健夜「せめて思い出に須賀る」【2LOOP】 (1000)
・細かい事は気にしないスタンスで行ける
・遅筆
・京太郎成分多し
・キャラ崩壊
・クオリティ低し
この物語は小鍛治健夜目線で繰り広げられるお話です
前スレ
健夜「せめて思い出に須賀る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383822071/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387788251
そういえば、京太郎の母親が死んだ火事で、一緒に助かった子供って誰か
分かってないんだよな。
県予選でそれらしい人間がいなかったから、全国のどっかに居るんだろうか?
お酒飲んで寝ちゃってた
インターハイでのすこやん並みの感想
すこやん:京太郎君を鍛えなきゃ(使命感)
↓
すこやん:咲ちゃんもついでに鍛えておこう
↓
すこやん:宮永家の事情が大変!
↓
すこやん:中学校からは福路さんも参戦だ、彼女も付いて来られるようにして上げよう。
↓
すこやん:高校のインターハイ……どうしてこうなった……
照:久のせい
久:照のせい
咲:主にお姉ちゃんと部長のせい
京太郎:皆悪い
健夜:どうせ私のせいだよ!
照・咲・久・京太郎「そうだよ」(便乗)
健夜「ファッ!?」
※フラスト溜まらなければ魔王様は無害です
>>27 まだ出てないだけかもしれません、出てる人間でも描写が無いだけかもしれません
前スレ>>1000のことはどうあれ決めたストーリーの結末は変える気は有りません書けるものしか書けないから
出来れば今日の夜投下したい
あとすこやんには関係ないですが今日の21時から「性の6時間」ですね
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投下します
インターハイの県予選が終わり、衣替えの季節がやってきた。
「Weekly 麻雀 TODAY」と言う雑誌には一言『清澄男女個人戦女子団体戦で快挙、祝三冠。』
とだけ書かれていた。
その他のことは全マスコミメディア黙殺。
風に聞いた噂では「顧問である小鍛治プロが圧力をかけてマスコミ各社を黙らせた」とまことしやかに流れているとか。
失敬な、私そんなことしてないよ!?
そして私はというと今、期末テストの採点に追われている。
私が仕事を終わらせると数学の先生が話しかけてきた。
「小鍛治先生、ちょっといいですか?」
「はい?」
「実は片岡のことで……」
片岡さん何やったの……
数学の先生からお話を聞いて部室に行く。
そこには部員全員が揃い踏みしていた。
私は目的の人物を見つけて声をかける。
「片岡さん……」
「じょ? なんだじぇ先生。」
「実は片岡さんに数学の追試が決定しました。」
「もし追試が通らなかったら補習が入ります。」
「つまり追試が悪かったら合宿にいけません。」
「片岡さん、わかったかな?」
「……先生、マジで?」
「うん。」
私が言い終えると片岡さんが頭を抱えて唸り始める。
この子は確実に勉強が出来ないタイプだ。
前の合宿で算数ドリルをやらせていたのは正解だったかもしれない。
頭を抱えている片岡さんに京太郎君と咲ちゃんが近づいて声をかけている。
「おいおい優希、祭りあるのに大丈夫か?」
「どうしよう……京太郎……」
「優希ちゃん、私も勉強手伝うから。」
「たぶん京ちゃんもなんだかんだ言って手伝ってくれるし。」
「一緒に頑張ろ?」
「咲ちゃん……」
「ったく、しゃーねーな、俺も手伝うよ。」
「だから良い点とってスカッとした気分で祭りに行こうぜ。」
「京太郎……」
「二人ともありがとうー!」
片岡さんが涙ながらにお礼を言って勉強を始めることに。
竹井さんの提案で部室を一年に対して閉鎖して勉強に集中できるようにしていた。
京太郎君は合宿の買出しと勉強の手伝い、咲ちゃんは片岡さんと一緒にお勉強、照ちゃんはたまに二人の勉強を見ている。
竹井さんは各校の根回しと準備、染谷さんは実家の手伝い。
私は手続きの書類などの処理や学校の宿題などの仕事に追われている。
私が書類に目を通すととある事に気付いた。
私は少し職員室から抜け出して竹井さんの元へ向かう。
そこには上級生三人がそれぞれ別のことをしていたが一応揃っていた。
私は竹井さんに気になったことを質問してみる。
「竹井さん、ちょっといいかな?」
「はい、なんでしょうか?」
「うちの書類に京太郎君の名前が記載されてなかったんだけど。」
私がそういうと照ちゃんと染谷さんがピクリと反応する。
竹井さんは私にされた質問に対してこう答えた。
「ああ、それはですね……」
「さすがに男の子の須賀君を女子ばかりのところに行かせるわけには行かないのでお留守番をしてもらうことにしました。」
なるほどそういうことか、そう思ったがさすがに京太郎君一人はかわいそうな気もする。
だけどそう思ったのは私だけではなかったようだ。
染谷さんが口を出してくる。
「久、あんた鬼か。」
「え、しょうがないじゃない、彼は男子なんだし。」
照ちゃんも口を出してくる。
「久、それはない。」
「京ちゃんもインターハイ出場するし何よりうちの部員。」
「一人だけ仲間外れはかわいそう。」
「え~、彼なら大丈夫よ。」
「たぶん納得してくれるわ。」
「え、まだ京太郎君に話してないの?」
「あ、そういえばまだでした。」
そうかそうか、竹井さんの考えはわかりました。
それでは皆さん口を揃えて言いましょう。
「「「ファッキューヒッサ。」」」
「なんでよ!?」
驚いてる竹井さんに対して照ちゃんが続ける。
実質脅しに近い状態で。
「というか京ちゃんが行かないなら私行かない。」
「で、私と京ちゃんが行かないとなると咲も行かないかも。」
「ちょ、ちょっと、それはあんまりじゃないかしら……」
竹井さんは少なからず動揺しているようだ。
さらにそこへ染谷さんの追い討ち。
「というても部員の半分が、しかもインターハイ個人出場者全員が未参加となると向こうさん側から苦情が来そうじゃのう。」
「さらに言うならあれじゃ、優希も補習する可能性がある。」
「下手したらうちはわしと久だけで行くことになるかも知れんぞ?」
「うぐぐ……」
「……わかったわよ。」
「須賀君も参加させるわよ……」
竹井さんはついに折れて承諾した。
完全勝利した染谷さんと照ちゃんのガッツポーズUCだった。
結局清澄は男子を含めて全員参加することになった。
流石に男の子なのもあって多少制限は設けることになるけど。
具体的に言えば部屋は監視役である私と一緒の部屋。
これで二十四時間見張れるわけではある。
そもそも京太郎君自身そういうほかの人に迷惑をかけるような行為をするとは思えないけどね。
そして数日後、片岡さんの追試の時間がやってきた。
京太郎君と宮永姉妹と染谷さんが教室の前で待っているようだ。
私はそれを職員室の窓から眺めている。
私は私でやらないといけない仕事があるのでそれに専念していると時間が結構経っていた。
仕事が終わるころにはみんなが帰ろうとしていた。
これから花火大会に行くのだろうか?
私は仕事を終わらせて帰宅する。
すると家の前に浴衣を着た教え子三人が待っていた。
白い生地に薄い唐草模様の浴衣を着た京太郎君が聞いてくる。
「健夜さん、一緒に花火を見に行きませんか?」
「うん、いいよ。」
そう言って了承すると数年前に買った浴衣を着る。
これを着るのは三人と一緒に花火をやったとき以来だっけ。
あれが元で京太郎君のオカルト不振の原因がわかったんだよね。
私は着替え終えるとみんなと一緒に祭りに向かった。
照ちゃんはやたら屋台のあれが欲しいこれが欲しいとねだっていた。
片岡さんもそれに便乗していたが。
咲ちゃんと染谷さんは二人に少しは遠慮しろと言っていたがあまり効果はなかったようだ。
そういえば竹井さんはどうしたんだろう。
もしかして学生議会の仕事がまだ残っているのかな?
案外よろしくやっているのかもしれないね。
後日、福路さんから申し出があったのを聞いて京太郎君が浮かれていた。
そういえばうちで福路さんと打てるのは京太郎君ぐらいだもんね。
宮永姉妹は大会の規定で打てないし、染谷さんと竹井さんと片岡さんじゃ力不足。
そう考えると後一人くらいプロを呼んだほうが良いんじゃないかな?
そう思って知り合いのプロに声をかけて来てもらう事にした。
そして当日、私たちは学校から借りた車に全員乗って合宿所まで辿り着く。
さて、今回の合宿、どうなるんだろうね。
いったん休憩
ちょっとずつ投下
私は合宿所についたら直ぐ様引率者や責任者に挨拶をした。
円滑なスケジューリングはコミュニケーションです。
久保さんと龍門渕選手とその執事さん、そして蒲原選手と軽く説明や取り決めを行った。
何で加治木選手じゃなくて蒲原選手が……?
それにしても執事さんイケメンだったな、京太郎君親子も中々のイケメンだけど執事さんもイケメンだ。
目の保養になるね。
その後広間に全員集合して説明をする。
説明するのは竹井さん。
私と京太郎君は部屋の隅っこでおとなしくしている。
先ほどの執事さんは見えないけど。
うら若き女子がここに集結しているこの状況、しかも全員浴衣。
これは男の人にとっては嬉しい状況かもね。
……ふははは、お前らも全員喪女にしてやろうか~!
そんな閣下みたいな声が聞こえた気もする。
竹井さんが説明している途中でやたらこちらをチラチラと熱い視線を送ってきている人が数名いた。
やっぱり女所帯の中で男のは目立つね。
当の京太郎君はやたら加治木選手のほうを見て目をこすっている。
気になったので聞いてみた。
「どうしたの?」
「いや、健夜さん。」
「この旅館やばいです。」
「幽霊がいます。」
「……え?」
「ほら、鶴賀の大将の加治木さんの隣。」
「一人だけ制服着てる女の人。」
そういえば京太郎君の目線が若干加治木選手の隣に向いている気がする。
だけど私が見る限りそんな子は見当たらない。
だからと言って京太郎君が冗談を言ってるようにも見えない。
ということはつまり……マジですか……
「お坊さん連れて来た方がいいかな……」
「それよりも加治木さんに注意したほうが……」
「でも変に怖がらせるよりは……」
「どうしよう……」
「あ、そういえば鶴賀って五人のはずだよね?」
「それなのに4人しかいない……」
「もしかして鶴賀の部員に不幸な事故があって……」
「やめてよ京太郎君……」
加治木選手に言うか言うまいかのお互い悩んでいるときに竹井さんから声がかかる。
「小鍛治先生、須賀君といちゃついてないで一言お願いします。」
「え?」
説明を受けていた生徒たちが一斉にこちらへと振り向く。
私は仕方なく前へ出て軽く挨拶することに。
「えー、清澄高校の顧問、小鍛治健夜です。」
「みなさん合宿だということですが浮かれすぎて合宿中に怪我をしたりしないように気をつけましょう。」
「あくまで麻雀を打ちに……」
などと適当なことを言いつつ大人が言いそうなことを述べておいた。
怪我ってなんだ? みたいな表情をした子も居る。
うん、麻雀の合宿で怪我ってなんだろうね。
しかし京太郎君のせいで加治木選手の隣が気になる。
確かに加治木選手の隣には誰もいない。
人一人分スペースが空いてるのに誰も居ない。
何か不自然に空いた空間を眺めながら諸注意を述べておいた。
あと同じ鶴賀の津山選手、すっごい私を見ていた。
もしかして私の顔に何かあったかな……小皺とか豊麗線とか出てた?
説明が終わり一旦解散する流れになったが福路さんと京太郎君が接触した。
「お久振りです、美穂子さん。」
「久しぶりね、京太郎君。」
だがそこに割って入る女子が一名。
「なんだし、勝手にキャプテンに近付くなし!」
風越の池田選手だった。
明らかに敵意丸出しの池田選手。
だがそれを止める福路さん。
「良いのよ華菜、京太郎君とは中学からの付き合いだから。」
「でもキャプテン……」
「大丈夫よ、私も彼とお話があるの。」
「だから華菜は他の人とお話してきてくれるかしら?」
「……はい。」
「ごめんなさいね、京太郎君。」
「いえいえ、美穂子さんのことを思ってのことだと思いますから気にしてないですよ。」
「ところで美穂子さん、後で打ってもらえますか?」
「ええ、むしろこちらからお願いしようと思っていたところだわ。」
そういう福路さんの目が世話焼きなお姉さんの目から雀士の目に変わっていた。
約二年半ぶりだから確かめたいんだろうね、お互いに。
再びみんなが集まり本格的に打つこととなった。
まず京太郎君に私、福路さんが卓に着く、のだが。
「では皆さん打ちましょうか。」
「京太郎君と福路さんと私ね。」
あと一人が現れない。
宮永姉妹は福路さんと打てないし、他の子は完全に尻込みしている。
「他に入ってくれる人居ますか?」
「それでは失礼して。」
仕方ないので秘密道具のくじ引きをすることにした。
箱の中身には各部員の名前が書いてあり引かれた者は席に着く。
では一発目行ってみよう。
「じゃじゃん、風越の……」
そこまで言うと何人かびくびくしていた。
「池田さん。」
「華菜ちゃん一番槍だし!」
「キャプテンと打てるし!」
「せいぜいそこの金髪はトばないように気をつけるんだな!」
池田選手元気だね、いったいどこまで持つやら。
そして各々対局を始まった。
初っ端から両目全開の福路さんに良い所を見せようと気炎を振りまく京太郎君。
そして手を抜いた私に置物と化した池田選手。
結果は無残に池田選手のトび。
南場にすら入らなかった。
「「「「ありがとうございました。」」」」
「華菜ちゃんトンだけど金髪にキャプテンは渡さないし!」
「後で覚えてろ!」
そんな捨て台詞を言いながら池田選手は引っ込んで行った。
ありゃ置物のほうがましだったかな。
意外と池田選手はメンタル強い。
私は抜けて京太郎君と福路さんは卓に残って他の人を待つ。
その間少し他の生徒も鍛えてあげよう。
そして私の仲間を増やす。
どうやら京太郎君と福路さんのところに人が入ったようだ。
井上選手と片岡さんだ。
まぁたぶん大丈夫。
私はそのままフラフラと辺りを見回って適当にアドバイスを出していた。
途中文堂選手と津山選手にサインを求められた。
津山選手はすごく目がきらきらしてた。
文堂選手はわからない、あの子目が開いてないし、嬉しそうだったけど。
次に目に付いたのは加治木選手と天江選手、池田選手と龍門渕選手の練習。
加治木選手は色んな策で天江選手を出し抜いて、池田選手はオーソドックスに打ってはいるがかなりパワープレイだった。
ここの卓はやたらと楽しそうに打っていたのが印象に残っている。
そろそろ来るころかな。
そう思って私はある人を迎えていた。
そのある人を迎えてみんなに紹介する。
「今回はビッグゲストが来てます。」
私が紹介するとみんなが手を止めて視線をこちらに向ける。
襖を開けて入ってきたプロが私に突っ込んでくる。
「いやいや、ハードルあげないでくださいよ。」
「小鍛治さん以上のビッグゲストなんているわけないじゃないですか。」
「あ、藤田さんだ。」
「本当だ、藤田さんだ。」
「何だゴミプロか。」
「藤田プロのサインは……別にいいか。」
「うむ。」
君たち失礼すぎだよ!
一応これでもプロなんだから強いんだよ!
確かに条件揃わないとパッとしないけどさ……
「あの小鍛治さん、私帰っても良いですか……?」
若干凹み気味な藤田さんを宥めて参加させた。
今京太郎君と福路さんの卓には久保さんと藤田さんが着いている。
地味にいい勝負してるみたいだ。
伊達にコーチとプロじゃないね。
どうやら京太郎君のところの卓は終わったようだ。
藤田さんがオーラスで捲くろうとした所に福路さんと京太郎君に邪魔されて三位。
久保さんは完全にコーチの仕事をしようとしててラス。
京太郎君は稼ぎ負けて二位、福路さんは藤田さんに止めを刺した分で一位。
卓に倒れこんだ藤田さんが呟いている。
「私はもう立ち直れん……京太郎と宮永姉妹には一日三食食べさせてやってくれ……」
ちゃんと食べてるから心配ないよ。
特に照ちゃんなんか必要以上にカロリー摂取してる。
倒れた藤田さんにどこからともなくあらわれた執事さん。
手に持ってるのはカツ丼。
「よろしかったらこれをどうぞ。」
「カツ丼!」
「あ、復活した。」
いただいたカツ丼をがつがつと食べる藤田さん。
食べながら京太郎君にアドバイスしている。
一方久保さんは福路さんに問題点を指している。
なんだかんだ言ってやっぱり大人なのである。
二人の大人が色々助言をすると引き上げて行った。
次は私も入ろうかと思って近寄ってみたが先を越される。
「ノッポの金髪再戦だし、今度は華菜ちゃん負けないし!」
「衣も混ざるー。」
「天江もこう言ってる事だし華菜ちゃんたちと打つし!」
「オッケーですよ。」
「あれ?」
「衣がどうかしたか?」
「いや、この間の迷子の子……」
「衣は子供ではない! あと迷子ではない! ちょっと透華と逸れただけだ!」
「それは迷子って言うし。」
「迷子じゃない!」
あ、福路さんと京太郎君の世話焼きスイッチ入ってる。
池田選手も結構世話焼きっぽいし完全に子供一人にお兄さんお姉さんが世話焼いてる状況にしか見えない。
「そんなことはどうでもいい、打つぞ! 衣は打つぞ!」
「はいはい、衣ちゃんキャンディいるか?」
「もらう!」
「あと衣のほうが年上だ!」
「もっと年上を敬え!」
「ちゃん付けなどもってのほかだ!」
「……え。」
「何だ、知らなかったのかノッポの金髪?」
「あたしたち二人とも二年だし。」
「マジすか?」
「本当よ、京太郎君。」
福路さんはクスクスと笑いながら対局が始まる。
私は他の卓でも見てようかな?
さてさて他の卓はどうだろう。
私が周りを見回すと照ちゃんの卓が目に付いた。
相手は龍門渕選手と加治木選手と吉留選手だ。
三人は結託して如何に照ちゃんを止めるかと工夫してるようだ。
どうやら一筋縄では行かせない様である。
一方の咲ちゃんは蒲原選手、国広選手、津山選手と打っている。
こちらは防御重視の堅実な打ち方の選手が多いから点数は取りにくそうだね。
今日はここまで
嘘小ネタのあらすじ
ネット麻雀で知り合った「Lawrence」という人物
自分と似たような友人を持っていたことで会話が盛り上がりどんな人物か知りたくなった和は色々と聞くうちに自分と同い年でありしかも近いところに住んでいる知る。
次第に「Lawrence」という人物に惹かれていることに気づき意を決した和はオフ会を開くことにしたのだが……
【和「Merry Christmas Mr.Lawrence」】
かつて恋人を水難事故で失った京太郎。
自分も後追い自殺して彼女の元に向かおうとするが結局助けられて死ねなかった。
助けてくれた女性が親身になって京太郎を介抱してる内に考えが変わっていき、情が湧いてきた二人は……
【京太郎「人魚姫」】
多分書きません
嘘ネタあらすじ
やっとのことで仲直りした宮永姉妹、清澄と白糸台で仲良く大団円と思いきや照が記者会見に出る時間になってしまった。
菫も「付き添うか」と聞くが「一人で大丈夫」と言い照は記者会見に向かう。
今後、どこでプロデビューするのかどうかという記者陣の問いに照は答える。
照「今回お集まりの皆様に言わせて頂きますと……」
照「私、清澄高校の須賀京太郎君のお嫁さんになります。」
全世界が固まり京太郎は地獄を見た。
【照「京ちゃんを落とす方法」】
ほんのちょこっと投下
色々と見て回っていると結局京太郎君のところに戻ってきてしまった。
途中からだったけど点棒を見る限り明らかに劣勢なのに天江選手の威勢がいい。
「衣は諦めないぞ。」
「何故だか知らないが諦めようという気持ちになれない。」
「きょーたろと打ってると何故か血が熱くなる。」
「何故だろうな、不可解だ。」
「華菜ちゃんもだし。」
「普通だったらキャプテンに敵いっこないってわかってるんだけど。」
「それでも図々しいくても勝とうって気になるし。」
「だからイケメン金髪には何度でもチャレンジしてやる。」
……何故こんなにも熱くなっているのだろう。
そういえば三尋木プロも同じことを言っていた。
「周りまで熱くさせてくれるなんて将来有望だ」と。
これもオカルトの一種なのかな?
