【艦これ】提督「俺と」愛宕「私と」高雄「私」 (1000)


< しかいない >





提督「はずだったんだけどなぁ……」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………人口増えたと思ったら気付けば減ったりしてるし」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………好きなんだ、思った以上に。……帰ってこいよ、俺が壊れる前に」



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こちらでもお願いします

ありがとうございました


< まぁ、なんとかなるものだけれど >





漣「あー……」

叢雲「どうしたの? 」

漣「……彼氏欲しい」

叢雲「つくればいいじゃない。今は無理かもしれないけど戦争が終わってからでも」

漣「そこで問題が一つ」

叢雲「……」

漣「漣ってまぁ美少女でしょ? 」

叢雲「そ、うね。漣がそう思うなら」

漣「引っ掛かるなぁ。……男の人引っ掛けようと思えば多分今でもできるよ? 」

叢雲「ええ」

漣「でも漣の男の基準ってご主人様だから。地味にハードル高くない? 」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「……彼氏、諦めなさい。それか姉妹でも染めるとか」

漣「諦めるのはいいとして女の子かぁ……アリとか思った自分が嫌だなぁ」


< ついでにロリっぽい >





漣「というかかなり蓄えがあって美少女で性格も明るめって相当優良物件でしょ? そのはずでしょ、ねぇ? 」

叢雲「そうね」

漣「なーんで男いないのかなー。おかしーなー」

叢雲「まぁ、単純にいないからよね。
陸軍とは殆ど接点ないし、海軍内でもまともな接触は指揮官クラスじゃないと無いし」

漣「で、その指揮官クラスって大体既婚者で中年以上なんだよねぇ」

叢雲「あいつも中年と言えば中年だけど」

漣「ご主人様はまぁ……まだ青年と言い張っても許されるスタイルと容姿だし」

叢雲「……許されるだけで中年なのは否定しないのね」

漣「…………本格的に姉妹か、それともその辺のショタでも」

叢雲「やめときなさい。それならあいつに無理矢理迫って既成事実つくる方が大分いいわ」

漣「……叢雲ちゃんは? 」

叢雲「私? 私は一人でも生きていけるだろうし」

漣「だろうし? 」

叢雲「きっとあいつも拒まないから。寂しくて堪らなくなったらそれとなく、ね」

漣「……………………彼氏欲しい」


< 人肌恋しいとかその辺も >





叢雲「そもそもどうして彼氏欲しいとか言い出したのよ。別に困ってないでしょう」

漣「や、なんとなくでも欲しいものじゃない? 普通」

叢雲「私、普通じゃないから」

漣「ふーん……? 」

叢雲「普通であろうとする必要性も感じないし。別に男がいたってどうせ」

漣「どうせ? 」

叢雲「大きなガキが増えるだけよ」

漣「…………」

叢雲「…………」

漣「……実感が篭ってるね」

叢雲「込めてるんだから当たり前、よ」


< 夏の終わりの始まり >





叢雲「八月十八日の誕生石はフレッシュウォーターパール。
石言葉は“ 意欲 ”、“ 努力 ”、“ 我慢強さ ”、“ 一生懸命 ”、よ」

提督「……半分、半分でいいから手伝ってくれ」

叢雲「書類の読み込みと理解をどうやって手伝えばいいのよ」

漣「そうですよー。漣たちも断腸の思いで紅茶飲んでるんですからねー? 」

叢雲「それに、リンゲルマン効果って知ってる? 」

提督「……社会的手抜きか」

漣「働きアリは三人いれば一人位で十分ですもんね」

提督「…………」

叢雲「でもよかったじゃない。あれだけの犠牲を払った作戦でここ所属の人員が誰一人欠けなくて」

提督「……ま、俺のおん……部下だからな」

叢雲「聞かなかったことにするわ。……その頑張りに報いるためにも、頑張りなさい」

提督「それ言われると…………俺にもコーヒー淹れてくれ」

叢雲「仕方ないわね」


< それなりに興味深い >





叢雲「今日の誕生花は立葵。花言葉は“ 豊かな実り ”、“ 単純な愛 ”、“ 熱烈な恋 ”、“ 高貴 ”、よ」

漣「そういえばご主人様」

提督「ん? 」

漣「高雄さんと愛宕さん、どっちを先に堕としたんですか? 」

提督「なーんかアクセントが違うような気が」

漣「そこは気にしないで」

提督「……………………高雄だよ」

漣「え、意外です」

提督「っても単に最初に寝た方がってだけだからな。大した違いはない」

漣「やっぱりあれですか? 熱烈というかしつこい攻勢で」

提督「や、別に。積み重ねたものをお互いに守ろうと思っただけだ。なにかイベントがあったわけではない」

漣「はぁ」

提督「案外熱烈なのは恋じゃなくて愛なんだよね。恋は愛のエッセンスみたいなものでさ」

漣「…………」

叢雲「……なに? 」

漣「いやぁ……コイバナのときって叢雲ちゃんは黙ってるなぁ、とか思ったり」

叢雲「ま、そうね。私より経験あるんだから。私が言うことはないもの」

漣「なるほど? 」


< 同じくらいということはつまり >





提督「今日は八月十八日の政変の日だが」

叢雲「ふーん……」

漣「なるほど……」

提督「興味うっす。表情死んでるし」

叢雲「だって……ねぇ」

漣「うん」

提督「…………」

叢雲「…………」

漣「…………」

提督「……仕方ない。それなら我が地元の素晴らしさを」

叢雲「幕末の混乱、私嫌いじゃないわ」

漣「一応帝国海軍も関わりというか色々あるしね」

提督「」

叢雲「……じょ、冗談よ? どっちも同じくらいの興味はあるし」


< 的確な >





愛宕「基地のバックアップだけど」

高雄「ええ」

愛宕「叢雲ちゃんと漣ちゃんだったんだって。さっき加賀さんにきいてきたわ」

高雄「へぇ……横須賀で何度か会ったことはありますが」

愛宕「キャリアの最初からの付き合いよね、あの人の」

高雄「まぁ、仲はよさそうでしたが」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……なんとなくだけど叢雲ちゃんのおかげで三人とも生きてると思うわ」

高雄「あぁ……ほぼ確実にそうでしょうね」



< 夢見る少女は皆お姫様 >





提督「今日のカクテルはシャルトリューズムース。
カクテルワードは“ 自分の価値観を向上させる情熱家 ”、だ」

叢雲「ふぅ……甘い」

漣「この時期にホットグラスっていうのもよくわかりませんねー。美味しいですけど」

提督「あぁ。……シャルトリューズも安価に手に入る。いい時代になった」

叢雲「最終的な製法は少数の修道士しか知らない、だったわね」

提督「そこらら辺もなんちゃってリキュールとは違うところかな。Queen、というかReine」

漣「はい? 」

提督「この国の発音ならレーヌ、かな」

漣「はぁ。……フランス語? 」

叢雲「そうね。どちらかというと女王というニュアンスよりは王妃寄りのものだけど」

提督「お詳しいですね、Princesse」

叢雲「そうでもないわ、Prince charmant」

漣「…………ご主人様は兎も角どうして叢雲ちゃんが理解できてるんだろう」


前の方、埋めていただいてありがとうございました
ただあと一年はさすがに……

ありがとうございました


< 最近寝起きが物足りない >





提督「おはよう」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「? …………反応が無いっておかしいな、とか思った俺がおかしいのか、そうか」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………明日、明日までだから。頑張れ俺、帰ってくるまでの辛抱だ、うん」


< 晩酌だって同じだね。そこに愛があるから >





提督「おはよう」

叢雲「ええ」

提督「……コーヒー苦い」

叢雲「ブラックが好きなんでしょ? 」

提督「あぁ」

叢雲「……ココアでも淹れる? 」

提督「いや…………砂糖入れなくても甘くなるんだな。最近やっと気付いたよ」

叢雲「はぁ? 」



< まぁ、乗るのも吝かではない >





叢雲「八月十九日の誕生石はイエローカルサイト。
石言葉は“ 優雅 ”、“ 純粋 ”、“ 優しさ ”、“ 素敵な笑顔 ”、よ」

提督「純粋ね……叢雲は戦艦になりたいとか思わないのか? 」

叢雲「はぁ? なんで戦艦になる必要があるのよ」

提督「なりたくない? 俺はなりたいぞ」

叢雲「意味わからないんだけど」

提督「扶桑とか好きなんだよ。愛宕とかとは違ったよさがある」

叢雲「ふーん……? 」

提督「他にはない、オンリーワンみたいなのに弱いんだ」

叢雲「…………」

提督「乗ってみたいしなぁ。無理だけど」

叢雲「……まだ、足りないのね、この絶倫変態男」

提督「え? 」

叢雲「は? 」

提督「あぁ、そうか…………艦橋の話だぞ、変態ちゃん」


< 俳句の日 >





漣「ドーモ。提督=サン。謹んでハイクを詠め! 」

提督「お前は何を言ってるんだ」

漣「軍規を乱し少女を弄ぶ提督=サンに慈悲は無い! 」

提督「弄んでねぇよ……」

漣「ハイク! ハイク! 」

提督「…………」

漣「ハイク! ハイク! 」

提督「……さざなみよ、にわかせいかつ、いつまでよ」

漣「…………」

提督「…………」

漣「……あ」

提督「あ? 」

漣「アイエエエ!? 」

提督「はぁ……楽しそうでいいな、お前は」


< バイクの日 >





漣「さーて、バイク売・る・な・ら」

提督「やめろ」

漣「漣をにわかとか言った罰ですよー」

提督「ふざけんな。話にノってやっただけでなんで恋人売り払わなきゃならないんだ」

漣「恋人って……」

提督「単車は恋人なんてありふれてるから。マジで」

漣「はぁ。……でも恋人を売り払うって表現がさらっと出てくるあたり考えたことも? 」

提督「あぁ? なに、今日は俺に喧嘩売る日なのかなぁ? 」

漣「べっつにー? 」

提督「……幌筵にでも飛ばしてやろうか、漣くん」

漣「えっ」

提督「…………」

漣「……アイエエエ!? 左遷!? 左遷ナンデ!? 」

提督「本当に飛ばすぞ、おい」


< 恋人であり、部下であり、時に妻であり、そして >





漣「でも単車が恋人なら高雄さんたちは? 」

提督「そりゃ高雄だよ」

漣「はぁ? じゃあ、漣は」

提督「漣」

漣「…………」

提督「…………」

漣「……なんか非常に深いことを言われたようですけど」

提督「おう」

漣「なにも考えてないだけですよね」

提督「まぁな。……でも本当に高雄は高雄だし、愛宕は愛宕だよ。漣は漣だし。それ以外を考えようとは思わない」


< あなたのいる処へ還ります >





愛宕「やっと帰れるのね」

高雄「それでも想定されたものよりは大分早いけれど」

愛宕「一日離れるだけでも寂しいんだから。ね? 」

高雄「まぁ、確かに」

愛宕「……ふふ、会ったら最初になんて言おうかしら」

高雄「そんなもの」

愛宕「そんなもの? 」

高雄「……ただいま、と。それだけです」

愛宕「なるほどね。……早く帰りたいわぁ~ 」


< 汚職などをしていないという意味では >





叢雲「今日の誕生花はカンナ。
花言葉は“ 妄想 ”、“ 永続 ”、“ 快活 ”、“ 情熱 ”、“ 熱い思い ”、よ」

漣「漣としてはご主人様の想いが長く続いてるっていうのは信じられないんだよね」

叢雲「そう? 手の早さとだらしなさは兎も角として後腐れはなさそうだけど」

漣「ふーん……信頼してるね」

叢雲「別に。……ただ」

漣「ただ? 」

叢雲「基本的に曲がったことは好まないじゃない。そこは……いいところだと思うわ」

漣「そう。……ま、漣も同意、だけど」


< 深くは訊かない >





提督「長期休暇の終わりといえば学生時代は恐ろしいものではあったんだが」

漣「休暇なんてありませんしねー。そもそも殆どお休みみたいなものですけど」

提督「だって帝都とか行きたくねぇし。
高級軍人なんて通常の執務終わらせたらあとは遊ぶか会議かだぞ」

漣「はぁ」

提督「お前らの存在って特殊だからな。
外に出にくいのはデメリットだが、指揮官として結果を出せば殆ど失脚の可能性がないのはありがたい」

漣「接近し過ぎて問題起こす人とか逆に道具扱いする人いますもんね」

提督「あぁ」

漣「……漣も、ご主人様だけを指揮官にしたいって思ったことが」

提督「…………」

漣「…………」

提督「……そう、か」

漣「はい」


< 思わず頬を緩ませて >





加賀「やっと、やっと帰れるのね」

明石「ですね」

加賀「やっと……感慨深いものがあるわ」

明石「なかなかに厳しい戦いでしたしね。……疲れました」

加賀「あなたがいたからこそ厳しさも軽減されたのよ」

明石「……はい」

加賀「…………」

明石「…………」

加賀「…………料理、お酒、つまみ……ふふ」

明石「あれぇ? シリアスなお話じゃないんですか……この流れ」



< 徹夜程度では網羅できないと思う >





提督「今日のカクテルはカフェショコラミルク。
カクテルワードは“ 進むべき道を知っているニュータイプ ”、だ」

漣「ニュータイプ? 」

提督「言っておくがガンダムのことわからないからな」

漣「じゃあ一緒に観ましょうよ。ご主人様ならきっと気に入りますよ」

提督「構わないが」

漣「さっすが少将閣下。話がわっかるー」

提督「閣下はやめとけ。……今日は徹夜だな」

漣「え? 」

提督「ん? 」


< 割と面倒な >





雲龍「思ったんだけれど」

天城「はい」

雲龍「今日は俳句の日とかバイクの日だったじゃない」

天城「そうですね」

雲龍「昨日は戦闘とかでそれどころじゃなかったけれど」

天城「ええ」

雲龍「もしかしてパイパ」

天城「姉様」

雲龍「…………最近、ちくちくしてきたわ。時間なくて」

天城「……その情報、いらないです」


< それはそれで >





Littorio「剃っているのですか? 」

天城「……なぜわざわざ掘り起こすのです」

雲龍「ええ。その方が喜ぶと思って」

Littorio「なるほど? こちらの方は処理が甘いときいていました」

雲龍「私もそうきくけれど……人それぞれでしょう、結局」

Littorio「考えてみれば確かに」

雲龍「……天城はボーボーかもしれないけれど? 」

Littorio「えっ……天城? 」

天城「違います! 天城も淑女としてしっかりと整えておりますから! ボーボーじゃないですからぁ! 」

雲龍「…………」

Littorio「……へぇ」

天城「」

雲龍「……………………天城ったら、ふふ」


< さすがに一人では許可できない >





提督「あー……次のディスク入れるか」

漣「はいー、これです」

提督「ん」

叢雲「……まだよくわからないわね」

漣「なんとなくでいいんだよ、楽しめれば」

提督「またにわかの権化みたいな……」

漣「もういいですよにわかで。有明にも行ってませんしー? 」

叢雲「行けないでしょ。どう考えても」

提督「行きたいなら許可くらいなんとかしてやったのに」

漣「えっ」

提督「おう」

漣「…………ふ、冬はお願いしますね」

提督「いいぞ。その代わり一緒に行ってくれるやつは自分で探しておけよな」


< 新人でも染めよう >





漣「え、ご主人様は来てくれないんですか? 」

提督「さすがにな。要港部の責任者になる予定なんだぜ? 」

漣「でも休暇くらい自由に」

提督「今年はここ離れないぞ、俺」

漣「あ、そうですか……」

提督「あと離れるなら高雄たちとどっか行くし、京都か箱根あたりに」

叢雲「一応言うけど私も嫌よ。年末はゆっくりしたいの」

漣「…………誰かここにいます? 付き合ってくれる人」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………俺だな、一番可能性高いのは」

漣「そんなぁ……」



< 砲塔ガン積とか艦橋とかね >





愛宕「Love Indulge? 」

高雄「宕の場合“ ほしいまま ”、“ 大きく揺れ動く ”、
よりは“ 石の洞穴 ”、の方がメジャーな意味だと思うのだけれど」

愛宕「愛宕、っていう単語には高い処だとか高貴な者の棲む場所、燃える火って意味があるのよ? 」

高雄「それで? 」

愛宕「それに洞穴、なんていう意味は似つかわしくないんじゃない? High maleさん。……ふふ」

高雄「…………」

天城「……Heavenly castle? 」

雲龍「Cloud dragon、ね」

時雨「DrizzleだとかSprinkleだとか沢山あるね、僕は」





扶桑「…………なぜFusoは世界で通じるのかしら」

山城「そ、それは姉さまが世界で認められているということですよ! えっと……スタイルとか! 」


や、一年がまだ長く感じる歳ですので
厳しいですね……

ありがとうございました


< 爽快な気分で >





叢雲「八月二十日の誕生石はグリーンジャスパー。
石言葉は“ 活力 ”、“ 意欲 ”、“ 積極的 ”、よ」

提督「ふはははは! 唸る活力! 漲る意欲ぅ! 」

漣「やる気出てますねぇ……」

提督「ヒトナナマルマルまでに何もかも終わらせる。終わらせねばならぬぅ」

叢雲「執務にやる気あるのは嬉しいことだけど……うるさい」

提督「んー? 手が止まってるぞ叢雲」

叢雲「はいはい。……あんたが早くそれを終わらせても高雄さんたちは早く帰ってこないのよ」

提督「なんか言ったか? 」

叢雲「……別に」

漣「昨日は夜吐いたりしてなかったみたいだし。本当に好きなんですね。…………妬けてしまうくらいに」


< 先行き不安 >





愛宕「Littorio、明石を最優先に護衛し帰還、か」

高雄「先日と同じね」

龍田「あなたたちとはまた暫く会えないわね~ 」

愛宕「仕方ないわよ。……でも式には呼ぶから安心して? あの人龍田のこと好きだから」

龍田「あらあら……もう奥様気分? 」

愛宕「んー? 」

龍田「…………ふふ」

愛宕「…………ふふ」

龍田「…………」

愛宕「…………」

龍田「…………ま、呼ばれなかったら怒るけど。あの人に」

愛宕「ええ」

高雄「…………はぁ」





瑞穂「……これから向かう基地とはどのようなところなのでしょうか」

天城「ははは……決して悪いところではないですよ? お酒とかお酒とかありますし」


< 転校初日の戸惑いみたいな >





時雨「君たちは運がいい。提督のところで鍛錬を積めるんだから」

江風「ンっ、でも女たらしとかいう噂が……」

時雨「そう……君はどう? 海風」

海風「海風は……ええと……実を言うと江風と同じです」

時雨「ふーん……あまり気が進まない? 」

海風「そういうわけでは……海風はどのような指揮官であれ命令には従うつもりです」

江風「江風はどうかな? あンまいけすかないやつなら……きひひ」

時雨「なるほど。……でもね提督は好かれるに足る理由を持っているよ。それだけは覚えていてほしい」

江風「ふーん……? ま、時雨さんが言うなら信じるけど」

海風「……海風も」

時雨「あぁ。今はそれでいい。……願わくば、君たちが僕や春雨のような感情を持たないでいられますように。
そう、願っておくよ」


< もうすぐそばに >





叢雲「今日の誕生花はアーティチョーク。花言葉は“ 警告 ”と“ 安全 ”、よ」

提督「汚れは無し、糊も効かせたし、問題ないな? 」

漣「カッコいいですよー。これなら高雄さんたちも惚れ直しちゃいますよ」

提督「サンキュー」

叢雲「……無駄に」

提督「うん? 」

叢雲「……様になってるわ。私が言うんだから誇ってもいいわよ」

提督「おう、ありがとう」

漣「警告するなら」

提督「ん? 」

漣「……会ってすぐキスとかしないでくださいね? 新入りの方も来たりするんですよ? 」

提督「いや、さすがにしねぇよ。……………………たぶん」


< 夏の終わり、あるいは始まり >





提督「神奈川勢かぁ」

叢雲「そうね」

提督「第二の故郷的ななにかだから嬉しいと言えないこともないな」

叢雲「ふーん……」

漣「漣も横須賀なら行ったことありますけど……故郷ね」

提督「一番長くいるのってシーレーン? 」

叢雲「その辺の拠点ね。でも故郷って長くいた場所のことではないでしょ? 」

提督「じゃあ……大阪? 」

叢雲「私という存在に藤永田はあまり関係ないわ。……そうじゃなくて」

提督「うん? 」

叢雲「…………あんたの処に来ると、帰ってきたって思うわ」

提督「……そうか」

叢雲「ええ。…………私の司令官はあんただけだから。そういうことよ」


< 住み慣れた我が家へ >





愛宕「ふぅ……やっと着いたわね」

高雄「あの岸壁にいるのがあの人と叢雲さんたちでしょうか」

愛宕「そうね。……ん? 」

高雄「どうしたの? 」

愛宕「あそこ……陸軍側のあんなところに、船なんてあった? 」

高雄「? ……記憶にありませんね」

愛宕「よく分からないけど叢雲ちゃんたちが乗ってきたのかしら」

高雄「それは陸路かヘリだと思うけれど……それにあれは陸軍航空隊側の」

愛宕「……警戒しておく? 」

高雄「その方が無難でしょうね。加賀さんに出してもらいますか? 」

愛宕「いいわよ。私と高雄が見ておけば。加賀さんも雲龍たちも偵察機回収し始めてるし」

高雄「ふむ。……旗艦様に従いましょうか」

愛宕「そうしておいて」


< 鉄の魔女 >





『観戦武官を安全海域でロストとか洒落にならない』



まず、その言葉があった。

冗談粧した言葉ではあったけれどそれはあの人の言葉だった。

それはとても大切な言葉で、絶対に守らなければならない言葉。

だから。



「ーー愛宕ッ……! 」



停泊していた見慣れない船から全国で手配されている艦娘が現れた時。

そしてその数人がLittorioや明石、経験の浅い海風たちを狙って砲撃を始めた時には。

高雄の怒声を無視して身体が勝手に動いていた。

艤装を展開して盾にするのでは間に合わない。

Littorioたちも気が緩んでいたのか動きがどうしても遅れている。

ならば、ヒトではないこの身を差し出すほかない。

その判断は間違っていないはずだ。むしろその果断さを褒めてほしい。



「愛宕ッ……! おいッ……! 」



それは一瞬のことだった。

伸ばした腕を中心に艤装を無理矢理高速展開させた。

まともな運用を最初から捨てた腕を硬化させるだけの展開。

その結果、敵の思惑は外れてこちらの被害は軽微なものだった。

そう、とても軽微な。



「愛宕! ダメッ!いいのです、もういいですから! 」



Littorioの声が聞こえた。自分の後ろで、なにか上擦った声の悲鳴をあげている。

…………

意識は、ある。

片腕は、動く。

艤装は、正常。



私は高雄型の二番艦であり、あの人の、女であり、最後の盾だ。

その誇りは、最高の誉れであって、ここで退くのをよしとはしなかった。


< 鋼の烈女 >





「クッ、海風、江風両名は艤装を展開し愛宕以下を守れッ! 」

「りょ、了解ッ」

「加賀以下空母は高速で逃走する船舶を追尾、私をサポートしてッ! 」

「承知」



私の、手落ちだった。

あの時、不審な船舶を視認した時点で総員に警戒を伝えるべきだったのだ。

その判断の結果が愛宕の負傷。

無理矢理硬化させたものの砲弾にぶち当たれば細い物体は弾け飛ぶのが道理。

愛宕の右腕は千切れ飛び肩から先は艤装の残骸と肉片が僅かにぶら下がるのみとなっていた。



「み、瑞穂は」

「瑞穂は提督に今までの指示を伝達。次の指示を仰ぎなさい」

「はい! 」



これで後は敵の船舶に全力を傾けられる。

確認した敵は三人。その数は例の少将配下で行方不明となっていた数と一致する。



私は、高雄型の一番艦、高雄。

そして、姉だ。

妹の仇は姉が討たねばなるまい。

それに、あの人の目の前で無様な姿を晒して終わりでは女が廃る。

…………

幸い補給は万全で装備も頗る快調である。

しかし……敵は、本当に運がいいと思った。

なぜなら。



苦しまずに、逝けるのだから。


< 女と男と、そして >





「…………馬鹿」

「ふっ……褒めては、くれないのね」

「…………」



叶うことならば、全力で抱き締めて、無事を確認したかった。

あるいは減らず口を叩くその紫に変色した唇を塞いでやりたかった。

しかしそれでは彼女の身を艇した行動が無駄になってしまう。



「ーー……と、高雄さんが」

「ご苦労。……叢雲、行け。高雄のサポートは任せた」

「承知したわッ」

「明石、今すぐ愛宕の治療は行えるか」

「もちろんです! さ、基地の中へ」

「あぁ。漣、先行して部屋を用意しておけ。
Littorioは愛宕の肩を支えろ」



指示を、出した。

出したはずだが、全く実感を伴わないそれはなにか別世界のもののようで。

欠損した愛宕の肩を隠すために軍服を掛けてやって、やっとーー



「…………クソッ……! 」



己の手抜かりと失敗の重大さを認識することができた、いや、認識させられてしまった。

愛宕の、身を艇して誇りを守った女の身体は酷く、冷たかった。


< 不愉快な廊下 >





明石「…………ふぅ、終わりました」

提督「……そうか」

明石「……まぁ、提督も分かっているでしょうけど私たちはあの程度で死にはしませんよ」

提督「……あぁ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………腕自体は今日中に完全に修ふ」

提督「治癒、だ」

明石「失礼。……治癒できますが一応明日まで麻酔を掛けてあります」

提督「そうか」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……高雄さんからは? 」

提督「……先程敵の無力化に成功したと連絡があった。持つべきは優秀な部下だな」

明石「……それで? 」

提督「駆逐二名は海の底。元少将と彼の腹心である軽巡は捕縛したそうだ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………あぁ、そうだ。お前がいてよかった。ありがとう、明石」

明石「いえ、そもそも私たちの所為で負った傷ですし。
できることなら一瞬で治したいですよ、私は」


< 蚊の鳴くような声で >





漣「……今日は蚊の日らしいですよ」

提督「…………それで? 」

漣「……それだけです」

提督「そうか」

漣「はい」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………」

漣(……蚊でもなんでもいいから空気変えてよ……お願いだから。こんなご主人様見てられないよぉ……)


< 不要な経験 >





提督「今日のカクテルはブレイブブル。
カクテルワードは“ 人生経験により味わい深い知識人 "、だ」

高雄「そうですか」

提督「あぁ」

高雄「……肝心のカクテルがありませんが」

提督「飲む気になれない。飲みたいなら用意するが」

高雄「……いえ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………やっぱ飲もうかな。気が紛れるなら」

高雄「……お付き合い、させてください」


< 夜の湿った作戦会議 >





提督「…………それにしても」

高雄「ええ」

提督「ここであきつ丸が出てくるとはな。特務なんて忘れてたよ」

高雄「……しかし、あなたも予想していたでしょう? 作戦開始の遅れは少将殿らを泳がせる為のものだ、と」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………彼と腹心の身柄は陸軍だったな」

高雄「業腹な話ですが……致し方ありませんね」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………明日、あっちに行こう。俺や捕縛したお前が締め出されるなんて意味不明だしな」

高雄「意味の分かりやすい謎ではありますが。……愛宕も連れて行きますか? 」

提督「着いてきたがるだろうよ。……寝ていてもらいたいものだがな」


ありがとうございました


< 朝、馴染みのない病室で >





愛宕「……綺麗な身体ね、我ながら」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………一晩で腕が修復される生物、か」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………」

愛宕「…………これでも人間扱いするの? したがるの? 届かない夢を見せ続けるの? ねぇ……それとも夢を見ているのは、あなたなの? 」


< 愛 コンタクト >





提督「よう」

愛宕「あら……」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………おかえり。随分と予想外の帰還だったが」

愛宕「…………ただいま。あなたの下に帰ってきたんだから、許してほしいわ」


< あなたが笑顔を見せてくれるから朝が始まる >





提督「そうだな……おはよう」

愛宕「おはよう」

提督「…………」

愛宕「……ん? 」

提督「…………触っても? 」

愛宕「もちろん」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………動けるな? 」

愛宕「え、ええ」

提督「……これからお前の腕を吹き飛ばした軽巡を見に行く。来たいだろ? 」

愛宕「そうね。治るとはいっても痛かったもの」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………夜、確かめさせろ」

愛宕「……ふふ、帰ってきたって気がするわね。そういう反応されると」


< 暗い顔ではつまらないから >





愛宕「おはよ。心配掛けちゃったわね」

高雄「いえ……私こそ」

愛宕「いいわよ。私の方がLittorioたちに近かった、それだけのこと」

高雄「…………」

提督「……そうだ。俺はあの船に気付きもしなかったからな。高雄の手落ちではない」

愛宕「それはそれで言いたいこともあるけど……そういうことにしておきましょうか」

提督「あぁ」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……あきつ丸には会えなかったが一応なんとか話はつけた。
元少将にも忌々しい軽巡にも俺たちだけで会う」

愛宕「そ」

高雄「……他の二人も沈めない方がよかったかもしれませんね」

提督「気にするな。俺なら全員沈めてたさ。お前の判断は冷静だったと思うぜ」

高雄「…………」

愛宕「…………もう、沈めた子もいるのね。仕方のないことだけど」


< さてさて、どのような事情だろうか >





提督「あ? 面会は明日にしろ? 」

「そうです。提督閣下にはそうお伝えしろと」

提督「……あきつ丸か、それとも別の上官か」

「……お答えできかねます」

提督「…………」

「…………」

提督「…………」

「…………」

提督「…………約束破るなんて、これがデートの約束ならヤバかったぞ」

「そのようなものではありませんので」

提督「ふん、そうかい。……帰るぞ」

高雄「ええ」

愛宕「ざーんねん。折角着替えてきたのに」


< 黒幕は誰だろうか >





提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……何故だと思う? 然程時間を掛けない尋問すらできないだろう面会を反故にしたのは」

高雄「さて……このままずるずると時間を浪費して内々に処理するつもりだとか」

提督「それなら今日までには帝都に移送すると思うが……愛宕は? 」

愛宕「うーん……思った以上に捗ってないんじゃない? 尋問が」

提督「俺たちが会う前に情報は全て得ておきたい、と」

愛宕「うん、それしか思いつかないわ」

高雄「そうですね……私もそのように考えます」

提督「…………」

愛宕「……なにか思い当たるの? 」

提督「……いや、ないとは思うが……あるような気もする」

高雄「はぁ」

愛宕「…………」

提督「…………ま、考えても仕方ないことだ。……飯でも食うか」


< セカンドコンタクト >





提督「……昨日はすまなかったな、時間が取れなくて」

瑞穂「い、いえ、瑞穂こそ何もお役に立てず」

江風「そンなこと言うなよ。それだと合流したときにはもう敵が無力化されてた江風たちも無能みたいじゃン? 」

瑞穂「でも」

江風「あン? 」

提督「やめておけ。江風の言う通りだ。
それとも……高雄の判断になにか問題があったとでも? 」

高雄「…………」

瑞穂「……いえ」

海風「あの……愛宕さんは」

提督「問題ない」

愛宕「大丈夫よぉ~。まだまだ沈めない理由があるもの」

提督「だそうだ」

海風「そうですか……よかったです」

愛宕「ふふ……ありがとね? 」


< もちろんボケです >





提督「まぁ、いい。……自己紹介でも、どうぞ」

瑞穂「はい。水上機母艦、瑞穂、推参致しました。
どうぞよろしくお願い申し上げます」

提督「ん」

瑞穂「お役に立てるよう頑張りますね! 」

提督「程々に頼むよ」

海風「改白露型一番艦となる、海風です。
提督、どうぞよろしくお願いします! 」

提督「ん」

江風「海風の姉貴と同じ改白露型の江風だよ。よろしくな! 」

提督「はいよ」

江風「あ、それと、名前の読み方、間違えンなよ? 」

提督「そこまで馬鹿ではないよ、俺は」

江風「そうかい」

提督「あぁ」

瑞穂「…………」

海風「…………」

江風「…………」

提督「…………ん? 」

高雄「……あなたの自己紹介を待っているのですよ、皆さん」

提督「え、マジ? 俺の自己紹介とかいらなくない? そのうち酒飲んだときにでも言おうかと」

高雄「あのですね、私や愛宕相手とは違うんですよ」

愛宕「…………馬鹿なの? 馬鹿よね。……知ってるけど」


< 改めまして >





提督「えー、ここの責任者で、一応提督です。
好きなものは酒と車と女の子。出身は北海道。
北海道のことならなんでも訊いてください。以上、解散」

瑞穂「は、はぁ」

江風「て、適当過ぎンじゃねぇかな、さすがに」

海風「あの、お名前とかは」

提督「ん? 名前は____。提督でも司令官でもそこの人でも呼び方は自由だよ」

海風「ありがとうございます? 」

提督「歓迎会は明日」

江風「お? いいねぇ。さっすがじゃン? 」

提督「、じゃだめだ。やっぱ明後日」

江風「うン? 」

提督「明日は別の主役がいるからな……悪いがお前らの分は明日以降だ。
質問が無ければ各自自室に下がっていいぞ」





愛宕「……明日ってなんかあった? 」

高雄「Littorioの進す、誕生日ですね」

愛宕「あぁ……そういうこと。それは外せないわねぇ」


< あなたがやれと言うから >





高雄「八月二十一日の誕生石はジェット。
石言葉は“ 意欲 ”、“ 熱心 ”、“ 敏感 ”、“ 冒険心 ”、“ 個性的 ”、そして“ ワイルド ”」

提督「おおう……懐かしい光景だ」

高雄「何日か空けていただけでしょう……代わりはあなたが? 」

提督「いや」

叢雲「私よ。本物の担当が帰ってきて嬉しいわ」

高雄「そうでしたか。……お疲れ様でした、本当に」

叢雲「いつもしている人程じゃないわ」

高雄「……それでも、です」

叢雲「……そう」

高雄「…………」

叢雲「…………」

提督「…………なにこの疎外感。よくわからないプレッシャーを感じるんだが」



< 微笑ましく見えたり >





高雄「今日の誕生花は金水引。花言葉は“ 感謝の気持ち ”」

愛宕「この人のお世話、ありがとね? 」

叢雲「別に。それなりに慣れてたから」

漣「ですよー。叢雲ちゃんはご主人様のお世話なんて慣れっこなんですよー」

叢雲「漣の言い方だと変な意味に聞こえるけど……そうね」

愛宕「ふふ……」

叢雲「……なに? 」

愛宕「なんでもないわよ? ……ふふ」

叢雲「…………」

愛宕「……これからも見ていてあげてね? 馬鹿だけど悪い人じゃないから」

叢雲「…………」

愛宕「…………」

叢雲「…………仕方ない、わね。私でいいなら、時々見ておくわ」

愛宕「お願い。……………………ふふ」


< 震える身体をそっと抱き寄せて >





提督「今日のカクテルはブルショット。
カクテルワードは“ 人を助け思いやる人間味のある人 ”、だ」

愛宕「ふーん……人間であることと人間味は違うけれど、ね」

提督「…………」

愛宕「まぁ、思いやりが? ないとは? 言わないけど? 」

提督「…………俺は何も言わないよ、言えない。言う資格も無いと思う」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……死ぬかと思ったわ」

提督「……あぁ」

愛宕「化け物のまま死ぬのかって、人ならざるヒトのまま死ぬのかって。怖かった」

提督「……あぁ」

愛宕「…………本当に、怖かったんだから」

提督「…………あぁ」


< 袖で隠れた部分というのも、そそる >





提督「……やっぱり腕側気にしてるか? 」

愛宕「……もしかしたらまだ治ってないところあるかもしれないし」

提督「気にしないけどなぁ、俺は」

愛宕「私が気にするのよ」

提督「……女の子だな」

愛宕「知ってるでしょ? 」

提督「あぁ」

愛宕「……はふ、温かくて安心する」

提督「お前になにもしてやれなかった身体でよければいくらでも貸してやる」

愛宕「そ」

提督「…………」

愛宕「……生きてるわね」

提督「あぁ。鼓動が聴こえるよ、お前の生きている音が」


< 幾つもの確認を積み重ねて >





提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………身体、動くか? 」

愛宕「もう……心配しょ…………どうかしらね」

提督「ふーん……? 」

愛宕「……まともに動くか、試しておきたいわぁ」

提督「なるほど? 」

愛宕「…………ちゃんと前のままか、確かめて? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……あぁ。…………仕方ないな、これは。しっかりしないと」

愛宕「ええ、仕方ないこと、だから、ね」


< 察する力もきっとすぐに鍛えられる >





瑞穂「そういえば……お見舞いとかしなくてもよろしいのでしょうか」

天城「あー……はい。別に構わないと思いますよ、愛宕さんはそういうの気にしませんし」

瑞穂「はぁ」

天城「それに……」

瑞穂「はい」

天城「もしどうしても気になるのなら、明日の朝にした方がよいでしょうね」

瑞穂「まぁ……もう夜も遅いですしね」

天城「ええ」

瑞穂「うーん……でも一言だけでも」

雲龍「…………今行ったら面白いものが見れると思うわ」

天城「……面白いと思うのは姉様だけです。……いいのよ、瑞穂は」

瑞穂「? 」

天城「…………」

雲龍「あの人と愛宕、二人で遊んでるわ」

瑞穂「あ、そういう……明日にしておきますね、天城さん」

天城「賢明な、判断です」



ありがとうございました


< そんな感想 >





提督「ん…………朝」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

愛宕「…………Zzz」

提督「……無意識に腕庇ってた気がするなぁ。乱暴にしてるつもりはないんだけど」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………」

愛宕「…………Zzz」

提督「……ま、凍ったものをゆっくり融かしていくのも悪くない、か」


< 夢に理由を求めるな >





提督「ふぁ……」

愛宕「ん…………ふあぁ」

高雄「……随分と寝不足のようで」

提督「お前は楽そうだな」

高雄「日付けを跨ぐ前には就寝しましたから」

愛宕「へぇ、一人でシたりしなかったの? 」

高雄「……あなたたちが何をしているか分かっていて一人ですると惨めになると思わない? 」

愛宕「私は気にしないけど……そう」

提督「………………………Zzz」

高雄「? ……あなたは立ったまま寝ようとしないでください」

提督「……はっ、ヒヨコ、ヒヨコはどこだ」

愛宕「……ヒヨコ? 」


< 扉の前で問答など >





提督「それで? 今日は問題無しか? 」

「こちらの鍵束を。くれぐれも無謀なことはしないように」

提督「はっ……馬鹿にされたもんだね。……行くぞ」

高雄「…………」

愛宕「…………ふぁあ」

提督「……気が抜けるな、お前見てると」

愛宕「あなたが寝かせてくれなかったからぁ。それになんとかなるでしょ、たぶん」

高雄「……緊張感というものも必要ですよ、何事にも」

愛宕「んー……大丈夫よぉ」

高雄「はぁ」

提督「…………軽巡様に会ってみるか、まずは」

愛宕「幸せ充填されてるし……よし。気合入れたわ」

高雄「相当に簡単な気合ですね……あかさぁ、鍵は私が」


< 薄暗い鉄格子の奥に >





提督「よお、気分はどうだ」

「……大佐、いや今は少将だったか」

提督「そうだ。……元気そうだな」

「元気? あなたにはそう見えるのか? これが」

提督「まともに会話ができれば元気でいいだろ。それに、元気溌剌とした囚人ってのもおかしいものだ」

「はは、違いない。……しかし、片腕を失い、もう一方を磔にされていて元気だと言われるとはね、予想外だよ」

提督「……あの腕、お前か? 」

高雄「さて……私も必死でしたからね。わかりかねます」

「何を言う。そちらの妹の意趣返しに至近距離で吹き飛ばしただろうが。既に私を無力化できる状態だったろうに」

高雄「…………」

提督「…………治療がないのはお前を弱らせておくためか」

「だろうな。逃げるつもりなど最早無いのだが」

提督「…………その辺も含めて幾つか訊きたいことがある。まさか拒否なんてしないよな? 」


< 何かが足りない >





「で? あなたは私に何を訊きたい。然程の情報は持っていないと思うがね」

提督「あぁ、まず……お前は何故真っ先にLittorioを狙った」

「というと? 」

提督「最大戦力を陥とすためなら俺であれば加賀を狙う。
それが逃走を楽にもするだろう」

「長距離射程の砲撃は恐ろしいものだ。
それがあるから私たちも散開せずに逃走したのだ。
艤装を犠牲にしても各々で砲撃を弾く方が余程安全だからな」

提督「……ではなぜ俺を狙わなかった。
あの状態であれば俺を人質にでもすればよかっただろう。
軽巡クラスのお前に駆逐二人。
こちらは叢雲と漣しかいなかったのに」

「足元は見ない主義か? それとも陸軍は嫌いとか? 基地航空の威力を軽視しない方がいい」

提督「……それなら」

「ふむ……いや、待て。時間が勿体無い」

提督「あ? 」

「あなたが何を言おうとそれには答えられない。……一応提督、あの方が命じたと言っておこうか」

提督「…………」





愛宕「……ふふ、真剣な顔カッコいー」

高雄「……怒られますよ。この状況で」

愛宕「あぁら、ごめんなさい。失敗失敗…… 」


< 人形が誰で、傀儡は誰だろう >





提督「……それなら」

「あぁ」

提督「お前たちの、少将殿の目的はなんだ? 国家擾乱、なんて愉快なことをしようとした目的は」

「目的? 目的なら知っているはずだ。
腑抜けた帝都を一新し横須賀の君が牛耳る帝国軍の再編、そう発表しただろう? 横須賀の君は」

提督「…………」

「…………」

提督「…………何人かの高級軍人が捕縛されたが」

「……あぁ」

提督「……まだ、いるんだろう? 捕まっていない、本来の黒幕が」

「…………黒幕、ね。三流芝居並の単語じゃないか」

提督「茶化すなよ。……おかしいだろう? お前たちがいつまでたっても官憲に見つからなかったこと」

「…………」

提督「それに陸軍の基地であり俺たちの目と鼻の先であるあそこに何事もなくお前たちが侵入できたこと」

「…………」

提督「なにより、俺たちが旧要港部を包囲したとき、どこからその作戦が暴露たんだよ。そもそもどうやって逃げおおせた? 」

「…………」

提督「なぁ……これはさ、陸と海の、両方の高級軍人しか手にできない情報がないと不自然なんだよ」

高雄「……あるいは、あなたが少将殿の監視と誘導をする為の」

愛宕「スパイ。いいえ……誰か別の人間が少将閣下に与えた、ガラテア」

「……愛宕、お前は少将閣下をピグマリオンだと思うのか? 」

愛宕「……わからない、わからないけど……あなた、なぜ少将閣下を逃がさなかったの?
最後まで船に乗せてないでいいところで足止めに残ればよかったのに」

「ーーーー」

高雄「……Littorioを狙う、という命令を受け入れながら、身柄はあなたの下に。
確かに随分と都合がいいわね、あなたがスパイだとするならば」


< 知ることの不幸せと共に >





「…………」

提督「…………」

「…………」

提督「…………」

「…………少将殿」

提督「なんだ」

「時間が無い故説明不足は致し方ないが……あなたを権力や覇権に興味が無い存在として忠告しよう」

提督「……褒め言葉、ではないな。つーか質問に」

「褒めてるさ、ある意味では。……それと、そちらの二人を手懐けた手腕も評価しよう」

高雄「手懐けた、手懐けた、ですか……」

愛宕「ふふ……」

提督「…………」

「…………呉も佐世保も舞鶴も、横須賀も特務も、特にあきつ丸を信用するな」

提督「……はぁ? お前がそれ言うのは当たりま」

「黙れ! 」

提督「…………」

「大声を出してすまない……私から見て横須賀の君は真にこの国を憂える存在だ。そして救う力もあろうよ」

提督「…………」

「だが……そんなものは存在しない。そもそも救う、ということが現時点では不可能なんだ」

提督「あのさ……」

「そしてこれは横須賀の君が誰より理解している」

提督「…………」

「……いつまで経っても減らない敵、その敵と似通った私たち、
それにどちらもいつどこから現れたか判然としない、不思議だとは思わないか? 」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

「……私もその正確な答えまでは知らない。
もう少しのところで知れたはずだが……いや、それはどうでもいいか」

提督「…………」

「それを知っているのは恐らく横須賀の君やあきつ丸たち特務、
それから一部の高級軍人だけだ。私は彼らを信用するなと言っている」

提督「…………」

「…………世界各地で現れた敵が暴れまわっているのに、この国のシーレーンが大部分機能している点、
あなたもおかしいとは思わなかったかな? 」

提督「……………………」

「…………」

提督「…………」

「……ま、ゆっくり考えていればいいさ。あなたがこのまま権力に興味を示さなければどうということもないのだからな」


< 幕引きは、いずれやってくるものだけれど >





提督「…………」

「……それと、少将閣下は確かに陸軍と海軍の不満を抱えた人間のグループにいいように使われただけだ」

提督「……あ、あぁ」

「私が彼を裏切ったことはないよ。私の何にもおいて大切な存在だ。
神がいるのならそれに誓ってもいい」

提督「…………」

「……愛している、そう言った方が説得力があるかな、あなたには」

愛宕「わーお……」

高雄「…………」

提督「…………」

「…………妻子のある身故、身も心もあの人は受け取ってはくれなかったが、それでいい」

提督「…………」

「……私は十分にあの人から受け取ったんだ。
今までの全ての行動、私の信条を捨ててまでLittorioという外国艦を狙ったのもそれへの恩返し」

提督「…………」

「あなたにそれを信じろとは言わない。しかし…………私を含めて、全ての部下があの人に従ったんだ。
決して下らない欲望を理想と勘違いしたクズどもにじゃない」

提督「…………」

「それだけは、覚えていてほしい。……あなたの愛が、あなたへの愛がどのようなものかはわからないが」

提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………覚えて、おこう」

「あぁ……そうしてくれると、嬉しいよ、少将閣下。…………あなたと、平穏なときに、平穏な場所で会ってみたかった」


< さてさて、会見を終えまして >





提督「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「…………あの男」

高雄「……ええ」

提督「……軽巡のあいつが言っていた通りだったな」

愛宕「予想通りの男。国家擾乱を世直しとして認識している男」

提督「…………新しい情報は無し、か」

高雄「……横須賀もなにもかも信用するな、ですか」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………あの娘と、少将殿、どうなるでしょうか」

提督「……分かり切ったことを訊くな。それとも本気で訊いているのか? 」

高雄「いえ……忘れてください」

愛宕「……………………愛している、か。……私に、あの状態でそれを言えるかしら。あの柔らかな笑顔で」


< この感情は、人らしさを備えているだろうか>





高雄「八月二十二日の誕生石はホワイトコーラル。
石言葉は“ 素直 ”、“ 大胆 ”、“ 優しさ ”、そして“ 自信満々 ”」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……ねぇ、高雄」

高雄「? 」

愛宕「自信を持って、あの人を愛してるって言える? 」

高雄「はぁ……言える、はずですが」

愛宕「……私の愛は本当にあの人と同じ? ヒトの愛は、人の愛と同じなの? 」

高雄「それは……」

愛宕「軽巡の娘の愛は、本当に愛だったの? 化け物の呻き声とかじゃないの? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………ごめんなさい、忘れて」


< 感情の在り処 >





高雄「…………愛宕は」

愛宕「え? 」

高雄「あの人を愛したいの? 」

愛宕「それは……当たり前よ。愛したいのに愛が本物か悩む位には愛したいわ」

高雄「……ふふ、ふ、ふふふ」

愛宕「た、高雄? 」

高雄「失礼……それなら、ですね」

愛宕「うん」

高雄「…………愛したいと、好きでありたいと願うことこそが、愛じゃないかしら」

愛宕「ーーーー……! 」

高雄「それがあの人と、人間と同じかはわからないけれど……少なくとも私はそれを、私だけの感情だと思うわ」

愛宕「…………」

高雄「…………それがたとえ汚らしい化け物の欲望でも、あの人が受け容れてくれる感情なら、私は私を信用する」

愛宕「…………」

高雄「…………だから……あなたの疑問は、下らない戯言よ、きっと。
たまには、頭の堅い姉の言葉に従ってみてもいいんじゃない? 」


< それから少し経って >





高雄「今日の誕生花は夕霧草。花言葉は“ 優しい愛 ”」

提督「んー……」

愛宕「ふふ……」

高雄「…………」

提督「……暑くない? 」

愛宕「暑いわねぇ」

高雄「ええ」

提督「…………だよな、うん」

愛宕「当然よね~ 」

高雄「そうね」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………それなら何故ソファにわざわざ三人で座ってるんだ? 」

愛宕「んー……人恋しいってやつ? 」

提督「まだ昼過ぎだぞおい……」

高雄「…………あなたの優しい温かさを、感じたくなったんですよ。それ以外に、何か重要なことでも? 」


< ここから導き出される結論とは >





瑞穂「三大欲求とは何でしょうか? 」

高雄「睡眠、食欲、それと性欲ですね」



瑞穂「三大欲求とは何でしょう? 」

愛宕「性欲と睡眠と食欲でしょ? 」



瑞穂「三大欲求とは? 」

加賀「食欲、睡眠、性欲ですね」



瑞穂「三大欲求は? 」

提督「ん? 俺と勉強でもする? 一つの行動で全部理解できるコースがあるけど」

瑞穂「……いえ、結構ですわ」





天城「ね? 」

瑞穂「…………なるほど」

雲龍「私には訊かないの? 」


< 水泳が終わって >





愛宕「ぼんやり見ていられる番組があるといいわねぇ~ 」

高雄「そうね」

天城「陸上というとあまり縁がありませんけれど」

雲龍「かといって水泳に縁があるかというと違うじゃない? 」

愛宕「そうね。…………それは兎も角何故あの流れで女が集まってテレビなの? 」

高雄「それは……仕方ないでしょう」

愛宕「うーん……どう考えてもおかしいわ。今頃熱いキスでもしてる勢いだったのに」

高雄「…………あの人、ですから」

愛宕「うん。……でもそれが万能の答えってのも酷い話よね、大概」


< 積み重ねたものに嘘は吐けないから >





提督「今日のカクテルはビスコタアイス。
カクテルワードは“ 人を心の底から思いやれるテクニシャン ”、だ」

Littorio「……Littorio、我儘ですけれど心配していたのです」

提督「うん? 」

Littorio「あなたの下に、この日いることができるかどうかを」

提督「あぁ。なるほど? 」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「……あなたのこと、好きです。なによりも、なによりも」

提督「…………驚く、べきかな」

Littorio「いえ……その方がショックですよ。愛も恋も、一瞬を楽しむものではありますけれど、ね」


< 綺羅綺羅と輝く瞳に映るのは >





提督「……飲みたいものとかあるか? 」

Littorio「ん……」

提督「ん? 」

Littorio「……あなたを」

提督「…………」

Littorio「そろそろ、Littorioも一度祖国へ帰らねばなりません」

提督「……そうか」

Littorio「その前に、一つ大きなモノを頂いていきたいのです」

提督「……また戻ってくるんだろ? 」

Littorio「そのつもりです。しかし」

提督「……必ずしも戻ってこられるとは限らない」

Littorio「そういうことです」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………夜景でも見に行こうと思ってたんだが」

Littorio「ふふ……要りませんよ。あなたの瞳にLittorioを見るのが、Littorioにとって至高の景色ですから」

提督「……見たこともないのに」

Littorio「わかります。……それが美しくなければLittorioにはこの世に望みがなくなってしまいますし」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………参ったね、本当に」


< 新参者は見た >





江風「うわーお……」

海風「どうしたの? ……ぁ」

漣「あっついキスですねぇ……ディープ過ぎて胸焼けしそう」

叢雲「……見境無しね、本当に」

漣「羨ましい? 」

叢雲「……別に」

江風「しっかし……高雄さん、愛宕さん、それから明石さん? 」

海風「加賀さんと雲龍さんもだとか」

瑞穂「まぁ……」

江風「……すげぇな。うン。すげぇ」

瑞穂「むしろ天城さんだけ手を付けてないのは……」

江風「…………」

海風「…………」

瑞穂「…………」

叢雲「…………単にムードがなかったとかその辺よ。深い意味なんてあったら天地がひっくり返っても驚かないわ」


< 枕の上は、夢を語らう場所かもしれない >





「……帰りたく、ないんだっけ」

「ええ……LittorioをLittorioという存在として欲してくれる、受け容れてくれる方がいませんから」

「……それはお前が大した人数と会っていないから」

「でしょうね。Littorioも祖国の人々を殊更嫌っているわけではありません」

「…………」

「でも……思ったより貧乏性なんです」

「うん? 」

「見つけた愛を捨てて、歩き出すことなんて、できないんですよ、Littorioには」

「…………」

「それに、キープしたまま遊び呆けていられる程度の愛なら、必要ない、ね? 」

「…………そうだな」

「…………」

「…………」

「…………あなたが、祖国に来てくれるのならいいのですけれど」

「…………悪い」

「……ふふ、戯れですよ。寝台で大人の女が男に語る夢のような」

「…………夢、か」

「ええ。…………今夜は佳い夢が見られそうです」

「だといいな。…………朝に」

「ええ」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「……………………温かいって、いいものですね。地中海とはまた、違った…………ーーーー」


ありがとうございました


< 語らうには短く、紡ぐにも足りなくて >





Littorio「…………__さん。Buongiorno.」

提督「うん、おはよう……………………なに? 」

Littorio「……D'ora in poi voglio sempre stare al tuo fianco.」

提督「……Anche se siamo cosi lontani guardiamo la stessa luna.」

Littorio「あらあら……」

提督「……うん」

Littorio「どこにいても同じ月を見ているとは言いますけど」

提督「あぁ」

Littorio「恋人って見つめ合うもの、お互いしか見ていないもの、違いますか? 」

提督「違いない。……だからといってずっと側にはいてやれないが」

Littorio「…………恋人では、ないですものね」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……Buongiorno.signorina」

Littorio「…………おはよう、ございます、提督」


< 違う、そうじゃない >





提督「元少将と軽巡の彼女、明日の朝移送だってよ」

愛宕「ふぅん……」

高雄「……そうですか」

提督「ま、だからといって何かあるわけでもないが……なんか言いたいことでもあるか? 」

愛宕「あると言えばあるけど……彼女に何か言える程、私偉くないもの」

高雄「あれは私たちには到達できない位置ですからね。……愛に殉じると言えば聞こえはいいけれど」

愛宕「あら、愛なんて個人のものでしょう?
殉じる、でいいじゃない。少なくとも彼女の中ではそうなんだし」

高雄「愛とは二人、あるいは複数のものです。
一人で抱える愛は愛足りえないと思いますが」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「…………俺は二人とも好きだぜ? 」


