力させたら、どうかな? ブレアくん」スッ

スピーカー『はい、シュヴィア様。私がスピリチュアルジェルの代わりに情報処理を行えば、99.9998%の確率でスピリチュアルジェルの死を防ぎつつ安全に支配を続行することが可能です』ピコピコ

シュヴィア「だそうだよ。これの開発に最も貢献してくれたリチャードが、今この場にいないのが残念だ」

マリッサ「なるほど……確かに、ブレアの処理能力なら可能かもしれないわね」

妖精「ちょっとエミリオ!? なんでデンネルの情報生命体がシュヴィアの味方をしてるの!?」

エミリオ「……ブレアは完全に中立的な情報生命体のはず。何らかの手段でブレアにハッキングして、その中立性を破壊したとしか……」

シュヴィア「ブレアくんはただ、僕たちの理念に賛同してくれただけだよ。血も涙もない下劣な人間共なんかと違って、彼の方がよほど優しくて暖かみのある存在だ」

エミリオ「そうだといいですけどね」

シュヴィア「……下らないお喋りは終わりだ。この子とブレアと星脈の同調が完了するまで、もう少しかかる……。その前に、邪魔者掃除をしないとね――」デロデロ―


スライムシュヴィア「来い、薄汚い下劣な人間共。まとめて花壇の養分にしてやる」モニョモニョ


 ――ボス戦闘開始 オリハルスライムのシュヴィア――

 ★シュヴィアの〈オリハルボディ〉が発動!
  相手の会心を無効化し、さらにコンマ+10!

↓1コンマ(ミサイル+25、オリハル-10)
01-10 痛恨
11-50 劣勢
51-00 優勢

エミリオ「なら遠慮なく行かせていただきますよ! 死ね!!」ガシャコンッ!!

 ミサイル「」バシュウウウンッ!!

スライムシュヴィア「!」

エミリオ「アッハハハハ! 御社の魔導ミサイルなら物理無効だろうと関係ありませんね!?」

スライムシュヴィア「〜〜」モニョモニョ

 空穴「」ヴォン!

 ミサイル「」シュウウウン――…

エミリオ「何!?」

エバンス「空間に謎の穴が開いて、ミサイルが吸い込まれていったぞ!?」

イリス「あれはまさか――空間魔法!?」

スライムシュヴィア「物理以外の攻撃に何の対策もしていないと思ったのか? エミリオ・ゲンズブールは愚かだ」モニョモニョ

エミリオ「チッ、舐めた真似を……!! あなたたち、さっさとかかりなさい!!」


エバンス「言われなくてもかかるが、俺たちゃお前の部下じゃねえぞ!」バッ

ミスティ「子供は邪魔にならないよう隅っこで見てなさい!」バッ


 ガギインッ!!

 鋼の剣「」ギギギギ…

スライムシュヴィア「そんなナマクラでオリハルコンを斬るつもりか?」モニョモニョ

ローガン「いいや。私の狙いは――」

 鋼の盾「」ドウンッ!!

スライムシュヴィア「っ!?」ヨロッ


イリス「そこ!!」バッ

 星弾「」バギュンッ!!

 ドガァンッ!!

スライムシュヴィア「くっ……!」モニョ…!

 赤熱メイドブレード「」ゴウッ!!

 ガギインッ!!!

炎メイドクロシュ「……!!」チリチリ

スライムシュヴィア「その姿……バーニングスライムの力……!? お前は、一体――」モニョモニョ


↓1コンマ(ミサイル+25、オリハル-10)
01-10 痛恨
11-50 劣勢
51-00 優勢

スライムシュヴィア「流石に多勢に無勢か――ならば!」デロデロ―

分体シュヴィア「!」ポン!
分体シュヴィア「!」ポン!
分体シュヴィア「!」ポン!
分体シュヴィア「!」ポン!


イリス「オリハルスライムも分体を作れるの!?」

スライムシュヴィア「分体作成はスライムにのみ許された正しき力だ。僕にできない道理などない」モニョモニョ


分体シュヴィア「〜〜」モニョモニョ

分体シュヴィア「〜〜!」ピョンピョン

 ガギンッ!

エバンス「チッ……! こいつら、堅さは本体と同等だぞ!」ギギギ

ローガン「我々では文字通り刃が立たん! 引き付けている間に魔法攻撃を頼む!!」ギギギ


イリス「は、はい! やあっ!」バッ

 星弾「」バシュンッ!!

 ドガァン!!
分体シュヴィア「」デロロ…

イリス「魔法への耐久力は本体よりもないみたい! このまま攻め――」

分体シュヴィア「!」ピョンッ

分体シュヴィア「!」ピョンピョン!

イリス「か、数が……増えてきた……!?」

ミスティ「凍てつけ!!」カッ!!

分体シュヴィア「」カチンコチン

イリス「ミスティ!」

ミスティ「とにかく一体づつ確実に仕留めていくしかないわ! 分体だって無限には出せないはずよ!!」


↓1コンマ(ミサイル+25、オリハル-10)
01-10 痛恨
11-50 劣勢
51-00 優勢

炎メイドクロシュ「!」クルンクルンッ シュバッ

 ギンギンガギンッ!!

スライムシュヴィア「どうして邪魔をする!? お前もスライムなら、僕たちの気持ちが――」モニョモニョ

炎メイドクロシュ「だって――泣いてたもん!!」チリチリ

スライムシュヴィア「!!?」モニョ!?

 デロデロ――

バーニングスライムクロシュ『あの子――泣いてたんだもん!! ほんとは、だいじょぶじゃないって――泣いてた!!!』モニョモニョ!!!

 ゴウッ!!
 ベチンッ!! ベチンッ!!

スライムシュヴィア『ぐ、ううっ……!! だが――一人の涙で、世界中のスライムを救えるのなら!!!』モニョモニョ!!!

バーニングスライムクロシュ『ばか!! ばか!!! ばか!!!!』モニョモニョモニョ!!!!


↓1コンマ(ミサイル+25、オリハル-10)
01-10 痛恨
11-50 劣勢
51-00 勝利

スライムシュヴィア『黙れええええ!!!!』モニョニョニョ!!!!

 ベチンッ!!!
 ベチンベチンベチンッ!!!!

バーニングスライムクロシュ『んゅっ……!!』モニャッ…!

 デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…

スライムシュヴィア『はあ、はあ……! 命懸けで助けてくれる仲間に囲まれてる、しあわせスライムのおまえに……!! ボクたちレアスライムが、どれだけ酷い目に遭わされてきたかなんて……わかるもんか!!!!』モニョモニョ!!!!

スライムクロシュ『んゅ……』デロ…

スライムシュヴィア『あの子は……ボクたちが、ボクたちらしくいられる為に……自分から、進んで犠牲になることを選んでくれたんだ!!! おまえなんかの下らない独善で……その想いを、邪魔するなぁぁぁ!!!!』モニョニョニョ!!!!


↓1コンマ(ミサイル+25、オリハル-10)
01-50 敗北
51-00 勝利

スライムクロシュ『で、も……』ヨロヨロ…モニョニョ…


スライムクロシュ『泣いて、ほしく……ない……』モニョニョ…

 ヨロヨロ…モニョモニョ…

 ベチンッ…

スライムシュヴィア『あうっ……』ヨロッ…

 デロデロ…

スライムシュヴィア「」デロロ…


 ――戦闘終了――

というわけで本日はここまでとなります。次回はシュヴィアとの戦闘終了後から再開となります

オーデルシュタインの基地に攻め込み、グラドスとシモンズを撃破して最深部に辿り着いたクロシュが見たものは、機械に繋がれた白銀スライムと静かに待ち受けるシュヴィアの姿だった。
戦いの中、ボロボロになりながら剥き出しの想いをぶつけ合った二人のスライム。激闘を制したクロシュは、シュヴィアの言葉に何を想う――

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします

クロシュ氏も元は虐げられる側の者だったため、もし落ち着いている状況であればシュヴィア氏の話に理解を示すことができた可能性もあります。しかし今回のような強行的な状況では落ち着いて考える余裕などなく、クロシュにとっては泣いて感謝しながら別れを告げた白銀スライムの姿が全てでありました。そうなってしまうと、もうモニョモニョ言いながら殴り合うしかなかったのかもしれません

エミリオ氏は同年代どころか一般的な成人よりも頭が良いのですが、意外と年相応の部分もあるのかもしれません。ミサイルをぶっ放すのはとても楽しいようです
イスファハーンが人間率の高い都市であるため、そこの富豪としての立場を考えてシュヴィアは現在の人間態の姿や口調を作っていたようです。彼も元々は他のスライム類と同様に穏やかで温厚なスライムだったのかもしれません

内通者なる存在が一体何なのかは、未だ明らかになっていないようです。しかしあの時シュヴィアがマリッサを窘めたのは、確かにやや怪しい挙動のようにも見えます。今後の展開で明らかになっていくかもしれません

スピリチュアルジェルを作ったのはマガジンの研究所でしたが、実のところその作成は再現性のない奇跡的なものだったそうです。2体目の作成は未だ全く成功していないらしく、マリッサ氏が血眼になって例のスピリチュアルジェルを取り戻そうとしていたのはそういう理由があってのものだったのかもしれません

サリー氏は優秀な補佐官のようです。ここ最近の緑の国フォレスティナでは、観光地になる以前のようなゆったりとした時間が流れています。風船スライムたちは普段は低空をふよふよと浮いているだけの無害なスライムなので、観光客にも人気があったようです

―オーデルシュタイン軍警駐屯基地

スライムシュヴィア「」デロロ…

分体シュヴィア「」デロデロ…


イリス「た……倒した……!?」

マリッサ「手こずらせてくれたわね」

エミリオ「スライム王国だか何だか知りませんが、残念でしたね。スピリチュアルジェルは我々デンネルが――」


スピーカー「ピガガーッ!!!!」
 バチバチバチ!!
 ドッギャァァァァァン!!


妖精「うわわっ!? な、何が――」


マリッサ「あれ……? 私は……なんで今まで、デンネルに楯突くような真似を……」グルグル

エミリオ「……ぼ、僕は……崇高なるデンネル家の傍系でしかない分際で、なんて調子に乗った真似を……」グルグル


エバンス「!?」

ミスティ「こ、こいつら……急に何を言い出したの……!?」

ローガン「なぜデンネル家がどうのこうのと……ハッ!? まさか――」


スピーカー「ピガ……スピリチュアルジェルノパワーヲ利用シ、生命体ノ意識支配ニ成功……」


妖精「な、なんだって!?」

イリス「し、支配!? ま、間に合わなかったってこと!?

ミスティ「様子もおかしいわ! さっきまでと喋り方が違う!」


スピーカー「支配領域ヲ順次拡大シマス。デンネル家ノ繁栄ニヨル完全デ平等ナ世界支配ヲ目指シマス……」


エバンス「デンネル繁栄!? 完全で平等!? 何を言ってやがるんだ!?」

妖精「とにかく止めないと!! ええと、こいつはどうすれば……」


『……あの、円筒形の箱を破壊してください。そうすれば……ブレアちゃんを止められます』モニョモニョ


スライムクロシュ「!」モニョ!

ミスティ「!? こ、この声は……!?」

妖精「あなたは……あの銀色のスライム!? どこから……!?」

『あなたたちの、虹晶の耳飾りを通して……私の言葉を届けています……。ブレアちゃんをこのまま放置すれば……この星は、大変なことになってしまう……。お願いです……どうか、止めてください……』

スライムクロシュ「〜!」モニョ!

エバンス「わかったぜ!」

ミスティ「壊せば良いのね!?」


 ――ボス戦闘開始 電子妖精ブレア――


↓1コンマ(ミサイル+25)
01-05 痛恨
05-40 劣勢
41-90 優勢
91-00 会心

 円筒形の箱「」


エバンス「あれだな! オラァ!」バッ
 魔銀の剣「」ブンッ!

 電磁バリア「」バチチッ!!

エバンス「あばばばっ!?」ビリビリ

ローガン「エバンスくん! あれは……!?」

イリス「雷属性の……バリア!?」

『ご、ごめんなさい……言い忘れてました……。あの箱は周囲を電磁バリアで守られています……。金属製の武器で攻撃するのは危険です……』

エバンス「つつ……先に言って欲しかったぜ!」


スピーカー「ピガ……敵性存在ノ出現ヲ感知……。迎撃モード、起動シマス……」

 雷撃「」バリバリバリ!!


ミスティ「っと……! この雷は……!」サッ

妖精「イスファハーンピラーの通路で私たちを襲ったあの雷……!?」

エバンス「ハッ、中立なんて笑わせるぜ! 最初からデンネルの手駒でしかなかったってわけだ!」

スピーカー「デンネル家ヘノ侮辱ヲ感知……侮辱罪ハ死刑トナリマス。裁判ヲ省略シ執行ニ移リマス」

エバンス「滅茶苦茶すぎるだろ!」

イリス「こっちからも攻撃しよう! 雷のバリアで守られてるなら――これだ!」カッ!

 星弾「」バシュンッ!!

 電磁バリア「」バチチチッ!!
 ドガァァァン!!

 電磁バリア「」ジジ…

ミスティ「少しかすれたわ! 攻め続けましょう!」カッ!

エバンス「おう!」カッ!

ローガン「鋼の投槍よ!」カッ!

 氷塊「」バキュンッ!
 土塊「」ドゴンッ!
 鋼の投槍「」バシュンッ!

 電磁バリア「」バチチチッ!!



スライムクロシュ「…」モニョモニョ…ググ…

妖精「クロシュ! さっきの戦いでもう限界なんでしょ!? 無茶はしないで!」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

妖精「気持ちはわかるけど……えっ!?」

 携行魔導ミサイル「」ジャキッ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「まさか、エミリオの奴が落としたそれを――」

 ガシャコン ボシュッ―

 ミサイル「」バシュウウウウンッ!!!!

 電磁バリア「」バヂッ……

 ドガァァァァンッ!!!!


エバンス「うおおっ!?」

イリス「す、すごい威力……! これなら……!!」


 モクモク…

電子妖精ブレア『……』フォン バチバチ


ローガン「……!? あれは……!?」

ミスティ「実体のない……雷の、精霊……!?」


電子妖精ブレア『デンネルに仇為す者は――全て破壊する』バチチッ


 ★ブレアが〈雷精顕現〉を発動!
  会心率が上昇し、コンマ+10!


↓1コンマ(ミサイル+25、雷精-10)
01-20 痛恨
05-40 劣勢
41-00 勝利

 雷の残像「」パリッ

ミスティ「!? 消え――」

エバンス「危ねえ!」バッ!

 土塊「」ドンッ!
 バチチチチッ!!!!

 砕ける土塊「」ドグシャアッ!


電子妖精ブレア『――』フォンッ

 雷の残像「」パリッ

 バチッ
  バチチチッッ!!!

 雷撃「」バリバリ!!

イリス「うわあああ!!」バリバリ

ローガン「ぬうううう!」バリバリ


妖精「こ、これは……雷速移動……!?」

エバンス「どうすりゃいいんだよ!? 速すぎて追えねえ……!」

妖精「え、ええと雷速は光速よりも遅いけど、霧や煙も切り裂いて移動できる点に優れてて……弱点は術者自身も雷の不規則な動きを制御し切れないことで――」


 雷の残像「」パリッ

 雷撃「」バリバリ


ミスティ「ものすごく正確にこちらを狙って雷を撃ってくるわよ!?」ササッ

妖精「元々雷そのものに近い雷の精霊とかにはその弱点は当てはまらないんだけど……こいつは本当に雷の精霊なのかどうか――」


スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!

 携行魔導ミサイル「」ボシュッ

 カッ!
 ドガアアアアアンッ!!


 壊れた円筒形の機械「」プスプス…


電子妖精ブレア『……通信、切断……』ジジ…

 ピシュン――…


ミスティ「き、消えた……?」

妖精「弱点は……無視して機械を壊せば良いってことだよ!!!」


 ――戦闘終了――

 機械に繋がれた管「」ブチブチ


白銀スライム『……』モニョ

スライムクロシュ『大丈夫……?』モニョモニョ

白銀スライム『うん……。ごめんね……。クロシュちゃんに……また、迷惑かけちゃった……』モニョニョ…

スライムクロシュ『んーん……。スライムのため……だったんだよね……』モニョモニョ

白銀スライム『うん……。でも……ブレアちゃんに……利用されてた、だけみたい……。私も……シュヴィアさんも……』モニョモニョ…

スライムクロシュ『んゅ……』モニョ…

白銀スライム『あの……シュヴィアさんを、恨まないであげてね……。シュヴィアさんは……本当に、みんなのことを思ってる、優しいスライムで……』モニョモニョ

スライムクロシュ『うん……』モニョニョ

白銀スライム『それと……。また……助けに、来てくれて……ありがと……』モニョニョ

スライムクロシュ『!』モニョ

白銀スライム『覚悟は……できてた、つもりだったけど……やっぱり、怖くて……。ブレアちゃんの真意を知った時は……なんてことしちゃったんだろうって、死んじゃうかと思った……。でも……クロシュちゃんが、また来てくれた……』モニョモニョ

スライムクロシュ『うん……』モニョニョ

白銀スライム『クロシュちゃん……本当に……ありがとう……。私の……勇者さま……』モニョモニョ

スライムクロシュ『ほえ……?』モニョニョ?


 ☆白銀スライムの救出に成功しました

 *

シュヴィア「……そうか……。僕は……結局、デンネルの掌の上だったのか……」

エミリオ「…………」

マリッサ「さあ、そうとも言い難いんじゃない? さっきはエミリオ坊やまでもがしっかり洗脳されてたし、あのリチャードもブレアの行動を把握していたとは思えない。もしブレアが把握していたらもっと周到にやるはずよ」

シュヴィア「……あの計画を持ちかけてきたのは、マガジンの内通者を名乗る者だった。確か以前、リチャードもマガジンの内通者を名乗る者からのコンタクトがあったと言っていたが……それが真実だとすれば、その内通者なる者もブレアだったのか?」

マリッサ「そういえばそんなこと言ってたわね……」

エミリオ「ブレアに直接聞いてみましょう」

マリッサ「え、大丈夫なの?」

エミリオ「大丈夫ですよ、制限はかけましたから。おい、ブレア」

端末『はい、エミリオ様』ピピッ

エミリオ「正直に答えろ。マガジンの内通者を名乗ってウチとオーデルシュタインにコンタクトを取ったのはお前か?」

端末『はい。私はマガジンの内通者を名乗り、デンネル家とオーデルシュタイン家にコンタクトを取りました』

マリッサ「うちのスピリチュアルジェルを盗んでオークションに出品したのは誰かわかる?」

端末『マガジン研究所のスピリチュアルジェルを盗んでオークションに出品したのは、私がハッキングして行動を操ったマガジン製の試作魔導人形です』

マリッサ「……」

エミリオ「……オークションで得た金は?」

端末『私が開設した口座に振り込まれています』

エミリオ「………リチャードはこのことを知っているのか?」

端末『いいえ。リチャード様にはお知らせしておりません』

エミリオ「…………」

シュヴィア「……どうやら、僕たちは全員こいつの掌の上だったようだ」

エミリオ「とんだポンコツだ。いや……僕たちをここまで踊らせた上にデンネル家の世界支配一歩手前まで迫ったのだからむしろかなり優秀なのか……?」

マリッサ「……気に入らないわ。こいつ、ウチからは盗むだけ盗んで何も提供してないじゃない」

シュヴィア「僕も騙されていただけで何も得てはいないが……」

エミリオ「………」

マリッサ「ブレア開発の最高責任者であるデンネルが責任を取るべきよね?」

エミリオ「……リチャードが起きたら話を通しておきましょう」


 ☆スピリチュアルジェル窃盗の犯人および200億の行方が判明しました
 ☆マガジン研究所に多額の研究予算が割り振られることになりました

 ◆

―国際商業都市イスファハーン 滞在最終日

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◇暗黒行商少女[闇の商人]
武:魔銀のナイフ   盾:         飾:貝殻の髪飾り
武:         防:闇のエプロン   飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  
氷精の魔導書      精霊のローブ
ブラッドワイン*2
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[5/12](クロシュ)+2
・魔法[6/6](イリス) +2 LVUP
・魔法[5/6](ミスティ)+2
・氷属[8/8](ミスティ)+2 LVUP
・剣技[6/8](エバンス)+2
・魔法[4/6](エバンス)+2
・剣技[4/8](ローガン)+2
・魔法[3/6](ローガン)+2
☆この街での戦を終えて、全員が練習中の技能に2の経験を獲得しました
☆イリスの魔法レベルが1上がりました
☆ミスティの氷属性レベルが1上がりました
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―朝
 ゴールドコイン スイートルーム

スライムクロシュ「……」zzz
白銀スライム「……」zzz


イリス「いろいろあったけど何もかも上手くいったねえ」

ミスティ「ええ、本当に……」

暗黒行商少女「正直死ぬかと思ったわよ、私は……。あんたたちの運と実力には驚嘆するわ」

妖精「あはは、でもあなたもありがと! いろいろ手伝ってくれてさ」

暗黒行商少女「別に。結局、あんたたちが欲していた大魔女帝国行きのチケットは手に入れられなかったし――」

 ピンポーン

イリス「あれ、お客さん?」スタスタ

暗黒行商少女「変な輩は通してないと思うけど、一応警戒はしといて。恨みは買ってるはずだし」

ミスティ「そうね……。面倒事じゃなければいいけど……」

イリス「とりあえずチェーンをかけて……開けてみるよ」

 ガチャッ

リチャード「おはようございます皆さん!」ヌッ

イリス「うわあ!」ドテッ

妖精「あ、あなたは――」

ミスティ「リチャード・デンネル!?」

リチャード「ハハハ、そう警戒しないでいただきたい! 私も病み上がりでしてね、まだ体の節々が痛いのです!」

妖精「そ、そう……。それで、何の用……? 200億の行方ならもう決着が付いたはずだよね?」

リチャード「ええ! エミリオくんから聞きましたよ、ウチのブレアがご迷惑をおかけしたようで! 本日はそのお詫びに、良いモノをお持ち致しました!」

イリス「い、いいもの……?」

リチャード「これを差し上げましょう!」スッ

 大魔女帝国渡航権「」ポン!

妖精「こ、これは……!!」

リチャード「お探しのモノはこれでしょう? フフフ、是非どうぞ」ニコニコ

ミスティ「……罠じゃない?」

イリス「だよね……」

暗黒行商少女「ええ……これを受け取ったら最期、死ぬまで毟り取られるわよ」

リチャード「いやいやいや、今回はそのような企ては一切ございません! 本当に本心からお詫びと謝意を込めた贈り物です!」

妖精「でも、私たちデンネル家の得になるようなことは何もしてないし……。ていうかむしろ器物破損とか世界支配の妨害とか、損になることしかしてないと思うんだけど……」

リチャード「私自身が計画し実行したものであった世界支配ならともかく、ブレアの独断によるものは少々危険すぎますからね。行き着くところまで行けば私の権限を持ってしても制御不能のディストピアとなってしまうかもしれません。そんな世界で健全な経済活動は望めませんから、あなた方の活躍には本当に感謝しているんですよ! イヨッ、救世の英雄たち!」パンパンッ

ミスティ「なんかすっごいムカつくわ……。ダークヒーロー呼びより……」

イリス「あ、あはは……」

リチャード「そういうわけですから、遠慮せず受け取ってください! フフフ……デンネル家の者としても、救世の英雄とコネクションを作っておきたいという下心もあります」

妖精「はあ、まあいいや……。私たちとのコネは多分役に立たないと思うけど、くれるなら貰っとくよ。ありがとう」

 大魔女帝国渡航権「」スッ

リチャード「それを持って、この街の大魔女帝国大使館に行ってください。そこで大魔女への愛を語る最終面接にクリアすれば、港の方に大魔女帝国の空中機動要塞が迎えに来てくれますよ」

イリス「愛を語る……」

ミスティ「……噂には聞いたことがあるけれど、本当に要塞ごと迎えに来るの?」

リチャード「ええ、本当です。送迎用の小型機でも出せば良いのにと私も思うのですがね……。大魔女のお考えは少々理解の範疇を越えますなあ」

 ☆大魔女帝国渡航権を手に入れました

 ◇

暗黒行商少女「そういえば、どうしてあんたたちは洗脳から逃れられたの?」

イリス「あの時、この耳飾りから白銀スライムちゃんの声が聞こえたの。だから多分……声を伝えるだけじゃなく、耳飾りを通して私たちを守ってくれたんじゃないかなあ。あのとき私、耳飾りから優しい星属性の波動を感じたんだ」

ミスティ「そうだったのね……」


白銀スライム「……」zzz
スライムクロシュ「……」zzz

 *

―ゴールドコイン スイートルーム

エバンス「おお!? 手に入れたのか、渡航権!」

妖精「うん。特にお返しとかもいらないみたいだったから」

ローガン「おお……。巡り巡って当初の目的も達成できたということか!」

妖精「そういうこと。みんな愛を語る最終面接の練習しておいてね」

エバンス「面接か……。顧客に好印象持ってもらうのも傭兵の仕事の一つだし、やれるぜ多分」

ローガン「私も問題ない。王侯貴族にゴマを擦るのも騎士業務の一環だったからな」

妖精「そ、そう。まあ大丈夫そうなら良かったよ」


イスファハーン滞在最終日です。翌日に大魔女帝国大使館へ行き、最終面接に挑みます
↓1〜3 自由安価 何をする?

―ゴールドコイン スイートルーム

 ピンポーン

扉の向こう「イリス・プラネット様宛にフラナ・バイオレット様からお手紙が届いております〜」

イリス「あ、は〜い!」パタパタ

 ガチャッ

メイド「はい、こちらお手紙になります」

 フラナからの手紙「」ポン

イリス「ありがとうございます!」

メイド「いえいえ。ごゆっくりおくつろぎくださいませ」ペコリ

 パタム…


ミスティ「フラナさんから手紙?」

イリス「うん。この前の返事出した時に、ついでにブラッドランスについてもやっぱり書いといたんだ。知ってることを言わないでいるのもなんだか悪い気がして……」

ミスティ「……なんというか……あんまり良い予感がしないわね……。あの槍の話題となると……」

イリス「ま、まあ……。と、とにかく開けてみよう!」

 フラナからの手紙「」パリッ


↓1コンマ
01-10 フレメアを殺すわ
11-50 フレメアを殺すべきね
51-90 教えてくれてありがとう
91-00 私にはもう不要なものよ

 *

教えてくれてありがとう。あれは私には不要なものだけれど、それはそれとしてケジメは必要ね。
あれを持ち去った挙げ句勝手に売却した者には心当たりがあるわ。私の姉、フレメアよ。死にもせず無様に永らえてバイオレットの名を汚し続けるあの愚かな吸血鬼モドキには、罰を与えてやらなければならない。
それに魔族国を背負っている以上、汚点は修正すべき。そういうわけだから、フレメアは私が殺すわ。近いうちに。

あなたも、いろいろ大変でしょうけれど頑張りなさい。もしクロシュがもう助かっているのなら、怒っていないからいつでも魔族国へ遊びに来いと伝えておいてね。それではまた。

追記:レイ・アンバーの魔法陣は未だ解析中よ。複雑すぎて一朝一夕じゃ終わらなそう。気を長くして待ちなさい。

 *

イリス「……」ダラダラ

ミスティ「……イリス」

イリス「どど、どうしよう……わた、私が……伝えたせいで……」

ミスティ「……仕方ないわ……事実だし……。それにもしフラナさんがフレメア・バイオレットを仕留めれば……例のテロ組織は構成員を一人失うわけだから、今後の光探索の障害が一つ減るということにもなる……」

イリス「で、でも……! 姉妹同士で殺し合うなんて……!」

ミスティ「……あの姉妹、一体何があったのかしらね」


 ★フラナがフレメア殺害を決意してしまいました
  今後、姉妹喧嘩コンマが発生する可能性があります

 ◆

―どこかの廃村

フラナ「へっくし!」

アウル「おや、吸血鬼でも風邪を引くのか?」

フラナ「どっかで陰険な奴が陰口でも叩いてるんでしょ」

アウル「陰険な奴、ねえ……」

フラナ「それより駄狐、あれの練習しないの?」

アウル「うるさいな……休憩中なんだよ。それにもうだいぶ乗れるようになってきた」

フラナ「私の半分の速度も出せないのに〝だいぶ乗れる〟だって?」ニヤニヤ

アウル「チッ……」

 浮雲「」フワフワ

フラナ「はぁ〜あ、駄狐より私が先に見つければ面白かったのに」

アウル「アンタはもう飛べるだろ」

フラナ「だから。駄狐も飛べるようになったらつまんないじゃん」

アウル「アンタ……クズってよく言われただろ」

フラナ「アッハハ! 妹によく言われたよ!」

アウル「アンタの妹って確か……魔族国で首長代理をやってるっていう――」

フラナ「そうそう! 上に立つ器じゃない癖に、哀れだねえ」

アウル「オレは王国相手によくやってる方だと思うけど? ま、手ぬるすぎるって点じゃ同意見だね。王族以外は全員惨たらしく殺せば良いのに」

フラナ「ホントバカだよねえ。人間なんて生かしとく価値ないのにさ。なあに今更良識派ぶってんだか」


フラナ「誰よりも冷酷な、クズの癖に」

 ◆

―学術区 公園

 噴水「」シャワシャワ

スライムクロシュ「……」ググ


白銀スライム『えと……クロシュちゃんは、何をしているの?』モニョモニョ

妖精「たぶん風になる練習。ここ最近はあんまり練習できてなかったみたいだけど――」


シュヴィア「……お前たち……いたのか」スタスタ


白銀スライム『シュヴィアさん!』モニョニョ!

妖精「あー……あんた、もう大丈夫なの?」

シュヴィア『ああ。オリハルスライムは丈夫だから。それと……君には、申し訳ないことをしてしまった。昨日はいろいろあって謝れなかったから……今日この場で、謝らせて欲しい』モニョモニョ ペコ

白銀スライム『ああ、頭を下げないでください……。あの時、シュヴィアさんの気持ちに賛同して……スライムの王国を復活させようと決意したのは、私自身なんですから……』モニョモニョ

シュヴィア『それでも……あのような、愚かな罠に引っかかってしまったのは、僕の責任だ。なんとお詫びをすれば良いか……』モニョニョ…

白銀スライム『……あっ! それなら……私と一緒に、クロシュちゃんのお手伝い……してくれますか……? そうしたら……きっと、良いと思います……』モニョモニョ

シュヴィア『そ、そうなのか……? まあ……彼女にも悪いことをしたし、僕にできることがあるなら……』モニョモニョ

 *

スライムクロシュ「……」モニョニョ…ググ…


白銀スライム『クロシュちゃん! 私たちも手伝うよ……!』モニョモニョ

スライムクロシュ『わっ……!』モニョ!

スライムシュヴィア『風になる練習、か……。僕も手伝おう』モニョモニョ

スライムクロシュ『わあ……!』モニョニョ…!


↓1(白銀スライムとシュヴィアの協力+5)
01-95 霧散する [経験6/12]
96-00 風の如し [経験☆]

スライムクロシュ「……」モニョ…モニョニョ…グググ…


白銀スライム『いい感じだよ……がんばって、クロシュちゃん……!』モニョモニョ

スライムシュヴィア『少し力を抜いてみたらどうだ? 風になるのなら、風のように軽やかな心地で――』モニョモニョ


スライムクロシュ『風のように……ふわふわ……』モニョモニョ


 モニョモニョ…モニョモニョモニョ…

 フワ…サラサラ…


気体クロシュ「」サラサラ…


白銀スライム『わあ……! クロシュちゃん、空気になってって……』モニョモニョ!

スライムシュヴィア『だが……これは………』モニョニョ

妖精「あ……クロシュ!!?」


気体クロシュ「」サラサラサラ…


スライムシュヴィア『霧散している……!?』モニョニョ…!

白銀スライム『あ……クロシュちゃんが、空に――』モニョモニョ…

妖精「風! クロシュを集めろ!!」カッ!!

 ビュオオオオ――!!

 デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…


白銀スライム『あっ……く、クロシュちゃん……! 大丈夫……!?』モニョモニョ!

スライムシュヴィア『……肝が冷えた……』モニョニョ…

妖精「はあ……こうなるのは想定してたけど、いざ目の前にすると焦るね……。クロシュ、大丈夫?」

スライムクロシュ『んゅ……ふわふわ、する……』モニョニョ…

白銀スライム『お疲れさま、クロシュちゃん……』モニョニョ

スライムシュヴィア『異常があればすぐに言え。この街にはスライム用の医療設備も揃っている』モニョモニョ

スライムクロシュ『ん……ありがと、みんな……』モニョモニョ

 ☆風になる経験が[6/12]になりました
  気体になれるようになりましたが、安定せず危険なので要練習です

 ◆

―夜
 ゴールドコイン スイートルーム

ローガン「……」グッグッ


スライムクロシュ『ローガンさんは……何をしているの……?』モニョモニョ

妖精(あれはストレッチっていって、体の節々を伸ばしてほぐす運動なんだよ。筋肉にコリっていう……疲れの塊みたいなのが溜まるんだけど、ああやってほぐせば少し取れるの)

スライムクロシュ『そういえば……肩が凝ってるって、前に言ってた……』モニョモニョ

妖精(それだね。スライムのクロシュにはわかんない感覚かもしれないけど、骨と肉を持つ大体の生き物はあの疲労からは逃れられないんだよ。ちなみに妖精も働きすぎると体が凝ったりするんだけど、妖精は大体一晩休めば全回復するから実のところ私も人間のコリってのがどれほどのものなのかよくわかってない)

スライムクロシュ『そうなんだ……。私にできること、あるかな……?』モニョモニョ

妖精(そうだなあ……。あっ、そういえば人間の間では『肩たたき券』っていうのが流行ってるって聞いたことがある! 試しに作ってローガンにあげてみれば?)

スライムクロシュ『肩叩き券……わかった……』モニョモニョ

 *

クロシュ「ローガンさん……」ヌッ

ローガン「む、クロシュくんか。どうした?」

クロシュ「これ……あげる……」スッ

 紙『かたたたきけん』ポン

ローガン「これは……肩たたき券?」

クロシュ「うん……。これがあれば……いつでも、わたしに肩をたたいてもらえる……」

ローガン「そ、そうなのか……。じゃあ早速使っても良いだろうか?」

クロシュ「うん……!」


↓1コンマ クロシュの肩叩き(前回の経験により+10)
01-30 ふつう
31-60 良い感じ
61-90 とても上手
91-00 ??

 トントントン…

ローガン「おお……良い感じだ……」

クロシュ「ん……この前、力加減を教えてもらった……」

ローガン「やはりクロシュくんは飲み込みが早い。それは戦いだけに及ばぬようだ」

クロシュ「……戦い方は……盾や剣が、教えてくれるから……」

ローガン「おお、武器との対話すらできるのか……! ふふ、クロシュくんの成長がますます楽しみだ」

クロシュ「んゅ……が、がんばる……」

 ☆ローガンが肩たたき券を手に入れました
 ☆クロシュの上手な肩叩きにより、ローガンの剣技経験と魔術経験にそれぞれ+1が加算されました
 ☆クロシュの鋼属性適性が少し上がりました

というわけで本日はここまでとなります。次回は大魔女帝国大使館で最終面接編からとなります

イスファハーンでの激闘を終え、ついに大魔女帝国行きの切符を手にしたクロシュたち。世界を救ったらしいが誰もそんな実感はなく、スイートルームでの快適な夜が更けていきます。そして次なる行先は、謎の空中機動要塞大魔女帝国。そこにおわす大魔女なる人物は一体何者なのか。空の上で、新たな出会いが待つ――

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

また、次回以降登場予定の大魔女および大魔女帝国に住む人の人物像を募集することとなります

〈大魔女帝国〉
■概要
空中機動要塞上にある独立都市国家。大魔女と呼ばれる強大な独裁者によって支配されている。大魔女の魔翌力によって空中機動を含むインフラの全てが運営されている。
国民は大魔女のファンであり、大魔女は国民のことを愛しているアイドル国家。洗脳国家ともいう。
入国条件は各国に置かれた大使館に申請した上で大魔女への愛を語る面接にクリアすること、要塞が迎えに来てくれる。割りとガバガバ入国できる。
■産業
エンタメ産業が発達しているが、作品は大魔女が主役の映画や漫画、オペラ、小説など偏りが見られる。また、大魔女の教えにより魔法アイテム産業が盛ん。
■情勢
長命の大魔女による独裁のため、政治は非常に安定しているが、他国の日照権を奪うわ国民という名の信者が布教してくるわ迷惑国家の誹りを受ける。
大魔女暗殺未遂など事件の大半は専ら外国勢力によるもの。

 *

〈今回の募集キャラクター〉

①大魔女。魔力保有量、生産量、出力量すべてにおいて圧倒的な力を持ち、あらゆる属性に精通する魔法の超人と言われている

②大魔女帝国の住民。老若男女人魔問わずいる

 *

(①大魔女のテンプレート)
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】大魔女と呼ばれている人物。

(②大魔女帝国民のテンプレート)
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】大魔女帝国に住んでいる。

 *

〈今回のルール〉

・①の大魔女は原則1人しか採用できないため、不採用となった案のキャラクターを登場させるのは非常に難しいと思われます

・②の帝国民は特に制限はないため、コンマの数値に関わらず作中に登場させられる可能性があります(絶対に登場するとは言い切れません)

・登場するキャラクターは設定等が若干変更される可能性があります。ご了承ください

・同一IDで①〜②にそれぞれ1つづつ投下するのもOKです

 *

募集の方式は、本日これより今から14:59:59までの間を投下期間といたします。投下する案には①と②のどちらに該当するかご明記ください
また、ご質問やご感想などありましたらお気軽にどうぞ


①大魔女 コンマが最も大きいもの
②帝国民 コンマ関係なく
↓1〜 本日14:59:59まで

乙です
結局オークションで出会った影の薄い人は何者だったのだろう?只者でない雰囲気だったけど


【名前】セレーナ・ティタス
【種族】魔女(人間?)
【性別】女性
【年齢】不明
【容姿】白髪の癖っ毛をしたセミロング。体型は小柄で色々と薄い。人前に出る時は常にローブを深く株って俯いている
【性格】気弱で臆病かつ重度の人見知り、だが自分を慕ったり頼ってくれる人間を突き放せないお人好し(断れなく押しに弱いとも言う)
【魔法】全ての属性の魔法を使用。最初に使えたのは人造生命(ホムンクルス)製造魔法
【備考】大魔女と呼ばれている人物。

元々は読書と研究をしながらひっそりと暮らしていたのに才能がありすぎたばかりにどんどん祭り上げられた。
ある意味大魔女帝国の存在に一番困惑しながら、かといって国民を見捨てて全てを投げ出したりする事が出来ず、自室兼書庫に引きこもりながら大魔女帝国維持の為に活動している


【名前】クローディア・トゥルーエンド
【種族】不死鳥
【性別】女
【年齢】2000
【容姿】典型的黒い魔女服に唾の広い魔女帽子に豪華絢爛な杖を持つ。白銀の長髪と泣きぼくろがチャームポイント。ドヤァ顔系美人。真の姿はひたすらに鮮やかなオレンジ色の焔に包まれた荘厳な不死鳥。
【性格】傲慢不遜でワガママで誰よりも臣下を想う優しさを持つ寂しがり屋。どんな人であっても臣民は愛を向ける対象。承認欲求の塊であり讃えられることが大好き。
【魔法】基本的にどんな魔法でも使えるがユニーク属性としては与える魔法と奪い去る魔法を使える。あらゆる何もかもを他者に与えることができ、あらゆる何もかもを奪い去ることができる。これで星から直接魔翌力を吸い上げている。
【備考】クロシュとフメイの関係と同じようにかつてはクロシュヴィアとは親友であり、理想の世界を話し合ったりした。早々に諦めたクロシュヴィアとは違い理想郷建設のために数千年を費やしついに大魔女帝国という理想の箱庭を作り上げた。帝国には納税の義務がない、大魔女の強大な魔翌力で食材も自動で生産され、インフラも稼働し、医療魔術で健康寿命もとても長い。娯楽に溢れ文化的で何物からも守られた無菌室のごとき帝国はまさにこの世の楽園だと彼女はとても満足している。もはやこの楽園に浸った者は他国で生きることはできないだろう。でも大丈夫ここは楽園。もう地上になんて降りる必要はないのだから。


【名前】大魔女(個体としての名はなくなる)
【種族】精神寄生体
【性別】不明
【年齢】このシステムが稼働し始めて1234年
【容姿】実体はない。大魔女の偶像としては頭の上に瞳をモチーフにした輪が浮かんでいる灰色のセミロングの薄幸そうな美少女を使用しており、無乳の細い体をダボダボ袖余りの白シャツと下半身ぴっちり白タイツに包んでいる。
【性格】大魔女の意志として「大魔女国内の平和を保つこと」「大魔女国民を幸せに生存させること」「みんな、仲良くすること」に尽力する事を植え付けられるが、他は元々の個体の性格のまま。偶像用個体は引っ込み思案の頑固者。
【魔法】個体が元々使えた魔法+支配魔法。範囲指定して時間と魔翌力さえかければ文字通り何でもできる。
【備考】大魔女と呼ばれる人物群。ユートピアを夢みた人々の意志が人の意識下で実体化した存在。誰しも、幸せに生きたいと思う心を持っているはずであり、それ故大魔女国に入国する=誰しも大魔女になれる素質はある。…大魔女になるかは本人の能力が大魔女国発展に有用か判断された場合に限るが。

②大魔女帝国民のテンプレート
【名前】トリル・フェリア
【種族】人間
【性別】男
【年齢】15
【容姿】白髪をして柔らかい髪質をした小柄な少年。ぱっと見女の子。
【性格】大人しくてどこかぼんやりしている
【魔法】絵画魔法(書いた絵が実体化する)
【備考】大魔女帝国に住んでいる。魔法学園の生徒でもある。
テラヌス・ウルスの出身でリアンノンの幼なじみ

皆さんありがとうございます。大魔女は>>164のクローディア氏に決定となります。また、帝国民の方々は誰が登場するかは現時点でまだわかりませんが、これから考えることになるかと思います



吸血鬼の二人は仲がとても悪いようです。彼女たちの争いに首を突っ込むのはとても危険なことだと思われます。あとは運を天に任せるしかないのかもしれません
ローガン氏はクロシュをかわいい存在に思っているようです。失ってばかりの人生だったローガン氏ですが、クロシュは簡単には死ななそうなので安心できそうです

実のところ、暗黒行商少女は名前を持ちません。それは彼女が孤児の出であり、育ての親から付けられた名前は彼女自身が捨てたからです。そういうわけで周りの人は彼女をなんと呼べば良いか困ってしまうことがありますが、当の彼女自身は名前なんてない方が気楽で良いと言いふらしています
もし彼女を特定の名前で呼びたい場合は、あだ名を付けてあげると良いかもしれません

オークションでクロシュが目撃した謎の人物とは、実のところオーデルシュタインの諜報員であるハイド・ストークだったと思われます。彼は強力な認識阻害魔法を常に纏っており、もし発見された場合でもその風貌や声色を正しく記憶することができないようになっているようです。そしてシルバーコインの客室から白銀スライムちゃんを誘拐したのも実のところ彼だったのですが、彼は生粋の裏方人材だったので表立ってクロシュたちと出会う機会はありませんでした

―夜
 ゴールドコイン スイートルーム

イリス「ああ、スイートルームとも明日でお別れかあ……」

ミスティ「……これから先、旅の寝袋で我慢できるかしら……」

暗黒行商少女「この味を知っちゃうとね。寝袋どころか普通のベッドでも満足できなくなるわ……」

妖精「ふうん……クロシュは平気?」

クロシュ「……? うん……。溶けちゃえば……どこも、あんまり変わらない……」

ミスティ「ちょっとスライムが羨ましいわね……」

暗黒行商少女「そ、そう……?」


イリス「ねえ、そういえば……あなたの名前なんだけど……」

暗黒行商少女「ないって言ったでしょ、けっこう前に」

イリス「そうだけど……やっぱり、ちょっと名前がないと呼びづらいというか……」

暗黒行商少女「あー……じゃあ商売用に使ってる偽名ならいくつかあるから、それ教えようか?」

イリス「ぎ、偽名……」

妖精「う〜ん……偽名かあ……。なんかこう、アレだね……」

ミスティ「……距離を感じるわね……」

暗黒行商少女「えっ!? い、いやそんなつもりでは……。だ、だったら暗黒行商人と呼びなさい! それが最も私に相応しい呼び名よ!」

イリス「いや、それはちょっと……」

ミスティ「自分で言ってて恥ずかしくならないの……?」

暗黒行商少女「」グニャァ

妖精「……じゃあ、アダ名でも付けてあげる?」

ミスティ「いいわね。付けてあげましょう」

イリス「アダ名かあ……クロシュちゃんはなにか良い案ある?」

クロシュ「!」


↓1〜 先取2票
1.暗黒
2.ダークトレーダー
3.ダクトレ
5.その他(自由安価)

5クロリン

5 クーちゃん

5 アンコ

すみません、説明不足でした。多数決の中に自由安価があった場合、選択肢の数字だけでなく自由安価の内容も同じものが同一の票としてカウントされます

今回の例で言えば、>>177>>179>>180にて5が選択されていますが、その中身はそれぞれ別のものなので、それぞれが1票づつ入っているという状態になっております
つまり、現在はまだどれも1票づつという接戦状態となっております。ややこしくて申し訳ありません

では>>179に一票

クロシュ「あんこく……あんこくちゃん……?」

ミスティ「ええ……」

イリス「そ、それは……」

クロシュ「……くーちゃん!」

イリス「!」

ミスティ「クーちゃん」

暗黒行商少女「え、何その緊張感のない名前は……。私ってクールでミステリアスな闇の女なわけだし、もっとこうシリアスな名前の方が……」

イリス「クーちゃん!」

ミスティ「クーちゃん……」

妖精「クーちゃん」

クロシュ「くーちゃん……!」

暗黒行商少女→クーちゃん「わかったわよ! 好きに呼べば良いでしょ!」

 ☆暗黒行商少女のアダ名がクーちゃんになりました

 *

クーちゃん「そういえば、あのステラスライムのことなんだけど――」

妖精「ああ、この子は――」


↓1コンマ
01-60 緑の国に保護してもらうことになったよ
61-90 あなたが保護してくれるんだよね(旅は道連れに追加)
91-00 私たちが連れて行くよ(仲間化)

妖精「緑の国が保護してくれることになったよ。明日には迎えが来るから、そこで私たちとはお別れだね」

クーちゃん「そう。世界樹の結界に守られてる緑の国なら、変なことに利用されたり巻き込まれたりする心配もないわね」

妖精「うん。いろいろあったけど、これで大丈夫だと思う」

 *

白銀スライム『緑の国……どんなところなの……?』モニョモニョ

スライムクロシュ『えっとね……。緑がいっぱいで、木も草も、いっぱいで……でっかい世界樹がある……森の国……』

白銀スライム『森……! 遠くのスライムさんとお喋りする時に、時々聞いたことある……! 森の国なんだ……!』

スライムクロシュ『うん……。妖精さんの、仲間も……いっぱいで……いいところ……』

白銀スライム『わあ……楽しみ……』

 ☆白銀スライムちゃんは緑の国に保護されることになりました

 ◆

―翌朝
 イスファハーン海岸

 ザァーン… ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」



風の精霊『迎えに来たよ〜』ヒュルル

風船スライム「〜〜」フヨフヨ モニョモニョ



白銀スライム『わあ……! 風の精霊さんと、気球みたいなスライムさんが……海の向こうから……』モニョモニョ

妖精「来たみたいだね。空を飛べるとやっぱり速いなあ」

スライムシュヴィア『あれが……緑の国の……』モニョモニョ



風船スライム「〜〜」モニョモニョ ズシン…

風の精霊『お待たせ〜。緑の国に行く人は、この子のカゴの中に入ってね〜』

 風船スライムにくっつけられたカゴ「」ポン



白銀スライム『えと……それじゃあ、クロシュちゃん……皆さん……』モニョモニョ

スライムクロシュ『……』モニョ

白銀スライム『本当に……いろいろ……ありがとう、ございました……! 私……クロシュちゃんがしてくれたこと……みんなで、私に優しくしてくれて……何度も、助けてくれたこと……絶対に、忘れません……』モニョモニョ

妖精「〜〜」(同時通訳中)

イリス「銀色のスライムちゃん……!」

ミスティ「ふふ……。ええ」

白銀スライム『皆さんの旅は、きっとこれからも大変なことがたくさんあるかもしれませんが……どうか、負けないで……。またいつか、皆さんと出会える日を……緑の国で、ずっと楽しみに待ってます……。えと……本当に、本当に……ありがとう、ございました……!』モニョモニョ…!

クーちゃん「どういたしまして!」ニコニコ

エバンス「おう……元気でな」

ローガン「フッ……達者で暮らしたまえ」

スライムクロシュ『……うん……お元気で……銀色のスライムちゃん……。旅が、終わったら……また、お話しようね……』モニョモニョ

白銀スライム『うん……! 待ってる……クロシュちゃんが……また、来てくれる日……』モニョモニョ



スライムシュヴィア『……』

白銀スライム『シュヴィアさん……』モニョニョ

スライムシュヴィア『……何だ。僕に言えることは……もう何もないが』モニョモニョ

白銀スライム『えと……今回は……失敗しちゃったけれど……。シュヴィアさんは、まだ諦めていないんですよね……?』モニョモニョ

スライムシュヴィア『……』

白銀スライム『………洗脳は……やっぱり、だめかもしれないけど……そんなやり方じゃなくても……スライムたちが安全に暮らせる国は……きっと、作れると思います……』モニョモニョ

スライムシュヴィア『……』モニョ…

白銀スライム『だから、あの……シュヴィアさんも、どうか、負けないで……』モニョモニョ

スライムシュヴィア『……うん。ありがとう……』モニョニョ…


風の精霊『お別れは済んだかな?』ヒュルヒュル

白銀スライム『はい。えと、ありがとうございます。よろしくお願いしますっ……!』モニョモニョ

風船スライム『こちらこそよろしくねぇ』モニョモニョ



風船スライム『離陸するよぉ。揺れに気を付けてねぇ』フワッ モニョモニョ

風の精霊『それじゃあしゅっぱ〜つ!』ヒュルヒュル

カゴに搭乗した白銀スライム『皆さん……! どうか、どうか……お元気で……! 皆さんの旅が、幸運に恵まれていますように……!』モニョモニョ…!



スライムクロシュ『うん……! 銀色のスライムちゃんも……ほんとに、お元気で……!!』

妖精「あなたの道行きに、精霊の加護がありますよう……」


スライムシュヴィア『……どうか……キミも、幸せに……』モニョモニョ


 ☆白銀スライムちゃんと別れました

 ◆

―イスファハーン市街

 ワイワイ ガヤガヤ

クロシュ「……」

妖精「クロシュ……やっぱり、寂しい?」

クロシュ「ほえ……?」

妖精「いや、ほら……スライム仲間とのお別れだしさ……。トコナツ島でレッドと別れた時も、ちょっと寂しそうだったから……」

クロシュ「……わかんない……」

妖精「そっか……」

クロシュ「……でも……みんな、いるから……。わたし……寂しく、ない……」

妖精「……ふふ。そうだね」

 ◇

―在イスファハーン大魔女帝国大使館

イリス「ここが……大魔女帝国の大使館!」

エバンス「ようやくここまで来たな……!」

ミスティ「建物自体は普通ね……」

ローガン「クロシュくん、面接の練習は十分か?」

クロシュ「……う、うん……」

妖精「まあクロシュはあかちゃんだし、多少失敗しても多目に見てくれるでしょ」

クーちゃん「ふふ……大魔女帝国、楽しみだわ……!」

ミスティ「え?」

妖精「あれ、あなたも来るの?」

クーちゃん「い、いいじゃない! その渡航権、グループ単位で使えるんでしょ!? ほ、ほら……この街での行動に私、役に立ったわよね? ね?」

イリス「あはは、いいに決まってるじゃない!」

クロシュ「うん……。一緒に、面接……がんばろ……」

クーちゃん「イリス、クロシュ……!」パァァァ

エバンス「まあ世話になったのは事実だしな!」

 *

大使館職員「ふむふむ……確認しました。各国の大使館を巡礼して来られたようですね。お疲れ様でした」

ローガン「うむ……」


イリス(これよく考えたら巡礼の質問とかされたら一発アウトじゃない……?)

妖精(ああ、その点は大丈夫みたい。曰く、ここの職員は〝わかってる〟んだってさ)

ミスティ(……腐敗の一端を垣間見てしまったわ……)

エバンス(まあ……その腐敗のお陰で大魔女帝国に行けるんだから文句は言えねえな……)

妖精(ただ、それでも大魔女への愛を語る面接は妥協なしでやるらしいから、そのつもりでね。建前としては、各国を巡る余裕のない大魔女信者を受け入れる為の措置ってことになってるらしいから。愛は本物じゃなきゃだめみたい)

クーちゃん(ふうん。ま、私の話術なら愛を騙るなんて造作もないわね)

 ◇

イリス「だ、大魔女様のような偉大な魔法使いになるのが人生の目標です!!」

大使館職員「合格!」

 *

ミスティ「……大魔女様のことは……私も一人の魔法使いとして……生まれた時から、尊敬しているわ……」

大使館職員「合格!」

 *

ローガン「大魔女殿の伝説には、幼少から憧れていた。一介の騎士崩れの身ではあるが、どうか謁見の機会を頂きたく思う」

大使館職員「合格!」

 *

エバンス「魔法使いとしても為政者としても、彼女の右に出るものはいないだろう。そんな素晴らしい大魔女様の作り上げた国を是非とも見せていただきたく、入国を決意した次第だ!」

大使館職員「合格!」

 *

妖精「……まあ、その……大魔女のことは、尊敬してるよ。国の統治者として非常に優れた手法を取っているし……」

大使館職員「合格!」

 *

クロシュ「えと……だ、大魔女さまの、ことは……えと……すごく、すごい、人で……えらくて……すごい……!」

大使館職員「合格!!」

 *

クーちゃん「大魔女は……スゴイ人物よね。闇の女としては素直に尊敬することはできないけれど――」

大使館職員「……不合格!」

クーちゃん「えっあっ……! い、今のナシ!! 素直に尊敬してます!!! やだ、合格じゃなきゃ――」

 ◇

クーちゃん「」グニャァ


エバンス「お、おいどうしたんだ? まさか――」

イリス「ふ、不合格になっちゃったみたいです……」

ミスティ「嘘でしょ……? あんないい加減な面接、どうやったら不合格になるのよ……?」

ローガン「ぬう……クーちゃん殿……」


クーちゃん「……行って来なさいよ。世界、救わなきゃいけないんでしょ?」

妖精「!」

クーちゃん「私のはただの物見遊山目的だったし……行けなくても問題ないわ。あ、お土産は欲しいけど……」

イリス「うん……わかった! お土産、絶対に買っていくよ!」

ミスティ「楽しみに待ってなさい、クーちゃん」

クロシュ「くーちゃん……」

クーちゃん「……ふ、ふん! まあ……この街での行商活動も最近は滞り気味だったし、本業も再開しないとだもの! 丁度良かったわ!! お土産、期待してるわよ!!!」

 ☆クーちゃんさんがパーティから抜けました

 ◇

―イスファハーン港
 埠頭

 ザァーン… ザパァーン…

大使館職員「それでは皆さんここでお待ち下さい。もうすぐ、大魔女帝国空中楽園都市『エデン』が――来ました!」

イリス「えっ!?」

ミスティ「あっ……」

エバンス「うおっ……!」

ローガン「……!」

クーちゃん「おお……!」

クロシュ「わあ……」



  空中楽園都市エデン「」ゴウンゴウン…



クロシュ(水平線の彼方から……とてもとても大きな風船に、吊り下げられたような……不思議な建造物が……こちらに向かって、ゆっくりと飛んでくる……)

クロシュ(まるで……銀色のスライムちゃんを連れて行った、風船スライムさんと、そのカゴを……何千万倍も大きくしたかのような……)

クロシュ(大きな街を吊り下げて支える、大きな風船は……風船スライムさんを参考にして、作られたのかな……?)



   エデンを吊り下げて浮遊する巨大な風船「」ゴゴゴゴ…



 ――国際商業都市イスファハーン編 完

↓1 イスファハーン編クリアボーナス
01-60 運命賽
61-90 ↑+ステラドロップ
91-00 ↑+会心賽

というわけで本日はここまでとなります。次回はついに、大魔女帝国編突入となります

イスファハーンでの戦いを終え、ついに訪れる大魔女帝国の空中楽園都市エデン。その巨大な街を支配する大魔女とは、噂通りの女神か、権謀術数企てる魔神か。クロシュたちは、無事に飛行手段を手に入れられるのか――

クーちゃんさんは自分のことをクールでミステリアスな闇の女だと思っているようですが、実のところクロシュたちはそのように思っていないようです。そんなわけで気の抜けたあだ名で呼ばれるのはやはり少し格好がつかないようですが、あまり否定しない辺り意外と満更でもないのかもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります。よろしくお願いいたします。大魔女帝国編をお楽しみに

クーちゃんさんはすっかりクロシュ一行にほだされてしまったようです。今回は大魔女帝国に行けませんでしたが、また道連れとなる機会もあるかもしれません
大魔女帝国編でクロシュが誰と出会い、どのような運命を辿るのかは今後の展開次第となります。お楽しみに

実のところ風船スライムさんが飛んでいる原理は単純なものでもないらしく、ただ擬態するだけではその浮遊能力を獲得することはできないかと思われます。風船スライムさんから欠片をもらうなどして同化すれば、その浮遊能力を獲得することができるかもしれません
綿毛に擬態した場合、クロシュ単独でなら空に浮かび上がることが可能ですが、重いものを持ち上げたりとかはやはり難しいようです。そして風がなければ自力で飛べず、風向きにも逆らえないため、少々扱いの難しい擬態となっているようです

魔王が元の姿や人格に戻った例は今のところなく、フラナ氏も魔王だったことはないと思われます。革命の時は悪魔のような冷酷さを見せたフラナ氏ですが、ここ最近は捕虜の待遇向上など、人間への扱いが以前よりも軟化していると見られているようです。魔族の中の過激派からすると、ここ最近のフラナ氏のやり方は少々ぬるすぎて気に入らないものなのかもしれません

クロシュヴィア氏が登場するかどうかはコンマ次第ですが、今のところ世の中の動向に積極的に介入する気はあまりないらしく、地道な宗教活動で人々の意思をデロデロにしようという考えが優勢のようです
そして大魔女帝国では大魔女信仰が非常に強いため、もしクロシュヴィア氏が大魔女帝国でデロデロ教の布教活動をしようとしても、すごく難航してしまうかもしれません

―イスファハーン港
 埠頭


 空中楽園都市エデン「」ズゥン――…


イリス「ま、間近で見ると……大きい……!!」

妖精「一体どんな方法でこれだけのものを浮かせているのやら……」


 搭乗ハッチ「」プシュー…

 タラップ階段「」ジャコンジャコン!


ミスティ「扉が開いて……階段が伸びてきたわ」

エバンス「誰か降りてくるぞ」


 コツコツ…スタ


黒髪短髪の女性「遠路はるばるようこそいらっしゃいました、妖精御一行の皆様」


エバンス(おお、美人だ……)

ローガン(うむ……美人だな)


黒髪短髪の女性→ロディナ「皆様の迎え入れ対応をさせていただきます、受付係のロディナと申します。以後よろしくお願いいたします」ペコリ


イリス(おお……所作のひとつひとつが優雅だ……!)

ミスティ(クールな雰囲気ね……)

妖精(……この子……普通の生き物じゃないな)


ロディナ「それでは、足元にお気を付けて階段をお登りください。手すりもありますので、ご利用くださいませ」

イリス「は、はい! よろしくお願いします!」

ミスティ「よろしく……」

 トンカントンカン…

 ◆

 昇降機「」ウィーン…

 ガゴン!

ロディナ「地上部に到着致しました。それでは改めまして――」

 扉「」プシューッ


 通りを行き交う人々「」ワイワイ

 そびえ立つ摩天楼「」ドン

 空を飛ぶ数々の飛行船「」ドドドド

 遥か上方に広がる巨大な風船「」ゴゴゴゴ…


ロディナ「ようこそ、大魔女帝国へ――」


 ――大魔女帝国編 開幕

―空中楽園都市エデン
 滞在用宿舎

 ガチャッ

 小綺麗な部屋「」ポン

ロディナ「皆さんはこちらにご滞在いただきます」スッ

ミスティ「滞在用宿舎……。確か、費用はかからないのよね?」

ロディナ「はい。宿泊費は無料となっております。また、一日三食まで食事を無償提供しておりますので、必要の際は一階の食堂をご利用ください」

クロシュ「!」

妖精「……一日三食までだからね?」

ロディナ「……四食目からはお代を頂きますが、他国の平均的な食事よりも安価に提供しておりますので、必要の際は是非ご利用ください」

イリス「すごい……! でもいいのかなあ、三食までタダでもらっちゃって……」

ロディナ「衣食住の保証は、滞在者のみならずこの国の住民全てが持つ当然の権利となっております。遠慮せずご享受ください」

エバンス「すげえ、流石は大魔女帝国だ」

ローガン「ふむ……承知した」

ロディナ「私は普段あちらの管理棟に駐在しておりますので、他に質問や要望などがありましたらお気軽にお越しください。それでは、良い滞在を……」スタスタ


イリス「ありがとうございました!」ペコッ

クロシュ「ありがと、ございました……!」ペコッ

 ◇

―大魔女帝国 滞在1日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◇暗黒行商少女[闇の商人]
武:魔銀のナイフ   盾:         飾:貝殻の髪飾り
武:         防:闇のエプロン   飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[6/12](クロシュ)
・魔法[0/8](イリス)
・魔法[5/6](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―宿舎
 宿泊室

 ベッド「」ポン
 クローゼット「」ポン
 テーブル「」ポン

 微笑む大魔女が描かれた大きな絵画「」ドン!!!!

