・京太郎スレ
・短編集的、オムニバス的な感じです
・安価もあるかもしれない
・ヤンデレとかあるかもしれない
・話によって京太郎が宮守にいたり臨界にいたりするのは仕様です
・ライブ感は大事
・ネリー可愛い
まとめ
http://www62.atwiki.jp/kyoshura/
前スレ
京太郎「修羅場ラヴァーズ」 - SSまとめ速報
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京太郎「修羅場ラヴァーズ」 健夜「幸せな、お嫁さん」 - SSまとめ速報
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京太郎「修羅場ラヴァーズ」憩「ナイショのキモチ」 - SSまとめ速報
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京太郎「修羅場ラヴァーズ」久「もうちょっと、近づいて」 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1426519302
――末原恭子は改造人間である。
「そこまでや。残念だったな」
紫色の髪を靡かせ、恭子は密室のドアを蹴り破る。
暗い部屋の真ん中で縛られている彼。
恭子の意中の人――須賀京太郎。
「く、もうバレるなんて……」
「なぁ……恭子? うちらで、須賀くんを共有せぇへんか?」
彼を監禁した姉妹を前に、恭子は笑う。
今回の郁乃の視覚は――随分と、手緩い!
「悪いけど――主将の頼みでも、そいつはできん相談や!」
想い人の為に戦い続ける彼女。
自らを改造されても、想い人の為に自らを捧げる彼女を――人は、こう呼ぶ。
「ふ……残念やったなぁ。トリックや」
「代行っ!」
「そこにいる京ちゃんは――ただの、ニセモノや」
「そんな……」
「ふふふ……本物は、今頃お寝んねしてるんとちゃう?」
「……メゲルわ」
――メゲルマン、と。
「『彼女は、これからも京太郎の為に戦い続けるのだ――』」
ナレーターの吹替を終えた京太郎は、そっと台本を床に置き、横目で部員たちを見る。
腹を抱えて爆笑している洋榎、口を手に当てて笑いを堪えている絹恵。
何ともコメントに困るといった具合の由子に、うっかり笑ってしまった為に顔全体に変なドクロみたいな落書きをされた漫。
そして――紫色の某鉄男のコスプレ姿で、膝を抱えて盛大にメゲているメゲルマンこと末原恭子。
「いやー、良い出来やなぁ。これなら文化祭でも大ウケ間違いなしや」
「あの、赤阪監督」
「ん~? なに、京ちゃん?」
「あの――これ、マジで文化祭の出し物なんですか?」
「せやで~。善野さんも見にくるから、末原ちゃんを主役にしたんよ~」
「そ、それは――」
文化祭当日は、さらにメゲている恭子の姿が見られることだろう。
京太郎は彼女の心中を察して――今度、高い喫茶店で何か奢ってやろうと思った。
【姫松愛憎劇場?】
メゲルマンって響きから某クソ映画を思い出してしまったので……
スレタイは毎度毎度思い付きです
深い意味はないですけど揺杏ちゃんは可愛いと思います
というわけで今夜の更新はここまでー
有珠山編はちょっとだけ今までと違う感じになるかもしれません
それでは、今夜の更新はここまでで
お付き合いありがとうございました!
「おまえひとりか? こっちでいっしょにあそぼーぜ!」
「須賀くんは……」
「ん?」
一人で運ぶには多過ぎる紙の束も、二人なら余裕がある。
もう片方が力持ちの男子なら尚更で、両手で紙束を運びながら会話に意識を回すこともできる。
「どうしてあの時、声をかけてくれたんですか?」
「あの時?……あぁ」
「……」
「んー……まぁ、特に理由は無いんだけど。強いていうなら……」
彼に対する印象は、親切な人。
部活が始まる前に、こうして自分の時間を割いてまで手伝ってくれる。
「まぁ、ほっとけなかったって感じ?」
「……頼りがいないですか、私」
「いや、そーじゃないんだけどさ」
ちょっとだけ、困ったように笑う彼。
自分の中の彼に対する気持ちは、まだよくわからないけど。
ただ、この時間は嫌いじゃなくて。
「……」
彼女は、もう半歩だけ隣に歩み寄った。
「んー……あ、あと少し……」
目当てのものは、棚の上段の本。
精一杯に背伸びをしても、指の先が背表紙をなでるだけ。
震える指先でどうにかしようと彼女が奮闘していると――背後から現れた腕が、あっさりと彼女の目当ての本を抜き取った。
「コレっすよね」
「あ、ありがと――」
「先輩、ちっこいんですから無理しないでくださいよ」
「……もう!」
この後輩は――少し、先輩への敬意が足りていないと思う。
ほんのちょっとの胸の高鳴りを返してほしいと頰を膨らませても、彼は意地悪に笑うだけ。
そんなこんなで――彼女の気持ちが花開く日は、まだまだ先のことである。
不覚にも――岩館揺杏は、ときめいた。
「うぁ……」
ちょっと前まで弟分だと思っていた相手の、意外に大きな背中。
軽々と怪我した自分を背負って歩く逞しさ。
回した腕から感じる筋肉の形とか、体温だとか。
高まる胸の鼓動は、挫いた足首の痛みすら忘れさせてくれる。
「ん? どうかした?」
「い、いや! なんでもないから!」
赤くなった頰を誤魔化すように、彼の肩口に顔を埋めて。
益々強く彼の匂いを感じてしまい、さらに鼓動が早まって。
その日の夜、彼女は全く眠れなかった。
「なるかには悪いけど――なんてね」
ジャンケンで決まった買い出しのメンバー。
他のみんなはグーで、誓子と京太郎が出した手はチョキ。
そんなわけで二人っきりのこの状況。
出発間際の成香の羨ましそうな眼差しには悪いが――恨むなら、握り拳を出してしまった自分を恨んでほしい。
「何か言った?」
「ん、ナイショかな」
「なんだそりゃ」
こうして並んで歩いてみると、成長の差を実感してしまう。
昔は同じくらいの背丈だったのに、男子と女子の違いとは不思議なものだ――と、何となく感慨深い気持ちに浸ってみたりして。
「ねぇ」
「ん?」
成香が自分の気持ちに気付いているのかは知らないけど、彼を見つめる眼差しに含まれた感情は明らかで。
その気持ちが報われるかどうかは彼女の努力次第。
頼まれれば応援だってしてあげるけど――
「昔みたいに、ちーちゃんって呼んでくれない?」
今は、もう少しだけこの距離感を楽しみたい。
「意外ときれーな肌してるなコイツ」
ノンキに寝息なんぞを立てている後輩を、頬杖をついて見つめてみる。
爽が部室に来た時、彼女を待っていたのは座って眠る京太郎の一人だけ。
一番最初に部室に来たはいいものの、多分みんなを待っているうちに眠ってしまったんだろうと爽は当たりを付けた。
「……ふぅん?」
となれば、擽られるのはイタズラ心。
ペンを片手に忍び寄ってみたものの――よく見れば、整った顔立ちをしているではないかこの後輩は。
「……」
じっとその寝顔を眺めていると、変な気分になってくる。
二人だけの空間で、しかも相手は眠っているというのに何だか照れ臭い。
触ってみたら、どんな反応をしてくれるだろうかなんて考えてみたりして――
「ちーっす」
「遅れてごめんなさいね」
「お……おぉ。よし、それじゃ部活はじめるかー」
――ちょうどいいタイミングで遅れてやって来た残りのメンバーたち。
目指せ全国、とさっきまでの照れ臭さを飛ばすように檄を飛ばす。
胸の奥に芽生えつつある気持ちがどうなるのかは、これからの彼女たち次第。
___,-、 _, ---- 、
, ´ / ` < ⌒\
/ | :. `ヽ、
/ / / l| V ` 、
.' / , { { | | | 、 、_ \_
| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/
/ 、 八 _ _ 人
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_
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【須賀京太郎】
所属:有珠山高校 麻雀部員
長野生まれ北海道育ち
【特に意味の無いステータス表記】
雀力:D 原作で全国大会準決勝にまで上り詰めた有珠山女子中堅の揺杏ちゃんと同じくらいだ!
料理:E 一般的な男子高校生レベル。あまり上手くない
運動:C 飛んだり跳ねたり投げたりは得意。そこまでズバ抜けて高いわけではない
雑用:D 普通
能力:- そんなオカルトありえません
【部のみんな】
本内成香:チョロイン。彼女だけをキャラ安価で選び続けたら速攻でエンディングいけるくらいチョロイン
攻略難易度はベリーイージー
桧森誓子:成香の恋心に気付いてちょっと身を引き気味な年上のお姉さん
攻略難易度はちょい高め。でもコンマ次第でチョロイン
岩館揺杏:弟分だと思ってた相手が思ったより男らしくなっててドキドキ
攻略難易度は普通
真屋由暉子:同級生の須賀くんは初めての異性のお友達。よくわからない彼への感情に戸惑いつつも、そんな感情がキライじゃない
攻略難易度はイージー
獅子原爽:京太郎のことは弟分で後輩。
攻略難易度は高め
思いっきり京太郎のaaがズレたけど気にしてはいけない
攻略難易度とか書いてるけど書いてる時の気分とノリとテンションとコンマ次第で変わるのでぶっちゃけ気にしなくていいです
というわけで有珠山プロローグ終了
次から本編突入しますー
『今! 未来だけ見上げて――♪』
隣の席の男子のけたたましい着メロで、京太郎は目を覚ました。
気が付けば、あっという間に放課後。
そろそろ、部室にも部員が集まり始める頃だろう。
「んー……っ!」
座ったまま思いっきり伸びをして肩をほぐす。
さて、今日は――
京太郎選択肢 下3
1.普通に部活 キャラ名も
2.その他 何かあれば
肩を鳴らしながら部室に行けば、既に成香が準備を始めていた。
他の部員の姿はまだなく、どうやら彼女が一番のりらしい。
戸を引く音で彼女はこちらに気が付いたらしく、手を止めて振り向いた。
「はやいですね」
「ホームルーム終わってからすぐに来たんで」
自動卓を前にした麻雀部員らしい姿に――改めて、自分たちが全国を目指すのだと思い返す。
牌もマットも無く、トランプやボードゲームで遊んで頃がもはや懐かしく感じる。
「あの……京太郎くん」
「はい?」
「ちょっと、この牌譜で気になったところがあるんですけど……」
「あー、はいはい」
そう言って、成香は鞄からプリントアウトされた牌譜を取り出した。
高校生になってから麻雀を始めた彼女は、部の中で一番経験が浅い。
京太郎も、由暉子や爽にはまるで及ばないとはいえ、そこそこの経験はある。
指導というほどではないが、自分に教えられるものがあればと京太郎は成香の手元を覗き込み――
なるか判定直下
1~50 微かに、指が触れあった
51~00 何故か慌てた成香が、バランスを崩して――
ゾロ目 ToLOVEった
「えー、どれどれ……」
身を乗り出して、成香が指差す箇所を覗き込む。
真面目な成香が気になるというのだから、そこには何かしらの意味があるのだろう。
「あ、え、えっと……」
「先輩?」
だが、どうしたことだろう。
さっきまで真剣な表情をしていた彼女が、今は何故か顔を赤くして狼狽えている。
「先輩? どうかしました?」
「あ、いや、あの……!」
何かおかしな点があるのか。
牌譜を見ても彼女がここまで慌てる様子がわからず。
京太郎は、成香の顔をより近くで覗き込むようにじっと見つめて――
「……なにやってんだ、お前ら」
「……さぁ」
急に慌ててバランスを崩した成香を、結果として抱き止めるような体勢になった京太郎。
後からやってきた爽の目が点になっても、当の成香は腕の中で真っ赤になって縮こまるばかり。
有珠山はちょっとずつ進めていくスタイル
キャラ安価下3ー
『精一杯! 輝く! 輝く星に――♪』
由暉子と一緒に買い出しをしている最中。
何やら近所で今話題のアイドルグループの野外ライブがあるらしく、女性たちの歌声と観客たちの歓声が聞こえてきた。
「……」
「……ユキ?」
ふと、隣を歩いていた由暉子が足を止めた。
その視線の先にはライブステージ。
ほんの一瞬だけ由暉子は目を閉じてから、ポツリと口を開いた。
「……爽先輩は、私をアイドルのようにしたいようですけど」
「まぁ、全国行くやる気になったのもそれがデカいからな」
「もし私がアイドルデビューしたとして――私も、あんな風に歌ったり踊ったりするのでしょうか」
「あー……」
目を閉じて、イメージしてみる。
由暉子がキラキラの衣装を身に纏い、スポットライトを浴びて踊っている姿。
小さいながら懸命にダンスをする姿は可愛らしいし、何よりその胸が弾む様子はきっと何よりも――
「……須賀くん?」
「え、あ……まぁ、うん。凄く似合うと思うぜ。そういうのも」
「そうですか……」
「なら」
「ん?」
「須賀くんは――もし、私がアイドルデビューしたら」
ユキ判定直下
1~50 応援し続けて、くれますか?
51~00 側にいて、くれますか?
「側に、いてくれますか?」
それは――友達として、だろうか。
そうであるのなら、それは考えるまでもないし――
「おう。なんだったらプロデューサーとかやってもいいぜ」
「プロデューサー……」
「運動とか苦手なら色々と手伝ってやるし――ってそれはトレーナーか?」
さっきの邪な妄想を退かしつつ、イメージを続けてみる。
ライブステージで由暉子が踊る中、舞台裏でそれを見守る自分。
……うん、中々に悪くない。
「そうですか」
ふっと、由暉子が口元を緩めた。
返事は素っ気ないものの、京太郎の返事は彼女のお気に召したようだ。
「まー、まずは全国……というか予選を突破しないとな!」
「そうですね。最初から躓いちゃったら笑えません」
ちょっとだけ歩くペースを上げた由暉子に合わせて、京太郎は袋を持ちながら爽たちの待つ部室へと戻っていった。
「……笑顔、です」
キャラ安価下3ー
「こんちゃ――」
いつも通り、放課後になって京太郎が部室の戸を開いた時。
「あ」
「――す?」
そこには。
着替えをしている最中の、揺杏がいて。
「……」
「……」
揺杏は、スリットの入った改造スカートを履こうとした体勢のまま。
京太郎は、戸を半端に開けたまま。
お互いにフリーズして、ようやく先に動いたのは――
判定直下ー
1~30 京太郎は、慌てて戸を閉めた。
31~60 京太郎のほっぺに、真っ赤な紅葉が出来た。
61~98 揺杏は、真っ赤になって手に持ったそれを投げ付けた。
ゾロ目 ???
