【艦これ】高雄「私と」提督「俺と」愛宕「私」 (1000)


< しかいない >





愛宕「と思ってたんだけど……」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………なんか最近高雄ばっかり構ってる気がする。三人どころか私一人じゃない」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「……明日、そう明日よ。明日は私のことだけ見てもらうんだから」


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こちらでもよろしくお願いします

ありがとうございました


< フリーズ、瞑目、笑顔 >





提督「ふぁ……ねっむ」

高雄「ぅん…………今何時ですか? 」

提督「まだ寝てられる時間」

高雄「いや、あの」

提督「いいから。時計はこっち置いとくよ」

高雄「……」

提督「もう少し寝てな。今日は朝餉当番休め」

高雄「……はぁ」

提督「あぁ、お前の料理が食べたくないとかじゃなくてな」

高雄「それは……わかりますけど」

提督「うん。じゃ、俺は愛宕に朝餉のことーー」

高雄「…………」

提督「……痛い。手首に爪食い込んでる」

高雄「…………」

提督「……なんだよ」

高雄「…………一人は嫌。一緒に……寝坊しましょう? 」

提督「ーーーー」


< 気にしない >





愛宕「……………………」

加賀「…………」





江風「……なンだあれ? 」

海風「機嫌悪そうだよね」

江風「加賀さンとかよくあの向かいで食べてンな」

天城「加賀さんは単に朝食に集中しているだけかと」

雲龍「ふふ……今日の朝食、いつもより豪華だったでしょう? 」

明石「しかも今日ってたぶん高雄さんの日でしたからね」

江風「あ、そういう」

海風「愛宕さん……」

雲龍「……ま、明日は逆に機嫌よくなってると思うわ。ね? 」

明石「ですね。雲龍さんの機嫌は悪いかもしれませんけど? 」

雲龍「む……」


< 機会が閉ざされているということ >





叢雲「いい御身分ねぇ……女侍らせてお寝坊様とは」

漣「……叢雲ちゃんって煙管とか似合うよね、きっと」

叢雲「え? 」

漣「ん、なんでもない。……実際いい御身分ってやつでしょ。帝国海軍の少将様だよ? 」

叢雲「そうね」

漣「いーなー……漣も高級軍人になりたーい」

叢雲「兵学校出ないとなれないもの。
……だけど兵学校に入る機会は用意しないっていうね」

漣「実質的な、ってやつだね。用意はしてますー、っていう」

叢雲「…………ま、別に今の境遇に不満はないし。私はいいけれど、不愉快な話ね」


< 期待と想いの分だけ >





Littorio「機嫌の悪いこと」

瑞穂「しかし、瑞穂にも気持ちは分かりますよ。
今日の朝餉は一段と美味でしたから」

Littorio「Littorioにも気持ちがわからないことはありませんけれど」

瑞穂「普段は滅多に負の感情を出しませんし。ストレスになっているのかもしれません」

Littorio「……ある意味でLittorioや明石は楽なのかもしれませんね」


< まぁ、下位は名鑑で知るんですけどね >





明石「ドラフトがあったとか」

雲龍「ドラフト? 」

明石「……あぁ、興味無いとそういうやつですよね」

雲龍「意味自体は分かるけど……年に一度あるものよね? 」

明石「…………興味無いとそういうやつですよね」

雲龍「? 」

明石「……提督が起きてこないと普通の話題もたまにできませんね、ここ」


< 御大 >





提督「おはよーさん」

瑞穂「ぁ」

提督「お? 」

加賀「……愛宕のケアを頼んだわよ。食事が重くて仕方ないわ」

天城「あぁ、一応気にはしてたのですね」

加賀「? 」

提督「へ? …………あぁ、了解。すまなかったな」





雲龍「……あれで理解できるというのも」

Littorio「ある意味で罪、ですよね」


< 強がり >





高雄「十月二十三日の誕生石はヴィヴィアナイト。
石言葉は“ 気高さ ”、“ 我慢 ”、“ 根気 ”、そして“ 探究心 ”」

愛宕「我慢? 根気? 」

高雄「…………あの人を引き止めたのは私よ」

愛宕「ふーん……? 」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……別にいいのよ? 私が勝手に? 空回っただけだし? 」

高雄「…………」

愛宕「つーん」

高雄「……はぁ」


< そういうところも好きだけれど >





明石「前から気になってたんですけど」

雲龍「ええ」

明石「雲龍さんって何か不思議生物飼ってたりしません? 」

雲龍「……え? 」

明石「ふよふよしたモコモコのとかすべすべしたぺらぺらのとか」

雲龍「あの……ちょっと何が言いたいか分からない」

明石「私もよくわかりません」

雲龍「……何が言いたいのかしら」

明石「ほら、ねぇ? 」

加賀「仙人? 」

明石「そう、それですよ。雲とか乗ってそうですね」

雲龍「…………我ながら煩悩にまみれていると思うのだけれど、いいの? 」


< 恋愛力学 今日も格闘中♪ >





高雄「今日の誕生花はフリティラリア。花言葉は“ 王の威厳 ”」

加賀「王、ね」

高雄「……」

加賀「あの人は自分を王よりは奴隷、と言ったかしら」

高雄「……自分は愛の奴隷だ、と」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「……威厳どころの話ではないわね」


< >





提督「今日のカクテルはティフィンレモンソーダ。
カクテルワードは“ 前向きな姿勢で遊びも仕事も楽しめる人 ”、だ」

愛宕「…………」

提督「……どうだ? 一日放っておかれた気分は」

愛宕「……最悪」

提督「だろうね。…………悪かった。なんでもするから許してくれ」

愛宕「…………」

提督「笑ってるお前が好きなんだよ。頼む」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………あなたとお酒飲んでれば機嫌直す自分がもっと嫌」

提督「ふ……前向きでいいじやねぇか」

愛宕「…………はぁ。なんで苛々してたのかしらね。一日無駄にした気分」


< 空母の敬慕 >





加賀「天城」

天城「なんでしょう」

加賀「遅れたけれど……誕生日プレゼントよ」

天城「あ、ありがとうございました。開けても? 」

加賀「ええ」

天城「…………包丁セット? 」

加賀「あなたの名前を刻印してあるわ」

天城「……ありがとう、こざいます。大事に、しますね」

加賀「別に欠ければ捨てていいわ」

天城「いえっ、加賀さんにいただいたものですから」

加賀「そう……」

天城「はいっ」

加賀「…………ここにサーモンや赤身の冊があるわ」

天城「任せてください」





雲龍「…………私の妹はあれでいいのかしら」

明石「本人がいいならまぁ」

雲龍「……」

明石「……………………雲龍さんも割と加賀さん偏愛みたいなとこありますけどね」


< 大好きなあなたの好きなものを好きになる >





愛宕「ん……」

提督「ん? ……ん」

愛宕「…………ウィスキー好きねぇ」

提督「お前もな」

愛宕「あなたが好きだから」

提督「俺? ウィスキー? 」

愛宕「どっちも」

提督「そうか。……悪かったな」

愛宕「んーん、タイミングが悪かっただけだもの」

提督「…………今日はお前だけを見ているから」

愛宕「これからは、って言えないあたりあれよね」

提督「…………」

愛宕「ふふ……冗談よ」


>>1000なら高翌雄と愛宕の改二がくるまで続けてくださいね

これ本当にいつかくるんですか……?
ボイスとかもあるんですか……?


ありがとうございました


< これが習慣になりそうで恐ろしい >





提督「んー……かったる」

愛宕「そろそろ起きないとダメよ? 」

提督「……玉子スープ食べたい」

愛宕「もう……」

提督「食べたら……飲んだら? 」

愛宕「どっちでもいいんじゃない? 」

提督「そう? ……食べたら起きるよ」

愛宕「本当に? 二度寝しない? 」

提督「お前が布団に入ってこなければな」

愛宕「んー……」

提督「……」

愛宕「……高雄に当て付けでもしようかしら」

提督「うぇるかーむ」


< 姉、二人 >





高雄「……やられた」

海風「今日は愛宕さんですか」

高雄「……まぁ、私としては同じことをしたという負い目も」

海風「……」

高雄「……」

海風「……寝室に行ってみては? 面白いものが見れるかも」

高雄「海風……割と大人しいだけではありませんね」

海風「提督はこちらの方が好きかな、と」

高雄「…………」

海風「…………」

高雄「……いえ、私も横槍を入れられるのは好みませんからね、今日のところは放っておきましょう」


< 微睡むまでの他愛ないお話 >





愛宕「セーターを着ても」

提督「おう」

愛宕「袖余りみたいなのができないのよねぇ……可愛いと思うんだけれど」

提督「そりゃその形だし」

愛宕「うーん……」

提督「……その代わりにパッツパツなのがいいと思うが」

愛宕「そう、よね」


< 愛情って難しい力 >





高雄「十月二十四日の誕生石はインディゴライト。
石言葉は“ おおらか ”、“ 切れ者 ”、“ 愛情 ”、そして“ 寛容 ”」

江風「高雄さンとかさ」

高雄「はい」

江風「相当寛容ってやつだよね。
海風の姉貴が言ってたことなンてキレてもおかしくないじゃン? 」

高雄「寛容というか……諦めや慣れの部類なのですけれど」

江風「それでも、さ」

高雄「…………」

江風「…………」

高雄「……あなたの妹、危ういわ」

江風「ン、わかってる」

高雄「……自分を他人に合わせるために変えるなんて、意識的にしてはいけないもの」

江風「あぁ……ま、それこそテートクも見てるしさ。
江風はそれに期待してるよ。もちろン江風もいるけど、ね」


< それは現在を謳歌しているからであって >





高雄「今日の誕生花はガーベラピンク。花言葉は“ 崇高美 ”」

明石「崇高、崇高ってなんでしょう」

高雄「手が届かない、もしくは届くはずなのに手が出せない、というか」

明石「はぁ……そういう意味では提督は崇高ではありませんね」

高雄「私たちもそうではないですから」

明石「お似合い? 」

高雄「ええ」

明石「…………高嶺の花、孤独に花開くのも難しいですか」

高雄「ええ。そうありたいと思う女性はいるでしょうけれど……私はそうなりたいとは思いません」


< 割と楽しい >





提督「冷凍炒飯沢山買ったぜ! 」

明石「いぇーい! 」

愛宕「いぇーい! 」

提督「少しずつ小皿に分けて加熱したぜ! 」

叢雲「馬鹿なの? 」

提督「人数分なら結局大皿でよかったぜ! 」

雲龍「馬鹿なの? 」

提督「だからたぶん一人分は一口だぜ! 」

加賀「馬鹿なの? ねぇ、馬鹿でしょうあなた」


< 炒飯の懐は、深い >





叢雲「まぁ、こうして食べ比べてみると」

提督「おう」

叢雲「あんたの炒飯が一番美味しいわ。お世辞じゃなくね」

提督「さんきゅー」

叢雲「あんたにもまともなところ、あるのよね」

提督「そりゃな」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……和風炒飯がいいわ」

提督「へーい。牛蒡とベーコンと……あと何あったかなぁ」


< なんとはなく負けた気分 >





提督「今日のカクテルはティフィンオレンジ。
カクテルワードは“ 温かく寛大な心のフレッシュマン ”、だ」

愛宕「ひさーしぶりにこんなフレッシュかも」

提督「あんだけ寝ればな」

高雄「あなたは二日連続で休めたようですけれど? 」

提督「まぁな。明日は姉妹で寝坊でもするかい? 」

愛宕「私はいいわよ? 」

高雄「結構。何をされるかわかったものではないので」

提督「ふーん……」

愛宕「へぇ……」

高雄「……なんです」

提督「別に。なぁ? 」

愛宕「ねぇ? 」

高雄「…………」


< 立ち向かったつもり >





雲龍「疼くわ」

明石「」

雲龍「……明日から訓練に参加しましょう。気を紛らわせるために」

明石「……不純な」

雲龍「結果は変わらないわよ。動機で左右される程無能でもないつもり」

明石「……」

雲龍「……」

明石「……一晩中ヤるっていうのは一晩中ヤってるものだと思ってました」

雲龍「そう……」

明石「案外その……ずっとイれてるわけでもないんですよね」

雲龍「イれられてるの間違いじゃないの? 」

明石「…………」

雲龍「……? 」

明石「…………強敵過ぎる。誰か助けてくださいよぉ」

雲龍「? 」


ありがとうございました


< このあと滅茶苦茶パスタ >





提督「Littorio」

Littorio「なんでしょう」

提督「今日、二十五日は」

Littorio「はい」

提督「世界パスタの日らしいぞ! 」

加賀「なるほど」

Littorio「雲龍と似ていますね。神出鬼没なあたりは」

加賀「そうかしら」

提督「……」

Littorio「……ま、楽しみにしていてくださいね、提督」



< 呼び方 >





加賀「…………」

雲龍「加賀さん? 」

天城「加賀さん? 」

海風「加賀さん? 」

瑞穂「加賀さん? 」

加賀「…………」





提督「あ? 呼び方がどうしたって? 」

加賀「…………」

提督「……加賀? 」

加賀「……いえ、なんでもないわ」


< 素直 >





高雄「十月二十五日の誕生石はレッドスピネル。
石言葉は“ 魅力 ”、“ 魅惑 ”、そして“ カリスマ性 ”」

明石「提督の一番の魅力とは? 」

愛宕「顔」

明石「えぇ……高雄さんは? 」

高雄「……表情、と言っておきましょうか」

明石「……」

愛宕「ま、半分くらい冗談だけれど……明石は? 」

明石「色々ありますけど……車とか単車の話をしてくれるところですかね」


< 慰めの報酬 >





高雄「今日の誕生花はユーカリ。
花言葉は“ 慰め ”、“記念 ”、“ 追憶 ”、そして“ 思い出 ”」

提督「あのさ……ちょっと泣きたいんだけど」

高雄「あなたも顔か身体と答えるでしょう? 」

提督「そりゃな。シラフで昼間にガチ回答とか恥ずかしくてできねぇよ」

高雄「私や愛宕も同じです」

提督「でもねぇ……」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……顔では特に私を見つめてくれる瞳が好きです」

提督「…………照れるわ。明るい時間に執務休憩で聞くもんじゃないな」



< 夜だから仕方ない。夜だから >





提督「今日のカクテルはティフィンミルク。
カクテルワードは“ 光と闇の狭間で生きる冒険者 ”、だ」

漣「まーた……どこの中二ですかね」

提督「生と死を光と闇に例えてるならまぁ……お前らだろ」

漣「確かにそれだと否定はできませんけど」

提督「そもそもどんな生き物も冒険者かもしれないけどさ」

漣「ふむ……」

提督「……」

漣「ご主人様はやっぱり夜だとさらに冒険の血が騒」

提督「ぐよ」

漣「……そこは形だけでも否定しておきましょうよ、せめて」


< よーく知っているからこその頷き >





明石「炭水化物、炭水化物、炭水化物、お酒でも大丈夫、加賀さんです」

加賀「……あなたは私をなんだと思っているのかしら」

明石「や、でも割と馬鹿にできないかと」

加賀「まるで私が肥満体質みたいじゃない」

明石「そうは言えませんよ。どうしてその体型なのかむしろ聞きたいです」

提督「そうだな」


< いつかどこかの誰かを想う >





鈴谷「そーいやさー」

金剛「What’s? 」

鈴谷「レイテな期間だったよねー。正確には色々名前あるけどさー」

金剛「はぁ……そんな日だったのかもデスネー」

鈴谷「…………」

金剛「…………」

鈴谷「……鈴谷たちってなんにも関係ないって言えると思う? 」

金剛「さぁ……私にはわからないデース」

鈴谷「…………西村組はなーんかピリピリしてたしさ。暗い顔しなきゃいけないのかなって」

金剛「…………」

鈴谷「…………」

金剛「…………笑って、そばにいればいい……そういうときは、ネ? 」

鈴谷「……そ、だね」


< 一晩過ぎて >





扶桑「……なにか肩の重みが降りた気がするわ」

山城「そう、ですね」

扶桑「私たちが霊魂、なんてものを信じるのも馬鹿馬鹿しい話だとは思うのだけれど」

山城「いえ、そんなことは」

扶桑「…………」

山城「…………」

扶桑「……扶桑や山城の沈没は二十五日」

山城「はい。……私たちが私たちである証拠かもしれませんね。船、ではないという」




< 月は違えどあなたの誕生日に沈んだことを >





愛宕「少し奇遇だとは思うわ」

提督「ふーん? ……レイテ旗艦様? 」

愛宕「わ・た・し、は違うけど? 」

提督「黒歴史? 」

愛宕「自分史じゃないし? 」

提督「そうか? 」

愛宕「船を抱いたつもり? 」

提督「それがお前なら構わないが? 」

愛宕「悪趣味? 」

提督「本気で? 」

愛宕「当たり前? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………今のお前は沈ませないよ。俺がね」

愛宕「……そ、期待してるわね」




ありがとうございました


< 滅ッ。……はされたくない >





高雄「めっ、ですからね」

提督「うーん、そこはかとなく卑猥」



愛宕「めっ、なんだからね? わかった? 」

提督「エロい」



Littorio「めっ。……こんなのがいいのですか? 」

提督「おおう……」



叢雲「ばっかじゃないの。腎虚にでもなって野垂れ死ねばいいのよ、変態」

提督「……お前が一番合うな」

叢雲「…………」


< 一途なのも考えもの >





高雄「十月二十六日の誕生石はタイガースアイ。
石言葉は“ 技倆 ”、“ 一途 ”、そして“ 前向き ”」

提督「いまだかつてお前らの中で恋愛相談をしてきたのが山城と千代田しかいないんだが」

高雄「知りませんよそんなこと……されたいんですか? 」

提督「だってさー、山城は半分八つ当たりだし千代田は酒の肴ついでだし……」

高雄「……」

愛宕「そもそもそれって」

提督「相手なんて決まってるだろうよ」

高雄「……決まってない、とは言えないですけれどそれでいいんですか、相談内容が」






< 見られるのも楽しい、とか割と思うけど >





Littorio「今更ですけれど」

提督「うん? 」

Littorio「その、背中などに爪を立てたりはしていませんでしたか? 」

提督「そんな覚えはないが」

Littorio「そう……よかった」

提督「あれはあれでそれなりに嬉しいもんだけどな……あぁ」

Littorio「? 」

提督「正直爪痕よりさ、鬱血痕とかの方がやべぇわ」

Littorio「首筋だとか、ですか? 」

提督「いや、明らかに服で隠れるところだな。そのまま高雄とかと寝るのも、なんか違うだろ? 」

Littorio「…………そんなことを気にしているような頻度だとは到底思えませんけれど」


< 淑やかって気持ちがないと駄目なんだ >





加賀「今日の誕生花はイチョウ。花言葉は“ 淑やか ”、“ 鎮魂 ”、そして“ 長寿 ”」

雲龍「……高雄はどこへ」

明石「よく考えると」

雲龍「? 」

明石「……私たちがあの人にしてもらっていることって」

雲龍「ええ」

明石「高雄さんとかその前の彼女にしてたことと同じなんですよね」

雲龍「さぁ……高雄たちは知らないけれど他の女は違うんじゃない? 」

明石「はぁ」

雲龍「行動が同じでもね、気持ちって違うものなのよ。わたしはそれが分かるから好きなの」

明石「…………」

雲龍「…………」

明石「……私って女々しいなぁ、とか思いましたけど、女でしたね」

雲龍「そうね」


< あなたとであって強くも弱くも >





明石「弱くなったというか……ダメになったというか」

加賀「元々弱いでしょう? 」

明石「や、これでもヘビー級のボクサーとかより断然強いんですけどね」

雲龍「それは当たり前」

加賀「提督を拘束して自分だけのものにするのも物理的には可能でしょうね」

明石「や、どうせ高雄さんも愛宕さんも……加賀さんも物理的に阻止してくるでしょ」

雲龍「当たり前じゃない」

加賀「当然」

明石「…………なんだかなぁ」


< 理由なんて考えるのは >





雲龍「そもそもそれ、高雄たちへの嫉妬でしょう? 」

明石「ーーーー」

雲龍「……無意識、か」

加賀「……まさに」

明石「…………」

雲龍「……ま、でもある意味で貴重ですよね。
私や加賀さんはこんなにいい意味で普通、ではありませんから」

加賀「あなたと同じ括りなのは遠慮したいけれど、同意ね」

明石「…………」

雲龍「おとめちっく? 」

加賀「はぁ」

明石「…………提督が普通の女の子も好きでよかったです」



< 香りは気持ち >





雲龍「……他の女、というので思い付いたというか」

加賀「ええ」

雲龍「あの人の寝室ってあの三人しか入ったことも見たこともないじゃないですか」

加賀「そうね。あの人の目に見える数少ない境界の一つ」

雲龍「入れてくれないのもそれはそれで少し寂しいですけれど……」

加賀「……」

雲龍「きっと他の匂いが沢山付いてますよね。シーツや布団どころか部屋中に」

加賀「……それは自分以外の他の女の、という意味かしら」

雲龍「…………私の部屋には匂いや気配が残る程いてくれないのに」

加賀「……自分の生まれを呪うのね」

雲龍「それは……出会えなくなってしまうかもしれませんから」


< 昇格とかにはまぁ必要かな >





提督「今日のカクテルはパナシェ。
カクテルワードは“ 自分をアピールできる個性派 ”、だ」

Littorio「セックスアピール? 」

提督「それも一つだな」

Littorio「他になにが? 結局のところそこに行き着くと思のですけれど」

提督「んー……」

Littorio「……」

提督「…………割とマジに思いつかない」

Littorio「でしょう? 」


< どこからどう流れたのかは分からないが >





愛宕「うるうる? 」

天城「はい」

愛宕「んー……」

天城「…………」

愛宕「……………………こう? 」

天城「あっ、そんな感じ、だと思います」

愛宕「なるほどねぇ~……」

天城「それ、どうやってるんですか? とても印象変わりますけれど」

愛宕「……うるうるな瞳ってね、大体見つめることと目尻に気を使えばできるのよ」

天城「はぁ」

愛宕「ドライアイだと駄目かもだけれど……基本スキル? 」

天城「随分お嫌なスキルですね……」

愛宕「そうかも。私もあの人といるときに意識なんてしないし」

天城「なるほど」

愛宕「意識しなくてとうるうるしちゃうもの。心が潤うっていうか」


< 魔境探索の始まりはいつも唐突 >





江風「そっかぁ、今日は野球ないンだった」

海風「そうだね。移動日だって」

江風「ぼんやり見ながら喋ってンのには丁度いいンだけどな」

瑞穂「瑞穂は江風さンたちと見てやっとルールを把握した気がします」

叢雲「それはそれでどうなのよ」

漣「興味なきゃそんな感じじゃないですかねー」

江風「……仕方ない。テートクのDVDでも漁ってくるか」


ありがとうございました


< 疲れることした後は特に >





提督「うーん、清々しい目覚め」

高雄「いつもそうだと嬉しいのですが」

提督「どうもね、そうはならない。なんでかな」

高雄「何故、何故ですか」

提督「うん」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……まぁ、微睡むのって幸せなことですもの。この時期には特に」

提督「そうだな」


< 苦しむ理由 >





高雄「十月二十七日の誕生石はアウィナイト。
石言葉は“ 元気 ”、“ 活発的 ”、そして“ 楽しさ ”」

叢雲「元気っていえば」

高雄「ええ」

叢雲「あいつ……司令官って、前の大規模作戦のときは毎日戻してたのよ」

高雄「え……? 」

叢雲「理由は知らない、というか推測でしかできないけど。吐いてたわ」

高雄「…………」

叢雲「最近はやっぱりないわね。……ずっと一緒にいて欲しいの」

高雄「…………」

叢雲「…………」





高雄「…………少し嬉しく思うとは。嫌な女に成り下がったものですね」


< 甲斐性にも限度というものが >





高雄「今日の誕生花はアイヴィー。
花言葉は“ 友情 ”、“ 永遠の愛 ”、そして“ 破綻のない結婚 ”」

愛宕「むしろどうやったら破綻するの? 」

高雄「……さぁ」

愛宕「愛人、というか相手は片手じゃおさまらないし」

高雄「人を殺めるとか」

愛宕「たぶん理由を探そうとするわね。で、安心したい」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……急にふと冷めるとか? 」

愛宕「そんなことあるのかしら。……それこそこれだけのことがあっても冷めないのに」


< ちいさな港町に白塗りの家とかでもいいね >





提督「今日のカクテルはウォッカグラスホッパー。
カクテルワードは“ 幸せな家庭を思い描く都会的な人 ”、だ」

Littorio「幸せな家庭なんて誰でも思い描くと思いますけれど」

提督「そうだな」

Littorio「……Littorioも、時々考えてみることがあります」

提督「ん? 」

Littorio「大好きな人と、山々が見える田舎で生活するのです。二人っきりで」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「……そこで罪悪感のあるような顔をするのはいけませんよ。Littorioは後悔してませんから」

提督「…………あぁ」


< Liquore italiano >





Littorio「スプモーニを」

提督「ん」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……ん」

Littorio「どうも」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……元々の意味が“ 泡立つ ”とか全然爽やかじゃねーの」

Littorio「……カクテルワードは“ 愛嬌 ”、ですから。許したく、なりませんか? 」

提督「愛嬌ある酒ってのもな……別に嫌いではないけどさ」


< 月夜にあなたを、いつかはあなたと >





Littorio「満月、ですね」

提督「色濃くて綺麗だなぁ……」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「狼になりたくありません? 」

提督「ん? ……ん」

Littorio「……ふふ」

提督「俺が狼だとして……お前は? 」

Littorio「羊の皮を被った狼でしょうか」

提督「へぇ……」

Littorio「羊と狼では楽しめないことをするのですから……ね? 」

提督「なるほどな……おいで」


ありがとうございました


< 早寝がいい寝起きに繋がるとは限らない >





加賀「……満月」

瑞穂「これから、欠けてゆくところですね」

天城「戻ってくるのにまた一周、ですか」

加賀「…………あの人は見ているかしら」

天城「今日は……もう寝ているか他のことに夢中かと」

加賀「……そう」

天城「……次は加賀さんが隣に立てばいいですよ。待つのもなかなかいいものですし」

加賀「そう、ね」

瑞穂「……瑞穂、何かまた持ってきます。何、飲みますか? 」

雲龍「…………Zzz」


< ただし遅寝はもれなく…… >





加賀「……月が見えなくなってしまったわね」

天城「もう、朝ですから」

瑞穂「…………Zzz」

加賀「……彼女はここにいて幸せなのかしら」

天城「…………」

加賀「ポテンシャルは高いと思うのだけれど……私では最大限までそれを引き出せないわ」

天城「……しかし、そもそも帝都が寄越した話ですからね。ここで経験を積め、と」

加賀「…………今になって思えば」

天城「はい」

加賀「……横須賀の君は最初から提督を横須賀に呼び戻すつもりだったのかもしれない」

天城「あぁ……結局こちらで水母以外への対応と基礎を学んで他はあちらで、という」

加賀「…………」

天城「…………」

加賀「…………私も仮眠を取るわ。今日は柄になくはしゃいでしまったから」

天城「はい。天城もウトウトし始めていたところです」

瑞穂「…………ん……Zzz」

雲龍「…………Zzz」


< 没頭とは抑えられものではないけれど >





高雄「十月二十八日の誕生石はサファイア。
石言葉は“ 没頭 ”、“ 探究心 ”、“ 向上心 ”、そして“ 好奇心 ”」

Littorio「探究心なんですか? 明石のは」

明石「ま、そうですね。根幹には知りたい、という感情があると思います」

高雄「好奇心に殺される猫にならないようにしてくださいね」

明石「え? 」

高雄「あまりていとを喜ばせ過ぎたりするのは危険ですよ、と」

Littorio「? 」

明石「あぁ。…………肝に命じておきますね」

高雄「それがよろしいかと」









< 想い出だからこその >





提督「学生時代みたいなデートがしたい」

愛宕「それってどんな? 」

提督「適当だよ。モール行ったり映画行ったり水族館行ったり」

愛宕「ふーん……? 」

提督「で、帰りはファミレスとかだな。たまに高いもの食べてみたり」

愛宕「お家は? 」

提督「なかなか彼女連れてくのもな……お邪魔するのもあれだし」

愛宕「なるほどねぇ」

提督「……正直お喋りしてればどこでも楽しいんだけどさ。あの時代は帰ってこないんだなぁ」

愛宕「帰りたいの? 」

提督「いや」

愛宕「……」

提督「……まぁ、お前の制服姿が見れるならな。制服デートとかもう絶対できないし」

愛宕「下手なコスプレみたいになるわよね」

提督「あぁ。それはもう自室で暗くなってからするものになっちまった」


< 本音がそれで何が悪い >





愛宕「でもどうして急に? 」

提督「や、Twitter見てたらね……ん」

愛宕「えーっと、群馬県民の日? 」

提督「そう。ちなみに北海道民の日は無い」

愛宕「ふーん? 」

提督「さらに公立学校が休みになんのは関東の一部だけらしい」

愛宕「へぇ」

提督「いーなー、俺も平日に彼女と夢の国行ったりしたかったなー、って」

愛宕「北海道からそれはちょっと……ま、確かにそうね」

提督「平日なら親もいなかったりするだろうしさー」

愛宕「あ……それが本音なんだ」



< オムレツ色々 >





高雄「カタルーニャの独立問題、ですか」

Littorio「よく分かりませんけれど……サッカーはどうなるのでしょうね」

高雄「さぁ……サッカーはリーガに残りそうですけれど」

Littorio「はぁ。……地中海を深海棲艦に握られている以上は、
バルセロナの価値も半減しているのですが」

高雄「その辺りの事情もありそうですね。フランスとアンドラの国境と接する位置ですし」

Littorio「いっそ独立、ですか。今のうちに」

高雄「…………」

Littorio「…………」

加賀「トルティージャを食べてみたいわ。
Littorioのフリッタータと食べ比べるのもいいわね」

Littorio「…………人々には加賀さんくらいの強心臓が必要なのかもしれませんね」

高雄「……ええ」


< 特に違和感は無い >





高雄「今日の誕生花は銭葵。花言葉は“ 恩恵 ”、“ 母の愛 ”、“ 穏和 ”、“ 温厚 ”、そして“ 初恋 ”」

愛宕「お義母様に会ってみたいわねぇ」

高雄「お母様、ですか」

愛宕「私たちのこと受け入れてくれるかは分からないけど一度は挨拶しないと」

高雄「そうね。認めてもらえなくても……その、あの人は気にしなさそうだけれど」

愛宕「あの人の問題ってよりは私たちの問題かしらね」

高雄「確かに。お母様やお父様にはあの人と笑い合っていてほしいですから」

愛宕「あぁ。お義父様にも会ってみたいわぁ~ 」

高雄「ええ」


< 屈服させるのもよし、させられるのもまたよし >





提督「女性の管理職が少ないのは問題だと思うんだ」

明石「はぁ? 」

提督「ん? 」

明石「むしろ差別主義者に近いようなことしでかしといてフェミか何かですか? 」

提督「いや、できる美人キャリアウーマンとかいいじゃん? 」

明石「あ、そういう……」

提督「さらにそれが気の強い上司とかヤベェわ。うん」





明石「……香取さんとか紹介しない方がよさそうですね」


< 未来のことを考えることになる程に、弱く >





提督「今日のカクテルはマリブパイン。
カクテルワードは“ 好意的で人や動物に親しまれる永遠の恋人 ”、だ」

加賀「永遠に恋人のまま、ということね」

提督「穿ち過ぎだろ」

加賀「……あなたにとって私はそうではなくて? 」

提督「…………お前は加賀だよ。それこそいつまでも」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………今日、部屋に誰も呼ぶな。一度引きずり込んだ女を二度と離すわけないだろ」


< 味覚って不思議 >





Littorio「これ、美味しいですね。ワインにも合います」

提督「お、おう……」

高雄「……あなたを見ていると初めて下手物を食べた古代の人間のように思うわ」

Littorio「あなたたちが食べているもの。
合うかどうかは別にして食べられるのは確かでしょう? 」

提督「まぁな。……でもさ、辛めの白は兎も角つまみが氷頭って」

高雄「美味しいことは美味しいですけれどね」

Littorio「提督の地元のメーカーが出しているものなのでしょう? 」

提督「そうだな。しかも普通の氷頭は酢の物だがこれはレモン風味で」

Littorio「あ、そのお話は結構です」

提督「……」

高雄「……まぁ、マリネなんてものもありますし。おかしくはないですか」


< 謎の選択を時々自分でもしてしまう >





江風「野球も終わったし……映画観よ」

天城「いいですね」

江風「ン? 天城さンって映画観るの? 」

天城「はい。好きですよ」

江風「へぇ……なンか観たいのある? ってもテートクのコレクションか漣の録画だけど」

天城「江風さんの自由で構いませんよ。新しいジャンルというのも悪くないものです」

江風「それ困るンだけどなぁ……」

天城「はぁ」

江風「…………『トラ・トラ・トラ! 』でも観るかな」


ありがとうございました


< 意図しないギャップというものは >





加賀「…………Zzz」

提督「…………ぅん」

加賀「…………」

提督「ん……? …………抱き着かれてる」

加賀「…………Zzz」

提督「と、いうか俺の腕の中で自分の腕抱えてすっぽり」

加賀「…………Zzz」

提督「…………」

加賀「…………だめ……そ、れは…………Zzz」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………抱き締めないといけない気がするな、うん」


< 成長 >





江風「ン……姉貴」

海風「なに? 」

江風「風呂入らない? 」

海風「シャワーじゃなくて? 」

江風「うン。今日はいつもより遅くから訓練だしさ。
……実戦想定で相変わらずきついけど」

海風「いいよ。じゃあ、着替え持ってくるね」

江風「ン」





海風「んー……ちょっときつくなってきたかも」

江風「へぇ……」

海風「ま、いっか。行こ……大浴場に二人きりってのも不思議だよねー」

江風「あぁ。……………………あんな際どいの着てたっけ」


< もちろん褒めてる >





高雄「今日は親子丼です」

加賀「いいわね」

海風「……ふわふわ」

江風「……とろとろ」

提督「相変わらずうめぇな」

高雄「ありがとうございます。手抜きで申し訳ないのですが」

提督「親子丼が手抜きとかねぇわ。俺は好きだし」

加賀「そうよ。これが手抜きなら私の舌を疑うということ。とても美味しいわ」

海風「…………加賀さんの説得力が異常なんだけど」

江風「……だな。なンならテートクより凄い」



< 疑惑 >




雲龍「丼、といえば」

天城「はい」

雲龍「結局姉妹でいただかれてしまったのね」

天城「」

雲龍「生涯で姉妹丼を二つ……異常よね」

天城「……姉様の頭も異常だと思いますけれど」

雲龍「そう? 」

天城「…………さすがに冗談ですよね? 」


< そういうことを言える間柄、ということ >





高雄「十月二十九日の誕生石はネットターコイズ。
石言葉は“ 才能 ”、“ 優しい心 ”、そして“ 神秘的 ”」

漣「漣、最初に瑞穂さん見たとき神秘的っていうか近寄り難い人だと思ってました」

瑞穂「はぁ」

漣「でも実際は優しくていい意味で普通の人ですよねー。あの時の漣に言ってあげたいです」

瑞穂「瑞穂も漣さんと会えてよかったですよ。色々面白いお話も聞けますし」

漣「やー、漣も結婚するなら瑞穂さんみたいなお嫁さんがほしーなー」

瑞穂「お嫁さん? 」

漣「ご主人様みたいな旦那様とは大違いですよー」

瑞穂「は、はぁ」

高雄「…………私の前でそれを。……私もそう思うことがないとは言えませんけれど」



< 何故ってそれはもちろん普段が >





高雄「今日の誕生花は月下美人。花言葉は“ デリカシー ”、“ 快楽 ”、そして“ 繊細 ”」

提督「月下じゃなくても美人だけどな」

高雄「綺麗ですよね」

提督「月下美人は日当たりのいい場所でよく育つんだぜ」

高雄「なるほど」

提督「明かりの下で育ったからこそ夜も美しいのかもしれないな」

高雄「そうですね」





叢雲「……物凄くまともな世間話なのに納得いかないのは何故かしら」


< イメプレもどき >





提督「そういやお前にも敬語の時期があったな」

愛宕「そうね。初対面の上官にはそれが普通だと思うけれど」

提督「……何人かにそれを言ってやって欲しいんだが」

愛宕「それは、ねぇ? 」

提督「ま……あれはあれで好きだったよ。今のお前を見ると特に」

愛宕「そうなのですか? 」

提督「うん」

愛宕「あぁ、どうしましょう……このような話し方暫くしていなかったですし」

提督「そうだな」

愛宕「思い出す為に、提督も上官らしい話し方をお願いしますね? 」

提督「おう、わか……上官らしさ? 」

愛宕「ふふ……愛宕、頑張りまーす」


< 編むのって楽しいしね。苦痛ではない >





雲龍「お疲れ様。休憩中? 」

海風「はい。この後最後の連携確認で今日は終わりです」

雲龍「……そう」

海風「……」

雲龍「……あなたには親近感を覚えるわ」

海風「はぁ」

雲龍「大変じゃない? これ」

海風「これ……あぁ、髪ですか」

雲龍「そう」

海風「うーん……まぁ、復元能力さえ使えば勝手に編まれますし」

雲龍「生まれ落ちてずっとこれというのも不思議よね」

海風「ええ」

雲龍「……」

海風「雲龍さんは大変じゃないんですか? ……見た感じ私より大変かも」

雲龍「私は……世話焼きな妹がいるから」

海風「あー……なるほどです」



< ならぬ主婦の皮算よ……皮? >





愛宕「高雄」

高雄「なにかしら」

愛宕「私、大変なことに気付いてしまったわ」

高雄「大変なこと? 」

愛宕「ええ。私たちのこれからを左右する重大事よ」

高雄「はぁ」

愛宕「私たち、スーパーとかデパートはおろかコンビニすらまともに行ったことないじゃない」

高雄「まぁ、コンビニなら何度かあの人とドライブで寄ったことは」

愛宕「ダメなのよ、それじゃあ」

高雄「そう、かしら。何が問題なの? 」

愛宕「お料理ができても買い物ができなければダメってこと」

高雄「いや、買い物くらい何度か行けば……」

愛宕「馴染みのスーパーの周り方だとかを習得しないと立派な主婦とは言えないわ」

高雄「はぁ」

愛宕「大変なことよ、まさか全部配達っていうのも……うーん」


< 望んでも得られないものを見せつけられるのは >





叢雲「苦痛かしら。それとも憧れはそのままに気持ちを消化できる? 」

瑞穂「重い、言葉ですね」

漣「手に入らないもの、か。そんなもの漣は見たくないです」

叢雲「……そ」

漣「漣の世界はそもそも狭いですから。得られないものが並よりも多いので」

叢雲「だからネットで世界に触れて自分を誤魔化しているの? 」

漣「そんなことッ……! 」

瑞穂「叢雲さんっ」

漣「…………」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「……ごめんなさい。失言だったわ」

漣「…………そんなんじゃ、ないから。漣が好きな、だけだから」

叢雲「……悪かったわ。今のは全面的に私が悪かった」

漣「…………んーん、叢雲ちゃんも苛々してるときあるしね。
漣も無意識でそうかのかもしれないし」

叢雲「…………」

漣「…………」

瑞穂「……………………もしかして邪魔なのは瑞穂……? 」


< 挑戦ってカッコいいだけの言葉なんだ、きっと >





提督「今日のカクテルはスノーボール。
カクテルワードは“ 自分の力で紙一重から脱却する挑戦者 ”、だ」

加賀「……誰も近くにいないわね」

提督「ん? あぁ」

加賀「……あきつ丸と連絡がついたわ」

提督「へ? 」

加賀「今は横須賀の君の直属特務に所属なのよ。言ってなかったかしら? 」

提督「あぁ、聞いたかもしれない」

加賀「…………明日の早朝、いつもの海を見ている場所に行きなさい」

提督「りょーかい。さんきゅーな」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……別に適当にしてるわけじゃないぜ? リラックスってやつさ」


秋刀魚漁はお済みですか?

ありがとうございました


< もちろん知ってる >





提督「……よう! 」

あきつ丸「あぁ……朝っぱらです。静かにしてほしいものでありますな」

提督「悪いね。……でも知ってるだろ? 俺がこういうやつだって」

あきつ丸「ま、そうでありますが。
普段は好人物の割に気に入らないことがあると遠回しな嫌味を投げてきたり」

提督「嫌味? 心外な」

あきつ丸「…………」

提督「…………」

あきつ丸「……久方振りであります」

提督「おう、久し振り」

あきつ丸「…………何故提督殿とこのような会い方をせねばならぬのか」

提督「さぁね。運命でも呪うか? 」

あきつ丸「……それも悪くはありません、しかし」

提督「ん」

あきつ丸「地獄であろうが天国であろうが多少進んでから呪っても然程変わらないはずであります」

提督「そうかね。……お忙しい中どうもご苦労? 」

あきつ丸「…………まったく。本当に忙しいのでありますが」


< すれる >





あきつ丸「で、自分はかの鉄面皮に呼ばれたのでありますが」

提督「いや、あいつ結構表情豊かだぜ? この前なんか舌噛んで涙目だったし」

あきつ丸「それはそれは」

提督「あんなに腕と足回したらなぁ……せめて俺の肩か首噛めっての」

あきつ丸「……相変わらずですなぁ。ついにあの女も」

提督「悪いか? 」

あきつ丸「提督殿や横須賀殿に会うまでの自分ならば確実にそう言ったでしょうな」

提督「ふーん……色々してるみたいだな」

あきつ丸「提督殿程では」

提督「…………話が進まねぇ」

あきつ丸「誰の所為だと」


< いつだって突然に >





提督「俺に次の作戦で指揮させるのは横須賀復帰の布石か? 」

あきつ丸「今度は随分と唐突な。それが女を籠絡する手管ですかな? 」

提督「急に話題変えるのはまぁ確かにい……そうじゃない」

あきつ丸「失礼。……自分にもわかりません」

提督「はぁ? 」

あきつ丸「直属と言っても自分が全て知っているなどということは」

提督「ならどうしてここに来た。お前も何がしかのカードを持ってきたんだろ? 」

あきつ丸「……」

提督「……お前が陸軍と海軍のどちらかは知らんが」

あきつ丸「横須賀殿です」

提督「ん? 」

あきつ丸「……自分は、かの人の為に、明日のこの国の為に働いている」

提督「……」

あきつ丸「……」

提督「……反逆しようとしたやつらは知ってたんだな? 殿下の目的を」

あきつ丸「…………はい」



< いいドヤ顔とは腹の立つ顔のこと >





提督「ま、興味もねぇしそれはいいや」

あきつ丸「……」

提督「これも唐突だが……俺はここを離れるつもりはない」

あきつ丸「……命令不服従ということでありますか」

提督「作戦には出るぜ? これでも軍人だしな」

あきつ丸「……自分のお気に入りを侍らせて毎晩酒盛りをするのが軍人? 笑わせないでいただきたい」

提督「それはそれでステレオタイプの軍人だと思うけどな」

あきつ丸「…………横須賀殿も何故こんな男に新兵装をお渡しになったのか」

提督「ん? 」

あきつ丸「……前線か、せめて横須賀や呉への支給を増やせばいいものを」

提督「待て待て待て。そんなの決まってる」

あきつ丸「は? 」

提督「開発者のモチベーションが上がるからに決まってんだろ。俺といるとな」

あきつ丸「…………」

提督「…………」

あきつ丸「……それを否定できないのが腹立たしいことこの上ない」

提督「事実って痛いしな。……その開発者のカードを切ってやる」

あきつ丸「…………」

提督「……イタリアからの客人の強化技術理論が完成した」

あきつ丸「! 」


< ペース >





提督「ま、簡単に言えば改ってやつだな」

あきつ丸「……それで? 」

提督「それだけさ。イタリアとの交渉には使えるだろ」

あきつ丸「…………」

提督「…………」

あきつ丸「……それそのものや明石殿の有用性は認めましょう」

提督「あぁ」

あきつ丸「しかしそれだけでは提督殿がここにいることの意味には繋がらない」

提督「そうかな」

あきつ丸「当然でありましょう」

提督「……Littorioとも寝た」

あきつ丸「は? 」

提督「……」

あきつ丸「……それが何か」

提督「あいつはさ、祖国より、正確には自分を道具としか思わない祖国の人間より俺を選ぶと言ったんだ」

あきつ丸「戯言を。提督殿が籠絡されただけではないですか」

提督「かもな」

あきつ丸「……それならば」

提督「そんな顔すんなって。澄ました顔が好きなのに」

あきつ丸「…………チッ」


< 見えているのは足下だけかもしれない >





提督「イタリア側には新兵装の……指輪のことを漏らさなかったはずだ」

あきつ丸「どうだか」

提督「漏らされればすぐにどれかのルートで接触があっただろ。無かったんだな? 」

あきつ丸「……さぁ」

提督「無かったのならお前は無いと断言したはずだ。その方が俺に不利だしな」

あきつ丸「……」

提督「……Littorioを上手く使えるのは俺だけだ。もっと言うならあいつが安心できなければならない」

あきつ丸「…………だから人の少ないこの場でなければ、と? 」

提督「そうだ」

あきつ丸「はっ、随分と己が見えていないようで」

提督「かもな」

あきつ丸「……」

提督「……」

あきつ丸「…………やはり、あなたは害悪でしかなさそうですな」

提督「その割には俺に便宜はかってくれただろ? 特務の監査日程おしえてくれたり」

あきつ丸「…………」

提督「……ん? 」

あきつ丸「…………札は全部切ったということでよろしいか」

提督「言うわけないだろう? こっちはお願いする側だぜ? 圧倒的に不利なんだから」

あきつ丸「…………」


< 嘘を言わないという嘘と真実を言うという真実と >





あきつ丸「……ま、正直に言えば」

提督「この場でお前が言う正直、ね」

あきつ丸「信じないのならばそうすればいい」

提督「そうだな。で? 」

あきつ丸「……横須賀殿は提督殿に期待している」

提督「ふーん? 」

あきつ丸「目覚ましい活躍こそないが堅実。人の間に入るのも上手い」

提督「……」

あきつ丸「自分の為、兵器の為に」

提督「兵士だ」

あきつ丸「……兵士の為に戦わせるように仕向けるのは並大抵のものではない」

提督「……」

あきつ丸「提督殿は……有能な怠け者であろうな、と」

提督「…………」

あきつ丸「…………」

提督「…………で? 」

あきつ丸「あなたがいれば無視できない艦娘を含めた将兵を動かせる」

提督「そうかな」

あきつ丸「少なくとも動揺は避けられない……自分の手元に置いておきたいと思うのも無理はないでありましょう? 」

提督「…………敵に渡ると厄介ってことね。ふーん、俺のカードになるんじゃねぇの、それ」

あきつ丸「……反逆するメリットなどないでありましょう」


< 帰るまでが遠足 >





提督「…………」

あきつ丸「…………」

提督「……平行線だよな、これ」

あきつ丸「だからこそ強引な手段を使っても、ということであります」

提督「…………」

あきつ丸「…………」

提督「…………」

あきつ丸「……提督殿はもう引き返せない。多くのことを知ってしまった」

提督「……お前は知り過ぎた、ってやつか」

あきつ丸「…………元より自分に決定権などありませんからな」

提督「……」

あきつ丸「横須賀で殿下に直訴するのがいいと思うであります」

提督「…………」

あきつ丸「…………」

提督「…………で、横須賀殿は喋んないのか? 」

あきつ丸「……は? 」

提督「どこにあるかは知らねぇけどさ。この話聞いてるんだろ? 」

あきつ丸「……いえ」

提督「それを信じろって? 」

あきつ丸「…………本来なら自分は既に横須賀にいるはずであります」

提督「…………」

あきつ丸「…………提督殿に会っておきたかった、と言っても信じてはいただけませんか」

提督「……」

あきつ丸「……………………ま、色々と収穫もあった。これは横須賀殿に報告するであります」

提督「…………ご自由に」


< 直感的に、あるいは >





高雄「十月三十日の誕生石はピンファイヤーオパール。
石言葉は“ 敏感 ”、“ 感性 ”、“ 直感 ”、そして“ 信念 ”」

愛宕「お客様って誰だったのかしら」

高雄「さぁ……」

愛宕「気付いたらいなくなってたわよねぇ、一緒に寝たと思ってたのに」

高雄「……あれで中々侮れませんから」

愛宕「これでただの浮気だったら笑えるわよね」

高雄「それはそれで面白いかもしれないけれど」

愛宕「ふふ、そうかも」







< 悪意は隠してこそ悪意 >





高雄「今日の誕生花はロベリア。花言葉は“ 悪意 ”、“ 謙遜 ”、そして“ 譲る心 ”」

愛宕「悪意を持った相手ではないようだけれど」

高雄「そう? 」

愛宕「あのテンションだと自分の中に閉じこもってるだけでしょ? きっと」

高雄「普段より明るめ、ですね」

愛宕「うん。お喋りよね。つまんないわ」

高雄「……」

愛宕「本当はゆっくり考えて喋るところがカッコいいのに」

高雄「……そう」

愛宕「誰だか知らないけど迷惑しちゃう」




< 今でも納得のいかないこと >





提督「シングルモルトを薬品臭いと言われたこと」

高雄「……飲まない人にはそう思われても仕方ないんじゃ」

提督「いや、でもそいつハーブ系のリキュール大好きなんだぜ? 」

高雄「でもその二つって大分違いますし」

提督「……それでも納得いかねぇわ。ドクペとかだろ薬品臭って」

漣「は? 」

提督「いや、別にドクペ嫌いじゃねぇから。なんでここで絡むんだよお前」


< 私を許してくれる心がありさえすればそれで >





提督「今日のカクテルはカンパリグレープフルーツマティーニ。
カクテルワードは“ 宇宙のような広大な心の持ち主 ”、だ」

加賀「どうだったかしら」

提督「あ? 」

加賀「……機嫌、悪そうね」

提督「……ま、酒入ったしな」

加賀「…………」

提督「…………自分が好かれていることに慣れてしまうって怖いよな」

加賀「……そうね。私にはわからない感情だけれど」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………器も心もさ、広過ぎんのは考えものだよ」

加賀「…………ええ」


< 交換条件を出せる立場 >





明石「そういえばMTですよね」

提督「まぁ、ちいさい頃から車好きだったし……クラッチとかカッコよくない? 」

明石「非常によくわかります」

提督「父親も母親もMTだから勧められるままに、ってのもあるし」

明石「なるほど」

提督「俺の親世代だとそもそもATなんてものは無かったんだけどな」

明石「あ、確かにそうですね」

提督「で、お前も何故か特例で免許持ってるよな」

明石「代わりにそこそこの研究成果出しましたからねー。いやぁ、大変でした」

提督「……」

明石「? 」

提督「……お前ってやっぱすげぇわ」

明石「はぁ」


< 食中ならまぁ >





加賀「今日はたまごかけごはんの日らしいわ」

漣「TKGキタコレ! 」

天城「……食後のお酒とこれは」

雲龍「普通はせめて〆よね」

加賀「節とチーズだけでもなかなか……ビールにも合うわ」

漣「シュール……シュール過ぎますよ加賀さぁん」

天城「く……何故天城はビールが苦手なのです」

雲龍「……別にたまごかけごはん関係なく飲めばいいでしょう」



< 傷は放っておけば悪化してしまうから >





提督「まぁ、でもさ」

明石「ええ」

提督「明石が才能の塊ってのは素晴らしいことだぜ」

明石「はぁ」

提督「並以上の才能があってもさ、どこでだって技術者とか開発者って軽視されがちなんだ」

明石「……」

提督「俺の友達にもいるよ。不平不満言ってるやつ」

明石「……」

提督「…………その技術を」

明石「はい? 」

提督「……つまんねぇ交渉カードにしちまった。ごめんな」

明石「……提督」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………疲れたよ。寝るわ」

明石「……………………あのっ」

提督「……ん」

明石「……わ、私も、疲れてしまい、ました。だから、あの」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………お邪魔、するよ」