< 好み >





提督「ブルートレイン、か」

高雄「三月にも見ましたね、ニュース」

提督「ん。……乗ったことないし割とどうでもいいんだけどな」

愛宕「ふーん? 」

提督「俺は電車より航空機が好きだ」

愛宕「へぇ……よくわからない拘りね」

加賀「ふ、当然のこと。空を翔けるものが地を這うものに負けるはずがありません」

高雄「はぁ」





提督「ま、一番好きなのは車と単車だけどな。地面舐めるレベルの車とかいいじゃねぇか」


< 独特なものの方が喜ばれる >





高雄「八月二十三日の誕生石はブルナイト。
石言葉は“ 魅力的 ”、“ 愛らしさ ”、そして“ 独特 ”」

愛宕「昨日は時間なかったから、はい」

雲龍「あ、私も。天城と一緒に、だけど」

Littorio「? 」

愛宕「プレゼント。黄楊の櫛なんて見たことないんじゃない? 」

雲龍「私と天城は風呂敷ね。……スカーフで使ってもいいって天城は言ってたわ」

Littorio「Grazie.……本当に何と言えばいいか……」

愛宕「言わなくてもいいわよ。好きでしてるんだし、ね? 」

高雄「ええ。……万華鏡は英語だとカレイドスコープだったかしら。聞いたことはある? 」

Littorio「ありますよ。……ありがとう、高雄。大事にしますね」

高雄「いえ」





Littorio「…………帰りたくなくなってしまいますね、この感じだと」


< 死してなお、とは言うけれど >





高雄「今日の誕生花は菩提樹。花言葉は“ 夫婦愛 ”、“ 結ばれる ”、そして“ 約束 ”」

愛宕「菩提ね……お墓ってどうするのかしら」

高雄「沈んだ娘は確か共同墓地でしたか」

愛宕「墓石だけしかないけどね。……別に骨になってまで一緒に入りたいとも思わないわね」

高雄「ええ。然程興味はありませんよ、私も」

愛宕「……嫁を同じ墓に入れたくないとかあるんでしょ? 世の中」

高雄「そう聞きますが……どうです? 」

提督「んー? ……俺の親自体興味なさそうなんだよな死後とか……ま、その時はその時だって。俺はまだ死ぬつもりねぇし」

愛宕「そうね」


< 騒げや騒げ >





提督「えー、瑞穂、海風、江風の歓迎会とSN方面での祝勝会です。騒げ! 」

明石「おめでと、です」

愛宕「おめでとー。騒げっ」

江風「こンなときも適当なンだな……あ、江風はそのカルーアってのがいい」

叢雲「飲み過ぎるんじゃないわよ? 」

漣「酔わせて持ち帰りたいときの常套手段カルーアじゃないですかー」

江風「ン、ン、はっ、美味いじゃン? テートク、江風にもそれ注いでくれよ」

提督「ん? はいよ」

叢雲「聞いちゃいないわね。イッキってね……」

江風「ありありー。ふっ……これも美味いなぁ……なにこれ? 」

天城「伊佐美という芋ですね。味わって飲みましょう」

明石「味わぅ? 天城さんがそんなこというと笑い話にもなりませんね」

天城「……え? 」

愛宕「いや、そんな何を言っているの? みたいな顔できないでしょあなた」


< 一人で楽しめるなら、それで >





提督「今日のカクテルはビスコタミルク。
カクテルワードは“ 努力で自分をより高めようとする女帝 ”、だ」

天城「ちょ、姉様、ブラ、ブラ」

雲龍「ブラブラ? 付いてないわよ? 」

天城「違いますっ。ブラしてないですよね姉様」

雲龍「? 問題でも? 」

天城「ありすぎですよぉ。黒ですけどTシャツなんですから」

雲龍「透けないし……なにもないときにいくらなんでも勃ったりしないわ」

提督「え、マジ? 疲れたときとか勃たないの? 」

天城「あなたは黙っててください。天城は姉様と話してるんです」

提督「えぇ……俺にもブラトークさせろよ」

高雄「はいはい……あなたはこっちで新人さんと親睦を深めましょうね」

提督「お、ブラトークか? ショーツか? 」

高雄「そんなわけ」





加賀「ふ……連夜の宴、悪くないですね」

明石「加賀さんは相変わらずですね……悪いことじゃないですけど」


< 男としては興味が尽きない>





提督「お姉ちゃん、何カップ? 」

海風「か、カッ……」

高雄「今日は酔うの早いですね……答えなくていいですから」

海風「は、はぁ」

提督「ちなみに高雄のは」

高雄「ばか。やめておかないと」

提督「やめておかないと? 」

高雄「切り取ってお手洗いに流しますよ? 」

提督「わーお、時事問題絡めるぅ」

愛宕「高雄もほら、酔ってるから。普通ならオシオキよね? ベッドで」

提督「おー、楽しみー」

高雄「切り取るのがですか? ふふふ……」

提督「へっ? 」





海風「……ま、魔境ですかここは」

江風「姉貴ぃ、どした? きひひっ」

海風「…………江風……もう取り込まれてる」


< メリハリがあると言ってほしい >





提督「と、いうのはボケ、ちょっとした海軍ジョークだが」

明石「本当ですかそれ」

提督「どう? 上手くやってけそう? 叢雲とかいい訓練役だと思うけど」

海風「は、はぁ……皆さんいい人ばかりだとは思いますけど」

提督「一番上が信用できない? 」

海風「い、いえ。先日の指揮など的確で、堂々としていましたし、皆さん信頼しているようですので」

提督「そう? 」

愛宕「すぐ調子に乗るからあんまり褒めちゃダメよ? 」

海風「はぁ」

提督「……ここにいる間は俺の家族だと思ってるから。
なにかあったら俺に相談してくれると嬉しい」

海風「提督……」





明石「あの一瞬でキリッ、ってやるやつ破壊力高過ぎでしょ……海風ちゃーん、騙されちゃだめですよー」

雲龍「明石みたいに? 」

明石「そう、私みたいに。…………あれ? 」


< 常識人を気取る人たち >





天城「ふふ……あなたは天城の仲間のような気がします」

瑞穂「はぁ……」

天城「あら、空いていますね。……どうぞ」

瑞穂「あ、ありがとうござい、ます」

天城「はふ……あぁ、この酒盗がよく合うのです、日本酒に」

瑞穂「天城さんも、空いてます」

天城「ありがとう。いただきます」

瑞穂「…………ふふ、でも天城さんがいれば安心です。
最初はどうなることかと思いましたけれど」

天城「私こそ。瑞穂さんがいればこそここでも自分を失わずにいられるというものです」

瑞穂「…………」

天城「…………」

瑞穂「…………ふふ」

天城「…………はふ、あぁ、瓶が空ですね。提督ー」

提督「へい」


< どんな境地だ >





Littorio「ここの問題は」

高雄「ええ」

Littorio「あの人と寝ると確実に暴露るということですね。暗黙の、というか」

高雄「まぁ……確かに」

Littorio「だからなんだという気もしますけれど……少し、面映ゆいです」

高雄「なるほど。あぁ、でもよかった。Littorioはこちら側ですね」

Littorio「……ちなみにそちら側とは誰の」

愛宕「うん? 」

雲龍「なに? 」

高雄「……言うまでもないでしょう」

Littorio「……さすがにLittorioもあの境地までは……」


ありがとうございました


< ある意味当然の >





江風「頭いてぇ……」

海風「……記憶が途切れてる」

江風「ンー……ひでぇやこれ…………なンかいつの間にか人類最速とやらが決まってるじゃン? 」

海風「ヒト最速ではありませんが、ね」

江風「姉貴、それは酷ってもンさ。人間にも江風たちにも」

海風「そう……」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………水、くれよ。水道のじゃなくてキンッキンに冷えたやつ」

海風「うん。何か入れておいてくれてるでしょうか。冷蔵庫なんて初めて開け……」

江風「……どした? 」

海風「…………ミネラルウォーターとお茶と炭酸と」

江風「うン? 」

海風「……焼酎とリキュール三本入ってる」

江風「ンッ……ふふ、はははっ、そいつはなンとも愉快な話で」


< 次は酔い過ぎないように >





江風「きっと水とか炭酸も酒を割るためのやつなンだろうなぁ」

海風「……きっとね」

江風「ま、これからは江風と姉貴の自由だけど……つーかさ」

海風「うん」

江風「姉貴、本当に記憶無いのか? 」

海風「え? なにか大変なことでもしてました? 」

江風「いや、言ってもいいかわかンないンだけどさ」

海風「ええ」

江風「この部屋にどうやって戻ったきたか本当に覚えてないのか? 」

海風「…………? 」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………」

海風「……ぁ」

江風「うン。あー……お姫様抱っこってやつ? どうだった? 」

海風「はぅ…………ぅ、海風はなんということを……あぁ。海風がいていい場所ではないのに」

江風「…………江風もさ、複雑な気分だったよ。姉貴が上官の男に抱き抱えられてるのを見るのは」

海風「あぁ……ごめんなさい、ごめんなさい……高雄さん、愛宕さん…………あぁ、海風はなんて」

江風「あっちは全然気にしないと思うけどなぁ……ダメなはずなのに」


< 経験でなんとかしてきた >





叢雲「…………」

漣「お? なーにやってんの叢雲ちゃーん」

叢雲「……海風と江風の訓練メニュー考えてんのよ。司令官様に頼まれてね」

漣「なるほどー。や、叢雲ちゃんが教官役だなんてきっついなー。
最初が厳しいと後が楽かもだけどさ」

叢雲「……そう? 」

漣「うん。叢雲ちゃんは違う? 漣なんて座学の内容殆ど忘れちゃったし」

叢雲「…………そうね、確かに」





提督「てことで実戦、座学ともに叢雲が教育係りだから」

江風「りょーかい」

海風「はい! 」

提督「あと……叢雲が言ってたんだが漣も参加するってさ。
楽な方から始めたなら厳しいものはもっと為になるとかなんとか」


< 割と死活問題なのだが >





高雄「八月二十四日の誕生石はラァーバ。
石言葉は“ 洗練 ”、“ 行動力 ”、“ 前向き ”、“ 野生的 ”、そして“ 輝ける存在 ”」

雲龍「輝ける……ハゲ? 」

愛宕「あの人のお父様とかお爺様ってどうなのかしらね」

高雄「今のところ生え際も頭頂も問題無さそうですが」

雲龍「でも、突然クるって聞くわ。頭って」

愛宕「うーん……」

高雄「まぁ、別に然程気にしませんけど……」

雲龍「ちょっと気になるわよね」





提督「え? アルバム? あぁ、この前買ったし海風たちとも撮……は? 俺と家族の? なんで? 」


< 失望するわけではないけれど >





高雄「今日の誕生花は金盞花。花言葉は“ 失望 ”、“ 別れの悲しみ ”、そして“ 乙女の美しい姿 ”」

愛宕「フッサフサだったわねぇ」

高雄「ええ。しかし……やたら似てましたね。お父様に」

愛宕「カッコよかったわぁ。あの年齢なのに」

雲龍「あれで一途とかちょっと……」

愛宕「…………」

高雄「…………」

雲龍「…………」

提督「…………いや、父さんは尊敬してるけどさ。普通俺の前でそういうこと言う?
つーか雲龍にそんなこと言う資格なくないか? なぁ」


< 理解はできるが納得できない >





雲龍「あ、でもあれだけ似てるということは……」

愛宕「あんなダンディになるってことね」

高雄「また女性絡みの問題を起こしそうな」

提督「あのさ。君ら幾らなんでも俺のこと酷く言い過ぎじゃない?
一番言いたくない言葉だけど相手が普通の人間ならこういうことにはなってないぜ? 」

雲龍「当たり前じゃない」

愛宕「馬鹿なの? 」

高雄「救い難い言い訳の酷さですね」

提督「えぇ……風当たりヤバ過ぎ」


< 恋は事故とかなんとか >





提督「今日のカクテルはパラダイス。
カクテルワードは “ 無償の愛に溢れた律儀なパイオニア ”、だ」

雲龍「愛、愛を頂戴」

提督「……ほら、天城」

天城「どう考えても姉様は姉妹愛以外のものを欲していますけれど」

雲龍「愛欲、愛欲が溢れ出しそうなの」

提督「溢れ出させとけよ。俺の愛は無償じゃねぇの」

雲龍「溢れ出す先はあなただけなんだけれど? 」

提督「……ほら、天城」

天城「あのですね。なんでもかんでも姉様のことを天城に押し付けるのはやめていただけますか? 」

提督「……」

雲龍「一度手を出したのが間違いだったわね」

提督「お前が言うなよ…………間違いだとは思わないけど」


< 加賀美人とかあった気がする >





加賀「今日は愛酒の日よ」

提督「お、おう……」

加賀「これは飲まないといけないわ。ええ」

提督「昨日も一昨日も大概飲みまくっただろ」

加賀「あれで足りると思うの? 」

提督「……愛酒の日ってのはあくまでも若山牧水の誕生日に因んでるだけだぞ。
河童忌みたいなもんで」

加賀「それで? 」

提督「…………俺の肝臓死ぬんだけど」

加賀「バーテンダー役か酌夫でもしていればいいでしょう」

提督「酌夫ってお前な……」

加賀「……それとも」

提督「ん」

加賀「私を…………飲んでみる? 」


< だから酒を減らせとあれ程 >





瑞穂「Littorioさん、でよろしいのでしょうか」

Littorio「ええ、それで合ってますよ」

瑞穂「先日はお誕生日おめでとうございます」

Littorio「ありがとう。あなたのときはLittorioにも祝わせてね? 」

瑞穂「いえ。贈り物も用意できず瑞穂の至らなさを痛感致しましたわ。
……祝っていただけるならとても嬉しいことですけれど」

Littorio「仕方ないわ。Littorioのことなんて殆ど知らなかったでしょうし」

瑞穂「そうですけれど……これから、瑞穂のことよろしくお願い致しますね」

Littorio「ええ。こちらこそ」





Littorio「あれがヤマトナデシコというやつなのですね。……Littorio、感激でした」

明石「そ、そうですか……ははは。よかったですね」

天城「」


< そういう宣言が実行されたためしは、さて >





加賀「っほ、う…………出し過ぎよ」

提督「……悪い」

加賀「…………こうして何度か経験すると」

提督「あぁ」

加賀「…………いえ、やはり不味いわね。既製品の弁当に入っているキャベツ未満よ」

提督「なんだよそのたとえ……風呂行こうか」

加賀「……ええ」

提督「ん」

加賀「……ありがとう」

提督「いいえ。……お嬢さん軽いですね」

加賀「重いとでも思っていたの? 」

提督「そりゃあれだけ食え痛ぇっ」

加賀「…………たまには、虐められるのもいいのじゃなくて? 」


< 生も、そして死すら私だけのものではなく >





愛宕「なんだかこのままでもいい気がしてきたわ」

高雄「? 」

愛宕「あの人を二人占めはできなくなったけど……」

高雄「優先はしてくれますしね。……それでいいかどうかはわかりませんが」

愛宕「三人でいたときはここで三人一緒に朽ちていくのかー、なんて思ってた」

高雄「ええ」

愛宕「……このまま賑やかにいて、いつか人間の身体で死んでいけるかもしれないなって最近思うの」

高雄「…………」

愛宕「そんな望み叶いそうもないから嫌だったけど……信じてみてもいいかもしれない」

高雄「…………そう」

愛宕「…………どうせなら人らしく死んでみたいわ。ヒトデナシにはできない死に方を」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………ま、私はあの人がいればそれでいいです。
あの人が死んだときにはどのみち死ぬ予定でしたので」

愛宕「高雄が強いだけよ……私にはできないかもしれないもの。
あの人と生きた想い出ごと自分を殺すなんて」


ありがとうございました


< それでいいのか >





瑞穂「……備え付けの冷蔵庫のお酒や冷凍庫のロックアイスは普通なのでしょうか」

天城「? 」

雲龍「普通ではないと思うけれど……あなたはいい加減自覚なさい」

天城「はぁ」

瑞穂「お酒は好きなのですけれどやはりどなたかと楽しむものと思います」

雲龍「そう……天城? 」

天城「……なんです」

雲龍「淑女を目指すなら瑞穂を目指した方が早そうね」

瑞穂「あ、あの、瑞穂は天城さんには程遠く」

雲龍「ふふ……そうね」

天城「…………」

雲龍「……ん? 」

天城「……………………て、提督は認めてくださいますからっ」


< そういうことが前提の >





愛宕「過去か未来に行けるとして」

提督「どっちに行きたいかって? 」

愛宕「ええ」

提督「そうだな……お前は? 」

愛宕「それは断然過去よぉ。ちいさいあなたに会いたいし」

提督「ふーん……その場合淫行で捕まるのはお前だけだが」

愛宕「虜にしてしまえばどうということもないわ」

提督「できんの? 」

愛宕「できないと思うの? 」

提督「…………俺も過去にしようかな。金髪痴女に注意しろって忠告しとく」


< 九月は予約が多過ぎる >





明石「んー……怠い」

雲龍「……そうね」

明石「…………さっさと九月二日になってほしいようななってほしくないような」

雲龍「ふーん……? 」

明石「予約してたゲームの発売日なんですよ。今やってるやつの続編」

雲龍「へぇ……」

明石「早くやりたいですけど始めると他のこと手につかなくなりますしねぇ。難しい問題です」

雲龍「そう……私にはこのコソコソするののどこが楽しいかわからないのだけれど」

明石「どこがって言われると私もわかりませんけど……ランボープレーでもします? 」

雲龍「別に。……明石の隣で何もしないでいるの、好きだから」

明石「そうですか」

雲龍「ええ」


< 閉じ込めて、縛り付けて、それでも足りない >





提督「予想通り、というべきか。
元少将も腹心も帝都に送られたようだ」

愛宕「そう」

提督「新聞でも大々的に……ふん」

愛宕「あなたの名前が出てもいいのに」

提督「まぁ、一応捕縛の流れではな……俺からすれば出ない方がいいんだが」

愛宕「インタビュアーとか来たとこ見てみたかったわ」

提督「そんなこと言われてもね」

高雄「……この人が他人の目に触れるのはあまりよろしくないと思いますが」

愛宕「インタビュアーに手を出したり? 」

提督「出さねぇよ……お前らより美人なインタビュアーなんて見たことないし」


< 踊れ、舞え、そして叫べ >





高雄「八月二十五日の誕生石はファイアアゲート。
石言葉は“ 律儀 ”、“ 真面目 ”、そして“ 現実思考 ”」

加賀「現実的に考えて」

高雄「ええ」

加賀「元少将の目論みが成功する可能性は低かったはず」

高雄「不可能だとしてもやらなければならないという意志が存在する、と提督は」

加賀「そう。確かにそれは理解できる感情だけれど」

高雄「……」

加賀「何か私たちには理解できない鬼札があったのか、それとも……」

高雄「…………深海の敵性生物がキーになる。元少将の腹心はそう言っていました」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「…………私やあなたも所詮は駒ということね。
誰の掌か分からない舞台で踊るのは嫌なものだけれど」


< 全員の煩悩を目の当たりにしている >





高雄「今日の誕生花はアンスリウム。
花言葉は“ 情熱 ”、“ 煩悩 ”、“熱心 ”、そして“ 炎のような輝き ”」

提督「煩悩ランキングトップは不動の雲龍として」

高雄「はぁ」

提督「最下位って誰だ? 海風とか新入りは除いて」

高雄「私、と言いたいところですけれど」

提督「ないない。知ってるか? マゾのMは満足のMなんだぞ」

高雄「別にSだとかMだとか偏っては」

提督「そうか? 」

高雄「……明石さんでは? 天城さんはお酒の分少し多いような」

提督「んー……ま、同意、かなぁ」

高雄「…………ちなみにあなたは? 」

提督「俺? 俺は四位だと思うよ、異論はあるかもだけど」

高雄「はぁ。…………四位? 」


< これでも本気には程遠い >





江風「…………死ぬ」

海風「…………」

漣「なんで、なんで漣まで……」

叢雲「今日やったところは明日の始めにテストするから。復習も頑張りなさいね」

江風「……げぇ」

海風「…………はい」

漣「それはもしかして漣も……? 」

叢雲「当たり前じゃない。漣は先輩として勿論一位よね? 満点の同着一位が理想だけど」

江風「……実戦の方が楽な気がする」

海風「……ですね」

叢雲「実戦の方が楽でいいじゃない。それのなにが問題なの? 」

江風「……問題ないです、はい」

海風「…………まぁ、糧にはなりますね。十分以上に」

叢雲「戦場で十分なんて言葉、考えないようにね。その為の座学だからここでは構わないけど」

漣「…………ご主人様ぁ、恨みますよぉ。なんなんですかこれ」


< 誤魔化すのが下手、という演出 >





江風「テートクの酒の好みってなンなンだ? 」

提督「甘い方が好きかな。苦味も好きだけど」

江風「ふぅン」

提督「苦味にも種類があるだろ? 苦い味はいいけど口の中に纏わりつく苦さはあんまり好きじゃない」

江風「なるほどな」

提督「江風は? カルーアとかの方が好きか? 」

江風「ン、ガキっぽいかもしれないけど……江風も甘い方が好きさ。そりゃね」

提督「酒にガキも大人も……ないこともないけどないぞ」

江風「ンっ、どっちさそれ」

提督「…………酒なんて飲む相手によって味も意味も変わるんだよ」

江風「そっか。……江風とは何を飲むンだい? 」

提督「お前に合わせるよ。江風とは同じものを飲みたい」

江風「へぇ……」

提督「…………」

江風「…………」

提督「…………」

江風「……江風は、好みかい? 」

提督「…………好きだぜ? 江風みたいな女の子」


< 欲しがりレディ >





提督「今日のカクテルはビスコタホットチョコレート。
カクテルワードは“ ナイーヴな心と美徳な精神を宿す神秘主義者 ”、だ」

雲龍「んん……口の中がくどい」

提督「これはこれで冬にはいいもんだが……残暑にはきついかもな」

雲龍「舐めとってくれる? 」

提督「面倒。お前の舌欲しがりなんだもん……」

雲龍「忍耐だたか美徳だとかはとうに諦めたのよ」

提督「えぇ……」

雲龍「……それとも、身体に直接おしえ込む? それでもいいのよ」

提督「そういう意味では落第生じゃん」

雲龍「感度的な意味では優等生よね? 」

提督「まぁ……お腹押し込んだときの反応とか最高だね」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………ぅ」

提督「いや、なんで赤く……お前の基準わからねぇよ」


< 見敵必殺 >





江風「ヒュー、今日は雲龍さんか」

瑞穂「英雄色を好むと言いますが……うーん……」

海風「あの、夜に口笛を吹いちゃいけないとかっていいません? 」

江風「ンっ、ダメだった? 」

瑞穂「確かに地方によっては蛇が出るだとか泥棒を呼ぶなどの言い伝えがあるようですね」

江風「へぇ……やるねぇ」

海風「まぁ、ここに蛇とか泥棒さんが出たところで……」

瑞穂「……蹂躙されて終わりでしょうね」

江風「提督の部屋に押し入った日には……あーあ、見るも無残ってやつだね」

海風「少しそれに興味が……怖いからしないですけど」



< 甘く香る魅惑の谷間 >





雲龍「張るわ」

提督「あ? 」

雲龍「……大きく、見えない? 」

提督「……血管浮き出てるね」

雲龍「張ってるの。吸えば出てきそうなくらい」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………もっとえっちく誘えないの? 下品過ぎない? 」

雲龍「あなたが欲しいだけだもの。自分のことしか考えてないの」

提督「……まぁ、お前だからそれでも盛り上がれるけどさぁ」

雲龍「ルックス? 面食い? 」

提督「違うよ。お前だからギリ様になるってこと」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………雰囲気ってやつ、おしえてくれない? 」

提督「……………………まずはキスから始めようか。優しく、初めて触れるように」


ありがとうございました


< 誰にともなく言い訳を >





雲龍「ん……ん? 」

提督「…………Zzz」

雲龍「……ショーツ下敷きに……ん、重い」

提督「…………Zzz」

雲龍「力尽くなら回収できそうだけれど……気持ちよさそうに寝てるし」

提督「…………ふぁ……Zzz」

雲龍「…………」

提督「…………Zzz」

雲龍「…………もう少し、もう少しだけですから」

提督「…………Zzz」


< 女子力、ではなく >





提督「んあ…………」

雲龍「…………Zzz」

提督「胸板枕とか女力たけぇな」

雲龍「…………Zzz」

提督「…………つーか、背中のヌメヌメ……なんだ? 」

雲龍「…………Zzz」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………ショーツか……改めてこれエグいデザインだ……ひえー」

雲龍「……ん…………Zzz」

提督「……雲龍も寝てるときは可愛らしいんだが」

雲龍「…………」

提督「なーんで、普段は欲望に忠実過ぎるんだか。別に言う程下品だとも思わないけどさ」


< 翻って女子力というものは >





高雄「あら……これは? 」

愛宕「んー? あぁ、全国のデートスポットでも調べておこうかなって。
雑誌見て想像するだけでも楽しいし」

高雄「なるほど……私は大和ミュージアムなど行ってみたいですが」

愛宕「それ楽しいとは思うけど……デート向きじゃないわねぇ」

高雄「あの人は楽しんでくれそうじゃない」

愛宕「高雄。私はあくまでデートらしいデートがしたいのよ? 」

高雄「そう……」

愛宕「手帳にもほら……行きたいところと何がしたいか書いたり、ね? 女子力女子力ぅ~ 」

高雄「はぁ」

愛宕「ヒトデナシでも女の子は女の子なのよー」


< まぁ、基本衣装だと思う。プレイ的に >





叢雲「…………ふむ」

愛宕「で、そういうわけだから1914年の開戦までは駆逐艦による効果的な戦術は他より優先度が低かったわけ」

漣「…………」

愛宕「蒸気艦の時代からあんまり進化する間や経験ってものが足りなかったのね」

江風「…………」

愛宕「だけど同時期に目覚ましい発展を遂げた潜水艦対策だとかで潜在的能力に気付いていた人もいたわ」

海風「…………」

叢雲「うん。……よし、やるじゃない。三人とも満点よ」

漣「……そりゃ叢雲ちゃんに弱み握られたこと考えるとね」

江風「…………つーか、教師風のスーツ着てきたり普段のノリ的に適当かと思ったら」

海風「……愛宕さんの講義ってガチのやつなんですね。
なんでWW1以前の戦術史なんてやってるんでしょうか」

叢雲「採点終わり。……代理ありがとう。これからは私が引き継ぎます」

愛宕「はーい。…………さて、あの人で……あの人と遊んできますかぁ、ふふっ」



< 休肝日、とは違うが >





提督「……で、女教師スタイルなのか」

愛宕「そ。似合うでしょ? 」

提督「異様にな。……そんな短いの着てたら同僚教師に嫌われそうだけど」

愛宕「女の嫉妬なんて褒め言葉みたいなものよぉ。
ちゃんとした人はそんなことしないし」

提督「や、はしたなさとかね」

愛宕「着れるんだからいいのよ。圧倒的に似合ってれば」

提督「んん……」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………特別授業、しちゃ」

提督「いません」


< ある意味で冷静に加わる >






高雄「八月二十六日の誕生石はイエロージャスパー。
石言葉は“ 冷静 ”、“ 自然体 ”、そして“ 落ち着き ”」

提督「俺からすると自然体って柔道用語なんだが」

海風「提督は柔道を? 」

提督「あぁ。帯もちゃんとあるぞ」

海風「なるほど」

高雄「軍人としては基本のスペックですが」

提督「ちょっとは褒めてよたかおーん。長門にも勝ったんだぞー」

海風「提督って実は凄い人なんですね」

提督「おう。海風はちゃんと褒めてくれていいな」

高雄「……」

雲龍「私に寝技をおしえてくれてもいいのよ? みっちりと」

高雄「……どこから湧いてきたんですかあなたは」

海風「じゅ、柔道のお話は……」

提督「トーク引っ掻き回し過ぎじゃないかね君ィ……切欠は俺かもしれないけどさ」


< 魅力的な朝が日々の活力となって >





高雄「今日の誕生花は松虫草。
花言葉は“ 風情 ”、“ 魅力 ”、そして“ 朝の花嫁 ”」

提督「朝の? 」

高雄「朝の」

雲龍「処理するってこと? 朝勃」

提督「お前さ」

高雄「相変わらず全開ですね……」

提督「あれだろ。美味しくてかつ素朴な朝餉をつくってくれるってこと」

雲龍「おおう……いいわね」

提督「お前はどちらかというと花婿みたいなもんだしな」

雲龍「ええ」

高雄「……雲龍さん、否定の余地もないんですか」


< 喧嘩を売ってるのかあんた >






明石「不肖明石、やっと仲間ができた気分です」

江風「はぁ。なンで? 」

明石「やたらと美味しい料理のできる皆さんに囲まれて日々悔しく思っていたのです」

江風「はーン……確かに江風もまともなものつくれないけどさ」

明石「瑞穂さんは明らかにできそう。海風さんもできるはず」

江風「…………」

明石「ふふふ……しかし、そこに現れたのはあなた、江風さんでした。
私の悔しさもこれで緩和されるというもの」

江風「…………」

明石「これで、これで……くぅー……改めてよろしくお願いね?
私とあなた、なんとかして皆さんを唸らせるお料理をつくれるようになりましょう! 」

江風「お、おう……」





海風「え? おにぎり? あれと同じにはなりたくない? せめて簡易なものは? え……? 」


< あり過ぎる察し力 >





提督「今日のカクテルはウンダーベルクソーダ。
カクテルワードは“ 人間愛を感じさせるゴージャスな女性 ”、だ」

漣「ゴージャスな女性ってなんですかね……お金持ち? 」

提督「セレブ妻みたいな」

愛宕「ゴージャスボディ? 」

提督「ん……うん」

漣「あ、漣席を外しましょうか? 」

提督「必要ない。今日は早寝する」

愛宕「えぇ……」

提督「えぇ……じゃねぇよ。身体休ませろ」

漣「道理ですけど自分から酷使していってるのご主人様ですよね」

愛宕「ねぇ? 」

漣「ね? 」

提督「くっそ……………………腹立つのに反論できない。
つーか女教師スタイルなら休ませとけよ」


< 明らかに誤解 >





Littorio「はふ……お風呂はいいものですね」

瑞穂「この国以外では身体を清める為の場所という印象が強いようですけれど」

Littorio「ええ。でもLittorioもここにきて色々と経験しまして。
入浴の為の入浴もよいものだと」

瑞穂「なるほど……嬉しいものですね。
まるで瑞穂たちが認められたようで」

Littorio「……最初は浴場に違和感を覚えたりもしましたけれど。
まぁ、それもいい思い出です」

瑞穂「はぁ」

Littorio「…………」

瑞穂「…………」

Littorio「…………」

瑞穂「……これで露天などあれば。そして猪口と月でもあれば最高なのですが」

Littorio「はぁ。情緒というものでしょうか……………………瑞穂も天城もまさにこの国の女性を体現した方なのですね」


ありがとうございました


< 割とそれなりにいつも通りの朝 >





愛宕「ん……ねむねむ」

提督「……おう」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……二度寝したいわ」

提督「……高雄がなぁ」

愛宕「高雄は堅いものねぇ。身体は柔らかいのに」

提督「あれで解すのに苦労もしたわけだが……ふぅ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………今日はお味噌汁にさつまいも入れるって言ってたわぁ」

提督「いいな」


< 女の子の話ではない >





提督「いや、でもさ」

天城「はぁ」

提督「究極の酒なんて飲んでしまったらその先一生それ以外には不満足なんだぜ?
仮に飲んだとしてそれを認識なんてしない方がいい」

天城「しかしいつかはそうなってしまうものでしょう。
まさか死の間際に誰もが最高の結果を得られるわけではありませんし」

提督「いやいや。最高なんてのは気分や雰囲気次第で変わるもんだよ。そうあるべきだ」

天城「……」

提督「たとえコンビニの安酒でも自分には合わない洋酒でもさ。
俺は時々飲んでみたくなるよ。
それを飲むことによって自分の好きなものの素晴らしさも分かるし」

天城「分かるような分からないような」





高雄「……お酒の話ですか。私はてっきり」


< 思い出したような勧誘 >





加賀「あなたたち、弓を引いてみる気はないかしら」

江風「弓? 」

加賀「ええ。体術の鍛錬と同じで戦闘での直接的な恩恵は少ないけれど、
集中力や忍耐などを高める効果があるわ」

叢雲「いいですね。私はやりたいわ」

江風「……パス」

海風「……同じく」

漣「加賀さんと叢雲ちゃんとか息詰まり過ぎでしょ……漣もパスで」

加賀「失礼な」

叢雲「私も初心者なんだから」

加賀「……雲龍あたり連れてきますか」

叢雲「ですね」


< 224DDH >





提督「いずも型二番艦、かがだってよ」

加賀「そう……」

提督「あぁ」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……妹? 」

加賀「さぁ……従姉妹か又従姉妹のようなものだと思うけれど」

提督「そうか。……まぁ、父親も母親も違うようなものだもんな」

加賀「…………」

提督「……旧国名続きだな」

加賀「…………それだと赤城さんとは並べないのだけれど。かがが私だとは思わないけれど」


< 人は見かけに云々とかいうテンプレ >





高雄「八月二十七日の誕生石はアパタイトキャッツアイ。
石言葉は“ 好奇心 ”、“ 前向き ”、“ 挑戦的 ”、そして“ 行動的 ”」

漣「ご主人様あれでエリートなんですよね」

高雄「兵学校のハンモックナンバーも上位ですしね」

漣「……それで何故あんな性格なんでしょう」

高雄「というかあの性格で何故勉強ができるのか」

漣「…………」

高雄「…………」

漣「……カンニングとか? 」

高雄「まさか。私もあの人の能力は見てますから。滅多なことは」


< そして確認へ >





叢雲「ん」

提督「うん? なんだこれ」

叢雲「海風たちにつくったテストよ。
漣があんたにやらせないのは不公平って言うから」

提督「そんなわけあるかよ……叢雲がつくったのか? 」

叢雲「ええ。難しくも簡単でもないけど絶対に外せないのしかないわ。当然……余裕よね? 」

漣「ご主人様ー、それ漣たちは三人とも満点でしたからね?
できないと漣たち未満ですよ! 未満! 」

提督「お前たちはしっかり講義受けて復習もしただろうが……一時間? 」

叢雲「ええ」

提督「お前はどれくらいで一周した? 」

漣「んー、30分くらいですかね。ざっとやってから穴を埋めていくタイプなので」

提督「そうか。……じゃあ俺は三十分でいいぞ」

叢雲「別に時間は普通でいいんだけど……ま、司令官のお手並み拝見、ということね」


< 自信 >





愛宕「で、今解答してるわけ? 」

高雄「そのようで」

漣「ふっふっふ……」

愛宕「……自分を褒めるみたいだけど余裕だと思うわ」

高雄「同じく」

漣「いえいえ……ご主人様もブランクはあるわけでしょう? 」

愛宕「うーん……」

高雄「……現役軍人は日々の研鑽も積んでいるのですよ。あの人ですら」

漣「むむ……」





提督「叢雲ー。終わったぞ」

叢雲「もういいの? これで間違ってたらかなり間抜けよ? 」

提督「抜かせ。その程度の問題江田島に比べればなんてことねぇよ」


< 結果 >





叢雲「……はい。採点終わり」

漣「…………」

提督「ふん。俺にかかればこんなもんよ」

叢雲「やるじゃない。この程度理解できないと私の司令官とは認められないくらいだけど……褒めてあげるわ」

提督「おう。もっと褒めていいぞ」

漣「…………」

江風「……まぁ、テストっていっても小テスト程度の分量だもンな。うン、うン……」

海風「二十分……二十分であれを解くんですか……はぁ」

提督「テストの時間ってのはな、半分は見直しと難問を解く時間なんだよ。
スラスラやって分からないのはどうせ考えたってできないんだから。
時間かけるだけ無駄だ。最後の足掻きは後回しにしとけ」

叢雲「調子に乗るのまで許した覚えはないわよ。……ま、漣たちも頑張んなさい。
これに得意気な顔をされ続けたくなければ」

漣「…………圧倒的敗北感なんですけど……なんなのこれ。ねぇ」

提督「まぁ、漣は長く実戦でシーレーン防衛に努めてたわけだしな。
理論なんてのはあくまで俺みたいな戦えないやつのものだと考えてもいいさ」

漣「この上情けまでかけられるとは……なんたる不覚……バタッ」

叢雲「…………」

提督「…………」

漣「…………」

叢雲「……倒れたフリをしてもこのあとの講義はなくならないけど? 」

漣「……ですよねー」


< しっぽりと >





高雄「今日の誕生花は浜木綿。
花言葉は“ どこか遠くへ ”と“ あなたを信じます ”」

愛宕「宇宙とか深海だとか……あの人しかいない場所に行きたいと思ったことはあるわね」

高雄「……しかし周囲がいてこそのあの人なのだし」

愛宕「独り占めしたいときって周りは見えないものよ」

高雄「そう」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………小旅行でいいのよ。箱庭じゃなくて、ちいさな旅館で、私と高雄と、あの人で」

高雄「……年末にでもねだりなさい。なんとかなるかもしれないわ」

愛宕「んー……あの人の立場悪くはしたくないんだけど……どうかしらね」


< 本気のチューってどんな味? >





愛宕「氷結? 」

提督「そう、氷結」

愛宕「……レモン味? 」

提督「初キスなんて忘れたよ。……氷結の味? 」

愛宕「あんまり飲んだことないからわからないわ」

提督「初キスは? 」

愛宕「あなたの味」

提督「…………」

愛宕「…………ふふ、本気のキスと同じ味ね」

提督「……飲も飲も。氷結はないけど」


< 気分転換がいつしか目的へ >





提督「今日のカクテルはティアレ。
カクテルワードは“ 感性を磨いて美しく表す生ける伝説 ”、だ」

明石「感性を磨くってなんですかね」

提督「想像力みたいなものじゃないの。
芸術とかセンスみたいな」

明石「はぁ。私も最近発想が凝り固まってきたんでなんとかしたいんですけど。
どうにかなりませんかねその辺」

提督「単車でも乗ってこいよ。貸してやるぞ」

明石「私としてはそれもいいですけどあなたと行きたいです」

提督「……何もない日の深夜になるが」

明石「むしろ……その方がいいです」

提督「…………考えておくか。そのうちな」

明石「期待してますよ。そのうちが早めになることを」


ありがとうございました


< 三重 >





提督「ゆるキャラ……萌えキャラ……んん」

愛宕「私はどっちでも、というかどうでもいいと思うけど」

提督「まぁ、不快に思う人もいるんだろ。俺は知らないけど」

愛宕「そもそも従来のキャラクターのデザインが、ねぇ? 」

提督「ノーコメント…………伊勢神宮なら行ったことあるな」

愛宕「ふーん……? 」

提督「だからなんだって話だが」

愛宕「愛宕神社は? 」

提督「そっちはない」

愛宕「むぅ……どうでもいいはずなのになんだか複雑」

提督「はぁ。……伊勢とも会ってないなぁ。呉だったか、今は」


< 輝ける君の行動は完璧に……犯罪 >





高雄「八月二十八日の誕生石はピンクコーラル。
石言葉は“ 社会性 ”、“ 決断力 ”、“ 説得力 ”、“ 切れ者 ”、そして“ 慈しむ愛 ”」

提督「どうもね、僕は源氏が好きになれないわけですよ」

高雄「はぁ。光の君、ですか」

提督「女の子を自分好みに調きょ……教育したいのは理解できる」

高雄「できるんですか」

提督「もちろん。だけど俺としては思い通りにならない大人を自分好みにしていく方が断然いいと思うんだ」

高雄「……なんとも言えませんね」

提督「慈しみ? No! 慈しむのは落とした後に存分に! 」

高雄「…………まぁ、これでさらにロリコンだとどうしようもありませんし」

提督「や、源氏はむしろ年上好きだったような」

高雄「そういうお話ですか? 」

提督「違う? あれ? 」



< 軍刀を杖にして >





江風「ふーン……あンまり変わらないンだな」

提督「そんなに前のことじゃないしな」

江風「あぁ」

漣「お? なにしてーんの」

海風「あぁ、提督たちがここに着任したときに三人で撮った写真を見ていたんです」

漣「ほう……ほう」

江風「……ン? 」

海風「? 」

漣「……前に漣と叢雲ちゃんと三人で撮ったことあるんですよ」

海風「は、はぁ」

漣「今も持ってるけど……いやぁ、成長してますね! 貫禄ってやつですかー? 」

提督「あぁ? うるせぇな。お前に育てられた覚えなんて殆どねぇよ、ばーか」


< 実力とかそういうのは関係ないっぽいかも! >





加賀「秋津洲……? 」

瑞穂「という先輩がいると聞いたのですけれど」

加賀「……私も名前は聞いたことがあるわ。確か私がここに来てから横須賀に着任したはず」

瑞穂「千歳さんや千代田さんには戦時ではありましたがご挨拶を済ませましたので秋津洲さんにも、と」

加賀「そう……」

瑞穂「ええ」

加賀「…………」

瑞穂「…………」

加賀「……艦歴としてはあなたが先輩なのではなくて? 」

瑞穂「瑞穂は瑞穂ですので。加賀さんも加賀さんでしょう? 」

加賀「……そうね」

瑞穂「…………」

加賀「…………」

瑞穂「…………先輩……」


< たまには真面目な話でも >





高雄「今日の誕生花は千日紅。
花言葉は“ 永遠の命 ”、“ 安全 ”、そして“ 心の愛 ”」

提督「百日紅とは違うのか? 」

高雄「千日紅は南米原産、百日紅は東アジア原産だそうです」

提督「へぇ」

高雄「どちらも長く花が咲いていることから付いた名ですが……。
千日紅は一年草、百日紅は落葉中高木で全く別のもの」

提督「あ、そんなに関係ないんだな」

高雄「ええ。花無十日紅などでこの国でもポピュラーな百日紅とはまた違いますよ、千日紅は」

提督「そうか。……お前はきっといつまでも咲いてるよ、綺麗なままね」

高雄「それはあなたの側だからです。花に大切なのは住み良い環境ですから」

提督「そう…………そうありたいものだな、いつまでも」


< 互いに瞑目して何を思うのか >





提督「今日のカクテルはキューバリブレ。
カクテルワードは“ 愛情や暖かさに満ちた世界観の持ち主 ”、だ」

高雄「こちらには慣れましたか? 」

海風「はい。ちょっと驚いたこともありましたけど……提督も皆さんも優しい方ばかりで」

提督「ちょっと、ね」

高雄「ちょっとで済んだのが驚きだと思いますが」

海風「でも…………よく考えてみればヒトとしての海風に人らしい常識など不要なものでしょうし」

提督「……ん」

高雄「……」

海風「……? 」

提督「……俺は海風を特別扱いもしないけどさ、なにか区別するつもりもないよ」

海風「……しかし、違うものを無理矢理同じだと思い込むことこそ危険なことではないでしょうか」

提督「っ…………きついね、海風」

海風「あぁ、いえ、提督になにか楯突くわけでは」

提督「…………」

高雄「…………」

海風「…………」


< 一方で >





加賀「バケツプリンというものを試してみました」

瑞穂「はぁ。しかし何故二つも? 」

加賀「色々な楽しみ方ができるでしょう? あなたたちもどう? 」

江風「ンっ、じゃあちょっとだけ」

加賀「そのスプーンとナイフでカットしなさい。取り皿はそれよ」

愛宕「やたら立派ねぇ……フルーツ缶でも持ってこよっと」

天城「……胸焼けしそうです」

雲龍「プリンもいいけど……杏仁豆腐がよかったわ」

Littorio「これがゲイシャ、フジヤマ、サムライに続くこの国の……! 」

明石「違います」


< なにやら漂う >





提督「ん、んー……飲もうか」

高雄「また、酔いで誤魔化すような」

提督「別に? 誤魔化すようなことないし? 」

高雄「……左様で」

提督「あぁ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……なんでしょうこの甘い、というか甘ったるい匂い」

提督「さぁ……見に行こうか。くだらないことなんて忘れてさ」


< 品、なんてものは気にしない >





提督「馬鹿だろお前」

加賀「何故? 」

提督「そんな大量につくって保ぞ……」

加賀「保存が、何かしら」

提督「……太るぞ。三段腹甲板に」

加賀「ふっ……なにを馬鹿な」

提督「いやぁ? わかんないぞ? 一航戦加賀も五航戦に負けるときがきたりしてな」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……今日は全身運ど」

提督「はーい。訓練プールの鍵はこちらでーす」

加賀「チッ」


< と、言いつつ着たみたりなんかして >





提督「陸上……エロいな! 」

愛宕「ブルマでも履く? 」

提督「どんとこい、ハーイル、ブルマ! 」

高雄「ドイツ語を扱っている者としてその発音は」

提督「……ブルマ、ブルマだからいいんだよ」

高雄「何を言ってるんです」

愛宕「ごたあ? 」

提督「そう、ごたあ」

高雄「……この変態が。馬鹿め、と言って言って言いまくりたいですわ、変態」



< あるとき、こんな出来事 >





提督『ふぁ……お前って目三つもあったっけ? 』

叢雲『馬ッ鹿じゃないの。酔い過ぎよ、ほら』

提督『と、言って好物のいなり寿司出してくれる叢雲ちゃんやさしー』

叢雲『うっさいわね。早く食べないと捨ててくるわよ、あんたを』

提督『わーお……ん。美味いよ』

叢雲『……』

提督『……さんきゅ』

叢雲『……そう』

提督『…………』

叢雲『…………』

提督『…………そういえば』

叢雲『なによ』

提督『俺の嫁になる条件にいなり寿司が美味いってあるの言ったっけ? 』

叢雲『初めて聞いたわよ。しかもどれだけ上からなの』





愛宕「はい、どうぞー」

提督「ん? おっ、いいねぇ、実に俺好みの」

叢雲「…………もう嫁云々なんて意味ないじゃない、ばか」

提督「うん? なんか言ったか? 」

叢雲「……別に。早く食べなさいよ。酔って味がわからなくなる前に、ね」


>>1
とは違いますね
素晴らしいですけれど

ありがとうございました


< 健全な、というか >





提督「ん……」

愛宕「うん? 」

提督「や、柔道やってるじゃん」

愛宕「そうね」

提督「こうやって自分より歳下の選手が頑張ってると俺もまたやりたくなるなって」

愛宕「今から始める? 」

提督「まさか。身分偽ってお前が出た方がいいだろ。ハーフ扱いとかで」

愛宕「んー……でも私は柔道よりバレーの方がいいわ。
あんまり他の人に触られたくないもの」

提督「あぁ……」

愛宕「ええ」

提督「…………バレーの方がエロいしな、うん」

愛宕「……ああいうのもいいの? ふーん……」


< その羞恥がまた >





提督「まぁ、一番エロいのはテニスだな。定番だけど」

愛宕「私も着た覚えあるわ、あれ」

提督「あれはでもちゃんと三人でテニスしただろ? プレイの為だけじゃないし」

愛宕「ん、んー? 」

提督「そりゃあ一杯運動して汗みずくになったらヤるだろ。なんの問題もない」

高雄「本当にそうでしょうか……」

提督「あぁ。……次点でバレーとかラクロスかな、うん」

愛宕「着てる方も面白いし私はいいんだけど」

高雄「……あなた以外の方に見られるのは少し、恥ずかしいです」


< ハイレベル >





高雄「八月二十九日の誕生石はグリーンアメジスト。
石言葉は“ 欲望 ”、“ 愛情 ”、“ 夢追い人 ”、そして“ 現実主義者 ”」

天城「……何故姉様はあんなにも欲望に忠実になってしまったのでしょうか」

高雄「さぁ……割と思ったことは言うタイプでしたし」

天城「提督があまりとやかく言わないからなのかどうなのか」

高雄「面倒がりますからね。他人に何かをさせるの」

天城「……姉様が幸せならそれでいいのですけれど」

高雄「幸せなのじゃないですか。あの様子だと」





雲龍「……あなたが望むのなら私、なんだってできるわ」

提督「嬉しい言葉だけどさ…………お前の望みの方が業深くねぇかな」


< 永遠に永遠に、百日紅が枯れるまで >





高雄「今日の誕生花は百日紅。花言葉は“ 雄弁 ”と“ 愛嬌 ”」

Littorio「雄弁は銀、と聞きましたけれど」

高雄「沈黙は金、ですね。しかし銀というのは十分ハイレベルだと思いますよ」

Littorio「確かに」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「……高雄といると無言でも心地良くて好きです、とても」

高雄「ありがとう。私もよ、Littorio」


< ノらないつれない >





提督「おい、そこの鉄面皮」

加賀「……私? 」

提督「他に誰がいるよ」

加賀「見えてはいけないものがあなたにだけ見えているのかと」

提督「お前くらい美人な幽霊なら見えてもいいな」

加賀「……なに? 」

提督「あぁ。今日は何日だ? 」

加賀「八月の二十九日ね」

提督「つまり? 」

加賀「つまり? 」

提督「焼肉の日だ! よっしゃあ! 」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「ふっ、さすがに気分が高揚します」


< 戦闘(焼肉)糧食 >





愛宕「あら……海風って」

海風「? 」

愛宕「男らしいというか……大きなのをつくるのね」

海風「いけなかったでしょうか……? 」

愛宕「んーん、加賀さんなんてその方がきっと喜ぶわ。そのちいさな手でよく握れるなって」

海風「愛宕さんは綺麗に均等に握るんですね」

愛宕「ええ。これは慣れみたいなものよ。お酒飲みながらつまみやすいように」

海風「はぁ」

愛宕「……さっさと握っちゃいましょうか。お肉、始まっちゃうわ」

海風「ですね」


< この肉は私が育てていたのです! >





提督「さっきスマホの広告でさ」

高雄「はい」

提督「諦めかけているダイエッターに! みたいなのがあったんだ」

高雄「ダイエッター? 」

提督「そ、ダイエットし続けるとか逆に肥満のプロじゃんって思ったよ」

高雄「なるほど」

提督「うん」

高雄「…………」

提督「……そろそろ焼けてくるな。戦争だ! 」

加賀「ふふ、負けないわ」

明石「……肉の前でダイエットの話したり生肉の山見てキラキラしたり……なんなんですかねこの人たち」


< お腹が普通レベルの人 >





提督「今日のカクテルはディサローノミルク。
カクテルワードは“ 真面目で頑固な気質の親分肌の持ち主 ”、だ」

江風「ンっ……食べ過ぎた」

提督「大丈夫か? 早めに風呂入って寝とけよ」

江風「りょーかい。……なンで加賀さんはあんなに入るんだろ」

提督「そりゃお前当基地の七不思議みたいなもんでね」

江風「真面目な人だと思ってたけど結構ボケるし」

提督「あれでなかなかイベントも好きだしな。……ウーロンと緑茶どっちにする? 」

江風「緑茶で。……風呂入るの面倒だなぁ。肉の臭い付いちゃってるから入るンだけどさぁ」


< 肝臓や頭やセンスが普通じゃない人たち >





天城「ん……少し、暑いですね」

提督「フローズンカクテルでも出そうか」

天城「お願いします」

加賀「……雲龍、コルク抜き取って」

提督「いやいやいや、俺に抜かせろよ」

雲龍「抜く……? 卑猥ね」

提督「あ? 基本的にワインは男が注ぐもんだろうが」

愛宕「それでは私にも注いでくださる? バーテンダー」

高雄「あぁ私にも」

雲龍「私に注いで……? 」

天城「姉様……」

瑞穂「酒豪がしゅーごー……フフッ、フ、フフ……」

Littorio「……瑞穂? 」


< 今では笑い話にも >





海風「皆さん楽しそうですね」

明石「楽しいんじゃないです? 私も楽しいですし」

海風「はぁ」

明石「海風ちゃんは楽しくない? 」

海風「たの、しいですけど……海風たちがこんなに楽しくていいんでしょうか」

明石「はっはーん……なるほどなるほど」

海風「? 」

明石「天城さん、先輩として出番ですよ。
中二病的葛藤の悩みを持つ者の」

天城「失礼な。天城は大真面目に悩んでいたのですよっ。もうっ……」


< 普通の反応なのだが >





提督「いや……俺は自分の部屋の風呂でいいって」

明石「ダメですよぉー……今日は私とお風呂ですよ、お風呂」

加賀「私もいるけれど」

提督「つーか怠いんだよ……寝させろって」

明石「私と加賀さんと浴場で遊んでから寝ても遅くないですって」

加賀「私も……? 」

提督「食いまくった後の腹とか見せたくねぇよ。腹筋で抑えてるっていってもさぁ」

明石「まぁまぁ。はい、とうちゃーく。お風呂でーす」



瑞穂「……」

提督「あ……」

明石「? あ、瑞穂さんだー」

瑞穂「い、いやっ、見ないでっ、お願いですからっ、どうしているんですかぁっ! 」

提督「や、俺の所為じゃな、やめ、物投げんじゃねぇっ、つーかこれブラじゃねーかお前。ちょっとあったかいてぇっ」

瑞穂「変態変態変態変態変態! もうっ、もうっ……」

加賀「…………なんだか新鮮な反応をするわね、あなた」


ありがとうございました


< 計り知れない温度差 >





明石「あー……あー……あぁ……」

雲龍「どうしたの? 」

明石「や……昨日の夜にですね……またお酒で失敗したんです」

雲龍「ふーん……私たちがまだ飲んでたとき? 」

明石「たぶん。あんなよくわからないテンションで浴場に連れていくとか……しかも手繋いでたし」

雲龍「? 」

明石「……瑞穂さんも巻き込んじゃったし……あぁ。提督のこと誤解してたら……んん」

雲龍「…………どこが失敗なの? 」

明石「……………………普段の雲龍さん並だった、というのは失敗の部類なんですよ、一般の感覚なら」


< 理解もできない納得もできない >





明石「というか雲龍さん誰と飲んでたんですか?
加賀さんとは結局一緒にお風呂入りましたけど」

雲龍「高雄姉妹とLittorioね。もちろん天城も」

明石「はぁ」

雲龍「それにあの後加賀さんも戻ってきたけれど? 」

明石「え、えぇ……私がお風呂上がって部屋に戻ったのって00:00過ぎてたんですけど」

雲龍「そうね」

明石「タフ過ぎる……レベルが違いますね」

雲龍「また天城が寝てたから私が部屋に連れて行ったわ。きっと覚えてないけれど」

明石「なるほど」

雲龍「……私ばかり問題児扱いされるのは違うと思うの」

明石「いや、単に雲龍さん姉妹が問題児なだけだと思いますが。
天城さんの酔い潰れは雲龍さんの免罪符にはならないでしょ」


< 弱々しい姿には勝てない。勝とうとも思わない >





提督「ふぃ……超さっぱりとした目覚め」

愛宕「…………頭痛い」

高雄「…………」

提督「お前らが二人ともって珍しいな。しかも俺がまともって」

愛宕「ガールズトークが長引いて」

提督「ガールズ? 」

愛宕「……BBAとでも言いたいのかしらぁ~? 井戸端会議? 」

提督「いや、別に。……睨むんじゃねぇよ」

高雄「……後から来た加賀さんが一番飲んでましたからね。
あれに合わせたのが間違いでした」

提督「そりゃそうだろ。精々天城レベルに抑えとけ」

高雄「ええ」

提督「愛宕もな」

愛宕「んん…………私梅粥がいいー」

提督「あ? 」

愛宕「……ダメ? 」

提督「…………断るわけないだろ。待ってな」


< 何故か全員分 >





加賀「それで今朝は粥なのね」

提督「おう。お代わりもあるぞ」

天城「ふ……染みますね」

明石「そんな青白い顔でよく余裕な感じ出せますね」

天城「嗜みです、淑女の」

加賀「……少しだけ、生姜が多い気がするわ」

提督「えぇ……確かにちょっと余ってたから全部入れたけどさぁ。
なんでそんなの食べただけでわかるの……」

加賀「当然でしょう? 私、味には少し拘りがあるの」

提督「……少し、少しか」

海風「はぁ……おいし」

江風「ン、そうだな」

漣「ママの味ですぅ……これから鬼のお勉強が始まる娘への愛ぃ」






叢雲「ふーん……? 鬼で悪かったわね。…………ふん」


< 愛とは愛を確かめてゆくことでしか >





高雄「八月三十日の誕生石はオーシャンジャスパー、
石言葉は“ 幸せ ”、“ 好奇心 ”、“ 神秘的 ”、そして“ 拘り ”」

江風「幸せなンです? 高雄さンは」

高雄「? 幸せ、ですよ」

江風「本当に? 無理してるだとかじゃなくて? 」

高雄「…………」

江風「…………」

高雄「……あなたは、誰かを好きになったことがありますか? 」

江風「いや、江風は生まれたばっかだからさ。
海風の姉貴くらいしかまともに感情を向けたこともないよ」

高雄「そう。……誰もが、とは言いませんが」

江風「ン」

高雄「愛とは、堕ちてゆくことに似ているのです。
そして、堕ちてゆくことはとても気持ちいい」

江風「ンー? 」

高雄「私は極端な話をすればあの人さえいれば他はどうでもいいの。
愛宕さえ、きっとあの人と天秤には掛けられない」

江風「…………」

高雄「あの人は私が向けた愛よりも大きなモノを必ず返してくれるの。
それはあなたや他の方から見れば共依存の醜態だとしても……私にとって代えるものがありません」

江風「…………」

高雄「…………これで、いいでしょうか」

江風「あ、あぁ、そっか、江風が訊いたンだった。…………江風も羨ましいよ、高雄さんのこと。
江風もそンな強さとか、愛ってやつがいつか欲しいな」

高雄「……お勧めはできません。私とてあの人と別の出会い方をしていれば……別の道もあったでしょうからね」


< 白い奨励と黒い警告 >





高雄「今日の誕生花は秋の麒麟草。花言葉は“ 奨励 ”と“ 警告 ”」

Littorio「随分と本音を洩らしたものね、高雄」

高雄「……本音、かどうかはわかりませんよ。
嘘には自分自身を騙すものもあるでしょう? 」

Littorio「だとしても。Littorioは高雄のあの方への愛に疑いなど持ちたくありませんね」

高雄「……そう」

Littorio「あの方に抱かれたのはLittorioの自由だけれど……高雄がいるから遊びだと思えるのです」

高雄「奪うというのなら試してみても」

Littorio「戯れを。……高雄が本気だと思っていなければ奪いますけれど、ということです」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「……いっそあなたがあの人を虜にしてしまえば新しい道へ行けるかもしれませんね、私も、愛宕も」