天江選手が水を呼び、それに呼応して京太郎君が更に奥の手を出す。
インターハイ個人で結局使わなかった新技。
発想を転換した技。
私の名前は小鍛治健夜、小鍛冶ではなく小鍛治。
分かっているとは思うけど念のため、予め言っておく。
私が折り返し折り返し京太郎君を鍛えて、そして貼り付いた鉄。
それが今、力になる。
元々の京太郎君の力は炎。
だけど今まではそれを-にして相手に使っていた。
今度はそれを、炎の-の力を+に転化する。
要はロケットエンジンのようにブースターとして炎を使う。
その為の鉄。
鉄の外装を纏った鳥が火を噴きながら卓上を翔る。
まさに鉄火の鳥。
海に沈んだ火の鳥が、鉄火の鳥となって生まれ変わる。
海を突き破る加速力。
身を守る鉄の外装が水を弾く。
狙うは水の中の獲物。
「ロン、7700は8000。」
「俺の勝ちっすね。」
「くぅ~! 悔しいけど楽しかったし!」
「華菜ちゃん負けちゃったけど今度は勝つからな!」
「衣も楽しかった。」
「また打ってくれ。」
「あらあら、いいお友達が出来たわね、京太郎君。」
「華菜はいい子だからよろしくね。」
「ええ、また打ちましょう。」
明るく笑顔で返す京太郎君。
宮永姉妹と一体どこで差がついたのか。
環境?
しかし全員の顔が赤い。
あ、もしかしてさっきのオカルト同士のぶつかり合いかも。
上は洪水、下は大火事、これな~んだ?
つまりは湯中りみたいなものである。
私は4人に指示を出して休むように伝える。
麻雀で湯中りとは初めて見た。
しばらくして復活した4人が各々の卓に着く。
ただし京太郎君と天江選手は同じ卓? ようだ。
京太郎君が座ったところに天江選手が付いていき何かを聞いている。
「きょーたろ、知見の為に衣も随伴してもいい?」
「ええ、いいですよ。」
「では失礼するぞ。」
「……え? ……え?」
「衣はここがいい。」
「ここならきょーたろの手牌がよく見えるし修学にもなる。」
そういった天江選手は京太郎君の膝の上に座る。
ざわつく練習場、一点に集まるロリコン疑惑の目。
そして嫉妬などの謎のオーラ。
これは一波乱あるね。
そう思った矢先、京太郎君が着いていた卓に宮永姉妹と龍門渕選手がどっかりと着いた。
「京ちゃん、ちょっと打とうか。」
明らかに値踏みしているような目つきの龍門渕選手に、ニコニコしてるしているけど目が笑っていない宮永姉妹。
「きょーたろは負けないぞ!」
そして何故か京太郎君の膝の上いるせいか強気の天江選手が火に油を注ぐ。
これもうわかんないや。
短いけど今日はここまで
ちょっとだけ投下
京太郎君たちの対局はほぼ照ちゃんと京太郎君の速度合戦の鍔迫り合いだった。
咲ちゃんはスピードでは置いていかれたけどちょこちょこ掠め取って和了っていた。
問題は龍門渕選手、最初は強い対局者とあたってかなり冷たい雰囲気になっていたのだけれど途中から素に戻っていた。
後半は京太郎君と照ちゃんの雰囲気に流されてかなり熱くなっていた。
多分だけどオカルトが干渉し合って片方が発動しない状態だったんだと思う。
要は温まってて冷えなかったということだ。
色々あったけど結果としては京太郎君は2位、咲ちゃん3位、龍門渕選手ラスの照ちゃんトップである。
その結果を見て照ちゃんが変な事を言い出した。
「京ちゃん、罰ゲーム。」
「なんで!?」
「京ちゃんが負けたから。」
「俺二位なのに……」
「いいから早く。」
有無を言わせない照ちゃん。
理不尽だといいながら逆らえない京太郎君。
そのやり取りを見て笑っている咲ちゃん。
京太郎君を慰める天江選手。
やりとりそっちのけで対局の結果に落ち込んでいる龍門渕選手。
何とも言えない状況だね。
そして気になる罰ゲームの内容を照ちゃんが説明した。
「京ちゃん、うつ伏せ。」
「いつものやつ。」
「……はいはい。」
周りの人は気になるのか、チラチラと横目で見ながら成り行きを見ている中で照ちゃんが京太郎君に指示を出す。
京太郎君が渋々了解して部屋の隅っこの方に行き、床に肘を着いて上体を起こしたままうつ伏せになった。
照ちゃんはそのまま京太郎君の上に背中合わせの状態で寝転がって本を読み出した。
周りが若干ざわつく中、当の本人はどこ吹く風で気にすることもなく、ご満悦そうな照ちゃんが言う。
「京ちゃん座椅子は楽。」
「そうですか。」
京太郎君が肘を立てて上体を起こしてるおかげで照ちゃんは丁度よく首を起こして本を読めるらしい。
しかも京太郎君のお尻の所に照ちゃんの腰が来ておりお尻と腰の凹凸がフィットしていい感じとの事だ。
身長差22cmの奇跡、というのか健全な意味で体の相性がいいらしい。
ざわつく広間の中、咲ちゃんが二人の下へ向かい止めに行くと思いきや……
「お姉ちゃん、私もいい?」
「ん。」
お菓子片手に本を読んでいる照ちゃんが短く返答すると咲ちゃんが照ちゃんのお腹辺りに頭を置いて本を読み出す。
幼馴染みであるせいか行為自体に遠慮はないらしい。
3人とももうちょっと人目は憚ろうか。
京太郎君は巻き添えだけど二人を止めよう。
咲ちゃんは照ちゃんの案に乗っかるのをやめよう。
多分どこかから嫉妬の仮面が飛んでくるから。
対局が終わったのか加治木選手が私に近付いてきて聞いてくる。
「あの、小鍛治プロ、二人はそういう関係なのでしょうか……」
「ううん、付き合いが長いからってだけで別に付き合ってるわけじゃないよ。」
「ただ、あの三人は幼馴染だから感覚としては兄弟姉妹に近いんじゃないかな?」
多分そのはず、というか私の与り知らぬ間に教え子たちから「恋人が出来ました。」なんて言われた日には立ち直れない気がする。
私より先に恋人が出来るなんて絶対に認めないし、許さない。
ある程度堪能したのか照ちゃんが京太郎君を解放する。
開放された京太郎君は首や肩を回しながら対局を始めようとする始末。
そして突進して抱きついた天江選手に片岡さん。
再び集まるロリコン疑惑の視線。
多分今日の出来事で京太郎君の嗜好は確実にロリコンか貧乳だろうと思われているはずだ。
本人はおっぱい好きなのにね。
清澄のメンバーが控えめなのもその一端だと思う。
短いけど今日はここまで
アニメ本編が始まったら粗が出そうで怖い
ひっそり更新
京太郎君が席を立つ。
「お手洗いに行ってきます。」
「大丈夫? 衣も付いていってあげようか?」
「大丈夫ですって。」
そのまま京太郎君は広間を後にした。
私はそれから暫く他の子達をみていたけど一向に京太郎君が帰ってこない。
トイレにしては明らかに遅い。
天江選手も何故かそわそわしていて頻りに扉の方を気にしていて落ち着かない。
なので私は少し京太郎君を探しに部屋を出た。
そこら中を探してやっと見つけたのだが、なんと彼らは厨房を借りて料理を作っているではありませんか。
ちなみに彼らというのは京太郎君と執事さんのことである。
どうやら二人は料理の指南と夕飯の追加料理を作っているようだった。
いくら待っても帰ってこないと思ったらこんな事をしているとは。
私は呆れて思わず京太郎君に声をかけた。
「京太郎君、何やってるの?」
「あ、健夜さん。」
「いや、俺って無理言って連れてきてもらった立場じゃないですか。」
「だからせめて何か役立とうと思って……」
「いやいや、君も練習しないといけない立場だよ。」
「だからそんなに気を使わなくてもいいの。」
昔、女の子に気を使えと宿題を出したがここまで効いてくるとは思わなかった。
もう少し加減とかを覚えさせるべきだね。
私が京太郎君に呆れていると執事さんが口を出してきた。
「申し訳ありません、小鍛治様。」
「私が須賀様をお借りしたばかりに迷惑をおかけしました。」
「いえいえ、俺が勝手にハギヨシさんの後を付いてまわっただけですから。」
「そうそう、京太郎君が勝手にやっただけだよね。」
お互いがお互いのフォローをしだした。
このままだと埒が明かないので私は提案をする。
「あ、じゃあ、私も手伝いますね。」
「いえ、監督である小鍛治様のお手を煩わせるなど……」
「健夜さんさっき自分で言っててそれかよ。」
「いいのいいの、乙女の心は移ろいやすいものだから。」
「それと最近料理の腕が上がらなくなってきたから教わらないとね。」
ここで料理を作っておかないと女子力が下がるとすこやんアンテナが受信した。
そして三人で追加の料理を作ることに。
しかし執事さんの腕は本物である。
京太郎君と私が手伝うほどがないほどに。
なので各々作ることにしたけど私たちは執事さんにアドバイスを貰いまくっていた。
漸く完成した料理を旅館の料理とともに運んで行く。
一品だけ明らかにクオリティが違う料理。
出された料理の中では間違いなくトップだけど周りの料理から浮いている感じはしない。
むしろ和食が並ぶ中、京太郎君が作ったタコスだけが浮いている。
クオリティで一番低いのは私と京太郎君の煮物と天ぷらだけどタコスが目を引いてるので気にならないだろう。
料理が運び終わると執事さんが目の前から消えた。
一瞬にして消えた、文字通り。
執事ってすごい、改めてそう思った。
ご飯を食べ終わると腹ごなしに卓球を打つことに。
京太郎君と片岡さん、宮永姉妹、染谷さんと私で打っていた。
京太郎君は長い手足を使って上手く拾っていく。
片岡さんは勢いだけで打っている。
宮永姉妹は言わなくてもわかるね。
染谷さんは運動神経がよろしくない私のレベルに合わせてピンポンをしてくれていた。
最初は清澄だけで打っていたんだけど途中からあれよあれよと人が増えていく。
気づいたら龍門渕選手と京太郎君が本気の卓球をしていてギャラリーは賑わっていた。
白熱した両者の試合が終わった後お互いの健闘を称えて握手をしている。
そのあとは天江選手や照ちゃんも交えて楽しくダブルスをしていた。
君たち麻雀打ってるときより賑わってるね。
いや麻雀は五月蝿くしたら駄目だけどさ。
そして夜も深くなり、私は今、久保さんや藤田さんとお酒を飲んでいる。
隣にはおつまみを用意した京太郎君に絡みながら。
「どうぞ、お酒の肴に。」
「いや、悪いな。」
「それにしても須賀は結構手際がいいな。」
「さっきハギヨシさんに色々教わったんですよ。」
「それにお酒のつまみとかよく作ってましたし。」
「ん? 親とかにか?」
「いえ、健夜さんにですよ。」
「普段小鍛治プロはしっかりしてる印象だったが意外だな。」
「だってこの人酒入った途端面倒臭がりになるんですもん。」
「普段はまぁしっかりしてますし、俺が小さいころも健夜さんにご飯作ってもらってましたけど。」
「素は結構そういう気がありますね。」
仕方ない、仕方ないよ。
私はこっちに来るまでおんぶに抱っこの干物女だったし。
しかし干物女三人が集まって干物を食べてる様は実にシュールだ。
まさに共食い。
お酒片手の久保さんが質問をする。
「須賀、今日の合宿はどうだった?」
「えっと、色んなタイプの人と打てて楽しかったですよ。」
「久しぶりに会えた人も居ますし。」
「うちの福路のことか。」
「ええ、同じ中学だったんです。」
「う~ん、福路はな……」
「面倒見も腕も良いんだが教えるのは向いてないのかもしれない。」
「え、そうですか?」
「教えるのは上手いんだがいかんせん優し過ぎると言うか甘いと言うか。」
「面と向かって欠点を言う厳しさが足りないから一人では教えるのは向かないな。」
何となく久保さんが言いたいことがわかる。
福路さんは人が傷付くのを怖がっている節があるから。
それは多分自分の過去にも起因しているものなんだろうけど。
私のように時には厳しく指摘しないといけないこともあるだろう。
しかし久保さん福路さんが卒業したらどうするんだろ?
福路さんが飴役だったのに対して久保さんは鞭役。
飴と鞭を使い分けるようにするのかな?
今度は藤田さんが質問してくる。
「京太郎、私や小鍛治さんと打ってどうだった?」
「いつも通りですね。」
「というか藤田さんとは割と打ってるじゃないですか。」
「たまには別の人とも打ってみたかったんで久保コーチと打てたのはラッキーです。」
「おー? 私と小鍛治さんじゃ不満かー?」
「須賀は普段小鍛治プロと打ってるのに贅沢だなー。」
そう言いながら京太郎君に藤田さんが絡む。
久保さんもそれに便乗する。
多分藤田さんはこういう答えがくるとわかっていて質問したのだろう。
結構意地悪だね。
「いやいや、そういうわけじゃないですけど俺たちいつも打ってるじゃないですか。」
「だから今回は別のプロとか来るかなー? って。」
「健夜さんはそういう繋がりないんですか?」
「んー?」
「大体のプロとは連絡交換したよ。」
「今でも連絡は取ってるし。」
「じゃあ何でまた……」
「先生として適正な人が居なかったんだよ。」
「単純に都合がつかなかったってのもあるけど。」
いやだってさ、生ケツはやりプロ(28)は結構キツイって。
九州プロ二人はまともに喋らないし。
三尋木プロはバレるかもだから絶対呼べない。
あとは赤土さんくらいだけど遠い。
そのあとも色々と麻雀関係の話題をしていたが唐突に藤田さんが話題を変えてくる。
「そういえば京太郎のロリコン疑惑はどうなった。」
「え? どういうことですか?」
京太郎君にとってはまさに青天の霹靂と言わんばかりの話題。
というか藤田さんのキラーパス。
話の意味がわかってない京太郎君に久保さんが補足をする。
「いやな、須賀が天江衣や片岡優希を侍らかして居るからロリコンなんじゃないかと疑われているわけだ。」
「侍らかしてなんか居ないですよ。」
「それに俺はちゃんと好みのタイプが居るんです。」
「ほー、どんなタイプだ?」
「家庭的な人です。」
「あとどこか放っておけないタイプもそうかもしれないですね。」
「ふむふむ、確かに天江や片岡にはなさそうなものだな。」
京太郎君、タイプの女性の中に胸の大きいという項目を敢えて言わなかったね。
まぁ、女しか居ない場所で「胸が大きいのが好きです」なんて言わないだろうけど。
更に弄る為か藤田さんが聞いてくる。
「じゃあ京太郎、この中で付き合えるとしたら誰がいい?」
これは京太郎君がどう答えても弄られる質問だ。
さあどう躱す?
だが思ったより早く京太郎君は答えを出した。
「健夜さんです。」
「はぇ?」
京太郎君からの不意のキラーパス。
指されるとは思わなかった私は変な声を出した。
「ほっほーう、小鍛治さんが好きとな。」
「ええ、俺は好きですよ、健夜さんが。」
「あはは、京太郎君口が上手いねー。」
「私たち完全に手玉に取られそうじゃないですか。」
みんな笑っていたし私も笑って誤魔化したが内心ビビリまくりですよ。
か、勘違いさせないでよね! 普段お世話になってるから姉みたいなものとして好きとかそういう意味なんだからね!
そんな言葉を貰って喜ぶのは小娘とモテないアラサー独身女ぐらいだからね!
ツンもデレも需要がないアラサーです。
宴も酣(たけなわ)になったので各々部屋に引っ込んでいった。
私たちも明日に備えて寝ることにする。
私は酔った頭で目覚まし時計を弄りながら京太郎君に聞く。
「『起こすの』何時にする?」
「ええっと……何で俺に聞くんですか?」
「私は先生だけど遅くまで寝る所存だよ。」
「それに京太郎君の方が起きるの早そうだから。」
「確かに明日はハギヨシさんの手伝いをしようと思ってましたけど……」
「だから『起こすの』は6時前でいいですよ。」
「早いね。」
「色々あるんで。」
そういえば前にこーこちゃんが泊まったときがあったんだけど。
そのときは『起こすの』では通じなかった。
京太郎君には通じるのは私の教育による賜物だね。
こーこちゃんはツボにはまって笑っていたけど京太郎君は笑わない。
ふと気になることがあったので京太郎君に言ってみる。
「そういえば執事さんってどこで寝てるんだろうね?」
「別に部屋を取ってるんじゃないですかね?」
「……案外パジャマにナイトキャップ被って寝てたりして。」
「ごふ……ふはは、やめてくださいよ、想像しちゃったじゃないですか。」
あの完璧執事さんがパジャマを着てその上可愛らしいナイトキャップを被って寝ている所を想像したらシュールだった。
そして私たちはいつの間にか眠りに落ちていった。
今日?はここまで
ハギヨシって寝てるんでしょうかね?
がんばって投下したい所存
明くる朝、気が付くと京太郎君は既に着替えていた。
寝ぼけ眼の私に気づいた京太郎君が声を抑えて申し訳なさそうに言う。
「すみません、起こしちゃいました?」
「ううん……そんなことないよ。」
「これから執事さんのところに行くんだっけ?」
「ええ、練習に付き合ってくれる皆の為に何かしておきたいので。」
「私も支度したら行くから先行ってて……」
「はい、無理しないでくださいね。」
そういうと京太郎君は部屋を出て行った。
私も顔を洗い着替えると厨房に向かう事にした。
私が厨房に行き着くと既に二人はテキパキと動いて朝食を用意していた。
思っていたより軽食用の朝御飯が出来た。
しかしちゃんと昼までお腹が持つようなものである。
執事レシピのレパートリーは底が知れない。
旅館が出す朝食に紛れさせて皆が集まる広間に運ぶ。
数人は既に集まっており、そのほかの数名は未だに起きているのか寝ているのかわからない状態だった。
藤田さんはまだ寝ているのかもしれないが久保さんはしっかりピシッと起きている。
昨日久保さん結構飲んでたよね……
服装も何とも言えない状態だ。
風越と龍門渕は天江選手以外はちゃんと身嗜みを整えているが、鶴賀は若干危うい。
清澄到っては染谷さん以外は全滅、もう少し君たちは男の人の目を意識するべき。
じゃないと女子力が下がります。
というか普段異性の目がある共学より女子高の方がちゃんとしてるってどういうことだろう。
まぁ今回来た女子高はお嬢様校だしそれに久保さんとかしっかりした大人も居るからちゃんとしているのかもしれないけど。
……何か清澄の顧問である私が恥ずかしくなってきた。
起きてきた藤田さんを加え朝食をとり終わった後、片岡さんが京太郎君に不遜な態度でお願いをする。
「おい京太郎、タコスを用意しろ。」
「タコスがないと練習がままならないじぇ。」
「ったくしょうがねぇな、いくつだ?」
「15個ほどあれば大丈夫だじぇ。」
「わかったよ。」
「京ちゃん、甘いもの欲しい。」
「クレープで良いか?」
「ん。」
照ちゃんと片岡さんのお願いを受けて再び厨房に向かう京太郎君。
君はすっかり世話焼き体質になってしまったね。
暫くすると二人の来訪者が現れる。
「こんにちは! 優希先輩!」
「お久しぶりです。」
「おー! ムロマホ!」
どうやら片岡さんの後輩だったようだ。
片方はリボンをつけた可愛らしい少女とおかっぱ頭のコンビだった。
そこにちょうどよくやってきた京太郎君が疑問符を頭に浮かべて聞いてきた。
「健夜さん、あの子達誰?」
「片岡さんの後輩だって。」
「ふーん。」
京太郎君が気の抜けた相槌を打つとリボンの子がこっちを見た。
私たちと目が合うとこっちに近付いてきて挨拶をしてくる。
「こんにちは、須賀京太郎先輩に小鍛治健夜プロですよね?」
「こんにちは、世界一位の女小鍛治健夜です。」
「あ、ああ、確かに俺が須賀京太郎だけど。」
「俺たちどこかであったっけ?」
「いえ、須賀先輩のインターハイとインターミドルの個人を見ていたんです。」
「ああ、なるほどね。」
「俺の事知ってるなんて意外だな。」
「てっきり俺は無名だとばかり。」
「そんなことありません! 確かに今男子はぱっとしませんが須賀先輩の活躍はすごかったですよ!」
「お、おう。」
あの京太郎君が勢いに負けてたじたじである。
リボンの子はその後も語り出すが痺れを切らした片岡さんが口を挟んできた。
「おい! 京太郎!」
「タコスはどうした!」
「何そんなにキレてんだよ……」
「ちゃんと用意してきたぞ。」
「それは須賀先輩が作ったタコスですか?」
「ああ、優希にせがまれてな。」
「おいしそう……」
「あ、すみませんマホったら……」
「ん~……」
京太郎君が少し考えている。
だが数えたところでタコスは15しかないように見える。
間が空き、何か思いついたらしい京太郎君は口を開いた。
「えっと……そういえば君の名前聞いてなかった。」
「はぅ!? すいませんマホったら自己紹介もまだでした!」
「高遠原中学二年の夢乃マホです! 優希先輩の後輩です!」
「そっか、じゃあ夢乃さん、今俺は15個しかタコスを持ってないんだ。」
「優希が15用意してくれと言って来たからな。」
「そうですよね……」
目に見えて落ち込む夢乃さん。
だけど京太郎君は続ける。
「でももしかしたらタコスが増えるかもしれないからちょっと夢乃さんは祈っててくれないか?」
「はぇ? タコスって増えるんですか?」
「運がよければな。」
「じゃあマホは増えるのを祈ってます!」
「京太郎ー! タコスー!」
「俺はタコスじゃねぇって。」
「慌てなくてもちゃんと作ってやったから。」
そう言って京太郎君は片岡さんにタコスを渡そうとした。
だがその前に京太郎君があることを言い出す。
「優希、タコスがちゃんとあるか数えてくれないか?」
「何せ量が量だから数え間違いがあるかもしれない。」
「わかったじょ。」
京太郎君がそう言って片岡さんにタコスを渡しながら数を数えていく。
「1、2、3、4、5、6、7、8、9……」
「おっと、優希、今何時だ?」
「? 10時だじょ。」
「おう、ありがとう、11、12、13、14、15個。」
「ちょうどだな。」
「よし! タコス十五個貰ったじぇ!」
「これでタコスパワーフルチャージ!」
タコスを受け取った片岡さんが雀卓に向かっていった。
そして京太郎君は照ちゃんにクレープを渡した後、夢乃さんにタコスを渡す。
「ほい、夢乃さん。」
「増えてます! 須賀先輩って魔法使いなんですね!」
「マジシャンならそこにいるよ。」
「確かに僕はマジックは得意だけど……須賀君はマジシャンの逆位置に居ると思うな。」
「まさか古典落語で食べ物を増やすとはな、きょーたろの手口は見ていて愉快だったな。」
「こりゃ優希の算数の勉強増やさんといけんのう。」
トリックに気付いた何人かは笑いをこらえて口々に言う。
だまされた片岡さんは気付いていないようだった。
確かに国広選手が言うようにマジシャンとは逆位置に居るかもしれないね。
何せ天江選手が言ったように古典落語の滑稽話だったから。
そしてそれから京太郎君は三度厨房に引っ込んでいく。
戻ってきた京太郎君の手にはたくさんのタコスとクレープが抱えられていた。
それを皆に配っている。
君はもうちょっと自分の為に時間を割くべきだよ。
それから少し経って片岡さんが京太郎君に文句を言い始めた。
今更気付いたか。
だがそこを見越しての追加タコス。
ついでに夢乃さんにも上げていた。
それからは先輩後輩のことに関して室橋さんに謝られながら夢乃さんに懐かれている京太郎君。
片岡さん、天江選手、夢乃さんに懐かれて何回か卓を囲んでいた。
やはり集まるロリコン疑惑の目線。
京太郎君は報われないね。
それから更に暫くして池田選手、照ちゃんが入った卓でトラッシュトーク染みた事が始まった。
「宮永照はなんで須賀と仲がいいんだし。」
「小さい頃からの付き合いだから。」
「キャプテンとも仲がいいな。」
「美穂子とは同じ中学。」
「それとライバル。」
「ふふん、キャプテンとライバルなんておかしいし。」
「麻雀の腕はともかく女としてはダメダメだな。」
「そんな風にお菓子ばかり食べてるから女として成長しないんだし。」
「ご飯は食べてる、お菓子は別腹。」
「そんな事言ってるから胸が……」
「胸」という単語が出てきた瞬間ビシッと空気が固まる音がした。
あ。
確か照ちゃんの禁句だ。
「おい、そこの駄猫。」
「それ以上言ったら頭ホールドした上でコークスクリューする。」
「そんなことされたら華菜ちゃんの首が捩じ切れちゃうし!」
あーあ、怒らせちゃった。
所謂世紀末麻雀開催です。
池田選手は多分京太郎君と福路さんに関して照ちゃんに嫉妬してたんだろうけどおイタが過ぎたね。
あっという間に池田選手はトばされてしまいましたとさ。
そのあとトばされて凹んだ池田選手は京太郎君に慰められて復活した後、ジェラシーストームを発動した照ちゃんに再びトばされていた。
ああ、池田ァ……自業自得な部分もあるけど不憫だな池田ァ……
年末故今日はここまで
嘘ネタ
体は砂糖で出来ている
I am the bone of my sugar.