明石「は、はいっ」


ありがとうございました


< 早起き。三文程度の徳 >





明石「…………」

提督「…………Zzz」

明石「…………」

提督「…………Zzz」

明石「…………依存、ね」

提督「……んぁ…………Zzz」

明石「……お互いに傷を舐め合って相手のことしか考えない」

提督「…………Zzz」

明石「結局自分のことはどちらも考えないのでお互いに不満が残る、と」

提督「…………Zzz」

明石「…………ま、これで不満が残るような関係には満足ですけどね」


< 会いたくない相手 >





龍田「あら、いつ振りかしら」

あきつ丸「……一月に三日足りない程度であります」

龍田「ふぅん」

あきつ丸「……」

龍田「……」

あきつ丸「……あの」

龍田「なに? 」

あきつ丸「……報告で疲れているのです。退けていただけると嬉しいであります」

龍田「んー……」

あきつ丸「…………」

龍田「ちゃんと寝れてる? 」

あきつ丸「寝れていないから今すぐ退けていただきたいのであります」

龍田「そういうことじゃないんだけれど……一緒に寝てあげましょうか? 」

あきつ丸「結構。……これ以上自分を苛立たせないで欲しい」

龍田「…………どーぞぉ」

あきつ丸「どうも。…………優しさは心が伴わなければ悪意と変わらないであります」

龍田「そ、覚えとくわね。ばーい」


< 後生大事に腐らせるのならば >





提督「一日経って冷静になると」

加賀「ええ」

提督「あれでよかったのか謎だな」

加賀「何を話したかは分からないけれど……そう」

提督「あいつにはどうやった連絡つけたんだ? 」

加賀「私と彼女の回線があるのよ。……来たのは私の貸しの清算」

提督「使ってよかったのか? 」

加賀「これ以上ない使い方だったと思います、私は」

提督「それならいいが……さんきゅ」

加賀「礼には及ばないわ」


< 仮装 >





高雄「十月三十一日の誕生石はホークスアイ。
石言葉は“ 愛情 ”、“ 孤独 ”、“ 情熱 ”、そして“ ナルシスト ”」

愛宕「似合うでしょ? 」

高雄「そうね」

愛宕「高雄も似合ってるわよ? 」

高雄「まぁ……でしょうね」

愛宕「ナルシー? 」

高雄「嫌味な謙遜よりマシね」

愛宕「確かに」

高雄「……似合うのは似合うのでどうかと思うけれど、ね」


< いいったらいいんだ。これでいいんだ >





高雄「今日の誕生花は紫千振。花言葉は“ すべてよし ”」

愛宕「Littorioはこれね」

Littorio「これはこの国の学生が着るものだと思っていたのですけれど」

愛宕「似合ってるわよ? 」

高雄「……ええ」

Littorio「はぁ」





明石「ベージュカーディガンの制服……」

漣「特定のDVDに収録されてそうですよねー」

叢雲「……割と皆そうだと思うけれど」

明石「確かに。そういう映像に出てないコスプレなんてあるんでしょうか」


< 姉妹で >




愛宕「じゃーん。W魔女風味コスでーす」

高雄「コス、でいいのかしら」

提督「なんだこのテンション上がる仮装いいな」

愛宕「でしょ? 」

高雄「……自分で着ていて思うけれど魔女要素が帽子とローブしか」

愛宕「だから風味なのよ。……際どくてもローブで前留めれば様になるでしょ? 」

提督「いや、編み込みニーハイでヒールの魔女とかどこの魔境だよ。様にはなってるけど」

高雄「……でも普通の魔女って何を着るのがデフォルトなんでしょう」

愛宕「さぁ」

提督「…………裸? 」

高雄「そんなわけ」


< もふもふ。ポケット >





Littorio「Halloween……仮装とはこういうものでしたっけ」

漣「まぁ、この国のノリというか……コスパーティみたいなものなんですよねー」

叢雲「そうね」

Littorio「……叢雲。漣は一体なんの仮装なのですか? 」

叢雲「トトロね。知らない? 」

Littorio「と、トロロ? 」

漣「団栗集めて叫ぶ葉っぱ傘独楽乗りですよー」

Littorio「……この国は不思議だらけですね」


< 消費期限に注意 >





雲龍「Trick and Trick」

提督「言われそうだとは思ってたけど本当に言われたし」

雲龍「Trick、お願いね」

提督「意味ねぇだろそれ。……しこもorですらないのか」

雲龍「あ、Treatだと私が奉仕すればいいのね? 」

提督「主語も意味も違う」

雲龍「……仕方ないからお菓子で許してあげる」

提督「ん」

雲龍「ありがとう。…………京銘菓雲龍? 」

提督「京都の友達に頼んどいたんだ」

雲龍「……物凄く負けた気分です。おもてなしされ過ぎのような」


< コン! >





愛宕「Happy……! 」

漣「Halloween……! 」

明石「いぇーい! 」

提督「いぇーい! 」

高雄「……」

Littorio「……」

瑞穂「皆さんお元気ですね」

天城「一部違うようですけれど……巫女姿、似合っていますよ」

瑞穂「ありがとう。天城さんも……狐? 」

天城「姉様がこれを着ろ、と。尻尾が恥ずかしいですね」

提督「ん? 挿してんの? 」

雲龍「それはもうずっぽりと」

天城「違います! 」


< エグい程に >





江風「うさぎって」

海風「うん」

江風「こンなに露出高かったっけ? 」

明石「まぁ、うさぎってよりバニーですし」

江風「ン……」

明石「まぁ、なんにせよあの人よりマシだと思いますよ」

江風「そりゃ」

海風「ですよね」





提督「ほわー、ミニスカナースだぜ! 」

愛宕「腕ふっとーいっ」

雲龍「一種似合ってるわね……怖いわ」

提督「患者さんはいませんかー? はははっ」

高雄「患部は頭ですね? 患者さん」



< 今更 >





提督「今日のカクテルはネグローニ。
カクテルワードは“ 物静かでも頑張る行動タイプ ”、だ」

加賀「行動し過ぎじゃないかしら」

提督「いや、メイド服のお前には言われたくねぇよ」

加賀「似合うでしょう? 」

提督「ちゃんとロングだしな」

加賀「ええ」

提督「……俺はなんでこんなの着てるんだ? 」

加賀「知らないわ。交換する? 」

提督「お前に貸すのは兎も角俺が酷いことになるだろうが」


< とりあえず騒げれば >





愛宕「雲龍の戦闘衣借りましたー! 」

雲龍「私は愛宕のを」

提督「お、おう……似合ってる? よ? 」

愛宕「えー、微妙なはんのー」

高雄「……ウィスキー臭い。何本空けたのよ」

Littorio「と、言いつつ高雄もやはり」

高雄「はぁ……? 」

Littorio「高雄……酔い過ぎていないのならLittorioと服を交換した理由を論理的に説明して」

高雄「…………」

叢雲「……あんたも大概よ」

提督「だってこんなときじゃないとできないし」

漣「……スースーしないんですか」

提督「するする。なんなら見せてやろうか? 」

漣「や、いらないですよそんなの」

叢雲「……誰一人まともじゃないわね。そもそも仮装って子供以外がするものじゃないんだけど」


ありがとうございました


< 馬鹿騒ぎの後のそのまた後で >





提督「…………ん」

高雄「…………Zzz」

愛宕「……んー…………おはよ」

提督「あぁ、おは……おは」

愛宕「うん? 」

提督「……それ」

愛宕「? …………べっとべとね」

提督「べっとべとですね」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「…………雲龍とLittorioの服をまともなうちに返しておいてよかったわね」

提督「……もうその衣装使えねぇだろうしな」


< 改めて惨状を >





提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「……言葉になりませんね」

提督「……そうか」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「……まぁ、普段着とか他人のじゃなくてよかったじゃん? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……久々に自分の判断を疑う事件が起きたな」


< 頭の頭痛が痛い >





高雄「十一月一日の誕生石はスティルバイト。
石言葉は“ 信念 ”、“ 個性 ”、そして“ 頼もしい ”」

江風「江風もさ、高雄さンみたいに信念がある女になりたいよ」

高雄「あ、ありがとう」

江風「愛宕さンみたいに個性も大事だし」

愛宕「う、うん。そうね」

江風「テートクもなンだかンだ頼もしいしさ。いいお手本だよな」

海風「そうですね」

提督「…………そうですね、ははっ」


< 察し力 >





高雄「今日の誕生花は銀木犀。花言葉は“ 高潔 ”」

海風「夕べはなにか? 」

高雄「え? 」

海風「提督も高雄さんも引きつった感じでしたので」

高雄「あぁ……物理的にも精神的にも頭が痛いのです」

海風「なるほど」

高雄「…………」

海風「…………」

高雄「……」

海風「……高潔な存在、なんてものより今の高雄さんの方が好きですけどね、海風」

高雄「…………それで納得できればいいのですけれどね」


< 踏み締めた道程を振り返れば >





提督「今日のカクテルはアップルプラン。
カクテルワードは“ 人間関係を大切にするカリスマ ”、だ」

江風「テートクが言うとそれっぽいな」

提督「そうか? 」

江風「ン」

提督「…………色々切り捨てながらここまできたんだけどな」

江風「それを全くしないってのは無理じゃン? 」

提督「……」

江風「……少なくとも江風が祝ってくれて嬉しいと思う人間はテートクだけだよ? ン? 」

提督「それは光栄だね」

江風「ン、そーやってドヤ顔してる方がテートクには似合うよ」

提督「それはそれでどうなんだろう」


< 地味にカッコいいと思った科白 >





漣「……希望の最期は死にあらず! 」

明石「あー……何? 」

漣「山ちゃんなんですよー、これ」

明石「トグサとかの? 」

漣「え? 」

明石「え? 」

漣「……加持さんとかチーズじゃなく? 」

明石「まぁ、それもですけど」

漣「…………」

明石「…………」

漣「……好みってことで」


< その眼差しは驚く程に大人で >




江風「江風は単純に嬉しかったけどさ」

提督「あぁ」

江風「テートクが進水日を誕生日扱いするのに理由ってあるの? 」

提督「……真面目な話? 」

江風「提督に訊いてるし、あなたそのものに訊いてる」

提督「……」

江風「……」

提督「……俺が罪悪感を感じないためだ」

江風「ふーン……」

提督「未だに俺自身が戦闘に出られないのは苦痛でね。
お前らを俺と同じだと思うことでそっから逃げてる」

江風「…………」

提督「…………」

江風「…………だから海風の姉貴にも優しい? 」

提督「違う。……いや、そういう無意識もあるかもしれないが、違う」

江風「……そ」

提督「……もちろん江風、お前に対してもだ」

江風「ン」

提督「…………」

江風「…………」

提督「…………」

江風「……ふふ、さんきゅ。……じゃ、江風は寝るよ。今日は楽しかった」

提督「…………あぁ、また明日」


< 暖かく迎えてくれる人がいるということ >





「ン……ただいま」

「おかえり……明日まで提督といればよかったのに」

「まさか。……江風には付き合ってくれないさ」

「そうかな」

「ン。……それに折角誕生日なら江風は家族といたい」

「……そう」

「……姉貴」

「なに? 」

「…………ありがと」

「……んーん、だって」

「ン」

「家族でしょ? 」

「……そうだね。…………いつか家族が増えたりすンのかなぁ」

「海風は海風だし……江風に期待、かな? 」

「ンー……姉貴にも頑張ってほしいンだけど」

「…………」

「……ま、今日はいいや。真面目な雰囲気に疲れたし、寝よっか」


ありがとうございました


< 朝、廊下で >





提督「あ、そういや」

加賀「なにかしら」

提督「あきつ丸が来たとき緊張してたし寝起きだったから髭剃ってなかった」

加賀「……今更気にすることでもないでしょう」

提督「そうなんだけどさー、折角シャツとか新品にしてったのに」」

加賀「そこまでして……何を? 」

提督「正装でちゃんと糊も効かせてったんだぜ? 」

加賀「普段陸軍側に行くときはそのままでしょう? 」

提督「定期的に綺麗にしてるけどな」

加賀「それは当然よ。舐められるわけにはいかないもの」

提督「ん。……いやぁ、髭くらい覚えとけばよかったよ。失敗だなぁ」

加賀「……まぁ、彼女にそんなところを見る余裕があったとは思えませんし、問題はないでしょう」


< あなただからこそ爛漫な輝きを >





加賀「それで」

提督「うん? 」

加賀「今日は剃らないのかしら」

提督「いや、毎日剃ってるし。まさか廊下で会うとは思わなかっただけだ」

加賀「そう。無精髭があっても素敵ね」

提督「ありがとう。……全く鉄面皮じゃないよな」

加賀「鉄面皮? 」

提督「あきつ丸がね。俺はそう思わないが」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……あなたや赤城さん以外の前では正しいわ、きっと」


< 有能さと有用性は異なるもの >





瑞穂「結局」

叢雲「ええ」

瑞穂「演習は横須賀とここの中間で行いその後作戦行動、ですか」

叢雲「輸送が少数の艦艇でできるからこそよね」

瑞穂「……いつの間にか時期も遅れていますし」

叢雲「仕方ないわ。多く備蓄があるとはいえシーレーンがやや不安定だもの」

瑞穂「国内外の戦力も配置換えしなければいけませんしね」

叢雲「……」

瑞穂「……」

叢雲「……だからこそ、横須賀に呼び戻されたのよね、きっと」


< 型月 >





明石「まぁ、たぶん認識が違うでしょうね」

漣「ですね」

明石「いつかリメイクも妄想段階のも完成させてほしいです」

漣「はぁ」

明石「……メルブラの翡翠は亡くなってしまいましたし」

漣「翡翠……? 」

明石「あ、そこからですか……」

漣「はぁ」

明石「……」

漣「……」

明石「……格ゲーでもやりません? 」

漣「いいですけど……格ゲー? 」


< 捨てなければいけないものがあり過ぎて >





高雄「十一月二日の誕生石はブラックオニキス。
石言葉は“ 努力 ”、“ 思考力 ”、“ 楽観的 ”、そして“ 前向き ”」

叢雲「前向き、ね」

高雄「叢雲さんも前向きな方でしょう? 」

叢雲「後ろを向いてる余裕がないだけよ」

高雄「それでいいと思いますけれど」

叢雲「まぁ、楽観的になり過ぎるよりはいいと思っているわ。高雄さんは」

高雄「はい」

叢雲「どこを見ているの? 前も後ろも本質的には見ていないんじゃない? 」

高雄「もちろんあの人と同じ方向を」

叢雲「…………」

高雄「あの人が前を向けば前を、後ろを向けば後ろを。
確かに私はあの人しか見えていないかもしれませんね」

叢雲「…………羨ましい生き方ね。私にはできないもの、きっと」


< 自分だけは恩を恩と思ってはいけない >





高雄「今日の誕生花はブバルディア。
花言葉は“ 交わり ”、“ 夢想家 ”、そして“ 恩知らず ”」

明石「恩なんてそんなものだと思いますけどね」

瑞穂「だからこそ理想が求められるのかもしれませんね」

高雄「恩知らずならばいい方ですよ」

明石「ま、恩を仇で返す方が多いですもんね」

瑞穂「……残念なお話ですけれど」


< できれば酒には頼りたくないもの >





提督「今日のカクテルはランディリトルキウィ。
カクテルワードは“ 気前の良さで人から頼られる人気者 ”、だ」

江風「酒なンて酔えればいいと思ってたよ」

提督「ふーん? 」

江風「でもさ、ここでアル中たちと付き合ってたら考え方、変わったンだ」

提督「俺は違うが。それで? 」

江風「味の全く変わらないノンアルがあればそれの量増えるなって」

提督「なるほどな」

江風「ほろ酔いくらいは欲しいけど……長く飲ンでいたくなってきた」

提督「……」

江風「……ン? 」

提督「うぇるかむアル中わーるど」

江風「それはぜってー嫌だ」


< お話をするだけ。するだけ >





鈴谷「うぃーっす」

龍田「品が無いわねぇ~ 」

鈴谷「そっちには言われたくないかなー。鈴谷は誰かいじめたりしないし」

龍田「いじめる? 」

鈴谷「鈴谷さ、あきつ丸と仲いいんだよ? 」

龍田「そうなの? 」

鈴谷「ま、時々どっちかの部屋で飲みながら愚痴るだけだけどさ」

龍田「ふーん……別にいじめてないけど? 」

鈴谷「鈴谷もいじめられたとは聞いてないよ? 」

龍田「……」

鈴谷「……」

龍田「……ま、気を付けるわぁ~ 」

鈴谷「そ。……じゃ、飲もっか。熊野はそのうちくるよー」


ありがとうございました


< あなたといればいいとは言うけれど >





提督「っと、これで引継ぎ関連は終わりだな」

高雄「正確には作戦が終われば帰ってくる権限の譲渡に関する書類、ですけれど」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……帰ってこられると思うか? 」

高雄「あなたを信じていますので」

提督「……」

高雄「……」

提督「……帰ってきたいか? 」

高雄「もちろん。私もいつの間にかぬるま湯に浸かることを覚えてしまったようで」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……ま、やるだけやってみるさ」

高雄「なにかあったときは是非私を使ってくださいね」

提督「あぁ、期待してる」


< せめて一歩手前と言ってほしい >





明石「カタログギフト? 」

提督「ん。なんか欲しいのあるか? 」

明石「いや、それ提督が貰ったものでしょう? 私が選ぶのはちょっと」

提督「まぁ、そうだが」

明石「はぁ……ワインセットとかは」

提督「酒はなぁ。どちらかというとつまみっぽいのがいい」

明石「それなら……チーズ」

提督「うーん……これにすっか」

明石「適当ですね」

提督「まぁな。……お前も今ワイン飲みたいだけだろ? 」

明石「暴露ました? 」

提督「あぁ、なんてったって俺もだからな」





叢雲「……完ッ璧にアル中じゃない」


< 酒浸りでもいいなら、どれだけ >





天城「天城たちもアル中になったりするのでしょうか」

雲龍「風邪を引いたり怪我をしたりは人間と変わらないでしょう? 」

天城「しかし、花粉症の方などを見たりはしていませんし」

雲龍「それは無意識に遮断しているんじゃないかしら」

天城「なるほど」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「? 」

天城「つまりいくら飲んでも問題は」

雲龍「他に色々あるでしょう。ちゃんとアルコールの消化できていないんじゃない? 」


< 唐突に語る >





雲龍「大体それが道理として通じるのなら」

天城「はい」

雲龍「私がどれだけハードなプレイをしても問題ないということじゃない」

天城「いや、それは違うでしょう姉様」

雲龍「どうして? 身体は治るでしょう? 」

加賀「それは」

天城「か、加賀さん? 」

加賀「治る治らないの話ではないのよ」

雲龍「はぁ」

加賀「あの人は自分で壊したものが代償無しに元通りになってしまうことが、怖いのよ」

天城「……」

加賀「あの人が代償を払っていない、と思っているのに私たちだけが戦っているのと同じ」

雲龍「……」

加賀「……ま、私もお酒は飲めるだけ楽しんでいいと思うけれど」

雲龍「……はぁ」

天城「さすがです加賀さん」


< 他人のネクタイを締める >





愛宕「できるわよ? ね? 」

高雄「ええ、私もできますね」

叢雲「……できるわ。不本意ながら」

漣「漣もできるんですよねー、昔の誼というか」





明石「……きっと全員が同じ結び方なんでしょうねぇ」


< そんな想い出 >





提督「でもよく反対から結べるな」

愛宕「だって結んであげたいじゃない? 」

提督「そんなもんか」

愛宕「そんなものよ」

提督「俺がリボンタイ解きたいみたいなものかな」

愛宕「ん、んん? 」

提督「や、冗談冗談」


< 長めのタイと長めの裾 >





愛宕「ま、丁度リボンタイだったものね」

提督「ん。黒の長袖に白のタイとか実に好み」

愛宕「ついでにロングのスカートも」

提督「あぁ」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「脱がせてみたくならない? 解いてみたいでしょう? 」

提督「執務終わってねぇんだけど……ま、いっか」

愛宕「そうそう後でなんとでも」

高雄「なりません。私の前で何言ってるんですか」


< 無意識でしょうね >





高雄「十一月三日の誕生石はコーラル。
石言葉は“ 洗練 ”、“ 高貴 ”、“ 活発 ”、そして“ 女性的 ”」

明石「洗練され過ぎも考えものですよね」

高雄「はぁ」

明石「洗練というといいものをイメージしますけど……結局は何かを極めたということでしょう? 」

高雄「まぁ、確かに」

明石「オタクも洗練も方向性は変わらないと思うんですよねー」

高雄「本人や周囲の意識ですよね」

明石「ええ。興味の無い人から見ればドン引きですよ」





雲龍「……あれは自虐? それとも無意識? 」

天城「……明石さんですから、きっと」


< ストレート >





高雄「今日の誕生花は黄菊。花言葉は“ 僅かな愛 ”、“ 敗れた愛 ”、そして“ 高潔 ”」

雲龍「敗れたような違うような」

海風「そもそも勝負の舞台に立たせてもらってませんよね」

雲龍「」

明石「わーお、豪速球」

天城「……」

海風「僅かでも愛を貰ってるだけ海風より幸……雲龍さん? 」

雲龍「…………あなた、強いわね」

海風「はぁ」

高雄「…………私、この場にいたくないのですけれど」


< しけこむことも >





提督「おーわり」

高雄「お疲れ様でした」

提督「ん」

高雄「では私は夕餉の用意があるの」

提督「高雄」

高雄「はい? 」

提督「お前も今日はタイだよな」

高雄「白のブラウスに黒のタイですけれど、ね」

提督「…………夕食は愛宕たちがなんとかするだろ」

高雄「ん……」

提督「それにまだ夕食までは時間がある」

高雄「……っ、仕方、ないですね」


< 中身が気になる >





扶桑「山城、お届けものよ」

山城「……ありがとう、姉さま」

扶桑「? 」

山城「……この荷物の送り主、見ていませんか? 」

扶桑「提督でしょう? 毎年何か送ってくれるじゃない」

山城「…………」

扶桑「今年は何かしら」

山城「……気にならないんですか」

扶桑「? 」

山城「他の女に触れて盛った手でこれを選んでいるのですよ」

扶桑「それは……でも」

山城「…………まぁ、届け物ですし。この荷物自体は明るいうちじゃないと送れないでしょうけれど」

扶桑「……」

山城「……いや、でもあの男のことだから朝から享楽に耽るということも」

扶桑「…………」

山城「…………」

扶桑「…………開けないの? 」

山城「…………姉さまって時々お茶目ですよね。そんなところも好きですけれど」


< もちろんネタだが >





提督「今日のカクテルは抹茶ミルク。
カクテルワードは“ 知識を生かす意識を持つ品格者 ”、だ」

愛宕「えっちなことでも? 」

提督「えっちなことでも」

愛宕「お利口サンたちも……」

提督「ハッスルなさってる? 」

愛宕「そうそれ。なんだったかしら」

提督「熱帯夜だろ。ネツタイヤ」

愛宕「あー……思い出したかも」

提督「品格者も馬鹿でもヤることは同じか……同じか? 」

愛宕「さぁ、私あなたしか知らないもの」

提督「つまり品格者しか知らないってことか」

愛宕「え? 」

提督「ん? 」


ありがとうございました


< 子供の平和を守れずして >





愛宕「子供には軍人やらせるの? 」

提督「あ? 」

愛宕「男の子か女の子かでも変わってくるだろうけど」

提督「いや……話が唐突過ぎる」

愛宕「もしできたらの話よ? その辺は考えてないの? 」

提督「……させない、というかさせたくない」

愛宕「そう? 」

提督「…………自分の次の世代が軍人にならなくていい世界をつくるのが軍人だろ」

愛宕「なるほどぉ~ 」





漣「……あの短時間で疑問を飲み込んであの返答返すあたりガチですよね」

明石「その為に何かしているかっていいと怪しいですけどね」


< 理想をかき抱いて残ったものを育てよう >





提督「まぁ、それは理想論であって」

愛宕「うん」

提督「子供がやりたいことは極力させたいよ。軍人がいなくなる世界ってのは想像できないし」

愛宕「そうね」

提督「……お前はどうよ。教育論なんて女性の方がどっちかに振れるって聞くが」

愛宕「私? 私は……」

提督「……」

愛宕「……男の子なら私に、女の子ならあなたに求婚するような子になってくれればなんでもいいわ」

提督「ふーん? 」

愛宕「それこそ子供の頃の話よ? それだけ幸せな家庭ならってこと」

提督「……」

愛宕「……」

提督「…………つくれるといいなぁ」

愛宕「……そうね」


< なんとも言えない >





雲龍「というかそもそも自分の娘に手を出さない保証があるの? 」

天城「さすがにそれは……」

雲龍「高雄たちの娘なら好みの容姿になる可能性が高いじゃない? 」

天城「それでも……天城はその辺提督を信頼していますよ」

雲龍「そう……そうね」

天城「はい」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……むしろ娘の方が危ない気がしてきたわ」

天城「……男の子かもしれませんから」


< 笑顔も涙もあくまでエッセンス >





高雄「十一月四日の誕生石はセプタークォーツ。
石言葉は“ 素直 ”、“ 愛情 ”、“ 規律 ”、そして“ 素敵な笑顔 ”」

愛宕「女の最大の武器は」

高雄「笑顔」

愛宕「よろしい」

高雄「まぁ、涙がある意味で必殺なのは変わらない気もしますけれど」

愛宕「いつでも使える笑顔の方が上よぉ。涙流した時点で大体負けなんだから」

高雄「はぁ」

提督「……笑顔が、ってのは心底同意だけどさ」

愛宕「うん」

提督「……いつでも使える、ってのはむしろ涙よりあくどくないか? 」

愛宕「私の笑顔好きでしょ? 」

提督「そうだが……最高に効くからあくどく聞こえるんだよばーか」


< あの頃、そんなことを考えていたら今はなかったはず >





高雄「今日の誕生花はオンシディウム。花言葉は“ 野心的な愛 ”」

愛宕「あー、上官に取り入る為の、とか? 」

高雄「あの人と初めて会ったときは少佐でしたね」

愛宕「ん……私たちもそういうことになるのね」

高雄「はたから見ればそうかもしれないわ」

愛宕「別にそういうわけじゃないけど結果的には同じ、か」

高雄「ええ」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……だからといって今更遠慮とかするつもりはないけど」

高雄「そうね」


< どういうことだ >





江風「え、えぇ……逮捕ってなんだよ」

海風「サッカー? 」

江風「大して選手とか知らないけどさぁ……その江風でも知ってる選手なンだよね」

海風「なるほどね。……最近こういうの多いね」

江風「スポーツ関係で? 」

海風「うん」

江風「ン……確かに陸にいるときくらい気持ちよく過ごしたいもンだなぁ」


< 跪け! >





提督「今日のカクテルはバラライカ。
カクテルワードは“ 自分の得意分野を学び続ける熱血教師 ”、だ」

漣「結構強めですね」

提督「ロシアの弦楽器が一応の由来だし。ウォッカベースにコアントローだからな」

漣「へぇ」

提督「ま、楽器よりフライフェイスの方がパッと出てくる人の方が多い気もするけど」

漣「はい? 」

提督「……」

漣「……」

提督「……全巻俺の部屋にあるから貸してやるよ」

漣「……ありがとうございます」


< ワインか、ルージュか、それとも >





提督「……邪魔する」

雲龍「……いらっしゃい」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……ん」

雲龍「ん……ぅ…………ゅる」

提督「…………強めの赤だな」

雲龍「好きでしょ? 」

提督「実に。……ん」


< 身近なものから綺麗にしよう >





明石「まーたですか」

瑞穂「車のことはよくわかりませんけれど……危ないことですね」

明石「ええ」

瑞穂「前の問題も解決していないのに別の車も、ですか」

明石「まぁ、グループ企業なんで思いっきり関連してますけどね」

瑞穂「はぁ」

明石「私たちでも長時間関わっていれば体調崩しますからね。大変なことですよ」

瑞穂「ええ。……あの」

明石「はい? 」

瑞穂「……とりあえずそのツナギを脱ぎましょう。お洗濯もしなければいけませんし」

明石「はーい」


< Interval and Start >





提督「ふ……枕変えたか? 」

雲龍「ええ。カバーも古くなっていたから」

提督「そうか。…………なぁ」

雲龍「なにかしら」

提督「……入ったときから思ってたんだけどさ」

雲龍「ええ」

提督「サイドテーブルに載ってる手錠はなんだ? 」

雲龍「手錠よ? 人間や人型の生物の動きを制限する道具」

提督「……」

雲龍「こうやって使うのよ。分かる? 」

提督「……いや、分かるから。何自分の腕とベッド繋いでんの」

雲龍「? 」

提督「いやいやいや……ま、たまにはいいか」

雲龍「……ん」


ありがとうございました


< 晩秋 >





雲龍「……くしゅっ」

提督「可愛らしいくしゃみだな」

雲龍「…………寒いわ」

提督「はいはい。……エアコンのリモコンは? 」

雲龍「いらない」

提督「あ? 」

雲龍「……まだ寝ていけるでしょう? 」

提督「…………俺がいないときは暖房入れろよな」

雲龍「ええ…………ん」


< 一体どこから湧くのか >





高雄「どうにも苛々しますね」

愛宕「そうねぇ~……こうも目の前をぶんぶんされると」

高雄「……目障りな」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……季節はずれの小蝿の割には元気ね」

愛宕「さっきから料理皿に止まろうとするから目が離せないわねぇ」


< ときには刺激も必要だけれど >





高雄「十一月五日の誕生石はネフライトキャッツアイ。
石言葉は“ 才能 ”、“ 芸術的 ”、“ 楽しい雰囲気 ”、そして“ 新しいもの好き ”」

愛宕「楽しい雰囲気? 」

高雄「楽しい雰囲気」

愛宕「どちらかというと澱んだ雰囲気? 」

高雄「かもしれませんね」

愛宕「まぁ、楽しいことに変わりはないけど? 」

高雄「そうね」

愛宕「……新しいものなんていらないわ。あの人さえいれば」

高雄「ええ。そのまま朽ちていけることの大切さは……高雄が身を持っておしえてくれましたから」


< 何度目かの意味深 >





高雄「今日の誕生花は松葉牡丹。花言葉は“ 可愛らしさ ”、“ 可憐 ”、そして“ 心の扉 ”」

瑞穂「ここにいると」

高雄「ええ」

瑞穂「可憐だとか可愛らしさというものがよくわからなくなります」

高雄「はぁ」

瑞穂「ここだと誰を基準にしていいかわからなくなりますもの」

高雄「あぁ、そういう……」

明石「え、基準? 自分じゃ駄目なんですか? 」

瑞穂「…………」

高雄「……そう、ですね。それでいいですね……ふふ」


< 黙々と >





提督「しっかし……変な光景だな」

愛宕「そう? 」

提督「まぁ、江田島とか横須賀で慣れてんだけどさ、何個か鍋が並んでるって違和感特盛だよ」

加賀「……」

高雄「人数が人数ですし」

天城「一度に沢山の味を楽しめると思えば悪くないでしょう? 」

提督「確かに。〆で揉めたりもしないし」

加賀「……」

叢雲「漣、そっちのお玉取って」

漣「ほいさっさ~ 」

加賀「……」

海風「おいし……蟹鍋ってこんなに美味しいんだ」

江風「ン、訓練の寒さも癒されるなぁ」

加賀「……」


< 結構大変な性格だと思う >





雲龍「でもよかったわ」

Littorio「? 」

雲龍「この国の人間でも他人と同じ鍋は嫌がる人がいるのよ」

Littorio「はぁ。Littorioも誰とでも囲める、というわけではないと思いますけれど」

瑞穂「潔癖性の方はおにぎりも食べられないようですしね」

Littorio「んー……考えたこともありませんでした」

明石「その方がいいと思いますよ。別に潔癖性が悪いという意味ではなくて」

Littorio「そうですよね」


< 割と不気味 >





愛宕「楽しいのはいいんだけどぉ~ 」

高雄「片付けが割と面倒ですね」

瑞穂「取り皿やお玉は兎も角お鍋は少し、はい」

提督「まぁ、鍋くらいは任せろ」

愛宕「ん、遠慮なく」

提督「おう」





提督「~~ ♪ 」

叢雲「……残っていたお皿を持ってきてみれば」

提督「ん? 」

叢雲「いや、なんでもないわ。……そのエプロン、無駄に似合うわね」

提督「さんきゅ」


< 物より心。では心を示すには >





叢雲「そういえば」

提督「ん? 」

叢雲「結局何贈ったのよ。山城には」

提督「扶桑と揃いのグラス。刻印入りの」

叢雲「ふーん? じゃあ、前の扶桑には? 」

提督「和柄の耳飾り」

叢雲「へぇ……山城だけ二つなの? 」

提督「まぁ……なんというか」

叢雲「……」

提督「山城に贈ってるのは扶桑と共有する気持ちの取っ掛かりのつもりだよ」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……割と考えているようで気持ち悪いわね」

提督「知ってる」


< 頼らせてくれなくてもいいのに、頼らせてくれるから >





提督「今日のカクテルはスカイダイビング
カクテルワードは“ 頼られていることを知ると華麗に輝く人 ”、だ」

叢雲「つまりいいカッコしいね」

提督「ちゃんと輝くなら許してやれよ」

叢雲「やれ、っていうかあんたのことなんだけど」

提督「結果出してるだろ? 」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……はぁ」

提督「え? え、え? 」

叢雲「……ふふ、冗談よ、司令官」


ありがとうございました


< 薄着の背比べ >





鈴谷「ふぁあ……ねむ」

金剛「んー……寒いですネー……」

鈴谷「海が近いしねー。当たり前だけど」

金剛「……」

鈴谷「……」

金剛「……」

鈴谷「……なに? 」

金剛「そのスカート、寒くないんですカー? 」

鈴谷「あったかくはないけど……そっちこそ寒くないの? 」

金剛「私は……そっちよりマシデース」

鈴谷「は? 」

金剛「……」





あきつ丸「……誰かと思えば馬鹿が二人。まったく度し難いも……っくしゅ」



< 許してあげる、のよ? >





愛宕「……っしゅ」

提督「お前もか。寒くなったなぁ」

愛宕「そうね……お前、も? 」

提督「…………」

愛宕「……まぁ、別にいいけど」

提督「……」

愛宕「……」

提督「……っくしゅっ」

愛宕「……どこの女の子に噂されてるのかしらねぇ~ 」

提督「……さぁな。寒いだけだと思うが」


< 専用の液すらある >





提督「こんな時期の鼻づまりその他には鼻うがい」

愛宕「ふーん? 」

提督「洗面器と食塩があれば誰でもできる。簡単でいいね」

愛宕「そうね」

提督「あぁ」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「んー? しないの? 」

提督「……いや、見苦しいから見せたくないんだけど。せめて後ろ向いててくんない? 」


< タイミングとかその辺 >





高雄「十一月六日の誕生石はヘミモルファイト。
石言葉は“ 敏感 ”、“ 素質 ”、“ 美的感覚 ”、そして“ ユニーク ”」

漣「ユニーク! ユニークといえばこの漣でしょー! 」

愛宕「そうなの? 」

漣「そうなんですよ」

愛宕「へぇ」

高雄「はぁ」

漣「…………」

愛宕「……美的感覚といえばあの人の下着の趣味もよくわからないわよね」

高雄「そうね……日によって変わるし」

漣「…………」

江風「……時々あるよなぁ。妙に話が続かないときって」


< 本人は楽しいのだが >





高雄「今日の誕生花は真葛。花言葉は“ 好機を掴む ”と“ 再会 ”」

瑞穂「このお花はサネカズラですけれど」

高雄「ええ」

瑞穂「陶器の一つに同音異義語でマクズヤキというものがありますね」

高雄「物知り、ですね」

瑞穂「いえ……ちなみに真葛は横浜真葛と京都真葛があってーー」





海風「……高雄さんですら眠そうってよっぽどだよね」

江風「そりゃ……陶器の歴史とか誰だってそうじゃン」


< 和:意味の無い争いはいらない >





Littorio「熱燗というのは心が温まりますね」

瑞穂「はぁ」

Littorio「まぁ、Littorioが普段いただいているのは上燗からぬる燗と聞いたのですけれど」

瑞穂「しかし今では熱燗が総称でしょう、燗酒の」

Littorio「はい」

瑞穂「…………」

Littorio「…………」

瑞穂「……酒盗、美味しいですね」

Littorio「ええ」





漣「和贔屓ってああいう人のことだよね」

叢雲「そうね」

漣「……捕鯨のこととかどう思ってるんでしょう」

叢雲「やめときなさい」


< マーマレードは合わなかった >





高雄「ホットワインというのも悪くない」

加賀「ええ」

高雄「……」

加賀「……」

高雄「……Littorioと交換した方が順当ですよね」

加賀「そうね」

高雄「……」

加賀「……」

高雄「……まぁ、順当というものに意味があるわけではありませんが」

加賀「ええ。……リンゴチーズを取って」

高雄「ん……どうぞ」



< 基本的に色白病弱 >





提督「今日のカクテルはカンパリオレンジマティーニ。
カクテルワードは“ 健康美に気を遣う美しく輝く純潔な人 ”、だ」

叢雲「また盛ってきたわね、色々と」

提督「外国だと嫌われるやつだな。形容詞とか修飾盛るの」

叢雲「そもそも健康美の反対ってなによ」

提督「そりゃお前……病的な美しさとかってやつじゃねぇの」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……扶桑とか? 」

提督「そんな感じ」





< 人し……艦種が違う >





Littorio「茅台酒? 」

加賀「隣の大陸国家のお酒よ」

高雄「それなりに強いけれど……不思議と二日酔いにはならないわ」

Littorio「へぇ……匂いが強いのですね」

瑞穂「薬酒の代わりに飲む方もいるそうですよ、現地では」

加賀「麻婆豆腐と合うわね」

Littorio「その国のものはその国のものと食べるものです」

加賀「あえて外すのもいいけれどね」

高雄「……さすがに麻婆豆腐は」

瑞穂「この時間には厳しいですね……鶏ももかなにかでおつまみでもつくりましょう」


< 名 >





明石「Littorioさんの強化案、完成しましたよ」

提督「……ん。お疲れ」

明石「一応付け足しておくと」

提督「おう」

明石「Littorio、ではなくItalia、を新しい名にすると良いかと」

提督「ふーん……」

明石「はい」

提督「…………で? 」

明石「で、と言われましても」

提督「面倒だろ……書類上は兎も角あの栗毛パスタはLittorio」

明石「はぁ」

提督「LittorioはLittorioなんだよ。俺にとってはな」

明石「分かるような分からないような」


< 知恵を要らないと思う感情は知恵の発露であって >





明石「カルヴァドスで」

提督「ん…………ん」

明石「どーもー」

提督「……リンゴ好きだな、お前」

明石「まぁ」

提督「知恵の実でできた飲み物を新人類最高の技術者が好む、ね。笑えるな」

明石「そんなこと、本当は思ってないでしょう? 」

提督「あぁ、旧約聖書には知恵の実がリンゴだ、なんて記述は無いんだったな」

明石「そういうことじゃないですけど」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………知恵があっても悩みってなくならないものだな」

明石「……そりゃあね。知恵があるから悩むんですもん。旧約聖書にも書いてあったでしょう? 」

提督「はは……違いない」


ありがとうございました


< 自分が言えた義理ではないけれど、でも >





加賀「はい」

雲龍「……? 」

天城「わかめスープ? 」

加賀「あり合わせで申し訳ないのだけれど……これを飲んで寝なさい」

天城「……理不尽に美味しい」

雲龍「……ちゃんともやしの根とひげも取ってある」

加賀「スープに使うくらいの数ならすぐに済ませられるでしょう? それに少し胡麻油を垂らしただけよ」

天城「…………」

雲龍「…………」

加賀「…………? 」

雲龍「……お料理で感覚を使い始めるのはベテランかルーキーよね」

天城「……スープすら身に沁みるというのはある意味で少し怖いですね」

加賀「明日……今日も早いのだから。もう少し自分を大切にしなさい」


< 彼女たちの場合 >





江風「ココアでいいよな」

海風「うん、ありがと」

江風「…………」

海風「…………」

江風「……なぁ、姉貴」

海風「なに? 」

江風「……ごめンな、付き合わせちゃって」

海風「んーん、海風も楽しかったよ? 」

江風「…………」

海風「…………」

江風「……なンでゴジラなんて観てたンだろ」

海風「さぁ……」


< 記憶が飛ぶのも時には楽しい >





提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……俺、なんでお前の部屋で寝てるんだ? 全裸で」

Littorio「……深夜に酔ったまま立ち寄られましたが」

提督「マジ? 」

Littorio「ええ」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……悪かったな」

Littorio「……いえ、Littorioもそれなりに楽しめましたし」


< あの頃の自分あってこその >





高雄「十一月七日の誕生石はイエローアンバー。
石言葉は“ 理想的 ”、“ ブランド力 ”、そして“ ナルシスト ”」

雲龍「普通にここって理想的な空間よね」

天城「まぁ……不自由もしませんし」

雲龍「自分を見てくれる男がいてお酒があって食べ物もある。余計な邪魔も殆ど入らない」

高雄「……」

雲龍「あぁ、高雄は少し違うかもしれないけれど……私みたいなのもいるし」

高雄「いえ、そういうわけでは」

雲龍「そう? 」

天城「……横須賀に戻りたくないと思うとは」

雲龍「ここに来たばかりのあなたなら考えられないわね」

天城「……ええ」


< 安心……? >





提督「虫歯? 無いよ」

漣「ほっ……」

提督「うん? 」

漣「虫歯菌ってキスとかでも移るっていうじゃないですか」

提督「おう」

漣「この基地では蔓延しないんだなーっ、と思いまして」

提督「は? 」

漣「いやぁ、この基地での虫歯はご主人様にかかってますからねぇ」

提督「……」

漣「これで漣も安心ですよー」

提督「……いや、少なくとも水母以下には蔓延しねぇから。安心しとけ」


< 何に抗するのか >





高雄「今日の誕生花はタンジー。花言葉は“ 抵抗 ”」

雲龍「ま、あの人もそう思ってるから横須賀や帝都に抵抗しているんでしょうけど」

天城「……天城たちも同意していると思われているのでしょうか」

高雄「おそらくは。……仮にそうではなくても反逆事件のことがありますから」

雲龍「……私たちなら」

高雄「ええ」

雲龍「この国全体に勝てるかどうかは兎も角。
……何がしかの成果は挙げられるでしょうね」

天城「自分で言うのもなんですけれど空母、重巡を中核に札は揃っていますから」

高雄「明石さんとLittorioが大きいですね。単純な戦力と、特殊な鬼札」

雲龍「…………」

天城「…………」

高雄「…………あの人が一番嫌がるでしょうけど」


< 取り繕うからこその、羞恥 >





提督「大人のスポブラっていいと思うんだ」

高雄「……また病気ですか」

提督「エロは病気じゃない、本能だ」

高雄「それで済めば法律は必要ないわけですが」

提督「本能はね……法では縛れないんだ」

高雄「……ならば物理的に縛り上げて差し上げましょうか? 」

提督「お前の身体で? キュッと? 」

高雄「……」

提督「……悪い」

高雄「……品が無いのはせめて日が落ちてからに」


< 虚無への供物と陰翳礼讚が好き >





瑞穂「提督は」

Littorio「はい」

瑞穂「かなり読書家ですよね、そこまで蔵書はありませんが」

Littorio「そうですね。Littorioは今でも借りますよ、この国の本を。勉強になります」

瑞穂「はぁ」

Littorio「初めて借りた本は谷崎潤一郎でした」

瑞穂「え……」

Littorio「……人とは、興味深いものですね」

瑞穂「…………」

Littorio「…………」

瑞穂「……瑞穂が初めて借りたのは中井英夫でしたけれど」

Littorio「提督も相手を見て貸しているのですね」

瑞穂「……? 」


< チェリーなハート >





提督「今日のカクテルはチェリーブロッサム。
カクテルワードは“ 面倒見がよく信用を集める人気者 ”、だ」

天城「桜花、ですね」

提督「原義ではな」

天城「…………美しい名を得たからといって、美しいとは」

提督「そりゃそうだろ。お前みたいなやつの方が少ない」

天城「……? 」

提督「天の城なんて綺麗だろ? 雨木が元名、なんて説もあるようだが」

天城「…………」

提督「…………」

天城「……天城の生き方は、決して美しくは」

提督「天城」

天城「……はい」

提督「お前の美しくさを決めるのは俺たち他人だ。お前にできるのは自分を磨くことだけでな」

天城「…………」

提督「……桜花や天城を引き摺るな。お前は関係ない、だろ? 」



ありがとうございました


< 好みの話だけれど >





提督「メンソ駄目。メンソ合わない」

高雄「……また陸軍の方と吸ってきたのですか」

提督「誘われたら吸わないと」

高雄「洗濯するのならいつもの場所に置いておいてくださいね」

提督「ん」

高雄「……まぁ、メンソールが合わないのは私も同じです」

提督「あれ何のためにあるんだろうな」

高雄「さぁ」

提督「最初に考えたやつの頭はヤベぇと思う、マジで」


< ワイルドカードよりマシ、くらいの好み >





提督「ピアニッシモとか頭がピアニッシモ過ぎるだろ……女煙草嫌い」

高雄「……よくわかりませんが」

提督「フィルタなんて体積じゃないぞ、長さだぞ」

高雄「……」

提督「そもそもフレーバーとか意味わかんねぇし」

高雄「はぁ」

提督「パラダイスティーとかなんなの。煙草ってなんなの」

高雄「……」

提督「フレーバーとか……」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……アークロイヤルのアップルミントあたり、明石好きだと思うか? 」

高雄「嫌いでしょうね、煙草自体が」


< どこまでも、どこまでも >





提督「お前がいるとさ」

高雄「ええ」

提督「俺が道を違えても外道に落ちる前に終わらせてくれるだろうから安心できるよ」

高雄「……違えないようにとは考えないのですね」

提督「お前が理由で違えるかもしれないからな」

高雄「……」

提督「……ん? 」

高雄「……いえ、反論材料が無いな、と」


< さすがに野外放置は厳しい >





雲龍「……寒いと、溜まるわ」

明石「いつもじゃないですかね……」

雲龍「何時にも増して、よ」

明石「……」

雲龍「寒いと人肌恋しくなるっていうじゃない? 私も、そういうことよ」

明石「……本当に? 」

雲龍「失礼な。私だって普通の部分もあるのよ? 」


< いらない >





高雄「十一月八日の誕生石はレッドトパーズ。
石言葉は“ 天然 ”、“ 努力 ”、“ 妄想 ”、“ 上機嫌 ”、そして“ 我が道 ”」

江風「当基地我が道ランキングー」

海風「い、いぇー……」

江風「……一位はテートク、雲龍さン、次点で加賀さン、以上」

高雄「…………」

海風「……えっと、それだけ? 」

江風「……これ以外にいる? 」


< いつかの記憶 >





高雄「今日の誕生花はアメリカセンノウ。
花言葉は“ 名誉 ”、“ 機転 ”、そして“ 恋のときめき ”」

加賀「亜墨利加洗脳? 」

高雄「はい」

加賀「……恐ろしいわね」

高雄「? はぁ」

加賀「……名誉も、栄光も、何もかも奪っていったわ」

高雄「……? 」


< 言い返せない >





提督「今日のカクテルはカシスショット。
カクテルワードは“ 可愛いものに心惹かれる清らかな人 ”、だ」

高雄「……清らか? 」

提督「高雄は綺麗な方だからな。可愛くないわけじゃないが」

愛宕「…………清らか? 」

提督「いや、つまんない清らかさよりはいいと思うけど」

高雄「……あなたも時々可愛らしいですけどね」

提督「ん? 」

高雄「ベッドの上では男も女もありませんよ、きっと」

提督「……」

愛宕「ま、私からすればどっちも可愛らしいんだけどぉ? ……ふふ」

高雄「…………」


< よく分からない味 >





叢雲「コカコーラライム……? 」

漣「ライムライムし過ぎてこれはライムライムですねー」

瑞穂「……そもそもコーラが苦手でした」

天城「何故ライムに惹かれてしまったのか……っ」

漣「ま、無果汁だからライムはゼロ、なんですけどね」

叢雲「……パッケージのインパクトしかないじゃない、これ」

漣「まぁまぁ。コークハイにでもしよ? 」


< ソースカツ >





江風「これお菓子? つまみ? 」

海風「ここではおつまみじゃないかな」

江風「そうだな。……これって魚肉なンだよな」

海風「うん」

江風「……この前さ、瑞穂さンにソースカツ食べたことある? って訊いたら」

海風「うん」

江風「いつの間にかカツ丼食べてた、夜なのに」

海風「へぇ」

江風「美味かった」

海風「ふーん……」

江風「……」

海風「……」

江風「……姉貴、眠いのか? 」

海風「……うん」


< おかしくなくなくないない >





加賀「あなた、こういったものもつくれるのね」

瑞穂「丼ものといったらこの国らしさの一つでしょう? 奥が深いものです」

天城「シンプルだからこそ、ですね」

雲龍「食べ物で親子丼はあるけれど」

天城「はい」

雲龍「姉妹丼なんてあるのかしら」

天城「……は? 」

加賀「違う鶏肉同士を使った親子丼を姉妹丼とする地方はあるわね」

瑞穂「他人丼、に近いものですね、感覚的には。牛肉と卵だとか」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……むっつり? 」

天城「……いやいやいや、おかしいでしょう、どう考えても」


< それがネック >





提督「んー……」

高雄「ん…………ゃ」

提督「…………」

高雄「……っ」

提督「……」

高雄「…………っぁ」

提督「……明日はタートルネックじゃないとダメかもなぁ」

高雄「…………お揃いに、してあげましょう」

提督「ん……咬むなよ? 」

高雄「約束は、できかねます」


ありがとうございました


< 茶飯事 >





雲龍「なんてこと……眠いわ」

天城「朝ですものね」

雲龍「…………」

天城「あぁ、もう。折角梳かしてまとめたのですから」

雲龍「……ボサボサでもいいわよ。面倒だもの」

天城「提督の前でも、ですか? 」

雲龍「……今日は部屋を出ない」

天城「姉様」

雲龍「…………それでも嫌われないくらいの自信はあるもの。好きでいてくれるもの」

天城「……まったく。駄々っ子は卒業してほしいですね、雲龍ちゃん? 」



< 毎日来れればね >





天城「もう、いっそのこと提督に梳かしていただけばいいのでは」

雲龍「……」

天城「そうすれば寝落ちたりしないでしょう? 」

雲龍「…………」

天城「……姉様? 」

雲龍「……まだ起きてるわ」

天城「まだ、ですか」

雲龍「…………呼ぶにしてももうまとめてもらったし……今日はもう」

天城「次回から、ですよ。どなたかのお部屋にいなければたまには来てくれると思います」

雲龍「…………そもそもあの人と寝た朝よね。それで万事解決」


< 自分とは違う硬質の、しかし優しい髪質の >





提督「んー……」

愛宕「伸びてきたんじゃない? 」

提督「そうかな」

愛宕「長いのも素敵だけど……あんまり伸ばせない立場よね」

提督「まぁ、ロン毛の軍人ってのもな。締まらない」

愛宕「そう? 」

提督「俺なら似合うけどさ。他のやつに悪いじゃん? 」

愛宕「そうね」

提督「……」

愛宕「……」

提督「……いや、つっこめよそこは」


< 缶蹴りあたりお願いしたい >





高雄「十一月九日の誕生石はラリマー。
石言葉は“ 教養 ”、“ 理解力 ”、“ 心掛け ”、そして“ 自己成長 ”」

漣「未だに成長する農業アイドル」

江風「昨日は農業じゃなかったけど」

漣「まぁ、最近はそもそも、ですね」

江風「ランナー? 」

漣「Pioneer? 」

江風「どのパイオニアなンだ? 」

漣「……あり過ぎ、だよね」


< あくまでおまけ >





明石「摩耶さんには何贈ったんですか? 」

提督「ん? 」

明石「昨日ですよ、昨日」

提督「ん、あぁ」

明石「何を? 」

提督「……ダッツのラムレーズンを箱で」

明石「ほわ……? 」

提督「秋冬限定だぞ、こっち用にもあるぞ」

明石「はぁ」

提督「……」

明石「……もう自分が食べたければなんでもいいんですね」

提督「…………つまみになるじゃん? 」


< 謙譲が美徳だとは思えない今日この頃 >





高雄「今日の誕生花は山茶花。花言葉は“ 謙譲 ”、“ 愛情 ”、そして“ ひたむきな愛 ”」

Littorio「謙譲語がよく分かりません」

高雄「……私もマスターしているとは言えません」

Littorio「自分側が謙ることにより相手を相対的に上げる……んー? 」

高雄「……」

Littorio「素直に相手を褒めれば良いと思うのだけれど」

高雄「……あるでしょう? 相手を絶対に褒めたくないとき」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「……なおさら何故あるのか」

高雄「……そういう国なんですよ。良くも悪くも」


< カラオケ店のカード位なら持ってる >





漣「BIG割ですかー」

瑞穂「ハンバーガー……食べてみたいものですけれど」

漣「まぁ、そのうちそのうち。……それにしても上手くやるもんですよね」

瑞穂「そうですね。フィギュアやカードでも割り引いていただけるとか」

漣「漣なら……」

瑞穂「……」

漣「……あれ、BIGとかビックとか付くものなんて持ってないような」





提督「あ? 長門か陸奥でも連れてけよ」

漣「や、ご丁寧にビッグセブンとか書いてないですよ。名札ですか? 」

提督「……ビッグの付くバーガーを買って持ってけよ」

漣「いやいや、喧嘩売る以前に割り引かれる意味ないでしょそれ」


< 乾杯は何度でも >





提督「今日のカクテルはカンパリビア。
カクテルワードは“ 喜びや感動を求め続ける元気者 ”、だ」

愛宕「まぁ……カンパリとビールよね」

提督「あぁ」

愛宕「混ぜなくてもいいのに」

提督「一緒にしたい、なりたいものなんだ、人間って」

愛宕「……」

提督「俺はお前がいなくたって生きていけるぜ? 楽しいかどうかは別として」

愛宕「……」

提督「でも一緒になった方が、な。幸せだ」

愛宕「でも楽しいでしょう? 別の女が隣か、それとも下か上にいたって」

提督「それはお前も同じだろ? 」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……この数奇で愉快な運命に」

提督「……運命に」


< 死を最も感じるのは生命が燃える瞬間で >





提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………そろそろ、寝ようか」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……ん、私の部屋」

