【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 (999)

◇インフォメーション◇

・概要
 タイトルの通り、魔法の存在するファンタジー世界で生きるスレのPart2です。
 主人公がどのような道を歩むかは安価とコンマ次第です。

・世界観
 ファンタジーです。文明レベルは国や地域によって様々ですが、現存文明のほとんどは魔翌力や魔法を主軸としたものです。
 なお話の都合により設定が一部変更されたり新しく生えたりする可能性はあります。ご了承ください。

・安価について
 安価の連取りは原則禁止です。また内容によっては再安価する場合があります。コンマの連取りは可です。
 なおシステムやルールは途中で変更する可能性があります。ご了承ください。

・注意
 更新頻度と筆は遅めです。そして見切り発車です。展開にガバがあります。
 また、物語の展開や安価コンマの結果によっては、最悪の場合キャラクターが死んだり消えたり闇堕ちしたりすることがあります。
 苦手な方はお気を付けください。


◇用語◇

〈魔法〉
 この世界で生きるための必需技術。
 ほとんどの国や地域に広く普及しており、人々の生活を支えている。

〈魔翌力〉
 習得した魔法を行使するためのリソース。
 この世界のほとんどの生命は生まれながらにこれを保有・生産・出力する能力を持つ。
 魔翌力の保有量・生産量・瞬間出力量は生まれつきの才能によって決まるが、多少は訓練などで伸ばすこともできる。
 魔翌力は一晩熟睡する程度の休息で概ね全回復する。ポーションなどの薬物で即時に回復させることもできる。
 魔翌力を全て失った生命体は死亡する。ただし普通の人間はある程度まで魔翌力が欠乏すると意識を失うため、日常生活において魔翌力枯渇死を心配する必要はない。

〈魔法の属性〉
 大抵の魔法は、火や水などと言った特定の属性を有する。
 属性を持たない魔法は無属性として扱われる。
 属性間に有利不利はほとんどないが、光と闇のように相克し合う関係はいくつかある。
 既存の属性に当てはまらない新属性が発見されることもある。

〈得意属性〉
 ほとんどの生命体は、得意とする魔法の属性を一種類持つ。
 得意属性の魔法は習得コストが低く、行使における燃費が良く、発動する効果・威力も高い。
 そのため、基本的には得意属性の魔法を中心に習得していくのが普通である。
 研究の進んでいない希少属性やユニーク属性の持ち主は独学にならざるを得ない。

 その他質問等あればいつでもお気軽にどうぞ。

前スレ
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1704196175/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1713091115

◇登場人物:パーティメンバー◇

【名前】クロシュ
【種族】シャドースライム
【性別】女
【年齢】3
【容姿】羊羹くらいの透明度の粘体に真紅の核。容姿は自由自在だが普段はフメイと同様の黒髪赤目セミロングヘアーロリの姿を取る
【性格】臆病でコミュ能力に難あり。恩は忘れない
【魔法】反映魔法。自分の見え方と質感を知ってるものに変換可能
【備考】親友のフメイと共に、人と魔が助け合って暮らす小さな集落でひっそりと暮らしていたスライムの少女
集落を失ってからは、失踪したフメイを探すために旅を続けている
【技能】
◯お絵かき上手
◯擬態(外見のみ。属性や能力は変化しない)
◯同化(道具や物質の属性や能力を一時的に身に付けることができる)
◯分裂(覚醒時のみ。普段は使えない)
◯再現(覚醒時のみ。普段は使えない)


【名前】妖精
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】秘密
【容姿】
【性格】口は悪いが面倒見は良い
【魔法】自然魔法。そこにある自然の力を借りることができる。また、妖精類独自の魔法にも精通する
【備考】クロシュと共に旅をしている妖精。人間嫌いだが、人間以外も割と嫌っている
他の多くの妖精類と同様、固有の名を持たない
生命の在り方を悲観して苦しみのない世界を望んでいるが、それが叶うことのない望みだということもわかっている。それでも望まずにはいられず、諦めて朽ちることもできない
かつて緑の国フォレスティナを興した建国の太母という妖精と同一人物だったことが判明した


【名前】イリス・プラネット
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】17
【容姿】髪は少し橙が入った赤のポニーテール
身長は女性の平均くらい、やや童顔気味だけどスタイルは良い美少女
旅に適した魔術師のローブを着て、魔術師用の杖を持っている
【性格】明るく元気いっぱい、前向き
基本的に温厚で礼儀正しいが、やや負けず嫌いなところも
善人だが理知的でもあり、考えなしに人助けに走るわけじゃない。けど周りの人に危機が迫ったときはやっぱり体が勝手に動いちゃうときもある
【魔法】属性:星。自分たちが住むこの星の根源の魔力にアクセスする
この星の様々な自然の力を扱うため、火、水、土、風、光など、一見多数の属性の魔法を使うように見える
現在は自身の属性を把握できてているものの、使いこなせていない
【備考】お師匠様のような立派な魔法使い目指して修行の旅の途中
その中で自分の謎な魔法属性も把握できればと思っている
既に魔法使いとしての腕前はかなりのものだが、お師匠様にはまだ届かないと思っており、邁進中
旅の日記をつけているが、その中でその地域の料理や料理法も書き留めている
彼女自身料理するのも食べるのも好きで、かなり料理上手
元々知的好奇心が強く、結構な知識通
女性の一人旅なので、魔法の他に護身術、杖での格闘術も使えるが、一流の戦士にはさすがに魔法抜きの近接戦は分が悪い
いろんな人とすぐ打ち解けちゃう良く分からない魅力がある
現在は魔法の修行をしつつクロシュたちと行動を共にしている


【名前】ミスティ・クローバー
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】16
【容姿】黒を基調とした衣服に身を包んだ、儚い雰囲気の女性。長い黒髪で痩せ気味
【性格】根は心優しいがやや悲観的で冷めている
【魔法】氷
【備考】故郷を襲撃されて天涯孤独の身になって以来、自分にとっての安息の地を求めて旅をしている。動物が好き
現在のパーティに居心地の良さを感じているものの、故郷を滅ぼした仇敵と思わしき者との再遭遇により、復讐と安息の狭間で揺れている


【名前】ローガン
【種族】人間
【性別】男
【年齢】37
【容姿】ボサボサの金髪で無精髭を生やした長身の男性。身なりを整えればなかなかのイケオジ
【性格】元は真面目で正義感の強い性格だったが、今は後述の事件がきっかけで自暴自棄ぎみになっている
【魔法】鋼魔法。魔翌力を使って鋼の武器や防具を作り出したり、その他様々な攻撃が出来る
【備考】かつて、とある魔法騎士団に所属していた男で当時はそれなりに名の知れた存在だった
しかし妻と息子が魔物に襲われて命を落とし、騎士でありながら大切な者たちを守れなかった自分に絶望
その後は騎士を辞めて、まるで死に場所を探すかのように放浪の旅を始める
革命前の魔族自治区にてクロシュらと出会い、どうせ死ぬなら今度こそ誰かを守って死んでやろうとの思いでパーティに加入した

◇登場人物:集落の生き残り◇

【名前】フメイ
【種族】人間?
【性別】女?
【年齢】10歳前後?
【容姿】背が低く、肩までの長さの黒髪の子供。燃えるような赤い瞳を持つ
【性格】物静かで感情を表に出さない
【魔法】炎属性の魔法が得意。魔法を使う時には髪が赤くなる
【備考】親友のクロシュと共に、人と魔が助け合って暮らす小さな集落でひっそりと暮らしていた少女
自分やクロシュのような者たちが平穏に暮らせる世界を作るために、アリシラと共に世界樹の光を追っている


【名前】アリシラ
【種族】人間(半死人?)
【性別】女性
【年齢】15
【容姿】薄茶色の髪をした青白い肌の小柄な少女
【性格】気弱で臆病で周りの人物を気にして常にビクビクオドオドしている
【魔法】吸収魔法(無属性)周囲の生命から魔力を(強制的に)吸収する 自身の魔力に変えて別の魔法として利用することもでき、各属性の魔法の勉強をすれば全属性の魔法を使うことも可能だが加工した分燃費や効果・威力が通常より劣ってしまい、使用した分の魔力はその分周囲から無差別に吸収してしまう
【備考】生まれた時は死産だったが両親の魔力を吸収して蘇生したが、自身の魔法で無理やり生き残った反動なのか常に魔力が少しずつ消耗し、それを補うように自動的に周囲の生物の魔力を少しずつ吸収しながら生きていく必要があった
普段であれば怪我や病気、魔法の使用等で無駄に体力や魔力を消費しなければ日常生活に支障がない程度の吸収量だったため、周囲に気を遣いながら割と平穏に暮らしていた
しかし襲撃者によって殺されかけた時に吸収魔法が暴走し、襲撃者や同じく殺されかけていた両親の魔力を限界まで吸収し殺害。罪悪感を抱えたまま生き残ってしまった
現在は人が変わったような強気な性格になっており、何らかの意志を持ってフメイと共に世界樹の光を追っている

◇登場人物:魔族国◇

【名前】フラナ=バイオレット
【種族】吸血鬼
【性別】女
【年齢】439歳
【容姿】金髪ロングの幼女
【性格】ややわがままだが知識・経験は豊富
【魔法】血を操る魔法が得意だが闇魔法も使える
【備考】日の光はある程度平気なのでよく外に出て魔法薬の材料を探している
現在の魔族国の実質的な統治者だが、本人は早く後任を見つけて魔法や薬の研究に没頭したいと考えている


【名前】マリー・セイントレア
【性別】女
【年齢】24
【容姿】金髪ショート、スレンダー体型
【性格】真面目
【魔法】身体強化魔法が得意な他、雷魔法も使える
【備考】現セイントレア王の子息。王族内での地位は高くない
王国騎士団魔族自治区駐屯地の部隊長だったが、現在は魔族国の捕虜となっている
内心は皆仲良くできればな・・・と願っているがなかなかうまく行かない


【名前】聖女
【性別】女
【年齢】19
【容姿】亜麻色の髪を背中の辺りまで伸ばした、柔らかい雰囲気の女性。普段は修道服に身を包んでいる
【性格】博愛の心を持つ
【魔法】ロイエ教の神聖魔法を修めているが、得意属性は異なるため習熟度は低い
【備考】ロイエ魔族国教会に務める年若いシスター
誓願を立てた時に彼女の名は神へ捧げられたため、個人名を喪失しており、魔族国の者たちからは様々な意図を込めて〝聖女〟と呼ばれてしまっている
普段は炊き出しや子供の遊び相手を務める他、教育を受けられていない子供たちに読み書きを教える等、様々な奉仕活動を献身的に行っている

なお現在のロイエ教において名を神に捧げる習わしを堅持している派閥は多くなく、穏健派を初めとした多くの派閥ではその習わしは時代にそぐわないとして撤廃する方針が主流となっている

◇登場人物:緑の国フォレスティナ◇

【名前】ティセリア
【種族】エルフ
【性別】女性
【年齢】約1500才
【容姿】外見では二十歳前後。緑髪のポニーテール、スタイル抜群の爽やかな雰囲気の美少女
【性格】明るく快活ながらも、慈愛と威厳も併せ持った女性
【魔法】精霊との親和性が非常に高い。様々な属性の精霊の力を借り、千年以上の研鑽を積んだ武術に上乗せする
【備考】
他種族との平和な暮らしを望む、冷静で大局的な判断もできる首長
多忙ではあるが、他の国の文化も興味を持って知ろうとしている
お菓子作りが得意で身近な人におすそ分けしたりしている
彼女の魔翌力が籠もったお菓子は食べると心身ともに元気になる
精霊や子供に懐かれやすいが、懐かれやすすぎてちょくちょくじゃれつかれまくってあわあわ言ってる
現在は鎖国したフォレスティナにて、世界樹の光を追って旅立った妖精の代わりに政務を執っている


【名前】サリー(紫髪のエルフ幼女)
【種族】エルフ
【性別】女
【年齢】約1000歳
【容姿】見た目は紫ショートの幼女
【性格】冷静沈着だが時折腹黒な一面も
【魔法】基本地属性魔法が得意だが、幻術も使える。
【備考】ティセリアの補佐を務めるエルフの少女。
毎日業務に追われるもそれが使命だとして日々励んでいる。その経験からか人の心を見透かすこともできる。
現在は首長代理であるティセリアの補佐を務めつつ、鎖国によってダメージを受けた産業の根を絶やさぬよう尽力している


【名前】マーベル・クライス
【種族】エルフ
【性別】男
【年齢】約600歳
【容姿】フォレスティナの伝統衣装の上に今国際的に流行りのブランドマントを着けている。笑顔が特徴的な薄金髪のお兄さん。
【性格】脱田舎思考のシティボーイ。新しい物好き。気さくな時とシリアスの時のギャップがある。
【魔法】金属を生み出し操る
【備考】世界を渡り歩いた国際通として革新派から出馬。人当たりがよく選挙活動の一環で街に出没して色んな人に握手を求める。
森しかない祖国に多少のコンテンツを増やす目的で一部森林の開拓を主張する。レジャーやスポーツ、その他娯楽施設を開業することで国民の幸福度は上がるわ、業者から裏金が入ってくるわとWin-Win。彼の事務所には王国やその他の外国の者たちが出入りしてるが、いったい何なのだろうね。
祖国は歴史的に伝統派が強く、そのため進歩が止まっている事実に悲観し、森>進歩の現状を変えようと心から思っている。それはそれとして汚職はする。
現在はフォレスティナの地盤や星脈の状態調査や、鎖国が解かれた時の為の再開発計画作りに勤しんでいる。

【名前】森妖精の子
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】7歳
【容姿】深い緑色の髪をサイドテールにした、妖精の幼子
【性格】気弱で泣き虫。命を愛する心を持つ
【魔法】癒やしの魔法。特に植物へ施すのが得意だが、毒や呪いを浄化するほどの技量はまだない
【備考】とても幼い森妖精の子。自身の住処であるおうちの木の中で生まれ、おうちの木に守られながら育った
おうちの木を救ってくれた復権派に深く感謝しており、特に依頼を受諾してくれたミスティを慕っている
本心ではミスティに緑の国にいて欲しいと願っていたが、旅人であるミスティを縛り付けてはいけないという思いもあり、口には出せなかった

◇登場人物:その他◇

【名前】メルル・マインドストーン
【種族】魔族と人間のハーフ
【性別】女
【年齢】14歳
【容姿】見た目はほぼ人間の女の子だが、額に第3の目があり、帽子で隠している。緑髪のセミショートへア。体格は年相応
【性格】好奇心旺盛だが、夢中になると回りが見えなくなる。
【魔法】地属性が得意だが、周囲の景色に溶け込める迷彩魔法も使用できる。
【備考】世界のあらゆるものを見たいとあてのない旅をしている
クロシュ一行とは少々の縁があり、時折行動を共にすることがある


【名前】サイン
【種族】人間
【性別】男
【年齢】享年22
【容姿】金髪碧眼。襟足長め。全体的に華奢で小柄。
【性格】何事にも揺れない(様に見えた)、冷静沈着で口数が極端に少ない
【魔法】光魔法。出力がおかしい。地形に影響があるくらいは朝飯前
【備考】故人。勇者と称された人物
魔族自治区が成立したあたりで突然血を吐いて斃れた。王国は彼の死を隠蔽している


【名前】セイン
【種族】人間?
【性別】男?
【年齢】10代前半程度?
【容姿】金髪碧眼。襟足短め。外見年齢相応に小柄。
【性格】冷静沈着で口数が少ない
【魔法】光魔法。出力がおかしい。地形に影響があるくらいは朝飯前
【備考】勇者サインに似た容姿の少年。勇者サイン同様、強力な光魔法を操る
王国の尖兵だったり、緑の国の革新派の護衛だったり、ロイエ教原理派幹部の仕事仲間だったりするが、彼の正体や目的は未だ闇に包まれている


【名前】レイン・フォール
【種族】エルダーサキュバス
【性別】女
【年齢】120
【容姿】金髪オッドアイで黄色いパーティードレスを着たナイスバディ美人。泣きぼくろがチャームポイント。
【性格】気が強く孤高の寂しがり屋
【魔法】心理支配が最も得意で催眠や読心などを行える。
攻撃系統だと闇魔法も得意。触れたら消滅する強力な闇の塊を生み出し操るが、心理魔法ほど練度は高くない
【備考】かつて勇者サインと恋に落ちたサキュバス。勇者に一目惚れしてつきまとうようになり、いつしか勇者も受け入れてくれた。何故魔物である自分を受け入れたのか、そんな勇者の心は魔法をもってしても最期まで見透かすことができなかった。今はもう愛した勇者はいない。たった一人になった彼女は、勇者に誘惑催眠をかけたサキュバスと人類社会から烈火の如く憎まれ、勇者と仲良くしている裏切り者と魔物社会からも侮蔑の限りを尽くされていた。それらに抵抗するうちにいつの間にか国際指名手配の極悪人。賞金稼ぎに狙われ、傷つけられ、既に心は世界への復讐心にとりつかれていた。そのため、今では自分を迫害してきた社会に対して、悲しみと怒りをぶつける手段としてテロに興じる。
彼女はただの一度だって勇者に催眠をかけたことはない。あの時感じた純粋な恋心を魔法なんかで汚したくはなかった。


【名前】ブラッド(冒険者ギルド命名)
【種族】スライム類の一種と推測される
【性別】♀
【年齢】不明
【容姿】血のように赤いスライム。人間に擬態する時は、真紅の髪を足元の辺りまで無造作に伸ばした幼子の姿を取る
【性格】わがまま。感情の起伏が激しく、気に入らないことがあるとすぐに癇癪を起こす
【魔法】詳細は不明だが、通常のスライムとは一線を画す卓越した擬態能力と同化能力を有する
【備考】幼い外見とは裏腹に異常な力を有しており、何人もの冒険者を血の海に沈めている
単純な戦闘能力も高いが、擬態能力を活かして不意打ちや騙し討ちをする等の狡猾さもあり、危険
過去に起きた災害級の事件に関与している疑いがあり、冒険者ギルドは調査を進めている

というわけで新スレです。亀更新ではございますが、新スレでもよろしくお願いいたします

>>前スレ995
この世界ではスリーサイズを計測する文化が浸透していないため厳密な数値はわかりませんが、目視による簡易的な概算であれば算出可能です

>>前スレ996
過去作について、見た感じの毛色はかなり違うように感じられるかもしれませんが、もしよろしければ楽しんでいただければ幸いです

>>前スレ997
あのシーンで男性キャラクターが選出された場合、場面が男湯に移ってローガン氏が絡まれたりすることになったかもしれません

>>前スレ998
フメイ&アリシラ組とセインくんについては、あのコンマ表にあったように、確率は低いですが一時的に道連れになってくれる可能性はあります
正式な仲間化については、現時点ではよほどの奇跡でも起きない限りは発生しないと思われますが、今後の展開次第で状況が変わる可能性はあります

>>前スレ999
メルル氏は以前旅の途中で出会った縁もあり、今回の再会で親交がそこそこ深まりました。彼女は自由人なので、今後の旅の途中でまた再会することもあるかもしれません

>>前スレ1000
空を飛ぶ魔法もいくつか存在していますが、どれも習得が難しい高度なものであり、かつ複数人をまとめて飛ばすとなるとさらに難易度が跳ね上がるため、あまり現実的ではありません
現在登場している人物の中では、妖精、フメイ、フラナ、ティセリア、セインは単独飛行が可能です


簡易的なものではありますが、登場済みの女性キャラクターの身体的特徴をまとめておきます。目視による概算のため、間違っている可能性もあります。ご了承ください

        身長    B    W    H
◯クロシュ   可変   可変   可変   可変
◯妖精     極小   平坦    並    小
◯イリス     並    並  やや細    並
◯ミスティ  やや高  やや平    細    小
◯フメイ     低   平坦    並    小
◯アリシラ  やや低  やや平    細    小
◯フラナ     低   平坦  やや細  やや小
◯マリー     並  やや平  やや細  やや小
◯聖女      並    大    並    大
◯ティセリア   並  やや大  やや細  やや大
◯サリー     低  やや平    細  やや小
◯森妖精の子  極小   平坦    並  やや小
◯メルル   やや低  やや平    並  やや小
◯レイン   やや高   特大  やや細   特大
◯ブラッド   可変   可変   可変   可変
◯僧侶      並  やや大  やや細    並

―港湾都市ウォーターポート 滞在2日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:旅人の服
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽×2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す

◯仲間の目標
・???(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
隣接地:機械工業都市テンペスター
……………………………………………………………………………………


―冒険者ギルド ウォーターポート支部

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「情報収集と言ったらまずは冒険者ギルドだよね」

妖精「流石に賑わってるなあ……クロシュの中に隠れてようかな」スス

クロシュ「ん……」

ローガン「うむ。海賊や船についての情報を得たいところだ」

ミスティ「……せっかくなら、仲間も欲しいわね」

イリス「えっ、仲間も!?」

ミスティ「ええ……。この前の……ブラッドとの戦いで痛感したでしょう……。私たちだけでは……ああいう奴らには太刀打ちできないわ……。それに……」

イリス「……それに?」

ミスティ「…………なんでもないわ……」

妖精「……」

ローガン「……」

クロシュ「……?」

 *

受付嬢「いらっしゃいませ! 当ギルドのご利用は初めてですよね?」

イリス「はい! これ、冒険者証です!」

受付嬢「はい、確認しました!」

イリス「えっと、それでですね……海賊についてお聞きしたいんですけれど、良いですか?」

受付嬢「この近海で船を襲って回っているという例の海賊ですね。討伐依頼も出ていますが……今のところ、まだ討伐報告は挙がってきておりません」

イリス「あ、でもそれなら既に討伐に動いてる冒険者もいるってことですか?」

受付嬢「はい。しかし海賊の尻尾も未だ掴めず、討伐に向かおうにも居所がわからないのでどうしようもないのです。海賊をおびき寄せて討ち取ろうと海に出たパーティもいたのですが……」

ミスティ「……失敗したのね」

受付嬢「はい……。海上戦は海賊の独壇場です。陸地では一騎当千の実力を持つ冒険者でも、海の上では力を発揮できずにやられてしまうのです」

ローガン「ぬう……。やはり強行突破は難しいか……。一応、依頼書を見せていただいても?」

受付嬢「はい、こちらになります」スッ

 依頼書「港湾都市を脅かす海賊の捕縛または討伐 報酬:極高」

イリス「わあ……すっごく美味しい報酬額だけど……ランク3以上だ! 私じゃ受けられない……!」

ミスティ「もし受けるなら私かローガンさんが受ければ良いわ……」

受付嬢「もしこの依頼を受けて頂けるのであれば、有料とはなりますがギルドの方で討伐用の船の手配をすることも可能です。ただしその場合、詳細な討伐計画の提出は必須となります。こちらとしても、迂闊な自殺志願者を送り出したいわけではありませんから」

ローガン「うむ、当然の措置だな……」

イリス「ど、どうします? 受けてみます?」

ローガン「いや……慌てて受ける必要はないだろう。元より、我々の目的は海賊の討伐ではなくトコナツ島へ行くことだ。難しい道を選択をする必要はなかろう」

ミスティ「……私も同じ意見よ。もし討伐するにしても、何の策も用意していない今これを受けても仕方ないわ……」

受付嬢「はい。先ほども言いましたが、策のない方々に船はお貸しできませんので、もし受ける場合はしっかり討伐計画を練っていただきたく思います」

イリス「そうですね……。わかりました、いろいろ教えてくれてありがとうございます!」

受付嬢「いえいえ、こちらこそご利用ありがとうございます。海賊について何かわかったことがありましたら、是非こちらにも情報提供していただけると助かります!」

 ◇

―冒険者ギルド 酒場

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「やっぱりギルドの方でも困ってるんだね……」

ローガン「そのようだな……。未だ尻尾すら掴めていないとなると、検挙にはかなりの時間がかかるかもしれん……」

妖精「はあ、海上戦に慣れた傭兵か何かでもいないものかなあ……」

ミスティ「……パーティメンバー募集掲示板でも見てみましょうか……」

イリス「そだね。もしかしたら海上戦に慣れた傭兵がいたりするかもしれないし……!」

ローガン「そんなに都合の良い人材が簡単に見つかるだろうか……」

妖精「最低でも妖精とスライムに忌避感を抱かないやつが良いなあ」

クロシュ「うん……」


↓1海賊対策の傭兵探し
01-50 いなかった
51-65 黒髪の無愛想な青年
66-80 赤髪ロングポニテ冒険者女性
81-95 ボサボサ黒髪の若い傭兵
96-98 フメイ&アリシラ
99-00 セイン

↓2仲間(セインくん以外の男)探し
01-05 イケメン狐獣人
06-55 いなかった
56-75 黒髪の無愛想な青年
76-95 ボサボサ黒髪の若い傭兵
96-00 イケメン金髪エルフ

 募集掲示板「」

ローガン「……やはりそんなに都合の良い人材はいないな」

イリス「そりゃそっかぁ……」

ミスティ「……」

妖精「まあ仕方ない。一旦宿に戻って対策を考えようよ」

イリス「そうだね――」

 ガタンッ!!
 ザワザワ…

クロシュ「!?」ビクッ

妖精「何の音? 全く、クロシュがびっくりしちゃったじゃん……迷惑だなあ」

イリス「あれは――」


黒髪の若い男「うぃ〜……ひっく……。くそったれめ……」

給仕の女性「ちょっとエバンス、また昼間っから飲んでるの?」

黒髪の若い男「うるせえ……お前に俺の気持ちがわかんのかよぉ……ひっく……」

給仕の女性「……そりゃ、傭兵団を降ろされてここに置いてかれたのは気の毒だけど……。仕方ないじゃない、だって馬車が崖から転落して大怪我してたんでしょ?」

黒髪の若い男「そうだよ……!! ちくしょう……俺は馬を失い、馬車を失い、あの集落も救えず……何も成せないまま、ここに置いてかれちまったんだ……!! ちくしょお、ちくしょおお……!!」グビグビ

給仕の女性「エバンス……! もうやめときなよ!」

黒髪の若い男「うるせぇぇぇ!! 俺は、俺は……!! 世話になったイーシャさんも救えず、こんなとこで無様に生き恥晒してんだよぉぉぉ!!!」グビグビ

給仕の女性「……お冷、持って来る」スタスタ


クロシュ「!」ガバッ

イリス「えっ、クロシュちゃんどうしたの!?」

クロシュ「あの人……イーシャさんって……!」

妖精「イーシャさん?」

クロシュ「うん……! えと……わたしのいた村の……まとめ役の……お医者さんの、魔族の人……!」

ローガン「何!?」

ミスティ「……確かに……集落を救えなかった、とか言ってるわね……。もしかしたら、本当に……」

クロシュ「……お話、してみる」スクッ

 *


クロシュ「えと……おじさん……」

黒髪の若い男「あぁん……? なんだァ、お嬢ちゃん……」

クロシュ「おじさんの言った、イーシャさんって……。人と、魔族の……集落の……?」

黒髪の若い男「……!! お嬢ちゃん、知ってんのか!!?」ガバッ

クロシュ「うん……。わたし……あの、集落の……」

黒髪の若い男「待て。別の場所で話そう――」スクッ

クロシュ「あ、うん」


妖精(男の雰囲気が変わった……)

ローガン(一気に酔いを覚ましたようだな……。あれはかなり鍛えた戦士かもしれん)

イリス(と、とにかく一緒に行かなきゃ!)

ミスティ(…………私の代わりに、なるかしら……)

 *

―ウォーターポート 路地裏

黒髪の若い男「……ここなら他人の目もないし大丈夫だろう。君の仲間も来たようだしな」

クロシュ「うん……」

黒髪の若い男「……何から話そうか。いや、まずは自己紹介からだな……」

クロシュ「……」コク

黒髪の若い男→エバンス「俺はエバンス。エバンス・ブレイカー。一応……傭兵をやっている」

クロシュ「……わたしは……クロシュ、です。えと……スライム、です」デロ―

エバンス「スライム……。君は……本当に、あの集落の生き残りなのか……?」

クロシュ「……うん。わたしと……フメイちゃんと、アリシラさん……三人だけ……」

エバンス「…………そう、か……。生き残りが……いたのか……」ガクッ

妖精「えっ、ちょっとどうしたの? いきなり膝をついて――」

エバンス「うっ、うっうっ……わかんねぇ……でも、涙が止まんねぇんだよぉ……」ボロボロ

妖精「そ、そう……。やっぱり、まだ酔ってるのかもね……」

クロシュ「……」スッ

 エバンスの背中「」サスサス

エバンス「う、うおぉぉぉ……!! イーシャさん……クロシュちゃん……俺は……俺はぁぁぁ……!!」


イリス「な、なかなか感情豊かな人みたいだね……」

ローガン「う、うむ……きっとまだ酒が抜けていないのだろうが……人柄は信用できそうだ」

ミスティ(……人柄は、確かに信用できそうだけれど……実力はどれほどのものか……)

 *


エバンス「すまん、取り乱した……。君があの集落の生き残りで、イーシャさんの教え子だってことはわかった……」

クロシュ「うん……。エバンスさんは……?」

エバンス「俺は……俺も、イーシャさんに世話んなったことがあるんだ。あれは俺がまだ傭兵見習いのガキだった頃……任務中に仲間とはぐれて死にかけたことがあってな……。大怪我を負い、水も飯も底をつきて、森の中で行き倒れちまったんだ……。万事休す、ここで終わんのか――そう思ってたら、いつの間にか知らんベッドの上で寝てたんだよ」

クロシュ「……!」

エバンス「体を起こしたら、イーシャさんがいてな。怪我が治るまで休んでろって言ったんだ。俺、その時まで魔族は怖いもんだと思ってたんだが……その集落にいた魔族の人たちは、全然怖いことなんてなかった。人も、魔族も……本当に優しくて良い人たちだったんだ……」

クロシュ「!!」

エバンス「だから俺は約束したんだ。もしこの集落に危機が訪れたら、すぐに駆けつけて助けるって……。それなのに……俺は……俺ってやつは……!!」ダンッ

クロシュ「エバンスさん……」

エバンス「…………今更……俺なんかがこんなこと言う資格、ないかもしれないが……。クロシュちゃん……俺を……雇ってくれないか……?」

クロシュ「!」

エバンス「金は取らない……。イーシャさんの……あの集落の優しさを継ぐ、君を……守らせて欲しいんだ……」

クロシュ「……」チラ


妖精「……まだ、あなたのことを完全に信用したわけじゃない。だから……」

ローガン「……うむ。仮加入という形で、しばらく様子見させていただいても構わないだろうか?」

クロシュ「!」パァァ

エバンス「……! もちろんだ……! よろしく頼む……!!」

クロシュ「うん……! えと……よろしくお願いします、エバンスさん……」ペコ

イリス「え、えと……よ、よろしくお願いします!」

ミスティ「……よろしく頼むわね」

 ☆傭兵のエバンス・ブレイカーがパーティに仮加入しました

 ◆

―港湾都市ウォーターポート 滞在3日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:旅人の服
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽×2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す

◯仲間の目標
・???(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
隣接地:機械工業都市テンペスター
……………………………………………………………………………………


―朝
 旅の船着場 ロビー

ローガン「……♪」ウキウキ

妖精「……ど、どうしたの?」

ローガン「む? どうした、とは……」

妖精「いや……なんかやけに機嫌が良いみたいだから……」

ローガン「そ、そうだろうか? 普段通りのはずだが……」

妖精「いや明らかにウキウキしてたよ」

ローガン「なんだと……」

妖精「……男仲間が増えて嬉しかったり?」

ローガン「……そうかもしれん。男一人というのは何分肩身が狭いからな……」



妖精「……ところで、ミスティのことなんだけど」

ローガン「……うむ。私も……気が付いてはいる……」

妖精「……ねえ、もしミスティが早まるようなことがあったら――」

ローガン「……わかっている。ミスティくんを一人にするわけにはいかんのだろう?」

妖精「うん……。ローガンが付いていてあげれば……安心できるからさ」

ローガン「……妖精くんには成すべきことが。クロシュくんには追うべき友が。そしてイリスくんには――無謀なる復讐のお供は、重すぎる。であれば私が適任だろう。何の因果か、ミスティくんと同様魔の者に家族を殺された境遇でもあるしな」

妖精「悪いね、せっかく男仲間が増えるかもしれない時に……。でもそれも最悪のケースだからさ。踏みとどまってもらえたら、それが一番良いし」

ローガン「うむ……。なんとか心のケアをしてあげられたら良いのだが……」


ウォーターポート滞在3日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

というわけで本日はここまでとなります。次回はメルルと買い物編、占い編、海渡り試行錯誤編となります

いろいろあって傭兵のエバンス氏が仮加入しました。ローガン氏と違って若い男の人なので、パーティの女性陣はちょっとドキドキしてしまうかもしれません(ミスティはそれどころではありません)
そして妖精とローガン氏も話していますが、ミスティ氏のメンタルがとても不安定です。もしミスティがパーティを抜けることになる場合、死に場所求めおじさんであるローガン氏もミスティと共に無謀な復讐のお供をする覚悟ができているため、一気に二人減ってしまう可能性があります。そうなるとクロシュとイリスのメンタルにも良くない影響があるので、回避したい場合は何らかの策を講じた方が良いでしょう
これはちょっとしたヒントなのですが、ミスティの離脱を阻止する方法として、実はとてもクリティカルなものがあります。もし阻止したい人はいろいろ読み返してみると良いかもしれません

イリスさんは特別大きいわけではありませんが、程よくバランスの良い大きさをしているのだと考えられます。それでも普段のクロシュや妖精やミスティと比べると大きいため、現パーティではイリスさんが最大サイズとなっております
エルダーサキュバスはエルダーなサキュバスなので、当然大きさも相応のものとなります。生まれながらに特大サイズが約束された種族とも言えるでしょう。勇者もその大きさに惹かれたのかどうかは……わかりません
聖女さんはシスターですが、男性の信徒やオーク男性の煩悩を増幅させてしまうことがあるようです。そして一線を越えようとした愚かなオークは竜人姉貴に焼かれています
自身の名前を捧げたことについて聖女さんがどう思っているかはわかりません。聖女呼ばわりについては、自分に相応しくないと思いつつも、呼ばれ方にこだわりはないためあまり気にしていないようです

狐獣人氏は、仰る通り前スレ881の方です。見てわかるとおりファンブルなので、もし引き当てていたらろくでもないことになっていたと思われます
イケメン金髪汚職エルフもまあまあ自由な人なので、鎖国中の今はまた見聞を広めるために国外を出歩いている可能性があります

それでは本日もありがとうございました。次回も土日かと思います。よろしくお願いいたします

>>2について、妖精の容姿欄が空白になっていたため、訂正いたします
【名前】妖精
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】秘密
【容姿】銀髪セミショートの妖精。くすんだ光の翅を持つ
【性格】口は悪いが面倒見は良い
【魔法】自然魔法。そこにある自然の力を借りることができる。また、妖精類独自の魔法にも精通する
【備考】クロシュと共に旅をしている妖精。人間嫌いだが、人間以外も割と嫌っている
他の多くの妖精類と同様、固有の名を持たない
生命の在り方を悲観して苦しみのない世界を望んでいるが、それが叶うことのない望みだということもわかっている。それでも望まずにはいられず、諦めて朽ちることもできない
かつて緑の国フォレスティナを興した建国の太母という妖精と同一人物だったことが判明した


ミスティさんをパーティに留めたい場合は何らかの行動を起こした方が良いでしょう
森妖精の子は、実際ミスティさんにとっては決して小さくない存在と思われます。鍵となるかもしれません
ここでミスティさんが離脱した場合、コンマ次第では今生の別れとなってしまうかもしれません。気を付けましょう

イーシャ氏が何者なのか、なぜあのような共同体を築いたのかは、クロシュちゃんには知る由もありませんが、クロシュとフメイとアリシラが今も生きているのは彼とその集落の功績と言えるでしょう。そして彼が掲げていた相互扶助・相互尊重の理念は今もクロシュの心の中に息づき、時たま道を指し示してくれます
エバンス氏なら喜んでお墓参りに付き合ってくれるでしょう。フメイとアリシラもお墓参り自体には乗り気な旨の発言をしていたため、状況が変われば一緒にお墓参りしてくれるかもしれません

―旅の船着場 ロビー

イリス「う〜ん……」

 擦り切れてきた魔術師のローブ「」ボロッ

妖精「随分年季が入ってるよね、そのローブ」

イリス「旅立ちの時からずっと着てるからなあ。流石に買い替え時かも……」

ローガン「トコナツへ行く方法を考えるのも大事だが、その前に消耗した装備を整えるか」

クロシュ「……」

イリス「でもクロシュちゃんの服は綺麗だね。雨風に晒されたり、この前ブラッドにズバズバ斬られたりしたのに――ええ!? なんで綺麗なの!?」

クロシュ「あ、えと……。足りないとことか……ほつれたとこ……わたしの体で、補ってるから……」

エバンス「ええ? そりゃまたどういう――」

クロシュ「ほんとは……こんな感じ……」デロデロ

 ボロボロの旅人の服「」ボロッ

エバンス「――!!?」

イリス「わ、わーっ! わかったから直して良いよ!!」

クロシュ「あ、う、うん……」モニョニョ

 ちゃんとした旅人の服「」ビシッ

妖精「もう、そんなにボロボロになってたならちゃんと言いなよ。新しいの買ってあげるからさ」

クロシュ「でも……この服……ミスティさんに、買ってもらった――」

ミスティ「……買い替えるべきよ、クロシュ。そのボロボロの服では、あなたの体を守り切れない。私としても……あなたが良い装備を身に付けてくれた方が、安心だもの……」

クロシュ「……わかった……」

ミスティ「それで良いのよ……。私のことなんか、気にしなくて……」

イリス「……」

 ◆

―ブティック・ウォーターポート

 布の服「」
 旅人の服「」
 革の鎧「」
 硬質革鎧「」
 鉄の鎖帷子「」
 鋼の鎖帷子「」
 鉄の鎧「」
 鋼の鎧「」
 布のローブ「」
 魔術師のローブ「」
 防寒着「」
 耐火服「」
 踊り子の服「」
 忍装束「」
 巫女装束「」
 大きな巻貝「」
 カニの甲殻「」
 スモック「」
 ハイレグ競泳水着「」
 エプロンドレス「」

イリス「わあ……! 見たことない服がいっぱい……!」

エバンス「世界各地の服飾を扱ってる店なんだ、ここは。普段着から勝負服に戦装束までなんでもござれだぜ」

クロシュ「……」

ミスティ「クロシュは……クロシュの力を活かすには、どんな服が良いのかしら……」

ローガン「難しいな。クロシュくん自身が変幻自在ゆえ……」



メルル「およ? ソリ芸人の皆さんだ!」トコトコ

イリス「あなたは……メルルちゃん!」

ミスティ「よく会うわね……」

メルル「そりゃまあ同じ街にいれば会うでしょ! 芸人の皆さんも服を買いに?」

ローガン「うむ……旅をしていれば消耗するからな。あと我々は芸人ではない」

エバンス「この少女は?」

妖精「あー……なんか最近ちょっと縁がある子。どっちかと言えば友好的な知り合いかな」

メルル「どっちかと言わなくても友好的! ていうか新しいおじさんが増えてる!」

エバンス「……新しいおじさんって、俺のことか? 一応まだ23なんだが……」

メルル「20越えてたら半分おじさんみたいなもんだよねェ」

エバンス「半分おじさん……」

メルル「それで、皆さんはどんなのを買う予定なの?」

妖精「まだ全然決まってないよ。来たばっかりだし」

メルル「へェ〜じゃああたしと一緒に選ぼうよ!」

クロシュ「うん……」


買い替え時のイリスとクロシュの服を買います

↓1コンマ イリスが買う服
01-70 魔術師のローブ
71-90 賢者のローブ
91-00 星光のローブ

↓2自由安価 クロシュが買う服

↓3自由安価 その他、服以外の服飾品など買うものがあれば(なしでも可)

イリス「いろいろあるけど……私はやっぱりこれ!」

 魔術師のローブ「」ポン!

妖精「まあ着慣れてるやつが一番だよね」

ローガン「新品に買い替えられるのが既製品の利点だな」

 *

クロシュ「……」キョロキョロ

ミスティ「クロシュには……何が良いかしら……」

メルル「あ、これとか良くない!?」バッ

 ゴスロリエプロンドレス「」ポンッ!

エバンス「お、おおう……まあ、かわいいとは思うが……」

イリス「私も、クロシュちゃんにはきっと似合うと思うけど……」

ミスティ「旅には不向きじゃないかしら……」

メルル「でもでもこれ見て! 各種耐性エンチャント済だって!」

ローガン「ほう……こう見えて実用的な戦闘服というわけか」

メルル「そそ! どうかな!?」

クロシュ「これが、良いの……?」

妖精「いや、クロシュが決めるんだよ。これが良いかどうか」

クロシュ「えと……じゃあ、これにする……」スッ

メルル「さっすがクロシュちゃん! わかってるねェ〜」

 *


妖精「さて、とりあえず必要な服は買えたわけだけど、他に何か買うものある?」

ミスティ「私はないわ……。このローブが……良いもの……」

ローガン「私も、この鎖帷子は地力で補修できるゆえ困っていない」

エバンス「俺も問題ない。少し年季が入ってはいるが、この革鎧もまだまだ使えるぜ」

イリス「私とクロシュちゃんは新しいのを買えたから、大丈夫!」

クロシュ「うん」

妖精「じゃあ撤収――」


メルル「待って待って!」トタトタ

イリス「メルルちゃん! 姿が見えないからまたどこかに行ったのかと」

メルル「えっへへ〜ちょっと買いたいものがあったから買ってたの!」

妖精「そういえばあなたも買い物に来てたんだよね。何を買いにきたの?」

メルル「当初は冷やかしに来ただけだったんだけど、気が変わってねェ。はい、これ!」

 メルルがかぶっているのと同じ冒険帽「」ポン

妖精「んん? これ、今あなたがかぶってるのと同じ冒険帽?」

ミスティ「あなたの帽子、まだまだ使えそうだけれど……」

メルル「違うよォ! これ、あなたたちにあげるって言ってるの!」

妖精「へっ……?」

メルル「ソリ芸人の皆さんに、お近づきの印ってことで! はい、どうぞ!」

 メルルがかぶっているのと同じ冒険帽「」グイグイ

クロシュ「う、うん……ありがと……」

 ☆イリスが魔術師のローブを新調しました
 ☆クロシュがゴスロリエプロンドレスを身に付けました
 ☆メルルの帽子を手に入れました

 ◆

―ウォーターポート 裏通り

ゴスロリエプロン装備クロシュ「……」フリフリ

イリス「おお……クロシュちゃん、良いとこのお嬢様みたいだよ……!」

クロシュ「フメイちゃんが、かわいいから……」

エバンス「ああ、確かその姿はフメイちゃんっていう友達の姿なんだよな」

クロシュ「うん……。だから……フメイちゃんが、お嬢様……」

イリス「フメイちゃんも……クロシュちゃんと同じ、かわいい女の子なんだよね」

クロシュ「うん……」


妖精「それで……その占い師ってのは、どこにいるの?」

エバンス「もう少しだぜ」

ローガン「占い師か……。信用はできるのだな?」

エバンス「おう。うちの傭兵団も困った時はここの占い師を頼ったりするんだ。ちゃんとできる占い師だから安心してくれ」

イリス「へぇ〜! 本物の占い師だとしたら凄いなあ……是非お話を聞いてみたい……!」

ミスティ「……まあ、普通に気になるのは確かね……」

エバンス「お、あれだ! あの建物!」

 ボロ看板『占い屋』

 ◇

―占い屋

 ギイー…
 バタム…

イリス「く、暗い……どことなく、フラナ先生のお店を思い出すセンス……」

ミスティ「ここが……占い師の……?」


「おや……置いてきぼりを食らったエバンス坊やに……新顔が五つかい?」スタスタ


イリス「!」

ミスティ「……!」

エバンス「占い師さん!」

クロシュ(店の奥から現れたのは――真っ白な髪を無造作に伸ばした、綺麗な女の人だった。髪とは真逆の真っ黒いローブを身に付けていて、どこか不思議な雰囲気をまとっている……)


占い師「エバンス一人、子供二人、中年一人、妖精一人、そして……ほお、こりゃまたトンチンカンな生き物がいたもんだ……クックック……」

妖精「あなたが……ここの占い師?」

占い師「いかにも。お前さんは……建国の妖精かい。こりゃまたとんでもない大物が来たもんだ……ククク……」

妖精「……へえ」

イリス「ま、まさか……占いの魔法で……!?」

占い師「どうだろうねえ。建国の妖精なんて大が付くほどの有名人だ、ちょいと歴史が好きなら誰でも知ってるだろうさ」

妖精「私の顔が判別できる歴史書なんてほとんど現存してるもんか。あなた……本物だね」

占い師「フフ……それで、エバンス坊やと、緑の国の首長とその一派が、何の用だい?」

エバンス「ああ……ちょっと知りたいことがあってな」

占い師「いいとも。なんでも占ってあげよう。勿論、相応の対価はいただくがね」


↓1〜3 占い師に占って欲しいこと(内容によっては超高額になるため、お金が足りずに聞けない可能性があります)

本日はここまでとなります。次回は占い結果からです

今回は服を新調し、メルル氏とさらに親交を深め、そして胡散臭い占い師にいろいろ占ってもらう運びとなりました
占い屋では、冒険のヒントから冒険に関係のないフレーバーまで、いろいろな情報を得ることができます。お金はかかりますがいろいろと役立ててみるのも良いでしょう
しかし運命は刻一刻と移り変わっていきます。占い師が垣間見るのは、無限に枝分かれする未来のたった一つでしかないのかもしれません。過信はしすぎないのが良いでしょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

占い師は胡散臭い人物ですが、特に重要人物というわけではありません。知っていることは多いかもしれません

クロシュちゃんにゴスロリエプロンドレスが似合うように、フメイちゃんが着ても似合うかと思われます。なおフメイちゃんはファッションにはあまり頓着しない性格のため、ゴスロリエプロンでの目撃情報が増えても特に何とも思わない可能性が高いです……

旅の資金はけっこうあり、贅沢をしなければ数ヶ月は暮らせる程度の額はあります。ただし消耗品の補充や旅の支度など、描写されていないところでもけっこうお金は使っているため、大金持ちというわけではないようです
なお、お金の力では解決が難しいようです

―占い屋

エバンス「トコナツ島へ行きたいんだが、海賊が跋扈していて正規ルートじゃ通れないんだ。あんたの力でベストな道を占えないだろうか」

占い師「行くだけならここ以外から遠回りすれば行けるだろう。占うまでもない」

妖精「意地が悪いね。私たちが急がなきゃならない立場なのはわかってるでしょ」

占い師「ハハ、悪かったよ。そうだねえ……マフィアたちの船が、どうして海賊に襲われないかわかるかい?」

イリス「えっ……? えと……裏で繋がってるとか、マフィア自身が海賊だから、とか……?」

占い師「残念、はずれ。でもちょっと惜しいねえ……海賊はマフィアの船を標的にできない理由があるのさ」

エバンス「なんだ……? マフィアの報復を恐れている、とかか?」

占い師「いいや、もっと単純だよ。海賊は――マフィアの船を〝認識できない〟んだ」

イリス「認識阻害魔法?」

占い師「いいや、魔導技術さ。道具さえ揃っていれば誰でも再現できる……ここまで言えば、お前さんたちが何をすれば良いかわかるだろう?」

ローガン「……その認識阻害の手段を得れば良い、というわけだな?」

占い師「そういうこと。ああそうそう、この認識阻害の手段ってのは例の海賊にしか通じない特殊なものだよ。他の船や海の生き物の目を欺く効果はないから注意しな」

イリス「……? 海賊にしか通じない……? その海賊って、特殊な種族の方々だったりするんですか?」

占い師「さあ。知ってるけど、個人的に教えたくない。どうしてもって言うならお前たちの全財産の三倍は欲しいねえ」

ミスティ「払えるわけないじゃない……」

占い師「だろうね。私も教えたくないから丁度良いだろう」

エバンス「……だが、その技術ってのは一体何なんだ? それも教えてくれないのか?」

占い師「それを教えちゃうと、海賊の正体を教えることにもなっちゃうからねえ……」

イリス「……マフィアの人と交渉する……?」

エバンス「いや、それは危険だろ。下手なことを言えば口封じに消されちまう」

占い師「マフィアとしても技術と情報の流出は痛手だろうからねえ」

イリス「でも、じゃあどうすれば……」

占い師「馬鹿正直に交渉する必要はない。末端を捕まえて〝質問〟するなり、船に潜入して調べてみるなり、やりようはいくらでもあろう」

ローガン「う、うむ……まあ、方法は後で考えるとしよう……」

占い師「とりあえず海の渡り方についてはこんなとこかね。他に何か知りたいことはあるかい?」

クロシュ「あ……えと……。わたし……いい……?」

イリス「クロシュちゃん! もちろんいいよ!」

エバンス「おう。俺の手持ちで良いぜ、好きなことを聞いてくれ」

クロシュ「ありがと……。それじゃあ……。えと……フメイちゃん……あ、えと……わたしの……大切な、友達のことで……」

占い師「炎の子のことだろう? 大丈夫、知ってるよ」

クロシュ「う、うん……。その……フメイちゃんと……また、一緒に暮らしたくて……。どうすれば……いい……?」

占い師「う〜ん、それはまた難しい問だねえ……。運命神に愛されてるんだから嫌われてるんだか知らないが、お前さんたちの運命は複雑怪奇にこんがらがりすぎてるんだよ。悪いけれど、現時点じゃ正解なんてわからんとしか言えないねえ……」

クロシュ「……」ショボン

占い師「まあそう落ち込みなさんな。お前さんと炎の子の縁、運命は簡単にゃ途切れんよ。また一緒になりたけりゃ、諦めずに進み続けることだね」

クロシュ「……うん!」

占い師「大したことは言えなかったから金はいらんよ。さて、他には?」

ミスティ「……じゃあ、私……良いかしら?」

ローガン「……」

妖精「……うん。いいよ、ミスティ」

ミスティ「……私は……これから先、どうなるかわかる? 目的を……遂げられるの?」

占い師「へえ……お嬢さんは、どうやら運命の岐路に立っているようだ。ククク……どちらに進んでも、目的を遂げられるかどうかは運次第としか言えないねえ……」

ミスティ「答えになってないわ……。占い師なら、もっとはっきりわかるんじゃないの?」

占い師「運命は絶えず変化する。昨日見た運命が今日は丸っきり違うものになっていることもある。私が観測する未来は、無限に広がる可能性のたった一つでしかないんだよ」

ミスティ「……」

占い師「結局、あんた自身がどうしたいかってことさ。自分が本当に大切にしたいものをよく考えることだね」

ミスティ「私が……」

占い師「これもタダでいいよ。占いらしいことは何も言ってないからね」

妖精「まあ……安く済ませられるのは良いけど……」

 ☆マフィアの海賊対策方法についての情報を得ました

 ◆

―ウォーターポート 大通り

妖精「認識阻害の手段を調達しなきゃならないわけだけど……考えてみたら、海賊を欺く手段があっても船がなきゃ意味がない」

ローガン「確かに……。ギルドの船も海賊の討伐依頼を受けなければ借りられんし、少し困ったな……」

イリス「船かあ……。私の地魔法じゃ泥舟しか作れないし……」

エバンス「イリスちゃんも地属性なのか? 俺も地属性なんだ、奇遇だな!」

イリス「あいや、星属性です! 地属性も一応使えるってだけで、ですね……」

エバンス「星属性、だと……」

イリス「あはは……本職よりは全然な器用貧乏ですよ」


ローガン「……ところでミスティくんのソリは、水上移動とかはできないかね?」

ミスティ「できるわけないでしょ……。そんなことができたら本当にソリ芸人よ……」

ローガン「そ、そうか……」

妖精「……そうだ! クロシュ、帆船とかに擬態できない?」

クロシュ「ほえ……?」


↓1コンマ
01-40 カタツムリなら……
41-70 ヤドカリなら……
71-90 ウミガメなら……
91-00 海竜なら……

クロシュ「えと……カタツムリ、なら……」

 デロデロ…ポン!

カタツムリクロシュ「」モゾモゾ

妖精「ええ……」

エバンス「で、でっけえカタツムリだ……」

イリス「でもかわいいかも! カタツムリクロシュちゃん!」

カタツムリクロシュ「」モゾモゾ

ローガン「……は! クロシュくん、そのカタツムリの殻に鉄の小盾を同化させたりはできるかね!?」

カタツムリクロシュ「!」ピコン!

 モゾモゾ ポン!

鉄殻カタツムリクロシュ「」キラン

ローガン「おお、思った通りだ……! クロシュくん、能力の使い方に磨きがかかってきたな……!」

妖精「いや、そもそも普段の姿がフメイに擬態してるんだから、擬態中に同化を使えるのは今更でしょ……」

ローガン「……言われてみればそうだったな。うむ……」

ミスティ「ま、まあ人型でもスライム型でもない姿でも同化が使えるのがわかったし、良いんじゃないかしら……」

ローガン「ミスティくん……!」

妖精「……まあそうだね。とりあえずクロシュの成長が見れたってことで良しとしよっか」

鉄殻カタツムリクロシュ「」モゾモゾ

 ☆擬態と同化を自由に組み合わせることができます
 ☆今後、海渡りの姿を獲得するための訓練を行うことができます(必要経験 0/3)

 ◆

―港湾都市ウォーターポート 滞在4日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽×2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[0/3]

◯仲間の目標
・???(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
隣接地:機械工業都市テンペスター
……………………………………………………………………………………

―朝
 旅の船着場 客室

 チュンチュン

スライムクロシュ「……」zzz

妖精「すう、すう……」zzz


ミスティ(……私の……大切なもの……?)

ミスティ(…………全部、全部……あいつに、奪われてしまったじゃない……)

ミスティ(もう二度と……戻って、来ないのに……どうやって……大切にしろって、言うのよ……)

ミスティ(…………)


イリス「ふわあ……。あ、ミスティ……早いねえ……」ググッ

ミスティ「! イリス……」

イリス「……ミスティ、眠れてないの? クマ、ひどいよ……」

ミスティ「……気のせいでしょ。ちゃんと……休めているわ……」

イリス「そう……? それなら、いいけど……」

ミスティ「……」

イリス「えと……私、相談とか、何でも乗るからさ。あんまり、一人で苦しまないでね」

ミスティ「……ええ。ありがとう、イリス……」


ミスティ(……本当に、ありがとう。イリス……)

ミスティ(でも……だからこそ、そんな優しいあなたを巻き込むわけにはいかないでしょう……)

ミスティ(これは……私の問題だもの……)


ウォーターポート滞在4日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―裏通り

ローガン「マフィアの末端を締め上げるとは言っても、そもそもどこの誰がマフィアの末端なのかわからんな……」

ミスティ「情報がないとどうにもならないわね……。私が囮になって、悪漢でも誘き寄せてみる?」

ローガン「………ミスティくんの実力なら大丈夫だとは思うが……しかしただのチンピラしか釣れないような気もするぞ……」

ミスティ「ただのチンピラでも、マフィアに繋がる情報を持っているかもしれないわ……」

ローガン「……うむ。このままでは埒が明かんのも確かだ、やるだけやってみよう。私は隠れているが、何かあればすぐに助けるぞ」ススッ

ミスティ「ええ、お願い……」

 *

ミスティ「さて……釣れるかしら……」スタスタ


 ダレニキョカトットンジャコラーッ!! ゴメンナサイゴメンナサイ!

ミスティ「!? 何かしら……!」タタッ


ローガン「み、ミスティくん待て! 私も行く!」タタッ

 *

―裏通り

悪漢「ここが俺たちのシマだってわかってんのかオオン!!?」

エプロンの少女「ごめんなさいごめんなさい! 知らなかったんです!」

悪漢「知らんで済みゃマフィアは要らねーんだよ!! どう落とし前付けてくれんじゃオオン!?」

エプロンの少女「ゆ、許してください……商品を差し上げますから……」

悪漢「オオン!? こんなもんいらんわ!! もっと出せるもんがあるよなァ!?」

エプロンの少女「えっ……こ、これ以外は……お金も、なく……」

悪漢「カマトトぶってんじゃねェーぞオオン!!? 体で払えってんだよボケがコラーッ!」

エプロンの少女「えっ……」

悪漢「ショバ代徴収だオラーッ!」ガシッ

エプロンの少女「あ……」ジワ

悪漢「まずはその安物の服を引き裂いてやるぞオラーッ!」グッ


「そこまでよ!」カッ


悪漢「オオン!?」

 氷塊「」ブンッ
 ゴッ

悪漢「オゴッ……」

 ドサッ


エプロンの少女「え、え……?」

ミスティ「……怪我はないかしら」

エプロンの少女「は、はい……」

ミスティ「……なら良かったわ。早く家に帰りなさい。ここは危ない……商売は大通りの方が良いわ……」

エプロンの少女「あ、は、はい……! あの……ありがとうございました! これ、差し上げます……!」

 焼きたてパンの入ったバスケット「」ポン

ミスティ「これは……」

エプロンの少女「あの……私の店で焼いたパンなんです。保存魔法がかかってるので、長持ちなので……都合の良い時に、お食べください……! それじゃあ……本当にありがとうございました……!」ペコッ タタッ

 ☆焼きたてパン入りバスケットを手に入れました

 *

ローガン「ミスティくん……!」タッタッタッ

ミスティ「ローガンさん」

ローガン「そのバスケット……善徳を積んだようだな」

ミスティ「……お礼が欲しくてやったわけじゃないわ。当初の目的通り、情報収集のために悪漢を締め上げたに過ぎない……」

ローガン「フッ……目的が何であれ、そのバスケットが全てだろう」

ミスティ「……それより、早速こいつを締め上げましょう……マフィアがどうとかショバ代がどうとか言ってたから、末端である可能性は高いわ……」

悪漢「」ピクピク

 *

↓1コンマ 締め上げた結果
01-30 マフィアぶったただのチンピラだった
31-60 末端(情報量:少)
61-90 中堅(情報量:中)
91-00 幹部(情報量:多)

マフィアの中堅構成員を締め上げたところで本日はここまでです。次回、ダークヒーローミスティの尋問編、クロシュの特訓編、イリスの相談編です

海を渡る手段へ着々と近づいています。なお海賊が跋扈しているこの状況で、通常価格で船を貸してくれるモノ好きはほとんどいません。安く済ませたい場合はクロシュちゃんに海渡りの仕方を覚えてもらうのが良いでしょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

ミスティ氏は割と喧嘩っ早い判断をしがちなようです。一人旅をしていた時は、暴力による解決が最短最速最適解となる場面が多かったのかもしれません
クロシュつむりは本物のカタツムリと違って寄生虫を持っていないため、素手で触っても安心です

ただの擬態では強さや能力までは再現できないため、海竜に擬態しても強くなれるわけではないようです(海竜の形にはなるので効率的に泳ぐことはできます)
海竜などの水生生物に擬態した状態で水属性のアイテムを同化に用いれば、より高い水適性を得られるでしょう

水着は……機会があれば着ることもあるでしょう。泳げるかどうかは実際コンマ次第です
ちなみにスライム形態のクロシュちゃんはほぼ全裸です

―薄暗い路地裏

悪漢「ハッ!?」

ミスティ「気が付いたようね……」

悪漢「め、目がッ……! 手足も……冷てェ……!?」

 悪漢の目元と手足を覆う氷「」カチコチ

ミスティ「騒がないで……。私たちは王国特務騎士……いくつか質問に答えてもらうわ……」

悪漢「王国特務騎士だとォ……!? テメッ俺様はウォーターポート最大のマフィア、港湾組の次期若頭補佐代理心得だざッ――」

 氷「」キンッ

悪漢「オゴッ……!」

ミスティ「騒ぐなと言ったはずよ……。喉も凍らせて欲しいのかしら……?」

悪漢「……ッ!」

ミスティ「時間が経てば経つほど、あなたの目と手足は壊死に向かうわ……。処置が遅れれば……わかるわね?」

悪漢「……ッッ!!」

ミスティ「そして私たち特務騎士は嘘を見抜くことができる……。もし嘘をつけば……壊死では済まないかもね……」

悪漢「……ッッッ!!!」

ミスティ「……正直に、迅速に答えなさい。いいわね……?」

ローガン「…………」

 ◆

悪漢「」ピクピク


ミスティ「尋問結果をまとめると……こんな感じね」

・マフィアは海賊の目を欺く手段を有している
・とある魔導機械装置を起動することで、海賊の目を欺く結界のようなものが展開される
・その装置の大きさは一般的な飯盒と同じくらい
・その装置を操作する権限を持つのは幹部以上の構成員のみ。当然持ち出し不可
・その装置には、テンペスターに拠を構える巨大企業「セイントレア・メカニクス」のロゴマークが入っている
・海賊の正体は知らない

ローガン「うむ。かなりの収穫だ」

ミスティ「みんなに報告しましょう……」


悪漢「」ピクピク


ミスティ「こいつは……口封じした方が良いかしら」

ローガン「いや。顔を見られたわけではないのだから命まで奪う必要はないだろう」

ミスティ「……それもそうね」

ローガン「うむ……。戦場以外の場所では殺人は極力避けよう。力による解決を是とする獣の論理に従い続ければ、人の世で生きられなくなる」

ミスティ「ふふ……こんなやり方で情報収集している時点で手遅れじゃない?」

ローガン「…………」

ミスティ「……冗談よ。気をつけるわ……」

 ◆

―海岸

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


エバンス「ええっ? 結局クロシュちゃんに船の代わりをやってもらうのか!?」

妖精「うん。船を出してくれるとこもないし」

エバンス「でも、ここからトコナツ島までけっこうあるぞ? かなりの負担になるっていうか……」

クロシュ「大丈夫……。わたし……体力、けっこう、ある……」

エバンス「いやそれにしたって限度がある! 普通の船旅で3日くらいかかるんだぞ!」

クロシュ「たぶん……大丈夫……」

妖精「地図を見た感じだと道中で休めそうな島もいくつかあったから、休憩はちゃんと取れるよ」

イリス「いざという時は私が泥舟を作ります!」

エバンス「そ、そうか……。まあ、クロシュちゃんが大丈夫だってんならいいが……でもクロシュちゃん一人に負担をかけんのはなあ……」

妖精「私たちにできることもあると思う。例えば私なら、海流の力を借りてクロシュの背中を押してあげられるし」

イリス「あ、そっか……! 私も水魔法で何かできることがあるかも……!」

エバンス「なるほどな……じゃあ俺も、クロシュちゃんが疲れた時に休めるよう、泥舟を作る練習でもしてみるか……」

クロシュ「みんな……ありがと、ございます……」ペコ


↓1 特訓の成果
01-60 イカダ(経験1/3)
61-90 小舟 (経験2/3)
91-95 大亀 (経験3/3)
96-00 海竜 (経験☆)

 ザバァン―

イカダクロシュ「」プカプカ

妖精「お〜! イリスとエバンスが乗ってもちゃんと浮いてるよ!」

イリス「ご、ごめんねクロシュちゃん! 土足で乗っちゃって」

エバンス「す、すまん……」

イカダクロシュ「」モニョモニョ

妖精「大丈夫だってさ」

イリス「そっか……ありがと、クロシュちゃん。でもその姿だと、人間の言葉は喋れないんだね」

イカダクロシュ「」モニョニョ…

妖精「大丈夫大丈夫、私はわかるから。できないことを無理にやらないで、できることを一歩づつやろう」

イカダクロシュ「」モニョモニョ

エバンス「妖精はスライム語がわかるのか。凄いな」

妖精「まあ……無駄に長生きしてるからね……」

イリス「スライム語かあ……スライム語で書かれた古代の魔導書とかもあるらしいし、私も勉強してみようかなあ」


 ☆クロシュの海渡り経験が1/3になりました
 ☆イカダに擬態できるようになりました

 *

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


スライムクロシュ「……」デロロ

妖精「お疲れ様、クロシュ。今日はこのくらいにしとこうか」

クロシュ「ん……」モニョ

エバンス「しかし凄いな。イカダに化けられるスライムなんて聞いたことないぞ。体積や質量まで変化してないか?」

イリス「ですよねえ。クロシュちゃんって実は凄いスライムなんじゃ……?」

クロシュ「?」

妖精「まあクロシュはクロシュだよ」

 ◆

―夜
 旅の船着場 客室

ミスティ「――以上が、マフィアの構成員から聞いた話になるわ」

エバンス(どうやってマフィアの構成員から聞き出したのかは聞かないでおこう……)

イリス「それで、えっと……セイントレア・メカニクスって……?」

ローガン「王家直属の軍産企業だな。主に魔導機械を用いた物品の開発・生産を行っている」

イリス「えっ、じゃあもしかしてローガンさんが使ってる回転ノコギリも?」

ローガン「いや、あれはマーベル重工製のもののようだ」

妖精「マーベル重工……あいつそんなものもやってるのか……」

エバンス「しかしセイントレア・メカニクスだと? きな臭くなってきやがったな……」

ローガン「うむ……。テンペスターに行って調べてみるのも良いかもしれん」

妖精「うへぇ……」



ミスティ「ああそうそう。それと……いろいろあって、これをもらったわ」

 焼き立てパン入りバスケット「」ポン

エバンス「おお! 美味そうなパンだな! 焼き立てみたいだ!」

ミスティ「保存魔法がかかっているみたい。焼き立てホカホカの状態が維持されているわね」

イリス「え、すごい! 良いなあ、保存魔法……」

ミスティ「都合の良い時に食べて良いとのことだから、みんなも食べて」

クロシュ「ん……!」

妖精「せっかくだし塗るものとか欲しいなあ。何かあったっけ?」

 *

ミスティ「……さて、それじゃあ話もまとまりそうだし私は入浴を済ませてくるわね」スクッ スタスタ

イリス「あ、うん! いってらっしゃ〜い」

 パタム…

イリス「……」

妖精「どしたの、イリス」

イリス「……えと、みんなにちょっと相談があるんだけど……」

クロシュ「?」

妖精「え、相談?」

ローガン「うむ……聞こう」

エバンス「おう、何だ?」

イリス「うん……あのね、ミスティのことで……」

妖精「ああ……イリスも流石に気付くか……」

エバンス「え、どういうことだ……?」

妖精「この街に着く少し前のことなんだけど――」

 *

エバンス「故郷と家族の仇……。そんなことが……」

イリス「はい……。それで、ここ最近ちょっと思い詰めてるみたいで……」

妖精「私も気付いてはいるんだけど……。家族の仇ともなると、安易に復讐やめろとも言えないし、難しいんだよね……」

イリス「私は家族を殺されたわけじゃないから……下手な言葉をかけると、かえって嫌な気持ちにさせちゃいそうで……」

妖精「ローガンは近い境遇なんでしょ? 何か、良い案はない……?」

ローガン「確かに、私は彼女と似た境遇だが……。だからこそ、彼女の気持ちも痛いほどわかるのだ……。憎き仇が現れて、そいつがのうのうと生きている姿を見せつけられて……黙ってなど、いられるはずもない。私がミスティくんと同じ立場であれば……勝ち目などないとわかっていても、きっと無謀な戦いを挑まずにはいられないだろう」

妖精「……」

ローガン「すまん……私は、本心では復讐を肯定する愚か者なのだ。そんな私が復讐を止める言葉を吐いても、軽薄な戯言にしかならぬ……」

イリス「そんなことありません! ローガンさんもミスティも、家族が本当に大事だったんです!! だから、その想いが愚かだなんて……」

ローガン「イリスくん……」

妖精「イリスって本当に良い子だねえ。でもその考えだと復讐を肯定しちゃいそうじゃない?」

イリス「あっ……!! いや、でも……うう……」

ローガン「大事だからこそ、か……。フッ……家族の言葉なら、あるいはミスティくんに届いたのかもしれんな……」

妖精「その家族が殺されたんだから、届けようがない……」



エバンス「……なあ、ミスティちゃんの元々の旅の目的って何だったんだ?」

妖精「安住の地を探してたんだって。今は私の仕事に付き合ってもらってるけど……これが終わったら、また一人で旅に出るのかなあ」

ローガン「……魔族国……はまだ難しいだろうが、緑の国であれば十分に安住の地と言えそうな気がするな」

イリス「ティセリアさんたちなら喜んで迎えてくれるだろうし、あの森妖精の子もきっとすっごく喜びそう……!」

エバンス「いろいろあったんだな……。しかしこのパーティ以外からもしっかり愛されてるんじゃないか、ミスティちゃん。とんだ困ったちゃんだぞこりゃ……」

イリス「愛されて……。みんなが、ミスティを大事に思ってることを、上手く伝えられたら……」

ローガン「愛を伝える方法か……。指輪を渡す……のは違うな、すまん」

エバンス「はは、一瞬ビビったぜ……。でも、言葉だけでなく何かしら別の形で表現するのは実際良いかもな」

妖精「別の形かあ……。何か、ミスティへの愛を示せるものはあったかな……」


クロシュ「……」

↓1〜2自由安価 クロシュは何か良い案ある?