Littorio「……そうなれば赦しませんよ。高雄も愛宕も、あの人も。
澱んだ世界にありながらただ朽ちてゆくことをよしとしないその姿が、堕落との線上にある姿が、
あなたたちのあなたたちたる所以なのですから」


< 何か理由があるのなら知りたい >





提督「なんか車関係で色々あるみたいだけどさ」

瑞穂「はぁ」

提督「ドイツ語をやっててドイツで生活もしていた身からするとね」

瑞穂「はい」

提督「どうもフォルクスのVをファウで読むならワーゲンのWはヴァかせめてバって読むべきだと思うんだ」

瑞穂「? 」

提督「フォルクスってのは国民だとか民族って意味で、
ワーゲン、というかヴァーゲンは車って意味で単語を二つくっつけてるんだ」

瑞穂「つまり片方の単語を別々の読み方で読んでいるのが気に入らない、と? 」

提督「そう。もしかしたら理由があるのかもしれないけどさ」

瑞穂「んん…………提督はドイツ語に堪能なのですね」

提督「そうでもないけど」

瑞穂「いえ、尊敬致します。さすがです」

提督「そ、そう? いやぁ、まぁ俺もちょっとはそう思」

明石「何ノせられてるんですかもう……単純なんだから。
というか瑞穂さんも反応に困ったからって簡単に褒めたりしない」


< なんだこのボーンは! >





愛宕「なぁに? 」

高雄「……鎖骨ですが」

愛宕「これはぁ? 」

高雄「……頤」

愛宕「こ・れ・は? 」

高雄「…………唇ですが。もう既に骨でもなんでもない」

愛宕「柔らかいものねぇ~ 。確かに骨じゃないわぁ~ 」

高雄「…………それで? 」

愛宕「んー? 」

高雄「何故私に絡むの? 無駄に暑苦しい」

愛宕「…………海風に取られちゃった」

高雄「はぁ……」

愛宕「…………悪いわね。酔ってもいないのに」

高雄「別に。不出来な妹を慰めるのも姉の役目ですから」

愛宕「ふーん……? 」

高雄「…………」

愛宕「……おねーえちゃん☆ 」

高雄「…………はぁ」


<目標なんて気付いたら背にあるくらいで >





提督「今日のカクテルはジンジャージンジャー。
カクテルワードは“ 経験を積み重ね目標達成に近付く努力家 ”、だ」

海風「提督は」

提督「おう」

海風「今、なにか目標を持っていますか? それに向かって努力していますか? 」

提督「んー……とりあえず海風たちを一人も欠けさせないことは目標だが」

海風「はい」

提督「そんなものは理想論だからな。一応帝国軍人として最小限の損失で敵を倒すのが目標、かな」

海風「はぁ」

提督「ただ……見て分かる通り大した努力はしてないね。
俺、高雄と愛宕さえいればあとはどうでもいい部分あるし」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………」

提督「…………ま、今は海風にカクテル楽しんでもらうことかな。目標」

海風「…………」

提督「可愛い女の子を楽しませるのは人生の目標だからね」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………ふ、ふふ、これは……高雄さんたちも気が気ではないでしょうね。誑し、ってやつでしょうか」

提督「や、海風みたいな魅力的な娘が相手ならこれくらい仕方ないよ。
浮気とかでなくて、美的感覚や親しみって意味で、さ」


< 甲斐性とは何か >





海風「…………」

提督「…………」

海風「…………」

提督「…………言いたいことがあるなら、聞くよ」

海風「……私事で提督のお時間をいただくわけには」

提督「構わない。夜は長いんだからさ。
世の中の大体のことは一晩で済まされるんだぜ? 」

海風「…………」

提督「…………」

海風「……長いからこそ、その刻を無為に過ごしているような気がするんです」

提督「うん? 」

海風「海風は、兵士でしょう」

提督「あぁ」

海風「兵器である、とは思いません。
海風には逃げる意志も、自死する自由も残されている」

提督「……」

海風「しかし海風は戦いたい。これは確かな意志として、あります」

提督「……それならここで鍛錬積んだ後は前線にでも行きなよ。誰も止めないぜ? 」

海風「…………戦う以上に、海風は江風やあなたと生きてみたい。そう思うのです」

提督「…………」

海風「戦いたいという意志よりも、幸せになりたいという意志が強い。
海風は……海風は存在意義を捨ててもいいのでしょうか」

提督「…………」

海風「…………」

提督「…………俺はそれに答えはあげられないな」

海風「……そう、ですか」

提督「一緒に遊んで一時的に有耶無耶にはできるけど」

海風「それは……」

提督「俺は海風の自由だと思うよ。
ただね、俺がなんと言っても海風には納得できないはずだ。
生き方の答えなんて自分を騙すやり方を見つけないと辿り着けないからさ」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………ふぅ、思ったよりも、物事を考えているのですね。見直しました」

提督「馬鹿にされちゃ困るね。これでも男の甲斐性は人一倍持ってるんだ」


ありがとうございました


< ピンヒールのOLとかリアルで見たら感動すると思う >





提督「んあー、就活がしたいよたかえもーん」

高雄「私は青くもありませんし不思議なポケットも持ち合わせていませんが」

提督「タイトスカートでもパンツスーツでもいいからリクルート女子とお話したいよー」

高雄「何を馬鹿な。一回りは離れているでしょうが」

提督「恋愛にも火遊びにも年齢は関係ないじゃん? 」

高雄「……私や愛宕にも着せたくせに」

提督「それはまぁ……でもリクルートじゃなくてOLスタイルだしなぁ」

高雄「どう違うと」

提督「あとお前らはいい意味でも悪い意味でも慣れてるんだよ。
初々しさとかはない」

高雄「また注文の多い……」

提督「欲望に果てなんてないからなー……なんかこんなこと言ってたらエロいことしたくなってきた」


< 純情ビッチ、程までいかなくても >





高雄「八月三十一日の誕生石はアルマンディンガーネット。
石言葉は“ 純粋 ”、“ 純潔 ”、“ 穏和 ”、そして“ 心豊か ”」

雲龍「Littorioは失ったわけだけれど」

Littorio「また直接的な」

雲龍「でも人口が増えたからか純潔率は上がったわよね」

明石「さらに言うとその相手が全員同じという」

Littorio「よく考えなくても酷い状況ですね。
その全員が同じところで生活しているというのはいっそ笑えますけれど」

高雄「…………あなたたちには純潔と純粋が別物であることを理解してほしいですね」


< 予習復習は大事ですね >





漣「…………」

提督「お、やってるな」

漣「……どうもー」

提督「叢雲の教育はさすがだな。江風と海風もしっかり成長できそうだ」

漣「そりゃよかったですね……ふぅ。そりゃご主人様は楽ですもんね。勉強しなくていいんだから」

提督「…………」

漣「…………」

提督「…………」

漣「……最近は干物な妹というものがですね」

提督「俺、干物妹より普通の干物の方が好きだけど」

漣「チッ…………ま、ご主人様の妹なんて心労で死にそうなんで嫌ですけど」


< 堕ちてゆく誘惑 >





天城「ホテルオークラ東京、ですか」

提督「あ、俺行ったことあるぞ、友達の結婚式で」

天城「なるほど? 」

提督「あれはいい式だった。あいつも幸せそうだし」

天城「ふふ……提督とは逆ですね」

提督「あ? 高雄も愛宕も幸せにするつもりだが? 」

天城「あなたは共に堕ちる共犯者が欲しいだけでしょう」

提督「悪いかよ。幸せに純度とか濃度なんてものは無いの。
程度とか深度があるだけで」

天城「……そうですか」

提督「あぁ」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………天城も幸せになりたいのですけれどね。普通に」

提督「…………」


< そういう表情ができるなんて、ずるい >





高雄「今日の誕生花はハイビスカス。花言葉は“ 艶美 ”と“ 繊細美 ”」

提督「今日のカクテルはネグローニで、
カクテルワードは“ 人を楽しませる変わらぬ愛の持ち主 ”、なわけだが」

愛宕「美しきは愛ってこと? 」

提督「然り。美しさ、の部分はカッコよさとか優しさ、でもいいな」

愛宕「ふぅん」

提督「誰かの為に綺麗になりたいっていう気持ちは既に一つ綺麗になった証ってことさ。
ただ単独で存在する美しさはただそれだけだ」

愛宕「つまりあなたがカッコよく見えなくなったときはお互いに冷めてきたってことなのね」

提督「そう。愛ってね、必ず最初なんだ。
何かあるから冷めるんじゃない。冷めたから何か変わったと気付くのさ」






高雄「……………………突っ込みどころが無いというのもなにか……いえ、不満なんてありませんけれど」


< 知らないものを知ろうとして >





提督「人は皆手を伸ばすんだ」

愛宕「頤に? 指を? 」

提督「唇って女の子の心の扉だと思う」

愛宕「ん……んぅ…………」

提督「……ん」

愛宕「…………男の人の唇って扉の鍵だと思うわ」

提督「……そうか」

愛宕「うん」

提督「……もう一回」

愛宕「……ん」


< もちろんいる >





明石「提督に似合う眼鏡ってどんなのだと思います? 」

加賀「眼鏡? サングラスじゃなくて? 」

明石「や、サングラスは異様に似合ってたんでもういいんです。眼鏡ですよ、眼鏡」

加賀「でも視力は悪くないはずよ、彼」

明石「伊達眼鏡とかもありますし」

加賀「……鋭角の銀フレームだとか」

明石「いいですねー。私は黒眼鏡とかも案外可愛らしいような気がします」

加賀「そう」

明石「…………」

加賀「…………眼鏡トークが弾むヒトなんているのかしら」


< 辛口評価はオプションではなく通常です >





明石「こんな感じですか? 」

叢雲「そんな感じだけど……塩の入れるタイミング早くなかった? 」

明石「だいじょぶだいじょぶ。分量が同じならなんとかなるはず」

叢雲「はぁ? 料理は化学とか言ってたヒトのやることじゃないわよそれ」

明石「いやぁ……はは」

叢雲「…………」

明石「…………」

叢雲「……食べてみなさいよ。味見もだけど最後に味を確かめてみるのも大事よ」

明石「……食べてみない? 叢雲ちゃん」

叢雲「明石が食べて悪くなければいいわ」

明石「…………ん」

叢雲「…………」

明石「…………あれ、しょっぱい……」

叢雲「そう」

明石「…………食べてみてくれない? 」

叢雲「イヤ。それはしょっぱいかもしれないけど私の評価は甘くないんだから」


ありがとうございました


< そんなこと言って減らしたら、ねぇ? >





提督「ついに今年も九月、か」

愛宕「時間が経つのは早いわねぇ~ 。まだまだ夏の気分よ」

高雄「そうね」

提督「突然だが俺は今月の目標を立てた」

愛宕「? 」

提督「今月はヤるのを月の半分にする。疲れた、怠い、太陽が黄色そう」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……いっそ四分の一程度にしては」

提督「えっ」

愛宕「えっ」

高雄「……はぁ」


< ! >





高雄「九月一日の誕生石はタンザナイト。
石言葉は“ 優美 ”、“ 繊細 ”、“ 親切 ”、そして“ 人間愛 ”」

愛宕「まーた……」

高雄「人間愛、ですか。……ま、博愛という気持ちに似たものと思えば」

愛宕「博愛でも変わらないわよ。私たちにその辺の人間を守ろうっていう意志があると思うの? 」

高雄「……国家として、ならば」

愛宕「それはあくまで私たちの生まれ方に由来した感情でしょう?
私、っていう存在が不特定多数を慈しんでいる、なんてことはないわ」

高雄「…………」

愛宕「友の為に、愛の為に、ある意味でそれが“ 人間の愛 ”の限界かもしれないけれど、ね」

高雄「……人間愛を持った人間などいない、ということですか」

愛宕「そういうのって耳に心地良いでしょう?
理想だとか愛に人間だとか平等っね皮被せるの」

雲龍「皮? 被ってなかったわよね? 」

高雄「」

愛宕「」

雲龍「……あら……ん? 」


< 気付いた >





漣「思ったんだけど」

叢雲「なによ」

漣「叢雲ちゃんと漣の立場っていうかそういうのって同じくらいだよね? 」

叢雲「そうね。階級も、戦歴も、然程変わらないわ」

漣「それならたまには漣が講師役でもいいんじゃない?
勉強に参加することはもう諦めたからさ、ね? 」

叢雲「…………その程度のことに気付くのに何日か必要だったのに? できるの? 」

漣「」

叢雲「あいつが私に任せた理由はそういう部分でしょ。
私も司令官も漣が無能だとは思ってないわよ」

漣「そ、それなら今更復習しなくても」

叢雲「それはダメよ。現在の自分を常にブラッシュアップすることは必要なの」

漣「えぇ……だるーい」

叢雲「一応軍人でしょ…………ま、最終的に判断するのはあいつだから。頼んでみたら?
私も感情的に嫌ってわけじゃないし」


< 、ので頼んでみた >





提督「ん? いいぞ」

漣「えっ」

提督「ん? 講師役したいんだろ? 」

漣「ま、まぁ」

提督「叢雲も別の視点で復習してみたらいい」

叢雲「そうね。悪くないわ」

漣「そ、そう……あれ、本当に認められちゃったし」

提督「じゃ、明日な。俺も高雄あたりと少しくらい見に行くわ」

漣「え……え、明日? 」

叢雲「私の進めた続きを一日分引き継ぐだけじゃない。
レジュメなんていらないし明日は確認テストもお休みでいいわ」

江風「マジ? やったじゃン」

海風「でも復習はちゃんとしようね? 」

提督「ま、お前はちゃんと叩き込んでおけよ、内容」

漣「」

提督「…………」

叢雲「…………」

漣「…………は、嵌められたぁっ」

叢雲「人聞きの悪いことを」


< 唐突に始まる >





高雄「今日の誕生花は桔梗。
花言葉は“ 優しい愛 ”、“ 誠実 ”、“ 変わらぬ愛 ”、そして“ 従順 ”」

愛宕「優しい愛をくれる誠実だったあなたはいつしか」

雲龍「いつしか? 」

愛宕「永遠に変わらぬ変化の無い愛の渦へ堕ちたわ。
そして……私もそれに疑問を持たず従順に従うようになってしまいましたの」

雲龍「それで? 」

愛宕「終わりだけど? 別にこれ以上波乱とか必要ないでしょう」

雲龍「……まぁ、ハッピーエンドだものね」

愛宕「ええ。これも一つの解だから」

高雄「身につまされる、というかそのまま私たちというか……いえいえ」

愛宕「今のところはそんなことないけれどね」

明石「はぁ……………………ハッピー? え? 」


< そう、たとえばみずほフィナ……瑞穂ではない >





江風「エンブレムねぇ」

瑞穂「大変なことですよね。広告をつくった企業だとか関係者は」

明石「撤去前に写真撮ったりしたら記念ですよねー。マイナスですけど」

漣「エムブレム? 」

江風「ン、エンブレムだろ」

漣「エムブレム? 」

江風「……はぁ? 」

瑞穂「できることなら瑞穂もお力になりたいのですけれど……生憎とイラストなどは」


< 噴火の如き拳 >





提督「おおっ、霧島の怒りが鎮まってきたのか! 」

高雄「いや、桜島でしょう……」

提督「やっほーう、俺たちが飲んだお陰だぜ! 」

加賀「これはまた飲まねばなりませんね」

高雄「いやいや……」

提督「いいから。ほら」

高雄「ん……いただきます」

加賀「私にも」

提督「はいよ」

天城「天城にもいただけますか」

提督「ん」

明石「あ、私もー」

漣「漣もー」

愛宕「あたごんもー」

提督「お前ら……つーか、さらっとあたごんとか言うんじゃねぇよ」


< 月初めの >





提督「今日のカクテルはイタリアンアイスティー。
カクテルワードは“ 物事に手応えを感じる本格的な人 ”、だ」

高雄「一体何に対して本格的なのか」

提督「そりゃ……えー、ミステリとか? 」

高雄「はぁ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……ん……ぃゃ…………ぅん……誤魔化せると、思って」

提督「いや? 本格的に女体を研究しようかと」

高雄「女体、とか言……うなぁっ……」

提督「ん……」

高雄「! ……ん…………~~……ーーーー」

提督「……いい声、いい顔」

高雄「ーーーー……! 」


ありがとうございました


< 一限が終わりました >





漣「」

提督「お前さ……もう少し手加減してやれよ。質問し過ぎ」

叢雲「あら、あの程度は答えた上で私に新しい問題を出すところだと思うけど? 」

漣「」

提督「いやいや……教官いじめにも程があるだろ」

叢雲「でもあんたなら答えられるでしょ? 」

漣「……」

提督「当然だろあの程度。馬鹿にしてんのか? 」

漣「」

海風「あっ」

江風「ンっ」

高雄「やれやれ…………ま、似たもの同士、と言えば多少はマシに聞こえますか」


< その悲観だって妄想の類だからね >





高雄「九月二日の誕生石はグレイセミバロックパール。
石言葉は“ 妄想 ”、“ 流行に敏感 ”、そして“ 創造的破壊 ”」

漣「……漣の考えでは叢雲ちゃんは兎も角海風ちゃんたちに問題を解いてもらうつもりだったんですが」

高雄「その前に叢雲さんが質問してくる、と」

漣「あれ絶対昨日から考えてましたよね。
ご主人様と共謀した陰謀ですよあれはぁ」

高雄「しかし……なんとか答えていたでしょう?
あれならば然程問題は無いと思いますけれど」

漣「……ま、高雄さんもあっち側ですよね、そりゃ」

高雄「はぁ。……午後の講義、頑張ってね」

漣「はい。……………………漣もご主人様のサポート役だったんだけどなぁ、どうしてこんなに差が付いたんだろ」


< ちゃんと教育係できるかも! >





高雄「今日の誕生花は鶏頭。花言葉は“ お洒落 ”、“ 感情的 ”、そして“ 警戒 ”」

瑞穂「あの」

提督「ん? 」

瑞穂「瑞穂も先日から叢雲さんの講義を受けさせていただいてますけれど」

提督「おう。わかんないところでもあったか? 訊くなら夜に寝室で頼む」

瑞穂「お戯れを。……演習はどのようにすればよいでしょうか。
もちろん連携訓練は可能でしょうが」

提督「あぁ、お前と同じタイプのやつがいない、ってこと? 」

瑞穂「はい。千歳さんや千代田さんなどがいれば」

提督「んー……あんまり考えてなかったな」

瑞穂「はぁ」

提督「……そのうちなんとかしたいが……今は無理だな。千歳も千代田も」

瑞穂「そう、ですか」

提督「悪いな」

瑞穂「いえ、気になさらずに……あっ」

提督「ん? 」

瑞穂「あの、秋津洲さんという方もダメなのでしょうか?
確か現在はどの作戦にも従事せず横須賀にいると」

提督「…………」

瑞穂「……? 」

提督「…………可哀想なこと言うんじゃねぇよ、な? 」

瑞穂「はぁ? 」


< 筋肉で無理です >





雲龍「レジ袋水着……? 」

明石「世の中よくわかりませんね。世の中というか男性の趣味というか」

雲龍「そうね」

明石「……まさか雲龍さんはやったりしませんよね? 」

雲龍「残念だけれどできないと思うわ。物理的に」

明石「あぁ……胸が」

雲龍「明石は? 」

明石「できたって嫌ですよ……まぁ、たぶん私もできませんね。物理的に」

雲龍「そう……」

明石「ええ」

雲龍「…………江風とか」

明石「それは絵面的に無理でしょう。犯罪ちっく過ぎます」

雲龍「……」

明石「……」

雲龍「……提督なら」

明石「えっ」


< 修理という発想もなかなか >





愛宕「ぱんぱかぱーん! なんとなくだけどパンを焼いてみましたー」

提督「ぱんぱかパンか」

瑞穂「ふっ、ふふふ……」

Littorio「瑞穂……Littorioは少し心配です」

明石「いつの間にかパン焼いてるとか……この基地の設備も愛宕さんもとんでもないですね」

愛宕「ジャムとバターはここに置いておくわね。
ちゃんとスプーンはそれぞれ使うこと」

提督「はいよ」

瑞穂「ぱんぱ、ぱんぱっか……ふ、ふっ……」

Littorio「…………あの、えっと、修理とか」

明石「無理に決まってんじゃないですかこんなの。
パンでも食べて収まるの待ってるしかないです、たぶん」


< ウイスキーが、お好きでしょ♪ >





提督「今日のカクテルはクロンダイクハイボール。
カクテルワードは“ 気持ちにムラがなく信用を集める元気者 ”、だ」

愛宕「ウイスキー、というかハイボールっていいわよねぇ」

提督「そうだな」

愛宕「堅過ぎず、砕け過ぎず、ぶりっ子過ぎず、ね? 」

提督「いや、うーん? 居酒屋イメージも割と」

愛宕「そう? 」

提督「まぁ、グラスとか雰囲気で大分変わるけど……ぶりっ子ってなんだ? 」

愛宕「ファジーネーブルとか」

提督「お前それそれなりの人間に喧嘩売ってんだろ。
俺だって嫌いじゃないぞあれ」

愛宕「私も好きよ? 」

提督「ありがとう」

愛宕「あなたもでしょ? 」

提督「あぁ」





明石「…………いつ話がすり替わったんですあれ」


< この後気持ち良くなって気持ちよくなって悪化した >





提督「……踏んでください」

高雄「は? 」

提督「踏んで……グリグリして」

高雄「……ついにそこまで」

提督「…………長時間座ってて腰痛いんで踏んでください」

高雄「あ、そういう……」

提督「……踏んでください」

高雄「……ベッドまで行きましょうか。
踏みつけるより腰を乗せて指を使った方がいいでしょう」

提督「ん」


ありがとうございました


< もらい笑いすらしない >





高雄「九月三日の誕生石はブラックダイヤモンド。
石言葉は“ 愉快 ”、“ 優雅 ”、“ 前向き ”、“ 社交的 ”、そして“ 子供心 ”」

Littorio「子供心で思い出したのですけれど……瑞穂のユーモアセンスが心配です」

瑞穂「はぁ」

明石「いや、子供心って……あんなの子供ですら笑わないでしょう」

瑞穂「でも……笑ってしまうものは笑ってしまうのです」

明石「んん……まぁ、誰の迷惑になってないですし」

Littorio「しかしですね……ユーモアは個人の大切な資質なので」

雲龍「つまらないシャレは止めなシャレ? 」

瑞穂「ふっ、ふふふふふ」

Littorio「……本当ですよ。でも雲龍はその唐突な飛び出し方を止めましょうね」


< L4U >





高雄「今日の誕生花はサルビアブルー。
花言葉は“ 永遠にあなたのもの ”」

提督「俺もだよ」

高雄「私があなたのものだと宣言した覚えはありませんが」

提督「俺以外で満足できるわけないだろ? 」

高雄「……そんなことは」

提督「わかるさ。俺はお前を離すつもり、ないからな」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……あなたも、私のものですからね? 」

提督「当然。お前の為ならなんだって、ってやつさ」


< なんとはなくタグとか目に入る >





提督「下着メーカーにカクテルみたいな名前のところあるよな」

愛宕「ん……? あぁ、ピーチの」

提督「そ、ピーチの」

愛宕「ピーチフィズとか? 」

提督「うん。そんなの」

愛宕「……」

提督「……いや、それだけだが」

愛宕「はぁ……ま、私そこのはあんまり買ってないけど」

提督「だよな」

愛宕「そうそ……なんでわかるの? 」


< 引き続きまして >





提督「大きいサイズだと可愛いデザインのが無いって言うけど」

愛宕「ええ」

提督「海外のを通販すれば割とあるよな」

愛宕「そうね。一回頼んじゃえば後はそれを基準に選べるし」

提督「まぁ、その辺は多少難しい時代でもあるけど」

愛宕「んー……? 」

提督「ん? 」

愛宕「よく考えると私がまともに海外から通販してるのって下着と洋服だけね」

提督「ん? それで? 」

愛宕「着飾るために戦闘しているともいえるというか……ヤる為に殺っているような」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……も、問題ないだろ、な? 」

愛宕「そ、そうね」


< 酔ってるって自分で言うとき >





提督「今日のカクテルはイェーガーシューター。
カクテルワードは“ 数多くの分野で活躍する才能の持ち主 ”、だ」

江風「よく考えるとテートクって多才だよな」

提督「そうか? 」

江風「ン、高雄さンにはあンま褒めるなって言われたけど……酒飲んでるからな」

提督「なるほど」

江風「…………」

提督「…………」

江風「……海風のこと、頼ンだぜ? 」

提督「……江風、お前のことは? 」

江風「ンっ、江風は……今のとこは海風の姉貴がいればいいから。
テートクみたいな面白いやつがいればなおよし」

提督「そうか。……お前、幸せだよ。海風のこと、大切にしてやれよ? 」

江風「当たり前。テートクこそ、傷付けンなよ? 」


< グラスを手にすると思い出す >





龍田『ふふ……提督~? 』

提督『うん? 』

龍田『色々と噂がありますけれど~。天龍ちゃんに手を出したら、わかってますよね~? 』

提督『手が落ちる、ね。……じゃあ、お前ならいいのか? 』

龍田『わ、私? 』

提督『天龍には悪いが……俺はお前の方が好きだよ。龍田』

龍田『…………』

提督『ま、そんなことしたら高雄に殺されるかもしれないけどな、ははは』





龍田「…………天龍ちゃんがいなかったら、なーんて考えちゃうとはねぇ~ 。
あんなに大切なんだもの、捨てられないわよ、天龍ちゃんへの気持ち」


ありがとうございました


< 実際食くらいしか…… >





提督「先週から江田島の同期が北海道旅行に行ってるんだよ」

加賀「はぁ」

提督「だから色々とおすすめとかおしえといたわけ。
動物園とかラーメン以外のものの方が楽しいだろ? 」

加賀「動物園は行ったことがないのでわかりませんが……ラーメンはお願いします」

提督「高雄あたりに頼めっての。……で、何箇所か勧めたら今週の半分くらい雨っていう」

加賀「何の問題もないかと」

提督「特産食ってりゃ満足なら東京で金払えば食えんだよ。
旅行の楽しみは別の部分だと思うね」

加賀「はぁ。そうでしょうか。やはり私としては北海道の魅力は食のーー」

提督「お、おう……」





提督「食い下がるなぁ。お前らしいけど、さ」


< 地元ーク >





提督「札幌、観光、とくれば思い起こされるのは時計台なわけだが」

天城「あの残念観光スポットと名高い……? 」

提督「そうそれ。……まぁ、納得の評価だな」

天城「はぁ」

提督「でも俺は結構好きなんだよね。
内部では時計台の改築とか職人を解説した動画とか視れてさ。
万人受けはしないだろうけど悪くない」

天城「なるほど」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……露骨につまんなそうですね、お姉さん。
これで終わるんでその表情やめてください」


< 初めてまともに喋った、という >





高雄「九月四日の誕生石はタートイスシェル。
石言葉は“ 積極的 ”、“ 向上心 ”、“ 集中力 ”、そして“ 想像力 ”」

海風「あの、雲龍さん」

雲龍「なに? 」

海風「雲龍さんって積極的ですよね? なんか……コツとかありますか? 」

雲龍「……私、積極的? 」

海風「はい。特に……提督に対しては」

高雄「……積極的にも種類があると思いますけれど」

海風「その……海風も提督とお話したいのです」

高雄「…………」

雲龍「…………」

海風「…………」

高雄「…………そんなに、ですか? 」

海風「……はい。海風にとっては初めての男性ですので」

雲龍「あ、私もよ? 」

海風「そうなんですか? 」

高雄「……………………これ、誤解ですよね、きっと」


< 色褪せた世界で >





高雄「今日の誕生花はリューカデンドロン。
花言葉は“ 物言わぬ恋 ”」

愛宕「生き別れ? 」

高雄「……に、聞こえますね」

愛宕「あの人が死んだ後、か」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………太陽ですら直視できるわね、きっと」

愛宕「ん……あの人がそもそも太陽みたいな人だものね。
明るいものには慣れちゃってるし。
暗い世界では生きていけないわよね」


< りんごなほっぺ >





提督「今日のカクテルはジャックター。
カクテルワードは“ 心の仲間を求める白雪姫 ”、だ」

明石「白雪姫といえばリンゴですよ」

提督「ん、まぁ……」

明石「カルヴァドスお願いしまーす」

提督「へい」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……ほい、ロックでいいよな」

明石「もちです。提督も一緒に飲みましょ? 」

提督「ん……」

明石「ん……ん? 」

提督「……明石の口から飲ませてよ。グラス出すの面倒だ」

明石「や、や、や……さっきまで飲んでたでしょもー……」

提督「ん」

明石「……………………んー」


< 女としての矜恃とかはないのか >





加賀「ふぅ……雲龍、この串、美味しいわ」

雲龍「え? あ、ありがとうございます」

Littorio「か、加賀が食べ物を、分ける……? 」

加賀「なにか? 」

雲龍「……美味しいですっ」

加賀「そう……」

Littorio「……ありえない。まさかそんなこと……」

江風「いや、Littorioさンがおかしいだろ……なぁ? 」

高雄「……残念ながら加賀さんがおかしいですね」

愛宕「鬼の霍乱? 」

提督「同意。……思うところないのか? お前は。大食い女とか」

加賀「ないけれど? 私が私自身の誇りを忘れなければ一航戦加賀の魂は生き続けますから」


< 回るのは、酔い。進むのも、酔い >





明石「はぁ……海風ちゃん」

海風「はい? 」

明石「えっちぃカラダしてますねぇ」

海風「は、はい……? 」

明石「こう……発育がエロい! 」

海風「…………」

愛宕「困惑してるじゃない……相手を選ばないと」

明石「や、でも私も雲龍さんレベルはきついですし」

愛宕「それは……」

海風「…………エロ……エロい……? …………………提督は喜んでくれるでしょうか」

愛宕「……あなたも大概酔ってるわよねぇ……」



< ノーコメントというコメント >





雲龍「風俗の話だけれど」

瑞穂「」

提督「あー……生活習慣とか衣食の話だな? 」

雲龍「セックスの話なんだけれど? ハメてヤっての風俗」

瑞穂「……」

提督「いや、お前さ……は? 」

雲龍「どんな風俗があるの? 愉しかったジャンルは? 」

提督「いやいやいや……愉しんだこと前提なのか」

雲龍「行ったことないの? 」

提督「…………あー」

雲龍「…………」

瑞穂「…………不潔、です」

提督「……おーいー……雲龍ちゃーん……誤解されまくりじゃねぇーか」

雲龍「? 」


< 絡み酒にも許せる範囲が >





天城「たこわさです」

高雄「ありがとうございます」

愛宕「どーもー」

天城「いえいえ……」

高雄「…………」

愛宕「…………」

天城「…………」

高雄「……かっら」

愛宕「…………というかこれわさびじゃなくて……たこから? 辛子じゃない? 」

天城「あ、あれ? 江風さんからいただいたのですが……」





江風「ン……お茶漬けが染みるぅ……」

提督「いやいやいや……お前それお茶漬けじゃなくてパフェだぜ? ありえねぇ酔い方すんじゃねぇよ」

江風「ふーン? 江風に口答えすンのかぁ? 」

漣「んがっ、ちがっ、漣の口に苺おしこまない、ぐへっ、せめてご主人様に、うぼぉ」



< そういう関係 >





提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………杏酒、ロックだ」

叢雲「……ありがと」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「……乾杯」

叢雲「ん、乾杯」


< 素面じゃ言えないから >





提督「…………海風も江風も、瑞穂も。大丈夫か? 」

叢雲「……あんたよりはまともよ? 覚えも悪くない」

提督「まるで俺の覚えが悪かったような物言いだな」

叢雲「当然。あんたが一番馬鹿で……一番ばかだったわ」

提督「あ? 」

叢雲「……手のかかる。いいやつってことよ」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………お前はずっといやつで……いい女だ」

叢雲「は? 」

提督「……可愛らしい。愛したいってことさ」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………乾杯。愛すべきばかに」

提督「あぁ……愛すべき、淑女に、乾杯」


北海道の魅力とか逆におしえてほしいです……大好きですけど

ありがとうございました


< 割と茶飯事 >





雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………姉様、天城、シャワーを浴びたいのですけれど」

雲龍「……? 」

天城「……湯船に姉様がいらっしゃると落ち着かないのです」

雲龍「あぁ」

天城「はい」

雲龍「……つまり一緒に浴びたいというこ」

天城「姉様」

雲龍「? 」

天城「寝惚けるのも大概にしてくださいね? 本当に……。
そもそも姉様は何故天城の襦袢を着ているのですか。水浸しじゃないですかっ」


< 耳許から心に響く >





雲龍「…………Zzz」

提督「……よく寝てますね、お姉さん」

天城「そうですね」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……ちょっといいか? 」

天城「は、はぁ。何を……? 」

提督「まぁまぁ…………雲龍」

雲龍「…………Zzz」

天城「…………」

提督「…………遊ばないか、お前の部屋で」

雲龍「……………………行くわ」

天城「…………」

提督「……本当に起きるかよ」

雲龍「……? 」

提督「…………じゃ。後はよろしく」

雲龍「それじゃ」

天城「はぁ。……………………は? 」


< 三人寄れば姦しいとは言うけれど >





高雄「まぁ、執務をやっていただけるのであれば構いませんが」

愛宕「そうねぇ……私も同じかな」

天城「はぁ」

高雄「……しかし雲龍さんも大概朝に弱いですね。
実は夜間も夢遊病発症させていたりしませんか」

天城「さすがにそれは」

愛宕「眠そうな顔だものね。……エロそうな顔? 」

高雄「言いたいことはわかるけれど……」

愛宕「ね? ……天城もほら、コーヒーでも飲んで」

天城「ありがとうございます」

高雄「…………平和ですね」

愛宕「ね」

天城「……はい」


< 抉じ開けた唇は優しく閉める >





提督「……どう? 眠気、覚めた? 」

雲龍「…………もっと眠くなったわ」

提督「そうか」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……ここで寝てるか? 俺は執務があるから昼食べに行くけど」

雲龍「……寝てるわ。お昼もいらない」

提督「伝えとくよ」

雲龍「……ん。鍵、かけてって」

提督「うん? 外鍵持ってけってことか? 天城に渡せばいいのか? 」

雲龍「んん……こっち」

提督「ん……そっちの鍵は散々開けたからな……かからないかも」

雲龍「そういうときは、何度も、試せばいいのよ」

提督「…………ん、行ってきます」

雲龍「……いってらっしゃい」


< おそよう >





提督「おはようございます? 」

高雄「こんにちは。いえ……おかえりなさい、ですか」

愛宕「朝帰りどころか朝出って」

提督「ん、そうだな」

高雄「そうだな、じゃないですよ……」

愛宕「これから執務できるの? 」

提督「しなきゃならない。それが嫌でもね」

高雄「それは当然です。ただそのクオリティやスピードが」

愛宕「ん? なに、欲求不満なの? 今夜は素敵なパーティしちゃう? 」

高雄「…………」

愛宕「これからの二試合目はやめてよね~ 、ふふ」


< 一日中欲望が湧き上がる日とか >





高雄「九月五日の誕生石はゴールデンパール。
石言葉は“ 優雅 ”、“ 活発 ”、“ 陽気 ”、そして“ 楽しい気分 ”」

雲龍「……おはよう」

高雄「おはようございます。もうお昼過ぎですけれど」

雲龍「ええ。……ふぁ」

高雄「……楽しかったですか。朝から遊んで二度寝するのは」

雲龍「とても」

高雄「そうですか」

雲龍「…………」

高雄「…………」

雲龍「…………あの人は? 」

高雄「今頃愛宕と資料整理ですね。私はお休みですけれど」

雲龍「そう……」

高雄「…………ま、整理を始めて既に二時間ですからね。今頃何をしているやらわかりませんが」


< 散った花弁は戻らないからこその >





高雄「今日の誕生花はコスモスピンク。
花言葉は“ 愛情 ”と“ 少女の純潔 ”」

雲龍「海風や江風のを散らせたりはしないのかしら」

高雄「……あるとすれば叢雲さんと関係した後じゃないですか。
彼女を差し置く、というのは考えにくいような」

雲龍「確かにそうね」

高雄「ええ」

雲龍「…………膜を再生させたら感度も元通りになっちゃうと思う? 」

高雄「知りませんよそんなこと……それにそれってただの耳年増じゃないですか……」


< ヒトは皆主人公だから >





提督「今日のカクテルはカルーアリッキー。
カクテルワードは“ 人生で持ち味溢れるドラマのヒロイン ”、だ」

瑞穂「明石さんは毎週ドラマを観ているようですね」

提督「あぁ、大河な。……久坂ってもう死んだんだろうか」

瑞穂「先日は小倉城が落ちておりましたが」

提督「あ、余裕で死んでるな」

瑞穂「ですね」

提督「つーか、あいつもよく観るなぁ。尊敬の域だよ」

瑞穂「そう言われると観てみたくなるような」

提督「観なくていいよ。なんなら瑞穂は自分の人生の方が楽しめるはずだ」

瑞穂「はぁ」

提督「お前にはヒロインになれる資格があるからな。愛も戦争も仲間も、さ」


< 見た >





提督「はぁ……腰いてぇ」

叢雲「相変わらず盛っているのね」

提督「だって楽しいこと好きだもん」

叢雲「……ふん」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………資料室、なんで来たんだ? 」

叢雲「……漣たちの教材に使おうと思ったのよ。今日は結局持ち越しになったけど」

提督「…………悪いな」

叢雲「別に。そんなことよりあんたの盛ってる姿見た方が不愉快よ」


ありがとうございました


< とある朝餉の席で >





提督「はぁ……朝のブラックがぁ俺を生かしてくれる~ 」

雲龍「ミルクはいらないの? 普通の方のことだけど」

提督「そりゃミルクはミルクだよ普通。……ブラックじゃないとダメなのよ」

雲龍「ふーん……」

提督「おう」

雲龍「…………ネット巡回してたんだけれど」

提督「あぁ」

雲龍「密林ってローション安いのね。初めて知ったわ」

提督「お、おう……そっすね」

瑞穂「……………………朝はコーヒー、というのも悪くないものですね」

江風「……だな。砂糖とミルクは必須だけど」

瑞穂「瑞穂はミルクだけですけど……そうですね」

提督「ほーらー……俺もドン引きされてるよちくしょう」

雲龍「いいじゃない、減るものじゃないし」

提督「信用減りまくりだよ……」


< 行いとか性格とか >





江風「なーンであれでモテるンかな……」

瑞穂「……顔? 」

江風「確かにカッコいいけど……提督よりカッコいい人はいるじゃン? 」

瑞穂「まぁ、顔だけなら」

江風「筋肉とか優しさがそこまでいいかねー」

瑞穂「筋肉は……強さの象徴でしょう、安心だとか。
あとは単純に逞しさだとか。瑞穂も並には惹かれますよ」

江風「ンー……」

瑞穂「そもそも3高ですか? それを全て備えているのでは、一般論ですが」

江風「190位あるし、高級軍人だし……兵学校の席次良くて海大の甲種出てるンだっけ? 」

瑞穂「そのように聞いております」

江風「…………あれ、なンでモテてるか疑問だったンだっけ? 」

瑞穂「さぁ……」


< 黙れば黙ったでトークが終わらない >





高雄「九月六日の誕生石はサーペンティン。
石言葉は“ 上品 ”、“ 高貴 ”、“ 女性的 ”、そして“ しなやか ”」

雲龍「私、口でする時は相手が腰振ってくるものだと思ってたわ」

高雄「…………今の石言葉から何故その発言が出てくるのです」

雲龍「女性的とか? 」

高雄「いやいや……大多数の女性に喧嘩売るつもりですか」

雲龍「でも思ってなかった? まさか頭撫でられたりするなんて思ってなかったわよ」

高雄「…………」

雲龍「……? 」

高雄「…………しなやかに、かわしたいものですね、このような会話」


< 近頃面倒かもしれなくもない >





高雄「今日の誕生花はナスタチューム。花言葉は“ 愛国心 ”」

愛宕「愛国心より愛よね」

加賀「食事への愛ね」

天城「お酒です」

提督「女の子」

高雄「…………皆さん話逸らすの下手過ぎではないですか」

明石「ま、皆さん本心でしょうけどね」


< 夜の三冠王とは聞くが>





提督「トリプルスリー、ね」

雲龍「高収入、高身長、高学歴? 」

提督「それは3高だろ」

雲龍「きつい、汚い、危険? 」

提督「3Dじゃねぇよ」

雲龍「……カッコいい、筋肉質、巨こ」

提督「おい」

雲龍「……でも大きくないと、っていうし」

提督「……俺が言うのもなんだけど満足させてあげられるサイズだと思うぞ」

雲龍「だってあなたは全部満たしてるもの。むしろ大き過ぎるかもしれないし……褒めてるのよ」

提督「お、おう……ありがとう」

雲龍「それに…………野球なんてわからないわ」

提督「なら無理に絡んでこなきゃいいだろ……」


< 深く同意 >





提督「まぁ、その路線なら女の子の3Kは綺麗、巨乳、キスうま、だな」

雲龍「キス? 」

提督「上手いのと下手なのでは雲泥の差だぞ」

雲龍「ふーん……? 」

提督「キス上手くないとなんとなくスムーズにいかなかったりするしな」

雲龍「……なるほど」

提督「そういう子に時間かけて仕込むのもそれはそれでアリだけど」

雲龍「…………なるほど」


< ふと気付けば >





雲龍「あそこであの人が寝ているわ」

天城「はぁ、珍しいですね」

雲龍「陽射しが丁度入ってて気持ちいいのね」

天城「あれでなかなかハードな生活ですし。お疲れなのでしょう」

雲龍「それでハードな性活もこなすって……凄いわ」

天城「求めているのは姉様でしょう……」

雲龍「ん……」

天城「…………」

雲龍「……一緒に寝てくる」

天城「起こさないようにしてあげてくださいね」





提督「……………………雲龍? 」

雲龍「…………Zzz」


< 地域の皆さんとの交流 >





提督「そういや来週ここで遅めの花火やるから」

天城「はい? 」

提督「愛宕が見たいとかなんとか言ってたからな」

天城「はぁ」

提督「ま、運営とか屋台は陸軍に殆どお任せだけど」

天城「そんな職権濫用と天邪鬼を合わせたような……」

提督「俺はそういうやつだろ。……お前らでなんかやりたいなら一店舗くらいはできるぞ」

天城「天城はお祭り、というものに行ったことがないのですが……例えばどのような」

提督「射的とか金魚掬いは難しいだろうが……基本は焼きそばとか串とかその辺だな。食い物だ」

雲龍「あとはバナナとか? 」

提督「そうだな。……深い意味はないよな? 」

雲龍「ないわよ。私だっていつもいつもピンク色じゃないわ」

提督「お、おう……」

天城「…………そこで信じられない程のことをしているのが姉様なのですけれどね」


< 進行やホワイトボードも。企画会議 >





江風「はいはーい。江風はたこ焼きやりたいでーす」

高雄「一つ目、たこ焼き、と」

海風「はい」

愛宕「どうぞー」

海風「折角海があるのですし……海のものを焼いたりなどは」

高雄「二つ目、海鮮焼き、と」

瑞穂「瑞穂はやはり綿あめやバナナなどお子様に喜んでもらいたいですね」

愛宕「綿あめとチョコバナナは別々でいい? 二つ同時にってのは難しいわ」

瑞穂「もちろんです」

高雄「三つ目、綿あめ、四つ目はチョコバナナ」

江風「あっ、それで思いついたけどバナナチョコは」

明石「チョコバナナでは? 」

雲龍「え? 」

天城「え? 」

海風「……バナナチョコかと」

愛宕「んー……どっちにするの? 」

加賀「食べられればどうということもないでしょう、呼び方なんて」

叢雲「まったくよ」

漣「まーた、きのこたけのこみたいな話を」





Littorio「楽しそうですね、皆さん」

提督「楽しいことはいいことよ。Littorioも何かやりたいことないのか? イタリア的なものでもいいんだぞ? 」


< どう答えたものか >





提督「今日のカクテルはイェーガートニック。
カクテルワードは“ 都会的なセンスを持った叙情家 ”、だ」

明石「提督って田舎生まれでしたっけ? 都会の方でしたっけ」

提督「まぁ……都会かな。札幌のど真ん中だし」

明石「へぇ」

提督「つーかさ、都心と都会と田舎とど田舎は別だと思うんだよね。
帝都は既に普通の都会に収まらねねぇよ」

明石「なるほど? 」

提督「俺、帝都で札幌を田舎だと言い張る道民と都会だと言い張る帝都民見たことあるもん。
ぜってーあれは認識の差だね」

明石「それは……コンプレックスとかなんですかねぇ」


< 言いたいことはぐっと飲み込んで >





提督「ガキの頃は初夜にウェディングドレスでヤれると思ってたんだよ」

雲龍「え、できないの? 」

愛宕「できないことはないだろうけど。レンタルじゃなければ」

提督「あれ着るの結構重労働だしさ。汚すのも嫌だろ? 」

雲龍「汚すのがいいんじゃないの? 」

提督「だからだよ。その後も大事にしておくんだから欲望には晒せない」

愛宕「十二単は昔から初夜も想定されてるらしいけど」

提督「マジ? 」

雲龍「……神前にする? 」

提督「んー……ん、悩ましいね。やっぱドレスの高雄見たいし」

雲龍「ええ」

愛宕「そもそもヴァージンロードもヴァージンで歩かないし。
私は自分が綺麗に着飾れてあなたの隣を歩ければそれでいいわよ」

高雄「…………そうね」


< 黒の日@実話>





提督「高雄、今日の下着何色? 」

高雄「……黒ですが」

提督「へぇ……」

高雄「ん…………お風呂、まだ」

提督「……一緒にいこっか」

高雄「……はい」

提督「…………そ、首に手回して」

高雄「…………もう、つかまりました」

提督「ん」


< これも本当の話 >





明石「……さらっと話しかけてさらっと答えていきましたね」

雲龍「うらやま……なんなのあれ」

明石「……一応私たちから見えない感じでしたけど」

雲龍「見えるの気付いててあれですものね」

明石「はぁ」

雲龍「…………あ、そうだ。今日って妹の日らしいわよ? 」

明石「だからなんだっていうんですか……兄妹プレイをするとでも? 」


< 大体その辺が好き >





明石「吸血鬼、といえば」

漣「死なずの君? 」

雲龍「? 」

天城「ぼくが散ってしまってもきみは泣きもしないんだろ、とか」

雲龍「? 」

瑞穂「あぁ、それ提督の本棚にあったやつですね、瑞穂も読みました」

雲龍「……」

漣「他に……サッカーと蜘蛛が好きな」

雲龍「? 」

明石「ま、私は真祖の姫君とか好きなんですけどね」

雲龍「? 」


< こんな私はきっとふしあはせ >





海風「ふぁ……ねむい」

明石「ん? 彼氏と夜更か、夜遊びでもしたの? 」

海風「そんなわけ。いないの知ってるじゃないですか」

明石「まぁね。……本当なんで提督しかまともに関わりないんでしょう」

海風「作戦中の護衛艦の上でも事務的、というか必要最低限ですしね」

明石「私たちを嫌悪する人、恐れる人、逆にベタベタしたがる人、そんなんばっかですもんねー……」

海風「……はぁ」

明石「……なーんで提督しか、ねぇ」

海風「……でも明石さんも提督と、その」

明石「だから、ですよ。私だって一番になりたいんですよ?
あれだけ優しくてなんでもしてくれて……そんな人きっとあの人にしかもう出会えません」

海風「…………」

明石「…………」

海風「……何故あの人しかいないのでしょうね」

明石「まったくです」


ありがとうございました


< 久し振りに吸ったりすると美味しく感じたり >





提督「…………フ-……」

高雄「……少し、肌寒いですね」

提督「一応暦では秋だからな。……着いてこなくてもよかったのに」

高雄「……あなたが、暖めてください」

提督「ん……」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……ん…………フ-……。煙草を味わいやすい時期にはなったんだけどな。さみぃ」

高雄「……私も、一口だけ」

提督「……スイーツとかじゃねぇんだけど……ん」

高雄「ん……ぁ…………ゅる……っふ」

提督「…………」

高雄「…………殆どあなたの味でした」

提督「だろうね。……っふぅ…………戻るか。シャワー浴びないと」


< 背でゆらゆら揺れる金糸を纏めて >





提督「……おはよう」

愛宕「おはよ」

提督「…………コーヒーくれ」

愛宕「はーい」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………どうぞ」

提督「さんくす。……新しいバレッタか? 」

愛宕「そ、羽のデザインなのよぉ~ 。なかなか可愛いでしょ? 」

提督「似合ってるよ」

愛宕「当然。似合わないものなんて滅多にないもの、私」

提督「そうだな……あぁ。心からそう思うよ」


< そう言ってくれるのは知っているけれど >





高雄「九月七日の誕生石はヘソナイトガーネット。
石言葉は“ 元気 ”、“ 洗練 ”、“ 可愛い ”、そして“ ユーモア ”」

江風「ここにいるヒトは皆綺麗なヒトだけどさ」

海風「うん」

江風「可愛い、っていうと姉貴が一番だと思うんだ。
なんつーか……オンリーワンな属性? 」

海風「海風なんて……江風の方がずっと可愛いですよ? 」

江風「ンンっ……まぁ、江風もそこそこはイケてると思うけど」





提督「うん? なんだよそれ。お前は最高に可愛いよ。確かに綺麗さの方が先にくるかもしれないけど……なんかあったのか? 」


< せめて甲斐性と言ってもらいたいね >





「でも……あなたは皆に好かれるから」

「そんなことないよ。横須賀でも俺を嫌ってる子はいただろ? 」

「…………」

「……俺はね、可愛い、自分で楽しめる相手じゃないと好きにならないよ。なれない」

「…………」

「酒と女の子に妥協はしないんだ」

「…………ふふ、クズめ、と言って差し上げますわ」

「仕方ない。お前がクズにしたんだぜ」

「……悪い、人」

「…………」

「……でも…………大好き。私を壊して、私を私にしてしまって」

「光栄だよ。お前にそんな風に思われて」

「…………」

「…………」

「…………愛って、きっと半分も伝わってませんよね」

「それでいいさ。だからこそ……繋がりたいと思うのさ」


< その後のこと >





高雄「今日の誕生花はオレンジ。
花言葉は“ 微笑み ”、“ 愛情 ”、そして“ 花嫁の喜び ”」

愛宕「一緒に生きて一緒に死ぬこと? 」

提督「お前そりゃ妻の話だろ」

愛宕「うん? 」

提督「花嫁と妻ってたぶん別だよ。
花婿もそうだけど、新婚気分が抜けてからがやっと妻としてのスタートなんだ」

愛宕「なるほど……なるほど」

高雄「身体を許してからと暫く経ってからの違いのような」

提督「そうそ……いや、そう?違った? え? 」

高雄「……どう? 」

愛宕「高雄は? 」

提督「…………」

高雄「どうでしょうね……ふふ」

愛宕「わぁ……」

提督「え? え、なんなのなのその意味深顔……」


< フリーダム >





加賀「なかなか上手いものね」

提督「加賀もできるだろ。鯖捌くくらい」

瑞穂「鯖を捌く……? ふふ」

提督「えぇ……」

加賀「…………できないとは言わないけれど。
あなたの方が上手いと思うわ」

提督「本当かよ」

加賀「ええ。瑞穂、あなたはどう? 」

瑞穂「ふ、ふふ……あぁ、瑞穂もできはしますけれど……提督の方がお魚を傷付けずに捌けると思います」

提督「そうか。……何食べたい? 」

加賀「龍田揚げか塩焼きが」

瑞穂「瑞穂もそれでお願い致します」

提督「そうか。待ってな」

加賀「さすがに気分が高揚します」

瑞穂「しかし……ふふふ……鯖を捌く、砂漠で、ふふ」


< 浴衣グラ、おめでとう >





浜風「……変じゃ、ないでしょうか」

春雨「可愛いよ? ね? 」

時雨「あぁ、浜風はスタイルがいいからね。
浴衣は凹凸があるとメリハリが効くから」

浜風「しかし……一応サラシで潰しているのですが」

春雨「……それでそのレベルなんだ」

時雨「……僕は……くっ」

浜風「あればあったで不便もあるのですよ? 」

時雨「それは富もるものの言葉だよ」

春雨「姉妹で水着を着たときなんて……嫌になっちゃう」

浜風「はぁ……? 」



< 堕ちてゆく自らを認めるのは難しい。そう、愛よりも >





提督「今日のカクテルはイタリアンスティンガー。
カクテルワードは“ 人を正しき方向へ導く新しいヒーロー ”、だ」

天城「反対は何と言うのでしょうね」

提督「そりゃ……悪しき方向へ道を誤らせるヒール? 」

天城「自分を顧みれば分かりやすいのでは? 」

提督「さすがにヒールではないつもりなんだけど」

天城「……正しき方向ではないでしょうけれどね」

提督「……俺の考えとは違うけどお前らが人らしく生きることを望まないならさ」

天城「望まないのなら? 」

提督「俺と快楽の内に堕ちるってのも一つの正解だろ。
天城も……酒と快楽の世界、好きだろう? 」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………元より天城はあなたのことは嫌いではありませんからね」