先にフリーズが解けたのは、揺杏だった。
呆けた顔が真っ赤に震えて、羞恥やら怒りやらが入り混じった表情に変わり――
「――ッ!!」
彼女は、手に持っていたそれを京太郎に投げ付けた。
反応が揺杏よりも遅れた京太郎はそれを回避することが出来ず、顔面に直撃してしまう。
軽い衝撃の後に顔全体を覆ったそれ。痛みはなく、柔らかいそれの正体は――
「……スカート?」
揺杏が履こうとしていた改造スカートだ。
ということはつまり、今の彼女は――
「……あ」
「あっ」
露わになった、少し大人っぽい黒色。
再びお互いにフリーズして――今度は先に動き出した京太郎は、揺杏に合掌して。
「ごめん」
京太郎はそっとスカートを置いて、戸を閉めて部室の外に出た。
間を置かず、彼女の甲高い悲鳴が辺りの廊下一帯に響いた。
由暉子アイドル計画の為の改造制服。
試作品を試しに自分で来てみようとした瞬間に、京太郎が訪れてしまったというわけである。
見られる可能性のある場所で着替えていた揺杏の過失ではあるが、京太郎に全く非がないとも言えない。
「うわっひゃあ……」
「あー、その――」
さて。
乙女にあるまじき声を出して突っ伏す彼女になんと言葉をかけるか――
京太郎台詞 下3ー
「み、見なかったことにするから……」
声が震えているのが自分でもわかる。
かける言葉が上手く見つからなかっ結果であったが――
「……」
むっくりと起き上がった揺杏は膨れっ面のまま。
彼女のお気に召す答えでは無かったようだ。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……ごめん」
「……うん」
「……今度、なんか奢るから」
「……」
「……うん」
ラブコメ的なアレコレ
キャラ安価下3ー
まずは声に出して、呼んでみること。
それがきちんと出来たのなら、きっと照れや恥ずかしさを克服できるだろう。
「須賀くん」
問題ない。
学校のある日は毎日のように呼んでいる名前。
なら、次は――
「き、京太郎……くん」
「呼びました?」
「あ、いやっ!?」
いつから部室にいたのか。
予想していなかった想い人からの返事に、成香は慌てて――
なるか判定直下ー
1~30 しどろもどろで、誤魔化した
31~60 机に足をぶつけて、彼の胸へダイブ
61~98 机に手をぶつけて、擦りむいてしまった
ゾロ目 ToLoVEった
思わず飛び上がった成香の背後には机。
そして、彼女の意識に当然それはなく――
「あぅっ!?」
鈍い音と、突然の強烈な痛み。
右手の甲が痛々しい赤色に染まり、少し擦り剥けている。
背後の机の角にぶつけてしまったのだと理解した頃には、少し涙が出てきて――
「大丈夫ですかっ!?」
「あっ……」
酷く慌てた様子で彼が駆け寄り、手を取ってくれた。
いつもなら、それだけで舞い上がってしまう距離。
だけど、今は――その顔を、じっと見つめることができる。
「すぐに保健室行きましょう!」
「……」
「……せ、先輩?」
「あっ……はい……わ、わかりました……」
彼の付き添いで、保健室へと向かう。
右手の甲は酷く痛むけれど。
それでも、口から自然と零れた言葉は――
「……すてき、です」
キャラ安価下3ー
成香は、もう自分に恋心に気付いてる。
それは間違いないが――なら、その相手となる彼はどうなのか。
「……」
誓子は雑誌を捲りながら、ちらりと彼に横目を向けた。
部活が始まるまでの時間を携帯の画面を見て過ごす彼。
少しだけ緊張しながら、思い切って口を開いてみる。
「……ねぇ、京太郎」
「はいはい?」
「もしかして、今気になる相手とかいたりする?」
「は? なにいきなり」
「いいから、ね?」
「まぁ……」
京太郎返答 自由安価下3ー
「いるけどさ」
「本当っ!?」
「なにその反応」
身を乗り出すような誓子の勢いに、少し引き気味の京太郎。
誓子な恥ずかしそうに一つ咳払いをして、ゆっくりと身を引いた。
「それで、相手は?」
「ああ、それは――」
内心でドキドキしながら、出来る限り冷静に返答を待つ。
成香か、それともやっぱりユキか。
ああ、もしも――
「部の皆かな」
「……は」
「俺の周りの女の子っていったらやっぱりみんなが浮かぶし――ってなにその顔」
「……なんでもないわ」
少し期待した自分がバカらしくて、溜息を吐く。
どうやらまだまだ、親友の恋が実るのは先の話らしい。
誓子は気を取り直して、再び雑誌を開いた。
どこかで安心していた自分には、気が付かないまま。
有珠山はわりかしゆっくりと好感度上げつつ病ませつつーって感じで進めようと思ってますがどうでしょうか
いやまぁゾロ目が出たら急加速するのはいつも通りにする予定ですが
それでは、今夜の更新はここまでで
お付き合いありがとうございましたー
乙
一人だけ選び続ければコンマ次第で平和に終わる可能性がある?
京太郎「あーわーいー」
淡「なーにー……ふゅ」
膝の上に座る淡の頬っぺたを特に意味はないが摘んで見る。
やわっこくてモチモチする。
淡「きょーたろー?」
京太郎「うりうり」
淡「あぅー……」
さらにコネコネしてみる。
それで何か得られるものがあるわけじゃないが――凄く、楽しい。
淡「やったなー」
京太郎「おぁっ」
お返しだー、と振り返った淡が俺の頰に手を添える。
そのまま、俺がやったのと同じように頰をグニグニと押される。
淡「あはは、へんなかおー」
京太郎「なにをー」
淡「わー」
やったりやられたり。
お互いの頰を福笑いみたいにこねくり回しながら、放課後の時間は過ぎていった。
誠子「いいんですかね、アレ」
菫「ほっとけ」
【特に山も落ちも意味もない京淡】
ツーサイドアップ。
隣で寝っ転がって雑誌を読む憧の髪型の名前。
憧「~♪」
当の本人は鼻歌なんぞを口ずさんでいらっしゃる。
どうやら彼女は機嫌が良いらしく――何となく、その髪を一房だけ手にとってみる。
滑らかですべすべ、枝毛が一つもない。
美容に詳しくない俺でも、よく手入れされていることがわかった。
憧「なに?」
京太郎「いや、キレイだなって」
憧「あ、そう」
素っ気ない返事。
雑誌から顔を上げない彼女だが――さらに機嫌が良くなったことは、その語尾から伝わってきた。
憧「~♪」
あ、足がパタパタしてる。
なんか犬みたいだ――なんて感想を言ったら怒られそうなので、口にチャックをしておく。
スカートがちょっと捲れてパンツが見えちゃってるし。
京太郎「……ふむ」
何にせよ。
俺の彼女は、超可愛い。
【特に山も落ちも意味もない京憧】
女性の魅力、とは何だろうか。
ヤケにスッキリしている頭で考えてみる。
胸、腰、お尻、ふともも、うなじ――様々なものがあるが、大事なのはバランスである。
よく俺は巨乳好きだと思われがちだが――いや、実際に好きだけど。
一番に拘るポイントはそこではなく、性格や全体との調和が大切なのだ。
つまるところ、何が言いたいのかというと。
久「……ヤッちゃったね」
京太郎「……はい」
――部室のベッドに残るアレやソレや赤い染み。
いくら考え事をして誤魔化そうと――部長と部室のベッドではじめてを致してしまった事実は変わらない。
咲や染谷先輩に知られたらどうしようか。
誰か人が来る前にさっさと後片付けをしなければならないのだが、部長の体力的にそれは難しそうで。
なら、他にどうすればいいのか――
久「ね」
京太郎「あ、ハイ」
久「勢いでここまでしちゃったけど」
――私、今スゴく幸せよ。
そう言って、俺の胸に顔を預けてくる部長は凄く魅力的で。
京太郎「俺も、ですよ」
久「ふふ……♪」
その他諸々の事情を考えるよりも――今は、彼女を抱き締めることが大事だろう。
【特に山も落ちも意味もない京久】
京太郎「ほらよ、お土産」
ネリー「ん、なになに?」
俺の言葉に、瞳をキラキラさせて手のひらを差し出してくるネリー。
まんま予想通りの反応に、口元が緩む。
俺はポケットから小包を取り出して、その小さな手のひらに乗っけた。
ネリー「なんだろなんだろ……♪」
ネリーが開けた小包の中身は、紫色の石のペンダント。
長い休みを利用して行った旅行先で買ったものだ。
この後のネリーの反応も、きっと――
ネリー「キョータロッ」
京太郎「おう。言っとくけど売っても大して――」
ネリー「絶対大事にするから! 返せって言っても返さないからね!」
京太郎「……お、おう!」
――違った。
智葉さんからお裾分けしてもらったお中元ですら、即効で換金しようとしたネリーのことだから、そっち方面での反応を予想していたのだが。
準備していた突っ込みが空回りした俺をよそに、ネリーは早速お土産のペンダントを首にかけた。
ネリー「ね、似合う?」
京太郎「あ、ああ……バッチリだ」
ネリー「えへへ――ありがとっ!」
京太郎「っ」
その、屈託のない笑顔に。
不覚にもときめいてしまったことは――内緒に、しておく。
【特に山も落ちも意味もない京ネリ】
>>103
最初からフラフラしてないで誰か一人に絞り続けたらそりゃ幸せなキスで終わるしかないでしょうね
というわけでちょっとだけ有珠山やるのよー
「ちかちゃん、相談したいんだけど……」
「相談?」
「うん……須賀くんのことで」
――やっときたか、と誓子は心の中で握り拳を作った。
ちょっと彼と手が触れ合っただけで真っ赤になってしまう成香。
アプローチと呼ぶのも烏滸がましい彼女の拙い努力を見るのも悪くはなかったが――
「わ、私……須賀くんのことが好き。だから……ちかちゃんに、応援してほしくて……」
「ふふ……」
「……ちかちゃん?」
「ええ、わかったわ。協力してあげる」
こうして頼まれれば、手を貸すのも悪くはない。
成香にとっては天使のようにも見える微笑みで、誓子は頷いた。
成香が愛おしげに撫でた、右手のガーゼには気が付かなった。
「んー……zzz……」
京太郎が部室に来ると――机に頬杖をついて、揺杏が眠っていた。
なんというか、色気がない。
口が半開きだし、寝息が乙女らしくないのもマイナスだ――と、京太郎は無駄に上から目線で頷いた。
「さて――」
京太郎は、どうしたものか――
京太郎選択肢 下3
1.起きるまでほっとく
2.頬を突っついてみる
3.その他。自由安価
ふと沸き上がる悪戯心――とは言っても、大したことをする気はない。
眠っている揺杏の頰を人差し指で突っついてみる、ただそれだけである。
「……おぉ」
――柔らかい。
普通に考えてみれば当たり前だが、人差し指から伝わってくる感覚が意外と楽しい。
柔らかく滑らか、それでいて程良い弾力がありそうだ。
揺杏のクセに、なんとも女の子らしい。
これは、下手するとクセになってしまいそうな――
「……ぱくっ」
「……へ?」
京太郎が間抜けな声を漏らした時には、もう遅い。
頰を突っついていた指先は、見事に彼女の口の中。
「んぅ……ん」
寝ぼけた彼女は咥え込んだ指先を離さず、むしろより味わうように舌先を動かす。
食物を食べる夢でも見ているのか、彼女の歯が何かを咀嚼するように上下する。
だが痛みは感じない。甘噛み程度の力は逆に心地よさを――
「――っ!!」
指先が十分にふやけた頃に、ようやく京太郎は我に返り――
判定直下
1~33 「と、とりあえず指を拭こう……」
64~66 「じー……」
67~99 実は……
「ん……ちゅっ」
――ヤバイ。エロイ。
相手は揺杏だぞ、小さいころは一緒に馬鹿みたいにはしゃいで笑った相手だぞ。
必死に自分に言い聞かせても、頰に集まる熱は止まらない。
さっきまで色気の欠片もないと思っていた筈なのに。
「じー……」
「はっ!?」
見ていた子は誰? 下3
視線の正体は由暉子。
その顔は軽蔑でも呆れでもなく、ただ無表情。
正直、一番キツイ。
「……須賀くんは、そういう趣味をお持ちなんですか」
「いや、違っ」
由暉子の目線が心を貫く最中も、相変わらず舌先で転がされる指先。
慌てて揺杏の口から指を引き抜くと、唾液で湿った空気の流れを敏感に感じ取った。
「……」
「……ご、ごめん」
「何で謝るんですか。謝るなら先輩にでは」
「いや、怒ってるように見え……」
「怒ってません」
相変わらず、由暉子の思考は読みにくいが。
この時、京太郎が取るべき行動は――
京太郎の行動安価 下3でー
「ゆ、由暉子も舐める……か?」
言った直後に後悔。
何をトチ狂ってんだ俺、と自分を責めても取り消せない。
京太郎の言葉に、由暉子は目を閉じて――
直下判定
1~10 「あー……よく、寝た」
11~30 「何を言ってるんですか、あなたは」
31~60 「……はむっ」
61~00 実は……
「……何を言ってるんですか、あなたは」
ですよねー。
気のせいでもなんでもなく、目付きが鋭くなった由暉子に京太郎はガックリと項垂れた。
「んー……よく寝、た……?」
話題の中心人物は、呑気に欠伸。
イマイチ状況を把握しきれていない揺杏は、目の端の涙を拭いながら首を傾げた。
平和なコンマ
キャラ安価下3ー
「……」
「……」
久しぶりに一年コンビでの買い出し。
が、互いに流れる沈黙の空気。
原因は言うまでもない。
「……」
チラ、と横目で彼女を見る。
心なしか、いつもより二人の距離が離れてる気がする。
……嫌われてしまったのだろうか。
もしそうだとしたら――再起不能なまでに心が抉られる。
「須賀くん」
「は、はい!?」
思わず敬語で由暉子に応える。
彼女が口に出した言葉は――
ユキ判定直下
1~30 「須賀くんって結構子どもっぽいとこありますよね」
31~60 「須賀くんは……揺杏先輩のことが、好きなんですか?」
61~98 「もし、あの時に寝ていたのが私なら……」
ゾロ目 ???
「須賀くんは……揺杏先輩のことが好きなんですか?」
「え?……いや、それは……」
その言葉で思い返すのは涙目の揺杏。
想起するのは指先の感覚。
「うん……ないな」
「……」
一拍遅れてから、京太郎はそう答えた。
揺杏とは小さい頃――幼稚園の頃からの付き合いだが、彼女にそういった感情を抱いたことはない。
先日の指の一件で変な気分になったことは否定できないが。
「……なら……」
「ユキ?」
「いえ……何でもありません、早く戻りましょう」
由暉子の意図が掴めないが、嫌われていないのなら良しとしよう。
二人で歩調を速めると、買い出しの品を入れたビニール袋がぶつかり合って、ガサリと揺れた。
有珠山で一番好きなのは成香だった筈なのに何故か自分の中で揺杏の順位が急上昇中である
この感覚はプロ編や臨海編の時によく似ている
というわけで今日の更新はここまででー
お付き合いありがとうございました
そりゃあ彼女は某BFスレで京太郎のパートナーやってますからねぇ……
乙ですー
今日の更新は終わったが今夜の更新が無いとは言ってない()
諸事情で予定が潰れたのでなんか小ネタ書きます
>>184
そのスレは読んだことないけど揺杏ちゃんヒロインのスレあったんですね
「おまえなんか、キライだ」
その言葉を聞いた途端――瑞原はやりの頭の中は、全部が真っ白に染まった。
なんで? どうして?
