提督「つまり、オペラのどんな役につけるかという視点から、私が君たちに抱いている印象を知ろう、と」

青葉「そういうことです。青葉は営内新聞のネタができますし、提督は趣味の話をできてウィンウィンじゃないですか？」

提督「そっちがウィンウィンと言うなら私は一向に構わないよ」

青葉「じゃあ決まりですね！」

提督「つまり、オペラのどんな役につけるかという視点から、私が君たちに抱いている印象を知ろう、と」

青葉「そういうことです。青葉は営内新聞のネタができますし、提督は趣味の話をできてウィンウィンじゃないですか？」

提督「そっちがウィンウィンと言うなら私は一向に構わないよ」

青葉「じゃあ決まりですね！」

敷波「それはいいけど、なんで私も呼ばれてるの？」

青葉「敷波ちゃんはセカンドオピニオンってところですね」

衣笠「提督の理解が合ってるか分からないから、私たちの中で一番詳しい敷波ちゃんの意見も一緒に聞きたいなって」

敷波「私もそんなに詳しいってわけじゃないんだけど……」

提督「敷波も十分詳しいよ。最初は何から話そうかな」

敷波「有名どころがいい、よね？」

提督「もちろん。有名なやつなら語りやすいしな」

敷波「じゃあ『カルメン』とかどう？」

青葉「おおー。いきなり超有名なのがきましたね」

衣笠「カルメンなら私も知ってるよ」

提督「いいね。やってみようじゃないか」

提督「まずタイトルロール（表題役：作品名と同じ名前の役）のカルメンだ」

敷波「誰が似合うかな」

提督「安直にいくなら鈴谷だろうな」

敷波「びっくりするぐらい安直だけど、確かに鈴谷さん似合うよね」

青葉「男を翻弄する役ですもんね」

衣笠「確かに鈴谷なら素でやっても似合いそう」

提督「鈴谷自身がカルメンみたいな性格しているかはまた別の話だけどね」

青葉「お。早速予防線張ってきましたか？」

提督「予防線というわけではないが、ちょっと思うところがあってね」

提督「敷波は他に誰が適任だと思う？」

敷波「そうだなあ……あ。夕雲は？」

提督「夕雲は好きになったら一途に尽くしそうだからあんまりカルメンっぽくないんだよな」

敷波「あー。それもそっか」

提督「演技としては似合うと思うけどね」

青葉「荒潮はどうです？」

提督「荒潮はカルメンにしては柔らかいんだよね。もうちょい強情な面を持っているほうがカルメンっぽい」

提督「そういう意味では北上とかいいんじゃないかと思うんだよね」

衣笠「北上さんが誘惑してるのはあんまりイメージできないけど」

提督「でもその一点を別にすれば意外とカルメンだぞ」

敷波「なんとなくわかるかも」

提督「あと個人的な願望を言うと、途中にある五重唱を球磨型姉妹五人にやってほしいから北上という理由もある」

敷波「マイナー需要すぎる……」

提督「でも姉妹で重唱してるの見たくないか？」

敷波「それは見たいんだよね」

提督「ってなるとあそこは球磨型なんだよな」

青葉「ちょうど五人だからですか？」

提督「それもあるし、男男女女カルメンの役柄にぴったりはまるんだよね」

提督「これ以上話すと長くなるので、気になる人は『カルメン　五重唱』で検索してくれ」

敷波（誰に向かって言ってるんだろ……）

提督「本当のことを言えば全員にハバネラ（カルメンの独唱曲）を歌ってほしいところだけど、そんな想像してたら何日かかるか分からんのでさくっと次の役いこうか」

青葉「そうですね。次は誰ですか？」

提督「ドン・ホセだな」

敷波「カルメンに人生狂わされるかわいそうな人だよね。ちょっと自業自得だけど」

提督「タイミングも悪かったとはいえ、彼自身の責任もあるからな」

提督「もっと言えばこの作品で一番かわいそうなのは彼ではないんだが、まずはホセの話をしよう」

青葉「男の人だし一人称が僕の娘が適任ですかね」

衣笠「その決め方はどうなの？」

提督「でも時雨は適任だと思うぞ」

敷波「そう？」

提督「カルメンのフィナーレ、思い出してみな」

敷波「フィナーレ？……あっ（察し）」

青葉「フィナーレってどんななんですか？」

提督「カルメンから切り出された別れ話を諦められないホセが口論の末にカルメンを刺し殺す」

青葉「ええっ！」

提督「で「俺が殺したんだ、愛するカルメン！」ってカルメンの亡骸に縋り付いて泣くんだよ」

衣笠「カルメンってそんな終わり方だったんだ……」

青葉「結構な悲劇なんですね……」

