健夜「せめて思い出に須賀る」【3LOOP】 (1000)
・細かい事は気にしないスタンスで行ける
・遅筆
・京太郎成分多し
・キャラ崩壊
・クオリティ低し
この物語は小鍛治健夜目線で繰り広げられるお話です
前前スレ
健夜「せめて思い出に須賀る」 - SSまとめ速報
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健夜「せめて思い出に須賀る」【2LOOP】 - SSまとめ速報
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そして始まる県予選決勝、先鋒戦。
切り込み隊長片岡が起家でスタート。
相手は龍門渕の井上純選手。
風越の吉留未春選手。
千曲東の土屋由理選手。
片岡さん以外全員三年生である。
しかしそんなことは関係ないとばかりに片岡さんの配牌は流石だ。
開幕配牌一向聴。
しかも大体高目で倍満。
曲げなくても跳満に達する。
一巡後、片岡さんがわずか二巡目にしてテンパイ。
片岡さんは敢えて立直をかけずに一巡待って手変わりしてから立直をする。
『立直だじぇ。』
「先生、なんで先輩は一巡待ったんでしょう。」
室橋さんから質問が出てきた。
わからない人間から見たら全く持って意図がわからないだろう。
「片岡さんは勢いを殺させない為に敢えて鳴かれにくい牌を待って立直したんだよ。」
「ほら、見ててごらん。」
私がそういうとモニターの中の片岡さんが一発で自摸ってきた。
『ツモ、門前・自摸・一発・ダブ東・混一・裏3。』
『12000オールだじぇ。』
「ね?」
「理由はわかりましたけど今の私には理解出来ないです……」
「あれれ……」
オカルトに理屈も何もない気がするけどね。
「立直だじぇ。」
「! ポン!」
「ツモだ、メンタンピン自摸ドラで4000オールだじょ。」
井上選手の邪魔ポンも物ともせずに片岡さんは和了る。
明らかに異様な空気に場が支配されている。
片岡さんの打ち方に飲み込まれているのだ。
こうなったらあとは派手に食い散らかすだけだ。
その後も片岡さんが東場はガンガン稼いで南場はガードを堅めにして前後半合わせて+68000収支で帰ってきた。
「戻ったじょ~。」
「お疲れ様です。」
「ほれ、次はお前さんじゃ、しっかりやってきんさい。」
「が、頑張ります!」
室橋さんは気合を入れると対局室に向かっていった。
それを見た京太郎君がどこか心配そうに言う。
「ムロのやつガチガチでしたね。」
「緊張しすぎて錯和しなければいいんだけど……」
「まぁ大丈夫じゃない?」
「なんだったら中堅で取り返してもらったらいいわけだし。」
「あんまり期待せんで欲しいのう。」
我らの部長がケラケラ笑っている。
言葉とは裏腹に頼れる雰囲気を醸し出しているので片岡さんも心配していない風に見えるし、咲ちゃんに関しては余裕なのか本を読み出している。
京太郎君も心配なさそうだとは口で言いながらも気にかけているようだ、片岡さんのときは心配してなかったけど初めての後輩が気になるのかな?
加藤さんは何かそわそわしてる、もうちょいどーんと構えていればいいと思うよ。
続いての次鋒戦、龍門渕は沢村選手。
風越と千曲東は知らない子ですね。
事実上龍門渕とウチの一騎打ちになっていた。
「り、立直です。」
「ロン、2000。」
特筆するべき点がないくらい地味な試合だった。
室橋さんは緊張してる割には+5800で帰ってきたので上々だと思う。
「すみません、余り稼げませんでした……」
「いや、優希がおかしいだけでムロは良くやったって。」
室橋さんが戻ってきて開口一番に言ったことを京太郎君が返す。
須賀先輩やっさしーっすね。
それに比べ生徒のフォローができてないダメ教師が一人。
大丈夫だもん! 私の生徒が後輩をフォローしてるからそれは即ち私がフォローしてるのと同義だから!
私の出る幕はないってだけだから!
福路さんのときから何も成長していない……
そして続く中堅戦。
龍門渕の国広選手。
風越の文堂選手。
我らが染谷部長。
え? 一人足りない?