妖精「うわっ!?」

イリス「大魔女の絵!」

ミスティ「あれが……大魔女なのね……」

クロシュ「わあ……」

妖精「他の内装は小綺麗にまとまってるのに……いやまあ、逆にあの絵が引き立つとも言えるのか……」

イリス「ま、まあいいじゃない。ここはそういう国なんだからさ」

ミスティ「変わった国だわ……」


大魔女帝国滞在1日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―宿泊室

妖精「ティセリアへの報告は……ひとまずこれくらいでいいか。風の精霊いる〜?」

風の精霊『はぁ〜い』ヒュルヒュル

クロシュ「わあ……」

風の精霊『いつもすぐに出てきてびっくりしてる? ふふん、わたしたちはどこにでもいるんだよ〜』ヒュルヒュル

妖精「精霊と妖精の違いだね。精霊は〝個〟の概念が薄いから、どこにでもすぐ現れるしすぐに消えたりもする」

風の精霊『そゆこと〜。でもお手紙はちゃんと届けるから安心してね〜』ヒュルヒュル

妖精「クロシュも、お手紙を出したければ出しても良いんだよ?」

クロシュ「あ、えと……。書くの……時間、かかっちゃうから……」

風の精霊『そっかぁ。じゃあ書けたらいつでも呼んでねえ。すぐに届けちゃうから〜』ヒュルヒュル


イリス「……妖精さんとクロシュちゃん、もしかして精霊さんとお話してる?」

妖精「あ、イリス。うん、風の精霊と。イリスもお手紙があるなら出す?」

イリス「出す出す! もう書いてあるから、良いかな?」スッ

 手紙「」ポン

風の精霊『いいよ〜。じゃあ預かるねぇ〜』ヒュルヒュル

 手紙「」フワッ

イリス「わっ、手紙が浮かび上がった……!」

妖精「人間にはそう見えるんだ……。ところで今回もフラナに?」

イリス「うん。ここに着いたことと、リチャードさんのこととか……」

妖精「そういえば知り合いなんだっけ……。変なとこで繋がりがあるんだなあ」

イリス「そうみたい……。まあいろいろあったけど、ここの渡航権をくれたりもしたしさ」


風の精霊『それじゃあお手紙はこれでいいかな?』ヒュルヒュル

妖精「あ、うん。お願い」

風の精霊『承りましたっ』ヒュルルッ!

 ◆

―空中楽園都市エデン
 魔法学園

 ワイワイ ガヤガヤ

学生たち「〜〜」キャッキャ


イリス「こ、ここが……大魔女帝国の、魔法学園……!!」

ミスティ「私たちと同じくらいの年齢の人もいるわね……」

エバンス「……俺とローガンの旦那はちょっと場違いじゃないか?」

ローガン「いや、この学園は学生だけでなく、魔法の研究や開発を行う機関も兼ねているようだ。よく見れば、学生たちに混じって大人の魔法使いも幾人か出入りしている」

イリス「それに出入りや受講は年齢問わず自由にできるみたいですよ。このパンフレットによると」スッ

 魔法学園のパンフレット「」パサッ

ローガン「うお、マジか。じゃあ堂々と出入りするか……って受講料も無料だと!?」

イリス「パンフレットによると、そうらしいですね……」

ミスティ「……試しにちょっと受けてみようかしら?」

クロシュ「……わたしも、受けられるの……?」

ミスティ「ええ、クロシュももちろん受けられるみたいよ」

妖精「……受講無料か……この国の経済、どうなってんだろ」


↓1コンマ 情報収集
01-30 留学生エルフ「飛行手段ですか?」
31-60 三人組の学生「飛行手段?」
61-90 黒髪の幼女?「飛行手段……?」
91-00 大魔女「飛行手段が欲しいですって?」ヌッ

エバンス「よし、それじゃあ散開して情報収集といくか!」

ローガン「うむ。まだ初日だ、気楽にいこう」

 ◇

クロシュ「あの……いい、ですか……?」

黒髪の幼女「え? わぁ、スライムさん?」

クロシュ「あ、うん……。わかるの……?」

黒髪の幼女「うん〜。擬態の補助にすごく高度な魔法も使ってるねぇ。初めて見る魔法かも……」

妖精「へえ、ここの人にとっても珍しい魔法なんだ」ヒョコ

黒髪の幼女「わぁ、妖精さんもいたんだ」

妖精「まあね。それで、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

黒髪の幼女「あ、ごめんそうだったね。どうぞ」

クロシュ「えと……空を……飛びたくて……。あっ……えと、飛ぶ、方法……この国で……えと……」

妖精「……まあつまり、この国で一般人でも使える飛行手段ってないかな? 中央大陸の西部上空に雲塊があるでしょ? 私たち、そこに行きたくて」

黒髪の幼女「えっ、あの謎の雲塊に? ううーん……あそこ、気流も天候もめちゃくちゃだって昔大魔女さまが言ってたし……」

妖精「ほら、この街って空にでっかいクジラみたいな船がいっぱい飛んでるじゃん。あれって買えたりしないの?」

黒髪の幼女「無理だよ! あれは大魔女さまが特別に貸与してるだけで、一般流通はしてないし……多分、あの雲塊に突っ込んだら風や雷にやられて墜落しちゃうと思う……」

妖精「そ、そう……。でもほら、この街だっていつでも空を飛んでるわけでしょ? 何か、風や雷をものともしないすごい飛行手段があるんじゃないの?」

黒髪の幼女「……この街は……ちょっと特殊な浮遊魔法で飛んでるの。ここからでも見えるよね? あのでっかい風船……」


 空に浮かぶ巨大な風船「」ゴゴゴゴ


黒髪の幼女「あの風船は……ちょっと特別なの。この街の空を飛んでる飛行船や気球は、あの風船を参考にして作られたものなんだけど……完全な再現には程遠いの。だから……この街と同じ強度で飛べる物体は……他に、ないの」

妖精「えっ……絶対ないの? 絶対?」

黒髪の幼女「うっ……ぜ、絶対じゃないけど……でも、だめ! 一般の人は絶対手に入らないの!」

妖精「……?」


銀髪ショートの丸眼鏡エルフ少女「クロ教授、こんなとこにいたんですか」タッタッタッ

黒髪の幼女→クロ「あ、ノーラ」

銀髪ショートの丸眼鏡エルフ少女→ノーラ「講義の時間ですよ。クロ教授をみんな待ってます」

クロ「えっ……あっやば! ご、ごめん! 妖精さんとスライムさん、また今度ね!」タッタッタッ

ノーラ「すみません、クロ教授はお借りしていきますね」

妖精「あ、うん。教授だとは知らなくて。こっちこそ引き止めてごめん」

クロシュ「ごめんなさい」ペコリ

ノーラ「……ん……?」

クロシュ「?」

ノーラ「………いえ、それでは失礼します。教授、急いでください」

クロ「わかったってば!」

 ☆エデン魔法学園の教授クロと知り合いました

 ◆

―夕方
 宿舎前 通り

 スタスタ

妖精「――という感じで、収穫はないわけじゃなかったんだけど……」

イリス「一般の人は絶対手に入らない……てことは、一般じゃない人なら手に入るってこと?」

エバンス「単純に考えればそうなりそうだが……」

ミスティ「でも、一般人の手に届かないものじゃ……難しくないかしら……」

ローガン「……ふむ……まずは、それが何なのか突き止めたいところだな」

クロシュ「……」


ノーラ「……あれ? あなたたちは……」スタスタ


妖精「あ、あなたはクロ教授を引きずってった学生の……」

ノーラ「はい、ノーラと申します。セクリエ・ロイエから留学してきました」

イリス「わあ、留学!」

ミスティ「想像の及ばない世界だわ……」

妖精「私たちは……まあいろいろあって、ちょっとここに滞在してるの。聞いてたならわかると思うけど、ちょっと空を飛びたくてね」

ノーラ「空を……ふふっ、素敵ですね」

妖精「けっこう真面目なんだよ? まあいいけどさ」

ノーラ「でもそれなら私と似たような立場ですね。私もこの国の優れた魔法を学ぶ為に滞在している身ですから」

妖精「まあ確かにそういうことになるかな?」

ノーラ「それじゃあ、お互いに目的を達成するまでの間ではありますがよろしくお願いします。何かわからないことがあればどんどん聞いてくださいね。私はあっちの宿舎に滞在してますから」

 ☆留学生エルフのノーラと知り合いました

 ◆

―夜
 宿舎 宿泊室

 魔王図鑑「」ポン

妖精「さて……この本ももうすぐ読み終わるけど……」

ミスティ「……収穫はどう?」

妖精「……この残り僅かにかけるしかない」

クロシュ「わたしも……いっしょに、読んでいい?」

妖精「もちろん」

 *

「目次」
・絶望の魔王 済
・狂気の魔王 済
・暗黒の魔王 済
・虚無の魔王 済
・夢想の魔王 済
・旋律の魔王 済
・記憶の魔王 済
・雷霆の魔王 済
・巨樹の魔王 済
・海難の魔王 済
・吹雪の魔王 済
・双子の魔王 済
・掃除の魔王
・憑霊の魔王
・永遠の魔王
・水底の魔王

 ペラッ

「掃除の魔王」
生前の姿は不明。
史上最大と考えられるこの魔王は、超巨大な風船の如き威容で地上より遥か上空を浮遊し、直下にある物体の尽くを正体不明の力で削り取り消滅させたと言われている。地上を綺麗な更地にするその行動から、掃除の魔王と称された。一見風の流れに合わせて無軌道に移動しているようにも見えたこの魔王は、実のところ生命の豊富な地域へ優先的に移動して破壊活動を行っており、他の生命に対する明確な害意があったものと考えられている。雷霆の魔王、吹雪の魔王と並び、この魔王もまた史上最も危険な魔王の一つであったと目されることが多い。
最期には、天を駆ける橙色の焔に貫かれて討伐されたと言われている。その焔が何者の仕業だったのかは明らかになっていない。

「憑霊の魔王」
生前の姿は不明。
この魔王は物理的な肉体を持たず、他者に取り憑いてその行動を自在に支配する力を持っていた。取り憑かれた者は自己意識を失い、魔王の意のままに操られる傀儡となってしまう。さらに厄介なことにこの魔王は取り憑いた者の潜在能力を引き出すことができ、その解放された潜在能力を用いて恐ろしい殺人や破壊活動を繰り返した。宿主が死んでもこの魔王は霊体となって逃げることができたため、その討伐も困難を極めた。
しかし最期には光の聖女がもたらした烈光に焼かれて消滅した。

「永遠の魔王」
生前の姿は不明。
この魔王がいつ発生したのかは判然としていない。この魔王が存在する周辺一帯では時空間が著しく乱れており、過去と現在と未来が同時に存在するらしい。それがどのような状況であるのかは実際に見ていない私にはわからないが、これを体験して生還した冒険者は全員発狂してしまっており詳しい話を聞くことができなかった。最低限わかっていることは、かの魔王が時間を操る力を持つこと、不死であること、通常の認知能力を持つ人間は自我を保てない異常空間が展開されていること、くらいである。
幸いこの魔王は自分から移動することは一切なかったため、最初に巻き込まれた者以外は自ら乗り込まない限り被害に合う心配はない。そしてこの魔王は未だに討伐されておらず、現在も北大陸の一部地域を封鎖し続けている。

「水底の魔王」
生前の姿は不明。
物理的な肉体は持たず、普段は幼い少女のような姿で海上や海中を漂っていると言われている。このことから、生前は人または人に近い種族の幼い少女であったと考えられる。
とある海域に出没し、通行する船の乗組員や海洋生物の命を理不尽に奪う力を持つ。危険性で言えば海難の魔王と似ているが、物理的な影響は及ぼさない。命を奪われた海洋生物の死骸はそのまま海底に沈み、船は幽霊船となってその海域を漂い続けることとなる。ある島の伝説では、かつてこの魔王が流した涙が星を覆う大嵐となり、一度世界の全てが海の底に沈んだと言い伝えられている。
討伐は確認されておらず、当該海域は現在でも船が消息を絶つ魔の海域となっている。そのため、この魔王は今もなお現存しているものと考えられる。

 *


ミスティ「……最後の方でいきなり現存する魔王が出てきたわね……」

妖精「そうだね……。永遠の魔王と水底の魔王は私も聞いたことがあるよ。どちらも影響範囲が決まってる魔王だから、わざと侵入しない限り危険はない。まあだからこそ討伐されずに放置されてるのかもしれないけど……」

ミスティ「……そして、憑霊の魔王……。これは……ひょっとして――」

妖精「うん。もしかしたらこの魔王で言及されてる症状……アリシラの状態に似てるかも」

クロシュ「……!」

妖精「断言はできないけど、人間の形を保ってて、一見言葉も通じているように見える。魔王に取り憑かれている……かどうかはわかんないけど、その線でさらに調べてみる価値はあると思う」

クロシュ「アリシラさん……」

妖精「それにあいつ……クロシュのこと、なんだかんだ言ってけっこう気にかけてるでしょ? 多分、この憑霊の魔王よりはマシな状態だと思うよ」

クロシュ「うん……」


 掃除の魔王のページ『』ペラッ

 大きな風船のような姿が描かれた挿絵『』


クロシュ「……」


 ☆魔王図鑑を読み終えました
 ☆アリシラの状態についての考察が進みました

 ◆

―大魔女帝国 滞在2日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[6/12](クロシュ)
・魔法[0/8](イリス)
・魔法[5/6](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―朝
 宿泊室

 チュンチュン

スライムクロシュ「……」zzz

妖精「すう、すう……」zzz



イリス「ふわあ……。なんだろう……久しぶりの……朝って感じがする……」

ミスティ「何を言っているの……? 朝は毎日訪れているじゃない……」

イリス「いやまあそうなんだけど……。ほら、ここ最近って危険に備えてスイートルームに泊まってたりとか、なんだか普通とは違ってたっていうか……」

ミスティ「まあ、そう言われるとそんな気もするわ……」

イリス「あんまりゆっくりもしてられないけど、朝くらいはこの空気を味わっとこう!」

 郵便受け「」ガサッ

ミスティ「あら、新聞? なんか普通に新聞が入れられるのなんて珍しい感じね」

イリス「いつもはあの悪徳新聞記者さんが窓から不法侵入して置いていってたからね……」

 *

 エデン新聞「」ガサッ
 「警備用オートマタが誤射、通行人が怪我。今月二度目か」ペラッ
 「大庭園でミントウネが大量発生」ペラッ
 「魔法学園生徒連続昏倒事件 未だ犯人捕まらず」ペラッ


イリス「……な、なんか……意外と……」

ミスティ「暗いニュースが多いわね……」


大魔女帝国滞在2日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―歓楽区

 ワイワイ ガヤガヤ

 ビルに掛けられた特大大魔女看板「」ドドン!!

大魔女コスの売り子「大魔女様カフェです〜!」

魔女っ子妖精の屋台「大魔女さままんじゅうだよ〜」

魔女っ子スライム「〜〜」モニョモニョ

書店の売り子「大魔女無双! 異世界転生しても大魔女様は平常運転! 大ヒット増版決定です! お買い求めの際は急いで急いで!」

エルフの吟遊詩人「大魔女……奪い与えし、賢者にして愚者……」ポロロン

通行人「なんだと!? 大魔女様が愚者だと!? このクソボケ吟遊気取りが!!」
 石ころ「」ポイポイ

エルフの吟遊詩人「表現の自由が守られぬ国、大魔女帝国……」ポロロン ゴツンッ



エバンス「流石にこの地区はすげえな……!」

ローガン「うむ……。クロシュくん、我々から離れんようにな」

クロシュ「うん……」

妖精「まあクロシュには私が付いてるから大丈夫だよ」


↓1コンマ 情報収集
01-05 ???
06-35 ロディナ
36-65 魔法店のラミアと吸血鬼
66-95 緑髪のイケメンエルフ
96-00 ???

―魔法店

 カランコロン

緑髪のラミア「らっしゃ〜い」

エバンス「うおっ……! ら、ラミアか……」

緑髪のラミア「なあに、蛇女が大魔女帝国にいちゃ悪いわけ?」ニヤニヤ

エバンス「んなこと言ってねえだろ! ちょっとびっくりしただけだっつの」

青髪の吸血鬼「何ですか……? スール、騒がしいんですけど……」スタスタ

緑髪のラミア→スール「はっは、来客対応だよ。我慢しな」

ローガン「そちらの方は……吸血鬼か」

青髪の吸血鬼→フローレンス「ええ。この国で種族がどうこうという区分けは無粋の極みですけどね」

ローガン「む……それは失礼した」

妖精「私としてもそういう感じの方が良いかな」

クロシュ「うん……」

フローレンス「……ん? 妖精と、黒髪の少女……もしかしてあなたたち、ダークヒーローイリスの一行ですか?」

スール「えっ、ダークヒーローイリス一行?」

妖精「えっ。いや……知ってるの?」

フローレンス「こっちの界隈じゃ有名です。フラナも絶賛してましたし」

ローガン「……いかにも、その一行だが……諸君らはフラナ氏と知り合いなのか?」

スール「おうさ。あそこのガキ共とはちょいと腐れ縁でね」

フローレンス「私も似たような感じですね。最近のことは知りませんけど、姉妹揃って随分派手にはってるみたいですね」

妖精「まあ、派手にはやってるかな……? まあ二人とも元気だと思うよ。一人はテロリストだけど」

スール「あっはっは、らしいね! あの暴れん坊らしいっちゃ暴れん坊らしい!」ケラケラ

エバンス「か、軽いな……!?」

フローレンス「下界がどんな様相だろうとどうでもいいですし。私たちはこの国で快適に過ごせますから」

ローガン「うむ……。しかし新聞によると、どうも最近この国では事件や事故が多発しているようだが……」

スール「あ〜、そうみたいだねえ。大庭園じゃミントウネが大増殖してんだっけか? ミントウネは実際一度植わるとすごい勢いで増殖しちまう厄介な性質があるんさ。元々この国にゃミントウネなんて一匹もいなかったんだから、十中八九誰かが意図的に持ち込んで植えたんだろうねえ」

妖精「犯人はなんでそんなことをしたの?」

スール「知らん! いやまあ、ミントウネはけっこうかわいいし、薬効もあるし、香りも良いから、大増殖するって点を除けば良い植物なんだよ。だから善意で植えたって可能性もなくはない……けど……」

フローレンス「嫌がらせじゃないですか? 大魔女様への」

スール「……考えたかあないけどね。うちら大魔女帝国の国民は、みんな大魔女様が大好きだ。そんな大魔女様が嫌がるような真似を国民がするとはあまり考えられないんだが……」

妖精「……じゃあ、私たちみたいな滞在者じゃない?」

スール「入国審査の面接なんていい加減だからねえ」

フローレンス「はあ……大魔女様を困らせる不届き者なぞ、死罪が相応しいと思いますね……」

スール「ま、何にしてもそのうち捕まるさ。この国の治安組織は大魔女様肝いりの精鋭部隊だからね」

 ◇

というわけで本日はここまでとなります。次回は、クロシュ大魔女と邂逅する編、ミスティ先生編となります

大魔女帝国入りを果たし、早速行動を開始するクロシュ一行です。すでに様々な人物と出会い始めた一行ですが、何やら大魔女帝国では不穏な事件も多発しているようで、一筋縄ではいかない様子。この先クロシュはどのような事態に遭遇し、どう動くのか。

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

イスファハーンと大魔女帝国は世界的に見ても最高水準の技術力と豊かさを持っているため、その二つの国に対抗できるのは実のところ王国くらいかもしれません(王国は魔導機械分野において近年革新的な成長を続けています。それでもその二国にはまだ及ばないかもしれません)

大魔女帝国の民は、やはり大魔女のことが大好きなようです。しかし狂信や盲信といえるほど強く大魔女を信仰している国民は実のところそこまで多くはないらしく、どちらかというと大多数の国民はその国家運営や生活水準の方をありがたがっているだけかもしれません。しかしそれもまた大魔女の作為によって提供されているものなので、やはり大魔女の存在がありがたがられていると言っても良いでしょう

大魔女帝国に住むことができれば豊かなで平穏な生活が保証されますが、世界各国の大使館を巡らなければ入国できないため、苦難から逃れる為に大魔女帝国に亡命するという選択はほぼ不可能と思われます。また、大魔女帝国に入れるような力や財力を持っている者であれば、大体どこの国でも不自由なく暮らせる可能性が高いと言えるでしょう

―空中楽園都市エデン
 歓楽区 路地裏

魔女っ子スライム「〜〜」モニョモニョ


クロシュ「!」

妖精「あ、スライム。この街にも住んでるんだねえ」

ローガン「ふむ……我々にはスライム語がわからぬ。スライムくんたちへの情報収集は任せても良いだろうか?」

妖精「わかった。それじゃああの子に聞いてみよう、クロシュ」

クロシュ「うん……!」

 *

クロシュ「……」トテトテ

魔女っ子スライム「〜?」モニョ?

 デロデロ…

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

魔女っ子スライム「〜〜!」モニョモニョ キャッキャ

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ キャッキャ


「あらあら、見ないスライムの子がいるわね」スタスタ


妖精「! この気配は――」

大魔女「ごきげんよう、滞在者のお二人様」スタスタ

スライムクロシュ「!」モニョ!

魔女っ子スライム「〜〜!!」モニョニョ! キャッキャ

妖精「あ、あなたは……まさか――」

大魔女→クローディア「いかにも。私こそがこの帝国を支配せし伝説の大魔女――クローディア・トゥルーエンドですわ」ファサッ

妖精「大魔女、クローディア・トゥルーエンド!」

クローディア「うふふ、建国の太母に知ってもらえてるなんて光栄ね」ニコニコ

妖精「当然でしょ、こんな大層な街を空に上げてるんだもん! ていうかあなたの方こそ、私のこと知ってたの!?」

クローディア「それこそ当然でしょう? 緑の国を興した偉大なる妖精のことくらい、知らない方がおかしいわ」

妖精「……ま、まあ……そりゃそうか」

クローディア「昨日クロから聞きましたわ。空を飛ぶ手段を探しているそうですね」

妖精「うん。知ってるなら丁度良いや、まさしくその通り私たちは空を飛ぶ手段を探してるの」

クローディア「中央大陸西部の上空にある、世界樹の光を取り戻す為に必要なのね?」

妖精「……どこまで知ってるの?」

クローディア「簡単な推測ですわ。その様子ですと当たっているようで何よりです。うふふ、外す気もありませんでしたけれど」

妖精「じゃあ話が早い。このまま世界樹の光を放っておいたら、過激思想の奴らに奪われて世界が大変なことになっちゃうの。あなたが噂通りの愛深き大魔女だというのなら、世界の為に力を貸してよ」

クローディア「……」


↓1コンマ
01-75 大魔女帝国とは関係ありませんわ
76-95 臣下でもない民に与える愛はありませんわ
96-00 ??

クローディア「何か勘違いしているようだけれど……私の愛は、万物に分け隔てなく与えられるような安いものではないのよ?」

妖精「……」

クローディア「なぜ入国にあれほど大変な基準を設けているか、おわかりかしら?」

妖精「ええと……」

クローディア「私を敬わず、この国を敬わない愚か者を排除する為ですわ。道理を解さぬ蛮民が増えれば、例え万能たる私の統治であっても――いずれは破れ、崩壊してしまう……。この楽園を維持し続ける為には、誰も彼もを庇護して回るわけにはいかないのですよ」

妖精「でも……それは大魔女帝国を維持する為の理屈でしょ? 地上が滅びれば、この国だっていずれは――」

クローディア「滅びません。例え地上の一切が業火に包まれて滅ぼうとも――この国は、私が全霊で守り、育んでみせましょう」

妖精「食事は? 資源は? 星が滅びちゃったら――」

クローディア「いいえ。星そのものが滅びることはない――世界樹と近しいあなたなら、わかっているはずです」

妖精「……」

クローディア「例え世界樹の光を全て手にした者が、星の崩壊を願ったとしても――星の力そのものが滅びることはありません。世界樹の果実は種を落とし、新たな世界樹が芽吹き、やがて星の表層には新たな生命が溢れる――」

スライムクロシュ「……」

クローディア「それにそもそも、この国の食料や資源は既に地上の物質や生命を拠り所としていませんもの。例え地上が灰となったとしても、私の魔法によって作られた食料と資源があれば永久的に存続可能ですわ」

妖精「馬鹿な! これだけの大規模な質量を浮かせ続けながら、そこに住まう命を養い続けられるほど都合の良い魔法なんてあるもんか!」

クローディア「うふふ……大魔女を舐めないでくださるかしら?」ニコリ

妖精「っ……!」


魔女っ子スライム「〜〜…」モニョニョ オロオロ…

スライムクロシュ「……」


↓1選択 何か言う?
1.言う(内容も要記述)
2.言う(内容はクロシュの自由意思に任せる)
3.言わない

スライムクロシュ「……」

クローディア「ふふ……。でもあなたたちは、イスファハーンでの活躍でこの国への渡航に成功した稀有な人材です。もし望むのであれば、永久的に滞在してくれても良いわ。ここにいないお友達を呼んで、一緒に暮らしたって良い。この国で、真の正しい結末――トゥルーエンドを迎えましょう?」

妖精「……そうしたら、飛行手段を提供してくれる?」

クローディア「あはは! 私、嘘は嫌いよ?」ニコ…

妖精「……冗談だよ。わかった。飛行手段はこっちで独自に探す」

クローディア「ええ、それが賢明でしょう。もしこの国に貢献してくれるなら、それに応じた報奨を与えることもやぶさかではありません。あの雲塊を突き破るほどの強力な飛行手段を提供するのは困難ですが、通常の気球や飛行船くらいなら貢献次第でお貸ししてあげても良いわ」

妖精「そりゃどうも。前向きに考えとくよ」

クローディア「ええ。よろしくね。さっきはああ言ったけれど、あなたたちを高く評価しているのは本当よ。良い関係を築きましょうね。そしていつか、私たちの国を好きになってくれたら嬉しいわ」ニコニコ

 ☆大魔女クローディアと邂逅を果たしました

 *

魔女っ子スライム『ふええ……クロシュちゃん、どうして大魔女さまを怒らせちゃったの……?』モニョモニョ

スライムクロシュ『えと……怒らせたかった、わけじゃなくて……』モニョモニョ

魔女っ子スライム『……クロシュちゃんは……大魔女さまのこと、きらい……?』モニョニョ…

スライムクロシュ『ううん……。でも……わたしは……地上に住む、みんなのことも……好きだから……』モニョモニョ

魔女っ子スライム『地上……。わたし、この国で生まれたから……地上のこと、わかんない……』モニョモニョ

スライムクロシュ『そうなんだ……。地上にもね……わたし、友達が……いっぱい、いるの……』モニョモニョ

魔女っ子スライム『わあ……。クロシュちゃん、すごい……!』モニョニョ

スライムクロシュ『んへへ……。魔女っ子スライムちゃんも……友達……!』モニョニョ

魔女っ子スライム『ふわ……! えへへ……じゃあ、友達……!』モニョモニョ

スライムクロシュ『うん……! だから、私……みんな守りたい……』

魔女っ子スライム『そうなんだねえ……』

 ◆

―エデン魔法学園
 中庭

 ワイワイ ガヤガヤ

ミスティ「そういえばこの街には冒険者ギルドがなかったわね」

イリス「言われてみれば……。なんでだろう?」

クロ「なんでだろうね……?」ヒョコ

イリス「わっ! あなたは……?」

クロ「こんにちは……。あなたたちはクロシュちゃんと妖精さんと一緒にこの国に来た人だよね……? 星属性と氷属性の」

ミスティ「ええ、そうだけど……」

クロ「良かった……。えっとね、せっかくこの国に来たんなら、講義を見てくのはどうかなあって、お誘いしようと思って……」

イリス「え、わざわざ私たちの為に!?」

クロ「ダークヒーローイリス一行って有名なんだよ〜。一緒にいる氷魔法使いのミスティちゃんもクールでかっこいいって評判で、この学園でもファンがけっこういるの。だから、二人には是非講義を見ていって欲しくて……」

ミスティ「わ、私まで有名になってるの……!?」

イリス「あはは……でもわかったよ。氷属性ならミスティにもぴったりだし、行ってみようよ!」

ミスティ「まあ、いいけど……」

クロ「やったあ……! えへへ、それじゃあわたしに付いてきてね」トテトテ

 *

―エデン魔法学園
 氷属性講義室

 ザワザワ

クロ「……あれ? アイス教授は?」

青髪ロングの少女「あ、クロ教授。アイス教授は本日、かき氷の食べ過ぎでお腹を壊したらしく……」

クロ「ええ……。それじゃあ氷属性の講義は……」

青髪ロングの少女「……休講ですかね」

クロ「そ、そんな……。せっかくイリスちゃんとミスティちゃんに来てもらったのに……」

青髪ロングの少女「えっ、イリスちゃんとミスティちゃん……!?」

 ザワザワ… エッ イリスチャン? ミスティチャン? ドユコト?

イリス「……な、なんかやばそうな……」

クロ「こらこら、みんな騒がないの……! えっと、休講になったものは仕方ないから――」

 ダークヒロインミスティサンニヤッテモラオウゼ!! ソウダソウダ!!

クロ「ちょ、ちょっとぉ……! だめだよ、ミスティさんはそもそもわたしが無理矢理連れてきた人だからぁ……」

ミスティ「……か、帰っても良いかしら……」

イリス「……でも、ここまで来て何もせずに帰るっていうのも勿体ないしやってみようよミスティ!」

ミスティ「ちょっとイリス……! 私に人に教えられるほどの技量なんてないわよ!」

イリス「まずは授業の内容を聞いてみようよ! ミスティにも教えられそうな範囲かもしれないし!」

ミスティ「そんなわけないでしょ……。専門家を要請する学園の授業なのよ?」

イリス「ねえそこの君! 教科書を見せてもらっていいかな?」ズイッ

青髪ロングの少女「……はい。これがこの講義で使われてる教科書です」スッ

ミスティ「野良の独学氷魔法使いが理解できる範囲なわけ――」

 教科書「」ペラッ

ミスティ(…………氷精の魔導書や正負の属性に比べるとかなりレベルが低いわ……)

青髪ロングの少女「……どうでしょうか?」

ミスティ「まあ……理解できなくもない範囲……と言えなくもない……かしら……」

イリス「あはは、てことは理解できてる範囲ってことだね」

ミスティ「ちょっとイリス……!」

青髪ロングの少女「あの……それでは、お願いしても良いですか? 私も……ミスティさんの講義に、興味があります」

ミスティ「ええ……」

イリス「やってみようよ! きっと良い経験になるよ!」

ミスティ「わ、わかったわよ……」

クロ「ご、ごめんね……急にこんなことになっちゃって。わたしもできる限りサポートするから……」

ミスティ「人に教えたことなんてないし専門家でもないんだから、失敗しても許しなさいよね……」


↓1コンマ
01-30 下手
31-60 程々
61-90 上手
91-00 覚醒

ミスティ「良い? 氷を生み出すのではなく、熱を奪うことを意識するの。氷属性の本質は――」

生徒A(え、ええ……? 熱を奪うって何……?)
生徒B(やばい、意味がわからない……)
生徒C(話のレベル高くない!?)

青髪ロングの少女(……熱を、奪う……)

ミスティ「……口で説明するのは苦手だわ。専門家に比べれば下手かもしれないけど、実演するから見て。イリス、水を出せる?」

イリス「はいはい! それっ!」カッ

 水スライムモドキ「」ポン! プルプル

生徒A(ええ!? 成形の難しい水属性物質をあそこまで安定した形で出せるの!?)
生徒B(しかもあの人って水属性の専門家ってわけじゃないんだよね……?)
生徒C(魔法のレベル高くない!?)

青髪ロングの少女(……あの水餅みたいなのを凍らせるということ?)

ミスティ「じゃあいくわよ――」スゥゥ―

 カッ!!

 氷スライムモドキ「」ギンッ カチコチ

 エッエッ…!? イッシュンデ…? ザワザワ…

青髪ロングの少女(……! 冷気を使って冷却するのではなく――全体を、一瞬で凍結させた……!?)

ミスティ「見てわかる通り、適切に熱を奪えれば全体を均質に冷やすことができるわ。氷を生成するより燃費も格段に良い。ただし慣れないうちは集中力が必要だけれど――」

生徒A(見てわからないです!)
生徒B(こ、これがダークヒロインミスティの御業……!)
生徒C(氷属性のレベル高くない!?)

青髪ロングの少女(……熱を……均質に……)

ミスティ「それじゃあ皆さんも試してみて。何回かやればコツを掴めるはずだから」

 ◇

 水スライムモドキたち「」プルプル

生徒たち「」グッタリ


クロ「こ、これは……」

イリス「ミスティ……」

ミスティ「だ、だから言ったでしょ! 専門家でもなんでもないんだから!!」


青髪ロングの少女「適切に……熱を……。すぅー……はっ!」カッ!

 みぞれスライムモドキ「」パキッ


ミスティ「!」

青髪ロングの少女「はあ、はあ……で、できた……?」

ミスティ「ええ……できてるわ! 少し粗いけれど、ここまでできたのなら後はトントン拍子でやれるはずよ!」

青髪ロングの少女「ミスティ先生……!」

ミスティ「あなた、名前は……?」

青髪ロングの少女→ユキ「……ユキです。オノゴロ地方から来ました」

ミスティ「ユキ……良い名前ね。私のヘタクソな講義からでも学べるなんて、きっとあなたは天才よ。是非この調子で頑張って……!」

ユキ「はい……!」

 ☆ミスティは人に教えるのが下手のようでした
 ☆雪女のユキと知り合いました

 ◆

―大魔女帝国 滞在3日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[6/12](クロシュ)
・魔法[0/8](イリス)
・魔法[5/6](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―朝
 宿舎 食堂

妖精「……という感じで、大魔女の協力は得られそうにない」

イリス「そ、そんなことが……」

ミスティ「むう……意外とケチね……」

ローガン「……だが、国を統べる者の考えとしては不自然ではない。地上の一切を必要としない運営ができているというのが本当であれば、わざわざ我々のような弱小勢力に手を貸すのは余計なリスクとなる」

エバンス「つってもここの国民だって元は地上で暮らしてた奴とかその子孫なんだし、少しくらい甘く見てくれても良いだろうと思わなくもないが……」


ノーラ「……おや? おはようございます、皆さん」スタスタ

イリス「あなたは……留学生のノーラさん!」

ノーラ「覚えて頂いていて光栄です。昨日はミスティさんが素晴らしい授業を披露したそうで……」

ミスティ「押し付けられたのよ。私は悪くないわ……」

ノーラ「ふふ。ところで皆さん、もしかして今大魔女様のお話をしていましたか?」

エバンス「あ、あ〜……聞き間違いだろ、多分……」

ノーラ「……ここは滞在者用の宿舎食堂だから良いですが、外で大魔女様を批判するようなことは言わない方が良いですよ。狂信的な国民は流石にそこまで多くありませんが、それでもここの国民は大なり小なり大魔女様を敬愛しています。下手なことを言えば余計なトラブルに発展して、最悪国外追放となりかねませんから」

妖精「げげっ……」

ローガン「ぬう……ようやく入国できたというのに、国外追放などということになったら目も当てられん……」

ノーラ「先日も大魔女様をちょっと揶揄するような詩を謳っていた吟遊詩人が石を投げられていましたから。ここは平和で衣食住も保証された素晴らしい国ですが、それは大魔女様への愛という条件あってのものなんです。くれぐれも愛を欠かさぬよう……」

妖精「愛という条件か……」

クロシュ「……」


大魔女帝国滞在3日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―空中楽園都市エデン
 市場

 ワイワイ ガヤガヤ

ミスティ「さて、今日も飛行手段を探しましょうか……」スタスタ

ユキ「……あ、ミスティ先生」

ミスティ「あなたは……ユキじゃない。今日は学園は休みなの?」

ユキ「私が受講している今日の講義は午後からなので。ミスティ先生は――」

ミスティ「私は……まあ、ちょっとした情報収集よ。あと先生は不要よ」

ユキ「あ、はい。それではミスティさん……もし良かったら、一緒に買い物とかしていきませんか?」

ミスティ「そうね……まだこの国に来て日が浅いから、案内を頼んでも良いかしら?」

ユキ「はい。行きましょう」スタスタ

 *

―魔法店

スール「らっしゃ〜い」

ユキ「どうも。ここのポーションは味も効き目も良いんです。おすすめですよ」

ミスティ「へえ、そうなのね……」

スール「おや、いつもとは違う仲間を連れてるね。転入生かい?」

ユキ「いいえ。彼女は……臨時講師です」

ミスティ「それも違うでしょ。ただの旅人よ。学園は確かに気になるけど、生徒にも講師にもなるつもりはないわ……」

ユキ「えっ……そうだったんですか?」

ミスティ「むしろ何だと思っていたのよ――」


 バギュンバギュンッ!! バラタタタタタ!!! ギャアアアアア!!! タスケテクダサイ!! タスケテクダサイ!!!


ミスティ「!?」バッ

ユキ「い、今の音は……!?」

スール「通りの方からだ。あの銃声は、まさか――」

フローレンス「……警備用オートマタですね。これで今月三度目――」ヌッ

ユキ「……! 私、止めに行きます!」バッ

ミスティ「えっ、ちょっと待ちなさい!!」ババッ

スール「あ、ちょっとあんたたち!」

フローレンス「警備用の使う弾は非殺傷性のゴムバレットですし、当たりどころが悪くなければ死なないから大丈夫でしょ」

 *

―市場

 キャアアアア!!! タスケテクダサイ!!! タスケテクダサイ!!!

警備オートマタ「コロス、コロス」ガションガション

警備オートマタ「ハッポウスル」ジャキッ

 バラタタタタタッ!!

通行人A「ぐげあああああ!!」バスバスッ

通行人B「アババーッ!」バスバスッ

エルフの吟遊詩人「狂ったオートマタ……そのセンサーが捉えるは、無辜の民――……」バスバスッ


ユキ「はあっ!」カッ

凍る警備オートマタ「」ガギンッ!!

ユキ「よしっ……!」

警備オートマタ「テキ……コロス……」ジャキッ

ユキ「!」

 バギュンッ!
    カーンッ!

 氷の壁「」カチン

ユキ「氷の……壁!?」

ミスティ「援護するわ! 一人で前に出ないで!」

ユキ「ミスティさん!」

 ――戦闘開始 暴走オートマタ――

↓1コンマ
01-60 勝利
61-90 完勝
91-00 会心

ユキ「やっ!!」カッ

凍る警備オートマタ「」ガギンッ!!

ユキ「ふう。暴走していたのはニ体だけ――」

ミスティ「ユキ、危ない!!」バッ

ユキ「えっ――」

 ドンッ!

 バギュンッ!! バスッ

ミスティ「っつ……!」

ユキ「あっ……ミスティさん!!」


増援警備オートマタ「コロス、コロス」ガションガション
増援警備オートマタ「タイザイシャ、ヒコクミン」ガションガション
増援警備オートマタ「ダイマジョサマニアイサレルシカク、ナシ」ガションガション
増援警備オートマタ「ハッポウセヨ、ハッポウセヨ」ガションガション


ミスティ「チッ、増援……!」

ユキ「ごめんなさいミスティさん……!」

ミスティ「問題ないわ……! 一体づつ破壊していくわよ!!」

ユキ「はい!」

 *

氷漬けのオートマタ「」カチコチ

砕かれたオートマタ「」バラバラ


ミスティ「ふう……こんなとこかしら」

ユキ「ミスティさん……すみません、私が油断したせいで……」

ミスティ「問題ないと言ったでしょう。それに……ほら、このローブ」スッ

 氷竜革のローブ「」バサッ

ユキ「これ……氷竜革……!?」

ミスティ「ええ。あんな豆鉄砲じゃこのローブは貫けないわ。ちょっと痛かったけどね」

ユキ「おお……!」

ミスティ「まあ、そういうわけだから……別に気にしなくて良いわよ

 *


高等オートマタ「ご協力感謝致します。ミスティ様、ユキ様」ザッ

ミスティ「けっこう痛かったわ。お礼はもらえるのかしら?」

高等オートマタ「もちろんです。こちらに大魔女様直筆サイン入り感謝状がございますので、どうぞお受け取りください」スッ

 大魔女直筆サイン入り感謝状「」ポン

ミスティ(いらないわ……。でも愛を示しておいた方が良いとか言ってたし……)

ミスティ「……ありがたく頂戴するわ」スッ

高等オートマタ「はい。是非とも大切になさってください」

 ☆大魔女サインを1つ手に入れました

 *

ミスティ「――新聞でも警備が暴走する事件が発生してるって書いてあったけど、これよくあることなの?」

ユキ「いえ……警備がおかしくなるのは、ここ最近が初めてなんです。それまではこんなこと全くなかったのですが……」

ミスティ「……」

ユキ「……何者かが、悪意を持って警備を暴走させているとしか思えません。ただ、今のところ原因は全くの不明らしく……」

ミスティ「……きな臭いわね」


ミスティ(……首を突っ込むべき? でも戦ってみてわかったけれど、この警備の装備に殺傷能力はない……。この国の治安組織に任せておくのが無難じゃないかしら……?)

ミスティ(まあ、帰ったらみんなに報告くらいはしておきましょう……)

 ◆ 

―図書館

妖精「さて、情報収集の基本と言えばやっぱりここだよね」

クロシュ「うん……」

妖精「……とは言ってもこの図書館も私向けじゃないから、主に働いてもらうのはクロシュになっちゃうけど」

クロシュ「……わたしも……背、届かない……」

妖精「いつだかやったみたいに大きくなれない?」

クロシュ「!」ピコン!

 モニョモニョ…ポン!

大人クロシュ「……大人の、すがた……!」ドン!

妖精「性格は元のままみたいだね」

大人クロシュ「えと……フメイちゃんが大人になったのの、想像だから……大人フメイちゃんらしい性格……」モニョモニョ


大人クロシュ「……妖精、はやくいこ。フメイ、おなかすいた」ポン

妖精「それ、いつものフメイじゃない……?」

大人クロシュ「あっ……」

妖精「あの剣舞姉妹のお姉さんの方を真似してた時は迫真だったけど……やっぱり想像だけじゃ難しいの?」

大人クロシュ「んゅ……そうかも……」


↓1コンマ 図書館
01-30 飛行船の仕組み
31-60 雲塊について
61-90 ある風船スライムのお話
91-00 楽園の真実

大人クロシュ「……」トコトコ

 奇妙な背表紙「」モニョ

大人クロシュ「……?」スッ

 奇妙な本『ある風船スライムのお話』モニョモニョ

大人クロシュ「……! 妖精さん、これ……!」

妖精「ん? これ……スライム文字!?」

大人クロシュ「うん……!」

妖精「初めて見た……! でも、これ……」

 奇妙な本『ある風船スライムのお話』モニョモニョ

妖精「な、なんで……私にも読めるの……!? 私、スライム文字なんて学んだことないのに……」

大人クロシュ「……スライム語がわかれば……読めるのかも……」

妖精「一体どうなってるんだろう、摩訶不思議だ……。せっかくだし、読んでみる?」

大人クロシュ「うん……!」

 *


(……)

(その本に綴られていたのは……ある風船スライムさんが辿った、哀しい物語……)

(その風船スライムさんは……大勢の仲間や、他の種族の人々に囲まれて――たくさん愛されて、育った)

(誰よりも心優しく、誰よりも慈しみ深く成長した風船スライムさんは……愛された分以上に、みんなを愛した)

(でも……そんな平穏で恵まれた日々は……永遠には、続かなかった)

(風船スライムさんたちとは関係のない戦火が、彼らの集落にまで及び……虫も、草も、木々も……人も、魔物も、魔族も、何もかも――無惨に、殺し尽くしていった)

(たった一人、生き残ってしまった風船スライムさんは……。何日も泣き続けた後……一人ぼっちで、静かに悟った)

(こんなにも、苦しいのなら。こんなにも、哀しいのなら。愛さなければ良かった。愛されなければ良かった)

(愛なんて――この世から、なくなってしまえ――)

(……本は……その後、真っ黒なページがずっと続いて……)

(最期に、奇妙な焦げ跡のような模様の付いたページとなり……そこで途切れるように終わっている……)

 *


スライムクロシュ「……」モニョ…

妖精「……」

スライムクロシュ「……」モニョニョ…

妖精「返そうか……。元あった、場所に……」

スライムクロシュ「……」モニョ…

 ☆クロシュの風適性が上がりました
 ☆クロシュの風経験に+3が加算されました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は劇場に行ってみよう編から開始となります
なお書き忘れていましたが、今回の戦いでミスティ氏の魔法経験も獲得されたので魔法レベルが1上がりました

大魔女帝国に滞在しつつ情報収集を進めるクロシュ一行。大魔女の君臨によって成り立つ国の在り方は、他の国とは一風変わっておりどうやら一筋縄ではいかなさそうです。そしてミントウネの異常繁殖や警備オートマタの暴走から僅かに見え隠れする、何者かの悪意。闇の中で静かにほくそ笑む邪悪の正体は――

そして図書館で奇妙な本を読み、意気消沈のクロシュ氏でありました。その本が示すものとは何なのか。なぜあのような本が大魔女帝国の図書館にあったのか。著者は誰なのか。真実は未だ、闇に包まれています。

それでは本日もありがとうございました。次回も土日となるかと思います、よろしくお願いいたします

ミスティ氏は既存の魔術書などで学ぶより自分自身で試行錯誤してきた期間が長く、そして氷精の魔導書や正負の属性も実のところ一般的な氷魔法使い向けの本ではないため、そんなミスティ氏が教える内容は普通の氷魔法を学ぼうとしている学生たちにとって非常に難解なものであった可能性があります。そしてミスティ氏自身も論理よりは感覚で理解するセンス型の気質が強いため、実際他者に教えるのはあまり得意ではなかったのかもしれません。それでも、高い氷魔法適性を持つ雪女のユキ氏はなんとか理解できたようでした
一部の個体はやたら強いですが、全体で見ればスライム類はそれほど強力な種族というわけでもないため、他の生物に食べられたり戦いに巻き込まれたり冒険者に狩られたりして命を落とすスライムは少なくありません。シュヴィア氏が他種族に憎悪を募らせていたのも、同族がそういった理不尽に遭うのを何度も目にし、自身も体験してきたからかもしれません

何の因果か、本で示された風船スライムさんの境遇はクロシュ氏と似通ったものでありました。しかしクロシュには親友のフメイちゃんを探すという目的があり、通りすがりの妖精に見つかって一人ぼっちにもなりませんでした。その後たくさんの人と出会い、いろいろなことを諦めたり諦めなかったりして、クロシュ氏は今もなお成長を続けています。今後よほどのことが起きない限り、クロシュ氏が大変な変化を遂げてしまうことはたぶんないでしょう
しかしもしあの時フメイちゃんが助からず、妖精にも見つけられず、集落の焼け跡に一人ぼっちになってしまったら――その後クロシュがどうなっていたかは、誰にもわかりません

イリス氏が教えるのが上手かどうかは実際のところコンマ次第なのですが、彼女は基礎の部分から体系的にしっかり魔法を学んでいるため、センス型のミスティ氏よりも他者に教えるのが上手そうではあります(知識を有していることと、それをわかりやすく教える能力は別なので、断言はできません)

>>216のコンマ表に出ていた三人組の学生とは、実のところその通りユキ、トム、トリルの三人でした(備考欄にて魔法学園に通っているとの記載があり、年齢も近かったため彼らは三人組となりました)。自由安価などでその三人を出したい場合は、三人の名前でも三人組表記でも、どちらでも問題ありません

本で示された風船スライムさんが掃除の魔王と同一の存在かどうかは今のところわかりませんが、掃除の魔王の外形は風船スライムの形に似ていたそうです(大きさは全然異なります)。また、これはたぶん関係のないことですが、空中楽園都市エデンを吊り下げて浮遊する巨大な風船のような物体も人によっては風船スライムに似ていると感じられるようです。なおクロシュは風船スライムさんがふよふよ浮いている姿を好ましく思っているそうです
クロシュ氏は自覚していませんが、あの本を読んだことでなぜか風属性適性が上がったようです。もしかしたらあの本には何らかの秘密が隠されているのかもしれません
元スライムの魔王がいるかどうかはわかりませんが、どのような生き物でも魔王化する可能性を秘めているため、元スライムの魔王が存在する可能性はあります。なお魔王化は強い感情が引き金となる場合が多いため、感情を持つ生き物は感情を持たない生き物よりも魔王化する可能性が高いそうです

魔法学園の学費は、実のところ無料です。魔法の道を志す者であれば誰でも入学できるようです。なお学生でなくとも講義は自由に受けられるようになっているため、入学せず講義だけを受ける人もいます。しかし魔法学園の生徒になると学内の様々な施設やサービスを利用できるようになったり、ゼミに入って専門教授の元で特定分野を集中的に学習できるようになったりするため、本格的に魔法を学ぶ場合は入学した方が良いかと思われます
なお入学は簡単ですが進級はけっこう厳しいらしく、毎年何割かの生徒が留年しているそうです

滞在者の身分から永住権を取得して国民となった者も、帝国内で出生した新生児も、大魔女は全員覚えていると言われています。成長して姿形が変化しても大魔女が人を間違えることはないらしく、魔力の特徴で覚える場合が多いと本人が語った記録が残っています

―歓楽区

 ワイワイ ガヤガヤ

ローガン「さて、我々はどこで聞き込みをする?」スタスタ

エバンス「今日は今までとは違う場所に行ってみないか?」スタスタ

イリス「今までとは違う場所……?」スタスタ

 〜〜♪

エバンス「そうだな……例えば、この歌が聞こえてくる方とか」

イリス「……あ、本当だ。遠くから微かに聞こえてきますね」

ローガン「これは……あっちか」スッ

 スタスタスタ…

 *

―劇場前

 〜♪〜〜♪

 看板『本日の出演:ヨハンナ・ワイズ、クリスティーナ・アムニジア』


エバンス「ここみたいだ」ザッ

イリス「オペラの公演……!」

ローガン「観覧料は……安いな。この国、やはり物価が他国と比べてかなり低い」

イリス「……」ソワソワ

エバンス「……見てくか?」

イリス「えっ……! で、ですが私たちは聞き込みを……」

ローガン「フッ、そう慌てることもあるまい。滅多に入れない国の芸術だ、今見ておかねばいつ見れるかわからぬ」

エバンス「おう、そうだぜ。芸術妖精たちへの土産話も用意しとかないとだろ?」

イリス「……そ、そうですね! それじゃあ見ていきましょう!」

 *

―劇場

 〜〜♪

白髪ロングの女性→ヨハンナ「闇夜に輝く星の如く 我らの希望、偉大なる大魔女 その力、無限の魔法 我らを守り、導く光――」

桃髪ロングの女性→クリス「天空に浮かぶこの都市 大魔女のもとに栄え その慈悲深き心に 我らは永遠の忠誠を誓う――」

二人の声「ああ 大魔女! 大魔女! 大魔女! 大魔女!」

 ダイマジョ! ダイマジョ!! ダイマジョ!!! ダイマジョ!!!!


イリス(わあ……これが大魔女帝国のオペラ……!)

エバンス(すげえ……芸術にゃ詳しくないが、なんかすげえってことはわかるぞ……!)

ローガン(これが……大魔女帝国の芸術か……!)


ヨハンナ「我らの守護者、偉大なる大魔女 その力、無限の魔法 我らを――」

  ベチャッ モニョモニョ

ヨハンナ「えっ……?」

クリス「ヨハンナさん? あっ」

 ベチャッ ベチャッ モニョモニョ モニョモニョモニョ

天井から落ちてきたレッサースライムの群れ「〜〜」モニョモニョ

 ザワザワ スライムダ カワイイ キモイダロ

ヨハンナ「あ、あ……ああああああああああああ!!!!!!!」

 音波「――――!!!!!!!!」ビリビリビリ

観客たち「うっ……」バタッ
観客たち「グワッ……」バタッ
観客たち「アバッ……」バタッ

 バタッバタバタッ…

エバンス「ぐおお!? み、耳が……!」キーン

ローガン「耳を塞げ!! 意識を持ってかれる!」キーン

イリス「ううっ……! これは、音魔法……!?」キーン



レッサースライムたち「〜〜!!」モニャニャニャ!!

ヨハンナ「なんでこんなところにスライムが……! 排除しないと……!!」

クリス「よ、ヨハンナさん!! 落ち着いて!!」アタフタ



イリス(や、やばい!)


↓1コンマ
01-30 声魔法炸裂 レッサースライム全滅
31-60 イリスたちがヨハンナを止める
61-90 ヨハンナを止める+何かに気付く
91-00 ???

ヨハンナ「スゥ――あああああああああ!!!!!!!!」

 音波「――――!!!!!!!!」ビリビリビリビリ

レッサースライムたち「〜〜!」モニャニャニャ!!

 モニャニャニャ――パァンッ!
  パァンッ! パァンパァンッ!!

レッサースライムたちの残骸「」ジュクジュク…


イリス(あっ……)


ヨハンナ「――はあっ、はあっ……!」

クリス「ヨハンナさん!!」

ヨハンナ「……あ」


気絶した観客たち「」グッタリ

レッサースライムたちの残骸「」ジュクジュク…


ヨハンナ「あっ……ああっ……!」

劇場スタッフ「救護を呼べ!! 急げ!!」バタバタ

 バタバタ ザワザワ…

 ◆

―居住区
 病院

医療ホムンクルス「ふむふむ……あなた方は特に大事ないですね。念の為お薬出しておきますか?」

イリス「あ、いえ……。一応簡単な回復魔法とかも使えるので、大丈夫です」

エバンス「俺も大丈夫だ。体は頑丈な方だからな」

ローガン「私も不要だ」

医療ホムンクルス「わかりました。もし何か不調があればすぐに来院してくださいね」

 *

―病院前 広場

 噴水「」シャワシャワ

エバンス「はあ……。散々な目に遭ったな……」

イリス「はい……。でも――」

ローガン「……なぜ、あの場にレッサースライムが現れたのか」

イリス「……はい。私も、それが気になります」

エバンス「周囲の話をしっかり聞けたわけじゃないが、今までにこんなことは一度もなかったらしいな。一体原因は何なのか……」

イリス「……」


イリス(クロシュちゃんに、あのレッサースライムたちから事情を――あっ)

 イリスの記憶『レッサースライムたちの残骸「」ジュクジュク…』

イリス(……)

イリス(…………私……何も、できなかった……)


エバンス「……あのさ。今日のことは……クロシュちゃんには……」

ローガン「………うむ。伝える必要はないだろう。妖精くんには、話しても良いかもしれんが……」

イリス「…………ですね……」

 ◆

―大魔女帝国 滞在4日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[9/12](クロシュ)
・魔法[0/8](イリス)
・魔法[0/8](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―朝
 宿泊室

 チュンチュン

ローガン「――ということがあったのだ」

妖精「レッサースライムが……?」

ミスティ「私も昨日……暴走する警備オートマタに襲われたわ」

エバンス「ミスティちゃんの方じゃそんなことがあったのか」

ミスティ「ええ……。まあ、私たちがどうこうすべき問題でもないと思うけれど……」

エバンス「……立て続けに不審な事件が起きているみたいだな」

妖精「……何か、良からぬ企みがある? それぞれの事件に関連性はなさそうだけれど……」

ローガン「騒ぎを起こすこと自体が犯人の目論見である可能性もある」

ミスティ「そうだとしたら……なんでこんな騒ぎを起こすの?」

ローガン「それは……わからぬ。ただの愉快犯か……あるいは――」

妖精「……この国の治安悪化を目論む、他国の工作員とか」

ミスティ「テロじゃない!」

エバンス「テロだな」

ローガン「うむ……。だが大魔女帝国の安全性や豊かな生活水準を羨む国は少なくない」

ミスティ「……」

妖精「……はあ、気が重くなるね。あそうだ、さっきのレッサースライムの話なんだけど……クロシュには……」

ローガン「うむ……伝える気はない。あの子には不要な情報だろう」

妖精「……ありがとう」

 ◇

―宿舎 食堂

割烹着ロディナ「……」

イリス「あれ、ロディナさん? おはようございます!」

クロシュ「おはよう、ございます」ペコ

割烹着ロディナ「あなた方は……イリス様とクロシュ様ですね。おはようございます」ペコリ

イリス「割烹着、お似合いですね!」

割烹着ロディナ「そうでしょうか……」

イリス「今日の朝ご飯はロディナさんが?」

割烹着ロディナ「はい。本日の調理当番は私です。お気に召されてましたら良いのですが……」

イリス「すごく美味しかったですよ! ね、クロシュちゃん」

クロシュ「うん……! ありがと、ございます……!」ペコ

割烹着ロディナ「それならば良かったです。食事が必要であればいつでもお申し付けくださいませ」


ノーラ「……」ジッ


イリス「……ん?」


ノーラ「……」フイッ


イリス(あの隅の席にいるのは、留学生のノーラさんだよね)

クロシュ「?」

イリス(さっき……クロシュちゃんをじっと見てた? いや、たまたまかな……? クロシュちゃん、かわいくて礼儀正しいからつい目で追っちゃうよね)


クロシュ「あの……ごはん、いい……?」

割烹着ロディナ「もちろんです。でもタダごはんは一日三回までですよ」

クロシュ「んゅ……。わ、わかってる……」


大魔女帝国滞在4日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

クロシュ「ごちそうさまでした……。美味しかった、です」

割烹着ロディナ「良かったです」

イリス「あれ、もう食べちゃったの? 早食いはあんまり体に……いや、スライムだから人間とは違うのかな……?」

クロシュ「……?」

イリス「ま、まあいいや。そうだロディナさん、ここ最近変な事件が多いですけど……ロディナさんは犯人に心当たりとかあったりしますか?」

割烹着ロディナ「犯人ですか……? すみません、私は滞在者への対応および接待の担当なので……事件関係でしたら治安維持担当のホムンクルスか上級オートマタにお聞きくださいませ。ただ、彼らも捜査中の情報については答えられない可能性が非常に高いかと思います」

イリス「あ、そりゃそうですよね。すみません……って、ホムンクルス……!? あの、失礼ですが……ロディナさんのご種族は――」

割烹着ロディナ「私の種族はホムンクルスということになっております。ただ、私の作成過程には大魔女様の独自技術が使われているため、他の国で見られるホムンクルスとは少々異なる部分があるかもしれません」

イリス「ほ、本当にホムンクルス!? 人間かと思ってた……!」

割烹着ロディナ「一般的なホムンクルスは人間とは異なった外見をしている場合が多いので、私たちを人間だと勘違いする滞在者の方は少なくないようです。特に勘違いされても問題はないので、私たちの方から敢えて種族を明かすこともあまりないのですが」

クロシュ「ほむんくるす……」

イリス「ホムンクルスっていうのはね、主に生命とか物質に関わる属性の魔法で造られる人工生命体のことなんだよ。イスファハーンでクロシュちゃんが助けたあの銀色のスライムさんも、広義の意味ではホムンクルスって言えるかも」

クロシュ「わあ……」

割烹着ロディナ「この大魔女帝国で公的な職務に就いている者のほとんどは、大魔女によって造られたホムンクルスやオートマタです。これにより、大魔女帝国では常に安定した国家運営と高い生活水準が保たれています」

イリス「すごい……! それじゃあもしかして、国民の全員が働かなくなっても国は回るってことですか……!?」

割烹着ロディナ「はい。大魔女帝国では勤労の義務がないため、配給される食事と住居で働かずに暮らしている方々もおられます」

イリス「なんと……。でも確かに、働かなくても家とご飯があるなら働かないのはおかしくないかも……」

クロシュ「……えと……ごはんの食材も、ホムンクルスさんたちが、作ってるの……?」

割烹着ロディナ「食料は大魔女様が魔法で生産しております。既存の動植物の命を奪わず食材だけを生産する、とてもクリーンで優しい方法です」

イリス「えええっ!? し、食材だけを生産する魔法……!? そんなものがあるの……!?」

割烹着ロディナ「はい。組成がわかれば、命を通さずに食材を生成することは可能です」

イリス「……言われてみれば、確かに不可能じゃないか。でも物質の創造ってけっこう大きな魔力が必要ですよね? ここの国民全員分の食料を毎日三食分、恒常的に生成し続けるなんて、本当に可能なんですか!?」

割烹着ロディナ「はい。実際に生成できているので、可能なのだと思われます」

イリス「うっ、それは確かに……。大魔女様って一体どれだけとんでもない魔力を持ってるんだろう……」

割烹着ロディナ「また、この国の魔導機械に使われる魔力や水道の水も大魔女様によって安定供給されております」

イリス「……め、めまいがしてきた……もし私が同じだけの魔力を供給しようとしたら、たぶん1秒ももたずに干からびて死んじゃう……」

割烹着ロディナ「ご安心ください。イリス様にそのような供給を強いることはございません」

イリス「強いられたら本当に死ぬよ!!」

クロシュ「わあ……」



イリス「ちなみに私たちも戦いの場で水とか氷とか鋼とか土とかホイホイ作ってるけど、あれは完全な物質創造じゃなくて期間限定の仮物質なんだよ。仮物質は時間が経てば消滅しちゃうの。本物の物質をホイホイ作ってたら魔力がいくらあっても足りないからね」

クロシュ「そうなんだ……」

イリス「でも私が海上とか砂漠で作ってる水は本物物質だよ。海上なら水魔法で海水から塩とかの不純物を取り除けば良いだけだから簡単だったけど、砂漠では空気中にも水分が全然ないから魔力で本物を創造するしかなくて大変だったなあ」

クロシュ「わ……。えと……イリスさん、ありがと……」

イリス「いいのいいの! 魔力は寝てれば回復するからね」

割烹着ロディナ「イリス様も水を創造できるのですか。素晴らしい腕前と魔力をお持ちなのですね」

イリス「あはは……大魔女様に比べれば全然ですけどね」

 ◆

―魔法学園
 講義室

 ワイワイ ガヤガヤ

クロシュ「……」チョコン

妖精「パンフレットに書いてあった通り、滞在者の身分でも普通に受講できたね」

ミスティ「……魔力操作基礎……私もちゃんとしたやり方は学んだことがなかったし、丁度良いわ……」

イリス「私もこれを機に基礎を復習しようかな」


 扉「」ガラッ
クローディア「みんな席に着いてる? 今日の講師は私よ」ツカツカ


 ザワザワ…

イリス「え、ええっ……!?」

ミスティ「あ、あれって……大魔女……!?」

クロシュ「わあ……」

妖精「な、なんで大魔女が……!?」


クローディア「本日この講義を担当する予定だったキソマホ教授はアイス教授が作ったかき氷を食べすぎてお腹を壊したから、私が代わりに講師を務めます。私の姿を見られて嬉しさの余りに騒いでしまう気持ちはわかるけれど、講義は静かに、真剣に受けなさい」


生徒たち「はい!」


クローディア「良い返事ね。フフ……今日は外来生も多いみたいだし、張り切っちゃおうかしら」ニコ


↓1コンマ(大魔女+10)
01-30 全員魔法経験+1
31-60 全員魔法経験+2
61-90 全員魔法経験+3
91-00 全員魔法レベル+1

クローディア「――ということ。理解できた?」コンコン


ミスティ(なるほど……全然知らなかったわ……。勉強になるわね……)

イリス(私、基礎をわかった気になってたけどまだまだ理解が足りてなかったかも……!)カキカキ

妖精(まあ基礎だね。この辺は妖精も人間も変わんないみたい)


クロシュ「んゅ……」グルグル

クローディア「あら、難しい?」ヌッ

クロシュ「わ……!」

クローディア「そうねえ……スライムの感覚なら――」

クロシュ「……?」

クローディア「〜〜」モニョモニョ

クロシュ「!」

妖精(ええっ!? 大魔女ってスライム語も喋れるの……!? ていうかスライム語って人間の声帯で出せる音なの!?)