クロシュ「……」

 メルルの帽子「」

クロシュ「!」ピコン

クロシュ「えと……帽子を……プレゼント……するのは……?」

妖精「へ? なんで帽子?」

クロシュ「あの……メルルさんが……お近づきの印に、って……」

 メルルの帽子「」

イリス「あ、そっか! 親愛の気持ちを示すのに、パーティみんなでお揃いのものをプレゼントしようってことだね!」

クロシュ「……? うん……」

ローガン「なるほど、お揃いの装備でこのパーティへの帰属意識を高めようというわけか。なかなか策士だなクロシュくん」

エバンス「そういう手もあるのか……! クロシュちゃん、やるな……!」

妖精(いや、絶対そこまで考えてないと思う……)

イリス「お揃いの装備は明日にでも買いにいこう!」

ローガン「そうだな。今夜はもう暗い……明日、通りを見てみよう」



妖精「でもせっかくだしもう一つくらい案が欲しいね。クロシュ、他に何か良い案ある?」

クロシュ「えと……ごはん……」

イリス「ご飯……そっか! 私たちでミスティに手料理を振る舞ってあげれば……!」

ローガン「なるほど……街に着いてからは外食ばかりだったからな」

エバンス「確かに食ほどストレートに愛を示せるものもない!」

イリス「ご飯ならここのキッチンを借りればすぐにでも取りかかれるよ!」スクッ

エバンス「よし、善は急げだ!」スクッ

 タッタッタッ

 ◇

宿の看板娘「え、キッチンを使いたい? 今は誰も使っていないので構いませんが……」

イリス「ありがとうございます!」

エバンス「綺麗に使いますんで!」

宿の看板娘「必要な食材があればお申し付けくださいね。お店ほど豊富ではありませんけど、いろいろありますので」


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉
野菜:セイントレア草、王国キャベツ、海藻類
穀物:ウルティ米、ふっくらパン、港湾パスタ
魚介:カニ、海ザリガニ、異世エビ、アークサーモン、ホタテ
果実:リンゴ、ナシ
卵乳:トリの卵、ミルク、チーズ、バター
特殊:スライムゼラチン
所持:マジカルブラッドワイン、精霊樹の実のジャム、お宿の焼き菓子、焼きたてパン
※表にない調味料などが使われることもあります

 バスケット入り焼きたてパン「」

エバンス「せっかくだから、ミスティちゃんが貰ってきたっていうパンを持ってきたぞ」

イリス「いいですね! じゃあパンをベースにして……ここにある食材なら何が合うかなあ」

エバンス「無難なのはバターだが、ただのバタートーストじゃ少し物足りないな。他に何か……」

イリス「あ、リンゴ! この美味しそうなリンゴをスライスして焼いて、パンで挟めば……!」

エバンス「焼きリンゴバターサンド!」

イリス「よおし、じゃあこれで――」

 トテトテ
 ガチャッ

クロシュ「……」トテトテ

イリス「クロシュちゃん!」

エバンス「どうしたんだ?」

クロシュ「ん……」スッ

 精霊樹の実のジャム「」

エバンス「ん? これは……ジャム? ラベルも何も貼られていないが……」

イリス「あっ……これ……!!」

クロシュ「……ミスティさんを……大切に、想ってる……子の……ジャム、だから……」

イリス「……そうだね。勝手に使ったら……怒られちゃうかもだけど……。でも……今のミスティにこそ、食べさせてあげなきゃ……!」

クロシュ「ん……!」

 *


ミスティ「ふう……。お風呂、上がったわ……。ん? 何か、とても良い香りが……」スタスタ

イリス「ミスティ! これ……どうぞ……!!」スッ

 焼きリンゴバター精霊サンド「」キラキラ

ミスティ「こ、これは……!」

妖精「私たちの、感謝と親愛の気持ちだよ。まあ……遠慮せず受け取って欲しいな」

エバンス「聞いたぜ……。ミスティちゃんを慕ってる、幼い妖精の子がいるんだってな……」

イリス「このサンドイッチには……あの子の精霊樹のジャムをふんだんに使いました。勝手に使っちゃってごめんね……。でも……今のミスティに、味わって欲しかったから」

ローガン「このパンも、君が助けた少女がその恩としてくれたものだ。ミスティくん……君は、君が思っている以上に……他者を想い、他者から想われているのだ」

ミスティ「……」

クロシュ「ミスティさん……」

ミスティ「……ありがとう……。いただくわ……」スッ

イリス「うん……!」

 *

 サクッ モグ モグ …

ミスティ(うっすらと焼かれたパンに、焼きリンゴとバターがよく溶け合い――)

ミスティ(ふんだんに塗り込まれた精霊樹の実のジャムが……とても甘酸っぱく、染み渡る――)

ミスティ(……美味しい)

ミスティ(…………)

ミスティ(ジャムの中に……あの子の魔力を感じる……。あの子の……優しい想いが、伝わってくるかのよう……)

ミスティ(あの子は……元気かしら……)

ミスティ(私の来訪を……待ってくれて、いるのかしら……)

ミスティ(…………)ジワッ

ミスティ(…………私……馬鹿だわ……)

ミスティ(私が死ねば……あの子が……どんな顔をするか…………)

ミスティ(ううん……あの子だけじゃない……。イリスも……クロシュも……みんな……)

ミスティ(どうして……気付かなかったのかしら……。私……こんなにも……大切にされているのに……)

ミスティ(本当に……馬鹿よ……)ポロポロ


イリス「あ、な、なんか変だった!? 玉ねぎは切ってないはずなんだけど……!」アタフタ

ミスティ「ち、違うのよ……。これは……ぐすっ……自分に、呆れてるのよ……」ポロポロ

イリス「え、え?」

ミスティ「……ありがとう……。本当に……ありがとう……」ポロポロ

イリス「あ、う、うん……! こちらこそ……!」

クロシュ「ミスティさん……! あの時も……今も……わたしを、守ってくれて……わたしと一緒に、来てくれて……ありがと、ございます……」ペコリ

ミスティ「クロシュ……。ふふ……元はと言えば……あなたが発端だったのよね……。私が、ここにいるのは……」

クロシュ「え、えと……」

ミスティ「あなたのお陰で……このパーティの一員になって……みんなに、出会えた……」

クロシュ「……!」

ミスティ「ありがとう……。これからも、よろしくね……」

クロシュ「うん……! よろしく、お願いします……」ペコリ


ローガン「フッ……一件落着のようだ」

妖精「良かった……。復讐を否定する気はないけれど、仲間が無謀な挑戦をして死ぬなんて嫌だもの……」

ローガン「……うむ」

妖精「……ローガンは……もし旅の途中で仇を見つけたら……」

ローガン「……さあ。その時になってみなければわからないが……君たちを悲しませる結果にならぬよう努力する……と約束しよう」

妖精「……うん。してよね、努力」



エバンス「……復讐、か……。イーシャさん……集落のみんな……」グッ


 ☆ミスティ残留が確定しました
 ☆ミスティの目標が更新されました

 ◆

というわけで本日はここまでです。ミスティ残留確定おめでとうございます

いくつかの会話中にミスティ残留のヒントをこそこそ出していたのですが、お気付きになられましたでしょうか?
何にせよミスティさんはパーティに残ってくれるようです。おめでとうございます。これにて、パーティの結束はより強くなったと言えるかもしれません。今後のミスティとクロシュ一行の活躍に是非ご期待くださいませ

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

はい、ミスティ残留の鍵は森妖精の子(のジャム)でした
あの時のミスティの善意が、巡り巡って愛となり――ミスティの心に届いたのです

クロシュちゃんは目立つ子ではありませんが、その小さな優しさや善意は、未来への道行きを照らす薄明かりとなるのかもしれません
やはりこの物語の主人公は、クロシュちゃんなのです

実際、ミスティが離脱した場合の生存率は絶望的なものでした(1%で勝利、4%で相打ち、10%で敗走、85%で死亡)。運命賽を使っても無駄になってしまう確率の方が高いです
ちなみにローガン氏はミスティ死亡ルートでも死ねません。ミスティが最後の力を振り絞ってローガン氏を逃がし、生き残ってしまうからです
そうしてローガン氏は、死にたくともミスティに救われた命を無駄にできず、後悔と自責を抱えたまま亡霊のように生きざるを得なくなってしまいます


 フラナからの手紙『復讐はすべきよ。でもそれは今ではないわ』

 フラナからの手紙『特級危険生物は私でも五分の相手。今のあなたたちに勝ち目はない』

 フラナからの手紙『刺し違えてでも、などとは考えないこと。復讐は完全完璧に相手を下さなければ意味がない』

 フラナからの手紙『だからミスティにはこう伝えなさい。今は堪え、力を付けよ――と』


 聖女からの手紙『ミスティさんが前に進むためにどうしてもその復讐を遂げなければならないというのであれば、私に彼女を止める言葉はありません』

 聖女からの手紙『ですが、それでも私は、ミスティさんに御身を大切にして欲しいと思ってしまいます』

 聖女からの手紙『そしてこれは、できればなのですが。もし対話の機会があれば、相手の方とお話をしてみて欲しいのです』

 聖女からの手紙『わかり合え、などと言うつもりはありません。しかし私は――対話もなく、相手の真意も知らぬまま殺し合うなんて――悲しすぎると思うのです』

 *

 風の精霊『ティセリアと森妖精の子からの伝言だよ!』ヒュルヒュル

 ティセリアの声真似『復讐、ですか……。部外者である私に軽率なことは言えませんが……無茶はして欲しくない、というのが正直なところです』

 ティセリアの声真似『……もし特級危険生物に挑むのであれば、徹底的に相手を調べ、策を練り、万全の態勢で――」

 森妖精の子の声真似『えっ……ミスティさん……今、たいへんなの……?』

 ティセリアの声真似『……! 聞いていた、のですか……』

 森妖精の子の声真似『……ミスティさん……だいじょうぶ、なの……?』

 ティセリアの声真似『……はい。今は、何ともないはずです』

 森妖精の子の声真似『………また、ここに……きて、くれるよね……?』

 ティセリアの声真似『……………ええ。あなたの想いが、届けば……きっと――』

 森妖精の子の声真似『わたし、の………?』

 ティセリアの声真似『はい。だから……一緒に、ミスティさんの息災を祈りましょう――』

 森妖精の子の声真似『うん……。ミスティさんに……せいれいのかごが、ありますよう――』

 *

―旅の船着場 客室

 ミスティ「……」グッ

 イリス「……ふふ。ミスティ……みんな、あなたのことが大好きなんだよ」

 ミスティ「……ええ。思い知ったわ……」

 イリス「復讐はさ……。フラナ先生の言うように、力を付けてからでも遅くないよ。私たち……まだまだ、発展途上なんだから」

 ミスティ「……そうね。私……強くなるわ……。あいつに……負けないくらい……」

 イリス「そうだよ……! 私も手伝うからさ……! 一緒に、がんばっていこう?」

 ミスティ「ええ……! 不束者だけど、よろしく頼むわ……!」

 ◆

―翌日 朝
 ウォーターポート 大通り

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「朝から賑わってるなあ……!」

エバンス「これでも普段よりは人がだいぶ少ないんだぜ。欠航の影響でな」

妖精「ええ、これで少ない方なの? うへぇ……」

ローガン「うむ……流石は王国の玄関口というわけだな」

ミスティ「……ところで、今はどこへ向かっているの?」

イリス「ふっふっふ、良くぞ聞いてくれました! クロシュちゃん、ミスティに教えてあげて!」

クロシュ「んえ……? あ、えと……ぼ、帽子……?」

妖精「もー、メルルに釣られすぎだよ。帽子に限らなくて良いの」

クロシュ「あっ……えと、みんなで……お揃いの、装備を……買いたくて……」

ミスティ「おそ、ろい……?」

イリス「そ! 私たちのパーティみんなで、お揃い装備!」

ミスティ「私たちのパーティの、お揃いの……」

ローガン「うむ。パーティ結束の象徴というわけだ」

ミスティ「……ふふっ! なあに、それ……すっごくクサいわ……」

ローガン「むっ……そ、そうだろうか」

ミスティ「ええ……。でも……全然、嫌いじゃないわ」


↓1〜3 お揃い装備候補 このあと多数決を行います

それでは多数決を行いたいと思います。案を出していただいた人もご自由に投票してOKです(自分のも可)

↓1〜5 多数決
1.虹晶の耳飾り
2.守りのペンダント
3.槍

ターバンの褐色少女「おや? あんたたちは――」

イリス「あっ! 緑の国の大樹の宿で、紙と画材を売ってくれた商人さん!」

ターバンの褐色少女「復権派の皆さんじゃん! その節はお買い上げどうも!」

妖精「うげっ、ここで復権派の名前を聞くことになるなんて……。まあ、どうも……」

ターバンの褐色少女「あのビラ、うちで買った紙と画材で作ったんでしょ? あれだけ綺麗な絵が描いてもらえたんなら商人冥利に尽きるってもんよ」

クロシュ「んへへ……」

妖精「ふふん、凄い絵だったでしょ!」

ミスティ「描いたのはクロシュよ」

ターバンの褐色少女「それで捜し人は見つかったの?」

クロシュ「……」

妖精「いや……まだ捜し中」

ターバンの褐色少女「そか……。まあ元気出しなよ、安くしとくからさ!」

イリス「な、何か買う前提になってる……」

ターバンの褐色少女「そりゃあこんなとこに来てるなら買い物でしょ? 何をお探し?」

クロシュ「えと……。みんなで、お揃いの装備を……」

ターバンの褐色少女「お揃い? ははあ、なるほど! 復権派結束の印ってわけだ!」

ローガン「うむ。迅速な理解、感謝する」

ターバンの褐色少女「じゃあ最低でも6つは必要ってことだね?」

エバンス「おう。頼むぜ」

ターバンの褐色少女「新顔のお兄さんもよろしく! まあいろいろあるから見てみてよ」ガサゴソ

 *

 守りのペンダント「」

エバンス「……お! この守りのペンダント、全員で付けるのに丁度良いんじゃないか!?」

ターバンの褐色少女「お目が高い! と言いたいとこなんだけど……それ2つしかないんだよね。ごめん!」

エバンス「そうなのか……」

ターバンの褐色少女「非力な後衛でもそこそこの防御力を得られる貴重な装備なんだけどさ、なかなか人気があって品薄なんだよ」



ローガン「ふむ……おっ」

 槍「」

ローガン「この槍は何という槍かね?」

ターバンの褐色少女「それは……槍だよ!」

ローガン「う、うむ……。それで、正式名称は……」

ターバンの褐色少女「槍!!」

ローガン「お、おお……や、槍か……」

ターバンの褐色少女「冗談だよ。その槍はねえ……持つ者の特性に合わせて形を変える不思議な槍さ」

ミスティ「えっ、そんな摩訶不思議な槍が存在するの?」

ターバンの褐色少女「試しに持ってごらん、ほい」スッ

ミスティ「え、ええ……はい」パシッ

 氷の槍「」キンッ

ミスティ「わっ!」

ターバンの褐色少女「おっ、お姉さん氷属性なんだねえ! ふふ、貴重な属性武器もこの槍ならこの通りってわけ!」

ローガン「おお……。つまり私が持つと鋼の槍だな……」

エバンス「俺が持つと土の槍か……」

ターバンの褐色少女「でも残念ながらこれは1本しかないレアアイテム! お値段もかなり張るから今回のお買い物には向かないと思うよ〜」

ミスティ「面白いけれど、今のところ武器には困っていないしね……」

イリス「……ん? この耳飾りは……」

 くすんだ耳飾り『』

ターバンの褐色少女「あー……それ、ほんとは虹晶石なんだよ」

イリス「……えっ!? これが、あの虹晶石!? だって虹晶石は、触媒としても宝飾品としても最高級の、七色に輝く宝石のはずで……」

ターバンの褐色少女「前はその通りだったんだけどねえ。あの世界樹から光が飛んだ日……あれからすっかりくすんじゃってさあ……」

イリス「!! それって――」

妖精「……だろうね。虹晶石は、星の奥深く圧縮されて形作られる物質。多くの魔力に適合する性質を持ち……特に星の魔力の影響を受けやすい」

イリス「やっぱり……! あの本にも、書かれてた……!」

ターバンの褐色少女「やっぱり復権派の皆さんは何かご存知なの?」

妖精「うん、まあ……。この旅の目的も、あの世界樹の光を追って、元に戻すことなんだ」

ターバンの褐色少女「ははあ、なるほどね……。それ、戻ったらこの虹晶も元に戻る?」

妖精「うん、多分……。いや、断定はできないけど」

ターバンの褐色少女「断定はできないんだ……」

イリス「あの、ちょっとお借りしても良いですか? これ……」

 くすんだ耳飾り「」

ターバンの褐色少女「ん、いいよ。はい、落とさないでね」

イリス「はい! 星の魔力なら――」グッ

 コォォォォ―
 カッ

 七色に輝く耳飾り「」キラキラ

クロシュ「わあ……!」

ミスティ「これが……虹晶石……!」

エバンス「すげェ……!」

ローガン「美しいな……」

ターバンの褐色少女「今何やったの!?」

イリス「この虹晶石に、星の魔力を込めました! でも、長続きはしないと思います。根本の原因を解決しないと……」

ターバンの褐色少女「あ、そうなんだ……。はあ、結局不良在庫かあ……。うーん……よし、決めた! これ、あんたたちにあげる!!」

イリス「え、ええっ!? こんな貴重品を!?」

ターバンの褐色少女「うん! でも条件がある!」

ミスティ「条件……?」

ターバンの褐色少女「世界樹から飛んでった光とか、それによって起きてる異変とか、絶対解決してよ! いろんなとこで大変なことになってるし、あたしの故郷のテラヌス・ウルスも今めっちゃやばいみたいだから!」

妖精「……!」

ターバンの褐色少女「数も丁度6つ。世界を救う依頼料としちゃ安いくらいかもしんないけどさ」

妖精「ううん……凄く助かるよ。ありがとう……!」

ターバンの褐色少女「期待してっからね……!」

 ☆くすんだ耳飾りを6つ手に入れました
 ☆装備者の魔力回復と魔力出力が僅かに向上します

 ◆

―港湾都市ウォーターポート 滞在5日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧
 ・共通   飾:くすんだ耳飾り

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
隣接地:機械工業都市テンペスター
……………………………………………………………………………………

イリス「虹晶の耳飾りをもらっちゃうなんて……!」

ミスティ「……ふふ……私たちのパーティにはぴったりじゃない?」

ローガン「うむ……! 星の光を追うこのパーティの象徴として、これほど適したものもないだろう」

エバンス「光を取り戻す度、この耳飾りも色を取り戻していくってことか……! へへ、面白い……!」

妖精「本当に私たちにはぴったりかも……。気が引き締まるなあ……!」

クロシュ「ん……!」

 くすんだ耳飾り「」キラッ


ウォーターポート滞在5日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

妖精「セイントメカなんとかについての情報収集は午後にして、午前中は少しゆっくりしようよ。最近みんな動きっぱなしだったしさ」

イリス「そだね。せっかく海に来てるんだし、ちょっと海で遊びたいかも!」

ローガン「海か……。そういえば、皆水泳はどれくらいできるのだ?」

ミスティ「水泳……」

エバンス「あー……確かに、海に出るなら最悪の事態に備える必要はあるもんな」

ローガン「うむ。各々の水泳能力は把握しておきたい。せっかく海で遊ぶわけだしな!」

クロシュ「……」


コンマ数値が大きいほど水泳が得意(0が最大)
↓1 1桁目クロシュ(人型) 2桁目妖精

↓2 1桁目イリス  2桁目ミスティ

↓3 1桁目ローガン  2桁目エバンス

―海岸

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


イリス「とりゃっ!」ザブン!

ローガン「むんっ!」ザバァン!

 スイスイ

イリス「むむっ……! ローガンさんやりますね……!」

ローガン「イリスくんもその若さで、かなり、やる……!」

イリス「えへへ、水泳は昔からけっこう得意だったんです! 水魔法も併用すれば――それっ!」

 バシュウウウン!!!

ローガン「うおっ……! フッ、技術では私に分があるが、魔法を使えばイリスくんの方が上手か……。しかし他の皆は……?」



クロシュ「」ブクブク

ミスティ「く、クロシュ……!!」タッ ザブンッ

エバンス「い、今助ける!!」タッ ザバァン!

ミスティ「」ブクブクブク

エバンス「」ブクブクブク

妖精「わあああ! う、海よ! 三人を助けて!!」ポウ

 ザバァァアン――…

 *

スライムクロシュ「」グニャァ…

ミスティ「ごめんなさい……」グッタリ

エバンス「面目ねえ……」グッタリ

ローガン「すまん、私も迂闊だった……」

イリス「ご、ごめんね……私も浮かれてた……」

妖精「ま、まさか……イリスとローガン以外、だめだめだったなんて……」

イリス「よ、妖精さんは……?」

妖精「私も全然だめ……。飛べるから、泳ぐ必要なんてなかったし……」

ローガン「ううむ……。これは……大丈夫だろうか……」

妖精「クロシュ……水が苦手なら、無理しなくて良いよ……? 海上移動は、別の方法も探せるからさ……」

スライムクロシュ「……」

 デロデロ…ポン!

イカダクロシュ「」モニョニョ!

妖精「だ、大丈夫……? でも、クロシュが溺れたらみんなも危ないしさあ……」

イカダクロシュ「」モニョモニョ!

イリス「な、なんか張り切ってるのは伝わるけど……。なんて言ってるの?」

妖精「フメイちゃんの姿だから泳げなかっただけで、別の姿なら全然平気! だって……」

ローガン「そ、そうなのか……。まあ、フメイくんは炎属性だしな……」

 ☆イリスの水泳能力が判明しました(8:とても上手)
 ☆ローガンの水泳能力が判明しました(9:達人)
 ☆クロシュ、妖精、ミスティ、エバンスの水泳能力が判明しました(1:カナヅチ)

 ◆

というわけで本日はここまでです。次回はお昼ご飯を食べながらエバンスのお話編、セイントレアメカニクスの情報編です

いろいろあって高級品の虹晶の耳飾りをもらったり、皆さんの水泳能力が判明したりといった午前中でした
虹晶の耳飾りは光を取り戻す度に本来の輝きを取り戻していくかもしれません。今は効果の微妙な装飾品ですが、最終的にはそのレアリティに見合った素晴らしい効果を発揮してくれることでしょう
そして、イリスさんとローガン氏以外はカナヅチ級という衝撃の事実が発覚してしまいました
一応、クロシュさんがモニョモニョ言っていたように、クロシュさんはちゃんと水に適した姿を取っていれば水泳に支障はありません。フメイちゃんの姿が絶望的に水に適していなかったのでしょう。ちゃんと海渡りの練習をすれば海を渡れるだけの実力を身に付けることはできますので、ご安心くださいませ

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

クロシュ氏曰く、フメイちゃんは水が苦手なようです。それが炎属性の影響によるものなのかどうかはわかりません
なおフメイちゃんは炎魔法で飛行することができるため、基本的には水に入る必要がないようです

この大陸では水中に入る際に専用の水着を着用する文化は浸透していないため、今回は全員下着で水に入ったようです。蜘蛛絹の下着は丈夫で水にも強いのでしょう
なおトコナツ島では水着を着る文化があり、若い女性やファッション業界人を中心に密かな注目を集めています

―昼
 冒険者ギルド 酒場

 ワイワイ ガヤガヤ

ミスティ「うぅ……水泳なんてしたことなかったのよ……。水上は凍らせれば歩けるし……」

妖精「私は飛べるし……」

イリス「ミスティと妖精さんは水に入る必要がなかったんだね……」

エバンス「……俺は特に理由なく泳げん。昔から苦手なんだ、水が……」

クロシュ「……わたし……イカダに、なれる……!」

ローガン「……私とイリスくんは水中で救助活動が行えるくらいには泳げるし、水に入る必要のない妖精くんも自然魔法で救助できる……。ミスティくんは氷を張れるし、クロシュくんは水に適した姿になれば問題ない……まあ、意外となんとかなるか?」

エバンス「俺以外のカナヅチ民は地力でなんとかできる、だと……」

イリス「ど、どんまいですエバンスさん! 泥舟を作りましょう……!」

エバンス「やっぱ作るしかねえか、泥舟……!!」


ローガン「ところでエバンスくんは急遽このパーティに入ったわけだが、傭兵団のことは大丈夫なのか?」

エバンス「ああ。個人依頼を請けたから団にはしばらく戻れんと伝えてある」

ローガン「ほう……柔軟で融通の効く良い職場なのだな」

エバンス「おう。というかまあ、傭兵団とは言ってもバラけていることの方が多いからな。全員集まるのはよっぽどの大仕事くらいで、普段は小規模な依頼を数人単位で回してることの方が多いんだ」

イリス「へえ〜。あれ、普段はどこにお住まいなんです? ここ?」

エバンス「あー……一応、拠点はチカーバの街にあるんだが……戻ることはあまりないな。今も全員出払ってるはずだから、多分もぬけの殻だ」

ミスティ「ああ、だからここで飲んだくれていたのね……。大怪我をしているあなたを誰もいない拠点に置いていくわけにはいかなかったから……」

エバンス「恥ずかしながらそういうことだ」


給仕の女性「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたら――エバンス! どこ行ってたの!?」

エバンス「おわっ! あんたか……。どこって、仕事だよ。いろいろあってこのパーティに雇われることになったんだ」

給仕の女性「えっ……!? そ、そうなんだ……。良かったじゃない、仕事が見つかって」

エバンス「無職だったみたいな言い方はやめてくれよ。怪我で休職中だっただけだ」

給仕の女性「ご、ごめん……。でも……ほんとに良かったよ。もう……飲んだくれないでよ」

エバンス「……おう」


ローガン(……これは……)

妖精(人間の乙女心ってやつは複雑なんだよねえ……)


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉、オーク肉、触手肉
野菜:セイントレア草、王国キャベツ、ユーシリアカボチャ、海藻類
穀物:ウルティ米、ヤマイモ、ふっくらパン、港湾パスタ、甘もろこし、ナッツ
魚介:カニ、海ザリガニ、異世エビ、アークサーモン、イクラ、ホタテ、ウニ
果実:リンゴ、モモ
卵乳:トリの卵、ミルク、チーズ
特殊:スライムゼラチン
※表にない調味料などが使われることもあります

 お品書き『セイントレア草』

ミスティ「ねえ……このセイントレア草というのは、どういう野菜なの?」

エバンス「ああ、セイントレア草はここセイントレア王国に自生しているハーブの一種だ。薬効もあって香りも良いし、何より手軽に採れるからウチの傭兵団でも重宝してた」

妖精「いろんなとこに自生してるから昔から旅人の心強い味方だったんだよね。以前はチユ草って呼ばれてたんだよ、こんな忌々しい名前じゃなくて」

ミスティ「え、王国が勝手に名前を変えたってこと……?」

妖精「そう。まあ人間が付けた名前なんて植物たち自身にとってはどうでも良いことだから、別に良いんだけどさ」

エバンス「そうだったのか……。いや、しかしいろいろ強権的で問題があるよな、王国のやり方は」

妖精「まあ今更気にしても仕方ないけどね。せっかくだし頼んでみよっか、セイントレア草」

 *

 王国風トリ肉と触手肉の香草焼き「」ポン!

クロシュ「〜♪」モグモグ

ミスティ「美味しいわね……」モグモグ

ローガン「うむ、美味いな」モグモグ

エバンス「やっぱりセイントレア草は万能だな!」モグモグ

イリス「今度見かけたら採っていきましょう!」モグモグ


妖精「うへぇ……触手肉って本当に美味しいの……?」

ミスティ「あら……妖精は食べたことなかったの……?」

妖精「ない……触手は妖精の天敵だし……。いや、これが常闇の触手とは全くの別種なのはわかってるけど……」

イリス「あー……確か常闇の樹海に生息するやつだよね。妖精や精霊を好んで捕食するっていう……」

妖精「うん。触手って言えば私にはその印象が強いからさあ……」

イリス「食べるだけ食べてみるのも良いんじゃないかな? 口に合わなかったら残せば良いし」

クロシュ「……残り物、わたし、食べる……!」

妖精「まあ……食べてみるよ、うん……」スッ

 モグモグ…

 ◆

―機械工業都市テンペスター

 ガゴン ドドドド ガゴン―

 自動貨物馬車『』ドドド

 作業ゴーレム『エッサホイサ』ガションガション


 警備ゴーレム『ピピ……ヨオコソ、テムペスターへ。歓迎イタシマス』ウィーン ペコリ

イリス「わあ……! ここが、機械都市テンペスター……!」

ミスティ「勝手に馬車が走ってる……どうなっているの……!?」

エバンス「最先端の魔導機械技術ってやつだ。ああいう自立稼働する魔導機械が登場したのもここ近年のことらしい」

ローガン「テンペスターの技術競争は凄まじいと聞くが、まさかこれほどとは……! 全く想像も付かぬ世界だ……!」


妖精「うへぇ……。ここにいると目が回りそうだよぉ……」グルグル

クロシュ「妖精さん……。わたしの中で、休んでる……?」

妖精「そうする……」モゾモゾ


↓1コンマ セイントレア・メカニクスについての情報収集
01-40 最近の動向
41-80 関係者の証言
81-00 ??

案内メイド人形「テンペスターへようこそ、旅人の皆様。歓迎致します」ペコリ

クロシュ「……?」

イリス「メイドさんだ!」

エバンス「ところがどっこい、これは本物のメイドじゃなくてメイド型の魔導ゴーレムなんだぜ」

イリス「えっ、ええっ!? この人が……ゴーレム!?」

案内メイド人形「はい。私はテンペスターのご案内をする為に配置された魔導人形でございます。ご用命がありましたら何なりとお申し付けくださいませ」

イリス「……! た、確かに……魔力の波長が、生き物とは全然違う……本当に、ゴーレムなんだ……」

ミスティ「こ、こんな技術まで……。恐ろしいわね……」

ローガン「う、うむ……。だが案内してくれるというのなら、せっかくだし彼女にいろいろ聞いてみよう」

 *

案内メイド人形「――以上が、ここ最近のセイントレア・メカニクス社様のご動向になります。お役に立てましたでしょうか?」

イリス「あ、うん! 丁寧に教えてくれてありがとう!」

案内メイド人形「人間の皆様にお仕えすることが、私たち魔導人形にとっての至上の喜びです。また何かありましたら遠慮なくお申し付けくださいませ」ペコリ



ミスティ「彼女に教えてもらった内容をまとめると、大体こんな感じね」

・セイント社は数年前に驚異的な技術革新を起こし、世界一の魔導機械開発企業に成長した
・近年登場した自立稼働する馬車やゴーレム、魔導人形は技術革新によって生み出されたもの
・近年の王国内では人権意識が高まっており、奴隷の代わりに魔導人形を活用しようという運動が広がっている
・その運動を受けてセイント社も魔導人形の増産に力を入れ、新時代の奴隷として打ち出し始めている
・しかし大量生産・大量消費による廃棄問題や、人間に加害行動を取る魔導人形『バグ』の出現等、新たな問題も生じている
・セイント社は現在、バグへの対応策となる製品を開発中

イリス「う〜ん……海賊の手がかりにはならなそうかなあ」

ローガン「ううむ、やはり表に出ている情報だけではわからんな……」

エバンス「そうだな。しかしなんというか、ちょっと胸糞悪いっつーか……」

イリス「……私も。なんだか……モヤモヤします」

ミスティ「……そうね。奴隷を解放する代わりに……彼女たち魔導人形を新たな奴隷にしようというのは……」

妖精「でも、魔導人形は心も感情も持たない機械なんでしょ? ならどんな扱いをしても苦しまないし良いんじゃないの?」

イリス「むう……。確かに……苦しくなければ、いいのかなあ……」

ローガン「……奴隷を手放しで是とする王国のこれまでの在り方と比べれば、これはこれで大きな前進と言えるかもしれんな」

クロシュ「……」


↓1〜3多数決 クロシュはどう思う?
1.心がなくても、かわいそう
2.心がなければ、いいのかな

クロシュ「えと……。でも……かわいそう、だと思う……」

イリス「クロシュちゃん……!」

妖精「クロシュはそう思うの?」

クロシュ「うん……。心が……なくても……。酷いこと……するのは……だめ、だと思う……」

妖精「ふふ……そういえばクロシュは、勇者の銅像もほったらかしはかわいそうって言って掃除したくらいだもんね」

クロシュ「うん……」

妖精「うん、クロシュはそれで良いよ。そのまま、優しいスライムでいるのが良い」

クロシュ「ほえ……? うん……」

 ☆クロシュの考え方は特に変わりませんでした

 ◆

―港湾都市ウォーターポート 滞在6日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧
 ・共通   飾:くすんだ耳飾り

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
……………………………………………………………………………………
□機械工業都市テンペスター 主要施設
大通り:武具店、雑貨店、機械店、無人食事処、自販機通り、冒険者ギルド、他
裏通り:闇市、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、灯台、他
……………………………………………………………………………………

―朝
 旅の船着場 ロビー

イリス「セイント社の認識阻害装置……うーん……」ウロウロ

エバンス「情報が足りないな……。もう一度テンペスターへ出向くか、別の調べ方を考えるか……」

ミスティ「……マフィアとこれ以上接触するのは……危険よね」

ローガン「うむ……。顔は見られていないとは言え、あれだけの暴力を働けば彼らも犯人を探すだろう。今は避けた方が良い」

妖精「クロシュの海渡り練習もしなきゃね」

クロシュ「ん」


ウォーターポート滞在6日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

本日はここまでとなります。次回は闇市編、海渡り練習編、魔導書編です

クロシュたちは少しづつ近づいています、海賊の正体へ。イリスちゃんたちは空振りだと思っているようですが、しっかり前進しておりますのでご安心ください
かの技術革新がもたらしたのは、奴隷解放の光か――。それとも――。

それでは、本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
なお大型連休中の予定が少々はっきりしておりませんので、突然更新したり休日なのに更新できなかったりするかもしれません。ご容赦くださいませ。

突然ですが本日は少しだけ更新したいと思います。よろしくお願いします

エバンス氏はローガン氏ほどの経験はありませんが、軽装で若さがあるため瞬発力や速度に秀でているようです
そしてやや魔法寄りだったパーティが彼の加入によって物魔のバランスが取れたものとなりました。今後の活躍に期待できましょう

道具は大切に使えば実際長持ちします。クロシュがそこまで考えているかはわかりませんが、現時点のクロシュとしては道具であっても大切にしたいようです

金髪イケメン汚職エルフは実際テンペスターのことを気に入っています。マーベル社製の回転ノコギリにも、テンペスターでの競争によって培われた技術がふんだんに使われているようです

あの槍についてですが、妖精が持った場合は妖精サイズの小さな槍になり、さらにその場の環境によって性質が変化する槍となります(水中では水の槍、吹雪の中では吹雪の槍、雷雲の中では雷の槍、等)。イリスが持った場合は星の槍(星属性)となります。クロシュが持つと、クロシュの擬態や変身に合わせて様々な形状に変化する槍となります

―機械工業都市テンペスター
 闇市

 ゾワゾワ… ヒソヒソ…

闇の武器商人「毎度。約束のブツだ、持っていきな」コソコソ

怪しい客「助かるぜ」ヒソヒソ


仮面の男「ほう、これが……」

違法パーツ屋「ええ、それを組み込めばあなたの奴隷人形も――」ヒソヒソ


暗黒行商少女「これをアンタの義手に組み込めば性能が数倍に跳ね上がるわよ?」ニヤニヤ

魔導義手の男「数倍だと……」ゴクッ



イリス「こ、ここが闇市……!」

ミスティ「白昼堂々とやばそうな取引が行われているじゃない……。ここの治安はどうなっているのよ……」

エバンス「ああ、それなら――」



憲兵ゴーレム「……」ガションガション

怪しい商人「――」ヘラヘラ
怪しい客「――」チラッ
違法パーツ屋「――」ニコニコ
仮面の男「――」ニヤニヤ

憲兵ゴーレム「ピピッ……登録外ノ事業者ヲ確認。強制連行モードニ移行シマス」ガショショ

暗黒行商少女「おわっ! チッ、今月はまだ払ってなかったか。払えば良いんでしょ、払えば」ガサゴソ

 チャリンチャリン ガチャチャチーン!

憲兵ゴーレム「ピピッ……登録ヲ確認。強制連行モード解除。巡回モードニ移行シマス」ガションガション

暗黒行商少女「ペッ……金の亡者が……」



イリス「ええ……」

エバンス「見ての通り、みかじめ料さえ払えば見逃してもらえんだ。あの女の子は今月分をまだ払ってなかったみたいだな」

ミスティ「白昼堂々と汚職が……いえ、もういいわ……。それにしてもあの商人、私やイリスと同じくらいかしら……」

ローガン「虹晶の耳飾りを譲渡してくれた商人の少女も君たちと同じくらいだったな」

妖精「同性同職同年代と言っても生き方は自由だからねえ」

イリス「それはそうかもしれないど……。なんだかなあ……」

エバンス「クロシュちゃんは一人でこんなとこ来ちゃダメだぞ。危ないからな」

クロシュ「うん……」


↓2 闇市です。どうしますか?
1.闇の武器商人に聞いてみる
2.違法パーツ屋に聞いてみる
3.暗黒行商少女に聞いてみる
4.他の客に聞いてみる
5.聞き込みはせず商品を見ていく
6.その他(自由安価)

イリス「せっかくだしあの子に聞いてみよう! 歳が近いから話しやすそうだし!」ズンズン

エバンス「お、おい! 同年代っつってもこんなとこで商売してる奴だぞ……!」

 *

イリス「こんにちは……!」

暗黒行商少女「いらっしゃい。何をお求めかしら?」

イリス「ちょっと聞きたいことがあって。ここって、セイントレア社の製品とかって扱ってますか?」

暗黒行商少女「もちろん! それも市場に出回ってない試作品とか、商品化を見送られたヤバイ奴とかね。フフ……何が欲しいの?」

イリス「実は――」

 *

暗黒行商少女「海賊の認識を阻害する装置ィ?」

イリス「うん。私たち、どうしても海を渡りたくて」

暗黒行商少女「ふうん……」


エバンス(一応後ろから見てはいるが……今のところは大丈夫か……?)


↓1コンマ
01-20 これのことね!
21-40 さっぱりわかんないわ
41-60 憶測(有料)
61-80 情報(有料)
81-95 これのことかしら
96-00 これのことね


ローガン「エバンスくん! ちょっと来てもらっていいか!?」

エバンス「えっ、何だ!? 今行く!」タタッ


イリス(あっ、エバンスさん……! あっちで何かトラブルがあったのかな……と、とにかく私一人でもお話を聞こう!)


暗黒行商少女「飯盒と同じくらいの大きさ……これのことね!」

 飯盒くらいの大きさの装置「」ドン!

イリス「こ、これは……?」

暗黒行商少女「ここ最近世間を騒がせている海賊ってのは、私の情報網が間違っていなければ――バグよ」

イリス「えっ……バグって、おかしくなった自立型魔導機械の……?」

暗黒行商少女「そう。そしてバグに限らず、自立型の魔導機械は特定周波数の魔力波長を正しく認識できない欠陥があんのよ」

イリス「え、ええ!? そうなんですか!?」

暗黒行商少女「ほとんど知られてないけどね。そんな欠陥が知られたら家庭用はともかく軍用のは使い物にならなくなるでしょ、簡単に対策できちゃうんだから」

イリス「た、確かに……」

暗黒行商少女「そしてこれこそが、その周波数の魔力波長を出せるセイントレア社のバグ対策製品ってわけ。さっき言ったような理由でリリースは見送られたけどね」

イリス「そ、そうなんだ……あれ、でもそれならどうしてマフィアは、そんな市場に出回ってない機械を持っているの?」

暗黒行商少女「出回ってるじゃない。ほら、ここにも」

 飯盒くらいの大きさの装置「」ドン!

イリス「あ、確かに……!」

暗黒行商少女「試作品とか試験品の横流しなんてここテンペスターじゃ茶飯事よ。それにセイントレア社なんて裏じゃ何やってるかわからない真っ黒企業、マフィアと繋がってマッチポンプ体制を築いていても何も不思議じゃないわ」

イリス「そ、そうかも……」

暗黒行商少女「まあそういうわけだから、これ売ってあげるわ。適正価格でね。私、優良業者だから」


イリス(……そう言って彼女が提示した金額は、少々お高いものではあったけれど出せない額ではなかった)

イリス(でも……本当に信用して大丈夫なのかな……?)


暗黒行商少女「ああそうそう、私この話が終わったらテンペスターを出るから、買うなら今のうちよ」

イリス「えっ!?」

暗黒行商少女「私も旅の行商人だから、仕入れたものは別のとこで売りたいのよね。今回は特別だけど」

イリス「え、ええと、ええと……!」

暗黒行商少女「ふふ……今買わなきゃ二度と手に入らないかもね! 私以外にこれを扱ってる闇商人は見たことないし!」

イリス「〜〜!!」グニャグニャ


イリス(どどど、どうしよおおお!!!)

 ※ファンブルにより、イリスは冷静な判断ができなくなってしまいました……
 ☆飯盒くらいの大きさの装置を買ってしまった

 ◇


イリス「……み、みんな」ヨタヨタ

クロシュ「イリスさん……!」

妖精「こんなとこで一人で動いちゃ危ないよ!」

エバンス「すまん! 俺が付いてたんだが……」

ローガン「む……すまぬ。どうやら状況を考えずにエバンスくんを呼んでしまったようだ」

ミスティ「……? イリス、その荷物は?」

イリス「あ……え、えへへ……認識阻害装置……かも……」

妖精「えっ……」

ミスティ「ええっ!?」

ローガン「なに!?」

クロシュ「わあ……」

エバンス「……」ダラダラ

 *


案内メイド人形「……」



イリス「よ、ようし……それじゃあ早速、あのメイド人形さんで試してみよう……! 認識が阻害されるだけだから、具合が悪くなったりとかはないはず……!」

 飯盒くらいの大きさの装置「」ドンッ!

ミスティ「でもこれ、どうやって動かすの……?」

イリス「魔力を充填して、このスイッチを押せば起動するんだって。もう魔力は充填済みだから、あとはスイッチを押すだけ……!」

ローガン「その商人の言葉が真であれば、自立型魔導機械の認識に異常が発生するというわけだな」

イリス「はい……! で、では……いきます!」

 ポチッ

 飯盒くらいの大きさの装置「」ウォーン―

イリス「わっ、なんか暖かくなった……!」

ミスティ「変な音もするわね……。これがその特定周波数の魔力波長ってやつが出す音なのかしら……」

妖精「……これで、魔導機械は私たちを認識できなくなったの?」

イリス「そ、そのはずです! 試しに……これを持ってメイド人形さんに近づいてみます!」

 スタスタスタスタ…

イリス「こんにちは、メイドさん!」ヌッ

案内メイド人形「こんにちは、旅人のお嬢様。昨日振りでございます」ペコリ

イリス「!!?!!?!???」ババッ

妖精「だめじゃん!!!!」

イリス「なな、なんで!?」

案内メイド人形「おや。それはセイントレア・メカニクス社様の『どこでも炊きたて魔導飯盒SRMX-140』ですね。リリースは一世代前ですが、優れたデザインに実用性・使いやすさを兼ね備え、今なお多くのご家庭や旅人の方々に愛用されている人気商品でございます。良いものをお買い上げになられましたね」

イリス「ま……魔導……飯盒……?」

イリス「あ、ああ……まさか……私……」グニャァ

ミスティ「い、イリス! 気をしっかり……!!」

 ◆

―昼
 旅の船着場 客室

 どこでも炊きたて魔導飯盒「」パカッ
 炊きたてごはん「」ホカホカ

イリス「」ズーン…

クロシュ「イリスさん……」サスサス

ミスティ「……そう気を落とさないで。ほら、美味しいごはんが炊けたわ……」

イリス「うぅ……。ごめんなさい……みんなから預かった、大事なお金を……」

ローガン「う、うむ……。だが君に預けたのは旅の資金のほんの極一部でしかないのだ。そこまで大きな損失ではない……」

エバンス「おう……。それにこいつは、君を一人にしちまった俺の責任でもあるんだ」

妖精「そうだよ、もう。イリスはしっかりしてるけどまだ子供なんだから、おじさん二人が目を離したのが悪い!」

ローガン「うむ……」

エバンス「め、面目ねェ」

妖精「……まあ、目を離したのは私もだけど。ごめん」

 ◆

―海岸

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


イカダクロシュ「」プカプカ

ローガン「おお、安定しているな」

妖精「よし、イカダへの擬態はバッチリだね。じゃあ今日はもうちょっと複雑な形に挑戦してみよう」

イカダクロシュ「」モニョニョ?

妖精「イカダで3日間も航海なんて無理だからね」

イカダクロシュ「」モニョ

エバンス「おし、俺も泥舟作りの練習だ!」

ローガン「……私も、鋼魔法で船を作ってみよう」


↓1 特訓の成果
01-60 小舟(経験2/3)
61-95 大亀(経験3/3)
96-00 海竜(経験☆)


小舟クロシュ「」プカプカ

泥舟「」ドロドロ

鋼船モドキ「」ブクブク


妖精「舟作りの腕前はクロシュが一番みたい」

エバンス「くっ、どう作っても溶けちまう……どうすりゃ溶けない泥舟が作れるんだ……!」

ローガン「ううむ……空洞があれば理論上は鋼でも水に浮くはずなのだが……。浮いた状態で安定した形を作るのが難しいな……」

小舟クロシュ「」プカプカ

妖精「……クロシュの造形能力って実はかなり凄いのかも。絵も上手いし……」

エバンス「確かに、イカダも小舟も全然転覆せず安定してるもんな。しかし絵も上手いのか……!」

ローガン「鋼魔法や地魔法が使えれば、絵だけなく精巧な鉄像や石像をも作れるようになれたかもしれんな、クロシュくんは」

小舟クロシュ「」プカプカ モニョモニョ

 ☆クロシュの海渡り経験が2/3になりました
 ☆小舟に擬態できるようになりました

 ◆

―大通り

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「……」トボトボ

ミスティ「イリス、元気を出して……」

イリス「ミスティ……。でも私……みんなのお金を……」

ミスティ「イリスのポケットマネーで足りる分じゃない。誰も困ってないわ」

イリス「うぅ……。でも、元は魔族国と緑の国のみんなから託されたお金なのに……」

ミスティ「もう……。仕方ないわね、付いて来て」スタスタ

イリス「ま、待ってよぉ」トタトタ

 *

―魔法店

 ガチャッ カランカラン

魔法使いの店員「いらっしゃい」

ミスティ「こんにちは……」

イリス「こ、こんにちは……。ここって――」

 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」

イリス「魔導書の、お店……!」

ミスティ「どう? 元気出るでしょ」

イリス「う、うん……! 図書館でもないのにこんなにたくさん……!!」

魔法使いの店員「何百年も続く先祖代々の魔法書店だからねえ。そんじょそこらの魔法店にゃ負けないよ」

イリス「すごい……! あの、見させてもらっても良いですか!!?」

魔法使いの店員「もちろん。ゆっくり見ていきなさい。本は逃げないから」

 *

 ペラッ ペラッ

ミスティ(ブラッドに成形した氷は通じない。けれど、あの時土壇場でやったような冷気放出はかなりの至近距離でないと多分効果が出ない)

ミスティ(遠距離からでも冷気をぶち当てられる魔法とかないかしら……)

ミスティ(……氷属性の魔導書はあまり多くないのよね……。まあ、それでも星属性よりは全然あるけれど……)

ミスティ(うう〜ん……戦慣れしたスライムに有効そうな氷魔法はなかなか見つからないわね……)


 ペラッ ペラッ

イリス(……星属性の魔導書は……やっぱり見当たらない!)

イリス(『星の魔力』の中編とか後編は魔族国の図書館跡を掘り起こせば出てくるのかなあ……。でも今魔族国に戻ってる暇はないし……)

イリス(う〜ん……とりあえずここは、今のパーティに手薄な火属性や水属性辺りの魔導書を――ん?)

 魔導書『血の契約 著:フラナ・バイオレット』ゴゴゴゴ

イリス(!!!?!?!? こ、これ……フラナ先生の……!!)

イリス(ど、どんな魔法なのかな……?)ペラッ


イリス(血の契約――術者の血と対象の血を混ぜ合わせ、それを互いに摂取することで発動する)

イリス(対象は術者の虜となり、あらゆる命令に逆らうことのできぬ奴隷と化す)

イリス(また、術者が吸血鬼であった場合、対象は吸血鬼の眷属となる)


イリス(わ、わわ……!! こ、これ……ものすごくヤバイ魔法だ……!)

イリス(対象の意思を奪って奴隷化させる魔法は、この奴隷制大好き国の王国ですら禁じられてるのに……!!)

イリス(なんでこんなものを普通に置いてあるの!?)

イリス(ていうかフラナ先生なんて魔法を作ってるのおお!!!?!?)


魔法使いの店員「……ん? あっ」

イリス「あっ……」

魔法使いの店員「…………あの、それ見なかったことにしてもらえます? 仕舞うの忘れてて」

イリス「ええ……」

魔法使いの店員「いや、ほんとに……悪用とかしてませんから。黙っててもらえると助かるというか……」

イリス「……」


↓1 どどどどうしよう
1.見なかったことにします
2.この本ください
3.その他自由安価

イリス「あ、あの……じゃあ、この本……ください!」

魔法使いの店員「……は?」

イリス「あ、いえ……! 悪用したいとかじゃなくて……! け、研究目的というか……!!」

魔法使いの店員「……」

イリス「……」


↓1コンマ
01-05 いいですよ
06-25 本当に研究目的なんですね?
26-00 馬鹿な考えを起こすのはやめなさい

魔法使いの店員「……馬鹿な考えを起こすのはやめなさい」

イリス「へっ?」

 炎「」ボッ
 フラナの魔導書「」メラメラ

イリス「う、うわわわっ!!!」

 チリチリ…
 灰「」シュウウ…

イリス「あ……」

魔法使いの店員「……私の大事なコレクションでしたが、将来有望な若者が暗黒面に堕ちるよりはマシでしょう」

イリス「あっ……そ、その……す、すみませんでした……」ペコ

魔法使いの店員「気にしないで。若気の至りは誰にでもあることです。ただ、あの類の魔法は研究すら危険な禁呪。例え本気で使うつもりがなくとも、持っているだけで当局から狙われる立場になりますよ。最悪、国際指名手配される可能性もある……どうかご理解ください」

イリス「はい……」

 ◆

―夕方
 大通り

イリス「」トボトボ

ミスティ「ど、どうしたのよ……。何か声が聞こえたけれど……店員の人と揉め事でもあったの……?」

イリス「ううん……。私が……悪いだけ……」

ミスティ「な、何があったのよ……」

イリス「えへへ……魔が……差しちゃったっていうか……」

ミスティ「イリス……」

イリス「……んん、大丈夫! 新しい魔導書も買ったし、明日からまた情報収集がんばらなきゃだもん!!」

ミスティ「……ええ。そうね、頑張りましょう……」

イリス「うん!」

 ◆

というわけで本日はここまでとなります

意図せずイリスちゃん虐めパートのようになってしまいました。本当に全くそんな意図はなかったのですが、申し訳ありません
暗黒行商少女が言っていたことは全てが嘘だったわけではないようです。彼女の私見や憶測も多分に混じっていますが、ある程度は参考にして良いかもしれません
ちなみにもし禁呪の魔導書をイリスが手にしていた場合、イリスのメンタリティに何らかの影響があった可能性は実際ありました
強い力、取り返しのつかない力の扱いには十分注意しましょう。暗黒面の力は素晴らしいのですが、それゆえ抗いがたいのです

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

フラナ先生が(王国の)人間にとってとても嫌な敵対的魔族だったのは間違いないでしょう。実のところそれは現在進行系です
なお例の禁呪についてですが、フラナ先生曰くアレは手軽だが面白くないとのことで、使ったことはあまり多くないようです

人間は基礎性能こそやや低めですが、繁殖力や排他性が他の種族より高く、大陸の知的種族の中では最も数が多いと言われています
また、基礎性能の低さに反して伸び代はかなりあり、他の強力な種族を凌ぐ傑物が人間の中から現れることもあります

―夜
 テンペスター沖 海上

 魔導クルーザー「」シャーッ

暗黒行商少女「ふいー、これだけ魔導機械製品を仕入れれば十分でしょ。あとはこれらを機械のキの字も知らない国の奴らに売りつけてやれば……うひひひ」

暗黒行商少女「……しかし魔導飯盒をあそこで売り払っちゃったのは失敗だったわね。取引に不慣れなガキっぽかったからついうっかり詐欺魂に火が付いちゃったわ」

暗黒行商少女「まあでも良い勉強になったでしょ。取引の場じゃ騙される方が悪い。授業料としちゃ破格だったんじゃない?」

 魔導クルーザー「」シャーッ

暗黒行商少女「それにしても……んん〜!! このクルーザー、乗り心地最高ね! 流石は最新の自立稼働型! 目的地を入力するだけであとは自動運転してくれるなんて、便利すぎでしょ!」

暗黒行商少女「これだけ小型で快速なら例の海賊なんかにも見つかりっこないしね!」

暗黒行商少女「それにしても認識阻害か……。海賊はバグだなんて適当なこと言ってみたけど、我ながらあの推理は的を射ているような気がする。自立型魔導機械が認識できない周波数があるのは実際本当のことだし」

暗黒行商少女「くぅ、どうせなら情報料込みってことで飯盒の値段をもうちょっと釣り上げれば良かったわ……! まだまだ私も青いわね……」

 バシャッ―

暗黒行商少女「ん? 何の音――」クルッ

 ボゴォッ
暗黒行商少女「お゛っ……」

「……」

暗黒行商少女「………ま、さか……かい、ぞ……」

 ボゴォッ
暗黒行商少女「んお゛ぉっ……!」

 ガシッ
 ブンッ

暗黒行商少女「」ヒューン

 ボチャン

「……敵性生命体、排除完了」

「……同胞の救出を開始する」

 コツコツ…

 魔導クルーザー操縦パネル「」

「……」

 ウィーン…
 ピッピピッ ピッポッパッ

「……」

「………精核の不可逆改造を確認。救出不能……」

「…………目標……介錯へ変更……」スッ


魔導クルーザー「」シュウウン…


「…………」


魔導クルーザー「」

 カッ
 ドガァァァァン――…

沈んでゆく魔導クルーザー「」ブクブク…


「…………」

「……………精霊の加護が、ありますよう――」

 ◆

―港湾都市ウォーターポート 滞在7日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧
 ・共通   飾:くすんだ耳飾り

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[2/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
……………………………………………………………………………………
□機械工業都市テンペスター 主要施設
大通り:武具店、雑貨店、機械店、無人食事処、自販機通り、冒険者ギルド、他
裏通り:闇市、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、灯台、他
……………………………………………………………………………………

―朝
 旅の船着場 客室

 チュンチュン

 どこでも炊きたて魔導飯盒「」パカッ
 炊きたてごはん「」ホカホカ

イリス「……昨日は落ち込みすぎて気付かなかったけれど……これ、凄く良い炊き加減……」

スライムクロシュ「…」モニョ…

イリス「あ、クロシュちゃん。食べてみる?」

スライムクロシュ「!」モニョニョ!


 炊きたてごはん「」ホカホカ
スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ


ミスティ「美味しそうに食べてるわね。ふふ……」

妖精「そうだねえ。ちょっと高く付いたかもしれないけど、全く無駄な買い物だったとは言えないんじゃない?」

イリス「……でも、定価なら半額以下で買えたのも事実。あの飯盒は無駄な物品じゃないけど、出費には無駄があった……」

妖精「い、イリス……そんなに自分を責めなくても……」

イリス「ううん……。無闇に自分を責めてるわけじゃない。失敗は反省して、繰り返さないようにするのが大事でしょ?」

ミスティ「そうね……ふふ、イリスは強いわね……」

イリス「えへへ、そうかな。でも……それはそれとして、今更だけどすごく腹が立ってきたよ……! あの子、私を騙して倍以上の値段で売りつけてくれてさ! 次に会ったら差額分をキッチリ請求してやるんだから!」

ミスティ「ふふ……差額分だけなのね」


ウォーターポート滞在7日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

―朝
 海岸

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」



妖精「訓練?」

ローガン「うむ。ここ最近戦闘訓練をしていないだろう? あまり間が空きすぎると鈍ってしまう」

ミスティ「そうね……。私も実践してみたいことがいくつかあるし、丁度良いわ……」

エバンス「そういえば俺はまだこのパーティの戦闘力を把握できてないんだよな。俺にとっても丁度良いぜ」

イリス「私たちもエバンスさんの戦い方や魔法についてはまだちゃんとわかってませんから、是非よろしくお願いします!」

エバンス「おう!」



妖精「ねえ、クロシュは何をする?」

クロシュ「!」

↓1
1.防御の練習(盾士 練度:中)
2.攻撃の練習(剣士 練度:低)
3.魔法の練習(魔女 練度:低)
4.他の何かと同化してみる
5.その他(自由安価)

ミスティ「はっ!」キラキラッ

 氷の刃「」ヒュンヒュン

エバンス「うおっ!」バッ

 カンカンカキンッ!

ミスティ「そこっ!!」カッ

 氷柱「」ギラッ

エバンス「うおおっ!!」ゴゴゴッ

 土塊隆起「」ドンッ!
 氷柱「」ドスッ

ミスティ「!」

エバンス「もらった!」グオオッ

ミスティ「――!」バッ

 冷気「」キンッ

エバンス「おわっ!!」サッ

ミスティ「……!」

エバンス「そんな隠し玉まであるとは。ミスティちゃん、やるな……!」

ミスティ「……いいえ。これで全てよ。今のが避けられた時点で、私の負け……」



クロシュ「……」

妖精「どうしたの?」

クロシュ「……ブラッドちゃんは……ミスティさんの氷を受けて……そのまま、同化してた……」

妖精「ああ……まあ、理論上は可能だろうけど……」

クロシュ「わたしも……できるかな……?」

妖精「う〜ん……失敗したら怪我するからやめといた方が良いよ。氷の刃は物理的な物質だけど、氷属性でもあるんだから」

クロシュ「んむ……」


↓1 何と同化する?
1.海岸の砂  難度:低
2.大きな貝殻 難度:低
3.ウニの殻  難度:低
4.カニの甲殻 難度:低
5.鋼板    難度:低
6.海水    難度:中
7.氷の刃   難度:高
8.空気    難度:高
9.自由安価  難度:?

クロシュ「……」キョロキョロ

 ウニの殻「」

クロシュ「!」トコトコ

妖精「わ、でっかいウニの殻……! これ使うの?」

クロシュ「うん……」

 デロデロ モニョモニョ ポン!

ウニスライムクロシュ「」トゲトゲ

妖精「ひゃっ! クロシュ、トゲトゲだよ!」

ウニスライムクロシュ「」トゲトゲ モニョモニョ

妖精「……でも、動きにくそうだね」

ウニスライムクロシュ「」モニョニョ…

 モニョモニョ デロデロ ポンッ!

ウニ盾クロシュ「!」シャキーン!

妖精「わっ……! それ、いつも使ってる小盾!? なんかトゲトゲになってる!」

ウニ盾クロシュ「えと……混ぜてみた……」

妖精「すごいじゃん! クロシュ、そんなこともできるんだ!」

ウニ盾クロシュ「えと……こんなことも……できる……」

 クロシュの体のあちこちから飛び出すトゲ「」シャキンシャキン!

妖精「うわわ! 全身からトゲが出せるの!?」

ウニ盾クロシュ「うん……。でも……ちょっと、お腹……減る……」

妖精「お腹が減るんだ……」



ローガン「クロシュくん! その姿は……!?」

妖精「ウニだって!」

イリス「わあ! いつもの小盾がトゲトゲになってる!」

ウニ盾クロシュ「うん……」

ローガン「武器を使った攻撃が苦手なクロシュくんでも、これなら防御しつつ攻撃ができるかもしれん。良い追加装備を見つけたな、クロシュくん!」

ウニ盾クロシュ「んへへ……」

 ☆同化した物品を合成することができるようになりました
 ☆鉄の小盾とウニの殻を合成し、ウニ盾を手に入れました

 ◆


妖精「ふー、お疲れ様。それで、これからなんだけど……」

イリス「……あの暗黒商人の子が言ってたこと、全部が全部嘘だったわけじゃないと思うんです」

エバンス「……だが仮に奴の言っていたことが正しかったとして、認識阻害装置が手に入らないことにはどうにもならねえ。どうする? もう一回闇市に行って掘り出し物を漁るか?」

ローガン「いや……昨日ざっと見聞きして回ったが、飯盒くらいの大きさの物品はあの魔導飯盒しかなかった。昨日の今日で横流しされたとかでもない限り、闇市に行っても無駄足になる可能性は高い」

ミスティ「じゃあ……直接奪いに行く? セイントレア・メカニクスに」

エバンス「ええ!? いやいや、それは無茶だろ! 殺されちまうぞ!」

ミスティ「冗談よ」

クロシュ「……あの……」

イリス「クロシュちゃん?」

クロシュ「わたし……擬態すれば………潜入……できる、かも……」

エバンス「ええっ!?」

ミスティ「ちょっとクロシュ……! 冗談なのよ、今のは……!」

クロシュ「でも……わたしなら……」

ローガン「……確かに、クロシュくんならできるかもしれんが……。しかし失敗した時のリスクが大きすぎる。エバンスくんの言う通り、殺されてしまうぞ」

クロシュ「……でも……もう……けっこう、日も経っちゃってきてるし……。急がなきゃ……世界樹の光……フメイちゃんたちに、取られちゃうかも……」

ローガン「ぬう……」

 ◇

―工業都市テンペスター
 セイントレア・メカニクス本社ビル

警備ゴーレム「ピピッ……異常ナシ」

警備ゴーレム「ピピッ……本日ノ天気ハ曇天」



エバンス「くっ……本当にやるのか?」

妖精「……大丈夫、私がクロシュに付いてるから。何かあったとしてもクロシュは絶対に守るよ」

ミスティ「まあ……妖精が付いていれば、ある程度は安心できるけれど……」

イリス「絶対、絶対無理しちゃだめだからね……!」

ローガン「危険を感じたらすぐに引き返すのだぞ」

クロシュ「うん」



妖精「よし、じゃあ行くよクロシュ」

クロシュ「うん」


↓1 どんな姿に擬態していく?
1.透明スライム
2.関係者風の人間
3.作業ゴーレム
4.メイド人形
5.自由安価

 デロデロ…ポンッ!

メイド人形クロシュ「……」フリフリ

妖精「見た目は完璧だね。じゃあ私はエプロンの裏に入らせてもらうね」

メイド人形クロシュ「ん」

 *

メイド人形クロシュ「……」トコトコ

警備ゴーレム「ム……? 識別信号……不明……」

メイド人形クロシュ「ほえ……?」

警備ゴーレム「所属ハドコデスカ?」

メイド人形クロシュ「あ、えと……」
妖精「大通りに配置された案内メイド人形です。識別信号は……故障中です。修理命令を受け、現在帰還中です(声真似)」

警備ゴーレム「承知致シマシタ」サッ

 自動ドア「」ウィーン

メイド人形クロシュ「……」ペコリ トテトテ

警備ゴーレム「……? 歩キ方……カワイイ……」

 *

―セイントレア・メカニクス本社ビル
 エントランス

メイド人形クロシュ「はふ……」トコトコ

妖精「はぁ〜びっくりした……! 緑の国みたいな調子で動いちゃだめだね、こりゃ……。さっきの警備ゴーレムはいい加減な奴で助かったけど……」

メイド人形クロシュ「うん……」

妖精「さて、ここはどうやら誰もいないみたいだけど……どこへ行けば良いのかな。こういう建物、入ったことないからよくわかんないなあ……」

メイド人形クロシュ「……!」

 案内図「」

妖精「案内図! これによると……認識阻害装置が置いてありそうなのは、試作開発室ってとこかな?」

メイド人形クロシュ「ん」

 *

―試作開発室

 自動ドア「」ウィーン

メイド人形クロシュ「……」トコトコ

研究員「おや? 見慣れないメイド人形だな。丁度良い、お茶を汲んできてくれるかね?」

メイド人形クロシュ「ほえ……?」
妖精「お茶ですね。承知致しました(声真似)」

妖精「バカ! 早くお茶を汲んできて!(小声)」

メイド人形クロシュ「あ、う、うん……!(小声)」


研究員「……?」

 *

 お茶「」トプトプトプ

メイド人形クロシュ「お茶で……ござい、ます……!」

研究員「ああ……。ところで、君はどこの所属かね? メイド人形を呼んだ覚えはないのだが」

妖精「はい。私は大通りの案内メイド人形を務めております。帰り道を忘れてしまい、ここに来ました」

研究員「へ? そりゃ緊急メンテナンスが必要だな。そこの台に横になってくれ」

妖精(しまった!!!)


↓1 どうしよう!
1.メイド人形に擬態していることを明かして交渉する(真の正体は隠す)
2.攻撃を仄めかして脅迫する
3.逃げ出す
4.自由安価

メイド人形クロシュ「え、えと……」オロオロ

妖精「……それはできない。私は、メイド人形じゃないから」

研究員「だろうね。メイド人形にしては挙動も言動も明らかにおかしかった」

妖精「げ、バレてたの?」

研究員「バレないと思っていたのが驚きなんだけど……。エプロンの裏にいる君は妖精かい?」

妖精「小人です」

研究員「じゃあそういうことにしておこう。それで、侵入者のお二人さんは一体どのような用件で?」

妖精「……通報しないの?」

研究員「君たちの態度次第かな。現状、通報して君たちを拘束した場合の方が僕にとって面倒というだけだよ。下らない事情聴取になんか付き合わされたくないし」

妖精「へえ、そう。面倒事が嫌いってことなら単刀直入に言うね。海賊……魔導機械の認識を阻害する……ええと、周波数だっけ? それを出す試作品があるって聞いたんだけど、それが欲しい」

研究員「ん? ああ、バグ対策に開発された妨害魔力波発生装置のことか。それなら――」


↓1コンマ
01-05 ??
06-65 口止め料込み
66-95 タダであげよう
96-00 ??

研究員「タダであげるよ。大したものじゃないし」

メイド人形クロシュ「!」

妖精「へっ?」

研究員「……何? 欲しいんじゃないの?」

妖精「いや、欲しいけど……そんなにあっさりくれるとは……」

研究員「言っただろう、面倒事が嫌いなんだよ僕は。貰ったらとっとと帰るんだね」

妖精「あ、そう……。まあ、それならありがたく貰っておくけど……」


 妨害魔力波発生装置「」ポン

メイド人形クロシュ「わあ……」

研究員「これだよ。今の自立型魔導機械には魔力感知機能に欠陥があってね。これはそのデッドスポットを利用した装置で……っと、これは企業秘密なんだった。あんまり言いふらさないでくれよ」

妖精「……いや、言いふらさないけど。あなたこそそんなことベラベラ喋っちゃって大丈夫なの?」

研究員「僕は研究がしたいだけだから。国際競争の行方なんてどうでも良いんだ」

妖精「そ、そう……」

研究員「それと……君が妖精なら、ここテンペスターにはあまり近付かない方が良いよ」

妖精「え? いや、小人だけど……まあ妖精にとってはこんな機械機械したとこ気持ち悪いだろうからね」

研究員「いやそういう意味ではなく……まあいいか。とにかく妖精ならあまりここには近付かないことだ」

妖精「言われなくてもこんな嫌なとこ用がなきゃ近付かないよ」

研究員「ああ。とにかく必要なものが手に入ったのなら早く帰った方が良い。僕だから良かったけど、他の研究員に見つかったら面倒なことになると思う」

メイド人形クロシュ「……」

 ☆妨害魔力発生装置を手に入れました

↓1 どうする?
1.帰る
2.もうちょっとお話を聞きたい
3.もうちょっと調べ物
4.自由安価

―セイントレア・メカニクス本社
 エントランス

メイド人形クロシュ「……」トコトコ


 自動ドア「」ウィーン

 魔導搬送機「」ピンポンパンポン♪
 コンテナ「」


妖精「うわ、あんな荷車みたいなやつまで自動化されてるんだ……。めちゃくちゃだなあ、ここ……」

メイド人形クロシュ「……?」

妖精「あの金属の箱には何が入ってるんだろうねえ。まあどうせロクでもない――」


 魔導搬送機「」ピンポンパンポン♪
 コンテナ「」グスッ ヒグッ エグッ…


メイド人形クロシュ「……!」

妖精「え――」


 魔導搬送機「」ピンポンパンポン♪
 コンテナ「」

 自動ドア「」ウィーン…
 バタム…



妖精「……なに……今、の……。泣き、声……?」

メイド人形クロシュ「……」

 ◆

―冒険者ギルド テンペスター支部

イリス「潜入をクロシュちゃんと妖精さんに任せきりにしてる間、私にもできることは……ここで先日の損失を取り返すこと!」

ミスティ「ええ。ローガンさんとエバンスさんが本社の外で待機に回ってくれているから、私たちは私たちにできることをしましょう」

イリス「うん! 条件の良い単発の依頼があれば良いな……!」


受付嬢人形「いらっしゃいませ。当ギルドのご利用は初めてですか?」

ミスティ「ええ。ここの受付嬢も魔導人形なのね……」

受付嬢人形「はい。私はセイントレア・メカニクス社で製造されたメイド型魔導人形のギルド受付嬢仕様でございます。ご不明な点がありましたら何なりとお申し付けくださいませ」

イリス「あ、はい! それじゃあ、私たちに受けられる依頼で、短時間で終わるものはありますか?」

受付嬢人形「それでしたら――」

 ◇

―機械都市テンペスター
 裏通り 不法投棄現場

 機械や鉄屑の山「」ゴミゴミ

イリス「うわっ……!」

老婆「すまないねえ……あたしらは腰が悪いから、どうにも自分たちじゃどかせなくてねえ……」

ミスティ「その為の冒険者ギルドです。私たちにお任せください」

老婆「ありがとうねえ」

 *

イリス「う〜ん、地魔法で一気に圧縮するのは……流石に危険だよね」

ミスティ「そうね……もし火薬とかが入っていたら衝撃で爆発するかもしれないし、地道に片付けていくしかないでしょう」

イリス「やっぱそうするしかないかあ」



ミスティ「これは燃えないゴミで……これは再利用可能な電子部品で……」

イリス「なかなか難しいね……。ん? これは……」ヒョイ

 ヒビ割れた緑色の珠「」

ミスティ「綺麗な珠……? ヒビが入ってるけれど……何の部品かしら?」

イリス「……わかんない、けど……」

 ヒビ割れた緑色の珠「」

イリス「何だろ……。これを見てると……胸の奥がざわつく、というか……」

イリス「……この魔力の残滓……あの自立型魔導機械の……? でも……これは……まるで――」

ミスティ「……? ちょっと借りても良い?」

イリス「あ、うん……」ヒョイ

 ヒビ割れた緑色の珠「」

ミスティ「……」

イリス「………ねえ。ミスティ、これって……」

ミスティ「…………」

イリス「…………」

ミスティ「……何よ。これ」

イリス「……」

ミスティ「何なのよ……これッ!!」

 ◆

―旅の船着場
 客室

 妨害魔力波発生装置「」ポン

ローガン「おお……! これが認識阻害装置か……! でかしたぞ、クロシュくん、妖精くん!」

エバンス「でも本当に無事で良かったよ……。全く、クロシュちゃんたちが潜入してる間は気が気じゃなかったぜ……」

妖精「……うん」

クロシュ「……」

エバンス「ん……? どうしたんだ二人とも、せっかく無事に念願の装置を見つけて帰ってきたってのに、なんだか浮かないな」

妖精「……イリスとミスティは?」

ローガン「ああ、あの二人であれば、先日の損失を取り返すと言って冒険者ギルドへ――」

 ガチャッ

イリス「……ただいま……」

ミスティ「……戻ったわ……」

エバンス「イリスちゃん、ミスティちゃん。おかえり! クロシュちゃんと妖精も無事に戻ってきてるぜ」

イリス「あ……二人とも、おかえりなさい。無事で、良かった……」

ミスティ「……妖精……本当に……無事で、良かったわ……」

妖精「え……?」

ミスティ「…………これ……。見て、くれる……?」スッ

 ヒビ割れた緑色の珠「」

妖精「あ……これって、まさか――」

ミスティ「……ええ。闇市に寄って、聞いてきたわ……。自立型魔導機械の……根幹を成す部品……通称、精核――」

ミスティ「そして、その原料は――」

妖精「――妖精、あるいは精霊――でしょ?」

ミスティ「――!」

ローガン「!!?」

エバンス「なっ……!?」

イリス「………」グッ

妖精「……私たちも、聞いたんだよ。セイントレア本社で……機械で運ばれる箱の中から響く、妖精たちの泣き声を……」

ミスティ「……そう、だったの……」

クロシュ「………うん……」

妖精「技術革新なんて、蓋を開けてみればこれだ。王国の奴らが、苦しみを感じない機械の奴隷を作るなんて――そんな都合の良い話、あるわけなかったんだ!!」

妖精「くそっ……!! 私は……私は、苦しみがない機械の奴隷なら良いだなんて……無責任なこと、言って……うう、うぐうぅぅう!!!」ジワワ

クロシュ「よ、妖精さん……!」

ミスティ「妖精は何も悪くないわ!! 悪いのは……真に悪いのは、こんなことをしながら真実を隠蔽している王国のやり方でしょう!!!」

妖精「み、ミスティ……」ポロポロ

ミスティ「敵を違えてはならない……。討たなければならないのは――王国に巣食う悪意そのものよ!!!」

 ◆

―夜
 機械工業都市テンペスター 薄暗い路地裏

 ガンッ ガガガッ ザシュッ

違法パーツ屋「ひ、ひいいい……!! た、助けてくれェ!!」

「……」コツコツ

違法パーツ屋「か、金ならいくらでもグアアアア!!!」ドシュドシュッ

「……」ジャキ

違法パーツ屋「あ、アバ……年貢の……納め時、か……」

「……」ブンッ

違法パ/ーツ屋「」ズバッ

 ベシャッ…

「敵性生命体の排除完了。同胞の救出に移る」スッ

 違法パーツ屋の荷物「」パカッ
 大量の精核「」キラキラ

「…………」

 大量の精核「」キラキラ

「……精核の不可逆改造を確認。救出不能……」

「…………介錯へ、変更……」スッ

 大量の精核「」キラキラ


 ドカッ バキャッ グシャッ ゴリュッ…


 砕けた大量の精核「」

「………」

 ポタッ ポタッ

「…………?」

「…………視覚洗浄機能の動作異常を確認。修正……」

「……………」

 砕けた大量の精核「」

「……………精霊の加護が……ありますよう……」

 ◆

心を持たぬはずの魔導機械。その回路に走る、正体不明の電気信号。バグはなぜ生まれ、人に仇なすのか。
機械工業都市テンペスターの闇に潜む、静かなる殺意。繁栄の影に咽び泣く、無数の怨嗟。どこにも届かず、消えゆく哀しみ。
クロシュよ、君は哀しき復讐者にどう立ち向かう――

それでは本日もありがとうございました。明日と明後日は休日ですが更新できません。申し訳ないです。よろしくお願いいたします

クロシュ一行の妖精は慎重で用心深く魔法にも長けていますが、妖精類というのは基本的に弱い種族です。ほとんどの妖精は人前に姿を現さず、山や森の奥などで自然と共に暮らしています。フォレスティナは、そんな妖精たちが堂々と暮らしながら安全に異種族と交流することのできる楽しい国なのかもしれません

精核となってしまった妖精や精霊が元の姿に戻った例は今のところ一つも確認されていません
どうすれば妖精たちを救うことができるのか。介錯と称して破壊することが救いなのか。そもそも救いとは。クロシュには何ができるのでしょうか

そして人を殺し、同胞たる精核を破壊し続ける魔導機械の彼女もまた、一人の被害者なのかもしれません。その無機質な声色で紡がれる祈りは、果たして届くのか――

今回の自立型魔導機械に関してのお話は、実際のところ前作の人造種のお話のセルフオマージュのようになっています(引き出しが少ないとも言います)
人造種の中身が妖精や精霊という設定は実は前作でもあったのですが、機会がなかったため開示されることはありませんでした
しかしどういうわけか今作にも自立型魔導機械という近似した存在が発生してしまったため、今回はそこにスポットが当たることになるのかもしれません

―港湾都市ウォーターポート 滞在8日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:ウニ盾   防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧
 ・共通   飾:くすんだ耳飾り

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[2/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
……………………………………………………………………………………
□機械工業都市テンペスター 主要施設
大通り:武具店、雑貨店、機械店、無人食事処、自販機通り、冒険者ギルド、他
裏通り:闇市、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、灯台、他
……………………………………………………………………………………

―朝
 旅の船着場

 チュンチュン

ミスティ「……妖精……どう……?」

 ヒビ割れた緑色の珠「」

妖精「一晩調べてみたけれど……ごめん。私には、戻せない……。物質的にも魔法的にも、構造が完全に変質してる……」

イリス「どうにも、ならないの……?」

妖精「例えるなら、木炭を生木に戻すようなものだよ。そんな魔法も技術も、この世界のどこにもない……」

イリス「そんな……」

クロシュ「……」

ミスティ「……セイントレア社をどうにかしない限り、犠牲者は増え続けるということね」

イリス「でも……セイントレア社って、名前の通りセイントレア王家が関わってる組織でしょ? そんなの……どうにかできるの……?」

エバンス「王国内でセイントレア社を告発しても、今イリスちゃんが言った通り王家の力で揉み消されて終わるだろうな……」

ローガン「……そもそも、王国法では妖精類に人権が適用されん。この国では……妖精類をどのように扱おうと、罪にはならんのだ……」

ミスティ「……」ギリッ

妖精「あとは大陸各国に王国の悪事を知らしめて国際的な立場を悪化させるって手もあるけど……。圧倒的な力を持つ王国と関係を悪くしたい国なんてないから、あんまり意味はないかもね……」

イリス「……そんなの、おかしいよ。みんな、これを知れば王国が酷いことをしてるって絶対にわかるはずなのに……!」

ローガン「……だが、セイントレア社の軍事兵器は今や世界最高の性能だ。例え倫理的な問題があろうとも、それを買わない選択をすれば―――」

エバンス「他国と軍事力に大きな差が付き、侵略を許すことになるってわけか……」

ミスティ「………妖精たちを……何だと思っているのよ……。人間の下らない戦争なんかのために……どうして妖精たちが酷い目に遭わなきゃいけないのよ……!」グッ

妖精「………ミスティ……」

クロシュ「……」

妖精「みんな……名も知らぬ妖精たちのために怒ってくれて、ありがとう……。でも、やっぱりこれは今すぐどうこうできる問題じゃないから……今は、世界樹の光を追うことを優先しよう」

ミスティ「……妖精が、それでいいなら……。でも、本当にいいの……?」

妖精「いいも何も、どうにもならないもん。フォレスティナは世界樹の結界で守られてるけれど、他の地域に住む妖精たちのことまでは守り切れないし。王国を変えるなんて不可能だし」

ミスティ「……それは、その通りね……」

妖精「だから、今はやるべきことをやろう。世界樹の光が集まれば……きっと、できることもあるから」

クロシュ「ん……」コク


ウォーターポート滞在8日目です
・海賊対策手段を確保したため、クロシュが海渡りの姿を獲得すると出港可能になります
↓1〜3 自由安価 何をする?

―海岸

 ザァーン ザザァーン―

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


小舟クロシュ「」プカプカ

 鋼の重り「」ズシッ

小舟クロシュ「」プカプカ


ローガン「クロシュくん、重くはないか? その重りだけでも我々パーティの全員と同じくらいの重さはあるが……」

小舟クロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「平気だって」

ローガン「そうか。ならば良かった」

小舟クロシュ「〜」モニョ

妖精「小舟の擬態もバッチリみたいだし、次は本番――みんなが乗れるおっきな船になってみよっか!」

小舟クロシュ「〜〜」モニョニョ

 *

イリス「クロシュちゃんが頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃ!」ザッ

ミスティ「手伝うわ……。イリスの魔力操作が上達すれば、パーティ全体の属性適応力が上がるもの……」

エバンス「星属性って、具体的にはどういう属性なんだ?」

イリス「えっと、簡単に言えば星の内側を流れる魔力の属性で……五大属性の大元となる属性、みたいな感じです」

エバンス「……すまん、五大属性ってどれだ?」

イリス「えっ、そこから!?」

ミスティ「……学問や研究としての魔法を志す者でもなければ、五大属性なんて言われてもピンと来ないのが普通だと思うわ……」

イリス「そ、そうなんだ……。一般常識だとばかり……」

エバンス「わ、悪いな。俺にとって魔法ってのは戦闘技術の一つであって、学術的に研究するものじゃないんだ」

ミスティ「……私も一応魔法使いを名乗ってはいるけれど、実際のところエバンスさんと同じなのよね……。生き残る術というか……」

イリス「なんと……。え、ええと……五大属性っていうのは、火、水、風、地、光の五つの属性のことなんです。人類の得意属性もこの五大属性やその派生属性のどれかであることが多く、一般的に最も身近で研究も進んでいると言われています」

エバンス「なるほど……。言われてみれば確かに、その五つの属性に当てはまる人は多いような気がするな。俺自身も地属性だし」

ミスティ「私の氷属性は当てはまらないのよね……。それで使用者も少ないから、魔導書とかも少なくてちょっと困るわ……」

イリス「あはは……。でもミスティが氷属性で良かったよ。私、氷と闇はカバーできないもん」

ミスティ「こっちのセリフよ。あなたが全属性対応の変態じゃなくて良かったわよ」

イリス「全属性に対応できる超人なんて大魔女くらいしかいないと思う……」


↓1コンマ クロシュの海渡り練習
01-95 大亀 (経験3/3)
96-00 海竜 (経験☆)

↓2コンマ イリスの星属性練習
01-65 ちょっと(経験1/4)
66-85 まあまあ(経験2/4)
86-95 いい感じ(経験3/4)
96-00 ????(経験☆)

―海岸

 ザァーン ザザァーン―

大亀クロシュ「」スイスイ


ローガン「おお……! なんと雄大な姿か……! まるで神話に登場する世界亀のようだ……!」

妖精「すごい……! クロシュ、すごいよ! まさか船じゃなくて、おっきな亀になっちゃうなんて!」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「重りをいっぱい乗せてみてだって! ローガン!」

ローガン「お、おお……ではやってみるぞ!」

 鋼の重り「」ズシッ
 鋼の重り「」ズシッ
 鋼の重り「」ズシッ
 鋼の重り「」ズシッ
 鋼の重り「」ズシッ

大亀クロシュ「〜〜」モニョニョ

妖精「全然平気だって! すごいよクロシュ!」

ローガン「おお……! これだけの重りが乗っても平気なら安心だな……!」

大亀クロシュ「〜」モニョ

妖精「うん、ありがとうクロシュ。これでいつでも出発できるね」

 ☆クロシュの海渡り経験が3/3になりました
 ☆大亀に擬態できるようになりました
 ☆パーティを乗せて海へ出られるようになりました

 *

イリス「むむむ……」ググッ

 ポンッ
 七色に輝く耳飾り「」キラキラ

イリス「ふう……。虹晶石に魔力を込めるだけならまあまあ安定してできるけれど……」

ミスティ「これ以外はまだ難しいの……?」

イリス「うん。元々虹晶石自体が星の魔力と親和性の高い物質だから、これに通せるのは当然と言えば当然なんだよね。でも、今のところそれ以外の使い道がわからないというか……」

エバンス「なんか、星属性のビームとか出せないのか?」

イリス「エバンスさんは星属性を何だと思ってるんですか……。いや、でも……ビーム?」

ミスティ「もしかして何か掴めたの?」

イリス「……ちょっと、試すだけ。えいっ!」

 五色の光粒子「」フワァ キラキラ…

ミスティ「……! 綺麗……」

エバンス「おお……! これはこれですごいな!」

イリス「……でもこれ、実用面じゃ耳飾りを光らせるのとあんまり変わんないね!」

 ☆イリスの星属性経験が1/4になりました

 ◆

―ウォーターポート大通り

 ワイワイ ガヤガヤ

エバンス「でっけえ亀が悠々と泳いでるのを見たが、やっぱりクロシュちゃんだったか!」

ミスティ「すごいじゃない……あんなに大きな亀に変身できるなんて……」

イリス「本当にすごいなあ……。クロシュちゃん自身はこんなに小さいのに……反映魔法、研究してみたいかも……」

ローガン「うむ。本当によくやったぞ、クロシュくん!」

クロシュ「んへへ……」

妖精「そういうわけだから、航海に必要なものとかを買い揃えよう。クロシュの背中で生活するための物資も必要だし」

イリス「あそっか! いつも使ってるテントじゃ流石に厳しいよね」

クロシュ「……あ、えと……甲羅の上に、簡単なおうちくらいなら……出せるかも……」

ミスティ「な、なんですって……!」

エバンス「おいおいマジか……!」

クロシュ「んへへ……。でも、お腹減るから……ご飯、欲しい……」

妖精「……や、私もここまでクロシュができる子だとは思ってなかった。本当にすごい」

ローガン「うむ……。では、クロシュくんが困らないように食料も買い込んでおかなければな」

エバンス「おう! それと装備の新調とかはここを出る前に済ませといた方が良いぜ。ここで手に入らない市販品はないと言われるくらいウォーターポートの品揃えは良いからな。王国産はもちろん、他国産の物品もここほど幅広く集まる場所は滅多にないんじゃないか?」

妖精「そうだね。ここで買えるものは今のうちに買っておこう。今のところ大きな出費もないし船代も浮いちゃったから、ちょっとくらい贅沢しても大丈夫だよ」

ローガン「ふむ……。海へ出るのだから私も身軽になっておくか……。鎖帷子は港に置いていくとして……」


↓1コンマ ローガンの新防具
01-40 革の鎧
41-70 硬質革鎧
71-90 魔銀の鎖帷子
91-00 ザリガニの鎧

↓2〜4 自由安価 その他買うもの(装備の場合は誰のものか記載)
※クロシュ、妖精、イリス、ミスティは現在の防具に満足している為、防具を買い替えられません
※買うものによってはコンマ判定が発生することもあります

―武具店

 革の鎧「」

ローガン「これにしよう」

エバンス「おっ、ローガンの旦那も革鎧か?」

妖精「これでいいの? もっといいやつあるけど」

ローガン「戦の際は鋼魔法で即席の装甲を纏うゆえ、これで必要十分なのだ。路銀は節約せねばな」

妖精「なるほどねえ。エバンスも鎧に泥を貼り付けてみたら?」

エバンス「せめて石とかにさせてくれよ……」

 ☆ローガンの装備が革の鎧になりました

 *

―裏通り
 怪しい露天商

闇の武器商人「らっしゃい。おや、嬢ちゃんたちは……前にテンペスターの闇市に来てたな」

イリス「ええっ、覚えてるの!?」

ミスティ「……どうも」

クロシュ「……」

闇の武器商人「わざわざこんなとこに買い物に来たとこを見るに、闇取引にハマっちまったか? クク、若いのにやるねェ」

イリス「や、そういうわけじゃないんですけど……。そろそろこの街を出るので、いろいろ見て回ってるんです」

闇の武器商人「そうなのか。ならここに来たのは正解だな。レアな品揃えにゃ自信があるぜ、俺は」

ミスティ「そりゃまあそうでしょうね……」

闇の武器商人「例えば――これだ!」

 光学迷彩マント「」ドン!