大丈夫だよ、置物だったもん。
それにしても中堅戦は中々に見物だった。
龍門渕との三年生同士での戦いに喰い下がっていく文堂選手。
森崎君だったら吹っ飛ばされてるような場面でもガッツで食い縛って耐えていた。
「ツモ、1300・2600。」
「僕達だってこの一年頑張ってきたんだ、簡単には負けないよ。」
「ロン! 7700!」
「……私だって……頑張ってきました。」
「一年前は片岡さんに惨敗でしたけど今年はそうはいきません。」
「意気込みが違うんです。」
「……ほうか……じゃがのう。」
「頑張ってたのはお前さんらだけじゃないことを教えてやる。」
「わしらだって日々進歩してるんじゃ。」
「ツモ、緑一色、8000・16000。」
「伊達に部長はやっとらんよ。」
そこから白熱した戦いが始まる(一人を除いた)。
圧倒的なテクニックと経験の差で和了っていく染谷さんにそれに追い縋る相手校(千曲東を除く)。
足りない部分はセンスと気持ちと肝の太さで乗り切っていく(千曲東は何もなかった)。
多分一番熱い中堅戦だけどもそれでも染谷さんは切り抜けて帰ってきた。
「戻ったぞ~。」
「すまんのう、大口叩いた割りに20000弱しか稼げんかったわい。」
「正直、部長楽しかったでしょう?」
「わかるか?」
京太郎君が染谷さんに聞いた。
それに対して染谷さんは笑って返す。
多分ここにいる人は全員気付いている。
京太郎君はそのまま続ける。
「顔に楽しかったって書いてあります。」
「顔に出てるようじゃまだまだじゃのう、もうちょいポーカーフェイスを鍛えねばいかんな。」
「でも楽しんでるときの部長いい顔でしたよ。」
「ほうか、褒め言葉として受け取っておくけぇ。」
「それよりも次はミカじゃ、お前さんからも声を掛けてやりんさい。」
「いやいや、俺が掛けなくてももう既にウチの姫が激励の言葉を掛けてますよ。」
京太郎君がそういうと咲ちゃんのほうに視線を送る。
そこには加藤さんと咲ちゃんが話していた。
「あ、あの先輩……」
「ミホちゃん、私のことは気にしないで打ってきていいんだよ。」
「例え点数を取られてもトばなければ私が何とかするし。」
「それに失敗してもまた練習して次に活かせばいいんだから。」
「だから精一杯頑張ってね。」
「は、はいいぃぃ!」
何か余計にプレッシャーになってませんかね、これ。
加藤さんの中で咲ちゃんの言葉はどう解釈されたのかは気になるけどそろそろ試合の時間である。
送り出される加藤さんの背中を見ながら何事もなく終わればいいなぁと思いました、まる。
始まる副将戦。
龍門渕の龍門渕透華選手。
風越の深堀純代選手。
千曲東の上柿恵選手。
ウチの加藤ミカ選手。
傍目から見て明らかに大丈夫じゃない加藤さん。
息が荒い。
肩で呼吸している。
緊張しすぎで周りからの視線が「大丈夫かなこの子……」と物語っている。
だがそんなことはお構いなしに龍門渕選手は点数差を危険な物と感じているのか静かに冷えていた。
対して不動の深堀選手は山のようにどっしりと構えている。
うわぁ……頼りたい……そんな安心感がある……
「ツモ、1000・2000」
「ロン、5800」
「ツモ、3900オール」
開幕早々から冷え切った龍門渕選手がどんどん削っていく。
まずいと思ったのか風越も千曲も仕掛けていく。
だけど中々龍門渕は寄せ付けない。
そうしているうちに点数を取られていく。
するとそのうち加藤さんはブルブルと震えだした。
「キエエェェェ!」
震えが限界まで達したかと思うと奇声が上がる。
まるで去年の池田選手の如く。
そのあと加藤さんは更に続ける。
涙声で、必死な形相で。
「わだじはぁぁ!」
「じにだくないいぃぃ!」
「ヅモォ! 4200・8200!」
何が彼女をそこまで追い詰めたのか……
咲ちゃん……何をしたらそんな風に……
色々必死な感じで帰ってきた加藤さんを迎える。
「ぜんばいぃぃ!」
「わたし……わたし……」
「おお、よしよし。」
「しかしなんで死にたくないなんて……」
走り寄ってきた加藤さんを京太郎君が抱きしめながら事情を聞く。
「だって……失敗したら練習だって……」
「私失敗したらまた死にそうな目に会うんじゃないかって思ったら……」
加藤さんは泣きながらそう言っていた。
それを聞いた皆が遠慮がちではあるけど私の方を見た。
私も後ろ見てみるが壁しかない。
どうやら原因は咲ちゃんというよりは私だったみたいだ
皆からの視線が突き刺さる。
いやぁ、人気者は辛いね。
一旦落ち着いた頃には京太郎君の胸には加藤さんの顔がすっぽり納まっていた。
しかし私だけであろうか、気付いたことがある。
加藤さん若干笑ってやがる。
加藤さんって結構強かだぞ……
というか戻ってきて一番に京太郎君のところに行くあたり計算高いというかあざといというか。
片岡さんは信じられないといった顔をしている。
あれ、もしかして前はこんな性格じゃなかったとか?