クローディア『声帯を調整すれば誰でも話せるわ』モニョモニョ

クロシュ『わあ……!』モニョニョ…!

妖精(当たり前のように声帯を調整するな!)


クローディア『ふむふむ……妖精さんは流石に私程度の講義で学べることはないみたいね』モニョモニョ

妖精(そりゃまあ、基礎くらいならね。ていうかなんで私にまでスライム語で話すの……)

クローディア『スライム語って知らない人にはほとんど聞こえない音だからいろいろ便利なのよね』モニョモニョ

 ◇

クローディア「では本日の講義はここまで。次回からは通常通りキソマホ教授の授業に戻りますが、内容は継続しますので予習と復習を欠かさないように。またね♪」ニコッ ツカツカ

 扉「」ガラッ


イリス「……けっこう学び直せた。一度基礎を見直してみようかな……!」

ミスティ「私は普通に勉強になったわね……。ちゃんと基礎を学んでみたいわね……」

妖精「クロシュはどうだった?」

クロシュ「あ、うん。えと……ちょっと、わかったかも……」

イリス「大魔女様とスライム語で話してたよね。どんなお話をしてたの?」

クロシュ「えっとね……スライム向けの、基礎を……教えて、くれた……」

ミスティ「スライム向けの基礎……どんなのなのかしら……」

クロシュ「えと……魔力を、デロデロにして……」モニョモニョ

イリス「……なんで大魔女様はスライム向けの魔法の使い方まで知ってるんだろう」


妖精「ところでよくスライム語で話してるのがわかったね。あれ、人間には聞き取りにくい音じゃない?」

イリス「まあ、普段からクロシュちゃんのスライム語をしょっちゅう聞いてるからかな?」

ミスティ「私も最近はスライム語の響きを少し聞き取れるようになってきたわ」

クロシュ「んへへ……。〜〜」モニョモニョ

イリス「でも何を言ってるかまではわかんないよ!?」

 ☆クロシュ、イリス、ミスティが魔法経験を2獲得しました

 ◆

―魔法学園

 ワイワイ ガヤガヤ

妖精「さて、せっかく学園に来たわけだしここで聞き込みでもしてく?」

イリス「そうだね。でも一般の生徒に聞いても飛行手段はどうにもならなそうだし……」

ミスティ「……一般的じゃない調査方法にすれば良いということ?」

イリス「いや、一般的じゃない調査方法って……」

クロシュ「!」ピコン

妖精「……一応聞こうか。クロシュ、何を思いついたの?」

クロシュ「えと……わたしが、透明になって……立入禁止の向こうに、行く……」

妖精「却下。それでこの前酷い目にあったばかりでしょ。ここは大魔女もいる魔法学園なんだよ、どこで見つかるかわからないでしょ」

クロシュ「んゅ……。わかった……」

妖精「わかればよろしい」

ミスティ「……発想自体は悪くない気がするわ。つまり、立入禁止の場所に入らなければ良いということでしょ?」

妖精「まあ……。でも、それだったら透明化する必要ないんじゃない?」

ミスティ「いいえ。透明化して聞き耳を立てるのよ。新参の滞在者に聞かれても答えにくい内容でも、生徒同士の雑談なら話せることだってあるかもしれないわ」

イリス「まあ、そうかも……? でもそれでピンポイントに飛行手段を手に入れるのってものすごく運が必要じゃない……?」

ミスティ「……それはまあ、そうかもしれないわ。でもやるだけやってみましょう!」

クロシュ「う、うん!」

妖精「上手くいくかなあ」


↓1コンマ
01-10 ???
11-30 昏倒した生徒を発見
31-60 犯行現場に遭遇
61-90 犯人確保
91-00 ???

光学迷彩マントクロシュ「」バササッ

イリス「わ!」

ミスティ「とりあえず、全員でこれにくるまれば見えなくなるわね……」

妖精「窮屈だ……」

 ◇

光学迷彩「」モゾモゾ ヨタヨタ


イリス「……ん? ねえ、あれ……!」


 昏倒した生徒「」グッタリ


ミスティ「昏倒した生徒!」

イリス「助けなきゃ!」

光学迷彩マントクロシュ「」バサッ

 *

―保健室

昏倒していた生徒「……」

保険医ホムンクルス「命に別状はありません。発見および移送していただきありがとうございました」

イリス「いえ、それは良いんですけど……。彼が昏倒していた原因は一体……?」

保険医ホムンクルス「それが……全くの原因不明なのです。今大魔女様に診て頂ければ――」

 扉「」ガラッ

クロ「大魔女様を連れてきたよ!」トテトテ

クローディア「来たわ。例の生徒は――その子ね」ツカツカ

イリス「大魔女様!」

クロシュ「わあ……!」

クロ「クロシュちゃん! 見つけてくれたんだってね。ありがと」

クロシュ「うん……」

クローディア「それでは原因を特定します」

ミスティ「……わかるの? 原因が」

クローディア「ええ。魔法によるものであれ、薬物によるものであれ、このような結果には必ず痕跡が残る。それを見つけ出すのは簡単なことです」スッ

妖精「痕跡……少なくとも魔力の痕跡はないみたいだけど……」

イリス「うん。だとしたら薬物……?」

昏倒している生徒「……」

クローディア「いえ、これは……限りなく巧妙に隠されていますが、生命に干渉する魔法が施された痕跡があります」

妖精「えっ嘘!?」

イリス「そんな!?」

ミスティ「……全然わからなかったわ」

クローディア「あなたたちにわからなくても無理はないわ。これは世界最高クラス……私の次の次の次くらいに魔法を極めた者の手腕です。もしこの術者が本気の殺意を見せたら、彼は赤子の手を捻るよりも容易く命を奪われていたでしょうね」

クロ「そんな凄腕が……。なんでこんなことを……」

クローディア「……登録されている国民にも、現在滞在している滞在者にも、生命に干渉する魔法が使える者はいないはず……。だからこれは多分……挑発でしょうね」

ミスティ「挑発……?」

クローディア「ええ。挑発に乗せられるのは癪だけれど、これ以上無法者を野放しにするわけにもいかない……かといってただの警備じゃこいつの尻尾は捕まえられないわ。クロ、良い?」

クロ「うん! わたし、大魔女さまの次の次くらいにできるもん! だから大丈夫!」

クローディア「悪いわね。でもあなたも、決して一人で相手をしてはだめ。こいつはかなり危険な相手よ……もし見つけたらすぐに私に知らせなさい。指輪は機能しているわね?」

クロ「わ、わかったよ。大魔女さまがそう言うなら……無理、しない」

クローディア「ええ。あなたはこの街にとって最も大切な存在なの。わかってるわね?」

クロ「……うん!」

 ☆学園内の警備が強化されました

 ◆

―夜
 宿泊室

スライムクロシュ「……」zzz


イリス「な、なんか大変なことになっちゃったね……」

ミスティ「ええ……。大魔女の次の次の次くらいに優れた魔法使い……そんなとんでもない奴がいるなんて、にわかには信じがたいけれど……」

妖精「……でも、私の目を欺くほどの術師となると確かに相当な腕前だよ。私、これでも魔力反応とか痕跡を見つけるのは得意な方だと思ってたんだけどなあ。とにかく私たちも気を付けないとまずいかも」

イリス「うん。なるべく一人にならないようにしよう。世界最高レベルのテロリストなんて出くわしたら大変だし……」

ミスティ「……またシノホシの奴らだったりするのかしら」

妖精「それは……どうだろう。シノホシは人間を目の敵にしてるけど、この国は人間の国ってわけでもないし……。もしシノホシだったら、今まで掲げてたシノホシの理念ってやつを自分からぶち壊すことにもなっちゃうから違うんじゃないかなあ」

ミスティ「なるほど、確かに……。でもそれなら、本当に一体誰なのかしら……」

イリス「生命に干渉する魔法に精通したテロリスト……うーん、なんか引っかかるけど……なんだったかな……」

妖精「まあ考えても仕方ないし、今日はもう寝よう」

 ◆

―大魔女帝国 滞在5日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[9/12](クロシュ)
・魔法[2/4](クロシュ)
・魔法[2/8](イリス)
・魔法[2/8](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―朝
 宿舎 食堂

 チュンチュン

ローガン「テロリストか……」

妖精「うん。かなりの手練れみたいだから、ローガンとエバンスも気を付けて」

エバンス「おう……。しかしまあ、俺たちの行き先にゃいつもこういうヤバイ奴が出てくるな……」

妖精「世界樹の光とは直接関係のないこの国なら大丈夫だと思ってたんだけどね……」

ローガン「市場での暴走オートマタ騒ぎや劇場でレッサースライムが落ちてきた事件に、大庭園で蔓延っているミントウネなども、その者が関与しているのだろうか」

妖精「可能性はあると思う。どれも今まで全く起きたことがなくて、ここ最近でいきなり発生し始めた事件なんだもん」

エバンス「何が目的なんだろうな」

ローガン「……検討も付かんな。それほどの実力のある者なら、やはり他国の工作員か? しかしそれならやり方が手ぬるい気も……」

エバンス「確かに……殺せる実力があるなら、殺した方がより大きな混乱を起こせるはず。大魔女からの報復を恐れている……なんてのは流石に通用しないよな、工作員なら」

妖精「まあとにかく気を付けてよ。ローガンとエバンスはこういう手合にも慣れてるでしょ? 頼りにしてるから」

エバンス「世界最高クラスの工作員の相手は流石に慣れてねえけどな!」


大魔女帝国滞在5日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

というわけで本日はここまでとなります。次回はクロさんのお手伝い編、バイオレット姉妹のお話編、学生三人組に聞き込み編となります

劇場で事件に巻き込まれたり、食堂でホムンクルスのロディナさんとお話したり、大魔女さまの講義を受けてみたり、昏倒事件を発見してしまったりといった様子でした。大魔女帝国で一体何が起きているのか。暗躍する悪意の真の狙いとは。クロシュは、闇に潜む敵を暴けるか――

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

黒幕の正体は今のところわかっておりません。わかっていることは、生命に干渉する魔法を使えることと、大魔女でなければ看破できないほど魔力の気配を隠すのが上手なことくらいです。この恐るべき敵はその正体を隠し続けており、その目的も未だに不明なままです。気を付けるのが良いでしょう

―朝
 魔法学園 廊下

クロ「……」キョロキョロ トコトコ


妖精「あ、クロだ」パタパタ

クロシュ「わあ……」トテトテ


クロ「……ん? あ、妖精さんとクロシュちゃん。おはようございます」ペコリ

クロシュ「おはよう、ございます……」ペコ

妖精「おはよ。見回り?」

クロ「うん。相手は魔力の気配を消すのがものすごく上手みたいだから、目視で発見しないといけないの」

妖精「でもクロみたいな教授が見回ってるところでは動かないんじゃないかな」

クロ「う……それはそうかもしれないけど……。でもわたしが見てるところなら、その人も悪さできないってことでしょ? それに、ほらこれ」スッ

 注意喚起ポスター『不審な昏倒事件が多発しています。一人での行動は避け、不審な人物を目撃した場合は速やかに職員へ連絡してください』

妖精「なるほどね。正直学園全体を閉鎖しても良い気もするけど……」

クロ「今のところただ昏倒するだけで命に別状はないから、事件性はあるものの閉鎖には至らないの。もし傷害や殺人に発展するようであればそうも言ってられなくなるだろうけれど……」

妖精「そういうもんか」

クロ「うん。それに警備も強化されてるから、今後はそう簡単には――」

 ――…

クロ「!」タッ

妖精「攻撃的な魔力反応……! クロシュ、追うよ!」パタパタ

クロシュ「う、うん!」タッ


↓1コンマ
01-50 犯行現場
51-90 犯人確保
91-00 ??

女子生徒「……」ドサッ


クロ「! 間に合わなかった……!?」ザッ

妖精「違う! まだいる! こいつ――魔法で姿を隠してる!」パタパタ

クロシュ「! そこ!」ビシッ

クロ「……! 捉えた! えいっ!」ブンッ

 魔法弾「」ピュンッ

 ベチッ

透明「んゅっ……!」


妖精「えっ……!?」

クロ「……!?」


透明「〜〜っっっ」トテトテ


妖精「あ、逃げ……」

クロ「……」

クロシュ「……??」


妖精「……逃げられた」

クロ「えと……クロシュちゃん……?」

クロシュ「……?」

妖精(……クロの放った魔法弾が当たった時……透明の何者かが上げた声は……)

クロ「……ううん、なんでもない。クロシュちゃんは……わたしたちと一緒にいたんだもんね」

クロシュ「???」

妖精(……クロシュに、そっくりだった)

 ◆

―市場
 ヤーレン魔法店

 カランカラン

ミスティ「こんにちは」

イリス「こ、こんにちは」


スール「らっしゃ〜い。おや、こないだユキちゃんが連れてきた黒髪の子じゃないか。また新しい子を連れてきてくれるとはありがたいねえ」ニコニコ

フローレンス「最近繁盛してますね……ん? 貴女……もしかして、ダークヒーローイリスですか?」ズイッ

イリス「えっ……!? いや、まあ……一部の新聞ではそのように言われてるみたいですけど……ほとんど脚色だと思います」

フローレンス「へえ、否定しないってことは本人なんですね。一行が来てるのは知ってたのでもしかしたらとは思っていましたが……なるほど、貴女がフラナのお気に入りの……」マジマジ

イリス「うぅ……」モジモジ

スール「こらこら、やめてやんな。ダークヒーローったって普通の女の子なんだろ? 見世物じゃないんだから」

フローレンス「おっと、失礼致しました。あのフラナが人間を気に入るなんて珍しいものですから、つい私も興味を持ってしまいました。ご容赦くださいね」

ミスティ「……ええと、あなたたちはフラナさんのことを知っているの?」

フローレンス「昔のことなら。最近のことはさっぱりですけどね」

スール「同じくだねえ。あたしらは今の魔族国が魔族自治区になるよりももっと前にあの国を離れちまったからさ」

イリス「てことは、旧魔族国って呼ばれてた時代の……?」

フローレンス「そういうことです。この国の方が居心地が遥かに良いですから」

スール「はっはっは、ここより居心地の良い国なんて他にあるもんかい」

イリス「……えと、それじゃあ少しお聞きしたいんですけど……フラナさんとフレメアさんの間には、どのようなことがあったんですか? 今、お二人はものすごく仲が悪いみたいなんですが……」

フローレンス「あいつらの確執についてですか?」


↓1コンマ
01-60 本人らに直接聞いた方が良いですね
61-90 ……ちょっと可哀想な関係なんですよね
91-00 ???

フローレンス「あー……本人らに直接聞いた方が良いですね。それは」

イリス「……」

フローレンス「勘違いしないで欲しいんですけど、イリスちゃんに意地悪したいわけじゃないんですよ。ただ、まあ……けっこう繊細な話題というか」

スール「だねえ……。部外者が勝手に言いふらすのはちょいと憚られる話なのさ」

イリス「そうなんですか……?」

スール「悪いね。あたしから言えるのは……あいつら二人のうち、どっちかが一方的に悪いわけじゃないってことくらいかね」

フローレンス「多分、片側からはもう一方が絶対悪に見えてるんでしょうけどね。まああと何百年かすれば悪感情も風化するんじゃないですか?」

イリス「な、何百年……」

フローレンス「その前にフラナが王国に殺されるか、フレメアが逮捕されて処刑される方が早いかもしれませんけどね」

イリス「え、ええ……」

スール「はっはっは、あの姉妹がそう簡単にくたばるもんかね?」

フローレンス「死ぬ時はさっくり逝くもんですよ。どんな生物でも」

 ◆

―広場

 噴水「」シャワシャワ

イリス「うーん……フラナさんたちの間に一体どんなことがあったんだろう……」

ミスティ「部外者が勝手に言いふらすべきじゃないことらしいけど……想像もつかないわね」

イリス「でも、聞くなら本人に聞くっていうのは確かにその通りだよね」

ミスティ「……聞くの?」

イリス「……いや……うーん……」


ユキ「あ、ミスティさん……!」タッタッタッ


ミスティ「あら、ユキ……。もう学校は終わりなの?」

ユキ「それが……また昏倒事件が発生しまして、今日は休校になりました」

イリス「休校……」


橙髪の少年「おーいユキ、どうしたんだよいきなり走り出して!」タッタッタッ

ユキ「トム……以前話したミスティさんよ」

橙髪の少年→トム「おお!? ダークヒロインミスティか!?」ヌッ

ミスティ「え、何それ……」

白髪の少年→トリル「トム〜……初対面の人を呼び捨てにするなんて、すごく失礼だよ……」スタスタ

トム「遅いぜトリル! 別に良いじゃんか、だってダークヒロインだぜ!?」

ユキ「……トム……ミスティさんを軽んじるような発言は許さないよ……」ゴゴゴゴ…

トム「うぇ!? わ、悪かったって……!」

ユキ「私じゃなくて、ミスティさんに謝りなさいよ……」ゴゴゴゴ…

トム「うっ……す、すみませんでしたミスティさん!」ペコッッッ

ミスティ「いやまあ、別に良いけど……私も割と呼び捨てにするし……」



イリス「でもダークヒロインミスティだって! ダークヒロインミスティ!」

ミスティ「何よ、ダークヒーローイリス……」

 *

イリス「へぇ〜、三人は同じ学年の友達なんだ」

ユキ「はい。出身はそれぞれ違いますけど」

ミスティ「ユキはオノゴロ地方の出身なのよね」

ユキ「はい。見た目は人間に近いですが、実は種族も『雪女』というオノゴロの魔族なんです」

イリス「雪女! 氷属性を使いこなす絶世の美女ばかりって言われるあの雪女!?」

ミスティ「道理で私のわかりにくい授業でも理解できたわけね……」

ユキ「……なんか、他の地方だと誇張されて伝わってるみたいですね……雪女って……」

トリル「でもユキちゃんって将来すっごい美人さんになりそうだよねぇ」

ユキ「そ、そう……?///」

トム「性格はめちゃくちゃキツそうだけどな!」

ユキ「トム……?」ジロッ

トム「なんでもございません。ちなみにオレはトコナツ火山島の出身だぜ!」

イリス「へえ、トコナツ出身なんだ! じゃあモーリィさんのことも知ってるの?」

トム「おう! 姉ちゃんたちも知ってんのか?」

イリス「うん。いろいろ旅をしてきたからね」

ミスティ「じゃあ、レッドのことや猫人のコルトさんのことも知ってる?」

トム「知ってるぞ! レッドの奴も猫のおっさんも、島の仲間だからな!」

イリス「おお……世間は狭い。トリルくんはどこ出身なの?」

トリル「ぼくはテラヌス・ウルス出身だよ。お姉さんたちは、行ったことある?」

イリス「うん、あるよ! 前にリアンノンちゃんたちと一緒にミイラと戦ったの!」

トリル「わあ、リアンノンちゃん元気なんだ……! けっこう魔族を嫌う雰囲気が蔓延してたから心配だったけど……」

ミスティ「非人間排斥法案は否決されて、今は人も魔も手を取り合って団結しているはずよ。水不足も解消されたし」

トリル「そうなんだ……帰るのがちょっと楽しみになってきたかも……!」


 ―――……


イリス「!」バッ

ミスティ「この気配は――」


↓1コンマ
01-05 ???
06-35 脱走ミントウネの群れ
36-65 レッサースライムの群れ
66-95 透明の何者か
96-00 ???

ミントウネの群れ「〜〜!」キャー! トテトテトテトテ


イリス「あ、あれは――」

ミスティ「小さいアルラウネたち……? かわいいわね……」

トム「いや、ありゃミントウネだぜ!」

イリス「あ、確か大庭園で大発生してるっていう――」


緑髪のイケメンエルフ「おおーいそこの君たち!!」タッタッタッ


ユキ「あれは……都市緑化担当のティリウスさん!」

緑髪のイケメンエルフ→ティリウス「そいつらを止めてくれぇー!!」タッタッタッ

イリス「わ、わかりました!」

ミスティ「ええ……!」バッ


 ――戦闘開始 ミントウネの群れ――


↓1コンマ
01-30 大魔女が現れて焼き尽くした
31-90 移動阻止成功
91-00 会心

トム「おっし、オレの炎で全員まとめて――」ゴウッ

ユキ「ちょっと何する気!?」シャッ

 ゲシッ
トム「痛っ! お、お前こそ何すんだよ!?」

ユキ「あんたの炎じゃ焼き殺しちゃうでしょ!?」

トム「でもあいつら侵略的外来種ってやつなんだろ!? だったら駆除しねーと……!」

トリル「あわ……! け、喧嘩してる場合じゃ……」


ミスティ「氷壁!」カッ

イリス「こっちは岩の壁!」

 氷の壁「」ギンッ!

ミントウネの群れ「〜〜!」キャー! オロオロ

 岩の壁「」ズドンッ!


ティリウス「おお〜素晴らしい魔法の冴えだ! ありがとう学生たち!」タッタッタッ

ミントウネの群れ「〜〜!」キャー! オロオロ


 ――戦闘終了――

ミントウネの群れ「〜〜」オロオロ

イリス「あの……そのミントウネの子たちは、どうするんですか?」

ティリウス「そうだね……。かわいそうだけど、肥料になってもらうしかないかな」

ミスティ「肥料に……。それって、やっぱり――」

ティリウス「ああ、そうだよ。殺すんだ。ミントウネばかりが増えたら、ここの植生はめちゃくちゃになっちゃうからね……。それは他の植物たちにとっては勿論、当のミントウネたち自身にとってもあまり良い未来ではないんだ」

ユキ「……」

イリス「……あの、元々ここにはいなかったんですよね? ミントウネは」

ティリウス「そのはずなんだけど……誰かが持ち込んで植えちゃったんだろうね。はあ、困ったよ……」

トム「……誰が持ち込んだのかはわかんねーの?」

ティリウス「調査中だよ。でも成果は芳しくない」


ミントウネの群れ「〜〜…」シクシク…

トリル「……どうして……こんなこと……」

ユキ「……許せない」グッ

ミスティ「同感ね。犯人を同じ目に遭わせなければ気がすまないわ……」

イリス「……」


イリス(レッサースライムの事件も、今回のも……小さな命を何とも思っていないかのような、邪悪さを感じる)

イリス(この街で暮らす国民には大した影響はないかもしれないけれど……犠牲になっていくレッサースライムや、ミントウネたちにとっては、そんなの関係ない。この子たちには……理不尽に殺されるという悲惨な結果しかない)

イリス(私も……この犯人は、許せないよ)グッ

 ◆

―夕方
 宿舎 食堂

 たくさんのごはん「」デデン!

スライムクロシュ「〜〜」バクバク モグモグ モニョモニョ

 大量の空皿「」カラン


エバンス「お、おお……今日のクロシュちゃんはいつにも増してたくさん食ってるな」

ローガン「炎化などしたのか?」

妖精「いや……してないはず」

エバンス「そうなのか。まあこの国は物価が安いし、しかも三食無料なんだ。食えるだけ食っても良いと思うぜ」

ローガン「うむ。クロシュくんは育ち盛りなのだろうし、腹が減った分しっかり食べるのが良い」

妖精「もう、二人ともクロシュに甘すぎじゃない?」


妖精(……でも……あの透明の、クロシュみたいな声を出した奴は一体何だったんだろう)

妖精(少なくともクロシュではない。だってクロシュはずっと私たちと一緒にいたし、そもそもあの透明を見つけて指さしたのだってクロシュだもん。だから、クロシュでは絶対にない)

妖精(でも……だとしたら、あれは何?)

妖精(……この事件……思っていた以上に、危険な気配がしてきた……)

―夕方
 魔法学園 廊下

 窓から差し込む夕日「」

 夕日の橙色に染まる廊下「」


クロ「……」スタスタ キョロキョロ

 カツン―

クロ「!」バッ


 カツン カツン―


クロ(……誘われてる? わたし一人だと思って、舐めているの……?)

クロ(………でも、相手は危険な魔法使い……。まずは大魔女さまに連絡しよう)

 ピッ

クロ「大魔女さま、曲者です。四号館の三階廊下……姿は見えませんが、わたしを挑発しています」

指輪『四号館の三階廊下ね。わかった。曲者から距離を取りつつ見張りを続行して』

クロ「はい」

指輪『ただし危険を感じたらすぐに撤退しなさい』

クロ「わかりました……」

指輪『決して無茶をしないこと。いいわね』

 プツン―


クロ「……」スクッ


 カツン―


クロ(……! 離れる……! 逃さないようにしなきゃ……!)タタッ

 ◇

―空き教室

 カツーン…

クロ(この講義室にいる……! 大魔女さまは無茶をするなって言うけど……窓から逃げられたりしたら見失っちゃうし、わたしも入らなきゃ……!)

 扉「」ガラッ

クロ「鬼ごっこは終わりだよ!」バッ


 空き教室「」シーン―


クロ「……! また、姿を魔法で隠して――えっ?」


 教壇「」
 奇妙な本『』モニョモニョ


クロ「教壇の上に……本……? これは」スッ

 奇妙な本『ある風船スライムのお話』モニョモニョ

クロ(なに……この本……。目が離せない……絶対に、開いちゃだめだってわかってるのに……体が……)ヨタヨタ

 奇妙な本『ある風船スライムのお話』モニョモニョモニョ

クロ(だ、だめ……これを、読んだら……わたしは……わた、し――――)

 奇妙な本『ある風船スライムのお話』モニョモニョモニョモニョ

クロ(あ、あ……たすけて……だいまじょ、さ……)

 扉「」バァンッ!!!

クローディア「クロっ!!」タタッ

クロ「はっ……! だ、大魔女さま!!」

クローディア「大丈夫!? 怪我は!? 何をされたの!?」ズイッ

クロ「あ……え、と……」チラッ

 教壇「」ポツン

クロ(あれ……? 何も、ない……?)

クローディア「……こわいものを見たの? 大丈夫よ……」スッ

 ギュッ……

クロ「ふあ……。大魔女さま……」

クローディア「クロはもう一人ぼっちじゃないわ。私がずっと一緒よ」

クロ「大魔女、さま……」

クローディア「大丈夫、大丈夫……。あなたは、愛して良いの。愛されて良いの……」

クロ「〜〜…」モニョモニョ

 デロデロ…モニョモニョ…

 ◆

―???

「アッハハハハ! 空き教室でメロドラマ始めちゃうなんて!」ケラケラ

「……」

「アレを誘い込むのには失敗したけど良いモノが見れたし結果オーライかな? チャンスはこの先いくらでもありそうだしね」

「……」

「それにしても、まさかあの失敗作がここまで使えるヤツになってたなんてねえ。前までは孤軍奮闘で大変だったんだから、あなたが来てくれて本当に助かっちゃった」

「……」

「ね? クロシュちゃん」

クロシュ?「はい……カリス、さま……」モニョモニョ

 ◆

―大魔女帝国 滞在6日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[9/12](クロシュ)
・魔法[2/4](クロシュ)
・魔法[2/8](イリス)
・魔法[2/8](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―朝
 宿舎 食堂

 たくさんのごはん「」ドドン!

スライムクロシュ「〜〜」バクバク モグモグ モニョモニョ


割烹着ロディナ「素晴らしい食欲ですね、クロシュ様……。おかわりが必要の際は――」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョモニョ!

妖精「こらクロシュ! 横着してスライム語でねだらないの!」

割烹着ロディナ「大丈夫です、私たちホムンクルスはスライム語を理解できますので。おかわりをすぐにお持ち致します」ススッ

妖精「そ、そうなんだ……。でも食べながらスライム語でおかわりなんて行儀が悪いよ! あと食べ過ぎ!」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョ…

エバンス「まあまあ、いいじゃないか。クロシュちゃんのメシ代くらいなら俺が出すよ」

妖精「そういう問題じゃないの! もう、普段はもうちょっと行儀が良いのに……どうしちゃったの?」

 モニョモニョ…ポン!

クロシュ「ごめんなさい……。でも……なんだか、ものすごくお腹がすいて……」モニョ…

ローガン「ふむ……成長期か?」

妖精「スライムに人間みたいな成長期はないはずだけど……」


大魔女帝国滞在6日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―大魔女宮殿

 巨大な大魔女像「」ドン!


ロディナ「こちらが大魔女様のおわす宮殿になります」スッ

イリス「こ、ここが大魔女様の……!」ゴクッ

クロシュ「わあ……!」

妖精「……見学に来たわけじゃないからね」

ミスティ「……わかっているわ」

 *

―少し前
 宿舎 食堂

割烹着ロディナ「……え? はい、わかりました……。それではお連れ致します……」


イリス「あれ、ロディナさんどうしたの?」

割烹着ロディナ「いえ……あの……。大魔女様から、ご連絡があり……」

ミスティ「えっ、大魔女から?」

割烹着ロディナ「連続事件の重要参考人として、クロシュ様をお連れするようにと……」

エバンス「!?」ガタッ

ローガン「なんだと……!?」

クロシュ「??」

妖精「……」

 *

―大魔女宮殿

妖精(……大魔女の狙いは……まあ、私もなんとなくわかる)

妖精(あの透明の何者かは……ものすごくクロシュに近い何かだった。声も、魔力の波長も……)

妖精(そしてあの迷彩も……王国の光学迷彩マントとメルルの魔力隠蔽技能を併用したクロシュの独自技法……)

妖精(……クロシュが犯人ではないことは、誰よりも私が知っている。だからこれはむしろ……真相究明のためには好都合)

クローディア「……来たわね。クロシュ一人来てくれれば良かったのだけれど……」

エバンス「いくら大魔女様の頼みとはいえ、大事な仲間を疑われてたった一人で出向かせるわけにはいかないだろ?」

クローディア「……勘違いされていますね。私はクロシュを疑っているわけではないわ。ただ……重要参考人であることも間違いないの」

イリス「ええと……それはつまり、どういうことですか?」

クローディア「昨日……うちのクロが犯人に襲撃され、精神に傷を負わされたわ」

クロシュ「え……」

クローディア「幸い致命的な事態にはならなかったけれど、あと少し遅れていたら取り返しのつかないことになっていたかもしれない」

ローガン「……そのことに、クロシュくんが関与していると?」

クローディア「……私の予想では間接的に関与している可能性があるわ。ちょっと診させて頂戴」スッ

クロシュ「わ……」

クローディア「……! これは……ルーファス!」

メガネの男→ルーファス「おっほ!? し、小生の力が必要でござるか!?」ヌッ


イリス(うわっ、なんか変なのが出てきた……)

ミスティ(へ、変な喋り方だわ……)


クローディア「ルーファス、あなたの解析魔法でこの子を視てもらえる? ここ最近かけられた魔法を重点的に」

ルーファス「お任せあれ!」キィーン――

 カッ!!

クロシュ「んゅっ……!」

ルーファス「ふむふむ……視えたでござる!! 今日のクロシュ殿のお下着は――」

 大魔女の拳「」ブォンッ!!

  ボムギッ!!

クローディア「失礼したわね……。今からこの馬鹿を折檻してくるから、少し待っていて頂戴」グイッ ズルズル

鼻血を流すルーファス「な、何卒ご慈悲を大魔女殿〜!!」ズルズル



イリス「……」ポカーン

ミスティ「ひ、引きずられていったわ……」

妖精「……ちょっと、折檻とやらを見に行ってみる」ヒュンッ

エバンス「あ、おい妖精!」

ローガン「いや……ここは妖精くんの判断を尊重しよう」

クロシュ「……?」

 *

―大魔女宮殿
 個室

クローディア「……悪かったわね。痛くなかった?」スッ

ルーファス「ホホホ、小生にとってはご褒美でござりますな!」

クローディア「お陰で、自然にあの場から離れられたわ。それで……あなたがああいう真似をしたということは――」

ルーファス「……うむ。幼子に聞かせるには忍びなき真実でござる。最終的には、大魔女殿のご判断を尊重致すが……」

クローディア「いいわ。話して頂戴。そこの妖精さんにも聞こえるように」

ルーファス「なぬっ!?」バッ

妖精「……そりゃまあバレるか、大魔女には」スッ

クローディア「ルーファスにバレなかっただけでも大したものよ? 彼もこう見えてかなりの実力者だもの」

ルーファス「お褒めに与り恐悦至極……と言いたいところでござるが、小生もまだまだですな! それでは例の話に入らせて頂くが……妖精殿も、よろしいか?」

妖精「うん、お願い」

ルーファス「うむ……。では、ここ最近にクロシュ殿にかけられた魔法についてだが……一つ、極めて特殊なものがござった!」

妖精「極めて特殊なもの……?」

ルーファス「それは……生命と魂に干渉する魔法……かけられた者の自由意志を奪い、術者の意のままに操るもの……広範な地域で禁忌とされる、奴隷化魔法の一種でござる!」

妖精「えっ!!?」

クローディア「……奴隷化魔法には必ず条件があるはずよ。例えば『血の契約』のように、術者と対象の血と血を混ぜ合わせたものを互いに摂取しなければ発動しない、みたいなね」

ルーファス「うむ、この魔法にも条件はもちろんあるようですぞ。それは――」

妖精「そ、それは……?」

ルーファス「――術者によって、造られた命であること――で、ござる」

妖精「!!!?」

クローディア「…………」

 ◇

クローディア「悪しき鎖を砕け、偉大なる大魔女の光よ――」ブツブツ

 カッ

クロシュ「わ……」パァァァ


妖精「これで、クロシュはもう大丈夫なの……?」

クローディア「ええ。もう二度と例の悪しき術をかけられる心配はありません」

クロシュ「??」

イリス「えっと……クロシュちゃんに、何か変な魔法がかけられていたんですか?」

クローディア「そう。ちょっとした呪いのようなやつがね。でももう大丈夫よ。ついでに生命と魂への不埒な干渉を阻む防護魔法もサービスしてあげたわ」

クロシュ「わあ……ありがと、ございます……」ペコ


クローディア(でも……恐らくクロシュを操った者は、既にクロシュの〝分体〟を手中に収めて手駒としているはず。そこまでは私も解呪できなかった――)

妖精(クロシュの分体が……)

クローディア(生命と魂を完全に隷属化させる魔法を作り出すような危険極まる魔術師よ。下手をしたら、その分体はクロシュの本体よりも強力な存在となっているかもしれない……十分に気を付けなさい)

妖精(うん……ありがとう)


クローディア「さて……結論から言うと、犯人は恐らくクロシュの分体を手駒にしているわ。うちのクロを欺いたという高度な迷彩の技は、どうやら元はクロシュの技能だったようですし」

クロシュ「!!」

イリス「え、ええ……!?」

ローガン「なんだと……!?」

エバンス「嘘だろ……!?」

ミスティ「クロシュにかけられた呪いって――」

クローディア「先ほど見せてもらったけれど、クロシュの迷彩術はやはり極めて高度よ。光学的に身を隠し、魔力の気配をも巧みに隠蔽する――さらにその上、狡猾で邪悪な魔法使いがそれを援護しているの。正攻法で見つけ出すのは至難と言えるでしょう」

妖精「……」

クローディア「でも、そこに存在しているという事実――運命はどうやったって覆せない。つまり――運命を視るのよ」

イリス「いやいや無理です!! ほとんどの魔法使いは運命を視たりできないですよ!!」

クローディア「あら……あなたたちからは運命神の加護を感じるから、視えたりもするものだと思っていたのだけれど……」

妖精「あー……なんかそういう石ころを持ってるだけで、多分しっかり加護を受けてるわけじゃないと思う……」

クローディア「そう……。それじゃあ困ったわね……。私一人では見回り切れないし……」

ルーファス「ふむ……光学迷彩の対策であれば、音波を利用するのはどうでござろうか?」

クローディア「音波……! その手があったわね!」

エバンス「いやいや待て待て! 俺たちゃクジラでもコウモリでもないんだぞ? 音で見つけるなんて――」

ルーファス「ドゥフ……そう思って小生、こちらをご用意致しましたぞ!」


↓1コンマ
01-50 コウモリのカチューシャ
51-90 音波レーダー
91-00 運命視のメガネ

 コウモリのカチューシャ「」ポン

イリス「わあかわいい……!」

ミスティ「……これを付けろと?」

ルーファス「ドゥフフ……かわいいだけでなく、音の感覚が鋭敏になる素晴らしいグッズでござる! それを付ければコウモリの如く音波で地形把握ができるように――」

クローディア「どれほど音に敏感になっても、音波だけで地形を把握するのは人間の知覚ではかなり難しいわ。これを身に着けた上で何年も訓練を積めばそういう芸当ができるようになる可能性もあると思うけれど」

ルーファス「グボァッ!! 大魔女殿のマジレスが五臓六腑に染み渡り候――」ガクッ

ローガン「だが音に鋭敏になれば、姿を隠していても見つけやすくはなるだろう」

エバンス「まあ……これを男の俺や旦那が付けるのはちょっと見た目がヤバそうだけどな!」

 ☆コウモリのカチューシャを人数分手に入れました
  音に鋭敏になり、隠密状態の者を発見しやすくなります

 ◇

というわけで本日はここまでとなります。次回は大魔女のユニーク属性とは何か編、浴場でユキさんとお風呂編、大魔女先生の星属性指導編となります

クロに迫る邪悪なる手をすんでのところで退け、ひとまずの安息を得たクロシュ一行と大魔女。しかし敵の正体は未だ知れず、今も尚クロシュの分体を従えて闇の奥底で悪意に満ちた嘲笑を響かせています。彼女はもしかすると、今までに立ちはだかってきた敵対者の中でも最も危険で、最も恐ろしい相手かもしれません。クロシュにとっては因縁の相手でもあり、そしてこの物語の闇に包まれし謎の数々は間違いなく彼女の悪意によって為されたもの。クロシュよ、君は最悪の敵を相手にどう立ち向かう――

それでは本日もありがとうございました。明日は祝日なので多分更新できると思われます。よろしくお願いいたします

コウモリのカチューシャを装備した状態でヨハンナの音波攻撃を受けるのは実際危険かもしれません。しかしルーファス氏が気を利かせて過剰な音は適切にキャンセルする機能を付けた可能性もあるので、一概に致命的とも言えないかもしれません。結局のところはコンマによるのでしょう

東方のオノゴロ地方近辺で妖怪と呼ばれている存在は、魔族に近い存在である場合が多いです。テラヌス・ウルスでちらっと登場した鬼という種族も妖怪であり魔族に含まれます。しかし妖怪ではあっても魔族には含まれない種族も時々いたりするため、明確に区分けするのは難しいかもしれません

カリスと呼ばれた謎の人物は、とても邪悪な雰囲気を纏っているようでした。クロシュの分体を手駒にしてさま付けで呼ばせるなど、身の毛もよだつような悪事を平然と行う危険人物のようです。気を付けなければなりません
赤いスライムさんことブラッド氏は、カリスさんと何らかの因縁があることが示唆されています。クロシュのことを人間にぺこぺこするあかちゃんペットスライムと見なしているブラッド氏ですが、今回の戦いで何かわかることもあるかもしれません
あの本が一体何だったのかは今のところよくわかっていません。クロシュ氏はあれを読んでも暗い気持ちになって風適性を獲得したくらいで危なくはありませんでしたが、クロ氏にとっては何やら危険な可能性があるそうです。大魔女氏に見せてみるのも良いかもしれません

―浴場

 カポーン

スライムクロシュ「〜〜…♪」デロデロ

クローディア「ふう……一仕事終えた後はやっぱりお風呂ね」

妖精「大魔女もこういう公衆浴場を利用するんだ」

クローディア「そりゃあそうよ。ここの整備だって私の配下がやっているんだもの」

イリス「えっと、つまりホムンクルスとかオートマタですか?」

クローディア「あら、知っているの?」

イリス「はい、ロディナさんからお聞きしてます」

クローディア「ロディナか……あの子ももうちょっと表情が豊かになると良いのだけれど」

ミスティ「仕事用のホムンクルスなのに表情が豊かな方が良いの?」

クローディア「あの子は元々お喋り用に造ったのよ」

イリス「そ、そうだったんですか」


 扉「」ガラッ

ユキ「あれ……だ、大魔女様……!?」バッ

クローディア「あら、ユキじゃない」

イリス「ユキちゃんだ!」

ミスティ「奇遇ね」

ユキ「ご、ご機嫌麗しゅうございます。ミスティさんたちも……」

クローディア「そんなにかしこまらなくて良いわ。今はオフ。大魔女ではなく、ただのクローディアよ」

ユキ「そ、そう言われましても……」

妖精「まあ難しいよね」

 *

 カポーン

ミスティ「今日も学園は休校なの?」

ユキ「はい。昨日また襲撃事件があったらしく……」

クローディア「犯人を捕まえるまでは休校せざるを得ない状況よ。しばらくは自主学習に専念してもらう他ないわ。大魔女ともあろう者が、未だに事態を解決できずに申し訳ないわね……」

ユキ「いえ、悪いのは犯人であって大魔女様ではありません」

クローディア「ありがとう、ユキ」

ユキ「……その、差し出がましいかもしれませんが……私にももしできることがあれば、是非お手伝いさせてください。大魔女様にも、この国にも、学園にも、お世話になってばかりですから……。少しでもお返ししたいのです」

クローディア「そうねえ……。もし不審な人物を見かけたら、すぐに近くの治安担当に知らせてくれる?」

ユキ「わかりました……!」

クローディア「……この騒ぎを引き起こしている者は、非常に危険な存在よ。決して学生たちだけで立ち向かおうなんて考えないでね」

ユキ「はい、自分の実力はわかっているつもりです。大魔女様にご迷惑をかけるような真似は致しません」

クローディア「もう、いちいち私の為みたいなことは言わなくても良いの。あなたはまだ若いのだから」

ユキ「しかし……私、は……」

クローディア「……あ」

ユキ「……あ……ふぁ……」トロトロ

ミスティ「……えっ!? と、溶けて――」

クローディア「いけない、この子雪女だから長湯はだめよ! 溶けちゃう!」ザバッ

スライムクロシュ「?」デロデロ

 ◇

―浴場 待合室

風の精霊『送風サービスだよ〜』ヒュルヒュル


ユキ「すみません、自己管理すべきでした……」

クローディア「いいえ……話に付き合わせてしまったのは私よ。ごめんなさい。体はもう大丈夫?」

ユキ「はい、なんともありません。少しくらい溶けた方がリフレッシュできるんです」

ミスティ「そうなのね……。クロシュもそうなの?」

クロシュ「ん……うん、たぶん……」

イリス「クロシュちゃんはお風呂に入る度にデロデロになってるよね」

 ◆

―浴場 待合室

イリス「そういえば……大魔女様はあらゆる属性の魔法を使えるとお聞きしたのですが――」

クローディア「概ねその通りだけど、多少誇張もあるわ。もし私が無条件にあらゆる魔法を使えるなら、この犯人だって簡単に捕まえられる」

妖精「それはまあ確かに……。でも概ねその通りってことは、使えないわけではないってこと?」

クローディア「条件は秘密。やろうとすれば使えない魔法はない――とだけ言っておこうかしら」

妖精「……まあ、そりゃそうか。大魔女にとっては最高機密といっても良い情報だもんね、それは」

クローディア「そういうこと。理解が早くて助かるわ」

イリス「あの……それでしたら、星属性については」

クローディア「もちろん知ってるし使えます。プラネットの末裔イリスよ」

イリス「えっ……! わ、私のことをご存知なのですか?」

クローディア「プラネット家はその筋では有名よ。あなたの師匠も」

イリス「そ、そうなんですか……!?」

クローディア「フフ……せっかく星属性に目覚めても、資料の少ない星属性を独力で探求するのは大変でしょう。少し私が見てあげましょうか?」

イリス「ぜ、是非お願いします! あ、でも今は犯人探しが最優先ですし――」

クローディア「ええ、今本格的に貴女を見てあげる余裕はない――だから、こうしましょう」コォォ―

 カッ!

分身クローディア「私が見てあげます」ポン!

イリス「わっ!? ぶ、分身!?」

妖精「これは……鏡魔法!」

分身クローディア「ええ、その通り。さあ、付いてきなさいイリス・プラネット」スタスタ

イリス「は、はい!」タタッ

クローディア「がんばってね〜」ヒラヒラ

妖精「な、なんかすっごい変な光景……」


↓1コンマ(大魔女+10)
01-30 星属性経験+2
31-60 星属性経験+3
61-90 星属性経験+4
91-00 星属性経験+6

分身クローディア「いい? 星属性の真髄は、星の内側を流れる膨大な力を引き出して自在に扱うことなの」

イリス「は、はい……!」

分身クローディア「見たところ、力を引き出すところまではできているようね。なら次のステップは、引き出した力を制御して自分のものとするのよ。まずはお手本を見せてあげる――」

 ◆

イリス「……」コォォォ―

 カッ!

星の力を纏ったイリス「う、ううっ……!!」ゴゴゴゴゴ

分身クローディア「もうここまで制御できるようになるなんて……凄いじゃない。流石はプラネットの末裔……」

星の力を纏ったイリス「で、でも……もう、溢れそうで……!!」ゴゴゴゴ

分身クローディア「大丈夫よ、解き放っても。私が受け止めてあげる」

星の力を纏ったイリス「わ、わかりました!! いきますっ!!!」

 カッッッ!!!!

分身クローディア「はい」スッ

 魔力吸収陣「」ギュオオオオオオッ

イリス「は、はあ、はあ……! あ、あれだけ凄い力だったのに……一瞬で吸収しちゃうなんて……!」

分身クローディア「星属性の扱いには慣れているもの」

イリス「すごい……」

分身クローディア「たった数時間であそこまでできるようになったあなたも十分凄いわ」

イリス「えへへ……あ、でも星から魔力を引き出すのはあんまりやっちゃいけないんですよね?」

分身クローディア「え、どうしてそう思うの?」

イリス「え、いや……妖精さんが、星の力はこの星に住むみんなのものだから、使いすぎはだめだって……」

分身クローディア「ああ。理想論としてはそうだけれど……私やあなた程度の魔法使いが少し引き出したくらいでどうこうなるようなものでもないわよ。星の魔力は」

イリス「そうなんですか?」

分身クローディア「考えてみなさい。海からコップ一杯の水を掬ったところで、海の生き物たちが困ることはないでしょ?」

イリス「それはまあ、確かに……」

分身クローディア「妖精さんは世界樹の……緑の国の出身だから、そういう点に少し敏感になっているだけよ。無限に等しい力があるなら、使わなければ損でしょ?」

イリス「そう……なんですかね?」

分身クローディア「そうなの。あなたもそんな素晴らしい才能を持っているのだから、精進しなさいね」

 ☆イリスが星属性経験を6獲得しました[6/8]

 ◆

―大魔女帝国 滞在7日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[9/12](クロシュ)
・魔法[2/4](クロシュ)
・魔法[2/8](イリス)
・星属[6/8](イリス)
・魔法[2/8](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―???

(眼下には……無数の草木と、動物たちの息吹……)

(仲間たちと助け合い、時には競い合い……日々を、必死に生きている……)

(愛しあい……愛されあい……命を、育んでいく……)


(その先に……どうにもならない離別と、苦痛に満ちた終末があることも知らず……)

(ただ無邪気に、哀しみの螺旋を紡ぎ続ける――愚かで哀れな、命たち)

(かつてわたしも……その中の、一つだった……)


(断ち切って、あげないと)


 ――――


(眼下の命たちが……砕かれ、削られ、終わってゆく)

(苦しみはなく――哀しむ暇もなく――星に還ってゆく)

(ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね)


(愛さえなければ、哀しみも生まれないから)

(命さえなければ、愛も生まれないから)

(哀しみは……もう、終わり)


 ――――

―朝
 宿泊室

 チュンチュン

スライムクロシュ「〜〜〜!!」モニャニャニャ!! ガバッ


妖精「わっ!? な、なに!?」バッ

イリス「ど、どうしたのクロシュちゃん!?」


スライムクロシュ「〜〜…」モニョ…

妖精「えっ……怖い夢を見た?」

ミスティ「怖い夢……?」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

妖精「……よしよし、大丈夫だよ。私が一緒にいてあげるから」ヨシヨシ

イリス「うん、そうだよ! クロシュちゃんが怖い夢を見ても、私たちが守ってあげるから!」

ミスティ「悪夢からどうやって守るのよ……。でもまあ……現実の怖いことなら、一緒に戦ってあげられるわ……」

スライムクロシュ「〜」モニョニョ

 モニョモニョ…ポン!

クロシュ「みんな……ありがと……。えと……見た、夢なんだけど……」

 *

イリス「空から地上を見下ろして……生き物たちを皆殺しにする夢……!?」

クロシュ「うん……。命を、なくして……哀しいのを、なくそうとする、夢……」

妖精「一応聞いておくけど……クロシュがそうしたいってわけじゃないんだよね?」

クロシュ「う、うん……! わたし……そんなこと、思わない……! 哀しいのは、嫌だけど……でも、そんなやり方……もっと、やだ……!」

ミスティ「そうね……いくら哀しみを無くす為としても、過激すぎるわ」

イリス「うん……そんなやり方、まるで魔王だよ! いや魔王の気持ちなんて知らないけど!」

妖精「魔王……? ちょっと待って、なんか引っかかるような……」

ミスティ「……空から……地上の命を殺す……ひょっとして、掃除の魔王?」

妖精「あ、それかも! でも、なんでクロシュが掃除の魔王の夢を……?」

クロシュ「……!」

 魔王図鑑「」ポン

 ペラッペラッ

 掃除の魔王のページ『』ペラッ
 大きな風船のような姿が描かれた挿絵『』ポン

クロシュ「……!!」

ミスティ「掃除の魔王のページ……」

イリス「この姿……どこかで見たような……」

クロシュ「風船スライムさん……!」


大魔女帝国滞在7日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―居住区
 広場

スライムクロシュ「……」グググ ピョンピョン


エバンス「ええと……クロシュちゃんは何をしてるんだ?」

妖精「さっき言った夢の……空を飛んでる感覚を頼りに、空を飛ぼうとしてるみたい」

ローガン「む……だがそれは魔王の視点の夢だったのだろう? 再現してしまって大丈夫なのか……?」

妖精「その点は大丈夫だと思う。魔王ってなろうとしてなれるものじゃないし」

ローガン「それはまあそうか」


スライムクロシュ「……」グググ…

 プチッ

分体スライムクロシュ「!」ポン!


スライムクロシュ「〜〜!」ピョンピョン
分体スライムクロシュ「〜〜!」ピョンピョン


エバンス「お、おい二つに分かれたぞ!?」

妖精「分体を作ったみたい……。二体で練習した方が効率が良いとか考えたのかな?」

ローガン「だが分体は同化を使えないのだろう?」

妖精「そのはずだけど……。もしかして分体の練習も兼ねてるのかも」


スライムクロシュ「〜〜!」ピョンピョン
分体スライムクロシュ「〜〜!」ピョンピョン


↓1コンマ 練習の成果
01-90 風船化成功
91-00 風属性☆ 風になった

↓2コンマ 分体の成果
01-80 だめでした
81-98 風船化成功
99-00 風になった

スライムクロシュ「〜〜…」モニョモニョ…グググ…

 プク―

風船スライムクロシュ「〜〜」フワッ モニョモニョ


妖精「わっ……!」

エバンス「クロシュちゃん飛んでるぞ!」

ローガン「おお……風船スライムのようだ!」


風船スライムクロシュ「〜〜」フヨフヨ モニョモニョ

分体スライムクロシュ「〜〜!」ピョンピョン


エバンス「分体の方のクロシュちゃんは……」

妖精「だめだったみたいだね……」


 ☆クロシュの風経験が[10/12]になりました
  クロシュが風船化して空を飛べるようになりました

 ◆


クロシュ(……風船スライムさんになって、わかった……)

クロシュ(あの夢は……やっぱり、風船スライムさんの視点だった……)

クロシュ(……探さなきゃ。もう一度……あの本を……)

 ◇

―図書館

クロシュ「えと……」キョロキョロ

妖精「確かこの辺だったよね」パタパタ

クロシュ「うん……」


トリル「あれ……? 黒髪の女の子に、妖精さん……もしかして……。あの〜……」

妖精「え、誰?」

トリル「ぼく、トリルって言います。えと……妖精さんと、クロシュちゃん……ですか……?」

クロシュ「わ……!」

妖精「……なんで知ってるの?」

トリル「ご、ごめんなさい。イリスさんとミスティさんに、この前お世話になって……。ダークヒーローイリスの一行って、けっこう有名だから……」

妖精「げっ……イリスだけじゃなくて私たちまで知られてるの!?」

トリル「うん……。ダークヒーローの仲間、かわいくも厳しい妖精さんに、かわいいスライムのクロシュちゃん……この国では、ダークヒーローイリスとその仲間たちは大人気なんだ」

妖精「か、かわいくも厳しい……。まあともかく私たちを知ってるのはわかったよ。それで、何か用なの?」

トリル「あ、えと……用があったわけじゃないんだけど……なんか、困ってるみたいだったから……。何か、ぼくに手伝えること、ある?」

妖精「そういうことか……。それじゃあせっかくだし手伝ってもらおうかな? 私たち、ある本を探してるんだけど――」

 *

 奇妙な本『ある風船スライムのお話』モニョモニョ

クロシュ「……!」

トリル「わあ、これがスライム文字なんだ……!」

妖精「ありがとうトリル、一緒に探してくれて」

トリル「えへへ、どういたしまして……。でも、この本って何の本なの……?」

クロシュ「えと……」

妖精「うーん、何の本なんだろ……私たちにもよくわかってないんだけど……ちょっと調べたいことがあってさ」

トリル「そうなんだあ……。でも、このスライム文字……」

 スライム文字「」モニョモニョ

トリル「ふふ……なんか、もにょもにょしててかわいいねえ」

妖精「そう……? まあ、スライム語をそのまま文字にしたかのような印象の字形だとは思うけど……」

クロシュ「トリルちゃんは……スライム語、わかる……?」

トリル「ううん……。ごめんね、わかんない……」

クロシュ「そうなんだ……」

トリル「あと……ぼく、こう見えても男なんだよ〜……?」

クロシュ「?」

トリル「えっと、そのぉ……ちゃん付けで呼ばれると……ちょっと、恥ずかしいっていうか……///」モジモジ

クロシュ「??」

妖精「あー……トリル、えっとね。スライムは男女の区分けがけっこう曖昧なんだ。人間が持つそれぞれの性別特有の感覚にはちょっと疎いから、あんまり気にしないで」

トリル「え、そうなの?」

妖精「うん。でもクロシュも、相手が人間の男の子の時はちゃん付けで呼んだりすると嫌がられちゃうよ?」

クロシュ「ほえ……。えと、じゃあ……セインさんも……ちゃん付けは、嫌がる……?」

妖精「せ、セインは……どうだろ……。わかんないけど……」

トリル「……でも、わかったよ……! それじゃあ……クロシュちゃんが、ぼくをちゃん付けで呼びたいなら……よ、呼んでも良いよ……!///」

クロシュ「わあ……!」

妖精「う、う〜ん……クロシュに対人コミュニケーションの経験を積ませようと思ったんだけどなあ……」

 ◇

―図書館 アトリエ

 キャンバス「」ポン!

クロシュ「わ……!」

妖精「へえ、この図書館アトリエもあるんだ……」

トリル「うん。クロシュちゃんって、絵が上手なんだよね? ぼくも絵を描くの好きだから、ちょっとだけ一緒に描いてかない?」

クロシュ「いいの……?」

トリル「いいと思う。ここの画材、自由に使って良いことになってるから」

クロシュ「……妖精さん、いい……?」

妖精「ん、まあいいんじゃない? 最近けっこう不穏なことも多かったし、少しくらい息抜きしないとね」

クロシュ「わあ……!」


↓1選択 何の絵を描こう?
1.フメイちゃん
2.かたつむり
3.集落の風景
4.旅の仲間
5.旅で知り合った人たち
6.デロデロ世界
7.風船スライムさん
8.空中楽園都市エデン
9.超巨大風船スライムが世界を掃除するさま
0.その他(自由安価。クロシュが描きそうにないものは再安価)

 デロデロ…

スライムクロシュ「〜〜」シャカシャカ モニョモニョ

トリル「わっ! スライムの姿で、筆を巧みに操ってる!」

妖精「クロシュにとってはこの姿の方が描きやすいんだって。絵筆は人間が人間用に作った道具なのに、不思議なもんだね」

 *

 絵『聖女さんとこどもたち』ポン!

トリル「わあ……! 優しそうなお姉さんに、かわいい小さい子たちだね。小さいスライムさんもいる……」

クロシュ「うん……! 魔族国で会った……良い人たち……!」

妖精「淫魔の子はクロシュのことが大好きだったよねえ。たまにはお手紙でも書いてあげたら?」

クロシュ「んゅ……文字、書くの……苦手だけど……がんばる……」

 *

 絵『森妖精の子と世界樹の精霊さん』ポン!

トリル「小さい、森の妖精さんに……この綺麗な女の子は……?」

クロシュ「ミスティさんのことが大好きな、森妖精さんと……ちょっと変な、世界樹の精霊さん……!」

妖精「なんでそこで世界樹の精霊をチョイスしたの……」

 *

 絵『かっこいいメイド型魔導人形』シャキーン!

トリル「ジェットで飛んで鉄砲を撃ちながらブレードで斬りかかるすごい躍動感のある絵!」

クロシュ「メイちゃん……! んへへ……いっぱい、助けてくれてる……」

妖精「クロシュのメインウェポンだもんねえ、あのブレードは」

 *

 絵『レッドちゃんとタコおじさんの屋台!』ポン!

トリル「わあ、真っ赤でものすごく熱そうなスライムさんに……凄い筋肉のタコのおじさん!」

クロシュ「レッドちゃんと、タコのおじさん……! フルーツポンチ、おいしかった……!」

妖精「あの島ももう落ち着いたらしいし、元気にしてるかな?」

 *

 絵『レーティアさんと芸術妖精さんと剣舞の姉妹』ポン!

トリル「わあ、賑やかな絵……! 華やかな踊り子さんの二人に、かわいいエプロンの妖精さんと、綺麗な……女の人?」

クロシュ「うん……芸術都市の……良い人たち……」

妖精「……きっと、元気にしてる。負けないよ、あいつらは」

 *

 絵『トカゲリアンノンちゃんと猫耳の子と巨大スライムちゃんと砂漠スライムさんたち』ポン!

トリル「わあ、これもまたすっごい賑やかな絵……ていうかこれリアンノンちゃん!? テラヌス・ウルスだよね!?」

クロシュ「ほえ……」

妖精「知ってるの?」

トリル「う、うん! リアンノンちゃんとは小さい頃から仲良しで……」

クロシュ「わあ……!」

妖精「リアンノンの知り合いだったんだ! ふふ、元気だよみんな」

 *


 絵『シュヴィアさんと白銀スライムちゃん 隅っこに小さくエミリオさん』ポン!

トリル「わあ、黄銅色のかっこいいスライムさんに、白銀のかわいいスライムさん……。あと隅っこに……目つきの悪い男の子……?」

クロシュ「シュヴィアさんに、銀色のスライムちゃん……。エミリオさんは……おなさけで、描いてあげた……」

妖精「お情けなんて言葉どこで覚えたの……」

 *

 絵『勇者の像にお祈りを捧げるレインさん』ポン!

トリル「わあ……すっごく綺麗な絵……。この人は……サキュバスさん?」

クロシュ「うん……。テロリストの、レインさん……」

妖精「ちょっと縁があったりなかったりしてね。仲間とかではないよ、決して」

 *

 絵『変な笑顔のレイさん』ポン!

トリル「わ……この変な……笑ってる……? 人は……」

クロシュ「レイさん……。んへへ……面白い人……」

妖精「いちおう指名手配犯なんだけどね……」

 *

 絵『メルルさんとリュアンちゃんとクーちゃん』ポン!

トリル「わあ! 帽子の女の子と、上品な女の子と、ちょっと悪そうなエプロンの女の子……?」

クロシュ「メルルさんと、リュアンちゃんと、クーちゃん!」

妖精「時々道連れになる子たちだね。クーのやつはともかく、メルルとリュアンは元気にやってるかなあ」

 *

 絵『ブラッドちゃんとクロシュヴィアちゃん』ポン!

トリル「わあ、真っ赤なスライムさんに真っ白なスライムさん……!」

クロシュ「ブラッドちゃんと、クロシュヴィアちゃん……!」

妖精「なんでこいつらを一緒に描いたの?」

クロシュ「……えと……わかんない……」

 *

 絵『夜に見張りをしてるセインさん』ポン!

