【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part3 (999)

◇インフォメーション◇

・概要
 タイトルの通り、魔法の存在するファンタジー世界で生きるスレのPart3です。
 主人公がどのような道を歩むかは安価とコンマ次第です。

・世界観
 ファンタジーです。文明レベルは国や地域によって様々ですが、現存文明のほとんどは魔力や魔法を主軸としたものです。
 なお話の都合により設定が一部変更されたり新しく生えたりする可能性はあります。ご了承ください。

・安価について
 安価、コンマの連取りは原則禁止です。ただし最後のレスから30分経過しても安価が踏まれなかった場合は連取り可とします。
 また、内容によっては再安価する場合があります。ご了承ください。
 なおシステムやルールは途中で変更されることがあります。こちらもご了承ください。

・注意
 更新頻度と筆は遅めです。ライブ感で書いているため、展開にガバがあります。
 また、物語の展開や安価コンマの結果によっては、最悪の場合キャラクターが死んだり消えたり闇堕ちしたりすることがあります。
 苦手な方はお気を付けください。


◇用語◇

〈魔法〉
 この世界で生きるための必需技術。
 ほとんどの国や地域に広く普及しており、人々の生活を支えている。

〈魔力〉
 習得した魔法を行使するためのリソース。
 この世界のほとんどの生命は生まれながらにこれを保有・生産・出力する能力を持つ。
 魔力の保有量・生産量・瞬間出力量は生まれつきの才能によって決まるが、多少は訓練などで伸ばすこともできる。
 魔力は一晩熟睡する程度の休息で概ね全回復する。ポーションなどの薬物で即時に回復させることもできる。
 魔力を全て失った生命体は死亡する。ただし普通の人間はある程度まで魔力が欠乏すると意識を失うため、日常生活において魔力枯渇死を心配する必要はない。

〈魔法の属性〉
 大抵の魔法は、火や水などと言った特定の属性を有する。
 属性を持たない魔法は無属性として扱われる。
 属性間に有利不利はほとんどないが、光と闇のように相克し合う関係はいくつかある。
 既存の属性に当てはまらない新属性が発見されることもある。

〈得意属性〉
 ほとんどの生命体は、得意とする魔法の属性を一種類持つ。
 得意属性の魔法は習得コストが低く、行使における燃費が良く、発動する効果・威力も高い。
 そのため、基本的には得意属性の魔法を中心に習得していくのが普通である。
 研究の進んでいない希少属性やユニーク属性の持ち主は独学にならざるを得ない。

 その他質問等あればいつでもお気軽にどうぞ。

前スレ
Part1
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1704196175/)
Part2
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1721452715

◇登場人物:旅の仲間その1◇
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【名前】クロシュ
【種族】シャドースライム
【性別】女
【年齢】3
【容姿】羊羹くらいの透明度の粘体に真紅の核。容姿は自由自在だが普段はフメイと同様の黒髪赤目セミロングヘアーロリの姿を取る
【性格】臆病でコミュ能力に難あり。恩は忘れない
【魔法】反映魔法。自分の見え方と質感を知ってるものに変換可能
【備考】親友のフメイと共に、人と魔が助け合って暮らす小さな集落でひっそりと暮らしていたスライムの少女
集落を失ってからは、失踪したフメイを探すために旅を続けている

【能力】
・擬態(外見のみ。属性や能力は変化しない)
・同化(道具や物質の属性や能力を一時的に身に付けることができる。多重使用可)
・合成(同化した物品同士を合成して新しいものを作ることができる)
・吸収(食べたものの技能・能力の一部を稀に身に付けることがある)
・分裂(覚醒時のみ。普段は使えない)
・再現(覚醒時のみ。普段は使えない)

【主な技能】
・剣技[3]
・防御[3]
・魔法[2]
・お絵かき[☆]
・ぱわー[☆]
・毒耐性[☆](お酒にも強い)
・カナヅチ(フメイちゃんのせい)

【主な擬態】
・フメイちゃん(普段の姿)
・犬(犬の姿)
・蜘蛛絹(さらさら)
・スライム騎士、幼女騎士、女騎士(騎士鎧をまとった姿)
・木版印刷機(大量印刷可能)
・貝類(カタツムリやオオキイタニシなど。ゆっくり動く)
・イカダ、小舟、大亀(他者を乗せて水上移動できる)
・光学迷彩(透明になる)
・トカゲ(単独行動時、水面移動、高速移動できる)
・その他クロシュが直接見たり触ったり食べたりしたもの

【主な同化】
・ウニ盾(ウニ盾騎士の姿。防御+、反撃+)
・メイドブレード(メイド剣士の姿。剣技++、加護+)
・竜珠の杖(魔女っ子の姿。魔法++、全能力+)
・大きな巻き貝(ウミタニシの姿。水属性◯)
・バーニングスライム(炎の姿。炎属性☆)
……………………………………………………………………………………
【名前】妖精
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】秘密
【容姿】銀髪セミショートの妖精。くすんだ光の翅を持つ
【性格】口は悪いが面倒見は良い
【魔法】自然魔法。そこにある自然の力を借りることができる。また、妖精類独自の魔法にも精通する
【備考】クロシュと共に旅をしている妖精。人間嫌いだが、人間以外も割と嫌っている
他の多くの妖精類と同様、固有の名を持たない
生命の在り方を悲観して苦しみのない世界を望んでいるが、それが叶うことのない望みだということもわかっている。それでも望まずにはいられず、諦めて朽ちることもできない
かつて緑の国フォレスティナを興した建国の太母という妖精と同一人物だったことが判明した
【主な技能】
・妖精魔法[9]
・自然属性[9]
・隠密[7]
・カナヅチ
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◇登場人物:旅の仲間その2◇
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【名前】イリス・プラネット
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】17
【容姿】髪は少し橙が入った赤のポニーテール。身長は女性の平均くらい、やや童顔気味だけどスタイルは良い美少女。旅に適した魔術師のローブを着て、魔術師用の杖を持っている
【性格】明るく元気いっぱい、前向き。基本的に温厚で礼儀正しいが、やや負けず嫌いなところも。善人だが理知的でもあり、考えなしに人助けに走るわけじゃない。けど周りの人に危機が迫ったときはやっぱり体が勝手に動いちゃうときもある
【魔法】属性:星。自分たちが住むこの星の根源の魔力にアクセスする。この星の様々な自然の力を扱うため、火、水、土、風、光など、一見多数の属性の魔法を使うように見える
現在は自身の属性を把握し、小規模ではあるが星属性の魔法を使うことができるようになった
【備考】お師匠様のような立派な魔法使い目指して修行の旅の途中。その中で自分の謎な魔法属性も把握できればと思っている(達成済み)
既に魔法使いとしての腕前はかなりのものだが、お師匠様にはまだ届かないと思っており、邁進中
旅の日記をつけているが、その中でその地域の料理や料理法も書き留めている。彼女自身料理するのも食べるのも好きで、かなり料理上手
元々知的好奇心が強く、結構な知識通。女性の一人旅なので、魔法の他に護身術、杖での格闘術も使えるが、一流の戦士にはさすがに魔法抜きの近接戦は分が悪い
いろんな人とすぐ打ち解けちゃう良く分からない魅力がある。
現在は魔法の修行をしつつクロシュたちと行動を共にしている
【主な技能】
・杖術[2]
・魔法[6]
・五大属性[5]
・星属性[3]
・料理[6]
・水泳[8]
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【名前】ミスティ・クローバー
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】16
【容姿】黒を基調とした衣服に身を包んだ、儚い雰囲気の女性。長い黒髪で痩せ気味
【性格】根は心優しいがやや悲観的で冷めている
【魔法】氷
【備考】故郷を襲撃されて天涯孤独の身になって以来、自分にとっての安息の地を求めて旅をしている。動物が好き
現在のパーティに居心地の良さを感じており、無謀な復讐を思いとどまって仲間たちと共に力を付ける道を選んだ
フォレスティナに住む森妖精の子に好かれており、ミスティ自身も彼女を気にかけている
【主な技能】
・短剣術[2]
・魔法[6]
・氷属性[7]
・操ソリ[6]
・カナヅチ
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【名前】ローガン
【種族】人間
【性別】男
【年齢】37
【容姿】ボサボサの金髪で無精髭を生やした長身の男性。身なりを整えればなかなかのイケオジ
【性格】元は真面目で正義感の強い性格だったが、今は後述の事件がきっかけで自暴自棄ぎみになっている
【魔法】鋼魔法。魔翌力を使って鋼の武器や防具を作り出したり、その他様々な攻撃が出来る
【備考】かつて、とある魔法騎士団に所属していた男で当時はそれなりに名の知れた存在だった。しかし妻と息子が魔物に襲われて命を落とし、騎士でありながら大切な者たちを守れなかった自分に絶望。その後は騎士を辞めて、まるで死に場所を探すかのように放浪の旅を始める
革命前の魔族自治区にてクロシュらと出会い、どうせ死ぬなら今度こそ誰かを守って死んでやろうとの思いでパーティに加入した
【主な技能】
・剣技[7]
・防御[7]
・魔法[3]
・鋼属性[5]
・道具製作[5]
・指揮[4]
・水泳[9]
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【名前】エバンス・ブレイカー
【種族】人間
【性別】男
【年齢】23
【容姿】長身で細身ながらも筋肉質な体つき。日に焼けた肌。ボサボサの黒髪、黒い瞳。鋭い目付きだが端正な顔立ち。長剣が武器で、防具は急所を守る程度と比較的軽装。
【性格】普段は冷静だが、情に厚く仲間思い。
【魔法】大地の属性の魔法が得意。使い捨ての品物を作成したり、地面に穴をあける魔法を使う。
【備考】孤児の生まれで傭兵団に拾われて傭兵になった人物。口下手な傾向があり、一言足りていなかったり言い方が悪かったりするのが玉にキズ。
傭兵団では家事を担当しており家事全般が得意で、特に料理はそんじょそこらの飯屋よりも美味しいくらいに得意。
全年齢板で出番はないだろうがR的な能力が非常に高い。
かつてクロシュたちの住んでいた集落の者たちに命を救われたことがある。
集落の危機の際には救援へ駆けつけようとしたが、途中で馬車が谷底へ転落して大怪我を負い、救援に失敗した。
その後港湾都市ウォーターポートで飲んだくれていたところをクロシュたちと出会い、上記の縁もあってパーティに加入した。
【主な技能】
・剣技[7]
・防御[5]
・魔法[2]
・地属性[5]
・料理[6]
・カナヅチ
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◇登場人物:集落の生き残り◇
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【名前】フメイ
【種族】人間?
【性別】女?
【年齢】10歳前後?
【容姿】背が低く、肩までの長さの黒髪の子供。燃えるような赤い瞳を持つ
【性格】物静かで感情を表に出さない
【魔法】炎属性の魔法が得意。魔法を使う時には髪が赤くなる
【備考】親友のクロシュと共に、人と魔が助け合って暮らす小さな集落でひっそりと暮らしていた少女
自分やクロシュのような者たちが平穏に暮らせる世界を作るために、アリシラと共に星の力である世界樹の光を追っている
本心ではクロシュと一緒にいたいと思っているが、集落のみんなを焼き殺した自分にはその資格がないとも思っている
トコナツ火山島にて星の力[炎]を獲得し、さらなる力を得た
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【名前】アリシラ
【種族】人間(半死人?)
【性別】女性
【年齢】15
【容姿】薄茶色の髪をした青白い肌の小柄な少女
【性格】気弱で臆病で周りの人物を気にして常にビクビクオドオドしている
【魔法】吸収魔法(無属性)周囲の生命から魔力を(強制的に)吸収する 自身の魔力に変えて別の魔法として利用することもでき、各属性の魔法の勉強をすれば全属性の魔法を使うことも可能だが加工した分燃費や効果・威力が通常より劣ってしまい、使用した分の魔力はその分周囲から無差別に吸収してしまう
【備考】生まれた時は死産だったが両親の魔力を吸収して蘇生したが、自身の魔法で無理やり生き残った反動なのか常に魔力が少しずつ消耗し、それを補うように自動的に周囲の生物の魔力を少しずつ吸収しながら生きていく必要があった
普段であれば怪我や病気、魔法の使用等で無駄に体力や魔力を消費しなければ日常生活に支障がない程度の吸収量だったため、周囲に気を遣いながら割と平穏に暮らしていた
しかし襲撃者によって殺されかけた時に吸収魔法が暴走し、襲撃者や同じく殺されかけていた両親の魔力を限界まで吸収し殺害。罪悪感を抱えたまま生き残ってしまった
現在は人が変わったような強気な性格になっており、何らかの意志を持ってフメイと共に世界樹の光を追っている
フメイが星の力を獲得したことで、最近は機嫌が良い
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◇登場人物:魔族国◇
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【名前】フラナ=バイオレット
【種族】吸血鬼
【性別】女
【年齢】439歳
【容姿】金髪ロングの幼女
【性格】ややわがままだが知識・経験は豊富
【魔法】血を操る魔法が得意だが闇魔法も使える
【備考】日の光はある程度平気なのでよく外に出て魔法薬の材料を探している
現在の魔族国の実質的な統治者だが、本人は早く後任を見つけて魔法や薬の研究に没頭したいと考えている
姉についての手紙を受け取って以降、ややピリピリしている
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【名前】マリー・セイントレア
【性別】女
【年齢】24
【容姿】金髪ショート、スレンダー体型
【性格】真面目
【魔法】身体強化魔法が得意な他、雷魔法も使える
【備考】現セイントレア王の子息。王族内での地位は高くない
内心は皆仲良くできればな・・・と願っているがなかなかうまく行かない
王国騎士団魔族自治区駐屯地の部隊長だったが、現在は魔族国の捕虜となっている
最近捕虜にも労働が課されることとなり、アラクネたちの指示に従って蜘蛛絹の製糸を手伝っている。依然として自由は制限されているが労働条件は悪くなく、充実した捕虜生活を送っている
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【名前】聖女
【性別】女
【年齢】19
【容姿】亜麻色の髪を背中の辺りまで伸ばした、柔らかい雰囲気の女性。普段は修道服に身を包んでいる
【性格】博愛の心を持つ
【魔法】ロイエ教の神聖魔法を修めているが、得意属性は異なるため習熟度は低い
【備考】ロイエ魔族国教会に務める年若いシスター
誓願を立てた時に彼女の名は神へ捧げられたため、個人名を喪失しており、魔族国の者たちからは様々な意図を込めて〝聖女〟と呼ばれてしまっている
なお現在のロイエ教において名を神に捧げる習わしを堅持している派閥は多くなく、穏健派を初めとした多くの派閥ではその習わしは時代にそぐわないとして撤廃する方針が主流となっている
普段は炊き出しや子供の遊び相手を務める他、教育を受けられていない子供たちに読み書きを教える等、様々な奉仕活動を献身的に行っている
最近魔族国の子供たちがお絵かきにはまっており、彼女も一緒に絵を描いて遊んでいる
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◇登場人物:緑の国フォレスティナ◇
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【名前】ティセリア
【種族】エルフ
【性別】女性
【年齢】約1500才
【容姿】外見では二十歳前後。緑髪のポニーテール、スタイル抜群の爽やかな雰囲気の美少女
【性格】明るく快活ながらも、慈愛と威厳も併せ持った女性
【魔法】精霊との親和性が非常に高い。様々な属性の精霊の力を借り、千年以上の研鑽を積んだ武術に上乗せする
【備考】
他種族との平和な暮らしを望む、冷静で大局的な判断もできる首長
多忙ではあるが、他の国の文化も興味を持って知ろうとしている
お菓子作りが得意で身近な人におすそ分けしたりしている
彼女の魔翌力が籠もったお菓子は食べると心身ともに元気になる
精霊や子供に懐かれやすいが、懐かれやすすぎてちょくちょくじゃれつかれまくってあわあわ言ってる
現在は鎖国したフォレスティナにて、世界樹の光を追って旅立った妖精の代わりに政務を執っている
ここ最近は鎖国の混乱も落ち着き始めており、余暇を使って木苺堂の手伝いや子供たちとの触れ合い、森妖精の子へのお菓子作り指導などを行っている
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【名前】サリー(紫髪のエルフ幼女)
【種族】エルフ
【性別】女
【年齢】約1000歳
【容姿】見た目は紫ショートの幼女
【性格】冷静沈着だが時折腹黒な一面も
【魔法】基本地属性魔法が得意だが、幻術も使える。
【備考】ティセリアの補佐を務めるエルフの少女。
毎日業務に追われるもそれが使命だとして日々励んでいる。その経験からか人の心を見透かすこともできる。
現在は首長代理であるティセリアの補佐を務めつつ、鎖国によってダメージを受けた産業の根を絶やさぬよう尽力している
鎖国の混乱も落ち着いてきた最近は、ティセリアが手伝う木苺堂でスイーツに舌鼓を打つ姿が度々目撃されている
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【名前】マーベル・クライス
【種族】エルフ
【性別】男
【年齢】約600歳
【容姿】フォレスティナの伝統衣装の上に今国際的に流行りのブランドマントを着けている。笑顔が特徴的な薄金髪のお兄さん。
【性格】脱田舎思考のシティボーイ。新しい物好き。気さくな時とシリアスの時のギャップがある。
【魔法】金属を生み出し操る
【備考】世界を渡り歩いた国際通として革新派から出馬。人当たりがよく選挙活動の一環で街に出没して色んな人に握手を求める。
森しかない祖国に多少のコンテンツを増やす目的で一部森林の開拓を主張する。レジャーやスポーツ、その他娯楽施設を開業することで国民の幸福度は上がるわ、業者から裏金が入ってくるわとWin-Win。彼の事務所には王国やその他の外国の者たちが出入りしてるが、いったい何なのだろうね。
祖国は歴史的に伝統派が強く、そのため進歩が止まっている事実に悲観し、森>進歩の現状を変えようと心から思っている。それはそれとして汚職はする。
現在はフォレスティナの地盤や星脈の状態調査や、鎖国が解かれた時の為の再開発計画作りに勤しんでいる
ここ最近は事務所を空けていることが多く、フォレスティナ内でも姿を見かけないことが多い
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【名前】森妖精の子
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】7歳
【容姿】深い緑色の髪をサイドテールにした、妖精の幼子
【性格】気弱で泣き虫。命を愛する心を持つ
【魔法】癒やしの魔法。特に植物へ施すのが得意だが、毒や呪いを浄化するほどの技量はまだない
【備考】とても幼い森妖精の子。自身の住処であるおうちの木の中で生まれ、おうちの木に守られながら育った
おうちの木を救ってくれた復権派に深く感謝しており、特に依頼を受諾してくれたミスティを慕っている
本心ではミスティに緑の国にいて欲しいと願っていたが、旅人であるミスティを縛り付けてはいけないという思いもあり、口には出せなかった
最近はティセリアの指導により、お菓子作りが上達してきた。将来の夢はおうちの木で小さなお菓子屋さんを開くこと
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◇登場人物:トコナツ火山島◇
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【名前】モーリィ・フースーヤ
【種族】半竜人
【性別】女
【年齢】2000歳
【容姿】赤毛ロングの小柄な少女
【性格】勝気な性格
【魔法】火炎魔法・素手も強い
【備考】トコナツ火山島の島長(しまおさ)。親のドラゴンの血で不老不死となっており、勝気ながらも達観した所もある
現在は火山活動によってもたらされた被害地域の復興活動を精力的に行っている。自分の力のみで事態を収めようとして失敗したことは反省しており、最近はコルトを初めとした周囲の人員ともよく話し、他者に仕事を任せることも増えた
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【名前】コルト・キャルト(猫人の男)
【種族】猫の獣人
【性別】男
【年齢】35
【容姿】茶髪で猫の耳がある。顔に猫の髭。糸目。茶色の猫の尻尾がある。背が高く、痩せ型。
【性格】どんな方にも紳士的に対応する。
【魔法】(主に使う魔法や得意属性など)
砂魔法(砂を操る事が出来る魔法。砂嵐や流砂も作れる)剣と組み合わせて切れる砂を放つ。
【備考】元々別の国の出身だが若い頃にトコナツ火山島に移っている。生態系を研究している学者だったが現地の人達との交流を重ねて今では火山島でも一目置かれる名士となった。レイピアを所持しており、戦闘では魔法と合わせてそれを使っている。どんな方でも敬語で話す。火山がなぜ活発になったのか現在調べている。
現在はモーリィと共に復興活動を行っており、人の住む地域だけでなく動植物や魔物の住む場所の保全にも力を入れている
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【名前】レッド
【種族】バーニングスライム
【性別】男
【年齢】1000
【容姿】ボコボコマグマを垂れ流している危ないスライム。
【性格】面倒見が良い。
【魔法】冷凍魔法
【備考】マグマを垂れ流すその姿から、周囲に疎まれていた。そのため、世界中を放浪しており最終的にこの島にたどり着いた。周囲にマグマを垂れ流し嫌われることに耐えられなかった彼は冷凍魔法を極め自身を常に冷やし続けている。それはバーニングスライムである彼からしたら苦痛でしかないがもう誰からも嫌われたくなかった。
現在はモーリィらの復興活動の手伝いをしつつ、クロシュたちの身を案じている。少し前、なんとなく自分の欠片が役立ったような気がした
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【名前】エイパチ(黒丸メガネのタコ人おじさん)
【種族】半タコ人
【性別】男
【年齢】55
【容姿】スキンヘッドでムキムキの腕4本脚4本。黒丸メガネ着用
【性格】ストライクゾーンが広く女の子に甘いが気のいいおっちゃん
【魔法】吐く墨で色々な物を作れる(主に料理道具)
【備考】トコナツで屋台やってる料理人。観光客はいいお客さんなので良くしてくれる。人魚の肝っ玉お嫁さん持ち
最近は復興地で炊き出しを行い赤字を出しているが、お嫁さんは了承済みのため、気兼ねなく大盤を振る舞っている
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◇登場人物:芸術都市ミュージア◇
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【名前】レーティア・フォン・ロスチャイルド
【種族】人間
【性別】ないしょ
【年齢】ないしょ
【容姿】中性的で笑顔が素敵な白髪美人
【性格】お人好しでよく騙される正直者と思いきや結構頭はキレる。善人が好き。
【魔法】闇魔法
最近闇魔法の出力が上がっている気がする
【備考】とある大富豪一族の一人。お金や権力の闇を散々見てきたから、そんなものに染まりたくないと出奔。芸術家になる。一族からは高位の職につけと圧力が加えられている。散々見てきた真っ黒い人たちは少数派だ。人の性は善だと信じて、誰かが困るとお金を貸したり、助けたりと人の言ったことを信じて生きてきたがどうにも騙されることが多い。金持ちも貧乏人も悪性は変わらないのかとうちひしがれ、自分の心まで真っ黒に染まりそうなところを芸術に逃げることで何とか立ち止まっている。別にお金なんていくら盗られても問題じゃない。でも心が痛い。正直芸術のセンスより金稼ぎのセンスの方が高い。そのため、売れない芸術家であるのにこの街ではかなりリッチな生活をしている。
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【名前】芸術妖精
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】秘密
【容姿】金髪ショートの妖精。三角巾に塗料で汚れたエプロンを身に着けている
【性格】陽気。やや迂闊
【魔法】自然魔法。練度はそこそこ
【備考】芸術都市ミュージアで活動している芸術家の妖精
美術、工芸、彫刻など、物質的なものづくりに関する技能は一通り習得している。演劇も多少できる。音楽は不得意
普段は似顔絵描きをやったり、レーティアの提案で〝売れる〟ものを作ったりして生計を立てている。芸術作品と商用作品は別物と区分けしている
近年はややスランプ気味……だったが、レッサースライムたちに食われかけたこと、クロシュに助けられたこと、そのクロシュが芸術的ぱわーを秘めていたことなど、多くの出来事が立て続けに起こり、ここ数年間感じられなかった自身のぱわーが再燃してきた
芸術祭が終わった後は、緑の国フォレスティナへ向かう予定
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◇登場人物:セイントレア王国◇
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【名前】サイン
【種族】人間
【性別】男
【年齢】享年22
【容姿】金髪碧眼。襟足長め。全体的に華奢で小柄。
【性格】何事にも揺れない(様に見えた)、冷静沈着で口数が極端に少ない
【魔法】光魔法。出力がおかしい。地形に影響があるくらいは朝飯前
【備考】故人。勇者と称された人物
魔族自治区が成立したあたりで突然血を吐いて斃れた。王国は彼の死を隠蔽している
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【名前】セイン
【種族】人間?
【性別】男?
【年齢】10代前半程度?
【容姿】金髪碧眼。襟足短め。外見年齢相応に小柄。
【性格】冷静沈着で口数が少ない
【魔法】光魔法。出力がおかしい。地形に影響があるくらいは朝飯前
【備考】勇者サインに似た容姿の少年。勇者サイン同様、強力な光魔法を操る
王国の尖兵だったり、緑の国の革新派の護衛だったり、ロイエ教原理派幹部の仕事仲間だったりするが、彼の正体や目的は未だ闇に包まれている
船を失って漂流していたところをクロシュ一行に救助され、一時期行動を共にしたことがある。その縁もあってか、クロシュ一行と争うことには消極的な姿勢を見せる
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【名前】アルベール・ド・セイントレア
【種族】人間
【性別】男
【年齢】45
【容姿】長身ですらりとした姿
茶髪で肩ぐらいの髪
【性格】穏やかで理知的
有事には威厳のある王として振る舞う
【魔法】炎属性のみだがかなり上位の腕前
【備考】王国(の人間)の民には優しく公平な王
王としての才覚もなかなかのもの
一方で魔族には過激かつ排他的な政策を進める
そのあまりの差には一部の側近にも不思議に思われている
王国に代々伝わる炎の魔剣を自在に扱い、個人的な武力は世界でみてもかなり上位
実はかなりの愛妻家
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◇登場人物:????◇
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【名前】レイン・フォール
【種族】エルダーサキュバス
【性別】女
【年齢】120
【容姿】金髪オッドアイで黄色いパーティードレスを着たナイスバディ美人。泣きぼくろがチャームポイント。
【性格】気が強く孤高の寂しがり屋
【魔法】心理支配が最も得意で催眠や読心などを行える。
攻撃系統だと闇魔法も得意。触れたら消滅する強力な闇の塊を生み出し操るが、心理魔法ほど練度は高くない
【備考】かつて勇者サインと恋に落ちたサキュバス。勇者に一目惚れしてつきまとうようになり、いつしか勇者も受け入れてくれた。何故魔物である自分を受け入れたのか、そんな勇者の心は魔法をもってしても最期まで見透かすことができなかった。今はもう愛した勇者はいない。たった一人になった彼女は、勇者に誘惑催眠をかけたサキュバスと人類社会から烈火の如く憎まれ、勇者と仲良くしている裏切り者と魔物社会からも侮蔑の限りを尽くされていた。それらに抵抗するうちにいつの間にか国際指名手配の極悪人。賞金稼ぎに狙われ、傷つけられ、既に心は世界への復讐心にとりつかれていた。そのため、今では自分を迫害してきた社会に対して、悲しみと怒りをぶつける手段としてテロに興じる。
彼女はただの一度だって勇者に催眠をかけたことはない。あの時感じた純粋な恋心を魔法なんかで汚したくはなかった。
……………………………………………………………………………………
【名前】フレメア=バイオレット
【種族】吸血鬼
【性別】女
【年齢】444歳
【容姿】赤毛ロングの幼女
【性格】普段は無口だが怒ると暴言をまき散らす
【魔法】巨大化魔法。全身は勿論一部分だけ大きくもできる。
【備考】フラナの腹違いの姉。より高位の魔族を血を受け継いでいる
かつて強烈な破壊衝動で理性を失い荒野を彷徨っていたが、何者かに狂気を除去されて助けられた
妹との仲は悪く、互いに家族の情はほとんどない
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◇登場人物:旅は道連れ◇
……………………………………………………………………………………
【名前】メルル・マインドストーン
【種族】魔族と人間のハーフ
【性別】女
【年齢】14歳
【容姿】見た目はほぼ人間の女の子だが、額に第3の目があり、帽子で隠している。緑髪のセミショートへア。体格は年相応
【性格】好奇心旺盛だが、夢中になると回りが見えなくなる。
【魔法】地属性が得意だが、周囲の景色に溶け込める迷彩魔法も使用できる。
【備考】世界のあらゆるものを見たいとあてのない旅をしている
クロシュ一行とは少々の縁があり、時折行動を共にすることがある
……………………………………………………………………………………
【名前】リュアン
【種族】人間
【性別】女
【年齢】17
【容姿】銀のウェーブのかかったセミロングにキラキラとした青の瞳。身長は130cm前半と小柄。胸は平坦(大分気にしている)
【性格】大人しいが自分の中の信念は絶対に曲げない頑固者。メンタルは年齢相応
【魔法】光魔法(?)。眩い光を放つ。現時点では目眩しとしてしか使えないが……?
【備考】従者と共に追手から逃げているお嬢様(今ははぐれてしまっている)。
自身の魔法が何やら特別なものであるらしく、その存在を知られてからというもの、行く先々で襲撃に遭うように。
何気に足が速い。
芸術都市への道中で触手から逃げているところをクロシュ一行に助けられ、一時期行動を共にした。クロシュからはちゃん付けで呼ばれている
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◇登場人物:その他◇
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【名前】メイ841
【種族】メイド型オートマトン(機械人形)
【外見】メイド服を着た黒髪ロングの15歳くらいの少女
【年齢】不明
【性格】無機質で機械的な喋り方をする
【魔法】魔法は使えないが護衛用に右手にブレード、左手にマシンガンを仕込み、両足にローラー、背中にジェットエンジンを備える。
【備考】かつて機械都市で量産されたメイドロボの一体。その核には妖精類を加工して造られた精核が使われている
何らかの不具合により精核が元となった妖精の自我を半端に取り戻し、人間たちへの復讐と同胞の救出を目的に機械都市と港湾都市で殺戮と破壊を繰り広げた
最期にはクロシュに精核を呑み込まれ、対話の後にブレードを遺して吸収された
吸収された後もその遺志の断片はクロシュの中で生き続けており、クロシュが魔剣に乗っ取られた時はブレードにその遺志が宿り、クロシュ救出の為に魔剣と激しい戦いを繰り広げた
元となった妖精はフォレスティナの出身だったとされる
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【名前】ブラッド(冒険者ギルド命名)
【種族】スライム類の一種と推測される
【性別】♀
【年齢】不明
【容姿】血のように赤いスライム。人間に擬態する時は、真紅の髪を足元の辺りまで無造作に伸ばした幼子の姿を取る
【性格】わがまま。感情の起伏が激しく、気に入らないことがあるとすぐに癇癪を起こす
【魔法】詳細は不明だが、通常のスライムとは一線を画す卓越した擬態能力と同化能力を有する
【備考】幼い外見とは裏腹に異常な力を有しており、何人もの冒険者を血の海に沈めている
単純な戦闘能力も高いが、擬態能力を活かして不意打ちや騙し討ちをする等の狡猾さもあり、危険
過去に起きた災害級の事件に関与している疑いがあり、冒険者ギルドは調査を進めている

ここ最近にわかに動乱の気配が沸き起こっているのを感じ、多数の分体を大陸中に放って動向を観察している
少し前に見逃した反映魔法を使う黒いスライムのことも少し気になっている
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【名前】レイ・アンバー
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】18
【容姿】長身だが猫背で地面につくほど長い灰色の髪をした陰鬱なオーラを醸し出してる女性 体中にタトゥーのように無数の魔法陣が刻まれている
【性格】根暗で対人恐怖症で常に不安と恐怖に囚われている
【魔法】体中に刻まれた魔法陣の影響でによって禁呪扱い・あるいは歴史の中で忘れ去られた魔法や呪術を含めて多数の魔法を使える
【備考】かつてはとある国(どの国かは作者に任せます)の孤児院で暮らしていた普通の少女だったが、その孤児院は邪神(とロイエ教では扱われている)を信仰するカルト教団が運営しており、彼女は邪神の器として選ばれてしまいその際に魔法陣が刻まれる。そして邪神を彼女に憑依させる儀式の直前にカルト教団を滅ぼすためにロイエ教原理派が襲撃。その混乱に乗じる+魔法陣によって使えるようになった魔法を駆使して脱走に成功したものの、カルト教団とロイエ教原理派双方によって全世界の冒険者ギルドに捕獲や討伐の依頼が出されお尋ね者になってしまい、常に怯えながら逃走生活を続けている。しかしお尋ね者でまっとうな職に就けないとはいえ盗みを働いて金や食糧を得たり、不安と恐怖が強すぎるあまり追手と勘違いして無関係の一般人を攻撃したりと単純な被害者とは言えない行動をしてしまっている。過去のことで善良な心が歪んでしまったのか、あるいは元から邪神の器に相応しい素質を持っていたのか……

密航した貿易船を紆余曲折あって幽霊船と化させ、その奥に引きこもっていたところをクロシュ一行に叩きのめされた。その後彼女の処遇について紛糾していたところ、クロシュの進言によって命を救われ(?)、クロシュのことが気になり始める
逃亡生活は現在も続いており、トコナツ火山島で再びセインに見つかって追い回されて海に逃げたり、海上でサメに追い回されたり、命からがら辿り着いた港湾都市で再び王国の兵士たちに追い回されたりなど、散々な目に遭っている
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というわけで新スレです。改めましてよろしくお願いいたします

>>前スレ997
今はまだ国際情勢がゴタゴタしていますが、いずれはそういった各国首脳の話し合いが必要な時が来るかもしれません
フラナ氏はダークヒーローという呼称を面白がり、ティセリア氏はダークヒーローと吹聴されている現状を少し疑問に思っており、モーリィ氏は若干世俗に疎いためかダークヒーローというものをちゃんと理解していない節があります

>>前スレ998〜999
敵対ネームドキャラクターについては、これ以上増えるとたぶん収集がつかなくなってしまうため、新たに募集するのは難しいかもしれません
汎用クリーチャーについてはむしろ不足している気がするので、近いうちに追加で募集しようと思います

>>前スレ1000
確かに技名や呪文があっても良いかもしれません。メタ的なことを言うと、戦闘の状況もわかりやすくなります
今後急に技名が出てきたりしたら、世界の法則が少し変わったのだと思っていただければと思います

―芸術都市ミュージア 滞在4日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券
・ガラス細工のザリガニ

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
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□芸術都市ミュージア 主要施設
大通り:絵空の家、武具屋、雑貨屋、美術店、工芸店、劇場、図書館、博物館、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:怪しい露店、怪しい絵売り、怪しい工芸店、娼館、見世物小屋跡地、他

―芸術祭当日
 芸術都市ミュージア 野外ステージ

 ワーワー パチパチ

司会「皆様、ミュージアの芸術祭へようこそおいでくださいました! この祭典は我がミュージアが誇る芸術的なアートのお祭りです! お楽しみください! それでは来賓挨拶に移らせていただきたいと思います! 現セイントレア国王、アルベール・ド・セイントレア陛下!」ババッ


 スタ スタ …


国王アルベール「親愛なる国民よ。本日はこの壮大なる芸術祭に集まっていただき、感謝する」ドンッ!!



イリス(あれが――現セイントレア国王、アルベール――)

ミスティ(妖精たちを排斥する、諸悪の根源……!!!!)



国王アルベール「この芸術祭は……というような説明は司会の方がもうやってくれたね。皆も国王のつまらない挨拶などより早く公演を見たいところだろうから、手短に済ませよう」

国王アルベール「諸君――人間による、人間のための、人間の創り上げし芸術を、楽しんでいってくれ!!」


 ウオオオオオオ!!!! ワーワー!!! アルベールヘイカバンザーイ!!! ニンゲンバンザーイ!!!



妖精「はっ、浅ましい人間至上主義だね」

芸術妖精「ここ最近露骨だよねえ。やっぱり魔族国とのあれこれが影響してんのかなあ」

エバンス「言っちゃあなんだが、今さら融和路線は無理だろうからな。まああの国王が人間過激派なのは当初からだが」

ローガン「国内に限れば、国民を大事にしつつ実利も上げていく名君と言えるが……」

レーティア「フフフ、国外から吸い上げた血で貪る実利は美味しいんですかね?」

ローガン「それが帝国主義国家というものだ。セイントレアは王国だがな」

クロシュ「ていこくしゅぎ……?」

ローガン「ふむ……クロシュくんにもわかりやすく言うなら、そうだな……。自国の繁栄の為に、周りの国を食べてしまう国のことだ」

クロシュ「!」

ローガン「当然周りからは嫌われるが、国内での生活は豊かになる。国民の皆も、周りの国から奪ったものでお腹いっぱい食べられるというわけだ」

クロシュ「!!」

妖精「ちょっと! そういう言い方するとクロシュが良いものだと思っちゃうでしょ!」

ローガン「す、すまぬ……。なるべく中立的にわかりやすく説明したつもりなのだが……」

ミスティ「中立的な視点は大事だけれど、王国は人間以外を激しく排斥する差別主義国家ということも忘れてはならないわ。決してクロシュが馴染める国ではないのよ……」

クロシュ「……うん。大丈夫……わかってる……」

ローガン「うむ……」

 ◆

剣舞姉妹「ありがとうございました」スッ

司会「こちらこそ、ありがとうございました! 美しい姉妹の艶めかしくも流麗な剣舞!! これこそが芸術であります!!!」

 ワーワー!! カッコイー!! エッチダ エッチスギル



エバンス「こりゃたまげた……。観客席から見るとあんなにエッ……だったとは……」

ローガン「う、うむ……戦闘時はそれどころではなかったからな……」

イリス「え、ローガンさんたち戦ったことあるの!?」

ローガン「まあ、少々……」

ミスティ「いつの間に……。やっぱり、男ってああいうのが好きなの?」

エバンス「まあ……」

ローガン「私が愛するのは亡き妻だけだ」



司会「それでは続きまして、お絵かき演舞です! 演者を務めるは、幼いながらに圧倒的ぱわーを秘めた期待の新人画家、クロシュちゃんです!!」

クロシュ「……」ペコ

 キャー!! カワイー!! ダレアノコ? シンジンダッテ



エバンス「お、そんなことよりクロシュちゃんの出番だぞ!」

イリス「わあ、なんだかここからだとすっごくちっちゃく見える……」

妖精「大丈夫かな……土壇場でヘマしなきゃいいけど……」

ミスティ「裏方にレーティアさんと芸術妖精が控えてるし、大丈夫よきっと」

ローガン「うむ……我々は見守るのみだ」

 *

リュアン「えっクロシュちゃん!?」

メイド「あの子は……リュアン様をお連れしてくださった方々の!」

リュアン「はい! まさかクロシュちゃんが出るなんて……!」

 *

ハーピィ記者「ええっクロシュちゃんじゃないですか! 何やってんでしょうかこんなとこで!?」カキカキ

 *

セイン「……!?」

僧侶「あ、あの薄穢いガキ……!? なんで人間の祭典にあんな不純物が紛れ込んでるです!?」

クワガタ頭「ワット? シスター氏はあのチャイルドをノウイングなのかね?」

僧侶「普通に喋ってください! あいつは……」

セイン「シッ……。今ここでそれを言うと、余計な混乱を招く……」

僧侶「〜〜!!! と、とにかく薄穢いガキです!!!!」

クワガタ頭「ヤーヤー。ビジュアルはキュートなチャイルドのようだがネ」


セイン(クロシュ……何を描くつもりだ……?)

 *

フレメア「ん……? あいつ、どっかで見たような……」

レイン「……何をしているのかしら、あの子……」

イケメン狐獣人「……あれスライムだよな? 知ってるのか?」

レイン「まあ……。大した縁でもないけれど……」

金髪の竜人「あら……あれ、例のバーニングスライムの力を見せた子ですわ」

イケメン狐獣人「あの子供が……!?」

レイン「バーニングスライム……?」

金髪の竜人「くすくす……やっぱり面白くなってきましたわ! アナタもそう思いませんこと?」

銀の長髪の魔族「……そうだな。あのスライムの子が何を描くのか……興味がある……」

 *

分体ブラッド「あいつ、なに人間の祭りなんかで遊んでんの……」

分体ブラッド「今すぐ仕置してやりたいとこだけど、ここじゃ目立ちすぎる……。街から出たとこで奴の仲間を皆殺しに――」

白い幼女「……」ヌッ

分体ブラッド「!!!?!!?!?」ビクッ

白い幼女「あなた……わたしと同じ力を持ってる?」

分体ブラッド「お前……何……?」

白い幼女「あの、舞台の子も……わたしと、同じ……」


分体ブラッド(……こいつ……わけがわからないけど、ヤバイ気配がする)

分体ブラッド(逃げる……? でもあたしは分体だし、別にここで倒されても……)

分体ブラッド(だめ!! 分体であろうと、もしあたしがこいつに〝吸収〟されたら――)

分体ブラッド(は……? 吸収……? なんであたし、こいつに吸収されるって――)


白い幼女「始まったよ?」

分体ブラッド「……え?」

白い幼女「お絵かき演舞」

分体ブラッド「……」

 *

クロシュ「――」シャッシャッ

 大きなキャンバス「」デロデロ…

司会「うおおお! クロシュちゃん、小さいながらも大胆な筆使いでどんどん描き進めていく!! しかしこれは……何を描いているのでしょうか!!?」

 大きなキャンバス「」デロデロ…


国王アルベール「……」ジッ


クロシュ「――」シャシャッ

 ◇

 デロデロデロデロ……

 何かが描かれた大きなキャンバス「」デロデロデロ…


司会「こ、これは……この絵は……一体!?」

 ザワザワ… ナンダアレ… コワイ!!

 *

リュアン「……えと……何の絵だろう……?」

メイド「うう〜ん……芸術というのは難しいですね」

 *

ハーピィ記者「何の絵ですかね、アレ。とりあえず描き写しますか」カキカキ

 *

僧侶「ウワーキショ! キショガキが描いたキショ絵です! 目が腐ります!!」ジタバタ

クワガタ男「シャラッ! メイフライ!」

セイン「……」ジッ

クワガタ男「ムムム……セインはアレのミーンをアンダスタン?」

セイン「……はっきりとは。だが、あれは……」


セイン(クロシュ……それが、君の願いなのか)

 *

フレメア「わお……!! あいつ、めっちゃ面白じゃん!!」キャッキャ

金髪の竜人「すごいぱわーですわ!」キャッキャ

イケメン狐獣人「え、アンタらあれが何かわかんの……? オレさっぱりなんだけど……」

金髪の竜人「さっぱりですわ!」キャッキャ

フレメア「めっちゃぱわー!」キャッキャ

イケメン狐獣人「アンタらに聞いたオレがアホだったよ……。レインの姉御は何かわかる?」

レイン「あれは……受胎図……? でもそれにしては……う〜ん……」

イケメン狐獣人「受胎図て……子供が描く絵にしちゃエグすぎだろ……」

銀の長髪の魔族「フッ……あの子供……とんでもない狂人か、あるいは――」

 *

分体ブラッド「何あれ、馬鹿じゃないの。お花畑のペットスライムらしい無様な絵」

白い幼女「……」

分体ブラッド「何、黙り込んで。お前も何か言ってやったら」

白い幼女「そっか……その手があったんだ……」

分体ブラッド「は?」

白い幼女「ありがとう、クロシュちゃん……! あなたのお陰でわかったよ……!! わたしのやるべきこと……!!!」

分体ブラッド「ええ? お前、何言って……」

白い幼女「早速計画を練らなきゃ! わたし、もう行くね!」サラ…

分体ブラッド「な、こいつ風に……!? あたしもなかなか上手くできないのに……!!」


白い幼女「わたしはクロシュヴィア……クロシュヴィア・ビター……ううん、違う……」サララ…

クロシュヴィア「わたしは……クロシュヴィア・スウィートエンド……。甘い結末(おわり)をもたらすもの――」サラサラ…

 *

司会「え、え〜……クロシュちゃんが描いてくれた、この絵はですね……」モタモタ


国王アルベール「……」ジッ


↓1コンマ
01-05 この者を打ち首にせよ
06-35 歓声(?)
36-65 大義である
66-95 素晴らしい
96-00 ???

観客A「あれすげえぞ!! あの絵、超すげえ!!!」

観客B「すごい……あれが世界の、あるべき真の姿なのね……」

観客C「俺たちは、どうしてああなれないんだ……。俺たちはなんて愚かな生き物なんだ……」

観客D「今からでも遅くない! 私たちあれを目指さなきゃ!! あの、真の正しい世界を!!!」


 ウオオオオ!!!! シンノタダシイセカイ!!!! シンノタダシイセカイ!!!!!!


司会「お、おお……そうです! これこそが真の正しい世界! 真の正しい世界の真の姿なのです!!!」

 ワアアアアアアアア!!!!!!


国王アルベール「……」

 ◇

クロシュ「……」ヨタヨタ

イリス「お疲れさま、クロシュちゃん!」

クロシュ「んゅ……つかれた……」

レーティア「観客たちにもみくちゃにされそうになったもんねえ。いきなり凄いカリスマ幼女画家爆誕だよ」

妖精「うへぇ……。そいつら、クロシュの正体を知ったら掌返すんだろうなあ……」

芸術妖精「そうかな? あの人たち、クロシュちゃんの絵の意味を理解してたような感じだったよ」

ローガン「クロシュくんの絵の意味を……。そ、それは……」

ミスティ「……それはそれでちょっとやばい気がするわね……」

エバンス「まあ何にせよ本当にお疲れ様だよクロシュちゃん。あとは残りの演目をここからゆっくり楽しもうぜ」

クロシュ「ん……」

 ◇

司会「それでは次の演目は――彗星の如く現れた謎の美女二人による、エキゾチックダンスです!!」


金髪オッドアイの美女「……」ペコリ

銀髪クール系美女「……」ペコ


観客F「おっ、最近話題の美女ダンサーデュエット!」

観客G「知っているのか?」

観客F「その正体は謎に包まれているが、金髪の子のドスケベボディと、銀髪の子のクールスレンダーボディが織りなすエキゾチックダンスはめちゃすごいぜ!」


剣舞妹「ライバルが……多い……!」

剣舞姉「私たちはできることをやったわ……。後は、運を天に祈るだけよ」


司会「それでは始まります!」


金髪オッドアイの美女「――」ユラユラ

銀髪クール系美女「――」タンタンッ


剣舞妹「……? あの動き、付け焼き刃じゃない?」

剣舞姉「そうね……。でも……何かしら……。この違和感……」


金髪オッドアイの美女「――」フォンフォン―

銀髪クール系美女「――」シュワシュワ…



妖精「…………!! まずい、あれは――」

イリス「」フラッ

レーティア「」フラッ

 パタム… パタム…

ミスティ「イリ……」フラッ

芸術妖精「ふみゅ……」フラッ

 パタム… パタム…

ローガン「ぬかった……」ググ フラッ

エバンス「う、ぐおおおおっ……!!!」グググ フラッ

 パタム パタム


妖精「間に合わなかった……! クロシュ……!!」

クロシュ「〜〜」グルグル モニョモニョ

妖精「そっか、クロシュは毒に強いから……! 催眠魔法だけ解けば……!」パァァ―

クロシュ「!」モニョッ!

妖精「クロシュ、大丈夫!? 意識ははっきりしてる!?」

クロシュ「う、うん! みんなは……」


イリス「」
ミスティ「」
ローガン「」
エバンス「」
芸術妖精「」
レーティア「」


クロシュ「!!」

妖精「催眠と睡眠毒で意識を奪われただけで、命に別状はないみたいだけど――」

金髪の竜人「さて、会場が静まり返ったところで――王手と参りますわァ!!」シュバッ

国王アルベール「……」

 ガギンッ!!!

セイン「……」ギギギッ

金髪の竜人「あら、王国の勇者モドキ……催眠と毒にも耐性を持っていたんですの?」ギギギ

クワガタ頭「ミーもネ! アンド、ユーはテロリストのセレスティア・ベールグラッド!!」シュバッ

金髪の竜人→セレスティア「如何にも! あなたはマッドクワガタのガッタ・ファーブ!」ガギンッ

クワガタ頭→ガッタ「イエス!」ギギギ

フレメア「アハッ、クワガタの方がわかりやすくない!?」バッ

 ガギギンッ!!!
 巨大カマキリ「」ギギギッ

ガッタ「お好きにコールミー!」ババッ

フレメア「でっかいカマキリ!! おもしろ!!」キャッキャ

セイン「今度は吸血鬼……。なら光で――」コォォォ―

セレスティア「余所見してる暇ありますの?」シュンッ

セイン「ああ」ガギンッ

セレスティア「!! 一瞥もせずにわたくしを切り払った!?」

セイン「消えろ」コォォォ―

銀髪クール系美女?「させねェよ」シャッ

セイン「!」ガギンッ

ガッタ「オーノー!! ユーはビューティーではなく――」

 バサッ

イケメン狐獣人「美男子と呼んでくれよ? クワガタ頭の変態さん」

ガッタ「イケ=メンテロリストのフォクシー・アウル!!!!」

イケメン狐獣人→アウル「アウル・フォクシーだ!!!!」



レイン「あれが……勇者モドキの、セイン……?」


レイン(おかしいわ……サインは……もうこの世にいない……。あの少年も……サインではないのに……)

レイン(どうして……こんなにも……。サインの波長と、そっくりなのよ……!!)

レイン(間違いない……王国が、何らかの邪悪な方法でサインの似姿を作り出したんだわ……!!!)

レイン(許せない……死してなお、サインの力を利用し続ける王国が……!!! サインの力を我が物として振るうあの少年が……!!!!)

レイン(殺してやる……!!!!!)バサッ!!


 闇球「」ヴォン―

ガッタ「オオウ!!?」ササッ

サイン「闇魔法……!!」ササッ

レイン「王国に連なる者は全員殺す……まずはあなたたちからよ……」コツコツ

ガッタ「ムムム……フォー対トゥー……不利ですネ、セイン」

セイン「……」グッ


「いや、5対2だ」スタスタ


ガッタ「! ユーは……!」

セイン「……!」

アルベール「……!! 貴様は……亡国リーリアの元国王、ザイル――」

銀の長髪の魔族→ザイル「……久しぶりだな、アルベール……」スタスタ


アルベール「生きていたのか」

ザイル「お陰様で。久しぶりに啜る泥水は美味かったぞ」

アルベール「何が望みだ。私の首か?」

ザイル「そうだ」

アルベール「なぜだ? 私の首を獲ったところで、お前の国は――」

ザイル「――」

アルベール「もう、戻らない――」

 シャッ
 ギンッ

ザイル「……そうさせた、お前が言うことか?」ギギギ

アルベール「事実を述べたまでだ。誰が述べようと現実は変わらぬ」ギギギ

ザイル「……お前を殺す。お前を殺し、王国を潰し、あの光を取り戻し、リーリア再興の礎とする」ギギギギ

アルベール「それは最早、貴様の愛したリーリアではない。ただの新興国だ」ギギギギ

ザイル「黙れ」ギギギギギ

 *

すみません、急用が入っております。再開は恐らく20〜21時頃からとなります、よろしくおねがいします

 ギンッ ガギンッ ガガガガッ ドゴォンッ
 ゴオオオオオッ ドグシャァッ バゴォン


観客たち「」グシャッ

観客たち「」ボムギッ

観客たち「」ドッギャァーンッ



クロシュ(変な人たちと……セインさんたちが……戦ってる……。眠らされた観客の人たちも……巻き込まれて、死んでいってる……)

クロシュ(セインさんが守ってるのは……みんなをひどい目にあわせてる、王国の一番偉い人……)

クロシュ(戦力は……五分五分みたい……)

クロシュ(どちらかに加勢すれば……どちらかを、有利にできるかも……)



クロシュ(もし、王国の王様をやっつれば……魔族の人たちや、妖精さんたちや、スライムの子たちを……守れる……?)

クロシュ(でも……お祭りに来てた無関係な人たちや、セインさんまで、殺しちゃうかも……)



クロシュ(もし、セインさんの味方をすれば……変な人たちをやっつけて、この場をおさめられそうだけど……)

クロシュ(王様も、助かって……きっと、これからもみんながひどい目にあい続ける……)

クロシュ(それに、もしスライムのわたしが、セインさんと一緒に戦ってる姿を王様に見られたら……何か、良くないことになる気がする……)



クロシュ(何もしないでここから逃げ出したら……どうなるか、全然わかんない……)

クロシュ(戦いを止めるのは……わたしの力じゃ、たぶん無理……。無駄死にすると思う……)


クロシュ(わたしは……)


 ――運命の選択――


↓1〜5多数決
1.王様をやっつけにいく
2.セインさんに加勢する
3.パーティの仲間を回収して逃げる
4.それでも戦いを止めに行く
5.その他(自由安価)
6.運命賽を使う(運命賽を1つ消費し、この状況で恐らく最もマシな運命に進みます)

クロシュ(……逃げよう。ここにいたら……危ない……)


妖精「クロシュ! 逃げるよ!」パタパタ

クロシュ「ん。ちょっと待って……」デロデロ

 デロデロ… モニョモニョ…

妖精「わっ……! みんなを飲み込んだ……!」

オオキイクロシュ「んむ……これで、みんなまとめて運ぶ……」

妖精「う、うん!」パタパタ

 パタパタ… ドスドス…

 ◆

―絵空の家 ロビー

イリスたち「」グッタリ


クロシュ「みんな……大丈夫……?」

妖精「うん。治癒の魔法はあんまり得意じゃないからちょっと時間がかかるけど、もう解毒は済ませたからそのうち目覚めるはずだよ」

クロシュ「良かっ――」


 カッッッ――――
 ドッギャァァァアアン!!!!


クロシュ「!!」

妖精「い、今の音は……!?」

クロシュ「」タタッ

妖精「わっ外に出たら危ないよ!」

クロシュ「中にいてもおんなじ!」タタッ

 *

―芸術都市ミュージア


 一直線に続く瓦礫の山「」ゴゴゴゴゴ…


クロシュ「……!」

妖精「こ、これは……光、魔法……?」

クロシュ「セインさん……!」

妖精「セインの魔法でも……ここまでの威力じゃ……あ! あれ!!」



セイン?「……」ゴゴゴゴゴゴ…



妖精「あれは……セイン……? でも……雰囲気が……」

クロシュ「……」



セイン?「」パヒュンッ―



妖精「あ、消えた……」

クロシュ「……」

妖精「セイン……」

 *

クロシュ(芸術都市ミュージアは……ものすごくたくさんの建物が壊されて……ものすごく大勢の人が死んだ……)

クロシュ(人も、物も、芸術も……別け隔てなく、たくさん失われた……)

クロシュ(王国は……テロリストたちが、大規模な破壊活動と大量殺戮を行ったと、発表したけれど……)

クロシュ(最終的な、あの大破壊は……たぶん…………セインさんが……………)

クロシュ(…………経緯はわからない。その後、あの場にいた人たちがどうなったのかも……)

クロシュ(…………)

クロシュ(…………どうしようも……なかった……。わたしなんかじゃ……どうにも、ならなかったもん……)

クロシュ(だから…………しかたないよね…………)

クロシュ(どうにもならないことは…………どうにもならないもん…………)

 ◆

少し早いですが本日はここまでとなります。次回、瓦礫の山となった芸術都市をあとにして砂漠へと向かう編からとなります

いろいろありましたが新スレそうそう災難なクロシュさんでした。たくさんの芸術が生まれ、花咲く芸術の都は焼け落ち、大勢の民が死に絶えました。でも仕方ありません。クロシュ氏の言った通り、どうにもならないことはどうにもならないのです。もしどうにかなる運命があったとしても、どうにもならなかったことはどうにもならなかったのです。
メタなことを言えば、逃走は自分と仲間の命を守ることについては最適解でしたが、それ以外のいろいろなものから目を背けてしまう選択でもあったのかもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

ネームドキャラクターの方々が生きているかどうかはわかりませんが、一定以上に仲良しな人や、一度仲間になったことのある人については死亡判定が発生する前に運命賽の使用可否の選択肢が出現するので、それで確認できるかもしれません

クロシュ氏の描いた絵が今後どういう影響をもたらすかはわかりません
運命賽はどちらかと言えばコンマ腐敗時の理不尽さに対する救済措置として出したものだったのですが、そもそも死亡判定自体が滅多に発生しないものだったので、溜まっていく一方でした
温存しても仕方ないものでもあるので、余裕があれば使ってみても良いと思います
運命賽は実際けっこう余っているので、良い自由安価が思いつかなかった時や、ちょっと無理してでも取りにいきたいものがあった時は、積極的に攻めていっても多分大丈夫だと思います

セインくんが退場したかどうかはわかりません。ですがもしかしたら割とすぐにわかるかもしれません
クロシュ氏は強くなってきましたが、そのメンタルはまだあかちゃんスライムのようです。なかなか上手くはいかないようです

スライムにとって、「食べる」とは物質を体内で消化吸収して栄養とすることであります。長期間食べないでいると、他の生き物と同様にお腹が減って死にます
「同化」とは、物質を身体に溶かして馴染ませることです。これは消化吸収とは異なる可逆性の状態変化で、同化を終えればその物質は元の形に戻って体外へ排出されます。同化の技量が低かったり、ものすごくお腹が空いていたりすると、同化中の物質を消化吸収してしまうこともあります(その場合、当然同化も解除されます)
劇中でクロシュが時々やる、妖精や他の仲間を体内へ格納する能力については、単に消化も同化もせずに体内で保持しているだけかと思われます。スライムは人間よりも自分の体内の状況を意識的にコントロールできるため、体内に入れたものをそのまま保存しておくこともできるようです。ただし、幼いスライムやお腹が減っているスライムは、保存しているつもりのものをうっかり消化吸収してしまうことがあります

リュアンさんの属性には本人も知らない何らかの秘密があるようですが、今のところそれが何なのかはわかりません
もし今後交流を重ねていけば、明らかになるかもしれません。しかし彼女も今回の大破壊に巻き込まれたらしく、その安否は不明です……

僧侶氏があの戦いの最中何をしていたのかはわかりません。毒と催眠でひっくり返っていたのか、戦いのレベルが高すぎてアワアワしていたのか、邪悪なる意図を持って策略を巡らせていたのか、真相は闇に包まれています

登場人物紹介の各キャラクターの備考欄は、現況が更新されることがあります。もし気になるキャラクターがいたら、時々見てみるのも良いかもしれません
レイさんは相変わらず散々な逃亡生活を続けているようです。またクロシュ氏と巡り会える日は来るのでしょうか……

―芸術都市ミュージア

 瓦礫の山「」

 エーンエーンママァー!! イタイ…イタイ…

芸術妖精「あ、ああ……そんなぁ……。花の都ミュージアが……どうして……」ガックリ

レーティア「……仕方ありません。特級指名手配犯が連なる犯罪組織〝シノホシ〟の襲撃だったのです……。彼らは小国程度なら容易く滅ぼせるほどの武力を有していると聞きますし……」

芸術妖精「くそぉ……私に力があれば……!! これだけの人と、建物と、芸術の数々を……どうして……!!!!」


町人「おい……テメェ、妖精だろ!! テロリストの仲間か!!? あァ!!?」ヌッ

芸術妖精「違うよォ!! 私はこの街で暮らしてる妖精で……」

町人「とぼけんじゃねェ!! 人間の街になんで悪種のテロリストが入れたんだよ!!? テメェらが手引したんじゃねェのか!!?」

芸術妖精「違うってばぁ!! 私は妖精だけど、芸術に溢れたこの街が、大好きで……」ジワワ

町人「すっとぼけるつもりなら――」グオッ

レーティア「うわわ、やめてください!!」アタフタ

 ガシッ

パペットマスター「そこまでにしないか。彼女がこの街を愛する芸術家というのは本当のことだ」

町人「なっ……! お前は、引きこもりのパペットマスター!!」

パペットマスター「やれやれ。ボクの名前を知っているのに彼女のことを知らないなんて……とんだモグリだな」

町人「なんだと……!?」

パペットマスター「矛先を間違えるな。例のテロ組織〝シノホシ〟に妖精類が関わっているという情報は一切ない。そもそも根拠なく他者を悪と断じて攻撃しようなど、およそ文明人のすることではないだろ」

町人「チクショウ……!」

 *

芸術妖精「ごめんね……助けられちゃった……」

パペットマスター「気にしないでください。でも……もうあなたは、この街にいない方が良いかもしれません」

芸術妖精「……」

パペットマスター「あ、いや今のは出ていって欲しいとかではなく……! い、今この街では人間以外への憎悪が激しく猛り始めている気配がありましてですねっ……」

芸術妖精「わかってるよ。元から、芸術祭が終わったら出てくつもりだったんだ」

パペットマスター「そうでしたか……。まあ実際、潮時かもしれませんね……」

芸術妖精「うん……。もう、この街は……人間以外を、受け入れられないと思う……」

レーティア「やや人間寄りに傾き始めていたとは言え、王国内でも人間以外の種が堂々と暮らせる数少ない街だったんですけどね……」

 ◆

―芸術都市ミュージア 大通り

剣舞妹「……」ボー…

エバンス「……おい。しっかりしろ」ガシッ ユサユサ

剣舞妹「あ……あんた……変態ストーカーの……」

エバンス「……姉ちゃんはどうした」

剣舞妹「……」

エバンス「おい……まさか……」

剣舞妹「死んだ……。吹っ飛んでくる瓦礫から、あたしを庇って……」

エバンス「……!!!」


剣舞妹「……放っといて……。ストーキングなら、他の人にしてよ……」トボトボ

エバンス「お、おい……!」

 ガシッ

ローガン「エバンスくん」

エバンス「旦那! なにすんだよ! あのままじゃあの子……!!」

ローガン「……君は、ここであの子の人生を背負うつもりか? 守れなかった、などという自責の念に駆られて」

エバンス「う、ぐ……!! だが……!!!」

ローガン「君は……クロシュくんを守ると誓ってパーティに入ったのだろう……。それとも、守る対象をあの子に変えるか?」

エバンス「なんだと……ざけんな!!」ブンッ

 バキッ

ローガン「……殴るが良い。それで気が済むのなら」ツー

エバンス「う……ぐぐ、くそォ!!」ダッ



ローガン「……すまぬ、エバンスくん……。全てを守ることは、できぬのだ……」

 ◆

―芸術都市ミュージア 小さな宿の客室

リュアン「……」

 お付きメイドの遺骨が納められた壺「」

リュアン「…………わたしは、これから……どうやって生きていったら良いんですか……っ」ジワワ

リュアン「どうして、わたしなんかの為に……死んだんですか……っ!」ポロポロ

リュアン「どうして……どう、して……っ!!!」ポロポロ

 ◆

―セイントレアキャニオン 高台


 ヒュオオオオ――…

 眼下に見える荒廃した芸術都市「」ガレキ…


ハーピィ記者「……」

ハーピィ記者「今回ばかりは、おちょくり記事を出す気にもなれませんね……」

ハーピィ記者「にっくき王国の大損害なんですけどね。どこぞのダークヒーローのせいで無駄に感傷的になっちゃいましたかね、私」

ハーピィ記者「……でも魔族ばかりが憎まれても困るし、王国のネガティブキャンペーンは怠れないか」

ハーピィ記者「はぁ……シノホシのアホ共、面倒なことしてくれたな……」バサッ

 ◆

―芸術都市ミュージア 芸術祭跡地


 瓦礫の山「」ゴゴゴゴゴ…


老画家「……」ザッザッ


老画家「若きばかりが死に……何も遺せぬ愚老が生き残ってしまうとは……。運命とは……かくも、無惨なものなのか……」ザッザッ

 コツン…

老画家「むう……なんじゃ……?」ガサガサッ

 何かが描かれた大きなキャンバス「」デロ…

老画家「これは……! あの幼子が描いた――」

 何かが描かれた大きなキャンバス「」デロデロデロ…

老画家「あれほどの大破壊を経ても尚……その妖気は衰えぬ……いや、衰えぬどころか……!」

 何かが描かれた大きなキャンバス「」デロデロデロデロ…!!

老画家「描かれた当時よりも、増しておる……!!!」


 ヒュウウウ――…
 デロデロ… ポン!!


老画家「!?」バッ

クロシュヴィア「こんにちは、おじいさん……。わたしはクロシュヴィア……」トコトコ

老画家「何者じゃ!」

クロシュヴィア「スウィートエンドって呼んでもいいよ……。かわいいでしょ……?」ニコニコ

老画家(……これを描いた子と、雰囲気が少し似ている……。本当に何者じゃ……)

クロシュヴィア「それよりその絵……。よく見せて……」ズイッ


 何かが描かれた大きなキャンバス「」デロデロデロデロ…!!


クロシュヴィア「ああ……! やっぱり、見れば見るほどきれい……!!」

老画家「お主……この絵に魅入られて……」

クロシュヴィア「んふふ……傷付いた人々には、芸術による助けが必要だよね?」

老画家「……この絵は、弱った心には危険すぎるものじゃ……。今この街の者たちが、この絵に魅入られれば――」

クロシュヴィア「だからこそ……みんなで、痛みを分かち合って……一つにならなきゃ……」

老画家「!!」ゾクッ

クロシュヴィア「んふふ……おじいちゃんも、なりたいでしょ……? 溶け合って一つになれば……創れない苦しみとも、さよならできるよ?」

老画家「…………ふっ……。魅力的な提案じゃが……断る……! 創れぬ苦しみもまた、愛すべき芸術の道程に他ならぬ!!」

クロシュヴィア「そう……そうやって言い訳して、苦しみを正当化しないと自己を保てないほどにすり減っちゃったんだね……」

老画家「なんとでも言えい! わしはわしじゃ! 他の誰とも混ざり合う気など――」

クロシュヴィア「じゃあ食べちゃお」グバッ

老画家「ほあっ……」


 バクンッ モニョモニョ… モグモグ…


クロシュヴィア「ごちそうさまでした……。わたしの中で……甘い結末の中で、永遠に安らいでね……」

 ◆

―???

↓1コンマ(セインとの仲良し度により+120)
001-100
101-180
181-000

死の運命となるため、運命賽を使ってこの判定をやり直すことができます
運命賽を使いますか?

現在所持数[運命賽*4]

↓1〜3多数決
1.1回使う
2.使わない
3.運命を変えるまで使う(なくなった時点で終了)

―絵空の家 客室


スライムクロシュ「」デロロ…

 ズキッ…

スライムクロシュ「……?」モニョ…?


スライムクロシュ(セイン……さん……?)


↓1コンマ(セインとの仲良し度により+120、運命を変える意思+10)
001-100
101-180
181-000

―絵空の家 ロビー

 ズキッ…

イリス「……っ」

ミスティ「イリス……どうかした……?」

イリス「えと……ううん……」


イリス(セインくん……無事なのかな……)


・運命賽をさらに1つ消費し、残り2つになります
↓1コンマ(セインとの仲良し度により+120、運命を変える意思+20)
001-100
101-180
181-000

―芸術都市ミュージア


ローガン「……」スタスタ

 ズキッ…

ローガン「ぬう……」フラッ


ローガン(……セインくん……無事であれば良いのだが……)


・運命賽をさらに1つ消費し、残り1つになります
↓1コンマ(セインとの仲良し度により+120、運命を変える意思+30)
001-100
101-180
181-000

―???

 ザァーン… ザザァーン…

 ザッザッ…

セイン「……」ザッザッ

「……待て」

セイン「……?」クルッ

「……どこへ行く」

セイン「…………わからない」

「…………もういいのか?」

セイン「…………」

「…………本当に、もういいのか?」

セイン「…………」

 ザァーン… ザザァーン…

  スライムクロシュ『セイン……さん……』
   イリス『セインくん……無事なのかな……』
    ローガン『セインくん……無事であれば良いのだが……』

     ザァーン… ザザァーン…

「…………聞こえないか? お前の無事を祈る声が……」

セイン「…………」

「もう一度聞こう……。本当に、もういいのか……? こっちに来ても」

セイン「…………」

「…………」

セイン「いや……」

「ならば引き返すと良い。まだ間に合うはずだ」

セイン「……ああ」クルッ

「フ……」

セイン「……ところで……あなたは、誰だ?」

「俺は、サイン……。お前の力の……元となった者だ……」

セイン「…………!!」

サイン「行け……成すべきことを、成せ――」

セイン「ああ。感謝する、サイン――――」


――――――――

――――

――

―どこかの医務室

セイン「!!」ガバッ

ガッタ「ウェイカッ!!」バッ

セイン「ここは……うっ!」ズキッ

ガッタ「オー、ユーはまだドントムーヴ! ボディがボロボロだ!」

セイン「なに……?」

 包帯グルグルの身体「」

セイン「……」

ガッタ「何をしたのかアイドンノウだが、ナッシングティーはスべきではありませんネ」

セイン「ナッシングティー……無茶のことか……?」

ガッタ「イエス!」

セイン「……」

ガッタ「ユーは実際エクストリームにデンジャーなコンディションでした。ワーストケースもアリウル……そこでミーがよりそっていたワケですネ!」ドヤッ

セイン「……」

ガッタ「ミーの熱心なナーシングのカイあり、ユーはミラクルのサヴァイヴを果たしたというわけでス!」

セイン「……」

ガッタ「ユーはミーにサンキューし、ミーのインセクトアートクリエイションに付き合う義務がアライジング! アンダスタン?」

セイン「……ああ。すまない、心配をかけた」

ガッタ「フレンドシップ!」

セイン「……」


セイン(友情か……。相変わらず変な男だが……僕に友情を感じる者がいたとは……)


セイン(しかし僕は……何をしたんだ?)

セイン(あの時、戦力は拮抗……いや、僕たちが少し押していた。ところが突然謎の赤いスライムが乱入してきて……形成は一気に不利になり……)

セイン(……その後、どうなったんだ?)

セイン(…………あの場にいた、クロシュたちは……無事なのか……?)

セイン(…………)

 包帯グルグルの身体「」

セイン(………どうしてか……彼らのお陰で、死なずに済んだような気がする……)

セイン(…………無事でいてくれ、クロシュ)

 ◆

―???

白衣のエルフ幼女「あーあー、勝手に制限解除なんかしちゃって。お陰で街中めちゃくちゃになっちゃったらしいじゃないですか。どう責任取るつもりなんです?」

僧侶「だ、だって……あのままじゃ、本当にまずくて……。セイントレア国王の命も危険だったから、やむをえず……」

白衣のエルフ幼女「あなたの軽率な判断で国王が消し飛ぶ可能性は考慮できなかったんですか?」

僧侶「うぅ……」

白衣のエルフ幼女「ま、結果的に勇者も国王も無事だったので別に良いですけど。いろいろと面白いデータも取れましたしね」

僧侶「……」

白衣のエルフ幼女「それじゃあなたは勇者が回復し次第、引き続き世界樹の光の回収をお願いしますね」

僧侶「……よろしいのですか……?」

白衣のエルフ幼女「私にあなたの処遇をどうこうする権利なんてありませんから」

 *

僧侶「長耳のくそがきの癖に……! 重要ポジションだからって調子に乗って……!!」プンスコ

僧侶「あーむしゃくしゃします……!! こんな時はセインくんをからかって……」


僧侶(……いや……セインくんは、まだ絶対安静なんでした……)

僧侶(…………)

僧侶(……私の軽率な判断で……セインくんは、死にかけて……)

僧侶(………市民の方々も、大勢、死んじゃって……)

僧侶(……………私は……なんて、ことを………)グニャァァ…

 ◆

―セイントレアキャニオン

フレメア「うげええぇ……あつゅい〜……しんじゃうぅ〜……」トボトボ

レイン「黙って歩きなさい……」スタスタ

フレメア「せめて空を飛ぼうよぉ〜……」トボトボ

アウル「今のボロボロのオレたちが敵に見つかったらヤバイでしょ……。大体オレは飛べないし」トボトボ

フレメア「じゃあ駄狐は置いてこうよぉ〜」トボトボ

アウル「こ、このガキ……!」

セレスティア「あら、フレメアはあなたよりずっと年上ですわよ?」

レイン「それを言ったら、アウルくんは最年少じゃない……」

フレメア「アハッ! 最年少! ガキ駄狐!」キャッキャ

アウル「悪い、流石にキレそう……」

 ギャーギャー ゲラゲラ


分体ブラッド「いつもこんな感じなの? お前たち」

ザイル「普段は好きにやらせている。こうして集まることは滅多にないから、皆少し気分が高揚しているのだろう」

分体ブラッド「ふうん……」

ザイル「……君も我ら〝シノホシ〟に入らないか?」

分体ブラッド「お断り。群れるのは好きじゃない」

ザイル「そうか。気が変わったらいつでも言ってくれ。君ほどの実力を持つ魔族なら、いつでも歓迎する」

分体ブラッド「ま、今回みたいにたまたま居合わせたら手伝ってやってもいいよ。あたしも人間のクズ共は嫌いだからね」

ザイル「……人間のクズ共、か……」


ザイル(リーリア……。もしお前が今の俺を見たら……どんな顔をするだろうか……)

ザイル(フ……下らん感傷だな……)

ザイル(王国に与する者は一人残らず殺す。それだけだ……)

 ◆

―芸術都市ミュージア 滞在7日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・反魂丹*2
・運命賽*1
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券
・ガラス細工のザリガニ

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□芸術都市ミュージア 主要施設
大通り:絵空の家、武具屋、雑貨屋、劇場、酒場、冒険者ギルド、瓦礫の山、他

―絵空の家 客室


スライムクロシュ「……」デロロ…


イリス(クロシュちゃん……昨日から、ずっと塞ぎ込んでる……)

イリス(あの場で何もせずに逃げ出した自分を責めてるんだと思う……って妖精さんは言ってたけど……)

イリス(後で聞いた話によると、世界最強クラスの者たちが殺し合う極限の戦場だったらしいし……。最近強くなってきたとは言っても、そんな状況クロシュちゃん一人には荷が重すぎるよ……)

イリス(私たちも毒と催眠でやられちゃってたわけだし……その私たちを最優先に考えて、逃げるって選択をしてくれたんだから……。クロシュちゃんの選択は、決して間違ってない――)


妖精「イリス、エバンス知らない?」パタパタ

イリス「あ、妖精さん。エバンスさんは……えっと、見てないかも……」

ミスティ「どこに行ったのかしら……。荷物の確認をしておきたいのだけれど……」

イリス「ローガンさんは……?」

ミスティ「ロビーよ。目を瞑って何か考え事をしているみたいだったわ……」

イリス「そうなんだ……」


イリス(私たちの空気も、かなり重くなっている気がする)

イリス(……こんな状況で無理に明るく振る舞うのも違うと思うし、仕方ないけれど……)

イリス(…………)


芸術都市滞在最終日です
↓1〜3 自由安価 何をする?

すみません、フラナ先生からのお手紙は自動で返事が届くはずだったのですがなかなか機会がなく失念しておりました
そういうわけで、今回は温泉作り、救助活動の手伝い、フラナ先生からの返事、に加えてさらに追加でもう一つ安価を募集したいと思います

↓1 自由安価 何をする?

イリス「ねえ……ここを発つ前に、できるだけのことはしてかない?」ガタ

スライムクロシュ「……」モニョ…

ミスティ「できるだけの……」

イリス「うん……。出発は明日でしょ? 荷物もとりあえずはほとんど完成してるしさ……」

ミスティ「……そうね。やれるだけのことはやっていきましょう……」

妖精「……クロシュ、立てる?」

 モニョモニョ…ポン!

クロシュ「うん……わたしも、手伝う……」

 ◇

―瓦礫の山

負傷者「うう……」グッタリ

ミスティ「今治癒魔法をかけるわ……」パァァァ―

負傷者「お、おお……楽になってきた……! 治癒術師さんか!」

ミスティ「いいえ……ただの旅人よ……。得意属性も別だから、付け焼き刃で申し訳ないけど……」

負傷者「え、これが付け焼き刃……!?」

 ◇

 瓦礫の下「うぅ……誰か……。子供が……げほっげほっ……」
 瓦礫の下「…イタイ…イタイ…ママァ……」

市民A「待ってろ! う、ぐおおおっ……!」グググッ

市民B「だめだァ……! 重すぎてどかせない……!」グググッ

市民C「ちくしょう、このままじゃ……」グググッ

ローガン「ぬんっ!!」ガシッ

 瓦礫「」グググググッ…

市民A「お、おお……!? おっさんスゲー力だ!」

ローガン「今のうちに救助を!!」

市民B「お、おお! 今いく!」ダッ

 *

負傷した女性「なんとお礼を言ったら良いか……」

負傷した子供「えぐっ……ぐすっ……」

ローガン「礼は不要だ。早くお子様の傷の手当を」

負傷した女性「は、はい……。でも、あの……あの子、私の子ではなくて……」

ローガン「……!」

負傷した女性「あの子の近くに……もう、動かなくなってしまった女の人もいまして……。多分……もう……」

ローガン「……」グッ

 ◇

―瓦礫の山 浴場跡地

イリス「……! 水道は生きてる……なら、あとは地魔法で浴槽を整えて――」

 ガゴンガゴン ジャバジャバ メラメラメラ…

 大浴場「」ポン! ホカホカ…

市民D「おおお〜!!」

市民E「お風呂がまだ使えたなんて……!」

イリス「入浴は健康増進だけでなく、呪いや疫病の予防にも大きな効果があります! それに綺麗な水が使えれば傷を洗い流すこともできますから、有効に活用してください!」

市民F「ありがとう、旅の魔術師さん!」

 ◇

―瓦礫の山 簡易火葬場


炎魔女クロシュ「……」チリッ

 遺体たち「」メラメラ…


老婆「すまないねぇ……。旅の魔女さんが来てくれて助かったよぉ……」

炎魔女クロシュ「んーん……」


妖精(有機種の死体は……放って置くと、毒と呪いを撒き散らすようになっちゃうからね……。なるべく早く、こうやって葬ってあげる必要があるの)

炎魔女クロシュ(うん……)


 遺体たち「」メラメラ…


炎魔女クロシュ「……」


エバンス「あれ……クロシュちゃんか?」ザッザッ

炎魔女クロシュ「……? エバンスさん……?」


妖精(あ、エバンス! 探したんだよもう!)

エバンス(わ、悪い……ちょっとやることがあって……)

妖精(やることって……もしかして、その、背負ってる……)

エバンス(ああ……)


剣舞妹「……」


エバンス(こいつの姉ちゃんの……遺体だ……)


エバンス「クロシュちゃん……この人も、葬ってやってくんねえか……」スッ

 剣舞姉の遺体「」

炎魔女クロシュ「……ん」

老婆「すまないねぇ……」

エバンス「ほら……姉ちゃんとの別れだぞ……。何か言うこととか、あったら言っときな……」

剣舞妹「……」

 ポロポロ…

剣舞妹「うぅ……うぐぅぅ……!!」ポロポロ

炎魔女クロシュ「……」

剣舞妹「ばか……ばかぁ……!! うあああぁぁあん!!!!」

炎魔女クロシュ「…………」ジワワ

エバンス「……っ」ジワワ


 チリッ… メラメラ…


 ◇

―夕方
 瓦礫の山

剣舞妹「……お姉ちゃんのこと……葬ってくれて……ありがと……」

クロシュ「ん……」

エバンス「なあ……お前、これからどうするんだ」

剣舞妹「……」

エバンス「……一人で……生きていけるか?」

剣舞妹「……いけるよ。お姉ちゃんなんか……あたしっていうお荷物を抱えながら生きてたんだもん……。それに比べれば……お荷物がない分、楽なくらいでしょ……」

エバンス「……それは違うだろ。お前の姉ちゃんは、お前っていう家族がいたから――」

剣舞妹「知ったようなこと言わないで! ストーカーの癖に!」

エバンス「……」

剣舞妹「……さよなら。いろいろ、気にかけてくれて……ありがと……」スタスタ

エバンス「あ、おい……」

クロシュ「……」

妖精「……どうしようもないよ。私たちにできることは、何もない……」

エバンス「……ああ………」

クロシュ「……」


↓1 何かできることはある?
1.ないと思う……
2.自由安価

クロシュ「!」ピコン!

妖精「何か思い付いた顔してるけど……下手なことしたら逆効果だよ?」

クロシュ「……やるだけ、やってみる!」

エバンス「な、何をする気だ?」


 デロデロ… モニョモニョ…


↓1コンマ
01-30 見た目だけ
31-90 見た目と性格まで
91-00 完全擬態

剣舞姉クロシュ「!」ポン!

妖精「いやいやいや……やめときなって、それは……」

エバンス「お、おう……いくらクロシュちゃんでも、やっていいことと悪いことってのがあると思うぞ……」

剣舞姉クロシュ「大丈夫です。今の私は、あの子のお姉ちゃんですから」

妖精「!!?」

エバンス「なん、だと……!?」

 *

剣舞姉クロシュ「待って!」タッタッタッ

剣舞妹「え、その声……!?」クルッ

剣舞姉クロシュ「ごめんね……あなたを置いて、先に行ってしまって……」

剣舞妹「えっ、えっ……!? だってお姉ちゃんは、さっき、火葬されて――」

剣舞姉クロシュ「先程の、火葬してくださった魔女さん……あの方は、霊媒魔法の使い手でもあったの。だからこうして、一時的に憑依させてもらってるのよ」

妖精(うわわ! 普段のクロシュだったら絶対に思い付かない設定だ! これ、本気で擬態してる……!!)

剣舞妹「え……ほ、ほんと……? ほんとに……お姉ちゃんなの……?」

剣舞姉クロシュ「ええ……」

剣舞妹「お姉ちゃん……おねえちゃぁん……!!」ガバッ

 ギュッ……

剣舞姉クロシュ「本当に、ごめんね……」

剣舞妹「あたし……無理だよぉ……。お姉ちゃんがいないのに、一人で生きてくなんて……」グスッグスッ

剣舞姉クロシュ「大丈夫よ……。あなたは、もう一人前の踊り手だもの……」

剣舞妹「ううん……お姉ちゃんがいなきゃ、あたし……もう踊れないよぉ……」

剣舞姉クロシュ「そんなことないわ……。あなたの剣舞……立派だったもの……」

剣舞妹「でもぉ……」

剣舞姉クロシュ「あなたなら、きっとなれるわ……。王国一のアイドルに――」

剣舞妹「……え?」

剣舞姉クロシュ「?」

剣舞妹「」シャッ

 ズバッ

 デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…

剣舞妹「す、スライム……スライムが、お姉ちゃんの真似を……!?」


妖精(あ、ああああ〜〜〜〜〜!!!!!!)

エバンス(おいおいおいおい!!!!!!)

半スライムクロシュ「ごめんなさい……」デロロ…

剣舞妹「何のつもり……! お姉ちゃんに成りすまして……!!」

半スライムクロシュ「……生きるの……諦めて、ほしく……なかった……」

剣舞妹「……!!」

半スライムクロシュ「ごめんなさい……」

剣舞妹「…………」

半スライムクロシュ「……」デロロ…

剣舞妹「……もう一回……お姉ちゃんに、化けて……」

半スライムクロシュ「……!」

剣舞妹「……声も……身体も……匂いも……。完全に、お姉ちゃんだったから……。最期に……もう、一度だけ……」

半スライムクロシュ「う、ん……」


 モニョモニョ…ポン!