ということは死に掛けて人格まで変わっちゃった……?
まさかね!? まさかだよね!?
これって私のせいなのかな!?
今日はここまで
もう一回念押し訂正するとミホじゃなくてミカです
すみませんでした
投下出来たら良いなって
それから間も無く咲ちゃんが持っていた文庫本を閉じて立ち上がる。
さっきまで本なんか読んでなかったのに。
後輩の前だから格好つけてるのかな?
咲ちゃんのかっこいい女像はそこなんだ。
だけど一人では対局室には行けないから御付の人がいるわけで。
それは結局京太郎君なわけで。
そうすると加藤さんの顔を埋める場所がないわけで。
まぁ京太郎君が謝りながらも咲ちゃんを送っていったんだけどね。
その際咲ちゃんは加藤さんに笑いかけながら話していた。
「それじゃ京ちゃんお願い。」
「ミカちゃん、ごめんね? 京ちゃんを取っちゃって。」
「いえ、泣いてすっきりしましたので。」
「それに須賀先輩は誰にでもやさしいみたいですし。」
「うふふふふ。」
「うふふふふ。」
お互いニコニコしながら咲ちゃん達は出て行った。
なにこれこわい。
暗に何か言ってるっていうのは何となくわかるけど考えないことにした。
大将戦が始まるが結果のわかりきっている試合なんて見ていてもつまらないものだ。
池田と天江選手は汗を滝のように流しながら咲ちゃんと対峙している。
千曲東の選手に到っては意識があるのか良くわからない。
まだ大将戦は始まっていないというのに。
ではダイジェストでお送りいたしましょう。
「カンカンカン! 16000!」
「にゃー!?」
池田ァ! しっかりしろ池田ァ!
「カンカンカン! 24000!」
「うう……すまない……衣のせいで……」
貴女は悪くない、悪いとすれば相手が悪いか運が悪いかのどちらかだよ。
「あ、千曲東さん、麻雀って楽しいですよね。」
「避ければ流局に……」
「!」
「避けらんねえ」
何か吹っ飛んでいった。
千曲東の選手が磔状態のまま審判が告げる。
「ゲームウォンバイ清澄。」
という感じで暇な私は試合に好き勝手なアフレコをつけて遊んでいた。
実際のところは結構退屈というか本当に地味な絵面だった。
多少脚色はしていたけど大体こんな感じで清澄は県予選突破。
収支は清澄が300000越えの一位、龍門渕二位、風越が続いて三位、千曲東はトび終了。
さて次は個人戦だね。
個人戦は週明けからだからまた練習できるね。
やったね加藤さんに室橋さん! 練習時間が増えるよ!