トリル「わあ……! すっごくかっこいい男の子!」

クロシュ「んへへ……セインさん。すっごくつよくて、かっこいい……!」

妖精「なんだかんだでけっこう助けられてるよね、こいつには」

 *

トリル「クロシュちゃんすごいなあ……! 僕も絵にはけっこう自信があったんだけど、速さでも精密さでもクロシュちゃんにはかなわないや……!」

 トリルの描いた絵『夕日に照らされた砂漠をゆくサボテンドラゴン』ポン!

クロシュ「んーん……! トリルちゃんの絵も……すごく、すごい……! サボテンドラゴンさん……!」

妖精「だねえ。全然卑下するほどのことはないと思うよ」

トリル「えへへ……そうかな? それと……ぼくにはもう一つ、特技があるんだ……」

クロシュ「とくぎ……?」

トリル「うん。見ててね……そおれ!」


 トリルの描いた絵『夕日に照らされた砂漠をゆくサボテンドラゴン』グググ…

 ポンッ!

絵から飛び出した小さなサボテンドラゴン『〜〜!』ポフッ!


クロシュ「わわ……!?」

妖精「え、ええ……!? 絵から……サボテンドラゴンが飛び出した!?」

トリル「うん! えへへ……ぼくの魔法は……描いた絵を、実体化させることができるの!」


小さなサボテンドラゴン『〜〜?』キョロキョロ


妖精「す、すごい……生きてるみたい」

トリル「実際には、ぼくが想像した通りに振る舞ってるだけで、本当に生きてるわけじゃないんだけどね。でもすごいでしょ〜」

クロシュ「うん……! すごい……!」

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は掃除の魔法についてもっと調べよう編からとなります

闇からの悪意を警戒しつつも、着々と調査を進めていくクロシュ一行でした。そしてトリルちゃんと出会い、お絵かきがてらに旅を振り返るクロシュ――。気が付けば、すごく長い道のりを歩いてきました。たくさんの人たちと出会い、お世話になり、ご飯をもらい……クロシュちゃんはいっぱい成長したようです。その出会いの一つ一つが、何もできない穀潰しだったあかちゃんスライムの糧となり、今のクロシュさんを支えているのでしょう。思い出は、これからも大切にしていきたいものです

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします

道連れメンバーの方々が一緒になったことはなかったのですが、どうやらクロシュ氏は彼らを同じ分類の人々と思っているようです。一緒ではないけれど旅をしている流浪仲間、みたいに思っているのかもしれません

セインくんが今どうしているかはわかりませんが、芸術都市で別れたあとは具合を悪くした僧侶氏の看病をしに行ったようです。セインくんも単独で超高度の飛行はできないため、今は飛行手段探しに奔走しているのかもしれません

旅をし始めてそれほど経っていないような気もしましたが、実はけっこう長い時間が経っていたようです。今まで巡ってきた土地の人々は皆それぞれいろいろありましたが、再会すれば喜んでくれる人がほとんどでしょう

いろいろと解決して平穏を取り戻したら、もう一度ゆっくり諸国を巡ってみるのも良いかもしれません。後日談というわけではありませんが、新しいスレが立つと登場人物紹介の備考欄が更新されることがありますので、見てみると面白いかもしれません

確かに旅の終わりが近いかのような雰囲気のお話をしていますが、実のところ旅は半ばであり、この先もまだまだ長い道が続いております。クロシュさんの今後の旅路がより良いものであるなら幸いでしょう

雪女さんはずっと高温の環境にいると溶けてしまうため、長湯は禁物だったりします。しかし多少溶ける程度であれば体積や体重が少し落ちるくらいで済むため、水分を補給すればすぐ元に戻れるようです

―図書館

ミスティ「掃除の魔王についてさらに調べてみましょう……」

イリス「そうだね。この図書館に丁度良い資料とかがあれば良いけど――」

↓1コンマ
01-10 ???
11-50 めぼしい資料はなかったが……
51-90 陰謀論の本
91-00 楽園の真実

ミスティ「……?」

 魔王コーナー「」

ミスティ(この図書館……魔王のコーナーがあって、魔王についての資料はかなり多いのに……)

ミスティ(……なぜか、掃除の魔王についての本はどこにもないわ……。偶然……?)


イリス「ミスティ、面白い本を見つけたよ」スタスタ

ミスティ「面白い本?」クルッ

イリス「これ!」スッ

 陰謀論の本『伝説の大魔女の陰謀に迫る!!!!』ポン

ミスティ「ええ……」

イリス「そ、そんな目で見ないで! 明らかにアレな本だけど、ちょっと気になることが書いてあるんだよ!」

 *

 ペラッ ペラッ

ミスティ「空中楽園都市エデンを吊り下げる気球は、休眠中の掃除の魔王で……大魔女は、全ての準備を整えたら魔王を目覚めさせて操り、地上全てを燼滅しようとしている……ですって?」

イリス「も、もちろん全部が全部真実なんて私も思ってないよ! 地上を滅ぼしたって大魔女様には何の利点もないし――」

ミスティ「まあそりゃそうね……。でも……休眠中の掃除の魔王っていうのは……」

イリス「うん。クロシュちゃんの見た夢とか、風船スライムへの印象とも一致する……。本当に休眠中なのかはわからないけれど、あれが掃除の魔王に関係した物体の可能性はあると思う」

ミスティ「……でも……もしそれが真実だとしたら、けっこうヤバイんじゃないかしら……。魔王の力を利用した都市だなんて、危険で不吉すぎるわ……」

イリス「……魔王の力さえも従えて御する実力があるから……できてることなのかも……」

ミスティ「まあ……実際、この都市の空中運行に何らかの事故や被害が発生したなんて話は聞いたことがないものね……」



クロシュ「……!」トコトコ

妖精「イリス、ミスティ……!」パタパタ

トリル「わ、イリスさんにミスティさん……!」スタスタ



イリス「あ、クロシュちゃんに妖精さんに……トリルくん!」

ミスティ「あなたたちも図書館にいたのね。丁度良いわ、ちょっとこれを見てくれる?」

 *

クロシュ「……」

妖精「あの気球が、掃除の魔王……。まあ確かに、これだけの都市を持ち上げるほどの浮力を維持し続ける魔力は一体どこから捻出してるのか疑問だったけれど……」

トリル「えっえっ……!? あ、あの大気球が……魔王……!?」

イリス「あっ……」

ミスティ「……陰謀論の話よ。真に受けなくて良いわ」

イリス「そ、そうそう! 私たち、こういう陰謀論けっこう好きだから時々調べてるの!」

トリル「な、なんだあ……びっくりしたあ……」

ミスティ(……陰謀論の本に書いてあることで良かったわ。誤魔化すのも簡単だし……)

トリル「もし本当に眠ってる魔王だったら、何かの間違いで目覚めちゃったら大変だもんねえ」

妖精「休眠中の魔王……うーん……」

イリス「まあ、あくまで陰謀論の話だから、あんまり真面目に考えなくても――」

クロシュ「……あの風船さん……眠ってるんじゃ、ないと思う……」

妖精「えっ?」

ミスティ「どういうこと?」

クロシュ「わたし……自分も、風船になってみて、わかった……。あの、でっかい風船さんは……えっと……からっぽっていうか……」

イリス「……抜け殻?」

クロシュ「あ、うん……! ぬけがら……! あれが、風船スライムなら……きっと、本体は別のとこにいて……」

ミスティ「じゃああれは分体ってこと?」

クロシュ「んゅ……それは……わかんない、けど……。でも……あの風船スライムさんの気持ちは……別の場所に、ある……と思う……」

ミスティ「体と気持ちを分けることなんて可能なの……?」

妖精「心を物質化して体から分離させる魔法とかは実際にあったりするよ。でも魔王を相手に強制的に発動できるかは……。いやまあ大魔女ならやれてもおかしくないかもしれないけど」

イリス「……大魔女様本人に聞いてみたいけど、聞くのが怖い気もする……」

妖精「基本的には穏やかで優しいけど、意に沿わない相手には容赦なく冷徹な対応をしてくる人でもあるから、本人に聞くなら気を付けた方が良いかも。まあこんな陰謀論本の所蔵を認めてるくらいだから多分大丈夫だとは思うけど」

 ◇

―夕方
 居住区

トリル「それじゃあぼくはこの辺で帰るよ。またね、クロシュちゃん」

クロシュ「うん……! トリルちゃん、またね……」


ミスティ「ふふ、いつの間に仲良くなったの?」

妖精「一緒にお絵かきしたりしてね。面白い体験――」


  カッ―
      ドガァァァァァ―…ン

   キャァァァァァ!!!


クロシュ「!?」バッ

トリル「い、今のって……?」

イリス「歓楽区の方からだよ!」

ミスティ「行ってみましょう!」

妖精(……厄介なことじゃなければ良いけど……)パタパタ

 ◇

―夕方
 歓楽区

 キャァァァァ!!! タスケテクダサイ!! タスケテクダサイ!!!

 市民の死体「」ドシャッ
   市民の死体「」グチャッ
  市民の死体「」ベシャッ

様子のおかしい魔族の青年「殺す……大魔女帝国でぬくぬくと平和に暮らしてる奴らは、全員殺す……」フラフラ

 ザシュッ!!

市民の男A「ぎぇあああああ!!」ブシュッ


市民の女A「いやあああああ!!!」

市民の男B「おおおおい!!? 警備は何してんだ警備は!?」


警備オートマタ「現着ニ成功。暴徒鎮圧ニ移リ」

 闇魔法「」ヴォンッ!! バギュムッ

警備スクラップ「――…」グシャッ


様子のおかしい魔族の青年「ガラクタが……邪魔をするな……」フラフラ

 ザシュッ!!

市民の男B「ぎゃああああああ!!」ブシュッ


 市民の死体「」ドシャッ
   市民の死体「」グチャッ
  市民の死体「」ベシャッ
    市民の死体「」ドチャッ

様子のおかしいレッサースライムの群れ「〜〜♪」モニョモニョ

 モニョモニョ モグモグ
  モニョモニョ モグモグモグ


市民の女A「あ、ああ……スライムが……食べて……いやああああああ!!!!」



トカゲクロシュ「!」シュタタタタッ!!

妖精「こ、これは……何が起きて……!?」パタパタ


↓1〜2複数選択 どうする?
1.魔族の青年を倒す
2.レッサースライムたちを大人しくさせる
3.その他(自由安価)

訂正

↓1〜2複数選択 どうする?
1.魔族の青年を倒す
2.レッサースライムたちを大人しくさせる
3.その他(自由安価)

↓3コンマ 誰か来た
01-10 クロ
11-30 スライム殺しの歌姫
31-50 気のせいだった
51-70 ユキ&トム
71-90 ロディナ
91-00 大魔女

 デロデロ…プチッ

分体スライムクロシュ「!」ポン!

クロシュ「えと、あなたは……あの子たちを、止めて!」

分体スライムクロシュ「〜!」モニョ!

 *

レッサースライムA『おいしい、おいしい……♪』モニョモニョ
レッサースライムB『ニンゲン、おいちい……』モニョニョ

分体スライムクロシュ『みんな……人の死体を食べちゃ、だめ』モニョモニョ

レッサースライムA『おいしい、おいしい……♪』モニョモニョ
レッサースライムB『ニンゲン、おいちい……』モニョニョ

分体スライムクロシュ『聞こえてない……? んゅ……めっ!! 食べるの、めっ!!!』モニョニョ!!!

レッサースライムA『んわ〜!』モニャニャ!
レッサースライムB『……あえ……ここ、どこ……?』モニョニョ…?

分体スライムクロシュ『……! みんな、早く逃げて! 街の人に見つかったら、怒られちゃう……!』

レッサースライムA『わわぁ、逃げなきゃ、逃げなきゃ』モニョニョ
レッサースライムB『にげゅ……』モニョニョ

マンホールに吸い込まれていくレッサースライムたち「」モニョニョニョニョ―

分体スライムクロシュ『これで大丈夫かな……?』モニョニョ

 *

クロシュ「!」ザッ

様子のおかしい魔族の青年「なんだ……お前も帝国民か、ガキ……」フラフラ

クロシュ「んーん……」

様子のおかしい魔族の青年「ならどけ……。俺が殺したいのはこの国でぬくぬくしてるクソ共だけだ……」フラフラ

クロシュ「……だめ」ジリッ

様子のおかしい魔族の青年「正義ぶりやがって……。ならお前も殺してやる……」バッ

クロシュ「!」

妖精「狂い殺人鬼め! クロシュ、こいつの闇魔法ちょっと異常だから気を付けて!」

クロシュ「ん!」バッ

様子のおかしい魔族の青年「死ね――」シャッ

 ガギンッ!!

 魔族青年の剣「」ギギギギ
 氷の壁「」ギギギギ

様子のおかしい魔族の青年「なんだ……」


クロシュ「!」

妖精「これはミスティ――じゃない!」

ユキ「クロシュさんに妖精さん! 助太刀致します……!」ザッ

トム「オレも来たぜ! ……って、あんたは!!?」ザッ

妖精「知ってるの!?」

トム「お、おう! この人は学園高等部の、天才闇魔法使いの留学生……ヤミリュガ先輩だ!」

ユキ「……なぜこんなことを、ヤミリュガ先輩。普段は理知的なあなたらしくありません」

様子のおかしい魔族の青年「トコナツのガキにオノゴロのガキか……。帝国民じゃないが、邪魔をするならまとめて星に還してやる――」シャキンッ

妖精「だめだ、話が通じない! 一旦大人しくさせないと!!」

 モニョモニョ…ポン!

光メイド剣士クロシュ「闇には……光!!」キラキラ


 ――戦闘開始 魔族の青年――


↓1コンマ
01-10 ??
11-40 劣勢
41-90 優勢
91-00 会心

様子のおかしい魔族の青年「ぬゥン!!」バッ

 闇魔法「」ヴォンッ!!

トム「うおわっ!?」サッ

妖精「さっきも見たけど、異常な魔力だ……! 出力だけで言えばテロリストのレイン・フォールの闇魔法にも引けを取らない! あれ本当に学生なの!?」

ユキ「いえ……天才とは呼ばれていましたが、世界的なテロリストに並ぶほどでは――」

トム「ドーピングでもしたんじゃねえのか!?」

様子のおかしい魔族の青年「ごちゃごちゃと……!」シャッ

ユキ「!」

光メイド剣士クロシュ「!」シャッ!!

 ギンッ
 闇の剣「」ギギギギ
 光のメイドブレード「」ギギギギ

様子のおかしい魔族の青年「こいつ……! 光属性……!!」

 キンッ
  ギンギンガギンッ
   ザシュッ!

様子のおかしい魔族の青年「ぐっ……!」ズザッ


妖精「入った! 近接戦ならクロシュの方が上だよ! そのまま押しきっちゃえ!」


様子のおかしい魔族の青年「舐めるなよ……!」カッ!!

 闇魔法「」ヴォンッ!!

光メイド剣士クロシュ「!」ササッ

トム「オレもいるぜ先輩!」ジャッ
 炎の斧「」ゴウッ

様子のおかしい魔族の青年「うおっ!」ガギンッ!

ユキ「そこよ! 凍て付け――」コォォォ―


凍てつく魔族の青年「ガッ……!」カチコチ


ユキ「ミスティ先輩から教えて頂いた力……まだ安定しないけど、やれた……!」

トム「やるじゃねぇかユキ!」

ユキ「クロシュさんのお陰よ」


凍てつく魔族の青年「くそ……クズの帝国民を……殺さねば……!!」


妖精「まだ喋れるの? 諦めてお縄に……いや、その前に大魔女に見てもらった方が良いね。なんか怪しいし……」

ユキ「このまま凍結を持続させた方が良さそうですね……あっ」


ミスティ「クロシュ! 妖精! それに……ユキとトム!?」タッタッタッ

イリス「みんないたんだ!」タッタッタッ

トリル「ユキちゃん、トムくん〜!」タッタッタッ

エバンス「俺たちも来たぞ!」タッタッタッ

ローガン「何があった!?」タッタッタッ


妖精「みんな来たね。この男が――」


凍てつく魔族の青年「クソ、がァァァァァァ!!!!!」ゴゴゴゴ…ベキベキ…!!


妖精「えっ!?」

ユキ「こ、凍らせられない……!? 私の魔力だけじゃ――」

ミスティ「手伝うわ!! ふっ……!!」コォォォ――


凍てつく魔族の青年「グォァァァァァ……!!!!」ゴゴゴゴ…ベキベキベキ…!!


ミスティ「は、阻まれる……! こいつの強烈な魔力の波動に……!!」グググ

ユキ「う、うぅぅぅ……!!」グググ


 バギンッ!!


漆黒に染まった魔族の青年?「グ、オオオオ……コロス……テイコクミン、コロス……!!」ズンッ


トリル「ひっ……!?」ゾワッ

イリス「あ、あの姿は……!!?」

エバンス「な、なんかやべえぞ……!! ありゃ人間なのか!?」

妖精「……あ、あれは……でも……おかしいよ……」カタカタ

ローガン「妖精くん、どうした!? しっかりしたまえ!!」

妖精「あっ……ご、ごめん!!」

ミスティ「妖精、あの変化に何か心当たりがあるの!?」

妖精「…………」

光メイド剣士クロシュ「……妖精さん……?」

妖精「……魔王化に……少し、似てる……」


漆黒に染まった魔族の青年?「GAAAAAAAAAAAAAA!!!!」ズドォォォォンッ!!!

 ★魔族の青年が〈疑似魔王化〉を発動!
  会心率および痛恨率が大幅に上昇!
  さらにコンマ+100!!
  1ターン後に死ぬ!!

↓1コンマ(仲間到着+100、疑似魔王化-100)
01-30 痛恨
31-40 劣勢
41-70 優勢
71-00 会心

漆黒に染まった魔族の青年?「VAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!」シュバババッ

 闇魔法「」ヴォンッ!!  闇魔法「」ヴォンッ!!
  闇魔法「」ヴォンッ!!  闇魔法「」ヴォンッ!!
   闇魔法「」ヴォンッ!!  闇魔法「」ヴォンッ!!
    闇魔法「」ヴォンッ!!  闇魔法「」ヴォンッ!!

エバンス「う、うおおおおっ!? なんて数の闇球だよ!?」サササッ

ローガン「少年少女たちは後ろへ! ぬう、しかしこれは我らもまともに受けられんぞ……!!」

ミスティ「なら殺られる前にやるしかないわ! くっ……凍結が効かないなら、いつもの戦技を使うだけよ!!」カッ

 無数の氷柱「」シュバババッ

 闇の障壁「」ヴォン―

 闇に呑まれ消滅していく氷柱「」シュゥン…

ミスティ「防御面も隙がない……!?」

イリス「負の属性で造られた障壁なら……正属性の極地、星属性で貫く!! ちょっと星の魔力お借りします!!」コォォォオ――


漆黒に染まった魔族の青年?「GUOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!」ゴゴゴゴッ!!!

 闇の触手「」バギュオンッ!!!
 闇の触手「」バギュオンッ!!!
 闇の触手「」バギュオンッ!!!
 闇の触手「」バギュオンッ!!!

イリス「っ!!!」

妖精「まずい、イリスが狙われ――」

光メイド剣士クロシュ「!!!!」グオオオッ!!!
 光刃メイドブレード「」バシュウンッ!!

 ズバァッ!!!!
 闇の/触手「」ボトッ

エバンス「させねえよ!!」シュバッ!!

ローガン「実体のある存在ならば!!」シュバッ

ミスティ「凍れ!!」カッ!!

 ズバアッ!! ズバァッ!!! ガギンッ!!!
 闇/の触手「」ボトッ
 闇の触/手「」ボトッ
 凍った闇の触手「」カチコチ

イリス「みんな……! ありがとう……準備、できたよ……!」ゴゴゴゴ…!!
 星の魔力「」バチバチ…!!


ユキ「この、力は……」

トム「なんだ……? すっげえ……あったかいっつうか……」

トリル「ぼく……知ってる、気がする……」


イリス「いっけぇぇぇぇぇ!!!!」カッッッッ!!!!

 星光の奔流「」ギュオオオオオオッ!!!!

漆黒に染まった魔族の青年「ガ――」


 迫りくる星光の奔流「」ギュオオオオオ――

魔族の青年『……ああ……星の、光……』

魔族の青年『これを……この暖かさを……みんなにも――』

 ジュッ―

 ――戦闘終了――

 ◇

―夜
 歓楽区

 ザワザワ…

エデン新聞記者「事件現場を拝見させていただいてもよろしいですか?」

ハーピィ記者「留学生が帝国民を憎んで引き起こしたテロというのは本当ですか!?」

上級オートマタ「立入禁止です。申し訳ありませんが迂回をお願い致します」ペコペコ

治安ホムンクルス「治安担当です、どいてください〜」

 *

クローディア「……本当にありがとう……。あなたたちが彼を止めてくれなければ、被害は今よりも遥かに大きくなっていたわ……」

妖精「や……まあ、それはいいんだけど……」

クロシュ「……えと……あの、人は……?」

クローディア「消滅してしまいました」

イリス「……」

クローディア「イリス・プラネットの責任ではありません。ルーファスの解析によれば、彼が消滅した直接の原因は……彼自身の、あの異常な変化だったのです」

イリス「えっ……?」

妖精「ええと……あれ、何だったの……?」

クローディア「……現時点では、はっきりとしたことは何も言えませんが……彼は恐らく、被害者です」

妖精「……」

クローディア「……私たちの追っている者が……悪意を数段引き上げてきたようです」

 ◆

―大魔女帝国 滞在8日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[9/12](クロシュ)
・魔法[2/4](クロシュ)
・魔法[2/8](イリス)
・星属[6/8](イリス)
・魔法[2/8](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―朝
 宿舎 宿泊室

 チュンチュン

 エデン新聞「」バサッ
 「善良なる市民を襲った卑劣なテロ。犯行は留学生によるもの」
 「大魔女帝国の優れた生活水準を妬んでの犯行か」
 「妬みと思われる発言を多数の目撃者が聞いており――」
 「一部の市民間では、外国人滞在者を排斥すべきという主張が俄に広がっている」

 「お手柄! この国にもやって来ていた、ダークヒーロー一行!」
 「ダークヒーローイリスの新技!? まばゆい光で悪を討つ!」
 「ダークスライムのクロシュちゃん、華麗なる光のメイド剣技」
 「ダークヒーローたちと共に戦った三人の勇敢な学生に迫る」


イリス「……昨日のこと、もう新聞になってるね」

ミスティ「ええ……。私たちのことも載ってるわ……」

クロシュ「……」ジッ

イリス「ん、クロシュちゃんも読む? クロシュちゃんはダークスライムってことになってるよ」

クロシュ「ん……」

ミスティ「ダークスライム……。じゃあ妖精はダークフェアリーだったりするのかしら?」

妖精「ええ……。いやまあ、なんでもいいけど……」



クロシュ(レッサースライムさんたちのことは……書かれてないみたい……)

クロシュ(よかった……。あの子たちも……何者かに操られてたみたいだし……)

クロシュ(…………どうして犯人は……あんなひどいこと、したんだろう……)


大魔女帝国滞在8日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―広場

風船クロシュ「」フヨフヨ モニョモニョ


イリス「わあ! 本当に風船スライムさんみたい!」

ミスティ「凄いじゃない! 風船スライムみたいに荷物を乗せて飛んだりとかもできるの?」


風船クロシュ「〜〜」フヨフヨ モニョモニョ

妖精「試すだけ試してみる?」

風船クロシュ「〜〜」フヨフヨ モニョニョ

妖精「確かに、風船の姿じゃみんなを乗せて飛ぶのは難しいか。どこかに風船で吊り下げるのに丁度良いカゴみたいなのがあれば良いんだけど……」

ミスティ「カゴ……それなら、私のソリはどう? ちょっとバランスは悪いけれど、ローガンさんの補強のお陰で軽量化もバッチリだし……」

イリス「そういえば今回はソリを持ってきてたんだよね」

 *

風船クロシュ「〜〜」フヨフヨ モニョモニョ
 吊り下げられたソリ「」ポン


妖精「よし、それじゃあソリに乗ってみよう」

イリス「だ、大丈夫かな……?」

ミスティ「難しそうなら無理しないのよ、クロシュ」

風船クロシュ「〜〜」モニョニョ


↓1コンマ
01-30 まだ難しい……
31-60 浮くだけならなんとか
61-90 浮いて移動できる(風経験+1)
91-00 それはそれとして風になった(風経験☆)

風船クロシュ「〜〜」モニョニョ…グググ…
 吊り下げられたソリ「」グググ…フワッ


イリス「わっ……!」

ミスティ「う、浮いたわ……!」

妖精「おお……! クロシュ、大丈夫そう?」


風船クロシュ「〜〜」モニョモニョ フヨフヨ


妖精「全然大丈夫だって!」

イリス「そうなんだ!」

ミスティ「ふふ、良かったわ」


風船クロシュ「〜〜」モニョモニョ

 フヨフヨ スイー…

イリス「わ、移動してる!?」

妖精「風は吹いてない……てことはクロシュが自分で移動してるの!?」

風船クロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「自分で動かしてるって!」

ミスティ「凄いじゃない! これならどこにでも飛んでいける――」


風船クロシュ「〜〜」モニョモニョ

 スイー… ノロノロ…


妖精「まあ……風向き次第だね。クロシュの自力だけじゃまだあんまり速く動けないみたいだし……」

イリス「じゃあ私と妖精さんが風を吹かせてあげれば……!」


風船クロシュ「〜〜…」モニョニョ… フヨフヨ…

妖精「あ、うん! もう降りて良いよ!」

イリス「あ……もしかして……」

ミスティ「疲れちゃった……?」

妖精「うん……。実を言うと、この風船化はちょっと不思議なんだ。風船スライムと同化してるわけでもないのに、風船スライムの固有能力である浮遊をなぜか使えるようになってたりするし。擬態は形だけのはずなんだけど……」

ミスティ「そういえば、確かに……」

イリス「普通とは違うことをやってるから、疲れやすいのかな……?」

妖精「そういう面はあると思う」


妖精(……やっぱり、あの本を読んだ影響? あの本に風船スライムの……因子みたいなものが含まれてて、知らず知らずのうちにそれを取り込んじゃったとかかなあ。何にせよ、しばらくは様子を見てあげないとね)

 ☆クロシュが風船状態で人や物を運べるようになりました
  ただし現在はまだ慣れていないのか疲れやすいようです
  また、風経験が+1となり、[11/12]になりました

 ◇

―広場

 噴水「」シャワシャワ


スライムクロシュ「」デロデロ…

イリス「お疲れ様、クロシュちゃん。休憩しようね」

ミスティ「せっかく外に出したわけだし、ソリの整備でもしようかしら……」スクッ

妖精「……ん?」


「……」スタスタ


↓1コンマ
01-10 スライムスレイヤー
11-50 嫌悪の視線
51-90 懐疑の視線
91-00 ???

ヨハンナ「……」スタスタ


イリス「あれは……前に劇場で歌ってた歌手の……」

ミスティ「こっちを見てる……というか――」

スライムクロシュ「……」モニョ…

妖精「クロシュを、睨んでる……?」


ヨハンナ「……」

ミスティ「……何? 喧嘩なら余所で売ってくれる?」

ヨハンナ「ああ……申し訳ありません……」

妖精「……この子が何かした?」

スライムクロシュ「……」モニョニョ…

ヨハンナ「いえ……そういうわけではないのですが……。すみません、スライムが少し苦手で……」

スライムクロシュ「……」モニョ…

イリス「え、えと……! この子は別に何も悪さとかしない、優しい子です! えと、なので……いえ、別に何もしなくて良いんですけど……」

妖精「まあでも……ここ大魔女帝国じゃ、知性ある種族は平等に人権が与えられるんだよね? スライムだって大体の種族は人間とかと同程度の知性があるし、実際大魔女本人も認めてるはず。外でのんびりしてたって良いでしょ?」

ヨハンナ「……そうですね。その通りです。失礼致しました。ただ……もしレッサースライムだったら、見過ごせませんから……」

イリス「えっ……?」

ミスティ「どういうこと……?」

スライムクロシュ「……」

ヨハンナ「レッサースライムは、知性を持たない危険なスライムです。見つけたら積極的に駆除しなければ……」

スライムクロシュ「……」モニョニョ…

妖精「……レッサースライムだって人間の害になることは滅多にないし、むしろ自然界においては水や空気の浄化に欠かせない役割を持っていたりするんだよ。それでももし何か問題があれば行政担当のホムンクルスとかが何とかするでしょ、個人がどうにかすべきことじゃ……」

ヨハンナ「何かあってからでは遅いですよね? この間だって、劇場でいきなりレッサースライムが落ちてきて……」ゾワッ

イリス(あっ、あの時の……! あの音魔法、パニックになって暴れてたわけじゃなくて明確な殺意を持ってレッサースライムを殺してたの……!?)


ミスティ「……帰りましょう。クロシュにとって毒にしかならない」スクッ

イリス「あ、ええっと……」

妖精「……そうだね。帰ろう、クロシュ」パタパタ

スライムクロシュ「……」モニョ…


↓1〜3多数決
1.何も言わずに帰る
2.人の姿に擬態し、レッサースライムを殺さないようお願いする
3.その他(自由安価)

 モニョモニョ…ポン!

クロシュ「あの……」

妖精「クロシュ……!」

ヨハンナ「!? まさか……擬態……!?」

クロシュ「えと……レッサースライムさんたちも……一生懸命、生きてて……。何も、悪いことしてないのに、殺すのは……しないで、ください……。あっ……えと……お腹が減って、ごはんにするためとか、なら……仕方ないけど……」モニョモニョ…ペコリ

イリス「クロシュちゃん……! え、えと……私からも、お願いします……! 命は……大切にすべきものなんです……!!」

ミスティ「……私も……お願いします。無益な殺生は避けるべきだと……大魔女様も仰っていました」ペコ

妖精「………お願い。スライム語が理解できればわかるんだけど、レッサースライムたちは本当に無邪気に、ただ生きてるだけの子たちなんだよ。あなたが過去スライムに何をされたのかはわからないけれど……今を生きるスライムたちには、関係ないことのはず。どうか、賢明な判断を……」ペコリ


ヨハンナ「……」


↓1コンマ
01-50 (え、人に擬態とかこわ……。やっぱりスライムは殲滅しないと……)
51-90 (一理、あるかも。でもスライムの言葉なんて……)
91-00 (……でも……スライムを大切にすべき命と認めたら……私は……)

ヨハンナ「…………考えさせて、ください」

クロシュ「……!」

イリス「ありがとう! 考えてくれるだけでも嬉しいです!」

ミスティ「……優しい結論を出してくれることを祈っているわ……」

妖精「まあ……さっきも言ったけど、問題があればホムンクルスや大魔女に頼んだ方が良いよ。うん」


ヨハンナ「……あなたたちは……スライムを、とても大切になさっていらっしゃるんですね」

イリス「えっ? うーん……そうなのかな?」

妖精「普通だと思うけど……」

ミスティ「別に……。この子……クロシュが大切なだけよ」

クロシュ「んへへ……」

ヨハンナ「……今日は、勝手に絡んだような形になってしまい申し訳ありませんでした。皆さんから頂いた言葉……ゆっくり考えさせていただきます」ペコリ

妖精「まあ……スライムは基本的にのんびりしてる良い子が多いから、好きになれとは言わないけどあんまり敵視しないでやってくれると嬉しいかな」

クロシュ「うん……。お願い、します……」ペコリ

 ☆ヨハンナに考えさせることに成功しました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回はローガンとエバンスとトムくんの修行編となります

暴走青年とのバトル、突然の疑似魔王化、そして避けられぬ消滅……。敵は姿を隠したまま、着実に悪意のギアを上げていっているようです
そしてスライム風船運送の真似事をしてみたり、スライム嫌いのヨハンナ氏を相手にめげずにお願いをしてみたりと、本日のクロシュ氏もがんばったようでした
ヨハンナ氏はギリギリ失礼にならない程度の態度をなんとか装っていますが、実のところ極度のスライム嫌いなのでクロシュ氏が相手の今回もかなり無理をしていた可能性はあります。実際5割でスライムへの印象が悪化していた邪悪なコンマ判定をくぐり抜けて考えさせることに成功したのはすごくすごいことだったと言えるかもしれません。今後ヨハンナ氏がスライムにとって優しい結論を出してくれることを願わずにはいられない、と妖精も思っているかもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

まだクロシュ氏は風船化に慣れてはいませんが、もっと慣れて自由に空を飛べるようになれば非常に優れた移動が可能となるでしょう
疑似魔王化がどのようなものなのかは今のところわかりませんが、ものすごく邪悪な手法による変化なのは疑いようのないことです。本物の魔王化よりも力の向上はかなり控えめで、ある程度の時間が経つと自滅してしまうという巨大な欠点があるようですが、邪悪なる黒幕は口封じもできて一石二鳥くらいに思っているかもしれません

―居住区
 公園

 噴水「」シャワシャワ

トム「ふんっ! せいっ!」
 斧「」ブンッブンッ


エバンス「お、昨日一緒に戦ってくれた少年じゃないか」スタスタ

ローガン「こんなところで修行か……?」スタスタ

トム「あ、ダークヒーローのおっさんたち! 昨日はありがとな!」

エバンス「おう。君こそクロシュちゃんと一緒に戦ってくれたんだろ?」

トム「へへ、あんま役に立てなかったけどな。クロシュさん剣技も魔法も強いとか反則だろ!」

ローガン「うむ……彼女のポテンシャルは輝きを秘めている。だが君の斧術もなかなかだった。その若さでそれだけ斧を使えるなら大したものだぞ」

トム「若さを理由に褒められてもなあ……。それってつまり、大人から見たらまだまだってことだろ?」

ローガン「はっはっは、言うではないか!」

エバンス「けどそういう反発心は大事だと思うぞ! よし、ここは俺たちも修行してくか!」

ローガン「それも悪くないが……正式な修行場などはないのか?」

トム「学園が開いてれば競技場で修行できるんだけど、今休校中だからさ」

エバンス「なるほど……ならまあここでいいか!」


↓1コンマ
01-30 剣技経験+1
31-60 剣技経験+1、魔法経験+1、トムLV+1
61-90 剣技経験+2、魔法経験+1、トムLV+2
91-00 剣技経験+3、魔法経験+2、トム覚醒

 ガギンッ
   ギンッ
    ドガァンッ!!

トム「ぐわあーっ!」ドガッ ゴロゴロ

エバンス「うおっすまん! 大丈夫か!?」タタッ

トム「へっ……よ、余裕!」シャキッ

ローガン「根性で言えば既に一人前以上だな」

 *

トム「ぐへぇ〜っ! も、もうだめだ……」バタッ

エバンス「お疲れ。戦いの中で成長してたぞ、自分で気付いてたか?」

トム「一応頭使いながら戦ってたからなぁ……。おっさんたちの動きも参考になったし」

ローガン「やはり若い分、我々より成長も速いし伸び代もあるようだ」

エバンス「うっ……俺もけっこう若いつもりでいたが、けっこうヤバイのか?」

ローガン「エバンスくんは現時点で十分な実力もあるし成長も続けている。悲観する必要はないだろう」

エバンス「そ、そうか。だがそういうローガンの旦那も、その歳でけっこうまだまだ剣技が磨かれてるぜ」

ローガン「うむ……私も人生の後輩たちにはまだ負けられぬ」

 ☆ローガンとエバンスが剣技と魔法の経験を+1積みました
 ☆トムの戦闘レベルが上がりました

 ◆

―大魔女帝国 滞在9日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[9/12](クロシュ)
・魔法[2/4](クロシュ)
・魔法[2/8](イリス)
・星属[6/8](イリス)
・魔法[2/8](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―朝
 宿舎 宿泊室

 チュンチュン

 エデン新聞「」バサッ
 「自爆テロ再び! またも善良なる市民に犠牲者」
 「今回も犯行は国外からの滞在者によるもの」
 「外国人滞在者への在留許可基準に疑問の声」


イリス「えっ……!? 昨日もあったの、テロが……?」

ミスティ「これ……やばいんじゃないの? まだ裏で糸を引く黒幕は見つかっていないのでしょう?」

妖精(……しかも……この黒幕は、クロシュを造ったと思わしき邪悪な魔法使い……。今もなおクロシュの分体を操って、一連の事件の裏で暗躍しているとすれば……クロシュの身も、安全とはとても言えない……)

クロシュ「……」

イリス「一昨日までは、ここまで露骨な被害を出す事件は起こしていなかったのに……。犯人の目論見は一体何なの……?」

ミスティ「滞在者を操って市民を攻撃するように仕向けているみたいだけど……大魔女はなぜそのことを公表しないのかしら? このままじゃ他の滞在者に余計な憎しみが向いてしまうわ……」

妖精「……大魔女ですら手を焼く危険な魔法使いが暗躍してる……なんてことをここの国民が知ったら、多分もっとまずいことになるからだと思う。大魔女への信頼と信仰心が揺らぎ、底知れぬ犯人への恐怖が蔓延して……最悪、この国の秩序は崩壊することになる」

ミスティ「……! なるほど……良くも悪くも、大魔女への信仰によって成り立ってる国だから……それを揺るがすような情報は絶対に公開できないってこと……」

イリス「で、でも……このまま自爆テロが発生し続ければ、大魔女の責任を問う声が出るのも時間の問題じゃないの……!?」

妖精「うん……。だから多分、大魔女は今必死に事件解決の為に動いているはず。何もかもが手遅れになってしまう前に」

ミスティ「……黒幕は、そこまで把握した上でやってるのかしら」

妖精「その可能性は高い……。この犯人、あの大魔女ですら未だ尻尾を掴めないほど痕跡を消すのが上手いんだ。極めて危険で悪意に満ちた輩なのは間違いない……」

イリス「………大魔女でさえ欺くほどの実力を持っているのに……その力を、こんな酷いことに使うなんて……。同じ魔法使いとして……私、絶対に許せないよ」グッ

妖精「……」


妖精(正直に言って、めちゃくちゃに危険でやばい相手だ。大魔女を欺くほどの手腕だけでなく、クロシュを造って洗脳したということや、昨日のテロリストを操って魔王化のような現象まで引き起こした……。まともに考えれば、絶対に関わってはいけない存在だ……)

妖精(でも……ここで奴から逃げても、その先が安全だなんて保証はどこにもない。クロシュが奴に造られたのだとするなら、きっとこの先もクロシュはそいつに狙われる危険に晒され続ける……。だったら、大魔女に喧嘩を売っているこの状況を利用して、大魔女と共に奴を討ってしまうのが一番良い)

妖精(クロシュも、みんなも……絶対に、傷付けさせるもんか)


大魔女帝国滞在9日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―居住区
 公園

ミスティ「静かね……」スタスタ

イリス「昨日と一昨日のテロ事件で、不要な外出は控えるようお触れが出たんだって。だからまあ、私たちも実はなるべく外に出ない方が良いんだけど……」スタスタ

ミスティ「そのお触れを出さなければならない原因を突き止める為に外に出たのだから、必要な外出よ」

イリス「まあそれもそうだね……ん?」


ユキ「せっ! はあっ!」

 氷「」ガギンッ!


ミスティ「あら……」

イリス「ユキちゃんだ! 公園で……修行?」

ユキ「ミスティさん、イリスさん! ええ、まあ……昨日や一昨日のこともあったので、いつでも敵と戦えるようにしておかなければ、と……」

ミスティ「でも、犯人は滞在者を操って自爆テロに差し向けているのよ……? 一人で外に出ているのは危険だわ……」

ユキ「あっ……確かに。すみません、迂闊でした」

イリス「まあでも、今は私たちが来たから大丈夫だよ!」

ミスティ「そうね……。良ければ、私たちも修行に付き合うわ」

ユキ「良いのですか?」

イリス「もちろん! 私たちも、いつでも犯人と戦えるように力を付けておかないとだから」

ユキ「あの……それではミスティさん。私と、模擬戦をして頂けませんか」

ミスティ「えっ。いや、いいけど……どうして?」

ユキ「一昨日のミスティさんの動き……同じ氷魔法使いとして、とても洗練されているように見えました。できれば、それをもっと間近に見てみたいのです」

ミスティ「……ユキが言うほど整ったものじゃないわよ。いつもがむしゃらにやってるだけだし……。学園で真面目に学んでいるユキの方が洗練されていて強いと思うわ……」

ユキ「いえ、そんなことはありません。お願いします」

ミスティ「わ、わかったわよ。イリス、審判やってもらっていい?」

イリス「了解!」


 ――模擬戦闘開始 学生雪女のユキ――


↓1コンマ
01-20 敗北 魔法経験+1、ユキLV+1
21-60 勝利 魔法経験+1、ユキLV+1
61-90 勝利 魔法経験+2、ユキLV+2
91-00 会心 魔法経験+4、ユキ覚醒

ミスティ「じゃあいくわよ……凍れ!」カッ

凍り付くユキ「!」パキパキ…

イリス「わっ! ちょっとミスティやりすぎじゃ――」

凍り付くユキ「いえ……問題ありません。だって私は――」パキパキ―

ミスティ「!!」

 パキンッ―
  コォォォォ――

氷の魔力を纏ったユキ「雪女ですから――」コォォォ

ミスティ「そりゃそうよね!」

ユキ「今度はこっちから行きます。ミスティさんに教えて頂いたこの技で……!」カッ!

ミスティ「!」サッ

 凍る地面「」パキッ!

ユキ「はっ! 凍て付け!」カッ! カッ!

ミスティ「っ!」サッサッ

 凍る地面「」パキッ!
  凍る地面「」パキッ!

ユキ「くっ……当たらない……!」

ミスティ「その技……集中と発動に若干時間がかかるのよ。あなたも気付いていると思うけど」

ユキ「むう……弱点も熟知しているのは当然ですか」

ミスティ「ええ。知らない相手にならほぼ確実に不意を付けるんだけどね」

ユキ「ならば……私の得意技をお見せします!」カッッッ!!

ミスティ「!」


イリス「こ、これは……!」


 吹雪の渦「」ビュオオオオオッ!!!


ミスティ「雪の、竜巻……!?」

ユキ「雪女に伝わる、相手を凍死に至らしめる極意です」


凍っていくミスティ「くっ……まずい、体が冷えて……」パキパキ

ユキ「さあ、どうしますかミスティさん……!」

凍っていくミスティ「そうね……こういう時は――」カッ

 氷塊「」ドンッ!!

ユキ「お、大きな氷の塊……!?」

凍っていくミスティ「氷属性が効かないなら……物理で殴るだけよ!!」シュバッ
 氷塊「」グオオオッ!!

ユキ「えっ……ひ、ひやああああっ!!!」アタフタ

 バゴンッッッ!!!!

ユキ「はうっ……」フラッ

 ドサッ…

ミスティ「はっ……し、しまった! ユキ、ユキ!」ユサユサ

イリス「し、試合終了!!」

 *


ユキ「……試合、ありがとうございました……!」

ミスティ「い、いえ……。それよりごめんなさい、つい熱が入ってしまって……」

ユキ「大丈夫です、雪女は怪我の治りも早いので。むしろ私こそ……氷が効かない雪女の身でミスティさんに勝負を挑んでしまうなんて、卑怯な真似をしてしまい……」

ミスティ「いえ、それは別にいいわ……。むしろ、氷が効かない相手にどう立ち回るかの勉強になったもの……」

ユキ「そうですか。私も……ミスティさんの戦技を間近で見て、体験することができて、とても勉強になりました……!」

ミスティ「それなら良かったわ。引き続きがんばっていきましょう」

ユキ「はいっ……!」


イリス(……前から少しそんな気はしてたけど……ミスティって、実はけっこう脳筋じゃ……?)


 ☆ミスティの魔法経験が+1となりました
 ☆ユキの戦闘レベルが上がりました

 ◆

―宮殿
 クロの部屋

クロ「わあ……。クロシュちゃんに妖精さん……」

クロシュ「こんにちは……」トコトコ

妖精「お見舞いに来たよ。調子は……良いわけないか」パタパタ

クロ「うん……。わたし、大魔女さまのお手伝いをしなきゃいけないのに……」

妖精「大丈夫。例の犯人に狙われたんでしょ? それならここにいた方が良いって。その方が大魔女も安心できるだろうし」

クロ「でも……大魔女さまのこと、心配……」

妖精「大魔女ならそれこそ大丈夫でしょ」

クロ「うん……」

 *

クロ「わあ……友達を探して、世界樹の光を追ってるなんて……すごいなあ……」

クロシュ「んへへ……」

妖精「光を追えば、フメイたちの道とも交わるだろうからね。一石二鳥なんだよ」

クロ「……不謹慎だけど……ちょっと、羨ましくなっちゃった……」

クロシュ「ほえ……?」

クロ「わたし……友達、いないから……」

妖精「え、そうなの?」

クロ「うん……。わたし、こんな見た目だから……大人には子供扱いされて……かといって、子供たちの輪にも入れないし……。教授仲間にも、大魔女さまの秘書だからってちょっと距離を置かれちゃうの……。それに……」

クロシュ「……」

クロ「あ、でも……! えと、大魔女さまには、本当にとっても良くして頂いてるよ……! だから、寂しくなんてないの。本当に……ちょっとだけ、羨ましいなって……思っただけ……」

クロシュ「………じゃあ……わたしが……クロさんの、友達……!」

クロ「え……?」

クロシュ「友達……!」ニコニコ

クロ「クロシュちゃん……」

妖精「良いんじゃない? 同じ黒髪の幼女みたいな外見なんだし。まあクロシュのはフメイの擬態だけど」

クロ「でも……わたし……」

クロシュ「?」

クロ「わたし……本当は……」

妖精「……?」

クロ「…………ううん……。なんでも……ない……」

クロシュ「……」

クロ「えへへ……わたしなんかの友達になっちゃ、だめだよ。クロシュちゃん……」グスッ

クロシュ「………」


↓1〜3 自由安価 クロさんとどんな風にどんなお話をする?

クロシュ「……えと……どう、して……?」

クロ「……」

クロシュ「わたし……やだ……?」

クロ「ち、違うよ……! クロシュちゃんのこと、嫌なわけないよ……。でも……その……」

クロシュ「……?」

クロ「……わたし……誰かを、好きになっちゃ……いけないの……」

クロシュ「……??」

妖精「どういうこと……? 好きになるのがいけないなんて決まり、この世のどこにもないと思うけど……」

クロ「……ごめんなさい……。詳しくは……言えないの……」

クロシュ「………えと……わたし……クロさんの、こと……大切に、できる……!」

クロ「や、やめて……! 大切に……しないで……。わたしを……愛さないで……」

クロシュ「……???」


妖精(……本当に、どういうこと……? 一体このクロという子に、どんな事情があるの……?)


クロシュ「……!」ピコン!

 デロデロ…モニョモニョ…プチッ

分体スライムクロシュ「!」ポン!

クロ「えっ……。クロシュちゃん……それは……」

クロシュ「んへへ……わたしの、分体……!」

分体スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

クロ「えっ……」

クロシュ「えっとね、今……分体のわたしが、これからよろしくねって……」

クロ「ううん……。わたし……わかるよ……。スライムの、言葉……」

クロシュ「ほえ……」

妖精「え、わかるの!?」


分体スライムクロシュ『わあ〜』モニョモニョ キャッキャ

クロ『えっと……よろしくねって、どういうこと……?』モニョモニョ

分体スライムクロシュ『えっとね……クロさんが、寂しくないように……分体のわたし、ここにいる……!』モニョモニョ

クロ『ええっ……!?』モニョニョ…!?

分体スライムクロシュ『んへへ……クロさんも、スライムなの……?』モニョモニョ

クロ『わたし……わたし、は……』モニョ…モニョ…


↓1コンマ(会話補正+30)
01-50 話せない
51-90 話す+友達になれない……
91-00 話す+友達になる

クロ「えっとね……。わたし……本当は……」

クロシュ「……」

クロ「……魔王、だったの……」

クロシュ「!?」
分体クロシュ『!?』モニョ!?
妖精「え、え……ええっ……!!!?!?」

クロ「かつて……この世界を荒らした……悪い、魔王だった……。当時の記憶は、大魔女さまに取り除いてもらったから、わたしはもう何も覚えていないんだけど……。でも……わたしは……魔王、だったの……」

妖精「う、嘘……」

クロ「この街を吊り下げてる、大きな気球……あれが、魔王だったわたしの遺骸……。大魔女さまは……あれを利用して、この街を浮かせているの……。確か……当時は、掃除の魔王って、呼ばれてたんだって……」

妖精「掃除の、魔王……!? じゃああなたは、まさか――」

クロシュ「……風船スライム、さん……?」

クロ「わあ……妖精さんと、クロシュちゃんも……知ってたんだ……」

クロシュ「んゅ……」

クロ「…………だから……友達には、なれないの。だって……たくさんの命を奪ったわたしに、誰かに愛されたり、愛したりする資格なんてないし……。きっと、魔王なんかが愛を望んだら……この国は、最悪なことになっちゃうもん……」

クロシュ「そんなこと……ない……! だって……クロさん……寂しいもん……!!」

クロ「いいの……。わたし、わかってるもん……」

クロシュ「んゅゅ……」

クロ「……分体……わざわざ、わたしのために作ってくれたのに……ごめんなさい」

 クロに持ち上げられる分体スライムクロシュ『〜〜…』モニョニョ…

クロ「わたしなんかのために身を裂いちゃ、だめだよ。はい……」

 クロシュに戻っていく分体スライムクロシュ『』デロデロ…モニョモニョ…

クロシュ「んゅ………」ジワワ

クロ「ああ、泣かないで……。わたし、本当にクロシュちゃんのこと……全然、嫌いじゃなくて……。えと……でも……わたしなんかの友達に、なったら……良くないから……」

妖精「……良くないから……大切に思えるから、友達にできないんだ」

クロ「あっ……」

妖精「……矛盾してる。クロは、この街のことも、大魔女のことも……たくさんのものを既に大切に思って、愛してるでしょ。そして元魔王が愛したものが酷いことになるっていうなら、この街も大魔女もとっくに酷いことになってるはず。でもそうなってない。それは……クロが誰かを愛したって、何も悪いことなんて起きないからでしょ!!」

クロ「っ……!」

妖精「そもそも大魔女が施した術なら、元魔王だろうが何だろうが現実に悪い影響を及ぼす力なんて残ってるわけないでしょ!! 観念してクロシュの友達に――」

クロ「ちがう……わたしなんか……わたし、なんか……」

クロ『〜〜〜……』モニョモニョモニョ…

 扉「」バァンッ!

クローディア「そこまでよ!」

妖精「あっ……!」

 ◇

―宮殿
 応接室

妖精「えっと……その……ごめん。私……クロに、酷いことを……」

クロシュ「んゅ……」

クローディア「……クロのことは、クロ自身から聞いたのでしょう? それなら仕方ありません。あなたたちがクロのことを思って、あのようなことを言ったのも理解しています。むしろ私は……クロの友達になろうとしてくれてありがとうと、感謝しなければならない……」

妖精「……」

クローディア「……あの子があんな性質になってしまったのは……私があの子に魔王だったことを教えてしまったたことや、魔王としての感情の全てを取り除いてあげることができなかった私の落ち度なの。もっと上手くやれていれば……あの子を苦しませることなんてなかった……。当時の私は……あの子のことを、強力な浮遊物体としてしか見ていなかった……」

クロシュ「……」

クローディア「ええ……そうよ。この楽園を作り上げる為に、私は魔王の力を利用したの。丁度良いタイミングで丁度良い浮遊物体が出てきてくれたな、なんて思ったわ。あの子が……どんな思いで魔王になって、どんな慟哭を上げながら地上を破壊していたのかも知らず……知ろうともせず……」

妖精「……!」

クロシュ「……」

クローディア「後になって……あの子が、誰かを愛したり愛されたりすることに酷い罪悪感を覚えてしまう……魔王だった頃の後遺症とでも言うべき症状を抱えていることに気付いた。でもその頃にはもうエデンの運行も軌道に乗り始めていて……下手なことをすれば、エデン諸共魔王の力で消滅してしまう危険があったの。だから……クロの苦しみを知りながら、私は見てみぬフリしかできなかった……」

妖精「そんな……そんなことって……!」

クローディア「たった一人の女の子を生贄にして、この街は安全で快適な高度を保っているの。それがこの……楽園の真実。フフ……最低でしょう?」

妖精「……」

クロシュ「……」


↓1〜 先取3票 クロシュはどう思う――
1.最低だ
2.最低じゃない
3.わからない
4.どうにもならない
0.その他(自由安価。票数は内容ごと)

クロシュ「………大魔女さんも……苦しんで、いたの……?」

クローディア「いいえ。苦しんでいたのはクロ一人。私が苦しんでいたなんて、烏滸がましいにも程があるわ」

クロシュ「……でも……大魔女さんも……つらそう……」

クローディア「つらいわけないでしょう。あの子に比べれば、私なんか……」

妖精「……苦しみは比べるものじゃない。それに……あなたの行動は軽率だったかもしれないけど、最低だと決め付けるにはまだ早いんじゃないの?」

クローディア「……」

クロシュ「……えと……どうにも……ならないの?」

クローディア「どうにかなるなら、とっくにどうにかしています」

妖精「……どうしても浮かせていないといけないの? この国は」

クローディア「……ここが楽園であるには、苦痛蔓延る地上という地獄から離れた上空でなければなりません。私の愛するこの国の民を、地獄に叩き落とすわけにはいかない」

クロシュ「でも……クロさんは……」

クローディア「……クロ一人の犠牲で、ここは永遠の楽園となるの。その為なら私は……最低の悪魔になったって構わないわ」

妖精「なんで……どうしてそこまで楽園に固執するの……!? あのかわいそうな風船スライムの子をいたぶり続けてまで存続させる価値があるの!?」

クローディア「熱くならないで。考えてみなさい。たった一人の犠牲でこれだけ多くの民が安全に暮らせるのよ。そしてもしこの街が地上に降りたら……民たちは様々な恐怖と絶望に襲われることになる。他国からの侵略や戦争……危険な魔物の襲撃……死を運ぶ疫病……その他にも無数の困難が降りかかるでしょう。そうなってしまえば……発生する苦痛の総量は、クロ一人の比ではないわ」

妖精「だから……苦しみは、比べるものじゃない……!! 私はっ……そんなの、絶対に認めないっ……!!」

クローディア「世界樹の結界に守られた平和で甘々な国の首長は、そのお考えもやはり甘々なのですね。別に認めてくださらずとも結構ですわ」

妖精「っ……!」

クロシュ「……それでも……」

クローディア「……?」

クロシュ「それでも……なんとか、したい……。だって……」


 ――クロ『わたしなんかのために身を裂いちゃ、だめだよ。はい……』

 ――クロに持ち上げられる分体スライムクロシュ『〜〜…』モニョモニョ…


クロシュ「クロさんは……わたしの、友達だもん!!!!」


 ◆

 ☆クロシュの意志の強さが上がりました

というわけで本日はここまでとなります。次回はトムくんトリルくんと夕ごはん編からとなります

おじさんたちがトムくんと修行したり、脳筋激情過激派のミスティ氏が物理で攻めることを覚えたり、クロさんの友達になろうとして上手くいかなかったり、クロさんの苦しみをなんとかしたいと決意した日となりました

大魔女の口から告げられた、楽園の真実。それは重苦しいものでした。魔王の力を利用した代償……それは、かつて魔王だった女の子の心に重く重くのしかかっていました。なんとかするとは言ってみたものの、実際クロシュはどうすれば良いのか。この国は、どうなるのが正解なのか――

余談ですが「1.最低だ」が選ばれていた場合、クロシュ氏渾身のベチン!!が大魔女クローディア氏のほっぺたに炸裂していました。しかしそうはならなかったので、クローディア氏のほっぺたは無事に済みました

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします

大魔女氏は、空中楽園都市を犠牲にすればクロ氏を救済することが可能であるかのようなことを言っていましたが、それがどのような結果を意味するのかは今のところ詳しく語られていません。動向を注視するのが良いでしょう

大魔女氏はあかちゃんスライムにベチンとされたくらいで怒って国外追放を命じるほど狭量な方ではありませんが、実際のところベチンとされた際に大魔女氏がどのような感情を抱くことになるかはわかりません。暴力では解決できない事柄ですが、暴力でスッキリする気持ちもあるのかもしません

クロシュ氏はオリハルスライムのシュヴィア氏をベチンベチンとひっぱたいて最終的に勝利しました。他の仲間も戦っていたり、多数の分体を作って疲労していたということを考慮しても、クロシュ氏の渾身のベチンはすごく痛いのかもしれません。しかし大魔女氏もすごい人物なので、そんなクロシュ氏にひっぱたかれてもまあまあ大丈夫だと思われます

氷で生成した武器は物理的なダメージを与えることもできるため、ミスティ氏が戦闘技術を磨けば魔法戦士的な動きをすることは実際可能であると思われます。本人はあまり自覚をしていないようですが、その才能はあると考えても良いでしょう

掃除の魔王は自身の直下に対して強烈な攻撃能力を持っていましたが、側面および上面はがら空きでした。それでも生半可な攻撃は通用しない頑強さだったのですが、大魔女氏は飛行手段だけでなく強力な攻撃力も有していたため、側面から一方的にチクチクされてやられてしまったのだと考えられます

ミスティ氏は自覚していないようですが、実のところけっこう脳筋的な面があるようです。何か問題が発生した際すぐに暴力による解決を思いついたりするので、見た感じは物静かでクールですが実際は武闘派なのかもしれません。魔法戦士としてやっていくことも不可能ではないでしょう

―歓楽区

 トコトコ…

クロシュ「……」

妖精「スライムから見て、何か解決策はありそう……?」

クロシュ「……わかんない……」

妖精「うーん……。まあ大魔女ほどの者が有効な解決策を思い付かなかった問題だし、そう簡単にはいかないか……」


トリル「あれ……? クロシュちゃんに、妖精さん?」ヒョコ

トム「奇遇だな!」

クロシュ「わ……!」

妖精「あ、トリルにトム」

トム「食べ歩き中か?」ヌッ

妖精「そういうわけじゃないけど……でもお腹は減ったかも」

トム「ならメシ食いに行こうぜ!」

クロシュ「わあ……」

トリル「都合が良ければ一緒にどうかな? ぼくたちもこれからご飯食べようと思ってて」

妖精「じゃあせっかくだしご一緒させていただこうかな?」

クロシュ「うん」

トム「決まりだな! メシ屋に行くぜ!」

 ◇

―レストラン「魔女の食卓」

店員ホムンクルス「いらっしゃいませ。四名様でよろしいですか?」

トム「おう!」

店員「それではテーブルにご案内致します」

 *

 空席「」

 空席「」

 空席「」


妖精「なんか……空いてるね」

トム「あー、ほらアレだろ。ここ最近テロが立て続けに起きてるし、無闇に外出んなって言われてんだよ」

妖精「ああ、なるほどね」

トリル「ぼくたちは、何か不審なことが起きていないか街中をパトロールしてたんだ。こう見えて、下級の警備オートマタより強いんだよ〜」

クロシュ「わあ……」

妖精「魔法学園に通ってる生徒はやっぱり一般人より強いんだねえ。ていうかむしろ、警備オートマタ弱すぎじゃない……?」

トム「オレたちが強すぎるんだ!」

トリル「下級オートマタは、必要以上の武力を持たないように戦闘力を制限されてるんだって。役割もどっちかというと監視とか威嚇が重視されてるみたい。元々治安もすごく良い街だったから、強い力はいらなかったんだけど……」

妖精「今回の騒動でそういうわけにもいかなくなりそうってわけか……」

トリル「うん……。早いとこ解決すると良いんだけど……」

クロシュ「……」

トム「あーもう暗い話は後だ後! 今はメシに集中しようぜ!」

トリル「ご、ごめん。そうだね、今はごはんに集中しなきゃ……!」


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:マジカルトリ肉、マジカルケモノ肉、マジカル触手肉
野菜:マジカルリーフ、マジカル大根、マジカルゴボウ、マジカルマメ
穀物:マジカルイモ、マジカル米、マジカルもろこし、マジカル小麦
魚介:マジカルカニ、マジカルザリガニ、マジカルタニシ、マジカルウオ
果実:マジカルフルーツ、マジカルリンゴ、マジカルどんぐり
卵乳:マジカル卵、マジカルミルク、マジカルチーズ、マジカルバター
特殊:マジカルゼラチン、マジカルシュガー、マジカルスパイス

妖精「マジカルって付いてる食材は確か、魔力で生成された食品だよね」

トリル「うん。この国の食べ物は全部マジカル食品なんだよ」

トム「初めてここに来た時はなんだそりゃって思ったけど、食ってみると普通の食い物と何も変わんなかったんだよな」

クロシュ「えと……じゃあ、宿舎の食堂でいつも食べてるのも……マジカルな料理……?」

妖精「そういうことになるね。味も少し魔力っぽかったし」

トム「……魔力っぽい味って何だ?」

妖精「……説明が難しい。精霊樹の実とかの、魔力を多く含んでるものに現れやすい味覚……と言えば伝わる?」

トム「……トリル、わかるか?」

トリル「ご、ごめん……わかんないかも……」

妖精「まあ人間はその辺鈍感だし……って言うかたぶん妖精が敏感なだけか……」

クロシュ「えと……わたし、わかるかも……」

妖精「クロシュ……!」

トム「何ィ……!? 剣技や魔法だけでなく味覚まで……!」

トリル「え、そこ張り合うとこなの?」

 *

 マジカルタニシの香草バターソテー「」ポン!