提督「左様で」


< あなたこそ、そうですよ >





江風「昨日瑞穂と二人で色々と考えたンだけど」

愛宕「ええ」

江風「テートクってなンで存在できてるンだ?
女としてあれ以上ってなかなか望めなくない? 」

愛宕「さぁ……私に訊かれても」

江風「女関係でだらしなくても許されるって割と異常だと思うンだ」

愛宕「レベルだけは無駄に高いものねぇ」

江風「こう……ファンタジー的な存在のような」

愛宕「うーん……」

江風「…………」

愛宕「…………まぁ、一緒にいると夢見心地だったりするし。
確かにファンタジーみたいなものよね、あの人」


< 休肝……休精日? >





提督「ふぅ……今日は寝るぞ。寝るったら寝る」

愛宕「えぇ……つまんなーい」

提督「……Bくらいまでならいいけど」

愛宕「むぅ……」

提督「出すとね、疲れるんだよ? 男は」

愛宕「そこをなんとかぁ」

提督「甘え声でもだーめ」

愛宕「……気持ちよくしてあげるわよ? 」

提督「……高雄とヤってろよ」

高雄「私も今日はゆっくり寝たいのですけれど」

愛宕「……」

提督「……なんなら一人でも」

愛宕「いいわよ。別に……もしかしたら明日の朝足が濡れてるかもしれないけど」

提督「勘弁してくれよそれは」


高雄型の上二人にも何かお願いできませんかね……

ありがとうございました


< 廊下でのとある一幕 >





明石「海風ーー……で、ーーーー…………所為……」

提督「まぁ、……海風…………仕方なーーーー……」

明石「…………提督も、ーーーー……嫌じゃ」

提督「んー…………く、ないけど。……ーー…………嫌、かなぁ」





海風「」

提督「お? 」

明石「廊下の真ん中で突っ立ってどうしたの? 」

海風「…………」

提督「…………」

明石「…………」

海風「…………短い間でしたが、お世話に、なりました」

提督「……Why? 」

明石「……? 」


< 騎士、現る >





提督「あー……そういう? 」

明石「ふふ……海風ちゃんのこと、どうですか? 」

提督「どうって言われてもね……なんて言ってほしい? 」

海風「……海風は、ここにいても? 」

提督「当たり前だろ。俺、海風のこと、好きだよ。
可愛いし、優しいからね。陳腐な表現だけどこれがなかなか難しい」

海風「…………」

明石「でもこういことあるんですねー。なんというか名前が珍しいからでしょうか」

提督「そうだな。……海風で車と単車が錆びやすいって話をしてたんだよ。
好きな者同士それは嫌だなって話」

明石「提督は海風ちゃんみたいな子好きですからねー。
変な心配はしなくてもいいんですよ? 」

提督「顔色悪かったぜ? 大丈夫か? 」

海風「ぁ……………………はぅ」

提督「まぁ、海風の可愛いところを見れたと思えば……あっ、おい」

明石「走って行っちゃいましたねぇ……」

提督「行っちゃいましたねぇ、じゃねぇよ」





江風「おい、海風の姉貴泣かせたのはテートクかぁ? 」

提督「ほら面倒なのが来たじゃねぇか」

明石「ははは……」

江風「面倒ぉ? おい、姉貴が部屋から出てこなくなったじゃン。どうしてくれンだよ! 」



< 嫌われたくない、ということ >





江風「はははははっ、なーンだ、そういうことかぁ」

海風「…………」

提督「悪いな、勘違いさせて」

海風「い、いえ……海風が恥ずかしい間違いを」

江風「いやー……まさか海風の姉貴がそんな乙女だとはね」

雲龍「乙女でしょ。あなたも」

江風「は? 」

海風「……海風も江風も男性経験は」

江風「はーン……テートク、相手してくれるかい? 」

提督「しないよ。江風がどうしてもというなら吝かではないけど……あぁ」

江風「そうかい。……でも姉貴は」

海風「やめて。海風が提督を煩わせるわけには」

提督「…………」

雲龍「…………」

江風「…………」

海風「…………忘れて、ください。ごめんなさい」


< 重い >





高雄「九月八日の誕生石はパール。
石言葉は“ 堅実 ”、“ 持続 ”、“ 冷静沈着 ”、そして“ バランス ”」

天城「バランスを取っている、という意味では凄いのでしょうか」

高雄「バランスというか八方美人というか……」

天城「……これで回っているのならばそれも正解だとは思いますけれど」

高雄「あの人はそんなこと考えていないでしょう。
女性に強く出られたり逆に弱々しいところを見せられると放っておけない人ですから」

天城「高雄さんという方がいるのに」

高雄「…………そもそも私からして愛宕と三人でいることがベストだと思ってしまっていますから。
それはそれであの人とお似合いなのかもしれません」

天城「…………」

高雄「……ま、天城さんに理解してもらおうとは思いません、ら
私はあの人がいなければ生きていけない、そこまできていますから」


< 欲しい、ヤりたい、愛したい、そして >





高雄「今日の誕生花は黄菊。花言葉は“ 長寿 ”と“ 幸福 ”」

加賀「今のところ」

高雄「はい」

加賀「私たちは長く生きてしまうわけだけど。意志に関わらず」

高雄「……ええ」

加賀「あの人がいなくなってしまって、果たして生きていけるのか」

高雄「さて…………私は生きるつもりはないのですけれど」

加賀「そう……強いのね」

高雄「いえ、弱いのです。あの人の優しさがなければ生きていることさえできない」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「……愛って、誰かを、自らを幸せにしたい、なりたいと思うということなのね」

高雄「ええ。私は、その中でも欲張りな方だと思いますけれど、ね」


< オイルの臭いとかよくない? >





漣「ん? なにやってるんですか? 」

明石「えっと……新品のマッキーの匂いを嗅いでる? 」

漣「えっ……」

明石「どうしたの? 」

漣「ドン引きしてるんですよ……えぇ」

明石「え? マッキーとかのシンナー臭ってよくない? 」

漣「よくないですよ……気持ち悪い」

明石「えぇ……」

漣「いやいやいや……さすがにこれが少数派なわけないでしょ、ねぇ? 」


< 秋らしく >





提督「秋刀魚はいいなぁ」

加賀「はい」

提督「まぁ、お前は何食っても言いそうだが」

加賀「私にも好みはあるのだけれど」

提督「鯖の味噌煮」

加賀「美味しいわね。お味噌のまろやかさが鯖にマッチして」

提督「鰹のたたき」

加賀「素晴らしい。炙った部分と生の部分の差が酒を止まらせないわ」

提督「ガリ」

加賀「絶対に必要よ。美味しい、というわけでもないけれど、でも絶対に必要な味」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………嫌いなもの、あるのか? 」

加賀「……………………健啖なのはいいことじゃない」


< あぁ、彼女も美しい金糸を纏っていた >





提督「今日のカクテルはカルーアミルクマティーニ。
カクテルワードは“ 社会のルールを大切にする礼儀正しい人 ”、だ」

雲龍「ルールに反しているとは言わないかもしれないけれど……煙草女子ってどうなの? 」

提督「この国ではあまり歓迎されないもんなんじゃないの。体感だけど」

雲龍「でもあなたは嫌いじゃないのね? 」

提督「あぁ。あれはあれで悪くないものだよ。
キスって相手のことを知るためのものだからさ、煙草も一つのパーソナリティだし」

雲龍「ふぅん……」

提督「例えばだけど……バスコダガマのウィスキーって銘柄だったかな。
本人は付き合いで仕方なく吸ってたみたいだけど……カッコよかった」

雲龍「……昔の女の話、と」

提督「……キスも情熱的で……エロかったし」

雲龍「へぇ……私も吸おうかしら」

提督「やめとけ。止めはしないけど服や髪に臭い付くぞ」





Littorio「バスコダガマ、ですか。へぇ……」

高雄「? 」

Littorio「バスコダガマ、という銘柄はドイツのシガーなのです。心当たり、ありますか? 」


< 割とリーズナブル。ダイマ >





提督「この前俺の友達の話したじゃん。江田島同期の」

加賀「北海道旅行をしに行った方のお話かしら」

提督「あぁ。そいつは家族で行ったみたいなんだけどさ。
北海道ワインの本社工場行ってきたんだと」

加賀「と、いうことは」

提督「まぁ……酒とつまみ送ってきたな」

加賀「早く」

提督「一応工場でしか販売してない非市販品らしいぞ。2055本限定みたいな」

加賀「早く」

提督「…………涎出てんぞ」

加賀「はっ……出てないじゃない」

提督「嘘だし」

加賀「…………」

提督「いた、痛っ、いてぇよつねるんじゃねぇ。注いでやるからそれやめろ」


< 二世帯住宅にメリットはあるのか >





愛宕「私たちも三人でどこか行ったらお土産とか送るのかしら」

高雄「さぁ……そもそもどこかに行ければ、ですが」

愛宕「そこは夢見ておかないと」

高雄「はぁ。……送るんじゃないかしら。
お土産選びも楽しいものだと思うわ」

愛宕「なるほどねぇ」

高雄「……お母義様にも送らないと」

愛宕「なんなら同居? 」

高雄「私と愛宕と……時々加賀さんや明石さんが来て……いけると思う? 」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……おとなしく別居、ね」

高雄「ええ」


< もちろん。溺れさせた責任、とってよね >





提督「女の子ってどうしていい匂いするんだろ」

雲龍「……いい、匂い? 」

提督「好きな子の匂いが悪いわけないだろ? 」

雲龍「…………」

提督「自分に自信持てよ。なにもお前が迫ったから仕方なく抱いたわけじゃないんだ」

雲龍「…………」

提督「…………雲龍、お前のこと、嫌いだと思うのか? 」

雲龍「……高雄程貞淑でもないし、愛宕程朗らかでもないわ」

提督「お前は貪欲で、俺が欲しいって伝わってくる。
それはお前にしかないものだ」

雲龍「……………………優しくしてくれるのね」

提督「本音だけどな。……誤魔化してほしい? 」


人数を増やしたいのはやまやまなのですけどね……

本当。高雄も愛宕もキャラ立ってると思うんですけどねぇ


ありがとうございました


< 秋 >





明石「加賀さんは……考えるまでもなく食欲」

漣「芸術だと天城さんとかですかね。琴できるって聞きました」

明石「スポーツは……スポーツ? 」

漣「スポーツ……」

明石「…………」

漣「…………」

明石「……夜戦ってことにしておきますか」

漣「いや、それはどの季節もじゃないですかー」

明石「しかも何人かいますしね……」

叢雲「……………………普通に戦闘とか演習とかいくらでもあると思うんだけど。馬鹿なの? 」



< TPP。農業ではない >





明石「やっぱり私のスポーツの秋はスニークだと思うんです」

叢雲「なに言ってんのこの人」

漣「や、そんなこいつ馬鹿だろみたいな目で見られても」

明石「へっへー、GZもコンプした私に敵はないのですよー」

漣「漣はオープンワールドってあんまり好きじゃないんですよねー」

明石「そうなの? 」

漣「自由って押し付けられるものじゃないですし。
ゲームってむしろ楽しさを押し付けてほしいかなーって」

明石「なるほど」

叢雲「漣たちは普段が自由過ぎるものね」

明石「確かに」

漣「うん」

叢雲「…………そこは否定しておきなさいよ」



< それでもきっと同じ空を見上げているから >





高雄「九月九日の誕生石はアンモライト。
石言葉は“ 敬愛 ”、“ 素直 ”、“ 独立 ”、“ 宇宙的 ”、そして“ 用意周到 ”」

叢雲「……素直、ね」

高雄「…………」

叢雲「素直であろうとすればする程孤独になっていく。
人間って、ヒトってそういうものよね」

高雄「……だからこそ、素のままの自分を晒せる相手を皆欲するのです」

叢雲「……ばかみたい。私も、あなたも、あいつも」

高雄「……今の私が馬鹿なら。私は馬鹿が好きです」

叢雲「……………………ん……素直になっていたら、なにか変わっていたのかしらね」


< まて、それはおかしい >





高雄「今日の誕生花は白菊。花言葉は“ 真実 ”」

提督「実は俺高雄のことが好きだったんだ」

高雄「まぁ」

提督「ふふ……どうだ、驚いたろう」

高雄「それはもう。……私もあなたのことをお慕いしていますので」

提督「へぇ……」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………永遠に、真実であるといいですね」

提督「するんだよ。これは俺やお前がなんとかできる真実だからな」





雲龍「……何あの茶番」

天城「流れるようにキスを……あぁ、こちらに気付きましたね」

雲龍「ふん……どうせなら私も混ぜなさい」


< 海賊道は甘くない >





提督「今日のカクテルはルジェストロベリーカイピリーニャ。
カクテルワードは“ 努力で自分をより高めようとする海賊王 ”、だ」

漣「海賊王って。ご主人様モロに海軍でしょ」

提督「なんとも言えないね。カクテルワードに文句言うわけには」

漣「はぁ。……ま、確かにやってることは海賊みたいなものですけど」

提督「いやいやいや……ここの基地から出撃した面子が資源確保に動いたことはないが」

漣「それはそれでダメなような……」

提督「いいんだよ。努力なんてしなくていいならしない方がね」

漣「はぁ」

叢雲「これ甘い……口直しになにか頂戴」

提督「へい」



< フォークで食べたりすればなんとか >





瑞穂「ワイングラス片手にチータラとは」

加賀「ワインにはチーズが合うのだから然程おかしなことでも」

瑞穂「それが普通のチーズならその通りなのですけれど」

加賀「ふっ……私なら、チータラ片手でも絵になるでしょう? 」

提督「なるわけねぇだろ馬鹿。ほら……風呂入んぞ、風呂」


< 夕餉は栗ご飯だった >





提督「今日は重陽の節句です」

天城「はぁ」

提督「なのでー、浴場一杯に浮かべる菊を用意しました」

叢雲「馬鹿でしょ。入った後誰が片付けるのよこれ」

提督「それは……それはなんとかなるだろ」

叢雲「はぁ……」

提督「これは皆さんの長寿と幸福を祈念する機会ですので奮ってご参加くださいね」





高雄「何をどう奮うのかしら」

愛宕「それは……水着? 」

高雄「……あの人しか得しないわね」

愛宕「それは、うん。そういうものでしょ」

海風「え? でも参加するのは確定してるんですか? え? 」

江風「姉貴。いい加減、慣れようぜ、な? 」


< そんな気分 >





高雄「処理が面倒なので菊のお風呂は明日のお昼ということになりました」

提督「えぇ……」

高雄「仕方ないでしょう。せめて計画くらいは立てておいていただかないと」

提督「適当に網で掬えばいいじゃん」

高雄「そんな簡単なことでは」

提督「俺もう水着パーティ気分なんですけどー? 」

高雄「…………」

提督「ねーえー? 」

高雄「…………愛宕を呼んできます。部屋にいてください」

提督「ん? 」

高雄「……私も、楽しいことは好きですから」

提督「……うん? 」


< 愉快な戦艦ティータイム >






金剛「ンー……なんだか忘れられている気がするネー」

霧島「はぁ」

山城「むしろ姉さまのことを永遠に忘れてほしい男がいるわ」

扶桑「ちょっと山城……」

金剛「提督……Telephoneでもしようかナー」

霧島「……そういえば誕生日以外でしたことってありませんね」

金剛「だって提督の迷惑じゃないかなって思」

山城「かけなさい。むしろあの男の迷惑ならなんでもいいわ」

金剛「hahaha……山城は相変わらず扶桑が好きネー」

山城「それが私の誇りよ」

霧島「…………うちの姉妹にも似たようなのがいますけどさすがにこれは」

扶桑「いい子なのよ? あの人が関わらなければ」





ありがとうございました


< コーデの切り替えはお早めに >





加賀「大分涼しくなってきたかしら」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………そういえば最近は一人寝ばかりね」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………」

加賀「…………新しいニットでも出しておきますか。ついでに下着も」


< 賢者の衣装も悪くないと思うんだよね >





提督「……腰痛い」

愛宕「ふあ……ねむねむ」

高雄「…………久方振りに三人一緒の寝坊ね」

提督「……ん」

愛宕「……ここまできたらお昼まで寝てても」

高雄「それはダメよ。執務があるし」

提督「あるし? 」

高雄「菊風呂、するんでしょう? 」

提督「あー……」

愛宕「……やるの? 」

提督「なんかどうでもよくなってきた。
俺はなんで昨日あんなにやりたがってたんだろ」

愛宕「それはもちろんヤりたかったからでしょ」

高雄「なんなのそのドヤ顔……」


< おおあめとくべつけいほー >





明石「はえー……鬼怒さんおにおこですねぇ。マジパナイ」

叢雲「むしろ鬼怒より利根じゃないの?
利根水系の方が荒ぶってるじゃない」

明石「新潟だと阿賀野さんもヤバいですね」

叢雲「そんなこと言ってたら瑞穂なんて毎年何某か怒ってることになっちゃうけど」

明石「……大丈夫ですかねあの辺」

叢雲「……さぁ。陸軍がなんとかするでしょ」

明石「…………私もなにかできるといいんですけどね」


< TKG is God >





提督「うーん……久し振りに食べるがこの味、なかなかに侮り難いね」

愛宕「ま、実際は単に時間が無いからなんだけどねぇ~ 」

提督「いいじゃん。シンプルでも美味いのは素晴らしい」

愛宕「そうだけど」

加賀「鰹節に揚げ玉にしらす。このようなものでも味にアレンジを加えることができるのよ」

提督「あぁ」

瑞穂「……加賀さんもう三杯目なのですけれど」

加賀「なにか? 」

瑞穂「……いえ」

天城「この味覇というものは……なかなか素晴らしいものですね」

雲龍「確かに美味しいけれど…………どうして寝坊したか考えると……もう」


< 突発性症候群 >





鈴谷「んあー! 」

龍田「どうしたの? 」

鈴谷「……鈴谷も彼氏ほしーい! 甘やかして愛してくれるイケメンがぁーっ」

龍田「……そんなの都合よくはいないわよ」

鈴谷「こんなとき提督がいればっ」

龍田「仮にいても一番じゃないけれど? 」

鈴谷「いいもーん。ていうか龍田こそいいの? 」

龍田「ダメな理由は? 」

鈴谷「…………」

龍田「…………」

鈴谷「……いや、鈴谷が言うのもおかしいけどなにもかもダメでしょ、ふつーに考えて」

龍田「そう? 」


< さおりん……さん >





江風「霊長類最強の女、ねぇ」

Littorio「これだけ長い間勝ち続けるのも凄いですね」

江風「江風にも挑戦させてくンねぇかなぁ」

Littorio「勝てると、思いますか? 」

江風「勝てないと、思うのか? 」

Littorio「…………」

江風「…………」

Littorio「……ま、普通にやれば勝てるはずなのですけれどね」

江風「うン……やめとくよ、なンとなくだけど」


< なにかを創造するような発想で >





高雄「九月十日の誕生石はアンドラダイトガーネット。
石言葉は“ 創造 ”、“ 妄想 ”、“ 努力 ”、“ 向上心 ”、そして“ 前向き ”」

愛宕「どう? 」

高雄「似合ってるわ。似合ってるけれど」

愛宕「そ、まぁ心配なんてしてないけど」

高雄「……室内でそんな布地の少ない水着を着ていると痴女みたいよ」

愛宕「あぁら、昨日の夜は高雄もよっぽど」

高雄「知りません」

愛宕「よっぽど痴女っぽい姿で」

高雄「知・り・ま・せ・ん」

愛宕「そう? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………ふふ」

高雄「…………」

提督「……あのさ、目の前に俺いるんだけど、ねぇ。わかってる? 」

高雄「……今日の誕生花はミカエルマスデイジー。
花言葉は“ 華麗 ”、“ 魅惑 ”、“ 誘惑 ”、そして“ 追憶 ”」

提督「誤魔化し方下手過ぎんだろ……おい。つーかお前も目の前で脱ぎだすなよ。誘惑かよばか」


< 菊の花程多くはない欲、だと思いたい >





提督「あー……菊風呂デーでーす。各自そこそこ楽しむことー。以上」

漣「やる気ひっく。昨日からなにがあったんですかご主人様」

提督「まぁ、ナニがね」

漣「……今月頭には半分に減らすとか言ってませんでしたっけ」

提督「それは……これからよ、これから」

漣「月末に我慢できるんですかね……」

提督「無理」

愛宕「無理ねぇ」

雲龍「無理ね」

高雄「…………」

漣「…………なんで増えてるの」

叢雲「…………ふん、馬鹿ばっかなんだから。まったくもう」


< 大概女の子関係だけれど >





叢雲「そもそもどうしてこの時期に水着なんて……」

江風「とかいいながらちゃンと着てくるあたり、ね? 」

叢雲「だって参加しないと五月蠅いじゃない、司令官が」

海風「好かれてますものね、提督に」

叢雲「はぁ? それはあんたたちもじゃない。
どうでもいいやつへの冷たさを知らないから」

江風「知らないから? 」

叢雲「ただの太平楽よりももっと……」

海風「もっと? 」

叢雲「……いえ、いいわ。ここでは皆気にかけているようだし。
わざわざこんなこと言わなくても」

江風「……気になる言い方するなぁ」

海風「…………いや、でも叢雲ちゃんがそんな言い方するってよっぽどの。うん」

漣「それでいいと思いますけどね。
ご主人様の暗いところなんて山ほどあるんですし」


< 結局そこに集約される >





提督「ほー……チューブトップ、ね」

Littorio「な、なんと地中海的な」

提督「ん? 嫌? 」

Littorio「そんなことは……Littorioだって」

提督「うん? Littorioだって、なんだ? お尻を半分以上出した水着を着ててなんだって? 」

Littorio「……ん、……はふ」

提督「…………ふぅ」

Littorio「……まったく。Littorioは高雄達ほど従順では、冷たっ」

高雄「……何か? 」

Littorio「…………会話中に水をかけるとはいい度胸してますね」

高雄「あぁ、ミスですよ、ミス」

Littorio「本来入浴中にそんなことあるわけ……ふふ」

高雄「どこからでもかかってきなさい? 」





愛宕「わーいっ」

明石「ちょ、ちょ、私が何したっていうんです、やめやめやめぇ」

愛宕「逃げ惑いなさーいっ。はははーっ」

明石「ひえー」

瑞穂「……自由過ぎませんか、さすがに」

加賀「楽しむ時は全力でいいのよ。なにより楽しんだあとの食事は特に素晴らしいものなのだし」

瑞穂「はぁ」


< さすがに水着を剥ぎ取ったのは反省している >





提督「今日のカクテルはホットモーツァルトミルク。
カクテルワードは“ 心理状態を上手く調節できる天才 ”、だ」

高雄「…………」

Littorio「…………」

提督「本気で遊ぶのはいいことだけどな」

愛宕「テンション下がり過ぎよね」

高雄「……寝てきます。疲れました」

Littorio「……Littorioも。いい加減瞼が」

提督「ご自由に。……結局俺もべっちゃべちゃにしやがって」

愛宕「ふふ……人気者だからぁ」

提督「叢雲とか本気で殺意向けてきてたじゃねぇか。
あんなもん普通は遊びで出すかよ」

愛宕「遊びだから出せるのよぉ」

提督「…………ま、明石よりはマシか。
あいつもう寝てるレベルでぐっすりじゃねぇか」

愛宕「ちょーっと遊び過ぎちゃったものねぇ」

提督「ちょっと? 」

愛宕「ちょっと」

提督「……あ、そう」


ありがとうございました


< 別に他意はないかも >





高雄「九月十一日の誕生石はレインボーフラーライト。
石言葉は“ 自信家 ”、“ 内向性 ”、“ 社交的 ”、そして“ 頭脳明晰 ”」

提督「もしかして瑞穂ってさ」

加賀「ええ」

提督「秋津洲のこと滅茶苦茶凄いやつだと思ってないか。
頭脳明晰かつ戦績がー、みたいな」

加賀「あなたはそうではないというの? 秋津洲が」

提督「違うとは言わないけどさ……このまま会ったときどうなると思う? 」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……秋津洲の努力に期待しましょうか」

提督「……ひでぇな。実際それしかできないんだけど」

高雄「…………私からすれば二人とも酷いと思いますけれど」


< 健康第一ではあるのだが >





高雄「今日の誕生花はアロエ。
花言葉は“ 健康 ”、“ 信頼 ”、“ 迷信 ”、“ 苦痛 ”、そして“ 万能 ”」

天城「天城たちは人間ではないからいいとして提督はよく身体壊さずにいますよね」

提督「そうか? 」

天城「糖尿も痛風もないんでしょう? 」

提督「まぁ」

高雄「きっと早死にしますよ。ある日突然みたいな」

提督「苦しむよりはいいと思うけどなぁ……腹上死とか割と」

天城「はぁ……」

高雄「……私は嫌ですよそんなの。私以外の女にしてくださいね」


< きっと最良の選択をしたのだと >





提督「今日のカクテルはゴッドファーザー。
カクテルワードは“ 物事を両面から見て取れるスペシャリスト ”、だ」

愛宕「疲れる生き方よね、それ」

提督「かもな」

愛宕「……それが嫌だったから横須賀と出世を諦めたのよね? 」

提督「いや? 単に俺があそこに値する人間じゃなかっただけさ」

愛宕「そ、あなたはそう思いたいのね」

提督「…………」

愛宕「……別にそれを弱いとは言わないけれど」

提督「…………今の時間が気に入らない? 」

愛宕「んーん、もし今でも私や高雄と会っていなければ出世してたのかって」

提督「さぁ……そんなの考える価値もないからな。もしか、なんて幸せを基準に考えるものだし」


< 悪いとは言ってない >





提督「お前も大概アップル好きだな」

明石「提督も、コアントロー好きですね」

提督「ホワイトキュラソーっていったらこれだろ」

明石「……サイドカー、甘めになっちゃいますよ、かなりまろやかに」

提督「いいだろ、きついよりは。俺甘いの好きだし……煙草は甘いの苦手だけど」

明石「はぁ。……カルヴァドスってなんでこんなに美味しいんだろ」

提督「さぁ……アップルブランデーだとサイドカーもより甘くなるじゃん?
頬や肌が朱く染まった女の子と同じだね」

明石「下ネタ、酷いですよ」

提督「んー? 」

明石「……まったく」

提督「下ネタか? 女の子のそこが可愛い、って話だぞ」

明石「あなたが言うと大概下ネタに聞こえるので」

提督「えぇ……なにそれ」


ありがとうございました


< 一日の始まりだけどね >





明石「…………あれ」

提督「…………Zzz」

明石「……あれ? 昨日は……まぁ、この状況から導き出される答えなんて一つだけど」

提督「…………Zzz」

明石「全く記憶に無い……」

提督「…………ん……? ……………………Zzz」

明石「ゃ……抱き締めないで……んぅ」

提督「…………Zzz」

明石「…………」

提督「…………Zzz」

明石「…………ま、終わり良ければなんとやら、ですかね」


< 浴衣は見るもの。着るものではない >





江風「花火は明日かぁ」

海風「やはり日曜日の方が近隣の方もいいでしょうし」

江風「あぁ、なるほど。……でもその花火が女のおねだり聞いて開催されてると知ったらどう思うンだろ」

海風「それは……」

江風「しかも運営は陸軍と住民に任せるとか」

海風「……でも江風だってずっと警備とかするよりは屋台回ったりする方がいいでしょ? 」

江風「ン、だけどそれをテートクがやってもいいのかってこと」

海風「…………」

江風「……ま、江風もテートクの立場ならそうするさ。
職権を濫用してまでなにかしてあげたいパートナーはいないけど」


< 人間が一 >





加賀「空母が三」

明石「工作艦が一」

Littorio「戦艦が一」

加賀「重巡が二」

明石「駆逐が四」

Littorio「水母が一」

加賀「……バランス酷いわね。今更ながら」

明石「潜水艦は兎も角軽巡ゼロっておかしいでしょう」

Littorio「その前は駆逐もゼロでしたし。改善されたとも言えますけれど」





提督「え? だって軽巡でエロい子なんて…………あれ、沢山いる気がする」


< 海風から搾取、と考えると >





高雄「九月十二日の誕生石はペリドット。
石言葉は“ 勇気 ”、“ 熟成 ”、“ 潜在力 ”、“ 感受性 ”、そして“ ナルシスト ”」

瑞穂「相応の能力を持っていさえすればナルシストには見えないものなのですね」

高雄「そもそも大体の場合においてナルシストとはレッテルに他なりませんから」

瑞穂「ええ。嫉みなどの所為が殆どで」

高雄「…………」

瑞穂「…………」

高雄「……ま、ナルシストに見えないからまともだとはなりませんが」

瑞穂「……ええ」





提督「ふははははっ、これで俺の六勝目だぜ! 強いイケメン頭もいい! 」

叢雲「……馬鹿なの? 大富豪程度でその面とか」

提督「あーん? 勝ってから言ってくれよ叢雲ちゃーん」

叢雲「…………漣、カードを切りなさい。今すぐに」

漣「はいはーい。……ずっと三位の漣も微妙ですね」

海風「……最下位、というか大貧民なんですけれど」



< 龍だって恋をするのだから >





高雄「今日の誕生花は竜胆。花言葉は“ 的確 ”、“ 正義感 ”、“ 誠実 ”、“ 貞淑 ”、そして“ 淋しい愛情 ”」

Littorio「淋しい愛情も愛は愛なのですけれどね」

高雄「結局本人が満足できるかどうか、ということですか」

Littorio「……他人の愛を笑ってはいけないということでもあり」

高雄「まぁ、笑われてやめる愛に価値などないはずですけれど」

Littorio「…………」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「…………しかし、時々自嘲することくらいは許してほしいものですね」



< よく見る表現 >





愛宕「思わず恋をしてみたくなる。二十代女子に共感を呼んだラブストーリー」

明石「思わずしたくなるものなんですかね……」

Littorio「恋って気付けば落ちているものなのに」

明石「おおう……」

雲龍「落ち始めたら止まらないって誰かおしえてくれればよかったのに」

明石「おおう…………」

高雄「はっ、思わず恋をしたくなる映画を観るくらいなら落ちない方法でも考えている方がいいと思いますね」

提督「くぅー、辛辣だね。映画嫌い? 」

高雄「……」

明石「いや、どう考えても提督に言ってるでしょ……」



< むしろ父親の方が怖い >





提督「今日のカクテルはゴッドマザー。
カクテルワードは“ 他人の考え方を受け入れられる優美な人 ”、だ」

雲龍「お母様はお元気? 」

提督「たぶんな」

雲龍「そう……」

提督「あぁ」

雲龍「……母親になったことがないからわからないけれど」

提督「おう」

雲龍「息子があなたみたいなのってどういう気持ちなのかしら」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………い、一応高級軍人だし? 内面も悪どかったりはしないぜ? 」


ありがとうございました


< 60円でお酒は買えない >





雲龍「……………………花火になったら起こして」

天城「いやいやいや、せめて朝食はしっかり摂りましょうよ」

雲龍「…………眠いのよ」

天城「……早起きは三文」

雲龍「の徳とか笑わせないで。60円にも満たないじゃない。
私やあなたの資産から考えてみなさい」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……どうしたの? 」

天城「いえ……そう言われると天城も何も言い返せないな、と」


< 理想 >





雲龍「……あの人といつまでも繋がっていること」

加賀「あらゆる食べ物が瞬時に現れて給仕があの人。隣に赤城さん」

天城「…………」

瑞穂「…………」

提督「口移しで酒飲ませてくれる女の子がずっと隣にいることかなぁ。
柔らかいソファで、その子が高雄と愛宕なら最高だね」

江風「…………」

海風「…………」

高雄「…………業の深さ、底なしですよね」

愛宕「私はそれでいいんだけれどねぇ~ 」


< まず制服をどうにか……しなくていいです >





高雄「九月十三日の誕生石はヘリオドール。
石言葉は“ 健全 ”、“ 穏やか ”、“ 優しい ”、そして“ バランス感覚 ”」

提督「高雄は俺に色々言うけど」

高雄「はぁ」

提督「お前が大体悪い。高雄のこと見て健全だとか言うやつがいると思うか? 」

高雄「私は健全だと思ってますけれど」

提督「……男で」

高雄「あなた以外の男性と関わるつもりがないので無意味なお話ですね」

提督「あ、そう」

高雄「ええ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………いやいやいや、誤魔化された気がするんだけど。
エロエロな女の子の所為なんだよー、男の馬鹿は。ねぇ? 」


< 肉を切らせて骨を断つ~。ふふ >





高雄「今日の誕生花は彼岸花。花言葉は“ 諦め ”と“ 悲しい思い出 ”」

天城「諦めなさい。高雄さんと比べればどう足掻いてもあなたのそれは品の無いものとなります」

提督「雲龍が俺よりもヤバいように? 」

天城「ええ」

提督「加賀の食への探究心がヤバいように? 」

天城「え、ええ」

提督「天城の酒好きがヤバいように? 」

天城「え……ええ、そうです」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………天城が認めるんじゃなぁ。俺も認めないわけにはいかない」

高雄「ですね」

天城「……………………なにか一番負けたのは天城のような気が」



< 蛙の子は蛙、みたいな。違うか >





叢雲「で、結局何の店も出さなかったのね」

漣「皆勝手に遊びたいのは変わらないもんねー。なにやりたいかもまとまらなかったし」

叢雲「まったく……飼い主に似る、というか上官に似る、ね」

漣「ははは……」

叢雲「……それが普通に思える自分が一番嫌」

漣「嫌? 本当に」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「…………ま、シーレーンに出ずっぱりよりはマシだけど? 」


< 撫子は七変化したりするらしい >





天城「はい、このように」

Littorio「Grazie.……思ったよりきつくはないのですね」

天城「ええ。浴衣はあまり。……和服も着方を心得れば然程辛くはないのですが」

Littorio「そう……そのときはお願いね、天城」

天城「もちろん、お任せください」

Littorio「あぁ……それにしても天城がいればどんなものでも綺麗に作法通り身に付けることができそう」

天城「そんなことは。天城もまだまだ、ですよ」

Littorio「これが、この国の淑女。謙遜、というものでしょうか」

天城「いえ…………ふふ」

雲龍「…………よかったわね。瑞穂に勝てる部分があって」


< 割と重い発言 >





Littorio「しかしこのように民族衣装、というものを着てみると祖国には無いのが悔しいですね」

天城「はぁ」

Littorio「まぁ、サルディーニャのものがそうだといえばそうなのですけれど」

天城「Littorioさんの邦には他に素晴らしいものがあるではないですか」

Littorio「……ヒトは、今あるもののその上を求めるものでしょう、いつでも」

天城「…………」

Littorio「……あなたも、最高のお酒のそのまた上を求めるでしょう? いつまでも」

天城「ん……? まぁ、そうですけれど……天城って誰からもそういうイメージなのでしょうか。提督だけなら兎も角」


< この後もう一度撮り直しました >





提督「江風、もうちょっと真ん中寄れ」

江風「りょーかい」

提督「ん。……ま、こんなものか」

愛宕「じゃ、撮りましょうか」

高雄「全員浴衣というのもなかなか珍しいですね」

提督「なんてったって俺もだからな。天城に貰ったやつ」

愛宕「そう……あなたの見立て、素晴らしいわ」

天城「どういたしまして」

江風「テートクー、ちゃっちゃと撮って屋台行こーぜ! 」

提督「はいよ。……さて、この日この時この瞬間に何がしかを共有できることを嬉しく思います、パシャ」

高雄「は? 」

叢雲「まったくカメラ見てないんだけど」

明石「急過ぎですよー」

提督「もう一枚撮り直すって。…………間抜け面があったりするのって修学旅行とかで定番だろ? え、そんなの知らない? パシャ」


< 聞かなかったことにしたい。そんなこともある >





江風「金魚って基地で飼ってもいいと思うか? 」

海風「さぁ……提督は何も言わないと思うけど」

江風「だよな。よし」

海風「頑張ってね」





加賀「あら……あなたたち何持ってるの? 」

海風「ははは……江風が張り切ってしまって」

江風「わりぃ……金魚、いらない? 」

海風「いらないですよね……」

加賀「聞くところによると金魚ってあまり美味しくないらしいわね。残念だけどいらないわ」

海風「…………お店に返してこよ? ね? 」


< りんご飴、美味しいよね >





提督「ふぅ……花火はあと三十分くらいか」

愛宕「そうね」

提督「……口の中でリンゴが大渋滞してる」

愛宕「んふ……舐めとってあげま」



「あれだよ。この前片腕吹き飛ばされてたやつ」

「はーん? よくもまぁ吹き飛ばされても生きてんな」

「蜥蜴が蛸かって話だよな。……おれあの時丁度外出てたからさぁ。見たくもないもの見ちまったよ」

「そうか。……化け物の分際でよく人間面ができるな」

「ま、化け物に恥なんて概念は無いんだろ」

「違いない」



愛宕「ね、やめて」

提督「……何が? 」

愛宕「私は気にしないから」

提督「それで? 」

愛宕「…………言いたいこと、分かるでしょ? 」

提督「俺がどう思うかも分かるよな? 」

愛宕「…………」

提督「…………こういうときくらいカッコつけさせとけよ」

愛宕「…………」

提督「……男の子ってね、この一瞬の為に普段は女の子に頼り切りなんだ」


< 花火はもう間近に >





瑞穂「はふ……人混みに慣れないとなかなか」

江風「お、瑞穂さンじゃン? 」

瑞穂「あら……どうしたの? 」

江風「や、テートクに声かけようと思ったら愉快なことになりそうでさ」

瑞穂「はぁ」

海風「何話してるんだろう……あんまり聞こえませんね」

瑞穂「いつの間に……四人? あまり愉快な雰囲気ではなさそうですけれど? 」

江風「さぁね。江風には愉快だと思っただけでさ。……焼きそば、食べる? 」

瑞穂「少しだけ、頂きましょうか」

海風「……愛宕さん、何かあったらちゃんと止めてくれるよね? 」


< 腹心として >





高雄「……それで? 」

提督「姓名所属その他聞き出してぶん投げておいた」

高雄「ぶん投げておいたじゃないでしょうまったく……」

愛宕「高雄……私の為だから、ね? 」

高雄「……」

提督「ま、ちゃんと人の少ないところまで御同行願ってからだったから。
新聞にも載らないし噂にもならないはずさ」

高雄「そう願いたいものです」

提督「あぁ」

高雄「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………ま、姉として礼くらいはしておきましょうか。ありがとう」

愛宕「…………」

高雄「申し訳ありませんね、妹の為に手を煩わせてしまって」

提督「……気にするな。俺が勝手にやったことだし」



< 花火を見つめるその横顔を見つめる自分を横目で見るあなたを…… >





提督「今日のカクテルはフローズンストロベリーマルガリータ。
カクテルワードは“ 自分勝手な人を嫌う正直な人 ”、だ」

愛宕「自分勝手」

提督「お前が正直じゃなくてよかった」

愛宕「え? 」

提督「うん? 」

愛宕「……私、あなたにさえ愛してもらえれば他の人なんてどうでもいいわ」

提督「俺はよくない。お前を貶すやつを許すつもりはないね」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………__さん」

提督「なんだ」

愛宕「浴衣、似合ってる? 」

提督「それはもう」


ありがとうございました


< 朝には重い、夜にも重い >





雲龍「ジーンズにボタンシャツ? 」

提督「あ? ……怠ぃんだよ。昨日は疲れたし」

雲龍「別に悪いとは言ってないわ」

提督「そうか」

雲龍「……なかなか洒落たバックルね」

提督「どーも」

雲龍「……こう、端と端を掴んで引っ張ると」

提督「ばしーん? 」

雲龍「……叩いてほしいの。思いっきり。無機質な傷をあなたが刻んでくれれば、私」

提督「…………朝からディープ過ぎだよお前……俺はスパンキングも軽くが限界なのに」


< べっちゃべちゃにはした >





雲龍「そもそも今怠いのって昨日ヤったからでしょう? 」

提督「何がそもそもなんだよ……」

雲龍「してないの? 浴衣の帯で絞めたり結んだり」

提督「俺は鬼畜外道じゃないの」

雲龍「本当……? 」

提督「いや、複数と関係してるって意味ではそうかもだけどさ」

雲龍「もうワンステップしない? 」

提督「しません」





高雄「…………よくもまぁ一晩で帯を滅茶苦茶にできますね」

愛宕「ふふ……浴衣と帯の洗濯って割と面倒よねぇ」


< あれなんでだろうね >





江風「なーンで屋台の焼きそばってその場で食べないと不味いンだろ」

加賀「……食べられたものではありませんね」

江風「やっぱ雰囲気なのかなぁ」

加賀「いえ、やはり鮮度というものが」

江風「…………」

加賀「…………」

江風「……もしかして加賀さンの味覚って大して凄くな」

愛宕「余った焼きそばを堅焼きして餡掛けかけてみましたー」

加賀「やりました」

江風「…………ま、江風はその辺どうでもいいけど」


< 意味深な笑みだけを残して何処かへ行きました >





雲龍「話は変わるけれど」

提督「是非とも変えろそうしろ」

雲龍「大和ホテルはラブホの淫語だと聞いたわ。快適で気持ちいい」

提督「隠語? つーか変わったか? あ? 」

雲龍「それでもいいけれど」

提督「いや、隠語が正しいだろ」

雲龍「そう? 」

提督「まぁ、それはいいや……どこで聞いたんだよそれ。
大和もまだ純真な方なんだから可哀想だろ。やめてやれ」

雲龍「ふっ、純真? 」

提督「あ? 」

雲龍「…………ふふ」

提督「…………なんなのこの子」


< 壊れる心、生まれる感情 >





江風「ま、昨日のアレでなンとなくテートクが好かれる理由がわかった」

海風「うん」

江風「やったことっていったら止める彼女引き連れて陸の奴シメてきただけだけどさ」

海風「うん」

江風「あの表情だよな。文句無しにイケメンだよあれ。あれは惚れる」

海風「うん」

江風「…………」

海風「…………」

江風「……姉貴さ、テートクのこと好きだろ」

海風「うん……うん」


< たとえ何が相手でも全力だけれど >





高雄「九月十四日の誕生石はブラッドストーン。
石言葉は“ 安定志向 ”、“ 冷静沈着 ”、“ 平和主義 ”、そして“ 中立 ”」

加賀「平和主義、ね。深海の彼女たちにもそのような思考があればよいのだけれど」

高雄「どうでしょうね。そのレベルの思考を駆使してもなお、私たちに刃を向けねばならないのかもしれません」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「……資源でも分け与えればいいのかしらね」

高雄「さぁ……私たちが無理をして進める戦争に着いてくるくらいには資源もあると思いますけれど」

加賀「……陸から攻めるから迎え撃つのか、海から迫るから迎え撃つのか」

高雄「分かりません。分かる必要も感じませんが」

加賀「…………人と人が争うこと、人とヒトが争うこと、ヒトとヒトのような何かが争うこと。
どれが一番平和に近いのかしらね」


< あまり正しくない使い方 >





漣「最近思うんだよね」

叢雲「突然何? 」

漣「新しい言葉が流行っていうか広まったときとかにさ。当然アンチ的な人は湧くわけで」

叢雲「勝手に喋るのね」

漣「それに対して方言馬鹿にするのやめようよ、とか書き込む人がいるじゃないですか、ネットで」

叢雲「知らないわよそんなの」

漣「でもさ、そんなの普通知らないしあたかもそれが当然かのような返しはおかしいと思うの」

叢雲「……」

漣「それに方言としての意味と広まった意味って大抵ズレてる気がする」

叢雲「……つまり? 」

漣「対立煽りか有難迷惑なのか無自覚なのか分からないけど無駄に場の空気悪くしないで欲しいなって」

叢雲「ん……よくわからないけど漣が無視すればいいだけじゃないの? 自分でも煽り返してない? 」

漣「あーね」

叢雲「……私、その反応嫌いだわ。方言だとしても」

漣「それな」


< つまりそういうこと >





提督「まぁ、九州出身の友達も同期もいるけど」

漣「あーね、とか使ってました? 」

提督「んー……あんまり使ってなかったかな。
俺の地元の友達もそうだけど方言的な言葉って結構隠そうとするものだし」

漣「なるほど」

提督「……ネットも大概にしろよ? 」

漣「その代わりご主人様が漣を楽しませてくれますか? 」

提督「は? 」

漣「ん? 」

提督「…………ネットも程々にな」

漣「……はぁ」


< 自信を持たねばならない者と持ってはならないと思う者 >





高雄「今日の誕生花はマルメロ。花言葉は“ 魅力 ”と“ 誘惑 ”」

愛宕「いつでも迫られても、迫ってもいいような準備はしてるわよね」

高雄「……そうね」

愛宕「ま、そもそも私の魅力があればそれだけで誘惑になるけど? 」

高雄「あなたも大概自信家だこと」

愛宕「高雄も同じでしょ? 」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……なんとも言えませんね」

愛宕「そ、私は仮に私よりもあの人の好みな外見の女が現れても勝てる自信があるけど? 」


< 厚岸に蒸留処ができるとかなんとか >





提督「今日のカクテルはジェントルマンズショコラ。
カクテルワードは“ 朗らかで人を咎めない寛大な人 ”、だ」

Littorio「Gentiluomo? 」

提督「名前の意味は知らない。単にウイスキーベースのチョコカクテルとしか」

Littorio「……甘い」

提督「そうだな」

Littorio「…………Littorioは甘い? 」

提督「さぁ……」

Littorio「Gentiluomoとして気にならない? 」

提督「気になる、けど。……紳士として見てくれるの? 」

Littorio「Littorioの好きになったたった一人がLittorioの紳士ですから」

提督「そ……甘い考えだね、好きな考え方だけどさ」


< 秋の夜長に >





加賀「ふ……秋は秋刀魚ね」

叢雲「外に七輪と椅子出して秋刀魚って」

加賀「悪い? 」

叢雲「別に」

加賀「日本酒と焼酎ならあるわ」

叢雲「……レモンジュースあります? 」

加賀「そこに」

叢雲「……じゃあ焼酎で」

加賀「…………」

叢雲「…………」

加賀「……火を見てると安心しない? 」

叢雲「言いたいことはわかるけど……目を悪くしますよ」


< 長くも短くもない夜がさらに短く >





Littorio「はふ……」

提督「ん……そろそろ酒やめて寝るか」

Littorio「ええ。……雨? 」

提督「最近結構酷いときは煩いが……寝れてる? 」

Littorio「そうですね……」

提督「…………」

Littorio「あまり気にはしていませんけれど……疲れていれば、寝やすいかもしれませんね。程よく、身体全体が」

提督「はーん……」

Littorio「それに、Littorioはやはりベッドや暖房よりも人肌が一番心地よいかと思います」

提督「……誘ってんの? 誘われるよ? 」

Littorio「どうぞ? 」

提督「……」

Littorio「? 」

提督「…………お風呂は一人がいい? それとも一緒に行ってもいい? 」


ありがとうございました


< 女の子×シーツ >





提督「…………」

Littorio「……おはよう? 」

提督「ん……おはよう」

Littorio「…………」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「…………煙草吸ってくる」

Littorio「ここで吸っても構いませんよ」

提督「そう? 」

Littorio「ええ」

提督「…………ま、やめとくけど。部屋に臭い付くのは悪いし」

Littorio「Littorioはしっかりと提督の匂いを付けられてしまいましたのに」

提督「……俺の匂いって煙草と同列なわけ? 」

Littorio「そんなつもりは」

提督「……………………顔洗ってくる。煙草はいいや」

Littorio「どうぞよしなに」


< >





高雄『ほ、本当に、私でいいのですか? 』

提督『高雄以上の女の子なんていないよ』

高雄『…………ください、あなたを、あなたの気持ちを』

提督『あぁ』





高雄「……………………濡れてる、少しだけだけれど、本当に」

愛宕「…………Zzz」

高雄「…………」

愛宕「……ん…………Zzz」

高雄「…………死にたい。途轍もなく恥ずかしい」

愛宕「んふ……ふふふ…………Zzz」

高雄「……はぁ」


< ネジ……ネジをくれ >





明石「あれ……ネジが足りない」

雲龍「……大丈夫なのそれ」

明石「や、動きはしますよ、動きは」

雲龍「大丈夫じゃないじゃないそれ」

明石「……改修用のネジ使いますか」

雲龍「もっとダメでしょう、それは。横流しとかその辺の類じゃない」

明石「いやぁ」

雲龍「いくら私でも看過できな」

明石「いい艦載機差し上げますから、提督に許可もらって」

雲龍「…………仕方ないわね」

天城「いやいやいや……ありえないですよ姉様ぁ」


< むしろ肉食系 >





提督「なんでお前重巡なんだろ」

愛宕「柔順? 」

提督「重巡だろ」

愛宕「そう? ……知らないけど明石とかの方が」

提督「はぁ? 」

愛宕「え? 」

提督「……おっぱいとかスタイルの話なんだけど」

愛宕「はぁ? 」

提督「え? 」



< 思い出した >





提督「へーい、そこのパスタリアン」

Littorio「……せめてイタリアンと言うべきでしょう。
それはそれで失礼な話ですけれど」

提督「悪い。……俺ピザが食べたいよー。ピザリアン」

Littorio「……それはLittorioがおでぶだと言っているのですか」

提督「ちげーよ。お前のスタイルなんて昨日更新したばっかだし。デブはさすがに無理だし」

Littorio「更新って」

提督「ほら……触って撫でて摩って舐めて色々したでしょ」

Littorio「……」

提督「……」

Littorio「…………ピザでしたか。何を食べたいですか? 」


< 愛するって楽しいこと >





高雄「九月十五日の誕生石はパライバトルマリン。
石言葉は“ 愛情 ”、“ 純粋 ”、“ 穏和 ”、そして“ 正直者 ”」

明石「私、最近愛がどんなものかわかってきました」

高雄「愛とは? 」

明石「愛があるんだと思い込むこと。
そして思い込んだ愛を信じ続けること」

高雄「なるほど」

明石「まぁ、他にも努力とか胸キュンとかサプライズとかありますけどね……高雄さんは? 」

高雄「……愛は愛です。それ以上は無く、それ未満に価値はありません」

明石「…………」

高雄「…………」

明石「……なんかもの凄い敗北感があるんですけど」

高雄「いえ……愛に勝ち負けなどありませんよ。少なくともわたしの愛には、ですけれど」


< お話しましょう? >





雲龍『新しい艦載機をくれるというの? 』

提督『あぁ』

雲龍『……戦闘後のお風呂にお酒にあなたに艦載機……悪くない日ね』






提督「あのぽわわんとしてそれでも自分を見失わなかった雲龍はどこへ? 」

雲龍「ここにいるけれど? 」

提督「…………はぁ」

雲龍「…………」

提督「……まぁ、お前のこと好きだけどさ。俺に無関心な雲龍も」

雲龍「…………釣った魚に餌を」

提督「違う。……違う、違うはずよ? 」



< 振り方が悪い >





雲龍「というかいくらなんでも私の信用が低過ぎると思うの」

提督「お前そりゃ」

天城「……姉様は少し胸に手を当てて考えてみては」

雲龍「? ……柔らかいわ」

提督「そうだな。知ってる」

天城「……もうっ」

雲龍「? 少し気楽にいきましょうよ」

提督「そうだな」

天城「…………」


< 柔らかい方が愉しいけど限度がね >





高雄「今日の誕生花はマリーゴールド。花言葉は“ 信頼 ”。…………なのですけれど」

Littorio「ごめんなさいね、あそこでそんな札を持っているとは思わなかったものだから」

加賀「あなた」

雲龍「はい」

加賀「……やるわね、勲章ものよ」

雲龍「はい。……はい」

提督「ブリッジねぇ……な、ブリッジしない? 」

天城「二人で、ですか? 」

提督「いや、天城がブリッジして俺がそれ見てんの」

天城「馬ッ鹿じゃないですか? するわけないじゃないですか」





叢雲「……できる? ブリッジ」

漣「たぶんできない。叢雲ちゃんは? 」

叢雲「頑張ればなんとか。……やらないけど」

漣「ふーん? ……今の子供ってマトリックスごっことかしないんだろうね。あれってブリッジではないけど」


< デブでも食ってろォ >





海風「……ピザ」

Littorio「あら、お嫌いでしたか? 」

海風「いえ、この時間に食べると太るなぁ、と」

Littorio「そのときはそのときです。努力は加算法なので後から努力してもどうとでもなります」

瑞穂「それはあまり太らない方の言葉なのでは」

Littorio「……Littorioは激しい運動をした後なので? 」

海風「……」

瑞穂「……」

Littorio「……割と押しに弱いですし。心も貸してくれますよ、戴けはしませんけれど」


< 生きた長さではなくて >





提督「今日のカクテルはドラマティックアロマ。
カクテルワードは“ 若き時代に戻る想いを持つ純粋な人 ”、だ」

加賀「戻りたい? 」

提督「純粋じゃねぇし、別に」

加賀「そう」

提督「お前は? もう一度やり直してみたくはないの」

加賀「どこからやり直せと。
仮に横須賀のあのときに戻ったとしても私があなたの麾下に入るのは高雄たちの後よ」

提督「あー、1942年の6月5日とか」

加賀「つまらないことを。それ以前に戻らねば結果は然程変わらないわ」

提督「……」

加賀「……」

提督「……好きだよ」

加賀「私もよ。……それで? 」

提督「……もし五分前に戻れたらさ」

加賀「ええ」

提督「きっと同じことを言って同じ返しをもらうだろうな」

加賀「そう、ね」

提督「…………それだけ。特に意味も無い」

加賀「……まだ若いのね。戻る必要を感じない程には」


< 馬鹿な方が楽しいからね >





漣「うへぇ……なにこの匂い」

加賀「黒霧島の牛乳割」

漣「え、えぇ……気持ち悪い味しそう」

加賀「案外と悪くはないのよ。もちろんロック程ではないけど」

雲龍「霧島のミルク割? 」

叢雲「どうして言い直す必要があるのよ……」

江風「馬鹿ばっか」


< 馬鹿な……男、と女>





提督「馬鹿って言って? 」

愛宕「……マゾ? 」

提督「ちげーよ。……なんとなく馬鹿って言葉にもニュアンスがあるじゃん? 」

愛宕「ふーん? 」

提督「…………お前さ、本当馬鹿だよな」

愛宕「うん」

提督「……ばーか」

愛宕「うん」

提督「本当に……莫迦だな」

愛宕「うん。……最後の」

提督「あ? 」

愛宕「最後の……耳元で、抱き締めて言ってほしいな」

提督「ばーか」


ありがとうございました


< 失礼な >





海風「提督ってお幾つなんですか? 」

提督「こういうときは」

愛宕「ふふ……幾つだと思う? 」

海風「……三十代? 」

提督「雑把だけど当たり」

愛宕「若作り成功ね。きっと」

提督「いや、そこはお前普通に若々しいってことだろ。なぁ? 」

愛宕「そうかしら。努力しないと維持って難しいものよ? 」

提督「む……」

愛宕「……海風はどうして前半だと思ったの? 」

海風「見た目もそうですけど」

提督「おう」

海風「その……お盛んなので、ええと。落ち着く前なのかな、と」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………落ち着くと思うか? この後」