風越はレギュラーメンバーしか登録してないらしい。
龍門渕も天江選手がエントリーしていないらしい。
鶴賀は個人で津山選手と東横選手ががエントリーしているとの事。
さあ、今年の三枠はどうなるのか。
照ちゃんと福路さんはいないけど激戦になるだろうね。
咲ちゃんは確定としてあとは染谷さんと片岡さんと龍門渕選手辺りかな。
池田と吉留選手、東横選手は運がよければいけるかもねってレベル。
まぁ何にせよ血で血を洗う県予選個人戦になりそうである。
短いけどここまで
それから一ヶ月、加藤さんを心肺停止にしない程度にしごいた。
そのかわり室橋さんは吐いた。
でも今はだいぶ強くなっている。
人間というのは結構頑丈なもので過酷な環境でも順応していくものだ。
「…………」
「ムロもミカも、昔はあんなにいいやつだったのに……」
「今ではすっかり老け込んで……」
「まるでアラサーだじぇ……」
「まだ十代ですよ!」
「ピッチピチですからね! ゆーき先輩!」
「先生と違って!」
「私は関係ないよ!」
遠まわしに皆が私をいじめてきます。
きっとあれだよ、愛されているんだよね、私。
それから数日経って職員室で声を掛けられた。
「小鍛治先生。」
「はい?」
「実は……」
またか。
またなのか。
また君か、片岡さん。
ウチの問題児、片岡優希隊長殿。
赤点の常習犯です。
後輩ができたんだから多少格好を整えてください。
じゃないとまた渾名が増えちゃうよ。
ちなみに今ある称号は……
タコス番長・片岡優希。
切り込み隊長・片岡優希。
突撃豆タンク・片岡優希。
赤点特攻みの片岡優希。
余り良いあだ名は現在なしです。
くだらないことを考えてないで部室に向かう。
片岡さんが能天気に登場すると私が通告する。
赤点追試について。
タコスを減らすか勉強を増やすかの二つに一つだと死の宣告をしておいた。
多少はお灸になっただろう。
それから少しして片岡さんがやってきた。
傍らには勉強を教えていた京太郎君に咲ちゃんもいる。
明日には追試だというのに何をやっているのか。
片岡さんは涙ながらに訴えている。
「じぇんじぇー……まーじゃんが……まーじゃんがしたいじょ……」
「あ、健夜さん、俺も禁断症状が。」
「優希ちゃんのちょっとした息抜きにもいいんじゃないかなって。」
「……もう、しょうがないね。」
そろそろ音を上げると予想はしていたものの多少は頑張ったので今日くらいは大目に見てあげよう。
私ってばやさしい。
部室に通してあげると中には一年生と染谷さんが椅子に座って待っていた。
さっきまで私達で打っていたのである。
「部長やムロとミカは打ってたのか!?」
「ぐぬぬ、私が頑張っていたのにずるいじょ!」
「あ、三人はお昼寝してるから起こさないであげて。」
「三人ともお昼寝とかだらしないじょ。」
「……まぁいいじぇ、とりあえず打つじょ!」
ちょうど席も空いたからタイミングがいいね。
何か筆が乗らんので今日はここまで
ノベマス書いてた側としては豆タンクは身近な単語
投下頑張る
翌日の部室。
今日はお休みにして皆でプールに行くことになった。
決して部室が暑くてやる気が起きないというわけではない。
ついでに言うならエアコンが壊れていて業者さんが来るのは明日とかそういう話もない。
断じてない。
「ほら、皆車に乗ってー。」
「先生! 私水着持って来てないじぇ!」
「現地で借りてー。」
「仕方ないか。」
「それよりも京太郎、私のナイスバディに発情するなよ?」
「…………ふっ」
奥さん見ました?
今あの子鼻で笑いましたよ。
車の中は涼しいが中の人間ははしゃいでいる。
無理もないかも、ここのところずっと麻雀漬けだったし。
京太郎君は周りに弄られながら相手していた。
何か時代の移り変わりが早く感じちゃう。
今年も去年と同じスポーツランドにお世話になる。
女は去年と同じ水着は着ないので毎年水着は変わる物(こーこちゃんの知識)
なので水着を借りるために寄ったところでとある人物に会う。
「あれ? やす……藤田さん。」
「小鍛治さんこそどうして……」
「私は生徒の息抜きに。」
「私は事務所が休みだしてくれたんでたまにはいいかなと。」
「今日は特に暑いので。」
「靖子さん……」
「……あれ?」
そういって藤田さんの後ろから現れたのは照ちゃんと福路さんだった。
「……あ。」
どうやら照ちゃんが何かを察したようだ。
そういえば去年彼女もいたね。
そのあとぞろぞろ生徒達が集まってくる。
結局皆、一堂に会して集まって水着を選んでいた。
漸く選び終わると京太郎君がパーカーを着込んで待っていた。
どうやら時間を掛けすぎていたようだ。
準備体操はばっちり終えている様子でビーチチェアに座っている。
「お待たせ、京太郎君。」
「あれ? 靖子さんや照さんも来てたんですか?」
京太郎君が私の後ろにいる二人に挨拶しながら聞いてくる。
「うん、さっきばったり会ってね。」
「ちなみに福路さんも来ているよ。」
「まじすか!」
目を輝かせながら言う彼を見ながらしょうがないなと呆れてしまう。
尚、当の本人は今着替えている。
「多分直ぐに来ると思うから何か飲み物でも買ってきてくれないかな?」
「わっかりましたー!」
「あ、パーカー暑くない? 預かろうか?」
「え……? あ、お願いしてもいいですか?」
京太郎君にお金を渡したら彼から借りたパーカーを着て息を吐く。
すると照ちゃんと藤田さんはじーっとこっちを見ていた。
「え? なに?」
「いえ、何でも。」
いいじゃない! 見えないところで努力してるんだよ!