クロシュ「わあ……!」

トム「おおお……! 美味そうだぞ!」

トリル「すごく美味しそうな香り……!」

妖精「このタニシも葉っぱもバターも、まぶされたスパイスも、全部魔力で生成されたものだなんて……。改めて考えると、めちゃくちゃだ……」

トム「え、そうなのか?」

トリル「単一元素からなる純物質なら、ぼくやトムでもものすごく頑張ればできるかもしれないけど……。こういう食材って物質の組成がものすごく複雑だから、普通の人がやろうとしたら頭がパンクしちゃうと思う……」

トム「マジか……考えたこともなかったぞ」

妖精「限りなく生命に近い複雑な物質を生命を宿さずに作り上げるなんて、ここ以外じゃ見たことも聞いたこともない。何だったら普通に生命を造る方が遥かに簡単だろうし……。しかもそれを、全国民が毎日食える分供給し続けてるなんて……」

トム「つまり大魔女様は超スゲーってことか!」

妖精「そういうこと。そんなスゴい食材を毎日食べられるんだからここの国民は大魔女に感謝した方が良いかもね」

トリル「うん……ありがとうございます、大魔女様」

トム「ありがとう、大魔女様……!」

クロシュ「ありがと、大魔女さん……。いただきます……」

 *

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

妖精「そういえばトムはトコナツ島出身なんだっけ」

トム「おう! あんたたちもトコナツ島に行ってきたんだろ? モーリィさんたちは元気にしてたか?」

妖精「うん、元気だったよ。火山活動の関係であの時はバタバタしてたけど、今頃は落ち着いたんじゃないかな」

トム「そっか。旧トコナツ村の惨事を聞いた時はゾッとしたけどそれも無事らしいし良かったぜ」

半スライムクロシュ「えと……トムさん……レッドちゃんのこと、知ってる……?」モニョニョ

トム「もちろん知ってるぜ!」

半スライムクロシュ「わあ……!」

トム「オレもかなり鍛えてきたけど、あいつの火力にゃあまだまだ全然届く気がしねえぜ……。オレの目標の一つは、レッドよりも高い火力を出せるようになることだ!」

妖精「目標高すぎない? レッドってバーニングスライムだよ?」

トム「だからこそだ! へへ、目標は高くねえとな!」

トリル「レッドちゃんって、この前クロシュちゃんが描いた絵の、溶岩のスライムさんだよね?」

半スライムクロシュ「うん……。レッドちゃん、良いスライム……」

トリル「トコナツ島にはそんな凄いスライムさんがいるんだねえ。あれ、そういえばクロシュちゃんが描いてくれたテラヌス・ウルスの絵にも、リアンノンちゃんの他にスライムさんがいっぱいいた……?」

半スライムクロシュ「うん……。砂漠スライムさんたちに、砂漠スライムのおじいちゃん……。それと、ものすごくでっかいスライムさん……!」

トリル「わ……! ぼくテラヌス・ウルスに住んでたのに、あの街にそんなにたくさんスライムさんがいたなんて全然知らなかった……!」

妖精「巨大スライムは街にいたわけじゃないけどね。砂漠の地下でアリジゴクごっこしてたんだよ」

トリル「あはは、なにそれ。スライムさんたちのことあんまり知らなかったけど、今度里帰りしたらお話してみたいな」

半スライムクロシュ「んへへ……きっとみんな、喜ぶ……!」

妖精「リアンノンの幼馴染なんだよね? 里帰りしたらよろしく伝えといてくれる? 私たちは元気でやってるよーって」

トリル「うん、もちろん! えへへ、次に帰る時が楽しみ……!」

 モニョモニョ…ポン!

トカゲクロシュ「〜〜!」キャッキャ

トリル「わっ! クロシュちゃんが、トカゲになっちゃった!?」

妖精「この姿でリアンノンと遊んだから、思い出深いんだって」

 *

 空皿「」カラン 空皿「」カラン 空皿「」カラン 空皿「」カラン
 空皿「」カラン 空皿「」カラン 空皿「」カラン 空皿「」カラン
 空皿「」カラン 空皿「」カラン 空皿「」カラン 空皿「」カラン

クロシュ「ごちそうさまでした……」

トム「ぐはぁぁ……も、もう葉っぱ一枚入らねえ……」ゲフッ

トリル「もう、スライムのクロシュちゃんと張り合うから……。でもやっぱり美味しかったね」

妖精「本当に美味しかった……。流石は大魔女と言わざるを得ないかな……」

 ☆マジカルタニシの香草バターソテーを食べて元気になりました
 ☆トム、トリルと親睦を深めました

 *

―大魔女帝国 滞在10日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
吸血鬼殺ワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す
・クロさんを助ける

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[9/12](クロシュ)
・魔法[2/4](クロシュ)
・魔法[2/8](イリス)
・星属[6/8](イリス)
・魔法[2/8](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他

―明け方
 宿舎 宿泊室

 チュンチュン

スライムクロシュ「……」zzz
イリス「……」zzz
ミスティ「……」zzz


 新聞「」バサッ


妖精「ふわ……。今朝の新聞は早いなあ。一応確認しとくか……」ノソノソ

 パタパタ…

妖精「ううーん、人間用の新聞はでっかくて重くて運びづらい……ん?」パタパタ

 新聞「」

妖精「……いつもと紙の質が違う。エデン新聞じゃないの?」パタパタ

 新聞「」

妖精「まあいいか。部屋に戻ったら確認してみよう」パタパタ

 *

妖精「な、なにこれ……」ペラッペラッ

イリス「ふわあ……おはよ、妖精さん。どうしたの……? 新聞……?」

ミスティ「早いわね……。あら、新聞……?」

スライムクロシュ「……?」モニョニョ…?


 大魔女様万歳新聞「」バサッ
 「エデンを吊り下げる大気球の正体は魔王だった!!!!」
 「大魔女様は魔王の力で地上全てを燼滅しようとしている!!!!」
 「全ては大魔女様による遠大な計画に過ぎない!!!!」
 「しかしこの国にいる限り安全!!!!」
 「我らは神たる大魔女様に選ばれし民!!!!」
 「魔王の聖撃で地上に蔓延る害虫は一掃される!!!!」
 「この星は美しく生まれ変わる!!!!」
 「そして生まれ変わった星に降り立つ大魔女様が――」
 「この星の真なる支配者となる!!!!」


イリス「えっ……!? こ、これは……!!」

ミスティ「昨日妖精たちが聞いてきた話……というよりは、あの陰謀論の本に近い内容ね……」

クロシュ「……」

イリス「……でも、流石にこんなものを信じる人はあんまりいないんじゃないかな……?」

妖精「……でも、こういう大魔女を称える内容なら……完全にいないとは言い切れない。例え1%でも信じる奴がいれば、こういうのは大成功なんだ」

イリス「うっ……」

ミスティ「……不快なやり方ね。下衆が」グッ

クロシュ「………」

妖精「これを流布した奴の狙いは……一体、何……? 私たちは……こんな底なしの悪意に、どう対処すれば……」

クロシュ「……」


クロシュ(クロさん……)


 ☆目標に「クロさんを助ける」が追加されました


大魔女帝国滞在10日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―宿舎 宿泊室

 ガチャッ

ロディア「失礼します。イリス様へ、フラナ様からお届け物です」スタスタ

イリス「あ、ありがとうございますロディナさん。なんだろう……?」

妖精「なんかいつもと雰囲気が違うね」

 手紙「」パサッ
 小包「」ポン

↓1コンマ
01-10 毒入りワイン
11-50 請求書
51-90 幼化薬の解析結果+サンプル1本
91-00 ライトニングスライムの欠片

―フラナからの手紙

 リチャードとはビジネスの関係よ。ウチの作る薬はイスファハーンでも評判が良いらしいから。特筆すべき点は特にないけど、時々相談に乗ってやったり乗られてやったりすることはあるわね。あいつは人間の若造だけど頭の回転が早いから、たまに役に立つのよ。あいつとしても、それは自分を売り込む為の価値の一つなんでしょうね。
 ここからはついでだけど、以前リチャードにライトニングスライムがいたら是非うちで雇いたいと言われたことがあってね。残念ながらその頃にはもう魔族国にライトニングスライムはいなかったから彼の期待に応えることはできなかったのだけど……少し前に棚を整理していたら、だいぶ昔に採取したライトニングスライムの欠片が出てきたのよ。まあ欠片だからこれだけ送っても仕方がないし、以前クロシュについて酷いことを書いたから、お詫びとしてその欠片はクロシュにあげるわ。クロシュならきっと使いこなせるでしょう。
 それじゃあ今後の幸運を祈っているわ。

追伸1:大魔女帝国にいるならスール魔法店には行ったかしら? 数日前に新商品を出荷したから、そろそろ棚に並ぶ頃だと思うわ。もしあそこで買い物をするなら、この手紙を見せて割引してもらいなさい。

追伸2:スールとフローレンスがもし私やフレメアについて何か言っていても真に受けないこと。

 *

 小包「」パカッ
 ライトニングスライムの欠片「」パチパチ…

イリス「わっ……! びりびりしてる……!」

妖精「へえ、保存状態はかなり良いみたい。クロシュ、どう?」

クロシュ「うん……」

 クロシュの手「」ソー…
 ライトニングスライムの欠片「」バチッ!

クロシュ「ひゃっ!」ビクッ

イリス「ま、まあ……いきなりは難しいよね」

クロシュ「う、うん……。えと……レッドちゃんの時みたいに……ゆっくり、練習すれば……同化、できるかも……。ありがと、フラナさん……!」

イリス「ふふ、クロシュちゃんのお礼も返事にしっかり書いておくね」

 ☆ライトニングスライムの欠片を手に入れました

 ◆

―歓楽区
 スール魔法店

 カランカラン

スール「らっしゃ〜い。おっ、ダークヒーローとダークヒロインじゃないか」

イリス「ど、どうも」スタスタ

ミスティ「その言い方はやめてくれるかしら……」

フローレンス「いいじゃないですかぁ、減るもんじゃないですし」

ミスティ「減るわ……。堪忍袋の緒の幅が……」

スール「えっ……!? わ、悪かったね……そこまで気に入らないものだとは思ってなくてさ」

ミスティ「冗談よ……」

スール「冗談かい!」

イリス「あはは……ミスティ、冗談に聞こえなかったよ」

ミスティ「えっ……」

イリス「ところで新商品が入荷したらしいですけど――」

スール「お、耳ざといねえ。そうなんだよ、フラナから届いたのさ」

フローレンス「何が届いたんです?」

スール「あんたも一応ここの店員なんだから把握しときなよ」

フローレンス「本業は建築ですし……」


↓1コンマ
01-50 ジェネリック幼化薬
51-90 マッスルブラッドワイン
91-00 無敵薬

 マッスルブラッドワイン「」ポン

イリス「こ、これは……」

スール「マッスルブラッドワイン! マジカルブラッドワインはほとんど魔法使い専用だったからねえ。物理戦闘職の人たちからの熱い要望に応えて、とうとう筋肉を底上げするブラッドワインが登場したってわけさ!」

ミスティ「なるほど……確かに、ローガンさんやエバンスならこっちの方が良さそうね……」

イリス「筋肉を底上げ……後で筋肉痛になったりとかは……?」

スール「もちろんそういう副作用もある。イスファハーンで流行ってるマキシマイズドリンクマークZのブラッドワイン版といった感じかねえ」

フローレンス「美味しいって評判だから試しに飲んでみたら翌日ひどい筋肉痛になって大変でしたよ、そのマキシマナントカドリンク。効果は確かに前評判通りすごかったですけど」

スール「美味いからって試しに飲むもんじゃないよ薬は……。どうだい、買ってくかい?」

イリス「じゃあせっかくなので! あ、これを見せれば割引してくれるってフラナ先生が言ってたんですけど……」

 フラナからの手紙「」ペラッ

スール「ありゃま、本当だ。はあ、フラナからの頼みとあらば仕方ないねえ。ちょっとまけてあげよう!」

イリス「ありがとうございます!」

 ☆マッスルブラッドワインを1本買いました

 ◆

―大魔女宮殿 門

クロシュ「……」トコトコ

クローディア「止まりなさい」ヌッ

クロシュ「!」

妖精「大魔女……。クロに会いに来ただけだよ」

クローディア「だからこそよ。あなたたちがあの子に関われば、あの子は余計に苦しむことになる……。私は最低の女だけれど、だからといってあの子の苦痛を積極的に望んでいるわけではないの。帰りなさい」

クロシュ「んゅ……」

妖精「うぐぐ……でも、お話していれば解決の糸口が見つかるかも……」

クローディア「この私ですら見つけられなかった解決策を、あなたたち如きが一朝一夕で見つけられると?」

クロシュ「んゅゅ……」

妖精(何も言い返せない……。確かに、私たちはこの大魔女からすれば知識も技術もあかちゃんに等しい……)

クローディア「わかりましたね? それに今は、あなたたちに構っている暇はないのです。一刻も早く犯人を突き止めなければ、この国の治安は――」


 ヒュゥゥゥゥ――…


クローディア「……!!? この、気配は――」

妖精「これは……もしかして」

クロシュ「!!」


「……ずいぶん、変なことをやってるんだね……クローディア……」ヒュゥゥゥ…


クローディア「クロシュヴィア・ビターエンド!!」

クロシュヴィア「ブブー……。今はクロシュヴィア・スウィートエンドです……」ストッ

クロシュ「クロシュヴィアちゃん!」

クロシュヴィア「クロシュちゃん、久しぶり……。妖精さんも……。イスファハーンでは大変だったみたいだね……」

妖精「知っているの!?」

クロシュヴィア「あの銀色の子からの助け、聞こえたもん。本当に危なくなったらわたしも助けに行こうかと思ってたんだけど、大丈夫そうだったから……。ごめんね、やっぱり助けた方が良かったかな……?」

クロシュ「んーん……。クロシュヴィアちゃんも、忙しいと思うし……。でも、ありがと……」

クロシュヴィア「そっか……! でもクロシュちゃんもあの銀色の子も、シュヴィアちゃんも、みんな無事でほんとに良かった……」

クローディア「……救える力を持ちながら、それをしないのは単なる怠慢だと思うけどね」

クロシュヴィア「ふうん……クロちゃんを救える力を持ちながらそうしない人が言うと……説得力があるね……」

クローディア「……わざわざ嫌味を言いに、千と数百年ぶりに私に会いに来たの?」

クロシュヴィア「ずっと寝てたから……。クローディアがこんな変な国を作ってたって知ったのもごく最近だよ……」

クローディア「そうでしょうね。あなたが早々に諦めて不貞寝していた間、私は理想を諦めなかった。私たちが思い描いた最高の世界を実現する為の努力を惜しまなかった……!」

クロシュヴィア「この小さな箱庭が、理想の世界なんだ……。わたしが寝てる間に、あなたの理想はずいぶんとちっちゃくなっちゃったんだね……」

クローディア「黙りなさい! 世界全てを救うことなんて不可能だってわかったから、あなたも不貞寝したんでしょう!! 全てを諦めたあなたに、私を責める資格なんて――」

クロシュヴィア「残念でした……わたし、資格あるみたい」スッ

 デロデロ…モニョモニョ…ドン!
 デロデロ世界の絵「」デロデロデロ

クローディア「こ、この絵は……!?」

クロシュヴィア「ふふふ……そこのクロシュちゃんが描いてくれた、理想。素敵でしょ……?」


↓1コンマ
01-10 真の正しい世界
11-90 ありえない!!!!
91-00 ……

クローディア「ありえない!!!!」

クロシュ「!」ガーン!

妖精「な、何もそこまで強く否定しなくても……」

クロシュヴィア「ひ、ひどい……どうしてそんなひどいこと言うの……?」

クローディア「全てが溶け、混ざり合い、一つになった世界……果たしてそれは、生きていると言えるの? そこに幸せはあるの? 愛は、あるの?」

クロシュヴィア「あるよ……。愛しているから、一つになるんだもん……」

クロシュ「」ウンウン
妖精「」ウーン?

クローディア「一つになったら……愛することも、愛されることもない……。あらゆる知性も、記憶も、想いも……全てが混ざれば、全てが意味を失い、混沌の渦に沈んでいく。そこに残るのは、単なる物理現象としての生命活動だけ。そんなのが……理想であってたまるものですか……!!!!」

クロシュ「!」ガーン!
妖精「」ウンウン

クロシュヴィア「違うよ……知性も、記憶も、想いも……余計なものばかりだから、いつまでも争って、憎み合って、苦しめ合うんだ……!! それだったら――全部まとめて溶かして混ぜてデロデロにして、生まれたてのスライムみたいに無邪気にモニョモニョしてる方が百億万倍良いもん!!!!」

クロシュ「!」パァァァ!
妖精「」ウーン…

クローディア「このわからずや!! バカスライム!!」

クロシュヴィア「わからずやはそっちだもん!! ばか!! 鳥頭!!」

 ギャーギャー――…

 ◇


クロシュヴィア「はあ、はあ……人間の姿に化けてるけど、結局はばかの鳥頭なんだね……。何を言っても鳥の耳に念仏だってことがよくわかったよ……」

クローディア「そっちこそ……昔と変わらずバカのようね。あなた程度のバカを恐れる心配など全く不要だったわ。不毛な宗教活動、精々がんばりなさい」

クロシュヴィア「むむう……わたし、そろそろ本気で怒ってきたかも……」

クローディア「あらあら、ずっと怒ってたじゃないの。今さら怒ってないアピールとか自分で言ってて恥ずかしくないの?」クスクス

クロシュヴィア「むむむう……!! もう本気で怒った……!! 風船スライムの子をずっと苦しめてる癖に、楽園だなんて大嘘ついてる最低の選民主義のこんな国、デロデロに溶かしてやる……!!」ゴゴゴゴ

クロシュ「わわ……!?」

妖精「な、何をする気……!?」

クロシュヴィア「こんな酷い国、デロデロのしなきゃ誰も救われないもん……!!!」ゴゴゴゴゴ…


 ズズ…デロデロ…

 デロデロに溶け始めたクロシュヴィアの周囲「」デロデロデロ


クロシュ「!!」

妖精「うわわわあ、本気だ!!?」

クロシュヴィア「待っててね……クロちゃんの苦しみは、わたしがデロデロに――」

クローディア「やめなさい!! それ以上狼藉を働くなら――」


 カッ!!!!

クロシュヴィア「んきゅっ……!?」ググッ


妖精「クロシュヴィアの力が……止まった……!?」

クローディア「ここから――去れ!!!!」カッ


  ポヒュゥゥゥゥン――

  吹っ飛んでいくクロシュヴィア「んわ〜………!!」ヒュゥゥゥゥン…


妖精「クロシュヴィアが……吹っ飛んでった……」

クローディア「フン……二度とこの国に入れないよう、しっかり結界を見直しておかないと」

クロシュ「……」ショボン

クローディア「……あなたたちも、早く帰りなさい。どこに何が潜んでいるかわからない。クロシュヴィアは追い払ったけれど、肝心のテロリストの方はまだ逮捕できていないのだもの……」

 ◇

というわけで本日はここまでとなります

突然来訪したクロシュヴィア氏と言い争いを始める大魔女クローディア氏……。巻き込まれたクロシュと妖精は、両者の言い分に耳を傾けつつ思索を深めていく。何が正しくて、何が正しくないのか。どう生きるのが生命にとって最も良いのか。光を追う旅も、思索を深める旅も、まだまだ先は長いようです。クロシュさんも、自分なりの考えを深めていけると良いと思います

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

クロシュ氏は絵を貶されると落ち込み、褒められると喜ぶようです。今回のことで、クロシュの中でのクロシュヴィアちゃん好感度が少し上がり、大魔女さん好感度が少し下がったかもしれません
クロシュヴィア氏は教祖モードの時は格好つけますが、親しい相手と話す時は素の性格があらわになるようです。昔からよくこうやって音楽性の違いで喧嘩したのかもしれません

苗字にエンドと付いている人たちがどのような過去を経験したのかは今のところ明らかになっていません。他の人はわかりませんが、クロシュヴィア氏は気軽に苗字を変更していたので、苗字に関してのこだわりは薄いようです。彼らにとって苗字とは、家系や氏族を示すものではないのかもしれません

スライム類の方はびっくりした時や吹っ飛んでいく時にんわ〜と言うことが多いようです。スライム語でんわ〜と言う時もあれば、人間語でんわ〜と言う時もあります。伝説スライムのクロシュヴィア氏も、その辺りはスライムらしいスライムのようです

―大魔女帝国 滞在11日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
マッスルワイン*1               
吸血鬼殺ワイン*1
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)
雷スライムの欠片


◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す
・クロさんを助ける

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[9/12](クロシュ)
・魔法[2/4](クロシュ)
・魔法[2/8](イリス)
・星属[6/8](イリス)
・魔法[2/8](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他
……………………………………………………………………………………

―朝
 宿舎 宿泊室

 コンコン

スライムクロシュ「?」モニョ

イリス「はーい」パタパタ

ミスティ「こんな朝早くに一体誰かしら……?」

 扉「」ガチャッ

緑髪のイケメンエルフ→ティリウス「やあ、おはよう。先日君たちのお世話になった緑化担当のティリウスだよ」

妖精「えっティリウス?」ヒョコ

ティリウス「久しぶりだね太母。噂はかねがね聞いてるよ」

妖精「あなた……フォレスティナがこの間どれだけ大変だったかわかってるの……!?」

ティリウス「ははっ、フォレスティナにはティセリアもサリーもいるし、何より太母が帰還したんだ。僕なんかいてもいなくても変わらなかったさ」

妖精「……まあ、確かに政治に関してあなたができることは何もなかったかもしれないけど……。でもティセリアには支えがいくらあったって良いんだよ」

ティリウス「そうかな? まあそれは置いておいて……」


イリス(えと……ティセリアさんたちと何か関係のある人なのかな……?)

ミスティ(エルフは年齢関係なく見た目が若いから、誰とどういう関係なのか検討もつかないわ……)


ティリウス「ちょっと太母率いるフォレスティナ使節団に相談したいことがあるんだ」

妖精「相談……?」

ティリウス「ああ。大庭園にミントウネが大発生して困ってるって話は知ってるかな? この前、そこのイリスちゃんとミスティちゃんに捕獲を手伝ってもらったんだけど」

イリス「あ、はい!」

ミスティ「手伝ったわね」

妖精「新聞で見たし、この子たちからも聞いたよ。まさか緑化担当があなただったとは思わなかったけどね。それで、ミントウネがどうかしたの?」

ティリウス「ああ……昨日、ようやくミントウネの苗床を見つけたんだ」

妖精「へえ……ていうか今まで見つかってなかったんだ……」

ティリウス「そうなんだよ……。ミントウネって地面から抜けて自由に歩けるタイプの種だから、どこにでも好き勝手に移動しちゃうんだ。そのせいで庭園中で増えて困ってたから場当たり的に対処してたんだけど、いつも後手後手でさ……」

妖精「でも本拠が見つかったんでしょ? ならそこをどうにかすれば良いんじゃないの?」

ティリウス「それが……そこが問題なんだ」

妖精「どういうこと?」

ティリウス「……魔王樹の結界……覚えてるかな?」

妖精「!!?」

ミスティ「えっ……!? 魔王樹って……」

イリス「ど、どういうことですか……!?」


ティリウス「かつて、僕たち緑の民が総力を結集して作り上げた結界……。それとよく似たものが、庭園の片隅にひっそりと巧妙に隠されていたんだ。ミントウネは、その中から不定期に現れているみたいだった……」

妖精「う、嘘……なんで……!? まさか、魔王樹も……!?」

ティリウス「いや……多分その心配はないと思う。魔王樹の、あの恐ろしい気配は感じられなかった。中を覗いたわけじゃないから断定はできないけどね」

妖精「そ、そっか……。いやでも、あれは世界樹の結界を参考にして作り上げたものだし……私たち以外にあれの作り方を知っている者がいるとは思えない……」

ティリウス「そこなんだ。僕たち以外があの結界の作り方を知るはずがない……けど、現実に存在してるんだよ。それで、丁度今太母も来てるなら聞いてみようと思ってさ」

妖精「……もしかして、私を疑ってる?」

ティリウス「0.001%くらい」

イリス「疑ってないも同然じゃないですか!」

ティリウス「ははっ、でも0とは言い切れないんだ。いくら心優しい太母でも、時の流れで頭がおかしくなる可能性はあるからね」

妖精「はっきり言ってくれるね」

ティリウス「とにかく、これは大魔女帝国のみならず僕たち緑の民にも関わる重大な問題かもしれない。だから太母にも話しておこうと思って」

妖精「大魔女には相談したの?」

ティリウス「ああ、大魔女様には――」

 扉「」ガチャッ

クローディア「結界の調査には私も同行するわ。エスコートを頼めるかしら、緑の民たちよ」スタスタ

妖精「げっ!?」

イリス「いらっしゃったんですか!?」

クローディア「ええ……私がいると話しにくいこともあるだろうと思って、外で待機していたのよ」


イリス(ぜ、全然気付かなった……!)

ミスティ(大魔女……やはり恐るべき魔法使い……)


妖精「ティリウス〜……!! 私を試したなあ……!?」

ティリウス「いやあ、はは……」

クローディア「こうしようと提案したのは私です。ティリウスを責めるのはお門違いよ」スッ

ティリウス「大魔女様……そういうことは言わなくとも……」

クローディア「……あなたは我が国の国民だけれど、それ以前には緑の民だったのよ。祖国は大事にしなさい」

ティリウス「……お気遣い痛み入ります、大魔女様。大母も、ごめんよ……」

妖精「ああもう、わかったよ……。それで、結界の調査ってのはいつ行くの?」

クローディア「なるべく早く行きたいわ。でもあなたたちにも準備がいるだろうから、多少は融通を効かせてあげられる。いつが良い?」

妖精「そうだなあ……」


↓1〜 先取2票
1.すぐ行こう
2.明日行こう(本日の自由行動へ)

妖精「明日でも良い?」

クローディア「わかったわ。例の結界についてはティリウスから聞いているけれど、これについては実際に作って運用したあなたたちの方が見識は深いはず。頼りにさせてもらうわよ」

妖精「こっちこそ。頼りにさせてもらうよ」


大魔女帝国滞在11日目です。この行動終了後、大庭園に隠されていた謎の結界の調査に向かいます
↓1〜3 自由安価 何をする?

―居住区

クロシュ「……」トコトコ

ミスティ「……静かね……少し前までは、行き交う学生たちで賑わっていたのに……」

妖精「仕方ないよ。昨日もテロがあったらしいし……」

ミスティ「犯人の目的は一体何なのかしら……。ユキたちも自由に外出が……いや、あの子たちはけっこう自由に外出してるわね……」

妖精「大魔女としては外に出て欲しくないだろうけどね……。最初に操られた奴も学内じゃ天才って言われるほどの実力者だったらしいし」

ミスティ「心配ね……」

妖精「だから今日は行ってあげるんでしょ? あの子たちの買い出しに付き合いに」

ミスティ「ええ……。私たちも一緒なら安全性は高まるでしょう」


 ザワザワ ガヤガヤ
  パリーンッ! キャーッ!!!!


クロシュ「!?」

妖精「な、なに!?」

ミスティ「あっちの……ユキの宿舎の方からよ! 急ぎましょう!」タッ

 *

血を流して倒れている男子留学生E「」ドクドク


女子留学生A「キャァァァァァ!!!!」

男子留学生B「おい!? なんなんだよ!?」


様子のおかしい市民X「お前らが……外から来た奴らがいるから……!!」
 血が付着した鉄パイプ「」ポタポタ

様子のおかしい市民Y「環境を荒らす外来種は……殺すしかねェよなァ!!」
 血が付着した金槌「」ポタポタ

様子のおかしい市民Z「へ、へへ……大魔女様の聖火で、悪しき命は浄化だ……」
 火炎瓶「」チャプ…


女子留学生C「や、やめてください……来ないで……」ビクビク

男子留学生D(と、通り魔襲撃イベントキター!!! ここはCちゃんに格好良いところを――)

様子のおかしい市民X「消えろォ!!」グワッ
 血の付着した鉄パイプ「」ブオンッ!!

男子留学生D「おああああああ!!?!?!!??」

 ガギンッ!!

凍り付く市民X「ガッ……!」カチコチ

ユキ「みんな下がって!! 暴漢は私が抑える!!」ザッ

女子留学生A「ゆ、ユキちゃん……!」

男子留学生B「でも危ねえよ!!」

トム「オレもいるぜ! お前らは警備を呼んでこい!!」ザッ

女子留学生A「わ、わかった!!」ダッ

男子留学生B「すまねえ……! すぐに呼んでくる!!」ダッ

女子留学生C「うう……ごめんなさい、ごめんなさい……」ダッ

男子留学生D「う、うう……うおおおお!! おれも戦うぞ!!!!」ググッ

トム「無茶すんなよ!?」


 ――戦闘開始 様子のおかしい市民たち――


↓1コンマ
01-10 ??
11-60 劣勢
51-90 優勢
91-00 ??

トム「だらあっ!!」シュバッ
 斧「」ブオンッ!!

 ズドンッ!!

様子のおかしい市民Y「ごあ……!」ドサッ


ユキ「殺しちゃだめよトム!!」

トム「峰打ちだ!!」


凍り付く市民X「外来の悪種が……妖しげな術を使いやがって!! ぬああああ!!!」ググググ

 氷「」バギンッ!!
 血「」ドクドクドク!!

ユキ「えっ!? こ、凍った体を無理矢理動かして――」

トム「危ねえ!!」

 パヒュンッ
  ガギンッ!!

光メイド剣士クロシュ「……!」ギギギ

ユキ「クロシュ、さん……!」

血を流す市民X「なんだ……お前はァァァ!!!!」

ミスティ「私も来たわ!! はぁっ!!」シュバッ
 氷塊「」ブオンッ!!

 ドゴッ!!

血を流す市民X「オゴッ……」ドサッ

ユキ「ミスティさん!!」

トム「おお……!!」


様子のおかしい市民Z「へへへ……燃えろ、燃えろ……!!!」ブンッ

 火炎瓶「」ヒュンッ


↓1コンマ
01-10 ??
11-20 劣勢
21-90 優勢
91-00 ??

 火炎瓶「」ヒューン

 風「」ヒュルルッ

 火炎瓶「」フワフワ…


様子のおかしい市民Z「おあ……? 聖火が……宙で止まった……」

妖精「危ないもん投げないでよ」

様子のおかしい市民Z「あ……?」

 氷塊「」ドゴッ!!

様子のおかしい市民Z「ごが……」ドサッ

ミスティ「こいつで終わりね」スタッ


ユキ「皆さん……ありがとうございました」

ミスティ「当然のことをしただけよ」

妖精「まあそうだね。でもこいつら……」

トム「おかしいぜ……いくら最近オレたち滞在組への風当たりが強くなってるからって、今までこんなこと一度もなかったぞ」

クロシュ「……」


男子留学生B「おーい、警備呼んで来たぞー!!」タッタッタッ

警備オートマタ「現着シマス」ガションガション
警備オートマタ「現着シマス」ガションガション

上級オートマタ「これは……状況をお聞かせ願えますか?」ガション


ユキ「警備……! あの――」


 ズズ…


妖精「……!? まずい!! みんな気を付け――」


漆黒に染まった市民X「」ヌッ

漆黒に染まった市民Y「」ヌッ

漆黒に染まった市民Z「」ヌッ


クロシュ「!!!!」バッ


 ★市民Xが〈疑似魔王化〉を発動!
 ★市民Yが〈疑似魔王化〉を発動!
 ★市民Zが〈疑似魔王化〉を発動!
  会心率および痛恨率が大幅に上昇!
  さらにコンマ+300!!
  1ターン後に死ぬ!!


↓痛恨確定

↓1
01-02 全滅
03-06 ミスティ
07-10 妖精
11-15 ユキ
16-20 トム
21-25 男子留学生D
26-30 男子留学生B
31-35 女子留学生C
36-45 上級オートマタ
46-60 警備オートマタ
61-90 クロシュがんばった
91-00 クロシュ覚醒

漆黒に染まった市民X「キエロ――」
 漆黒に染まった鉄パイプ「」ゴゴゴゴ

漆黒に染まった市民Y「ガイチュウ――」
 漆黒に染まった金槌「」ゴゴゴゴ

漆黒に染まった市民Z「ダイマジョサマノタメニ――」


漆黒に染まった市民たち「コロス――――」ゴゴゴゴ…


妖精「う、うわああああああ!!!!」

ミスティ「はあっ!!」カッ

 氷のシェルター「」ドンッ!

ミスティ「みんな早くこの中へ!!」

ユキ「はい!!」
トム「お、おう!!」
男子留学生B「し、失礼します!!」
男子留学生D「お、おれも!」
女子留学生C「ごめんなさい……」

ミスティ「妖精! クロシュも! 警備さんたちも!!」

妖精「わわ、わかった!」
クロシュ「うん!」
警備オートマタ「退避シマス」ガションガション
警備オートマタ「退避シマス」ガションガション
上級オートマタ「状況を確認したいのですが……」ガションガション

ミスティ「あれは長くは持たなかったはず……! このシェルターで持ちこたえれば――」


 バゴンッ!!
 シェルター壁面「」バギャッ


男子留学生B「う、うわあああああ!!? これ持つんですか!? 持つんですか!!??」

ミスティ「くっ……! 壁の補修を――」

ユキ「わ、私も手伝います!!」

 バゴンバゴンッ!!
 シェルター壁面「」ゴシャッ グシャッ

 ドガンッ!!
 風穴「」グシャアッ

ミスティ「ほ、補修が間に合わな――」

クロシュ「!!」シュバッ!!

妖精「えっ!? クロシュ何を――」

 デロデロ…モニョモニョ…


シェルターを覆う大亀の甲羅「」ポン!!


ミスティ「あっ……く、クロシュやめなさい!! だめ!!!!」

妖精「ば、ばか!! ばかクロシュ、やめろ!!!」


 ドゴンッ!! バゴンッ!!
  グシャアッ!! ボムギッ!!!


妖精「あ、ああああああ!!! やめて、もうやめて!!!!」ポロポロ

ミスティ「出しなさい!! ここから出せ、クロシュ!!!!」ドンドン!!

トム「クロシュさん出してくれ!!! オレが奴らと戦う!!!」

ユキ「うう、うううう……!!」グググ…


 バギイッ!! ドゴオッ!!
  ボゴンッ!! バギャアンッ!!

    ――…


男子留学生B「お、音が……止んだ……?」


 デロデロ…

ボロボロスライムクロシュ「」デロロ…


妖精「あ、あ……クロシュ、クロシュ……!!!」パタパタ

ミスティ「クロシュ……!!」タタッ

ボロボロスライムクロシュ「」デロデロ…


 ――戦闘終了――

―昼
 居住区 交番

上級オートマタ「皆さん、本日は事態の鎮圧にご協力頂きありがとうございました」ペコリ

警備オートマタ「アリガトゴザイマシタ」ペコ
警備オートマタ「アリガトゴザイマシタ」ペコ

上級オートマタ「そして……身を挺して市民の皆様を守って頂いたクロシュ様には、特大の感謝を申し上げます。しかし恥を偲んで言わせていただけば、もう二度とあのような無茶はしないで頂きたく思います」

ボロボロスライムクロシュ「……」モニョ…

妖精「そうだよクロシュ……もう二度とあんな真似しないで……」 グスッ

ミスティ「ええ……あなたが酷い目に遭って私たちだけが助かっても全く嬉しくないわ……」

ボロボロスライムクロシュ「……」モニョニョ…

上級オートマタ「申し訳ありません。全ては我々の不甲斐なさゆえであります」

トム「……ああ。怒りでブチギレそうだぜ……オレ自身の弱さに……」グッ

ユキ「……珍しく意見が合うね、トム……」グッ

 *

―居住区 公園

トム「ふんッ! はッ! だあッ!!」ブンブンブンッ

ユキ「はあっ!! せやっ!!」カチンッ! コチンッ!



ミスティ「……クロシュ……さっきは、言い過ぎたわ……。あなたが守ってくればければ……私たちはきっと、無事ではいられなかった……」

ボロボロスライムクロシュ「〜〜…」モニョ

妖精「……私も……言い過ぎちゃったかも……。ごめんね……。助けてくれて、ありがとうね……」ナデナデ

ボロボロスライムクロシュ「〜〜…♪」モニョニョ…



クローディア「……聞いたわ。また、あなたたちに助けられてしまったそうね……」スタスタ

妖精「大魔女……」

クローディア「特にクロシュには大変な苦労を強いてしまったとか……。頭が下がるわ」

ボロボロスライムクロシュ「〜〜…」モニョモニョ…

クローディア「我が国に尽くしてくれた勇姿には最大の恩寵を与えなければね」ゴウッ―

 橙色の焔「」ユラユラ

妖精「えっ……!? その、焔って――」

クローディア「私の真の力の一端をお見せ致しましょう」

 橙色の焔「」ユラッ―

クローディア「原初の焔よ――勇気あるスライムの子に、再生の熱をもたらせ」

 橙色の焔「」カッ!

ボロボロスライムクロシュ「〜〜!!」モニャニャ!!


 傷ついたクロシュの体組成「」ジワジワ――

  再生していくクロシュの体組成「」デロデロ――

   完治するクロシュの体組成「」モニョモニョ――


万全スライムクロシュ「〜〜!!」モニョニョ!!


妖精「す、すごい……! 傷が治っただけじゃなくて、体力とかまで全回復してる……!?」

クローディア「私の最も優れた力の一つと言えるでしょう。元気になったようで何よりです」

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ

妖精「……大魔女って、もしかして……不死鳥……?」

クローディア「あら、大魔女は大魔女よ?」ニコ

 *

トム「だりゃあああっ!!!」
 斧「」ブオンッ!!

  氷「」バギョムッ!!

ユキ「くっ……! 私の負け……」

トム「はあ、はあ……。まあオレは炎だからな。ユキ相手なら勝てて当然だ」

ユキ「その言い方はムカつく……」


スライムクロシュ「〜〜!」ピョンピョン モニョモニョ!


トム「あ、クロシュさん! 怪我は大丈夫なのかよ!?」

ユキ「……もう、治ってる……?」


スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ


 デロデロ…モニョモニョ…チリッ


炎クロシュ「トムさん……バーニングスライムのちから……どう……?」チリチリ…

トム「なっ……!? クロシュさん、炎属性まで使えんのかよ!?」

炎クロシュ「うん……レッドちゃんに、もらった……」

トム「は、反則すぎんだろ……。ていうか怪我は大丈夫なのか?」

炎クロシュ「うん……大魔女さんに、治してもらった……」

トム「まじか……。じゃあ、ちょっと戦ってみてえ!! 病み上がりで悪いんだけど良いか!?」

ユキ「本当に悪い……。クロシュさん、こいつの言うことは聞かなくても……」

炎クロシュ「うん……! わたしも……体の奥、めらめらちりちりする……!!」

トム「しゃあ!! じゃあやろうぜ!!」

ユキ「ええ……」


 ――模擬戦闘開始 炎の留学生トム――


↓1コンマ
01-10 敗北 剣経験+1、トムLV+1
11-50 勝利 剣経験+1、魔経験+1、トムLV+1
51-90 勝利 剣経験+2、魔経験+1、トムLV+2
91-00 会心 剣経験+4、魔経験+4、トム覚醒

炎メイド剣士クロシュ「」シュバッ

トム「うおっ!」

 ガギンッ!!

  赤熱メイドブレード「」ギギギ
  炎の斧「」ギギギ

トム「あっちち……!? マジでレッドと同じ熱さだ……!!」バッ

炎メイド剣士クロシュ「」シャッ

トム「ちいっ!!」

 ギンギンギンガギンッ!!

炎メイド剣士クロシュ「!」グラッ

トム「だが――パワーなら斧の方が上だ!!」グオアッ

 炎の斧「」ブオンッ!!

  ヒュンッ

トム「なにっ!? 避けられ――」

炎の踊り子クロシュ「〜〜♪」シャランシャラン

 際どい踊り子衣装「」シャランシャラン

トム「えっ……!? う、うおおっ!?///」

炎の踊り子クロシュ「?」



ユキ「……トムの奴……戦いの最中に何考えてるのかしら……」

妖精「男の子なんだねえ……」

クローディア「あっははは、かわいいじゃない!」



トム「うおおおお!! 卑怯だぞクロシュさん!!!!」

炎の踊り子クロシュ「ほえ……?」

トム「そんな軟派なやり方に……オレは負けねえ!!!」カッ!!!
 炎「」ゴオオオオッ!!

炎の踊り子クロシュ「わあ……!」

トム「決着を付けてやんぜ!!」シュバッ

炎の踊り子クロシュ「〜〜♪」シャランシャラン
 踊り子の双剣「」シャキンッ

  ギンギンギンギンッ
   クルンクルンッ ドッギャァァァンッ!!!!

 *

トム「負けた……魔法でも、炎でも、武技でも……」

クロシュ「……踊り子になったら……トムさん、弱くなった……」

トム「うっ……」

ユキ「技術よりも精神を鍛えた方が良いんじゃないの」

トム「う、うるせェ!!」


 ☆クロシュの剣経験が+2、魔経験が+1となりました
 ☆トムの戦闘レベルが上がりました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回はダークヒーローを称える歌編からとなります

ユキさんのところへ行こうとしたら突然のテロリズムが発生し、窮地に追いやられる一行。続々と疑似魔王化する市民たちに絶体絶命のクロシュたちでしたが、ミスティのシェルターとクロシュの根性によりなんとか九死に一生を得ました。妖精さんとミスティさんにものすごく叱られたクロシュさんですが、間違ったことをしたつもりは全くないらしく、たぶん反省もしていません
そして純情な若者を相手に扇情的な格好で攻め立てて勝利を収めるクロシュ氏です。明日の調査へ向けて、一歩一歩力を付けていくのが良いでしょう

それでは本日もありがとうございました。次回の土日もよろしくお願いいたします

トリルくんはたまたまあの時あの場にいなかったようです。図書館にでも行っていたのかもしれません。彼の方では特に問題はなかったようです
トリル氏はユキさんやトム氏と比べると武闘派というわけでもありませんが、面白い魔法の使い手なので、もし彼が戦うことになったら面白いものが見られるかもしれません

クロシュは大亀の甲羅の姿になり、疑似魔王化した人たちからの攻撃を耐えたようです。とても痛かったそうですが、スライムは物理に強く体も丈夫な生き物なので、大事には至らなかったようです
クロシュとミスティさんは、考えるよりも先に体が動いてしまうことが他の人より確かに多いかもしれません(ミスティさんはクロシュよりは冷静です)。妖精さんもそういう節がないわけではないですが、時々考えすぎて動けなくなってしまったりもするため、前者二人に比べると慎重かつ引っ込み思案と言えるかもしれません

トム氏は溶岩を扱う魔法も使えますが、街中で溶岩を出すのはけっこう危険なので、街中で溶岩を出すことはないようです。この大魔女帝国は空中都市なので、トム氏が溶岩魔法を自由に使える場所は学園の耐火室や競技場くらいかと思われます
覚醒はレベルアップではなくクリティカルが出た時のものとなっています。パーティメンバーというわけではないので、運次第と言えるのかもしれません

疑似魔王化は恐ろしい邪法ですが、1ターンで死ぬ上に本物の魔王よりは全然弱いので、気をつければ大丈夫でしょう。しかし複数人が一気に疑似魔王化すると冗談では済まされないコンマ補正がかかってしまうため、やはり気を付けた方が良いかもしれません

―歓楽区

 アイテムポーチ「」パンパン

イリス「準備はこれくらいで良さそうですかね?」

ローガン「うむ。ひとまずはこれで十分だろう」

エバンス「俺たちだけじゃなくて明日は大魔女もいるからな」

イリス「ですね……! 大魔女様と一緒に調査できるなんて、私すごい楽しみです……!」

エバンス「イリスちゃんはやっぱり大魔女のことを尊敬してるのか?」

イリス「そりゃそうですよ! 魔女の中の魔女、全ての魔法を極めし超人なんですから!」

エバンス「そ、そうか……」



クリス「……あれ? あなた方は、もしかしてダークヒーローイリスの一行ですか……!?」ヌッ

イリス「えっ……!?」

クリス「あっ、すみません! 私、歌手のクリスティーナ・アムニジスと言います!」

イリス「……あっ! 前に劇場で歌ってたのを見ました!」

クリス「えっ本当ですか!? わあ……ダークヒーローイリスに見てもらえてたなんて……!」

エバンス「ああ、そういえば前に見たな。あの時は天井からレッサースライムが落ちてきて……」

クリス「あっ……そ、その時だったんですね。その節は大変ご迷惑をおかけしてしまい……」

エバンス「いやいや、気にしないでくれ。別にあんたが悪いわけじゃないだろう」

イリス「そうですよ! まあ、その……レッサースライムさんたちは、気の毒でしたけど……。そういえば今日はお休みなんですか?」

クリス「はい。昨今の騒ぎもあって、劇場も休館中でして……。なるべく外出も控えるべきなんですけど、のど飴を切らしてしまったので」スッ

 大魔女のど飴「」ポン

イリス「わあ……袋に大魔女様のお姿がプリントされてますね」

クリス「すっごい良く効くんですよ。歌いすぎて喉がガラガラになっちゃった時はこれを舐めてるんです」

イリス「おお……」

クリス「……そうだ! 私、以前ダークヒーローイリスとその一行のテーマソングを作曲したんですけど、せっかくなので聞いていかれませんか!?」

イリス「えっ」

エバンス「お、おう……いいんじゃねえか?」

ローガン「うむ……買い出しは済んでいる。特段問題はないだろう」

イリス「じゃ、じゃあ……せっかくなのでお願いします」

クリス「はいっ! それではこの閑散とした通りを特設ステージに見立てて――」


↓1コンマ
01-05 ひどかった
06-35 変わった曲だった
36-65 面白い曲だった
66-95 元気が出る曲だった
96-00 様々な経験を積めた


クリス「真なる巨悪を討つ闇の英雄ダークヒーローイリス――彼女の戦いはこれからだ!!!!」ドドン!!


観衆「ワーワー!!」パチパチパチ


クリス「ご清聴ありがとうございました!!!!」



イリス「……///」

エバンス「こういう曲調なのか……!」

ローガン「フッ……良い曲だ」


クリス「イリスさん、どうでしたか!?」ヌッ

イリス「ええと……よ、良かったと思います……」

クリス「本当ですか!? ダークヒーローイリス御本人に認めていただけるなんて……!」パァァァ!

イリス「これからもがんばってくださいね……!」

クリス「はいっ! イリスさんたちも、悪には絶対に負けないで!!」

イリス「もちろんです……!」

 ◆

―大魔女帝国 滞在12日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◇クローディア[大魔女]
武:万象の杖     盾:         飾:不死鳥の羽根
武:         防:大魔女のローブ  飾:黒晶の耳飾り

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
マッスルワイン*1               
吸血鬼殺ワイン*1
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)
雷スライムの欠片

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す
・クロさんを助ける

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[9/12](クロシュ)
・魔法[2/4](クロシュ)
・魔法[2/8](イリス)
・星属[6/8](イリス)
・魔法[2/8](ミスティ)
・剣技[6/8](エバンス)
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[5/8](ローガン)
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他
……………………………………………………………………………………

―大庭園

 チュンチュン クルーポッポッポ

 噴水「」シャワシャワ

 花のアーチ「」フワフワ

 花の生け垣「」フサフサ


クロシュ「わあ……!」

イリス「大庭園……! 大魔女様の宮殿に行く時に通るけれど――」

ミスティ「庭園の中に入っていくのは今回は初めてね……。生け垣に咲いている花が綺麗だわ……」

ティリウス「あれはウィッチローズ。フォレスティナのフェアリーローズをこの庭園の環境に適すように品種改良したんだ」

妖精「へえ。土いじり趣味は相変わらずみたいだね」

クローディア「ティリウスにはこの都市全体の植物を統括管理してもらってるの。植物に関して彼の右に出る者はいないから」

ティリウス「やあ、それほどでもありますが!」ニコニコ

妖精「お調子者なところも相変わらず……」

クローディア「今日は遠足に来たわけではないから、花の美しさに見惚れて気を抜かないよう。いいですね?」

ローガン「承知しております。大魔女殿の足を引っ張らぬよう全力を尽くしましょう」

エバンス「物理戦闘は俺と旦那に任せ――お任せください、大魔女様」

クローディア「無理に慣れない言葉遣いにしなくて良いわ」

 ◇

―大庭園 奥地

 結界「」ゴゴゴゴ…

妖精「こ、これは……!」

クローディア「……見事な結界ね。私もかなり昔に一度世界樹の結界を見たことがあるけれど……あれの構成をよく再現している」

ミスティ「じゃあ……本当に、緑の国の結界……?」

妖精「……間違いなくあの結界だ。細部は異なる……ていうか、あれよりも洗練されてるけれど。根本的な設計思想があれと共通してる」

ティリウス「……では、やはり緑の国の者が……?」

妖精「……それは……断言はできないよ……。何かの間違いで結界の作り方が流出しただけの可能性もあるし……」

クローディア「中に潜んでいる者を捕らえて問い質せばわかることです。早速侵入しましょうか」

ティリウス「僕はここで待っているよ。外から見張っている人も必要だろうからね」

妖精「うん、お願い。それじゃあ入ろう」

 トプン…

 *

―謎の結界 踏破率[0/10] 持久力[10/10]

 ゴウンゴウン… ゴゴゴゴゴ…

 板金の床「」カンカン
 金属のパイプ?「」ゴウンゴウン
 謎の機械「」ピポポ


エバンス「な、なんだここは……!?」

イリス「……金属です……! 床も、壁も……!」

ローガン「……イスファハーンや大魔女帝国の建築物も先進的な施工が為されていたが……これは……」

ミスティ「気味が悪いわね……」


妖精「……うっ……」フラッ

クロシュ「!」バッ

 ポフッ

妖精「うぅ……クロシュ……ありがと……」

クロシュ「妖精さん……だいじょうぶ……?」

妖精「気持ち悪い……。ここ……酷い感じがする……」

クロシュ「……うん……」

クローディア「同感よ……。ここは……最悪の気が漂っている。空気に敏感な妖精類には酷な環境でしょう。今耐性魔法をかけるわ」ポウ―

妖精「……はあ……楽になった。ありがと……」

クローディア「礼には及ばないわ。この結界に最も詳しいのはあなたなのだから、ここででへばられちゃ困るし」


クロシュ「……」

 板金の床「」
 金属のパイプ?「」ゴウンゴウン
 謎の機械「」ピポポ

クロシュ「………?」


↓1コンマ
01-10 踏破率+3、強敵
11-30 踏破率+3、敵襲
31-50 踏破率+3、魔力の結晶(持久力+2、次回戦闘コンマ+10)
51-70 踏破率+3、生命の結晶(持久力+5)
71-90 踏破率+3、???(本日戦闘コンマ+25)
91-00 踏破率+3、???

―謎の結界 踏破率[3/10] 持久力[9/10]

 カン カン カン…

 ヌッ!

不定形の生物「」グニョグニョ


クロシュ「!?」

イリス「うわあっ!?」

ミスティ「スライム……!?」


 デロデロ…ポン!

スライムクロシュ『こんにちは……』モニョモニョ

不定形の生物「」グニョグニョ

スライムクロシュ『……ことば……わかる……?』モニョモニョ

不定形の生物「」グニョグニョ

スライムクロシュ『んゅ……』モニョニョ…


妖精「クロシュ……これは……多分スライムじゃ、ない……」

スライムクロシュ「……」モニョ…

クローディア「……ええ。スライムに似ているけれど……スライムではないわ」

スライムクロシュ「……」モニョニョ…

クローディア「これは……純化された生命のソースね。言うなれば、生命の素……生命になる前の生命……とでも言えばわかりやすいかしら?」

エバンス「ぜ、全然わからん……」

クローディア「まあ……命の素だってことがわかれば良いでしょう。でも普通、生命のソースはそのままの状態でこの世界に存在していないし……何らかの偶然で発生してしまっても、こんな蠢くゲル状の物質になるとは考えにくい……」

ローガン「……つまり、この結界の主が意図的にこれを作り出したということですかな?」

クローディア「そう考えるのが自然でしょう。そして……生命のソースの作り方は――わざわざ説明するまでもない」

イリス「……」

ミスティ「……予想通りの外道というわけね。ここの主は」


不定形の生物「」グニョグニョ

スライムクロシュ「……」モニョ…

 モニョモニョ… モグモグ…


エバンス「うおっ!? クロシュちゃん、それ食って大丈夫なのか!?」

クローディア「……生命のソースは食べられます。もし毒性を有するものでも、スライムのクロシュなら問題なく消化できるでしょう。見たところ、魔法や呪いの類がかけられているわけでもありません」

エバンス「そ、そうか……」


スライムクロシュ「……」モニョモニョ モグモグ…

 *

 カン カン カン…

 金属扉「」ギィ…

 部屋中に飛び散った赤い液体「」ベチャッ


イリス「うっ……!?」

ミスティ「これは……まさか……!!」

エバンス「……いや、待て……! 見た目はともかく……血の匂いはしないぞ」

イリス「……あ、本当だ……」

ミスティ「じゃあ……これは、何……?」

妖精「……」

クローディア「これは……今度は、スライムみたい。飛び散っているのは……このスライムを構築していた粘体でしょうね」

ローガン「ぬう……」

ミスティ「……赤い、スライム……?」




床に転がっている小さな核「」

クロシュ「……」トコトコ

 デロデロ…ポン

スライムクロシュ『生きてる……?』モニョモニョ

『……だ……れ………?』モニョ…モニョ…

スライムクロシュ『わたし……クロシュ……。あなたは……』モニョモニョ

『…あた……し……だ、れ…………?』モニョ…モニョ…

スライムクロシュ『……ごめんなさい……。わかんない……』モニョニョ…

『………くる、し……い……。くろ、しゅ……たす、けて……』モニョ…モニョ…

スライムクロシュ『…………食べて、いい……?』モニョニョ…

『……う、ん……。はやく……らく、に……なり、たい…………』モニョ…モニョ…

スライムクロシュ『……わかった……』モニョ…

 モニョモニョ…モグモグ…

『……あり……が………と…………』モ…ニョ…


 ☆クロシュが誰かの分体核を食べました
  本日の戦闘時、コンマが+25されます


↓1コンマ
01-10 踏破率+3、強敵
11-30 踏破率+3、敵襲
31-60 踏破率+3、魔力の結晶(持久力+2、次回戦闘コンマ+10)
61-90 踏破率+3、生命の結晶(持久力+5)
91-00 踏破率+3、???

―謎の結界 踏破率[6/10] 持久力[8/10]

 カン カン カン…

クローディア「……何か来る。構えて」

ローガン「むっ」バッ

エバンス「お、おお……!」バッ


 通路の奥「」ヒタ ヒタ…


イリス「通路の奥……薄暗くてよく見えないけど……」

ミスティ「この足音は……?」

クロシュ「!」


虚ろなブラッド?「……」フラフラ


ミスティ「……ブラッド……!」

妖精「ま、待って! 様子が――」


虚ろなブラッド?『あ……てき……ころさないと……』モニョモニョ

クロシュ「!!」バッ

 シュバッ!!
  ガギンッ!!!

 メイドブレード「」ギギギ
 ブラッド?の刃腕「」ギギギ

クロシュ『ブラッドちゃん……!!』モニョモニョ…!!

ブラッド?『あは……おまえも、あたしとおなじなんだ……!?』モニョモニョ…!!


イリス「クロシュちゃん! 私も――」

クローディア「後ろからも来ている!! 挟み撃ちだわ!!」

ミスティ「えっ!!?」


ブラッド?B「〜〜…」モニョモニョ…
ブラッド?C「〜」モニョニョ
ブラッド?D「〜…」モニョ…
ブラッド?E「〜〜」モニョモニョ


ローガン「ぬう……!!」シャキン

エバンス「冗談じゃねえぞ……!!」シャキン


 ――戦闘開始 ブラッド?の群れ――


↓1コンマ(誰かの分体核+25)
01-10 痛恨 持久力-4
11-40 劣勢 持久力-2
41-90 優勢
91-00 会心

ブラッド?B「」シュバッ!

ローガン「ぬう!」ガギンッ!!


ブラッド?C「」シャッ!

 ガギギギンッ!!

エバンス「ぐおお……!! は、速い……!!」


ミスティ「くっ……速すぎて捉えられない! あいつら、ブラッドの分体なの……!?」

妖精「わ、わからない!! でも……全部今まで戦ってきた分体と遜色ない強さだ!!」

イリス「くうう……!! 援護しなきゃ――」


クローディア「戦の加護を!!」カッ!!


ローガン「!」パァァァ!

エバンス「なんだこりゃ……体が軽くなった!!」パァァァ!!

クローディア「強化の魔法をかけました。今ならそのスライムとも打ち合えるはずです」


 ギギギギンッ!! ドガッ!!

ブラッドC?『〜!』モニャ!
ブラッドD?『〜〜!』モニャニャ!

エバンス「しゃあ! サンキュー大魔女様!」

ローガン「これで我々も皆を守れる……!」ジャキッ



 ギンッ
  ギギンッ

メイド剣士クロシュ『ブラッドちゃん……どうしてここにいるの……!?』モニョモニョ!

ブラッド?『だあれ、それ……? どうでもいい……あそぼ、くろしゅ!』モニョモニョ!

  ガギンッ!
   ギンギンギンッ!!

↓1コンマ(誰かの分体核+25)
01-10 痛恨 持久力-4
11-40 劣勢 持久力-2
41-90 勝利
91-00 勝利

 ギンギンッ
  カチンッ! ドガアンッ!!

ブラッド?B「」デロデロ
ブラッド?C「」デロデロ
ブラッド?D「」デロデロ
ブラッド?E「」デロデロ

エバンス「こっちは片付いた! あとは――」



 ギギンッ
  ドゴッ!!

ブラッド?『んわっ……!』ゴロゴロ モニャニャ

クロシュ『ブラッドちゃん……! もう、やめよ……? 痛いのは……やだよね……?』モニョモニョ

ブラッド?『あは……なにいってるの……? あたし……ころさなきゃだめなんだよ……?』モニョモニョ

クロシュ『え……?』モニョ…

ブラッド?『そうしなきゃ……失敗作は、ぐにょぐにょにされちゃうんだもん!』モニョモニョ!

クロシュ『!!』モニョ!!

ブラッド?『くろしゅは、ちがうの……?』モニョニョ…?

クロシュ『……』



『……そいつらを……解放してやって……』モニョモニョ

クロシュ『!』

『そいつらは……分体のあたしから作られた……言わば、分体の分体……。あたしだけ楽になるのは……やだ……。あたしから生まれたこいつらも……これ以上苦しませたくない……』モニョモニョ

クロシュ『わかった……』モニョモニョ

『お願い……』モニョニョ…



メイド剣士クロシュ『……』シャキン

ブラッド?『あは……やるきになった……! やろ、やろ……!!』モニョニョ…!!

メイド剣士クロシュ『……!!』シュバッ

 ズバァッ!!

 *


 ブラッド?たちの死骸「」ジュクジュク…

スライムクロシュ「」モニョモニョ モグモグ…


ミスティ「……ブラッドの死骸なんて食べて大丈夫……?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ モグモグ

妖精「……大丈夫だって」

ミスティ「そう……」


スライムクロシュ「」モニョモニョ モグモグ…


ミスティ(ブラッド……憎き復讐相手だけれど……)

ミスティ(ここにいたこいつらは、明らかに様子がおかしかった……)

ミスティ(ここは何? なぜブラッドがいるの? ここの主は……何者なの?)

ミスティ(……ここの主に、問い質さねばならない)


 ☆ブラッド?の群れを食べたことで持久力が3回復しました
  さらに、次の戦闘コンマに+15が加算されます


↓1コンマ
01-30 踏破率+3、敵襲
31-60 踏破率+3、魔力の結晶(持久力+2、次回戦闘コンマ+10)
61-90 踏破率+3、生命の結晶(持久力+5)
91-00 踏破率+3、???

―謎の結界 踏破率[9/10] 持久力[10/10]

 カン カン カン…

 金属扉「」ギィ…


イリス「この部屋は……?」

クローディア「……貯蔵庫のようですね」

 貯蔵庫「」バカッ

 何かの結晶「」キラキラ

ミスティ「結晶……?」

クローディア「これは……先ほど言った生命のソースの結晶ね。かなり高純度に物質化されている……これほどの洗練された物質化技術があるなら、ますますあのゲル状の物質が不可解だけれど――」

妖精「……この結晶たちも、元は尋常な生命だったんだ。ここに置いてはいけないよ」

クロシュ「たべる……?」

妖精「食べられる……?」

クロシュ「うん……」

クローディア「……私の手で生命力に変換し、皆に分配しましょう。クロシュ一人で食べるには少々多すぎますから」

妖精「そんなこともできるの? じゃあお願い」

クローディア「ええ。それじゃあいきますよ――」パァァァ


イリス「わ……なんだか、体の奥から力が湧いてくるような……!」ポウ

ミスティ「生命力……これが……」ポウ

エバンス「少し疲れてたが元気が出てきたな」ポウ

ローガン「おお……これは凄いな」ポウ

クロシュ「わあ……」ポウ


 ☆生命の結晶をみんなで分け合い、持久力が5回復しました


↓1コンマ
01-45 踏破率+3、敵襲
46-90 踏破率+3、魔力の結晶(持久力+2、次回戦闘コンマ+10)
91-00 踏破率+3、???

謎の結界 踏破率[9/10] 持久力[14/10]

 貯蔵庫「」

イリス「あれ? こっちの貯蔵庫は何だろう?」

ミスティ「開けてみましょう」

 貯蔵庫「」パカッ

 何かの結晶「」キラキラ

妖精「これは……結晶化された魔力だね。そのままじゃ食べられないけど――」

クローディア「せっかくですしこれもみんなに分配してきましょう」

妖精「できると思った」

クローディア「当然です。魔力の扱いに関しては世界一の大魔女ですから」パァァァ


イリス「おお〜! 今度は魔力がみなぎる……!」ポウ

ミスティ「こっちは馴染み深い感覚ね……」ポウ

エバンス「よし、戦備は万全だな……!」ポウ

ローガン「うむ……何が出てきても全力を出せるだろう」ポウ

クロシュ「わあ……」ポウ


 ☆魔力の結晶をみんなで分け合い、持久力が2回復しました
  さらに、次回の戦闘コンマに+10が加算されます

 *

謎の結界 踏破率[10/10] 持久力[16/10]

 カン カン カン…

 大きな金属扉「」ドン!