愛宕「さぁ? 」


< 特に隠してない >





明石「葬式に故人の愛人と子供が訪れてゴタゴタが、って聞くじゃないですか」

天城「そうですね」

明石「仮に私か他の誰かが研究を完成させて艦娘が人になり妊娠できたとしましょう」

天城「はい」

明石「その場合雲龍さんや加賀さんが弔問した場合はどうなるでしょう?
それに子供がいた場合とかは一体」

天城「…………」

明石「…………」

天城「…………まぁ、世間一般とは大きく異なる状況なのは確かですね」

明石「いがみ合ってるよりはマシですけどねぇ……うーん」


< 今までのテストが溜まったので >





叢雲「一位は漣、以上」

漣「よかった……よかったよご主人様ぁ」

提督「当然だろ。これで海風と江風に負けてみろ。一生ネタにするところだ」

漣「ひでぇ。慈悲ってもんがねぇ。多少は労ってくださいよー」

提督「はいはい凄い凄い……で、海風と江風の順位は? 」

叢雲「大して変わらないから省略。知りたい? 」

提督「別に。叢雲がどうでもいいと判断したんならどうでもいいことなんだろ」

叢雲「そうね」

漣「……つまり漣が一番できたってことはどうでもよくないと」

叢雲「単に当然のことだからよ」

提督「だな。自惚れんじゃねぇよ」

漣「…………ひでぇ」


< 置き土産 >





提督「なんか知らないけどリース業者が捨ててったぞこれ」

明石「はぁ」

提督「綿あめマシーン。本来の名前は知らないけど」

明石「それは見ればわかります」

提督「壊れたんだってさ。修理した方が高くつくから処理してくれって」

明石「へぇ……」

提督「…………直せ。直してください。お願いします」

明石「はぁ……まーた、面倒な」

提督「……この国のでもドイツのでも米帝のでも」

明石「はい? 」

提督「最高の機材、揃えてやる。対価は払う」

明石「おおう……いや、でも」

提督「ん? 」

明石「たかが綿あめマシーンでそんな……うーん」

提督「俺としては構わないっつーか帝都に貸し返せってだけだからな」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………あなたのお時間戴ければ……それで、いいかな? 」

提督「あ、そう……随分安いね」

明石「いえいえ……安いだなんてそんな」


< 行き着く答え >





高雄「九月十六日の誕生石はプレーナイト。
石言葉は“ 社交的 ”、“ 行動力 ”、“ 個性的 ”、そして“ 変わり者 ”」

明石「変わり者のびっくり箱こと当基地ですが」

高雄「はぁ」

明石「ここで一番個性的なのって誰でしょう。
自分で言うのもなんですけれど私の個性が埋もれるって割と凄いことだと思うんです」

高雄「……あの人では」

明石「ですよね」

高雄「種族の垣根を超えたと考えれば……あの人に言うと機嫌悪くしますけれど」





< 傷は癒えても記憶に遺る >





高雄「今日の誕生花は茜。花言葉は“ 媚 ”、“ 誹謗 ”、“ 傷 ”、“ 不信 ”、そして“ 私を想って ”」

Littorio「何か順番に意味でも? 」

高雄「いえ、単に覚えやすかっただけよ。
元がどんな順番だったかも覚えてないわ」

Littorio「そう……悲恋? 」

高雄「嫌われ者のお話にも聞こえるけれど」

Littorio「……」

高雄「……」

Littorio「……媚びるって、逃げてるんですよね。自分から、相手から」

高雄「そうね」

Littorio「そんな女、後ろ指を差されて誰からも信じられなくても当然ですよね」

高雄「…………」

Littorio「…………」

高雄「…………そう、ね。そういうことも、あるでしょう」

Littorio「…………」

高雄「…………」


< 悩みが無いなんてことは >





鈴谷「ふぁー、満足満足ぅ」

龍田「……カレーのときだけ異常な食欲よね」

鈴谷「鈴谷、カレーさえあれば生きていける女だもーん」

龍田「……まぁ、栄養的には死にはしないかしら」

鈴谷「そんな細かいことは知らなーい」

龍田「…………悩みなさそうね、鈴谷」

鈴谷「んー? ま、そうかもねー……ははは」


< 思わず >






提督「今日のカクテルはダーティマザー。
カクテルワードは“ 自分の世界観に引き入れるオールドタイプ ”、だ」

雲龍「オールドタイプ? 」

提督「保守的でもいい。ようは自分からは譲らない偏屈ってことだな」

高雄「そんな恣意的な」

雲龍「……夜は保守的? 」

提督「保守で結構。俺は十分に満足している。な? 」

高雄「……同意か否かと言われれば同意ですが」

雲龍「む……」

提督「そんなにディープな趣味してるなら街にでも行け。
許可くらい余裕で出せるぞ」

雲龍「それはダメ。ダメなのよ」

提督「……そうかい」

高雄「…………今一瞬嬉しそうな顔しましたよね」

提督「……」

高雄「……別にいいですけど」


< 味、濃いからね >





叢雲「私このお茶割ってやつがどうもダメね」

漣「緑茶嫌いだっけ? 」

叢雲「いいえ、むしろ好きな部類だけど……どうしてお茶で焼酎割ろうとしたのかしら」

漣「さぁ。水割りもお茶割もソーダ割もロックかストレートで飲めない人の為にできたんじゃない? 」

叢雲「味が苦手なのにわざわざお酒飲もうとする意味がわからないわ。
そんなに毎日酔わないといけない理由でもあるのかしら」

漣「どうだろうね」

叢雲「…………」

漣「…………」

漣「…………でも抹茶ミルクは飲むんだね」

叢雲「…………美味しいじゃない。カルーアみたいなもので一杯だけ時々飲みたくなるの」


< 不味い店でも責任者がいると思うと少し悲しい >





提督「天城とかが戦後小料理屋をやろうとしたとしてさ」

天城「はい」

提督「調理師免許とかってどうすんだ? さすがに軍はその辺誤魔化してはくれないぞ」

天城「普通に取ればいいと思いますけれど」

提督「天城が現役生混ざってんのか……まぁ、外見年齢は大丈夫だろうが」

天城「そもそも調理師免許より食品衛星責任者の方が重要かと」

提督「あ、そうなの? 」

天城「いえ……天城もうろ覚えなのですけれどね」

提督「…………」

天城「…………」

提督「……それって幾らで貰えるんだ? 」

天城「いや、普通に講習受けますって。面倒がらないですから」


< 畜生×畜妾 >





雲龍「あの人の愛人? 情婦? のNo.って」

明石「そういう話やめましょうよ……ねぇ? 」

加賀「どうして? 」

明石「どうして、って……」

雲龍「正妻が二人いるから……三号さんが実質No.2? 」

明石「そんなレースとかじゃないんだから」

加賀「……そこは譲れません」

雲龍「……ふっ」

明石「…………はぁ」





瑞穂「Littorioさんは入らなくてもいいのですか? 」

Littorio「……入りたいと思いますか? あそこに」

瑞穂「……いいえ」


< 一方で >






江風「あンま大きな声では言えないけど」

海風「うん」

江風「仮にNo.つけるとしたらたぶン正妻二人の次って叢雲さンなンじゃないかな」

海風「…………」

江風「…………」

海風「……そうだね。繋がりとか、やり取りとか」

江風「だよな」


< 共に寝、共に起き。これは何度目だったか >





加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………綺麗な朝焼けが見たいわ」

提督「そう」

加賀「……隣にあなたがいればもっといいわね」

提督「明日の朝起こしてやろうか? 」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………私の部屋の窓、丁度東向きなの」

提督「……知ってる」


ありがとうございました


< 前向く努力を >





高雄「九月十七日の誕生石はダイオプテーズ。
石言葉は“ 努力 ”、“ 野心 ”、“ 前向き ”、そして“ 向上心 ”」

漣「てるてる坊主が何故か前向きにならない現象」

叢雲「単に漣が下手なだけでしょ」

漣「あれって靴紐が斜めになったりしちゃうのと同じだよね」

叢雲「だからそれも下手なだけよね」

漣「あ、そんなこと言ってたら顔下に描き過ぎちゃったじゃーん」

叢雲「……だから」

漣「…………」

叢雲「…………」

漣「…………叢雲ちゃんのてるてる坊主可愛い顔してるね」

叢雲「うっさいわね。下手よりいいでしょうが」


< 唸る豪運、猛る爆運 >





高雄「今日の誕生花は衝羽根空木。花言葉は“ 強運 ”」

Littorio「強運、ね」

高雄「なんとなくですが加賀さんでしょうか、なんとなくですが」

Littorio「まぁ、被弾が少なければ少ないほど戦力になる割合が多いですし」

高雄「ええ」

Littorio「…………」

高雄「…………」

提督「……俺だろ。お前に出会えてこういう関係になれたんだしな」

Littorio「…………それならば高雄も同じわけですけれど」

高雄「…………その、真顔で言われると……困ります」

提督「うん? 」


< 甘死 >





江風「おー、すっげー! 」

海風「ん……おいし」

明石「動力機関が殆ど死んでたんで全取っ替えしちゃいましたよー。
これは直すより買った方がいいですね」

提督「そうか。ありがとな」

明石「いえ、私もこういうの弄るの好きですから」

提督「ん」

江風「一回やってみたかったんだよなー、綿あめ限界まででっかくするの」

海風「わっ、それちょっと大き過ぎませんか? 」

江風「ンー、よゆーよゆー」

提督「…………お前なんでそんなつくるの上手いんだ? 」

明石「センスですかねぇ……割とコツいりそうですけど」

江風「ははっ、姉貴にもやるよ、ほら」

海風「あ、ありがとう……提督。はんぶんこしませんか? 」

提督「はいよ。……酒持ってこよ、口の中が事故起こしちまう」


< SAGA >





提督「今日のカクテルはチョコレートスリング。
カクテルワードは“ 好きなものに夢中になれる熱血屋 ”、だ」

愛宕「好きなものに熱中できないっていうのもよくわからないわねぇ」

提督「そうだな」

愛宕「好きなものがあり過ぎて手が回らないとか? 」

提督「ん……女の子、酒、車、単車、映画、読書……他になんかある? 」

愛宕「セックス。口説くのと戯れるのは別だと思うの」

提督「なるほど。……多い方じゃない? 」

愛宕「かも」

提督「…………どれかやめるって言われたら……単車かなぁ」

愛宕「えっ」

提督「うん? 」

愛宕「まだ……口説き続けるの? 」

提督「あぁ…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……意地でもやめるとは言わないのね」



< あって困るものじゃないから >





愛宕「…………」

提督「……寝よ」

高雄「着替えはいつものところに」

提督「さんきゅ」

雲龍「ね、このネグリジェどう? 」

提督「すげぇ好み、だけどこんなとこにそれ着て出てくんな」

明石「あの……来ます? 」

提督「行く。着替えてから行くから好きな酒用意しといて」

明石「はいっ」





愛宕「…………ま、もう口説く必要性とか微塵もない気がするけど」


酔ってたので……はい
指摘ありがとうございました

ありがとうございました


< そんな期間があっては出会えなかったから >





高雄「九月十八日の誕生石はマンダリンガーネット。
石言葉は“ 元気 ”、“ 優雅 ”、“ 無邪気 ”、そして“ 人気者 ”」

Littorio「人の子には」

高雄「ええ」

Littorio「あの頃は無邪気だった、というような感慨があるとか」

高雄「そうね」

Littorio「……Littorioたちはそのような気持ちがありません」

高雄「……」

Littorio「それは、いいことだったのかもしれませんね。
もし無邪気な少女がいたとして、あのような環境ではきっと歪んでしまうだけですから」

高雄「……ちいさな少女にまで悪意を向ける者ばかりではないと思うけれど……そうね」


< イベント好き×尽くす女 >





鈴谷「今日は金曜日じゃーん? 」

時雨「そうだね」

鈴谷「ということはカレーじゃん」

浜風「は、はい」

鈴谷「でもいくら鈴谷でもこの量は食べられなーい」

春雨「……寸胴鍋一杯のカレーって初めて見ました。しかも三つ」

鈴谷「だーかーらー、今日は皆と一緒にカレーパーティをしたいと思いまーす」





龍田「……朝から厨房に籠ってると思ったら」

金剛「龍田ー? 早く貰いに行かないとどこかの空母とか戦艦に食べられちゃいマース」

龍田「はいはい。あなたもその戦艦じゃない」

金剛「No! 私はそんなに大食いじゃありマセーン」

龍田「……本当に? 」


< 積み重ねたものの発露 >





高雄「今日の誕生花は孔雀草。花言葉は“ 一目惚れ ”、“ ご機嫌 ”、そして“ 可憐 ”」

雲龍「……一目惚れ? 」

高雄「いえ、第一印象なんて覚えてもいませんね」

愛宕「私は覚えてるわよ? 手が早そうだなー、とか」

高雄「……それがわかっていて近付いたのね」

愛宕「悪い印象じゃなかったし。楽しいの好きだもの」

高雄「……そう。雲龍さんは? 現在を見る限り割と好みだったんですか? 」

雲龍「私は……私も全然一目惚れなんかじゃなかったわ。
時を重ねたからこその今、ってやつね」

高雄「……」

愛宕「……まぁ、一目惚れでこれでもどちらにせよ今が何か変わるわけじゃないけれどね」


< チョコは甘ければ甘い程いい >





提督「今日のカクテルはチョコレートプランターズパンチ。
カクテルワードは“ 困難な境遇にも立ち向かうしっかり者 ”、だ」

高雄「…………」

提督「……お疲れ」

高雄「…………今日は疲れました。資料整理を疎かにしていたツケですね」

提督「悪いな。殆どお前任せで」

高雄「本当に……ふぁ。眠い」

提督「……寝るか」

高雄「ええ」

提督「…………ちょっと、いい? 」

高雄「はぁ」

提督「…………悪い」

高雄「は? …………あぁ」


< したわ。 >





雲龍「クズの匂いが」

天城「はぁ」

雲龍「とても……魅力的ないい匂い」

天城「……はぁ」

雲龍「……」

天城「……」

雲龍「……寝るわ。私と遊んでくれる暇はなさそうだし」

天城「はい……一人で寝れますか? 」

雲龍「……へぇ……一緒に寝てくれるの? 」

天城「まさか」


< 信用 >





提督「っ……ふ、ぅ…………」

高雄「…………ん、ん……………………出し過ぎ」

提督「…………飲んだ? 」

高雄「……ん」

提督「…………風呂いこっか」

高雄「……今夜は続けるのはちょっと」

提督「……了解」

高雄「……本当に? 」

提督「……ばーか。高雄の身体のことが一番だよ」

高雄「…………本当に? 」

提督「む……」


ありがとうございました


< 例え今日がどんな日になるとしても朝はくる >




提督「ん……」

高雄「…………Zzz」

提督「…………高雄、朝だ」

高雄「…………Zzz」

提督「……高雄、高雄」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………おはよう、今日も頼む」

高雄「……ふふ…………はい、昨日のように、そしてきっと明日も……おはようございます」


< 朝日が目に染みる時間を少し過ぎて >





高雄「……今、何時ですか? 」

提督「マルロクサンマル」

高雄「ーーーー」

提督「飯は雲龍起こしてつくらせといたから。まだ少しだけ寝てられるぞ」

高雄「…………雲龍さんには悪いことを」

提督「疲れてたんだから仕方ない」

高雄「誰の所為」

提督「……雲龍には礼をしとくよ、そのうち」

高雄「そうしてください」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……髪、洗ってやろうか? 」

高雄「別に。……ま、あなたがそうしたいのなら構いませんけれど」


< 厨房では確認を >





雲龍「……なんだか久方振りに朝餉をつくった気がするわ」

天城「そうですね」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……恋の勝負というのは」

天城「ええ」

雲龍「恋敵とかが相手じゃないの。好きな相手の心が敵」

天城「はぁ」

雲龍「…………だから私が負けたのはあの人であって他の女じゃないのよ」

天城「そうですか」

雲龍「ええ」


< ショートはショートの >





提督「痒いところは」

高雄「……いえ」

提督「そうか」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……つまらない髪で申し訳ありません」

提督「……俺が好きなんだ。それ以上か必要か? 」

高雄「……………………いえ」

提督「な。…………流すぞ」


< テールでもつくってみたり >





高雄「九月十九日の誕生石はグロッシュラー。
石言葉は“ 観察力 ”、“ 直感力 ”、そして“ チャレンジ精神 ”」

愛宕「ツヤツヤしてる」

高雄「あの人に洗ってもらったから……やはり他人の方が髪はよく見えるでしょう? 」

愛宕「んー……それもあるけどそうじゃなくて」

高雄「? 」

愛宕「高雄の機嫌が良さそうってこと」

高雄「……」

愛宕「ま、意味は同じだけど。……私も黒染めしたりショートにしてみる? 」

高雄「ご自由に。きっと似合うはず……なんにせよ、あの人なら受け入れてくれるでしょうが」

愛宕「そうね」

高雄「……………………ふふ」

愛宕「…………やっぱり、機嫌いいわね」

高雄「そう? 」


< 拗 >





高雄「今日の誕生花は靫草。花言葉は“ 優しく癒す ”」

明石「逆に優しくない癒され方って一体」

雲龍「それは」

明石「あ、雲龍さんのは結構です」

雲龍「む……」

高雄「例えば、そう……摩耶のような不器用な」

明石「でもそれって結局摩耶さんが優しいからですよね。
伝わる伝わらないはこの際置いておいて」

雲龍「だから」

高雄「では癒しを意図せずに癒しとなってしまった場合だとか」

明石「あー……確かに。それなら優しくしようっていう気持ちの反対にもなりそうですし」

高雄「ええ」

雲龍「…………そんなことよりもまず私への優しさを検討するべきだと思うわ」


< 横須賀ストーリー@歪 >





提督「今日のカクテルはチョコティーニ。
カクテルワードは“ 直感力とオーラで名を馳せるカリスマ ”、だ」

天城「名を馳せるというか浮名を流すというか」

提督「別に噂になった覚えはないが」

天城「この狭い世界で、ですよ」

提督「……」

天城「天城、聞きました。提督が横須賀でどのように思われていたのか」

提督「あぁ、SNのとき……誰に? 」

天城「龍田さんと金剛さんと鈴谷さんです」

提督「……お前さ」

天城「はい? 」

提督「さすがにそいつらのこと全面的には信じてないよな? な? 特に最初のやつ」

天城「…………」

提督「…………」

天城「……どうでしょうね、前職女衒男さん」

提督「おーいー……そんなもん直感で嘘か脚色だって分かるだろうよぉー……」


< バカ(ラ) >





雲龍「麻雀? バカラ? ブリッジ? 」

叢雲「その中ならバカラでしょ。人数的に考えて」

雲龍「そう……あなたも参加するの? 」

叢雲「私、そういうゲーム嫌いじゃないもの」

雲龍「……わかったわ。叢雲、脱衣バカラ参加、と」

叢雲「は? 脱衣? 」

天城「天城は不参加で。お酒を賭けるようになったら参加します」

江風「江風もやンなーい」

海風「海風も」

漣「漣は面白そうだからやりまーす」

雲龍「そう……そっちは当然やるわね? 」

明石「……今すぐ布団にダイブしてきたいんですけど」

加賀「ふっ、鎧袖一触よ」

Littorio「やれやれ……ま、ようは勝てばいいのでしょう? 」

雲龍「じゃ、そこの卓で。ディーラー呼んでくるわ」

叢雲「…………は? そこはせめて女だけにしなさいよ」

漣「や、女の子だけで脱衣ってのも味気な……そういう趣味なの? 」

叢雲「はぁ? ……わかった、漣から剥いでほしいのね、ふーん。……やってやろうじゃないの」


< 二巡目 >





提督「……で、何故かカード二組で大富豪が始まった、と」

漣「ふえぇ……酷い……自分の大富豪捨ててまで漣を大貧民にするなんて」

叢雲「私、しつこいのよ、戦いではね」

雲龍「よく考えるとあなたがディーラーならあなたを剥げないもの」

提督「俺裸にして誰が得すんだよ……ほら、七渡しであがり、大富豪維持っと」

明石「え……都落ちと京落ちとかいらないでしょ……」

叢雲「御愁傷様。じゃあ私がそれ三枚貰うわ。……へぇ」

提督「お前の札は知らないけどそれで勝てるだろ……その瓶くれ」

高雄「どうぞ」

明石「……スカーフだけとかじゃあ……あ、いいの? よかったぁ」

Littorio「脱衣だと明らかに不利な者と有利な者が……まぁ、構いませんけれどね」


< 連敗防止 >





愛宕「大富豪だと優しくていいわねぇ」

瑞穂「提督が、ですか? 」

愛宕「んーん、脱衣レートが」

瑞穂「はぁ」

愛宕「麻雀ならローカル役全部有りだからよくわからないのでトドメ刺されたりするし」

瑞穂「なるほど」

愛宕「しかも勝者以外全員脱ぎとかザラだもの」

瑞穂「……なるほど」

愛宕「横須賀ルールなら外野も指定されたら脱がなきゃいけなかったわぁ~ 」

瑞穂「……横須賀、というかこの国はそれでいいのでしょうか」

愛宕「いいんじゃない? 誰も困らないもの」

明石「ちょっとー、私が現在進行形で困ってるんですけどー? ねー? 屑札しかないのにどう勝てとー? 」

叢雲「どうせ司令官か私は落ちるんだから。弱者は這い蹲って待ってなさい」

明石「ヒエー……ヒエー! 」


ありがとうございました


< 怪 >





雲龍「……あら」

天城「ん……姉様が朝早いのは珍しいですね」

雲龍「偶然よ。……これ」

天城「……ブラ? 」

雲龍「あなたの? 」

天城「違いますよ。……サイズがそもそも」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……私にそんな趣味があったってこと? 」

天城「……もしそうならいくら姉様が相手でも天城は部屋割を変えてもらいますよ、ええ」


< 眠 >





海風「……………………ふ、ん? 」

江風「…………Zzz」

海風「……あ、さ」

江風「…………Zzz」

海風「…………」

江風「…………ふぅ……寝ようぜ姉貴……江風は疲れたよぉ……Zzz」

海風「え? 」

江風「…………Zzz」

海風「…………江風……どれだけ疲れてるんですか? 」


< 忘 >





提督「剃刀、剃刀っと」

愛宕「ん、無いなら使う? 」

提督「おま、それピーラーじゃねぇか。そんなの使ったら顎薄くなるわ」

愛宕「そう。刃が外れちゃったから捨てようと思ったんだけれど」

提督「捨てろよ。勿体無いお化けはこんな典型的消費社会にはこない」

愛宕「はーい。……換えのピーラーどこだったかしら」

提督「あー、ほら、酒の棚の隣の……俺も行くよ面倒くせぇ」

愛宕「さんきゅ? 」

提督「はいはい、かわいいかわいい」





高雄「……髭、剃った方がいいですよ」

提督「あ」


< ふぁうゔぇー >





提督「制裁金ねぇ」

明石「私あそこの車あんま好きじゃないです」

提督「そうなの? 」

明石「だって電装系弱過ぎですもん。横須賀で触ったことありますけど」

提督「おう」

明石「ウィンドウのスイッチ下りたままとか頭おかしいでしょ。
エンジン周りと外装だけなんとかしとけばいいみたいな風潮やめてほしい」

提督「はーん」

明石「あんなんだから規制も抜けられないんですよ。
……そもそもあのセンスないホイールからして嫌ですけど」

提督「エンブレムだけ動かないやつか」

明石「……車乗りたい。乗りたくありません? 」

提督「そうだな」

明石「…………はぁ。単車で我慢してきます」

提督「はいよ」


< 最近で一番驚いた >





提督「ラグビーのルールわかる人ー」

高雄「……」

愛宕「……」

明石「……」

提督「うん、知ってた」

高雄「なんとも言えませんね。分かると言えば分かるし分からないと言えば分からない」

提督「ま、そんなもんか。……自分より若い選手が活躍すると年齢を感じるなぁ」

愛宕「まだまだじゃない。これからなんかしてみるとか」

明石「えー……マスターズ陸上とか出ますか? 」

提督「おま、あれって割とガチなメンツもいるんだぞ。俺なんて陸上経験者じゃないし」

明石「馬術とか」

提督「お馬さん好きだけどあんなに金と時間かけるのはな」

雲龍「馬並なのにね」

提督「…………ほんっっっっっと、どこからでも湧いてくるなお前」


< 妻 >





提督「結婚生活に大切な三つの袋ってあるじゃん」

愛宕「あるわね」

提督「あれって給料袋、堪忍袋、おふくろなわけだ」

愛宕「ええ」

提督「でも最近は給料って袋ではくれないと思うんだよね、大抵は」

愛宕「基本振り込みよね」

提督「だからさ、代わりに胃袋を入れるべきだと思うわけ。
美味しいご飯をつくってくれる奥さんがいたら円満に近づけそうじゃん? 」

愛宕「それで時々旦那さんもイベントのときだとかにはつくってくれるのね? 」

提督「そうそう」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……? 」

提督「……今日の昼はペペロンチーノが食べたいな」

愛宕「はいはい」


< まぁ、大抵怒ると素直になる。あと必死なときとか >





高雄「九月二十日の誕生石はブルースピネル。
石言葉は“ 素直 ”、“ 社交的 ”、そして“ 思いやり ”」

漣「なんか漣のブラが無いんですけど……知りませんか? 」

高雄「さぁ、私は知りませんね」

漣「たぶん昨日の脱衣大会で行方不明になったと思うんですけど」

高雄「最後までいたのは雲龍さんと加賀さん、それから私と愛宕と提督ですね」

漣「なるほど。訊いてきます」

高雄「はい」





雲龍「ねぇ」

漣「雲龍さん? あぁ、丁度よかったです。漣も用が」

雲龍「これでしょ? 何故か私の部屋にあったわ」

漣「あぁ、やっぱり。……雲龍さん」

雲龍「なに? 」

漣「ブラ見つけてくれたのは嬉しいんですけど……何故ジップロックに入れてあるのでしょう」

雲龍「少女の匂い付きとしてオークションにかけようかと」

漣「! おいてめぇ何言ってんだやめろよ、おい笑うなそこの男もぉ! 」


< 生命の危機だったのかもしれない >






提督「たまには俺だって下ネタトークしてみたいときがあるんだ」

明石「……たまには? 」

提督「……ソロでやり過ぎてさ」

雲龍「ええ」

明石「雲龍さんも平然とノるのやめましょうよ……」

提督「肝心の部分は兎も角何故か左足の先が痺れて痛み始めたことが何度かあるんだよ」

雲龍「へぇ」

明石「いや、それ明らかに危ない兆候ですよね」

提督「さすがに高校生のときにやめたけどさ、あれって何故か二人以上のときは起こらないんだよね」

明石「以上ってあなた。まぁ、二人じゃない場合があるのは承知していますけど」

雲龍「単に動くからじゃないの。血流がよくないでしょう。
座ってたのか寝てたのか知らないけれど」

明石「わ、割とまともだし」

提督「あぁ、なるほどな」

雲龍「アナ? 」

明石「…………」

雲龍「……? 」

提督「……いや、まぁ話し始めたのは俺だし今のは俺の所為でいいよ、うん」


< 立場の違い >





高雄「今日の誕生花はサルビアレッド。花言葉は“ あなたのことばかり想う ”」

雲龍「……実際そうよね」

高雄「はぁ」

雲龍「想いたいと思わなくても想ってしまうのが恋ってやつの嫌なところ」

高雄「……はぁ」

雲龍「あなたはそうじゃないの? どんなときも考えて、不安になって、触れて安心したいと思わない? 」

高雄「……そういうときには私よりも早く気付いて触れてくれる人ですので」

雲龍「はぁ」

高雄「ま、時々は不安に思ってみるのも、それを楽しんでみるのも、恋ってやつじゃないですか? 」

雲龍「…………はぁ」


< 男装異聞 >





提督「今日のカクテルはリンチバーグレモネード。
カクテルワードは“ 思いやりに満ちた白馬の王女様 ”、だ」

Littorio「? この国では白馬に乗るのは女性なのですか? 」

提督「さぁね。誤植のような気がするけど、悪くないだろ? 」

Littorio「それはそれで見目麗しいものではあるでしょうね」

提督「な。……誰想像した? 」

Littorio「さぁ」

提督「…………」

Littorio「…………」

提督「……おっぱいある方が男装って映えると思わない? 」

Littorio「さ、さぁ……」


ありがとうございました


< 今日の姉妹 >





雲龍「朝の光って優しいのね」

天城「ええ。姉様普段は起きてこないから」

雲龍「……時々見る方が新鮮でいいでしょう? 」

天城「それなら」

雲龍「無理よ」

天城「……何も言ってませんけれど」

雲龍「……価値って傲慢なのよね。物事によって新鮮さとかの価値が変わるんだもの」

天城「ヒトみたいなものでしょう。相手によって許容値が違うところとか」

雲龍「…………天城ってあんまり優しくないわね」

天城「姉様程ではありません。天城は興味が無いものにも姉様程冷たくはありませんよ」

雲龍「……シャワー浴びてくる」

天城「どうぞ。天城はお先に食堂へ行きますね」


< そういうところ >





高雄「九月二十一日の誕生石はスペサルティンガーネット。
石言葉は“ 親切 ”、“ 和やか ”、“ 安らぎ ”、“ 明るい ”、そして“ 穏やか ”」

雲龍「ね、私って冷たい? 」

高雄「? 接し方が、という意味でしょうか」

雲龍「ええ。天城に言われたのよ。興味の無い物には特に冷たいって」

高雄「なるほど。……まぁ、冷たいといえば冷たいでしょうけれど」

雲龍「誰でもそういうものじゃないの?
高雄だってあの人と他の男では態度が違うって自覚できるでしょう? 」

高雄「しかしそれは意識してのことであって無意識の冷たさとはまた……あぁ」

雲龍「? 」

高雄「……雲龍さんの場合そもそも意識しない相手は目に入れないですからね。そういう部分じゃないですか? 」

雲龍「…………? 」

高雄「…………そういうところだと思いますよ、きっと」


< 誰かにとっての悪夢があるいは誰かにとっての夢であるという >





漣「シルバーウィークに入ってるじゃないですか」

瑞穂「ええ」

漣「あれ、次のシルバーウィークは十一年後らしいですよ」

瑞穂「え、そんなに? 」

漣「はい。漣たちには大して関係ないですけど世の中の人には辛い現実でしょうねぇ」

瑞穂「…………瑞穂たちもいつかはその気持ちがわかるようになるのでしょうか」

漣「なるといいですね。こんなこと言うと世の中敵に回しそうですけど」

瑞穂「確かに。……今の境遇も大概そんな気が」

漣「ですねぇ」


< せーしゅん >





高雄「今日の誕生花はイヌサフラン。花言葉は“ 悔い無き青春 ”」

江風「テートクなんて最高にハイな青春だったンじゃないか? 」

高雄「さぁ……本人には色々と悔いがあるようですけれど」

江風「いやいや……なぁ? 」

海風「……なかなか本人にしかない悩みもあるんじゃないですか? 」

高雄「おそらくは」

江風「そういうもンかなぁ……うン」





提督「悔い? …………中学生のとき告白しようとしたら引越しちゃったことかなぁ……あの子なにしてんだろ」

江風「そうか。…………なンか滅茶それっぽくて逆に困るンだけど」

海風「それが叶ったとしたら別のヒトが困っていた気もしますね」

提督「うん? 何の話? 」


< やれやれ…… >





提督「お、何読んでんだ? 」

漣「おべんきょーですよ。おべんきょー」

提督「へぇ……いいことだな」

漣「褒めてくれてもいいんですよ? 叢雲ちゃんに大きい顔させとくのも癪ですからねー」

叢雲「私の前でそれを言うなんていい度胸ね」

漣「ふふーん、すぐに漣が越えてみせるもーん。ね、ご主人様」

提督「はぁ……」

漣「腹立つ反応ですねぇ。なんなのなの」


< 説教 >





提督「だってさ……お前本の読み方も知らないじゃん」

漣「は? 読み方ぁ? 」

提督「小説だと思ってたから何も言わなかったけどさ」

漣「……」

提督「いいか? 小説なら目次は読むな。わくわくしながら読み始めてできれば最後までわくわくしてろ」

漣「はぁ」

提督「だが、それ以外なら。絶対に目次を読んで、目次を整理し内容を類推しろ。
そうしないとその本を整理できていないことになる。
知識をただの情報のまま終わらせるな」

漣「……叢雲ちゃんでもそこまで考えてないでしょ」

叢雲「……悪いけど私も同意ね」

漣「叢雲ちゃーん」

提督「ま、それを始めたから何か変わるかっていうとアレだけどさ……うん、頑張れ? 」

漣「うっわ腹立つ。ほんっっっとなんなのこのコンビ……ムキー! 」

提督「声に出してそんなこと言えるなら余裕だろ。一回やってみろ」


< オールドマン >





提督「今日のカクテルはホットタレアカルーア。
カクテルワードは“ 幾つになっても乙女心を忘れない王女様 ”、だ」

愛宕「いいこと? 」

提督「いいことだろ。歳を考えないのとはまた別の話だ」

愛宕「ふーん……? 」

提督「俺はさ、おっさんになっても爺になってもお前と遊びに行きたいと思うよ」

愛宕「……」

提督「そりゃ単車ぶん回してラブホ入ったりはしないだろうけど。
洒落たレストランでゆっくり食事したり、そういうことだろ」

愛宕「……ま、そうね」

提督「時々はしゃいでみるのもいいかもだけど……。
幾つになったって好きな女には着飾っていてほしいし楽しんでもらいたいよ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………そう、なれるといいわね」

提督「なれるさ。根拠なんて示すまでもないね」


< 迸る熱いパトスってやつ >





提督「ま、それに関連、という程でもないが」

愛宕「ないが? 」

提督「ディアンドルを」

愛宕「ディアンドルを? 」

提督「用意」

愛宕「用意? した? 」

提督「かったのですがさすがに無理でした」

愛宕「あ、そうなの」

提督「そもそもさ、ディアンドルとかいうけどオーストリアとかとかチェコとかと被ってんだよ。
なーにがドイツ中心だ」

愛宕「はぁ」

提督「飯なんてお前、ウィーンと比べてみ?
ベルリンは兎も角としてミュンヘンもバイエルンも全く勝ててねぇぞ」

愛宕「知らないわよそんなの。私は住んでたも行ったこともないし」

提督「ウィーンはハプスブルクのものだからな。
空爆も無かったし街並みが綺麗だ」

愛宕「へぇ」

提督「民族衣装だって俺はオーストリアの方が好きだね。
各村で種類があるとか素敵じゃん? 」

愛宕「うん」

提督「これは俺が偶然できた休みでウィーンに行った話なんだがーー」


< で、結局 >





提督「ーー……あれはなかなかいい思い出だな、うん」

愛宕「そう、よかったわね」

提督「あぁ」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……それで? 」

提督「……や、ディアンドルでもなんでもいいからお前が着たとこみたいなぁって」

愛宕「そ、なんとかしてあげてもいいんだけれど……随分と遠回りしたわねぇ」


< 横須賀戦艦ストーリー >





金剛「ウィスキー、ロック」

山城「自分でやりなさいよ……はい」

金剛「Thank You山城。あなたのそういうところ嫌いじゃないデス」

山城「……さっさと飲んで酔い潰れてなさい」

金剛「ふふ……山城とこんなにお話できるチャンスなのにここで寝るわけにはいきまセーン」

山城「…………」

金剛「…………ふふ」

山城「……チッ」

扶桑「山城、品が無いわよ? 」


< もちろん冗談 >





扶桑「オクトーバーフェスト、ですか。なにやらドイツ艦がしていたようですけれど」

山城「……英国人ならジャガイモ女のイベントなんて鼻で笑って紅茶飲んでるものなんでしょう? 」

金剛「Oh……山城のイメージがおかしいデース。扶桑? 」

扶桑「えぇーっと……」

山城「…………」

扶桑「そ、そうね。山城。金剛は殆ど英国人じゃないからそんなことはないと思うわ」

金剛「What did you just say to me? 」

山城「ふっ……そうですね、私が間違っていました。ごめんなさいね、かぶ……金剛? 」

金剛「shit! ……はぁ、でもこれは私の人選ミスデース……むしろ山城が扶桑に説明してほしいネ、ネ? 」

扶桑「? 」


ありがとうございました


< もふもふぎゅー >





提督「ふっつーに眠い」

愛宕「んっ…………重いわ」

提督「はぁ……あったか」

愛宕「暑いわよー」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……あと一時間」

愛宕「なーがーいー」


< ぷりーず、ぷりーず >





提督「ってもさ」

愛宕「うん」

提督「目の前に可愛い女の子がいてそれが恋人ならとりあえず抱き締めるじゃん? 」

愛宕「そう? 」

提督「違わない? 」

愛宕「んー……」

提督「…………あったかやわらか」

愛宕「……ん、腕上過ぎ」

提督「あぁ……ニットワンピっていいな。感触も見た目も」

愛宕「逆に下にいき過ぎなんですけどー? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……………………っ、ん」


< 幸せ者が集まったとしても、それは >





高雄「九月二十二日の誕生石はオールカラージルコン。
石言葉“ 指導者 ”、“ 幸せ者 ”、“ 若々しさ ”、そして“ 豊かな表情 ”」

天城「幸せ者……まぁ、天城も不幸ではありませんけれど」

高雄「案外と幸福と不幸は対極ではないのかもしれませんね」

天城「幸福の対極は最大多数の幸福、とか」

高雄「皆が幸せになることの反対が個人の幸福、と考えると割としっくりきますね」

天城「……」

高雄「……」

天城「……あ、茶柱」

高雄「それはそれは」


< 心を掴んで >





高雄「今日の誕生花は小判草。花言葉は“ 心を揺さぶる ”」

提督「揺さぶられっぱなしだよ」

高雄「はぁ」

提督「……ドキドキしっぱなし? 」

高雄「なるほど」

提督「でも落ち着くんだよね、一番」

高雄「……」

提督「……」

高雄「…………カップが、落ちてしまいますから」

提督「ん…………これでいい? 」

高雄「……なにもよくはありませんが……仕方ない、ですね」


< 茨城民の駄洒落 >





提督「今日のカクテルはグランマルニエトニック。
カクテルワードは“ 自分の周りの環境を美しく変える改革者 ”、だ」

加賀「那珂が」

提督「うん? 」

加賀「筑波山にくっつく婆さん、って言ってたわ」

提督「あ、そう」

加賀「……那珂って割と絡みやすいわよね」

提督「単にツッコミタイプなだけじゃ」

加賀「…………苦労人ね」

提督「大概お前みたいなやつの所為だろ……」


< 造形美とかではなくて >





雲龍「基本的に皆わかりやすいわよね」

愛宕「うん? 」

雲龍「あの人と寝た次の日って明らかに機嫌いいじゃない」

愛宕「あぁ、そうね」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………けれど欲求不満の顔って分かりにくいわよね」

愛宕「そう? ……鏡見てくればいいんじゃない? 」

雲龍「自分の顔なんて見ても楽しくないわ」


ありがとうございました


< なんとなく顔でわかる >





提督「おはよう」

雲龍「おはよう」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………一人でシただろ」

雲龍「何か悪いことでも? 」

提督「や、ないけどさ」

雲龍「……あなた>玩具>私」

提督「…………すっげぇなんとも言えない」

雲龍「でしょうね。ただの実体験だもの」

提督「……お、おう」


< 二人でようやく受け止められるモノ >





高雄「九月二十三日の誕生石はダイオプサイド。
石言葉は“ はにかみ ”、“ 礼儀 ”、“ 表現力 ”、そして“ 溢れる愛 ”」

雲龍「溢れる愛って割と邪魔なだけよね。
優しく注いでくれればそれでいいのに」

高雄「まぁ……ただそう都合良くはいかないものです」

雲龍「そうね」

高雄「はい」

雲龍「…………」

高雄「…………」

雲龍「……ま、本来一人に注がれるはずのものが二人であれと考えると丁度よかったのかもしれないわね」

高雄「欲張りな気分になることもありますけど……そうかもしれないですね」


< 褒めている部分も無きにしも非ず >





雲龍「そもそも」

高雄「はい」

雲龍「……恋愛不適合者よね、彼自体が」

高雄「ある意味でこの上なく適合している気も」

雲龍「……人間って、柔軟よね」

高雄「…………それ、雲龍さんが言うんですか? 」

雲龍「失礼……なこと言われたわよね? 」


< 普通に見えてどこかしら >





高雄「今日の誕生花はコスモスホワイト。
花言葉は“ 清潔 ”と“ 美麗 ”」

愛宕「未だに黒いカサカサのアレが出てないのは素晴らしい努力だと思うのよね。台所を預かる身としては」

高雄「そうね」

愛宕「まぁ、正直出現したところで」

高雄「おそらくは普通に退治して終わりよね」

愛宕「その辺はヒトでよかったのかもしれないわ」

高雄「ええ。然程嫌悪感もありませんしね、好きではありませんが」





提督「……って言ってたけど」

江風「いやいやいや……それたぶンあの二人がおかしいだけだよ。
江風は映像で見るだけでもきついよあれ」

提督「そうなの? 」

海風「海風も嫌いですよ…………さすが提督の、というかなんというか」


< いつまでもそうありたい >





提督「今日のカクテルはチョコレートモヒート。
カクテルワードは“ 多くの事柄を組み立て楽しむやんちゃな人 ”、だ」

瑞穂「提督もお若い頃はそのような? 」

提督「待て、今も若いだろ、な? 」

瑞穂「……そうですね」

提督「瑞穂にそういう反応されると心にくるんだが……そんなやんちゃって程ではないぞ」

瑞穂「喧嘩などは? 花火のときは随分慣れているように思いましたけれど」

提督「あれはまぁ……自分の女の子の為だからね。あんなもんだよ」

瑞穂「はぁ」

提督「男の子には無我夢中のときに限って力が出るってことがあるんだ」

瑞穂「なるほど」


< 数式もあるしね >





提督「酒の匂いってなんでこんなきついんだろ」

明石「いや、ラム酒ラッパ飲みしてる人が言うことじゃ」

提督「最後の一口だからね、仕方ないね」

明石「どう考えてもグラス二杯以上あったでしょ……」

提督「それはグラスに入れてないからわからない。
シュレディンガーの猫ってやつだな」

明石「あー……確率解釈に基づく通常の量子論だと時間発展した確率が保存されるってやつですね」

提督「はぁ? 」

明石「如何なる場合でもある事象の確率の合計が100%になるっていう」

提督「……はぁ? 何言ってんだお前」

明石「や、シュレディンガー方程式ってつまりそういうやつなんですけど」


< 欲求を上手く伝えたいとき >





雲龍「爪、立ててもいいのに」

提督「や、むしろそれ俺のセリフだろう」

雲龍「傷付けられたいの? 」

提督「そんなわけ。お前じゃないんだし」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……満足のMとサービスのSって分かるか? 」

雲龍「……自覚はあるわ」


< 頭が真白になるということ >





雲龍「ゃ、ん…………っ……ふ……」

提督「ん……」

雲龍「み、み、……弱いのよ」

提督「……知ってるよ」

雲龍「…………っ」

提督「…………ん」

雲龍「……っ、ん…………指、何本あるの? 」

提督「さぁ……」

雲龍「ぁ……ひ…………ん……舌、何本あるの? 」

提督「さ、ぁ? ……それさすがにおかしくないか、なぁ」


ありがとうございました


< 廊下で出くわした二人の関係は >





高雄「あら、おはようございます」

雲龍「……おはよう」

高雄「はい。あの人は? 」

雲龍「岬でこれ」

高雄「あぁ、煙草」

雲龍「……スープある? 」

高雄「ありますよ」

雲龍「そう……今日もいただくわね」





天城「……どう考えてもまともな方が一人も…………ま、天城も似たようなものですけれど」


< 朝日が眩しくて思わず瞑った目蓋にあの人の顔 >





金剛「オハヨウゴザイマース」

山城「はいおはよう。……朝だとあなたの似非っぷりは増すわね」

金剛「似非じゃないデース……ふぁ」

山城「…………」

金剛「…………」

山城「…………」

金剛「……提督も同じ空を見ているのかナー」

山城「ふん……見ていたとしても女と寝た後でしょ、あなた以外のね」

金剛「ハハハ……確かに、そうデスネ」

山城「…………」

金剛「…………」

山城「……前から思っていたけれど辛くないの? 」

金剛「ちっとも。片想いだって楽しむことはできますからネー」

山城「…………姉さまも、あなたも、馬鹿みたいよ、本当に」

金剛「…………恋ってそういうものデス。
それに、山城の愛も外側から見れば十分歪んで見えますヨ? 」

山城「……………………本ッッッ当に忌々しいわね、あの男も、あなたも、まったく」


< 心を覗いているのにも似た >





高雄「九月二十四日の誕生石はスペサタイトガーネット。
石言葉は“ 野心家 ”、“ 積極的 ”、“ 真面目 ”、そして“ 乙女心 ”」

江風「高雄さンに訊くのもおかしい気がするけど」

高雄「ええ」

江風「テートクのこと奪おうって考えないのかな。
雲龍さンとか加賀さンとか、あと特にLittorioさンみたいな外のヒトは」

高雄「…………」

江風「……他意の無い純粋な興味ってやつなンだけどさ」

高雄「……自惚れることを許していただけるなら」

江風「うン」

高雄「あの人の私を見る目が、それだけ強く見えるということでしょう。
それが理由で惹きつけられるとしても」

江風「はーン……」

高雄「…………あの人が愛宕を見る目を私にも向けていると思うと……ある意味で最高に卑怯な話ですね」


< 馬力。うまちからではない >





提督「ふぇ……つっかれたぁ」

高雄「まだ執務を始めて一時間経っていませんが」

提督「俺の燃費はスポーツカー並なんだ」

高雄「その割に馬力も大して」

提督「え? 」

高雄「…………」

提督「おーいー? 」

高雄「……今日の誕生花はアリッサム。花言葉は“ 和解 ”と“ 理解者 ”」

提督「いや、そんな私は理解してますみたいな顔……ねーえー? 」


< この後滅茶苦茶忍者トークした >





提督「まぁ、冗談はここまでとして」

高雄「私は何も言ってないのですが」

提督「俺の馬力が低いってなに。むしろ夜はブォンブォンしてるよ? 」

高雄「……そういうのは雲龍さんが相手のときに」

雲龍「なに? 」

提督「おおう……お前湧き過ぎ。忍者かなんかかよ」

Littorio「ニンジャ? 」

提督「……模範的外人みたいな反応をどうもありがとう」

雲龍「で、なに? 馬並? 」

Littorio「ニンジャと馬になんの関係が? 」

提督「めんどくせぇなお前ら」

高雄「……………………単に大規模作戦などの難所で立ち往生するという意味だったのですが……聞いてない」


< 割と普通の味がした >





瑞穂「いなごやバッタを食べたことはありますでしょうか? 」

加賀「さすがにないわ」

瑞穂「そうですか……」

加賀「このテレビを観ている限り……美味しくも不味くもないように見えるわね」

瑞穂「わざわざ食べる程のものではないと」

加賀「ええ。機会があれば食べてみたいけれど」

愛宕「……あれを食べてみたいと言い切る女の子がどれだけいるか……私も積極的に料理したいとはさすがに」


< 早送りするのすら面倒 >





江風「ほーン……」

海風「ポッキー海風にもちょうだい」

江風「ン」

海風「ありがと」

江風「……」

海風「……」

江風「……」

海風「……誰の録画? 」

江風「明石さン」

海風「ふーん……」

江風「…………なげーなこれ。X出てきたらおしえてってテートクに言われてるンだけど」

海風「一日二時間くらいずつ観ればいいんじゃない? 」

江風「だな。……テキスト見ながら観よ」

海風「そうだね。復習しないと」


< 酔っ払いにも格というものが >





明石「うぇっへっへ……」

雲龍「あなたまた飲み過ぎてるじゃない。いつになったら限度を覚えるの? 」

明石「ふぇ? ふぇっ? 」

雲龍「……天城」

天城「面倒なことを天城に押し付けるのはやめてくださいね、姉様」

明石「へへへ……おねーちゃん今日のパンツ何色? 」

雲龍「はぁ……何色だったかしら」

天城「別に反応しなくても」

明石「やだやだやだぁ、おしえてくれないとやーだー」

天城「はぁ……」

雲龍「別に適当でもいいけ……」

天城「? 」

雲龍「…………そういえば履いてないわ。スカートだし面倒だったから」

明石「わーお、さっすが雲龍さーん。予想の斜め上をいくー」

雲龍「それ程でもないわ」

天城「…………頭が痛いです。誰か、誰か」


< 自分以外の手が触れているのを見るのもなかなか >





提督「今日のカクテルはグランマルニエサイドカー。
カクテルワードは“ 内面が豊かな感性磨かれた都会派 ”、だ」

明石「へへへー」

提督「……なんだこの面倒な生き物」

雲龍「今なら無料で差し上げるわ。私付きで」

提督「もっと面倒なおまけだなおい」

明石「内面はいいんですよねー? これがあればー」

雲龍「んっ……あか、やめっ」

明石「ふふ……Tシャツ着てても丸わかりの柔らかさですねー」

雲龍「ゃ、明石、ちょっ、と……ん」

明石「ふっふっふ」

提督「…………」

天城「……明石さんに姉妹がいれば天城は仲良くなれたと思いますよ、切に、切に」


< そうか。もうこんな季節なんだ >





加賀「ふろふき大根、ね。あなたの見た目に合わないこと甚だしいわ」

愛宕「こういうの好きなんですけどねー。鰹のたたきとか」

加賀「……美味しいわ」

愛宕「柚子胡椒味噌でやってみました」

加賀「やるわね」

Littorio「この国の食べ物は味というより見た目が凄いと思います」

愛宕「……ピザとかの方が凄い見た目じゃない? 」

加賀「まったくです。どちらも美味しければ構わないけれど」


ありがとうございました


< わかってる >





叢雲「ふぅ……」

漣「あ、おはよー」

叢雲「おはよう。……さっさと起きてきなさいよ」

漣「まだ大丈夫でしょ。ご主人様だってきっと今くらいに起きてくるんじゃない? 」

叢雲「一応あれでも上官なんだしそれでいいのよ。……あとたぶん今日はもう起きてるわよ」

漣「なんで? 」

叢雲「雲龍さんがね」

漣「うん? 」

叢雲「……ま、私やあなたには関係ないことだけど」

漣「? 」


< わかってない >





提督「よう」

雲龍「ん」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……よし、風邪も疲れも無いな」

雲龍「ええ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「……よし」

雲龍「? 」


< 例えばの話 >





明石「頭痛い……」

叢雲「馬鹿でしょ。なんで加賀さんとか天城さんと同じペースで同じもの飲むのよ」

明石「面目次第も……うぇ」

叢雲「大概それで問題起こしてな……まぁ、致命的なものがないのも強い方だと思うけど」

明石「…………」

叢雲「…………」

明石「……例えばだけど……好きな男性に向かって戻したのは致命的ではない? 」

叢雲「」

明石「…………」

叢雲「…………相手によるわね。……例えば、あいつなら割と許してくれると思うわ、例えばだけど」

明石「…………」

叢雲「…………」

明石「…………はぁ、頭痛い」


<あれでいて気配りができるからこそ >





高雄「九月二十五日の誕生石はバイカラートルマリン。
石言葉は“ 愛情 ”、“ 調和 ”、“ 交流関係 ”、“ 優しさ ”、そして“ 気配り ”」

愛宕「あんなに覚えられているか気にしてたくせに」

高雄「はい」

愛宕「本人が今日を忘れてたってのも凄い話よね」

高雄「それだけ忘れていたかったとか」

愛宕「サプライズ的な? 」

高雄「いえ……恐れ、というか不安というか」

愛宕「ふーん……案外自分に自信がないのね」

高雄「あなたみたいなものでしょう? 」

愛宕「む……私は」

高雄「自分が一番役に立たない、そんなことを考えていたことがあったような」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………今も、と言ったら? 」

高雄「ふふ……馬鹿め、と言って差し上げますわ」


< 苦いような違うような話 >





高雄「今日の誕生花は瑠璃苦菜。花言葉は“ 心は思いのまま ”」

雲龍「心は、ね。現実が思いのままでなければ苦しいだけ」

高雄「私からは何も言えませんが」

雲龍「求めてないわよ。ただの友人としても、僚友としても、他の何かとしても」

高雄「そうですか」

雲龍「…………」

高雄「…………」

雲龍「…………あなただって私が何か謝ったりしても不愉快なだけでしょう? 」

高雄「……そうかも、しれませんね」


< おめでとう >





天城「おめでとうございます、姉様」

雲龍「ありがとう」

天城「……艦載機と天城のチョイス、どちらがいいですか? 」

雲龍「艦載機」

天城「…………」

雲龍「…………ふっ、冗談よ」

天城「……本当ですか? 」

雲龍「妹の、可愛い妹の気持ちを捨てたりはしないわ」

天城「…………」

雲龍「天城が私を見捨てない限り、私はあなたの姉であり続けるし、
あなたが私を見捨てたとしても、私はあなたの姉であり続ける」

天城「…………こちらの台詞ですよ、雲龍姉様」


< 今日だけは主役だから >





提督「よ」

雲龍「ん」

提督「さて……どこ行く? 」

雲龍「どこでも。あなたと二人になれる場所なら」

提督「そうか」

雲龍「……ん」

提督「おい……ここでもうか? 」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………私、ダメな姉よね」

提督「……そう、思うのか? 」

雲龍「…………天城って、そう思わせてくれないのよ。いい子だから」

提督「…………俺は悪い姉だとは思わないが……そう思うなら」

雲龍「…………」

提督「……一緒にいてやれ。ずっとさ。あいつはそれだけで嬉しいと思うよ」

雲龍「……………………そうだと、いいわね」


< 単車ってどうしてあんなに優しい雰囲気なんだろう >





雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……乗せてくれるの? 」

提督「乗らないのか? 」

雲龍「……あの二人だけの場所かと」

提督「…………そんなんじゃないさ」

雲龍「ふ……その間のことは忘れてあげる」

提督「そうしてくれ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……暖かい」

提督「つかまっとかないと死、にはしないか」

雲龍「そうでなくても離さないわ」

提督「あぁ」


< 贈り物 >





天城「何を? 」

愛宕「ちょちょっとした小物ね、インテリアみたいな」

天城「はぁ」

愛宕「天城は? 」

天城「和柄のストールを」

愛宕「へぇ」

天城「……喜んで、くれたでしょうか」

愛宕「…………はぁ」

天城「……? 」

愛宕「……あなたたちって似たもの姉妹よね」

天城「そうでしょうか? 」

愛宕「ええ…………私もそれくらい似ていれば……ま、今の私が嫌いなわけじゃないけど? 」


< 冷たいのも時にはいいけれど >





提督「今日のカクテルはマンハッタン。
カクテルワードは“ 困っている人を見過ごせない心暖かい人 ”、だ」

雲龍「マリリン・モンロー? 」

提督「よく知ってるな」

雲龍「Littorioと観たのよ……お熱いのがお好き? 」

提督「知ってるだろ? 大好きだよ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……カクテルの女王、なんていっても飲んでしまえば他と同じ」

提督「そこが人と違うところだな」

雲龍「ヒトも、人も同じよ」

提督「……俺はお前が人混みにいてもすぐ見つけられるよ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……優しい嘘って、暖かさが一番酷い部分なのよね」