提督「……高雄は? 」

愛宕「……混ざりたければ来るでしょ。来たくないなら来ないし」

提督「……ん」

愛宕「ん」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……お前を抱くと、生きてるんだなって思うよ」

愛宕「ふふ……あなたに抱かれると死にたくないって思うわ、いつもね」


ありがとうございました


< どうせ隣にはいてくれないから >





明石「ふぅ……寒いですね」

雲龍「そうね」

明石「……雪、降るでしょうか」

雲龍「さぁ……ここ横須賀より西よ? 」

明石「積もったりなんかしたら大変なことになりますね」

雲龍「ええ」

明石「…………」

雲龍「…………」

明石「……クリスマスが近」

雲龍「やめて」

明石「……? 」


< お前が言うな >





加賀「ま、その辺は諦めね」

雲龍「…………」

明石「……それが嫌なら他の男性で埋めればいいのに」

雲龍「は? 」

明石「……」

雲龍「……は? 」

明石「……ごめんなさい」

加賀「まったく……ままならないものね、あなたたちも」

雲龍「…………」

明石「…………」


< ふと思い出す >





提督「あ」

叢雲「なによ。間抜け面して立ち止まって」

提督「一昨日っていいおっぱいの日だったよな」

叢雲「……」

提督「やめろ、脛を蹴り飛ばそうとするな」

叢雲「あんたがいきなり世迷言ほざきはじめたからじゃない。目ぇ覚ましてあげる」

提督「いいから、起きてるから。変な趣味に目覚めちまうかもしれないだろ」

叢雲「…………」

提督「おっと。だから回し蹴りを放とうとするんじゃねぇよ」


< 素直が一番 >





高雄「十一月十日の誕生石はフォシル。
石言葉は“ 美的感覚 ”、“ 感性 ”、“ 素直 ”、そして“ 敏感さ ”」

提督「美的感覚は俺の自慢できるものの一つだな」

高雄「はぁ」

提督「絵画も彫刻も大して知らないし」

高雄「……」

提督「感性だって年相応だろうけど」

高雄「……」

提督「お前を選んだこの目だけは、誇れるよ」

愛宕「えー、私が可愛くて綺麗なのなんて当然でしょ? 」

提督「……」

高雄「…………ま、どちらにも同意しておきましょうか」


< そっちが違うとは言ってない >





Littorio「気持ちいいところを知っていますよね」

雲龍「ええ」

Littorio「的確に突いてくるというか」

雲龍「そうね」

Littorio「その上こちらの言葉も引き出してくるという」

雲龍「まったく……酷い男よね」

天城「…………」





Littorio「褒め上手ということですが、なにか? 」


< それだけの覚悟が >





高雄「今日の誕生花はグラジオラス。
花言葉は“ 用心 ”、“ 忍び逢い ”、そして“ 情熱的な恋 ”」

提督「情熱的ってつまりさ」

高雄「ええ」

提督「激しく愛撫するとか朝までヤるとか悲恋地味るとか色々なイメージはあるけど」

高雄「偏見のような気もしますが、はい」

提督「結局はその人の瑕疵を見てもなお胸が痛む程欲しくなることだと思うよ」

高雄「はぁ」

提督「たとえばさ、喫煙する女の子が嫌いな人いるじゃん? 」

高雄「いますね」

提督「俺からすればそれはナンセンスなわけ。喫煙者だからとか個人的な女の好みは置いといて」

高雄「……」

提督「むしろさ、自分が嫌いな煙草を吸っている女なのに心乱される、そんな恋ができなきゃ愛じゃない」

高雄「…………あなたは」

提督「ん」

高雄「そんな恋が、できましたか? 」

提督「そりゃ……高雄と同じだよ」


< てっきり >





Littorio「棒術に興味があるのです」

雲龍「そう……」

Littorio「はい」

雲龍「……」

Littorio「棒術にも段位や免許というものがあるのでしょうか」

雲龍「さぁ……どうかしらね」

Littorio「そもそも棒はどこで手に入れればいいのですか? 」

雲龍「知らないわよそんなの」

Littorio「……え」

雲龍「……」

Littorio「……」

雲龍「……? 」

Littorio「…………てっきり棒術が得意だとばかり」

雲龍「……はぁ? 」


< 無垢な子供のように残酷で >





提督「今日のカクテルはココナッツドリーム。
カクテルワードは“ 子供心と好奇心のある人格者 ”、だ」

明石「似ていると思うんです」

提督「うん? 」

明石「高雄さんたちを送り出すあなたと、そばで見ているだけの私」

提督「……そんなわけあるか」

明石「いえ。結局のところ……程度の違いでしかないんですよ」

提督「……」

明石「砲弾を放ち、あるいは躱す。海原を滑り身体を盾にする」

提督「……」

明石「私もあなたも、していない、できないでしょう? 」

提督「……それでも」

明石「提督」

提督「……ん」

明石「あなたは、戦えない自分を責める自分をいつまで演じているつもりですか? 」

提督「…………」

明石「楽しいですか? 慰められますか? 」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………お前だって、諦めて目を逸らしてるだけじゃないか」

明石「……私は」

提督「…………」

明石「…………」


< 思わず仮面を外してしまう程 >





天城「……どうにも今日は気分が」

雲龍「優れない? 」

天城「ええ」

雲龍「……飲むもの変えたら? 」

天城「……天城にカクテルでもつくって飲めと? 」

雲龍「なんでもいいけれど」

天城「…………」

雲龍「……今日は」

天城「……はい」

雲龍「あの人が、陰鬱だったから。この場全体が沈んでいるのよ」

天城「…………なるほど。姉様もたまには的を射たことをおっしゃりますね」

雲龍「……これも空気の所為よ、きっと」


< 目を合わせるのが怖い夜 >





加賀「どうということもないわ」

提督「……盗み聞きか」

加賀「耳は塞げないもの。私は人間ではないけれど駱駝でもないの」

提督「…………」

加賀「……あなたが弱いから、私は好きになれたのよ」

提督「…………趣味悪ぃな」

加賀「女ってそういものでしょう? 自分を必要としてくれる男を好きになるの」

提督「……ただの共依存、だろうが」

加賀「あなたの得意技ね」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……一晩でも、そういったつまらないことを忘れるのはさぞ気持ちがいいでしょうね」

提督「…………」


< どうか私とワルツを♪ >





提督「…………もっと軽く誘えよ」

加賀「勝手に陰気になっていたのはあなたでしょう」

提督「……そうだけどさ」

加賀「今から私を楽しませなさい。そのことだけで頭を満たしなさい」

提督「随分と勝手だな」

加賀「その代わり私が一晩あなたを満たしてあげる」

提督「……」

加賀「誰かの代わりでも、憂さ晴らしでも、いいわ。頭を空っぽにしてしまいなさい」

提督「……」

加賀「その代わり私も勝手なことを言って好き勝手なことをするわ」

提督「……………………軽く誘えよ」

加賀「次はあなたがそうすればいいでしょう? 私は断らない、断れない」

提督「…………可哀想なやつ」

加賀「あなた程じゃないわ。……私にはあなたがいるもの」


ありがとうございました


< まぁ、豊かさって大事だし >





高雄「十一月十一日の誕生石はアイスジェイド。
石言葉は“ 努力 ”、“ 豊かさ ”、“ 感謝感激 ”、そして“ 一生懸命 ”」

瑞穂「何故お菓子の山が……ハロウィンの残り、ですか? 」

高雄「いえ、ポッキー&プリッツの日なので」

瑞穂「はぁ」

加賀「ついでに豚まんや麺やもやしや鮭やピーナッツや沢庵の日でもあるわ」

瑞穂「……ゾロ目で珍しい日ですものね」

高雄「……はい」

加賀「素晴らしい日ね。毎日こうあってほしいものです」

叢雲「…………なんとかの日だからってそれを食べる必要は」


< 儀式のように淡々と >





雲龍「ポッキー&プリッツの日ね」

提督「あぁ」

雲龍「あなたはどちらが好き? 」

提督「ポッキー」

雲龍「そう……確かに沢山揃えてるわね」

提督「今日が今日だからな」

雲龍「……どれ? 」

提督「宇治抹茶」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………ん」


< これも儀式 >





雲龍「んぅ……ぁ…………ゅる……ちゅ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……ポッキー、必要か? 」

雲龍「ポッキーゲームのいいところは目を瞑っても開けていても楽しいところよ」

提督「あぁ……確かに」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……いちごは好き? 」

提督「ん」


< ちょっとくらい触れても…… >





江風「ポッキーゲームって頭抱いて身体密着させるもンだっけ? 」

海風「ん」

江風「舌とか入れたら味楽しめないだろ……」

海風「ん」

江風「つーか江風はトッポ派だし」

海風「ん」

江風「…………」

海風「ん…………溶けてきちゃったよ? 」

江風「…………ふぁ、ファーストキスは姉貴でもやれない、ぜ? ン? 」


< 心を込めて優しくそっと、なんて言わないから >





提督「とんだ茶番だったな」

雲龍「楽しんだ癖に」

提督「俺が悪いみたいな言い方はやめろ」

雲龍「あなたが誘惑したから」

提督「あ? 」

雲龍「虜になった方が悪いっていうの? 」

提督「いや、言いづらいけどそうだろ」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……あら、もう一箱開けてしまったわ」

提督「おい」


< 違和感 >





叢雲「そもそもポッキーゲームをする日、ではないわよね」

漣「そう? 」

叢雲「そうでしょ」

江風「そうだろ」

海風「えー……」

叢雲「……そんな趣味があるとは思わなかったわ」

漣「ご主人様じゃなかったんですか? 」

海風「男性としてお慕いするのと江風として好きなのは別ですから」

叢雲「へぇ……ん? 」


< ちょっとした脅し、ジョーク >





高雄「今日の誕生花はオーニソガラム。花言葉は“ 純潔 ”」

江風「……き、キスと純潔は関係無いですよね? ね? 」

高雄「……」

天城「……今年もあと五十日ですか」

加賀「……それなりに充実していたわね」

瑞穂「……残りの日々も気を引き締めて、良き年で終わらせるようにしないと」

雲龍「無いわけないでしょう? 何を言っているの? 」

江風「」


< 数打ちゃ当たるも難しい >





提督「今日のカクテルはチョココラーダ。
カクテルワードは“ ユニークな発想のアイディアマン ”、だ」

漣「アイディアって基本的にユニークな発想じゃないんですかね」

提督「つまんないアイディアだってあるだろ」

漣「そんなの知ってますけど……アイディア? 」

提督「馬鹿でも優秀でも人は人だし」

漣「……ご主人様でも人ですもんね」

提督「そういうことだ。お前と叢雲も同じだしな」

漣「……」

提督「……」

漣「……さすがに漣に失礼じゃないですかねそれ」

提督「ん? 俺はどっちがどうとは言っていないが? うん? 」

漣「こんのっ、ニヤつきおってからにぃー」


< 溶け合って、融け合って、心まで解け合って >





愛宕「別にポッキーかプリッツじゃなくてもいいわよね? 」

提督「まぁ……そうだな」

高雄「小枝に紗々にメルティキッスに……飴」

愛宕「ずっとキスだけっていうのも楽しいと思わない? 」

提督「生殺しだな。ベッドの上だぜ? 」

高雄「……ん」

提督「ん? ……ん」

愛宕「んー」

提督「……ん。…………ビターチョコとモンブランってお前ら」

高雄「……私はビターチョコだけですし」

愛宕「私も丁度いい感じ? 」

提督「…………いっそお前ら二人でやってろよ」


< カルチャーショック? >





加賀「するめスティック……なんでもありね」

明石「ジャーキーもありますよー」

叢雲「……季節感があるのかないのかわからないわね」

加賀「お酒は年中が旬よ、基本的に」

明石「ラーメンみたいなものですね」

加賀「え? 」

明石「はい? 」

加賀「ラーメンは違うでしょう?
素材の違いから食べる時の気候まで、全てが旬で全てが旬ではないのよ? 」

明石「…………何言ってるんですか? 」

叢雲「……そんなさも当然、みたいな顔だと私がおかしいみたいじゃない」


< いつまでもあなたを見ていたい。私を見ていてほしい >





提督「口の中が……水とって」

愛宕「はい。……次私」

高雄「私も次に」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………たまには話してるだけでもいいかもな」

高雄「……何を話せば」

愛宕「夢とか将来とか? 」

提督「…………来年の今日も今と同じ話をできたらいいな」

高雄「……できますよ、きっと」

愛宕「……そうね。できなきゃおかしいわよ。今がこんなに幸せなんだから」


ありがとうございました


< 敷妙や獣どもが夢の跡 >





提督「まーた……このシーツも駄目だな」

高雄「はい、さすがにチョコレートの染みが付いては」

提督「仕方ないが……なんというか」

高雄「もう少し抑えるべきかと」

提督「や、でもあの染み零したのお前だろ」

高雄「……口の端から零させたのは誰だと」

提督「いや、俺の所為では」

高雄「…………とりあえず、廃棄はお願いします。新しいものは私が用意してくるので」

提督「……ん」


< お楽しみアワー >





漣「ゆうべはおたのしみでしたね」

愛宕「ん? そうね」

漣「や、肯定されると」

愛宕「えー、だって楽しかったもの」

漣「……よく飽きないですね、特にご主人様」

愛宕「まぁ、私以外の子ともヤってるし。飽きないようにはなってるんじゃない? 」

漣「はぁ」

愛宕「ま、私の身体の弄り甲斐があるのもあるけど」

漣「……」

雲龍「随分と異常な会話ね」

愛宕「そう……そうね。あなたに言われると本当に異常なんだと感じるわ」


< できれば女の子から >





提督「ポッキーゲームしようぜ」

天城「……昨日では? 」

提督「十一日以外にやっちゃいけないなんてルールはない」

天城「まぁ、そうですけど」

提督「それに世界のどこかはまだ十一日だ。時差的に」

天城「はぁ」

提督「んー」

天城「……」

提督「んー? 」

天城「……やること自体は吝かではありませんが」

提督「ん」

天城「少し気持ち悪いですよ、その顔」

提督「…………」


< 見て、感じ、そして >





高雄「十一月十二日の誕生石はヴァイオレットサファイヤ。
石言葉は“ 実感 ”、“ 期待 ”、“ 努力 ”、そして“ 挑戦者 ”」

提督「やっぱ雲龍と天城は姉妹だよ、実感した」

高雄「はぁ」

提督「だってキス顔とか滅茶似てるもん。あれは姉妹」

高雄「……酷い話ですね」

提督「や、そういう本能的な部分が似てるのが姉妹ってことだよなって」

高雄「…………私と愛宕も」

提督「ん? 」

高雄「似ていましたか? 」

提督「……ノーコメント」


< 愛って軽くて、重いんだ >





高雄「今日の誕生花はレモン。花言葉は“ 愛に忠実 ”と“ 心からの思慕 ”」

愛宕「愛に忠実というか愛欲に忠実というか」

高雄「そういうものでしょう? プラトニック、というものは私には分かりません」

愛宕「ふーん? 」

高雄「心が欲しい、それだけで満足できるほど私はできた女ではないから」

愛宕「身体で縛って心を惹きつけて、って? 」

高雄「いえ……純粋に欲しがりなだけよ。なんでも欲しいの」

愛宕「…………ま、その方が心からの思慕っぽいわね」

高雄「ええ」


< Cin Cin >





Littorio「たまにはLittorioとも乾杯しましょう? 」

提督「ん……何に? 」

Littorio「それはあなたが決めてください」

提督「無茶振りだね」

Littorio「Littorioには杯を空ける意味などないと? 」

提督「いや……まずはその綺麗な宝石にでも乾杯しようか」

Littorio「宝石? 」

提督「……今日のカクテルはカイピリャーニャ」

Littorio「ええ」

提督「カクテルワードは“ 宝石の輝きのような瞳の持ち主 ”。……Salute」

Littorio「ふふ……あなたの、私たちの健康と未来に」


ありがとうございました


< このあと滅茶苦茶セッ……トされた >





提督「シャワー着替え髭剃りヘアセット……男も割と面倒だな」

愛宕「女の子とあんまり変わらないでしょ。一つの時間は兎も角」

提督「んー……それは言い過ぎなような」

愛宕「そう? 」

提督「ん…………だる」

愛宕「それでセットが中途半端なのね」

提督「なんかもう今日はこれでいきたい。どーせお前らしかいねぇし」

愛宕「だーめ。それは私が許しませーん」


< 至れり尽くせり >





提督「ん……全自動俺が欲しい」

高雄「人は皆全自動でしょう」

提督「……」

高雄「むしろあなたの場合勝手に動き過ぎてストッパーが欲しいのに」

提督「や、俺の代わりに俺をやってくれる俺だよ」

高雄「はぁ」

提督「で、俺がやりたいことだけ俺がやるの」

高雄「……それ」

提督「うん」

高雄「今のあなたと殆ど同じでしょう」

提督「……」

高雄「……」

提督「…………うん」



< 自分が鍛えるのもまたよし >





瑞穂「今日もいい一日にしたいものです」

漣「……向上心あり過ぎですよね、瑞穂さん」

瑞穂「ここでは私が一番の新参者ですし」

漣「まぁ、そうですけど」

瑞穂「漣さんは提督とはかなり古い付き合いがあるのでしょう? 」

漣「出会いだけなら」

瑞穂「……その頃の提督にもご指導していただきたかった」

漣「…………今のご主人様なんて叢雲ちゃんがいなかったらいませんけどね」


< ヒラヒラと >





提督「いいなぁ……」

江風「ふーン……? 」

提督「…………」

江風「…………」

提督「…………」

江風「…………」

提督「…………」

江風「…………」

提督「…………心が癒される」

江風「…………意味わかンないンだけど」





高雄「屋上で何をやっているかと思えば……洗濯したエプロンを眺めているとは」

愛宕「……別に下着とかじゃないのにどことなく恥ずかしいわ」

高雄「それよりも…………寒くないのかしらね」


< エプロンドレスとかいいと思う >





高雄「十一月十三日の誕生石はボルダーオパール。
石言葉は“ 素直 ”、“ 情に厚い ”、“ 思いやり ”、そして“ 美意識 ”」

提督「わかってねぇな」

高雄「はぁ」

提督「エプロンがね? 青空にひらひらとね? はためくわけですよ」

高雄「はい」

提督「これにときめくのはいたって普通」

高雄「……」

提督「これ着たらいい匂いだろうなとかもいいけどひらひらがいいんだ」

高雄「……」

提督「……」

高雄「…………だからといって一時間も屋上で執務をサボらないでいただけますか」


< 単に面倒になっただけ >





提督「へーいお嬢さん」

Littorio「Littorio、ですか? 」

提督「そうそう。ポッキーゲームしましょ? 」

Littorio「二日前のことだと記憶していますけれど」

提督「それで? 」

Littorio「イベント事はイベント期間だからこそ楽しめるものかと」

提督「…………」

Littorio「まぁ、Littorioもやりたくないわけでは……提とむっ」

提督「ん……」

Littorio「んっ……ゃぁ…………んぅ」

提督「…………キスはいつでもいいだろ? 」

Littorio「…………」

提督「……じゃあな。このポッキーはやる」


< 割と予想の範囲内 >





雲龍「髪、伸びたわね」

天城「ええ、そろそろどうにかしたいところです」

雲龍「……伸ばさないの? 」

天城「あまりにも長いと戦闘に支障をきたしそうで」

雲龍「そうでもないけれど」

天城「姉様は慣れているでしょう? 」

雲龍「……そう」

天城「はい」

雲龍「…………髪コキ、できるわよ? 」

天城「できてもしませんので」


< 類友 >





海風「しないんですか? 」

愛宕「してほしいって言われたことないもの」

天城「……面倒な顔触れに」

雲龍「しようと思っても断られるわよ」

天城「既に提案済……」

海風「提督はあまりお好きではないのでしょうか」

愛宕「髪は好きよ? 」

雲龍「だからかしらね……別にしっかりケアすれば問題無いのに」

海風「修復機能が取柄ですしね、海風たち」

愛宕「ま、自分から触る方が好きってのもあるんじゃない? 」

雲龍「無理矢理巻き付けるというのは無様だものね、確かに」

愛宕「というかイけないんじゃない? 」

海風「イけないと駄目なんですか? 」

雲龍「……男って謎ね」

天城「…………天城は姉様たちの方が謎ですけれど」


< 何事も用心に越したことはない >





高雄「今日の誕生花は七竈。花言葉は“ 慎重 ”、“ 賢明 ”、そして“用心 ”」

明石「いい加減工廠内の整理と増設をしたいんですけど」

提督「ん? そうか」

明石「はい」

高雄「……」

提督「……」

明石「……」

提督「……? 」

明石「いや、提督の許可と帝都の承認が必要なんですよね、色々と」

提督「めんどくせぇな……高雄の許可じゃダメなのか? 」

明石「私はいいですけど」

高雄「……私も構いませんが単車関係や帝都の許可なく行っている実験を誤魔化すにはあなたでないと」

提督「しゃーねーな……資材の流れ思い出しながら書くの面倒なんだぞ」


< 素直のベクトル >





提督「今日のカクテルはミスティ。
カクテルワードは“ 束縛されず開放感を好む素直な人 ”、だ」

明石「普通はそうだと思いますけどね」

提督「お前は雲龍が普通だと思うのか? 」

明石「まぁ……思えませんね」

提督「あいつ程じゃないにしろ欲望って怖いものなんだよ」

明石「なるほど」

雲龍「…………」

明石「あ、いたんですか……怒りました? 」

雲龍「……いえ、全く反論する気もないわ。それでいいもの」

明石「…………」

提督「な? 普通じゃないだろ? 」


< 動かない宣言なんて意味のないことは >





提督「やたらと眠いのに目が冴えるってあるよな」

愛宕「そうねぇ……」

提督「ただ目が冴えてるだけだからベッドから起き上がるのもだるい」

愛宕「うん」

提督「……なのにこう、欲望が溢れることあるよな」

愛宕「そうね……ん」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……っと…………疲れ過ぎて立てなくなっても責任は取らないわよ? 」

提督「ん……お前こそ途中で疲れて止まるなよ? 」


< ギラギラと、目付きだけ凍えて >





雲龍「私たちがバカラをしても問題は無いわよね? 」

明石「まぁ、賭けるのなんておつまみつくってこいとかお酒イッキとかですし」

加賀「誰が戦闘で一番活躍するか、でも賭けないといけないわね。問題を起こすには」

天城「誰も手抜きはしないでしょう……生命がかかっていますからね」

加賀「いえ、この場合は居残り組が賭けるのよ」

雲龍「自分の贔屓に奢ったりするんですね」

明石「それなら私相当有利ですよね、艤装的に」

天城「むしろ贔屓以外に差し入れるのでは。よくないものを」

雲龍「……ま、なんにせよ魅力的な報酬が無いもの。成立しないわね」

明石「胴元か参加者に提督がいれば別なんですけどねー」


ありがとうございました


< 本当にただの知り合い >





提督「地震か」

愛宕「ここは揺れなかったわね」

提督「あぁ」

愛宕「ま、これくらいなら大丈夫かしら」

提督「そうだな。……俺はパリの方が気になる」

愛宕「テロ? 」

提督「あの綺麗な街でなぁ。何回かしか行ったことないけど」

愛宕「ふーん……」

提督「知り合いもいるし。大丈夫かなー、とは思うわけ」

愛宕「……綺麗なの? 」

提督「綺麗っつーか由緒とかを感じるんだよね。乞食もいるしアレなのも見えるけど」

愛宕「違うわよ」

提督「うん? 」

愛宕「知り合いのこと。どんな女? 」

提督「…………お、男もいるし? 」


< わかるわ。朝はゆっくりよね、ストレスを溜めないためにも >





龍田「今日はアンチエイジングの日なんですってぇ~ 」

金剛「そうですカ」

龍田「ええ。いい年、の語呂合わせみたい。
私もいい年の取り方したいわぁ」

金剛「私、も? 」

龍田「んー? 」

金剛「……」

龍田「……」

金剛「……いい年した女が幼稚な喧嘩を売ってきたものデース」

龍田「ん~? 喧嘩ぁ? 」

金剛「……パレオが無いと水着にもなれない腰抜けの癖に。
アンチエイジング以前の問題デース」

龍田「……ふーん」

金剛「……」

龍田「……」

鈴谷「……朝食くらい和やかに食べよーよ」

山城「こんなのが朋輩だなんて……不幸だわ」

扶桑「ぁ……ねぇ、山城。茶柱よ」


< 大体後から気付く >





江風「物凄くどうでもいいンだけど」

海風「うん」

江風「昨日って十三日の金曜日だったンだな」

海風「あー、確かに」

江風「江風あれ観たことないンだよね」

海風「海風もないよ」

江風「ン」

海風「……」

江風「……」

海風「……白い仮面と黒のフードなら提督の倉庫にあったけど」

江風「それスクリーマー」


< シークタイム、無し >





提督「グラタン、グラタンだ」

高雄「どのようなグラタンですか? 」

提督「んー……南瓜マシマシ、な気分」

高雄「わかりました」

提督「頼む。マシマシだぞ」

高雄「はいはい」

加賀「今日のお昼はグラタン……ふむ」

天城「天城も洋食のレパートリーを増やさなければなりませんね」


< 天然物だって加工はされる >





江風「対応力凄過ぎだろ……つーか、周りも違和感ないのか」

海風「好きってことだよ」

江風「ン、そりゃ好きじゃないとできないだろうけど」

海風「うん。でも好きなだけじゃできないことだよね」

江風「主婦力とか? 」

海風「それもあるけど……大好きじゃないとね。それでも足りないかも」

江風「……」

海風「……? 」

江風「……いや、姉貴って時々素なのか迷うことあるな、うン」


< 純粋無垢を染めるから式では白い衣装だと聞く >





高雄「十一月十四日の誕生石はラベンダージェイド。
石言葉は“ 純粋 ”、“ 繊細 ”、“ 清らか ”、そして“ 美しい心 ”」

江風「最近海風の姉貴が雲龍さン化してる気がする」

雲龍「そう? 」

江風「あの純粋で清らかだった姉貴はどこへ」

雲龍「美しければいいのよ、大概は」

江風「心が? 」

雲龍「ルックスが」

江風「……」

雲龍「それで殆どの場合は解決するもの。違う? 」

江風「……違わない。違わないけど」


< ずっと隣にいた >





高雄「今日の誕生花はアルストロメリア。
花言葉は“ 機敏 ”、“ エキゾチック ”、“ 援助 ”、そして“ 持続 ”」

雲龍「そもそも」

江風「うん」

雲龍「そういう心配をするということはあなたは純粋じゃないと? 」

江風「そりゃ……まぁ」

雲龍「私からすれば十分に子ど……」

江風「ン? 」

雲龍「子供だから純粋、なんてナンセンスな話だったわね」

海風「まったくです。それなら援助なんて無くなりますからね」

江風「…………」


< 誰だろうね >





提督「おでんすっぞおでーん」

加賀「そう……いいわね」

漣「……むしろ加賀さんが否定する料理とか食べ物って? 」

加賀「不味いものよ。食材への冒瀆は許されないわ」

漣「うーん、サルミアッキとかマーマイトですか? 」

加賀「どちらも食べたことはないけれど……そうね」

提督「いや、基本的に不味いってのは料理下手なやつのだろ。
ここは大体美味いからいいだけで」

加賀「あぁ……その方が正しいかもしれないわ」

漣「なるほど……メシマズといえばやっぱりーー」


< 悩めるだけ健全かもしれない >





提督「今日のカクテルはリトルプリンセス。
カクテルワードは“ 健やかな自分をアピールする元気者 ”、だ」

海風「提督は」

提督「ん」

海風「海風のこと好き、ですか? 」

提督「……好きだよ? 」

海風「江風は海風のこと好き、でしょうか」

提督「さぁ……それはお前が決めるか突き止めるものだよ」

海風「……」

提督「……江風のどこまで欲しいんだ? 」

海風「提督には分からないと思います」

提督「ふーん……? 」

海風「……海風も、分からないですけど。江風も、提督も……自分も」


< さすがにマットは無い >





愛宕「お風呂行きましょ? お風呂」

提督「ん……部屋? 」

愛宕「大浴場は面倒だし」

提督「はいよ」





提督「…………」

愛宕「提督さんのお背中をぉ、お流ししちゃいまーすっ」

提督「……風呂場で水着って風呂屋みたいだな」

愛宕「お金は取らないわよ? 」

提督「お前とそんな関係になるかよ。当たり前だばか」



< そんな気分じゃなかったってだけ >





提督「痒くないか」

愛宕「んーん」

提督「そうか」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……結局いつも通りよねー」

提督「問題あるか? 」

愛宕「別にないけど」

提督「ならいいだろ。……別にああいうのも嫌いじゃないけどな」


ありがとうございました


< それはそれできっと幸せな堕ち方を >





提督「ぐっもーにん、My sweet heart」

叢雲「おはよ。……馬鹿なの? 」

提督「朝から叢雲は酷いなぁ。冷たい」

叢雲「どっちがよ。女衒擬きの癖して」

提督「女衒、ねぇ」

叢雲「あんたに比べれば私なんて軽いものよ」

提督「そうかね」

叢雲「…………」

提督「……会ったときからお前にだけ執着するのと今の俺、どっちがヤバい? 」

叢雲「どっちもに決まってるでしょ、ばーか」


< 静かな朝に言葉だけが >





叢雲「……ココア飲むけど」

提督「ん、貰おうか」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……」

提督「……なんでこんな時間に食堂に一人で? 」

叢雲「気分よ気分。……あんたは? 」

提督「女衒の技能には可愛い女の子が一人になる場面に」

叢雲「ねぇ、私朝は本当に気が短いの。つまらないことを引き摺らないで」

提督「……ま、気分だよ。お前と同じ」

叢雲「……そう」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………あっま」

叢雲「……やけに苦い顔してたし。丁度いいでしょ」


< 世界っていうのはどうしてこうも面倒な >




叢雲「……それで? 」

提督「んー? 」

叢雲「陸軍の方で何かあったのかしら? 」

提督「いや……陸軍は関係無い」

叢雲「そ」

提督「……明石と工廠でな」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……工廠で、なんなのよ」

提督「秘密。……ま、そのうち分かるさ」



< まぁ、でも >





提督「ほんっと……」

叢雲「……」

提督「……嘘とか欺瞞とか捏造とか勘弁してくれ」

叢雲「あんたがそれ言うの? 」

提督「叢雲くらいには俺だって正直だし良心があるんだぞ」

叢雲「ふーん……」

提督「……」

叢雲「……」

提督「……無い方が楽だったかもしれないけどさ」

叢雲「……そうね」


< 嘘と真実と建前と本音と自分 >





提督「…………」

叢雲「…………」

提督「……ゲームでもするか」

叢雲「は? 」

提督「……好きな相手はいるか? 」

叢雲「……いるわ」

提督「その相手もお前のこと好きだと思うか? 」

叢雲「思うわ」

提督「告白しないのか? 」

叢雲「しない」

提督「告白されたら、受けるか? 」

叢雲「……受け、るわ」

提督「嘘も真実も言ったか? 」

叢雲「言ったわ」

提督「嘘と真実の比率はどちらが多い? 」

叢雲「……嘘」

提督「そうか」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「……さて、朝から言葉遊びとかゲームばっかすんのもな。ココアさんきゅ」

叢雲「……ん、しっかりやんなさい」


< 割と皆 >





江風「うーン、この感動をわかってくれる人が誰もいない」

明石「野球、ですか」

江風「提督はいつの間にかアレな感じだし」

明石「ほ、ホームラーンですね、提督も」

江風「や、普通に酷過ぎだよそれ」

明石「……ごめんなさい」

江風「いいけど……ンー」

明石「……」

江風「……誰も染められない気がする」

明石「ですねぇ」

江風「キャラ濃過ぎんンだろここの面子……なンなンだよ」


< 折角……? >





雲龍「……? 」

加賀「……」

雲龍「……」

加賀「……」

雲龍「……あの」

加賀「私の顔に、何かついていて? 」

Littorio「それが言いたいだけでしょう……スクリーマー? 」

雲龍「時々意味もなくボケますよね、加賀さん」

加賀「そもそもボケに意味なんてないと思うけれど」

Littorio「……で、いつそれは外すのですか? 」

加賀「折角だから提督に見せてくるわ」


< 無いものは壊せない、みたいな >





高雄「十一月十五日の誕生石はメテオライト。
石言葉は“ 調和 ”、“ 友情 ”、“ 人間関係 ”、“ 求める心 ”、そして“ 魂の再会 ”」

明石「魂の再会って何なんですかそれ……」

漣「ルフラーン……! 」

明石「結局再会できてないような。……そういうことなんですか? 」

高雄「さぁ……私には分かりませんね」

漣「ま、単純に嬉しかったらいいんじゃないですか?
漣もご主人様と久々に会ったときは嬉しかったですよ」

明石「修飾過多ってやつですかね」

漣「きっとたぶんもしかして」





高雄「…………再会なんてしない方がいいと思いますけどね」


< 教皇は太陽、皇帝は月。とかそういう連想 >





高雄「今日の誕生花はオレガノ。花言葉は“ 輝き ”と“ 眩しい ”」

提督「そーいやお前って別に教会とか興味ねぇよな」

Littorio「まぁ。Romaも無かったでしょう? 」

提督「名前の癖にな」

Littorio「ただし知識としてはそれなりですよ? 高雄が神道や仏教に詳しいように」

高雄「詳しいというわけでは」

提督「詳しくなきゃ相輪とか宝珠とか言わないだろうよ」

高雄「はぁ」

Littorio「Littorioもそこまでは……あぁ、でも」

提督「うん? 」

Littorio「逆に教皇聖下は特別Littorioたちに詳しいでしょうね。とても光栄なことです」

提督「……敵を知り己をなんちゃらってやつか」

高雄「……この場合は神が教会を建てると悪魔が、とかそういうのかもしれません」



< いきなりじゃない仕事なんて無いような気もする >





提督「はぁ……いきなり仕事増やすなよな。陸のやつらは間抜け、間違いない」

高雄「仕方ありませんよ。
私たちが横須賀での演習で空ける分は彼らの負担になりますから」

提督「っても呉から伊勢たちがバックアップに来るんだけどな」

高雄「まぁ……愛宕」

愛宕「はーい。そのファイルの続きはこれね」

高雄「どうも」

提督「あー、これ持ってって。あとそれの打ち込み」

愛宕「えぇ……仕事多過ぎでしょ……」

提督「夜は仕事しない派なんだよ。残業代出ねぇし」

高雄「早く終わらせるのが悪いことはありませんしね」


< 乖離する自他の評価 >





天城「コンピュータ? 」

愛宕「そう。簡単な打ち込みなんだけど」

天城「まぁ……できないこともないですよ」

愛宕「今だけちょっと代わってほしいんだけど、いい? 」

天城「構いません」

愛宕「ごめんなさいね? ちょーっと陸軍の人に用ができたんだけど、
お仕事も今日までに終わらせたくて」





提督「……………………」

高雄「……………………」

天城「……………………」

提督「……………………ん」

高雄「はい。……………………」

天城(……………………オンオフにも限度というものが)


< 燃える >





提督「……っかれたな」

高雄「急な話でしたからね」

天城「…………」

愛宕「コーヒー飲みたいでーす」

提督「ん……天城もお疲れ様。コーヒーいるか? 」

天城「…………」

提督「……天城? 」

天城「……次こそは、お役に立ってみせます、はい」

提督「は? 」

天城「いただきましょう。天城……非常に疲れてしまいました」


< 変化 >





提督「今日のカクテルはマンゴヤンラッシー。
カクテルワードは“ バランスよく食べることを楽しむ美食家 ”、だ」

天城「姉様がいると面倒なことになりそうですね」

提督「えー、天城ちゃんヤラッシー」

天城「……失言だったかもしれません」

提督「お前にしちゃな」

天城「…………天城にもそういう気分のときはあるのですけれどね」

提督「……」

天城「……」

提督「……俺にもそういう気分のとき、あるわ」

天城「ふふ……そうではないあなたの方が珍しく思いますよ」


ありがとうございました


< いざ行かん、我が街横須賀へ >





提督「財布は持ったか? 飲み物は? ハンカチは? 弁当は? 」

江風「いや、そンなガキじゃないっていうか……」

瑞穂「飲食店の持ち込みじゃないのですから」

提督「え、横須賀とか楽しみだろ? わくわくしない? 」

高雄「わくわく、してましたっけ? 」

提督「横須賀鎮守府が嫌なだけで横須賀の街には行きたい」

高雄「……」

江風「あ、江風も豚まん食べてみたい」

瑞穂「それは横浜では……遠足ではないのですよ? 」


< 旅のお供に愉快な会話 >





提督「道産子くんの、ちょっと違和感ほっかいどー」

加賀「ありがとうございました」

提督「や、終わってねぇから」

加賀「……」

提督「勝手に話すぞ。……ちなみに道産子くんは地元ローカル局のキャラクターじゃないからな」

加賀「……そう」

提督「この前さ、陸軍のやつらが旭川動物園とか言ってたわけよ」

加賀「……」

提督「あのね、旭山だから。確かに旭川市立だから略称としては正しいかもだけどさ」

加賀「……」

提督「あれは無いね。別に地方のことを細部まで知れとは言わないけどさ」

加賀「……」

提督「見せ方がどうのとかなんとか知ったかするならーー」





雲龍「……いい加減不憫になってきたわ」

天城「……なぜ地元トークだとあれ程よくわからない情熱とつまらなさを発揮するのでしょうね」

江風「つーか江風ヘリって初めてかも」

海風「ね。基地があんなにちいさく見える」


< 馬鹿の一つ覚え >





高雄「十一月十六日の誕生石はカラーチェンジサファイヤ。
石言葉は“ 純粋 ”、“ 忙しい ”、“ 人気者 ”、そして“ 思いやり ”」

提督「お? 早いな」

高雄「横須賀に着けば忙しくてティータイムどころではないでしょう」

提督「まぁな」

愛宕「私たちもチェンジしないと ……真面目な顔、すぐにできる? 」

提督「キリッ」

高雄「……この馬鹿を見て思い出したわ。自分の元の表情」

愛宕「そ」

提督「キリッ」

愛宕「ま、別に心配はしてないけど」

高雄「まぁ、馬鹿は馬鹿なりにできますから」

提督「キリッ。……なぁ、冷たくね? 反応無いの? 」


< 天に星、地に花、人に愛 >





明石「ってあるじゃないですか」

瑞穂「ええ。聞いたことは」

明石「あれゲーテどころか武者小路が広げたなんて事実すら無いらしいですよ」

瑞穂「……では誰が? 」

明石「高山樗牛、ですね」

瑞穂「はぁ」

明石「……ご存知ない? 」

瑞穂「いえ、滝口入道の方ですよね」

明石「そうですそうです。私読んだことありませんけど」

瑞穂「瑞穂も無いです」

明石「…………」

瑞穂「…………」

明石「……ゲーテか武者小路でいいですね」

瑞穂「……はい」


< 見えるものは見える >





雲龍「そういえば」

愛宕「ええ」

雲龍「自転車の二人乗り、なんてしたことあるかしら」

愛宕「単車ならあるけど……自転車はないわねぇ」

雲龍「……そう」

愛宕「でもどうして? 」

雲龍「別に。今下の方にそんなカップルが見えたから」

愛宕「見えたからって……ヘリなんだけど」

雲龍「戦場と同じよ。感覚を使えば」

愛宕「ふーん……? 」

叢雲「……演習とか作戦の前に無駄に力使うのはよくないと思うけど」


< 節度を >





高雄「今日の誕生花はプルメリア。花言葉は“ 気品 ”と“ 繊細 ”」

提督「帝都のお膝元に向かっているわけだが」

高雄「そもそも横須賀の君自体が帝都の一部ですけれどね」

提督「……俺も気品とか纏わなきゃいけないのか」

高雄「今更無理でしょう」

提督「もう少しオブラートをさぁ……繊細なんだぞ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……ま、いつも通り。擬態にだけ気を付けていればいいでしょう」

提督「お前もな。いきなり求めてきたりすんなよ」

高雄「まさか。そういうのは愛宕に言ってください」


< 褒めている >





江風「……まぁ、よくテートクも明石さンとか漣とか色ンなジャンルに対応できるよな」

海風「凄いよね」

Littorio「こちらの言葉もある程度覚えているあたり謎が多いですけれど」

江風「ン、だからこそ好かれンのかなぁ」

加賀「そうね」

江風「ン? 」

加賀「どこであのような知識を得ているのかは知らないけれど……」

海風「はい」

加賀「提督と同じくらい話せるのは赤城さんくらいしか知りませんね、私は」

江風「へぇ……赤城さンか。ずっと食べてるか食事の話の印象しか……」

海風「……」

加賀「……? 」

江風「……いや、似たような感じの加賀さンがこれだけ凄いからそれでいいのか」

Littorio「いい、説得力です」


< 着いた >





江風「……あんな大勢に敬礼で出迎えられるとかテートクってやっぱ提督なンだな」

海風「信じてなかったの? 」

江風「……ン、まぁ多少は」

海風「……」

江風「……」

海風「……」

江風「……でも実際姉貴もそうだったろ? 」

海風「……ちょっとね、ちょっとだけだよ? 」

江風「ン。…………なンか無表情とか殺気とか笑顔とか混在して異様だったなぁ」

海風「……うん。ちょっと怖かったかも」


< 苦労人 >





金剛「久しぶりデース!」

提督「ん? 金剛か」

金剛「あ・な・た・の、金剛デース」

提督「……」

金剛「……」

提督「……」

金剛「提督? 」

提督「いや、喋んなくてもいい雰囲気だなって」

金剛「提督ぅ……」





龍田「あら~ 」

霧島「……余計なことは言わないでくださいね。
フォローも面倒ですし彼も疲れているようですから」


< 苦労は続く >





龍田「お久し振り? 」

提督「おう。……お前そんなあざとかったっけ? 」

龍田「あざとい? 」

提督「後ろ腕組覗き込み上目ってお前な」

龍田「うん? 」

提督「……ま、いいや。久し振りだな」

龍田「ええ」

提督「……会えて嬉しいよ」

龍田「あらぁ……………………私もよ」





金剛「……」

霧島「……余計なことは言わないでくださいね。
フォローも面倒ですし彼も疲れているようですから」


< あまりハメを外すのもね >





提督「今日のカクテルはアクアサンダー。
カクテルワードは“ 人々に歓喜を届ける心の革命家 ”、だ」

高雄「そのカクテルはありませんが」

提督「そりゃお前……さすがにカクテル関係全部は無理だろ」

高雄「……というと? 」

提督「今飲んでるウィスキーくらいは多少持ってきた」

高雄「……ナイトキャップに留めてくださいよ」

提督「もちろん」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……あれ、でもロックアイスなんてどこで」

提督「間宮に言ったらくれた」

高雄「…………あの人は敵ではないのでしたね」

提督「なんてったってお得意様みたいなもんだからな。伊良湖と鳳翔も同じく」


< 仮の城で >





愛宕「だーれだっ」

提督「……あたごん。だーれだ、は目を隠すものだぜ? 」

愛宕「そうだったかもしれないわね」

提督「あすなろ抱きでだーれだ、ってお前」

愛宕「ダメ? 」

提督「ダメじゃねぇけど。……副官の部屋は隣のはずだが」

愛宕「そこで着替えてきたわよ? 」

提督「……仕事中だ」

愛宕「それで? 」

提督「ペンは動かしにくいし書類も繰りにくい。モニタも見えにくい」

愛宕「ん…………これでいい? 」

提督「まぁ……隣に椅子持ってくるくらいなら」

愛宕「そ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………ふふ」


< 一度も目を向けないで >





愛宕「そもそも仕事中っていうけど」

提督「あぁ」

愛宕「仕事と私どっちが大切なの? 」

提督「お前」

愛宕「あ、そう……」

提督「お前は暫く軍から離れられないしな。それなら俺が離れない努力をすべきだろ」

愛宕「……そうね」

提督「つーか面倒な質問トップの質問されるとは思わなかったわ。お前に」

愛宕「や、ネタで言ったんだけど……真顔で応えられると思わなくて」

提督「そうかい」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……あー、あなたのお布団、暖めておくわね? 」

提督「さんきゅ」


備蓄や時間は十分ですか……?

ありがとうございました


< 寒々とした廊下であなたを見つけた >





提督「よう、加賀」

加賀「あら……おはようございます」

提督「ん? なに余所行き? 」

加賀「別に。あまりこちらで砕けた口調もよくないかと」

提督「まぁな。……弓か」

加賀「ええ。久方振りに赤城さんや蒼龍たちと引こうという話になって」

提督「なるほどな」

加賀「……あなたは」

提督「俺? 隼鷹とか千歳とか喋れるやつ探してんの」

加賀「……そう」

提督「ま、暇潰しだな……見に行っていいか? 」

加賀「……構わないけれど」

提督「そうか。んー……久し振りに赤城と炒飯談義でもするかなぁ」


< 君のその表情が見れるならいつだって傅こう >





提督「あぁ、そうだ」

加賀「なにかしら」

提督「おめでとう。殺風景な廊下で悪いが」

加賀「……おめでとう? 」

提督「誕生日だろ。別に進水日でもいいが」

加賀「…………」

提督「ギリギリ間に合うかとも思ったんだが、あっちでは祝えなかった」

加賀「…………」

提督「ささやかなプレゼントも用意してたんだけどな。……ま、その辺は今度帰ったときにでも」

加賀「…………」

提督「とりあえず言葉だけでもって感じで……うん? 」

加賀「……いえ、なんでもないわ」

提督「……」

加賀「……ありがとう。あなたにそう言ってもらえるだけで、嬉しいわ」

提督「ん」


< 廊下の角にいた人々 >





雲龍「……こういうとき私たちって微妙よね」

天城「まぁ、どちらかといえば隼鷹さんや龍驤さんと同じタイプですものね」

雲龍「……いまだに的に当てるのもやっと」

天城「加賀さんもいつもおしえてくれるわけではありませんし」

雲龍「まぁ、努力さえすれば……精神的なものだし弓で色々できるはずだけれど」

天城「赤城さんはどちらもできるらしいですよ」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……ま、さすが加賀さんの尊敬する存在よね」


< 美しい姿を好きになったわけじゃない。君が美しいだけなんだ >





提督「っと……加賀」

加賀「なんでしょう」

提督「……腕上げた? 」

加賀「……いえ、赤城さんの域には、まだ」

提督「や、でも今日は赤城よりも断然」

加賀「……今日は、今日だけ調子が特別いいだけですよ」

提督「ほーん……? 」

加賀「赤城さんがいるからです」

提督「…… 」

加賀「……」





龍田「あらあら……私も弓始めてみようかしらぁ」

愛宕「いいんじゃない? 私も高雄もしてないけど」

龍田「…………」


< 愛って自分を安定させたり不安にさせたりする >





高雄「十一月十七日の誕生石はイエローオパール。
石言葉は“ 安定感 ”、“ 前向き ”、“ 健康 ”、“ 愛情 ”、そして“ 素直 ”」

龍田「ふぅん……? 」

高雄「……普段は大体ティータイムの話題にしているのよ」

龍田「いい御身分だこと」

高雄「いい御身分ですから」

龍田「……」

高雄「……」

龍田「……私、あなたがハーレムみたいな状況許すとは思ってなかった」

高雄「……ま、それは私も同じです。それくらいにはあの人にイかれてるだけかもしれませんが」

龍田「…………羨ましいけど羨ましくないわねぇ」

高雄「構いません。承認も理解も要りませんから」


< いざ敵地 >





愛宕「海の上で言うことじゃないけど」

高雄「……それなら言わなくてもいいけれど」

愛宕「私たちに子供ができたとして子供が私たちの関係を認める可能性は」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……もう少し士気を揚げる話はできないのかしら」

愛宕「ごっめーん☆ 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……本当に士気が下がったのだけれど」

愛宕「…………ごめんなさい」


< 星の数の女と男、人の数だけある、愛 >





高雄「今日の誕生花はエレムルス。花言葉は“ 逆境 ”と“ 変わらぬ心 ”」

山城「変わらないのかしら」

高雄「はぁ」

山城「……あの男への思慕よ」

高雄「……あなたは扶桑さんへの愛情を失うことがありますか? 」

山城「…………」

高雄「…………」

山城「…………姉様とあの男が特段仲良くもなくて、あの男が独り身なら」

高雄「独り身なら? 」

山城「…………私も、馬鹿じゃないのよ。自分の気持ちくらい理解できる」

高雄「……」

山城「……私は、あの男が心底嫌い」

高雄「…………私は、そんなあなたが嫌いではありませんよ」

山城「…………扶桑姉さまだけよ、私は」

高雄「承知のことです」


< 前を向いて、見えるものはきっとあるはずだから >





提督「今日のカクテルはマンゴヤンミルク。
カクテルワードは“ 前向きな意欲を見せるチャレンジャー ”、だ」

金剛「提督」

提督「ん? なんだ」

金剛「……お酒も無いのにそんな話をどうしてするのデス? 」

提督「日課っつーか……お前との会話の種として受け取ってもらって構わない」

金剛「…………」

提督「…………」

金剛「…………戦うことを望まない兵士を、あなたは受け入れますか? 」

提督「あ? ……戦うこと望むようなバトルジャンキーよりは好きだぞ」

金剛「…………」

提督「…………」

金剛「…………」

提督「…………」

金剛「…………この作戦が終わったら」

提督「あぁ」

金剛「……あなたの下で、少しだけ休んでも、皆許してくれると、思いますカ? 」

提督「さぁね」

金剛「…………」

提督「……ただし」

金剛「……」

提督「俺は許すよ。お前が壊れそうで、俺が何か役に立てるなら、俺はできる限りのことをしてやりたい」

金剛「…………」

提督「…………」

金剛「…………ふ、なーんでこんな男を好きになってしまったのかナー」

提督「……恨むなら俺を恨め。俺が魅力的なのが悪い」

金剛「…………ふふ、全くイヤな男デース」


< ふと、そんな会話 >






瑞穂「……作戦海域目前での演習、ですか」

鈴谷「なに? 不安? 」

瑞穂「いえ、瑞穂は提督も帝都も信頼しておりますよ」

鈴谷「ふーん……」

瑞穂「……艦船二隻の艦隊、というのもよくわかりませんけれど」

鈴谷「鈴谷たちありきの編成だよね」

瑞穂「ええ」

鈴谷「…………」

瑞穂「…………」

鈴谷「……横須賀帰ったら一緒にスイーツでも食べようね」

瑞穂「喜んで」




< これの為のPS4(箱もあるけど)>





漣「あぁぁぁぁぁ! 」

叢雲「……なによ、うるさいわね」

漣「大変、大変なんだよ叢雲ちゃん! 」

叢雲「……」

漣「STAR WARS BATTLE FRONT明後日あっちに届いちゃうよぉぉぉ! 」

叢雲「……は? 」

漣「ねー、期待してたのー、ねー、どーしてくれんのー」

叢雲「……こっちに指定してもどうせ作戦中でしょ」

漣「そうだけどー……あぁぁぁ……」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「……寝るわ」

漣「ちょ、もう少し反応してよぉ、あーもう……」


海外艦、期待ですねぇ……

ありがとうございました


< 欲しがりません勝つまでは >





江風「正直さ」

海風「うん」

江風「加賀さンが海上での食事で不満漏らさないとは思わなかった」

Littorio「……彼女は歴戦の兵士のはずですけれど」

江風「や、そうなンだけどさ」

海風「その代わり口数も減ったよね。表情も違う」

江風「姉貴もあンま笑わなくなったけどな」

海風「笑えるなら笑っていたいけど……」

Littorio「そういうことですね。加賀の場合は極端ですけれど……皆そういう変化はありますよ」


< 極度の緊張よりは、まぁ >





雲龍「……眠い」

天城「姉様。いくらイージスシステムがあるとはいえ天城たちもぼんやりしているわけには」

雲龍「……赤城さんあたりがしているでしょう、その辺は」

天城「先程提督と鍋の〆について語っていましたけれど」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……ねぇ、私が言うのもなんだけれど戦場に向かっているのよね? 」

天城「……そのはずです」


< I am GOD'S CHILD♪ >





高雄「十一月十八日の誕生石はカシミールサファイヤ。
石言葉は“ 広い心 ”、“ 朗らか ”、“ 明るい ”、そして“ 穏やか ”」

金剛「随分と穏やかな海デスネー」

高雄「嵐の前の静けさ、と言えるでしょうか」

金剛「Hmm……私たちからすれば、そうでしょうカ」

高雄「私たち? 」

金剛「Yes.海は、世界は私たちのことなんて特にどうとも思ってはいないデス」

高雄「……」

金剛「……」

高雄「……」

金剛「……だからこそ、誰かと繋がりたいわけですからネ」

高雄「……そうかも、しれませんね」


< 甘美な渦の中心で >





高雄「今日の誕生花は百合。花言葉は“ 甘美 ”」

山城「…………」

高雄「…………」

山城「…………」

高雄「…………」

山城「……本当に甘美なのかしらね」

高雄「百合の匂いは濃く、クセのあるものです」

山城「…………」

高雄「…………」

山城「……愚問だったわね。もとより、他人の評価なんて」

高雄「……………………あなたの想い人が百合の匂いを好むかどうかは、さて」


< 変化をただ変化としてのみ受け止めるのは >





時雨「叢雲」

叢雲「なに? 」

時雨「僕の妹たちは、使い物になるかい? 」

叢雲「……海風と江風か」

時雨「君が教育係と知ったときは二度と会えないと思ったよ」

叢雲「ふん、時雨より楽なはずよ。私の訓練なんて」

時雨「どうだか」

叢雲「……」

時雨「……」

叢雲「……ま、足手まといにはならないと思うわ」

時雨「そうかい。……ありがとう」

叢雲「仕事よ仕事。情から始めたわけじゃないわ」

時雨「ふーん……? 」

叢雲「だから、精々私の名を貶めないよう、ここでは沈まないようにしてほしいわね」

時雨「……叢雲はいつまでも叢雲だね。そのままで、優しいままでいてほしいよ」

叢雲「…………」


<あなたの気持ちで暖まる >





提督「今日のカクテルはアンジュ。
カクテルワードは“ 自分のスキルを磨き続けるクリエイター ”、だ」

高雄「磨き続けることの苦しさを知ってこそのクリエイターでしょうか」

提督「うん? 」

高雄「いえ……クリエイターといっても様々だろうな、と」

提督「まぁ……そうだな」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………セーター位は楽に編めるようになるといいのですけれど」

提督「……ま、そのうちな。それまではお前を抱き締めて暖まってるよ」


Prinzも落ちるとか落ちないとか

ありがとうございました


< まぎらわしい >





愛宕「おねがぁい」

提督「…………」

愛宕「ね? いいでしょ? 」

提督「…………」

愛宕「い・い・こ・と、してあげるからぁ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………譲らねぇぞ」





高雄「……何をしているのかしら」

愛宕「んー、この人が全然折れなくて」

高雄「……あまり船内でハメを外すのは」

愛宕「え? 」

高雄「……は? 」

愛宕「……第一艦隊に私と高雄を編成するなら第二艦隊にどちらか入れた方が戦力的にいいって言ってただけだけど? 」

高雄「…………」


< 笑顔さえくれるのなら他は全て些末事 >





高雄「十一月十九日の誕生石はブルートパーズ。
石言葉は“ 素直 ”、“ 清らかな心 ”、そして“ 素敵な笑顔 ”」

愛宕「清らかな心ねぇ……勘違いはダメよ? 」

高雄「あれはあなたの性格が面倒なだけだと思うけれど」

愛宕「えぇ……? だってなんとなく甘え足りないときってあるじゃない? 」

高雄「そうだとして私が邪だということは」

愛宕「べつに邪なんて言ってないじゃない。単にむっつりって言ってるだけで」

高雄「…………」

愛宕「素直になりましょ? ね? 」

高雄「……これでも前よりは素直なつもりなのだけれど、ね」


< その言葉、噛みしめるように >





浜風「…………」

提督「よ、何してーんの」

浜風「提督……」

提督「ん」

浜風「……海を見ていました。それくらいしかすることがありませんので」

提督「そっか」

浜風「…………」

提督「…………」

浜風「……提督は」

提督「俺? 執務は粗方片付けたし艦長とも話つけたから休憩」

浜風「なるほど。お疲れ様です」

提督「や、この後のお前程じゃないさ」

浜風「……は? 」

提督「今回の作戦は頼むぞ、ってこと」

浜風「…………それがあなたの意志なら、なんなりと」

提督「あぁ、期待してるよ、浜風」

浜風「…………はいっ」


< むしろ妹切草の方が印象的だったりする >





高雄「今日の誕生花は弟切草。
花言葉は“ 秘密 ”、“ 約束 ”、そして“ 結束 ”」

漣「え? 」

高雄「はい? 」

漣「秘密? 約束? 結束? 」

高雄「はぁ」

漣「……復讐じゃないんですか? 」

高雄「ソースはいつも一箇所なので……他のソースを辿ればあるかもしれませんが」

漣「うーん……」

明石「でも以外ですね」

漣「はい? 」

明石「漣さんが知っているなんて。弟切草でしょう? 」

漣「そうですけど……漣だって知っていることは知っていますよ」

明石「そうですね。すみません」

漣「…………まぁ、中古で安かったから買っただけなんですけどね」


< 軍法会議もの >





雲龍「溜まらないの? 」

提督「……は? 」

雲龍「時間も洗濯の余裕も無いし……大丈夫? 」

提督「……ばっかじゃねーの。俺はお猿さんじゃねーの」

雲龍「……」

提督「……いや、お前に理解できないみたいな顔されんの割と傷付くんだけど」

雲龍「…………口だけならイケると思わない? 」

提督「お前がそれで終わんならな」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……残念だけれど、やめておくわ」