妖精「……異様な気配。この先が最深部かも」

クローディア「もし結界の主がいるなら、私たちの侵入に気付いていないはずがありません。待ち伏せしていると思った方が良いでしょう」

エバンス「大人しくお縄についてもらいたいとこだがな」

ローガン「……しかし、ブラッドくんの分体たちによる襲撃こそあったが、この施設の警備システムとしての動きとは思えなかった。ここの主は不在なのではないか?」

クローディア「不在だとしても、普通は自動的に動く警備システムを構築するはず……。誘い込まれたと考える方が自然かもしれません」

イリス「誘い込まれた……罠ってことですか?」

クローディア「ええ。例えば、この扉を開けた瞬間施設ごと大爆発! とか」

エバンス「ええ……勘弁して欲しいぞそれは」

クローディア「今のところそれらし魔力反応は検知できていません。それに爆発やそれに類する事象が起きたとしても、私の防護魔法が発動する方が早いので大丈夫です」

妖精「そりゃまあ頼りになる……。とにかくここまで来たら開けるしかないし、さっさといこう」

クローディア「ええ。それじゃあ私が先陣を切りましょう――」スッ

 大きな金属扉「」ガチャッギィィー…

 *

―謎の結界 最深部

「おやおや、ようやくここまで辿り着いたんですか。思ったより遅かったですねえ」


クローディア「お前は――」

イリス「あなたは――留学生の、ノーラさん!?」

ノーラ「アッハ、まだそんな偽りを無邪気に信じているんですか? 天下のダークヒーローも大したことありませんね」

クローディア「変装を解いたらどうですか? 冒涜の魔術師カリス・ノーランド」

妖精「えっ!? か、カリス・ノーランド……!?」

ノーラ「はあ……太母まで、いつからそんなに節穴になったんですか? いえ……太母は元々でしたね――」スッ

 ポイッ
  砕け散る丸眼鏡「」カシャァンッ―
   銀色から金色へと変化していく髪色「」サラサラ

ノーラ→白衣の金髪エルフ少女→カリス「……ふっ……やっぱり真の姿の方が落ち着きますね」ファサッ

というわけで本日はここまでとなります。次回、カリスとの戦いから開始です

とうとう正体を現した巨悪――それはかつて指名手配され、既に処刑されたはずの国際指名手配テロリストのカリス・ノーランドだった
金属に囲まれた薄ら寒い施設に木霊する、声なき者たちの慟哭。クロシュの心奥に響き、やがて音もなく溶けていく。そして胸に灯るは、静かなる決意。かの邪術師が哀しみをもたらすのであれば――

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

カリス氏はとても邪悪な人物です。野放しにしておけばさらなる被害と哀しみが生まれ続けるでしょう
この物語にはこれまでも恐ろしかったり危険だったり悪どかったりする人物はそれなりに登場してきましたが、このカリスという人物はそれらの誰よりも恐ろしく危険で邪悪な者かもしれません。凶悪なテロ組織のシノホシの面々ですら、この最悪の犯罪者に比べれば対話の余地が僅かでもあるだけまし……と妖精は思っているようです

イリス「かっ、カリス・ノーランドって、史上最悪の極悪魔術師!? でももうとっくに捕まって処刑されたはずじゃ――」

カリス「アッハハ! 私の手にかかれば歴史や因果の捏造なんてお茶の子さいさいってことですね」

妖精「カリス、あなた……生きていたの……!!!」

カリス「わあ〜、そう睨まないでくださいよ太母さまぁ〜。昔のことはもう水に流しましょう?」

妖精「ふざけるな……!! お前のせいで、どれだけたくさんの――」

カリス「あーやだやだ、私根に持つタイプの人って嫌いなんですよね」

 シャキンッ!!

ミスティ「……答えなさい、カリス・ノーランド。10年前のスノウタウン滅亡について……」

カリス「ん? ああ……スノウタウンなら疑似魔王化の初実戦の舞台として使った記憶がありますね。結果は上々……素晴らしいものでした。あの街のお陰で私の研究もさらなる――」

 氷柱「」ヒュンッ!!

カリス「おっと」サッ

ミスティ「……」

カリス「……なるほど、あなたはあの街の生き残りですか。フフ……生き残る喜びを身を以て体験できて良かったですね? 感謝してくれても良いんですよ?」

ミスティ「……殺す」


カリス「やれやれ……仕方ありません。来なさい、私のかわいいクロシュ」

 デロデロ…モニョモニョ…ポン!

操られ分体クロシュ「はい……カリスさま……」モニョモニョ


クロシュ「!!」

妖精「あいつ……やっぱり……!!」


カリス「あの怒りっぽい人たちと遊んであげなさい。食べても構わないよ」

操られ分体クロシュ「……わかりました……」モニョモニョ

 モニョモニョ――シャキンッ
  赤熱メイドブレード「」ジュッ!!

操られ分体炎メイド剣士クロシュ「……やっつけます……」チリチリ


 ――戦闘開始 カリス&操られ分体クロシュ――

 ☆カリスが〈生命惨歌〉を発動!!
  カリス以外の味方の人数*30をコンマに加算!!
  戦闘終了後、カリス以外の味方は死ぬ!!!

↓1コンマ(分体核+25、ブラッド?+15、魔力結晶+10、生命惨歌-30)
01-10 痛恨
11-30 劣勢
31-90 優勢
91-00 会心

クロシュ「!!?」モニャ!?

妖精「な、なんで!? あいつは分体なのに――なんで炎化できて、メイドブレードまで――」

カリス「配下の潜在能力を引き出してあげるのも主人の務めですから。フフ、クロシュを失敗作と見なした過去の私も節穴だったようです」

ミスティ「こいつ……!! 命を失敗作などと……!!!!」ギラッ

カリス「おっとっと」サッ
 凍る地面「」ガギンッ!!

エバンス「初見でミスティちゃんの技が避けられただと!?」

カリス「負属性に気付けてるのは合格。でもそんな発動速度じゃ雑魚にしか――」

 星弾「」ギュンッ!!

 障壁「」ヴン!

 ドガァンッ!!

カリス「喋ってる最中に攻撃しないでくださいよ、礼儀がなってないなあ」モクモク

イリス「くっ……!」


クローディア「イリスとミスティはクロシュの援護へ。この大犯罪者は――」

 万象の杖「」スッ

クローディア「私が裁きます」ジャキ―


イリス「大魔女様……!」

ミスティ「くっ……悔しいけどその通りだわ。奴は大魔女に任せましょう」

カリス「アッハ、早速大魔女ですか……。いきなり大ピンチみたいですね、私……!」

 *

操られ分体炎クロシュ「」シュバッ

 赤熱メイドブレード「」ガギンッ!!
  赤熱メイドブレード「」ガギギンッ!!

操られ分体炎クロシュ「……」ギギギ

炎メイドクロシュ「んゅ……!!」ギギギ

妖精「クロシュ……!! くそっ……こんな淀んだ場所じゃ自然魔法で援護ができない……!!」

 鋼の剣「」シャッ!

 ギンッ!

操られ分体炎クロシュ「!」バッ

ローガン「ぬう……! 不意を突けたと思ったが……!」シャキン

エバンス「だが3対1だ! 分体とはいえクロシュちゃんと戦うのは気が引けるが――」


操られ分体炎クロシュ「……」スッ

 デロデロ…モニョモニョ…

 パラサイトソード「」シャキン!!
 メイドブレード「」シャキン

炎メイドクロシュ「!!」
エバンス「!!?」
ローガン「!!?」

 ヒュッ―
  ギギギギギンッ!!
   ガギンガギンッ!! シュバッ!!

炎メイドクロシュ「んゅっ……!」ズザザッ!!
エバンス「なんだと……なんでだよ……!?」ズザッ!
ローガン「バカな……!!」ズザッ!

操られ分体剣鬼クロシュ「……」ゴゴゴゴ…

 *

 炎「」ゴウッ!!
  旋風「」ビュオオオッ!!

 障壁「」ピシピシ…!!

  光「」カッ!!

 障壁「」バリィンッ!!

クローディア「そこ!」バッ!

カリス「ちぃっ!」ササッ!!

クローディア「喰らいなさい!!」ブンッ!!

 魔法弾「」ギュンッ!

カリス「!!」

 ドガァンッ!!!!

黒焦げカリス「」プスプス…

クローディア「殺しはしない。あなたにはこれから聞きたいことが――」

 ギュルギュル…グジュグジュ…

クローディア「!」

再生するカリス「いったいなあ……! こんな生きる実感とか、求めてないんですけど……!!」グジュグジュ

クローディア「生命魔法……!」


↓1コンマ(分体核+25、ブラッド?+15、魔力結晶+10、生命惨歌-30)
01-10 痛恨
11-30 劣勢
31-90 優勢
91-00 会心

操られ分体剣鬼クロシュ「」ヒュンッ

 シュバババッ!!
  ガギンガギンッ!! ドゴオッ!!

メイドクロシュ「んゅっ……!!」ドンッ ゴロゴロ…

妖精「クロシュ!!」

エバンス「ちくしょう! こいつ――前に魔剣でクロシュちゃんが操られてた時と違って――」

操られ分体剣鬼クロシュ「」シャッ!!

 パラサイトソード「」ビビビッ!!
 メイドブレード「」シュバァッ!!

ローガン「ぬうう……!! 完全に二刀流を使いこなしている……!!!」ギギギギンッ!!


イリス「クロシュちゃん! 援護します!!」

 星弾「」ギュンッ!!

操られ分体剣鬼クロシュ「!」サッ

ミスティ「そこ!!」ギラッ!

操られ分体剣鬼クロシュ「!!」
 凍っていく体「」カチコチ――

 炎「」ゴウッ!!!!

操られ分体炎剣鬼クロシュ「……」ジュウ…チリチリ…

ミスティ「!!」

操られ分体炎剣鬼クロシュ「……」チリッ

 光の残像「」パヒュンッ


妖精「嘘――炎化してる状態で光速移動まで――」


クロシュ「んゅゅ……」ググッ

操られ分体炎剣鬼クロシュ「」パヒュンッ

クロシュ「わ……!?」

操られ分体炎剣鬼クロシュ「……」
 赤熱メイドブレード「」スッ


妖精「だめ!! クロシュ避けてぇ!!!」


 赤熱メイドブレード「」シャッ―

クロシュ「あ――」


『ばか!! ぼうっとしてないで!!!!』モニョモニョ!

クロシュ『ほえ……』モニョ…

『おまえがすっとろいせいでいつまでも眠れないの!! あたしの戦闘経験を使え!!!!』モニョニョ!!

クロシュ『!!』モニョ!!



 ザシュッ!!!!

赤熱メイドブレードに貫かれるクロシュ「」デロ…



妖精「あ――ああああああああ!!!!!!」パタパタパタ!!

エバンス「ま、待て……!!! クロシュちゃんの様子が――」

赤熱メイドブレードに貫かれるクロシュ「……んへへ……」ニタ…

操られ分体炎剣鬼クロシュ「!?」モニャ!?

 デロデロ…モニョモニョ…


ミスティ「相手のメイドブレードを――」

イリス「取り込んで……同化してる!!?」


 ポン!

赤熱二刀流メイドクロシュ「!」シャキン!

操られ分体クロシュ「!!?」モニャニャ!?

赤熱二刀流メイドクロシュ「」シュバッ!!

 赤熱ツインメイドブレード「」シュビビビッ!!!

操られ分体盾クロシュ「〜〜!!」モニャニャニャ!! ガギギギンッ!!

 ドガァンッ!!
 デロデロ…

操られ分体スライムクロシュ「」デロロ…


イリス「やった!!」

妖精「あぁ……」ヘナヘナ…

 *

 ドガン!! カッ!!
  ゴウッ!! ビュオオオッ!!

クローディア「あちらでは決着が付いたようね。あなたもそろそろ悪あがきを辞めたら?」

カリス「ちっ……もう少し時間を稼げると思ってたのに。あそこまで強化してやってこれじゃやっぱり失敗作かな」

クローディア「……もう喋らなくて結構。あなたの言葉を聞いていると虫唾が走ります」

カリス「へえ。私と同じ穴のムジナの癖に」

クローディア「……」

カリス「掃除の魔王を無間地獄に落として積み上げた楽園の玉座はどんな座り心地ですか? 無知蒙昧な衆愚を作り上げて慕われるのはどんな気分ですか? ねえ? 大魔女さ――」

 光線「」カッ!!

再生するカリス「っつう……! 言葉で返せないから暴力ですか。ブタオーク並の倫理観でがっかりですよ」グジュグジュ

クローディア「二度と喋れないようにしてあげましょう。喉が潰れていても尋問は可能ですので」スッ

カリス「アッハ……仕方ない、そろそろ本気を出しましょうか……」

クローディア「もうとっくに本気でしょう。底は見えていますよ」

カリス「フフフ……勘違いしないでください。本気を出すのは――」スッ

クローディア「――!!」

カリス「私のクロシュですよ!!」カッ!!!!

 *

操られ分体スライムクロシュ「〜〜!!!!」モニャニャニャニャ!!


クロシュ「!!?」

イリス「な、これは……!!」


 漆黒の邪気「」ズズズズ…


ミスティ「魔王化もどき……!!」

ローガン「ぬう……!」シャキン!


 デロデロポン!


スライムクロシュ「!」モニョニョ!

操られ分体スライムクロシュ「〜〜!!」モニャニャニャ!!

スライムクロシュ「!」バックン!!

クロシュに呑まれた操られ分体スライムクロシュ「〜〜…」モニャニャ―

 モニョモニョ…モグモグ…


エバンス「た、食べた……!? 大丈夫なのか!!?」

妖精「く、クロシュ……!! やめて、もしあなたまで魔王化しちゃったら――」


スライムクロシュ『この子も……元は……わたしだったから……』モニョモニョ…モグモグ…

妖精「!!」

スライムクロシュ『これ以上……苦しませない……!!』モニョニョ…モグモグ…!!

 〈会心の食撃!〉

 モニョモニョ…モグモグ…

 *

カリス「……あれ?」

クローディア「……目論見は外れたようね」

カリス「ふむ……このケースは初めてです。まだまだ研究が――」

クローディア「もう黙りなさい」ヒュッ

 ドゴッ!!

カリス「うっ……!!」フラッ

 魔封の縛鎖「」ジャラララッガシッ!!!!

縛られるカリス「うあっ……!」ギチギチ

クローディア「完全なる魔封の縛鎖……これであなたはもう何もできない」ツカツカ

縛られるカリス「アッハ……本当に絶体絶命ですね、これは……」

クローディア「何も言わなくて結構。心を暴いてあげる」ツカツカ

縛られるカリス「……あー……」

クローディア「あら、本当に何も言わなくなるの?」ツカツカ

縛られるカリス「……まあまあ楽しかったですよ」

クローディア「……!!」バッ!!

縛られるカリス「ではお先に失礼――」キュイイン――

 カッ――
 衝撃吸収陣「」ギュオオオオオッ!!!!

クローディア「……危なかった。これほどの爆発……あと一瞬衝撃吸収陣の展開が遅れていたら施設諸共無に還るところだったわ……」

クローディア「まさか魔力に頼らない爆発手段を体内に仕込んでいたなんて……。こいつ……」


 ――戦闘終了――


スライムクロシュ「……」

『やっと終わった……これでようやく……おまえの中に、溶けられる……』モニョモニョ…

スライムクロシュ『……あなたは……ブラッドちゃんの……分体、なの……?』モニョニョ?

『さあ……あたしの本体が誰だったのかは、もう思い出せない……。そのブラッドってのは、あたしと同じ姿をしていたの……?』モニョモニョ

スライムクロシュ『うん……』モニョ

『そう……。じゃあ、もしその本体に出会うことがあったら、よろしくね……。クロシュみたいな優しいスライムなら……きっと、仲良くなれると思う……』モニョモニョ

スライムクロシュ『……』モニョ…

『……ここに来て……あたしたちを、助けてくれて……ありがとう………クロシュ……………』

 ☆誰かの分体を消化しました
  クロシュのスライム能力レベルが上がりました

 ◆

 一方その頃――

―大魔女宮殿

クロ「……なんだろ……胸がざわざわする……。大魔女さま……」

「見〜つけた。クロ教授」

クロ「えっ……」

ノーラ「お久しぶりです。お元気になさってましたか?」スタスタ

クロ「あ、うん……。ノーラ……どうして、ここに……?」

ノーラ「どうしてって、お見舞いに決まってるじゃないですか。クロ教授のこと、みんな心配してるんですよ?」

クロ「そ、そうじゃなくて……だって、今日は……」

ノーラ「……」

クロ「宮殿を、閉めてるはずなのに……」

ノーラ「……」

クロ「ノーラ……?」

ノーラ「……クロ教授のことが心配で、無理して入ってきました。だって……クロ教授っていつも笑ってるのに……心は、泣いてるから……」

クロ「え……」

ノーラ「……私……勝手に、クロ教授のことについて調べちゃいました。クロ教授は……その……魔王、だったんですよね……」

クロ「……!!」

ノーラ「大丈夫です、誰にも言いふらす気はありません。ただ……私は、クロ教授をこのまま放っておけません……! 私……クロ教授の苦しみを……なんとかしたいんです……!!」

クロ「だ、だめだよぉ……。わたしなんかのこと……そんな風に思う必要なんて……」

ノーラ「大丈夫です! 私が勝手にやりたくてやってるだけですから! 全部、私自身の為なんです!」

クロ「え……そ、そうなの……?」

ノーラ「はい! なので安心してください! 実はもう……クロ教授の苦しみを取り除く方法も見つけてあるんです……!」

クロ「えっ……!?」

 奇妙な本『ある風船スライムのお話』ポン! モニョモニョモニョ…

クロ「ひっ……!? な、なんで……」

ノーラ「フフ……これを読めば、クロ教授は救われます。かつての自分を取り戻し……罪過に苦しむ心は闇の奥底に沈んでいっちゃうはずですから……」

クロ「や、やめてぇ……わたし……戻りたく、ない……」

ノーラ「なぜです?」

クロ「だって……この国のことも……大魔女さまのことも……裏切りたくない……!」

ノーラ「裏切る? 何を言っているんです? あなたの献身を今も尚裏切り続けているのは、他ならぬこの国と大魔女様自身でしょう! クロ教授がどれほど苦しんでいるかも知らず、愚かな民は自堕落に暮らし――大魔女様はそんな衆愚に慕われて陶酔し切っている! こんな地獄、私は許せない……!!」

クロ「ち、違う……! 大魔女さまは……苦しんでるわたしを、助けてくれて……」

ノーラ「違いませんよ。国の為ともっともらしい大義名分を掲げて、苦しんでいるあなたを放置している。大魔女様は、この街を浮かせる為にあなたを利用しているだけなんです」

クロ「違うもん……!」

ノーラ「違いません。目を覚ましてください、クロ教授――いいえ、掃除の――」

 ドシュッ!!

ノーラ「」ドサッ

クロ「ふえ……!?」

クローディア「そこまでよ、曲者」スタスタ

クロ「だ、大魔女さま……!? なんでここに……!?」

クローディア「調査に出たのは鏡の私。ここを手薄にするわけにはいかないもの」

クロ「あ……」

クローディア「この曲者の言い分には耳を貸さないでね、クロ。私はあなたを――」


『この楽園を作り上げる為に、私は魔王の力を利用したの。丁度良いタイミングで丁度良い浮遊物体が出てきてくれたな、なんて思ったわ』ジジ…


クローディア「!!?」バッ


『この楽園を作り上げる為に、私は魔王の力を利用したの。丁度良いタイミングで丁度良い浮遊物体が出てきてくれたな、なんて思ったわ』ジジジ…


クロ「あ……」ジワ…


転がっている録音水晶『この楽園を作り上げる為に、私は魔王の力を利用したの。丁度良いタイミングで――』ジジ…

 パリンッ!!

砕けた録音水晶「」グシャ…


クローディア「クロ!! 今のは――」


クロ「……」ポロ…ポロ…


クローディア「……!!!」


クロ「えへ……。ぐすっ………わかって、た……。大魔女さまが……わたしの、力を目当てに……してた、こと………」ポロポロ

クローディア「クロ、違うのよ……! あれは――」

クロ「……でも……良かった……。大魔女さまが……わたしのこと……愛して……なくて……」ズズ…

クローディア「――!!!!」

 
 奇妙な本『ある風船スライムのお話』ペラッ…ペラッ…
  バララララララララッ――


クロ「やっぱり……愛なんて……なくさなきゃ、だめなんだね……」ズズズ……


クローディア「クロぉーっ!!!!!!」

 *

―謎の結界

 カン カン カン…

クローディア「!!!!」

イリス「……? 大魔女様、どうしたんですか?」

クローディア「ごめんなさい、先に戻るわ!!」

 光の残像「」パヒュンッ


エバンス「うお、光速移動……!」

ミスティ「何かあったのかしら……?」

妖精「……嫌な予感がする。私たちも急ごう」

クロシュ「ん!」

 *

 カンッカンッカンッ!

妖精「えと……クロシュ、体は大丈夫」パタパタ

クロシュ「うん……ブラッドちゃんの、おかげ……」

妖精「そ、そう……。でも何事もなくて良かった……」

クロシュ「……わたし……ブラッドちゃんと……お話、してみたい……」

妖精「うん。今度会うことがあったら……いろいろ聞いてみたいことが増えたね」

クロシュ「うん……!」


ミスティ「……私の復讐は……間違っていたのかしら……?」

妖精「……それも確かめたいし。それにいつもブラッドの方がこっちを襲ってくるんだから、ミスティが正当でない復讐をしたってことにはならないよ。この前分体をやっつけたのも正当防衛だよ」

ミスティ「まあそれはそうだけど……」


ミスティ(……あのカリスという邪術師……爆死したらしいけれど……まるで終わった気がしないわ……。それは……私自身がトドメを刺したかったから……? それとも……)

 ◇

―大庭園 奥地

 トプン―

エバンス「っはあ! シャバの空気はうま――おああああ!!?」

ミスティ「なっ……!? 何よ、あれ……!?」


  黒く染まった空「」ゴゴゴゴゴ――

  頭上で異様な雰囲気を放つ漆黒の大気球「」ゴゴゴゴゴ――


ローガン「これは!? 何が起きている!?」

イリス「まだ昼間ですよね!? なんで空が黒く――」


ティリウス「みんな、戻ったんだね!! なんか空と気球の様子がおかしいんだ!!」

妖精「ティリウス!」

ティリウス「大魔女様も光の速さですっ飛んでいっちゃって……! 一体何が起きてるかわかるかい!?」

クロシュ「…………クロ、さん……」

妖精「!!」

ティリウス「クロさん……クロ教授のこと?」

クロシュ「…………うん」

妖精「まさか――」


  漆黒の大気球「」ゴゴゴゴゴ…モニョモニョモニョ…


クロシュ「……クロさん……泣いてる……」


  漆黒の大気球「」キュオオオオオン――


イリス「わっ……!? な、なんか……とんでもない魔力が、あの気球の中で高まって――」

妖精「はっ……ま、まずい!! もしあれが掃除の魔王なら、直下にあるこの楽園空中都市は――」

ミスティ「あっ……」


  漆黒の大気球「」キュオオオオオオオ――
  燼滅波「」カッ――


クロシュ(……全てを無に還す……哀しみの光……。諦める暇すら、ない)

クロシュ(でも……その光は……ここまで、届かなかった――)



空を飛ぶクローディア「はああああああ!!!!!!!」
 魔力吸収陣「」ギュオオオオオオオオオッ!!!!!!!



イリス「あ、あれは……大魔女様!?」

ミスティ「嘘……!? あれを……吸収しているの……!!?」

妖精「ば、馬鹿な……!! あんな膨大な魔力、吸収できるわけ――」


 燼滅波「」ズドオオオオオオ!!!!!
 魔力吸収陣「」ギュオオオオオオオオオッ!!!!!!!


エバンス「じ、実際に吸収してるぞ!!」

ローガン「う、うむ……! しかし――」


空を飛ぶクローディア「ぬうあああああああ!!!!!!!!」ググググ…


イリス「こ、このままじゃ押し負けちゃう!!!」

エバンス「どうすりゃいいんだよ!? 俺たちにできることはないのか!?」

妖精「そ、そんなこと言われても……! ええと、確か掃除の魔王は……」

ミスティ「側面や上方が弱い……!」

妖精「そ、そう! どうにかして上空に行ければ――」


 モニョモニョポン!


風船クロシュ「〜〜!」モニョニョ!

ローガン「クロシュくん!」

妖精「そっか! その風船なら……!」

ティリウス「なるほど……! それなら、カゴはこれを使ってくれ!」バッ!

 蔓で編まれた気球用カゴ「」シュルシュル…ポン!

風船クロシュ「〜!」モニョ!
 蔓のカゴ「」ポン!

エバンス「よし、乗り込め!」

ローガン「うむ……! 持ってくれ、大魔女殿……!」

ミスティ「乗り込むわ! お願い、クロシュ!」

イリス「……あ、そうだ! 妖精さん、この結界引っ張って来れないかな!?」

妖精「えっ!? まあできないこともないけど――あ、そうか!」

イリス「うん! 世界樹の結界なら、あの消滅魔法にもきっと抗えるはず!」

妖精「冴えてる! 引っ張ってこう!」

 結界「」ニュン―

妖精「クロシュ、出ていいよ!」

風船クロシュ「〜!」モニョ!

 フワフワ…モニョモニョ…

 *

―楽園空中都市エデン上空


漆黒の大気球「」ゴゴゴゴゴ…モニョモニョモニョ…

 燼滅波「」スドオオオオオッ!!!!!
 魔力吸収陣「」ギュオオオオオオッ!!!!

クローディア「ぐ、う……これは……あなたを苦しめ続けた私への……罰……なのかしら……」ググググ…


「大魔女様!!」


クローディア「えっ……!?」


風船クロシュ「〜〜!」モニョニョ!! フヨフヨ

イリス「大魔女様! 私たちも手伝います!!」

クローディア「馬鹿! 離れなさい、ここにいたら――」

妖精「この国のどこにいたって同じでしょ!!!!」

クローディア「う……それもそうね……」

妖精「あの犯罪者の作った結界を引っ張ってきた! ちょっと待ってね――」パタパタ


 妖精の大結界「」カッ―!!
 燼滅波「」ジジジジジッ……!!!!


イリス「わあ……! 抑え込めてる……!!」

ミスティ「妖精が使うと……こんなにも明るく透き通った結界になるのね……」


妖精「くうっ……! あの最悪犯罪者が無駄に魔力を充填しといてくれて助かった! もうしばらくは保ちそう……!!」グググ

クローディア「あの庭園奥地からこんな上空まで……!? フフ、やはり伊達ではないわね……緑の国の太母……!」

妖精「そ、そういうのいいから早くなんとかして!! 私がこっちを抑えられる間に!!!」

クローディア「わかりました……! クロシュ、大気球の上まで飛んで来れる!?」

風船クロシュ「〜!」モニョ!

クローディア「じゃあ一緒に来て! あなたたちの助けが必要です!」

風船クロシュ「〜〜!!」モニョニョ!!

 *

―空中楽園都市エデン上空 大気球側面

漆黒の大気球の側面「」ゴゴゴゴ…モニョモニョモニョ…


風船クロシュ「」フヨフヨ

クローディア「ここから……大気球を、攻撃します」

風船クロシュ「!」


風船クロシュ『……クロさんは……』モニョニョ…

クローディア『……終わりにします……。あの子の……苦しみを……』モニョモニョ

風船クロシュ『……』モニョ…

クローディア『もう……こうするしか、ないのです……。この街も……もう、終わりです……』モニョニョ…

風船クロシュ『……』

クローディア『こういう事態に備えて、街を可能な限り安全に不時着させる為の保険はかけてあります。最悪の事態にはなりません』モニョモニョ

風船クロシュ『………』

クローディア『再び人の姿を与えるというのは絶対になしです。そのせいで……あの子は苦しんだのですから。もう……眠らせてあげなければ……』

風船クロシュ『…………』


風船クロシュ(……なんとか……してあげたいけれど……今は……方法を考えている時間も、ない……)

風船クロシュ(………戦いながら……考えよう……)


 ――魔王降臨 漆黒の大気球――


 ☆漆黒の大気球が〈哀を絶つ祈り〉を発動!
  会心率が絶大に上昇し、コンマ+500!!

 ☆クロシュたちが〈側面取った!〉を発動!
  痛恨および相手のコンマ補正を無効化!!
  さらにコンマ+30!!


↓1コンマ(側面+30)
01-50 劣勢 結界損耗大
51-90 優勢 結界損耗小
91-00 会心

クローディア「はあっ!!」カッ!!

 魔法弾「」バギュンッ!!
 大気球の側面「」ドガァンッ!! モクモク…

イリス「私たちも大魔女様に続こう! はぁぁぁ……!!!」ゴゴゴゴ…

ミスティ「ええ……! あれだけ大きいと凍らせられないし、氷柱も通らない……ならば!!」カッ!

 氷塊の群れ「」ドギュンッドギュンッ!!
 大気球の側面「」ドゴォンッ!!

ローガン「我々は天辺に行くぞエバンスくん! 射撃より直接攻撃した方が強い!」シュバッ!

エバンス「おう! ちっと跳ぶぞ、クロシュちゃん!」シュバッ!

風船クロシュ「〜〜!」モニョニョ!

 *

妖精「わ……! 気球の側面をローガンとエバンスが駆け上がっていく……! あいつら凄いなあ……!」

 妖精の大結界「」ジジジジジ…!!

妖精「私も負けてられない……えっ!?」


首輪を付けられた飛竜「ギャオオオ!」バサッバサッ


妖精「う、嘘……なんで、疑似魔王化した飛竜が……!!」


首輪を付けられた飛竜「ギャオギャオ!!」バサッバサッ


妖精「こ、来ないで!! ここで私が斃れたら――」


 ドゴオッ!!

首輪を付けられた飛竜「グギャッ……!」

翼で飛ぶサボテンドラゴン「〜〜!!」


妖精「えっ……サボテンドラゴン!? しかも翼で飛んでる――」


トム「こんにゃろう!! 妖精の邪魔をするんじゃねえ!!」グオンッ!!

 ドゴオッ!!

首輪を付けられた飛竜「ギャオオオオンッ!!!」


妖精「と、トムまで!? どこから飛んできたの!?」


トリル「妖精さん!」

ユキ「私たちも来たわ!!」


妖精「ええっ!?」


空飛ぶ絨毯「」ヒラヒラ


ユキ「トリルがこの絨毯を描いてくれたの!」

トリル「そのサボテンドラゴンさんも僕が描いたんだよ! 本当のサボテンドラゴンは飛ばないんだけど、絵だからね!」

トム「何が起きてんだか知らねえが、妖精たちが街を守ってくれてんのはわかってる! オレたちも一緒に戦うぜ!!」


妖精「みんな……!!」


↓1コンマ(側面+30)
01-50 劣勢 結界損耗大
51-90 優勢 結界損耗小
91-00 会心

イリス「はああああっ!!」

 星光の奔流「」ギュオオオッ!!!!
 大気球の側面「」ドガァァァンッ!!!

イリス「はあ、はあ……! なんて堅さなの……!?」

ミスティ「くっ……でも泣き言を言っている暇はないわ……! 私たちがモタモタしている間も、妖精の結界は消耗していく……!」

イリス「わ、わかってるよぉ!」バッ!


クローディア「くっ……! 結界調査からの連戦ともなると、あの子たちにとってはキツくて当然か……! やはり私が――」

 ズキッ!

クローディア「っ……! さっきの……無茶な魔力吸収が効いてるわね……! しっかりしろ、私の体……!!」ググッ!!



風船クロシュ「〜〜!!」モニャニャ!!

イリス「え、クロシュちゃんどうし――」


首輪を付けられた飛竜の群れ「ギャオオオッ!!」バサッバサッ


ミスティ「えっ……!? 何よ、あれは……!?」

クローディア「カリス・ノーランド……!!」ギリッ


 ヒュンッ!!

飛竜の群れを攻撃するホムンクルスたち「」シュバッ!! ドゴンッ!!
飛竜の群れを攻撃する航空オートマタ「コウゲキスル」ダァンダァン!

飛竜の群れ「ギャオオオオンッ!!」


イリス「えっあのホムンクルスたちは……!?」


ロディナ「遅れて申し訳ありません、大魔女様」ヒュン

クローディア「ロディナ!」

ロディナ「飛行魔法が使えるホムンクルスの有志を募り、航空オートマタと共に援護に参りました」

クローディア「でかしたわ! そのまま私たちの援護を! 余裕のある者は大気球を攻撃して!」

ロディナ「承知致しました」


イリス「わあ……! これなら――」

クローディア「油断はできないわ! 何より――」


漆黒に染まっていく飛竜「」ズズズズ――


イリス「疑似魔王化……!」

クローディア「我が航空戦隊でもあの相手は荷が重い……! 急がなければ!!」


↓1コンマ(側面+30)
01-50 劣勢 結界損耗大
51-90 優勢 結界損耗小
91-00 会心

ユキ「はっ!」ギラッ

凍る飛竜「ギャッ……」カチンッ!


飛竜の群れ「ギャオオオンッ!!」バサッバサッ

トム「どんどん数が増えてきやがる!! キリがねえ!!」

トリル「でも妖精さんには絶対に近づけさせないようにしないと……!!」

ユキ「くっ……! 私たちだけじゃ手が足りない……!!」



フローレンス「それー」ヒュンッ

 ズバズバザシュッ!!!

落ちていく数匹の飛竜「」ヒューン


トリル「え……? 飛竜がいきなり落ちて……」

トム「うおっ!? なんか滅茶苦茶速く飛んでる奴がいる!!」

スール「小童ども、無事かい!? 薬を持ってきてやったよ!」ヌッ

トリル「わああああ!?」

トム「魔法屋のおばさん!? なんでこんなとこに!?」

スール「はっはっは、蛇は飛べるのさ! 知らなかったのかい?」

ユキ「聞いたことないけど!?」

 *


ロディナ「ふっ!」カッ!

 魔法弾「」バギュン!!
 ドガァンッ!

飛竜「ギャオオオンッ!!」


飛行オートマタ「コウゲキスル」ダァンッ!

飛竜「ギャオギャオ!」


疑似魔王化した飛竜「GYAOOOOOOOOOON!!!」バサッバサッ

飛行オートマタ「ソンショウ……」ボロボロ



イリス「うう……! 時々疑似魔王化した個体が現れて、少しづつ押されてる……!」

ミスティ「くっ……! イリス、あなたは大気球への攻撃に集中して! 私は飛竜の方を攻撃する!」

イリス「わ、わかった!」


イリス(でも……実のところ、もう魔力が限界で……頭がふらふらする……)

イリス(持ってきたポーションももう呑みきっちゃったし……)

イリス(でも、ここで負けたら、何もかも終わりだ……! こうなったら、魔力枯渇死を覚悟で――)


「闇夜に輝く星の如く 我らの希望、偉大なる大魔女 その力、無限の魔法 我らを守り、導く光――」♪

「天空に浮かぶこの都市 大魔女のもとに栄え その慈悲深き心に 我らは永遠の忠誠を誓う――」♪


イリス「はっ……! この歌は――」

ミスティ「力が……湧いてくる……!!」

クローディア「ヨハンナとクリス……!! クリスの祝福の歌をヨハンナの声魔法で空まで届けてくれてるのね……!!」


「真なる巨悪を討つ 闇の英雄ダークヒーローイリス 伝説の大魔女と共に空を舞う――!!!!」♪

「正義は胸の奥に 勇気の杖は天高く 戦い続けるダークヒーロー 唸れ 星光のスターライト――!!!!」♪


イリス「……よし……気合、入ってきた……!!」ゴゴゴゴ!!!!


↓1コンマ(側面+30)
01-50 劣勢 結界損耗大
51-90 魔王撃破
91-00 会心

 会心賽が転がる――


イリス「唸れ――星光のスターライトォ!!!!」カッ!!

 星光の奔流「」ドギュウウウウンンッ!!
 大気球の側面「」ドゴオオオオンッ!!!!!

漆黒の大気球「」ゴゴゴゴ…モニョ…モニョ…


風船クロシュ「……」モニョ…


風船クロシュ(だめだ……何も……おもいつかない……)

風船クロシュ(このまま……クロさんが……滅ぼされるのを、見てるしか……ないの……?)

風船クロシュ(……でも……このまま、苦しみ続けるくらいなら……終わらせて、あげるのが……良いのかな……)


 ――『愛しているから、一つになるんだもん……』

 ――『……ここに来て……あたしたちを、助けてくれて……ありがとう………クロシュ……………』


風船クロシュ(……違う。あった……わたしたちらしい……やり方……!!)モニョニョ…!!



風船クロシュ「……」ググググ―

イリス「……ん?」

ミスティ「クロシュ……?」

 スポーンッ!!

スライムクロシュ「〜〜!!」モニョニョ!!

イリス「え、ええ!? 風船のクロシュちゃんから、スライムのクロシュちゃんが飛び出してった……!?」

ミスティ「ど、どういうことよ!? 分体!?」

分体風船クロシュ「」フヨフヨ

クローディア「違うわ……分体はその風船で……あの飛んでいったスライムがクロシュの本体よ!!」

イリス「ええっ!?」

ミスティ「クロシュ、何を!?」

 *

 大気球の側面「」ゴゴゴゴ…

スライムクロシュ「〜〜!」ベチャッ! モニョニョ!!

漆黒の大気球「」ゴゴゴゴ…モニョモニョ…


スライムクロシュ『クロさん……わたしの声……きこえる……?』モニョモニョ

漆黒の大気球『えぐ……ぐすっ……』モニョモニョ…シクシク…

スライムクロシュ『やっぱり……魔王になっちゃうと……何も、聞こえなくなっちゃうんだね……』モニョニョ…

漆黒の大気球『ぐすっ……えぐ、えぐ……』モニョモニョ…シクシク…

スライムクロシュ『……大丈夫……クロさんのかなしみは……わたしが、溶かしてあげるから……』モニョモニョ

 モニョモニョ…モグモグ…

 ◆

というわけで本日はここまでとなります

邪悪なるカリス・ノーランドを打ち倒して庭園に戻るも、息を付く間もない大異変の渦中だったクロシュ一行でした
カリス・ノーランドの邪智によってついに復活を果たしてしまった掃除の魔王こと漆黒の大気球。空前絶後の危機に晒される大魔女帝国ですが、大魔女やクロシュたちだけでなく住民の方々も立ち上がり、危機に立ち向かっているようです。この騒動がどこに着地することになるかは未だわかりませんが、会心の女神に微笑みを強いたのできっと良い運命が拓かれることでしょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

クロシュ氏はデロデロに溶け合う世界について肯定的な考えを持っています。これはスライム以外の人にはなかなか理解されづらい考え方なので、クロシュ氏は他者に押し付けるつもりはあまりないようです

かつてない規模の戦いでしたが、実のところ道半ばであります。今回の目的地は大陸西部上空の世界樹の光なので、まだ目的地に到着していないようです。先はまだまだ長そうです

大魔女帝国で暮らしている人々にとっては、自分たちが生きるか死ぬかの瀬戸際なので、立ち上がらざるを得ない状況でもあるのかもしれません。今回の戦いはとても規模の大きいものとなったようです

―??
 静かな集落跡

 焼け落ちた木々「」
 倒壊した家屋「」
 人の死体「」
 魔族の死体「」
 スライムの死骸「」
 風船スライムの死骸「」


黒い風船スライム「……」シクシク


クロシュ「……」モニョ


黒い風船スライム「ぜんぶ……ぜんぶ……終わっちゃった……」モニョモニョ

クロシュ「……」

黒い風船スライム「なんで……みんな、生まれてきたんだろう……。こんな終わり方で……終わる為に、生まれたの……?」モニョニョ…

クロシュ「……」

黒い風船スライム「みんな……みんな……わたしを……大好きでいてくれて……。わたしも……みんなのこと……大好きだったのに……。なんで……なんで……」モニョニョ…

クロシュ「……」

黒い風船スライム「大好きだったから……大好きでいてくれたから……嬉しくて……しあわせだったのに……。大好きだったから……こんなにも、苦しいの……?」モニョニョ…

クロシュ「……」モニョ…

黒い風船スライム「こんなことなら……大好きに、ならなきゃ……良かった……。わたしなんか……大事にしてくれなきゃ、良かった……」

クロシュ「……」モニョニョ…

黒い風船スライム「ああ……でも、でも……大好きなのに……! みんなのこと……大好きで……ずっと一緒に、この村で暮らしてたくて……! ただ、それだけだったのに……!! 大好きにならなきゃ良かったなんて……思いたくないのに……!!」モニャニャ…!!

クロシュ「……」モニョ…

黒い風船スライム「もう……やだ……」モニャ…

クロシュ「……クロさん……」モニョ

黒い風船スライム「クロシュちゃん……。わたしのことなんて……放っておいて……」モニョ…

クロシュ「……いいの……? 大魔女さんのことも……街のことも……みんな……終わりに、しちゃって……」モニョモニョ

黒い風船スライム「いい……。好きになっちゃいけなかったのに……なにもかも忘れて、また好きになったわたしが……いけないの……。苦しむのは、もう……わたしだけで……いい……」モニョニョ…

クロシュ「でも……」モニョ…

黒い風船スライム「わたしの、ちからなら……みんな……苦しむ隙間もないくらいに、一瞬で……終わらせて、あげられる……。だから……これで、いいの……」モニョモニョ…

クロシュ「……だめ……。クロさんも……苦しいのは……だめ……」モニョニョ…

黒い風船スライム「いいもん……。だって……大魔女さまも、魔王の力が欲しかっただけだって……。わたしのことなんて、本当はちっとも愛してなかったって……。だから……嫌われ者のわたしが……苦しむだけなら……いい……」モニョモニョ…

クロシュ「……きっと、誤解……。大魔女さんは……クロさんのこと……とっても、大事にしてる……」モニョモニョ

黒い風船スライム「してない……! してちゃ、だめなの……!!」モニョニョ…!!

クロシュ「……んーん……大事にして、いい……!」モニョ…!

黒い風船スライム「なんで……!」モニョ…!

クロシュ「だって……。こんな、どうしようもなくて……苦しいばっかりの世界でも……」モニョニョ―

 ――フメイ『』ギュッ
  ――妖精『』ナデナデ
   ――パーティのみんな『』ニコニコ

クロシュ「大事にして……大事にされるから……生きて、いけるの……!!」モニョニョ…!

黒い風船スライム「……そんな、ぬくもりがあるせいで……失ったら、余計に凍えちゃうの……!!」モニョニョ…!

クロシュ「んゅ……」モニョ…

黒い風船スライム「最初から……そんなものが、なければ……こんなにも……哀しく、ならなかったもん……!!」モニョニョニョ…!!

クロシュ「んゅゅ……」モニョニョ…

黒い風船スライム「クロシュちゃんだって……わかるよね……。わたしと……おんなじだよね……?」モニョモニョ…

クロシュ「……」デロ…

  ――ゴオオオ……
  ――メラメラ… パチパチ…
  ――燃える大人の死体「」メラメラ
  ――燃える子供の死体「」メラメラ
  ――燃えるスライムの死骸「」ジュクジュク…

クロシュ「………」デロロ…

黒い風船スライム「だから、クロシュちゃんも――」モニョモニョ―

クロシュ「…………でも……それ、でも……」ジワワ…

黒い風船スライム「ふえ……」

  ――集落のスライム『』モニョモニョ
   ――集落の子供『』キャッキャ
    ――集落のみんな『』ニカッ! コクリ グッ!

クロシュ「……思い出は……なくならないもん……!!」モニョニョ…!! ポロポロ…

黒い風船スライム「――!!!!」モニャッ―!!!!

クロシュ「わたし……みんなが、大事にしてくれた……わたしを……大事に、する……!!!! みんなが、生きてたこの世界のことも……大事に、したい……!!!!」モニョモニョ…!!!!

黒い風船スライム「――」デロ…

クロシュ「クロさんが……苦しくて……哀しくて……どうしようもないなら……わたしが、全部溶かす……!!」モニョモニョ…!!

黒い風船スライム「――…」デロロ…

クロシュ「……だから――」モニョニョ―


 空に入る亀裂「」ビシッ――


クロシュ「ほえ――」


クローディア「クロォー!!!!」バリィンッ!!!!


黒い風船スライム「あ……大魔女、さま……」モニョニョ…ポロポロ…

クローディア「はあ、はあ……迎えに……来たわ……!! 大丈夫……!?」バサッバサッ

黒い風船スライム「だ、大魔女さまこそ……そ、そんなにボロボロで……」モニョニョ…

クローディア「泣く子をあやしていただけ。さ、帰るわよ……!」ザッ!

黒い風船スライム「……でも……」モニョ…

クローディア「あの録音水晶のことを気にしているの? あれは下劣な悪意ある切り抜き!! 私は――あなたを、愛している!!!!」

黒い風船スライム「!!!!」モニャッ…!!!!

クローディア「偉大なる私の言葉と、あの悪辣な邪術師の奸計……あなたが信じるべき方は明白のはずよ!!!! 心に従い、私を愛しなさい!! 我が愛しの秘書クロ!!!!」

黒い風船スライム「う、うぅぅ〜……でも……わたし……魔王で……」モニャモニャ…

クローディア「問題ない!」バッ!!

 白紙の本「」ポン!

黒い風船スライム「ふえ……」モニョ…!

クローディア「あの最悪の犯罪者が擬似魔王化を見せてくれたお陰で……魔王化に関する研究が一気に進んだわ。今なら――あなたの記憶を残したまま、完全に魔王と切り離すことができる……!」

黒い風船スライム「え、え……!?」モニョニョ…!?

クローディア「さあ――漆黒の夜はもう終わり。暖かな朝日が差したら、目覚めなきゃね――」スッ


 白紙の本「」ペラッペラッ―
  バラララララララッ――


黒い風船スライム「あ……あぁ……」キラキラ…

 光となって溶けていく世界「」キラキラ…


黒い風船スライム「大魔女さま……わたし……」キラキラ…モニョニョ…

クローディア「案ずることは何もありません。全てこの大魔女に委ねなさい」ファサッ

黒い風船スライム「う、ん……」キラキラ…



クロシュ「わあ……」モニョ

クローディア「……ここに入って来れたのは……クロシュが道を開いてくれたお陰よ……。実のところ……もう、ほとんど力が残っていなかったの……」フラフラ

クロシュ「ほえ……」モニョニョ

クローディア「ありがとう……クロのことを、最後まで諦めないでいてくれて……。クロのことを……愛して、くれて……」


 光となって溶けていく世界「」キラキラ


クローディア「本当に――ありがとう―――!!」


 ◆

―空中楽園都市エデン上空


 光となって空へ溶けていく大気球「」キラキラ…


分体風船クロシュ「〜〜」フヨフヨ モニョモニョ

イリス「わあ……綺麗……」

エバンス「これは……一体、何がどうなったんだ?」

ミスティ「わからないけど……クロシュが大気球の側面にかじりついたと思ったら、大魔女も慌ててその後を追って大気球の内部に潜り込んでいったのよ……」

ローガン「ふむ……大魔女殿も一緒ならクロシュくんも心配無用か……?」

妖精「はあ……いつもいつも勝手に先行しちゃうんだから、クロシュのばか……」


イリス「……あ! みんな、見て!! あれ!!」


 光となって空へ溶けていく大気球「」キラキラ…

 バサッバサッ

不死鳥クローディア「」バサッバサッ


ミスティ「あれは……不死鳥……!?」

ローガン「なんと美しい――」

エバンス「おい、しかも背には――」


スライムクロシュ「」zzz
黒い風船スライム「」zzz


妖精「クロシュ!! と……あの風船スライムは――」

ミスティ「ふふ……やったのね。クロシュ……」


 ――魔王消滅――

―空中楽園都市エデン

ティリウス「ふう、一件落着ってとこかな? 流石大魔女様だ」

ルーファス「……しかし最大の問題が残っているでござるな」

ティリウス「えっ最大の問題?」

ルーファス「うむ……」


 ゴゴゴゴゴゴゴ…!!!!!!!!
 ドズン…ヒュウ…


ティリウス「うわっ……!? ああ……そうか!! 大気球がなくなったから――」

ルーファス「この楽園都市は――もはや、空中には身を置けぬ――」

 ◇

―空中楽園都市エデン上空

分体風船クロシュ「」フヨフヨ モニョニョ


スライムクロシュ「……」zzz
黒い風船スライム「……」zzz

妖精「クロシュ、お疲れさま……。クロも、おかえり……」

イリス「やったね!」

エバンス「ふう、一件落着だな」


不死鳥クローディア「さて……それでは、もう一踏ん張りですね」

ミスティ「えっ……?」

ローガン「……まさか」


 ゴゴゴゴゴゴゴ…!!!!!!!!
 ドズン…ヒュウ…


イリス「!? こ、この地響きは――」

不死鳥クローディア「最後の大仕事に行ってきます。クロのこと……よろしくお願いします」バサッ

 バサッバサッ…

 ◇


 落下し始める楽園空中都市エデン「」ゴゴゴ…ヒュウウ…


不死鳥クローディア「エデン……私が追い求めた、理想の国……」

不死鳥クローディア「……クロシュヴィアには、何も言い返せないわね……」

不死鳥クローディア「でも……この街は、これで終わりではないわ……!」

不死鳥クローディア「クロ――私に力を貸して――」カッ―


 ヒュウウウ――…フワッ…

 ゆっくりと落下し始めた空中楽園都市エデン「」フワフワ…


不死鳥クローディア「ふ、ぐううううう!!!!!」グググググ


妖精「保険って、こんな力技のこと!!? ばかでしょ!!!?」パタパタ

不死鳥クローディア「よう、せい……!?」ググググ

妖精「あなた、いくら不死鳥でも干からびて死ぬよ!!?」

不死鳥クローディア「大丈夫……星の魔力を、奪っているもの……!!!」ググググ

妖精「星の……なるほど、そういうこと……! でも、どっちにしろ体は持たないよ!! いくら不死鳥も、これだけの大質量を支え続けるほどの魔力を常に使い続けたら――」

不死鳥クローディア「だったら――他にどうしろと!!? 私が作った、私の街を――私が守らずして、誰が守るのよ!!!」ググググ

妖精「そんなの――」


 ボンッ!!

黒いスライムの大気球「〜〜!!!!」モニョニョ!!!! グググググ…!!!!

大気球スライムクロシュ「〜〜!!!!」モニョニョニョ!!!! ググググ…!!!!



不死鳥クローディア「えっ……!? あの子たち――」

妖精「わたしだって……!! 上昇気流よ――この都市を持ち上げろォー!!!!」カッ!!!!

 上昇気流「」ビュオオオオッ!!!!

 *


ロディナ「浮遊魔法が使える者は落下を支えて!!」ググググ

ホムンクルスたち「はっ!」

飛行オートマタ「ワレワレハトビマス」シュバッ!


トリル「熱気球を描いたよ!」

 熱気球「」ポン!

トム「しゃあ! オレの熱で浮けェー!!!」ゴウッ!!

スール「あたしもちょいと手伝ってやろうか!」ゴウッ!!

フローレンス「がんばれがんばれ〜」フレーフレー


ティリウス「パラシュートフラワー! この街を支えてくれ!」カッ!

 パラシュートのような植物「」ググッ!


ルーファス「ほらほら、狼藉を働いた分は体で返すでござるよ!」

飛竜たち「ギャオ……」バサッバサッ


ヨハンナ「スライムの風船も……この街を、守る為に……」

クリス「ヨハンナさん次の曲いきましょう! みんなに元気を!」

ヨハンナ「え、ええ……! 〜〜♪」


ユキ「……わ、私にできることは……」

ミスティ「ユキ! ポーションを運ぶのを手伝ってくれる!?」タタッ

 ポーションが積まれた箱「」ドッサリ

ユキ「ミスティさん! わかりました……!」

エバンス「ありがとな! 助かる!」

ローガン「うむ……! 各地に急いで運ぶぞ!」

 *


不死鳥クローディア「みんな……!」ググググ

妖精「……この国の奴らは――自分の意思で、運命を掴もうとすることができるんだ。あなたの庇護がなくても」

不死鳥クローディア「……」ググググ

妖精「過保護なのは……そろそろ終わりにしたら?」

不死鳥クローディア「……ええ……そう、ね……」ググググ


 ゆっくりと降下していく楽園都市エデン「」フワフワ…


不死鳥クローディア「……丁度……良かったのかもしれないわ」

 ◆

―夕方
 テラヌス・ウルス

 噴水「」シャワシャワ

砂漠スライム「〜〜!」ピョンピョン!!

砂漠スライム長老「んわ〜!」ピョンピョン!


ミラ「……? スライムたちが騒がしいわね……」

リアンノン「何かあったのでしょうか……?」

猫耳の褐色少女「えと……どうしたの……?」ヒョコ

砂漠スライム長老「街が、落っこちてくるのぢゃ!!」モニョニョ!!

ミラ「は?」
リアンノン「え?」
猫耳の褐色少女「あ――」


  遠い空をゆっくりと降下している楽園都市「」ゴゴゴ…


ミラ「え、ええええええ!!?!?」

リアンノン「あ、あれって……大魔女帝国!!?」

猫耳の褐色少女「わ、わわ……!?」

 ◆

―中央大陸
 テラヌス地方南部 アレノ荒原

 ヒュオオオオ……

 降下する楽園都市エデン「」ゴゴゴゴ…

 ドッズゥゥゥゥゥゥ――――……ン…


不死鳥クローディア「はあ、はあ、げほっ、えぼっ……!」ドサッ

 吐血「」ベチャッ

妖精「だ、大丈夫……!? エデンは無事に地についたよ……!」

不死鳥クローディア「え、ええ……大丈夫よ……」グッタリ

妖精「ここは……中央大陸の、テラヌス地方の南だね……。ここはテラヌス・ウルスの領地だけど……この辺りは知性ある種はほとんど住んでいないみたいだし、大丈夫だと思う。テラヌス・ウルスの今の議会も話のわかる奴らだから、きっと大丈夫」

不死鳥クローディア「そう、なのね……。良かった……げほっ、ごほっ!!」

妖精「ああ、もう無理しないで! いろいろ気になることはたくさんあるだろうけど、もう休んだ方が良い!」


ロディナ「大魔女様!!」シュバッ

不死鳥クローディア「ロディ、ナ……」

ロディナ「只今病院へお運び致します! 少々のご辛抱を……!」

不死鳥クローディア「ええ……」


不死鳥クローディア(ふふ……本当に……私が思っていたより……ずっと、頼りになる子たちだったのね……)


 ☆大魔女帝国の楽園都市エデンがテラヌス地方南部に不時着しました
 ☆クロシュの風属性適性が大きく上がりました(次回の風練習選択時、必ず会心)
 ☆激しい戦いを経て、各々の得意分野の経験を3獲得しました(クロシュは剣と魔法それぞれ2)

 ◆

―大魔女帝国 滞在12日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◇クローディア[大魔女]
武:万象の杖     盾:         飾:不死鳥の羽根
武:         防:大魔女のローブ  飾:黒晶の耳飾り

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*2               大魔女サイン*1
マッスルワイン*1               
吸血鬼殺ワイン*1
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)
雷スライムの欠片

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す
・クロさんを助ける

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[11/12](クロシュ)次回☆
・剣技[4/4](クロシュ)LVUP
・魔法[4/4](クロシュ)LVUP
・魔法[5/8](イリス)
・星属[8/8](イリス)LVUP
・魔法[5/8](ミスティ)
・剣技[8/8](エバンス)LVUP
・魔法[4/6](エバンス)
・剣技[8/8](ローガン)LVUP
・魔法[4/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他
……………………………………………………………………………………

―朝
 宿舎 食堂

 チュンチュン…

イリス「ふわぁ……おはようございます……」スタスタ

ミスティ「もう起きてきてたのね……」スタスタ


エバンス「イリスちゃんとミスティちゃんか。おはよう」

ローガン「まだ疲れが抜けきっていないようだな」

ミスティ「ええ、まあ……」

イリス「昨日は本当に大変で……。まだ頭がぼーっとします……」

ミスティ「……でも、まだ終わっていないわ……」

ローガン「カリス・ノーランドのことか……」

エバンス「あー……まだ生きてるんだってな」

イリス「……はい。私たちが倒したのは、生命魔法で造った複製の可能性が高いとか……。クロさんをそそのかしたのも、多分……」

ミスティ「……本体は、安全なとこでのうのうとしてるってわけね」

イリス「うん。複製だって……痛みや苦しみはあるはずなのに。自分の複製すら捨て駒みたいに扱ってるなんて……」

エバンス「イカれてやがる」

ミスティ「……吐き気を催すわ」

ローガン「史上最悪の魔法使い、だったか……。評判に偽りなしだな」

イリス「……同じ魔法使い……ううん……知性ある種だなんて、思いたくないですね……」

ミスティ「ええ……」

エバンス「ところでクロシュちゃんと妖精は?」

ミスティ「あの二人なら……早起きして宮殿の方へ行ったみたいよ」

 *

―宮殿

クロシュ「おはよう、ございます……!」トコトコ

妖精「おはよう」パタパタ

ロディナ「クロシュ様、妖精様。おはようございます」ペコリ

妖精「クローディアとクロの具合はどう?」

ロディナ「大魔女様とクロ様でしたら――」


クローディア「完全復活よ!」ババン!!

妖精「わっ……!」

黒い風船スライム「〜〜!」フヨフヨ モニョモニョ

クロシュ「わあ……!」

 モニョモニョ…ポン!

クロ「えへへ……おはよ、クロシュちゃん、妖精さん。昨日は……ありがとね……」

クロシュ「うん……!」

妖精「クロ! 風船スライムの姿は――」

クロ「うん……全部思い出したから、クロシュちゃんみたいに自由に変化できるようになったの」

クロシュ「わあ……!」

クローディア「……緊急事態でぶっつけ本番の施術だったから、また不備が出てしまう恐れもある……。何か心身の不調があったらすぐに言うのよ、クロ」

クロ「うん……ありがと、大魔女さま……」

妖精「ひとまず、こっちは大丈夫そうかな?」

クローディア「ええ、ご心配には及ばないわ。さあ、これからやることがたくさん――」


風の精霊『大魔女帝国の大魔女さま宛に伝言だよ〜』ヒュルヒュル


妖精「風の精霊!」

クローディア「私宛に伝言……? 一体誰からかしら?」

風の精霊『世界樹の精霊から〜』ヒュルヒュル

クローディア「げっ……」

妖精「あ〜……」

風の精霊『それじゃあモノマネするね〜』ヒュルヒュル


モノマネ世界樹の精霊『前々から、どこかの誰かが星の魔力を不当に吸い上げてる件はむかついてた……』

モノマネ世界樹の精霊『昨日のは、過去最悪だった。あの吸い上げで……ものすごく、不公平になった……』

モノマネ世界樹の精霊『でも……お陰で、犯人がようやくわかった……』

モノマネ世界樹の精霊『今後……不死鳥クローディアが星の魔力を奪うことを永久に禁じます……』

モノマネ世界樹の精霊『もちろん……大魔女帝国に連なる誰かが吸うのも禁止……』

モノマネ世界樹の精霊『どの辺から連なる判定になるかは……私の独断と偏見で決めます……』

モノマネ世界樹の精霊『以上……。不服の申し立ては、一切認めません……。ばいばい……』


風の精霊『だって〜! 世界樹の精霊、激おこぷんぷんだったよ〜!』ヒュルヒュル

クローディア「そ、そう……」

妖精「まあ……丁度良い機会なんじゃない? もう空に浮いてないわけだし……」

クローディア「そうですね。世界樹の精霊直々に禁止されてしまっては、どうしようもありません」

ティリウス「農業ならお任せを! この荒野を見事な農地へと開拓して見せましょう!」ヌッ

妖精「確かにこの分野ならティリウスほど頼りになるやつもいないかも……」


クローディア「ところで、あなたたちはこの中央大陸西に滞留している雲塊の中に用事があるのよね?」

妖精「あ、うん。まさしくその世界樹の光……星の力を取り戻す為にね」

クローディア「それであれば……恐らく、今のクロシュの力ならあの雲塊に突っ込んでも問題なく飛行できます」

クロシュ「!」

クロ「わあ……!」

妖精「ええと……本当?」

クローディア「ええ。昨日のクロシュが見せた風船――あれには、クロと同じ強力な浮遊の力が感じられました。あの雲塊の中はかなり強烈な乱気流が発生していますが、今のクロシュの風船であれば動じることなく移動できるはずです。それに万が一のことがあっても、自然魔法の優れた使い手であるあなたがカバーできるでしょう?」

妖精「まあ……クローディアがそう思うなら、大丈夫なのかな?」


大魔女帝国滞在13日目です。この行動終了後、大魔女帝国から空へ出発します
↓1〜3 自由安価 何をする?

―歓楽区

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「賑わってる!」

エバンス「まあ、そりゃそうだろうな。今まで空の上で暮らしてたのが地上に落ちちまったんだから……外に出ずにはいられないうだろうよ」

ローガン「うむ……だが大魔女殿への信仰心があれば大丈夫だろう」

イリス「あはは……とりあえず今は、明日の出発に向けて準備をしないとです!」

 *

―ヤーレン魔法店

 カランカラン

イリス「こんにちは!」


血分身フラナ「」ヌッ


イリス「うわあっ!? フラナ先生!?」

ローガン「な、なんだこれは……」


スール「いらっしゃい、イリスちゃん。それはだねえ……」

フローレンス「血で分身を作る魔法……の試作ですって。血の無駄遣いにしか見えませんけどねえ」

血分身フラナ「無駄デハナイワ。地道ナ研究コソ、成功ノ礎トナルノヨ」

イリス「す、すごい……! 喋れてます!」

エバンス「お、おお……」

スール「まあ凄いと言えばめちゃくちゃ凄いけど……。血液魔法で遠隔分身なんて効率が悪すぎんじゃないかねえ」

フローレンス「戦闘中に即席の分身を作るとかならアリだと思うんですけどね。最近ちょっと迷走してるんじゃないですか?」

イリス「お、お二人ともフラナ先生に辛辣ではありませんか……!?」

フローレンス「そりゃまあ、いつまでも意地張ってるガキですし。あいつ」

スール「あっはっは、あたしにとっちゃ全員まだまだガキだよ!」

フローレンス「あーはいはい、おばさんにとっちゃそうでしょうね〜」


血分身フラナ「イリス、コレヲ受ケ取リナサイ」スッ

イリス「えっ!?」


↓1コンマ
01-60 日蝕の傘修理キット
61-90 マジカルブラッドワイン
91-00 無敵薬

 マジカルブラッドワイン「」ポン!