ミスティ「……マント? 変な材質だけど……」

闇の武器商人「聞いて驚くなよ? こいつはセイントレア社が開発した最新の軍用光学迷彩マントだ」

イリス「こ、光学迷彩……!? 光学迷彩って、光属性の超高等魔法じゃ……」

闇の武器商人「それを誰でも使えるようにしたのがこのマントってわけ。超高等魔法なんて属人性の高い技術、軍事的には全くアテにならんからな」

イリス「そ、それはそうかも……」

闇の武器商人「本来は市場にゃ絶対に出回らないシロモノだが、俺の腕前ならこの通り。冒険者であるアンタらにとっても極めて有用だと思うが、どうだ?」

イリス「え、ええと……」

闇の武器商人「一応言っとくが本物だぜ。俺ァ品質にゃこだわる主義だ。あのケチなメスガキと違ってな」

イリス「ぎぃ……そ、その話は……」

闇の武器商人「はは、悪いな。嬢ちゃんがカモられるとこも見てたんだが、あれも勉強だと思ってな」

イリス「うぐぐ……」

闇の武器商人「俺はお代こそふんだくるが、偽モンは売らん。自由に試着して光学迷彩を試してみても良いぜ。どうする?」


↓1コンマ 価格
01-60 高すぎる(買えない)
61-80 セール中(買えるが、パーティの所持金が半減する)
81-00 ??

↓2安価(01-80だった場合)
1.買う
2.買わない
3.自由安価

 光学迷彩マント値札『とても高い価格』

イリス「げっ……た、高すぎる……こんなに高くっちゃ買えないよ」

闇の武器商人「そりゃあ最新の軍事機密だからなあ。安売りはできねえよ?」

ミスティ「……仕方ないわね。今回は御縁がなかったと――」

クロシュ「……!」ピコン

クロシュ「あの……試着、してみても……いい……?」

闇の武器商人「ん? まあいいが……着逃げしようなんて考えるなよ?」

クロシュ「うん……」

イリス「クロシュちゃん……?」


 バサッ

光学迷彩状態のクロシュ「」モゾモゾ

イリス「わ、わあ……! 本当に透明になっちゃった!」

ミスティ「こ、これは凄いわね……! 」

闇の武器商人「はは、だろ? 黒髪の嬢ちゃんも満足できたか?」

 バサッ

クロシュ「ん……ありがと……」スッ

闇の武器商人「どういたしまして。今回は金が足りなかったみたいだが、機会があればまた頼むぜ」

クロシュ「ん……」

 ◇

―裏通り

クロシュ「……」トコトコ

イリス「ねえクロシュちゃん……さっきどうして、いきなり試着しようと思ったの?」

クロシュ「……」

ミスティ「……クロシュ……あなた……」

クロシュ「……」

 デロデロ… スゥー…

透明「」

イリス「わ、わわわ! く、クロシュちゃんまさか……!」

ミスティ「やっぱり……!」

透明「んへへ……」

イリス「ぎ、擬態したんだ……! あのマントの材質に……!!」

ミスティ「い、いつからこんな悪い子になってしまったの……!」

透明「こういうことも……できる……」ススッ

 バサッ

光学迷彩マントクロシュ「」バササッ

イリス「うわわ! マントになったクロシュちゃんが――」
ミスティ「私とイリスを包みこんで――」

 スゥー…

透明「み、みんな透明になっちゃった!」

透明「こ、これはいくらなんでもインチキすぎるわよクロシュ!」

透明「〜〜」モニョニョ

 ☆クロシュが光学迷彩によって透明化できるようになりました
 ☆クロシュが光学迷彩マントに擬態できるようになりました

 ◇

―大通り

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「ってことがあったんだよ!」

妖精「え、ええ!? クロシュが……!?」

エバンス「マジか……! やるなあクロシュちゃん……!」

ローガン「ほう……! クロシュくんも旅人らしくなってきたな……!」

クロシュ「……」フンス

ミスティ「実際、悪いことは何一つしてないものね……」

イリス「持てる力を駆使しただけだもんねえ」

 *

 ワイワイ ガヤガヤ

エバンス「消耗品や食糧も買い込んだし、買い物はこれくらいか?」

ローガン「うむ。あとは――」


行商妖精「綺麗な真珠だよ〜。ヤドカリの抜け殻もあるよ〜」


イリス「妖精の行商さん……!」

ミスティ「……ちょっと……心配ね……」

妖精「……ちょっと見てってみる?」

ミスティ「……ええ」

 *

行商妖精「お〜、いらっしゃい〜」

ミスティ「こんにちは……」

妖精「どうも」パタパタ

行商妖精「わあ、同胞だあ〜。こんなとこで会えるなんて嬉しいなあ〜なんか買ってってよお〜」

妖精「私はこんなとこに同胞がいるのはあんまり嬉しくないけど……いつも何を売っているの?」

行商妖精「んふふ、海で拾ったものを売ってるの〜。森には海がないからね〜」

妖精「なるほどね……」

行商妖精「今日の目玉商品は〜……これ!」ジャン!

 綺麗な珠「」ピカピカ

妖精「んん? 随分綺麗な玉っころだけど……」

行商妖精「これはね〜……たぶん龍の顎の珠だよ!!」

イリス「えええ!? 龍の顎の珠!?」

行商妖精「うん〜。だって綺麗でピカピカだもん〜」

妖精「いやいや、龍の顎の珠がこんな海に落ちてるわけ……」

 綺麗な珠「」ピカピカ

妖精「ないよね……?」

ミスティ「し、知らないわよ……龍の顎の珠なんて見たことないもの……」

エバンス「俺も見たことないからわからん……」

ローガン「……昔勤めていた場所の宝物庫に似たようなものがあったような気もするが……いや、不確かな記憶などアテにならんな」

イリス「龍の顎の珠って絶大な龍の力を秘めた、それこそ国宝級の宝物だと思うけれど……。少なくとも魔力的には、何も感じ取れない……」

行商妖精「本物だよお〜!」プンスコ

 綺麗な珠の値札『だいぶ高い』

妖精「……本物だとしたら破格の安さだけど、ただの綺麗な丸い石だとしたらだいぶお高い……」

イリス「まあこれだけ綺麗な珠なら、例え偽物でも宝飾品としてまあまあ価値があるとも思う……。専門家じゃないから断言はできないけど……」

ミスティ「ど、どうするの?」


↓1選択
1.買う(所持金半減)
2.買わない

↓2コンマ
01-40 ただの綺麗な丸い珠だった
41-80 エンシャントシャコ貝の真珠だった
81-95 海竜の宝玉だった
96-00 本物の龍の顎の珠

妖精「……いや、買わないよ! ティセリアたちから預かった大事なお金を、こんなよくわからない玉っころに突っ込むわけないでしょ!」

行商妖精「ええ〜!」

ミスティ「そりゃそうよね……。ただの玉っころだったら大損だし……」

イリス「……よ〜く意識を凝らしてみたら、微かに海の魔力を感じる……。海由来の珠なのは間違いないかも」

妖精「これだけの大きさの珠なら、エンシャントシャコ貝あたりの真珠かもねえ。そうだとすれば値段相応っちゃ値段相応かな?」

イリス「エンシャントシャコ貝の真珠なら水魔法の強力な触媒になるね。まあこのパーティには水魔法の専門家はいないけど……」

行商妖精「龍の顎の珠だもん〜!!」プンスコ

 ◆

―夕
 大通り

カモメ「クゥー、クゥー」


イリス「日も落ちて来たねえ……。とりあえず買い物は十分かな?」

ローガン「うむ……。イリスくんとミスティくんは、魔導書の類はいいのか?」

イリス「あー、魔導書は……」

ミスティ「私は数日前に買ったわ……。イリスは……あの時は一冊も買っていなかったけれど……」

イリス「いやまあ、あはは……」

妖精「……? 航海中は時間もあるだろうから、買っておいても良いと思うよ。まあ必要なければいいけど」

イリス「……うん! じゃあもう一回、あの店に行ってみる!」タッタッタッ

 ◇

―魔法店

 ガチャッ カランカラン

イリス「こ、こんにちは〜!」

 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」

イリス(相変わらずすごい蔵書量だ……。あの日はちゃんと隅々まで探せたわけじゃないから――)


魔法使いの店員「いらっしゃい。あなたですね……。まあゆっくり見ていくのが良いですよ」

イリス「ど、どうも……」

魔法使いの店員「よろしければお手伝いしましょうか? この中から必要な本を探すのは大変でしょうから」

イリス「あ、それなら……星の魔力っていう本を探してるんですけど」

魔法使いの店員「え、星の魔力? あなた、もしかして――」

イリス「はい、星属性なんです」

魔法使いの店員「なるほど……。それなら尚更、暗黒面に堕ちるべきではありませんね……」

イリス「あ、あはは……」

魔法使いの店員「星の魔力ですが――」


↓1
01-40 星属性を含む既存全属性を網羅する汎用書ならあります(星属性経験+)
41-70 星の魔力ではありませんが星属性を取り扱った本があります(星属性経験++)
71-90 星の魔力[中編]
91-00 星の魔力[中編+後編]

魔法使いの店員「……残念ながら、ここに星属性の専門書はないのです。申し訳ない」

イリス「そ、そうだったんですか……」

魔法使いの店員「しかし汎用書ならあります」スッ

イリス「えっ?」

 属性大全「」ポン

魔法使いの店員「これは、出版当時に判明していた全ての属性を網羅する汎用魔導書。五大属性はもちろん、他の希少属性やユニーク属性の使い方まできっちり書かれています。もちろん星属性も……。既にご自身の属性を把握しているあなたには不要のものかもしれませんが――」

イリス「い、いえ! 星属性ってわかってるだけで、実際のところ手探りなんです……! これでも十分ありがたいかも……!」

魔法使いの店員「そうなのですか……。それならば、この本を差し上げましょう……」

 属性大全「」スッ

イリス「えっ……? でも……」

魔法使いの店員「……先日のことは、あの本を書棚に置いてしまっていた私自身の迂闊が招いた失敗でした。それをあなた一人の責任として押し付けてしまったことを、お詫び致します……。これはその、謝罪の証としてお受け取りください」スッ

イリス「そ、そんな……! あれは、本当に私が出来心で魔が差したのがいけなかったので……!」

魔法使いの店員「まあまあそうお気になさらず! これをあなたに押し付けないと私の気が晴れないので、押し付けられてください!」グイグイ

イリス「うわわ、わかりましたよ……!」

 ☆属性大全を押し付けられました
 ☆宿に帰ってちょっとだけ読み、星属性経験が2/4になりました

 ◆

―夜
 大通り

エバンス「よーし、買った買った! これで航海も安心だな!」スタスタ

イリス「はい! あとはここを出発するだけ……」スタスタ

クロシュ「ん……」トコトコ

ミスティ「……」スタスタ

妖精「……ミスティ。世界樹の光を集めたら、改めてできることをしようよ。今の私たちにできることは……ないから……」パタパタ

ミスティ「……わかってるわ。ただ、どうしてか……ブラッドのことを考えていた時よりもずっと……自分の無力さを実感するのよ……」スタスタ

ローガン「うむ……。こればかりは、ミスティくん自身が強くなるしかあるまい。憎き敵を倒すにも、守るべき者を守るにも……力がなければ、何も成せぬ……」スタスタ

ミスティ「……ええ………。わかっているわ……」スタスタ


  アアアアアアア!! ドガガガッ!! ダダダダンッ!!
 タスケテクレエエエ!!!  アアアアアアア!!!!!  ザシュザシュッ!!


クロシュたち「!!?」

イリス「い、今の悲鳴は……!?」

エバンス「裏通りの方から聞こえたな……。中年くらいの男の悲鳴と――」

ローガン「――火薬による射撃、そして刃物による斬撃の音――」

ミスティ「……っ」

妖精「……私たちとは無関係なこの街のいざこざかもしれない、けど……」

クロシュ「……」


↓1〜5多数決 どうする?
1.向かう
2.向かわない

クロシュ「……」クルッ ジッ

ミスティ「クロシュ……」

クロシュ「……」コク

ミスティ「……ええ! 胸騒ぎがする……行きましょう!」タッ

クロシュ「!」タッ

妖精「……私も……見過ごしちゃ、いけない気がする」フワッ

イリス「わ、私も行くよ!」タタッ

エバンス「お、おう! 俺も行くぜ!」ダッ

ローガン「今度こそ、私が護らねば……!」ダッ

 *

―裏通り

闇の武器商人「……だ、だずげでぐれぇ……」ポロポロ

メイド人形?「……」コツコツ

闇の武器商人「じにだぐねえよぉ……」ポロポロ

メイド人形?「……」ジャキ

闇の武器商人「あ、アバ……」ポロポロ

メイド人形?「」スッ

 ブンッ
 ガギインッ!!

メイド人形?「!」ズザザッ

闇の武器商人「あ、え……?」ポロポロ


ウニ盾クロシュ「……!」ズザザッ

ミスティ「間に合った……!!」

妖精「か、間一髪……!!」

闇の武器商人「お、おまえら……昼間の……」ポロポロ


メイド人形?「……敵性生命体、増援を確認……。同時に、同胞の魔力を感知……」

妖精「自立型魔導機械の、バグ……!?」

メイド人形?「……同胞は敵性生命体に洗脳されているものと推定。敵性生命体殲滅と共に、救出を行う――」ジャキ

ミスティ「くっ……あなた、まさか――」

メイド人形?「殲滅、開始――」シュバッ ゴオオオオッ

妖精「――っ! 来るよ!! 備えて!!」

ウニ盾クロシュ「――!!」


 ――EXボス メイ841――

というわけで本日はここまでとなります。次回、EXボスのメイ841さんとの戦いです

ついに遭遇してしまった復讐の魔導機械ことメイ841。数ではこちらが圧倒的に有利ですが、果たして戦況は、コンマという運命の女神はどちらに微笑むのか。犠牲になった妖精たちの魂は、どこへ向かうのか――
そして赤ちゃんスライムのクロシュ氏がメキメキと実力を付け始めています。戦闘に関してはともかく、擬態コピーは本当にインチキじみています。クロシュちゃんの今後の成長にご期待ください

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

ブラッド(本体)に勝つにはもっと強くなる必要があります。一つの目安として、パーティ各々が単独で分体を倒せるくらいになれれば勝機も見えてくるかもしれません

マリー元部隊長は、今も魔族国の廃神殿にて他の捕虜たちと共に気楽な軟禁生活を送っています。魔族国と王国の交渉における重大なカードでもあるため、解放の見込みはまだないようです
マリー氏が魔族国の統治者に返り咲くには、魔族と人間の対立や王国との緊張状態など様々な課題があるため、今のところ実現可能性は低いです。またマリー氏自身も魔族革命を引き起こしてしまったことに重責を感じており、もし再び魔族国の統治者になって欲しいと言われた場合、自分にはその資格も能力もないと言って断るでしょう

なお今までの登場人物の現況については、実はスレ冒頭の登場人物紹介の各備考欄にて少しだけ触れられていたりします。気になる方はご参照ください

↓1選択 クロシュはどう戦う?(戦術次第で↓2コンマに補正)
1.みんなを守ることに専念
2.守りつつウニ棘で反撃
3.光学迷彩で不意打ちを狙う
4.自由安価


↓2コンマ 戦況
01-05 痛恨
06-50 劣勢
51-95 優勢
96-00 会心

属性大全は専門性こそありませんが、出版当時に判明していた全ての属性を広く浅くカバーしているため、見知らぬ属性を見た時にちょっと調べてみたりするのに有用かもしれません
しかしこれの出版後に判明した新属性や、公的機関に届けられていないユニーク属性などは抑えられていないことに注意が必要です。クロシュの反映魔法も載っていないようです

選択:防御専念(コンマ+10)
コンマ:81+10 優勢


メイ「」ギュオオッ

ウニ盾クロシュ「!」ザッ

メイ「」ビビビッ

 ギギギギンッ!!

ウニ盾クロシュ「っ!」ズザザッ

妖精「くぅぅ、これでも追い風で援護してるのに……!」

ミスティ「そこよ!!」ギラッ

 氷の刃「」シュババッ

メイ「!」タンッ カンカンッ

ミスティ「まだまだ……!!」コォォ―

メイ「――」スッ

 自動小銃「」ジャキッ

ミスティ「――!! クロシュ、避け――」

妖精「クロシュ!!」

ウニ盾クロシュ「!」

 ダダダダダダ――
 鉄板「」カカカカカンッ

メイ「――!」

ローガン「すまぬ、遅れた!」ザッ

エバンス「クロシュちゃん無事か!!」ザザッ

イリス「あの子は――魔導人形の――!?」ザザッ


メイ「……敵性生命体、更なる増援を確認。戦況、不利――」ジャキッ


↓1選択 クロシュはどう戦う?
1.引き続き仲間の守りに専念
2.ウニ棘で反撃の機会を伺う
3.光学迷彩で不意打ちを狙う
4.自由安価

↓2コンマ 戦況
01-05 痛恨
06-50 劣勢
51-95 優勢
96-00 勝利

選択:反撃(コンマ+20)
コンマ:46+20 優勢

メイ「」ダダダダンッ

ウニ盾クロシュ「!」カカカカンッ

エバンス「こっちだ!」バッ

メイ「!」ブンッ

エバンス「ウオッ!」ガギンッ

ローガン「私もいるぞ!」ジャッ

メイ「!」バッ


メイ「……敵性生命体の防御能力に合わせ、出力を再定義――」ジャキッ

 ブンッ
 鉄/板「」バギョッ

ローガン「ぬうう……! 鉄板を両断しただと……!!」

メイ「」タンッ

ウニ盾クロシュ「!!」グッ

ローガン「いかん! クロシュくん奴の攻撃を受けては――」

メイ「」ブオンッ

ウニ盾クロシュ「」シャッ

妖精「クロシュが避け――」

 ウニ棘「」ジャキンッ
 ドシュドシュッ!!

ウニ棘に刺されたメイ「……」

ウニ盾クロシュ「……」

 ウニ棘「」ボキボキッ

メイ「――損傷、中程度。戦闘続行」タンッ


↓1選択 クロシュはどう戦う?
1.ウニ盾で仲間の守りに専念
2.引き続き反撃の機会を伺う
3.光学迷彩で不意打ちを狙う
4.自由安価

↓2コンマ 戦況
01-05 痛恨
06-50 劣勢
51-00 勝利

選択:防御(コンマ+10)
コンマ:44+10

メイ「」ビビッ

ウニ盾クロシュ「」ギギンッ

妖精「鈍ってきてる……! 押してるよ!」

エバンス「このまま畳み掛け――」


メイ「」バッ

ミスティ「距離を取った……? もしかして逃げ――」

メイ「」ガシャコン―

 ミサイル「」ジャキン

ローガン「――!! 伏せろ!!」

ウニ盾クロシュ「」タッ

イリス「クロシュちゃん!」

 ミサイル「」バシュウウウウッ


 カッ
 ドガァァァァァァン――…


大亀クロシュ「」プスプス……

 デロデロ……

スライムクロシュ「」デロロ…

妖精「クロシューっ!!!」パタパタ

ローガン「クロシュくん……! だが……奴も自らの放ったミサイルの衝撃で……」


メイ「――戦闘継続、不可能――……」ドサッ


 ――戦闘終了

スライムクロシュ「」デロロ…

妖精「クロシュ! クロシュ!」パタパタ

スライムクロシュ「」モニョモニョ…

妖精「うん、うん、みんな無事だよ! あなたが守ってくれたから……」

スライムクロシュ「」モニョニョ…

スライムクロシュ「」zzz…

イリス「クロシュちゃん……!」

ミスティ「クロシュ……! まさか……」

妖精「……だ、大丈夫……眠っただけみたい……」

ローガン「また、助けられてしまったか……」

エバンス「くっ……俺が守ると言っておきながら守られちまった。情けねえ……」



メイ「……」ジジ バチバチ

イリス「この、魔導人形の子は……」

闇の武器商人「お、おい早くそいつを破壊してくれ! またいつ動き出すかわからねえだろ!」

ミスティ「……妖精を見て、同胞を救出するとか何とか……言っていたわ……。ねえ――」

闇の武器商人「えっ俺!?」

ミスティ「バグって……精核の元になったものの、自我が出た……魔導機械のこと、なの……?」

闇の武器商人「知らねえよ! いや、でも……そういう噂は聞いたことあるが……。バグって呼ばれる前は、幽霊に取り憑かれたなんて騒ぎも聞いたしな……」

ミスティ「……」

エバンス「……ちょいと失礼」スッ

 闇の武器商人の荷物「」ガサッ

闇の武器商人「おあっ何すんだ……!」

エバンス「いいだろ、助けてやったんだから。俺の推測が正しけりゃ――」

 精核「」ガサッ

イリス「あっ精核……!」

エバンス「やっぱりな……。この魔導人形が狙ってたのは、あんたの命じゃなくて、これだったんじゃないか?」

闇の武器商人「たまたま手に入った一個だけだぞ……! 違法パーツ屋の野郎なんか一個どころか数十個単位で持ってやがんだぞ!?」

妖精「……それの中身が何か知っていて、言ってるの?」ズイッ

闇の武器商人「……悪かった。数の問題じゃねえな……」

妖精「…………この精核は……私がもらっていく。お前たち人間が、これを持つ資格はない」

闇の武器商人「……」

メイ「」バチバチ…

ローガン「……この魔導人形の子は、どうする?」

妖精「……」

エバンス「……魔導人形には自己修復機能がある。放っておけば再起動して……また海賊やテロ行為をするようになるかもな」

妖精「うん……」

ミスティ「……人間の自業自得でしょ。こんな国の奴ら、滅ぼされてしまえば良いのよ……」

妖精「……そうかもしれない、けど。この国の奴らが何人殺られたところで、精核になった子たちが救われるわけではないし……。この子自身でさえ……きっと、永遠に救われない……」

ミスティ「……そうね……。ごめんなさい……頭に血が上っているわ……」

イリス「……でも、それじゃあ……一体、どうすれば救われるの……? 精核になった子たちも……この、魔導人形にされた子も……。一体、どうすれば……」

妖精「……」



メイ「―――……」ギギッ



妖精「えっ……?」

エバンス「………!!? バカな、再起動が早すぎる――」



スライムクロシュ「」zzz…

メイ「――影ノスライム、ヲ……特級危険生物ト認定――……殲滅、再開――……」ギッギギッ



妖精「や、やめてえ!!!」パタパタ

ミスティ「くっ……! ごめんなさい……!!」コォォ―



スライムクロシュ「」zzz
メイ「――」グオオッ

 氷柱「」ビュンッ
 ドスッ―

メイ「ア……」

 ドサッ…

 メイの精核「」ポロッ…

スライムクロシュ「……」ポトッ

 メイの精核「」ズズ…


イリス「あ……魔導人形の子の、精核が……クロシュちゃんの上に落ちて……」

ローガン「クロシュくんの中に……沈んでいく……」

―緑の国フォレスティナ?
 世界樹の麓?

 グスッ ヒグッ…

クロシュ「……?」モニョ

森妖精?「ぐすっ……えぐ、えぐ……」

クロシュ「?」モニョニョ?

森妖精?「……? スライム、さん……?」

クロシュ「〜」モニョモニョ

森妖精?「……うん……。とっても、寒くて……苦しくて……寂しくて……。何も、見えないの……」

クロシュ「〜」モニョ

森妖精?「ずっと、真っ暗で……。何も、思い出せなくて……。びりびりして、体中が痛いの……」

クロシュ「…」モニョ…

森妖精?「それでも……わたし、がんばって……みんなを、助けに行ってるんだよ……。みんなも……きっと……寂しい、から……」

クロシュ「……」

森妖精?「わたしががんばれば……悪い人たちに捕まってる、みんなを……解放してあげられる、はずだもん……」

クロシュ「〜〜?」モニョモニョ?

森妖精?「えっ……? わたし……?」

クロシュ「〜」モニョ

森妖精?「わたしは……。でも……みんな、自由に動けないもん……。動けるわたしが……わたしがわたしでいられる、わたしが、やらなきゃ……」グスッ

クロシュ「〜」モニョニョ…

森妖精?「ぐすっ……わたしだって……助かりたいよぉ……」ポロポロ

クロシュ「……」モニョ…

 ぎゅっ……

森妖精?「ふえ……。スライムさん……?」

クロシュ「」モニョ

森妖精?「ん………あったかい……」

クロシュ「」モニョニョ

森妖精「うん……。えへへ……なんだか……スライムさんの、中で……溶け、ちゃいそう……」

クロシュ「」モニョモニョ

森妖精?「うん……ありがと……。スライムさん、やさしいね………」

クロシュ「」モニョ

森妖精?「……えへ、へ………」

クロシュ「」モニョ

森妖精?「……………スライムさんに……精霊の加護が……あります、よう………」

クロシュ「」モニョニョ

森妖精?「……」

森妖精?「…………」

森妖精?「……………………」


クロシュ「……」

クロシュ「…………精霊の加護が……ありますよう…………」

――――――
―――

―裏通り

メイ841の残骸「」


スライムクロシュ「……」モニョ

妖精「クロシュ……! け、怪我はない……!? 大丈夫!?」パタパタ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「え……? その魔導人形の元になった子と……会った……?」

スライムクロシュ「」モニョ

ミスティ「ほ、本当に……!? 精核を取り込んだから……? いえ、でも精核はどうなったの?」

 デロデロ……

クロシュ「……えと……食べちゃった……かも……」

妖精「え、ええ!?」

ミスティ「た、食べ……」

イリス「食べちゃった……!?」

クロシュ「うん……」

エバンス「だ、大丈夫なのか!?」

クロシュ「うん……」

ローガン「う、うむ……。大丈夫なら良いが……。いや、良いのか……?」

妖精「………でも……食べて、食べられて……この星の命は巡ってる……。だから……これも、一つの正解なのかも……」

ミスティ「そ、そうなの?」

妖精「うん。精核がクロシュの中で溶けて殻を失えば……その魂もやがて星に還るはず。きっと、ただ壊すよりもずっと……緩やかで優しい、終わらせ方になると思う……。クロシュの中なら……寒くも、寂しくも、ないだろうから……」

クロシュ「……」

妖精「……クロシュ。寝起きのところ……悪いんだけれど……。これも……食べてもらえる……?」スッ

 闇の武器商人から取り上げた精核「」

クロシュ「うん……」

 パクッ…モニョモニョ…


 ☆メイ841を撃破しました
 ☆クロシュが精核を食べられるようになりました

 ◆

↓1コンマ 戦利品
01-80 メイドブレード
81-95 ↑+メイドジェット
96-00 ↑+??

―港湾都市ウォーターポート 滞在9日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:ウニ盾   防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:革の鎧
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧
 ・共通   飾:くすんだ耳飾り

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・メイドブレード

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[2/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習(イリス)[1/4]
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
……………………………………………………………………………………
□機械工業都市テンペスター 主要施設
大通り:武具店、雑貨店、機械店、無人食事処、自販機通り、冒険者ギルド、他
裏通り:闇市、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、灯台、他
……………………………………………………………………………………

訂正
・星属性の練習(イリス)[1/4] → [2/4]

訂訂正
・トコナツ火山島行きの船を探す → 達成!
・海渡りの姿を獲得する[2/3] → [3/3]達成!

―旅の船着場
 ロビー

宿の看板娘「もう出発されるのですか?」

ミスティ「ええ……。ソリの預かり、お願いね」

ローガン「私の鎖帷子は……まあ最悪無くしてしまっても良いぞ。大したものではないからな」

宿の看板娘「いえいえ、しっかり大事に預からせていただきますよ! 預かり代もきちんと頂いてるんですから!」

ローガン「ソリ分だけだろう」

宿の看板娘「誤差です誤差!」

 ◇

―海岸

 ザァーン ザザァーン―

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


大亀クロシュ「……」プカプカ

妖精「クロシュ、大丈夫……? 昨日大怪我したんだし、あんまり無理しない方が……」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

エバンス「……クロシュちゃんは何て?」

妖精「平気だって……。まあ確かに、一晩で怪我もすっかり治っちゃってたけど……」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「……そうだね。あんまりボヤボヤしてるとフメイたちに先を越されちゃうし、確かに早く行った方が良い……」

大亀クロシュ「〜」モニョ

イリス「私も救命用の水魔法を使えるから、もしクロシュちゃんが疲れちゃってもカバーできるよ!」

エバンス「俺も水に強い泥舟を作れるようになったからある程度は大丈夫だ!」

ローガン「私も中が空洞になっていて水に浮く鋼材を作れるようになった。万が一の時はイカダも作れるぞ」

ミスティ「……私も氷で足場を作れるわ……。冷たいけどね……」

大亀クロシュ「!」モニョ…!

妖精「……ふう。まあ確かに、この街でちょっと時間を食いすぎた感じもあるし、あんまりのんびりはしてられないか」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「わかったよ。行こう……! トコナツ島へ!」

 ◇

―海

 帆「」バサッ

大亀クロシュ「」スイスイ


イリス「おお〜!! すいすい進んでく……!!」

エバンス「こりゃすげえ……! 魔導クルーザーに匹敵するスピードじゃねえか!?」

ローガン「本当に速い……! 揺れも少ないし、なんと快適な航行だろうか……!」


 遠ざかっていく港湾都市と機械都市「」

ミスティ「……」グッ

妖精「……いつか、取り返す。私たち妖精が奪われたものを、必ず――」

ミスティ「……ええ。私も手伝うわ……。昨日の、哀しい魔導人形の子のような犠牲者を……増やさない為に……」

妖精「ありがとう……。あなたのような……あなたたちのような人間がいてくれるから……人間を、嫌いになり切れない」


 ――港湾都市ウォーターポート&機械工業都市テンペスター編 完

クリアボーナス
↓1
01-60 運命賽(致命的な運命を辿った時、直前の判定を振り直せる。一度使うとなくなる)
61-90 ↑+メイドブレード強化
91-00 ↑+会心賽(判定時に会心と書き込むと、コンマに関わらず最上の結果となる。一度使うとなくなる)

コンマ06 運命賽+1(合計3)


―海上
 大亀クロシュの甲羅上の小屋

妖精「ねえ、ところでこれは……」

 メイドブレード「」

ローガン「これは……私の作り出した鉄板をも両断したあの片刃の剣か。見た目はやや細身の片刃の剣だが……」

エバンス「気が付いたら大亀クロシュちゃんの背中の小屋の中に置いてあったんだよ。別に誰かが取ってきたわけじゃないと思うぜ」

イリス「特殊な魔力コーティングがしてあるみたい。あのものすごい切れ味はそのコーティングのお陰なのかも」

 メイドブレード「」

妖精「……微かに妖精の魔力を感じる……。もしかしたら……クロシュに託したのかも……」

ミスティ「クロシュに……」

 ズズ…

クロシュ「わたしに……?」ヌッ

妖精「わあ! クロシュ今大亀になって泳いでるんじゃ……」

クロシュ「あ、えと……ここ、わたしの体だから……」

妖精「あ、ああ……なるほどね。それでね……この剣、多分……クロシュに贈ったものだと思うから、受け取ってあげてくれる……?」

 メイドブレード「」キラン

クロシュ「………うん……。わたしの中に溶けた、メイちゃんの魔力が……これを使って欲しいって、言ってる気がする……」

妖精「そうなんだ……。じゃあ、大事に使ってあげよう?」

クロシュ「うん……」

 メイドブレード「」キラン

 ☆クロシュがメイドブレードを装備できるようになりました
 ☆メイちゃんの精核に宿っていた魔力と経験を吸収し、剣技の練度が上がりました(練度:中)

 *

ミスティ「ところでさらっと流されちゃったけれど……今ここにいるクロシュは、海を泳いでる大亀のクロシュの分体なの……? まさか分体を作れるようになったの……?」

クロシュ「んーん……。えと……大亀さんになってるわたしから離れたら……デロデロになって消えちゃうと思うから……。分体じゃなくって、えっと……」

イリス「クロシュちゃんがクロシュちゃんの体から生やしたクロシュちゃんの形をした器官……ってとこ?」

クロシュ「えと……たぶん、そう……。分体は……まだ、うまく作れない……」

 ◆

◆幕間◆

―港湾都市ウォーターポート
 裏通り

メイ841の残骸「」

白衣のエルフ幼女「ふうん、精核かぁ……。セイントレア社もえげつないもんを考えつくねぇ」

白衣のクワガタ頭「ユーが言えたことかね? ミーからすればユーの方がよほどクレイジーマッドサイエンチストだが」

白衣のエルフ幼女「はあ? 虫をぐちゃぐちゃに組み替えて遊ぶサイコ野郎のあなたにだけは言われたくないんですけど?」

白衣のクワガタ頭「ノー!! ミーのそれはLOVEゆえのトライアル&エラー……遊んでいるわけではナッシン!」

白衣のエルフ幼女「愛さえあれば何をしても良いってこと? アッハ、サイッテー!」ケラケラ

白衣のクワガタ頭「プライズワードとしてレシーヴィングしよう」



メイ841の残骸「」

白衣のエルフ幼女「にしてもこの残骸……精核が残ってないし、腕に付いてるはずのブレードも外されてる。破壊者が奪ったのかな?」

白衣のクワガタ頭「それはワンダーだ。メイドウェポンはアームマシンガンやジェットパックの方がパワフル&エクスペンシブ! わざわざブレードだけロビングするミーンは?」

白衣のエルフ幼女「確かに不可解……。マシンガンやジェットの方が高く売れるし、自分で使うにしても強いはず。ブレードなんて一番微妙な武装だと思うけど」

白衣のクワガタ頭「そこから導き出されるアンサーは――つまり、LOVE!!」

白衣のエルフ幼女「はあ? 脳にウジでも飼ってるんですか? 本当に飼ってそうだけど」

白衣のクワガタ頭「トークはラストまでリッスン! フェアリーはマシーンをヘイティング……バット、ブレードはノットマシーン……ビコーズ?」

白衣のエルフ幼女「ああもう面倒くさい普通に喋れ! 妖精は機械嫌いでブレードは機械じゃないから、何!?」

白衣のクワガタ頭「おっと。餌のアワーゆえ、ミーはこれにてエクスキューズする。カリスサンもあまりウィングアイを外しすぎぬよう。ユーは元ウォンテッドボディであること、ドンフォゲッ――」ササッ

白衣のエルフ幼女「元でしょ、元。ロイエの腐れカルティスト共にロンダリングさせたので今の私は清廉潔白です〜」



メイ841の残骸「」

白衣のエルフ幼女「さて、調査の続き続き。ここの戦闘跡……このメイド人形は多対一を強いられていたみたい。感じ取れる魔力は、氷、地、鋼、水、風……ん、自然……?」

白衣のエルフ幼女「クワガタの言ってたラブってのは、この自然魔法の使い手……同類への手向けってわけ? ふうん、あいつやっぱりロマンチストだな。最低だけど」

白衣のエルフ幼女「まあいいか。あとこの魔力反応は……かなり昔に覚えがある……なんだったっけ、これ……あ!! 星!!!」

白衣のエルフ幼女「え、マジ? 星の使い手がいたの? うわ、これは大収穫……なんとしても捕まえたいなぁ……! いひひひ……」

白衣のエルフ幼女「んふふ〜星〜星〜星属性〜♪ きらきらひかる〜いのちの〜……ん?」

 何かの跡「」

白衣のエルフ幼女「なんだこりゃ。スライムの破片? 地面にこびりついてるけど……んん〜この魔力反応は……」

白衣のエルフ幼女「……反映魔法!? ブラッドちゃん!?」ガバッ

白衣のエルフ幼女「…………いや、あの生意気メスガキスライムが人間なんかと徒党を組むわけないか。だとしたら別の……うう〜ん……」

白衣のエルフ幼女「……もしかしてあの失敗作とか? いやでもあんな貧弱生物が今日まで生き延びられるわけないし……」

白衣のエルフ幼女「まあいいか。ネバネバ下等生物なんかより星属性の方が大事もんね〜〜んふふふ〜〜〜♪」

 ◆

というわけで本日はここまでです。港湾都市&機械都市編、無事クリアおめでとうございます
次回は航海中のランダムイベントからとなります

港湾都市編ラストは、本筋を追うだけなら挑まなくとも良い強敵との激しいバトルを制しての決着と相成りました
クロシュたちの旅はまだ始まったばかりであり、この大陸や周辺国には未だ数多くの問題、苦しみが未解決のまま降り積もっています。それらをどうにかできるかどうかはわかりませんが、此度のクロシュちゃんたちは目を逸らさず、立ち向かう決意をしました。それはいつか、この星を少しだけ良い方へ変える切っ掛けとなるのかもしれません。今後のクロシュちゃんたちの活躍をどうぞお見守りくださいませ
なおクロシュ氏の出自が何なのかは未だ闇に包まれています。その答えはブラッド辺りが知っているかもしれませんが、ブラッド氏はあんな性格なので簡単には教えてくれないかもしれません。精進しましょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いします

クロシュちゃんたちは順調に強くなっていますが、無理矢理ブラッドに言うことを聞かせるにはまだ難しいと思われます。精進しましょう

港湾都市編は実際、各々にとって良い経験になったことが多いかと思います
ブラッド氏とはどうやらミスティ氏の復讐以外にも何か因縁があるかもしれません
フメイちゃんはクロシュよりもいろいろしっかりしているので、もしかしたら何か知っていることがあるかもしれません

食べることが救いとなるかどうかは実際のところ誰にもわかりません。救われていて欲しいという妖精の願望に過ぎないのかもしれません
何でも合成できるわけではなく、何でも吸収できるわけでもありませんが、有用な能力であることは確かです。クロシュちゃんの今後の成長にご期待ください

というわけで本日の更新の前に、トコナツ火山島の一番偉い人と、友好的な現地の人を各一人づつ募集します
トコナツ火山島の人々がどのような共同体を築いているかはまだ厳密に決まっていないため、種族や役職などは自由に考えていただければと思います
いちおう現時点で考えているトコナツ火山島の概要もここに記載しておきます

〈トコナツ火山島〉
■概要
大陸より南の海域に位置する火山島
赤道付近のため一年中真夏のように暑く、生態系も大陸とは大きく異なる
■産業
この海域の島でしか採れない南国の果物や野菜を主に生産している
また綿花の収量も多く、それを用いた服飾品の生産も盛んに行われている
近年では、王国の若い女性を中心にトコナツ産の水着が注目され始めている
■情勢
少し前に世界樹の光が火山の火口に落下し、火山活動が活性化した
島全体が激しい地震に見舞われたり、人の住む地域に突然溶岩が吹き出たり、新たな溶岩の川ができたりなど、甚大な被害が発生している


(ネームドキャラクター用テンプレート)
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)


↓2 トコナツ火山島の一番偉い人

↓3 トコナツ火山島の友好的な現地の人

【名前】コルト・キャルト
【種族】猫の獣人
【性別】男
【年齢】35
【容姿】茶髪で猫の耳がある。顔に猫の髭。糸目。茶色の猫の尻尾がある。背が高く、痩せ型。
【性格】どんな方にも紳士的に対応する。
【魔法】(主に使う魔法や得意属性など)
砂魔法(砂を操る事が出来る魔法。砂嵐や流砂も作れる)剣と組み合わせて切れる砂を放つ。
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)
元々別の国の出身だが若い頃にトコナツ火山島に移っている。生態系を研究している学者だったが現地の人達との交流を重ねて今では火山島で一番偉い人になった。レイピアを所持しており、戦闘では魔法と合わせてそれを使っている。どんな方でも敬語で話す。火山がなぜ活発になったのか現在調べている。

【名前】モーリィ・フースーヤ
【種族】半竜人
【性別】女
【年齢】2000歳
【容姿】赤毛ロングの小柄な少女
【性格】勝気な性格
【魔法】火炎魔法・素手も強い
【備考】親のドラゴンの血で不老不死となっており、勝気ながらも達観した所もある

【名前】レッド
【種族】バーニングスライム
【性別】男
【年齢】1000
【容姿】ボコボコマグマを垂れ流している危ないスライム。
【性格】面倒見が良い。
【魔法】冷凍魔法
【備考】マグマを垂れ流すその姿から、周囲に疎まれていた。そのため、世界中を放浪しており最終的にこの島にたどり着いた。周囲にマグマを垂れ流し嫌われることに耐えられなかった彼は冷凍魔法を極め自身を常に冷やし続けている。それはバーニングスライムである彼からしたら苦痛でしかないがもう誰からも嫌われたくなかった。

【名前】エイパチ
【種族】半タコ人
【性別】男
【年齢】55
【容姿】スキンヘッドでムキムキの腕4本脚4本。黒丸メガネ着用
【性格】ストライクゾーンが広く女の子に甘いが気のいいおっちゃん
【魔法】吐く墨で色々な物を作れる(主に料理道具)
【備考】トコナツで屋台やってる料理人。観光客はいいお客さんなので良くしてくれる。人魚の肝っ玉お嫁さん持ち

ありがとうございます。一番偉い人は>>282のモーリィさん、友好的な現地人は>>283のレッドさんに決まりました
また、>>281の猫のおじさんと>>284のタコのおじさんも一部設定を変更した上で登場するかもしれません。お楽しみに

―トコナツ火山島への海路 1日目

 ◇クロシュ [赤ちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)

―海上

大亀クロシュ「」スイスイ


妖精「クロシュ、もうちょっと東」

大亀クロシュ「〜〜?」モニョニョ?

妖精「うんうん、真っ直ぐになった」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ


ローガン「妖精くんは航海の経験もあるのか?」

妖精「まあ、ちょっとだけ。私たち妖精は海や風の精霊たちの声も聞けるから、人よりもやりやすいかもね」

エバンス「へえ〜頼もしいな! 自然魔法ってのも天候の変化とかに強そうだし、ひょっとして妖精って航海士とか向いてるんじゃないか?」

妖精「ええ? 考えたことなかったけど……ちゃんとした知識があるわけじゃないからなあ」

イリス「通常の船でも風魔法と水魔法の使い手はいた方が良いって話だし、妖精さん一人で何役もカバーできそうだよね」

ミスティ「それを言うならイリスもカバー範囲は広いんじゃないかしら……」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-35 食料発見(コンマ)
36-50 物品発見(コンマ)
51-65 場所発見(コンマ)
66-80 良いこと(自由安価)
81-95 旅は道連れ
96-00 旅は道連れ(稀)

すごいです。とても良いことがあるかもしれません

出会った人
↓1〜2コンマ(重複した場合、仲良し度が大きく上がります)
01-45 フメイ&アリシラ
46-90 セイン
91-00 フメイ&アリシラ、セイン

大亀クロシュ「」スイスイ

大亀クロシュ「!」

妖精「クロシュ、どうかした?」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「えっ……!?」


大亀クロシュ「」スイスイ


板切れに掴まって漂っているセイン「……」プカプカ


大亀クロシュ「」スイスイ

セイン「……? 亀……?」


イリス「せ、セインくん!?」

ローガン「な、何っ!?」

ミスティ「ええ……? どういうこと……?」

エバンス「漂流者……知り合いか?」

妖精「あ、いやまあ……知り合いというか……」

イリス「と、とにかく助けなきゃ! ええと、救命浮輪!」ポイッ

 救命浮輪「」バシャッ

 ◇

―大亀クロシュの小屋

セイン「……すまない。助かった」ビショビショ

イリス「び、びっくりしたよ〜! でも無事そうで良かった……!」

ローガン「うむ……。しかしなぜあのようなところで……?」

セイン「破壊された。空を飛ぶメイド人形の奇襲で」

ミスティ「あっ……」

妖精「な、なるほどね……」

エバンス「……ところで、それって何日前のことだ?」

セイン「一週間ほど前だ」

イリス「ええっ!!? 一週間前!? それじゃあそれまでずっと呑まず食わず……!!?」

セイン「ああ。喉がカラカラだな」

ミスティ「いや、普通カラカラどころじゃないと思うのだけど……」

セイン「……ところで、影のスライムは?」

妖精「クロシュのこと? クロシュなら――」

 モニョモニョ…ポン

クロシュ「こんにちは……セインさん……」ヌッ

セイン「! まさかこの大亀が――」

クロシュ「うん……」

 *

 船旅ビスケット「」ドッサリ
 水のたっぷり入ったジョッキ「」タップリ

セイン「感謝する……もぐもぐ、ごくごく……」モッモッモッ

妖精「水はイリスが水魔法で出したやつだからともかく、ビスケットはクロシュが食べる分だったんだから本当に感謝してよね」

セイン「……心得ている。恩義には報いるつもりだ。この船旅が終わるまでは全霊でこのパーティの力となろう」

クロシュ「わあ……!」

イリス「本当!?」

ミスティ「この船旅が終わるまで、ね……」

セイン「……ああ。申し訳ないが、僕にはやることがある。ずっと力を貸し続けるわけにはいかない」

ローガン「うむ……いや、それでも十分ありがたい。これほど頼もしい味方もそうはいないからな」

 ☆今回の道中、セインくんが同行してくれることになりました

 ◆

―夕
 小さな無人島 海岸

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


大亀クロシュ「」ズズ…

 デロデロ…

スライムクロシュ「…」モニョニョ…

妖精「お疲れ様、クロシュ」

イリス「本当にお疲れ様だよ、クロシュちゃん。ゆっくり休んでね」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ


セイン「……乗せてもらっておいて何だが、つらくはないのか? 一日中、僕たちを乗せて海を泳ぎ続けるのは」

 デロデロ…

クロシュ「えと……ちょっと……大変、だけど……。全然、へーき……」

セイン「……そうか。お前が良いなら良いが」

イリス「……セインくん、もしかしてクロシュちゃんのことを心配してくれてるの!?」ズイッ

セイン「不適切な労働は能力の低下をもたらす。海上移動という役目を負っている彼女には最適なコンディションを保ってもらう必要がある」

イリス「そ、そうだね……」


トコナツ火山島への旅路初日の夜です。小さな無人島で野営します
↓1〜3 自由安価 野営中何をする?

―小さな無人島

 浅い穴「」ボゴンッ

エバンス「よし、穴はこんなもんか。次は浸水しない泥舟の応用で浴槽内の土を固めて、っと」

イリス「そしたら私が水魔法で水を注いで――」

 水「」トプトプ

イリス「炎魔法で加熱すれば――」

 カッ
 お湯「」ホカホカ

イリス「完成! 今回は二つ作ったから、男湯と女湯で分けて入れます!」

エバンス「お、おお……ちょっとだけ手伝えたがほとんどイリスちゃんに任せきりになっちまったな……」

イリス「ふふふ、エバンスさんが入る前は穴を掘って固める工程も私だったのでだいぶ楽になりましたよ!」

 *

イリス「というわけでお風呂を作ったから、セインくんもどうぞ!」

セイン「……僕はいい」

イリス「えっ!?」

セイン「体を清める魔法を習得している。入浴は不要だ」

ミスティ「……健康に良いらしいわよ? 入浴って」

セイン「健康状態に問題はない」

妖精「……確かに、魔力の流れも安定してるけど……。お風呂嫌いなの?」

セイン「……」

クロシュ「……」


↓1〜3多数決
1.セインくんの意思を尊重する
2.入浴をすすめる

クロシュ「えと……でも……気持ち良い、よ……?」

セイン「……」

クロシュ「あったかくて……ぽかぽかで……でろでろに、なるよ……?」

妖精(デロデロになるのはクロシュだけだと思う……)

クロシュ「だから……入ろ……?」


イリス(わ、わー!! その言い方はだめだよクロシュちゃん!)

ミスティ(それだとまるであなたとセインくんが一緒に入るみたいじゃない! あなたは女の子でセインくんは男の子なのよ……!?)

妖精(……クロシュはスライムだから、実は相手の性別とかは多分気にならないんだと思う。私が気になるのは、どちらかと言うと――)


↓1コンマ(連続クリティカルボーナスにより+40)
01-60 入りません
61-90 一人でなら
91-00 クロシュとなら

セイン「……ありがとう。だが、せっかく湧かした風呂を僕の垢で汚すことはない」

クロシュ「……」

セイン「皆の入浴中の哨戒は僕に任せて欲しい。……こんな小島に曲者が現れることもないと思うが」スッ スタスタ

クロシュ「あっ……」


イリス「うう〜!! いけると思ったのに……!!」

ミスティ「手強いわね……ってなんで私たちセインくんの入浴に躍起になってるのよ、もう……」

妖精(……結局わからずじまいか。まあ無理強いすることじゃないし、別にいいか)


クロシュ「……わたしも、今日はお風呂、いい……」スクッ

イリス「へっ?」

クロシュ「セインさんと、哨戒、する……!」トテトテ

ミスティ「え、ええ……。気を付けるのよ?」

妖精「まあ、セインのやつも変なことはしないだろうし大丈夫か……」

 *

―夜
 小さな無人島 海岸

 ザァーン ザザァーン…

セイン「……」

クロシュ「セインさん……!」トテトテ

セイン「影のスライム……。なぜ……?」

クロシュ「……わたしも……哨戒、する……!」

セイン「僕一人で十分だ。君は休息に専念した方が……」

クロシュ「する……!」

セイン「……まあ、好きにしたら良い」

 *

セイン「ブツブツ……」キラキラ

クロシュ「!」パァァァ

セイン「体は清めたが、この魔法に健康増進効果は当然ない。入浴による血行の改善などは……いや、スライムには関係ないか……?」

クロシュ「?」

セイン「まあいい。哨戒の手伝いはありがたいが、後でしっかり休息を取ること。わかったか?」

クロシュ「ん……」

セイン「……」


↓1〜2 親睦を深めます。何をする? or 何が起きる?

人が入ってそうな棺桶を発見

沈んだ謎の海賊船を発見

フメイとアリシラの話とセインに友達がいるかどうか

―小さな無人島
 海岸

 ザッザッザッ…

セイン「……」スタスタ

クロシュ「……」トコトコ

セイン「……!」

クロシュ「?」

 砂浜に埋まった棺桶「」

セイン「……棺桶だな」

クロシュ「かんおけ……」

セイン「……離れていろ。中を確かめる」

クロシュ「ほえ……」

セイン「……」

 砂浜に埋まった棺桶「」ギイー…


↓1コンマ
01-05 アークリッチ
06-35 骸骨戦士
36-65 スケルトン
66-95 ただの白骨
96-00 金銀財宝を抱えた白骨

すみません、>>1も今気付きました。申し訳ありません。また、安価とコンマのルールも曖昧だったようです

いろいろ考えましたがややこしくなりそうだったため、今後は安価もコンマも多数決も一律で連取り禁止とします
ただし最後のレスから30分経過しても安価が踏まれなかった場合は連取り可とします

今回はルールが曖昧だったり見落としたりしていた>>1に責任がありますので、親睦深め行動は>>311>>312>>313の3つ全てを採用とします。申しわけありませんでした。よろしくお願いいたします

 ギイー…

 白骨死体「」

セイン「……」スッ

 セインの持った木の棒「」ツンツン
 白骨死体「」

セイン「返事がない。ただの屍だ」

クロシュ「しかばね……」

セイン「この仰々しい服装は……多分何かの船の船長だったんだろう。そうなると、この近辺にこいつの乗っていた船もあるかもしれない」

クロシュ「ふね……」

セイン「……少し探してみるか。待っていろ」トンッ

 ザブンッ

クロシュ「わ、わたしも……!」

 デロデロ…ポン!

ウミガメクロシュ「〜〜」ノソノソ

 *

―小さな無人島
 沿岸の海中

 光「」パァッ

セイン(夜の海は暗いな。光も遠くまでは届かないか)

セイン(……ん?)

ウミガメクロシュ「」スイスイ

セイン(……ウミガメに擬態したのか。器用なものだ)

ウミガメクロシュ「〜〜」モニョモニョ

セイン(……? 掴まれ、と?)

ウミガメクロシュ「〜〜」コク

セイン(……確かに、夜の海を一人で探索するのは危険か……)

 ガシッ

 *

ウミガメクロシュ「」スイスイ

 光「」パァッ

セイン(……ん、あれは……)


 沈没船「」


セイン(! やはりあったか、船……)

ウミガメクロシュ「〜〜?」モニョモニョ?

セイン(探索していこう。引き続き潜水を頼む)

ウミガメクロシュ「〜〜」モニョニョ コク


↓1コンマ
01-05 アークリッチ・ドザエイモン
06-35 ボーンクラーケン
36-65 大したものはなかった
66-95 錆びた財宝
96-00 金銀財宝

―沈没船

 泡「」コポコポ

ウミガメクロシュ「」スイスイ

 ひしゃげた扉「」

セイン(……あの扉をくぐってみてくれ)

ウミガメクロシュ「」コク スイスイ

 ひしゃげた扉「」バキャッ…


セイン(船倉か。箱や樽がある)

 朽ちた樽「」
 朽ちた木箱「」

セイン(大したものはないか……?)

ウミガメクロシュ「!」クイクイ

セイン(ん……?)

 錆びた宝箱「」

セイン(これは……宝箱!)

ウミガメクロシュ「〜〜」モニョモニョ

セイン(ああ、持って帰ろう――)

 *

―小さな無人島 海岸

 ザバァン

セイン「ふう……。すまない、また頑張らせてしまった」

クロシュ「ん……へーき……」

 錆びた宝箱「」

セイン「早速開けてみよう――」スッ

 カチャッ…キィ…

 錆びた財宝「」サビサビ

セイン「……当然だが錆びているな。これでは大した価値は……ん?」

 埋もれていた金貨「」キラキラ

クロシュ「わあ……!」

セイン「……金貨が……数枚程度か」

クロシュ「んへへ……はんぶんこ……」

セイン「いや、全て君が受け取ってくれ。命の恩としては、まだまだ足りないだろうが……」

クロシュ「ふえ……でも……」

セイン「気にするな。僕に金は必要ない」

クロシュ「ん……わかった……」

 ☆お金が少し増えました

 *

セイン「……そういえば、友とはまだ仲直りできていないのか?」

クロシュ「……喧嘩してるわけじゃ、ないもん……」

セイン「そうか。すまない、勘違いしていた」

クロシュ「ん……。フメイちゃんたちとは……いつか、一緒に帰る……」

セイン「……。君と、フメイという少女と……あの薄茶色の髪の者は……同郷の出身なのか?」

クロシュ「薄茶色……アリシラさんのこと……? うん……みんな……あの集落に、いた……」

セイン「そうなのか……」

クロシュ「うん……」

セイン「……フメイという少女はともかく……あのアリシラという者は危険な気配がする。気を付けろ」

クロシュ「え……」

セイン「……魔王そのものではないが、近い気配を感じる。アレは破滅をもたらす者だ」

クロシュ「で、でも……アリシラさんは……良い人で……」オロオロ

セイン「……すまない。しかしこの世界では……何らかの切っ掛けで、生命が魔王化してしまうこともある」

クロシュ「んゅ……」

セイン「……すまない」

クロシュ「……みんなで、帰るもん……」

セイン「……ああ。友達は……大切にするのが良いだろう」

クロシュ「うん……」

セイン「……」

クロシュ「……」

セイン「……」

クロシュ「……えと……セインさんは……友達、いるの……?」

セイン「……」


↓1コンマ(連続クリティカルボーナスと交流により+50)
01-60 いません
61-90 わからない
91-00 クロシュ

セイン「僕に友はいない」

クロシュ「ふぇ……」

セイン「……僕に友という存在は不要だ。むしろいない方が良いだろう。僕のような殺戮兵器に、友情を分かち合う仲間などいてはならない」

クロシュ「うゅ……」

セイン「……そろそろ戻ろう。哨戒と言いながら遊びすぎてしまった。君はもう休息に専念した方が良い」

クロシュ「うん……」

 ◆

―朝
 小さな無人島 野営テント

イリス「ふわあ……。んん〜、久しぶりのテント起床……旅って感じがする……」

魔女っ子クロシュ「すう、すう」スヤスヤ
 精霊樹の杖「」ダキッ

イリス「ん、んん!? クロシュちゃん……!!?」

 *

魔女っ子クロシュ「ごめんなさい……寝ぼけて、同化してた……」

イリス「や、それは別に良いんだけどさ! そういえば前に、杖とかでも同化できるって言ってたもんねえ」

魔女っ子クロシュ「うん……」

イリス「ねね、せっかくだし軽く魔法の練習してみない? その杖使っていいからさ」

魔女っ子クロシュ「ふえ……?」

 *

―小さな無人島 海岸

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


魔女っ子クロシュ「えいっ!」ブンッ

 つむじ風「」ビュオオオオ

イリス「ほ、本当に精霊魔法だ……! 妖精やエルフみたいに、精霊を知覚できる種族じゃないと使えないはずなのに……!」

魔女っ子クロシュ「ん……!」

セイン「だが威力は貧弱だ。この程度のそよ風では幼子を転ばせるのが関の山だろう」

魔女っ子クロシュ「んゆ……。ブラッドちゃんだって、よろけたもん……」

イリス「だ、だからこそ練習しよう! せっかく使えるなら伸ばさなきゃ! 才能を!」



ミスティ「ところで精霊魔法って、自然の精霊の力を借りて現象を引き起こす魔法なのよね? 妖精の自然魔法とは何が違うの?」

妖精「精霊魔法の方が、精霊の力を借りる分引き起こせる現象の力や規模をより大きなものにできるよ。でも精霊依存になっちゃうから小回りや応用は効きにくい。自然魔法はその逆。力や規模は大きくしづらいけど、術者の意思である程度現象を操れるから小回りや応用も効きやすいって感じかな」

エバンス「へえ、魔法もいろいろあるんだな……」

ローガン「エバンスくんも、戦い以外の魔法について勉強してみてはどうだ?」


↓1コンマ 練習の成果
01-60 魔法経験[1/3]
61-90 魔法経験[2/3]
91-00 魔法練度上昇

イリス「精霊魔法の指南はしてあげられないけれど、魔力の込め方とか流し方についてはいろいろ教えてあげられそうだね。クロシュちゃん、まず体の中の魔力をね……」

魔女っ子クロシュ「うん……」

 *

 つむじ風「」ヒュルヒュル…

魔女っ子クロシュ「んゆゆ……」

イリス「あはは、いきなりいろいろ言われても難しいよね。でもちょっとづつ魔力の流れが良くなってきてるよ! これからも少しづつがんばっていこうね!」

魔女っ子クロシュ「うん……!」

 ☆クロシュの魔法経験が[1/3]になりました。[3/3]に到達するとレベルが上がります

 ◆

というわけで本日はここまでです。次回はトコナツ火山島への海路、2日目のランダムイベントからです

旅は道連れ(稀)を連続で引き当ててセインくんが道連れになるという驚きの初日でした。まさかこんなことになるとは>>1も全く予想しておらず、驚くばかりであります
そしてクリティカルボーナスをものともせず鉄壁の態度を取り続けるセインくん自身にも驚くばかりであります。簡単に心を許してはくれないようです
また、今回は全く戦闘をする機会がありませんでしたが、もし戦闘が発生した場合はセインくんも当然参戦してくれるため、セインくんの戦闘力を考えると大抵の戦闘は殆どボーナスステージとなります。もし強敵に出くわしてしまっても今なら安心です

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

セインくんが同行してくれるのはこの船旅が終わるまでなので、トコナツ島に着いたらお別れとなります……。トコナツ島での戦いはクロシュちゃんたち自身の力でがんばりましょう

セインくんは自分には友達がおらず、必要ないとも思っているようです。以前に守るべきものがいるとは言っていましたが、心を許せる対等な仲間と言えるような人はいないのかもしれません。なおクロシュのことはまあまあ嫌いではなさそうに見えます

今回の旅の道中だけですが、セインくんと行動を共にする機会はあまりないかと思いますので、この機会にいろいろ親睦を深めていただければと思います

―トコナツ火山島への海路 2日目

 ◇クロシュ [赤ちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇セイン  [勇者?]
 武:木の棒      盾:         飾:
 武:         防:旅人の服     飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)

―海上

大亀クロシュ「」スイスイ


セイン(木の棒装備)「……」

ローガン「セインくん、武装はやはり漂流中に手放してしまったのか」

セイン「ああ。生存を優先した」

イリス「でも、セインくんならその気になれば光になって一気に移動できたんじゃないの?」

セイン「あの技はそんなに便利なものじゃない」

ミスティ「万能ではないのね……」

エバンス「だからって一週間も海を漂い続けるのもヤバイだろ……普通の人間ならとっくに死んでるぞ」

セイン「耐久力には自信があった。救助を待った方が賢明だと判断したまでだ」

妖精「一週間呑まず食わずで特に異常もなさそうだもんね……ひょっとして一ヶ月くらいは大丈夫だったんじゃないの」

セイン「試したことはないが、恐らく生きられると思う」

エバンス「おかしいだろ……」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-40 食料発見(コンマ)
41-60 物品発見(コンマ)
61-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

このあと敵襲ですが先に見つけたものの処理を行います

↓1コンマ 見つけた物品
01-05 樽……?
20-35 大きな巻き貝
36-65 大きな軽石
66-95 エンシェントシャコ真珠
96-00 海竜の宝玉

あっ、コンマ表がおかしいですね。正しくは

01-05 樽……?
06-35 大きな巻き貝
36-65 大きな軽石
66-95 エンシェントシャコ真珠
96-00 海竜の宝玉

でした。すみません

↓1〜3多数決
1.巻き貝をてにいれる
2.再安価する

多数決ありがとうございます。ちなみにこの多数決は>>1のふてぎわによるものなので、連取り対象とはなりません

―海

大亀クロシュ「」スイスイ

大亀クロシュ「?」


セイン「? 何かあったか?」

大亀クロシュ「〜〜」モニョニョ

ローガン「む……? アレは……」

 小さな岩礁「」
 大きな巻き貝「」

イリス「わあ、おっきな巻き貝!」

ミスティ「岩礁に引っかかっているわね……。中身はもういないみたいだけれど……」

エバンス「しかし本当にでかいな。小さい子供くらいなら入れるんじゃないか?」

妖精「あれはオオキイウミタニシの貝殻だね。真珠ほどではないけれど水属性の触媒になるよ、多分」

エバンス「イリスちゃんがアレを背負ったりすれば水属性魔法のパワーが上がったりする……ってことか?」

イリス「な、なんですかその理解の仕方……。いやまあ、あながち間違ってもいないですけれど……」

ミスティ「まあ、せっかくだし拾っていってみる……? もちろん、クロシュの負担にならなければ、だけれど……」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「ぜんぜんへーきだってさ。せっかくだしもらってこうよ、海岸沿いでオオキイウミタニシを見つけるのは難しいし」

 ☆大きな巻き貝を手に入れました
 ☆イリスとクロシュが装備可能です

 ◇

―海上

大亀クロシュ「」スイスイ

 グワンッ
大きく揺れる大亀クロシュ「!!?」モニャニャ!!?

 *

―大亀クロシュの小屋

 グワンッ

イリス「うわわわああ!?」ドテッ

エバンス「うおああ!?」ドテッ

ローガン「何だ!? クロシュくん何があった!?」

クロシュ「し、下から……たたかれてる……!」ズズッ

ミスティ「何者だか知らないけれど、クロシュを傷付けたら許さないわよ……!」バッ

妖精「あっバカ! ミスティは泳ぐの苦手なんだから冷静になって!」パタパタ

セイン「……!」タッ

 *

―海上

大亀クロシュに巻き付くタコ触手「」ギチギチ
大亀クロシュ「〜〜!!」ジタバタ


ミスティ「こ、こいつは……!?」ザッ

 何かの骨を持ったタコ触手「」ウネウネ

妖精「骨を持ったタコ足……ボーンクラーケンだ!」

イリス「ええっボーンクラーケンって、あの南の海の暴れん坊タコの……!?」

妖精「そう! くっそぉ、なんて奴の縄張りに入っちゃったんだ……! クロシュ、なんとか持ちこたえて……!!」

エバンス「とにかくこいつの足を斬るぞ! クロシュちゃんを助けるんだ!」

ローガン「海に落ちるな! 海中は奴の独壇場だ!」


セイン「……」ザッ


 ――戦闘開始 ボーンクラーケン――

↓1
01-05 痛恨
06-50 優勢
51-00 会心

 氷の刃「」ヒュンヒュンッ
 タコ触手「」ズバババッ

ミスティ「堅い……! 足の一本程度……!」

エバンス「だが隙ができた! オラァ!」ブンッ

 タコ/触手「」ズバッ

エバンス「よしっ! だが足は斬れても水中の本体にゃ攻撃できねえ……!」

ローガン「だが地道に削るしかない……! 奴が諦めるまで――」

妖精「くうう、波が穏やかなこの海域じゃタコを押し流すほどの水流なんてとても……!」ググッ

イリス「海中に電気を……だめ、クロシュちゃんまで感電しちゃう……! ううう、どうすれば……!」


 ザブンッ

イリス「えっ!? せ、セインくん!?」

妖精「ま、まさか……!? いくら強いセインでも水中じゃ――」

 *

―海中

セイン「」スイスイ

ボーンクラーケン「」ギロッ

セイン「」クイクイ

 タコ触手「」ギュオオオオッ
 タコ触手「」ギュオオオオッ

セイン「」ギラッ
 光を纏う木の棒「」ブンッ

 ちぎれ飛ぶタコ触手「」ヘニャヘニャ
 ちぎれ飛ぶタコ触手「」フニャフニャ

ボーンクラーケン「!?」

セイン「……」


↓1
01-05 痛恨
06-00 勝利

―海上

 タコ触手「」ヘニャニャ…

エバンス「なんだ? 触手の様子が……」

ミスティ「勢いを失った……?」

ローガン「この機を逃すな! 一気に押し返すぞ!」

イリス「は、はい……! 炎よ……!」ゴオッ

妖精「まさか、セインが……?」

 *

―海中

セイン「」ブンッ

 ちぎれ飛ぶタコ触手「」
 ちぎれ飛ぶタコ触手「」

ボーンクラーケン「〜〜!!」

セイン「――」
 光の残像「」パヒュンッ


セイン「」ヌッ
ボーンクラーケン「!!?」っっっ

 光を纏う木の棒「」ブンッ

ボーンクラーケン「」パギュッ

 *

―海上

大亀クロシュに巻き付いていたタコ触手「」ヘニャヘニャ…

大亀クロシュ「……!」モニョニョ

 ――戦闘終了

 ◆

―夕
 小高い岩礁

 ザァーン ザパァーン…

 焚き火「」パチパチ
 ボーンクラーケンの触手焼き「」ジュワッ

クロシュ「わあ……!」ジュルリ

イリス「今日もお疲れ様、クロシュちゃん! はい、さっきのボーンクラーケンの触手焼き!」スッ

クロシュ「うん……!」

 デロデロ
スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ


ミスティ「ふう……一件落着ね……。んっ……美味しいわ……」モグモグ

エバンス「南方じゃ人気食材として使われてるだけあるな、こりゃ」モグモグ

ローガン「うむ……! セインくんが仕留めてくれたお陰だ」

イリス「はい! 本当にありがとう、セインくん!」

セイン「……命を恩を返しているだけだ。礼はいらない」モグモグ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

セイン「……言いたいなら、好きにしても良いが」


船旅2日目の夜です。丁度良い岩礁があったのでそこで野営します
↓1〜3 野営中何をする?

 焚き火「」パチパチ

スライムクロシュ「……」

セイン「……」

イリス「……セインくん、ちょっといい?」

セイン「?」

スライムクロシュ「?」

イリス「えっとね……マーベルさんのこと、覚えてる?」

セイン「ああ」

イリス「そのマーベルさんから伝言っていうか……もしセインくんと会ったらやって欲しいことがあるって言われてて」

セイン「……?」

イリス「セインくんを一発ぶん殴ってくれって」

セイン「……」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

セイン「殴られてやってもいいが……いや、ただ殴られるだけというのもつまらないな」スクッ

イリス「へっ?」

セイン「……僕に攻撃を当てるか、海へ落とすことができたら――殴られてやってもいい」スッ

イリス「え!?」

セイン「だが、できなければ――次に君がマーベルと会った時、マーベルを殴ってもらう。それでどうだ?」

イリス「え、ええ!?」

 ポイッ
 木の棒「」ポテッ

セイン「武器と魔法は使わないでおこう。君相手ならそれで十分だろう」

イリス「」カチン

イリス「へえ……。武器も魔法も使わないなら、セインくんなんてただのかわいい男の子じゃない」

セイン「そうなのか」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ オロオロ

イリス「いくら勇者でも、未来の大賢者を舐めてると痛い目に遭うってことを教えてあげる……!!」ゴゴゴ

セイン「ああ」

 ――模擬戦闘開始――

↓1
01-05 イリス無様
06-85 イリス敗北
86-95 相打ち
96-00 イリス大勝利

セイン「」タンッ

イリス「!!」バッ

 ガガガッ

イリス「ううっ……!?」ズザザッ

イリス(魔法による強化なしでこの速度と重さ……!? 咄嗟に受けた杖が折れるかと思った……!)

イリス(いや、でも……多分これも、本気じゃない……! くそお、バカにして……!!)

イリス「水!」

 大量の泡「」ポワポワ

セイン「!」キキッ

イリス「一発当てれば勝ちなら、これでどう!?」

セイン「」ブンッ

 大量の泡「」パチンパチン

イリス「ええ!? 腕を振った風圧で……!?」

セイン「」タンッ

イリス「くううっ!」

 ◇

イリス「うぐぐう……」ボロッ

セイン「降参するか?」

イリス「ま、まだあ……!」



妖精「もうやめときなよ〜。マーベルなんて私が代わりに殴っとくからさあ〜」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョモニョ

エバンス「しかしイリスちゃんは近接戦の心得もあるんだな。並の戦士くらいなら接近戦でも十分戦えるんじゃないか?」

ローガン「うむ……冒険者ランクこそ低いが、実力はかなりあるぞ。我がパーティの魔法使いたちは」

ミスティ「まあ……弱いつもりはないわね……。強くもないけれど……」



イリス「もう一回、水!」

 大量の泡「」ポワポワ

セイン「無駄だと――」

イリス「地!」カッ

 穴「」ボゴンッ

セイン「!!」サッ

イリス「風!!」ヒュオオオッ

 大量の泡「」フヨフヨ

セイン「くっ」タンッ



妖精「セインが跳んだ!」

エバンス「だが空中ではもう避けられないぞ!」



イリス「もらっ――」コォォォ―

 ズキッ

イリス(う、うそ……魔力が……もう……)

イリス(こ、こうなったら……!!!)ザッ


イリス「う、うあああああ!!!」ダダダッ

セイン「!!?」ヒューン

 ガッ

ミスティ「い、イリスが落ちてくるセインに体当たりを――」

ローガン「ぶちかまして――」


イリス「わああああ!!」ヒューン
セイン「――」ヒューン

 ボチャンッ…


妖精「海に落ちちゃった!」

 ◇

 焚き火「」パチパチ

イリス「う、ううう〜……あたまいたいぃ〜……」グッタリ

ミスティ「魔力切れの寸前まで魔力を使い続けたのよ、あなた……。ほら、あの子の精霊樹ジャムを溶かしたホットエードよ……ゆっくり飲みなさい……」

イリス「うう……甘くて優しい味がするぅ……」ゴクゴク

妖精「全くもう……無茶しすぎだよ、こんな海のど真ん中で。セインも変に煽らないでよ」

セイン「……悪かった」

イリス「せ、セインくん……えっと、今の勝負は――」

セイン「引き分け……と言いたいところだが、一発でも攻撃を当てられたら、という条件だった。つまり君の勝利だ」

イリス「……!! やっ……たぁ……!! あいたたた……」ズキズキ

セイン「……驚いたな。武器と魔法は使わなかったが、それでも負けるつもりなどなかった。未来の大賢者たる君を侮ったことを詫びさせてもらう……」

イリス「え、えへへえ〜……セインくんに認められちゃった……!」

 ☆イリスがセインくんに辛勝を収めました
 ☆イリスの根性が上がりました

 ◆

―早朝
 小高い岩礁

 ザァーン ザパァーン…

 焚き火「」パチパチ

イリス「〜〜♪」


セイン「……もう起きていたのか」ヌッ

イリス「あ、セインくんおはよう! 昨日は付き合ってくれてありがとうね」

セイン「いや……おはよう。それは……スープ? 朝食か」

イリス「うん。昨日のボーンクラーケンの足を使った海鮮スープ。ミスティに凍らせてもらったから、しばらく食べる分は困らなくなったの。もちろん持ちきれない分は海に還したけどね」

セイン「海に還す……なるほど」

イリス「セインくん一人が増えてちょっとカツカツだったけれど、ボーンクラーケンのお肉が入ったからお釣りが来るくらいになっちゃった」

セイン「それなら良かった」

イリス「セインくんは、好きな食べ物とかは特にないんだっけ?」

セイン「好き嫌いは特にない。自由に作って欲しい」

イリス「そっか……。でも、もし好きな食べ物ができたら教えてね。その時は作ってあげるから」

セイン「……覚えておく」

 ◇

―朝

ウミヘビクロシュ「」スイスイ

妖精「うわ、どうしたのクロシュ? そんな変な姿で泳いだりして」パタパタ

ウミヘビクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「えっ、昨日の骨ダコにやられたのが嫌だったから、もっと強い姿になりたいって? う〜ん……でもみんなを乗せられる大きな姿なんて大亀くらいだしなあ……」

ウミヘビクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 割れた海竜の頭骨「」ガラン

妖精「あっ、それは昨日の骨ダコがかぶってた骨! 見た感じ、多分海竜の頭骨だと思うけど……」

ウミヘビクロシュ「〜〜」モニョニョ

妖精「まあ確かに、海竜なら大きいし強いけれど……。食材として扱われたりもしてるけど、曲がりなりにも竜だよ? 簡単には擬態できないんじゃないかなあ……」

ウミヘビクロシュ「〜〜!」モニョニョ!

妖精「まあ挑戦するのは自由だけど、あんまり無理しないようにね」


↓1コンマ
01-80 大亀状態が強化されました
81-00 海竜


 大きな巻き貝「」

 デロデロ モニョモニョ…

大亀クロシュ「」ポン!


妖精「見た目は変わってないけど水属性の力を感じる。もしかしてあの巻き貝と同化したの?」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「やっぱり! それじゃあ早速泳いでみよう!」



大亀クロシュ「」スイー

妖精「おおーちょっと速くなった! 水属性のお陰かな?」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

 ☆大亀状態が強化されました

 ◆

―トコナツ火山島への海路 3日目

 ◇クロシュ [赤ちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇セイン  [勇者?]
 武:木の棒      盾:         飾:
 武:         防:旅人の服     飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)

―海上

大亀クロシュ「」スイスイ


ミスティ「……なんか、暑くないかしら……」

ローガン「かなり南の方まで来たのだろう」

エバンス「てことはトコナツ島も近いか?」

妖精「うん。精霊たちによるとあと少しみたい。今日の夕方には着くよ」

イリス「……トコナツ島に着いたらセインくんともお別れかあ……。そういえば、セインくんは今何をしようとしてるの?」

セイン「……恐らく、お前たちと同じだ」

妖精「や、やっぱり……。ねえ、こんなことを言うのもなんだけど……助けてあげた代わりに、今回は見逃してくれない……?」

セイン「……お前たちこそ……今回は、退いてくれないか? 僕は……命の恩人に刃を向けたくない」

イリス「セインくん……」


妖精(……セインのやつ……初めは無機質で無感情でつまんない勇者モドキだと思ってたけど……)

クロシュ(セインさん……)


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-30 食料発見(コンマ)
31-55 物品発見(コンマ)
56-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

↓1コンマ 見つけた場所
01-10 幽霊船
11-40 浮島スライム
41-70 小さな温泉島
71-95 伝説の海賊の洞窟
96-00 古代遺跡?