血潮はチョコで心は飴
Chocolate is my body,and candy is my blood.
幾たびの戦場を越えて不敗
I have created over a thousand sweets.
ただ一度の妥協もなく、
Unaware of compromise.
ただ一度の勝利もなし
Nor aware of gain.
担い手はここに独り
Withstood pain to create sweet,
お菓子の丘でクッキーを焼く
waiting for one's arrival.
ならば我が生涯に意味は不要ず
I have no regrets.This is the only path.
この体は、
My whole life was
無限のお菓子で出来ていた
"unlimited sweet works"
照「京ちゃんからお菓子の匂いがする」
嘘ネタあらすじ
某テレビ局にとある三人の麻雀士が呼ばれた。
宮永咲、宮永照、天江衣の三名だ。
テレビ局のプロデューサーが告げる。
「企画で麻雀を打ってもらうんだけど一般レベルの打ち手で三人の知り合いを呼んで欲しい。」
そして候補に挙がったのは須賀京太郎の名前だった。
何も知らずにハギヨシに騙されてのこのこやってくる京太郎。
ただしその部屋に一度入ると条件を達成するまで全員出られない。
京太郎は果たして無事条件をクリアできるだろうか……
【京太郎「限界チャレンジ!」照「役満和了るまで帰れま10」】
本当はこのSSが年末あたりまでに終了してるつもりで
そのあと阿知ポチャレンジ企画をVIPあたりに投稿してる予定だったんだけど見通しが甘かった
練習が一段落して、藤田さんが京太郎君にこんな事を言い出した。
「京太郎、相変わらずロリコン疑惑かけられてるのか。」
「俺のタイプとは違うんですけどね。」
「京太郎が好きなのは大人の女だったな。」
「久保さん、どうしてそうなるんですか。」
「昨日の話だろ。」
そう言いながら混ざった久保さん藤田さんは笑っていた。
数名がスッと立ち上がって抜かす。
「須賀のやつ、そんなに華菜ちゃんにメロメロなのか。」
「参ったな、きょーたろは衣の大人の魅力に酔ってしまったか。」
「全く仕方ない犬だじぇ、私の色気に発情するなんて躾が必要だな。」
貴女達じゃないから座ってなさい。
それとももしかしてツッコミ待ち?
「マホはこれからです!」
「私もこれからだもん。」
「私もこれからこれから。」
夢乃さんはわからないけど宮永姉妹は諦めなさい。
京太郎君はなんだかんだ言って胸で判断する子じゃないから。
夕食も例の如く追加した私達の一品料理が紛れ込む。
今日は合宿最後の夕食なので私達の追加料理もこれで最後だろう。
そう思いつつ敢えて黙っていたのを天江選手がこういう。
「やはりハギヨシの料理は美味しい。」
「ああ、やっぱりこれはヨッシーが作ったのか。」
「ヨッシーってあの執事さんのことか?」
「でも純君ぐらいだよ、ハギヨシさんのことヨッシーって言うのは。」
「僕達はハギヨシさんって言ってるのにね。」
「だがこの二つの料理がわからない。」
「ハギヨシとも旅館の料理とも違う。」
天江選手の言葉に反応して私と京太郎君はそろっと手を上げた。
それを見た天江選手は何故か納得した顔をする。
「やはりか、きょーたろは度々姿を晦ませていたからな。」
「私は小鍛治プロの手料理を食べていたんだ……」
「これがあの男の料理っすか……女として複雑っす……」
「ああ、敗北とはこんな感じなのか……」
何故かネタばらししたことによって色々な反応が返ってきた。
津山選手は何故か私の作った料理よく食べていた。
そんなにありがたいものなのかな?
あと女子諸君、京太郎君に女子力で負けた気分はどうかね?
一部を除いた女子は多分京太郎君に歯が立たないと思うけど。
方や女子力皆無の照、方や女子力高い池田ァ、妹は居るのにこの差はどこで付いたのか
ちょっと筆が進まないので今日はここまで
あけましておめでとうございます
そういえば太陽スレ立ててからちょうど一年ですね
だからどうということはありませんが
今月か来月中に完結できるように心掛けたい
夜も深くなり私は京太郎君とともに特訓をしていた。
よりオカルトを器用に使う為に。
途中天江選手が私達の下へやってくる。
しかしその表情は少し悲しそうだった。
だけど直ぐ様表情を戻して天江選手は進言してきた。
「尚も鍛錬しているのか。」
「ええ、俺はまだ未熟だし倒したい相手が居るので。」
「そうか、きょーたろでも勝てぬ相手がいるのか。」
「衣も手を貸すか?」
「本当ですか? 是非お願いします。」
「うむ。」
「私も打ちますわ、まだ借りが返せていませんもの。」
そう言ったのは龍門渕選手だった。
およそ天江選手を探しにきたのだろう。
面子が四人なら普通に打てばいい。
そうして暫く打っているうちに場に水が溢れて来た。
私はどうということはないけど京太郎君にとっては相性が最悪なのでいい縛りになるだろう。
今使えるのは弱体化した火の鳥と鉄火の鳥。
地の力が違うので普通に和了っているけど普通の子だったら気が滅入ると思う。
打っている途中私は京太郎君にちょくちょく嫌がらせをしていた(もちろん麻雀的な意味で。)がそれを何とか潜ってプラス収支で終わる。
相性が悪いので結局手抜きをしていたはずの私がトップである。
龍門渕選手到ってはわかりやすいくらい悔しがっていた。
打っているときは嬉々としていた天江選手がその表情に陰りを落としている。
私は少し気になり天江選手を観察していると本人から提案を出された。
「小鍛治プロ、少し外で衣と話をしないか。」
「うん、いいよ。」
「二人とも、ちょっと席を外すね。」
私達は京太郎君と龍門渕選手に告げたあと、外に出てベンチに着いた。
天江選手が月を見ながら口を開く。
「閨秀と名高い小鍛治プロと打てるとは、衣は稀有な体験をしたな。」
「そこまででもないと思うんだけどね。」
「聞くにきょーたろは小鍛治プロと日夜打っていると耳に挟んだ。」
「きょーたろは果報者であると同時に不幸にも思える。」
「不幸? どうしてそう思うの?」
「衣は閉ざされた世界から出たおかげで莫逆の友を得、知見を広めることが出来た。」
「宮永姉妹は近くに強いものが居る。」
「およそ好敵手と言える者も。」
「だがきょーたろはちがう。」
「今の男子に女子ほどの力量がない。」
「きょーたろには同性の好敵手も莫逆の友も居ないように思える。」
「でも京太郎君には宮永姉妹が居るよ。」
「確かにそうだ。」
「だが歳が近い、力も拮抗しているとはいえ、やはり男女の隔たりは大きい。」
「歳月を経て重みも増せば釣り合う者も現れるかもしれないが、それだと今度は歳の隔たりが生まれる。」
「きょーたろは何も知らないまま強くなりすぎた。」
「きっとこれからもきょーたろに釣り合う男は現れないだろう。」
「きょーたろはどうしようもなく孤独だ。」
「まるでかつての衣のように。」
「だから衣は、そんなきょーたろを放っては置けない。」
強さがなければ孤独になる。
だけど強すぎても孤独になる。
そんなこと、誰よりも私が知っているくせに。
強くなりすぎて、孤独になったら、麻雀から去っていってしまうかもしれない。
だから氷見木太郎なんて偽者を、居もしない幻像まで作ったのに……
……私、何やってるんだろうね。
おかしなことをしているとはわかっているのに止められない。
きっと私も彼もそのまま突き進んでしまう。
それが例え私がかつて歩いた道と同じだとしても。
「ただ、きょーたろが現状を幸せだと思えるのなら衣は何も言うことはない。」
「自分の人生を幸せかどうかを判断するのはきょーたろ自身だから。」
正しい道なのかどうかは私では決められない。
途中まで押し付けたのは私でも、決めるのは彼自身だ。
天江選手がベンチから降りて口を開いた。
「このような眠れぬ夜には透華が読んでくれる絵本に限る。」
「小鍛治プロもたまにはしてみるといい。」
「きょーたろが眠れぬ夜を迎えたなら読み聞かせてみるといい。」
「特に『2ぶんの1かいしんだねこ』は秀逸だぞ。」
「京太郎君はもう絵本は卒業しちゃったんじゃないかな。」
「そうか、それは残念だ。」
「とても良い物なのに。」
「そんなに好きなんだ……ねぇ、どんな内容なの?」
私は少し気になって絵本の内容を聞いてみた。
天江選手は嬉しそうに語ってくれる。
――――――――――――――――――――
猫の前には小さな箱がありました
箱の中に入るとパタリと音を立ててふたが閉まってしまいました
あわてて中からふたを押しましたが開きません
どこからか声が聞こえました
猫よ、お前の入ったその箱は上から石の重りを載せて開かないようにしてある
猫は驚いて言いました――
――――――――――――――――――――
これが天江選手から聞いた『2ぶんの1かいしんだねこ』の話である。
いつもそこまで聞いてはいつの間にか寝てしまうとのこと。
およそ『シュレディンガーの猫』と『100万回死んだねこ』の話が組み合わさった話だろう。
『100万回死んだねこ』とは何度も転生する猫の話でどの飼い主に飼われても好きになれなかった猫が野良猫になる。
やがて一匹の猫に惚れて番(つがい)となり子を成すと番の猫が死ぬ。
悲しみに暮れていると自分もやがて死ぬとやっと輪廻から外れたという話だ。
死んだはずなのにやっと開放された事によってめでたしめでたしという不思議な話。
私は一体いつになったら開放されるのだろうか。
私が猫と同様に百万回も人生を繰り返すだとしたら狂ってしまうかも知れない。
いや、もしかしたら既に狂っているのかも。
一度入り込んだ迷宮から抜け出せない私。
その起源はあの時起こった事件。
彼を初めて失った悲しみの傷。
きっと私は未だに癒えない傷を抱えて動けないままで居る。
まるで縛り付ける呪縛の鎖のように。
天江選手を送ったあと、京太郎君を拾って部屋に戻る。
今日で最後の合宿、明日には皆帰らないといけない。
京太郎君は何か得られただろうか?
今日はここまで
このスレを終わらせる年齢を考えている途中
京太郎が一年生か若しくは卒業までか、それともプロになるまでか
京ちゃんコラ作ろうとした結果
http://i.imgur.com/twZ9MHv.jpg
ちょっとだけ投下
朝が来て、隣に居る京太郎君を寝顔を眺めながら起きた。
彼がまだ寝ているということは意外と早く起きてしまったようだ。
私は京太郎君を起こさないように身支度をして着替えると彼は目を覚ました。
「おはようございます……」
「おはよう。」
「早いですね。」
「何か早く起きちゃってね。」
京太郎君が体を起こして身支度をし始める。
それが終わると合宿最後の朝食を作るために厨房へと向かった。
だがそこには執事さんだけではなく他の子も会している。
一体なんぞとも思ったが割りと普通の理由を聞かされた。
何でも「世話になってばかりは申し訳ない。」だの。
「執事さんから料理を学んでおきたくて。」とか。
「女として負けたくはない。」というものもあった。
龍門渕は井上選手が一番料理の手際がよかった。
風越は福路さんの独壇場。
鶴賀は蒲原選手が意外にも上手い。
清澄は咲ちゃんが得意料理の肉じゃが(ちゃんと肉もじゃが芋も入っている。)を作り。
染谷さんは朝は軽く済ませられるようなものを作っていた。
照ちゃんは隣でポリポリポリポリお菓子を食べ、片岡さんは京太郎君にタコスを作らせて食べていた。
竹井さんは何故か食品サンプルを持ってこようとしている。
もしかして料理下手かな?
そのあと皆で朝食を取るとお別れの挨拶をして各自帰宅することになった。
その際京太郎君が仲良くなった子から連絡先を貰っていた(主に胸の小さな子)
私たちも荷物と部員を乗せて帰宅することに。
一度学校に寄った後、竹井さんと染谷さんが学校で降りて分かれる。
次に片岡さんを送り、その次に宮永姉妹を送る。
最後に我が家に帰って合宿終了。
やっと一段落と言った所だろうか。
ほら昔から言うよね、家に着くまで合宿ですって。
家に着いたのが昼前だったのでそのまま須賀家にて昼食を取ることに。
長旅の運転だったので京太郎君が昼食を作ってくれることになった。
私はというと居間でのんびりしている。
勝手知ったる須賀家で我が物顔しながら部屋を見渡すとあるものに目が行く。
私の目に留まったのは一つのアルバムだった。
京太郎君に聞いて閲覧の許可を貰う。
アルバムには京太郎君と私や須賀さんが写っている物が多かった。
割と最近までの物も多い。
ページを捲って行くと京太郎君が中学生の頃、小学生の頃、幼稚園の頃とどんどん遡って行く。
そして京太郎君が幼児くらいの頃に差し掛かった頃、そこには幼児の京太郎君を抱えている女性が写っていた。
傍らには須賀さんが写っている事もある。
正に幸せそうな家族といったところか。
更に遡ると京太郎君の両親の写真になって行く。
夫婦の写真、須賀さんが同僚の人と写っている写真。
果ては須賀さんが消防士になりたての頃の写真など。
更に遡ると個別の写真が入っていた。
多分結婚する前の写真だろう。
付き合ってる頃より前の写真。
須賀さんが大学生や高校生の頃の写真も入っていた。
そしてそれは京太郎君の母親の写真も。
私は京太郎君の母親が高校生の頃の写真を見て眉を顰めた。
どこかで見たことがある。
思い出して思い起こして掘り返して記憶を整理する。
あともう少しで思い出せそうだ。
そしてやっと辿り着いた記憶。
そこで気が付いた一つの答え。
京太郎君のお母さんって……もしかして……
しかし私が知っている彼女とは明らかに年齢が違う。
もしかしてこの世界での彼女は私よりもっと前に生まれていた?
そうじゃないと京太郎君は産めないはずだ。
彼を産むには年齢が足りないのだから。
「……やさん、健夜さん、健夜さん!」
「え?」
「さっきから呼んでたのに……」
不意に思考の世界から現実に戻される。
私が考えを纏めている内に京太郎君が昼食を用意して何度か声をかけてくれていたようだ。
「あ、ごめんね、ちょっと考え事してて……」
「それよりご飯食べよっか。」
私は謝って京太郎君の手料理を食べることにした。
食べてる途中、京太郎君の母親に関して情報を模索しようとも思ったがやめた。
既にこの世にいない彼女のことを知ってどうなるというのだろうか。
私は彼女の正体がわかったのでそれ以上彼女のことについて調べないことにした。
それからインターハイ全国までの間に猛特訓をする。
主に片岡さんと染谷さんと竹井さんの三人を重点的に。
京太郎君達はうちのチームの暇な後輩等を宛がわせて置いた。
藤田さん頑張れ。
やることがあるときは月日が経つのが早く感じる。
待ちわびる日は長く、過ぎ去る日は短い。
アインシュタインの相対性理論の例えはよく言ったものだ。
気が付くとあっという間に全国が迫っていた。
私は東京の会場近くのところに宿泊施設を予約して皆で出立することに。
途中宮永姉妹が行方不明になりかけたり、片岡さんがタコスがないとぐずったり。
照ちゃんも便乗してお菓子を要求してきたりで全国舞台への緊張感なんて微塵も感じさせない。
大丈夫かな、このチーム。
今度からこのチーム清澄のことを豚汁と呼ぼう。
咲ちゃんの得意料理が豚汁だったはずだし。
各部員を具材で例えるなら……
まぁいいや、そこは。
一旦休憩
ネットと幽霊で和が「そう囁くんです、私のゴーストが。」ってのを思いついた
サイコパスの画像を弄っていたせいだろうけど
和が母親ってシチュもいい、妄想が膨らむ
誰か流行らせてくれないかなイチャイチャではない母性あふれるSS
インハイの抽選で一悶着。
豚汁内で誰が抽選に行くかで揉めた。
というか竹井さんがごねた。
「ああ~緊張してきた……」
「落ち着いてください部長。」
「だって私全国なんて初めてだもの。」
「……そうだ!」
「誰か私の代わりに行って来てくれない?」
「咲なんて籤運よさそうだし、どう?」
「え~……」
「咲に行かせないでくださいよ部長。」
「探す破目になるの俺なんですから。」
「だって私籤運ないもの! そうだ! 照が行ってよ!」
「久が部長、久が行くべき。」
「まぁ久が行くべきじゃろうな。」
「まこまで……行く気ない?」
「このカバチタレ、さっさと腹括れ。」
「だってー……」
さっきからこんな感じで竹井さんが駄々をこねている。
結局竹井さんが行くしかないんだけどね。
あんまりにも緊張してるので誰か付いていってあげようか? と聞いたら
「宮永姉妹と同じみたいで嫌。」と宣っていた。
この子も大概めんどくさいなぁ……
抽選会で竹井さんが動く。
まるで今にもギコギコと音がしそうなくらい緊張して固まっている。
清澄が抽選をする番になり呼ばれる。
引いた場所はBブロック上の方。
つまりインターハイ三日目に清澄の出番が来る。
三日目まで何をしてようか。
しかし竹井さんが抽選を引いた瞬間、会場の一部がどよめいた気がする。
ただの気のせいかな?