色んなことが頭の中をグルグル回って、それでも口は開かない。
そんな彼女の震えて滲む視界の中で、彼はくるりと振り向いて。
「じゃあな」
彼女に構わず、走り去って行った。
美味しいハズのお母さんのゴハンが喉を通らない。
マネージャーさんにも心配されて、いつも通りの力が出ない。
「みんなを元気にするのが牌のおねえさんなのに……」
多分――今の自分を鏡で見たら、とても酷いと思う。
面会できなかったころの真深と、きっと似たような顔をしている。
「……あ。かんなちゃん」
力なく歩く学校の帰り道。
ふと顔を上げたら、曲がり角の向こうを歩く友達の姿が見えた。
「あれ……なんか、オシャレしてる?」
いつもなら声をかけに行くけれど、今は元気がない。
はやりは早く休もうと、閑無を無視して家に帰ろうとして。
「閑無、話ってなんだよ」
聞こえてきた声に、その足を止めた。
思わず、物陰に隠れてしまう。
盗み聞きはいけないことだってわかっているけれど、それでも耳を澄ます。
だって、その声は、はやりの大好きだった人の声。
この前にいきなり「キライ」だって言ってきて、それから一言もお話しできてない男の子。
「……なぁ、ちゃんと言ったんだろうな。瑞原はやりのヤツに」
「……」
「おい」
「……言ったよ。お前の言う通り、アイツのことキライだって」
須賀京太郎の、声だったから。
鼓動が高鳴ると同時に、心の中が冷たくなっていくのを感じる。
お前の言った通り? じゃあ、アレは閑無のせい?
物陰に隠れるはやりに気付かない二人は、そのまま会話を続ける。
「アイツがアイドル目指してることは知ってんだろ?」
「……ああ」
「アイドルってのはな、恋愛とかやっちゃダメなんだよ。わかるだろ」
「……」
「だからぶっちゃけるとだな――お前、アイツにとってジャマになっちゃうんだよ。あのままだと」
「……そっか」
全部、わかった。
なんだかんだで優しい彼が、急にあんなことを言った理由が。
そして、閑無がオシャレをしている理由が。
「気を落とすなって……まぁ、今日はアタシがおごってやるよ」
「……親の金のクセに」
「細けーこと気にすんな。ほら、行くぞ」
手を繋いで歩いていく閑無と京太郎を。
はやりは、追いかけなかった。
「……わかったよ」
「応援してくれてるんだよね、かんなちゃん」
「はやりの夢を」
「あはっ」
「はやりね、かんなちゃんの言う通りアイドルに――牌のおねえさんになるよ」
「そしたら、もう一個の夢も叶えるから」
「プロの人とか。マネージャーの人とか。色んな人と仲良くなって、いっぱい勉強して」
「かんなちゃんから、全部とりにいくから」
「京太郎くんも。友達も。全部、ぜんぶ」
「いいよね? 背中を押してくれたのは、かんなちゃんだから」
「応援――してくれるよね?」
小ネタ安価下3
女の子が5人。男の子が一人。
もしも、女の子みんなが男の子を好きになったとしたら――それは、悲劇であり喜劇である。
「由々しき事態、です」
京太郎を抜いた有珠山麻雀部のミーティング。
その内容は――彼に近付く女の排除。
「成香がいつになくヤル気満々だ……」
「何があったんだ?」
「はい。この写真を、見てください」
机の中央に置かれた写真。
これこそが今回のミーティングの議題となるべき物、なのだが――
「……殆ど、わかりませんね」
画鋲やらカッターでズタズタにされており、無傷なのは写真の右側に写る京太郎だけ。
かろうじて――誰かが、京太郎と腕を組んでいることは判別できた。
「私は、みたんです」
「なにを?」
「この女の人が――京太郎くんを連れて、ホテルに入るのを」
「……へぇ?」
「よし殺すか」
「いや待って……この写真、いつに撮ったの?」
「はい。前の日曜日です」
「にちよ……?」
「爽、どうかした?」
「え? いや、なんでもないよ。うん」
「女の髪型は?」
「ツインテールでした」
「ゔぇっ」
「爽、具合悪いの?」
「いやいや、何でもないって。うん」
「……ヤッベ」
翌週。
有珠山麻雀部の必死の捜索にもかかわらず――件の女は、見付からず。
結局、問題は解決しないままに再びミーティングが始まった。
「はい、今日は私から」
「また何かあったんですか?」
「ああ……しかも、また飛びっきりのがな」
ゴクリ、と部員たちが喉を鳴らす。
その反応に爽は満足気に頷いて、口を開いた。
「なんと――また、日曜日に京太郎に近付く女が現れたんだ」
「にちよぅ……?」
「ああ……しかも、腕を組んでホテルにだな」
「っ!」
「なるか? 具合悪いの?」
「う、ううん。大丈夫だよチカちゃん」
「そう。それで、その女の特徴は?」
「ああ――兎に角、髪が長い女だった。髪の色は成香みたいなの」
「な、なるほど……」
彼を共有するための集まり。
外敵を排除すべく、彼女たちは日々活動を続けている。
そして、間違いなく――また来週も、似たようなミーティングが開かれることになるだろう。
「あ、あはは……」
真実が明るみに出る日は、来ない。
無限ループ
小ネタ安価下3で
京太郎には、許嫁がいる。
辻垣内智葉。
日本で三番目に強い女子高生雀士であり、辻垣内の一人娘。
そして、京太郎の許嫁――なのだが。
「京太郎。少しだらしなさすぎだ」
「は、はい」
残念ながら京太郎には、その実感がない。
幼いころより一緒に育ってきた京太郎が智葉に抱く感情は家族愛。
厳しいが格好いい姉という認識である。
「よし。行くぞ」
ついて行きたくなる後姿であるが、寄り添って立つイメージが浮かばない。
これでいいのか――と思いながらもどうすることもできない。
今日も、京太郎は智葉に続いて登校する。
がめつい奴だ、と最初は思った。
「キョウタロキョウタロ」
「はいはいなんですかネリーさんや」
「お小遣い」
「ねぇよ」
――ネリーはお金がいるの。
それは彼女の口癖であり、サカルトヴェロという国で育った故の事情と知ってからは、彼女を見る目が少しだけ変わった。
今の会話のやり取りも、お決まりのネタのようなものだ。
今では毎日この会話をしないと調子が出ない。
「……なぁ、京太郎?」
「?」
「ネリーを膝の上に乗せる必要は?」
「?」
「?」
「いや、二人して首を傾げられてもな?」
ネリー・ヴィルサラーゼを一度意識してから、ずっと止まらない。
もっと見ていたい。もっと触れていたい。
そしてそれは、ネリーも同じ。
「……やれやれ」
智葉は、あくまでその関係が友人で終わると信じている。
だから、気付けない。
机の下で、繋がれた手の存在に。
やがて――愛しい相手すら斬り殺したくなるほどの激情を秘めた、自らの胸の内に。
臨海編とダダ被りな感じだったので急遽変更
小ネタ安価下3ー
ちょっと金に困ってるんですよ、と。
その一言を零してから、彼の生活は一変した。
「お裾分けなのよー」
「は、はぁ……」
実家の長野を離れて大阪のアパートで一人暮らし。
夜遅くの来客に応じれば、そこには頼れる先輩の姿。
由子が手に持つのは、如何にも高そうなケーキの箱。
断る理由もないので、京太郎は受け取った。
「また来るのよー」
「ど、どうも」
ちょっと、時計が壊れちゃって。
部活の最中に零した一言。
「プレゼントなのよー」
「え?……でも、これ」
差し出されたのは、由子とお揃いの時計。
気軽には受け取れない代物である。
「あ、色が気に食わなかった?」
「いや、そういうわけじゃ」
「大丈夫。ちゃーんとそれも考えて――」
彼女が、カバンをひっくり返す。
瞬く間に玄関に出来た色とりどり時計の山。
針を刻む音が実にうるさい。
「バッチリ用意してあるのよー」
時計コレクターかな?(白目
日を追うごとに――段々と、身の回りのものが由子に固められていく。
私服に至っては、下着すら由子からの贈り物である。
流石に気味が悪くなってこっそりと処分したのなら――
「なら、次はもっと良いのがあるのよー」
――もはや、彼に受け取る意外の選択肢はなかった。
ヒモ。
由子に迫られるままの生活を送っていたら、いつの間にやら不本意で不名誉な渾名が付いていた。
実にストレートである。
「今日のお弁当なのよー」
しかし、毎日昼休みに重箱を持って教室を訪れる由子を見ていると否定できない。
もし、ここで彼女を拒んだのなら――それは、あまり考えたくない想像だ。
「たっぷり食べるのよー」
「は、はい……」
数段重ねの重箱より、さらに重い由子の献身。
だがそれも、彼女が卒業すれば終わる。
由子は三年。自分は一年。
彼女が来年に卒業すれば、少なくとも学校では由子に迫られることはないだろう。
「いただきます」
そう考えて、京太郎は今の状況を楽しむことにした。
割り切ってしまえば、このシチュエーションも悪くはない。
そして――いよいよ、待ちに待った由子の卒業式。
先輩たちを送り出して、帰宅した京太郎は――思いっきり拳を突き上げた。
「よっし!」
「あの人もいなくなったことだし……」
「これからは、自由だ……!」
「これからは……そうだ!」
「彼女だ! 彼女を作ろう!」
「普通にデートして普通に映画とか見たりして……」
「そして夜は……へへっ」
「とにかく、思いっきりやってやるっ!!」
「バッチリなのよー」
「……へ?」
――暗転。
京太郎が目を覚ました時――自分が一糸纏わぬ姿で、やけに質の良いシーツと布団に包まれていることに気が付いた。
ボヤける視界を頭を振って払い、部屋の中を見渡す。
それなりの広さを持った、女の子の部屋のようだが――
「おはようなのよー」
「へ――うわっ!?」
横からの声。
何度も聞いたその声に揺さぶられて、思わず跳ね起きそうになったが上手く体が動かない。
全身を異常な気怠さが満たしていた。
「せ、先輩……なんで?」
「デートしたいって、言ったやん?」
「は?」
「だから……お家デート、なのよー」
ぴとり、と由子が身を寄せる。
肌が触れ合う感触から、彼女も京太郎と同じように、何も身につけていないことがわかる。
「京太郎をここまで連れて来たのが夜やったから……ちょっと順番変わっちゃたけど」
「な……ぁ、まさか――」
至る所に、湿った感覚。
状況から想像してしまう、気怠さの原因。
それを裏付けるように――由子は、心の底から幸せそうに微笑んだ。
「うふ……末長く、よろしくお願いしますなのよー」
「パーパ♪」
ハッピーエンドやん!(錯乱
おやすみなのよー
おつなのよー
揺杏可愛い
可愛い?
可愛い……
揺杏可愛い!
後で有珠山やります
有珠山はじまるー
放課後。
京太郎は、いつも通り部室に戸を開いた。
キャラ安価下3ー
一年コンビで二人きり。
ちょっと前まではユキとの間に変な空気が流れていたが、今はいつも通りである。
部活が始まるまでの時間を、彼女は小説を読んで過ごしていた。
「……やっぱなぁ」
こうしてじっとユキの顔を見ていると、改めて彼女の可愛いさを実感する。
ちょっと童顔だけどそれはプラス要素だ。
中学の頃は野暮ったかったのに、揺杏たちのコーディネートは流石だと認めざるを得ない。
「なんですか?」
「あ、いや」
視線を感じとったのか、本から目を上げた由暉子が俺を見上げる。
大きな丸い瞳で俺を見るユキに、俺は――
京太郎選択肢 下3
1.「ユキが、可愛いと思って」 正直に話す
2.「その髪型、なんかウサギみたいだなって」 誤魔化す
3.その他 自由安価
「ユキが、可愛いと思って」
――正直に、答えた。
なんか軟派な男みたいだが事実である。
爽は打倒はやりんを謳っていたがガチで狙えるんじゃないだろうか。
「……」
俺の返事に、ユキは――
ユキ判定 直下
1~30 「そ、そうですか」
31~60 「……可愛いですか、私」
61~98 「ごめんなさい。ちょっと失礼します」
ゾロ目 ???
「ごめんなさい。ちょっと失礼します」
「おう」
ユキはいきなり、勢いよく席を立った。
怒らせてしまったかと思ったが、よく考えればユキは割りとハッキリものを言うタイプだ。
何か気に障ったのなら、注意してくるだろう。
「……揺杏たち、遅えなぁ」
ちら、と時計を眺めてみる。
もう直ぐ部活が始まる――筈、なんだが。
「ただいまです」
「おかえり」
ちょっと、の言葉通りユキは直ぐに戻ってきた。
トイレにでも行ったのか、揺杏や爽ならストレートに言っただろうがユキはちゃんとした女の子である。
先輩組が来るまでの時間を、俺は携帯で暇潰しをして待つことにした。
「……」
今度は、ユキが俺の事を見つめていることに気付かずに。
今回はハッキリと京太郎目線であることを強調して書いてみたけどどうでしょうか
いつものとどっちがいいですかね?
キャラ安価下3ー
「でも、打倒牌のおねえさんなら――やっぱアレだよな」
「アレ?」
首を傾げる由暉子に、京太郎は雀卓から白牌を一つ摘んだ。
何も書かれていない真っ白なソレ。
ソレを、由暉子の前でしっかりと掲げて見せて――
「そりゃ」
「っ! 文字が!」
「簡単な手品だけどな。よくはやりんがやってたヤツ」
何もない牌に文字を浮かび上がらせる手品。
タネは簡単な摺り替えの手品。手が大きい京太郎にはそこまで難易度の高い技ではない。
「はやりん超えなら、やっぱコレを超える何かを――ってユキ?」
目をキラキラ瞬かせる由暉子。
初めてこの手品を見た時の自分と同じ反応。
京太郎は、ふと口元を緩ませて――
「ユキも、やってみるか?」
ユキ判定直下ー
1~60 二人は幸せな以下略
61~98 誰か来た
ゾロ目 ???
ばち、と牌が弾かれる音。
白と中の二つの牌が、京太郎の足元に転がった。
「む」
「まぁ、すぐにはな?」
眉根を寄せる由暉子に、京太郎は苦笑した。
すぐに二つの牌を拾って、彼女の手の平に乗せる。
「コツとか……やりやすい持ち方とか、ありませんか?」
「ん……まぁ」
口で伝えるよりも、実際にやってみた方が早い。
京太郎は白牌の持ち方を教えるために、そっと由暉子の指に触れて――
「あっ……」
彼女の、小さな口から零れた声。
いつもとはまるで違う調子の声に一瞬だけ固まって、すぐに咳払い。
気を取り直して、由暉子へのレクチャーを始めた。
「いいか? コツとしては――」
互いに赤みを帯びた頰を誤魔化しながら。
二人きりの時間は、過ぎていった。
ザ・平和
キャラ安価下3ー
「で、京太郎は誰が好きなんだ?」
「なんだよいきなり」
「なんか最近ユキといい感じだろ」
「……」
確かに。
由暉子を妙に意識してしまうのは否定できないが。
「かと思えば揺杏ともアレだし。成香は――まぁ、いつも通りだけど」
「……」
「ほれほれ、恥ずかしがらずにこのおねーさんに話してみなさい」
口元に手を当てて寄ってくる爽。
最近、誓子にも似たようなことを聞かれた気がするが――3年生の間で流行ってるんだろうか。
京太郎の、返事は――
自由安価 下3ー
なおゾロ目の場合……
ksk
ニヤニヤした顔は絶妙に可愛いとウザイの中間。
ならば、と京太郎の胸に湧き上がる悪戯心。
一つ咳払いをして、真剣な雰囲気を醸し出す。
「それは……」
「お、マジで言っちゃう感じ?」
あくまで、自然に。
京太郎は無駄に高い演技力で真剣な表情を作り、爽に一歩歩み寄る。
「京太郎?」
「……」
「なんか近くね?」
「それは……」
「それは?」
「爽――お前が、好きだからだよ」
判定直下ァ
1~60 「10年早いな」
61~98 「……マジ?」
ゾロ目 ???