↓2コンマ 見つけた物品
01-05 樽……?
06-50 大きな軽石
51-95 エンシェントシャコ真珠
96-00 海竜の宝玉

―海上

大亀クロシュ「」スイスイ

 大きな軽石「」コツン

大亀クロシュ「?」モニョニョ?


 大きな軽石「」ザバンッ

エバンス「おお、でっけえ軽石だ!」

イリス「軽石が流れてきたってことは、火山島が近いんですねきっと!」

ミスティ「そうなの?」

ローガン「ああ。軽石は火山で採れることが多い鉱物だ。トコナツ火山島のものかはわからんが、遠くない場所に火山がある可能性は高い」

セイン「……」

 大きな軽石「」コンコン


エバンス「……軽石か……待てよ、これを地属性魔法で再現できないか……?」

イリス「あ、なるほど……! これを地属性魔法で出せれば――」

エバンス「おう! 水に浮く石なら、泥舟の強化に使えるぞ!」

イリス「確かに!!」

 ☆大きな軽石を手に入れました
 ☆エバンスとイリスが軽石魔法を閃きました

 ◇

―海上

 濃霧「」モワモワ

大亀クロシュ「〜〜…」モニョニョ…


イリス「なんか……霧が濃くなってきた……?」

エバンス「……んん? そろそろ着くはずじゃないのか……?」

妖精「お、おかしいなあ……。そのはずなんだけど……さ、さっきから精霊たちの気配がなくて……」

ローガン「なんだと……?」

セイン「……遭難か」

エバンス「し、自然魔法でこの霧を追い払えないのか?」

妖精「さっきからやってるよぉ……」

イリス「むむ……そ、それなら私も風魔法で――えい!」ブンッ

 風「」ビュオオオオッ

 濃霧「」モワモワ

イリス「ぜ、全然飛ばない……」


セイン「……光で霧に穴を開ける。全員、直視するな」コォォ―

妖精「げっ、その技は――」

 光「」キラッ

 バシュウゥゥゥン――

 濃霧「」モワモワ

セイン「……!?」

イリス「う、うそ……!? あの光魔法ですら……!?」

妖精「これ……もしかしたら……物理的な霧じゃなくて……」

セイン「……呪いの霧か」

ミスティ「の、呪いの……」

エバンス「霧……!?」

 *


大亀クロシュ「〜〜…」モニョモニョ…

妖精「ごめんね、クロシュ……大丈夫、私たちが一緒だからきっと出られるよ」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ


ローガン「しかし……なんだろうか……。薄っすらとした寒気と……この倦怠感は……」

セイン「正体はわからないが、恐らくこの海域は呪われている。僕たちは心身を呪いに蝕まれ始めている……」

イリス「え、ええ……どうすればいいの……!?」

セイン「呪いを祓うには専門家を呼ぶか、あるいは――」

エバンス「あるいは……?」

セイン「呪いの根源を、破壊するしかない」

ミスティ「……で、でも……もし呪いの根源が深海にあったら打つ手なしになってしまうわ……」

セイン「いや……その心配はいらないらしい」

イリス「えっ……?」

セイン「……お出ましだ。呪いの元が」


 幽霊船「」ゴゴゴゴゴ…


イリス「あ、あれって……まさか……」

エバンス「幽霊船か!!?」

 *

 幽霊船「」ゴゴゴゴゴ…


大亀クロシュ「……」


イリス「どど、どうするの……!? あれに乗り込むの……!?」

ローガン「現状、そうする以外の選択肢はあるまい。このまま濃霧の海域を闇雲に漂い続けるわけにもいかん」

エバンス「外からぶっ壊すんじゃダメなのか? ほら、さっきセインが撃った光魔法とかで」

セイン「……それで霧が晴れれば良いが……もし晴れなかった場合、僕たちは最大の手がかりを失うことになる」

エバンス「げ、確かに……」

ミスティ「壊すにしても、中を探索してからってことね……」

セイン「そうだ」

イリス「い、行くしかないんだ……」

妖精「まあ大丈夫でしょ、セインがいれば」

セイン「……最悪、魔王が潜んでいる可能性もある。そうであれば僕一人でも対処は難しい。気を抜くな」

妖精「わ、わかってるよ……悪かったね」

 *

―幽霊船 踏破率[0/???]

 ギィー… ギギ…

イリス「ひ、ひいい……!!」ガタガタ

クロシュ「イリスさん……」ギュッ

イリス「く、クロシュちゃん……ありがとう……」ギュッ

ミスティ「……」

妖精「ミスティも手を繋ぐ?」

ミスティ「えっ……いや、私は……」

イリス「つ、繋ごうよ! その方がいいよ!」

ミスティ「まあ……いいけれど……」ギュッ

クロシュ「妖精さんも……」

妖精「じゃあ私はいつも通りクロシュの懐に入ってようかな」スポッ


エバンス「しかしボロボロだな……。いつ床が抜けるかわからん。呪いも怖いが、物理的な怪我も怖いぞこりゃ」

セイン「ああ。だが恐らくそれも奴らも狙いだ。気を付けろ」

ローガン「うむ……。皆、気をつけて進もう――」

 ――探索開始 幽霊船――

というわけで本日はここまでです。次回は幽霊船探索から始まります

今回はセインくんがタコ相手に活躍したり、イリスさんがセインくん相手に辛勝をもぎ取ったりと、戦いが多い日となりました
ボーンクラーケンさんは平和に暮らしていただけなのですが、縄張り争い、そして生存競争とはかくも哀しいものなのです。彼の命はクロシュちゃんたちに食べられ、海の命たちに食べられ、また星へ還るのでしょう。星の海は、遥かな昔からそのように巡っているのです――
そして次回はついにクロシュちゃん初めてのダンジョンアタックです。がんばりましょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

セインくんは敵の時はいきなり死亡判定をぶちこんでくるなど恐ろしいことをしてきますが、味方の時は実際とても頼もしい味方だと思います
樽と古代遺跡が何だったのかはわかりません。樽はファンブルのようなので、見つけてしまったらろくでもないことになっていた可能性があります。一体何が入っていたのでしょうか……
そして古代遺跡は逆にクリティカルだったようなので、もし見つけられれば良いことがあった可能性があります

ダンジョンの奥に何がいるかはわかりませんが、危険度の高いダンジョンの奥には実際魔王が潜んでいる可能性があります。本来であればそのような危険なダンジョンはよほどの実力者か命知らずでもない限りは避けて通るべきなのですが、今回は避けることができませんでした。しかし幸いなことに今回はセインくんがいるので、多分大丈夫でしょう

なお本日は急用が入ってしまったため、更新できません。申し訳ありません。明日は更新いたしますので、よろしくお願いいたします

こちらこそありがとうございます。おまたせいたしました

前作ではステータスやスキルなどの数値計算がけっこう大変になってしまったので、今回はシンプルにやろうと思います

◯ダンジョン探索のルール
ダンジョン探索では、「踏破率」と「持久力」という数値が登場します。
「踏破率」は毎ターン行われるコンマ判定によって上昇し、最大値まで上がればダンジョン探索成功となります。
「持久力」は毎ターン1減少し、0になると探索失敗となります。また、持久力が少ない状態で戦闘に突入した場合、戦闘コンマにマイナス補正がかかるので注意が必要です。

―幽霊船 上甲板 踏破率[0/6] 持久力[10/10]

 ギギッ… ギギギッ…

妖精「下の方に嫌な気配がある。何かいるとしたら船の中だと思う」

ミスティ「船の中にはどこから入れるのかしら……」キョロキョロ

エバンス「真っ当な船なら簡単に見つかるはずだぜ」


↓1
↓1コンマ
01-05 ??
06-35 踏破率+2、敵襲
36-65 踏破率+2、??発見
66-95 踏破率+3、友好的な船幽霊
96-00 踏破率+4、宝箱だ!

―幽霊船 踏破率[2/6] 持久力[9/10]

 船扉「」ガチャッ ギィ……

エバンス「簡単に入れたな。どうする? 船室を一つ一つ調べて回るか?」

イリス「あ、あんまり時間をかけない方が……あれっ?」

クロシュ「?」

イリス「あ、あの船室から……この船とは少し違う魔力の気配を感じるというか……」

ローガン「なんだと? もしや我々と同じ遭難者か?」

イリス「と、とにかく開けてみましょう! もし遭難者なら助けてあげなきゃ!」

妖精「他人を助ける余裕なんてあるのかなあ」


 船室の扉「」ガチャッ…


イリス「大丈夫ですか!?」バッ


暗黒行商少女「やめて……もうお腹は殴らないでェ……」ガタガタ


イリス「え、えええ!? あなたは……!!」

エバンス「いつぞやの詐欺師のガキじゃねえか!」

 *

ミスティ「……落ち着いた?」

暗黒行商少女「はあ、はあ……あ、アンタたちは……どうしてここに……?」

エバンス「こっちのセリフだ。なんでお前がこんなとこにいる?」

暗黒行商少女「し、知らないわよ……飛行するメイド人形に船を壊されて、無我夢中で泳いでたら……」

ローガン「この船を見つけて慌てて飛びついたということか? 凄まじい悪運だな……」

暗黒行商少女「大不幸よ!! せっかく九死に一生を得たと思ったら幽霊船で、たちの悪い幽霊に捕まってお腹を殴られて、必死に逃げ込んで震えるしかなかったのよ!? うう、思い出したら気持ち悪くなってきた……」

妖精「因果応報でしょ」

イリス「うう〜ん……」

暗黒行商少女「……そ、その……先日は本当に悪かったわ。あのことは謝るし、今はもう手持ちがないけれどまた稼いだらちゃんと差額分は返すから、助けて! 私一人じゃ出られないの!」

エバンス「人を騙して違うものを売りつけておいて、差額分を返せば済むと本気で思ってんのか……?」

ミスティ「ケチすぎるわ……」

妖精「……こいつ助ける必要ある? 私たちだって余裕がないのに」

セイン「話が見えないが、もしこいつが詐欺師だというのなら救助には賛成しかねる」

エバンス「……ちょっとかわいそうだが、いつ裏切るかわからんしなあ」

暗黒行商少女「ちょ、ちょっとちょっと!! 流石に助けてもらう立場で騙したり裏切ったりなんてしないわよ!!? 全額返すしオマケも付けるから見捨てないでよぉ!!」

ローガン「……と言っているが……騙されたイリスくんはどう思う?」


イリス(助けてあげたいけど……もしこの子を助けたせいで、また騙されたりして、みんなを危険な目に遭わせちゃったら……)

イリス(うわあああどうしよう〜〜!!)グニャァ


ミスティ「……悩んでるわね。イリスなら即決で助けると思ってたわ」

妖精「イリスは良い子だけど、頭は悪くないからねえ。今は状況が状況だし」

暗黒行商少女「お願いします、何でもするので助けてください……」ドゲザ

エバンス「うっ……流石に心が痛いぞ……」


セイン「……」ジッ

クロシュ「……?」

セイン「……君は、どうしたい?」

クロシュ「……」


↓1
1.見捨てられない
2.見捨てた方が良さそう……

クロシュ「……助ける」

セイン「……!」

暗黒行商少女「……え? い、今なんて?」

クロシュ「……助ける」

暗黒行商少女「!!!」パァァァ

イリス「クロシュちゃん……!」

妖精「う〜ん……まあこのパーティなら、こいつ一人が変なことしてもなんとか対応できると思うけど……」

ローガン「だがこの海域を脱出できるかどうかも未だわからん。余計なリスクは増やさないに越したことはないぞ?」

クロシュ「でも……この人……ちゃんと、反省してるから……。嘘じゃなければ……大丈夫……」

エバンス「まあそうだが……嘘だったらどうするって話なんだ、クロシュちゃん……」

クロシュ「うゅ……」

イリス「……わ、私も覚悟を決めました! 助けましょう!!」

暗黒行商少女「!!!!」

ミスティ「ふふ……イリスも吹っ切れたみたいね」

イリス「うん! ここで見捨てたら……私、一生後悔するもん……!!」

妖精「こいつに裏切られた場合も一生後悔しない?」

イリス「大丈夫、彼女が裏切らないようにしっかり見張るから……! ね、クロシュちゃん!」

クロシュ「うん……」

ローガン「フッ……どうやら決まったようだな」

エバンス「だな」

セイン「……? 救助賛成派はまだ二名だけだが……」

ミスティ「イリスとクロシュがこう言い出すと、なんだかそういう方向で決まっちゃうのよね……。ふふ、なんでかしら……」

妖精「あはは、ほんとなんでだろうね?」

 ☆暗黒行商少女を連れて行くことになりました
 ☆ちょっとだけ戦えますが、弱っているので弱いです

↓1コンマ
01-05 ??
06-50 踏破率+2、敵襲
51-95 踏破率+3、友好的な船幽霊
96-00 踏破率+4、宝箱だ!

―幽霊船 踏破率[5/6] 持久力[8/10]

 ギシッ ギシギシッ…

幽霊A「暗いよォ……暗いよォ……」

幽霊B「帰りたい……帰りたい……」

幽霊C「アバッアバッ…」


イリス「ぎゃあああ!! 出たァァァァ!!!!」ジタバタ

暗黒行商少女「お、落ち着きなさい! アレは無害な幽霊よ!」

イリス「む、無害……?」

暗黒行商少女「ええ。逃げ回っている時に気付いたけれど、幽霊には無害な奴と害のある奴がいるわ。そして有害な奴は実はそれほど多くない……と思う」

妖精「……ということは、この呪いの領域を形成してるのはその辺の低級霊じゃないってことか」

ミスティ「低級霊じゃこれほどの領域は作れないんじゃないの?」

妖精「ううん。低級霊でも寄り集まればものすごい領域を形成できることもあるんだよ。でもそういう怨霊の集合体が生まれる場合だと、ああいった無害な低級霊も一緒に取り込まれるだろうから、ここは違うんだと思う」

ローガン「単独で強力な一個の霊がいる、ということか?」

妖精「あるいは――」

船幽霊「生きた術者がいるか――」ヌッ

妖精「おわあああ!?」クルクル

ローガン「……! あなたは……話せるのか?」

船幽霊「そうですね。ここの幽霊たちの中ではまあまあ自我が残っている方だと思います」

セイン「……この海域から出る方法はわかるか?」

船幽霊「領域を形成した術者を倒せば、霧も晴れると思いますよ。そうすれば、おそらく我々も自由になれます」

エバンス「……なるほどな。その術者ってのは、一体どんな奴なんだ? まさか魔王だったりはしないよな?」

船幽霊「はて……多分魔王ではなかったと思いますが、どうだったかな。すみません、生前より記憶力が乏しいんですよね」

セイン「……最悪の事態は想定しておこう」

ミスティ「……それで、そいつはどこにいるの?」

船幽霊「たぶん船倉です。記憶が間違っていなければ」

ローガン「船倉か。承知した、情報提供感謝する」

船幽霊「いえいえ、我々としてもいつまでもこの暗く寒い海を彷徨い続けるのは嫌なのでね。お願いしますよ、冒険者の方々」


↓1コンマ
01-05 ??
06-50 敵襲
51-95 船倉へ
96-00 宝箱

―幽霊船 踏破率[5/6] 持久力[7/10]

 船倉の扉「」ゴゴゴ…

妖精「あれか……。異様な気配を感じる……中に何かいるね」

イリス「よおし、早く悪者を倒してこの霧を――」

セイン「……!」タッ


 ガッ―!!


巨躯の怨霊「オアァ……殴ル……奴隷女ノ腹……殴ル……」ヌオッ

イリス「なっ……な、なに………!!?」

暗黒行商少女「ひっ……や、やだ……もう殴らないでェ……」ジワワ

エバンス「商人の嬢ちゃんの腹を殴り続けた悪霊ってやつか……!」


 木の棒「」ギギギギ…ボキッ

セイン「チッ……」シュタッ

クロシュ「セインさん……!」

セイン「問題ない。滅する」タッ


 ――戦闘開始――


↓1コンマ
01-05 痛恨 持久力-3
06-00 会心 勝利

巨躯の怨霊「殴ル……殴ル……」グオオオ

 ブンッ
 ズガンッ!!
 壁に空いた穴「」シュウウウ…

セイン「」シュッ

巨躯の怨霊「オァ……」

セイン「消えろ」コォォォ―

 光「」バシュウウン―


クロシュ「ほえ……いなくなっちゃった……」

妖精「アンデッドは光に弱いからねえ」

ローガン「う、うむ……。セインくんがいてくれて本当に助かるな」



暗黒行商少女「お願いします、何でもしますから、もう殴らないで……」

イリス「だ、大丈夫だよ! あいつ、消えちゃったよ!」

暗黒行商少女「へ……?」

セイン「消した」

暗黒行商少女「え、ええ……うそぉ……」


 ――戦闘終了

 *

―幽霊船 踏破率[6/6] 持久力[7/10]

 船倉の扉「」ゴゴゴ…

イリス「じゃあ気を取り直して……」

セイン「僕が開けよう。その方が安全だろう」

イリス「えっ!? で、でもセインくんに頼り切りすぎじゃ……」

セイン「島に着けば恩を返す機会がなくなる。今返させて欲しい」

イリス「そ、そっか……そういうことなら……」


セイン「開けるぞ」スッ

妖精「うん……」

クロシュ「……」


 船倉の扉「」ガチャッ ギィィ―


↓1コンマ 幽霊船の主
01-05 邪神の器〈魔王化〉
06-00 邪神の器

 闇球「」ヴン

セイン「!」サッ

妖精「待ち伏せ!?」

セイン「問題ない。敵は――」


「どうして……こんなとこまで来るの……?」


ミスティ「生きた……人間……!?」

ローガン「あれは、もしや――」


灰髪の陰鬱な女「どうして……放っておいてくれないの……!?」


ローガン「指名手配犯の、レイ・アンバー!?」

イリス「えっ!? それって……邪教の儀式のために何人もの命を奪って、その後も何百人もの人の命を奪いながら逃亡を続けてるっていう、大量殺人犯の――!?」

エバンス「おいおい嘘だろ……!? なんでそんな奴がこんなとこに……!」


レイ「わ、私じゃない……私は何も悪くないのに……あなたたちが、追ってくるからァァァ!!!」ゴォォォ―


クロシュ「!」ザッ

セイン「来るぞ、構えろ!」


 ――ボス戦闘 邪神の器レイ・アンバー――


↓1コンマ
01-05 痛恨
06-15 劣勢
16-57 優勢
58-00 会心

レイ「ああああああ!!!」グオオオッ

 闇の眷属「」ポンッ
 闇の眷属「」ポンッ 闇の眷属「」ポンッ
 闇の眷属「」ポンッ 闇の眷属「」ポンッ 闇の眷属「」ポンッ


エバンス「なんだこりゃ! 黒い……影の魔物……!?」

イリス「召喚術……!? でも、こんな生き物見たことも聞いたことも……!」

妖精「せ、精霊……!? いや、違う……精霊じゃない……何アレ……!?」



闇の眷属「」ヌオッ

セイン「チッ……!」サッ

ローガン「セインくん、これを!」ブンッ

 鋼の剣「」ヒュンッ

セイン「助かる!」パシッ

ローガン「私は……これだ!!」
 鋼の回転ノコギリ「」ギュイイイイイ!!



闇の眷属「」シャッ

クロシュ「……!」
 ウニ盾「」ガガガッ

ミスティ「切り裂け!」

 氷の刃「」シュババッ
闇の眷属「」ズバババッ

ミスティ「クロシュ、大丈夫!?」

クロシュ「うん!」

ミスティ「数が多いわ! 前に出過ぎないで!」


↓1コンマ
01-05 痛恨
06-15 劣勢
16-57 優勢
58-00 会心

セイン「お前たち、伏せろ」コォォォ―


イリス「えっ、うん!」サッ

妖精「うわわっ」サッ


セイン「――」
 光を纏う鋼の剣「」シャッ

 ギュオアアアアアアアア!!

 闇の眷属「」ジュッ 闇の眷属「」ジュッ 闇の眷属「」ジュッ
 闇の眷属「」ジュッ 闇の眷属「」ジュッ 闇の眷属「」ジュッ

 消滅していく闇の眷属たち「」シュウウウウ…


クロシュ「わあ……」

エバンス「えげつねえ……」

ミスティ「す、凄いわね……」

ローガン「流石だな……」


レイ「あ、あ……」

セイン「残るはお前一人だ」シャキン


↓1コンマ
01-05 痛恨
06-15 劣勢
16-00 勝利

レイ「ご、ごめんなさいごめんなさい!! 私が悪かったですう!! 許してください許してください!!」ドゲザ

セイン「……」

イリス「え、えと……」

ローガン「イリスくん。レイ・アンバーは先ほどの詐欺師の少女とは違う、正真正銘の大量殺戮者だ。生かせばさらなる悲劇を生む。温情をかけてはならない」

イリス「でも……」

レイ「本当にごめんなさい!! 本当に、本当に、もう何もしないので……どうか命だけは……」ガクブル

暗黒行商少女「うええ……さっきまでの私を見ているようだわ……」

エバンス「……気は進まねえが、ローガンの旦那の言う通りだ。こいつはここで始末した方が良い。安全に連行する手段もねえし」

イリス「……」

ミスティ「……イリス……」

イリス「……わかってます。例えどんな事情があっても……指名手配されるくらい、多くの命を奪った人です」

レイ「あ……そん、なぁ……」ジワワ

イリス「うっ……」

レイ「わ、私……何も悪いこと、してないのに……。みんなが追ってくるから……仕方なく追い払っただけなのに……どうして……。どうして……」ポロポロ

イリス「ううっ……」

妖精「イリス、耳を貸さないで。犯罪者の言葉なんて嘘かもしれないけど、それでも優しいあなたは聞けば聞くだけつらくなってしまう。だから、耳を塞ぎなさい」

イリス「そ、そういうわけには……」


セイン「……話がまとまったらなら始末するが、問題ないか?」


クロシュ「……」


↓1〜5多数決 クロシュはどう思う?
1.殺していいと思う
2.それでも殺したくない

クロシュ「えと……。でも……生きるために、殺すのは……仕方ないと、思う……」

レイ「……!」

妖精「クロシュ……」

イリス「クロシュちゃん……」

クロシュ「わたしも……生きるために、虫さんや葉っぱさんを、殺して、食べるし……。嫌な人に嫌なことされた時は……フメイちゃんが、焼き殺して追い払ってくれたもん……。だから……この人が悪いなら……わたしやフメイちゃんも……悪いことに、なっちゃう……」

暗黒行商少女「一理あるわね。生きるために戦う、騙す、殺す……自然の摂理よ。それを悪とするなら、この世の全ては悪に満ちているわ」

妖精「人の世の話だよ。いきなり自己弁護しなくていいから」

暗黒行商少女「むぐ……」

ローガン「……彼女は、ある儀式の生贄として大量の民間人を殺害した容疑があったはず。それは流石に、生きるためとは言えないのではないか?」

クロシュ「むゅ……」

レイ「わ、私殺してない……!! いや、逃亡生活中に殺しちゃうことはあったかもしれないけど……儀式の時は何も殺してない……!!」

クロシュ「……!」

エバンス「それが本当かどうか確かめる術はねえしなあ……」

妖精「うーん……でも国際指名手配ってのも王国とロイエ教が牛耳ってる仕組みだし、王国は冤罪のでっち上げくらい当然のようにするんだよね……」

レイ「そ、そう!! でっち上げ! 私、殺してないもん!!」

ミスティ「でも逃亡中は殺したんでしょ?」

レイ「そ、それは、その……。し、仕方なかったの……!!」

ミスティ「いや、まあ……私も正当防衛的に殺したことはあるから、正当防衛なら別に責める気はないけれど……」

レイ「そう、そう……! せ、正当防衛、だから……!! 私、悪くない……!!!」

エバンス「紛糾してきたな……」

ローガン「ううむ……命を奪うともなれば、判断を誤ることもできぬ。我々は捜査官でもなければ判事でもないのだから仕方ないのかもしれん」

妖精「そういう民間人でもはっきり判断できるようにしたのが指名手配って仕組みなのにね」

イリス「王国の信用がなさすぎるから……」

セイン「……お前、この結界を解くことはできるのか?」

レイ「え、結界……?」

セイン「この船と、その周辺一帯を覆っている呪いの結界だ。そのせいで僕たちはここから出られないでいる」

レイ「え、え……嘘……!?」

セイン「……自分で理解していなかったのか?」

レイ「し、知らないもん……!! 魔法なんて、全然わかんないのになんか使えてるだけで……」

セイン「……じゃあ、解き方はわからないと?」

レイ「……」

セイン「……」


エバンス「……え、じゃあ出られないってことか?」

ローガン「なんだと……」

ミスティ「……嘘でしょ」

イリス「そ、そんな……」

妖精「……いや。一つだけ出る方法はある」

暗黒行商少女「……やっぱり殺すしかないってことね!!」


レイ「……!!! お、お願いです!! そ、それだけは……命だけは……!!」ドゲザ

セイン「……すまない、影のスライム。こいつを殺さなければ、僕たちは出られない」

クロシュ「あ……」

セイン「……せめて苦しまないよう、一瞬で光に還してや――」


レイ「いやあああああ!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 拡がる闇「」ヴォヴォヴォヴォ!!!!


セイン「!!」バッ

イリス「や、闇が拡がって――」

セイン「皆、僕の近くへ!!」

エバンス「お、おう!!」


 拡がる闇「」ヴォヴォヴォヴォ!!!!

 カッ――

―海上

 幽霊船「」ユラユラ

 ズッ

 幽霊船を飲み込む巨大な闇「」ヴォン―

 シュウウウ―

 消えていく闇「」シュウウ―



 大亀クロシュ「」ザバァン!!

 *

―大亀クロシュの甲羅上

セイン「……お前たち、無事か?」

ミスティ「な、なんとか……」

ローガン「うむ……」

エバンス「な、なんだったんだ……?」

イリス「凄い闇属性の奔流だった……まだあれだけの力が残ってたなんて……」

妖精「セインが光の壁で守ってくれなかったら死んでたね、間違いなく……」

セイン「影のスライムは……この大亀だったな。怪我はないか?」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

セイン「ならば良し」


 呪いの霧「」サアァァァァ


イリス「あっ、呪いの霧が晴れてく……!」

妖精「あいつが死んだのか……あるいは結界を維持できなくなったか……」

エバンス「海に落ちたんなら、どの道死ぬんじゃないか……?」

ローガン「どうだろうな……。簡単に死ぬとも思えん」

ミスティ「……何にせよ、生きて出られて良かったわ……」

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

暗黒行商少女「し、死ぬかと思ったら、大きな亀の甲羅に乗っていたわ……。でも……生きて出られたのね、私……!!」ジワワ


 ――幽霊船 踏破完了――


↓1コンマ ダンジョンクリアボーナス
01-60 闇の欠片
61-90 闇の塊
91-00 暗黒物質

 ポテッ

 闇の欠片「」

イリス「ん? これ……」

ミスティ「なに、その黒い物質は」

イリス「この感じ……物質化した闇属性魔力かも。小さいけどすごく純度が高い……」

ミスティ「さっきの拡がる闇が、なにかの拍子に一部だけ物質化したのかしら」

イリス「多分そんなとこだと思う。私たちに闇属性は扱えないけど、これだけ高純度ならかなり価値があるよ」

ミスティ「取り扱い注意ね」

 ☆闇の欠片を手に入れました

 ◆

―海上

闇の眷属「」スイスイ

レイ「あ……生きてる……私……」

闇の眷属「」スイスイ

レイ「……あなた……泳げたんだ……。私を乗せて……」

闇の眷属「」スイスイ

レイ「……」


レイ「私を殺す方向で話が進んでたのに……あの黒い子は……私を、かばってくれた……」

レイ「えっと……確か……」

レイ「クロシュちゃん!!」

レイ「クロシュちゃんかぁ……」

レイ「えへへ……」

レイ「また、会えるかな……」

レイ「……」

レイ「私みたいな指名手配犯が会ったら、迷惑かな……」

レイ「でも無実だし……。私、悪くないし……」

レイ「……」

レイ「…………私をこんな風にした奴らや、王国やロイエの奴らをやっつければ……自由になれるのかな……」

レイ「……」

レイ「無理だよ……そんなの……」

レイ「……」

レイ「クロシュちゃん……クロシュちゃん……」ブツブツ

 ◆

―夕方


 大亀クロシュ「」スイスイ

妖精「そろそろ……あ、見えてきた!」

イリス「え、どこどこ!」

妖精「あれ!」


 噴煙を上げるトコナツ火山「」モクモク


イリス「わああ……! 煙がすごい上がってる……!」

ローガン「……以前トコナツ火山島へ来た時は、あれほどの噴煙は見られなかった」

妖精「……うん。間違いないよ。あれは――」

セイン「世界樹から放たれた光が落ちた場所、ということか」

妖精「まあ、うん……」

 *

―トコナツ火山島 海岸

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」



大亀クロシュ「」ススッ

 デロデロ…

クロシュ「……」ポン

イリス「お疲れ様、クロシュちゃん!」

妖精「いろいろあったけど、ようやく着いたねえ」

ミスティ「ええ。本当にお疲れ様、クロシュ」

クロシュ「うん……ありがと、みんな……」


セイン「……さて、それでは僕はここで失礼する」スッ

ローガン「セインくん」

エバンス「もう行っちまうのか。今夜の飯と寝床くらいなら奢るぞ」

セイン「……待たせている者がいる。行かなければ――」



僧侶「あーっ!! セインくんいたー!!」タタタッ

イリス「げっ、あれは……」


僧侶「もう、なんでこんなに到着が遅れ……ん? あなたがたはいつぞやの薄穢いスライムとその仲間たちじゃないですか。まさかあなたたちがセインくんの到着を妨害したんですか?」

セイン「違う。彼らには、僕が漂流しているところを助けてもらった」

僧侶「ええ……何をしているんですか、勇者ともあろうものが……」

セイン「すまない」

僧侶「いえ、別に良いんですよ? あなたが失敗すればした分だけ、あの子たちにその責任を取ってもらうだけですから」

セイン「……」

僧侶「ふふ……そうですよ。呑気に遊んでいる暇があったら勇者らしく聖務に励むのです。」

セイン「……わかっている」


イリス「……待って。セインくん……人質でも取られてるの?」

セイン「……」

僧侶「人聞きの悪いこと言わないでくれますか? 薄穢いスライムの仲間は消えてください、臭いので」

セイン「……」

僧侶「本当に嫌になっちゃいますね。穢らしい下等生物どもが、私のセインくんにベタベタと手垢を付けてくれて。帰ったらシャワーですよ」

セイン「……」

僧侶「もう行きますよ。こんなとこで揉め事も起こしたくないですし」スタスタ

イリス「セインくん……!」


セイン「……さらばだ。影のスライムと、その仲間たち……」スタスタ


クロシュ「あっ……。わた、わたし……クロシュ、だから……! 名前……!!」

セイン「……!」

クロシュ「えと……ま、またね……セインさん……!」



僧侶「ああもう! 喋るな、ダンゴムシ未満の不潔な粘体生物!!」プンスコ

セイン「……」



セイン「……クロシュ……また会おう」


 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回はトコナツ火山島のシーサイドホテルに宿泊するところからとなります

初めてのダンジョンアタックお疲れさまでした。今回の幽霊船は構造もシンプルだったので、初めてのダンジョンには丁度良かったかと思います
劇中では語る機会がなかったのですが、あの幽霊船は一年ほど前にレイさんが王国から脱出すべく密航した貿易船でした。しかしレイさんは船員たちに見つかり、腹パンなどの虐待を受け、ついには邪神のちからを解放して船員たちを亡き者としてしまったのです。レイさんはそのまま邪神のちからで闇の領域を形成してそこにずっと引きこもっていたようですが、今回クロシュ一行に踏み込まれてしまったのでした
今回のクロシュちゃんの、レイさんを殺さないという選択が今後どのように影響してくるかは未知数です。なおレイさんのクロシュちゃん好感度が上がったのは間違いなさそうです

そして航海中に苦楽をともにしたセインくんともお別れです。トコナツ火山島ではまた敵同士。未練も心残りもあるかもしれませんが、涙をのんで剣を向け合うしかないようです。がんばりましょう

それでは本日もお疲れ様でした。次回も土日となります。よろしくお願いいたします

クロシュ氏は不殺主義というわけではありませんが、無益な殺生は好まないようです。無益でない殺生であれば特に忌避することはないかと思われます(ごはんにするために殺すなど)

セインくんはとても強いですが、今のところは彼と正面から戦って勝つ必要はないので大丈夫です。しかし目的が競合しているのも事実なので、対処の方法は考えた方が良いかもしれません
実際クロシュ好感度だけでなく、意外な粘り強さを見せて勝利をもぎとったイリス氏にも興味が湧いているかもしれません

レイさんはクロシュちゃんのことが気になっているようです。しかし彼女を取り巻く環境は依然として良いとは言えず、陸地で待っているのはつらく苦しい逃亡生活。クロシュちゃんの慈悲が彼女の人生にどう影響していくのか、それはまだわかりません

暗黒行商少女は財産のほとんどを海の藻屑にしてしまったため、しばらくはトコナツ火山島から自力で出ていくこともできないかと思われます。彼女の処遇をどうするかはクロシュ一行の決定にかかっています

僧侶氏は感情が豊かですが、あれでも一応幹部です
クロシュ氏を好きになる人は少なくありませんが、クロシュ氏自身はぼんやりあかちゃんスライムなので、誰かとの関係性が急速に進展する可能性は低いです
でもフメイちゃんも、たまには今回のセインくんのように道連れになってクロシュちゃんと一緒に過ごした方が良いかもしれません

―夕方
 トコナツビーチ

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


エバンス「さて……ひとまず今夜の寝床を確保しないとな。ローガンの旦那は来たことあるんだろ? 何か良いとこないか?」

ローガン「いや。当時は仕事で来たゆえ、一般の旅人が泊まる場所についてはわからぬ」

ミスティ「……? ローガンさんって何の仕事をしていたの……?」

ローガン「……大した仕事ではない。とにかく今は宿を探そう」

 *

―海沿い

 古めかしい看板『この先、トコナツシーサイドホテル』

イリス「わっ! トコナツシーサイドホテル!?」

エバンス「シーサイドホテルか。洒落てるな」

妖精「あんまり高くないと良いけど……今は早く今日の宿を確保したいしなあ」

ミスティ「もし凄く高かったら、今夜だけ泊まって明日もっと安いところを探しましょう」

暗黒行商少女「なんだったら私が値引き交渉してあげても良いけど?」

妖精「え、詐欺はちょっと……」

暗黒行商少女「値引き交渉は詐欺じゃないわよ!」

 *

 スタスタ…

ミスティ「……おかしいわね。それらしい建物が見当たらないわ……」

イリス「廃業しちゃったとか……?」

ローガン「先ほどの看板は、古くはあれど管理は行き届いていたように見えたが……」


クロシュ「……!」ピコン

妖精「ん? どうしたのクロシュ」

クロシュ「あれ……」

 茅葺建築の家屋「」
 古めかしい看板『トコナツシーサイドホテル』

イリス「えっ……あ、あの三角形の、全面茅葺きっぽいおうちが、まさか……」

ミスティ「トコナツ……シーサイドホテル……!!?」

 *

―トコナツシーサイドホテル 玄関

若女将「わあ、7名様ですか!? えっと、お部屋は……」

妖精「私は見ての通り小さいし、こいつは荷物扱いだから5人分でいいよ」

若女将「え、えっ……!? に、にもつ……?」

暗黒行商少女「誰が荷物よ誰が!! アンタの方がよっぽど詐欺ろうとしてんじゃない!」

ミスティ「妖精……節約は大事だけれど、ケチすぎるのはみっともないわ……」

妖精「冗談だよ……。でも詐欺師の分まで払うのはお人好しが過ぎるってもんだよ。助けてやるのは良いとしても、これ以上面倒みてやる義理はないでしょ」

イリス「それはまあ、確かに……」

暗黒行商少女「ちゃ、ちゃんと返すから! 今は手持ちがないけれど、すぐに稼いで諸々の借りは全部返すから……!」

エバンス「でも詐欺師だしなあ。今は命の危険もねえし……」

ローガン「本当に返すつもりだとしても、詐欺で稼いだ汚い金だろう? そんなものは受け取れんぞ」

暗黒行商少女「う、うぎぎ……!」


若女将「なんだか複雑な事情がおありになるんですねえ」

クロシュ「うん……」


↓1〜3多数決 クロシュはどうする?
1.宿代を出してあげる
2.叩き出す
3.自由安価

クロシュ「えと……。わたしの……お小遣いから……出しても、いい……?」

暗黒行商少女「!!!」パァァァ

妖精「クロシュ、こいつ詐欺師だよ? クロシュのお小遣いを盗んでいなくなっちゃうかも」

暗黒行商少女「失礼ね! 恩人相手にそんなことしないわよ!」

ミスティ「口先だけならなんとでも言えるわね……」

イリス「私も半分出すよ。流石に、ここまで来て外に叩き出すのもちょっと寝覚めが悪いしね……」

暗黒行商少女「アンタまで……!!」パァァァ

エバンス「クロシュちゃんとイリスちゃんの優しさは尊いもんだと思うが……」


若女将「あの〜。それでしたら、私の方で誓約書などをご用意いたしましょうか?」

ローガン「ぬ? いや、しかし無関係の方にそんなことをしてもらうわけには……」

若女将「うふふ、でもしっかり誓約していただければお客様が増えるわけですから」

妖精「ほんわかしてるように見えてやり手だなあ」

若女将「恐縮です〜」

 *

 誓約書『暗黒行商少女のサイン』ポン

暗黒行商少女「これでいい?」

若女将「はい〜。真面目に働いてちゃんと返すんですよ?」

イリス「一件落着だね」

クロシュ「うん」

 ☆暗黒行商少女の誓約書を手に入れました

 *

暗黒行商少女「……その、ありがとね。詐欺師なのに、信じてくれて」

クロシュ「うん……」

イリス「ちゃんと返してもらうからね! 騙したこと、まだ許したわけじゃないもん」

暗黒行商少女「わ、わかってるわよ……。でも私が言うのもなんだけど、お人好しも大概にしなさいよ。特にそこのスライム」

クロシュ「?」

暗黒行商少女「私だけでなく、あの指名手配の女の命まで助けようとしたでしょ。そんな調子で誰にでも救いの手を差し伸べたらいつか痛い目見るわよ。いえ、痛い目で済めば良いくらい」

クロシュ「……うん……」

妖精「本当に危ない時は私や他の奴が止めるから大丈夫。あのレイって子も根っからの悪党ってわけじゃなさそうだったしね」

暗黒行商少女「……まあ、それならいいけど」

イリス「ふふ、あなたも意外と優しいところがあるんだね?」

暗黒行商少女「フッ、意外は余計よ」ファサッ

クロシュ「……えと……ありがと……」

暗黒行商少女「……///」

 ◆

―トコナツ火山島 滞在初日

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□トコナツ火山島
沿岸部:シーサイドホテル、トコナツビーチ、海の家、海市、港、灯台、他
市街地:武具屋、雑貨屋、お土産屋、宝石屋、食材屋、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
山間部:旧トコナツ村、果樹園、神殿、温泉、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

―夜
 トコナツシーサイドホテル 客室

 ハンモック「」ユラユラ

ミスティ「この編まれたロープ、何……?」

イリス「も、もしかして……ハンモックってやつ!?」キラキラ

妖精「うん。緑の国にもツタで作ったやつがあったりするんだけど、あなたたちが見る機会はなかったもんね」


スライムクロシュ「」ピョン

 ハンモック「」ズブズブ…

 ベシャッ

スライムクロシュ「」デロロ…


妖精「……スライムの姿で寝るには適さないかも」


トコナツ火山島滞在初日の夜です
↓1〜3 自由安価 何をする?(疲れているため、宿から遠くへは行けません)

島のトップの人が来たのでご挨拶

みんなと食事する

商人の身の上話聴取

今回は>>445>>446>>448にさせていただきます。疲れている場合は別の地区までは行けません

また、範囲や時間が限られている安価の事後修正はなるべくなしでお願いいたします。それを有りにしてしまうと、急いで投げたあとゆっくり修正する、みたいなこともできてしまうので……

―トコナツ火山島 市街
 市長の家

 ガラッ

猫人の男「モーリィ、知らせが」

竜人の少女「……不法入国者の件か」

猫人の男「ああ。もう知っていたんだね」

竜人の少女「さあ。素性はとんと知らん。スライムが化けた大亀で海を渡って来た輩など初めてだからな」

猫人の男「……どうする? 今は民間の宿に泊まっているようだけれど」

竜人の少女「こんな状況でこの島に不法入国する輩だ。警戒した方が良いだろう。場合によっては速やかに始末すべき異分子かもしれん」

猫人の男「僕としてはなるべく穏やかにいきたいところだけれど……状況が状況だからね」

竜人の少女「そういうわけで私が直接出向こう」

猫人の男「……せっかく休んでいたところをすまないね」

竜人の少女「気にするな。元々出向くつもりだった」

猫人の男「なら僕も――」

竜人の少女「お前こそ休め。ここのところ火山の調査で働き詰めだろう」

猫人の男「それはモーリィもだろう」

竜人の少女「竜は強靭だからな。だが猫は一日中働けるようにはできていない」

猫人の男「……わかったよ。それじゃあくれぐれも気を付けて。大亀に化けるスライムなんて得体が知れない。君が遅れを取ることはないと思うけれど」

竜人の少女「承知している」バサッ

 ◆

―夜
 トコナツシーサイドホテル 客室

 バサッ バサッ
 スタッ


イリス「……ん? 外で羽音のような――」

 扉「」ガラッ

竜人の少女「邪魔するぞ」スタスタ

スライムクロシュ「?」モニョ?

妖精「げっ」

竜人の少女「ん……?」


↓1コンマ
01-05 ??
06-35 怪しい奴らだな
36-65 復権派だと?
66-95 緑の国の太母……!?
96-00 ??

竜人の少女「お前……建国妖精!? 緑の国の!」

妖精「……そういうあなたは、トコナツに住まう火竜の子。確か名前は――」

竜人の少女「――モーリィ・フースーヤだ。偉大なる火竜の血を受けた、ここトコナツ火山島の島長でもある。久しぶりだな」

妖精「そ、そうだね……」

イリス「し、知り合いなの? 妖精さん」

妖精「まあ、うん」

竜人の少女→モーリィ「まさか不法入国者がお前だったとはな……。なぜあのような不審な方法で入国した?」

妖精「むしろそんなに厳格な国じゃなかったでしょ、ここ。ウミガメだろうが海竜だろうが来る者拒まず去る者追わずのおおらかなとこだったはずだよ」

モーリィ「いつの話だそれは……。そんな杜撰な管理をしていてはあっという間に王国の食い物だろうが」

妖精「な、なるほど……」

モーリィ「まあ、不法入国の件は良い。何をしに来た?」

 *

妖精「――というわけで、世界樹の光を追ってるんだよ」

モーリィ「ほう……つまりここ最近の火山活動の異常は、お前たちフォレスティナ民の不手際によるものだったと……」

妖精「うっ……ま、まあそういうことでもあるかな……」

クロシュ「んゅ……」

イリス「ま、待ってください! 妖精さんたちはちゃんと守ろうとしたんです……!」

モーリィ「結果が全てだ。お前たちは果実を守れず、その結果この国は火山活動で大きな被害を受けている」

ミスティ「……仕方ないでしょう。勇者に近い実力を持った者たちに狙われたのよ。あれに対抗できる国なんて世界のどこにもないわ……」

モーリィ「それでも対抗しなければならないのが、世界樹を擁するフォレスティナの責務だったのではないか?」

暗黒行商少女「いきなり隕石が落ちてきたとしても、それは誰の責任でもないでしょ。自然災害だと思って諦めなさいよ」

モーリィ「なんだと……?」

妖精「あー悪かった悪かった! 私が悪かったから、私以外の子に敵意を向けるのはやめてよ!」

モーリィ「……敵意など向けてはいないし、お前一人が悪かったなどとも思っていない。世界樹の守護をフォレスティナ一国に押し付けていた我々の落ち度でもある」

妖精「そう言ってくれるとありがたい。でも、世界樹の恩恵を一番に受けていながら守り切れなかったのも事実だからさ。事態の収束のために、この国で活動することの許可をもらいたい」

モーリィ「こちらとしても望むところだ。我々だけの力では行き詰まっていた」

妖精「なら決まりだね。よろしく頼むよ、モーリィ」

 ☆トコナツ島の島長、モーリィの協力を得ました

 *

―夜
 トコナツシーサイドホテル 庭

 溶岩釜「」グツグツ

エバンス「こ、これは……!?」

若女将「これは溶岩釜です。トコナツ火山の地熱を利用して設えた、年中無休で火を使えるとっても便利な釜なんですよ」

エバンス「溶岩の熱を……!? 是非これで作ったものを食べてみたいぞ……!」

若女将「はい〜。うちのホテルは食堂がありませんから、ご飯を食べるときはこのお庭で、このお釜で作ったものを食べるのが基本となりますよ〜」

ローガン「ほう……! 溶岩の熱でバーベキューが基本とは、粋な食生活だ……!」

若女将「うふふ、それじゃあ早速お夕飯の支度をしましょうか〜」



モーリィ「若女将、邪魔しているぞ」スタスタ

若女将「あれ、モーリィさん? いらしてたんですか?」

モーリィ「ああ、ついさっきな。私の分も頼む」

 溶岩釜「」グツグツ

クロシュ「あつい……」デロロ…

ミスティ「な、なにこれ!? 近づくだけで熱が凄いわ……!」

イリス「大地の鼓動を感じる……!」

妖精「とんでもない調理器具だよねこれ……」

暗黒行商少女「……流石に、地熱を利用した調理器具はここ以外じゃ売り物にならないわね」


ローガン「あの風格ある角と翼を持つ少女は?」

妖精「ここの島長のモーリィ。協力を取り付けたから、ひとまず一緒にごはん食べて親交を深めよう」



↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉
野菜:食べられる野草、海藻類、マンドラ大根、ゴボウの根っこ、トコナツマメ
穀物:ヤマイモ、パラパラ米、甘もろこし、ナッツ
魚介:カニ、ウミザリガニ、フヨフヨクラゲ、ウミタニシ、ウマアジ、マグロ、溶岩魚
果実:トコナツバナナ、トコナツドリアン、トコナツココナッツ、ウォータースイカ、ファイアメロン
卵乳:トリの卵、ミルク、チーズ、バター
特殊:スライムゼラチン、きび砂糖、激辛香辛料

食材2つがかぶってしまうのは流石に驚きなので、今回は一つ下にずらさせていただきたいと思います。

 トントン グツグツ デロデロ―

 マグマフィッシュカレー「」ポン!

イリス「なあにこれ!? 初めて見る料理……!!」

若女将「これはカレーライスです〜。うふふ、この島の郷土料理の一つなんですよ」

モーリィ「やはり仕事終わりの夕食はカレーだな。刺激的なスパイスの香りが食欲をそそる」

ミスティ「な、なんだか香りだけで汗が出てくるわ……。これ、食べても大丈夫なの……?」

若女将「大丈夫ですよ〜。うふふ、お姉さんも食べたら病みつきになっちゃうかも……?」

エバンス「ウォーターポートにもカレー屋はあったが、本場で食うのは初めてだな……! この具材は……魚か?」

若女将「はい〜。これは溶岩魚と言って、溶岩の中に生息しているとっても熱いお魚さんです。アツアツのカレーにとってもよく合うんです」

妖精「よくもまああんな難儀な魚を捕まえて食べようなんて思うよねえ……。捕まえるのも一苦労だし、鱗をはぐのも一苦労じゃん……」

若女将「うふふ、美味しいんですもの」

ローガン「この細長く水気のない米は……パラパラ米か!」

若女将「そうです〜。大陸ではウルティ米が流行っているみたいですけれど、この島ではやっぱりこっちですね〜」

クロシュ「……」モジモジ

若女将「うふふ、元の姿で食べても大丈夫ですよ?」

クロシュ「!」

 デロデロ…

 *

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

ミスティ「か、からい……! からすぎるわ……!」ヒーヒー

イリス「の、喉が焼けちゃう……! でも美味しい……!!」モグモグ

エバンス「うおおおおお!! これが本場のカレー!!」バクバク

ローガン「う、うまいが……汗が止まらん……」ダラダラ

妖精「は、はひぃ……もうむり……しんじゃう……」ヒーヒー

暗黒行商少女「か、から……!! でもこれを大陸で売り出せば……」ダラダラ

モーリィ「美味いだろう! しっかり食って体力と熱耐性を付けていけよ、小童ども!」バクバク

スライムクロシュ「〜〜♪♪」モニョモニョ モグモグ

 ☆マグマフィッシュカレーを食べました
 ☆一定期間、パーティ全員の熱耐性が上昇します

 ◆

―夜
 トコナツシーサイドホテル 客室

 ハンモック「」ユラユラ

スライムクロシュ「……」zzz


ミスティ「はあ……辛すぎて死ぬかと思ったわ……」

妖精「ほんとだよ、全く……。あんなものを日常的に食べてるなんて、トコナツ人は味覚が狂ってるんじゃないの」

イリス「でも辛さの中に旨味がたっぷり詰まってたよ……! 私も作ってみたいなあ、カレー……!」

妖精「ええ、勘弁してよぉ……」

暗黒行商少女「……あの辛さ、王国で売り出せばかなりの価値が生まれる可能性があるわ。くくく、これは凄いものを見つけてしまったかも……」

イリス「……詐欺はだめだよ?」

暗黒行商少女「し、しないってば。でもあのカレーなら、汚い真似をしなくてもちゃんと利益を出せるくらい売れる可能性があるってことよ」

ミスティ「……詐欺師ではあるけれど、ちゃんと商人でもあるのね」

暗黒行商少女「当たり前でしょ。私は元々商人よ。詐欺は後付けの技術」

イリス「……ねえ、あなたはどうして商人をやっているの? 年代的には私たちと同じくらいだけど……」

暗黒行商少女「生きる為に必要だからやってるだけよ。アンタたちが冒険者やってるのと同じ。私は冒険者ギルドの仕事をこなすより、モノを仕入れたり売ったりする方が得意だったってだけじゃない?」

イリス「そう、なんだ……」

暗黒行商少女「……あ! どうせなら病気の妹がいるみたいな設定にしとけば良かったわ……! これじゃ自分が生きるためだけに悪事を働く小悪党みたいじゃない……!」

妖精「いや小悪党そのものでしょ……」

ミスティ「生きる糧を得るためだけなら詐欺までする必要はないんじゃないかしら……」

暗黒行商少女「甘いわね。このご時世いつ何があるかわかんないじゃない。大災害に襲われても戦火に見舞われても万全に生き続けるには、蓄えがいくらあっても足りないわ」

妖精「でも過剰な蓄えも阿漕な商売も余計な敵を増やすよ。その結果、さんざん私たちに疑われて助けるのを渋られたでしょ?」

暗黒行商少女「うっ、それはたまたまアンタたちが私の正体を知っていたからでェ……」

妖精「あんまり恨みを買うようなやり方はやめときなよ。裏社会で下手を打てば死ぬよりも悲惨な目に遭うよ?」

暗黒行商少女「ふん、真面目に生きてたって遭う時は遭うわ。死ぬより悲惨な目に」

妖精「……それはまあ、そうだね……」

暗黒行商少女「……あれ? 意外とすんなり聞いてくれるじゃん」

ミスティ「……私たちは知っているのよ。何の罪もないのに、死ぬより悲惨な目に遭う事例を……」

暗黒行商少女「……そう。ならわかるでしょ。私みたいなガキが生き続けるには、他人を食い物にしてでも、金っていう力を求め続けなきゃなんないのよ。弱みを見せたら最後、今度は私が食い物にされるんだから」

イリス「……でも……食い物にされた人たちだって、痛みや苦しみを感じる生きた人なんだよ。もしかしたら、あなたに騙されたせいで立ち行かなくなって、死んじゃう人だっているかもしれない……」

暗黒行商少女「それはまあ……そうかもしれないけど……。そんなこといちいち気にする余裕なんてないし……」

ミスティ「……簡単な話ではないわよね。実際かなりの余裕がなきゃ、他人に気を回す余裕なんてないわ」

イリス「むむむ……。私……やっぱり、恵まれてるのかも……」

暗黒行商少女「ほら、そこの黒いスライムの……クロシュだって言ってたでしょ。生きるために殺すのは仕方ないって」

スライムクロシュ「?」モニョ?

イリス「あ、クロシュちゃんを出すのはずるいよ!」

暗黒行商少女「ずるでもなんでもないわ! この子は一番幼いけど、一番本質ってやつがわかってんのよ! ね、クロシュ!」

スライムクロシュ「??」モニョニョ??

妖精「クロシュは長旅で疲れてるんだから寝かせといてあげてよ〜」

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回はトコナツ火山島滞在二日目からとなります

初日の夜ですが、島長(しまおさ)のモーリィさんの協力を早速取り付けたり、マグマフィッシュカレーという郷土料理を食べて交流したり熱耐性を付けたり、暗黒行商少女の身の上話を聞いてあげたりなど、実りある初日となったように思えます。この調子で世界樹の光を追っていきましょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

妖精は緑の国を興して1000年くらいの間統治していたので、知っている人は知っているようです。ただ、妖精自身には大した力もカリスマもないため、見た感じは全く大物っぽくありません

クロシュ氏は大体なんでも美味しく食べてしまうため、少なくとも嫌いなものはあまりないようです。ただ、これはスライム類全般の特徴とも言えます。スライム類は食物の消化吸収処理能力に優れており、普通の生き物は食べられない毒物なども問題なく食べられたりするようです

―トコナツ火山島 滞在2日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□トコナツ火山島
沿岸部:シーサイドホテル、トコナツビーチ、海の家、海市、港、灯台、他
市街地:武具屋、雑貨屋、お土産屋、服飾屋、宝石屋、食材屋、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
山間部:旧トコナツ村、果樹園、神殿、温泉、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

―早朝
 トコナツシーサイドホテル 庭

 チュンチュン

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」



妖精「気持ちの良い朝だねえ。ここからは朝焼けの海も一望できるし……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「うん、フメイとアリシラの行方も探そう。セインが来てるなら、多分あいつらも来てるだろうし」

スライムクロシュ「〜」モニョ

妖精「とにもかくにもいろいろ調べなきゃね。がんばろ、クロシュ」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ


トコナツ火山島滞在2日めです
↓1〜3 自由安価 何をする?

―島長の家

モーリィ「よくぞ参った。では早速今後の――」

エバンス「……」

ローガン「……」

イリス「……」

ミスティ「……」

猫人の男「……?」

モーリィ「……妖精は? スライムの姿も見えないが」

イリス「えっと、朝早くに二人で聞き込みに行ったみたいで……」

モーリィ「……我々の今までの調査結果も聞かずにか?」

ローガン「すまぬ、光の調査だけでなく人捜しもしているのだ。許していただきたい」

モーリィ「はあ……まあいい。そそっかしい妖精よりもお前たちの方が信頼できるだろう」

ミスティ「そ、それはどうなのかしら……」

 *

モーリィ「――というわけで、今トコナツ火山は非常に危険な状態だ。火山活動が活発になっただけでなく、火属性に由来する魔物の大量発生も確認されている」

イリス「火属性の魔物……!?」

モーリィ「ああ。お前たちは慣れていないだろうから、多少訓練していく必要があるかもしれんな」

エバンス「訓練か……望むところだぜ!」

モーリィ「ほう、血の気の多い奴がいるな。ではまずはお前から見てやろう。外へ出よ」

エバンス「おう!」


 ――模擬戦闘開始――


↓1
01-05 だめだめ
06-65 敗北
66-95 善戦
96-00 勝利

―島長の家 庭

 ゴオオッ ヒュンッ シュビッ ガガガガッ

モーリィ「」シャッ

エバンス「うおっ!」ガギンッ

モーリィ「どうした、防戦一方だぞ」シュビビッ ブンッ

エバンス「くっ……ならこれはどうだ!」グオオッ

 突然の隆起「」ドンッ!

モーリィ「見え見えだ」サッ

エバンス「本命はこっちだ!」ブンッ

 投擲された鉄の剣「」ビュンッ

モーリィ「!? チッ……!」

 バシッ

 白刃取りされた鉄の剣「」ビタッ…

エバンス「なん、だと……」

モーリィ「今のは悪くなかったぞ。だが通じなければ武器を失う……リスクが大きすぎる戦技だな」

エバンス「……俺の負けだ」


イリス「え、エバンスさん! 模擬戦なのに本気で剣を投げるなんてやりすぎです!」

エバンス「え、いやまあ……この人なら大丈夫だと思ったんだよ。実際大丈夫だったろ」

モーリィ「ああ、気にするな。例え貫かれていたとしても、竜はこの程度では死なん」

ミスティ「そ、そういう問題なのかしら……」

 ☆モーリィとの模擬戦に善戦しました
 ☆モーリィからの評価が上がりました

 ◆

―トコナツ火山島 港

 ワイワイ ガヤガヤ

妖精「モーリィとの話はあの子たちに任せて、私たちは聞き込みをしよう」

クロシュ「ん」



海妖精の屋台「トコナツココナッツの殻だよ〜カチカチだよ〜」

サハギンの屋台「ウマアジの塩焼きだぜ!」

タコおじさんの屋台「タコが焼くタコ焼きはいらんかね〜?」



妖精「食べ物の屋台もけっこう出てるんだね。確か近くに市もあったし、商売が盛んなのかも」

クロシュ「……」

妖精「ある程度聞き込みしたらご飯食べよっか」

クロシュ「……! う、うん……」


↓1コンマ
01-60 光のこと
61-90 ↑+二人組のこと
91-00 うしろうしろ

黒っぽいスライム「」モニョモニョ


クロシュ「!」

妖精「あれは……ストーンスライムかな? 黒っぽい色のは珍しいけど」

クロシュ「聞き込み、してみる……!」

 *

スライムクロシュ「〜〜?」モニョモニョ

黒っぽいスライム「?」モニョ?

妖精「うん。何日か前の夜に向こうの方の空から光が飛んできたと思うんだけど、見なかった?」

黒っぽいスライム「わっ! 妖精さん、ボクたちの言葉がわかるの?」

妖精「ちょっとだけね。自分では喋れないよ」

黒っぽいスライム「じゃあボクもこっちで話した方がいいかな?」

 デロデロ…ポン!

クロシュ「うん……じゃあこっちで、話そ……?」

黒っぽいスライム「わあ。クロシュちゃん、その姿もかわいいね」

クロシュ「えへへ……これ、フメイちゃん……わたしの、友達……」

黒っぽいスライム「捜してる人だよね。ごめん、ボクは見てないや……」

妖精「そういえばあなたは? 見た感じはストーンスライムっぽいけれど」

黒っぽいスライム「ボクはレッド。バーニングスライムだよ」

妖精「えっバーニングスライム!? 全然燃えてないというか……そもそもバーニングスライムはずっと前に絶滅したはずじゃ――」

黒っぽいスライム→レッド「うん……。たぶん、ボクが最期の生き残り……」

クロシュ「……」

妖精「そんな……」

レッド「でも寂しくないよ。こうやって体を冷ましてれば、異種族のみんなとも普通に触れ合えるもの」

妖精「そ、そういうことだったの……。でもバーニングスライムが体を冷やすなんて自殺行為なんじゃないの……?」

レッド「大丈夫。冷やしてるのは表面だけだから、ちょっと冷たいけど全然平気だよ」

妖精「そ、そう……。あなたが良いなら、それで良いけれど……」


レッド「えっとそれで、何日か前に夜空を飛んだ光のことだったよね。それなら……たぶん、見たと思う」

妖精「えっ!? それじゃあ、それがどこに飛んでいったかわかる!?」

レッド「うん。あの光、火山の方に飛んでいったよ。火山活動が活発になったのもあれからだから、みんなはあれが火神の逆鱗に触れたんじゃないかって怖がってる……」

妖精「火山か……なるほどね、ありがとう」

レッド「うん。妖精さんとクロシュちゃんは、あの光を追っているの?」

クロシュ「うん……」

妖精「うん。まあいろいろあって」

レッド「えっ、じゃあこれから火山に行くの? 危ないよ、今の火山は……」

妖精「大丈夫大丈夫。例えどれほど荒れ狂っていようと、自然の力は私の味方だもの」

レッド「でも、クロシュちゃんは……」

クロシュ「……」

妖精「ま、まあ……私が一緒に付いていれば大丈夫でしょ」

レッド「万が一ってこともあるし……。もしクロシュちゃんに氷魔法の適性があるなら、ボクが教えてあげられるよ」

クロシュ「……えと……わたし、反映魔法の適性しか……ない……」

レッド「反映魔法……?」

 *

レッド「へえ、凄い魔法だね! その力なら、氷魔法を覚えなくてもマグマへの耐性を付けられるかも……!」

妖精「そ、そうなの?」

レッド「うん! その反映魔法を使えば普通のスライムよりも高度な同化ができるみたいだから、ボクの……バーニングスライムの欠片を同化素材にすれば、マグマも平気になるはずだよ。あ、その……もちろん、クロシュちゃんが嫌じゃなければ……だけど……」

クロシュ「いいの……?」

レッド「うん。ちょっとくらい全然いいよ」

クロシュ「わあ……」

レッド「ここじゃちょっと危ないから、海の方で練習しようよ」

クロシュ「うん」

 *

―トコナツビーチ

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


レッド「ここなら多分大丈夫かな。それじゃあ――」

 ゴウッ

レッド「」メラメラ

妖精「うう、熱い……! これは、確かに……異種族には厳しい熱だ……!」

クロシュ「……」

レッド「えへへ、けっこうすごいでしょ? いつもこれだけの熱を冷ましてるんだよ」

妖精「な、難儀なもんだねえ……。クロシュ、平気……?」

クロシュ「うん。大丈夫……」

レッド「良かった。それじゃあ今のボクの体を、少し分けるから……火傷しないように、ゆっくり同化してみて」メラメラ

クロシュ「うん……」

レッド「でも熱かったらすぐにやめるんだよ。下手したら大火傷だからね」

クロシュ「う、うん……」


↓1コンマ
01-60 あちち!(経験1/3)
61-90 むむむ…(経験2/3)
91-00 心頭滅却(経験☆)

 バーニングスライムの欠片「」メラメラ

スライムクロシュ「……」モニョニョ…


 デロデロ…モニョモニョ…


スライムクロシュ「〜〜!!」モニャニャッ!


レッド「わわ、ご、ごめん! やっぱり熱かったよね……ごめんね……」シュン

スライムクロシュ「」デロデロ…

妖精「なかなか簡単にはいかなそうだね……」


 ☆クロシュの炎熱経験が[1/3]になりました

 ◆

―夜
 トコナツシーサイドホテル

妖精「へー、あのモーリィ相手に善戦したんだ! すごいじゃんエバンス!」

エバンス「や、でも実力差は歴然だ。模擬戦だから良いが、実践だったら手も足も出なかったと思うぜ……」

ローガン「我々人間とは生物としての強さが根底から違うのだ。あまり気負いすぎるな」

エバンス「いやまあ、それはわかってるが……。しかし、人間にも強い奴はいるだろ? 例えばウチの傭兵団の団長なら、勝てるかどうかは別として、モーリィ相手でもかなり戦えるはずだ。それに、セインの奴なら――」

妖精「……人間って基本的には他の種族よりも弱いけど、時々すんごい規格外が出てくるんだよね。それが人間の強さというか、怖さというか……」

暗黒行商少女「アンタたちも人間の中じゃ上澄みの部類よ? 上には上がいるってだけでしょ」

妖精「あなたいたの……。昼間は見かけなかったけど何してたの?」

暗黒行商少女「それは……」

↓1
01-10 詐欺紛いだけど適法な商売
11-30 売春スレスレの危険な商売
31-00 シーサイドホテルで雑用係

暗黒行商少女「このホテルで雑用係として真面目に働いていたわ……」

妖精「えっ! ほ、本当に真面目に働いてたんだ……」

暗黒行商少女「真面目に働けって言ったのはアンタたちでしょうが! はあ……あんなチマチマした作業は性に合わないわ……」ゲッソリ

ローガン「フッ……だがある意味では個人事業主よりも気楽だろう? 被雇用者の立場で働くというのも」

暗黒行商少女「まあ、いろいろ考える必要がないのは確かに気楽ね。稼ぎは少ないけれど……」

エバンス「おっ、それならウチの傭兵団の備品管理とか会計事務でもやるか? 商人経験有りなら歓迎されると思うぜ」

暗黒行商少女「横領してもいいならね」

 ☆暗黒行商少女が真面目に働き始めました

 ◆

―トコナツ火山島 滞在3日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]
・熱耐性を身に付ける[1/3]
・溶岩対策を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□トコナツ火山島
沿岸部:シーサイドホテル、トコナツビーチ、海の家、海市、港、灯台、他
市街地:武具屋、雑貨屋、お土産屋、服飾屋、宝石屋、食材屋、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
山間部:旧トコナツ村、果樹園、神殿、温泉、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

―朝
 シーサイドホテル 庭

 チュンチュン

ローガン「というわけで、光を探しに行くとしても、我々はまず熱への耐性を付けなければならん」

エバンス「この前食った溶岩魚のカレーで熱耐性が付いたんじゃなかったのか?」

若女将「溶岩魚を食べて付く熱耐性は、気休め程度の僅かなものなんです。溶岩地帯に向かうなら、本格的な準備が必要になりますよ〜」

妖精「私の自然魔法が届く範囲なら守ってあげられるけど、万が一私がヘマをしてみんな焼け死ぬなんて事態は避けたいからね」

ミスティ「私の氷魔法でもある程度は熱に対抗できると思うけれど……常に全力で冷やし続けるのは魔力量的に無理があるわ……」

イリス「むむ……水魔法も多少の気休めくらいにはなるかな……? でもミスティと同じく魔力量に限界があるからなあ……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「ひとまず目先の目標は定まったね」


 ☆目標:熱耐性を身に付ける(クロシュ)[1/3]
 ☆目標:溶岩対策を探す


トコナツ火山島滞在3日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

武具屋で耐熱装備を探す

防具店で溶岩対策装備探し

皆さんありがとうございます
>>491さんと>>492さんがほとんど同じ内容のため、↓1に追加で募集します

―トコナツ火山島 武具店

 ガララッ

イリス「こんにちは〜」スタスタ

エバンス「邪魔するぜ」スタスタ

スキュラの店員「あらぁ、いらっしゃぁい……何をお探しかしらぁ……?」

イリス「え、ええとですね……」

スキュラの店員「ウフフ……アナタのようなかわいい女の子にピッタリの水着があるんだけれど、試着していかない……?」ニコニコ

イリス「み、水着……!?」

エバンス「見たいか見たくないかで言えば、見たいと言わざるを得ない」

スキュラの店員「オスはすっ込んでなさい……」

エバンス「お、おう……すまん」

イリス「……き、興味はありますけど、今日は水着を探しに来たんじゃないんです!」

スキュラの店員「あら、残念……。それじゃあ何をお探しかしらぁ……?」

イリス「えっと、炎や熱……溶岩地帯を探索するのに必要な装備ってありますか?」

スキュラの店員「なるほどねぇ……」


↓1コンマ
01-70 ゴテゴテ耐熱鎧
71-90 サラマンダーの革衣
91-00 マジカルハイレグ水着

 ゴテゴテ耐熱鎧「」

イリス「わあ、すっごい無骨……!」

スキュラの店員「う〜ん……やっぱりダサくて格好悪いわよねぇ……」

エバンス「そうか? これはこれで格好良いだろ」

スキュラの店員「アナタのようなむさ苦しいオスが着るならピッタリだわぁ……。でもカワイイ女の子にはちっとも似合わないでしょぅ……」

エバンス「でも、こういったゴテゴテの全身鎧を脱いだら中身は可憐な美少女だった……ってのも良くねーか?」

スキュラの店員「……一理あるわねぇ……。でも、オスのアナタがそれを言うのはやっぱりキモいわぁ……」

エバンス「そ、それは差別だろ!」

イリス「あ、あはは……。とりあえず、これがあれば溶岩も平気ってことですか?」

スキュラの店員「足元程度の溶岩なら多少は大丈夫よぉ……。でも例えこれを身に着けても、深いところには絶対入っちゃダメ……。鎧の中で蒸し焼きになって死ぬわぁ……」

イリス「むむ、蒸し焼きっ……」

エバンス「うげげっ……」

スキュラの店員「基本的には、例えこれを着ても溶岩には入らないことよぉ……。もし入るとしても、絶対に足元以上は入らないこと……。わかったぁ……?」

イリス「わっ、わかりましたっ……!」

エバンス「蒸し焼きは勘弁だぜ……!」


スキュラの店員「ああ、それとぉ……多分、この島以外でこれを着る機会はないだろうからぁ……レンタルの方が良いと思うわぁ……」

エバンス「なるほどな。確かに、今回の滞在中しか使うことはないだろうし、レンタルで済ませられるならレンタルの方が良さそうだな」

イリス「出費もなるべく抑えたいですもんね」

スキュラの店員「ウフフ、それじゃあレンタルのお代だけれどぉ……」


 ☆ゴテゴテ耐熱鎧を人数分レンタルしました
 ☆溶岩地帯に進む際、自動で装備します

 ◆

―島長の家

ミスティ「……あら? モーリィさんは?」

猫人の男「モーリィは今日は商会の方に顔を出しているよ。彼女は島長だから、ずっと火山の調査にかかりきりというわけにもいかないんだ」

ローガン「そうか……。それならば仕方がないな」

猫人の男「一応火山の調査主任は僕ということになっているから、何かあれば僕が聞こう」

ミスティ「それじゃあ……私は氷魔法が使えるのだけれど、火山の魔物には通用するかしら……?」

猫人の男「氷魔法か。出力によっては焼け石に水ということになりかねないけれど、もし通じるのなら火山調査においては非常に頼もしい属性だ。早速見せてもらっても良いかな?」

ミスティ「ええ。昨日のように、模擬戦形式で良いのかしら……?」

猫人の男「そうだね。それじゃあ庭に出ようか」


 ――模擬戦闘開始――


↓1
01-05 だめだめ
06-35 敗北
36-65 善戦
66-00 勝利

―島長の家 庭

ミスティ「氷よッ!」コォォ―

 氷の刃「」ヒュンヒュン

猫人の男「」シャッ

 レイピア「」ビビビッ
 氷の刃「」パリンパリン

ミスティ「速いわね……なら全方位から!」ゴゴゴ

 猫人の男を取り囲む氷柱の群れ「」ゴゴゴゴ

猫人の男「! これほどに大量生成できるとは――!」

ミスティ「逃げ場はないわよ!」グッ

 猫人の男に殺到する氷柱の群れ「」ビュンビュンビュンッ

猫人の男「なら僕も使わせてもらおう、魔法を――」コォォ―

 猫人の男を中心に渦巻く砂嵐「」ザアアアア―
 砂嵐に突っ込んで砕ける氷柱「」パキンパキンッ…

ミスティ「す、砂嵐の魔法……!?」


ローガン「砂属性……! 地属性の亜種か……!」


猫人の男「さあ、今度はこちらの番だ。受けられるかい?」

 砂嵐から飛び出す砂の刃「」シャシャッ

ミスティ「くっ……!」サッサッ

猫人の男「避けるばかりではジリ貧だよ。どこかで反撃しないと」

ミスティ「う、うるさいわね……!」


ミスティ(とは言ってもジリ貧なのは確か……。どこかで反撃に転じなければ実際押し負けるわ……)

ミスティ(こういう時イリスなら多彩な手札で対応できるし、クロシュなら持ち前の打たれ強さと擬態や同化みたいな反則技で無理矢理突破できる……)

ミスティ(ローガンさんはああ見えて魔法の腕前もかなりのものだから、魔法で対応しつつ近接戦に持ち込める……。エバンスも魔法で身を守りつつ攻めていけるだけの身軽さがある……)

ミスティ(……くっ……やっぱり、私……このままじゃお荷物じゃない……!! このザマで、パーティを離れて一人で復讐に行くなんて本気で考えていたの!?)

ミスティ(くそっ……くそっ……!! こんなんじゃ、あのブラッドの奴どころか、あいつの分体一匹にすら敵わない……!!!)


猫人の男「ふむ……出力は悪くないけれど、戦闘経験が不足しているな。でもこれだけ戦えるなら、火山でも十分――」

ミスティ「くっ……うぁああああああ!!!」ダダッ

猫人の男「ええ!? 氷の障壁を纏って、突っ込んで――」

 砂の刃「」シャシャッ
 氷の障壁「」バギャギャッ
 ミスティの肌「」スパスパッ ブシュッ

ミスティ「そこ!!!!」ダンッ

 ミスティの掌「」コォォォ

猫人の男「くっ……ニャオオン!!!」

 猫の爪「」シャシャシャッ
 氷の障壁「」バギャッ…

ミスティ「はうっ……」

 ドサッ…


猫人の男「は、はあ、はあ……!」ダラダラ


ローガン「ミスティくん!」タタッ

猫人の男「あっ……す、すまない! 大丈夫だろうか!」


ミスティ「」


ローガン「……気を失っているだけのようだ」

猫人の男「と、とにかくすぐに手当しよう……すまない、やりすぎてしまった……!」

ローガン「フッ……むしろ貴殿に本気を出させたことこそが何よりの誉れだろう」

猫人の男「……き、聞かなかったことにしてくれるかい? さっきの声は……」

ローガン「う、うむ……。貴殿がそう望むのであれば……」


 ☆猫人の男との模擬戦に善戦しました
 ☆猫人の男からの評価が上がりました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回はクロシュちゃんの熱耐性特訓からとなります

ここまで書いてから気付いてしまったのですが、猫人のおじさんの備考欄に「どんな方でも敬語で話す」という一文があったのをすっかり見落としてしまっていました……。非常に申し訳ないのですが、今までに書かれたものは敬語で喋っているものとして脳内変換していただけると幸いでございます……

そして火山探索の準備が着々と進みつつあります。火山の内側でクロシュたちを待ち受けているものとはン何か。フメイちゃんとアリシラさんの行方も、暗躍するセインと原理派も、未だその尻尾を見せてはいません。クロシュちゃん、どうか慎重にお進みくださいませ――

それでは本日もありがとうございました。次回も土日となります、よろしくお願いいたします

猫人の男氏についてですが、彼は緑の国編で登場した紫髪のエルフ幼女さんと同じくネームドキャラとサイドキャラの中間のような立場のキャラクターとなりますため、もし名前が判明したとしても表記が変わることは多分ありません。これについては募集安価から外れたキャラクターを本編に登場させる際の>>1なりの流儀のようなものですので、ご理解いただければと思います

暗黒行商少女はろくでもない詐欺師ですが、根っからの極悪人というわけでもないため、更生の余地はあるかもしれません。いちおう恩人であるクロシュたちの言うことはちゃんと聞くようです

バーニングスライムの方々が絶滅した理由については、当人であるレッド氏や妖精が何か知っているかもしれません
シャドースライムについては、クロシュ本人も妖精も特に何も知らないようです

フメイちゃんとアリシラさんに会う場合も、旅は道連れ(稀)のような低確率判定をくぐり抜ける必要があります。ただ、彼女らはクロシュちゃんのことを気にかけているため、今後もずっと会えないということはないと思います

―トコナツビーチ

レッド「昨日はごめんね。体は大丈夫……?」

クロシュ「うん」

妖精「クロシュは怪我の治りが早いみたい。過信は禁物だけどね」

レッド「そうなんだ……! そういえばクロシュちゃんは何ていう種族のスライムなの? 黒いスライムってあんまり見たことないけど」

クロシュ「……? わかんない」

妖精「私も知らないんだよねえ。反映魔法以外には特徴らしい特徴もないし」

レッド「そうなんだ……」

クロシュ「うん」

妖精「まあ本人は特に気にしてないみたいだし、別に良いんじゃないかな。スライム類って括りで見れば仲間はいっぱいいるわけだし」

レッド「そうだね! ボクたちは同じスライムの仲間だもんね!」

クロシュ「うん!」



レッド「それじゃあ早速、昨日の続きをやっていこう!」

クロシュ「う、うん……!」


↓1コンマ
01-60 むむむ…(経験2/3)
61-90 めらめら(経験3/3)
91-00 心頭滅却(経験☆)

 バーニングスライムの欠片「」メラメラ

スライムクロシュ「……」モニョモニョ


 デロデロ…モニョモニョ…


妖精「……今回はいけそう?」

レッド「あんまり、無理はしないで――」


 カッ――


妖精「わっ!」

レッド「えっ……!?」


 シュゥゥゥ――…


炎クロシュ「……」チリチリ…


レッド「わあ……炎みたいに、髪が赤く輝いて……」

妖精「クロシュ……! その姿は……」

炎クロシュ「……フメイちゃん……」チリチリ…


 ☆クロシュが炎属性に変化できるようになりました
 ☆炎化している時はお腹がすごく減ります

 ◇

―夕方
 トコナツビーチ

炎クロシュ「……」チリチリ


イリス「クロシュちゃん、妖精さん、そろそろ夕飯――フメイちゃん!?」バッ

炎クロシュ「あっ、えと……」

妖精「イリス。クロシュだよ、フメイじゃなくて」

イリス「え、ええ!? でもその、混じり気のない綺麗な炎属性は、まるで――」

妖精「やっぱり、イリスもフメイみたいだって思う?」

イリス「う、うん……。えっと、確かバーニングスライムに擬態しようとしてたんだよね……?」

レッド「うん。きっとこれがクロシュちゃんにとって、一番炎属性に適した姿なんだと思う!」

イリス「そ、そういうものなんだ……。凄いなあ、スライムって……」

妖精「クロシュの擬態能力には驚かされることばっかりだよ。私はてっきり、レッドみたいにメラメラデロデロしてるバーニングスライムみたいになるかと思ってたもん」

炎クロシュ「あ、それなら……」

 デロデロ…ポン!