提督「賢明な判断だな」


< 先手が物を言うのはいつも同じ >





愛宕「演習から実戦、ねぇ」

高雄「相変わらずこの国は……余裕が無いというか」

愛宕「ま、その辺は世界的なものでしょ。
今余裕がある国ランキングなんてつくれば上の方よ、この国」

高雄「地中海に至っては制海権を奪われて久しいですしね」

愛宕「フォークランドなんて魔窟らしいわよ、噂によると」

高雄「……演習中に敵が現れないといいのですが」

愛宕「大丈夫でしょ。そもそもそこまで近付かれたのに気付かないんなら戦ったって負けるわよ」

高雄「確かに」


< マフラーでもいいかな、なんて >





高雄「帰ったら」

愛宕「ええ」

高雄「あの人のセーターを編むわ」

愛宕「ふーん……フラグってやつ? 」

高雄「いえ、これは決定事項ですから」

愛宕「そ」

高雄「あの人よりも早く沈むのも、遅く死ぬのも私は嫌です」

愛宕「……」

高雄「私は、あの人と一緒に逝きたい。そのためなら何でも捧げて見せましょう」

愛宕「…………重いわねぇ。私も大概だけど」


< 死ぬ程美味しかった。祝杯に相応しいと思う >





提督「今日のカクテルはルジェアプリコットオレンジ。
カクテルワードは“ 独特の世界観なセンスの持ち主 ”、だ」

愛宕「でもお酒は無いのね」

提督「もしものときの一瓶しか無いからな」

愛宕「もしも? 」

提督「聞くな。別にお前を信頼していないわけじゃない」

愛宕「ふーん……」

提督「……」

愛宕「……ウィスキー? 」

提督「もちろん。ちなみにニッカの40年だ」

愛宕「あ、そう……」

提督「おう」

愛宕「…………祝杯まで大事にしておいてね? 」

提督「あぁ。俺はそれくらいしかすることないしな」


< 伯爵の話 >





明石「今回の作戦はドイツから客将扱いの方が来ているとか」

提督「あぁ、そうらしいね。チャップリンだっけ」

明石「や、喜劇王とかじゃないですよ」

提督「んー……? 」

明石「……Bismarckさんが色々と連れ回しているようです」

提督「そうか」

明石「……」

提督「……」

明石「……お知り合いでは? 」

提督「や、その子は知らないよ。まぁ、Bismarckが連れ回してんならそのうち会えるだろうけど」

明石「はい」

提督「……」

明石「……」

提督「……ま、ドイツにもいいカードになるんじゃないの、Littorioの強化とか」

明石「だといいんですけどね」



< 遭遇 >





あきつ丸「……あぁ」

提督「よう」

あきつ丸「……また面倒な相手と鉢合わせたものであります」

提督「酷いなぁ。別に取って食ったりはしないぜ? 」

あきつ丸「どうだか。提督殿が近付けば半径数mの雌馬すら孕むという噂も」

提督「いやいやいや、獣姦の趣味は無いから」

あきつ丸「あぁ、獣の如く盛る、の間違いでしたかな」

提督「いやぁ……」

あきつ丸「……」

提督「……」

あきつ丸「……否定もしないとはやはり度し難いオトコでありますね、あなたは」


< こそこそ話 >





加賀「今回は支援に徹する他なさそうね」

雲龍「そうですね」

天城「それも重要な任務ですし」

加賀「……改めてあの基地の戦力は偏りが酷いわね」

雲龍「確かに軽巡がゼロ、というのもよくわからない配置です」

天城「正規空母が3、というのも基地の規模からすれば逆に過剰ですね」

加賀「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

加賀「……半端に軽巡が増えてもあの人の夜が騒がしくなるだけよね」

雲龍「……私たちの時間が減るだけです」

天城「……ですね」


< 私を笑顔にしてくれる、そんなあなただから >





山城「いい加減諦めたら? いつまでウジウジ燻ってるのよ」

金剛「……山城には言われたくないデース」

山城「私はいいのよ。叶わないことが分かり切ったものに夢を見てるだけだから」

金剛「…………」

山城「…………」

金剛「……片想いのままでも、ハッピーエンドにならなくても」

山城「……ええ」

金剛「恋を続けることが、イイ女だって、信じてるネ」

山城「…………」

金剛「……あの人に近付いて、私を知ってもらって、仲良くなって、好きになってもらって」

山城「…………」

金剛「そういう作戦を練って、夢を見て、それが恋でショウ? 」

山城「…………」

金剛「…………」

山城「…………不幸だわ。私も、あなたも」

金剛「……No.私も山城も幸せ者デース。
誰かを好きになって、ずぅーっと恋を楽しめるんですカラ、ネ? 」


ありがとうございました


< 艶夢 >





提督「おぉぉぉぉぉ……! 」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……なんなのなの。なんなのなの……ひえー」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………一人寝の夜に You Can Say Good Bye! ……しないといけない気がする」


< 欲望に打ち勝ったつもり >





高雄「……なんです」

提督「……ん? 」

高雄「……私の胸に、何か」

提督「や、なんとなく、うん」

高雄「はぁ」

提督「…………」

高雄「……本当に、なんです」

提督「……なんとなく、さ、うん」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……」

提督「……帰ったらさ、久々にメイドコスでもしようか」

高雄「…………は? 」


< あなたの気まぐれを愛したい >





提督「今日はピザの日らしい」

Littorio「はぁ」

提督「まぁ、この国だけの話なんだがな」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「……本当にただの興味ですけれど」

提督「おう」

Littorio「提督は、どのようなピザがお好みですか? 」

提督「んー……カプリチョーザで」

Littorio「Capricciosa……そう」

提督「Littorioなら分かるだろ? 俺の好みくらい」

Littorio「……本当に、まったく、あなたという人は……まったく」



< 陰謀の匂ひ >





提督「そーいや、Romaは今回参加していないんだな」

Littorio「祖国に戻っているようですね、先週から」

提督「ふーん」

Littorio「……あなたが何かしたのでしょう? 」

提督「うん? 」

Littorio「Littorioはいいですけれど……Romaには恨まれますよ? 」

提督「うーん……? 」

Littorio「…………ま、Littorioは自分が強くなれる分には構いませんけれど」

提督「そ、お前がそうならいいさ」

Littorio「…………」


< そっと口づけをお願いします >





高雄「あの」

提督「うん? 」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……」

提督「……ん? 」

高雄「…………これから演習と作戦で、まともに話せません」

提督「そうだな」

高雄「……だから、その」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………おいで」

高雄「は、い…………ん」


< セルフ放置プレイ >





高雄「……♪ 」





雲龍「……何あの機嫌の良さ」

天城「提督のお部屋から出てきてからですね」

雲龍「……」

天城「まぁ、戦力的にはいいことですよ、戦意が高揚するのは」

雲龍「…………私の戦意が低下しているのだけれど」

天城「姉様も提督にお会いしますか? 」

雲龍「……やめておくわ。とても惹かれるけれど」

天城「はぁ」

雲龍「…………長く欲求不満を溜めてみるのも楽しそうだから、ね」


< どんな言葉を積み重ねるより確かな >





天城「もしあの人が無自覚だったら」

雲龍「無自覚? 」

天城「ええ。あの人が自分の魅力や振る舞いに無自覚だったとしたら」

雲龍「む……」

天城「今より酷いことになっていたでしょうね」

雲龍「…………ないわ」

天城「そう、でしょうか」

雲龍「あの人の魅力はあの人が自覚してこそのものよ。自信とかそういうものの類い」

天城「ん……」

雲龍「大体あの見た目で無自覚とか馬鹿でしょ。馬鹿はそもそもモテないわ」

天城「……なるほど」


< 噂の女と例の男 >





鹿島「お初にお目にかかります、練習巡洋艦、鹿島です」

提督「へぇ……エロいな」

鹿島「は? 」

提督「うそうそ冗談。……よろしく、とある要港部の提督です」

鹿島「冗談は程々に、閣下」

提督「へーい」

鹿島「……」

提督「……」

鹿島「……そう、あなたが……例の提督さんなのですね」

提督「…………例の? 」


< どうも弾まない内容 >





愛宕「ね、今日の誕生石は? 」

高雄「こんな……演習目標地点までの海上で? 」

愛宕「だからよぉ。和ませるために、ね? 」

高雄「……」

愛宕「ね? 」

高雄「十一月二十日の誕生石はパパラチアサファイヤ。
石言葉は“ 親切心 ”、“ 穏やか ”、そして“ 優しい ”」

愛宕「へぇ……」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……和んだかしら」

愛宕「……たぶん? 」


< 母なる海に抱かれて >





高雄「今日の誕生花はタラゴン。花言葉は“ 潔癖 ”」

愛宕「潔癖かぁ」

高雄「ええ」

愛宕「……艦娘の中に潔癖はいないわね。というか存在できない」

高雄「まぁ、海上は……磯の香りでもダメな人はダメらしいですし」

愛宕「いつの間にか艤装に貝が入ってたことあったわ、私」

高雄「私も魚を握り締めていたことがありますね、何故か」

愛宕「うーん……」

高雄「……」

愛宕「……海って不思議ねぇ~ 」


< 困難や壁にぶつかったとき、人は成長するんだ >





時雨「極々普通、とは言えないかも知れないけれど」

提督「うん? 」

時雨「提督のそばに少しでもいるとね、思わされるんだ」

提督「……」

時雨「あぁ、なんて僕はつまらない生き方をしているんだろう、いつまで日陰を歩いているんだろうってね」

提督「……」

時雨「……提督には関係ない話かもしれないけどね」

提督「…………」

時雨「…………」

提督「……大人過ぎるのも考えるものだな」

時雨「ふふ……誰の所為でこうなってしまったんだろうね、まったく」


< お星様の元では輝けない >





提督「今日のカクテルはピンククレオール。
カクテルワードは“ お星様のように陽気な麗人 ”、だ」

加賀「夜間演習、ね。つまらないわ」

提督「技術的には磨けばなんとかなるだろう? 」

加賀「しかし果たしてそれが認められるかどうか」

提督「あぁ……俺も軽々と承認するわけにはいかねぇしな」

加賀「……そう」

提督「……」

加賀「……飛ばすことしかできないのよ。それを禁じられては、存在する意味がない」

提督「……俺の前でそれを言うのか」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……悪かったわ」

提督「ん……別にそこまで気にしてるってわけでもないけどさ」


< きっとおそらくもしかしてやる気が無いだけ、な筈 >





提督「まぁ、そのうちドイツの子は挨拶に来るだろうけど」

加賀「遅いわ。この艦隊の最高指揮権を持っているのよ? 」

提督「ドイツ的には帝都と横須賀の君で十分だと判断したんだろ。……もしくは」

加賀「もしくは? 」

提督「なにか思惑があるのか。Bismarckにすら会ってねぇし」

加賀「知り合いだったわね、確か」

提督「ドイツで会ってるしなぁ。まさか何年か経って横須賀で会うとは思わなかったからびっくりしたよ」

加賀「……その女が今回に限って来ない、と」

提督「そうだな」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……料理は上手いのかしら。楽しみにしてもいいと思う? 」

提督「さぁ……そーいやつくってもらったことないなぁ」


ありがとうございました


< 来訪者 >





鹿島「提督さんはいらっしゃいませんか? 」

高雄「提督なら艦長に作戦のことでお話があると」

鹿島「そうですか……」

高雄「用件があるなら聞いておきましょうか? 」

鹿島「いえ、用があるわけではありません。少しお話したかっただけですから」

高雄「はぁ」

鹿島「……」

高雄「……」

鹿島「……あなたが提督さんの一番、なのですか? 」

高雄「……はい? 」


< 素質 >





鹿島「まぁ、普通なら一番だけなのですけれど」

高雄「……そうですね」

鹿島「……」

高雄「……」

鹿島「……」

高雄「……ん、あぁ」

鹿島「? ……この感じ、香取姉ではないですよね……ん」

高雄「でしょうね。お目当てが来たようですよ」

提督「うぃーっす。……ん? どうした? 」

高雄「なんというか……お喋りしていただけです」

鹿島「ほらぁ、やっぱり。提督さんだった……ふふっ」

提督「おう。僕は提督さんですが、何か? 」





雲龍「……なにあれ」

天城「く、靴音とか違いますしね、ね? 」

雲龍「…………鹿島より高雄よね。あれが一瞬普通に思えた自分がおかしいはずなのに」


< 海の喧嘩を陸まで持ち越さない、とは言うけれど >





提督「つーかさ」

愛宕「うん」

提督「物資揚陸が目的のクセに目前で演習とか舐めてるだろ」

愛宕「まぁ……そもそも物資輸送の護衛には過剰な戦力だし? そんなのは愚問よ、愚問」

提督「……物資輸送に託けた新兵装のお披露目とドイツ、イタリアとの駆け引き、か」

愛宕「オーストラリアとかニューギニアの同盟国軍から物資そのものは滞りなく運ばれてるしね」

提督「……陸軍があそこにいる意味も本来は無いしな」

愛宕「体のいい拡張よねぇ~ 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……つまんねぇ顔してたら艦長その他に馬鹿を見る目で見られたんだけど」

愛宕「横須賀に帰ってからが楽しみねー……ふふ」


< 魔窟のような場所を想像している >





龍田「今日は街コンの日、なんですってぇ~ 」

金剛「……誰かと思えばあなたデスカ」

龍田「で、本当はいい加減それくらい行ってみても、って言おうかと思ったの」

金剛「……また勝手に進めるんデスカ」

龍田「いつもでしょう? ……でもよく考えなくても外部には行けないわよね」

金剛「デスネ」

龍田「しかもあの人よりお金持ちで若い人なんて来なさそうよね」

金剛「……デスネ」

龍田「一応明日のいい夫婦、の前段階らしいんだけどぉ」

金剛「……その集まりでいい夫婦になれるかは見もの、デスネー」

龍田「ね」





鈴谷「……あの二人ってどうして笑顔とか真顔でいろんな人に喧嘩売れるんだろう」

扶桑「さぁ……でもあの二人ってあれが挨拶みたいなものだし」

鈴谷「そーだけどさー……」

山城「……扶桑姉さまも鈴谷も大概酷いと思うけれど」


< Patrol Torpedo boat >





高雄「十一月二十一日の誕生石はレッドカラージェイド。
石言葉は“ 協力 ”、“ 執念 ”、“ 前向き ”、そして“ スタミナ ”」

愛宕「なーんか新しいタイプの敵が確認されたみたいよ」

高雄「なるほど」

愛宕「どんな相手なのかは知らないけど」

高雄「……あなたはあの人に何のために着いていっていたのかしら」

愛宕「別に。一緒にいたかったからいただけだけど? 」

高雄「…………」

愛宕「…………ま、その辺のこと調べるために新しい編成を考えてるはずよ、今頃」

高雄「……あなたといると時々余計なスタミナを使うわ」


< 誰が為にベルを持つのか >





高雄「今日の誕生花はベルフラワー。花言葉は“ 不変 ”」

愛宕「不変、ねぇ」

高雄「ええ」

愛宕「不変を望む気持ちは不変ではないからこそ、みたいな」

高雄「当然のこと。あなたは空気や水を」

愛宕「うんうん、それは分かるんだけれど」

高雄「……」

愛宕「……不変って難しい話だってこと。一概に変わることが悪いわけじゃないし」

高雄「…………あなたや私が変わったからこそ不変を望むようになったわけだものね」

愛宕「うん……そう、ね、まさしくそうかも」


< 心配で夜も戦えない >





提督「ふぃー……柔らかな揺れない布団で寝たい」

高雄「そう、ですね」

提督「どうもね、海の男にあるまじきー、な気もするけど」

高雄「私も陸の方が好きですから」

提督「んー……」

高雄「……」

提督「……その本取って」

高雄「……どうぞ」

提督「さんきゅ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………風邪なんて引かないでくださいね? 」

提督「ん、お前が看病しやすいところに行くまで、頑張っとくさ」


< 手を繋いで、肩を寄せ合って >





提督「今日のカクテルはトレスコスモポリタン。
カクテルワードは“ レベルアップしようとする努力家 ”、だ」

高雄「このお酒は、どのような? 」

提督「あぁ、テキーラベースのショートだな」

高雄「……」

提督「で、まぁオレンジキュラソーにクランベリーとライムを少々お好みで」

高雄「……甘い? 」

提督「それなりにな。俺はあんまり甘くしない方が好きだけど」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……お酒の入らない夜は、少し寒いですね」

提督「大胆になれないからな、仕方ない。…………ん」


ありがとうございました


< 今日この日を共にいたい >





愛宕「今日は待ちに待ったいい夫婦の日、なんだけれどぉ~ 」

高雄「……待ちに待ってなどいないような」

愛宕「そこはほら、枕詞とか前置きとよー」

高雄「はぁ」

愛宕「いい夫婦の日なのにどうして私たちは海上でよくわからない敵と戦ってるの? 」

高雄「それが仕事だ、としか」

愛宕「えぇ~……」

高雄「……」

愛宕「…………苛々ぶつける相手が近くにいると思えばいっか」

高雄「それはそれで本末転倒のような」


< 意識的にか、無意識的にか >





提督「……留守番って暇だな」

鹿島「暇? 」

提督「や、船内でも仕事はあるけどさ」

鹿島「はい。提督さんにしかできないお仕事が沢山」

提督「……」

鹿島「……」

提督「……」

鹿島「……うふふっ」

提督「……」

鹿島「……」

提督「……」

鹿島「……えへへっ」

提督「……………………なに? 」

鹿島「? 」


< 幕間、あるいは血戦への幕開け >





愛宕「さっきのお話の続きだけれど」

高雄「はぁ」

愛宕「いい夫婦の日、って何すればいいのかしら」

高雄「それはまぁ愛を確認したりするのでは」

愛宕「それはまたどうやって? 」

高雄「贈り物とか、言葉とか」

愛宕「ふーん……」

高雄「……」

愛宕「……いつも通り? 」

高雄「イベントで確認しなくともいい夫婦、ないしパートナーだもの」


< 気付けば追い越していることを願って >





瑞穂「やはり、目覚ましいものですね」

Littorio「はい? 」

瑞穂「千歳さんも、千代田さんも」

Littorio「あぁ、瑞穂と同じタイプなのでしたね」

瑞穂「……瑞穂も、負けていられません」

Littorio「そうですね。……Littorioもドイツの方には負けていられません」





叢雲「……ポテンシャル、か」

漣「ん? どうしたの? 」

叢雲「なんでもないわ。……私たちも行かないと、先へね」


< 砲弾が掠めるのすら戦意を揚げる為の >





高雄「十一月二十二日の誕生石はピンクサファイヤ。
石言葉は“ 親切 ”、“ 優しい ”、“ 気配り ”、そして“ 豊かな心 ”」

愛宕「あ、特にいい夫婦の日と連動したりはしてないのね」

高雄「いい夫婦の日の方が後発ですし」

愛宕「そ。……まぁ優しいとか気配りは基本過ぎてわざわざ言うことじゃないわね」

高雄「ええ」

愛宕「世の中には抑圧されたい人もいるかもだけど」

高雄「雲龍さんのような? 」

愛宕「そう、雲龍みたいなマゾ」

高雄「本人が否定しないあたり生粋な」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……どうも苦境だと軽口が進むわね」

高雄「夫婦で、似たのかもしれませんね」


< 弱い自分を認識することが一歩目の >





高雄『今日の誕生花は金梅草。花言葉は“ 品位 ”と“ 気品 ”』





提督「とか言ってるんだろうな」

鹿島「はい? 」

提督「いや、俺の嫁は強いなって話」

鹿島「は、はぁ」

提督「いつでも自分を見失わないって結構難しいことだからさ」

鹿島「そう、そうですね。……私もそう思います」

提督「そう? 」

鹿島「はい。提督さんのことを見ているだけで、自分が分からなくなってしまいますもの」

提督「……そ」

鹿島「…………ふふ」


< 好きなことをするあなたを見ることが好きということ >





提督「今日のカクテルはピニャコラーダ。
カクテルワードは“ 好きなものを見ると美しく輝く人 ”、だ」

鹿島「提督さんはお酒がお好き? 」

提督「無いと生きていけないくらいにはね」

鹿島「ふーん……」

提督「……」

鹿島「……提督さんがお酒飲んでるとこ、見てみたいな」

提督「面白くなんてないと思うが」

鹿島「いーえ。好きなことをしている男性って、きっと誰であれカッコいいですよ? 」

提督「そうかな。……鹿島の好きなことは? 」

鹿島「さぁ……ふふっ、まだ秘密です」

提督「まだ? そう……まだ、ね」

鹿島「ええ。……それとも今吐かせてしまいます? 命令なら、私は」

提督「いや…………いつか聞けること、願っとくよ」


< それから暫くして >





提督「あれだな、鹿島、っていうか練巡の服はやべぇな」

明石「は……? 」

提督「だって俺思わずエロいって口走っちゃったもん」

明石「えぇ……さすがにヤバいでしょそれは」

提督「だよね。……でもあの性格もヤバいと思うよ」

明石「いやいや、鹿島さん初めてお会いしましたけどあんな人に提督の欲望ぶつけちゃあ……」

提督「や、別にぶつけてないから」

明石「今のところは、でしょう」

提督「まぁ……」

明石「……問題なんて起こさないでくださいよ? 」

提督「そこは任せろ。問題を問題じゃなくしてしまえばいいわけだからな」

明石「…………鹿島さんにお願いした方が早いかもしれないですね、これは」



< 信用 >





明石「というか暇なんですか? 」

提督「うん? 」

明石「こんな夜に私のとこ来て」

提督「……だって高雄たち皆いねぇし後は交代前でピリピリしてるし」

明石「……私も暇じゃないんですけど」

提督「付き合えよ。鹿島はさっき寝ちゃったんだ」

明石「そりゃ半日あなたに付き合ってれ……寝た? 」

提督「あぁ」

明石「……普通の意味で? 」

提督「普通の意味で。なんにも疲れるようなことはしてないぞ」

明石「本当ですかね」

提督「本当本当。今すぐお前お持ち帰りしたいくらい本当」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……でもあの見るからに初心そうな人落としてここ来るのくらい余裕ですよね、提督さん? 」

提督「え、えーっと……」


ありがとうございました


< 帰還。そして足音 >





高雄「……寝ましょう」

愛宕「言われなくても」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……寝ないの? 」

高雄「……寝る、けれど」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……! 」

高雄「…………ん」

愛宕「……ふーん? 」


< 割と気にする >





提督「よう」

高雄「おはようございます」

愛宕「おはよー」

提督「ん、まだ寝てなかったのか」

愛宕「んー、寝ようとしてたけど高」

高雄「丁度寝るところでした。……私たちが寝ていたらどうするつもりだったんです」

提督「鍵開かないし大人しく戻ったさ」

高雄「はぁ……それならそもそも私たちが帰ってきたときにーー」





愛宕「ふーん……? …………もう、高雄ったら」


< 責任なんて下らないものは放り投げて >





高雄「十一月二十三日の誕生石はポピーパール。
石言葉は“ 責任感 ”、“ 前向き ”、“ 積極的 ”、そして“ 知能 ”」

提督「ん、別にもう少し寝ていてもいいんだが」

高雄「気になさらず。退屈凌ぎのようなものです」

提督「そうか」

高雄「はい」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……お前が特に問題もなく戻ってきて嬉しいよ」

高雄「私もです」

提督「…………今すぐつかまえて、俺だけを見つめさせて、抱き締めたい」

高雄「…………私も、です」


< それもまた優しさ >





高雄「今日の誕生花はストレリチア。花言葉は“ 未来 ”と“ 全てを手に入れる寛容 ”」

提督「全てを手に入れる寛容ってのは」

高雄「ええ」

提督「その寛容さが回り回って全てを手に入れる力になる、ってことなのか」

高雄「さぁ……あまり深い意味は無いように思いますけれど」

提督「……」

高雄「……」

提督「……優しいだけじゃなぁ。時々喧嘩してみたりしないと楽しくない」

高雄「喧嘩ならいつでもできますよ? 」

提督「まぁ…………そうやって幾つかの火種を抑えられる寛容さが大切なのかもな」

高雄「……抑えているのではなく諦めですけれどね、私の場合」



< DODとかかな >





漣「今日ってたまごっちが発売された日なんだって」

叢雲「へぇ、いつ? 」

漣「九十六年だから……十九年前だね」

叢雲「……時代を感じるわ」

漣「だねー」

叢雲「まぁ、私は見たことすらないんだけどね、それ」

漣「漣も無いよ。……あとゲームの日でもあるんだよね。
どうしてこんな素晴らしい日に漣は他人の為に戦っているのか」

叢雲「さぁ……そんなこと考える暇があったら」

漣「今は休憩中でしょ? それとも叢雲ちゃん偵察機でも飛ばす? 」

叢雲「……」

漣「……」

叢雲「……まぁ、飛ばせたらいいな、とは思うわ。ゲームみたいに」

漣「ゲームみたいに? 」

叢雲「ええ、本当はできないようなことができたり、
努力がハッピーエンドに繋がるでしょう? しかも大団円」

漣「う、ん、まぁ大体はそうだね、うん」


< 世界を自ら狭めるということ >





江風「今日は勤労感謝の日らしいけどさ」

海風「うん」

江風「江風たちの勤労には誰が感謝してくれるンだ? 労わってくれンの? 」

海風「提督が」

江風「や、あの人以外で」

海風「……」

江風「……」

海風「…………労わってもらいたいの? 」

江風「そりゃ……姉貴は違うっていうのかよ」

海風「海風は江風とか提督がいてくれればいいから。
海風を道具だと思う人にはそもそも興味無いし」

江風「そっ、か。……病ンでるなぁ」

海風「江風こそ」


< 底無し沼からの誘い >





加賀「……異様に調子がいいわ」

雲龍「はぁ」

加賀「やはり赤城さんがいてあの人が真面目な顔をしているのはいいわね」

雲龍「赤城さんは兎も角あの人は嗜虐的な方がいいと思いますが」

加賀「それはあなただけでしょう」

雲龍「私だけ、ということはさすがに」

加賀「…………兎に角気分が高揚して仕方ないわ」

雲龍「私は、素質あると思うんですよね、加賀さん」

加賀「……」

雲龍「痛ぶられて相手を涙目で睨みつける加賀さんとか想像しやすいと思います」

加賀「…………喧嘩でも売ってるのかしら。買うわよ? 」

雲龍「そうやって頑なに認めないところも……ふふ」


< あなたの声で起きたいから >





天城「姉様」

雲龍「なに? 」

天城「明日の朝、しっかり起きれますよね」

雲龍「…………」

天城「……姉様? 」

雲龍「冗談。当然よ」

天城「……本当ですか? 」

雲龍「私はね天城。しないこと、力を入れないことを決めているだけなの」

天城「はぁ」

雲龍「何をしようかあれこれ考えるより何をしないか考えた方が結果的には多角的に考えているのよ」

天城「なるほど」

雲龍「…………」

天城「…………それならば明日の朝は天城が声を掛けなくても構いませんね」

雲龍「……いや、あの…………それは天城のやらないこと、には当てはまらないと思うわ」



< いっそ道具になりきれたら >





江風「……………………」

海風「……………………」

江風「…………死にそう」

海風「死にそうな場所からは離れたと思うけど」

江風「そりゃ母艦まで戻ってきたしな……疲れたってこと」

海風「……」

江風「……」

海風「……」

江風「……目の前で僚友が沈んでくところ見るンだぜ? 」

海風「……当たり前でしょ? 」

江風「あぁ。そうかもな。…………あれが当たり前だなンて最低だ」

海風「最低から抜け出す為の戦いだからね」

江風「誰が? 」

海風「……」

江風「……誰が抜け出す為なンだよっ! 答えてみろよ海風! 」

海風「……………………うるさい江風。もう寝る時間」

江風「姉貴! 姉貴はそれでいいのかよ。この戦いは江風やテートクや友達の為じゃないンだぜ? 」

海風「…………」

江風「江風は、江風は……そンな悲しいのは、嫌だ、嫌なンだよ」

海風「……それで? 」

江風「…………」

海風「……今まで道具か化け物扱いしてきた人たちが掌返すところ見たいの? 」

江風「…………」

海風「海風は見たくない。海風たちをそんな風に見るなら、
せめていつまでも恨ませてくれるくらいはしてほしいから」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………寝るか」

海風「……………………風当たってくる」


< コスモポリタンなんて夢は見てはならない >





提督「今日のカクテルはグランマルニエコスモポリタン。
カクテルワードは“ 生まれながらの楽天家 ”、だ」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………」

提督「……どうした。外寒くないか? 」

海風「……軍に身を置いていても、好奇の目か、嫌悪しかないのですね」

提督「……うん? 」

海風「海風は、元々見ず知らずの人の為に戦っている意識なんて殆どありません」

提督「……あぁ」

海風「……だから、せめて無関心で、放っておいてくれ、れば」

提督「…………」

海風「…………」

提督「……ごめんな」

海風「……謝って、ほしいわけではありません。
それに、提督には謝ってもらう理由が」

提督「泣いてるから」

海風「……え? 」

提督「女の子が泣いてるのに謝らない理由なんてないさ」

海風「……いつか、刺されますよ」

提督「……慰める力が無いことを謝るんだ。許してくれよ」


ありがとうございました


< 洒落にならない >




愛宕「たーかお」

高雄「…………Zzz」

愛宕「たーかーお」

高雄「…………ん…………? 」

愛宕「朝、朝よ」

高雄「…………そう」

愛宕「うん」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………枕元に座って顔を近付けているのは何故かしら」

愛宕「ん、んー……ちょっと綺麗な寝顔だったから……ね? 」

高雄「…………」

愛宕「あーん、別にほっぺとか唇が湿ってないか確認しなくてもぉ~ 」


< 大抵自覚は赦しにならない >





加賀「昨日はよく眠れたかしら」

雲龍「……適度には」

天城「姉様は天城より早く寝て遅く起きたようですからね」

雲龍「……」

加賀「あなた割と適当よね。よくそれで艦載機の運用ができるわ」

雲龍「好きなもの、好きなことには真摯、がモットーなので」

加賀「……そう」

天城「早寝遅起き、好きなものへの愛、そして欲望に忠実……」

雲龍「…………ガキね」


< 熱を持った心が穏やかに >





高雄「十一月二十四日の誕生石はラベンダーカラージェイド。
石言葉は“ 熱心 ”、“ 向上心 ”、“ 積極的 ”、そして“プラス思考 ”」

提督「…………Zzz」

愛宕「この状況見られたら大変ね」

高雄「……見られるような場所で膝枕など」

愛宕「緊急時とか」

高雄「その場合は先に起きるでしょう。こう見えて敏感ですから」

愛宕「確かにそうかも。野生児みたいなとこあるわよね」

高雄「ええ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………ね、代わって? 」

高雄「イヤ」


< それもまた変わらぬ魅力、かもしれない >





高雄「今日の誕生花は金木犀。花言葉は“ 謙遜 ”、“ 真実 ”、そして“ 変わらぬ魅力 ”」

愛宕「…………む」

高雄「……代わらないわよ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……おねーちゃーん☆ 」

高雄「うわぁ……」

愛宕「…………無し、今の無しね」

高雄「……代わってあげましょうか? 」

愛宕「……憐れまないで」

提督「…………Zzz」


< 揺蕩う水面、震える心 >





龍田「あら……」

海風「…………」

龍田「……どうしたの? 海なんて嫌という程見ているでしょう? 」

海風「……龍田さん? 」

龍田「そうよぉ。死神にでも見える? 」

海風「…………笑えない冗談ですね」

龍田「んー……」

海風「…………」

龍田「…………」

海風「…………」

龍田「……硝煙の臭いも、海水の臭いも、敵の血や脳漿の臭いも。私たちだけの幻影なの」

海風「……は? 」

龍田「でも提督みたいな人や、天龍ちゃんみたいな子とか、江風ちゃんみたいな子は現実なの」

海風「なにを」

龍田「陸に帰れば、私たちは少しだけ幸せ。そう思わなきゃ」

海風「…………」

龍田「あなたが何か考えるのも悩むのも自由だけれど~ 」

海風「……」

龍田「その所為で沈むのはあなたの大切な存在なの。それだけ覚えていた方がいいわ」

海風「そんな、ことは」

龍田「それで陸に帰ったら提督にいくらでも甘えなさい。それくらい許してくれる人なんだから」

海風「…………」

龍田「…………ま、私も好色な目で見てくるだけの蛆虫には不愉快だから消えてほしいけれどぉ~ 」


< いいね! >





提督「今日のカクテルはミドリコラーダ。
カクテルワードは“ 何事にも心から喜べる芸術家 ”、だ」

鹿島「つまり、感受性の高い? 」

提督「そうだな。俺みたいな」

鹿島「提督さんは芸術や美術の心得も? 」

提督「や、感受性が高過ぎるから芸術が俺に着いてこれない」

鹿島「……あぁ」

提督「む……」

鹿島「でも、大丈夫ですよ? 」

提督「うん? 」

鹿島「私は提督さんが下手絵さんでも構いませんから、えへへっ」

提督「…………逆に心にくるんだけど。なんなの天然なの? 毒なの? 」


< >





提督「……ま、これで今日のありがたいお話はお仕舞いってことで」

鹿島「そう……」

提督「……」

鹿島「……今日は高雄さん? 愛宕さん? それとも二人? 」

提督「……別に何もしないが」

鹿島「一緒に寝るのが何でもないことに入る程、そうですか」

提督「…………お前の部屋で寝ようか? 」

鹿島「いえ……提督さんを困らせてみたかっただけですから」

提督「はぁ」

鹿島「提督さんの困った顔とか、仕方ないって顔、とっても魅力的なんですよ? 」

提督「前にも言われたなそれ、誰かに」

鹿島「そうやって無意識に失言するところも」

提督「……」

鹿島「……ふふっ、では私は部屋に戻りますね? 」

提督「あぁ」

鹿島「お部屋の鍵、開けておきましょうか? 」

提督「香取が困るだろ。……行かないから心配すんな」

鹿島「はーい。…………ふふ」




< その後、暖かな微睡みの中で >





提督「ん? 戦争が終わったら? 」

高雄「ええ。海風さんではありませんが……不安が無いわけではありません」

提督「ってもな……まぁ、俺とお前は一緒にいるだろうよ」

高雄「……」

提督「軍や帝都がどう動くかは見当が付、かなくはないが……逃げるにしろ正当であるにしろ、な」

高雄「……何もかも捨てないといけないかもしれないのですね」

提督「そりゃね。それだけ価値のあるものを手に入れようとしてるんだし」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……ま、その辺りを俺たち自身の力でどうにかしようとするなら」

高雄「はい」

提督「俺が軍や帝国の中枢に食い込めばいい。そうすれば」

高雄「ふふ」

提督「うん? 」

高雄「……全くその気なんて無いのに」

提督「お前が望むなら全霊を賭けてもいいさ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………戦争が終わらなければいいのに、そんなことを考えてしまいますよ、私は」


< Not for you,but for me >





提督「ま、俺は刹那主義者で享楽主義者だから」

高雄「……」

提督「今を楽しく生きられればいいよ」

高雄「……」

提督「だからさ、高雄」

高雄「……はい」

提督「今お前が悲しい顔をしているのは楽しくないんだ、俺にとって」

高雄「……」

提督「今できることは少ないけど……それでも」

高雄「…………」

提督「……………………お前は俺の為にいるんだよ」

高雄「……………………はい」






ありがとうございました


< 膝枕と退屈と嫉妬と >





高雄「十一月二十五日の誕生石はピンクコバルトカルサイト。
石言葉は“ 癒し ”、“ 優雅 ”、“ 没頭 ”、そして“ 閃き ”」

愛宕「あー……癒されるぅ」

高雄「そう」

愛宕「ふかふかムチムチでいいわぁ」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……ふー」

高雄「っ……馬鹿なの? やめてほしいのだけれど」

愛宕「私を膝枕してるのに書類にかまけて適当に応えてるからですー」


< 深くあなたを確かめたい >





高雄「今日の誕生花はネリネ。花言葉は“ 美肌 ”、“ 美人 ”、そして“ 若返り ”」

提督「……俺がいないとこでやってくんねぇかな」

愛宕「いいの? 」

提督「高雄は置いてけよ」

愛宕「えー……」

高雄「私も仕事中なのよ? 」

愛宕「知ってるわよ。私もさっきまでしてたし」

提督「……」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「…………帰りてぇ」

高雄「そうですね」

愛宕「そうねぇ。なんだかお肌も元気が無い気がするし。若返るような運動したいわぁ」

提督「そうだな」

高雄「……………………そうね」


< 顔に出やすい人 >





鹿島「提督さんっ」

提督「ん? ……寄んなよ。臭い付くぞ」

鹿島「大丈夫。少しの間ですから」

提督「…………」

鹿島「ぁ……別に消さなくてもいいのに」

提督「いいんだよ。貰い物の煙草処理してただけだ」

鹿島「はぁ」

提督「で、何か用? 」

鹿島「別に用事なんてありません。提督さんがいたから話しかけてみただけです」

提督「そっか」

鹿島「……だからお煙草消さなくてもよかったのに」

提督「煙草よりお前の方が大事だからな」

鹿島「ん…………」

提督「…………」

鹿島「…………えへへっ」


< 調教というかいじめ >





鹿島「あ、でもでも」

提督「うん? 」

鹿島「提督さんってお煙草吸うんですね。私てっきり」

提督「吸わないと思った? 」

鹿島「ええ。だって女性ばかり周りにいるでしょう? 」

提督「まぁな。……高雄たちも服に臭い付かない限りは嫌ってないんだよ」

鹿島「ふーん……」

提督「……」

鹿島「……私も高雄さんたちみたいに染めちゃいますか? 」

提督「いや……別に嫌いじゃないんだろ? 」

鹿島「提督さん以外の方が吸っているのは嫌いですよ? 」

提督「……んん」

鹿島「えへへ」

提督「……吸ってたの俺だし煙草調教とか別なの連想するだろ」

鹿島「ふふ、ふ……? 」



< 初めて言われた >





鹿島「……♪ 」




雲龍「……あら」

鹿島「あ、雲龍さん」

雲龍「あなたは、鹿島だったわね」

鹿島「ええ」

雲龍「…………」

鹿島「…………」

雲龍「…………」

鹿島「…………」

雲龍「…….なに? 」

鹿島「あの……怒っていらっしゃいません? 」

雲龍「……え? 」

鹿島「え? 」


< 嗅覚 >





雲龍「……私こういう顔なのよ」

鹿島「なーんだそうだったんですか。私てっきり何かしでかしてしまったのかと」

雲龍「初めてまともに話したじゃない」

鹿島「そうなんですけどね、えへへっ」

雲龍「……」

鹿島「……」

雲龍「……あなた」

鹿島「はい」

雲龍「あの人……最近提督と会った? 」

鹿島「え? 」


< 昔のことを思い出して >





あきつ丸「この戦争は、闘争は」

加賀「ええ」

あきつ丸「帝国の誇りを、人々の誇りを取り戻す為の戦いであり、自分たちが解放される為の戦いであります」

加賀「……」

あきつ丸「それを、その尊い戦いを戦争ビジネスだなどと言われたのが許せなかった」

加賀「……」

あきつ丸「自分は間抜けな道化かもしれない。嘲笑されても仕方ないのかもしれない」

加賀「……」

あきつ丸「それでも自分は、自分は」

加賀「…………それで僚友殴るなんでどうかしてるわ」

あきつ丸「……僚友だからこそ、でありますよ。加賀であってもああしていたはず」





瑞穂「……実は仲いいのでしょうか」

Littorio「喧嘩する程、みたいな」


< そのように聞く >





瑞穂「今更な話ですけれど」

Littorio「はい」

瑞穂「Littorioさん、この国の言葉御上手ですよね」

Littorio「そうでしょうか? 」

瑞穂「ええ。発音も殆ど完璧ですし」

Littorio「ん、発音は以外と簡単なのですよ。抑揚を抑えて話せば」

瑞穂「なるほど」

Littorio「その代わり文字が」

瑞穂「表音と表意の混合ですものね」

Littorio「最初見たときは意味がわかりませんでした」



< ナースプレイが嫌いなわけではない >





提督「今日のカクテルはエメラルドマティーニ。
カクテルワードは“ 世界的視野の憧れを持つ白衣の天使 ”、だ」

愛宕「私たちの近くでっていうと、明石? 」

提督「そうなるかな。本人は嫌がりそうだが」

愛宕「着てもらえば? 」

提督「は? ……なんでナース衣装の話なんだよ」

愛宕「そこはほら、ねぇ? 」

提督「俺は脳内ピンクじゃねぇし」

愛宕「まるで私がそうみたいじゃない」

提督「違うのか? 」

愛宕「違うでしょ」

提督「そうか? 」

愛宕「雲龍じゃないのよ? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……ピンク超えてないか? あいつ」

愛宕「……かも。フリーダムって何色なのかしら」


< 誤魔化すのもまた >





愛宕「それにしても」

提督「あぁ」

愛宕「今日って寒いわ」

提督「一緒に布団に入っててもか? 」

愛宕「温かいわよ? 外に出たくないだけで」

提督「自室くらい帰れるだろ」

愛宕「帰ってほしいの? 」

提督「……んー」

愛宕「ゃ……ん……」

提督「……」

愛宕「……んっ、こういうとき、好きにヤれないのは嫌ね……っ」


ありがとうございました


< いってらっしゃいの >





提督「……朝から会議ってのはかったるいな」

愛宕「決まり切ったことの確認だものね」

提督「あぁ」

愛宕「はい、上着」

提督「ん……」

愛宕「……いいわよ」

提督「さんきゅ」

愛宕「……ん」

提督「ん……」

愛宕「……いってらっしゃい」

提督「……」

愛宕「……」

提督「…………いや、お前も出席するだろうが副官」


< プライド >





高雄「十一月二十六日の誕生石はレッドアンバー。
石言葉は“ 魅力 ”、“ 信頼 ”、“ 思いやり ”、そして“ 頼られる ”」

叢雲「頼られるのって疲れるわね、やっぱり」

高雄「……悪い言い方ですが他者に頼る、というのは自分の本来負うべき労力を放棄するということですから」

叢雲「そう……そうね」

高雄「叢雲さんにそういう力があると認められた、ということでもありますが」

叢雲「……そんな魅力嫌ね」

高雄「……」

叢雲「…………その能力が無いのはもっと願い下げだけど」


< 自分を信じるあなたを信じて >





瑞穂「提督」

提督「うーん? 」

瑞穂「瑞穂は、お役に立てていますか? 」

提督「そりゃもちろん」

瑞穂「あぁ、いえ。なんと言えばいいのか……瑞穂が足手まといだ、とは自分でも言えません」

提督「あぁ」

瑞穂「ただその、皆さんが期待されている潜在力を発揮できているのでしょうか、ということです」

提督「さぁ……どうだろうね」

瑞穂「……」

提督「まぁ、俺は十分だと思うけど……そうじゃない、もどかしく思ってるやつもいるだろうね」

瑞穂「……やはり」

提督「……瑞穂」

瑞穂「……はい」

提督「新人っていうのはさ、低レベルに見えるべきなんだ」

瑞穂「はぁ」

提督「スポーツでも小説でも舞台でもさ、新人王とか新人賞ってのはそう見えないといけない」

瑞穂「……」

提督「その本人がどうとかじゃない。それまでその舞台にいたやつらに新人が簡単に通用していちゃ駄目だ」

瑞穂「……」

提督「鮮烈デビュー、なんて聞こえはいいけど既存のプレーヤーとかは恥じないといけない」

瑞穂「……」

提督「……ま、俺の考えだから普遍的ではないだろうけど」

瑞穂「……」

提督「……」

瑞穂「…………いえ、ありがとうございました。提督は褒めるのがお上手ですね」

提督「そりゃね。女の子と話すのはベテランだから、さ」


< 変わったもの、変わらないもの >





高雄「今日の誕生花はグラジオラス。
花言葉は“ 強気 ”、“ 強敵 ”、そして“ 決して諦めない ”」

金剛「諦めない、デスカ」

高雄「ええ」

金剛「……グラジオラスの花でも育てますカ」

高雄「金剛さんは今でも十分に強い方かと」

金剛「……Thanks.」

高雄「いえ」

金剛「…………」

高雄「…………」

金剛「……提督も高雄も加賀も、皆が横須賀にいたときに戻りたいネー」

高雄「……」

金剛「あれはとても素晴らしい……最高の日々デシタ」

高雄「…………今からでも、遅くはありませんよ」

金剛「そう、そうネ……でもそれは高雄にとってということ。
……私にとって、決定的に違うことがありマース」

高雄「……………………」

金剛「……………………」


< 海を眺めてぼんやり >





提督「眠いな」

雲龍「そうね」

提督「飲みたい」

雲龍「そうね」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……ヤりたい」

提督「そ、うだな、うん」


< 引き続き眺める >





雲龍「疼くのよ」

提督「うん」

雲龍「ふとした瞬間シたい衝動に襲われるの」

提督「あぁ」

雲龍「でもここで負けると、って思うと」

提督「そうだな」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「…………一本頂ける? 」

提督「……やめとけ」

雲龍「あなたも一緒に吸って。あなたといたことにするから」

提督「…………責任持たねぇからな」


< さらに眺める >





提督「……ス-…………ふぅ」

雲龍「…………ふぅ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………紫煙を吹きかけるのは」

提督「おう。…………ぁ」

雲龍「綺麗な輪ね。煙も綺麗に見える」

提督「どーも。……で? 」

雲龍「あなたを奪いたいだとか寝取りたいって意思表示だとか」

提督「あぁ」

雲龍「……ス-…………ふぅ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……吹きかけてみねぇの? 」

雲龍「そんな勇気ないもの。……できないことはしない主義だし」


< 神は我々に成功ではなく挑戦を求めている >





提督「今日のカクテルはロレットレモネード。
カクテルワードは“ 新たな可能性に取り組む挑戦者 ”、だ」

Littorio「……God doesn't require us to succeed.
He only requires that you try.」

提督「……マザー・テレサだな」

Littorio「…………人が、Littorioたちが挑戦するのは成功を夢見るからです」

提督「そうだな。失敗すると思って努力は払えない」

Littorio「……神が成功を望まないのならば、Littorioたちは誰の庇護にあればいいのでしょう」

提督「…………」

Littorio「…………そうだから神も宗教も嫌いなのです。マザーのような信仰者の境地ですらこれでは」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………抗い、戦い、進んだ先に何があるのか。
Littorioに興味を持たせてくれた人はそれをおしえてくれるでしょうか」

提督「……さぁ。それはそいつにも分からないんじゃないかなぁ」


ありがとうございました


< 嬉しい電波、実現する電波 >





提督「あぁ……今年のクリスマスはぱんぱかし過ぎて馬鹿めされそう」

愛宕「え? 」

高雄「……今すぐ言ってもいいくらい意味が分からないのですが」

提督「や、お前ら、期待してるから」

高雄「はぁ」

提督「性の六時間は六時間と言わず、ね」

高雄「それはいつものような」

提督「まぁな」

高雄「……妙なものを着ると寒いのですよ」

提督「そこを何とか。俺が温めるから」

高雄「……」

愛宕「……でも、楽しみでしょ? 高雄も」

高雄「……」

愛宕「ん? 」

高雄「…………まぁ、そうね」


< 一度下がったやる気は >





高雄「ま、今は目の前の仕事を片付けねばなりませんけれど」

提督「ひえー」

愛宕「はぁ」

高雄「普段よりも量は少ないでしょう? 」

提督「そういう問題じゃないの」

愛宕「ねー? 」

提督「ねー? 」

高雄「……本当に面倒ですね。叢雲さんでも呼んできましょうか? 」


< 誰もが主人公 >





高雄「十一月二十七日の誕生石はスカポライト。
石言葉は“ 善良 ”、“ 穏和 ”、“ 素直 ”、“ マイペース ”、そして“ 引き立て役 ”」

叢雲「へぇ、今日が誕生日だと可哀想ね」

高雄「まぁ……擁護し切れませんね」

叢雲「性格そのものが誰かを引き立てる為のもの、か」

高雄「…………」

叢雲「…………」

高雄「……自分がそうではないと信じ切れませんよ、私は」

叢雲「そんなこと。……私こそ、よ」





江風「なに言ってンだろあの人たち」

海風「江風、ああいうのをね、謙遜を通り越して嫌味、っていうんだよ」

江風「なるほど……なるほど」


< 葬式花、は西洋由来だが >





高雄「今日の誕生花は赤菊。花言葉は“ 愛情 ”、“真の愛 ”、そして“ 愛しています ”」

提督「かなり綺麗な花だよな」

高雄「ええ。どこかで見たことが? 」

提督「……ドイツで仲良くなった友達の母親はね、毎年ある日にそれを生けてたんだ」

高雄「はぁ」

提督「あぁ」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……で、別に旦那様が亡くなったりしていたわけではないのでしょう? 」

提督「まぁね。ふっつーに記念日に生けてたよ。記念に五十円玉あげてきた」


< シたいヤりたいヤッてみたい >





提督「おしえてやろうか? 女の悦ばせ方ってやつ」

山城「……馬鹿にしているの? 」

提督「あぁ、自分の身体でもう知っいでぇっ」

山城「……使う機会が無いでしょうが」

提督「や、分からないと思うけどな」

山城「大体」

提督「おう」

山城「……私におしえる、というのは私自身がまず“ おしえられる ”のでしょう? 」

提督「…………」

山城「…………」

提督「……やっぱおしえてやろいでっ」


< 忍者。あるいは姉妹テレパス >





扶桑「艤装の調子が……明石に見てもらわないと」

鈴谷「だねー。慢心と不備は駄目だよー」

扶桑「ええ。……やっぱり寒いと調子も悪くなるのかしら」

鈴谷「関節みたいな? なにそれおばさんくさーい」

山城「なんですって? 」

鈴谷「……どっから湧いてきたのさ」

扶桑「今そこから入ってきたでしょう? 」

山城「ええ」

鈴谷「あれぇー? これ鈴谷がおかしいのかなー……? 」


< 私の気持ち >





提督「今日のカクテルはホワイトモーツァルトミント。
カクテルワードは“ 多種多様な計画を生み出すアイディアマン ”、だ」

龍田「で、どれも使えないアイディアなのよねー」

提督「お前は要求が高過ぎるんだよ」

龍田「だって私よぉ? 理想が高くたって許されると思わない? 」

提督「……まぁな」

龍田「…………折角私の眼鏡に適ったのに。勿体無ぁい」

提督「……龍田眼鏡も似合うもんな」

龍田「んー、それもそうだけど」

提督「…………」

龍田「…………」

提督「……横須賀戻ったら飲もうか」

龍田「ええ。その考えは好みよぉ~ 」


< あいむはっぴぃ >






提督「海風」

海風「はい? 」

提督「おめでとう。それをお前が望まずとも、俺はお前がいてくれて嬉しい」

海風「……あぁ」

提督「……」

海風「…………提督」

提督「うん? 」

海風「屈んで、目を瞑ってください」

提督「…………」

海風「大丈夫、変なことはしませんから」

提督「…………約束だぜ? 」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………ん」

提督「…………」

海風「…………今は額だけですけど」

提督「…………」

海風「……いつか、提督からしてもらいますから」

提督「…………そうなると、いいな」


< いつか、いつか >





海風「…………」

提督「…………」

海風「…………ありがとう」

提督「うん? 」

海風「……提督が、あなたが海風の提督でよかった」

提督「こちらこそ」

海風「…………海風がいなくたって気にしないくせに」

提督「……気にはするさ」

海風「気に、は? 」

提督「甘い言葉で慰めてほしいのか? 」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………振り向かせたくなる言動、やめた方がいいと思いますよ」

提督「……そんなこと言われてもね。振り向かせようとする女の子可愛いもん」

海風「……屑」

提督「……あぁ」

海風「屑、本当に屑」

提督「そうだな」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………でも、そんなあなたのことを、海風はーー」