敷波「時雨ごめん……でもものすごく似合いそう……」

提督「個人的には浦波も似合うと思うんだけどな」

敷波「浦波！？その発想はなかったなー」

敷波「でも、意外と似合うかも……ぐぬぬ」

提督「だろ？」

青葉「駆逐艦以外だとだれが合いそうですか？」

提督「駆逐艦以外だと……大鳳とかかな」

衣笠「えっそうなるんだ」

青葉「ちょっと意外ですね」

敷波「どういうあれで大鳳さんだと思ったの？」

提督「途中で歩きながら歌う場面があるんだが、それをできる体力とか」

敷波「んな適当な」

青葉「そういう意味なら長良さんもいいんじゃないですか」

提督「いいねえ」

衣笠「いやいや」

提督「まじめな話をすると、ホセって感情の表し方とか会話が素直で直球なんだよね。それに、勢いで行動しちゃうようなところもある」

敷波「あー……上官に剣抜いちゃうところね」

提督「そう。だから考える前に行動を起こすようなタイプはホセに合いやすいと思う」

衣笠「それってほめてるの？？」

提督「とりあえず行動を起こせること自体はいいことだと思うよ。ホセの場合はそれが裏目に出たわけだけどね」

提督「続いて闘牛士エスカミーリョだ」

敷波「声はバリトン。たくましくって自信にあふれた人と言えば」

提督「武蔵だな」

敷波「うんうん」

提督「だが長門ではない」

敷波「そう！そうなんだよねー」

青葉「ど、どう違うんですか？」

提督「長門はな、エスカミーリョをやるにはちょっとスマートすぎるんだよ」

敷波「武蔵さんみたいにパワーが全面にあふれている感じがエスカミーリョにはピッタリなんだよね」

提督「そうそう」

敷波「……武蔵さんがエスカミーリョやったら、二重唱したときちょうどいいドン・ホセって誰なんだろ」

提督「ほんとだな。ビジュアル的にバランス取れないな」

青葉「そういう問題もあるんですね」

提督「まあね」

提督「……天龍とかならどうだろう」

衣笠「ああー」

敷波「いいんじゃない？普通にドン・ホセも似合いそうだよね」

青葉「他にエスカミーリョの候補います？」

提督「他はなー……」

提督「あっ。飛龍とかどうよ」

敷波「飛龍さんならかっこよくていいと思うよ」

提督「駆逐艦だと初月かな」

敷波「初月だね」

衣笠「なるほどねー」

提督「次。ドン・ホセの許嫁、ミカエラだ」

敷波「提督がさっき言ってた「この作品で一番かわいそうなキャラ」って絶対ミカエラでしょ」

提督「当たり」

青葉「よくわかりましたねえ」

敷波「まあ話知ってるからね」

敷波「ミカエラは絶対磯波だと思うなー」

提督「あれは完全に磯波だ」

青葉「おお。完全に一致ってやつですね」

提督「個人的には是非浦波と組んで一幕の二重唱のところを演じてほしい」

敷波「それでさっき浦波って言ったんだ」

提督「ああ。ものすごく尊いと思うぞ」

敷波「……」←想像中

敷波「あ」

提督「見えたか？」

敷波「あ～～～ほんとだ～～～～うわ～～観たい～～～～～」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

提督「だろ？」ﾆｶｯ

青葉「えっそんなに良いんですか？？」

提督「そんなになんだよ」

敷波「これ思い浮かべられないとか人生半分損してるよ！」

衣笠「待ってそれは私も見てみたい」

敷波「司令官！カルメンの楽譜ってあったっけ！」

提督「あるぞ」

敷波「今度借りるね！あの二人に歌ってもらうから！」

提督「ああ。いつでもいいぞ」

青葉「その時は録画するから教えてね！」

敷波「もちろん！」

衣笠（ちょっと展開が予想外でついていけない……）

衣笠「じゃあ他の候補はいない感じ？」

提督「そんなこともない。榛名とか蒼龍とかも似合うと思うよ」

提督「ミカエラって素直で一途な娘だから、はまり役になりそうな娘が艦娘には多いんだよね」

青葉「ガッサは？」

提督「衣笠はちょっと違うかな」

衣笠「あらっ」

提督「大丈夫。衣笠も別の作品で当たり役ちゃんとあるから」

衣笠「そうなんだ。楽しみにしとこっと」

提督「他にもメルセデスとかフラスキータとか名前付きの役はまだいるけど……いいか、言わなくても」

敷波「うん。言っても分からないと思うし、有名な役どころに絞らないときりがないんじゃないかな」

提督「同感だ」

青葉「じゃあカルメンはこのあたりで終わりにしますか」

提督「ああ」