剣舞姉クロシュ「これで……いいかしら……」

剣舞妹「うん……」

 ギュッ…

剣舞姉クロシュ「……その……。私は……スライムなのよ……? 嫌じゃ、ないの……?」

剣舞妹「……あたしもお姉ちゃんも、魔族がどうとか特に思わないもん。覚えといて」

剣舞姉クロシュ「そうだったの……。ごめんね、擬態が中途半端で……」

剣舞妹「いいよ……。お姉ちゃんも、そういうおっちょこちょいなとこ、少しあったから……」

剣舞姉クロシュ「そう……」

剣舞妹「……あと、もう少しだけ……。このままで……いさせて……」

剣舞姉クロシュ「ええ……。もちろんよ……」

剣舞妹「…………」

 グスッ… エグッ… エグッ…

 *

剣舞妹「……あんた……ストーカーエバンスの一派だったの……」

クロシュ「んゅ……」

エバンス「す、すまん……」

剣舞妹「まあ、いいけど……。あんたも大人なら、子供が下手な真似しようとしてたら止めなよ、ほんと……」

エバンス「すまん……少しでも、元気付けられればと……」

剣舞妹「はぁ……。まあ、あんたたちの不器用さは本当によくわかったよ」

クロシュ「うん……」

剣舞妹「でも……ありがと……。あの時は……こうして、お姉ちゃんの温もりを……心に焼き付ける暇も、なかったから……」

クロシュ「うん……」

剣舞妹「……こんな形でも……こうして、お姉ちゃんを……あたしに、見せてくれて……。お別れ、させてくれて……本当に、ありがと……」

クロシュ「……」

剣舞妹「あたし……生きていくよ……。お姉ちゃんの温もり……絶対に、忘れないから……」

クロシュ「うん……」

剣舞妹「あと……お節介で、不器用な奴らが……あたしを元気付けようとしてくれたことも……忘れないでおいてあげる……」

クロシュ「んゅ……」

エバンス「おう……」

剣舞妹「……あんたたちも……いろいろ、背負ってるんだと思うけど……諦めないでね。ちゃんと、生きてね」

クロシュ「……! うん……!」

エバンス「おう……!」

 ☆剣舞妹を前向きにさせました
 ☆クロシュとエバンスのバッドメンタルが改善しました

 ◆

―夕方
 大浴場

 カポーン…

イリス「い、いいのかなあ……。私たちまで使わせてもらっちゃって……」

ミスティ「イリスが直したんでしょ……?」

イリス「まあ、そうだけど……」

妖精「ならいいじゃん。お言葉に甘えようよ」

イリス「うん……そうだね」

 カポーン…

スライムクロシュ「」デロデロ

イリス「クロシュちゃんもお疲れさま……」

ミスティ「一日中火葬の手伝いをしていたそうね……。本当にお疲れさまよ……」


スライムクロシュ(……わたしは……できることを……やった……)

スライムクロシュ(明日には……ここを、発つけれど……)

スライムクロシュ(ここの人たちが……ちゃんと、生きていけると……いいな……)

 ◆

―夜
 絵空の家 ロビー

エバンス「旦那! あの時は悪かった!!」ペコッッッ

ローガン「うむ。気持ちは切り替えられたようだな」

エバンス「おう。まあクロシュちゃんのお陰なんだけどな」

クロシュ「ん……」

妖精「いやー、肝が冷えたよ……。あの子のお姉ちゃんに化けて、お別れさせたげようなんてさ。一歩間違ったら殺されても文句言えないやり方だよ」

クロシュ「そ、そうなの……?」

エバンス「相手によっちゃな……。だがあの子は、クロシュちゃんの作戦のお陰で少しだけ前向きになれた……と思う!」

ローガン「フッ……いろいろあったようだが、事態が好転したのなら何よりだ」

 ◇

―絵空の家 ロビー

ローガン「というわけで、今後ああいった事態に陥らない為にも、毒と催眠への対策を考えておく必要がある」

ミスティ「そうね……。でもまさか、公演中の演者が撒き散らしてくるなんて想定外すぎるわよ……」

レーティア「元々そういう相手と戦う予定があるとかならともかく、四六時中不意打ちに備えて対策し続けるというのは実際可能なのですか?」

クロシュ「えと……妖精さんは……大丈夫だったから……できるんじゃないの……?」

イリス「妖精さんはどうやって身を守ったの?」

妖精「ええと……まず毒だね。毒は妖精類にとって最重要対策必須項目だから、私に限らずほとんどの妖精は毒対策の中和結界をまとってる。気体の毒にしか効果はないから、液体の毒をぶつけられたり食べ物に盛られたりしたら意味ないけどね」

エバンス「実際、それで今回は身を守れたわけだもんな。気体だけでも対策の価値はありすぎるぞ」

芸術妖精「私も使ってるよ〜。一回発動すればわざと切らない限りほぼ半永久的に持続するから、すごい便利だよね〜。まあ催眠でやられちゃったんだけど〜」

妖精「うん、本当に便利。ただ……これ完全に妖精用の魔法だから、人間用に調整するにはかなり骨が折れそうというか……そもそも、種族特性的に人間用に変換できるかどうかもわかんないだよね……」

ミスティ「なるほど……。もし仮に調整可能だとして、妖精が調整するとしたらどれくらいかかると思う……?」

妖精「……わかんない。最速で一週間、最悪数百年かな……。ちなみに一週間っていうのは、私がものすごく革新的な調整方法をすぐに発明できた場合の話だから、まずありえないと思って欲しい」

イリス「ちょっと……現実的じゃないね……」

エバンス「数百年かかったら、俺たちの寿命の方が遥かに早く来るな……」

妖精「ごめん……人間用の魔法はあんまり得意じゃないからさぁ……。毒対策は、防毒マスクを付けて暮らすとかの方がまだ現実的かも……」

イリス「そ、それはちょっと……」

ミスティ「だいぶきついわ……」

ローガン「うむ……だが対策方法が完全にないわけではないとわかっただけでも良しとしよう。次は催眠魔法についてだが……」

妖精「催眠については心理防御結界だね。探せば人間用のもあると思う。ただ……」

エバンス「ただ……?」

妖精「心属性の魔法は……その……適性がないと、習得難易度がとても高い……」

イリス「うっ……確かに……」

妖精「催眠魔法が凶悪と称されるのは、その対策の難しさゆえなんだ。心属性はかなりの希少属性だから、習得できる人がそもそも少なくて。あのエルダーサキュバスが猛威を奮ってるのは、そういう理由もあったりする思う」

ローガン「……妖精くんは、心属性の適性があったのか?」

妖精「いや、ないよ……。でも、ちょっとまあ、必要に駆られてね……十数年かけて必死に習得したの……」

エバンス「十数年……!?」

妖精「私は妖精だからいいけど、みんなはそんなに長い時間机に向かい続けるわけにはいかないでしょ?」

ミスティ「まあ……」

妖精「大丈夫。心属性について多少理解できたお陰で、その時についでに催眠解除魔法も習得できたからさ。もしみんなが催眠にかかっちゃった時は私が解除してあげられるよ」

クロシュ「うん……妖精さんのお陰で……起きられた……」

ローガン「ううむ……現状そうするしかないか……?」

 ☆毒対策および催眠対策についての情報を共有しました

 ◆

―絵空の家 客室

妖精「毒と催眠の対策かぁ……。他に何か良いのはあったかなあ……」

イリス「あとは……道具に頼るのは? 防毒とかの加護が込められたアミュレットとか……」

妖精「あ、その手があったか」

ミスティ「でもそういうアイテム、けっこう高いのよね……」

イリス「た、確かに……」


 窓「」コンコン

 ガラッ

ハーピィ記者「どうも! ハーピィ郵便です!」ヌッ

クロシュ「わ……」

イリス「出た!」

ミスティ「久しぶりね……」

妖精「なんでいつも窓から来るの……」

ハーピィ記者「いいじゃないですか! はい、郵便です!」スッ

 フラナからの返事「」ポン
 小包「」ポン

イリス「あ、先生からの返事!」

ミスティ「何かの荷物もあるわね……」

ハーピィ記者「芸術祭への取材に夢中でお渡しするのをすっかり忘れていたとは口が裂けても言えませんね。それではッ!」バサッ

妖精「あ、こらっ!! あいつ忘れてたって!!」

ミスティ「相変わらずいい加減な悪徳記者ね……」

イリス「あはは……まあとりあえず読んでみよう」

 フラナからの返事「」ピラッ

 *

――親愛なるイリス・プラネットへ

 フレメアに会ったそうね。あいつは最悪の馬鹿だから、見かけたらその場で殺して構わないわ。
 でもあなたたちの実力では厳しいかもしれない。そんな時は、とりあえず光と流水とニンニクをぶつけてやれば大人しくなるわ。

 奴が気の狂ったテロ組織に入っているという噂もある。もし奴がそのような組織に入っていた場合、奴は吸血鬼の恥よ。
 もし奴について何かわかったら私に伝えなさい。可能であれば私が直々に引導を渡しにいってやるわ。

 あなたたちの旅路にはこれからも困難が降りかかると思うけれど、挫けずに進みなさい。
 魔族国はダークヒーローイリスの活躍を総出で応援しているわ。

 追伸:奴に勝手に呑まれたというマジカルブラッドワインの補填を付けておいたわ。
    ついでに銀箔とか聖水とかを混ぜた吸血鬼殺ブラッドワインも付けておいたから、もし奴が現れたら飲ませてやりなさい。
    偽装は完璧だから毒性には症状が出るまで気付かないはずよ。よろしく。

 *

イリス「……」ダラダラ

ミスティ「す、すごく仲が悪いみたいね……」

妖精「いろいろあるんだなあ……」

イリス「……じゃあ、この小包は……」

 マジカルブラッドワイン「」ポン
 吸血鬼殺ブラッドワイン「」ポン

イリス「も〜!! よろしくじゃないよぉ〜!!」

 ☆マジカルブラッドワインを手に入れました
 ☆吸血鬼殺ブラッドワインを手に入れました

 ◆

―芸術都市ミュージア

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・反魂丹*2
・運命賽*1
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券
・ガラス細工のザリガニ
・マジカルブラッドワイン
・吸血鬼殺ブラッドワイン

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□芸術都市ミュージア 主要施設
大通り:絵空の家、武具屋、雑貨屋、劇場、酒場、冒険者ギルド、瓦礫の山、他

―芸術都市ミュージア
 絵空の家 玄関前


 強化ソリ「」ガゴン


芸術妖精「うう……みんな、死なないでよぉ……」グスッ

妖精「うん……。あなたも、早く安全なとこに避難してね」

芸術妖精「うん、うん……。クロシュちゃんも……こんなことがあったけれど、芸術の火を、どうか絶やさないでね……」

クロシュ「うん……。大丈夫……」



レーティア「しかし君たちはこんな時期にミュージアに来てしまって……なんと言ったら良いか……」

イリス「いえ、大丈夫です! レーティアさんも、いろいろ面倒を見てくださってありがとうございました!」ペコッ

ミスティ「ええ……。こんなことになってしまったけれど……。この家で過ごした時間は、掛け替えのないものだったわ……」

レーティア「そう言っていただけると嬉しいです……本当に……」



パペットマスター「なんと……君たちも行ってしまうのかい」

ローガン「パペットマスターくん……すまない、あれから遊びに行くこともできず……」

パペットマスター「いや、仕方ないさ……。街がこんなことになってしまったんだ、遊んでいる暇はなかった」

エバンス「あんたの人形使いの技、見事だったぜ! 芸術都市最強の男よ!」

パペットマスター「ンフフ……嬉しいことを言ってくれるねッ! 君たちも研鑽を欠かさぬよう!」


剣舞妹「なに……あんたたち、もう行っちゃうんだ……」

エバンス「おう……。やらなっきゃならないことがあるのさ」

クロシュ「うん……」

剣舞妹「……そう。じゃあ……元気でね……」

クロシュ「うん……!」

エバンス「おう! 嬢ちゃんもな……!」

剣舞妹「……その……あんたたちがまた、来るなら……その時は……お姉ちゃんの分まで、あたしが剣舞の稽古の相手したげる。だから……その……また……」

パペットマスター「また来てくれたまえッ!!」

剣舞妹「〜〜〜!!! か、勝手に人のセリフを……!!」

パペットマスター「君は思い切りが足りぬようだッ! 踊り手たる者、自分の心を真っ直ぐに表せなければ栄光は掴めないッ!!」

剣舞妹「……!」

エバンス「フッ……良い師匠ができたようだな?」

剣舞妹「こ、こんなの師匠じゃないし! でも……ま、また来てね!! 待ってる、から……!!」

エバンス「おう!!」

ローガン「うむ……!!」

クロシュ「うん……!!」

パペットマスター「ンフフ……次に君たちが来る時までに、ここを以前のような――いや、以前以上の超芸術都市にしておこうッ!!」

レーティア「そうだ。クロシュちゃん、お絵描き演舞に出ていただいた謝礼です。お納めください」スッ

 お金がいっぱい入った袋「」ズシッ

クロシュ「わっ……!」

妖精「こ、こんなに……!? でも結局芸術祭はあんなことになっちゃったし、あなたも今大損害で苦しいんじゃ……」

レーティア「大丈夫ですよ。こういう時に、必要なところへ必要な分のお金を動かすのが長者の役割ですから。いたずらに投資で私腹を肥やしていたわけではないんですよ?」

妖精「いや、そんなこと思ってないけどさ……」

レーティア「――あなた方には、世界を守るという崇高な使命があります。言わばこれは、クロシュちゃんへの謝礼だけでなく――世界への投資でもあるんです」

クロシュ「!!」

妖精「……なるほどね。そういうことなら、受け取らないわけにもいかないか」

レーティア「ええ。頼みますよ、世界の未来を。あんな暴力に頼ったテロ屋なんかには、絶対に負けないで」

妖精「当然! あんな奴らに負けてたまるもんか!」

クロシュ「うん……!」


 ☆お金をものすごくたくさんもらいました

 *

妖精「さて、そろそろ出発――」


老画家?「待たれよ」ヨタヨタ

クロシュ「! ……?」

芸術妖精「あっ! あなた生きてたの!? 姿が見えないから死んじゃってたのかと――」

老画家?「……いいや。最期に……クロシュちゃんへ、会いに来たのじゃ……」

クロシュ「……?」

老画家?「……お主が描いた絵は、まことに、凄まじいものだった。あっぱれ、じゃ」

クロシュ「うん……。おじいさんの……お陰……」

老画家?「じゃが……芸術には、闇の側面もある……。そして、あの絵にもまた……」

クロシュ「……」

老画家?「哀しみに呑まれてはならぬ……。そなたの持つ愛が、哀に転じた時……あの絵もまた、全てを呑み込む禍つ絵と化すじゃろう……」

クロシュ「うん……」

老画家?「心を、強く持つのじゃ……。クロシュちゃん……」

クロシュ「……わかった」

老画家?「ふっ……それだけじゃ……。それを伝える為だけに……わしは、現し世へと戻ってきた……」サラ…

芸術妖精「え、えっ!? か、身体が風に溶けて――」

老画家?「芸術を志す妖精よ、すまぬ……。お主と競い合うことは、もうできぬが……わしは草葉の陰から、これからもお主の作品を楽しみにしておるぞ」サラサラ…

芸術妖精「ま、待ってェ! 生きてるんなら生きてよォ!!」

老画家?「皆、達者でな……さらばじゃ!」サラサラ――…


 ヒュオオオオオ――…


芸術妖精「あ……消え……」ポロポロ

クロシュ「…………さよなら……おじいさん……」

 ◆


 強化ソリ「」スイー…


芸術妖精「ぐすっひぐっ……し、しなないでェ〜!! 絶対、生きてェ〜〜!!」グスグス

レーティア「大丈夫……あの人たちは、きっと……」

パペットマスター「ンフフ……本当に、また来てくれたまえよ……」

剣舞妹「……絶対、死なないでね……。エバンス……クロシュちゃん……」



クロシュ「芸術の……妖精さん……!!」ジワワ

妖精「芸術都市は王国の街だけど……それでも……精霊の加護が、ありますよう――」

イリス「死ぬもんか……! また、きっと来るよ〜〜!!」

ミスティ「ええ……! 生きるわ、私たちは……!!」

エバンス「そっちも頑張れよ〜〜!! 負けんじゃねえぞ〜〜!!」

ローガン「フッ……死ねない理由が、また一つ増えたか……」


 強化ソリ「」シャーッ――…


 ――芸術都市編 完

―空

 ヒュオオオオオ――…

クロシュヴィア「……満足した?」

クロシュヴィア「もう……わたしに食べられた癖に、自我を主張して……。ワガママはこれっきりだよ……?」

クロシュヴィア「それにしても……クロシュちゃんが描いてくれた綺麗な絵が禍つ絵だなんて失礼しちゃうなあ……。えっと、なんだっけ……あれだよ、あの言葉……」

クロシュヴィア「真の正しい世界!!」

クロシュヴィア「あれは真の正しい世界の絵なんだから……。変な風に言うの禁止……」

クロシュヴィア「でも……う〜ん……一人一人食べてくってやり方はものすごく非効率だし……。きっとこの時代でも、目立つことをしたら悪者にされて殺されちゃうよね……」

クロシュヴィア「何か良いやり方はないかなあ……。星をまるごと食べちゃう……? いや流石に無理だよね……」

クロシュヴィア「まあ……しばらくはのんびり地上とクロシュちゃんの観察でもしてよっかな……?」

 ◆

↓1 芸術都市編クリアボーナス
01-60 運命賽(致命的な運命を辿った時、直前の判定を振り直せる。選択肢で使うと良い運命に進める。一度使うとなくなる)
61-90 ↑+踊り子の双剣
91-00 ↑+会心賽(判定時に会心と書き込むと、コンマに関わらず最上の結果となる。一度使うとなくなる)

なんと、運命賽と踊り子の双剣と会心賽の獲得が確定したところで本日はここまでとなります。芸術都市編のクリア、おめでとうございます

様々な苦しみがあり、数多の癒えぬ傷が生まれました。しかしそれでも、歩みを止めるわけにはいきません。クロシュたちが立ち止まると、フメイちゃんたちを初めとした世界樹の光を狙う方々が我先にと光を掴みに行ってしまうからです
そして次なる地は砂漠のテラヌス・ウルス――。容赦なき光が降り注ぐ、乾きの地――。そこでクロシュは誰と出会い、何を思い、どう動くのか――
クロシュちゃんたちのさらなる活躍をご期待くださいませ

なお妖精氏の魔法についての技量は、妖精魔法に関しては長年の経験もあって実のところ世界的に見てもトップクラスの腕があるようです
しかし妖精魔法は戦いに使える部分があまりないため、戦闘ではそんなに役に立たないことが多いです。でも生活面では意外といろいろやってくれているようです

クロシュ氏があのような絵を描かなかった場合、クロシュヴィア氏が物語にどのように関わってっきたのかはわかりません。ずっと風の中で眠っていた可能性も実際ありますが、しかし今のクロシュヴィア氏はイキイキしています。今後のクロシュヴィア氏の暗躍(?)にもご期待くださいませ

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります。また、平日中にどこかで24時間範囲のクリーチャー募集をするかもしれません。よろしくお願いいたします

じゃあくなテロ組織シノホシとでんせつスライムのクロシュヴィアちゃんが登場したことにより、いよいよキャスティング完了といった感じかもしれません。あと少し未登場の方々もいますが、今後のお話の中で登場するかと思います。よろしくお願いいたします

今回のお話で、悪そうな方々が実際大勢出てきました。現時点では対話可能かどうかわかりませんが、シノホシの方々に関しては人間嫌いではあってもスライム嫌いの方はいなさそうなため、意外とお話をする余地はあるのかもしれません。しかしクロシュ氏は人間のくずどもと一緒にいる裏切りスライムなので、だめかもしれません
僧侶氏は人間以外には容赦のない過激な差別主義者ですが、今回はその差別対象でない人間を大勢死なせてしまったため、つらいのかもしれません

今回の大破壊によって大きな被害と死者が出てしまいましたが、それでもレーティア氏を初めとした芸術都市の方々は復興に向けてがんばっていくようです。それがもしかしたら、救いと言えるものに繋がっていくのかもしれません
運命を変えようとする意思とクロシュちゃんたちの祈りが集まり、セインくんは現し世に無理矢理戻ってきたようです。彼は本来であればクロシュちゃんたちと敵対を避けられぬ立場なのですが、いろいろ思うところもあるようで、今後このことがどのように影響してくるかは未知数です。でもクロシュちゃんたちにとって彼は一時期とはいえ共に旅をした紛れもない仲間なので、その生存はとても喜ばしいことに違いありません

踊り子の双剣が手に入りましたが、これは細身できらびやかな剣なので、実のところ黒髪ボサボサ傭兵であるエバンスくんにはあまり似合いません……。そしてそんなときにこそ、クロシュ氏のスライム能力である格納や多重同化を活用すべき時かもしれません
シノホシの構成員が増減するかは今のところわかりませんが、ザイル氏がブラッド氏を誘ったように、メンバーの勧誘・獲得に後ろ向きというわけではないようです。ただ、じゃあくなテロ組織に入りたがる酔狂な人物もなかなかいないと思われるため、積極的なスカウト活動をしているわけでもなさそうです

リュアンちゃんはお付きのメイドさんを喪い、荒廃した芸術都市で身寄りもなく一人残されてしまったようです。元がお嬢様なので、金銭的な面で直ちに逼迫することはなさそうですが、メンタル面では少しあやうい状態かもしれません
フメイさんたちは芸術都市にいなかったようですが、もしいたら彼女の有す星の力も激突してもっととんでもない大災害に発展していた可能性はあります。彼女がいなかったのは不幸中の幸いかもしれません

実際のところ、今のリュアンちゃんにはそばで支えてくれる人が必要かもしれません。芸術都市は今厳しい状況ですが、恐らくこれから家を失った人や被害に遭った旅人に向けた支援が始まると思われますので、そこで善意ある他者との関わりを持っていただけたら良いと思います

クロシュヴィア氏は世界樹の光についてまだ知らないのかもしれません。しかし仰る通り、クロシュ氏を観察していればいずれは露見してしまうかと思われます。争奪戦は激化していくでしょう
レイ氏は今のところまるで世界樹の光とは関わりがありませんが、不幸にもこの先も巻き込まれていく可能性は実際高いような気がします。そして彼女の背負った邪神なるものが何なのか、その正体は未だ闇に包まれています

メルル氏が今どこで何をしているかはわかりませんが、彼女は高い危機察知能力を持つと思われるため、もし芸術祭に来ていて巻き込まれていたとしても無事に逃げおおせていることでしょう
今後も道連れになることがあるかと思われますが、強い力とも大きな哀しみとも無縁で気ままに旅をしている彼女は、きっとクロシュちゃんにとって喜ばしい生き方をしている人に映ることでしょう

―幕間
 テラヌス砂漠

 ヒュオオオ――…

 太陽「」サンサン

 ザッザッザッ……

フメイ「……」ザッザッ

アリシラ「……」ザッザッ

フメイ「……ねえ」

アリシラ「……なあに?」

フメイ「……もしかしてフメイたち……遭難してる?」

アリシラ「え、ええ〜? そそ、そんなことあるわけないよぉ〜?」

フメイ「……」

アリシラ「……」

フメイ「……本当に?」

アリシラ「ま、まあ……? ちょっと道に迷うこともあるのが旅ってものじゃないかな?」

フメイ「……」

アリシラ「だいじょーぶだいじょーぶ! 私は空から降り注ぐバカみたいな光魔力を吸収してれば生きられるし、フメイちゃんも星の力があるから割と平気でしょ?」

フメイ「……まあ……。お腹は減るし、喉も乾くけど……。多分、死にはしないと思う……。元々暑さには強いし」

アリシラ「ならだいじょーぶ! のんびり行こう!」

フメイ「はあ…………ん?」

アリシラ「……!」


 王国の方角「」カッ――
 光の柱「」ドギュゥゥゥゥゥン――…


フメイ「……!?」

アリシラ「あれは――」

フメイ「な、なに……あれ……?」

アリシラ「……わかんないけど……多分、あのセインっていう勇者っぽい子の魔力を感じるね。こんなに離れてるのに、びりびりと伝わってくるよ」

フメイ「あれが、一人の魔法……!?」

アリシラ「今のフメイちゃんなら似たようなことができるんじゃないかな? 星の力を使って」

フメイ「ええ……」

アリシラ「どのみち全ての力を集められれば、フメイちゃんはこの地上全てを炎で浄化できるようになるはずだもの。フフ、それはあんな程度じゃ済まないよ?」

フメイ「……言われてみれば確かにそうかも」

アリシラ「でしょ? だから王国の生物兵器なんて恐るるに足らず! 気楽にいこう!」

フメイ「……うん」


フメイ(クロシュ……あれに巻き込まれてなんかないよね……)ギュッ

 ◆

というわけで本日は本編の更新はできませんが、汎用クリーチャーの募集を行いたいと思います
全員を登場させられるかはわかりませんが、機会があればきっと登場してくれると思います。よろしくお願いいたします

(汎用クリーチャー用テンプレート)
【種族】
【分類】
【外見】
【性質】
【備考】

■参考
(汎用クリーチャー例1)
【種族】マグマザリガニ
【分類】甲殻類
【外見】赤と黒の入り混じった溶岩のような甲殻を持つザリガニ。平均的な大きさは小型犬程度
【性質】臆病。狭い場所を好む
【備考】灼熱の溶岩の中に棲むザリガニ。雑食性で、火山に住む小型の動植物を捕食する
臆病な性格のため、人間などの自分より大きな動物が近付いて来ると溶岩の中に隠れてしまう
死骸を平温環境に晒しておくと消化器官内に残った溶岩が固まって調理が難しくなるため、食用の際は溶岩抜きが必要
肉厚な身には濃厚な旨味と炎魔力が詰まっており、知る人ぞ知るトコナツの名産品と言われている
クロシュたちが戦った個体は星の力によって異常に巨大化していたため、性格も本来より強気で攻撃的になっていた

(汎用クリーチャー例2)
【種族】メガロザメ
【分類】魚類
【外見】とても大きなサメ
【性質】獰猛で攻撃的
【備考】南の海を中心とした広範な海域に生息している巨大なサメ。肉食性で、クジラやアザラシなどの大型海洋生物を捕食する
生活圏の違いから人類の犠牲者が出ることはあまりないが、人の船を襲って乗組員を捕食する危険な個体もいる
フカヒレがとても美味しいと言われるが、狙って漁獲するのは難しく、市場に出回ることは少ない
海竜やボーンクラーケンとは仲が悪い

(汎用クリーチャー例3)
【種族】オオキイウミタニシ
【分類】貝類
【外見】とても大きなウミタニシ
【性質】穏やかで大人しい。ゆっくり動く
【備考】ウミタニシの仲間。水深が浅く温暖な海に生息する。藻食よりの雑食性で、様々な海藻類や、微生物や小型海洋生物の死骸などからなる海底沈殿物を食べる
穏やかでのんびりした性質を持ち、海底をもぞもぞとゆっくり動く姿が人気で多くのダイバーから親しまれている
その大きな貝殻には水属性の神秘が宿っており、背負うことで母なる海の力の片鱗を授かることができると言われている

↓1〜 23:59:59まで

皆さん、たくさんのご投下ありがとうございます。とても充実いたしました。全員出せるかどうかはわかりませんが、機会がありましたらぜひとも登場していただきたいと思います

それでは本編の更新は土日となります。よろしくお願いいたします

わお! 支援絵ありがとうございます。これは光耐性完備のよそ行きフラナ先生ですね
平時ではきっとこんな風に表情豊かですが、戦いのときはとても冷酷に王国兵をズバズバ切り捨てる恐ろしい吸血鬼です。王国兵の方は見た目に惑わされないよう気を付けた方が良いかもしれません

オープニング映像がシリアスめに変わったかどうかはわかりませんが、シノホシという新たなる勢力やクロシュヴィアの覚醒などがあり、芸術都市編は大きな流れの中の一つの節目であったと言えるかもしれません
世界樹の光を求める者たちの争いは今後ますます激化していくことでしょう。クロシュちゃんは、自分よりも遥かに強大な敵に立ち向かっていかなければなりません。がんばっていただきたいところであります



また、今回からダンジョン探索だけでなく街から街への長距離移動でも持久力を消耗するように世界の法則が変わります。とは言ってもよほどの不運に見舞われない限り行き倒れるようなことにはならないと思いますのでご安心ください



そして本編の更新を始める前に、[旅は道連れ]の方式についてのアンケートを取りたいと思います。よろしくお願いいたします

[旅は道連れ]の発生タイミングについて
↓1〜5多数決
1.従来通り(ランダムイベントで発生)
2.長距離移動開始時に確定で発生(人選はコンマ)

ご回答ありがとうございます。従来通り、ランダムイベントで確率発生となります。それでは本編を開始いたします

―少し前

剣舞妹「……ねえ。ちょっといい……?」

エバンス「ん?」

クロシュ「?」

剣舞妹「これ……」スッ

 踊り子の双剣「」キラン

エバンス「これ……お前たち姉妹の使ってる双剣? これがどうかしたのか?」

剣舞妹「これ、あたしのなんだけど……えっと……貸してあげる」

クロシュ「!」

エバンス「いやいや! そしたらお前はどうすんだよ!?」

剣舞妹「あたしはお姉ちゃんが使ってたやつを使うよ。型は同じだから問題ないし」

エバンス「いやいや、だがなあ……」

剣舞妹「……この剣、テラヌス・ウルスの踊り子の剣なの。あたしたちの剣舞も、テラヌス・ウルスの踊り子たちの舞を下地にしてる。だからこの剣で舞を披露すれば、きっとテラヌス・ウルスの人たちに気に入ってもらえると思う。だから……」

エバンス「しかし……俺もローガンの旦那もちゃんと剣舞を学べたわけじゃないし、俺や旦那がこんな綺麗な剣で踊っても滑稽なだけじゃないか……?」

剣舞妹「クロシュちゃんがいるじゃない」

クロシュ「!」

エバンス「……そういうことか」

剣舞妹「クロシュちゃんの擬態能力とぱわーなら、多分いけると思う。だから……」

クロシュ「ん……」

 踊り子の双剣「」ギュッ


 モニョモニョ…ポン!


踊り子クロシュ「♪」シャララン―


エバンス「お、おお……!」

剣舞妹「いいじゃん……! うん、絶対いける! あたしたちの剣舞、届けて来てね……!」

踊り子クロシュ「うん……!」

剣舞妹「それで……いつか、絶対に返しに来てよね……!」

踊り子クロシュ「うん……!!」

 ◆

 強化ソリ「」シャーッ――


クロシュ「……」ギュッ

 踊り子の双剣「」キラン

妖精「ん? その双剣……」

エバンス「ああ。あの子から借りたっつーか、押し貸されたんだ」

イリス「へえ……! 綺麗な剣だよねえ、宝石の装飾もキラキラで」

ミスティ「弧を描いた刀身も美しいわね……」

ローガン「あの踊り子たちの剣か。そういえばテラヌス・ウルスで使われる刀剣も曲刀が主だったな」

エバンス「おう。テラヌス・ウルスの剣って言ってたぜ。これで踊れば信頼を獲得できるってさ」

妖精「なるほどね。それじゃあありがたく使わせてもらおっか」

クロシュ「うん……」

 ☆剣舞妹から踊り子の双剣を借りました
 ☆装備欄には記載されませんが、状況に応じてクロシュが使用します

 荷物「」ガサゴソ

妖精「……ん?」

 石の賽「」コロン

エバンス「なんだそれ?」

ミスティ「それは……魔族国を出た時に荷物に紛れ込んでいた石の立方体……?」

妖精「うん。なんか勝手に増えるんだよねこれ」ガサゴソ

 石の賽「」コロン
 石の賽「」コロン

妖精「あれっ? 2つしかない」

イリス「本当だ! 前は4つあったのに」

ミスティ「えっ、増えたり減ったりしてたの……」

エバンス「いやいや……増えたり減ったりする石ころって不気味すぎるだろ!」

妖精「ま、まあ……。でも悪いものだとは思えないんだよ。微かだけど神気も感じられるし……」

エバンス「そうなのか……」

ローガン「初めて目にしたのは魔族国を出た時だったな」

イリス「フラナ先生に手紙で聞いてみたんだけど、入れた覚えも心当たりもないって返ってきたんだよね……」

ミスティ「謎は深まるばかりね……」


スライムクロシュ「〜〜?」モニョニョ?

妖精「ん? クロシュどうしたの?」

スライムクロシュ「〜」モニョ

 白い賽「」ポン

イリス「こ、これは……別の新しい立方体!」

妖精「ど、どこで見つけたの?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「ソリの荷台に落ちてた……?」

ミスティ「ええ……。出発する時はなかったはず……一体いつの間に……」

ローガン「う、ううむ……出所がわからないのは魔族国の時と同じだな……」

 白い賽「」

妖精「……でも、なんだろう。石のやつよりも、神気が強い気がする……」

エバンス「マジか」

妖精「うん。こっちの白いのも、お守り代わりに大事にとっておこう」

 ☆運命賽+1
 ☆会心賽+1

 ◆

―テラヌス・ウルスへの旅路 1日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]      [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着     魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り   フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘       精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝     精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石      精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片       フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着   メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水   溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石        暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

―テラヌス砂漠 持久力[10/10]


 強化ソリ「」シャーッ


 一面の砂景色「」ヒュオオオオ――…

 太陽「」サンサン


クロシュ「わあ……」

イリス「これが……砂漠!! あ、暑い……!」

ミスティ「トコナツ島はまとわりつくような蒸し暑さだったけれど……ここは肌を焦がすようなカラッとした暑さね……」

妖精「ただでさえ暑い砂漠が、今は星の力で光が増幅されてるみたいだからね……」

ローガン「うむ……。各自、水分補給を怠らないように」

イリス「水が不足してきたら言ってね。水魔法で作り出すから」

エバンス「水属性って本当に便利だよな……。船旅でもイリスちゃんには世話になりっぱなしだ」


 ※テラヌス砂漠は過酷な環境のため、1日ごとに耐久力を[2]消耗します


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-35 食料発見(コンマ)
36-50 物品発見(コンマ)
51-65 場所発見(コンマ)
66-80 良いこと(自由安価)
81-00 旅は道連れ(統合しました)

何かしらの場所と道具を見つけたようです

↓1コンマ 見つけた場所
01-10 呪われし古代遺跡
11-30 オアシス?
31-50 枯れた川床
51-70 オアシス
71-90 地下水脈
91-00 静謐な古代遺跡

↓2コンマ 見つけた物品
01-35 綺麗な砂
36-65 サボテンの花
66-95 蜃気楼の雫
96-00 砂竜の宝玉

―夕方
 テラヌス砂漠


 砂漠に開いた裂け目「」

 強化ソリ「」キキッ


ミスティ「なに、この裂け目……ソリじゃ渡れないわ……」

ローガン「これは……恐らく、かつて谷川だった場所だろう。砂漠化の影響で水源が枯れ、谷の地形だけが残ったのだと思われる」

イリス「す、すごい……自然の歴史って感じがします」

妖精「でも休息に適した地形でもあるね。今日はここで野営しよう」

エバンス「ソリはどうする?」


 デロデロ…モニョモニョ…ポン!


オオキイクロシュ「わたし……下まで、降ろせる……!」ドスンドスンッ

エバンス「お、おお! 手伝うぜ!」

 ◆

―枯れた川床

エバンス「さて、こんな地形だとつい探索したくなっちまうってものだが」スタスタ

クロシュ「!」ピコン!

エバンス「お、何か美味そうなものでも見つけたか?」

クロシュ「んーん……」トコトコ

 綺麗な砂「」サラサラ

妖精「砂? 砂漠の地表にあるやつよりも不純物が少なくて綺麗だねこれ」

エバンス「お、確かに透き通った地属性を感じるな」

クロシュ「んへへ……」

妖精「ここまで綺麗なのもちょっと珍しいし、瓶にでも詰めておけば?」

クロシュ「うん」

エバンス「イリスちゃんなら地属性魔法とかに使えるかもしれないしな」

妖精「エバンスも地属性魔法が使えるでしょ」

エバンス「いや、俺はそこまで精密にいろいろできるわけじゃねえし……」

 ☆綺麗な砂を手に入れました

 ◆

―夜
 枯れた川床

 焚き火「」パチパチ

妖精「ふう、今日もみんなお疲れさま」

ミスティ「妖精もね」

妖精「私はソリの帆に追い風を吹かせるくらいしかしてないよ」

イリス「風なら私も吹かせられるし、明日は私も――」

妖精「イリスは水の供給っていう大事な役目があるから風は私に任せなさい」

イリス「は、はい」

ミスティ「ふふ……でも、砂漠はソリを走らせやすくて良いわね……。砂は摩擦が少ないから……」

ローガン「いつになく快速だったな。この砂漠は広大だが、ミスティくんのソリがあれば安心できそうだ」

ミスティ「ふふ……でもこの人数を乗せても問題なく走れるのは、ローガンさんがいろいろ補強してくれたお陰よ……」

ローガン「フッ、道中ではそれくらいしか役に立てないからな……」


テラヌス・ウルスへの旅路初日の夜です。枯れた川床で野営します
↓1〜3 自由安価 野営中何をする?

 焚き火「」パチパチ
 食器「」カラン

イリス「やっぱり砂漠は食べるものが少ないですね。保存食を多めに持ってきて正解でした」

ローガン「うむ……。現地調達できればそれに越したことはないのだがな。やはり砂漠では食料を見つけにくい」

ミスティ「……ないわけではないのよね? 砂漠にはどんな食料があるの?」

ローガン「そうだな……例えば、セイントレアキャニオンのところどころに生えていた放射状の植物を覚えているか? 今日は見つけられなかったが、あれと同じものがこの砂漠に生えていることもある。あれは食用可能だ」

イリス「ええっ!? あ、あれ食べられるんだ……」

ミスティ「あんまり美味しくなさそうね……」

ローガン「まあ、実際美味くはない……。だがこの砂漠には美味い植物もあるぞ。例えばテラヌス・ウルスの名産品と言われるテラヌスアロエだ。分厚い葉の中には、水分と栄養が豊富に含まれたゼリー状の葉肉がたっぷり詰まっている。イリスくんのような水属性の使い手がいなければ、水の調達は極めて重大な課題となるゆえ重宝されている」

イリス「テラヌスアロエは食べたことがあります! つるつるで美味しいんですよね」

ミスティ「食べられることは知ってたけど、私は実際に食べたことがないわね……。もし見かけたら食べてみようかしら……」

ローガン「もし見かけることができたら食べるのが良いだろう……。他にも、ウチワサボテンの葉はテラヌスアロエほどではないが水分と栄養が含まれている良い食料となる。そして植物以外であれば、この砂漠にはスナニワトリやツチノコモドキも生息していたはず。もし見かけることができたら、食すことが可能だ」

イリス「スナニワトリはなんとなくわかりますけど……ツチノコモドキって……?」

ローガン「ツチノコのように、胴体が丸々とした大きなトカゲだ。簡単には見つからないが、見つけることができれば貴重なタンパク源となる」

ミスティ「トカゲ……美味しいのかしら……」

ローガン「意外と美味かった」

ミスティ「そ、そうなのね……」

ローガン「あとは……サバクイナゴやオオキイスナミミズも一応食用可能だ……」

イリス「イナゴと、ミミズ……」

ミスティ「まあ……ムカデよりはマシかしら……」

ローガン「おっと、あともう一つ! サボテンドラゴンを忘れていた」

イリス「サボテン……ドラゴン……?」

ローガン「水を求めて砂漠を彷徨う、サボテンの形をしたドラゴン……ではなく、ドラゴンの形をしたサボテンだ」

ミスティ「な、何を言っているのかしら……サボテンの……ドラゴン???」

ローガン「うむ……。アルラウネやマンドラ大根のように、自らの意思で自由に行動できる植物の一種と言われているが……私も詳しくは知らぬ」

イリス「な、なるほど……。それで、そのサボテンドラゴンも……食べられるんですか?」

ローガン「うむ。ドラゴンの名に相応しい巨体ゆえ、その身に貯蔵されている水分と栄養も豊富なのだそうだ。もし見つけて倒すことができれば、上質な水分と食料になるだろう……」

ミスティ「面白い生き物がいるのね……砂漠って……」

 ◆

―夜
 テラヌス砂漠


 満点の星空「」キラキラ


クロシュ「わぁ……」

エバンス「なんでこんなに星が綺麗に見えるんだ?」

妖精「砂漠は乾燥してるからねえ。空気中の水分が少なければ光が真っ直ぐに届きやすいんだよ」

エバンス「そうなのか……妖精は物知りだな」

妖精「まあ、無駄に長生きしてるからね……」

エバンス「よし! それじゃあついでに、俺の魔法練習の手伝いも頼む!」ザッ

妖精「私、人間の魔法はあんまり得意じゃないんだけど……」

エバンス「俺よりは得意だろ?」

妖精「まあ……」


↓1コンマ
01-60 まあまあ[1/4]
61-90 そこそこ[2/4]
91-00 良い感じ[4/4]

エバンス「はっ!」カッ

 砂塊「」ドンッ!

妖精「まあ普通にできてるしいいんじゃない?」

エバンス「いや、よく見てみろ!」

 崩れていく砂塊「」パラパラ…

エバンス「すぐに崩れちまう!」

妖精「砂ってそういうもんだよ」

エバンス「思い出してくれ、あのトコナツ島にいた猫人のおっさんの砂魔法を。地属性の俺も、理論上はアレと同じことができるはずなんだ」

妖精「まあ、理論上はね? でもあの人の技量、イリスやミスティと同じくらいの腕前だったし、一朝一夕じゃ追いつけないと思うよ?」

エバンス「望むところだ。現状だと、俺は剣技だけはローガンの旦那と同等だが、剣技以外の大体は旦那より下手だからな……。このままじゃ立つ瀬がない」

妖精「まあ、ほら……ローガンはおじさんだけどエバンスはまだ若いじゃん」

エバンス「若さで人を守れるかっつー話だ!」

妖精「立つ瀬の話じゃなかったの……まあでも言いたいことはわかったよ。イリスやミスティみたいなもっと若い女の子に教えてもらうのも格好が付かないだろうし、私が付き合ってあげる」

エバンス「すまん、頼む」

 ☆エバンスの魔法経験が[1/4]になりました

 *

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

エバンス「んで……クロシュちゃんは何をやってるんだ?」

妖精「風になる練習だってさ。けっこう前からがんばってるんだけど、難しいみたい」

エバンス「風になる……。そんなことが可能なのか……?」

妖精「まあ……理論上は」


スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ


↓1コンマ
01-70 だめです[経験3/12]
71-98 霧散する[経験6/12]
99-00 風の如し[経験☆]

 モニョモニョ… モニョモニョモニョ…

  デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…


エバンス「おわっ! だ、大丈夫かクロシュちゃん!」

妖精「集中しすぎて疲れちゃったみたい……。今日はここまでだね。川床に戻って休もっか」

スライムクロシュ「」モニョ…


 ☆クロシュの風経験が[3/12]になりました

 ◆

―テラヌス・ウルスへの旅路 2日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘        精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝      精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石       精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片        フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着    メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水    溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石         暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[3/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・魔法の練習[1/4](エバンス)

―テラヌス砂漠 持久力[8/10]


 強化ソリ「」シャーッ――


エバンス「これって、今どの辺だ?」

妖精「風の精霊たちによると、真ん中より少し前くらいだってさ。このペースなら、明日の夕方にはテラヌス・ウルスの首都に着くと思う」

ローガン「速いな……通常の行軍であれば、王国からテラヌス・ウルス首都までは最低でも5日はかかるというのに」

ミスティ「ふふ、ソリは雪国以外でも使えるのよ……。まあ、私も砂漠を走るのは初めてなんだけどね……」


クロシュ「……のど、かわいた……」

イリス「お水!? はい、どうぞ!」パァァァ

 コップ「」チャポン

クロシュ「わぁ……。ありがと……んぐ、んぐ」ゴクゴク

妖精「イリス、魔力は大丈夫?」

イリス「うん! 余分に出して貯蔵……はソリが重くなっちゃうからだめか」

妖精「そうだね。その分、イリスはいつでも水を出せるように魔力を貯めておいて」

イリス「了解! みんなも、喉が乾いたら遠慮せず言ってね!」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-35 食料発見(コンマ)
36-50 物品発見(コンマ)
51-65 場所発見(コンマ)
66-80 良いこと(自由安価)
81-00 旅は道連れ

わお、00クリティカルなのでここで道連れになる人の仲良し度はとても大きく上がります
そしてごはんも見つけたようです

↓1コンマ 旅は道連れ
01-22 メルル
23-44 黒髪の無愛想な青年
45-66 赤髪ロングポニテの女性冒険者
67-88 リュアン
89-92 レイ
93-96 フメイ&アリシラ
97-00 セイン

↓2コンマ 見つけた食料
01-10 枯れ草
11-20 食べられる乾燥植物
21-30 サバクイナゴ
31-40 オオキイスナミミズ
41-50 ツチノコモドキ
51-60 ウチワサボテン
61-70 スナニワトリの卵
71-80 テラヌスアロエ
81-90 精霊サボテンの実
91-00 テラヌスコハクガニ

―テラヌス砂漠


 強化ソリ「」シャーッ――


妖精「……ん? この気配は……ていっ!」ゲシッ

???「あいたっ!」ベシッ

イリス「ええ!?」

ミスティ「この流れ……まさか……」

メルル「やはは、バレちゃしょうがないねェ」スゥ-

クロシュ「わっ……!」

ローガン「君は……メルルくんか!」

エバンス「いつの間に!?」

メルル「ついさっき! 水も食料も尽きてヘトヘトで歩いてたとこで、見慣れたソリが通りがかったもんだからねェ」

ミスティ「ちゃんと言えば乗せてあげるわよ……。知らない間柄でもないんだから……」

メルル「いやまあ、様式美ってやつ? あ……でも……そろそろやばいかも……お、お水を……」フラフラ

イリス「うわわ! だからちゃんと言えばすぐあげるのに!」

 コップ「」チャポン

 *

メルル「ふぇぇ〜助かったぁ〜! ほんとにもうだめかと思ったよォ〜」

エバンス「砂漠で行き倒れるなんて洒落にならんからな……。本当に良かったな、俺たちが通りかかって」

メルル「いやァほんとほんと! めっちゃ助かりました! この御恩は一生忘れませんよホント!」

妖精「調子の良いやつだなあ。砂漠を渡る時はちゃんと準備してからにしなよ」

メルル「いや〜したんだけどねえ。何日か前に、コハク色のすっごい綺麗で美味しそうなカニを見つけて、追いかけてたらでっかいドラゴンみたいなサボテンに襲われちゃってさァ。今度は追われる側になって、必死に逃げ回ってるうちに場所もわかんなくなるし水もご飯も尽きるしで散々だったよ!」

ミスティ「サボテンドラゴン……本当にいるのね……」

妖精「コハク色の綺麗なカニ……それってまさか――」


 テラヌスコハクガニ「チョキチョキ」


メルル「ああああ〜〜!!! あれだ! あのカニ!!!!」

 *

 焼きテラヌスコハクガニ「」ジュウウ…

メルル「お、おおお……カニだ……!! 砂漠の真ん中で焼きガニパーティだ!!」

イリス「でっかいカニだったから、一匹だけでもみんなで食べられるよ!!」

ミスティ「どうして砂漠にカニが……? ローガンさんはなにか知ってる……?」

ローガン「い、いや……私も初めて見た。砂漠にこのような美しいカニがいたとは……」

妖精「これは……もしかしたら、テラヌスコハクガニかも。食べれば砂漠の力を得られると言われる、伝説の――」

エバンス「そ、そんなにすげえカニなのか!?」

妖精「ただの伝承だけどね。実際に見たのは私も初めてだし。とにかく食べてみよう!」

クロシュ「……」ゴクッ


「いただきます!」


 *

スライムクロシュ「〜〜!!!!」モニョニョ モグモグ

妖精「――!!!」

ローガン「こ、これは……!!」

エバンス「これが……!!」

イリス「テラヌス――」

ミスティ「コハクガニ……!!!」

メルル「うまぁぁぁい!!!!」


 ☆テラヌスコハクガニを食べました
 ・持久力が10回復しました
 ・この道中におけるランダムイベント以外の大体のコンマに+40のバフがかかります
 ・クロシュが光属性を獲得しやすくなりました

 ◆

―夕方
 大きな岩陰

 焚き火「」パチパチ

メルル「は〜、美味しいカニも食べられたし、外敵に怯えることなく眠れるし、快適な旅だァ〜」

イリス「本当に私たちが通りかかって良かったよ……。あのカニは美味しかったけど、次からはちゃんと周りを見るんだよ?」

メルル「わかってるよォ〜」

ミスティ「普段は一人旅してるのよね……? パーティを組もうとかは考えないの……?」

メルル「ん〜……こういう風に、目的地が一緒の時だけ一時的に一緒になるのは良いんだけどねェ。あたしっていろんなとこに行きたいタチだからさァ、きっとパーティとか組むと振り回しちゃうか、逆に我慢させられちゃうことになると思うんだよねェ……。だから全部自分の意思で決められる一人旅が一番性に合うんだよ、たぶん!」

イリス「た、多分……」

メルル「でもでも、今日はみんながいてくれてほんとに助かったよ! 一人旅ってやっぱり、時々心細かったりもするからさァ……。今日のことはほんとに感謝してるよ! ほんとにほんとに!」

ミスティ「ふふ……気を付けなさいよ……」

テラヌス・ウルスへの2日目の夜です。大きな岩陰で野営します
↓1〜3 自由安価 野営中何をする?

メルル「んんん〜〜……今のあたしなら何をしても上手くやれる気がするなァ〜……そうだ!!」ピコン!

クロシュ「?」

メルル「んっふっふ……クロシュちゃん、あたしが稽古付けたげる!」ドヤッ

クロシュ「わあ……」

妖精「ええ……? 急に何を考えてるの……?」

メルル「助けてくれたお礼だよォ〜。クロシュちゃんはまだあかちゃんスライムなんでしょ? だったら生きるための訓練が必要だと思ってね!」

エバンス「まあ、一理あるが……。そもそもメルルって戦えるのか?」

メルル「一人旅女子を舐めないでいただきたいっ! 降りかかる火の粉なんかお茶の子さいさいってね!」

ローガン「まあ……せっかくだし、付けてもらってはどうだろうか。稽古を」

クロシュ「うん……」


 ――模擬戦闘開始――


↓1コンマ(お互いにカニを食べているので相殺)
01-25 クロシュ敗北
26-90 クロシュ勝利
91-00 光学迷彩強化

メルル「あたしの戦い方はァ……こうだ!」スゥ―

透明「」スゥゥ――


イリス「き、消えた!?」

妖精「姿を眩ませただけ。魔力反応を辿れば追えるよ」

イリス「いやそう簡単に言うけど、これ魔力もけっこう巧妙に隠してない!?」

ミスティ「私も……違和感程度ならなんとか掴めるけど、正確な位置までは把握できないわ……!」

エバンス「イリスちゃんとミスティちゃんが追えないほどなのか……!?」

ローガン「一人旅をしてきた実力は伊達ではないということか……!」



クロシュ「??」キョロキョロ

透明「ほらほら、あたしはここだよ〜。デコピンをくらえ!」ピンッ

クロシュ「んゅっ!」ペチッ

透明「んっふっふ……このあたしを倒せないようじゃ未来は掴めないぞォ〜?」

クロシュ「んむむ……」



エバンス「クロシュちゃんが押されてるぞ……!」

イリス「あれって、押されてるって言って良いのかな……?」

妖精「いや……もしメルルが暗殺者だったら、押されてるどころかクロシュはもう死んでる。スライム核を一突きされてね」

イリス「た、確かに……!」

ミスティ「クロシュ……!」

ローガン「どうする、クロシュくん……!」

クロシュ「!」ピコン!

透明「おっ、何か良い策は浮かんだかなァ〜?」

クロシュ「」スゥ―

透明「」スゥゥ――

透明「ええっ!? クロシュちゃんまで透明に!!?」



イリス「クロシュちゃんまで透明になっちゃった!」

妖精「でも――魔力はメルルほどには隠せてない! あくまで光学的に身を隠しただけだよ!」



透明「びっくりした……! でもあたしよりは上手くないみたいだね、透明になるの」

透明「……」

透明「ほら、もう一発デコピンだァ!」ピンッ

透明「」ガシッ

透明「わわっ! は、離して!」

透明「」モニョモニョ

透明「うわわわ、やめてェ! たべないでェ!!」ジタバタ

透明「」モニョニョニョ



ミスティ「え、ええ……? 何が起きているの……?」

妖精「クロシュが……スライムの姿で、メルルを呑み込もうとしてるみたい……」

イリス「ええ……」



透明「」モニョモニョ…

透明「はひ、はひ……あへぇ……」ビクンビクン

透明「」スゥゥ―



イリス「!! クロシュちゃんの魔力反応まで見えなくなってきた……!?」

ミスティ「まさか、クロシュ――」

妖精「メルルの魔力を隠す技術を――模倣した!?」


 ☆クロシュの隠密看破能力が上がりました
 ☆光学迷彩が強化され、魔力が検知されにくくなりました

 ◆

クロシュ「ん……。ありがと、ございました……」ペコ

メルル「完敗だよォ〜……。もうあたしが教えられることはないっぽいかもォ〜……」


ローガン「いやしかし、我々としても教わるものは多かった。ああいったアサシンからの攻撃にも備えが必要だ」

妖精「そうだね……。今はともかく、もし世界樹の光を一つ以上手に入れた場合、私たちはいろんな勢力から狙われるようになるだろうし、備えは必要かも」

イリス「あ、アサシンから狙われる……!?」

ミスティ「……一番厄介なのは王国からの刺客でしょうね。まだ光を得ていない今のうちに、いろいろ準備を進めた方が良いかもしれないわね……」

エバンス「刺客からの護衛も俺たち傭兵の仕事だ。嬢ちゃんたちは安心しときな」

イリス「い、いやいや……私だって戦えますもん! エバンスさんたちに任せっきりにはしません!」

ローガン「……ふむ……」

 *

メルル「しかしびっくりしたなあ……。あたしの身体をモニョモニョして、迷彩魔法を読み取ったの?」

クロシュ「うん……。いつも読み取れるわけじゃ、ないけど……。今回は、メルルさんのお陰で、わかりやすかった……」

メルル「すっごい反則技!」

妖精「同化したわけじゃないんだよね?」

クロシュ「うん……。同化は、してない……」

メルル「? 同化って?」

妖精「えっとね。スライムの能力の一つで、物体を身体に取り込むことでそれの持つ力や属性を身に付けることができるの。同化が終わったらその物体は身体の外に出されるから……簡単に言えば、人間とかは武具を〝装備〟できるけど、それをより高度に、あらゆる物質で行えるようにした能力……って感じかな?」

メルル「え、すご! てことは、伝説の剣と同化すれば伝説の剣士クロシュちゃんになるってこと!?」

妖精「ま、まあ……そういうことかな?」

メルル「じゃあじゃあ、例えばこのパーティ全員でモニョモニョすれば、最強の六人合体アルティメットクロシュちゃんになれるんじゃない!?」

妖精「ええ……」

クロシュ「い、生きてる人と同化するのは……あぶないから、だめ……」

メルル「え、そうなの?」

クロシュ「うん……」

妖精「私もちょっと同化について調べてみたんだけど、一応生きてる相手ともやろうとすればできるみたい。ただ、同化を行う側のスライムには非常に高い技量が求められて、同化される側の生き物も絶対に抵抗しちゃいけないんだってさ。失敗すれば、同化される側の生き物は元の形に戻れないか、最悪死ぬ。だからあんまり推奨はされてないって」

クロシュ「うん……。同化って……同化するものを、わたしの身体の中で、一旦ばらばらに溶かしちゃうんだけど……。生きてるものを、ばらばらにすると……ふつうは、死んじゃうから……。ちょっとでも、わたしが、へたくそだと……死んじゃう、かも……」

メルル「ば、ばらばらに溶かす……!!」ゾゾッ

妖精「生きてる者と同化するのは基本的に避けた方が良いだろうね。まあクロシュはわかってるみたいだから大丈夫だと思うけど」

クロシュ「うん……。でも……六人合体は……ちょっと、おもしろい、かも……」

メルル「やはは……ま、まあ話半分ってことで……」

クロシュ「……!」ピコン!

妖精「……何を思い付いたの?」

クロシュ「ちょっと……やってみる!」

妖精「ええ、何を?」


 デロデロ…モニョモニョ…


↓1コンマ(テラヌスコハクガニの加護+40)
01-60 だめでした
61-90 分裂成功
91-00 分裂+各自独立擬態

 ポポポポポン!!!!

分体イリスクロシュ「じゃーん!」ポン!

分体ミスティクロシュ「できたわ……」ポン!

分体ローガンクロシュ「上手くいったな」ポン!

分体エバンスクロシュ「やればできるもんだ!」ポン!

分体妖精クロシュ「けっこう上手いでしょ」ポン!

クロシュ「!」ドヤッ



妖精「え、ええええ〜〜〜〜!!!!?」

メルル「えっえっ!! クロシュちゃんすっごォ〜い!!!」



クロシュ「んへへ……しかも……」ピョンッ

分体クロシュたち「」ピョンピョンピョンピョンッ


 デロデロ…モニョモニョ…


六人合体クロシュ「!!」ポン!



メルル「ワオ! 元に戻っちゃった!!」

妖精「……元に戻ったね」


 ☆クロシュが分体を作れるようになりました
 ☆分体は自由に擬態することができます。同化はまだ難しいです

 ◆

―夜
 大きな岩陰


ミスティ「……」グッ

 魔銀の短剣「」

ミスティ「……氷の剣よ」コォォォ―

 氷属性が付与された魔銀の剣「」キンッ!

ミスティ「よし……。たまにはエンチャントと短剣術の訓練もしておかないとね……」シャッシャッ



イリス「あっ、エンチャント!」

ミスティ「イリス。そういえばあなたも杖術を嗜んでいたはずよね。エンチャントは使える?」

イリス「うん。五大属性それぞれ付与できるけど、前衛に任せられる今はほとんど使う機会がないよね」

ミスティ「そうね……。でも、万が一の時のために感覚は忘れないようにしないと……」

イリス「うん、そうだね。私も久しぶりにやろっかなあ、エンチャントと杖術の練習」

ミスティ「……ところで、星属性は付与できるの?」

イリス「今まさにそれを試そうと思ってたとこ!」

ミスティ「じゃあ丁度良いわね……」

エバンス「話は聞かせてもらったぜ! エンチャントの練習だって?」

ローガン「我々も混ざって問題ないか?」

イリス「あ、はいもちろんです!」

ミスティ「ローガンさんとエバンスは使えるの?」

エバンス「いや……俺は使えないんだよな」

ローガン「私は……使えなくもないが、普段は使っておらん。鋼に鋼を付与すれば強化できるのは確かだが、それよりは鋼魔法による攻撃で手数を増やした方が有利な場面が多いのでな」

イリス「なるほど……。あの、ちょっと試してみたいことがあるんですけど、いいですか?」

エバンス「ん? なんだ?」

イリス「前衛で戦ってるお二人の剣に、後方からエンチャントできないかと思いまして」

ローガン「ふむ……。普段から自分で使い慣れている武器に付与するよりも少々難しいと思うが、やってみるか?」

イリス「はい!」


↓1コンマ 魔法剣(テラヌスコハクガニの加護+40)
01-30 だめでした
31-00 できました

↓2コンマ 星属性付与(テラヌスコハクガニの加護+40)
01-40 難しい
41-90 自分の杖になら
91-00 できた

エバンス「剣が強化されるんならありがたいが、さて――」

ローガン「では、まずは私とエバンスくんが模擬戦を行おう。君たちはその後方から、我々の武器に魔力を付与してくれ」

ミスティ「わかったわ……」

イリス「わかりました!」

 *

エバンス「せいっ!」シャッ

ローガン「なんの!」ギンッ


ミスティ「氷の剣よ――」コォォォ―

 氷属性が付与された鋼の剣「」キンッ!
ローガン「!」


イリス「星の剣よ――!」コォォォ―

 星属性が付与された魔銀の剣「」キラキラ…
エバンス「おおっ!」


ミスティ「上手くいったわね……」

イリス「うん! 戦ってる最中でもちゃんと付与できそう!」

エバンス「頼りにさせてもらうぜ!」

ローガン「うむ! 弱点を突ける敵が現れたら一気に攻め立てられるな」

 ☆イリスとミスティが、他者の武器に属性を付与できるようになりました
 ☆イリスが、星属性を付与できるようになりました

 ◆

―テラヌス・ウルスへの旅路 3日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘        精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝      精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石       精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片        フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着    メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水    溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石         暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[3/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・魔法の練習[1/4](エバンス)

―テラヌス砂漠 持久力[16/10]


 強化ソリ「」シャーッ――


スライムクロシュ「〜〜」ググッ モニョモニョ

イリス「ん〜!! なんだか昨日から絶好調って感じ!」

ミスティ「あのカニを食べてから、私もすごく調子が良いわ……」

メルル「いや〜、これは実質私のお陰だねェ。私を助けたからこそあのカニにありつけたわけで」

妖精「まあ……メルルがいなかったらカニを見落としていた可能性も高いし、否定できないかも……」

エバンス「いやあでも本当に調子が良いぞ! 今ならとんでもない強敵にでも勝てそうな気がするぜ!」

ローガン「だが警戒は怠らぬように。旅というのは最後まで油断ならぬ。我々はいつも、旅の最後に幽霊船に捕まったり、恐ろしい吸血鬼に襲われたりしているのだから……」

エバンス「おう!」

妖精「順調に進めば今日の夕方には着きそうだね。消耗もほとんどないどころかカニのお陰で力が溢れてくるくらいだし、この調子で一気に進もう!」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-40 食料発見(コンマ)
41-60 物品発見(コンマ)
61-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

良いことと、再び食べ物を見つけたようです


↓1自由安価 起きたできごと

↓2コンマ 見つけた食料
01-10 枯れ草
11-20 食べられる乾燥植物
21-30 サバクイナゴ
31-40 オオキイスナミミズ
41-50 ツチノコモドキ
51-60 ウチワサボテン
61-70 スナニワトリの卵
71-80 テラヌスアロエ
81-90 精霊サボテンの実
91-00 テラヌスコハクガニ

 強化ソリ「」シャーッ――


ミスティ「そろそろお昼ね……。ん?」


 地面から生えた巨大ワーム「ギュオオオオ!!」モゾモゾ


ミスティ「!!」ゾワワッ

ローガン「おお、あれがオオキイスナミミズだ。せっかくだし今日の昼はあれにするか?」

ミスティ「え、ええ!?」

 *

 ジュジュッ… ジュゥゥ……

 焼きオオキイスナミミズ「」コンガリ
 焼きオオキイスナミミズ「」コンガリ
 焼きオオキイスナミミズ「」コンガリ

イリス「う、うぅぅ……こ、これ本当に食べられるの……!?」

ローガン「焼いてしまえば他の肉と変わらぬ。味も食感も問題ないぞ」モグモグ

エバンス「ん、確かに悪くないなこりゃ」モグモグ

メルル「もぐもぐ……見た目は最悪だけど確かに味は悪くないかも!」モグモグ

ミスティ「……まあ、ムカデよりはマシだわ……。ムカデは食感もムカデだったし……」モグモグ

イリス「み、みんな順応してきてる……。こ、これが文明人のすることなの!? ううううう!!!」バクバクモグモグ!!!!

妖精「わあ……。イリス、あんまり無理して食べなくても良いと思うよ……」モグモグ

スライムクロシュ「〜〜♪」モグモグ

 ☆オオキイスナミミズを食べたことにより、次回戦闘時のコンマに+10のバフがかかります

 *

 強化ソリ「」シャーッ――


ミスティ「……ん? あれは……」

妖精「お……あれはサボテンドラゴン――」


 動かないサボテンドラゴン「」


妖精「――の死骸かな……?」

ミスティ「一応、近くに寄ってみましょうか」

 *

 強化ソリ「」キキッ


 サボテンドラゴンの死骸「」カラカラ


イリス「これが……サボテンドラゴン!」

ローガン「干からびているな……。水不足の影響か……」

ミスティ「大きいけれど……こうして干からびている姿を見ると、なんだか物悲しいわね……」

妖精「……強さを増した光にやられちゃったのかも。サボテンドラゴンが干ばつにやられちゃうなんて、よほどのことなんだけど……」

メルル「こいつ、私を追っかけてたやつかなあ……」

妖精「追いかける元気があったんなら、数日でここまで干からびることもないと思う。だから多分別の個体だよ」

メルル「そっか……。でも、こいつらも喉が乾いて乾いて仕方がなかったのかなァ……」

妖精「……」

クロシュ「……」


↓1 クロシュはどうする?
1.水をあげる
2.食べる
3.その他(自由安価)

 サボテンドラゴンの死骸「」

クロシュ「……」

 デロデロ…

スライムクロシュ「」モニョモニョ モグモグ…


イリス「わっ、クロシュちゃん!」

ローガン「干からびているとは言っても棘はまだ健在だが、大丈夫なのか……?」

妖精「大丈夫みたい。まあ、パラサイトソードも食べちゃうくらいだし……」


スライムクロシュ「」モニョモニョ モグモグ…


メルル「えっと……美味しいのかな?」

妖精「味は……まあまあみたい。水分はほとんど残ってないけど、意外と食べられるみたいだよ」

ミスティ「さっきオオキイスナミミズを食べたばかりなのに、もうお腹が空いたのかしら……?」

妖精「いや……お腹が空いたっていうより、これはクロシュなりの弔い方なんだと思う」

エバンス「なるほど……。そういえば、クロシュちゃんは倒して殺した相手は基本的に食べてるもんな」

妖精「うん。人間には理解しがたい感覚かもしれないけど、私はわからなくもないんだよね。食べることで、なんというか……その生命を完全に潰えさせず、自分の中で生かし続けようとする感じ……かなあ。多分」

メルル「私は半人半魔の半端者だけど、それってすごく良いと思う!」

妖精「そう? 結局は自己満足でしかないと思うけどね」


 ☆サボテンドラゴンの死骸を食べました
 ☆ウニ棘が少しだけ強くなりました

 ◆

―夕方


 強化ソリ「」シャーッ――


 遠くに見える石造の城塞都市「」ヒュオオオオ――…


妖精「お、見えてきた。あれがテラヌス・ウルスの首都。都市の名前もそのままテラヌス・ウルスって言うんだよ」

メルル「おおお〜〜!! ついに、ついに辿り着いたんだ……!!」

イリス「あれが……テラヌス・ウルスの街……!」

ミスティ「この距離からでも、あの城塞の力強さがこちらまで伝わってくるわ……。無事に通してもらえるかしら……」

ローガン「多数の部族からなる国家ゆえ、異国からの旅人にも寛容……だったのは昔の話か。干ばつによって状況が変わった今、どうなっているかは想像が付かんな……」

妖精「念の為私は隠れてた方が良さそうだね。クロシュも不用意にスライムにならないように」

クロシュ「うん……」

メルル「あたしは帽子かぶってれば大丈夫かな?」

 ◇

本日の更新はここまでとなります。次回、テラヌス・ウルス入国編から開始となります
また、ここでテラヌス・ウルスに登場する部族の首長やその関係者を募集します

①最も高い影響力を持つ部族の首長。人と魔の関係には中立的な考え方を持つ

②二番目に高い影響力を持つ部族の首長。中立を捨てて王国の支援を受けるべきと主張している

③影響力の低い少数部族の首長。魔族に寛容だが立場は弱い


(①のテンプレート)
【名前】
【種族】人間
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】テラヌス・ウルスの議会において最も高い影響力を持つ部族の首長


(②のテンプレート)
【名前】
【種族】人間
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】テラヌス・ウルスの議会において二番目に高い影響力を持つ部族の首長


(③のテンプレート)
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】テラヌス・ウルスの議会における影響力の低い少数部族の首長


↓1①

↓2②

↓3③

【名前】ミカヅキ
【種族】鬼
【性別】男
【年齢】27
【容姿】黒髪で背が高い、右頬に三日月のような曲線の傷がある。腰にはサーベルを所持。
【性格】クールで冷静沈着
【魔法】剣魔法(剣を増やして操ったり、剣を巨大にする等剣に関することならなんでもできる。操ることを応用して自身を乗せて飛ぶことも可能。)
【備考】剣の魔法も使えるが剣術も得意で国では誰にも負けていない。鬼族だが祖父が人間で人の血も入っている。祖父は剣聖と呼ばれる人物で勇者サインとともに旅をしたことがある。(ただ王国は全く知らないのでサインとともにいたと知っているのはごく少数しか知らない、祖父も同じ魔法が使える)魔族と人間がともに暮らせるように考えている。国の住人からよく慕われている。勇者サインの話しをよく聞いていたので憧れがある。

【名前】ベスティア・バッドエンド
【種族】悪魔
【性別】女
【年齢】2000
【容姿】黒髪長髪で虚ろな目をした美人さん。強力な認識阻害結界を自身にかけているため、立派な悪魔翌翼と悪魔角を持つが他者はそれを認識できない。自称人間。
【性格】誰よりも優しい臆病者
【魔法】結界魔法。常に薄い皮膜のような防御結界を自身にかけているので、奇襲に強い。その他様々な結界を自身に張っている。
全力の防御結界は世界の何よりも硬い。
【備考】テラヌス・ウルスの議会における影響力の低い少数部族の首長。少数部族という体だが実際は世界各地で差別排斥を受けて流れ着いた魔族を含めた鼻摘み者たちの寄り集まり集団。そこの首長をしている彼女は歴史上最初に魔王を排出した悪魔族の最後の一人。原初の魔王の破壊によりあらゆる種族に恨まれ敵対視された悪魔族は長い年月をかけて絶滅にまで追い込まれた。そんな中逃げるように各地を放浪していた彼女はテラヌスウルスに辿り着く。自身が悪魔だとバレるのが何よりの恐怖であるが、困っている人がいると助けずにはいられない。そのため首長という面倒事を引き受けている。自分なりに差別のない理想郷を創りたいと思っているが、何もなせていない絶望が強い。
クロシュヴィアと大魔女は腐れ縁で2000年近く昔、理想郷の建設を語り合った仲だがいつしか離散。

すいません>>209は③として書いていたので②は安価したでお願いします。

>>209何度もすみません
「種族を人間」に「見た目は人だが鬼の血が少し入っている」に変更でお願いします。

乙です
首長やその関係者の募集安価も前にあったクリーチャー安価のような時間指定をして募集した中から>>1が良いと思ったキャラを採用する形式が良いかなと思います

今回みたいだと直下判定だと①と③だとキャラを考える時間とキャラシート作成する時間に差があったり、逆に③にキャラ案が集中しまって渋滞したり、早い者勝ちになるためにキャラシートをあまり詳しく書けなかったり不備があっても見直しせずに投下してしまったりもあるため、余裕を持って作成や見直しする時間があっても良いかなと

一読者の個人的な長文意見失礼しました
>>1の負担が増すならスルーして構いません

↓1のものが記入ミスがあるものだったり、↓2が②のものではなかったり、↓3が>>1に扱い切れるか不安な設定だったりで頭がおかしくなりそうです
あとからの修正は、とにかく急いで投下したあとゆっくり修正する、みたいな裏技が使えるようになってしまうので、誤字脱字や日本語の修正以外は基本的にだめです
そして現地の人の設定は、できればその国の内側に留まるものであってくれた方が良かったりします……。でもこれはちゃんと言ってなかった>>1が悪いと思います。そういうわけなので、>>210のベスティアさんについては若干設定を変更したうえで、少数部族の首長ではなくその首長を支える少数部族の仲間の一人ということで採用させていただきたいと思います(もしだめだったら早めに仰ってください。他の方法を考えたいと思います)

そういうわけで、とても申し訳ないのですが、今回の各首長選は仕切り直しとさせていただきます。次回は、範囲内で最もコンマの高いものを採用というルールにいたします。今回投下したものを設定に合うように修正して再投下しても大丈夫です、よろしくおねがいします(上の方でも書いたように、>>210さんが問題ないようであれば、ベスティアさんについては一応採用の方向です)

また、本日はもう更新終了と思ってこのスレを閉じてしまった人もいるかもしれないので、募集は明日のお昼すぎくらいにおこないます。本当に申しわけありませんが、よろしくお願いいたします

>>217
>>1の独断と偏見による選択にしてしまうと、>>1の趣味で採用されるキャラクターの性質が偏ってしまうおそれがあるため、それは主人公以外ではちょっとやめておこうと思っているところであります(逆に、主人公は>>1が書いてて楽しい人物でないとつらいので、独断と偏見で選ばせていただいております)
しかし時間差の問題や渋滞、速いものがちなどの問題はまさしく痛感しているところなので、しっかり対策を練っていきたいと思っております



いろいろありましたが、とても順調に砂漠を越えることのできたクロシュ一行でした。風来坊のメルル氏と再会を果たしたり、テラヌスコハクガニという美味しいカニを食べて元気いっぱいになったり、サボテンドラゴンの死骸を見つけて食べてみたりなど、クロシュちゃんにとっても良い経験となる出来事が多かったように思えます
そして次回からついにテラヌス・ウルス編が始まります。石造りの大きな城郭に囲まれた、干ばつにあえぐ砂漠の都市――。世界樹の光を求めるクロシュたちをそこで待ち受けるものとは何なのか――

それでは本日もありがとうございました。最後にグダグダになってしまい申し訳ありませんでした。よろしくお願いいたします

ありがとうございます。それでは、>>210は設定を少し変更したうえで採用とさせていただきます

メルル氏はやはりクロシュ一行と縁があるようです。00クリティカルからの道連れだったこともあり、今回の旅で仲良し度がとても上がったと思われます。今後ともよろしくお願いしたいものです
スライムはポテンシャルで言えば輝きを秘めうる種族ですが、全員が全員クロシュさんのように多彩なスライム能力を目覚めさせられるわけではないため、平均的にはそこまで強い種族でもないようです。たいていのスライムはちょっと物理に強くて属性に弱くて怪我の治りが早くて食欲旺盛なだけのデロデロ生物なので、冒険者に見つかると試し切り感覚で狩られてしまうことも多いです。しかしクロシュやブラッドのように、様々な能力を開花させる強いスライムが現れることも稀にあります。人間も大抵の者はそこまで強くありませんが、時々勇者のような超人が出現したりするので、それと似たような話かもしれません

カニはとても美味しいので、食べることによってその恩恵を授かることができます。しかし強い力を持ったカニは珍しいので、なかなか見つけられないかもしれません。見つけたら食べるのが良いでしょう

募集方法についてのご提案ありがとうございます。今回は昨日宣言した通り、範囲内でコンマが最も高いものを採用という方向にする予定です。もし今後また募集を行うことがあれば、他の方法もいろいろ考えたいと思います。よろしくお願いします

というわけで、テラヌス・ウルスの各首長の再募集を行いたいと思います
また、テラヌス・ウルス国外での情勢や事案に深く関わる設定はなるべくなしの方向でお願いいたしします(セインに憧れている、王国と取引や会談を行っている等、既存の情勢に大きな影響を及ぼさないものは問題ありません)

念のためもう一度テンプレートを貼り付けておきますので、確認等にお使いください


①最も高い影響力を持つ部族の首長。人と魔の関係には中立的な考え方を持つ

②二番目に高い影響力を持つ部族の首長。中立を捨てて王国の支援を受けるべきと主張している

③影響力の低い少数部族の首長。魔族に寛容だが立場は弱い


(①のテンプレート)
【名前】
【種族】人間
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】テラヌス・ウルスの議会において最も高い影響力を持つ部族の首長


(②のテンプレート)
【名前】
【種族】人間
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】テラヌス・ウルスの議会において二番目に高い影響力を持つ部族の首長


(③のテンプレート)
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】テラヌス・ウルスの議会における影響力の低い少数部族の首長


14時より、各10分づつ時間を設けますので、余裕をもってご投下くださいませ
>>1の開始宣言などがなくとも、下記時間内に投下していただいて大丈夫です
また、ご質問などありましたら遠慮せずどうぞ
よろしくお願いいたします


①の首長
↓ 14:00:00 〜 14:09:59 の間に投下された中で最もコンマの大きいもの

②の首長
↓ 14:10:00 〜 14:19:59 の間に投下された中で最もコンマの大きいもの

③の首長
↓ 14:20:00 〜 14:29:59 の間に投下された中で最もコンマの大きいもの

告知ありがとうございます
質問なのですが、もし①のキャラ案を投下してコンマが最も高いコンマじゃなくて不採用なら、今度は②のキャラ案を投下できて、さらに②も不採用だったら③に……と最大3人分キャラ案を出すのも可能になるのでしょうか?
(もちろんキャラが高コンマで採用なら以降の募集には不参加・投下しても不採用は前提として)

それとも、従来のようにあくまで3人の中から1人のみのキャラ案を投下という形になるのでしょうか?

多分後者の形式だと思うのですが、確認のために直前にこのような質問をして申し訳ありません

回答が遅れてしまい申し訳ありません
いろいろ考える余地のある問題だとは思うのですが、今回は元々が↓1↓2↓3という募集形式であり、当然連投はだめなものでした
そういうわけなので、今回は1つのIDで投下できるのはいずれか1つの案のみということにさせていただきたく思います。よろしくお願いいたします

【名前】ヨードリー・ソウル・ソサエティ
【種族】人間(魔族とのクオーター)
【性別】女
【年齢】100歳
【容姿】銀髪ロングの女性。スレンダー体型。
【性格】真面目
【魔法】風・闇魔法が得意だが、剣技にも秀でる。
【備考】テラヌス・ウルスの議会において最も高い影響力を持つ部族の首長
先代から首長の座を受け継いだばかりで、先代に恥じぬために日々頑張っている。
料理が得意。

【名前】ラハニ4世
【種族】人間
【性別】男
【年齢】80
【容姿】金刺繍を施したターバンを頭に巻いた、痩せぎすのおじーちゃん。刻まれた深いシワも相まって枯れ木のような印象を受けるが、鋭く赤い瞳からは生命力の強さを感じる
【性格】丁寧な口調ながらも意思を曲げない頑固者
【魔法】金細工魔法。テラヌスの結構な収入源になっている
【備考】テラヌス・ウルスの議会において二番目に高い影響力を持つ部族の首長。より多くの人々のため、少数が犠牲になるのを是とするが、それはそれとしてテラヌスという共同体全体が出来るだけ良い条件で王国と結びつくべきと考える。自分ならその交渉ができると思っている

【名前】リアンノン・ルルゥ
【種族】亜人(通常の人間形態と爬虫類系の亜人形態の両方の姿を持ち、自由に変身できる種族)の父と人間の母のハーフ
【性別】女性
【年齢】17
【容姿】(人間時)緑の髪を三つ編みにした細身の華奢な女性。
(爬虫類型に変身時)2メートル程の体躯と鋭い牙や爪、長い舌や大きい尻尾をもつ二足歩行の緑色のトカゲ。血液も緑色になる
【性格】引っ込み思案で大人しいが心優しい性格
【魔法】水魔法。爬虫類型に変身時は牙や爪や舌や尻尾を駆使した格闘術、強酸性の血液や胃液を水魔法を使って飛ばしたりする
【備考】テラヌス・ウルスの議会における影響力の低い少数部族の首長。前首長の父が急死したことで若くして後を継いだ

完全な人間とも魔族・魔物とも違う微妙な立場だが、それでも自分を頼ってくれる人の為に首長の役目を勤める
それはそれとして出来ればもっと可愛い姿に変身したかった

いろいろとグダグダになってしまいましたが、ご投下いただきありがとうございます

影響力が最も大きい首長は>>228のヨードリー氏、影響力が次に大きい首長は>>230のラハニ四世おじいさん、影響力の低い少数部族の首長は>>233のリアンノンちゃんに決定です

それでは後ほど本編を開始いたしますので、よろしくお願いいたします

―夕方
 テラヌス・ウルス 城門


 空堀「」

 石の大橋「」


 強化ソリ「」スイー…


大柄なテラヌス兵「止まれ!」カンッ!

背高いテラヌス兵「名乗られよ!」カンッ!


ローガン「うむ……。我々は旅の者だ。身分は……こちらで構わないだろうか?」スッ

 ローガンの冒険者証「」ポン

背高いテラヌス兵「……誰でも手軽に取得できる冒険者証では、貴殿らの信用を証明できぬ。他に何かあるか?」

イリス「え、ええ!? 冒険者証じゃだめなの!?」

エバンス「マジか……! 冒険者証は万国共通の万能身分証明書じゃなかったのか……!」

ミスティ「冒険者証以外となると――」

クロシュ「……」


↓1選択
1.魔族国永久旅券
2.精霊の印
3.溶岩石のアミュレット
4.上記全部見せる
5.その他(自由安価)

クロシュ「えと……これは……?」スッ

 精霊の印「」ポン

大柄なテラヌス兵「ん……? 綺麗な石の飾りか……? 悪いなお嬢ちゃん、身分証明っていうのは――」

背高いテラヌス兵「待て。これは……精霊の印か?」

クロシュ「うん……」

大柄なテラヌス兵「精霊の印だと!? では、彼らはフォレスティナに認められる功績を挙げた者たちだと――」

背高いテラヌス兵「……そういうことになる。人としては信用できるだろう。だが――」


 城門「」ヒュオオオオ――…


背高いテラヌス兵「いや……我々は与えられた仕事を全うするのみ。貴殿らの信用は証明された。通るが良い」カンッ!


 城門「」ゴゴゴゴ…


イリス「! 通って良いんですか?」

背高いテラヌス兵「うむ。ただし気をつけられよ。今この国では、魔族やそれに連なる者を快く思わぬ者も多い。その精霊の証も、無闇に見せびらかすのは慎むのが良かろう」

ミスティ「精霊と魔族は別だと思うのだけれど……」

背高いテラヌス兵「同類と捉える者もいる。そして感情に理屈は通じぬ」

エバンス「ごもっともだな……」

ローガン「……柔軟なる判断、心より感謝する」

背高いテラヌス兵「うむ」

 ◆

―夕方
 テラヌス・ウルス首都

 石造りの街並み「」ドン

クロシュ「わぁ……」

イリス「おお……! 外の城壁もすごかったけど、街並みも石、石、石……! 石造建築がすごい!」

エバンス「そこかしこから地属性の息吹を感じるな……! 参考になるものも多そうだ!」

ミスティ「こんな状況でなければ、観光を楽しむこともできたのだろうけれど……」



ターバンの男性「……」トボトボ

フェイスベールの女性「……」トボトボ


子供A「はらへったー……」

子供B「枯れ草のスープはもう飽きたよなー」

子供C「なー今度ミミズ獲りに行かねー?」

子供A「勝手に砂漠に出たらめっちゃ怒られるだろ……」

子供B「怒られるどころか遭難して死んだりして」ケタケタ

子供C「おいー、枯れ草のスープは飽きたんじゃないのかよー」



メルル「……ちょっと、観光を楽しめる状況じゃないねェ……」

ローガン「うむ……。事態はやはり深刻のようだ……」

妖精「早いとこ世界樹の光を回収しないとね……」

イリス「そういえばメルルちゃんは、一体何をしにここまで来たの?」

メルル「あたしはここの近辺にあるっていう古代遺跡を見に来たんだよォ〜。だから、ここで補給を済ませたらまた旅に出るから、ここでみんなとはお別れかなァ……」

ミスティ「そう……。いろいろ大変だと思うけど、本当に気を付けるのよ……」

メルル「わかってるよォ。でもほんとにほんとにありがとね! もし古代遺跡ですっごいお宝も見つけたら君たちにもわけてあげるからさ! 楽しみに待っててよ!」

ローガン「……この辺りの古代遺跡は、太古から続く恐ろしい罠と呪いに満ちていると聞くが……。本当に大丈夫か……?」

メルル「だいじょーぶだいじょーぶ! 生き恥を晒し続けることにだけは自信があるからね!」

エバンス「ははっ、それなら大丈夫そうだな。生き長らえろよ!」

イリス「また会うのを楽しみにしてるね!」

妖精「まあ、上手くやりなよ。あなたが死んだら、悲しむやつも多分いるから」

クロシュ「メルルさん……お元気で……!」

メルル「うん、ありがと! みんなも元気でね!」

 ☆メルルと別れました
 ☆メルルとの仲良し度が大きく上がりました

 ◆

―宿屋「月明かりのオアシス」

イリス「こんばんは〜」

フードケープの褐色少女「あ、い、いらっしゃいませ!」トテトテ

ミスティ「部屋は空いているかしら」

フードケープの褐色少女「は、はい! えっと……ご、五名様でよろしいですか……?」

妖精「いや……6人だよ」ヌッ

クロシュ「!」

フードケープの褐色少女「わっ……! よ、妖精さん……!?」

エバンス「ちょ、おいおい! 出てきちまって良いのかよ?」

妖精「うん。だってこの子、人間じゃなさそうだし」

フードケープの褐色少女「!!」

妖精「大丈夫、私も仲間みたいなもんだから。誰にも言ったりしないから安心しなよ」

 パサッ

猫耳の褐色少女「う、うん……」

イリス「わあ……!」

ミスティ(!! か、かわいいわ……!)