それをちょっと楽するだけ!
萌え袖! ぶかぶかの丈!
すこやんかわいい!
でもジッパーは下げません!
そのあと間も無く女子達が集まってきた。
当然京太郎君はまだ戻ってきてはいない。
薄いエメラルドブルーのビキニを着た加藤さんがやってくる。
私と違って足長いな。
背も高いから相対的に顔が小さく見える。
「あれ? 須賀先輩はどこに?」
「飲み物買いに行ってるよ。」
私がそう言うと加藤さんは私の着ているパーカーをじっと見て質問してきた。
「先生、そんなパーカー持ってきていましたっけ?」
「え、これ?」
「これはその……京太郎君に借りて……」
「暑いでしょうし脱いだらどうですか? その間私が責任を持って預かりますから。」
おい馬鹿やめろ。
この鉄壁のベールを剥がしたら肉のカーテンが曝け出ちゃうじゃない!
私が警戒しているといきなり後ろから抱きつかれた。
「今だミカ! 小鍛治先生のパーカーを剥ぎ取れ!」
「ゆーき先輩ナイスです!」
まさかのコンビプレイに敢え無く撃沈。
またお腹に力を入れるトレーニングが始まる。
「大丈夫ですか小鍛治さん。」
「あまり大丈夫じゃないかも……」
「最近節制してなかったですからね。」
「靖子ちゃんは良いよね……アレだけカツ丼食べてもそのプロポーションだもん……」
「えっと……私はちゃんとカロリーは消費しているので……」
くそう、くそう……
私がだらしないのは体だけじゃなかったか……
そう思わせた靖子ちゃんがにくい。
あとついでにお腹のお肉もにくい。
何か今は加藤さんと片岡さんが二人してパーカーを着ている。
いくら京太郎君のが大きめだからといって二人も入ったら伸びちゃうよ。
しかしなかなか京太郎君が帰ってこない。
私は少し心配になったのでその場からさっさと逃げ……離れた。
廊下を少し歩いていると目的の人物を見つけられた。
というか京太郎君が見つかったはいいけど、何だろう……もしかして男の人に絡まれてる……?
これは所謂ナンパってやつだろうか。
男の子でもナンパされるのに私ときたら……
そんなこと考えてる場合じゃなかった。
ホモの魔の手から京太郎君のお尻を守らないと!
「京太郎君! 大丈夫!?」
「え、健夜さん? ええ大丈夫ですよ。」
「小鍛治プロじゃん。」
ん? よく見れば見覚えある顔だ。
あ、龍門渕の井上選手だ。
後姿しか見えなかったから見間違えちゃった。
今年の水着はより一層男前に見えますね。
「悪いな、引き止めちまって。」
「いえいえ、そんなことないっすよ。」
「あとでこっちにも顔出せ、衣のやつも会いたがってたからよ。」
井上選手がここにいるということはほかの龍門渕の選手もいる可能性があるわけで。
当然その中には天江選手も含まれるわけで。
君はフラグ立てるね。
友達フラグ・恋人フラグ・死亡フラグ。
どれとは言わないけど。
二人して飲み物を持って戻ると皆は既に遊んでいた。
私は靖子ちゃんと照ちゃんや染谷さんに飲み物を渡す。
京太郎君は残りのメンバーに渡す。
「あの須賀先輩、そのやけど……」
「ん? ああこれか、小さい頃に負ったみたいなんだ。」
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫、へーきへーき。」
加藤さんが飲み物を受け取るときに聞いた火傷のこと。
そういえば一年生と靖子ちゃんは知らなかったんだっけ?