「……マジ?」
爽が、唾を飲み込む。
京太郎は構わず、さらに一歩歩み寄る。
「じ、冗談キツイなー」
爽が一歩後退、合わせて京太郎も一歩前進。
そう広くはない部室、そんなことを繰り返しているうちに――
「……あ」
背後には壁。
京太郎は更に逃げ道を塞ぐように、壁に腕をつく。
あと一歩京太郎が踏み出せば、お互いの距離はゼロになる。
「き、京太郎……?」
雰囲気に流されたのか、爽が目を閉じる。
何を覚悟――または期待しているのか。
京太郎は、そんな彼女の頰を――
「うりゃっ」
「ぐえっ」
思いっきり摘んでやった。
いつも麻雀でボロ負けしている姉貴分への悪戯は大成功。
凄まじい達成感である。
「ベッタベタな手に引っかかったなぁ」
「な、おま――!」
目をパチクリさせて、ようやく真実に気が付いた爽の頰がみるみるうちに赤く染まる。
その表情は怒り――というよりは羞恥。
「すっげーレアなもん見れたわ。写メ撮っとけば――ぐほっ!?」
調子に乗っていたら鳩尾に突き刺さる爽の拳。
その衝撃は、ガタイの差にも関わらず京太郎に痛烈なダメージを与えた。
「……ったく」
蹲る京太郎を見下ろして、爽は胸を撫で下ろした。
高まる鼓動は何のせいか。
浮かんできた思考を気のせいだと振り払い、爽は部活の準備のために自動卓に向かった。
未だ熱の下がらぬ頰を、片手で扇いで。
今回はここまででー
一応全員出揃ったけどそろそろかなぁ
あ、ちなみに有珠山編は全国編とかやる予定ないです
彼女たちを集中して書きたいので
それでは、お付き合いありがとうございました!
S「絹ちゃんって結構アブなそうな感じ」
K「確かに。無意識に色々ちょっかい出しそうな」
M「やらかしちゃいそうなのよー」
絹恵「……って言われて」
京太郎「はぁ……」
絹恵「失礼やん? 私、そんなに危なっかしいかなぁ」
京太郎「あの、先輩」
絹恵「うん?」
京太郎「俺、洋榎さんの彼氏なんですけど」
絹恵「知っとるよ? おねーちゃんの惚気話ウザいくらい聞いてるし」
京太郎「……じゃあ、そのチケットは?」
絹恵「USJの。なんか2枚貰ったから」
京太郎「えっと、くれるんですか?」
絹恵「うん。一緒に行けたらなぁ思って」
京太郎「俺、洋榎さんの彼氏なんですけど」
絹恵「だから知っとるけど」
京太郎「……別の人と行くのは」
絹恵「あれ、京太郎USJキライやった?」
京太郎「いや、そういうわけじゃないけど」
絹恵「ならええやん。一緒に行こっ」
京太郎「……確かに、危なっかしいですわ先輩」
絹恵「なんでっ!?」
揺杏「京太郎」
京太郎「よんだ?」
揺杏「うん。呼んでみただけ」
京太郎「そうか」
京太郎「揺杏」
揺杏「なにー?」
京太郎「呼んでみただけ」
揺杏「そ」
揺杏「京太郎きょうたろきょーたろー」
京太郎「揺杏ゆあんゆーあーんー」
揺杏「好き」
京太郎「知ってる」
揺杏「マジ好き」
京太郎「俺も」
揺杏「結婚しよっか」
京太郎「卒業したらな」
揺杏「いえーい」
京太郎「いえい」
KとUのタイプミスだということは内緒である
こっそり小ネタ安価下3ー
「ええと……マジでやるんですか、コレ」
「はい、バッチリですよ。間違いなくあの人こういうの好きだから」
好きな人が出来たんです、と同郷の先輩に相談したところ。
教えて貰ったアドバイスは信じ難いもので。
「須賀? 二人きりで話って」
二つも上の先輩に、今からやること。
もし失敗すれば、きっともう麻雀部にはいられない――が。
「須――が?」
無言で、力強く哩に迫る。
強気であればある程良い、というのは煌の言葉だ。
後退る彼女を逃がさず、壁に押し付ける。
「なぁ……」
腕を押し付け、彼女の股下に膝を割り込ませる。
逃げ場はない。
固まる哩の耳元に、京太郎はそっと唇を寄せて――
「俺の、女になれよ」
一か八かの勝負。
内心のバクバクを必死に押さえ込みながら、京太郎は彼女の返答を待つ。
俯く彼女がその顔を上げた時、その瞳に映る感情は――
「ご主人さまぁ……♪」
「はい?」
ぽたり、と。
膝の上に、何かが垂れた。
誰だって、イライラすることはある。
そして、そういう時に――盛った雌猫のような声を壁越しに聞かされたら、堪ったものじゃない。
「あー……っ!」
だから。
つい、反射的に。
隣が先輩の部屋だということを忘れて、拳を壁に叩きつけた。
ドン、という音がして――隣からの声は、止まった。
「ヤッちまった……けど」
これで、あの人も今度から静かにしてくれるだろうか。
部長が卒業してから毎晩のようにあんな事をされては、健全な青少年として色々と辛い。
「まぁ、明日謝ればいいか……」
そう思考を切り替えると、京太郎は部屋の電気を消して目を閉じた。
壁の向こう側で、姫子が何をしているのかを知らないままに。
「……♥」
「須賀くん」
「あ、先輩。昨日はすみませんでした……」
「ううん、よかよ。アレは私が悪かった」
「でも」
「だから、須賀くん」
「今夜――お詫びをしたいから、須賀くんの部屋にあげて?」
その日から。
京太郎は、盛った雌猫のような声を――自分の部屋で、毎晩のように聞くことになるのだった。
「チカちゃん、最近よく須賀くんと一緒にいるよね」
下校途中、親友が不安げな顔を浮かべるから何かと思えば。
心配性な彼女の言葉に、誓子は苦笑を浮かべた。
「いい、成香? それは京太郎に食べ物の好みを聞いたりしてるからよ」
「……」
「つまり、あなたの為なの。心配してる暇があったらお弁当でも作ってあげなさい」
「……うん」
そう。
京太郎はあくまで幼馴染みであり、弟分。
今のところは――誓子の恋愛の対象にはならない。
「私も手伝うから、ね?」
「うん……ごめんね、チカちゃん」
成香の恋を応援すると、決めたのだ。
その結果がどうであれ、誓子と成香は親友である。
少なくとも、誓子はそう思っていた。
寝落ち
キャラ安価下3ー
「なんか……最近、隠し事してないか?」
「えっ?」
ぴく、と誓子の肩が小さく動いた。
その反応を見るに、間違いなく黒である。
「そんなことないわよ、そんなことする意味ないし……」
「ふーん?」
あからさまに怪しい。
誓子とは長い付き合いだからこそ、今の彼女の反応に違和感を感じるのだが――
京太郎選択肢 下3
1.ちょっとイタズラしてみる
2.大人しく引き下がる
3.その他
思い出すのは先日の爽。
何となくそれっぽく迫ってみたら、実に面白い反応が見れた。
誓子に対しても、同じように接してみたら――もしかして、ボロを出すのではないか。
「そっか……悲しいな」
「京太郎?」
胸の内側で鎌首を擡げた好奇心はおくびにも出さず、京太郎は声のトーンを下げた。
寂しげな雰囲気を漂わせ、じっと誓子の瞳を見つめる。
「うっ……」
彼女のぱっちりした瞳が罪悪感に揺れる。
その反応は間違いなく、クロである。
「ちーちゃん……」
「――」
チカちゃん判定直下
1~30 「もう、調子に乗らないの」
31~60 「だ、ダメなものはダメよ」
61~98 「え、ウソ……」
ゾロ目 ???
「もう、調子に乗らないの」
「ちっ」
ぺしり、と軽く頭を叩かれた。
ちっとも痛みは感じないが、残念ながら思惑はバレてしまったようだ。
「急に昔の呼び方なんてあからさま過ぎ」
「そう呼んでって言ったじゃん、前」
「まぁ確かにそうだけど……とにかく」
誓子は一つ、咳払いをした。
「確かに隠し事はしてるけど、京太郎にとって悪いことじゃないから。絶対に」
「そうなのか?」
「ええ」
誓子の企みを知る事は出来なかったが、これ以上探りを入れても無駄だろう。
京太郎は誓子の言葉を信じて、彼女の隠し事をサプライズだと思う事にした。
「……」
平和よー
キャラ安価下3ー
「須賀くんは気の多い人なんですね」
「は?」
「爽先輩に迫っていたかと思えば誓子先輩に……」
「待て。待って」
突然の、由暉子のジト目が突き刺さる。
見ていたのか、彼女は前のアレを。
「えっとだな……アレは、何というかおふざけで」
「須賀くんはおふざけで女の子にちょっかいかけるんですか」
「違う、その言い方は絶対に違う」
「……」
必死の弁明は果たして由暉子に通じるのか。
心なしか段々とキツくなる彼女の目線に、京太郎の焦りは募り――
「今までの私とのお話も」
「それは違う!」
「っ!?」
「俺は――」
「俺は、いつだってユキは可愛いと思ってる!」
ユキ判定直下
1~30 「……そ、そうですか」
31~60 「……証明、できますか?」
61~98 扉の向こうから、何か音が聞こえた気がした
一拍の間を置いて。
扉の向こうから、何か物を落としたような音が聞こえたような気がした。
「……あっ」
少しだけ冷静になって由暉子を見れば。
珍しいことに、彼女の目線が彼方此方へ泳いでいる。
その反応は――照れている、と思っていいのだろうか。
「ユキ、その……ゴメン」
「い、いえ……私こそ……」
お互い目を合わせられなくて、変な気分になっている。
夏にはまだ早いのに、二人の頰は熱で真っ赤に染まっていった。
扉の向こうにいたのは―― 直下
1~25 成香ちゃん
26~50 チカちゃん
51~75 揺杏ちゃん
76~100 爽ちゃん
ゾロ目 みんな
「俺は、いつだってユキは可愛いと思ってる!」
廊下まで響く弟分の声に、爽は思わず鞄を取り落とした。
何ともまぁ――ヘタレのクセに、大胆な宣言である。
爽はこっそりと、ドアの隙間から部室の中を覗き見た。
「……わぉ」
そこには、初々しい男女が二人。
見ているこっちが恥ずかしくなる具合である。
「そっかー……やっぱりかー……」
由暉子は未だ自分の気持ちに気付かず。
京太郎は巨乳好きのクセに変なところで鈍感な上にヘタレ。
前々からイイ雰囲気になることはあっても、くっ付くのはまだまだ先だと思っていたが――
爽判定直下ー
1~40 「こりゃ、赤飯炊く日も近いかな」
41~98 何故か、胸の奥に痛みを感じた
ゾロ目 ???
ぎゅっと、爽は自身の胸を掴んだ。
ワイシャツに爪が食い込む痛みよりも、彼女を苦しくさせる胸の鼓動。
いくら抑え込もうとしても、止まらない。
「あれ?」
京太郎は弟分。
小さい頃から色々連んでバカやって、そんな対象じゃなかった筈で。
「おっかしーなー……」
目の奥が辛い。
鼻の奥が痛い。
息が、勝手に荒くなる。
「何だ、コレ」
そんな相手じゃないだろ、京太郎は。
小さい頃から隣にいて。
小学校とか中学校とかでも、よく一緒に遊んで。
「そうだよ」
アイツは、昔から。
昔から、ずっと、一緒にやってきたから――
ユキの居場所なんて、なかった筈だろ?
終焉のカウントダウン発動します
何かありますか(パチパチ
というわけで今夜はここまでで
まぁまだユキとくっ付いたワケじゃないので……うん
こっからの選択次第で色々とアレですが
それでは、お付き合いありがとうございました!