猫耳の褐色少女「えっと……お姉さんたちって……もしかして、世界樹の光を追ってるっていう――」

妖精「!!?」

エバンス「ははっ、今度は妖精の方が逆に驚かされてるな」

妖精「い、いやいや……! なんで知ってるの!?」

猫耳の褐色少女「えと……その、虹晶の耳飾り……。お姉ちゃんが、あげたって……」

ローガン「! つまり、君は――」

猫耳の褐色少女「はい……。行商人の、お姉ちゃんの、妹です」

クロシュ「わあ……」

 ◇

―テラヌス・ウルス 滞在初日

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘        精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝      精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石       精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片        フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着    メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水    溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石         暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[3/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・魔法の練習[1/4](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―月明かりのオアシス 客室

 石造りの内装「」
 炎鉱石のランプ「」ユラユラ

イリス「内装もしっかり石造り!」

ミスティ「エキゾチックで良い雰囲気ね……。ゆっくり観光していけないのが惜しいわね……」

イリス「それにしてもあの子、まさかあの行商人さんの妹さんだったなんて! 世間って狭いねえ」

ミスティ「私も驚いたわ……。あの行商人もいつもターバンを巻いていたから、まさか猫耳が生えていたなんて気付かなかった……」

妖精「……今この国では、元からここに住んでいる女の子でさえ耳を隠さないといけないような状況にあるってことなのかも」

イリス「!! それって……」

ミスティ「けっこう、深刻なのかしら……」

妖精「どうだろう……。ただ、私たちの目的は世界樹の光を探し出すこと……。この国の情勢に関与している暇はあんまりない……」

クロシュ「……」


テラヌス・ウルス滞在初日の夜です
↓1〜3 自由安価 何をする?(カニパワーでまだ元気なので、遠くにも行けます)

図書館が何か本を探して読んでみる 可能なら借りる

エバンス「……力が漲ってじっとしてられん……」ウズウズ

ローガン「奇遇だな、私もだ……」

 *

猫耳の褐色少女「え、体を動かせる場所、ですか……? それなら……兵士さんたちの練兵場が――」

 *

―練兵場

エバンス「せやァッ!!」シュババッ

ローガン「ぬゥン!!」ブオンッ
 回転ノコギリ「」ギャギャギャッ


銀髪ロングの女性「……あの者たちは?」

テラヌス兵A「旅の者だそうで。体を動かしたいから場所を貸してくれとのことだったので、貸し出したのです」

銀髪ロングの女性「なるほど……」

テラヌス兵A「やっぱ旅人なんかに貸し出しちゃまずかったですか?」

銀髪ロングの女性「いや、問題ない……。それより、私も久しぶりに体を動かしたくなってきたな……」

テラヌス兵A「えっ!? ヨードリー様、ここ最近日夜各部族の調整に奔走してる上に、食事もロクに摂ってないって……」

銀髪ロングの女性→ヨードリー「皆と同程度の休息と食事は摂っている。問題はない」

 *

エバンス「ふう……まだ足りねえな……! 旦那、ここは実践形式で――」

ヨードリー「旅の者たちよ。少し良いだろうか?」スタスタ

ローガン「む……あなたは?」

ヨードリー「私はヨードリー。テラヌス・ウルス議会議員の一人だ。剣も嗜んでいる」

エバンス「ほう……! つまり議員様自ら、旅の者と一戦交えに来たってわけか!」

ローガン「まさか、そんな短絡的な……」

ヨードリー「御名答。ここ最近お役所仕事ばかりで肩が凝っていてな……。私の運動に付き合ってもらう!」スチャッ

ローガン「バカな」

エバンス「望むところだ! 砂漠剣術に俺の剣がどこまで通じるか……!」


 ――模擬戦闘開始――


↓1コンマ(まだ残るカニパワー+20、ヨードリー疲労+10)
01-10 痛恨
11-70 劣勢
71-95 優勢
96-00 会心

ヨードリー「」ヒュンッ

エバンス「!!」ギンッ

ヨードリー「遅いな!」シャシャッ

エバンス「くっ……! まだカニの力が残ってるってのに……押されてるだと……!?」ギンギンッ

ヨードリー「どうした! その程度の腕でこの砂漠にやってきたのか!?」シュババッ


↓1コンマ(まだ残るカニパワー+20、ヨードリー疲労+10)
01-70 敗北
71-95 優勢
96-00 会心

はい

ヨードリー「まだまだここからだ!」シャシャシャッ

エバンス「ま、まずい……! このままでは――」

ヨードリー「トドメだ!」カッ

 風撃「」バギュンッ!!

エバンス「ぐおああああッッッ!!?」ドガァァン!!


 ――戦闘終了――


ヨードリー「ふう……良い運動になった。感謝するぞ、旅人」スチャッ

エバンス「ち、ちくしょう……俺って……俺って……」

ローガン「気を落とすな、エバンスくん……。彼女は明らかに格上の相手だった……」

エバンス「だが……! やつは明らかに万全でなかった上に、俺はカニの力で調子が良かった! それなのに……俺ってやつは……」グニャァ

ヨードリー「……少し悪いことをしたか?」

ローガン「いや……戦いに応じたのはこちらだ。そちらに非はない……」

ヨードリー「ならいいが……。砂漠の夜は冷える。汗で体を冷やさぬようにな」

 ◆

―夜
 テラヌス・ウルス 大通り

妖精「静かだね……」

クロシュ「うん……」

妖精「そろそろ戻ろうか。元気とは言ってももう夜も遅いし。こんな時間じゃ何が出てくるかわからない」

クロシュ「あの……ちょっと、試して、みたい……」

妖精「え、何を?」

クロシュ「えと……スライムの、姿で……出歩いて、みたい……」

妖精「……はあ? 何を言っているの……。クロシュ、あなたは赤ちゃんだから頭が悪いのは仕方がないけれど、そんなことをすればどんな危険があるか王国の情勢を見てきたならわからないわけじゃないでしょ? それとも、そんなことすら理解できないおばかスライムなの?」

クロシュ「んゅ……。でも……ここの人たちが、どれくらい、スライムのことを嫌いなのか……はっきり、させたくて……」

妖精「城門前の衛兵だって言ってたでしょ。不用意にそういう真似はするなって。その言葉だけでスライムや魔族がどんな風に思われてるかなんて十分わかるでしょ?」

クロシュ「……」


↓1〜3多数決 どうしよう
1.スライムの姿になる
2.やっぱりやめとく……
3.その他(自由安価)

クロシュ「……」ジワワ

妖精「わっ……! ご、ごめんごめん! 言い過ぎたよ! ごめん! 気になるのは、仕方ないよね……。でもさ……ほんとに危ないからさ……」

クロシュ「うん……」

妖精「帰ったら、あの猫耳の子に聞いてみようよ。ここでのスライムや魔族がどんな感じなのかさ……」

クロシュ「うん……」

妖精「ほんとにごめんって……。帰ったら美味しいもの食べよ?」

クロシュ「……! うん……!」

 *

 こんがりパン「」コンガリ

猫耳の褐色少女「お夜食です。どうぞ……」スッ

クロシュ「わあ……!」

妖精「こんな時間にありがとね。それと、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……いい?」

猫耳の褐色少女「あ、はい……。わたしにわかることなら……」

妖精「ここでの魔族とかスライムとか妖精って、どんな感じなの……?」

猫耳の褐色少女「……あんまり、立場は良くないです。以前はまだマシだったんだけど……最近は、干ばつでピリピリしてて……。えっと、議会で二番目に力のあるスピーゲル族が、族長のラハニさんをはじめに、人間以外は排斥して王国と連帯すべきって言い始めてて……。けっこう、他の部族の人たちも同調し始めてて……。わたしも、人間の子供たちに石を投げられたりするから……フードで隠さないといけなくなっちゃって……」

妖精「二番目の部族が、王国と連帯を……!?」

猫耳の褐色少女「えと……だから、スライムさんたちも……前は、噴水広場でモニョモニョしてる子たちもいたんだけど……。最近は水も枯れちゃってるから、姿、見ない……」

クロシュ「……!!」

猫耳の褐色少女「わたし……この宿を守らなきゃいけないのに……このまま、王国と連帯したら、この国に居場所がなくなっちゃうかもって、思うと……こわくて……」

妖精「……」

猫耳の褐色少女「あっ……ご、ごめんなさい。お客様に、するお話じゃありませんでしたね……。今のは、忘れてください……」

妖精「いや……聞いたのは私だもん、答えてくれてありがとう……。えっと、そのスピーゲル族に反対する派閥とかはないの……?」

猫耳の褐色少女「えと……ホトルス族っていう……部族っていうよりは、いろんな魔族の寄り合い所帯みたいな派閥があって……そこの人たちは、反対してます……。でも……議会じゃ、かなり弱い方だから……」

妖精「なるほど……。あんまり期待できないってわけか……」

猫耳の褐色少女「で、でも……良い人たちなんです……! わたしたち姉妹のことも気にかけてくれて……。わたしが一人でこの宿を切り盛りできてるのも、族長のリアンノンさんが時々見に来てくれてるからなんです……!」

妖精「そ、そうなんだ……」

猫耳の褐色少女「はい……。いろいろ、良くなると良いんですけど……」

クロシュ「……」


妖精(こりゃだいぶ深刻だね……。どんなに人が良くても、数と説得力がなきゃ議会じゃ勝てないだろうし……)

クロシュ(んゅ……)

 ◆

―図書館

 石造りの本棚「」
 石造りの本棚「」
 石造りの本棚「」

イリス「おお……! 本棚まで石造り!」

ミスティ「すごいわね……。匠の技を感じるわ……」

イリス「よおし、元気があるうちにいろいろ見ていこう!」

ミスティ「閉館まで時間があまりないから、ゆっくりとは見てられないけどね……」

イリス「そ、そうだね……。でもこのあり余る力を少しでも生かさなきゃ!」


↓1コンマ(まだ残るカニパワー+20)
01-30 流石に時間が足りなかった
31-60 石魔法の魔導書
61-90 テラヌス・ウルスの神話
91-95 星の魔力 中巻
96-00 正の属性と負の属性

 ☆00クリティカル!


ミスティ「さて……時間もないし今日はさっと見て回る程度に――」スタスタ

 魔導書「正の属性と負の属性」ゴゴゴゴゴ…

ミスティ「な、何……あの本……! 目が離せない……! 氷属性とはどこにも書いてないのに……!!」ススッ

 *

イリス「この短時間で何か良い本を見つけられないかなあ……ん?」スタスタ

 魔導書「星の魔力 中」ゴゴゴゴゴ…

イリス「こっ、この本は……ッ!!! この本はッ!!!!」ババッ

 *

司書「貸出期間は一ヶ月ですので、ちゃんと返しに来てくださいね」

イリス「はい!」

ミスティ「わかったわ……」



イリス「ふふ〜♪」

ミスティ「上機嫌ね……。何か良い本を見つけられたの?」

イリス「これ!」スッ

 魔導書「星の魔力 中」ポン

ミスティ「これ……! 例の本の中巻!」

イリス「うん! いやあついに見つけちゃったよ〜」

ミスティ「ふふ、良かったわね……」

イリス「ミスティはどんな本を借りたの?」

ミスティ「私は……これよ」スッ

 魔導書「正の属性と負の属性」ポン

イリス「正の属性と、負の属性……? どういう意味だろ……」

ミスティ「わからない……。でも、どうしてかものすごく興味を惹かれたのよね……」

イリス「私もちょっと気になる! ミスティが読み終わったら私も読んでいい?」

ミスティ「ええ、もちろん……。一体どういう意味なのかしら……」

 ☆魔導書「正の属性と負の属性」と、魔導書「星の魔力 中」を借りました

 ◆

―テラヌス・ウルス 滞在2日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘        精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝      精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石       精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片        フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着    メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水    溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石         暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[3/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・魔法の練習[1/4](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―朝
 月明かりのオアシス 客室

 チュンチュン

イリス「今日から本格的に世界樹の光探しだね」

ミスティ「ええ……。トコナツ島は火山っていう、ある意味わかりやすいところだったけれど……。ここは一体どこに落ちたのかしら……」

妖精「聞き込みでもしてみないとわかんないね……」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

イリス「ん……? クロシュちゃん、ちょっと元気ない……?」

妖精「あ、うん……。昨日、ここの噴水広場にいたスライムを最近見なくなったって話を聞いて、ちょっと落ち込んでるみたい……」

ミスティ「……この干ばつで噴水も枯れていたし、スライムも水を失えば生きられないのよね……」

スライムクロシュ「……」モニョ…

妖精「……干ばつか……」

イリス「……?」

妖精「……いや、考えても仕方ない。今は世界樹の光探しに集中しないとね」


テラヌス・ウルス滞在2日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―月明かりのオアシス ロビー

妖精「よし、みんな集まったね。とりあえず今日はみんなで聞き込みを――」


 ワァァァ!! キャアアアア!!! タスケテクダサイ!! タスケテクダサイ!!!!


猫耳の褐色少女「!?」ビクッ

エバンス「何だ!?」

ローガン「外で何かが起こっているのか!?」

イリス「外に出てみます!」ダッ

ミスティ「……あなたはここに隠れていなさい。いいわね?」ダッ

猫耳の褐色少女「は、はいっ……!」

 *

 パヒュンッ パヒュンッ

光速移動するミイラ「」パヒュンッ
光速移動するミイラ「」パヒュンッ
光速移動するミイラ「」パヒュンッ

 ドガッ ガガッ

ターバンの男「ぐああああああ!!」ドガッ

フェイスベールの女性「きゃあああああ!!」ドガッ


クロシュ「!!」

ローガン「な、なんだ……こいつらは!?」

エバンス「瞬間移動するミイラ、だと……!!?」

妖精「あ、あれは……光の速さで動いてるんだ! 時々セインがやってた動きと同じの!」

イリス「ええっ!? み、ミイラたちがセインくんと同じ動きを!?」

ミスティ「嘘でしょ……!?」


 チリッ

炎クロシュ「……」チリチリ―

エバンス「クロシュちゃん! ああ……光速だからって尻込んでるわけにゃいかねえよな!!」ジャッ

ローガン「うむ……! このままでは街が甚大な被害を受ける! 奴らを倒すぞ!」ザッ

イリス「……そうですね! 光の速さで動くからって、セインくんよりずっと単調でわかりやすいもん!」

ミスティ「街を……守るわよ!」

妖精「……! こっちに集まってきた……! みんな、気をつけて!!」


光速移動するミイラ「」パヒュンッ
光速移動するミイラ「」パヒュンッ
光速移動するミイラ「」パヒュンッ
光速移動するミイラ「」パヒュンッ
光速移動するミイラ「」パヒュンッ
光速移動するミイラ「」パヒュンッ


 ――戦闘開始 光のミイラ――


↓1コンマ
01-60 劣勢
61-90 優勢
91-00 会心

炎メイド剣士クロシュ「」シュバッ
 赤熱メイドブレード「」シュヴォンッ!!

 ズバアッ!!

光のミ/イラ「キェアアアアア!!!」メラメラメラ


イリス「見た目通り火に弱い! それなら――炎の剣よ!!」カッ

 炎の鋼の剣「」ゴウッ!
ローガン「おお! ありがたい!」シュバッ

 炎の魔銀の剣「」ゴウッ!
エバンス「助かる! いくぜ!」シュバッ


ミスティ「凍れ!」コォォ―

瞬間冷凍された光のミイラ「!!」ガギンッ!!

ミスティ「凍ってしまえば得意の光速移動もできないでしょう! 今よ!」

エバンス「おう! 氷ごと、焼き切る!」ダンッ

 ズバアッ!!

光の/ミイラ「キェアアアア!!!」メラメラメラ

妖精「エバンス後ろ!」

ローガン「任せろ!」シュバッ

 ズバァッ!!

光のミイ/ラ「キェアアアアア!!!」メラメラメラ

エバンス「すまん、助かった!」

ローガン「妖精くんのお陰だ!」


光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ


エバンス「だが……ちくしょう、数が多すぎる! キリがねえぞ!!」

ローガン「光速移動もセインくんの技を見慣れている我々にはそれほど脅威ではないが、この数の方が厄介だ!」

妖精「くそぉ、このままじゃジリ貧だ……! 何か策は――」


 闇球「」ヴォンッ!!

光のミイラたち「キェアアアアアア!!!」バタバタ ドサッ


イリス「い、今の闇魔法は……!?」

ヨードリー「怪我をしている者は急いで病院へ運べ! 戦える者は奴らを迎撃せよ!」バンッ!!

テラヌス兵士たち「はっ!!」ザザッ


エバンス「あんたは……! 議員って聞いてたが――」

ヨードリー「昨日の旅人! 戦ってくれているのか、すまない! 共に迎撃するぞ!」ジャキッ

エバンス「お、おう!」ジャキンッ



テラヌス兵士たち「うおおおお!! 民と街を守れ!!」ガギンッガギンッ

光のミイラたち「キェアアアアア!!!」パヒュンパヒュンッ



イリス「すごい気迫……! これが、テラヌス・ウルスの兵士たち!!」

ローガン「屈強な兵士たちがいるのは知っていたが、これほどまでとは!!」

ミスティ「私たちも負けてられないわよ!」

妖精「戦場の状況把握は任せて! 何かあれば指示を出すよ!」

炎メイド剣士クロシュ「うん!」


↓1コンマ
01-40 劣勢
41-90 優勢
91-00 会心

はい

炎メイド剣士クロシュ「」シュバッ

 ズバッズバァッ!!

光のミイラたち「キェアアアア!!!」メラメラ バタバタ

炎メイド剣士クロシュ「」クルクルッ

 ズバァッ!!

光のミイラたち「キェアアアアア!!!!」メラメラ バタバタ


妖精「クロシュ、前に出過ぎだよ! もっと下がって!!」


炎メイド剣士クロシュ「!」

 パヒュンパヒュンッ

クロシュを囲む光のミイラたち「キェアアアアア!!!!!」


妖精「あああ!! ばか!! だ、誰かクロシュを助け――」


 ドガァンッ!!!

吹っ飛ぶ光のミイラたち「キェアアアアア!!!!」ヒュウウウン―

炎メイド剣士クロシュ「わ……!」

緑色の大きなトカゲ「……大丈夫?」ヌッ

炎メイド剣士クロシュ「うん!」

金刺繍ターバンの老人「一人で出過ぎるのは危険じゃ。わしらが共に戦おう――」スッ
 金細工の双剣「」キラン

炎メイド剣士クロシュ「! うん!!」



妖精「あ、あの大きなトカゲと、老人は――?」


↓1コンマ
01-20 劣勢
21-00 勝利

緑色の大きなトカゲ「それっ!」
 尻尾「」ブオンッ!!

 ドガッ!!

吹っ飛ぶ光のミイラたち「キェアアアアア!!!」ヒュウウン


金刺繍ターバンの老人「まさかこの歳になって、これほどの大軍を相手取ることになろうとは!」シュバッ

 ズババババッ!!!

光/の/ミ/イ/ラ/た/ち「キェ ア …」バタバタバタ


妖精「つ、強い……! あのトカゲと老人、一体何者……!?」


 ドズン…!! ドズウン…!!!


エバンス「何の音だ!?」

ヨードリー「あれは……!!」


光の巨大ミイラ「ギェ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!」ドズン ドズン


ローガン「でかい……!」

ミスティ「親分のお出ましってわけね……」

イリス「でも大きいからって、やることは変わんないよね!」コオオオ―

炎メイド剣士クロシュ「うん!」シャキン!


↓1コンマ
01-10 ??
11-00 勝利

テラヌス兵たち「うおおおお!!」バババッ

 ドスドスドスッ!!

光の巨大ミイラ「ギェ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!」ドズン ドズン

エバンス「うおおおお!」シュバッ

ローガン「左右から――斬り貫く!」シュバッ

 ズバズバアッ!!

光の巨大ミイラ「ギェ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!」ドズン ドズン


妖精「だめだ……! 全然効いてない!」

ミスティ「私の氷も、奴を足止めできてないわ……!」

イリス「! クロシュちゃん――フメイちゃんの魔法は使える!?」

炎メイド剣士クロシュ「――うん!」

イリス「それじゃあ、一緒にやろう! あいつを焼き尽くすフメイちゃんの炎を――」

炎メイド剣士クロシュ「!」

 モニョモニョポン!!

炎魔女クロシュ「うん!」
 竜珠の杖「」ジャキンッ!



ヨードリー「!? あの剣士の少女……今どうやって魔女の姿に!? それにあの杖もどこから――」

緑色の大きなトカゲ「まさか、あの子……!」

金刺繍ターバンの老人「……」



イリス「それじゃあ一緒にいくよ!」チリチリッ

炎魔女クロシュ「うん!」

イリス&クロシュ「ほのお!!」

 カッ―
 ドガァァァァアン!!!!!

光の巨大ミイラ「」プスプス…

 グラッ… ドズゥゥゥン……


テラヌス兵士たち「――うおおおおおお!!!!」

 ワーワー!!! タオシタ!!! ホノオ!! ホノオ!!

 ――戦闘終了――

 ◆

―テラヌス・ウルス宮殿

ヨードリー「此度は、街の防衛に助力して頂きまことに感謝する。旅の者たちよ」

ローガン「……我々は、我々自身の身を守ったに過ぎませぬ。しかしもしそれが貴国の街を守ることに繋がったのであれば、幸いに思います」ペコリ

ヨードリー「そう謙遜するでない。貴殿らが街を守るために飛び出したという証言は既に得ている。貴殿らの宿泊している宿の従業員からな」

ミスティ「!」

ヨードリー「その働きに応じてこちらも報奨を出さねばならぬ……と言いたいところなのだが――」

エバンス「……?」

ヨードリー「……この街に来た貴殿らは既に見ていると思うが、我々には全く余裕がない……。街の防衛に尽力してくれた兵士たちにも、満足な食事さえ与えられておらぬ……。ゆえに……大した報奨を出すことができぬのだ……。恥の極みであることは承知だが……すまぬ……」ペコリ

妖精「こ、こらこら! 一国の一番偉いやつが旅人なんかにほいほい頭を下げるんじゃないよ! 出せないなら出せないでいいからもっと堂々としろ!」パタパタ

ヨードリー「そなたは……妖精か……」

妖精「ほんとは隠れてるつもりだったんだけど、戦いの最中でパタパタ飛び回っちゃったからね……」

ヨードリー「なるほど……。余裕のなさだけでなく、この国の現在の情勢も解しているということか」

妖精「まあね……。国の方針に口出しする気はないけど……。あの大きなトカゲとかも頑張ってたんだし……もうちょっと、人間以外も大事にしてやってくれると嬉しいかな……」

ヨードリー「……わかってはいるのだ。しかし民意というものは、議会の決定で変えることはできぬ……」

妖精「まあ……そりゃそう……」

ヨードリー「だが街の防衛に尽力してくれた英雄の助言だ。真摯に受け止めさせていただく――」

妖精「……そうだ、報奨はいらないから一つ聞きたいことがあるんだけど」

ヨードリー「答えよう。よほどの機密でもなければ話そうぞ」

妖精「あのミイラの魔物……。あれ、どこから来たか心当たりはある?」

ヨードリー「!」

妖精「私たち、今この地に強烈な光をもたらしている原因の……世界樹の光ってやつを探しに来たんだけど、あのミイラたちが帯びていた光の力は間違いなく世界樹の光由来のものだった。奴らの根っこを辿れば、見つけられる気がするんだよね」

ヨードリー「いや……わからぬ。すまぬ」

妖精「そっか……。わかったよ、ありがとう」

ヨードリー「すまぬな。この国が平常を取り戻した時にまた訪れてくれ。その時は我らが誠心誠意、此度の礼としてもてなさせて頂く」

妖精「だからいいってば。そのモテナシは民に分けてやりな」

 ◇

―テラヌス・ウルス首都
 大通り

イリス「ん〜、良いことすると気持ちいいね」

クロシュ「うん!」

エバンス「おう! 礼をもらう為にがんばったわけじゃねえしな!」

ミスティ「でも、結局手がかりは掴めなかったわね……」

ローガン「ふむ……。妖精くんは、どう思う?」

妖精「さあ……。心当たりが全くないわけじゃないみたいだったけど……」

ローガン「やはり妖精くんもそう感じたか。彼女、尊大に振る舞おうと努めているようだが、まだ首長に就任して日が浅いようだ。根は非常に真面目なのだろう」

妖精「だろうね。旅人にほいほい頭を下げようとしちゃうくらいだもん」

ローガン「うむ……。そして、旅人に頭を下げるほどの彼女が答えなかった理由は……何だと考える?」

妖精「――それこそ〝よほどの機密〟だったとか?」

ローガン「やはりそうなるか……。いろいろ調べる必要があるな」

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は人助けしよう編、聞き込みしよう編となります

いろいろありましたが、ついにテラヌス・ウルス入りを果たして光探しを始めるクロシュ一行です。しかしテラヌス・ウルス国内はやはり干ばつの影響もあって疲弊しており、人と魔族の関係にも浅くない溝が入っているようです。果たしてクロシュは、この街の魔族たちを救うことができるのか――。それとも、今は世界樹の光を最優先に動くのか――。クロシュちゃんの今後の選択にご期待くださいませ

それでは本日もありがとうございました。次回ですが、日曜がまた少し怪しいため、代わりに平日のどこかで更新するかもしれません。その時は前日くらいにお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします

テラヌス・ウルスは武を重んじる国でもあるため、上に立つ者は戦闘力が高い場合が多いようです。もちろん、腕っぷしの強さだけでのし上がれる単純な世界でもありません。それぞれ、戦い以外にも何らかの秀でた力を持っていると考えられます
魔族国が王国領魔族自治区だった頃は、完全に人間が魔族を支配し虐げていた状況だったため、今のテラヌス・ウルスはそれよりはまだマシと言えるかもしれません。まだ決定的に魔族を排斥する政策は可決されていないようです。しかしそれも時間の問題かもしれません

光のミイラは大きな脅威ですが、実のところ光速移動は連続で使用できず、そして光速移動していない時は動きが非常に遅いため、付け入る隙はかなりあるようです。ちなみに光速移動中は体が光子化して質量もゼロになるため、光速移動と攻撃を同時に行うことはできないようです
もし仮に今回の戦にフメイ氏が参戦していた場合、巨大ミイラを含めた全てのミイラを簡単に焼き払うことができたかもしれません。しかしそうなった場合、予後にどのような影響があるかは未知数です

猫耳の褐色少女さんが猫人のおじさんと知り合いであるかどうかはわかりませんが、種族は同じであるようです
そしてご推察の通り、猫人のおじさんの出身地は実はテラヌス・ウルスです。彼のレイピア術と砂魔法はテラヌス・ウルスで磨いた技であると考えられます
テラヌス砂漠には古くから猫人が住んでおり、一部の少数部族は猫人を神の使いと崇めていました。一方で猫人たちは大きなコミュニティを作らず、単独または小規模な家族単位で生活を営む場合がほとんどだったため、テラヌス・ウルスが発足するまで他の種族と直接的な関わりを持つことは多くなかったようです
しかしテラヌス・ウルス発足後は、その庇護下に入って豊かな暮らしを得ようと従来の生活を捨てる猫人たちが徐々に現れ始めました。彼らは他の種族や従来の生活を維持する猫人たちから、やや侮蔑的な意を込めて〝イエネコ〟と呼ばれたりもしました
猫耳の褐色少女さんや猫人のおじさんは、イエネコと嘲られながらもテラヌス・ウルスに移り住むことを選択した猫人族の末裔であると考えられます



そして日曜はやはり更新できない可能性が高いため、代わりに明日の夜くらいに少し更新しようと思います。よろしくお願いいたします

現在のテラヌス・ウルスにおける猫人族は、特別崇められているわけでもなければ蔑まれているわけでもない、数いる非人間種族のうちの一つといった立場に落ち着いています

メルル氏が今現在どこにいるかはわかりませんが、機会があればまた会うこともあるかと思います。彼女は武闘派ではありませんが、もし協力することができればその迷彩能力で活躍してくれるかもしれません

テラヌス・ウルスでは風俗業が盛んらしく、堂々と表通りの方で営業や客引きが行われたりしています
しかし厳しい干ばつが続き水と食料が不足している現在は、営業を縮小または停止している店も多く、かつての華やかさは失われているようです
テラヌス兵たちは士気が高いですが、栄養は不足しているため、訓練は控えめになっているようです。そのため練兵場が空いていることも多く、ある程度は旅人も自由に使えるようです
元々の干ばつがどのような原因で引き起こったものなのかは不明ですが、現在の干ばつは世界樹の光によって引き起こされた光量の過剰増加によるものだと考えられます。元々干ばつだったため、世界樹の光を回収してもすぐに水が豊富になる可能性は低いかもしれません

―テラヌス・ウルス市街

ミスティ「数週間前の夜……夜空を光が飛んだりしたのを見なかったかしら……?」

ターバンの男性「そういえば不思議な光が飛んだ日があったな。あれは……いつだったか」

イリス「本当ですか!?」

エバンス「どっちの方角に飛んでいったとかはわかるか?」

ターバンの男性「さあ……そこまでは覚えていないな。すまんね」

ミスティ「いえ、十分よ……。ありがとう……」

イリス「ありがとうございます! 私、水魔法が使えるので、良かったらお水をどうぞ!」

ターバンの男性「ええ、水魔法を!? 少し待ってくれ、今壺を持ってくる!」ドタドタ

 *

↓1コンマ 聞き込みの成果
01-50 光が飛んだことだけ
51-90 光が飛んでいった方角
91-00 光が落ちた場所

フェイスベールの女性「そういえば、綺麗な明るい光が夜空を飛んだのを見ました」

クロシュ「!」

ローガン「それがどこへ向かったかわかるだろうか?」

フェイスベールの女性「……多分、西の方でしょうか……? すみません、しっかり見届けたわけではないので……」

クロシュ「西のほう……」

ローガン「ありがたい、助かる……!」

フェイスベールの女性「いえ……街の防衛に協力してくださった旅人の皆さんに、少しでもお返しできればと……」

 ☆世界樹の光がテラヌス・ウルスより西の方角に向かったことがわかりました

 *

クロシュ「ありがと……。えと……他に、何か……困ってることとか、ない……?」

フェイスベールの女性「困っていること……」

ローガン「うむ。我々の質問に答えてくれたお礼だ。あまりに無茶なことはできんが、可能なことであれば是非手伝わせてほしい」

フェイスベールの女性「そういえば……昨日から、街の子供たちが何人か行方不明になっているらしく……。兵士や自警団の方々が捜索を行っているそうなのですが……」

ローガン「未だ見つかっていない、ということか」

フェイスベールの女性「はい……。魔族の方々が誘拐したとの噂もあり……」

クロシュ「……」

ローガン「わかった。我々も捜索を手伝おう」

 *

エバンス「子供が行方不明?」

ローガン「ああ。しかも、魔族が誘拐したという噂も立ち始めているらしい」

妖精「真相が何であれ、放っておくとこの国における魔族の立場はさらに危ういものになる……。流石に看過できないよ」

ミスティ「でも……もし本当に魔族のせいだったら……?」

妖精「……その時は、しっかりその魔族に罪を償ってもらう他ない。魔族全体の連帯責任なんてことにされても困るからね」

イリス「ま、まあまあ! 誰かが悪いって決まったわけじゃないだし、今からそんな話しても仕方ないよ! 今は子供たちがどこに消えたのか考えないと!」

エバンス「そうだな……。しかし俺たちはこの街に詳しいわけじゃないし、いそうな場所はもう兵士や自警団が粗方探したんじゃないか?」

ローガン「だろうな。考えられるのは、何者かが何らかの意図を持って子供たちを略取して見つからない場所に隠したか――」

ミスティ「――街の外?」

ローガン「うむ。覚えているだろうか? 昨日、我々がテラヌス・ウルスの市内に足を踏み入れた時に聞こえた子供たちの会話を」

イリス「! そういえば、砂漠に出てミミズを捕まえるとか何とか――」

エバンス「ってことか、ミミズを捕まえに砂漠に出て遭難したってことか!」

ローガン「確実にそうとは言い切れないが、可能性はある」

イリス「それじゃあ、私たちは砂漠を捜しましょう!」

ミスティ「ええ、そうね……。街中は兵士や自警団の人たちで十分でしょうし、私たちは私たちの得意な場所に行くべきね……」

エバンス「よし、じゃあ早速向かおう! まだ1日しか経っていないとはいえ、子供の体力であの砂漠を彷徨うのはまずい!」

 *

―テラヌス砂漠 持久力[10/10]


 ヒュオオオオ――…


 強化ソリ「」シャーッ


ローガン「もし昨日街を抜け出したのなら、それほど遠くには行っていないはずだ。街の周辺を重点的に探そう」

妖精「私も精霊たちに聞いてみるよ。もしかしたら見かけた奴がいるかもしれないし」

イリス「……無事でいてくれれば良いけど……」

ミスティ「発見が遅れれば無事では済まないわ……。急ぎましょう……」


↓1コンマ
01-25 オアシス?
26-50 巨大なカラス?
51-75 巨大な流砂?
76-00 砂漠の猫人族

―テラヌス砂漠
 大きな岩陰


 天幕「」


イリス「あっ! あの岩陰にテントがあるよ!」

ミスティ「近付いてみましょう……」


 強化ソリ「」スイー… キキッ


 天幕「」


ローガン「なかなか年季の入ったテントだな……」

エバンス「賊とかじゃなけりゃいいが……」

 バサッ!

猫人の女「誰?」シャキン

エバンス「おっと! ただの旅人だよ」

ミスティ「突然ごめんなさい。行方不明の子供たちを捜しているの。あなた、何か知らない……?」

猫人の女「行方不明の子供……。おい、お前たちのことだろ」


子供A「うぇ!?」

子供B「さ、捜しに来てくれたんですか……?」

子供C「うぐぅ……ひっぐ……!」


クロシュ「!」

妖精(昨日見かけた、腹を空かせていた子供たちだね……)

イリス「良かった! 無事だったんだね!」

ローガン「彼らを保護してくれていたのか。感謝する」

猫人の女「おっと。確かに保護してやったけど、タダなんて言った覚えはないよ? 砂漠で化け烏に襲われてたこいつらを助けた上にメシまで食わせてやったんだ、見返りくらいないと割に合わない」

エバンス「む……まあ、それはそうか……」

ローガン「いくら欲しいのだ?」

猫人の女「どうせなら旨いもんが良いね。金なんて貰っても街に行かなきゃ使い道がない」

イリス「うまいもの……」

ミスティ「どうするの……?」

猫人の女「まあ他に何もないってんなら金でもいいけど」


↓1〜3選択
1.ここで料理を作る
2.お金を払う
3.その他(自由安価)

イリス「――じゃあ、ここで料理を作って差し上げます!」バッ

クロシュ「!」

猫人の女「へ? いや、干し肉とかでいいんだけど……」

イリス「せっかく調理器具も持って来てますから、遠慮せず!」

エバンス「よし、じゃあ俺たちは食材を探して来るぜ!」タッ

ローガン「準備は頼んだぞ!」タッ

ミスティ「ええと……まあ、私も手伝うわ……」

猫人の女「まあ、なんでもいいけど……」


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:サバクイナゴ、オオキイスナミミズ
野菜:枯れ草、乾燥植物、ウチワサボテン、テラヌスアロエ
穀物:カチカチパン、ナッツ、船旅ビスケット
果実:精霊サボテンの実
卵乳:スナニワトリの卵、カビチーズ
特殊:スライムゼラチン、マジカルブラッドワイン、精霊樹の実のジャム、お宿の焼き菓子

エバンス「オオキイスナミミズを捕まえてきたぜ!」

 オオキイスナミミズ「」ウネウネ

ローガン「私はウチワサボテンの葉を採取してきたぞ」

 ウチワサボテンの葉「」ピョコン

クロシュ「えと……こんなの、見つけた……」

 精霊サボテンの実「」キラキラ

猫人の女「へえ、やるじゃん。じゃああたしの飼ってるこいつの卵も使いな」

スナニワトリ「コッコッコ……」

 スナニワトリの卵「」ポン

イリス「わあ……! 皆さん、ありがとうございます!」

ミスティ「これだけあればいいものが作れそうね」

 *

 砂漠オムレツ「」ポン!

 剥き精霊サボテンの実「」ポン!


クロシュ「わあ……!」

子供たち「わああ……!」

猫人の女「これは?」

イリス「スナミミズとウチワサボテンを薄切りにして炒めて、それを卵で包みこみました! 題して、砂漠オムレツです!」

エバンス「精霊サボテンの実は、下手に一緒にするよりは単品で味わった方が美味いからそのまま剥いてデザートにしたぜ!」

猫人の女「味の方を確かめても良いかい?」

イリス「もちろん! どうぞどうぞ!」

クロシュ「……」

エバンス「クロシュちゃんもいいぞ!」

クロシュ「!」

ミスティ「あなたたちもいいわよ」

子供たち「い、いただきます!」

 モグモグ…

猫人の女「!! こ、これは……旨い!」

スライムクロシュ「〜♪」モニョモニョ モグモグ

子供A「なんだこれえ……!」モグモグ

子供B「う、うますぎる!」モグモグ

子供C「はむっ、はぐはぐっ!」モグモグ

猫人の女「街の方じゃこんな調理方法があるのか……。ちょっと悔しいな……」

スライムクロシュ「〜♪」モニョモニョ シャクシャク

 ☆砂漠オムレツと剥き精霊サボテンの実を食べて元気になりました

 *

猫人の女「ふう、食った食った。たまには街の料理を食うってのも悪くないね」

イリス「調理器具があればここでも作れますよ! ていうか実際ここで作りましたし!」

ローガン「子供たちは開放してもらえるってことでいいか?」

猫人の女「ああ、好きにしな」

エバンス「だそうだ。良かったなお前たち、帰れるぞ」

子供A「あ、うん……」

子供B「はい……」

子供C「……」

ミスティ「……? 浮かない顔ね……」

子供B「……帰ったら、もうこんな美味しいものは食えないのかなあって……」

子供C「……猫人のねーちゃんがくれた干し肉も……美味かったし……」

エバンス「あー……」

ローガン「……」スッ

猫人の女「……」スッ

ローガン「!」

猫人の女「あたしに任せな」スタスタ

ローガン「……」

 バシンッ バシンッ

子供B「ぎゃっ!」
子供C「いでっ!」

猫人の女「お前たち、甘えてんじゃないよ。あたしがお前たちを助けたのはオムレツを食うためだ。お前たちを食わせてやるためじゃない。そんなことしてもあたしにゃ何の得もないんだよ」

子供B「うっ……」
子供C「……」
子供A「」オロオロ

猫人の女「身の程を理解したらとっとと街に帰るんだね。たとえ干ばつで苦しかろうと、あそこならお前たちを襲う鳥も獣もいない。多少はメシも出るんだろ?」

子供C「うん……」

猫人の女「もう愚かな真似するんじゃないよ。もしまたお前たちが街の外をうろついていたら、今度はあたしがお前たちをオムレツの具にしてやる。わかったか?」

子供B「わ、わかりました」

 ◇

 強化ソリ「」シャーッ―


子供たち「……」


イリス「最初はちょっとびっくりしましたけど、けっこう良い人でしたね」

ローガン「うむ。野にいる猫人族は強く誇り高き者が多いと聞く」

エバンス「まあ……この砂漠で、街に入らずに生きていくのは生半可な強さや覚悟じゃ無理だろうからな。納得だ」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

ミスティ「……クロシュ……今さらだけど、あなた……その姿は、ちょっとまずいんじゃないかしら……」

スライムクロシュ「!!」モニャッ!!

妖精「私は戦いの時に散々みられてるからいいとして……。あー……少年たち? この子の姿についてなんだけど……」

子供A「あ、ええと……」

子供B「だ、大丈夫です。言いふらしたりとかしません」

子供C「お、おー!」

妖精「そう? そうしてくれると助かるけど」


子供A「あの……魔族とか、人間じゃない人って……別に、悪い人じゃないの?」

妖精「!」

イリス「うん! そうだよ……! このクロシュちゃんだって、私たちと一緒にあなたたちを探そうとがんばってくれたんだよ。街の人たちに頼まれてさ」

子供B「えっ……!」

ミスティ「まあ、街の人たちにもスライムであることは隠してるけどね……。でも、人も魔族も同じなのよ。泣いたり、笑ったり、美味しいものを食べて嬉しくなったり……」

子供C「まじか……」

エバンス「おう。あの猫人のねーちゃんだって、お前たちを殴りはしたが……あれも優しさだってことくらい、もうわかるだろ? お前たちくらいの歳なら」

子供B「はい……」

子供C「干し肉、めっちゃうまかった!」

子供A「うん……!」

妖精「……魔族を好きになれとは言わないよ。今のテラヌス・ウルスで魔族に肩入れすれば、一緒に仲間外れにされる恐れもあるしね。でも……もし人間以外の種族の人たちを誤解してたと思うなら、いじめたり、石を投げたりとかはしないであげて欲しい。仲間外れにされる側は、ものすごくつらいから」

クロシュ「えと……。スライムたちのことも……いじめないで、あげてね……」

子供A「うん……!」

子供B「わかりました……!」

子供C「めっちゃわかった!」

 ◆

―テラヌス・ウルス市街


 強化ソリ「」キキッ


市民の女性「あ、ああ……! 無事に帰ってきて……!」

子供A「ただいま……」

市民の男性「どこに行ってたんだ! 心配したんだぞ……!」

子供B「ごめんなさい……。えっと……良い人たちに、助けてもらって……」

子供C「猫のねーちゃんすっげー良い人だったぞ!」

 ◆

―夜
 月明かりのオアシス

エバンス「ふう……一件落着だな!」

ミスティ「ええ。あっさり見つけられたし、怪我もなかったし」

イリス「あの子たちがしてた魔族への誤解も解けたしね!」

ローガン「うむ。今回は本当に良かったと思う。この調子でいきたいものだ」

妖精「この国の人々の認識も、少しでも変わっていってくれたら良いんだけどなあ」

クロシュ「うん……」

 ☆子供たちを発見し、無事に送り届けることができました
 ☆テラヌス・ウルスの人々の魔族認識が少し良くなりました
 ☆テラヌス・ウルスにおけるクロシュ一行の名声が上がりました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回はテラヌス・ウルス滞在3日目からとなります

無事に子供を送り届け、魔族の認識を改善しつつ自分たちの名声も獲得していくクロシュ一行の一日でした。世界樹の光の行方は未だ掴めていませんが、慌てず堅実に近付いていきたいところであります。

それでは本日もありがとうございました。次回は土曜日の予定です。よろしくお願いいたします

子供たちを全員無事に見つけることができたのは実際とても良いことだったと考えられます。もし一人でも無事でなかったりすれば、とてもかなしいことになっていたかと思います

猫人の女氏は特別良い人というわけではありませんが、言葉の通じる種の子供を見捨てたり食ってしまったりするのはあまり気が進まなかったようです。またクロシュ一行にやったように、後で見返りを要求するために保護したという面もあります。しかしあえて言えば、帰りたがらない子供たちを叱ったのは彼女の善性の発露であったと言えるかもしれません

捜索コンマについてですが、実際のところ砂漠の猫人族以外を引くとまあまあ子供が死ぬ可能性はありました(コンマが低い結果ほど死亡率が上がります)。最も安全でご飯さえ食えれば簡単に開放してくれる猫人族を引けたのは、様々な観点から見て良い結果だったと言えるかもしれません

―テラヌス・ウルス 滞在3日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘        精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝      精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石       精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片        フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着    メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水    溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石         暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[3/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・魔法の練習[1/4](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―朝
 テラヌス・ウルス 市場

 ワイワイ ガヤガヤ

市民の男性A「おい聞いたか? ガキどもが見つかったらしいぞ」

市民の男性B「知ってるよ。旅の一行が街の外で見つけて連れ帰ってきたんだろ?」

市民の男性A「知ってたか。街の外で猫野郎に捕まってたところを助け出してくれたんだってな」

市民の男性B「え? 俺は猫人族に保護されてたって聞いたんだが……」

市民の男性A「はあ? 街の外で暮らしてるような野蛮な猫野郎が人間を保護なんてするわけないだろ……」

市民の男性B「いや、俺は子供たち本人がそう言ってるのを聞いたぞ」

市民の男性A「じゃあ猫野郎が嘘ついたんだろ。本当は食うために捕まえてたとこを、旅人が来たから慌てて保護なんて言い訳しやがったに違いない」

市民の男性B「ええ……」



フードをかぶった猫耳の褐色少女「……」

クロシュ「……」スッ

 おてて「」ギュッ

フードをかぶった猫耳の褐色少女「!」

クロシュ「……いい人……だった……」

フードをかぶった猫耳の褐色少女「うん……。ありがとう……」

 *

―朝
 月明かりのオアシス 客室

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「へえ、あの子と買い出しに行ったらそんなことが……」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

妖精「うん……。問題は根深いみたいだね」

スライムクロシュ「……」モニョ…

妖精「でも片方の人はちゃんと事実を理解できてたんでしょ? それなら全く悪い向きばかりじゃないよ」

スライムクロシュ「!」

妖精「こういうことが少しづつ積み重なっていけば、いつかは……」


テラヌス・ウルス滞在3日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―テラヌス・ウルス 練兵場

ミスティ「凍れ!」カッ

 凍りつく木人「」キンッ!

ヨードリー「おお、素晴らしい氷魔法の冴えだ! ここまでの使い手がこのテラヌス・ウルスにいたかどうか……」

ミスティ「……ミイラ相手じゃ足止めにしか使えなかったけれどね……。あの巨大な奴には足止めすらできなかったし……」

ヨードリー「氷魔法は砂漠に棲む多くの生き物に抜群の効果を発揮するのだが、ミイラとなると確かに少し相手が悪いな……。しかしあの光速移動を封じることができたのなら、実質的に撃破したも同然だろう」

ミスティ「前向きに考えればそうね……。ただ……この瞬間凍結、かなり集中する必要があるから、連続で使うとすごく疲れるのよね……」

エバンス「え、そうだったのか! けっこうバシバシ凍らせてたからかなり手軽で燃費の良い技だと思ってたぞ」

ミスティ「燃費は実際すごく良いわ。氷を成型する必要がない分、魔力配分を冷却に特化できるもの。だからこの問題は、単に私がまだ慣れてないだけってことだと思う……」

エバンス「そ、そうなのか……。魔法ってのも難しいんだな……」

ミスティ「前衛を務めるあなたたちに比べれば気楽なものよ……」

エバンス「そうか? 魔法が苦手な俺からすれば前衛で体を張る方が難しくないぜ」

ヨードリー「前衛には前衛の、後衛には後衛の難しさがある。それは比べるものではない」

ミスティ「それはまあ、そうね……」

エバンス「そうだな……。ところでヨードリー首長、もし良かったらもう一度俺と打ち合ってくれないか? 今度は模擬戦ってわけではなく、俺の動きを見て欲しいというか……」

ヨードリー「稽古を付けて欲しいということか? もちろん構わないが」

ミスティ「……そうだ。それなら、エバンスとの稽古に魔法も織り交ぜてみてくれる? あの時の闇魔法、見事だった。属性は異なるけれど魔力の動かし方を参考にしてみたいのよ」

ヨードリー「良いだろう。学べる部分があれば遠慮なく学んでいってくれ」


↓1コンマ エバンスの剣の修行
01-65 剣技経験[1/8]
66-95 剣技経験[2/8]
96-00 剣技レベル+1


↓2コンマ ミスティの魔法練習
01-65 魔法経験[1/6]
66-95 魔法経験[2/6]
96-00 魔法レベル+1

 キンッ ガキンッ

ヨードリー「はっ!」シャッ

エバンス「せやっ!」ギンッ

ヨードリー「甘い!」バッ

 闇球「」ヴォンッ!

エバンス「うおっ!」サッ


ミスティ「ふむふむ……」

 *

ヨードリー「ふむ……。剣技だけで見れば君と私はそれほど大きな差があるわけでないな。私の方が魔法に習熟している分、戦闘中にできることが多いというだけだ」

エバンス「ああ……。だがそのできることの多さが、俺とあんたの決定的な実力差だ」

ヨードリー「そうだな。風魔法が使える私の方が動きも速いし、闇魔法で防御が困難な不意打ちを繰り出すこともできる。君も地属性魔法を使って地面を隆起させたり、土塊を飛ばしたりといったことはできるようだが……」

エバンス「わかってるさ。あんたと比べれば練度が足りなすぎる。せいぜい一度だけ意表を突くくらいしかできん」

ヨードリー「そこまでわかっているなら大丈夫だろう。今後も励むが良い」

エバンス「おう!」


ヨードリー「そしてミスティは……」

ミスティ「ええ、ありがとう……。学ぶべきことは多かったわ」

ヨードリー「そうか。魔法は属性が異なれば教えられることも限られる……。是非今後も努力を続けてくれ」

ミスティ「ええ、もちろんよ……」

 ☆エバンスの剣技経験が[1/8]になりました
 ☆ミスティの魔法経験が[1/6]になりました

 ◆

―月明かりのオアシス 客室

ローガン「さて、エバンスくんとミスティくんは訓練に行ってしまったが、今日はどうする?」

妖精「そうだねえ……。光の落ちた先を調べたいとこだけど、どう探るか……」

 扉「」コンコン

クロシュ「!」

イリス「は〜い!」トタトタ

 ガチャッ

緑髪三つ編みの少女「こんにちは……。あの、こちらに先日街の防衛に協力してくださった旅人の方が宿泊なさっているとお聞きしたのですが……」

イリス「ええと……」チラッ

妖精「いかにも、私たちがその街の防衛に協力した旅人の一行だよ」

緑髪三つ編みの少女「あなたは……あの時、宙を飛んで各地に指示や補助魔法を飛ばしていた妖精さんですね……!」

妖精「まあ、うん……。あなたは? ちょっと変わった気配がするけど」

緑髪三つ編みの少女「あ、この格好じゃわかりにくいですよね。ちょっと待ってくださいね、皆さんがお目にしたと思われる姿になりますから」

ローガン「ん? それはどういう――」

 ググググ…ポン!!

緑色の大きなトカゲ「」ヌッ

クロシュ「!!」

イリス「わあっ!」

ローガン「な、なんと……!」

妖精「ああーっ! その姿は!!」

緑色の大きなトカゲ→リアンノン「どうも……リアンノン・ルルゥと申します。一応この国の議員で……ホトルス族の首長ってことになってます」

クロシュ「わあ……!」

 *

リアンノン「ふう……。トカゲの姿は大きいし、その、見た目もあれなので……こちらに戻りますね……」スン

クロシュ「……?」

妖精(トカゲの姿があんまり好きじゃないんだ……)

リアンノン「それでは改めまして……先日は、街を守るために戦っていただいてありがとうございました。ホトルス族を代表して、感謝を述べさせていただきます」ペコリ

妖精「あー、いやまあお礼ならもうヨードリー首長からも貰ってるから大丈夫だよ。そこまでペコペコ頭下げなくても」

リアンノン「いえ……! 皆様はさらに、街の外の猫人族の方と交渉して子供たちを連れ帰ってきていただいたりしたそうで……! 魔族の一人としても、お礼をさせていただかなければ気が済みません……!」

イリス「いやいや、人としてすべきことをしただけですよ!」

ローガン「うむ……。この国の現状が厳しいのもわかっている。物質的なお礼は不要だ」

リアンノン「うぅ……なんと謙虚で美しい方々なのでしょう……」

妖精「いや、今のこの国の、ましてや魔族から何かをもらおうだなんて気には到底なれないよ……。どっちかと言えばあなたたちの方がいろいろ欲しい立場でしょうに」

リアンノン「いや、まあ……」

妖精「ちょっとここの猫人の子から聞いたんだけど、あんまり状況は芳しくないらしいね。実際どうなの?」

リアンノン「……仰る通り、状況は良くありません。スピーゲル族の、王国の支援を受けるために異物である魔族を排除しようという動きがじわじわと広まってまして……。私たちホトルス族はもちろん、ホトルスに属していない魔族の方々も、日に日に立場が悪くなりつつあります……」

妖精「何か策はないの?」

リアンノン「もちろん、私たちもただ手をこまねいているわけではありません。先日のミイラの襲撃などでもホトルス族が率先して戦う姿を見せて、この街の役に立つことをアピールしたり……。ただ……」

妖精「ただ……?」

リアンノン「……私たち魔族がいなくなれば……少なくとも人間の国民の方々は、王国の支援でひとまず豊かな暮らしを取り戻せるのではないか……私たちが目の上のたんこぶになってしまっているのではないか……と、そう思ってしまう時もあり……」

妖精「馬鹿な! 人間の国民が助かるために、人間以外の国民は切り捨てるのが良いなんておかしいよ! 例えそれで人間だけが助かったとしても、水と食料の供給を依存すればこの国は王国に逆らえなくなる。その先にあるのは王国による支配と搾取……実質的な植民地化だよ!」

リアンノン「しかし……スピーゲル族首長のラハニ四世は、王国と交渉をする用意があるらしくて……」

妖精「片方が生殺与奪の権を握っている関係で対等な交渉なんて不可能だと思うけど……。うーん……何か秘策でもあるのかな」

リアンノン「……すみません。実質的な魔族の代表である私がこんなんじゃだめですよね……」

イリス「でもリアンノンさんすっごく真面目で頑張ってそうだし、信頼はできそうです!」

リアンノン「あ、ありがとうございます……」

妖精「そうだ。お礼とかはいらないから、ちょっと教えて欲しいことがある。数日前にこの辺りの夜空を光が飛んだりしたのを見なかった? もし見たなら、どっちに向かって飛んだか教えて欲しいんだけど」

リアンノン「夜空を飛ぶ光……」


↓1コンマ
01-60 西の方に飛んでいったと思います
61-90 西には古テラヌス王家の巨大墳墓があるんですけど……
91-00 その巨大墳墓に落ちるのを見ました

リアンノン「数週間前……夜空を彗星のような光が飛んでいくのを見ました。それは西の方へ飛んでいったと思いますが……具体的にどこへ落ちたかはわかりません。申し訳ないです……」

妖精「いやいや、ありがとう! やっぱり西みたいだね」

イリス「西かあ……。とにかく西へ行ってみます……?」

ローガン「それも一つの手か……」

リアンノン「あの……言いづらいのですが、今は西の方へ行くのは少し危険かもしれません」

イリス「え、どうしてですか?」

リアンノン「ええと、今この砂漠では西へ進むに連れて日中の気温が急上昇していくんです……。通常の砂漠用の装備で向かえば、恐らく途中で干からびて死んでしまいます……」

イリス「え、それって……」

ローガン「身に覚えのある展開だな……」

妖精「なるほど……。ますます西に落ちたっていう確信が深まったね。でもどうしようか、これは」

ローガン「レンタルの耐熱鎧は当然返却してしまったしな……いや、そもそも溶岩用の耐熱装備は砂漠では通用しないか」

イリス「多分、周囲が高温になりすぎて鎧の中で蒸し焼きになるとかそういう展開が待ってます……」

妖精「う〜ん……空から降り注ぐ光の対策も必要だね、こりゃ……。伝説の砂漠エイでもいたりしないかな……」

 ☆光が西に落ちたという確信が深まりました
 ☆砂漠の西方面は光が強まっていて通常の装備では生存不可という情報を得ました

 ◆

―テラヌス・ウルス 噴水広場

 枯れた噴水「」カラカラ

クロシュ「……」

イリス「消えたスライムたちかあ……。生きてれば良いんだけど……」

ローガン「大抵のスライムは見た目通り水気や湿気を好む……。ここの水が枯れてしまったのであれば――」

妖精「水のあるところへ移動した……と考えたいところだけど、今のこの街に水のある場所なんて……」


クロシュ「……」ガサゴソ

妖精「何か見つけた?」

クロシュ「下の方から……ちょっとだけ、水の音が聞こえる……」

妖精「え……? あ、本当だ……微かに水の気配がする……」

イリス「……! 私も、微かな水の魔力を感知したよ!」

ローガン「なんと、本当か」

クロシュ「うん……。わたし……噴水の中を通って……地下に降りてみる……」デロデロ

妖精「あ、こら急に溶けるな! ごめん、クロシュ一人じゃ心配だから私も付いてく! ちょっと周りの目を逸らしてて!」ヒュンッ

イリス「ええ!? わ、わかった!」

ローガン「あーっ! あんなところにスカイマグロが!!」

 ザワザワ スカイマグロ!? スカイマグロ!!

 *

―テラヌス・ウルス地下水路

 モニョニョニョニョ――
 スポンッ!

スライムクロシュ「!」モニョッ!

妖精「もう! 急に一人で先走らないで!」ヒュンッ

スライムクロシュ「!」モニョ!

妖精「ある程度の水や空気の通り道があれば私たちも通れるの。知らなかった?」

スライムクロシュ「♪」モニョモニョ

妖精「もう……とりあえず、ここはこの街の地下水路みたいだけど――」

 地下水路「」チョロチョロ

妖精「少しだけ流れてるね。でもこの程度じゃ生きていくには全然足りない……」

スライムクロシュ「〜〜?」モニョニョ?

妖精「スライムの姿も見えないね。もう少しじっくり探した方が良いかも」


↓1コンマ
01-60 さらに下の方からより強い水の気配
61-90 地下への水路
91-00 砂漠スライム長老

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 さらに地下の方「」チャポン チャポン…

妖精「うん。もっと深いところから、強い水の気配を感じる……。でも……」

 地下水路「」チョロチョロ

妖精「どこから落ちてるんだろう? この地下水路、けっこう広いから探すのが大変だなあ……」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョモニョ!

妖精「うん。もしこの下に降りられたら、もしかしたら水不足を解決する手がかりを見つけられるかもしれない。がんばって探してみよう」

 ☆街の地下に水源の気配を感じ取りました

 ◆

―テラヌス・ウルス 滞在4日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘        精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝      精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石       精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片        フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着    メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水    溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石         暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[3/12]
・砂漠の光対策を考える
・テラヌス・ウルス地下の水源を調べる

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・魔法の練習[1/4](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―朝
 月明かりのオアシス 客室

妖精「というわけで、新たに二つの目標ができたよ」ビシッ

 紙「砂漠の光対策」
 紙「地下の水源を調べる」

イリス「光対策と地下の水源かあ……」

ミスティ「地下は……旅人の身分じゃ正規ルートでは行けないわね……」

妖精「うん。だから地下については不正なルートを通れる私とクロシュで調べるしかないね」

スライムクロシュ「!」モニョ!

イリス「じゃあ私たちは光への対策を練るよ!」

ミスティ「光対策……砂漠エイでもいれば良いのだけれど……」

イリス「妖精さんと同じこと言ってる」

ミスティ「え、そうなの」

イリス「いや気持ちはわかるけどね!」

妖精「ついでに砂漠の西を行くにあたって、天候以外ではどんな障害があったりするかも知っておきたいな」

イリス「わかったよ! そっちについても調べてみる!」


テラヌス・ウルス滞在4日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

上の方の安価でもあったように、一つの安価で複数人が何らかの行動をすることも可能です。ただし、一人分よりも少々効率は悪くなるかもしれません

―テラヌス・ウルス市場

クロシュ「」トコトコ


金刺繍ターバンの老人「待たれよ」ヌッ

クロシュ「!」

妖精「わっ! あなたは……あの二刀流のおじいさん!」

金刺繍ターバンの老人「いかにも。ラハニ四世、という名を聞いたことはないかね? 旅人の少女と妖精よ」

妖精「えっ! じゃあ、あなたが――」

金刺繍ターバンの老人→ラハニ四世「うむ。わしがラハニ四世じゃ」

妖精(ラハニ四世だって? それじゃあ……この爺さんのいる場所じゃ下手なことはできない)

ラハニ四世「君たちの活躍でこの街の被害は最小限に抑えられたと言っても良いじゃろう。感謝するぞ」

妖精「まあ、うん……。お礼ならヨードリーからもらう約束を得てるから、大丈夫だよ」

ラハニ四世「ほう、そうであったか。じゃがこれはわしからの気持ちじゃ」スッ

 金細工のネックレス「」キラキラ

クロシュ「わあ……」

妖精「わわっ! だ、だからいいってば! 受け取れないよこんな高そうなもの!」

ラハニ四世「ほほ、謙虚じゃのう。別に詐欺とかではないぞ?」

妖精「詐欺じゃなくてもいらないって! ていうかあなた、ラハニ四世ならスピーゲル族の首長なんでしょ? 妖精の私なんかと話してて良いの?」

ラハニ四世「ほう、この国の事情は既知であるか」

妖精「そりゃあね。トップのあなたが妖精なんかと話してちゃ示しが付かないんじゃない?」

ラハニ四世「勘違いしておるようじゃが、わしは人間以外の種を嫌っておるわけではない。国を救うため、王国と手を結ぶ為にこうした立場を取っているだけじゃ」

妖精「え……!?」

ラハニ四世「大を救う為に小を切り捨てる……必要な犠牲じゃ。全員揃って餓死するよりは、多少の犠牲を払ってでも多くを生かす選択をするのが正しさだと思わぬか?」

妖精「……ふうん。でもそれなら、もっとマシな方法があるんじゃないの? こんな、魔族差別を煽るようなやり方しなくたって――」

ラハニ四世「どんなやり方であれ、この砂漠で国を追い出すともなればそれは死刑宣告に等しい。その過程に良いも悪いもなかろう。それに――今現在魔族排斥運動を苛烈に推し進めているのは、わしではなくわしの愚孫であり次期首長でもあるミラや、それに従うスピーゲル族の一部に過ぎぬ」

妖精「この差別はあなたが主導ではないってこと?」

ラハニ四世「いや。わしはその運動によって高まっている魔族嫌悪感情を、テラヌス・ウルス議会で法案を通す為に利用している。わし主導ではないとしても、利用する為に止めようともしていない時点で同罪であろう」

妖精「……罪であることは自覚してるんだ」

ラハニ四世「罪ではあろう。愚孫共は全く自覚がないようじゃがな」

妖精「あなたの孫がどれくらいの歳かは知らないけど、魔族にはまだ小さい子だっているんだよ。石を投げられて泣きながら、それでも外では生きられないからって必死にこの街にしがみついてる子たちが。あなたは――そういう子たちにすら、死刑宣告を突きつけるって言うの?」

ラハニ四世「それでより多くが助かるのであれば、わしは違えぬ。それとも妖精殿は、みんなまとめて仲良く餓死がお望みなのかね?」

妖精「詭弁だね。例え支援なんかなくたって直ちに全員死ぬと決まるわけじゃない。あなたは模索と努力を諦めて楽な方へ流されようとしているだけだ」

ラハニ四世「支援を受けずに努力を続けたところで、解決策を見つけられなければいずれは皆死ぬ。だが支援さえ受ければ、人間だけは確実に助かるのじゃ」

妖精「……平行線だね。多分、この言い合いは無意味」

ラハニ四世「うむ……。悪いが、この国にも、わしにも、もう努力する時間も余裕も残されておらぬのじゃ」

妖精「……」

ラハニ四世「……もしお主らがこの国を案じるのであれば、一つ頼みがある。聞いてくれるか?」

妖精「なに? 内容による」

ラハニ四世「この国の魔族たちに、ラハニ四世こそ諸悪の根源であり王国と密接に繋がる拝金主義の老害大悪魔という悪評を流して欲しいのじゃ」

妖精「はあ!? な、なんで……?」

ラハニ四世「わしを黒幕ということにすれば、魔族からの憎悪はこの国や人間という種ではなく、わし個人に向けられるじゃろう。テラヌス・ウルスという国の未来を考えるならば、その方が良い」

妖精「いや、理屈はわかるけどさあ……。それじゃああなたの家族にも被害が――あっ」

ラハニ四世「わしの家族は孫のミラだけじゃ。そして愚孫ミラは苛烈な魔族差別主義者……悪評通りゆえ、何の問題もないというわけじゃ」

妖精「なんてこった」

ラハニ四世「国内の魔族はもちろん、仲間たるスピーゲル族の者たちにもこれは頼めぬ。外様の旅人であるお主らにしか頼めぬことなのじゃ。聞いてくれるかの?」

妖精「う、うう〜ん……」

クロシュ「……」


↓1〜3多数決 クロシュはどうする?
1.断る
2.別のことを言う、またはする(自由安価)

クロシュ「……」フルフル

ラハニ四世「不服か……。それなら、この金細工のネックレスに金細工の腕輪も付けて――」

妖精「そういう問題じゃないってば! ったくもう、私たちにそんな嘘をつかせようとするなってことだよ」

ラハニ四世「むむ……」

クロシュ「うん……。わたし……そんなこと、しなくても……みんなが、生きられるように……したい、から……」

ラハニ四世「そんな良い未来があるならわしだってそうしたいがの……」

クロシュ「……世界樹の、光と……街の地下を、探せば……上手く、いくかも……」

ラハニ四世「世界樹の……なんじゃ? それに街の地下じゃと……? 地下水路は既に枯れかけて久しいが……」

妖精「私たちは私たちでやれることをやってるってこと」

ラハニ四世「ふむ……まあ、断られてしまったものは仕方がない。わしはわしで動くが、お主らも好きに動くが良い」

妖精「はいはい。お爺さんも歳なんだから無理しちゃだめだよ」

ラハニ四世「カカカカ! わしより遥かに齢を重ねている建国の太母にそう言われてしまうとは! わしもまだまだやれそうじゃな!」

妖精「わ、私のこと知ってたの!!? ていうかババアって言うな!!!」

ラハニ四世「言っておらんが……」

 ◆

―月明かりのオアシス ロビー

イリス「お手紙お手紙♪」トタトタ

猫耳の褐色少女「あ、イリスさま。フラナさまからお手紙が届いております」トコトコ

イリス「ええ!? 今こっちから手紙を出そうとしてたのに!」

エバンス「というかなんでこっちの住所がわかったんだ?」

猫耳の褐色少女「えっと、ハーピィの方が、速達だって言って……」

イリス「あ、ああ……」

エバンス「え、誰……」

 *

――親愛なるイリス・プラネットへ

 砂漠の国テラヌス・ウルスへ向かったそうね。
 今のテラヌス砂漠は例年を遥かに越える以上な日射量で生物が死滅する死の領域と化していると聞くわ。
 私は陽の光をある程度克服しているけれど、そんな場所に行けば流石に耐えられないでしょうね。
 そういうわけで、砂漠を往くあなたに吸血鬼とっておきの光対策を教えてあげるわ。


↓1コンマ
01-40 バイオレット印の日焼け止め
41-80 ↑+マジカルパラソル
81-00 ↑+シャイニングスライムの欠片

 バイオレット印の日焼け止め「」ポン
 マジカルパラソル「」ポン

エバンス「それは……傘と……何だ? 塗り薬か?」

イリス「日焼け止めと、日傘だそうです。この日焼け止めは強力な光耐性が込められていて、この日傘は――」

 マジカルパラソル「」バサッ!
 闇の領域「」フォン―

エバンス「うおっ!? 急に真っ暗になったぞ!!」

イリス「す、すごい! こんなマジックアイテムを作っちゃうなんて! 流石フラナ先生です!」

 ☆吸血鬼の日焼け止めを手に入れました
 ☆日蝕の傘を手に入れました

 ◆

―月明かりのオアシス 客室

 魔術書「正負の属性」ペラッ

ミスティ「……」

 ペラッ
  ペラッ

ミスティ「…………」

   ペラッ
    ペラッ
     ペラッ

ミスティ「………………」

      ペラッ
       ペラッ
        ペラッ
         ペラッ

↓1コンマ
01-30 氷属性経験+2[2/8]
31-60 氷属性経験+3[3/8]、魔法経験+1[2/6]
61-90 氷属性経験+4[4/8]、魔法経験+2[3/6]
91-00 氷属性経験+8[8/8]、魔法経験+4[5/6]

ミスティ(これは――!)

ミスティ(レッドの言っていたこと――そして氷精の魔導書に書かれていたことだわ!!)

ミスティ(それらの理論が人間の魔法使い向けに整理されて、体系的に理解できるように書かれている――)

ミスティ(この本――厳密には氷属性の本ではないのだけれど――結果的に、氷属性に応用できる!)

ミスティ(……もし、事前にレッドの教えや氷精の魔導書に出会っていなかったら……多分私は、この本に書かれている内容を正しく理解できなかったわ。そう考えると、彼らと先に出会えていたのは僥倖としか言いようがないわね)

ミスティ(これを読んで理解すれば、私はさらなる氷属性の高みに至れる気がするわ……!!)

 ☆ミスティの氷属性経験が[2/8]になりました

というわけで本日はここまでとなります。次回はテラヌス・ウルス滞在5日めからとなります

大きなトカゲさんことリアンノンちゃんと出会ったり、金ピカお爺さんことラハニ四世氏と出会ったり、光対策を考えたり地下水路を見つけたりなど、いろいろと実りある二日間であったように思います
リアンノンさんはちょっと頼りなさそうな雰囲気ですが、トカゲの姿のときはとても力強くてかわいいので、クロシュ氏は自分のトカゲ姿が好きではないリアンノン氏のことを少し不思議に思っているようです。そしてラハニ四世お爺さんはいろいろと考えているようですが、クロシュちゃんにはよくわからなかったので、嘘をつくよりみんなで生きられる未来に進んだ方が良いと思った次第でありました

それでは本日もありがとうございました。次回、明日は多分更新できないので、来週の土日となります。よろしくお願いいたします(もしまた不規則な更新等があれば前日くらいにお知らせいたします)

クロシュが擬態する溶岩トカゲはすばしっこい種だったので、トカゲクロシュもそれに準じてすばしっこくなります
そしてリアンノン氏のトカゲ形態は、溶岩トカゲやトカゲクロシュよりも大きくて力強いですが、素早さはやや劣るようです。ヘビー級のトカゲなのかもしれません。トカゲにもいろいろな種があるようです
妖精氏はいちおう有名人なので、緑の国以外でも時々一方的に知られていることがあるようです
妖精のすり抜け術はほとんど全ての妖精が無意識・無自覚に使える技能のため、通常の手段で妖精を捕らえるのは難しいようです。はたから見ると瞬間移動のように見えます

フレメア氏がさしていた日傘も恐らくマジカルパラソルだと考えられます。彼女は使用したと思われる大規模な日蝕魔法は、その日傘による能力であった可能性があります
克服したとはいっても吸血鬼にとって陽の光は忌々しく有害なものなので、浴びないに越したことはありません。肌荒れの原因にもなります

―テラヌス・ウルス 滞在5日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘        精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝      精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石       精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片        フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着    メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水    溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石         暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・砂漠の光対策を考える
・テラヌス・ウルス地下の水源を調べる

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](ミスティ)
・氷属[2/8](ミスティ)
・剣技[1/8](エバンス)
・魔法[1/4](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―月明かりのオアシス 客室

イリス「妖精さん! これどうかな!?」

 吸血鬼の日焼け止め「」ポン
 日蝕の傘「」ポン

スライムクロシュ「?」モニョ?

妖精「フラナから送られてきたの?」

イリス「うん! 光対策について聞こうとしたら、聞く前にあっちから届いたの!」

ミスティ「なんて親切な……」

妖精「それじゃあありがたく使わせてもらおっか。でも効果のほどはどうなんだろ?」

イリス「ちょっと広げてみるね」

 日蝕の傘「」バサッ
 闇の領域「」フォン――

スライムクロシュ「!」モニョ!

妖精「わあ!」

ミスティ「これ……闇属性のカーテンに覆われているみたい……」

イリス「この領域でソリごと覆っちゃえば、日差しはかなり緩和されると思う!」

妖精「うん、良さそう!」

ミスティ「これに日焼け止めまで塗っておけば万全ね……」


テラヌス・ウルス滞在5日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―テラヌス・ウルス市街

妖精「さあて、今日こそは地下の探索を――んん?」

クロシュ「!」



 ザワザワ…

リアンノン「…………」

ラハニ四世「おや、ホトルス族の首長殿ではありませぬか。ご機嫌麗しゅう――」

リアンノン「……私たちのご機嫌が麗しいかって……本気で、言っているのですか」

ラハニ四世「おや、ただの挨拶のつもりでしたが」

リアンノン「……」キッ

黒髪ロングの女性「リアンノン、抑えましょう……。ここで彼に楯突いても、私たちの立場が悪くなるだけです……」

リアンノン「……ごめんなさい。そうですよね」

金髪の女性「フン、穢らわしい劣等種共が。まだ追い出されてないだけありがたく思いなさいよ」

リアンノン「なんですって……!!」ギリッ

ラハニ四世「……」

金髪の女性「アンタたちがいるせいで支援を受けられないのよ? 足引っ張ってる自覚くらい持ったら?」

リアンノン「…………!!」ギリリ

金髪の女性「大体アンタ、不潔でキモいトカゲ人の癖になに人間面してんの? そういうのマジで不快――」

黒髪褐色の女性「はいはいそこまで。天下の往来で喧嘩はご法度ですよ」スッ

金髪の女性「アンタたちは……チッ」

ヨードリー「議会に名を連ねる者がそのような態度は頂けないな。ラハニ四世、孫の監督が十分ではないようだが」

ラハニ四世「それは失礼致した。わしとしては特段止める必要もないと思っていたのじゃが」

 ザワザワ… ヤーネー… マゾクデテケヨ…



妖精「うへぇ……やなとこに出くわしちゃった……」

クロシュ「……」


↓1〜3 クロシュはどうする?
1.首を突っ込む(突っ込み方はクロシュの自主性に任せる)
2.首を突っ込まない
3.自由安価

クロシュ「……」トコトコ

妖精「うぇ!? な、何する気!?」パタパタ


金髪の女性「ん? 子供はあっち行ってなさい」シッシッ

クロシュ「トカゲは……かわいい……」

金髪の女性「はあ……?」

リアンノン「……!」

ラハニ四世「ほう……」

クロシュ「……トカゲは……おいしい……」

リアンノン「えっ」

金髪の女性「ええ……?」

ヨードリー「ふ……あっははは! うむ、私もそう思うぞ! トカゲのフォルムは美しく、栄養も豊富だ!」

クロシュ「だから……追い出すのは……良くないと、思う……」

金髪の女性「何よこの子供……! いきなり出てきて偉そうに――」

ラハニ四世「ミラ。政敵ならともかく、子供相手に声を荒げるのは止しなさい」

金髪の女性→ミラ「お祖父様……。チッ……わかってるわよ」

ラハニ四世「うむ。ではそろそろ行くぞ」

 スタスタ スタスタ



リアンノン「クロシュちゃん!」

クロシュ「リアンノンちゃん……」

リアンノン「えっと……庇ってくれたんだよね? ありがとう……」

クロシュ「……?」

黒髪ロングの女性「……庇ってくれたわけではないのですか?」

クロシュ「??」

ヨードリー「だが大したものだ。あの狂犬ミラを相手に物怖じせず突っ込んでいくとはな」

黒髪褐色の女性「ちょっと肝が冷えましたけどね。ラハニお爺さんが止めてくれて良かったわ」

妖精「はあ……本当びっくりしたよ」

 ザワザワ トカゲッテカワイイカ? カワイクハアル アジモウマイ

 ☆テラヌス・ウルスの人々の魔族認識が僅かに良くなりました

 *

リアンノン「あ、あのクロシュちゃん! 良かったらこの後、一緒に練兵場に行きませんか!?」

クロシュ「ほえ?」

妖精「まあ……まだ周囲もざわついてて地下探索も難しそうだし、行っても良いと思うよ」

クロシュ「うん……」

リアンノン「じゃあ行きましょう!」

 *

―練兵場

トカゲリアンノン「えへへ……ど、どうかな……? か、かわいい……?」

クロシュ「うん……」

トカゲリアンノン「えへへへ……」



妖精「え、ええと……あれ、どうしたの……?」

黒髪ロングの女性→ベスティア「多分、リアンノンはトカゲの姿をかわいいと言われたのが初めてで……。それで、気を良くしているのだと思います……」

妖精「……」

ベスティア「仕方ないのです……。いつもいつも、あの子はトカゲ人と蔑まれ、石を投げられて……。それでも、尊敬するお父様から受け継いだトカゲの血を憎むこともできず、苦しんで来たのです……。だから……トカゲの姿をかわいいと、肯定してくれたのが……本当に、嬉しかったのだと……」

妖精「そっか……」



クロシュ「わたしも……トカゲ、なれる」

トカゲリアンノン「えっ!?」

 デロデロ…ポン!

トカゲクロシュ「」ピョコン

トカゲリアンノン「わあ! ちっちゃくてかわいい!」

トカゲクロシュ「」シュタタタタタッ

トカゲリアンノン「わわっ! 速いよ!!?」ノシノシ



ベスティア「少し不思議な力を感じていましたが……あの子、スライムだったのですね……」

妖精「うん。出自はよくわかんないんだけどね。あの子も覚えてないみたいだし」

ベスティア「……しかしあの擬態は……もしかして、反映魔法……?」

妖精「え、知ってるの?」

ベスティア「…………いえ、詳しくは……」

妖精「そっか。私もよく知らないんだよね。クロシュ以外の使い手は見たことないし――」

妖精(いや……そういえばブラッドの擬態ってクロシュと同じく、普通のスライムよりもかなり高度だったし、もしかして……。いや考えすぎか……)

ベスティア「……昔、反映魔法を使って擬態するスライムの知り合いがいたのです。当時はユニーク属性だと思っていたのですが、他にも使い手がいたのですね……」

妖精「へえ、そうなんだ。まあこの星の長い歴史を辿れば、完全なユニーク属性なんてのはほとんどいないのかもね。同じ時代に生まれていないだけで」

ベスティア「そうですね……。ふふ……まだ生きているかどうかもわかりませんが……きっとクロシュちゃんを見たら、気に入っていたと思います……」

妖精「あはは、そりゃ良かった」

 ◇

―テラヌス・ウルス市場


ミスティ「さて、買い出しはこれくらいで良いのかしら」

フードの猫耳の褐色少女「はい……。あの、お手伝いしていただいて……」

ミスティ「いいのよ。あなたのお姉さんからはとても貴重なものを頂いているから、この程度じゃお返しにもならないわ」

イリス「うんうん! 遠慮なく頼ってよ!」

フードの猫耳の褐色少女「は、はい――」


子供D「あ、おい! あいつ猫野郎の癖に人間のフリなんかしてやがるぞ!」

子供E「マジだ! ふざけてんな!」

子供F「お姉さん! そいつ薄汚い猫野郎です! 離れた方が――」

ミスティ「は?」ギロッ

子供D-F「!!?」ビクッ

イリス「……キミたち……同じように自分が言われたら、どう思う?」

子供D-F「……」

エバンス「お〜い、こっちは済んだぞ――ん?」

ローガン「何やら不穏な雰囲気だな……」

 *

―月明かりのオアシス ロビー

エバンス「なるほど……。そりゃまあ……」

猫耳の褐色少女「ごめんなさい……わたしなんかが、一緒にいたせいで……」

ミスティ「気にしないで。あなたの買い出しに付いていったのは私たちだもの。それに悪いのはあのクソガキ共よ」

ローガン「いや……子供は自分で物事の是非を判断する力が弱い。この国に蔓延している魔族や少数部族への差別意識が、彼らをそうさせているに過ぎぬ」

イリス「大人たちが差別してれば、子供たちがそれに倣うのは当然かもしれませんね……」

エバンス「……胸糞悪い話だな。なんか俺たちにできることはないのか?」

イリス「迫害をやめろって言うとか……?」

ローガン「……外様の我々がそんなことを言えば、厄介な活動家と認識されて追い出されてしまうかもしれん……」

ミスティ「だからって放っておけないわ……!」

ローガン「うむ……」


↓1〜3多数決 どうする?
1.倫理・道徳を説く穏健な運動を行う(イリス案)
2.過激な差別主義者を叩きのめす(ミスティ案)
3.王国のネガティブキャンペーンを行う(ローガン案)
4.魔族や少数部族の良さをアピールする(エバンス案)
5.その他(自由安価)

―月明かりのオアシス ロビー

妖精「え、王国のネガティブキャンペーン?」

ローガン「うむ。それにあたって、クロシュくんと妖精くんの力をお借りしたいのだが――」

クロシュ「?」

 ◇

―テラヌス・ウルス市街

 ザワザワ ナンダナンダ


謎の幼い踊り子「はっ、はっ――」タンッタンックルッ

謎の踊り子妖精「――」シャランシャラン


市民の男性C「おほっ! かわいい踊り子さんたちだねえ」

市民の女性B「ほう、ちょいと拙いが悪くないね。ありゃどこの娘だい?」

ローガン「彼女たちは芸術都市ミュージアで修行をしていた踊り子見習い……命からがらここまで逃げてきたのだそうだ」

市民の女性B「ミュージアって王国の? そういや先日とんでもないテロがあったらしいが……」

ローガン「ああ。世間じゃシノホシというテロリストの仕業にされているが、実はあれは王国の新兵器の実験だったらしい」

エバンス「あっそれ聞いたことあるぜ! 王国ってなんかヤバイ兵器を造ってるらしいな!」

ミスティ「自国民を巻き込んだ実験を行ったってこと? 狂っているわ……」

市民の女性B「まさか……それ本当かい?」

ローガン「あくまで噂だがな。しかし王国はそういう黒い噂が絶えぬ」

イリス「でも、あの子たちはどうして王国から逃げてきたの?」

ローガン「……見ての通り、彼女たちは片方が妖精だろう? そのせいで……彼女たちはテロリストの仲間だと疑われ、酷い差別を受けたらしい……」

市民の男性C「なんだと……!」グッ

市民の女性B「お、おいおい……でも片方は人間の子だろ?」

ローガン「むしろ人間だからこそ、非人間と仲良くする裏切り者とされて苛烈なバッシングを受けたのだそうだ」

市民の女性B「そんな……」

ローガン「ゆえに……遠路はるばる砂漠を越え、平穏を求めてここまで逃げてきたというわけだ……」

市民の女性B「身寄りは、なかったのかい……?」

ローガン「……人間の子の方にはただ一人の姉がいたそうだが……その姉は例のテロによって吹き飛んできた瓦礫から彼女を守り……その命を落としてしまったのだという……。そんな事情があるのだから、テロリストの仲間であるはずなど絶対ないだろうにな……」

市民の女性B「……」グッ

市民の男性C「ちくしょうっ……! そんな、そんな重い過去があったなんて……! えっちでかわいくて良いねえなんて思っちまった少し前の俺をぶん殴ってやりてえ……!!」ググッ

エバンス「いや、違うぞ。あんたは悪くない……あの子たちにそんな運命を背負わせた、極悪非道の差別主義国家の王国ってやつが諸悪の根源なんだ!!」

ローガン「うむ……。全て、王国が悪いのだ……」

ミスティ「王国……許せないわ……」

イリス「ひ、酷い国だよね……!」

市民の男性D「なあ、横から聞いてたんだが……それじゃあもしかして、王国と手を結ぼうとしてる今のこの国ってけっこうヤバかったりするのか……?」

ローガン「なにっ!? 王国と手を結ぼうとしているだと!?」

市民の男性D「あ、ああ……。王国と手を結ぶために、非人間を追い出す法案が今議会で審議されてて……」

エバンス「おいおいざけんじゃねえぞ……! それじゃあ、せっかくここまで逃げてきたあの子たちはまた――」

ミスティ「これ以上酷い目に遭わせられるなんて、絶対に許さないわよ……!!」

市民の男性D「い、いや審議してんのは俺じゃないんだから勘弁してくれよ! お、俺だって……あの小さい子たちを苦しめたかねえし……」

市民の女性B「……議会の連中は、王国の悪逆を知ってやがんのかね」

市民の男性C「俺はあの子たちをいじめた王国の奴らを許さねえ……! そんな国と手を組むなんて絶対反対だ!!」

 ザワザワ オウコクヒドイ ヨウセイサンカワイイ ヨウジョカワイイ


謎の幼い踊り子「はっ、はっ――」タンッタンックルッ


謎の踊り子妖精(私たちの幼くて弱々しい見た目を利用して庇護欲を掻き立て、王国の悪性を強調し、この国の方針を不安にさせる……)シャランシャラン

謎の踊り子妖精(しかも、私たちの正体以外は大体本当のことっていうのがまた……)シャランシャラン

謎の踊り子妖精(こりゃ上手いこと考えたなあ、ローガン……)シャランシャラン


↓1コンマ(テラヌス風踊り+10、テラヌス産の踊り子の双剣+10)
01-60 王国の評価ダウン中
61-90 王国の評価ダウン大
91-00 王国の評価ダウン特大

 97クリティカル!