そのあと天江選手がやってきたり、京太郎君が鼻の下伸ばしながら福路さんと話していたり。
それ見ていた加藤さんが京太郎君から泳ぎを教わってたりそのあと溺れて心肺停止になったり人工呼吸されたり。
色々ありました。
加藤さんは何で直ぐ死んでしまうん?
ちょっと今日はここまで
もしかしたらこのあとも水着が続くかも
がんばろう
「うぅ~……放せゴミプロ~!」
「いいじゃないかー、ちょっとくらい。」
靖子ちゃんが天江選手を捕まえて抱っこしている。
天江選手は京太郎君に会いに来ているのに当の本人は福路さんや照ちゃんと旧交を温めている。
「子供欲しいなぁ……」
「だから衣は子供ではない!」
「というかとっとと放せ!」
藤田さん……周りがドン引きしてるから。
「衣ー? あら、こんなところにいましたのね。」
ここでお母さん登場。
藤田はそろそろ放してあげなよ。
それとさっき気付いたんだけど、龍門渕選手と照ちゃん盛ってない?
国広選手は逆に布面積増えてる。
「県予選では団体戦・個人戦と後塵を拝しましたが全国では簡単には終わらせませんわよ!」
龍門渕選手はそう言いながら天江選手を引き取っていった。
天江選手は京太郎君や片岡さんともっと話していたい様だったけど。
「それじゃあ私達も。」
福路さんたちも用事があるようだ。
泳ぎ(遊び)疲れたので私達もそろそろ帰ることに。
久々のリフレッシュはよいものだ。
そういえば京太郎君のパーカーはどこに行ったのか。
途中片岡さんが天江選手と一緒に着ていたのは覚えているけどその後どこに行ったのか。
まぁ京太郎君は気にしていないようだけど私には心当たりがある。
その内却ってくるでしょ。
実は前年と同様に四校合同合宿をしようとも思ったんだけど無意味だったのでやめた。
合同でやるより身内でやった方が効率的だからだ。
ついでに言うなら加藤さんと室橋さんを飴と鞭を混ぜながらしごいてあげたほうが更に効率的。
多少ヤバイ状態に誰かがなっても京太郎君が戻してくれるはずだし。
そもそも部活中の事故は安全管理を怠ってない限り責任を取らされることはないし。
だから大丈夫。
多分大丈夫。
それはそれとしておいといて、やってまいりました東京へ。
全国までの時間なんてあってない様なもので直ぐに来ちゃいました。
女子団体と男女個人制覇でホテル去年よりちょっと豪華。
去年は身銭を切っていたので学校からの補助は嬉しい。
京太郎君には個室を与えられているし私も個室を与えられてる。
女子は二部屋で分けられた。
公立校の予算なら割と妥当なところだと思う。
問題はウチの生徒はいい子ばかりだけどちょっとやんちゃが過ぎることと他校はいい事は限らないことだ。
ここは大人としてしっかり監視しないと。
まず開会式と抽選会が始まる。
私達は去年優勝したとは言え春季大会に(人数不足のため)出てなかったのでシードではない。
つまり苦しむ高校が増えただけである。
「じゃあ行ってくるか。」
「去年久が緊張していた気持ちもちょっとはわかるのう。」
そういう染谷さんはケラケラと笑いながら抽選会場に向かった。
京太郎君は暇していたのでお金を渡して飲み物を買いに行かせた。
あのこは結構手持ち無沙汰な時間が苦手でそわそわするから何かさせてあげた方がいいのだ。
人格形成というかそういう性格になったのは大体宮永姉妹のせいだけど。
染谷さんが抽選で18番という微妙な数字を引いた。
なぜ微妙な数字なのか、それはまだ同じ区画(対戦校)が決まってないからだ。
案の定ウチと場所に入った人は抽選を引いた時点で涙目になっていた。
引いた人はご愁傷様、籤運が悪かったね。
涙はまだとっておいた方がいいよ、一回戦のときまでね。
今年も白糸台・臨海女子・千里山女子・姫松・永水女子・新道寺女子などの強豪は健在だ。
ここから先には強力な敵が待っているだろう。
その他には個人戦でも厄介な相手も。
きっと一筋縄ではいかないだろうね。
インターハイ初日。
そこには元気に暴れ回るうちの生徒達の姿が!