京太郎「揺杏ってなんでこんないい匂いすんだろ」
揺杏「そりゃ香水とかシャンプーとか」
京太郎「いやコレは揺杏の匂いだ。間違いない」
揺杏「ヘンタイかよ。流石にドン引き」
京太郎「でも?」
揺杏「大好き」
京太郎「いえーい」
揺杏「いえい」
成香「いいなぁ」
誓子「正気?」
有珠山やるのよー
まだ間に合うのよー
「わたしはライオンなんだって」
「ライオンー?」
「ししはらのししはライオンのしし!」
「?」
「がぶっ」
「くすぐったいー」
「がぶがぶっ」
「やめてよー」
懐かしい、夢を見た――
「がぶっ」
「……なにやってんの」
――かと、思えば。
首筋にかぷりと噛み付く我らが大将獅子原爽。
妙に寝苦しかったのはコレが原因か。
「私はライオンさんだからな」
「意味わからんし……というか懐かしいな」
幼稚園児なら兎も角、花の女子高生のすることではない。
京太郎の呆れた目線に、爽は得意気に笑うだけだった。
部室で昼寝をする方が悪い、とありがたい先輩の言葉。
釈然としない思いを抱えたまま、京太郎はゆっくりと立ち上がって肩を鳴らした。
キャラ安価下3ー
「須賀くん」
「ん?」
「その……こんな物を、貰ったのですが」
由暉子が鞄から取り出したのはアイドルグループのライブチケット。
この前由暉子と買い出しをした時に見かけたものと同じグループらしい。
「私一人で行くのもと思って。良かったら一緒に行きませんか?」
「お、いいね。行く行く」
「では決まりですね。集合場所は――」
「へいへい、ちょい待ち」
二人の会話に割り込んできた爽が掲げて見せた携帯電話。
そこに映る画面には――とある喫茶店の、特別クーポン。
「なんかあるのか?」
「うん。その日は男女カップルでここに行くと特別メニューが食えるらしいんだよね」
「カップル……では、ないですよね。二人とも」
「細かいことはいいからいいから……つーわけでさ、私も京太郎に頼みたいんだけど」
「えっと……」
ライブの会場と喫茶店の場所は大分離れている。
また、ライブ開始時間を考えれば二つを両立させるのは難しい。
つまり、京太郎はどちらかを選ばなければならないのだが――
京太郎選択肢 下3までの多数決
1.由暉子とライブ
2.爽と喫茶店
目の前に並ぶ選択肢は、由暉子の持つチケットと爽の携帯の画面に映るクーポン。
「先輩は……他に適当な人とでも行ったらどうですか?」
「ユキも別に京太郎とじゃなくても大丈夫だろ?」
彼女たちも、お互いに引く気はないらしい。
じっと睨み合う二人を見比べて、二つのイベントを天秤にかけた京太郎は――
「爽」
「おっ」
「悪い。今回はユキとライブに行くわ」
「……そっかぁ」
先に誘ってきたのは由暉子だし、アイドルのライブはこの機会を見逃したらもう行けないかもしれない。
そう考えて、京太郎は由暉子とのイベントを優先した。
「つーわけで、よろしくなユキ」
「はい……じゃあ、集合場所や時間は改めて連絡しますね」
「おう」
「……」
判定直下
1~50 「……仕方ない、かぁ」
51~00 「……チッ」
楽しそうな二人に背を向けて、爽は背後の机に置きっ放しの雑誌を手に取った。
プロや学生を問わず、様々な女子雀士の写真が掲載された雑誌。
爽は何気なくページをめくり、気を紛らわすことにした。
「……仕方ないかぁ」
無意識に指を止めたページ。
そこに掲載されている女性は、以前に京太郎が「少しユキに似ている」と零した人。
「……ふーん?」
確かに、改めてよく見ると少しだけ似ている。
若さや可愛らしいさはユキの方に幾分かのアドバンテージがあるが――
「ま、いいか」
爽は静かに呟くと、そのページを破りとってポケットの中にしまう。
会話に夢中な京太郎と由暉子は、彼女の行動には気が付かなかった。
「よっし。じゃあみんなが来るまでサンマでもするかー」
振り向いた爽は、笑顔だった。
まだだ
キャラ安価下3ー
「なんかさー、最近ヘンじゃない?」
「は?」
「ヨソヨソしいってか、何か私に隠してる?」
揺杏が唇に指を当てながら聞いてくる。
その仕草に、つい指先を追ってしまい――先日のイタズラを思い出してしまう。
「べ、別に?」
「うわ、超嘘っぽい反応。やっぱ何か隠してるっしょ」
流石に爽や誓子と一緒に長年連んできた相手。
半端な嘘はすぐに見破られてしまうが、正直に話したところでドン引きされるのがオチだ。
誤魔化すか黙り抜く以外の選択はないのである。
「あー、そういや自動卓の具合悪いんだった」
「ふーん?」
「えーっと、今日はちゃんと動くかなー」
「……」
「それなら、こっちにも考えがあるんだよねー」
自動卓を前に悩むフリをする京太郎――の、ぴったり背後に立つ揺杏。
京太郎が気が付いた時には既に遅い。
振り向く前に、揺杏の指が京太郎の脇の下に潜り込んできた。
「そーれコショコショー」
「あひっ!? ひ、ゆ、揺杏、やめっ!?」
「京太郎ここ弱いもんねー。話す気になった?」
「ひゃ、あはっ、ちょ、待――」
的確に京太郎の弱点を擽る揺杏の指遣い。
手先の器用な彼女のテクニックは、京太郎の抵抗など全くの無意味であり――
ゆあーん判定直下
1~50 ラブコメ的ハプニング
51~00 かーらーのー
「うりうり」
「あひゃっ、や、やめっ」
あまりの京太郎の反応の良さに、最早目的を忘れつつある揺杏。
対する京太郎も、悶えることしかできない状態。
だが。
「あっ!」
もし、ここでバランスを崩した京太郎が揺杏の方向に倒れ込んだとしたら――
一瞬の衝撃と軽い痛みに、揺杏は思わず目を閉じて。
自分に何が起きたのかを理解して、腰を摩りながら目を開ければ――
「……あっ」
すぐそこ、鼻先スレスレに目を閉じた京太郎の顔。
客観的にこの場を見れば――まるで、京太郎が揺杏を押し倒しているかのような体勢。
揺杏を止めようと振り向こうとした時に、躓いてしまった結果。
「……ててっ」
そして、彼の手が触れている場所。
そこは正しく、自分の胸であり。
「あ、や、やぁ――!」
「え?……あっ」
京太郎も遅れて状況に気が付くが、最早全てが手遅れ。
手の平が揉んでしまった感触は、どうやっても誤魔化せない。
「……ごめん」
直後。
廊下どころか、階下にまで轟いた甲高い声。
他に部員がいなくて良かった――と、後に二人は心底安心した表情で振り返った。
揺杏ゆあゆあー
キャラ安価下3ー
日曜日。
聖書にも安息日と記されている日。
京太郎と由暉子は約束通り、ライブ会場に来たものの――
「すっげー熱気……」
「一歩間違えると殺意ですね……」
周りの観客たちのオーラに圧倒されるばかり。
勿論サイリウムを全員装備。
売店でノリに任せてサイリウムを買っていなかったら、京太郎と由暉子は浮いていたに違いない。
「あ、来ましたよ」
「よっしゃ」
音楽が鳴り響いて、本日の目玉のアイドルたちが入場する。
つい先日にその名前と顔を知ったばかりの彼女たちだが――それでも、周りの雰囲気に巻き込まれて期待に胸が膨らむ。
直下判定ー
1~50 ラブコメ的ハプニングー
51~00 かーらーのー
ライブが進むにつれて、段々と高まっていく会場全体のボルテージ。
熱心なファンというわけではないが――気が付けば、京太郎も由暉子も立ち上がって夢中でサイリウムを振っていた。
期待は熱意に変わり、熱意は充実感に変わる。
会場は一丸となって、ステージの上のアイドルたちに夢中になり――
「っ!?」
特に、熱心なファン。
それが由暉子の左隣にいたのは、ある意味で運が悪かった。
身長の低い彼女は、興奮した彼の目には入らず。
彼の手振りに押されて、弾かれるように躓いた。
「だ、大丈夫か?」
「は、はい……」
もし左隣に京太郎がいなければ、由暉子は盛大に転んでしまっただろう。
京太郎の腕の中で、由暉子は息を荒げながら頷いた。
「とっ……」
ふらり、と由暉子が姿勢を崩す。
驚いて腰が抜けてしまったのか、彼女は京太郎の腕の中から立ち上がることができず。
その小さな両手で、京太郎のシャツをきゅっと掴んだ。
「……」
「……」
紅潮した頰。
乱れた吐息。
顔を滴る汗。
それを、お互い近くに感じる。
『――ッ!!』
曲がサビに入り、ライブがクライマックスに近付く。
客席の熱気も最高潮に達する。
しかし――京太郎と由暉子は、まるで二人だけ客席から切り離されたような気がして。
「――」
由暉子が、唇を動かす。
周りに掻き消されて、その言葉は聞き取れなかったけれど。
たった二文字の口の動きに、京太郎の鼓動はさらに速くなった。
次のキャラ安価で由暉子を選んだ場合……
キャラ安価下3ー
「ユキ、話ってなんだ?」
突然のユキからの呼び出し。
それも、屋上という少し面倒な場所。
あまり生徒がより付かない場所だから、何か内緒の話をしたいのだろうか。
「……須賀くん」
「ん?」
ぎゅっと、由暉子が拳を握る。
それから、深呼吸を数回。
何度も胸を上下に動かしてから、彼女は京太郎の瞳を真っ直ぐに見つめて――
「わたしは、あなたが好きです」
「私と……」
「私と、付き合って下さい」
期待か、それとも不安か。
由暉子の瞳は揺れて、それでも京太郎を見つめている。
「俺は――」
告白への、京太郎の返事は――
京太郎選択肢 下5までの多数決
1.「……俺も、ユキが好きだ」
2.「……少し、考えさせてくれ」
「……少し、考えさせてくれ」
鼓動を暴れさせて――それでも、京太郎は少し冷静になって返事をした。
彼女の為にも、自分の為にも。
勢いに任せたまま頷くことは、できない。
「……わかりました」
「ごめん」
「いえ……そういうところも、好きですから」
告白を保留にされたにも関わらず、由暉子は小さく微笑んだ。
ちくりと、胸の奥が痛んだ。
「ですが……私を好きになってもらう努力は、しますから」
「……努力?」
「はい……これからは、もっともっと、アプローチしていきますので」
「よろしく、お願いしますね?」
というわけで今回はここまででー
最初からユキだけを選び続けたら多分この時点でハッピーエンド
ちなみに全員の状態は
成香【好き。彼のためにお弁当とか作っちゃう】
誓子【成香の恋を応援中】
揺杏【べ、別にただの幼馴染みだし? 京太郎とか好きじゃねーし? ドキドキなんかしてないし?】
由暉子【好き好き大好き大大大好き】
爽【がおー】
みたいな感じです
有珠山編はこのまま続けます
有珠山終わったら臨海やります
終わらなくても24日は多分番外編やります
どうでもいいけど誕生日になりました
それでは、お付き合いありがとうございました!
揺杏「京太郎さんや」
京太郎「なんだい揺杏さんや」
揺杏「そんなに私の髪いじって楽しいかね」
京太郎「んー……邪魔か?」
揺杏「まぁ、今ちょっと作業中だからうん」
京太郎「わかった。悪かったな」
揺杏「……」
京太郎「……」
揺杏「京太郎さんや」
京太郎「なんだい揺杏さんや」
揺杏「ちょいと寂しいから構え。具体的にはポニテの辺り」
京太郎「はいよ」
揺杏「京太郎」
京太郎「揺杏」
揺杏「あいらぶゆー」
京太郎「みーとぅー」
揺杏「いえーい」
京太郎「いえい」
――私と、付き合ってください。
「……」
日を跨いでも、由暉子の告白が耳を離れない。
何をするにしても、常に彼女の顔が頭の片隅をチラつく。
上の空な状態が、ずっと続いている。
「須賀くん……? 美味しく、ありませんでしたか?」
そして、今も。
成香に作ってもらったお弁当を食べている最中なのに、箸が止まっていた。
「あ、すいません。ちょっと考え事してて……弁当は、凄く美味いっつーか俺好みです」
「なら、良かったです」
不安げに顔を覗き込む成香に、何でもないと笑っておかずを口に運ぶ。
見事に京太郎の好きな物が揃っており、それでいてバランスが取れている。
弁当としては、理想的な内容だった。
「頑張りましたから」
成香が胸の前で手を合わせて微笑む。
両指の絆創膏は彼女の努力の証。
せっかく頑張って作ってくれたのだから、その笑顔を曇らせるわけにはいかない。
京太郎は、今だけは由暉子の告白を忘れることにした。
「ユキってよそもんだよなぁ」
「……どうしたの急に」
「何となく」
「……」
ちょっとずつ。
軋みをあげて、歪んでいく。
と言うわけで有珠山編やるのよー
キャラ安価下3ー
「京太郎くんって、呼んでもいいですか?」
「えっ」
「……なんで先輩が反応するんですか」
唐突な由暉子の言葉に、成香が声をあげる。
由暉子は呆れたような目線を成香に送った後に、京太郎に向き直った。
「いいけど。ユキの好きに呼んでくれ」
「ふふ……じゃあ、ダーリンで」
「えっ」
由暉子が悪戯っぽく微笑む。
彼女とは中学からの付き合いだが、こんな表情は初めて見る。
また新しく知った彼女の可愛らしさに、胸が高鳴るのを感じた。
「……まだ、早いかなそれは」
「まだ、ですか?」
「あー……うん、とりあえず今は京太郎くんで頼む」
照れ臭くなって、ポリポリと頰をかきながら目を逸らす。
部活の最中だというのに、目の前の対局に集中できそうにない。
判定直下
1~25 「そうだよね……可愛いもん、ユキちゃん」
26~50 「ユキが……そっか」
51~75 「……何だろ。この変な感じ」
76~00 「がりっ」
ゾロ目 ???
後輩のいつになくアグレッシブな迫り方。
由暉子が京太郎に抱く好意は何となく感じていたが――
「……何だろ。この変な感じ」
面白くない。
アプローチをかける由暉子にも、それに鼻の下を伸ばす京太郎にも。
まるで、大事なものを奪われたような気がして。
「……別に。どうでもいいし」
揺杏は、自らの胸の中に感じた空白から目を逸らした。
今はまだ、その正体を知ろうとは思わなかった。
がりがり
キャラ安価下3ー
「ユキと、何かあったでしょう」
「……わかる?」
「あからさま過ぎるもの」
二人の様子が、明らかに変わった。
よほど鈍くなければ、何かあったということは直ぐにわかる。
京太郎と付き合いの長い誓子なら、尚更だ。
「付き合い始めたの?」
「いや、そうじゃないけど」
「そう、なら……」
チカちゃん判定直下
1~30 「なるかにも頑張ってもらわないと……」
31~60 「あまり部活でイチャつくのはやめてちょうだいね?」
61~98 「……良かった」
ゾロ目 ???
「あまり部活でイチャつくのはやめてちょうだいね?」
「イチャつくって」
どことなく棘のある誓子の言葉に、京太郎は眉根を寄せた。
確かに大会の日は近付いている。
そして、由暉子との関係も今までのようにはいられないだろうが――今は、まだ部活に支障が出るほどではない筈だ。
「そんなにか、俺たち」
「そんなに、よ」
「マジかぁ」
「あんまり酷かったら――出て行ってもらうからね?」
どちらに、とは。
最後まで、誓子は口にしなかった。
キャラ安価下3ー
由暉子はわりと京太郎の好みに近い。
巨乳だし可愛い顔してるし、コスプレだってノリノリで出来る。
「……むむ」
対して、自分はどうだ。
胸――は、デカイ方じゃない。
顔立ち――は、それなりに自信があるがちょっとツリ目っぽくて京太郎のタイプからは外れてる。
コスプレはまぁ、嫌いじゃないけど。アイツが好きな格好が似合うかは別だ。
「……って何でユキと比べてんだ私」
今はそんなことよりも、大会に向けてユキ用の衣装を用意してやらなければ。
ただでさえ時間が迫ってきてるんだから――
判定直下
1~50 「うん。これならみんなユキの可愛さにイチコロだな」
51~00 「痛っ……?」
ゾロ目 ???
「うん。これならみんなユキの可愛さにイチコロだな!」
「おぉ……」
渾身の出来の改造制服。
由暉子の可愛らしさを強調しつつ、セクシーさを追い求めた出来。
スカートにスリットが入っており、視線を釘付けにすること間違いなし。
「京太郎くんも、イチコロでしょうか」
「……」
「先輩?」
「あ、うん。アイツも結構ムッツリなとこあるから。イケるかもね」
試しに由暉子に着せてみたが、揺杏の見立て通りよく似合っている。
由暉子はスカートの端を摘んで、くるりと回り――
「痛っ……?」
「ん? なんかあった?」
「いえ、コレは……針?」
「え」
顔を顰めた由暉子がポケットから取り出したのは、一本の針。
どうやら作業中に使っていたものが、入り込んでそのままになっていたらしい。
「ご、ごめん! 大丈夫!?」
「はい。ちょっとチクリときましたけど」
肌を刺す小さな痛み。
幸いにも大事には至らなかったが、本番でやらかしたら洒落にならない。
揺杏は、全国に向けて更に気を引き締めた。
「……」
ほんの一瞬だけ、揺杏の胸の空白を満たした感情の正体。
きっとそれは、気付いてはいけないものだ。
ヤバそうでヤバくない少しヤバい有珠山
キャラ安価下3ー
「京太郎くんは、先輩たちとはいつから知り合ったんですか?」
「ん……急にどうした?」
「少し、気になったので」
「……大分昔からだな。多分幼稚園の頃あたりから」
――おまえ、ひとりか?