提督「……さてね」

雲龍「…………」

提督「…………ほら、もっと近くに、あぁ……どこへいても見つけられるようにーーーー」


< そこそこに洒落た急須と洒落た茶碗で >





加賀「…………」

瑞穂「こう……不謹慎な話ですけれど瑞穂たちの場合どれだけお酒を飲んでも癌にはならないのでしょうね」

加賀「さぁ……なにか大きなリスクを伴っている可能性がないわけではないわ」

瑞穂「……」

加賀「まぁ……そんなものがあったとして制限する理由にはならないけれど」

瑞穂「……そうですね」

加賀「……ん……バーテンダー、はいなかったわね」

瑞穂「瑞穂がお注ぎ致しましょう。何を? 」

加賀「それなら……それ」

瑞穂「お茶? 」

加賀「今日はもう止めておくわ。……お茶漬けでも食べて寝ることにします」

瑞穂「はぁ……あら、雲龍紋? 」

加賀「彼女は今頃お茶なんて飲んでいないでしょうね」

瑞穂「…………瑞穂には何とお答えしていいか」


< この世で本当に価値のあるもの >





「…………」

「…………」

「……あなたは私の宝石」

「ん? 」

「なんて褒め方が外の国にはあると聞いたわ」

「へぇ……」

「……あなたの宝石箱は一杯ね」

「…………」

「私の宝石箱には……いえ、宝石箱なんてものそもそも無いけれど」

「…………」

「指にも、首にも、部屋にだってなくて」

「…………」

「……私を見つめてくれるときのあなたの瞳の中にだけ、あるのよ」

「…………」

「…………」

「……その宝石は、本当に価値のあるものか? 」

「当然。何もかも思いのままに、私だけの宝石箱だって信じている限りは、ね」


ありがとうございました


< 朝って何もかも嫌になったりする >





雲龍「…………眠い」

提督「基地に着くまでなんとかしとけ。落ちても拾ってやんねぇぞ」

雲龍「…………」

提督「……おい」

雲龍「…………なんで単車にしたの? 」

提督「お前さ……こっから歩かせるぞ、あ? 」



< 帰投 >





提督「基地帰るために力開放して回復するってどういうことだよ……」

雲龍「理に適ってるじゃない」

提督「ぜってー適ってねぇよ。敵襲とかあったらどうすんだ」

雲龍「……加賀さんと天城がいるから」

提督「いやいや……昼まで寝てるのか? 」

雲龍「ええ」

提督「…………また、遊びにいけたらいいな」

雲龍「…………次は」

提督「あぁ」

雲龍「……もっと遠い所に、ね」

提督「そうだな。……じゃ、佳い夢見ろよ」





雲龍「…………十分、見させてもらったわ」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………」

雲龍「…………寝ましょうか」


< それだけが気掛かりだった、ということもないが >





提督「お、明石」

明石「あ、おはようございます」

提督「ゴジラ録画してくれた? 」

明石「もちです」

提督「さんきゅ」

明石「まぁ、私も観たかったですし」

提督「おう。…………寝てくる」

明石「はいはい」

提督「…………あ、そうだ」

明石「はい? 」

提督「なんか問題なかった? 平常通り? 」

明石「そうですね。……でもそっちを先に訊くべきじゃ」



< とどのつまり、欲しい >





加賀「カタパルト……量産できないの? 」

明石「無理言わないでください。
夕張と二人で上申しつつ提督に根回ししてもらってやっと予算下りたんですよ? 」

加賀「……そう」

明石「ええ」

加賀「…………それならいっそ電磁式のをつくるとか」

明石「いやいやいや……あくまで私がやってるのは現在技術的に可能なものを私たちの身体にマッチさせることでしてね」

加賀「電磁式くらい気合でなんとかなさい」

明石「や、気合でつくれるなら最初からつくってますってば」


< おっぱいを得るために失えるものの方があるいは多い >





高雄「九月二十六日の誕生石はパーフェクトテンダイアモンド。
石言葉は“ 努力 ”、“ 向上心 ”、“ 前向き ”、そして“ 明哲な判断力 ”」

加賀「努力では手に入らないもの」

明石「運」

Littorio「運ですね」

江風「運だなぁ」

加賀「運を得るために失ってもいいもの」

明石「無いですねぇ」

Littorio「無いです」

江風「無いなぁ」

高雄「皆さん割と満足しているんですね。私はてっきり……」


< 指輪があるからね、仕方ないね >





加賀「もう一度考えてみたのだけれど」

明石「はい」

加賀「私の能力向上の為に改二かそれに類するものが必要よね、やはり」

明石「そんなこと言われてもですね」

加賀「ねぇ、なぜ五航戦なの? せめて赤城さんにすべきではなくて? 」

明石「……パーツのサルベージとか精神的なものとか色々あるんですよ、大人の事情ってやつが」

加賀「…………」

明石「…………」

加賀「…………」

明石「…………」

加賀「…………まぁ、よく考えればどこかの重巡姉妹よりはマシよね」

明石「言いたいことはわかりますけど……その納得の仕方はどうかと思います」


< 熟した子 >





高雄「今日の誕生花は柘榴。
花言葉は“ 自尊心 ”、“ 子孫の守護 ”、そして“ 円熟した優美 ”」

雲龍「……おはよう」

高雄「おはようございます」

叢雲「どう考えてもおそようってやつよね」

雲龍「…………クッキーだけもらうわ」

高雄「コーヒーと紅茶が」

雲龍「コーヒー」

高雄「はい」

雲龍「ふぁ……」

叢雲「…………いっそ娘になれば? その方が幸せなんじゃないかしら」

雲龍「……近親相姦はちょっと」

叢雲「はぁ? 」

雲龍「愛人と何度も寝るのより血縁者と一度寝る方が背徳的じゃない」

叢雲「…………私、本当に何言ってるかわからないんだけど」

雲龍「理解してくれなくてもいいわ……眠い」

高雄「ブラックにしておきましたよ」


< そんなの決まってる >





提督「今日のカクテルはムーニーオレ。
カクテルワードは“ 上品さと礼儀正しさのある奥ゆかしい人 ”、だ」

愛宕「そう言われると瑞穂と天城って思うんだけど」

提督「うん」

愛宕「……どうも天城は脱落してる気がするのよね。お酒とか」

提督「つーかまぁ、そこだけだろ。
俺的には失点には思えないけど撫子的な見方なら失点だな」

愛宕「本人はそこはあまり気にしてないみたいね」

提督「永遠になれないだろうなぁ……」

愛宕「お酒止めた天城とかただの撫子だものねぇ」

提督「あぁ」

天城「…………何故それを天城の前で……理由をうかがっても? 」


< 台風襲来の日らしい >





瑞穂「そういえば第四艦隊事件の日ですね」

明石「ですね」

提督「ちなみに洞爺丸台風の日でもあるぞ。洞爺丸」

明石「まーた地元関係」

提督「第四艦隊も函館港出てる」

明石「……時期的な関係で伊勢湾台風の日でもありますね」

瑞穂「台風の中での出撃は遠慮したいところですが……んー」

提督「そもそも大して任務がないという」

明石「良いのか悪いのか……ま、どちらにせよ私は前線へは…………はぁ」


< 頭を撫でるその手をもっと >





海風「提督」

提督「ん、なに? 」

海風「海風では……ダメですか? 」

提督「ーーーー」

海風「…………」

提督「…………どう思う? 」

海風「……海風としては、今更提督が何か逡巡することはなにもないかと」

提督「……まぁ、倫理とか年齢なんてどうでもいいっちゃいいけどさ」

海風「海風は、何の問題もないと」

提督「…………」

海風「…………」

提督「…………ま、そのうちな。海風のこと、嫌いじゃないんだぜ? 」

海風「ん…………」


ありがとうございました


< いつかは灰となってしまうのだとしても >





提督「元少将、今日だってよ」

高雄「そうですか」

提督「どうでもいい? 」

高雄「ええ。軽巡の彼女とならもう一度話してみたい気もしますけれど」

提督「あいつは……通達きてない」

高雄「…………」

提督「……つまり、死ねないってことだな」

高雄「……彼女ならば」

提督「……あぁ」

高雄「……感情を持った兵器の末路、なんてことを語ってくれそうですね」

提督「違いない」

高雄「…………」

提督「……少将殿は、死ねてよかったのかな」


< どんな印象なんだ >





江風「思うンだけどさ」

瑞穂「ええ」

江風「海風の姉貴がテートクを見る目が最近ヤバい気がする」

瑞穂「はぁ……どういうことでしょうか」

江風「そりゃ……恋する瞳」

瑞穂「あぁ」

江風「が、少し濁ってる気がするンだよね」

瑞穂「……海風さんといえば江風さんのことばかり気に掛けている印象だったのですが」

江風「そのベクトルがテートクに向いたとすれば? 」

瑞穂「…………」

江風「…………」

瑞穂「……あまり穏やかではないですね、それは」


< 通販ミスの典型 >





提督「大概お前も背高いよな」

雲龍「そう? 」

提督「お前が何歳相当かは別としてどの世代の平均より高いと思う」

雲龍「ふーん……」

提督「たぶんだけどな」

雲龍「そう……で、それはあなたにとっていいことなの? 」

提督「まぁ……うん。抱き締め甲斐があるっていうの? 」

雲龍「そ、ならいいわ」

提督「あぁ…………たださ、小さめのTシャツ着てヘソの上まで出してるのはどうかと思うよ、俺」


< 字が汚いと萎える >





江風「やっぱテートクともなるとラヴレターとか貰ったことある? 」

提督「ともなるとってなんだよ……小学生のときなら」

江風「ふーン? 高校生の初彼女は? 」

提督「一緒に遊んだ帰りに俺が告った」

江風「へぇ」

提督「俺だってラヴレターくらい貰ってみたいけどさ。なかなか無いんじゃない」

江風「ン、実際メールも電話も無い時代でも割と機会はつくれた気がするもンな」

提督「じゃないとなかなか告白までする勇気は出ないって。
だからこそ貰えたら滅茶苦茶嬉しいだろうけど」





江風「だってさ」

海風「…………そっか」


< 疲れた日曜夜のお父さんみたいな顔で言うとそこそこ >





雲龍「あなたって」

提督「あぁ」

雲龍「思ったより保守的というか安全運転よね」

愛宕「車でもそうよねー。そんなにスピード出さない」

提督「法定速度ガン無視してると思ったか? 」

雲龍「正直に言えば」

提督「そうか。……俺はさ、大事な相手しか車にも単車にも乗せないの」

雲龍「ええ」

提督「で、乗るものも大切なわけ」

愛宕「うん」

提督「無駄な見栄とかプライドを守るくらいなら俺は喜んで何度でも切り返すし徐行もするよ」


< 建前も個人の一部 >





愛宕「本音は? 」

提督「事故ると立場上ヤバいし擦りたくない」

明石「うわぁ……」

提督「や、でもさっき言ったことも本音なんだぜ? ただ色々な理由があるだけで」

明石「はぁ」

雲龍「ま、でも正しい大人よね。どんな感情を抱くかより何を行ったかよ、重要視されるのは」

愛宕「ただしここではそれが逆転、ないしはイコールの関係なのよねぇ~」

提督「…………」

明石「…………」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

提督「……天国と思うか? それとも歪み切った底辺だと思うか? 俺は……決められないけどさ」


< 誰が始めた話なのか >





漣「ご主人様がギリギリ許してくれそうなドッキリ」

叢雲「割とサイテーな話よ、それ」

漣「激おこくらいのやつで」

叢雲「……難しいわね」

海風「あの、絶対に絶縁されるか存在を許されないくらいのものってあるんでしょうか?
印象やイメージよりも感情を表に出さない方だと思うのです」

叢雲「そりゃ……できるかどうかは別として自分の女に一生消えない傷を与えるとか」

江風「車と単車は……ま、不注意なら許してくれるな。故意に砲撃したらどうなンだ? 」

海風「殺してもまず理由を訊いてきそう……」

漣「あの……そんな過激な話じゃなくて、ねぇ……あれ? 」


< それでも祖国とは >





高雄「九月二十七日の誕生石はグリーンサファイア。
石言葉は“ 寛大 ”、“ 生真面目 ”、“ 行動力 ”、そして“ 新たな可能性 ”」

Littorio「この戦争が終わる可能性って実際はどのくらいのものなのでしょう」

高雄「さぁ……私にはなんとも」

Littorio「一応この国では敵性体を押し出せているようですけれど」

高雄「あなたの祖国周辺ではコルシカやサルデーニャが落ちているのでしたね」

Littorio「それで無駄な争いがあってLittorioがこちらにきたわけですけれど」

高雄「……」

Littorio「……」

高雄「……どうもあなたは祖国に対して厳しいですね」

Littorio「いえ……正当な評価だと思いますよ、どんな誇張もなしに」


< 忘却は贈り物とは言うけれど >





高雄「今日の誕生花は葡萄。花言葉は“ 好意 ”、“ 信頼 ”、“ 思いやり ”、“ 親切 ”、そして“ 忘却 ”」

愛宕「長い時を生きていると」

高雄「ええ」

愛宕「何があったかは覚えていてもその時の感情が抜け落ちていくって言うじゃない? 」

高雄「むしろ過去の記憶の残滓のみ感情として覚えているような」

愛宕「そう? 」

高雄「……仮にあの人が死んで私が死ねなかったとして」

愛宕「ええ」

高雄「あの人に貰った心がたかが記憶に負けるとは到底思えないわね」

愛宕「なるほど」


< 谷崎潤一郎とかならまぁ >





提督「お前って阿武隈とか書けんの? あと矢矧とか読める? 」

江風「いや、江風のこと馬鹿にし過ぎなンじゃ……」

提督「そうか? 」

江風「ン、ペンと紙」

提督「ほい」

江風「ンー、阿、武……」

提督「……」

江風「……」

提督「……」

江風「……扶桑さンって人間失格とか読ンでそうだよな。あとほら……蟹工船とか」

提督「書けなきゃ書けないでいいだろ……逃げ方が酷過ぎないかね江風さん」


< 今を生きることが最高の幸せだと信じてる >





提督「今日のカクテルはミントジュレップ。
カクテルワードは“ 数多くの人から好かれる人気者 ”、だ」

加賀「例の反逆者が」

提督「あぁ」

加賀「そんな人間なら、目標も達成していたかしら」

提督「……人気者ってさ、あぁいうことはしないものだよ」

加賀「それを曲げて、仮定の話よ」

提督「そりゃ成功しただろうね。大和や長門がいれば少なくとも交渉の席には着ける」

加賀「あなたはそういうこと、してみたいと思わないの? 」

提督「メリットが無い。高雄や愛宕と楽しく生きていれば俺はそれで満足だし」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………今の国に、横須賀の君に、思うところはないの? 」

提督「あってどうする。俺は俺だ。他の何かになろうとは思わないね」

加賀「……………………それが、あなたの強いところなのかもしれないわね」


< なんとも言えない薄い笑み >





雲龍「生えてなさそうよね」

海風「はい? 」

雲龍「いえ、なんでもないわ」

海風「…………」

雲龍「…………」

海風「…………」

雲龍「…………」

海風「…………ちょ、ちょっとだけ、その」

雲龍「へぇ……そうなの」

海風「ぅ……ぅぅ…………」

江風「姉貴になにしてくれてンですか……」

天城「姉様……」


< 甘いものと甘いものを足すと >




提督「正直さ」

愛宕「うん」

提督「あれ不味いとかこれ不味いって大抵はそいつの所為だよな」

愛宕「うん? 」

提督「高いものって大概は美味いんだよ。もしくは何個か食べると一つはそこそこ気に入るわけ」

愛宕「そう? 」

提督「あぁ。観光地行って一度しか食べてないのにそれ不味いとか言ってるやつは勿体無いね」

愛宕「まぁ、そう言われればそうかも」

提督「それを踏まえてあえて言う」

愛宕「ええ」

提督「梅酒はダメだ。下手すれば梅酒好きより色々なの飲んだ気がするけどこれだけは味わえない」

愛宕「別にそれでいいじゃない。問題ある? 」

提督「なんか悔しいじゃん? 皆が楽しんでるもの楽しめないのって? 」

愛宕「もっと他に楽しいものあると思うけど……口直しする? 」

提督「チョコ食べたい。ホワイト」

愛宕「チョコね……ん…………んん」


ありがとうございました


< 深夜、皆が寝静まった後で >





提督「…………これでよかったのか? 」

叢雲「なにが? 」

提督「誰も気付いてないだろ。漣は気付いててなにもしなかったみたいだけど」

叢雲「前からそれは頼んでるのよ。何もしなくていいって。
そもそも私や漣を祝おうなんて考えるのはあんた位のものよ」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………ま、そうね」

提督「……うん? 」

叢雲「……あんたがもし、今から単車出してもいいんなら、月でも見に行こうかしら」

提督「もちろん。……満月は明日なんだけどな」

叢雲「ふふ……相応しいじゃない。何もかも中途半端な私らしくて」


< 誕生日がどうとかではなく、友人として >





漣「…………」

漣「…………」

漣「…………」

漣「…………」

漣「……ふーん…………相変わらずご主人様にしか見せてくれないんだ、あの顔」

漣「…………」

漣「…………」

漣「…………」

漣「…………」

漣「……ま、知ってましたけどね」


< それは最高の褒め言葉であり、縛る鎖であり >





提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………今更お前の心を変えてやろうとは思わないからさ」

叢雲「……ええ」

提督「誕生日なんてことは言わないけど」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「……俺と出会ってくれてありがとう、それくらいは、受け取ってくれよ」

叢雲「…………」

提督「…………もし、高雄や愛宕に出会う前に指輪があればお前に渡していたよ」

叢雲「ふーん? 私に指輪の話なんてしていいの? 」

提督「薄々知ってただろ。…………それに、お前を信じられない俺なんて存在する価値がないからな」

叢雲「そ。……………………ま、司令官に値する限り、私はあんたの味方であり続けるけど? 」


< 見慣れぬイヤーカフ >





叢雲「おはよう」

漣「おはよ。ふぁ……相変わらず早起きだね」

叢雲「漣が遅いだけじゃない? 」

漣「そんなことないと思うけど……それ」

叢雲「なに? 」

漣「……んーん、なんでもない」

叢雲「……そ、漣も早めにシャワー浴びてきなさいよね」


< そういうこと >





提督「んあ……眠くねぇの? 」

叢雲「今日の夜早く寝ればいいだけのことでしょう」

提督「そんなもんか」

叢雲「あんたみたいに毎日無駄に疲れたりはしないのよ」

提督「無駄ではないと思うけどな。……一人でシないの? 」

叢雲「はぁ、風穴でも開けて欲しいの? 」

提督「冗談冗談。……今日は一段と可愛いね」

叢雲「ふん……」


< 止まることができない者も存在するから >





高雄「九月二十八日の誕生石はアメジストクォーツ。
石言葉は“ 平和な心 ”、“ 無邪気 ”、“ のんき ”、そして“人懐こさ ”」

江風「平和が悪いことなわけないけどさ」

高雄「ええ」

江風「江風たちまでぼンやりしてていいのかな。まだ一度しか作戦に参加してないし」

高雄「志願すれば前線にでもシーレーンにでも」

江風「タイミングが合えば海外にも、ね」

高雄「……あなたが特別な義務感、責任感を持たないのなら、ここは悪くはない場所だと思いますよ」

江風「そりゃね。江風も姉貴も満足してるよ」

高雄「……」

江風「たださ、姉貴って深く考えちゃうタイプだし。逃げ道は考えておいた方がいいかなって」


< 誰にも答えられないし、答えられるとも言える >





高雄「今日の誕生花は葉鶏頭。花言葉は“ 情愛 ”、“ 絶望 ”、そして“ 不老不死 ”」

海風「情愛、ってなんなんでしょうね」

高雄「さぁ……その言葉の意味を深く考えることに意味はないと思うけれど」

海風「考えて、しまうんですよ。親子の情愛があらゆる生物のココロをつくるのに」

明石「私たちはそれが無くとも問題無く存在していたり? 」

海風「! ……ええ、そのような」

明石「ま、一応それには説明付けられますよ? 推定が殆どで下手すれば疑似科学レベルですけど」

海風「…………だから、他のものを深く愛して、依存してしまうのかなって」

明石「…………」

海風「…………」

明石「…………どうです、深く愛して殉じる程に依存している方としては」

高雄「……そこで私に振りますか」


< 少しだけ真面目に考えた >





高雄「まぁ……そんなことは知りませんね」

海風「…………」

高雄「私は私。並の理性は知識として理解していますし倣う意志もあります、が」

明石「はぁ」

高雄「本来私も愛宕も、あの人も欲望には忠実ですからね。
それが罪だとも思いませんし」

海風「…………」

高雄「なにかの代償行為としての気持ち、なんて考えるのも自由ですが……個人的には気に入りません」

海風「……高雄さんは、人ですか? 」

高雄「あの人の前では」

明石「その割に誕生日とか考え方違いますよね」

高雄「究極的にはそれって人間同士の意見相違だと思うんです。
あの人の私への反論を許すことがそもそもあの人の前で私が人たろうとする意志かと」

明石「はえー……工学系女子にはなんとも」

高雄「さらに私自身はそれを認めようとしていないところに意味があると、勝手に思っています」





海風「……………………いっそ、あの人がもっと、酷い人ならよかったのに」


< 艦載機をくれなくたって、むしろ >





提督「おーい、烈風の整備報告出てないんだけど」

雲龍「……? 」

提督「? じゃねーよ。それの結果見て明石と相談したりしたいんだけど」

雲龍「……恐らくなんの問題もなかったと思いますよ? これから書いてきますし」

提督「何畏まってんだよ……それでいいけど不安要素しか無い」

雲龍「そんなこ……ぁ」

提督「あ? 」

雲龍「…………彩雲、そういえばどこにいったのかしら。
作戦時は索敵は他任せだったし」

提督「は? 」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………肩の力を抜いて、少し気楽に行きましょうよ。
私、ずっと隣に居ますから……大丈夫です」

提督「全くなにも大丈夫には思えないんだが」


< 毎晩は、してない程度 >





提督「今日のカクテルはピーチウーロン。
カクテルワードは“ スムーズな生活ができる冒険者 ”、だ」

明石「インディ・ジョーンズ? 」

提督「や、あれどう考えてもスムーズな人生ではないと思うぞ」

明石「ですかね」

提督「大体スムーズな生活したかったら冒険者なんてならないだろ」

明石「ま、そうですね」

提督「……まぁ、冒険はしたいけど」

明石「散々してるでしょ、毎晩」

提督「いや、冒険ってよりは探索のような……あと毎晩はしてない」


< お団子パーティ >





愛宕「うーん……暇ねぇ」

明石「十五夜でしょ、十五夜」

愛宕「満月は今日だけどぉ、十五夜は昨日よ? 」

明石「だって提督は昨日謎の失踪を遂げてましたし? 」

愛宕「謎の、ねぇ」

明石「……ま、そういうことにしておくのが穏当だと思うので」

愛宕「一応お団子は用意したけれど」

明石「…………何故最初に加賀さんに見つかっちゃったんでしょうね」

愛宕「それは運としか……またつくってくるわ。用意はまだあるし」

瑞穂「あ、瑞穂も参ります」

天城「天城も」


< 横目で見て、目が合ったりして >





加賀「……ふむ」

提督「…………相変わらずお前は」

加賀「…………」

提督「お前はそれでいいのか」

加賀「なにか? 」

提督「いや、別に。晴れてよかったな」

加賀「満月の夜は」

提督「あぁ」

加賀「狼に変身すると聞いたわ」

提督「そんなことは……満月の夜ってカップルで見たりすると盛り上がるからじゃないの」

加賀「つまらない話ね」

提督「かもな」

加賀「…………」

提督「……月に光る横顔とか滅茶そそるし」

加賀「そう……私も、そう思ったわ、たった今だけれど」


ありがとうございました


< 家族になろうよ♪ >





提督「福山も結婚か……」

明石「ですねー」

提督「お、俺は何を支えに生きていけばいいんだ」

明石「何言ってんですか。色々あるでしょう」

提督「俺の、俺だけのアイドルだったのにぃ、キィー! 」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……冷静に考えると何で自分が結婚してないか分からなくなってきたよ」

明石「ははは……ただの女優だったらまだ楽だったんですけどね」


< 見かけというか態度というか>





明石「まぁ、でも実質結婚しているようなものでは? 」

提督「あのね、内縁関係と婚姻関係って大きな違いがあるんだよ、法的にも精神的にも」

明石「はぁ」

提督「フランスじゃねぇんだから内縁関係に大したメリットってないし」

明石「えー、でも籍を入れたくない場合ってあるじゃないですか」

提督「俺は一緒に生活するレベルの相手とは入れたいけど。子供関係の補助とかもあるし」

明石「うーん……色々考えてるんですね。人は見かけによらないというか」

提督「……あのさ」


< 遠くから見ている分には >





高雄「九月二十九日の誕生石はゴールデンプレナイト。
石言葉は“ 拘り ”、“ 感受性 ”、そして“ カリスマ性 ”」

Littorio「ま、その辺りやはりカリスマ性というのでは」

江風「モテ男にカリスマもなにもないと思うンだけど」

Littorio「しかし提督は男性にも好かれそうでは?
いざとなれば頼れるところなど」

江風「うーン……そンな気も言われてみれば」

高雄「…………嫌われるとは言いませんが普段が酷過ぎて話にならないかと」

海風「今の状況だからいいんですよ、きっと」

Littorio「む……」

江風「ま、それにさ。上に立つ資質みたいなのはありそうだけど? 気持ちがもたないンじゃないかな、うン」


< 割と受け入れられそうな気もする >





高雄「今日の誕生花はアスター。花言葉は“ 多様性 ”、“ 想い出 ”、“ 追憶 ”、そして“ 信ずる恋 ”」

愛宕「横須賀にいた頃が懐かしいわよねぇ、今では」

高雄「そうね。あの頃は摩耶も鳥海もいたし。他にも色々な方がいました」

愛宕「たまには会ってみたいわぁ」

高雄「結局作戦中も顔を合わせませんでしたし」

愛宕「ええ。……今の状況って妹的にはどうなのかしら」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……私たちよりもあの人に詰め寄るような気が。なんとなくですが」

愛宕「そうねぇ……あれで二人ともそれなりに懐いていたはずなのだけど」


< 絶滅動物といえば >





提督「そりゃ、ニホンオオカミじゃないの」

明石「リョコウバト」

雲龍「ステラーカイギュウ」

瑞穂「真の淑女、撫子、では辛辣過ぎるでしょうか」

明石「…………」

雲龍「…………」

提督「……それを瑞穂に言われるとな。絶滅してんじゃないの」

明石「異議なし」

雲龍「異議なし」

瑞穂「は、はぁ」


< ドイツ生まれロシアン >





提督「今日のカクテルはニコラシカ。
カクテルワードは“ 前向きに新たな人生へ向かう旅人 ”、だ」

瑞穂「ず、随分と特徴的なカクテルですね」

提督「まぁな」

瑞穂「ん……しかも、これ殆どブランデーですし」

提督「一応レモンと砂糖で調節するのよ。口の中で」

瑞穂「口の中で? 」

提督「珍しいタイプだけどね。未完成のものを客に出すとか意味わかんないよな。さすが我がドイツ」

瑞穂「……んん……しかし、だとしても殆どブランデーのストレートに」

提督「気に入らない? 」

瑞穂「いえ……」

提督「そ」

瑞穂「……これはこれで提督の過去を想うこともできましょう」

提督「……そうか」


< 引き続いてニコラシカ>





明石「これ、カルヴァドスでやりましょうよ」

愛宕「それただのアップルカーもどきよね」

明石「いいじゃないですか。美味しければ」

愛宕「まぁね」

明石「んー……」

愛宕「……」

明石「……」

愛宕「……? 」

明石「……誰です、これ砂糖と塩入れ間違えたの」

愛宕「あら……あらあら」

明石「…………絶妙に口の中がレモンと塩で事故を起こしてるんですけど、うえぇ」

愛宕「戻すなら別の場所で。せめて外でお願いね? 」

明石「そこまでじゃ、うっ……あぁ、一口で入れあぁ……無理無理無理飲み込めな」


ありがとうございました


< プロデューサーでもしようか >





高雄「九月三十日の誕生石はブルースターサファイア。
石言葉は“ 直感力 ”、“ 状況判断 ”、“ のんびり屋 ”、そして“ 才能 ”」

明石「提督って」

提督「ん? 」

明石「女衒の才能ありますよね」

提督「いや……その辺は口説きとかにしとけよ」

明石「直感で分かるものなんですか? この女はイケる、みたいな」

提督「いやいやいや……おかしくない? ねぇ」

明石「女衒が嫌ならスカウトとか」

雲龍「AVとかの? 」

提督「…………せめてアイドルとかモデルにしよ? ね? 」

明石「……雲龍さんに全部持っていかれた気が」

高雄「さすがに今のを予想しろというのは無理が……」


< 割となんでも好きだけれど >





高雄「今日の誕生花は秋明菊。花言葉は“ 忍耐 ”、“ 多感 ”、そして“ 薄れゆく愛 ”」

愛宕「これって名前の割に菊じゃなくてアネモネなのよね」

提督「へぇ」

高雄「大陸からの帰化植物だそうですよ」

提督「帰化? 外来種じゃねぇのか? 」

愛宕「昔に伝わったからでしょ。その間にこっちに馴染んで生態系に組み込まれたみたいな」

提督「あー……ラーメンみたいな? 」

愛宕「そう、ラーメンみたいな」

提督「ふーん……味噌だろ」

愛宕「塩でしょ」

高雄「……醤油」


< 卵黄の醤油漬けが常備されている冷蔵庫とは一体 >





明石「なんかつくってください」

叢雲「はぁ? 」

明石「お腹が空いたんです、お願いします」

叢雲「…………」





明石「あぁ~、美味しいですよこれ」

叢雲「その辺にあったものつかっただけよ」

明石「卵黄醤油漬けって梅納豆にも合うんですねー」

叢雲「司令官がつくってたのよ、二日酔いのときに」

明石「染みるー、優しさが染みるー」

漣「染みるー」

叢雲「……で、なんで漣も食べてるのよ、いつの間に」


< 空に堕ち、海原を駆け >





提督「軍人にならなかったらさ」

瑞穂「ええ」

提督「史学科か工学部に入りたかったんだ」

瑞穂「はぁ」

提督「歴史はまぁ好きだからとして……宇宙とか深海に行ってみたい」

瑞穂「何か、してみたいことでも? 」

提督「いやさ、そんなものは特にないけど男の子のロマンみたいな? 」

瑞穂「なるほど」

提督「瑞穂も行きたくない? って思ったけど……深海とか縁起悪いな、うん」

瑞穂「そう、ですね。しかし瑞穂と星空に焦がれることもあるのですよ? 」



< 一応それなりに冗談 >





加賀「秋刀魚の値上げ、ね」

提督「仕方ない。獲れないものは獲れないんだし」

加賀「しかし……そもそもそんなに秋刀魚って食べられているの? 」

愛宕「食べられてるんじゃないの ですか? 」

提督「今の子供とか食べなさそうじゃないか? あぁいうの」

愛宕「うーん……」

加賀「酒飲みがいる限り一定の需要があるのじゃなくて。……ぼんじり、いただける? 」

提督「はいよ。……酒飲みってよりお前じゃねぇの。
お前がいれば一つの食品くらい持ち堪えられそうだ」

加賀「私だけではさすがに。赤城さんがいなくては」

提督「お、おう」

愛宕「……これでも赤城さんを尊敬してるのよね。よくわからない基準だけれど」


< ウズウズ >





提督「今日のカクテルはオールドファッションド。
カクテルワードは“ 創造の世界へ思いを馳せるアスリート ”、だ」

漣「いや、自分のやるべきことやりましょうよ」

提督「んなこと言われても」

漣「別の分野に気をそらせちゃだめでしょ、アスリートなら」

提督「それはワード考えた人に言ってくれよ……マドラーでオレンジとチェリー潰して味調節しろよ」

漣「はーい」

提督「……」

漣「……」

提督「……いってくる。俺もう今日は戻らないから」

漣「了解です。…………はい? 」


< ムズムズ >





高雄「今日で今月も終わり」

提督「あぁ」

高雄「半分に抑えるのでしたっけ、欲望に身を任せるのは」

提督「あ、あぁ」

高雄「むしろ先月より酷、ん……」

提督「酷いなんてことは」

高雄「んっ……ぅ…………はぁ」

提督「…………」

高雄「っ……ゅる、…………っ」

提督「……………………もう今更だし。な」

高雄「誤、魔化さ、は……っ」


< ヌルヌル >





愛宕「んん……」

明石「? 」

愛宕「私も部屋、行くわ」

明石「はーい」

雲龍「……」

明石「……」

雲龍「……あの人と高雄が入っていったわね」

明石「そうですね」

雲龍「月末だし……パーッと? 」

明石「さぁ……」



< つくりたいものをつくりたいときに >





天城「あぁ、おつまみがなくなってきましたね」

瑞穂「瑞穂は別にいりませんけれど。天城さんとお話できれば構いませんよ」

天城「天城もですけれど……加賀さんはきっと欲しがるでしょうし」





加賀「はい」

天城「……? 」

加賀「つくったのよ。たまには私が用意してみてもいいでしょう? 」

瑞穂「焼きたけのこに鮪の甘辛煮に鰊の棒煮……美味しい」

天城「……なんですこの理不尽な味」

加賀「まだあるわ。持ってくるわね」


ありがとうございました


< 寝かせなかったのか寝かせてくれなかったのか >





提督「おはー」

明石「おは……くっさ、ちょっと、ヤバい臭いしますよ!
ていうかそもそもバスローブで廊下うろつく高級軍人とかなんなの」

提督「あぁ、なんか大浴場でゆったりしたくて。
早起きじゃん? 堕落の一歩前でとどまってるじゃん? 」

明石「早起きっていうか寝ました? 」

提督「二時間くらいは」

明石「はぁ」

提督「高雄がなかなか寝なくてな……ふぁ」

加賀「おはようございます」

提督「ん? あぁ、おはよう」

加賀「……物凄いケダモノの臭いね」

提督「これから風呂行くから許して。……来る? 」

加賀「行くわ」

明石「行くんですか……私は工廠に用事あるんで朝食時になったらまた会いましょう」


< 謎 >





雲龍「…………Zzz」

天城「…………何故、寝たときと上下逆に寝ているのですか、姉様」

雲龍「…………Zzz」

天城「その割に布団やシーツは乱れが殆どない……」

雲龍「…………Zzz」

天城「……夢遊病かなにかなのでしょうか」

雲龍「……ん…………Zzz」


< 顔には現れないと思っているけれど前には鏡があるんだなこれが >





提督「うぃー……痒いところないですかー」

加賀「ないわ」

提督「はーい、じゃあ流しますねー。ちゃんと目閉じててくださーい」

加賀「…………ん」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………♪ 」


< 自分の顔を見られることが >





加賀「もういいわ。乾燥くらい私に」

提督「いいからいいから。お兄さんに任せなさい」

加賀「お兄さん? 」

提督「……タオル貸して」

加賀「…………」

提督「引っ張らないようにするけど痛かったら言えよ」

加賀「…………」




Littorio「それで珍しくポニーテイルなのですね」

加賀「……編もうとし始めたときはさすがに焦りました」

Littorio「似合うと思いますけれど」

加賀「…………提督に長く触れられるのが恥ずかしいのよ」

Littorio「なるほど。わかるような気もしますね」


< 似合わないこと甚だし過ぎる >





高雄「十月一日の誕生石はパーティカラードトルマリン。
石言葉は“ 歓喜 ”、“ 誇り ”、そして……あー……」

提督「ん? 」

高雄「……“ ルンルン気分 ”」

提督「ふっ……なんだって? 」

高雄「ですから……“ ルンルン気分 ”」

提督「……ルンルンしてる? 」

高雄「してません。私じゃないんですってば、もう」


< 本日の釣果 >





明石「提督ー」

提督「うん? ……うん? なんだそれ」

明石「コノシロとかメバルとかです」

提督「あ、そう……釣ったの? 」

明石「ええ。昨日加賀さんがそのクレーンは飾りなの? とかなんとか言ってたので」

提督「分かりやすい有用性を? 」

明石「加賀さんにはこれが一番いいかと」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………お前はそれでいいのか? たかが冗談にこんな」

明石「……正直最後の方はミノーつくったりするのが楽しくて」

提督「そうか……ま、夜を楽しみにしてな」


< 期待してるね、イタリア土産 >





Littorio「あの、短期間ですが祖国に戻りたいと思います」

加賀「は? 」

Littorio「帰還命令のようなものがきていまして」

加賀「そう……話は通してあるの? 」

Littorio「提督を通してヨコスカには許可を取ってあります。
政府からも話はいっていると思いますが」

明石「待って……急過ぎません? 」

Littorio「そんなものですよ、世の中」

明石「世の中って……擦れすぎでしょ、そんなリーマンみたいな」


< 典型的駄洒落 >





高雄「今日の誕生花は赤菊。花言葉は“ 愛情 ”、“ 真の愛 ”、そして“ 愛しています ”」

愛宕「くどいわねぇ~ 」

高雄「それだけ伝えたいということじゃないかしら」

愛宕「伝わってるでしょ……メンヘラ? 」

高雄「最近はヤンデレというようだけれど」

愛宕「違うんじゃないの? その二つ」

高雄「あまりよくわからないわね」





提督「刺そうとしてくるのがメンヘラ。誘おうとしてくるのがヤンデレ? 」

高雄「……あなたに訊いた私が間違いでした」


< カッコいいと思う苗字 >





提督「勅使河原だろ」

漣「熊野御堂でしょ」

明石「あー……結城とか如月とか京極とか? 」

雲龍「長宗我部」

提督「それ小学校の友達が超スケベ元痴漢って言ってた」

雲龍「……私でも引くわ、それ」

愛宕「ね」

提督「うん? 」

愛宕「__、でしょ。私は絶対譲らないけど? 」

漣「……女子力たっか」

明石「なるほど」

雲龍「……なにか負けた気がするわね」

提督「…………その、そんな笑顔で言われると、照れる」


< なんだろうね >





漣「それで思ったんですけど」

明石「はい」

漣「如月ちゃんとか望月ちゃんとか、あと矢矧さんとかは実在する苗字なんですよね」

明石「まぁ、そうですね」

漣「結婚することがあれば、相手がその苗字なら」

明石「……」

提督「あ、俺の友達に翠ちゃんいるけど赤井さんと結婚したよ。そんな感じ? 」

漣「…………」

明石「…………」

漣「……本当に友達ですか? 」

提督「あ? ……友達だよ。それ以外の何があるってんだ」


< 可逆的不可逆 >





漣「日記って書こうとしたことあります? てゆーか書いてます? 」

加賀「ないわね。筆を取って何か遺す価値のある生き方をしていないもの」

漣「や、それかなり多くの日記付けてる人に喧嘩売ってると思いますけど」

加賀「そうかしら。この世界に価値のある、と断言できる存在がどれだけいて? 」

漣「……」

加賀「……」

漣「……や、確かに殆ど無価値みたいなものですけども」

加賀「価値というものはね、尊いものなのよ。だからこそ価値があるの。不可逆的だけれど」


< イタリアとかオランダとか、あとは中国みたいな >





提督「今日のカクテルはプルシアウィズペリエ。
カクテルワードは“ 精霊のように気品に溢れた麗人 ”、だ」

Littorio「精霊というかフェアリーって」

提督「おう」

Littorio「中年男性とか醜い顔の方が多いと思うのですけれど」

提督「あっちではね。この国では……とりあえずエロいな」

Littorio「はぁ」

提督「新体操代表の愛称がフェアリーの国だし」

Littorio「Azzurriのような? 」

提督「と、言いたいところだけどね……サムライとか火の鳥とかやたらあるのよね」

Littorio「サムライはいいと思いますけれど……L'uccello di fuoco? 」

提督「この国特有の、というか……ユニも愛称も統一してほしいよなぁ、難しいことだけど」


< 誰だこんな予定組んだやつ >





提督「おい、お前ら」

加賀「はい」

叢雲「なによ」

提督「今月中に横須賀のやつらと合同演習があるからな、期待してるぞ」

叢雲「はぁ? 」

加賀「そう……赤城さんはいるのかしら」

提督「知らない。ただお前がいるなら向こうも用意させてるだろうよ」

叢雲「ちょっと、海風姉妹も出すの? 」

提督「当然」

叢雲「……明日から実弾ね」

提督「明石にはもう言ってある。存分にしばいてやれ」

加賀「……瑞穂は? 」

提督「あー…………お前に任せる。じゃ」

加賀「…………」

叢雲「…………」

加賀「…………」

叢雲「……心中、お察しします」


< アイスもいいけどね >





提督「…………眠い」

明石「あれ、なんですこんな時間に工廠まで」

提督「や、特に用はねぇけど。高雄も愛宕も寝ちゃったからさ」

明石「カップ麺持って話し相手見つけにきた、と」

提督「そ」

明石「……いい度胸してますね。飯テロ? 」

提督「そう? 一口いる? 」

明石「や、いりませんけど……スーパーカップいいですよね」

提督「味噌な、味噌」

明石「とんこつでしょ。北海道フリークも大概にしてくださいよ」


ありがとうございました


< どうでもいいことに拘りたい深夜 >





提督「はぁ……茶漬けうめぇ」

明石「ですねぇ……」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………なんで昨日寝なかったんだろう」

明石「こっちの台詞ですよ……結局4stシングルの話しかしませんでしたし」

提督「ロードスポーツにも興味あるのよねぇ。男のロマン? 」

明石「知りませんよそんなの……付き合わされた身にもなってください」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………茶漬けは美味ぇなぁ」

明石「ですね」


< 電気を付けるのも面倒な時間 >





提督「ってもさ」

明石「はい」

提督「明石は何してたわけ? お前って解析屋か理論屋であって実験屋じゃないだろ」

明石「まぁ、夕張が実験屋ですからね……なんとなく機銃の改良ができないか弄ってただけです」

提督「ブレインストーミング的な? 」

明石「というか手慰みにしつつ閃きがくればいいなー、とか」

提督「ふーん……」

明石「…………」

提督「…………誰も起きてこねぇな」

明石「……まだ五時前ですよ? くるわけないじゃないですか」


< レモン味のキスはしたことがあるけれど >





高雄「十月二日の誕生石はハーキマーダイアモンド。
石言葉は“ センチメンタル ”、“ 美しい内面 ”、そして“ 甘酸っぱさ ”」

愛宕「甘酸っぱい恋もしてみたかったわねぇ~。そもそも学生になったことすらないけど」

高雄「してみてもいいでしょう。この先学生になる機会が皆無とは言い切れません」

愛宕「新しい恋をする機会が皆無だもの」

高雄「……」

愛宕「甘酸っぱいというよりはひたすらに甘いのと苦いののブレンドなのよね。……甘苦いなんて食べ物ある? 」

高雄「……マーマレード? 」

愛宕「そう? ……でもマーマレードみたいな恋ならしてみてもいいかも。
初恋のキスはレモン味じゃなかったし、興味あるわ」


< 家族にのろうよ、っていうのは先を考えるということで >





雲龍「結婚相手に求めるビジュアルやスタイルの中で一番大事なのは」

提督「うん? 」

雲龍「やっぱり……胸なの? 」

提督「なんとも言えないけど……決め手の一つではあるかもしれないね」

雲龍「ふーん……」

提督「まぁ……俺が言うと説得力皆無かもだけどさすがにおっぱいとは結婚しないよ」

雲龍「そう? 」

提督「あぁ。たまたま好きなおっぱいをした女の子がたまたま大好きな人になっただけであってね」


< 繁栄なんていらないから逆境を減らしてほしい >





高雄「今日の誕生花は風船唐綿。花言葉は“ 逆境と繁栄 ”」

提督「死に瀕すると生殖本能が云々」

高雄「……」

天城「……」

叢雲「……ドン引きよね」

雲龍「でも戦闘の後ってなにかに気持ちをぶつけたくなるでしょう?
そういうことではないの? 」

高雄「……」

天城「……」

叢雲「……そういうことだとして私たちは何と言えばいいのかしら」

提督「何も言わなくていいよ」


< 正統性とかその辺 >





江風「東武の日なンだってさ、今日は」

海風「へぇ……東武鉄道? 」

江風「そ、江風は乗ったことないけど」

海風「海風もないですけど……うーん」

江風「ま、どっちかというと歴史好きのテートクの部下の江風は東武っていったら東武皇帝の方が」

海風「江風」

江風「ン? 」

海風「それ以上はいけないです。帝国軍人である江風は特に」

江風「そンなもンかな」

海風「そんなものだよ。馬鹿馬鹿しくてもね、心の奥に仕舞っておくべきことってあるの」


< 背中にあなたを負うことを幸せに感じる >





江風「よく考えてみなくても」

漣「うん」

江風「指揮官は最低な男であるべきだと思うンだ。能力だけはあるやつ」

漣「その心は? 」

江風「江風たちが戦闘だけに集中できる」

漣「……その方向性だとしても高雄さんたちみたいに自分が守るんだ、って考えるとか」

江風「海風の姉貴ができると思うか? 」

漣「できると思うけど……うーん。雲龍さんでもできるんだよ? 」

江風「あぁ」





雲龍「ん…………物凄く失礼なことを言われたような」

天城「……おそらく自業自得なのでは」


< 熱心で身体を温め過ぎないようにね >





提督「今日のカクテルはプルシアロワイアル。
カクテルワードは“ とても熱心に物事に取組むしっかり者 ”、だ」

漣「ふぅ……お風呂はいいですねぇ」

叢雲「湯上がりにそこそこまともなバーテンダーがいると尚更ね」

提督「どいたま」

海風「…………」

江風「…………」

提督「……目が死んでるんだけど。大丈夫か? 」

漣「よゆーよゆー」

提督「まぁ、お前は曲がりなりにも叢雲と転戦してたしな」

叢雲「付け焼き刃ってね、付けるのもそこそこ難しいのよ」

漣「付け焼き刃が機能するなら上等ですよねー」

海風「……座学の方が断然楽ですよね」

江風「……当然なンだろうけどさ……酒飲んで寝よ」


< 愛の次に大切なものとは >





雲龍「性技? 」

提督「金、とかかな。悲しい答えだけど」

明石「トーク力とか、欲しくないです? 」

高雄「僭越ながら……愛では? 」

提督「え? 」

高雄「一に愛、ニに愛、三四も愛で、五も愛、とか……あの」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………やっぱお前最高だな、うん」

高雄「…………それ程でも、ん」


ありがとうございました


< 割と欲しい >





江風「この乳酸菌飲料ってのはもっとでっかい器で売るべきじゃないのか」

海風「お腹壊しちゃうんじゃない? 」

江風「満足一歩手前……優勝記念に記念ボトルとか売ってくンねぇかなぁ」

海風「どうだろう……」

漣「はーい、本日の演習が始まりまーす。そんなこと話してる場合じゃないですよー」

江風「…………」

海風「…………」

漣「どんよりしすぎィ! 」

叢雲「午後から空母組も合同ね。期待してるわ」

漣「了解。……………………叢雲ちゃんの期待とか嫌な単語ですよね、まったくもって」


< 和風パスタの感想とか聞きたい >





提督「Littorioがイタリアに帰国したわけだが」

高雄「はい」

提督「……思ったより寂しいもんだな」

高雄「日常になっていた、ということですね」

提督「あぁ」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……」

提督「……ピザ食いてぇ」

高雄「Littorioが戻ってくるまで待ちましょうよ」


< 疑うことを覚えた瞬間から不幸は始まる >





Littorio『提督』

提督『ん? 』

Littorio『Littorioがこの国の技術や弱味を得る意味も持っていることは御存知ですね? 』

提督『へぇ……そうなの? 』

Littorio『…………Littorioは一人の軍人を籠絡したことにしたいのです』

提督『ふーん、俺は構わないけど。それで? 』

Littorio『それだけです。あなたが何人かの人物に馬鹿にされるだけですよ、化物の虜になった間抜けがいる、と』

提督『…………』

Littorio『Littorioは命じられるでしょうね、その男から何がしかの情報を引き出せ、と』

提督『……Littorioのことは好きだけどそれに協力するわけにはいかないよ』

Littorio『心得ています。ただ、Littorioがまたここへ戻って、あなたの許へ来る、それだけの我儘の為です』

提督『…………もしかすると基地周辺に愉快な配管工だとかピザ屋ができるかもしれないな』

Littorio『ええ。……つまらない女の我儘、聞き入れていただけますか? 』

提督『…………いいよ。Littorioが祖国を裏切ることに耐えられるなら、俺は待ってる』

Littorio『……Ti ringrazio! 』

提督『いーえ、女の子の言うことは大体守るのが流儀だからね。どうってことないさ』


< 信じるって辛いこと >





高雄「……外患誘致は重罪のはずですが」

提督「うん? 外患罪なんて未だに適用されたこと無いし、余裕よ」

高雄「…………」

提督「…………まぁ、待て。話を聞け」

高雄「……はぁ」

提督「Littorioにとってはここに戻ってくることが唯一無二の目標なわけだ」

高雄「……そのような振りをしている可能性もありますが」

提督「友人を疑うのか? 」

高雄「くだらないことを。私は友人とあなたなら迷わずあなたを選びます。
ましてや友人が真の友人ではない可能性がある場合では」

提督「…………」

高雄「……私は、」

提督「……Littorioにも、お前にも悪いけどさ」

高雄「はい? 」

提督「俺はLittorioの発言、まともに取り合われないと思うね。
あっちではお前らの扱いはこっちより酷いんだ」

高雄「……」

提督「俺が惑わされる、それすらまともに信じられないと思うよ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………ま、俺はLittorioを信じてるよ、それだけだ。お前だって本当に疑っているわけじゃ、ないだろ? 」


< 嘘って吐かれる方が楽な場合も >





提督「と、いうことにしたが」

加賀「そう……ご苦労様」

提督「……高雄に嘘吐くの嫌なんだけど。帝都は対価になにをくれるんだ? 」

加賀「次の命令かしらね」

提督「…………チッ」

加賀「彼女が薄々気付いている指輪の効果のことを祖国に告げるのか否か」

提督「……帝都は十中八九告げると予想したわけだ」

加賀「そう。同じく薄々気付いたからこそこちらにリスクを払ってまで彼女を送り込んできたのだから。
“ 疑念が確証に変われば何らかのアクションを起こすだろう ”」

提督「で、そもそも伝えることが目的、ね」

加賀「新たな交渉の材料にする。ま、ある程度成長したのかもしれないわね、この国も」

提督「…………」

加賀「……ただしあなたは……私もだけれど、告げないと予想した」

提督「自分の女信じることの何が悪いんだ」

加賀「さぁ……」

提督「…………そもそもね、何故高雄や愛宕に知らせちゃいけないのかも俺には分からない。
むしろこれは伝えた方がスムーズにいくような話だろ」

加賀「当たり前でしょう。いくらなんでも高級軍人たるあなたが部下の半分以上に手を付けて、
なおかつ全員が納得して生活しているなんて誰が想定すると? 」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………あれれー? なーんか、全部俺の所為な気がしてきたぞー? 」

加賀「正しい判断よ、それは」


< 集めるのって何故か楽しい >





高雄「十月三日の誕生石はブラウンダイアモンド。
石言葉は“ 才人 ”、“ やり手 ”、そして“ 向上心 ”」

明石「才人、才人とは一体」

提督「才人より才能ある兵士が平然と出てくるもんな」

明石「むー……ま、構いませんけど」

高雄「あの……そろそろ叢雲さんたちの方へ」

提督「えぇ……海めんどーい」

明石「おなじくー」

高雄「……執務室のテレビは確かに大きいですけどね、いい加減に」

提督「お、砂嵐」

明石「いらない兵士でも回収してやりますかね。回収できないでしょうけど」

提督「コストを気にしろ」

高雄「…………あなたたちは自分の立場を気にすべきでは? 」


< 車と歴史と女の子と酒の話は楽しくしたいものだが >





明石「どこが一番楽しんでるんねしょうねぇ」

提督「そりゃ、ビールの不幸や失態を喜ぶといえばワインだろ」

明石「ですかね」

提督「あぁ。実際に経済の話とかするとコーラのビッグ3あたりだろうけどね。
そんなつまんない話はいいよ」

明石「そこはバーボンでしょ」

提督「まぁ、なんでもいいけど。じゃあバーボンで」

明石「……この国も割と笑ってられないですし」

提督「かもね。……焼酎? ポン酒? 」

明石「それこそなんでも。あと地中海のあの国とかほくそ笑んでそう。パスタ」

提督「そうだな。なんでそこだけ酒じゃないのか」

明石「あんまりわかんないんで。……この先どうなるやら」

提督「さぁな。……Bismarckでもいれば煽ってやるんだが」

明石「……割とそれ洒落にならない酷さですよ」


< まぁ、箱館県とか札幌県はあったし >





明石「北海道分割案? 」

瑞穂「はぁ」

提督「札幌民の俺としては構わないけどね……たぶん道北は不毛地帯加速よ? 」

明石「地図的には割と自然に見えるようになりますけど」

提督「今更そんなこと言われてもね。維新直後しかタイミングなかったでしょ」

瑞穂「難しい問題ですね……」


< わかるわ >





高雄「今日の誕生花は楓。花言葉は“ 非凡な才能 ”、“ 遠慮 ”、そして“ 確保 ”」

提督「楓ねぇ……アイドルに会ってみたいかも」

明石「連想の仕方がよくわかりませんが……アイドル? 」

提督「さりーなとか」

明石「はい? 」

提督「あと礼子さんとかかなぁ」

明石「……よくわかりません」

提督「エロいアイドルが必要だと思うんだよねぇ。下品とは違ったさ」


< 大人になったなと思う時 >





雲龍「女として男を見たとき」

天城「過去を振り返って子供だったな、と感じたときでしょうか」

提督「ビールを美味く感じたとき? 刺身を流し込むの覚えたら確実におっさん」

加賀「赤城さんに意見を言えるようになったとき。今でも恐れおおいわ」

提督「…………一番まともなのって俺か天城じゃない? つーか一番おかしいのって加賀だろ」

愛宕「の、ノーコメント」


< なんも言えねぇ >





提督「今日のカクテルはエメラルドシティマティーニ。
カクテルワードは“ 堅実な人柄で周囲から頼りにされる人 ”、だ」

江風「…………」

海風「…………」

提督「まぁ、形にはなってきたんじゃないの。叢雲がキレる回数も減ってきたじゃん? 」

江風「……堅実ってなンだ? 最高のパフォーマンスを目指すことか? 」

提督「なーにブラックバイトみたいなこと言ってんだ」

海風「……提督、いくらなんでもあんまりですよ。なにもやる気が起きません」

提督「それは叢雲に言ってくんねぇかな」

海風「…………」

提督「……ま、よくやってるとは思うから。頑張ってくれよ」


ありがとうございました


< 割といい話 >





高雄「十月四日の誕生石はドラバイトトルマリン。
石言葉は“ 閃き ”、“ 自己分析 ”、そして“ 人気者 ”」

瑞穂「提督、ですね」

高雄「まぁ……否定はしません」

愛宕「その人気が一番問題なのだけどね~ 」

高雄「ええ」

瑞穂「しかし、自分の好きな人が人気者、というのはどこか嬉しいものですね」

愛宕「そう、そうね」

瑞穂「……瑞穂の提督があの方でよかった、心からそう思いますよ」


< の後に >





高雄「今日の誕生花は釣鐘草。花言葉は“ 熱心にやり遂げる ”」

提督「最近で熱心にやり遂げたのなんて大概エロいことな気がする」

瑞穂「……」

愛宕「さすがにポイント低いわねぇ……」

提督「うん? 」

瑞穂「……その子供っぽいところも、瑞穂は好きですから」

提督「へ? あぁ、ありがとう? 」


< 心が荒む >





明石「キルレ? 3くらいですけど」

漣「えぇ……割とコメントしにくい感じですね」

明石「こんなの長くやってればどうとでもなりますよ」

漣「ですかね」

明石「なんならキャンペーンとかやればいいんです。
あれまともにクリアできるレベルならキルレもそこそこ上がると思いますけど」

漣「や、それかなり少数派なような」

明石「折角ゲーム買ったんならやった方が楽しめると思いますけどね」

漣「はぁ」

明石「……それに最近は仕様が変わったり新規も沢山いてですね、キルレなんてあてにならないですよ」

漣「あぁ、それはわかります」

明石「…………で、わざわざ私の部屋にきてまで二人でやる必要は? 」

漣「会話しながらの方が楽しいじゃないですか」

明石「いや、別にそれ部屋来なくても……いいですけどね」


< だめなの? >





提督「今日のカクテルはエンヴィ。カクテルワードは“ 憧れの夢を求める情熱的なロマンティスト ”、だ」

愛宕「ロマンティスト? 」

提督「違う? 」

愛宕「この淀んだ空間を良しとしているのに? 」

提督「ロマンティストと理想主義者は違うんだぜ? 」

愛宕「そう? 」

提督「背面と対面くらいの違い? 」

愛宕「ふーん? 」

高雄「……酷い例え、と言ってほしいんですか? 」


< 一番つきあの長い恋人 >





提督「そりゃ……左手? 」

愛宕「ま、そうよね」

明石「えぇ、いきなりなんなの……」

提督「明石はしないの? 」

明石「提督急におかしくなりますよね、どうしたんです」

提督「や、ちいさい頃の思い出話してたんだけどさ」

明石「はぁ。…………………何故そこからこんな話に? 」


ありがとうございました


< にべもない >





雲龍「ん…………」

天城「あら、お早いですね、姉様」

雲龍「頭が痛いわ」

天城「あぁ、ぶつけて起きたのですね……大丈夫ですか? 」

雲龍「腫れてるような感じね、明日には治っていると思うけれど」

天城「そうですか」

雲龍「……ねぇ」

天城「はい」

雲龍「……頭のたんこぶに他人の涎って効くのかし」

天城「効きません」


< 是非も無い >





提督「ふぃー……やっぱ朝シャンはいいねー」

高雄「水、垂れてますよ」

提督「ん? あぁ、悪いな」

高雄「まったく……風邪引きますよ? 」

提督「そのときは高雄に看病してもらうからいいよ」

高雄「……もう」

提督「そうそれ。その顔が好きなの」

高雄「もう……もうっ」


< 真剣な横顔を見ていたいから >





高雄「十月五日の誕生石はホワイトガーデンファントムクォーツ。
石言葉は“ 努力 ”、“ 誠実 ”、“ 真剣 ”、そして“ プラス思考 ”」

明石「最近、提督と加賀さんが真剣なお話するの、増えましたね」

高雄「Littorioのことでなにがあったのでしょう。もしくはまだ続いているのか」

明石「……気になりません? 」

高雄「いえ、然程」

明石「そうですか……」

高雄「あの人が秘密にするということはそういうことです。
私が立ち入って良いものではありません」

明石「…………」

高雄「……ま、そのうち独り言を聞かせていただけるような気もしますしね」

明石「……」

高雄「そのとき、あの人の助けになれればいいんですよ、私は」


< 明日の為に生きるのではなく未来の為に >





高雄「今日の誕生花はゴデチア。花言葉は“ 陽気 ”」

瑞穂「最近は陽気とは言えない空模様ですね。季節と言ってしまえばそれだけですけれど」

高雄「この季節は苦手ですか? 」

瑞穂「いえ、そういうわけでは……ただ」

高雄「ただ? 」

瑞穂「やはり陽気、というのは平和の象徴のような気がして。
寒さが続くと心が荒んでしまうでしょう? 」

高雄「そう、ですね」

瑞穂「…………瑞穂が高雄と摩耶に看取られたのも、五月の海でした。暖かいとは言えません」

高雄「……」

瑞穂「……次の瑞穂は、暖かい陽気の、温かいお布団の上で逝きたいものです」


< 確認と逡巡の壁 >





提督「今日のカクテルはソコジンジャー。
カクテルワードは“ 行動前に二度三度考える平和主義者 ”、だ」

加賀「ふっ……それはただの無能というのよ。兵法には三つしか種類がないの」

提督「へぇ、聞こうか」

加賀「上策はハイリスクハイリターン」

提督「あぁ」

加賀「下策はローリスクローリターン」

提督「なるほど? 」

加賀「中策は、ノーリスクノーリターン。つまり現状維持ね」

提督「現状維持が一番ダメに聞こえるな」

加賀「そういう風に言ったのよ。
現状維持にも積極的なものと消去法で取らざるを得ないものがあるけれど」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……ノーリスクハイリターンが理想じゃないのか? 」