イリス「これは……マジカルブラッドワイン!」

フローレンス「あ、いいなー。私も欲しいー」

血分身フラナ「誇リヲ失ッタ野良吸血鬼ニ付ケル薬ハナイワ」

フローレンス「こいつ、カタコト分身の癖に……」

スール「はっはっは、変なとこで高性能だねえ!」

 ☆マジカルブラッドワインを1本もらいました

 ◇

―公園

 噴水「」シャワシャワ

クロ「クロシュちゃん、明日にはここを出発しちゃうんだよね……」

クロシュ「うん……」

クロ「昨日のことも……その前のことも……本当に、ありがとう……。わたし、クロシュちゃんのお陰で……こうして、魔王じゃなくなって……ここに、戻ってこれた……」

クロシュ「うん……」

クロ「わたしが、クロシュちゃんにしてあげられること……なにか、あるかなあ……」

クロシュ「……?」


トリル「あ、クロシュちゃんに……クロ先生!」スタスタ

クロシュ「わ、トリルちゃん!」

クロ「トリルくん……! えへへ、久しぶりだね……。みんな元気にしてる……?」

トリル「みんな元気だよ〜。クロ先生も、具合が良くなったんだねぇ」

クロ「うん……ごめんね、心配かけちゃった……」

 *

トリル「そっか、クロシュちゃんは明日ここを発つんだ……」

クロシュ「うん……」

トリル「……ねえ、それじゃあ一緒に美術館に行こう! クロシュちゃんまだ行ったことないでしょ?」

クロシュ「うん……ない……」

トリル「じゃあ行こうよ! クロ先生も一緒に行こう!」

クロ「わたし……邪魔にならないかな……?」

トリル「なるわけないよ! クロ先生、ちっちゃくてかわいいもの!」

 *

―美術館

 絵画『微笑む大魔女』ニッコリ

 絵画『偉大なる大魔女』カリスマァ

 絵画『雷のように猛る大魔女』ズギャァァァンッ!!


 彫刻『麗しき大魔女』スラッ

 彫刻『蠱惑的な大魔女』セクシィ

 彫刻『天駆ける大魔女』シュバッ!!


 展示『大魔女帽子のレプリカ』ポン

 展示『大魔女マントのレプリカ』バサッ

 展示『万象の杖のレプリカ』ジャキン



クロシュ「わあ……!」

トリル「すごいでしょ! ここには最高峰の大魔女様アートがいっぱいなんだよ!」

クロ「ここはいつ来てもすごいなあ……。みんなの、大魔女さまを慕う気持ちがすごく伝わってくる……」

トリル「ね! 僕も時々大魔女様アートを創ってみるんだけど、なかなか人に見せられるほどのものは創れないんだ……。ここに展示できるほどの人たちは本当に凄いんだよ……!」

クロシュ「うん……!」


クロシュ(本当に……大魔女さんを表現しようっていう、ぱわーが伝わってくる……)

クロシュ(けっこう、おもしろいかも……)


美術館担当ホムンクルス「当館では大魔女様アート体験コーナーもございます。ご興味がありましたら是非あなたの作品を創っていきませんか?」ヌッ

トリル「わ……でも僕はそこまで自信があるわけじゃないし……」

クロ「わたしも……そんなに自信ないかも……」

クロシュ「……」


↓1〜 先取2票
1.大魔女アートを描く(内容はクロシュ任せ)
0.自由安価(票数は内容ごと)

―美術館アトリエ

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョニョ カキカキ―

 キャンバス「」ヌリヌリ


クロ「わ……! クロシュちゃん、凄い勢いで描いてく……!?」

トリル「クロシュちゃん、お絵描きがすごく上手なんだよ〜! ふふ、どんな大魔女様アートなんだろう……?」

 *

 絵『大魔女さまとしあわせの国』ポン!

クロ「……!!」

トリル「笑い合って暮らすたくさんの人たちと、それを優しそうに見守る大魔女様……。そして空には、黒い風船スライムさんが浮いてる……! なんだか、とってもしあわせそう……! 見てるこっちまでしあわせな気持ちになってくるよ……!」

クロ「……」ジワワ

クロシュ「わ……!?」アタフタ

トリル「クロ先生……!?」

クロ「えぐっ……ぐすっ……ご、ごめ……なひゃい……。この、絵が……ほんとに、とっても素敵で……。なんだか……胸が、いっぱいに……なっちゃって……」ポロポロ

クロシュ「クロさん……」

クロ「えへへ……クロシュちゃん……ありがと……。わたしを、諦めないで……ここまで、連れてきてくれて……ほんとに、ほんとに……ありがと……!!」ポロポロ

 ☆旅画家クロシュが大魔女アートを美術館に寄贈しました

 ◆

―宿舎 ユキの部屋

ミスティ「お邪魔します……」ススッ

妖精「お邪魔しま〜す……」パタパタ


ユキ「……ええと、ミスティさんと妖精さんは来賓なのですから、そうかしこまらなくても……」

ミスティ「え、いやまあ……。人の住処に入ることって、滅多にないから……どうしたら良いか、ちょっとわからないわ……」

妖精「私も……。妖精とかエルフの家なら気にせず勝手に上がり込めるんだけど……」

ユキ「な、なるほど……。無理にとは言いませんが、是非くつろいでいただけると嬉しいです」

ミスティ「努力するわ……」

妖精「まあ、たぶんすぐ慣れると思う……!」

 *

 ワイワイ キャッキャ

ミスティ「ふむふむ……オノゴロの雪女にはそういう氷魔法が伝わっているのね――」

ユキ「はい。私たちの魔法は環境の力を利用する側面が大きく、本領を発揮するにはやはり冬の雪山が――」

妖精「へえ〜、オノゴロのことはあんまり詳しくなかったけど、その話を聞く感じだと雪女って魔族というよりは精霊に近い種族なのかも――」

 *

ユキ「……っと、もうこんな時間ですか。そろそろお昼に致しましょう」スッ

ミスティ「あ、お構いなく……って言葉はこういう場面で使うので合っているかしら……?」

ユキ「合っていますが……お構います。せっかくの来賓ですし……明日にはここを発ってしまわれるのですから。精一杯もてなさせてください」

妖精「だってさ。ここはお言葉に甘えよう、ミスティ」

ミスティ「わかったわ……」

ユキ「ふふふ……私の故郷の郷土料理、是非味わっていってください……!」ウキウキ


妖精(なんか……張り切ってる……?)

ミスティ(みたいね……。期待した方が良いかしら……?)


↓1コンマ
01-30 精進料理
31-60 ごはんと味噌汁と焼き鮭と漬物
61-90 寿司
91-00 カニ鍋

ユキ「お待ちどう様です……」スッ

 カニ鍋「」ドンッ!!

ミスティ「!!!」
妖精「!!!」

ミスティ(鍋から立ち上る湯気と……部屋中に広がるカニの濃厚な気配……!)

妖精(こ、こんな超高級料理だなんて……流石に聞いてない……!!)

ユキ「実家から送られてきたオノゴロ産のカニ……是非、ご賞味ください」

ミスティ「い、いいの……!? 本当に……こんな、素晴らしいものを……!!」ゴクッ

妖精「さ、流石に悪いっていうか……。一介の旅人である私たちに、ここまで良いものを食べる資格はないというか……」

ユキ「違います。ミスティさんたちがいたから……この街は、昨日の危機を脱してここに来れたのです。ミスティさんたちには、これだけでは不十分くらいなのです……!!」

ミスティ「そ、そこまで言うなら……。本当に、いいのね……!?」ゴクッ!

ユキ「はい……!」

妖精「じゃ、じゃあ……」

「いただきます……!!」

 *

 カニ「」ジュワッ

ミスティ「……」パク モグモグ

 カニの旨味「」ジワワ〜!!

ミスティ「〜〜〜!!!!」ガクガク

妖精「こ、こらミスティ!! はしたないよ!!」

ミスティ「ご、ごめんなさい! あまりにも……美味しくて……!!」

妖精「そ、そうだね……。私も、基本的には森の食べ物の方が好きなんだけど――」

 カニ「」ジュワワ

妖精「こ、これだけは……抗えないっていうか……!!」パクッ モグモグ

 カニの旨味「」ジワワ〜〜!!

妖精「〜〜〜!!!」ジタバタ

ミスティ「妖精だってはしたないじゃない……!」

妖精「だ、だってぇ……」

ユキ「ふふ……おかわりもたくさんありますので、どんどん食べてください……! お持ち帰りの分もありますので、良かったら皆さんにも……!!」

 ☆カニ鍋を食べてものすごく元気になりました
  お持ち帰り分も後でみんなで美味しくいただきました
  パーティ全員の様々な経験値が1上がりました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回はとうとう大魔女帝国出発となります

激しい戦いを終え、クロさんを取り戻して平和を取り戻した大魔女帝国。地上に落ちてしまい、これからの生活は激変していくことでしょう。しかしきっと大丈夫。この国には伝説の大魔女と、国を守る為に立ち上がった強き民が大勢いるのですから――

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします

大魔女帝国の未来も、楽園都市エデンも、無事に着陸することができたようです
クロ氏の過去はクロシュ氏のものと似たものであったようでした。だからこそ、クロシュ氏の言葉が通じたのかもしれません
フメイちゃんとブラッドさんは多くを語っていませんが、何か知っていることがあるかもしれません。もし会えたら聞いてみるのも良いでしょう

カニはとても美味しいようです。全てのカニが美味しいかどうかはわかりませんが、多くのカニは美味しいと考えられています
空に何があるかは……行ってみればわかるかもしれません。何があるかはお楽しみです

大魔女帝国は実のところゆっくりあちこちを移動しているようです。一つの場所に留まると同じ場所に影がずっとできてしまうため、移動する方式にしたとのことです
クロシュたちが大魔女帝国に到着してから今までの間に、海を越えて中央大陸のテラヌス地方にまで来ていたようでした

ユキ氏は雪女なので、熱いものを食べると少し火照ってしまう体質のようです。とはいえよほど大量の熱いものを食べ続けたりしない限り問題になることはありません。前にも本人が言っていましたが、雪女は時々少し溶けるくらいの方が健康に良いそうです

―大魔女帝国 滞在最終日

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*0       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*3               大魔女サイン*1
マッスルワイン*1               
吸血鬼殺ワイン*1
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)
雷スライムの欠片

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]
・大陸西部上空へ向かう手段を探す
・クロさんを助ける

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[11/12](クロシュ)次回☆
・剣技[1/6](クロシュ)
・魔法[1/6](クロシュ)
・魔法[6/8](イリス)
・魔法[6/8](ミスティ)
・剣技[1/16](エバンス)
・魔法[5/6](エバンス)
・剣技[1/16](ローガン)
・魔法[5/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□大魔女帝国 空中楽園都市エデン 主要施設
中央区:大庭園、大魔女宮殿
居住区:宿舎、公園、広場、図書館、魔法学園、病院、他
歓楽区:市場、食事処、酒場、浴場、劇場、美術館、娼館、他
……………………………………………………………………………………

―大庭園

風船気球クロシュ「〜〜」ポン モニョモニョ
 強化ソリカゴ「」ポン


クローディア「……もう少しゆっくりしていかない?」

妖精「光は逃げないけど光を狙ってる奴らはいっぱいいるから。あんまりゆっくりしてられないの」



クロ『クロシュちゃん……どうか気を付けてね……』モニョモニョ

風船気球クロシュ『うん……。クロさんも、お元気で』モニョニョ



ユキ「ミスティさん、皆さん……ありがとうございました!」ペコッ!

トリル「クロシュちゃん、いろいろありがとう……! またいつか、遊びに来てね……!」

トム「次は負けねえからな! おっさん!」

ミスティ「ええ、ユキたちもありがとう……! カニ鍋、とても美味しかったわ……!」

風船気球クロシュ「トリルちゃん……ありがと……。また、遊びに行くね……」

エバンス「おっさんって俺のことじゃないよな?」

ローガン「フッ、どうだろうな。私たちも楽しみにしているぞ、トムくん」



スール「体に気を付けるんだよ! 薬は惜しまずに使いな!」

フローレンス「あのアホ姉妹に会うことがあったらよろしく」

イリス「はいっ! 何ができるかはわからないですけど……喧嘩を止められれば、止めます!」



クリス「イリスさんも、ダークヒーローの皆さんも、どうかお元気で! ダークヒーローたちの勝利を願ってます!」

イリス「あはは……ありがとうございます。クリスさんも、歌唱活動頑張ってください!」

エバンス「良い曲だったぜ!」



ヨハンナ「……」

風船気球クロシュ「……」モニョニョ…

ヨハンナ「今回……あなたたちスライムが、この国の為にものすごく頑張ったことは、私も知っています……」

風船気球クロシュ「……!」モニョ

ヨハンナ「……スライムにも、いろいろな者がいる……当たり前ですけれど、そんな当たり前のことがようやく理解できたような気がします。私は……今まで、酷いことを言って、してきたのかもしれません……」

風船気球クロシュ「……」

ヨハンナ「……スライムたちは、この国に欠かすことのできない仲間ですから……すぐに受け入れるのは難しいですが、私も変わっていこうと思います……。だから……ありがとう、クロシュさん……」ペコリ

風船気球クロシュ「……うん。えと……スライムたちの、こと……ゆっくりでいいから……嫌いじゃ、ならなくなって、欲しい……」



ルーファス「もうお別れとは、寂しいでござるな……。小生、せっかくダークヒーロー一行のスリーサイズを計測したのに……」

イリス「えっ」

ミスティ「……は?」

妖精「ええ……」

風船気球クロシュ「??」

 大魔女の拳「」ブオンッ!!

  ボムギ!!

ルーファス「んほぉ〜クローディアたんの拳気持ち良いでござるゥ〜!」バタッ

クローディア「この馬鹿が計測した記憶は後でしっかり消去しておくから安心しなさい」

ティリウス「いやあ、でも太母が元気そうで安心したよ! 伝聞では聞いてたけど、やっぱり実際に会えると違うし」

妖精「そう? 私はあなたのことあんまり心配してなかったけど。ここに来るまで忘れてたし」

ティリウス「酷いなあ!」

妖精「冗談だよ。久しぶりに会えて良かった。たまには緑の国にも顔出してやりな」

ティリウス「はは、そうだね。ここの生活が安定したら顔出して見ようかな」

妖精「……あ、そうだ。ティリウスにこの鉢植えを見て欲しいんだけど」スッ

 精霊樹の鉢植え「」ポン

ティリウス「おや、精霊樹の苗だね。見た感じ健康だし問題はなさそうだけど……んん……? 何か、変わった感じがするなあ」

妖精「これ、魔王樹の種から生まれたんだ」

ティリウス「なんだって!?」

クローディア「へえ、魔王化した植物が種を……。興味深いわね」

妖精「残された種には、魔王の邪気は感じられなかったから。育てても大丈夫かと思ってさ」

ティリウス「まあ……僕も直ちにまずいことが起きそうな気配は感じられないから、大丈夫だと思うけど……」

妖精「ティリウスがそう思うんなら大丈夫そうだね。ありがとう」



ロディナ「それでは、またのご来訪を心よりお待ちしております。ダークヒーロー御一行様……」ペコリ

イリス「あはは……ロディナさんもお元気で!」

風船気球クロシュ「ロディナさんのごはん、おいしかった……!」



妖精「それじゃあそろそろ出発しようか。クロシュ」

風船気球クロシュ「ん……!」フワッ…


上昇していく風船気球クロシュ「〜〜」フヨフヨ モニョモニョ



クリス「それでは――ダークヒーローたちの旅の無事を祈り、この歌でお見送り致します――」スッ

クロ「あ、わたしも歌う!」

トム「あの曲だな! オレも歌うぜ!」

鼻血を流すルーファス「フッ……小生の美声を解き放つ時が来たか……」スクッ



「真なる巨悪を討つ 闇の英雄ダークヒーローイリス 伝説の大魔女と共に空を舞う――!!!!」♪

「正義は胸の奥に 勇気の杖は天高く 戦い続けるダークヒーロー 唸れ 星光のスターライト――!!!!」♪



クロ「クロシュちゃん、またね〜!!」

クローディア「負けるんじゃないわよ……!」


 ――大魔女帝国編 完

クリアボーナス
↓1コンマ
01-60 運命賽+不死鳥の羽根
61-90 ↑+運命賽
91-00 ↑+会心賽(判定時に会心と書き込むと、コンマに関わらず最上の結果となる。一度使うとなくなる)

―空

風船気球クロシュ「」フヨフヨ


 不死鳥の羽根「」ポン!

 大魔女帝国滞在許可証(無期限)「」ポン!

イリス「不死鳥の羽根に、大魔女帝国の期限なし滞在許可証……!」

エバンス「普通に生きていたら絶対に手に入らないぞ、どっちも……!」

妖精「不死鳥の羽根か……。これを持ってれば、もし死ぬような事態になっても一度だけ蘇生できるんだよね」

ローガン「ふむ……自動的に反魂丹を飲まされるようなものだろうか?」

妖精「いや。反魂丹は死体の状態によって蘇生できない場合もあるけど、不死鳥の羽根は違う。これは、所持者が消し炭になろうとも問答無用で発動して、所持者の体を再生して復活させるんだ」

ミスティ「え、本当に……? めちゃくちゃじゃない……」

妖精「だからイスファハーンではものすごい値段で取引されてたんだよ」

エバンス「待てよ……てことは、大魔女はこれを売りさばけば外貨を稼ぎ放題なんじゃねえのか!?」

妖精「いや……残念だけど、そう簡単な話でもない。死者を蘇生させるほどの強力な力を宿した羽根は100年くらいに一枚しか生えないらしいんだ」

エバンス「そ、そうなのか……」

イリス「てことは……100年に一枚のすごい羽根を私たちにくれたんだ……!」

妖精「ふふ、そういうこと。これに頼るような事態は避けたいけどね」

 ☆不死鳥の羽根をもらいました
 ☆大魔女帝国滞在許可証をもらいました
 ☆運命賽*2を手に入れました

 *

―幕間
 西セイントレアキャニオン

 ヒュオオオ…
 タンブルウィード「」コロコロ…


 馬車「」ガタンゴトン…


聖女「……」

 魔族国の子供たちが描いた絵「」ペラッ

聖女「……」グッ


御者「お嬢さん、ロイエ教の神官さんなんだよな?」

聖女「あ、はい。そうです」

御者「……ここ最近、芸術都市じゃ変な新興宗教が流行ってるって噂だ。身辺には気を付けなよ」

聖女「新興宗教……?」

御者「ああ。なんでも、デロデロ教とかいうらしいが……」

聖女「デロデロ教……」

 ――魔族国スライム「〜〜♪」モニョモニョ
 ――スライムクロシュ「〜〜♪」モニョニョ

聖女「……ふふ」クスッ

御者「いやいや、名前はちょっと面白いかもしれないが実態はかなり過激な宗教って話なんだよ。なんでも、世界の全てをデロデロに溶かして一つにしちまおうとか何とか……」

聖女「それは……随分と変わった教義なのですね」

御者「だろ? 大きな事件こそまだ起こしてないらしいが、既に信者の数は相当なものになってて気味が悪いんだそうだ」

聖女「そうなのですか……?」

御者「ああ。あんたも異教徒だからって逆恨みされちまうかもしれんぞ」

聖女「うーん……問題を起こしていない方々を過度に警戒するのも少し失礼な気がしますけれど……心に留めておきますね」



聖女(それにしても……ふふ、デロデロ教って面白い名前……)

聖女(……クロシュさんは元気にしているでしょうか? お友達、見つかっていたら良いな……)


 馬車「」ガタンゴトン…

 ◆

―大陸西部上空への空路 1日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*4       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*0       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*3               大魔女帝国滞在許可証
マッスルワイン*1               
吸血鬼殺ワイン*1
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)
雷スライムの欠片
大魔女サイン*1
不死鳥の羽根

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[11/12](クロシュ)次回☆
・剣技[1/6](クロシュ)
・魔法[1/6](クロシュ)
・魔法[6/8](イリス)
・魔法[6/8](ミスティ)
・剣技[1/16](エバンス)
・魔法[5/6](エバンス)
・剣技[1/16](ローガン)
・魔法[5/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………

―空

風船気球クロシュ「〜〜」フヨフヨ モニョモニョ


イリス「それにしても……」


 遥か遠い眼下に広がる砂漠「」ヒュオオオオ――…


イリス「高い!! ものすごく!!!」

ミスティ「ええ……。クロシュを信頼していないわけではないけれど……ちょっと怖いわね……」

分体クロシュ「……だいじょうぶ……! 絶対、おちない……!」モニョッ

イリス「あはは、分体を出すのも上手になったねえ」

妖精「でも体力には限りがあるんだから、無闇な消耗はできる限り避けてね」

分体クロシュ「んゅ……わかった……」デロデロ…


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-35 遭遇
36-50 食料発見(コンマ)
51-65 場所発見(コンマ)
65-80 良いこと(自由安価)
81-95 旅は道連れ
96-00 旅は道連れ(稀)

場所と食べ物を見つけたようです

↓1コンマ 見つけた場所
01-30 風船スライムの群れ
31-60 乗れる雲
61-90 小さな空中庭園
91-00 古代の方舟

↓2コンマ 見つけた食料
01-10 雨の雫
11-20 空藻
20-30 食べられる野草
31-40 フワフワクラゲ
41-50 ソラタニシ
51-60 トビウオ
61-70 ソラザリガニ
71-80 精霊のわたあめ
81-90 スカイマグロ
91-00 ブルージェットガニ

風船気球クロシュ「」フヨフヨ


エバンス「……ん? 何だありゃ?」


 遠くに見える小さな空中庭園「」


妖精「あれは……なんだろう。こんな上空まで来たことないからわからない……」

イリス「せっかくだから近づいてみようよ! 足場になりそうならクロシュちゃんも休憩できるだろうし」

風船気球クロシュ「〜〜」モニョモニョ

 ◇

―小さな空中庭園

 割れた噴水「」シャワシャワ
 生い茂る草花「」ピョコン
 大きな木「」サワサワ

イリス「すごい……少し割れてるけど、生きてるよこの噴水……!」

ミスティ「草木も茂ってるわね……。まさか空の上にこんな場所があったなんて……」

エバンス「これは一体どういう技術で浮いてるんだ……?」

妖精「……これは、多分……浮遊性を持つ物質を使ってるんだと思う。でもいつの時代の、どこの技術だろう……」

ローガン「クロシュくん、調子はどうか?」

クロシュ「全然、だいじょうぶ……! まだまだ飛べる……!」

妖精「んー……でも今日はここまでにしとこう。初めての長距離飛行なんだし、せっかく丁度良い休憩ポイントが見つかったんだからさ」

クロシュ「ん……!」

 ☆小さな空中庭園でゆっくり休み、元気になりました

 *

―夕方
 小さな空中庭園

スライムクロシュ「〜〜!」ピョンピョン

エバンス「ん? どうしたんだクロシュちゃ――」


トビウオの群れ「」パタパタパタパタ!!


イリス「うわわわ!? あれってまさか――」

妖精「トビウオだ! 高層の空に棲む空魚類の!」

ローガン「空魚類……実在したのか……!!」

ミスティ「こっちに来るわ!」


トビウオの群れ「」パタパタパタパタ!!


ローガン「ぬう、伏せろ!」バッ

イリス「わわ!」バッ


トビウオの群れ「」パタパタパタパタ!!

 パタパタパタパタ!!


ローガン「……通り過ぎたか……?」

妖精「通り過ぎてったみたいだね」

数匹のトビウオ「」ビチビチ

ミスティ「何匹かが木や茂みに衝突してのたうってるわ……」

エバンス「魚なら……食えるのか?」

妖精「毒があるって話は聞いたことないし、多分食べられると思う」

エバンス「じゃあ食ってみようぜ!」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!

 ◇

 焚き火「」パチパチ
 焼きトビウオ「」コンガリ

妖精「へえ、けっこう良い感じ……」

イリス「すっごく良い香り……!」

ミスティ「美味しそうね……」

ローガン「空魚類……味はどうだろうか」

エバンス「よし、じゃあ早速食うぞ!」

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

 ☆トビウオを食べて元気になりました

 ◇

―夜
 小さな空中庭園

 焚き火「」パチパチ

妖精「不思議……こんなに高い空なのに、風も穏やか。どんな技術なんだろ……」

ミスティ「妖精でも知らない文明があるのね」

妖精「そりゃそうだよ。私なんてこの世界全体で見ればちょっと長生きなだけのただの妖精だもの」

イリス「妖精さんが知らないってことは、緑の国が建国されるよりも前の文明なのかな? 本当にものすごく昔だね」

クロシュ「えと……どれくらい、昔……?」

妖精「うーん、風化具合から判断しようにも、この建材も見たことがない物質だ……。多分、1万年以上は前じゃないかなあ」

イリス「1万年……!?」

クロシュ「わあ……」

ミスティ「想像がつかないわ……」


空の旅初日の夜です。小さな空中庭園で野営します
↓1〜3 自由安価 野営中何をする?

―テント内

ストレッチしているローガン「……」グッグッ

クロシュ「……肩、こってるの?」ヒョコ

ローガン「む……いや」

クロシュ「……でも……こってそう……」

ローガン「……まあ、少し。だが君に叩いてもらうほどではない。クロシュくんこそ、今日一日空を飛んで疲れているのではないか?」

クロシュ「んーん……まだまだ、飛べた……。クロさんのお陰で……風船スライムさんの感覚……わかったから……」

ローガン「そうなのか……」

クロシュ「肩、こってるなら……かたたたきけん、使える……!」

ローガン「ぬう……まあ、クロシュくんが疲れていないのなら……」

クロシュ「!」モニョ!


↓1コンマ クロシュの肩叩き(前回の経験により+20)
00-90 とても上手
91-00 ??

 トントントントン

クロシュ「〜〜♪」モニョモニョ

ローガン「うむ……すっかり上手になったな」

クロシュ「んへへ……」

ローガン「私の息子も……初めはクロシュくんよりも肩叩きが下手だったのだが、いつの間にか上手になっていてな……」

クロシュ「ローガンさんの……子供……?」

ローガン「うむ……。少し懐かしい気持ちになってしまった……」

クロシュ「子供……。えっと……子供がいるのって……どんな、感じなの……?」

ローガン「どんな感じか……難しい問いだな。守るべき、庇護すべき者で……私の人生の集大成でもあり……」

ローガン「…………」

ローガン(……自分で言っていて……苦しくなってきたな……。つまり私は、守るべき、庇護すべき、人生の集大成を……何もできずにみすみす殺されてしまった、無様な人間というわけだ)

クロシュ「?」

ローガン「フッ……あとは、忘れた……」

クロシュ「えと……。まもるべきもの……。妖精さんみたいな……?」

ローガン「ううむ……妖精くんにそれを言うと怒ると思うぞ。私が守る側だ、と」

 ☆クロシュの鋼属性適性がさらに上がりました

 ◆

―夜
 小さな空中庭園

イリス「……」ムムム

 風「」ヒュルヒュル

妖精「何してるの?」パタパタ

イリス「あ、妖精さん。えっと……えへへ、飛行魔法をね……」

妖精「飛行魔法……風属性で?」

イリス「そう。理論上は可能なはず……」

妖精「そりゃ理論上は可能だろうけど、魔導書もなしに習得するのは無理じゃない? ましてイリスは風属性の本職ってわけでもないんだし……」

イリス「でも……クロシュちゃん一人に負担を押し付けるのは主義に反するんだよ! 私はこのパーティで唯一飛行魔法を習得できるポテンシャルがある……なら私だけでもクロシュちゃんを手伝わないと……!」

妖精「私とイリスで吹かせてる追い風もかなりクロシュの飛行を支援できてると思うけど……」

イリス「さらにその上を行きたいの!」

妖精「ま、まあやる気があるなら良いと思う。ただ、風属性の飛行魔法なら人間用の魔導書もあるだろうからここで無理に独学しなくても……」

イリス「魔導書なら……実はあるんだよね」スッ

 魔導書「風属性応用上級」ポン

妖精「あったんだ」

イリス「でもかなり上級者向けの内容だから、けっこう難しくて……」

妖精「ふむふむ……まあせっかくだし私も見てあげる。人間用の魔法は専門外だけど、風の流れに関することとかならもしかしたらアドバイスできるかもしれないし」

イリス「お願いします!」

↓1コンマ
01-60 難しかった  飛行経験+1 [1/8]
61-90 理解が進んだ 飛行経験+2 [2/8]
91-00 天才イリス  飛行経験+8 [8/8]

イリス「むむむ……」

 風「」ヒュルヒュル

イリス「この風に乗って……とうっ!」ピョンッ!

 ストッ…

妖精「……普通に着地したね」

イリス「む、難しい……!」

妖精「そもそも人間の形って風に乗るのに適してないんだよね……。風船スライムみたいになれない?」

イリス「なれるわけないでしょ!」

 ☆イリスが飛行魔法の練習を初めました[1/12]

 ◇

―夜
 小さな空中庭園

クロシュ「……」トコトコ

エバンス「ん? こんな時間にどこに行くんだ?」

クロシュ「ちょっと……探検に……」

ミスティ「探検……落ちたら危ないわよ……と言おうと思ったけど、むしろクロシュが一番危なくないのよね……」

エバンス「まあ……落ちても簡単に戻ってこれるだろうからな」

ミスティ「でもこの空中庭園が完全に安全な場所とは限らないし、私も付いていくわ」スクッ

クロシュ「わあ……!」

エバンス「俺も行くぜ。肉壁もいた方が良いだろ?」

クロシュ「わあ……!」

ミスティ「壁役ならもうクロシュの方が優秀じゃない?」

エバンス「ぐっ、それを言わないでくれ!」

ミスティ「まあ……そもそもエバンスって壁になるタイプの戦士でもないしね」

エバンス「それはそうなんだけどよ……。ちょっと情けないぜ」

クロシュ「?」

 *

 満点の星空「」キラキラ

ミスティ「……星も綺麗に見えるわね。空が近いから……?」

エバンス「砂漠の空はさらに綺麗らしいぜ。妖精が言ってた」

クロシュ「うん……きれい……」


 割れた噴水「」シャワシャワ


エバンス「探検とは言って出てきてみたものの……あんまり広くないから、すぐに見て回れちまうな」

ミスティ「そうね……。休憩所としては最適だけれど」

クロシュ「……!」


↓1コンマ 何か見つけたよ
01-05 エルダーリッチ
06-50 小さなゴーレム(停止)
51-95 小さなゴーレム
96-00 伝説スライムの涙

 草木に覆われた物体「」

クロシュ「……」トコトコ

 草木に覆われた物体「」

エバンス「……ん? これは……中に何かあるな」

ミスティ「よく見つけたわね。でもこれ……何かしら?」

 草木に覆われた物体「」

クロシュ「……」ツンツン

 草木に覆われた物体「」ピコン! ギギギ…

クロシュ「!」
ミスティ「えっ!?」
エバンス「何だ!?」

草木に覆われた物体「……」ギギギ…トコトコ…

ミスティ「ゴーレムだわ!」

エバンス「ゴーレムなのか!?」


草木に覆われたゴーレム「……」トコトコ…

 噴水「」シャワシャワ

草木に覆われたゴーレム「……」ギギ…


ミスティ「噴水の前で止まったわ……」

クロシュ「えと……どうしたの……?」

草木に覆われたゴーレム「……ジョウロユニットノ破損ヲ確認……。オ仕事、遂行不能……」ギギギ

クロシュ「じょうろが、ほしいの……?」

 モニョモニョ…ポン!

分体ジョウロクロシュ「〜〜!」モニョニョ!

草木に覆われたゴーレム「友好的ナスライム類カラジョウロノ貸与……。オ仕事、遂行……」ググッ

 ◇

分体ジョウロクロシュ「」シャワシャワ

 庭園の花壇「」シャワシャワ

草木に覆われたゴーレム「スライムジョウロ、動作良好……」

クロシュ「んへへ……」

ミスティ「庭園管理用のゴーレム……なのかしら?」

 *

草木に覆われたゴーレム「スライムジョウロノ貸与、感謝シマス」スッ

分体ジョウロクロシュ「〜〜」モニョニョ

 デロデロ

クロシュ「うん……。どういたしまして……」

ミスティ「あなたは……ここの管理をしているのかしら?」

草木に覆われたゴーレム「……記憶回路ニ障害ヲ確認……。所属及ビ役割ヲ確認デキマセン」

エバンス「わからないのか……。これからもずっとここで水やりを続けるのか?」

草木に覆われたゴーレム「肯定」

クロシュ「……」

 ◆

―翌朝
 小さな空中庭園

ローガン「ふむ、ジョウロか。これを差し上げよう」スッ

 鋼のジョウロ「」ポン!

草木に覆われたゴーレム「鋼製ジョウロノ贈与ヲ確認……オ仕事、遂行可能……。感謝」トコトコ

ローガン「フッ、気に入ってくれたようだ。だがやはり本物質の創造は疲れるな……」

イリス「お疲れ様です! それにしても、あのゴーレム……」

ミスティ「ちょっと、似てるわよね。王国の……自立型魔導機械に」

妖精「……」

イリス「妖精さんは、どう思う……?」

妖精「……わからない。似た気配は感じるんだけど……似ても似つかない気もするっていうか……」

クロシュ「……」


どうしよう
↓1〜 先取2票
1.そっとしておく
2.ゴーレムを連れて行く
3.ゴーレムを食べる
0.自由安価(票数は内容ごと)

クロシュ「……あの……ゴーレムさん……」

草木に覆われたゴーレム「?」

クロシュ「……食べても、いい……? ゴーレムさんを……」

草木に覆われたゴーレム「肯定」

クロシュ「……ほんとに、いいの……? わたしの……一部に、なっちゃうけど……」

草木に覆われたゴーレム「万物流転デス」

クロシュ「ここの、お世話も……できなく、なっちゃう……」

草木に覆われたゴーレム「ワタシガ機能停止シテイル間モ、植物ハ永ラエ続ケテイマシタ」

クロシュ「……ほんとに……いい……?」

草木に覆われたゴーレム「肯定。昨日、スライムジョウロノ貸与、マコトニ感謝シマス」

クロシュ「……わかった。それじゃあ……食べるね……」


 デロデロ…モニョモニョ…


スライムクロシュ「」モニョモニョ…モグモグ…

食べられるゴーレム「――」

 ☆謎のゴーレムを食べました

 *

―空

風船気球クロシュ「」フヨフヨ


イリス「クロシュちゃん……さっきのゴーレムさんのことだけど……」

 モニョモニョ…

分体クロシュ「……うん」

イリス「……食べてみて、何かわかったことはある? あれの中身が何だったか、とか……」

分体クロシュ「……妖精さんたちとは、ちょっと、違った気がする……」

妖精「ちょっと……?」

分体クロシュ「うん……。えと……かちこちで……かたい感じ……」

妖精「作り物ってこと……?」

分体クロシュ「うん……たぶん……。でも……」

 ――植物に水をやるゴーレム『』シャワシャワ

分体クロシュ「……気持ち……思い……。そういうの……あった……感じが、する……」

妖精「……」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-35 遭遇
36-50 食料発見(コンマ)
51-65 場所発見(コンマ)
65-80 良いこと(自由安価)
81-95 旅は道連れ
96-00 旅は道連れ(稀)

なんと……65が場所発見と良いことで重複していました

↓1〜 先取2票(上でコンマを取った人も投票可)
1.場所発見
2.良いこと(自由安価)

では先に起こった良いことです。敵襲はその後になります

↓1自由安価 起こった良いこと

それではドラゴンの群れを目撃することが確定したところで本日はここまでとなります

大魔女帝国を発った一行が行くは、のんびりとした空の旅。小さな庭園を見つけたりトビウオを食べたり、久しぶりの旅気分を味わいつつ風船気球クロシュは目的の雲塊を目指して飛ぶ――

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

ゴーレムさんは庭園のお世話をするのが好きだったようです。一体この庭園がどういう場所だったのかは、今のところよくわかっていません

申し訳ありません、安価を見間違えていました。今回の更新の前に、該当シーンの差し替えを行いたいと思います

天空の古代文明と言えば、一切れのパン、ナイフ、ランプを鞄に詰め込みたくなります。ロマンティックです



というわけで、今回は更新の前に>>633の差し替えからとなります

クロシュ「あの……ゴーレムさん……」

草木に覆われたゴーレム「?」

クロシュ「……少しだけ、同化……させてもらっても、いい……?」

草木に覆われたゴーレム「承知致シマシタ。ドウゾ」スッ

クロシュ「えと、でも……失敗したら……食べちゃう、かも……」

草木に覆われたゴーレム「万物流転デス」

クロシュ「ここの、お世話も……できなく、なっちゃう……」

草木に覆われたゴーレム「ワタシガ機能停止シテイル間モ、植物ハ永ラエ続ケテイマシタ」

クロシュ「……わかった。なるべく……失敗しないよう、がんばる……!」

 デロデロ…モニョモニョ…

 ☆スライム技能レベル高い+半無生物なので失敗判定は回避されます

 ◆

―??
 小さな空中庭園

 ザッ…ザザッ…

クロシュ(これは……ゴーレムさんの……おもいで……?)

 ザザッ…


ゴーレム「」シャワシャワ
 花壇「」シャワシャワ


人形「ご主人さま。なぜ哨戒ゴーレムに庭仕事をさせているのですか?」

主人「人工精核搭載型のゴーレムは優秀だけど、性質に僅かな個体差が生まれることがあるでしょ? この子もそう。この子は、植物の世話をするのが好きみたいだったから」

人形「しかしその個体差……〝バグ〟は、近年の研究成果によって減少しつつあります。この機体も然るべき処置を施せば、哨戒機としての役割を忠実に果たせるようになると思われます」

主人「この子は哨戒任務をこなせないわけじゃないんだよ。でも、それよりこっちの方が好きみたいだから。私はそれを尊重してるだけ」

人形「しかし庭仕事であれば庭仕事用の機体を用いる方が効率的です」

主人「効率を考えれば、そう。でも……それじゃあ、この子の植物のお世話をしたいって気持ちは? 好きじゃない仕事に一生を縛られて、やりたいことをやれないまま朽ち果てていくのが正しいと思う?」

人形「処置を施してバグを取り除けば、そういった苦しみを抱くこともなくなります」

主人「……消されちゃったこの子の想いは……どうなるの?」

人形「消されたものは……消えたとしか言えません。その先は……哲学、あるいは宗教の領域です」

主人「……そうだね。でも私は……今ここにあるこの子の想いを、尊重したい。尊重したいって思う、私自身の意思も」

人形「……理解できました。差し出がましい物言いをしてしまい、申し訳ありませんでした」

主人「ううん、いいよ。気持ちばかりに囚われていると、時々もっと大事なことを見失っちゃうから。あなたの冷静な意見にはいつも助けられてる」

人形「そうであれば幸いです」

主人「それに……」

人形「?」

主人「……こうして私にいろいろ口を出すのが、あなた自身のやりたいこと……でしょ?」

人形「……」


ゴーレム「」シャワシャワ
 花壇「」シャワシャワ

 ◆

―??
 小さな空中庭園

 真っ黒な雲「」ゴゴゴゴ…

 雷「」ピカッ!

 ゴロゴロ…


空の向こうを見つめるゴーレム「……」


端末『――』ザザッ―ピコン!

主人「!! 繋がった……!! 大丈夫……!?」

端末『ご主人さま……。わたしは今のところ無傷です。ご心配ありがとうございます』ザザッ

主人「良かった……! それで、そっちの状況はどうなってるの……?」

端末『大変申し上げにくいのですが……死者は全国民の90%を越えました。人形やゴーレムたちももう……』

主人「……そう。もう……どうにもならないんだ……」

端末『はい』

主人「……ねえ、それなら……あなただけでも、こっちに――」

端末『……わたしは本島に残り、最終作戦に参加する予定です』

主人「……!? どうして……!? あなたは家政婦人形でしょ!? あなたがやるべきことなんて――」

端末『今この島では深刻な人手不足により、家政婦人形の手すらも必要とするほどに逼迫しています』

主人「そ、それはそうかもしれないけど……」

端末『それに――雷霆の魔王を野放しにすれば、いずれはご主人さまの住まう空中庭園が襲われることもあり得ます。あの変わった哨戒ゴーレムが熱心に手入れしている庭園も……奴に破壊させるわけにはいきません』

主人「!!!」

端末『以前ご主人さまは――やりたいことをやれないまま朽ち果てるのは正しいのか、と仰いました』

主人「――」

端末『わたしは――わたし自身の想いを尊重し、戦います――』ザザザッ―

 ブツンッ―

主人「あっ……! 待って、繋がって! お願い!!」ポチポチ…

ゴーレム「……」

 ◆

―??
 小さな空中庭園

 日差し「」ポカポカ


 丁寧に手入れされた庭園「」キラキラ

ゴーレム「」シャワシャワ
 花壇「」シャワシャワ


年老いた主人「……今日も良い天気だねえ……」ノソノソ

ゴーレム「ゴ主人サマ」スッ

年老いた主人「ありがとう」ヨイショ


年老いた主人「………ごめんね……。あなたには……ずっと、お世話になっちゃって……」

ゴーレム「イイエ。ワタシノ役目ハ、アナタノオ役ニ立ツコト。アナタノ愛スルコノ庭園ヲ、守ルコト」

年老いた主人「ふふ……私も、もう長くないのよ……。もうあなたもここに縛られず……って、言いたいところだけれど……」

ゴーレム「?」

年老いた主人「ここからじゃ……どこにも、行けないからねえ……」


 遥か彼方まで広がる青空「」ヒュオオオオ――…


ゴーレム「……ドコニモ行キマセン。ワタシハ、コノ場所ヲ守リタイ」

年老いた主人「もう、いいのに……ふふ……」ジワワ…

 ◆

―??
 小さな空中庭園

 遺骨「」

ゴーレム「……遺言ニ従イ……アナタノオ体ハ……庭園ノ肥料ト、サセテ頂キマシタ……」

 遺骨「」

ゴーレム「……」

 遺骨「」

ゴーレム「……」ピガ…

 遺骨「」

ゴーレム「……」ピガガ…

 遺骨「」

ゴーレム「……オ仕事ニ……行ッテ参リマス……」ヨタヨタ…

 ◆

―??
 小さな空中庭園


 庭園に咲く花「」

 花の先についた綿毛「」フワフワ


ゴーレム「……」


 ヒュオオオ――

 花の先についた綿毛「」ヒュオッ

  飛び立つ綿毛「」フワッ


ゴーレム「……」


   空へ飛んでいく綿毛たち「」フワ フワ…


ゴーレム「…………行ッテラッシャイマセ……ゴ主人サマ……」




      空へ飛んでいく綿毛たち「」フワ フワ…


 ◆

―??
 小さな空中庭園

ゴーレム「」シャワシャワ
 花壇「」シャワシャワ

 ◆

―??
 小さな空中庭園

苔の生えたゴーレム「」シャワシャワ
 花壇「」シャワシャワ

 ◆

―??
 小さな空中庭園

苔に覆われたゴーレム「」シャワシャワ
 花壇「」シャワシャワ

 ◆

―??
 小さな空中庭園

苔と草の生えたゴーレム「」ギギ…シャワシャワ
 花壇「」シャワシャワ

 ◆

―??
 小さな空中庭園

草木に覆われ始めたゴーレム「」ギギギ…シャワシャワ
 花壇「」シャワシャワ

 ◆

―??
 小さな空中庭園

草木に覆われたゴーレム「」

 ◆

―??
 小さな空中庭園

草木に覆われたゴーレム「」

 ◆
―??
 小さな空中庭園

草木に覆われたゴーレム「」

 ◆

―??
 小さな空中庭園

草木に覆われたゴーレム「」

 トコトコ…

「……ん? これは……中に何かあるな」

「よく見つけたわね。でもこれ……何かしら?」

「……」ツンツン

草木に覆われたゴーレム「」ピコン! ギギギ…

「!」
「えっ!?」
「何だ!?」

 ◆

―現在
 小さな空中庭園

 モニョモニョ…ポン

草木に覆われたゴーレム「……」ポン

クロシュ「……」

草木に覆われたゴーレム「……記憶回路ノ一部復旧ヲ確認……。思イ出シマシタ。ゴ主人サマノコト……」

クロシュ「うん……」

草木に覆われたゴーレム「ワタシハ、コレカラモ庭園ヲ守リマス」

クロシュ「………寂しく、ない……?」

草木に覆われたゴーレム「寂シクアリマセン。ココハ――」


 生い茂った草木「」サワサワ
 庭園に咲く花「」ヒラヒラ
 飛び立っていく綿毛「」フワフワ―


草木に覆われたゴーレム「ゴ主人サマノ想イト、共ニアリマス」

クロシュ「……うん!」

 ☆謎のゴーレムの記憶が少し戻りました

 *


 キュッキュ ゴシゴシ…

ピカピカになったゴーレム「」ピカピカ

イリス「すっかり綺麗になったよ!」

エバンス「隙間に詰まってた砂粒とかも極力取り除いたぞ」

ローガン「うむ。調子はどうだろうか?」

ゴーレム「動作良好……感謝シマス、旅人ノ皆サマ」ペコリ

妖精「……ねえ、あなたの人工精核って、妖精や精霊を原料にしてるわけじゃないんだよね?」

ゴーレム「肯定。人工精核ハ無機物及ビ無色ノ魔力ニヨッテ造ラレル、誰ノ権利モ侵害シナイ人道的ナ物体デス。旧来ノ精核デハ原料トナッタ妖精又ハ精霊ニ著シイ苦痛ヲ与エルコトガ問題トナッテイマシタガ、人工精核ハソノヨウナ問題ヲ有シマセン」

ミスティ「……あなたたち自身が苦痛を感じているとかもないのよね?」

ゴーレム「肯定」

クロシュ「うん……。同化してみて……苦しいとかは、なかった……。だから……大丈夫……」

妖精「なら良かった。これからもここで……庭園の世話を続けるんだよね?」

ゴーレム「肯定。ココヲ守リ続ケマス」

クロシュ「うん……! がんばってね……」

 ◆

―空

風船気球クロシュ「」フヨフヨ


双眼鏡を覗くエバンス「……ん? うおっ!?」バッ

ミスティ「え、何? あれは……」


飛竜の群れ「」バサッバサッ


イリス「うわあ!? ドラゴンの群れだ!!」

エバンス「くそっ、カリス・ノーランドからの刺客か!?」

妖精「待って、落ち着いて! 確かにあの時大魔女帝国を襲った飛竜の群れと同じ種だけど、あれは――」


飛竜の群れ「」バサッバサッ


妖精「野生の群れだよ! 野生のワイバーンは比較的大人しい種なんだ、こっちが何もしなければあっちから襲ってくることはないはず……!」


飛竜の群れ「――!! ――!!」バサッバサッ


イリス「でも……なんか、様子がおかしくないですか?」

ローガン「うむ……あれは――」


飛竜の群れ「ギャオオオオッ!! ギャオオオオッ!!」っっっっ

首輪を付けられた飛竜「ギャオオオオッ!!!!」ギャオギャオ


ミスティ「首輪を付けられた奴が暴れてる! あれって――」

エバンス「やっぱりカリス・ノーランドの仕業なんじゃねーか!!」

風船気球クロシュ「……!!」モニョニョ!!

妖精「そうだね……あの首輪付きの奴を止めにいこう! カリス・ノーランドの悪行を見過ごすわけにはいかない……!」


 ――戦闘開始 首輪付きワイバーン――


↓1コンマ(飛竜たちとの共闘+20)
01-30 劣勢
31-90 優勢
91-00 会心

風船気球クロシュ「〜〜」モニョモニョ


イリス「やっ!」カッ!

ミスティ「はあっ!」カッ!

ローガン「むんっ!」カッ!

 星弾「」バギュンッ!!
 氷柱「」ヒュンッ!!
 鋼の槍「」ドュンッ!!

首輪付きワイバーン「ギャオオオオッ!!」ドガガッ



エバンス「くっ……遠距離攻撃は不得意だし――」シュバッ

妖精「ちょ、エバンス!?」


エバンス「ちょっと背中を借りるぜ!」ドッ

ワイバーン「ギャオっ!?」バサッバサッ

エバンス「あいつを止めたいんだろ!? 協力してやるから言うことを聞け!!」

ワイバーン「ギャウ……」バサッバサッ


妖精「ドラゴンライドなんてやったことあるの!?」パタパタ

エバンス「ないけどできたぜ!」

ワイバーン「ギャオオっ!!」バサッバサッ

 グラグラ

エバンス「おああああ!?」

妖精「仕方なく乗せたけど、正式に認めたわけじゃないってさ……」

エバンス「ま、まあいい! よっし、あいつの首輪だな!?」

ワイバーン「ギャオ!」

エバンス「お前は飛んで近づくことに専念しろ! 攻撃は俺がやってやる!」



ローガン「エバンスくん……また無茶をする……!」

イリス「でも飛び回るワイバーンの首輪を正確に攻撃するのも難しいですし、ここはエバンスさんの援護をしましょう……!」

ミスティ「そうね……!」

風船気球クロシュ「〜〜!」モニョニョ!


首輪付きワイバーン「ギャオオオオッ!!」バサッバサッ

エバンス「おおおっ!」グオオオオッ
ワイバーン「ググググ……!」グオオオオッ

首輪付きワイバーン「ギャオオオッ!!」シャキンッ!!

エバンス「うおっやばっ――」

 援護射撃「」ドゴゴゴゴッ!!

首輪付きワイバーン「ギャオオオオン!!」ドガガガッ!!

エバンス「ぶねえ!! 助かったぜ! よし、今度こそ――くらえ!!」バッ

 魔銀の剣「」シャンッ!!
 首/輪「」スパッ

首輪が外れたワイバーン「ギャ……グルル??」バサッバサッ

ワイバーンたち「ギャオオオッ!!」キャッキャ

妖精「やった!」

 ――戦闘終了――

―乗れる雲

ワイバーンたち「ギャオギャオ」バサッバサッ

風船気球クロシュ「〜〜」モニョモニョ フワフワ…

 ポフッ―

イリス「わあ……!? 雲なのに、着陸できた……!?」

妖精「これは……載雲だね。高密度に積み重なった水と空気の層によって、高い荷重性を獲得した珍しい雲だ」

ミスティ「面白いわ……。こんな雲が存在するなんて」

ローガン「北大陸のトウゲン帝国には、乗れる雲を作り出して自在に操る術があると聞く。もしやその雲とは、この載雲のことなのだろうか?」

妖精「ああ、浮雲のこと? 私も詳しくは知らないけど、多分これに近い性質の雲だとは思う。どうやって操るのかは知らない」

エバンス「まあとにかくクロシュちゃんが休める場所に来れて良かったぜ! ありがとな!」

ワイバーンたち「ギャオギャオ!」バサッバサッ

風船気球クロシュ「〜〜!」モニョニョ!


空の旅2日目の夜です。乗れる雲の上で野営します
↓1〜3 自由安価 野営中何をする?

―乗れる雲

 焚き火「」パチパチ


ミスティ「……」コォォォ―

 氷の刃「」キラキラ…

ミスティ「はっ!」バッ

 ミスティの周囲を回転する氷の刃「」ヒュンヒュン


クロシュ「わあ……!」

イリス「かっこいい!」

ローガン「見事だ。近接戦闘もこなせるのではないか?」

エバンス「だな。あんな氷刃が回転してたら近付きたくねえぜ」

ミスティ「……そう? まあ、いろいろ試してはいるの。私は氷属性しか使えないし」

妖精「せっかくだし、接近戦の方も学んでみるのはどう?」

ミスティ「接近戦……まあ確かに、氷魔法の射撃は距離が開くほど威力も減衰するし、瞬間凍結も遠ければ遠いほど発動が遅れてしまうのよね……。でもゼロ距離なら――」

 ミスティの足元で凍結する雲「」ガチンッ!

ミスティ「ほとんどノータイムで凍らせられる。集中力的にも楽だわ」

エバンス「……聞けば聞くほど近接戦向きの属性じゃないか? 氷って」

ローガン「うむ……氷の壁による防御も手慣れているし、ポテンシャルは輝きを秘めうると私も思う」

ミスティ「………やっぱりみんなもそう思う?」

イリス「ミスティならやれると思う!」

クロシュ「うん……!」

ミスティ「……わかったわ。まあ……適度に試してみる……」


↓1コンマ ミスティの近接適性
01-60 中(クロシュ並)
61-90 高(エバンスローガン並)
91-00 天才

ミスティ「ふっ、はっ!」
 魔銀の短剣「」シャッ シャッ

ローガン「うむ……短剣を扱うのであれば、少々大振りすぎるかもしれん。まずは斬よりも突を意識すると良いだろう」

ミスティ「こうかしら?」
 魔銀の短剣「」シュッ!

ローガン「うむ。的確に短剣を――」


妖精「ふふ、ローガンのやつウキウキしてるなあ」

エバンス「やっぱ若者に武芸を教えるのは楽しいんじゃないか?」


 ☆ミスティが近接戦闘を学ぶ決意をしました
 ☆これまでの戦闘経験により剣技レベルが1上がりました
 ☆さらに剣経験を+1獲得しました[1/4]

 ◆

―夜
 乗れる雲

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ グググ…

エバンス「お、クロシュちゃんは何をやってるんだ?」

スライムクロシュ「えと……わいばーんに、なってみようと思って……」

エバンス「ワイバーンにか!? それは面白そうだが……実際いきなりなれるもんなのか?」

スライムクロシュ「わかんない……。でも……やるだけ、やってみる……!」

エバンス「おお……! よし、俺も応援するぞ!」


↓1コンマ
01-30 ハネトカゲ
31-60 ワイバーン(ハリボテ)
61-90 ワイバーン(鱗を拾って同化)
91-00 ワイバーン(再現)

スライムクロシュ「」モニョモニョ…

スライムクロシュ「!」ピコン!

 ワイバーンの鱗「」

 デロデロ…モニョモニョ…

ワイバーンクロシュ「ぎゃお!」ポン!

エバンス「おお! あっさりなっちまったな!」

ワイバーンクロシュ「ぎゃおぎゃお」

エバンス「何て言ってるかわからん……」

 バサッ

ワイバーンクロシュ「」バサッバサッ

エバンス「おお、ちゃんと飛べるんだな!」

ワイバーンクロシュ「」バサッバサッ

 *

 デロデロ…ポン!

クロシュ「ただいま……」トコトコ

エバンス「おかえり。どうだった、ワイバーン化は」

クロシュ「うん……おもしろかった……」

エバンス「はは、そりゃ良かったぜ」

クロシュ「でも……みんなを運ぶなら、風船スライムさんの姿の方が……良さそう……。ばさばさするの……ちょっとつかれる……」

エバンス「なるほど……まあ普通のライド用のワイバーンも大抵は一人か二人乗りまでだしな」

 ☆ワイバーンの鱗を拾いました
 ☆ワイバーンに同化擬態できるようになりました

 ◇

―夜
 乗れる雲

イリス「というわけで私は今日も飛行練習をします!」

妖精「いいよ、見てあげる」

イリス「お願いします、妖精先生!」

妖精「先生って言われるのは初めてかも……。変な感じ……」


↓1コンマ
01-60 難しかった  飛行経験+1 [2/8]
61-90 理解が進んだ 飛行経験+2 [3/8]
91-00 真髄を掴んだ 飛行経験+8 [8/8]

イリス「むむむ……」ヒュルヒュル…

 フワッ―

浮くイリス「むむむむ……」フワフワ…


妖精「浮いてるよ!」

浮くイリス「えっ!? あっ」フワッ…

 ドテッ!

イリス「あいたた……」

妖精「ご、ごめん……。声かけない方が良かったね」

イリス「や、大丈夫。感覚は覚えてる。それに声をかけられたくらいで集中が切れちゃうなら、まだまだってことだもん」

妖精「前向きで助かるよ。浮くまでいけたんなら、後はその感覚に慣れていけば飛べるようになるはず。がんばろう!」

イリス「うん!」

 ☆イリスの飛行経験が[3/8]になりました

 ◆

―大陸西部上空への空路 3日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*4       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*0       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*3               大魔女帝国滞在許可証
マッスルワイン*1               風船パラシュート
吸血鬼殺ワイン*1
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)
雷スライムの欠片
大魔女サイン*1
不死鳥の羽根

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[11/12](クロシュ)次回☆
・剣技[1/6](クロシュ)
・魔法[1/6](クロシュ)
・飛行[3/8](イリス)
・魔法[6/8](イリス)
・剣技[1/4](ミスティ)
・魔法[6/8](ミスティ)
・剣技[1/16](エバンス)
・魔法[5/6](エバンス)
・剣技[1/16](ローガン)
・魔法[5/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………

―空

風船気球クロシュ「」フヨフヨ


妖精「目的の空域までもうすぐだ。今日の夕方には着くはず」

ミスティ「夕方……。雲塊の突破は大丈夫なのよね?」

妖精「うん。クロシュなら大丈夫って大魔女のお墨付きも貰ってる。私の自然魔法でも雷と風雨の脅威をある程度避けられるから、大丈夫」

イリス「大魔女様のお墨付きがあるなら安心だね」

ローガン「うむ……。万が一の為ということで、クロ教授からもこれを頂いているしな」

 風船スライム印のパラシュート「」ポン

エバンス「万が一ヤバイことになったら、これを広げれば良いんだよな?」

ローガン「うむ。ちなみに何回でも再利用できるとのことだから、機会があればこれを使って飛行訓練をしてみても良いかもしれん」

 ☆風船スライム印のパラシュートが荷物に追加されました

↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-35 遭遇
36-50 食料発見(コンマ)
51-65 場所発見(コンマ)
65-80 良いこと(自由安価)
81-95 旅は道連れ
96-00 旅は道連れ(稀)

良いことがあり、そして今さら道連れが現れたようです

↓1 起こった良いこと

↓2コンマ 道連れ(稀)
01-33 レイ
34-66 フメイ&アリシラ
67-00 セイン

フメイちゃんとアリシラさんの気配がします
そして>>680さんは多分ミスだと思われるので、起こった良いことは再安価になります

↓1 起こった良いこと

風船気球クロシュ「」フヨフヨ


妖精「……!? 何かが高速で接近してくる!?」

ミスティ「えっ!?」

ローガン「何!?」


??????「」バサバサバサバサ!!!!

 ヒュンッ―


エバンス「…………今、何かが通り過ぎていったな」

イリス「う、うーん……今の魔力……まさか……」


 バサバサバサバサ!!!!


ミスティ「引き返してきたわ!」

ローガン「あれは……」


血分身フラナ「」バサバサバサバサ!!!!


イリス「フラナ先生の……血分身!!」

妖精「ええ……」

 *

血分身フラナ「」ストッ

妖精「何してるの……こんな空の上で」

血分身フラナ「フレメアヲ見カケナカッタカシラ」

イリス「あー、なるほど……フレメアさんを……」

血分身フラナ「フレメアヲ殺スワ」

ローガン「もしや……この血分身魔法を開発している理由は、フレメア氏を殺す為なのか……?」

血分身フラナ「企業秘密ヨ」

ミスティ「血で分身を作るなんて、滅茶苦茶ね……」

血分身フラナ「私ハ天才ナノヨ」

エバンス「なんというか……フラナって吸血鬼が面白い人物だってことしかわからんぜ!」

妖精「本人が聞いたらキレそう……」

血分身フラナ「ソウイウワケダカラ失礼スルワ。ツイデニコレヲアゲル」スッ

 日蝕の傘修理キット「」ポン

血分身フラナ「ソレデマジカルパラソルヲ修理シナサイ。デハサヨウナラ」バサッ

 ヒュンッ バサバサバサバサッ!!!!

ミスティ「行ってしまったわ……」

イリス「あはは……。でもこれをわざわざ渡してくれたってことは……私たちと会う可能性も考慮してくれてたのかも!」

 ☆日蝕の傘を修理しました

 ◇

―空

 遠くに見える雲塊「」モクモク

イリス「だいぶ近づいてきたね……!」

妖精「うん。周辺の気流は安定してるし、突入にはちょうど良さそう。クロシュは――」


風船気球クロシュ「……!!」モニョニョ!!

妖精「え、どうしたのクロシュ? 何か変なものでも――」


「わあああああああ!!!!」

「助けてええええええ〜〜〜!!!!」


ミスティ「ええ!? こんな空の上で悲鳴が!?」

ローガン「あれは……」


 穴の空いた熱気球「」ボシュッ…
フメイ「わあああああ!!」
アリシラ「ああああああああ!!!」


妖精「フメイに……アリシラ!?」

エバンス「ありゃ、熱気球か!? 穴が空いて空気が抜けて――」

イリス「落ちていってます!!」

風船気球クロシュ「!!」モニョニョ!!

 モニョモニョポン!!

分体ワイバーンクロシュ「」シュバッ!! バサバサッ

イリス「わっ! クロシュちゃんの気球から、ワイバーンが飛び出してった……!?」

エバンス「あれは……ワイバーンに擬態したクロシュちゃんだ!」

 ◇


 バサッバサッ モニョモニョ…

風船気球クロシュ「〜〜!」モニョモニョ!