――カピバラさん?
――こっちでいっしょにあそぼーぜ!
目を閉じると、今でも思い出せるあの時の記憶。
一人ぼっちだった自分に、声をかけてくれた爽たち。
「……懐かしいなぁ」
過去を振り向くように、遠い目をする京太郎。
その口元は緩んでいて、隣に立つ由暉子は目に入っていない。
「……」
由暉子には無い、京太郎との過去を持つ先輩たち。
目を閉じた由暉子が胸に抱く感情は――
ユキ判定直下
1~50 羨ましい、と思った
51~00 妬ましい、と思った
――妬ましい、と思った。
「……」
由暉子は彼のことが好きだ。
自分の容姿に自信が持てなかった時から声をかけてくれた彼が。
たとえ下心があったとしても、嫌な顔一つせず頼み事を手伝ってくれた彼が。
「ユキ?」
「……先輩と京太郎くんは、本当に仲が良いんですね」
「腐れ縁ってヤツだよ」
彼の記憶と心の中。
その特別な場所に、彼女たちはいる。
そこは、由暉子ではどうやっても手が届かない場所だ。
「……」
彼を。
彼に、もっと自分を見てもらうには。
「ユキ、この後学食行かないか?」
「デートですね」
「違うって」
京太郎と談笑しながら。
由暉子の思考は、より深くなっていく。
そろそろ?
キャラ安価下3ー
「たーべちゃーうぞー」
部室に顔を出すと。
そこにはとても怖いライオンさん――ではなく、爽がぐわっと大口を開けて立っていた。
「……」
一瞬の沈黙の後――京太郎はその横を通り抜けて、自動卓に向かってコンセントを入れた。
最近少し調子が悪かったのだが、今日は上手く電源が点いた。
「無視は悲しいな。お腹すかせてるのに」
「下手に餌をやると危険だし」
「ふーん?」
爽判定直下
1~50 「がぶっ」
51~00 「じゃあちょっくら狩りにでも」
ゾロ目 ???
「がぶっ」
爽をスルーして自動卓の調整をしようとしたら。
なんと彼女が、腕に噛み付いてきたではないか。
流石の京太郎も、これには固まらざるを得ない。
「……なにやってんの」
「がぶがぶっ」
「いや、がぶじゃねーよ」
地味に犬歯が食い込んで痛い。
血は出ていないが、歯型は出来ているのではないだろうか。
「私はお腹空かせたライオンさんだからな」
「……俺の鞄にあんパン入ってるから」
「では有り難くいただこう」
飢えたライオンはあっさりと口を離して背後の鞄を漁りにいった。
京太郎の予想通り、爽が噛み付いてきたところにはくっきりと歯型が残っている。
唾液はハンカチで拭くとして――この歯型は、どうしたものか。
「~♪」
悩む京太郎とは対照的に。
鼻唄を口遊む爽は、嬉しそうに自分の唇を舐めとった。
生き残りたいー生き残りたいー
キャラ安価下3ー
「あ、あのっ」
「はい?」
成香が自分の胸に手を当てて、上目遣いに京太郎を見上げる。
その仕草というか、雰囲気のせいか。
身長は由暉子の方が低いのだが、成香の方がより小さいように感じられた。
「き、京太郎くんはユキちゃんのことが好きなんですかっ!?」
「え」
「こ、答えて、ください」
京太郎と由暉子の間に何かがあった、ということは既に先輩たちの間に知れ渡っている。
尋常でない雰囲気の成香にどう答えたものか。
京太郎が逡巡しているうちに、成香は――
なるか判定直下
1~50 「あ……ご、ごめんなさい。変なこと言っちゃって……」
51~00 「も、もし……」
「あ……ご、ごめんなさい……変なこと言っちゃって……」
京太郎が黙っているのを、困らせてしまったと思ったのか。
成香は伏し目がちに京太郎に謝り、小さく頭を下げた。
「あ、いえ……」
誓子も、そうだった。
揺杏や爽も気にかけているようだった。
やはり、部のみんなの為にも早く由暉子に答えを出した方がいいのだろう。
「……」
きゅっと、物陰で手を握った彼女には。
京太郎も成香も、気が付かなかった。
次にキャラ安価で成香を選んだ場合……
キャラ安価下3ー
「……ん?」
ガタンゴトンと揺れる電車の中で、揺杏は目を覚ました。
やけに寝心地が良いかと思えば――自分が枕代わりに頭を預けていたのは、隣に座る彼の肩。
衣装作りに必要なものの買い出しに京太郎を付き合わせて遠出したはいいものの、二人して電車の中でうたた寝してしまったらしい。
「って」
何だそりゃ、と揺杏は自分の思考にツッコミを入れる。
それではまるで、自分が京太郎に安心を求めているようではないか。
こんな、付き合いだけが長いヤツに――
「……うん」
――イケメンだ。
こうして寝顔をまじまじと近くで見つめてみると、結構精悍な顔立ちである。
中学までは同じくらいの背丈だったクセに。
「……」
京太郎も眠っているのをいいことに、揺杏はもう一度目を閉じて彼の肩に頭を預けた。
想像してみるのは、少しだけ未来の自分たち。
揺杏が瞼の裏に思い描く、それは――
判定直下
1~50 胸の内の空白を、満たした
51~00 胸の内を、酷く掻き乱した
――胸の内を、酷く掻き乱した。
「あー……」
こうして味わう、彼の温もり。
それを独占するのは、揺杏じゃない。
きっとこのままだと――この居場所は、由暉子のものだ。
「ヤッだなぁ……」
手離したくない。
渡したくない。
ユキにも、成香にも。
「……」
だったら、もう。
彼女のやることは、決まっている。
揺杏は、すぐ側にある京太郎の寝顔を見上げた。
というわけで今夜の有珠山はここまででー
次に成香と揺杏をキャラ安価で選択するとアレです
忘れられがちですがキャラ安価の時に複数選択もアリです
誓子は今のところ唯一蚊帳の外というか一歩退いてます
爽はぐるるるって感じです
それでは、お付き合いありがとうございました!
一つのベッドに裸で2人。
夢のような時間だったが、シーツの染みや背中の引っ掻き傷の痛みは現実のもの。
触れ合う肌から感じる体温は至福そのもの。
身を寄せて眠る彼女――ネリーを見下ろして、京太郎はポツリと呟いた。
京太郎「……俺、ロリコンだったのか……」
グラマーで家庭的な女性、それが京太郎の理想――だった筈だ。
家庭的かどうかは不明だが、体型で言えば京太郎の好みに合致する女性は3人ほど知っている。
そのうち1人は夜のお供として想像してしまったこともある。
ネリー「んっ……」
だが、こうして現実の中で初めての時間を共に過ごしたのは彼女。
誰よりも愛して、誰よりも求めた女性。
それは、京太郎の理想の女性像には掠りもしなかった筈の、ネリーだった。
ネリー「キョウタロ……」
京太郎「ネリー……」
ネリーが夢の中で自分の名を呼んで、身動ぎする。
それだけでさっきまでの小難しい考えは全て吹き飛んで、幸福感が胸の中を満たした。
ネリー「えへぇ……」
京太郎「……幸せそうに笑いやがって、たく」
とにかく。
須賀京太郎は、ネリー・ヴィルサラーゼに完膚なきまでにべた惚れであった。
【ネリーに首ったけ】
智葉「京太郎、大会に向けて調整をするからそこから退いてくれ」
近付いてくる全国大会。
前回は惜しくも優勝を逃したが、今年は必ずリベンジする。
智葉の意気込みは強く、未だネリーを膝に乗せたままの京太郎にそう告げたのだのだが。
京太郎「あ、それムリっす」
ネリー「ね」
智葉「……なに?」
まさかの、後輩が言うことを効かない。
ネリーは兎も角、京太郎が反発するのは珍しい。
困惑する智葉は理由を問うべく、口を開き――
京太郎「俺、ネリコンなんで」
ネリー「ネリーはキョーコン!」
智葉「……あん?」
――さらに、困惑することになった。
実に頭の悪そうな理由というか名前。
これには流石の智葉も、苛立ちが募る。
メグ「まぁ、いいんじゃないデスか?」
智葉「……なに?」
ハオ「近くで見ることは京太郎の勉強になるでしょうし」
明華「一石二鳥ですね」
なんだ、自分がおかしいのか。
同意を求めて視線を送った監督は――無言で肩をすくめるばかり。
京太郎「監督が言ったんですよ。気高く餓えろって」
ネリー「キョウタローもネリーも欲張りだから!」
京太郎「こうすれば麻雀の勉強もしつつネリーと触れ合える、みんな幸せなんですよ」
少なくとも気高くはない。
だがそれを指摘するのはこの場には智葉しかいない。
結局、自分を抜きにして目の前で始まった対局に――智葉は、深く溜息を吐いた。
【ネリコン】
ネリー「キョウタロ、カベドンってなに? お金の単位?」
京太郎「あー……とりあえずそれは違う」
何でもかんでもすぐに金に結び付けるネリーに京太郎は苦笑して、ゆっくりと立ち上がった。
首を傾げるネリーにその意味を実践すべく、静かに歩み寄る。
京太郎「いいか、壁ドンってのは――」
ネリー「キョウタロー……?」
京太郎「――こういう、ことだ」
壁際に追い詰め、腕と壁でネリーを囲う。
こうなったら女性側に逃げ場はなく、後は男性側の攻めのターン――である、が。
ネリー「……?」
今一ネリーはその意味を理解していないようだ。
キメ顏を作った京太郎としては非常に小っ恥ずかしい。
というか客観的に見ればこの状況、酷く犯罪的だ。
京太郎とネリー、その身長差――約42cm。
京太郎「ん、コホン……なんつーか、こうやって強引に迫られることにトキメキを感じる人もいるんだと」
ネリー「ふーん?……変なの」
そんなことしなくても、ネリーはいつだってキョウタローにドキドキしてるのに。
そんな心の声が聞こえたのかは定かではないが、京太郎は照れ臭そうに咳払いをした。
【エスカレートでストレート】
京太郎「その1。須賀ネリー」
ネリー「その2。キョウタロー・ヴィルサラーゼ」
京太郎「その3。ネリー・須賀・ヴィルサラーゼ」
京太郎「結婚したら名字ってどうなるんだろーな」
ネリー「ネリーはその3がいいなー」
京太郎「なんで?」
ネリー「だって、その方がネリーもキョウタローも一緒って感じがするから!」
京太郎「ネリー」
ネリー「なにー?」
京太郎「今から市役所行こう。もしくはホテル」
ネリー「いいよっ」
智葉「おいコラ15才」
ネリー「もう15才じゃないもん」
智葉「そういう問題じゃないっ」
メグ「サトハも飽きまセンネぇ」
ハオ「あ、このお茶美味しい」
明華「愛人の名字は……」
智葉「こら、そこも!」
【最終的に須賀・V・C・H・D・T・W・京太郎】
ちょっとだけ有珠山再開
「ユキってよそもんだよなぁ」
「またそれ?」
「ふふん」
「……」
「……ま、確かにそうだけど」
「ユキって京太郎と付き合ってんの?」
「いえ、まだですが」
「まだ?……ふーん、そっか」
「……なんですか」
「いや、別に?」
「言いたいことがあるなら」
「だから、別になんでもないって」
キャラ安価下3ー
「……?」
みんなの様子が変だ、と誓子は感じていた。
上手く違和感を口にできないが、何かが少しずつズレているような。
特に、由暉子が京太郎への好意を全面に出し始めてから変わったような――
「考え事か?」
「まぁ、ちょっとね」
誓子は曖昧に笑ってその視線を誤魔化す。
今浮かんだ考えをそのまま口にすれば、余計な争いを招きかねない。
そして恐らく、この問題は考えても答えは出ないような気がする。
もっと――感覚的な部分でなければ、理解できないような。
「……はぁ」
誓子は小さく溜息をつく。
大会が近いというのに、これではまるで集中できない。
京太郎選択肢 下3
1.「悩み事なら相談のるけど」
2.ちょっとイタズラしてみる
3.その他
「悩み事なら相談のるけど」
ある意味で、その悩みの種が声をかけてきた。
その気遣いは嬉しいけれど、内容が内容なだけに彼にはまだ話せない。
「ありがと――でも、コレはちょっとダメなのよ」
「そうなのか?」
「それとも聞きたい?――女の子のアレな話」
「うっ……遠慮しときます」
あっさり誤魔化されて引き下がる京太郎に、誓子はくすりと笑う。
未だ、その違和感の正体は掴めないまま。
ズレの正体に首を傾げながら――今日も、部活が始まった。
地雷的には2を選ぶとアレでした
キャラ安価下3ー
「揺杏先輩は……」
「ん? どしたの」
「……」
「なんだよ、歯切れ悪いな」
後輩が何を言おうとしているのか。
由暉子の長い髪に櫛を通しながら揺杏が問いかけるも、由暉子は黙ったまま。
お互いに話題がないままに時間が過ぎて、彼女たちが再び声を出したのは部室に彼が訪れてからだった。
「ちーっす。何してんの?」
「おっす。ちょっとユキの髪がアレだったからブラッシングー」
「今朝は時間が無くて……」
京太郎が来た時点でちょうど髪の手入れが完了したらしく、揺杏は満足気に頷くと櫛をしまった。
それからパンパン、と両手を叩くと彼女は京太郎に振り向いて――
ゆあん直下ー
1~30 「京太郎この後時間ある? てか付き合え」
31~60 「ね、京太郎とユキって付き合ってんの?」
61~98 「ちょっとあげたいものあるからこっち来てー」
ゾロ目 ???
一歩一歩、大股で京太郎へと歩み寄る。
あと一歩を踏み出せば互いが密着する距離まで近付くと、揺杏は京太郎の顔を見上げた。
「京太郎」
「な、なんだよ?」
思わず身を引きかけた京太郎の頰を二つの手のひらで挟み込んで固定。
揺杏が何をする気なのか。
まさか、と察しのついた由暉子は腰を浮かすが――
「好き。超好き」
由暉子の、そしてたった今訪れた部員のみんなの前で。
揺杏は、京太郎の顔を引き寄せるように踵を浮かせて。
「私と、付き合って」
その唇を、重ねた。
ユキ判定直下 41以上なら……
なるか判定下2 41以上なら……
誓子判定下3 71以上なら……
爽判定下4
重ねられた唇の意味。
それを京太郎が理解した頃には――もう、遅い。
「ユキの気持ちは知ってたけど。負けたくないから」
離した口から、透明な橋がかかる。
揺杏が唇を舐める。その仕草から、京太郎は目が離せなかった。
「ゆ、あん……?」
「今、言った通りだから。私は京太郎が好き」
揺杏の瞳が、潤んでいる。
長い間、一緒だった筈なのに。
彼女が泣いた顔も、見たことがあるのに。
笑った顔なんて、それこそ数え切れないくらい見たのに。
「おっぱいも可愛さも、ユキに負けてるけど――でも、好きなんだよね」
今の揺杏の微笑みは、記憶の全てと違っていて。
爪先から頭のてっぺんに至るまで――何もかもが、魅力的に見えた。
というわけで短いですが今夜の有珠山はここまででー
他の部員の反応、回想は次回更新時に
そろそろ京太郎の行動が増えます
ちょっとヤバい子がいるかもしれませんが信じていれば大丈夫
それでは、お付き合いありがとうございました!