 ワイワイ ガヤガヤ

ハーピィ記者「おやおや、やり方がダークヒーローらしくなってきましたねえ!」

ハーピィ記者「ふふ、ここはダークヒーローの生みの親たる私も力添えして差し上げなければ!」バッ

 シャシャシャッ カキカキカキッ

 ◆

―翌明け方
 月明かりのオアシス 客室

 チュンチュン

 ガラッ バサッ

スライムクロシュ「?」モニョ…

妖精「んん……? 今何か……」ムニャムニャ

 風雪新聞号外「」バサッ

妖精「こ、これは……」

 風雪新聞号外「悲劇!! 芸術都市を追われた踊り子たち!!!!」
 風雪新聞号外「極悪非道!!! 血も涙もない王国民!!!!」
 風雪新聞号外「恐怖!!!! 王国が開発中の大量破壊兵器の正体に迫る!!!!」

イリス「うひゃあ……」

ミスティ「この新聞のせいで私たちの活動に変なケチが付いたりしないかしら……」

 ◇

―テラヌス・ウルス市街

 ザワザワ…

市民の男性F「聞いたか……? 踊り子たちの話……」

市民の女性C「ええ……。王国って最低の国なのね……」

市民の男性G「そんな国と手を組んだりして大丈夫なんかね……」


ミラ「な、なによこれ……! どこの誰だか知らないけどふざけた真似を……!」

ラハニ四世「……」

 ◇

―テラヌス・ウルス宮殿

黒髪褐色の女性「ヨードリー、もう聞いた?」

ヨードリー「うむ……。どこの活動家か知らんが、強烈なのをかましてくれたようだ……」

 風雪新聞号外「」バサッ

黒髪褐色の女性「この新聞……魔族国お抱えの捏造新聞だけど、この踊り子たちは実在してるみたいよ。目撃情報がかなり出てる」

ヨードリー「……うむ……」

黒髪褐色の女性「ヨードリー……」

ヨードリー「……大丈夫だ。この国は、私が守る……」

 ◇

―テラヌス・ウルス
 リアンノンの家(ホトルス族の拠点)

ベスティア「リアンノン! リアンノンいますか!」

リアンノン「ベスティアさん!」

ベスティア「リアンノン……! 朝早くにごめんなさい、例の新聞は読みましたか……?」

リアンノン「は、はい……。街中も少々沸き立っているみたいですね……」

ベスティア「……良くも悪くも、状況が動きます……。ここでしっかり、私たちの有用性を示していきましょう! そうすれば――」

リアンノン「はい……! どこの誰だかは知りませんが、このチャンスを無駄にはしません!」

ベスティア「次の議会は3日後……恐らくそこで決着が付きます。それまでに、民意を掴みましょう……!」

 ☆テラヌス・ウルス国内における王国の評判が強烈に下がりました
 ☆テラヌス・ウルス民の非人間への認識が少し良くなりました

 ◆

―テラヌス・ウルス 滞在6日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘        精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝      精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石       精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片        フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着    メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水    溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石         暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・テラヌス・ウルス地下の水源を調べる

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](ミスティ)
・氷属[2/8](ミスティ)
・剣技[1/8](エバンス)
・魔法[1/4](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―朝
 月明かりのオアシス ロビー

エバンス「な、なんかけっこうすごいことになってるらしいな……」

ローガン「うむ……私自身、ここまでになるとは考えていなかった……」

ミスティ「どこぞの悪徳記者が追い風を吹かせてくれたお陰かしら……」

イリス「あ、あはは……まあでも、これで王国と協定を結ぶ方針に疑問を持つ人も増えるよね」

妖精「ただ、そうなると今度はこの国の水不足問題がやっぱり立ち塞がってくるんだよね……」

イリス「あっ……」

妖精「もしこの国が王国と協定を結ばない選択をしたら、そう仕向けた私たちは水不足を解決する責任がある……」

ミスティ「……世界樹の光を回収すれば、解決したりしない……?」

妖精「前にも言ったけど、干ばつは以前から発生してたんだよ。世界樹の光がそれを後押ししてるのも事実だろうけど、例え光を回収しても根本的解決には至らないと思う」

エバンス「俺たち、めちゃくちゃ責任重大じゃねえか」

妖精「うん。この街の地下に、解決の手がかりがあれば良いんだけど……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ


テラヌス・ウルス滞在6日目です。9日目に非人間排斥法案の決議が出ます
↓1〜3 自由安価 何をする?

―練兵場

エバンス「さて、この練兵場は……流石に水源とは関係ないか……」スタスタ

エバンス「ここまで来て帰るのも勿体ないし、魔法の練習でもしていくか」ググッ


ヨードリー「……ん? 貴殿は……」

黒髪褐色の女性「あら、この街の防衛に協力していただいた旅人さんですね〜」

エバンス「おう。そっちのあんたは――」

黒髪褐色の女性→アニス「私はアニス・スターグラス……ヨードリーと同じテレス族の末席に身を置かせていただいております」ペコ

ヨードリー「末席などとよくいう。この国の商業――経済活動を実質的に支配しているのはお前だろう。テラヌス商会の長よ」

アニス「あらあら、支配だなんて人聞きの悪い……。あんまり真に受けないでくださいね、この人は大げさなんですから〜」

エバンス「お、おう……」

ヨードリー「しかし貴殿はまた修行か? 精が出るな」

エバンス「いや……まあ、そうだな。今日は魔法の練習をしようかと思っていたところだ」

ヨードリー「ほう。せっかくだし私が見てやろう。やってみよ」

アニス「私も拝見させていただいてよろしいですか〜?」

エバンス「あ、ああ……。なんかやりづれえな……」


↓1コンマ
01-60 まあまあ+1[2/4]
61-90 そこそこ+2[3/4]
91-00 良い感じ+4[4/4]

 土塊「」ボゴンッ

ヨードリー「魔力の流れがイマイチだな……」

アニス「あら、でもお上手ですよ〜」

エバンス「世辞はよしてくれ。イマイチなのは俺自身もわかってるんだ。身近に優秀な魔法使いが二人いるからな」

ヨードリー「彼女たちは大したものだぞ。あの若さであれだけ使いこなせているのだからな」

エバンス「だからこそ、俺も負けてられねえってことよ」

ヨードリー「ふむ……では、私が手本を見せよう。魔力の流れを見てみよ」スゥー

 土塊「」ボゴンッ

ヨードリー「……」

アニス「ヨードリー……地属性は専門外でしょ?」

ヨードリー「……すまん。そうだった」

エバンス「……あんた……調子悪いのか?」

ヨードリー「そんなことはない。私はいつでも万全だぞ」

エバンス「……少し顔色も悪いようだが……」

ヨードリー「気のせいだろう」

アニス「…………ヨードリー、そろそろ時間ですよ」

ヨードリー「おっと、すまん。では私たちはこれで失礼する。貴殿も頑張りすぎは体に毒だぞ。適度に休息を挟むが良い。ではさらばだ」スタスタ

アニス「お元気で〜」

エバンス「あ、ああ……。じゃあな……」

 ◇

―冒険者ギルド
 テラヌス・ウルス支部

ローガン「さて、地下に潜れない私にできることは限られるが……」スタスタ

受付嬢「こんにちは! どのようなお仕事をお探しですか?」

ローガン「うむ。この街の水路……それに関わる仕事などはあるだろうか?」

受付嬢「水路に関わるお仕事ですか……? 少々お待ちくださいね〜」


↓1コンマ
01-05 水道工事(報酬:極高)
06-35 地下水路のスライム退治(報酬:並)
36-65 地下水路の掃除(報酬:並)
66-95 地下水路の点検(報酬:高)
96-00 ちかすいろにきて(報酬:時価)

受付嬢「それでしたら……あ、丁度昨日入った新鮮なお仕事がありますよ!」

 依頼書『地下水路から薄汚いスライムの気配がするわ。退治して頂戴』

ローガン「……」

受付嬢「まあ……依頼文はともかく、仕事内容はただのスライム退治です。受けられますか?」


ローガン(……これを受ければ……旅人の私でも、合法的に地下水路へ降りることができるだろう……。そうすれば、クロシュくんたちの水源探しを手伝えるが……)

ローガン(しかし依頼内容が問題だ。クロシュくんと親しくさせてもらっている身で、地下水路に隠れているであろう無害なスライムをわざわざ見つけ出して殺すというのは……道義に反する……)

ローガン(受けるだけ受けて、スライムは発見できなかったとするか? もしくは、スライムを退治したと虚偽の報告をするか――)

ローガン(まあ……もしこれで私の冒険者ランクが下がっても問題はないか。受けるだけ受けるとしよう)


ローガン「承知した。これを受けさせていただく」

受付嬢「ありがとうございます!」

 受注印「」ポン!


ローガン(さて……エバンスくんは足で水源探し、イリスくんとミスティくんは図書館で地下の文献漁りをしていたはず……。ひとまず今回は私一人で地下に向かい、クロシュくんたちとの合流を図るか)スタスタ

 ☆地下水路のスライム退治を受注しました

 ◆

―テラヌス・ウルス図書館

 石造りの本棚「」
 石造りの本棚「」
 石造りの本棚「」

ミスティ「さて……調べるわよ、イリス」

イリス「うん! この街の水道設備についてとか、周辺地域の地理についてだよね!」

ミスティ「ええ。地下に直接向かえない分、私たちは知識で戦うのよ」


↓1コンマ
01-60 地下および周辺の地理について
61-90 ↑+近年の地下水の利用状況について
91-00 ↑+近年出没している砂漠の巨大流砂について

 テラヌス砂漠周辺地理「」ペラッ

イリス「ふむふむ……」

 *

 地下水利用状況調査報告「」ペラッ

ミスティ「……頭が痛くなってきたわ」

 ◇

イリス「――というわけでつまり、ここの地下水は少し離れたところにあるテラヌス高地に源泉があるみたい」

ミスティ「なるほど……」

イリス「一応テラヌス・ウルスの人たちも調査に向かったらしいんだけど、テラヌス高地の源泉が枯渇してたわけではないみたい。だから考えられるのは、水脈の途中で水の流れが断たれたか、あるいは別のとこに流れるようになっちゃったか――」

ミスティ「……どこで流れが変わったかは、まだわかっていないということね……」

イリス「テラヌス高地まではけっこう距離があるし、地下水脈も深くて調査も難しいみたい……。ミスティは地下水の利用状況を調べてたんだよね?」

ミスティ「ええ……。状況調査によると、水は段階的に供給量が減っていったみたいよ……」

イリス「それなら、地震とか地殻変動で一気に流れが変わっちゃったっていう線は薄そうだね。でもそうなると、原因は何だろう……」

ミスティ「使いすぎによる枯渇もなさそうよ。過剰な汲み上げが行われた形跡もないみたい」

イリス「う〜ん……私たちもテラヌス高地に行ってみる? ミスティのソリなら1日かければいけると思う」

ミスティ「決議の日まで時間があまりないし……確証もないうちに1日かけて遠出するのはちょっと怖いわね……。でも行くなら早い方が良いかしら……」

 ☆地下水脈の情報と地下水利用状況の情報を得ました

 ◆

―テラヌス・ウルス地下水路

ローガン「おーい」スタスタ


スライムクロシュ「!」モニョ!

妖精「ローガン! どうやってここに!?」

ローガン「うむ……ギルドに仕事があってな。合法的に侵入したのだ」

 依頼書『地下水路から薄汚いスライムの気配がするわ。退治して頂戴』ピラッ

妖精「うぇ、何これ……スライム退治?」

スライムクロシュ「……」モニョ…

ローガン「安心して頂きたい。この地下水路に入るために受けただけだ、退治する気はない」

スライムクロシュ「!」モニョッ!

妖精「まあそりゃそうだよね。ていうかこれ、こんな依頼があるってことは――」

ローガン「うむ! ここにスライムがいる可能性は高いぞ!」

スライムクロシュ「!!」モニョニョ!


↓1コンマ
01-70 さらなる地下への水路
71-00 砂漠スライム長老

ローガン「ふむふむ……む?」ガサゴソ

 隙間風「」ヒュルル―

ローガン「ふむ……この瓦礫をどかせば――」グイッ

 隠し地下水路「」ポン!


妖精「わ! ローガン、これって――」

ローガン「うむ、見つけたぞ! 恐らく、さらなる地下へ降りるための通路だ。既に使われなくなって久しいようだが」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「うん、降りてみよう!」

 *

 ピチョン ピチョン

 地下水路「」サラサラ

スライムクロシュ「〜〜!」ピョンピョン モニョモニョ!

妖精「うん! 流れてるよ、水が!」

ローガン「だが……これでも、この街の人々全てに行き渡らせるには到底足りぬ」

妖精「そうだね……。これだけじゃ、最低限を賄えるかどうかってとこかな……?」


砂漠スライム長老「わわ、珍しいお客さんぢゃ」モニョモニョ

スライムクロシュ「!」モニョニョ

妖精「わ、あなたは?」

砂漠スライム長老「わちはこの地下水脈で暮らしているスライムぢゃ!」モニョモニョ

砂漠スライムA「〜〜」モニョモニョ!

砂漠スライムB「〜」モニョ

砂漠スライムC「〜〜」モニョニョ?

スライムクロシュ「〜〜〜!」モニョモニョ!

ローガン「おお……スライムが大勢いるな」

妖精「もしかして、噴水広場にいたっていう?」

砂漠スライム長老「それはこの子たちぢゃ! わちはずっとここにおったのぢゃ! 上の方からノドが乾いたよ〜って聞こえてきたから、みんなをここに呼んだのぢゃ!」

砂漠スライムA「〜〜!」モニョモニョ!

妖精「そうだったんだ……。でも、スライムはみんな無事だったんだね」

砂漠スライム長老「無事なのぢゃ!」

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョニョ

ローガン「フッ……良かったな、クロシュくん」


妖精「そうだ、ここで暮らしてたんなら、水が減ったことについて何か知らない?」

砂漠スライム長老「季節が一巡りするくらい前に、減り始めたのぢゃ!」

ローガン「ふむ……減った原因について、何か心当たりはないだろうか?」

砂漠スライム長老「わからないのぢゃ!」

妖精「そ、そう……」

砂漠スライム長老「でも減り始めてから、ときどき水にスライムの欠片が混じってることがあるのぢゃ!」

妖精「!」

砂漠スライム長老「川上の方から、スライムの声が聞こえてくることもあるのぢゃ!」

スライムクロシュ「!」

 地下水路「」サラサラ
     地下水路の遥か向こう「」モニョ…モニョ…

砂漠スライム長老「今まさに聞こえたのぢゃ!」

妖精「ほ、本当だ……。一体水路の先で何が……?」

スライムクロシュ「?」モニョニョ?

砂漠スライム長老「きっと水好きなスライムが水を独り占めしてるのぢゃ!」

ローガン「いやまさか……一つの街を賄うほどの大量の水を独り占めなど、いくらなんでも……」

妖精「いや……そういうことができるスライムも全く実在しないわけじゃないよ。島かと思ったら丸ごとスライムだったなんてこともあるから……。まあでも滅多にいるもんじゃないし、多分違うと思うけど……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「まあそうだね。とりあえず地下水脈と不思議現象のことはわかったし、今日はこれくらいで一旦帰ろうか」

ローガン「うむ……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

砂漠スライム長老「うむ! なのぢゃ! クロシュちゃんも元気で暮らすのぢゃ!」

 ☆地下水脈の情報を得ました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回はテラヌス・ウルス滞在7日目からとなります

いろいろありましたが、テラヌス・ウルス内の王国評価を地の底に叩き落とし、地下水脈の調査を進めたクロシュ一行でした
王国評価が落ちたテラヌス・ウルスは、議会でどのような決議がなされるのか――。そして地下水脈の向こうに潜む者とは――。限られた時間の中で、クロシュが導かれる運命は――

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

砂漠スライム長老は長生きの砂漠スライムですが、人間の言語についてはやや癖のある言葉遣いを覚えてしまったようです
スライム類は温厚でのんびりした性格の者が多いようです。そして実は妖精類の性格傾向もこれに近いという変わった相似点があります
なお外向性に関しては妖精類の方が高く、他種族との関わりにも積極的のようです

シノホシメンバー、セインくん、フメイちゃんたち、クロシュヴィアさんが入国しているかどうかは現時点ではまだわかりません。探せば見つかるかもしれません
シノホシメンバーであれば誰かが来ている可能性はあります。セインくんはまだ怪我の治療中かもしれません。フメイちゃんたちは遭難していたようですが、今どこにいるかは判明していないようです。クロシュヴィア氏は……実のところ既に風になって漂っている可能性もありますが、なんとも言えません

地下水が枯渇した原因まで、あと一歩といったところです。クロシュちゃんたちのがんばりにご期待くださいませ
ミラ氏は……魔族がお嫌いなようです。実際のところ、リアリストで実利重視のラハニお祖父さんよりも、感情的で魔族嫌いをこじらせている孫のミラ氏の方が厄介かもしれません

―テラヌス・ウルス 滞在7日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       雨乞い傘        精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな巻き貝      精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  大きな軽石       精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     闇の欠片        フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    フリルワンピ水着    メルルの帽子
魔導飯盒        魔法学園のスク水    溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   炎鉱石         暗黒優待券
属性大全        ガラスのザリガニ
魔王図鑑        踊り子の双剣
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・テラヌス・ウルスの水不足を解決する

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](ミスティ)
・氷属[2/8](ミスティ)
・剣技[1/8](エバンス)
・魔法[2/4](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―朝
 月明かりのオアシス 客室


 テラヌス砂漠周辺地図「」パサッ
 砂漠スライム長老の証言メモ「」ピラッ

イリス「妖精さんたちが聞いてきた砂漠スライムさんのお話と、私たちが調べた地理の情報を整理すると――」

ミスティ「浮かび上がって来たわ……」

クロシュ「……?」

エバンス「つまり……どういうことだ?」

イリス「……砂漠に、でっかいスライムがいる!!」

クロシュ「!」

ローガン「なんと……」

妖精「いやいや……まさか……」

ミスティ「でっかいスライムがいるかどうかはともかく、スライムが何らかの形で関与している可能性は高いと思うわ……」

イリス「そのスライムさんを探し出して、お話を聞いてみようよ!」

妖精「……まあ、とにかく探し出すしかないか」

クロシュ「うん……!」



テラヌス・ウルス滞在7日目です。9日目に非人間排斥法案の決議が出ます
↓1〜3多数決
1.地下水枯渇の原因を突き止めに出発する
2.もう少し情報収集(本日の自由行動安価へ)

借りている本については、もし読みきれなかった場合でも、写本を作成して持って行くことが可能です。写本作成は自由行動で宣言する必要はなく自動的に行われますので、本の期限についてはお気になさらずにいただいて大丈夫です(せっかくのクリティカルで出た本なので、慌てずにゆっくり読みましょう)

―テラヌス砂漠 発見率[0/10] 持久力[10/10]

 ヒュオオオオオ―

 日蝕の傘「」バサッ
 闇の領域「」フォン―

 強化ソリ「」シャーッ


クロシュ「わあ……」

エバンス「こりゃ快適だ!」

ミスティ「良いわね、これ……。氷魔法の調子も良いわ……」

ローガン「頭上の闇は濃度が高く直射日光を遮断するが、周囲の闇は薄いために視界は遮られん……よく考えられている!」

妖精「これなら西の砂漠に行く時も安心できそうだね」

イリス「えへへ、さっすがフラナ先生! それじゃあ水枯れの原因を突き止めに行こう!」

 ☆日傘と日焼け止めの効果により、持久力減少が半減します(毎ターン1減少)

↓1コンマ
01-10 発見率+2、強敵
11-30 発見率+2、敵襲
31-50 発見率+3、砂爆弾(次回戦闘コンマ+10)
56-70 発見率+3、テラヌスアロエ(持久力+3)
71-90 発見率+4、砂竜の砂団子(戦闘コンマ+20)
91-00 発見率+4、???

―テラヌス砂漠 発見率[2/10] 持久力[10/10]


 強化ソリ「」シャーッ


イリス「……ん? あ、待ってミスティ! 人が倒れてる!」

ミスティ「!」

 強化ソリ「」キキッ!


行き倒れ人A「」
行き倒れ人B「」


妖精「ん……?」

ローガン「行き倒れか……?」

エバンス「おいあんた、生きて――」スッ

妖精「まずい! エバンスだめ!」

エバンス「!!」シャキンッ

 巨大な鉤爪「」シャッ
 魔銀の剣「」ガギンッ

エバンス「くっ!」シュタッ


黒翼の鳥人A「チッ……いけたと思ったのに」シュタッ

黒翼の鳥人B「どん臭すぎ。人間相手に不意打ち避けられるとか雑魚でしょ」バサッ

黒翼の鳥人A「っせーな。あの羽虫に邪魔されなきゃ殺れてたっつーの」


イリス「い、生き倒れてた人が……」

ミスティ「黒い翼のハーピィに化けた……!?」

ローガン「いや、逆だ! あれは砂漠の化け烏、シャークロウ! 行き倒れた人間に化けていたのだ!」シャキンッ


空を飛ぶシャークロウC「ガァー!」バサッバサッ

空を飛ぶシャークロウD「ガァー、ガァー!」バサッバサッ


妖精「上からも来る! 気を付けて!!」

メイド剣士クロシュ「ん!」シャキンッ


↓1コンマ
01-05 痛恨
06-25 劣勢
26-95 優勢
96-00 会心

 劣勢 持久力-2

―テラヌス砂漠 発見率[2/10] 持久力[8/10]


黒翼の鳥人A「シャッ!!」シュバッ

 羽根の弾丸「」シュバババッ

メイド剣士クロシュ「んゅゅ!」ガガガッ

妖精「クロシュ!」

メイド剣士クロシュ「だ、だいじょぶ!!」


黒翼の鳥人B「遅い遅い遅ーい!」シュババッ

ローガン「ぬうう!」ガギギンッ


飛行するシャークロウC「ガァー!」バサッバサッ

イリス「は、速い!! 狙いが定まらな――」

急接近するシャークロウD「」グオオオ――

ミスティ「イリス!!」

イリス「!!? わ、わあああああ!!!!」

エバンス「させねえ!!」シュバッ

 ガギンッ!!

一撃離脱するシャークロウD「」シュバッ

エバンス「ち、くしょう……!」

イリス「え、エバンスさん! 血が――」

エバンス「なんてことねえ! だがあの大きさと速度、厄介だぜ……!」


↓1コンマ
01-05 痛恨 持久力-4
06-25 劣勢 持久力-2
26-95 優勢
96-00 会心

―テラヌス砂漠 発見率[2/10] 持久力[8/10]


急接近するシャークロウD「」グオオオ――


ミスティ「また来てる……! 動きが速い相手には――これよ!」カッ―

 氷の刃「」ヒュンッ
 氷の刃「」ギャルルッ

急接近するシャークロウD「!」サッ

イリス「避けた先! 痺れて!!」カッ―

 雷撃「」バリリッ

感電するシャークロウD「ガァァァァー!!!?!?!?」バリバリバリ

 黒焦げになったシャークロウD「」ドサッ


シャークロウC「ガァァー!!!」ジワワ

黒翼の鳥人A「な……!!」

黒翼の鳥人B「お前たち……よくも!!」


ミスティ「先に襲って来たのはあなたたちよ!!」

妖精「狩りをする者なら狩られる覚悟くらいあるでしょ!」

黒翼の鳥人A「ねえよそんなもん!!」

黒翼の鳥人B「絶対に許さない……!! 殺してやる!!!」


 黒焦げになったシャークロウD「」

シャークロウC「ガァ……ガァ……」ポロポロ


↓1コンマ
01-05 痛恨 持久力-4
06-15 劣勢 持久力-2
16-00 勝利

―テラヌス砂漠 発見率[2/10] 持久力[8/10]


シャークロウA「ガァー!!!」バサッ

シャークロウB「ガァァー!!!」バサッ


イリス「人型形態から――カラス形態になった!!」

エバンス「気を付けろ!! こいつらカラス形態の方が強いぞ!!」

ミスティ「また迎撃するだけよ!!」

 *

 ――戦闘終了――

 斃れたシャークロウA「」
 斃れたシャークロウB「」
 焼き鳥になったシャークロウC「」
 黒焦げになったシャークロウD「」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ モグモグ


イリス「…………シャークロウの、一匹……泣いていました……」

ミスティ「そうね……」

エバンス「おう……」

ローガン「シャークロウは知能が高く……そして、仲間思いの生き物だ。生かしておけば必ず報復に来る。禍根は絶っておかなければならん」

イリス「はい……わかっています」グッ

妖精「イリス……」

イリス「……私も、食べます。クロシュちゃんと一緒に……シャークロウたちの命を――」


 ☆シャークロウを食べたことにより、次回戦闘コンマ+10


↓1コンマ
01-10 発見率+2、強敵
11-30 発見率+2
31-50 発見率+3、砂爆弾(次回戦闘コンマ+10)
56-70 発見率+3、テラヌスアロエ(持久力+3)
71-90 発見率+4、砂竜の砂団子(戦闘コンマ+20)
91-00 発見率+4、???

―テラヌス砂漠 発見率[4/10] 持久力[7/10] [次回戦闘コンマ+10]


 強化ソリ「」シャーッ

 一面の砂景色「」ヒュオオオオ――…


ミスティ「……どう?」

妖精「水の気配も、スライムの声も聞こえない……。クロシュは?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ フルフル

妖精「クロシュも同じだってさ」

イリス「まあまだ探索は始まったばかりだもん! 大丈夫だよ!」

ミスティ「そうね……。私もまだまだ余裕があるわ……。日傘のお陰で消耗も少ないし」


↓1コンマ
01-10 発見率+2、強敵
11-30 発見率+2、敵襲
31-50 発見率+3、砂爆弾(次回戦闘コンマ+10)
56-70 発見率+3、テラヌスアロエ(持久力+3)
71-90 発見率+4、砂竜の砂団子(戦闘コンマ+20)
91-00 発見率+4、???

―テラヌス砂漠 発見率[4/10] 持久力[6/10] [次回戦闘コンマ+10]


 強化ソリ「」シャーッ


スライムクロシュ「――!!」モニョニョ!!

妖精「え、どうしたのクロ――」

クロシュ「み、みんな! せんとうたいせい!!!」ポン!!

イリス「!」バッ
ミスティ「!」バッ
ローガン「!」シャキン
エバンス「!」シャキン

ウニ盾クロシュ「!」バッ!!

 降り注ぐ何か「」ビュオオオオッ
 ウニの大盾「」ガガガガガッ

妖精「こ、こいつは――!!」


「へぇ、前よりこっそり奇襲したのに」デロデロ モニョモニョ

 ポン!!

分体ブラッド「未だにペット続けてるんだ、お前」スタッ

ウニ盾クロシュ「……」ジャキッ

ミスティ「お前は……!!」ギリリ

ローガン「指名手配スライムの、ブラッド!!」

分体ブラッド「あ? お前たち人間が勝手に付けた名前でしょ、それ」

イリス「……じゃあ、なんて呼べばいいの?」

分体ブラッド「呼ぶなって言ってんだよ!」シュバッ


 ――遭遇戦 分体ブラッド・中位――


↓1コンマ(シャークロウ+10)
01-10 痛恨
11-40 劣勢
46-95 優勢

分体ブラッド「」ズズ―

ローガン「同化か!」

イリス「させない! ここは属性攻撃で――!」カッ

 炎弾「」バンッ!!

炎弾に貫かれる分体ブラッド「」バギュゥゥゥン――

エバンス「やったか!?」

砂塵分体ブラッド「あっはははは!! 砂程度も溶かせないボヤしか出せないの!?」サラサラ

ミスティ「こいつ、砂に――!?」

エバンス「砂だと!?」

 地を走る砂刃「」シャッ
  地を走る砂刃「」シャッ
   地を走る砂刃「」シャッ

 ガギンッ

ローガン「ぬううう!!」ガガッ

イリス「ローガンさん!!」

砂塵分体ブラッド「ほらほら余所見してる場合!?」ザザッ

ウニ盾クロシュ「!」シュバッ

 ガギンッ

ウニ盾クロシュ「んゅっ……!」

砂塵分体ブラッド「チッ……! お前、スライムの癖にまた人間なんかを庇って!! 目障りなんだよ!!!」グオオオオオッ!!!

 砂嵐「」ギュオアアアアア!!!!!

ウニ盾クロシュ「ふゃっ……」


妖精「クロシュ!!!」

ミスティ「そこよ!!! 凍てつけ!!!!」ヒュオ―


砂塵分体ブラッド「え――」ヒュオ―

 〈会心の一撃!!〉

凍結する砂塵分体ブラッド「ぎっ……!!!?」ガギンッ


ミスティ「……あなた、分体よね」スタスタ

凍結する砂塵分体ブラッド「な、なん、だ……お前……!!」

 ガンッ!!

凍結する砂塵分体ブラッド「ぎゃっ……!」

ミスティ「分体でもいいわ……。洗いざらい吐いてもらうわよ……!! あの日のことを――!!!」


クリティカルボーナス 分体ブラッドに尋問を行うことができます
↓1〜3 ブラッドに何を聞く? or 何をする?(分体なのでちゃんと答えてくれるかはわかりません)

ミスティ「10年前……北部地方の街、スノウタウンが滅んだわ……。魔物の襲撃でね……」

凍結した分体ブラッド「はあ……?」

ミスティ「その中の一匹があなただということはわかっている! なぜ襲った!?」

凍結した分体ブラッド「知るか。そんな大昔のことなんて覚えてるわけ――」

 ガッ

凍結した分体ブラッド「ぎゃっ!」

ミスティ「分体にも痛みはあるのでしょう? 凍らせていれば、体組成の変更も自爆もできないはずよね」

凍結した分体ブラッド「チッ……。だから覚えてないって――」

 ガッ

凍結した分体ブラッド「うぐっ……! お前は……自分が幼児だった頃のことなんていちいち覚えてるの……!?」

ミスティ「え……?」

凍結した分体ブラッド「まだ自我も芽生えてない頃のことだよ! あたしは……あたしたちは――」

凍結した分体ブラッド「…………チッ……」

ミスティ「……」

妖精「……あなたは、どこで生まれたの?」

凍結した分体ブラッド「知らない。さっきと同じ。生まれて間もない頃のことなんて覚えてるわけない」

妖精「じゃあ質問を変える。あなたは、どこで育ったの?」

凍結した分体ブラッド「……さあ。この大陸のどこかでしょ」

妖精「……反映魔法の使い方はどこで学んだの?」

凍結した分体ブラッド「自己流だけど」

クロシュ「!」

妖精(! やっぱり反映魔法なんだ!)

クロシュ「えと……わたしのこと……知ってるの……?」

凍結した分体ブラッド「は……?」

クロシュ「えと……前に……同類、って……」

凍結した分体ブラッド「……お前は、何も覚えてないんだ」

クロシュ「……?」

凍結した分体ブラッド「一応言っておくけど、あたしはお前に面識があるわけじゃない。まあ……親戚みたいなもんだよ、多分ね」

クロシュ「……? えっと……」

凍結した分体ブラッド「……あたしとお前のことが知りたかったら、あたしを吸収してみなよ。そうすりゃ全部わかる」

クロシュ「!」

妖精「待ってクロシュ! だめ! 罠だよ!」

クロシュ「でも……」

凍結した分体ブラッド「あたしを吸収すれば、あたしの知識と記憶だけでなくあたしの培ってきた技術や能力も身に付けられるかもよ? そうすればお前は晴れてこの大陸でニ番目に強いスライムになれる。一番はもちろんあたしの本体だけどね」

クロシュ「……」

ミスティ「クロシュ、やめなさい。こいつの知識と記憶が欲しいのは確かだけど、あなたがそんな危険を冒すのは絶対にだめよ……」

クロシュ「……」

凍結した分体ブラッド「今の弱っちいペットスライムのままで、この先お前は誰を守れるの? 誰も彼もを見殺しにしていく未来が望みなの?」

妖精「クロシュ、耳を貸さないで! ミスティ、こいつを黙らせ――」

凍結した分体ブラッド「ばーか! もう十分なんだよ!!」

 バギャッ

ミスティ「しまっ――」

分体スライムブラッド「」ピョンッ

クロシュ「!」

 モニョッ デロデロ…

スライムクロシュ「」モニョニョニョ


妖精「わああああ!! 吐き出して!! クロシュ吐き出して!!!」


↓1コンマ
01-05 乗っ取られる
06-15 混沌化
16-85 吐き出す
86-95 スライム能力+
96-00 スライム能力++、ブラッドの知識+記憶を獲得

スライムクロシュ「」モニョモニョ…ペッ

分体スライムブラッド「」ベチャッ モニョニョ…

ミスティ「凍れ!!」カッ

凍結分体スライムブラッド「」ガギンッ

ローガン「やはり危険生物か! トドメを刺すが構わんな!?」ジャキッ

ミスティ「ええ! 生かしておく方がリスクがある!」

ローガン「ぬんっ!!」
 回転ノコギリ「」ギャリギャリギャリ―

凍結分体スライムブラッド「」モニャニャニャッ!

 バギャァン―

イリス「念の為、破片もしっかり燃やしとくね!」カッ

 炎「」ゴウッ メラメラ…

 ――戦闘終了――

 *

―テラヌス砂漠 発見率[6/10] 持久力[6/10] 


 強化ソリ「」シャーッ


スライムクロシュ「」モニョニョ…

妖精「クロシュ、大丈夫? 変なとこない?」

ミスティ「まさかクロシュを乗っ取ろうとするなんて……。油断も隙もないわね……」

イリス「でも……結局、よくわかんなかったね……。ブラッドがどうしてミスティの故郷を襲ったのかも……」

ローガン「うーむ……しかしあのブラッドと言えど、物心つく前の幼い時期に街を滅ぼすほどの力などあったのだろうか……」

エバンス「他にいたっていう仲間頼りだったんじゃないか?」

ミスティ「……」


ミスティ(……私の復讐は……ブラッド一匹を目の敵にするのが、本当に正しいのかしら……)


↓1コンマ
01-10 発見率+2、強敵
11-30 発見率+2、敵襲
31-50 発見率+3、砂爆弾(次回戦闘コンマ+10)
56-70 発見率+3、テラヌスアロエ(持久力+3)
71-90 発見率+4、砂竜の砂団子(戦闘コンマ+20)
91-00 発見率+4、???

―テラヌス砂漠 発見率[8/10] 持久力[5/10] 


 強化ソリ「」シャーッ


エバンス「……ん? お、あれは――」


 遠くに見えるオアシス「」ユラユラ


ローガン「オアシスか!」

妖精「てことか、この辺には地下水が来てるってことかな?」

ミスティ「そうみたいね。これは良い指標になるわ」

イリス「やったね! せっかくだし休憩してこうよ!」

ミスティ「ええ」


イリス(よーし、ここに来てようやく良い感じになってきたなあ……)

 テラヌス砂漠周辺地図「」パサッ

イリス(……ん? でも、あの位置って推定地下水脈からちょっと離れすぎてないかな……?)

イリス(いや、つまり地下水脈が逸れてあっちの方へ流れちゃってるってことかな?)

イリス(どっちにしてもオアシスに行って調査しなきゃ!)

 *

―オアシス? 発見率[8/10] 持久力[5/10] 

 水「」キラキラ
 生い茂るヤシの木「」サワサワ

エバンス「おおー! すっげー良いオアシスだな!」

ローガン「うむ! 休憩にはぴったりだ!」


妖精「あ、れ……? なんだろ……目眩、が……」フラフラ

クロシュ「妖精さん!」ダキッ

妖精「あ……クロシュ……。ごめんね……ちょっと、休ませて……」ボー

イリス「よ、妖精さん大丈夫!?」

ミスティ「丁度良いところにオアシスがあって良かったわね……。ここで休んでいきましょう……」


↓1コンマ
01-05 痛恨 持久力-4
06-25 劣勢 持久力-2
26-90 優勢
91-00 会心

―オアシス? 発見率[8/10] 持久力[3/10]

エバンス「おお……このオアシスの水、美味すぎるぞ!!」グビグビ

ローガン「おお……アムリタだ、これは……」グビグビ

ミスティ「何かしら……ここで休憩していると、ものすごく疲れが取れていくわ……」グッタリ

イリス「あ、れ……? 私……えっと、何を調べようと、してたんだっけ……」グルグル


妖精「はあ、はあ……」グッタリ

クロシュ「妖精さん……! えと、えと……」オロオロ


↓1コンマ
01-05 痛恨 持久力-4
06-25 劣勢 持久力-2
26-90 優勢
91-00 会心

―オアシス? 発見率[8/10] 持久力[3/10]

エバンス「〜〜」グルグル
ローガン「〜〜」グルグル
ミスティ「〜〜」グルグル
イリス「〜〜」グルグル


巨大なアリジゴク「キシャアア」


クロシュ「!!」

巨大なアリジゴク「!!」シャキンッ

 ゴウッ

炎メイド剣士クロシュ「みんなは……食べさせない……!」チリチリ


↓1コンマ
01-05 痛恨 持久力-4
06-25 劣勢 持久力-2
26-90 勝利

―オアシス? 発見率[8/10] 持久力[1/10]

イリス「あ……お師匠さま……! イリスね、イリスね……やっとイリスの属性、わかったんだよ!」グルグル

ミスティ「あ、れ……ママ……? あ……そっか……私……ずっと、悪い夢を、見て……」グルグル

ローガン「はっはっは、パパが帰ってきたぞ〜! はい、これは何でしょう!? 誕生日ケーキだぞ〜!」グルグル

エバンス「おう! 俺が来たからにはもう大丈夫だぜ、イーシャさん! 大船に乗ったつもりでいてくれよな!」グルグル



巨大なアリジゴク「」シュバッ

 バシンッ!

炎メイド剣士クロシュ「ぁっ!フラッ

巨大なアリジゴク「」ドガッ

炎メイド剣士クロシュ「ふあっ!」ドガンッ ゴロゴロ


クロシュ「はあ、はあ……ん、んゅ……」ググ


クロシュ(みんなを……まもらなきゃ……)グググ


↓1コンマ
01-05 痛恨 持久力-4
06-25 劣勢 持久力-2
26-00 勝利

メイド剣士クロシュ「ん、んゅゅ……」グググ

巨大なアリジゴク「キシャキシャ」シャキン

メイド剣士クロシュ「んゃぁぁぁぁ!!」シュバッ

 ズバァッ!!

巨大なアリ/ジゴク「キ シャ…」

 ドズウン――…

 ――戦闘終了――

 *

 焼きアリジゴク「」コンガリ

スライムクロシュ「〜〜!」ガツガツモグモグモニョモニョ!


イリス「はっ! こ、ここは……」

ミスティ「う……私、は……」

ローガン「…………ああ……」

エバンス「……嘘だろ…………」


妖精「みんな、気が付いた……?」

イリス「よ、妖精さん……!」

妖精「あれ……この砂漠に棲む、ある意味最も危険な魔物……オアシスモドキ……。そいつにやられたんだよ、私たち……」

ローガン「なんだと……」

妖精「クロシュがいなかったら、私たち……みんな、あいつの胃袋の中だった……」

エバンス「なんてことだ……」

ミスティ「……ごめんなさい……不甲斐ないわ……」

妖精「……一番不甲斐ないのは、私……。心属性魔法に唯一耐性があるのは私のはずなのに……対応できなかった……」

イリス「……みんな助かったんだから、大丈夫! えへへ……私も……幻覚だけど、久しぶりにお師匠様に会えたから……結果オーライだよ!」グスッ

ミスティ「……ふふっ……そうね……。私も……良い、夢を見れたわ……」グシグシ

ローガン「うむ……。クロシュくんには最大限の感謝をせねばな……」

エバンス「おう……。はあ……また、助けられちまったのか……」


 ☆オアシスモドキを食べたことにより、持久力が3回復しました

 *

というわけで少し中途半端ですが、本日はここまでとなります。次回、水枯れ原因探しの最終コンマから開始となります

今回の行軍では相次ぐ敵襲によりものすごく疲弊しているクロシュ一行であります。シャークロウの襲撃に始まり、分体ブラッド、オアシスモドキと連戦が続いて体力自慢のクロシュ氏も流石に疲労困憊の様子です
そして次回ついに相まみえるであろう水枯れの原因とは一体何なのか――。少し疲れているクロシュ一行は無事に街へ帰ることができるのでしょうか。どうかクロシュちゃんたちの無事をお祈りくださいませ

それでは本日もありがとうございました。次回、明日も可能であれば更新いたしますので、よろしくお願いいたします

シャークロウCくんは、鳥一倍仲間思いで、そして心が強くない個体だったのでしょう。戦意を喪失して泣き崩れていたところをイリス氏に焼かれてしまったようです
分体ブラッド氏は、クロシュさんにペッと吐き出された時には既に弱っていたため、その後なすすべなく凍らされてやっつけられてしまったようです。いかに強いスライムと言えど、凍らされて回転ノコギリでギャリギャリされればモニョモニョ言う間もなくやられてしまいます

ブラッド氏は悪賢く狡猾なスライムなため、やられたフリをして反撃の隙を伺ったりもするようです。そういえば前回も、分体がやっつけて勝利したと思いこんでいたクロシュ一行を本体が奇襲してくるというずるい戦術を取っていたような気がします
イリスはお師匠様と悔いの残るお別れをしたわけではないため、元から気持ちの整理が付いていたのでしょう。それゆえに、このような幻覚を見せられてしまってもメンタルへのダメージは少なかったようです。しかし他のパーティメンバーはそれぞれ後悔があるようで、今回の幻覚で受けたダメージは小さくなかったのかもしれません

ブラッド氏は人間と徒党を組むことは許容できないため、もしクロシュ氏が乗っ取られていた場合はこのパーティから離脱していた可能性は実際高いです。それは実際のところ運命賽案件でもありました。そしてパーティから離脱した場合は、乗っ取られたクロシュ視点で進めるか、クロシュのいなくなったパーティの視点で進めるかを選択することになっていたかと考えられます
ちなみに混沌化していた場合は、最近はすっかり鳴りを潜めている混沌クロシュが活性化し、戦闘力が増加すると共にクロシュの性格が混沌に傾いたものとなっていたと思われます。直ちに離脱することはありませんが、現パーティの方針とはかなり合わないため、良からぬ不和を招いていた可能性があります(逆に、ブラッド本人やシノホシの人々とは相性が良くなります)

クロシュ氏が一人でがんばるシーンは確かに以前より増えてきていますが、それはクロシュ氏の実力が突出しているわけではなく、どちらかというとスライムゆえの耐久力・適応力・各耐性の高さによるものが大きいです。逆に、シャークロウなどの高速連携攻撃を仕掛けてくる相手や、魔法主体で攻めてくる相手は苦手なので、あまり役に立てないかもしれません(耐久力は高いので、すぐにやられることもないのですが)

クロシュが最強のスライムになれるかどうかはわかりませんが、ポテンシャルで言えば輝きを秘めうると思われます。ちなみに我こそは大陸最強のスライムであると粋がっているブラッド氏ですが、根拠は特にないようです(とても強いのは確かです)

―テラヌス砂漠 発見率[8/10] 持久力[4/10]


 強化ソリ「」シャーッ


スライムクロシュ「!」モニョ!

イリス「クロシュちゃん、何か気付いた?」

半スライムクロシュ「あっちの……方から……スライムの、気配がする……!」ビシッ


 ヒュオオオオオ――
  モニョ… モニョ…


妖精「本当だ……微かだけど、声が聞こえる」

エバンス「ついに発見か!?」

ミスティ「行ってみましょう」

ローガン「うむ……気を付けて進もう」


↓1コンマ
01-30 発見率+2
31-50 発見率+2、砂爆弾(次回戦闘コンマ+10)
56-70 発見率+2、テラヌスアロエ(持久力+3)
71-90 発見率+2、砂竜の砂団子(戦闘コンマ+20)
91-00 発見率+2、???

 強化ソリ「」シャーッ


  大きな砂団子「」


エバンス「……ん? ありゃなんだ?」

ミスティ「大きな……砂の塊?」

妖精「あれは……多分、砂竜の子供が遊びで作る砂団子だと思う。見た目はただの大きな砂団子だけど、中には砂属性の魔力が凝縮されてるよ」

イリス「え、そうなの!? ミスティ、拾ってこうよ!」

ミスティ「いいけど……」

妖精「でも砂だから長くはもたないよ。帰る頃には崩れちゃうと思う」

イリス「そ、そうなんだ……。でもせっかくだし、見てみたい!」

エバンス「俺もちょっと気になるぜ!」

 *

 大きな砂団子「」ポン

イリス「わあ……! 大きめのココナッツくらいはあるなあ」

エバンス「大地の魔力を感じるぜ!」

 ☆砂竜の砂団子を手に入れました。今回の探索中、戦闘コンマが+20されます

 ◆

―テラヌス砂漠 発見率[10/10] 持久力[3/10]


 夕日「」キラキラ


ミスティ「日が沈んできたわ……」

イリス「もう日傘は閉じても良さそうだね」

 日蝕の傘「」バサッ
 闇の領域「」シュウン―

ローガン「クロシュくん、スライムの気配はどうか?」

クロシュ「えと……あ、ち、近い!」


 強化ソリ「」グラッ


イリス「わああ!?」グラッ

エバンス「うおお!?」

ローガン「こ、これは――」


 巨大な流砂「」ゴゴゴゴゴ――


妖精「巨大な……流砂!!?」

ミスティ「ごめんなさい、大きすぎて気付けなかった! なんとか……脱出させないと――」

 強化ソリ「」ググググ…

イリス「か、風よ!」カッ

 帆「」バサッ ビュオオオオッ

 巨大な流砂「」ズゴゴゴゴ!!

イリス「だ、だめだあ! 吸い込まれる!!」

ローガン「真っ直ぐに逃げようとしても角度に抗えん! 円を描くように周りながら中心と距離を取っていくんだ!!」

ミスティ「わ、わかったわ!」

 強化ソリ「」グイッ シャァァァ――

エバンス「おお! なんとか建て直した!」

ミスティ「でもこの流砂、普通じゃない! まさか――」

クロシュ「……!! これ……スライム!!!」

ローガン「なんだと!?」


 流砂の中心「」ズズ…
巨大なスライム「〜〜」ヌッ モニョモニョ


イリス「え、ええ!!?」

ミスティ「あ、あれが……スライム……!!?」

エバンス「で、でかすぎるだろ!!?」

ローガン「なんてことだ……!!」


巨大なスライム「〜〜」モニョモニョモニョ

 巨大な流砂「」ズゴゴオオオオ!!!!


 強化ソリ「」ガクンッ!!

ミスティ「!! す、砂の速度が!!」

妖精「このままじゃ吸い込まれる! あいつをどうにかして大人しくさせないと!!」


 ――戦闘開始 アリジゴクモドキ――


↓1コンマ(砂竜の砂団子+20)
01-40 劣勢 持久力-2
41-90 優勢
91-00 会心

―テラヌス砂漠 発見率[10/10] 持久力[3/10]


ミスティ「くっ、凍れ!」コォォォ―

巨大なスライム「〜〜」パキンッ モニャニャ

ミスティ「だめだわ! 中心に出てるのは氷山の一角でしかない――一部だけ凍らせても効き目が薄いわ!」

ローガン「ならば外側からだ! 鋼の槍よ!!」バッ

炎魔女クロシュ「ん! えいっ!」カッ

 鋼の槍「」バシュンバシュンッ!
 炎弾「」バシュン!

 ドスドスッ ドガァン!

巨大なスライム「〜〜!」モニョニョ!

ローガン「効き目は薄いか……!?」

妖精「ちゃんと効いてる! 攻撃を続けて!」


エバンス「! そうだ、この砂団子の力を使えば――」

 砂竜の砂団子「」ギュオオオオッ

エバンス「う、うおおお!!? せ、制御し切れ――」

イリス「わ、私も手伝います!」バッ

 砂竜の砂団子「」ゴゴゴゴゴッ

エバンス「お、おお……! いけるぜ!!」ゴゴゴ―

イリス「はい! いっけぇぇぇ!!」カッ―

 巨大な砂の刃「」バシュンッ!!

 ズバァンッ!!

巨大なスライム「〜〜!!」モニャニャ!!


妖精「いい感じ! かなり効いてるみたい!」


↓1コンマ(砂竜の砂団子+20)
01-40 劣勢 持久力-2
41-00 勝利

―テラヌス砂漠 発見率[10/10] 持久力[3/10]

エバンス「よし! この調子でいくぜ、イリスちゃん!」

イリス「はい! それっ!!」

 巨大な砂の刃「」バシュンッ!!
 巨大な砂の刃「」バシュンッ!!

 ズバンッ!! ズバンッ!!

巨大なスライム「〜〜!!!」モニャニャニャ!!!


ローガン「我々も攻め続けるぞ!」

ミスティ「ええ!」

炎魔女クロシュ「ん!」

 鋼の槍「」バシュンッ
 巨大な氷柱「」ビュンッ
 炎弾「」バギュンッ

 ドスドスッ ドガァアン!!


巨大なスライム「〜〜〜!!」モニャニャ!!っっっ

 流砂「」ズズズッ――


イリス「流砂の下に引っ込んでく!」

ミスティ「……! 砂の流れも止まった!」

エバンス「とりあえず……危機は去ったか!?」

ローガン「警戒は怠れんがな……」


 ――戦闘終了――

 *

 流砂の中心「」

イリス「も、もう引きずり込まれたりしないよね?」

ミスティ「安全な場所に置いたソリから命綱を引っ張ってきてるから、もし引きずり込まれても……多分大丈夫よ……」

エバンス「こいつが犯人なのかどうか、とにかく話を聞いてみないとな」

ローガン「うむ……。クロシュくん、妖精くん、対話を頼めるか?」

妖精「うん、わかった」

スライムクロシュ「〜!」モニョ!



妖精「お〜い、そこのでっかいスライム! 聞こえる!?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ


巨大なスライム「〜〜…」モニョニョ…


スライムクロシュ「! 〜〜?」モニョニョ?

巨大なスライム「〜〜…」モニョモニョ…


妖精「人間の言葉はわからないみたい。クロシュ、対話をお願い」

スライムクロシュ「!」モニョ!

 *

クロシュ『……さっきはごめんね。わたし、クロシュ……』モニョモニョ

巨大なスライム『いたかった……。クロシュちゃん、ひどいよぉ……』モニョモニョ…

クロシュ『ごめんね……。でも、どうして吸い込もうとしたの……?』モニョモニョ

巨大なスライム『だって、おもしろいんだもん……』モニョモニョ…

クロシュ『そうなの?』モニョニョ?

巨大なスライム『うん……。もぐもぐすると、もぐもぐしてるもののことがわかるから、おもしろいの』モニョモニョ

クロシュ『そうなんだ……』モニョモニョ

巨大なスライム『うん……。あ、もぐもぐしても食べちゃわないよ……? お礼に垢だけ食べて、お外に出してあげてるの……』モニョモニョ

クロシュ『そうなの?』モニョニョ?

巨大なスライム『うん……。ほんとだよ……?』モニョモニョ

クロシュ『そうなんだ……』モニョニョ

巨大なスライム『うん……』モニョ

クロシュ『えっと……あ、そうだ……お水、流れてない……?』モニョモニョ

巨大なスライム『おみず……?』モニョニョ…?

クロシュ『うん……。えと、砂漠の街の……テラヌス・ウルスで、お水が、足りなくなってて……。この辺の地下に、お水の流れがあるそうなんだけど……』モニョモニョ

巨大なスライム『あ、うん……。お水、あるよ。おいしいよ?』モニョモニョ

クロシュ『! え、えと……その……。ここで、あなたがお水を全部飲んじゃうと……街の人たちが、飲めなくて、困っちゃうから……』モニョモニョ

巨大なスライム『そうなの?』モニョニョ?

クロシュ『うん……。だから……全部は……飲まないでおいて、欲しいの……』モニョモニョ

巨大なスライム『えー……。でも、ノド乾く……』モニョモニョ

クロシュ『んゅ……』モニョ…

巨大なスライム『クロシュちゃんが、お水を出してくれるなら、いいよ……?』モニョモニョ

クロシュ『んゅゅ……』モニョニョ…


↓1〜3 どうしよう
1.雨乞い傘をあげる
2.大きな巻き貝をあげる
3.他の提案をする(自由安価)

クロシュ『!』ピコン!

巨大なスライム『?』

クロシュ『えと……これ、どうかな……?』モニョ

 雨乞い傘「」ポン

巨大なスライム『わあ……。これ、なあに?』モニョモニョ

クロシュ『えっと、雨を呼ぶ、傘だって……』モニョモニョ

巨大なスライム『ちょっと借りるね』モニョッ

 デロデロ…ポン!!!!!!

雨乞い巨大スライム『〜〜』モニョモニョ シットリ

クロシュ『わあ……!』モニョ!

雨乞い巨大スライム『ん〜〜! 体中がみずみずしいよぉ〜!!』モニョモニョ

クロシュ『うん……』モニョ

雨乞い巨大スライム『これは……差せば、雨雲を引き寄せる傘なんだね……。でもこの辺は、そもそも雨雲そのものがないから――』モニョモニョ

クロシュ『あ……じゃあ、だめ……?』モニョニョ…

雨乞い巨大スライム『んーん……。魔法で、雨を降らすの!』モニョニョ!

クロシュ『わあ……!』モニョ!

雨乞い巨大スライム『でもここでいきなり雨を降らしちゃうと、大地がデロデロになって大変だから――こうするの!』カッ―

 *

 ゴゴゴゴゴッ…
 バシャバシャバシャッ ズゴオオオオオオオッ――


エバンス「な、なんだこの地響きは!?」

ローガン「一体何が――」

イリス「み、水だ……! ものすごい水の力を感じる!!」

ミスティ「え、ええ!?」


 巨大な流砂「」ゴゴゴゴゴ
 溢れ出す大量の水「」ゴゴゴゴゴ


妖精「わわわわわ! みんな一旦下がって!!」

イリス「クロシュちゃんは!!?」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョモニョ!

妖精「あのでっかいスライムに乗せてもらうから大丈夫だって! とにかく泳げない人は急いで下がって!!」

 *

 巨大なオアシス「」トプン

クロシュ『わああ……! すごい!』モニョニョ!

雨乞い巨大スライム『んふふ〜! わたし、物知りだもん! 魔法の使い方もバッチリだもん! 同化は、時々失敗しちゃうけど……えへへ……』モニョモニョ

クロシュ『でも、すごい!』モニョモニョ!

雨乞い巨大スライム『これからは飲んだ分だけ水を作るよ〜。それでいいよね?』モニョモニョ

クロシュ『うん! ありがと!』モニョニョ!

 ☆巨大スライムに雨乞い傘をあげました
 ☆水脈の途中に大きなオアシスができました

 ◆

急用が入ったため、次の更新は21:30~22:30くらいになります。申し訳ありませんが、よろしくおねがいします

―夜
 テラヌス・ウルス噴水広場

ミラ「くそっ……何なのよ、あの新聞は……! あれじゃあ王国と手を組む為に魔族を追い出す計画が――」

 ゴゴゴゴゴッ――

ミラ「な、何の音――」

 噴水「」バシュゥゥゥゥン!!!

砂漠スライムA「〜〜!」モニョニョスポーン!
砂漠スライムB「〜〜〜!」モニョニョスポーン!
砂漠スライムC「〜〜」モニョニョスポーン!
砂漠スライム長老「んわ〜!」モニョニョスポーン!

ミラ「ぎゃああああ!!」ビショビショ

 ◆

―テラヌス・ウルス 滞在8日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣
魔王図鑑        
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・テラヌス・ウルスの水不足を解決する[達成!]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](イリス)+1
・魔法[3/6](ミスティ)+2
・氷属[4/8](ミスティ)+2
・剣技[1/8](エバンス)
・魔法[4/4](エバンス)+2 LVUP!
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―朝
 テラヌス・ウルス噴水広場

 噴水「」シャバシャバ

砂漠スライムたち「〜〜」モニョモニョ キャッキャ

子供A「水だあああああ!!」
子供B「ま、まじかああ!?」
子供C「めっちゃ水!!!!」

市民の男性「お、おおお……!? ほ、本当に水が……!!」

市民の女性「ああ……恵みの水よ――」


リアンノン「ほ、本当に……水が……」

ベスティア「ええ……! リアンノン、これなら――」

リアンノン「はい……! 私たちは心置きなく、ここにいれます――!」

 *

―テラヌス・ウルス宮殿中庭

 噴水「」シャバシャバ

ヨードリー「――」ボー

アニス「ヨードリー。ここにいたのね」スタスタ

ヨードリー「アニス」

アニス「……水、出たみたいね」

ヨードリー「そのようだ……」

アニス「ふふ……あれほど手を尽くしても、原因すらわからなかったのに」

ヨードリー「ふっ……全くだ……」

アニス「これでもう悩む必要も――あなたが魔族排斥の罪を背負う必要も、ないわ」

ヨードリー「ああ……」

アニス「……良かった。あなたが、そんな罪を背負わずに済んで」

ヨードリー「……」グスッ

アニス「……ふふ」

ヨードリー「……少し、部屋で休むよ。公務は任せても良い?」

アニス「もちろん。そのために来たんだもの。ゆっくり休んで」

ヨードリー「ありがと……アニス……」

 *

―朝
 月明かりのオアシス ロビー

 水道「」シャバシャバ

猫耳の褐色少女「わー! わー!」キャッキャ

スライムクロシュ「〜〜!」モニョモニョ キャッキャ


イリス「水、ちゃんと流れてる……!」

ミスティ「ええ……。あのスライムが、しっかり流してくれてるみたい……」

エバンス「へへっ……激戦をくぐり抜けた甲斐があったってもんだぜ!」

ローガン「フッ……今回の冒険は本当に命がけだったな」

妖精「でもこれで、この国が王国と手を結ぶ必要は完全になくなった……! これで私たちも心置きなく世界樹の光を探しに行けるってもんだよ!」

イリス「はっ! すごい達成感だったけど、私たちの本当の目的はそっちだったね!」

ローガン「とは言え、昨日の今日で流石に我々も疲れている。今は休むべきだろう」

妖精「そうだね。今日は休憩!」


 ☆怨敵ブラッドとの戦いにおける会心の一撃で、ミスティが魔法と氷属性の経験をそれぞれ[2]獲得しました
 ☆砂竜の砂団子を使ったことでイリスが魔法の経験を[1]獲得しました
 ☆砂竜の砂団子を使ったことでエバンスが魔法の経験を[2]獲得し、魔法のレベルが上がりました


テラヌス・ウルス滞在8日目です。9日目に非人間排斥法案の決議が出ます
↓1〜3 自由安価 何をする?

―テラヌスウルス市街

 ワイワイ ガヤガヤ

 看板『公共浴場 臨時開業!!!!』


イリス「あっ! 公共浴場が開いてる!」

ミスティ「今まで臨時休業してたのよね……」

ローガン「昨日水が通ったばかりだというのに、なんと軽いフットワークか」

 *

―公共浴場 受付

 ワイワイ キャッキャ

妖精「流石に賑わってるし、私はやめとこうかな」パタパタ

エバンス「男湯も混んでそうだし、俺も宿の湯でいいかな……ん?」

ヨードリー「む……貴殿らは――」ホカホカ

妖精「議長のヨードリー!」

エバンス(うおっ、風呂上がりか……! 元々美人だが、風呂上がりってのはなかなかどうして、色気ってやつが……)

妖精「こらこら、何考えてんの」ペシペシ

エバンス「お、おお……すまん。今日は非番なのか?」

ヨードリー「はは、午前中だけ休みを取った。午後からは復旧した水道調査で大忙しだぞ」

エバンス「お、おう……。そりゃまあ、ご苦労なことで……」

ヨードリー「そうだ。今度水道復旧の祭りを行うのだが、貴殿らも街を守りし英雄として招きたい。どうだろう?」

妖精「えっ、大げさだなあ。そんなけったいなことしなくていいよ」

エバンス「ああ。今この国はそれどころじゃないだろ? 復旧した水道の管理に全力を注いでくれよ」

ヨードリー「……そう言われてしまうと弱いな。では貴殿らの厚意はありがたく頂戴させてもらおう」

エバンス「おう、それが良いぜ」

ヨードリー「だが、もしもう少しこの街に滞在するのであれば、是非祭りを見ていってくれ。私個人としては貴殿らをもてなしたいのだ!」

妖精「まあ、そこまで言うなら……」

エバンス「……フッ」

ヨードリー「む? 何か面白いことを言っただろうか?」

エバンス「いや……なんだか、憑き物が落ちたみたいだと思ってな」

ヨードリー「……憑き物、か……ふふっ、実際落ちたのかもしれん!」

妖精「国のトップってのはいろいろ責任もあって大変だもんねえ」

ヨードリー「だが、やりがいもある。私はこの国が好きなのだ……だから、この国を守る最前線に立つ議長という立場を、誉れに思っている」

妖精「ふふ、ちょっとわかるかも。がんばってね」

ヨードリー「うむ! 貴殿らも、良い旅を!」

 *

―公共浴場 女湯

 カポーン

クロシュ「?」キョロキョロ

イリス「妖精さんなら、宿の湯にするって」

クロシュ「……」ショボン

ミスティ「まあ、仕方ないわよ……。ここは人が多すぎるし、妖精が完全に受け入れられてるとは言えないもの……」

クロシュ「うん……」


ミラ「はぁぁ……! くそっ……良い湯なのに、今はこれがこんなにも忌々しいなんて……!」イライラ


ミスティ「ほら……妖精がいたら騒ぎを起こしそうな人がいるわ……」

クロシュ「んゅ……」

イリス「えと……確か、スピーゲル派の、ミラさん……だっけ?」

ミスティ「ええ……。なんでも、過激な魔族嫌いで有名みたい……。あまり関わらない方が――」


クロシュ「あの……」

ミラ「ん……? お前は、あの時の子供? 何よ……私を嗤いに来たの?」


ミスティ「クロシュ!!?!??」

イリス「言ってるそばから!!」


クロシュ「えと……。どうして……魔族が、嫌いなの……?」

ミラ「はあ? そんなの――」

クロシュ「……」ジッ

ミラ「――キモいし、キショいし、不潔だし、頭も悪いし、教養もないし、芸術の価値もわからない、愚鈍な奴ら。特に鬼とかいう東洋の魔族は本当に最低……。粗暴で、品性下劣で、攻撃的で、知性皆無な蛮族よ」

クロシュ「おに……?」

ミラ「昔、この国にもいたのよ。フン……年下の癖に生意気で、魔族の癖に勇者なんかに憧れて棒きれを振り回して、調子に乗ってるクソガキだったわ……」

クロシュ「勇者……」

ミラ「勇者サインの伝説くらい聞いたことあるでしょ。あのクソガキ、自分はサインの仲間の孫だなんて大ボラを吹聴してたわ。本当、救えない虚言癖」

クロシュ「……でも……嫌いに、ならなくても……」

ミラ「それだけじゃないわ。そいつは……そいつら鬼族が……私の両親を殺したのよ」

クロシュ「!!」

ミラ「勇者に憧れてるなんて大嘘だったのよ。あいつらは、人間を踏みにじって良い害虫程度にしか思ってない……」

クロシュ「で、でも……その子は、無関係、かも……」

ミラ「無関係なものか。あいつの両親は私たちスピーゲル族を目の敵にする過激な魔族主義者だった。私は見たのよ……寝室で、血まみれになりながら私の両親を撲殺する奴らに混じって……あいつの姿があったのを――」

クロシュ「!!!」

ミラ「……それで、その次の日……外の通りで、あいつの両親の撲殺死体も発見されたわ……。仲間割れか何か知らないけど……本当、救えないほど暴力的で下劣な奴ら……」

クロシュ「……え、えと……その子は……?」

ミラ「そいつは見つからなかった……。その後指名手配されたけど、今でも見つかってない。本当……殺るだけ殺ってとんずらなんて……本当、最低……。何が勇者よ……何が――」

 『大人になったら、おれがテラヌス・ウルスとミラを守ってやるよ!』

ミラ「……」ギリリ

クロシュ「……」

 カポーン――…

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は神殿でリアンノンちゃんとお話編です

ついに水問題を解決し、テラヌス・ウルスに水を復活させたクロシュ一行でした。これでこの砂漠の国も、王国に頼らずに生きていくことができるでしょう
巨大スライムちゃんは、精神性こそ幼女ですが、同化と吸収を繰り返したことにより、知識と魔力量はとんでもないものになっているようです。雨乞い傘の力を得た今はその圧倒的な魔力量と水属性のあわせ技により、潤沢な水を生産しつづけることができます。これで水については安泰と言ってもよいでしょう
そして残るは、世界樹の光です。世界樹の光へ辿り着くまでにどのような困難が待ち受けているかはわかりませんが、油断せずに気を引き締めて行くのが良いでしょう

それでは本日もありがとうございました。次回ですが、お盆期間中はちょっと予定がわかりにくいため、突然更新したり更新しなかったりするかもしれません。不明瞭で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします

スライムの方々の性格がやけに幼そうに見えるのは、スライム類の生まれついての気質もありますが、仰るとおり実年齢幼い場合も多いようです。物理耐性や再生能力があって打たれ強いスライムですが、その反面弱点となる属性も多く、動きもあまり速くないため、自然界で生きていくのは簡単なことではないようです。自然界で生まれるスライムのほとんどは、そのポテンシャルを発揮する前に他の生き物に食べられてしまいます。なお魔族などが受け入れられている街に棲み着いているスライムは、自然界よりも安全にぬくぬく過ごせるため、強さを獲得したり幼い性格が変化したりすることがあまりないようです

ブラッド氏がスライムらしからぬ狡猾さや攻撃性を有しているのは、その生い立ちが関係しているのではないかと推測されますが、今のところはっきりしたことはわかりません。もしかしたらブラッド氏にも、他のスライムたちと同様にモニョモニョ言っているだけの幼い時期があったかもしれません

とはいえスライムや妖精などの一部の種族の方々が幼そうな性格をしているのは、やはり彼ら自身の気質によるところも大きいです。前回登場した巨大スライムちゃんは自然界で長生きしていますが、その性格は生まれたばかりの頃からあまり変わっていないようです

技名についてですが、いざ実装しようとするとなかなか難しく、結局まだ実装はされていませんでした
募集をしてみても良いのですが、技についてはそれを実際に考案したり行使したりする人の性格的な兼ね合いもあるため、募集の仕方についてもいろいろ考える必要があり、難航しているようです
可能になったら募集してみるかもしれませんが、しばらくは経過観察の方向でよろしくお願いいたします

―テラヌス・ウルス
 ホトルス神殿


 大きな鳥人の像「」ドンッ


クロシュ「わあ……」

妖精「でっかい像だなあ……。何の神様なんだろ、この辺の神話には詳しくないからわかんないや」


リアンノン「あれ……? クロシュちゃんに、妖精さん?」スタスタ

クロシュ「リアンノンちゃん……!」

ベスティア「ご無沙汰しております」スタスタ

妖精「おや、ホトルス族の二人。こんにちは」

リアンノン「こんにちは……! クロシュちゃんと妖精さんは、観光ですか?」

妖精「観光っていうか……まあ、今日はゆっくりしようと思って」

リアンノン「そうなんですね」

クロシュ「えと……この、おっきな像は……?」

 大きな鳥人の像「」ドンッ

リアンノン「ふふ、よくぞ聞いてくださいました! このお方は、私たちホトルス族が信仰を捧げる鷹の神、ホトルス神なんです!」

妖精「え、そうなの!」

ベスティア「はい。ホトルス様はかつてこの砂漠の空を飛び、干ばつや排斥にあえぐ者たちを助けていたと伝えられています」

リアンノン「とても誇り高く高潔で、困った人は種族を問わず放っておかない仁徳の人だったそうです!」

ベスティア「リアンノンのお父様も……そんなホトルス様にあやかろうと、ホトルス様のお名前をお借りしたのですよ」

妖精「え? どういうこと?」

リアンノン「あ、えと……ホトルス族って、歴史がすごく浅いんです。元は弱小魔族の寄合所帯みたいなものだったんですけど、それじゃあ正式な氏族として認められなかったから、議会にも参加できなくて。その状況を変えるために、お父さんとベスティアさんがいろいろと頑張って……つい十数年前に、ようやく正式な氏族として認められたんだそうです」

妖精「え、そうだったんだ。じゃあホトルスとは関係ないの?」

ベスティア「血縁としては。ですがホトルス様の正義と慈悲の心は、ホトルス族の理念として固く誓われています」

リアンノン「はい……! ホトルス神のお名前をお借りしている以上、その名前に泥を塗るわけにはいきませんから……!」

クロシュ「わあ……」

妖精「立派だねえ」

クロシュ「わたしも……クロシュヴィアちゃん族とか、名乗った方が、いい……?」

妖精「いやいや、クロシュはこのままでいいでしょ」

クロシュ「そうなんだ……」

ベスティア「ふふ……伝説スライムのクロシュヴィア・ビターエンドのことですね。でもクロシュヴィアは、伝説で言われているほど高潔な方ではないと思いますよ」

クロシュ「そうなの?」

ベスティア「ええ。彼女の伝説や伝承には、恐らく語り部の誇張や願望が混ざってしまったのだと私は考えています」

妖精「ふうん? ベスティアはクロシュヴィアに詳しいんだ」

ベスティア「えっ!? あいや、ええと……一時期クロシュヴィア伝説について調べたことがありまして、ですね……。本職の学者の方々と比べたら全然です、はい……」

妖精「趣味でスライムの伝説を調べたってこと? 物好きだねえ」

ベスティア「え、ええ……! 私、スライムの伝承が好きなんです!」

クロシュ「わあ……!」

リアンノン「ベスティアにそんな趣味があったなんて、初めて知りました……!」

ベスティア「今まで言ったことがありませんでしたからね……!」

 *

―テラヌス・ウルス
 ホトルス神殿 噴水


 噴水「」シャワシャワ
砂漠スライムたち「」モニョモニョモニョ


クロシュ「わあ……!」

リアンノン「ここの噴水のスライムたちも戻って来てたんですね。良かった……」

クロシュ「うん……」

ベスティア「水が戻ったお陰で、人も魔族も別け隔てなく生きていけます……。本当に、水が戻って良かったです」

妖精「うんうん、良かったねえ」

ベスティア「はい。これで私たち魔族も、心置きなくここに住みたいって言い張れます」

リアンノン「水さえ出るなら王国と手を結ぶ必要はありませんし、王国と手を結ばないのであれば魔族を追い出す必要もありませんからね!」

砂漠スライムたち「〜〜」モニョモニョ

クロシュ「うん……!」

妖精「この国の人魔情勢についてはひとまず収まりそうだね。あとは――」

ベスティア「……砂漠の西側を中心に、強烈な光が降り注ぐ現象はまだ解決していませんね」

リアンノン「あ、確か世界樹の光が落ちたんですよね……。そっちの方は大丈夫なのですか?」

妖精「明日にでも回収に向かおうかと思ってるとこだよ。あそうだ、砂漠西の地理について、何か知ってたら教えてくれない?」

ベスティア「テラヌス砂漠の西方には……古テラヌス王家の巨大墳墓がありますね」

リアンノン「あっ! そうえいば古テラヌス王家の巨大墳墓には、ミイラの魔物がいるって話を聞いたことがあります!」

妖精「ええっ!? じゃあ、まさかこの前この国を襲撃したミイラの出所って――」

ベスティア「……世界樹の光……ここに落ちたのが光属性の力であれば、その影響を受けたミイラの可能性が高いですね」

リアンノン「じゃあ、世界樹の光も――」

妖精「その巨大墳墓か、その付近に落ちた可能性が高いってことか!」

ベスティア「はい。しかし、もし巨大墳墓に落ちたとすると少々問題が……」

妖精「問題……?」

ベスティア「古テラヌス王家の巨大墳墓には、侵入者を撃殺する呪いや罠が無数に仕掛けられているそうです……。巨大墳墓に分け入る際は、くれぐれもご注意ください」

妖精「なるほど……わかったよ。気を付けていく」

 ◆

―テラヌス・ウルス 滞在9日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣
魔王図鑑        
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・テラヌス・ウルスの水不足を解決する[達成!]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](イリス)+1
・魔法[3/6](ミスティ)+2
・氷属[4/8](ミスティ)+2
・剣技[1/8](エバンス)
・魔法[4/4](エバンス)+2 LVUP!
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―朝
 テラヌス・ウルス 正門

妖精「よし、みんな準備はいい?」

クロシュ「ん……!」

ローガン「うむ」

エバンス「おう! いつでも大丈夫だぜ」

ミスティ「ソリはいつでも出せるわ」

イリス「私も大丈夫!」

妖精「私とミスティ以外は移動中にしっかり休んでいてね。巨大墳墓に侵入しなきゃいけない場合、長期戦になりそうだから」

イリス「わ、わかった! ごめんね……!」

ミスティ「役割分担よ。ソリの運行は任せなさい」

 *

―西テラヌス砂漠 踏破率[0/10] 持久力[10/10]

 帆「」バサッ
 強化ソリ「」シャーッ

 日蝕の傘「」バサッ
 闇の領域「」フォン――


エバンス「よし、光対策もバッチリだな!」

イリス「日焼け止めも塗ったから、もし闇の外に出ても短時間なら大丈夫です!」

スライムクロシュ「?」モニョニョ?

イリス「あっ……! クロシュちゃん、スライムの姿になったら塗った日焼け止めが――」

妖精「この日焼け止めのラベルを読んでみて」

 吸血鬼の日焼け止め『スライムが体に取り込んだ場合も光耐性効果があります』

イリス「わあ……」

ミスティ「流石薬師ね……」

ローガン「魔術師としても薬師としても素晴らしい腕前だな……」


 ☆増幅された光属性により、毎ターン持久力が[4]減少しますが――
  日傘と日焼け止めの効果により持久力減少が半減し、毎ターンの減少値は[2]になります


↓1コンマ
01-10 発見率+4、強敵
11-30 発見率+4、敵襲
31-50 発見率+4、精霊サボテンの実(持久力+3、次回戦闘コンマ+10)
51-70 発見率+5、本物のオアシス(持久力+4)
71-90 発見率+5、光精の加護(持久力+2、戦闘コンマ+20)
91-00 発見率+5、???

―西テラヌス砂漠 踏破率[4/10] 持久力[8/10]


 強化ソリ「」シャーッ


エバンス「……暑いな」

イリス「闇の領域で日除けはしていますが、熱せられた地表の熱までは防げなくて……」

ミスティ「……はっ!」カッ

 氷塊「」ポン!

ミスティ「その氷の近くにいれば、多少はマシになるはずよ……」

エバンス「おお……! ありがとう、ミスティちゃん!」

イリス「ありがとうミスティ。でも魔力は大丈夫……?」

ミスティ「この程度なら問題ないわ。今は熱で体力を奪われる方が危険よ……」

ローガン「うむ……それではありがたく冷気をいただこう……」

妖精「ほら、クロシュも涼みな」

クロシュ「うん……ありがと、ミスティさん……」

 *

 遠くに見えるオアシス「」ユラユラ

エバンス「おっ、あれは……いやしかし、本物か……?」

ローガン「ぬう……ここからでは判別が付かんな」

妖精「ちょっと待ってね。幻術かどうかは催眠除去魔法を使えばすぐにわかるよ――」パァァァ―

イリス「……何も変わってない! ということは――」

ミスティ「本物みたいね。寄っていきましょう」


 強化ソリ「」シャーッ

 *

 綺麗なオアシス「」キラキラ

 生い茂ったヤシの木「」フサフサ


クロシュ「わあ……!」

イリス「これが……本物のオアシス!!」

ミスティ「良いわね……気持ちも安らぐわ……」

ローガン「ヤシの実もあるな。少々いただいていくか」

エバンス「ほ、本物なんだよな!?」

妖精「本物だってば!」


 ☆オアシスで休息を取り、持久力が4回復しました(現在持久力[12/10])


↓1コンマ
01-10 発見率+4、強敵
11-30 発見率+4、敵襲
31-50 発見率+4、精霊サボテンの実(持久力+3、次回戦闘コンマ+10)
51-70 発見率+5
71-90 発見率+5、光精の加護(持久力+2、戦闘コンマ+20)
91-00 発見率+5、???

誰かがいました

↓1コンマ
01-10 フメイちゃん
11-55 レイ
56-00 セイン

―西テラヌス砂漠 踏破率[10/10] 持久力[10/10]


 強化ソリ「」シャーッ


 遠くに見える巨大四角錐「」ゴゴゴゴゴ


クロシュ「わわ……!」

イリス「あ、あの大きな四角錐って――」

ローガン「古テラヌス王家の巨大墳墓か!!」

エバンス「で、でけえ……!! あ、あれが墓だと……!?」

ミスティ「なんて大げさな墓よ……」

妖精「……!! お、思い出した……私もあれ、見たことあった! 昔砂漠を旅してた時に……!」

イリス「そうだったの!?」

妖精「その時はでっかい古代遺物くらいにしか思わなかったけど……王家の墳墓だったのか……」

 *

 強化ソリ「」シャーッ

ミスティ「さて、入口は――」

ローガン「む? 誰かいるぞ……!」

ミスティ「えっ」



アリシラ「うう〜ん……これ、どっから入るんだろう?」

フメイ「爆破しちゃう?」

アリシラ「危ないよ! 下手なことしたらどんな古代の罠が飛び出してくるか!」

フメイ「今さらそんなの怖くなくない……?」

アリシラ「フメイちゃん、古代の罠を甘く見ているね? 毒矢が飛んできたり、毒ガスが吹き出したり、毒のミイラが襲ってきたりするかもしれないんだよ!?」

フメイ「毒ガスはちょっとこわいかも……。クロシュなら平気なんだろうけど……」

アリシラ「もー、そうやってすぐクロシュちゃん大好き発言しちゃうんだからぁ。そんなこと言ってもここにクロシュちゃんは――」


 強化ソリ「」シャーッ


クロシュ「フメイちゃん!!」バッ

ミスティ「わっ! クロシュ、ソリから身を乗り出したら危ないわよ!!」


フメイ「く、クロシュ!?」

アリシラ「いたね!」

 *

―西テラヌス砂漠
 巨大墳墓前

 強化ソリ「」キキッ

妖精「まさか、こんなとこであなたたちに鉢合わせちゃうなんて……」

アリシラ「うふふ……狙いは同じなんだからそういうこともあるでしょ。前回そうだったように」

妖精「……」

アリシラ「そう睨まないでよぉ。私たちの協力があれば、こんな遺跡簡単に突破できちゃうよ? ふふ、ここは一緒にいこ?」

イリス「また横取りする気ですよね……?」

アリシラ「もちろん! でもあなたたちが私たちから横取りしたって良いんだよ?」

妖精「そうだね……。じゃあ、一時共闘としようか」



フメイ「クロシュ……」

クロシュ「フメイちゃん……」

フメイ「えっと……元気、だった……?」

クロシュ「うん……。フメイちゃんは……?」

フメイ「フメイは、大丈夫。今は星の力もあるから」

クロシュ「あ……」

フメイ「……ごめんね。クロシュたちには、渡せないけど……」

クロシュ「……うん。わかってる……」

フメイ「クロシュ……」

クロシュ「でも……今は……一緒に、いきたい……」

フメイ「……うん」


 ☆フメイ&アリシラと一時的に共闘します

 *

―巨大墳墓 踏破率[0/10] 持久力[10/10]


 石造りの通路「」ゴゴゴゴゴ…


イリス「こ、ここが……巨大墳墓の内部……!」

アリシラ「実際罠がいっぱいらしいよぉ。気を付けて進もうねえ」

ローガン(今のところは本当に協力してくれるようだな……注意は必要だが、共に戦えるなら心強い)


エバンス「……しかし、なんで室内なのにこんなに明るいんだ……!? 外にいるみたいにジリジリするぞ……!」

妖精「世界樹の光の影響だろうね。この墳墓内に落ちたのは間違いないと思う。外にいる時と同様、熱中症に気を付けて」


フメイ「クロシュ、危ないときはフメイの後ろに下がってね」

クロシュ「んーん……わたし、しぶといもん!」


↓1コンマ
01-10 発見率+4、強敵
11-30 発見率+4、敵襲
31-50 発見率+4、古代の霊薬(持久力+3、次回戦闘コンマ+10)
51-70 発見率+5、古代の浴室(持久力+4)
71-90 発見率+5、光精の加護(持久力+2、戦闘コンマ+20)
91-00 発見率+5、古代の宝物(コンマ)

―巨大墳墓 踏破率[5/10] 持久力[8/10]

 ザッザッザッ…

クロシュ「……?」カチッ

 毒矢「」ビュンッ

フメイ「クロシュ!」バッ

スライムクロシュ「!」デロンッ!

 毒矢「」モニョン

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ モグモグ

フメイ「だ、大丈夫!? 痛くない!?」アタフタ

スライムクロシュ「〜!」モニョ!

フメイ「良かった……」ホッ


アリシラ「わあ……クロシュちゃん、相変わらずなんでも食べちゃうんだねえ」

イリス「え、前からなんですか……!?」

アリシラ「村にいた頃もなんでも食べてたよぉ」

エバンス「村か……」

アリシラ「あれぇ? ……あっ! お兄さんもしかして、随分前に行き倒れて診療所で治療されてた自称傭兵の人!?」

エバンス「自称じゃなくて本職だ! ……君はあの時、たまに俺の様子を見に来てた女の子の……アリシラちゃんだよな……?」

アリシラ「うん! へぇ〜お兄さんクロシュちゃんと一緒なんだ! 前に見た時はよく見てなかったから気付かなかった!」

フメイ「誰……? アリシラ、知ってるの……?」

アリシラ「うん! 私がちっちゃい頃、行き倒れて診療所に運び込まれてたんだよこの人!」

フメイ「ふうん……」

アリシラ「なになに? それでその縁もあってクロシュちゃんの用心棒をしてるってことぉ?」

エバンス「ああ……。……すまん……あの時、俺が集落を守れていれば……」

アリシラ「あー、そういうのいいです。謝られても困るし」

エバンス「……」

アリシラ「でも……もし罪の意識を感じてるなら、私たちに協力してくれますか? 私たち、あの集落を滅ぼすような下劣で陰惨なこの世界を綺麗にしたいと思ってるんです」

エバンス「……いや………」

アリシラ「なぁんだ、罪の意識なんてのは口だけのポーズだったってことかぁ。がっかりだなぁ」ニヤニヤ

妖精「こら。罪の意識があろうとなかろうとそんな滅茶苦茶な要求に応じられるわけないでしょ」

アリシラ「む〜、部外者の妖精さんは黙ってて欲しいなぁ……」

エバンス「……本当に……変わっちまったんだな。性格……」

アリシラ「うふふ……せいぜい数週間程度しかいなかったあなたが、私の何を知っているんですか?」

フメイ「変わったのは事実でしょ」

アリシラ「ちょ、フメイちゃん!? そこは仲間である私の援護をするところだよ!?」

フメイ「ええ……クロシュはどう思う?」

クロシュ「え、えと……。変わった……と思う……」

アリシラ「も〜クロシュちゃんまで! 優しくて温厚な私も怒っちゃうよ!?」プンスコ

フメイ「優しくて温厚だったのは前のアリシラの方でしょ」

 ワーワー キャッキャ

 ワーワー キャッキャ

光の精霊『〜〜』キャッキャ

イリス「……? 今、私たち以外の笑い声が聞こえたような……」

妖精「正解。そこで光の精霊が笑ってる」

イリス「えええ!?」


光の精霊『ここで何をしているの?』

スライムクロシュ『えっと、世界樹の光をね……』モニョモニョ

光の精霊『そっか。あれは、元の場所に戻さなきゃいけないものだもんね』

スライムクロシュ『うん……』モニョ

フメイ「……」

光の精霊『わかった。それじゃあ力を貸してあげるね』コォォォ―

スライムクロシュ『わっ――』モニョ

光の精霊『クロシュちゃんに、精霊の加護を――』


 ☆光の精霊の加護を授かり、今回の探索中戦闘コンマに[+20]のバフがかかります
 ☆ついでに持久力が[2]回復します(現在持久力[10/10])

 *

↓1コンマ
01-10 踏破率+4、強敵
11-30 踏破率+4、敵襲
31-50 踏破率+4、古代の霊薬(持久力+3、次回戦闘コンマ+10)
51-70 踏破率+5、古代の浴室(持久力+4)
71-90 踏破率+5
91-00 踏破率+5、古代の宝物(コンマ)

せっかく高いコンマを引いたのに何もないというのもアレなので、一つ下の安価を繰り上げます
……………………………………………………………………………………

―巨大墳墓 踏破率[5/10] 持久力[8/10]

 ザッザッザッ…

光のミイラ「キェアアアアアア!!!」パヒュンッ
光のミイラ「キェアアアアアア!!!」パヒュンッ

フメイ「――」スッ

 ボボンッ!