加賀「そんなもの幻想よ。少なくとも私の経験上は、ね」


< 疲れを癒すには、風呂 >





海風「…………」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………」

海風「…………」

江風「……辛いならさ」

海風「……うん」

江風「……目標立ててそれをご褒美にしてみるとかいいンじゃないかな」

海風「例えば? 」

江風「ン……横須賀との演習で活躍したら抱いてください、とか」

海風「…………」

江風「…………」

海風「……ちょっと揺れたけど……いいよ。海風そんな卑怯な女になりたくないし」

江風「……そっか」


< 仮に実行して >





海風「……提督の心には勝ったような気もするけど」

江風「うン」

海風「海風の魅力はたかが言質もどきの約束に負けちゃうんですよ、そうすると」

江風「はーン……」

海風「嫌だよ……十分変な恋なのは分かってるけど……せめて海風のことを少しでも好きになってもらいたいもん」

江風「……ままならないなぁ」

海風「…………ままならないね。恋も演習も」


< 手当たり次第に買うからこういうことに >





明石「提督ー、適当にDVD借りていきますねー」

提督「はいよー」



叢雲「ジョニーは戦場へ行った? 」

明石「そんなの今観たくないです」

叢雲「プライベート・ライアン? 」

明石「や、それもいいです」

叢雲「ハート・ロッカー? 」

明石「ちょっとマシになりましたけど、次」

叢雲「アメリカンスナイパー? 」

明石「あのですね……」

叢雲「あらしのよるに? 」

明石「あぁ、それで」

叢雲「そう。私これ観たことないわ」

明石「結構いいで…………は? このラインナップで、それ? 」


< キャンディよりも甘いものがこの世には在る >





愛宕「はい、プレゼント」

提督「うん? ありがとう」

愛宕「どういたしまして」

提督「……チャーチルのサマーベリー? 」

愛宕「食べたことないでしょ? 」

提督「そうだね……んー、美味しい」

愛宕「そ。……ん」

提督「うん? うん……ん」


< 無理難題 >





明石「ふぅ……結構面白かったでしょう? 」

叢雲「そうね」

明石「絵が合わない人はいるかもだけど。……ひえー」

叢雲「? ……ノーベル賞ね」

明石「ノーベル賞ですね」

叢雲「……」

明石「……」

叢雲「……なんとかなさいよ」

明石「や、人間以外の受賞なんて無理でしょ。研究内容も殆ど軍機だし」


< そして酒を飲みにきた >





叢雲「相変わらずね」

漣「え? ……あぁ、提督。漣たちがいるのに、イチャイチャイチャイチャ、まったく」

叢雲「いいところで消えていくでしょうけど。……楽しそうね」

漣「そう? 」

叢雲「楽しくないことだとしても、それが楽しくなるのが恋人ってやつでしょう? 」

漣「ふふ……以外とロマンティストだよね、叢雲ちゃん」

叢雲「あら、知らなかった? 」

漣「んー……知ってた気もするし、知らなかった気もする」

叢雲「……そ」

漣「……漣は部屋に戻るね、叢雲ちゃんはあれ見てる? 」

叢雲「私は何人か集めてカードでもしてるわ。今日は寝付けない予感がするの」


< 肌寒い季節だからね >





雲龍「脱衣は」

叢雲「なし」

瑞穂「当然かと」

雲龍「……四人? 」

加賀「集めようと思えばできると思うけれど」

叢雲「海風と江風はダメ。朝からまた一日体力使うんだから」

瑞穂「それを指導する叢雲さんは起きているのに」

叢雲「問題ある? 」

瑞穂「いえ」

雲龍「……ブリッジね。組み方はどうする? 」

加賀「大富豪でもしましょう。一位と四位、二位と三位で」


< 甘さは程々に >





愛宕「んん……あまーい」

提督「……そうだね」

愛宕「ん」

提督「……そのボトル取って」

愛宕「ペルノ? 」

提督「そ。あとはオレンジとビターズとソーダで……」

愛宕「ソーダで? 」

提督「キスミークイック」

愛宕「ふふ……まだ欲しいの? 」

提督「お前だろ、欲しがりは……続きは飲んでからな、飲んでから」

愛宕「焦らしてるつもり? 」

提督「さぁ……ま、クールダウンってことにしといて」

愛宕「そう。それなら私もクールダウン……しておこうかしらね」


ありがとうございました


< 反応に困る >





漣「おっはよーございまーす」

愛宕「あら、おはよう。元気ね~ 」

漣「空元気でも出さないとやってられないんですよー」

愛宕「頑張ってね? 」

漣「はーい。……三つ編み? 」

愛宕「そ、お風呂入って乾かしてたらいつの間にかなってたの」

漣「そんなわけ……無駄に上手いですね」

愛宕「私以外の女の子の髪にも触ってるから」

漣「…………」

愛宕「ま、今は私のところにいるんだけどね? ……それでいいの、私は」


< そのうちたぶんきっとおそらく >





高雄「十月六日の誕生石はクリソプレーズ。
石言葉は“ 誠実 ”、“ 堅実 ”、“ 穏やか ”、そして“ ナイーヴ ”」

瑞穂「高雄さん? 」

高雄「はぁ。それ程ナイーヴだとは思っていないのですけれど」

愛宕「他はまぁ……及第点? 」

高雄「何故あなたにそんな上から」

愛宕「そんなの全部私が高雄より当てはまらないからに決まっているでしょう? 」

高雄「……」

愛宕「別に? 短気とかガサツとかは言わないけど……高雄よりも過激な自覚はあるわ」

高雄「……だからこそ合うのかもしれないわね、戦場でも、平時でも」

愛宕「そうね」

瑞穂「なるほど…………日進」


< 一致した意見 >





高雄「今日の誕生花は榛。花言葉は“ 知恵 ”、“ 仲直り ”、“ 調和 ”、そして“ 一致 ”」

愛宕「榛名? 」

高雄「名前はね。むしろ髪色は色素の薄い方でしょう」

愛宕「The 調和って感じよね」

高雄「ま、パッと見は」

愛宕「うん」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……まぁ、裏の無い方もいると思いますよ? 」

愛宕「そ、そうね」


< 血潮が欲望でできてるって本当ですか? >





提督「あぁん? 適当なことばっか言ってるとセンター受けさすぞてめぇ」

漣「センターってセンター試験? 」

提督「他にあるのか? アイドルでもなるのか? 」

漣「……そんなこと」

提督「できないと思うのか? 」

漣「職権濫用極まり過ぎでしょ」

提督「そのための肩書よ」

漣「えぇ……」

提督「まともな職の人間がこんな生活できると思ってんの? 」

漣「…………や、何故ドヤ顔」


< そういう…… >





提督「今日のカクテルはレットバトラー。
カクテルワードは“ 人や動物を歓喜させる力を秘めたシスター ”、だ」

高雄「Gone With the Wind? 」

提督「そうだね。なかなかに冗長な映画だった」

高雄「原作は」

提督「読む気になれない。この歳で読んでみるのもな」

高雄「……バランスのいい味ですね。香りもきつくない」

提督「人気カクテルだもん。ドイツでも飲んだよ」

高雄「…………私のシスターとは大分楽しんだようで」

提督「あぁ。……どう? 愛宕のシスターのことも大分好きなんだけど」

高雄「……断れないの、知ってるでしょう? 」

提督「そうだな。……あぁ、俺ってそういうやつだし、高雄ってそういう女だ」


ありがとうございました


< コートとか着てる女の子もいいと思う >





江風「うっわ、さっむ」

海風「……空が綺麗」

江風「綺麗は綺麗でもね……寒いンだけど? 」

叢雲「それで? 」

江風「……」

海風「やり、ますか」

叢雲「ええ。今日もとりあえず昨日の続きから」

江風「……うン。…………寒い」

叢雲「それくらい遮断できるじゃない」

江風「どンなときでも体力を残しておくべきかと思って」

叢雲「……そう。いい心掛けね」





漣「…………まぁ、でもあの二人は漣たちに輪をかけて寒そうですよね」


< 腕と脚を絡ませて >





提督「あぁぁぁ……」

愛宕「うん? 」

高雄「……」

提督「…………」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……寒いし眠いしやる気でない」

愛宕「いつも? 」

高雄「いつもね」

提督「…………寝る。お前らもこい」

愛宕「いい? 」

高雄「……たまにはいいでしょう。私も気温の変化に着いていけていないところでした」


< 全休っていいよね、うん >





漣「漣たちが海上で訓練してるときにぬくぬくしやがってからに」

叢雲「一応全権は私に任せてあるのよ」

漣「それでも形式的にはさぁ……さぁ」

叢雲「…………」

漣「……? 」

叢雲「……そうね、二人とも! 」

海風「はい? 」

叢雲「明日は休みにするわ。その代わり今日はいつも以上に集中すること」

江風「はい! 」

漣「……いいの? 」

叢雲「いいのよ。今日がその分辛くなるだけだし」

漣「」


< 大胆を通り越す >





高雄「獣月七日の誕生石はブラウンスモーキーファントムクォーツ。
石言葉は“ 熱心 ”、“ 大胆 ”、“ 活発的 ”、“ 前向き ”、そして“ 義理堅い ”」

提督「そう……次」

愛宕「はい」

高雄「……ベッドに机を寄せるくらいなら早く終わらせてベッドに入った方が」

提督「もう今日は無理。トイレもめんどい」

高雄「それはさすがに」

提督「えーっと、ほら。ここに空のウィスキーボトルがあります」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……いや、冗だ」

愛宕「あ、こっちは終わった方ね」

高雄「はい」

提督「おいやめろおい。流すんじゃねぇよ冗談に決まってんだろ、おいっ」


< 未知 >





愛宕「まぁ、でも」

提督「あぁ」

愛宕「そーいうプレイに興味あったりするんじゃないの? 」

提督「や、俺その辺はノーマルなの」

高雄「本当ですかそれ」

提督「少なくとも飲みたくないし飲ませたいとは思わない」

愛宕「ふぅーん……」

高雄「……」

提督「なんだよ」

愛宕「んーん、雲龍もそこまではいってないんだなって」

提督「……いや、あいつを俺の性活基準にすんのやめろ。俺が可哀想だろうが」


< 悪人笑いでもしようか >





明石「提督は今日一日出てくるつもりないみたいですね」

雲龍「そう……」

瑞穂「大丈夫、なところが凄いですね、色々と」

加賀「さすがに……だらしないとしか言いようがないわね」

天城「天城はむしろこのようなことが珍しいことに感動を覚えました」

明石「確かに。あれで一応執務はやってるらしいですよ、今も」

瑞穂「ベッドの中で? 」

明石「たぶん」

雲龍「…………映画に出てきそうなハーレムね。悪徳軍人みたいな」


< 内面から湧き出るような >





高雄「今日の誕生花は金木犀。花言葉は“ 謙遜 ”、“ 真実 ”、そして“ 変わらぬ魅力 ”」

提督「っても年齢には勝てないんだけどな」

愛宕「今でもカッコいいわよ? 」

提督「当たり前だろ? 俺だぜ? 」

高雄「……謙遜は」

提督「事実だし。……でも変わらぬ魅力ではないよ。
年相応に、少しだけ背伸びして維持してんの」

愛宕「そう」

提督「お前らだって少しずつ変わっていってるだろ。魅力自体はずっとあってもそれは違った魅力さ」

愛宕「……」

高雄「……」

提督「……さて、執務も粗方終わったしつまんないお話も終わり。…………ねよねよ」


< 明日はお休み >





海風「」

江風「」

加賀「このボロ雑巾みたいなのはなにかしら」

叢雲「ボロ雑巾って。……ちょっと本気で吹き飛ばしただけ」

加賀「……程々にしなさいよ」

叢雲「加賀さんでも同じことするでしょ」

加賀「私は優しい方よ。そう思うでしょう? 」

雲龍「……え? 」

天城「……ノーコメント」

漣「はーい、あと少しでお風呂ですからねー」

海風「……き、着替え」

江風「……そンなの用意してたら寝落ちしそう……バスローブでいいよもう」


< 生命の洗濯 >





江風「あぁぁぁぁぁぁ……」

明石「女の子が出しちゃいけない声してますよ」

江風「いーよ別に。提督もいないし……………………ン」

明石「うさぎ? 」

江風「加賀さンがおしえてくれた」

明石「それなら私もおしえてもらいましたよ。……加賀さんって誰におしえてもらったんでしょう」

江風「やっぱ……赤城さン? 」

明石「大変微笑ましいですね」

江風「うン」

明石「…………」

江風「…………」

明石「…………」

江風「……あぁぁぁぁぁぁ…………明日はおーやーすーみぃぃぃ」

明石「だからその声はですね」


< いつかは舞い上がることを信じて >





海風「…………」

瑞穂「お疲れ様です」

海風「……いえ、海風の至らなさが理由ですから」

瑞穂「それでも、ですよ。瑞穂はそこまでできていません」

海風「瑞穂さんは仕方ないですよ。水母、少ないですから」

瑞穂「加賀さんや雲龍さんも付き合ってはくれるのですが……理論とはやはり違うというか」

海風「…………」

瑞穂「…………」

海風「……でも」

瑞穂「ええ」

海風「勝ち負けはわかりませんけどそれなりのパフォーマンスにはなりますよ、きっと」

瑞穂「そうだと、いいのですけれどね」


< あなたといるだけで楽しいから >





提督「今日のカクテルはソコトニック。
カクテルワードは“ 楽しさを求めるユーモアな活動家 ”、だ」

愛宕「……飴と飴と飴しかないのね、ベッドサイド」

提督「酒もあるぞ」

高雄「……ここに普段トニックなど……あぁ」

提督「や、たまたまよ、たまたま。ぐーぜん昨日ここに今日のカクテルの材料をね」

高雄「…………まぁ、今日は私も一日付き合っていましたし、同罪ですが」

提督「罪じゃねぇよ。一緒に寝ると気持ちいいだろ? 」

高雄「……足、冷たかったでしょう? 」

提督「あっためてやったけどな。……飴以外食べたいならなんか食べてくれば? 」

愛宕「イヤ。私もここにいる」

提督「あ、そう。……たぶんその机にチョコレートならあるぞ」

愛宕「ん……」


ありがとうございました


< 思ったより生え揃わない >





提督「……ふぅ、一日剃らないだけで濃くなるもんだよなぁ」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……っても髭揃えようと思ったら割と時間かかるし」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……イカした髭ってのにも興味あるんだけどなー、仕方ないか」



< 朝はゆっくり >





高雄「基本的に髭って好かれないと思いますよ、この国では」

提督「だろうね」

高雄「あなたがしてみたいのなら私は構いませんけれど」

提督「んー……」

高雄「ただし」

提督「うん」

高雄「今までよりもさらに朝は忙しくなりますよ。お手入れとか」

提督「あぁ……やめるわ」

高雄「そうですか」

提督「よく考えたら俺たぶん似合わない顔つきだし。着けるのはサンタ髭くらいにしとくよ」



漣「……クリスマスが楽しみですねぇ。ご主人様のサンタ」

叢雲「それは単にプレゼントが楽しみなだけでしょうが」


< そもそも >





愛宕「ほっぺすりすりできないじゃない? 」

提督「そう? 」

愛宕「つるつるの方がやってて気持ちいいじゃない。違う? 」

提督「ツルツル……ヤってて……」

愛宕「ね? もちろんどちらも悪いわけじゃないけど」

提督「……そうだな! 」

高雄「…………何か違うような気がするのは私だけでしょうか」


< ネクタイの結び方を練習しなければ >





雲龍「朝のベッド寝起き限定だと無精髭って最高だと思うけれど」

明石「言いたいことはわかります」

雲龍「あと半眼で煙草でも吹かしていればなおいいわ」

明石「……あぁ」

雲龍「なんなら慌てて剃ったあの人のネクタイを締めてあげたり」

明石「…………あぁ」

雲龍「いってらっしゃいのキスで剃り残しを見つけてみたり」

明石「…………あぁ! 」

雲龍「…………」

明石「…………」

雲龍「…………乙女かなにかなのかしら。面白いわね、あなた」


< 試される基地 >





提督「まーた札幌死んだのか」

愛宕「暴風と送電トラブルねぇ」

提督「どうも冬より他の季節の方が試されるような大地になってきた気がする」

愛宕「そうなの? 」

提督「冬なんて大概は雪が原因だし……なにかあっても“ またか ”で終わる」

愛宕「下ネタに雲龍が寄ってくるみたいな? 」

提督「そうそう。なんならムネ肉の話でも下ネタに繋げそうな感じ」

雲龍「呼んだ? 」

愛宕「…………」

提督「…………」

雲龍「? 」

提督「…………またか! 」

雲龍「……? 」


< 予想外の反応 >





江風「あー……休みだ」

海風「そうだね」

江風「……なにしよ。久々にこんな遅くまで寝てたし気分はいいけど」

海風「お料理とか? 」

江風「姉貴の女子力も大概だな……ンー、それでもいいけど」

海風「けど? 」

江風「江風はもう少し寝てくるよ。その後座学の復習でもしとく」

海風「そう。じゃあ海風もそうしよっかな」

江風「ン、一緒に寝る? 」

海風「海風はいいよ? 」

江風「え……いや、江風もいいけど? 」

海風「うん」

江風「お、おう」

海風「……? 」

江風「…………なンでこンなに恥ずかしいンだろ……ただの姉妹のはずなンだけど」


< 割と単純に寒そう >





高雄「十月八日の誕生石はアポフィライト。
石言葉は“ 清潔 ”、“ 優しい ”、“ 愛らしい ”、そして“ 開放的 ”」

提督「俺さ、つくづくお前の戦闘衣は開放的過ぎると思うよ」

雲龍「そう? 」

提督「だってさ、おかしいだろ、なぁ? 薄着とかってレベルじゃない」

高雄「まぁ……私や愛宕から見れば相対的にはそうでしょうね」

雲龍「でも天城もそうでしょう?戦闘衣って私たち個人じゃなくて強化の問題だし」

提督「確かにな。天城であの露出だし……うーん」

高雄「和服とは何だったのかって豹変ですものね」

雲龍「……まぁ、でも」

提督「うん? 」

雲龍「嫌いじゃないでしょう? こういうの」

提督「そりゃもちろん」


< 活発さと矛盾しない穏やかさ >





高雄「今日の誕生花はタイム。花言葉は“ 活発 ”と“ 行動力 ”」

瑞穂「ふふ……」

高雄「どうしました? 」

瑞穂「海風さんたち、今日は久方振りにお休みですよね」

高雄「ええ」

瑞穂「さっき談話室で二人とも寝ていたので毛布を掛けておいたのです」

高雄「はぁ。瑞穂さんらしいというか」

瑞穂「それでーー」



江風「……姉貴…………Zzz」

海風「…………海風は……江風を……Zzz」



高雄「……なるほど」

瑞穂「ふふふ……」


< 時々勉強する >





提督「ふぃー……BismarckかZ3降ってこねぇかな」

瑞穂「一体なにを……」

提督「や、たまに喋んないとさ、言語能力って衰えんのよ」

瑞穂「あぁ、ドイツ語」

提督「いざ会ったらここぞとばかりに馬鹿にしてくるBismarckの顔が思い浮かぶ」

瑞穂「……以前から思っていましたけれどBismarckさんとはどのようなご関係なのですか? 」

提督「どんな?…………ま、友達だよ、うん」

瑞穂「友達、ですか」

提督「あぁ」

瑞穂「…………」

提督「…………」

瑞穂「……あれ、でも殆どこの国の言葉しか使っていないBismarckさんの言語能力は……」

提督「…………ぁ」


< 言語といえば昔こんなことがあった >





高雄『我が愛しい提督殿』

提督『なに? 』

高雄『何か私に言いたいことがあるなら直接言ってはどうです』

提督『はぁ? ……愛してる? 』

高雄『…………』

提督『……? 』

高雄『……Bismarckさんに聞いたところによると私のことを害鳥扱いしたそうで』

提督『は? 』

高雄『……』

提督『…………』

高雄『…………』

提督『…………』

高雄『…………あの、私、何か嫌われるようなことをしましたでしょうか、私、あなたに嫌われては、その』





提督「結局意味不明でさ、Bismarckに訊いたら」

瑞穂「訊いたら? 」

提督「俺が烏の濡れ羽色って言ってたのを聞いてたんだと。愉快な間違いだよな」

瑞穂「確かに知っていないと分かりませんね、その表現は」

提督「あぁ。俺としては高雄の可愛いところ見れてよかったんだけどな」


< 今夜、寝てくれますか? >





提督「今日のカクテルはソコピーチ。
カクテルワードは“ 自分を知りレベルアップできる情熱家 ”、だ」

江風「ンー……よく寝たよく寝た」

提督「おはよう」

海風「おはようございます」

江風「姉貴、律儀におはようなンて言う必要なンてないって」

提督「そうだな。もう今日も終わってしまう」

江風「で、また訓練三昧の明日がやってくる、と」

海風「江風、思い出させないでください」

江風「悪ぃ」

提督「死なない程度にとは言ってあるから、大丈夫だ」

江風「わーお、言わないとダメなのか……」

提督「お好みの酒くらいなら出してやる。元気出せよ」

海風「じゃああの……シェリー酒を」

提督「おう。……………………深い意味なんてないよな? 」


< 物凄く嫌な顔をしている >





雲龍「ここの人員は12、あの人を入れれば13」

天城「ですね」

雲龍「処女は、何人? 」

天城「……さ、さぁ、天城にはわかりかねますね」

雲龍「…………十三のうち、七、かしらね。あの人以外に身体を許していなければ」

天城「はぁ」

雲龍「ええ、そのはず、きっと」

天城「……なんとも言えませんけれど」

雲龍「…………ぁ」

天城「はい? 」

雲龍「あの人も確か処女って言ってたから6/13ね」

天城「…………」


< 同じ気持ちを共有するということ >





提督「あー……いずも乗りてぇ」

愛宕「重巡にも空母にも戦艦にも乗ってるじゃない。あと工作艦にも」

提督「あのさ……これは男じゃなくて男の子のロマンの話なんだよ」

愛宕「へぇ」

提督「これはね、譲れないんだ。男の子として」

愛宕「ふーん……? 」

明石「…………きっとそれを理解できるのって私くらいなんでしょうね」

提督「かもね」

明石「別にいいですけど。…………共通の好みって特権みたいなものですし」


ありがとうございました


< 朝の光眩しくて♪ …………も >





江風「ン…………」

海風「…………Zzz」

江風「滅茶爽やかな寝起きなンだけど……」

海風「…………Zzz」

江風「また訓練の日々か……ンっ」

海風「…………Zzz」

江風「…………」

海風「…………Zzz」

江風「……もう少し寝よ。折角姉貴と寝てるンだし。あと少し、あと少しだけだから…………」

海風「……んっ…………江、かぜ……Zzz」


< 傷を受けた心は痛んだままだから >





叢雲「おはよ」

提督「おはよう。相変わらず早いな」

叢雲「教官役が一番早く起きなくてどうするのよ。示しがつかないわ」

提督「耳が痛い。……今日も頼む」

叢雲「ええ」

提督「ご苦労ご苦労。……さーてランニングでもしてくるわ」

叢雲「風邪引くんじゃないわよ、寒くなってきたんだから」

提督「さんきゅ。お前も怪我とか注意しとけよなー。治せるっていっても、さ」


< 訊いてみた >





漣「で、黙々とグラウンド走ってるんだ」

叢雲「結構してるわよ。雨とか夜が遅かった日以外は」

漣「知らなかったなー。漣って大体寝てるし」

叢雲「……」

漣「でも何考えて走ってるんだろうね」

叢雲「どうせくだらない、酒とか女のことでしょ」





提督「え? ひたすら割り切れない割り算の計算してるけど」

漣「は? 」

提督「え? 暇潰しってか無心になる方法訊いたんだろ? 単調なトレーニング中の」

漣「……は? ……は? 」

叢雲「……あんたも大概おかしいやつよね。知ってるけど」


< 人は皆矛盾を飼っている >





高雄「十月九日の誕生石はブルーオニキス。
石言葉は“ 自由 ”、“ 純真 ”、“ 個性的 ”、そして“ 興味津々 ”」

瑞穂「提督の頭ってどうなってるんでしょうね。興味が尽きません」

高雄「どう、とは」

瑞穂「失礼な言い方ですけれど好色で自分勝手で」

高雄「ええ」

瑞穂「それでも言語や戦術のブラッシュアップは続けていたり」

高雄「そうですね」

瑞穂「発想も多少ずれているというか……ひたすら計算を続けるなんて瑞穂にはとても」

高雄「はぁ」

瑞穂「……」

高雄「……」

瑞穂「……」

高雄「……全てあの人なんですよ。それが例えどれだけ認められない存在でも」

瑞穂「なるほど。深い、のかもしれませんね」

提督「いやいやいや、それを目の前で言われる俺はただただ不快なだけだよ。最初のときめきはなんだったんだよ」


< 値するのなんて当然のことで >





高雄「今日の誕生花はフェンネル。花言葉は“ 愛情に値する ”」

瑞穂「それでも高雄さんが認める程の方なのですよね。
もちろん瑞穂も尊敬に値する方だとは思っておりますけれど」

高雄「……ただ単に私の程度が低いだけ、ということかもしれません」

瑞穂「だとしても、です」

高雄「…………愛情に値する、というか」

瑞穂「はい」

高雄「愛情というのはそういう考え方を失う、ということなのです」

瑞穂「……」

高雄「もちろん俯瞰的なことをもっともらしく語ることはできますけれど」

瑞穂「……」

高雄「私が隣に立ちたいから、見つめ合いたいから、それだけです」

瑞穂「…………提督に聞かせて差し上げたい言葉ですね」

高雄「ふふ……」

瑞穂「? 」

高雄「それがきっと伝わっているから、この関係でいられるんですよ」


< 秋刀魚mode夕餉 >





愛宕「今日は秋刀魚の塩焼きでーす」

加賀「さすがに気分が高揚します」

高雄「ポン酢やカボスは余っていますのでお好きなものをどうぞ」

明石「すだちがいいでーす」

瑞穂「では瑞穂はレモンの切り身を」

提督「バリエーション豊富過ぎだろ……ポン酢で」

漣「醤油だけでいいじゃないですか。シンプルで」

天城「お酒が進む味ですね……」

雲龍「いつものことじゃない。……こう言うのもいつものことだけれど」


< 何か色々と足りない面子 >





時雨「最近は寒くなってきたね」

山城「そうね。……扶桑姉さま、寒くはありませんか」

扶桑「ええ、大丈夫よ山城。暖かいわ」

時雨「……炬燵を出すの、早過ぎないかい? いくらなんでも」

山城「いいえ。姉さまが不便に思うことがないように何事も早め早めを心掛けるべきよ」

扶桑「これはこれでいいわ。炬燵でアイスを食べるというのもいいものね」

時雨「ま、僕も嫌いではないけどさ」

山城「……時雨、あなたの姉妹も連れてきていいのよ。あと一人だけ、だけど」

時雨「いや、たまには山城たちと過ごすのもいいと思ってね。昔を思い出す、というわけでもないけど」

山城「そ」

時雨「……それに夕立や春雨も僕がいない日があったっていいんじゃないかな。姉妹だとしてもさ」

山城「考えられないわ。私には」

時雨「あぁ、僕も山城と同じにされるのは御免だからね」

山城「は? 」

時雨「うん? 」

扶桑「ふふ…………平和ね。こんな時間がずっと続けばいいのに」


< ちなみにミニだと九個入り >





愛宕「んー……おいし」

明石「ですねぇ……」

漣「でもこれCMみたいには絶対伸びませんよね」

雲龍「あんなのになったら逆に身体に悪そうだけれど」

提督「お、皆で雪見だいふく食べてんのか。一個くれ」

明石「え……」

漣「それはさすがにどうかと思いますよ、ご主人様」

雲龍「……いくらあなたでも無理です」

提督「は? いや、もう一箱ないのってことなんだけど……ねぇのかよ」

愛宕「ほへんなさいね。……んー」

提督「いいの? ん……ん……」

明石「」

漣「」

雲龍「…………なんなのこれ、なんなの、本当に、まったく」


< 平和や国家の為ではなく。ましてや他人の為でもなく >





提督「今日のカクテルはグルームチェイサー。
カクテルワードは“ 真心を込めて人助けができる才能の持ち主 ”、だ」

愛宕「ん……服に垂れちゃった」

提督「悪いな」

愛宕「んーん、染みにはならなさそうだし」

提督「そっか」

愛宕「……真心を込めて、というか完璧な善意って難しいわよね」

提督「まぁな。無意識に“ あの人の為に ”ってなると」

愛宕「事実だけを見ればそれは素晴らしいことでも、ってことね」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「……ま、世の中事実の方に目が行きがちだ。気にすんな」

愛宕「したことなんてないけれど。……そうね」


< お風呂帰り >





愛宕「いい天気ねぇ~ 。見て見て、星が今日は多い気がするわぁ」

提督「……あぁ、そうだな」

愛宕「今日は細月。金星が近付いていたんですって」

提督「……あぁ」

愛宕「見そびれちゃった。早朝起きれなくて」

提督「……」

愛宕「……」

提督「……」

愛宕「……あなたが見てるのは私の顔よ? 」

提督「他のものは風呂で沢山見たしなぁ。いいんだよ、俺は」

愛宕「んー? 」

提督「女の子の瞳だけでわかることもあるってこと。……ほら、部屋行こうぜ、湯冷めしちゃうぞ」


ありがとうございました


< 夢は潜在意識の、とも言うし >





漣「愉快な夢を見たんですよー」

提督「うん? 」

漣「聞きたいですか? 聞きたいですよねー」

提督「……まぁ、いいけど。で? 」

漣「まずここの指揮官が漣なわけですよ」

提督「ほう……」

漣「叢雲ちゃんが奥さんで」

提督「お、おう」

漣「高雄さんと愛宕さんが専属料理人でしたねー。いやー、楽しかった」

提督「……俺は? 」

漣「ご主人様、ですか?」

提督「おう。まさかいなかったのか? 」

漣「いましたよ? 漣のペットでした。わんわーん」

提督「……」

漣「……」

提督「……お前の中で俺はどんな存在なんだ? 」


< 圧倒的敗北感 >





提督「あ、俺も久し振りに夢見たぞ」

漣「へぇ、どんなですか? 」

提督「高雄に起こされて愛宕のつくった飯を食って」

漣「はいはい」

提督「執務してお前らとカードで遊んだり雑談して」

漣「ふむふむ」

提督「飯食って執務片付けて酒飲んで三人で寝たよ」

漣「はぁ。……ただの日常生活じゃないですか」

提督「幸せな夢だろう? 」

漣「……」

提督「……」

漣「……」

提督「うん? 羨ましくない? 」

漣「……いえ、とても羨ましいですよ」

提督「な? 」

漣「はい。……………………ご主人様という人そのものが、ですけどね」


< あくまで傾向としてね >





高雄「十月十日の誕生石はトルマリンキャッツアイ。
石言葉は“ 妄想 ”、“ 熱心 ”、“ 大胆 ”、“ 前向き ”、そして“ 活発 ”」

加賀「おそらくだけれど」

高雄「ええ」

加賀「彼って活発、というか明るいような子はあまり好みじゃないのでしょうね。得意ではないというか」

高雄「そう、でしょうか」

加賀「嫌っているわけではないでしょうけれど……ここの顔触れだとか」

高雄「まぁ……しかし一応は命令に従った結果ですし」

加賀「……そうね」

高雄「……」

加賀「……天龍と龍田で仲のいい方」

高雄「龍田さんですね」

加賀「白露型姉妹」

高雄「時雨さんですね」

加賀「……五航戦」

高雄「翔鶴さんですね」

加賀「…………まだ必要かしら? 」

高雄「……かもしれませんね」


< 胸の裡の誓い、というか >





叢雲「小休憩。弾薬その他の補給もしっかりと」

漣「はーい」

叢雲「……」

漣「……」

叢雲「……海風と江風、いけると思う? 」

漣「だいじょぶでしょ。大丈夫じゃなかったらたぶん合同演習にも出さないだろうし」

叢雲「……私は司令官に任されたのよ。最低でも付け焼き刃は付くようにって」

漣「……」

叢雲「……あいつと結んだ約束は守らないといけないの。このままでいけると思う? 」

漣「……いけるんじゃない? ご主人様ってできないことを任せたりしないよ、特に叢雲ちゃんには」

叢雲「そ。…………なら、いいんだけどね」


< 青春劇。なおこのあと滅茶苦茶訓練 >





海風「……弾薬、よし」

江風「……」

海風「……」

江風「……姉貴ー」

海風「なに? 」

江風「唐突な話なンだけどさ」

海風「うん」

江風「もし部活が、というか学生だったら何部にキョーミある? 」

海風「ふふ、本当に唐突。……そうだね」

江風「江風は……」

海風「うん」

江風「……姉貴は? 」

海風「考えてるところ」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………江風は海風の姉貴と同じならなンでもいいや」

海風「そう……海風と同じだね」

江風「……そっか」

海風「……ん」


< こんなにも尊いものを >





高雄「今日の誕生花は月桂樹。花言葉は“ 栄誉と勝利 ”」

提督「べっつに勝ち負けとかどうでもいいんだけどなぁ」

高雄「叢雲さんですか? 」

提督「ん、あんなにオーバーワークしてさ。海風たちよりあいつの方が心配だよ」

高雄「ならば言って聞かせればいいじゃないですか」

提督「いや、俺が言うと余計さ……」

高雄「……」

提督「……あいつらが、お前らが実戦で落ちないような訓練が積めればそれでいいんだけどな」

高雄「…………叢雲さんにとっては譲れないものなのでしょう。
おそらくは実戦の一部かそれ以上として」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……誇っていいのかな、俺」

高雄「むしろそうするべきでしょう。一人の軍人の、女の本気の気持ちなのですからね」


< そういうところだ、と言いたい >





加賀「提督、これは何ですか」

提督「え? あぁ、北方の同期が土産だとか何だとか言って送ってきたんだ」

加賀「……ダンボール三箱の蒲焼が、ですか」

提督「蒲焼が、ですね」

加賀「あなたの友人もあなたと同類ということなのかしら」

提督「や、俺は酒とつまみしか送ったことねぇよ」

加賀「……」

提督「ま、丼でもおろし添えでもそのままでも適当に消化してくれ。缶詰だし保存効くからゆっくりな」


< 実際は知らない >





雲龍「今日はTOTOの日? 」

提督「いや、確かにそうっぽいけど他にもっとさぁ」

雲龍「トイレといえば肉べ」

提督「ちょいちょいちょい……待て早まるな、な? 」

雲龍「……? 」

提督「小首を傾げるな、可愛いなぁおい」

雲龍「ありがとう? 」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……なんか会話をつなぐタイミングとか失っちまったじゃねぇか」


< では改めまして >





雲龍「今日は肉だんごの日らしいわ。これは本当」

提督「ん、そう……なーんか他意がありそうな」

雲龍「そう? 」

提督「もっと釣りの日とかお好み焼きの日とかさ。あとトッポの日」

雲龍「トッポゲームでもする? 」

提督「いいけど……そういうのだろ。ときめきとかってそういうとこ」

雲龍「はぁ」

提督「いいか? 谷間に挟んだりあまつさえナニに見たてたりするなよ? 」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……トッポみたいに細くないし言わないわ」

提督「そういう問題じゃねぇよ馬鹿。一瞬考えてたじゃねぇか」


< 割と酷い妹 >





提督「今日のカクテルはチョコレートギムレット。
カクテルワードは“ 人を助け思いやるピュアな心の持ち主 ”、だ」

天城「ある意味で姉様が最も純粋な気がしてきましたよ、最近」

提督「あれ最近は本人も半分ネタっぽくしてるけどな」

天城「そうだといいのですが」

提督「いい、のか? 」

天城「まだマシだ、という意味です」

提督「…………純粋さとまともさって比例しないんだなぁ」

天城「まったくです」


< ロマンティスト、というのは >





愛宕「偶然を運命と言い換えるような? 」

提督「いや、自然と偶然を運命だと思うような、だよ」

愛宕「ふーん……理想主義者は? 」

提督「偶然を運命だと信じ込んで何かをしようとする、かな」

愛宕「へぇ……どっち? 」

提督「どっちでもない。お前と出会ったのは偶然でも運命でもなく必然だからな」

愛宕「そ」





漣「……よくあんなの真顔というかキメ顔で言えますねぇ」

叢雲「それが強みでしょ、あいつの」

明石「…………ここで聞いてたら台無しですね、まったくもって」


ありがとうございました


< 海軍と陸軍を略すのが悪いのかもしれない >





提督「どうも最近」

叢雲「なに? 」

提督「兵学校と士官学校の区別がついていない気がする」

叢雲「は? 」

提督「や、俺じゃなくて一般人に」

叢雲「そう。……つく必要あるの? 」

提督「おま、栄えある帝国海軍と陸軍を間違えるとかねーわ」

叢雲「……」

提督「……ま、ないけど」

叢雲「……」

提督「まぁ、いいんだけどさ。海大もなんか誤解受けてると思うんだよね」

叢雲「それで? 」

提督「なんでも。なんとなく叢雲に話しかけたかったから」

叢雲「そう。……聞くだけなら聞いてあげるわ、いつでもね」

提督「そうか。ありがとう」

叢雲「……き、聞くだけならよ? 」


< だって科学者だから >





明石「提督」

提督「うん? 」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……Littorioさんの改造、強化の目処が立ちました」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……この国の所属じゃないんだぜ、ここの所属みたいなものではあるけど」

明石「……はい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……知ってるのはおまえだけか? 」

明石「はい。……破棄、しましょうか? 」

提督「…………いや、危ないカードではあるが重要なことには変わりないしな……いつでも使えるようにしとけ」

明石「……はい」


< こそこそ話 >





提督「……だってさ」

加賀「大概にしてほしいものね、明石にも」

提督「そう言うな。あんな技術者がこちら側にいるってのは凄いことだ」

加賀「だからよ。過ぎた優秀さは身を内から滅ぼすもの」

提督「……指輪関連では俺たちと帝都で推測がずれている」

加賀「ええ」

提督「帝都がイタリア側からなにかカードを引き出すには」

加賀「イタリア側からそれについてのアプローチが必要」

提督「そう。絶対に相手が先じゃないといけないのはこちらが売り込むメリットが無いからだ」

加賀「拡散は避けたいものね。あくまで実態の読めない曖昧な鬼札でなくてはならない」

提督「……Littorioの強化なら、いい交換カードになると思わないか? 」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「……悪辣ね」

提督「この国の利益が優先されるものでね。一応軍人の端くれなんだ」


< ろご >





愛宕「どうするのかしらねー、これ」

高雄「さぁ……なるようになるとしか」

愛宕「いっそ昔のやつ使ってみればいいのに」

高雄「困る方がいるのでしょう、それは」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「……それまで生きてるかしらねぇ~ 」

高雄「さぁ……そもそも戦争が終わっているかどうか」


< 反乱のしようがない >





高雄「十月十一日の誕生石はロードライトガーネット。
石言葉は“ 愛情 ”、“ 友情 ”、そして“ 有力者 ”」

雲龍「女の友情って兎角馬鹿にされがちよね」

愛宕「そう? 」

雲龍「世間ってやつがよ、世間」

高雄「私の世間、というか世界は狭いのでなんとも」

雲龍「そう、それよ。こんな狭い世界で女ばかりなのに回っているんだから馬鹿にしたものじゃないと思うの」

愛宕「これは向かう方向が大体同じだからなような」

高雄「それと……その、絶対的な差ですね。一種王政のような」

愛宕「正妻とその他? 」

雲龍「…………」

高雄「……まぁ、そうですね」


< 白百合のように真白な >





高雄「今日の誕生花は百合。花言葉は“ 威厳 ”、“ 純潔 ”、そして“ 無垢 ”」

明石「はぁ……山城さんあたりですかね」

加賀「あれが無垢なんて笑わせるわね」

明石「辛辣……」

加賀「いいのよ。彼女も私にはこれくらい言うわ」

高雄「加賀さんは赤城さんとは……? 」

加賀「別に。赤城さんが望めば吝かではないけれど。私から何かをして赤城さんを戸惑わせることはしたくないの」

高雄「……なるほど」

明石「それっぽいとはいっても色んな方がいますよね。
提督も山城さんとはよく分からない仲ですけど千代田さんとは仲良いですし」

高雄「千代田さんとは単にお酒が……以前恋愛や肉欲の絡まない女友達は貴重だと言っていましたね」

明石「ははぁ」

加賀「……まぁ、千歳姉妹から押されればあっさり倒れそうではあるけれど」


< 酒盛りはディナーの後で >





提督「ドロー4」

高雄「……」

愛宕「何色? 」

提督「ん、赤」

愛宕「そ、私もドロー4、緑ね」

雲龍「……」

天城「あの……天城もドロー4で。青」

提督「は? 別に空気読まなくてもいいんだぜ? 俺はあと二枚なんだぜ? 」

天城「それならチャレンジでもしてみては? 」

提督「……しゃーねーな」


< というのを真っ先に見た人たち >





漣「訓練後のお風呂が終わったら既に上官たちが酒盛りを始めていた件について」

叢雲「いつもでしょ」

明石「へへへ……」

雲龍「? ぁ、明石にパスタの大皿持たせたの誰よっ、大変なことになるじゃない」

明石「んー……零しませんよぉ」

天城「明石さん、他のをよけましたのでここに」

明石「はーい」

天城「ありがとうございました」

明石「いーえー……ほーら、ちゃんと運んでこられたでしょう? 」

雲龍「…………」

明石「ふふ……じゃ、私は次のお皿をもっでぇぇぇっ」

雲龍「…………」

天城「…………」

明石「」

漣「……世界有数の技術者の筈の同僚が酔った挙句転んで床に顔面を強打した件について」

叢雲「……最近は酷いことになっていなかったのに。治らないのね、この病気は」


< アンニュイフェイス >





提督「今日のカクテルはチョコレートハイボール。
カクテルワードは“ 人や動物を活気付けるニューカマー ”、だ」

明石「……痛い」

提督「大丈夫かよ」

明石「……とりあえず酔いは大分覚めました」

提督「そうかい」

明石「…………」

提督「…………」

明石「…………強化は変化です」

提督「あぁ」

明石「変化の道筋が通れば他の変化、人間化や妊娠の道筋も立つと思うんです」

提督「……あぁ」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……どうも今日は思考が沈みがちというか」

提督「…………活気付いてるより好みだよ。今のお前、悪くない顔だ」


< 愛の種類なんて些細なこと >





漣「よく考えていただけると分かると思うんですけど」

愛宕「うん? 」

漣「ご主人様に落とされてない漣って凄くないです? 」

愛宕「う、うん? 」

漣「高雄さんと愛宕さんはいいとして他は大体が恋人いるの分かってても惹かれちゃったわけじゃないですか」

愛宕「そうねぇ」

漣「しかも長い間生死を共にしたといってもあの叢雲ちゃんがデレッデレっておかしいでしょ」

愛宕「んー、私はあの叢雲ちゃんしか知らないけど」

漣「あんなに言いたいこと言うのなんてご主人様くらいですよ」

愛宕「ふーん? 」

漣「あんたとかあいつもご主人様だけですね。漣でも言われません」

愛宕「へぇ……ま、私を落としたくらいだし。それくらいモテないと困るわ」


< 特に否定する程でもない >





漣「そもそも関係ない人とかには敬語がっちがちだったり素っ気ないですもん」

愛宕「あれでデレッデレなんだ? 」

漣「ええ。あんなの犬ならお腹見せて舌出して尻尾振って見つめてるレベルですね」

愛宕「そう……可愛いところあるのね? 」

漣「? …………はぁ」

叢雲「…………デレッデレ、か。随分愉快なこと言ってくれたわね」

漣「ひえー……いつから? 」

愛宕「割と最初から」

漣「なんだ、それなら言ってくださいよー……ははは」

叢雲「……今年最後の水遊びでもさせて上げようかしら」

漣「遠慮しときますー。今年どころか今生最後になっちゃうし」


< 一瞬の忘却が救いになることだってある >





明石「…………」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………袖掴み、好きなの? 」

明石「……嫌い、ですか? 」

提督「いや……」

明石「……安心するんです。私でも、誰かに触れていられるって」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………おいで」

明石「ぁ……」

提督「俺には誤魔化したり一瞬だけ忘れさせてあげることしかできないけど」

明石「……ん」

提督「ん……今日は明石を一人にはできそうもない」


ありがとうございました


< 例え目覚めていても悟られてはいけないときがある >





提督「…………Zzz」

明石「…………」

提督「…………Zzz」

明石「…………はぁ、おはようございます、提督」

提督「…………Zzz」

明石「…………」

提督「……ん…………Zzz」

明石「…………ありがとう、__さん。私、先にシャワー浴びてきますね」


< 元気玉、とは違うか >





提督「………………あいつはシャワーか」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「……っ、久し振りにあんなに奉仕的なことした気がする。滅茶元気だし」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「…………」

提督「今からまたヤ…………いや、一人になれる時間があった方がいいか」


< おはようMy Sister >





愛宕「はー……布団つめたーい」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………」

高雄「…………Zzz」

愛宕「ふふ……澄まして寝ちゃってー」

高雄「…………」

愛宕「……私専用の湯たんぽになりなさーい」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………おはよう。私専用の目覚まし時計」

愛宕「おはよー。じゃ、私は寝るわね」

高雄「そんなこと許すと思うのかしら」


< 爪を立てられた経験が多いということ >





明石「ふぅー……あ、おはようございます」

提督「おはよう。……すっげぇ背中痛いんだけど見てくれない」

明石「はぁ。……あぁ」

提督「うん? 」

明石「……こめんなさい」

提督「あぁ、やっぱ爪? 」

明石「はい」

提督「まぁ、それならいいや。気を付ければ痛くないし。シャワー浴びてくる」

明石「本当ごめんなさ……………………よく考えるとあんな慣れた感じなのって考えものよね、うん」


< 普段着を知っているからこその >





高雄「十月十二日の誕生石はピンクサファイヤ。
石言葉は“ 嬉しい気持ち ”、“ 優しい心 ”、そして“ 目の保養 ”」

雲龍「今までで一番よかったコスは? 」

提督「あー、目の保養的な意味で? 」

雲龍「保養的な意味で」

提督「んー……コスってくらいだから種類とかコーデじゃないんだろ? 縦セタとか」

雲龍「そうね」

提督「……何が一番喜んでた? 」

高雄「……一様にはしゃいでたような気もしますが」

提督「や、でもナースより婦警の方が好きとかあるじゃん? 」

高雄「あなたの趣味を公言されても……あぁ」

提督「うん」

雲龍「……」

高雄「私と愛宕が戦闘衣を交換したときですね、私が一番疲れたのは」

提督「あー……納得」

雲龍「…………なにか物凄く深いことを聞いているような」

提督「エロい意味で、だけどな」

高雄「…………」


< 発作 >





愛宕「不定期コーナー、今日の童話・寓話の時間よぉ~ 」

叢雲「は? 」

愛宕「今日は~……シンデレラ~ 」

叢雲「唐突な……あいつの関係者ってこんなのばっか」

愛宕「夜の十二時に魔法が解けてしまってもその後も王子様は追い掛けてくれる」

叢雲「はぁ」

愛宕「いい話よね~ 」

叢雲「……単に痘痕も笑窪って話でしょ。着飾れば誰しもそこそこ見れるとか」

愛宕「んー、ちょっと違うかな」

叢雲「……じゃあ、多少みすぼらしくても容姿に優れていれば男なんて落とせる、みたいな」

愛宕「いーえー、どっちも極端過ぎ。正解は恋に落ちて別の魔法にかかった、でした」

叢雲「……」

愛宕「女の子の一番の魔法よねぇ~ 」

叢雲「……」

愛宕「……」

叢雲「……この面倒な流れまだ続けるの? 」

愛宕「んーん、飽きちゃったからもうやらなーい」


< 当然の冷たさを冷淡とは言わない >





高雄「今日の誕生花は苔桃。花言葉は“ 冷淡 ”と“ 反抗心 ”」

提督「雲龍が天城の和服着てたりしてもいいと思うぜ? 」

雲龍「そう? 」

提督「そのときは髪ほどいてくれよな。もしくは簪」

雲龍「考えておくわ」

提督「ん。……高雄、そろそろ執務再開する」

高雄「はい。それではまずはーー」





天城「嫌です」

雲龍「む……」

天城「姉様に貸すだけなら構いませんけれどね……得体の知れない物で汚れるのは嫌です」

雲龍「……烈風でも? 」

天城「あのですね……天城は物では動かされません」


< 優しければ優しい程いいね >





提督「今日のカクテルはチョコレートマルガリータ。
カクテルワードは“ 希望を抱き社交的に進もうとする行動派 ”、だ」

江風「江風はそれ当然だと思うけど」

提督「うん? 」

江風「相手が自分に敵意を持ってると思いながら社交的にはなれないじゃン? 」

提督「あぁ……その気持ち、大切にしろよ」

江風「ン? 」

提督「…………恋をするか、それとも高級軍人にでもなりな。そうすれば分かる」

江風「や、江風マゾじゃないし。知りたくもないね」





海風「…………恋をしても優しさばかり目に入ること、ありますけど」


< ま、平野での話だけど >





高雄「明日は道内で初雪かもしれないとか」

提督「ふーん……」

高雄「……」

提督「お前と見るんでもなきゃな。雪なんて邪魔なだけだ」

高雄「私はまだ積もった雪を見たことがありません」

提督「海上ではあるのか」

高雄「冷たく、辛く……あまりいいものでは」

提督「陸でも似たようなものさ。隣に暖かい愛が無ければね、冷たいだけ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……いつか、あなたと見てみたいものです」