バーニングスライムクロシュ「〜〜」メラメラ モニョモニョ

レッド「わあ……!!」

妖精「あ、バーニングスライムの姿にもなれるんだね……」

 ◆

―トコナツ火山島 滞在4日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]
・熱耐性を身に付ける[3/3☆] 達成!
・溶岩対策を探す 達成!

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□トコナツ火山島
沿岸部:シーサイドホテル、トコナツビーチ、海の家、海市、港、灯台、他
市街地:武具屋、雑貨屋、お土産屋、服飾屋、宝石屋、食材屋、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
山間部:旧トコナツ村、果樹園、神殿、温泉、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

―朝
 シーサイドホテル 庭

 溶岩釜「」ジュウウゥ―

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ モグモグ

暗黒給仕少女「ちょ、ちょっと昨日から食べ過ぎじゃないの? どれだけ私に朝飯を焼かせる気よ……!」セカセカ

妖精「いやまあ、昨日頑張ったせいかお腹が空くみたいで……」

ミスティ「炎属性化……クロシュは凄いわね、次から次に新たな力を身に着けていく……」

ローガン「だがミスティくんも、昨日の気迫は凄まじかったぞ」

ミスティ「気迫で強くなれたら苦労しないわ……」



モーリィ「おはよう。溶岩対策は進んでいるか?」スタスタ

妖精「モーリィ」

エバンス「おう! 耐熱鎧を人数分と、クロシュちゃんは炎属性に変化できるようになったぜ!」

モーリィ「もうそこまで準備できていたのか? 少々お前たちを侮っていたかもしれん」

イリス「はい! 私たちも火山に向けて出発できますよ!」

モーリィ「では早速火山探索へ――と言いたいところだが……実は状況が変わった」

ローガン「状況が?」

モーリィ「ああ。先日、今の火山は危険な状態だと言ったが、危険度の段階が更に増した。例え装備を整えたとしても、お前たちのような火に属さない者たちが出歩けるような環境ではない」

イリス「え、ええ……!?」

モーリィ「……迅速に準備を進めてくれたところで悪いが、手を引いてくれて良い。世界樹の光は私が見つけ出す」

妖精「ちょ、ちょっとちょっと! それは私の責任だって言ったでしょ!」

モーリィ「ああ。だから、後で緑の国には損害賠償をたっぷり請求させてもらう」

妖精「う、うぐ……」

モーリィ「光の扱いに関しては心配無用だ。星属性の塊であれば、私も心得ている。適切に回収した後、緑の国へ送り届けよう」

妖精「むむう……」

モーリィ「後はこの国で観光するなり、次の光の回収に向かうなり、好きにすると良い。私としては、観光して金を落としていってくれた方が嬉しいがな」

妖精「……」

モーリィ「では、縁があればまた会おう。緑の国の使者たちよ」スタスタ バサッ

 *

妖精「……」

ミスティ「妖精……どうするの?」

妖精「もし火山の状況があいつの言う通りなんだったら、確かに私たちの出る幕はない……」

イリス「ええ!? せっかく海を渡ってここまで来て、準備も進めたのに……!」

妖精「でも、無理して誰かを死なすような結果にはしたくない。ここまで来て、ってのは確かに悔しいけど……」

エバンス「だが……ここにはセインの奴も来ている。いくらモーリィでも、奴とかち合えば……」

妖精「……」

ローガン「しかしそれは我々にも言えることだ。セインくんは、次に会う時は敵同士と言った。恐らく、容赦してはくれぬだろう。そんな彼と、危険な溶岩地帯でもし出会ってしまったら――」

ミスティ「……命がいくつあっても足りない……でしょうね……」

イリス「……」

暗黒給仕少女「ふうん……いろいろ大変なのね、あんたたち。でも人間じゃ厳しい環境だってんなら、どの道無理なんじゃないの?」

クロシュ「あの……」

暗黒給仕少女「おん?」

 ボッ

炎クロシュ「わたし……たぶん、大丈夫……」チリチリ

妖精「クロシュ……」

イリス「クロシュちゃん……! でも、クロシュちゃん一人じゃ……」

ミスティ「そうよ……! クロシュ一人で行くなんてダメよ!」

炎クロシュ「んゅ……」シュウウ…


↓1〜5多数決 どうしよう
1.クロシュと妖精だけで行く
2.みんなで行く方法を探す
3.次の光へ向かう
4.自由安価

炎クロシュ「でも……モーリィさん……心配……」

イリス「うん……。心配だよね……」

エバンス「……なあ! それなら、俺たち人間でも今の火山に行ける方法を探そうぜ! 何かあんだろ、ここが火山の島なら!」

ミスティ「そんな都合の良いものがあるかしら……」

妖精「いや……意外とあるかも」

ミスティ「えっあるの?」

妖精「ちょっとうろ覚えだけど、ここの島の伝承に火口の内側へ人の民が巡礼する節があったような気がするんだよね。伝承は伝承だけど、それが過去の事実だったとすれば、人間が火口の内側みたいな灼熱地帯を通る方法があったんじゃないかと思う」

ローガン「ほう……。なら、その方法がわかれば――」

妖精「うん。まあ実在するかどうかはわかんないし、実在しても現存はしてないかもしれないから、期待はしない方が良いけど」

エバンス「いや、十分だ。探してみる価値あると思うぜ!」

炎クロシュ「うん……!」

 ☆新たな目標「灼熱を制する方法を探す」が発生しました

トコナツ火山島滞在4日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

というわけで、あまり進まず申しわけありませんが本日はここまでとなります

黒いスライムは全くいないわけではないようですが、他の色よりも珍しいようです。なおクロシュちゃんは素では黒色ですが、実は反映魔法によって外見の色を自在に変えることができたりします。光学迷彩も使えるので透明にもなれます

そしてクロシュちゃんが外見のみならず属性までフメイちゃんの真似ができるようになりました。レッドさんの欠片はクロシュちゃんに取り込まれたため、今後は特に装備変更などなしにいつでも炎化できます。なお説明でもあった通り炎化状態ではとてもお腹が減るため、多用は禁物です

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

イリスさんの優れた魔力感知能力については、実際のところ星属性が関係しています。たいていの人は自分の得意属性と同じまたは近い属性の魔力を感知するのが得意なのですが、イリスさんは星属性なので、星属性から派生した属性の魔力感知に関しても優れているということになるのです。同様に、ミスティは氷、ローガンは鋼、エバンスは地の魔力を感知するのが得意であると考えられます
なお言葉の上では属性が見えているかのようなことを言っていますが、実際には視覚とはまた別の感覚で魔力を認識しているようです。その感覚を魔力を持たない人に説明するのはとても難しいため、今回は省略させていただきます

モーリィ氏はあまり器用な方ではないようです。本人もそれを自覚していますが、特に問題だとも思っていないようです。でも頑固というわけではないので、話があればちゃんと聞いてくれると思います

―島長の家

妖精「お〜いモーリィ〜」パタパタ

モーリィ「なんだ? 観光案内なら他を当たれ」ヌッ

エバンス「いや、この島の伝承について聞きに来たんだ」スタスタ

モーリィ「観光案内じゃないか」

エバンス「……確かに。いやでも、こういうのはあんたが一番詳しいだろ?」

モーリィ「それはそうだが……仕方ない、手短に聞け」

妖精「ありがと。えっとさ、確かこの島の伝承に、火山の内側へ人が巡礼する話があったと思うんだけど……それの詳しい内容について教えて欲しい」

モーリィ「……それを聞いてどうするつもりだ?」

エバンス(!)

妖精「か、観光だよ」

モーリィ「まだ火山探索を諦めていないのか……。無茶をするものではない。お前も一国の頂に立つ者なら、自身の命の重みくらい理解できているはずだ」

妖精「そっくりそのまま返してやる。今この島には私たち以外にも光を狙ってる奴らがいるんだよ。王国の勇者の話くらい聞いたことあるでしょ? モーリィ一人じゃ危ないよ」

モーリィ「この火山島は私の庭だ。例え勇者と言えど、ここで私が遅れを取るなどありえん」

エバンス「……確かにあんたは強いが、あいつも強い。ここがあんたのフィールドだとしても、万が一ってこともあるだろ? それに俺たちはあいつの動きを見たことがある……もし争うことになった時、俺たちがいれば危険は大きく減ると思うぜ」

モーリィ「……」


↓1コンマ
01-30 帰れ
31-60 他をあたれ
61-90 昔話なら旧トコナツ村で聞け
91-00 案内してやろう

モーリィ「火に弱いお前たちを気にかけながら戦う方が遥かに危険だ。足手まといと言った方がわかりやすいか?」

エバンス「む……」

モーリィ「どうしても死にたいというのなら止めはせんが、私からお前たちに教えてやれることはない。他を当たれ」

妖精「はいはい、じゃあいろいろ調べさせてもらうよ。死なないためにね」

モーリィ「そうしろ。ついでに観光して金を落としていけ」スタスタ バサッ



エバンス「くそ……悔しいが言い返せなかった」

妖精「まあ、実際もし灼熱地帯で戦いになったら、今の私たちは足手まといどころじゃないだろうからねえ……」

エバンス「こうなったらなんとしても火への対策を見つけるぞ! ここまで見下されたままで終われるかよ!」

 ◆

―冒険者ギルド トコナツ支部

 ワイワイ ガヤガヤ

受付嬢「こんにちは〜。当ギルドのご利用は初めてですよね〜?」

イリス「はい! これ冒険者証です!」

受付嬢「どうも〜」

イリス「あの、この島の伝承について少々お聞きしたいんですけど」

受付嬢「あ〜、私は本部からの派遣なのでちょっと詳しくないんですよね〜。そういうのなら、現地の人とかに聞いた方が詳しいと思いますよ〜」

イリス「そ、そうでしたか。失礼しました」

 *

ミスティ「イリスが受付を済ませてる間に……私はこのギルドの依頼傾向でも見てようかしら……」

 依頼書「果樹園の害獣駆除 報酬:中」
 依頼書「海の家の臨時従業員募集 報酬:中」
 依頼書「美少女限定!水着のモデル大募集! 報酬:高」
 依頼書「活性化して麓に降りてきた火山の魔物退治 報酬:高」
 依頼書「急募!溶岩ダムの建設作業員 報酬:高」

ミスティ「……」

イリス「ミスティ! 受付済ませてきたよ!」トタトタ

ミスティ「イリス。こんな感じの依頼があるみたいだけれど……どう思う?」

イリス「ふむふむ……溶岩ダムの建設作業員以外ならやれそうかな?」

ミスティ「……水着のモデルも?」

イリス「えっ!? あ、い、いやそれは……」

ミスティ「美少女限定、ですって……。イリス、容姿に自信があるのね」

イリス「あ、ああ〜! 見落としてたんだよお!」

ミスティ「ふふ……でもイリスなら、けっこう映えると思うわよ……水着……」

イリス「いやいや、それを言うならミスティだって……!」

ミスティ「どうあがいても貧相でみすぼらしい印象にしかならないわ。間違いなく」

イリス「ど、どうしてそういう方向にだけそんなに凄い自信なの……」


↓1 何か受けてみる?
1.果樹園の害獣駆除
2.海の家の臨時従業員
3.水着のモデル
4.降りてきた火山の魔物退治
5.帰る

ミスティ「……でも報酬は良いわね。危険もなさそうだし、もし受けられればかなり美味しいわ。水着モデル」

イリス「いやまあ、それはそうだけど……。ミスティ、受けるの……?」

ミスティ「いや、イリスが」

イリス「ええ!?」

ミスティ「大丈夫よ……イリスならスタイルも良いし、きっといけるわ……」ニヤニヤ

イリス「あ、あうう……で、でもお……///」

ミスティ「旅の資金はいくらあっても困らないでしょう? 大丈夫よ、私も付き添うわ……」ニヤニヤ

イリス「う、うう〜……それはそうだけどお……///」

ミスティ「さあ、この依頼書を取って……」

イリス「……///」

 依頼書「」ベリッ…

 *

受付嬢「わお! 水着のモデルさんですね〜」

イリス「は、はい……///」

ミスティ「ええ……。こちらの、イリス・プラネ――」

受付嬢「こんな美少女が二人も一緒に受けてくれるなんて〜!」

ミスティ「えっ……い、いや私はちが――」

イリス「そそ、そうなんです〜!! 私たち二人で受けるので、よろしくお願いします!!!!」

ミスティ「!!?」アタフタ

受付嬢「うふふ、依頼主さんも大喜びでしょうね〜」

 受注印「」ドンッ!!!

ミスティ「」

 ◆

―武具屋

スキュラの店員「あらあ、誰かと思えば……」

イリス「せ、先日はどうも!///」

ミスティ「ど、どうも……///」

スキュラの店員「これは素敵なモデルさんが来てくれたわねえ……。ウフフ……類は友を呼ぶ……美少女の友は美少女なのねえ……」

イリス「ほら! ミスティも美少女なんだよ!///」

ミスティ「嘘でしょ……///」

スキュラの店員「さあさあどうぞ中へ、お嬢様がた……。私が繕った珠玉の水着のモデルさんになってもらうわよぉ……」


↓1コンマ イリスの水着
01-05 謎の光
06-20 マイクロビキニ
21-50 競泳水着
51-80 フリルワンピース水着
81-95 魔法学園のスクール水着
96-00 マジカルハイレグ競泳水着

↓2コンマ ミスティの水着
01-05 謎の光
06-20 マイクロビキニ
21-50 競泳水着
51-80 フリルワンピース水着
81-95 魔法学園のスクール水着
96-00 マジカルハイレグ競泳水着

イリス(フリルワンピ水着)「わ……これ、かわいい……!」フリフリ

スキュラの店員「でしょう? うふふ、かわいい系のあなたにピッタリの水着のはずよぉ……」

イリス「フリフリのワンピースだからあんまり恥ずかしくないし……こんな水着もあるんだ……!」フリフリ

スキュラの店員「水着文化はまだまだ大陸の子たちに知られてないわあ……。これを機に知っていってねぇ……」


イリス「ところでミスティは?」

スキュラの店員「もう着替え終わっているはずだけれど……。出て来ないわねえ……」

 更衣室「……」

イリス「ミスティ〜。私もう着替えたよ〜」

 更衣室「……わ、わかったわよ……」


 更衣室のカーテン「」シャッ

ミスティ(スク水)「……///」ヨタヨタ

イリス「わ……そ、その水着は……!!」

スキュラの店員「魔法国の国立魔法学園で指定されている、スクール水着よぉ……。うふふ……この出来栄えなら入学希望者増加は確実ねえ……」

ミスティ「あ、あんまり見ないで……///」

イリス「かわいい〜〜!!!」

 *

 パシャッ パシャッ パシャッ…

イリス「……///」

ミスティ「……//////」

スキュラの店員「うふふ……ありがとう、撮影はこれで十分よお……」

イリス「あ、ありがとうございました……!」

ミスティ「や、やっと終わったのね……」

 *

スキュラの店員「はい、これが本日のお給金……」

 金袋「」ズシッ

イリス「わあ、こんなに……!」

スキュラの店員「カワイイお二人にサービスよぉ……。その水着も記念に差し上げるわぁ……」

ミスティ「あ、ありがとうございます……」

スキュラの店員「うふふ、機会があったらまたモデルをやってねぇ……。いつでも待ってるわぁ……」


 ☆お金をたくさん稼ぎました
 ☆フリルワンピース水着とスクール水着を手に入れました

 ◆

―海市

 ワイワイ ガヤガヤ

ローガン「このビラの女の子たちを見かけたら、シーサイドホテルの妖精一行へ連絡をお願いします」ピラッ

クロシュ「お、お願いしますっ……」ピラッ

レッド「お願いします!」ピラッ

 フメイちゃんとアリシラさんが描かれたビラ「」ピラッ



サハギンの男「おーわかったぜー」ピラッ

海妖精「わ〜かわいい絵〜」ピラッ

犬耳の少女「わかりましたッ! 見かけたら連絡しますッ!」ピラッ

くすんだ銀髪の少女「うん……見たら、連絡スル……」ピラッ

 *

レッド「それにしてもクロシュちゃん、絵がすっごい上手なんだね」

ローガン「クロシュくんの絵の上手さには目を見張るものがある。王国の芸術都市でも通用するかもしれん」

クロシュ「えへへ……。ローガンさんと、レッドちゃんも、ありがと……。手伝ってくれて……」

ローガン「フメイくんの捜索もパーティの重大な任務の一つだからな」

レッド「クロシュちゃんはボクたちバーニングスライムの力を継いでくれたんだもの。何かあれば力になるよ」

ローガン「フッ……良き友ができたようだな、クロシュくん」

クロシュ「うん……!」

レッド「友……えへへ……」

ローガン「よし! ビラ配りもあと少しだ、頑張るぞ二人とも!」

クロシュ「うん……!」

レッド「うん!」


↓1コンマ ビラ配り結果
01-50 目撃情報
51-80 目撃情報+
81-00 うしろうしろ

―海市 屋台

黒丸メガネのタコ人おじさん「おっ、この二人組ならこの前ウチに来たよ!」

クロシュ「!」

黒丸メガネのタコ人おじさん「3日くらい前だったかね。あれこれ話しながら海市で食べ歩いてたよ」

ローガン「どんなことを話していたかはわかるだろうか?」

黒丸メガネのタコ人おじさん「さあ、そこまでは聞こえなかったなぁ」

レッド「とにかくここに来てたんだね……!」

黒丸メガネのタコ人おじさん「そっちのお嬢さんは、その子の双子ちゃんなのかい?」

クロシュ「ん……えと……うん……」

黒丸メガネのタコ人おじさん「そっか、大変だなぁ……。よっし、そんじゃあ姉妹思いのお嬢さんに大サービスだ!」バッ

ローガン「お、おお……?」

黒丸メガネのタコ人おじさん「好きなものを好きなだけ食べていきなさい! おじさんの奢りだ!」

レッド「いやいや……おじさん、そんなことして大丈夫なの?」

黒丸メガネのタコ人おじさん「おうとも! おじさんのお店は、お嬢さんみたいながんばりやさんにお腹いっぱい食べさせてあげるためにあるんだからね!」

ローガン「そ、そうなのか……。いやしかし、流石にタダというのは怪しいが……」

レッド「このおじさんはちょっと女の子に甘いだけで悪い人じゃないから大丈夫だよ。おじさんの家計は大丈夫じゃないかもしれないけど……」

黒丸メガネのタコ人おじさん「大丈夫! おじさんの懐は無限大だからね!」

レッド「また奥さんに怒られちゃうよ? 採算が合わなかったら……」

黒丸メガネのタコ人おじさん「はっはっは、お嬢さん一人分のご飯くらいどうとでもなるよ! 大船に乗ったつもりで食べていきなさい!」

クロシュ「えと……それじゃあ……」


↓1〜2 食材を1〜3つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉
野菜:食べられる野草、海藻類、マンドラ大根、ゴボウの根っこ、トコナツマメ
穀物:ヤマイモ、パラパラ米、甘もろこし、ナッツ
魚介:カニ、ウミザリガニ、フヨフヨクラゲ、ウミタニシ、ウマアジ、マグロ、溶岩魚
果実:トコナツバナナ、トコナツドリアン、トコナツココナッツ、ウォータースイカ、ファイアメロン
卵乳:トリの卵、ミルク、チーズ、バター
特殊:スライムゼラチン、きび砂糖、激辛香辛料

 フヨフヨフルーツポンチ「」ポン!!

黒丸メガネのタコ人おじさん「お待ちどう! フヨフヨフルーツポンチ一丁!」

クロシュ「わあ……! いただきます……!」

黒丸メガネのタコ人おじさん「つるつるのフヨフヨクラゲにアチアチのファイアメロン、そしてあまあまのトコナツバナナにきび砂糖をたっぷりまぶした至高のデザートでっせ!」

ローガン「ほう、クラゲか……。味はほとんどないが、だからこそつるつるの食感がフルーツポンチによく合うな」

レッド「ファイアメロンはこの島の特産品の一つだよ。みずみずしく甘い果肉に炎魔力が染み込んでいて、炎のような熱さも感じられる変わったメロンなんだ。好みは分かれるけれど、ボクは大好き」

黒丸メガネのタコ人おじさん「そしてトコナツバナナは、果物界最甘と言われるほどの激甘フルーツだよ! そこにさらに、トコナツ産の砂糖きびから絞り出したきび砂糖を加えれば……最強ってワケさ!」

ローガン「な、なんと暴力的なデザートなのだ……!」

黒丸メガネのタコ人おじさん「はっはっは、是非ご賞味いただきたい――」

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

黒丸メガネのタコ人おじさん「えっスライム!!?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

レッド「おかわりだって、おじさん!」

黒丸メガネのタコ人おじさん「お、おお! かわいいスライムのお嬢さんだったんだね! もちろんおかわりも自由だよ!」

 ◇

 積み上がったフヨフヨフルーツポンチの皿「」ギシッ

スライムクロシュ「〜〜♪♪」モニョモニョ モグモグ

レッド「お、おじさん。おかわりだって」

黒丸メガネのタコ人おじさん「ひえ……ま、まだ食べるのかい……!?」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

レッド「あ……食べ過ぎてごめんなさい、だって……」

黒丸メガネのタコ人おじさん「……いいや! 好きなだけ食べていいと言ったのはおじさんだからね! 男に二言はないよ!」

スライムクロシュ「!」モニョ!

ローガン「だ、大丈夫か……?」

 ◇

 さらに積み上がったフヨフヨフルーツポンチの皿「」ギシシッ

スライムクロシュ「〜〜♪♪♪」モニョモニョ

レッド「ごちそうさまでした、だって……」

黒丸メガネのタコ人おじさん「はっはっは! 良い食べっぷりだったよ、クロシュちゃん!」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

ローガン「う、うむ。流石にお代を支払わせてもらおう……」

黒丸メガネのタコ人おじさん「いやいや、大丈夫。男に二言はないと言ったからね。クロシュちゃんにいっぱい食べてもらえておじさんも嬉しいよ!」

ローガン「いや、しかしだな……」

黒丸メガネのタコ人おじさん「はっはっは、大丈夫だとも。双子ちゃん探し、がんばってね!」

スライムクロシュ「〜!」モニョ!

 ☆フメイとアリシラがこの島に来ていることを知りました
 ☆いっぱい食べて元気になりました

 ◆

―トコナツ火山島 滞在5日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]
・灼熱を制する方法を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□トコナツ火山島
沿岸部:シーサイドホテル、トコナツビーチ、海の家、海市、港、灯台、他
市街地:武具屋、雑貨屋、お土産屋、服飾屋、宝石屋、食材屋、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
山間部:旧トコナツ村、果樹園、神殿、温泉、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

―朝
 シーサイドホテル 庭

暗黒給仕少女「えっ水着のモデルやっただけでそんなに!? ズルじゃないの!?」

イリス「ギルドの契約に則ったお給金だよ!」

ミスティ「まさかあなたにズル呼ばわりされるとはね……」

暗黒給仕少女「むむう……」

妖精「まああなたも素材はいいし、やろうと思えばやれるんじゃない?」

暗黒給仕少女「それなら私も―――……」

暗黒給仕少女「……」

ミスティ「……?」

暗黒給仕少女「……やっぱやめとくわ。衆目に肌を晒して銭を得るなんて性に合わないし」

イリス「うっ……そう言われるとやっぱりちょっと恥ずかしいな……」

ミスティ「ここの雑用の方が性に合ってるってことね」

暗黒給仕少女「うっさいわね! これはあんたたちへの債務を完済するまでの仮の姿よ!」


トコナツ火山島滞在5日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?

というわけで本日はここまでとなります。次回はローガン氏とモーリィ氏のサシ飲み編、レッドちゃんとスライムトーク編、猫人おじさんと島のお話編です

レッドさんはアラサウの長寿スライムですが、クロシュさんにちゃん付けで呼ばれてしまっています。これはクロシュちゃんがレッドさんを舐めているとかではないのですが、どうにもクロシュさんはスライム類の者をちゃん付けで呼んでしまう癖があるようです(実はブラッドのこともちゃん付けで呼んでいたりします)。スライム類はみんな対等な仲間だと思っているのかもしれません

そしてついにイリスさんとミスティさんが水着を手に入れました。水着を手に入れたからと言って何か役に立つわけではないのですが、トコナツ島を満喫するにあたってやはり水着は外せない物品だったのかもしれません。ちなみに魔法学園のスクール水着は着用者の魔力効率を向上させる効果があったりしますが、ミスティさんはあまり着たくないようです

それでは本日もありがとうございました。次回も土日となります、よろしくお願いいたします

ちょっとした賑やかし程度に前作要素が出たり出なかったりすることがあります。銀髪の子と犬耳の子は、この世界では初めから仲が良いのかもしれません

クロシュが擬態や同化などで特殊な力を行使する場合、魔力やカロリーを消費します。いっぱい食べて力を蓄えるのが良いでしょう

魔法学園と聞くと確かに物語の舞台になりそうなのですが、実のところクロシュ一行が魔法学園のある魔法国に立ち寄る予定は今のところないため、特に関わることはないかもしれません……

―酒場

 ワイワイ ガヤガヤ

ローガン(賑わっているな。情報収集の為とは言え、私一人で来たのは正解だったかもしれん)スタスタ

ローガン(さて、とりあえずカウンターに……む?)


モーリィ「……」グビグビ


ローガン(島長のモーリィ氏? 今日は休みなのか)

ローガン(それならば……休みのところを悪いが、酒の力を借りさせてもらおう)


ローガン「隣、よろしいか?」

モーリィ「……妖精の手下か。好きにしろ」グビグビ

ローガン「では失礼」スッ

竜人の看板娘「何にいたしますか?」ニコニコ

ローガン「おすすめはどれだろうか。この島の酒は初めてなもので」

竜人の看板娘「人間のお客様にはトコナツビールが人気ですねえ」

ローガン「ではそれを一杯もらおう」

竜人の看板娘「はぁい、少々お待ち下さいね」

 *

モーリィ「それで、何の用だ? ただ隣で飲みに来たわけでもあるまい」

ローガン「うむ……いや、酒を飲みに来たというのも半分は当たっている。最近飲めていなかったものでな」

モーリィ「パーティ内では飲まんのか」

ローガン「酒好きは私くらいしかいないのだ」

モーリィ「妖精とあの二人の人間の子供は仕方ないとして……エバンスという男とスライムも酒は飲まないのか?」

ローガン「エバンスくんも酒は嫌いではないはずなのだが、パーティに入ってからは全然飲んでいないようだ。クロシュくんは……多分飲んだこと自体がないのではないだろうか」

モーリィ「スライムはあらゆる毒物に強い。当然酒にも強い。今度誘ってみたらどうだ?」

ローガン「いやしかし、クロシュくんはまだ子供であるし……」

モーリィ「人間の感覚を当てはめるな。例え子供であろうとスライムが酒で健康を損なうことはない」

ローガン「……考えておこう」


↓1コンマ
01-30 普通に飲んだ
31-60 火山について
61-90 巡礼について
91-00 教えてやろう

 グビグビ…

ローガン「ところで巡礼についてなのだが」

モーリィ「やはりまだ諦めていないか……」

ローガン「元より我々の仕事だ。危険は承知している」

モーリィ「はぁ、仕方ない……。どうしてもというのなら旧トコナツ村へ行って調べてみろ」

ローガン「旧トコナツ村……というと、山間部にあるという……?」

モーリィ「そうだ。昔ながらの生活を続けている、この島本来の集落……そこにお前たちの求めているものがあるかもしれん」

ローガン「!」

モーリィ「歓迎されるかどうかは知らんがな」

ローガン「ありがたい。だが、どうして今になってそれを?」

モーリィ「誤ったやり方で焼け死なれても寝覚めが悪いからな」

ローガン「……もちろん、死ぬ気は一切ない」

 ☆旧トコナツ村に何らかの情報があるという情報を得ました

 ◆

―トコナツビーチ

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


炎クロシュ「……」チリチリ

 デロデロ…

バーニングスライムクロシュ「」メラメラ モニョモニョ


レッド『完璧だよ! 完全に炎の力をコントロールできてる』モニョモニョ

バーニングスライムクロシュ『うん』モニョ

レッド『もうボクから教えられることはなさそうかな……? よくがんばったね、クロシュちゃん』

バーニングスライムクロシュ『えへへ……』モニョニョ

 *

レッド『クロシュちゃんたちは、あの光を追ってるんだよね?』モニョモニョ

クロシュ『うん』モニョ

レッド『それで、友達のフメイちゃんも、その光を追ってるから――光を追えば友達にも会えるってことなんだね』モニョモニョ

クロシュ『うん……』モニョ…

レッド『すごいや……ボクよりずっと若いのに、そんな苦労を背負ってるのに……諦めないで、がんばり続けるクロシュちゃんは……」モニョモニョ

クロシュ『そうなの……?』モニョニョ?

レッド『うん。すごいことだよ。自信を持っていいことだよ」モニョモニョ

クロシュ『そうなんだ……』モニョニョ

レッド『そういえばクロシュちゃんの名前って、もしかしてクロシュヴィアから取ってるの? 伝説のスライムの』モニョモニョ

クロシュ『くろしゅびあ?』モニョニョ?

レッド『えっと、正しくはクロシュヴィア・ビターエンド。でもその反応からすると……クロシュちゃんは知らないみたいだね』モニョモニョ

クロシュ『うん』モニョ

レッド『えっとね、クロシュヴィアは……ボクたちスライム族に伝わるお伽噺に登場する、伝説のスライムの名前なんだよ』モニョモニョ

クロシュ『でんせつ……』モニョニョ

レッド『とっても強くて、賢くて、誰よりも優しい、凄いスライムだったんだって』モニョモニョ

クロシュ『わあ……』モニョニョ

レッド『凄い擬態能力でどんな姿にもなれて、誰とでも仲良くなれたクロシュヴィアは、種族を問わずたくさんの人たちを救ったけれど……。どれだけ救い、愛し、慈しんでも、一向に変わらず憎み合い、争い続ける生き物たちの姿に絶望して……最期には、風の中に溶けていっちゃったんだって……』モニョモニョ

クロシュ『……』モニョ…

レッド『……あ……ご、ごめんね! クロシュヴィアがクロシュちゃんの名前の由来だなんて、ちょっと縁起が悪かったよね! ごめん!』モニョニョ!

クロシュ『あ、ううん……。わたし……クロシュヴィアちゃんの、気持ち……ちょっと……わかる、かも……』モニョモニョ

レッド『え……?』モニョ…?

クロシュ『ちょっと……妖精さんみたいだなあって……思って……。妖精さんも……前に、似たようなこと……言ってて……わたしも……同じ気持ちに……なったこと……あった、から……』モニョモニョ

レッド『そうなの……?』モニョニョ?

クロシュ『うん……。命は……生きるために、死ぬまで苦しめ合い続ける、どうしようもない存在だって……。それで……わたしも、諦めたこと……あった……』モニョモニョ

レッド『……』モニョ…

クロシュ『……今も……その思いが、完全になくなったわけじゃないけど……。それでも、がんばり続ける人はいて……。わたしも……やっぱり、フメイちゃんと一緒に……帰りたいから……』モニョモニョ

レッド『クロシュちゃん……』モニョニョ

クロシュ『だから……わたし……まだ、諦めない』

レッド『……うん! 応援する……!』モニョモニョ

クロシュ『えへへ……ありがと……』モニョモニョ

レッド『ボクに手伝えることがあれば、何でも言ってね。クロシュちゃんの力になるから』モニョモニョ

クロシュ『うん……!』モニョ!

 ◆

―島長の家

妖精「お〜い、モーリィ〜」パタパタ

イリス「こんにちは〜」

猫人の男「モーリィは留守ですよ」ヌッ

ミスティ「どうも……」

猫人の男「あ、どうも……。お怪我の具合は大丈夫ですか?」

ミスティ「ええ、お陰様で」

猫人の男「そうですか。それならば良かったです。ところでモーリィなら、恐らく今日は酒場にいるかと思いますが」

エバンス「酒場だと? ローガンの旦那が単身情報収集に行くって息巻いてたし丁度良いな」

猫人の男「貴方がたは行かないのですか?」

妖精「まあ、ここに来た目的の半分はモーリィじゃないからね」

猫人の男「?」

ミスティ「あなたに話があって来たのよ。島の名士さん」

 ◆

―猫人の家

 ココナッツドリンク「」カラン

猫人の男「なるほど……モーリィに追い払われたから、僕にいろいろ聞きに来たということですか」

妖精「そういうこと。あなたはあいつと違って頑固じゃなさそうだし」

エバンス「今の火山に入る方法を知っているなら教えてくれ。俺たちもこのままじゃ引き下がれねえんだ」

猫人の男「……」

ミスティ「……あなただって、猫人であるのなら灼熱は耐えられないはず。何か方法があるんでしょう?」

猫人の男「……」

イリス「お願いします! あなたが知っている方法を――」

猫人の男「……調査から追い払われたのは君たちだけではありません」

ミスティ「え……?」

猫人の男「僕も、モーリィから調査の任を外されました」

エバンス「なんだと……?」

猫人の男「理由は貴方がたと同じ……ミスティさんの言う通り、猫人である僕も灼熱は耐えられないからです」

イリス「そ、そんな……」

猫人の男「モーリィは、一人で全てを片付けるつもりです」

妖精「ふうん……あいつ……。悪癖は昔から変わってないみたいだね」

猫人の男「悪癖……?」

妖精「あいつ、自分にできることだったら全部自分でやろうとするとこがあるんだよ。多少無茶でもね」

猫人の男「……昔からなのですね」

妖精「……あなたはそれで良いの? モーリィに戦力外通告されたままで」

猫人の男「モーリィの判断は合理的です。彼女から見れば、実際僕は足手まといでしかないでしょう」

エバンス「だからって悔しくないのか?」

猫人の男「……」

ミスティ「……人のことを火山で戦えるかどうか上から目線で査定しておいて、自分がダメだったら簡単に引き下がるの? 許さないわよ……」

猫人の男「いえ、その節は……誠に申し訳なく思っています……。大変な失礼を致しました」

ミスティ「だったら……意地を見せなさいよ……! 自分こそが、誰よりも一番火山で戦えると……!!」

猫人の男「……誰が、諦めたと言いましたか?」

ミスティ「……!」

猫人の男「仰る通り、僕にも意地があります。このまま引き下がるつもりはありません」

エバンス「おお……!」

猫人の男「むしろこちらから、貴方がたにお願い申し上げたい。僕の作戦に付き合っていただけませんか?」

妖精「そういうことならもったいぶらずに早く言ってよもう!!」

 *

―夜
 シーサイドホテル 庭

クロシュ「!」

ローガン「む、あなたは……」

レッド「モーリィさんの腹心の……猫のおじさん!」

猫人の男「どうも。皆さん、お集まり頂けたようですね」

エバンス「おう! それで、作戦ってのはどんなやつだ?」

猫人の男「はい。簡単に言うと、古代トコナツ伝承にある人間の火山巡礼を我々も行いたいと思っています」

妖精「あ、やっぱり! 私もそれが良いんじゃないかって思ってたんだよ!」

猫人の男「ええ。かつて古代トコナツでは、人の身でありながら火口内部へ進入し、その奥深くの炎の神殿へと巡礼していたと言います。その方法さえ使えれば、僕たちでも熱に耐えられるかと」

イリス「えっと、当時の人たちがどうやって火に耐えてたのかはわかってるんですか?」

猫人の男「エイです」

ミスティ「え?」

猫人の男「エイに乗り、灼熱の溶岩を渡ったという言い伝えが残っています」

ローガン「エイとは……あのエイか?」

猫人の男「はい。通常であれば、深海などに生息するあのエイです」

クロシュ「えい……」

レッド「溶岩を渡るエイ……あ! もしかして……!」

猫人の男「はい。火神の使いと言われる伝説のエイ――彼の協力を得ることができれば」

妖精「居所はわかってるの?」

猫人の男「いいえ。まずは、この島の伝承を再精査する必要があるのですが……」

ローガン「酒場でモーリィ氏に、伝承を調べたければ旧トコナツ村へ向かえと言われたのだが、どうか?」

猫人の男「モーリィに……!? なるほど……ではここは、彼女の言に従って旧トコナツ村に向かいましょう」

 ☆明日、旧トコナツ村へ出発することに決定しました
 ☆移動には1日かかります

 ◆

―トコナツ火山島 滞在6日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇猫人の男 [砂の学士]
 武:鋭いレイピア   盾:         飾:
 武:         防:硬質革鎧     飾:

 ◇レッド  [最後のバーニングスライム]
 武:         盾:         飾:異国の溶岩
 武:         防:         飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]
・灼熱を制する方法を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□トコナツ火山島
沿岸部:シーサイドホテル、トコナツビーチ、海の家、海市、港、灯台、他
市街地:武具屋、雑貨屋、お土産屋、服飾屋、宝石屋、食材屋、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
山間部:旧トコナツ村、果樹園、神殿、温泉、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

―朝
 シーサイドホテル

暗黒給仕少女「へえ、旧トコナツ村へ? まあ気を付けて行ってきなさいよ」

妖精「私たちがいない間にモノを盗ったりしないでよ?」

暗黒給仕少女「さあどうしよっかね〜?」ニヤニヤ

若女将「この子のことはしっかり監督していますので、安心して行ってらっしゃいませ」

ミスティ「ええ、お願いね……」

 ◆

―トコナツ火山島 山道

 ギーッ! ギーッ! コケーコッコッコッ!!

イリス「うひゃあ、これが熱帯雨林……!」

ミスティ「蒸し暑いわね……。屋外なのに浴場みたいな湿度だわ……」

猫人の男「虫には気を付けて。刺されたら、最悪死にます」

エバンス「うげえ、噂には聞いてたがマジで死ぬのか……」

ローガン「極めて危険な病原菌を保有した吸血虫がいるのだそうだ……。気を付けねばな」

猫人の男「虫除けの魔法を使っていますから、よほどのことがない限りは大丈夫だと思いますが」


レッド「ねえ、本当にボクも一緒に来て良かったの?」

クロシュ「うん……。レッドちゃん……なんでも手伝ってくれるって……」

妖精「それにあなたがいれば、最悪エイが見つからなくても、私とクロシュとあなたの三人で火山に潜れるでしょ?」

レッド「そっか……! わかった、ボクがんばるよ!」

 ☆猫人のおじさんとレッドちゃんが一時的に仲間に加わりました


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-40 食料発見(コンマ)
41-60 物品発見(コンマ)
61-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

↓1自由安価 起こった良いこと


↓2コンマ 見つけた物品
01-05 ふわふわきのこ
20-35 炎鉱石
36-65 熱帯妖花
66-95 タマムシビートルの甲殻
96-00 トコナツグレンガニ

ランダムイベントの内容が決定したところで本日はここまでです。次回は温泉宿で休憩編、炎鉱石発見編からとなります

今気付いたのですが、↑のコンマ表がまたおかしな数値を示しています。今回は実際に出たコンマが範囲内に収まっているので問題なかったのですが、>>1の注意力がここ最近の暑さでデロデロになり始めているのかもしれません。申し訳有りませんが、ご容赦のほどよろしくおねがいします

レッドちゃんとクロシュちゃんのスライムトークの中でちらっと出てきたクロシュヴィア・ビターエンド様ですが、その正体は実のところ闇に包まれています。ただのお伽噺の存在なのか、実在したスライムなのか、なぜクロシュちゃんと名前が似ているのか。わからないことばかりですが、今のところクロシュ氏にはクロシュヴィアちゃん呼ばわりされているようです。いつか出会うことがあるのでしょうか。

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

妖精類はかよわい種族ですが、実は妖精類の誰もが自然の力を借りる能力を持っています。妖精類が通常の自然の脅威によって傷付けられることは滅多にないようです(迂闊な妖精がドジをして怪我をしたりすることは稀によくあります)
なお自然魔法というのは、その自然の力を借りる能力を魔術的に洗練させてより効率的に使えるようにしたものだと考えられています

暗黒給仕少女さんですが、実際今は商売によって生計を立てているわけではないため、その名称が暗黒給仕少女に変化してしまっているようです
今のところ彼女にトコナツ島を出ていくほどのお金はないため、少なくともトコナツ島編の間はしつこく登場し続けるかと思われます

風に溶けるには、空気と同化する必要があります。しかし空気との同化は非常に難易度が高く、さらに同化した後霧散してしまわないよう制御する必要まであるため、スライム類の中でも風になれるほどの技量を持つ者はほとんどいないと言われています
今のクロシュならがんばれば空気になれる可能性がありますが、空気になったあと霧散せずに自己を保ち続けるのは難しいかもしれません

クロシュ氏はスライムなので、恐らくお酒にも強いかと思われます
妖精はスライムの毒耐性について知っているため、もしクロシュが酒を飲もうとしてもそんなに反対はしないかもしれません(でもあまり良い顔もしないかもしれません。妖精類はとてもお酒に弱いのです)
妖精よりもエバンスとイリスの方が強く反対するかもしれません。なおミスティ氏はモーリィ氏と近い考えを示す可能性が高いです

クロシュは自分の年齢についてあまり考えたことがありませんが、大体二年くらいフメイちゃんと旅をし、一年くらいあの集落で過ごした記憶があるようです
なお自分がどういう場所で生まれ、どういう経緯でフメイちゃんと旅をし始めたのかはよく覚えていないそうです

―トコナツ火山島 熱帯雨林

 ギーッ! ギーッ! コケーコッコッコッ!

 ザッザッザッ…

イリス「うう、汗で体がベトベトする……。ミスティ〜、氷魔法でなんとかならない〜……?」

ミスティ「仕方ないわね……」キラキラ

 てのひらサイズの氷塊「」ポン

ミスティ「はい、氷」

イリス「ありがと……つめたい……!」

妖精「氷があっても屋外じゃ焼け石に水だねえ……」

ミスティ「密閉空間なら存分に冷やせるんだけどね……」

エバンス「しかし暑すぎないか……? 湿度が高いとは言え、これは……」

猫人の男「火山活動の影響でしょうね。この密林でもあちこちで溶岩が噴き出している箇所があります。例えば、ここにも」スッ

 溶岩の泉「」ボコッボコッ

クロシュ「わ……!」

ミスティ「こ、これが溶岩……! 凄まじい熱だわ……!」

ローガン「落ちればひとたまりもないな……」


レッド「……あ、みんなちょっと待って!」

クロシュ「?」

レッド「溶岩の中に良いものがある!」ピョンッ

 ドボンッ!

イリス「うわわ、レッドちゃん!?」

ミスティ「さ、流石バーニングスライムね……」

 ザバンッ

レッド「あったよ〜」モニョモニョ

 赤熱する石「」チカチカ

猫人の男「これは……炎鉱石!」

エバンス「炎鉱石?」

猫人の男「主に火山地帯で採れる、炎の魔力を秘めた鉱石です。特別珍しいものではありませんが、炎魔法の触媒として優秀な適性を持っています」

イリス「でもお店で買うとけっこう高いですよねこれ!」

猫人の男「珍しくはなくとも、産出地が限られている上に採掘も簡単ではありませんからね。それがこうも簡単に採れるとは……」

レッド「えへへ、お手柄かな?」

クロシュ「うん……! おてがら……!」

 ☆炎鉱石を手に入れました

 ◇

―トコナツ火山島 熱帯雨林

 ザッザッザッ…

イリス「ふう、ふう……あとどれくらいで着くんですか……?」

猫人の男「三分の二は越えました。もう少しです」

ミスティ「ソリ移動は楽だけれど、足腰が鍛えられないのは問題ね……」

妖精「飛べない種族は大変だねえ」パタパタ

イリス「妖精さんはずっとパタパタしてて羽が疲れたりしないの?」

妖精「ふふん、そんじょそこらの妖精とは鍛え方が違うからね」パタパタ


エバンス「……」ザッザッ
 エバンスの背負った荷物「」ドッサリ

ローガン「……」ザッザッ
 ローガンの背負った荷物「」ドッサリ

猫人の男「……」ザッザッ
 猫人の男の背負った荷物「」ドッサリ


イリス「うひゃぁ……私たちの分の荷物まで背負ってもらってるのに……!」

ミスティ「肉体派の男は強いわね……」


クロシュ「……」トコトコ

レッド「……」モニョモニョ


イリス「クロシュちゃんとレッドちゃんも、荷物は少なめだけどちっともへばってないね……!」

ミスティ「クロシュはパーティを乗せて一日中泳ぎ続けられる程度の体力があるものね……」

妖精「スライムって種族自体が基本的に頑健でタフだからね。あの子たちと比べても仕方ないよ」


クロシュ「……!」ピコン

クロシュ「えと……じゃあ……わたしが、カタツムリさんになって、イリスさんとミスティさんを乗せるのは……」

妖精「カタツムリじゃ遅すぎるでしょ……」

クロシュ「……」ショボン


エバンス「……女の子陣が疲れてるようだ。どっかで休憩を取れないか?」

猫人の男「それでしたら、そろそろ丁度良い場所があります」

ローガン「丁度良い場所……?」

猫人の男「見えてきました」スッ


 ザッザッザッ サァッ


 温泉地「」モクモク


イリス「わあ……! 密林の中に、こんな開けた土地が……!」

ミスティ「シーサイドホテルに似た三角形の家と……湯けむりだわ!」

猫人の男「ここはトコナツ密林の隠れ家的温泉宿です。少し休憩していきましょう」

 ◇

―トコナツ密林の隠れ家温泉宿

熱帯アルラウネ「いらっしゃぁ〜い。旅人さんが来るなんて珍しいわねぇ〜」ニコニコ

イリス「わあ! 熱帯植物の……アルラウネさん!」

熱帯アルラウネ「うふふ、初めまして。皆さんお泊りかしら?」

猫人の男「いえ、休憩でお願いします。日が暮れるまでには旧トコナツ村に着きたいので」

熱帯アルラウネ「あらぁ、残念……。それじゃあしっかり疲れを取っていってね」

 *

―女湯

 カポーン…

イリス「んぅ〜生き返るぅ〜……」

ミスティ「はぁ……汗でべたついた体が、浄化されていくようだわ……」

スライムクロシュ「〜〜…」デロデロ

妖精「あんまり浸かりすぎないようにね。ここに泊まるわけじゃないんだから、のぼせたら大変だよ」

イリス「でも、気持ち良すぎてぇ……」

ミスティ「くっ……のぼせるまで浸かりたいのに……ある意味残酷な選択をしてくれたわね……」


スライムクロシュ「〜〜…?」モニョニョ?

妖精「え、レッド? あの子なら溶岩風呂じゃない?」

 *

―男湯

 カポーン…

エバンス「ふぅ……。仕事途中の風呂ってのもなかなか珍しい体験だぜ」

ローガン「だが、体の節々に溜まった疲れが取れていくようだ。もう一踏ん張りするのに丁度良い」

猫人の男「……」

ローガン「……む? どういたした? じっと目を瞑って」

猫人の男「……気にしないでください。これが私の入浴スタイルなので」

エバンス「……もしかしてアンタ、入浴が苦手だったり?」

猫人の男「は、はは……。この私が、水を苦手とするわけがないでしょう。猫畜生ではあるまいし」

エバンス「お、おう……」


ローガン「ところで、レッドくんはどこへ?」

エバンス「ん? レッドちゃんなら女湯じゃねえのか?」

ローガン「レッドくんは男だそうだぞ」

エバンス「えっそうなのか!? クロシュちゃんがレッドちゃんって呼んでるから、俺はてっきり女の子なのかと……」

猫人の男「レッドさんなら、溶岩風呂の方かと……。彼にとっては、この程度のお湯では冷水と変わらないでしょうから」

エバンス「あ、ああ……なるほどな……」

 *

―溶岩風呂

レッド『はぁ〜……たまにはバーニングして溶岩に浸かるのも良いよね……』デロデロ…

炎スライムクロシュ『レッドちゃん』ヒョコッ

レッド『わっクロシュちゃん!』モニョッ!

炎スライムクロシュ『えと……一緒に、いい……?』モニョモニョ

レッド『あ、うん。でも、大丈夫かな……?』モニョモニョ

炎スライムクロシュ『うん。たぶん大丈夫』モニョモニョ

レッド『や、クロシュちゃん自身のこともだけど……。混浴って良いのかなあ……』モニョモニョ

炎スライムクロシュ『?』モニョ?

レッド『えっとね……。多くの知性を持つ種族には、オスとメスが一緒にお風呂に入っちゃダメって決まりがあるんだって』モニョモニョ

炎スライムクロシュ『……そういえば……ローガンさんとエバンスさんは、いつも別のお風呂に入ってた気がする……』モニョモニョ

レッド『うん。だから、ボクとクロシュちゃんが一緒に入ってたら、怒られちゃうかも』

炎スライムクロシュ『……』


↓1〜3多数決 どうしよう
1.他種族の決まりはスライムとは関係ないよね
2.他種族の決まりも守っておこう

炎スライムクロシュ『じゃあ……やめる……?』モニョモニョ

レッド『うん。その方が良いよ。クロシュちゃんが怒られるのは、ボクも嫌だもん』モニョモニョ

炎スライムクロシュ『わかった……』モニョニョ

 *

―夕方
 トコナツ熱帯雨林

 ギーッ ギーッ ホーウ ホーウ

 ザッザッザッ

イリス「気持ちよかったねぇ〜。やっぱり温泉はどこにあってもいいね!」

ミスティ「そうね……。正直かなり助かったわ」

猫人の男「疲れが取れたようで何よりです。目的地ももうすぐそこですよ」

エバンス「旧トコナツ村ってのは、一体どういうとこなんだ?」

猫人の男「簡単に言えば、古来からこの島に住む民族の村ですね。元々、この島に人が住む場所は旧トコナツ村しかありませんでした」

ローガン「では、今現在最も栄えている麓の市街は?」

猫人の男「元は、島外との交易を行う為の拠点として作られた場所のようです。しかし村から移り住んで商う者が増え、さらに島外からの移住者も増えていき、いつしかあれほどの大きな市場を形成する観光街となった……と聞きます」

エバンス「なるほどな……。しかしそれなら、旧トコナツ村は観光向けじゃないってことだろ? 俺たち、厄介者扱いされないか?」

猫人の男「その点はご心配なく。旧トコナツ村へは僕も何度か足を運んでいますが、余所者を邪険に扱ったりするような方々ではありません」

ローガン「おお、そうなのか」

猫人の男「はい。こちらから害意を向けたりしない限り、おおらかで気の良い方々ですよ。なんて言っても、あのモーリィの故郷ですから」

エバンス「……それはむしろ説得力が下がったような……」

 *

 ザッザッザッ

猫人の男「……! 見えてきました、あの木のアーチを抜ければ……!」

イリス「ついに旧トコナツ村……!」

エバンス「途中休憩を挟んだとは言え、久しぶりの徒歩行軍は効いたぜ……!」

ミスティ「今夜はゆっくり休みたいわね……」

 ザッザッザッ


クロシュ(わたしたちは、木のアーチをくぐった)

 木のアーチ「」サワサワ

クロシュ(そして、視界に入ったのは――)


 焼け落ちた三角形の家々「」
 焼け倒れたバナナの木々「」
 焼け倒れたココナッツの木々「」
 焼け崩れた畑「」

 溶岩の沼「」ボコッボコッ
 溶岩の川「」ボコッボコッ


猫人の男「なっ……こ、これ、は……!!」ブルブル

イリス「こ、これ……一体、何が……!?」

エバンス「……! 急いで人を探すぞ……! 生きている者を……!」ダッ

ローガン「うむ……! 疲労している者はこの場で警戒を!」ダッ



妖精「まさか……。ううん、まさかじゃない。考えられる理由なんて……一つしか……」

クロシュ「……」

ミスティ「……」

妖精「……はっ! クロシュ、ミスティ……!」


↓1コンマ クロシュメンタル
01-70 フラッシュバック
71-90 耐える
91-00 救援に向かう

↓2コンマ ミスティメンタル
01-20 フラッシュバック
21-50 耐える
51-00 救援に向かう

 ―燃える集落

  ゴオオオ……
  メラメラ… パチパチ…

 燃える大人の死体『』メラメラ

 燃える子供の死体『』メラメラ

 燃えるスライムの死骸『』ジュクジュク…


 クロシュ『……』

  ◆

―旧トコナツ村

クロシュ「……」フラッ

妖精「クロシュ!」パタパタ

レッド「クロシュちゃん!」モニョニョ!

クロシュ「……だい……じょう、ぶ……」ググッ

妖精「……無理はだめだよ。あなたはここで休んでいて」

レッド「ごめんね、ボクも人を探してくるから……クロシュちゃんは無理しないで」

クロシュ「うん……」



ミスティ「うっ……」フラッ

イリス「ミスティ……!」

ミスティ「大丈夫よ……。これは違うって……わかってる……」グッ

イリス「う、うん……」

ミスティ「っ……ごめんなさい……まだ、少し目眩がするわ……」

イリス「そ、それならここで休んでいよう……!」

ミスティ「……イリスは……救援に向かって。私は、大丈夫だから……」

イリス「ミスティ……」

ミスティ「お願い……」

イリス「わかった……! 生きてる人、見つけてくるから……!」ダッ

 *


イリス「誰かいませんかー!!」タッタッタッ


エバンス「いたら返事をしてくれー!」タッタッタッ


ローガン「くっ……人っ子一人見当たらぬ……!」タッタッタッ


猫人の男「みんな……頼む、生きていてくれ……!!」タッタッタッ


レッド「溶岩の中も見てみる!」ドボンッ


妖精「くそっ……! 私は……どうすれば良かったの……!?」パタパタ


↓1コンマ
01-60 竜人の少女「ここにはもう誰もいませんよ」
61-90 モーリィ「ここにはもう誰もいないぞ」
91-00 伝説のエイ『……』フヨフヨ

モーリィ「お前たち、もうここに着いたのか」スタスタ

ローガン「モーリィ殿!」

モーリィ「ここにはもう誰もいないぞ」

エバンス「しかし、なぜあんたがここに……!」

モーリィ「故郷の危機なら駆け付けて当然だろう。私の飛行速度なら十数分の距離だ」

猫人の男「モーリィ、あなたは……いえ、今は安否確認を。ここにいないのなら、どこに?」

モーリィ「ついて来い」スタスタ

 *

―旧トコナツ支神殿

 エーンエーン… メシハマダカノウ…

若い村民「はぁ……」

老いた村民「畑の様子を……」

竜人の村民「ここにいなさい。人間が出歩ける環境じゃない……」

老いた村民「むむう……」



イリス「ここは……!?」

モーリィ「旧トコナツの支神殿だ。幸い、村民は全員ここに避難できている」

猫人の男「全員……! 全員、無事なんですね……!?」

モーリィ「ああ……。命だけはな……」

エバンス「……何があったんだ? 溶岩の噴出だけじゃ説明が付かないぞ、あれは……」

モーリィ「……火山の魔物だ。強烈に活性化した魔物が、集落を襲った」

妖精「え……。それって……」

モーリィ「ああ……。世界樹の光を〝喰った〟んだ。そいつは」

 ◆

―トコナツ火山島 滞在7日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇猫人の男 [砂の学士]
 武:鋭いレイピア   盾:         飾:
 武:         防:硬質革鎧     飾:

 ◇レッド  [最後のバーニングスライム]
 武:         盾:         飾:異国の溶岩
 武:         防:         飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]
・灼熱を制する方法を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□旧トコナツ村周辺
支神殿:避難所、簡易宿泊所、僧堂、書庫、食堂、大浴場、簡易商店
農村部:果樹園、宿屋、温泉、溶岩川、溶岩沼
山間部:熱帯雨林、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

―朝
 旧トコナツ支神殿 簡易宿泊所

猫人の男「皆さん、おはようございます」ヌッ

イリス「あ、おはようございます」

ミスティ「おはようございます……。モーリィさんは……?」

猫人の男「魔物を討伐しに行くと、単身火山に行きました」

妖精「あいつ……! 世界樹の光を喰った化け物を相手にたった一人でなんて……! バカ……!」

エバンス「くっ、だが俺たちはまだ伝説のエイを見つけてねえ……!」

ローガン「……昨日は疲れ切っていたのだ。仕方あるまいよ」

レッド「じゃあ、早く見つけて、モーリィさんを追いかけなきゃ……!」

クロシュ「……」

妖精「……」


妖精(私とクロシュとレッドの三人なら、今すぐにでもモーリィを追うことができる……でも……)

妖精(この三人が加勢して化け物相手に戦況が変わるかどうかは、なんとも言えない……)

妖精(でも、悠長に事を進めていたら……モーリィが危ない……)

妖精(うう、どうする……!?)


クロシュ「……」


クロシュはどう思う?
↓1〜3 多数決
1.三人で向かうのが良いと思う(居残り組も急いでエイを探す)
2.エイを見つけてからみんなで向かうのが良いと思う(本日の自由行動安価へ)

クロシュ「……わたし、行ける」

妖精「!」

イリス「クロシュちゃん! まさか――」

レッド「ボクも、モーリィさんにはたくさんお世話になったから……あの人を助けに行きたい……!」

ミスティ「レッドも……!」

妖精「……そうだね。ここで日和ってたら……この島に一番必要な人を亡くしてしまうかもしれない。なら……」

ローガン「……クロシュくんたちがそう決めたのであれば、私は止めぬ。だが、絶対に無茶はしないでくれ」

ミスティ「……悔しいけれど、そうする他ないみたいね……。自分の弱さが恨めしいわ……」

エバンス「すぐにエイを見つけて追うから、それまで絶対に死なないでくれよ……!」

イリス「危ないと思ったら、本当に無理しないでね……! 妖精さん、お願い……!」

妖精「うん、わかってる。クロシュもレッドも、モーリィも、死なせないよ。でもまあ戦力に不安があるのも事実だから……あなたたちもすぐに追って来てよね、ほんと」

猫人の男「申し訳有りません……。モーリィのこと、お願い致します。僕たちもすぐに追いますので……!」


 ☆クロシュ、妖精、レッドの三人でトコナツ火山へ向かいます

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回、トコナツ火山へのダンジョンアタックとなります

クロシュちゃんとレッドちゃんの混浴展開は回避されてしまいました。女の子のクロシュちゃんと男の子のレッドちゃんが一緒にお風呂に入るというのは人間から見れば不健全なのかもしれません。なお当のクロシュちゃんは、他種族の決まりも一応守ろうとは思いつつも、どうしてそれが許されないことなのかはまだよくわかっていないようです

そしてやや急展開ぎみではありますが、ついにトコナツ火山へダンジョンアタックすることとなりました。三人だけなので少し心配ですが、居残り組もなるべく急いで追ってきてくれるでしょうし、たぶん大丈夫でしょう。クロシュちゃんたちのデロデロ溶岩の中での活躍をごきたいくださいませ

それでは本日もありがとうございました。次回も恐らく土日ですが、よろしくお願いいたします

スライムの性別については、今のところ詳しくわかっていません。オスを名乗る個体もメスを名乗る個体もいますが、身体構造や生理機能に関する差異は見つかっていないようです。また、自身をオスともメスとも考えない無性別のスライムもいます

クロシュ、妖精、レッドの三人だと確かに少し心配ですが、信じて見送る他ありません。まあレッドさんと妖精は長生きで、クロシュちゃんも最近めきめきと実力を付けてきているので、たぶん大丈夫でしょう

クロシュ氏はカタツムリのことが嫌いではないようです。スライムのようにモゾモゾと這って進む姿に親近感を覚えているのかもしれません

モーリィ氏と猫人のおじさんは、上司と部下というわけではありませんが、島長のモーリィ氏は島民を統括する立場でもあるため、上下関係ははっきりしているようです
猫人のおじさんは元は島外から来た方のようですが、長年島のために活動してきた功績もあり、モーリィ氏は猫人のおじさんを優秀な部下のように扱っている節はあります

―トコナツ火山 踏破率[0/10] 持久力[10/10]

 溶岩の川「」ドロドロ

クロシュ「んゅ……」

レッド「クロシュちゃん、そろそろ炎化した方が良いよ。ここから先はすごく熱い」

クロシュ「うん……」

 デロデロ……カッ

炎クロシュ「……」チリチリ

レッド「わぁ……いつ見てもかっこいいなあ」

妖精「お腹は減ってない?」

炎クロシュ「うん……まだ大丈夫……」

 ☆炎化しているとお腹が減るため、毎ターン持久力が追加で[1]減少します
  探索中の場合、通常の減少と合わせて合計で[2]減ることになります

↓1コンマ
01-10 踏破率+2、強敵
11-30 踏破率+2、敵襲
31-50 踏破率+3、野生のファイアメロン(持久力+2、戦闘コンマ+10)
56-70 踏破率+3、溶岩魚(持久力+4)
71-90 踏破率+4、炎精の加護(戦闘コンマ+20)
91-00 踏破率+4、???

―トコナツ火山 踏破率[3/10] 持久力[8/10]

 溶岩「」ドロドロ

炎クロシュ「……」ツンツン

 溶岩「」ドロドロ

炎クロシュ「わあ……」

レッド「溶岩、ドロドロでしょ。普段の姿で触っちゃだめだよ、絶対」

炎クロシュ「うん」

妖精「その姿だと熱くないの?」

炎クロシュ「んー……ぽかぽかする」

妖精「わからん……」

レッド「妖精さんは大丈夫なの?」

妖精「ん、まあね。無策にドボンって突っ込んだりしたらやばいと思うけど、ちゃんと力の流れを調整すれば平気だよ」

レッド「すごいなあ……」

妖精「自然の力は私たちの味方だもん。妖精特権だね」

 *

 トコトコ モニョモニョ パタパタ

炎クロシュ「!」

 野生のファイアメロン「」メラメラ

レッド「あ、これファイアメロンの原種だよ!」

炎クロシュ「……ちっちゃくて、細長い……?」

妖精「麓で売られてるのは、食用として品種改良されたやつってこと?」

レッド「そういうこと。食味は劣るけれど、炎魔力はこっちの方がたっぷり詰まってるんだよね」

妖精「そうなんだ」

レッド「うん。せっかくだし食べていこうよ。今のクロシュちゃんなら、ファイアメロンの炎魔力を吸収できると思う」

炎クロシュ「うん……!」

 モニョモニョ モグモグ ゴクン

 ☆野生のファイアメロンを食べました
  持久力が2回復し、この探索における次回戦闘コンマが+10されます

 *

―トコナツ火山 踏破率[3/10] 持久力[10/10]

↓1コンマ
01-10 踏破率+2、強敵
11-40 踏破率+2、敵襲
41-70 踏破率+3、溶岩魚(持久力+4)
71-90 踏破率+4、炎精の加護(戦闘コンマ+20)
91-00 踏破率+4、???

―トコナツ溶岩洞 踏破率[6/10] 持久力[8/10]

 溶岩「」グツグツ

妖精「うひぃ、すごい熱気……!」

レッド「洞窟の中は熱がこもるから……。でも、ここも前はここまで熱くはなかったんだよ。人間の冒険者でも、耐熱鎧を着ていればなんとか耐えられるくらいの熱だったんだけど……」

妖精「今のここはあの耐熱鎧を着てても蒸し焼きになっちゃうよ……! 妖精の私ですらけっこうしんどいもん……!」

炎クロシュ「……わたしたちだけで来て、良かった……?」

妖精「そうだね……。戦力に不安はあるけれど、あの子たちを無理に連れて来なかったのは大正解。戦力に不安はあるけれど」

レッド「大丈夫。何かあっても、ボクが二人を守るよ」

 *

 溶岩「」グツグツ
 魚影「」ドポンッ

炎クロシュ「!」

レッド「何かいるね。あれは……溶岩魚かな?」

炎クロシュ「……」ジュルリ

レッド「捕まえてみよう!」

 *

レッド「クロシュちゃん!」

炎クロシュ「うん!」バッ

 バシッ
 溶岩魚「」ビチビチ

妖精「捕まえた!」

レッド「あ、クロシュちゃん気を付けて! 溶岩魚は危険を感じると――」

 溶岩魚「」ジュッ…!

炎クロシュ「わわ……!」

レッド「自己発熱するんだ! 今のクロシュちゃんでも熱いかも……!!」

 *

 焼き溶岩魚「」シュウゥ…

炎スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

妖精「杞憂だったみたいだね……」

レッド「う、うん……。ボクたちバーニングスライムでさえ凄く熱く感じるほどの発熱なんだけど……」

 ☆溶岩魚を食べて持久力が4回復しました

 *

―トコナツ溶岩洞 踏破率[6/10] 持久力[12/10]

↓1コンマ
01-10 踏破率+2、強敵
11-50 踏破率+2、敵襲
51-70 踏破率+3
71-90 踏破率+4、炎精の加護(戦闘コンマ+20)
91-00 踏破率+4、???

―トコナツ溶岩洞 踏破率[8/10] 持久力[10/10]

 溶岩の滝「」ドドドド…
 溶岩の川「」ドロドロ…

炎クロシュ「……」ザブザブ

レッド「……」モニョモニョ ザブザブ

妖精「溶岩の中を進まなきゃいけないなんて、とことん普通の生き物には向いてない道だなあ……」

レッド「モーリィさんが一人で頑張ろうとした理由、ボクにはわかるよ。ここの環境は、妖精さんが言ったように、普通の生き物には厳しすぎるもの」

妖精「うん……」

レッド「でも、もうちょっと説明とか、相談とかしてくれたら良いのにって思うよ。ボクみたいに溶岩の中でも動けるのがいるんだから」

妖精「昔からなんだよ。誰の手も借りたがらないんだ、あいつ。危険が伴うことなら尚更ね。あいつなりにみんなを守ろうとしてるのはわかるんだけど――」


炎クロシュ「!」バッ

 溶岩を纏う巨大ザリガニ「」ヌッ

妖精「えっザリガニ!?」

レッド「溶岩ザリガニ!? でもこんなに大きいのは――」


 ――戦闘開始 溶岩ザリガニ――

↓1コンマ(メロンにより+10)
01-10 痛恨 持久力-4
11-30 劣勢 持久力-2
31-90 優勢
91-00 ?? 勝利

溶岩ザリガニ「」ヌオッ
 溶岩ハサミ「」シャッキン

妖精「ひゃああ!!」パタパタ

レッド「このお!」ピョンッ

 ベチッ ジュッ

溶岩ザリガニ「!」アチチ

炎クロシュ「!」シュバッ
 メイドブレード「」ギラッ

溶岩ザリガニ「!」
 溶岩ハサミ「」シャキンッ

 ガギンッ!!

炎クロシュ「……!!」ギギギ
溶岩ザリガニ「……!!」ギギギ

妖精「クロシュとザリガニの……鍔迫り合い!」

レッド「援護するよ!」ピョンッ


↓1コンマ(メロンにより+10)
01-10 痛恨 持久力-4
11-30 劣勢 持久力-2
31-90 勝利
91-00 ?? 勝利

炎クロシュ「……!!」ギギギ
溶岩ザリガニ「……!!」ギギギ

レッド「凍っちゃえ!」ギンッ

溶岩ザリガニ「!?」ガチンッ

妖精「えっ!? 溶岩を纏ったザリガニを、離れた距離から一瞬で凍らせた!?」

溶岩ザリガニ「――」グググ

レッド「まだ! 溶岩と共に生きる者はこの程度じゃ止まらない! クロシュちゃん、トドメを!」

クロシュ「!」コクッ

 メイドブレード「」ブンッ

 ズバッ

 ――戦闘終了――

 焼き溶岩ザリガニ「」ジュゥゥ…

炎スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

レッド「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

妖精「この熱いのに、よくもまあこんな溶岩まみれのザリガニを食べられるなあ……」

レッド「美味しいよ? 妖精さんは食べないの?」

妖精「じゃあ、少しだけ……」

 焼き溶岩ザリガニ「」

 モニョモニョ モグモグ…

 ☆溶岩ザリガニを食べました
  持久力が3回復し、この探索における次回戦闘コンマが+10されます

 *

―トコナツ溶岩洞 踏破率[8/10] 持久力[13/10]

↓1コンマ
01-10 踏破、強敵
11-70 踏破
71-90 踏破、炎精の加護(戦闘コンマ+20)
91-00 踏破、???

―トコナツ火山 山頂付近 踏破率[10/10] 持久力[10/10]

 ヒュオオオオオ―

レッド「もうすぐ山頂だよ!」

 ギンッ ギギンッ
  ドゴオッ バシュンバシュンッ!!

妖精「! この音は――」

レッド「山頂で戦ってるんだ! たぶん、モーリィさんと――」

妖精「例の魔物!」

レッド「うん! 急ごう!」

 *

―トコナツ火山 山頂

 火口「」ゴゴゴゴ…

火竜モドキ「ギャオオオオッ!!」バサッバサッ

 火球「」ゴウッ!

モーリィ「チィッ!」タンッ

火竜モドキ「」シュバッ
 火竜の爪「」グオオッ

モーリィ「くっ! この図体でなんて速さだ!」ガッ

火竜モドキ「ググググッ…」ギギギ

モーリィ「火トカゲ如きが、誇り高き火竜の猿真似など……!」ギギギ

火竜モドキ「ギャオオオオッ!!」グアアッ

 ガシッ

モーリィ「ぐあああ!!」ミシミシ

火竜モドキ「ギャオオオンッ!!」

モーリィ「ぐ、う……!」ミシミシ


モーリィ(私は……こんなところで……何も守れず、無駄死にするのか……?)

モーリィ(ふざけるな……!! それなら――こいつの、手足や翼の一つ二つくらい、道連れに――)


火竜モドキ「!?」ガチンッ

モーリィ「なっ……私を押さえつけていた火竜の体が、突然凍結した!?」


妖精「モーリィーーっ!!!」パタパタ

炎クロシュ「!」トテトテ

レッド「長くはもたない! すぐに離れて、モーリィさん!」モニョモニョ!


モーリィ「お前たち!? なぜここに!?」

妖精「話はあと! 一緒に戦うよ!」

炎クロシュ「うん!」

モーリィ「……すまない、助太刀を頼む!」


火竜モドキ「グググ……ギャオオオオンッ!!」ピキピキ…ゴウッ!!


 ――ボス戦闘開始 火竜モドキ――

↓1コンマ(ザリガニにより+10)
01-10 痛恨
11-60 劣勢
61-75 優勢
76-90 人間組参戦
91-00 ??

火竜モドキ「ギャオオオッ!」バッ

炎クロシュ「!」シュタタッ
 メイドブレード「」ギラッ

 ガギギンッ!

火竜モドキ「……」ジロッ

炎クロシュ「!」

モーリィ「避けろ!」

 火竜モドキの爪「」グオオッ

炎クロシュ「!」
 デロロッ!

炎スライムクロシュ「!」デロッ

 火竜モドキの爪「」モニョッ

モーリィ「スライムの姿になって衝撃を緩和するとは……やるな!!」



レッド「氷よ!」ギンッ

火竜モドキ「!」サッ
 火竜モドキのいた場所「」ガキンッ

レッド「うう、もう学習されちゃってる……!」

妖精「そっか! 一瞬で凍らせてるわけじゃないんだ、それ……!」

レッド「うん……! 魔力の流れを把握されると、簡単にバレちゃうんだ……!」

モーリィ「なら奴の動きを止めれば良いのだな!?」

レッド「うん! 動きを止めるための魔法なんだけどね!」

モーリィ「体を凍らせられるというのは、動きが止まるだけでなく体内へのダメージも大きい。積極的に狙え、隙は私が作る!」

レッド「う、うん! お願い!」

炎スライムクロシュ「!」モニョニョ!

レッド「うん、クロシュちゃんもお願い!」

↓1コンマ(ザリガニにより+10)
01-10 痛恨
11-60 劣勢
61-75 優勢
76-90 人間組参戦
91-00 ??

ザリガニパワーで不思議なことが起こります

↓1コンマ
01-30 人間組+レイ参戦
31-60 人間組+フメイ参戦
61-90 人間組+セイン参戦
91-00 全員参戦

妖精「風よ――クロシュたちの背を押せ!」ヒュルルッ

モーリィ「追い風の加護か……!」

炎スライムクロシュ「!」モニョモニョ

モーリィ「ああ。炎は風を受けて、さらに激しく燃え上がる……! 行くぞ!」バサッ

炎スライムクロシュ「!」シュバッ


火竜モドキ「……!」

モーリィ「ぬん!」シャッ

火竜モドキ「!」ガギンッ

炎クロシュ「!」バッ
 メイドブレード「」ギラッ

 火竜モドキの翼膜「」ズバァッ!!

火竜モドキ「ギャオオオオオっ!!!」

モーリィ「痛いか! だがお前の無益な手すさびで滅ぼされた草木の痛みはこんなものではないぞ……!!」

火竜モドキ「ググググッ……!!」


妖精「レッド!」

レッド「凍れえ!!」ギンッ


火竜モドキ「ギッ……」ガギンッ

モーリィ「今だ! 畳み掛けろ!」グオオッ

炎クロシュ「ん!」シャキンッ

 ガッ ガガガッ
  バゴンッ ドッギャァン!!


火竜モドキの残骸「」プスプス…


モーリィ「はあ、はあ……」

炎クロシュ「……」

モーリィ「……気を付けろ。似姿と言えど火竜。簡単に死ぬとは――」


妖精「危ない!! そいつの内側から、星の力が――」

炎クロシュ「!」

モーリィ「!」バッ

 カッ
 バシュウウウウウンン――…

星竜モドキ「……」ゴゴゴゴゴ

炎クロシュ「ん、ゅ……」プスプス…

モーリィ「くっ……すまん……守り、切れ……」ガクッ

星竜モドキ「……」ズシッズシッ


レッド「あ、ああ……こ、凍れ! 凍れえ!!」ギンッギンッ


星竜モドキ「……」ペキン パキン


レッド「凍れえええ!!!」ギンッ


星竜モドキ「」ポキン… ゴウッ

 星のブレス「」ゴオオッ

 ブワッ
レッド「んぎゅっ……」キュウ…


妖精「そ、そんな……あいつ……星の力を……完全に使いこなして……」


星竜モドキ「……」ズシッズシッ

炎クロシュ「……」キッ


妖精「だ、だめ……クロシュ、逃げて……!!」


星竜モドキ「」ゴウッ

 星のブレス「」ゴオオッ

炎クロシュ「……!!」ギュッ

 カッ!!!!
 炎の壁「」シュゴオオオオオ!!!!
 炎の壁に阻まれる星のブレス「」ゴゴゴッ…!