ありがとうございました


や、でも嬉しいですねぇ……
阿賀野型と好きですし
青葉は……まぁ


< ふと襟に香る彼女の名残で >





提督「あ」

高雄「はい? 」

提督「今思い出したんだけどさ」

高雄「……くだらないことじゃないでしょうね」

提督「一昨日の二十六日にLittorioがやけに神とか宗教とか言ってたのって」

高雄「言ってたんですか? 」

提督「あぁ。……サンクスギビングデイだったからなのかなぁ」

高雄「さぁ。むしろそういうのは嫌っているでしょう? 」

提督「だからこそ頭に湧いてくることもあるだろ」

高雄「まぁ、確かに」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………着替えよ」

高雄「……はい。着替えはこちらです」


< 仲間の仲間を敵にする >





高雄「十一月二十八日の誕生石はマザーオブパール。
石言葉は“ 完璧 ”、“ 真剣 ”、“ 努力家 ”、“ 真心 ”、そして“ 注意力 ”」

Littorio「どうにもドイツの方々に目を付けられたような」

高雄「あぁ、もう会ったんでしたっけ」

Littorio「ええ。お互いに支援艦隊でしたし」

高雄「そう。……目を付けられた? 」

Littorio「……作戦直前にLittorioの強化改造が行われたでしょう? 」

高雄「ええ」

Littorio「それでさらに作戦海域への固定メンバーなのもあって」

高雄「ドイツの方々は分断されている、と」

Littorio「どうもその所為なような」

高雄「……」

Littorio「……」

高雄「……ま、それが目的ですからね」

Littorio「……やはり」


< 仕事の借りは遊びで返す >





高雄「それよりも」

Littorio「はい」

高雄「今まで通りLittorioでいいのかしら。Italiaと呼んでも」

Littorio「Littorioでお願いします」

高雄「でも」

Littorio「Littorioで」

高雄「……Littorio」

Littorio「はい」

高雄「…………あの人を責めないでくださいね」

Littorio「さぁ……それはLittorioの権利ですし。あの人次第ですね」

高雄「…………はぁ」

Littorio「…………ふふ」


< 嫌なことさえ想い出へ >





高雄「今日の誕生花はヘリコニア。花言葉は“ 不寛容 ”」

提督「怖いね」

高雄「はい」

提督「心臓がキュッて、うん」

高雄「ええ」

提督「そこら辺安心するんだよね、高雄は。だから屑なんだけど」

高雄「……あなた以上に大切なものなんてありませんから」

提督「……」

高雄「…………でも」

提督「うん」

高雄「いくらでも許しますし、いつまでもおそばにいますけれど」

提督「ん」

高雄「何一つとして忘れはしませんから」

提督「…………はい」


< もふもふ >





愛宕「今そこで由良に会ったんだけど」

高雄「ええ」

愛宕「あの髪マフラーにできそうよね。しっかり巻けそう」

高雄「まぁ……リボンをもう少し太いものにすれば」

愛宕「うん」

高雄「…………でも」

愛宕「うん? 」

高雄「それだと二人でマフラーを巻いたりといった楽しみ方はできないわね」

愛宕「あー……」


< 何を馬鹿な >





雲龍「鈴谷が忍者がどうこうって言ってたの」

天城「忍者? 」

雲龍「ええ。それで高雄もやけに忍者みたいじゃない」

天城「提督の周りに出没しますね、確かに」

雲龍「……あの人に危害を与えようとしたらどこにいても現れるかしら」

天城「さぁ……」

雲龍「……」

天城「試してみてはどうです」

雲龍「え……? 」


< 先へ >





提督「今日のカクテルはエックスワイジー。
カクテルワードは“ 心に響く言葉で人を動かすメッセンジャー ”、だ」

高雄「……まさにあきつ丸さんでしたね」

提督「嫌な動かされ方だったけどな」

高雄「それは致し方ありません。彼女もやりたくてやっている仕事では」

提督「だから嫌なんだけどな」

高雄「……」

提督「崇高な理想とは言わないが……もう少し自分本位でいてほしいよ、俺は」

高雄「……」

提督「……」

高雄「…………今はもう手の届かない景色だけが美しい」

提督「……誰の言葉? 」

高雄「……誰のでも。私の気持ち、ですよ」

提督「……………………それでも、俺たちは進まなきゃいけない」

高雄「…………ええ」


ありがとうございました


< 食事的出張気分 >





提督「んあー、いなり寿司食べたい」

高雄「訊いてきましょうか? 」

提督「や、別にそこまではいいけどさ」

高雄「はぁ」

提督「……美味しいいなり寿司とコーヒーが欲しい」

高雄「合わないこと甚だしいですね」

提督「好きならいいんだよ。マッチングとか知らねぇわ」

高雄「……」

提督「…………たかおん何かつくって」

高雄「……そんな無理を言われても」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……寝る」

高雄「駄目です」


< 大根と竹輪が好き >





雲龍「……眠い」

天城「姉様」

雲龍「いいじゃない。どうせ作戦はもう殆ど終わったのだし」

天城「そうですけれど」

雲龍「……そもそも私たちよりイージスシステムの方が信頼できるわよ」

天城「……否定はできませんが」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……おでん食べたいわ」

天城「……お気持ちは分かりますけれど」



< あんにゅいとーく >





龍田「……ふふ」

愛宕「なに? 」

龍田「んー? 別に」

愛宕「そ」

龍田「…………あの人がいなければ本当に蟠りなく親友だったかもしれないのに」

愛宕「あの子のことだけ考えていればいいのに」

龍田「天龍ちゃん? 」

愛宕「そう」

龍田「……天龍ちゃんは私だけのものじゃないから」

愛宕「あの人もそうだけど? 」

龍田「…………」

愛宕「…………」

龍田「……あなただけのものでもないものね」

愛宕「…………そうね」


< たとえそれが使命でも >





高雄「十一月二十九日の誕生石はインペリアルトパーズ。
石言葉は“ 誠実 ”、“ 純情 ”、“ 真面目 ”、そして“ 我慢と根気 ”」

龍田「これだけ他人の為に戦っていれば純情なんてお笑い種よねぇ~ 」

愛宕「私は他人の為に戦ってるわけじゃないし」

高雄「……ですね」

龍田「ふーん……? 」

愛宕「……真面目な話よ。世の中ギブアンドテイクだから」

高雄「私を愛してくれる人の為に戦うのは普通のことです」

龍田「……」

愛宕「……」

高雄「……」

龍田「……んー、否定はできないわねぇ~ 」


< あなたが楽器で、自分が奏者で >





高雄「今日の誕生花はマジョラム。花言葉は“ 恥じらい ”」

提督「大事だね」

高雄「は? 」

提督「ま、恥も外聞もなく、ってのも嫌いじゃないが」

高雄「はぁ」

提督「お前が好きってことさ」

高雄「…………」

提督「……じゃ、俺用事あるから」

高雄「…………」





高雄「…………困りますね、誰とも顔を合わせられないではないですか」


< おあずけ、ってやつも悪くない >





提督「今日のカクテルはキスオブファイア。
カクテルワードは“ 人生を楽しむための隠し味を大切にする人 ”、だ」

愛宕「焔のキス? 」

提督「ウォッカにスロージン、ベルモット。まぁ、熱いっちゃ熱い」

愛宕「ふーん? 」

提督「スノースタイルだから割と味は緩和されるけどな」

愛宕「私あれ苦手」

提督「そうか」

愛宕「特に理由は無いけど……苦手」

提督「好き嫌いなんて、な。極論俺だってお前が好きな理由なんて後付けだし」

愛宕「……ん」

提督「な」

愛宕「…………燃えるようなキス、か」

提督「……焔は火種が大きい程燃え盛る、そうだろ? 」

愛宕「……ん」


< 片想いこそ最も長く続く愛>





江風「姉貴も」

海風「うん」

江風「……辛い道を選ンだもンだ」

海風「違うよ。海風と提督には二人の恋愛があるだけ。
それが他人に笑われるようなものだとしても」

江風「……」

海風「それが、高雄さんや愛宕さんとは別のものだとしても、ね」

江風「……それこそ違うぜ、姉貴」

海風「え? 」

江風「カップルの数だけ恋愛があるンじゃない。
男女の数だけ恋愛があるンだ」

海風「…………」

江風「……一組のカップルにはさ二通りの恋愛があるンだよ、姉貴」

海風「…………」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………」

海風「…………江風は、大人だね」

江風「……まさか。テキトーなこと言ってられるガキさ。姉貴とは違ってね」


ありがとうございました


< ゲ、ゲ…… >





提督「あぁ……水木さん亡くなったのか」

高雄「そのようですね」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……本人が妖怪地味た感じだったからなぁ。ふっつーに百までいくかと」

高雄「はい」

提督「…………なんだったかな、ラバウル? 」

高雄「そのように記憶しています」

提督「……ちいさい頃自伝かなんかで読んだな。上手にラッパ吹けねぇのあの人」

高雄「はぁ」

提督「……………………久々になんかテンション下がった」

高雄「…………信濃丸に乗り雪風に乗り、ですしね。物凄いものです」


< 共感を呼ばない >





高雄「十一月三十日の誕生石はスタークォーツ。
石言葉は“ 共感 ”、“ 神秘的 ”、“ 明るさ ”、そして“ クール ”」

雲龍「私が言うのもなんだけれど」

高雄「ええ」

雲龍「私を含めてクールばかり集まった気もするわ」

高雄「確かに。……でもいい意味での五月蝿さが無いだけでそうでも無いような気も」

雲龍「……明確なのは加賀さん、叢雲、あたりだけれど」

高雄「人によっては私や天城さん、瑞穂さんも入るでしょうか」

雲龍「実際は似非クールだったりするのかもしれないけど」

高雄「……似非」

雲龍「神秘的の方も……瑞穂、と私? 」





提督「……マグロかと思ったらとんだ」

愛宕「とんだ? 」

提督「…………なんでもねぇよ。神秘的の“ 的 ”ってのは便利な言葉だなってことだ」


< 連想 >





高雄「今日の誕生花は敦盛草。花言葉は“ 気まぐれ ”」

雲龍「逆にそういう子は見たことないわ」

高雄「そういう? 」

雲龍「……男と男が、ってやつが好きなの」

高雄「あぁ。……何故それを?」

雲龍「敦盛でしょう? 」

高雄「え? 」

雲龍「? 」

高雄「…………まぁ、分からないこともないですけれど」

雲龍「……あぁいうのって吹っ飛び過ぎよね」

高雄「…………雲龍さんに言われてはそうだと思うしかないですね」


< 十一月最終 >





加賀「はっ、ということは」

瑞穂「はい」

加賀「もしや昨日は肉の日だったのではないかしら」

瑞穂「まぁ……そうですね」

加賀「……進す、誕生日も肉の日も逃すなんて」

瑞穂「……帰ってからなら」

加賀「ええ、そうでしょうね。そうでしょう……でもなにか違うのよ」

瑞穂「はぁ」

加賀「…………横須賀に戻ったら久方振りに赤城さんとお肉でも」





天城「…………ほとんど兵器みたいなものですよね、そんなの」

雲龍「……そこまでは酷くないわよ、たぶん」


< 啓示、あるいは毒電波 >





提督「はっ」

高雄「……はぁ」

提督「え、なに? 」

高雄「どうせろくでもないことかくだらないことでも思い付いたんでしょう。
顔を見ればわかります」

提督「いやいや……十一月終わるじゃん」

高雄「終わりますね」

提督「そろそろ寒そうにしながらムートンブーツでマフラーとか耳当ての子が増えるなぁって」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……予想以上にどうでもいいですね」

提督「……寒かったら黒タイツいいと思うんだけどなぁ。全然おばさんぽくないのに」


< 唐突に >





鹿島「提督さん、鹿島で練習しても、いいんですよ? 」

提督「うん? 」

鹿島「はぁい」

提督「……」

鹿島「……」

提督「……俺、結構激しいし欲求多いよ? 」

鹿島「え? 」

提督「な? 」

高雄「……まったくもって」

鹿島「はい? 高雄さんどこから、ではなくて……へぇ」

提督「……ま、俺は遊ぶだけなら遊ばせてもらうけど、さ」

高雄「……はぁ」

鹿島「…………ふぅん。なるほど? ふふっ」


< その箱に希望は入っていますか? >





提督「今日のカクテルはホワイトチョコミルク。
カクテルワードは“ 希望に胸を膨らませる明るい人 ”、だ」

加賀「この作戦も滞りなく終わりそうね」

提督「そうだな」

加賀「……むしろあなたや私にとっては横須賀に戻ってからが勝負だけれど」

提督「帝都に断りなくLittorioの強化も進めたしなぁ」

加賀「横須賀の君とのお話が待っているはず」

提督「かったるーい」

加賀「…………楽しそうね」

提督「そう? まぁ、もう開き直ってるっていうかさ」

加賀「……」

提督「もう覚悟はしたし。どこかに飛ばされようが何されようが俺は俺のしたいことをするだけだから」


ありがとうございました


< 思うところ >





雲龍「…………ぃたっ」

天城「姉様? ……どうぞ」

雲龍「ありがとう」

天城「いえ。……紙で手を切るなんて珍しいですね」

雲龍「そう? 」

天城「はい。こう見えて姉様は注意深いですし」

雲龍「こう見えて? 」

天城「こう見えて」

雲龍「…………そう」


< 目、目、目 >





龍田「ねぇ」

愛宕「うん? 」

龍田「嫌じゃないの? 」

愛宕「なにが? 」

龍田「あの人以外に嫌な目、というか下衆な目で見られるのが」

愛宕「あ、そういうこと」

龍田「私たちを嫌悪して忌み嫌う人たちより嫌よぉ? 私は」

愛宕「……ま、嫌じゃないとは言わないけど」

龍田「言わないけど? 」

愛宕「気にしても仕方ないし……私はあの人のものだから」

龍田「ふぅん? 」

愛宕「あの人って自分のもの見せびらかすの好きなのよ、折り紙とか茶柱とか下らないものでも」

龍田「……そう、だったわねぇ。まるでガキみたい」

愛宕「うん」

龍田「宝物を詰め込んだケースを後生大事にするような」

愛宕「そうね。ただし最高に魅力的なガキだけれど」

龍田「…………」

愛宕「…………」

龍田「…………」

愛宕「…………」

龍田「……私が気にし過ぎなのかしらねぇ~ 。もしかして自意識過剰だったりする? 」


< ごりっぷく >





高雄「十二月ついーー」

提督「十二月か」

高雄「え、ええ」

提督「……十二月かぁ」

高雄「……」

提督「……十二月だぁ」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……それだけですか? 」

提督「え? 」

高雄「…………」


< アイアンハートなその意志を >





高雄「十二月一日の誕生石はアイアンオパール。
石言葉は“ 熱心 ”、“ 戦術 ”、“ 努力家 ”、そして“ 勝負心 ”」

江風「テートクには勝負心が足りないと思うンだ」

高雄「はぁ」

江風「そりゃテートクの立場もあるだろうけどさ、江風たちはもっと頑丈だし」

時雨「……それは違うさ」

江風「ンっ? 」

時雨「江風、僕たちは、強い」

江風「あ、ああ」

時雨「その強さを最も知っているのは僕たち以外だと提督のような人だ」

江風「近いもンな」

時雨「……あまり派手にやり過ぎるとそれが大衆に伝わってしまう」

江風「……」

時雨「それで僕たちを嫌悪したりするだけならいいけど……兵器扱いされたり、もっと酷いのは志願者が出ることだ」

江風「……」

時雨「僕たちは、生かさず殺さず、他国との外交カードになるくらいが丁度いいのさ」

江風「…………」

高雄「…………ま、そこまであの人が考えているかどうかは分かりませんけれど、ね」


< なぞなぞ >





雲龍「濡れたあそこに自分の身体以外のものが入ってくるわ」

天城「……」

雲龍「初めては大体怖いし痛いわ。でも慣れてもくる」

明石「……」

雲龍「汚いと病気になったりするから綺麗にしておくのよ? 」

瑞穂「……」

雲龍「……さぁ、これは何でしょう? 」

天城「コンタクト? 」

明石「胃カメラ? 」

瑞穂「消毒液や目薬? 」

雲龍「…………」

天城「……? 」

明石「……思いっきり合ってたやつじゃないですかこれー」

瑞穂「……まぁ、どれもそれっぽいですよね」

雲龍「…………正解はちん」

天城「姉様。開き直るのはやめてください」


< 幸せという利率 >





明石「今日は壱万円札が初めて発行された日なんですよ」

愛宕「へぇ、一日だったのね。壱万円札。偶然かもしれないけれど」

明石「ええ。それが何故かは知らないですしね」

愛宕「理由なんて無いんじゃない? ……聖徳さん? 」

明石「もちろん聖徳さんです」

愛宕「……あ、でも思い出したわ。今日って確か初めてこの国でATMが稼働した日よ」

明石「ははぁ。それは合わせてそうですね」

愛宕「うん」

明石「はい。…………提督ってATMとしても優秀ですよね」

愛宕「そりゃ高級軍人だし。……ま、夫としての方が優秀だと思うけれど」


< 死が別れだとは思わない >





高雄「今日の誕生花は蓬。花言葉は“ 決して離れない ”」

提督「……俺が先に逝く可能性の方が高いんだぜ」

高雄「ええ」

提督「お前はその時の心構えができていないだけだ」

高雄「……ええ」

提督「別にお前の生き方だけどな、俺は俺が死んだ後に俺を偲んで穏やかな時間を生きてほしい」

高雄「…………今更もう遅いのよ」

提督「…………手に入れたものはその瞬間から失う危険を孕む」

高雄「…………だからでしょう? 私は失う恐怖に抗えない」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………ま、変わらないものは無いしな」

高雄「……変わろうとも思いませんが。同意しておきましょうか」


< そういう人>





雲龍「なんだか久し振りね、お話するの」

提督「いや、朝も割と話した覚えあるが」

雲龍「事務的な内容を、でしょう? 」

提督「まぁな」

雲龍「……他のもの見てるあなたが欲しいわけじゃないの。嫌いでもないけれど」

提督「そう、か」

雲龍「触れない私より遊べる私の方がいいでしょう? 」

提督「そう? 話してるだけでも楽しいけど」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……そうね」

提督「あぁ」


< アオザイとかも >





提督「つーか寒くないのそれ」

雲龍「別に。寒過ぎたら少し力使えば痛覚と同じで遮断できるし」

提督「そうだろうけどさ」

雲龍「心配してくれるの? 」

提督「純粋な興味だよ、興味」

雲龍「……大体その辺のセーラーとかブレザーのスカートと同じ理由よ」

提督「へぇ」

雲龍「私の場合は戦闘衣だからってのもあるけれど」

提督「なるほどな」

雲龍「そもそも似合うでしょう? こういうの」

提督「そうだな。…………チャイナドレスとかもいいと思う」

雲龍「ふーん……? ま、考えておきますね、提督」

提督「おう」


< あれもプレイみたいなものだろうか >





天城「和服? 」

Littorio「ええ。この国では年始にそういったものを着るのでしょう? 」

天城「一概には言えませんが……まぁ、天城はそうでしょうね」

Littorio「Littorioも着てみたいのです」

天城「なるほどそれで天城に。……お任せください」

Littorio「Grazie.天城がいてよかったです」

天城「天城も着物に興味を持っていただいて嬉しいですよ」

Littorio「ええ。……それで帯? を男性に取られながら回るのですよね? 」

天城「……え? 」

Littorio「え? 」


< 晴れ着を着てあなたの隣を >





漣「叢雲ちゃんは着ないの? 」

叢雲「どうしてよ」

漣「可愛いのに。ご主人様も褒めてくれるよ? 」

叢雲「……別にあいつに褒めてもらう為に服は選ばないわよ。そんなの私じゃないわ」

漣「ふーん……? 」

叢雲「…………なによ」

漣「別にー? んふふ」



< 割とショック >





提督「なぁ、さっき甲板で聞いたんだけどさ」

叢雲「ええ」

提督「今日ってバファローズとブルーウェーブが無くなって今のバファローズになった日なんだってよ」

漣「はぁ? 」

叢雲「……あのね、だから私は藤永田とは何の関係もないの」

提督「や、でもさぁ」

叢雲「でももなにもないわよ、もう」

漣「え? 大阪の球団って虎のとこじゃないの? 」

提督「……」

漣「? 」

叢雲「……分かったでしょ? 私は偶然知ってたけど興味が無いとこんなものなのよ」

提督「……」

叢雲「次からは江風に話した方がいいわ。好きだから」

提督「……あぁ、そうする」

漣「ねぇ、叢雲ちゃん? ご主人様? ねぇってば、ねー? 」


< 印象、というもの >





提督「今日のカクテルはヨーグリートオレンジ。
カクテルワードは“ 華やかで活力に満ちた熱血屋 ”、だ」

天城「提督とは真逆の性格ですね」

提督「そうか? 」

天城「はい。地味とは言いませんけれど……華やかという程では」

提督「まぁ、染めたり奇抜なヘアスタイルできないしね、軍人」

天城「熱血、というのは明らかに違いますし」

提督「面倒なのは嫌なんだよ」

天城「はぁ」

提督「お前も嫌だろ? ホスト並のトゲトゲヘアで熱血なの」

天城「……」

提督「……」

天城「…………怖気を震うお話ですね、それは」

提督「な? 」


ありがとうございました


< 同性婚だけならまぁ >





加賀「…………ん」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「……ふふ、綺麗な寝顔ですね、赤城さん。食べてしまいたいくらい」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………一人で妻と夫を持てる国なんてないかしらね」


< そのままの姉様を >





高雄「十二月二日の誕生石はブラックコーラル。
石言葉は“ 敏感 ”、“ 欲望 ”、“ 好奇心 ”、そして“ プラス思考 ”」

天城「姉様は好奇心が強すぎます」

高雄「まぁ……確かに」

天城「それが好奇心のままな方がいいのか現実を知った方がいいのか」

高雄「はぁ。それはどういう」

天城「提督が多少なりとも雲龍姉様の欲求をですね」

高雄「……あぁ。恋に恋する、ならぬ……ならぬ、えーっと」

天城「……まぁ、兎に角その無駄な夢想状態をどうにかしてほしいのです」

高雄「…………他人にとっての悪夢が夢、ですか」

天城「……我が姉ながら業の深い。葛城にはまだ暴露ていないようですけれど」


< 訊いてみた >





提督「え? 嫌だよそんなの」

高雄「はぁ」

提督「まぁ、殴り飛ばそうが斬りつけようが死なないかもしれないけどさぁ」

高雄「……」

提督「俺の精神が死ぬと思う。女の子痛めつけて喜ぶ趣味は人並の意地悪程度だよ」

高雄「……なぜそこはまともなんでしょうね、あなたは」

提督「いやいやいや、理不尽過ぎんだろたかおーん……そこは安心しとこうよ」


< 同士がいない >





提督「今日はフランスの帝政が始まった日だ」

愛宕「ふぅん、どっち? 」

提督「第一も第二も両方。三世は確か伯父の即位に合わせてる」

愛宕「へぇ」

提督「そもそも選挙からなにから伯父の神格化で始まってるし」

愛宕「なるほど」

提督「…………そういや昨日さ」

愛宕「うん」

高雄「……なんだか憐れになりますね」

提督「うん? 」

高雄「いえ。昨日、なんでしたっけ」


< 譲らない >





愛宕「ま、そういこともあるわ。……でも」

提督「うん? 」

愛宕「フランスとドイツなんて仲悪かったと思うけど? 」

提督「あ、戻ってくれるのか」

愛宕「憐れな仔犬みたいな顔してるんだもの。フランスの歴史も好きなの? 」

高雄「仔犬……? 」

愛宕「それはいいじゃない。違うの? 」

提督「いや、現代は別にそこまで歪みあってはいねぇよ。俺も完全ドイツ贔屓とかじゃないし」

愛宕「そうなの? 」

提督「エルザス行ったときはドイツ語使えるくせにフランス語しか受け付けない老人とかいたけどさ」

高雄「大陸にもいますね、そういう方は」

愛宕「……エルザス? 」

提督「エルザス」

愛宕「アルザスじゃなくて? 」

提督「神聖ローマ帝国の自由都市だった時代からエルザス、ロートリンゲンなんですぅあそこは」

愛宕「えぇ……」

提督「ツァーベルン事件なんて無かった。ドイツの友達もそう言ってたから間違いない」

愛宕「……」

高雄「……半分本音に見えるのがまた」


< 食べるだけじゃない >





高雄「今日の誕生花はシネラリア。花言葉は“ 常に快活 ”」

愛宕「その辺り赤城さんの凄いところね」

高雄「そうね。確かに」

愛宕「正直加賀さん当たりの方が単独での戦闘力は高いような気もするけど」

高雄「提督にあって私たちにないものと同じかもしれませんね」

愛宕「あぁ」

高雄「……本人がどう思うかは別ですけど」

愛宕「……そうね」


< 許容値 >





漣「異物」

雲龍「軽いものなら、多少は」

漣「リョナ」

雲龍「広義の意味内で軽いものなら」

漣「欠損」

雲龍「無理」

漣「エメトフィリア」

雲龍「無理。……ねぇあなた私のことどう思ってるの? 」

漣「や、食事中に真顔で答え始めるのもどうかと思いますけど」

叢雲「というか最初の段階で疑問に思うべきでしょ」

浜風「……そもそもエメ、エメト、なんです? 」

雲龍「嘔吐性愛。嘔吐、吐き気、吐瀉物そのものに興奮を覚えること」

漣「ある種リョナとかも伴ってきますよねー」

浜風「…………提督が割と保守的でよかったですね」

叢雲「……そうね」


< さらに許容値の話 >





龍田「それならギリギリの限界はどの辺りなのかしらぁ~ ? 」

雲龍「……限界? 」

龍田「そ、限界」

雲龍「…………」

叢雲「……他人にはおしえられないこと考えてるわね」

漣「……いつも通りの顔なのになんとなくわかるもんだね」

雲龍「……………………首締めと吊し上げ緊縛はどちらが上かしら」

龍田「首締めじゃないかしら。緊縛ならやり方ってものがあるそうだし」

雲龍「じゃあ首締めね」

龍田「へぇ……思ったより普通」

雲龍「は? 」

龍田「クリスマかヘマトくらい持ってるのかと」

雲龍「……本当になんなの。私の名誉を傷つけているのは誰かしら」

龍田「私はぱんぱかに聞いたけど? 」

雲龍「…………あのぱんぱか女」


< 遠い親戚の話みたいなものだろうか >





江風「そーいや今日の22:00から間宮特集やるじゃン? 」

漣「抜かりなし。録画してきたんで」

江風「お、さっすがー」

漣「えへへ」

海風「間宮さんと一緒に観たいよね」

瑞穂「……複雑な心境でしょう、それは」

江風「ま、本人ってわけでもないし? 江風は江風の資料とか見たいけどなー」


< 藪からスネーク >





提督「今日のカクテルはヨーグリートミルク。
カクテルワードは“ 迷ったら軌道修正して人生の質を上げる才人 ”、だ」

雲龍「あなたね、いくらなんでも私の印象歪め過ぎじゃないかしら」

愛宕「そう? 」

提督「……俺もさ、鹿島に心配そうな顔で訊かれたぞ。自分もそういうの覚えなきゃいけないのかって」

愛宕「は? 」

提督「……おっと」

雲龍「……私被虐趣味にしてもかなり軽度だと思うの」

愛宕「そうかしら。……首締め」

提督「嫌だ。締められた方がマシ」

雲龍「…………」

愛宕「……ま、そんなことはいいわ。なに? また新しい女増えるの? 」

提督「え、いや、そんなことは……俺からはなにも始めないぜ? 」

愛宕「ふーん……? 」


Wikipediaの緊縛の項目。画像の状況がよく分からない

ありがとうございました


< 八つ当たりのようななにか >





高雄「十二月三日の誕生石はホワイトジェダイト。
石言葉は“ 繊細 ”、“ 純真 ”、“ 無邪気 ”、そして“ 愛らしい ”」

提督「そういえばぅぁぁぁっ……! 」

高雄「あぁ……」

提督「ちょ、拭くもの拭くもの」

高雄「……手遅れですよ、その書類」

提督「ひえー、艦隊運営に関する書類がコーヒー塗れですー……はははっ」

高雄「……艦長に会ってきますか」

提督「や、俺が行くって。零したの俺だし」

高雄「しかし」

提督「だってお前言い寄られそうだもん。あの艦長嫌悪じゃない方向にあれだし」

高雄「まさか。総指揮官の女に手を出すとでも? 」

提督「お前はそれくらい男惑わしてんだよ。自覚しろ」

高雄「……はぁ」

提督「…………じゃ、行ってくるから」


< 仲 >





愛宕「あれ? いないの? 」

高雄「ええ。……今日の誕生花はベラドンナ。花言葉は“ 沈黙 ”」

愛宕「まぁ、一人でいて黙っていなかったら怖いわよ」

高雄「そうですが。……彼は先程艦長室へ」

愛宕「ふぅん……」

高雄「ええ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……高雄、後ろのここ、はねてる」

高雄「? ……あぁ、ありがとうございます、愛宕さん」

愛宕「どう致しまして、ですわ。高雄さん」


< 食べてみたいもの >





明石「千と千尋の謎料理」

漣「漫画肉とか」

叢雲「それどっちも化学物質使いまくってそうよね」

明石「今更ですよ。この時代に生きてて」

漣「そうだそうだー。叢雲ちゃんみたいにご主人様の食事バランス考えるのは普通面倒なんだぞー」

明石「へぇ? 」

叢雲「…………」

漣「ね? してたよね」

叢雲「……司令官が体調崩したら困るでしょ、漣も」

漣「まぁね。……ふふ」

明石「なるほどなるほど……」

叢雲「…………くっ」


< きっとそれはいい意味で >





高雄「どうもこう……健康的ね」

愛宕「起床も就寝も規則的だものね」

高雄「しかも食事は栄養バランスが整いアルコールも入らないという」

愛宕「うん」

高雄「……ただ案外と味気ないものね」

愛宕「ええ」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……染まっていたのね。あの空間に」

愛宕「それはまぁ……毒みたいなものだし」


< 輪 >





愛宕「やっぱり首輪のある生活は嫌よね」

高雄「はぁ? 」

愛宕「雲龍的な意味じゃなくて。軍規に縛られるとかそういう」

高雄「あぁ。……あちらだと緩過ぎるのだけれどね」

愛宕「緩い方がいいに決まってるじゃない」

高雄「そうだけれど」

愛宕「ね? 」

高雄「……」

愛宕「……ま、あの人には首輪より強い輪で繋がれてるかもしれないけど? 」

高雄「そうね。……いえ、まだ正式にはいただいていませんが」


< いつだってあなたに触れたいから >





提督「今日のカクテルはファイナルアプローチ。
カクテルワードは“ 周りを飲み込むような魅力的な情熱家 ”、だ」

愛宕「最後のアプローチって結婚? 」

提督「や、違うだろ」

愛宕「私もそうだと思うけど。じゃあいつ? 」

提督「そりゃあ……」

愛宕「そりゃあ? 」

提督「……上手く言えないけど結婚生活の内のいつかだろ」

愛宕「うん」

提督「死ぬ直前に愛を確認するとかその辺」

愛宕「ん」

提督「……」

愛宕「……」

提督「……ま、そんなこと考えても意味ねぇよ。結婚もしてないし」

愛宕「そうね」


ギリギリ間に合った……

ありがとうございました


< 祈れ、祈るのだ >





明石「過労死って国際語らしいですね」

Littorio「はぁ」

明石「Karoshi」

Littorio「一応Death from overwork、という言葉もあるようですけれど」

明石「work oneself to deathとかもですね」

Littorio「祖国ではMorte da superlavoro、でしょうか。やや強引な訳ですが」

明石「…………」

Littorio「…………」

明石「…………皆さん被弾しないでくださいよ。もう死にそうなんですけど」

Littorio「そんな無茶な。誰も自ら当たっているわけでは」


< 慎みとかその辺 >





明石「もう少し健全であるべきだと思うんですよ」

Littorio「Littorioはもっと享楽的で怠惰でも構いませんけれど」

明石「いやいやいや……私はさすがにそんな地中海的なのは無理ですから」

Littorio「いえ、特に地中海は関係ないのですが……」

明石「はぁ」

Littorio「健全、なんてものに価値があるとは思えませんので。楽しいものを楽しむ。そうでしょう? 」

明石「…………」

Littorio「……? 」

明石「……そういうのを地中海的というんです。違います? 」


< 落胆は期待の、憎悪は愛の裏返し >





Littorio「ま、そのようなことは置いておいて」

明石「はぁ」

Littorio「今日は一応我が祖国の海軍記念日なのですよ」

明石「へぇ。何かあったんです? 」

Littorio「WW1においてオーストリア=ハンガリー二重帝国の弩級戦艦を落とした日、です」

明石「なるほど」

Littorio「ま、その前までは墺洪帝国には苦い思いばかりさせられていたので。
そこから一気に調子に乗ったのですが」

明石「相変わらず自国に辛辣な。……で、その海軍記念日がなんなんです」

Littorio「特には。そういえばRomaはつまらない行事に参加しなければならないはずだな、と」

明石「思い出したわけですか」

Littorio「ええ」

明石「…………」

Littorio「…………」

明石「……地中海、奪還できるといいですね」

Littorio「そうですね。……まぁ、調子に乗っていたツケなので現状は自業自得なのですけれど」


< あなたの記憶に堕ちていく >





高雄「十二月四日の誕生石はソーダライト。
石言葉は“ 勝負心 ”、“ 前向き ”、“ 運任せ”、そして“ 没頭 ”」

山城「あの男にプロポーズはされたのかしら? 」

高雄「それが結婚の、ということであれば……いえ」

山城「……そう」

高雄「……なにか」

山城「別に。興味本位よ。意味なんてないわ」

高雄「はぁ」

山城「…………そう、プロポーズまがいのことは何度もされているのね」

高雄「…………」

山城「……………………はぁ。あなたがそんな顔をするなんて昔は全く思っていなかった」

高雄「……私も、ですよ」


< 理想を抱くことの辛さを知り、なお >





高雄「今日の誕生花は山茶花。
花言葉は“ 謙譲 ”、“ 愛嬌 ”、“ ひたむきな愛 ”、そして“ 理想の恋 ”」

扶桑「ごめんなさいね、あの子ってば思ったことを言ってしまうから」

高雄「いえ、別に不快ではありませんよ。彼女の本音、私は好きです」

扶桑「そう。……いい友人がいて、山城も全然不幸ではないわね」

高雄「扶桑さんのようなお姉様がいて不幸、というのがそもそも」

扶桑「…………理想が高いのよ。自分にも幸せにも、恋や愛にも」

高雄「ええ」

扶桑「……もちろん扶桑、という存在にも」

高雄「……山城さんはあなたのことをあなたとして認識していると思いますが」

扶桑「……扶桑、という存在は斯くあるべき、そんな意志が無いと言い切れる? 」

高雄「言い切れます。彼女は大切な人への思慕と歪んだ美意識を混同するような女性ではありません」

扶桑「本当に? 」

高雄「ええ。……私の全てに誓って、本音ですよ」

扶桑「…………」

高雄「…………」

扶桑「…………本当に」

高雄「……」

扶桑「……いい友人を持ったわ」

高雄「…………」


< 陽射しなど無くともあなたの笑顔が >





提督「ん」

愛宕「ありがと」

提督「……」

愛宕「……」

提督「……たまには緑茶も悪くない」

愛宕「普段はコーヒーばかりだものねぇ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……なんか年取って縁側で和んでる感じだな」

愛宕「……それも悪くないじゃない。ここ士官室だけど」


< 年相応とはなんぞや >





愛宕「まぁ、でも」

提督「うん? 」

愛宕「重巡愛宕から考えれば私って今八十五歳よね」

提督「や、俺さすがにその年齢の人とは寝れねぇわ。好きにならない、とは言わないけどさ」

愛宕「でも“ 私 ”として生きている時間だけだとあなた捕まるわよ? 」

提督「ノーカンノーカン。お前の戸籍って特例だし」

愛宕「……艦の進水から戦没までが十四年だから私の生と足せば大体いい年齢? 」

提督「実動時間ってことか」

愛宕「ええ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……くだんねぇな。年齢なんて」

愛宕「……そうね。楽しいけど」


< 愛の重さは >





提督「つーか艦の話をするとだな」

愛宕「うん」

提督「お前体重ヤバいことになるだろ。一万トン超えるって」

愛宕「確かに。おデブさんどころの話じゃないわ」

提督「今のお前って普通の女の子と同じくらいだし」

愛宕「そうねぇ~……」

提督「しかも機関十三万馬力っておま……あれ、もしかしてそれはいけるのか? 」

愛宕「さぁ……死ぬ気で力解放すればそれくらいは出るかもしれないけど」

提督「む……」

愛宕「たぶんその場で爆散するんじゃない?
私たちって艤装は割となんとかなるけどその辺の復元性は低いから」

提督「……そうか」

愛宕「うん」

提督「…………大変な女を好きになったものだな」

愛宕「ふふ……ものすっごい今更よね、それ」

提督「……まぁな」


< アプローチってとても勇気がいることなんだ >





提督「今日のカクテルはキール。
カクテルワードは“ 自発的に行動を起こす活発な人 ”、だ」

高雄「ヴァン・ブラン・カシス、の名もありますね」

提督「黒の組織にもいるな」

高雄「は? 」

提督「なんでもない。……何度かバーでもそっちの名前見たことあるぜ」

高雄「キール、は元々考案者の名前ですし」

提督「あぁ」

高雄「……自分から他人に働きかける、何かを為す。素晴らしいことです」

提督「結果が良ければな」

高雄「……」

提督「……」

高雄「…………運も実力ですから」

提督「あぁ。…………それなら俺もお前も、自分で何かをしたと言えるんじゃねぇの」



ありがとうございました


< くそきゃわいい >





明石「そういや昨日はなにやらきゃわきゃわしていましたね」

漣「きゃわきゃわ? 」

明石「わ、忘れて」

漣「……昨日はアスカの誕生日だったんですよ」

明石「あすか? 」

漣「蒼龍さんをネタにしてた、と言えば分かりますか? 」

明石「あー……そういう」

漣「だからどうだって話ですけど海上に閉じ込められてちゃくだらない話でもしないと」

明石「盛り上がらないですもんねー」

漣「ええ」

明石「……式波の方は? 」

漣「さぁ……同じじゃないんですか。知りませんけど」


< 自分の短所だとは思わないけれど >





Littorio「あなたも戦艦ですよね? 」

山城「まぁ……大体そうね」

Littorio「……大体? 」

山城「なんでもないわ。戦艦よ戦艦」

Littorio「む……」

山城「……」

Littorio「……」

山城「……」

Littorio「……大体というのは一体」

山城「はぁ……」

Littorio「あの」

山城「…………こういうときの対応よね。あの男の長所って」


< もうなんか色々面倒になることがある >





提督「あ? 呼んだ? 」

山城「呼んでないですよ、提督閣下」

提督「や、そんな冷たいこと言うなよ」

山城「艦長たちとの会議でお疲れでしょう? お部屋に戻られてはいかがでしょうか」

提督「なんなのなの。なーに機嫌悪いの」

山城「……」

提督「……うん? なんか質問あんのか? 」

Littorio「山城が言ったのです。自分は大体戦艦だ、と」

提督「はぁん」

Littorio「Littorioの持っている資料では山城は戦艦となっていたので、その」

提督「なるほどね」

山城「……後は頼んだわ」

提督「へーい」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………何故山城の言いたいことが分かったのです」

提督「え、そりゃお前……」

Littorio「ええ」

提督「…………山城は戦艦とはいってもだなーー」


< 会議後はいつだって >





愛宕「高雄ぉ、疲れたぁ」

高雄「お疲れ様。……あなたの場合はあの人に着いていっているだけのような気もするけれど」

愛宕「愛想笑いするのも優等生ぶるのも面倒ではあるでしょう? 」

高雄「それくらいは慣れたわ」

愛宕「えぇ~……」

高雄「……ま、会議というのはこちらで決めたものを如何に認めさせるか、ということだから」

愛宕「疲れるのよね。精神的に」

高雄「でも他人の考えていることを推測するのは得意だったはずじゃない」

愛宕「見たくもないものを見るのは嫌なんですー」

高雄「はぁ」

愛宕「いくら仕事でもわざわざドブの近くまでは普通寄らないわよ」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……では私と代わって書類整理と留守番でもしま」

愛宕「イヤ」

高雄「…………」


< がーるずとーく >





鈴谷「ちゃんとおしえてあげればよかったのに」

山城「……仲間を盗聴する趣味でもあるのかしら」

鈴谷「まっさかー。たまたま聞いちゃっただけだよ、たまたま」

山城「……あの女の資料だと私、あとおそらく姉さまも戦艦ということになっているらしいわ」

鈴谷「だね。聞いてたよ」

山城「別にそれが特別な情報だとは思えないけれど……」

鈴谷「うん」

山城「他国の軍人に少しでも情報を与えるのはよくないはずよ」

鈴谷「なっるほどー。でも一応同盟国じゃん? 」

山城「本気? 」

鈴谷「さぁ? 」

山城「……………………重要なのはこの国がそういう誤魔化しをしていてなおかつ私たちがそれを知らないこと、なのだけれど」


< なんとも言えない >





高雄「十二月五日の誕生石はエンジェライト。
石言葉は“ 芸術性 ”、“ 向上心 ”、そして“ 家庭的 ”」

提督「家庭的、といえば」

高雄「ええ」

提督「お前はどうしたい? 仮に数年後軍を辞めたとして」

高雄「はぁ。主婦だとかそういうことですか? 」

提督「おう。なんかやりたいことないの? OLとか」

高雄「興味が無いとは言いませんが……」

提督「あぁ」

高雄「仕事なんてしなくても生活はできそうですし。あなたといたいです」

提督「そうか」

高雄「はい」

提督「うん。……………………まぁ、OLプレイなんて今でもしてるしな」

高雄「…………」


< 優先度 >





高雄「今日の誕生花はカラー。花言葉は“ 熱意 ”、“ 情熱 ”、そして“ 素敵な美 ”」

提督「あのね、タイトスカートには素晴らしい美があるんだよ」

高雄「くだらない情熱ですね」

提督「いやいやいや……」

高雄「少なくとも私には、です」

提督「現在進行形で自分が魅力発信してんじゃん? 」

高雄「好みなのでしょう? 」

提督「うん」

高雄「…………そちらの方が、よほど重要ですから」


< したくないからされるとかそういう >





龍田「あなたの限界はどの辺りなのかしらぁ~? 」

提督「限界? 」

龍田「そ、この前は雲龍に訊いたのよぉ」

提督「あ、そういう限界か。……で、あいつは? 」

龍田「首締めと吊し上げ緊縛で迷ってたから首締めの方が辛そうって言っておいたわ」

提督「……余計なことを」

龍田「別に本当に無理矢理やろうとはしないでしょ」

提督「だといいがな」

龍田「……で? 」

提督「…………」

龍田「んー……? 」

提督「…………なんか俺も首締めな気がしてきた」

龍田「えっ」

提督「や、引くなよ。お前に引かれると少し自分が怖くなるから」

龍田「……」

提督「……言っとくけど俺がされる方だぜ? 女の子の首とか締めるものじゃないし」

龍田「…………」

提督「…………」

龍田「…………えっ? 」


< そういう女 >





提督「まぁ、実際すんなり限界決められる雲龍がおかしいんだよ」

龍田「そうかも」

提督「とは言ったものの……お前は? 」

龍田「私? なーんでも」

提督「は? 」

龍田「好きになるってそういうことでしょ? 少なくとも私はそう」

提督「」

龍田「もちろんパートナーにそれを強制するわけじゃないわよ? 」

提督「……だ、だよな」

龍田「ええ」

提督(……矯正はされそうだが、ははっ)


< そりゃ……ねぇ? >





提督「今日のカクテルはサウザショットガン。
カクテルワードは“ 一生懸命に目的を達成する実践者 ”、だ」

江風「本当……なンなンだよ」

提督「うん? 」

江風「心も身体も擦り切れそうなンだけど辛過ぎない? 江風たちって新兵じゃないのか? 」

提督「この国らしいだろ? 」

江風「や、そンな全く反論できないこと言われると」

提督「……叢雲に感謝しとけ。俺は恨んでもいいけど」

江風「テートクは恨めないさ。……恨ませてくれないじゃン? 」

提督「じゃあセクハラでも仕掛ければいいのか? 」

江風「それでもなぁ。ふつーに受け入れそうだし。
っていうか恨まれたいの? マゾ? 雲龍さン? 」

提督「恨まれて楽になりたいクズってことさ。…………お前も雲龍をそう見てるのか」

江風「ンっ、そりゃまぁ」


< 恋人と見たって雪は雪なのだが >





提督「十二月か」

愛宕「十二月ね」

提督「クリスマスだな」

愛宕「クリスマスね」

提督「……なんかテンション上がってきた」

愛宕「たんじゅーん」

提督「上がらない? 」

愛宕「まぁ……上がっちゃうかも? 」

提督「だろ? 」

愛宕「うん」


< 溶けて溶け合い戻れない >





愛宕「私はあなたと雪、見たいわよ? 」

提督「俺も見たくないわけじゃねぇけど」

愛宕「んー……」

提督「お前と雪見た次の日は早朝から雪かきして出勤ないし買い物だろうよ」

愛宕「はーん……」

提督「このまま軍人やめたとすれば仕事はしなくてもなんとかなるかもしれないけどな」

愛宕「……雪かき面倒? 」

提督「あぁ」

愛宕「寒くて外は嫌? 」

提督「あぁ」

愛宕「仕事はしなくてもいい? 」

提督「あぁ。……なに? 」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……満足いくまでベッドでぬくぬくしましょう? 」


< 振り向かせて引き寄せて上向かせて >





提督「……寝るか」

愛宕「そうね」

提督「今日はどうすんの。こっちか自室か」

愛宕「今日は戻るわ。今日は高雄がこっち来そうだし」

提督「そっか」

愛宕「ん」

提督「……」

愛宕「……」

提督「…………愛宕」

愛宕「うん? ぅん……ん」

提督「……じゃ、また明日」

愛宕「はーい。…………ごめんなさい、もう一回いい? 」

提督「……ん」


ありがとうございました


< 執着の理由なんてナンセンス >





高雄「十二月六日の誕生石はシルバールチルクォーツ。
石言葉は“ 理念 ”、“ 根性 ”、“ 執着心 ”、そして“ スタミナ ”」

提督「なぁ高雄」

高雄「なんでしょう? 」

提督「鹿島って真性だと思うか? 」

高雄「はい? 」

提督「俺も割と経験は積んでる方だと思うけど読めないな、と」

高雄「はぁ」

提督「女の子なら分かるかなって」

高雄「……私の前でもあなたの前でもあまり変わらないと思いますけれど」

提督「はーん……ってもお前も一応階級は上だし、うーん」

高雄「…………私に媚びる理由なんて探さなくても」

提督「や、こんなとこいるとさ。疑い深くなっちゃうのよねー」


< 思考は投げ捨て放棄するもの >





鹿島『提督さんは距離感がいいですねっ』

提督『うん? 』

鹿島『この艦にいる殿方って私に距離を取るか妙に近いかなんです』

提督『へぇ……』

鹿島『近い方もいやに緊張していたり近過ぎたり』

提督『……』

鹿島『私がなにかしたのかなって思ったりもするんですけど……提督さんは普通ですし』

提督『…………』





高雄「…………仮に養殖だとしてなにか問題でも? 」

提督「いや……ねぇな、なにも」


< 真の魅力とは >





高雄「今日の誕生花はカトレア。
花言葉は“ 高貴な美人 ”、“ 品格と美 ”、“ 素朴 ”、そして“ 真の魅力 ”」

海風「……矛盾」

漣「ほら、シンデレラガールとと思えばなんとか」

叢雲「……まぁ、シンデレラも下級貴族の子女だけれど」

江風「庶民から見れば圧倒的に高貴なわけか」

叢雲「そもそも王都の舞踏会に一族総出な時点で」

漣「……もうちょっと乙女チック、せめてファンタジックに見れないの、二人とも」

海風「え? 」

漣「え? 」

海風「…………で、ですよね。女の子の成長物語とかいいですよねっ」

漣「…………」

高雄「…………私は好きですよ。漣さんみたいな方」


< ギザギザキザだったりもする >





提督「今日のカクテルはバティーダデカカオ。
カクテルワードは“ ガラスのような繊細なハートの持ち主 ”、だ」

龍田「足柄とか? 」

提督「あぁ、同意」

龍田「実際羽黒ちゃんより貧弱よね、あれ」

提督「や、羽黒の芯が強いって言おうぜせめて」

龍田「はーい」

提督「……お前も天龍より弱そうだけどな」

龍田「んー、強い部分と弱い部分が全然違うから……」

提督「かもな」

龍田「…………ま、足柄よりは強いけれどー? 」

提督「なんなんだその拘りは」


< シャネルの五番、なんて人も過去には >





雲龍「Bismarckなんて寝るときは裸だったりしそうよね」

天城「……突然ですね」

雲龍「いつものことでしょう」

天城「はぁ。……姉様は以外にも着ますよね」

雲龍「垂れたら嫌だし」

天城「……」

雲龍「あとは……新顔のドイツ女は割と」

天城「かなり堅そうな方に見えましたけれど」

雲龍「ああいうのが割と、ね」


< 誰かのの願いはきっと私にとって不条理だから >





提督「え? 理想? 」

龍田「そ、あなたが世界に求めること」

提督「そりゃ……平和じゃねぇの」

龍田「軍人としてじゃなくてあなた個人で」

提督「……平和だよ。高雄やお前が傷付くのがなくなるならそんないいことはないさ」

龍田「ふぅん? 」

提督「なんだ」

龍田「別に? 」

提督「…………」

龍田「…………」

提督「……まぁ、現実的に考えればお前ら無しに人類は文明を保てないからな」

龍田「そうねぇ」

提督「精々俺は自分の好きな子がそれなりに幸せならいいや」

龍田「そ」

提督「でもそれだと理想じゃないだろ? 理想はあくまで平和、さ」

龍田「うぅん……及第点かしら」

提督「なんのテストだよ……」


< 言わぬが花、とかなんとか >





龍田「この艦の」

提督「あぁ」

龍田「艦長と副長って両極端でしょ? 」

提督「まぁ、方や俗物の女好きでステレオタイプな権力者」

龍田「方やちょっと普通じゃ御目にかかれない理想抱いた甘ちゃんだもの」

提督「……それで? 」

龍田「知ってる? 最近のことなんだけど副長が帰投してきた子に言った言葉」

提督「いや、知らないな」

龍田「『君たちだけに戦わせるのは本当に偲びない。
自分も戦えさえすれば、せめて共に戦場に立てれば』」

提督「……いいやつじゃん? 」

龍田「ええ。…………私の心底嫌いなタイプ」

提督「……」

龍田「思っても言わない方がいいこと、あるのよねぇ。…………ふふ」


< 誰しもが自己世界の革命家 >





龍田「こうも言ったわ。『こんな世界間違ってる。
君のような可憐な女性だけが傷付き、
薄汚い権力者や無能ばかりが楽をする、享楽に耽る』」

提督「……耳の痛い話だな」

龍田「『自分は……僕は君のような女性を助けたい。
そして誰も、世界に抗う人々が傷付かない世界を共にーー』」

提督「待て」

龍田「んー? 」

提督「……告白じゃねぇか」

龍田「やぁんっ。確かにそういう風にも聞こえるわぁ」

提督「…………つーかそれ言われたのお前だろ」

龍田「さぁ……? 」

提督「まぁ、お前以外にもさっき帰投したやつは大勢いたし、別の作戦でのことかもしれないが」

龍田「ええ」

提督「…………愚痴ならもっと分かりやすく言ってくんねぇかな」

龍田「あら~。可憐な女の子戦わせてるんだからそれくらいは受け止めてもらわないと~ 」

提督「……はぁ」

龍田「…………うふふ」


< ご挨拶 >





山城「あら……妙なものに好かれやすい女と物好きに好かれやすい男じゃない」

提督「おう、お疲れ」

山城「別に。今回は支援が中心だし」

提督「それでもな」

龍田「あはっ、あなたなんて嫌いになりたいのにそれでも好きになっちゃう系の可哀想なお莫迦さんじゃなぁい」

山城「……私が本当にお慕いしているのは扶桑姉さまだけよ。勘違いしないで、両刀気狂い女」

龍田「肝心の刃が錆びて蜘蛛の巣張ってそうな人には言われたくないな~ 。痛々しい」

山城「…………」

龍田「…………」

提督「……挨拶でそれとかお前ら相変わらず仲いいなおい」


< 井戸端特有の、みたいな >





龍田「理想論とか甘い感情論語る間抜けよりはクズの方がいいじゃない? 」

山城「クズはクズだけれど、ね」

龍田「クズは救い難いだけだけれどぉ。綺麗事宣う人って救う価値もないのよぉ」

山城「否定はしないわ」





提督「…………お前らどの流れでこの会話になったかとか覚えてるのか? 」

龍田「え? 」

山城「は? 」


>>616
ギザギザハート、です
申し訳ありません

ありがとうございました


< ふーらふら >





雲龍「鹿島……侮れないわ」

愛宕「うん? 」

雲龍「ああもパーソナルスペースを簡単に」

愛宕「あぁ」

雲龍「所詮あの人もおと……男よね」

愛宕「所詮どころかある意味で最高に男よね」

雲龍「……」

愛宕「……」

雲龍「……むしろ普通の男は鼻の下を伸ばしてもパートナーに落ち着くわよね」

愛宕「そうねぇ……ま、私たちがそもそも普通じゃないし」


< とりあえず探ってみる >





雲龍「ねぇ、あなた」

鹿島「はい? 」

雲龍「あなたと私の共通点、分かる? 」

鹿島「雲龍さんと私の、ですか。うーん……」

雲龍「……」

鹿島「身長、は雲龍さんが高い。艦種も全然違う。戦歴も被ってない……」

雲龍「……」

鹿島「…………もしかして、これですか? 」

雲龍「……私の方が大分大きいわ」

鹿島「む、確かに……うーん」

雲龍「…………正解は進水日、誕生日よ。九月二十五日」

鹿島「ぁ」


< 噛み締める >





高雄「十二月七日の誕生石はルビーヘキサゴナル。
石言葉は“ 資質 ”、“ 努力家 ”、そして“ 向上心 ”」

瑞穂「……今次の作戦では」

高雄「ええ」

瑞穂「練度以上のものを得たように思います」

高雄「そう、よかったですね」

瑞穂「はい」

高雄「…………」

瑞穂「…………」

高雄「……それはあなたの資質であり、努力の結果ですよ」

瑞穂「…………はい」


< 殺され壊されそして今がある >





高雄「今日の誕生花はラケナリア。花言葉は“ 変化 ”、“ 移り気 ”、“ 継続 ”、そして“ 好奇心 ”」

愛宕「……変化は常に続く? 」

高雄「移り気な好奇心に殺されない限りは」

愛宕「ふぅん? 」

高雄「私の場合その好奇心は一つの感情だったわけだけれど」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……大概高雄っておとめちっくというか」

高雄「ロマンティスト? 」

愛宕「そ」

高雄「……似た、というか染められましたから」

愛宕「……そう、そうね。それは高雄だけのことでもないから分かるけど」


< そんな雰囲気を感じたんだ >





提督「今日のカクテルはノアノア。
カクテルワードは“ 普通では満足しない敏感肌の持ち主 ”、だ」

明石「なんだか可愛らしい名前ですね」

提督「タヒチ語で香しい香り、だったかな。ゴーギャンの随筆にもある」

明石「へぇ……」

提督「カルヴァドスがベースの甘いカクテルだぞ」

明石「なるほど……つくってくださいね、帰ったら」

提督「ん」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………や、だめですってば。キスだけじゃ、終われない、ですから」