インターハイ初日。
東京に来たけど仕事しなくていいのは楽だなぁ。
いや解説の仕事がないのが嬉しいだけで先生の仕事はするけどさ。
とりあえず調整は必要ないだろうし打ちたいなら部内で打てばいいし。
私はゴロンとベッドで寝転んでいます。
そうそう、部屋割りなんだけど前回と一緒です。
京太郎君は私と同じ部屋。
女子部員はまとめて同じ部屋。
京太郎君に関しては個室を与えてもよかったんだけどそれだと寂しいから。
あと私が動かなくても京太郎君が動いてくれるし。
ところでインターハイの団体戦をある程度キンクリしていいですか?
個人戦はある程度描写しますけど
インターハイ二日目、私はだらだらする。
途中皆でご飯食べに行ったけどそれ以外は私はだらけていた。
インターハイ三日目、照ちゃんが先鋒を務める全国初戦。
照ちゃんは各校から5万点ずつ削っていく。
続いて竹井さん、ピンポイントに弱いところを叩いて相手校トび終了。
結局片岡さんまで回らなかった。
インターハイ四日目、今日はだらだらする。
生徒は打ってたりお菓子食べてたり。
インターハイ五日目、今日はちょっと変えてだらだらする。
たまに私も入って打ったりタコス食べてたり。
インターハイ六日目。
今日は二回戦目で宮守、永水、姫松と当たる。
だが二回戦で軽い騒動が起きた。
先鋒戦、照ちゃんを送った京太郎君が食い入るようにモニターを見ていた。
京太郎君はモニターを見ながら頻りに「パネェ……」とつぶやく。
私が問いかけても……
「あの京太郎君?」
「パネェ……」
「……京ちゃん?」
「パネェ……」
「照さんと変わりたい……パネェ……」
咲ちゃんが何かに気付いたご様子。
咲ちゃんは京太郎君の隣に行くと無言無表情のまま頬をつねる。
しかも何故か宮永ホーンがピクピクしている。
そしてモニターの中では何かを受信した照ちゃんの表情に青筋が入った。
そのあと照ちゃんは大暴れ。
「一体照はどうしたのかしら。」
「何か怒っているようにも思えるのう。」
「パネェ……」
「タコスうまー。」
「パネェ……」
「…………」
咲ちゃんの無言の圧力と京太郎君の言語がパネェ……
じゃなくてやばい。
照ちゃんが各校を攻撃しまくって(特に永水)計100000点を奪ってきた。
京太郎君が迎えに行かずとも即座に帰ってきた照ちゃんは京太郎君の隣に直行した後、頬を抓る。
続いて次鋒、京太郎君のテンションが落ち込んでいる。
無言で無表情である。
時折つぶやいたと思ったら……
「がっかりだよ。」
京太郎君の頭の方ががっかりである。
続いて中堅戦。
京太郎君のテンションがニュートラルに戻った。
だがたまにおかしなことをつぶやく。
「俺、永水の子になる。」
京太郎君の頬が伸びていく。
宮永姉妹に両サイドから引っ張られて整った顔が台無しになっている。
確かに中堅戦は永水一強だった。
更に続いて副将戦。
服装がアメノウズメの如く危うい永水に京太郎君が言った。
「永水には失望した。」
「だけど宮守と姫松は評価しよう。」
「特に姫松。」
君は何様のつもりだい。
君の頭の中はどういう構造してるのか中を見てみたいよ。
いややっぱり見たくない、碌な物が入ってなさそうだ。
そして大将戦、更なる凄惨な事件が……
京太郎君が咲ちゃんを送った後即座に戻ってきて開口一番に言った言葉が……
「録画出来ますか!」
竹井さんは完全に何言ってんだこいつ? 状態だった。
大将戦が開始されて理由がわかる。
そして京太郎君の脇腹を片岡さんと照ちゃんがドスドスと両サイドから攻め立てる。
意にも介さぬ京太郎君がモニターに釘付けになりながら呟く。
「やばいよぉ……すごいよぉ……おおきいよぉ……」
最早それしか呟けないほどモニター内の魔力にやられていた。
よく見ると照ちゃんのホーンがピクピクしている。
やばい、咲ちゃんが受信している。
放送出来ない顔になってる。
女の子がしちゃいけない顔になってる。
今にも人を殺しかねない顔をしながら和了る。
特に永水を狙って。
そんな中更に火に油どころかナパームを投下するかのような所業が行われた。
「ツモ、1000・2000。」
「あ……」
永水が和了る。
手牌を晒す時、彼女は手を使わなかった。
短く漏れた声と同時にその無駄にでかい胸で手牌を全て倒してしまった。
その瞬間ビシビキミシィとおよそ人体から聞こえないであろう音が鳴った。
咲ちゃんの顔からすごい音が鳴った。
京太郎君はそんな音など聞こえなかったとばかりモニターに齧り付いて
「やばいよぉ……すごいよぉ……おおきいよぉ……」
としか言わない。
咲ちゃんの顔が般若より怖い顔になったあと一旦落ち着けて普通の表情に戻った。
そして次の瞬間何故かゴルゴ13みたいな顔をしている。
だから女の子がしていい顔じゃないって。
そのあとは蹂躙、蹂躙、永水を念入りに蹂躙。
最終的には永水をトばし、宮守を巻き込んで永水を舞台から落とした。
まったくもって嫌な事件だったね……
現在清澄の控え室がやばい空気ですが京太郎君以外には無害です。
現在清澄の控え室がやばい空気ですが京太郎君以外には無害です。
そのあと京太郎君が咲ちゃんを迎えに席を立ったかと思ったら……
「ちょっとトイレに行ってきます。」
「咲の事頼みます……」
そう言って京太郎君はトイレに行った。
サイテーだ。
何でこんな子に育っちゃったんだろう……
今日はここまで
いやぁ、永水女子は強敵でしたね
深刻なおもち不足による免疫力低下
+
すこやんが同室であることによって男子高校生が一週間の禁欲生活
+
永水によるビックバストアタック
投下頑張っていこう
第二回戦が終わり、京太郎君がトイレから戻ってきた後。
京太郎君は宮永姉妹と片岡さんから完全に袋叩きにされていた。
ぼっこぼこにされた彼があまりに哀れになったので……
「あ、あのさ、もう少し…こう……何というか…手心というか…」
流石にやりすぎかと思い少し止めようとしたら。
咲ちゃん曰く。
「痛くなければ覚えませぬ。」
だそうだ。
さて、次の試合は明後日になるから一応コンディション等を万全にしておかないと。
皆でご飯を食べたあと、ホテルに戻る。
ちなみに足が出た分の宿泊費は私の懐から出ています。
ホテルの一室に全員集合した後準決勝の為の対策会議を開いた。
私達は相手校の映像を見ながら判断していく。
まずは有珠山高校。
先鋒の本内成香の映像を見る。
周りの反応は……
「…………」
「大丈夫。」
どうやらお許しが出たようだ。
次、次鋒の桧森誓子。
「…………」
「OK。」
これも大丈夫なようだ。
次、中堅の岩館揺杏。
「…………」
「問題なし。」
これもセーフらしい。
次、副将の獅子原爽。
「…………」
「次行っていいです。」
では最後の大将、真屋由暉子に移ってみようか。
「…………!」
「ギルティ。」
静かに咲ちゃんがそう呟いた。
有珠山の真屋由暉子、死亡確定である。
実はこの会議の目的はどこを残すかの会議である。
遵ってどこを残すかどうかは個々人の完成や好みによるものが多い。
一体どこを残すか、宮永姉妹の基準はお察しだ。
姫松は今日、直に対戦しているので飛ばして臨海女子に移る。
まずは先鋒、辻垣内智葉。
「…………?」
「……怪しいけどまあいいかな。」
照ちゃんには何か違和感みたいなものを感じ取ったらしい。
だが敢えて流した。
では次鋒、?慧宇(ハオ・ホェイユー)。
「…………」
「へー、まぁいいんじゃないかしら。」
「ギルティ。」
「イエス、ギルティ。」
竹井さんは別に気にしてはいないが宮永姉妹は口を揃えて有罪だと言った。
どうやら宮永姉妹は潰したいらしい。
中堅、雀明華。
「…………」
「ギルティだじぇ。」
「ギルティ。」
「イエスギルティ。」
片岡さん、宮永姉妹から計3ギルティを頂きました。
相手が片岡さんでよかったね。
それでは副将のMegan Davin(メガン・ダヴァン)にいこう。
「…………」
「大丈夫です。」
あっさりめに許可が降りる。
最後のNelly Virsaladze(ネリー・ヴィルサラーゼ)。
「ノットギルティ。」
これで全員の吟味を終えた。
ここから決勝での相手校をどこにするか決める。
姫松は先鋒、副将にギルティ。
臨海は次鋒、中堅にギルティ、先鋒は保留。
有珠山は大将のみギルティ判定。
さて、どこを残すか。
結局中々決まらなかったので最終的には咲ちゃんに判断を委ねる事になった。
大将である咲ちゃんからの抱負を一言。
「巨乳は皆、惨たらしく殺します。」
なんとも言えない決意表明でした。
私は部屋に戻り、京太郎君のベッドの方を見ると本人はぐうすか寝ていた。
小さい頃と変わらず、かわいらしい寝顔である。
私も寝ようと思い、お手洗いに行く。
若干生臭かった。
そういえば男の人のアレって美容に良いって聞くけど本当かな。
生臭い原因をあまり考えないように別の方向に思考をずらしてお手洗いから出た。
オナ禁・誓いウォーカーが、一週間で暗黒面に堕ちました。
京太郎君がジェイク・ロイドのように変貌しなくてよかった思いながら私は寝た。
健夜「違う、私がお前の義母だ」
京太郎「うそだぁーーーーーー」
チャンチャンチャラランチャンチャンチャララン
その日、加治木選手が踊りながら「るんるんりる らんらんらら」を歌っている夢を見る。
かなりシュールレアリスムだった。
ちなみに夢の中の私は弓道部に所属していた。
目覚めると彼は既に起きていた。
時間は既に9時、私は二度寝を敢行する。
だって今日は休養日ですよ、お休みですよ、だらだらしていい日ですよ。
27歳の体を無理させたらいけないってのは最早世界の常識である。
だけど京太郎君は構わず起こしにくる。
わかったよ、わかった。
着替えるから、ちゃんと朝ご飯食べるから布団を剥がないで。
ここの冷房は私の年齢と同じくらいの温度設定なんだから寒いんだよ。
折角の休みなので何かすることにしたがいい案が浮かばない。
京太郎君が休みなんだし海を見に行きたいと言う。
長野は内陸だから海を見たことが無いからとの事。
確かに夏だし海に行きたいって気持ちはわかる。
だが宮永姉妹はそれを却下した。
「だめ、京ちゃんの目的は海じゃなくて水着。」
「だから京ちゃんは私と特打ち。」
「いやー! 白い砂浜が! 青い海が俺を待ってるのー!」
「大丈夫、こっちには白い牌と卓の海があるから。」
「そうだよ京ちゃん、なんだったら私は水着で打ってあげるよ。」
「おー水着で特打ちか? 京太郎には目の毒だじぇ。」
「私のナイスバディを見て発情するなよ?」
「イ・ラ・ネー。」
む……今永水女子と宮守女子が水着を着ている電波を受信した。
これはナイス回避と言える気がする。
調整をかねて対局をしていると来訪者が。
天江選手と龍門渕選手、それに国広選手も。
「きょーたろ! 衣が来たぞ!」
「失礼しますわ。」
「こんにちは……」
「……なんで水着で打ってるの?」
面々の格好を見て固まった国広選手。
確かに水着で麻雀なんてびっくりするだろうけど。
でも水着くらいの布面積の服装の国広選手には言われたくないだろうね。
しかしこの格好はすごい。
申し訳程度の布を着ている感じだ。
私だったら恥ずかしくて着れない。
お尻なんて下手したら丸見えじゃん。
これがNAGANO Style……時代を先取りしすぎだね。
流石ファッションモンスター……たまげたなぁ……
その後も福路さんや池田選手やらなんやらが来て適当に打っていた。
友達たくさんだね。
主にフラットな相手と京太郎君は打たされていた。
例外はあるけどね。
今日はここまで
THE・駄コラ↓
http://i.imgur.com/th5r8JH.jpg
乙ー
G0トラクターでも注文すればいいんですかねぇ
やばい、渋のアレ日和が面白い
寝る時間とかの調整してたら中々上手くいかない
投下しよう頑張ろう
三回戦当日、つまり準決勝に時は移る。
先鋒、照ちゃんが京太郎君に付き添われて対局室に向かう。
対局が始まると一局分待った後、鏡を出して狙う相手を決める。
およそ鏡が出たときだろうか、照ちゃんの顔に青筋が走る。
何があったのか、臨海と姫松を交互に直撃させていく。
照ちゃんの鬼気迫る迫力に負けて相手の三校は動けないままだった。
「意外ね、照が臨海を攻撃するなんて。」
「確かに、臨海の先鋒は胸が大きいって感じがしないじぇ。」
暫くすると姫松と臨海から五万点ずつ奪って帰ってきた照ちゃんが言った。
「あいつは裏切り者、サラシを捲いてまで胸を小さくしていた。」
「こっち側の人間だと思ったのに……」
どうにも許せないことだったようだった。
そのまま次鋒、中堅、副将戦と続いていく。
こっちの被害はゼロ。
二位との点数差は130000点弱だった。
そして迎える大将戦、咲ちゃんにとってのギルティは誰だろうか。
これより咲ちゃん裁判長による判決が下る。
始まる大将戦、咲ちゃんは臨海と姫松を狙っている。
どうにも咲ちゃんは有珠山を残す気の様だ。
意外だ、末原選手とネリー選手はお世辞にも胸があるとは言えない体系なのに。
それに対して真屋選手はかなり大きい、貧乳とは対極の位置にいる存在。
どうにも腑に落ちない。
大将戦はあっさりと終わり、結果として有珠山は残り、姫松と臨海女子は敗退。
末原選手がカタカタ震えていた気がするのは気のせいか。
その後、咲ちゃんは京太郎君の送迎で戻ってきた。
戻ってきた咲ちゃんが開口一番に発した言葉はこうだった。
「明日は決勝だからちゃんと対策会議をしておきましょう。」
「それもそうだね。」
照ちゃんが白々しく答えて対策会議開始される。
京太郎君は買出しと言う名目で席を外させました。
流石にこの会議は彼に見せるわけにはいかない。
決勝で当たる対戦校の資料を皆に回す。
千里山女子と新道寺女子だ。
そこで私はあることに気付く。
あれ? 対戦校に白糸台と阿知賀がいない……どういうことだろう……
白糸台は照ちゃんがいなくて勝てなかったってこと?
そういえば清澄には本来居るべき選手が居ない。
照ちゃんの代わりに出るべきだった選手。
それは清澄の副将のはずだった原村和選手。
更に言うなら阿知賀はそもそも全国に来てすら居ない。
確かその時は晩成を破って出場していたはずなのに……
……ああ、赤土さんが居ないからか。
私と対戦しなかったから、阿知賀の顧問になるはずだった赤土さんはそのままプロになった。
もしかして清澄に原村選手がいないのも……?
ちょっとした出来事なのにここまで変わるなんて……
バタフライエフェクト。
そんな言葉が浮かんで消えた。
ざっくりとだけど千里山と新道寺の映像を見終わった。
大体の相談が終わった後、咲ちゃんがあることをお願いした。
「皆にお願いがあるんですけど……」
そして翌日。
今日は女子団体決勝戦。
本来最も熱くなる日である。
いつもの如く京太郎君が照ちゃんを送って先鋒戦が始まる。
先鋒戦、千里山女子の園城寺怜。
新道寺女子の花田煌。
有珠山高校の本内成香。
そして清澄高校、宮永照。
先鋒戦の様相は地獄と化していた。
新道寺を削りながら千里山女子をピンポイントに狙って行くのだけれど園城寺選手は能力を使ってなるべく回避していく。
それでも容赦なく攻める照ちゃんは最終的には新道寺からは20000弱くらい千里山女子からは30000強も削る。
続いて次鋒戦、千里山女子の二条泉。
新道寺女子の安河内美子。
有珠山高校の桧森誓子。
そして私たちの悪待ち部長、竹井久。
結果としては悪待ちをかけた後、引っかかった二条選手を徹底的に引っ掛けて疑心暗鬼にさせる。
追い込んで、追い詰めて、徹底的に点数を搾取する。
その容貌はまるで悪魔か魔女のようだった。
がっつり搾取された二条選手は涙目になっていた。
仕方ない、勝負の世界は非情だし、なにより二条選手は戦犯顔してるからね。
竹井・ドS・久にしてみたらいいカモだったろうに。
その次の中堅戦、千里山女子の江口セーラ。
新道寺女子の江崎仁美。
有珠山高校の岩館揺杏。
そして通称ロケット豆タンクこと片岡優希。
今回も案の定というかなんと言うかロケットスタートを決めて他を圧倒するけど後半で背水の陣となった江口選手に相当稼がれる。
前半は片岡さんの独壇場、後半は江口選手の独壇場。
後二人は置物だった。
続く副将戦、千里山女子の妖怪データすすりこと船久保浩子。
新道寺女子の人妻(雰囲気)部長こと白水哩。
有珠山高校のチョコレ部長、獅子原爽。
二回戦の大将戦に眼鏡のレンズが割れた不遇の聖人、副部長の染谷まこ。
白熱する熱い試合というよりはじわじわと熱くする燻し銀の渋い戦いだった。
途中でデータを捨てた船久保選手に、次に託すために頑張る白水選手。
何考えているのかわからない獅子原選手と上手く邪魔しながら打ちまわす染谷さん。
全くもってあの子達は渋いぜぇ。
そして最後の大将戦。
千里山女子の清水谷竜華。
新道寺女子の鶴田姫子。
有珠山高校の真屋由暉子。
チーム豚汁の大将、宮永咲。
大将戦は一番ひどかった。
何がひどかったって新道寺は置物にしちゃうし、今まで貯めに貯めた有珠山の貯金を全額引き落としちゃうし。
千里山は今まで状況で残り点棒がよろしくないのに点棒を削られる。
有珠山が生牌(場に一枚も出てない牌)を切ると……
「カン、カン、もいっこカン。」
「ツモ、嶺上開花、責任払いで16000。」
「カン、カン、カン、もいっこカン。」
「ツモ、四槓子、責任払いで32000。」
ならば有珠山が生牌を切らなければ……と思ったのか既に2枚場に出ている牌を切る。
だけど咲ちゃんは生牌を切られなくなってからが真骨頂。
生牌を切らなければ安全と思ったところで……
「ロン、四暗刻単騎、48000。」
こうやって真屋・巨乳・由暉子選手を削っていった。
まるで「巨乳は駆逐する。」と言わんばかりに攻め立てる。
咲ちゃんが和了り続ける中、途中で変な幻聴が聞こえた。
「テーレッテー」
「デーンデーンデーン」
「アオニソマルマデー」
「コノメニウー」
よくはわからなかったけどとにかくそんな感じ。
結果としては清澄350000点。
千里山女子0点。
新道寺女子5000点。
有珠山は100000点強あった点棒が-48600になっていた。
そこまで巨乳が憎いのか。
今日はここまで
二回戦大将戦時の様子↓(拾い物)
http://i.imgur.com/Y0aehrs.jpg
今気付いたけど収支結果の点数がおかしい
清澄+443600
千里山+0
新道寺+5000
有珠山-48600
に修正
ラスを引いた泉が船Q特製「船久保汁」の犠牲になる
尚、体にはいいので怜は愛飲している模様
対策会議のとき、咲ちゃんがお願いしたことはただひとつ。
有珠山から直撃を取るな、だった。
そして咲ちゃんは戦犯を作り出した。
今回は運が悪いのと巨乳が悪いのと京太郎君が悪い。
団体優勝したので大将の咲ちゃんがインタビューを受けていた。
本来なら咲ちゃんはあまり目立ちたがらないので他の人に回すかと思ったら意外にも喋っていた。
「貧乳はステータスです! 世の男子はそれがわかってないんです!」
ただ内容が内容なので会場内の空気は凍り付く。
そしてそれからまことしやかに噂が流れる。
「麻雀が強いのは貧乳。」と。
おっぱいと麻雀の腕は関係ないと思うんだけど……
咲「未来を作るのは乳(にゅう)タイプではない」
照「カテゴリーFと呼ばれた我々だ」
※カテゴリーFのFはFlat(平坦)のFです
これから個人戦に移って行くのだけれど、まだ時間がある。
個人戦が始まるのは来週からだ。
その間に京太郎君のフォローと各個人の対策などを講じないと。
個人戦に誰が参加するのか確かめておかないと。
女子個人の名簿に目を通す。
目に付くのは数人居た。
臨海女子、辻垣内智葉。
白糸台、大星淡。
同じく白糸台、原村和。
……ん? なんで原村選手がこっちに居るんだろ……?