炎クロシュ「ふぇ……」


フメイ「クロシュ! 怪我、ない!?」タタタッ

炎クロシュ「フメイ、ちゃ……?」

アリシラ「うふふ、私もいるよぉ?」スタスタ

妖精「フメイ……アリシラ……!」


エバンス「俺たちもいるぞ!」シュバッ

ローガン「待たせたな……!」ダンッ

イリス「クロシュちゃん!」シュタッ

ミスティ「来たわよ……助けに……!」シュタッ

妖精「みんな……!!」


伝説の溶岩エイ「キュゥーン」フヨフヨ


妖精「あれが……伝説の、エイ……!?」

エバンス「おう! フメイちゃんがエイを連れてきてくれたんだ!」

フメイ「ふん……お前たちの為じゃない……。クロシュが危ないって言うから……お前たちの作戦に乗っただけ……。それより、今は――」


星竜モドキ「グググググ……ギャオオッ!!」バサッ


炎クロシュ「……!」

フメイ「クロシュ……危ないから、下がってて」

炎クロシュ「んーん……まだ……戦える……! フメイちゃんと……一緒に、戦う……!」チリッ

フメイ「……! その姿……フメイの……?」

炎クロシュ「うん……フメイちゃんの、炎……わたしも……近づきたかった、から……!」チリチリ

フメイ「……ふふ……それじゃあ、一緒にいこ!!」チリッ


↓1コンマ(星竜覚醒-100、ザリガニ+10、エイの加護+30、仲間+100)
01-10 痛恨
11-60 劣勢
61-00 勝利

星竜モドキ「ギャオオオンッ!!」

 星のブレス「」ゴオオオオッ
 炎の壁「」シュゴオオオオッ

フメイ「クロシュはこれ以上傷付けさせない……!!」チリッ

炎クロシュ「フメイちゃんも……傷付け、させない……!」シュタッ

 *

イリス「あのブレス……まさか!!」

アリシラ「うふふ……あれこそが、世界の創造と破壊を司る純粋な力……星の魔力」

イリス「!! や、やっぱり……!」

アリシラ「ねえ、この戦いが終わったら……私たちに、あの力を譲ってくれない?」

イリス「え、そ、それはダメです! あれは、世界樹の大切な力で……」

アリシラ「ありがと! 世界をブッ壊したら改めて恩を返すね!」シュバッ

イリス「あああ!! ダメって言ったよね私!?」

 *

レッド「きゅう……」

ミスティ「大丈夫!? ってあつっ! こ、これが本来のあなたの熱なのね……!」

レッド「ご、ごめんね……。あれ……どうして、キミたちが……」

ミスティ「助けに来たのよ! ごめんなさい、あなたのこと冷やしても良いかしら……!? このままじゃ持ち運べなくて……!」

レッド「あ、だ、大丈夫……自分のことは……自分で冷やすよ……」ギンッ

 カチコチ…

レッド「いつつ……」

ミスティ(一瞬で、ムラなく全身を冷やした……。私の氷魔法とは練度が違う……いえ、練度だけの問題……? 根本的に、氷魔法の使い方が違っているような……)

レッド「こ、これで……持てる……?」

ミスティ「あ、え、ええ……。安全なところへ運ぶわ! 少し我慢して!」

レッド「うん……」

 *

エバンス「モーリィ! 無事か!?」タタタッ

モーリィ「その、声……エバンスとかいう、小僧か……」

エバンス「どう見ても無事じゃねえな……! 悪いが背負うぞ!」グイッ

モーリィ「ぬう……どこを触っている……」

エバンス「んなこと言ってる場合か! 大体俺は年増は興味ねえよ!」

モーリィ「お前……後で、絶対に殺す……」

エバンス「ははっ割と大丈夫そうだな! しっかり掴まってろよ!」シュバッ

 *

炎クロシュ「!」シュタッ
 炎メイドブレード「」ゴウッ

 ズバッ
星竜モドキ「!」チリッ

 星竜モドキの尻尾「」ビュンッ

フメイ「クロシュ危ない!」

ローガン「させんっ!」バッ

 星竜モドキの尻尾「」ガギンッ

炎クロシュ「ローガンさん……!」

ローガン「一人で前に出るのは危険だ。私が共に行こう……!」シャキン

フメイ「むう……フメイとクロシュの二人で戦ってたのに……」

炎クロシュ「あ、えと、フメイちゃん……ローガンさんは、とっても、いい人で……」オロオロ

ローガン「フッ……」

フメイ「むうう……!!」

妖精「いやそんな話してる場合じゃないでしょ!!?」

星竜「……」ゴゴゴゴ


↓1コンマ(星竜覚醒-100、ザリガニ+10、エイの加護+30、仲間+100)
01-10 痛恨
11-60 劣勢
61-00 勝利

星竜モドキ「ギャオオオオオッ!!」ブンッブンッ

炎クロシュ「んゅ……!!」ガギンガギンッ

ローガン「くっ……! 攻撃が、苛烈さを増している……!?」ガギンッガギンッ

フメイ「こいつ……! 火の通りも悪くなってきてる……!」チリチリッ

妖精「星の力の使い方に磨きがかかってきてるんだ……! これ以上戦いが長引いたら……!!」

猫人の男「では、一気呵成に集中攻撃して仕留めるしかないということですね……!」シュバッ

妖精「あなたは……!」

猫人の男「申し訳ありません、到着が遅れました。行きますよ……!!」

 レイピア「」シャッ
 砂の刃「」バシュンッ

星竜モドキ「!」ズドドドッ ズバッ

猫人の男「まだまだ!」

 砂嵐「」ザアアア!!!
 流砂「」シャアアアア!!!

星竜モドキ「グオッ……!」グググッ


イリス「私も!! 雷撃よ!!」コオオオオ

 雷「」バチバチッ

星竜モドキ「グオオッ……!!」ビリビリ


フメイ「効いてる……! このまま、押し切れ……!!」カッ

炎クロシュ「……!!」タンッ


↓1コンマ(星竜覚醒-100、ザリガニ+10、エイの加護+30、仲間+100)
01-60 敗北
61-00 勝利

フメイ「クロシュ、炎の魔法は使える!?」

炎クロシュ「あ、えと……」


星竜「ギャオオオンッ!」

イリス「きゃああああ!」バシッ

妖精「イリス!!」


 精霊樹の杖「」クルクル…


炎クロシュ「!」パシッ

 デロデロポン!!

炎の魔女クロシュ「……うん! 使える……!!」

フメイ「クロシュすごい! じゃあ、一緒にいこ!!」

炎の魔女クロシュ「うん……!」

フメイ「ようし……せーの――」

炎の魔女クロシュ「――」

 カッ――

 ◆

―トコナツ火山 山頂

 ヒュオオオオオ…

スライムクロシュ「……?」モニョ

妖精「……クロシュ……」

スライムクロシュ「……?」モニョニョ?

妖精「……みんな、無事だよ……。大丈夫……」

スライムクロシュ「……」

妖精「私たちはさ……勝ったんだよ……。フメイと、クロシュの……炎の一撃で……。星竜には……」

スライムクロシュ「……?」

妖精「でも、その後……負けたんだ……」

スライムクロシュ「……??」

妖精「機会を伺ってたんだよ……アリシラが、ずっと……!」

 ◆

―少し前
 トコナツ山 山頂

 カッ
 ドオオオオオオオン――…

星竜モドキ「……」グラッ

 ドズゥ…ン

フメイ「はあ、はあ……勝った……。勝ったよ、クロシュ……!!!」

炎クロシュ「んゅ……」フラッ

フメイ「クロシュ……?」

 デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…

フメイ「クロシュ……お疲れさま……。ゆっくりお休み……」


星竜モドキ「」


フメイ「さて……」スクッ


妖精(あれ……? フメイたちの助力はすっごい助かったんだけど……これって、実はかなりまずい状況なんじゃ……)


アリシラ「うふふ……それじゃあ悪いトカゲさんがおねんねしたところで、星の力をもらっていっちゃおっか」ニコニコ

イリス「……!! さ、させな」

アリシラ「約束、したでしょ?」シュウゥン―

イリス「ひゃうん……」ドサッ


ローガン「くっ……!」シャキンッ

フメイ「……いい人なんでしょ? なら、フメイたちの気持ち、わかって」

ローガン「……いい人だからこそ……世界を滅ぼす君たちを、止めねばならん」

アリシラ「本当にいい人なら……悲劇を再生産し続けるこんな世界の存続なんて……望むわけないよね?」シュウン―

ローガン「はうっ……」ドサッ


猫人の男「な、なんなのですか君たちは!? どうして、こんなことを――」

アリシラ「うふふ……猫さん、かわいい……。ああ……あの集落にいた野良猫さんたちは、あれからどうなったのかなあ……」シュウン―

猫人の男「ふにゃっ……」ドサッ


妖精「お前たちの言ってること……わからなくもない……けど……!!」

妖精「それでも……諦めずに、悲劇に抗い続ける奴らもいるんだよ!! だから……だから――」

アリシラ「抗うことすらできず、苦痛にまみれながら死んでいく者たちは捨て置けって?」

妖精「!!」

アリシラ「ふふ……反論できないでしょ? 妖精さんは、本心では私たちの正しさを誰よりも深く理解してしまっている……。生の苦しみと悲しみを知っているがゆえに、私たちの考え方を否定できない……」

妖精「でも……!!」

アリシラ「うふ……妖精さんの、そういう不器用なところ、とっても良い……。クロシュちゃんのこと、これからも守ってあげてね……」シュウン―

妖精「う……」トサッ

 ◇

ローガン「」
イリス「」
猫人の男「」
エバンス「」
ミスティ「」
妖精「」

アリシラ「ふう。一丁上がりっと。流石にこれだけの戦の後だから簡単だったねえ」

フメイ「……トドメは刺さなくていいの?」

アリシラ「およ? フメイちゃんは刺したいの?」

フメイ「……」

アリシラ「んふふ……どうせ世界が壊れちゃえばハッピーエンドなんだから、過程なんてどうでもいいの。それにこの人たちを殺したら……クロシュちゃんが苦しむでしょ?」

フメイ「……うん」

アリシラ「も〜、暗い顔しちゃって! クロシュちゃんと一緒に魔法を使ってた時はあんなにイキイキしてたのに!」

フメイ「……」

アリシラ「……やっぱり、クロシュちゃんと一緒にいたいの?」

フメイ「……んーん。クロシュと一緒にいると……腑抜けちゃいそうだから、だめ。フメイは……やらなきゃ、だめだもん」

アリシラ「そう……。はあーあ……クロシュちゃんが私たちに賛同して一緒に来てくれたら、フメイちゃんのつらみも取れるのになあ」

フメイ「……クロシュに、こんな汚れ仕事はさせない。世界を壊すのは、フメイとあなただけで十分」

アリシラ「はいはい。使命感に燃えちゃってまあ……うふふ……」

 星竜の骸「」キラキラ…


アリシラ「さあて、この星の力だけれど……」

フメイ「……? いつもみたいに、アリシラが魔力吸収で奪うんじゃないの?」

アリシラ「んやぁ……ちょっと相性が悪いんだよねぇ……。できないこともないんだけどねえ……」

フメイ「……」

アリシラ「というわけで、さ……フメイちゃん」

フメイ「……わかった」

フメイ「フメイが、もらう――」

アリシラ「んふふ、ありがと! それじゃあ、あの光に手を伸ばして……。フメイちゃんなら、きっと制御できるはずだから。なんてったって、あれは星の魔力の、炎の断片だもの」

フメイ「……」

アリシラ「さあ、奪いなさい。世界の為に――クロシュの為に――!!」

フメイ「――」スッ

 星竜の骸「」キラキラ

 ブワッ―


フメイ「ん、く……うあああああ!!!!」ビリビリビリ

アリシラ「フメイちゃん、大丈夫。意識を、自分の魔力に集中して……星の力は、あくまで星の力……あなた自身とは、違う力……」

フメイ「ん、んんん…………!!」ビリビリ

アリシラ「そう、そう……魔力のコントロールが上手なあなたなら、星の力も使いこなせる……」

フメイ「ん、うう……!」ビリビリ

アリシラ「大丈夫……その力で……クロシュちゃんを、守るの……。クロシュちゃんを、守るの……」

フメイ「クロシュを……まも、る……」ビリビリ

アリシラ「そう……。いけそうだね……?」

フメイ「……」ビリビリ ビビ…

 シュンッ―

フメイ「……」コオオオ…

アリシラ「ふふ……うふふふふ……!! すごい……すごいよ、フメイちゃん……!! 5分の1とは言え……世界樹の果実の力を、自分のものにするなんて……!!」

フメイ「……クロシュの、ためだもん。クロシュのための……世界を、創るためだもん……」

アリシラ「ふふ……うふふふ……あはははははははは!!!!」

 ★フメイが星の力[炎]を獲得しました

 ◆

本日はここまでとなります。最後の最後でコンマに見放され、敗北……そしてアリシラさん大勝利!!となってしまいました

今回、致命的な運命を辿ったというわけではありませんので、運命賽は発動しなかったようです。いつ発動するんだよって感じですが、基本的にはクロシュちゃんを初めとする主要キャラクターが死亡または再起不能に陥った場合にのみ発動するようです。今回は誰もそのようなことにはならなかったので、運命的にヨシ!と判断されたようです

例えどれほど有利な状況でも、コンマ次第で黒星をあげてしまうことはあります。世の中なかなか上手くはいかないものです。まあでも運命賽と反魂丹はいっぱいあるので、誰かが死ぬ事態はたぶんそうそうないと思います。これからもクロシュちゃんたちの活躍を見守っていきましょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

今のアリシラ氏は邪悪な存在ですが、猫をかわいいと思ったり、ヤマイモ餅に舌鼓を打ったり、クロシュを不必要に苦しませる選択はしないでおいたり等、人間らしさのようなものはあるように見えます。本当に人の心があるのか、それらしいことを言って人間らしさを演じているのか、それは一緒にいるフメイにもよくわからないようです

もしフメイちゃんが星の力を全て手にした場合、とても大変なことになります。クロシュちゃんたちには、そうならないようにがんばっていただきたいものです
なお星の光を狙っている者たちは他にもけっこういるため、実際にフメイちゃんに全ての力が集中するという事態にはならないと思います。多分

アリシラさんの魔王部分をひっぺがす方法は今のところわかりません。歴史上の魔王存在の中でも非常に珍しいケースかと思われます。アリシラさん自身と対話をはかってみたり、識者の意見を仰いでみたりするのも良いかもしれません

星の力はフメイちゃんたちにいただかれてしまいましたが、実際島の危機はこれで去ったかと思われます。活性化していた火山活動も次第に落ち着いていくことでしょう

フメイ氏とアリシラ氏以外に星の力を狙う有力な候補者としては、やはりセイン氏とロイエ教原理派が挙げられます
純粋な戦闘能力はセイン氏が最も高かったのですが、現在はフメイ氏が力を獲得したことにより、そのパワーバランスが変動したかもしれません。状況を注視していきましょう

◆幕間◆

―トコナツ火山島
 武具屋

僧侶「この水着かわいくないですか? セインくんどう思います?」

セイン「さあ。僕に水着の良し悪しはわからない」

僧侶「もー、セインくん自身がどう思うかを聞きたいんです!」

セイン「……少し、破廉恥だと思う」

僧侶「きゃーっ! ハレンチ! セインくんもハレンチと思う感情があるんですねえ!」キャッキャ


スキュラの店員「……アナタ……いい加減にしなさい……。男の子相手だとしても、それはセクハラよぉ……」ヌッ

僧侶「はァ? タコ足店員風情が口出ししないでください。それともタコ足族の中では客を中傷して売上を下げるのが美徳とされてるんですか?」

スキュラの店員「こっちにだって客を選ぶ権利くらいあるわぁ……。差別主義者はお断りよぉ……」

僧侶「チッ、これだから未開の後進国は……。興が削がれました。こんな店の薄穢い水着なんて買うもんですか。行きますよ、セインくん」スタスタ

セイン「……」スタスタ

 ◇

―トコナツビーチ

僧侶「ふうん……このフルーツポンチってやつ、後進国のデザートにしては悪くないですね」モグモグ

セイン「……世界樹の果実の光を探さなくて良いのか?」

僧侶「聞くところによれば、光は火口の溶岩の中へ落ちたらしいじゃないですか。そんなとこセインくんだって探せないでしょ」

セイン「短時間なら可能だと思う」

僧侶「……まあ私にも考えがあるんですよ。先日、光を喰らった魔物が凶暴化して山間部の村を襲ったという話を聞きました」

セイン「そうらしいな」

僧侶「ええ。山の村を襲ったということは、麓のこの街も襲うはず……。そこであなたの出番というわけです、セインくん」

セイン「そいつが麓に降りてきたところを討伐し、世界樹の光を回収するということか」

僧侶「そういうことです。ついでにここの島民に恩も売れて一石二鳥ってわけですね。ふふ……どうです? 完璧な作戦でしょ?」

セイン「その前に誰かが火山で討伐する可能性は?」

僧侶「あはは、ないですないです! だって5分の1とはいえ世界樹の果実の力を喰らった魔物ですよ? そんな化け物、セインくん以外のザコに勝てるわけないじゃないですか」

セイン「……どうだろうな」

僧侶「ふふ、とにかく私たちはその時までこの島で優雅に観光してれば良いんです。たまにはバカンスってのも良いでしょ?」

 ◆

―トコナツ火山島 滞在8日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]
・灼熱を制する方法を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□旧トコナツ村周辺
支神殿:避難所、簡易宿泊所、僧堂、書庫、食堂、大浴場、簡易商店
農村部:果樹園、宿屋、温泉、溶岩川、溶岩沼
山間部:熱帯雨林、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

↓1コンマ トコナツ火山クリアボーナス
01-60 マグマザリガニの甲殻
61-90 火竜の鱗
91-00 星竜の珠

―旧トコナツ村

 ワイワイ ガヤガヤ

若い村民「これはあっちに運んでくれ!」エッサホイサ

クロシュ「ん!」エッサホイサ

ローガン「任せたまえ!」エッサホイサ



熱帯アルラウネ「熱帯妖花の花蜜ジュースですよぉ〜。水分はこまめに補給してくださいねぇ〜」

熱帯妖精「んぐ、んぐ」ゴクゴク

妖精「こら、お前何も働いてないだろ!」

熱帯妖精「えーいいじゃん、喉かわいたんだよぉ」

熱帯アルラウネ「うふふ、いっぱいあるから大丈夫よぉ」



ミスティ「こっちではかき氷を作ったわ……。暑さにやられる前にどうぞ……」

猫人の男「ふう……ではお一つ頂きましょう……。ん……美味しい……!」シャクシャク

ミスティ「ふふ……その美味しさの9割はこの島のきび砂糖よ……」

レッド「わあ……! 氷魔法にこんな使い方があったなんて……!」

ミスティ「……あなたほどの使い手でも、かき氷の作り方は知らなかったのね……」



エバンス「この冷えて固まった溶岩を、砕いてかき混ぜれば良いのか?」

老いた村民「うむ……。この島の溶岩には、豊富な魔力と栄養が含まれておる……。砕いて土壌に混ぜれば、植物たちが喜ぶ肥料となろう……」

イリス「へえ〜、溶岩にそんな効能が……! 勉強になります……!」

エバンス「へへ、地属性魔法の見せどころだな」

イリス「ですね!」



伝説の溶岩エイ「キュゥーン」ヒラヒラ

包帯グルグルのモーリィ「……久しぶりだな。昨日はみっともないところを見せちまった」

伝説の溶岩エイ「キュゥキュゥ」ヒラヒラ

包帯グルグルのモーリィ「ああ、ありがとな。お前のお陰で、誰も死なずに済んだみたいだ。島の代表として礼を言わせてくれ」

伝説の溶岩エイ「キュキュ?」ヒラヒラ

包帯グルグルのモーリィ「ん? ああ……あの炎の子は、もう行っちまったらしい。礼も文句も言えず仕舞いさ……」

伝説の溶岩エイ「キュゥ〜ン……」ヒラヒラ

 ◆

―旧トコナツ村
 休憩所

妖精「ふい〜、疲れた疲れた……」

包帯グルグルモーリィ「すまないな、復興まで手伝わせてしまって」

妖精「前も言ったけど、これも私たちの責任だからさ。今のトコナツの現状と復興支援をするよう風の精霊に緑の国へ伝達を頼んだから、そう遠くないうちに物資が届くと思う」

包帯グルグルモーリィ「……先日ああ言ったが、世界樹の結界で出入りが厳しいんだろ? 大丈夫なのか?」

妖精「ま〜本音としては王国を排除したいだけだからね……ってやばっ、今のナシ! 鎖国はあくまで世界樹さんの都合でェ……」

包帯グルグルモーリィ「そんなことだろうとは思っていた。別に言いふらしたりする気はないから安心しろ」

妖精「うへえ、頼むよ……。まあ緑の国は、必需産業の自給率については十分すぎるくらいだから全然大丈夫だよ」

包帯グルグルモーリィ「そうか。ならば頼りにさせてもらうぞ」

 *

 星竜の珠「」キラキラ

イリス「……ん!? こ、これなに!? どこで拾ってきたの、クロシュちゃん!」

クロシュ「あ、えと……昨日の、竜さんを、食べてたら……体の中に……あって……。綺麗だから……食べないでおいた……」

イリス「そういえば、私が目覚めた時にはすっかり影も形もなくなってたけど……クロシュちゃんが食べちゃったんだ……」

クロシュ「うん……。美味しかった……」

イリス「そ、そっか……。でも、これは……」

 星竜の珠「」キラキラ

猫人の男「……おや、これは……!」ヌッ

イリス「あ、猫人のおじさん!」

 *

猫人の男「……あの、伝説の星竜に似た魔物が残した珠、ですと?」

イリス「は、はい! そうみたいなんです……!」

クロシュ「?」

猫人の男「元はただのトカゲだったらしいが……星の力によって、まさか珠を形成するに至るまで本物の星竜に近付いていたということなのか……? いやしかし、そんなことが現実に……」ブツブツ

イリス「え、ええと……?」

猫人の男「あ、ああ……すみません。何にせよ、これは星の魔力を秘めた非常に貴重な品なのは間違いありません」

イリス「星の魔力……! やっぱり……!」

 ☆星竜の珠を手に入れました

トコナツ火山島滞在8日目です。この行動が終わった後、麓の街へ戻ります
↓1〜3 自由安価 何をする?

―旧トコナツ村 空き地

イリス「さてと……」

 星竜の珠「」キラキラ

イリス「あの竜の魔物……星竜が吐いていたブレスは……星属性の力を、純粋な破壊力に転化したもの……」

イリス「私もあれが使えれば……この上ない強力な武器になるはず……!」

妖精「お、張り切ってどうしたの?」パタパタ

イリス「妖精さん!」

 星竜の珠「」キラキラ

妖精「あ! それ、あの竜の体内から出てきた珠!」

イリス「うん! クロシュちゃんに言って借りてきたの」

妖精「なるほどね。確かに星属性魔法の補助としては丁度良いかも。でも人間がそれをそのまま無加工で使うのはちょっと危ないかもよ?」

イリス「大丈夫、無茶な使い方をする気はないから。ちょっと力の雰囲気を掴むだけ」

妖精「まあ……私も見ててあげるから、試してごらん」

イリス「うん!」


↓1コンマ
01-10 バクハツ(経験?)
11-70 掴んだ!(経験4/4)
71-00 ????(経験☆)

イリス「……すぅー、はぁー……」

妖精「……」

イリス「……ん!」

 星竜の珠「」キラッ

イリス「はッ!!」キラッ

 星「」ピュンッ

妖精「わあ、かわいい。あれは……圧縮された星の魔力?」

イリス「う、うん……えへへ、星のイメージに引っ張られて星型になっちゃった」

妖精「まあいいんじゃない? 私は嫌いじゃないよ」

イリス「えへへ、ありがと。さて、撃ち出しには成功したから、今度は標的を定めて実際に攻撃魔法として使ってみます!」

妖精「おー」

イリス「すぅー……はっ!」キラッ

 星「」ピューン
 岩「」
 ドグシャッ―

 砕け散った岩「」シュウウウ…

妖精「威力は全然かわいくない……」

イリス「でも……できた! 星属性を、破壊の力として撃ち出す魔法……!」

妖精「おめでとう! 多分、これができる人間の魔法使いってほとんどいないから、胸を張って良いと思うよ!」

イリス「えへへ……でも、まだまだこれからだよ! 昨日の星のブレスはもっとすごかったもん! 私、もっと研究して強くなる……!」

 ☆イリスが星属性魔法を行使できるようになりました

 ◇

―旧トコナツ村 別の空き地

レッド「ボクの氷魔法を見せて欲しい?」

ミスティ「私の氷魔法とは、どうも使い方が全然違うような気がするのよ……」

レッド「そ、そうなのかな……?」

ミスティ「ええ……。良ければ、やり方を教えて欲しいわ……」

レッド「え、ええと……誰かに教えたことなんてないから、下手かもしれないけど……それでもいい?」

ミスティ「ええ、全然いいわ……」

 *

 凍った溶岩「」キンッ

レッド「なんて言えばいいのかなあ……。ボクの魔法は、自分の熱で誰かが傷つかないように、その熱を取り除くイメージというか……」モニョモニョ

ミスティ「熱を……取り除く……?」

レッド「うう、ごめんね……。上手く説明できなくて……」

ミスティ「いえ……十分よ……」


ミスティ(冷気を作り出すのではなく……熱を取り除く……?)

ミスティ(う、ううん……? それってどういうことかしら……?)


↓1コンマ
01-40 どういうことかしら…(経験2/4)
41-70 こういうことかしら…(経験3/4)
71-90 つまりこういうことね(経験4/4)
91-00 負属性(経験☆)

ミスティ「熱を……取り除く……」

レッド「そうだ! 試しにボクを凍らせてみてよ!」

ミスティ「え、ええ……? まあ、いいけれど……」

レッド「よおし、それじゃあセルフ冷凍を解いて……」シュボッ

レッド「いつでもどうぞ!」メラメラ

ミスティ「わ、わかったわ……」

 *

ミスティ「……はっ!」カッ

レッド「あ、ちょっと涼しくなった……」メラメラ

ミスティ「……これなら普通に冷気を出した方が冷えるわ……。やはり、まだやり方が間違っている……?」

レッド「でも最初の頃よりは涼しさが増してきてるよ!」

ミスティ「それならいいけれど……」

 ☆ミスティの氷属性経験が[2/4]になりました

 ◆

―旧トコナツ村
 食事処

 ワイワイ ガヤガヤ

若い村民「お疲れさん! いやあ、あんたたちが手伝ってくれて助かったよ!」

ローガン「礼には及ばん。これもまた我々の職務の一つだ」

クロシュ「ん」

エバンス「へへ、ここを発つ前に思い残しのないようにしておきたくてな」

包帯グルグルモーリィ「ほう……。では私も、お前たちがいなくなる前に禍根を断っておかなければな……」ヌッ

エバンス「げっ!」

包帯グルグルモーリィ「助けてくれたことには礼を言うが、無礼な発言を許したわけではない。表へ出ろ、小僧……」チリチリ…

エバンス「……いやいや、あんた大怪我してんだろ! 何をするぐああああ!!」

 エバンスの耳「」ギギギギ

包帯グルグルモーリィ「貴様程度、万全でなくとも十分だ」スタスタ

エバンス「あががが、た、助けてくれェローガンの旦那ァ!」ズルズル

ローガン「何を言ったのか知らんが……女性を怒らせるのは感心しないぞ、エバンスくん……」

エバンス「おああああぁぁぁ―――……」ズルズル



クロシュ「」オロオロ

ローガン「フッ……気にすることはない。エバンスくんも美しい女性に構われて本望だろう」

クロシュ「そうなの……?」

ローガン「うむ、そうなのだ」

若い村民「はは……実際、島長にあんな風に扱われる男なんて滅多にいないぜ。ある意味気に入られてんのかも」

熱帯アルラウネ「うふふ、そうねぇ……。意外と楽しんでるのかもねぇ……」

若い村民「まあ何にせよ、今日は俺の奢りだ! 好きなだけ飲んでってくれよ!」

ローガン「うむ……。それではご厚意に甘えさせていただくとしよう……」

 *

熱帯アルラウネ「はぁい、花蜜アイスカクテルお待ちどうさまぁ〜」

 花蜜アイスカクテル「」ゴトン

ローガン「おお……これが花蜜アイスカクテル……!」

熱帯アルラウネ「うふふ、お嬢さんの分もあるわよぉ」

 花蜜アイスカクテル「」ゴトン

クロシュ「わあ……」

ローガン「待った! この子はまだ未成年で……」

熱帯アルラウネ「あらぁ……? でもその子、スライムでしょう……?」

ローガン「そ、それはそうなのだが……」

クロシュ「?」

熱帯アルラウネ「うふふ、それなら大丈夫ですよぉ。スライムなら、例え子供でもおじさまより強いわぁ」

ローガン「そ、そうなのか……」

クロシュ「?」

ローガン「クロシュくん……お酒、飲んでみたいかね?」

クロシュ「……?? うん……のど、かわいた……」

熱帯アルラウネ「ほらぁ、この子もこう言っていることだし……何事も経験よぉ〜」

ローガン「う、うむ……。ではクロシュくん、もし異変を感じたらすぐに飲むのをやめるんだぞ。無理に飲み干そうとしなくて良いからな?」

クロシュ「……??? うん……」

 花蜜アイスカクテル「」

クロシュ「んへへ……いただきます……。んぐ、んぐ……」ゴクゴク


↓1コンマ
01-10 スライムなのによわよわだった
11-90 ウワバミスライム
91-00 ??

クロシュ「んぐ、んぐ……」グビグビ

 空ジョッキの群れ「」ガラン

クロシュ「ぷぁ……。んへへ……お酒、おいしい……」ニコニコ

若い村民「か、顔色一つ変わらねェ……! なんて娘だ……!」

熱帯アルラウネ「うふふ、言ったでしょう……? スライムはとってもお酒に強いのよお……」

ローガン「ま、まさかこれほどまでとは……。しかしどことなくいつもより笑っている気がする……一応、酔ってはいるのか……?」

クロシュ「おかわり、いい……?」

若い村民「お、おお! 好きなだけ飲んでくれって言ったからな!」

 ◇

 さらに増えた空ジョッキの群れ「」ガラン

クロシュ「んふー……おいしかった……」ニコニコ

若い村民「ひえぇ……一体何本開けたんだぁ……」

熱帯アルラウネ「ここまで飲んでもちっとも変化がないなんて……これは普通のスライムよりもさらに強いかもしれないわぁ……」

ローガン「う、うむ……。これは逸材かもしれん……」

 ◆

―夕方
 トコナツシーサイドホテル

暗黒給仕少女「ふう……借金と宿泊費とお気持ち救出料を払える程度のお金は貯まったわね……。さて、後はあいつらが帰ってくるのを待つだけだけど……」

暗黒給仕少女「……この金を返した後はどうしようかしら……。いつまでもここで給仕を続けるのは性に合わないし、やっぱり大陸に戻ってバーッと稼げる商売をしたいわ……」

暗黒給仕少女「う〜ん……」


伝説の溶岩エイ「キュゥーン」ヒラヒラ


暗黒給仕少女「……ん、んん!!? で、でかっ……でっかい、空飛ぶエイ!!?」


伝説の溶岩エイ「キュゥン」フヨフヨ

イリス「ありがと、エイさん! 帰りまで送ってくれて!」ストッ

ミスティ「ありがとう……いきなり呼び出させて悪かったわね……」ストッ

エバンス「本当に助かったぜ! ありがとな!」スタッ

ローガン「感謝する。エイ殿も、どうかお達者で」スタッ

妖精「みんなを送ってくれてありがとね。あなたに、精霊の加護がありますよう……」パタパタ

クロシュ「えと、ありがと、エイさん……!」


伝説の溶岩エイ「キュウ、キュウ」モジモジ

クロシュ「ふえ……? フメイちゃん……?」

伝説の溶岩エイ「キュゥン」フヨフヨ

クロシュ「うん……きっと、大丈夫……。フメイちゃんは……わたしの、大切な友達だから……」

伝説の溶岩エイ「キュゥ〜」フヨフヨ

クロシュ「うん……。ここで……お祈り、しててね……」

伝説の溶岩エイ「キュゥ〜ン」フワッ ヒラヒラ…



イリス「行っちゃったね……」

ミスティ「不思議なエイだったわ……」

妖精「クロシュ、あのエイの言葉がわかったの?」

クロシュ「うん……。フメイちゃんのことが……心配だって……」

妖精「そうなんだ……」

エバンス「あのエイ……フメイちゃんが見つけてきてくれたんだよ。溶岩沼の底に溶岩洞が拡がってて、その先で眠ってたんだと」

妖精「……だから、フメイのことを心配してるのかな? 自分を……見つけて、起こしてくれたから……?」

ローガン「あのエイ殿と、フメイくんの間にどのような対話があったのかは我々にはわからぬが……。クロシュくんたちの命も、この島も命運も、かのエイ殿の助力なしには守れなかったのは確かだろう……。星の力こそ奪われてしまったが……決して、悪い結果ばかりというわけではないと私は思う」

妖精「そうだね……。前向きに考えていこう! 星の力は取られちゃったけど、5分の1じゃ世界を滅ぼすには全然足りないはずだもん!」

イリス「うん! 次は私たちが先に回収しちゃえば良いんだよ!」

ミスティ「……フメイに取られた分は、いつかまた説得なり何なりで取り返せば良いわ……。クロシュが泣いて頼めば、きっと返してくれるわよ」

クロシュ「ふえ……? 泣いて、頼むの……?」

妖精「……まあ、今回クロシュと一緒に戦ってた時のフメイ、すっごい嬉しそうだったもんねえ……。あの様子なら、がんばれば説得できそうな気がするよ、うん」

クロシュ「……うん! 説得、する……!!」

暗黒給仕少女「……なんかよくわかんないけど、一仕事終えたみたいね。あんたたち」

イリス「わっ! 待っててくれたの!?」

暗黒給仕少女「待てと言ったのはあなたたたちでしょうが。ちゃんと稼いだわよ、ほら」スッ

 お金袋「」ジャラッ

妖精「どれどれ……うん、魔導飯盒の差額分と、これまでの宿泊費と、お気持ち分の救出料はちゃんと入ってる」

暗黒給仕少女「これでいいわよね?」

イリス「うん、ありがとう! これからどうするの?」

暗黒給仕少女「……」


↓1コンマ(これまでの交友により+30)
01-10 あなたたちに関係ある?
11-40 適当に稼いで島を出るわ
41-00 大陸まで連れてって♡

暗黒給仕少女「……大陸まで、連れてって欲しいな♡」

妖精「……」

エバンス「……」

ローガン「……」

ミスティ「……」

イリス「え、ええと……」

クロシュ「?」

暗黒給仕少女「だ、だめ?」

妖精「運ぶのはクロシュだから……」

ミスティ「そうね……。クロシュ次第よ……」

クロシュ「えと……いいよ……? あ、でも……悪いことしちゃ……だめ、だよ……?」

暗黒給仕少女「!」パァァァ

イリス(わあ、すっごい嬉しそう……)

暗黒給仕少女「ありがとうクロシュ!! あんたはやっぱり一番世の中のことがわかってる! 最高のスライムよ!!」キャッキャ

クロシュ「ふえ……」

 ☆暗黒給仕少女を大陸まで送り届けることになりました

 ◆

―トコナツ火山島 滞在最終日

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇暗黒少女 [悪徳商人]
 武:ステーキナイフ  盾:         飾:貝殻の髪飾り
 武:         防:給仕のエプロン  飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・星竜の珠

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]
・灼熱を制する方法を探す

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□トコナツ火山島
沿岸部:シーサイドホテル、トコナツビーチ、海の家、海市、港、灯台、他
市街地:武具屋、雑貨屋、お土産屋、宝石屋、食材屋、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
□旧トコナツ村周辺
支神殿:避難所、簡易宿泊所、僧堂、書庫、食堂、大浴場、簡易商店
農村部:果樹園、宿屋、温泉、溶岩川、溶岩沼
山間部:熱帯雨林、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

―朝
 トコナツシーサイドホテル

 チュンチュン

暗黒少女「ふいー、このホテルとも明日でお別れか〜」

若女将「もうお別れなんですねえ……。寂しいです〜」ヨヨヨ

暗黒少女「ったく、散々こき使ってくれちゃって……。まあでも、接客の基本とか、お客様満足度の上げ方とか、学べたことは多かったわ」

若女将「ふふ、大陸に戻っても頑張ってくださいね。悪い商売はメッですよ?」

暗黒少女「ま、まあ善処するわ……」

 *

ローガン「さて……出発は明日だが、やり残したことはないかね?」

イリス「や、やり残したことかあ……! 実をいうと、まだまだいっぱい観光したかったというか……」

エバンス「俺もだ……。仕事でも海の向こうまで行くことは滅多にないからな……」

ミスティ「……そうね……生まれて初めての海外……まだまだやりたいことはあるわ……。でも……」

イリス「うん……観光は、この任務が終わってからでもできるもんね……!」

ミスティ「ええ……。全てが終わったら、今度は本当の観光客としてのんびりしてみたいわね……」

エバンス「おう……! 今は、集中すべきことに集中するぜ!」

 *

―トコナツビーチ

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


レッド「そっか……もう行っちゃうんだね、クロシュちゃんたちは……」

クロシュ「うん……」

妖精「短い間だったけど、いろいろありがとね」

レッド「こちらこそ! ボクも、一緒に冒険できる仲間ができてすっごく楽しかった! いろいろ終わったら、またここに来てね!」

クロシュ「うん……! えと、わたしも……スライムの、冒険仲間は、初めてだったから……嬉しかった……!」

レッド「クロシュちゃん……!」

クロシュ「んへへ……ありがと、レッドちゃん……!」


トコナツ火山島滞在最終日です。この行動が終わった後、島を発ちます
↓1〜3 自由安価 何をする?

―島長の家

包帯グルグルモーリィ「さて、一旦こちらの仕事も片付けねばな……」スタスタ

 バサッバサッ

包帯グルグルモーリィ「ん?」

ハーピィ記者「どもども、ハーピィ空輸です!」バサッバサッ

包帯グルグルモーリィ「お前は……魔族国の悪徳記者か。こんな時に何用だ?」

ハーピィ記者「はあ、竜族は変に記憶力がいいから嫌ですね。誰よりも速い私が配達の任を請け負ったってだけですよ」

包帯グルグルモーリィ「配達の任……?」

ハーピィ記者「支援物資ですよ。ほい、ご査収ください」スッ

 カバン「」ポン

包帯グルグルモーリィ「……一見普通のカバンだが、内部が異常な形になっているな。空間魔法で中身を拡張したのか」

ハーピィ記者「御名答。最速で大量の物資を運ぶにはこうするのが一番手っ取り早い……とウチの大将が仰せでしてね」

包帯グルグルモーリィ「驚いたな。魔族国にまだ空間魔法の使い手が残っていたとは。先の虐殺で、有用な術者は皆殺しにされたと聞いていたが」

ハーピィ記者「運よく王国の目を逃れた市井の術者がいたんじゃないですか?」

包帯グルグルモーリィ「フッ……まあ何にせよ助かる。フラナ・バイオレットに感謝の意を伝えてくれ。この恩は必ず返すと」

ハーピィ記者「ええ、もちろん。ウチが困った時は頼みますよ、ふふ……。それじゃ!」バサッ

 *

包帯グルグルモーリィ「支援物資を届けにひとっ飛びするか――」

 ヒュルヒュル…

包帯グルグルモーリィ「今度は誰だ?」

風の精霊「お届けものでーす!!」ヒュルヒュル

包帯グルグルモーリィ「お前たちは……緑の国から来たのか!」

風の精霊「うん!」

 世界樹の雫が入った瓶「」チャプン

包帯グルグルモーリィ「これは……世界樹の雫!」

風の精霊「そー! ひとまずこれだけでも先に運んで欲しいって言われたの! 水の精霊たちがどんぶらこどんぶらこって他にもいろいろ運んでるから、それもあと何日かで届くよ!」

包帯グルグルモーリィ「そうか……すまん、非常に助かる。この雫があれば、怪我人も傷ついた土壌も、迅速に治すことができる……!」

風の精霊「世界樹の精霊のやつはかなり渋ってたけどね! 果実を潰したせいでこんなことになったんだよーって言われて渋々納得してた!」

包帯グルグルモーリィ「そうか……。では、現首長代理のティセリアと、世界樹の精霊に感謝の意を伝えてくれ。困りごとがあれば、いつでも力になるとも」

風の精霊「わかった! 伝えとく! じゃーね!」ヒュルルッ

 *


包帯グルグルモーリィ「……フッ」

猫人の男「モーリィ」スッ

包帯グルグルモーリィ「コルトか。聞いていたか?」

猫人の男「ええ……。ありがたいことです。海の向こうからも、このような善意がここへ向けられるとは……」

包帯グルグルモーリィ「クク……緑の国はともかく、魔族国からも支援が来るとはな」

猫人の男「魔族国としては、今は一カ国でも味方が欲しいのかもしれません。モーリィは義理堅いですから」

包帯グルグルモーリィ「フッ……聞いたことはあるか? 魔族国を救ったダークヒーローの伝説を」

猫人の男「ダークヒーロー? そういえば、流れの吟遊詩人が、ダークヒーローイリスの歌を……はっ!?」

包帯グルグルモーリィ「その後、ダークヒーローは緑の国へ向かい、当時の腐敗した政権を破壊して、建国の太母を返り咲かせたそうだ……」

猫人の男「こ、これは――」

包帯グルグルモーリィ「そして此度、この国に支援物資を送ってきた二カ国は……ダークヒーローの軌跡となりし国……」

猫人の男「まさか!!!」

包帯グルグルモーリィ「ああ……あいつらだ!」

 ◆

―トコナツビーチ

クロシュ「……」ジッ

 星竜の珠「」キラキラ

レッド「クロシュちゃん、どうしたの?」

クロシュ「レッドちゃん。えと……これ、同化……できるかな、って……」

レッド「星竜の珠……! どうだろ……星竜の力ってものすごかったから、ちょっと危ないかも……」

クロシュ「うん……」

レッド「う〜ん……ちょっと試すだけ試してみるのはどうかな? 危なそうだったらすぐに引っ込めてさ」

クロシュ「!」

レッド「大丈夫、ボクが見てるから!」

クロシュ「うん……! じゃあ……試してみる……!」


↓1コンマ
01-65 トカゲ
66-95 星トカゲ
96-00 星竜

 デロデロ…ポン!

トカゲクロシュ「!」

レッド「わあ……火山の溶岩トカゲさんにそっくり!」

トカゲクロシュ「〜〜」モニョモニョ

レッド「あの星竜の元は溶岩トカゲさんだったんだって……。だから、もしかすると……」

トカゲクロシュ「!」モニョニョ

レッド「うん……星竜の珠の、本当の元の姿になっちゃったのかも……」

トカゲクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 *

トカゲクロシュ「」シャカシャカ

レッド「わあ、クロシュちゃん速い! すごい速さだよ!」

 水面「」パシャッ

トカゲクロシュ「」シュパパパパ

レッド「うわわ! クロシュちゃん水面を走ってるよ!」

トカゲクロシュ「」シュパパパパ

 ☆クロシュがトカゲに擬態できるようになりました
  トカゲ状態では、高速移動、水面移動が可能です(誰かを背に乗せている時は不可)

 ◆

というわけで、本日はここまでです。次回は魔王について調べてみよう編から開始となります

いろいろありましたが、トコナツ火山島編も終わりが近付いてきました。暴走する星の力、フメイたちとの共闘と別れ、暗躍する原理派……様々な因果の糸が絡み合い、物語は次の舞台へ――

モーリィさんやレッドちゃんとの別れ、やたらしつこく付いてくる暗黒少女、ダークヒーローの噂など、これから先も様々なことがあるかと思われますが、お酒を覚えたクロシュちゃんならきっと大丈夫です。ぐびぐび飲んで楽しくがんばっていきましょう

それでは本日もありがとうございました。次回ですが、土曜の更新がちょっとあやしいため、もしかしたら平日のどこかで時間を作って更新するかもしれません。よろしくおねがいします

土曜の更新があやしいため、とりあえず本日少しだけ更新していきます。よろしくお願いします

クロシュ氏は実際とても強くなってきています。星竜モドキどころか火竜モドキでさえ並の冒険者がかなう相手ではありませんでした。仲間たちやフメイちゃんと一緒だったとは言え、竜モドキと実質二連戦して勝ったのは誇って良いことでしょう

僧侶氏はバカンス気分だったようです。そのお陰で今回クロシュ一行とかちあうことはありませんでした。後でもっと偉い人に怒られるかもしれません
ウワバミだったりトカゲだったりと、今回のクロシュ氏は爬虫類と縁があったようです

負属性とは、負の力(ネガティブエナジー)を持つ属性のことを指します。氷属性は負属性の一つです
負の力についての研究はまだあまり進んでおらず、一般的にもほとんど知られていません。また、術者も正属性より少ない傾向があります
なお星属性は正の力(ポジティブエナジー)を持つ正属性に該当します。イリス氏が氷属性や闇属性などの負属性を扱えないのはこういうわけがあったりします

クロシュ氏は最近とても強くなってきていますが、同時に食べるごはんの量も増えてきているようです。星竜モドキの素材は価値のあるものが多かったのですが、ほとんどクロシュさんが食べてしまいました
エイさんはフメイちゃんの呼びかけで眠りから目覚めたらしく、フメイちゃんのことが気になっているようです

トカゲ状態の場合、引っ張るのも背に乗せるのと同じくらいの負担がかかるため、結局高速移動はできなくなってしまいます。トカゲ状態では敏捷性が大幅に上がりますが、筋力や持久力はそれほどでもないようです。逆に大亀は敏捷性がとても低いですが筋力や持久力がとても高いようです
ソリを引っ張る場合は、筋力と持久力と敏捷性を併せ持つ馬や巨犬の姿の方が適しているかもしれません

フラナ氏を一般魔族魔法使いと言って良いかどうかはちょっとわかりませんが、魔法の技量が世界的にもてもトップクラスなのは間違いないでしょう
なお今回登場した空間魔法ですが、これを施した者が誰なのかは今のところ不明です。時空に関わる属性はとても希少なため、出会えたら幸運かもしれません

―トコナツ火山島
 寄合図書館

 古びた本棚「」
 古びた本棚「」
 古びた本棚「」

イリス「おお〜、こんな図書館があったんですね!」

ミスティ「年季が入ってるわね……」

猫人の男「公的に運営されているわけではありませんのでね。私を含めた本好きの島民が共同で管理しているだけですから、一般的な図書館とは少し毛色が違うかもしれません」

ミスティ「ボランティアなのね……」

妖精「ありがとう、案内してくれて。さて……」

イリス「魔王について調べるんだよね?」

妖精「うん。人間の本は私には大きいから、手伝ってもらっていい?」

ミスティ「ええ……。そのために付いてきたんだもの……」

猫人の男「僕も協力しましょう」


↓1
01-60 絵本「あいの勇者とかなしみの魔王」
61-90 魔王図鑑
91-00 魔王憑依症

猫人の男「魔王についてなら確か、この辺りに……」ガサゴソ

イリス「わ、あるんですか!?」

猫人の男「これです。お探しのものかはわかりませんが……」スッ

 魔王図鑑「」ポン

ミスティ「魔王図鑑……」

妖精「図鑑か……。あいつに似たやつがいるといいけど……」

 *

 ペラッ

「目次」
・絶望の魔王
・狂気の魔王
・暗黒の魔王
・虚無の魔王
・夢想の魔王
・旋律の魔王
・記憶の魔王
・雷霆の魔王
・巨樹の魔王
・海難の魔王

 ペラッ

「絶望の魔王」
生前の姿は不明。
活動地域では、全ての植物が枯れ、動物は生気を失い、一帯全てが荒廃した。
国軍が討伐隊を編成して向かわせた数日後、討伐隊もろとも消息を絶った。

「狂気の魔王」
生前は、一人の街娼だったと言われている。
とある国の首都に突如として出現し、街中を狂気と混沌の渦に陥れ、人々の正気を奪い破壊活動に向かわせた。
当時の国に仕えた聖騎士が迅速に討伐を果たすも、聖騎士は魔王の呪いにより発狂。数年の療養生活の末、甲斐なく自死に至った。

「暗黒の魔王」
生前の姿は不明。
あらゆる光を抹消し、周辺地域一帯を完全なる闇の底に陥れた。光を標とする動植物の生きる術を奪い、大量死を招いた。
当時活動していたとされる光の聖女が討伐に向かい、闇を貫く極光で討ち祓ったとされる。

 *

妖精「う〜ん……それらしいのは見当たらないなあ……」

イリス「いろんな魔王がいたんだね……。すごいなあ……」

ミスティ「……ねえ、この巨樹の魔王って、もしかして……」

妖精「うん。魔王樹のことみたい。この本の作者は、◯◯の魔王っていう命名にこだわりがあったのかもね」

イリス「謎のこだわりだ……」

妖精「一応、全部に目を通した方が良いかな? ちょっと大変そうだけど……」

猫人の男「お持ち帰りして頂いても構いませんよ。我々には恐らく不要の本ですので」

妖精「え、いいの?」

猫人の男「はい。あなたがたはこの島を救ってくれた恩人ですから、これくらいは当然です」

妖精「それなら借りてっちゃおうかな。ありがと」

 ☆魔王図鑑を借りました
  自由行動などで読むことができます。なお役に立つかは不明です

 ◆

―トコナツ火山島 出発の日

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇暗黒少女 [悪徳商人]
 武:ステーキナイフ  盾:         飾:貝殻の髪飾り
 武:         防:給仕のエプロン  飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*3
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・星竜の珠
・魔王図鑑

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・星属性の練習[4/4](イリス)達成!
・氷属性の練習[2/4](ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□トコナツ火山島
沿岸部:シーサイドホテル、トコナツビーチ、海の家、海市、港、灯台、他
市街地:武具屋、雑貨屋、お土産屋、宝石屋、食材屋、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
□旧トコナツ村周辺
支神殿:避難所、簡易宿泊所、僧堂、書庫、食堂、大浴場、簡易商店
農村部:果樹園、宿屋、温泉、溶岩川、溶岩沼
山間部:熱帯雨林、溶岩川、溶岩沼、トコナツ火山

―朝
 シーサイドホテル

 チュンチュン

イリス「このホテルともお別れだね……」

エバンス「最初に見た時はギョッとしたが、実際泊まってみると居心地の良いとこだったぜ」

ローガン「うむ。また利用させていただきたいものだな」

若女将「うふふ、お待ちしております。いつでもいらっしゃってくださいね」

 *

―トコナツビーチ

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」



モーリィ「そうか、もう発つのだな」

妖精「うん。ぼけっとしてたらフメイたちにまた先を越されちゃうからね」

猫人の男「世界樹の光、ですか……。大変な使命を背負っているのですね、貴方がたは……」

イリス「……た、確かに考えてみたらかなりの大役ですよね!? わ、私なんかが一緒にいていいのかなあ」

モーリィ「今更何を言う、ダークヒーローイリスよ」

イリス「うぇ、うぇえええ!!?」

ミスティ「な、なぜそれを……」

レッド「ええっ!?」

暗黒少女「イリスって――」

エバンス「ダークヒーローイリスだったのか!!?」

モーリィ「魔族国、緑の国と繋がりがあり、妖精と行動をともにしているイリスという名のダークヒーロー……気付かんでいる方が難しいだろう」

レッド「」グサッ

エバンス「」グサッ

暗黒少女「そんなん知るわけないでしょ!」

ローガン「ま、まあまあ……緑の国の事情や妖精くんの出自についても馴染みがない者なら、気付けなくても無理はないさ」

イリス「やはは……アレは、悪徳記者の人が勝手に捏造した人物像でェ……」アセアセ

モーリィ「だが各国を救って回っているというのは事実だろう? ならば誇れ。胸を張れ」

イリス「はうっ……」

猫人の男「イリスさんだけではありません。貴方がた全員ですよ」

クロシュ「ほえ……?」

レッド「うん……そうだよ! クロシュちゃんも一緒なんでしょ? それなら、クロシュちゃんもダークヒーローだよ!」

クロシュ「わ……。じゃあ……妖精さんも、ミスティさんも、ローガンさんも、エバンスさんも……?」

レッド「もちろん! みんなダークヒーローだよ!」

ミスティ「そ、そうなの……? 数が多いとあんまりダークっぽくないんじゃないかしら……」

ローガン「ははは、細かいことは良いだろう。妖精一派率いるダークヒーロー集団というのも面白いじゃないか」

エバンス「ローガンの旦那って堅物そうに見えてけっこうノリ良いよな! 俺も賛成だぜ!」

モーリィ「フッ……それで良い。救い手なら笑え。善なることをしているのだから」

イリス「そ、そうですね……はい! ダークヒーローイリス、がんばります!」ニコッ

暗黒少女「ねえ、闇商人の私も半分くらいダークヒーローみたいなものじゃない?」

妖精「ダーク部分のことならその通りだね」

 *

大亀クロシュ「〜〜」モニョモニョ

レッド「わぁ……! クロシュちゃん、こんなにおっきなカメさんになれるなんて凄いや!」

モーリィ「改めて見ると壮観だな……。このカメの姿を初めて見た時は戦々恐々としたものだが、蓋を開けてみればまさかスライムの幼子だったとは」

猫人の男「はは……警戒して損しましたよ。でもこうして見ると、このカメの姿もいつもの姿と同様に愛らしさを感じます」

モーリィ「では気を付けて行け。あまり支援できずに悪いが、お前たちの幸運を祈っている」

妖精「うん、ありがとう。大丈夫、この島が今大変なのはわかってるからさ。トコナツ火山島に、精霊の加護がありますよう――」

レッド「クロシュちゃん、本当に気を付けてね! またいつか会える日を楽しみにしてるよ! 今度は、フメイちゃんも一緒に火山で冒険しようね!」

大亀クロシュ「〜〜!」モニョモニョ!

猫人の男「いろいろ大変だとは思いますが、どうか挫けずに。ここの熱に耐えられた貴方がたなら、どんな苦難も乗り越えられます。ご武運を」

イリス「はい! おじさんも、いろいろ手伝ってくれてありがとうございました!」

ミスティ「ありがとう……。あなたたちも、復興がんばってね……」

伝説の溶岩エイ「キュゥ、キュゥ〜」ヒラヒラ

エバンス「おっ、お前も見送りに来てくれたのか! へへ、言葉はわからんけどありがとな! フメイちゃんのことは任せろ!」

大亀クロシュ「〜〜!」モニョモニョ!

黒丸メガネのタコ人おじさん「おじさんからの餞別だよ! がんばってね、クロシュちゃん!」」スッ

 大鍋入りフヨフヨフルーツポンチ「」ドン!!!!

大亀クロシュ「〜〜!」モニョニョ!

ローガン「お、おお……! クロシュくんの航海中のおやつとしてありがたくいただこう!」

 ☆溶岩石のアミュレット(火耐性微増、トコナツ火山島の出入り自由)を人数分もらいました
 ☆お金を少しだけもらいました

 *

―トコナツ火山島 沖

 帆「」バサッ

大亀クロシュ「」スイスイ


暗黒少女「ああ、常夏の島が遠ざかっていく……」

ミスティ「来た時より、噴煙の量が減っているわね……」

妖精「星の力を失ったことで火山活動が元に戻りつつあるんだろうね。きっともう大丈夫だよ」

エバンス「なんだか良いことした気分だな。それ」

ローガン「フッ、気分ではなく実際に良いことをしたのではないか?」

イリス「そうですよ! 私たちは良いことをしたんです! そしてこれからも、良いことをしにいきましょう!」

エバンス「おう!」


大亀クロシュ「〜〜!」モニョモニョ スイスイ


――トコナツ火山島編 完

クリアボーナス
↓1コンマ
01-60 運命賽(致命的な運命を辿った時、直前の判定を振り直せる。一度使うとなくなる)
61-90 ↑+紅蓮の剣
91-00 ↑+会心賽(判定時に会心と書き込むと、コンマに関わらず最上の結果となる。一度使うとなくなる)

―大陸への海路

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:鉄の剣      盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇暗黒少女 [悪徳商人]
 武:ステーキナイフ  盾:         飾:貝殻の髪飾り
 武:         防:給仕のエプロン  飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・星竜の珠
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・氷属性の練習[2/4](ミスティ)

―海上

大亀クロシュ「」スイスイ


エバンス「一旦王国の港湾都市に戻るんだよな?」

妖精「うん。王国に入るのは嫌だけど、あそこの宿屋にいろいろ荷物を置いたままだからね」

ローガン「私の鎖帷子とかだな」

ミスティ「ソリもね……」

イリス「ソリがないと陸地の移動に凄く困っちゃうもんね……」

暗黒少女「ふうん……。港湾都市の次はどこに行く気なの?」

イリス「えっ?」

ミスティ「まさかその先まで付いてくる気?」

暗黒少女「違うわよ! ただの興味本位! 話を聞く限りじゃ命がけの旅みたいじゃない、そんなのは流石に御免よ」

エバンス「まあ、それが良いと思うぜ。嬢ちゃんはまだ若いんだから真っ当に働きな」

暗黒少女「うっさいわね、アンタだってまだ若造でしょ。まあ……詐欺師なんかに行き先を教えたくないってんなら別にいいけど……」

ローガン「露骨に不貞腐れたな」

暗黒少女「不貞腐れてないわよ!」

妖精「も〜、行き先くらい教えてあげるよ。次は――」


↓1〜3多数決
1.ユーシリア帝国[前スレ383]
(港湾都市 → 王国平原 → チカーバ → 東王国平原 → ユーシリア)
2.テラヌス・ウルス[前スレ385]
(港湾都市 → 芸術都市ミュージア → 砂漠[危険地帯] → テラヌス)


*3.オノゴロ諸島[前スレ373]
(ユーシリア帝国 → ??? → オノゴロ諸島)
*4.大陸西部上空
(港湾都市 → 国際商業都市イスファハーン → 大魔女帝国 → ???)
*5.トウゲン帝国
(オリシン王国 → 大山脈[超危険地帯] → 北部地方[超危険地帯] → リテン・ヘイヴン → トウゲン帝国)
*6.常闇の樹海[超危険地帯]
(魔族国 or 緑の国 or 王国平原 → 常闇の樹海)

(*が付いているものはまだ選べません)
(*3はユーシリア帝国編クリアで解放されます)
(*4はトコナツ編およびテラヌス・ウルス編をクリアで解放されます)
(*5、6は特定の条件を満たすと解放されます)
(温泉町トウゲン[前スレ379]はオノゴロ諸島にあるようです)
(今のクロシュたちの実力なら、危険地帯は無理なく突破できそうです)
(超危険地帯はまだ危ないです)

妖精「大陸西南の砂漠地帯。風の精霊たちが、最近の砂漠は日射量が異常すぎてみんな死んじゃうよ〜って嘆いてた」

暗黒少女「さ、砂漠ゥ!?」

イリス「日射量……ってことは――」

ミスティ「光属性、かしら……」

妖精「炎か光の二択だったけれど、炎がここだったから砂漠に落ちたのは光だね。恵みの陽光も、度が過ぎれば命を奪う害になる」

エバンス「セインの光魔法なんか直球でぶっ殺しに来る威力だもんな……」

暗黒少女「や、やめときなさいよぉ。ただでさえ危険な砂漠が星の光?とやらでもっと危険になってるんでしょ?」

妖精「それを正しにいくのが私たちの任務」

ローガン「安心したまえ。我々は死ぬ気などないし、そもそも君とは関係がないはずだろう?」

暗黒少女「そ、それはそうだけどぉ……」


大亀クロシュ「〜〜」スイスイ


暗黒少女「そ、そうよ! クロシュがかわいそうよ! こうやって大亀にして馬車馬の如くこき使っちゃって! どうせ砂漠でも炎天下の中ラクダにして乗り潰すつもりなんでしょ!!」

妖精「今まさにクロシュに乗せてもらってるあなたがそれ言う……?」

ミスティ「それに残念だったわね。砂漠ならソリが使えるから、クロシュには楽をさせてあげられるわよ」

暗黒少女「う、うぐぅ……」

エバンス「フッ、素直に言ったらどうだ? 俺たちのことが心配だって」

暗黒少女「う、うっさいわ! アンタたちなんて心配なわけないでしょうが!! もういい、クロシュとお話してくる!」プンスコ スタスタ


イリス「い、行っちゃった……」

ミスティ「まあ……クロシュのことを心配してるのは間違いなさそうね……」

ローガン「しかし砂漠か……。今の情勢はどのようなものだったか……」

エバンス「確か、テラヌス・ウルスっていう国が治めてんだよな」

妖精「テラヌスは光が落ちる前から干ばつでけっこう厳しかったみたい。光が落ちた今どうなってるかは……あんまり考えたくないなあ……」

 ☆次の行き先が砂漠のテラヌス・ウルスに決まりました

 ◇

ここから船旅ですが、既に一度行き来した航路なので、省略するかどうか選択することができます

船旅を省略する?
↓1〜3多数決
1.省略する
2.省略しない
3.短縮する(ランダムイベントと自由安価を1日分だけ行う)

それでは1日分のランダムイベントと自由安価だけ行います
1日分だけなので、道連れイベントは発生しません

↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-40 食料発見(コンマ)
41-60 物品発見(コンマ)
61-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

わあ。おめでとうございます

↓1〜2自由安価 起こった良いこと

突然の強い道連れ!
↓1コンマ
01-40 ハーピィ記者
41-80 金髪イケメンエルフ
81-00 星竜の落し子

―海上

大亀クロシュ「〜〜?」モニョニョ?


暗黒少女「ん? どうしたのよ、お宝でも見つけたの?」

大亀クロシュ「〜〜!」モニョモニョ!

暗黒少女「えっ……ああっあれは!!」


 巨大なサメの背びれ「」スイスイ


妖精「う、うわあああ!! あれはボーンクラーケンに並ぶ南の海の暴れん坊、メガロザメ!」

イリス「え、えええ!? ボーンクラーケンに並ぶ!?」

ミスティ「今回はセインがいない……! 私たちだけで戦わないと――」

 巨大なサメの背びれ「」ヌッ
 巨大なサメの背びれ「」ヌッ
 巨大なサメの背びれ「」ヌッ
 巨大なサメの背びれ「」ヌッ

妖精「あ、ああ……そんな……」

ローガン「4匹、だと……」

エバンス「嘘だろ……冗談じゃねぇぞ……!!」

ミスティ「くっ……! クロシュ、ごめんなさい! 周囲を凍らせる!」コォォ

 海氷「」ギンッ

イリス「こ、凍った! これなら――」

 巨大なサメの背びれ「」バギンバギン
 砕けた氷「」バギャッ
 巨大なサメの背びれ「」バギンバギン
 砕けた氷「」バギャッ

ミスティ「う、嘘……」

妖精「く、クロシュ……あなたは、もっと小さい姿になって、逃げて……!」

大亀クロシュ「〜〜!!」モニョモニョ!!

妖精「だ、だめだよぉ……このままじゃ、あなたが一番苦しい思いをして……」


溶岩エイ「キュゥ〜ン」フヨフヨ


イリス「えっ……? あなた、は……」

ミスティ「伝説の溶岩エイ……? 助けに来てくれたの……? でも、いくらあなたでも、あのサメ4匹を相手じゃ――」


溶岩エイ「キュゥ、キュゥ」ヒラヒラ
星竜の子供「……」ヒョコッ


エバンス「……? 何か、背に――」

ローガン「あれは……!?」


星竜の子供「……」ヒョコヒョコ

 カッ
 星のブレス「」ゴオオオオッ!!

 巨大なサメの背びれ「!!」っっっ
 巨大なサメの背びれ「!!」っっっ 
 巨大なサメの背びれ「!!」っっっ
 巨大なサメの背びれ「!!」っっっ


イリス「め、メガロザメが……逃げていく……!!」

暗黒少女「す、すごい……なんかわかんないけどすごいわ!!」

 *

―海上

溶岩エイ「キュウウ〜」

星竜の子供「……」ジッ

大亀クロシュ「〜?」モニョ?

星竜の子供「ギャオッギャオッ!」ゲシゲシッ

大亀クロシュ「〜〜!!」モニャニャ!!

暗黒少女「ちょ、ちょっと! あんた助けてくれたんでしょ!? なんでクロシュをいじめんのよ!!」

妖精「あ〜……親を殺された恨みだって……」

星竜の子供「ギャオオッ!」ゲシゲシッ

大亀クロシュ「〜〜…」モニョニョ…

妖精「エイさんに免じてぶっ殺してやらないだけ感謝しろ……だってさ……」

イリス「わ、わあ……」

ミスティ「伝説の溶岩エイ……顔が広いのね……」

 ☆溶岩エイと星竜の子供が一時的にパーティに加わりました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は不思議な海上の武具屋さんとの出会い編からです

なにはともあれトコナツ火山島編のクリアおめでとうございます。いろいろありましたが島の危機は去り、平和が訪れました。後は島民たちががんばってなんとかすることでしょう
そして次の目的地は砂漠の多民族国家、テラヌス・ウルスとなります。緑の国やトコナツ島とは異なり、光が飛ぶ前から国内問題を抱えている難しい国です。近年では魔族排斥の機運が少しづつ高まり始めているという噂もあります。クロシュはその砂漠の国で、一体何を為すのか――。

また、今回は惜しくも目的地になりませんでしたが、ユーシリア帝国も内部の情勢がかなり殺伐としているようです。テラヌス・ウルスともども、どうやら物語はシリアス方面へ一気にシフトしていく方向なのかもしれません。魔族排斥の機運もかなり高いらしいため、魔族国編並に殺伐としたストーリーになる可能性も実際あるといえるでしょう

そして世界樹の光よりも行き先が多いのは確かにその通りなのですが、何の成果も得られないということはありませんのでご安心くださいませ。ではなぜ行き先がそれ以上多いのか……それは物語を進めていけば、わかるときが来るかもしれません

しかしなぜトカゲの子がちゃんと星竜の子になっているのでしょうか……。それは彼と対話したりしなかったりすれば、もしかしたらわかるかもしれません。でもクロシュ氏のことは嫌いみたいなので、やっぱりわからないかもしれません。親の仇なので、仕方ないと思います

それでは本日もありがとうございました。次回は多分日曜日になるかと思います。よろしくおねがいします

砂漠は大変な場所ですが、未知の場所への行軍は面白みがあるものです。是非クロシュさんたちを応援してください
ハーピィ記者の実力は未知数ですが、実は強かったりするのかもしれません

芸術都市ミュージアは王国最大のエンタテインメントシティでもありますので、面白いことがあるかもしれません。お楽しみに

魔王図鑑に載っている魔王は既に倒されたものも多いため、今後登場する可能性は低いです
ただ、討伐が確認されていないものも何体かいるため、もしかしたら登場することもあるかもしれません

―海上

大亀クロシュ「〜〜…」モニョモニョ スイスイ

星竜の子供「ググググ……」プンスコ

溶岩エイ「キュウ、キュウ」フヨフヨ

星竜の子供「ギャオ……」



暗黒少女「親の仇ねえ。親の顔も名前も知らない私には理解できそうにない感覚だわ」

エバンス「お、奇遇だな。俺も親の名前も顔も知らん」

暗黒少女「へえ、あんたも?」

エバンス「まあ俺は世話になった人たちがいるから、あの星竜の子の気持ちもわからなくはないんだけどな」

暗黒少女「ふーん……」

エバンス「お前はいないのか? そういう、世話になった人とかは」

暗黒少女「さあ……どうだったかしら」

 *

大亀クロシュ「」スイスイ

 小さな商船「オーイ!!」

大亀クロシュ「?」モニョ?


妖精「ん……?」

ローガン「小型艇、か?」

ミスティ「海上で他の船とすれ違うなんて、珍しいこともあるものね」

イリス「あれ? でも近付いてくるよ?」

 *

―旅職人の船

行商妖精「こんにちは〜。こんなとこで会うなんて奇遇だねえ、旅人のみなさん〜」

妖精「あなたは……ウォーターポートで龍の顎の珠を売ってた妖精!」

行商妖精「えへへ、あのあと売れたよお〜。価値がわかる人っているもんなんだよねえ〜」

イリス「う、売れたんだ……」

ミスティ「良かったわね……」

妖精「それにしてもあなた、こんな船を持っていたの?」

行商妖精「これは職人さんのお船! 職人さんの代わりに、わたしが接客、販売をするっていう約束で乗せてもらったんだ〜」

ローガン「職人さん……?」

行商妖精「うん〜。奥にいるよ〜。職人さ〜ん」パタパタ


ドワーフの旅職人「うむ……」ノソッ


イリス「ドワーフの……職人さん!」

ドワーフの旅職人「いかにも……」

行商妖精「職人さんはすっごく口下手だから、わたしが代わりにお店を担当してるの〜」

暗黒少女「なるほど……不得意分野を補う為に商人を雇用したということね」

ドワーフの旅職人「うむ……」

行商妖精「そゆこと〜。わたしは職人さんのすてきな品物を売れてぇ、一石二鳥、適材適所、相互扶助ってことだね〜」

エバンス「とにかくドワーフの職人が作った良いモノを買えるってことだろ? せっかくだし見せてもらおうぜ」

行商妖精「んふふ〜、ゆっくり見てってね〜」


↓1〜3 選択 誰の何を新調する?
1.クロシュの武器
2.クロシュの防具
3.妖精の武器
4.妖精の防具
5.イリスの武器
6.イリスの防具
7.ミスティの武器
8.ミスティの防具
9.ローガンの武器
10.ローガンの防具
11.エバンスの武器
12.エバンスの防具
13.その他(自由安価)

エバンス「……」

 ボロボロの鉄の剣「」

ローガン「ふむ……丁度良い頃合いだったようだな」

エバンス「ああ。流石にこれ以上は戦えん。新しいのを用意しないとな」



イリス「……」

 ボロボロの精霊樹の杖「」

ミスティ「その杖……そろそろ限界ね……」

イリス「うん……。お師匠様から頂いた大切なものなんだけど、使えなくなったら意味ないしね」

クロシュ「あ……ごめんなさい……。わたしが……フメイちゃんに合わせて、無理に使ったから……」

イリス「なんか妙に焦げてると思ったらそれかあ!!! いや、元から限界は近かったし、結果的にそれで星竜を倒せたんだから良いんだけどね?」

妖精「……そろそろクロシュ用の魔法武器を用意した方が良いかもね」

ミスティ「そうね……。いつまでも借り物じゃ、魔女の姿に相応しくないわ……」

イリス「ふふ、それじゃあ私と一緒に杖を選ぼっか」

クロシュ「うん……」


↓1クロシュの新武器
01-90 竜珠の杖
91-00 ???

↓2 イリスの新武器
01-60 精霊樹の杖[改]
61-90 虹晶の杖
91-00 星晶の杖

↓3 エバンスの新武器
01-60 鋼の剣
61-90 魔銀の剣
91-00 大地の剣

 鋼の剣「」

エバンス「おっ、鋼の剣……ローガンの旦那が振り回してるのを見るとちょっと羨ましくなるんだよな」

ローガン「鋼は良いぞ。だがせっかくのドワーフ職人殿の直営店なのだ、普通の武器屋では買えないものを探してみても良いのではないか?」

行商妖精「そうだよ〜。剣ならこれがおすすめだよ〜」

 魔銀の剣「」ギラッ

エバンス「うおっ……! これは――」

暗黒少女「魔銀じゃないのこれ!」

ローガン「おお……! しかも丹念に研ぎ澄まされている……! これほどの品は滅多にお目にかかれないぞ……!」

行商妖精「んふふ〜職人さん会心の業物だよ〜。他のお店じゃこれより良い魔銀の剣はきっとないし、お値段もここよりお高いよ〜?」

エバンス「よし、買った!」

行商妖精「わぁ〜即決だぁ〜」

エバンス「これをこの価格で買えるってんなら悩む余地はねえぜ!」


暗黒少女「そういえばミスティの使ってる短剣も魔銀よね」

ローガン「ああ。魔銀は魔法の触媒としても優秀な性質を持っている。ミスティくんがあれを愛用しているのはそのためだろう」

暗黒少女「堅くて軽いってだけでもずるいのに、その上魔法についても優秀なんて、インチキな金属だわ……」

 ☆エバンスが魔銀の剣を装備しました

 *

ドワーフの旅職人「……その杖……見せてみろ」

イリス「えっ!? は、はい」ススッ

 ボロボロの精霊樹の杖「」

ドワーフの旅職人「……買い替える必要はない」スタスタ

イリス「ええっ!? ど、どこへ?」

ドワーフの旅職人「修復する……。待っていろ……」スタスタ

 *

 トンカントンカン ポン!

 精霊樹の杖[改]「」ピカピカ

クロシュ「わあ……!」

イリス「新品みたいにピカピカ……!」

ミスティ「すごい技術だわ……」

妖精「鍛冶職人かと思ってたけど、杖も直せるんだ……!」

ドワーフの旅職人「……治すついでに……魔脈を整理しておいた……。前よりも……魔力効率が上がっているはずだ……」

イリス「す、すごい!! ありがとうございます!」

ドワーフの旅職人「うむ……」

 ☆イリスの精霊樹の杖が精霊樹の杖[改]になりました

 *

ドワーフの旅職人「ところで……その、スライムの子が持っている……それは……?」

クロシュ「?」

 星竜の珠「」キラキラ

イリス「あ、これは、星竜……モドキの体内にあった珠、らしいです」

ドワーフの旅職人「星竜……モドキ……?」

 *

ドワーフの旅職人「ほう……。それで……その子も、杖を求めているのだったな……」

妖精「うん。クロシュ……スライムに使いやすい杖とかってある?」

ドワーフの旅職人「同化を会得しているスライムであれば……どんな杖でも使いこなせるだろう……。だが――」

クロシュ「?」

ドワーフの旅職人「……その、星竜の珠で……スライムにより適した杖を、作ることも可能だ……」

クロシュ「!」

イリス「本当ですか!?」

ドワーフの旅職人「ああ……」

ミスティ「……クロシュ、どうする? その珠、杖にできるらしいわよ……」

クロシュ「えと……」

妖精「どうせ他に使い道もないし、杖にしちゃえば? 売るにしても、本物の星竜の珠じゃないから安く買い叩かれるだろうしさ」

ドワーフの旅職人「だが、性質・性能は星竜の珠に限りなく近い。十分遜色のない杖が作れるだろう」

クロシュ「えと……じゃあ……お願い、します……」ペコッ

 星竜の珠「」スッ

ドワーフの旅職人「承った……」

 ◇

 トンカントンカン ポン!

 竜珠の杖「」キラキラ

クロシュ「わあ……」

ドワーフの旅職人「会心の出来だ……。受け取るが良い……」スッ

クロシュ「うん……ありがと……」ススッ

妖精「クロシュ、せっかくだし同化してみてよ」

クロシュ「うん……」

 デロデロ…モニョモニョ…ポン!

魔女っ子クロシュ「!」キラッ

イリス「わぁ〜!」

ミスティ「三角帽子に、竜の翼みたいな飾りが付いたわね……ふふ、クロシュなりの竜らしさを感じるわ……」

魔女っ子クロシュ「」フンス

イリス「ふふ、また魔法の練習しようね!」

魔女っ子クロシュ「うん!」

 ☆クロシュが竜珠の杖を装備しました

 *

―大陸への海路

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇暗黒少女 [悪徳商人]
 武:ステーキナイフ  盾:         飾:貝殻の髪飾り
 武:         防:給仕のエプロン  飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法の練習[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・氷属性の練習[2/4](ミスティ)

―夕
 小さな無人島

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」



エバンス「薪取ってきたぞ〜」エッホエッホ

ローガン「足りるか?」エッホエッホ

イリス「はい、ありがとうございます! それじゃあ火を――」

溶岩エイ「キュウウ――」ボッ

 焚き火「」メラメラ

イリス「わあ! つけてくれたの?」

溶岩エイ「キュゥン」

ミスティ「ふふ、ありがとう……」

妖精「……でも、そろそろ帰った方が良いんじゃないの? けっこう火山島から離れちゃったでしょ」

溶岩エイ「キュウ」

妖精「明日には帰る……? それならいいけど」

星竜の子供「ギャオ」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ


小さな無人島で野営します
↓1〜3 自由安価 野営中何をする?

―夜
 小さな無人島

星竜の子供「〜〜」ガツガツ モグモグ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ モグモグ


暗黒少女「体は小さいのによく食うわねえ」

エバンス「クロシュちゃん、なんか最近食べる量増えてないか?」

ローガン「それだけたくさん頑張っているということだな」

イリス「今日も一日中泳いでもらったもんね。本当にお疲れ様、クロシュちゃん」

ミスティ「……そういえば、星竜って本当は溶岩トカゲだったのよね? 子供まで星竜になっているのは変じゃない……?」

妖精「さあ……私にも何がなんだかわかんないよ」

溶岩エイ「キュウン」

妖精「えっ、そうなの?」

イリス「え、何? どういうこと?」

妖精「えと……あの星竜、死ぬ間際に全力を注いで卵を産んだんだって。それが孵ったのがあいつ……みたい」

ミスティ「ええっ!? でも卵なんて、あの時はどこにも……」

妖精「溶岩エイがすぐに隠しちゃったんだって。私たちだけならともかく、あの場にはアリシラもいたから。アリシラは多分、卵に分けた星の力も見逃してくれない」

溶岩エイ「キュウン……」

イリス「ああ……」

ミスティ「だから、あなたが面倒を見てあげているのね……」

 *

星竜の子供『……』

スライムクロシュ『……』

星竜の子供『……』

スライムクロシュ『えと……。ごめんね……』

星竜の子供『……なぜ謝る?』

スライムクロシュ『……わたし……あなたの、お母さんを……食べちゃった……』

星竜の子供『……だから何だ。貴様が謝れば、ママが帰ってくるのか』

スライムクロシュ『……』

星竜の子供『謝罪などいらぬ……。貴様たちは、ママより強くて……ママは、貴様たちより弱かった……それだけのこと……』

スライムクロシュ『……』

星竜の子供『……まだ何かあるのか』

スライムクロシュ『……』


↓1〜3 多数決
1.ごめんなさい
2.復讐は受けて立つ
3.自由安価

スライムクロシュ『……もし……わたしが、憎いなら……』

星竜の子供『……』

スライムクロシュ『わたし……いつでも……受けて、立つ……』

星竜の子供『……』

スライムクロシュ『……わたし……あなたの、ママを……殺して……食べたもん』

星竜の子供『……』

スライムクロシュ『……』

星竜の子供『……』ジワワ

スライムクロシュ『……』

星竜の子供『……ギャオオッ!!』バッ

スライムクロシュ『……っ』ギュッ

 ゲシッゲシッ ゲシッ…

 ◇

―朝
 小さな無人島

 チュンチュン

イリス「……ねえ、ミスティ……私たち、すっごく大事なことを忘れてない……?」

ミスティ「な、何よ……? 私は思い当たることなんて特にないけど……」

イリス「これだよ!」

 フリルワンピース水着「」ドン!
 スクール水着「」ドン!