黒焦げミイラ「」プスプス…
黒焦げミイラ「」プスプス…


ミスティ「圧倒的ね……」

イリス「フメイちゃんすごいね! その炎魔法はどこで学んだの?」

フメイ「……」

イリス(うっ……私が話しかけたら少し嫌そうな表情になった……)

フメイ「……魔法を使うのに、勉強する必要なんてあるの?」

イリス「ええ……」

ミスティ「とんでもない発言ね……」

アリシラ「フメイちゃん……普通の人は、ちゃんと理論や感覚を学んで理解しないと、魔法は使えないんだよ?」

フメイ「ふうん」

アリシラ「私が思うに、フメイちゃんもしっかり勉強すればもっともっと上を目指せるようになると思うんだけどなあ」

フメイ「世界樹の光を集めちゃえば同じでしょ」

アリシラ「それはその通り! でも魔法をもっと上手に使えた方が、クロシュちゃんも喜ぶよ!」

フメイ「なんでそこでクロシュが出てくるの……」

アリシラ「クロシュちゃん、そうでしょ!?」

クロシュ「えっ……えと……フメイちゃんは……どんなフメイちゃんでも、いいと思う……」

フメイ「クロシュ……」

アリシラ「も〜! こんなとこでいちゃつかないでくださる!?」

イリス「アリシラさんが仕向けたんじゃ……」

 *

 古代の浴室「」キラキラ

アリシラ「わ、わ! お風呂だぁ!!」

ローガン「ふ、風呂だと……!? 確かによく磨かれていて美しいが……」

エバンス「古代の遺跡とは思えねえ綺麗さだな……というかなんで墓に風呂があるんだよ!」

妖精「……お墓参りの前に、体を清めるため……とかかなあ」

ミスティ「あっちにもあるわね。こっちが男湯で、あっちが女湯……とかかしら」

イリス「水は流石に出ないよね――」

 蛇口「」キュルッ
 綺麗な水「」ジャバババババッ

イリス「出たあ!?」

妖精「水質も綺麗……。多分、この墳墓に水魔法を使った供給システムがあるんじゃないかな」

ローガン「恐るべき古代技術だ……」


クロシュ「……フメイちゃん……入る……?」

フメイ「あ……えと……」

クロシュ「入ろ……?」

フメイ「………うん……」

 *

 カポーン――…

 ☆古代浴室で汗を流し、水分補給しました
  持久力が[4]回復しました(現在持久力[12/10])

―巨大墳墓 踏破率[10/10] 持久力[10/10]

 ザッザッザッ…

 大扉「」ドン!!

エバンス「この扉は……!」

ミスティ「随分登ったけれど……この扉って、もしかして――」

ローガン「雰囲気から察するに……恐らく、古代王家の遺体が納められた石室だろう」

イリス「……星の魔力を感じます。多分、この扉の先に……」

妖精「私も感じるよ。この先に……光を喰った存在が、いる――」

アリシラ「うふふ……それじゃあ、その子をやっつけるまでは共闘だねぇ」

フメイ「……クロシュ。フメイから、離れないでね」

クロシュ「……うん。フメイちゃんも……」

 大扉「」ゴゴゴゴゴ――

 *

―古テラヌス王家の石室 踏破率[10/10] 持久力[10/10]


 ヒュオオオオオ――…

 吹き抜けの天井から差し込む太陽「」カッ―!!


エバンス「うおっ……! 吹き抜けになってんのか!」

イリス「直射日光がもろに来る……! 日蝕の傘を――」

 日蝕の傘「」バ――

 キラッ―
 光「」カッ

 日蝕の傘「」バギャッ!!!!

イリス「きゃっ!! フラナ先生の日傘が!!!」

 壊れた日蝕の傘「」ボロボロ

エバンス「な、なんだ!? 何が――」


宙に浮く古代王のミイラ「……」ゴゴゴゴゴ―


ミスティ「あ、あれは――」

ローガン「ミイラの――親玉!!」

アリシラ「うげぇ……ミイラの腐った魔力はあんまり吸いたくないんだけどなぁ……」

フメイ「ミイラなら――燃やしてやる!!」チリッ

炎クロシュ「ん……!」チリッ


 ――ボス戦闘開始 古代王のミイラ――


↓1コンマ(光精の加護+20、フメイちゃん+20)
01-50 ??
51-90 優勢
91-50 会心

―古テラヌス王家の石室 踏破率[10/10] 持久力[10/10]


古代王のミイラ「」ゴゴゴゴゴ


光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ

光の巨大ミイラ「」パヒュンッ ドズンッ!!!

光の巨大ミイラ「」パヒュンッ ドズゥンッ!!!


エバンス「うおおお!? ミイラを召喚しただと!?」

ローガン「あのでかい奴までいるぞ!」

イリス「それなら前回と同じです! 炎の剣よ!!」カッ

 炎の魔銀の剣「」ゴウッ
エバンス「おっしゃ! ありがとなイリスちゃん!」

 炎の鋼の剣「」ゴウッ
ローガン「助かる! 斬り込むぞ!」シュバッ


ミスティ「動きは私が止めるわ!」コォォォ―

凍る光のミイラたち「キェ―」ガギンッ


フメイ「落ちろ!」カッ

炎魔女クロシュ「ほのお!!」カッ

 ドガァァァン!!!!

黒焦げ巨大ミイラ「ギェ゙ア゙……」プスプス
黒焦げ巨大ミイラ「ギェ゙ア゙……」プスプス


アリシラ「ふふ……あっははははは!! 圧倒的だぁ!!! そのままやっつけちゃえ!!」キャッキャ


↓1コンマ(光精の加護+20、フメイちゃん+20)
01-50 ??
51-90 優勢
91-50 会心

エバンス「どけェ!」シャッ

 ズバッ
光のミ/イラ「キェアアアアア!!!」メラメラ


ローガン「このまま押し切るぞ!」シャッ

 ズバッ

光の/ミイラ「キェアアアアア!!!!」メラメラ


イリス「私も! 炎よ!」カッ

 ボンッ!
黒焦げ光のミイラ「キェア…」プスプス


ミスティ「たたっ斬れ!」バッ

 氷の刃「」シュバッ

 ズバァッ
光のミイ/ラ「キェアアアアアア!!!」ジダバタ



古代王のミイラ「」バッ

 キラッ
 光「」カッ

光ウニ盾クロシュ「!」バッ

 光ウニ盾「」バチチッ!!

フメイ「クロシュ!! ありがと……!」

光ウニ盾クロシュ「ん……!」


古代王のミイラ「……」ギリリッ

フメイ(こいつ……力を使いこなせてない。これなら星の力を使うまでもないかも)チリッ

 カッ!
 ドガァァァァンッ!

黒焦げ古代王のミイラ「」プスプス…


妖精「やった!」

アリシラ「さあて……」

妖精「させないよ」キラッ

 光「」カッ

アリシラ「きゃっ!!? あ、あづっ……!!」ジュッ

 砂「」シュルルルッ

砂塊に埋められるアリシラ「きゃああああ!! あつい!! 重い!! たすけてえええ!!」

妖精「光の回収が終わったらね――」ヒュンッ

 *

黒焦げのミイラたち「」プスプス

古代王のミイラ「」プスプス


妖精「よおし、あとは私が光を回収して――」パタパタ

光ウニ盾クロシュ「妖精さん!」シュバッ

妖精「へっ――」

 ガインッ――!!!!

光ウニ盾クロシュ「んゅ……!!」ギギギッ

「ほう……オレの剣を受け止めるか……」


エバンス「お前は――」

ローガン「シノホシの首領……亡国リーリアの元国王、ザイル!!!!」


ザイル「オレも有名になったものだ」ギギギ


フメイ「お前……クロシュから、離れろ……!!!」チリチリ


 ――連戦 亡国の王ザイル――


↓1コンマ(光精の加護+20、フメイちゃん+30)
01-20 痛恨
21-80 劣勢
81-95 優勢
96-00 会心

 カッ
 ボンッ!!!!

ザイル「チッ……!」バッ

フメイ「逃さない!」バッ

 カッ!
  カッ!
 ドガァァァァンッ!!
  ドガァァァァンッ!!!

ザイル「なんて火力だ……! もう既に星の力を会得しているのか……!?」

妖精「ううん。星の力を使っていたら、あんなものじゃ済まない」

ザイル「なんだと……? では、あの力はつまり――」

砂に埋まったアリシラ「――愛!!!!」

 カッ!!
 ドガァァァァァァンッ!!!

ザイル「ぐっ!!」ドゴオンッ ゴロゴロ


エバンス「まともに入ったぞ!」

ローガン「あれの直撃を受けてまだ動けるのか……!?」

イリス「……と、とにかく今はあの人をやっつけなきゃ!」スッ

ミスティ「ええ……世界樹の光を、テロリストなんかに渡すわけにはいかないわ……」スッ


ザイル「フッ……嫌われたものだな」

炎メイド剣士クロシュ「……」シャキンッ

ザイル「炎の剣士……そうか、君はスライムなのか。では、あの絵もその力で描いたのか?」

炎メイド剣士クロシュ「……ううん。あれは……わたし自身が、描いた景色……」

ザイル「フ……ククク、そうか……! ならば大望を抱く者同士、死合うしかないというわけだ……!!」

フメイ「……死ぬのは、お前一人……!!」チリチリ


↓1コンマ(光精の加護+20、フメイちゃん+30)
01-20 痛恨
21-80 劣勢
81-95 優勢
96-00 会心

炎メイド剣士クロシュ「!」シュバッ
 赤熱メイドブレード「」ブォンッ!!

ザイル「!」ギンッ

炎メイド剣士クロシュ「フメイちゃん! 今のわたし、ほのお!」

フメイ「! わかった!」チリッ

ザイル「なにっ!?」

 カッ
 ドガァァァァァァン!!!

ザイル「ぐ、う……! まさか、スライムごと……!」ググッ

炎メイド剣士クロシュ「今のわたし、バーニングスライムで――」クルンッ デロッ

炎踊り子剣士クロシュ「踊り子だもん!!」ポンッ シャシャッ!!
 赤熱踊り子ブレード「」シャッ
  赤熱踊り子ブレード「」ゴウッ

ザイル「うおおお!!」ガギンガギンッザシュッ!


エバンス「俺たちもいるぜ!」シュバッ

ローガン「いかに魔族の王と言えど、多勢に無勢は辛かろう!!」シュバッ

 シュババッ
 ガギンガギンガギンッ

ザイル「ぬううう……!!」


ミスティ「今よ! 凍れ!」ギンッ

凍り付くザイル「!?」ガギンッ

イリス「そこ!! 星の力よ!」カッ

 星弾「」バキュウンッ!!

凍り付くザイル「ぬおおおおお!!!」グググッ バギャッ

 サッ!!

ミスティ「嘘でしょ!? 凍ってる体を無理矢理動かしたりなんかしたら――」


 血「」ドクドク
ザイル「クッ……ククククッ……!! 侮っていた……!! まさかこれほどのパーティだったとは!!!」ニヤッ


妖精「降参しな。さもなくば首だけ取って王国に売り飛ばすよ」

ザイル「フッ……それだけは死んでもゴメンだな。しかし分が悪いのは十分に理解した……この光はお前たちにくれてやる!」

妖精「いや、元々あなたのものじゃないんだけど……」

ザイル「いいや、この光は間違いなくオレの……フッ、下らん戯言だ。忘れろ。だが次の光は、必ずや我らシノホシが頂いていく……!」

妖精「次なんてない。あなたは降参してお縄につくの。まあ王国は勘弁してやるけど――」

ザイル「はぁっ!」

 光「」カッ!!!

妖精「うわっ!!」
イリス「ま、まぶし――」
ローガン「ぬかった!!」

ザイル「ではさらばだ……! 力ある者たちよ、次の邂逅を楽しみにしているぞ……!」シュバッ バサッバサッ


 ――戦闘終了――

―古テラヌス王家の石室 踏破率[10/10] 持久力[10/10]


古代王のミイラ「」プスプス

 世界樹の光「」ポウ…

妖精「よし……回収完了! これを、私の体を通して星に返還すれば――」スゥ―


イリス「……あっ! なんだか……光属性の力が、じんわりと星の内側に溶け込んでいく気がする……!」

ミスティ「えっ、イリスそんなことがわかるの?」

イリス「う、うん。あっ! ミスティの耳飾りが――」

 くすんだ虹晶の耳飾り「」スゥゥ―

 仄かに光る虹晶の耳飾り「」ポウ―

イリス「星に流れる光属性に反応して、光を取り戻したみたい……!」

ミスティ「……私だけではないわ。あなたのも……パーティみんなのも、同じみたいよ」

エバンス「おっ……? 本当だ、ローガンの旦那のも光ってるぞ」

ローガン「う、うむ……少し派手になりそうだな、これは……」


 ☆世界樹の光[光属性]を星へ返還しました[1/5]

アリシラ「も〜……フメイちゃん、どうしてみすみす星の力を渡しちゃったの?」

フメイ「……ごめん。でも……フメイ、光属性の力は扱えなかったと思う……」

アリシラ「……それもそっか。じゃあやっぱり今後の星の力は、なんとかして私が食べてくしかないなあ……」

妖精「……諦めてくれないの?」

アリシラ「当然でしょ〜? 星の力があればあるほど、私たちの目的が達成しやすくなるんだもの」

フメイ「……」

クロシュ「フメイちゃん……」

フメイ「……クロシュ。ありがと……。強くなったね……」

クロシュ「……! う、うん……! わたし……つよくなった……! だから……もう、フメイちゃんに、守られるだけじゃ、なくて……!」

フメイ「でも……さっきのテロリストみたいに……悪いやつはまだまだ、この世界にいっぱいいる……」

クロシュ「あ……」

フメイ「フメイたちは……そういう奴らを綺麗に掃除して、住みやすい世界を作りたいだけ。だから……大丈夫」

クロシュ「……」

フメイ「……クロシュも、強くなったからってあんまり無茶しちゃだめだよ……? 綺麗になった世界に、クロシュがいなかったら……絶対、だめだもん」

クロシュ「……フメイちゃんも……」

フメイ「…………うん……」


アリシラ「さて、じゃあもう行こっか。次の世界樹の光を探しにいかなっきゃ!」

フメイ「……うん」

アリシラ「でもやっぱりクロシュちゃんと一緒にいたいんでしょ?」

フメイ「……フメイには、やるべきことがあるから」クルッ

クロシュ「あっ……」

アリシラ「うふふ……それじゃあ私たちはもう行くねぇ。クロシュちゃんとそのお仲間さんたちもお元気で」ヒラヒラ

フメイ「クロシュ……またね」タンッ

 ボンッ!!

アリシラ「うふふ、最近私もできるようになったんだよねえ〜」タンッ

 ボンッ!!


 煙「」フワリ…


クロシュ「またね……フメイちゃん……アリシラさん……」


 ――古テラヌス巨大墳墓 踏破完了――


↓1コンマ ダンジョンクリアボーナス
01-60 光精の祝福
61-90 ↑+亡国王のペンダント
91-00 ↑+黄金のカニ飾り

光精の祝福とテロリストの落としもの拾得が決まったところで本日はここまでとなります。次回、その頃テラヌス・ウルスでは――編からとなります

無事に巨大墳墓を攻略し、今回はちゃんと世界樹の光を星へ還すことができたクロシュ一行でした
途中テロリストの親分の襲撃があったりなど驚きの事態にも遭遇しましたが、フメイちゃんの協力もあって難なく撃退することができたようです

これは余談ですが、最初の古代王ミイラさんとの戦いで一度でも劣勢になった場合、フメイちゃんが星の力を解放していました。そうなってしまうといろいろ大変なことになってしまっていましたが、幸いそうはならずに済んだようです。今回は探索も戦闘もすんなり上手くいく一日でした

それでは本日もありがとうございました。次回、明日も多分更新できると思います。よろしくお願いいたします

フメイちゃんは実際とても強いので、共闘できればとても心強いです。アリシラさんのように変な悪巧みもあまりしないので安心です。ただ、クロシュちゃんやアリシラさん以外の人が話しかけると少し機嫌が悪くなります(特に人間)。知らない人に対する警戒心が強いのかもしれません

クロシュ氏は、フメイちゃんと一緒にいるときはいつもよりイキイキしているように見えます。それは戦いの場でも同様のようです。いつも守られるばかりだったクロシュ氏にとって、フメイちゃんと共に戦えるのは嬉しいことなのかもしれません
初めからフメイちゃんに付いていった場合、クロシュ氏がどのようになっていたかはわかりません。フメイちゃんに守られるばかりのよわよわあかちゃんスライムのままだった可能性は実際けっこう高いかもしれません。しかしクロシュ氏はポテンシャルで言えば輝きを秘めうるスライムなので、フメイちゃんの考えに同調してすごい変化を遂げていた可能性もあります。それが良い変化と言えるかどうかは意見がわかれそうです

メルル氏が向かったのは、どうやらこの遺跡ではないようです。テラヌス砂漠には他にもいくつかの遺跡があるので、そのどれかに向かったのだと思われます。なおテラヌス砂漠の遺跡には、巨大墳墓よりもさらに危険で忌まわしき怨念のはびこる呪われた大遺跡があるという噂もあります。とてもこわいです

シノホシの構成員たちは、普段はそれぞれ別行動を取っていることが多いらしく、先日の芸術都市での大規模テロのように集まることの方が珍しいようです
シノホシは世界樹の光を探知する術がクロシュ一行やアリシラや王国よりも乏しいので、構成員の一人一人が足で探し回っているというちょっと大変な事情があります。しかも構成員の何割かは不真面目なので、光探しは難航しているようです

クロシュヴィア氏はまだ高みの見物をしているようです。実際のところ、クロシュヴィア氏が真面目になってしまうと割とどうしようもないくらい簡単に星の力取られかねないのですが、さいわい今のところクロシュヴィア氏はそこまで熱心ではないようなので、彼女が真面目にならないうちに急ぐしかありません

>>487などでフメイちゃんたちが仲間になっていなかった場合でも、今回登場していたのはザイル氏でした。今回の星の属性が光だったため、同じく光属性を得意とするザイル氏が探知に成功して駆け付けてきたという経緯があります
とはいっても、もしフメイちゃんのような強力な助っ人が現れなかったり、光精の加護がなかったりした場合、とても分の悪い戦いになっていたため、流石にそれはひどいので何らかの調整措置が講じられていた可能性はあります(逆にフメイちゃんと加護のお陰で、今回はザイル氏にとってひどい展開だったかもしれません)

芸術都市編では二人組行動をしていたシノホシの方々ですが、いつもそうしているわけではないようです。一緒に行動する必要があれば一緒に動き、そうでなければその時の気分で動く、といった感じかもしれません。ちなみにザイル氏は他の構成員よりも単独行動が多いそうです

セレスティア氏は強いやつと戦えれば何でも良い感じの人なので、構成員が軒並み強くて王国の強者たちと戦う機会もあるシノホシでの仕事は割と気に入っているようです。忠誠心とかはたぶんありません。王国への復讐やら亡国の再興にも興味はないと思われます
フレメア氏も忠誠心とかはたぶんありませんが、気が狂って荒野をフラフラしていたところをザイル氏にひっぱたかれて正気に戻った経緯があり、その義理でシノホシに入ってやったそうです。彼女自身は正気に戻せなんて頼んでないと悪態をついていますが、実際のところ発狂している間は最悪の気分らしく、言葉にこそしないもののザイル氏にはちょっと感謝しているようです。また、文句を言いながらもちょっと気にかけてくれるレイン氏や、反応が面白い年下のイケメン狐に、破壊衝動に駆られても真っ向から受け止めてくれるセレスティア氏など、他の構成員たちのこともまあまあ気に入らなくもないようです。王国への復讐やら亡国の再興には興味がないと思われます

―夕方
 古テラヌス王家の石室

クロシュ「……?」

 落ちている何か「」キラキラ

クロシュ「……」トコトコ ヒョイ

 血塗れのペンダント「」キラキラ

妖精「……ん? なにそれ、落ちてたの?」

クロシュ「うん……。たぶん……さっきの人の……」

妖精「テロリストの落とし物……? そんなもの捨てちゃいなよ、変に狙われたら最悪だよ」

クロシュ「でも……困ってるかも……」

イリス「それ、ロケットペンダントだね。開閉式の」

エバンス「ロケットペンダントって、恋人とかの肖像を入れとくやつだよな? てことは……」

ミスティ「シノホシ首領の……恋人の肖像が……?」

ローガン「……ふむ……。リーリアの国王に、妃はいなかったと記憶しているが……」

ミスティ「国が亡んだ後に、恋人ができた……とか……?」

エバンス「国王たるもの、本妻はいなくても妾の三人や四人くらいいたのかもしれんぜ」

イリス「うう、なんだか聞き心地の悪い話です……」

妖精「高い身分の男は大体そんなもんだよ。人だろうと魔族だろうとね」

ミスティ「……やっぱり、妖精やスライムの方が良いわね……」

クロシュ「……」

 血塗れのペンダント「」パカッ

イリス「あ、開けちゃった……!」

クロシュ「えっ……! だ、だめ、だった……?」

イリス「う、ううん! だめじゃないよ、多分……!」

ミスティ「どうせ今はもうテロリストなんだしね。どれどれ、大犯罪者の想い人のご尊顔は……」スッ

エバンス「ミスティちゃんって、なんというか……けっこう思い切りが良いよな! よし、俺も見るぞ!」ヌッ

ローガン「はは……まあ、ほどほどにな」

妖精「全く……まあでも、もし次に遭遇した時にちょっとした精神攻撃くらいには使えるかもしれないし、一応私も見とくか」スッ


 血塗れのペンダント『優しい表情をした少女の肖像』パカッ


クロシュ「わあ……」

妖精「……普通の女の子だね」

エバンス「恋人にしちゃちょいと幼すぎるな……」

ミスティ「名前が彫られてるわ。これは……リーリア……?」

イリス「えっ……? リーリアって――」

ローガン「……王国に滅ぼされた国の名だな……あの男が治めていた」

イリス「どういうことだろう……? 国と同じ名前の女の子を好きになった……?」

エバンス「自分が治めていた国に見立てた架空の女の子……とかじゃないか? 恋人っていうよりは娘だな」

妖精「あの亡国王がそんなロマンティックなことするかなあ……」

ミスティ「……人には見せてこなかっただけで、そういうロマンティックな趣味があったのかもしれないわ……」

妖精「それは確かに否定できないけど……」

イリス「自分が治める国を、愛する一人娘に見立てる国王様かあ……。ふふっ、私そういうの好きかも!」

ローガン「フッ……もし本当にそうだったとしたら、見掛けによらないものだな」

妖精「今や大陸を揺るがすテロリストだけどね」

クロシュ「……」

クロシュ(王国の……悪くない人たちまで巻き込んで、酷いことをした人だけど……)

クロシュ(自分の国のことは……とっても、大事にしてたんだ……)

 ☆亡国王のペンダントを拾いました

 *

一方その頃――

―テラヌス・ウルス宮殿
 議事堂

ヨードリー「昨日再開した水脈についてだが、調査の結果水質に問題はなく、生活用水として十分に利用できることが判明している」

リアンノン「……」ゴクッ

ヨードリー「これにより我がテレス族では、非人間排斥法案は保留すべきとの意見が多数となった。私自身も同じ考えだ。他の首長たちはどうか?」

 ザワザワ…

リアンノン「……私たちは以前と同様、非人間排斥法案には反対の立場です」

A部族の首長「あたしらも、水さえあるなら排斥の必要はないと考える」

B部族の首長「水があるんなら、わしも反対じゃ。魔族たちにゃ小さい子もおるでのう……」

C部族の首長「オデらも、保留……」

ミラ「ま、待ちなさいよ!! 一度枯渇した水脈なんて信用ならない! その水がこの先ずっと流れ続ける保証はあるの!?」

 ザワザワ……

ラハニ四世「……」フム

ヨードリー「確かにあの水脈が枯渇しない保証などどこにもない。来年か、あるいは来月か、あるいは明日にでも、また枯れてしまうかもしれぬ」

ミラ「そうでしょ! だったら――」

ヨードリー「だが、今は流れている」

ミラ「!!」

ヨードリー「例え未来に枯渇する時が来るとしても……今この時、慌てて人間以外を排斥する必要はないのだ。枯渇したら、その時にまた審議を行えば良い。」

ミラ「でも……魔族なんて、いない方が……!!」

 ザワザワ…

ヨードリー「……スピーゲル族の首長、ラハニ四世よ。そなたはどうか?」

ラハニ四世「………フッ。今回の審議、わしらスピーゲルは棄権させてもらおう」

ミラ「おじい……首長!!」ガタッ

ラハニ四世「ミラよ。気持ちはわかるが抑えよ。どうすればこの国の未来が最も輝くか――それを考えるのだ」

ミラ「うっ……うっううっ……!! おじいちゃんの馬鹿ァー!!!」ダンッ タッタッタッ

 ガチャッバタンッ!!!

ラハニ四世「……」

ヨードリー「……ラハニ四世、ミラは――」

ラハニ四世「……神聖な議会であのような狼藉をさせてしまい、すまぬ。あやつに政治は向いておらんかったのだ」

ヨードリー「いや、構わない……。それでは決議を行う。今回の非人間排斥法案は――」


 カッ――
 ドガンッ!! ドガァン!!

 キャァァァァ!!!! ナンナンダアアアア!!!? タスケテクダサイ!!! ウワー!!!!


ヨードリー「なんだ!?」ガタッ

 ガチャッ!!!

テラヌス兵「審議中に失礼します!! 先日のミイラが、また来ました!!」

ヨードリー「!? 審議は一時中断! 戦える者は救助と応戦に出よ!!」シュバッ

リアンノン「は、はい! 私も行きます!!」バッ

ラハニ四世「ぬう……! わしも出るぞ!」バッ

 ◆

―夕方
 テラヌス・ウルス市街

光のミイラ「キェアアアアア!!!!」パヒュンッ
光のミイラ「キェアアアアア!!!!」パヒュンッ
光のミイラ「キェアアアアア!!!!」パヒュンッ
光のミイラ「キェアアアアア!!!!」パヒュンッ
光のミイラ「キェアアアアア!!!!」パヒュンッ
光のミイラ「キェアアアアア!!!!」パヒュンッ

光の巨大ミイラ「ギェ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」パヒュンッ ドズンッ!!!
光の巨大ミイラ「ギェ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」パヒュンッ ドズゥンッ!!!
光の巨大ミイラ「ギェ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」パヒュンッ ドズゥンッ!!!!

光のドラゴンミイラ「ギェ゙ア゙オ゙オ゙オ゙オ゙ン゙!!!!」パヒュンッ バサッバサッ
光のドラゴンミイラ「ギェ゙ア゙オ゙オ゙オ゙オ゙ン゙!!!!」パヒュンッ バサッバサッ



ヨードリー「なんて数だ……! 以前とは比べ物にならんぞ……!!」

リアンノン「あ、あの空を飛ぶ巨大なミイラは……!!?」

ラハニ四世「……飛竜を模したミイラじゃな。何にせよ――わしらには迎え撃つ以外の選択肢はない!」
 金細工の双剣「」シャキンッ!

 *

―古テラヌス王家の石室

妖精「さて、とりあえず上手くいったことだしテラヌス・ウルスの街に戻ろう!」

ミスティ「ええ。……私たちも、亡国王やフメイたちみたいに、あの吹き抜け天井から外へ出られないかしら……」

妖精「流石にちょっと高いなあ……。でもまた墳墓の中を通っていくのも大変だし――」


光の精霊『わわわわ! 大変大変!! 人間の街が大変!!』パタパタ


妖精「えっ!? どういうこと!?」

イリス「よ、妖精さん?」

妖精「光の精霊が何か言ってるの!」

光の精霊『人間の街にミイラたちが押し寄せてるみたい!!』

妖精「えっなんで!? ミイラの親玉はやっつけたのに!?」

光の精霊『事切れる間際に召喚したみたい! みんな光になって街に行っちゃった!!』

妖精「ええええ!? そ、それじゃあ街は――」

光の精霊『大変みたい!』

妖精「ああ、くそっ! 急いで戻るよみんな! テラヌス・ウルスの街が光のミイラ軍団に襲撃されてるんだって!」

エバンス「な、なんだと!?」

ローガン「しかし、ここからではどれほど急いでも……!」

光の精霊『光送りする?』

妖精「あ、うん! お願い! 外のソリも一緒に!」

光の精霊『わかった!』キラキラ

ミスティ「え、今何をお願いしたの――」

光の精霊『みんな、光になあれ――』キラキラキラ

 カッ――

 *

―夕方
 巨大墳墓 上空

 ヒュオオオオオオ――…

 パッ

クロシュ「……!?」
イリス「えっ」
ミスティ「な、なななっ……」
エバンス「おあああああ!!!?!!?」
ローガン「な、何がどうなって――」
妖精「だ、大丈夫! みんなちょっと我慢してね!」

光の精霊『次いっくよー』キラキラキラ

 カッ

 *

―巨大墳墓前

 パッ

クロシュ「!!」
イリス「こ、これって――」
ミスティ「まさか、私たち――」
エバンス「光になって、瞬間移動してんのか!?」
ローガン「そ、そんなことが――」
妖精「大丈夫! あと何回かで終わるはずだから!」

 強化ソリ「」

光の精霊『ソリってこれだよね。一緒に送るね。次いくよー』キラキラキラ

 カッ

 *

 パッ

 パッ

 パッ

 パッ

 *

―夕方
 テラヌス・ウルス正門前

 パッ

クロシュ「んゅゅっ……!」トサッ
イリス「ううっ!」ドサッ
ミスティ「いたっ……!」ドサッ
エバンス「っつ!」ドサッ
ローガン「ぬう……!」ドサッ
妖精「っとと!」パタパタ

光の精霊『ごめんね、光って真っ直ぐにしか走れないから微調整が難しくて……』

妖精「ううん、助かった! ありがとう!」

光の精霊『うん。がんばってね。あそうだ……クロシュちゃん!』

クロシュ「ほえ?」キラキラ

 キラキラ…ポン!

光クロシュ「わあ……」キラキラ

光の精霊『私たちの祝福、あげる。いつでも光のスライムになれるよ』

光クロシュ「うん……! ありがと……!」キラキラ

 ☆クロシュが光の祝福を受け、いつでも光スライムに変化できるようになりました
  光スライムになっている間、お腹がとても減ります

 *

―テラヌス・ウルス市街

 キェアアアアアアア!!!!
   ウワアアアアア!!!!
 タスケテクダサイ!!! アアアアア!!!!!!

テラヌス兵A「おおおお!! 民を守れ!!」ザザッ

市民の男性「兵士さんが来てくれたぞ!!」

市民の女性「助けてください!! お願いします、お願いします!!」

テラヌス兵B「おお! 今の俺たちは腹いっぱい水を飲んだからな!!」ザッ

テラヌス兵C「やってやんぜ!!」ザッ


トカゲリアンノン「私も……この街を守る……!!」ググッ

ラハニ四世「斬り込みはわしらに任せよ! 議長は避難誘導を頼む!!」シャキンッ

ヨードリー「すまない、住民の避難が済み次第すぐに合流する!!」シュバッ


 ――テラヌス・ウルス防衛戦 光のミイラ軍団――


↓1コンマ
01-60 劣勢
61-90 優勢
91-00 ??

光のミイラ剣士「」パヒュンッ

テラヌス兵D「なに!? こいつ剣を持って――」

光のミイラ剣士「キェアアアアアア!!!」ブオンッ!

テラヌス兵D「ぐあっ!」ズバッ

トカゲリアンノン「このお!!」シュバッ ズガンッ!!

光のミイラ剣士「キェア…」グチャッ

テラヌス兵D「す、すまねえトカゲさん!」

トカゲリアンノン「リアンノンです! 一緒に戦います!」

テラヌス兵D「おお……!」

 *

光のミイラ「キェアアアアアア!!!!」ジリジリ

猫耳の褐色少女「ひっ……! お、おねえちゃ……たすけ――」

ラハニ四世「ぬう!」シュバッ

 ザシュッ!!
光のミ/イラ「キェア…」バタッ


猫耳の褐色少女「あっ……」

ラハニ四世「無事かい、お嬢ちゃん」ニッ

猫耳の褐色少女「は、はい――あっ、おじいさん後ろ!!」

ラハニ四世「!?」バッ

光のミイラ剣士「」パヒュンッ グオッ

ラハニ四世(しくじったか。この態勢からでは避けられん――)

ラハニ四世(だが猫人の子を守って死んだとなれば、スピーゲル族の名誉回復にもなろう。あとはミラのバカタレが心残りじゃが――)


 ガギィィィーン!!!

光のミイラ剣士「キェアア…!!!」ギギギギ

ラハニ四世「なぬ……!? 彼奴の剣が、わしの寸前で止まっておる――」

ベスティア「大丈夫ですか、ラハニ四世!」シュタッ

ラハニ四世「お主はホトルス族の!」

ベスティア「はい! ……あの子を守ってくれたんですね」

猫耳の褐色少女「おじいさん……! おねえさん……!」

ラハニ四世「フッ……」

ベスティア「共に戦いましょう! 私は結界を用いた防御が得意なので、ラハニ四世は攻撃に専念を!」

ラハニ四世「応!!」シャキンッ!

 *

ヨードリー「避難はこんなところか……。戦況は……芳しくないようだな」

アニス「ヨードリー! 西門からの攻撃が激しいの! 増援を頼める!?」タタッ

ヨードリー「くっ……激しくない場所などない! 私が向かう!」シュバッ

アニス「ありがとう! 私も行くわ!」タッ

 *

―テラヌス・ウルス市街

 シミンヲマモレ!! キェアアアアアア!!!

エバンス「くっ……! なんて混沌とした状況だ!」

ローガン「こうなっては陣形もクソもあるまい! 目についたミイラを片端から撃破していくぞ!」

ミスティ「氷の刃で切り刻むわ……!」コォォ―

イリス「炎をエンチャントします!」ゴウッ

妖精「クロシュは炎の力で遊撃! 雑魚には剣、大型には魔法で!」

炎クロシュ「ん!」チリッ


↓1コンマ
01-45 劣勢
46-75 優勢
76-00 ??

 オアアアアア!!! キェアアアアア!!!!!
   タスケテクレエエエエ!!!
  ナンテコトダ キェアアアアアアアア!!!!!

ミラ「何なのよこれは!!! なんでまたミイラが攻めてきてるのよ!!?」

光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ
光のミイラ「」パヒュンッ

ミラ「どいつもこいつも……私の邪魔ばかりして……!!」イライライライラ

 カッ!

分身ミラ「」ポン!

ミラ「死体モドキどもが、このミラ様に楯突くんじゃないわよ!!!」シャキンッ
分身ミラ「」シャキンッ

 シュバッ
   シュバッ
  ズババババッ
    ズババババッ

光のミ/イラ「キェア…」バタッ
光のミイ/ラ「キェア…」バタッ
光のミ/イラ「キェア…」バタッ
光のミイ/ラ「キェア…」バタッ

ミラ「あっははははは!! 雑魚ばっかじゃない!! この程度の分際で――」

 ズバッ
ミラ「あぐっ……!?」ブシュッ

 ズバッ
分身ミラ「」シュウン―


光のミイラ剣士A「キ」ケタケタ
光のミイラ剣士B「キキ」ケタケタ


ミラ「……こ、こいつら……! ぶ、分身を――」ググッ

光のミイラ剣士A「キェア!」ゲシッ

ミラ「あがっ……!」ドガッ ゴロゴロ

光のミイラ剣士B「キキ」ケタケタ

ミラ「ば、馬鹿に――」

光のミイラ剣士B「キェア!」ゲシッ

ミラ「かはっ!」ドゴッ ゴロゴロ

光のミイラ剣士A「キキキ」ケタケタ

ミラ(こ、こいつら……剣を持ってる癖に……! 私で、遊んでいるの……!?)

 ゲシッ ゲシッ
 ゲシッゲシッゲシッ

ミラ(いたい……いたい……! たすけて……おじいちゃん……おとうさん……おかあさん……)

ミラ(ミ……カ……)


 ズバァッ!!!

光のミイ/ラ剣士A「キェア……」バタ
光のミ/イラ剣士B「キェ……」バタ


ミラ(…………?)ボー

軍刀を構えた鬼の後ろ姿「――」

 *

 キェアアアアア!!! キェアアアアアアアア!!!!

ヨードリー「くっ……! 消えろ!」バッ

 闇球「」ヴォン!

光のミイラたち「キァ」ヴォン


光のミイラたち「」パヒュンパヒュンッ

アニス「キリがないわ……! ヨードリー、一度後退して立て直さないと――」

ヨードリー「これ以上街へ入れるわけにはいかぬ! 私はまだ戦えるぞ!!」

アニス「ヨードリー! あなたまで失ったら、テラヌス・ウルスは――」

 ズバシュッ!!!
光のミイラたち「キェア…」バタバタッ

アニス「えっ!?」


猫人の女「手を貸してやろうか? 報酬はオムレツで」シュタッ

猫人の青年「何でオレたちがイエネコタウンなんか守んなきゃならないんスか?」シュタッ

猫人の若者「へへ、でもさっきめっちゃかわいい褐色猫の子がいたぜ! イエネコになんのも悪くねえかも」


ヨードリー「あなたたちは……!?」

猫人の青年「ミカヅキっつー鬼に頼まれて来たッス」

猫人の若者「なあ、この戦いが終わったらあの褐色の子と番って良いか!?」

猫人の女「お前たち、つべこべ言ってんじゃない! で、オムレツ出すのか?」

ヨードリー「オムレツなら出す! 協力を願う!!」

猫人の女「なら手を貸してやる!」ニヤッ


↓1コンマ
01-30 劣勢
31-90 優勢
91-00 ??

トカゲリアンノン「りゃあああ!!!」ガパッ

 ポイズンブレス「」ドギュウウウンッ!!!

光の巨大ミイラ「ギェ゙ア゙ ア゙……」ジュウウウ――ドズゥン―…


テラヌス兵D「リアンノンちゃんがでかいのを討ち取ったぞ!!」

テラヌス兵E「しゃあ! 俺たちもリアンノンちゃんに続けェ!!」シュバッ



光のドラゴンミイラ「ギェ゙ア゙オ゙ン゙…!!!!」バサッバサッ ドズゥゥゥン!!!!


テラヌス兵F「う、うおおおおおお!!」ガクガク

テラヌス兵D「臆するな! どうせでかいだけの見掛け倒しだ!」

トカゲリアンノン「私が突撃します! 皆さんは隙を見て援護を!!」シュバッ

テラヌス兵E「お、おいリアンノンちゃん!!」



トカゲリアンノン「このおっ!」バッ
 尻尾「」ブオンッ!!

光のドラゴンミイラ「」ガギンッ

トカゲリアンノン「堅い――」

光のドラゴンミイラ「ギェ゙ア゙!!」
 尻尾「」ブオンッ!!

 バギャッ!!
トカゲリアンノン「あぐううっ!」ドガアンッ!! ゴロゴロゴロ!!

 ゴシャッ!!
 噴水「」グシャッ

 壊れた噴水「」グシャッ…チョロチョロ…

トカゲリアンノン「あ、ああ……噴水が……。わ、私のせいで……希望の、象徴が……」グニャァ


光のドラゴンミイラ「ギェ゙ア゙オ゙ン゙…」ドズン ドズン…


テラヌス兵D「う、うおおお!! リアンノンちゃんを守れ!!」ジャキッ

テラヌス兵E「ちくしょう!! 勝てる気がしねえぞ!!」ジャキッ

テラヌス兵F「アバッアバッ」ガクガク


トカゲリアンノン(ああ……私のせいで……兵士さんたちが……)

トカゲリアンノン(やっぱり……私なんかが……首長の真似事なんかして、調子に乗ったから――)


砂漠スライムたち「〜〜」モニョモニョ ピョンピョン

砂漠スライム長老「〜〜!」モニョモニョ

トカゲリアンノン「え……スライムさん、たち……?」

砂漠スライム長老「援軍を呼んだのぢゃ!!!!」

トカゲリアンノン「え――」


 壊れた噴水「」グググググ――

 バゴッ――

 吹き上がる水柱「」バシュウウウウウンッ!!!!!


テラヌス兵D「おわあああああ!!?」

テラヌス兵E「何だァァァァ!!?」

テラヌス兵F「アバッアバーッ!!!」


 ドズゥゥゥゥンッ!!!!!!!


分体巨大スライム「〜〜」モニョモニョモニョ

光のドラゴンミイラ「ギェ゙ア゙!!?」


トカゲリアンノン「で、でっかい……スライム……!!?」


分体巨大スライム「〜〜♪」モニョニョ…モニョモニョ


↓1コンマ
01-90 優勢
91-00 ??

分体巨大スライム「」ピョンッ

光のドラゴンミイラ「ギェ」

 モニョン――

光のドラゴンミイラ「ギェ゙ァ゙オ゙オ゙ン゙!!!!」ジタバタ

分体巨大スライム「〜〜」モニョモニョ モグモグ

光のドラゴンミイラ「ギェ゙ ア゙」デロデロ


 デロデロ…モニョモニョ…
 プスン…


分体巨大スライム「…」モニョ…


トカゲリアンノン「ドラゴンミイラを……食べちゃった……!?」

砂漠スライム長老「違うのぢゃ……同化しようとして、間違えて消化しちゃったのぢゃ!!」


分体巨大スライム「…」モニョニョ…

 ◇

エバンス「らあっ!」ズバッ

ローガン「あとどれくらいだ!!?」ズバッ

妖精「かなり押してる!! でも――」パタパタ


空を飛ぶ光のドラゴンミイラ「ギェ゙ア゙オ゙オ゙オ゙ン゙!!!!」バサッバサッ
光のミイラたち「」ヒューン ボトボト


ミスティ「!!? ミイラたちが……落ちてくる!?」

妖精「多分あいつが召喚してるんだ! あいつを倒さない限り、どこまで続くかわかんないよ!」

イリス「でも、あそこまで高く飛ばれると射撃魔法でも――」

クロシュ「……!」

 キラキラ…ポン!

光クロシュ「今の、わたしなら……いける……!」

イリス「えっ!?」

 パヒュンッ―

ミスティ「クロシュが、消え――」

イリス「まさか、光速移動!?」

妖精「あの馬鹿! また一人で無茶を――」

 *

―テラヌス・ウルス上空

空を飛ぶ光のドラゴンミイラ「ギェ゙ア゙オ゙オ゙オ゙ン゙!!!!」バサッバサッ

光クロシュ「」パヒュンッ

空を飛ぶ光のドラゴンミイラ「ギェ゙ア゙!?」

 チリチリ…ポン!!

炎魔女クロシュ「――ほのお!!」チリリッ

空を飛ぶ光のドラゴンミイラ「ギ――」

 カッ――
 ドガァァァァァン!!!

 ――戦闘終了――

 *

―テラヌス・ウルス 滞在10日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[1/8](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―朝
 月明かりのオアシス

 チュンチュン

スライムクロシュ「」zzz


イリス「んく……ふわああ……。か、体が重い……」ググッ

ミスティ「昨日は長距離移動に連戦だったもの……。そりゃ疲れるわよ……」

イリス「でも巨大墳墓での探索も、この街の防衛も、大きな被害が出ることもなくて良かったよ」

妖精「昨日は幸運が続いたねえ。まあ、あのバカクロシュには本当に困っちゃったけど……」

イリス「い、いいじゃない。クロシュちゃんのお陰で迅速にドラゴンミイラを倒せたんだしさ」

妖精「まあ……あの子なりに、最善を尽くそうとしたのはわかるけどさ」

ミスティ「……クロシュはちゃんと自分の力量を把握してると思うわ。できると思ったからやっただけで……できないことを無理にやろうとする愚かさはないはずよ……」

妖精「うん……」

 *

―テラヌス・ウルス市街

 ワイワイ ガヤガヤ

ヨードリー「水脈の復旧とミイラの撃退を祝って――今日は祝祭だ!!」

 オオー!! ワーワー!!!

 *

 砂漠オムレツ「」ポン

猫人の若者「うおおおお!! うんめええええ!!」ガツガツモグモグ

猫人の青年「悪くないッスね」モグモグ

猫人の女「……前に喰ったやつより少し薄いな」モグモグ

褐色銀髪赤眼の幼女「〜〜」バクバクガツガツモグモグモニョモニョ

メルル「はあ〜面白い景色は見れたけどお宝は見つかんなかったなァ……。でも帰ってきたらオムレツ食べ放題のお祭りやってたから良し! いつの間にか水も復活したみたいだしね! というわけでおじちゃんおかわり!」トンッ

屋台のおじさん「あいよ!」

アニス「うふふ、昨日の防衛に協力してない人からはちゃあんとお代を頂きますからね〜」

メルル「え゛っ!!?」

 *

テラヌス兵D「リアンノンちゃん昨日はお疲れ様!」

リアンノン「お、お疲れ様です……」

テラヌス兵E「おお……トカゲの姿だと勇ましく力強かったが、こっちの姿だとこんなにも小さくて可憐だったとは……!」

リアンノン「かか、可憐……!?///」

ベスティア「ふふ、すっかり人気者になったみたいですね」スッ

リアンノン「ベスティアさん!」

ラハニ四世「活躍は聞いたぞ。でかいのを討ち取る大金星を挙げたそうじゃな」

リアンノン「ラハニ四世! え、ええと……皆さんのお陰ですよ!」

テラヌス兵D「そんなことないぞ! リアンノンちゃんが頑張ったからだ!」

ラハニ四世「わっはっは! 気立ての良い娘じゃ! こりゃホトルス族も安泰じゃな!」

リアンノン「は、はあ……」

ラハニ四世「わしの態度が不思議か? もう嫌われ役になる必要もないからのう」カカカ

リアンノン「えっ……? 嫌われ……?」

ベスティア「ふふ……国の為に、仮面をかぶっていたのですね」

ラハニ四世「クク、それは買いかぶりすぎじゃ。半分はビジネスの為じゃよ」

リアンノン「ふふっ……! あ、そういえばミラさんは!?」

ラハニ四世「ミラは――」

 ◇

―テラヌス砂漠


 ヒュオオオオオ――…


 ザッザッザッ…


ミラ「待って!!」


鬼の後ろ姿「……」ピタ


ミラ「あなた、なんで……なんで今さら、戻って来たのよ……!」

鬼の後ろ姿「……」

ミラ「どうして……私のお母さんとお父さんを、殺したの……!? なんで、あなたが……!!」

鬼の後ろ姿「……」

ミラ「……なんとか言いなさいよ!! ミカヅキ!!!!」ジワワ

鬼の後ろ姿「……貴女に合わせる顔はない。これまでも、これからも――…」ザッザッザッ…

ミラ「あっ……」


 ヒュオオオオオ――――……
 砂嵐「」ザァァァァ――


ミラ「うっ……!」


 ヒュオオオオオ――――……


ミラ「ミカ……ヅキ……」ポロポロ

―テラヌス・ウルス市街

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「わあ! もうお祭り始まってる!」

ミスティ「昨日あれだけの戦いがあったというのに、タフな人たちね……」

妖精「この打たれ強さこそが砂漠に生きる民の力強さなんだね。きっと」

エバンス「簡単にへばってちゃ生きていけねえもんな」

ローガン「フッ……我々も見習いたいものだ」

クロシュ「……」


クロシュ(フメイちゃん……元気かな……)

クロシュ(また……会えるよね……)


テラヌス・ウルス滞在最終日です
↓1〜3 自由安価 何をする?

というわけで本日はここまでとなります。次回はヨードリーのお墓参り編、ミスティとミラの謎茶会編、伝説降臨編となります

テラヌス・ウルスでの激しい戦いを終えたクロシュ一行。次なる目的地へ向かう前の、しばし羽休めの時。
テレス族の先祖へ向けて礼を尽くすヨードリー。幼馴染の不可解な行動に傷付きながらも涙するミラ。そして――旧友の気配を辿り、砂漠の街へ降臨する一つの意思――
伝説との邂逅に、クロシュは何を思う――

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

クロシュヴィア氏が真面目になるかどうかはわかりませんが、彼女が何らかの行動を起こすきっかけにはなるかもしれません。注視していくのが良いでしょう

今回はいろいろあったのでなるべく登場させようと試みましたが、それでも展開の都合で全員を登場させることはできませんでした

今回の防衛戦では、砂漠編で登場したキャラクターが大勢登場したように思います。実質的には勝ちイベント戦だったので、お祭り感を楽しんでいただければ幸いでした

伝説スライム陣営が今後どのような動きを見せるのかはまだわかりませんが、何らかの行動を起こす可能性はあります。注視していくのが良いでしょう

―夕方
 テラヌス・ウルス宮殿 屋上


 沈む夕日「」キラキラ

 遠く微かに見える巨大墳墓「」


ヨードリー「……」


ベスティア「ここにいたのですね、ヨードリー様」スタスタ

ヨードリー「……ベスティアか」

妖精「私たちもいるよ」パタパタ

クロシュ「こんばんは……」トコトコ

ヨードリー「なんだ、これはまた変わった面子だな」

ベスティア「リアンノンは酔い潰れてしまいまして……」

妖精「うちの男どもも酔い潰れてたよ。だらしないんだから」

クロシュ「えと……ヨードリーさん……途中から、姿が見えなかった、から……」

ヨードリー「む……客人に心配をかけてしまうとは、失礼した。少し風に当たりたい気分だったのでな……」

ベスティア「お墓参りですか」

ヨードリー「まあ……そうとも言える」

 屋上の隅にある小さな墓「」

妖精「こんなところにお墓が……」

ヨードリー「ここに埋葬してあるわけではない。今のテレス族は……遺体を砂漠に還す習わしとなっている」

クロシュ「……」

ヨードリー「これは象徴だ。先人を忘れぬ為の。もっとも、昔のテレス族はミイラ葬をしていたそうだがな」

妖精「!」

妖精(そういえば……テレス族って、巨大墳墓を造った古テラヌス王家の末裔なんだっけ……)

ヨードリー「……事の次第は概ね理解している。世界樹の光が落ちた先……西方で強まる光……光の力を持ったミイラたちの襲撃……。私の先祖が、この国と貴殿らに迷惑をかけてしまったようだ」

妖精「……それは違う。あれは世界樹の光っていう過剰な力がもたらしてしまった悪影響で……あなたの先祖は何も悪くないよ」

ヨードリー「フッ……そうは言うが……私は、先祖たちの気持ちが理解できるのだ。包帯巻きの無様な姿になってでも、永遠を求めた……哀れな、死への恐怖が……」

妖精「……」

ヨードリー「この地に攻め入ったミイラたちから、感じたよ。生者への羨ましさ、妬ましさ……狂おしいほどの、生への渇望を……」

ベスティア「……」

ヨードリー「……父上も……死ぬ前に、何度となく私に言った。すまぬ……生きられず、国を守れず、お前を守れず、すまぬ、と――。生きられぬこの身が口惜しく――この国を守れぬ未来が、たまらなく怖いと――」

ヨードリー「そして私も――もし自分が死んでしまったらと思うと――。明日の日も、友の姿も、民の声も――二度と感じることができず、この国を守ることができなくなると思うと――たまらなく、怖い。この砂漠の砂粒一つ一つが……どうしようもないくらい、愛おしく思えてくるのだ」

ベスティア「ヨードリー様……」

ヨードリー「……祭りの日だというのに、つまらない愚痴を聞かせてしまったな。許せ」フッ

ベスティア「いいえ……ヨードリー様のお気持ちの一端を知れて、嬉しく思います」

ヨードリー「アニスには言うなよ。彼奴には少し心配性すぎるからな」

ベスティア「それは心配をかけるヨードリー様も悪いと思うのですが……」

ヨードリー「言ってくれるな! ……まあ、アニスには本当に世話になっているからな。気を付けるよ」

 ◇

―テラヌス・ウルス市街 オムレツ屋台

イリス「んにゃぁぁ〜〜おししょぉしゃまぁ〜〜」グデッ

ミスティ「い、イリス……!? あなた何をしているの!?」

イリス「みすてぃ……? でへへぇ……わらしぃ、ほしのしんずいがねぇ……」グデデ

ミスティ「さては酒を飲んだわね!? もう……! 宿に運ぶわよ!!」グイッ

 ◇

―月明かりの宿 客室

イリス「」zzzz

ミスティ「ぐっすり眠っちゃったわ……」

猫耳の褐色少女「お酒って……そんなに美味しいのでしょうか……」

ミスティ「……はっきり言って味は美味しくないわよ。変な苦味があって」

猫耳の褐色少女「えっ……。じゃあ、どうして大人の人たちはあんなに美味しそうに飲むんですか……?」

ミスティ「さあ……私にもよくわからないわ……。大人になると味覚がおかしくなるんじゃないかしら」

猫耳の褐色少女「そ、そうなんですか……」

ミスティ(でもクロシュも美味しそうに飲んでたわね……いえ、クロシュは何でも美味しそうに飲み食いするから参考にならないわ……)

猫耳の褐色少女「イリスさんとおじさんたちのことは、わたしがちゃんと見ていますので、ミスティさんはお祭りに戻っても大丈夫ですよ」

ミスティ「そういえばローガンさんとエバンスも酔い潰れてたわね……。じゃあ、お願いしようかしら……」

猫耳の褐色少女「はい……! 任せてください……!」

ミスティ「ふふ、何かお土産を買ってくるわね」

 ◇

―夕方
 テラヌス・ウルス市街 甘味処


ミスティ(甘味処……甘いものでも買っていきましょうか)スッ


ミラ「……」モクモク
 シーシャ「」モクモク


ミスティ(あれは……スピーゲル族のミラ氏……。やけに暗い表情ね……。吸っているアレは……シーシャとかいうこの地域特有の水タバコ、だったかしら)

ミスティ(まあ私には関係ないわね……)スタスタ


ミラ「……待ちなさいよ」


ミスティ(うわ、刺々しい声で誰かを咎めているわ……。関わらないでおきましょう……)スタスタ


ミラ「待ちなさいって言ってるでしょ! あなたに言ってるのよ、そこの黒髪の旅人女!」

ミスティ「えっ、何……。私、あなたに何かしたかしら……?」

ミラ「あなた、ここの防衛に協力した一行の一人でしょ?」

ミスティ(この人、酔ってるわね……顔が真っ赤だわ……)

ミスティ「そうだけど……何?」

ミラ「礼をしてやるって言ってんの!! 上流階級の私が言ってるんだから付き合いなさいよ!!」

ミスティ「え、ええ……?」

 *


 シーシャ「」モクモク

ミラ「いい? ここを持ってこう吸うの。わかるわね?」

ミスティ「吸いたいなんて一言も言っていないのだけど……」

ミラ「吸いなさいよ! 私の言うことが聞けないの!!?」ガタンッ

ミスティ(め、面倒くさすぎるわ……。仕方ない、ちょっとだけ吸ってあげましょう……)

 シーシャ「」モクモク

ミスティ「すぅ……けほっ、げほっ!!」

ミラ「あっははは! 一気に吸いすぎよ、馬鹿ね!!」

ミスティ「……」イラッ

ミラ「いい? 慣れないうちは少しづつ吸いなさい。慌てなくても煙は逃げないわ」

ミスティ「……すぅ……」

ミラ「そうそう、それで良いのよ!!」

ミスティ(……変な感じ……何が良いのかしら、これ……)モクモク

 *

ミラ「どう? 美味しかったでしょ、私が手ずから調合した渾身のフレーバーなのよ!」

ミスティ「……まあ、良かったんじゃないかしら……」

ミラ「でしょう!? ふふん、やっぱり街の外の人間の方が物わかりが良いわね!!」

ミスティ(この街では不評なのね……)

ミラ「このシーシャ、持っていって良いわ! 私からの報酬よ!」

ミスティ「ここまでかさばる物体は持っていけないわ……」

ミラ「そ、そう……なら仕方ないわね」

ミスティ「……もういいかしら?」

ミラ「ま、待ちなさい!」

ミスティ「何……? お礼ならもう十分いただいたわ……」

ミラ「少し話を聞かせて……! あなたの仲間に妖精がいたわよね!?」

ミスティ「……ええ。それが何か?」

ミラ「……妖精って……この国ではあまり見かけないけれど……一緒にいて、大丈夫なの……?」

ミスティ「大丈夫じゃなきゃ一緒にいないわよ」

ミラ「そ、それはそうよね。変なことを聞いたわ……」

ミスティ「……スピーゲル族は人間以外を排除したいんでしょ? そんなことを聞いてどうするの?」

ミラ「…………そうよ。人間以外の、下劣で愚かで残虐な種は……この国にいるべきじゃない……」

ミスティ「……」

ミラ「でも……あなたの仲間の妖精や……。この街の防衛に尽力したトカゲ族のように……そうじゃない奴もいるってことを……知っておきたかっただけよ……」

ミスティ「……そう」

 ◆

―宵
 テラヌス・ウルス宮殿 屋上

 ヒュオオオオオ――…

ベスティア「さて……そろそろ戻りましょうか」

妖精「そうだね。イリスとミスティも心配してるだろうし」

クロシュ「うん――…………?」

妖精「クロシュ、どうしたの?」

クロシュ「――――!!」


 ヒュオオオオオ―――……


妖精「えっ……!?」

ヨードリー「何だ、この気配は……!?」シャキンッ

ベスティア「――こ、この魔力は、まさか――」


 ヒュオオオオオ―――……
  モニョモニョ―― モニョモニョ――

 ポン!!

白い幼女「――」ストッ


ベスティア「クロシュヴィア……!!!!」

クロシュヴィア「ベスティア……久しぶりだね……」


クロシュ「!!!!」

妖精「クロシュヴィア、だって……!?」

ヨードリー「い、一体――」


クロシュヴィア「初めまして。わたしはクロシュヴィア・スウィートエンド……あまあまスライムだよ……」

ベスティア「えっ……!? ビターエンドじゃ――」

クロシュヴィア「変えたの。ふふ、かわいいでしょ……?」

ベスティア「ええと……」

妖精「ほ、本当に……伝説スライムのクロシュヴィアなの……!?」

クロシュヴィア「わあ……伝説になってるっていうのは聞いてたけど、本当なんだ……。ふふふ、そうだよ……! わたしこそが、伝説スライムのクロシュヴィアです……!」エッヘン!

クロシュ「わあ……!!」

クロシュヴィア「初めましてだね、クロシュちゃん……」

クロシュ「わ! わたしのこと……知ってるの……!?」

クロシュヴィア「一方的にだけどね……。クロシュちゃんの描いた絵、すごかったもん」

クロシュ「わあ……!!」

妖精「えっ……てことは、あの芸術祭の場に――」

クロシュヴィア「うん。見てたよ。ほら――」

 デロデロ…モニョモニョ…
 何かが描かれた大きなキャンバス「」ドンッ!

妖精「あっ! これ、クロシュが描いた絵!!」

クロシュヴィア「瓦礫に埋もれてたから、わたしが掘り出してもらっちゃった……。すっごい素敵な絵なんだもん、良いよね……?」

クロシュ「え、えと……うん」

クロシュヴィア「やった……! ありがと、クロシュちゃん」


ヨードリー「……こ、これは……何の絵だ……?」

ベスティア「……溶け合い、混ざり合い……一つになる世界……? クロシュヴィア――あなたは、まさか――」

クロシュヴィア「んふふふ……そうだよ……。わたし……クロシュちゃんの描いたこの――真の正しい世界を、実現するの……!」

クロシュ「!!!」

妖精「!!?」

クロシュヴィア「今日はね……クロシュちゃんを眺めてたら懐かしい顔を見つけたから、つい降りてきちゃったの……。わたしたちが大昔に諦めた理想を、ベスティアに見せてあげよーって思って」

ベスティア「クロシュヴィア! あなたは――本気で、これを目指すつもりなのですか!?」

クロシュヴィア「そ、そうだけど……。あれ、ベスティアは反対……?」

ベスティア「だ、だって……この絵に描かれている世界は――あまりにも――」

 何かが描かれた大きなキャンバス「」デロデロデロデロ

クロシュヴィア「そう……。ベスティア……変わったね……。あの頃は……どんな手を使ってでも、この世界から差別や苦しみを無くすって息巻いてたのに……」

ベスティア「あなたは……ちっとも変わっていないのですね……」

クロシュヴィア「まあ、別に良いや……。わたしには、クロシュちゃんっていう最大の味方がいるもんね」

クロシュ「!」

クロシュヴィア「ねね、クロシュちゃん……。クロシュちゃんはこの絵を、自分の信じる理想として描いたんだよね……? クロシュちゃん自身の、全霊のぱわーで、この理想の世界を描いたんだよね……?」

クロシュ「うん……」

クロシュヴィア「あは……! ねえ、それなら――わたしと一緒に、この世界を溶かそ……? 溶かして、混ぜて、デロデロにして――みんなで一つになろう……?」

クロシュ「……え、えと……」

妖精「こらっ!! クロシュの気持ちを誘導しないで!!」パタパタ

クロシュヴィア「むむう……あなたこそ、クロシュちゃんの気持ちを自分の都合で誘導してるんじゃないの……?」

妖精「えっ……」

クロシュヴィア「だって、これはクロシュちゃん自身の理想なんだよ……? クロシュちゃんが本心から望んで描いた世界なんだよ……? それなのに、クロシュちゃんが未だにこの世界を求めようとしていないのは――あなたたちがクロシュちゃんを縛り付けてるからなんじゃないの……?」

妖精「そ、そんなこと……ない! ないもん! ないよね、クロシュ……?」

クロシュ「う、うん……」

妖精「ほら!」

クロシュヴィア「んむむ……ずるい……クロシュちゃんの優しさに付け込んでるんだ……!」

妖精「付け込んでないもん!!」

クロシュヴィア「付け込んでるの……!」

妖精「付け込んでないもん!!」

ベスティア「落ち着いて!! あなたたち二人でどうこう言い争っても仕方ないでしょう!!」

妖精「むぐ……」

クロシュヴィア「うー……」


クロシュ「え、えと……クロシュヴィアちゃん……」

クロシュヴィア「う、うん……!」バッ

クロシュ「わたしも……あの絵に描いたことが……本当になったら……すごく、いいって……思う……」

妖精「!!!!」

クロシュヴィア「!!!!」パァァァ

クロシュ「でも……デロデロになるのが、嫌な人も……いる、から……」

クロシュヴィア「えっ……」

妖精「……!」

クロシュ「わたし……そういう人たちの、気持ちも……尊重、したい……」

クロシュヴィア「そ、そんなぁ……。そういう人たちだって……溶けちゃえば、幸せになれるんだよ……? 嫌なのは、きっと最初だけだよ……?」

クロシュ「うん……。でも……もし、みんなで溶けるなら……みんなが、溶けていいよって……思えるようになってからの方が……いいと、思う……」

クロシュヴィア「…………そっか。確かに……無理矢理は、良くないもんね……」

クロシュ「うん……。でも……クロシュヴィアちゃんの……気持ちも……わかる、よ……」

クロシュヴィア「クロシュちゃん……」

クロシュ「……この、世界には……どうしようもなくて……どうにもならない、ひどいことが……いっぱい、あふれてるから……。無理矢理にでも……溶かしちゃった方が、良いかもって……思うときも……あるもん……」

クロシュヴィア「………うん……」

妖精「…………」

ベスティア「…………」

クロシュ「でも……どうしようもなくない、ことも……あるから……。わたし……まだ、諦めたくない……」

クロシュヴィア「…………そうだね……。クロシュちゃん……わたしより、ずっとたくさん、いろいろ考えてるんだね……。ふふ……わたし、伝説スライムなのに、恥ずかしいな……」

ベスティア「ふふ……。ずっと年下の子に諭されちゃいましたね、クロシュヴィア」

クロシュヴィア「うん……。よし、わかった……! わたし、溶けることの良さをみんなに伝えてくよ……。みんなが溶け合って、デロデロになりたいって思えるように……この星のみんなが、最高の甘い結末に辿り着けるように――がんばって、説得する……!」

妖精「え、そうなるの……」

クロシュヴィア「クロシュちゃん、そういうことだよね……?」

クロシュ「うん……! みんなが、いいって言うなら……いいと思う……!」

クロシュヴィア「ありがと、クロシュちゃん……」

クロシュ「クロシュヴィアちゃんも……わたしの絵……好きになって、くれて……ありがと……」

クロシュヴィア「えへへ……。クロシュちゃんは……世界樹の光っていうのを、追ってるんだよね……?」

クロシュ「うん……」

クロシュヴィア「それじゃあ、わたしと一緒に説得活動はできないね……。うん……クロシュちゃんは光集め、がんばってね……。わたしはみんなの説得、がんばる……」

クロシュ「うん……! がんばってね……」

クロシュヴィア「うん……!」

 握手「」ギュッ

 ☆クロシュヴィアと出会いました
 ☆クロシュヴィアが説得活動を開始しました

 ◆

―テラヌス・ウルス 出発の日

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[1/8](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□テラヌス・ウルス首都 主要施設
中央区:宿屋、噴水広場、市場、武具屋、酒場、浴場、冒険者ギルド、商人ギルド、宮殿、神殿、他
外周区:宝飾店、劇場、図書館、博物館、鍛冶工房、娼館、兵舎、練兵場、他

―テラヌス・ウルス
 噴水広場

 修理された噴水「」シャワシャワ

砂漠スライムたち「〜〜」モニョモニョ
砂漠スライム長老「〜〜」モニョモニョ
褐色銀髪赤眼幼女「〜〜」モニョモニョ


 強化ソリ「」ガチャン


ヨードリー「もう出発か。貴殿らには散々世話になったな……。ロクに返せていなくてすまないが……」

ローガン「こちらこそ世話になった。昨日の宴に招かれただけでも十分以上の報酬だとも」

アニス「またいつでもいらしてくださいね〜。テラヌス・ウルスはいつでも皆さんを歓迎いたしますから〜」

エバンス「おお! また寄った時は美味い水を頼むぜ!」

ヨードリー「礼になるかはわからないが……これを渡しておこう」スッ

 太陽のメダリオン「」ポン

ローガン「これは……!」

アニス「テラヌス・ウルスで大きな功績を挙げた者に贈られる証です。これがあればテラヌス・ウルス領内での通行が自由になりますし、テラヌス商会に属す商人や店との取引が少しお得になるかもしれませんよ〜」

ヨードリー「ちょっとした箔付けにもなるだろう。是非有効活用して欲しい」

エバンス「おお……! ありがたくいただくぜ!」



リアンノン「クロシュちゃん……もう行っちゃうんですね……」

クロシュ「うん……」

ベスティア「がんばってくださいね……。どうか、意思を強く持って……」

クロシュ「うん……!」

猫耳の褐色少女「元気でね、クロシュちゃん……」

クロシュ「うん……!」



ラハニ四世「そうか、旅立ちか」

妖精「いろいろあったけど、長生きしなよ。あなたはきっと、この国に必要な人材だから」

ラハニ四世「フッ……また水が涸れれば、人間以外を排斥し始めるかもしれぬぞ?」

妖精「まあ……大丈夫でしょ。今回は簡単には枯れないよ。例え日照りが続いてもね」

ラハニ四世「……? それはどういう意味じゃ?」

妖精「さあ? 私たち妖精は、あなたたちより見えるものも知ってることも多いのかもよ?」



ミラ「……」

ミスティ「あら……あなたも見送りに?」

ミラ「……昨日は悪かったわね。悪い酔い方をしていたわ……」

ミスティ「別に良いけど……」

イリス「え、昨日何があったの……!?」

ミスティ「酔ったミラ氏に絡まれたのよ」

イリス「ええっ!?」

 ◇

―テラヌス・ウルス正門

 太陽「」サンサン

 ヒュオオオオオ――…


 強化ソリ「」シャーッ――…


猫耳の褐色少女「気をつけてね〜〜!!」ピョンピョン
砂漠スライムたち「〜〜!」ピョンピョン モニョモニョ!
砂漠スライム長老「いってらっしゃい、なのぢゃ!!」ピョンピョン
褐色銀髪赤眼幼女「〜〜〜!!」ピョンピョン モニョモニョモニョ!!


ラハニ四世「フッ……行ってしまったな……」

ヨードリー「ああ。さて、やることは山積みだぞ!」グッ

リアンノン「私たちもお手伝いします! 何をすれば良いですか?」

アニス「そうですね〜。水脈調査、今回の被害算定、破壊された家屋の修繕に――」

ベスティア「う……わ、私にできることはあるのでしょうか……」


ミラ「……ミカヅキ………あなたは……今、どこにいるの……?」

 *

 強化ソリ「」シャーッ―


妖精「砂漠の国テラヌス・ウルスに、精霊の加護がありますよう――」

エバンス「さらば……エキゾチックな砂漠の街よ――」

イリス「素敵な街でしたね。砂漠の不思議な情緒があって……」

ミスティ「水が枯れている時に来ちゃったのが惜しいわね」

ローガン「フッ……またいつか、訪れれば良いさ」

クロシュ「うん……。あの子がいる限り……水は、もう涸れない……!」


 ――テラヌス・ウルス編 完

テラヌス・ウルス編クリアボーナス
↓1コンマ
01-60 運命賽*1
61-90 ↑+太陽の盾
91-00 ↑+会心賽

―テラヌス砂漠

 強化ソリ「」シャーッ


ミスティ「一度、王国の芸術都市に戻るのよね?」

妖精「うん。結局、どこに行くにしても王国を経由するのが一番手っ取り早いからね」

ローガン「王国は現在最も国土面積の大きな大陸国だからな……」

エバンス「でも芸術都市に行くってのは賛成だぜ! やっぱちっと心配だしな」

イリス「そうですね……。あれからそれほど経ったわけじゃないけど、復興は進んでるかなあ……」

妖精「まあ、着いてみればわかるよ。それより次の目的地のことだけど――」


↓1〜3多数決
1.ユーシリア帝国
(芸術都市 → チカーバ → ユーシリア)

2.大陸西部上空
(芸術都市 → 港湾都市 → イスファハーン → 大魔女帝国 → ???)


*3.オノゴロ諸島
(ユーシリア帝国 → ??? → オノゴロ諸島)
*4.トウゲン帝国
(オリシン王国 → 大山脈[超危険地帯] → 北部地方[超危険地帯] → リテン・ヘイヴン → トウゲン帝国)
*5.常闇の樹海[超危険地帯]
(魔族国 or 緑の国 or 王国平原 → 常闇の樹海)

(*が付いているものはまだ選べません)
(*3はユーシリア帝国編クリアで解放されます)
(*4はトコナツ編およびテラヌス・ウルス編をクリアで解放されます)
(*5、6は特定の条件を満たすと解放されます)
(温泉町トウゲンはオノゴロ諸島にあるようです)
(今のクロシュたちの実力なら、危険地帯は無理なく突破できそうです)
(超危険地帯はまだ危ないです)

妖精「……ここより、ちょっと北のあたりに……あるっぽいんだ、世界樹の光が……」

イリス「えっそうなの!? それじゃあ予定を変更して――」

妖精「いや、それが……空なんだよね……」

エバンス「ええ……?」

妖精「空。高度はかなり高いみたい……」

ミスティ「嘘でしょ……。そんなとこ、どうやって行くのよ……」

クロシュ「あ……! 光になれば……」

妖精「だめ。風の精霊たちの観測によると、目標は分厚い雲に覆われてるみたい。光速移動は霧や煙でも阻害されるから……もしそんな高度で阻害されたら、そのまま落っこちてお陀仏だよ」

クロシュ「んゅ……」

ローガン「だが……それでは、そんな場所にある光をどうすれば回収できるのだ……?」

妖精「……大魔女帝国を利用する」

イリス「!!?」
ミスティ「!!?」
エバンス「……!?」

ローガン「ま、まさか……正気か……!?」

妖精「そうする以外ないでしょ。飛行可能な種族でも到底届かない位置なんだもの……。あんな場所に行くには、大魔女帝国の技術力を頼るしかない」

イリス「で、でも……大魔女帝国って、この地上にある大体の国にあるっていう大使館を巡らないといけないんじゃ……」

妖精「ふっふっふ……そこで登場するのが、国際商業都市イスファハーンだよ!」

エバンス「イスファハーン……? どういう関係があるんだ?」

妖精「地上の富の半分が集積すると言われるイスファハーンにはね……大魔女帝国へ行く権利さえも裏取引されてるんだよ!!」

ローガン「な、なんだと……! だが、それは違法なのでは……!?」

妖精「世界の危機だってのに法も違法もないでしょ! 私たちはそこで大魔女帝国行きのチケットを手に入れるしかないってこと! わかった!?」

ミスティ「だ、大丈夫なのかしら……この旅……」

 ☆次の目的地が、大陸西部上空に決まりました
  芸術都市、港湾都市、イスファハーン、大魔女帝国を経由します

 ◇

そしてここから砂漠移動ですが、既に一度行き来した旅路なので、省略するかどうか選択することができます

旅路を省略する?
↓1〜3多数決
1.省略する
2.省略しない
3.短縮する(ランダムイベントと自由安価を1日分だけ行う)

それでは今回は旅路を省略しません。ゆっくりいくのが良いでしょう
大魔女の人物像はたぶんまたどこかで募集するかと思いますので、クロシュヴィア氏と知り合いであるかどうかは採用された大魔女の設定次第かもしれません
……………………………………………………………………………………

―テラヌス砂漠 踏破率[0日/3日] 持久力[10/10]


 強化ソリ「」シャーッ―


エバンス「いやあしかし今回は大仕事だったな……!」

ローガン「うむ。それだけに達成感もある」

イリス「街を守って、水を復活させて、光を取り戻して、また街を守る……大活躍だったんじゃないですか、私たち!」

ミスティ「ふふ……たまには、こういうのも良いかもね……」

妖精「私は流石にちょっと疲れたけどね……」

クロシュ「妖精さん……おつかれさま……」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-35 食料発見(コンマ)
36-50 物品発見(コンマ)
51-65 場所発見(コンマ)
66-80 良いこと(自由安価)
81-95 旅は道連れ
96-00 旅は道連れ(稀)(やっぱり分離しました)

場所を見つけました
また、落とし物を拾ったせいか本来なら道連れにならない人が現れる可能性もあります

↓1コンマ 見つけた場所
01-10 呪われし古代遺跡
11-30 オアシス!
31-50 枯れた川床
51-70 オアシス
71-90 地下水脈
91-00 静謐な古代遺跡

↓2コンマ 出会った道連れ(稀)
01-10 ザイル
11-40 レイ
41-70 フメイちゃんたち
71-00 セインくん

 夕日「」サンサン


 強化ソリ「」シャーッ


エバンス「にしても……この時間になってもまだ暑いな!!」

イリス「フラナ先生からもらった日傘はミイラに壊されちゃったから……今日一日大変な暑さでしたね……」

妖精「世界樹の光の影響がなくても、砂漠が暑いのは元からだからねぇ……」

ローガン「そろそろ野営に適した場所を見つけたいところだが――むっ!」


 大きな岩場「」
 洞窟「」


エバンス「おっ洞窟だ!」

ミスティ「丁度良いわね……今日の野営地はあそこで決まりかしら……」

 ◇

―洞窟

 ピチョン ピチョン

 地下水脈「」サラサラ


イリス「おお……おおお!! これ、テラヌス・ウルスのとはまた別の地下水脈だ!!」

ミスティ「これは良い発見だわ! 今夜はここでゆっくり休めそう――」


「誰が入ってきたかと思えば……まさかお前たちとは……」スタスタ


イリス「え……その声は――」

クロシュ「わあ……!!」

セイン「久しぶりだな……」

ローガン「セインくん! 無事だったのか!」

セイン「ああ……。何だかわからないが……感謝する」

 *

―洞窟の外

 焚き火「」パチパチ

セイン「そうか……光はもう回収してしまったか」

妖精「うん。ひと足……というか随分遅かったね」

セイン「ああ……あの後少し休養を挟んだ上……僕が回復して砂漠へ向かおうとした直前……僧侶が芸術都市で体調を崩したんだ」

イリス「休養を……ていうか、僧侶さんが体調を……!?」

セイン「ああ。芸術都市の惨状を見て、吐瀉していた」

ミスティ「……あの過激派差別主義者にも、そんなナイーブな面があるのね……」

セイン「僕もしばらくは回復を待っていたが……僧侶の方から先に行けと言われて、結局こうして一人で来た」

ローガン「ふむ……僧侶氏も心配だが、君の方こそ大丈夫なのか……? あの時、どうにも普通ではない様子だったが……」

セイン「……すまない、僕自身あの時何があったのか覚えていないんだ。ただ、生きているのが奇跡だと言われたが……」

エバンス「よくわからんが……まあとにかく、今は元気そうで良かったぜ! どうする? このまま俺たちと一緒に芸術都市まで戻るか?」

セイン「良いのか?」

ミスティ「いいわよ……一人増えるくらい、ソリの運行に支障はないわ……」

セイン「すまない……それでは、同乗させてもらう」


 ☆地下水脈でゆっくり休めるので、持久力が[4]回復します
 ☆セインくんがいました。今回の旅に同行します


テラヌス・ウルスからの帰り道です。地下水脈で野営します
↓1〜3 自由安価 野営中何をする?

―夜
 洞窟の外

 焚き火「」パチパチ

 洗濯された衣服「」バサッ

セイン「すまない、僕の分まで」

イリス「今は一緒だもん、気にしないで」

エバンス「しかし夜に干して乾くもんなのか?」

ミスティ「砂漠は湿度が低いし……焚き火の熱もありから、けっこう乾くと思うわ……」

 *

―地下水脈

 ピチョン ピチョン

クロシュ「セインさん……」

セイン「クロシュか」

クロシュ「あの……聞きたいこと……あって……」

セイン「僕に答えられることなら」

クロシュ「セインさんは……わたしの描いた絵……見た……?」

セイン「ああ……あの、全てが溶けるような絵のことか」

クロシュ「うん……。えと……セインさんは……どう、思う……?」

セイン「……僕に、芸術の良し悪しは……」

クロシュ「そうじゃ、なくて……。みんなが、溶け合うのは……良いこと、だと思う……?」

セイン「………そう、だな……」

クロシュ「……」

セイン「……皆が、溶け合って……争いも、苦しみも、哀しみも……何もかもが、溶けてなくなるなら……悪いことじゃないと、思う」

クロシュ「……!」

セイン「………だが……恐らく、賛同する者は多くないだろう……」

クロシュ「……うん」

セイン「………まあ、個人的には好きだ。クロシュの描く、絵は」

クロシュ「んへへ……」

セイン「なんだ……真面目な話じゃないのか?」

クロシュ「えと……真面目に、うれしい……」

セイン「ふっ……そうか……」

 *

―地下水脈

 ピチョン ピチョン

妖精「むむ……」ヨイショヨイショ

 魔王図鑑「」ペ…ラッ

ローガン「む、魔王の勉強か」

妖精「あ、うん」

ミスティ「例のごとく読むのに手こずっているようね。手を貸すわ」スッ

妖精「ありがと。人間用の本は読むのが大変でさ……」

 *

「目次」
・絶望の魔王 済
・狂気の魔王 済
・暗黒の魔王 済
・虚無の魔王 済
・夢想の魔王 済
・旋律の魔王 済
・記憶の魔王
・雷霆の魔王
・巨樹の魔王
・海難の魔王
・吹雪の魔王
・双子の魔王
・憑霊の魔王
・永遠の魔王
・水底の魔王

 ペラッ

「記憶の魔王」
生前は、北メモル大図書館(現在は廃墟)の主である大賢者リブラだとされる。
北メモル大図書館を中心とした広大な範囲に住まう知的種族の記憶に干渉し、自らの持つ膨大な知識と記憶を強制的に注入した。これに耐えられれば大賢者リブラの叡智を一瞬で身に付けることができたが、実際にこの記憶注入に耐えることのできた者は片手で数えられる程度にしかおらず、ほとんどの者は膨大な記憶に耐えられず廃人と化したと言われている。しかしそれでも、リブラの叡智を求めて記憶注入に挑戦する無謀な者が後を絶たなかった。
最期には、記憶注入の対象とならないレッサースライムの群れに襲われ、その存在に幕を下ろした。

 ペラッ

「雷霆の魔王」
生前の姿は不明。
雷雲と共に移動し、雷鳴と共に現れ、雷霆の如き苛烈さで地上を破壊したとされる。雷雲と共に移動するため、他の魔王たちのように特定の活動地域を持たず、世界各地に現れては破壊の限りを尽くしたとされる。非常に素早く攻撃的で、現れた際にもたらす被害も非常に大きく、これを史上最も危険な魔王であると断じる識者も少なくない。
討伐記録はないが、現在は消息を絶っている。最期に現れたのは数百年前であるため、経緯は不明だが既に消滅している可能性は高い。

 ペラッ

「巨樹の魔王」
生前は一本の精霊樹だったとされる。
地中深くから国一つを覆うほどの広範囲に根を張り巡らせ、地中の栄養だけでなく他の植物や動物の生命すらも吸い尽くしたとされる。これの出現した国は世界樹を擁する地でもあった為、この時は実際世界終焉の危機であったと当時を知るエルフは語る。
最期には、当該国の指導者とその臣下たちの手により封印された。

 *

 魔王図鑑「」パタン

妖精「……」

ミスティ「……魔王樹のことも書かれていたわね」

妖精「うん……。あの子は……もう、封印じゃなくて討伐されたから、この記述は少し間違ってるね」

ローガン「仕方なかろう。この本自体も、出版されたのが随分と昔のようだし」

妖精「そうだけどさ……」

 精霊樹の鉢植え「」
 精霊樹の芽「」ピョコン

ミスティ「ふふ……ちゃんと育ってるわ」

妖精「うん……。あの子が遺した種……ちゃんと、生きてる」

ローガン「フッ……」

 *

というわけで本日はここまでとなります。次回はテラヌス・ウルスからの帰り道二日目からとなります

たくさんの出会いと別れを重ねて、テラヌス・ウルスを発ったクロシュ一行。その旅路に同行することとなったのは、勇者モドキのセインくんでした。いろいろあって出遅れた彼ですが、旅の初めにクロシュたちと一緒になることが多いようです。不思議な縁であります(逆に、フメイちゃんとは世界樹の光のダンジョンで一緒になることが多い気がします)

そして次なる目的地は空の上――。行き方はとても難しく、一筋縄ではいかないようです。いろいろと違法な手段も必要になるかもしれませんが、とにかく前に進んでいくしかありません。クロシュヴィアちゃんとのお話もできて心機一転、がんばっていくのが良いでしょう

ちなみにユーシリア帝国ですが、クロシュ一行が光を探している間にもいろいろと内部の情勢が動いているようです。あまりにも放置しすぎると、何か良からぬ事態になっていたりもするかもしれません。こわいです

それでは本日もありがとうございました。次回ですが、ちょっと土日両方が怪しい感じなので、代わりに平日のどこかで更新するかもしれません。その場合は前日にお知らせします。よろしくお願いいたします

また、もしかしたら今度は登場アイテムの募集を24時間くらいのやつで行うかもしれません。よろしくお願いします

ガッタ氏は世界樹の光探索の任には着いていないようです。他の仕事で忙しいのでしょう
登場アイテムについては、武器でも盾でも防具でも装飾品でも日用品でも貴重品でも、なんでも大丈夫です。よろしくおねがいします

クロシュヴィア氏もクロシュちゃんに言われたことをちゃんと考えてくれるようです。問答無用でパックンモニョモニョすることは多分ないでしょう
フメイちゃんとセインくんが同時に同行することになった場合……クロシュちゃんとセインくんがお話している様子を見て、フメイちゃんが機嫌を悪くする可能性はあります。そして逆にセインくんが機嫌を悪くする要素はたぶんありません……。フメイちゃんはクロシュちゃんが大好きなので、仕方ありません

クロシュヴィア氏は、今のところ世界樹の光にはあまり興味がないようです
巨大スライムちゃんは知識が豊富なのですが、言語関係の知識は全然吸収していないようです。言語系の知識は他よりも学習が難しいとかがあるのかもしれません。なお、自然界で生きるスライムはスライム語しか喋れないことが多いです

というわけで、登場アイテムの募集を行いたいと思います。また、とりあえず木曜日の夕方くらいから本編を更新する予定です。よろしくお願いします


(アイテムテンプレ)
【名称】
【外見】
【用途】
【特徴】


■参考
(登場アイテム例1)
【名称】黒耀鋼のナイフ
【外見】黒い光沢を持つ黒耀鋼で作られた上質なナイフ
【用途】護身用。料理にも使える。刃渡りは短いため、激しい戦闘には向かない
【特徴】非常に頑強な黒耀鋼でできているため、強度が高く刃こぼれもしにくい
また黒耀鋼は比重も軽く、非力な女性や子供でも扱いやすい。ただし非常に高価
旅のお嬢様リュアンがお付きのメイドに持たされ、装備していた

(登場アイテム例2)
【名称】太陽の盾
【外見】光り輝く砂漠の太陽をあしらった豪華な装飾盾
【用途】高性能防御。光属性が込められており、光線を発射することもできる
【特徴】テラヌス・ウルスで活躍した戦士に贈られる美しい盾
儀礼用の装飾品と思いきや、激しい戦闘に耐えうる実用性を備えている
テラヌス・ウルスの金細工職人による丁寧な加工と装飾が非常に美しく、これを一目見ようと砂漠の国を訪れる観光客もいる


↓1〜 23:59:59まで

皆さん、たくさんのご投下ありがとうございます。全てを出せるかはわかりませんが、機会がありましたら是非とも使わせていただきたいと思います

それでは本編の更新は本日の夕方〜夜くらいに行いたいと思います。よろしくお願いいたします

フラナ先生のお店にもありそうなものがちらほらあるようです。特に薬剤に関してはある可能性が高いでしょう。とはいえ、今は魔族国から遠いので実際に確認することはできないのですが

―芸術都市への道のり 2日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[1/8](エバンス)

―テラヌス砂漠 踏破率[2日/3日] 持久力[12/10]


 強化ソリ「」シャーッ


イリス「――っていうことがあったんだよ!」

セイン「テラヌス・ウルスは王国と同盟を結ばない方針にしたのか」

クロシュ「うん……」

ローガン「水があれば、不利な条約を締結してまで同盟を組む必要はないだろうからな」

セイン「……それが良いだろう」

ミスティ「セインは王国至上主義というわけではないのね」

セイン「ああ」

妖精「国王の護衛まで務めてたのにドライだねえ」

セイン「……ドライなのか?」

エバンス「まあ、別に良いんじゃないか?」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-40 食料発見(コンマ)
41-60 物品発見(コンマ)
61-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

良いことがあり、そして何かの場所を見つけたようです

↓1 起こった良いこと(自由安価)

↓2コンマ 見つけた場所
01-10 呪われし古代遺跡
11-30 オアシス!
31-50 朽ちた遺跡
51-70 オアシス
71-90 サボテンの群生地
91-00 静謐な古代遺跡

―テラヌス砂漠


 強化ソリ「」シャーッ


エバンス「……ん? あれは――」


 朽ちた遺跡「」ユラユラ


セイン「廃墟、か……?」

イリス「もしかしたら古代の遺跡かも! 行ってみませんか!?」

ミスティ「まあこのソリならすぐだし、寄り道していきましょうか」

 *

―朽ちた遺跡

 ヒュオオオオ――…

 ボロボロの石柱「」
 風化した石畳「」


ローガン「……確かにこれは、古代遺跡だな……。しかし……」

エバンス「かなり風化が進んでいるな。文字も読み取れなさそうだ」

イリス「そうですね……」

ミスティ「でも何かないかしら。古代の遺物とか……」ガサゴソ

イリス「と、盗掘になっちゃわないかな?」

セイン「僕たち以外の気配はない。例え盗掘になったとしてもバレることはないだろう」

イリス「そういう問題なのかなあ……」

 *

 ガサゴソ…

クロシュ「……!」ピコン

妖精「お、何か見つけた?」

クロシュ「うん……」

 ガサゴソ…グイッ!