まぁいいか、次を見よう。
阿知賀女子学院、松実玄。
晩成の小走やえ。
同じく晩成、新子憧。
……わけがわからないよ。
個人戦の説明をして気をつけるべき人物とその能力に注意を呼びかけた。
宮永姉妹は原村選手と松実選手にお熱のようである。
「巨乳(あいつ)ら……駆逐してやる! この世から……一匹残らず!」
ここに駆逐系女子が誕生した。
駆逐艦クラスが空母に立ち向かうなんて見物だね。
ジャイアントキリングは果たして成功するのか。
それにしても宮永姉妹は器が小さく感じる。
もっと巨乳に対して寛容になれないものか。
器が小さいから胸が小さいのか。
それとも胸が小さいから器が小さいのか。
かつてナイスバディ先輩の器と胸のでかさには恐れいった。
とにもかくにも来週には「胸なき戦い」が始まる。
http://www.youtube.com/watch?v=ByA_ImHPxHQ
そのころ貧乳の僻みを察知した巨乳系女子はマーライオンの如く噴出していた。
個人戦練りたいので今日はここまで
練ったからと言ってクオリティには反映されるとは限らないけど
今日の悪ふざけ↓
http://i.imgur.com/84ggU2U.jpg
昔書いた小ネタの「ショタコンhrmrさん」の話ですね
個人戦が始まるまでの間、京太郎君に特訓をする。
女子の方は団体戦が終わった後なので休憩だ。
そして特訓をしているとあっというまに個人戦である。
男子と女子は同時に個人戦が始まる。
正直男子の方は京太郎君の優勝は目に見えているので問題は無い。
女子の方はまぁ団体とか見る限り長野三強が全国三強だろうね。
京太郎君が個人戦の出場者を見てがっかりしていた。
無理も無い。
でも安心して、きっとどこかで出会えるって。
女子の方の個人戦をみると原村和と照ちゃんと愛宕洋榎、そして江口セーラが卓についていた。
全員が全員照ちゃんを警戒している。
それもそうだろう、団体女子でアレだけ派手に暴れたんだから。
だけど照ちゃんも負けてはいられない。
なぜなら個人戦で優勝したい理由があるのだから。
それは咲ちゃんもそして福路さんも同じだろうね。
何せ一位と二位にはそのあとのことがあるのだから。
私が考えながら女子と男子の個人戦をカフェのモニターで見ていると声をかけられる。
「隣いい?」
「どうぞ。」
私から承諾を受けると隣に座る女性。
確か臨海女子のアレクサンドラ監督だったっけ。
「個人戦、始まったわ。」
「そうですね。」
「ほしいわね、あれ。」
「監督としてですか。」
「それ以外にあると?」
「いえ。」
「でもほしいわ、彼?」
…………彼?
ちょっと待った。
「あの、彼って?」
「須賀京太郎。」
「間違いなくエースの一人よね。」
「いやいや、例え勧誘したいと思ってもそちらは女子高でしょ。」
「そうなんよ、そこがネックなんだけど監督権限で何とか出来ないかしら。」
「無理です、何より私が許しません。」
「それは残念。」
「彼ならうちでも上手くやってくれそうなのに……」
「でも小鍛治プロが言うならそうなんでしょうね。」
「なんやなんや~、面白そうな話をしとりますね~。」
「赤阪さん。」
「私も混ぜてもらってええ~?」
「どうぞ。」
姫松の監督代行の赤阪郁乃。
正直私この人苦手。
何か掴み所がないし、人を喰ったような性格してるし。
なによりちょっとめんどくさい人。
久保さんからも避けられている。
ついでに生徒からも避けられていると噂で聞いた。
「で、個人戦の話をしとったんですか~?」
「ええ、須賀京太郎のことで。」
「ああ、あの金髪のイケメン君?」
「てっきり私は女子の方を話してるんかと思ってたわ~。」
「長野の宮永姉妹と福路美穂子。」
「目が離せんわ~。」
「あ、もちろん男子のイケメン君もなぁ。」
「男子は近年レベルが低い言われとるけど、イケメン君うちのエースより強いんとちゃうかな~?」
「自慢の教え子ですので。」
「そっかそっか~、小鍛治さんの教え子なんか~。」
「それは強いわけやわ~。」
「うちの男子部員として欲しいくらいや。」
「だからあげませんって。」
この人たち何だろうね、あげるわけないじゃん。
ロン(範囲)で姫松と臨海を大気圏外から攻撃してやろうかと思った。
しないし出来ないけど。
「そんな怖い顔しないでください。」
「そうやん、ちょっとしたジョークやんな~。」
「あ、うちの子たち戻ってきそうやから戻ります~、ほなな~。」
「では私も……サトハが気になるから戻るわ。」
「え、ええ。」
二人は蜘蛛の子を散らすように去っていった。
え、私そんなに怖い顔してた?
それから少し経つと京太郎君が戻ってきた。
もうお昼の時間か。
「健夜さん、女子の方はどうですか。」
「うん、二人とも問題ないかな。」
「福路さんも危なげない感じだし。」
辻垣内智葉や荒川憩、原村和や大星淡とも当たったが宮永姉妹も福路さんも問題なく稼いでいる。
原村選手が上位に入るには若干きついことになってたけど精神的には問題なさそうだね。
ちょっと遅れて戻ってきた宮永姉妹や京太郎君と一緒にお昼を食べて個人戦に戻ろうとしたとき、一人の少女がこちらにやってきた。
確か阿知賀女子学院の松実選手だったか。
「あの……須賀君ですよね?」
「ええ。」
「よかったー……あ、私松実玄って言いますが、ちょっと後でお話してもらっていいかな?」
「ええ大丈夫ですよ。」
「それにしても一体何の話を? 記憶が確かなら俺たち初対面ですよね?」
「うん、私と君はそうなんだけど……」
「あ、話っていうのは……私のお姉ちゃんに関係することです。」
「時間は取らせないからこれからちょっとだけ話していいかな?」
「ええ、いいですよ。」
そういうと京太郎君と松実選手は人気のない方に行き、姿を晦ましてしまった。
さっきまでケーキを貪っていた照ちゃんが我に返り、慌て出す。
「え、今の何?」
「ナンパ? え、新手のナンパ?」
「落ち着いてお姉ちゃん。」
「きっとナンパじゃないよ。」
「例えナンパだとしても京ちゃんはほいほい釣られていかないよ。」
そういう咲ちゃんも手に持った食器をカタカタと鳴らしていた。
大丈夫かなこの子達……
ちょっと休憩
ちょっとした小ネタ
あたしの名前は新子憧。
神社の娘である。
このたび漸く男性恐怖症を治し、彼氏が出来た。
彼はあたしの男性恐怖症であることを知っているからか、してくるのは手を繋いで来ることだけでキスもこの間初めてしたばかり。
あたしは幸せであったけどある悩みがあった。
その悩みの発端はあたしが学校から下校しているときに小学生の二人組みが目の前でこんな事を会話していたからである。
「柳瀬ちゃん彼氏とどこまで行ったか聞いたー?」
「まだキスしかしてないんだってー、遅れてるよねー。」
「えーマジ処女!? キモーイ、処女が許されるのは小学生までだよねー。」
あたしは愕然とした、小学生のあの子達でもそこまで進んでいるのにあたしは未だに処女であると言う事実に。
あたしは一大決心して彼氏である京太郎を呼び出して初体験をすることに。
だがそこで事件が起きる。
彼のアソコが勃たなかったのだ。
どうやら彼も私と同じくこういうことは初めてだったので緊張しているようだった。
ついさっきまで勃ってたのに
いざ挿入!ってなったら脱力してしまったようだった。
必死にフニャチンをおしつけてくる
私は危惧した。
このまま何もしなければ、初体験で彼の心に傷を残してしまうと。
そして、勇気ある行動に出た。
私の脳はフル回転した。
成績はいつだって良かった。
大丈夫だ。
彼の緊張をほぐすことが、まず何よりも先決である。
しかも可及的速やかに。
私は両手をオチンチンの前に掲げた。
「京くんの!!!」
腹の底から声を出した。
彼が思いっきりビクっとしたのを覚えている。
「ちょっといいとこ見てみたい!!!」
彼が凄い目で見つめてきた。
ここから爆笑への道が開かれる。
私は信じて疑わなかった。
「そーれ勃起!勃起!」
ってチンコに向かって手拍子してあげた。
そしたらふられた。
【憧「童貞の金髪彼氏が初体験のとき勃たなかったので」】
私は元ネタのスレを見たとき死ぬほど笑った
ネットの復旧に手間取って焦った再開
暫くすると京太郎君が戻ってくる。
宮永姉妹はかなり落ち着きがないのに対して、京太郎君は晴々とした表情だ。
照ちゃんが京太郎君に聞く。
「京ちゃん、あのドラ玄ビッチに何かされなかった!?」
「いや、ちょっと話しただけですよ。」
「俺のこととか、俺の母親のこととか。」
「あとお礼を言われました。」
彼はそこまで言うと午後からの試合の時間に間に合わないと言ってその場から去っていった。
一方の宮永姉妹は腑に落ちない表情をしながらモニターに写る松実選手を睨んでいた。
「お姉ちゃん、あの胸はギルティだよね?」
「Yes、ギルティ。」
「京ちゃんを誑かすのもギルティだよね。」
「Yes、ギルティアンドギルティ!」
「だったら私たちがすることは一つだよね!」
「聖戦だ!」
完全に何か勘違いしたまま宮永姉妹は戦場に赴いた。
ああ、あの二人を止められるものは今この場には居ない。
一つ目のブレーキ役がアクセルになっているなんて誰が予想しただろうか。
もう一つのブレーキ役は三年前外れちゃったし。
もうどうにでもな~れ。
個人戦が進んで行き、女子最後の個人戦が始まる。
面子は松実玄、宮永照、宮永咲、福路美穂子。
モニターには四人が映し出されていて、周りがうるさくて音声は聞き取れないけど唇は読み取れていた。
『今日は勝たせてもらう、今年が最初で最後だから。』
『私もよ、何て言ったってエキシビジョンマッチがあるから。』
『照には負けられないわ。』
『お姉ちゃん、エキシビジョンマッチって何?』
『咲が勝ったら教えてあげる。』
『誰にも勝たせる気はないけど。』
『宮永さんや福路さんの意気込みがすごいですね、私も負けてられない。』
『貴女は泣かす。』
『え~!? 何でですか!?』
『京ちゃんに不用意に近付くとそうなる。』
『理不尽だよぉ……』
…………一体何を暢気に話しているのだろう。
緊張感の欠片もない感じだ。
だが一度対局が始まれば彼女達だって雀士だから空気は引き締まる。
実力に違いがありすぎるから実質三つ巴の戦いになるだろうね。
京太郎君があっさりと優勝確定した後、女子個人も決着が付いた。
松実選手のトび終了。
咲ちゃんが槓して槓ドラが増える。
そして松実選手が動けなくなったところで三人が止めを刺す。
ライオンの檻の中に獲物が入ったらそうなるよ。
勝負の世界では情けなんてないし容赦なんていらない。
隙を見せた者から食われていく。
それが理。
女子個人の成績が発表される。
一位、宮永照+287。
二位、福路美穂子+284
三位、宮永咲+255
咲ちゃんと照ちゃんは僅差だったけど最後の一戦で大きく突き放された。
福路さんはある程度アドバンテージはあったものの逆転を許してしまう形となった。
やはり全国と言うものは壁が中々に厚いものだ。
表彰式に移り団体戦を制した清澄二人が一位と三位。
福路さんは二位に甘んじたけど輝かしい結果となった。
京太郎君も一位なんだけど余り嬉しくなさそうだ。
だけどここから始まるものもある。
ここからが本番だと言う人が居る。
ゴールなんかじゃなくてここからが漸くスタートだと。
これから行われるのはエキシビジョンマッチ。
表彰式が終わった後、個人の男女の一位と二位、計4名で戦う。
そしてラスを引いたものが抜ける。
実力で言えば男子二位が圧倒的に劣っていた。
なので残ったのは京太郎君と福路さんと照ちゃん。
これが前段階。
それが終わるとある人物が呼ばれる。
それは大抵現在のプロ内でのトップランカーである雀士。
当然私にもオファーは来ていたが断った。
なぜなら私の教え子が残るとわかっていたからだ。
なので今回呼ばれたプロ雀士は……
「咏ちゃんだよ~ん。」
三尋木咏だった。
「よう坊主、久しぶりだねぃ。」
「え……俺会った事ないですよね。」
「え~? 私のこと忘れちまったのかい?」
「咏ちゃん寂しいぜ~……」
三尋木さんが着物の袖を目元に当ててわざとらしくよよよと泣く振りをした。
まさか……もしかして……
私が嫌な予感を感じているうちに三尋木さんが懐から帽子を取り出し被って京太郎君に見せる。
「氷見木太郎こと、みっひろっぎうったで~す。」
「…………!?」
「え!? え!?」
「三尋木プロが氷見木太郎!?」
「え、三尋木プロってあの時中学生だったの!?」
京太郎君が混乱していた。
空かさず三尋木プロが口を挟む。
「いや~、流石のあたしでも中学生は無理あるっしょ。」
「今年24だかんね。」
「まぁ規定破って坊主のとこに現れたのは頼まれたからなんだけどさぁ。」
「え、頼まれた?」
「多分お嬢ちゃんたちも坊主もよく知ってる人物だと思うよん。」
驚愕の事実(京太郎君にとって)に京太郎君は膝が崩れ折れかけて留まった。
そこから京太郎君が向き直って照ちゃんと福路さんの方に視線を送るが二人とも目を逸らしている。
京太郎君が何かに気付いたように問いかける。
「照さん、美穂子さん……もしかして全部知ってたんじゃ……」
「ごめんね……」
「健夜さんに口止めされてて……」
「健夜さああぁぁぁぁぁぁん!」
「京太郎君ごめぇぇぇぇぇん!」
多分私たちの絶叫は会場中に響いていたと思う。
ともあれ、盛大なネタばらしがあったとは言えエキシビジョンマッチはなくならない。
エキシビジョンマッチの概要は半荘二回の前半後半戦。
団体戦の一人分である。
さて、これが終わったら京太郎君に怒られる用意をしなくては。
きっとすっごく怒られて個室の中、十代の余った性欲で乱暴されちゃうんだろうなぁ。
エロ同人みたいに。
一旦休憩
寝落ちすまぬ
そして悲報タバコ切れ
いっそ禁煙するかな
明日か明後日の夜に更新したい
少しなりとも進めて行きたい
半荘前半戦、京太郎君が仕掛けて照ちゃんは様子見だろうか。
京太郎君が鉄火の鳥を立ち上げてブースターを噴かす。
鉄の風除けを持った火の鳥がぐんぐんと加速していく。
福路さんも京太郎君の加速に乗って更に加速させる。
京太郎君と福路さんは乱戦に持ち込む気だ。
三尋木さんも乗り気だ。
スピードで頭一個抜けていた京太郎君が仕掛けた。
牌を横に曲げて挑発。
更に一巡後、自摸った牌を強打で挑発。
自摸った牌を盲牌から判断して切る。
周りは乗った。
三尋木さんも乗った。
自摸って、判断して、切るの動作を無駄のない所作で行う。
その間わずか1秒。
別に速打ちなんてしなくていいのに三尋木さんは乗った。
マージャンズハイに陥りながら高速の乱打を打ち続ける。
だけどそこには1㎜の判断ミスもない正確さで牌を打つ。
機先を制したのは。
「ツモ、門断平ドラ2000・4000」
立直をかけた京太郎君だった。
一旦中断
東二局。
漸く準備を整えた照ちゃんが動き出す。
どうやら全員本気のようだ。
福路さんも照ちゃんも。
京太郎君も三尋木さんも。
加速し続ける世界で彼女たちは戦っている。
炎の嵐を起こし、炸薬の匂いが立ち込める中。
着物を着た彼女はタップダンスを踊るように鳥の追撃を躱していく。
鉄火の鳥が落とす攻撃が悉く外れる。
ミサイルも機銃も当たらない戦場の中、踊るように皆が動く。
「ツモ、8000オール。」
「もっとあたしを熱くさせてくれよ。」
「小鍛治プロの弟子なんだろう?」
三尋木さんに呼応するかのように回りも空気を張り詰めて行く。
照ちゃんは既に臨戦状態から仕掛けていた。
「ツモ、1300・2600は1400・2700。」
「ツモ、4000オール。」
連続で和了る照ちゃん、最後のインターハイに彼女たちは何を思うのだろうか。
「本気の京ちゃんと本気の美穂子、日本有数のトッププロと打てるのは今日くらいしかないかも。」
「咲に譲らなくてよかった。」
どうやら心配なんていらないようだね。
ライバルである福路さんも黙っては居ないようだ。
照ちゃんの牌を奪い。
三尋木さんが拾う牌だったものを掠め取って自分の手牌に加える。
必要な牌を必要な分だけずらして手に入れる、
駆け引きで言うなら一番強いのが彼女だ。
「ツモ、4000・8000。」
「ごめんなさいね……私、綱引きで負けたことないんです。」
それは単純な力比べではなくて。
タイミング、加減、読み合い、駆け引き。
綱引きには色々と必要なものがあったけど彼女は上手かった。
いろんな意味で。
南場にも入ると大分場も温まる。
しかしそれでも猫のように躱す三尋木さんには当たらない。
ならばどうするか?