提督「……やってみないと分からないだろ? 」


< 揺れる瞳に震える私 >





愛宕「はーい、おしまーい」

提督「ん」

明石「っ……はぁ」

提督「出てくんの遅ぇぞ」

愛宕「まだ顎抑えて鼻先触れてたくらいでしょ? 」

提督「それが遅いって言うんだが」

明石「…………遊ぶならそう言ってくれませんかね。まったく」

提督「最初は遊びじゃなかったが? 」

明石「え? 」

提督「ん? 」

愛宕「私なんて見つめ合った後から来たのよぉ」

提督「な。最初は明石が振り払うまで進むつもりだった」

明石「…………ほんっっっともう少し私のこと考えてくれませんかね」


< 味 >





明石「……」

提督「久々にドキドキしただろ? 」

明石「悪い意味で、ですけどね」

提督「あぁ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……あなたの所為で」

提督「うん? 」

明石「私も仕事中に飴舐める習慣ができちゃったんですよ」

提督「へぇ? 」

明石「…………さっきまで仕事中でした」

提督「あぁ」

明石「……飴好きなら、何の飴かなんてすぐにわかりますよね? 」

提督「さぁ……どうだろうな」


ありがとうございました


< 波揺れ、風吹くある朝に >





Graf Zeppelin「…………」

提督「……やぁ」

GZ「? ほう、貴方が。…………時間通りだな」

提督「そりゃ遅れるってのは相手の大切なものを奪うってことだからな」

GZ「大切? 」

提督「時間だよ。五分もあれば佳い女の一人は口説けるだろ? 」

GZ「気安いな。……ま、時間のことについては同意しておこう」

提督「そ」

GZ「…………」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「……可愛いね。童顔って言われない? 」

GZ「……は? 」


< 二枚舌が十八番なのは……はて >





提督「ま、それは今度でいいや」

GZ「いや、私はそのいつかも遠慮したいのだが」

提督「まぁまぁ。……来てくれて嬉しいよ」

GZ「非公式とはいえ艦隊の司令長官に呼ばれたのだ、当然だろう」

提督「ってもな。二隻の艦隊だぜ? 」

GZ「私たちのような存在を抱えていてはそんなものはナンセンスだろう? 」

提督「……まぁ、な」

GZ「…………」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「……で? 何か話したいこと、あるんじゃないのか」

GZ「呼んだのは貴方だろう? 」

提督「俺が呼んだのはドイツのやつだぜ?
Bismarckではなく本国から来たばかりのお前が来た時点で何かあるのは分かるさ」

GZ「……そうか」

提督「……」

GZ「……ま、実際は別にBismarckでもよかったのだがな。私が個人的に貴方に会いたかったんだ」

提督「へぇ……光栄だな」

GZ「……………………ふ、貴方の顔を見れば分かる、嫌なことを考えているだろう」

提督「そりゃね。同盟を仲良しだと思うほど間抜けならここにはいないさ」

GZ「…………」


< そして >





提督「……で? 割と時間も無いから手短に」

GZ「……」

提督「……」

GZ「……この戦争はこのままならば終わるまい」

提督「はぁん? 」

GZ「戦力は兎も角あまりにも続けるメリットが大き過ぎるんだ。旧列強にとっては」

提督「……それにわざわざ旧列強に楯突く間抜けがいるとも考えられない? 」

GZ「そうだ。よく分かっているじゃないか」

提督「……」

GZ「……そもそも世界の経済は有史以来戦争経済そのものと言ってもいい、が」

提督「……」

GZ「海底から化物が現れ自分たちも化物を使役し戦う」

提督「……」

GZ「そんな世界になっても人間は戦争をやめなかった。
紛争地帯は相変わらず世界中にあり戦争経済の中心は殆ど変わらない」

提督「都合のいい兵器であるお前たちがいてもそちらはそちらで完結しているわけだ」

GZ「あぁ」

提督「……お前たちの使うものは通常兵器とはまた違う」

GZ「……経済覇権は私たちの戦いを中心に回るようになったがあくまで既存の戦争経済は戦争経済だった。
無くなったわけでも縮小したわけでもない」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「……それで? 」

GZ「何も。お互いにこの戦争によって国の立て直しが進んでいるんだ。
わざわざ終わらせることも無いだろう? 」

提督「……」

GZ「それに、紛争が無くならないとはいえ紛争地帯での死傷者や難民は減少の傾向にある」

提督「……大国が海を見ているからな」

GZ「海で私たちが戦っている間は世界が少しだけ平和だ。そうは思わないか」

提督「…………そうだな。あぁ、完全に否定はできないさ」


< 会いたくて震えていたのに >





GZ「だから……あまりバランスを崩さないでいただけるかな」

提督「……バランスねぇ」

GZ「あなたやあなたの国が自己開発したものにはあまり文句はつけたくないが……」

提督「他国への技術供与をするなって? 」

GZ「あぁ。……私やBismarckの目の前でかのイタリア戦艦を強化した上に作戦において大幅な権限を与えるとは思わなかった」

提督「や、ちょっと時間が無くてね」

GZ「…………」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「……それよりもあれじゃねぇかな。艦隊司令長官に挨拶もねぇのはどういうことなんだ」

GZ「は? 」

提督「お? 」

GZ「……挨拶が、無い? 」

提督「あぁ。お前もBismarckも全く会いに来ねぇじゃねえか。
Z3はZ3でなんの権限も無いから知らないとか抜かしやがるし」

GZ「…………」

提督「…………」

GZ「Bismarckがもう伺ったと思っていた。知己なのだろう? 」

提督「あぁ」

GZ「……それにBismarckが紹介してくれないからお飾りの司令長官だったのかと」

提督「おいどういうことだ、おい」


< 合わせたくない、そういうこと >





提督「それにしたってお飾りにも挨拶くらいしろよ。一応お前新参だろうが」

GZ「Bismarckが色々と語るから横須賀で世間話でもしようと思っていたんだ」

提督「……はぁ? 一応軍隊組織だぞここは」

GZ「その、好人物ではあるが権限は殆ど無いと思っていて……すまない」

提督「…………」

GZ「こ、こちらとあちらの艦長たちにはしたんだが」

提督「えぇ……」

GZ「……しかし突然横須賀以外からやってきていきなり指揮権を持たされただろう」

提督「まぁな」

GZ「……我々も暇ではなかったし。殆どあちらの艦に乗っていたからな」

提督「……」

GZ「……あちらの艦長たちが離してくれなかったのもあるんだ。
司令長官にはそのうち我々が紹介したい、と」

提督「へぇ……」

GZ「……」

提督「なるほどね」

GZ「……当然だが、あなたたちも一枚岩ではないのだな」

提督「むしろ俺なんて嫌われてそうだしな」

GZ「……しかし、すまなかった。確かにこれは私たちの落ち度で、非礼だった」

提督「…………いや、それはいいよもう。なんとなくそうじゃないかなって思ってたし」

GZ「……そう思ってくれるとありがたい」


< プライド、なんてものは大体不恰好なもので >





提督「それより…………お前はどうなるんだ」

GZ「私? 」

提督「……半永久的に戦争を続け、摩耗していくのは他ならぬお前たちじゃないのか」

GZ「あぁ。……それで、構わない」

提督「あん? 」

GZ「私たちは、とは言わない」

提督「……」

GZ「しかし私は、私だけは最期の日まで戦おう。それが私の務めであり価値だ」

提督「…………」

GZ「ふふ……随分と不服そうだな」

提督「……別に。お前がどこで苦しもうと俺は知らないさ」

GZ「そうだ。それは私の権利であり、私だけの意志だ」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「…………Bismarckくらいオンオフできれば楽なんだがな」

GZ「…………あれと一緒にはしないで、もらいたい」


< 呆れ >





高雄「十二月八日の誕生石はプラチナムルチルクォーツ。
石言葉は“ 寛大 ”、“ 誇り ”、“ 包容力 ”、そして“ 気まぐれ ”」

提督「…………」

高雄「お疲れ様でした」

提督「ん。……誇り、ね」

高雄「誇り? 」

提督「や、埃のような誇りというかなんというか」

高雄「……はい? 」

提督「…………横須賀戻ってからが本番だなぁ」

高雄「ほこり、ほこり、ほこり……誇り、埃…………あぁ」



< 割と大体きっとネタ >





高雄「今日の誕生花はヘンルーダ。花言葉は“ 悔恨 ”」

愛宕「悔恨、といえば」

提督「加賀と海風の誕生日は作戦前に祝えばよかった」

高雄「あぁ」

愛宕「帰ったら忙しいものねぇ、時期的に」

提督「まったくだ」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「……いや、まともに終わったら駄目なのかよ。なんなの君たちいい加減怒るよ? うん? 」


< 別に嫌じゃないけど、見過ぎはね? >





提督「おっぱいには夢が詰まってるからね、仕方ないね」

愛宕「仕方ないかぁ」

提督「うん、仕方ない」

愛宕「そっかぁ」

提督「あぁ」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……禁欲的過ぎて段々餓狼みたいな目付きになってない? 」

提督「え、まーじ……? 全く気付いてなかったんだけど、うわぁ……」


< 目と目で語るのも悪くないけれど >





高雄「あの人は」

愛宕「うん」

高雄「大概長話や説明が好きよね」

愛宕「まぁ、お話は割と長いし無駄に具体的よね」

高雄「ええ」

愛宕「…………お喋りは楽しい、みたいなこと真顔で言うから」

高雄「結構前に酔って爆睡する直前に言った、あー」

愛宕「会話はセックスだ! イカす会話を磨いたぜ! ……ってやつ? 」

高雄「そう。あれは面白かったわ」

愛宕「大体本音のような気もするけどね」

高雄「まぁ……私も好きだけれど、お話するの」

愛宕「そうね」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……つまり私たちも今セッ」

高雄「してません」


< 誰にとっての優しさを >





提督「今日のカクテルはパロマ。
カクテルワードは“ 考えの正しさを主張できる心優しい人 ”、だ」

加賀「……優しい、か」

提督「あぁ。……大概俺も嫌われてんな。世界が俺に優しくねぇ」

加賀「凡百の軍人に嫌われようが関係のないことでしょう」

提督「いや、それで済ませられれば苦労はしないが」

加賀「私に好かれているだけでも到底払いきれないお釣りのはず」

提督「…………やっぱ海軍内、特に艦娘にあまり関わらないやつには嫌われてるよな」

加賀「化物の使役者、なんてあだ名もあるくらいには」

提督「……」

加賀「……」

提督「……つまりハーレムへの嫉妬か」

加賀「…………それは特定の一部人物に対してだけだと思うけれど」


< あまりの快感は苦痛になるけれど >





提督「ふぅ……」

加賀「私にもいただけるかしら」

提督「……ん」

加賀「ふっ…………ありがとう」

提督「赤城に嫌われても責任は持たないが」

加賀「赤城さんには相当に好かれていますから」

提督「へぇ……」

加賀「……そういう人でしょう? いつも見ていてくれる、というところが伝わってきてしまう」

提督「そうだな。……自然と他人の中に居場所をつくってそこからいなくなってくれない」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……居心地が良過ぎて時々苦痛になるのよ。自分との差を覚えて」

提督「……で、いっそ澱んだ空気を吸いに来んのか」

加賀「苦痛を快感に変えるのは一人では難しいから。……物理的にも澱んできたわね」

提督「…………ス、ふぅー……吸ったら戻れよ」

加賀「……ええ」


< アンコール >





提督「……………………出てきなよ」



GZ「…………よく気付いたな」

提督「偶然さ」

GZ「…………貴方は普通の人間のはずなのだが」

提督「普通? いーや違うね」

GZ「……ほう」

提督「海軍きってのイケメン若手少将だから、うん」

GZ「…………」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「…………一本吸ってかない? Westだけど」

GZ「……付き合おう」


<どう致しまして、お嬢さん >





提督「……ん」

GZ「いや、自分の火種は持っているからな……ス-」

提督「そうかい。……親切は受け取りなよ」

GZ「失礼。しかし親切を受ける理由が無いのでね」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「……煙草、吸うんだな」

GZ「付き合いだ。然程美味くも感じない」

提督「……そ」

GZ「…………ス、ふぅ」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「…………横須賀まで戻ったら酒でも飲んで」

GZ「ベッドまで沈む、のかな? 」

提督「や、すこーしだけ本音で語ろうよ。その過程でなにかあるかもしれないけど、さ」

GZ「……考えては、おく」

提督「あぁ」

GZ「……さて、私はもう戻る。美味くもない煙草をありがとう」

提督「……Keine Ursache」

GZ「…………いい発音だ」

提督「さんきゅ」


< カーテンフォール >





GZ「……では、失礼する」

提督「おう。…………あぁ、待て」

GZ「……なんだ」

提督「Alles Gute.Freue mich sehr,Sie kennenzulernen」

GZ「……………………そうか。私は、今日生まれたのだな」

提督「知らねぇの? 」

GZ「あぁ。意味の無いことは覚えない主義なんだ」

提督「アインシュタインかよ。……俺なんてお前の名前見たときに調べたぞ」

GZ「ふ、軽薄どころの話ではないな、色男」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「…………」

GZ「…………」

提督「…………ま、それだけだ。プレゼントはキスくらいしかやれないが」

GZ「遠慮しておくよ。貴方にはもう多くの女性がいるはずだ」

提督「……」

GZ「それに……煙草一本のプレゼントも悪くないさ」

提督「…………そうか」


続けていてよかった……
レベルキャップとか他にもあって嬉しい

ありがとうございました


< オーラとかその辺 >





提督「どうもあいつと喋ると中二的な何かが呼び覚まされる」

愛宕「あいつ? 」

提督「あれだよ、あれ。チャップリン」

愛宕「……Graf Zeppelin? 」

提督「あぁ。お前俺の次くらいに発音いいな」

愛宕「ありがとう。……中二? 」

提督「中二っぽくない? 」

愛宕「……ケープとか見るとそうかも」

提督「だろ? 紫煙の似合う感じは中二どころかマジもんっぽかったけどさ」


< 反論できない >





愛宕「でもあなたは普段からあんな感じだと思うの。ガキな感じとか特に」

提督「いやいやいや……まぁ、百歩譲って普段からガキだとしても中二ではない」

愛宕「そう? 」

提督「おう」

愛宕「……そうね」

提督「あぁ」

漣「ま、高二と中二のハイブリッドみたいな感じですしねー。純粋な中二じゃないです」

愛宕「あぁ、やっぱりそれかも」

提督「…………」


< 夜零したのを朝見つける、ということは >





高雄「十二月九日の誕生石はスモーキークォーツ。
石言葉は“ 洗練 ”、“ 品格 ”、“ 身嗜み ”、そして“ お洒落 ”」

愛宕「お洒落をできないのは少しイヤ」

高雄「そうね」

愛宕「身嗜みだって、ね。本当に最低限」

高雄「ええ」

愛宕「これじゃあ品格も薄れちゃうわ」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「…………他人の寝巻き用シャツにコーヒーを零した人が言っていいことではありませんね」

愛宕「……ごめんなさい」

提督「や、別にいいって。これくらい気になんねぇよ」


< 輝ける今、あなたの金糸で温もりを >





高雄「今日の誕生花はグロリオーサ。花言葉は“ 光栄 ”と“ 華美 ”」

愛宕「その代わりー、私が一緒に寝てあげる」

提督「あぁん? 」

愛宕「乾いても少し嫌でしょう? だから私があっためてあげる」

提督「そうか。頼む」

高雄「そうね。風邪を引かれても困りますし」

愛宕「うん。…………あれ? 」

提督「うん? 」

愛宕「……なんか違わない? 」

高雄「……どうせ一緒に寝るのも普段通りなのでそのままでいいかと思って」

提督「同じく」

愛宕「うーん……? 」


< ふわふわ >





加賀「量が多いのは素晴らしいわ」

鹿島「多過ぎはちょっと……」

GZ「む……我が祖国の料理は量だけではないのだが」

加賀「味は前提よ」





叢雲「……なにあれ」

漣「さぁ……なんか楽しそうだけど」

叢雲「楽しそう? 」

漣「さっきまで空母の効率的な夜戦理論について話してたんだよ。
今はドイツ料理についてだけど」

叢雲「……」

漣「……鹿島さんのこと誤解してたでしょ? 」

叢雲「…………ちょ、ちょっとだけよ? ええ」


< 甲斐性 >





GZ「貴方は料理をするそうだな」

提督「うん? まぁ、炒飯とつまみくらいだが」

GZ「それでも意外だ。侍らせた女に任せっきりかと思っていた」

提督「……まぁ、普段はそんなもんだぞ。炒飯なんて毎日食ってらんないし」

GZ「頼まれればつくるだろう? 」

提督「まぁな。つくるのは嫌いじゃない」

GZ「…………Bismarckが餌付けされるわけだ。それでつまみもつくられては、な」

提督「……俺酒好きだし。美味い酒と美味いつまみ。いいだろ? 」

GZ「…………そう、だな。あぁ、それとコーヒーが好きなんだとか」

提督「あぁ」

GZ「……今度私が淹れて差し上げよう。
祖国の印象が戦闘時以外のBismarckで固められてはたまらないからな」


< 自分勝手でもいいから >





提督「今日のカクテルはアルバトロスシーブリーズ。
カクテルワードは“ 束縛されない自由奔放な生活を望む人 ”、だ」

高雄「望み過ぎはどうかと思いますけれど」

提督「望み過ぎはな」

高雄「ええ」

提督「……俺? 」

高雄「いえ、そういうわけではありませんが……」

提督「あぁ」

高雄「…………あまり軍内部で余計なことをしない方が」

提督「……」

高雄「……」

提督「……大丈夫、大丈夫だから」

高雄「……有事においては」

提督「あぁ」

高雄「あなたの生命とあなたの意志、私が優先するものがどちらか、わかりますね? 」

提督「…………あぁ」


< 本当こういうときなんなのなの…… >





雲龍「……眠いのに寝れない」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「……こういうとき基地以外だと自由がきかないわね」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「……お酒もセックスもテレビもネットも無い。本当につまらないわね」



ありがとうございました


< 意識的無意識 >





愛宕「私と高雄以外で」

高雄「ええ」

愛宕「ランキング、というか優先順位ってあるのかしらね」

高雄「……あの人の? 」

愛宕「そ、割と凄いことだと思うのよね。こんな状況で表立った不満が無いのって」

高雄「立ち回りだけは上手いですからね」

愛宕「ね」

高雄「…………もちろんあるでしょうね、そういったものは」

愛宕「ふーん? 」

高雄「ただそれを本人は意識していない、からこそ今があるのだけれど」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………今日はおっぱいな感じだから雲龍、今日は羞恥だから明石、みたいな? 」

高雄「……下世話かつ品が全くありませんが、おそらく」


< 別に気にはしないけれど >





愛宕「ただ凄いと同時にどうしようもないくらいの屑よね」

高雄「それすら利用して立ち回っているくらいの屑、という」

愛宕「それは屑で失望されないための予防線にも見えるけど? 」

高雄「ハイスペックな屑ですから。現に失望するような方はいなかったでしょう」

愛宕「まぁ、近寄るまでもなく嫌われてるし」

高雄「ええ。蛇蝎の如く」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………私たちはあの人を嫌いな人にどう思われてるのかしら」

愛宕「……売女とか淫売とか媚び売りとか? 」


< 擁護 >





高雄「十二月十日の誕生石はパーティカラードフローライト。
石言葉は“ 意欲 ”、“ 熱心 ”、“ 積極的 ”、そして“ 真面目 ”」

GZ「しかし……貴方たちは真面目な方ではないか。
元より人から逸れた身だ。私は快楽に落ちても落ち切らなければ構わないと思う」

愛宕「そう? 」

GZ「あぁ。Admiralもオンオフはできているように見えるしな」

高雄「…………」

愛宕「…………」

GZ「ん? どうした、違うのか? 」

高雄「……いえ、そうではなくてむしろ」

愛宕「……オンオフつけるどころかメリハリあり過ぎよね、っていう」

GZ「……? 」


< 今更 >





高雄「今日の誕生花はツルバキア。花言葉は“ 残り香 ”」

愛宕「あなたってどこか行ってもすぐわかるわよねぇ~ 」

提督「えっ……えっ? 」

愛宕「んー? 」

提督「嘘だろ……なにそれまーじ? 」

愛宕「なにが? 」

提督「……」

高雄「…………整髪料やお酒の匂いですよ。別に加齢臭ではありません」

提督「あ、そう? だよねー。まださすがに無いと思ってたんだよねー」





明石「時々明らかにヤってきたと思われる臭いで廊下歩くのはやめてほしいですけどね」

天城「……ですね」

Littorio「……それほぼ毎日だと思いません? 」


< パンを喰い荒らしワインを貪る >





提督「今日のカクテルはカンパリモヒート。
カクテルワードは“ 人生の階段を登り続ける前向きな人 ”、だ」

雲龍「誰しもそうだと思うけれど。自分の意志かどうかは兎も角」

提督「そうか? 俺は毎日毎分転げ落ちてる気がするんだが」

雲龍「私は悪魔に引っ張り上げられてるイメージね」

提督「悪魔? 」

雲龍「そ、悪魔」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……悪魔的に佳い女なら引っ張られてもいいなぁ」

雲龍「まったくよ。つまり同じ考え方ね」


< そういう人たち >





雲龍「艦のお茶、ね。……これは」

天城「こう……なんといいますか」

瑞穂「はい」

天城「味気ない、というか」

瑞穂「飛び抜けたものが無いというか」

天城「ええ」

瑞穂「……」

天城「……」

瑞穂「……緑茶、緑茶ではあるのですが」

天城「……何か足りませんよね。あと何かがあればもう少し、はい」

雲龍「…………素直に不味いでいいんじゃないかしら」


< そういう集団 >





漣「でも天城さんとか瑞穂さんに普通に不味いって言われたらヘコむよね。
本人が上手くて差を見せ付けられるだけに」

叢雲「誰に言われてもヘコむと思うけど」

漣「や、程度ってあるじゃん? 」

江風「雲龍さンに無表情で不味いって言われるのはまだマシだな」

叢雲「……あの人あれでも和食は一部天城さん以上なんだけど」

海風「高雄さんなら美味しくないって言ってきそうですけどね、普通に」

叢雲「あの人も和洋中大た……そもそも」

漣「うん? 」

叢雲「うちのメンツでまともなものつくれないのが少ないから誰に言われても心にくると思うわ」

漣「…………だね。それでいて健啖家が多いから」

海風「……箸置かれたら本当に食べられないってことだよね」

江風「…………江風、海風の姉貴に合格もらうまで誰にも食べさせないようにする」


< それもまぁ悪くない、なんて >





明石「なにこの疎外感」

Littorio「? 」

明石「……Littorioさんはいいですよね。イタリアンつくれて」

Littorio「Littorioは工廠にいても役立たずですけれど? 」

明石「それは私にしかできないですし。確かに私が必要とされているとは思います」

Littorio「はい」

明石「でもね、逆に誰にでもできることができないのは悲しいことなんですよ」

Littorio「はぁ」

明石「…………はぁ、嫌んなりますね。こんなことで悩む自分が、ですけど」


< 悪魔の誘惑 >





Littorio「では仮のお話ですけれど」

明石「ええ」

Littorio「明石の持つ重要な資質が無くなります」

明石「はぁ」

Littorio「その代わりに明石の望むお料理の能力が手に入る。どうしますか? 」

明石「えーっと……」

Littorio「ちなみにどの能力が無くなるかは分かりませんよ」

明石「…………工作系くらいしか無いんですけど」

Littorio「工作系にも色々とあるでしょうし。
……もしかするとあなたの優しさ、純粋さ、なんてものがなくなるかも」

明石「…………」

Littorio「…………」

明石「…………Littorioさんなら、交換してみますか? 」

Littorio「明石と同じ、ですよ」

明石「…………ですよね」


ありがとうございました


< 素質は誰しも >





提督「……脇」

Littorio「はい? 」

提督「いや……脇もいいかもなって」

Littorio「はぁ」

提督「……なんか禁欲生活の所為で元々持ってなかった嗜好に惹かれ始めた気がする」

Littorio「……なるほど。しかしそのようなお話をすると」

雲龍「呼んだかしら」

Littorio「……このようにニンジャが」

提督「よう。……脇だ」

雲龍「は? 」

提督「……脇。よくない? 」

雲龍「……………………そうね。私がよくないのがネックだけれど」

提督「そこはまぁ許して」

Littorio「…………Littorioの順応性が然程でもないように感じますね、これは」


< もうとりあえずなんでもいい >





高雄「十二月十一日の誕生石はレッドルチルクォーツ。
石言葉は“ 直感力 ”と“ 洞察力 ”」

提督「欲しいね」

高雄「そうですね」

雲龍「そうね」

愛宕「ええ」

Littorio「本当に」

提督「…………どこから湧いた? 」

高雄「……それだけ欲しいということでは」

雲龍「いっそ予知能力が欲しかったわ」

愛宕「なんでもできるわね」

雲龍「一番気持ちいいところがわかるとか」

Littorio「そ、そう、でしょうか」


< ピロートークとかかな >






高雄「今日の誕生花はカランコエ。
花言葉は“ おおらかな心 ”と“ ちいさな想い出 ”」

雲龍「ねぇ、無いの? 幼少期の性体験ストーリーとか」

提督「あのさ……あのさ」

雲龍「あなたくらいなら、ねぇ」

高雄「……一応は無いそうですよ。一応は」

提督「信用しとけよ……つーかそれちいさな想い出じゃなくてちいさな頃の想い出じゃん」

雲龍「そうね」

提督「……ていうかお前さ、ショタ趣味にでも目覚めたわけ? さすがにそんな変化みたいなのは無理だぞ」

雲龍「心外な。今のあなたと寝たときに使えそうって思っただけよ」

提督「…………」

高雄「…………度し難いですね、本当に」


< 夢がつまった理不尽の塊 >





鈴谷「しっかし……なーんでそんな理不尽におっきいのかなー」

愛宕「うん? 」

鈴谷「鈴谷も別にちいさくはないけど? なんか敗北感あるよねー」

愛宕「……寝る子は育つ、とか? 」

鈴谷「それ別の寝る、じゃん。
……あぁ、揉まれるととかそういう? 」

愛宕「さぁ」

鈴谷「はぁ」

愛宕「……まぁ、実際はあの人と出会う前からこうなんだけどね」

鈴谷「だろうねー。やっぱ理っ不尽」


< そんなプレイも悪くない >





提督「なになに? レイヤーでも始めんの? 」

鈴谷「レイヤー? 」

提督「違ぇの? 」

鈴谷「や、始めたくても無理じゃん。鈴谷鎮守府と海以外行けないよ」

提督「いいじゃん。熊野あたりは喜ぶだろ」

鈴谷「いやぁ……それはちょっと」

提督「恥ずかしいとか? 」

鈴谷「それもあるけど……時々感じるんだよね、ヤバ目の熊野」

提督「へぇ……」

鈴谷「……」

提督「……」

鈴谷「……」

提督「……とりあえず学ランでも着てみるか? 」

鈴谷「マジやめて、マジで怖いから」


< 風評は積極的につくるたち >





江風「姉貴たちって異常だと思うンだ」

海風「異常? 」

江風「ン、特に時雨の姉貴がヤバい」

海風「夕立姉さんじゃなくて? 」

江風「あれもあれでヤバいけど。
戦闘能力とかぽいっぽさじゃなくて」

海風「ぽいっぽさ? 」

江風「そンなのはいいンだよ。……なンか笑顔で怖いことしてそう」

海風「たとえば? 」

江風「時雨の姉貴の上官は大体誤射」

海風「……」

江風「……」

海風「……なんだかそんな気してきたかも」

時雨「……君たちね」


< 冗談のつもり >





江風「ンー、でも目の前にいないとこンな話できないじゃン? 」

時雨「……そんな話しなくてもいいと思うけど」

海風「姉さんと話せる機会って少ないですから。その分濃い話をしないと」

時雨「それはいいけどさ、濃いかな、この話」

江風「濃くない? 」

海風「濃いんじゃない? 」

時雨「……そんなこと言ったら海風も江風も十分白露ファミリーな気がするな」

江風「? 」

時雨「君はなんだかよくわからないコスプレで出撃しそうだし」

江風「え? 」

時雨「君は提督をそのうち襲いそうだよね」

海風「……」

江風「…………コスプレ? 」

海風「…………割と反論できない」

江風「え? 」

時雨「え? 」

海風「え? 」


< 正しく自棄 >





天城「今日は胃腸の日、だそうです」

雲龍「そう……」

天城「まぁ、この艦内にいる間は物凄く健康的なのですけれど」

雲龍「……味気無いしつまらないけれどね」

天城「……それは仕方のないことです」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「…………浴びるように飲んで貪るように食べ散らかしたいわ」

天城「……そうすると提督と夜は遊べませんけどね」

雲龍「…………どうせ帰還一日目は私の時間じゃないし」

天城「……ははは」


< そういう人 >





提督「ふぃー……やぁっと明日で横須賀か」

高雄「作戦内容上仕方の無いことですが中々長期間陸を離れましたね」

提督「おう。……やっと高雄の飯が食える」

高雄「はぁ」

提督「たっのしみー。ガキの頃の遠足くらい楽しみ」

高雄「基準がよくわかりませんが」

提督「毎日でも食べられるはずの食事が一年に何回かの遠足と同じくらい楽しみってことだよ」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……そ、そうですか」

提督「おう」


< 鳥肌 >





提督「今日のカクテルはルジェカシスモヒート。
カクテルワードは“ 花や植物のように綺麗に輝く人 ”、だ」

明石「輝いてんですかね植物とかって」

提督「さぁな。とりあえずエコとか環境に沿ってればそれっぽいだろ」

明石「まぁ、そうですが」

提督「じゃあ何か? ボルトや板金のように綺麗に輝く人って言われて嬉しいか? 」

明石「いや……嬉しくないですね」

提督「な? まぁ、植物っぽいとか言われても嬉しくはないけどさ」

明石「…………」

提督「…………今日も綺麗だよ。いつもの明石らしく」

明石「…………ほんっとそういう切り替え凄いですね。戦後は俳優でもやりますか? 」

提督「や、俺はもう誰の舞台に上がるかは決めてるからさ」

明石「……左様でございますか、はぁ」



ありがとうございました


< こんな風景も時には >





漣「ふぇぇ……やっと横須賀だよぉ」

叢雲「そうね。……その顔腹立つからやめなさい」

漣「ふぇぇ……叢雲ちゃんが怖いよぉ」

叢雲「……折角辿り着いた横須賀の地を踏めなくしてやろうかしら」

漣「ふぇぇ……」

叢雲「…………私昨日は寝付きが悪かったのよ」

漣「いやいやいや、知らないよそんなの。せめてもう少しノッてくれても」

叢雲「……もっと相手を選びなさいよね。私より面白い相手がいるでしょう」

漣「そうかな? 漣は叢雲ちゃんといるのが一番好きだよ? 」

叢雲「…………そう。勝手になさい」

漣「うん、勝手にするよ。……これからも、たぶんいつまでも」


< 上の人の情景 >





提督「横須賀か」

愛宕「そうね」

提督「……昼前だな」

愛宕「昼前ね」

提督「…………夜まで時間があるな」

愛宕「うん」

提督「…………どうせくだらねぇ会議ばっかなんだろうなぁ」

愛宕「報告して差し上げなきゃいけない人が沢山いるものねぇ~ 」

提督「…………」


< 恋人だから、とは言わない >





高雄「十二月十二日の誕生石はソフトピンクジルコン。
石言葉は“ 陽気 ”、“ 朗らか ”、“ 順風満帆 ”、そして“ おおらか ”」

加賀「……順風満帆」

高雄「はい」

加賀「だといいわね」

高雄「ええ。……報告会議なので問題はないでしょうが」

加賀「どうせ艦隊メンバーに嫌味でも言われてるわ」

高雄「そんなものは織り込み済みなので」

加賀「へぇ……そう」

高雄「……喧嘩の一番楽な対処法は」

加賀「ええ」

高雄「わざと穴や隙を見せてそこに誘い込む、だそうですよ」

加賀「…………性格の悪い」

高雄「あら……それでは私と愛宕も」

加賀「……手伝ったのね」

高雄「副官、ですから」


< 病脇から >





雲龍「……脇」

天城「……がなんです」

雲龍「の可能性を考えていたの」

天城「」

雲龍「…………無理矢理使われるだけ、と考えると悪くないわ」

天城「……病は気から、いえ脇から、ですか」

雲龍「……うぅん、でも」

天城「はぁ。ま、押し付けてこないだけ姉様はまだ大丈夫なような気もしますけれど」

雲龍「……あの人は、でもそうすると……天城」

天城「……それに姉様の病は脇以前からのものですしね」

雲龍「……天城? 」

天城「はいはい。天城はあまりそういったお話は得意ではーー」


< 何を? >






高雄「今日の誕生花はニワトコ。
花言葉は“ 憐れみ ”、“ 熱心 ”、“ 熱中 ”、そして“ 熱狂 ”」

Littorio「……今外に」

高雄「ええ」

Littorio「今回の作戦で見知った方達が何人か固まっていましたよ」

高雄「そう。煙草でも吸っていたかしら」

Littorio「それはもう苦そうに」

高雄「そ、もっと軽くするか、やめてしまえばいいのに」

Littorio「……」

高雄「……会議が一段落したのなら、そろそろ戻ってきますね。コーヒーでも淹れましょう」


< いい字一字 >





天城「漢字の日、ですか」

瑞穂「ええ。天城さんはお好きな字などありますか? 」

天城「好きな……華や碧でしょうか」

瑞穂「はぁ」

天城「意味も好みですが字そのものが綺麗ですし。整っているから、ですね」

瑞穂「なるほど」

天城「横棒が多いので書きやすいのもありますし。瑞穂さんの瑞、もそうかもしれません」

瑞穂「……」

天城「……」

瑞穂「……割と合理的な理由なんですね」

天城「意味ももちろん好きですよ? ただ……そんなものでしょう、大体は」


< お言伝 >





龍田「明日の夕方から祝勝会がありまぁす」

提督「……そう」

龍田「んー? 」

高雄「会議と報告げ終わって今一番テンションの低いときなんですよ」

提督「なんですよ……」

龍田「ふーん? ……じゃ、明日はよろしくねぇ」

提督「……なに、俺も出んの? 」

龍田「関係者は全員出るのよぉ。あなたも出ないと」

提督「…………つまり艦長やら横須賀付のやつらの防波堤になれ、と」

龍田「そういうことー」

提督「…………」

高雄「……いくらなんでもそれは」

提督「いいって。そういう場に出ないと立場も悪くなるしな。……龍田」

龍田「なぁに? 」

提督「伝言ご苦労。明日のお前に期待している」

龍田「はぁい。ではではぁ」


< それから >





提督「…………」

高雄「…………」

提督「……はぁ。かったる」

高雄「……安請け合いなんてするから」

提督「どちらにせよ誘いはきただろ。龍田だっただけマシだ」

高雄「はぁ」

提督「…………ま、粧し込んだあいつを見れるわけだし。
ちょっとくらい気合入れるか」

高雄「…………私たちは戦闘衣が正装になってしまうわけですが」

提督「いいだろ。お前のドレスアップなんて横須賀のやつらには勿体無い」

高雄「……」

提督「……さて、久々に酒飲んで寝るか」

高雄「明日も早いですからね」

提督「あぁ。もちろん、付き合うよな? 」

高雄「……ええ。愛宕も呼んできましょう」


< 自覚とはまた違った問題が>






鈴谷「まぁ、でも逆にさ」

龍田「うん? 」

金剛「What's? 」

鈴谷「あれだけ欲望に忠実で周りも享楽的なのにあれで済んでるって凄いよね」

龍田「…………」

金剛「…………」

鈴谷「……うん? 」

龍田「…………一番じゃなきゃ嫌って方が」

金剛「多いってことネー……」

鈴谷「いや、それは普通じゃん? もしかして二人とも自分が普通だと思ってるわけ? 」

龍田「…………いや、うーん……どうかしら」

金剛「……割と難しいQuestionデース」


< ちいさな、そして大切な >





提督「今日のカクテルはパッシモモヒート。
カクテルワードは“ シンプルな優雅さで人を陶酔させる麗人 ”、だ」

愛宕「飲んでるお酒はウィスキーだけどね」

提督「仕方ないだろ。これしか持ってきてない」

高雄「飲みたいならもらってきましょうか? 」

提督「いや、いいよ。何持ってきてもこれより美味く感じないだろうし」

高雄「はぁ」

愛宕「フリーク……」

提督「フリークで結構」

愛宕「悪いとは言ってないわよ? 私もこの香り好きだ……好きになったし」

提督「そうか。……ん」

高雄「……お注ぎします」

提督「さんきゅ」


ありがとうございました


< また、始まる >






提督「んー、実にいい目覚め」

愛宕「…………お酒飲んだ方がいい目覚めなのね」

提督「そりゃな。好きなことやって寝た方がいいさ」

愛宕「んー……」

提督「……っと、コーヒーでも淹れるかーっと」

愛宕「……私も」

提督「おう」


< 人には人の >





鈴谷「あぁ……いいねぇ、沁みるよー」

金剛「私としては紅茶を嗜んでほしいところデスガ」

鈴谷「や、鈴谷はコーヒーよりも紅茶よりもココアだからさー。ごめんね? 」

金剛「……私も嫌いではありませんケド」

鈴谷「んー」

金剛「……」

鈴谷「……榛名さんとか比叡さんは? 」

金剛「サァ……姉妹でも別々にいたいことって、あるでショウ? 」

鈴谷「まーねー…………全員にあるかはわからないけど。熊野とか見てると」


< 朝が来ても >






雲龍「ねむ……」

天城「ほぼ出撃が無いと分かっていても身体が起きてしまうものですね」

瑞穂「悪いことではありませんし」

雲龍「……私は天城に無理矢理起こされたのだけれど」

天城「まぁまぁ。久方振りに横須賀なのですから」

瑞穂「瑞穂はほぼ初めてなので新鮮です」

雲龍「…………どうせ景色くらいしか見れないじゃない」

天城「それでも、ですよ。間宮さんとレシピの交換だとか」

瑞穂「あぁ、それはいいですね」

雲龍「…………Zzz」

天城「……? あぁっ、姉様、姉様ったらお食事中に……もう、御髪に付いちゃいますよ? 」


< 答え >






愛宕「ぁ、ここ伝線してる……」

高雄「……サイズ上げてみたら? 」

愛宕「うーん……別にそこまで伝線するってわけじゃないんだけど」

高雄「でもあなたいつも左の太腿じゃない」

愛宕「そうなのよねぇ~ ……」

高雄「……いっそあの人と寝る予定があればよかったわね」

愛宕「えぇ……? さすがにそこまで貧乏性じゃないし……破られること前提なのもちょっとぉ」

高雄「……破られなくても殆どの場合伝線しているのだけれど」

愛宕「それは……それくらい激しくないと高雄も嫌でしょ? 」

高雄「…………」


< 会話なんていうものは >





提督「ラーメン屋行きてぇ」

GZ「ラーメン……私はまだ食べたことが無いな」

提督「つけ麺でもいいや。とりあえずそういう系」

GZ「ラーメン、つけ麺……一体何が違うのだ」

提督「あぁ……替え玉特有の微妙にスープが足りない、あの」

GZ「……いや、スープのあるパスタだと思えば、確かに違うな」




漣「会話……会話ってなんだ」

叢雲「……普段から大体そうでしょ。適当に好み垂れ流してるだけよ」


< なにか負けたような >






愛宕「私、高雄が常識人ぶってるのはおかしいと思うの」

高雄「……少なくともあなたよりは」

愛宕「本当に? 」

高雄「でしょう? 」

愛宕「そう? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

江風「争いは同じレベルの者同士でしか、って知ってるか姉貴」

海風「うん。海風と雲龍さんじゃ戦いにもならないってことでしょ? 」

江風「そうだけど……ひっでぇ」

高雄「…………」

愛宕「…………ふふ」


< 大体最後のに収束する >






高雄「十二月十三日の誕生石はネフライト。
石言葉は“ 負けず嫌い ”、“ 職人気質 ”、そして“ 抜け目なさ ”」

漣「割に負けず嫌いですよねー、高雄さん」

高雄「まぁ……負けて嬉しいということはありませんね」

漣「やっぱり愛宕さんが一番のライバルなんですか? 」

高雄「……ええ」

漣「いいなー。漣もそういう姉妹が欲しかった」

高雄「はぁ」

漣「別に不満があるとかじゃないですけどー、なーんか趣味とかがずれてるんですよねー」

高雄「それは、そうかもしれませんね」

漣「それ考えると高雄さんと愛宕さんくらい好みとか趣味が似通ってるのはいいなー、っと」

高雄「…………」

漣「……? 」

高雄「…………お酒もお料理もコーデも男も趣味が似ているのがそこまでいいことだとは……思えませんけれどね」

漣「はは……や、それは漣にもなんとも言えないです」


< 共にあることがどれだけ素晴らしいことかを >






高雄「今日の誕生花はピンクッション。花言葉は“ 共栄 ”」

漣「共栄……共栄」

高雄「はい」

叢雲「極論だけど誰しもがそうよね。なんだったかしら……人は単数では生きられない」

漣「それ児童書だよね。……読んだの? 」

叢雲「結構楽しかったけど」

漣「あ、そう……ま、共栄なんて意識する方が珍しいか」

叢雲「そうね」

高雄「共栄や共同、なんてものが叫ばれ始めては終わりですよ。
本来意識せずとも行われるものですから」


< 退屈な、そして退屈な >





提督「ーー此の度の戦勝もまた帝国海軍の栄誉や陛下の御心と共にあった。
しかし、今だけは己の心ゆくままに飲んで騒ぐのも悪くはないだろう。……乾杯! 」





雲龍「やれやれ、ってやつね。変わり身の早さといったらもう」

天城「必要なこと、ですから」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……このフォークのデザインいいわね」

天城「はぁ」

雲龍「料理はまぁ……普通だけれど」

天城「だからといってフォークに興味を示す女性はどうかと」


< 今からダンスパーティでも? >






鈴谷「……なんでそんな気合入れてんの? いつものでよくない? 」

龍田「あの人との約束だからぁ~ 」

鈴谷「ふーん? まぁ、それはまだわかるよ」

龍田「ええ」

鈴谷「……なんで? 」

金剛「提督が出席するパーティでいつもと同じ、なんてありえまセーン」

龍田「……」

鈴谷「……」

龍田「……友達の結婚式で本気出して浮くタイプよね」

鈴谷「……本人が目立ってもいいルックスなだけに酷いことになるよね」

金剛「榛名ー、もっと食べまショウ? 折角のパーティなんですカラー」


< 蟠りという程のものでもないが >






GZ「ほう……」

Littorio「あらあら……」

提督「……なんだ」

GZ「いや、なかなかどうして偉丈夫ではないか」

Littorio「Littorioは前から気付いていましたよ? 」

GZ「む……」

提督「……そりゃ軍装整えれば誰でもそうだろ。スーツだって似合わない方が珍しい」

Littorio「ん……それはさすがに」

GZ「あなたはその一般よりも優れている、ということだ。私が手放しに賛辞を送っているのだぞ? 」

提督「…………さんきゅ。今度またお話しせようぜ」

愛宕「はーい、次は呉からのお客さんとお話ししましょーねー」

提督「うぃーっす……」




Littorio「……あなたも」

GZ「うん? 」

Littorio「いえ……あなたの良識に期待しておきましょうか」

GZ「……ほう、喧嘩なら買うぞ」


< 譲れないなにか >






提督「今日のカクテルはティフィンモヒート。
カクテルワードは“ 人生の道を登りつめる女性 ”、だ」

GZ「ミュンヘンのティーリキュールがベースだな」

金剛「ティー? 」

GZ「そうだが。……なんだ」

金剛「ティーといったら我が英国デース」

GZ「ふっ……歴史と伝統に凝り固まったやつらのものではないか。
そんなものより北方のサモワールで淹れたものの方が余程美味い」

金剛「……はっ、なんですって? 」

霧島「……お姉さま、口調が」

提督「…………元気だなお前ら。俺はもう眠いよ、ったく」


< 相手 >






提督「……寝る」

愛宕「……私も」

高雄「そうね。……私も大分疲れました」

提督「……」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「…………歯磨き……面倒くせぇなぁ」

高雄「して差し上げましょうか? 」

提督「や、俺さすがにそんな趣味ねぇし……ふぅ」

愛宕「…………私にしてくれる? 」

高雄「イヤ。自分でしなさい」

愛宕「……はぁい」


ありがとうございました


< 賢者の呟き >





提督「…………ス、はぁ」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……久々にこの疲労感、感じるなぁ」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……死ぬときはおっぱいに埋もれて死にたい。揉みしだきながらでも可」


< 爛れたおねんね >





鈴谷「きんもー☆ 」

提督「……お前早起きだな。つーか聞くな」

鈴谷「そっちこそ」

提督「俺はまぁあれだよ。二度寝やめて無理矢理起きてきてんの」

鈴谷「ふーん……? 」

提督「…………シャワーはもう浴びてきたぞ。そもそもヤッてねぇし」

鈴谷「や、そんなこと聞いてないから」

提督「……」

鈴谷「…………極上の女二人侍らせて獣になるのってどんな気分? 」

提督「最高だね」

鈴谷「しね」

提督「えぇ……酷くねそれ。訊いたの鈴谷じゃん。しかも一緒に寝ただけだし」

鈴谷「酷いと思う? 」

提督「……いや全く」

鈴谷「でしょ? ていうか一緒に寝るのも大概だからね」


< まぁ、片方分かれば逆も大体 >





愛宕「ん……このブラ合ってないかも」

提督「や、そんなこと男に言われてもね。合ってないのも好きだし」

愛宕「……後ろ透けてない? 」

提督「透けてないよ。……昔から思ってるけどそんな気にすることでもなくない? 」

愛宕「やぁね。品が無いじゃない」

提督「……服関係はな。男は脱がせ方だけ知ってりゃいいんだよ」

愛宕「うわぁ……」

提督「や、だって間違ってないだろそれ」

愛宕「……まぁ、着せるのなんてドレスの背中ファスナーくらいだものね」

提督「そういうこと」


< そもそもどこからが本番なのか >





鹿島「提督さん、鹿島と練習、考えてくれました? 」

提督「……なんの練習のことかな」

鹿島「さぁ……それは提督さんの気持ち次第ですけど」

提督「……大概のことは経験してるつもりなんだけどなぁ」

鹿島「練習は本番のような気持ちで、本番は練習のような気持ちでやるのがいいのです」

提督「…………つまりなんだ。本命の女の子の前に鹿島で練習しろと? 」

鹿島「提督さんは練習でも本番と同じ気持ちで臨んでくれる人だと思っていますので」

提督「…………」

鹿島「……えへへ」

提督「……………………本番、本番ってなんだ」


< あまりいい言葉が見つからない >





鹿島「はい、提督さん」

提督「……あざと。サンドウィッチとかあざと」

鹿島「んふ? 」

提督「……コーヒーもくれ」

鹿島「はーい、そう言われると思って」

提督「準備いいなぁ」

鹿島「高雄さんに言われていたので」

提督「……さっすが俺の嫁」

鹿島「お嫁さん? ……じゃあ私は? 」

提督「んん……」

鹿島「……? 」

提督「…………コーヒー、美味いよ」

鹿島「えへへ、ありがとうございますっ。…………あれ? 」


< 屑だから嫌いになるわけでもない >






雲龍「パチンコとかしないのかしら」

天城「あまり想像できませんけれど」

雲龍「でもここまで屑の役満だとやりそうよね」

天城「……時々思いますけれどお好きなのですよね? 」

雲龍「自分を捨ててもいいくらいには」

天城「……」

雲龍「こんな私でも心から相手してくれるところが好きなのよ。
屑とか聖人だとか、そういうのはどうでもいいこと」

天城「…………それがそう振舞っているだけだとしても、ですか」

雲龍「突っかかるわね……ええ、死ぬまで騙してくれるなら、それはもう私にとっては真実の愛と同じ」

天城「…………はぁ、まったく度し難い」

雲龍「それでいいわ。簡単に理解なんてされたくないもの。たとえそれが天城、あなたでもね」


< 敵を味方にし味方を部下にする >





高雄「十二月十四日の誕生石はブルールチルクォーツ。
石言葉は“ 立派 ”、“ 進化 ”、“ 協力的 ”、そして“ 育ちの良さ ”」

GZ「Admiralは家柄などはどうなのだ。物腰など見ていて心地よいものだが」

高雄「……どう? 」

愛宕「自称中流家庭出身の星、らしいわよ」

GZ「はぁ……つまり実力のみであそこまで、なるほど」

高雄「……先程物腰、と仰いましたが」

GZ「あぁ」

高雄「強いて言えばそういったものの擬態は、天才的ですね」

愛宕「相手が言われて気持ちいい言葉とか選ぶの上手いわよね」

GZ「…………なるほど。手強いな、それは」


< 基準をどこに置くかにもよる >





高雄「今日の誕生花はシネラリアパープル。
花言葉は“ 悩ましい思い出 ”」

愛宕「えっちいこと? 」

高雄「さぁ……どうでしょうね」

愛宕「あなたは? そういう思い出ってある? 」

GZ「いや……私は特にはないな」

愛宕「ふーん? 」

GZ「男女の機微に疎いのもあるが……私の目に適った男は大体が老齢だったからな」

愛宕「あー……爺専とか枯れ専とかってやつ? 」

GZ「いや、単にそれくらい経験を積んだ男でなければ、ということだ。
私はこれでも理想が高くてね」

愛宕「……そ」

高雄「……」

GZ「? 」

愛宕「……私も理想が低いつもりはないんだけどなぁ」

高雄「……そうね」


< 誰と飲むか、そんなことだって自由の一つ >





提督「今日のカクテルはシャルトリューズモヒート。
カクテルワードは“ 朗らかで自由を愛する温かい心の持ち主 ”、だ」

明石「あぁ……久々にカルヴァドス飲みましたぁ」

提督「昨日のパーティでは無かったか。……つーかよく持ってたな」

明石「偶々大淀が持ってましてねー」

提督「へぇ……大淀は? 」

明石「一度部屋に戻りました。別のお酒でも持ってくるんじゃないですか」

提督「そうか」

明石「……」

提督「……じゃ、俺はこれで」

明石「え? 」

提督「あ? 」

明石「飲みましょうよー」

提督「いいけどさ……久々にプライベートだろ」

明石「あなたは十分プライベートで呼べますよ。上官としてじゃなく」

提督「…………大淀にも許可取れよ。俺もその間になんか持ってくるから」

明石「はーい。…………ふふ」


ありがとうございました


< ちなみに服は着ていた >





明石「…………ぅ……ん」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「……二日酔いも無いし、普段と同じ時間の目覚め。楽しいお酒で気分もいい」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「……問題は何故大淀のベッドで大淀と寝ているか、ね」


< 他方こちらは >





提督「んあ……Zzz」

高雄「随分と幸せそうな顔で寝ているわね」

愛宕「幸せなんじゃないの? 」

高雄「……まぁ、そうね。だといいけど」

愛宕「自信無い? 」

高雄「正直に言えば。身体の相性は兎も角……色々と思うところはあるわ」

愛宕「ふーん……」

高雄「……ま、今更捨てられても簡単に捨てられる気もありませんが」

愛宕「……そ、この場合取らぬ狸の皮……ネガティヴだとなんて言えばいいんだったかしら」

提督「…………Zzz」


< 私 >





明石「あー…………そういえば提督がいなくなった後は寒いので大淀の部屋に来たような気も」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「……想像以上に可愛らしいというか。このピンクの小物とかもうね、ザ・女子」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………」