 古びた宝箱「」ポン!

妖精「!」

ミスティ「これは……宝箱!」

イリス「わわ……!」

クロシュ「んへへ……」

エバンス「待った! すぐに開けちゃだめだ、何か罠が仕掛けられているかもしれん……!」

クロシュ「!」

エバンス「……ここは俺が開けてみよう。みんなは少し離れたとこにいてくれ」

ローガン「むう……私も解錠や罠避けには疎い。エバンスくん、頼む」

エバンス「おう、任せてくれ」


 カチャカチャ…パカッ


↓1コンマ
01-30 古代の金貨(所持金+)
31-60 古代の宝石(所持金++)
61-90 太陽の盾
91-00 獅子王の盾

 古びた宝箱「」パカッ

 数枚の金貨「」チャリン

エバンス「……金貨が数枚。これは――」

ローガン「見ない型だな。古代の貨幣か」

イリス「古代の金貨……! 面白いものを見つけましたね!」

妖精「コレクターに売れば良い値が付きそうだね」

イリス「う、売っちゃうの!?」

妖精「え、他に使い道ある……?」

イリス「え、えと……ないかも……」

ミスティ「イリスってこういうのけっこう好きだったりするの?」

イリス「ま、まあ……好きなのかも……」


 ☆古代の金貨を手に入れました
  街に着いたら自動的に換金されます

 ◇

―夕方
 テラヌス砂漠 岩場

 焚き火「」パチパチ

イリス「この時間になると冷え込んで来るよね」

ミスティ「昼間が暑い分……寒暖差がきついわね……」

エバンス「今日は洞窟の中ってわけじゃないから、寒さには気を付けないとな」

クロシュ「えと……わたし……あったかくなった方が、良い……?」

妖精「バーニングスライムになるってこと? でもあれはすごくお腹が減るんでしょ? 砂漠は食べ物が豊富にあるわけじゃないから、やめときな」

クロシュ「ん……」

セイン「クロシュ……新たな力を身に着けたのか」

クロシュ「あ、うん」

ローガン「フッ……クロシュくんの成長は目覚ましいぞ」


テラヌス・ウルスからの帰り道2日目です。岩場で野営します
↓1〜3 自由安価 野営中何をする?

 焚き火「」パチパチ

イリス「さーて、今日は何を作ろっかな〜」フンフン

セイン「僕も手伝おう。今回はまだ何も返せていない」

イリス「あはは、返すとか返さないとか考えなくて良いよ。行き先が同じなんだから、セインくん一人乗せても大して変わらないってミスティも言ってたでしょ?」

セイン「……僕なりのけじめだ。返させてくれ」

イリス「そっか。じゃあせっかくだし手伝ってもらおっかな!」

セイン「ああ。何をすれば良い?」

イリス「えっと、お料理については何ができるの?」

セイン「……食材を斬るくらいなら、多分できると思う」

イリス「え、何その曖昧な言い方……。料理の経験は……?」

セイン「ない。だが、僧侶の料理動作を観察したことならある」

イリス「そ、そう……まあとりあえずやるだけやってみよう!」


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、サバクイナゴ、オオキイスナミミズ
野菜:枯れ草、乾燥植物、ウチワサボテン、テラヌスアロエ
穀物:サクサクパン、パラパラ米
果実:精霊サボテンの実、ウォータースイカ
卵乳:スナニワトリの卵、カビチーズ
特殊:スライムゼラチン、マジカルブラッドワイン、精霊樹の実のジャム、お宿の焼き菓子

イリス「それじゃあ、まずはこのサボテンの実とウォータースイカを切るんだけど――とりあえず私がやってみるね。ん、しょっ!」グイッ

 ザクッ!

セイン「理解した。僕も斬ってみよう」スッ

 ザッ…

セイン「……」

イリス「ど、どうしたの? 途中で止まってるよ?」

セイン「……このまま力を込めたら、まな板ごと切断してしまわないだろうか」

イリス「だ、大丈夫だよ! まな板って固いから!」

セイン「……本当に、大丈夫か? 全力で力を込めてしまっても」

イリス「……セインくんの全力は、確かにちょっと怖いかも……。う、上手い具合に……果物だけ切れるように加減、できる……?」

セイン「……やってみよう」ググ

 ザグッッッ!!!

 *

 傷跡が残ったまな板「」

セイン「すまない……切断こそしなかったが……傷を付けてしまった……」

イリス「あ、あはは! これくらい大丈夫だよ! まな板って傷が付くものだから」

セイン「だが力加減は覚えた。次は果物だけを上手く斬れるはずだ」

イリス「うん、じゃあお願い! 私はお鍋の方にいるから、何かあったら呼んでね」

セイン「ああ」

 *

 スパスパスパッ

 グツグツ…コトコト…

 *

 マジカルフェアリーソースがけサボテンスイカフルーツサラダ「」ポン!

クロシュ「わあ……!」

イリス「スイカとサボテンの実はセインくんが切ってくれました!」

ローガン「おお……淀みなき美しい切断面だ」

セイン「無理に褒めなくて良い。結局イリスには迷惑をかけてしまった」

イリス「そんなことないよ! 精霊サボテンの実ってけっこう固いから切るのも大変なの。セインくんが手伝ってくれたお陰で助かったよ」

セイン「………そうか……」

エバンス「料理ってのは力仕事だからな。セインも今度は自分で料理してみたらどうだ?」

セイン「考えておこう」

スライムクロシュ「……」ソワソワ

イリス「あ、ごめんねクロシュちゃん! いただきますしよっか」

スライムクロシュ「!」モニョ!


「いただきます!」モニョモニョニョ!

 *

スライムクロシュ「♪」モニョモニョ シャクシャク

ミスティ「甘酸っぱいサボテンの実と、水分たっぷりでシャキシャキなスイカ……!」」シャクシャク

エバンス「美味い……! 水分と魔力が体の隅々まで染み渡っていくようだ!」シャクシャク

ローガン「これは……砂漠でこのような食事をするとは、なんという贅沢か……!」シャクシャク

ミスティ「そしてこの、渋みと甘みが濃厚に混ざり込んだソースは……マジカルブラッドワインと精霊樹のジャムね……!」シャクシャク

イリス「うん! 魔力マシマシの組み合わせで煮込んで作ってみたの、どう?」

ミスティ「とっても美味しいわ……。ワインとジャムの甘酸っぱさが合わさって、魔力が体の隅々まで染み渡っていくかのよう……」

妖精「しかも精霊サボテンの実とウォータースイカっていう魔力が豊富な果物の組み合わせだもんね。下手なポーションより全然魔力が回復するよ、この料理……」シャクシャク

セイン「精霊サボテンの実に、ウォータースイカか……」

イリス「ウォータースイカは文字通り、水分と水属性魔力を豊富に含んだ果物のことだよ。トコナツ火山島でも栽培されてたけど、原産地はここテラヌス地方なんだって」

ミスティ「えっここが原産なの? この砂漠が、ウォータースイカの?」

イリス「そうらしいよ! サボテンもそうだけど、乾燥地帯だからこそ水をしっかり蓄えて育つ性質が備わったのかもね」

セイン「なるほど……水が不足する場所だからこそ、か」

イリス「それで精霊サボテンは……妖精さんの方が詳しいかな?」

妖精「あ、うん。えと、精霊サボテンは精霊たちの加護を受けやすい種類のサボテンだよ。精霊樹と似た性質があるみたいでね」

セイン「精霊樹の仲間なのか?」

妖精「遺伝的には全然違うけど、精霊に好かれるって点では仲間と言っても良いかもね。んで精霊に好かれるから魔力も溜まりやすくて、果実にも自然由来の魔力がたっぷりってわけ」

セイン「そうなのか。砂漠で水分補給と魔力回復に役立つ果物、程度の認識しかしていなかったが……知ってみると興味深いな……」


スライムクロシュ「」モニョモニョ シャクシャク

セイン「クロシュ……どうだ? 美味いか?」

スライムクロシュ「♪」モニョ!

セイン「そうか」フッ


 ☆マジカルフェアリーソースがけサボテンスイカフルーツサラダを食べて元気いっぱいになりました
  明日の戦闘時、コンマ+10のバフがかかります

―夜
 テラヌス砂漠 岩場

 ヒュオオオオ――…

エバンス「――」ブンッ ブンッ

セイン「素振りか」ヌッ

エバンス「セインか。もうだいぶ冷えてきたしテントに戻った方が良いぞ」

セイン「それを言うならあなたもだろう」

エバンス「俺は……良いんだよ。強くならきゃいけないからな」

セイン「……では、模擬戦でもしてみるか?」

エバンス「なにっ?」

セイン「いや……気が乗らないのなら――」

エバンス「いや、望むところだ! 模擬戦するぜ!」

セイン「承知した。僕は魔法を使わない方が――」

エバンス「いや、魔法も使ってくれ! 俺は剣も魔法もどっちも鍛えなきゃならないんだ」

セイン「……そうか。では加減なしでいいく」

 *

ローガン「それでは、審判はこのローガンが受け持とう!」


セイン「ああ、よろしく頼む」
 無銘の剣「」チャキッ

エバンス「頼んだぜ旦那。よし……」
 魔銀の剣「」シャキン


イリス「わわ! 模擬戦だって!」

ミスティ「あなたもセインと模擬戦したわよね。ここよりずっと足場の悪いところで……」

イリス「あ、あはは……あの時はセインくんの手加減と足場のお陰で引き分けられたんだよねえ」

妖精「でも今回のセインは、武器も魔法も使うみたいだよ。足場は……砂に足を取られる砂漠だから、地属性のエバンスの方が若干有利かな?」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

妖精「大丈夫だよ、どっちもこういう模擬戦には慣れてるから。怪我なんてしないよ」

スライムクロシュ「〜」モニョ


↓1コンマ
01-05 痛恨
05-35 敗北 剣技経験+1
36-65 敗北 剣技経験+1、魔法経験+1
66-95 敗北 剣技経験+2、魔法経験+1
96-99 相打ち 剣技経験+4、魔法経験+2
00-00 勝利

セイン「」ヒュンッ

エバンス「!!」ジャキッ

 ガギン!!

エバンス(なんて重さだ……!)ズザザッ

セイン「」シャッ
 無銘の剣「」シュビビビッ

エバンス「うおおおお!!?」バッ

 ガギギギギンッ!!

セイン「」バッ
 セインの掌に集まる光「」キュイーン―


エバンス(嘘だろ!? 模擬戦とか言いながら殺す気か!!?)バッ

エバンス(くそっ! 回避は間に合わねえ! なら俺は――)

 土壁「」ボゴンッ!!

 光「」カッ!!!!

 ドガァァァァァン!!



イリス「うわわわわ!? エバンスさん!!?」

ミスティ「こ、これ模擬戦よね……?」



エバンス「つつ、なんとか凌げたか……!?」

セイン「いや……終わりだ」

 無銘の剣の切っ先「」キラン
 エバンスの喉元「」

エバンス「うっ……お、俺の負けだ」


ローガン「勝負あり! 勝者、セインくん!」


スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

イリス「わ、わあ〜!」

ミスティ「まあ……そりゃそうよね。セイン、大陸どころか世界最強でしょ、多分……」

妖精「エバンスも粘った方だと思うよ、うん……」


エバンス「くっ……粘った方とか言われるのが一番効くぜ……!!」

セイン「まあ……王国の一般的な騎士に比べれば十分強いと思う。それが褒め言葉になるかはわからないが……」

エバンス「ちくしょう!!!」


 ☆エバンスの剣技経験と魔法経験がそれぞれ+1点加算されました

 ◇

―深夜
 トコナツ砂漠 岩場

 焚き火「」パチパチ

セイン「強くならなきゃいけない、か……」

セイン「……」

セイン「僕も……ずっとこのまま、というわけには……」


ローガン「セインくん。まだ起きていたのか」スタスタ

セイン「ローガンか。少し考え事だ」

ローガン「そうか……」

セイン「ああ」

ローガン「……」

セイン「……」

ローガン「セインくんは……なぜ、僧侶と共に世界樹の光を追っている?」

セイン「……それが、僕の使命だからだ」

ローガン「使命とは……誰かの、命令か?」

セイン「……」

ローガン「……すまぬ。答えられぬことであれば、無理に答える必要はない」

セイン「……」

ローガン「……だが……もし、何らかの問題を抱えていたり……他者の助けが必要な時があれば……是非、我々を頼ってくれ。君に比べれば大した力もないし、王国の事情に詳しいわけでもないが……頭数が増えれば、それだけでできることも増える。もしかしたら、力になれるやもしれぬ」

セイン「……ありがとう。だが大丈夫だ」

ローガン「そうか……」

セイン「……ああ」

ローガン「……」

セイン「……そういえば……あなたはなぜ、世界樹の光を追っている?」

ローガン「私か?」

セイン「ああ。緑の国で、あの妖精と共に復権派を名乗って活動していたのは知っているが……見たところ、あなたたちのパーティは緑の国の戦士には見えない。なぜあの妖精と共に、緑の国の任務に就いている?」

ローガン「フッ……大した理由ではない。元々私は、クロシュくんの友探しを手伝う為にパーティ入りしたのだが……気が付いたら、このような大仕事に巻き込まれてしまっていたのだ」

セイン「クロシュの……。確か、フメイという……」

ローガン「そうだ。奇しくも、そのフメイくんもまた世界樹の光を追う者の一人であるため……パーティの目的とも合致していたというわけだな」

セイン「なるほど。光を追えば、自ずとフメイを追うことにもなるというわけだ」

ローガン「うむ。説得は失敗続きだがな」

セイン「……早く、説得できると良いな」

ローガン「全くだ。ついでに、他の世界樹の光を追う者たちも退いてくれると助かるのだがな?」

セイン「……それはできない。先程も言ったが……僕には、それを全うしなければならない理由がある」

ローガン「フッ、そうか……」

セイン「……せめて、世界樹の光のある場所で出会わないことを願う」

ローガン「うむ……」


ローガン(セインくんが抱えているものが何なのか……それは、わからぬ……)

ローガン(だが、こうして話してみると……大人びた表層の内側……その内奥に、年相応の少年らしい面が見え隠れしている)

ローガン(…………)

ローガン(もし私の息子が生きて……彼くらいの年齢に成長していたら……どのようになっていただろうな……)

ローガン(私に似ていつもボサボサ頭だったから、セインくんのような二枚目にはならないだろうが……彼の金髪を見ると、どうも思い出してしまっていかん……)

ローガン(……この前の、オアシスモドキに見せられた幻覚の影響がまだ抜けきっていないのかもしれんな……)

ローガン(……彼の抱える問題も、どうにかしてやりたいものだが……。いや、彼自身が助けを求めていない以上、我々にはどうしようもないか)



ローガン「……さて! そろそろ寝るとしよう」

セイン「ああ」

ローガン「フッ、男ばかりのテントですまんな。クロシュくんと一緒のテントが良かったか?」

セイン「いや、特にこだわりはないが……」

 ◆

―芸術都市への道のり 3日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[2/8](エバンス)
・魔法[1/6](エバンス)

―テラヌス砂漠 踏破率[3/3日] 持久力[1010]


 強化ソリ「」シャーッ


ミスティ「だいぶ走ったわね。今日中には着きそうかしら」

妖精「そうだね。この調子なら今日の夕方には芸術都市に着くよ、多分」

イリス「そっか……。そしたら、セインくんともまたお別れだね」

セイン「ああ。だが……恐らくきっと、また会うことになるだろう。お前たちが世界樹の光を目指している限り」

妖精「そ、そうだね……。まあその時はまた、お手柔らかに頼むよ?」

セイン「ああ……。なるべく、決定的な場面で出会わないことを願う」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-40 食料発見(コンマ)
41-60 物品発見(コンマ)
61-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

敵襲の前に、先に見つけた場所の判定です
また、3日連続場所発見ボーナスで見つかりにくい場所が見つかりやすくなります


01-20 呪われし古代遺跡
21-40 オアシス!
41-60 オアシス
61-80 サボテンの群生地
81-00 静謐な古代遺跡

↓1です

↑を採用します

―テラヌス砂漠


 強化ソリ「」シャーッ


 遠くに見えるオアシス「」ユラユラ


エバンス「んん……? あれは……」

妖精「……! あれは――」

セイン「オアシスモドキだな」

妖精「ああーっ!! 私が言おうと思ったのに!!」

セイン「す、すまない……」

妖精「いやいいけど! とりあえずみんなに催眠解除魔法をかけるよ!」パァァァ―


 遠くに見えるオアシスモドキ(アリジゴクの姿)「」ユラユラ


イリス「うわあ……あんな風に待ち構えてるんだ……」

ミスティ「どうする……? わざわざ近づく意味もないけど……」

イリス「あ待って! あれは――」


 サボテンドラゴン「」ノッシノッシ

 オアシスモドキ「」ユラユラ


ミスティ「サボテンドラゴンが……オアシスモドキに近付いていってるわ!」

イリス「ど、どうしよう!?」

エバンス「……放っておけば良いんじゃないか? 水は足りているし……」

イリス「でも……サボテンドラゴンがオアシスモドキに食べられちゃうかも!」

ミスティ「ど、どうなのかしら……。見た感じはサボテンドラゴンの方が強そうだけど……」

ローガン「もしサボテンドラゴンがオアシスモドキの催眠にかかっているのなら、いかな体格差であろうとオアシスモドキの方が圧倒的に有利だろう……。あの時の我々のように……」

妖精「でもオアシスモドキの毒針ってサボテンドラゴンに効くのかなあ? もし催眠にかかってたとしても、毒が効かなければどっちも決定打を与えられなさそう……」

セイン「……クロシュは、どう思う?」

クロシュ「!」


↓1〜3多数決
1.二体の喧嘩を止めに行く
2.自然の成り行きに任せる

クロシュ「えと……妖精さん……。決定打がないと……どうなるの……?」

妖精「んー……オアシスモドキが疲れ果てるまで、サボテンドラゴンをどつきつづけるんじゃないかなあ……。でもサボテンドラゴンもトゲトゲだから、疲れ果てる前に参っちゃうかも……」

クロシュ「……えと……それは……どっちも……美味しくならないって、こと……?」

妖精「美味しく……まあ、そうだね。どっちも美味しい思いをできない、不毛な戦いにしかならない可能性が高いよ」

クロシュ「……」

クロシュ「わたし……止めにいく……」

セイン「!」

ミスティ「えっ、止めに?」

クロシュ「うん……。このまま……疲れるだけなら……。そんな喧嘩、良くない……」

ローガン「なるほど……どちらも捕食できないのであれば、確かにその戦いは不毛だ。それなら初めから戦わないのが一番だろう」

クロシュ「うん……」

ミスティ「なんとなくわかったわ……。よし、進路変更……あの二体の喧嘩を止めに行くわよ……!」グイッ

 *

サボテンドラゴン「〜〜」グルグル

オアシスモドキ「……」チキチキ


 強化ソリ「」シャーッ


オアシスモドキ「!」シャキンッ


スライムクロシュ「〜〜!」モニョモニョ!

オアシスモドキ「キシャッ!!」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ…


妖精「交渉決裂! みんな、あいつらを止めて!」

セイン「ああ!」シュバッ


 ――戦闘開始 オアシスモドキ&サボテンドラゴン――


↓1コンマ
01-90 勝利
91-00 会心

セイン「殺すのではなく……止めるんだったな」

 光の残像「」パヒュンッ

 ドガッ
オアシスモドキ「キシャッ…」ドサッ


イリス「え、えええ!? セインくんもう――」


サボテンドラゴン「〜〜!!?」チクチク


妖精「サボテンドラゴンが催眠から目覚めたよ!」

エバンス「おう! 峰打ちだ!」シュバッ

ローガン「多少の痛みは我慢せよ!」シュバッ

 ガッガッガッ!!

サボテンドラゴン「〜〜…」キュゥ…


ミスティ「お、終わったわね……」


 ――戦闘終了――

 *

―夕方
 テラヌス砂漠

妖精「良い? あなたが見せられてたのはオアシスの幻覚なの。このでかいアリジゴクが見せた」

サボテンドラゴン「〜〜」ウンウン

妖精「よし、わかったみたいだね。それじゃあもう行きな。太陽の光も前よりは和らいだはずだからさ」

サボテンドラゴン「〜」ウン

イリス「あ、ちょっと待って! 行く前に――それっ!」

 水のシャワー「」シャワーッ

サボテンドラゴン「〜〜〜♪」キャッキャ

イリス「ふふ、でも他の人間はあなたの水を狙うかもしれないから、人間はちゃんと警戒しなきゃだめだよ!」

サボテンドラゴン「〜〜」ウンウン


スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

サボテンドラゴン「〜」スッ

 サボテンドラゴンの花「」ピョコン

スライムクロシュ「!」モニョ!

サボテンドラゴン「〜〜」ドウゾ

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョニョ

サボテンドラゴン「〜〜」バイバイ


サボテンドラゴン「〜〜」ノッシノッシ…

 ☆サボテンドラゴンの花をもらいました

 *

妖精「さて、サボテンドラゴンは行っちゃったから……」

オアシスモドキ「」グッタリ

イリス「こっちのでっかいアリジゴクだけど……妖精さんは話せるの?」

妖精「虫は無理。サボテンドラゴンはアルラウネみたいなもんだからけっこう話せるけど、虫は多分私たちと根本的な思考体系が異なるからね……。クロシュも全然だめだったみたいだし」

ミスティ「じゃあ……どうする? 放って置く?」

妖精「まあそうするしかないかなあ。サボテンドラゴンはもう行っちゃったから目的は果たせたし」

イリス「わかった。それじゃあ、ちょっとここの砂を使って、即席の器を作って――」サラサラ


 砂の器「」ポン
 水のシャワー「」シャワーッ

 水がいっぱいになった砂の器「」ナミナミ

オアシスモドキ「キシャ…? キシャシャ!」ゴクゴク


イリス「これで良し! 攻撃して気絶させた分はこれでチャラ!」

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は再び芸術都市に入るところからとなります

砂漠の帰り道も終えるクロシュ一行です。短い間ですがセインくんと一緒に過ごし、いろいろとまた親交を深めたように思えます。またいつか会う日も来ることでしょう、その時まではしばしのお別れとなります

それでは本日もありがとうございました。次回ですが、土日が不明瞭なため、とりあえず代わりに明日(金曜日)の夕方くらいにも更新したい予定であります。よろしくお願いいたします

サボテンドラゴンはドラゴンの形をしたサボテンなので、性格もドラゴンよりはサボテンに近く、普段は温厚でのんびりした性格のものが多いようです
しかしそれでも水不足が深刻になってくると、他の動植物や人間などを襲って水分を得ようとする獰猛さを見せることがあります。ノドの乾きには抗えません

クロシュ氏は、生きるために殺して食うという摂理には肯定的ですが、生存や生命活動とは関係のない争いや殺生には否定的な考えを持っているようです
今回、オアシスモドキとサボテンドラゴンの喧嘩を無理矢理止めたのも、そういう考えに基づいたものだと思われます

実際、オアシスモドキ氏はクロシュ一行を全滅寸前にまで追い込んだ強敵でした。素の戦闘力はそこまで高いわけではないようですが、彼の催眠能力と神経毒の一撃は、無対策であればかなりの格上でさえも殺しうる凶悪な力であります。砂漠で最も危険な魔物という評価は誇張ではないでしょう

―芸術都市ミュージア

 強化ソリ「」キキッ

ミスティ「着いたわ」

セイン「……感謝する。大した礼もできなくてすまないが――」

イリス「ううん、料理を手伝ってくれたり、訓練に付き合ってくれたりしたでしょ? それで十分だよ」

セイン「そうか……。わかった」

ローガン「気を付けてな。セインくんは強いが、まだ若い。我々でなくとも……頼れる大人がいるなら、頼るのが良い」

セイン「……考えておこう」

ミスティ「あまり無茶はしないようにね。……私たちが言っても説得力はないかしら」

エバンス「はは、でも本当に軽率な無茶はするなよ?」

セイン「ああ……ありがとう」

妖精「ま、元気でね。あんまり元気すぎて世界樹の光を持ってかれても困るけど」

セイン「……それはお互い様だな」

クロシュ「……」

セイン「クロシュ……君も、元気で」

クロシュ「……うん! セインさんも……お元気で……!」

 握手「」ギュッ

セイン「また会おう……」

 ☆セインくんと別れました

 *

―芸術都市ミュージア
 絵空の家

レーティア「わーお! 皆さんお久しぶり……というほどお久しぶりでもありませんね!」

イリス「あはは、どうも!」

ミスティ「また泊めてもらうわね。今回は一晩だけだけど」

レーティア「一晩だけでも嬉しいですよ!」


芸術妖精「おおーっ!? 久しぶりだねみんな〜!」パタパタ

妖精「わっ! あなたまだこの街にいたの!?」

芸術妖精「いやあ……このままこの街を出ていくのもちょっと後味が悪くてねえ……」

レーティア「そういうわけですから、せっかくなので彼女には復興支援を呼びかける募金箱やポスターのデザインを手掛けてもらってます。外出する時は必ず私も一緒なのでご安心ください」

妖精「そうなんだ……。でも確かに、このまま出てくのが気分悪いってのはわかるかも……」

芸術妖精「でしょ!? 王国の災害支援だけじゃなくて、募金やボランティア希望者も少しづつ集まってきてるんだよ!」

エバンス「おお……! けっこう好調なんだな!」

レーティア「例の日に吹き飛ばされたのが、街の表層部分だけだったのが幸いでした。水道などの地下インフラにはほとんど被害がなかったので、建て直しもそれほど難航しなさそうですよ。ただ……」

ローガン「ただ……?」

レーティア「あの日以降……一部の住民の間に、とある終末論が広がりつつあるようで……。今は直接的な害こそないのですが、もしこれがもっと広がっていくと……復興活動にも支障が出てきてしまうかもしれないんですよね……」

妖精「終末論……? それって、まさか――」

芸術妖精「そう……あのクロシュちゃんの描いた絵だよ!」

クロシュ「!?」

芸術妖精「あれこそが真の正しい世界だから、溶け合って混ざり合うのが正しさなんだって! いつの日か、聖なるデロデロがこの星を覆い尽くして、みんな溶けて混ざってデロデロになって救われる――そういう言説がちょっと流行ってるんだよ!」

ミスティ「え、ええ……」

イリス「それは……ちょっと困りましたね……」

レーティア「フフ、本当にちょっとだけですけどね。直ちに何か問題があるってわけでもありませんし、復興さえすれば後ろ向きな考えも自然と消えていくと思いますよ」

芸術妖精「私はけっこう嫌いじゃないんだけど、街の復興や今後の展望についても考えるとあんまり歓迎すべき思想じゃないのも確かだからねえ」

クロシュ「……」

芸術妖精「あ、クロシュちゃん! 大丈夫だよ、芸術を鑑賞した誰かが何をどう思おうとも、その思いはその人自身が自ら引き出したものなの。芸術は、鑑賞者の奥底にある思いを引き出す切っ掛けに過ぎないんだよ。責任とか感じる必要は一切ないからね?」

クロシュ「あ、うん」


芸術都市の宿(絵空の家)に一泊します。この行動終了後、港湾都市へ向けて出発します
↓1〜3 自由安価 宿泊中何をする?

 カランカラン

レーティア「おや、またお客さんかな? ちょっと待っててくださいね」スタスタ

ハーピィ記者「どうも! ハーピィ運輸です〜」ニコッ


妖精「げっ!?」

イリス「は、ハーピィ運輸……!?」

ハーピィ記者「……おや? テラヌス・ウルスで内政干渉に大活躍だった復権派の皆さんじゃないですか!!」

妖精「あなたも共犯でしょ!!」

レーティア「わお、お知り合いですか?」

ミスティ「まあ……」

 *

ハーピィ記者「まあかくかくしかじかで、魔族国としても困るわけですよ。例のテロ組織の構成員が魔族ばかりだからって、魔族全体に憎しみを向けられるのはね。というわけで――これです!」

 大きなカバン「」ドサッ

レーティア「何ですか、これ?」

ハーピィ記者「支援物資です。中身は空間を拡張してありますので、お金とか食べ物とか医薬品とか衣類とかいろいろ入ってますよ」

レーティア「……それをなぜ私に? 私はただの宿の主人ですよ?」

ハーピィ記者「ご謙遜を。芸術都市の復興に最も貢献している人でしょう? 王国は信頼できませんがあなた個人であれば信頼できますからね」

レーティア「ああ、なるほど……。わかりました、私が受け取りましょう」

ハーピィ記者「どもども! しっかり『魔族国から』って宣伝してくださいね!」

レーティア「はあ。プロパガンダに加担したくはないのですが、事実は事実ですからね。嘘偽りなく伝えますよ」

イリス「レーティアさん! この胡散臭いハーピィの人はともかく、魔族国の人たちは本当に良い人たちなので……! きっと、本心から芸術都市の復興を願って送ってきてくれたんですよ!」

レーティア「イリスちゃん……。ふふ、わかってますよ。人も魔族も大した違いはありませんからね」

ハーピィ記者「ハーピィの人も胡散臭くないですよ! 本心から復興を願って持ってきました!!」

ミスティ「はいはい。まあ半分くらいは本心だと思ってあげるわ」

 *

ハーピィ記者「それじゃ私はこれで! あ、支援物資の中に大陸の情勢をまとめた新聞も入れておいたので、是非お読みくださいね!」

 扉「」ガチャ パタム


イリス「行っちゃった」

ミスティ「あの人、いつも言うだけ言ってさっさと行っちゃうのよね」

レーティア「でも何にせよありがたいですよ。支援物資はいくらあっても嬉しいですから」

妖精「まあそれはそう――ん?」

 ヒュルルッ

風の精霊『あ、妖精いた〜!』ヒュルヒュル

妖精「へ? あなたは緑の国の――」

芸術妖精「わあ、風の精霊だぁ〜」

レーティア「お、精霊さんがいるんですか?」

芸術妖精「うん! 緑の国から来たんだって!」

風の精霊『ティセリアからお届け物〜。ちょっとお外に出てくれる〜?』

妖精「え、ティセリアから?」

芸術妖精「なんだろ!」

 *

―夕方
 絵空の家 玄関前


風船スライム『〜〜』フヨフヨ モニョモニョ
 風船スライムに吊り下げられた大量の物資「」ドッサリ


クロシュ「わあ……!」

芸術妖精「わ、わわ! すごい!」

妖精「ええ……!? 風船スライムと一緒にここまで運んで来たの!?」

風の精霊『うん〜! この風船スライムさんは一時的に精霊化してるから人間には見つからないんだよ〜』

レーティア「え、ええと……何が見えているんです?」

風の精霊『あ、じゃあ下ろすね〜。風船スライムさん、ゆっくり降ろしてくれる?』

風船スライム『〜〜』モニョニョ

 ゆっくり降ろされる大量の物資「」フヨフヨ…ドスン!

レーティア「え……えええ!!? 急に大量の荷物が……!?」

風の精霊『じゃあこれ、街の偉い人に渡してね〜。あ、緑の国からっていうのもお忘れなく!』

芸術妖精「わかった! レーティアに頼んでみる!」

風の精霊『ありがと〜。それじゃ帰ろ、風船スライムさん!』ヒュルル

風船スライム『〜』モニョ

風の精霊『それじゃあばいば〜い! 復興がんばってね〜』ヒュルルッ!

風船スライム『〜〜』フヨフヨ モニョモニョ

スライムクロシュ「〜〜!」ピョンピョン モニョモニョ!



芸術妖精「――というわけで、緑の国からの支援物資だって!」

レーティア「何がというわけなのかさっぱりわかりませんが、とりあえず緑の国からの支援物資ということだけは理解しました」

妖精「ティセリアもなかなか面白い空輸方法を思いつくなあ……」

モーリィ「ほう、他からも届いていたのか」バサッバサッ
 モーリィがぶら下げた多くの物資「」ズッシリ


レーティア「こ、今度は一体!?」バッ


星竜の子供「……」バサッバサッ
 星竜の子供がぶら下げた多くの物資「」ズッシリ

溶岩エイ「キュウ、キュウ」フヨフヨ
 溶岩エイがぶら下げた多くの物資「」ズッシリ


妖精「あなたたちは……トコナツ火山島の!」

モーリィ「妖精までいたのか。久しぶりだな」ストッ

溶岩エイ「キュウ!」フヨフヨ

イリス「わあ! エイさんも久しぶりだね!」

星竜の子供「ギャウ……」ジト

スライムクロシュ「…」モニョ…

モーリィ「これ、ドラ子よ。クロシュを恨むのはやめろと言ったはずだ」

星竜の子供「ンギュ……」

モーリィ「恨むのならこの私を恨め。いいな?」

星竜の子供「ギャゥ……」

モーリィ「さて、本題に移るか。我々はトコナツ火山島の者だ。芸術都市の悲劇を耳にし、支援の用意をしてこちらに参った。物資を運び込むのはこちらで構わないか?」

レーティア「あ、はい! そうですね……本来なら役場の方に届けるべきなのですが……今この街は人間以外の種に対する風当たりが強いので、私のところに持ってきたのは正解かもしれません」

モーリィ「そうか……。では、あなたに任せても?」

レーティア「ええ、責任をもってこの街の復興にお役立てしますよ!」

星竜の子供「ンギャギャ?」

モーリィ「妖精たちが共にいる者なら大丈夫だろう。それでは、こちらの荷物はあなたに任せよう」

 トコナツからの大量の物資「」ドッサリ

レーティア「ありがとうございます!」

モーリィ「礼には及ばん。トコナツ火山島を今後ともよろしく頼む。……復興作業なども手伝っていきたいところだが、我々もそこまで余裕はなくてな。すまんが、これだけで失礼する」

レーティア「いやいや、物資を頂けるだけでもすごく助かりますよ! トコナツ火山島の方々からの支援物資、しかとお預かりいたします!」

妖精「ねえ、ところでトコナツ島の方は大丈夫なの? あれから」

モーリィ「我々の方は復興が一段落したところだ。大丈夫でなければ他国の見舞いなどできん」

妖精「そりゃそうか。でも良かったよ」

モーリィ「フッ……トコナツの方にもいろいろと支援があったからな。お陰で迅速に進んだのだ」

レーティア「それは、もしかして魔族国と緑の国から?」

モーリィ「その通り。こちらに届いていたのもその二国からのようだな」

レーティア「なるほど……これはまた、ありがたい話ですね」

モーリィ「ああ、全くな」

 ☆芸術都市に魔族国、緑の国、トコナツ火山島からの支援物資が届きました

 ◇

―夜
 絵空の家 ロビー

レーティア「ふう、なぜ私が支援物資の窓口になっているのでしょう……」

妖精「まあ、王国だからねえ。役人なんかよりはレーティアの方が信用できるってのは本当だと思うよ」

レーティア「それは喜んで良いことなのかどうか判断に迷いますね……」

エバンス「そういえばレーティアは金稼ぎの達人なんだろ? イスファハーンについて詳しかったりしないか?」

レーティア「あ〜、まあ、人並み程度ですね……多分」

ローガン「やけに歯切れの悪い言い方だな……」

芸術妖精「レーティアは確か、学生の頃イスファハーンに留学してたんだよね?」

レーティア「そういえばそんな過去もありましたね……」

妖精「へえ……じゃあその金稼ぎの力もそこで磨いたの?」

レーティア「悔しいですけど多分そうですね。本当は芸術の方を学びたかったんですが……まあでも、今こうして肥やした私腹を使う機会も来たりしてますから、なんだかんだで無駄ではなかったと思ってますよ」

妖精「じゃあさ、イスファハーンで大魔女帝国行きのチケットが闇取引されてるって情報を仕入れたんだけど……どこに売られてるか知ってる?」

レーティア「大魔女帝国行きのチケットですか?」


↓1
01-30 知らないですね
31-60 聞いたことならあります
61-90 多分知ってますよ
91-00 良いものを差し上げます

レーティア「う〜ん……わかりません。でも闇取引されてるものなんていくらでもある……というか取引されていないものの方が少ないような場所ですから、あるのは間違いないと思いますよ」

ローガン「あるのは確か、か」

レーティア「ええ。でも闇取引は闇取引なので、私としてはあまり勧めたくないですねえ……。良からぬ危険に巻き込まれちゃうかもしれませんし」

妖精「それはまあそうなんだけど……。今から世界各国を行脚して大魔女帝国の大使館を巡ってたら、時間がいくらあっても足りないでしょ」

レーティア「そりゃその通りです。ていうか正規の手段で大魔女帝国入りする人なんてどれくらいいるんですかね……」

芸術都市「私も行ったことないんだよねえ。文化も技術も芸術もかなり発展してるって噂は聞くし、一度くらい行ってみたいなあ」

エバンス「そもそも、大魔女って一体どんなやつなんだ?」

妖精「遥か昔から生き長らえ、あらゆる属性に精通し、あらゆる魔法を使いこなす伝説の魔女……という触れ込みだね。どこまで真実かは知らないけど、大魔女帝国の技術力は本物だよ。テンペスターの機械技術よりもさらに先を行ってる、と思う」

ローガン「テンペスターを上回る技術か……!」

エバンス「なんか普通に楽しみな気がしてきたぞ……!」

レーティア「もし行けたら、お土産話を聞かせてくださいね!」

芸術妖精「大魔女帝国の芸術を教えてね!」

 ◆

―夜
 絵空の家 客室

イリス「……」zzz

ミスティ「……」zzz

妖精「……」zzz

スライムクロシュ「……」zzz

 ◆

―集落

 チュンチュン

クロシュ「……」


メイ841「クロシュ」

クロシュ「!」

メイ841「お疲れさまです。ここは、あなたの夢の中です」

クロシュ「……?」

バーニングスライムの欠片「おはようクロシュちゃん! あ、でも実際にはおやすみなさいなのかな?」

星竜の珠「どちらでも良かろう」

ウニ盾「おはよ、クロシュちゃん……」

クロシュ「あ、うん……。おはよ、みんな……」

踊り子の双剣・姉「ふふ、私たちもいますよ」
踊り子の双剣・妹「使ってくれてありがとね、クロシュちゃん!」

クロシュ「あ、うん……!」

光の精霊「わあ〜大所帯なんだねえ、クロシュちゃんの中って」

クロシュ「ほえ……?」

光の精霊「ふふ、祝福っていうのは精霊自身を分け与えることなんだよ。これからもよろしくね」

クロシュ「あ、うん!」


ウニ盾「ふふ……でも、最古参は、わたし……」

メイ841「ウニ盾さんは最近出番がありません。一番クロシュの役に立っているのはメイドブレードです」

ウニ盾「む……」

バーニングスライムの欠片「いやいや、一番強いのはボクだよ! クロシュちゃんをフメイちゃんと同じ炎属性にして、圧倒的なバーニングパワーで何もかも焼き払えちゃうんだもん!」

星竜の珠「フッ、下らん。貴様らは愚鈍ゆえ気付いていないようだが、竜珠の杖と同化するとクロシュは全ての能力が向上する。つまり最も優れているのは我だ」

踊り子の双剣・姉「わ、私たちも……クロシュちゃんをかわいく綺麗に仕立てて、踊らせてあげることができます!」
踊り子の双剣・妹「そうだそうだ! かわいさこそが一番の正義なんだよ!」

光の精霊「わひゃぁ、クロシュちゃん好かれてるねえ……。まあでも、光速移動っていう最速の移動方法が使えるのは私だけなんだけどね?」

クロシュ「んゅ……」

ウニ盾「クロシュちゃん……わたしが、一番だよね……?」

メイ841「いいえ、一番はメイドブレードです。そうですね、クロシュ」

バーニングスライムの欠片「あはは、一番はボクだよ〜。ね、クロシュちゃん!」

星竜の珠「ハッ、無様な連中よ。最上は聞くまでもなく我に決まっているだろう」

踊り子の双剣・姉「私たちは……一番じゃなくてもいいわ」
踊り子の双剣・妹「でも、これからもかわいく踊らせてよね!」

光の精霊「ふふふ、面白いなあ……。ねえクロシュちゃん、結局一番は誰なの?」

クロシュ「んゅゅ……」

 ◆

―朝
 絵空の家 客室

スライムクロシュ「〜〜…」zzz モニョニョ…

妖精「クロシュ……なんかうなされてる……」

ミスティ「何か悪い夢でも見ているのかしら……」

妖精「いや……これは……」

スライムクロシュ「〜〜…」zzz モニャニャ…!

妖精「ふふ、ちょっと嬉しそう」

 ◆

―芸術都市
 絵空の家 玄関前

剣舞妹「ちょっと! 来てたのなら言ってよ!!」

エバンス「わ、悪い! でも昨日の夕方来たばっかなんだよ!」

剣舞妹「あ、そうだったの……? ご、ごめん……」


踊り子クロシュ「えと……わたし、踊った……! 剣、ありがと……!」シャラン

剣舞妹「あ、うん……! 使ってくれたんだ、こっちこそありがと……!」

踊り子クロシュ「んへへ……」

剣舞妹「返すのはまだまだ先で良いからね。この前貸したばっかりなんだから、いろんな国に行って、私たちの踊りを見せてあげて!」

踊り子クロシュ「ん!」シャラン


パペットマスター「今回はもう行ってしまうのか。忙しい旅のようだなッ!」

ローガン「うむ……。実際急ぎの旅なのだ、すまぬな」

エバンス「いろいろ決着が着いたらまた来るぜ! あの子のこと頼んだぞ!」

パペットマスター「任せたまえッ! 彼女はボクが一丁前の芸術家に育てあげよう!」

剣舞妹「だからあんたの弟子になった覚えはないってば!!」


レーティア「次は港湾都市で、そこから海を渡ってイスファハーンに向かうんですよね」

妖精「うん。けっこうな長旅になるかも」

芸術妖精「気を付けてね! イスファハーンと大魔女帝国のお土産、楽しみにしてる!」

ミスティ「ふふ、わかったわ」

レーティア「……繰り返しになりますが、イスファハーンは権謀術数渦巻く狂気の都……。迂闊者を叩き落とす奈落の落とし穴がそこかしこで大口を開いていますから、くれぐれもお気を付けくださいね」

イリス「うう……なんか怖くなってきました……」

妖精「わかった。十分気を付けるよ、忠告ありがとう」

レーティア「いえいえ。それではまた!」

 ◆

―芸術都市 町外れ

 ワーワー ガヤガヤ

男「真の正しい世界! 真の正しい世界!!」

 シンノタダシイセカイ!! シンノタダシイセカイ!!!!

リュアン「しんの……ただしい、せかい……」ボー

女「導師クロシュ様……どうか我々を、この力なき末人たちをお導きください……」

リュアン「クロシュ、ちゃん……?」

 ヒュオオオオオ――…
 デロデロ…ポン!!
 スタッ―

白い幼女「……」ニコ

 ザワザワ エッエッ マサカ…!

男「ま、まさか……あなた様は――」

女「導師、クロシュ様……!?」

白い幼女「んーん……。クロシュちゃんは、今大事な用事があって動けないから……。代わりに、クロシュちゃんの一番の理解者であり、同じ種の一人でもあるこのわたし……クロシュヴィア・スウィートエンドが来たの」

 ザワザワ… クロシュヴィア…?

クロシュヴィア「みんな……この、苦しみと哀しみに満ちた世界に、疲れ果てているんだよね……。大丈夫……わたしたちが……みんなを、真の正しい世界に導いてあげる……」

 ザワザワ…オオ…オオ…!!

クロシュヴィア「でもね……溶けて混ざってデロデロになるのを、拒む人たちが……救いを拒絶する愚かな人たちが、この世界にはまだ、大勢いるの……。わたしも、クロシュちゃんも……みんな全員、別け隔てなく救いたいのに……ワガママで、困っちゃうよね……」

 ザワザワ… クロシュサマヲキョゼツスルナンテ!! オロカモノタチ!!

クロシュヴィア「だから……協力してくれる? わたしたちの導きが……真の正しい世界が、あまねく世界中に染み渡るように……。誰一人、取りこぼさずに……みんなで、救われるために……。あなたたちも……愚かな人たちを、導いてあげて……!」

 オオ…オオ…!!!! ヤルゾ!! シンノタダシイセカイ!! オレタチガミチビクンダ!!!!

クロシュヴィア「ありがとう……みんなで、目指そうね……真の、正しい世界を……!!」

 ◆

ここからセイントレアキャニオン〜王国平原の移動ですが、既に一度行き来した旅路なので、省略するかどうか選択することができます

旅路を省略する?
↓1〜3多数決
1.省略する
2.省略しない
3.短縮する(ランダムイベントと自由安価を1日分だけ行う)

―セイントレアキャニオン〜王国平原〜港湾都市

 強化ソリ「」シャーッ―――……

 ☆旅路を省略しました

―港湾都市ウォーターポート

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[2/8](エバンス)
・魔法[1/6](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
……………………………………………………………………………………
□機械工業都市テンペスター 主要施設
大通り:武具店、雑貨店、機械店、無人食事処、自販機通り、冒険者ギルド、他
裏通り:闇市、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、灯台、他

―夕方
 港湾都市ウォーターポート 宿屋「旅の船着き場」

宿の看板娘「あー皆さんお久しぶりです!! そ、その……芸術祭では大変なことがあったようで……」

エバンス「おう……あったぜ、大変なこと……」

宿の看板娘「でも皆さんご無事で良かったです!」

ローガン「うむ……」

妖精「一泊お願いできる?」

宿の看板娘「ええ、もちろんです! ゆっくりしていってくださいね!」


ミスティ「ふふ、なんだか懐かしいわ。それほど経ったわけでもないのにね」

イリス「何回か泊まるとやっぱり身近に思えちゃうよね」

妖精「明日からまた船旅だから今日はしっかり休まないとね」

クロシュ「ん!」


港湾都市の宿(旅の船着き場)に一泊します。この行動終了後、イスファハーンへ向けて海へ出ます
↓1〜3 自由安価 何をする?

というわけで本日はここまでとなります。次回はクロシュの夜釣り編、野良ドラ餌付けチャレンジ編、魔王図鑑の続き編です

芸術都市を再び通り、港湾都市へと至ったクロシュ一行です。そして次なる目的地は国際商業都市イスファハーン。イスファハーンでは一体どのような出来事が待ち受けているのか。クロシュちゃんたちは無事に大魔女帝国行きのチケットを手に入れられるのか――

そしてついに暗躍を始めたクロシュヴィア・スウィートエンド氏です。苦しみと哀しみに押しつぶされた人々に囁かれる、とろけるように甘い誘惑。人々の心はどこへ向かうのか。そして、従者を喪い弱り果てているリュアンちゃんの未来は――

なお魔王図鑑ですが、読み進めていけばアリシラさんと似たような症状の魔王が見つかるかもしれません。それがアリシラさんの現状を解決することに繋がるかはなんとも言えませんが、何かのヒントにはなるでしょう。また、もしかしたら魔王図鑑の中には今もまだ生きている魔王が載っていたりもするかもしれないので、それの対策として読む価値も全くないわけではない……かもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回ですが、やはり今回の土日は難しそうなので、次の更新は来週の土日とさせていただきます。よろしくお願いいたします

よく見たら明日の土曜は更新できそうだったので、明日の土曜は更新できそうです。よろしくお願いいたします

ハーピィ記者はどこにでも出没する可能性があるので、良いこと(自由安価)で指定すれば同行させることができるかもしれません(道連れ表にないキャラでも、ある程度仲が良ければ同行してくれます)
クロシュヴィア氏は、自分の考えや目的が破滅に向かうものだとは考えていないようです。むしろ彼女にとっては、ようやく見つけた一筋の希望なのかもしれません。クロシュちゃんの描いた絵は、大きな波乱を巻き起こす可能性があるようです

リュアンちゃんは……とてもつらいようです。彼女が真の正しい世界についてどう思っているかは今のところわかりませんが、真の正しい世界を叫ぶ人々は、リュアンちゃんと似た境遇の哀しみを背負っている人が多いのかもしれません。あの場にいれば一人ぼっちになることはないかと思われますが……それがリュアンちゃんの未来にどのような影響を及ぼすかは未知数です

クロシュヴィア氏は風になって広範囲を見渡し、どこにでも飛んでいくことができます。また、他にも様々な極まったスライム能力を有しているようです。素の戦闘力がどれくらいかはわかりませんが、できることはとても多いため、本気で世界樹の光を集める気になったら恐らく誰も勝てません。クロシュヴィア氏が現状世界樹の光を使うことを考えていないのは、溶けるのが嫌な人々にとっては不幸中の幸いであると言えるでしょう
なぜクロシュヴィア氏が世界樹の光という万能の力を使おうとしていないのかはわかりませんが、以前クロシュ氏に言われたことを真面目に受け止めて、今は地道な説得活動に専念したいのかもしれません

野良ドラゴン氏がテロリストかどうかは……わかりません。もしテロリストだったらちょっと危ないかもしれません。気を付けましょう

―夜
 港湾都市ウォーターポート 埠頭

 ザァーン ザザァーン…

カニ「チョキチョキ」


エバンス「よし、久しぶりに釣りでもするか!」

イリス「良いですね、やりましょう!」

クロシュ「……」

イリス「クロシュちゃんにも教えてあげる! はい、釣り竿!」

 釣り竿「」ポン

クロシュ「あ、うん」


↓1コンマ
01-10 釣れなかった……
11-20 まずい海藻
20-30 うまい海藻
31-40 フヨフヨクラゲ
41-50 ウミタニシ
51-60 ウマアジ
61-70 ウミデメキン
71-80 マグロ
81-90 ウミザリガニ
91-00 ウォーターミズイロガニ

クロシュ「……」

 釣り竿「」ググッ

クロシュ「!」

エバンス「お、かかったな! 引き上げられるか?」

クロシュ「うん……!」

 釣り竿「」グイッ
 ウマアジ「〜〜!」ザバッ ビチビチ

イリス「わあ! 美味しそうなウマアジ!」

エバンス「なかなかの大物だな! よっし、俺も負けてられん……!」

 *

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

エバンス「どうだ? 自分で釣った魚は」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ

イリス「多分、美味しいって言ってます!」

エバンス「はは、なら良かったぜ」

 ☆ウマアジを食べて元気になりました
  明日の戦闘コンマに[+10]の加算が入ります

 ◇

―夜
 海岸

 ザァーン ザザァーン…


エバンス「さて、あまり遅くなると明日に響くしそろそろ――」

イリス「あ、ちょっと待ってください! あれ……海岸に何かいます……!」

クロシュ「……!」


ドラゴン?「……」モゾモゾ


エバンス「なっ……こ、こんなところにドラゴンだと……?」

イリス「街の兵士さんに連絡した方が良いでしょうか……?」

クロシュ「……」


ドラゴン?「……」モゾモゾ


クロシュ「おなか……空いてるのかも……」

イリス「そうなのかな……?」

クロシュ「……ごはん、あげてみる」トテトテ

エバンス「あ、おいクロシュちゃん!」


ドラゴン?「……?」

クロシュ「あの……これ、いる……?」

 ウマアジ「」ポン

ドラゴン?「……」


↓1
01-10 わたくしを餌付けとは……面白い!
11-40 無視された……
41-70 威嚇された……
71-90 食べてくれた
91-95 ワイバーンだ!
96-00 海竜だ!

野良ドラゴン「……」プイッ

クロシュ「あっ……」

野良ドラゴン「……」zzz

イリス「ね、寝てる……」

エバンス「眼中にないって感じだな……」

クロシュ「え、えと……。でも、ここにいたら……危ないよ……?」

野良ドラゴン『しつこい……。眠いんだから放っておいて……』

クロシュ「んゅ……!?」

野良ドラゴン『あとで食っといてやるから、その魚は置いてってね。おやすみ』zzz

クロシュ「んゅゅ……」

 *

クロシュ「えと……。眠いから、放っておいて、だって……」

エバンス「そうなのか……」

イリス「でもお話できたんだね。そういうドラゴンなら通報はしない方が良いかな……?」

エバンス「ああ。話ができる類のドラゴンなら無駄な破壊活動とかもしないはずだ。朝になりゃどっかに飛んでくだろ」

イリス「そうですね。じゃあそっとしておきましょう!」

クロシュ「ん」

 ◇

―夜
 旅の船着き場 客室

 魔王図鑑「」

妖精「さて……」

ミスティ「読むのね。手伝うわ」

妖精「いつも悪いね。じゃあお願い」

ミスティ「ええ……」

 ペラッ

 *

「目次」
・絶望の魔王 済
・狂気の魔王 済
・暗黒の魔王 済
・虚無の魔王 済
・夢想の魔王 済
・旋律の魔王 済
・記憶の魔王 済
・雷霆の魔王 済
・巨樹の魔王 済
・海難の魔王
・吹雪の魔王
・双子の魔王
・憑霊の魔王
・永遠の魔王
・水底の魔王

 ペラッ

「海難の魔王」
生前の姿は不明。
とある海域に出現し、通行する船や海洋生物たちを海の底へと沈めた。その体躯は巨大であり、無数の触手に捕らえられた獲物は二度と海上に上がれず、海の底に引きずり込まれて圧殺されたと言われる。その触手の形状から、生前はクラーケンかその近縁種の巨大海洋生物だったのではないかと考えられる。
当時の世に悪名を轟かせていた大海賊と死闘を繰り広げ、最期には共に海の藻屑となった。

「吹雪の魔王」
比較的最近の魔王。生前の姿は不明だが、美しい人型の女性の姿だったため、人か亜人であった可能性が高い。
かつて中央大陸の北部地方を極寒に陥れ、数多の動植物の命を奪った。その影響は今も尚残っており、中央大陸北部地方では今でも他の地域より平均気温が低くなっているという。その危険性、影響力、奪った命の数から総合して、雷霆の魔王と並び最も危険な魔王と称されることが多い。
最期には、一体のバーニングスライムが命と引き換えにこれを討伐した。

「双子の魔王」
生前の姿は不明。双方共に人の子供のように小柄で、瓜二つの姿であったとされる。
二対一組の魔王で、個別には「守護の魔王」と「暴食の魔王」と呼ばれていた。守護の魔王は極めて堅い装甲を持ち、いついかなる時も暴食の魔王を守り続けた。そして暴食の魔王は小柄な体躯でありながら恐るべき食欲を持ち、通り道にある動植物の全てを喰らい尽くしていったという。双子と名付けられてこそいるものの彼らが本当に双子であったかはわかっておらず、近年では元々一体の魔王が役割ごとに分離しただけなのではないかとする説も浮上している。
大陸を横断しながら全てを喰らっていくこの魔王を討伐せんと当時の国々は様々な策を尽くしたもののいずれも失敗に終わったと言われている。しかし最期には数人の英雄たちが挑み、正面から打ち破った。

 *

妖精「吹雪の魔王と双子の魔王は私も聞いたことがある。どっちもこの大陸に現れた魔王だ」

ミスティ「……私も吹雪の魔王は知ってる……北部地方は私の出身地だもの……」

妖精「……吹雪の魔王がもたらした被害は本当に大きかったんだよね。当時は、あのまま大陸全土が氷に閉ざされるんじゃないかって恐怖が広がってたなあ……」

ミスティ「……でも、バーニングスライムによって討伐されたということは……この頃はまだバーニングスライムたちは絶滅していなかったのね」

妖精「いや……それもちょっと語弊があるというか……。当時は、そのバーニングスライムこそが最期の一体だと思われてたんだよ」

ミスティ「えっ……? それって……」

妖精「……復讐、だったんだと思う。バーニングスライムは……ほとんどが、吹雪の魔王に殺されたんだ」

ミスティ「……そうだったのね……」

妖精「うん。だから、彼が吹雪の魔王と共に蒸発してしまった時に……この世からバーニングスライムは完全に消えてしまったと私も思ってたんだ。でも――」

ミスティ「……いたのよね。レッドという……バーニングスライムの、生き残りが……」

 *

ローガン「双子の魔王は……私の出身国の建国伝説でよく語られていたな。確か、この魔王を討った英雄たちが国を興したとか……」

妖精「あっ、てことはローガンはユーシリア帝国の出身だったの?」

ローガン「うむ。そういえば今まで言っていなかったな」

ミスティ「へえ、ローガンさんはユーシリア帝国の出身だったのね」

ローガン「隠していたわけではないのだが……特に言う機会も必要もなかったのでな」

妖精「てことはローガンの騎士としての技術や作法はユーシリア帝国騎士団のものなんだ」

ローガン「そういうことになる。私が騎士を辞してからもう何年も経っているゆえ、今の内情はわからんがな」

妖精「……まだ調査中だけど、ユーシリア帝国にも世界樹の光が落ちた疑惑があるんだ」

ローガン「なに……?」

ミスティ「え……? でも、ユーシリア帝国で問題が発生してるって話はあまり聞かないわよ……?」

妖精「うん。だからまだ疑惑。真相は今後の調査次第。でももしあそこに落ちてたら頼りしても良い? ローガン」

ローガン「うむ……私にできることであれば、最善を尽くそう」

 ◆

―朝
 港湾都市ウォーターポート 海岸

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


大亀クロシュ「〜〜」プカプカ モニョモニョ

イリス「わあ! 久しぶりの大亀クロシュちゃん!」

ミスティ「またお願いね、クロシュ」

大亀クロシュ「〜〜」モニョニョ


エバンス「ここからイスファハーンまでは、3日くらいだよな確か」

妖精「うん。クロシュの航行速度なら多分それくらい」

ローガン「通常の帆船に比べればやはりかなり速いな。流石だ」

妖精「休み休み行こうね。疲れたら無理しちゃだめだよ、クロシュ」

大亀クロシュ「〜!」モニョ!

 ☆ウォーターポート港から海へ出ます

 ◆

ここから船旅ですが、前回とそれほど代わり映えしない海路なので、省略するかどうか選択することができます

船旅を省略する?
↓1〜3多数決
1.省略する
2.省略しない
3.短縮する(ランダムイベントと自由安価を1日分だけ行う)

―国際商業都市イスファハーンへの海路(短縮)

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[2/8](エバンス)
・魔法[1/6](エバンス)

―海


 帆「」バサッ
大亀クロシュ「」スイスイ


イリス「久しぶりの大海原!」

ミスティ「クロシュの背中は揺れも少なくて良いわね……」

分体クロシュ「んへへ……」

妖精「お、分体もすっかり使いこなせてるね」

分体クロシュ「うん……。まだ、同化とかは、できないけど……」

エバンス「同化までできるようになったら強すぎねえか?」

ローガン「我々が以前戦った赤いスライム……あれは、分体だったが同化まで使いこなしていたぞ」

エバンス「う、そういえばそうだったな……。てことはあいつ、本体はめちゃくちゃヤバイんじゃ?」

妖精「エバンスが入る前に一度全滅されかけてるからねえ、あいつの本体には……」

エバンス「マジか」

ミスティ「……でも……レッドから教わった凍結魔法、やはり奴には効果抜群だったわ。付け入る隙はあるはずよ」

妖精「そうだね。まあ……それでも、あんまり出会いたくはないけど……」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-40 食料発見(コンマ)
41-60 物品発見(コンマ)
61-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

良いことがありましたが……強敵の気配もあるようです
まずはどんな良いことがあったのかからです

↓1 起こった良いこと(自由安価)

―海

大亀クロシュ「」スイスイ


イリス「……ん? 何か泳いでる……」


レイ「」グッタリ
闇の眷属「」スイスイ


ミスティ「あれは……いつぞやの指名手配犯!?」

イリス「ど、どうしよう……!?」

エバンス「……見捨てるってのも寝覚めが悪い! 助けよう!」

ローガン「うむ! では私が救助してこよう!」ピョンッ バシャンッ

 ◇

レイ「はふぅ……た、助けて、いただいて……あ、あれ、あれれれれれ!!!?」ビクッ

イリス「お、お久しぶりですね……」

レイ「あわ、あわわわわ……く、クロシュちゃんは!? クロシュちゃんがなんでいないの!?」アタフタ

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

 モニョモニョ…ポン!

分体クロシュ「えと……こんにちは……」

レイ「あああああ〜〜!! クロシュちゃん!」

分体クロシュ「う、うん……」

レイ(はっ……わ、私気持ち悪がられてる……!? どど、どうしよう……!? クロシュちゃんに嫌われちゃったら……)

妖精「取って喰ったりなんかしないから落ち着きなよ。ただの人命救助だからさ」

レイ「は、はひ……」

 *

レイ「はえ〜、国際商業都市イスファハーンへ行くんですか……」

イリス「うん。レイさんは、どうしてまた漂流してたんですか……?」

レイ「どうしてと言われても……逃げてるうちにそうなってたというか……」

ミスティ「そ、そう……」

レイ「あ、あのォ……もも、もしよろしければ、なんですけどォ……」

妖精「いいよ、乗せてってあげても。変なことしないならね」

レイ「!」パァァァ

ローガン「ただし変なことをすればまた海へ逆戻りだ。いいな?」

レイ「もも、もちろんです!! クロシュちゃんに誓って変なことはしません!!!」

分体クロシュ「?」

エバンス「なんでクロシュちゃんに誓ってなんだ……?」

 ☆レイが一時的に同行します

 *


レイ「ああ……クロシュちゃんの上にいるだなんて……私、なんて罪深いことを……」

分体クロシュ「え、えと……大丈夫、だよ……」

レイ「で、でもォ……。私、とっても汚い指名手配女なのに……」

分体クロシュ「きたないの……?」

レイ「うぐゥ…………き……きたない、です……」ジワワ

分体クロシュ「でも……わたしも、砂だらけになったり、するから……平気だよ……?」

レイ「クロシュちゃんんんん!!!」


ミスティ「ねえ……あれ、本当に大丈夫なの……?」

妖精「ま、まあ……悪さしてるわけじゃないし」

イリス「な、なんでクロシュちゃんにだけ態度があんな風なんだろ……?」

エバンス「前に庇ってもらったことに恩を感じてる……とかじゃないか?」


ローガン「……む!!」


ザイル「……先日ぶりだな」バサッバサッ


エバンス「なっ! お前は、テロリストのザイル!!」

ザイル「この海上では空を飛べるオレの方が圧倒的に有利……。貴様らは危険だ、ここで排除させてもらう!」バサッ

レイ「え、えええええ〜〜!? てて、テロリスト〜!!?」

妖精「くっ……!」


↓1〜3多数決
1.受けて立つ!(戦闘コンマ:ウマアジ+10、レイ+30)
2.ペンダントを人質に取る
3.ペンダントを返す

分体クロシュ「ま、まって……!」

妖精「クロシュ!?」

レイ「く、クロシュちゃん!?」

分体クロシュ「あの……これ……」スッ

 亡国王のペンダント「」ポン

ザイル「……それは……!」

分体クロシュ「えと……この前……落としてった、から……」

ザイル「……返してもらおう」スタッ

分体クロシュ「うん……」

ザイル「……」スタスタ

分体クロシュ「……」

 亡国王のペンダント「」パシッ

ザイル「……確かに、オレのペンダントだ」

分体クロシュ「うん……」

ザイル「…………なぜ、仕掛けてこなかった? オレを不意討つ好機だったはずだ」

分体クロシュ「……?」

妖精「……クロシュはそんな姑息な真似をするスライムじゃないからね」

ザイル「…………このスライムだけではない。お前たちもだ」

イリス「えっ? えと……だって、卑怯じゃないですか」

ミスティ「……そうね。私は別に卑怯でも良いんだけど……クロシュの思いを踏みにじる真似はしたくないもの」

エバンス「だな。クロシュちゃんがちゃんと返すって決めたんなら、仲間である俺たちがその邪魔をするわけないだろ」

ローガン「うむ。例え強敵を倒す千載一遇の好機であってもな」

レイ(はわわ……かっこい〜!! クロシュちゃんも、クロシュちゃんの仲間たちも……!!)キュンキュン


ザイル「……」


↓1コンマ
01-60 オレにも矜持がある
61-90 面白い
91-00 気に入った

ザイル「……オレにも矜持がある。今この場でお前たちを撃滅するのは……リーリアの王として、恥ずべき行為だ」スッ

分体クロシュ「!」

ザイル「……ゆえに今回は退こう。誇りを失った王に国の再建などできぬ」

妖精「……できれば毎回退いて欲しいんだけど」

ザイル「それは無理な相談だ。あの光はオレの……リーリアのものだ」

妖精「いやだから、あれは世界樹の光で……」

ザイル「フッ……つまり、先に手にした者のものというわけだ。ならば次は誰よりも早くオレたちが手に入れるまで」

妖精「むー……」

ザイル「ではまた会おう。お人好しスライムとその仲間たちよ」タンッ バサッバサッ

 ☆亡国王のペンダントを返しました

 ◇

―小さな島

 焚き火「」パチパチ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

レイ「シノホシのリーダーなんて、私なんか足元にも及ばない大大大悪党の極極極悪人じゃないですかァ……」

妖精「まあ……確かにそうかもね」

レイ「私ってそういう人に比べたらすっごい潔白だと思いませんか!? テロなんてしたことないですし!!」

ミスティ「まあ……指名手配犯であることに違いはないけどね」

レイ「うぐゥ……! ミスティおねえさん、手厳しい……!」

ミスティ「私、多分あなたより年下なんだけど……」


小さな島で野営します
↓1〜3 自由安価 何をする?

―夜
 小さな島 岩礁

 ザァーン… ザパァーン…

クロシュ「……」

妖精「どしたの、黄昏れちゃってさ」

クロシュ「妖精さん……。えと……さっきの……ザイルさんの、こと……」

妖精「あのテロリストがどうかしたの?」

クロシュ「……ペンダント……すっごく、大事そうに……してた……」

妖精「そうだね。よほど思い入れがあったんじゃない?」

クロシュ「……うん……」

妖精「なあに? 国を喪った元国王だからって同情してあげてるの?」

クロシュ「えと……わかんない……」

妖精「そっか。でもあんまり考えすぎても疲れちゃうから、ほどほどにね」

クロシュ「うん……」


人魚「あら、あらら?」ヒョコ

妖精「わっ! 誰!?」

人魚「通りすがりの人魚ですよぉ〜」ニコ

クロシュ「わあ……」

妖精「人魚……? この辺の海に人魚なんていたっけ……?」

人魚「さぁ〜? 私たちはずうっと東の方からはるばる泳いできたのでわかりませんねぇ〜」

クロシュ「ひがし……?」

妖精「なんでまた?」

人魚「ちょっと海が荒れてまして〜。荒潮が落ち着くまでは別のとこで過ごそうかなぁ〜って話になってぇ〜」

妖精「へぇ、そうなんだ……。東って具体的にどの辺り?」

人魚「ん〜とぉ〜……オノゴロ諸島ってわかりますかぁ〜?」

妖精「えっ、オノゴロの辺りからここまで泳いできたの!?」

人魚「人魚は速いのです〜」

クロシュ「わあ……」

人魚「うふふ……それにしても、スライムさんと妖精さんなんてかわいい組み合わせですねぇ〜」

クロシュ「そうなの?」

人魚「そうですよぉ〜。あなたたちはどちらからおいでで〜?」

妖精「私たちは――」

 *

人魚「ほえ〜、イスファハーンまでぇ……」

妖精「うん。あなたは行ったことある?」

人魚「うふふ、前に行った時は珍しい亜人種だ〜って捕まっちゃいそうになっちゃいましたねぇ〜」

妖精「そ、そう……」


 ザァーン ザパァーン…

人魚「あっ、みんなに呼ばれてるのでこの辺で失礼しますねぇ〜」

妖精「あ、うん。お話ありがと、元気でね」

クロシュ「ありがと……!」

人魚「はい〜、妖精さんとスライムさんもお達者で〜」フリフリ ピョンッ

 ザブンッ


クロシュ「人魚さん……」

妖精「人魚が水上に上がってくるのは珍しいんだけど、いろいろお話が聞けたね」

クロシュ「うん」

 ◆

―小さな島 野営地

 焚き火「」パチパチ

イリス「あの……レイさんって……悪いことをしたくてしてるわけじゃないんですよね?」

レイ「!!! そ、そうなの!! 私、悪いことしたいわけじゃなくて……ほ、ほんとに仕方なくて……!! イリスちゃん、わかってくれるの……!!?」

イリス「は、はい。見てればわかります」

レイ「イリスちゃんんんん!!!」ジワワ

イリス「……あの……以前、魔法がなんで使えてるのかわからないって言ってましたよね。どうしてそんな状態なのか、心当たりはありますか?」

妖精「あ、それ私も気になる! 聞かせてくれる?」ヌッ
クロシュ「わたしも……」ヌッ

レイ「わわ……! わ、わかりました……。え、えと……わた、私……昔、孤児だったん、ですけど……。なんか、いつの間にか変な宗教団体に閉じ込められてて……。何がなんだか、わからないうちに、変な儀式とかを何回かさせられちゃって……き、気が、付いたら……体中に、変な模様が、あ、あって……」

イリス「模様……?」

妖精「見せてもらってもいい?」

レイ「えっ……で、でもォ……」モジモジ

妖精「大丈夫だよ、ここは女しかいないし」

イリス「ご、ごめんね。でも調べる為だから……」

レイ「うぅ……。わ、わかりましたよォ……」ヌギヌギ

 パサ…

 レイの体中に刻まれた紋様「」ビッシリ

イリス「……!?」

妖精「こ、これは……」

レイ「も、もういいですか……!?」

妖精「待って! もう少し見させて。クロシュ、これ模写できる?」

クロシュ「ん!」

レイ「ひぃん……」ジワワ

 *

 レイの紋様の模写「」ピラッ

レイ「はぅぅ……これ、絶対他の人に見せないでくださいよォ……」ジワワ

イリス「妖精さん、これ何かわかる……?」

妖精「これ……あんまり詳しくないけど、たぶん古代呪文だ」

レイ「ここ、古代呪文!!? なんでそんなものが私に……!!?」

妖精「さあ……。ごめん、この呪文の意図や効力まではわかんない。せめて地域や年代くらいは特定したいところだけど……」

イリス「……そうだ、先生に聞いてみれば――」

妖精「そっか、フラナなら! ねえレイ、この模写だけど……魔族国にいる専門家に聞いてみたいんだけど、送っても良いかな?」

レイ「えっ……こ、ここにいる人以外に……?」

妖精「だ、大丈夫だよ! そいつも女だし、これに描かれてるのも紋様だけでしょ?」

レイ「うぅ……でも、この模様のことがわかれば……消したりもできるかもしれないんですよね……? それなら……」

イリス「うん……責任を持って先生に聞いてみるよ」

 ☆フラナへレイに刻まれた紋様についての手紙を出しました

 *

 焚き火「」パチパチ

レイ「はぁ……。何かわかればいいんだけどなぁ……」

クロシュ「レイさん……」

レイ「クロシュちゃん……。ごめんね……あんな汚い模様なんか、描かせちゃって……」

クロシュ「んーん……。きたなくない……。レイさん……お肌、きれいだった……」

レイ「ふえっ!? きき、きれい……!? わた、わたし……!?」

クロシュ「うん……」

レイ「え、えへ、えへへへ……。き、きれいなんだ……わたし……」

クロシュ「うん……」

レイ「えへ……でもクロシュちゃんのお肌も……ぷにぷにでとっても綺麗だよォ……」ニヘニヘ

クロシュ「そうなの?」

レイ「うん……」

クロシュ「んへへ……この肌はね……フメイちゃんの、お肌……!」

レイ「んえ?」

 デロデロ…ポン!

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

レイ「あ、あああーっ!!! そ、そうだった! クロシュちゃんはスライムさんなんだったァー!!」

 モニョモニョ…ポン!

レイクロシュ「レイさんと、おそろい……!」ポン!

レイ「あ、あわわわ! だ、だめだよおクロシュちゃん! かわいいクロシュちゃんが私なんかと同じ姿になっちゃ……!」

レイクロシュ「模様も……」ヌギヌギ

レイ「はわわわわーっ!!! だめだめ、だめーっ!!!!」

 ☆レイと親交を深めました

 ◆

というわけで、少し早いですが本日はここまでとなります。次回から国際商業都市イスファハーン編開始です

イスファハーンへ向けて海を行くクロシュ一行のもとへ、一時的に行動を共にすることとなったレイさん。そして前回のリベンジを果たすべく空を飛んで襲い来るザイル氏。ザイル氏にはペンダントを返して退け、夜闇の中でレイさんを脱がせてその柔肌を確かめるクロシュたち……とても濃密な1日でしたが、今回は短縮した旅路なのでイスファハーンはもうすぐです。権謀術数渦巻く狂気の商業都市イスファハーンで、クロシュたちを待ち受けるものとは――

それでは本日もありがとうございました。明日の日曜は更新できなさそうなので、次回は来週の土日となります。よろしくお願いいたします

レイさんがクロシュヴィアちゃんと出会ったらどのような反応をするかはわかりません。レイさんはクロシュちゃんのことが好きなようなので、同じくクロシュちゃんを好いているクロシュヴィア氏と馬が合う可能性はあります
ザイル氏は特別執着しているわけではないかと思われますが、この前戦ったばかりでまた襲ってきたので、ストーカーのように思われても仕方ないかもしれません。なおペンダントを拾っていなかった場合は、この海路で襲ってくる強敵はコンマでした。良くも悪くもペンダントが彼を引き寄せてしまったのでしょう

レイさんはクロシュさんが実際とても好きなようです。犯罪者としても賞金首としても見ないクロシュの態度は、実際レイさんにとって心地の良いものなのだと思われます
レイさんとしては、セインくんはとても会いたくない相手です。逆にセインくんはレイさんを見つけたら犯罪者として捕まえようとする可能性がありますが、近くにクロシュがいたりすればセインくんを止めることも可能かもしれません。セインくんは憲兵ではないので、クロシュに止められればあっさり矛を収める可能性が高いです

ローガン氏は以前、ユーシリア帝国の魔法騎士団に所属していたようです。そこで彼がどのように働いていたのかはまだはっきりわかっていませんが、それについてはユーシリア帝国編に突入する前後辺りで触れられることがあるかもしれません
そしてユーシリア帝国の人については、ユーシリア帝国に到着する前にどこかで募集する予定です。どのような募集内容になるかはちょっとまだ未定なので、続報をお待ちいただけると幸いです

―テラヌス砂漠
 巨大なオアシス


 水面「」ユラユラ

雨乞い巨大スライム「〜〜♪」モニョモニョ



フメイ「……」ノンビリ

アリシラ「……」ノンビリ


フメイ「ねえ」

アリシラ「なあに? フメイちゃん」

フメイ「……次の世界樹の光、まだ見つからないの?」

アリシラ「あ〜……実は、ちょっと見つかりかけてるというか……」

フメイ「なんでもっと早く言わないの」

アリシラ「いやぁ、それがさぁ〜……」

フメイ「?」

アリシラ「空なんだよ!!!!」

フメイ「……は?」

アリシラ「だからぁ、空!! お空の上なの!!!」

フメイ「ええ……? それ、本当?」

アリシラ「多分ほんと! まだはっきり掴めたわけじゃないし、場所が場所だから言いだすのを迷ってたんだよぉ!」

フメイ「そ、そう……」

アリシラ「……しかも多分、そこらの飛竜とかでも届かない上空な気がするんだよねぇ……」

フメイ「フメイの爆歩で飛んでくのは?」

アリシラ「フメイちゃん一人ならいけるかもだけど、私は絶対もたない……」

フメイ「……つまり?」

アリシラ「打つ手、なし!!!!」

フメイ「……」

 ◆

次回の更新の前に、国際商業都市イスファハーンの御三家当主をそれぞれ募集する予定です。よろしくお願いいたします

〈国際商業都市イスファハーン〉
■概要
世界の半分と言われしめるほど富を集積した国際都市
そして世界で最も貧富の差がある国家でもあり、世界一の大富豪が在住している傍ら各地にスラム街が広がる
世界一の高さを誇るタワーがあり、それが国家と富の象徴
御三家と呼ばれる大富豪一族の合議制をとっている
国家の華やかさと暗部のコントラストが最も激しい通称欲望と絶望の国
■産業
商業が発展しており何でも売っている
農作物や鉱物、果ては奴隷、兵器、内臓など誰かが欲しいと思ったものは必ず揃えられる
■情勢
とある御三家の一角は兵器武器の輸出目的で各国の紛争の裏で暗躍しており、子飼いの諜報機関やテロリストも存在する
現在、御三家同士の権力争いが激化しており、様々な思惑が暗躍する不安定な状況にある
なお近年はセイントレア王国の魔導機械兵器にシェアを奪われつつある

 *

〈今回の募集キャラクター〉

①御三家の一つ。最も大きな富と権力を持つ。都市経済を支配する商業の盟主。特にブランド品や希少品、高級奴隷の取引に強い。
 また、都市の社交界を牛耳っており、豪華なパーティやイベントを頻繁に開催している。絢爛の象徴。

②御三家の一つ。武器や兵器の製造・販売を専門とする。都市の防衛や治安維持にも深く関わっている。
 また、強力な私兵と諜報機関を持ち、国内外で暗躍している。武力の象徴。

③御三家の一つ。美術館や劇場、教育機関などを運営し、文化・芸術方面に大きな影響力を持つ。また、科学や医療の分野でも先進的な研究を行っている。
 表向きはスラム支援などの慈善活動に力を入れているが、裏ではスラムの民を利用して非人道的な研究や実験を行っている。智慧の象徴。

 *

(①の当主のテンプレート)
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】イスファハーンで最も大きな富と権力を持つ一族の当主。

(②の当主のテンプレート)
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】イスファハーンの軍需・防衛産業を担う一族の当主。

(③のテンプレート)
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】イスファハーンの文化・芸術を支える一族の当主。

 *

〈新しいルール〉

・今回は同一IDで①〜③にそれぞれ1つづつ投下するのもOKとします。ただし投下した案が採用となった場合は、以降の募集への投下はお控えください

・採用とならなかった案のキャラクターも、若干設定を変更するなどして登場する可能性はありますが、必ず登場するとは言えないのであまり期待しないでください

・同一IDで複数案投下していた場合、登場する可能性のあるキャラクターはそのIDの投下した案の中で最もコンマが高かった1人までとさせていただきます。ご了承ください

 *

募集の方式は前回と同じく、それぞれ10分間に投下されたものの中で最もコンマの大きかったものとします
募集時間は今週の土曜14時からの予定です。土曜になりましたら改めて告知させていただきます。よろしくお願いいたします

他にご質問などありましたらいつでもどうぞ

言われてみれば確かに、10分だけというのは短かったかもしれません

ここで急にルールを変えるのも混乱するので、今回は時間外投下も可能という形にしたいと思います

今週土曜の 00:00:00 〜 13:59:59 の間であれば、規定時間外でも受付可能といたします。その場合は投下した案が①〜③のどれに該当するかをご明記ください

>>749に書いた募集時間でも通常通りに募集する予定です。その結果と時間外投下の結果を合わせ、その中で最もコンマの高い案を採用といたします

よろしくお願いいたします

それではこれより 13:59:59 までの間を時間外投下期間といたします。時間外投下のルールについては>>752をご確認ください

そして本日14時より10分づつ、それぞれの投下時間が開始されます
こちらについては>>1の開始宣言などがなくとも、下記時間内に投下していただいて大丈夫です
また、ご質問などありましたら遠慮せずどうぞ
よろしくお願いいたします


時間外投下期間
↓ 13:59:59 まで

①の首長
↓ 14:00:00 〜 14:09:59 の間+時間外に投下された①の案の中で最もコンマの大きいもの

②の首長
↓ 14:10:00 〜 14:19:59 の間+時間外に投下された②の案の中で最もコンマの大きいもの

③の首長
↓ 14:20:00 〜 14:29:59 の間+時間外に投下された③の案の中で最もコンマの大きいもの


【名前】シュヴィア・オーデルシュタイン
【種族】オリハルスライム
【性別】男
【年齢】1200
【容姿】普段はむすっとした顔のスーツを着た人間の姿をとっている。
【性格】気難しい
【魔法】空間魔法
【備考】オリハルスライムの中でも希少金属の含有量が大幅に高く、オリハルコンそのものスライム。レア中のレア。何しても物理的なダメージは受けない。しかし希少なスライムだと追いかけ回され攻撃され、それで身体が傷付くことはないが心が痛くて仕方がない。レアというだけで誰も受け入れてくれない恨みつらみが現在の彼を形作っており、基本的に同じオーデルシュタイン家の者かスライムにしか心は開かない。人間、特に冒険者は嫌い。
攻撃されるトラウマから強力な兵器や私兵、諜報機関を作り上げた。反撃能力を越えて他国と大戦争でもするつもりかという武力を備えてしまっている。大昔に存在したと言われるスライムの王国を復活させることが夢。スライムたちが幸せで脅かされず安寧に生きていくためには武力が必要と結論付けた。


【名前】レベッサ・フィンマオ
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】14
【容姿】紫色の髪をして豪華なドレスを着た少女であるが、少女とは思えない威厳さとカリスマがある
【性格】冷静沈着でリアリスト。除いて自分にも他人にも厳しく、1人の例外を除いて心を開かない
【魔法】雷魔法
【備考】イスファハーンで最も大きな富と権力を持つ一族の当主。
僅か12歳の時に当主に就任したときは、様々な勢力や人物が富や権力の乗っ取りや傀儡としての利用を目論んだが、それを全てはねのけ勢力を維持してきた。

その正体は本物のリリアのお世話係兼遊び相手だったメイド。
本物のリリアは病弱の上気弱で優しすぎる性格だったため次期当主として不向きと判断、血の繋がりより家の発展維持を優先した先代当主達にによって魔法と科学技術による整形と肉体改造を行われた。(才覚自体は彼女本来のもの)
彼女自身はこの運命を受け入れているが、1人の例外である本物のリリアには普通の幸せな生活を送って欲しい

(①の当主のテンプレート)
【名前】リチャード・デンネル
【種族】人間
【性別】男
【年齢】36
【容姿】スーツを着ており、背が高く筋肉質。スキンヘッドでサングラスをかけている。腰には蛇腹剣を付けている。
【性格】平等主義者で人、魔物関係なくフレンドリーに接している。流行に敏感。
【魔法】頭脳魔法(ユニーク魔法で自身のIQを上げる魔法)、雷魔法。
【備考】イスファハーンで最も大きな富と権力を持つ一族の当主。かつてはある魔法騎士団の参謀を勤めていたが辞めてからは当主となる。その頭脳を活かし都市経済をさらに発展させた。戦闘も得意で頭脳魔法で相手の魔法や攻撃などを瞬時に分析、相手の攻撃や動きを何パターンか予測する事で対応できる。他にも蛇腹剣を巧みに操り、雷魔法を駆使する。彼の知識を借りる為にフラナやマーベルなどが相談に来た事がある。


【名前】ハイド・ストーク(襲名制であり、真の名前及び何代目かは不明)
【種族】不明
【性別】不明
【年齢】不明
【容姿】全身を黒装束に包み、黒い仮面を着けた怪人
【性格】不明だが常に無言。
【魔法】誰も見たことが無く不明(人外の領域の暗殺術と体術を持つ戦闘能力のみが知られる)
【備考】イスファハーンの軍需・防衛産業を担う一族の当主。……だが上記の通り御三家の中でもかなり謎が多い。
抱える私兵や諜報機関の中でも側近の精鋭も同じ格好をしているうえ言葉が無くても意志疎通しているため魔法による分身や幻説や、表向きの当主は影武者で本物は私兵や諜報員として国内外を動き回っている説等も出ている


(③のテンプレート)
【名前】マリッサ=マガジン
【種族】人間
【性別】女
【年齢】不明
【容姿】金髪ショートで青い服を着た女性
【性格】普段は冷静沈着だが可愛い「女の子」を見ると理性を失い暴走する
【魔法】土や布でできた人形を操る魔法や、光魔法が得意
【備考】イスファハーンの文化・芸術を支える一族の当主。
自分のミスで友人を死なせた過去を持ち、彼女の精巧な魔導人形を製作する研究を続けている。


【名前】ルーシェル・クラニオン
【種族】人間
【性別】男
【年齢】99
【容姿】白衣を着た立派な白髭をした小柄な老人
【性格】非人道な事をしているとは思えないほど気さくな好好爺。
【魔法】念力魔法
【備考】イスファハーンの文化・芸術を支える一族の当主。
『生命』の可能性をとことん信じているロマンチストであり、智恵こそが『生命』を無限の高みに至らせると考えている
非人道的な研究や実験も一切の悪意がなく『生命』の新たな発展に繋がるものと完全に善意で行っている。

皆さん、たくさんのご投下ありがとうございました
①は>>760、②は>>758、③は>>765となります。よろしくお願いいたします

―海上


 遠くにそびえ立つ塔「」ヒュオオオ――…


大亀クロシュ「〜〜」スイスイ

イリス「あ、あの塔は……!?」

ローガン「あれは国際商業都市の富の象徴――イスファハーン・ピラーだ!!」

ミスティ「イスファハーン・ピラー……!?」

エバンス「イスファハーンの金持ちが立てた塔だとか何とかって聞いたことあるな。現存する建造物の中じゃ一番高いらしい」

レイ「はわ〜……。想像もつかない世界です……」

 ◇

―国際商業都市イスファハーン 沿岸


大亀クロシュ「」スイスイ


青髪リーゼントの男「止まりな! どこの国のモンだ!」シュタッ



イリス(うわっ! いきなり飛び乗ってきた!?)

