にこえり≪タンデムツーリング≫(45)


 一年前。


 絵里「二輪免許を取ったわ!」

 にこ「・・・・・・音ノ木ってバイクの免許取っていいんだっけ?」

 絵里「禁止する項目はなかったわ!」

 にこ「あっそ。事故だけは気を付けなさいよね」

 絵里「にこも取りましょう?」


 にこ「嫌よ。というか無理よ。お金的にも時間的にも」

 絵里「そう」シュン

 にこ「・・・・・・なにか欲しいバイクでもあるの?」

 絵里「んー、特にないんだけど、とりあえず250ccがいいわね」

 にこ「(にーはん?)もしよかったら後ろに乗せてよ」

 絵里「いいんだけど、免許を取得してから一年間はタンデムしちゃいけないの」


 にこ「たんでむ?」

 絵里「後ろに誰かを乗せて走ることよ」

 にこ「じゃあ早くても来年ね」

 絵里「ええ! 一番最初ににこを誘うわ!」

 にこ「楽しみにしているわ」




 一年後。


 絵里「にこ!」

 にこ「あによ」

 絵里「一年経ったわ! タンデムしましょう!」

 にこ「たんでむ? ・・・・・・ああ、二人乗りのことだっけ?」

 絵里「ツーリング行きましょう! 憧れのタンデムツーリング!」


 にこ「っていうか結局何を買ったのか知らないんだけど」

 絵里「スズキのジェベル250を買ったわ!」

 にこ「バイクには詳しくないんだけど、どんなやつ?」

 絵里「オフ車よ! はいこれ写真!」

ID違うけど>>1です。

https://i.imgur.com/Z8mqL3u.jpg


 ID変わるかと思ったのに変わらなかった恥ずかしい。



 にこ「へー。よく分かんないけど、かっこいいじゃないの」

 絵里「! ありがとー!!」パアァ

 にこ「で? いつ出かけるの? というかわたしヘルメット持ってないんだけど」

 絵里「それは平気! 亜里沙用に買ったのがあるから! まだ使ってないし!」

 にこ「じゃあそれを使わせてもらうわ。というかあんたさっきからテンション高いわよ」

 絵里「にことツーリングに行くのが楽しみなんだからしょうがないじゃないっ!」


 にこ「分かったから。声大きいっての」

 絵里「じゃあ今度の日曜日ね! 迎えに行くわ!」

 にこ「はいはい、晴れるといいわね」




 日曜日。


 ピンポーン

 絵里「にこー?」

 にこ「はいはい、いらっしゃい。もう少しで準備できるから、上がって待ってて」ガチャ

 絵里「はーい、お邪魔しま・・・・・・にこ?」

 にこ「ん?」

 絵里「もしかして、その格好で行く気?」

 にこ「当然! どう? ミニスカがキュートでしょ?」ヒラッ

 絵里「ダメよ!」


 にこ「へ?」

 絵里「バイクに乗るのにそんな軽装じゃダメなの! 最低でも長袖長ズボン! プロテクターがあると尚よし!」

 にこ「プロテクターなんて持ってないわよ」

 絵里「安心して! 予備を持ってきてるの!」

 にこ「っていうかプロテクターなんて着けたら可愛くないんだけど」

 絵里「安全の方が大事よ!」

 にこ「そうかもしれないけど・・・・・・」


 絵里「にこ・・・・・・おねがぁい!」

 にこ「気色悪いわ」

 絵里「ひどっ!?」ガーン!

 にこ「とりあえず着替えてくるわ。ジーパンでもいいの?」

 絵里「えぇ・・・・・・いいわよ・・・・・・」ショボン

 にこ「・・・・・・絵里」

 絵里「なに?」

 にこ「このにこにーがファッションを二の次にするんだから、今日はきっちり楽しませなさいよ?」

 絵里「! 勿論よ!」パアァ




 バラララララッ!

 絵里(いつもより加速しない・・・・・・。やっぱり後ろに人を乗せると違うのね)

 にこ「ひゃーっ、結構速いのね! 風が気持ちいいわ!」

 絵里「それは良かったわ! 今は幹線道路だけど、もうすぐ海沿いに出るから景色もバッチリな筈よ!」

 にこ「それは素敵ね!」

 絵里(インカム買おうかしら。走行中の会話は叫ばないといけないから面倒よね)


 にこ「! 絵里! 見て見て!」グイッ

 絵里「わっ! ちょ、にこ!?」グラッ

 にこ「海がキラキラしてて綺麗よ! ほらほら!」グイグイ!