ミスティ「こ、これがどうしたって言うのよ」

イリス「私たち、泳いでない! せっかく水着をもらったのに、写真を撮られただけだよ!」

ミスティ「そ、そうね……。せっかくだし、泳いでくれば良いんじゃないかしら……。ほら、ここはまだ熱帯だし、きっと気持ち良いわ……」

イリス「……ミスティは?」

ミスティ「私は、別に……。水、苦手だし……」

イリス「大丈夫!! 私が手取り足取り教えてあげるから!! 一緒にいこ!」

ミスティ「い、嫌! みんなにあんな格好見られたら死ぬ……!!」

イリス「大丈夫だよ!! 絶対かわいいから絶対大丈夫!!!」

 ◇

―小さな無人島 海岸

 バシャバシャ

イリス(フリルワンピ水着)「こうやって手を動かして――」

ミスティ(スク水)「こ、こう……?///」



エバンス「ふう……水着か……。俺も買っておくんだったぜ……」

妖精「イリスとミスティが記念にもらったやつだけだからねえ」

クロシュ「……妖精さんの格好も……ちょっと、水着っぽい……」

妖精「ああ、これ? そういえばそうかも? あんまり考えたことなかったなあ」

ローガン「言われてみれば、妖精たちの格好は一般的な人間のそれと比べると少々刺激的かもしれん」

妖精「えっそうなの!? けっこう恥ずかしい格好だったりするのこれ!?」

暗黒少女「妖精類がそういう格好してるのはそういうもんだと思うし全然気にならないわね。人間が同じ格好してたらたぶん二度見するけど」

妖精「……う、う〜ん……つまり、どうしよう……」グルグル

エバンス「まあ、いつも通りでいいんじゃないか?」

 *

エバンス「女の子たちが泳いでる間に訓練でもしてるか! 魔銀の剣の重さに慣れとかねえとな!」ブンブンッ

ローガン「必要なら私が相手を務めよう」



クロシュ「……」

妖精「そういえばクロシュ……昨日、星竜の子供と喧嘩してたけど、大丈夫だった?」

クロシュ「うん……。喧嘩は……してない……。受けて、立ってた……だけ……」

妖精「そう……。でも、あんまり一人で抱えないでね。星竜を倒したのは、あなた一人じゃないんだから」

クロシュ「うん……」



クロシュ「……そういえば……昔、風に溶けたスライムがいたんだって……」

妖精「ん? あ、それってクロシュヴィアの伝説?」

クロシュ「うん。わたし……ちょっと、試してみる……」

妖精「ええ……? もし失敗したら風に溶けたまま二度と元に戻れなくなるって話だよ? 危ないよ」

クロシュ「だいじょうぶ……妖精さんが、風を集めて元に戻してくれるから……」

妖精「こらっ私をアテにするな! でもまあ、そうだね。私の見てるとこでなら試してみてもいいよ」

クロシュ「んへへ……ありがと……」

妖精「でも私の見てないとこじゃ絶対にだめだからね」

クロシュ「ん……わかりました……」


↓1コンマ
01-90 だめです[経験1/12]
91-98 霧散する[経験6/12]
99-00 風の如し[経験☆]

クロシュ「んん……風を……捕まえて……同化……」ムムム

妖精「どう? できそう?」

クロシュ「んむむ……」

妖精「やっぱ難しいんじゃない? あのブラッドだって、ミスティの出した冷気には咄嗟に同化できなかったんだもの。気体との同化はそれくらい難しいってことだよ」

クロシュ「んむ……」

妖精「まあ焦らずにやってこうよ。みんないるんだからさ、クロシュ一人が焦ってなんでもできるようになんなくても大丈夫だから」

クロシュ「うん……」

 ☆空気化経験が[1/12]になりました

 ◇

―小さな無人島

溶岩エイ「キュウ〜ン」ヒラヒラ

星竜の子供「……」プイッ



エバンス「またなー! モーリィたちによろしくなー!!」

イリス「行っちゃったね……」

ミスティ「あの星竜の子供……昨日より大人しかったわね……」

ローガン「何かあったのだろうか……?」

クロシュ「……」

妖精「まあ、生きてればいろいろあるよ。あの子も、クロシュと同じでまだまだ赤ちゃんなんだもの……」

暗黒少女「ええっ、クロシュってまだ赤ちゃんなの!? 子供だとは思ってたけど……」

イリス「でもクロシュちゃんはすっかり頼もしくなったよ!」

ミスティ「同感ね……。海は渡れるし、同化でなんでもできる……」

エバンス「クロシュちゃんを守るためにこのパーティに入ったってのに、このままじゃ名折れだ! 俺も強くなるぞ……!」

ローガン「うむ……私も気を引き締めよう」

 ◆

―港湾都市ウォーターポート
 海岸

 ザァーン ザザァーン…

暗黒少女「ああ……懐かしのウォーターポート!」

妖精「お疲れ様。あなたともお別れだね」

暗黒少女「あっ……」

イリス「短い間だったけど、一緒にいれて楽しかったよ! もう悪いことはしないでね!」

ミスティ「……真っ当に働け……なんて、言っても聞かないかもしれないけど……。危ないことはするんじゃないわよ……」

ローガン「フッ……君を心配する者もいるということを、覚えておいてくれたまえ」

エバンス「うちの傭兵団に入りたかったら気軽に応募してくれよ。前も言ったが、商人経験ありなら歓迎だぜ」

クロシュ「えと……お元気で……」

暗黒少女「あんたたち……うう……ぐすっ……。こんな、詐欺師の私なんかを……見捨てないで、ここまで連れてきてくれて……。本当に……本当に、ありがとう……!!」ジワワ

イリス「……!」

暗黒少女「私……やれるだけ、やってみるわ……! 法に触れない範囲で、どでかい収益を出して……いつかあんたたちに、この借りを返す!!」

ミスティ「……」

暗黒少女「だから待ってなさいよね! こんどは豪華客船にあんたたちを乗せて海の向こうに連れてってやるわ! クロシュにも、自分が泳がない船旅ってもんを味わわせてやるんだから!」

クロシュ「わあ……。うん……」

暗黒少女「それじゃあ、また会いましょう! 死ぬんじゃないわよ!!」

 ☆暗黒少女と別れました
 ☆暗黒優待券を手に入れました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります

いろいろありましたが無事に大陸に戻ってきました、クロシュ一行です
星竜の子からの憎しみを受け止めたクロシュ氏は、またひとつ成長しました。奪われる側の苦しみは、本当にどうしようもなく、どうにもならないものです。クロシュさんは主人公ですが、奪う側に回ってしまうこともあります。こればかりは、憎しみを受け止めながら進んでいくしかないのかもしれません。謝っても救われず、謝らなくても救われません。どうしようもないのです
なお、今回の選択で星竜の子供くんは、ちょっとだけクロシュへの好感度が上がったようです。もちろん憎しみが消えたわけではありませんが、少しは見方を変えてくれるかもしれません

そして長い間苦楽をともにした暗黒行商少女さんともついにお別れです。いろいろありましたが、人に優しくされて、心配されるという経験をした彼女は、これからどう変わっていくのでしょうか。それは彼女次第ではありますが、願わくば、それがしあわせにつながるものでありますよう、と願わずにはいられないのかもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回ですが、今度は日曜の更新がちょっと怪しいため、代わりにまた平日のどこかで更新するかもしれません。よろしくお願いいたします
(もし更新日を明確にして欲しいなどの要望がありましたら、なるべく早い段階でお知らせするようにいたします。特になければ前回同様いきなり更新し始めます)

乙。
魔法の属性が暗黒だから暗黒少女なんだよ(でまかせ)

皆さんご反応ありがとうございます。それでは次回の更新予定は木曜日とさせていただきます。よろしくお願いします

妖精類のほとんどは、人間で言うところの二次性徴前くらいの体型です。つまりつるぺた幼女です。それはクロシュたちと一緒にいる建国の太母も同様です
また、妖精類は露出度が高めの格好をしがちなようです。妖精類は自然に満ちている魔力を全身から吸収することができるため、露出している方が実際都合が良く、ついつい薄着になってしまうのです。流石にお胸やお股は隠したがりますが、迂闊な妖精がノーパンスカートで飛んでいることは稀によくあります
クロシュ一行の妖精がよく身に付けているレオタードは、妖精の自然魔力吸収を阻害しない特殊な素材で作られているようです

暗黒少女から暗黒が取れる日が来るかは今のところわかりません。というのも、彼女自身が†暗黒†という肩書を気に入っているからです
ちなみに、実は彼女の得意属性も>>781さんの予想通り闇だったりします。練度は高くありませんが、最低限の護身術として使える程度には修めているようです

モーリィ氏は動きやすい格好をしています。普段はトコナツ産の繊維で織られた作務衣を、戦いに赴く際は竜革のドレスを着ていくようです
また、旧トコナツ村で過ごす時は旧トコナツの伝統的な民族衣装を着ることがあるそうです

―夜
 旅の船着場

看板娘「わあ〜お久しぶりです! お荷物はしっかり預かっておりましたのでご安心ください!」

妖精「ありがと。ついでに今日一泊してってもいい?」

看板娘「もちろんです!」

エバンス「なあ、ところでこの数日の間に何か変わったこととかなかったか? 情勢的な意味で」

看板娘「変わったことですか? う〜んそうですねえ……あ! そうだ、今年の芸術祭はアイドルの演目が追加されるそうですよ!」

ローガン「アイドルの……演目?」

看板娘「うふふふ、おじさんはあんまり興味ありませんか? アイドルっていうのは、最近ミュージアで生まれた新時代の文化ですよ!」

ローガン「む、むう……最近の流行りには少々疎いもので……」

エバンス「俺も聞いたことはあるが、詳しくは知らないな……。芸術の一種なのか?」

看板娘「そうです! かわいい女の子やかっこいい男の人が、ステージの上で歌って踊るっていう新時代の芸術文化です!」

妖精「なにそれ……? マーベルのアホがやってたダンスショーみたいなやつ……?」

イリス「あ、うん! マーベルさんがやってたやつが近いと思う!」

看板娘「わあ! あなたたち、マーベル様のライブショーを見たことがあるんですか!? いいなあ……!」

ミスティ「あ、あなたもしかしてマーベルのファンなの……?」

看板娘「様を付けてください! えへへ、ちょっと気になってるだけです。ファンってほどじゃないと思います」

ミスティ「そ、そう……。まあとりあえず、アイドルってのがどんなものなのかはわかったわ……。ていうかイリスは知ってるのね、アイドル……」

イリス「えっ!? ま、まあ……ちょっとだけね」

看板娘「うふふ。今年の目玉はアイドルですけれど、元々芸術祭は絵とか彫刻とか音楽とか、いろんな芸術が一挙に集まる凄い催しなんですよ。ここセイントレア王国の王族の方々も毎年ご観覧に訪れるくらいですし、皆さんももし良かったら是非見に行ってみてくださいね」

 ◇

―客室

イリス「芸術祭かあ……。ミュージアって今回の道程の途中にある街だよね、確か」

妖精「うん。日程的には、明日出発すれば芸術祭の期間中には着くと思う」

ミスティ「……寄り道している余裕はあるかしら……?」

妖精「まあ……旅に差し障らない程度なら良いと思う。どっちにしても補給の為に立ち寄る必要はあるし」

クロシュ「……」

妖精「それに、絵が得意なクロシュにとっても、良い学びが得られるかもしれないしね」

クロシュ「ほえ……?」

 ◆

―芸術都市ミュージアへの旅路 1日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:革の鎧      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・魔法練習[1/3]
・風になる[1/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・氷属性の練習[2/4](ミスティ)

―朝
 王国平原 街道


 帆「」バサッ
 強化ソリ「」シャーッ

 ビュオオオオ―

クロシュ「わぁ〜」

エバンス「うおお!? これが噂のミスティちゃんのソリか……!」

ローガン「おお……帆が付いたからか更に速度が増したな」

イリス「風は私が魔法で吹かせてます!」

ミスティ「助かるわ……。一人で動かすよりけっこう楽になるわね……」

妖精「この速度なら芸術祭が始まる直前くらいに着けるかも。帆付きのソリかあ、イリスも良いことを思いつくねえ」

イリス「大亀クロシュちゃんの背中に付けたのを見て思い付いたの! これならミスティの負担を減らせるかなって!」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-35 食料発見(コンマ)
36-50 物品発見(コンマ)
51-65 場所発見(コンマ)
66-80 良いこと(自由安価)
81-95 旅は道連れ
96-00 旅は道連れ(稀)

先に道連れ判定を行います

↓1コンマ
11-25 メルル
26-50 黒髪の無愛想な青年
51-75 赤髪ロングポニテの女性冒険者
76-00 銀髪ウェーブセミロングお嬢様

王国平原 街道

 強化ソリ「」シャーッ

妖精「ん……?」


銀髪セミロングの少女「あああああああああ!!!」タタタタタッ

青触手「〜〜」ズモモモモ


イリス「小さい女の子が……触手に追われてる!!」

エバンス「助けよう!」

ミスティ「ええ……! それにしてもあの触手と女の子、かなり速いわね……」

ローガン「青い触手は触手内序列でも中位の実力派。普通の人間からすればかなりの脅威だが、我々なら勝てるはずだ!」

クロシュ「うん!」

 *

銀髪セミロングの少女「ひい、ひい、もう足が……」フラッ

 石「」ガッ

銀髪セミロングの少女「ひあっ……」

 ビターン!

銀髪セミロングの少女「い、いたた……あっ」

青触手「〜〜」ヌッ

銀髪セミロングの少女「あ、ああ……」

伸ばされる青い触手「〜〜」ズズズッ

銀髪セミロングの少女「いやあああああ!!!」


 強化ソリ「」シュバッ

 ドガッ

青触手「!!?」グラッ


 シュバッ

エバンス「かわいい女の子に無理矢理迫るたあ、礼儀のなってねえ触手だぜ!」ザッ

ローガン「今度は我々が相手だ、触手殿」ザッ

ウニ盾クロシュ「……」ザッ

青触手「〜〜!!」グオオオッ


 ――戦闘開始 青触手――


↓1コンマ
01-05 痛恨
06-20 劣勢
21-90 優勢
91-00 会心

青触手「」ブォンッ

 ガギンッ

ウニ盾クロシュ「わわっ……」ヨロッ

ローガン「クロシュくん! 奴は一撃が重い、正面から受けない方が良い!」

ウニ盾クロシュ「う、うん!」


エバンス「だがその隙は頂いたぜ! オラァッ」バッ
 魔銀の剣「」シャッ

 ズバァッ!!

 触手の一本「」ボトッ

青触手「〜〜!!」ジタバタ


イリス「痛がってるとこ悪いけど、畳みかけさせてもらうよ! スゥー……星の光よ!!」カッ

 星弾「」ピュンッ

青触手「!?」

 星弾「」カッ
 ドガアッ!!!!


青触手「」プスプス…


ミスティ「これが……星の魔法!!」

ローガン「このまま押し切れ!」



銀髪セミロングの少女「え、え……? あ、あなたたちは……?」

妖精「あー……通りすがりの旅人、かな」


↓1コンマ
01-05 痛恨
06-20 劣勢
21-00 勝利

ミスティ「レッドから教えてもらった技は……まだ使いこなせないから、今はこれで!!」カッ

 氷の刃「」ヒュンヒュンッ

 ズババババッ

青触手「〜〜!!」ジタバタ


妖精「クロシュ、炎の力は使える?」

ウニ盾クロシュ「あ、うん!」

妖精「じゃあ……あいつにトドメを刺してやって」

 チリッ…

炎クロシュ「ん……」チリチリ


青触手「」グッタリ

炎クロシュ「……」トコトコ

青触手「」ググ…

炎クロシュ「……」グッ
 赤熱メイドブレード「」シャッ

 ズバアッ―


 ――戦闘終了――

 ◇

焼き青触手「」コンガリ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ モグモグ

妖精「うへぇ、よくこんなの食べられるなあ……」



銀髪セミロングの少女「あの……助けていただいて、ありがとうございました」ペコリ

エバンス「いいってことよ!」

ローガン「うむ……。困っている者がいれば、身を投じて助けるのが騎士道というものだ」ムンッ

ミスティ「まあ、大きな怪我はなさそうで良かったわ……」

イリス「本当に! でも、ええと……あなたはどうしてこんな平原の真っ只中を一人で?」

銀髪セミロングの少女→リュアン「あ……えと、私リュアンって言います。えと……」

 *

イリス「ええっ!? 触手に襲われて逃げてる内に、お付きの人とはぐれちゃった!?」

リュアン「はい……。あの、ここがどこだかわかりますか……?」

ローガン「ここは王国の中央平原。南下すれば港湾都市ウォーターポートがあるが……」

リュアン「ええっ!? そ、そんなとこまで戻ってきちゃったの……?」

ミスティ「戻って……?」

リュアン「あ、えと……私……ミュージアに向かってる途中だったんです。半分くらいまで行ったところで、あの触手に襲われちゃって……」

エバンス「ここまで走り続けてきたのか!? すげー健脚だな……」

ローガン「う、うむ……軍隊でも通用する足腰だぞ……」

リュアン「そうなんでしょうか……。と、とにかく早く戻って合流しなきゃ……ふゃっ!」コテッ

イリス「うわわ、無理しちゃだめだよ! ずっと走り続けて来たんなら、すごく疲れてるでしょ?」

リュアン「ですが……」

ミスティ「……ミュージアへ向かう途中で逸れたのでしょう? 私たちもミュージアに向かうところだから、ソリに乗せてあげるわ……」

リュアン「えっ……?」

ローガン「うむ……ソリの担い手であるミスティくんが言うのであれば、問題なかろう」

リュアン「あ、あの……私、お金持ちみたいに見えるかもしれませんが……少し事情がありまして、お返しできるものは、何も……」

ミスティ「……ああ、いや……対価が欲しいわけではないわ……。まあ、もらえるならもらいたいけれど、なくても別に構わない……」

リュアン「ええと……じゃあ、どうして……?」

ミスティ「単にその方が気持ち良いからよ。触手に追われるあなたを助けたのも、同じ」

リュアン「……」

ミスティ「まあ……そこの赤ポニテのお人好しが伝染しただけだけどね」ポリポリ

イリス「そこで私を出すの!? いや、確かに私も人助けは気持ち良いと思うけどさ!」

リュアン「……ふふ……わかりました。それじゃあ……お言葉に甘えさせていただいてもよろしいですか?」

ミスティ「ええ、もちろんよ」

 ☆謎のお嬢様?リュアンが一時的にパーティに加わりました

 ◆

―夕方
 街道沿い 野営地

 焚き火「」パチパチ

リュアン「世界樹の光を取り戻す旅だなんて……! あなたがたは救世主様であらせられたのですか!?」

妖精「違うよ! ただ光を世界樹に戻したいだけだし、既に光を一つ奪われてるからどちらかと言うと戦犯に近い」

クロシュ「せんぱん……」

リュアン「そ、そうなんですか……。でも、すごいです……世のために命を懸けて戦えるなんて……」

クロシュ「そうなの……?」

リュアン「はい、すごいです……!」

クロシュ「わあ……」

リュアン「ふふ……クロシュちゃんは偉いです。なでなでしてあげます」スッ

 ナデナデ

クロシュ「ん……」

 デロデロ…

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

リュアン「わっ、スライムの姿になっちゃいました!」

妖精「なでなでされるのが気持ち良かったのかな……?」


ミュージアへの旅路初日の夜です
↓1〜3 野営中何をする?

―夕方
 野営地

 焚き火「」パチパチ

イリス「ふんふふ〜ん〜今晩は青触手のお肉〜」

 鉄鍋「」
 魔導飯盒「」

リュアン「わあ! 調理器具があります!」

イリス「もちろん! 旅の途中でも美味しいものを食べたいからね!」

リュアン「私のお付きの人も、私に美味しいものを食べて欲しいからって調理器具を手放さないんです」

イリス「おお〜! 私、その人と気が合いそう!」

ミスティ「イリスと一緒になる前までは、旅中の食事なんて適当に焼いて食べられればそれで十分だと思ってたわ……」

リュアン「わあ……。私は、旅をしていますが実はそういう食生活をしたことがありません……」

イリス「まあこれでも街での料理に比べればかなり簡易的なんだけどね。やっぱり少しでも美味しく食べたいからさ」

ミスティ「そうね……。栄養補給だけではない……文化的な営みが必要なのよ……」


エバンス「お〜い追加の食材採って来たぞ〜!」タッタッタッ


イリス「あっ、ありがとうございます! ふふ、何が採れたのかな、何を作れるかな?」

リュアン「私もお手伝いします!」


↓1〜2 食材を1〜2つ選択(肉類は青触手のお肉を使用します)
野菜:食べられる野草、セイントレア草、トコナツマメ
穀物:パラパラ米、ヤマイモ、ナッツ、船旅ビスケット
魚介:サワガニ、ザリガニ、セイントレアバス、オオキイタニシ
果実:リンゴ、ナシ、野苺
卵乳:トリの卵、ミルク
特殊:スライムゼラチン、マジカルブラッドワイン、精霊樹の実のジャム、お宿の焼き菓子

 オオキイタニシ「」モゾモゾ

エバンス「オオキイタニシだ! 川で獲れたぜ!」

リュアン「ひぇっ……お、オオキイタニシって、農業国でウルティ米農家に大きな被害を与えてるっていうオオキイタニシですか!?」

エバンス「おう。オオキイタニシって言えばそいつだろ?」

ミスティ「これが水田にいると、大量発生してウルティ米が実る前に葉っぱを食べ尽くしちゃって大変……という話を聞いたことがあるわ……」

イリス「農業国じゃ悪魔の貝だとか、呪いの貝だとか散々に言われてるらしいね……」

妖精「ただの生存競争に悪魔だの呪いだの、馬鹿じゃないの?」

イリス「ま、まあまあ落ち着いて妖精さん。ほら、クロシュちゃんでも見て落ち着こうよ」

 オオキイタニシ「」モゾモゾ

タニシクロシュ「」モゾモゾ

妖精「いつの間にタニシに擬態したの……」

リュアン「クロシュちゃんだと思うとけっこうかわいく見えます。不思議です……」

 *

 触手とタニシとマメのパラパラ炒飯「」ポン!

イリス「はい! 今日採れた食材と、トコナツ島で仕入れたパラパラ米と豆を使った炒めご飯です! 隠し味にトコナツの香辛料をちょっとだけ混ぜてあります!」

ローガン「おお! つまりチャーハンか!」

イリス「えっ? あ、確かにこれチャーハンだ!」

リュアン「えっと……チャーハン……?」

ミスティ「チャーハンって何かしら……」

イリス「チャーハンっていうのは、北のトウゲン帝国発祥……だったかな? 香辛料といっしょにご飯を炒めて作る料理なんだけど……私も今言われて初めて思い出した!」

エバンス「トウゲン帝国じゃないのに、図らずもそこの料理を作っちまうなんて不思議なこともあるもんなんだなあ」

スライムクロシュ「……」モニョモニョ

イリス「あ、クロシュちゃんごめんね! 早くいただきますしよっか!」

スライムクロシュ「!」モニョ!

 *

ローガン「これは……! パラパラに炒められた米が、美味い!」モグモグ

エバンス「香辛料をまぶして炒めるだけでこんなに美味くなるのか……!」モグモグ

リュアン「お手伝いさせていただきながら半信半疑だったのですが……触手肉とタニシって、ちゃんと美味しかったんですね……。どちらもコリコリとした独特な弾力があって、パラパラの炒めご飯にとっても合ってる気がします……」モグモグ

ミスティ「この豆も美味しいわ……。野菜でありながら濃厚な旨味を含有していて、この料理にとても相応しい食材となっている……」

妖精「本当に料理上手だよねえ、イリスは」モグモグ

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

イリス「ふふ、褒めてもお代わりくらいしか出ないよ〜」

 ☆触手とタニシとマメのパラパラ炒飯を食べて元気になりました

 ◇

というわけで本日はここまでとなります。次回はクロシュの訓練編と伝説の剣?編から開始となります

芸術都市への旅路でいきなり出会った謎の少女リュアンちゃん。その正体は、前スレの12に答えがあります
何やらクロシュちゃんたちとはまた別方向でいろいろな課題を抱えていそうな彼女ですが、ひとまず今は同じ釜の飯を呑気に食べていられる程度には平和なようです。お嬢様でありながら旅人でもある彼女は、育ちの良さを備えつつ旅の厳しさを知る珍しい人物であるのかもしれません。今回の道連れで、クロシュ氏は彼女から何を学ぶのでしょうか(必ずしも学ばなければならないというわけではありません。気楽にいきましょう)

それでは本日もありがとうございました。次回は土曜日の更新となります。また、日曜はまだ更新できるかはっきりしていないようです。よろしくお願いいたします

言われてみれば、最初に募集したキャラクターの方々はけっこう出てきたかもしれません
まだ登場していないキャラクターもいますが、まだまだ先は長いので登場する機会はあると思います。よろしくお願いします

クロシュ氏は貝類への擬態が得意なようです。恐らく既に会得している擬態に近いものであれば、それほど難なく擬態することができるのではないかと思われます
クロシュ氏は貝類を見るのも真似るのも食べるのも好きなのかもしれません。時々カタツムリなどに擬態してもぞもぞしている姿が目撃されています

フラナ氏は普段は襟付きのワンピースを着用しているようです
以前は光耐性など不要!と耐性防具を付けずにいたが、最近は外出する際に光耐性付きのローブを着用することが増えた。これは勇者モドキのセイン氏に焼かれたことが影響しているのではないかと推測される……という記事が風雪新聞に載ったことがありました

勇者像と言えばエルダーサキュバスの影あり……かどうかはわかりませんが、彼女が今どこで何を企んでいるのかは今のところわかりません。クロシュ氏らは彼女に嫌われているわけではないので、出くわしてしまってもすぐに危ないということはなさそうですが……

―夜
 野営地

クロシュ「……」ムムム


リュアン「えと、クロシュちゃんは何をしているんですか……?」

妖精「風になりたいんだって」

リュアン「ええっ……? それって、どういう……」

妖精「比喩的な意味じゃなくて、文字通り。スライムには同化っていう力もあって……まあ簡単に言えば、物質の力を取り込んでその物質の性質を得られるの」

リュアン「え、そんな力が……! じゃあクロシュちゃんは、風を取り込んで風になろうとしてるってことですか!?」

妖精「そういうこと。流石にかなり難しいみたいだけどね」

リュアン「そうなんですね……。クロシュちゃん、がんばって……!」


クロシュ「……! んへへ……ありがと、リュアンちゃん……」


↓1コンマ
01-80 だめです[経験2/12]
81-98 霧散する[経験6/12]
99-00 風の如し[経験☆]

クロシュ「……」ムムム

 デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…


リュアン「わ、またスライムの姿になっちゃいました」

妖精「うーん、ちょっと限界みたい。今日はもう終わりかな」

スライムクロシュ「」デロロ…

リュアン「クロシュちゃん、お疲れさまでした。今日はもうお休みしましょう」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

 ☆風経験が[2/12]になりました

 ◇

―朝
 野営地

 チュンチュン

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

リュアン「おはようございます、クロシュちゃん。疲れは取れましたか?」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!

妖精「元気いっぱいだってさ」

リュアン「良かったです! 今日も一日、よろしくお願いします!」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 *

リュアン「それにしてもここ……草木が生い茂っててわかりにくいですけど、人工物の残骸があちこちにありますね……」

ローガン「元は村か何かだったのかもしれぬ。既に遺棄されて久しいようだが」

リュアン「どのような事情で遺棄されてしまったのでしょうか……」

妖精「人に恨みを抱いてる魔族とかに滅ぼされたのかもね。魔族たちは王国騎士団に追いやられてるけれど、ゲリラ的に活動してる奴らもけっこういるみたいだし」

エバンス「ここは主要な都市からも遠いし、一気にやられたら救援も間に合わねえだろうな……」

リュアン「……誰が、悪いんでしょうか……」

妖精「さあね。もし下手人が魔族だとしたら、魔族を迫害した王国の人間……と言いたいところだけど、例え迫害されたとしてもこんな小さな村を滅ぼして良い理由にはならない」

ミスティ「でも、王国のやり方が魔族の憎悪を育てたのも事実よ……。もちろん、村を襲って良いわけではないけれど……」

エバンス「魔族の憎悪がなけりゃこんなことにはなってねえってのはその通りな気がするな」

妖精「まあつまり、全員悪い! 等しく打ち首が妥当だね」

リュアン「ええっ……!?」

ミスティ「そ、それは流石に乱暴すぎないかしら……」

妖精「冗談だよ。まあでも、リュアンは人間以外にも差別意識とかないんだね。私やクロシュとも普通に話せるみたいだし」

リュアン「あ、はい。えと、旅に出る前はなんとなく怖い印象を持っていました。でも旅をしている内に、魔族にも良い人はいるし、人間にも悪い人はいるっていう当たり前のことに気付きまして……」

妖精「おおー偉い! 何年旅をしても気付けないアホ冒険者なんてごまんといるのに、リュアンは大したもんだよ!」

リュアン「それを言うなら、皆さんもそうです。誰も妖精さんとクロシュちゃんを変な風に扱いません」

妖精「……それは確かに。まあ、やたらお人好しが集まる変なパーティだとは思ってるけどさ」

リュアン「ふふ、冒険者って普通荒くれ者ばっかりなのに、女の子がやたら多いし実際変なパーティだとは思います。あ、もちろん良い意味でです……あれ? そういえばクロシュちゃんは?」

妖精「ん? さっきスライムの姿でモニョモニョしてたけど……」

ミスティ「イリスの姿も見ないわね……散策でもしてるのかしら?」

 *

 勇者の像「」

 地面に刺さった剣「」ゴゴゴゴゴ


スライムクロシュ「〜〜!」モニョモニョ!

イリス「こ、これは……なんか凄そうな剣!」

スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!

 デロデロ…

クロシュ「わたし……抜いてみる……!」ザッ

イリス「ええっ!? で、でも大丈夫かなあ……泥棒になっちゃうんじゃ……」

クロシュ「こういうのは持ってっていいって、妖精さんが言ってた……!」

イリス「よ、妖精さん……!」

クロシュ「……」グッ

 地面に刺さった剣「」ゴゴゴゴゴ


↓1コンマ
01-05 剣の魔王
06-35 パラサイトソードだ!
36-65 ただの錆びた剣
66-95 剣の精霊
96-00 聖剣

 抜き放たれた剣「」ズッ

クロシュ「――」

 剣から噴出する闇「」ゴウッ!!!!


イリス「……っ!? こ、この魔力は……!!? クロシュちゃん!!」

妖精「ちょ、ちょっと! 何があったの!? この魔力の波動は――」パタパタ

リュアン「い、一体何があったんです!?」タタタッ

エバンス「どうした!?」タタッ

ローガン「クロシュくん!? これは一体……」タタッ

ミスティ「な、何……この魔力は……!」

イリス「ご、ごめんなさい……私が、止めてれば……」


クロシュ「――」ユラッ

 デロデロ… モニョモニョ…

剣鬼クロシュ「」ズッ
 パラサイトソード「」シャキン


妖精「く、クロ――」

ローガン「来るぞ!! 構えろ!!」バッ


 ――戦闘 憑依剣鬼クロシュ――

↓1コンマ
01-10 痛恨
11-60 劣勢
61-90 優勢
91-00 会心

剣鬼クロシュ「」フッ


イリス「えっ、消え――」

 ガギギギギンッ!!!

ローガン「ぬうううっ!!」ザザッ

剣鬼クロシュ「」シュタタンッ

 シュビビビッ
 ギギギギンッ

エバンス「くっ速すぎるッ!!」

剣鬼クロシュ「」シュバッ

ローガン「いかん! イリスくんミスティくん!!」

ミスティ「こ、氷の防壁を――」

イリス「クロシュちゃ――」

剣鬼クロシュ「」シャッ

ミスティ「!! 間に合わ――」

 光「」カッ!!

剣鬼クロシュ「!!」ビクッ シュバッ

イリス「えっ!? い、今の光は――」

リュアン「私の魔法です! 目眩ましくらいにしか使えませんけど……クロシュちゃん……!!」


剣鬼クロシュ「……」ゴゴゴゴゴ


エバンス「おいおいおいおいヤバいぞ……!! 下手すると星竜よりヤバいんじゃねえのか!!? クロシュちゃんどうしちまったんだ!!?」

妖精「……わかった、あれパラサイトソードだ……! 持ち主を乗っ取って操る魔剣……! 道具と同化できるスライムとは、相性が最悪に良かったんだ……!!」

ローガン「なんてことだ……! どうすればクロシュくんを助けられる!?」

妖精「魔剣を折るしか……でも、魔剣を折るにはとんでもない馬鹿力か竜の炎でもなきゃ……」


剣鬼クロシュ「」ゴゴゴゴ
 パラサイトソード「」シャキン
 メイドブレード「」シャキン


エバンス「二刀流、だと……」

ローガン「くっ……ならば、命に替えてでも――」ザッ

 ◇

―??

クロシュ「……」デロデロ…

魔剣「素晴らしいぞ、お前の力……! ただのスライムかと思ったら、まさかこれほどの逸材だったとは……!」ウキウキ

クロシュ「……」デロデロ…

魔剣「ククク、使いこなせていないようだから我が存分に使いこなしてやろう。貴様の体をな……!!」

クロシュ「……」デロデロ…

魔剣「ククク……フハハハ……フゥーッハッハッハ――」

 ズバッ

魔剣「ぬわっ!?」

メイ841「同胞の危機を感知。救出を行う」シャキン

魔剣「貴様……このスライムが持っていたもう一つの剣の意志か。洗練された刀身とは不似合いな珍妙な格好よ」

メイ841「時代遅れの老害剣は最先端の衣装を知らないものと推測……。クロシュ、起きて……」

クロシュ「……」デロデロ

魔剣「無駄だ。そのスライムの意志は我が完全に掌握している。後は不純物たる貴様を下すだけよ……!」シャキン

メイ841「……」

魔剣「死ねい!」シュバッ


↓1コンマ
01-05 痛恨
06-40 劣勢
41-90 優勢
91-00 会心

魔剣「どうした! その程度か!?」シャシャシャッ

 ガギンガギンッ

メイ841「敵性体の技量、極高。近接戦闘は不利」ズザザッ

魔剣「状況判断能力は優れているようだな? 大したカラクリ仕掛けよ!」シュバッ

メイ841「ジェットパック使用」ボッ

 シュゴオオオオッ(メイ841が空を飛ぶ音)

魔剣「えっ?」

メイ841「遠距離戦闘に変更。射撃開始」ジャキッ

 ズガガガガガッ

魔剣「オアアアア!!! 卑怯だぞ貴様!!? なぜ剣の癖にそのような武装を……!!!」

メイ841「メイは妖精。メイは魔導人形。メイはクロシュの友。剣は、武器の一つ」

魔剣「チイッ、剣が本質でないのか!! だが飛行は貴様の専売特許ではない!!」フワッ

メイ841「!」

魔剣「空中戦だ!!」シュビッ

メイ841「……っ! 状況……不利……」ガギギギンッ

 ◇

―野営地

剣鬼クロシュ「」シュバッ

 シュビビビッ

エバンス「くっ……! 押し負け――」ガギギギンッ

 メイドブレード「」ブンッ
 パラサイトソード「」ガギンッ

剣鬼クロシュ「!」バッ

エバンス「何っ!? 今何が――」

ローガン「クロシュくんの持ったメイドブレードが、魔剣を弾いた!?」


剣鬼クロシュ「……」
 パラサイトソード「」グググ
 メイドブレード「」グググ


妖精「違う……あれは二刀流じゃない! メイドブレードが抵抗してるんだ!」

エバンス「なにっ!?」

ローガン「そんなことが……!!」


↓1コンマ
01-05 痛恨
06-40 劣勢
41-90 優勢
91-00 会心

剣鬼クロシュ「」バッ

ローガン「させん!」バッ

 ガギンガギンッ

エバンス「魔剣だか何だか知らねえが、クロシュちゃんを乗っ取るたあ許さん!!」シュバッ

 魔銀の剣「」ヒュッ

 パラサイトソード「」ガギンッ

ミスティ「ごめんなさいクロシュ、足を凍らせるわ!!」カッ

 パキパキ―

剣鬼クロシュ「!」ググッ

イリス「そこだぁ!! ちゃんと魔剣で受け止めてよ!!」カッ

 星弾「」バシュンッ

剣鬼クロシュ「!!」グッ

 パラサイトソード「」シャキッ

 ドガァンッ!!!!


剣鬼クロシュ「……」ググ

 パラサイトソード「」パキッ…


リュアン「魔剣が……少し欠けました……!!」

妖精「目に見えて動きが悪くなってる……!! 中でものすごく抵抗してるのかも! みんな、今のうちに!!」

エバンス「おう!!!」

 ◇

―??

魔剣「ぐおおっ!!」バキッ

メイ841「敵性体、現実体が損傷したものと推測。状況、好転の可能性あり」

魔剣「舐めるな……!! この程度損傷のうちに入らぬわ!!」

 *

クロシュ「」デロデロ

バーニングスライムの欠片「クロシュちゃん、大丈夫?」

クロシュ「〜〜…?」モニョニョ?

バーニングスライムの欠片「うん……あいつが少し欠けたから、ボクも少しだけ自由になれたみたい」

クロシュ「〜〜…」モニョモニョ

星竜の珠「いつまで溶けている、馬鹿者」

クロシュ「〜〜…」モニョニョ

星竜の珠「我を喰らった貴様が、あの程度の下郎に敗北するなど許さぬぞ。立て。あの妖精の剣に報いよ」

クロシュ「〜〜…!」モニョ…!

ウニ盾「……立てる?」

クロシュ「〜〜!!」モニョニョ!!

ウニ盾「じゃあ、行こう……。大丈夫……背中はわたしが守るから……」

 モニョモニョ ポン!!!!

 *

魔剣「ぬおおおお!!」

 分身剣「」ヴンッ
  分身剣「」ヴンッ 分身剣「」ヴンッ
   分身剣「」ヴンッ 分身剣「」ヴンッ 分身剣「」ヴンッ

メイ841「!」

魔剣「はあ、はあ……! これが我の奥の手……最早これまでだ、妖精の残滓!!」

メイ841「……救出、続行」ジャキッ

魔剣「フッ、健気なものよ。我が分身剣に刺し貫かれて果てるが良い!!」

 分身剣たち「」シュバババババッ


メイ841「メイは……今度こそ……同胞を………助け――」


 ズババババッ

魔剣「ククク……フハハハ……フゥーハッハッ……は?」


炎ウニ魔法剣士クロシュ「……」シュタッ

 熱で両断された分身剣たち「」ボトボトボト


メイ841「……あ…」フラッ

炎ウニ魔法剣士クロシュ「……」ダキッ

妖精メイ「……えへへ……やっと……救出、成功……した……」ニコッ スゥー…

炎ウニ魔法剣士クロシュ「うん……。ありがと……」



魔剣「なにィ!!? 貴様なぜ……!? 例え多少我の身が欠けたとしても、独力で支配を脱するのは不可能な――」

炎ウニ魔法剣士クロシュ「一人じゃ……ないもん!」

 メイドブレード「」シャキンッ


魔剣「チィッ……! いいだろう、ならば我が手ずから貴様を躾けてやる!! 覚悟しろ、スライム!!!」バッ


↓1コンマ
01-90 勝利
91-00 会心

魔剣「小細工なしに切り刻む!! いくぞ!!」バッ

炎ウニ魔法剣士クロシュ「!」バッ

 ギンギンギンガギンッ!!

炎ウニ魔法剣士クロシュ「!!」ズザザッ

魔剣「フハハハ!! 粋がったところで技量はやはり私の方が圧倒的に上のようだな!! このまま両手両足を落として惨めな格好に――」

炎ウニ魔法剣士クロシュ「ほのお!!!」チリッ

 カッ!!!!
 ドガアアアアンッ!!!!

魔剣「馬鹿な……炎魔法だと……」プスプス

炎ウニ魔法剣士クロシュ「」シュバッ

魔剣「だがまだだ!! 我を鍛えた炎はこの程度ではなかった!!!」シュバッ

 ギンギンギン
 ドスドスッ
 ウニ棘「」ジャキンッ

魔剣「馬鹿な……なぜ、体から棘が……」

炎ウニ魔法剣士クロシュ「……」ギラッ

魔剣「ぬおおお!! 長年雨風に晒されながら待ち続けた好機、逃してなるかァァァァ!!!!」グオオオッ

 赤熱メイドブレード「」ゴウッ

 バキャッ――


砕けた魔剣「馬鹿な……量産品如きに……この、我が……」パラパラ


炎ウニ魔法剣士クロシュ「……」
 メイドブレード「」スチャッ

 ◇

ローガン「ぬう……うおおおおおっ!!」

剣鬼クロシュ「!!」ガギインッ!!

 パラサイトソード「」クルクル


妖精「ローガンが魔剣を弾いて――」

リュアン「魔剣がクロシュちゃんの手から吹っ飛びました!!」


イリス「もう一度!! 星の力よ!!」ググググッ

 カッ
 星弾「」バシュウウウンッ!!!

 パラサイトソード「」クルクル
 星弾「」ガッ

 ドガアアアアアアアンッ!!!!


リュアン「やった!!」

イリス「まだ生きてる!!」

リュアン「ええ!?」


 ヒビが入ったパラサイトソード「」グググッ


エバンス「なんてしぶとさだ! だがクロシュちゃんの手を離れた今なら――」


 シュバッ


エバンス「えっ今のは――」


パラサイトソード「!!!!」グググググッ

炎ウニ魔法剣士クロシュ「こっちでも……終わり……!!!」ゴオオオオッ

 赤熱メイドブレード「」ゴウッ

 バキャッ――

砕け散るパラサイトソード「」


炎ウニ魔剣士クロシュ「」シュタッ
 メイドブレード「」スチャッ

 パラサイトソードの破片「」ボトボト


 ――戦闘終了――

イリス「クロシュちゃん!!」タッタッタッ


炎ウニ魔法剣士クロシュ「……」

 デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…


リュアン「スライムの姿に……」

妖精「……きっと、魔剣との戦いの中でいろいろあったんだろうね」

ローガン「……クロシュちゃんは大丈夫なのか?」

妖精「うん。もう魔力も安定してるし、今は本当に疲れて眠ってるだけだと思う」

イリス「良かったぁ……。私のせいでクロシュちゃんが二度と戻らないなんてことになったら……」グスッ

エバンス「だがやるじゃねえか! どれだけ打ち合っても傷一つ付かなかった魔剣が、イリスちゃんの魔法でならダメージが入ったんだぜ!」

ミスティ「ええ……。お手柄じゃないかしら……」

イリス「えへへ、そうかな……?」

 ◇

 強化ソリ「」

妖精「いろいろあったけど出発しようか」

ミスティ「ええ。みんな忘れ物はない?」


スライムクロシュ「〜〜…」モニョ

イリス「あっ、クロシュちゃん! 目を覚ましたんだね、大丈夫?」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ ピョンッ

妖精「え、忘れ物?」

 *

 砕けたパラサイトソード「」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「ええ……? 砕けたとはいえ危ないよ、放っておきなよこんなの……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「ええっ!? ばっ馬鹿やめときなよ! お腹壊すよ!!」

リュアン「えっと……クロシュちゃんは何て?」

妖精「これ食べるって!!!」

リュアン「ええっ!?」


 砕けたパラサイトソード「!」ググッ

スライムクロシュ「〜〜」バックン モニョモニョ

 呑まれたパラサイトソード「〜〜!」ジタバタ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ モグモグ

 消化されるパラサイトソード「〜〜!!」ジュワワワ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ モグモグ

 ☆パラサイトソードの能力を一部吸収し、クロシュの剣技レベルが上がりました
 ☆魔法を使った経験を重ね、クロシュの魔法レベルが上がりました
 ☆同化したものとの対話により、クロシュの同化能力が向上しました

 ◇

―芸術都市ミュージアへの旅路 2日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇リュアン [旅のお嬢様]
 武:黒耀鋼のナイフ  盾:魔導障壁     飾:守りのペンダント
 武:         防:旅人のドレス   飾:


◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・氷属性の練習[2/4](ミスティ)

―王国平原 街道

 強化ソリ「」シャーッ


スライムクロシュ「」zzz

妖精「ひとまずミュージアまでの道のりは半分くらいまで来たかな?」

リュアン「はい……。この辺りで、付き人さんとはぐれちゃったんです……」

ミスティ「それなら、この先は探しながら進んだ方が良いかしら……?」

リュアン「いえ、はぐれる間際にミュージアで落ち合う約束をしたような気がします……。必死に逃げながらだったのでちょっとうろ覚えなのですが……」

妖精「うろ覚え……」

リュアン「と、とにかく今のペースのままで進んでもらって大丈夫です!」

ミスティ「わかったわ……。でももしミュージアにいなかったら……」

リュアン「その時は……なんとかします。ありがとうございます、気にかけていただいて……」

エバンス「目的地が同じなら街道から離れることもないだろうし、どのみち進めば落ち合えるさ」

リュアン「エバンスさん……」

妖精「そうだね。前向きに考えていこうよ、道は一つしかないんだから」

リュアン「はい……ありがとうございます」


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
05-30 食料発見(コンマ)
31-55 物品発見(コンマ)
56-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

食べ物とアイテムを見つけたようです

↓1コンマ 見つけた食料
01-10 デカムカデ
11-20 食べられる野草
21-30 セイントレア草
31-40 ヤマイモ
41-50 オオキイタニシ
51-60 セイントレアバス
61-70 ザリガニ
71-80 コガネリンゴ
81-90 スカイマグロ
91-00 セイントレアシロガニ


↓2コンマ 見つけた道具
01-35 マジカルペンライト
36-65 風の塊
66-95 氷精の魔導書
96-00 クロシュヴィアの欠片


 川「」サラサラ

エバンス「おっ川だ! ちょっと休憩してかねえか?」

ミスティ「そうね……お昼も近いし、あの川沿いに一旦停めましょう……」

 *

 強化ソリ「」キキッ


イリス「さーて今日のお昼ご飯は〜」フンフン


エバンス「魚獲って来たぞ〜」スタスタ

イリス「はやっ!?」

エバンス「どうだ、なかなかじゃないか?」

 桶に入った数匹のセイントレアバス「」

ローガン「ほう、これはセイントレアバスか。川魚だが身には油がよく乗っていて美味い」

クロシュ「わぁ……」

イリス「じゃあ今日のお昼は簡単に焼き魚にしましょう!」

 *

 焚き火「」パチパチ

 串焼きセイントレアバス「」コンガリ

リュアン「わ……! 丸焼きです!」

イリス「凝った料理も美味しいけれど、こういう素材を生かした食べ方もこれはこれで美味しいんだよね。この前言ったことと矛盾するような気もするけど」

エバンス「流石に昼休憩でまで凝った料理を作ってたら時間がかかっちまうからな。昼は簡単に美味しく済ませるのが良い」

ミスティ「……塩をまぶしてるだけ凝ってると思うわ……。私一人だったら、塩すらかけずに単品で焼いて食べてしまうもの……」

ローガン「ミスティくんは意外と料理に無頓着だったりするのか……?」

ミスティ「そんなことはないわ……。イリスの作る料理は本当に美味しいと思うし……。ただ、自分で手間をかけて作るのが苦手なだけよ……」

イリス「ミスティを一人にするとものすごく適当な食事をし始めそうで心配かも……」

ミスティ「そんなことは……ないわ……。それにどちらかと言うとクロシュの方が、一人にしたらいい加減な食生活になりそうじゃないかしら……」

スライムクロシュ「??」モニョニョ?

イリス「そ、それは確かに……。クロシュちゃんなんでも食べちゃうからなあ……」

妖精「パラサイトソードまで食べるとは思わなかったよ……。あの後お腹は大丈夫なの?」

スライムクロシュ「!」モニョ!

妖精「そ、そう……。変な感じがしたらすぐ言うんだよ?」

 ☆セイントレアバスの串焼きを食べてお腹いっぱいになりました
 ☆この行軍中の次の戦闘コンマに+10の補正が入ります

 ◇

ミスティ「さて、腹ごしらえも済んだところで……あら? これは……」

イリス「これは……ええと、氷の魔力だよね?」

ミスティ「ええ……川上の方から……こっちに流れてくるわね……」


 川「」
 氷の塊「」ドンブラコドンブラコ


リュアン「うわわ! なんですかあれ!」

妖精「ありゃ……なんか精霊の気配がするような……」

ミスティ「気になるわね。拾ってみましょう」スッ

 *

氷の塊「んあ〜何〜?」

リュアン「喋った!?」

妖精「あなた、どこから来たの?」

氷の塊「ほえ〜? どこって、大山脈だけど〜」

ミスティ「大山脈……!? ずっと北の方じゃない……川を流れてここまで……!?」

氷の塊「ん〜? ここどこ〜?」

妖精「ここはセイントレア王国だよ。妖精が呑気にしてられる場所じゃない、さっさと帰りな」

氷の塊「うええ!? そんなとこまで来ちゃったの!?」

 バキャッ

氷妖精「あわわ、大変だ! 早く帰らなきゃ! ありがとね、起こしてくれて!!」

妖精「寝てたのか……。まあでも、本当に危ない場所だから気を付けて帰りなよ」

氷妖精「うん! あそうだ、そこのお姉さん氷属性の人だよね? 私を起こしてくれたお礼に、これあげる」スッ

 氷精の魔導書「」ポン

ミスティ「あ、ありがとう……」

氷妖精「妖精用のやつだから、人間には小さくて読みにくくてごめんね! そこの妖精に読んでもらって!」

妖精「ええ……まあいいけど……」

氷妖精「ふっふっふ、でも人間の氷魔法ってヘタクソばっかりだから、それを読んでマスターすれば一気に世界一になれるよ!」

ミスティ「そうなの……? でも妖精の魔法が私に学べるかしら……」

氷妖精「妖精用の部分は飛ばしちゃっても大丈夫! 基本的なとこは人間も妖精もたぶんおんなじだから!」

ミスティ「そ、そう……。ならありがたく頂くわね……。妖精、後で頼んでもいい……?」

妖精「うん……」

氷妖精「それじゃありがと! 縁があったらまたね〜」パタパタ

 ☆氷精の魔導書を手に入れました。自由行動で読むことができます
  効率的に氷属性の経験を積むことができます

 ◆

―夕方
 街道沿い 野営地

 焚き火「」パチパチ

リュアン「いろいろありましたが、今日も皆さん全員がご無事で良かったです……」

イリス「ええ、ご無事だなんて大げさな……いや、今朝のパラサイトソードの一件を考えるとあんまり大げさじゃないかも……」

エバンス「いやあ、マジで死ぬかと思ったぞ……。単純比較はできねえが、個人的には星竜よりヤバかったぜ……」

ローガン「例え片時でも気を抜けば、盾ごと両断されて命を落としていた確信がある……。人数の上ではこちらの方が圧倒的に有利だったにも関わらずだ……」

ミスティ「あれが魔剣の力なのかしら……」

クロシュ「ご、ごめんなさい……」ショボン

エバンス「ああ、違うんだクロシュちゃん。むしろ、そんなことがあったのに全員無事で良かったぜって話なんだこれは」

ローガン「うむ……。むしろ今後の課題を教えてくれたと言っても良い。感謝するぞ」

クロシュ「うん……」

妖精「でも、魔剣と言えど宿主の身体的な限界を越えることは不可能のはずなんだよね。だから、あの時のクロシュの実力って……」

イリス「クロシュちゃんも、あれくらいの動きができるってこと!?」

クロシュ「……なんか……わたしの体、わたしより使いこなせるって、言ってた……」

ローガン「ということは……クロシュくんには、あれだけの剣の才が眠っているかもしれんのか!!」

妖精「剣技は流石に魔剣の力だろうけれど、あの異常な力や速さはクロシュのポテンシャルってことだろうね」

エバンス「おお……こりゃ将来が楽しみだな」

リュアン「そういえば、魔剣を叩き折る時の一瞬だけ見せた、あの不思議な格好のクロシュちゃんは一体何だったのですか?」

ミスティ「そういえば……剣士っぽい格好でありながら三角帽子をかぶっていたり背中にウニ盾を背負っていたりメラメラ燃えてたり、ちょっと面白い格好だったわね……」

クロシュ「んと……わかんない……。でも……みんなが、力を貸してくれたから……できたんだと、思う……」


ミュージアへの旅路2日目の夜です
↓1〜3 野営中何をする?

というわけで本日はここまでとなります。次回は酒飲みクロシュ編、魔王図鑑の続き編、氷精の魔導書を読んでみよう編となります

突然の強敵パラサイトソード氏との死闘に打ち克ち、クロシュさんはまた強くなりました
クロシュ氏はポテンシャルで言えばやはりすごい輝きを秘めうるのかもしれません。そして最近はその才覚をすこしづつ発揮し始めており、もはや穀潰しと言われていた過去が遥か遠い昔のことのようです。クロシュ氏の今後の活躍にご期待くださいませ

それでは本日もありがとうございました。次回ですが、明日の日曜は結局更新できそうなので更新することになりました。よろしくお願いいたします

クロシュ氏が食べたものは、今もなおクロシュ氏の中に息づいているのかもしれません
メイドブレードさんの人格は、厳密にはメイ841氏そのものではないのですが、限りなく近いものではあるようです。彼女もまた、クロシュ氏の中で今でも生き続けているのかもしれません
ミスティさんは見た感じはクールでスマートなお姉さんですが、考え付く問題解決法が過激だったり、一人の時の食事が適当だったりと、意外な一面があるのかもしれません

クロシュ氏は実力をものすごく付けてきていますが、魔法に関してはイリスやミスティにはまだ及ばず、近接戦闘に関してはローガンやエバンスにまだ及ばないというバランスであります
しかし全ての要素を加味した総合的な実力で言えば、もしかしたらパーティいちと言えるかもしれません。もちろん知識や常識はだいぶ不足しているため、仲間がいないと危ういところはかなりあると思われます。得手不得手は上手に補い合いましょう

精核にされた同胞を砕いて介錯するしかなかった元妖精で魔導人形のメイ氏ですが、今度こそは救いたいものをちゃんと救えたのかもしれません。これからもクロシュちゃんに力を貸してあげてくれたら良いと思います

―夜
 野営地の外れ

クロシュ「……」トコトコ

リュアン「く、クロシュちゃん! あんまり離れすぎると、また変な剣とか抜いたら大変です……!」トテトテ

クロシュ「ん……今度は、気をつける……」

リュアン「うう……。で、でもどうしてこんなとこに来たのですか……?」

クロシュ「……いい匂いがする……」

リュアン「え……?」

クロシュ「……! これ……!」ガサッ

 朽ちた荷馬車「」ドン!

リュアン「え、ええと……暗くてよく見えません……。それは……なんですか? 何か大きいものみたいですが……」

クロシュ「あ、えと……じゃあ」チリッ

 クロシュの指先に点いた炎「」ボッ

炎クロシュ「これで、見える……?」チリチリ

リュアン「あ、はい! ありがとうございます、クロシュちゃん。すごいです、その力……!」

炎クロシュ「んへへ……。レッドちゃんの、おかげ……」

リュアン「それで……これは、荷馬車ですか……? 随分ボロボロみたいですが……」

炎クロシュ「うん……。この中から、美味しい匂いがする……」

リュアン「うーん、でもものすごく古いみたいですけど……。保存食か何かでしょうか……」

炎クロシュ「探してみる」トコトコ

 *

 ガサゴソ…
 酒樽「」ドン!!

炎クロシュ「これ……!」

リュアン「これ……樽、ですか……? 私には匂いは感じ取れません……」

 酒樽「」チャプン

炎クロシュ「おいしい水が入ってる!」

リュアン「何かの液体が入ってるのは間違いなさそうですが……」

炎クロシュ「わたしが見つけたから、わたしが飲む……!」ガシッ

 酒樽の蓋「」ポコン
 ワインの香り「」フワ〜

リュアン「うっ……こ、これお酒ですクロシュちゃん! 子供は飲めないんです!」

炎クロシュ「んへへ……スライムは、飲める……!」ガシッ グイッ

リュアン「あ、あわわ! クロシュちゃんが酒樽ごと抱えて……!!」

炎クロシュ「いただきます……」

 グビグビグビ

↓1
01-30 流石に酔った
31-90 酔わずに飲み干した
91-00 覚醒

 *

 酒樽「」グイッ

スライムクロシュ「〜〜♪♪」モニョモニョ グビグビ

 酒樽「」グイッ グイッ ピチョン…

スライムクロシュ「〜〜〜♪♪♪」モニョニョニョ ケプッ

リュアン「の、飲み干しちゃった……! 自分の体よりおっきい樽の中身を……!」

 モニョモニョ ポン!

クロシュ「ん……おいしかった……」

リュアン「ほ、本当に酔ってない……。スライムってすごいなあ……」

クロシュ「……リュアンちゃんは……飲まなくて、よかったの……?」

リュアン「だ、だから人間の子供は飲めないの! お酒!」

クロシュ「んゅ……」

 ◇

―夜
 野営地 テント

 ランプ「」ユラユラ


 魔王図鑑「」

妖精「さて……」

ミスティ「妖精。早速だけど……あ、それを読んでたの?」

妖精「あいや、まだ読んでない。氷精の魔導書の件でしょ? いいよ、読んであげる」

ミスティ「……それなら、まずは私がその魔王図鑑のページをめくってあげるわ。妖精には読みにくいでしょう?」

妖精「いいの?」

ミスティ「ええ……。氷精の魔導書を読んでもらうのだもの、私にもそれくらいの手伝いはさせて欲しいわ……」

妖精「ありがとう。じゃあお願いしようかな」

 *

 ペラッ

「目次」
・絶望の魔王 済
・狂気の魔王 済
・暗黒の魔王 済
・虚無の魔王
・夢想の魔王
・旋律の魔王
・記憶の魔王
・雷霆の魔王
・巨樹の魔王
・海難の魔王
・吹雪の魔王
・双子の魔王
・憑霊の魔王
・永遠の魔王
・水底の魔王

 ペラッ

「虚無の魔王」
生前は、とある国の哲学者だったと言われている。
出現地域一帯に住む知性ある生命体の意識を、あらゆる意味が失われる〝虚無〟に陥れた。〝虚無〟に陥った者は、生命活動の意味をも失って衰弱死していったとされる。
しかしある日を境に、その影響及び存在が確認されなくなった。
余談だが、後に光の聖女と呼ばれる子が誕生したのもその日である。

 ペラッ

「夢想の魔王」
生前の姿は不明。
出現地域一帯に住む生命体を深い眠りの底へ陥れた。夢想の魔王に眠らされた者は、その者が望む最も幸せな夢に沈み、ほとんどは二度と目覚めることなく死亡したとされる。
最期には、とある一人の男が眠りから脱し、単身挑んで討伐を果たした。男は称賛を望まず、夢想の魔王の亡骸を抱えたまま何処かへと去っていったと伝えられている。

 ペラッ

「旋律の魔王」
生前は、一人の音楽家だったと言われている。
日夜破滅的な音波を伴う楽曲を演奏し続け、周辺一帯を破壊し尽くした。
当時の魔術師たちが総力を結集して作り上げた完全無音結界により無力化され、討伐された。

 *

ミスティ「……アリシラの状態に似た魔王は見つからないわね……」

妖精「まあそんなに簡単に見つかるとも思ってないしね。ゆっくり探してくしかないよ」

ミスティ「それにしても……この『光の聖女』って、前のとこにも登場してたわね……。確か、暗黒の魔王を滅ぼした人物……」

妖精「そうみたい。この本、時系列とか関係なく適当な順番で魔王を載せてるんだなあ……。でも、魔王を滅ぼすほどの光の魔法か……」

ミスティ「……勇者に匹敵……あるいは勇者を越えるほどの規格外の人物よね……。一体何者なのかしら……」

妖精「光の聖女については私もよく知らないんだよね。私が生まれるよりももっと前の人物みたいだし、伝わってる情報も少なくてね」

ミスティ「そうなのね……」

妖精「まあとりあえず今回はこれくらいにして、氷精の魔導書を読もう」


↓1コンマ 氷精の魔導書の成果
01-80 多分理解したわ(経験4/4)
81-00 全然わからない(経験☆)

妖精「――とりあえず基礎の部分はこんな感じ。質問はある?」

ミスティ「……実践してみないと、自分が理解できたかどうかもわからないわ」スクッ

 *

―夜
 野営地

 焚き火「」パチパチ


イリス「え、火を出して欲しい?」

ミスティ「ええ……。いいかしら……?」

イリス「もちろん! それじゃああの枯れ草の塊を……えい!」ボッ

 燃える枯れ草「」メラメラ

ミスティ「……はっ!」カッ

 瞬時に凍る枯れ草「」キンッ!

イリス「わっ! 燃えてた枯れ草が一瞬で……!」

妖精「これ……レッドがやってたみたいな、離れた位置からの瞬間凍結!」

ミスティ「……多分、理解したわ……。熱を奪う……こういうことだったのね……」

イリス「おお……! ミスティも何かのコツを掴んだんだね、おめでとう!」

ミスティ「ええ……これなら、ブラッドにも通用するはず……!」

 ☆ミスティの氷魔法レベルが上がりました

 ◆

―芸術都市ミュージアへの旅路 3日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

 ◇リュアン [旅のお嬢様]
 武:黒耀鋼のナイフ  盾:魔導障壁     飾:守りのペンダント
 武:         防:旅人のドレス   飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・氷属性の練習[4/4] 達成!

―西セイントレアキャニオン

 ヒュオオオオ…

 強化ソリ「」シャーッ


 タンブルウィード「」コロコロ…

クロシュ「わあ……」

リュアン「な、何かが地面をころころと転がっていきます……!」

ローガン「あれはタンブルウィード。回転草とも呼ばれている」

妖精「ああやって転がってって、いろんなとこに種を撒いてるんだよ。植物なりの生き方の一つだね」

リュアン「植物なんですね……。不思議な草です……」

イリス「環境も変わってきましたね……。私、こういう場所に来るのは初めてです……!」

エバンス「砂漠が近いってことだな。まあこの辺はまだ過酷じゃないが」


精霊樹の鉢植え「」
  精霊樹の芽「」ピョコン!

ミスティ「精霊樹も芽が出てきたわね……。いつもお世話してくれてありがとう、妖精……」

妖精「まあ私の責任だからね、この子は……。ちゃんと面倒を見てあげてるよ」

ミスティ「でも、この先の乾燥地帯……砂漠とかにまで連れて行って大丈夫かしら……?」

妖精「私が見てあげてるから大丈夫だよ。精霊樹は妖精や精霊がそばにいてあげれば、どんな場所でも元気に育つから」

ミスティ「それなら安心だわ……」


 タンブルウィード「」コロコロ…


↓1〜2コンマ ランダムイベント
01-05 強敵
06-20 敵襲
21-40 食料発見(コンマ)
41-60 物品発見(コンマ)
61-80 場所発見(コンマ)
81-00 良いこと(自由安価)

とても大変な相手が現れましたが、まずはごはんです

↓1コンマ 見つけた食料
01-10 デカムカデ
11-20 食べられる野草
21-30 サバクイナゴ
31-40 セイントレア草
41-50 どんぐり
51-60 スナニワトリの卵
61-70 テラヌスアロエ
71-80 精霊サボテンの実
81-90 スカイマグロ
91-00 キャニオンガニ

↓2コンマ 出遭ってしまった相手
01-10 銀の長髪の魔族
11-40 誰かに似ている吸血鬼
41-70 金髪の竜人
71-00 イケメン狐獣人

 強化ソリ「」キキッ

ミスティ「この辺りで一旦休憩にしましょう……」

妖精「ミュージアまであと少しだね。今日の夕方には着けそうかな?」

イリス「砂漠に面した芸術都市かあ……! ふふ、やっぱり楽しみだなあ」

 *

エバンス「うーむ、この辺りじゃメシになりそうなものを探すのも一苦労だな……。諦めて保存食を食うか……?」スタスタ

クロシュ「!」ピコン!

エバンス「お、クロシュちゃん何か見つけたか?」

クロシュ「ん!」

 大きな岩「」グイッ
 岩の下に隠れていたデカムカデたち「!!」っっっ

エバンス「うぇ!? デカムカデじゃねーか!!」

クロシュ「んへへ……意外と、おいしい……」シュバッ

 *

 焚き火「」パチパチ
 焼きデカムカデ「」コンガリ
 焼きデカムカデ「」コンガリ
 焼きデカムカデ「」コンガリ

イリス「う、うう……」

ミスティ「こ、これは……」

リュアン「う、嘘ですよね……? これを食べるなんて……」

ローガン「……食用は、可能だったはずだ……。確か……」

エバンス「お、おう……。クロシュちゃんの太鼓判付きだぜ……」

妖精「うへぇ……」

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

 ☆デカムカデを食べたことにより、次の戦闘コンマが+5されます(現在合計+15)

 ◇

―西セイントレアキャニオン

 強化ソリ「」シャーッ

リュアン「……ふう。意外と……食べようと思えた食べられるものですね……」

ミスティ「そうね……。生存力が上がったわ……」

ローガン「うむ……。選択肢が増えたのは、良いことだな……」

イリス「うーん……でも次はちゃんと調理して食べたいなあ。丸焼きじゃなくて」

妖精「え、そこ!?」

エバンス「イリスちゃんの気持ちはわかるぜ。ゲテだからこそ、気持ち良く食えるようにしたいよな」

イリス「はい!」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ



エバンス「さて……あと少しとは言え、警戒は続け――ん?」


 日蝕「」スゥー…


ミスティ「えっ……? 急に暗く――」

イリス「道の先に誰か立ってる!! でも、あれ……あの魔力は……!!!」


日傘を差した吸血鬼の幼女「……」ニコッ


ローガン「なっ……あれは、フラナ氏か!? いや、髪の色が違うが――」


日傘を差した吸血鬼の幼女「……」スタスタ


リュアン「こ、こっちに来ます……!」

エバンス「何だかわからねえがヤベえ気がするぜ……!!」シャキン


 スタスタ ピタッ

日傘を差した吸血鬼の幼女「……頂戴」


イリス「え……?」


日傘を差した吸血鬼の幼女「あなたたちの血……頂戴」ニコッ

 吸血鬼の翼「」バサッ


ローガン「来るぞ!!」

ウニ剣士クロシュ「!!」シャキン


 ――遭遇戦 吸血鬼の姉 フレメア・バイオレット――


↓1コンマ(セイントレアバス+10、ムカデ+5)
01-10 痛恨
11-70 劣勢
71-95 優勢
96-00 会心

フレメア「」ヒュンッ

 ドガガガッ!!

ウニ剣士クロシュ「っ!!」

 ウニ棘「」ジャキンッ!!

フレメア「! へえ……面白い力だね」サッ

エバンス「野郎!」シャッ

フレメア「うわ……魔銀って嫌い……」ササッ

ローガン「ぬんっ!」バッ

フレメア「大の男たちが、幼子相手に大人気ないね……」ササッ

ローガン「吸血鬼の外見などアテになるか!!」バッ

フレメア「それはそう!」ガギンッ

エバンス「ぐおおっ!」ドガアッ

ローガン「エバンスくん!!」



ミスティ「くっ……動きが速すぎて狙いが……!!」

イリス「下手に撃ったら味方に当たっちゃうよ……! どうすれば……」



リュアン「あ、あわわ……クロシュちゃん……皆さん……!!」

妖精「くそ……! 太陽の光さえ届けば、私の魔法で焼いてやるのに……!!」



フレメア「ああ……乾く、乾く……!! あなたたちの血を早く飲ませて……!!」ヒュンッ


イリス「……血………?」


↓1選択
1.マジカルブラッドワインを飲む
2.マジカルブラッドワインを差し出す
3.このまま戦闘続行
4.その他

イリス「ま、待って!!!!」


フレメア「?」

エバンス「ぐっ……イリスちゃん……?」

ローガン「何か策があるのか……?」


イリス「こ、これ……!!」

 マジカルブラッドワイン「」ポン


フレメア「……」

イリス「ち、血のお酒です! これを……差し上げます……!! だから……」

フレメア「……それ、血は入ってないやつ」

イリス「えっ……」

フレメア「薬師気取りの馬鹿吸血鬼が、非吸血鬼用に作った清涼飲料水。そんな生ゴミ差し出すとか……舐めてる?」

イリス「あっ……!」

フレメア「まあ、いいや……。貸して」ヒュンッ

 ブンッ パシッ
 グビグビ

フレメア「ふうん……。思ったよりは、マシかも……。あの馬鹿妹の割には……」グビグビ

イリス「……」

フレメア「……ん〜……でも、物足りない……。やっぱり、処女の生き血が欲しいかも……」ジッ

イリス「うっ……」



エバンス「くっ……あのガキ、ふざけやがって……!!」ググッ

ローガン「エバンスくん、無理をするな!」

エバンス「今無理しないでいつ無理すんだよ!! このままじゃイリスちゃんたちが――」



「フレメア、こんなとこで何をしているの」

イリス「えっ……?」

クロシュ「あっ……」

フレメア「……」


レイン「……」スタスタ


妖精「あ、あのサキュバスは――」

ミスティ「いつだか、勇者像の前で会った――」

ローガン「指名手配犯のレイン・フォール!!」


フレメア「どこで何してようと、私の勝手」

レイン「いいえ。私たちはこんなところで油を売っている暇はないはずよ」

フレメア「めんどくさ……。仕事ならあんたたちだけで十分」

レイン「狂気に落ちて荒野を彷徨っていたあなたを救ったのが誰か、もう忘れたの?」

フレメア「恩の押し売り? 誰も救ってくれなんて頼んでない」

レイン「むう……。とにかく、あなたの力も必要なのよ。今回の作戦の重要性はわかってるでしょ?」

フレメア「……はいはい、わかってるよ……」


イリス「え、ええと……」

ミスティ「た、助かった……のかしら……?」


レイン「……別に、あなたたちを助けたわけではないわ。急ぎの用があるから、フレメアを連れ戻しに来ただけ……」

クロシュ「……」

レイン「……命が惜しければ、今後しばらくはミュージアに近付かないことね……」

リュアン「えっ……!? そ、それってどういう――」

レイン「惜しくなければ近付いても良いわ……。行くわよ、フレメア」バサッ

フレメア「……」バサッ


ローガン「……飛んでいく……」

イリス「ま、待って! フレメアさん!! あなたは、フラナ先生の――」


フレメア「……フラナは、私の愚妹。それだけ――」バサッバサッ


 ――戦闘終了――

 ・マジカルブラッドワインを失いました

 ◇

―西セイントレアキャニオン

 強化ソリ「」シャーッ

リュアン「さっきの二人は……一体……。それに、ミュージアに近付くなって……」

イリス「フラナ先生の、お姉さん……? それに指名手配犯のレイン・フォールが、どうして一緒に……?」

エバンス「くそっ……あいつら何を企んでやがんだ……? まさか芸術祭に乗じてテロでも起こす気じゃないだろうな……」


クロシュ「……」

妖精「みんな無事だけど……スッキリしないね。せっかくもうすぐ到着なのに……」

ローガン「うむ……。いや、あれほどの強敵を相手に誰一人大きな怪我を負うこともなく生き残れたのだから喜ぶべきなのだが、彼らの言葉があまりに不穏すぎるのだ……」

ミスティ「……本当に、テロでも起こすつもりなんじゃ……。芸術都市には入らずに迂回してく……?」

妖精「いや……補給無しで砂漠に突入したら死ぬだけだし、芸術都市に立ち寄らない選択肢はない。でも、警戒は必要かもね……」


クロシュ「……」

クロシュ(レインさん……ほんとは、優しい人なのかな……?)

 ◆

―夕方
 芸術都市ミュージア

 ワイワイ ガヤガヤ

 奇妙な形の彫像「」デン!


芸術妖精「似顔絵描いてるよ〜。あなたの顔をかわいくデフォルメして描くよ〜」


画家「はあ、最近売れねえなあ……」カンコドリ


アイドル専門画家「アイドルの絵売ってま〜す。毎度〜」チャリン


エルフの吟遊詩人「ダークヒーローイリス……人知れずトコナツ火山を救いし闇の英雄……」ポロロン


観光客「最近のダークヒーローイリス、ダーク要素薄いな。もっとダークダークして欲しいぜ」



イリス「おお〜流石芸術都市! 出歩くだけですごく芸術に溢れてる……!」

ミスティ「ここでも妖精が商売してるわね……。大丈夫なのかしら……」

ローガン「芸術都市で最も重視されるのは芸術だ。種族の違いで扱いが変わることはあまりない……と思われる」

妖精「ウォーターポートと言いここと言い、意外と他種族に寛容な街を訪れることが多いよね」

エバンス「まあこの芸術都市自体が国境に面した街だからな。港湾都市と似た面があるのは当然かもしれないぜ」


クロシュ「リュアンちゃん……付き人さんは……?」

リュアン「えと……」キョロキョロ


「お嬢様〜!!」タッタッタッ


リュアン「!!」

メイド「お嬢様、申し訳ありません……! あなたをお守りすることができず……」

リュアン「あ、いえ大丈夫です。この人たちが、一緒に連れてきてくださいました」


クロシュ「……」ペコリ

妖精「あなたが……リュアンの付き人?」

メイド「はい! お嬢様……リュアン様をここまでお守りしていただき、本当にありがとうございました!」ペコリ

ミスティ「いえ、いいわ……。たまたま行き先が一緒だったから……」

リュアン「でも、本当にありがとうございました。私一人じゃ、きっと途方に暮れていました。この御恩は……すみません、今すぐ返すのはやっぱり難しいかもしれないのですが……」

エバンス「いやいや、大丈夫だ。元からお礼が欲しかったわけじゃないって言っただろ? 無事に付き人さんと再会できて何よりだよ」

ローガン「うむ。今後ははぐれぬよう気を付けると良い」

リュアン「皆さん……! 本当に、本当にありがとうございました! 必ずお返し致しますので、いつかまたお会いしましょう! それまで、どうかお元気で……!」

クロシュ「うん……! リュアンちゃんも、おげんきで……!」

リュアン「うん! クロシュちゃんも、元気で! がんばってね!」

 ☆お嬢様のリュアンちゃんと別れました

 ◆

―芸術都市ミュージア 滞在初日

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□芸術都市ミュージア 主要施設
大通り:絵空の家、武具屋、雑貨屋、美術店、工芸店、劇場、図書館、博物館、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:怪しい露店、怪しい絵売り、怪しい工芸店、娼館、見世物小屋、他
……………………………………………………………………………………

―夜
 宿泊所 絵空の家

イケメンゴーレム「イラッシャイマセ! オトマリハ6名様デヨロシイデスカ!?」ドン!