ミスティ(警備兵か何かかしら……。あ、レイが見つかるとまずいわ!)

妖精(そうだった! クロシュ、レイを隠し――あれ?)

大亀クロシュ(……??)モニョニョ?

イリス(い、いない……?)



ローガン「……我々は怪しい者ではない。身分証明は冒険者証で構わないか?」

 それぞれの冒険者証「」スッ

青髪リーゼントの男「おう、見せてみろ。……確認した。旅行者なら歓迎するぜ!」

エバンス「話が早くて助かる」

 *

―少し離れた海上

闇の眷属「」スイスイ

レイ「……これ以上一緒にいたら、クロシュちゃんたちに迷惑をかけちゃうもんね」

闇の眷属「」スイスイ

レイ「せっかく、私に優しくしてくれた人たちに迷惑をかけるのは、嫌だしね……」

闇の眷属「」スイスイ

レイ「……また、一人ぼっちかぁ……」グスッ

闇の眷属「」スイスイ

レイ「……仕方ないよね……。私、指名手配犯だもん……」

闇の眷属「」スイスイ

レイ「あっ……私の模様のお手紙……返事、間に合わなかったなぁ……」

闇の眷属「」スイスイ

レイ「……まあいいや……。どうせ……上手くいくわけないもん……」

闇の眷属「」スイスイ

レイ「…………ばいばい、クロシュちゃん……」

闇の眷属「」スイスイ

レイ(いつかまた……迷惑のかからないところで、会いたいな……)

 ◆

―夕方
 国際商業都市イスファハーン 港

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」



妖精「ふー、無事に辿り着けたね。お疲れ様、クロシュ」

クロシュ「ん……」

ミスティ「今回も乗せてくれてありがとうね……」

イリス「早いとこ宿を取って休みたいけど……レイさん、どこ行っちゃったんだろ」

ローガン「兵士に見つかることを危惧して、早めに離脱したのかもしれんな」

イリス「……言ってくれれば、ちゃんとお別れできたのに……」

ミスティ「……どうせ離脱するのなら、少しくらい食べ物を渡しておけば良かったわ」

エバンス「……だからこそ、じゃないか? 一言を言ったり言われたりすりゃ、決意が鈍るだろうし。少ししか接せてないが、あの子、俺たちに迷惑をかけることをかなり嫌がってた感じだ」

妖精「そうだね。あの子なりの精一杯のやり方だったのかも」

クロシュ「……」

 ☆レイと別れました

 ◆

―夕方
 イスファハーン商業区 市場

 レンガ造りの街並み「」

 ワイワイ ガヤガヤ

商人の男「安いよ安いよ! 今なら竜骨粉末もオマケしちゃうよ!」

行商妖精「こっちも安いよ〜! 今ならカタツムリの殻がオマケだよ〜!」

ドワーフの旅職人「……必要なら見ていきな」



淫魔の客引きA「あらぁ……お兄さん、たくましい体つきね……」

淫魔の客引きB「私たちと遊んでいかない〜?」

旅行者の青年「おお……へへ、じゃあせっかくだし……」



人間の警備兵「はあ、おれも淫魔のねえちゃんと遊びてえなあ」

オークの警備兵「仕事が終わったら娼館寄ってこうぜ」



エルフの吟遊詩人「ダークヒーローイリス……砂漠に水を蘇らせ、秩序を取り戻せし闇の英雄……」ポロロン

人間の少年「おおお〜! ダークヒーローイリスの新作じゃん!」

魔族の女性「へえ。今度はどんな冒険をしたのかしら」



フードを被った者「真の正しい世界……それこそが、私たちが目指すべき結末なのです……」

薄汚れた女性「……導師クロシュ様……。どうか、私たちをお救いください……」

身なりの良い男性「真の正しい世界、か……」

 *

イリス「これは……ウォーターポートを超える賑わい!!」

エバンス「もう夕方だってのに凄い人口密度だ……!」

ミスティ「これが国際商業都市イスファハーンなのね……」

ローガン「うむ……。今日のところは早く宿を見つけよう」

 ◇

―国際商業都市イスファハーン 滞在初日

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[1/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[2/8](エバンス)
・魔法[1/6](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:ホテル、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―国際商業都市イスファハーン
 宿屋「シルバーコイン」

 カランカラン

エルフの看板娘「いらっしゃいませ〜」

イリス「こんにちは!」

妖精「何日か泊まりたい。二部屋くらいある?」

エルフの看板娘「はい、ありますよ。6名様でよろしいですか?」

妖精「うん」

エルフの看板娘「かしこまりました! ごゆっくりおくつろぎくださいね」

 *

―シルバーコイン 客室

 落ち着いた内装「」
 小洒落たテーブル「」
 銀貨の描かれた絵画「」

ミスティ「良い雰囲気の部屋ね」

イリス「お洒落だよね。従業員のエルフさんもすっごい美人だった!」

妖精「ここは王国の影響力が薄い西大陸だから、種族間の対立とかはあんまりないと思う。まあ私もそこまで詳しいわけじゃないし情報が古い可能性もあるけど……」

スライムクロシュ「〜〜?」モニョモニョ?

妖精「うん、スライムもきっといると思うよ」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ


イスファハーン滞在初日の夜です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―シルバーコイン 客室

イリス「さて……」

 星の魔力中編「」

イリス「せっかくクロシュちゃんが写本を作ってくれたんだから、私もこれを読んでしっかり身に付けないとね……!」

 星の魔力中編「」ペラッ


↓1コンマ
01-30 星属性経験+2[2/6]
31-60 星属性経験+3[3/6]、魔法経験+1[2/6]
61-90 星属性経験+4[4/6]、魔法経験+2[3/6]
91-00 星属性経験+6[6/6]、魔法経験+4[5/6]

はい

 ペラッペラッ

イリス「……」

 ペラッペラッペラッペラッ

イリス「……そうか……そういうことだったんだ!!」

イリス「ちょっと試してみよう!」ガタッ

 *

―客室のベランダ

 ヒュオオオオ――…

イリス(この星の内側に流れる力を――)

イリス(――掬い取る!)カッ

 ゴゴゴゴゴ――…

イリス(――来た! これだ――これが、星の――)

イリス(……あ、やばい。溢れちゃう! な、なんとか出さないと! え、ええと――)

イリス「う、うわあああああ!!!」

 カッ!!!
 光の柱「」ドギュウウウウウンッ!!!


妖精「な、何事!?」パタパタ

ミスティ「何があったの!?」タタッ

イリス「はへぇ……」バタッ

ミスティ「イリス……!」

イリス「ら、らいじょぉぶ……」


イリス(星の魔力……しゅごい……)

イリス(でも、私に制御可能な範囲に絞れば……)

イリス(頭がクラクラする……でも、すごいワクワクしてきた……)


 ☆イリスが星属性の真髄の一片を掴みました
 ・星属性のレベルが大きく上がりました
 ・魔法経験が[5/6]になりました

 ◇

―シルバーコイン 客室

ローガン「……」コックリコックリ

 ガチャッ

ローガン「!」バッ

クロシュ「あ……」

ローガン「……クロシュくんか」

クロシュ「……ごめんなさい。起こしちゃった……」

ローガン「いや……問題ない。ただのうたた寝だ」

クロシュ「……」

ローガン「ふむ……それでは、肩を叩いてもらっても良いか? 少し凝っていてな……」

クロシュ「あ、うん……!」


↓1コンマ クロシュの肩叩き
01-30 ふつう
31-60 良い感じ
61-90 とても上手
91-00 ??

クロシュ「……」

 ポコポコ

ローガン「……もう少し、強めにできるか?」

クロシュ「ん……えと、こう……?」

 ドコドコ!!

ローガン「うぬう……! つ、強すぎる……!」

クロシュ「あっ……ご、ごめんなさい……」

ローガン「いや、構わぬ……。今の、中間くらいでできるか……?」

クロシュ「う、うん……」

 *

 トントン トントン

ローガン「う、うむ……だいぶ上達したな……」

クロシュ「んゅ……」

ローガン「うむ、十分肩がほぐれた。ありがとう、クロシュくん」

クロシュ「ん……。あの……肩がこるって……どんな、感じなの……?」

ローガン「どんな感じか……。肩の内側に巨大な疲労が固まっているような感じ……なのだが、スライムである君に伝わるだろうか……?」

クロシュ「……! えと……たぶん、わかった……!」

ローガン「フッ、そうか……」


ローガン(我が息子も、初めは肩叩きが下手で……肩が凝る感覚がわからんと言っていたな……)

ローガン(……クロシュくんはスライムの女の子だというのに。セインくんに続いてまた重ねてしまうとは……)

ローガン(……害があるわけでもなし。心の奥に仕舞っておけば良かろう)

 ◇

―シルバーコイン 浴場

 カポーン

スライムクロシュ「〜〜」デロデロ

イリス「ふう〜……生き返るぅ……」

ミスティ「もう、何事かと思ったわよ……」

イリス「ご、ごめんって。でも星属性の使い方がちょっとわかったから、私かなりやれるかも!」

ミスティ「星属性の技を試したって言ってたわね……」

妖精「……もしかして、星の内部から魔力を引き出した?」

イリス「そう! 本に書いてあった通りにやったら、なんとかできたみたい!」

妖精「なるほど……。でもあんまり星の魔力を引き出しすぎると世界樹の精霊に怒られるから、ほどほどにね」

イリス「はっ……そ、そっか! 気を付ける!」

ミスティ「世界樹の光を戻す為だって言い張れば許してくれるんじゃないかしら」

妖精「……まあそれもそうなんだけど。星の魔力はこの星に住む全ての者に与えられるべき恵みの大元だからさ」

イリス「うん……わかってるよ。この力は、必要な時に必要な分だけ使うよ。私自身が持つ星属性魔力だけでも十分すぎる力があるからね」

妖精「うん、お願いね」

スライムクロシュ「〜〜」デロデロ

 ◆

―国際商業都市イスファハーン 滞在2日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[5/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[2/8](エバンス)
・魔法[1/6](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―朝
 シルバーコイン ロビー

 チュンチュン

妖精「というわけで、今日から本格的に大魔女帝国行きの闇チケット探しをするよ!」

イリス「まずはいつも通り情報収集からだね!」

エバンス「んじゃまずはそこのエルフの姉さんに聞いてみるか」

エルフの看板娘「あら、大魔女帝国行きのチケットですか?」

エバンス「ああ。どこに売られてるか知らないか?」

エルフの看板娘「さあ、わかりません……。でも大魔女帝国に行くには本来なら世界中を回らなきゃいけないわけですから、もし買い取るとなればかなりの高額になるでしょうねえ。そもそも大魔女帝国に行く権利を取引すること自体も違法でしょうし」

エバンス「まあそりゃ安くはないよな」

妖精「レーティアからたんまり貰った分もあるしお金には余裕があるけど……足りるかなあ」

ローガン「何にせよ、見つけてみないことには何もわからん。まずはやはり情報収集だな」

クロシュ「ん……!」


イスファハーン滞在2日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

劇場で何か演劇を見る

―図書館

イリス「まずはやっぱり図書館だよね」

ミスティ「……でも、闇取引についての情報が図書館で手に入るかしら……?」

イリス「……さ、探せば何かあるよ!」


金髪ショートの女性「あら、闇取引について知りたいの?」ヌッ


イリス「うぇ!? え、ええと……」

ミスティ「……何か知っているの? あなた」

金髪ショートの女性「マリッサよ。マリッサ・マガジン。あなたたちは?」

イリス「あ、はい。私はイリス・プラネットです」

ミスティ「ミスティよ」

マリッサ「イリスとミスティね。見た感じ海外から来た旅行者……いえ、冒険者の魔法使いかしら?」

イリス「ええと……まあ、そうですね」

マリッサ「素直ね……。昨晩放たれた巨大な星属性魔法……街中であんなことをするのは関心しないわ。夜空に向けられたから被害はなかったと言っても」

イリス「えっ!!? み、見て――」

マリッサ「ふふ……本当に素直。疑惑が確信に変わっちゃった」

ミスティ「……何? 私たちを逮捕するの?」

マリッサ「しないわよ。被害はなかったと言ったでしょう?」

イリス「……」

マリッサ「それで……闇取引について調べたいとか言っていたわね。何を探しているの?」

ミスティ「……いきなり腹の探り合いを仕掛けてくるような相手に、正直に言うと思う?」

マリッサ「あはは、ごめんなさい! イリスちゃんの反応が可愛いからついからかっちゃった」

イリス「うー……」

マリッサ「あらら、すっかりヘソを曲げられちゃったわね……。まあ楽しんでいきなさい。この世界一の享楽都市、イスファハーンをね」スタスタ


イリス「行っちゃった」

ミスティ「何だったのかしら、あの人……」

 ◆

―イスファハーン中央区

クロシュ「……」トコトコ

妖精「こっちの方はそれほど賑わってないね。でも――」


 高級ホテル「」ドンッ!!

 高層住宅「」ドンッ!!

 高層オフィス「」ドンッ!!


妖精「なんか……すっごい高い……」

クロシュ「うん……」


 イスファハーン・ピラー「」ヒュオオオオ――…


妖精「極めつけはあの馬鹿みたいにでかくて高い塔だ。見上げると首が痛くなっちゃうよ」

クロシュ「!」ピコン!

妖精「……また何か変なこと思い付いた?」

クロシュ「妖精さん……わたし……メルルさんのお陰で、気配を隠すのが……上手く、なった……」

妖精「……そうだね?」

クロシュ「……この前、光の精霊さんに……祝福されて……光属性の使い方も、上手く、なった……」

妖精「……それで?」

クロシュ「だから……光学迷彩で、侵入、できる……!!」

妖精「……前だったら止めてたけど、確かに今のクロシュなら……試してみる価値はあるか」

クロシュ「!」

妖精「ただし、下手なことはしないで私の指示をちゃんと聞くこと! いいね?」

クロシュ「ん!」

 *

―イスファハーン・ピラー

 自動ドア「」ウィーン

警備オーク「ん? 自動ドアが勝手に開きやがったな」

警備の人間「ぶっ壊れてんじゃねえのか?」



光学迷彩クロシュ「……」トコトコ

妖精(よーし、良い感じだね。このまま適当にこの中を探ってやろう)

光学迷彩クロシュ(ん)

 ◇

―イスファハーン・ピラー
 応接室

マリッサ「お待たせ」スタスタ

黄銅髪の青年?「2分遅刻だけど?」

スキンヘッドグラサン「まあまあ、良いではありませんか。彼女も忙しい身です」ニコニコ

マリッサ「リチャードくんは理解があって助かるわ。シュヴィアは相変わらず愛想がなくてダメね」

黄銅髪の青年?→シュヴィア「……」

スキンヘッドグラサン→リチャード「何にせよ全員揃ったところで、始めましょうか。まずはお手元の資料を――」

シュヴィア「待て」

マリッサ「シュヴィア……愛想が悪いのはいつものことだけれど、会合の腰を折るのは――」

シュヴィア「違う」スタスタ

 ベシッ!

クロシュ「んゃっ!」トテッ
妖精「ふぎゃっ!」ポテッ


マリッサ「なっ……!?」

リチャード「馬鹿な!」

シュヴィア「賊だよ」

 *

縛られたクロシュ「んゅ……」
縛られた妖精(なんてこった……)


シュヴィア「お前たち、どこから入った? どうやって姿を隠していた?」

縛られた妖精「い、言えば逃がしてくれるの……?」

シュヴィア「内容次第。嘘を言えば殺す」

縛られたクロシュ「!」

縛られた妖精「私は殺しても良い、でもこいつは――」

 ゲシッ
縛られた妖精「ぐえっ!」

シュヴィア「黙れ。こいつが大事ならなぜ不法侵入などした? 頭の悪い妖精共の軽挙妄動、いつ見ても虫酸が走る」

縛られた妖精「……!」ズキッ

縛られたクロシュ「……妖精さんは、悪くない……。わたしが……入ろうって、言った……!」

シュヴィア「……」

マリッサ「ねえ、この子たち私にくれない? すっごくカワイイし……なんか直感があるのよ。この子たちを使えば、研究が上手くいきそうっていう――」

リチャード「はあ……マリッサ、あなたも飽きませんね」

マリッサ「この塔で起きたことは外部には漏れないでしょう。それにこの子たちは不法侵入者……何をされても文句を言える立場じゃない」

リチャード「この塔がデンネル一族の所有物であることをお忘れなく。塔内の決定権は貴女にはありません」ニコニコ

マリッサ「チッ……いくら?」

リチャード「そうですねえ……。少々幼すぎますが、彼女らの器量でしたら――」

シュヴィア「……面倒なことになる前にさっさと始末するか――はっ!?」

 ほどけたロープ「」
 ほどけたロープ「」

マリッサ「なっ!? 何やってるのよこのウスノロスライム!」

シュヴィア「バカな! 魔封のロープできつく縛ったんだ、子供の方はもちろん妖精だって抜けられるはずがない!」

リチャード「はは、これはやられましたなシュヴィアくん!」

 *

―イスファハーンピラー外郭

光学迷彩スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ コソコソ

妖精「は〜〜死ぬかと思った……! あいつらがクロシュがスライムだってことに気付かなくて良かったよ」

光学迷彩スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

妖精「あんな縄、クロシュがデロデロになっちゃえば簡単に抜けられるもんね。ありがと、クロシュ」

光学迷彩スライムクロシュ「!」モニョ!

妖精「でも……ごめんね。私がもっとちゃんと気を付けてれば……」

光学迷彩スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ モニョモニョ

妖精「えっ!? ほ、本当!?」

 ◇

―シルバーコイン 客室

クロシュ「……」カキカキ

 資料の模写「」ピラッ

妖精「これは……オークションの品目予定表!」

クロシュ「うん……。あの部屋にあった、資料……覚えて、描いた……」

 資料の模写「品目予定その17 大魔女帝国渡航権」

妖精「しかもドンピシャだ! でかしたよクロシュ!」

クロシュ「うん……! あ、でも……これ、このページだけしか、見れなかったから……」

妖精「えっ……てことは、品目しかわからない……!? 日付とか場所とかは――」

クロシュ「んゅ……」

 ◆

―商業区 公演

ミスティ「こっちは変な女に因縁付けられたくらいで、大した収穫はなかったわ。そっちは?」

エバンス「こっちも空振りだ。まあまだ初日だし地道にやってこうぜ」

イリス「クロシュちゃんと妖精さんは?」

ローガン「中央区で情報収集すると行ったきりだな。まあ妖精くんも一緒であれば大丈夫だろう」


暗黒行商少女「……ん? あんたたち、まさか――」スタスタ

イリス「あーっ! 闇商人の!」

暗黒行商少女「し、しーっ! あまり大きな声で言わないで! 今はまあまあ真っ当な表の行商人としてやってんのよ! ていうかあんたたちなんでこんなとこいるのよ!?」

ミスティ「私たちは――」

 *

暗黒行商少女「はあ、なるほど……。大魔女帝国に行くためとはいえ随分大胆な発想をするわね……」

エバンス「俺もそう思う」

暗黒行商少女「でも大魔女帝国への渡航権か……。可能性があるとすれば闇市場か、あるいは闇オークションね」

ローガン「やはりそうなるか」

暗黒行商少女「そりゃあね。私はそういうのから足を洗ったけど、ここで商売してれば嫌でも耳に入ってくるのよ」

ミスティ「それじゃあ、教えてもらっても良いかしら?」

暗黒行商少女「もちろん。あなたたちには借りがあるからね。あ、でもその前に……ちょっと頼みたいことが……」

イリス「え、何?」

暗黒行商少女「そ、その……とりあえず付いてきて!」

 *

―学術区 劇場前

 ワイワイ ガヤガヤ

ミスティ「劇場ね」

イリス「えっと……何をすれば良いの?」

暗黒行商少女「その……これを、一緒に見て欲しくて」


 演目「離れ島の魔法女学院 ――金糸の姉妹人形に愛されすぎて夜しか眠れない――」


エバンス「なんだぁこれは……」

ローガン「ず、随分変わった題の演目だな……」

暗黒行商少女「ちょっと気になってるんだけど……1人で見に行くのはちょっと勇気がいるのよ……! だからお願い、一緒に来て!」

イリス「ま、まあ私は構わないけど……」

ミスティ「演劇か……。私見たことないけど、楽しめるかしら……」

エバンス「実を言うと俺も見たことがない。ものの試しに行ってみるか!」

ローガン「うむ……この題は確かに気になるな。せっかくだし見ていくとするか」

暗黒行商少女「ありがと! それじゃあチケットを買ってくるわね! 私のオゴリよ!」タッタッタッ

 ◇

―劇場

主人公の少女「やめて! 私たちが戦う意味なんて……!!」

赤い瞳の幼女「うるさい……!! いつもそうやって、私たち魔法人形の心に入り込もうとして……!! 目障りなのよ、お前は!!!」ギュオオオ!!!

水色髪の少女「主人公ちゃん!!」

 カッ!!!!

金髪の少女「間一髪……! 間に合った……!!」ズザザッ

青髪のお嬢様「わたくしたちも来ましたわ!!」ビュオッ

青い瞳の幼女「主人公さま……わたしが、お守りいたします……」

主人公の少女「み、みんな……!!」

赤い瞳の幼女「どいつもこいつも、盗掘者の分際で………!!! わたしたちの墓を、荒らすなァアア!!!!」ギュオオオオッ!!!





イリス「……」ドキドキハラハラ

暗黒行商少女「……」ドキドキハラハラ

ミスティ(こ、これが……)

エバンス(演劇ってやつか……!!)

ローガン(最近の演劇は凄いな……)

 ◆

―夕方
 劇場前

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「うわああああ!!! なんであそこで終わっちゃうのおおお!!?」

暗黒行商少女「タイトル詐欺よ!! 金糸の姉妹人形に愛されすぎて夜も眠れないシーンまで行く前に終わってんじゃない!!!」

ミスティ「演劇……奥が深いわ……」

エバンス「続きが気になるな!」

ローガン「三部作の一作目……次作の公開予定は未定とのことだ」

 ◇

―シルバーコイン 客室

 ガチャッ

イリス「ただいま!」

ミスティ「戻ったわ」

暗黒行商少女「お邪魔します」


クロシュ「わあ……! おかえりなさい……!」

妖精「おかえり……あ、久しぶりだね! 今はここにいるんだ」

暗黒行商少女「ええ。借りを返しに来たわ」

妖精「丁度良いや! あなた、この街のオークションについて知らない?」

暗黒行商少女「まさにそれを伝えようと思ってたんだけど――ん、その紙は?」

 資料の模写「」

 *

暗黒行商少女「事前に告知されてない掘り出し物の情報まで満載の非公開資料じゃない! どこで手に入れたの!?」

妖精「まあ……イスファハーンピラーに侵入したら見つけたっていうか……」

暗黒行商少女「は、はあ!? あなたたち相変わらず無茶してんのね……。貴重な情報だけど、あんまり見せびらかさない方が良いわ。殺されるわよ」

妖精「ま、まあとにかく私たちはこの大魔女帝国渡航権が欲しいの。参加できないかな?」

暗黒行商少女「まあ、参加自体は多分できるわ。言ってしまえば、このオークションの存在、開催場所、時間を知っていること自体が参加条件のようなものなの。だから今ここで私があなたたちに教えれば、それで参加資格は満たせる」

妖精「それなら!」

暗黒行商少女「ただこれ、中央区の成金たちが参加する魔境オークションよ? 以前の私の商売がケチなオママゴトに見えるくらいにはエグい額が飛び出すわ」

妖精「げ……。こ、これじゃ足りないかな……?」

 パーティの全財産「」ジャラ

暗黒行商少女「一般的に見ればすっごい額だけど……あのオークションに出場するには桁が2つくらい足りないわね……」

妖精「なんてこった」

暗黒行商少女「まあそれでも、行くだけ行ってみる? ちなみにオークションの開催は明日の夜ね」

イリス「すごく近い!」

妖精「まあ、行くだけ行ってみようか……」

 ☆闇オークションの情報を得ました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は国際商業都市滞在3日目からとなります

大胆にも不法侵入をして一気に情報を得たクロシュ一行。大魔女帝国への切符を求めて闇オークションの存在を突き止め、お金がないなりに突撃することを決めたようです。たった1日では稼ぐ時間すらありませんが、一体どうすれば良いのでしょうか。まあ行くだけ行けばなんとかなるということもあるかもしれません、とりあえず足を動かすというのも一つの手なのでしょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

クロシュ氏はまだあかちゃんスライムなので割と迂闊なのですが、実のところ長生きの妖精さんもまあまあ迂闊だったりします。妖精類の迂闊さはもはや先天的なものでもあるので、ここはやはりクロシュ氏ががんばって慎重さを身に着けた方が良いのかもしれません
今回の劇場で披露されていた演劇は、実のところ前作の要素が盛り込まれています。>>1が他の劇の内容を思い付かなかったのかもしれません

前作のスレもまだ少し余っているので、もし時間があったらちょっとした小話でも書いてみたいような気はします。しかし今のところこっちのスレを書くので手一杯なので、その目処は立っていないようです。もしこのスレが完結したら、余りを使って何かを書くこともあるかもしれません

今回のネームドキャラクターの方々は、誰も彼も癖が強く、一筋縄ではいかない人物であるようです。一流の経営者でもある彼らには、情や友好に訴える手法はあまり効果的ではないかもしれません。気を付けていくのが良いでしょう

―国際商業都市イスファハーン 滞在3日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[5/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[2/8](エバンス)
・魔法[1/6](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―シルバーコイン 客室

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 闇オク資料の模写「」ピラッ

イリス「ふむふむ……うわ、不死鳥の羽根だって……!?」

ミスティ「ええ……? 本物なのかしら……」

暗黒行商少女「そんじょそこらの闇市場ならともかく、このオークションは大富豪の社交場でもあるのよ? もし偽物を出したことがバレたら出品者は死ぬよりもおぞましい目に遭わされるわ。だから品質については信用して良い。競り落とせるかどうかは別として……」

イリス「そ、そうなんだ……。すごく気になるけど、私のお小遣いじゃ到底無理だろうしなあ……」

 闇オク資料の模写「」ピラッ

ミスティ「……他には……ん? このスピリチュアルジェルって……?」

暗黒行商少女「スピリチュアルジェル……!? あ、本当だ……!」

ミスティ「え、ええ……」

妖精「スピリチュアルジェル……? なんだっけ……確かジェルってのはこっちの大陸で言う――」

暗黒行商少女「ステラスライムのことよ! こっちの大陸じゃ、一部のスライムはジェルって呼ばれるの!」

スライムクロシュ「!?」モニョ!?

妖精「そ、そうだった! 思い出した……!! でもステラスライムだって……!!?」

イリス「ステラスライムって……伝説の希少鉱物ステライトを含有してるっていう、あの……!?」

暗黒行商少女「そう!! オリハルスライムと並ぶ、実在を疑われるほど珍しいスライム!!」

妖精「そんな……あの逃げ足の速いスライムを、一体どうやって……」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…


イスファハーン滞在3日目です。この行動が終わると、闇オークション編に移行します
↓1〜3 自由安価 何をする?

エバンス「とにかく今は金が足りないんじゃないか?」

妖精「まあそれはそうなんだけど……」

暗黒行商少女「先に言っとくけど、私は出せないわよ? いや、あなたたちに借りを返したいのは山々なんだけど……私も最近軌道に乗ってきたばかりだから、あんまり余裕がなくて」

イリス「オークションのことを教えてくれただけでも十分ありがたいよ!」

ミスティ「ギルドに行って、高額の依頼でも探してみる?」

ローガン「最高ランクの依頼でも目標額には到底届かなそうだが……万が一ということもあるからな」

エバンス「それじゃあギルドに行ってみようぜ!」

 ◇

―冒険者ギルド イスファハーン支部

ローガン「というわけで、高額報酬の仕事を探しているのだが」

受付嬢「高額報酬のお仕事ですね。ローガン様たちのランクで受注できるものでしたら――」


↓1コンマ
01-05 治験(栄養剤)
06-10 荷運び
11-60 治験(幼化薬)
61-95 魔術指導家庭教師
96-00 ザリガニの置物が欲しいのじゃ

受付嬢「治験のお仕事などはいかがでしょう?」

エバンス「治験だと……?」

受付嬢「はい。こちらです」

 依頼書「幼化薬の治験」ピラッ

ミスティ「幼化薬……?」

受付嬢「一時的に体が幼くなる薬だそうです」

イリス「え、ええ……? 大丈夫なんですか、それ……」

受付嬢「既に安全性は確認されているそうです。副作用もないそうですよ」

ローガン「全員で受ければけっこうな額になるが……それでも例の相場には全然届かんな……。どうする?」

イリス「まあ、安全なら……」

ミスティ「私も構わないわ」

エバンス「俺もいいぜ」

妖精「ねえ、これって妖精やスライムも受けられるの?」

受付嬢「もちろんです。どの種族の方でも受けられます。データは多ければ多いほど良いそうですから」

妖精「……クロシュ、どうする? 受けてみる?」

クロシュ「うん……お金、必要なら……」

妖精「……そうだね。それじゃあ私たち全員受けるよ。あ、冒険者証とかって作った方が良いの?」

受付嬢「複数人で受注される場合は、必ずしも全員が冒険者登録をする必要はないですよ。まあギルドとしては作ってくれた方が嬉しいですけど……」

妖精「じゃあ作んなくていいか」

受付嬢「作っておくと、ギルドの施設やサービスを利用する際に各種割引やオマケが付きますよ! しかも1人でお仕事を受けられるようになります!」

妖精「いらないってば。普段ギルド使わないし」

クロシュ「……」


↓1選択 クロシュはどうする?
1.冒険者証を作る
2.冒険者証を作らない
3.その他(自由安価)

クロシュ「えと……じゃあ……わたし、つくる……」

妖精「えっ!?」

受付嬢「かしこまりました! それではお名前と、もしわかれば生年月日を教えてくださいね」

クロシュ「えと……クロシュ、です。生年月日は……わかんない、です……」

受付嬢「ふむふむ……わかりました! それではこちらの用紙に必要事項を書いていただけますか?」

クロシュ「うん……」

イリス「わかんないとことかあったら言ってね、教えてあげるから」

妖精「うぐう……クロシュめ、裏切ったな……!」

ミスティ「妖精も作れば良いじゃない……減るものじゃないし……」

妖精「やだ!」

 ◇

 新品の冒険者証「」ピカピカ

クロシュ「わあ……!」

受付嬢「こちらがクロシュさんの冒険者証になります! なくしたら再発行には手数料がかかりますので、なるべくなくさないでくださいね!」

クロシュ「うん……! ありがと……!」

 ☆クロシュが冒険者証を作りました
  現在のクロシュの冒険者ランクは[1]です

 ◇

―イスファハーン研究所

赤髪の女性研究者「ここに集まっていただいた皆さんには幼化薬のじっけ……治験モニターとなっていただきます。効果時間は1時間程度で副作用もなく、安全性も確認済みの薬品ではありますが、もし何か不調があればすぐに報告をお願いしますね」


イリス(今実験って言いかけなかった?)

ミスティ(言いかけた気がするわ……)

妖精(だ、大丈夫なのかなあ……。不安になってきた……)


赤髪の女性研究者「それでは、お手元の錠剤を口に含み、お水と共に嚥下してください」


 白い錠剤「」

イリス「ええい!」ゴックン!
ミスティ「んっ……!」ゴックン!
エバンス「むっ」ゴックン!
ローガン「ぬん!」ゴックン!
妖精「うう……んっ!!」ゴックン!
スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ モグモグ


赤髪の女性研究者(今回の実験台には……妖精とスライムもいるな)

赤髪の女性研究者(非人間の治験データは私の研究には不要だが……より汎用的な薬を作成できれば予算も増えるだろう。せいぜい良いデータを出してくれよ)


↓1コンマ クロシュは――
01-05 ??
06-15 もっとあかちゃんスライム
16-90 全然効かなかった(薬毒耐性)
91-00 ??

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ


赤髪の女性研究者(スライムは……変化なしか。成分的には人間用の数十倍のものを用意したのだが……やはりスライムの分解能力は驚異的だな……)カキカキ


幼イリス「わ、わぁ〜! ほ、ほんとにちっちゃくなっちゃった!」

幼ミスティ「むう……なんだか、へんなかんじだわ……」

少年エバンス「おお……!? なんだこりゃあ!?」

若ローガン「なるほど……一律で幼児化するわけではなく、一定程度若返るのか」

幼イリス「わっ……! ローガンさん、すっごいいけめん……!」

少年エバンス「ま、まじだ……! ローガンの旦那、若い頃はこんなにカッコ良かったのかよ!?」

若ローガン「……少々むず痒いな」

幼ミスティ「クロシュと、ようせいは……?」


スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ
あかちゃん妖精「すう……すう……」スヤスヤ…


幼イリス「わぁ……」

少年エバンス「クロシュちゃんに寄りかかって眠ってるな……」

幼ミスティ「ふふ……かわいいわね……」

若ローガン「フッ……面白いものが見れたな」



赤髪の女性研究者(妖精は……実年齢を無視して幼体化する現象が起きた。眠っているため確認はできないが、恐らく精神も赤子程度の水準に戻っている。やはり、ある程度元の人格が保持される人間の幼体化とは異なる点が多い)

赤髪の女性研究者(妖精類自体、薬毒への抵抗力が極めて弱い種ではある。それに合わせて成分量も他の種族用のものよりかなり抑えたが……それでも尚、妖精類には顕著な反応が現れてしまうらしい)

赤髪の女性研究者(まあ……妖精用の薬品研究をしたところで、私の目標には恐らくほとんど関係がないが……。多少の予算獲得には繋がるか……)

 ◇

―1時間後

イリス「そろそろ戻ったかな……?」

ミスティ「戻ったわね」

エバンス「やっぱ元の年齢の方がしっくり来るな」ググッ

ローガン「……」

イリス「ローガンさん、どうしたの? もしかして具合悪い!?」

ローガン「いや……。問題ない。久しぶりに若い体になって、少々浮かれていたようだ」

ミスティ「そうは見えなかったけれど……」


妖精「……あれ? 治験はどうなったの?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「え、終わった!? 全然記憶にないんだけど……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

妖精「寝てたんだ……。まあ私は十数年程度若返ったところで変わんないだろうし、面白くもない結果だっただろうね」

スライムクロシュ「……♪」モニョニョ


 ☆治験のお仕事をやり遂げ、たくさんの報酬を得ました

 ◆

―冒険者ギルド イスファハーン支部

受付嬢「お疲れ様でした! こちらが報酬になります!」

 金貨の入った袋「」ズシッ!

エバンス「うおっ……! わかってはいたがなかなか良い額だ……!」

ローガン「だがこれでも、例の闇オークション競り合うには到底足りんらしい……。どうしたものか……」

イリス「とりあえず今はご飯にしましょう! このギルドは酒場も併設されてるみたいですし」

ミスティ「そうね……。体に大きな変化があったからか、いつもよりお腹が空いている気がするわ……」

 *

―昼
 ギルド酒場

 ワイワイ ガヤガヤ

クロシュ「……」トコトコ

妖精「さて、空いてるテーブルは――」


リチャード「……ん?」

妖精「げっ!」

クロシュ「!!」

リチャード「おや……これはこれは」ニコニコ


エバンス「ん? なんだ、おっさん」

リチャード「フフフ……彼女たちとは少々縁がありましてね。お昼がまだのようなら、ご一緒に如何です?」

妖精「うぐっ……! わ、わかったよ……」

ミスティ「ええっ? なんでこんなハゲ頭と……!?」

妖精「ちょ、ちょっとワケがあるんだよ……。ごめん、私とクロシュ以外は他の席に行ってて良いから……」

ローガン「……いや、それなら我々も同席させてもらいたい。構わないだろうか?」

リチャード「ええ、もちろんです。是非皆さんご一緒に!」ニコニコ

 *

妖精「それで……一体何の用……?」

リチャード「まあまあそう警戒なさらず。まずは再会できた幸運に感謝の乾杯といきましょう」ニコニコ

妖精「うへぇ……」

エバンス「昨日何があったんだ……?」

リチャード「フフフ……そこのお嬢様方にちょっとした粗相をされてしまいましてね。まあ大した被害があったわけではないのですが……」

ミスティ「ちょ、ちょっと……妖精、何をしたの……?」

妖精「不法侵入……」

イリス「ああ……」

ミスティ「何してるのよ……」

クロシュ「わ、わたしが……しようって、言った……! 妖精さんは……わるく、ない……!!」ガタッ

妖精「……いいよ、クロシュ。慎重に動かなかった私が迂闊だったの」

クロシュ「んゅ……」

妖精「それで、何? 責任を取ってあなたの奴隷になれとでも言うの?」

リチャード「まさか、とんでもない! むしろあなた方の優れた隠密能力を見込んで、一つお伺いしたいのです」ニコニコ

妖精「はあ?」

リチャード「私の元で働く気はありませんか?」ニコニコ

妖精「……断ったら、治安組織にでも突き出すの?」

リチャード「まさか。厳重な警備を掻い潜り、魔封の縄からも容易く抜け出すような方々を捕らえようなどと無謀なことは考えません。このイスファハーンに損害を与えない限り、スカウトを受けるも断るもあなた方の自由です」ニコニコ

妖精「へえ。懐の広さをアピールってわけ?」

リチャード「ハハハ、可憐な姿に似合わぬ剣呑さですな! まあそういった気取りが一切なかったなどと言えば嘘になりましょう!」HAHAHA

妖精「うへぇ、食えない奴……」

クロシュ「あの、でも……わたしたち……行かなきゃいけないとこ、あって……」

リチャード「直近でやって頂きたい仕事が一つかあるいは二つほどあるのですが、それらさえこなして頂ければいつでも退職していただいて構いません。優秀な人材は一つ所に留まるべきではありませんからね」ニコニコ

妖精「ふうん……」

リチャード「報酬は弾みますよ。普通に働く程度では一生手に入らない大金を約束致しましょう」ニコニコ

妖精「じゃあさ、報酬の前払いってできる?」

リチャード「無条件の前払いはできかねますな。何度かお仕事をこなして頂ければ、あなた方の職務姿勢を信用し前払いに対応することも可能なのですが」ニコニコ

妖精「そりゃそうだ」

リチャード「フフフ……前払いはできませんが、報酬と同程度のまとまったお金をお貸しすることは可能ですよ。もし私の元で働くならね」ニコニコ

妖精(こいつ……)

クロシュ「……」


↓1〜3多数決 クロシュはどうする?
1.隠密の仕事を受ける
2.隠密の仕事を受けない
3.その他(自由安価)

エバンス「妖精、クロシュちゃん。やめとけ。きな臭すぎる」

クロシュ「!」

妖精「エバンス!」

エバンス「重要な諜報任務をわざわざ素性もよくわからん奴らにやらせるのはなぜか? もし成功すりゃ儲けものだが、失敗して死なれてもこのオッサンは痛くも痒くもないだろ。素性不明なら繋がりを追求されてもいくらでも躱せるからな。つまり――このオッサンは都合の良い鉄砲玉が欲しいだけなんだ」

リチャード「なんと、これはまた人聞きの悪いことを言うお兄さんですな! 彼らをスカウトしたのは、ウチの乏しい人材では少々荷が重い任務だからなのです。決して鉄砲玉にしようなどとは――」ニコニコ

エバンス「自分とこの乏しい人材が大事だから、外様のクロシュちゃんたちを使い捨てようってんだろ?」

リチャード「ハハハ、これは何を言っても悪いように受け取られてしまいそうですな」ニコニコ

エバンス「ま、俺も商売柄雇われの身になることが多かったからな。雇う側を見る目は多少あるつもりだぜ」

リチャード「ふむ……では、スカウトは辞退でよろしいですかな?」ニコニコ

妖精「まあ、うん」

クロシュ「えと……ごめんなさい」ペコ

リチャード「ハハ、妖精さんや傭兵のお兄さんと違って君は優しい子ですな。しかし謝る必要はありません。最初に言った通り、スカウトを受けるも断るも自由なのです。この国では、労働する者の自由意思こそが最も尊重されるのですから」ニコニコ


妖精「……私って、あんまり優しくない?」

イリス「ど、どうだろ……。まあまあ優しいと思うけど、辛辣な時は辛辣だよね」

ミスティ「エバンスは……相手による感じよね」

エバンス「まあ大体の人はそんなもんだろ」

ローガン(……クロシュくんは、相手によらず優しすぎるかもしれんな)


 ☆リチャードのスカウトを断りました

 ◆

―学術区 公園

 噴水「」シャワシャワ

妖精「うへぇ〜……疲れた……」ゲッソリ

イリス「お疲れ様、妖精さん」

妖精「本当に疲れたよ……。ああいう手合はやっぱり苦手だ……」

ミスティ「でも……結局、お金はどうしましょうか……」

エバンス「その問題は未解決なんだよな……」

ローガン「今からこれ以上稼ごうにも限界はある……。今回はオークションの様子を見学しに行く程度のつもりで臨むのが良いかもしれん」

妖精「まあ見学するのも一つの手だよね。闇オークションは毎月開催されてるっていうし……運が良ければ、大魔女帝国への渡航権も来月また出てくるかも……」

ミスティ「でもこの先何ヶ月も出てこなかったら……」

妖精「うっ……まあ、とりあえず今夜オークションを見に行ってから考えよう……」


マリッサ「……あら、あなたたちは……」スタスタ

クロシュ「!!」

妖精「げっ!!?」

イリス「あっ……! 図書館で会った――」

ミスティ「怪しいおばさん……!」

マリッサ「……ふふ……まさかあなたたちが仲間同士だったなんて。こんなに面白い巡り合わせがあるかしら……」

エバンス「お、おい今度は何だ?」

妖精「……私たちが侵入した塔で、さっきのハゲ男と一緒に会合してたんだよ、この人」

ローガン「……なんと間の悪い……」

マリッサ「立ち話も何ですし、うちにいらっしゃらない? すぐそこなのよ」

妖精「やだ。あなた、私たちを使って研究がどうとか言ってたでしょ。そんな危なそうな奴の誘いになんて乗るもんか」

イリス「え、ええ……!?」

マリッサ「あらあら、不法侵入の証拠を持って当局に届けた方が良いかしら?」

妖精「うぐっ……!」

マリッサ「うふふ……今回は本当にちょっとお話したいだけだから。ね、来て頂戴」

クロシュ「んゅ……」

 ◇

―マリッサの邸宅
 応接室

妖精「それで……私たちをこんな場所に連れ込んで、どうするつもり?」

マリッサ「まあまあ、そんなに気を尖らせないで。今紅茶を淹れてるから」

イリス「え、紅茶を……?」

ミスティ「使用人か何かがいるのかしら……」

 ガチャッ

小さなメイド人形たち「オマタセシマシタ! オマタセシマシタ!」パタパタ
小さなメイド人形たち「オコウチャニナリマス! オコウチャニナリマス!」パタパタ

クロシュ「わあ……!」

エバンス「な、なんだこりゃ!?」

マリッサ「これは私の魔法で作った人形たち。邸宅内の雑用はこの子たちに任せているの」

ローガン「……パペットマスターくんのような、傀儡魔法の使い手か」

マリッサ「ええ、その通り。パペットマスターというのは、確か芸術都市の傀儡魔法使いね。一度見たことがあったけれど、彼の腕前も見事なものだったわ」

小さなメイド人形たち「ゴヨウイイタシマス! ゴヨウイイタシマス!」シュババッ
小さなメイド人形たち「オチャカイ! オチャカイ!」シュバババッ

 テーブルの上に綺麗に並べられた紅茶と茶菓子「」ポン!

マリッサ「……私よりは劣っていたけれどね」ニヤリ

 *


イリス「え、ええと……」

ミスティ「それで……なぜ私たちをここに?」

マリッサ「気の短い子たちね……」

妖精「言っとくけど、あなたの研究とやらに使われてやる気はないからね」

マリッサ「もう、わかってるわ。今回は別の提案をしようと思ったのよ」

ローガン「別の提案、とは……?」

マリッサ「あなたたち……私の元で働いてみる気はない?」

妖精「げ……」

エバンス(こっちもか……)

マリッサ「希少な星属性を秘めし魔法使いの少女に、イスファハーンタワーの警備を掻い潜って私とリチャードの目をも欺いた隠密の技を持つ少女と妖精……逃すには惜しい人材だわ。もちろん報酬はたっぷり用意できるし、お仲間もまとめて雇用してあげても良い。どう?」

妖精「ついさっき黒メガネハゲの男にもスカウトされたばっかりだよ」

マリッサ「リチャードに!? 承諾したの!?」ガタッ

妖精「しなかったよ」

エバンス「あんたも同じ魂胆だろ? 俺たちゃ使い捨ての鉄砲玉になる気はない」

マリッサ「むっ……リチャードがあなたたちを使い捨ての鉄砲玉にしようとしたのは事実でしょうね。でも私は違うわ。社交界で外面ばかり取り繕う無様な金の亡者でしかないあんな男とは断じて違う。私は人も物も学問も芸術も、全てを等しく大切に育てるイスファハーンの良心よ。当然、雇用した労働者の安全や生活の質にも気を配るわ」

ミスティ「な、なんだか随分とご立派なことを言うわね……」

マリッサ「当然のことを言ったまでよ」


イリス(よ、妖精さんどうするの?)

妖精(……あのハゲは利益追求の商業主義者って点ではある意味すごく信用できそうだったけど……この女は、何か違う。上手く言えないけど、なんかヤバイ気がする……!)

ローガン(同感だ。彼女には……何やら底知れぬ不穏な気配を感じる。受けるべきではない)

ミスティ(でも、不法侵入の証拠を握られているのよね?)

エバンス(この女のテリトリーに入っちまったのは完全に失策だったな……。どうする……?)

クロシュ(……)


↓1〜3多数決 どうしよう
1.マリッサの元で働く
2.粘り強く断る
3.暴れて逃げる
4.その他(自由安価)

マリッサ「高待遇を約束するわ。私の元で働きなさい」

クロシュ「……んーん」フルフル


妖精(クロシュ!)

エバンス(断るのは良いとして……どうやって切り抜ける……!?)


マリッサ「……聞き分けのない子ね。あなたたちを当局に突き出しても良いのよ?」

クロシュ「……それも、だめ」

マリッサ「あなたに私の行動を制限する権利はないわ」

妖精「行動を制限する……権利……あっ! そ、それなら……! あなただって、あの塔の持ち主でもないのにその不法侵入の被害を届け出る権利なんてないんじゃないの!?」

妖精(この国の法律がどうなってるかはわかんないけど、緑の国じゃ不法侵入は親告罪だった! お願い、ここもそうであって!)

マリッサ「……リチャードに届け出させれば良いだけでしょう?」

妖精(! よし、当たった!!)

妖精「あのハゲ……リチャードとはお昼に会ったけど、私たちの不法侵入は告発しないって言ってたもん」

マリッサ「チッ、あのハゲ……!」

クロシュ「……リチャードさんは……働く人の自由意思こそが、この街では最も尊重されるって……言ってた……。だから……わたしたちは、わたしたち自身の意思で……働く……!」

マリッサ「あーはいはい、わかったわよ。引き下がるわ」

妖精「!」

マリッサ「ま、気が向いたらいつでもここに来なさい。下々の暮らしでは決して味わえない豪奢な報酬と、最先端研究の恩恵を与えてあげるから」

妖精「気は向かないと思うけど覚えとくよ」


 ☆マリッサのスカウトを断りました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は闇オークション編です

大富豪たちのスカウトを跳ね除けて突き進むクロシュ一行でした。どこかの勢力に肩入れするということは、どこかの勢力を敵に回すということ。まだこの街に着いて間もなく、具体的な情勢もわかっていない段階で特定の勢力に付くのは怖いことであったのかもしれません。もしどこかに肩入れすることになるとしても、その見極めはしっかり行うのが良いでしょう

そして次回は闇オークション編です。欲望渦巻く競りの社交場――そこで一行が目にするものとは。狂気の狭間に見え隠れする哀しみに、クロシュはどう立ち向かう――

それでは本日もありがとうございました。次回は恐らく土日となります。よろしくお願いいたします

国際商業都市イスファハーンの御三家は都市国家の運営に携わる名士でもありますが、デンネル家は違法な希少品や人身売買、オーデルシュタイン家は他国への工作や紛争地への独断的武力介入、マガジン家は当主のマリッサの強権的な勧誘や怪しい研究など、クロシュたちにとってあまり好ましくない面があります。もし今後協力関係を築くことがあるとしても、深入りは禁物かもしれません

クロシュ氏が抱いた感覚が母性だったかどうかはわかりませんが、あかちゃん化した妖精さんはクロシュにとってとてもかわいい存在だったようです
妖精さんにあかちゃんと呼ばれるクロシュ氏ですが、実際のところは平均的な人間の未就学児よりも多くの知識や経験を持ち、自分で考える力も多少はあるため、幼女スライムと言った方が正確であるかもしれません。しかし妖精さんにとってはクロシュちゃんはあかちゃんスライムなので、恐らく今後もあかちゃん呼ばわりされ続けると思われます

今後登場する装備系アイテムを誰が装備することになるかは、そのアイテムの分類や特性次第であります
クロシュ氏は同化という能力を持っているため、パーティの誰も装備できないような物品でもクロシュ氏なら装備できるといった事態が起こりやすいのかもしれません
また、自由行動で市場や武具店などに行って新しい装備を購入し、パーティメンバーの装備を変更することは可能です。もし装備を変更したい場合は活用してみると良いかもしれません(なお当人にとって思い入れの深い装備は変更できないことがあります)

シノホシの方々が今どこで何をしているかはわかりませんが、翼を持つ者が多いシノホシの方々でも例の世界樹の光がある上空までは届かない可能性が高いです。しかしそれで諦めるような方々でもなさそうなので、彼らは彼らで上空への移動手段を模索しているかもしれません。気を付けましょう

―夜
 イスファハーン中央区
 高級ホテル「プラチナコイン」ロビー

 ワイワイ ガヤガヤ

ミスティ(ネイビーのドレス)「……私、場違いじゃないかしら……」

イリス(ワインレッドのドレス)「ううん、似合ってるしすっごい美人だよ!」

ミスティ「そ、そう……? イリスはこういう服、慣れてるの……?」

イリス「ううん、私も初めて……! でもこんな綺麗な服着れるなんて考えたこともなかったからちょっと楽しいかも……!」


妖精(ひらひらドレス)「……」ヒラヒラ

クロシュ(ジャンパードレス)「わあ……。妖精さん、ひらひら……」

妖精「人間が作った妖精用の服って、なんだか変な感じ……。なんかあったら隠れさせてね?」

クロシュ「うん……」


エバンス(タキシード・髪型オールバック)「……なんでこんな堅苦しい格好しなきゃならないんだ……?」

イリス「でもすっごい似合ってますよ! 髪型もキマってます!」

エバンス「そ、そうか……?」


ローガン(タキシード・髪型七三分け)「……」

妖精「お、ローガンは見違えたね」

ローガン「そうだろうか」

ミスティ「……服装はともかく、ヒゲと髪はいつもそれくらい整えた方が良いと思うわ」

エバンス「旦那に関しては俺もそう思うぜ。清潔感が違う」

ローガン「……まさか、いつもの私は不潔に見えるのか……?」

妖精「まあ、少し……」

ローガン「」ガーン

イリス「これを機にイメチェンしましょう!」

ローガン「うむ……」


暗黒行商少女(暗黒のドレス)「ふふ、みんな似合ってるじゃない。まあ私が選んだのだから当然だけど」

イリス「ありがとう! でもかなり高いよねこの服……」

暗黒行商少女「別に良いわよ。あんたたちには返し切れない借りがあるし……クロシュが自分で泳がなくても良い船旅をまだ味わわせてやれてないし……」

クロシュ「んへへ……」

暗黒行商少女「ま、まあとにかくお代は別に良いってこと! あ、でも本当にけっこう良い服だからあんまり雑に使わないでよね!」

 ☆全員分の正装を手に入れました

 ◇

―高級ホテル「プラチナコイン」高層階
 ホール

 ワイワイ ガヤガヤ

初老の男性「今日の目玉は不死鳥の羽根だそうだ」
初老の女性「不死鳥の羽根があれば、若さと美しさを取り戻せるのかしら?」

貴族の娘「お父様ぁ〜、あたしも不死鳥の羽根が欲しい〜」
貴族の男「はは、君にはまだ必要ないだろう」

身なりの良い男性A「そういえば今回はまだ未公開の品があるんだよな」
身なりの良い男性B「何が飛び出すんだろうな?」

サラサラ金髪の少年「……」

影の薄い人「……」

灰髪オールバックの中年男性「……」




イリス「すごい……お金持ちっぽい人がいっぱいいる……」

暗黒行商少女「あんまりキョロキョロしてるとナメられるわ。堂々としていなさい」

クロシュ「なめられる……」

妖精「……ペロペロされるって意味じゃないよ?」

クロシュ「あ、うん」

ミスティ「……開幕までまだ少し時間がありそうね。少し情報収集でもする?」


↓1選択
1.サラサラ金髪の少年に話しかける
2.影の薄い人に話しかける
3.灰髪オールバックの中年男性に話しかける
4.開幕まで待つ
5.その他(自由安価)

影の薄い人「……」


クロシュ「……?」

妖精「クロシュ、どうしたの?」

クロシュ「あの人……なんか……」


影の薄い人「……」


妖精「え? あの人って誰? どこ?」キョロキョロ

クロシュ「……」


影の薄い人「……」ジッ


クロシュ「!」


妖精「クロシュ、あの人って誰の――」

影の薄い人「……」ヌッ

妖精(……ん? なんだこいつ……)

クロシュ「あ、えと……こんばんは……」

影の薄い人「こんばんは」

妖精「こんばんは」

影の薄い人「お嬢様方は、どちらからここへ?」

妖精「え、私たち? 私たちは……とある商人の紹介で見学に来た旅人だよ」

影の薄い人「旅人の身でこの会場まで辿り着くとは、素晴らしいですね」

妖精「運が良かっただけだよ」

影の薄い人「ご謙遜を。そちらのお嬢様も、素晴らしい眼をお持ちのようだ」

クロシュ「ほえ……?」

妖精「どういうこと?」

影の薄い人「そのままの意味です」

妖精「??」

影の薄い人「是非楽しんでいってください。この街のオークションを――」

クロシュ「あ、うん」


妖精「行っちゃった。何だったんだろ」

クロシュ「……」


クロシュ(あれ……今の人……どんな顔で、どんな声だったっけ……?)

 ◇

リチャード「レディース&ジェントルメン! 今宵はお集まりいただきありがとう! 今回の司会もこの私リチャード・デンネルが務めさせていただく!」

 ワーワー!! パチパチパチ


妖精「げっ、司会ってあいつ自ら!?」

ミスティ「堂々としたものね……」


リチャード「そして早速オークションに移ろう! まずはこの『幻影の魔鏡』から――」

 ◆

身なりの良い男性「2億だ!」

貴族の男「ならば私は3億出そう」

身なりの良い男性「なにィ!?」


リチャード「おおっと! 3億を超える者がいなければ決定だが――いないようだ! それではこの『大魔女帝国渡航パスポートファミリーセット』はオトーコ・キゾック氏の落札で決定!」

貴族の男「フッ……美容なら不死鳥の羽根より大魔女帝国のスキンケアグッズが良いだろう」キラキラ

貴族の娘「きゃああ!! お父様だぁい好き!」キャッキャ



ミスティ「さ、さんおく……?」

イリス「無理だ……こんなの勝てるわけがない……」グニャァ

エバンス「まあ、今回は見学だけだし……」

ローガン「だが……普通の稼ぎでは一生身を粉にして届くかどうかの額だ。妖精くん、どうする……?」

妖精「ど、どうするったって……なんとかして稼ぐしか……」

暗黒行商少女「……何か手はないかしら……」



リチャード「それでは次に移らせていただこう! 次の品物は本邦初公開――」

 布をかぶせられたカート「」ガラガラ…



ローガン「む……?」

イリス「あれ……? あのカートから……星属性の気配が……?」

妖精「まさか――」

クロシュ「……!!」



リチャード「あの伝説の、スピリチュアルジェルだァァァ!!!!」バッ

 取り払われる布「」バサッ

檻に入れられた白銀のスライム「…」モニョ…

 ザワザワ


貴族の娘「きゃあああ! スピリチュアルジェル!!?」
貴族の男「な、なんと……私も初めて見た」

身なりの良い男性B「うおおお!? あれが今回のシークレットか!?」
身なりの良い男性A「お、おお……! こりゃ大魔女帝国を負けといて正解だったぜ! こっちに全力だ!!」

初老の男性「おお……あれがスピリチュアルジェル……」
初老の女性「美しいわ……。あれが手に入れば若さと美しを取り戻せるのかしら?」



ミスティ「あれが……ステラスライム……!」

エバンス「チッ……胸糞悪いな……」

暗黒行商少女「仕方ないわ。ここはそういう街だもの」

檻に入れられた白銀のスライム「…」モニョ…


リチャード「それでは早速入札に移ろう!」

身なりの良い男性A「4億だ!!」

リチャード「おおっと! いきなり4億――」

貴族の男「5億!」

身なりの良い男「て、テメェ……また……!」

貴族の男「フッ……美しきジェルは我が愛娘にこそふさわ――」

初老の男性「10億!」スッ

貴族の男「!」

リチャード「おおっと! 早くも10億代に突入だ!!」

貴族の男「ならば私は12億だ!」

初老の男性「15億!」

貴族の男「じ、18億!!」

初老の男性「25億!」

貴族の男「に、にじゅ……アバッ……」バタッ

貴族の娘「お父様ぁ!」


初老の男性「少し早いが、君との結婚記念プレゼントといこうじゃないか」

初老の女性「まあ、素敵……。わたくし、あなたの為に若さと美しさを取り戻すわ」


リチャード「ここでキゾック氏がノックアウト! 伝説のスピリチュアルジェルは25億で決まりか――」


灰髪オールバックの中年男性「50億」スッ

初老の男性「なに……!?」


リチャード「おおっと、ここで大富豪ロスチャイルドのソーリス氏が参戦だァァァ!!」


初老の男性「ならば、60億……!」

ソーリス氏「90億」

初老の男性「オゴッ……」ブクブク バタッ

初老の女性「あらあら、こんなところで泡噴いちゃって。カニさんみたいねぇ」


リチャード「ショロウ氏、カニの如く泡を噴いて退散! これは90億で決まりと――」


サラサラ金髪の少年「待った。100億」スッ

ソーリス氏「!」


リチャード「なんとなんと、ここに来て最大富豪デンネルの分家、ゲンズブール家当主のエミリオくん参戦だァァァ!!」

エミリオ氏「……」

ソーリス氏「120億」

エミリオ氏「じゃあ200億」

ソーリス氏「……!!」ガクッ


リチャード「おおっと〜!! エミリオくんの暴力的提示額に大富豪ソーリス氏が膝を付いたァァァァ!」

エミリオ氏「決まりでいいですか?」

リチャード「ほぼ決まりだと思われますが、念の為聞いておきましょう! 200億のエミリオくんに挑む猛者はいるかァァァ!!?」

檻に入れられた白銀のスライム「…」モニョ…



イリス「に、ひゃくおく……?」グルグル

エバンス「嘘だろ……わけがわからねえ……」

ミスティ「……目の前で起きている、下劣な催しに……何もできない自分が、腹立たしいわ……」

クロシュ「……」

妖精「……クロシュ……気持ちはわかるけど、だめ……。この警備と衆人環視の中で、あのスライムを助けて逃げるのは不可能だから……下手なことをしても、何も救えずに殺されるだけ……」

クロシュ「…………」



↓1〜3多数決
1.どうにもならない
2.白銀のスライムを逃がす
3.その他(自由安価)

光学迷彩クロシュ「」スゥ―…


妖精「あ……ば、ばかばかばか!!」パタパタ

ミスティ「クロシュ……!?」

エバンス「お、おい嘘だろ!? クロシュちゃんまさか――」



光学迷彩クロシュ「……」スッ

 檻「」ガション

白銀のスライム「……?」モニョ…?

光学迷彩クロシュ『今……出してあげる……』モニョモニョ

白銀のスライム『え……?』モニョ…?

 カチャカチャ…



リチャード「ん……? 何の音だ……?」


影の薄い人「……」


↓1コンマ
01-30 ??
31-50 救出失敗、クロシュ捕縛
51-70 救出成功、クロシュ捕縛
71-90 救出成功、バレるが離脱成功(クロシュお尋ね者化)
91-00 救出成功、バレずに離脱成功(クロシュ無罪)

エミリオ氏「……!! 檻の前に何かいます!!」

リチャード「なんだって!? だが何も見えないぞ!!」

エミリオ氏「僕は魔眼持ちです! あなたたちとは見えている世界が違う!!」

 ザワザワ…


イリス「えっ、えっ……!?」

ミスティ「くっ……! こうなったら――」

妖精「ミスティやめて! みんなはここで待機! 勝手な真似は絶対しないで!!」ヒュンッ

エバンス「お、おい妖精!」


光学迷彩クロシュ『んゅ……』カチャカチャ モニョモニョ

白銀のスライム『だめ……早く離れて……。あなたまで、檻に入れられちゃう……』モニョモニョ

光学迷彩クロシュ『んゅゅ……』カチャカチャ

妖精『ばかクロシュ! 鍵開けなんかやったことないでしょ! だったら熱で焼き切れ!』ヒュンッ!

光学迷彩クロシュ『妖精さん……!』モニョ…!

妖精『私も短時間なら誤魔化しが効くの! 一旦あなたの中に入れて!』

光学迷彩クロシュ『う、うん!』モニョッ!

 モニョン!

バーニング光学迷彩クロシュ『んゅゅ……!』チリッ

 溶かされる檻「」ジュッ…


貴族の男「お、檻が溶けた!? 本当に何かいるのか!?」


白銀のスライム『……!?』

光学迷彩クロシュ『逃げる……! 早く……!!』モニョモニョ…!

白銀のスライム『あ、え、えと……』モニョニョ…


身なりの良い男性B「おい、スピリチュアルジェルが逃げちまうぞ!」


妖精(くそ、あのガキ魔眼持ちだって……!? ならどうやって逃げれば――)


ミスティ「曲者よ!! 氷の魔法で曲者を捕らえるわ!!」
 氷霧「」サァァァ――

イリス「なら私は炎の魔法で!!」
 炎「」ボンッ!!
  煙「」モクモク――

エバンス「俺は土魔法で泥棒の動きを阻害するぞ!! 警備員、頼む!」
 土塊「」ボゴンッ!
  土埃「」モワモワ――

ローガン「この手口はシノホシのテロか!!? ここは危険だ!!」

 ザワザワ キャアアアアア!!! テロ!? シノホシ!!?


妖精『あいつら……! ばか……! とにかくもう逃げるしかない! クロシュ、逃げ――』

 ドシュッ!

妖精『えっ……』

 デロデロ…

光学迷彩スライムクロシュ「」デロロ…

妖精『クロシュ!?』

白銀のスライム『え、え……!?』モニョモニョ


警備魔導人形「ターゲットに命中。捕縛に移行します」ジャキッ


妖精「こ、こいつ……!」

光学迷彩スライムクロシュ『ん、んゅ……』ググ…

 モニョニョ…ポン!

光学迷彩白銀スライム『わ……!?』ポン!

妖精『そ、それ……相手を擬態させる魔法!』

光学迷彩スライムクロシュ『……にげ、て……』モニョ…

光学迷彩白銀スライム『で、でも……!』モニョモニョ オロオロ

 モニョモニョ ポン!

白銀クロシュ『妖精、さんも……!!』モニョ…!!

妖精『そ、それ……あなたがステラスライムに擬態なんて、したら……!!』

白銀クロシュ『はやく……! わたし……もう……うごけな……』

 ドシュドシュッ!

白銀クロシュ「」デロロ…


妖精(あ、ああ……だめだ……私には……クロシュを連れて逃げるだけの力が……)

妖精(ならせめて……クロシュと一緒に……)

妖精(………だめだ……。私が、ここでクロシュと一緒に捕まって、殺されたら……世界樹の光が……。クロシュ一人の為に、世界の危機を放るわけには……)

妖精(…………)

妖精(…………ごめん、ね……)



光学迷彩白銀スライム『〜〜』オロオロ モニョモニョ

妖精『……逃げるよ』

光学迷彩白銀スライム『えっ……。で、でも……このスライムさんが……』

妖精『つべこべ言うな!! 逃げるんだよ!!!』

 ◆

―夜
 シルバーコイン 客室


白銀スライム「……」モニョ…


ミスティ「……」

イリス「え、ええと……クロシュ、ちゃんは……?」

妖精「クロシュは……そのスライムの代わりに、捕まった」

ローガン「……」

エバンス「……くそっ……! 俺は……また……」

暗黒行商少女「……」


白銀スライム「……」モニョ…

ミスティ「……あなたが気に病むことはない……なんて……無理よね……」

白銀スライム「……」モニョニョ…

 ※クロシュが捕まりました
  パーティから離脱します

 ◆

―深夜
 イスファハーン・ピラー

リチャード「フゥ〜……一時はどうなるかと思いましたが、無事にスピリチュアルジェルを確保できましたね」ニコニコ

エミリオ氏「貸し一つだよおじさん。僕がいなかったらまんまと奪われてたんだから」

リチャード「ええ、もちろんですよ。事情聴取が終わったら例のスピリチュアルジェルは君に差し上げましょう」ニコニコ

エミリオ氏「へえ、太っ腹だね」

リチャード「感謝の印ですよ。しかしオーデルシュタインかマガジンが仕掛けてくるかとは思っていましたが、まさかあんな露骨な手で来るとは。彼奴らもよほど切羽詰まっていると見えますな」クックック

エミリオ氏「下手人は見つかったの?」

リチャード「恐らくはオーデルシュタインのハイド・ストークか……もしくは、最近現れた黒髪の少女と妖精の二人組かもしれません」ニコニコ

エミリオ氏「え? でもそいつらって旅人なんでしょ?」

リチャード「オーデルシュタイン……にはハイドがいますが、マガジンには有用な諜報員がいないので、マガジンが彼らを雇う可能性があります。いや、マリッサなら雇うのではなく脅迫して無理矢理従わせるかもしれません」ニコニコ

エミリオ氏「なるほど。マガジンに捕まったんなら死ぬまで使い潰されて最期には実験台だね、可哀想に」

リチャード「そうでないことを祈ってますよ。さあて、それじゃあお待ちかねの事情聴取タイムといきましょう」ニコニコ


白銀スライムクロシュ「……」モニョ…


エミリオ氏「見てっても良い?」

リチャード「構いませんよ。面白いものでもないと思いますが」ニコニコ

エミリオ氏「内容が知りたいだけだよ」

リチャード「なるほど。それでは哀れなスライムちゃんにすこーしインタビューといきますか」ニコニコ


白銀スライムクロシュ「……」モニョ…


エミリオ氏「おじさんの頭脳魔法なら相手の記憶とかも読み取れるんでしょ? なら尋問も拷問もインタビューもいらないんじゃないの?」

リチャード「エミリオくんは風情というものを解しませんね……」ニコニコ

エミリオ氏「風情で金が稼げるの?」

リチャード「身も蓋もありませんね……。まあいいでしょう、せっかちなエミリオくんのためにさっさと終わらせて差し上げます」スッ


白銀スライムクロシュ「……」モニョニョ…

リチャード「さあ、知っていることを洗いざらい私に見せなさい――」

 リチャードの手「」ピト キュオオオオ――

白銀スライムクロシュ「〜〜!!」モニャニャニャニャ!!!


リチャード「……ん? これは……どういう……なっ……!!」

エミリオ氏「おじさん?」


 クロシュの記憶「」デロデロデロ――
  クロシュの記憶「」デロデロデロデロ――
   クロシュの記憶「」デロデロデロデロデロ――


リチャード「のあああああああ!!!?!!?!??」ガクガク

エミリオ氏「お、おじさん!?」

 *

スライムクロシュ「」デロデロ…


リチャード「ぐふぅ……取り乱してすみません、エミリオくん……」

エミリオ氏「い、一体何を見たって言うのさ」

リチャード「それがですね……。結論から言うと、やらかしました」

エミリオ氏「え?」

リチャード「このスライム……例のスピリチュアルジェルではありません」

エミリオ氏「ええっ!?」

リチャード「見てみなさい。そのスライムを」


スライムクロシュ「」デロ…


エミリオ氏「あっ! 色が……黒くなってる!?」

リチャード「擬態を維持できないほどに疲弊したのでしょう」

エミリオ氏「ぎ、擬態だって!? じゃあこのスライムは一体――」

リチャード「……昨日、この塔に侵入してきた黒髪の少女の……真の姿のようです」


スライムクロシュ「」デロロ…

 ◆

―国際商業都市イスファハーン 滞在4日目

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のローブ   飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:革の鎧      飾:

◇暗黒行商少女[闇の商人]
武:魔銀のナイフ   盾:         飾:貝殻の髪飾り
武:         防:闇のエプロン   飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  冒険者証(ランク1)
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[5/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[2/8](エバンス)
・魔法[1/6](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―朝
 シルバーコイン 客室

白銀スライム「…」モニョ…

ミスティ「……」

イリス「ねえ……クロシュちゃんを、助けに行こうよ」

ミスティ「イリス」

イリス「だって……クロシュちゃんが間違ったことをしたなんて私は思わないもん!」

妖精「でも……クロシュは、この国の法律的には完全に犯罪者なんだ。その脱獄を幇助したら、私たちまでお尋ね者になる……。そうなれば……世界樹の光を追うどころじゃ……」

イリス「うっ……」

ミスティ「……じゃあ、私一人でやるわ」

イリス「ミスティ!」

ミスティ「私一人程度が抜けても、世界樹の光探索に支障は出ないでしょう。ここの法がクロシュを許さないとしても、私はそんな悪法認めないわ」

暗黒行商少女「……私も付き合うわよ。元はと言えば、優しいクロシュをあんな場に連れ出した私の責任だもの」



妖精「……」グニャァ…


白銀スライム「……」


イスファハーン滞在4日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

 窓「」ガラッ

ハーピィ記者「話は聞かせてもらいましたよ!」ヌッ

イリス「うわあ!」ドテッ

暗黒行商少女「なな、何!?」

ハーピィ記者「街中の大富豪が集う闇オークションで強盗だなんて、クロシュちゃんもなかなかやりますね! ますますダークヒーローらしくなってきて執筆者として鼻が高いです!」

ミスティ「何よ……茶化しに来たの?」

ハーピィ記者「昨夜のことがあまりにも衝撃的だったので急いでフラナ大将に報告したら、速達を頼まれたんです。はいどうぞ」スッ

 フラナからの手紙「」ポン

イリス「えっ!」


↓1コンマ
01-05 残念だけど自然の摂理よ……
06-35 名案は思い付かないけど頑張りなさい。日傘は修理しておいたわ
36-65 日傘の代わりにバイオレット印のハーミットローブを付けておいたわ
66-95 力こそ全てよ。マジカルブラッドワインを飲んで強行突破しなさい
96-00 ハーピィ記者を貸してあげるわ

―フラナからの手紙

 残念だけど自然の摂理よ。強者に抗えば、弱者は踏み砕かれる。クロシュの気持ちは理解できるけれど、思慮は足りなかったとしか言えないわ。
 そしてそこは国際商業都市イスファハーンなのでしょう。それならばあなたも無茶をしてはいけない。そこに住まう富豪たちは王国の悪鬼羅刹にも比肩する経済修羅ばかり。クロシュを助けようとして、あなたまで同じ末路を辿るなんてことになったら目も当てられない。賢明な判断をしなさい。

 追伸:指名手配犯レイ・アンバーの体表に刻まれていたという魔法陣についてはまだ解読中よ。続報を待ちなさい。

 ◆

―シルバーコイン 客室

 フラナからの手紙「」

イリス「フラナ先生……」

ミスティ「冷静な意見ね……。反論は特にないわ……」

妖精「……」

ハーピィ記者「ありゃりゃ、最近のフラナさんにしちゃ珍しくヒエヒエなご意見ですねえ。まあそれだけイリスちゃんたちが大事ということでもあるのかな?」

イリス「でも……クロシュちゃんだって、魔族国の為に戦った仲間です……」

ハーピィ記者「フラナさんって元々はこういう性格だったんですよ。最近がホカホカすぎただけで、魔族革命の前はやらかした仲間とかは簡単に見捨てるタイプの恐ろしい吸血鬼でした」

イリス「そ、そうだったんですか……」

ハーピィ記者「姉がまた出てきたとかなんとかでピリピリしてるので、そのせいかもですねえ。フフ、私はピリピリキレキレのフラナ将軍も嫌いじゃないんですけどね」

 ◆

―シルバーコイン 客室

イリス「……そういえば、作戦とかはあるの?」

ミスティ「……これから考えるわ。あなたは何かある?」

暗黒行商少女「……まずギルドの力を借りようと思う」

イリス「え、ギルド? でも脱獄の協力依頼なんて……」

暗黒行商少女「ただの冒険者ギルドじゃないわ。闇の冒険者ギルドよ」

イリス「えっ……!?」

ミスティ「闇の……冒険者ギルド……!?」

 ◇

―商業区地下街
 闇の冒険者ギルド本部

 松明「」メラメラ

エバンス「商業区の地下に、こんなところが……!」

イリス「え、ええと……ここ、本当に大丈夫なの?」

暗黒行商少女「表向きは異系列の冒険者ギルドってことになってるから大丈夫よ。それにここの運営にも闇オークションと同じくデンネルが一枚噛んでるし」

ローガン「……いや、それこそ本当に大丈夫なのか?」

暗黒行商少女「だからこそよ。デンネルの事情を知るならここが一番手っ取り早いわ」

 *

闇の受付嬢「はぁ〜い、当ギルドのご利用は初めてですかぁ〜? 当ギルドの冒険者証があればぁ〜」

暗黒行商少女「はい」

 闇の冒険者証「」ポン

闇の受付嬢「はぁ〜い確認しましたぁ〜。本日はどのようなご用件ですかぁ〜?」

暗黒行商少女「昨日のオークションで落札されたスピリチュアルジェルの行方と、もし例の強盗犯が確保されているならその情報が知りたいわ。あと、諜報や工作に長けた人材がいれば雇いたい」

闇の受付嬢「それでしたらぁ〜」


↓1コンマ 情報
01-30 エミリオ氏に無事落札された以上のことはわかりませんね〜
31-60 イスファハーンピラーに運ばれていったそうです〜
61-90 リチャード氏とエミリオ氏は裏で結託していたようですね〜
91-00 イスファハーンピラーの内部構造と脆弱性はこちらになります〜

↓2コンマ 人材
01-05 影の薄い人
06-35 いないですね〜
36-95 メルル
96-00 クロシュヴィア

というわけで本日はここまでとなります。次回はスライムの力を借りてみたい編からとなります

白銀スライムさんを救う為に無茶をした結果、捕まってしまったクロシュさんでした……。この先一体どうなってしまうのか、クロシュ氏が完全にパーティ離脱となってしまうかどうかは今後の展開次第となります。なおクロシュ氏がパーティを離脱した場合、多方面に大きな影響を及ぼす可能性があります(特にセインくんとクロシュヴィアとフメイちゃん。特にフメイちゃん。特にフメイちゃん)。ご注意ください
スピリチュアルジェルことステラスライムこと白銀スライムさんにも何か秘密があるようです。助かりこそしたもののクロシュちゃんが代わりになってしまったことを酷く気に病んでいるようですが、何かお話してみるといろいろ情報が手に入るかもしれません

フラナ氏とリチャード氏は個人的な親交があるようです。しかし残念ながら、フラナ氏の口利きでリチャード氏に融通を効かさせるというようなことは難しいかもしれません。リチャード氏は骨の髄までビジネスな男なので、相応の利益を提示する必要があります

そして運命賽ですが、あれは死や再起不能などの不可逆的な酷い結末を招いた時か、あるいは良い運命と悪い運命が明確に決まっている時の選択肢で使用の可否が出現することがありますが、それ以外の場面では使えないようです。もしもっと使いたいという意見がありましたら、このスレの終わり辺りにでも使い方のご意見募集をしたいと思います。よろしくお願いします

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

闇の受付嬢「落札されたスピリチュアルジェルはイスファハーン・ピラーに運ばれたようです〜。リチャード氏とエミリオくんは裏で結託していたようですね〜。周知の事実ですが〜」

イリス「周知の事実なの……!?」

暗黒行商少女「昨日リチャード自身が、デンネルの分家の当主って言ってたし、隠す気なんてないと思うわ」

闇の受付嬢「強盗は未だ正体がわからないようです〜。怖いですね〜」


ミスティ(……ということは、クロシュは強盗として逮捕されたのではなく、スピリチュアルジェルとして連れていかれたまま正体を隠し続けているということ……?)

エバンス(……クロシュちゃんの擬態がバレたら治安組織に突き出されて一気に厳しくなるってことか……)

暗黒行商少女(……どうかしら。逮捕された状態も、イスファハーンピラーに囚われている状態も、救出難度としては似たようなものだと思う。あのイスファハーンピラーの警備は留置所や刑務所に並ぶくらい厳しいわ)

ローガン(……正体がバレた際にリチャード氏やエミリオ氏に殺されることの方が恐ろしい。何せ200億積んだのだ、偽物のスライムだったと知れば……)


暗黒行商少女「……それで、人材の方はどう?」

闇の受付嬢「今は動ける人がいませんね〜」

暗黒行商少女「そう……わかったわ。ありがとう。お代は引き落としでよろしく」

闇の受付嬢「はい〜ご利用ありがとうございました〜」

 ☆クロシュの居所を掴みました
 ☆リチャード氏とエミリオ氏の結託を知りました

 ◆

順番を間違えました。それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

クロシュ氏の運命がどうなるかはまだ決まっておりませんが、もし致命的な事態になった場合はもちろん運命賽を使うことができます。賢明な判断をしていくのが良いでしょう
クロシュ氏が大変なことになった場合、様々な影響があります。それはセインくんとクロシュヴィア氏とフメイちゃんだけに留まらず、レイさんやリュアンちゃんなど、今までに関わってきた多くの人々に何らかの変化が起きることが予想されるでしょう。特にフメイちゃんに関しては、ものすごく大変な方向に気持ちがこじれてしまう可能性が高いと言えます

実のところクロシュ氏以外の誰かが主人公になることはあまり想定していなかったので、もしクロシュ氏が主人公を続けられなくなってしまった場合どうするかはちょっと未定だったりします。とはいえまだ交代が確定したわけでもないので、確定したらその後のことはその時に考えれば良いかとも思います

白銀スライムさんがお買い上げされていた場合にどういう運命を辿っていたかは今のところわかりません。リチャード氏は愛玩や鉱石化ではない別の目的があるかのようなことを言っていましたが、それが何なのかもまた判明はしていないようです

妖精さんは、クロシュ氏を見捨てたことをものすごく気に病んでいるようです。クロシュ氏自身が見捨てて逃げろと言ったので仕方ないのですが、妖精さんはそう簡単に割り切れるほど器用な性格ではなかったのかもしれません

頭が良くなっても視覚などの感覚器官が鋭敏になるわけではないので、光学迷彩だけでなく魔力的にも高度な隠蔽を行っているクロシュの隠密を看破するのは実は非常に難しいです(いつも失敗している印象がありますが、相手が悪いのです)。なおリチャード氏はそういった隠密能力者の対策を全く立てていなかったわけではなく、魔眼持ちのエミリオ氏や優秀な警備魔導人形を多数配置するなどして万全の対策を立てています。必ずしもリチャード氏自身が隠密を看破する必要はないのです

―シルバーコイン 客室

妖精「」グッタリ

白銀スライム「……」モニョ…

妖精「」グッタリ


白銀スライム『あの……妖精さん……』モニョモニョ

妖精「なに……」

白銀スライム『……クロシュちゃんを助けるの……私も、手伝いたい……』モニョモニョ

妖精「……」

白銀スライム『私の……せいだから……』モニョニョ…

妖精「……好きにしたら……」

白銀スライム『うん……』モニョ

妖精「……」グッタリ



白銀スライム『あの……よ、妖精さんも……クロシュちゃんのこと、助けたいんじゃ……』

妖精「何もできないよ。あの時……私は自分の使命を優先して、クロシュを見捨てたんだ」

白銀スライム『でも、まだ間に合うかも……。他の人たちも……クロシュちゃんを助ける為に、動いてる……』

妖精「そうだよ。結局、我が身可愛さに動けてないのは私だけ……。最低の薄情妖精なんだよ。放っておいてよ……」グッタリ

白銀スライム『………』

 *

―??