簡単なことだ。
ピンポイント爆撃が当たらないなら絨毯爆撃すればいい。
「ツモ、3000・6000。」
残るのは、地表を焼き尽くす紅蓮の炎。
生きる者全てを焼き尽くしかねない真紅の炎。
そしてその上空を飛ぶ彼の姿。
まるでその姿はかつての彼女のようだった。
なおも加速し続ける彼の羽は細く、鋭くなっていく。
より適切な形に、より早く飛ぶために形を変えて飛び回る。
しかもブースターに更に燃料を吹き付けて再度燃焼させる。
いわゆるアフターバーナーと言うものだ。
現段階で止める手立ては無いに等しくなっていた。
「ツモ、1000・2000。」
「ツモ、2000・4000。」
「ツモ、500・1000。」
ただ目立ちすぎていたせいか前半戦オーラスに入ったときには全員が結束して止めに入る。
「ポン。」
福路さんが取っ掛かりを作り。
「チー。」
三尋木さんがアシストをして。
「ツモ、500・1000。」
照ちゃんが止めた。
前半戦は終わったもののプロと学生が打ったものとは思えない状況だった。
ただひたすらに鎬を削りあう攻防。
トップランカーのプロ同士でもこのレベルのものは滅多にお目に掛かれない。
それほどに優秀に育てた教え子たち。
それほどまで強く育った教え子たち。
一切気を抜けない戦い。
気を抜いた途端一気に食い潰される気迫が充満しているのだ。
そしてそんな緊張の後半戦がこれから始まる。
短いけど今日はここまで
東場一局分足りなくて
南場一局分多い不都合を発見
e1 0
mih 21000 -4000
uta 23000 -2000
tel 23000 -2000
kyo 33000 +8000
e2 0
mih 13000 -8000
uta 47000 +24000
tel 15000 -8000
kyo 25000 -8000
e2 1
mih 11600 -1400
uta 44300 -2700
tel 20500 +5500
kyo 23600 -1400
e3 0
mih 7600 -4000
uta 40300 -4000
tel 32500 +12000
kyo 19600 -4000
e3 1
mih 23600 +16300
uta 36200 -4000
tel 24400 -8000
kyo 15600 -4000
e4 0
mih 25600 +2000
uta 35700 -500
tel 23900 -500
kyo 14600 -1000
s1 0
mih 19600 -6000
uta 32700 -3000
tel 20900 -3000
kyo 26600 +12000
s2 0
mih 18600 -1000
uta 30700 -2000
tel 19900 -1000
kyo 30600 +4000
s3 0
mih 16600 -2000
uta 28700 -2000
tel 15900 -4000
kyo 38600 +8000
s4 0
mih 16600 -500
uta 28700 -500
tel 17900 +2000
kyo 37600 -1000
に修正
もうひとつ修正
前半戦終了時はこっちが正しい
s4 0
mih 16100 -500
uta 28300 -500
tel 18000 +2000
kyo 37600 -1000
後半戦が始まる。
今は京太郎君の支配が効いてないから動きやすい人間が和了る、はずなのだけど。
好配牌だけど足が遅かった三尋木さんが立直をかけて牽制。
福路さんが邪魔に入ろうにも入れないくらい慎重な打牌だった。
結果三尋木プロは。
「ツモ、4000・8000。」
「倍満って結構痛いんじゃね?」
「あたしはあまり食らったこと無いけど。」
軽口を叩きながら和了る倍満。
だけどその和了りによって福路さんの目に火が灯る。
目を最大限使って和了りを目指す。
福路さんからみてずらされない事を確認した上で牌を曲げる。
そして一巡後、倒した手牌は大物となる。
「さっきの話ですが。」
「確かに倍満の親被りは痛いですね。」
「ツモ、6000・12000です。」
「でも、三倍満の親被りよりは痛くないと思いませんか?」
「……言ってくれるねぃ。」
点数がトップと肉薄して居るとき、京太郎君が動き出す。
懐から背中に抜けて羽を広げて鳴き声をあげる。
鉄の外装を脱ぎ捨てた火の鳥が真っ直ぐ福路さんの胸元を貫くように翔けて行った。
「ロン、6400。」
「皆で楽しんで俺を空気にしないでください。」
「じゃないと妬(焼)いちゃいますよ。」
照ちゃんは連続で和了らず強めに打っていく。
まるで魅せ付ける様に強打する。
「ツモ、3000・6000。」
「お菓子食べたい……」
何か色々と台無しである。
ともあれ、後半戦の後半(南場)に差し掛かりいよいよこのままでは京太郎君の独壇場になってしまう。
三尋木さんが取った対策や福路さんや照ちゃんによる妨害が功を奏して京太郎君一人を走らせることにはならなかった。
三尋木さんが取った対策、それは……
「ツモ、3000・6000。」
力技で稼ぎ切る。
ということだ。
照ちゃんもそれに倣って和了っていく。
「ツモ、2000・4000。」
ただし京太郎君の火(支配)が強くなっているのと照ちゃんには三尋木さんほどの火力は無いから飜数は下がった。
それに負けじと福路さんも食らい付く。
お互いどこが危険かわかるので振込みはしないものの(能力に関してはその限りではないけど)お互いが削っていく様は我慢比べに似ていた。
「ツモ、1300・2600。」
迎えたオーラス。
三尋木さんはゴミ手だろうと和了れば勝ち。
京太郎君は4飜が30符より上が条件。
ここからはスピード勝負である。
三尋木さんが動きにくいとはいえ限度がある。
京太郎君は妥協して点数下げた。
「ツモ、七対赤、3200オール。」
微妙に点数が足りない。
なのでオーラスの一本場に突入だ。
とはいえ京太郎君はトップとは1500点差。
出和了りだろうとツモだろうと一飜でも和了れば勝ちである。
だけど周りも京太郎君を簡単に和了らせるつもりは無いのは見て伺える。
三尋木プロは自分のスタイルまで崩して鳴いて安手を目指した。
京太郎君も最速で和了りを目指す。
そして先に牌を掴んだ勝者は宣言する。
「ツモ。」
「300・500は400・600。」
無慈悲にもその宣言で試合は終了した。
エキシビジョンマッチは三尋木プロがゴミ手を和了りその幕を閉じた。
和了った本人はあまりいい顔はしていなかった。
スタイルを崩して、年下の子供たちに肉薄されて焦ったからか。
しかし勝ちは勝ちだ。
だけど彼女は呟く、京太郎君の前で。
「プロにはプロの、大人には大人のプライドがあんのさ。」
「それと同様にあたしにもあたしのプライドがあんの。」
「だから最後の和了りはすっきりしないんだよね……」
「部外者にはさっぱりわっかんねーと思うけど。」
「でもよぉ、部外者なんて知らんしどうでもいいけど。」
「あたしは納得行かない。」
詰まらない和了りをしてしまった自分がいやだったのか。
でもそんなことよりなにより彼女は強い相手を求めている。
ひりつくような打牌を、ゾクゾクするような緊迫感を味わった人間は、その麻薬のような快感を忘れられないだろう。
一度味わった快楽を忘れられず、再び快楽に身を興じるためにまた求める。
強者とぶつかり合える幸せ、だから強者は渇望する。
「だから、また打とうぜ。」
「次はちゃんと坊主のことをコテンパンにしてやっからよ。」
ギラギラと妖しい光を宿した瞳で京太郎君を見ながら三尋木さんは再戦を求めた。
京太郎君も負けじと言い返す。
「次こそリベンジしてやる。」
「それも、中学のときの分も合わせてだ。」
「跳ねっ返りなやつは嫌いじゃないぜぃ。」
福路さんも照ちゃんも次を見据えて目標を決めているようだった。
二人とも「プロになってリベンジ。」ってところかな?
いいね、そういうの。
エキシビジョンマッチも無事終わって大会が終わり、長野に戻る前。
初出場で女子団体、男女個人優勝したので取材やら何やら受ける破目になりそうなのでとりあえずホテルに皆を帰して休むように言った。
と言っても遊びたい盛りなのでおとなしくしているとは思えないけど。
こっちで出来た友達もいるだろうし、何より観光したいだろうに。
若さってすごいね。
それに比べて私のバイタリティは……考えるのはよそう。
そう思っているとプロの陣営と偶々遭遇する。
というかプロが集まってるところに私が意図せず入っちゃったと言った方が正しい。
赤土プロが私を誘っている。
ふと彼女を見て京太郎君達の楽しそうに打つ姿を思い出す。
彼女では私を楽しめないだろう。
今の彼女には私の食指は動かない。
多分もう、彼女は私には届かないだろう。
わりと期待していたのに。
瑞原さんも、三尋木さんも、赤土さんも。
打ったとしても多分私だけ楽しめない。
「無いものねだり」なんてしても意味無いので、このあと普通にお茶して帰った。
今日はここまで
このあとの展開が纏まらない本来なら秋季大会みたいなのあるんだっけ……
あとはインハイ後に練習試合を申し込まれたりとかかな?
書く事纏まったら明日辺り投下します
書きたいものは色々あるけど腕は二本で頭は一つしかないから諦める
投下出来たら良いな
長野に戻る日。
私達は忘れ物が無いか確認したあと、泊まっていたホテルから出て帰ることに。
その道すがら色々と思うこともあって、私は感慨に耽っていた。
長野に帰ったら部長の竹井さんはまだ引継ぎがあるけど照ちゃんと一緒に引退だし。
それと交友関係も広がったね。
良いお友達がたくさん出来、携帯の番号やメールアドレスなどの連絡先を交換していた。
竹井さんは各校の部長さんとか対戦した人とか。
片岡さんも何だかんだ言って人懐っこいから人に好かれやすいんだよね。
染谷さんも染谷さんで実家が実家だから愛想はいいし。
京太郎君もおっぱいに関してのことを除けば紳士的だし、コミュニケーションとか取れるほうだから。
この間言っていたんだけど、京太郎君曰く。
「少々顔がよろしくなくても胸が大きいと許してしまうのが男の悪いところ。」
だそうだ。
君はおっぱいに騙されて変な方向に行かないように注意しなよ?
まぁ色々とあったけどインターハイ優勝してよかったね。
え? 宮永姉妹?
宮永姉妹は……うん。
ご想像にお任せします。
長野に戻り、休みを挟んでからの初部活。
竹井さんが引き継ぎで次期部長を染谷さんを指定した。
そして副部長は京太郎君を指名する。
まぁ順当だよね。
だって咲ちゃんも片岡さんも部長って柄じゃないし。
染谷さんが部長になって初めての仕事をする。
「さぁ、練習じゃ。」
案外あっさりとした号令だった。
三年生二人が引退したからと言って別に打たないわけでもないので結局暫くは今まで通りだった。
時折チェスやオセロ、囲碁などをやりながら秋季の大会、所謂国麻や新人大会でうちの子が優勝したりしながら季節は過ぎ行く。
そんな折、進路指導の先生からお願いされた。
「あの、小鍛治先生。」
「宮永のやつの進路なんですけど……」
何で私に……
本来だったら担任の先生に行くはずでしょ。
まぁ付き合いが長いのもあるんだろうけどさ。
そう思いながらも照ちゃんの出した進路希望表を見て愕然とした。
1.お嫁さん
2.お菓子ソムリエ
3.麻雀プロ
あの子らしいと言えばあの子らしいと言えるけど、私は波のように押し寄せる頭痛に耐え切れず、思わずこめかみを押さえた。
「小鍛治先生……お願いします。」
進路指導の先生も心配はしてくれるけど私に問題を投げた。
でも確かにこれは文句も言いたくなるね。
何考えているんだろうあの子は……
私は問い質す。
照ちゃんに。
お嫁さんとはなんだと。
「お嫁さんってのは結婚して永久就職すること……」
違う、そうじゃない。
というかそもそも照ちゃん相手いないじゃん。
「お菓子ソムリエも突っ込みたいけどお嫁さんって相手いるの?」
「京ちゃん。」
「「え。」」
「……え?」
色んな方向から聞こえた戸惑いの声。
そりゃそうだ。
だって先輩の進路希望に自分が関係してるとは思わないだろう。
「そうか、京ちゃんまだ15歳だった。」
照ちゃんが一人納得してるけど、違う、そうじゃない。
問題はそこじゃない。
とりあえず照ちゃんを説得するために言っておいた。
「照ちゃん、お菓子ソムリエなんて仕事はありません。」
「お嫁さんも相手の同意が無いとできないからね?」
「それにお嫁さんは兼業できるよ。」
「お菓子いっぱい食べたいなら麻雀プロでお金稼いでいっぱい食べようか。」
「健夜さんがそう言うならそうする。」
何とか説得できたみたいだ。
それにしてもこのこの将来が不安である。
下手したら私がこの子のドラフト(斡旋)先を決めないといけないのかと思うと眩暈がする。
何と言うか早く立派な大人になってほしい。
もう一方の三年生である竹井さんは既に進路が決まっている。
結構有名な大学に特待推薦である。
授業料などの学費免除などの好待遇だ。
照ちゃんも一応部活動による特待推薦を取れるのだけれどプロになるのだったら関係ないよね。
三年生が部活動から完全に引退して部員が4人になってしまった。
女子三人の男子一人。
う~ん、来年二人以上入らなかったらとてもまずいことになる。
インターハイに初出場にして優勝した栄えある清澄高校が『部員不足で個人戦にしか出れませんでした。』なんてなったらお笑い種である。
……もしかして中学校の悪夢再びなのだろうか?
また変な着ぐるみを着るのはごめんだ。
ちょっと今日はここまで
京照、京健増えて私満足
「あれおれ」書いてから京龍門渕、京照、京すこと書いてきて
あとは宮守くらいだけど供給過多というか別の人が書いてくれるだろうと思って書かない
投下していこう
その日は珍しく残暑がぶり返したのか思うほどの暖かい日で、薄着でも汗ばむ気温だった。
私は職員室で書類に目を通していた。
その中で目に止まったものがある。
練習試合がどうのという話だ。
うちもインハイで優勝したのでこういうことに関してお声が掛かることが多くなった。
申し込みが来たのは白糸台、姫松、千里山、臨海、永水、新道寺に風越。
所謂強豪校と呼ばれるところばかりである。
しかも人数ギリギリのうちとは違って部員の層も厚い。
こっちとしてはありがたい話ではあるけど。
だけどそれにしても多い。
申し出があったところ全部と打つわけにも行かないし、ある程度絞らないといけないかな。
部室に行ったときどこと打ちたいか聞いて置こう。
部室の扉を開き質問をする。
「ちょっと皆に聞きたいんだけど。」
「今度他校との練習試合したいと思うんだけど、どこがいい?」
私はリストアップした高校の名前をホワイトボードに書いていって聞いてみる。
4人しかいないので話なんてあっさり纏まるはず。
だとおもったんだけどなぁ……
「姫松とか良いんじゃないかな。」
「そうじゃのう……臨海がええと思うんじゃが……」
「私は新道寺だじぇ。」
「白糸台とかがいいんじゃないか?」
こんな感じで中々決まらない。
あーでもないこーでもないと決めあぐねていると染谷さんが私に聞いてくる。
「全く持って決まらんのう。」
「小鍛治先生、最終的には誰が決めるんじゃ?」
「全員の意見を聞くって言っても限度があるじゃろうて。」
「う~ん、決まらないんだったら私の独断と偏見で決めてもよかったんだけど……」
「本来なら部長である染谷さんが決定権をもってるんだよ。」
私がそういうと染谷さんは少し考えて周りに聞き出す。
「全員が推す高校とその理由を聞きたい、まずは優希、おんしからじゃ。」
「新道寺女子だじぇ! 理由は花田先輩がいるからだ!」
「……優希らしい考えじゃな。」
「まぁ気心知れた人間と打つのも悪くは無いかも知れんの。」
「次、咲はどうじゃ。」
「あ、はい、私は姫松いいかなって。」
「私と当たった末原さんだっけ……が結構強かったですし。」
「ふむふむ、なるほどのう。」
「じゃ、副部長はどうじゃ?」
「俺の意見としては白糸台ですね。」
「どこも名門校ですけどインハイで出てきた三年生は既に引退しているはずですし。」
「京ちゃんにしては意外とまとも。」
「なんだとこのやろう。」
「いはい、いはい。」
京太郎君に茶々を入れた咲ちゃんがほっぺたを弄繰り回されている。
染谷さんが続きを促すとほっぺたを弄りながら説明を続けた。
「永水、千里山、新道寺、姫松はインハイに出た5人中3人が三年。」
「多少層が厚いからといってその3年生より強いのがくるかと言ったら望み薄っすよ。」
「風越は近いから割と行けますし。」
「実力的に優希に合わせるとしたら白糸台あたりがいいと。」
「おっぱいもあるし?」
「う~ん、咲。」
「俺は今真面目に言っただろう?」
「でもおっぱいでしょ?」
「それならちゃんと永水や姫松を選ぶって。」
「あそこビッグスリーの二つだし。」
「そこをあえて我慢したんだ。」
「流石に私欲で選ぶわけには行かないからな。」
「副部長としてそれなりに考えているってわけじゃな。」
「そうかそうか。」
「では東京辺りかのう……いっそのこと大阪・東京・長野・九州でぶつかるのもありじゃのう。」
そう言いながら染谷さんはケラケラ笑ってた。
流石に全部と当たるのはキツイって。
まぁさっき言ってた通り、順当なところで東京かな。
東京の高校に話を通して日程を合わせておく。
週末土日に合わせて白糸台と臨海女子にと練習試合と行こうじゃないか。
あ、そうだ。
大阪と九州にお断りの電話入れないと。
久保さんにも一応話さないとな~。
マジで話が浮かばないので今日はここまで
憧ちゃんに対する京太郎の表情に大草原不可避
投下は明日がんばる
おっすお願いします
昨日のはふたばの気配りのできる憧ちゃんのことです
投下していきたいね
週末の金曜になり、放課後を迎えると部員を車に乗せて東京まで向かう。
今回はホテルに泊まって土日で白糸台と臨海女子を回る。
ちなみにホテルを取るときに全員同じ部屋でいいかなと?と冗談で聞いたら案外あっさりOKが出てしまった。
ただ京太郎君がデリカシーが無いと反対したので男女別々の部屋にした。
でもはっきり言っちゃうと間違いなんて起きそうに無い面子だけど。
翌日となり私と染谷さんで全員を叩き起こして身支度と朝食を済ませる。
そのあと出発するのだけど今回はまずは白糸台に向かう。
ここにはやたらと多くの人数の部員が所属している。
今現在私達は一軍が居る部室に案内されてはいるものの完全におのぼりさん丸出しである。
照ちゃんほどふてぶてしいのなら問題ないのだろうけど部員達は浮き足立っていた。
やはりなんだかんだ言ってあんな三年生でも精神的な柱になっていたんだろうね。
数少ない具材から人参と牛蒡が抜けたのは痛い。
おかげで今あるのは豚肉・葱・蒟蒻と味噌・大根である
葱は染谷さん、大根は京太郎君。
味噌は色んな意味で私。
残った蒟蒻と豚肉が誰かは推して知るべし。
対して相手側は通称虎姫と呼ばれるチーム。
チーム豚汁対チーム虎姫。
名前だけ聞いたら明らかにこっちが弱そう。
一軍、チーム虎姫の居る部屋の扉を開けるとそこには金髪の子が居た。
手にはペロペロキャンディを持ってポージングをしている。
「ふははは、良くぞ来たな清澄の!」
「だがここまで来たことを後悔させてやる!」
何でこの子は悪役風なんだろう……
そう思いながら呆気に取られているとこちらの突撃弾頭が反応してしまった。
「おのれ魔王! 両親の敵は取らせてもらうじぇ!」
「ふっふっふ、どこからでも掛かってきなさい!」
あほの子だ。
間違う事なきアホの子だ。
片岡さんと大星選手が何かやっている傍らからベリーショートの少女が出てきた。
その子がこちらにやってきて挨拶をしてくる。
「すいません、うちの淡が馬鹿なことをして……」
「ええよ、うちの一年も同じようなもんじゃから。」
「っと、その前に挨拶せんとな。」
「清澄高校麻雀部部長、染谷まこじゃ。」
「今日はよろしくおねがいします。」
「あ、申し遅れました、白糸台高校麻雀部の部長やらせてもらっています、亦野誠子です。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
ぺこぺこと二人とも頭を下げて挨拶をする。
何か二人とも苦労人の雰囲気してるよね。
……まぁ誰にでも悩みはあるよね。
片岡さんと大星選手を止めるために京太郎君が向かうことになった。
だが相手側も同じことを思ったらしく、大星選手を止めるために一人向かっていた。
ピンクの頭髪に大きな胸がトレードマークの原村選手だった。
「もう、淡? お客様が来たのですから少しは大人しくしてなさい。」
「えー? ノドカってば堅いよ。」
「こういうときこそもっとノリよく行こうよ。」
「まったくもう、すみません私の友人が粗相をしました。」
「いやいや、気にしてないよ、それにこっちも悪乗りしてたし。」
「私も気にしてないじぇ!」
「むしろお前は気にしろ!」
何か向こうの一年生とも仲良くなってるみたいだ。
若干京太郎君の目付きが怪しいけど同性の私でも気になるサイズではある。
そのあと咲ちゃんも混ぜて一年同士で会話している横で部長同士が会話をする。
亦野選手が染谷さんに出した提案。
「ところで練習試合の形式なんだけど……こちらは四人、そちらもちょうど四人。」
「ちょうどいい人数だから2-2で卓に着くというのはどうかな?」
「それでええよ、コンビ打ちかどうかそいつらに任せるがな。」
「おーい、一年生、これから練習試合始めるから切り替えんさい。」
「「「はーい。」」」
染谷さんの言葉にいい返事を返す一年生達、どういう組み合わせで当たるかな?
といっても結構時間あるから色んな人と打てるはずだけど。
今日はここまで
色んな意味での味噌なので意味は一つだけではないですね
頑張りたい所存
交流が始まるのだが、その前に組み合わせを考える。
まずは京太郎君と咲ちゃん、これはコンビネーションが高くてどうしようもないだろう。
一人一人のレベルが高いのにこの二人が組んだらもうどうしようもない。
2(白糸台)VS1VS1なら何とかなるかもしれないけど。
次に片岡さんと京太郎君、実はオカルト面で非情に相性が良い。
前半しか持たない片岡さんにスロースターターの京太郎君。
単純に稼ぐならこれでもいいんだけど相手が焼き鳥になりかねない。
となると染谷さんと京太郎君かな。
打ち方はえげつないけど精神的に負担は少ないし試合後は気遣いもできる。
うん、これがいいかな。
私は残った二人に対して全力で目を背けて決定した。
「京太郎君、染谷さん、卓に入って。」
「うっす。」
「わかりました。」
私の合図で京太郎君と染谷さんが動き出した。
それを見て相手側の部長さんも動く。
「じゃあこちらは私と……淡がいいか。」
「あんたたちなんてけちょんけちょんにしてやるんだから!」
とインハイの個人で咲ちゃんと照ちゃんにぼっこぼこにされた大星選手が勢いよく言っている。
威勢がいいのはいいけど足が完全に生まれたての子鹿みたいなかんじなんですけど大丈夫ですか?
試合が始まると先程とは打って変わって緊張感がある空気になった。
最初は小手調べかと思われた。
いきなり飛ばしてもつまらないだろうし。
しかし構わず全力で行った者が一人。
「淡ちゃん立直!」
大星選手のダブル立直。
しかも京太郎君達の手を見る限り『絶対安全圏』もセットのようだ。
そしてそれから五巡後、更に大星選手が動く。
「槓!」
自摸った牌を暗槓してドラを増やす。
そして次順、次の山に入ったところで大星選手が和了った。
「ツモ、ダブリー裏ドラ4! 3000・6000!」
京太郎君と染谷さんが感心したように見ていた。
大星選手の全力のオカルトを見て面白いと思ったのだろうか。
続いて東二局、大星選手の猛攻が続く。
「またまた淡ちゃん立直!」
そして次の山に入る前に。
大星選手は暗槓する。
「槓!」
そして次の山に入ると。
大星選手が和了る。
「ツモ! ダブリー裏4! 3000・6000!」
大星選手はすごくドヤ顔で和了り宣言している。
「インハイ優勝校って言っても淡ちゃんに掛かれば大した事無いね。」
あ、こいつ調子に乗ってるな?