 絵里「ちょ、分かったから! お願いだから走ってるときに動かないで!? 危ないわ!」グラグラ!

 にこ「すっごいわねーっ! チビ達にも見せてやりたいわ! あはははっ!」

 絵里(聞いてない・・・・・・。でもとっても楽しそう。連れてきて良かった♪)ウフフ

 にこ「潮風が心地いいーっ♪」




 絵里「とりあえず第一目的地の道の駅に到着ね」

 にこ「はい、お疲れさま。ここからの景色もいいわね」

 絵里「ええ、そうね!」

 にこ「・・・・・・ところで借りたこの、ジェットヘルメット? って亜里沙ちゃん用に買ったのよね?」

 絵里「ええ、そうよ?」

 にこ「どうしてピンクなの? しかもお揃いであんたは水色だし」

 絵里「あら、亜里沙がピンクだと変? それに姉妹でお揃いにするのも別に普通でしょ?」


 にこ「そうなんだけど・・・・・・」

 絵里「それより髪を結ったらお昼にしましょ。あそこのレストランで海を眺めながら海鮮が味わえるらしいから、そこでいい?」ポニテユイユイ

 にこ「ええ、いいわよ」ツインテユイユイ




 にこ「わたしは海鮮丼で」

 絵里「私はまぐろご膳で」

 にこ「・・・・・・なんかいいわね」

 絵里「ん? なにが?」

 にこ「友達と二人で出かけて、食事をして、同じ思い出を作っていくのが、よ」

 絵里「あら、デートみたいってこと?」クス

 にこ「そうじゃなくって。高校時代にこんな素敵な思い出を作れることが夢みたいなのよ」

 絵里「そ、そう(茶化したのに真面目に返された・・・・・・。なんか恥ずかしい///)」


 にこ「どうしてかしら? 今まで絵里と出かけたことだってあったのに、なんだかそれとは違うのよねぇ」

 絵里「それはきっと、バイクで来たからよ」

 にこ「バイクで?」

 絵里「そう、バイクで。車でもない。電車やバスでもない。バイクという非日常を走る乗り物で来たから、気分もいつもと違うのよ」

 にこ「へぇ? 随分詩人じゃない。今度の歌詞は絵里が担当かしら?」クス

 絵里「もう、からかわないで頂戴?」クスクス


 にこ「あはははっ」

 絵里「うふふふっ」

 にこ「あ、ご飯きたわね。頂きましょう」

 絵里「ハラショー! 美味しそうね!」

 にこ「マグロ、サーモン、イカ、イクラにしめ鯖・・・・・・鰤? 海の幸がこれでもかと盛られているわ。贅沢ねぇ」モグモグ

 絵里「お漬物も味が染みてて美味しいわ。それにこのカニ汁! いいダシしてる!」ンクンク

 にこ「まぐろご膳なのにカニ汁?」モグモグ


 絵里「付け合せのお味噌汁をプラス50円でカニ汁に変更できるのよ」モグモグ

 にこ「なるほどね」モグモグ

 絵里「ぅあっ! くぅ~・・・・・・」ツーン!

 にこ「え? なに? どうしたの?」

 絵里「わざび付けすぎだ・・・・・・」ナミダメ

 にこ「加減が下手ねぇ」クス

 絵里「うぅ・・・・・・」




 絵里「いやぁ、美味しかったわね!」

 にこ「わさびで半べそかいてたけどね」

 絵里「もうっ! 誰にも言わないでよ!?」///

 にこ「分かってるわよ。それで? これからどうするの?」

 絵里「もう少し海沿いを走ると展望のいい丘があるの。そこで写真を撮って帰りましょ。あんまり遅くなると渋滞に嵌るわ」

 にこ「ん、了解。じゃあまた運転お願いね」


 絵里「任せて頂戴!」バララララッ

 にこ「・・・・・・もうエンジンかけるの? 出る直前でよくない?」

 絵里「このバイクちょっと古いから暖機をしたいのよ。うるさい?」

 にこ「そうねぇ。今のハイブリッド自動車と比べると音が大きいわよね」

 絵里「一応ノーマルマフラーなんだけどな。というか今の車は静か過ぎて近づいてきても分からないから怖いわ」

 にこ「それは確かに。うちのチビ達にも気を付けるよう言ってるわ」


 絵里「ええ、そうね。じゃあ出発しましょうか」

 にこ「ええ」ギュッ

 絵里(にこに合法的に抱きついてもらえる! タンデム最高!)