明石「…………大淀も変わっていくんだ。
私も……きっと大淀に驚かれること一杯あるんだろうなぁ」


< きっとそれはとてもユニークな >





高雄「十二月十五日の誕生石はキャッツアイルチルクォーツ。
石言葉は“ 継続力 ”と“ ユニーク ”」

江風「継続は力なり、か」

海風「……訓練続けててよかったね」

江風「ン」

海風「……よく考えると叢雲ちゃんって誰に訓練されたの? 」

江風「さぁ……江風にはわかンないな」

海風「…………」

江風「…………」

海風「……想像したくないね」

江風「……悪鬼羅刹とかかな。出会い頭に吹き飛ばされそう」

高雄「……………………お二人も叢雲さんの立ち位置になると思いますけれどね、いつか」


< 業 >





高雄「今日の誕生花は赤薔薇。花言葉は“ 情熱 ”、“ 愛情 ”、“ 熱烈な恋 ”、“ 尊敬 ”、そして“ 美 ”」

愛宕「の割に私たちって別に教官役じゃないじゃない? 」

高雄「……江風さんたちに背負わせたいの? 」


< まぁ、別にどうでもいいのだが >





漣「なんかどっかで好きな野菜ランキングって見たんだけどさ」

江風「ン? 」

漣「それの一位がずっとトマトなんだってさ」

江風「へぇ……それで? 」

漣「おかしいと思わない? 別に漣はトマト嫌いじゃないけどさ」

江風「そう? 」

漣「どう考えても他にあるでしょ。ファストフードの定番に」

江風「あぁ……じゃがいも」

漣「なんなんだろうね。
もしかしてランキング参加者はポテトがじゃがいもでできてるって知らないのかな」

江風「いや、それはさすがにないじゃン? 」

漣「でもさぁ……」




叢雲「……白菜が好きなんだけど」

海風「いいですよね白菜。この時期美味しくなってきますし」


< たぶんきっとおそらく >





提督「今日のカクテルはミドリモヒート。
カクテルワードは“ 前向きに日々を暮らすしっかり者 ”、だ」

高雄「前向き」

愛宕「前向き」

提督「前向きですよね? 」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「……ですよね? 」


< あぁ、嫌な >





雲龍「……クリスマスね」

Littorio「もうあと十日ですか」

雲龍「はぁ……」

Littorio「……提督は仕方ないかと」

雲龍「……世間的には愛人ってむしろイベント事を楽しむ相手だと思うの」

Littorio「……そもそも正妻との仲が悪くて外を向いているわけではありませんし」

雲龍「…………」

Littorio「…………」

雲龍「……嫌ね」


ありがとうございました


< 幸せの禁断症状 >






愛宕「朝から晩までお料理しないってのもなんだか変ね」

高雄「ええ」

愛宕「こう、落ち着かないというか」

高雄「そうね。いつもしていることを急にしなくなったから」

愛宕「…………手震えてきたりしそう」

高雄「……まだ健全な禁断症状よ」

愛宕「うん、煙草とかお酒より…………健全な禁断症状? 」


< こっちはこっちで >





雲龍「……ヤれてない、シてない」

天城「……そうですね」

雲龍「……寒い、ストレス溜まる……溜まる」

天城「……作戦はもう終わりましたし」

雲龍「…………禁断症状出そう」

天城「裸で外を走り回ったりしないでくださいね」

雲龍「……大丈夫よ。たぶん、きっと」

天城「…………天城は信じていますから、姉様のこと」


< 誰が一番常識的な判断をしたか >





高雄「十二月十六日の誕生石はアズライトマカライト。
石言葉は“ 規則 ”、“ 礼儀 ”、“ 行動的 ”、そして“ 常識的 ”」

鹿島「提督さんってやっぱり、あちらの方も凄いんですか? 」

高雄「はい? 」

雲龍「凄いわよ」

鹿島「やっぱり……」

高雄「……」

雲龍「……」

鹿島「…………お酒、やっぱり強いんだ」

高雄「え……」

雲龍「…………ふふ」


< 妻夫 >






提督「女は三歩下がって着いてくる」

愛宕「うん? 」

提督「あれって別に今でいう差別的で旧時代的な意味じゃなかったらしいぞ」

愛宕「そうなの? 」

提督「ん」

愛宕「……まぁ、今の時代隣が多いし、
むしろ前を行きたい女の子も多いから差別的に聞こえるのかしら」

提督「さぁね。……自分が主導権握りたいって? 」

愛宕「ええ。主導権は大事……私はやっぱり隣歩くのがいいけど。腕組みたいし」

提督「あぁ。……前を行く俺が守るから何かあれば逃げろ、って意味な説があるらしい」

愛宕「へぇ……強い方が、ってこと? 」

提督「うん」

愛宕「…………私が前歩きましょうか? 」

提督「……そっすね」


< そういうのは仕方ない >





高雄「今日の誕生花は泰山木。花言葉は“ 壮麗 ”」

提督「東大寺はヤベぇぞ。壮麗といえば東大寺」

高雄「好きですね、東大寺」

提督「あんな最高にイカした建物も珍しいからな」

高雄「はぁ」

提督「あとはまぁシェーンブルンあたりだ、印象に残ってるのは」

高雄「シェーンブルン……ホーフブルク辺りに行ったということはやはりオイゲン公の像も? 」

提督「見た見た。なんか台座の下でカップルがいちゃついてたのしか覚えてないけど」

高雄「…………」


< あなたと食べればなんだって楽しいけれど >





提督「今日のカクテルはマンゴヤンモヒート。
カクテルワードは“ 娯楽を堪能できる情熱家 ”、だ」

GZ「そうか、貴方は我が祖国に滞在したことがあるのだな」

提督「まぁね。武官としてだから遊んでたわけじゃないけど」

GZ「その割にBismarckとは随分と愉快な話ばかりしたそうじゃないか」

提督「そりゃ自分の国自慢とかするだろ? 」

GZ「まぁ……Bismarckはなんと? 」

提督「色々話したけどな……とりあえずウィーンで、
カルトッフェルザラートとビールの組み合わせについて語ったのは相当有意義だった」

GZ「……」

提督「あんなに種類と合わせ方あるとか……あと甘味もヤベぇよな」

GZ「あ、あぁ、Sachertorteなどのことか? 」

提督「そうそう。俺甘党だからさ」

GZ「……しかし」

提督「……ん? 」

GZ「……………………食べ物の話ばかりじゃないか、とか。
大体オーストリアの話じゃないか、とか」

提督「気にすんな。細かいことだ」



ありがとうございました


< 指輪も、力もいらないけれど >






雲龍「そういえば」

明石「なんです」

雲龍「世界にあの指輪は何個あるんだったかしら」

明石「今のところは九つですね、厳密には提督が二人分持っているので八つですが」

雲龍「そう……量産できたりはしないの? 」

明石「指輪自体ならできますよ? あとは練度と交互の信頼とか愛とかが必要ですけど」

雲龍「……使える、使えるはず」

明石「…………ま、雲龍さんが望むなら帝都に上申してください。提督を通してもいいですけどね」

雲龍「……………………」


< いつだって唐突に >





漣「……まま」

提督「ッ…………」

漣「……あぁ、いや別に親がいないとかそういう黄昏じゃないですから」

提督「…………」

漣「ままならないのまま、って何かなーとか。我儘とか気儘のまま、かなーとか」

提督「…………」

漣「……あの、そんな罪悪感に満ちた顔されると漣が申し訳なくなっちゃいますよご主人様」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………」

漣「…………ま、パパはいますしね。屑ですけど」

提督「……………………」


< 歌ってほしい曲を訊くのは難しいけどね >





高雄「十二月十七日の誕生石はスペクトロライト。
石言葉は“ 行動的 ”、“ 開拓者 ”、そして“ 憧れ ”」

提督「何に憧れてるかはさ」

高雄「ええ」

提督「その人とカラオケ行ったり歌の話すればいいと思うよ」

高雄「まぁ、好みが端的に表れますし」

提督「……天城のプレーヤからXとか意味不明だったけどな」

高雄「……あれは」

提督「……別に天城越え入れろとか言わないけどさぁ」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……」

提督「…………LOVER SOULとか綺麗に歌ってくれると、いいかもね」

高雄「……覚えて、おきましょう」

提督「ん」


< 弱さを隠すという弱さも >





高雄「今日の誕生花はミムルス。花言葉は“ 気の弱さ ”」

愛宕「気が弱い、ね。私たちの基地だと誰が一番かしら」

高雄「……瑞穂さんか海風さんでは」

愛宕「うーん……」

高雄「それか明石さんか」

愛宕「……私は明石だと思うけど」

高雄「……帝都に無断で提督や加賀さんと謀議していた人が、ね」

愛宕「……でもLittorioの件はあの人主導でしょ? 」

高雄「まぁ」

愛宕「……じゃあ。私と高雄ならどっち? 」

高雄「……あなたでしょう」

愛宕「私は高雄だと思うけど」

高雄「…………不毛な話ね」

愛宕「ふふ、いいのよそれで。ティータイムに意味なんて無いわ……無いデース! 」


< 敵、敵、敵 >





提督「今日のカクテルはラズールモヒート。
カクテルワードは“ 中間的な立場を取る保守的な人 ”、だ」

あきつ丸「ふ、何が保守か。ただのコウモリでありますな」

提督「あぁん? 」

あきつ丸「中間的な立場、とは中間的な意見を言うことであって折衷案を出すことではありませんから」

提督「……そんなのは理想論だろうが」

あきつ丸「自分は理想を実現する為に活動しているのでありますよ? 」

提督「……」

あきつ丸「提督殿も、そうでしょう」

提督「……俺のはくだらない私欲のためだけどな」

あきつ丸「それでも、であります。旗幟や欲望が分かりやすい方が楽に撃滅できますからな」

提督「……」

あきつ丸「……」

提督「……撃滅? 」

あきつ丸「…………出来得ることなら、提督殿に刃は向けたくない、そう思っているでありますよ」


そういうシーズンなのでこれから暫く年が明ける頃まで、
レス数が少なかったり書き込みが無いかもしれないです。申し訳ありません

ありがとうございました


< 誘惑と動揺と >




提督「引退ねぇ……」

江風「すげぇよな。江風みたいにすぐ身体が治ったりはしないのに」

提督「あぁ。……ま、俺はでかい大会の試合しか観てないにわかだけど」

江風「江風もそンもンさ。澤さンと何人かしか知らない。
……テートクはいつ引退したいンだ? 」

提督「今すぐでもしたいし財産的にはできる、が」

江風「高雄さンも愛宕さンも退役は無理だよな」

提督「あぁ」

江風「じゃあさ、どっちか片方が退役できるならテートクもやめるか? 」

提督「え……? 」

江風「ンっ? それとも一緒に退役まで待つ? 」

愛宕「それ私も気になるわぁ~ 」

高雄「……私も」

提督「…………」

愛宕「んー? 」

高雄「……ふふ」

提督「…………や、やめないよ? 三人一緒にやめるから、うん」

江風「…………江風はなンも言わないでおいてやるな」


< 師と師 >





鹿島「あなたが海風さんたちの指導を? 」

叢雲「そ、一応はね。付け焼き刃程度だけど」

鹿島「……なるほど」

叢雲「なに? 私別に本職の指導係じゃないからそっち程上手くはおしえられないけどでも」

鹿島「あぁ、いえ。叢雲さんに文句があるわけではありません」

叢雲「……そう」

鹿島「そもそも叢雲さんのような歴然の同タイプ艦の方が伝えられることもありますからね」

叢雲「そうだと、いいんだけどね」

鹿島「でなければ彼女たちはもう沈んでいるはずです。……私の教え子のように」

叢雲「…………」

鹿島「…………」

叢雲「…………慰めなら他を当たってほしいわね」

鹿島「……いえ、叢雲さんにご教授願おうかと思いまして。
私もまだまだ未熟ですから」

叢雲「……それならいいわ。私もそっちにおしえてもらえることあるだろうし」

鹿島「お願いしますね? …………うふふ」


< 分からない >





高雄「十二月十八日の誕生石はグリーンルチルクォーツ。
石言葉は“ 想像力 ”、“ 妄想 ”、そして“ バランス感覚 ”」

漣「秋雲ちゃん? 」

高雄「……そうなんですか? 」

漣「なんなら紹介しましょうか? BLとかお好きではない? 」

高雄「BL? 」

漣「あっ……」

高雄「……? 」

漣「……ま、ご主人様にぞっこんですもんね」


< 人には人の >





高雄「今日の誕生花はセージ。
花言葉は“ 健康と長寿 ”と“ 家庭の徳 ”」

愛宕「家庭……つくれるのかしら」

高雄「……私たちには私たちの家庭が」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………長生きしてほしいわね」

高雄「……そうね」


< 馬鹿ばっか >





提督「どよーん……」

愛宕「ふふふ」

龍田「…………」




叢雲「何よ。どよーんとか口で言うんじゃないわよ気持ち悪い」

高雄「……コーヒーを淹れている間に何が」

愛宕「女の子がお姫様抱っこしてキスって見たことないな、って話をし始めてー」

提督「……ヤベぇな、あれは。俺あんなキメ顔でキスしてたんだ」

叢雲「あんたは落ち込んでるとこそこなのね」

龍田「……私は目の前でいちゃいちゃを見せつけられておこでーす」

高雄「…………全員まとめて……馬鹿め、と言ってさしあげますわ」


< やっぱり馬鹿 >





高雄「というか本当にしたんですか? ここで? 」

提督「あぁ」

高雄「まったく。ここは一応横須賀での仮の執務室なんですよ? 」

提督「の割にやたら客人来るけどな。そいつとか」

龍田「お邪魔してまぁす」

高雄「……」

叢雲「…………馬鹿め、と言いたいわ」


< お部屋 >




龍田「提督のお部屋って綺麗よね、以外にも」

提督「失礼な。俺は清潔なタイプだぞ」

龍田「んー、そうじゃなくて。物がすっきりしてるってこと」

提督「そりゃ高雄と愛宕がいるしな」

龍田「片付けてくれるの? 」

提督「それもあるしあいつらに幻滅されたくない」

龍田「あぁ……」


< そこに集約されてしまう >




提督「…………まぁ、俺は頭のなかごちゃごちゃだからな」

龍田「うん? 」

提督「明石の部屋見たことあるか? 」

龍田「明石ちゃん? あのごっちゃごちゃでベッドも半分くらい埋まってる部屋? 」

提督「そう。あいつは逆に頭の中が整理されてるから外が汚くなる」

龍田「んー……? 」

提督「あいつはメモとか物凄く綺麗に取るんだよ。メモがメモレベルじゃなくなるくらい」

龍田「まぁ、いい着想とか思い付くと他人が見えなったりするのは知ってるわぁ」

提督「あぁ。……不精な人間は置いといてだな。
基本的に頭の中と部屋の整頓レベルは真逆だ、経験的に」

龍田「へぇ……」

提督「あぁ」

龍田「…………それだけ色んな女の子の部屋に入ったのねぇ~ 」

提督「い、いや。男の友達の部屋とか行くだろ……」


< 敵ばっか >





提督「今日のカクテルはグランマルニエモヒート。
カクテルワードは“ 人の心を高みに誘う美声の森の精霊 ”、だ」

愛宕「堕とされたわよね」

高雄「そうね」

雲龍「ええ」

Littorio「まったく」

明石「……はは」

天城「……」

提督「」


< まっすぐな、気持ち >






加賀「……提督」

提督「うん? 」

加賀「あなたは言いましたね、私たちは、
共に戦っている私たちはどこにいても家族だと」

提督「言ったね」

加賀「それがたとえ、罪を犯しても、ですか」

提督「罪? なに、間宮でも過労でぶっ倒したの? 」

加賀「……真面目に答えて」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……そういう目苦手なんだけど。やめてくんないかな」

加賀「それはあなたの答え次第です、提督」


< 罪と罰 >





提督「……まぁ、大概は許すさ」

加賀「…………」

提督「なんなら俺って不良軍人だし。
見て見ぬ振りだってするし揉み消したりもするよ」

加賀「…………」

提督「その時にならないと分からないけどな。俺にだって許せないことはあるし」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………したいようにしろ。
今更お前の誇りを疑うようなことはしない」

加賀「…………」

提督「人を殺しても、敵から逃げても……お前が誇りを捨てても、お前の心だけは信じてやる」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……………………ありがとう。あなたが私の提督でよかった」

提督「……そ、期待に応えるのも軍人の……いや、男の仕事だからさ」



ありがとうございました


< 鬱々煩煩 >




鈴谷「カレーは完全食! 」

山城「……カレーとカレーうどんを一緒に平らげる女、ね」

扶桑「元気があっていいじゃない、山城」

山城「元気のベクトルがおかしいといいたいのです、姉さま」

鈴谷「あぁ……いいね、カレー。カレーさえあれば世界は平和! 」

山城「あなたの世界だけじゃない」

扶桑「……でも、食事があればある程度は荒むのを抑えることができるわ」

山城「それはそうでしょうけれど」





龍田「……よくあの二人と普通に食事できるわね~ 」


< 穏やかに生きている人の心が穏やかとは >





高雄「十二月十九日の誕生石はレッドゴールドルチルクォーツ。
石言葉は“ 情熱 ”、“ 洗練 ”、“ 穏やか ”、そして“ 心のゆとり ”」

時雨「ゆとり、か。持てるものなら持ちたいものだけれどね」

浜風「時雨は持っていると思います。時雨本人がどう考えるかは別として」

春雨「うん。姉さんで持っていない、なんて言われても困っちゃうよ」

時雨「……そうだといいけどね。僕は別に日常での平静さが欲しいわけじゃない」

浜風「……戦場、ですか? 」

時雨「そうとも言えるかもしれないね」

春雨「……お鍋とか焼肉とか? 」

時雨「違……いや、そういうときってむしろ僕は心踊っている方がいいと思うよ」

浜風「……」

春雨「……」

時雨「…………心が戦場になってしまうこと、結構あるんだ。
これは生まれ変わった弊害かもしれないね」


< 切に >





高雄「今日の誕生花は霞草。花言葉は“ 愛らしさ ”、“ 清い心 ”、“ 無邪気 ”、そして“ 切なる願い ”」

愛宕「愛らしいままではいられない、か」

高雄「……見た目は兎も角彼女たちと私たちの実質の稼働は」

愛宕「殆ど誤差みたいなものね」

高雄「ええ」

愛宕「……でも生まれ落ちた瞬間から私たちの個性は決められていた。
外見も、考え方も、能力の方向も」

高雄「…………」

愛宕「見た目年相応の考え方、話し方、仕草」

高雄「…………」

愛宕「…………試験管ベビーでもここまで酷くないと思わない? 」

高雄「…………だからこそ抗い、成長しているんでしょう。時雨さんのように」

愛宕「かもね」

高雄「…………慰めなら、あの人のところにでも行きなさい」

愛宕「……最近疲れてそうだから。あんまり深刻な話はしたくないのよ」


< 大元は >





提督「今日のカクテルはモスコミュール。
カクテルワードは“ 純粋で繊細な心の天使 ”、だ」

愛宕「ふーん……近くには見当たらないわね」

高雄「ええ」

提督「いたらおしえろよな。口説くから」

愛宕「はいはい」





愛宕「……天使かどうかは兎も角」

高雄「……純粋で繊細なのはあの人よね」

愛宕「純粋に変態で繊細通り越して軟弱なのかもしれないけれど」

高雄「本当にそう思っていてはここまで入れ込めませんよ、きっと」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……堕天使とか悪魔って堕ちた天使よね」

高雄「…………あぁ」


ありがとうございました


< いれば、きっと時間を忘れてしまうから >





提督「くっそ眠ぃ」

愛宕「ふふ……夜あんなに激しかったから」

龍田「あら~ ……」

提督「誤解を招く言い方すんじゃねぇよ。
激しかったのは深夜の書類仕事だ」

愛宕「私の所為? 誤解は龍田がえっちぃのがダメなのよぉ」

龍田「ざーんねん。提督も同じ受け取り方なので民主主義的にあなたのまーけ。ね? 」

提督「ん…………いや、もうマジで本当に眠いから。コーヒー飲んだら仮眠するから」

愛宕「はーい。一緒に寝てあげましょうか? 」

提督「いい。お前は龍田と喋っとけ」

龍田「私が一緒に寝てあげましょうかぁ~ ? 」

提督「……だからさ」

愛宕「つまり私と龍田が一緒に寝て両隣でお喋りすればいいのね? 」

提督「そんなわけあるか。ふっつーに眠いんだよ……起こそうとするな」


< この身は刃 >





提督「いいか。絶対に寝室には入ってくんなよ」

龍田「はいはい。私にも礼儀と良心はあるのよ? そんなに信用無い? 」

提督「……ん。言ってみただけだよ。信頼してる」






愛宕「入らないの? 」

龍田「入ってほしいの? 」

愛宕「別に。寝顔くらいいつでも見れるものだし」

龍田「……」

愛宕「……」

龍田「…………私の提督は彼だけだから。上官として、背中を仰ぐ者としてね」

愛宕「ふぅん。忠義ってやつ? 」

龍田「さぁ? 色々な理由が混ざり合って分からない、分からないけれど」

愛宕「うん」

龍田「愛を私の望む形で受け取ってくれないなら、せめて刃と忠誠くらいは捧げないと、って」

愛宕「……そ」

龍田「…………」

愛宕「…………私とあなたってきっと表裏だったのね、あの人と会う前までは」

龍田「…………天龍ちゃんと高雄は違うと思うけれどねぇ~ 。ふふ」


< 本人のいないところで辛口 >






高雄「十二月二十日の誕生石はシルバーバロックパール。
石言葉は“ 行動力 ”、“ 指導者 ”、そして“ リーダーシップ ”」

愛宕「だって」

高雄「指導者として然程優れているとも思えませんけれど」

愛宕「それは私たちのサンプルが少ないからでしょ、たぶん」

高雄「……優秀な指導者とは横須賀の君や呉の大将閣下のような」

愛宕「おじさん通り越しそうよ? 」

高雄「……指導者の話でしょう? 」

愛宕「んーん、私が満足できる指導者の話」

高雄「…………ま、無駄なところの行動力はありますか」


< falseな覚醒 >





高雄「今日の誕生花はクリスマスローズ。
花言葉は“ 安心 ”、“ 追憶 ”、そして“ 想い出 ”」

雲龍「…………クリスマス、はぁ」

漣「諦めましょう? クリスマスは漣と一緒にスターウォーズ観ましょう、ね? 」

雲龍「……観るなら新三部作ね」

漣「どうしてですか? 別にいいですけど」

雲龍「旧三部作だと幸せなキスで終わるじゃない」

漣「あー……」

龍田「……なにこれ。この子こんなに拗らせたような性格だった? 」

高雄「…………今更でしょう」


< 青い炎のような情熱を >





提督「今日のカクテルはシャンボールアンドシャンパーニュ。
カクテルワードは“ 目標に向かって頑張る発想力豊かな情熱家 ”、だ」

あきつ丸「……まったく。殿下との取り次ぎなど正規の方法で」

加賀「正規の方法では記録に残ってしまうでしょう」

提督「そういうこと」

あきつ丸「…………自分は便利な使いではないのでありますが」

提督「この前は便利なメッセンジャーだったろうが」

加賀「目標に対してはあらゆることをする、そう決めたのよ」

あきつ丸「……覚悟が遅い、と言って差し上げたい」

加賀「そう……そうね。その言葉は甘んじて受けましょう」

提督「……で? できるんだよな」

あきつ丸「…………自分にあまり貸しをつくらない方がいいと思うであります、提督殿」

提督「そんなもん熨斗付けて返してやるさ」

あきつ丸「…………まったく。度し難い阿呆であります、提督殿も加賀も…………自分も」


ありがとうございました


< そこまでは思わないが >





高雄「十二月二十一日の誕生石はブラックムーンストーン。
石言葉は“ 素直 ”、“ 純粋 ”、“ 繊細 ”、そして“ 矛盾 ”」

愛宕「素直」

雲龍「純粋」

龍田「繊細」

提督「…………ノーコメント」

高雄「……矛盾というか、なんというか」


< 貞淑さは男が、甲斐性は女が決めるもの >





高雄「今日の誕生花はミント。花言葉は“ 美徳 ”、“ 貞淑 ”、そして“ 高潔 ”」

愛宕「最高に貞淑よね、私たち」

Littorio「ビッチではない、と貞淑である、は同意ではないかと」

高雄「私もそう思うわ」

愛宕「えー? でもあれだけ乱れてて逆に一人相手とか貞淑過ぎない?
貞淑、っていうのは操が固いって意味よ? 」

Littorio「……それは分からないでもないのですけれど」

高雄「……この辺が私たちのラインのようね」





提督「まぁ、自分だけの為に乱れてくれる女なんて最高だと思うけどさ、
全くもって貞淑ではないと思うよ」

愛宕「えぇ……うっそぉ」


< あなたも私も >





山城「ま、割と使える駒ではあるでしょう。
優秀でもないしましてや最優ではないけれど」

あきつ丸「……」

山城「チェスでいうナイト、将棋でいう桂馬。
クイーンや成駒にも行けない処へ跳べる」

あきつ丸「……なるほど、分かりやすい」

山城「もちろん平時では大したことなんて無いけれどね」

あきつ丸「…………」

山城「…………」

あきつ丸「……容易く他人の心へ跳び、掻き回す、か」

山城「…………だから好かれるし、嫌われるのよ」

あきつ丸「でしょうな。…………好悪の本質はいつも同じだ」


< 他人と自分と >





提督「今日のカクテルはエレクトリックジントニック。
カクテルワードは“ 自分の長所を生かし称賛を浴びるお姫様 ”、だ」

明石「…………もういっそ提督の寿命を延ばした方が簡単かもしれないですね」

提督「うん? 」

明石「人間化、というのは結局高雄さんたちと一緒に死にたい、ということでしょう? 」

提督「だからどちらもちょっとやそってでは死なないように、って? 」

明石「ええ」

提督「……ま、俺はそれでも構わないが」

明石「はい」

提督「お前たちはそれでいいのか? お前たちが死ねない身体である限りは」

明石「霊長の代行者として戦い続けねばならない、ですか? 」

提督「あぁ、よく分かってるじゃないか」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………いっそ、反乱でも起こしちゃいますか?
あなたならそれなりに成功しますよ、きっと」

提督「……そうすると俺が首長だろ? 俺が幸せじゃないじゃねぇか」

明石「…………」

提督「…………お前の望む未来が何かは知らないけどさ、俺は自己犠牲なんて嫌いだぜ」

明石「…………私も嫌いですよ、誰かがそれをしているのは、ね」


< 誰、いつ、なんてことは瑣末事 >





『…………』

女は耳で、男は目で恋をする、なんて言うけれど、そんなものはあくまで一般論で。
一般論や統計というものは最もあり得そうな像を朧げに現すだけで。
その朧げな誰か、はきっとだれでもない。

『…………っ』

溢れ出そうな気持ちをこんなにも押し留めようとしてもそれは難しいこと。
触れてほしい、見てほしい、聞いて、聞かせてほしい。
あの大きくそれでいて繊細な掌で、透き通るような、沈み込んでしまいそうな程黒く深い瞳で。
私の甘い声を、あなたの熟成させたワインのように蕩やかな低い声を。
そしてこの爛れるような程欲に塗れた声にならない、聲を。

『…………』

『…………見られると気になるんだが』

『ッ…………見て、いた』

自覚はしていた。筆を走らせる手指、書類を繰る度に僅かに動く腕、揺れるうなじ。
背後に立ってそれを見ているだけなのだから気配なんてものは問題外。
そう思って見つめている自覚はあっても冷静さを俯瞰の位置に留め置いて。
熱心に見つめていたのだ。

『…………』

『…………あの』

そういったことがあったから。
椅子に腰掛けて執務を執っていた彼が立ち上がり、先程までとは逆に自分を見下ろし瞳を射る、というのは。
こちらの気を一つ一つ丹念に拾い集め、心の流れを読み取ってしまうというのは。
千々に乱れ火照り上がった心をさらに掻き乱すには十分以上で。
つまり今の自分の顔は真っ赤だと思う。

『…………目、瞑って』

『…………っ、はい』





女だって目で恋をする。
それは男性とは違って惚れるとか、昂ぶるとかではないかもしれないけれど。
甘える目で、訴えるような視線で。あるいは詰り攻め苛み、そして相手の心を握りたいと望むような。
自分の気持ちを相手に伝えること。きっとそれは、それこそが女の恋。

そう、思う。いや、その夜そう思わされ、分からされたのだ、自分は。


ありがとうございました


く 我思う >






高雄「十二月二十二日の誕生石はオールカラートルマリン。
石言葉は“ 愉快 ”、“ 穏やか ”、“ 明るい ”、そして“ 繊細 ”」

瑞穂「……まさかあのような過去を背負っていてもこのように明るい生を得るとは」

高雄「思わなかった? 」

瑞穂「ええ。もちろん私たちに艦船だった時代の意識、
なんてものが完全に残っているわけでも私たちがその直接の本人、
というわけでもないのは理解していますけれど」

高雄「……当時も人々は何某か楽しみを見つけていたでしょう」

瑞穂「はい。兵士も、銃後も」

高雄「……私たちに意志があるのはある種、そういったことの焼き直しなのかもしれません」

瑞穂「…………」

高雄「…………」

瑞穂「……意志があることは禍福、ですか」

高雄「……ええ」


< 愛すればこそ >






高雄「今日の誕生花はポインセチア。
花言葉は“ 清純 ”、“ 祝福 ”、そして“ 私は燃えている ”」

愛宕「燃えている……? 」

漣「SWBFで燃えたい……」

叢雲「……燃えるようなことがあっちゃ駄目、嫌」

提督「も、萌えー……」

愛宕「……うわぁ」

漣「……ガチっぽい」

叢雲「…………嫌」

提督「…………いや、なんでお前そんな辛辣なんだよ、おかしいよ」


< あなたの心が >






提督「今日のカクテルはフォービドゥンフルーツ。
カクテルワードは“ 困難を恐れず前に進む実力者 ”、だ」

瑞穂「……困難ばかりですよ」

提督「でも、それが嫌じゃない」

瑞穂「……はい」

提督「…………瑞穂にとっての困難ってなんだよ」

瑞穂「…………さぁ」

提督「…………」

瑞穂「…………提督の心が分からないのは、嫌です」

提督「…………そ」

瑞穂「瑞穂に、価値は、ありませんから」

提督「……お前が決めることじゃないよ、それは」

瑞穂「……瑞穂は」

提督「自分の生きる意味を決めるのは自分だけどその価値を決めるのは他人だからな、お前の心を信じろよ。俺は信じてる」


レバーを痛めるのは、よくない……

ありがとうございました


< 幾度となく繰り返し、繰り返される >






提督「…………あー、なんでお前隣で寝てるんだ? 」

愛宕「……だめ? 」

提督「だめとかそういう意味じゃねぇよ」

愛宕「ん? 」

提督「小首傾げんな可愛いらしい」

愛宕「ありがと」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………お前隣にいたら起きたくなくなるだろうが」

愛宕「……起きなきゃいいのよ」

提督「……………………そうだな」


< 幸せってきっとそういうもの >





高雄「そんなわけありますか、起きなさい」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………なんです」

提督「……いや、なんていうかな……笑えてきた」

高雄「は? 」

提督「お前がいて、愛宕がいて……あぁ」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「…………飯食いにいかねぇとな」

高雄「ええ」

愛宕「そうね」


< なんとはなしに蟠る >





高雄「十二月二十三日の誕生石はオレンジジェダイト。
石言葉は“ 努力 ”、“ 謙虚 ”、“ 誠実 ”、そして“ 専門的知識 ”」

提督「戦術とか国際関係とか……個人的には言語かな」

愛宕「お料理ねぇ。戦闘とかのことはあんまり言いたくないわ」

雲龍「それなら……私もお料理。和食の方」

天城「ではあえて天城は和装、ということで」

Littorio「お料理と……歴史でしょうか。近現代に限られますけれど」

明石「私は自明ですね。それしかありませんし」

江風「スポーツ情報とかしかないじゃン江風……」

漣「ね、ネットスラングとか……」




叢雲「…………もしかして私ってどの分野でも一位じゃない?
料理は好みの問題としてもオンリーワンでもないし……」


< 閃きや論理は最低限の >






高雄「今日の誕生花はトネリコ。花言葉は“ 威厳 “」

提督「欲しいね威厳」

高雄「便利ですものね」

提督「あぁ。交渉ごとなんて頭より雰囲気だし」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………殿下に会うの嫌なんだけど」

高雄「……ここで威厳があったとして私はそれを許すとは思えませんが」


< むしろ難問はいつまでも >






提督「…………」

高雄「……お疲れ様でした」

愛宕「お疲れ様」

提督「ん…………帰るぞ」

高雄「はい? 」

提督「……俺たちの城に帰るってこと」

愛宕「あらあら……クリスマス前に帰れるのね」

提督「あぁ」

高雄「……なるほど。荷物は用意しているので……何時頃に? 」

提督「全員揃い次第」

高雄「……なんと」

愛宕「……夜間飛行になっちゃうわね、このままだと」

提督「……………………今日のカクテルはチンザノカシス。
カクテルワードは“ 難問にも円満の方向へ向かう挑戦者 ”、だよ」

高雄「……現実は」

愛宕「カクテル程甘くも味わい深くもないのね」

提督「…………本当な」


ありがとうございました


< イヴを過ごし、その日の朝を共に迎える >





雲龍「……今日の誕生石はトリカラートルマリンなわけよ」

天城「は、はぁ」

雲龍「石言葉は“ 愉快 ”、“ カリスマ性 ”、“ 庶民の味方 ”」

天城「はい」

雲龍「…………愉快さの欠片も無いわ」

天城「…………まぁ、天城もよく分かりますよ、こればかりは」

雲龍「……あの三人ついに部屋から出ても来なくなったのだけれど」

天城「……一応クリスマスに全員でのパーティがありますし」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………三人以外でカラオケでもしましょうか。鍵とかその辺はもう借りてるの」

天城「いいですねそれは。……皆さん集まりだけはいいですし」


< まぁ、特に忍耐が必要でもないしね >





Littorio「ヤドリギなどは飾らないのですか? 」

加賀「……恋人がその下でキスをする、あの」

Littorio「あの」

明石「ジャスティン・ビーバーとかが歌ってる、あの」

Littorio「はい」

漣「……どうせご主人様たちはヤドリギをダシにしてちゅっちゅしてるんでしょうね」

Littorio「そういう日ですから」

叢雲「……花言葉は“ 困難を克服する ”と“ 忍耐強い ”、ね」


< 夜風もまた一つのアクセントで >





提督「……さて」

愛宕「んー? 」

提督「車出すぞ。……あったかい服着てこい」

高雄「今から、ですか」

提督「そのために午前中に執務切り上げて昼から酒飲んだろ? 」

愛宕「お酒抜けるようなこともしたもんねぇ~ 」

提督「あぁ。……一応叢雲には昨日言ってあるから」

愛宕「うわぁ……用意周到」

高雄「……どうせエンジン音で気付かれるでしょうけれど」

提督「まぁ、な。…………景色くらい見に行こうぜ。どこに行くかも決めてないけどさ」


< 今日も魔境 >





叢雲「……ポテトはこんなものね」

海風「うん。……雲龍さんって歌上手いんですね」

叢雲「才能ねあれは。……でもあんな使い方してたら喉壊しちゃうわよ」

海風「ははは……確かに。自棄っぽかったし」

叢雲「気持ちはなんとなく分かるけど。……そもそも食堂直結でカラオケの機材があるって」

海風「でも海風は楽しいですよ。皆で盛り上がるの」

叢雲「私も嫌いじゃないけど……初めてだから頭が痛いわ」

海風「それは海か…………あぁ」

叢雲「…………今から出るのね」

海風「…………」

叢雲「…………今日のカクテルはブラーバック。
カクテルワードは“ ドラマティックな生活に憧れる人 ”、よ」

海風「…………」

叢雲「…………」

海風「…………ドラマティックな生活、ね。むしろその辺の創作より大概劇的だよね」

叢雲「…………そうね。特に憧れもしないけど」


ありがとうございました


< ある空の晴れた朝に >






提督「ん……ス、ふぅ」

雲龍「…………おはよう。ゆうべはおたのしみでしたね」

提督「ん? あぁ、おはよう」

雲龍「…………」

提督「……早起きじゃん。お前がこんな時間に起きてるなんて」

雲龍「……寝てないのよ。カラオケって楽しいのね」

提督「昨日から今までかよ……元気だね」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………イヴを過ごしてクリスマスの朝を共に迎える」

提督「うん? 」

雲龍「簡単なようで、難しいのね」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……ス、ふぅ……………………戻るわ。
共に迎えなきゃいけない相手がいるから、さ」


< キャストライト:“ プライド ” >





雲龍「…………はぁ」

天城「……姉様? 」

雲龍「…………眠いわ」

天城「……最後まで生きていたのは他に」

雲龍「……加賀さんと漣」

天城「……あぁ」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……なんとなく他人に寝顔は見せたくないのよね、決めた人以外」

天城「…………」


< 聖なる日に不粋なやつもいたもんだ >






高雄「今日の誕生花は柊です」

提督「え? うん」

高雄「花言葉は“ 先見性 ”、“ 機知 ”、“ 剛直 ”」

提督「あぁ」

高雄「……魔を除ける、という言い伝えもあります」

提督「清瀬の日枝とかな。柊伝説」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……で? 」

高雄「…………明石さんが盗聴器を見つけました、私たちの荷物に」

提督「……へぇ? 」

高雄「……“ 明らかに発見されることを目的としたような位置に ”、です」

提督「なるほど。…………誰が何のために警告してんのかな」

高雄「さぁ……嫌われる自覚はおありでしょう?

提督「まぁな。……別に野心とか持ってないんだけどなぁ」


< 静夜より盛夜 >





提督「あー…………騒げ、食え、飲め、楽しめ、以上乾杯! 」





瑞穂「……絡まってしまったのですけれど。
どなたです、バズーカ型クラッカーなど購入したのは」

漣「漣でーす」

江風「江風でーす」

明石「あ、明石でーす」

海風「……明石さんまで」

瑞穂「はぁ……七面鳥が食べられないのですけれど」

Littorio「では」

瑞穂「ええ」

Littorio「Littorioがナイフとフォークを持ちましょう」

瑞穂「……え? 」

叢雲「……馬鹿ばっか」

加賀「七面鳥……七面鳥……とても美味しいわ、ふふ」

愛宕「新しいチキンとポテト入りまーす」


< 現金よりは割とマシ >






漣「サンター、サンター」

提督「……なんだ」

漣「ご主人様ー、今年一年間いい子にしてたのに漣にプレゼントがきませーん」

提督「いい子? 」

漣「少なくともご主人様よりはいい子でしたよ? 」

提督「いや、我ながら俺よりダメなやつはなかなかいないと思うが」

漣「そうですけど」

提督「……否定しとけ。あー」

漣「はい? 」

提督「……俺の熱いキスでいい? 」

漣「そんなのいりません、というか恐れ多すぎて」

提督「恐れ多いってなんだよ。……密林のカードとドイツの菓子なら用意したぞ」

漣「うわぁ……嬉しいけど嬉しくない」

提督「だってお前らクリスマスとかサンタどうでもよさげじゃん」

漣「まぁ純粋なガキってわけでもありませんし」

提督「な? ……欲しいならそのカードで女の子っぽいの買ってやる」

漣「や、結構でーす。カードでいいんでご主人様はあっちで女の子侍らせててくださーい」


< しかして王子に兄弟がいたとしても >





提督「今日のカクテルはグリーンアップルロワイヤル。
カクテルワードは“ ふれあいを大切にするシンデレラ ”、だ」

雲龍「もう少し、大切にしてほしいわ。釣った魚も餌は必要なのよ? 」

提督「…………おう」

雲龍「……そこまで罪悪感のある顔も困るわね。冗談なのに」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……愛してる」

雲龍「……知ってる。伝わるもの」

提督「…………この世のなによりも」

雲龍「……残酷な嘘ね。それでも嬉しいけれど」

提督「…………」

雲龍「…………シンデレラになんて、ならなくてもいいの。
シンデレラの王子にだって、きっと愛妾の一人や二人はいたはずだし」



< 心に花を抱けばこそ >






『……本日付けで横須賀鎮守府に着任しました。以後お見知りおきを』

『ん、こちらこそ。つまらない男だけどさ』





『……何故ですか? 私は戦えます、もし加賀さんや赤城さんに遅れを取るとしても私には私のーー』

『なぁ、何故お前は戦うんだ』

『は? 』

『兵士とは、艦娘とは、生き方じゃないのか。職業ってわけじゃないだろう』

『ならばこそ! 私は、私は今度こそ戦わねば、この世に自らを刻まねばッ』

『……本当か? お前は生きようとしているか? 散る瞬間の充足を求めてはいないか? 』

『ーーーー』





『本作戦も恙無く。……悪いな、支援に回しっぱなしで』

『…………いえ』

『お前は戦いたいのに』

『……あなたを見ていると』

『……うん? 』

『……あなたを見ていると、それだけで楽しいから』

『ーーーー』





『…………好きです』

『…………』

『…………分かってます。艦載機をくれたお礼も、作戦に出してくれた感謝も受け取ってくれなかった理由があるって』

『…………』

『…………でも、許してください。私、あなたがいないと生きていけないんです』

『…………俺、異動だぜ。来週から』

『……だからです。あなたに私を刻みたかったから、今』

『…………性格悪いよ。こんなことされたらお前のこと、忘れられないじゃないか』

『……それが、目的ですから』




「……………………我ながら、絶望的な性格ね…………ふふ」


ありがとうございました


< 惨状 >






瑞穂「…………」

天城「…………」

瑞穂「……酷い、ですね」

天城「……何をどうすればここまで散らかるのでしょうか」

瑞穂「……一升瓶のタワーなんて初めてみました」

天城「……一つしかない雀卓に思い切りお酒やおつまみが、あぁ」

瑞穂「…………」

天城「…………」

瑞穂「…………」

天城「…………」

瑞穂「……着替えたばかりですけれど、瑞穂着替え直してきますね」

天城「…………天城もそうします。お掃除用にいらない衣装でも見繕わないと」


< 暖かいのにどこか冷たい寝台 >






愛宕「んー……」

高雄「きの……今日は何時に寝たかしら」

愛宕「さぁ……気付いたら今だったわ」

高雄「……明石さんが泥酔して自室に強制退場したのは覚えているのですけれど」

愛宕「それマルヨンマルマルくらいよね」

高雄「……今は? 」

愛宕「…………それから一時間ちょっと」

高雄「……はぁ」

愛宕「…………というかあの人は? 」

高雄「……そういえばいませんね」


< 横須賀パーリィの後に >






鹿島「……提督さんもいればよかったのに」

鈴谷「提督はあれじゃん、どうせイヴは性夜だし二十五日は身内パーリィだよ」

鹿島「……む」

鈴谷「鈴谷も提督いた方が楽しいと思うけどさー、熊野の盾にできるし」

鹿島「盾? 」

鈴谷「や、それは別にいいや。……提督のこと好きなの? 」

鹿島「ええ。お慕いするのには十分な方でしょう? 」

鈴谷「……うん? 」

鹿島「? 」

鈴谷「……十分? 」

鹿島「はい。私、嫌な言い方ですけれど妥協はしませんから、お料理でも、お洋服でも、男性でも」

鈴谷「や、鈴谷が妥協しそうみたいな言い方やめてよね。しないから」

鹿島「……ただ、その我ながら高い理想を越えた方がもしいたのなら」

鈴谷「いたのなら? 」

鹿島「…………誰のものでも、構いません」

鈴谷「…………」

鹿島「…………ふふ」


< 背徳を感じないという背徳を感じる >






愛宕「パートナー以外とのセックスは」

提督「おう」

愛宕「心臓への負担が倍増するんですって。ドキドキ、みたいな? 」

提督「普段とは違う背徳感みたいな? 」

愛宕「たぶん」

提督「へぇ……」

愛宕「……」

提督「…………普段からパートナー以外とヤってるとどうなるんだ? 」

愛宕「さぁ? ……そもそも回数的に身体の負担が酷いわよね、きっと」


< 妙に消極的 >






高雄「十二月二十六日の誕生石はタイチンルチルクォーツ。
石言葉は“ 積極的 ”、“ 発展性 ”、そして“ カリスマ性 ”」

Littorio「……何故提督はLittorioの部屋の床にいたのでしょうか」

高雄「本人は眠ったあなたを届けて力尽きた、と」

Littorio「いえ、そういうことではなくて」

高雄「はい? 」

Littorio「眠った状態で手を出されるのも困りますけれど……同衾していただいてもよかったのに」

高雄「はぁ」

Littorio「……どうも釈然としませんね」

高雄「……私もですよ。理由はきっと真逆ですけれど」


< 伏せた目には楽しい過去が >






天城「おせちなどつくらないのでしょうか」

提督「天城がつくりたいならつくればいいしあれば有り難く食べるぞ」

天城「はぁ」

提督「ただ、俺の実家でもつくってたことないし面倒な割にそこまで食べたいもの入ってないからさ」

天城「なるほど」

提督「俺の年末年始は力蕎麦食って雑煮食うものなんだ。餅は大好きだし、なにより楽」

天城「……そうですね」

提督「……あぁ」

天城「…………」

提督「…………」

天城「……一年が、終わるんですね」

提督「……そうだな」

天城「…………」

提督「…………ま、でもまた新しい一年が始まるし。
なんてことはない、騒ぐ理由程度のことだよ」

天城「…………ふふ、そうですね」


< 人知もまた神の知であり >





高雄「今日の誕生花はディル。花言葉は“ 知恵 ”」

加賀「……あの人が横須賀で殿下と話したこと」

高雄「はい」

加賀「あなたは知っているかしら」

高雄「いえ、まだ自分の中で消化しきれていないようなので」

加賀「……そう」

高雄「…………」

加賀「…………」

高雄「…………私は自分のことを人間だとは思っていませんけれど」

加賀「ええ」

高雄「だとすれば原初において私たちは生命の実を食べた、ということなのでしょうか」

加賀「知恵の実ではなく、セフィロトの果実を? 」

高雄「はい、神に等しき生命がこれなのか、と。……まぁ、冗談の類です」

加賀「…………」

高雄「……あの人は、急にそれを否定しなくなりましたね。横須賀の君との会談以降」

加賀「…………なるほど」


< それもまた酒の楽しみ >






明石「そういえば」

提督「うん? 」

明石「イヴの日はどこ行ってたんです。三人連れ立って」

提督「どこ、って程でもないぞ。景色見て、お喋りして、帰ってきただけ」

明石「はぁ」

提督「おう」

明石「……まぁ、結局最後はヤること変わりませんしね」

提督「そうだな。聞くほどのことでもない」

明石「…………むしろ私は昨日の自分が何をしていたか思い出したいですね」

提督「思い出さない方がいいかもしれないぞ」

明石「……え? 」

提督「……」

明石「え? …………なに、え? 」


< コメントできないレベル >






愛宕「うわぁ……制服六百以上? 」

漣「……洒落にならないですね」

高雄「…………」

愛宕「まぁ、制服自体はもう要らないとして……気持ち悪い」

漣「…………下着とかも無くなってたんでしょうね」

高雄「……怖気を震いますね」

愛宕「…………」

漣「…………」

高雄「…………」

愛宕「……でもそれ以上のことされてるはずよね、私たち」

高雄「それはまぁ」

漣「……これが、愛ッ。忍耐と許容ッ……! 」

愛宕「…………そんな愛は嫌ね」

高雄「…………随分と薄汚い愛だこと」


< 姉妹丼って英語では何て表現するんだろう >






提督「今日のカクテルはパライソグレープフルーツ。
カクテルワードは“ 心も身体もシスターのように素直な人 ”、だ」

江風「シスターって素直なン? 」

提督「知らねぇよ。シスターの知り合いとかいないし」

江風「そ」

海風「心は兎も角……素直な身体? 」

提督「…………そういうことじゃねぇの」

江風「だよな」

海風「…………」

提督「…………」

江風「…………」

海風「…………自分が素直かどうか、知りたいです。提督」

提督「……そ、そうか」


< きっとすぐさ、節分だってなんだって >






提督「あぁぁぁぁぁぁぁぁ……! 」

叢雲「……うっさいわね。なによ」

提督「昨日着ようと思ってたサンタコスセット包みから出してもいねぇ」

叢雲「…………ばっかじゃないの」

提督「あぁ……やっちまった」

叢雲「……」

提督「……今から着てもいいかな。プレゼントはもう無いけど」

叢雲「いっそ鬼の衣装にでもしたら?
豆なんてないから砲弾を避けなくちゃならないけど」

提督「ひえー……今度ベッドで着るわ、うん。
今年もホワイトクリスマスじゃなかったし。それはそれで楽しいだろ」

叢雲「…………やっぱり砲弾躱したいのね? 」

提督「滅相も」


ありがとうございました


< 違う、そうじゃないんだ >






提督「やっぱオートマは楽だな」

明石「そりゃまぁそうでしょ」

提督「……その代わりに犠牲が大きいが」

明石「ですね。それも同意」

提督「……なんか運転してて足りねぇんだよな。楽なはずなのに」

明石「まったくです。エンジンから駆動系、タイヤの欲求不満が聞こえるようです」

提督「つまんねぇよな、それって」






漣「あれだけ機能美がどうのとか言ってる癖にそういう機能は美しくないんですねー」

叢雲「……言うだけ無駄よあんなの。フリークだもの」


< 趣味に理解は要らない >






高雄「十二月二十七日の誕生石はクロスパール。
石言葉は“ 誠意 ”、“ 真心 ”、“ 前向き ”、そして“ 良心的 ”」

明石「真心込めたマシンがまともに動かない悲しみ」

提督「ジャンク品集めてつくった単車に贅沢言うな」

明石「なら提督の単車貸してくださいよー」

提督「駄目。乗せてやるのは構わないが」

明石「それはそれでいいですけど……そうじゃないんです」

提督「だろうね。……俺が乗せないのもね、そういうことなんだ」

明石「む……それを言われると」

提督「悪いな」

明石「……いえ」

高雄「…………一生分からないでしょうね、私には」


< 同族のことはよく分かる >






高雄「今日の誕生花はパフィオペディルム。花言葉は“ 気まぐれ ”」

加賀「気まぐれ、というわけではないけれど……よかったら」

高雄「茶巾絞り、ですか」

加賀「南瓜とさつまいもね」

高雄「……美味しいですよ」

加賀「ありがとう。普段は食べさせてもらってばかりだから」

高雄「……好きでしていることです」

加賀「…………たまには緑茶でもどう? 」

高雄「……いただきます」





提督「……いいか? あれが時々優しくして釣り合いが取れてると思っちゃう現象だ」

江風「……テートクがそれ言うのか」


< 人徳は百難隠すとかなんとか >





龍田「今年中はもう出撃は無いかしらねぇ~ 」

山城「そうであってほしいわ。何度も何度も餓狼みたいな仲間は見たくないもの」

龍田「自分が戦うことよりも、嫌? 」

山城「ええ。……戦闘中の赤城さんの目、あれ程恐ろしいものも無いわ」

龍田「餓狼っていうより悪鬼羅刹? 色の無い感情、っていうか」

山城「そうかもしれないわね」

龍田「……ま、でもあれよね。赤城さんはやっぱり凄いわ」

山城「……無論のこと」

龍田「本人そのものもそうだけどそうじゃなくて。
加賀さんが冷血女って言われないのは彼女のお陰でしょう? 」

山城「……あなたもそれは同じ」

龍田「確かに。天龍ちゃんがいなければ私なんてただのキリングマシンよね」

山城「……以外ね。すんなり認めるなんて」

龍田「そう? 私って結構自己評価低いのよ」

山城「……それで? 」

龍田「これで」

山城「…………人徳って凄いのね」

龍田「そうね」


< 情熱にだって冷めることは >





提督「今日のカクテルはパライソオレンジ。
カクテルワードは“ 地に足のついた考えを持つ情熱家 ”、だ」

明石「妙に冷静な、ってことですか」

漣「いますよねー。急にテンション勝手に下がる人」

提督「いや、君たち穿ち過ぎでしょ。
現実を見て盛り上がれるってことだろ、たぶん」

明石「……」

漣「……」

提督「……なんだよ」

明石「……や、こういう変に水差す人のことを言うんだなー、って」

漣「マジレスはやめてくださーい」

提督「…………マジでひっでぇな、お前ら」


< と、言いつつ自分も然程 >





海風「ホラー……ホラーですか、これが」

天城「……思ったよりも怖くは」

Littorio「世間的にはかなりのものだったのですけれど」

海風「…………提督に嫌われる方が恐ろしいですし」

天城「…………天城も姉様が本当に怒った方が恐ろしいので」

Littorio「……そういったものと比較するものでしょうか、映像作品とは」


< 愛に隣の芝生を持ち込むようでは、もう >





提督「いや……個人的には愛に貴賤はないと思うぜ? 」

高雄「はい」

提督「殺し愛も虐げる愛もストーキングも……犯罪行為じゃない限りは」

愛宕「ストーカーは犯罪だと思うけど」

提督「や、比喩よ比喩。個人の考え方、カップルの生き方よ」

高雄「…………」

愛宕「ふーん……」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………大体こういう感じよね。自分を騙すというかなんというか」

愛宕「…………愛に貴賤は無い、ねぇ。澱んだ泥沼の底辺でそれ言っても」

高雄「…………そのようなものは上に立つ者が言って初めて」

提督「いやいやいや、お前ら目の前で何宣ってんだよ、泣くぞおい」


< たとえ追われることになろうとも >






愛宕「こう……一年の終わりじゃない? 」

提督「あぁ」

愛宕「それでまぁ……簡単に言っちゃうと感傷的になってるのよね。
今年一年で劇的に変わったし、周りの環境が」

提督「確かにそうだな」

高雄「……私は今でも思いますよ、三人で、それとも二人でいれさえすれば、と」

愛宕「正直ねぇ……私もだけど」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………逃げて、みようか? 」

愛宕「……何から? 」

提督「…………仕事、友情、女、上官、愛情。全部責任とか責務って言い換えることもできる」

高雄「…………私は、構いませんよ」

愛宕「…………私も。戦場を経験したら多少の貧乏とか逃亡なんて余裕よね」

提督「……………………」

高雄「……………………」

愛宕「……………………」

提督「……………………誘惑に弱いんだからさ、やめてくれよ。冗談でも」

高雄「……………………本音の誘惑、ですから」

愛宕「……………………真実だけしか、言ってないわよ」




ありがとうございました


< 望んだあなたと、望まぬ朝を >






提督「…………あれ、高雄は? 」

愛宕「んー……朝食の用意」

提督「……そうか」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………カリッカリのベーコンが食べてぇな」

愛宕「……高雄に頼めば? 私はもう少し寝るー」

提督「…………しゃーねーな。くっそ寒ィが」

愛宕「……あ、私はスクランブルエッグね」

提督「…………へいよ」


< でも、それも悪くない >





明石「…………」

瑞穂「ん、明石さん。今日もバッチリです」

明石「……いえ、瑞穂さんがセットしてくれるから」

瑞穂「いえ…………あぁ、そういえば今日は新しいリボンがあったのです」

明石「……はぁ」

瑞穂「ごめんなさい。結び直してもいいでしょうか」

明石「……構いませんよ。むしろお願いします」

瑞穂「はい。……少し、引っ張りますよ」

明石「…………ん」





明石「…………瑞穂さんと同室になってから改めて自分の駄目さ具合を認識しましたね、ええ」



< それを生き方、という >






明石「個人的に、ですが」

瑞穂「はい」

明石「趣味が仕事になった人は尊敬します。
趣味をそこまで昇華させるのは並大抵のことではありません」

瑞穂「確かに」

明石「でも……仕事が趣味になった人は、はい」

瑞穂「…………」

明石「…………」

瑞穂「……趣味も仕事も同じですよね、明石さんは」

明石「……まぁ、私は私ですから」


< 弱みはお互いの武器で >





高雄「十二月二十八日の誕生石はデマンドイドガーネット。
石言葉は“ 個性 ”、“ 達人 ”、“ 職人肌 ”、そして“ 強情 ”」

漣「強情な女の子はお酒で落とす、提督さんでーす」

提督「あぁん? ふざけんな。酒で女落としたことなんてねーよ」

漣「本当に? 」

提督「おう」

漣「……本当に? 」

高雄「……少なくとも私はお酒ではありませんでしたね」

漣「へぇ……」

提督「な? 」

漣「……まぁ、女の子のコマしかたに良いも悪いもありませんが」

高雄「大概はよろしくないですよね」

加賀「……惚れさせた時点で悪党みたいなものよ」

提督「…………んな理不尽な」



< まるで、そう……鏡の様な >






高雄「今日の誕生花はアニソドンテア。花言葉は“ 今日限り ”」

愛宕「今日限りであの人と離れなきゃいけなくなったらどうする? 」

高雄「……仮定の話よね? 」

愛宕「もちろん。……地球最後の日、みたいな感じでいいわ」

高雄「む……………………拳銃でも用意しましょうか、二丁」

愛宕「ふぅん? 」

高雄「一日部屋に篭って、お話しして、幕引きは二人で引きましょう」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………ガチね」