というか準決勝敗退してる時点で負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
京太郎君がそれを聞いて言い返す。
「大星、余り嘗めないほうがいいぜ。」
「染谷先輩が本気出したらあっという間に終わるんだぞ!」
おい、やめろ馬鹿。
この対局は早くも終了ですね。
というか引き合いに自分ではなく染谷さんを出すのはどうなんだろう。
そこは格好良く自分の力で勝ってみせるぜ的なことを言おうよ。
そして結果だけが残る。
染谷さん+35300点。
京太郎君+40200点。
大星選手+8300点。
亦野選手+16200点。
ダブリーしたことによって防御が薄くなったところに突き刺さる。
『大星選手はダブリーしてから山を越すまで和了らない。』
ここがキーポイントである。
詳しいことはある程度省くけど要は『賽が8以上なら勝てる。』と言うことだ。
立直と能力にしがみついた結果がこれ一足早く言うべきだったな?お前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?
そして今、当の本人は下唇を出して剥れている。
そこを宥めて賺して機嫌を直す京太郎君と染谷さん。
後輩が粗相をして凄く申し訳なさそうな亦野選手。
高校百年生とか言う割には小学生並みの精神年齢だ……
今日はここまで
結末はある程度決まってるので展開は変わってもそこを変える気はありません
とだけ宣言しておきます
とうか、しよう
第一戦目が終わり、二戦目の組み合わせになる。
二戦目のこちらの組み合わせは京太郎君と咲ちゃん。
相手側は渋谷選手と原村選手。
京太郎君が爽やかに挨拶すると相手方も返してくれる。
しかし気になるのは京太郎君の視線の所在。
原村選手の胸はかなりおおきい。
渋谷選手も原村選手ほどではないけど中々のサイズである。
立てばブルン、座ればボヨン。
歩く姿はボインボイン。
京太郎君の目線が若干上下に揺れる。
これはアウトと言えるのだろうか?
咲ちゃんの米噛みには浮き筋が立っていた。
黒か白かで言うなら松崎しげるである。
親の仇を見るよう目で咲ちゃんは対局者を見ていた。
胸が大きければ偉いってわけじゃない。
それを証明するが如く咲ちゃんは和了る。
京太郎君も対局が始まるとちゃんと雀士の顔になる。
原村選手は前に見た通りペンギンのぬいぐるみを抱きながら打つ。
渋谷選手は眉一つ動かさずお茶を啜っている。
局が進むたびにヒートアップしていく。
原村和がリアルでのどっちモードになる瞬間。
京太郎君と原村選手のスピード勝負。
咲ちゃんと渋谷選手の刈り取る対決。
だけど悲しいかな、地力が違った。
各々の対決は清澄に軍配が上がる。
一位になった咲ちゃんが小さく声を漏らしている。
「悪は滅した。」
乳・即・斬である。
と言っても相手側は何とも思ってないようだけど。
さすがクッションある人は違いますね。
だが原村選手や渋谷選手が対局終わりに挨拶しようとした時、事件が起きる。
「「「「ありがとうございました。」」」」
「あ!?」
「!?」
それは原村選手が挨拶するときに頭を下げて戻すと、はち切れんばかりのバストが衣服に負荷をかける。
ブツンと言う音。
冬服のブラウスのボタンが飛んで京太郎君の顔面に直撃したあと、跳ね返ったボタンが咲ちゃんのほっぺにぶつかって落ちた。
ボタンが飛ぶなんて初めて見た……
「す、すみません!」
「怪我は無いですか!?」
「ははは、大丈夫だって。」
「私も大丈夫だよ。」
「すみません……」
二人とも笑顔で返していたけど咲ちゃんは目が笑ってなかった。
そのあとも入れ替わり立ち代わりで打っていたけど概ねこちらが勝っていた。
さすがに2:2でずっと打つのもなんなので3:1で打ったり逆に1:3で打ったりもしていた。
大星選手・渋谷選手・亦野選手・染谷さんで打ったり。
京太郎君・咲ちゃん・片岡さん・原村選手で打ったり。
大体そんな感じだった。
一頻り打つと休憩に入る。
京太郎君と片岡さんがぐいぐいと咲ちゃんを巻き込んで白糸台と仲良くなって行く。
コミュニケーション能力高い、私も少しは見習わないとなぁ……
そう思ってから早く、既に幾数十年である。
「でねーその時ノドカってば……」
「淡!? その話はやめてっていってるじゃないですか!」
「え~? ノドカの面白エピソードは笑いが取れるのにー。」
「私は笑えませんよ!」
「私はその話が気になるじぇ!」
「のどちゃんもどんどん曝け出すんだじょ!」
「優希まで……んもう!」
「ははは、和って印象より可愛い性格してるんだな。」
「京ちゃん、そんな言い方したら失礼だよ?」
「わりぃわりぃ。」
「いえ、よく言われますから気にしてないですよ。」
と、こんな感じに気付けば打ち解けあって談笑していた。
すっかり一年生達は仲良くなっている。
一方二年生は完全にまったりモードに入ってお茶を啜っている。
学年は一つしか違わないはずなのに何でそんなに老け込んでいるんだろう……
日が後半に入り、腹ごなしに私も時々参加することにした。
一応他校の教職員であるとは言え、指導してはいけないとも言われて無いので問題ないはずだ。
私の卓に一緒に打つ人は結構限られていた。
染谷さんと片岡さんは完全に敬遠状態。
入る気はさらさら無いといった感じか。
京太郎君と咲ちゃんは打ちなれているせいか変わりばんこに入ってたりしていた。
「結構私って人気者なんじゃないかな?」と勘違いして調子に乗りそうなる。
指導のとき、白糸台の選手は私の言うことに耳を傾けて実践していた。
素直なのはいいことである。
一日の最後に締めの一局を打つことに。
卓に着いたのは亦野選手・原村選手・京太郎君に私だった。
二人とも私から言われたことを守って打っている。
順位は亦野選手がラスだったけど。
原村選手が終わりの際に凄い笑顔でこう言った。
「今日は最後に楽しく打ててよかったです。」
「ああ、俺も。」
「……うん、そうだね。」
「?」
原村選手の言葉を受けた亦野選手の表情が翳っている。
それを見た私と京太郎君の頭に疑問符がついたけど答えは出ない。
原村選手は続ける。
「最後に良い思い出ができました。」
「高名な小鍛治プロと打てましたし、良い友達も出来ました。」
「和、最後の思い出って?」
「その、実はですね……」
「私、麻雀部を辞めようかと思うんです。」
「前から父に麻雀部より勉強を優先しろと言われてまして。」
「その時に、実は父と約束していて……インターハイで勝ったら麻雀を続けて良いって……」
「でも、個人戦でも、団体戦でも良い成績は残せませんでした。」
「だから私は……」
成り行きとは言え込み入った事情を話すけど徐々に消え入りそうになって行く原村選手の声。
亦野選手は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
今の白糸台の部長は彼女だ、恐らく事情は聞いているのだろう。
京太郎君が何を思ったのか原村選手に声をかけた。
「……和の羽は綺麗だな。」
「……え?」
「和が打つとき……飛ぶときに、俺には綺麗な羽が見えた。」
「白くて、光った羽だ。」
「でも……飛べなかったんです、私……」
そう言った原村選手はぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。
まるで自分の無力を押し殺すように。
京太郎君はなおも続ける。
「ああ、綺麗な羽なのに、傷一つ無い羽なのに飛べてなかったな。」
「……何が言いたいんですか?」
「なぁ、エトペンって知ってるよな?」
「はい、大好きなんです。」
「小さい頃はよく絵本を読んでいました。」
「そうか、だったら話は早いな。」
「ペンギンだったけどエトペンは飛ぼうとしていたぞ。」
「例え自分が飛べない鳥だとわかっていても。」
「ペンギンが綺麗な嘴に憧れて、足掻いていた。」
「和は立派な羽があるのに足掻かないのか?」
「私は……」
「足掻かないで後悔するより足掻いて後悔しろよ。」
「俺はずっとそうしてきた。」
「そしてこれからもそうする。」
「決めるのは原村和だ。」
「決めるのは俺でもない、周りでも親でもなくて、和自身だ。」
「私は……」
戸惑った原村選手が俯いてしまった。
だけど京太郎君は構わずまっすぐ原村選手を見据えて問いかける。
「敢えて俺は聞くぜ……原村和はどうしたい?」
「私は……」
「私は、麻雀が打ちたい。」
「例え父に反対されても、私は麻雀を打ちたい。」
「なんだよ、答えが出てんじゃねぇか。」
一つの決意をした原村選手に京太郎君はすぱっと言う。
「ええ、こんな簡単な答えが引き出せなかったなんて……」
「亦野部長、この間の退部届けですが……」
「ああ、これね。」
そう言って亦野選手が取り出した一つの封筒。
亦野選手は原村選手に渡して言い放つ。
「これは返すよ、破って焼却炉にでも入れちゃいな。」
「はい、面倒おかけしました。」
「いいって。」
亦野選手は笑って言っていた。
原村選手が京太郎君に向き直って宣言する。
「今日はありがとうございました。」
「でも次に会うまでにはもっと強くなって清澄に勝ちます。」
「おお、言ってくれるな。」
「だけどうちの女子はかなり強いぞ?」
「ええ、わかってます。」
「でも挑戦者の立場って燃えるじゃありませんか。」
「それには同意できるな。」
「それと……」
「貴方にも勝ってみせますよ。」
「負けっぱなしは悔しいですから。」
「おう、いつでも受けてやるよ。」
二人の爽やかなやり取り。
お姉さんにはちょっとフレッシュすぎて付いていけない。
「また来なさいよ!」
「また来るじぇ!」
片岡さんと大星選手はそんな別れの挨拶をしていた。
白糸台との練習試合を終えて疲れのたまった体を動かしホテルに引き上げる。
今日は中々に楽しかった。
一人の麻雀少女を救ったし気分もいい。
今夜はいい夢が見れそうだ。
明日は臨海女子と練習試合だ早めに就寝しておこう。
今日はここまで
おやすみなさい
最近気付いたら寝てることが多い
話を進めるためにこっそり更新
朝になり全員に朝食を取らせて支度させると臨海女子に向かう。
今更ながらではあるけど女子高に京太郎君を連れて来てよかったのだろうか?
しかも相手はあのアレクサンドラ監督である、警戒しなくては。
女子高だから大丈夫だとは思うけど京太郎君にも目を配りながら臨海女子の部室まで向かう。
部室までの道をずんずん進み、戸を開けるとそこに待っていたのはパーティの準備をしている浮かれた外国人4人だった。
「……間違えました。」
「Stop! Just a moment!」
「これは貴方達を歓迎するために用意したんですよ!」
「やっぱり受けが悪かったね。」
「ね。」
「え~……」
パーティーキャップを被ったアレクサンドラ監督が部員の槍玉に挙げられてるところを他所に片岡さんは色々と料理を見ている。
何故料理を用意してあるのか、何故それを食べようとしているのか、何故京太郎君にタコスを作らせて振舞おうとしているのかは理解に苦しむ。
「えっと、とりあえず挨拶をしておきます。」
「顧問の小鍛治健夜です。」
「質問、プロって稼げるの?」
「トップランカーなら稼げるよ。」
「国内だけなら年で1000万くらいだけど世界や大きいタイトルでなら億は簡単に稼げるからね。」
と不意に聞かれた質問に答えるとそこには指折り数える少女が居た。
彼女は確かネリー選手だったはずだ。
何でもグルジア出身でお金が必要らしい。
グルジアって確かスターリンの出身国だっけ?
世界中のあちこちに行く機会は多いけどあんまりわからない。
そのあと私達は軽く自己紹介して練習試合をすることにした。
「こっちは今三人しか居ないので足りなかったら私も入ることにする。」
そういうアレクサンドラ監督の目にはどこか楽しげな光が宿っていた。
私は用意されたお菓子を食べながら観戦していた。
京太郎君と咲ちゃん、ネリー選手と臨海監督が入っている。
もう一方の卓は染谷さん・片岡さん・ハオ選手・雀選手が入っている。
というわけで私は今絶賛暇中である。
コアラのマーチを食べ終わると次のお菓子を開けてまた観戦。
咲ちゃんたちの卓を眺めながらお菓子を食べる贅沢。
正直ネリー選手にはキツイ卓だろうね。
監督さんはプロレベルの腕前っぽいし。
京太郎君も咲ちゃんにもいい経験だけど監督さんの目が野獣の眼光のそれである。
よかった、外国枠だからと言って森の妖精が乱舞しなくて。
あ、このお菓子おいしい、今度照ちゃんに買って行ってあげようかな。
そのあと特に面白くもなく対局は終わる。
実力がハイレベルな卓は一方的な搾取が始まり、ネリー選手はいいカモとなっていた。
誰が最初にネリー選手をトばすかの黒髭危機一髪のチキンレースである。
ちょっとかわいそうだけどこれ勝負なのよね。
もう一方の卓は染谷さんが一位で片岡さんが三位。
流石ランカーと言えばいいのか、うちの子相手に雀選手は二位であり、一方のハオ選手はラスを引いている。
若干涙目のハオ選手は「中国麻将なら負けないのに……」と呟いていた。
残念、ここは日本だ。
振聴も立直もあるんだよ。
私からしてみれば特筆すべき点はなかったけどそれでもお互いの生徒にはいい経験になったであろう。
帰りの際、アレクサンドラ監督が京太郎君に声をかけた。
「ねぇ、キョウタロウだっけ?」
「君、強くなりたい?」
「ええ、それは勿論。」
「強くなりたいなら餓えるべき。」
「そして食べたものは必要なところにまわす。」
「ただそれだけ。」
「精々餓えなさい。」
「……肝に銘じておきます。」
「出来るだけ気高く餓えるように。」
とはいえ京太郎君は既に餓えている。
三尋木さんと打ったあのときから。
そういえばアレクサンドラ監督は貪欲だけど胸やお尻に脂肪が回らないって聞いた。
私と違ってスレンダーだなぁ……
短いけど今日はここまで
あと三日で京誕
書かなきゃ(使命感)
京誕を結局書けなかった私ギルティ1000
3000行ぐらい書く予定だったのになぁ……
お酒呑んだわたくしおやすみなさい
「Sweet dreams」
あと、郁乃さんにやられたら落ちちゃう気がする、お互いに
溺れて縋ってずぶずぶに嵌って郁乃さんはこんな若い子に嵌るわけにいかんやろと思いつつ。
京太郎は京太郎でどうせ騙されてる、どうせ遊ばれてると思っていても郁乃さんに嵌っていく
そんなSSください
書こう……風が止む前に……
白糸台、臨海女子と練習試合をして長野に戻ることにした。
今回の遠征で目標や成すべきことを見つけられているなら及第点と言ったところか。
既に私の教え子兼君達の先輩達は目標を見据えているよ。
そして長野に戻って少しするとブラックデーがやってくる。
そう、11月7日である。
私はこの日で瑞原はやりプロと同年齢になってしまった。
いや誕生日迎える度に同じ年齢になるんだけどさ。
でも瑞原はやりプロが事務所の方針とかで23歳と名乗るなら私も必然的に23歳を名乗って良い訳で。
ちなみになぜ23歳かと言うと流石に17歳は厳しいけど23歳だったら「あれ? 事務所でそういう風に言えって言われてるのかな?」って思われるかもしれないし。
まぁなんなら27歳(と12ヶ月)とか26歳(と24ヶ月)とか名乗ればいいんだし。
ああ、そういえば京太郎君や宮永姉妹が祝ってくれたよ、「28歳の誕生日おめでとうございます。」って……
三桁超えた頃から考えちゃいけないと思った。
それから更に暫くすると正月がやってきて、お年玉と称して麻雀を教え込んでおいた。
照ちゃんは確実にこのあと役に立つからいいでしょ、プロコース一直線だし。
プロコースと言えば福路さんも進学ではなくプロに進むらしい。
この間の25日に教えてくれた。
え? クリスマス? 何それおいしいの?
更に時節は進み迎える2月2日。
私が今回用意したのは新しい巾着袋とマフラーである。
もう毎回こんな感じになりそうで怖い。
だって男の子って何が好きなのかわかんないんだもん。
まぁ京太郎君が喜ぶならそれでも良いのかな?
そしていつかは迎える卒業式。
照ちゃんと竹井さんは卒業生として。
一年生二年生の後輩は在校生として。
一年間とは言え、竹井さんとお別れは結構寂しいものである。
竹井さんのことだし進学先でも上手くやるとは思うけど頑張るんだよ。
照ちゃんは福路さんと同じところだってさ。
悪い人に騙されそうな福路さんに。
お菓子に釣られてどこか行きそうな照ちゃん。
お互いで穴を埋めてくれればいいんだけど。
それでもどうしようもないなら私が何とかするよ。
同じ事務所だから。
皆が一年繰り上がり、染谷さんは上級生として。
咲ちゃんたちは二年生として後輩を迎え入れることになり。
そして照ちゃんと福路さんは佐久フェレッターズで新入りとして働くことになる。
今回のミッションは進入部員をなんとしても迎え入れることである。
最低でも女子二人。
でないと女子団体が出場すら出来ない。
大丈夫、今回は中学の時とは違って片岡さんと染谷さんが居るんだ!
きっと進入部員が入れ食いに違いないよ!
笑うがいいさ。
見事に惨敗した無様な女の姿を笑うがいいさ!
笑えよ……
とは言え一応新入部員はきてくれた。
加藤ミカに室橋裕子、片岡さんの後輩。
元々先輩を追っかけてきたので清澄に入る予定だったらしいし確定事項だったとの事。
あ~……よかったよ~……
京太郎君と咲ちゃん話している。
「あー、よかったー。」
「今年は中学のようなことにはならなくて。」
「そうだな。」
「京ちゃん余り嬉しくなさそうだね?」
「新しく出来た後輩が嬉しくないの?」
「男子が一切入ってこないことを考えなければ嬉しいかな。」
「結局俺は去年同様団体戦出れない。」
「京ちゃんのレベルならワンマンチームになっちゃうよ。」
「かもな。」
「でもたまには咲たちと同じ目線に立ってみたいよ。」
「そんなものなの?」
「ああ、そんなもんだよ。」
京太郎君、個人戦確定です。
でもね、無理だよ。
男子で団体戦なんて。
男子で麻雀やってる子は別のところに行くだろうし。
そもそも去年の暴れっぷりを見るにハードル高く感じちゃうだろうね。
今日はここまで
あと三日ほどで禁煙してから一ヶ月
更新は地道に
あとなんでカツ丼さんを「靖子ちゃん」ではなく「藤田さん」にしたのか忘れてしまった
ほかにも回収し忘れた伏線あるかも……
そんなこんなで新しく入った加藤さんと室橋さんを迎えて新たに始動である。
っとその前に歓迎会をしなくちゃ。
皆が仲良くなるのにはコミュニケーションだよね。
だから歓迎しよう、盛大に。
加藤さんと室橋さんを固定で歓迎卓を始める。
最初は部長の染谷さんに二人の先輩の片岡さんが入る。
見た感じ、加藤さんの打ち方はオーソドックスな打ち方。
室橋さんはやや染谷さんに近い感じだろうか。
片岡さんのロケットスタート、染谷さんの老獪な打ち回し。
それを相手にどこまでやれるのかな?
片岡さんが逃げ切り一位。
染谷さんが余力を残して連帯二位。
加藤さんは三位で室橋さんはラス。
戦力差に圧倒的な開きがある。
片岡さんは元々オカルトがあったとは言え、ある程度打てていたけど弱かった。
今でも計算処理は怪しいけどそれでも一年前から比べて相当に地力を上げている。
片岡さんは負けん気が強いから同年代の周りの存在に触発されて居たのも要因だろう。
染谷さんのほうは膨大な牌譜を覚えていてそれを元に打っている。
だからこそ私は去年に初心者の打ち方や特殊な打ち方を模倣して染谷さんに覚えさせた。
それにプラスして人の対応の仕方にあわせてこちらが打ち方を変えるという芸当を教えている。
今では染谷さんの打ち方も様々な方法になっている。
要は二人は強くなった。
それも一年前とは比べるまでもなく。
新一年生さんたちは圧倒されて手も足も出なかったって思っているようだ。
でもね、これからだよ?