揺杏「ペタペタ」
京太郎「むん?」
揺杏「肌キレーだなって」
京太郎「俺は揺杏のがキレイだと思う。触っていい?」
揺杏「オッケー」
京太郎「ペタペタ」
揺杏「おーくすぐってぇ」
京太郎「ヤバい。めっちゃクセになるコレ」
揺杏「まじかー」
京太郎「揺杏中毒だわー」
揺杏「ちなみに私は京太郎中毒」
京太郎「知ってる」
揺杏「ダブル中毒だねー」
京太郎「いえーい」
揺杏「いえい」
揺杏の告白。
当然、部の雰囲気は練習どころじゃなくなって、そのまま解散という流れになった。
帰宅した由暉子は、洗面台へと向かい――
「うぅ……」
腹の奥底から込み上げてくるものを、抑えきれない。
だって、目の前で。
彼が――京太郎が、揺杏に。
「……」
京太郎の、あの瞳。
アレは今までは、自分に向けられていたものなのに。
「せんぱい」
後から、気が付いたクセに。
今までは、微笑ましく見守っていたクセに。
どうして、いまさら。
「せん、ぱい」
鏡に映る自分の顔。
由暉子は初めて、他人への憎しみを自覚した。
「ごめん」
成香と並んで歩く帰り道。
ショックを受けている成香にどう声をかけたものか誓子が悩んでいると、彼女の方から先に口を開いた。
謝罪の言葉と、一緒に。
「なるか?」
「無駄になっちゃった。チカちゃんに頑張って貰ったのに」
「そんな、まだ――」
「ううん」
「ダメだよ。もう」
無意識に右手の甲を摩りながら。
全てを諦めた表情で、成香は空を見上げた。
「ユキちゃんは可愛いし、揺杏ちゃんは格好いいから」
「……」
「勝てるわけないもん。私には、何もないから」
「あの二人には――私が勝てるものなんて、何もないから」
がりがりがり。
やけに、煩い音がする。
「あっ」
それが自分の歯軋りの音だということに気が付いて、爽は一人で笑った。
――私と、付き合ってください。
――私と、付き合って。
「あー……」
ユキに惹かれていた筈なのに。
揺杏の告白に、酷く心が揺れている。
彼女たちが、どちらも魅力的過ぎて。
「俺は」
好きか嫌いかで言えば、二人とも好きだ。
どちらが上かなんて、直ぐには決められない。
ユキは可愛い。顔も、心も。放って置けない。
揺杏はちょっと前まで有り得ないと思っていた筈なのに――今は、心から離れない。
「麻雀で決められたら、楽なんだけどなぁ……つって」
そんなものの結果で納得できるなら、誰もここまで悩まない。
ベッドに横たわり、天井を見上げながら、京太郎は自嘲の笑みを浮かべた。
現状揺杏6ユキ4くらい
ちなみに揺杏と二人っきりの時にゾロ目なら即アイスティー……だったかも
キャラ安価下3でー
京太郎抜きって書くと女の子同士のやり取りが発生します
結論も出ないままに、時間は過ぎて。
いつもは退屈に感じる授業も直ぐに終わり、あっという間に放課後。
部室の前で少しだけ躊躇ってから、京太郎は戸を開いた。
「……」
部室にいたのは、成香と誓子の2人。
他の部員は、まだ来ていないようだ。
「あ」
「……!」
こちらに気が付いた成香と誓子が顔を上げる。
心なしか、成香は顔色が悪く――誓子からは、怒りを感じた。
成香判定直下
1~60 彼女は取り繕ったように、微笑んだ
61~98 ごめんなさい。そう言って、彼女は部屋から出て行った
ゾロ目 ???
誓子判定下2 ただし成香の判定で61以上の場合……
1~50 「……お疲れ、さま」
51~98 「ねぇ、ちょっと――」
ゾロ目 ???
ごめんなさい。
そう言って、成香は部屋から出て行った。
すれ違いざまの彼女の顔は、まるで泣いているような――
「待って」
追いかけようと伸ばしたした京太郎の手を、誓子が遮る。
そのまま部室の入口を塞ぐように、誓子は京太郎の前に立った。
「ごめん誓子、今は」
「行って、どうするの?」
「でも」
「どうして成香が出て行ったのかも、わかってないんでしょう?」
「……」
「見ていられないもの。自分のことも、わかっていないクセに」
誓子の言葉に、京太郎は何一つとして答えられず、俯いた。
感情のままに成香を追いかけて――それで、自分に何が出来る?
由暉子と揺杏のことにも、決着を着けていないのに。
そんな状態で――誰かの、助けになれるのか?
「まずは、あなたが自分の気持ちに整理をつけなきゃダメよ」
「……」
「難しいでしょうけど……私が、力になってあげる」
「え……」
京太郎が顔を上げると、誓子は柔らかく微笑んでいた。
さっきまでの棘のある言葉が、嘘のように。
「ユキや揺杏には話せないでしょ。当たり前だけど」
「……」
「で、爽はこういう話は論外だもの」
「確かにそうだけど……」
「だから、ね」
「ふふ……私が、京太郎の力になってあげる。少しずつでいいから、これまでのことを話してくれる?」
成香は、ひたすらに走る。
廊下を、階段を。
今は誰とも話したくない。誰にも顔を見せたくない。
そう願う彼女の足は、自然と屋上に向かった。
「あっ……は、はぁ……っ」
元より体力のある方ではない彼女は、足を止めた途端に非常な苦しさに襲われた。
心臓が暴れる。汗が滴り落ちる。
荒くなった呼吸と一緒に流れ出る涙が止まらない。
由暉子と揺杏の2人に勝てないとわかっていても、彼への想いは止められないのだから。
「あ……ちか、ちゃん?」
成香が、何気なく屋上から見下ろした先。
校門の近く、多くの下校する生徒に混じって、京太郎と誓子が並んで歩いていた。
「……どう、して?」
そこまでなら、いい。
疑問なのは、彼女と京太郎が一緒に帰っているということ。
京太郎と誓子の家は、反対の方向なのだから。
そんなに仲が良さそうに並んで歩くのは――おかしい、筈だ。
ねぇ、なるか?
あなたには悪いけど――ううん。
何も、悪くはないわね。
だって――あなたは、諦めたんでしょう?
なら、いいわよね。
見ていられないんだもの、京太郎。
だから、私が教えてあげなきゃいけないの。
文句は、言わないでしょ?
謝ったこと、今更取り消せると思うの?
だって。
勝てないって言ったのは、あなたなんだから。
由暉子 先輩と言えど許すまじ
揺杏 ヤダ。京太郎とっちゃヤダ
成香 チカちゃん、どうして
誓子 諦めるって言ったのはなるかでしょう?
爽 がちっがちっ
明日は早いのでここまででー
次回更新時が有珠山ラストになる可能性、普通にあります
それでは、お付き合いありがとうございました!
揺杏「そろそろ出番かー……よしっ」すくっ
京太郎「うしっ」すくっ
誓子「ん?」
由暉子「お早いご出立で」
揺杏「ちょっとトイレで気合い入れてくる」
成香「意味不明過ぎてこわいです」
爽「トイレは入れるところじゃなくて出すところ」
由暉子「そこまで!」
誓子「まぁ……それは兎も角」
揺杏「おーどしたよチカ先輩」
誓子「トイレに行くなら京太郎と手を繋いで行く意味は」
京太郎「……」
揺杏「……」
誓子「……」
揺杏「いえーい」
京太郎「いえい」
誓子「いや誤魔化せないから」
加速する風に乗って迎えるんだ
もうちょい後で有珠山やりますー
幼い頃に、母を亡くした。
父は、母を亡くした辛さを忘れる為に仕事に没頭した。
カピーだけが、友達だった。
「おまえ、ひとりか?」
ある一人の女の子――爽が、声をかけてくるまでは。
「ん……?」
ほんの数分ばかり、眠っていたらしい。
懐かしい夢を見たのは、さっきまで誓子と二人っきりで話をしていたせいか。
京太郎は、眠気を払う為に軽く頭を振り――
「おいすー」
「……なんでいんの」
目の前の爽の存在に、完全に眠気を吹き飛ばされた。
誓子が相談に乗ってくれると言うので、招かれるままに彼女の家に来た。
久しぶりに訪れた誓子の部屋は不思議と居心地が良く、ついうっかり転寝をしてしまったのだが。
「……爽? どうして」
「部活をサボった二人を見張りに? あ、鍵は開いてた。無用心だぞー」
トレーにティーポットとカップを載せて部屋に戻ってきた誓子。
その反応からして、誓子も爽が来ていることは知らなかったようだ。
自分が転寝を始めて、そして誓子がお茶を淹れる為に部屋を離れた数分。
この間に、爽は誰にも気付かれずに部屋に忍び込んできたらしい。
「どこの忍者だよ」
「私はライオンさんだからな」
「……意味わかんない」
「そんなことより、さ」
「仲間外れは、寂しいなぁ?」
京太郎と誓子は、そっと目を合わせた。
爽は校門を出た後から、京太郎たちを尾行していたらしい。
本来なら、この後に京太郎と誓子の二人で話し合うことがあるのだが――
京太郎選択肢 直下
1.爽も交えて話そう
2.また日を改めて話そう
京太郎は、爽も交えて悩みを打ち明けることにした。
『この手の話に爽は論外』と誓子は言ったがこうなったからには爽も交えて話し合った方が良いだろう。
そう考えて、京太郎は今までのことと、由暉子と揺杏の間で揺れている自分のことについて、全てを話した。
「ふふんふん……なるほどなるほどー?」
本当に話を聞いていたのか。
爽は能天気に腕を組んで頷く。
「つまりだな――」
判定直下 50以上で……
「あの二人のどっちかがいなければ解決だな」
まるで解決にならない爽の言葉に、京太郎は思いっきり肩を落とした。
誓子は呆れたように溜息を吐いている。
「そういう問題じゃないって」
「そうはならないから問題なんでしょ」
「そうかー」
二人にダメ出しをされて、爽は心底残念そうに眉根を寄せた。
「一番、簡単だと思ったんだけどなぁ」
たった一つの冴えたやり方
キャラ安価下3ー
「一緒に帰りませんか? ちょっとお買い物に付き合ってほしくて」
下駄箱の前で、由暉子が誘う。
断る理由もなく、京太郎は頷こうとしたが――
「悪い、メールだ」
マナーモードの振動が、京太郎の足を止める。
由暉子に一言断ってから、京太郎は携帯を開いた。
from:揺杏
一緒に帰らない?
なんか喫茶店のクーポンあるんだけど
「……」
「京太郎くん?」
そのメールは、揺杏からの誘い。
首を傾げる由暉子に、京太郎は――
京太郎選択肢 下3までの多数決
1.ごめん、ちょっと用事出来た
2.何でもない。帰ろうぜ
より一層、胸の鼓動が強くなった気がした。
揺杏からの誘いが、このタイミングで。
目の前には、首を傾げる由暉子。
どちらを優先するのか。
以前にも由暉子と爽で似たようなことはあったが、あの時とは状況がまるで違う。
「京太郎くん?」
「あ、ああ……何でもない。帰ろうぜ」
揺杏に詫びのメールを送り、京太郎は由暉子と並んで下校した。
痛みのようなものを、胸のどこかに感じながら。
判定直下
1~20 普通にデートをして帰った
21~40 「用事かー。なんだろ?」
41~60 「……やっぱり、ね?」
61~98 「また、ユキ、か」
ゾロ目 ???
「また、ユキ、か」
ずっと一緒にいたのは、自分の方なのに。
自分の方が、もっともっと、京太郎の心の中にいた筈なのに。
「よそもの」
後から来たクセに。
ズケズケと、人の居場所に、割り込んできて。
「……ない」
彼女は、胸の内側が端から少しずつ冷たくなっていくのを感じた。
「チカちゃん。どういうこと?」
「どういう……? ごめんなさい、話が見えないわ」
成香の突然の問い掛けに、誓子は顎を人差し指でなぞりながら首を傾げた。
彼女が言いたいことはある程度察しがつくが――それを、表に出す事はなく。
「……この前。須賀くんと一緒に帰ってたよね」
「……」
「須賀くんの家……チカちゃんとは反対だし、ちょっと前も……」
「……」
「須賀くんと、何をしているの?」
「……ねえ、なるか」
「チカ、ちゃん?」
「私が、それをあなたに言う必要はあるの?」
何を言われたのか、理解できない。
目を見開いて固まる成香に、誓子は畳み掛ける。
「あなたには、関係ないでしょ」
「え……?」
棘のある、突き放した言葉。
誓子の口から、それが自分に向けられていることが、成香は信じられない。
「私と京太郎が。どこで。何をしていようが」
「そ、それは……そんなこと」
「あるわよ」
怯える成香の顎に手を添えて。
誓子は成香の瞳を見つめて、言い聞かせるようにゆっくりと囁く。
「あなたは、諦めたんだから」
「あ……っ」
「あなたにはもう、関係ないのよ。なにも、ね」
唐突ななるちか
キャラ安価下3ー
あなたの心の整理がつくまでは、成香とは話をしない方がいい。
そう、誓子に言われてはいるが――それでも。
「大丈夫ですか?」
その日は、雨が降っていた。
濡れた地面は、滑りやすい。
考え事をしていて、足元が疎かになっていたら、尚更。
「……あ」
転びそうになったところを、彼に抱き止められた。
それはまるで、二人が出会った日の再現のようで。
成香は、胸の中に熱が集まるのを感じた。
「先輩? どこか痛みます?」
諦めて沈んだはずの心。
友達だった相手の言葉でぽっかりと空いた空白。
そこに、また――熱い何かが、注がれていく。
成香判定直下
1~30 「やっぱり……優しいです」
31~60 「……どうして?」
61~98 「やっぱり……無理だよ」
ゾロ目 ???