「ローン! 24000だじぇ!」
「ロン、12000。」
「ロン、32000じゃ。」
「ロォンンンン! 18000です!」
「トビですね!」
それにしてもこの加藤さん、ノリノリである。
そして咲ちゃんは出番無くて不機嫌である。
今日はここまで
理沙スレの訃報を聞いて意気消沈
それはそれとしてWoTが楽しくて進まない不具合
少しずつでも透華していきたい
インターハイ二日目。
そこで事件が起こった。
おかしいなぁ……今日は試合ないはずなのに……
事の発端は咲ちゃんがフラストレーションを溜めて雀荘に向かったことが原因である。
そして雀荘から京太郎君の携帯に電話が掛かってきたのだ。
「はぁ? 雀荘から帰る道がわからない?」
明らかに呆れた声を上げる京太郎君に集まっていた皆の視線が集う。
染谷さんと室橋さんは頭と目頭を押さえていた。
片岡さんは何か悟った顔をしながらタコスを食べている。
加藤さんは京太郎君の顔をじっと見つめていた。
私と京太郎君は咲ちゃんを迎えに行く為にホテルの一室から出ようとした。
全員が全員「なんで咲(先輩)を一人で行かせたんだろう……」と思いながら私達を見送るはずだった……が。
「京太郎さん! あの女のところに行くんですか!? 私達を見捨てて!」
ん? 一気に変な空気になったぞ?
「悪いミカ、咲は……俺がいないとダメなんだ。」
「そんなまだゆーきだってちいさいのに……」
「え~ん、え~ん、パパー……」
片岡さん乗ってきた割に泣く演技はへたくそだ!?
というか室橋さんは状況がわかんないのか固まってるし、染谷さんは完全に我関せずだよ!
「すまない二人とも……それでも俺は咲を迎えに行くよ……」
「そんな……京太郎さん……」
「パパー! パパー!」
「……じゃあ、行こうか……義母さん。」
「う、うん。」
母親という歳ではないけど義理がついてるからセーフってことにしてあげた。
この世界での京太郎君のお母さんの元々の歳を考えると何にも言えなくなるし。
というか小芝居を投げっぱなしにしないでよ!
咲ちゃんを無事雀荘から回収して戻ると皆で麻雀をし始める。
最初に入ったのは咲ちゃん・片岡さん・室橋さん・加藤さん。
「王手。」
「ま、待った!」
「待ったは無しじゃ。」
一方で余った染谷さんと京太郎君は囲碁とか将棋をやってた。
正直麻雀より囲碁と将棋の方が面白そう……
一応麻雀の指導もやってたけど二人の将棋が面白かった。
流石染谷さん、伊達に暇なとき竹井さんと照ちゃんの相手をしてただけのことはある。
京太郎君も割りとこういうロジックめいたものというか思考ゲームが好きだよね。
結果は3対2で染谷さんの勝ち越しだったそうだ。
こっちはこっちで室橋さんは普通に強くなったし加藤さんは死に掛けた。
インターハイ三日目。
今日は二回戦目でここで勝てば準決勝進出だ。
前年と同様ここから二校同時進出なのでどこを残すかが戦略に置いて重要になってくる。
清澄・千里山女子とあと二つ高校だ(可哀想なので高校名は伏せる)
ただ特筆するべき点もないのでざっくり言うなら結果的に清澄と千里山女子が進出したわけなんだけど……
大将戦のときに咲ちゃんにビビッタ相手校(進出できなかった高校)の子が急に……
「あいたたたた! これダメなやつだ!」
とか言って腹痛を訴えて棄権しようとしたり(結局打った)
かと思ったらもう一つの高校の子は咲ちゃんと目が会った瞬間全国放送でお漏らししたり。
挙句の果てには大戦が終わったあと、千里山女子で大将を務める二条選手が……
「すんません……去年は高一最強とか言ってもうてほんまにすんません……」
何かやたらとネガティブになっていたり。
咲ちゃん自体は特に何もしてないのにオーラと噂(去年に関すること)だけでこの惨状である。
何でこうなった。
あとお漏らしの子は咲ちゃんに慰められながら更に漏らしていた。
やったね、咲ちゃん! お漏らし仲間が増えたよ!