 にこ(なんか変なこと考えてるわねこいつ・・・・・・)




 にこ「いい天気ね~。水平線までバッチリ見えるし、来てよかったわ」

 絵里「ん!? 何か言った!?」

 にこ「なんでもないわ! 風が気持ちいいって言ったのよ!」

 絵里「そう! あ、それでねにこ!」

 にこ「なに!?」

 絵里「手をもう少し下にしてもらえる!? ちょっと胸に当たってるのよ!」///

 にこ「え、ああ! ごめんごめん!」スッ


 絵里「いえ、気にしてないわ!」

 にこ「・・・・・・・・・・・・」モミッ

 絵里「ひゃあっ!?」グラッ

 にこ「ちょっとちょっと。しっかり運転してよ! 危ないじゃないの!」

 絵里「胸を揉まないでよっ!!」//////

 にこ「揺れたからちょっと当たっちゃったのよ! 細かいこと気にしてんじゃないわよ!」モミモミ

 絵里「揉んでるじゃない!!!」//////


 にこ「丁度手ごろで持ちやすいんだってば! いいからほら! 運転に集中!!」モミモミモミ

 絵里「・・・・・・・・・・・・」カチン!


 スッ(クラッチ握る)

 カンカンッ(2速落とす)

 バラララッ(一瞬の空ぶかし)

 パンッ(ワイヤーの反動だけでクラッチ繋ぐ)

 フワッ(浮き上がるフロントタイヤ)

 バララララッ!! (吹け上がるエンジン&ウィリー走行)



 絵里「調子に乗るなァァァァァっっ!!!!」

 にこ「ぎゃあああああああああっ!?!?」




 にこ「」グッタリ

 絵里「ごめんてば。やりすぎちゃったわ」

 にこ「いや、元はと言えばわたしが悪いんだし、こっちこそごめんなさい」ペコリ

 絵里「いいのよ。謝り合っていてもしょうがないし、これで手打ちにしましょ?」

 にこ「そうね。売店にアイスクリームがあったから、景色見ながら食べない?」

 絵里「いいわね! 食べましょ食べましょ!」ルンルン♪


 にこ「あ、ちょっと待ちなさいよ!」

 絵里「にこは何味にする?」

 にこ「そうねぇ。黒ゴマなんて渋すぎるかしら?」

 絵里「う、ん・・・・・・。いいと思うけど、アイドルのチョイスじゃないわね」

 にこ「まぁ今日はオフだし、自分の欲求に従うわ。黒ゴマ一つお願いします」

 絵里「なら私はチョコレートにしようかしら」

 にこ「あんたもブレないわね」


 絵里「自分の欲求に従ってるのよ。チョコレート一つお願いします」

 にこ「あら、ちょっと冒険だったけど美味しいわ」ペロッ

 絵里「チョコレートも美味しい! ・・・・・・ね、にこ? 黒ゴマ一口もらっていい?」

 にこ「やっぱり気になる? はい、どうぞ」スッ

 絵里「ありがと」ペロッ

 にこ「どう? 結構イケるでしょ」

 絵里「ハラショー! 美味しいわ! にこもチョコ食べる?」スッ


 にこ「折角だしもらうわ」ペロッ

 絵里「美味しい?」ニコニコ

 にこ「まぁ、普通に美味しいわね。・・・・・・なんでニヤついてんのよ」

 絵里「素敵な思い出がまた一つ増えたなぁって♪」

 にこ「あっそ」///

 絵里「あ、にこ。ちょっとそっちに立って?」

 にこ「ん? ここ?」

 絵里「そうそう。はい、チーズ」パシャッ


 にこ「にこっ☆ って、いきなり撮らないでよ!」

 絵里「しっかりポージングしてるじゃない」クスクス

 にこ「そうじゃなくって、これってさっき言ってた記念撮影でしょ? だったら絵里も一緒じゃなきゃ意味ないじゃない」

 絵里「にこ・・・・・・」ジーン

 にこ「いいからほら! 早くこっちに来なさいよ!」///

 絵里「ちょ、待って待って。タイマーを・・・・・・。バイクの上に置いて・・・・・・」

 にこ「あ、アイス食べきっちゃわないと・・・・・・」

 絵里「セットしたわ! にこ、あっち見て! あっち!」タタタッ


 にこ「ちょ、待って! まだ口の中にアイスが――」


 スマホ「」パシャッ


 絵里「どれどれ? あら、可愛く撮れてるわ♪」クスクスッ

 にこ「ンなわけないでしょ!? ちょ、ソレ見せなさい!」グイッ

 絵里「大丈夫よ、ホラ。可愛いじゃない」ヒョイ

 にこ「どこがよっ! ほっぺ真ん丸くなって口からコーンの先端はみ出てて・・・・・・ちょ、泣きたくなるくらい酷いじゃない! 消して! 今すぐ消しなさいっ!!」バタバタッ