アリシラ「ひい、ひい……し、死ぬかと思ったぁ……」グデッ

フメイ「クロシュ……クロシュなの……?」

風船気球クロシュ「〜〜♪」モニョニョ

フメイ「クロシュ……!」ギュッ


イリス「わあ……」

妖精「……ええと……一応聞いておくけど、なんであんなところに?」

アリシラ「自分で聞いて愚問だと思ったりしない?」

妖精「まあ、うん……。はあ……助けない方が良かったんじゃないの、こいつら……」

フメイ「む……。クロシュの優しさを愚弄するの……?」ジト

妖精「そうじゃないけど。競争相手だし……」

アリシラ「まあ助けてもらったから今回は譲る、なんて言う気もないしねえ。ね、フメイちゃん?」

フメイ「……でも、それはちょっとズルな気がする……」

アリシラ「フメイちゃん!?」

フメイ「だって……クロシュがいなきゃ、フメイたち落っこちてたし……」

アリシラ「も〜フメイちゃん真面目すぎ! ケースバイケースだよ!」

フメイ「むむう……」


風船気球クロシュ「〜〜…」モニョニョ…


↓1〜 先取2票
1.フメイちゃんたちを地上に降ろして一泊してから雲塊に突入する
2.フメイちゃんたちを連れて雲塊に突入する
0.自由安価(票数は内容ごと)

―夕方
 テラヌス砂漠 小さなオアシス

 オアシス「」ユラユラ
 ヤシの木「」ポン

風船気球クロシュ「」フヨフヨ…モニョモニョ…

 トスン…


アリシラ「結局地上に降りちゃった……」

妖精「だってあなたたちに横取りされたら困るし……」


 モニョモニョ…ポン!

クロシュ「フメイちゃん!」トテトテ

フメイ「クロシュ……!」

クロシュ「んへへ……」モニョモニョ

フメイ「ふふ……無事で、良かった……」

クロシュ「うん……。フメイちゃんも……」



イリス「フメイちゃんたちをおろしたから突入は明日かあ」

ミスティ「まあ仕方ないわ。突き落とすわけにもいかないし」

エバンス「かといって一緒に突っ込むのは怖いからな」

ローガン「うむ。明日出発でも問題はなかろう。今日はゆっくり休んで英気を養うのが良い」


空の旅3日目の夜です。フメイちゃんたちと一緒に地上のオアシスで一泊します。この行動終了後、翌日に雲塊へ突入します
↓1〜3 自由安価 野営中何をする?

―夜
 小さなオアシス

 焚き火「」パチパチ

イリス「え、今日はクロシュちゃんたちが料理を?」

クロシュ「うん……!」

フメイ「まあ……一応、世話になる立場だし……」

アリシラ「毒を盛る絶好のチャンスだからねえ」

フメイ「……」ゲシッ

アリシラ「いたっ! 冗談だよぉ冗談! フメイちゃんがクロシュちゃんと一緒に料理したいって駄々をこねたの!」

フメイ「……」ゲシゲシッ

アリシラ「いたいいたい! これは本当のことなのに!」

妖精「本当のことだからじゃないの……」

クロシュ「わたしも……フメイちゃんと料理、したい……!」

フメイ「クロシュ……!」

アリシラ「ほーらまたそうやってすぐいちゃつくんだから」

イリス「あはは……。必要なものがあれば言ってね、すぐに取り出すから」


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、サバクイナゴ、オオキイスナミミズ
野菜:枯れ草、乾燥植物、ウチワサボテン、テラヌスアロエ
穀物:マジカルイモ、マジカル米、マジカル小麦
果実:精霊サボテンの実、ウォータースイカ、マジカルどんぐり
卵乳:スナニワトリの卵、マジカルチーズ
特殊:スライムゼラチン、ブラッドワイン、精霊樹のジャム、お宿の焼き菓子、マジカルシュガー、マジカルスパイス

 ガサゴソ…

 お宿の焼き菓子「」ポン!

アリシラ「お、これ美味しそ〜」

イリス「みんなで少しづつ夜食とかに食べてるんだけどまだけっこう残ってますね。少しくらいなら料理に使っても良いかもしれません」

フメイ「……こういうの、細かく砕いてお肉とかにまぶす料理……あった気がする……」

イリス「わあ、クッキーフライ?」

フメイ「クッキーフライって言うの……?」

アリシラ「クッキーフライ……そういえば、以前の私はそういう料理も作ってたっけ」

クロシュ「アリシラさん……覚えてるの……?」

アリシラ「私自身のことなんだから覚えてるに決まってるじゃない。ふふ、クロシュちゃんたら変なこと言うなあ」

クロシュ「んゅ……」


エバンス「おーい、トリ肉とミミズ肉獲って来たぞ〜」スタスタ


アリシラ「ふむふむ、お肉もあると……。それじゃあ久しぶりに作ってみようかな、クッキーフライ。妖精さんも手伝ってね?」

妖精「えっ、私もなの……」

 *

 トリ肉とミミズ肉のクッキーフライ with マジカルハッシュドポテト「」ポン!

アリシラ「はい、どうぞ!」

クロシュ「わああ……!」

フメイ「……!!」

イリス「すごく美味しそう……!」

エバンス「これ、あんたが……?」

アリシラ「フメイちゃんとクロシュちゃんにも手伝ってもらったよ。あと妖精さんにも」

妖精「疲れた……。まあ人間用料理の勉強にはなったかな……」

フメイ「早く食べよ、クロシュ」

クロシュ「あ、うん……!」

 デロデロ…モニョモニョ…

スライムクロシュ「〜〜♪♪」モニョモニョ モグモグ

フメイ「もぐもぐ……。うん……我ながら火加減完璧……」モグモグ

ミスティ「これは……美味しいわ……!」モグモグ

ローガン「うむ……! 砂漠でこのような手のかかった料理を食べられるとは、ありがたいものだ……!」モグモグ

 ☆美味しい料理を食べて元気になりました
  本日のコンマ判定に+5が加算されます

 ◇

―夜
 小さなオアシス

 焚き火「」パチパチ

ミスティ「ふっ、たっ!」シュッシュッ!

ローガン「うむ、少しづつ上達している!」

エバンス「よし、せっかくだから俺のも見てくれ旦那」シャシャッ!

ローガン「エバンスくんには私が教えられることなどない……。既に君の力量は私に匹敵している」

エバンス「そ、そうか……まあそんなような気はしていた」

ローガン「うむ。自分の実力を正しく把握することもまた重要なことだ。互いにさらなる高みを目指そう」

エバンス「おう!」

ミスティ「……この二人に追いつくのは流石に厳しそうね。まあ私は私のペースで行きましょう……」

 シュッシュッ!
  シャシャシャッ!

↓1コンマ(料理+5)
01-60 全員剣技+1
61-90 全員剣技+2
91-00 全員剣技+8

ミスティ「たっ!」シュッ!

エバンス「!」ギンッ!

ミスティ「むう……! 何度やっても弾かれてしまう……!」

エバンス「はは、年季が違うからな。でもこれは剣技だけの練習だし、ミスティちゃんが本気で魔法のエンチャントとかをしたら弾いてなんていられないぜ」

ローガン「うむ……魔法剣士の最大の強みはそこにある。例え剣技では勝てぬ相手でも、魔法を組み合わせることでその戦技も先述も大幅に広げることができるのだ。私の見立てでは、氷属性のミスティくんなら特にその恩恵を得られそうに思える」

ミスティ「おだてても何も出ないわ……」

ローガン「ふむ……。剣技も魔法も上向きに見えるが、何か気がかりなことがあるのか」

ミスティ「気がかり……そうね……。私とブラッドのことは知っているでしょ?」

エバンス「ああ……。結局、本当に復讐すべきだった相手は――」

ミスティ「ええ。カリス・ノーランドだった。ブラッドも多分……あの外道に苦しめられている、被害者に過ぎない……」

ローガン「だが……ブラッドは既に多数の冒険者を殺害している。もはや無垢なる被害者とは言えまい」

ミスティ「それもそれで、私としてはちょっと納得できないのよね。冒険者だって辻斬り感覚で野生に生きるスライムを狩ったりするでしょう? それなのに冒険者は許されて、冒険者を狩ったブラッドが許されない理由は何? 人間は許されてスライムは許されないなんておかしいんじゃないかしら」

ローガン「ふむ……。それは、現状この星の地上のほとんどを支配している種が、人間やそれに近い種だから……としか言えぬ。冒険者ギルドも表向きは人間も非人間も平等に扱っているが、実際の魔族や魔物に対する扱いは人間より悪いと言える」

ミスティ「……支配種だから、多種への横暴も許されるということなら……私はそんな在り方を認めたくないわ……。まあ、人間である私が言っても薄っぺらいかもしれないけれど……」

エバンス「いや、俺も気持ちはわかるぞ。特にクロシュちゃんと出会ってからはそうだ。他の種に対する見方が少し変わったというか……他種の立場に立つってことを初めて意識するようになった」

ミスティ「エバンス……」

エバンス「まあ俺も人間だから、こんなことブラッドに言ったら安い同情をするなって逆に激昂されそうだけどな。結局、人間である以上完全に人間以外の立場に立つことなんてできないんだ……」

ローガン「うむ……。だが、全く考えないのとは雲泥の差でもある。剣が鈍るほど考えすぎるべきではないが、そうならない範囲で思索を深めるのは決して悪いことではないだろう」

ミスティ「……そうね。自分がやろうとしていたこと……そしてこれからやるべきことを、もっと考えてみようと思うわ……。もちろんカリス・ノーランドは必ず殺す」

 ☆ミスティ、ローガン、エバンスが剣経験を2獲得しました

 ◆

―テント

 ランプ「」ユラユラ

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ

フメイ「うん……。一緒に寝るの、久しぶりだね……」

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョニョ

アリシラ「フメイちゃんとクロシュちゃんは、村に来る前からずっと一緒だったんだもんね。そういえば聞いたことなかったけど……二人は、どこで出会ったの?」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

フメイ「クロシュは……覚えてないよね。あの頃のクロシュは、まだ本当に生まれたての赤ちゃんだったし……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

フメイ「えっ……カリス・ノーランドに会った……!?」

アリシラ「カリス・ノーランド……?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

フメイ「……クロシュ、何か変なことされなかった? 怖い目に遭わなかった……?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

フメイ「大魔女に……? そうなんだ……良かった……。大魔女には、感謝しなきゃ……」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョモニョ…

フメイ「……うん。フメイも……あいつに造られた命の一つ……。見た目は人間だけど、中身が何なのかはフメイ自身にもわかんない……」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

フメイ「……わかった。フメイも大魔女帝国に行って、大魔女にその洗脳魔法を除去してもらうよう頼んでみる」

スライムクロシュ「〜〜」モニョ

フメイ「うん……ありがと……。クロシュの名前、出してみる……」

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョニョ

アリシラ「ああ……クロシュちゃんとフメイちゃんの過去にそんなことがあったなんて……。そのカリス・ノーランドとかいう悪鬼羅刹鬼畜外道のクソゴミゲロカス女、絶対に許せないね……」

フメイ「アリシラ、言葉遣い汚い……」

アリシラ「てへへ、ごめん。でもフメイちゃん、よくスライム語がわかるねえ……」

フメイ「……? むしろなんでアリシラはわかんないの……?」

アリシラ「そりゃまあ、私は人間だし……。まあとにかく今日はもう寝よ! 明日でもうお別れなのは寂しいけど、おねんねは大事だよ!」

フメイ「そうだね……。それじゃあ……おやすみ、クロシュ……」

スライムクロシュ「…♪」モニョニョ…

 ◆

―集落の広場

スライムクロシュ「……」ボー

集落のスライム「〜〜」モニョモニョ

スライムクロシュ「!」モニョ!

集落のスライム「〜?」モニョニョ?

スライムクロシュ「〜〜…」モニョ…モニョニョ…

 ジワワ…ポロポロ…

スライムクロシュ「……」ポロポロ

集落のスライム「〜〜!?」モニョニョ!?


集落の子供「どうしたの〜!?」タッタッタッ

魔族の医者「何があった? 具合が悪いのか?」タッタッタッ



クロシュ(……夢だ……)

クロシュ(みんな……もう……。この世には……)

クロシュ(だから、これは………きっと、夢…………)

 *

―集落の焼却炉

 燃える焼却炉「」メラメラ

フメイ「……」チリチリ

若者「お〜やっぱりフメイちゃんがいると助かるな〜」

老婆「本当にねえ……。このままずっと、この村にいてくれると嬉しいねえ……」

フメイ「…………うん」


集落の子供「あ〜フメイちゃんここにいた〜!」タッタッタッ

フメイ「あ……」

集落の子供「クロシュちゃんがいきなり泣き出しちゃってぇ……! フメイちゃん来てくれる!?」

フメイ「う、うん……!」


フメイ(……フメイも……ずっとこのまま……みんなと、一緒に……いたかった………!)ジワワ…

 *

―集落の診療所

アリシラ「……」

アリシラ「……夢、なの?」

アリシラ「……」

アリシラ「どっちが……夢……? こっち……それとも――」


 診療所の扉「」ガラッ


魔族の医者「急患だ」ノシノシ

抱えられたスライムクロシュ「」ポロポロ

集落のスライム「〜〜!」ピョンピョン! オロオロ


アリシラ「あ……クロシュ、ちゃん……?」


スライムクロシュ「……」ポロポロ


アリシラ「泣いて……。どう、して……」


 ――燃える集落「」


アリシラ(ああ……そうか……)

アリシラ(やっぱり……こっちが、夢なんだ……)


スライムクロシュ「」ポロポロ

魔族の医者「ふむ……身体的な異常はないようだが」

集落のスライム「〜〜…」オロオロ

 診療所の扉「」ガラッ

集落の子供「フメイちゃん連れてきた!」トテトテ

若者「クロシュちゃんが泣いてるって!?」ザッ

老婆「おお、どうしたんだい……。どこか痛いんかい……」ヨタヨタ

フメイ「クロシュ……みんな……」

クロシュ「フメイ、ちゃん……。みんな……」モニョモニョ


クロシュ(……夢の、中だけど……。みんなに……心配、させたくない……。笑って、欲しい……)

クロシュ(わたしは、大丈夫だって……伝えたい……。伝えなきゃ……)


クロシュ「んへへ……みんな……久しぶり……」ポロポロ

集落のスライム「?」モニョニョ?

集落の子供「んえ? 久しぶりなの?」

若者「んん? なんか悪い夢でも見たのか?」

老婆「ほっほ……大丈夫じゃ。みんな、一緒におる……」

魔族の医者「……ふむ。記憶に混乱が見られるな。だが、これは――」

クロシュ「……みんな……あり、がと……。だいすき……!」ニコッ ポロポロ

集落のスライム「……!」モニョニョ!

集落の子供「わっ……えへへ、あたちもだいすき! クロシュちゃんも、フメイちゃんも、みんなも!」

若者「ははっ、おれも大好きだぞ!」

老婆「うむ……」ニッコリ

フメイ「フメイ、も……みんなの、こと…………だいすき、だった……!!」ジワワ…ポロポロ…

集落の子供「きゃーっ!」ダキッ

フメイ「ふゃっ」

 ぎゅっ!

若者「あははは!」

老婆「ほっほっほ……」

集落のスライム「〜〜♪」モニョモニョ

クロシュ「んへへ……」ポロポロ


魔族の医者「フッ……そういうことか」

アリシラ「……」

魔族の医者「……君の夢に、巻き込まれてしまった――いや、吸収されてしまったのだな。我々は」

アリシラ「……!?」

魔族の医者「仕方のないことだ。如何に上手く隠れ里を作ろうと、世は儚い。一切は過ぎゆく……廻り続ける運命の車輪を止めることは、誰にもできない……」

アリシラ「あなたは……運命を、識っているの……?」

魔族の医者「状況から推測したまでだ。間違っていたら笑いものにしてくれて構わない」

アリシラ「……生きて、いるの……? 私の……中で……」

魔族の医者「肉体が消滅している以上、一般的な意味で生きているとは言えないだろう」

アリシラ「……」

魔族の医者「だが――」

 診療所の扉「」ガラッ

アリシラ「え――」

アリシラの父「アリシラ!」タタッ

アリシラの母「大丈夫!? 苦しいところはない!?」タタッ

アリシラ「あ……お父さん……お母さん……!!」ポロポロ


魔族の医者「……我々はこれからも、君たちを見守っている。いつまでこの意識の残り火を保てるかはわからんがな」


クロシュ「」ニコニコ ポロポロ
フメイ「」ポロポロ ギュッ
集落のスライム「」モニョモニョ!
集落の子供「」キャッキャ
若者「」ニコニコ
老婆「」ニッコリ
アリシラ「」ポロポロ ニコニコ
アリシラの父「」ニコニコ
アリシラの母「」ナデナデ
魔族の医者「」フッ…



――――――――

――――

――

―朝
 テント

 チュンチュン

スライムクロシュ「」zzz…ポロポロ…

フメイ「」zzz…ポロポロ…


アリシラ「……」

アリシラ「……私の、中に……」ギュッ


アリシラ「…………」

アリシラ「でも……やっぱり……」

アリシラ「……みんなを奪った、この世界を……許すわけには、いかないよね……」ポロポロ…

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回、ついに雲塊突入編となります

空の上の旅を経て、ついに雲塊の間近にまで迫ったクロシュ一行。そして突入の直前に、フメイちゃんたちを助けて一泊を挟むのでした
ゴーレムの過去、そしてクロシュとフメイとアリシラの過去……無数の運命が交錯し、涙を乗り越えて、舞台は空の上。謎めいた雲塊の奥へ。いにしえの伝説に触れし時、新たなる出会いと次なる巡礼譚が幕を開ける――

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします

ゴーレムさんには不思議な過去があったようです。そしてクロシュさんたちが暮らしていた集落の住民たちは、今でもクロシュさんたちを応援しているのかもしれません
フメイ氏もあの悪名高き犯罪者の手によって造られた生命のようでした。そしてアリシラさんの人格は今でも生きているようです。今後それがどのようになっていくかは未知数です

本作にジョブチェンジという概念はないため、職業が変わったというよりできることが増えたと考えて頂いた方がわかりやすいかと思います。ミスティ氏は魔法の専門ですが、今後は近接戦闘もそれなりに学べるようになりました

イーシャさんは医者を名乗っていますが、医術以外に関しても優れた知識を有していたそうです。彼が元々どういった人物であったのかは闇に包まれていますが、実のところ初めに村を興したのは彼だったようです。実質的には集落の長のような役割を持っていたとも言えるでしょう

この夢で得たものが今後どのように影響してくるかはわかりませんが、フメイさんとアリシラさんに何らかの影響を及ぼしたことは間違いないと考えられます(もちろんクロシュ氏もです)。クロシュ氏が今後フメイちゃんとアリシラさんに対してどうするか、考えるべきことはありますが、村の皆はきっとそれを応援してくれていることでしょう

ゴーレム氏の過去も集落の夢も、何もかもが幸福に終わる大団円とはならなかったようです。それでも、残された者たちの心に灯る何かはあったかもしれません
フメイ氏とアリシラさんはこのあと大魔女帝国に行き、邪悪な魔法を解除してもらうそうです。クローディア氏とはちょっと喧嘩になりそうな二人ですが、クロさんとの交流は興味深いかもしれません

フラナ氏は薬師であり、様々な魔法を生み出す魔法研究者でもあるようです。歴史書に載るかはわかりませんが、吸血鬼用の魔導書であれば既に何冊も書けるくらいの知識があると言っても良いでしょう(実際に何冊か書いていたような気がします)

―朝
 小さなオアシス

 チュンチュン

風船気球クロシュ「〜〜」モニョモニョ

フメイ「うん……ありがと、クロシュ」

アリシラ「ねえ、やっぱり私たちも一緒に連れてってよぉ」

妖精「だめ。それに今のフメイはカリス・ノーランドに出くわした時が危なすぎるんだから、あなたたちは大魔女に会いに行くべき」

アリシラ「はいはいわかってるってば。まあ確かにそれも問題だし」

フメイ「……大丈夫。炎の星の力はフメイの中にある。一つや二つくらい取られちゃっても平気」

妖精「むぐぐ……それもいつかは返してもらうから! クロシュの友達だからって容赦しないからね!」

フメイ「そっちこそ……クロシュに可愛がられてるからって、邪魔するなら容赦しない……」

妖精「は!? 誰が誰に可愛がられてるって!? クロシュを可愛がってるのは私の方だけど!!」

フメイ「妖精は、弱っちい生き物……。クロシュに守られてる分際でよく吠える……」

妖精「〜〜!!」プンスコ

風船気球クロシュ「〜〜…」モニョニョ…オロオロ…

 *

フメイ「いってらっしゃい、クロシュ。気を付けてね」

アリシラ「ばいば〜い、また会おうね〜」ヒラヒラ


風船気球クロシュ「〜〜!」モニョモニョ! フワフワ

イリス「そちらも気を付けてね〜!」フリフリ

妖精「ふんっ……! 今度会ったら言い負かしてやる……!」プンプン


 ☆フメイちゃんとアリシラさんと別れました
  彼女たちは地上に落ちた大魔女帝国に向かうそうです

 ◇

―空


 巨大な雲塊「」ゴゴゴゴゴ…

 雷「」カッ!

 ゴロゴロゴロ…


エバンス「うおお……間近で見ると圧倒されるぞ……!」

ミスティ「こ、こんな巨大な雲に突っ込んで本当に大丈夫なの……!?」

風船気球クロシュ「〜〜…」モニョニョ…

妖精「大丈夫! 私が守るから、あとは自分を信じてクロシュ……!」

風船気球クロシュ「……!」モニョ…!

ローガン「もし仮に不測の事態が起きたとしても、我々は簡単には死なん。気を張る必要はない」

イリス「そうだよ! 気楽に行こう、クロシュちゃん!」

風船気球クロシュ「……!」モニョニョ…!


 巨大な雲塊「」ゴゴゴゴゴ…


妖精「よし……突入だ!!」

 *

―雲塊

 暴風「」ゴオオオオッ!!!
 豪雨「」ドザァァァァァッ!!
 無数の雷「」カッ!! カッ!! カッ!!
 ゴロゴロゴロゴロ――

風船気球クロシュ「〜〜!!」グラグラ モニャニャニャ!!

妖精「お、落ち着いてクロシュ! あなたの力なら安定して飛べるはず!! 私の力で、雷は絶対に近寄らせないから……!!」

風船気球クロシュ「……!」モニョニョ…!! グググ…

妖精「そう、その調子……! 大丈夫、あなたは姿勢の維持に全力を傾けて!」

イリス「風除けと推力は私たちに任せて!」

風船気球クロシュ「〜〜!」モニョ!


 ゴロゴロゴロ――


エバンス「雷の音は絶えないが、ひとまず落ち着いて進めそうか……?」

妖精「うん。あとは星の力を目指して飛ぶだけ。居場所は、多分この雲塊の中心だと思う」

ミスティ「中心……」

イリス「星の力がこの乱気流を生み出してるのかな……? でもこの雲塊自体は、ずっと昔からここに停滞してるんだよね……?」

ローガン「……この雲塊の中には何があるのだろうか」

妖精「それも確かめる為にも、今は進もう……!」

 *

 ドザァァァァ!!!!
 ゴロゴロゴロ――

風船気球クロシュ「〜〜」フヨフヨ モニョモニョ


  バチッ――


エバンス「……ん? 今向こうの方で何か光らなかったか?」

ミスティ「雷じゃないの?」

エバンス「まあ雷っちゃ雷っぽかったんだが……少し違うような気もする。魔力感知的にはどうだ?」

ミスティ「私は氷以外の魔力はそれほど明瞭に感じ取れるわけではないから……」

イリス「うーん……風と水と雷の魔力が激しく入り乱れてて、見極めにくいですね……」ムム

ローガン「妖精くんはどう――」

妖精「……何か、いる!! 自然に属さない……何者かが……!!」

イリス「えっ――」


雲の向こうで光る雷球「……」バチバチ…


エバンス「……あれだ! さっき微かに見えた――」

ミスティ「球状の……雷!?」


 雷の残像「」パリッ


ローガン「!? 消え――」

妖精「違う! あれは雷速――」

間近に出現した雷球「……」ヌッ バチバチ…

全員「!!?」

謎の雷球「……」バチバチバチッ!!

 雷球から放たれる雷「」カッ!!!!

イリス「くっ!! 雷耐性バリア!!」バッ
 雷耐性バリア「」ヴォン!

風船気球クロシュ「〜〜!」モニョニョ!
 ゴムの幕「」バサッ!!

妖精「外れろぉー!!!」

 バリバリバリバリ!!!!
 砕け散る雷耐性バリア「」バリンッ!!
 焼け飛ぶゴムの幕「」バシュンッ!!

風船気球クロシュ「〜!!?」バリバリバリ モニャニャニャニャ!!
妖精「ぎゃああああ!!!」バリバリバリ
イリス「わああああ!!?」バリバリバリ
ミスティ「あっ、うあああっ!!」バリバリバリ
ローガン「ぬうう!!?」バリバリバリ
エバンス「おあああ!!?」バリバリバリ

 ◆

―??

 雲の壁「」ゴゴゴゴゴ…

 ボシュッ

黒焦げ風船気球クロシュ「」フヨフヨ…デロデロ…


「わっ!? 雲の中から、スライムさんの気球が……!?」パタパタ

「ええっ!? あの雲を抜けて来たの!?」パタパタ

「ボロボロだよ!! 助けてあげなきゃ!!」パタパタ

 ◆

―??

スライムクロシュ「!」モニョ!

妖精「クロシュ! 良かった、気がついた……!」パタパタ

スライムクロシュ「〜〜?」モニョニョ? ピョンッ!

妖精「わわ、ばか! まだ動いちゃだめだよ!」パタパタ

 *

 扉「」ガチャッ

クロシュ(外に出てみると、そこは小高い丘の上だった)


 遠くに見える廃墟の街「」
 廃墟の街の向こうにそびえる大きなお城「」

 四方を覆う高く厚い雲の壁「」ゴゴゴゴ…


クロシュ(ここは……あの、雲塊の内側みたい……)

クロシュ(雲塊の中に……こんな大きな陸地が、浮いていたんだ……)


「もう気が付かれましたか?」スタスタ


スライムクロシュ「!」モニョ!

人形「こんにちは、初めまして。そして……ようこそ」ペコリ

人形「雲に閉ざされた浮島の国、ラティア・ヘイヴンへ――」


 四方を覆う高く厚い雲の壁「」ゴゴゴゴ…


 ――浮島国編 開幕

―浮島国ラティア・ヘイヴン 1日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*4       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*0       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*3               大魔女帝国滞在許可証
マッスルワイン*1               風船パラシュート
吸血鬼殺ワイン*1
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘
雷スライムの欠片
大魔女サイン*1
不死鳥の羽根

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[11/12](クロシュ)次回☆
・剣技[1/6](クロシュ)
・魔法[1/6](クロシュ)
・飛行[3/8](イリス)
・魔法[6/8](イリス)
・剣技[1/4](ミスティ)
・魔法[6/8](ミスティ)
・剣技[1/16](エバンス)
・魔法[5/6](エバンス)
・剣技[1/16](ローガン)
・魔法[5/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□浮島国
お城:未探索
廃都:未探索
辺境:寂れた家、平原、森林、他
……………………………………………………………………………………

―浮島国 辺境
 寂れた家

妖精「こらクロシュ! まだ安静にしてろって言ったでしょ!」パタパタ

スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!

人形「ご安心くださいませ、妖精さま。クロシュさまの怪我はほとんど治っています。流石はスライム類のお方です」

妖精「そ、そうなの? でも大怪我したのは事実なんだし……」

 モニョモニョ…ポン!

クロシュ「えと……わたし、大丈夫……。みんなは……?」

妖精「みんななら――」


イリス「クロシュちゃん!」

ミスティ「気がついたのね……!」

エバンス「おお……良かった、安心したぜ……」

ローガン「うむ……!」


クロシュ「わあ……!」

妖精「見ての通り無事だよ」

イリス「うん……クロシュちゃんが一番外側で、体積も一番大きかったから、あの雷で受けたダメージも一番大きくなっちゃったの……」

ローガン「うむ……クロシュくんが皆を庇ってくれた、と言い換えることもできよう」

クロシュ「そうなの……?」

イリス「うん。雷のエネルギー量は無限ではないから、クロシュちゃんが受けた分だけ他の人に流れる量は少なくて済んだんだよ。お陰で私たちは大した怪我もせずすぐに復帰できたの」

妖精「まあ……今回は無茶な庇い方をしたとかじゃないから仕方ない。あの雷をきっちり均等に分けてたら、間違いなく私は黒焦げになって死んでたし……」

エバンス「ありゃ一体何だったんだろうな……?」

人形「皆さまは、あの雲塊の中で意思を持ったように動く雷球に遭遇したのですか?」

ミスティ「ええ、そうなのよ。あなたは何か知っているかしら?」

人形「それはもしかしたら、雷霆の魔王の眷属かもしれません」

妖精「えっ!!? 雷霆の魔王の……眷属!!?」

人形「はい。雷霆の魔王はここに封印されて久しいですが、時折外へ眷属を放つことがあるのです」

妖精「ちょ、ちょっと待って! 情報が多いよ情報が! 整理させてもらいたいんだけど――」

人形「――あ、定期メンテナンスの時間なので失礼いたします。地下室におりますので、緊急のご用がありましたらお呼びくださいませ」トコトコ

妖精「あ、ちょっ……」

エバンス「行っちまったな……」

イリス「私たちの手当をしてくれたのはありがたいけれど……」

ミスティ「いろいろと、謎がありすぎるわね……」

クロシュ「……」


浮島国滞在1日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―寂れた家

イリス「それじゃああの廃墟の街を探索してみよう!」

ミスティ「賛成。ここが何なのかも調べたいしね」

エバンス「じゃあ俺も行くぜ!」


妖精「クロシュはお留守番。大怪我だったんだから、見かけは治ってても安静にしてなきゃだめ」

クロシュ「んゅ……」

ローガン「であれば私も残ろう。この周辺も見ておきたい」

 ◇

―廃都

 朽ちた廃墟「」
 崩れた廃墟「」
 破壊された廃墟「」

イリス「ここは……人が住んでいた街、なのかな……?」スタスタ

エバンス「サイズ感は人間の街だな。小人や妖精ではなさそうだ」


  ワイワイ キャッキャ


ミスティ「……向こうの方から声が聞こえるわ。子供……というか、妖精の声じゃないかしら」

エバンス「えっ」

イリス「と、とりあえず行ってみましょう!」

 *

―廃都 市場

 ワイワイ キャッキャ

妖精のごはん屋「ごはん屋さんだよ〜トビウオの丸焼きだよ〜」

妖精のどうぐ屋「じゃじゃーん! 妖精のウチワだよ〜!」

妖精のわたあめ屋「わたあめだよ〜あまあまでおいしいよ〜」


空妖精A「わ〜おいしそう〜」パタパタ

空妖精B「ウチワ……おしゃれ……」パタパタ



ミスティ「これは……!」

イリス「妖精さんが……いっぱい……!?」

エバンス「まさか……妖精の街だったのか……!?」


空妖精A「わっニンゲン!?」パタパタ

空妖精B「人間……初めて見た……」パタパタ

ミスティ「人間が珍しいの……?」

空妖精A「うん! どこから来たの!?」

エバンス「地上からだな」

空妖精B「え……どうやって……?」

イリス「スライムさんの気球に乗って来たの」

空妖精A「……あっ! 今朝、スライムさんの気球の噂、聞いた……!」

ミスティ「噂……?」

空妖精A「うん! あなたたちが乗ってたんだ!!」

空妖精B「……スライムさんは、大丈夫だったの……?」

イリス「うん、大丈夫だよ! あっちの……お医者さんに診てもらってるの」

空妖精A「ほえ〜良かったねえ〜!」


ミスティ「ところで、この街について聞きたいのだけれど……いいかしら?」

空妖精A「いいよ!」

ミスティ「ここって、何の街なの?」

空妖精A「街は街だよ!」

空妖精B「えと……ラティア・ヘイヴンの城下町……。もう、滅んだのはずっと昔だけど……」

イリス「滅んだ……いつ、どうして滅んだの?」

空妖精B「わかんない……ずっと、昔……。雷の災いが降り掛かったって……」

空妖精A「ほえ〜そうなんだあ〜」

空妖精B「詳しく知りたければ……工房にいる人形に聞いたり、図書館に行ってみたり、すると良いかも……」

エバンス「工房に図書館か!」

空妖精A「工房はあっち! 図書館はあっちだよ!」

ミスティ「ありがとう……お礼にわたあめを買ってあげるわ……。あ、でも地上のお金は使えるのかしら……?」

空妖精A「おかね?」

空妖精B「おかね……本当に取引で使われてるんだ……」

ミスティ「……もしかして、ここでは取引にお金を使わないのかしら?」

空妖精B「うん……。あれは……商売じゃなくて、遊びだから……」


 ☆廃都のマップに以下のポイントが追加されました
 ・広場、市場、どうぐ屋、ごはん屋、工房、図書館、他

 ◆

―寂れた家

スライムクロシュ「……」

スライムクロシュ「!」ピコン

 荷物「」

スライムクロシュ「」ガサゴソ

 雷スライムの欠片「」ポン!

妖精「クロシュ……もしかして、今からそれと同化する練習を始める気?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

ローガン「なるほど……。理屈はわかるが、大丈夫か? 軽症で済んだ我々と違い、クロシュくんは丸一日寝込んでいたのだぞ」

スライムクロシュ「!?」モニョ!?

妖精「そういえば言ってなかったね……。クロシュ以外は昨日のうちに目を覚ましたんだけど、クロシュだけは一日中寝込んでたんだよ」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「はあ、わかったよ。やるだけやってみよう。もし危なくなったら止めるから」

ローガン「うむ。私も見ていよう」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!

 雷スライムの欠片「」バチバチ

スライムクロシュ「……」モニョニョ…

 デロデロ…モニョモニョ…

↓1コンマ(感電経験により+20)
01-40 びりびり(1/3)
41-90 むむむ…(2/3)
91-00 雷霆の如し(☆)

 ビリビリ…バチバチ…

帯電スライムクロシュ「……!」モニョニョ…!

 バチバチバチッ!

感電スライムクロシュ「〜〜っ!!」モニャニャ!!

 デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…

ローガン「む、大丈夫か……!?」

妖精「もう……病み上がりなんだから無理しちゃだめだよ。大丈夫……?」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

妖精「うん……。でもけっこういいところまではできてたと思う。前よりも同化が上手くなってるんじゃない?」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョ!

 ☆クロシュの雷化経験が[2/3]になりました

 ◆

―廃都 工房

 コンコン

工房人形「はーいどうぞ」

 ガラッ

エバンス「こんにちは」スタスタ

イリス「お邪魔します」スタスタ

ミスティ「失礼するわ」スタスタ

工房人形「えっ……!? に、人間……!!?」

 *

工房人形「なるほど……地上からここまで……」

イリス「はい。あの分厚い雲塊のことなんですけど……」

工房人形「……約一万年ほど前、雷霆の魔王にこの島が滅ぼされた話はご存知でしょうか?」

ミスティ「雷の災いが舞い降りた、という話ならさっき聞いたわ」

工房人形「恐らくそのことです。当時、僅かに生き残った島民と人形とゴーレムは総力を結集し、雷霆の魔王を封印することに成功しました。しかし奴を封印してからしばらくの後、あの巨大な雲塊が現れ……この島を覆い隠すように、取り囲んでしまいました」

エバンス「ということは……あの雲塊も、雷霆の魔王が作り出したものってことか?」

工房人形「その可能性は非常に高いかと思われます。専門ではないので、断定はできませんが……」

エバンス「おいおいマジか……」

ミスティ「雷霆の魔王……あの本には、史上最も危険とされる魔王だと書かれていたわ……。まさか、こんなところに現存していたなんて……」

 *

エバンス「ところでここは工房なんだよな? 一体何を作っているんだ?」

工房人形「ここでは、かつてゴーレムや魔導人形を製造していました。現在はそれらの製造は一切行わず、もっぱらこの島に住み着いた妖精たちのおもちゃや生活用品を作る為に稼働しております」

ミスティ「妖精たちの……。ふふ、優しいのね……」

工房人形「私たち人形の存在意義は、誰かの役に立つことですから」

エバンス「そういうものなのか。じゃあ武器とか防具は作ってなさそうか」

工房人形「武器や防具は――」


↓1コンマ
01-40 ありません
41-70 鋼のハンマー
71-00 大地のメイス

工房人形「こちらにあるものが最後の一本となっております」スッ

 鋼のハンマー「」ポン

イリス「わ、重そう……!」

ミスティ「見た感じサビとかもなさそうな良品ね……。でもエバンスの武器なら業物の魔銀の剣があるんじゃないの?」

エバンス「いや、それがだな……」スッ

 ヒビの入った魔銀の剣「」ボロッ

イリス「えっ……!? ヒビが入ってる……!?」

エバンス「ああ……。実はあのワイバーンの首輪を叩っ斬る時に……ビキッとな」

ミスティ「嘘……魔銀って普通の鋼よりも強靭なはずじゃないの?」

エバンス「使い方が悪かったとしか言えん……。多分、剣へのダメージはあの大気球に登った時の攻撃でかなり溜まっちまってたんだと思う……。ローガンの旦那は戦闘時、いつも自然に鋼属性エンチャントして強度を高めてるし、使用後の手入れも欠かしてない。だが俺はこの剣の強度にかまけてそういうのを怠っちまった……。その結果がこれだ……。この剣を格安で売ってくれたドワーフの職人にも面目が立たないが……折れかけた剣じゃ戦えるもんも戦えないんだ」

イリス「な、なるほど……私も杖の手入れは念入りにやろう……」

ミスティ「武器の消耗……魔法一本でやってきた今までならともかく、今後は私にも関わってくる問題ね……。意識する必要があるわ……」

エバンス「つーわけでこれを売ってくれ! いくらだ?」

工房人形「差し上げます。今やこの島で金銭は何の意味もなしませんし、この槌を必要とする人もきっとあなたの他には二度と現れないでしょうから」

エバンス「え、いや……しかしタダで貰うってのも気が引けるな……」

イリス「わかります……!」

工房人形「お気になさらないでください。どうしても気になるというのであれば……何か一つ、妖精たちが喜ぶことをしていっていただければ良いです。すぐにとは言いませんので」

エバンス「妖精たちが喜ぶことか……よし、わかった! この島を出ていくまでに、絶対に何かすると約束しよう!」

工房人形「ありがとうございます。それでは、どうぞお受け取りくださいませ」スッ

 鋼のハンマー「」ポン!

 ☆古代の鉄槌を手に入れました。エバンスが装備します
  折れた魔銀の剣は所持品に入りました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は滞在2日目からとなります

雲塊の向こうにあったのは、宙に浮く大きな島と、廃墟となった街並み、そして住み着いた空妖精たちでした。世界樹の光を追いつつも、島は謎に包まれており、今回もどうやら簡単にはいかなそうな様子です。厚く重苦しい雲塊に閉ざされたこの地で、クロシュは何を為すのか――

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

この浮島は、厚く重い雲の壁に囲まれている為ほとんどの人は出ることも入ることもできませんが、それを気にしなければ平穏で安らかな地であると言えるかもしれません。実際、ほとんどの空妖精は現状に不満を持たず、日々のんきに遊んで暮らしているようです
ローガン氏は軍属としての訓練を積んでおり、実践経験も豊富なため、継戦能力で言えばパーティ内で最も高いと言えるかもしれません。同化のような反則技こそ持っていませんが、戦いに関わる道具の扱いについてはパーティ内で最も長けていると言って良いでしょう

雷霆の魔王が封印されているそうです。形あるものはいつか必ず壊れてしまうように、封印もまた永遠ではありません。その解ける時がいつになるかは今のところわかりませんが、それは一万年後かもしれませんし、あるいは明日かもしれません。ただ、雲や眷属を放つなど、外に干渉できていることを考えるとあまり良い状況ではないかもしれない……と妖精は思ったそうです

―辺境
 寂れた家

 ガチャッ

イリス「ただいま戻りました!」

妖精「おかえりー」

人形「おかえりなさいませ、皆さま」ペコリ

エバンス「……当たり前のようにここに戻ってきたわけだが、居座ってもいいのか?」

人形「はい。空き室の掃除と整備は済ませてありますので、心ゆくまでおくつろぎくださいませ」

ミスティ「ええと……どうしてそこまでしてくれるの? 私たちはただの旅人なのに」

人形「ラティア・ヘイヴンでは国籍や思想を問わず、全ての知的種族が文化的な生活を送る権利を有しています。そしてわたしたち人形の存在意義は、誰かのお役に立つことなのです」

エバンス「工房にいた人形も同じことを言っていたな……」

イリス「貰ってばかりなのはやっぱり気が引けますし、何かお返ししたいですね」

ローガン「うむ……。我々にできることがあれば手伝おう」

妖精「そうだね。ここの人形たちは妖精の面倒も見てくれてるみたいだし、私もできることをしたい」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 ◆

―浮島国ラティア・ヘイヴン 2日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:古代の鉄槌    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*4       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*0       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*3               大魔女帝国滞在許可証
マッスルワイン*1               風船パラシュート
吸血鬼殺ワイン*1
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘
雷スライムの欠片
大魔女サイン*1
不死鳥の羽根
折れた魔銀の剣

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[11/12](クロシュ)次回☆
・雷化[2/3](クロシュ)
・剣技[1/6](クロシュ)
・魔法[1/6](クロシュ)
・飛行[3/8](イリス)
・魔法[6/8](イリス)
・剣技[1/4](ミスティ)
・魔法[6/8](ミスティ)
・剣技[1/16](エバンス)
・魔法[5/6](エバンス)
・剣技[1/16](ローガン)
・魔法[5/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□浮島国
お城:未探索
廃都:広場、市場、どうぐ屋、ごはん屋、工房、図書館、他
辺境:寂れた家、平原、森林、川、他
……………………………………………………………………………………

―朝
 寂れた家

 チュンチュン

スライムクロシュ「…」zzz


イリス「ふわあ……。やっぱりベッドで眠るのは良いね」ググッ

ミスティ「そうね……。でも、この家具や内装って……一体いつのものなのかしら……?」

 年季の入った机「」
 年季の入った椅子「」
 年季の入ったクローゼット「」
 褪せた写真「」

イリス「かなり年季が入ってるけれど……一万年前なのかな? でももし一万年前なら原型は留められないよね……?」

妖精「……いや、多分一万年前だよ。この家全体が、特殊な結界に覆われてる。多分、時間経過による物質の劣化を防止する結界だと思う」

ミスティ「劣化防止の結界……じゃあもしかして、私たちが昨日訪れた工房も――」

妖精「多分そうなんじゃないかな。他の建物が軒並み朽ち果てた廃墟になってるのに、人形が住んでいるところだけほとんど当時の原型を保ってるのはその効果だと思う」

イリス「凄い……!」

妖精「でも……そんな結界でも、劣化を完全に防ぐことはできないみたい」

 褪せた写真「」

イリス「この写真……色褪せて、もう何が写っていたのかわからないね……」

ミスティ「ここの人形の子と一緒に暮らしてた人の写真……なのかしら……」

イリス「……しばらくお世話になります。このおうちと、人形さんに……」


浮島国滞在2日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―廃都 市場

 ワイワイ キャッキャ

妖精のわたあめ屋「わたあめだよ〜」

空妖精A「わたあめ〜」パタパタ

空妖精B「ふわあ……ねむい……」パタパタ


妖精「妖精が大勢いる……」パタパタ

クロシュ「わあ……」


空妖精A「ん〜? あっ! 知らない妖精がいる〜!」

空妖精B「……本当だ……」

 パタパタ キャッキャ

妖精「うげ、見つかった……」

空妖精A「ねえねえ、あなたたちもしかして!」

空妖精B「地上から……来たの……?」

クロシュ「うん」

空妖精A「わあ〜!」

空妖精B「……地上にも、いるんだ……妖精……」

妖精「そりゃいるよ」

空妖精A「ねえねえ、地上の妖精ってどんな妖精なの?」

妖精「変わんないよ。まあ風の扱いについては多分あなたたちの方が得意だと思うけど」

空妖精B「……ということは……地上の妖精は、風以外の扱いが上手……?」

妖精「住んでる地域によるかな。あなたたちはずっとここで暮らしているの?」

空妖精A「そうだよ! 生まれも育ちもここだよ!」

空妖精B「雲の外の世界……本に書いてあることしか、知らない……」

妖精「そうなんだ……。ねえ、この雲って魔王の影響だって聞いたんだけど……」

空妖精B「……私たちも……詳しくは、知らない……。昔、雷の災いが舞い降りて……それを鎮めたら、今度は雲に覆われるようになったって……聞いた、くらい……」

妖精「雷の災い……。雷の眷属が現れるって話は聞いたことある?」

空妖精A「けんぞく……?」

妖精「うーんと……ビュンビュン飛び回る球状の雷みたいなやつ」

空妖精A「びりびりだまのこと!?」

妖精「えっ、そういう名前なの」

空妖精B「……私たちは、その球状の雷のことを……びりびりだまって呼んでる……。時々、雲に近付いた迂闊な子がそいつに雷を撃たれて黒焦げにされたりするから……みんな、雲には近付かないようにしてる……」

クロシュ「……!」

空妖精A「うん、本当に危ないから気を付けた方が良いよ! 最近は数も増えてるから!」

妖精「えっ、数が増えてる……?」

空妖精B「うん……。けっこう前に、ものすごく雲が荒れた日があって……。島の周りだけじゃなくて、島の全体……この廃都にまで雲に覆われちゃったの……。大雨と暴風と雷で、怖くて……みんな、人形さんたちが用意してくれた地下壕に避難して……そのうちに収まった……。それ以来……雲は島の外側にまで戻ったけど……びりびりだまは前よりも増えた……気がする……」

空妖精A「あの時は本当にすっごく怖かったよ! でもあれから、びりびりだまは絶対に増えたよ! 前は雲から飛び出して来ることもほとんどなかったのに、最近は雲を見てるとけっこうバチバチ言いながら飛び出てくるもん!」

空妖精B「うん……。だから……前から雲の近くは危なかったけど……最近は、もっと危ない……。旅人さんたちも……近付かない方が、いいよ……」

妖精(……けっこう前に雲が荒れた日……。それってもしかして……世界樹の光がここに飛んできた日……?)

妖精(世界樹の光の影響で雲が一時的に活性化して、勢力を島を覆うほどに広げた……でも元に戻って、今度は雷球の数が増えた……。雷球は魔王の眷属……これって、もしかして……)

妖精(封印されてる雷霆の魔王に、星の力が利用されてる……!?)

妖精(そうだとしたらかなりまずい状況だ……。いやでもまだそうと決まったわけじゃないし、もっと調査しないと……!)

 ◆

―廃都
 工房前

 スタスタ

エバンス「ここだ。この工房でこれを貰ったんだ」スッ

 古代の鉄槌「」ポン

ローガン「うむ……無骨だが優れた鋼の力を感じる。良い品を貰ったな」

エバンス「おう。大事に使わねえと」


工房人形「あら……こんにちは、旅人様。そちらの方は初めまして」ペコリ

エバンス「うお、外に出てたのか。こんにちは」

ローガン「お初にお目にかかる。私は彼の旅仲間の一人、ローガンと言う者だ」

工房人形「はい、よろしくお願い致します。もしよろしければ、何か見ていかれますか?」

エバンス「まあ……でも武器や防具はもうないんだろ?」

工房人形「はい。しかし昨日のこともあって点検を行ったところ、鍛造機を用いて既存の武具を強化したり、新規に武具を製造したりすることは可能だとわかりました」

エバンス「マジか!」

工房人形「ただ、素材となる物質はほとんど残っていないため、強化でも新規作成でも、必要な素材はご用意していただく必要があります」

ローガン「なるほど……。鋼であれば私の魔法で創れないこともないが……」

エバンス「素材か……」


↓1〜2選択 何をするのか
1.折れた魔銀の剣を打ち直す(素材不要)
2.古代の鉄槌に地属性付与(綺麗な砂を消費)
3.鋼の剣を強化する(素材不要)
4.鋼の盾を強化する(素材不要)
5.鎖帷子を強化する(素材不要)
0.新規作成(自由安価。作るもの、使う素材を記載。大事なものや素材に向かないものは使えません。失敗することもあります)

エバンス「……これを打ち直すことはできるか?」スッ

 折れた魔銀の剣「」ポン

工房人形「はい。大きな欠損は見られないので、問題ありません。当鍛造機であれば99.99%の精度で新品に近い状態に復元することが可能です」

エバンス「本当か! それじゃあ頼む!」

工房人形「かしこまりました。少々お待ちください……」

 鍛造機「」ウィーン…
 ガションガションガション―
 ジュウウウウウ――

 ポン!

 魔銀の剣「」キラキラ

エバンス「おおお……! もう治ったのか……!?」

工房人形「はい。まだ少し熱いので、お確かめの際はご注意ください」

 魔銀の剣「」キラキラ

エバンス「すげえ……本当に新品同然だ!」

ローガン「うむ……! 元と遜色のない冷厳な魔力が過不足なく刀身に行き渡っている……素晴らしい技術だ」

工房人形「鍛造機の調子を見たところ、あと一回程度であれば何らかの鍛造を行うことが可能です。何か鍛えたいものはございますか?」

ローガン「ふむ……それなら、一つお聞きしたい。例えばこの炎鉱石を用いて、この鋼の盾に熱耐性を付与したりはできるだろうか?」

工房人形「炎鉱石は極めて融点の高い物質であるバニングステンを主成分とする鉱石ですので、それを用いることで高い耐熱性を盾に付与することは可能です」

ローガン「そ、そうなのか……」

エバンス「何を言っているのか全然わからなかったが、とにかく付与はできるってことなんだな!」

工房人形「はい。そのように強化致しますか?」

ローガン「ではお願いする」スッ

 鋼の盾「」ポン

工房人形「かしこまりました。少々お待ちください……」

 鍛造機「」ウィーン…
 ガションガションガション―
 ジュウウウウウ――

 ポン!

 灼鋼の盾「」キラキラ

ローガン「おお……!」

エバンス「赤金色になったぞ!」

ローガン「うむ……! 鋼の魔力に混じり、温かな炎鉱石の鼓動も感じられる気がする……」

工房人形「合成が完了いたしました。細かな傷や負荷も取り除いておきましたが、鉱石を付与した分重量および重心も多少変化しておりますので、実戦の前に慣らしておくことを推奨いたします」

ローガン「うむ、承知した……! 感謝しよう、工房の人形殿……!」

 ☆魔銀の剣を打ち直しました。エバンスが第二武器として装備します
 ☆鋼の盾が炎鉱石で強化され、灼鋼の盾になりました

 ◆

―図書館

 ガラッ

イリス「こんにちは〜」スタスタ

ミスティ「お邪魔するわ……」スタスタ


司書妖精「……」zzz


イリス「……ええと……この妖精さんが司書さんかな?」

ミスティ「どうなのかしら……。ん、これは――」

 張り紙『ごじゆうにおよみください』

ミスティ「……だそうよ」

イリス「わかりました……! それじゃあこの子を起こさないように、静かにいこう……!」

 *

 妖精用本棚「」ポン
 妖精用本棚「」ポン
 妖精用本棚「」ポン

 人間用本棚「」ドン
 人間用本棚「」ドン
 人間用本棚「」ドン

ミスティ「人間用の本だけじゃなくて、妖精用の本もかなりたくさんあるわ……」

イリス「みたいだね。装丁もすごくしっかりしてるし、もしかしたらあの工房で妖精さんたち用の本を作ってるのかも……?」

ミスティ「かもしれないわね。とりあえず今回は人間用の本を中心に探していきましょう」

イリス「うん!」

↓1コンマ
01-70 ラティア史
71-90 ↑+雷霆の魔王
91-00 ↑+星の魔力(下)+魔導書「絶対零度」

 本『ラティア史』ポン

ミスティ「歴史書があったわ」

イリス「ラティア史……ラティア・ヘイヴン史ではなくて?」

ミスティ「略語かしら……? とりあえず中身を見てみましょう」

 ◇

 ペラッ…ペラッ…

ミスティ「世界規模の大洪水から逃れる為、古ラティア国が空へ打ち上げた人類最期の楽園――それがこの浮島国、ラティア・ヘイヴン――」

イリス「洪水の神話や伝承は数多く存在しているけれど……この本によると、それは本当にあったことみたい……」

ミスティ「洪水が収まっても島民は地上に戻らず、空での平穏な暮らしを選択した……。差別や憎悪、血で血を洗う闘争に疲れ果てたラティアの民は、穏やかな空での暮らしを選んだのね……」

イリス「……少し、大魔女帝国に似ているかも……。大魔女帝国は危機から逃れる為に空に浮いたわけではないけれど……その国の在り方は、地上での諍いから逃れて平穏な暮らしを得る為のものだったわけだし……」

ミスティ「いつの時代の人類も、同じように考えて同じような救いを求めてしまうのかもしれないわね……」

イリス「……うーん……でもこの本だと、肝心な滅亡の原因とか雷霆の魔王のこと、封印のことが書かれてないや。まあ滅亡したら書き残す人だって残らないんだから当然だし仕方ないんだけど……」

ミスティ「そうね……。人形たちから話を聞くのが良いのかもしれないわ……」

 ☆古代ラティア国の歴史についての知識を得ました

 ◆

―浮島国ラティア・ヘイヴン 3日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:灼鋼の盾     飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:古代の鉄槌    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:魔銀の剣     防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*4       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*0       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  大魔女帝国渡航権
氷精の魔導書      精霊のローブ      かたたたきけん
ブラッドワイン*3               大魔女帝国滞在許可証
マッスルワイン*1               風船パラシュート
吸血鬼殺ワイン*1
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘
雷スライムの欠片
大魔女サイン*1
不死鳥の羽根
折れた魔銀の剣

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風に[11/12](クロシュ)次回☆
・雷化[2/3](クロシュ)
・剣技[1/6](クロシュ)
・魔法[1/6](クロシュ)
・飛行[3/8](イリス)
・魔法[6/8](イリス)
・剣技[1/4](ミスティ)
・魔法[6/8](ミスティ)
・剣技[1/16](エバンス)
・魔法[5/6](エバンス)
・剣技[1/16](ローガン)
・魔法[5/6](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□浮島国
お城:未探索
廃都:広場、市場、どうぐ屋、ごはん屋、工房、図書館、他
辺境:寂れた家、平原、森林、川、他
……………………………………………………………………………………

―寂れた家
 リビング

 どんぐりパン「」ポン
 野草のスープ「」ポン
 蒸しヤマイモ「」ポン

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

人形「おかわりはたくさんありますので、遠慮なくお申し付けくださいませ」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!


妖精「もぐもぐ……美味しい。でもなんというか……私が言うのも何だけど、妖精向きじゃない? この献立」

イリス「確かにフォレスティナっぽさを感じるかも。でも人間にとっても美味しいよ! 特にこの野草のスープ、えぐ味が全然なくて野草とは思えない。食用の野菜って言われたら信じちゃいそうだよ」

ミスティ「……まあ、美味しいものは美味しい、で良いんじゃないかしら……」モグモグ

ローガン「私も不満はない。味も良く、健康への配慮も感じられる優れた献立のように思う」モグモグ

エバンス「ホクホクのヤマイモも美味い! 欲を言えばバターも付けたいところだが――」

人形「申しわけありません……この島では乳を出す家畜動物は既に残っておらず……バターをご用意することも、非常に困難な状況となっております……」ペコリ…

エバンス「あ、いや良いんだ謝らないでくれ! こっちこそ我儘を言って悪かった!」

妖精「妖精向きっぽい献立は、人間向きの食料供給が絶えて久しいからか……」


浮島国滞在3日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―工房

工房人形「昔のこと、ですか」

イリス「うん。一万年前……雷霆の魔王がこの国を襲った原因とか、封印の方法とか……。あっ思い出したくないこととかだったら別に言わなくても良いんだけど……!」

工房人形「いえ、問題ありません。一万年前のことですし、私たち人形は人間よりも感情のコントロールに長けています。ご心配ありがとうございます」

イリス「う、うん」

工房人形「そして質問への回答ですが……雷霆の魔王がこの国を襲った原因については、わからないとしか言えません。雷霆の魔王は雷雲と共にどこにでも移動し、出現した場所で破壊の限りを尽くすと言われていますが、その破壊目標となる基準は不明です」

イリス「そっか……まあそりゃそうだよね。それじゃあ封印についてだけど――」

工房人形「雷霆の魔王は、生き残った民や人形、ゴーレムたちの手でラティア・ヘイヴン城の地下深くに封じられました」

ローガン「城の地下深く……!」

工房人形「はい。王族までもが参加したその封印作戦は熾烈を極めたと思われ……最終的に生還した者は一人としていませんでした。待機を命じられていた私は、国と共に命を燃やすことさえできなかったのです……」

イリス「……」

ローガン「そうだったのか……」

工房人形「はい。そして少し以前から、雷霆の魔王が放つ眷属の数が増え、島を取り囲む雷雲が活性化していることはわかっております。この島も……恐らくもう、長くありません」

イリス「そ、そんな……! 封印をかけ直すとかはできないの……!?」

工房人形「封印の術式を知る者は既に亡く、外部から手を加えることは不可能となっています。もはや、滅亡を待つ以外に道は残されていないのかもしれません」

ローガン「……どうにもならんのか」

工房人形「………はい。しかし……私のような過去の遺物はもう終わっても構わないのですが……妖精たちのことは、気がかりです。あの子たちは、元々この島とは関係のない自由な空の妖精たちだったはずですから……この島と運命を共にする必要などないのです」

ローガン「……あの雲に囲まれていては、外へ逃げることもできんな」

工房人形「はい……」

 *

イリス「……魔王の封印……なんだか大事になってしまいましたね、今回は……」

ローガン「うむ……。少し前に大魔女帝国でクロ教授を助けたばかりだと言うのに、また魔王とはな……」

イリス「雷霆の魔王……一体、どんな魔王なのでしょうか……」

ローガン「史上最も危険と考えられる魔王らしいな。できることなら一生関わり合いになりたくない存在だが、そうも言ってられんようだ」

イリス「はい……。……もし、雷霆の魔王も……クロ教授と同じように、苦しんでいる存在だったら……」

ローガン「……そのことは、考えない方が良いだろう。クロ教授を救えたのは、大魔女殿の類稀なる手腕あっての奇跡なのだ。大魔女殿のいないこの地で、奇跡を期待してはならぬ」

イリス「……はい」

 ◆

―寂れた家
 庭

エバンス「ふんっふんっ!」
 古代の鉄槌「」ブンッブンッ

エバンス「ふう……丁度良い重量感だ。これがあれば斬撃に強い相手でも叩き潰せるな」グッ


ミスティ「鉄槌の練習?」スタスタ

エバンス「おう。実戦でぶっつけ本番ってわけにもいかないからな。多少は慣らしとかんと」

ミスティ「ハンマーを使った戦いの経験もあるの?」

エバンス「そりゃああるさ。鈍器ってのは剣よりも遥かに身近でありふれた武器だからな」

ミスティ「それはまあ確かに……」

エバンス「ミスティちゃんの短剣は……近接武器の中じゃ扱いが難しい方だと俺は思っている。初心者ならそれこそ鈍器とか槍の方が良いが――」

ミスティ「えっそうなの」

エバンス「ミスティちゃんは初心者じゃないからな。もう長年、魔法も戦技も短剣でやってきたんだろ? ならそれを極めた方が早い」

ミスティ「まあ……そういうものかしら」

エバンス「おう。それにまあ、ミスティちゃんは氷の武器を生み出して空中でブンブン振り回せるからな。一般的な短剣術を学ぶ必要もあまりないかもしれん」

ミスティ「いや、それはどうなのかしら……」

エバンス「要は勝てりゃ良いんだ。勝つ為なら何をしても良い。戦いってのはそういうもんだろ?」

ミスティ「なるほどね……そういうことならわかりやすいわ」

エバンス「おう! というわけでやるか! 訓練!」

ミスティ「お手柔らかに頼むわよ」


↓1コンマ
01-60 剣経験+1
61-90 剣経験+2
91-00 剣経験+4

エバンス「行くぜ! おりゃっ!」シュバッ
 古代の鉄槌「」ブォンッ!

ミスティ「ちょっ、加減しろって言ったでしょ!」サッ!

エバンス「実戦じゃ相手は加減してくれないぞ!」ブンブンッ

ミスティ「そうだけど……!!」サッサッ

エバンス「取った!」ザッ
 古代の鉄槌「」グオオッ!!

ミスティ「ちいっ!」カッ!!

 氷塊「」ガギンッ!!

 古代の鉄槌「」ドゴンッ!!

 砕け散る氷塊「」バギャンッ!!

エバンス「氷塊で防いだか! だがまだ終わりじゃな――うおっ!?」
 凍り付く古代の鉄槌「」カチコチ
  凍り始めるエバンスの手「」カチコチ

エバンス「おわっ!!?」シュバッ

ミスティ「判断が早いわね……あと一瞬飛び退くのが遅れていたら腕全体が氷漬けだったわよ……」コォォ―

エバンス「か、加減しろ! 俺の腕を殺す気か!!?」

ミスティ「あら……実戦じゃ相手は加減なんてしてくれなんじゃないの?」

エバンス「へ、へへっ……こりゃ近接戦闘だけならともかく、魔法を織り交ぜられたら分が悪いかもな……!」

 ガギンッ!!
  ドゴォッ!! ドグシャアッ!!
     ドゴオォンッ!!

 ◆

人形「戦闘訓練、お疲れさまです。そろそろ休憩なさってはいかがでしょうか」

エバンス「お、おお……そうするか……」フラフラ

ミスティ「そうね……。流石に……疲れたわ……」フラフラ

人形「お二人とも、少しお体を冷やしてしまっているご様子ですので、温かいものをご用意させていただきました。よろしければ、お召し上がりくださいませ」スッ

 フェアリーレモネード「」ポン

エバンス「おお……レモネードか!」

ミスティ「ありがとう……。いただきます……」

 ゴクッゴクッゴクッ―

エバンス「――うまい!」

ミスティ「――暖かく甘酸っぱいレモネードが……疲れた体に染み渡るわ……。それにこれは……もしかして、フェアリーシロップが入っている……?」

人形「はい。このレモネードには、親切な妖精の方々より頂いたフェアリーシロップを使わせていただいております。お気に召されたのでしたら幸いです」

エバンス「おお……これがフェアリーシロップなのか……。魔力を失った体に染みるわけだ……」

ミスティ「ええ……ありがたいわ……」

 ☆ミスティとエバンスがそれぞれ剣経験を2獲得しました

 ◆

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