提督「そうだな。……雪をもう少しだけ好きになれるかもしれないし、お前と眺めていれば」


夕食で秋刀魚。ゲームでも秋刀魚。

ありがとうございました


< 他の水母、まだかな >





瑞穂「ん……」

瑞穂「…………」

瑞穂「…………」

瑞穂「…………」

瑞穂「…………」

瑞穂「……一人部屋というのも寂しいものですね」

瑞穂「…………」

瑞穂「…………」

瑞穂「…………」

瑞穂「…………」

瑞穂「……まぁ、このようなことを考えることができることは嬉しいのですが……はぁ」


< 相部屋 >





明石「で、私ですか」

瑞穂「はい。明石さんが宜しければ、ですけれど」

明石「そりゃ構いませんけど……時々油臭いまま戻ってきたりしますよ」

瑞穂「その時は瑞穂がお洗濯を用意しましょう」

明石「酷い酔い方をして意識手放すかも」

瑞穂「介抱はお任せください」

明石「……提督を呼び込むこともあります」

瑞穂「息抜きは誰しも必要ですから」

明石「…………」

瑞穂「……? 」

明石「……なんだ嫁か」


< 嫁……嫁 >





明石「まぁ、それはいいです。……でも何故私に? 」

瑞穂「何故、とは」

明石「一人部屋なら加賀さんもですよ。Littorioさんもですけど」

瑞穂「あぁ。Littorioさんは今おられませんし……加賀さんには赤城さんがいます」

明石「……」

瑞穂「明石さんには失礼ですけれど……なにか、親近感のようなものを覚えてしまって」

明石「……」

瑞穂「厳密に言えば加賀さんや赤城さんには姉妹のような関係はありません、でも」

明石「……いえ、分かりますよ」

瑞穂「……」

明石「うん。それじゃ、瑞穂さんの荷物とか運びましょうか。
今日からお願いしますね、同室の明石です」

瑞穂「……はいっ」


< あくまで思いやりです >





高雄「十月十三日の誕生石はスギライト。
石言葉は“ 優しさ ”、“ 思いやり ”、そして“ ぬくもり ”」

愛宕「ぬくもり……リップの忙しい時期になるわね」

高雄「そうね」

提督「使い過ぎんのもあれだけど」

愛宕「あなたには私が塗ってあげる」

提督「さんきゅ」

高雄「……あなたがすると過剰に唇が濡れる気もするけれど」

愛宕「あぁら、それで困る人がいる? 」

提督「いねぇけどさ……唇で塗るの前提で話すのやめろ」


< 優しくすることがそれだけで意味を持つ >





高雄「今日の誕生花はエキナケア。花言葉は“ 優しさ ”」

提督「どんだけ優しさ推しなの」

愛宕「あっても困らないでしょう? 」

提督「甘やかされ過ぎもよくないと思うんだが」

高雄「ご自分のことはよく分かっているようで」

提督「や、俺のこととは言ってないが」

愛宕「でも、考えてみてよ。完璧超人でいつでも主導的なこの人を」

高雄「む…………」

提督「…………」

高雄「……要らないですね、そんなの」

愛宕「ね? 」

提督「そんなの扱いってひでぇな」


< あなたを人だと考えてはいるけれど >





提督「まぁ、でもさ」

高雄「ええ」

提督「高雄たちが人間じゃなくてよかったと思うことが一つある」

高雄「なんでしょう? 」

提督「仮に姉妹に親がいてさ……姉妹二人とも貰いまーす。愛人も認めてもらってまーす」

高雄「……」

提督「なんて言えないだろ? 」

高雄「……確かに」

提督「もしいたら認めてもらいたいしね、うん」


< 一升瓶が缶ビの如く消えると噂の >





海風「加賀さんです」

加賀「海風……あなたも私をそのように見るのね」

海風「え……? 」

雲龍「……素でこれだそうですよ」

加賀「心外な」

海風「噂というか……事実? 」

加賀「……よしんば事実だとしても天城や瑞穂もあまり変わらないと思うのだけれど」

雲龍「輪をかけて酷いということでは」

加賀「…………だとすると着いてくる提督は異常ね」

海風「提督ですもの」

加賀「……」

雲龍「……なにか凄い説得力ね」


< 裸、という意味ではない >





提督「今日のカクテルはミスティネイル。
カクテルワードは“ 人や動物の注目を集める自由な人 ”、だ」

天城「ん……強めですね」

提督「そこそこな。……スコッチ使うラスティネイルのバリエーションなんだ」

天城「提督のお好きなタイプですね」

提督「ウィスキーあれば生きていけるしな……まぁ、飲んでみて思ったけど」

天城「ええ」

提督「ハーブリキュールなくてもいいな、ウィスキーには」

天城「はぁ」

提督「結局酒も女の子も素のままが一番ってことかな」

天城「なるほど……非常に経験が必要なお言葉ですね」

提督「……別に他意は無いんだが」


< 飲む相手によって >





漣「はーい、ここに甘口カクテル派がいまーす」

叢雲「別に嫌いだとは言ってないでしょ」

漣「っすけどねー、おねーさん、聞いてくれません? 」

叢雲「ご勝手に」

漣「ここの人たちさー、ストレート派とロック派で対立してんすよ?
普通それ合わせてカクテル派と対立っしょー」

叢雲「その二つ大分違うと思うけど……私も好きよ? カクテル」

漣「でもウィスキーロックでしょ? ご主人様に調教されてさー」

叢雲「人聞きの悪い」

漣「悪く思う人ここにいないし」

叢雲「そういう問題じゃ……ボトル取って」

漣「はいはーい」


< 初めての相手と結婚とか >





提督「俺、封建制社会には生きてないんだけど」

明石「えぇ……初めての相手とロマンティックな初夜、とか」

提督「そんなもん考えてヤらないよ。高校生とか中学生に要求するレベル高過ぎ」

明石「はぁ」

提督「そりゃね? 好きだったさ。でもさ、この歳になって分かったよ」

明石「分かった? 」

提督「あれはさ、恋に恋してただけなんだ。愛には昇華しえない」

明石「……」

提督「高雄や愛宕や、お前に向ける感情の足元にも及ばない。
初恋、初彼女なんて記憶で美化されるものだけど、さ」

明石「……」

提督「……悪いな、変なとこで現実主義的で」

明石「……いえ」

提督「……」

明石「……私の初恋が、悪くないように思えたので、構いません」


< 駆け引きはエッセンス >





高雄「最近」

提督「ん」

高雄「私のこと、疎かにしていませんか」

提督「そうかな」

高雄「ええ。幾ら私でも……寂しく思うことはあるのですよ」

提督「……」

高雄「例え人ならぬ身だとしても、女であることに変わりはありません」

提督「…………ここで、寝室で愛を囁くのはお前と」

高雄「愛宕だけ」

提督「そ。……三人で逃げてみるか? 今ならイタリアに仲良しがいるけど」

高雄「いえ……言ってみただけです、ただの戯れ」

提督「そっか。ん……」

高雄「……ん」


ありがとうございました


< こんな自分で、本当に >





提督「ふ…………」

高雄「…………」

提督「…………女の子侍らせて喫む煙草の美味さといったら」

高雄「…………」

提督「…………ス-」

高雄「…………いつも、でしょう? 」

提督「……ま、そうだな。ヤった後しか吸わないし」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……好きですよ、そんなクズなところ」

提督「ありがと。…………ごめんな」


< 夜更かし >





明石「思い出のマーニー」

漣「はい」

明石「割と……悲しい話でしたね」

漣「ハートフルコメディだと思ってたのに」

明石「ハウルみたいな? 」

漣「え、ハートフル? 」

明石「違いません? 」

漣「……」

明石「……」

漣「……眠い」

明石「ですね」


< 今日も、始まる >





明石「…………」

漣「…………」

明石「…………」

漣「…………」

明石「……でもなんでその後ロードオブザリング見始めたんでしたっけ」

漣「さぁ……」

明石「……」

漣「……いつになったら王の帰還の新版DVD出るんでしょうね」

明石「さぁ……」

漣「……」

明石「……このまま訓練ですよ。頑張ってくださいね」

漣「うへぇ……少し、泣きたい」


< 元より >





高雄「十月十四日の誕生石はトラビッチェエメラルド。石言葉は“ 自由気儘 ”」

提督「すまんな」

愛宕「ごめんねぇ~ 」

雲龍「謝った方がいい? 」

明石「ごめんなさい」

天城「天城も……でしょうか」

加賀「謝らないわ」

高雄「…………」

叢雲「……大概社会不適合者ばっかよね」


< 妥協 >





高雄「今日の誕生花はルドベキア。花言葉は“ 公平 ”、“ 正しい選択 ”、“ 正義 ”、そして“ 立派な ”」

愛宕「まぁ……皆、立派? 」

提督「そうだな」

明石「……」

愛宕「……明石も、ね? 」

提督「卑猥? 」

明石「えぇ……」

愛宕「エロい? 」

提督「……」

明石「まぁ……それなら」

高雄「…………それが正しい選択だとは思えませんが」


< 規則的 >






提督「今日のカクテルはチョコレートファッションド。
カクテルワードは“ リズム感のある生活を楽しむ自由人 ”、だ」

江風「音ゲーとか? 」

提督「俺やらない」

江風「ま、江風もやらないけど」

提督「……」

江風「……」

提督「……リズム感っていうか酒飲んでヤって寝るだけだけど」

江風「……」

提督「……ま、ある意味でリズム的? 」

江風「……すっげーどうでもいいな、うン」


ありがとうございました


< ナイトキャップなんて文化は誰が >





愛宕「寝起きのキス」

高雄「ええ」

愛宕「……どうもダメよね、あの人」

高雄「就寝前の飲酒などが悪影響らしいわ、口臭」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……望み薄ねぇ」

高雄「そうね」


< ノーノック >





提督「叢雲、入るぞー」

叢雲「待ちなさいっ」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………あー、タイツ、いいよな。下着透けるのとか、もうね」

叢雲「……失せなさい」

提督「うんうん。実にいい眺め」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「……これ以上長く見ているとその目、見えなくするわよ」

提督「おーう、こわ。……訓練のことで話あるから後で執務室な」

叢雲「…………」





提督「…………あれはあれで。なるほど」


< あなたの >





Littorio「あなたのLittorio、ただいま帰還致しました」

提督「ん、おかえり」

Littorio「はい」

提督「……」

Littorio「……」

提督「……もう少しあっちでもよかったのに」

Littorio「それは本音? それとも建前? 」

提督「両方かな」

Littorio「そう。……Littorioの祖国はあちらですが帰る場所はあなたの下ですので」

提督「そっか」

Littorio「ええ」

提督「…………おかえり、Littorio」

Littorio「ただいま、提督」


< ほら、サプライズみたいなね >





高雄「おかえりなさい、でいいのかしら」

Littorio「ええ。……ただいま、高雄」

高雄「はい」

Littorio「ふふ……とても長い間留守にしていたような気がします」

高雄「私もそんな気がしていましたよ。帰ってくるのなら連絡、は難しいのでしたか」

Littorio「いえ、提督には政府等から通達があったかと」

高雄「……」

Littorio「……組織でのホウレンソウは重要だ、と言っておりましたけれど、提督が」

高雄「……帝都からどころか直属の部下にすらまともにできていないようですね」


< 姉としてなにかできているだろうか >





提督「妹」

雲龍「……本来私という存在と天城という存在に関係性は」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……本音じゃないだろ」

雲龍「どうでしょうね」

提督「…………祝ってやんな。誕生日とかじゃなくてさ、天城を喜ばせる為に」

雲龍「……仕方ないわね」


< 迷走する家庭的、という像 >





高雄「十月十五日の誕生石はグリーンアベンチュリンクォーツ。
石言葉は“ 人気者 ”、“ 家庭的 ”、そして“ オープンな性格 ”」

愛宕「おめでと」

天城「はい、ありがとうございます」

愛宕「我が基地有数の家庭的、な天城には」

天城「家庭的、ですか」

愛宕「ハンドクリームとアロマにしてみました」

天城「あぁ……」

愛宕「どう? 季節柄手元のケアは大事でしょう? 」

高雄「お部屋の香りも時々変えると気分が変わりますよ」

天城「ありがとう、ございます。本当に」


< ノーコメント、という反応 >





高雄「今日の誕生花はスイートバジル。
花言葉は“ 何という幸運 ”と“ 好感 ”」

瑞穂「天城さんのおめでたい日に立ち会えたことが」

加賀「そうね」

高雄「幸運、というのもよくわからない話ですけれどね」

加賀「あの人に出会えた時点で」

瑞穂「そうですね」

高雄「…………お料理の準備でも始めましょうか」




< 踏み込むことって勇気のいることなんだ >





提督「今日のカクテルはチョコレートマンハッタン。
カクテルワードは“ 人の気持ちを思いやる控えめな人 ”、だ」

瑞穂「なるほど……」





雲龍「……おめでとう」

天城「ありがとうございます、姉様」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「……天城がいるから私があるわ」

天城「……」

雲龍「…………これからも頼むわね」

天城「こちらこそ、ですよ」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………それだけよ。アクセサリーに合うコーデ、今度一緒に見繕いましょうか」

天城「はいっ、雲龍姉様」


< 上官に似る、とは聞かないか >





提督「誕生日、おめでとう」

天城「……」

提督「……」

天城「……ありがとう、ございます」

提督「雲龍のやつも大概照れ屋というかヘタレというか」

天城「誰に似たのでしょうね」

提督「さぁ……俺は言いたいことは言う質だけどな」

天城「ふふ……」

提督「……とりあえず、何か飲もうか」

天城「ええ。お願いします」



< 心の裡を >





提督「…………ん」

天城「ふ……いいお酒です」

提督「あぁ」

天城「…………」

提督「……まだお前はさ」

天城「はい」

提督「ここにいることに疑問を覚えるか? 戦いに飛び込まない自分の意志を嫌悪しているか? 」

天城「……いえ」

提督「……」

天城「……先日の作戦に参加して分かりました」

提督「……」

天城「天城は……兵士でした。背中にあなたを、他の誰かを負うということを実感したのです」

提督「そっか」

天城「もちろん天城がここで安穏としていることへの焦燥が消えたわけではありませんけれど……」

提督「あぁ」

天城「……ただの兵器として戦線へ向かおうとしていた自分は間違っていた、今ならそう言えます」

提督「……」

天城「……あなたが、姉様が、ここにいる皆さんがおしえてくれたことです」

提督「…………俺は何もしてないさ。天城自身の意志がなければ、何も解決しなかった問題だよ」

天城「天城があなたに面と向かって感謝しようというのです。
今受け取っておかないと今後どうなるか分かりませんよ? 」


< そう、本当は答えってとても簡単なことなんだ >





天城「…………」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………」

天城「……提督」

提督「ん」

天城「…………__さん」

提督「……ん」

天城「……抱き締めて、くださっても構いませんよ」

提督「物凄く上からだな」

天城「……酔ってしまったのです、雰囲気に」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………天城は人ではありませんけれど、兵器でもありませんよ」

提督「…………そうだな。とても、暖かい」

天城「…………」

提督「……こんな兵器は、無いだろうよ」


ありがとうございました


< 愛って冷たくて暖かい >





「おはよう」

「おはようございます」

「……早いね」

「あなたも。いつも起こしてもらっているとばかり」

「誰が誰に、だって? 」

「そのとき隣にいる女性に」

「……」

「……」

「……まぁ、朝隣で寝顔を見て、挨拶してこそ愛があるからね。ちゃんと起きるよ」

「はぁ」

「一緒に寝て、朝を迎えることが、夢を共有することがパートナーってことなんだ」

「……」

「ヤって別れるとか、起きたままだとか、それはもっと別の関係」

「……例え唯一の恋人にはなれなくても? 」

「難しい話だけど……そうだね。俺の気持ち自体は本当だから」

「……………………あなたって、暖かくて」

「うん」

「……とても、冷たいですね」

「……うん」


< 朝食前の小話 >





提督「寒い季節だなぁ」

天城「そうですね」

提督「……色々とやりやすい時期でもあるけど」

天城「? 」

提督「一つのポケットに二人で手入れて繋いだり、マフラー二人で巻いて座ってみたり」

天城「あぁ」

提督「……ベッドでも、ね。今よりもっと」

天城「……」

提督「…………いや、夏でもだろこいつみたいな目で見ないでくれる? 」


< 他意はない >





高雄「十月十六日の誕生石はアゲート。
石言葉は“ 指導者 ”、“ 感性 ”、そして“ 経験豊富 ”」

雲龍「経験豊富でよかったのかしらね」

明石「……提督が、ですか」

雲龍「他に誰がいるというの? 」

加賀「私としてはこれでよかったわ。どうせこれ以上には踏み込めないのだし」

Littorio「いつになく荒んだ言葉を」

加賀「何事も楽しめた方がいいでしょう? どんなことであれ」

明石「ま、あの大言壮語でレベル低いとダサいだけですし」

雲龍「興醒めよね」

高雄「…………何故それを私の目の前で話すのです」


<あなたを忘れない >





高雄「今日の誕生花は紫苑。花言葉は“ 君を忘れず ”と“ 追憶 ”」

瑞穂「提督がもし」

高雄「ええ」

瑞穂「その、亡くなったとしても」

高雄「……」

瑞穂「……瑞穂たちはそれを覚えていなければならないのでしょうか」

高雄「……? 」

瑞穂「このように楽しい世界を、
瑞穂たちは二度と手に入れられないと知りながら生きてゆかねばならないかもしれません」

高雄「あぁ、そういうことですか」

瑞穂「……高雄さんは、忘れたいとは思いませんか? 」

高雄「…………私は、あの人と生き別れるくらいならば」

瑞穂「はい」

高雄「自分を消します。ですから瑞穂さんの悩みに答えは差し上げられませんね」

瑞穂「そうですか。……………………ふぅ、日進と会えれば、訊いてみましょうか」


< 差別の範囲とは >





雲龍「男女の順番とか」

提督「あぁ、女男でもいいだろ、みたいな」

雲龍「管理職の割合とか」

提督「おう」

雲龍「トップレスにさせろだとか」

提督「ん? まぁ、海外ならあるな」

雲龍「それが悪い傾向ではないと思うのだけれど」

提督「うん」

雲龍「そうすると痴漢も痴女と書くべきだと思わない? 」

提督「思わねぇよ馬鹿」

雲龍「む……」


< 思うことならこちらにもある >





提督「男は顔じゃない、なんて言うけどさ」

雲龍「ええ」

提督「そんなわけないんだよね。だって男は顔で選んでるもん、女の子」

雲龍「心底から同意できる言葉ね」

提督「あぁ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……じゃあ、痴女は譲るから痴人にするとか」

提督「意味変わってんじゃねぇか。愚か者はお前だよまったく」


< 不幸姉妹とさっちんはどちらが不幸だろうか >





提督「今日のカクテルはチョコレートダイキリ。
カクテルワードは“ 惑星を一つの生物と考えるエコロジスト ”、だ」

江風「それはエコロジスト、なのか? 」

提督「さぁね。エコロジストって基本的に自称だから。いいんじゃないの」

漣「あるいは中二? 」

明石「真祖の姫君みたいな」

提督「ん? 」

江風「ン? 」

明石「……」

漣「……漣は分かりますけど」

明石「……リメイクちゃっちゃとしないとネットでもこんな感じになりそうですよね」


ありがとうございました


< ピクニックイベント >





江風「この基地のさ」

海風「うん」

江風「目の前、というか裏側の丘って」

海風「丁度ピクニックとか行けそうだよね」

江風「……テートクのアルバムに貼ってあったよ。天城さンがいい表情してた」

海風「へぇ、以外だね。……ここの人たち全員で? 」

江風「ン」

海風「……海風たちも行けるよ。きっとね」

江風「ンー…………配属の時期が悪かったかなぁ」


< もうなんでもあり >





瑞穂「幽霊? 」

Littorio「Fantasma、でも」

瑞穂「……然程恐ろしくはありませんけれど。仮に存在したとしても」

Littorio「はい。……本当にそれが存在したとしてLittorioたちは幽霊になれるのでしょうか」

瑞穂「……犬や猫の霊、というものもいるでしょう」

Littorio「確かに」

瑞穂「…………」

Littorio「…………」

瑞穂「……一瞬雲龍さんの気配がしたような」


< 地中海。いいところだけれど >





高雄「十月十七日の誕生石はゴールデントルマリン。
石言葉は“ 優しさ ”と“ 清らかな心 ”」

瑞穂「どのような方であれ持っているのですけれどね。ただ見えないだけで」

高雄「……」

瑞穂「あるいは気付いていないのか、忘れてしまったのか」

高雄「……」

瑞穂「本当に悪魔のような存在は、いないのです」

高雄「…………それをおしえてほしい方がいます」

瑞穂「……」

高雄「彼女は……自分で答えを決めてしまいましたけれど、ね」


< 職業軍人 >





高雄「こちら次の書類です」

愛宕「物々しい封筒よねぇ~ 」

提督「さんきゅ。……………………」

高雄「……? 」

愛宕「ん? 」

提督「……………………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……またか」

高雄「はい? 」

提督「横須賀で合同演習の後そのまま出撃だってよ。今度は俺も」

愛宕「ここを空けてでもやらなきゃいけないの? 」

提督「バックは呉から補充だってよ」

高雄「なるほど」

提督「また演習後……何考えてんだか」


< 過敏反応には理由があるもの >





高雄「今日の誕生花はメギ。花言葉は“ 過敏 ”」

愛宕「異様にテンション下がってたわね」

高雄「何か思うところでもあったのでしょうか」

愛宕「あの人が私たちのように戦えれば解決する問題だと思うのだけれど」

高雄「そう簡単だとは思えませんが……」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……どこ行ったの? 」

高雄「資料を取りに行って……暫く経ったわね」

愛宕「……探してくる」

高雄「ええ」


< 空いたものがばらばらと >





提督「今日のカクテルはモーツァルトチョコレートマティーニ。
カクテルワードは“ 人に物事を教える指南役 ”、だ」

加賀「……そう」

提督「……ここには無いが」

加賀「見れば分かります。……寝室へ行きますよ」

提督「……めんどい」

加賀「だからといって酒瓶を抱えた上官を倉庫に放置はできません」

提督「上官? 」

加賀「愛人、と言った方が好みかしら」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……他人に物を教えるなんてさ、俺にはできないんだ」

加賀「支離滅裂ね。何の話をしているの? 」

提督「…………もう少し、いさせてくれ」

加賀「はぁ…………仕方ないわね。高雄か愛宕を呼んでくるわ。それまでに倒れないでちょうだい」


< 幾つになっても手は引いてほしいもの >





提督「うぼらぁ……」

高雄「……酔い過ぎ、ですよ」

提督「んー……? 」

高雄「…………」

愛宕「ほぅら。あなたの愛宕はここにいまぁーす」

提督「…………外」

高雄「……こちらへ」

愛宕「鍵、鍵……あった」

提督「ポケットまさぐるんじゃねぇよ……あぁぅ」

高雄「仕方ないでしょうよ……まったく」

愛宕「はーい、こっちへ。…………保育士みたいね、私」


< 胸を貸してほしいときだってある >





愛宕「じゃ、私は着替えとか用意してくるわ」

高雄「ええ、お願い」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「要港部のいいところわぁ……」

高雄「……はぁ」

提督「下も上も隣もいな……いところ」

高雄「御近所迷惑、なんていうものはありませんね、確かに」

提督「…………はきそ」

高雄「…………背中を撫でるとむしろ誘発するかもしれませんが」

提督「……いや、やめないでほしい」

高雄「……」

提督「……そ、いいよそんな感じ。…………やっぱ前からやって」

高雄「……抱き締めないとできないけれど」

提督「そういうことだよ……あぁ、寒い」


< 見ていた人たち >





雲龍「珍しく泥酔していたわね」

天城「あの人が……提督が深酔いしてしまう程のことが」

Littorio「……考えたくもないのですけれど」

江風「ま、あれでなかなかにタフだしな」

海風「提督……」

雲龍「別に私たちにも知らされる程度の内容だったのだけれど……タイミングが悪かったのかしら」

瑞穂「誰しも虫の居所が悪いことはありましょう」


< センチメントな心色 >





提督「……………………」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……死ねって言えば死ねるか? 」

高雄「はい」

愛宕「当たり前、でしょう? 」

提督「……………………死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい…………死ね。皆死んでしまえ。死ね」

高雄「…………」

愛宕「…………」

提督「……………………アル中か腹上死で死にたうあぁぁぁ……」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「んぁ…………」

高雄「……」

愛宕「……」

提督「」

高雄「……私が肩を持つわ。部屋のドアとベッドを」

愛宕「了解。…………酷い顔」

高雄「…………あなたが腕を吹き飛ばされて以来の顔色ね」

愛宕「…………」

高雄「……起きてから、いえ、起きるまでに対応策を検討しておきましょうか」

愛宕「……そう、ね」


< 彼女ならそっと笑んで悩みを聞いてくれるだろうか >





加賀「……抜かったわ」

明石「……加賀さんのミスでは」

加賀「……ここで最高機密のクリアランスを持っているのは彼と私」

明石「それでも……クリアランスの関係ないお話でした」

加賀「…………」

明石「…………」

加賀「……せめて、倉庫で酒瓶を抱えて倒れる程に思い詰めるまでは」

明石「…………」

加賀「……私がサポートすべき、あるいは気付くべきだった」

明石「……私たち、ですよ」

加賀「…………」

明石「…………」

加賀「…………私が、加賀が赤城さんであればあるいは」

明石「……………………赤城さんでも、無理だと思いますけどね、気付くことなんて」


< ストレスの行き着く先は >





提督「…………Zzz」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……チッ」

愛宕「高雄、品がないわ」

高雄「……そんなことを気にできる場合ではないということよ」

愛宕「…………」

高雄「……あの書類、私が先に目を通していれば」

愛宕「だとしても最終的にはこの人に見せなければいけないでしょう? 」

高雄「…………」

愛宕「…………本当に精神的に負担が掛かるとエロい方向にはいかないわね」

高雄「それで? 」

愛宕「……それだけ」

高雄「…………チッ」


ありがとうございました


< 深酒の後は何故か早く目が覚める >





高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「…………………死ぬ程頭痛ぇし記憶が無い」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「……ま、やたら迷惑はかけたのは確定だろうが」

高雄「…………Zzz」

愛宕「…………Zzz」

提督「……………………ありがとな。朝のコーヒー淹れてやるくらいしかできないけど、さ」


< そして >





提督「ほぼ失敗することの無い作戦にわざわざ俺の……言い方は悪いが子飼いを出し」

高雄「……一応私たちは実験段階の兵装、指輪を持ってますし」

愛宕「開発者もいるし加賀さんとか、あと海外艦もいるわね。思惑有りだけど」

提督「あぁ。……その上横須賀や大湊の戦力の指揮権も俺に一時的に渡す、と」

愛宕「……」

提督「……つまり俺が権力争いに負けたわけじゃなかったってことだな」

高雄「……」

提督「ま、俺を巻き込みたいだけかもしれないけど」

愛宕「……また横須賀のポストなの? 」

提督「横須賀の君はそうしたいんだろ。俺はもう嫌だけど」


< 過去を顧みるのは未来を紡ぐということで >





高雄「十月十八日の誕生石はブルーアゲート。
石言葉は“ 洞察力 ”、“ 直感 ”、“ 素直 ”、そして“ 優雅 ”」

愛宕「……いつまでも優雅なままではいられないのね」

高雄「優雅というより怠惰なような」

愛宕「…………どうやって回避するのかしらね」

高雄「さぁ……ま、なんとかなるでしょう」

愛宕「なんとかなるってまだここにいられるってこと? 」

高雄「私たちが一緒にいられる、ということです」

愛宕「そ。……私嫌よ? ここの皆と離れるのも」

高雄「それは私もですが。……素直に話せばそれはあの人よりも大事なことでは」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「……作戦を成功させつつここに戻ってくる方法、ね」

高雄「まだ時間はあります。そのときまでに、考えておかねばなりませんね」


< 曲垣平九郎の方ではない >





提督「愛宕山ぁ」

愛宕「力士みたいな呼び方はやめて。……なに? 」

提督「や、用は無いよ。呼んでみたかっただけ」

愛宕「……その呼び方で? 」

提督「ん、まぁ」

愛宕「…………」

提督「…………」

愛宕「……喧嘩売ってるの? 」

提督「ごめんごめん。出来心なんだよ。こう、ぽっと出てきたの、頭の中にね」


< 慢心も敗北も許されない >





高雄「今日の誕生花はベゴニア。花言葉は“ 永遠の栄え ”、“ 愛の告白 ”、そして“ 片想い ”」

加賀「永遠に栄えるものなどないのね。
心踊るような記憶も、栄光も……愛も」

高雄「かもしれません」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「……今度の加賀は守ってみせるわ。大切なモノ、全て」

高雄「……頼もしい、ですね」

加賀「私の立場は少し特殊で元々は横須賀の君の直参のようなものだったわ」

高雄「旧要港部に関係することでしたね」

加賀「そう。反逆者についての密命。…………あの人とは別のラインで当たってみるわ」

高雄「……はい。無理はなさらないでくださいね」


< そもそも助六の名前を知らない人が多い気がする >





漣「どうして助六寿司にも時々醤油付いてくるんでしょう」

瑞穂「それは使う方がいるからでは」

漣「醤油があるから使うんですよ。無ければ使いませんって」

瑞穂「……そもそも漣さんはどこで? 」

漣「シーレーンの方です。こちらのコンビニが進出していたんですよ。軍施設の近くに」

瑞穂「はぁ。…………軍規違反では」

漣「そのときの漣たちのボスが」

瑞穂「……」

漣「あれです」

瑞穂「…………聞かなかったことに、しておきますね」


< 負けず嫌いとも違うが >





漣「まぁ、この際だからそのときの話ですけど」

瑞穂「あの、聞かないと宣言したばかりで」

漣「ご主人様っていなり寿司好きなんですよ」

瑞穂「はぁ」

漣「それで最初はちょくちょくコンビニで買ったりしてたわけです」

瑞穂「はい」

漣「ただそのうち面倒になったのか叢雲ちゃんにお願いし始めたんです」

瑞穂「彼女のいなり寿司、とても美味しかったですよ」

漣「はい。叢雲ちゃんが初めて誰かの為に何かを極めようとした瞬間でしたからね」





提督『叢雲。これ甘過ぎるぞ』

叢雲『あんたね……つくらせといてその言い方は』

提督『お前だから言えるんだ。お前にくらいは本音で喋りたい』

叢雲『……………………一週間待ちなさい』


< そこはかとない食いしん坊っぽさ >





漣「さらにコンビニの話ですけど」

瑞穂「……はい」

漣「瑞穂さんってピザまん分かります? 」

瑞穂「ええ、食したことはありませんけれど」

漣「……Littorioさんはあれ、どう思うんでしょう。気になりません? 」

瑞穂「ナポリタンは美味しいと仰っていたような」

漣「ですけどあれは殆どこの国のものでですね。
ピザまんはそのまま突っ込んだ感じなので」

瑞穂「…………」

漣「…………」





叢雲「ピザまん? ……確か冷凍庫にあったわよ。食べるなら私にも頂戴」

漣「はーい。さっすがご主人様ですね! 」

瑞穂「……さすがに困惑するしかないのですけれど。本当になんでもありますね」


< あんなものを迷惑と考えるのならば愛ではないと >





提督「今日のカクテルはカルーアクランベリーマティーニ。
カクテルワードは“ 親切な行いができる熱いハートの持ち主 ”、だ」

Littorio「熱いハートが必要でしょうか」

提督「熱血なんじゃないの。これ考えた人が」

Littorio「はぁ」

提督「……ま、誰しも持ってる気持ちさ。誰だって深酔いしたいときがあるみたいに、な」

Littorio「……」

提督「……」

Littorio「……」

提督「……滅茶苦茶迷惑かけた気がする」

Littorio「その気持ちを持っているのはあなただけですよ、きっと」


< 焼酎 >





叢雲「あら……ソーダ割なんて珍しい。ストレート、ロック至上主義のあんたが」

提督「ん、陸軍側に用があってな、ついでにこれ買ってきたんだ」

叢雲「いろはす炭酸水……れもん」

提督「飲んだことなかったからさー」

叢雲「そのまま飲むという選択肢はないの? 」

提督「え? 」

叢雲「……ま、いいわ。折角だし私にもいただけるかしら」

提督「はいよ」


ありがとうございました


< 割と怖い >





天城「今日もトレーニングお疲れ様です」

提督「ん」

天城「これ、タオルです。高雄さんから」

提督「さんきゅ。……問題なのはさ」

天城「ええ」

提督「一度始めるとやめられないことなんだよな」

天城「はぁ」

提督「体重も変わるし多分やめたら一気に腹とか腰にクる」

天城「お酒を徐々に減らしていけばいいのでは」

提督「……正論だけどそれをお前に言われるとなにか腹立つな」


< 単に時代なだけだと思う >





漣「ご主人様はどうして火狐なんです? 」

提督「ん?……火狐? 」

漣「Firefoxですよ、Firefox」

提督「あぁ。……お前は? 」

漣「Chromeですね。Chromebook買いましたし」

提督「ほーん……父さんがコンピュータ初めて使ったときね、Netscapeだったのよ」

漣「……? 」

提督「俺はその話聞いてたし継承的な、縁的な。実際はなんとなくだけど」

漣「…………」

提督「…………」

漣「……あの」

提督「……ファッキューにわか」

漣「……ひどい」


< 認めると自分も…… >





高雄「十月十九日の誕生石はスカラベ。
石言葉“ 前向き ”、“ のんびり屋 ”、そして“ おおらか ”」

加賀「そうありたいものね。軍人であればこそ」

高雄「そう、ですね」

加賀「やはり赤城さんが理想よ。急がず騒がず、それでいて後ろを振り向かない強さ」

高雄「……」

加賀「夢中になれるものがあり、嫌いなものは嫌いという。それも難しいこと」

高雄「加賀さんは本当に赤城さんのことが好きですね」

加賀「尊敬も愛も羨望も、全てを持っていった存在だったわ」

高雄「だった? 」

加賀「……今の私は、本当に赤城さんの隣に立てる存在だとは思えないから」

高雄「そんなことは、ないと思いますけれどね」


< キンキン声とかのイメージ >





高雄「今日の誕生花は鳳仙花。花言葉は“ 繊細 ”と“ 私に触れないで ”」

愛宕「クールぶっちゃう? 」

提督「それは穿ち過ぎ」

愛宕「そう? じゃあ、悲劇のヒロインぶっちゃう? 」

提督「それも穿ち過ぎ」

愛宕「えーっと……じゃあ」

提督「いや、別にいいだろそれで。なに、こういうの嫌いなの? 」

愛宕「自分は別として好きな女なんていないと思うけど」

提督「……そう? 」

高雄「ある程度恣意的に見ればまぁ……わからないこともないですね」

愛宕「ね? 」

提督「ふーん……」


< 考えてくれている確証への欲求を愛に飢えてるっていう >





雲龍「最近影が薄かったような気がするわ」

天城「目立ちたいんですか? 」

雲龍「いえ……そういうわけでもないけれど」

天城「はぁ」

雲龍「……ぁ」

天城「? 」

雲龍「あの人と寝てないからそう思っただけね」

天城「……」

雲龍「……注目ってそういうことよ、天城。長い時間ずっと見つめ続けられるっていいものでしょう? 」

天城「…………なんとなく分かるようになった天城が少しだけ憎いです」


< 姫と王女と女王と、それから >





提督「今日のカクテルはカルーアオンアイス。
カクテルワードは“ ほのぼのとした雰囲気を好むお姫様 ”、だ」

海風「……お姫様」

提督「興味ある? 」

海風「……少しだけなら」

提督「そっか」

海風「はい」

提督「…………」

海風「……? 」

提督「……いや、なんでもない。色々いるよなって。本質的には割と似たような認識だけど」

海風「はぁ」

提督「……なに飲む? 」

海風「ファジーネーブルを」

提督「ん。…………氷無いし。持ってくる」

海風「はい。……………………海風はどれだと思われているんでしょう」


< 割と滅茶ショック >





雲龍「側室とかもあるわね」

海風「…………」

天城「……姉様」

雲龍「忍び妻でも二号でも側女でも囲でも情婦でも妾でもなんでもいいけど」

海風「……意味的に、というか物理的にお姫様に近かったのは妾か側女くらいかと」

天城「……続けるんですね、海風さん」

雲龍「確かに」

海風「はい」

雲龍「それなら中宮とか女御の方が近いかしら」

海風「側室のタイプですね。提督を軸にするならお姫様も情婦も近いですけど」

天城「…………」





提督「…………俺って性的にしか女の子見てないと思われてるんだ。海風にすら」


< それもどうかと >





加賀「今更なことを」

提督「えぇ……」

加賀「あなたと寝ないとあなたの本当の価値は分からないわ」

提督「それはそれで相手が多いって聞こえる」

加賀「事実でしょう? 」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「……もういいや。褒め言葉として受け取っちゃうか」

加賀「元々貶してはいないわ」


< 平和とは誰にとっての >





叢雲「私たちの権利、ね」

提督「うん? 」

叢雲「私たち、艦娘の存在は兎も角実態は最重要機密でしょう? 」

提督「まぁな。各国の秘密会談でお前らは対外的には特殊な武装を施された人間、ということになってる」

叢雲「英魂……馬鹿馬鹿しいわ。そんなあやふやなものの為に抗議活動をする人がいるのね」

提督「あれはお前……末端は兎も角殆ど利権だぞ」

叢雲「……そうね」

提督「あぁ」

叢雲「……権利を逆さに持つと利権。何かに反対するということは誰かに剣を向けるということ」

提督「そして剣は逆さに持って先を相手に向けるもの」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「……つまんない戦いね。私たちの戦いと同じくらいには」


< 正論って使い方が難しい >





漣「つまんない戦いといえば」

提督「おう」

漣「富士山の帰属とか」

提督「なるほどな。あれはまだネタにしてると思うが」

漣「そうですけど……ご主人様は? 」

提督「道民はなんか言える立場じゃないぞ。単純に遠いし蝦夷富士こと羊蹄があるし」

漣「や、強いていえば、です」

提督「そら……」

漣「はい」

提督「陛下の物ないし帝国のものだろ」

漣「おお……」

提督「…………」

漣「…………」

提督「……ごめん、こういうのマジレスって言うんだっけ? 」

漣「まぁ……帝国軍人としては至極まっとうかもですね」



ありがとうございました


< 早朝の空は眩しい。朝陽という意味ではなくて >





提督「よう」

江風「ンー……」

提督「なにしてんの? 」

江風「英気を養ってンの」

提督「ふーん? ……空見るの楽しい? 」

江風「うン。江風は飛べないし。ヒコーキ飛ばせないから」

提督「…………」

江風「…………」

提督「…………ロングパーカーに手突っ込んでるとか最高に似合うな」

江風「……そう? サンキュ」


< 硝煙や身体の燃えるのに似ている気がして >





愛宕「ふ……」

高雄「……」

愛宕「……コーヒーの湯気って」

高雄「ええ」

愛宕「他のスープより綺麗よね」

高雄「そうかしら」

愛宕「うん……煙草の煙より好きよ」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「……やめてもらう? 」

愛宕「んーん、あの人が吸ってるのカッコいいし……一緒に海見ながら話すの好きだから」

高雄「……そう」


< 疑惑は疑惑のままで >





高雄「十月二十日の誕生石はグリーンターコイズ。
石言葉は“ 大胆 ”、“ 挑戦的 ”、そして“ 向上心 ”」

明石「なんとかコレクションの衣装ですね」

漣「パリとか? 」

明石「そう、パリとか」

漣「あれもよくわかりませんよね。流行らせる気のないものをひたすらつくっているというか」

明石「うーん……」

漣「……」

明石「……まぁ、私もなにかつくるのは好きですしね。
つくっていること自体が楽しいのかもしれません」

漣「よくわからない半裸のものでも? 」

明石「着るのは自分じゃないですし。…………いや、私は安全とか考えてますよ? 本当ですよ? 」


< 手の平の暖かさでは満たされなくなって >





高雄「今日の誕生花はブッドレア。花言葉は“ 私を忘れないで ”」

提督「忘れないように隣にいろよ」

高雄「ん……マグが」

提督「いいよ……割れればまた買い直せばいい」

高雄「……っ…………ぁ」

提督「…………誰もいないな」

高雄「そ、ですね。愛宕は訓練に着いて、いきましたか、ら」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……寒いな、高雄? 」

高雄「はい……寒い、ですね」


< 落ち葉集め >





天城「一体なにを……? 」

瑞穂「いえ、自分たちの住む場所は綺麗であった方が気分もいいかと」

天城「…………」

瑞穂「…………」

天城「…………」

瑞穂「……? 」





天城「……天城も、お手伝いしますよ」

瑞穂「……ええ」

天城「…………」

瑞穂「…………」

天城「……瑞穂さんといると、落ち着きます」

瑞穂「……天城さんといると、沈黙も楽しいです」


< やがて >





明石「おいも持ってきました! 」

加賀「よくやったわ」

明石「や、ひっさびさですよー。落ち葉で焼くの」

加賀「そうね。……他は呼ばないの? 」

明石「演出終わりの漣ちゃんに言っておいたので色々連れてきてくれるかと」

加賀「そう」




瑞穂「…………」

天城「…………」

瑞穂「……賑やかなのも、悪くないですね」

天城「……ええ、皆さん楽しい方ばかりですから」


< 暖をとりながら >





漣「んー……お風呂入ってから来ればよかったかな」

叢雲「湯冷めするわよ」

海風「んむ……甘い」

江風「甘いなぁ……ちょっと寒いけど」

愛宕「よく三種類もおいも持ってきたわね」

明石「あっつあっつ……よく皆さん持てますね」

加賀「手が熱くなる前に食べてしまえばいいのよ」

雲龍「……それ口は熱くないんですか」

Littorio「ただ焼いただけなのに……奥深いですね」




天城「お疲れ様でした」

瑞穂「いえ……天城さんがいましたから。天城さんこそ」

天城「いえ……瑞穂さんがいましたからね」


< 拗ね >





提督「今日のカクテルはスティンガー。
カクテルワードは“ 皆から信用や信頼を集める貴公子 ”、だ」

高雄「……」

提督「や、まさか本当に飲み口欠けてるとは思わなくて」

高雄「……気に入ってたのに」

提督「俺よりも? 」

高雄「……そういう問題じゃありません」

提督「じゃあどういう問題? 」

高雄「……」

提督「ん? 」

高雄「…………好きなものには執着するんです。先程も思い出させて差し上げたばかりでしょう」


< 月の前で話すことではない >





Littorio「干鱈……臭いに気を付ければ美味しいですね」

雲龍「そうね。お酒にも合うわ」

Littorio「……」

雲龍「……」

Littorio「……」

雲龍「……ほしだらとふしだらって似てるわね」

Littorio「……」

雲龍「……」

Littorio「……雲龍とふしだらって似てますね」

雲龍「あの人の前では」

Littorio「…………」


< あっま。すいーと! >





提督「そりゃ、基本的にドイツワインは甘いぞ」

高雄「ですね」

明石「……なんか私合わないですこれ」

提督「そ。飲みたいなら自分で取ってきて。
ここにあんのはこのワインとマリネだけだから」

明石「はぁ……誰かがなんか持ってくるまで食べてます」

提督「そうか」

高雄「何か持ってきましょうか? 」

明石「いーえー、主人の奥方にそんなことをさせるわけには」

高雄「……」

提督「……ん。俺はすきだけどなぁ。ドイツワイン」

明石「はぁ。……それ私のグラス」

高雄「…………主人というのも考え方によってはなにか」


< 愛って割と簡単に >





愛宕「新婚のイチャイチャ」

高雄「はぁ」

愛宕「ってどう考えても無いわよね、私たち」

高雄「充分に長く新婚気分だったような」

愛宕「でも、ねぇ? 新婚とか初夜ってそれだけで特別でしょう? 」

高雄「……新婚は極論恋人から夫婦への移行期間だと思えば別に。もっと大切なものがあるので」

愛宕「む……」

高雄「……」

愛宕「大切なものってたとえば? 」

高雄「一緒に食事をするとか、キスをするとか。一緒にいることがもう」


ありがとうございました


< 別にそれが嫌なわけじゃないけど? >





叢雲「あら……」





提督「……ん? 」

叢雲「窓から見えたから」

提督「そ…………フ-……」

叢雲「……そんな身体に悪いものやめなさいよ」

提督「セックスでハイになって寝顔見てほのぼのして煙草でクールダウンするのがいいんだ」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「……あんたがここにいるのは他の女の匂いが付いたときだけなのね」

提督「……ま、そうだな」


< カッコ付いてないカッコよさ >





提督「まぁ、カッコつけてるけどさ」

叢雲「ええ」

提督「賢者タイムの疲れを無理矢理忘れて一日を乗り切ろうって時間なんだよ」

叢雲「……」

提督「充実感とか倦怠感なんて幸せ感そんなにもたないし」

叢雲「……」

提督「…………」

叢雲「…………カッコ付いてないと思うわ」

提督「そっか……ま、しゃーない」


< そんなことをさらりとイイ顔で言うなんて >





提督「高雄」

高雄「はい」

提督「今日はお前が行ってやれ」

高雄「? 」

愛宕「訓練よぉ~ 。昨日は私だったでしょう? 」

高雄「あぁ、なるほど。分かりました」

提督「六割くらいでやってやれ。叢雲が出てきたら攻撃は兎も角感覚は全力だ。当たるな」

愛宕「私にもそれ言ってたわよね」

提督「そりゃ俺の女が努力しているとはいえ新参に負けるのはつまんねぇよ」

高雄「はぁ」

提督「それに」

高雄「……」

提督「訓練だろうが演習だろうが傷付くところなんて見たくないからな」

高雄「……」

愛宕「……ふふ」



< 絶望を乗り越えてこそ成長する >





高雄「今日はお願いしますね。
私も最近は陸での動作訓練しかしていませんでしたので気を引き締めてかかります」

漣「お手柔らかにー」





江風「……今日は高雄さンか」

海風「……また圧倒的な練度の差を見せつけられるんですね」

江風「ま、大分狙い自体はまともになってきたし。最後は愛宕さンにも少しは。……なンとかしよう」

海風「そうだね……自分のダメージを計算して戦いそうだし、高雄さん」

叢雲「二人とも」

江風「ン? 」

叢雲「高雄姉妹の上は、姉が回避カバータイプで妹が突出型の二人で一対タイプよ」

海風「」

江風「」


< まるでそれしかできないかのような >





愛宕「十月二十一日の誕生石はトルマリン。
石言葉は“ 自立 ”、“ 華麗 ”、“ 天才肌 ”、“ 頭脳的 ”、よぉ~ 」

提督「へぇ……」

愛宕「うん」

提督「……天才的な閃きが俺にもあればなぁ」

愛宕「あるじゃない? ベッドの上では」

提督「や、俺って保守的だし。ないない」

愛宕「そう? 」

提督「そ、そうだよ」

愛宕「本当に? 」

提督「……」

愛宕「えっちぃことなら、ねぇ? 」

提督「……いや、せめてエロいこと以外もできるみたいなニュアンス出せよ、な? 」


< 訓練結果に慰めは不要 >





愛宕「今日の誕生花はイチイ。
花言葉は“ 哀しみ ”、“ 慰め ”、“ 高尚 ”、そして“ 残念 ”、ですって」

加賀「高雄は? 」

愛宕「訓練中でーす。私は代理」

雲龍「代理が必要なものなの? 」

愛宕「なんというか……必要なのよ、兎に角」

瑞穂「瑞穂が来てから初めてですね、高雄さん以外がその話題を出すのって」

愛宕「一応あの人とかも最初は言ってたし……叢雲ちゃんもよ? 」

加賀「日常になっていたのは否定できないわね」

愛宕「続いてるわよねぇ~。結構」

雲龍「残念ながら高雄だけではないけれど、ね」

Littorio「そういえば高雄は……Littorio、見てきますね」



< この後お風呂に >





提督「被弾は」

高雄「十……三ですね」

提督「そうか」

高雄「……申し訳、ありません」

提督「いや、俺が注文付けたお前にそれだけ当てられればあいつらもなかなかってことさ」

高雄「……悪い人」

提督「そうだ」

高雄「……」

提督「お前の気持ちを利用して海風たちの力量を測った。俺ってそういうやつだろ? 」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……」

提督「……ま、慰めるとするなら愛宕は十八だったからな。お前の勝ちだ」

高雄「ふふ……慰めでもなんでもないですね、それ」


< いや、だってそれは……ねぇ? 仕方ない >





提督「今日のカクテルはスカイシトラスミュール。
カクテルワードは“ 思いやりの気持ちを忘れない性格美人 ”、だ」

雲龍「それつまり言い訳よね」

提督「うん? 」

雲龍「ブ」

提督「やめろ」

雲龍「……」

提督「美人で性格もいいがベストだろ? な? 」

雲龍「……綺麗な性悪と反対な容姿の性格美人なら? 」

提督「…………性格美人だろ」

雲龍「その間はなに? 」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「ふっ……勝ったわ」


< 恋愛感情というよりは肉欲の現れない関係 >





明石「千歳姉妹が恋愛感情なく話せる数少ない女友達って言ってましたけど」

提督「おう」

明石「他にはいないんです? 」

提督「……まぁ、価値観合わなくても喧嘩はしないが」

明石「はい」

提督「俺って割とほら……クズじゃん」

明石「割と? 」

提督「…………仲良く話してくれて俺も苦手じゃないとなるとな」

明石「いない、と」

提督「いや……愚痴を言う足柄とか妹トーク翔鶴とか」

明石「……愚痴を言うのは足柄さんで妹トークをするのは翔鶴さんなんですね」

提督「まぁね」

明石「…………」

提督「…………」

明石「……本当に千歳姉妹って貴重なんですね」

提督「そうだな」


< なぜ、なぜ、なぜ >





提督「あとあれだな」

明石「はい」

提督「那智とか陸奥は姉がいるからそこそこ話すけどたぶんいなかったら話さない」

明石「那智さんはなんとなく分かりますけど……陸奥さん? 」

提督「や、俺は陸奥好きなんだけどね」

明石「それはよく分かります」

提督「……分からない? 遊びに行ったときに友達の友達と仲良くはするけど、
連絡先は交換しないレベルの仲」

明石「はぁ……なんとなくは」

提督「陸奥なんて時々なんとも言えない目で見てきたもん……有能じゃなかったら、みたいな」

明石「……それ微妙な視線じゃなくて殺気じゃないんですか」


< 塩辛とか松前漬も好きだよ >





提督「MNB受けたんだけどなぁ」

明石「は? 」

提督「陸奥の虜になるビーム」

明石「……ちょっと何言ってるか分からないですね」

提督「効きが悪かったのがダメなのかなぁ……やっぱ陸奥だけ見てなきゃダメなのか」

明石「それについてはここのメンツとか金剛さんあたりがおかしいだけかと」

提督「……」

明石「陸奥さんとか那智さんの方がまとも、というか人間らしいですよ、たぶん」

提督「…………」

明石「…………」

提督「……陸奥か。八仙と男山ならあったかな」

明石「……そういうところも好き嫌い別れるところですよね」


< STRONGなZERO >





江風「缶チュー……似合わなっ」

雲龍「そう? 」

天城「天城もそう思いますけれど」

雲龍「今牛肉が当たるのよ、応募で」

江風「それテートクに頼もうよ……」

雲龍「それはなにか悪いわ」

天城「変なところで遠慮を……姉様のお給金でも十分に」

雲龍「缶チューは私が買ったわよ? 」

天城「牛肉を最初から買えばいいのではないかと」

雲龍「懸賞の楽しさがわからないなんて……まったく」

江風「わかンなくていいと思う」

雲龍「楽しいのに」

江風「……わっかンねぇなぁ」

天城「…………そういえば横須賀でも応募していましたね。天城にはよく分かりませんけれど」


ありがとうございました


< 賭けるのはプライドだけで十分 >





高雄「十月二十二日の誕生石はピラミッドダイアモンド。
石言葉は“ 熱心 ”、“ 正義感 ”、“ 活発的 ”、そして“ 勝負心 ”」

Littorio「カードってどうしてこんなに熱中できるのでしょう」

加賀「相手がいるからよ」

雲龍「そうね。別に負けてもいいはずなのだけれど」

天城「ええ」

Littorio「……降ります」

加賀「……勝負の予感ね。続けます」

雲龍「……降りるわ」

天城「……ふふ、受けて立ちましょう。加賀さん」

加賀「ふふ……そう」





瑞穂「……誰一人として笑っている気がしないのですけれど」

高雄「……勝負心が前に出ているんですよ、きっと」


< そもそも純潔で正しいのか >





高雄「今日の誕生花はコスモスピンク。
花言葉は“ 愛情 ”と“ 少女の純潔 ”」

愛宕「逆に少女以外の純潔ってわざわざ口に出す程のものじゃないと思うけど」

雲龍「まったくね」

高雄「……なんとも言えませんが」

愛宕「それはつまり肯定ってことよね」

高雄「…………」

雲龍「……ま、あの人の純潔を奪ってもいいのよ? 」

高雄「いらないです」

愛宕「いらないわ」

雲龍「私もいらないけれど。……むしろ私の」





提督「理不尽に貶されてるし……つーか俺はそっちの趣味ねぇよ」


< 世代、ってやつなのかな >





提督「今日のカクテルはラスティネイル……」

高雄「はぁ」

提督「Oh Rusty Nail どれだけ涙を流せば 貴方を忘れられるだろう」

高雄「……はぁ? 」

提督「Just tell me my life 何処まで歩いてみても 涙で明日が見えない」

高雄「……」

提督「最高にイカすね、Xは」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「……カクテルワードは“ 決して天狗にならない品格者 ”、だよちくしょう。ノッてくれてもいいじゃん」


< 悪い男に捕まらぬ世界も、あるいは >





高雄「……そもそも忘れたい相手がいるんですか? 」

提督「や、いないけどさ」

高雄「はぁ」

提督「あ、でも」

高雄「? 」

提督「高雄のこと忘れてもう一度恋できたらな、とは思うよ」

高雄「……本当に見つけてくれますか? 」

提督「当たり前だろ? 」

高雄「……」

提督「……」

高雄「……その時は私から頑張って逃げないと……捕まってしまう前に」

提督「へぇ……ま、捕まえてやるけどな。逃げられれば逃げられる程燃えるタイプだし」


< ふと >





提督「……ふぅ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「……ぎゅっとさせて、ください」

提督「……ん」

高雄「…………」

提督「どうした……珍しいな、お前からなんて」

高雄「いけない? 」

提督「いや、そんなことはないさ」

高雄「…………強がりって、疲れるものですから」

提督「……そうだな。お前を見てるとよく、わかるよ」


< まさかあの時は >





提督『…………Zzz』

愛宕『…………シちゃった』

提督『…………』

愛宕『…………』

提督『……んぁ…………』

愛宕『…………呑気に寝ちゃって』

提督『…………』

愛宕『…………どうしよっかなぁ……あなたを離すのも嫌だし』

提督『……………………』

愛宕『…………』

提督『……………………俺も嫌だぞ』

愛宕『…………』

提督『…………』

愛宕『…………そうね。でも私、高雄も離したく無いのよ。欲張りな女かしら』

提督『……まさか。男と姉妹なんて別物だろ』

愛宕『…………』

提督『…………ま、見てなって。高雄はきっと何も言わないぜ。保証してやる』

愛宕『なぁに、それ。悪い男の人の保証? 」

提督『…………いいから、寝ようぜ。寒い』

愛宕『ぁ…………もう、仕方、ないわね……ん』


< 姉妹間の朝帰りってどんな気分だろうか >





高雄『…………昨日は楽しかった? 』

愛宕『! 』

高雄『いえ……なにか責めているわけではないわ』

愛宕『…………』

高雄『元より、あなたが提督を好いていたことも彼が私だけを見ているわけではないことも知っていた』

愛宕『…………』

高雄『人から逸れた身である私には過ぎた人』

愛宕『……でも』

高雄『私も彼もそこはいいのよ……提督はあなたと私が好き。私は提督とあなたが好き』

愛宕『…………』

高雄『…………』

愛宕『…………私も、提督と高雄が好き、大好き』

高雄『そ……。それなら何か問題があって? 』

愛宕『…………』

高雄『…………』

愛宕『……無い、のかな』

高雄『無いと思えば無いようになるものよ。私たちは私たちだけの世界をつくればいい』

愛宕『…………ふふ、そうねお姉ちゃん』

高雄『……ええ。幸せってそういうものなのよ、きっと』


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