 ピー… ピピピ… キュオンキュオン…


 遥か彼方の空に浮かぶ白い光「」ユラユラ


 地上に瞬く無数の光「」チカチカ


『〜〜〜……〜〜〜〜……〜〜〜〜〜……』モニョモニョ…

『〜〜、〜〜〜〜……』モニョニョ…

『〜〜〜〜〜〜〜〜……〜〜〜〜……?』モニョモニョ…

『〜〜〜〜〜〜〜〜――――』モニョモニョ―

 *

↓1コンマ
01-01 クロシュヴィア『……悪い街は、溶かしちゃわなきゃね……』モニョニョ
02-05 シュヴィア『見つけた……』モニョ
06-10 ブラッド『へえ、あのバカ捕まったんだ』モニョッ
11-40 レッサースライムたち『〜〜』モニョモニョ
41-70 シティスライムたち『そうなんだ〜』モニョモニョ
71-95 シティスライムたち『わかった〜』モニョモニョ
96-00 クロシュヴィア『助けてあげるね……』モニョニョ

―シルバーコイン 客室

白銀スライム「――」

妖精「……何してるの?」

白銀スライム『あっ! え、えと……』モニョッ!

妖精「……まあ、なんでもいいけど……。クロシュが助けたあなたの命……無駄にしないでね……」

白銀スライム『……うん……』モニョ…

 ☆イスファハーンのスライムたちがなぜか状況を把握しました

 ◆

―夜
 イスファハーン・ピラー 座敷牢

 魔封の檻「」ガシャン

スライムクロシュ「……」モニョ…

リチャード「まさか、ただの義侠心で強盗を働いたとはね。面白いスライムです、君は」ニコニコ

スライムクロシュ「……」モニョニョ…

リチャード「しかしそのお陰で、我が一族は200億の大損をしたわけですが……どう落とし前を付けてくれるのですか?」ニコニコ

スライムクロシュ「……」モニョ…

リチャード「君の選択肢は二つ。私の下で必死に働いて200億の借金を返済するか、あのスピリチュアルジェルを見つけ出して私たちに差し出すしかありません。どうしますか?」ニコニコ

スライムクロシュ「……」デロ…

リチャード「黙っていてもわかりませんよ。君は人の言葉を話せるでしょ?」ニコニコ

スライムクロシュ「……」デロロ…

 ガラッ

エミリオ氏「おじさん、そのスライムをくれるって約束は結局ナシになったの?」スタスタ

リチャ―ド「外で話しましょうか」ニコニコ

 ガラッ バタン

 *

―イスファハーンピラー ペントハウス

 グラス「」カラン

エミリオ氏「それで、例の約束は?」

リチャード「それはスピリチュアルジェルについてです。あの黒いスライムについて私はエミリオくんと何の契約もしていません」ニコニコ

エミリオ氏「ふうん。でも僕も欲しいんだよね、有能な諜報員がさ」

リチャード「あのスライムが落とし前を付けたら、後は自分で交渉してみると良いでしょう。あるいは、君が200億であのスライムを買い取りますか?」ニコニコ

エミリオ氏「おじさんの目を欺くほどの腕前なら200億出す価値はある気がするんだよね。少なくとも僕にとってはステライトより有用だよ」

リチャード「流石に目ざといですね。しかし残念ながら今あのスライムは私の所有物。実を言うと例え200億積まれても手放す気はありません」ニコニコ

エミリオ氏「だと思った。ねえ、あのスライムの記憶で何を見たの?」

リチャード「フッ……非常に興味深く面白いものです。あのスピリチュアルジェルを逃したのはかなり痛いですが、あのスライムはそれに匹敵するほど価値のある情報や技能を有している。完全に飼い馴らせば――ククク」ククク

エミリオ氏「うわ、悪い顔……」

リチャード「しかしなかなか強情なようで、簡単に従わせられてはくれないようです。だからこそ――あのスピリチュアルジェルの力が必要なのですが……」ニコニコ

エミリオ氏「ふうん。二匹揃ったらどうなるの?」

リチャード「無敵ですね。この星の全てを支配することすら――おっと、今のはナシでお願いしますよ」ニコニコ

エミリオ氏「へえ……。そんなトンデモ発言簡単にナシにできると思う?」

リチャード「エミリオくん。私は君を〝信頼〟しています」

エミリオ氏「……はいはい。信頼には応えますよ」

リチャード「フフフ、物わかりの良い子は好きですよ」ニコニコ

エミリオ氏「……」

 *

―イスファハーン・ピラー 座敷牢

 魔封の檻「」ガシャン

スライムクロシュ「……」

スライムクロシュ(みんな……大丈夫かな……)

 ガラッ

エミリオ氏「こんばんは」スタスタ

スライムクロシュ「!」

エミリオ氏「そんなに身構えないで欲しいですね。僕はおじさんと違って、君を無理矢理従わせようとか思ってませんから」

スライムクロシュ「……」

エミリオ氏「もし協力関係を築けるならお互いに気持ちよく働きたいでしょう? おじさんは少し性急すぎるんですよね」

スライムクロシュ「……」

エミリオ氏「とりあえずいろいろ持ってきたので、食べながらお話しましょう」

 茹でカニ「」ポン
 マグロの刺身「」ポン
 精霊樹の実「」ポン

スライムクロシュ「!!」モニョニョ…!!

エミリオ氏「お腹、空いてるでしょ? 毒とかは入ってません……というかスライムなら毒は効かないでしょうし」


↓1選択 出された料理を食べる?
1.食べる
2.食べない
3.その他(自由安価)

↓2 どんな話をする?(自由安価。黙秘も可)

スライムクロシュ「……」モニョニョ…

エミリオ氏「食べないんですか? こんなに美味しいのに」ヒョイパク モグモグ

スライムクロシュ「…………」グググ… モニョモニョ…

エミリオ氏「まあ無理に食べろとは言いません。ですが僕としてはあなたに空腹で苦しんで欲しいわけではないので、ずっと食べないままでいるのはやめてくださいね」

スライムクロシュ「……」モニョ…

エミリオ氏「そういえばあなたは、あのスピリチュアルジェルとどういう関係だったのですか?」モグモグ

 モニョモニョ…ポン!

クロシュ「……全然、知らない……。あの会場で……初めて、会った……」

エミリオ氏(! これがこのスライムの擬態……! 凄い……スライムの擬態はどこかしらスライム的な部分が残りがちなのに、これはまるで本物の人間の女の子みたいだ……! ますます欲しいな……)

エミリオ氏「全然知らないのに助けたのですか?」

クロシュ「うん……」

エミリオ氏「なぜ?」

クロシュ「えと……。つらそう、だったから……」

エミリオ氏「つらそう……?」

クロシュ「うん……」

エミリオ氏「……ふむ………」

クロシュ「…………あの……。あなたたちは……どうして、あの銀色のスライムさんが……欲しいの……?」

エミリオ氏「僕たちがあのスピリチュアルジェルを欲する理由ですか?」

クロシュ「うん……」

エミリオ氏「……綺麗なスライムですからね。可憐で美しいものは手元に置いておきたい……人間のサガですよ」

クロシュ「そうなの……?」

エミリオ氏「ええ、そうです」

クロシュ「…………じゃあ……あの子に、酷いこと……しない……?」

エミリオ氏「する理由はありませんね」

クロシュ「…………仲良く、してあげられるの……?」

エミリオ氏「もちろんです。先程も言いましたが、僕はお互いに気持ちよくいられる関係を望みます」

クロシュ「…………」


 クロシュの想像のフメイ『クロシュ、よく知らない人の言葉は簡単に信じちゃだめ』
 クロシュの想像の妖精『ばかクロシュ! 自分一人で軽率に判断しないで!』


クロシュ「…………」

エミリオ氏「……あのスライムの居所を教えてくれる気になったのですか?」

クロシュ「…………信用、できない」

エミリオ氏「そうですか」

クロシュ「……」

 ☆エミリオ氏の甘言を退けることができました

 ◆

―国際商業都市イスファハーン 滞在5日目

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のローブ   飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:革の鎧      飾:

◇暗黒行商少女[闇の商人]
武:魔銀のナイフ   盾:         飾:貝殻の髪飾り
武:         防:闇のエプロン   飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      亡国王のペンダント
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  冒険者証(ランク1)
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[5/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[2/8](エバンス)
・魔法[1/6](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―朝
 シルバーコイン 客室

ミスティ「イスファハーンピラーにはいつ突撃するの?」

暗黒行商少女「ちょ、突撃って! 流石に無策に突っ込む気はないわよ!?」

ミスティ「む、無策に突っ込むなんて言ってないじゃない……。でも、こうしている間にもクロシュは酷い目に遭わされているかもしれないのよ。救出は早ければ早いほど良いでしょう」

暗黒行商少女「それはそうだけど……。でもまだ潜入ルートも構築できてないし……できればもっと情報と人材が欲しいんだけど……」

イリス「……他の御三家……マガジン家は当主が怖いからあれだけど、例えばオーデルシュタイン家の力を借りたりとかはできないかな……?」

暗黒行商少女「……どうかしら……。下手に弱みを見せれば、クロシュを奪還できたとしてもその後オーデルシュタインに骨の髄までしゃぶり尽くされる未来が待っているかもしれないし……。だからこそフリーの人材が欲しかったんだけど、今はいないのよね……」

エバンス「マガジン家を頼れば間違いなく弱みを握られてしゃぶり尽くされるだろうな。あの女は完全にそういうタイプだ」

ローガン「オーデルシュタイン家は……あそこも過剰な私兵増強や他国への工作など、黒い噂が絶えん。あまり頼りたくはないが……」



白銀スライム「……」モニョ…

妖精「……」グッタリ


ミスティ(……隠密行動なら、妖精もできるはずよね……。でも……妖精には、世界樹の光を追うという大事な使命があって……クロシュの為に、そこまでの危険を冒すわけにはいかないと言っていたし……。実際、それはその通りだと思うのだけれど……)

ミスティ(あなたは、それで良いの……? 妖精……)


イスファハーン滞在5日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

白銀スライム「……」

妖精「……そういえば……あなた、ステラスライムの癖にどうして人間なんかに捕まったの?」

白銀スライム『……私……生まれた時から、檻の中だから……』モニョモニョ

妖精「え……? どういうこと……?」

白銀スライム『……私は……マガジン家の施設で造られた、人工のスピリチュアルジェルなの……』

妖精「え……!?」

白銀スライム『他のスピリチュアルジェルがどうかは知らないけど……私、この星に住む他のスライムと交信できる力があって……。強い念を込めれば、スライムたちを操ったりすることもできるの……。マガジン家の人たちは……私のその力を、研究したかったみたい……』モニョモニョ

妖精「ほ、本当……!?」

白銀スライム『うん……。私は……気持ちを勝手に操ったりするのは、嫌だから……遠くのスライムとお話するくらいにしか、使わないようにしてるけど……』モニョモニョ


妖精(……星の魔力……ステライト……星脈の流れ……荒唐無稽なようだけれど、条件が噛み合えば確かに理論上はあり得る……!? いや、でも……)


妖精「……マガジンの奴らは、その力を研究してどうするつもりだったかはわかる?」

白銀スライム『……えと……詳しくは……わかんない……。でも……ちらっとだけど、〝イスファハーン洗脳支配計画〟って資料が……見えたこと、ある……』

妖精「イスファハーン洗脳支配計画……!?」

白銀スライム『……あ、でも……この街にもスライムはいるけれど、街の運営にはあんまり関わってないはず……。だから、私の力を使ってもこの街は支配できないと思う……。ごめんなさい、関係ない資料だったかも……』モニョモニョ

妖精「いや……奴らの研究によって、もしスライム以外の生き物も操れるようになったら――」

白銀スライム『あっ……で、でも……そんなこと、できるの……?』モニョニョ

妖精「できたらお終いだよ! この街どころか、下手すればこの大陸を越えて世界中が洗脳支配されちゃうかもしれない!」

白銀スライム『……!!』


妖精(……デンネル家は、それを承知の上でこのステラスライムを競り落とした? 目的はマガジン家への妨害か、あるいは自分たちが都市の洗脳支配をするため? いや、そもそもどうしてこのステラスライムはオークションに出品されたの? 出品者は誰? 何の目的で――)


白銀スライム『あの……皆さんは、大丈夫……?』モニョ

妖精「え……?」

白銀スライム『さっき……マガジン家に、協力を仰ぎに行く、って……』モニョニョ

妖精「あっ……!!」

 ◆

―マガジン邸
 応接室

マリッサ「なに? 要件は手短に」

エバンス「お、おう……」

ミスティ「今日は自慢の人形たちを出さないの?」

マリッサ「今の私は忙しいのよ。商談でもなければ勧誘にも応じない奴らへの対応なんてこれで十分。聞いてあげるだけありがたく思いなさい」

ローガン「む……仕事の話をしに来たのだが」

マリッサ「仕事?」

ローガン「まず、こちらの身の安全は保証していただきたい。その上で、こちらには貴女の要請に応じて働く用意がある」

マリッサ「ふうん……どういう風の吹き回し?」

ローガン「我々の仲間の一人が、デンネル家に捕らえられた。見返りに、その救出を手伝って欲しいのだ」

マリッサ「……へえ。経緯を聞いても良いかしら?」


↓1〜3多数決
1.知っていることを全て話す
2.オークションで強盗を働いて捕まったと言う
3.適当な嘘話をでっち上げる
4.話せないので帰る
5.その他(自由安価)
6.運命賽を使う(所持2)

↓1
1.知っていることを全て話す
2.オークションで強盗を働いて捕まったと言う
6.運命賽を使う(所持2)

ローガン「……以前、リチャード・デンネル氏からも勧誘を受けた話を覚えているだろうか?」

マリッサ「そういえばそんなこと言ってたわね」

ローガン「あの時我々は断ったのだが、彼は諦めていなかったらしく……。先日の夜、我々の仲間のクロシュくんが突然誘拐されてしまったのだ」

マリッサ「なぜそれがデンネル家の仕業だと?」

ローガン「クロシュくんは、緑の国の精霊たちが拵えた特性の印を持っている。それがあれば我が仲間の妖精が居場所を探知することが可能なのだ。そしてクロシュくんが現在いた場所は……イスファハーン・ピラーだった」

マリッサ「なるほどね……。それにしてもらしくない手ね、リチャードの奴。もしかしてエミリオ坊やの独断かしら?」

ローガン「わからぬ。この街の情勢には疎いのだ」

マリッサ「……でも丁度良いわ。私たちもあの象牙の塔に攻め入る戦力が欲しかったところなのよ」

イリス「えっ? それってどういう――」

マリッサ「奴らが先日オークションで落札したスピリチュアルジェル……あれは元々ウチの所有物だったのよ。どこぞの賊かは知らないけれど、盗まれてオークションに出品されてしまった。大方、盗品という事実をロンダリングする為にデンネルのクズ共が仕組んだ自作自演でしょうけどね」

エバンス「なんだそりゃ……盗まれたんなら当局に届け出れば良いんじゃないのか?」

マリッサ「……事情があるのよ。いろいろとね」


暗黒行商少女(……公にできないような非人道的な研究に使っていたとかでしょうね)

エバンス(……なるほど。そりゃ当局に届けられないわけだ)


マリッサ「まあそういうわけだからとっても都合が良いわ! 私たちはあなたたちの仲間の救助に協力し、あなたたちはスピリチュアルジェルの奪還に協力する――これ以上ないくらい完璧な利害の一致ね」ニッコリ

ローガン「うむ。話が綺麗にまとまりそうでこちらもありがたい。感謝する」


 握手「」ガシッ!!


イリス(う、うわあああ!! こ、この罪悪感は……!!)グルグル

エバンス(マリッサ……恐ろしい女だが、流石に同情するぜ……)

暗黒行商少女(騙される方が悪い……イスファハーンの掟よ)

ミスティ(恐ろしい街だわ……)


 ☆イスファハーン・ピラー攻略にマガジン家の協力を取り付けました
  運命賽を1つ消費しました

 ◆

―イスファハーン学術区
 公園

イリス「ふぅ〜、どうなるかと思ったけど上手くいきましたね」

ローガン「うむ……少々肝が冷えたがな」


妖精「み、みんな!」パタパタ


ミスティ「妖精。どうしたの、血相を変えて……」

妖精「良かった、間に合った! マガジン家には近づかいちゃだめ! あいつら、ものすごく怖い研究をしてるって――」パタパタ

エバンス「あー……たった今、協力を取り付けてきたとこだ」

妖精「え、えっ!?」

 *

妖精「そ、それじゃあ……弱みを握られて酷い約束を結ばされたとか、そういうのは……?」

イリス「大丈夫だよ! ローガンさんが上手いこと言ってギブアンドテークの関係を築けたから!」

妖精「ほ、本当に……? 本当に、大丈夫……?」

暗黒行商少女「完全に油断はできないけど、相手からすればかなり悪くない条件の利害の一致を提示できたし大丈夫だと思うわ。安心しなさい」

妖精「そ、そっか……良かった……」ヘナヘナ

ミスティ「妖精……」

妖精「…………ごめんね……。私……何もできなくて……クロシュが、酷い目に遭ってるかもしれないのに………」

イリス「そ、そんなことないよ! だって妖精さんは一番責任重大で、簡単に倒れちゃいけない身なんだもん! 慎重になるのは当然だよ!」

ミスティ「そうよ……。身動きが取れない妖精が一番苦しんでることくらい、私たちもわかってるわ……」

妖精「…………ふふ……泣き言を言えば、こうやって優しい言葉を返してくれることも……わかってたんだ……」グスッ

エバンス「……いいじゃねえか。わかってるならどんどん甘えろよな」

ローガン「うむ……。人もスライムも妖精も……つらい時は、甘やかされるのが良いのだ」

妖精「みん、な……ぐすっ……う、ううっ…………ま、まだ……クロシュを助けるまでは……!!」ググッ

ミスティ「……そうね。それじゃあ……一緒に、行きましょう。クロシュを助けに――」

妖精「うん……!」

 *

暗黒行商少女「さて、マガジン家の協力は得られたわけだけど……オーデルシュタイン家はどうする?」

ローガン「オーデルシュタインの協力まで得られれば戦力的には最強だが……」

ミスティ「……確か、オーデルシュタイン家はオリハルスライムの……家系? なのよね?」

暗黒行商少女「ええ。だから他の御三家に比べれば、スライムであるクロシュを助けることに協力的な姿勢を見せてくれる可能性はある。けど……」

エバンス「……黒い噂か」

暗黒行商少女「そう。異常な軍備の増強とか、凄腕揃いの諜報機関が暗躍してるって噂もあるし……下手に関わるのは危険かもしれないのよ」

イリス「……えっと、マガジン家の協力が得られたんならオーデルシュタイン家の協力までは必要ないんじゃ……?」

暗黒行商少女「それもそうね。深入りはしないでおいた方が――」

 ピピピ

妖精「ひゃっ! な、何の音……!?」

ローガン「これは……作戦行動の為にマリッサ氏から渡された無線機というアイテムだ。確か……このボタンを押すと――」

 ピッ

無線機『こちらマリッサ・マガジン。こちらの声はちゃんと聞こえているかしら? どうぞ』

ローガン「こちらローガン。問題なく聞こえている。どうぞ」

無線機『良かったわ。少し急なのだけれど、またこちらへ来てもらっても構わないかしら? どうぞ』

ローガン「少し待ってくれ、皆に確認を取る。皆、マリッサ氏が話があるから一旦また来て欲しいとのことだが、問題ないか?」

イリス「え? えっと、私は大丈夫ですけど……」

暗黒行商少女「……まさか、嘘がバレたから粛清する為に呼び出したとかじゃないわよね?」

エバンス「一応、退路の確保はしておいた方が良さそうだな」

ミスティ「そうね……。妖精も、問題ない?」

妖精「う、うん。大丈夫……」

ローガン「うむ、了解した。こちらローガン、問題なしだ。これより再びそちらに向かわせていただく。どうぞ」

無線機『待っているわ。よろしく』

 ブツン

 ◇

―マガジン邸
 応接室

 ガチャッ

ローガン「失礼する」スッ

妖精「どうも……」フヨフヨ

ミスティ「どんな用件なのかしら?」


マリッサ「来たわね。イスファハーン・ピラー攻略戦の戦力について、新情報よ。あなたたち、入りなさい」


赤肌の阿修羅→グラドス「失礼! 某(それがし)はイスファハーン・ピラー攻略戦に馳せ参じる次第となった戦士が一人、オーデルシュタイン軍警のグラドスと申す!」ヌッ

青髪リーゼントの男→シモンズ「同じくオーデルシュタイン軍警のシモンズだ!」ヌッ


イリス「あっ! 街に入る前に飛び乗ってきたリーゼントの人!」

シモンズ「おう、久しぶりだな! 楽しんで……はいねえよなあ! 仲間がデンネルに捕まっちまったんじゃなあ!」

マリッサ「ごめんなさい、勝手に情報共有してしまったわ。彼らも攻略戦に参加してくれる仲間だから」

エバンス「……!? だが今、オーデルシュタイン軍警って――」


「そうだ。無辜の民を脅かすデンネルの卑劣なやり方を、許すわけにはいかない」ツカツカ


妖精「お、お前は――」

黄銅髪の青年→シュヴィア「久しぶりだね、軽挙妄動の妖精」

暗黒行商少女「シュヴィア・オーデルシュタイン!」


マリッサ「まあそういうわけで、今回のイスファハーン・ピラー攻略にはオーデルシュタイン家も参加してくれることとなったわ。ふふ、完璧な布陣でしょう」

ローガン「あ、ああ……。だが、なぜオーデルシュタインが?」

シュヴィア「今言っただろう。僕たちはデンネルの卑劣を許さない」

グラドス「聞くところによると、罪なき旅の少女を無理矢理拐かしたとか。そのような暴挙、この都市の治安を守る者として決して見逃せぬ」ヌン!

シモンズ「おうよ! 前々から嫌らしい奴らだとは思ってたが、まさかここまで露骨な悪事に手を染めるたあな! 年貢の納め時だぜ!」

エバンス「お、おお……マジか……」

シモンズ「大マジだぜ!!」

シュヴィア「そういうわけで、当日は僕たちも攻略戦に参加させてもらう」

ローガン「うむ……承知した。共に戦おう」


 握手「」ガシッ!!


妖精「……」

イリス「妖精さん……?」

妖精(……クロシュ救出に追い風が吹いている……けれど……いくらなんでも、上手くいきすぎじゃない……?)

妖精(でも……話はもうまとまってしまっているみたいだし……後は、気を付けるしかない……?)


ここで誰かとお話をすることができます
↓1〜2 自由安価 誰とどんな話をする?

エバンス「オーデルシュタイン軍警ってのは、軍や警察とは違うのか……?」

グラドス「うむ、違う。オーデルシュタイン軍警とは、シュヴィア殿が経営している民間軍事会社の名称である」

シモンズ「早い話が私兵だな!」

エバンス「お、おお……」

グラドス「まさしく私兵ではあるが、職務のほとんどは正規軍から委託された都市の警備や治安維持なのだ」

シモンズ「おう! 俺があんたらの身分証を確認したのも仕事の一環だったってわけだ!」

ローガン「なるほど……」

シモンズ「俺ァ指揮とか官僚にゃ興味がねえからな。この仕事の方が性に合ってるってわけだぜ」

グラドス「某は一族ぐるみでシュヴィア殿と縁があり、入隊に至ったのだ」

ローガン「一族ぐるみ? それではシュヴィア・オーデルシュタイン殿とは長い付き合いなのか」

グラドス「うむ。シュヴィア殿の掲げる理想は、この救いがたき世に咲いた一輪の気高き華であると言える。某は生涯をかけてそれを支えていく所存だ」

エバンス「おお……忠ってやつか」

 *

ミスティ「……リチャードって、どんな人なの?」

マリッサ「あら、リチャードのことが知りたいの?」

シュヴィア「これから殺しに行く相手のことなど知ってどうする?」

イリス「えっ、こ、殺しに行くんですか!?」ガタッ

シュヴィア「……ちゃんと説明してないのか?」

マリッサ「彼らの任務は、スピリチュアルジェルの奪還と仲間の救助よ。ハゲの始末は私たちで十分でしょう?」

シュヴィア「そうか。じゃあ大して役にも立たないと思うけど、あの男について教えてあげるよ」


↓1コンマ
01-05 あのハゲ頭は頭脳魔法と雷魔法の使いすぎによる副作用だと思う
06-35 ↑+筋トレが好きらしい
36-65 ↑+かつてユーシリアの魔法騎士団に所属していたらしい
66-95 ↑+頭脳魔法と雷魔法を組み合わさえた電脳魔法なるものがあるらしい
96-00 ↑+電脳魔法で創り出した電脳生命体なるものが存在するらしい

シュヴィア「まず奴のあの頭だが……あれは、雷魔法と頭脳魔法の使いすぎによる頭皮の損耗が原因ではないかと僕は思っている」

ミスティ「そ、そう……」

暗黒行商少女「それあなたの想像じゃ……?」

シュヴィア「そうかもしれない。じゃあ今のはナシ」

イリス「え、ええ……」

マリッサ「……あ、そういえばリチャードって筋トレが好きらしいわよ」

妖精「それはまあ、見ればわかるというか……」

イリス「すごいムキムキですもんね」

暗黒行商少女「なんかこう……もうちょっと、弱みになりそうな情報とかないの?」

マリッサ「あら、そんな重要情報はタダでは教えられないわね」

シュヴィア「良いんじゃないの、教えても。どうせもうすぐ使い道のなくなる弱みだ」


イリス(ひええ……シュヴィアさん、さっきからすごい物騒だよ……。今まで会ってきたスライムの子たちがほわほわしてる子ばっかりだったから、この人もスライムだなんて信じらんない……)

ミスティ(ブラッドのことを忘れてないかしら、イリス)

イリス(あ、そうだった……)


マリッサ「んーそうねえ……。ああ、あいつ以前はユーシリア帝国の魔法騎士団で参謀やってたらしいわ」

妖精「えっ、そうなの? じゃあなんで今はここに?」

マリッサ「さあ? 斜陽国家の参謀なんかやるより家業を継いだ方が遥かに稼げるからじゃないの?」

シュヴィア「あの銭ゲバハゲならその可能性は高いと言える」


イリス(うう……ハゲとか銭ゲバとか、酷い言われようすぎてリチャードさんが気の毒になってきた……)

妖精(まあ……ハゲなのは間違いないからねえ……)

 ☆リチャードの情報を得ました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回はイスファハーン滞在6日目、自由行動を行うか早速イスファハーンピラー攻略に移るかの選択肢から開始となる予定です

捕まってしまったクロシュちゃんを助けるために奔走し、ついに他の御三家と協力することとなった一行です。マガジン家は上手い具合にだまくらかして協力を取り付けた一行ですが、急に現れて協力を申し出てきたオーデルシュタインの方々が少し不気味でもあります。この先、どのような事態が待ち受けているのか。クロシュは無事に塔から脱出することができるのか――

>>1個人としては、クロシュちゃんに主人公を続けて欲しい気持ちがあるため、シビアな展開であります。がんばりたいところであります

それでは本日もありがとうございました。次回は恐らく土日となります、よろしくお願いいたします

基本的には土日や祝日しかまとまった時間が取れないため更新もそういった日になってしまうのですが、それでも楽しんでいただけているならさいわいです
クリーチャーやアイテムの募集など平日でもできそうなことがあるかもしれないので、そういった場合は告知したいと思います

イスファハーンの権力者は恐ろしい人物が多いようです。やはり世界有数の富豪ともなると良くも悪くもパワフルでなければ生き残れないのかもしれません
リチャード氏のスキンヘッドについては、ファッション等なんらかの理由で剃っているのか、それともリチャード氏の推測の通りなのか――その真相は闇に包まれています

クロシュ氏はリチャード氏に閉じ込められているようです。出されたごはんも意地を張って手を付けていないらしく、大食いスライムであるクロシュにとってはとてもつらい状況なのかもしれません。でも食べない選択をしたのはクロシュちゃん自身なので、それは仕方のないことなのかもしれません

クロシュを救出した後、白銀スライムの運命がどうなるかはわかりません。彼女の所有権を主張しているマリッサ氏は白銀スライムもイスファハーンピラーに囚われていると思っているようですが、実際は安宿のシルバーコインの客室にいるため、この戦いの後に事態がどのように転がっていくのかは未知数です

>>900のベターな選択は実のところ「3.適当な嘘」でした。「1」はオークションでの出来事や現在の白銀スライムの所在まで全て喋ってしまうためとても危ないことになり、「2」はコンマ次第ですがマリッサにクロシュや白銀スライムの行方を勘付かれる可能性があります。「5」の自由安価であれば内容次第でより良い運命やより悪い運命もありえます

―国際商業都市イスファハーン 滞在6日目

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のローブ   飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:革の鎧      飾:

◇暗黒行商少女[闇の商人]
武:魔銀のナイフ   盾:         飾:貝殻の髪飾り
武:         防:闇のエプロン   飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
魔術書「星の魔力」上  闇の欠片        精霊樹の鉢植え
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    暗黒優待券
属性大全        踊り子の双剣      冒険者証(ランク1)
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  
氷精の魔導書
マジカルブラッドワイン
吸血鬼殺ブラッドワイン
綺麗な砂
魔術書「正負の属性」
魔術書「星の魔力」中
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘(破損)

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[1/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)

◯経験値
・風になる[3/12](クロシュ)
・魔法[5/6](イリス)
・魔法[3/6](ミスティ)
・氷属[6/8](ミスティ)
・剣技[2/8](エバンス)
・魔法[1/6](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□国際商業都市イスファハーン 主要施設
中央区:イスファハーンピラー、高級ホテル、黄金市場、高層住宅、他
商業区:宿、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
学術区:劇場、闘技場、美術館、図書館、学校、病院、研究所、他
貧民街:怪しい露店、怪しい娼館、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、軍港、灯台、他

―朝
 シルバーコイン 客室

ミスティ「イスファハーン・ピラー攻略……これって実は立派な犯罪じゃない?」

イリス「うっ……た、確かに……?」

妖精「まあ、治安維持にも関わってるオーデルシュタインのお墨付きもあるし……」

ローガン「……後で我々もまとめて一気に逮捕する罠である可能性は?」

イリス「えっ……!!」

エバンス「まあ……可能性はあるよな、それ」

妖精「……クロシュの救出が完了したら、急いでこの国を出よう。大魔女帝国……というか次の世界樹の光を追う次の策はあとで考えよう」

暗黒行商少女「なんか……悪いわね……。国外脱出については私もできる限り助力するわ」

イリス「あなたは大丈夫なの?」

暗黒行商少女「ヤバそうなら私も脱出するわ。今回は全資産が海の藻屑になると決まったわけじゃないし」


ミスティ「……この子は……この子も、連れて行く?」

白銀スライム「!」モニョ

妖精「マガジン家とデンネル家っていう、御三家の二つに狙われてるんだよね。この国に残していくとどんな目に遭わされるかわかんないし……何より、クロシュが身を挺して救ったスライムだもん。一緒に連れて行こう」

白銀スライム『えと……いいの……?』モニョニョ

妖精「いいに決まってるでしょ。緑の国にでも亡命すればその先は大丈夫だから、安心しな」

白銀スライム『……ありがと……。でも、私より……クロシュちゃん……助かって、欲しい……』モニョモニョ


↓1〜3多数決 イスファハーンピラー攻略の日程について
1.このあとすぐ
2.自由行動3回のあと

ローガン「作戦開始は本日の深夜……。日中は体を休めておくのが良いだろう」

ミスティ「そうね……。作戦中に眠くなったりしたら困るわ……」

エバンス「作戦前にオーデルシュタイン家とかマガジン家の奴らと話しておくのも良いかもな」

イリス「この国を実質的に治める御三家の人とまともに交流する機会なんて普通はないですもんね」

白銀スライム『あ……交流するなら、気を付けた方が……』

妖精「御三家と交流するなら気をつけろって。あと、この子の情報は漏らしちゃだめだよ。わかってると思うけど」


イスファハーン滞在6日目です。この行動の後、イスファハーン・ピラー攻略編に移ります
↓1〜3 自由安価 何をする?

―イスファハーン中央区
 黄金市場

 ワイワイ ガヤガヤ

貴族の娘「お父様ぁ、あれ買ってぇ〜」

貴族の男「お母様には内緒だぞ」



イリス「わあ……これが黄金市場……」

ミスティ「……意外と、普通……?」

暗黒行商少女「よく見てみなさい」

 丹念に磨かれた石畳「」
 傷一つない街灯「」
 丁寧に剪定された街路植物「」
 身なりの良い通行人たち「」ワイワイ

イリス「すごく綺麗……!?」

ミスティ「……ものすごく質が良いってことね」

暗黒行商少女「そういうこと。品の良い富豪は、露骨な豪華さよりも奥深い質の良さを求めるのよ」

妖精「人の都合でザクザク剪定された植物たちはけっこう不満みたいだけどね」

暗黒行商少女「そ、そうなの」

妖精「肥料とか虫除けもしてもらってるからとりあえず許すってさ」

イリス「そんな感じなんだ……」

ミスティ「まあ……当人らが良いなら良いんじゃないかしら……」


暗黒行商少女「まあとにかく、イスファハーンに来たからにはここを寄らない選択肢はないのよ。イスファハーンピラー攻略の後に急いで離れるってんなら今のうちに見ていきなさい。もしかしたら良い情報も手に入るかもしれないし」

イリス「そうだね!」


情報収集
↓1コンマ
01-05 ??
06-35 デンネル陰謀論
36-65 マリッサの過去
66-95 オーデルシュタインの諜報員
96-00 ??

ついでに買っていくもの(世界一高品質な市場なので大抵のものはありますが、値段がかなり張ります。ものによっては高価すぎて買えません。何も買わないでも可)
↓2〜3自由安価

身なりの良い男性A「えっ、デンネル家について? この街で一番偉くて金持ちで社交界のドンってことくらいしか知らんが……」

妖精「何か他にはないの?」

身なりの良い男性B「デンネル家は表からも裏からもこの街を支配している闇の組織だぞ!」

暗黒行商少女「表から堂々と支配してるのに裏も闇もないでしょ」

身なりの良い男性B「表向きは他の御三家との共同統治だろ? だが実際には、他の御三家すらも影から操っているらしいんだ!」

暗黒行商少女「あーはいはい陰謀論ね」

身なりの良い男性B「陰謀論と決めつけて思考停止したら支配される豚のままだぞ! 自分の頭でよく考えろ!」

イリス「えっと、根拠はあるんですか?」

身なりの良い男性B「ない! 奴らは狡猾だからな……人民に知れ渡るような露骨な証拠なんて残すわけがないんだ」

ミスティ「じゃあなんであなたは知っているのよ……」

身なりの良い男性B「それはだな……各状況証拠を統合し、極めて確度の高い推測をしたからだ!!」

暗黒行商少女「妄想ってことね」

 ☆デンネル陰謀論についての情報を得ました

 *

イリス「う〜ん……デンネル家が真の支配者……?」

ミスティ「もしそれが事実なら……状況は最悪中の最悪じゃないかしら……」

暗黒行商少女「さっきも言ったけど、一部の人たちの間で流行ってる陰謀論よ。もしそれが事実なら私たちはとっくに捕まってる。わざわざあんな作戦を用意する必要もないでしょ。昨日マガジン家に入った時点で取り押さえられて終わりよ」

イリス「流石にここまで回りくどいことをする必要はないと思うし、与太話だと思って良さそうかな?」

妖精「でもあんな話が流行るってことは、御三家の統治に不満を持ってる人もけっこういるってことなのかも」

 *

―黄金市場
 高級武具店

 オリハルソード「」キラキラ
 オリハルシールド「」キラキラ
 オリハルアーマー「」キラキラ

 竜殺しの剣「」ドン
 竜革の鎧「」ジャン
 竜革の篭手「」ビシッ

 賢者の杖「」ドン
 賢者の衣「」バサッ
 賢者のサークレット「」シャキーン

 ギロチンガニの鋏「」ジャキンッ
 クラーケンツムリの殻「」ドドンッ
 海竜の宝玉「」キラキラ


イリス「わあ! す、すごい……!!」

ミスティ「素人目でも、凄い性能の装備が並んでいるのがわかるわ……」

妖精「さ、流石に全員分の装備を揃えるとかは無理だなあ。新調するとしても一人分くらいが限度かも……」

暗黒行商少女「質は良いけど値段もかなり良いのよね……。物価は実際高いから、他の場所でも買えるものはそっちで買った方が安い場合が多いわ」

ミスティ「それなら……今回は見送った方が良さそうかしら?」

イリス「……ん? あ、ちょっと待って!」


 血のように赤い槍「」


ミスティ「これ……ちょっと見覚えがあるわね……」

妖精「……フラナが血で生成してた槍? でも、これは――」


↓1コンマ
01-70 ブラッドランス[影打]
71-00 伝説の吸血槍ブラッドランス

↓2コンマ 価格(伝説の吸血槍の場合-30)
01-60 買えない
61-00 買えた

 商品札『伝説の吸血槍ブラッドランス』

暗黒行商少女「へえ! あの有名なバイオレット一族に伝わる伝説の吸血槍ですって! 本物なのかしら!?」

イリス「ゆ、有名なバイオレット一族……」

高級商人「おいおい、ウチは贋作なんて取り扱わないよ。この黄金市場でそんなことしたら一晩で貧民街にドボンだろう?」スタスタ

暗黒行商少女「店主!」

高級商人「それは書いてある通り、あのバイオレット一族に伝わる伝説の吸血槍。世界に一つしかないユニークウェポンさ」

イリス「え、ええと……一体、どうやってこれを手に入れたんですか?」

高級商人「取引情報は企業秘密だねえ。ああ、もちろん詐欺や窃盗ではないよ? そんなことしたらバイオレット一族に殺されちまう」

ミスティ「違いないわね……」

妖精「フラナが自分で売ったとは考えにくいけど……バイオレット家の事情に詳しいわけじゃないし何とも言えないや」


イリス(フラナ先生……これがなくて困ってたりするんじゃないかな……? 買い戻してあげたら――)

 値札『桁がたくさん』

イリス(……と、思ったけど……買えるわけないよ!! 高すぎる!!!)


 ☆黄金市場の高級武具店に伝説の吸血槍が売られているのを発見しました

 ◇

―黄金市場

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「う〜ん……」

ミスティ「フラナにさっき見た槍のことを伝えるの?」

イリス「いや……フラナ先生があの槍のことで困ってるかどうかもわかんないし、もし買い戻すなんてことになったら凄い値段だから、伝えるべきかどうかちょっと迷ってて……」

妖精「まあフラナならあの槍があってもなくても強いし、困ってはいないんじゃないかなあ」

暗黒行商少女「……さっきから聞いていたけれど……あなたたちってもしかして、バイオレット家当主のフラナ・バイオレットと繋がりがあるの……!?」

イリス「あ、うん」

ミスティ「まあ……いろいろあってね」

暗黒行商少女「嘘でしょ!? だってフラナ・バイオレットってあの魔族国の臨時首長のフラナ・バイオレットよ!? あなたたち、一体どんな経歴が――」

妖精「ちなみに緑の国の現臨時首長のティセリアとか、テラヌス・ウルス議会議長のヨードリーとかとも知り合いだよ。トコナツ島のモーリィは……あなたも知ってるよね」

暗黒行商少女「なんてこと……。凄いコネクションの宝庫じゃない!」

イリス「コネクション……言われてみれば、確かにコネクションかも?」

暗黒行商少女「くぅ〜! こんなことなら私もあんたたちの世界樹探索に付いていけば良かったかしら!?」

妖精「販路を作りたくて各国の首長たちと会ってきたわけではないから、微妙じゃないかなあ」

ミスティ「下心は簡単に見抜かれると思うわ……」



ヴェールで顔を隠した女性「ちょっとお嬢さんたち、いいかな?」チョイチョイ

イリス「あ、はい?」

ミスティ「何かしら? 押し売りはお断りよ」

妖精「……?」

ヴェールで顔を隠した女性「ふふ……押し売りじゃないよ。でも、ひょっとしてこれが必要なんじゃないかなあって思ってね」スッ

 石の賽「」ポン

イリス「あっこれは……!」

ミスティ「あの石の立方体じゃない!」


ヴェールで顔を隠した女性「これ、いつの間にか減ることがあるでしょ?」

イリス「は、はい! 知ってるんですか!?」

ヴェールで顔を隠した女性「うん。あなたはこれがどうして減るか、どんな時に減るかわかる?」

イリス「え、ええと……わかりません」

ミスティ「……私も知らないわ。知ってるなら教えて」

ヴェールで顔を隠した女性「それはね――。悪い運命に、直面した時――」

イリス「悪い……運命に?」

ヴェールで顔を隠した女性「本当にどうしようもなくて、どうにもならない時。この賽がひとりでに転がって、新たな運命を紡ぐの」

ミスティ「新たな、運命を……」

ヴェールで顔を隠した女性「かなしみに沈む結末なんて、絶対に認めないって……嘆くように、叫ぶように、祈るように……。運命の女神の想いが込められた賽は、ころころと勝手に転がるの」

妖精「それで……役目を果たした賽は、消えるってこと?」

ヴェールで顔を隠した女性「そう。紡がれた新たな運命がどんなものにせよ……一度転がった賽は、力を失って空に溶ける……」

ミスティ「ということは……私たちはもう既に、何度か悪い運命を退けているということ……?」

ヴェールで顔を隠した女性「そういうことだね。それで最近けっこう減っちゃってるでしょ? だから、1つ補充してあげようと思って」

妖精「……あなたは、何者?」

ヴェールで顔を隠した女性「ただの通りすがりだよ。ちょっと縁があっただけ」

妖精「答える気はないってことか」

ヴェールで顔を隠した女性「そうツンツンしないでよぉ。しかめっ面じゃかわいいお顔が台無しだよ?」

妖精「うへぇ、なんだこいつ……」

暗黒行商少女「でも、そんな凄い道具が存在するなんて……。ずるいわ! 私にも頂戴!」

ヴェールで顔を隠した女性「ああー……ごめんね、これは適性のある人の元でしか転がらないの」

暗黒行商少女「んあああ〜〜!!! なんで私には適性がないのよ!!!!」

ヴェールで顔を隠した女性「ふふ……クロシュちゃんと仲良くしてれば、あなたの悲運も退けてくれるよ。きっと」

妖精「えっ? なんでそこでクロシュが――」

ヴェールで顔を隠した女性「はい」スッ

 石の賽「」ポン

ミスティ「あ、ありがとう……」ギュッ

ヴェールで顔を隠した女性「それじゃあがんばってね。みんなのこと、応援してるから」ヒラヒラ スタスタ

イリス「え、あっ待って……!」

暗黒行商少女「あの角を曲がったわ! 追いかけるわよ!」タタッ

 タッタッタッ

 曲がり角「」クルッ


 水たまり「」ポチャン


イリス(あの人を追いかけて曲がり角を曲がったけど、そこには――)

イリス(――綺麗な青空を映す、小さな水たまりがあるだけだった)


 ☆運命賽を1つ手に入れました

 ◆

というわけで少し早いですが、急用が入ったため本日はここまでとなります。次回はローガンとリチャードのサシ飲み編、ローガンエバンスグラドスシモンズの模擬戦編となります

黄金市場で情報収集とウィンドウショッピングを楽しんだ女性陣でした。一部の人たちの間に広まっているデンネルの陰謀論――嘘か真かはわかりませんが、民衆の間に不満がある可能性があるようです。貧民街の人などは、お金持ちに敵意を抱いていたりしても不思議ではないのかもしれません

そして紆余曲折あって運命賽を1つ補充することのできた一行でした。本来はそう頻繁に手に入るものでもないようですが、通りすがりのヴェールの女性の厚意で1つ譲り受けることができたようです。彼女が何者なのか語られることは多分ありませんが、クロシュちゃんを応援しているようです。幼い子とかが好きなのかもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

クロシュ一行のコネクションは実際のところかなりすごいものかもしれません
暗黒行商少女ちゃんがこの先どうなるかはわかりませんが、もし放浪することとなった場合はまたどこかで出会うこともあるかもしれません。暗黒優待券を持っている限り彼女との関わりは有意義なものとなる可能性が高いです。縁は大事にしていくのが良いでしょう

―市場

 ワイワイ ガヤガヤ

ローガン「……」スタスタ

リチャード「……」スタスタ

ローガン「!」ピタッ

リチャード「おや……」

ローガン「……リチャード・デンネル」

リチャード「どうも。少しお聞きしたいことがあるのですが、どうです?」スッ

 酒場「」

ローガン「……いいだろう。私も聞きたいことがある」

 *

―酒場

 グラス「」カラン

ローガン「……以前、ユーシリア帝国の魔法騎士団で参謀をやっていたそうだな」

リチャード「ええ。立場的には貴方の上司だったわけですね」

ローガン「……私のことも知っていたのか」

リチャード「当然でしょう」

ローガン「ならば単刀直入に問おう。なぜ魔法騎士団を辞めてこちらへ?」

リチャード「家督を継ごうと思ったからですね」

ローガン「そうか」

リチャード「ではこちらからも質問です。スピリチュアルジェルは今どこにいますか?」

ローガン「……何のことだ?」

リチャード「とぼけても無駄です。あなた方のお仲間のスライムはこちらが確保しています。皆まで言わずともわかりますね?」

ローガン「……」

リチャード「あの黒いスライムが大事であれば、素直に吐くことです。大事でないのなら答えずとも構いませんが」

ローガン「……」


↓1〜 先取2票
1.適当に誤魔化す
2.今夜ピラーへ連れて行くと約束する
3.急いでこの場から逃げる
4.その他(自由安価)
5.運命賽を使う

※ヒント:リチャードは頭脳魔法により、触れた相手の思考や記憶を読むことができます

ローガン「急用を思い出した!」ガタッ

リチャード「おっとそうは――」シュッ

ローガン「回答はまた後日! 会計はよろしく頼む!」ササッ タタッ

 タタタタッ

リチャード「……ここで彼を追えば、私も食い逃げの現行犯ですね。デンネル家当主がそのような無様な姿を衆目に晒すことは許されない……」

リチャード「………しかし問題はありません。あの黒いスライムがこちらの手中にある以上、彼らは私から逃げ続けるわけにはいかないはずです」

リチャード「フフフフ……帰ったらあのスライムちゃんにお仕置きしないとね」

 *

―オーデル軍警駐屯地
 訓練場

オーデル私兵たち「セイ! ハァッ!」
 槍「」シュッ! シュッ!


エバンス「ほお、これがオーデルシュタイン軍警の訓練場か!」

シモンズ「おうよ! なかなかなもんだろ? どうだ、お前さんも訓練してくか?」

エバンス「せっかくだしそうするか!」


 扉「」ガチャッ!

ローガン「失礼! はあ、はあ……」スタスタ

エバンス「ローガンの旦那! どうしたんだ、そんなに息を切らして」

ローガン「リチャード氏に捕まりそうになったゆえ、慌てて逃げてきたのだ」

エバンス「なんだって!?」

グラドス「逃げているローガン殿を見かけ、某がここまで誘導した。ここであれば、いかなデンネル家当主と言えど軽々に手出しできぬ」スタスタ

ローガン「すまぬ、恩に着る……!」

シモンズ「おお……こりゃあ作戦前から早速一悶着あったみてえだな!」ニヤリ

ローガン「フッ……私としたことが少々迂闊だったが、グラドス殿のお陰で助かった」

グラドス「気にせずとも良い。今宵、我らは共に肩を並べて戦う同志なのだから」

シモンズ「……そうだ! 共に戦う者同士、お互いの動きがわかんねえと連携も難しいだろ? つーわけで交えようぜ、一戦!」

エバンス「お、おお……? 俺は構わないが……」

グラドス「賛成だ。某もローガン殿とエバンス殿の実力を知っておきたい。そしてそれは貴殿らも同様ではないか?」

ローガン「……確かにそうだな。互いの動きを知っておけば、作戦時はより最適な動きをすることもできるだろう」

シモンズ「決まりだな! おいお前ら、試合場借りんぞ!」

オーデル私兵たち「ハッ!」ササッ


 試合場「」ババン!


↓1コンマ
01-30 敗北 剣技経験+1
31-55 敗北 剣技経験+1、魔法経験+1
56-75 勝利 剣技経験+2、魔法経験+1
76-90 勝利 剣技経験+2、魔法経験+2
91-00 会心 剣技経験+4、魔法経験+4

シモンズ「先手必勝!」シュバッ
 ハンマー「」ゴウッ!

エバンス「うおっ!」サッ

 ハンマー「」ドズウンッ!!

エバンス(あの重量を軽々と! 受けたら潰される、なら避けながら――)シュバッ

シモンズ「どうしたァ! 避けるだけじゃ戦いにならねえぞ!!」ブオンッ ブオンッ

エバンス「避けるだけじゃ――ねえよ!」シャッ
 魔銀の剣「」グオオッ

シモンズ「!!」

エバンス(あ、やべっ! 熱が入りすぎて止まらねえ!)

エバンス「うおあああ!!! す、すまね――」

 ガギイインッ!!

 魔銀の剣「」ギギッ…!

エバンス「!!?」

シモンズ「っと……ハハハッ、俺じゃなかったら大事故だぞ若造!!」

エバンス「け、剣が……通らなかった……!?」

シモンズ「ハンマーを振るうだけの脳筋かと思ったかァ!? 俺の体はなァ……岩石魔法で何よりも堅くて丈夫になってんだよ!!」

エバンス「岩石――魔法!!」

 *

ローガン「こちらからもいくぞ!」バッ
 鋼の剣「」シャッ

グラドス「むん!」バッ
 薙刀「」ガギンッ!

ローガン(薙刀……! リーチの差で近接戦はこちらが不利か――)バッ

グラドス「まだだ!」ババッ

 投げナイフ「」シャシャッ

ローガン(薙刀で切り結びながら投げナイフの投擲!? これは――)サササッ

 グラドスの四本腕「」バババッ

ローガン「四本腕の魔族、阿修羅!? 実在したのか!!」

グラドス「隠していたわけではない……が、これを見ると驚く者も多いのでな。普段は衆目に晒さぬよう気を付けているのだ。だが――」

 グラドスの四本腕「」ゴゴゴゴゴ…

グラドス「――戰場では、吠え滾るのだ……!! この四本の腕で敵対者を喰らい、八つ裂きにせよとな……!!!」ニタァ…!!

 *

シモンズ「はっはっはァ! 回避なんてしゃらくせェ! 全部受けた上で捻り潰してやらァ!!」
 ハンマー「」ドズゥンッ!!

エバンス「おわああ! じ、地響きで態勢が……!」グラグラ

シモンズ「これで終わりだァ!」バッ
 ハンマー「」グオオオオッ!!

エバンス(避けらんねえ――なら――!)コオオオオオ―

 魔銀の剣「」カッ

 ガギイイインッ!!

 ハンマー「」ギギギギギッ
 魔銀の剣「」ギギギギギギッ

シモンズ「なにィ!? 俺のハンマーを受けて折れない、だと……!?」ギギギ

エバンス「おう……!! 地属性には……地属性だ!!」ギギギ

 地属性が付与された魔銀の剣「」ゴゴゴゴ…!!

エバンス(練習中だったエンチャント……土壇場だが成功した!)

エバンス「くっ……うおおおおおおっ!!」ガッ

シモンズ「うおっ!」ヨロッ

エバンス「だああああッ!!」

 地の魔銀の剣「」グオオオオッ

シモンズ「ぐわあああああ!!」ドッギャァァァンッ!!

 *

グラドス「ぬんっ! せいっ!」
 薙刀「」シャッ! ギンッ!
 投げナイフ「」シャシャシャッ!

ローガン「くっ……! 四本の腕を駆使した薙刀と投げナイフによる巧みな戦術……! このままでは――」ギンギンッ

グラドス「獲った!!」
 薙刀「」シャアアアッ!!

ローガン「ぬおおおおお!!!!」

 ガギイイインッ!!!

グラドス「何ッ!?」

 浮遊する回転ノコギリ「」ギャギャギャギャ!!

ローガン「マーベル殿……技を借りるぞ!!」コオオオオ―

 飛翔する回転ノコギリ「」シュバッ

グラドス「これはまさか――トウゲン帝国の武術に伝わる絶技、気円ざ――」

ローガン「いや、これは――とあるエルフが編み出した科学と魔法の融合技、飛翔回転鋸だ!!」

 飛翔する回転ノコギリ「」ギュオオオオッ

グラドス「ぬううう!!」バッ

 投げナイフ「」シャシャッシャッ

 飛翔する回転ノコギリ「」ギャインギャインッ!!

 弾き飛ばされる投げナイフたち「」カーンッ

グラドス「ならば再び薙刀で叩き落とし――」バッ

ローガン「私もいるぞ!!」バッ
 鋼の回転ノコギリ「」ギュオオオオオッ!!!!

グラドス「ぬおおおおお!!!」

 飛翔する回転ノコギリ「」ギュオオオオオ!!!!

グラドス「ぐおわあああああ!!」ドッギャァァァァン!!

 ◇

シモンズ「だははははは! 負けたぜ!」

グラドス「うむ……! 貴殿らの実力、しかと身に受けさせて頂いた!」

エバンス「お、おお……思いっきりやっちまったけど、大丈夫か?」

シモンズ「おう! この俺をあそこまでのしちまうなんて大したもんだぜ、若造!」

ローガン「フッ……エバンスくんも良い経験が積めたようだな」

エバンス「ああ! シモンズの岩石魔法のお陰だ!」

シモンズ「何か知らんが掴めたなら何よりだぜ!」

グラドス「某も今回は勉強させて頂いた。まさかあのような絶技を操る者がいるとは、やはり戦の世界は面白い……!」

ローガン「う、うむ……。咄嗟の思い付きではあったが、我ながら上手くいったかもしれん」

グラドス「戰場での成長こそ、戦士の真髄よ。今宵も、互いに更なる高みを目指そうぞ……!」

 ☆ローガンとエバンスが剣技経験+2と魔法経験+1を得ました

 ◆

というわけであまり進んでいませんが本日はここまでとなります。本日は昨日からの私用が長引いてしまい、開始が遅くなってしまったようです。そして次回はついにイスファハーンピラー攻略編となります

リチャード氏の謀略を躱し、訓練場で一戦交えて交流と経験を積む男たちでした。オーデル陣営のグラドス氏とシモンズ氏は、実際多くの人から慕われる善の男たちのようです。しかしオーデルシュタイン陣営の全てが善と言えるかは今のところわかりません。あのシュヴィア・オーデルシュタインは気難しく冷徹な雰囲気を纏うオリハルスライムであり、人々から恐れられているようです。そしてオーデルシュタインには、闇の中を暗躍する影の諜報組織の噂もあります。気を付けるのが良いかもしれません

それでは本日もありがとうございました。明日は祝日なので、多分更新できるかと思います。よろしくお願いいたします

今回の戦いでエバンス氏とローガン氏は戦いの経験を積むことができました。この経験はきっと役に立つと思われます
リチャード氏は狡猾な人物であるため、不用意に接触した場合きけんがあぶないことになる可能性があります。接触する際は気を付けた方が良いかもしれません

ローガンがリチャードを知らなそうな振る舞いをしたのはブラフのようです。言葉の裏には何らかの思惑が隠れていることもあります。そしてお互いにお互いを知ってはいたようですが、直接話したのは恐らく今回が初めてなのでしょう
そしてリチャードが騎士団を辞めた理由についても、その言葉の全てが真実をつまびらかにしているとは限りません。家督を継ぐ為に辞めたというのは本当なのか? 本当であればなぜ急に家督を継ごうと思ったのか? その真相は未だ闇に包まれています

バイオレット家がどのような一族だったかは現時点で明らかになっていませんが、これまでに見聞きしてきた話を総合するとある程度以上の力を持っていたことは確かなようです。しかし現在その血筋に身を連ねる者はフラナ氏とフレメア氏しか確認されておらず、そしてその二人は仲が悪いようです。没落したのかもしれません

―夜
 イスファハーン・ピラー周辺

マリッサ「あなたたち、準備はできているかしら?」

シモンズ「おう! 俺たち陽動部隊は正面からカチコミして暴れりゃ良いんだろ?」

グラドス「腕が鳴るな。デンネルが用意した警備兵の実力、どれほどのものか」

シュヴィア「そしてその混乱に乗じて、僕たち暗殺部隊が電撃的に先行……同時に、人質の奪還を目指す隠密部隊も侵入だ」

妖精「隠密部隊ってのは私たちのことだね」

イリス「う、うん!」

ミスティ「ええ、わかっているわ……」

マリッサ「ちなみに私は暗殺部隊。シュヴィアと共にリチャードの首を獲りに行くわ」

エバンス「たった二人で大丈夫なのか?」

シュヴィア「舐めるな、人間。お前たちが束になっても、僕には傷一つ付けられない」

マリッサ「そういうこと。鉄壁のシュヴィアと万能の私がいれば何の問題もないわ。あのリチャードでも手も足も出ず無様に命乞いするしかなくなるでしょうね」

ローガン「心配は全くの無用ということか」

シュヴィア「そうだ。身の程を弁えろ」

エバンス「なんだと……?」

妖精「ちょ、エバンス!」パタパタ

シモンズ「だははは! 大将も若造も血の気が多くて結構だな!」

マリッサ「作戦前に何バチバチしてんのよこの馬鹿共!」

シュヴィア「フン……」

 *

―イスファハーン・ピラー 踏破率[0/10] 持久力[10/10]

 換気口「」パカッ

妖精「みんな、大丈夫?」パタパタ

イリス「おっとと……! うん、大丈夫!」スタッ

エバンス「よし、無事に侵入できたな」スタッ

ローガン「正面でグラドスたちが暴れている間に急ぐぞ」スタッ

ミスティ「ええ……急ぎましょう、クロシュを助けに……!」スタッ


↓1コンマ
01-10 踏破率+3、強敵
11-30 踏破率+3、敵襲
31-50 踏破率+3、精霊樹のゼリー(持久力+2、次回戦闘コンマ+10)
56-70 踏破率+3、カロリーブレッド(持久力+4)
71-90 踏破率+3、マキシマドリンクZ(本日戦闘コンマ+25)
91-00 踏破率+3、???

―イスファハーン・ピラー 踏破率[3/10] 持久力[9/10]

 警報『正面玄関より暴徒が侵入し暴れています。警備兵は直ちに鎮圧に向かってください』ウーウー

人間の警備兵「天下のデンネルに楯突く身の程知らずはどこのどいつだよ!」タッタッタッ

オークの警備兵「これで給料上がったりしねえかな!」タッタッタッ



ローガン「……行ったようだな」スッ

イリス「ひぃ……心臓が爆発するかと思いました……」ドキドキ

ミスティ「見つかったら黙らせれば良いのよ……」

エバンス「はは、ミスティちゃんは頼りになるよなあ」

妖精「まだ気は抜かないでね。ここは敵の本拠地の真っ只中なんだから――ん、あれは?」

 テーブルの上に置かれた焼き菓子のような食べ物「」ポン

ローガン「ここは……休憩室と書かれているな。となると、ここで働いている者たちのオヤツかもしれん」

イリス「あ、これアレですよ! 最近イスファハーンで流行ってるっていう総合栄養食のエナジーブレッド!」

エバンス「そういえば市場でも見かけたな。美味いのか?」

妖精「これはまだ手が付けられてない新品同然のものみたいだね。クロシュがいたら食べ始めちゃいそうだけど――」

ミスティ「せっかくだし頂いていきましょう。栄養補給よ」

イリス「えっ」

 サクッ モグモグ…

ミスティ「美味しいわ」モグモグ

エバンス「……よし、俺ももらうぜ!」

 サクッ モグモグ…

エバンス「これは確かに……美味い!」モグモグ

 サクッ モグモグ…

妖精「へえ……ほんとだ、けっこう美味しい」モグモグ

ローガン「なるほど……総合栄養食と言うから味気ないものかと思っていたが、これはなかなか……」モグモグ

イリス「あっ……サクサクほろほろでほんのり甘くて、本当に美味しい……! でも――」モグモグ

ミスティ「…………ノドが乾くわね……」

 ☆カロリーブレッドを食べたことにより持久力が4回復しました


↓1コンマ
01-10 踏破率+3、強敵
11-40 踏破率+3、敵襲
41-70 踏破率+3、精霊樹のゼリー(持久力+2、次回戦闘コンマ+10)
71-90 踏破率+3、マキシマドリンクZ(本日戦闘コンマ+25)
91-00 踏破率+3、???

―イスファハーン・ピラー 踏破率[6/10] 持久力[12/10]

 タッタッタッ

 警報『正面玄関より暴徒が侵入し暴れています。警備兵は直ちに鎮圧に向かってください』ウーウー

 警報『正面玄関より暴徒が侵入し暴れています。警備兵は直ちに鎮圧に向かってください』ウーウー

 警報『正面玄関より暴徒が侵入し暴れています。警備兵は直ちに鎮圧に向かってください』ウーウー


ミスティ「狂ったように同じフレーズを繰り返しているわ……。あれ、どういう技術なのかしら……」

イリス「えっと、音声を魔力の波に変換してどうのこうの……っていう魔導技術なんだって」

エバンス「すげえな魔導技術!」

ローガン「テンペスターにも引けをとらん技術だな。お互いにある程度の技術協力はしているのだろうが――」


 警報『正面玄関より暴徒が侵ピガーッ!!!』バチバチ


エバンス「なんだ!?」

ローガン「故障か……?」

妖精「……? な、なに……この気配は――」


 警報『ジジッ……シンニュウシャ、ハッケン……。ハイジョ……』バチバチ


イリス「……!? 何か来る、気を付けて!!」


 雷撃「」バチバチバチッ!!!


 ――戦闘開始 ???????――


↓1コンマ
01-05 痛恨 持久力-4
05-40 劣勢 持久力-2
41-90 優勢
91-00 会心

 雷撃「」バチバチバチ!

ローガン「ぐおおっ!」ビリビリ

エバンス「旦那は下がれ!! 鋼じゃ電撃と相性が悪すぎる!!」

イリス「あの警報機から電撃が放たれてるみたい! あれを破壊すれば――」カッ

 星弾「」バシュンッ!

  ガッ
 警報機「」ゴシャアッ

エバンス「やったか!?」

 剥き出しになった導線「」バチバチ…カッ!!
 雷撃「」バリバリバリッ!!!

イリス「きゃああ!!!」ビリビリ!!

ミスティ「イリス!!」

イリス「だ、大丈夫!」

妖精「警報機じゃない……! 敵はそこじゃなくて――その導線の向こうにいるんだ!!」

エバンス「なんだって!?」

ローガン「ぬう……! であれば――」

イリス「今は逃げるしかない!」


↓1コンマ
01-05 痛恨 持久力-4
05-40 劣勢 持久力-2
41-90 撤退成功
91-00 会心撤退

 タタタタタッ

 雷撃「」バチバチバチッ!!

妖精「うわっ!」ヒョイッ!

ミスティ「妖精、大丈夫!?」タタタッ

妖精「大丈夫! くそお、自然の雷ならそっくり跳ね返してやれるのに……!!」パタパタ

 雷撃「」バシュウンッ!!

 サッサッ タタタタタタッ――…

 *

イリス「はあ、はあ……や、止んだかな……?」

ミスティ「そうみたい……」

エバンス「なんとか撒けたみたいだな……。旦那、大丈夫か?」

ローガン「うむ……まだ少し体が痺れているが支障はない」

妖精「良かった。あいつにまた見つからないうちに、先を急ごう」


 ☆???????から逃げ切りました


↓1コンマ
01-40 踏破率+3、敵襲
41-70 踏破率+3、精霊樹のゼリー(持久力+2、次回戦闘コンマ+10)
71-90 踏破率+3、マキシマドリンクZ(本日戦闘コンマ+25)
91-00 踏破率+3、???

―イスファハーン・ピラー上層 踏破率[9/10] 持久力[11/10]

 展望デッキ「」

 夜景「」キラキラ


イリス「わあ……! これ、外の景色……!?」

ミスティ「綺麗ね……。この光の一つ一つが、街に灯った明かりなのかしら……」

ローガン「逃げているうちにかなり高いところまで登ってきたようだな」

エバンス「マリッサからの情報によると、この上層に監禁室があるらしい。クロシュちゃんはかなり近いぞ!」

妖精「クロシュ……無事でいてね……」

 *

 スタスタ

ローガン「む? これは――」

 自動販売機「」ピカピカ

イリス「あっ自動販売機!」

ミスティ「でも値段が書かれてないわ……」

エバンス「どういうことだ? とりあえず押してみるか」ピッ

 精霊樹のゼリー「」ガゴン!

イリス「ええっ!? お金を入れてないのに商品が出てきた!?」

ローガン「……なるほど。これはつまり、ここの従業員専用の無料自動販売機なのだろう」

ミスティ「無料、ですって……!?」

ローガン「ここはイスファハーンで最も高貴なデンネル家の所有する最大の塔だ。その従業員への福利厚生の一貫と見て良いだろう」

エバンス「お、おお……社員でもないのにそれを貰っちまうのはちょっと気が引けるが……」

妖精「不法侵入してる時点で今更でしょ。妖精用のは……流石にないか……」

ミスティ「じゃあ私もゼリーを頂くわ。一緒に食べましょ、妖精」

妖精「わ、ありがと!」

イリス「あはは……。そうだ、クロシュちゃんの分ももらってこう!」

ローガン「……うむ。先程駆け回って少し疲れたし、補給するのは賛成だ」

 ガゴン! ガゴン!

 モグモグ…

 ☆精霊樹のゼリーなどを食べて元気になりました
  持久力が2回復し、次回の戦闘コンマに+10の補正がかかります

 *

↓1コンマ
01-70 踏破
71-90 踏破、マキシマドリンクZ(本日戦闘コンマ+25)
91-00 踏破、???

―イスファハーン・ピラー上層 踏破率[10/10] 持久力[12/10]

 座敷牢の襖「」ドドン!

ミスティ「これは……!?」

ローガン「オノゴロ建築の、フスマか!」

イリス「な、なんでオノゴロのフスマが塔の上層に……!?」

エバンス「さあな。お偉いさんは自分の好きなもんを無節操に取り入れたがるもんさ。ここの主……リチャード・デンネルもそうなんじゃないのか?」


「ええ、その通り。リチャードおじさんはオノゴロ文化が好きなのだそうです」スタスタ


イリス「君は……オークション会場にいた、魔眼持ちの――!!」

エミリオ「ゲンズブール家当主、エミリオです。お見知りおきを。侵入者の皆さん」ペコリ

ローガン「……不法侵入者を前にしてその余裕は……魔眼を持つ者ゆえの自信か?」

エミリオ「さあ、どうでしょう? 例え魔眼がなくとも、下賤の者などにへつらうことはないと思いますけどね」

ミスティ「本当に下賤な心を持っているのはどちらかしら? 私たちの大事な仲間、返してもらうわよ」ジャキッ

エミリオ「いいのですか? 僕にそんな真似をして、あの黒いスライムがどうなっても――」

 襖「」カッ!!!!

エミリオ「なっ!? 襖が勝手に開かれて――」

 ◆

―少し前

妖精「……! クロシュの気配がする……!」

イリス「えっ! 本当!?」

妖精「うん! ちょっと先行していい?」

ミスティ「危険じゃない……?」

妖精「危険だけど、全員で行けば見つかって塞がれる。下手したらクロシュを人質に取られて厄介なことになるかも。だから私が先行して、クロシュを解放するよ」

ローガン「……わかった。だがくれぐれも無茶はしないように。君が傷付けば……最も苦しむのは、他ならぬクロシュくんだ」

妖精「わかってるって。大丈夫、単独で動けば見つからない自信はけっこうあるから」

エバンス「おう……じゃあ、頼むぜ!」

妖精「うん!」パタパタ

 *

 座敷牢の襖「」ドドン!

妖精(あからさまに怪しい襖がある……。クロシュの気配も向こうから感じる……)


魔導人形「」ジャキッ
魔導人形「」ジャキッ


妖精(案の定魔導人形が警備してる……。あの子たちの中にも私の同胞が使われてると思うとハラワタが煮えくり返るけれど……今はクロシュを優先するよ。ごめんね)

妖精(でも単独で先行してきたのは正解だったな。私一人なら奴らの目を掻い潜って――)パタパタ

 座敷牢の襖の隙間「」スルッ

妖精(くぐっちゃえるもんね。さて、襖の中は――)パタパタ


 座敷牢「」

 魔封の檻「」ガシャン

囚われスライムクロシュ「」デロロ…


妖精(クロシュ!!)パタパタ

囚われスライムクロシュ「……?」モニョ…?

妖精(助けに来たよ! 大丈夫、声は出さないで……。今出してあげるからね)

囚われスライムクロシュ「……!!」モニョ…モニョニョ…!!

妖精(無垢なる命を閉じ込める悪しき檻よ――錆び朽ちて風化しろ――!!)フォン―

 朽ち崩れる魔風の檻「」ボロボロ…ガシャ…

スライムクロシュ「〜〜!」モニョ! ピョンッ!

妖精「わっ!」モニョッ

スライムクロシュ「…♪」モニョモニョ スリスリ

妖精「遅くなっちゃってごめんね。さ、すぐにここから脱出しよ!」

 ◆

―現在

 襖「」カッ!!!!

スライムクロシュ「!」モニョ!

妖精「ふっふっふ……あの黒いスライムが何だって?」ニヤニヤ


エミリオ「馬鹿な……!」


イリス「クロシュちゃん!!」

ミスティ「妖精、クロシュ……! 良かった……」

エバンス「へへっ……元気みたいだな!」

ローガン「うむ……! あとはここから脱出するのみ――」


エミリオ「ふざけるな……! 傀儡共、来い!」

警備魔導人形たち「」ザザッ!!


イリス「うわわわっ! 魔導人形……!?」

ミスティ「……囲まれたわね」


エミリオ「そのスライムは僕が譲り受ける約束をしていたんだ。誰にも渡さない――」
 魔眼「」ギラッ!


エバンス「!? 左の瞳が、金から紫に――」

妖精「絶対に目を合わせないで! こいつの魔眼がどんな効果かはわかんないけど、目を合わせたらまずい!」


エミリオ「絶対に逃さないよ。僕を怒らせたこと、後悔させてやる」


 ――ボス戦闘開始 エミリオ・ゲンズブール――


 〈恐怖の魔眼〉発動! 対象の被痛恨率が上昇する!


↓1コンマ(精霊樹のゼリー+10)
01-25 痛恨
26-40 劣勢
41-90 優勢
91-00 会心

警備魔導人形たち「」シュババッ

エバンス「チッ!」ガギンッ

ローガン「数が多いな……! しかも動きも素早く洗練されている!」ガギンッ

イリス「とにかく押し止めないと!」カッ

 炎弾「」バギュンッ!

ミスティ「ここは……氷塊で一気に薙ぎ払う!」カッ

 氷塊「」ゴウンッ!!

警備魔導人形たち「」ドガッ バギャアンッ!!


 魔眼「」ギラッ

 燃え盛る集落『』メラメラ
 谷底へと落ちる馬車『』ガシャアン
 骨を折って動かなくなった自分の体『』

エバンス「あ、お、あ……!!?」ガクガク

ミスティ「エバンス!?」

 魔眼「」ギラッ

 荒らされた室内『』グシャア
 広がった血溜まり『』ドプ…
 原型を留めていない二つの死体『』グチャッ…

ローガン「……!!?!?」ガクガク

イリス「ローガンさん!!」


妖精「催眠解除!!」パァァァァ!

エバンス「ハッ!!」バッ

ローガン「ぬう!!」バッ


エミリオ「チッ……」


妖精「催眠解除が通じるタイプの魔眼で良かった! でも――」

エバンス「俺たちゃ目を合わせてねえぞ!?」

ローガン「まさか――」


イリス「――凝視するだけで効果を発揮する魔眼!?」


エミリオ「御名答。二流三流の出来損ないと一緒にしないで欲しいね、僕の魔眼を」
 魔眼「」ギラッ

 ガギンッ!!

エミリオ「チッ!」

メイド剣士クロシュ「……」ギギギギ

エミリオ「厄介な擬態能力だ……! じゃあまずはお前から――」

 氷塊「」ブオンッ! ドガッ!!

エミリオ「ぐうっ!」ヨロッ

ミスティ「視線を定めさせないように攻め続ければ良いんでしょ!?」

エバンス「わかりやすいな!」


↓1コンマ(精霊樹のゼリー+10)
01-25 痛恨
26-40 劣勢
41-90 優勢
91-00 会心

メイド剣士クロシュ「」クルッ ゲシッ!!

エミリオ「ぐあっ!」ドガッ! ゴロゴロ

メイド剣士クロシュ「もう、やめて……!! みんな――こんなこと、ほんとは……いやなはずだもん……!!」

エミリオ「は……? 勝手に僕を決めつけ――」

メイド剣士クロシュ「あなたじゃない……! 人形にされた……みんな……!!」

エミリオ「なに……!?」


魔導人形たち「……」ギギ

 魔導人形ブレード「」カラン
 魔導人形シューター「」カラン

魔導人形たち「……」シュウウン…


エミリオ「あ……!! 貴様ら、何を勝手に機能停止して――」


妖精「……魔導人形は、ただの魔導機械じゃない。その中枢には――」スッ

 精核「」コロン…

妖精「私たち妖精や精霊を材料にして造られた……この物体が使われてるんだよ」


エミリオ「なんだ、それは――」

 魔銀の剣「」シャッ

 鋼の剣「」ビッ

エミリオ「!」

ローガン「勝負あったな。御曹司」

エバンス「左右から突きつけられちゃ、流石の魔眼持ちもどうにもなんねえだろ?」

エミリオ「チッ……」


 ――戦闘終了――


妖精「……クロシュ、この子たちの精核……食べてあげてくれる?」

 デロデロ…ポン!

スライムクロシュ「〜」モニョ

 精核「」パクッ
 モニョモニョ モグモグ…


エミリオ「……それが、妖精や精霊を材料にしているのはわかりましたが……なぜその物質を食すんですか?」

妖精「クロシュなりの供養の仕方なんだよ。人間に理解してもらおうとは思わない」

エミリオ「……」

妖精「さて、あなたにはしばらく眠っていてもらおうかな。私たちが安全に脱出するために」

エミリオ「……? 眠らせる……?」

妖精「何、嫌なの? それくらい我慢して欲しいんだけど」

エミリオ「……いえ。こうなってしまえば、殺されるか人質にされるものだと思っていたので」

妖精「はあ!? ……いや、確かにそれもアリか……?」

イリス「ちょ、妖精さん! 相手は子供だよ!?」

妖精「わわ、冗談だよ! いやでも、ゲンズブール家の当主なんだし別に子供扱いする必要はなくない?」

ローガン「まあ無闇に禍根を残すこともあるまい。それにゲンズブールは御三家ではないにしろ、デンネルと関わりの深い家系だ。その当主に何かあれば、この都市の情勢にいらぬ混乱を招きかねん。不法侵入と器物破損で済むのならそれに越したことはないだろう、互いにな」

エミリオ「……窃盗もですよ。200億相当の」

 ゲシッ
エミリオ「いたっ!」

妖精「クロシュをモノ扱いするな。次言ったら二倍蹴るよ」

エミリオ「……」

妖精「大体、あのステラスライム……スピリチュアルジェルだって、あなたたちデンネルが自作自演でオークションに出品したんでしょ? それなら200億だって懐に戻って来てんでしょうが」

エミリオ「は? 自作自演? そんな姑息な真似するわけないでしょう」

妖精「え?」

エミリオ「何ですか、巷で流行ってるデンネル陰謀論ってやつですか? 妖精の小さな脳ミソじゃそんな下らない言説を退けることすらあいたっ!」ゲシッ

妖精「うるさい!! ローガン、こいつを黙らせて!」

ローガン「うむ……。では失礼」グッ

 ズンッ!

エミリオ「はうっ……」カクン


妖精「よし、じゃあさっさと脱出しよう!」

 *

―イスファハーンピラー 最上階ホール

リチャード「……来たか」


マリッサ「ええ。年貢の納め時よ、リチャード」スタスタ

シュヴィア「……」スタスタ


リチャード「まさかこんな強硬手段に出るとはね。流石の私もこんな愚かな選択は予想外だったよ」

マリッサ「初めに愚かな真似をしたのはあなたでしょう?」

シュヴィア「罪を精算する時だ。リチャード・デンネル」ザッ

リチャード「……初めに愚かな真似をした?」

マリッサ「とぼけないで。うちのスピリチュアルジェルを奪って、オークションで自作自演を仕掛けたのはわかってるのよ」

リチャード「……なるほど。君たちの頭の中では、あれは我々デンネルの自演ということになっているのですね」

マリッサ「自分だけが何もかもわかってますみたいな態度、心底不快よ」

リチャード「私はマガジン家の内通者を名乗る者から出品情報とあのスピリチュアルジェルの秘密を知らされたのですがね」

マリッサ「マガジン家の……内通者!?」

リチャード「ククク……どうやら当主のマリッサ氏は何もご存知でなかったようだ」

マリッサ「ま、待ちなさい……! その内通者ってのは――」

シュヴィア「マリッサ、熱くなりすぎだ。口八丁はリチャードの十八番。乗せられるな」

マリッサ「ハッ……危うく騙されるところだったわ。悪いわね、シュヴィア」

リチャード「おや、今回は騙す気などなかったのですが……これも日頃の行いかもしれませんね」

マリッサ「この期に及んで下らない口先を弄した罪、ここで裁いてあげる!!」
 一斉に展開されるマリッサの人形たち「」バババッ

リチャード「やれやれ……たまには運動も悪くありませんね」
 蛇腹剣「」ジャキン

シュヴィア「……」ザッ…

 ◇

 雷撃「」バチバチバチッ!!

 チュドーンッ!! ズギャアアアアンッ!!!

 マリッサの人形たち「」シュバババッ

リチャード「ぬう……!」ザッ

マリッサ「戦いは数と速さ……。個人の頭がどれだけ良くなったところで、圧倒的な物量の前に打つ手はない」スッ

 雷の残像「」パリッ

マリッサ「雷速移動!」

シュヴィア「させん」バッ

 ガギイインッ!!

リチャード「!」ギギギ

シュヴィア「僕たちオリハルスライムの速さを侮らないことだ」ギギギ

マリッサ「シュヴィアめ余計な真似を……。雷速移動くらい私一人でも対処できたわ」

シュヴィア「そうか」

 光の残像「」パヒュンッ

マリッサ「私の魔法は光をも統べる。雷速は所詮、亜光速……。真なる光速である私には、決して追いつけない!」ババッ

リチャード「シュヴィアくんに守ってもらいながら吠えますねえ!」

マリッサ「黙りなさい!!」

 カッ!!
 光線「」ドギュウウン!!

リチャード「ぐわああっ!!!」ドガッ!

マリッサ「あなた、オノゴロ文化が好きなんでしょう? 辞世の句とかあるなら聞いてやってもいいわよ」スタスタ

リチャード「げほっげほっ……やはり2対1は厳しいですね……」

マリッサ「私が強すぎるのよ。シュヴィアはオマケでしょう」

リチャード「ハハ……〝内通者〟にマガジン家が滅茶苦茶にされるところを観覧できないのが残念です」

マリッサ「それが辞世の句? 最期の最期まで懲りない男ね……もういいわ、終わらせてあげる――」スッ

 収束する光「」キュオオオン――

リチャード(はあ……内通者を名乗る者が現れたのは事実だったのですが……。まさか、この展開もその〝内通者〟の描いたシナリオ通りなのでしょうか? だとすれば人生最大の失態でしたね……。まんまと嵌められてしまったというわけですか)

リチャード(まあ今更悔いても仕方のないことです。後はエミリオくんが上手くやってくれると良いのですが――)

 カッ!!!!
 バチバチバチバチッ!!!

 *

―夜明け前
 イスファハーン・ピラー周辺

マリッサ「うっ……こ、ここは……?」

シュヴィア「ようやく起きたか」

マリッサ「……あれ? さっきまでリチャードを追い詰めていたはずよね? なんで私……」

シュヴィア「あの時、僕たちは正体不明の雷撃に襲われた。恐らくはリチャードが仕掛けていた罠か何かが起動したのだろう」

マリッサ「な、何ですって!? それじゃあリチャードは!?」

シュヴィア「わからない。あの雷撃の迸る空間では、僕でもお前を抱えて逃げるのが限界だった」

マリッサ「……」

シュヴィア「ああ、それともう一つ……」

マリッサ「何よ」

シュヴィア「あの旅の一行は、スピリチュアルジェルを見つけられなかったようだ。仲間だけ見つけて帰っていった」

マリッサ「…………」

―明け方
 シルバーコイン

妖精「みんな疲れてると思うけど、荷物を回収したらすぐにここを出るよ。一刻も早くこの街から離れないと」

クロシュ「ほえ……?」

イリス「あー……ほら、私たちこの街の偉い人たちに喧嘩を売っちゃったわけでしょ? だから、ちょっと居づらくなっちゃったというか……」

クロシュ「あっ……ごめんなさい……」シュン

イリス「違うよ、クロシュちゃんは何も悪くないの。実際、悪いのはあんなことをしてたこの街の御三家なんだもの」

ミスティ「そうよ……。でもクロシュが助けた、あの銀色のスライムの子は無事よ。だから安心して」

クロシュ「わあ……」

妖精「ふふ、クロシュが助けた子だもんね。この部屋で待っててくれてる――」


 扉「」ガチャッ―

 誰もいない客室「」 

 開け放たれた窓「」ヒュオオオオ――…


妖精「えっ……」

クロシュ「……!」

ミスティ「……嘘でしょ」

イリス「あのステラスライムの子が……消えた!?」

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は次スレからとなります

クロシュの救出に成功し、意気揚々と宿に帰還したクロシュ一行。しかしそこには、待っているはずの白銀スライムの姿がなかった――。そして事態は新たな局面へ。大いなる野望の裏に秘められし哀しみを、クロシュは打ち砕けるか――

ステラスライムことスピリチュアルジェルはとても珍しいスライムのようです。非常に硬度が高くて逃げ足が速いらしく、その生態はオリハルスライムによく似ています。オリハルスライムの体色は希少金属オリハルコンと同様の燃えるような黄銅色のため、美しい白銀色のスピリチュアルジェルと見間違える心配はありません
スピリチュアルジェルにもオリハルスライムにも、「討伐した者に莫大な力をもたらす」という謎の迷信が共通してあるようです。ステライトとオリハルコンはどちらも極めて希少な上に高い堅牢性と優れた魔術的特性を持っているため、それを得ることこそが即ち力がもたらされることだという解釈に繋がったのかもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回はまた来週の土日となります、よろしくお願いいたします



なおこのスレでの更新はこれにて終わりなので、続きは次スレからとなります。このスレの余りは質問や感想などご自由にお使いください

また運命賽の使い方について、もし致命的な場面以外でも使いたいなどあればご意見をお願いいたします。特に何もなければ、今後も従来通り致命的な場面および選択肢のカンペとしての使用ができる状態が維持されます

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