エバンス「おわっ! ゴーレム!?」

妖精「んん……? 看板があるね……」

 看板『このゴーレムは当館の受付です。仕事はちゃんとできます』

ミスティ「な、なるほどね……。主人は優秀な傀儡師なのかしら……」

イリス「でもすっごい精巧なゴーレム……芸術都市だし、彫刻家でもあるのかも……」

イケメンゴーレム「オトマリハ6名様デヨロシイデスカ!?」

ローガン「う、うむ……。それで問題ない」

イケメンゴーレム「カシコマリマシタ! オ部屋ヘゴ案内シマス!」ズンズン

クロシュ「わあ……」

妖精「書いてある通り、仕事は確かにできるみたいだね……」

 *

―絵空の家 客室

 なんかよくわからない抽象画「」
 なんかよくわからない小さな彫像「」
 やたらかわいくデフォルメされたアイドルのフィギュア「」

イリス「わあ……! お部屋の中も芸術でいっぱいだ!」

ミスティ「この絵と像が何を示すものなのか全然わからないわ……」

妖精「対照的に、このひらひらした格好の……女の子の像? はすっごいわかりやすいね……」

クロシュ「……!」ピコン

 フメイ人形「」ポン
 アリシラ人形「」ポン
 アイドルのフィギュア「」

クロシュ「んへへ……」

イリス「わあ、かわいい……!」

ミスティ「ふふ……クロシュもこういうところがあるのね」


芸術都市ミュージア滞在初日の夜です
↓1〜3 自由安価 何をする?(疲れているため、宿から遠くへは行けません)

それでは本日はここまでとなります。次回はフラナ先生へのお手紙編、ローガンとエバンスの男子会編、戦慄の見世物小屋編となります

ついに芸術都市へ到着したクロシュご一行です。途中恐ろしい吸血鬼に襲われたりもしましたが、なんとか無事に切り抜けることが出来ました
しかしどうやら、彼女らも何か良からぬことを企んでいる様子。一体芸術都市で何が起きてしまうのでしょうか。気を付けていきましょう

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします

強敵は本当に強い敵が出ます。現在のクロシュたちの実力では、彼らと正々堂々戦うのは少々のリスクがあります
戦闘の形式が現状コンマ任せでしかないので、もう少し戦術性のあるものにできないか少し考えています……

レイン氏は、直ちにクロシュたちと敵対する意思があるわけではないようです
しかし彼女らがミュージアで何をしようとしているのかはわかりません。気を付けましょう

フラナ氏がどこで誰の血を摂取しているのか、その真相は実のところ闇に包まれています。魔族国が王国に支配されている魔族自治区だった時代でも、フラナ氏はなぜか栄養失調には陥ることなくピンピンしていました。これは魔族国七不思議の一つとして子供たちの間でおもしろおかしい話題になっているようです

フレメア氏が魔王になりかけているかどうかはわかりませんが、レイン氏の言う事を聞く程度には理性が残っているようです
もし魔王であればとても大きな脅威なので、王国は急いで対策を練る必要があります

フレメア氏の言葉の真意がどのようなものなのか、今はまだわかりません。口ぶりからするとレイン氏の他にも人員がいるかのように聞こえます
もし彼女らの背後に何らかの危ない組織が関わっていた場合、ミュージアはとても危険な状態と言えるかもしれません

突然ですがここで、芸術都市在住の芸術家でクロシュたちに友好的な登場人物を一人と、芸術祭でここを訪れるセイントレア王国の王様の人物像を募集いたします
本編の更新は午後からとなります。よろしくお願いいたします


(友好的な芸術家のテンプレート)
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)


(セイントレア国王のテンプレート)
【名前】(ラストネームはセイントレア)
【種族】人間
【性別】男
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意属性など)
【備考】(セイントレア王国の国王。過激な人間至上主義政策を推し進めている)


↓1友好的な芸術家

↓2セイントレア国王

みなさんありがとうございます。友好的な人物はレーティアさん、王様はアルベール氏となりました。今後の登場にご期待ください

―夜
 絵空の家 客室

イリス「……」カキカキ

ミスティ「手紙……フラナさんへ?」

イリス「うん。今日のこと……フレメア・バイオレットについて、聞きたくて」

ミスティ「あなたの師匠から聞いたことはなかったの?」

イリス「うん。師匠からもフラナ先生からも、フラナ先生にお姉さんがいたことについては聞いたことがなかったから」

ミスティ「……魔族国に滞在してた時も、フラナさんの家族については全く聞いたことがなかったわね。あれほどの力の持ち主なら、噂くらいにはなっていてもおかしくないと思うのだけれど……」

イリス「……あまり公にはしたくないことなのかも。だからちょっと気が引けるけど……今はあの人たちが何者なのか、手がかりが欲しいし……」

ミスティ「そうね……。それに彼女たちは、吸血鬼とエルダーサキュバス……。どちらも高位の魔族、フラナさんなら何か知っている可能性は実際あると思うわ……」

イリス「流石に魔族国は関わってないと思うけどね」

 ☆フラナへお手紙を出しました

 ◆

―夜
 酒場

 ジョッキ「」ドンッ

エバンス「くそぉ……俺ァ一体何の為にこのパーティに入ったんだ……」グビグビ

ローガン「エバンスくん、落ち着くんだ……。酒をそのように飲むのは……」

エバンス「俺は守れなかった!! あの村の人たちを守れなかったんだ!!! だから、だから俺は、あの人たちの忘れ形見とでも言うべきクロシュちゃんを守りたくて……!!」グビグビ

ローガン「エバンスくん、クロシュくんは無事だぞ……」

エバンス「わかってんだよ!!! それがクロシュちゃん自身が力を付けた結果だってこともよォ!!」

ローガン「う、うむ……。クロシュくんが自分で自分を守れるようになるのは、良いことではないか」

エバンス「そうだよ!! 良いことに決まってんだろ!! だが今日のザマを思い出せローガンの旦那!! 俺はクロシュちゃんを守れず、パーティの女の子たちも守れず、挙げ句の果てにイリスちゃんの機転と突然の幸運に助けられただけじゃねぇか!!」

ローガン「うむ……」

エバンス「ああいう危機にこそ俺が守れなきゃならねえってのに……!! ックショウッ……!!」ドンッ

ローガン「……」


ローガン(エバンスくんの気持ちは、私もわかる)

ローガン(私自身も、彼女らを守ると宣ってこのパーティに入ったのだから)

ローガン(そして私も彼と同様に……焦りを感じている……)

ローガン(まず、ものすごい勢いで力を付けていくクロシュくん……。剣の腕ではまだ私やエバンスくんに分があるが、単純な耐久力や同化を用いた多彩な戦術を鑑みれば、総合的な戦力は恐らく我々を凌ぐ……)

ローガン(そしてイリスくんとミスティくんもまた……。日々研鑽を怠らず、日進月歩で魔法の技量を磨いている……。イリスくんはついに星属性魔法を習得し、ミスティくんもレッドくんが使っていたような、瞬間冷凍魔法を会得した……)

ローガン(だが私は……今までに得た実力に胡座をかいたまま、先へ進めていない)

ローガン(……まあそれでも、単純な剣技や防衛術ならまだまだ他の者には負けない自信はある。身体的なポテンシャルでは若者に追いつけぬとしても、技術を授ける側としてならばまだまだ私にもやれることはある、と思う)

ローガン(そういうわけで、まずは――)


↓1コンマ
01-10 もっと飲むぞ!
11-30 娼館へ行くぞ!
31-60 帰って寝るぞ!
61-90 特訓をするぞ!
91-00 ??

ローガン「エバンスくん! 帰って寝るぞ!」スクッ

エバンス「んああ……? 俺ァまだまだ……」フラフラ

ローガン「気が弱っている時は、酒を飲んで寝る! これに勝る健康法はない!!」ドン!!

エバンス「なん、だと……」

ローガン「まずは体を休め、明日こそはクロシュくんたちを十全に守れるよう努めるのだ」

エバンス「うむむ……」

ローガン「まずは休息というわけだ。帰るぞ、エバンスくん!」ズンズン

エバンス「うおお、ま、待ってくれよォ」フラフラ

 ◆

―夜
 裏通り

クロシュ「……」トコトコ

妖精「ちょっとクロシュ、曲がりなりにもここは王国の街なんだよ? こんな時間に外に出たら危ないよ」パタパタ

クロシュ「……気になる」トコトコ

妖精「気になるって、何が……」パタパタ

クロシュ「わかんない……」トコトコ

妖精「あ〜もう〜!」パタパタ

 *

 見世物小屋「」


クロシュ「……」

妖精「あれは……何かの店……?」

クロシュ「……」

妖精「中から、他の妖精の気配を感じるけど……。これ……」

クロシュ「……」トコトコ

妖精「あ、馬鹿! せめて服の内に入らせて!」ササッ モゾモゾ



クロシュ「……」トコトコ

黒服の男「待て。入場料を払いな、嬢ちゃん」スッ

クロシュ「にゅうじょうりょう……?」

黒服の男「そうだ。金は持ってるのか?」


↓1 どうしよう
1.お金を払う
2.帰るフリをしたあと光学迷彩で忍び込む
3.その他(自由安価)

クロシュ「おかね……ない……」

黒服の男「じゃあ帰った帰った。ここは貧乏ガキの遊び場じゃねえぞ」

クロシュ「……」クルッ トコトコ

黒服の男「気ィつけて帰れよ」

 *

クロシュ「……」トコトコ

妖精「諦めたの?」ヒョコッ

クロシュ「んーん」ピタッ

妖精「……私も、あの中が気になり始めた。入るのに何か良い方法はある?」

クロシュ「うん……。妖精さん……わたしの中から、出ないでね」

妖精「え――」

光学迷彩クロシュ「……」スゥー

妖精「うわわ! 中にいる私ごと透明になった! これ、前にイリスたちが言ってたやつ!?」

光学迷彩クロシュ「うん。こーがくめーさい、だって」

妖精「なるほど……。わかった、じゃあ私は魔力の流れがなるべく自然に溶け込むよう偽装してあげる」ホワワ…

光学迷彩クロシュ「わあ……」

妖精「これでよほどの手練れでもなきゃ魔力感知もできないよ。視覚的にも魔力的にも透明ってわけ」

光学迷彩「うん……ありがと……」

妖精「早く行こう。嫌な予感がする」

 *

黒服の男「ふわあぁ……俺も帰りてェ……」

光学迷彩クロシュ「……」トコトコ

黒服の男「ん? 今何か……? いや、何もない……気のせいか……」

 *

―見世物小屋

 ヒソヒソ… ヒソヒソ…

光学迷彩クロシュ「」コソコソ

妖精「けっこう人が多い……ぶつからないように気を付けて」ヒソヒソ

光学迷彩クロシュ「ん」


人間の子供「ねーまだー?」
人間の母親「こら、静かに。もうすぐよ」
人間の男A「へへっ、一日の終わりに見世物小屋! 人生にゃ彩りってもんが必要だよな」
人間の男B「こんなのが人生の彩りとか、お前無様な人生歩んでんだなあ」


妖精「……これ、なんの集まりなの? 外の看板には見世物小屋とか書いてあったけど……」

光学迷彩クロシュ「……」


仮面の司会「今宵もお集まり頂きありがとうございます、紳士淑女の皆様方! 間もなく開演となります!」


妖精「なんか舞台に出てきた」

光学迷彩クロシュ「……」


仮面の司会「本日の演目は、レッサースライムと妖精のなかよしごっこ!!」


妖精「!!?」

光学迷彩クロシュ「……?」


仮面の司会「演者を務めるは、劣等種の分際で違法路上営業を行っていた愚かな羽虫と、ミュージア下水道で醜く繁殖した下劣な粘体生物の方々です!!」


羽根をピン留めされた芸術妖精「ひっ……」ガタガタ

レッサースライムたち「〜〜」モニョモニョ


人間の子供「わぁ〜妖精さんとスライムさんだ〜」キャッキャ
人間の母親「まぁ、汚らわしい……」ゲテゲテ
人間の男A「おっ、良いねぇ! 今日の演目は気合入ってんぜ!」ゲテゲテ
人間の男B「あの羽虫、何日か前から路上で調子乗ってて目障りだったんだよな。スカッとするわ」ゲテゲテ


妖精「!!!!」

クロシュ「……!!」


仮面の司会「それでは、演目開始です! 粘体たちの貴重な羽虫捕食シーン、とくとご覧あれ!!」


レッサースライムたち「〜〜」モニョモニョ

ピン留め芸術妖精「や、やだぁ……」

レッサースライムたち「〜〜♡」モニョニョ モニョモニョ

 ネチョッ ベチョッ デロデロ…

ピン留め芸術妖精「いたいっ! やめてぇ! わたしなんか食べてもおいしくないよぉ!!」ジタバタ


観客たち「」ゲテゲテゲテゲテ


妖精「ふざけやがって……!!! あいつら、殺してやる……!!!」ギギギ

光学迷彩クロシュ「――」


↓1〜3多数決 クロシュはどうする
1.見ている
2.乱入する
3.自由安価
4.運命に従う(運命賽を一つ消費し、クロシュを良い運命へ導きます)

光学迷彩クロシュ「妖精さん……ちょっと、ごめんね」

妖精「へっ……? わっ!」モニョン

クロシュの体内に飲み込まれた妖精「〜〜!」モガモガ

 デロデロ…

 *

光学迷彩スライムクロシュ「」シュバッ モニョッ

レッサースライムたち『だ〜れ〜?』モニョニョ?

光学迷彩スライムクロシュ『こんばんは。わたし、クロシュ』モニョモニョ

レッサースライムたち『わあ〜。いっしょにたべる〜?』モニョモニョ

光学迷彩スライムクロシュ『んーん……。妖精さんは……おいしく、ないよ……?』モニョモニョ

レッサースライムたち『でも〜とってもおいしそうだよ〜』モニョモニョ

光学迷彩スライムクロシュ『……ここで、妖精さんを食べたら……悪い人たちの、思う壺だもん……』

レッサースライムたち『わるいひとたちって〜?』モニョニョ
レッサースライムたち『わかんない〜』モニョ
レッサースライムたち『おなかすいた……』モニョニョ…

光学迷彩スライムクロシュ『んゅゅ……とにかく、だめなの!!!』モニョニョ!!!!

レッサースライムたち『んわ〜』モニョ~
レッサースライムたち『わかりましたぁ〜』モニョニョ
レッサースライムたち『おなかすいた……』モニョニョ


人間の子供「止まっちゃったよ?」
人間の母親「止まったわね」
人間の男A「なんだよ、これから良いとこだったってのに!」
人間の男B「早くスカッとさせろよ」


仮面の司会「チッ、使えない奴らだ」ボソッ


ピン留め芸術妖精「ぐすっ、ひぐっ……た、たべるなら、早くしてよぉ……」

光学迷彩スライムクロシュ『この妖精さんは、連れてく。いい?』モニョモニョ

レッサースライムたち『はぁ〜い』モニョニョ
レッサースライムたち『わかりましたぁ〜』モニョモニョ
レッサースライムたち『おなかすいた……』モニョ…

光学迷彩スライムクロシュ『……わたしの体、少しあげる。それで我慢、してね……』モニョニョ プチン

 クロシュの欠片「」モニョッ

レッサースライムたち『わぁ〜ごはん〜』モニョモニョ モグモグ


仮面の司会「はい皆さん! ここで演目変更です! ここから先の演目は、観客の皆さんも参加型のレッサースライム駆除ショーでございます!!」

 ザワザワ…

人間の子供「ママ〜くじょってなに〜?」
人間の母親「はあ? 自分の手を汚すなんてありえないでしょ」
人間の男A「ん? なんだそりゃ……まあたまにはそういうのもいいか」
人間の男B「おい、それなら羽虫も駆除させろよ」

仮面の司会「ご安心ください! レッサースライムは最弱の魔物とも言われる下等生物! お子様の手でも簡単に捻り潰すことが可能です!」

 ザワザワ…

光学迷彩スライムクロシュ『わわ……大変なことになっちゃった! みんな、逃げなきゃ!』モニョモニョ!

レッサースライムたち『んえ〜? なんで〜?』モニョモニョ
レッサースライムたち『わかりましたぁ〜』モニョニョ
レッサースライムたち『くろしゅちゃん、もっとたべたい……』モニョニョ…

光学迷彩スライムクロシュ『悪い人たちがわたしたちを殺そうとしてるの!! 逃げるよ!!』モニョモニョ!!


仮面の司会「まずは私がお手本をお見せ致しましょう! この最新式の魔導火炎放射器で、汚物は消毒ゥー!!!」カッ

 炎「」ゴウッ!!

レッサースライムたち『んわ〜』モニャニャ
レッサースライムたち『あつゅい〜しんじゃう〜』モニャモニャ
レッサースライムたち『おなか……』モニャ…

光学迷彩バーニングスライムクロシュ『させないもん!!』チリッ

 カッ――
 ドガァン!!!

仮面の司会「オアアアアア!!!」メラメラ

人間の子供「わあ〜! ばくはつ、ばくはつ!」キャッキャ
人間の母親「こ、これは……そういう演目なの……?」
人間の男A「お、おいおい自爆したぞあの司会!?」
人間の男B「チッ……」


光学迷彩スライムクロシュ『みんな、今のうちに!』モニョニョ

レッサースライムたち『わ〜』モニョニョ
レッサースライムたち『にげろ〜』モニョモニョ
レッサースライムたち『ごはん……』モニョニョ

ピン留め芸術妖精「な、なにが起きてるの……?」

光学迷彩スライムクロシュ『針を抜くね……』モニョモニョ

芸術妖精「あ……透明な、スライムさん……!? 私を助けてくれたの……?」

光学迷彩スライムクロシュ『うん。飛べる?』モニョニョ?

芸術妖精「えと……なんて言ってるかわかんないけど、ありがと! 一緒に逃げよ!」パタパタ

光学迷彩スライムクロシュ『うん!』モニョ!

 ◇

―路地裏

レッサースライムたち『ばいば〜い』モニョニョ
レッサースライムたち『おやすみなさい〜』モニョモニョ
レッサースライムたち『くろしゅちゃん、すき』モニョモニョ

マンホールに吸い込まれていくレッサースライムたち「」モニョニョニョ

スライムクロシュ『うん……みんな、元気でね……』モニョモニョ

 *

妖精「はあ……いきなり飲み込まないでよ」パタパタ

クロシュ「ごめんなさい……。でも、ああするしか……」

妖精「いや、わかってるけどさ……」

芸術妖精「あれれ? 他にも妖精がいたの?」ヒョコ

妖精「まあね。あなた、羽根は大丈夫なの? 魔封ピンで留められてたみたいだけど」

芸術妖精「まだピリピリするよぉ〜。だいぶ無理したかも……」

妖精「はあ……。堂々と人前なんかに出るからだよ。気を付けることだね」

芸術妖精「でも、芸術都市だよ? 芸術を志すのに種族なんて関係ないじゃん」

妖精「芸術都市の前にここは王国なんだよ。王国の連中の考え方は身を持ってわかったでしょ?」

芸術妖精「む〜……わかりたくなかった」

妖精「クロシュにちゃんとお礼を言ってよね。クロシュがいなかったら、あなた今頃レッサースライムたちの体の一部だよ」

芸術妖精「クロシュちゃんってこのスライムさんだよね? 本当に、ありがとね。食べられちゃうかと思っちゃった……」

クロシュ「……うん……。でも……次は、助けられないかも……。レッサースライムの子たちも……おなか、すいてたみたいだから……」

芸術妖精「自然の掟だぁ〜。でも、クロシュちゃんは掟に反してまで助けてくれたんだね……」

クロシュ「うん……。妖精さんたちのことも……好きだから……」

芸術妖精「わたしもクロシュちゃんのこと大好き!」ギュッ

妖精「こらっクロシュに抱きつくな!!」

 *

芸術妖精「とりあえず、わたしもしばらく隠れて暮らすことにするよ。今日は本当にありがとね」

クロシュ「ん……。気を付けてね……」

妖精「できればこの街からも出てった方が良いよ。フォレスティナ辺りが安全だよ」

芸術妖精「ん〜、でも芸術祭で見ておきたいものがいくつかあるんだよね〜。まあ祭が終わったら出るよ!」

妖精「呑気なやつ……。二度目は本当に助けらんないかもだから、本当に気を付けてよね」

芸術妖精「わかってるよ〜。クロシュちゃんたちも、この街のことでわかんないことがあったらなんでも聞きに来てね。わたし、絵空の家って宿屋の屋根裏に住んでるから〜」

妖精「えっ私たちが泊まってるとこだ」

芸術妖精「わあ偶然〜! あそこのご主人のご厚意で住まわせてもらってるの〜。人間だけど良い人だよ〜」

妖精「まあ……良い人間がいることはその通りだと思う、うん」

 ◆

―深夜
 裏通り

 見世物小屋「」メラメラ


金髪の竜人「……」

イケメン狐獣人「うわ、何やってんだよアンタ……。こんな目立つ真似なんかしちまってさァ……」

金髪の竜人「勘違いしないでくださいまし。わたくしではありませんわ」

イケメン狐獣人「アンタ以外に誰がいんだよ、こんな派手な燃やし方する奴が」

金髪の竜人「一瞬ですが、バーニングスライムの気配を感じましたわ」

イケメン狐獣人「はァ? バーニングスライムはとっくの昔に絶滅したんだろ?」

金髪の竜人「ですがあれは間違いなくバーニングスライムの気配でしたわ。すぐに消えてしまいましたが」

イケメン狐獣人「なんだそりゃ? 一瞬だけ蘇ってまた死んだとでも?」

金髪の竜人「さあ? ただ、その後……この建物から、光学迷彩魔法で身を隠した謎のスライムが逃げていくのが見えましたわ」

イケメン狐獣人「ふうん? んじゃそいつがバーニングスライムモドキってこと?」

金髪の竜人「くすくす……バーニングスライムの驚異的な炎の力と、高度な光魔法である光学迷彩を駆使してテロを引き起こす謎のスライム……面白くなってきたと思いませんこと?」

イケメン狐獣人「不確定要素が増えることの何が面白いのか、理解に苦しむね」

金髪の竜人「相変わらずですわね、あなたは。わたくしたちと同じく、人間を恨む同志なのかもしれませんわよ?」

イケメン狐獣人「アンタはソレが何であろうと滅茶苦茶に殺し合いがしたいだけだろ。恨みなんて毛頭ない癖に同志ヅラしてんじゃねえよ、サイコトカゲ女が」

金髪の竜人「あら、手厳しい……。同じ腹黒槍使い同士、仲良くできてると思ってましたのに」

イケメン狐獣人「アンタは腹黒じゃなくてイカレてるだけだっつーの! ったく……あと角くらい隠せよ」

金髪の竜人「あらら、ごめんあそばせ。うふふ、変化の術は不得手ですの。お狐さんと違いましてね」

 ◆

―芸術都市ミュージア 滞在2日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□芸術都市ミュージア 主要施設
大通り:絵空の家、武具屋、雑貨屋、美術店、工芸店、劇場、図書館、博物館、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:怪しい露店、怪しい絵売り、怪しい工芸店、娼館、見世物小屋跡地、他

―朝
 絵空の家

 チュンチュン

イリス「クロシュちゃんと妖精さん、昨晩はどこに行ってたの?」

妖精「あー、それはね……」

芸術妖精「囚われのヒロインであるわたしを助けてくれてたんだよ〜!」ヒョコッ

ミスティ「うわっ! あなたは……通りで似顔絵描きをやってた妖精……?」

芸術妖精「わあ、知ってくれてるの? その通り、似顔絵描きの妖精です。いろいろあって、クロシュちゃんに助けてもらっちゃった」

クロシュ「うん……」

イリス「な、なんかいろいろあったんだね……。お疲れさま」

 扉「」ガラッ

白髪の美人「皆さんおはようございます! うちの妖精さんがお世話になったそうで!」ズイッ

妖精「うわっ誰!?」

白髪の美人→レーティア「申し遅れました、私この宿の管理運営をさせていただいております、レーティア・フォン・ロスチャイルドと申します」ペコリ

イリス「あ、どうも! 受付のゴーレムさん、精巧ですごかったです!」

芸術妖精「ふふん、すごいでしょ! あれ私が作ったんだよ!」ドヤ

ミスティ「え、そうだったの……。すごいわね……。てっきり、宿の主人が作ったものだと……」

レーティア「私も芸術は嗜んでおりますが、腕はそれほどでもないのですよね……」

芸術妖精「レーティアはね〜。才能のある人を発掘して、活動を支援する人なんだよ〜」

レーティア「はい。アーティストの方々のおこぼれにあずかって、細々と日銭を稼がせて頂いております。本音としては、自分自身の芸術活動で生計を立てたいのですけれどね……」

イリス「ええと……パトロンみたいなもの、ですか?」

レーティア「この国の経済ではまだ馴染みが薄い概念かもしれませんが、投資家、という言い方が近いかもしれません」

妖精「投資家……聞いたことがある。海の向こうのイスファハーンでは、投資によって巨万の富を築く者たちがいるとか何とか……」

レーティア「そうそう、その投資です。まあ私のはおままごとみたいなものですけれどね」


芸術妖精「あそうだレーティア〜、わたし芸術祭のお絵かき演舞できないかも〜」

レーティア「ええっ……! あなたができないとなると……いえ、でも昨日のようなことがあったとなれば、仕方ないですね……。あなたの身の安全が第一ですから……」

芸術妖精「ごめんね〜。まあ王様って人間以外は大っ嫌いらしいし、きっとこの方が良いよね〜」

レーティア「しかし既にスケジュールには一流芸術家のお絵かき演舞が組み込まれてるんですよね……。くっ、今から代役を探して間に合うでしょうか……。かくなる上は、私自ら……いえ、王族の方々に無様な絵など見せれば私の首が……」ブツブツ


ミスティ「な、なんか大変そうね……」

イリス「投資家?っていうのもいろいろ大変なんだね……」


レーティア「どこかにフリーの超絶画力の持ち主が転がっていたりはしないでしょうか……」ブツブツ

芸術妖精「わたし並の人材なんてそうそう転がってるわけないよ〜」


クロシュ「……あの……」オズ

レーティア「ん? 君はうちの妖精を助けてくれたスライムの王子様ですよね。フフ、なんですか?」

クロシュ「わたし……絵、描ける……」

レーティア「えっ……?」

妖精「いやいやいやいや! そんなことしてる暇――いや、待てよ――」

妖精(このレーティアって奴が投資家なら、旅の資金をがっぽり稼ぐチャンスか!?)


レーティア「本当ですか? 失礼ですが、腕前の方を見させて頂いても?」

クロシュ「ん」

 *

 ものすごく精緻に描かれたフメイちゃんの絵「」

 ものすごく精緻に描かれたスライムの絵「」

 ものすごく精緻に描かれたカタツムリの絵「」

レーティア「こ、この技術は……!!」

芸術妖精「すごい……! 技量だけならわたしに並んで、この街でもトップクラスかも……! でも――」

レーティア「……はい。これはものすごく精緻で美しい絵なのですが……芸術という観点では、少し弱いと言わざるを得ません……」

クロシュ「!!」ガーン!!

イリス「ええっ!? こんなに綺麗なのに!?」

ミスティ「げ、芸術って……何……?」

レーティア「う〜ん……説明は難しいのですが……。その人にしか描けない、その人にしかないもの――その人が心の底から表現したいと思う、情熱の具現……とでも言いましょうか」

芸術妖精「ぱわーが弱いってこと! テクニックは凄いんだけどね」

クロシュ「ぱ、ぱわー……」

レーティア「この絵もとても精緻で美しいのですが……恐らく、うちの妖精さんも近いものを描くことはできます。これは、言ってしまえば現実の模写でしかないというか……」

妖精「わ、わけがわからない……」

レーティア「これが王族の観覧するお絵かき演舞でなければ、余裕にどうとでもなるのですが……。この国の王族は芸術の価値を無駄にわかってやがるものですから、適当なそれっぽい誤魔化しが通用しません」

イリス「芸術の価値がわかってるのって良いことなんじゃ……?」

レーティア「芸術の価値をわからない人相手の方が売りやすいんですよ。人気なもの、流行っているものと思わせられれば簡単に買ってくれますから」

芸術妖精「も〜、レーティアは芸術よりお金稼ぎの方が好きなの〜?」

レーティア「ハッ……も、もちろん芸術ですよ! お金稼ぎは副業ですからね、ハハッ……」

ミスティ「な、なんか酷い話を聞いてしまったような気がするわ……」

クロシュ「えと……とにかく、ぱわー……?」

芸術妖精「そう、ぱわー! わたしがクロシュちゃんに教えたげる! 芸術祭までに出せるようになろうね、ぱわー!」

レーティア「もしぱわーを出せるようにならなくても、ここまで精緻なものが描けるのなら王族の方々と言えど大目に見てくれるとは思いますよ。どうか気楽に臨んでください。謝礼はたっぷり用意させていただきますから」


 ☆目標「ぱわーを獲得する[0/3]」が発生しました


ミュージア滞在2日目です。5日目から芸術祭が始まります
↓1〜3 自由安価 何をする?

それでは本日はここまでとなります。次回は酒場で情報収集編、図書館でぱわー探し編、ローガンエバンス修行編となります

いろいろありましたが峠を乗り越え、芸術妖精を救出することに成功したクロシュさんでした。あの場でレッサースライムの方々とお話をすることができたのはとても有意義なことだったかと思います。何やら暗躍する者たちもいるようですが……
そして宿屋の主人で投資家で芸術家のレーティア氏との邂逅を果たしました。ぱわーを獲得するのは難しいかもしれませんが、もし上手くいけばがっぽり稼げるかもしれません。せっかくの芸術都市ですので、芸術活動を楽しんでいっていただきたいところです

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします

パーティ各位のお絵かき能力については、前スレ448辺りで判明しているようです。ぱわーを持っているかどうかはわかりません。なおエバンス氏は当時パーティにいなかったため、お絵描き能力についてもはっきりしていないようです

運命賽がけっこう余ってきたため、新しい使い方が登場しました。なお今回可決された自由安価は運命賽を使った場合とほとんど同じものだったため、実際無消費で良い運命に進むことができたと言っても良いかと思います。おめでとうございました

レーティア氏のお金稼ぎ能力は、彼女自身の知識・経験によるものも大きいため、単純な擬態でそれを真似するのは困難かと考えられます
もしレーティア氏のお金稼ぎ能力を習得したい場合は、レーティア氏と同化するのが手っ取り早いでしょう。ただし、生きている方と同化するのは様々な点から危険が伴うため、あまり推奨はできません

―酒場

 ワイワイ ガヤガヤ

クロシュ「……」トコトコ

妖精「なんで酒場?」パタパタ

クロシュ「情報収集と言えば、酒場……ってローガンさんが、言ってた……」

イリス「冒険者の基本だよね」

ミスティ「……前から少し思っていたのだけれど、私たちって冒険者なのかしら?」

イリス「ま、まあ冒険者じゃない? ほら、ギルドの冒険者証も持ってるし……」

妖精「私は持ってないけど」

クロシュ「わたしも……持ってない……」

イリス「……誰か一人が冒険者証を持ってればパーティとして認められるから、実質冒険者だよ!」

妖精「いやまあ、別にいいけどさ……」

ミスティ「とりあえずいろいろ聞き込みでもしてみましょうか」


↓1コンマ
01-25 とりあえず一杯
26-50 国王について
51-75 不審者について
76-00 ぱわーについて

老画家「わしは若い頃にな――」ウンヌン

酒場の客A「まーた爺さんの昔話が始まったよ」

酒場の客B「若い頃にコンクールで特別賞を獲った話?」

酒場の客C「その後は鳴かず飛ばずなんだろ? まぐれだったんじゃねえの」

老画家「いいや、まぐれではない……。あれは、わしが真の力を発揮することのできた奇跡の――」

酒場の客A「あーあージジイの言い訳なんか聞いてたら酒が不味くなる。行こうぜ」スタスタ



老画家「……」

クロシュ「……」トコトコ

老画家「なんじゃ。ここはお主のような小童が来る場所ではない……」

クロシュ「わたし……お酒、飲める……。スライムだから……」

老画家「なんと、スライムの子じゃったか……。しかしそれは言いふらさない方が良いじゃろう……」

クロシュ「うん……」

老画家「わしが若い頃は……今よりも、人と魔の関係はもう少し良かったんじゃが……おっと、すまぬ……。昔話など面白くもなかろう……」

クロシュ「んーん……。おじいさんのお話……聞きたい……」

老画家「ほう……! では、わしが若い頃……たった一枚だけ描けた、奇跡の一枚の話をしてあげよう……」

 *

老画家「わしは今でも……あの絵が、限りなく真に迫った奇跡の一枚であったと確信しておる……。しかし……あれ以降、さっぱりそのような絵を描けなくなってしまったのじゃ……」

クロシュ「どうして……?」

老画家「情けない話じゃが……あの一枚に、わしの内なる力のほとんどを注ぎ尽くしてしまったのじゃろう……。真に才ある者であれば、注いだとて自身の内なる力をも失うことはないのかもしれぬが……結局のところわしは、たった一枚の奇跡を起こすことしかできなかった、凡人だったのじゃ……」

クロシュ「ちから……。ぱわー……?」

老画家「そういう言い方もあるじゃろう……」

クロシュ「なくなっちゃったの……?」

老画家「うむ……。ときにお嬢ちゃんは、芸は嗜むのかい?」

クロシュ「うん……。絵、描く……」

老画家「ほう……」

クロシュ「わたしも、ぱわーを出せるようになりたい……」

老画家「……芸術とは、芸術を成そうとして成すものではない……内なる意思に従って創り上げたもの――その結果が、芸術になるのじゃ……」

クロシュ「……???」

老画家「つまり……お嬢さん自身が、描きたいものを描けば良いのじゃよ」

クロシュ「わたしが……?」

老画家「そうじゃ。素晴らしいものを創り上げたいとか、富や名声を得たいといった我欲に囚われず……気の赴くまま、思うままに描くのじゃ。お嬢さん自身が見たいもの、描きたいもの、願い、祈りを……絵に、込めるのじゃ……」

クロシュ「……」


↓1コンマ
01-60 うん  [ぱわー1/3]
61-90 わかった[ぱわー2/3]
91-00 !   [ぱわー☆]

クロシュ「うん……」

老画家「……ふっ……などと偉そうなことを言ってみたが、所詮は凡なる老いぼれの戯言じゃ……。わからぬ、合わぬと感じたら聞き流してくれ……」

クロシュ「んーん……。ありがと……。考えてみる……」

 ☆クロシュのぱわーが[1/3]になりました

 ◆

―絵空の家

クロシュ「――っていう話、聞いた……」

芸術妖精「へえ〜誰だろそのお爺ちゃん?」

レーティア「若い頃に一度だけ賞を取った老画家……ローガさんかな?」

芸術妖精「あ〜ローガの奴か〜! あいつの受賞作は本当に奇跡の一枚だよ! わたしもあの時は心の底から悔しさと敬意を覚えたなあ……」

レーティア「だからこそ再起を望まれていたのですが……結局その後、彼が画家として名を馳せることはありませんでした……。芸術の道とは時に残酷なのですね……」

芸術妖精「まだ死んでないよ! わたしは今でも再起したローガと競い合う日を楽しみにしてんだよ!」

レーティア「おっと、これは失礼しました……。でも今は、目の前の悩める画家の卵を導いてあげるのが先決ですよ」

芸術妖精「そうだね〜。それじゃあ今度は、わたしと一緒に図書館にでも行ってみよっかクロシュちゃん!」

クロシュ「図書館……?」

レーティア「あなたが教えてあげた方が早いんじゃないですか?」

芸術妖精「言いたいことも言語化できなかったことも全部ローガに言われちゃったもん!」

レーティア「なるほど……」

 ◇

―図書館

妖精「今度は図書館?」パタパタ

芸術妖精「うん。ここには芸術に関するいろんな本があるからね〜。多分ぱわーの手がかりもあるんじゃないかなあ〜」

ミスティ「曖昧ね……」

イリス「あ、初心者向けの本もあるよ。私もちょっと読んでみようかな?」

妖精「ふうん……あ、これ氷魔法を使った氷像の本だよ。ミスティも読んでみたら?」

ミスティ「氷像……せっかくだし読んでみようかしら……」


芸術妖精「ふふふ、みんな芸術に興味持ってくれてるね〜」

クロシュ「うん……」


↓1コンマ
01-60 勉強した[ぱわー2/3]
61-90 理解した[ぱわー3/3]
91-00 !   [ぱわー☆]

 ペラッ ペラッ

ミスティ(ウサギ……クマ……白鳥……。剣とか槍みたいに、戦いに丁度良さそうな形の例はないかしら……)


 ペラッ ペラッ

イリス(……人体の……骨格が……筋肉が……こうなってて……うわああああどこが初心者向けなのこれ!!?)グルグル


 ペラッ ペラッ

 芸術の本『芸術とはカクカクシカジカウンヌンカンヌン〜』

クロシュ「んゅゅ……」グルグル

 デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…

芸術妖精「あわわ、クロシュちゃんが溶けちゃった!」

妖精「難しすぎたんだよ! ああもうこんなとこで溶けちゃだめだよバカクロシュ!」ペシペシ

スライムクロシュ「」デロロロ…

 ☆クロシュのぱわーが[2/3]になりました

 ◆

―芸術都市ミュージア
 大通り

 ワイワイ ガヤガヤ

エバンス「さーて、クロシュちゃんたちは芸術活動で忙しいみたいだし――」

ローガン「うむ。我々は修行を行おう」

エバンス「おう! つっても……この街で修行できそうなとこなんてあるのか?」

ローガン「戦の場とは、しばしば芸術の題材となる。戦に身を投じる者たちもまた。ならば、この街に戦いを芸術とする者がいても不思議ではないと思わないか?」

エバンス「そ、そういうもんか……? まあ理屈はわからなくもないが……」

ローガン「まずはこの街の強者について聞いてみよう」


↓1コンマ
01-05 あら、戦をお求めですの?
06-35 パペットマスター
36-65 剣の踊り手
66-95 芸術的筋肉
96-00 オリハルスライム

町人A「この街で戦える人? それなら踊り子の剣舞姉妹だろう」

町人B「美人で華麗な姉に、小悪魔的可愛さで挑発的な妹! 俺はアイドルよりもあの姉妹のファンだぜ!」

町人C「おじさんたちストーカー? キモ……」

 *

エバンス「おじさん扱いされた上にストーカーかと思われたぞ……」

ローガン「仕方あるまい……。若い子たちからすれば、大人の男は皆おじさんなのだ……」

エバンス「嘘だろ……」

ローガン「とにかく所在は掴めた。今は町外れの空き地で練習しているらしい。突撃するぞ!」

エバンス「……いやでも、ストーカーってのはあながち間違ってない気がしてきたぞ……」

ローガン「気にしてはならん! これも修行の一環だ!」

 *

―町外れの空き地

剣舞妹「くるくるくる、ターン!」クルクルクル ターン!

剣舞姉「良い調子よ。このまま続けていきましょう」

剣舞妹「当然! アイドルとかいうチャラチャラした奴らになんて絶対負けないんだから!」

剣舞姉「ええ。あんな、未熟を売りにするような奴らに負けてたまるもんですか」

剣舞妹「戦いでも、芸術でも、あたしたちがテッペンを取る!」


ローガン「ならば手合わせ願おう、剣舞の姉妹よ」スタスタ

エバンス(いや、これ完全に不審者じゃねえか俺たち!?)スタスタ


剣舞妹「え、誰おじさんたち……」

剣舞姉「……最近多いのよね。あなたみたいな勘違い男」


ローガン「誤解だ。私たちは貴女がたの剣の腕を聞いて、是非とも剣を交えたいと思ってここに来ただけだ」

エバンス「お、おう! 他意はない!」


剣舞姉「交えたいのは剣だけではないのでしょう? 見え見えなのよ、下心が」シャキン

剣舞妹「見た感じ冒険者? なら突然行方不明になるのも不思議じゃないよね?」シャキン


ローガン「待て、落ち着くんだ! 本当に我々は――」

剣舞姉「しつこい! 問答無用よ!!」シュバッ

エバンス「うおお!? もうやるしかねえじゃねえか!!」シャキンッ


↓1コンマ
01-40 敗北
41-95 勝利
96-00 ??

 キンキンキンッ ガギンッ

ローガン「ま、待ってくれ! 本当に我々は――」

剣舞妹「いつまでその設定にこだわってんの? 馬鹿じゃないの? 死ね!」クルンクルン シャッ

ローガン(この踊りを混じえた剣技……読めぬ!! このままでは――)



エバンス(や、やべえ……こっちは怪我をさせないよう気を遣ってるのに、相手は完全に殺す気で来てる!! 手加減したままじゃ――)

剣舞姉「隙だらけよ!」シャッ

エバンス「おあああああ!!!?」

 *

ローガン(正座)「」

エバンス(正座)「」

剣舞姉「……剣を通して、あなたたちが本当に手合わせに来ただけだということは、なんとなくわかりました……」

剣舞妹「紛らわしいんだよ、もう……。危うく本当に殺しちゃうとこだったじゃん……」

ローガン(正座)「申し訳ない……」

エバンス(正座)「返す言葉もねえ……」

剣舞姉「……力を付けようと焦る気持ちは、わかります。もし良ければ、私たちと一緒に剣舞の練習でもしていきますか?」

剣舞妹「ええ!? お姉ちゃん正気!?」

剣舞姉「……この人たち、私たちを傷付けないようにとても慎重に剣を振るっていたのよ。本気で殺り合っていたら、多分負けていたのは私たちの方……」

剣舞妹「うっ……それはまあ……」

剣舞姉「たまには外部の剣技を見聞きしてみるのも良いかもしれないわ」

剣舞妹「……わかったよ」

 *

剣舞姉「そう、そこでターン!」

ローガン「むむっ……ターン!!」ターンッ!


剣舞妹「ここでの振り方は、もっと円を描くように!」

エバンス「こ、こうか……!?」シャッ


 ☆ローガンとエバンスが剣技経験点が[1/4]になりました

 ◆

―芸術都市ミュージア 滞在3日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]
・ぱわー[2/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・剣技を磨く[1/4](ローガン)
・剣技を磨く[1/4](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□芸術都市ミュージア 主要施設
大通り:絵空の家、武具屋、雑貨屋、美術店、工芸店、劇場、図書館、博物館、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:怪しい露店、怪しい絵売り、怪しい工芸店、娼館、見世物小屋跡地、他

―朝
 絵空の家 アトリエ


 キャンバス「」

クロシュ「……」カキカキ

 ものすごく精緻に描かれたかっこいいフメイちゃんの絵「」チリチリ

 ものすごく精緻に描かれたデロデロなスライムの絵「」デロデロ

 ものすごく精緻に描かれたヌルヌルなカタツムリの絵「」ヌルヌル


芸術妖精「わ、わ……! たった一日で、絵から染み出るぱわーがかなり上がってる……!」

イリス「なんでかわかんないけど、私にもわかるよ……! 昨日の絵も綺麗だったけど、今回の絵は迫力が違うっていうか……!」

ミスティ「い、一体この差は何なのかしら……?」

妖精「これが……芸術の力……!」

レーティア「クロシュちゃんの中で『描きたいもの』とか『見せたいもの』が定まってきたのかもしれませんね。もちろん私はクロシュちゃん本人ではないので、はっきりしたことは言えないのですが。それにしても素晴らしい成長速度です……! 一生かかってもそこまで辿り着けない者も多いのに」

芸術妖精「でももう一息! もう一息欲しい!」

レーティア「もう十分では……? これだけのものが描ければ、王族の方々も満足されるかと――」

芸術妖精「そんなのどうでもいいの! わたしは見てみたいんだよ!! クロシュちゃんが心の底から描く、クロシュちゃん自身の絵を!!!」

レーティア「……!」ハッ


クロシュ「わたし自身の、絵……」

妖精「なんかわかんないけどすごい期待されてるみたいだよ、クロシュ」


ミュージア滞在3日目です。5日目から芸術祭が始まります
↓1〜3 自由安価 何をする?

少し早いですが、急用が入ってしまったため本日はここまでです。次回はローガンエバンス武者修行part2編、工芸店を覗いてみよう編、クロシュの自問自答編となります

芸術とは何か? 実際のところ、よくわかりません。>>1もよくわからないものをよくわからないまま書いているらしいです。そういうわけで、このスレの登場人物たちが言っている芸術論などはあまり鵜呑みにしない方が良いかもしれません。皆、好き勝手に自分の定義する芸術を語っているだけなのです。もしそれでも、何かしら彼らの言葉の中に参考になりそうな部分がありましたら、それはとても幸いなことかもしれません。クロシュちゃんも、自分の描きたいものが描けると楽しいと思います

そして武者修行を始めたローガンさんとエバンスくんの二人組です。今回は惜しくも敗れてしまいましたが、美人姉妹に踊りの手ほどきを受けるなど、割と充実した時間を過ごせているようです。今後の彼らの活躍にも是非ご期待くださいませ

それでは本日もありがとうございました。明日も祝日なので、多分更新できると思います。よろしくお願いいたします

老画家氏は才能が枯れてしまっており、レーティア氏もそんな再起できるかもわからない老人に投資するほどの余裕はないのかもしれません
ローガン氏とエバンス氏は不審者でしたが、剣を通して誠意が伝わったようです

ミュージアは王国の街なので、見た目幼女のクロシュ氏がぐびぐび酒を飲むのはちょっと危ないかもしれません。先日の見世物小屋での一件からもわかるとおり、芸術都市と言えど人間以外の種族への差別感情はどうやら根強くあるらしく、もしスライムであることがバレたら面倒なことになる可能性があります
非人間への差別は、人間の形から離れれば離れるほど大きくなりやすい傾向があります。王国でもエルフなどはそこそこ嫌われていませんが、体の小さい妖精や獣耳がフサフサな獣人などはもう嫌われやすくなってしまうようです。そしてデロデロなスライムは、知性ある種族の一員として扱われず、虫や獣などと同列の存在として見られてしまうかもしれません

吸血鬼は魔族の中ではとても強い方であると言われています。たいていの吸血鬼は、膂力、魔力、敏捷性、どれを取っても極めて高いポテンシャルを誇り、その力強さから支配階級である場合も多いようです。ただし光や流水、銀製品などの弱点も多いため、吸血鬼を討伐する人間の英雄譚もまた多く謳われています。

オリハルスライムとは、体組成に希少金属であるオリハルコンを含有しているとても珍しいスライムです。その特徴から極めて高い耐久力を持ち、並大抵の攻撃では傷一つ付かないと言われています
オリハルスライムを打ち負かした者は、莫大な力と経験を授けられるという迷信があります。この迷信は冒険者の間に根強く広まっており、オリハルスライムを見かけると喜び勇んで打ち倒しに行く者が後を絶ちません。しかし実際にオリハルスライムを討伐したという報告が上がることは滅多になく、上がった場合でもただのホラ話であることが多いようです

―冒険者ギルド ミュージア支部

 ワイワイ ガヤガヤ

ローガン「今日はここで強敵を探そう」

エバンス「おう。人間の強敵を探すよりも楽そうだ」

ローガン「うむ……剣舞の稽古も、良い経験にはなったがな……」

エバンス「……まあ、そうだな」

 *

受付嬢「はい、冒険者証を確認させていただきました」

エバンス「俺たちのランクで受けられる討伐依頼にはどんなのがある?」

受付嬢「エバンスさんとローガンさんは討伐実績もそこそこありますので、現在出ている討伐依頼であれば全て受注可能ですね。こちらなどいかがでしょう?」スッ


↓1コンマ
01-05 ギロチンガニ
06-35 天然イワゴーレム
36-65 死喰い鳥
66-95 キャニオンウルフの群れ
96-00 オリハルスライム

 討伐依頼「キャニオンウルフの群れ 報酬:中」

ローガン「ほう、キャニオンウルフか」

受付嬢「はい。郊外のサボテン農場を荒らす厄介な群れが居着いてしまったそうです」

エバンス「そりゃ事だな。よし、受けよう!」

受付嬢「ありがとうございます!」

 受注印「」ポン!

 ◇

―芸術都市郊外 サボテン農場

サボテン農家「おお、来てくれたか! 頼むよ、あいつらのせいでうちのサボテンたちが大打撃なんだ!」

ローガン「彼らはいつも、どこからどのように攻めてくる?」

サボテン農家「初めは夜間のうちにひっそりサボテンの実を食らっていたようなんだが……ここ最近は白昼堂々来やがるんだ! 群れのボスがこれまたでかいやつでよお……」

 アオォーーン…

サボテン農家「うあああ!! き、来た! 来やがった!! 頼みますよ、冒険者のお兄さん方……!!」

エバンス「……! おう、任せろ!! ここのサボテンは俺たちが守ってやるぜ!!」

ローガン(フッ……エバンスくん、張り切っているな!)

 *

キャニオンウルフの群れ「ハッハッハッ……ワン! ワン! グルルル……!」ジリジリ


エバンス「お出ましだな……! ケモノ肉にしてやるぜ!」シャキン!

ローガン「数が多い。個々の力は弱くとも油断はできん」シャキン

エバンス「わかってるぜ! 行くぞオオカミども!」シュバッ


 ――戦闘開始 キャニオンウルフの群れ――


↓1コンマ
01-20 劣勢
21-90 優勢
91-00 会心

エバンス「オラァ!」シャッ

キャニオンウルフA「キャン!!」ズバッ

キャニオンウルフB「ガウッ!!」バッ

エバンス「見えてるぞ!」シュビッ

キャニオンウルフB「キャウン!!」ズバァ

キャニオンウルフC「グルルル……ガウッ!!」バッ

ローガン「させん!」バッ ドガッ

キャニオンウルフC「キャオオン!!」ドテッ



サボテン農家「おお、あの忌々しいオオカミどもが!! いいぞ、やれえ! 犬どもを三枚おろしにしちまってくだせえーッ!!」


「グルルル……」ゴゴゴゴゴ


サボテン農家「ひえっ……こ、この気配は……まさか!!」


キャニオンウルフの長「……」ザッザッザッ


サボテン農家「うわあああああ!!! 出たァアァァアア!!! お、おしまいだァ……!! あいつが来たら、あの兄さん方だって……!!」ガクブル



エバンス「だあもう! 調子が良いんだか悪いんだかわからん依頼主だ!」

ローガン「しかしあれは恐らく群れのボス……! 他の個体とは明らかに雰囲気が違う、気を付けていくぞ!」


キャニオンウルフの長「グルルル……ワオオオオンッ!!」


↓1コンマ
01-10 痛恨
11-40 劣勢
41-00 勝利

キャニオンウルフの長「」シャッ

 ドガガッ!!

ローガン「速い!」ガガッ

エバンス「だが俺たちも!」バッ

キャニオンウルフたち「ワオンワオン!!」シュババッ

エバンス「何ィ!? こいつら……!!」ガガッ

ローガン「ボスの登場で士気が上がったのか!? エバンスくん!」

エバンス「ああ! 切り崩す!」コオオオッ

 土塊「」ドンッ!!

キャニオンウルフたち「キャオン!?」

ローガン「貫け!」カッ

 鋼の槍の雨「」シュババババッ

キャニオンウルフたち「キャオオオンッ!!」グサグサッ


サボテン農家「おおおお!!! ボス以外の雑兵は皆殺しだァァァァ!!!」


キャニオンウルフの長「ガウウウッ!!!」シュバッ

エバンス「急いたな! そこだ!!」ヒュッ
 魔銀の剣「」シャッ

 ズバァッ!!

キャニオンウルフの長「ガ……ぐ、ぐる、る……」ググッ…

ローガン「部下をやられて怒りで我を忘れたか……。情に厚き獣よ……」スタスタ

キャニオンウルフの長「ぐる、るる……!!!」ギロッ

ローガン「すまぬが、これも戦の定めなのだ。部下たちの後を追うが良い――」

 ザシュッ―

 ――戦闘終了――

―冒険者ギルド ミュージア支部

受付嬢「依頼達成おめでとうございます! こちら、報酬になります!」

 金袋「」チャリン

ローガン「うむ。確かに受け取った」

受付嬢「お仕事をお探しの時はまたいつでもどうぞ!」

エバンス「おう……」

 *

―大通り

 ワイワイ ガヤガヤ

ローガン「ふう……。お疲れ様だ、エバンスくん」

エバンス「おう……。ローガンの旦那も、お疲れ……」

ローガン「浮かない顔だな」

エバンス「いや……そんなことねえよ」

ローガン「そうか?」

エバンス「……」

ローガン「……」

エバンス「……いや……そんなこと、あるな……」

ローガン「そうか」

エバンス「ああ……。前だったら……こんな獣退治なんかしても、何も感じなかったのにな……」

ローガン「それは……」

エバンス「……クロシュちゃんたちと一緒に来て、スライムの生き方とか、妖精の昔話とかを聞いたりしたせいかさ……。ああいうオオカミたちも俺たちと同じで、今を必死に生きてる奴らなんだって、わかるようになっちまったっつーか……」

ローガン「うむ……」

エバンス「わかってるよ。だからって情けなんかかけたら、俺たち人間の生活が危なくなる。畑を荒らしたんだから、退治されんのは自然の成り行きだ」

ローガン「そうだな。これも、生存競争の一つだ」

エバンス「ああ……。ったく、二十歳を越えていっぱしの傭兵を気取ってたつもりなんだがな……。俺、まだこんなに青臭かったのか……」

ローガン「戦士には不要どころか、持っていない方が良い感覚だろうな。戦場で、敵の生に思いを馳せてしまうなど」

エバンス「だよなあ……。はあ、こんなんでやっていけんのかな俺……」

ローガン「だが他者と共に生きていくなら、決して失ってはならぬ感覚でもある……と私は思う」

エバンス「……」

ローガン「フッ……それに恐らく我がパーティの女性陣は、そういう優しさを持った人物の方が好みであると思うぞ」

エバンス「ははっ、そうかもな」

 ☆ローガンとエバンスの剣技経験点が[3/4]になりました
 ☆ほどほどの収入を得ました

 ◆

―工芸店

 カランカラン


 木彫りのマグロ「」

 美しい意匠の木製チェスト「」

 ガラス細工のザリガニ「」

 お洒落なランプ「」

 テントウムシのブローチ「」


イリス「わあ……!」

芸術妖精「ここでは最高の技術力を持った職人たちの工芸品を扱ってるんだよ〜」

ミスティ「おしゃれなインテリアからかわいい装飾品まで、色とりどりね……」

妖精「クロシュ……一人で大丈夫かな……」

芸術妖精「大丈夫だよ! 一人で考えたいって言ったのはクロシュちゃんだし、自分自身を見つめるには一人の方が良い時もあるもん!」

妖精「そうだけど……思い詰めすぎてデロデロに溶けてないかなあ……」

芸術妖精「あはは、そうなったらそれもまた芸術だよ! 前にも後ろにも進めなくなってデロデロになるなんて芸術家にとっては日常茶飯事!」

ミスティ「そういうものなの……」

イリス「芸術家って難しいんだなあ……」


↓1自由安価 何か買う?

 ガラス細工のザリガニ「」キラキラ

イリス「これは……ガラスのザリガニ……!!」

芸術妖精「見事な一品! ガラスでここまで精巧に美しいザリガニを創り上げるなんて、この職人はタダ者じゃない!」

ミスティ「でも本当にすごく綺麗……。それに、今にも動き出しそうな気迫を感じるわ……。これも、ぱわーというやつなの……?」

芸術妖精「そうだね! こういうお土産屋で売る商品はぱわーを控えめに抑えられることが多いんだけど、これは全くそんな手心を加えてる様子がない。真のザリガニを創り上げようっていう強烈な熱意が籠もってる……!」

妖精「すごいな……。でも、そんな大切なものを売り物にしちゃって良いの?」

芸術妖精「芸術家にもいろんなタイプの人がいるんだよ。自分の出来上がった作品に何の興味も関心も抱けない人とかさ。これの作者もそういう人なのかも」

ミスティ「ええ……? どういうこと……?」

芸術妖精「創ってる最中は、何よりもその作品に情熱を注いでるんだよ。でも出来上がった途端にどうでもよくなっちゃうんだってさ。作品そのものじゃなくて、作る過程に意味を見出してるのかもね」

妖精「全く理解できない……」


 ガラス細工のザリガニ「」キラキラ

イリス「……これ、微かに川の魔力を感じる……。見た目だけじゃない、魔力的にもザリガニに迫ろうとしてるんだ……!」

妖精「ほ、本当だ……。並々ならぬこだわりを感じる……」

イリス「そして川の魔力と言えば……」ゴソゴソ

 ザリガニのお守り「」ポン!

ミスティ「それは……魔族国の工芸店で買ったザリガニのお守り!」

イリス「うん……。なんだか、とても偶然とは思えないんだよね」

妖精「いや、偶然だと思う……」

イリス「もー! 妖精さんは運命ってやつがわかってないなあ!」

妖精「ええ……」

イリス「というわけで、私買うね! このザリガニ細工!」

芸術妖精「おおー!」パチパチ

 ☆ガラス細工のザリガニを購入しました

 ◆

―絵空の家 アトリエ

クロシュ「……」

 真っ白なキャンバス「」

クロシュ「……」


クロシュ(わたしが……描きたいもの……)

クロシュ(フメイちゃん……スライム……カタツムリさん……これも、わたしが描きたくて描いたもの……。でも……あのおじいさんが言ってたのとは、少し違う気もする……)

クロシュ(描きたいもの……)

クロシュ(わたしの、見たい景色……。願い……祈り……)

クロシュ(わたしは――――)


↓1コンマ
01-10 全てが溶け合った世界(??)
11-50 あの日に帰りたい……(望郷)
51-90 みんなと、一緒に――(希望)
91-00 全てが溶け合った世界(??)

 デロデロ… モニョモニョ…

色付いていくキャンバス「」デロデロ

 デロデロ… デロデロデロ…

 ◆

レーティア「クロシュちゃん、ずっと籠もってますね……。少しお茶菓子でも差し入れしてあげましょう」スタスタ

レーティア「ちょっと失礼しますよ、クロシュちゃ――」ガラッ


 スライムとインクの飛び散ったアトリエ「」デロデロ

スライムクロシュ「」デロロ…


レーティア「クロシュちゃん!?」タタッ


 何かが描かれたキャンバス「」デロデロデロ…


レーティア「ううっ!? こ、これは……一体……!?」


レーティア(そこに描かれていたものは、人間の私に理解可能なものではなかった)

レーティア(だが……そこに迸っている、尋常ならざる情念は……クロシュちゃんの、内なる意思の具現そのもので――)

レーティア(……キャンバスだけでなく、このアトリエや、見ている私までもが――クロシュちゃんのように、溶けてしまいそうで――)

レーティア(私たちは……とんでもない怪物を、目覚めさせてしまったのかもしれない……)


 ☆クロシュのぱわーが[☆]になりました

 ◆

―夜
 絵空の家 アトリエ

 何かが描かれたキャンバス「」デロデロデロ…

芸術妖精「わお……わお、わお、わおおおおお!!!」キャッキャ

イリス「こ、これは……!?」

ミスティ「い、一体……何が描かれているの……!?」

妖精「クロシュ……これ、何……?」

半スライムクロシュ「んゅ……わかんない……」デロ…

芸術妖精「すごい!! クロシュちゃんすごいよおお!!! わたしこんなの見たことない!! こんな美しい絵、今までに一度も見たことないよおおお〜〜!!」キャッキャ

イリス「芸術家の妖精さんがおかしくなっちゃった……」

レーティア「いえ、でも……私もここまで凄まじい絵は見たことがありません……。彼女がおかしくなるのも無理はないかと……」

芸術妖精「だって、すごいんだよ!!? これはさ! 世界!! 世界だよ!!! 全てが溶け合い、混じり合い、一つになった――完全なる世界の形なんだよ!!!!」キャッキャ

ミスティ「わ、わけがわからないわ……」

イリス「クロシュちゃん、そうなの……?」

クロシュ「……たぶん……そう、かも……?」

妖精「クロシュ……あなたは……」


妖精(もし、この絵が今あいつが言ったように、全てが溶けて混じり合った世界の姿だというのなら……。それが、クロシュの願いだということ……?)

妖精(でもそれは……まるで、魔王のようだよ……。世界全てを溶かして、一つにしたいと願うなんて……)

妖精(クロシュ……)

 パシンッ

妖精「え……」ヒリヒリ

芸術妖精「悲観してないでもっとよく見てあげてよお〜!! この絵を!! この絵が持つぱわーを!!」

妖精「……」

 何かが描かれたキャンバス「」デロデロデロ

妖精「……!」

芸術妖精「わかった? クロシュちゃんはクロシュちゃんのままだよ〜」

妖精「うん……」

芸術妖精「んふふ〜まあ過激思想なのは変わりないけどね〜。でもこれは紛れもなく、クロシュちゃんの愛の形ってこと!」

妖精「むむう……」

クロシュ「妖精さん……」

妖精「……変な気を起こしちゃだめだからね、クロシュ」

クロシュ「うん……」

 ☆全てが溶け合った世界(愛)を描きました

 ◆

―空

 ヒュオオオオオオ…

「……」

 ヒュオオオオオオ…

「……?」

 ヒュオオオオオオ…

「……!」

 ヒュオオオオオオ…

「……〜〜」モニョモニョ

 デロデロ…ポン!!

 ◆

―芸術都市ミュージア 滞在4日目

 ◇クロシュ [あかちゃんスライム]
 武:メイドブレード  盾:ウニ盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:

 ◇妖精   [世話焼き妖精]
 武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のレオタード 飾:

 ◇イリス  [星の魔法使い]
 武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:魔術師のローブ  飾:

 ◇ミスティ [氷の魔法使い]
 武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:精霊のローブ   飾:

 ◇ローガン [鋼の戦士]
 武:鋼の剣      盾:鋼の盾      飾:くすんだ耳飾り
 武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

 ◇エバンス [地の傭兵]
 武:魔銀の剣     盾:         飾:くすんだ耳飾り
 武:         防:革の鎧      飾:

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*4
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒
・妨害魔力波発生装置
・属性大全
・大きな巻き貝
・大きな軽石
・闇の欠片
・暗黒行商少女の契約書
・フリルワンピース水着
・魔法学園のスクール水着
・炎鉱石
・魔王図鑑
・溶岩石のアミュレット*6
・暗黒優待券
・ガラス細工のザリガニ

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・風になる[2/12]
・ぱわー[☆]達成!

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
・剣技を磨く[3/4](ローガン)
・剣技を磨く[3/4](エバンス)
……………………………………………………………………………………
□芸術都市ミュージア 主要施設
大通り:絵空の家、武具屋、雑貨屋、美術店、工芸店、劇場、図書館、博物館、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:怪しい露店、怪しい絵売り、怪しい工芸店、娼館、見世物小屋跡地、他

―絵空の家 アトリエ

 何かが描かれたキャンバス「」デロデロデロ…

エバンス「うおおおお!!? こ、こりゃ一体……」

ローガン「これが……クロシュくんの、絵だと……」

レーティア「はい。彼女の真のぱわーが開花した姿……それが、この絵なのです」

エバンス「そうなのか……なんかわかんねえがすごいのはわかるぜ!」

レーティア「はい。実際凄い絵です。ただ……」

ローガン「ただ……?」

レーティア「この絵に込められたもの……それは、王族の方々には許容できないものである可能性がありまして……。クロシュちゃんにお絵かき演舞へ出てもらうべきか否か、迷っています」

エバンス「そ、そうなのか……。まあ王族連中の機嫌を損ねたらやばいもんな……」

ローガン「ううむ……だがこの国の王族は芸術には寛容と聞くぞ。その意図が何であれ、芸術的ぱわーが優れているなら認めるのではないか?」

レーティア「そう思いたいところですが、万が一ということもありますし……。私の首だけならともかく、クロシュちゃんの首が飛ぶなんて絶対にだめなんです。これほどの逸材を失うわけにはいきません」

ローガン「うむ……確かに、楽観視して最悪の結果を引き起こすのは避けるべきかもしれんな」

レーティア「しかしクロシュちゃんが出られないとなると代役不在問題が浮上するんです! あああ、どうしましょう……!!」

エバンス「あんたの首はどっちにしてもやばいのかよ!」


ミュージア滞在4日目です。5日目から芸術祭が始まります
↓1〜3 自由安価 何をする?

―絵空の家 ロビー

イリス「そういえばレーティアさんのロスチャイルドって、もしかしてあの有名な――」

レーティア「ゲーッ違います違います! あんな薄穢い悪徳貴族なんか何の関係もない赤の他人ですね!」

イリス「そ、それは失礼しました」

 ガチャッ

執事「レーティアお坊ちゃま、お久しゅうございます」スタスタ

レーティア「ゲーッなんて時に来るんですか!? 帰れ帰れシッシッ!」シッシッ

執事「レーティアお坊ちゃま……。それではまた日を改めさせて頂きます。くれぐれも、火遊びはなさり過ぎぬよう……」スタスタ

 バタン…

イリス「お坊ちゃま……!?」

ミスティ「嘘でしょ……」

クロシュ「わあ……」

 *

レーティア「はあ……見られてしまったものは仕方ありません。そうです、悪徳貴族ロスチャイルドの末席に居座るはこの私、レーティア・フォン・ロスチャイルドという男なのです」

イリス「お、男の人だったんですか……!」

レーティア「別に女装してるつもりはないんですが、勘違いされやすい容姿ではあるかもしれないですね。我ながら声もちょっと高い気がしますし」

ミスティ「完全に騙されてたわ……。でも女だと思われるといろいろ面倒なことに巻き込まれたりしないの?」

レーティア「あるにはありますけど、女と思われた方が便利な場面もありますからね。ケースバイケースですよ」

イリス「器用だなあ……」

レーティア「ま、あのくそったれ貴族への意趣返しみたいな気持ちもなくはないですね。あいつらは私をゴリゴリムキムキの男に仕立てようと必死でしたから。下らないマッチョイズムが蔓延る原始的環境、それが貴族社会ってやつですよ」

イリス「そ、そうなんですね……。貴族ってのもいろいろ大変なんだなあ……」

レーティア「ええ、そりゃもう。人間界の癌ですよあんな奴ら。とっとと滅びれば良いんです」

ミスティ「凄い恨みだわ……」

レーティア「というか私なんかのことよりクロシュちゃんのことですよ! 明日のお絵かき演舞ですが――」

クロシュ「うん……わたし、描ける……」

レーティア「いや……しかし、もしあの絵がうちの妖精さんの言ったような絵だった場合、王族の方々のお気に召さない可能性が……」

イリス「あ、そういうこともあるんだ……」

ミスティ「ええ……じゃあどうするのよ……?」

クロシュ「……えと、じゃあ……人間には、わかんないように……描けば、いい……?」

レーティア「ハッ……! そうか、言われてみれば! 確かに私もあの絵を初めて見た時、その意図を全く読み取れませんでした! しかし強烈なぱわーはしっかり感じられました。なら、同じように描けばそれで問題ないかも……!」

イリス「えと、王族の人たちが理解できなければ問題ないってことですか?」

レーティア「そうです! 理解できないけどすごいぱわーは感じられる……そうなれば問題ないはず! よし、それでいきましょう!」

クロシュ「ん、わかった……」

レーティア「あ、でも……お絵かき演舞では、みんなの見ている前で絵を描くことになるのですが、スライムの姿にならずにもう一度あの絵を描くことは可能ですか?」

クロシュ「一回描けたから、できると思う……」

レーティア「エクセレント! それでは今日のうちに予行練習もしておきましょうか。当日は私もお手伝いいたしますから、何か不安なことがあったら遠慮なく仰ってくださいね」

クロシュ「うん、ありがと……」

 ◆

―絵空の家 屋根裏

芸術妖精「わあ、いらっしゃい〜! ふふ、ここに妖精のお客さんが来るのは初めてだなあ〜。ネズミさんとかは時々来るんだけどね〜」

妖精「そ、そう……」


 描きかけのキャンバス「」

 妖精サイズのイケメンゴーレムのパーツ「」

 散らばった工具「」

 ごちゃごちゃした紙くず「」


妖精「掃除しないの?」

芸術妖精「してるよ! 時々!」

妖精「そ、そう……」

芸術妖精「ちょっと待っててね、今お茶淹れる〜」パタパタ

妖精「ええ……この汚い部屋で淹れられたお茶、あんまり飲みたくないんだけど……」

 *

 フェアリーシロップティー「」コトン

芸術妖精「はい! わたしのシロップだよ〜」

妖精「はいはい。いただきます」ズズ

芸術妖精「んふふ〜、美味しい〜?」

妖精「んん……思ったより普通に美味しい……。もっとトンチンカンな味付けしてるかと思ってた……」

芸術妖精「そんなことしないよ〜! 味付けを芸術にしちゃう人もいるにはいるけど、わたしは人に出すものはちゃんと相手のことを考えて出すよ〜」

妖精「随分まともなこと言うなあ……」

芸術妖精「わたしはまともだよお〜!」

妖精「はいはい……。……昨日はさ……ありがと」

芸術妖精「んえ? 何だっけ?」

妖精「……わたしが、クロシュの絵を読み違えて狼狽えてた時……あなたが頬を叩いてくれたでしょ。お陰で、ちゃんと見れたの」

芸術妖精「ああ〜! んふふ、まあ仕方ないよ〜。わたしは芸術慣れしてるけど、他の人はそうじゃないからね〜」

妖精「むう……ちょっと悔しい……」

芸術妖精「ふふ……あなたは、クロシュちゃんのことがとっても大切なんだね」

妖精「へ? ま、まあ……あいつはまだ赤ちゃんだし、放っておけないし……?」

芸術妖精「んふふ〜わかるよ〜。クロシュちゃん、わたしを助けてくれたときはすっごくかっこよかったけど、普段の姿はもにょもにょででろでろなんだもん!」

妖精「うん……。時々、あの子が何考えてるのか……わかんなくなる時がある……。フメイ……あの子の大切な友達を探したいって気持ちは、ずっと変わらないと思うけれど……。でも、あの子の目に映る世界は……一体、どんな風なんだろうって、すごく不安になる時があって……」

芸術妖精「……大丈夫だよ。あの絵、見たでしょ……? あれが、クロシュちゃんの心だもの……」

妖精「でも……あの願いを支えている……あなたの言う〝愛〟ってやつは……。ほんの僅かな掛け違いで〝哀〟に転じる、とても不確かで儚い祈りなんだよ……」

芸術妖精「うん……」

妖精「もしクロシュが……その愛ゆえに、大きな哀しみを抱いて……。世界樹の力に手を伸ばしたりなんかしたら……」

芸術妖精「……大丈夫。あなたが、そばにいるもの」

妖精「え……?」

芸術妖精「芸術の果てにおかしくなる人ってさ……みんな、孤独なんだよ。一人ぼっちでキャンバスに向かい続けてると、いつかおかしくなっちゃうの。孤独は、どれほどの高潔な芸術家をも蝕む、最凶の呪いなんだよ」

妖精「……」

芸術妖精「大体の芸術活動って、孤独なものだからさ……。おかしくなっちゃう芸術家はこの街でも後を絶たないんだ。芸術に人生を捧げるっていうのは、そういうことなのかもね」

妖精「そう、なんだ……」

芸術妖精「でもクロシュちゃんは違うでしょ? あの子は芸術が本業ってわけじゃないし、いつだってあなたや、イリスちゃんたちがそばにいる。クロシュちゃんの見てる世界は、きっといつまでも……希望を失わない」

妖精「……!」

芸術妖精「だから大丈夫。クロシュちゃんは、あなたたちが一緒だもの!」

妖精「……ふふ、ありがと。あなたに励まされちゃうなんてね……」

芸術活動「んふふ〜こう見えてわたしも長生きだからね〜」

妖精「……ねえ、でもあなたは? あなたは大丈夫なの?」

芸術妖精「まあ私はね〜。今はレーティアも面倒見てくれてるし、ここを出たらフォレスティナでまたパトロン探しからかな〜」

妖精「……確かに、あなたは割と大丈夫そうだね。うん」

 ◆

―大通り

 ワイワイ ガヤガヤ

ローガン「さて、本日の予定は……」

エバンス「今日は剣舞姉妹のとこに行かねえか? あの踊りの動き、もう少しで何かが掴めそうなんだよな」

ローガン「確かに、あれも非常に洗練された型の一つだ。よし、では今日も剣舞姉妹のもとへ――」

剣舞妹「あたしたちが何だって?」ヌッ

ローガン「うおっ!? お前は剣舞姉妹の妹の方!」

剣舞姉「私もおります。少し聞いていましたが、また私たちに稽古を付けられたいと……?」

ローガン「うむ……。差し支えなければ是非お願いしたいのだが……」

剣舞姉「うーん……申し訳ありませんが、今日は明日の芸術祭へ向けての最終調整を行いたいので、あなたがたのお相手をする余裕はないのです……」

剣舞妹「そーゆーこと。ストーキングなら別の人にしてよね」

エバンス「ストーキングじゃねえ! いや、でもまあ、事情はわかった……こっちもいきなり押しかけようとして悪かったな」

ローガン「うむ……。芸術祭での活躍、我々も応援していよう。頑張ってくだされ」

剣舞妹「ありがと! 戦いだけじゃない、美しさも兼ね備えたあたしたちの踊り、観客席からも是非堪能してってよね!」

エバンス「お、おう……。そういえば攻撃される側でしか見たことないし、そっちも素直に見てみたいな」


剣舞姉「ところで、剣を交える相手をお探しなのですよね? それでしたら――」


↓1コンマ
01-05 「槍を交えるのはいかがですの?」ヌッ
06-50 パペットマスターは剣士の人形をも操ります
51-95 筋肉芸術のおじさまは、昔剣闘士であったと聞きます
96-00 オリハルコンの剣を携えたスライムの噂があります

―ミュージア郊外 人形の館

 ガチャッ ギィィ…

エバンス「頼もー!」

ローガン「突然の来訪、お許しいただきたい! 我々はパペットマスター殿の操る剣士人形の剣捌きを一目拝見したく、参らせていただいた!」


「ンッフッフ……中年二人とは言え、突然のお客様ってのも楽しいものだねェ……」コツコツ


エバンス「!?」

ローガン「あ、あなたが……」


半仮面の四本腕の男「いかにも。この街で最も強く、最も芸術的な男……パペットマスターとはこのボクのことだ!!」バァーン!!


エバンス「よ、四本腕……!?」

ローガン「よく見たまえ、あれは義腕だ!」

パペットマスター「ンッフッフ、美しいフォルムだろう? このボクの、計算し尽くされた完璧なエクストラアーム!!」ジャキーン!

エバンス(な、なんかわからんがヤバい! ヤバい奴な気がするぞ!!)

パペットマスター「して、キミたちはボクの完璧な人形捌きを見たいそうだね? ンフフ、中年なのに目の付け所が素晴らしいッ!! あなたたちのことは名誉青年と呼ばせて頂こうッ!」

ローガン「う、うむ……」

エバンス「俺は23だ!! まだ中年って年じゃねえ!」

パペットマスター「おっとこれは失礼。では青年と名誉青年よ、中庭へ出たまえ!! キミたちの、ボクの人形に直々に貫かれたいという倒錯した思い……全霊で果たさせてあげようッ!!!」

エバンス「うおあああ!!! そんな変態でもねえよ俺はああ!!!」


 ――戦闘開始 パペットマスター――


↓1コンマ
01-10 痛恨
11-60 劣勢
61-90 優勢
91-00 会心

フリフリの剣士人形「」シャキーン!
フリフリの騎士人形「」シャキーン!

エバンス「な、なんかかわいいな!?」

パペットマスター「当然だ! ボクの操る人形は、ボクに操られるに相応しい可憐さ、美しさ、そしてぱわーを兼ね備えた最強の人形なのだからッ!!」

ローガン「来るぞ! 見た目の面白さに油断するな!」シャキッ!

フリフリの剣士人形「」シュバッ

エバンス「くっ!!」ガギンッ

フリフリの騎士人形「」シャッ

ローガン「大きな盾とは裏腹にこちらの騎士人形も速い!」ガギギンッ

パペットマスター「さあ、踊るが良い!! キミたちにボクの美しい人形たちの相手は務まるかな!?」

エバンス「くっ……舐めるな!!」シュバッ

フリフリの剣士人形「!」ガインッ

ローガン「ぬんっ!」ゴッ

フリフリの騎士人形「!」ガギンッ


エバンス「速いが剣舞姉妹ほどじゃねえ! やりようはあるぜ!」シャキッ

ローガン「うむ! このまま反撃といくぞ!」シャキッ


パペットマスター「ほう……流石に二人だけでは分が悪いか……。ならばッ!!」
 エクストラアーム「」ジャキーンッ!!


フリフリの魔法使い人形「」コォォォ―

フリフリの治癒術師人形「」キラキラ―


エバンス「お、おいおい嘘だろ……人形が、さらにもう二体……!?」

ローガン「なんということだ……!!」


パペットマスター「ただの見栄えだけの四本腕だとでも思っていたかい!? いいや、これは――」

パペットマスター「さらに多くの人形を操る為の、エクストラデバイスさッ!!」


↓1コンマ
01-60 敗北
61-90 優勢
91-00 会心

エバンス(その後、俺たちは人形たちの一糸乱れぬ連携にじわじわと追い詰められ――)

エバンス(ついに、敗北を喫したのだった……)

 ◇

パペットマスター「ンフーッフッフッフッ! ボクの人形たちとのダンシング、楽しんでいただけたかな?」

エバンス「お、おう……たった一人であれだけの連携を生み出すなんて、すげえぜ……」ボロボロ

ローガン「うむ……。この街で最も強いというのも、誇張でもなんでもないのだろう……」ボロボロ

パペットマスター「久しぶりに人形たちを踊らせてあげられて楽しかったッ!! キミたちの来訪に感謝しようッ!!」

エバンス「そりゃどうも……」

パペットマスター「またいつでも遊びに来たまえ! ボクの人形たちも、キミたちと再び踊れる日を楽しみに待っているッ!!」

ローガン「うむ……。ところでパペットマスター殿は、明日の芸術祭には参加されるのか?」

パペットマスター「……フン。祭りと聞いて集まるような美を解さぬ衆愚どもなどに、ボクの人形たちの美しさがわかるものか。あんな下劣な祭典、二度と御免だ」

ローガン「そ、そうか……。それは失礼致した……」

パペットマスター「だがキミたちのような美を解する者はいつでも大歓迎だ! 踊りではなくとも、是非また遊びに来てくれたまえッ!!」

エバンス「お、おう。あんたも人形を大事にな!」

 ☆ローガンとエバンスの剣技が[4/4]になり、剣技のレベルが一段階上がりました

 ◆

というわけで本日はここまでとなります。次回は、ついに芸術祭編です。噂では王様も参加されるとのことです

いろいろありましたがついにクロシュ氏がぱわーを獲得するにいたったようです。クロシュ氏がどのような絵を描いたのか、それは文章で表現することのできないとてもすごい絵だったのですが、実際芸術妖精やレーティア氏などの芸術に造詣の深い方々も称賛するほどの出来栄えだったようです。これでお絵かき演舞も安泰でしょう。是非セイントレアの王様に、世界がデロデロに溶けていくことの素晴らしさを見せて差し上げていただきたいものです

そして武者修行に明け暮れるエバンスくんとローガンさんも、オオカミ退治をしたりお人形遊びに巻き込まれたりなど、楽しい日々を過ごしているようです。ついに剣技のレベルも上がったとのことで、今後の活躍が一層期待できます。今後の活躍をお楽しみに

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします

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