 絵里「えー勿体無いわよ。あ、希に送っとこ」ポチポチ


 にこ「ぎゃああっ!? 何してくれてんのよあんた!?」

 絵里「平気よ平気。三人のグループLINEに送っておいたから」

 にこ「何がどう平気なのよ!」ピロン♪

 絵里「あ、誰かから通知来たわよ?」

 にこ「あんたでしょ!?」

 絵里「消した消した、ホラ消したわよ」

 にこ「もう手遅れなのよ! 希が保存したら終わりじゃない・・・・・・!」ピロン♪


 絵里「・・・・・・・・・・・・」ピロン♪

 にこ「・・・・・・・・・・・・」

 絵里「にこ」

 にこ「嫌。見たくない聞きたくない」

 絵里「・・・・・・希、百万回保存したって」

 にこ「いやああああああっ!? ひゃくまんかいってなに!? バカじゃないのあいつ!?」

 絵里「落ち着いて。きっと冗談よ」


 にこ「分かってるわよそんなことっ! でもどうせ保存はしたんだろうし、ああもう最悪ぅ・・・・・・」

 絵里「まぁまぁ。気を取り直して写真撮りましょ?」

 にこ「誰のせいだと思ってんのよ・・・・・・」

 絵里「そんなに落ち込まなくてもいいじゃない。ほらほら、タイマーセットしたわよー?」タタタッ

 にこ「・・・・・・・・・・・・」モミッ

 絵里「きゃあっ!?」//////


 スマホ「」パシャッ


 にこ「そりゃ!」ヒョイ


 絵里「あ、ちょ! 色々なにするのよ! スマホ返しなさい!」バタバタ

 にこ「胸の分は撮影代よ! あとこの写真はにこのスマホに送ってっと・・・・・・」ポチポチ

 絵里「ちょ//////、やめてやめて! 恥ずかしすぎるわ!」

 にこ「さっきのわたしもそうだったわよ!」






 スマホ「」ピロン♪

 希「およ? またLINEや」スッスッ

 希「・・・・・・なんや、えらい仲ええなぁ。ちょっと妬けてまうで」クスクスッ





 にこ「あ"あ"あ"っ!? 間違って希とのグループLINEに送っちゃった!」


 絵里「ぅえ"え"え"え"っ!?!? ちょ、冗談でしょ!?」パシッ

 にこ「あ、いや、ホントごめん」

 絵里「ごめんじゃ済まないわよ! こうなったらにこの胸もわしわししてやるー!」グワッ

 にこ「ちょちょちょ、待って待って待って!」

 絵里「待たない待ちなさい・・・・・・!」ピロン♪


 にこ「・・・・・・・・・・・・」ピロン♪

 絵里「・・・・・・・・・・・・」

 にこ「・・・・・・絵里」

 絵里「嫌。見たくない聞きたくない知りたくない」

 にこ「希、一回だけ保存したって」

 絵里「どうして私はにこの百万分の一なのよ!?」

 にこ「結局保存はされてるけどね」


 絵里「うぅぅ~・・・・・・っ! エリチカおうち帰るぅ~!!」

 にこ「ちゃんとわたしも乗せてよね」

 絵里「今度胸に触ったら本気で振り落とすわよ!」

 にこ「触んないわよ(多分)」






 希「ウチも二輪免許取ろうかなぁ」




 終わり


 写真にはオフメットが写ってるけど、にこえりはジェッペルです。
 どうでもいいかそんな話。

もしよろしければ過去作も読んでみてください。
貧乏穂乃果≪このままじゃ、穂乃果倒れちゃう≫ - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1509361803/l30)

お目汚し失礼しました。

>>42
過去作のタイトル入れ忘れた(汗)

貧乏穂乃果≪このままじゃ、穂乃果倒れちゃう≫

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