高雄「……問題でも? 」

愛宕「無いけど。…………うーん、重いわ」


< 嗚呼、何故君と戯れるのはこんなにも……! >






提督「…………執務中だったのに」

高雄「……あな、たが、悪いでしょうが」

提督「……そう? 雌の顔して悦んでるのは高雄じゃん」

高雄「…………っ、っ」

提督「……」

高雄「ぁ……っ…………っ」

提督「……」

高雄「……はふっ…………っ」

提督「…………はい、お終い」

高雄「…………? 」

提督「…………夜までもう何もしないから。頑張ってね」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………う、嘘ですよね? あの」

提督「…………嘘吐きの顔に見える? 」

高雄「…………いえ、とても、悪い男の顔に、見えますね」

提督「……当たり。…………ご褒美だと思ってよ。この後必ず会うって約束だと思って」

高雄「…………」

提督「…………な? 俺にも時間が無い」

高雄「……………………最低、ですよ。このクズ男」

提督「……知ってる。お前が佳い女だってことくらいにはね」


< 尚更 >






海風「ここだけの話」

漣「うん。なになに? 」

海風「高雄さんって自分の子供にも妬きそうだよね。特に娘だったりしたら」

漣「…………まぁ」

海風「……少し、怖いっていうか不安」

漣「……ご主人様の目があれば、たぶん大丈夫だと思うけど」

海風「だといいけど…………義理の娘でも、同じだよね、きっと」

漣「…………」

海風「…………」

漣「…………え、義理? どういうこと? え? 」


< 最近試してみたいこと >






雲龍「手錠」

明石「クロスバイクなんていいですね。寒い時期ですけど」

天城「IHに興味がありますね」

江風「アメフトの勉強を始めたよ。結構楽しい」

雲龍「……天城にしか共感できないわ」

明石「……雲龍さんには言われたくありませんが」

天城「……」

江風「江風は健全じゃン……まだマシじゃン? 」

雲龍「…………納得いかないわね」


< 広いようで狭いようで広くて。それが世界 >






提督「今日のカクテルはアラスカ。
カクテルワードは“自分が向かっている世界を知る識者 ”、だ」

高雄「…………も、……駄目」

提督「ん? ……ッ」

高雄「…………ください」

提督「……これだけ待てたんならヤらなくてもいいんじゃない? 」

高雄「…………待ったんじゃない、待たされたんです」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………好きに、貪るかい? 力じゃ勝てない」

高雄「…………それでも、いえ。…………触れて、くださいよ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………部屋まで、我慢できる? 」

高雄「…………できると思いますか? 」

提督「…………ッ…………痛いよ、高雄」

高雄「…………誰の、所為だと」


ありがとうございました


< マルゴーマルマル >






提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………ヤり過ぎ」

高雄「…………まだまだ足りないわ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………腰痛いし……お前背中に爪立てただろ」

高雄「…………」

提督「…………首にも……あぁ、血出てるし。タートルネック着ねぇと」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………まだ、やれますよね? 」

提督「……いや、もう無……うっそだろお、いっーーーー」


< まさしく >





天城「…………? 何か悲鳴が聞こえたような」

雲龍「…………ん」

天城「…………」

雲龍「…………提督? 」

天城「……恐らくは」

雲龍「…………何かあれば忍者高雄が何とかするでしょ」

天城「……高雄さんが犯人の場合は」

雲龍「…………それはあの人が悪いわ」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………っ」

雲龍「…………今度は私も聞こえたわ。でも高雄の悲鳴じゃない? 」

天城「…………何故洗濯物の集積所は提督の私室に近いのでしょう」

雲龍「……さぁ。一番使うからじゃない? あの人たちが」


< イき過……行き過ぎた暴走の、末路 >






高雄「十二月二十九日の誕生石はターコイズスカラベ。
石言葉は“ 前向き ”、“ 決断力 ”、そして“ 積極的 ”」

愛宕「お盛んねぇ……」

高雄「…………」

愛宕「……今更恥じらうこともないと思うけど」

高雄「…………」

愛宕「……あの人なんてお酒飲みながら執務こなしてるし」

高雄「…………」

愛宕「…………高雄? 」

高雄「…………ごめんなさい。私も飲まないと起きて、いられないかも」

愛宕「……はぁ、寝てきなさいよね、私だって加賀さんだっているんだから、ね? 」


< むしろ見通せないなんてことがあるのか >





漣「Hey! そこのクソ提督! 」

提督「……なんだよクソガキ。執務中だ」

漣「……あれ、なんかやけにテンション低いですね」

提督「……タンパク質とか色々足りねぇんだよ。分かれ」

漣「足りないのは甲斐性とかじゃないんですかー? んー? 」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………あれで足りないのか、そうか」

漣「うっわ遠い目ー……」

提督「…………あれで足りないならもう無理だろ。俺は人間だぞ、人間」

漣「…………あんなに澄ました顔して、へぇ。ご主人様も苦労しますねぇ」

提督「……分かってくれたか」

漣「でもこの惨状もご主人様の所為なんですよね? きっと。漣様にはまるっとお見通しですよー」

提督「…………」


< 本当に無意識の >






明石「妹か姉が欲しいです」

提督「俺がつくれそうなのはお前の友達くらいだが」

愛宕「え……うわぁ」

高雄「……あぁ、そういう」

提督「あ、いやあのさ…………まぁ、失言だったわ」

加賀「……もしそれが現実になればおばさん、と言われるわけね。私たちは」

雲龍「……まぁ、大体合ってますし」

漣「むしろこのなりにおばさんって言う気概のあるガキなら楽しそうですけど」

叢雲「そうね。あいつの子供なら遠慮なく教育できるし」

江風「……そーいう話してたっけ? 」

海風「さぁ……」


< 結局はこの寂しさを分かち合える、そういう相手のこと >






明石「……姉か妹が欲しくはありませんか? 」

Littorio「あなたもめげませんね」

明石「まぁ、そこまで重要ってわけでもないんですが」

加賀「……私には赤城さんがいるから。その気持ちは分からないわね。
赤城さんは本当の姉妹以上だと思っているもの」

Littorio「LittorioはRomaがいますし」

明石「はぁ」

加賀「……三原も桃取も建造は中止されたのだったわね」

明石「ええ。仮に建造されていたとしてこの時を共にあったかは分かりませんが」

Littorio「…………」

加賀「…………」

明石「…………」

Littorio「……Littorioは、明石を掛け替えのない友だと思っていますけれど」

加賀「……そうね」

明石「…………こんな時、どんな顔をすれば」

Littorio「…………笑っても、泣いても、どちらでも。それが、友です」


< 磨り減ったとしてそれすらも愛の証 >






高雄「今日の誕生花はルバーブ。花言葉は“ 迅速 ”」

提督「…………今日は早寝だぞ」

高雄「……ですね」

提督「…………腰抜けそうなんだけど」

高雄「……結局あなたが上だったはずですが」

提督「……どうもね、マグロは楽しくない」

高雄「私は好きですけどね。あなたに身を委ねるの」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………あれ、これ性格逆ならよかったんじゃ」

高雄「……私もマグロでいたいわけではありませんよ? 」

提督「知ってる。……あれだけ吸われちゃね」

高雄「…………」

提督「唇って擦り減んないかな……怖いんだけど」


< 善悪ではなく、今を生きる意志こそが >





提督「今日のカクテルはシャルトリューズトニック。
カクテルワードは“ 周囲に認められたい芸術家 ”、だ」

雲龍「物凄く駄目な感じがするわね」

提督「あぁ。大切な人に認められればそれでいいのにな」

雲龍「……」

提督「誰からも認められないのは辛いが」

雲龍「……まぁ、一定の承認は必要だと思うけど? 」

提督「…………」

雲龍「……人外以外に人外との関係を認めてくれる人がいれば、の話だけれどね」

提督「…………俺にそんな気持ちがあればさ、今の幸せは無いんだ」

雲龍「…………」

提督「……良いことだったのか、悪いことだったのか。そんなことは分からないけどな」


< 別に行きたくないわけではないけれど >






叢雲「そういえば……コミ、コミ」

漣「コミケ? 」

叢雲「そうそれよ。行かないの? 許可ならくれたと思うけど」

漣「うーん……だね。もう始まっちゃった」

叢雲「……そう」

漣「…………でもさ」

叢雲「ええ」

漣「……年末年始をここの皆で、叢雲ちゃんやご主人様と迎える方が、大切かなって」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「…………」

漣「…………恥ずかしいね、こーいうの。漣のキャラにも合わないし」

叢雲「…………でも悪くないんじゃない? 私は……その方が楽しいわ」

漣「…………そ」

叢雲「…………ええ」


ありがとうございました


< 誰が好んで銃を取るだろうか >






提督「……あぁ。なんか目覚め悪いな」

愛宕「そりゃああれだけ盛れば次の日に完全回復ってわけにはいかないわよ」

提督「…………この何とも言えない不快感っつーか」

愛宕「気付いたら治ってるから。ほらほら、起きてくださーい」

提督「……寒い」

愛宕「昨日はあれだけ熱くなったでしょ? 」

提督「…………」

愛宕「高雄は起きたわよ? 」

提督「いや、どう考えてもそれは疲労の差が」

愛宕「んー? 」

提督「……分かった分かった、起きるから。だから服脱がせんなよ病人じゃねぇから」


< きっと冗談。書類つくるの面倒だし >






高雄「十二月三十日の誕生石はカラーチェンジガーネット。
石言葉は“ 慎重 ”、“ 社交的 ”、“ のびのび ”、そして“ ポジティブ ”」

提督「……お前らには明日俺が直々に考えた早朝訓練をぶち込んでやろう」

漣「は? 」

江風「あ? 」

提督「こんなクソ寒いのにのびのびしやがって……外駆けずり回ってこい」

漣「…………あの計画、今夜に早めよ」

江風「…………あぁ。テートクだけを速やかに。高雄さんたちには気付かれないよう」

提督「へいへーい。お前ら俺の目の前で暗殺計画練るんじゃない」

瑞穂「……お元気ですね、提督」

明石「……まぁ、大分回復してきたんでしょうね。漣ちゃんたちと遊べるくらいには」

叢雲「嘘なの? …………一瞬本当に訓練プログラムつくろうかと思っちゃった」

提督「お? いいぞ。俺が死んだら実行してくれ」

叢雲「了解」

漣「おーぼー、おーぼーだー! 」

江風「どっちにしろ訓練あるじゃねぇか! 」


< 万国それぞれ >






江風「ふぃー……ここでいっか、とりあえず」

叢雲「……杵と臼なんてあったのね」

漣「この基地は月面基地かなんかだったんですか」

海風「ふふ、叢雲ちゃんが兎さんだね」

叢雲「我ながら……物騒な兎」

漣「ふっ、ぴょんぴょん叢雲……ふふ」

江風「自分から火に飛び込む精神はまぁ……らしいっちゃらしいけど」





Littorio「兎……? 」

提督「イタリアだと確か蟹か」

Littorio「ドイツだと薪を担いだ男性でしたか。
……それにしても兎? 随分可愛らしい」

提督「お前には敵わないさ。兎でも仔犬でも……仔猫でもね」


< どんな者にも想い出が >






高雄「今日の誕生花はアニス。花言葉は“ 活力 ”と“ 元気 ”」

愛宕「あの人のそれを吸い取ってどんな気分? 」

高雄「…………足りませんね」

愛宕「そ。…………私のものでもあるのに」

高雄「ええ。……私のものでもありますから」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………大掃除、する? 」

高雄「……活力とやる気があれば」

愛宕「あの人の? 高雄の? 」

高雄「どちらも、あなたはやってもいいのよ。誰かしらを呼んで」

愛宕「……つまんないじゃない。大掃除なんて大切な誰かと一年を振り返るイベントでしょ? 」

高雄「……ロマンティストね」

愛宕「いいじゃない? 誰かは……変態の数寄者だし」


< アカくとも正月は平等に >






叢雲「今日はソ連が成立した日だとか」

漣「Ураааааааа! 」

叢雲「……」

漣「хорошо! 」

叢雲「……」

漣「……あ、あといくらの語源はロシア語なんだよね? イクラー」

叢雲「……そうね」

漣「…………」

叢雲「…………」

漣「…………Ураааааааа! 」

叢雲「あ、ちょ逃げる、な……………………なんかやたらと発音だけは様になってたわね。どうしてかしら」


< 別に嫌いじゃないが >






漣「炬燵? ありますよ」

Littorio「なるほど……あの」

漣「いいですよー。いつでもお待ちしてますー」

Littorio「ありがとう」

漣「いーえー。……でもこの基地どうして炬燵漣の部屋にしかないんでしょう」





提督「うん? だって炬燵よりベッドの方が気持ちいいし。な? 」

高雄「はい」

愛宕「人工的な暖かさより人肌よねぇ~ 」

天城「お酒で暖まる方が天城は好きですので」

瑞穂「身体が暖まるのと反対に少し冷えるのも乙な……露天風呂の感覚に近いでしょうか」

海風「良さが分からないというか……入ったことなかったもんね」

江風「ン。漣の部屋で入ったけど……江風はストーブの前の方が好き」

雲龍「……考えたこともなかったわ。最悪感覚遮断すればどうにでもなるし」

漣「理由は分かったけど…………一番入りそうな人が一番人外地味てる」


< どの店でも出るけれど >






提督「今日のカクテルはジントニック。
カクテルワードは“ 人の温もりを感じられる品格者 ”、だ」

漣「こんなもの飲んでて品格もなにも無いですよね」

提督「そうだな。……おい、グラスかき混ぜんな」

漣「はい? 」

提督「炭酸抜けるだろうが」

漣「……漣の勝手でしょ。バーテンダーさんは黙って」

提督「ここはバーじゃねぇの。俺の好みしかつくらない場所」

漣「……氷が溶けた水っぽいのが好きなんですよ」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………オレンジジュースでも出そうか? ガキにはお似合いだろ」

漣「……ウォッカ入りのオレンジジュースなら、もらいますよ? 」


ありがとうございました


< 四つ足とかかな >






明石「で、何故写真を? 」

愛宕「アルバム埋め? 」

提督「間違ってはいないけどさ……言い方ってもんがあるだろ」

高雄「今年最後の、ということで。明日になればまた撮るでしょう? 」

明石「まぁ、餅突いたりしますしね」

提督「…………来年もずっと全員揃うとは限らないからな」

明石「……まず無い、の間違いでは? 」

提督「……さてね。それは俺の管轄外」

明石「…………」

愛宕「ま、その辺は今どうこう言ってもね」

高雄「ええ」

提督「……さ、撮るぞ撮るぞー。今年最後だからな。未っぽいポーズ取れよお前ら」

叢雲「未っぽいって何よ、未っぽいって」


< なんとなく感傷的な気分に >





高雄「十二月三十一日の誕生石はマーカサイト。
石言葉は“ 冷静 ”、“ 余裕 ”、“ 落ち着き ”、そして“ 一生懸命 ”」

叢雲「このままいけば余裕を持って来年を迎えられそうね」

瑞穂「お掃除も普段からしておりましたし。何事もなく」

漣「……フラグ? 」

叢雲「そのときはあれよ。我らが司令官様がなんとかしてくれるわ」

瑞穂「ええ。提督ならば何があろうと」

漣「信頼してるんですねぇ……」

叢雲「…………まぁ、そうね」

瑞穂「瑞穂ももちろんそうです」

高雄「…………年の瀬の魔力、みたいなものでしょうか」


< 年の瀬でも、降誕の日でも。銃声は鳴り止まないから >






高雄「今日の誕生花はオリーヴ。花言葉は“ 平和 ”と“ 豊か ”」

漣「優秀な司令官がいる割に世界は大して平和じゃないね」

叢雲「……豊かにはなったでしょう? この国も」

瑞穂「……大陸は」

叢雲「……大陸、というか。旧列強と幾つかの国以外は、あれだけど」

瑞穂「…………」

漣「……平和じゃない方が儲かる人もいるもんねー」

瑞穂「…………」

叢雲「……私も司令官と同じだから。
別にどこかの誰かが悶え死のうと自分の世界が平和ならそれでいいわ」

漣「…………」

瑞穂「…………」

叢雲「…………追い求めることをやめてしまうのはいけないことだけど。
実現すればしたでよくないことも起こるものよ、きっとね」


< ではハブとマングースなら? >






提督「今日のカクテルはジンリッキー。
カクテルワードは“ 自然や動物を愛する叙情家 ”、だ」

江風「あン? 犬だろ犬。犬の方がいい」

海風「……猫でしょ」

江風「いーぬーでーすー。猫なんて特に芸もできないし外遊びに行けないし」

海風「……それがいいのに。手間はかからないし構ってほしいときはちゃんと戯れてくるよ」

江風「…………」

海風「…………」

提督「…………いや、俺を見るな。どっちの肩持ってもあれじゃん? 」

雲龍「確かあなたの実家には猫がいるわよね」

江風「え……」

海風「……ふふ」

提督「ほーらー……お前さっきまで寝てたじゃん? なんで起きた瞬間的確に場を掻き乱すの? ん? 」


< 異類婚姻譚 >






愛宕「……大抵は人間の美しい女と化物が登場人物だけどね」

高雄「多少違うだけで大体は変わらないでしょう」

愛宕「……あの人が人類の生贄で私たちがその対価に世界を救うって? 」

高雄「さぁ……それは分からないわね」

愛宕「別にあの人がいなくても戦ってたし。逆に世界の為に戦ったことなんてないわよ」

高雄「……誰も私たちの心など気にはしません。
ただその戦う姿と結果を見れば……あるいは救世主ということもあるわ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………結局こんな言葉遊びをしても」

高雄「……結論は同じ。それでいいじゃない。
私とあなたと、あの人と……気の置けない友人たち、ね? 」


< 私がいてあなたがいて、それから >






愛宕「……ま、別にどうでもいいけど。
化物でも人間でも幸せでありたいのは同じだし」

高雄「……そうね」

愛宕「今何時? 」

高雄「ん……後十分と少しで来年」

愛宕「……あの人は? 」

高雄「明日までには戻ってくると言っていたけれど」

愛宕「そ。……なんで今更お蕎麦なのよ。お昼に食べたじゃない」

高雄「それは加賀さんに言ってください」

天城「除夜の鐘……煩悩が多過ぎて」

雲龍「……そうね。百八じゃあ足りないわ」

Littorio「わんこ蕎麦……何故犬が」

瑞穂「わんこ蕎麦のわんこはえーっと……お椀の椀でして」

明石「岩手の方の発祥ですよー」

漣「mjd? 」

叢雲「……わんこ。犬だと思ってたわ」

江風「別にどっちでもいいさ。食えればな」

海風「海風たちもお手伝いに行けばよかったかな? 」

愛宕「…………」

高雄「…………これが続けばいいわね」

愛宕「…………ええ」


< 普段通りもなかなかに難しいもの >






提督「よう、ジャンプでもするかい? 」

高雄「したいのならご自由に」

提督「まぁ、蕎麦食うから俺は無理だが」

加賀「かき揚げとネギはご自由に」

愛宕「…………あと少しか。今年も」

高雄「……愛宕も、お蕎麦を」

愛宕「……うん」

提督「割とあれだな、これは珍しいんじゃないか」

加賀「全員が大して酔いもせず一堂に会すのは、確かに」

愛宕「…………」

高雄「…………」

加賀「…………」

提督「……………………」





提督「……………………ま、来年もよろしく。今まで通り、ね」

愛宕「うん」

高雄「ええ」

加賀「ふぁい」

提督「……お前は蕎麦に集中しとけよ。品格がねぇ」


結構続くものだな、とかなんとか
来年もよろしくお願いします

ありがとうございました。
そしてよいお年を

どうかな


< お互いの健康を祈りつつ >






提督「へーい、あけおめことよろ」

叢雲「雑ねぇ。一日目から」

提督「そりゃお前年越しで顔合わせてその場で乾杯し合ったやつに仰々しい挨拶もないだろ」

叢雲「ま、それも道理ね」

提督「…………それに、今更だしな」

叢雲「…………そうね」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………屠蘇、は無いが燗でも飲むか」

叢雲「……ええ」


< 割とある >






天城「しかし以外でしたね。忘年会や新年会の案も無いとは」

明石「まぁ、ほぼ毎日お酒ありますし」

江風「学生でもリーマンでもないしな。やンなくたっていいンじゃない? 」

天城「なるほど」

明石「……ただこう……なにもしないっていうのは厳しいですね」

天城「確かに。身体が落ち着かないというか」

江風「…………身体は十分リーマン、か」


< この日くらいは平和を >






山城「扶桑姉さまぁぁぁ……! 」

扶桑「や、山城ぉぉぉ……」





金剛「oh……何故羽子板が砕けたり着物が脱げかけるデース? 」

あきつ丸「まったく騒々しいものであります」

時雨「……なんとなく秋月たちが強いのは知ってたよ」

浜風「こう言ってはなんですが……山城さんは下手なだけでは」

龍田「まぁ、私たちの全力で打ち抜いたら砕けるわよねぇ~ 」

鈴谷「はははー、顔真っ黒っ! 」

春雨「……これちゃんと落ちるかな」

霧島「というか無駄に本格的というか……何故墨まで用意を」


< 乗せられるのもまた >






提督「お年玉? そんなもんは無い」

漣「えー」

江風「えー」

提督「いや、お前らの給与考えてみろよ……十分だろ」

漣「でもー」

江風「でもー」

提督「そんなに欲しいならLittorioあたりに砲弾の雨でも貰ってこい」

漣「…………これだから外面だけのクズ男は」

江風「…………きっとあれだな。子供ができたら外に女つくるぜ」

提督「お前らなんなの? 俺のこと嫌いなの? 巫山戯んなよ? ん? 」

漣「……」

江風「……」

提督「……生でいいならやるよ、ほら」

漣「わーい。ご主人様好きー」

江風「さすがだぜパパっ」

提督「…………」


< 今年もよろしく >






愛宕「はーい、瑞穂が真ん中っ」

瑞穂「は、はぁ」

明石「鏡餅で顔隠さないようにしてくださいよー」

雲龍「……あなたも真ん中行きなさい」

天城「いえ、天城は」

Littorio「折角晴れ着なのですから、ね? 」

天城「でもそれは皆さんも」

江風「こういうときじゃないと目立つとこ行こうとしないじゃン? 」

海風「いつも端っこはダメ、ですよ」





提督「…………」

漣「……父親の顔みたいのしないでくださいよー。
死亡フラグみたいじゃないですかー」

叢雲「……単に眠いだけじゃないのこれ」


< 活発というかなんというか >






高雄「一月一日の誕生石はジェダイト。
石言葉は“ 個性 ”、“ 活発的 ”、“ 免疫力 ”、そして“ 忍耐力 ”」





提督「ふはははは! 馬鹿どもめ」

漣「……つえぇ。なんだこの化物」

江風「この江風様が手も足も出ない、だと……」

提督「いぇーい! 」

愛宕「いぇーい! 」

雲龍「……羽子板ってダブルスでするものなの? 」

天城「さぁ……」

叢雲「いくわよ海風。あの間抜け面を歪ませてやるのよ」

海風「は、はーい。…………楽しい、楽しいですけど。うーん? 」


< そんな幸福もあるかもしれない >






高雄「今日の誕生花は福寿草。
花言葉は“ 幸福 ”、“ 回想 ”、“ 思い出 ”、そして“ 健康 ”」

愛宕「初夢、見た? 」

高雄「いえ……夢を見ないほど深い眠りでしたので」

愛宕「そ」

高雄「あなたは? 」

愛宕「高雄と結婚する夢」

高雄「……は? 」

愛宕「私が夫だったわ」

高雄「…………」

愛宕「そもそも現実からして普段見るのが三茄子と五煙草くらいなのよねぇ。
六座頭なんてよっぽど一富士より難しいじゃない」

高雄「…………なんとも」


< 一年増えていい事とは >






漣「今年って閏年じゃん? 」

叢雲「へぇ、そうなの」

漣「そうなの。でさ」

叢雲「なに? 」

漣「その年の二月、って表記された消費期限は」

叢雲「ええ」

漣「ちゃんと二十九日もカウントしてるのかな? 」

叢雲「してるんじゃない? 厳しい時代だし」

漣「そっかぁ。……ま、そういうのがあったとしてご主人様に食べさせちゃうからどうでもいいんだけどさ」

叢雲「…………私でもしないわよそんなの」


< 品格なんてものを有難がっていては >






提督「今日のカクテルはフローズン・ダイキリ。
カクテルワードは“ 人を感動させる力を秘めた品格者 ”、だ」

雲龍「……合いも変わらずウィスキー」

提督「日によって好みなんて変わらねぇからな」

雲龍「女の好みも? 」

提督「変わらないね」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……フォアローゼス、ロックで」

提督「ん」



吉ならなんとか……
本年もよろしくお願いします

ありがとうございました


< 粘膜摂取はよろしくないが >






雲龍「……お酒飲みながら、熱燗?


提督「…………嫌いじゃ、ないだろ? 」

雲龍「…………湯船の、隣に一升瓶」

提督「……俺の趣味、嫌いか? 」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………嫌い。なんであなたなんか」

提督「……ん」

雲龍「ん……ゃ…………さいって」


< 大体自分の所為 >






雲龍「…………」

提督「…………姫初め、なんて初めてかも」

雲龍「……嘘、嫌いよ」

提督「…………いや、割と嘘でもないんだが」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……ま、私は初めてだったけれど? 私は」

提督「おう。……ちょっとは信じろよな、ちょっとは」


< ウルトラマン >






江風「江風もそっくりスイーツ食いてぇ」

雲龍「……普通の和菓子がいいわ」

Littorio「……Torta」

漣「チョコでしょ」

江風「……夢がねぇなぁ」

提督「鍵ペロペロ……エロいな! 」

愛宕「あの、飴いいわねぇ」

高雄「千歳飴みたいな」

叢雲「…………同じもの観た感想だとは思えないわね」


< なんだか突然降ってきたりする >






明石「ピザまんって」

瑞穂「はい」

明石「正式名称はピザ饅頭なんですよね? 」

瑞穂「まぁ、そうだと思います」

明石「…………そう考えるとあんまり美味しくなさそうですよね」

瑞穂「…………何故それを今? 」

明石「うーん……Littorioさんとお話ししてて思い付いたのを今思い出したんですが」

瑞穂「……あんまんを食べながら言うことではないと思います」

明石「ですかね。餡子饅頭……もなんか美味しくなさそうです」

瑞穂「はぁ」


< 希望の姿とはなんぞや >






高雄「一月一日の誕生石はランドスケープアゲート。
石言葉は“ 向上心 ”、“ 計画性 ”、そして“ 希望 ”」

加賀「……特番ばかりなのね」

高雄「この時期ですから」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「…………」

高雄「…………」

海風「…………加賀さんじっと観てるけど」

江風「ン? 」

海風「……楽しいのかなあれ」

江風「あの人の好みもよく分かンないからなぁ……楽しいんじゃない? 」

加賀「……声が聴こえない程は集中していないのだけれど」


< 優しい心があるに越したことはないが >






高雄「今日の誕生花は蝋梅。
花言葉は“ 慈愛 ”、“ 先導 ”、“ 先見 ”、そして“ 優しい心 ”」

提督「駅伝観てて思ったんだけどさ」

江風「ン」

提督「年子ってエロいなぁ」

江風「えぇ……なにその感想」

高雄「……計画的にしてくださいね。そのときは」

提督「やー、どうかな。我慢できるかなー」

江風「なンでこンなのが優秀なンだよ意味わかン……待てよ? 」

高雄「? 」

江風「もしかして江風は天は二物を与えずを目の当たりにしてるンじゃ」

提督「ばーか。品性が才能なら今頃世界中天才ばっかで平和だろうよ」

高雄「ですね」

江風「そっかな……そうかも」






天城「…………さらっと流しましたけど割と黒いですね。江風さんも」


< 抜いたのか、溶かしたのか >






提督「今日のカクテルはグリーン・アラスカ。
カクテルワードは“ 優雅で純粋な心の持ち主 ”、だ」

愛宕「ん……結構強いんじゃない? 」

提督「まぁ、ジンベースだし。シャルトリューズのグリーンは五十五度だからな」

愛宕「ふぅん」

提督「別名はエメラルドアイル。綺麗なカクテルの棘、というかなんというか。女の子みたいなものだな」

愛宕「純粋な言葉ねぇ……」

提督「うん? 」

愛宕「……綺麗とかそうじゃないとか。年齢だとか出身だとか」

提督「あぁ」

愛宕「関係なく棘はあるわよ? 知ってるでしょ? 」

提督「……そうだったかな。お前の棘はもう抜いちゃったから忘れてたよ」

愛宕「へぇ? …………本当に全部抜いたかどうか、確かめてみてもいいのよ」

提督「いや……遠慮しとくよ。できることなら綺麗なお前だけを見ていたい」


ありがとうございました


< あなたの腕に包まれて >






愛宕「ん……」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………おはよ」

提督「…………あぁ。起こして悪いな」

愛宕「撫でられるの好きだし…………いいから、やめないで」

提督「……ん」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………あんなにシたのに」

提督「朝だし仕方ない。……つーか脚絡ませんなよ」


< あなたの唇にも、部屋にもしっかりと鍵を >






提督「…………さて」

愛宕「んー? ……もう起きる? 」

提督「いや、吸ってくるよ。丁度最後の一本なんだ」

愛宕「……そ」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……………………いってらー」

提督「……ん、行ってきます」


< なにかが足りないような >






加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………なにか久方振りに弓を引いたような」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………一人で弓を引くのは、好きだったはずなのに」


< 私につれないあなたでいいから >






提督「こんな朝から弓か。真面目だね」

加賀「……あなたは随分と不真面目なようだけれど」

提督「喫煙自体に不真面目なんてことはないと思うが」

加賀「…………愛宕ね」

提督「ん。分かる? 」

加賀「高雄にはさっき会ったから。
あなたが自分の部屋から出てきたということはそういうことでしょう」

提督「なるほど。……なんで知ってるんだ? 自分の部屋から出てきたって」

加賀「そのシャツ、新しいじゃない。まだタグを取ったばかりのような」

提督「分かんないぞ? 誰かの部屋でプレゼントされたかもしれない」

加賀「そうね。そこまで言われると返す言葉が無くなるわ」

提督「あぁ。……それに俺の部屋だからといって愛宕とは限んないぜ? 」

加賀「あなたが誰かを連れ込んだと? 」

提督「ん」

加賀「馬鹿な。もしそうなら……少し幻滅ね」

提督「……」

加賀「……」

提督「…………別に、特別なものがあるわけでもないんだけどな」

加賀「……あるのよ。あなたが無意識に他人を入れないくらいには」


< もちもちした恵みを >






高雄「一月三日の誕生石はトパゾライト。
石言葉は“ 素直 ”、“ 天の恵み ”、そして“ 確実な吉報 ”」

漣「きな粉餅」

江風「抹茶粉も美味いもンだな」

叢雲「砂糖醤油でいいのよ、シンプルに」

海風「それなら海苔も」

天城「お汁粉です」

雲龍「……お昼にお雑煮食べたばかりじゃない」

明石「正月太りしますよぉ」

Littorio「ほぼ毎日高カロリー、飲酒生活をしていて今更何を」

加賀「……人外の身体でいいのはこういうときね。
いくら食べても……なんとかなるわ」


< 毒婦、とはちょっと違うか >






江風「テートクってあれで適性検査パスしてンだよな」

海風「そうだね。じゃないと提督にはなれないから」

江風「……検査内容変えた方がいいと思う」

海風「でも今のところ提督はこの国ねプラスしか与えてないし。
帝国海軍軍人の適性検査として見れば間違ってないんじゃない? 」

江風「そうだけどさ」

叢雲「……一応言っておくけど」

江風「ン? 」

叢雲「私の知る限り人間相手には二股無かったわよ。鬼畜なこともしてないし」

漣「上官への対応も最高だしねぇ~ 」

江風「となると……高雄さンたちと出会ってから狂ったのか」

海風「なんとなく分かるかも。提督だけの責任でもないよね」





高雄「…………否定するのもなにか」

愛宕「…………違うわよね」


< と、言いつつ >






高雄「今日の誕生花はクロッカス。
花言葉は“ 純白 ”、“ 青春の喜び ”、そして“ 平和への願い ”」

提督「いやー、初詣とか行けたら願うんだけどなー。行けないしなー。残念ですー」

明石「もっとそれっぽく聞こえる努力しましょうよ……」

提督「身内しかいねぇのに取り繕う意味ないし」

明石「や、ですけどね」

提督「つーかそもそも初詣行くより巫女服見たい。
初詣民の男は四割が巫女目当てと言っても過言じゃない」

明石「過言過ぎる……」

漣「ご主人様……あんまり適当なこと言ってると」

提督「うん? 」

漣「巫女服着てあげませんよ? 明石さんが」

提督「え、なに着てくれんの? 」

漣「はい」

明石「……え? 」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………世界が平和になりますようにキリッ」

明石「…………そんなキリッ、とか言ってるうちは絶対着ないですよ」


< 使う味噌で喧嘩するくらいなら下手でもいい >






天城「まぁ……及第点でしょうか」

雲龍「……不可」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「……姉様、それは少々評価が辛くはありませんか」

雲龍「友人には厳しくする主義なの」

天城「別に愛想とおべっかを使えとはいいませんが……しかし」





明石「…………うーん。美味しくも不味くもないですね、これ」

叢雲「仕方ないわよ。むしろいきなり上手くなられても困るわ」

江風「江風も料理しないと……うン」



< 気負いの無い言葉にこそ >





提督「あぁ、天城」

天城「はい? 」

提督「……後でさ、星でも見に行かない? 」

天城「星? 」

提督「星」

天城「構いませんけれど……」

提督「おう」

天城「……何故、天城なのでしょう? 」

提督「お前と見に行きたくなったから」

天城「そうではなくてですね。……えーっと、その、なんと言えばいいか」

提督「…………」

天城「…………何故、天城以外の方ではないのか、というか」

提督「うん? ……あのさ」

天城「はい」

提督「いくら屑でもね、女の子と遊ぶの消去法で決めたりはしないよ、俺」

天城「ーーーー」


< 落ちても落ちても堕ち切らない才能を >






提督「今日のカクテルはグラスホッパー。
カクテルワードは“ 心の清らかな純粋なプリンセス ”、だ」

Littorio「何人のプリンセスを堕落させたのか」

提督「さぁ? ……純粋な子がいたかどうかは分からないけどな」

Littorio「ふふ……Littorioが純粋ではない? 」

提督「自分でも思ってないこと訊くんじゃねぇよ」

Littorio「そこを答えるのが素敵な殿方というものでしょう? 」

提督「……そんな質問をしないのが出来る女じゃないのか? 」

Littorio「さぁ…………飲まないの? 」

提督「ドライブの予定がね」

Littorio「そう……Littorioも連れて行ってくださいね? 」

提督「あぁ。……そのときは素敵な男になってるよ」


< 満天の星空の映る美しい瞳 >






提督「…………」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………なぁ、天城」

天城「……なんでしょうか」

提督「…………自分たちが戦っている相手のことを考えてみたことはあるか? 」

天城「……考える、とは」

提督「なんでもいい。戦う理由でも、何を食べているのかでも、男はいないのかでも」

天城「はぁ」

提督「……」

天城「…………考えない、といえば嘘になりますね。嫌でも興味が湧いてくるものです」

提督「……そうか」

天城「……ええ」

提督「…………もしかすると、そのうち全部知ることができるかもしれないぞ」

天城「……え? 」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………寒いな。車、戻ろうか」

天城「はい。あの…………あ、提督ちょっと待ってくださいっ」


< あなたに酔ってる、なんて言ってみたり >






天城「お酒、飲んでませんよね? 」

提督「飲んでない。その辺は信用しとけ」

天城「そうではなくて。天城も今日はまだ飲んでないんです」

提督「へぇ? 」

天城「……飲んで、いきませんか? 」

提督「今から飲み始めたら今日はもう帰れないぞ。徒歩で帰るなら別だが」

天城「ええ。構いません」

提督「…………」

天城「……こういうとき、今日は帰りたくない、とでも言えばいいのでしょうか」

提督「…………さぁ。ま、天城がそう言うなら」

天城「…………ぁ、ん」

提督「ん…………今日は帰したくない、なんて言っておこうかな」


ありがとうございました


< 得難い景色 >





天城「ふぁう…………」

提督「……眠い? 」

天城「……眠くない理由が無いでしょう」

提督「まぁ」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……寝ててもいいぞ? 事故無くしっかりお届けするし」

天城「……いえ、助手席からの景色なんて、滅多に見れませんから」

提督「ふぅん? 」

天城「……………………ふふ」


< いつまでも抜けない正月気分 >





山城「……幸せだわ」

金剛「山城はどうせ扶桑がいればいつでも幸せデース」

霧島「ですね。……私たち姉妹にも似たような人がいるのでよく分かります」

浜風「んむ……お正月は、相変わらず美味しい」

龍田「お正月に不幸ならずっと不幸よねぇ~ 。
お正月すら不幸なら何が楽しいのか分からないわぁ」

山城「扶桑姉さま……どうぞ」

扶桑「ありがとう山城」

浜風「雑煮にも沢山の種類が……む」

山城「いえ、姉さまの為ならお雑煮を盛ることくらい。
それと喉に餅を詰まらせてはいけませんし私がお椀と箸を持ちましょうか? 」

扶桑「遠慮するわ。気持ちは受け取るけれど」

金剛「山城? 扶桑は介護老人ではありまセーン」

龍田「天龍ちゃーん? これは結び三つ葉っていって縁結びの縁起物なのよぉ~ 」


< 諦観と安心と >






高雄「一月四日の誕生石はクリソコーラ。
石言葉は“ 神経質 ”、“ 感受性 ”、そして“ デリケート ”」

提督「よう」

高雄「おはようございます。……もう昼過ぎですけれど」

提督「朝には帰るつもりだったんだけどな、ちょっと遠くまで行ってみたくて」

高雄「……そうですか」

提督「あぁ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………おかえりなさい」

提督「……ん、ただいま」


< あなたが太陽みたいなものだけれど >






高雄「今日の誕生花はヒアシンスホワイト。
花言葉は“ 照れ屋 ”と“ 目立たない愛らしさ ”」

愛宕「こう……日陰のたんぽぽみたいな? 」

高雄「そうね」

愛宕「でもそういうのってやり過ぎるとあざといだけになって難しいのよねぇ」

高雄「……自分で言うのもなんですが私たちに目立つな、というのは」

愛宕「まぁ、無理ね」

高雄「ええ」

愛宕「……ある意味では日陰に咲きまくってると言えるわけだけど」

高雄「……寄生の宿主が特別生きのいい人ですから」

愛宕「むしろ積極的に寄生者増やすっていう」

高雄「まったく…………やれやれ、というやつですね」


< 隠すのも隠さないのもいい >






雲龍「自分の相手に性的嗜好を隠してそうな人」

明石「この面子は相手同じですけどね……天城さんとか? 」

Littorio「あれでいて雲龍の妹ですものね」

雲龍「そうね」

明石「や、否定するフリくらいしてくださいよ」

雲龍「意味ないもの」

明石「そうですけども」

Littorio「……逆に明石はなんでも言わされているような」

雲龍「確かに。身体は正直だ、ってやつ? 」

明石「いや、別に……というかこれ肯定も否定も罠じゃないですかー……」


< やっぱり負けた >





加賀「……何故ババ抜きなど」

明石「昨日のテレビでしょうねー……どーぞ」

雲龍「……はい」

叢雲「む……へぇ」

加賀「…………」

明石「…………」

雲龍「…………」

叢雲「…………」

明石「…………なんなんですかね。こう、ポーカフェイスしかいないじゃないですか。怖いんですけど」


< 結構悪くなかった >






提督「今日のカクテルはアラウンド・ザ・ワールド。
カクテルワードは“ 人を助けて励ます優しい白馬の王女様 ”、だ」

愛宕「王女様なんだ」

提督「王子はお休みなんですよお嬢さん。……ミントチェリーと言えばさ」

愛宕「うん」

提督「こういう瓶詰めになってるわけ」

愛宕「オリーヴみたいな感じね」

提督「あぁ。……昔深夜に友達に飲み呼ばれてさ、家行ったんだよ」

愛宕「ん」

提督「そしたらさ、つまみ買い忘れたけど五次会まで行った後で疲れてるからこれな、とか言われたことある」

愛宕「え? 」

提督「結局俺の持っていった多少のつまみとミントチェリーで朝まで飲んだなぁ」

愛宕「…………世の中色んな人がいるものね」

提督「まぁな。……そいつお前も会ったことあるぞ」

愛宕「え、嘘……」

提督「今は呉にいるな。ほら、覚えてない? やたら気取った話し方のあいつ」

愛宕「あ……」

提督「うん」

愛宕「…………この国大丈夫? 」

提督「大丈夫じゃないだろうね、色々と」


< 食べるのも少し辛い時間 >






提督「カレー作んぞカレー」

明石「はぁ? 一体今何時だと」

提督「フタサンマルマル過ぎだが? 」

明石「過ぎだが? じゃないですよ……今つくってたら何時になるか」

提督「まぁまぁ。ほら、料理の練習したいんだろ? 」

明石「や、それとこれとは別ですって」

提督「えぇ……明石ちゃーん」

明石「そもそも高雄さんや愛宕さんはどうしたんです。
私がいるよりずっと有能な料理人じゃないですか」

提督「いや、カレーつくろうぜって言ったら馬鹿を見る目で見られてな」

明石「当たり前じゃないですか……っていうかそんなたらい回しの罰ゲームみたいなの私も嫌ですよ」


< しりとりより楽しかったりする >





Littorio「? ……何かお料理が始まったようですね」

加賀「ええ。明日が楽しみです」

Littorio「…………」

加賀「…………」

Littorio「……なんでしょうね」

加賀「さぁ……明日の昼以降まで残しておけるものでしょうし絞れはできますが」

Littorio「……カレー? 」

加賀「有力候補ね」

Littorio「肉じゃが? 」

加賀「かもしれないわね」

Littorio「他にはえーっとーー」


< なんとなくそんな気分の夜 >





加賀「あなた」

雲龍「はい? 」

加賀「ちょっと……抱き締めなさい」

雲龍「はぁ……は? 」

加賀「少し寒いわ」

雲龍「いや、そんなわけ……そんな、わけ」

加賀「…………」

雲龍「…………」

加賀「…………母親がいれば、こんな感じかもしれないわね」

雲龍「…………そこまで歳は…………いいですけど」


ありがとうございました


< 本当まーじこめん >





提督「…………Zzz」

高雄「……あの」

提督「…………Zzz」

高雄「……提督」

提督「…………Zzz」

高雄「…………__さんっ」

提督「…………んあ? 」

高雄「……カレーをつくってそのまま寝ていたようですね」

提督「……え? 地元で五軒ハシゴして終電逃してカラオケオールからの始発は? 」

高雄「……は? 」

提督「新年会は? 細川は? 野村は? 」

高雄「…………はい? 」


< 夜鍋で鍋をかき混ぜて >





提督「ふぁ…………くっそ眠い」

高雄「でしょうね。まさか本当につくるとは」

提督「つくりたくなったんだから仕方ない」

愛宕「結局誰か巻き込めたの? 」

提督「ひでぇ言い方。……結局一人寂しくつくった」

愛宕「うわぁ……」

高雄「……もう少し頼まれれば手伝ったのに」

提督「今更言われてもね」

愛宕「……チキン? 」

提督「チキン」

愛宕「やるじゃない。普通に美味しそうね、うん」


< 呉だか佐世保だかからのご客人が >






鈴谷「…………」

龍田「…………」

鈴谷「や、おっどろいたね……」

龍田「……そうね」

鈴谷「あんなイケメンでヤバいくらい鈍感とか生きてるんだ」

龍田「……あれならよっぽどキャラ付けの方がマシよ」

鈴谷「……キャラ付けに見えない? 」

龍田「そう見ようとしたのに無理だったわ」

鈴谷「…………」

龍田「…………」

鈴谷「…………こう考えると提督が少し普通に見えるね」

龍田「…………ええ、俗物の最たる感じだし」


< えかぜ >






提督「道民としてこれ言うのもどうかとおもうんだけどさ」

江風「うン」

提督「お前の名前って単に知名度不足だよな。
夕張なんて知名度低かったらたぶん読めないと思う」

江風「そうかもな」

提督「まぁ、だからどうだってわけでもないが」

江風「…………」

提督「…………」

江風「…………」

提督「…………」

江風「……いや、フォローになってないしそれ。
さすがにヘコむよ……帝都からの書類で読み仮名間違えられるってなンなの」


< 悪くない、悪くないが >






高雄「一月五日の誕生石はジルコン。
石言葉は“ 安らぎ ”、“ 穏やかさ ”、そして“ 静かな境地 ”」

提督「……」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……」

提督「……わざわざ黙るのは違うな」

高雄「……私は嫌いじゃありませんよ。あなたと同じことするの」


< 自信が第一歩 >





高雄「今日の誕生花は三角草。
花言葉は“ 自信 ”、“ 信頼 ”、“ 信用 ”、そして“ 愛される心 ”」

江風「テートクスゲェじゃン。カレーも美味かったよ」

提督「さんきゅ。……まぁ、カレー不味くつくる方が難しいけど」

高雄「ですね」

愛宕「そうね。その分奥も深いけど」

提督「シンプルでいいんだよ。あとは自信とあれだな、愛」

漣「あぁ、だからですか。深夜に聞こえる美味しくなぁれ、美味しくなぁれ」

高雄「えっ」

愛宕「うわぁ」

江風「……テートク」

提督「いや、言ってねぇから。そんな顔すんな」


< ゆーどーじんもん >






漣「でも意外でしたねー」

提督「うん? 」

漣「炬燵無いんですもんね」

提督「別に嫌いじゃないぜ? 」

漣「それは分かりますけど。
……ご主人様なら嬉々として炬燵の中に女の子引き摺り込みそうなのに」

提督「あ? 」

漣「や、だって、ねぇ? 」

提督「…………デメリットが多いんだよ」

漣「へ? 」

提督「臭い籠るし片付け面倒だし。他にも色々と」

漣「……なるほど」

提督「あぁ」

漣「…………経験はあるんですね、ふーん」

提督「」


< 独特な二人 >





提督「今日のカクテルはフローズン・ミドリマル・ガリータ。
カクテルワードは“ 独特な個性と主張を持つ品格者 ”、だ」

明石「独特ではない個性とは……? 」

提督「無いな」

叢雲「独特が良い意味で使われるのって実は殆ど無いわよね」

提督「独特な味」

叢雲「独特な造形」

提督「独特な性格」

叢雲「独特な音色」

提督「それからーー」

明石「や、もういいですって。……無駄にこういうときは息合いますよね、お二人」


本当に申し訳ないです

ありがとうございました


< 求める理由にエレガントさは不要 >






高雄「一月六日の誕生石はスターガーネット。
石言葉は“ 上品 ”、“ 気さく ”、“ お洒落好き ”、そして“ エレガント ”」

天城「提督って意外にも所作がとても綺麗ですよね。
洗練されてると言ってもいいくらい」

雲龍「そうね。特に華族の子弟ってわけでもないのに」

天城「まぁ、元々ガサツに見える、というわけではありませんけれど……」

雲龍「……紅茶の飲み方とか私より綺麗よねあれ」

天城「はい。天城もおしえていただきたいくらいです」

高雄「……………………そういったものが必要な場で女性を口説くため、
なんて聞いたこともありますけれどね」


< この時期は普段見ない芸人さんをよく見る >





提督「お前そらギャグとユーモアは似て非なるものだろ」

Littorio「はぁ」

提督「俺もそう思うし龍驤も言ってたから間違いない」

Littorio「龍驤? 」

提督「ほら、あの……関西弁の……っていうか関西弁分かる? 」

Littorio「なんとなくは」

提督「そうか。……関西弁の軽空母だな。式神タイプの」

Littorio「……あぁ」

提督「分かった? 」

Littorio「ええ。そういえば時々遠い目で胸元を見てきたので印象が強かったのでした」

提督「……」

Littorio「……」

提督「……そっか」

Littorio「……ええ」


< 王子にはつっこまない >





高雄「今日の誕生花はカンガルーポー。
花言葉は“ 可能性 ”、“ はにかみ ”、そして“ 想像力 ”」

明石「ハニカミ王子とかいましたね」

叢雲「いた、というかまだ現役じゃないの? 」

明石「私スポーツ得意じゃないんですよ……」

叢雲「あいつか江風がいれば大体分かるんだけど」

明石「まぁ、それはいいですよ。……提督は何王子でしょうね」

叢雲「語感が近いのなら……ハナタレ王子とか」

明石「あぁ。……カキタレ王子とかは? 」

叢雲「せめてマジタレにしてやりなさいよ……意味逆だし」

明石「まぁ、確かに。あとアホタレとか」

叢雲「あぁ」

明石「…………」

叢雲「…………」

明石「……これいくらでも出てきそうですね」

叢雲「……悪口と褒め言葉には事欠かない男だから」


< 完全に想定外 >






提督「今日のカクテルはグリーン・アイズ。
カクテルワードは“ 面白いものを感じ取る才能の持ち主 ”、だ」

瑞穂「青葉さん、のような方ですね」

提督「そう? 」

瑞穂「はい。本人の感性がよくなければ面白いものはできませんし」

提督「……結構面倒なやつだけどな」

瑞穂「でもお嫌いではないでしょう? 」

提督「まぁな」

瑞穂「……提督が」

提督「あぁ」

瑞穂「苦手なかたやあまりお好きではない方のお話を振ると……なんとなく分かります」

提督「…………表には出さないようにしてるんだが」

瑞穂「外ではそう見えないので大丈夫ですよ。
……最近ようやく瑞穂の前でも見せていただけるようになりました」

提督「…………」

瑞穂「…………ふふ」


ありがとうございました


< そもそもまだまだ北海道じゃない >






提督「今日は東急フライヤーズが誕生した日なわけだが」

江風「……どこのなンのチームだよそれ」

提督「野球」

江風「江風社会人野球は知らないから」

提督「違うから社会人じゃないから。時代が少し前なだけ」

江風「ふーン……じゃあ好きな選手は?
それ聞けば一人くらい知ってるかも」

提督「えっ……好きな、好きな選手ね」

江風「ン」

提督「…………」

江風「…………」

提督「…………ま、過去のレジェンドより今の若手だよな」

江風「おい逃げンな」


< 気にはなる >






加賀「もう少し誰にでも分かるようなことは言えないのかしら」

提督「あ? なら加賀はたとえばどんなこと言うんだよ」

加賀「そうね……今日は元号が今のものに変わった日よ」

提督「……へぇ」

加賀「ええ」

提督「つまり一週間の“ 六十四年 ”が終わった日か」

加賀「そうね」

提督「……次はなにになるんだろうな。少し楽しみだが」

加賀「……不敬な。帝国軍人としてそれはどうなのかしらね」

提督「冗談冗談。テートクジョークよ? うん」


< 別にならなくてもいいと思う >






高雄「一月七日の誕生石はホワイトクォーツ。
石言葉は“ 清らか ”、“ 凛々しい ”、そして“ 明鏡止水 ”」

愛宕「そんな境地にはちょーっとなれないわねぇ」

高雄「まぁ、生きている限りは難しいわね」

提督「そうか? 俺別に疚しかったりしないけど」

愛宕「疚しく思える頭がないだけでしょうそれ」

提督「澄み切った心持ちなんだけどなぁ」

愛宕「純粋に変態とかそういうことね」

高雄「あなたが持っているものはこの中だと凛々しさだけですよ」

提督「え、あ、そう……そうか、ありがとう。……お前も今日も綺麗だよ」

高雄「……ぁ」

愛宕「ふふ。……ねぇ、私は私は? 」


< 想像よりも実践で >






高雄「今日の誕生花はスズシロ。
花言葉は“ 明るさ ”、“ ときめき ”、そして“ チャーミング ”」

明石「ぶっちゃけまだときめいたりするんですか? 」

高雄「あの人に、ですか? 」

明石「ええ。割と長い付き合いでしょうし普通のカップルより余程濃密な時間でしょう」

高雄「……どうでしょうね。ときめいた、と自覚したことがないので」

愛宕「私はあるわよ? 顎持ち上げられて見つめられたりするとか」

明石「あー……でもそういうのって何度もされてるんじゃ? 」

愛宕「同じことでときめいちゃいけない? 」

明石「ダメじゃないですけど……そんなもんですかね」

愛宕「そんなものよぉ。執務中の真面目な顔とか褒めてくれる優しい顔とかだっていつになってもーー」

高雄「…………」




高雄「…………あの」

提督「ん? 」

高雄「…………そのお仕事が一段落着いたら、後ろから抱き締めてください」


< たまにはかるた遊びも >






提督「上毛かるたを買ってみた」

高雄「上毛……群馬ですか」

提督「そ、群馬の同期とやったの思い出して。
……でも群馬に所縁のあるやついねぇ」

高雄「そんなこと自明でしょう。そもそも地名が由来じゃない方も多いですし」

提督「……しかももう正月気分じゃないしな」

高雄「……はぁ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………お前赤城召喚できたりしないの? 」

加賀「…………できるならそもそもしているのだけれど」

提督「……だよな」



< どうも得意じゃない >






提督「今日のカクテルはフェアリーランド。
カクテルワードは“ 人との結び付きを大切にする礼儀正しい人 ”、だ」

明石「うわぁ……なんか凄いの出てきましたね」

提督「2000年のカクテルらしいぞ。俺も初めて見たしつくった」

明石「グレープフルーツピールとリンゴですか」

提督「そういうのあると飲み辛くてあんまり好きじゃないんだが」

明石「まぁ、沢山飲みたいときに飲むものじゃないでしょうしね」

提督「じゃあたとえばどんなときに飲むんだ? 」

明石「雰囲気つくって盛り上げたいときとか? 」

提督「お前こういう装飾的なカクテルで盛り上がるか? 」

明石「…………然程」


次のです

【艦これ】愛宕「私と」提督「俺と」高雄「私」
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次の方でもよろしくお願いします

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