由暉子には、可愛さで負けている。
揺杏には、行動力で負けている。
誓子には、見離されている。
「先輩?」
「……ありがとうございます。おかげで、助かりました」
「いえいえ」
それでも。
「……あの」
「何ですか?」
やっぱり。
「……今度から、京太郎くんって、呼んでもいいですか?」
この温かさを。
諦めるなんて、できない。
情緒不安定なのは気にするな
キャラ安価下3ー
部室には、揺杏と由暉子の二人きり。
ちょうど、一週間前のあの日。
揺杏が京太郎に告白した日と、同じ組み合わせ。
「……」
あの日のように、揺杏が由暉子の髪をとかす事はない。
互いに見つめ合う瞳。
そこに宿る敵意を、隠す事はない。
「先輩は、不潔ですね」
先に口を開いたのは、由暉子だった。
侮蔑と嘲り、そして嫉妬を込めて、彼女は言葉を解き放つ。
彼の唇。
とても大事な意味を持つそれを、目の前の女は奪っていった。
本来なら自分が貰う筈だった、それを。
「……はぁ?」
対する揺杏も、嘲笑を隠さない。
睨み付けてきたかと思えば、言葉はたったそれだけか。
「言うじゃん。私らがいなかったら、ただの野暮ったい女だったクセに」
「……それでも、須賀くんは側にいてくれます」
「ふーん?」
由暉子は、揺杏を見上げる。
「そういう先輩も……私がいなかったら、一歩も進めませんでしたよね」
「……後から来たクセに」
「さて、どうでしょうね」
同じように、由暉子を見下ろす揺杏の顔。
それは、いつだったか、鏡で見た自分の表情にそっくりだった。
直下判定 61以上で殺意アップ
――後から来たクセに。
それは、由暉子のセリフだ。
後から彼に告白したクセに、彼にあんなことをして。
「後から……とは言いますが」
「……なんだよ」
「今までずっと一緒にいたクセに、今まで何も無かったのは……京太郎くんが先輩のことを好きじゃないからでしょう?」
「……」
鏡のように、二人の表情は同じ。
相手へ抱く想いも、また。
眠いのでここまででー
京太郎視点だと
由暉子→かわいい。天使の同級生
揺杏→コイツこんなに可愛かったっけていうか唇の感覚がヤバい姉貴分
誓子→よく相談に乗ってくれる良い姉貴分
成香→小さいけど親切な良い先輩。最近悩みがあるみたいだけど……?
爽→意味不明なことをよくするけど良い姉貴分
そろそろ次のイベント的なアレを挟む予定ですが判定をコンマにするか安価にするかで悩み中
それでは、お付き合いありがとうございました
このスレ中に有珠山終わると思います、流石に
揺杏「ただいまー」
京太郎「おかえりー。メシ? フロ?」
揺杏「風呂で京太郎を食べるー」
京太郎「まじかー」
揺杏「ふぅ、いい汗かいたー」
京太郎「仕事帰りなのによくやるな」
揺杏「キョータリュームエネルギー。72時間働けるー」
京太郎「光の戦士もびっくりだ」
揺杏「にしても、ちょっと窮屈だねぇ」
京太郎「二人で入ったらそりゃなあ」
揺杏「広くなってもどうせピッタリくっつくから変わんないけど……そろそろリフォームしたいかな」
京太郎「なんで?」
揺杏「増えるから。あと1人」
京太郎「へ」
揺杏「えへ」
京太郎「……」
揺杏「……」
京太郎「いえーい!」
揺杏「いえい!」
もうちょい後で有珠山ー
あの頃は――いや、あの頃からずっと。
爽と揺杏と誓子の3人は、俺の世界の中心だった。
「いくぞー!」
「おー!」
お母さんがいなくなって、夜に起きても誰も側にいなくて。
カピーだけが友達だった閉じた中に、爽が強引に入り込んできた。
それからずっと――俺は、爽たちの後を追っていた気がする。
「真屋ー、これ捨てといて」
「あ、コレもお願いー」
それが、少し変わったのは中学に上がってから。
たった一人で、面倒ごとを押し付けられている小さな女の子に出会った時だ。
その女の子――真屋由暉子は、両手いっぱいに同級生たちから押し付けられた紙束を抱えていた。
最初は頼まれ事を断れずに雑用を押し付けられているのかと思ったけど、それは違った。
「私、頼りがいあるみたいで。嬉しいです」
彼女は凄く前向きというか、独特だった。
まぁでも、本人が平気だとしても小さいクセにホイホイと雑用を引き受けていく姿は見てて危なっかしい。
その日から、俺は少し強引に彼女――ユキの手伝いをする事にした。
……可愛い顔とおっきな胸に釣られたのも、少しはあるけど。
「あー……」
それから、爽たちとユキが出会って、ユキの大改造が始まって。
なんやかんやで全国大会を目指すことになって。
今、改めて考えると。
俺は、爽たちにやってもらったことをユキにしてやったのかもしれない――なんて、思ったりもする。
「……あ」
だとするなら、ユキの世界の中心が俺ということになってしまう。
勿論そんなワケがなく、それは思い上がりだろう。
爽たちがユキの世界を広げたのは間違いないだろうが。
「どーなんだか……」
誓子に色々と言われて、考えを整理するけど中々に答えは出ない。
成香先輩は小動物系というか、親切で可愛い。
揺杏は長年一緒になってバカやってた相手のクセに――最近になって、すっごく可愛く見えてきた。
由暉子は可愛い。たまに無防備なところが目に毒だけど。
爽は――こう言ったら調子に乗るから言わないけど良い姉貴分だ。最近は何故かちょくちょく噛み付いてくるけど。お陰で歯型がよく手や首筋に残る。
「……どうする、俺」
最近、部内の空気がぎこちないように感じる。
その原因の8割は俺が優柔不断なせいだ。
揺杏とユキ、二人の告白の間で揺れてどちらを選ぶか決めかねている。
「……」
正直に言えば俺の心は揺杏の方に傾いている……と、思う。
けれど、俺がどっちかを決めたらきっと今までの関係ではいられなくなってしまう。
「ヘッタれてんなぁ、俺」
嘲るように自分を笑っても、当たり前だが答えは出ない。
今日も悩んでいるだけで、時間が無駄に過ぎていった。
キャラ安価下3ー
有珠山以外のキャラは自動でその下
視線を感じる。
その元は探すまでもなく、隣の席に座る由暉子からだろう。
教科書に目を落としてはいるが、時折その視線の先がチラチラとこちらに向いているのがわかる。
こそばゆい、と京太郎は思った。
「な、なぁ?」
「はい?」
待ってました、と言わんばかりに教科書を閉じて京太郎を見上げる由暉子。
嬉しそうな顔に頰が緩むのを感じながら、京太郎は言葉を続けた。
「由暉子は……その、俺のどこが好きなんだ?」
ユキ判定直下
1~60 「わかりました。それでは一つずつ挙げていきますね」
61~00 「……そうですね。長い話に、なりそうなので――」
「わかりました」
「お」
「それでは一つずつ挙げていきますね」
「お?」
「まず見た目からですが――」
水を得た魚。
声や性格、由暉子は事細かに京太郎の特徴を挙げてはそのどこが好きなのかを挙げていく。
ペラペラと饒舌に舌が回る様子は普段の様子とは大分かけ離れている。
「――ということで。つまりは――」
「も、もういいっす……」
周りのクラスメートの目を気にするべきだった、と京太郎は後に語る。
キャラ安価下3ー
そろそろかな?
「お茶を、いれてみたんです」
「お?」
そっと、京太郎の前に置かれる水筒のコップ。
濃い目の赤褐色色の液体。
色と匂いからして、紅茶か何かだろうか。
「珍しいな。ユキがこういうのって」
「もらい物ですが……どうぞ」
由暉子に勧められるままに、京太郎はカップに口を付けた。
果たして、その味は――
ユキ判定直下ー
1~50 「うん、美味い」
51~00 「う……ん? あれ、なんか……ねむ、く……?」
――うん。美味い。
別段紅茶に詳しいというわけではないが、その味は京太郎の舌に程良く合っているように感じられた。
一口、二口と飲んでからは一気に飲み干す。
美味かった、その感想を伝えるべく京太郎は口を開き――
「う……ん?」
突然に感じる、急激な眠気。
ピントが外れたかのように、視界がボヤける。
ふら付く京太郎の頭を、柔らかく温かい何かが受け止めた。
「一つだけ、聞かせてください」
「ユ、キ……?」
耳元の由暉子の声が、頭の中に染み渡っていく。
曖昧な意識の中でも、それだけは理解できた。
「……私と揺杏先輩」
「ぁ……あ?」
「今のあなたは――どっちを、選びますか?」
下1~3のコンマ平均
1~50 揺杏
51~00 由暉子
声が、暖かさが、抗えない程に気持ち良い。
急速に沈んでいく意識の中で、たった一つだけ頭に浮かんだ顔。
それは、今までずっと一緒にいた相手の顔ではなく――
「ユ、キ……?」
嬉しそうな声を、最後に。
何もかもを包まれるような感覚に身を任せて、京太郎は意識を失った。
有珠山、キャラ安価ラスト下3
「き、京太郎……話って、なに?」
放課後、夕暮れ時の呼び出し。
屋上で太陽を背にする揺杏の頰が赤いのは、夕日のせいではないだろう。
期待と不安の入り混じった表情。
彼女に、京太郎が告げる台詞は――
「ごめん、揺杏」
「……え」
「俺……揺杏とは、付き合えない」
揺杏判定直下
1~20 「あ……そ、そっかー」
21~98 彼女は、駆け出すように屋上から出て行った
ゾロ目 ???
「あ……そ、そっかー」
揺杏は、笑った。
「ま、まぁ……わかってたし?」
声を震わせて。
何てことはない、なんて調子を装おって。
「京太郎、ユキばっか見てたから……なぁー?」
それでも。
瞳から零れたものだけは、止められずに。
「あ、はは……ちょっとだけ。1人にさせて?」
エンディング判定
下3までの平均
1~33 2人は幸せな以下略
34~66 「本当に、それでいいの?」
67~99 突撃隣の
いつまで、じっとしていたんだろう。
涙が乾いて、冷たい風が身を包む。
温まりたい。温めてほしい。
けれど、それは叶わない。
頑張ったけれど、振られてしまったのだから――
「本当に、それでいいの?」
屋上から立ち去ろうとする揺杏の足を止めた声。
声の方に振り向くと、誓子と爽が無表情で立っていた。
涙の跡を拭うことも忘れて、揺杏は枯れた声を返す。
「他に、どうしようもないじゃん」
自分は振られたのだ。
その理由も、わかっている。
そして、彼が振り向くこともない。
それは、揺杏の言う通り。
どうやっても、変えられない。
「よそもの、だろ」
「奪われたのよ。私たちは」
……変えられない、筈なのに。
揺杏は、2人を否定することはできなかった。
「これ、絶対に京太郎くんに似合いますよっ!!」
瞳をキラキラさせて由暉子が京太郎に差し出したジャケット。
ファー多め、シルバー多め、背中には大きな逆十字。
……有珠山の生徒としていいのかそれは、と思う。
「ち、ちょっと派手過ぎないか?」
「コレでも足りませんっ」
付き合い始めてからより深く知る彼女の美的センス。
なんというか――実に、闇に飲まれよだ。
「あー、でもさ……うん。ちょっと、有珠山の生徒としてなぁ……」
「そうですか……」
「ごめんな」
しゅん、と落ち込む由暉子の頭を撫でてみる。
ロップイヤーのような髪まで萎んでいるように見えるから不思議だ。
「じゃあ、次のを探してきますから。待っててください」
ジャケットを胸に抱えて、彼女は店の奥に入って行った。
お互いの服を買いに来たデート。
あれこれと探してみてはいるが、中々に理想のモノは見つからない。
由暉子の後ろ姿を見送った京太郎は、一つ深く息を吐き――
「大変だなー、少年や」
ニヤニヤしながら話しかけてきた幼馴染3人組。
デートの様子を見ていたのだろう、こっちをからかう気満々なオーラを感じた。
「ユキのお眼鏡にかなうものは中々にないからなー」
「京太郎もハッチャケちゃえばいいのに」
「難しいって、それ」
なんせ由暉子の有珠山を志望した理由は「聖書を学ぶとか格好いいから」だ。
困って頰をかく京太郎に、誓子が優しく微笑みかけた。
彼女が年上である、ということを意識させる表情だ。
「そんな京太郎に、いいものがあるのよ」
「お?」
「新作。二人が付き合った記念に作ってみたんだ」
「おお!」
「向こうで渡すからちょっと付いてこーい」
なんというサプライズか。
得意気な揺杏、優しく微笑みを浮かべる誓子、楽し気な爽。
実に頼りになる笑顔の3人に手を引かれて、京太郎はその場から立ち去った。
マナーモードにしたままの携帯への着信には、気付かずに。
「……京太郎くん?」
誓子、爽、揺杏、そして京太郎。
この4人が行方不明になったという知らせを由暉子が聞いたのは――その、翌日のこと。
「ユキ、ちゃん……」
「……」
たった二人だけの部室。
自分も辛いはずなのに、成香は気遣うように声をかける。
大丈夫です、と声を返せたらいいのに――視線を携帯から離せない。
彼からの着信が無いか、メールは来ないのか。
結局、その返事は――由暉子が卒業しても、来ることはなかった。
それが、彼女の思い出。
今の由暉子を突き動かす心の支えであり、世界の中心。
「あっ」
突然、曲がり角から飛び出してきた女の子。
背丈からして年齢は5才前後だろうか、由暉子にぶつかって転んでしまった。
「大丈夫ですか?」
「ご、ごめんなさいっ」
幸いにも擦り傷はない。
今にも泣き出しそうなのは――ぶつかってしまって、怒られることを恐れているからだろうか。
「……」
由暉子は屈んで女の子に視線を合わせる。
そして、女の子の目の前に掲げて見せるのは一つの白牌。
何をするのか、目が白牌に釘付けになる女の子に、由暉子は――
「あっ! 文字がっ!」
「ふふっ」
何もない牌に、文字を浮かべる手品。
彼がいなくなってからも、ずっと練習を続けた技。
彼との繋がりを感じることができる、一つのもの。
「すっげー! おねーさん、まほーつかいか!」
「ふふ……どうでしょうね?」
「っ! そういやおねーさんテレビで見たことあるし!」
「あら、バレちゃいましたか」
泣き顔から一転、瞳を輝かせる女の子。
かつての自分を思い出して、由暉子は小さく微笑んだ。
「うん、おとーさんよくおねーさん見て泣いてる」
「な、泣き……?」
「ごめんって、あやまってた!」
「……え?」
その言葉を、聞いた瞬間に。
由暉子は、目の前の女の子以外のものが見えなくなった。
金髪のポニーテール。
この髪型は、記憶の中で見た事がある。
この髪の色は、どれだけ時間が経っても、記憶の中で色褪せる事はない。
「じゃね! おねーさん! あたし今からちーちゃんちいくから!」
少し、つり目っぽく見える睫毛。
記憶と重なる、女の子の容姿。
由暉子は、走り去ろうとする女の子の肩に手を置いた。
「なに?」
「ふふ……今から、私とお茶しませんか?」
「おちゃ?」
「ええ――お菓子もジュースも、ケーキだって。いっぱい、ありますから」
「マジ!? いくいくっ!!」
由暉子は、女の子と手を繋いで歩きだす。
離れないように。離さないように。
「お菓子を食べたら……そうですね。ライブに行きましょう」
「ライブ?」
「ええ――特別出張ライブ、あなたのお家です」
【よそもの】
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