私の愛弟子二人は更に格が違うから。
それを肌で体感しなさい。
多分二人はAランクのプロではどうにもなら無いレベルだよ。
対局はあっさりと終了。
東3局で室橋さんのトび終了だった。
「「ありがとうございました」」
「くっそー……咲に負けた。」
「まぁそんな簡単に負けるわけには行かないからね。」
「京ちゃんが加速しきる前に勝たせてもらったよ。」
私は新入生に声をかけた。
負け癖をつけてもらっては拙いけどしっかり自分の実力を見定めてもらわないとこの先生きのこれない。
「室橋さんに加藤さん、打った感じどうだったかな?」
「これが全国レベル……なんですね……」
「私達に務まるんでしょうか……ここの部員が。」
「う~ん、二人とも片岡さんの事知っているよね?」
「はい。」
「貴方達もやる気と練習を積めば片岡さんレベルにはなれるよ。」
首肯した二人に対してあっさりと言ってのけてあげた。
しかし私の言葉を受けても尚、俄かには信じられないのか戸惑っていた。
そういうときにフォローを入れてくれるのが先輩方である。
「大丈夫じゃ、優希なんぞ未だに計算が怪しいからのう。」
「そうそう、優希なんて俺が作ったタコスが無いと弱いしな。」
「そうだよ、優希ちゃんは入ってきたとき初心者と大して変わらないのに猪武者なんてあだ名で……」
「なんで私ばっか集中砲火食らってるんだじょ!?」
「ふふふ。」
「あー! 笑いやがったなお前ら!」
「すみません!」
室橋さんも加藤さんも笑っている。
そしてそれを弄る片岡さん。
思った以上に仲がよくなるの早い。
やばい、私がむしろやばい。
コミュ力足りてないのばれちゃう。
咲ちゃんもこっち側の人間なのに京太郎君という楯があるからかコミュ力のなさが表立っていない。
完全に私ぼっち……
今までを思い起こすと今更だった。
今日はここまで
ちょっと投下する
ある日事務所に行くと社長が頭を抱えていた。
一体何事かと思ったら福路さんが教えてくれた。
「社長うんうん唸ってるけどどうしたの?」
「あ、何でも今度の団体戦のオーダーに悩んでいるようでして。」
「それで監督(社長)は小鍛治先生が来るまで待ってたんです。」
「ふ~ん、なるほど。」
「わかった、社長にちょっと話してくるね。」
「あと、福路さん。」
「はい?」
「ここで小鍛治先生はやめようよ。」
「あら、すみません、中学の時の癖がつい。」
「でも、私の中では小鍛治さんが今でも麻雀の先生なのは変わりませんから。」
「……その厚意は受け取っておくね。」
うん、悪い気はしないけど一途って言うより結構重い子だった。
照ちゃんのお世話なりなんなりしてるから『ダメな子育成機』な部分が目立ってたけど結構重い。
あとおっぱいもおもい。
そのあと私は社長の元に行ってオーダーの進言しといた。
先鋒・照ちゃん、中堅・福路さん、大将・藤田さん。
次鋒と副将は適当に入れてって言っておいた。
ちなみに私はこの間(咲ちゃんたちが一年生のとき)のオリンピックで派手に暴れたので少しお休みである。
そういえば何故か私は靖子ちゃんのことを「藤田さん」と呼んでいる。
それには理由があるのだけれど、私は元々知り合いだったけれどこっちの靖子ちゃんは私との面識は無いから「藤田さん」と呼び始めてそのままなのである。
そういえばいつだったか本で読んだんだけど……
下の名前で呼べるようになったらお互いの親密度があがっている証拠なのでアタックしてみましょう。
というもの。
あれはうそだよ。
一回試してみたけど見事にお見合い失敗したもん。
というか思い出した。
どこかで読んだと思ったら私が昔書いた本のネタだった。
私は過去の私に騙された!
それから数日して部活でこんな話が出てきた。
それは折りしも偶々染谷さんが家の手伝いでいなかった日だった。
そんな時京太郎君が卓に入って打っているメンバーを傍から眺めながら私に言ってきたのだ。
「合宿、しませんか?」
「もしかして去年と同じように?」
「ええ、去年県予選前に合宿所に行ったじゃないですか。」
「だから今年も行っておきたいなって。」
「ミカやムロの強化もしないといけないだろうし。」
その言葉が出た瞬間加藤さんと室橋さんが肩をピクリと動かしていた。
びっくりしすぎでしょう。
「染谷さんには?」
「部長はそろそろそんな時期かと言ってました。」
「というより言いだしっぺは部長です。」
「そっか。」
「じゃあ県予選前合宿しようか。」
私がそう言うと室橋さんが小さく言った。
「遺書書いておかないと……」
何もそんなに悲観しなくても……
そして来る合宿の日、荷物と部員を学校の車に詰め込んで出発。
引率をしている顧問ですが車内の雰囲気が最悪です。
片岡さんが京太郎君にイチャイチャ漫才しかけて咲ちゃんが泥棒猫役でキレかけている。
新一年生は萎縮しているし染谷さんは我関せずを貫いている。
何より空気を最悪にしてるのは甘ったるい漫才の雰囲気を当てられてイライラしている私だった。
更年期はまだ来てない。
あと月の物でもない。
ただちょっとイラッて来てるだけ。
京太郎君は片岡さんじゃなくて私に構うといいよ。
それと小鍛治健夜は絶賛彼氏というか旦那さん募集中です。
部員の中に「家事が得意で年上OKで浮気癖やDV癖も無くてそんなに理想も高くなくてフリーのイケメン」の知り合いはいませんか?
もし知っていたら私に教えてください。
小鍛治健夜(28)は今丁度、熟れ時ですよ。
合宿所に付いたら直ぐ様温泉に入る。
その間に京太郎君が卓の用意などをしてくれているのだけれど……
脱衣所、風呂場で見たもの。
見事にまな板。
お姉さんびっくり。
一番大きくて染谷さん。
加藤さん室橋さんもまな板。
加藤さんは身長高いから胸には栄養行かなかったのかもしれない。
お風呂からあがると私は浴衣を着た。
去年のことを思い返して浴衣にしたのだ、これでいきなり生徒に引ん剥かれる事は無い。
私だって学習しているのだと思いつつ皆を待っていると生徒達は私服で出てきた。
「先生、浮かれてますね。」
「きっと合宿や温泉が楽しみだったんじゃろう。」
「先生も人の子なんな!」
「え!? 今回私だけ騙されたの!?」
ひどいよ、去年は私だけ私服だったのに今年は私だけ浴衣!?
こんなのってあんまりだよ!
そのあと部屋に戻ると京太郎君が自動卓とパソコンを用意して待っていてくれた。
「すまんのう、京太郎に全部押し付けてしもうて。」
「大丈夫ですよ、それより俺は早く打ちたいです。」
「じゃあ早速打とうか。」
私が号令をかけると皆掛け声とともに卓についていく。
今日は私も卓に入ってミカムロコンビを鍛えないと。
「今日は私も入るけどちゃんと手加減するから安心してね。」
「じゃあ私は全力全開だじぇ!」
だまして悪いけど、勝負なんでね、トんでもらおう。
というのは冗談で別にお風呂に入れた後「貴様らには水底がお似合いだ。」なんて言う気も無い。
そして夜になり、私は焼酎片手に烏賊の下足を肴にして月を眺めていた。
最近ビールは控えるようになった。
理由は言わずもがな。
私が月をぼんやりと眺めていると京太郎君がやってくる。
その傍らには染谷さんと咲ちゃんも。
「どうしたの?」
「俺はなんとなく眠れなくて。」
「わしはちょっと先輩と後輩の仲を取り持つためにじゃな。」
「私も空気を読んで優希ちゃんを……」
「え、咲空気読めたのか?」
「京ちゃん時々すごく失礼だよね? 私だって空気くらい読めるよ。」
「気のせい気のせい。」
「で、ついでだから健夜さん、俺達に特訓つけてもらえないですか?」
「んー、いいよ?」
私はグラスの中に残っていた焼酎を一気に飲んで返答をした。
ついでにこのあと京太郎君達と一緒に追加の料理を作ったんだけどさ。
そのあときっちり特訓してあげた。
一番辛そうなのは染谷さんだったけどね。
明日は明日で早いから早めに切り上げようか。
合宿二日目、今回は前回の教訓を生かして二日酔いにはならなかった。
が、早朝のランニングはきつい。
特に足腰膝に来る。
車に頼って日々の限られた運動を更に省くからこうなるのだ。
ああ、戻れるのならば十年前の体に戻りたい。
外見は未だに高校生でも通るけど中身は結構キテル。
今日はここまで
書けないときは書けないという事を書くしかない
朝のジョギング(生徒はランニング)を終えて特打ちが始まる。
咲ちゃんは前年と同じくネト麻。
一年生二人は固定で卓に入ってもらう。
片岡さんと京太郎君に染谷さんは交代で入る形だ。
「あうあうあー……」
「少しでいいんで……少しだけで良いんで休ませてください……」
「ミカとムロが音を上げたじぇ。」
始めてから三時間ほどすると見事に二つの死体が完成していた。
前半は片岡さんにドーンとぶっぱをやられてその後は京太郎君に十割コンボ。
染谷さんは逃げや甘えを作らないように逃げ道を塞いでいた。
台パンされても仕方ないレベルだと思うよ。
一旦休憩を入れた後、私と咲ちゃんで加藤さんと室橋さんを鍛えた。
多少しんどいとは思うけど大丈夫、明日にはすごく強くなってるから。
ほら、人間死にかけると限界超えるって言うじゃない?
少なくとも精神的にはタフにはなるよ。
そう思いながら打った数十分後。
「大変だよ健夜さん! ミカちゃんが息して無い!」
「ええ!?」
咲ちゃんの言葉を受けて私は驚いた。
まさかの事態である。
私の直撃を受けた加藤さんが呼吸不全を起こして心肺停止状態らしい。
「いのちなき、砂のかなしさよ、さらさらと、握れば指の、あひだより落つ。」
まさに手の中の砂といったところか。
暢気に現実逃避している状態じゃなかった。
「どいてくれ!」
ただ只管おろおろする咲ちゃんと室橋さんを脇に置いて京太郎君が蘇生を試みる。
京太郎君が加藤さんの顎を上に引いて気道確保したあと鼻を摘んで息を吹き込む。
そのあとは胸に手を当てて体重をかけて心臓マッサージ。
助かるかどうかはここが分水嶺。
祈ろう、加藤さんが助かることを祈ろう。
ささやき - えいしょう - いのり - ねんじろ!
「う……げほっ……」
「あれ……ここは……」
「意識は戻ったか。」
「須賀先輩……?」
「私どうしたんでしたっけ……?」
「ミカちゃんは途中意識を失ったんだけど京ちゃんが人工呼吸と心臓マッサージをして……」
「そうなんですか?」
「まあな。」
「……え? でも考えてみれば……」
「私、須賀先輩にキスされた上に胸まで触られたんですか?」
*おおっと*
*(空気が)いしのなかにいる*
「……悪い。」
「緊急事態とは言え手荒なことをした。」
「あ、いえ……」
「助けていただいたのは事実ですし……」
「それに……」
「まぁこれはいいですね。」
「?」
言い止めた加藤さんが気になるけど京太郎君の緊急キス事件は何とかなった。
なのでこのあと石化している咲ちゃん片岡さんを寺院に連れてって治さないと……
いや原因は私なんだけど良かった、大事にならなくて。
それから数時間後。
「やった……! 勝った……!」
「おめでとう。」
「おめでとう!」
「めでたいのう。」
「おめでとうだじぇ!」
「よくがんばったな。」
「ありがとうございます!」
加藤さんが染谷さん・片岡さん・室橋さんの入った卓でトップを取った。
死にかけた甲斐があったね。
「次はムロがトップをとらないといけないじょ?」
「え!?」
「大丈夫だよ、私みたいに一度死んでみれば強くなれるよ。」
「嫌だよ! 私臨死体験なんてしたくないよ!」
「大丈夫大丈夫。」
「全然苦しくなかったよ?」
「そういう問題じゃないって!」
室橋さんを強くするため殺しかけるかどうか本気で悩みながら打ったが若干戻ってこれなさそうな気がしたのでやめた。
死ねば助かるのに……主に麻雀部が。
その夜、京太郎君の部屋に居た。
染谷さんや室橋さんと一緒に。
何故私達がここにいるのかというとおよそここにあらわれる人物を待ち受けるためである。
「しかし本当に来ますかね?」
「来ないなら来ないで構わんじゃろう。」
「でも来なかったらむしろ私達が……」
「そういうところは気にしたら負けだよ。」
ちなみに京太郎君本人は今お風呂である。
私達はトランプをしながら京太郎君の部屋に滞在して待っている。
「ん……来たね。」
私がそう言うと二人が息を潜める。
それから少しすると戸がするりと開き人が入ってくる。
「京太郎ー?」
「須賀先輩?」
案の定加藤さんと片岡さんがやってきたので染谷さんと室橋さんが引っつかんで部屋に戻っていった。
実は一年前にも似たようなことがあったし警戒しておいて良かった。
それから数分後、京太郎君が戻ってきた。
「あれ? 健夜さんどうしたんですか?」
「ちょっと特訓しておこうかと思って。」
「マジですか? じゃあよろしくお願いします。」
誤魔化すためとは言え特訓する破目になる。
しかもそのあとには咲ちゃんも参加していた。
このあと滅茶苦茶特訓した。
次の日の朝になり合宿最終日、というか帰宅日になったので皆を荷物と一緒に車に突っ込んで出発。
加藤さんも室橋さんも強くなったとは言え一年前のメンバーよりは戦力が落ちている。
今の加藤さんは一年前の染谷さんレベルといったところか。
一方の室橋さんは一年前の片岡さんを平均的にした感じ。
逆に片岡さんと染谷さんは一年前と比べて結構成長している。
総合戦力が落ちたとは言え十分にインターハイで優勝できる実力である。
来週から県予選が始まる、それまでに最後の仕上げをしておこう。
今日はここまで
あと「書けないときは書けないという事を書くしかない」というのは『スタアの恋』で森本レオが言った気に入っている台詞です
お久しぶりです
ちょこちょこ投下していきますが書き溜めはありません
WoTとマイクラに没頭していましたから
合宿が終わり学校が始まる。
今週中に仕上げをしておかなければいけない。
何せ龍門渕や風越等の強豪校が出てくるのだから。
その日の放課後、私は皆が集まったところで声をかける。
「皆注目、今日は特別にゲストを呼んでいます。」
「それじゃ入ってきて。」
「どうも。」
「こんにちは。」
「何で私まで……」
ぞろぞろと部室に入ってきたチームの後輩三人。
それを見た(現)二、三年生はさして驚いてくれなかった。
が、一年生コンビは驚いてくれた。
ムロミホコンビはやさしい。
「お久しぶりです美穂子さん。」
「久しぶりね、京太郎君も元気にしてた?」
「ええ、それよりもいいんですか? 美穂子さんの母校は風越なのに。」
「大丈夫よ、この間風越に顔を出しておいたもの。」
「コーチも華菜たちも張り切っていたわ。」
池田ァ……なんでか池田選手には頑張って欲しいと思った。
多分悲しい結果になるけど。
照ちゃんは挨拶もそこそこにお菓子を食べている。
靖子ちゃんは何か拗ねている。
そういえば機会を逃したせいで未だに藤田さん呼びなんだけどいつになったら靖子ちゃんと呼べるのか。
結構な頻度で会ってるし、お酒も一緒に飲んでる仲だ。
しかも京太郎君や咲ちゃんや照ちゃんも含めて仲がいいのに私は未だに小鍛治さんと呼ばれている。
最近では照ちゃんですら藤田さんを「靖子さん」と呼んでいるとか。
くそう……照ちゃんは私と同じくコミュ障だと思っていたのになぁ……
京太郎君も名前呼びになったので咲ちゃんが藤田さんを名前で呼ぶのも秒読みかもしれない。
咲ちゃんのカツ丼さん呼び結構好きだったんだけどね。
ともあれ私が嘆いていても部活というものは進んでいくわけで。
Aグループに京太郎君に福路さん、宮永姉妹、私と藤田さんの六人を基本として卓に三人ずつ入る。
そして残ったBグループの染谷さん、片岡さん、室橋さん、加藤さん4人が交代で入っていく。
それは後に「特打ち(血)祭り」という不名誉な通称をつけられた。
「こういうときでないと照さんや美穂子さんと打てなくなっちゃいましたね。」
「京ちゃんが望むならいつだって打ってあげるよ。」
「多分それは美穂子も同じ。」
卓に着いた照ちゃんがそう言うと福路さんが笑っていた。
照ちゃんも福路さんも京太郎君に甘いと言うか好意的ではある。
でもそれは私だって咲ちゃんだって加藤さんだって、言ってしまえばここにいる人間は皆京太郎君のことを好いていると思う。
ただそれはどういったベクトルの物なのかはわからないけど。
仲間としての好意かもしれない。
弟に向けるみたいな好意かもしれない。
幼馴染に対して向ける好意かもしれない。
先輩に対して向ける好意かもしれない。
もしかしたら異性に対する好意かもしれない。
好意かもしれないし、ただの厚意なのかもわからない。
多分京太郎君に向けられた『こうい』は人それぞれなんだ。
それから少しすると音を上げ始めたムロミカコンビがダウンして一旦休憩に入った。
休憩に入ると福路さんが立ち上がってお茶を用意しようとしたら京太郎君も立ち上がった。
「それじゃお茶淹れるわね。」
「あ、俺も手伝います。」
「あら、座っててもいいのよ?」
「折角来て貰ったお客さんにお茶淹れて貰うわけにもいきませんから。」
「京太郎の場合は好きでやってるよな。」
「ん、京ちゃんは世話焼いてこそ京ちゃん。」
藤田さんと照ちゃんが好き勝手言ってるけど結局のところは周りの人間がずぼらで物臭なのと。
尚且つ目標というか憧れの人が世話焼きなのが彼の世話焼きの起因だと思う。
今はまだ改善されてるけど一年前は手間のかかる娘ばかりだったからね。
私と京太郎君と染谷さんくらいしか世話を焼く係りはいなかったし。
「お菓子まだ?」
「タコス追加で頼むじぇ。」
「カツ丼も頼む。」
君達少しは遠慮しなさい。
お茶が入り皆に配り終わると二人が座って皆で話し始めた。
やれプロになってどうだったとか。
やれ彼氏は出来たかとか。
どこどこのスイーツは美味しかったとか云々。
若干女子会っぽい雰囲気だったので京太郎君は居辛いのかなとも思った。
まぁでも京太郎君なら普通に会話に混ざれるし、周りも結構関係なく話せるタイプが多いから問題なさそうだけど。
むしろ女子力で言えばこの中でも五本指に入るし。
そのあとはまた特訓を再開して主にBグループの強化を図った。
勿論咲ちゃんと京太郎君の強化もしたけど。
部活が終わった頃にはムロミカコンビは当初とは見違えるようだった。
「…………」
「…………」
「……ムロとミカが何も話さないじぇ。」
「これ大丈夫か?」
「だ、大丈夫大丈夫、へーきへーき!」
私が笑って誤魔化していたけど当事者二人の目は虚ろだった。
でもこのくらい修羅場を潜らないと龍門渕には勝てないよ。
風越だって気合入れてきてるはずだし。
何より学生の内にプロ4人と打てるなんて滅多にない機会だよ!
ちなみにBグループは全員で計5回ほどトんだ。
点数だけでなく意識も。
県大会が始まるまで放課後は大体そんな感じだった。
流石に大会前日にもなるとトぶ事はなくなっていたけど。
そして迎えた県大会。
まさかの事態が起きた。
一旦休憩
>>980になったら次スレ立てます
県大会エントリーしたのはいいけどウチは一応シードなわけで。
抽選でウチと当たったところは悉く棄権。
決勝まで不戦勝のエスカレーター式だった。
棄権を決断した人は英断だと思う。
去年の竹井さんとかを見るに下手したら打てなくなるし。
というか清澄が出る時点でこの展開は予想できたことでしょ……
それはそれとして決勝に残ったのはウチ、龍門渕、風越、千曲である。
鶴賀は残念ながら人数不足なのかそれとも新戦力が使い物にならなかったのか知らないけど決勝の場には現れなかった。
決勝が始まる前に我らが部長の染谷さんがオーダーを伝える。
「決勝が始まる前」なのに初めてオーダーが発表されるというのは何ともおかしな話ではあるが出番がなかったので仕方ない。
「じゃあオーダーを言うけぇ、ちゃんと聞いとってくれ。」
「先鋒は優希、お前さんじゃ。」
「次鋒、ムロ、しっかりやれよ。」
「中堅、わし。」
「副将はミカで。」
「大将は去年から引き続き咲じゃ。」
「以上じゃけど何か質問は?」
「……ないみたいじゃのう。」
「おっと、今回の注文(オーダー)を言っとくのを忘れておった。」
「好きなように暴れてきんさい。。」
「わしからはそれだけじゃ。」
染谷さんは言い終わるとさっさと引っ込んでいった。
片岡さんはいつもの調子ながら気合が入っている。
室橋さんは平静を保とうと頑張っている、
加藤さんは少し緊張気味か。
そして咲ちゃんは……
ただただ静かに待っていた。
ちょっと今日はここまで
試合展開を考えてなかった
次スレです
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