インターハイ四日目。
明日は永水女子・千里山女子・臨海女子と打つ事になるのだけれどどこを残すかの相談をしていた。
何故か京太郎君の部屋で。
いや私の部屋でも良かったんだけどさ。
で、検討会は途中までは良かった、途中までは。
「おおお! あのおもちすごいよ京太郎君!」
で、何で阿知賀の松実玄がここにいるのか理解に苦しんでいます。
京太郎君がちょっと所用で出かけて戻って来た頃にはその不穏な足音は聞こえていた。
今回も個人戦でやってきた松実玄選手と偶々出くわして連れてきちゃったらしい。
そのせいか色々と空気が……
「え!? まじすか!? どこどこ!?」
京太郎君も過剰に反応しないように。
今部屋の空気がものすごいことになってるから。
主に咲ちゃんと加藤さんのオーラがヤバイ。
室橋さんと染谷さんは胃と頭を押さえている。
片岡さんは基本的に京太郎君と松実選手と同様の乗りなんだけどおっぱいだけは許せないのか羨ましいのか若干テンションが違っていた。
「流石永水女子……おもちがすごいのです……」
「玄さん……去年の永水女子には更にビッグモンスターがいたんですよ?」
「!! それは本当ですか……!?」
「本当のことだじぇ……恐らくあの石戸明星ってやつの姉なんだと思うんだけどアレや先鋒の神代より大きかったじぇ……」
「なんと……それは拝見したいのです……!」
もうだめかもしれない。
加藤さんの米噛みがやばいもん。
咲ちゃんなんてFFのボムみたいな顔してるし。
明日の試合なんてもうどうにでもなーれ。
時間が時間なので今日はここまで
これより二度寝です
神代の病人書いてるときずっとSong RidersのBeを聞いてたせいかパロでED作ろうかと思ってた時期がありました
投下します
インターハイ五日目。
準決勝先鋒戦に現れた永水女子の先鋒、神代小蒔。
エースを先鋒に置くのは常とは言え(例外もある)、彼女の安定しない麻雀で果たしてうちに勝てるのだろうか?
臨海女子の先鋒は新たに入った生徒らしいけど余りぱっとしない。
まぁそれは千里山女子もおんなじなんだけどさ。
去年の主戦力がごっそり抜けたところは痛いだろうね。
「ツモ、3900オールだじぇ。」
しかしそんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりに片岡さんがガンガン和了って行く。
そしてそれは破竹の勢いで次鋒・中堅・副将と流れが寄っていく。
あ、これもうどうしようもないな。
そんな状態で咲ちゃんにお鉢が回ってきたわけだけど……
「永水だけは! 永水だけは何卒御容赦願いたい!」
京太郎君がみっともなく咲ちゃんに追い縋ってる。
それに対して咲ちゃんは愉悦顔で言い放った。
「ん~? 聞こえないな~。」
「やめなされ……やめなされ……惨い殺生はやめなされ……」
「私からもお願いしますのだ……」
だから何で松実玄がここにいるのか理解に苦しむ。
貴女の出番は個人戦までないでしょうに。
始まる準決勝大将戦。
相手はあのおっぱいお化けこと石戸霞の親戚?の石戸明星。
ああ……咲ちゃんの顔が去年と同じような顔をしているよ……
まるでゴルゴ13みたいだ。
「宮永さん、姉さんの仇、取らせてもらいます。」
「ふ~ん、あの人の妹なんだ……」
「姉妹揃って……遺伝子って残酷だね……」
「私達姉妹は持たざるものなのに貴女達姉妹は持っている!」
「世の中は不公平だ!」
ああ、無常。
咲ちゃんのお胸はすっごいまな板だもんね。
「天に滅せい!」
「カンカンカンカン! 48000!」
「もいっこカンカンカンカン! 48000は48300!」
「ワンモアセッ! カンカンカンカン! 48000は48600!」
咲ちゃん怒りの三連続四槓子。
そうだよね、おっきいおっぱいは敵だよね。
「次で三本場だね……」
「何本目に死ぬかな?」
「しねぇ~!」
もしかしてあれは……南斗翔鷲屠脚……!?
「 カ ン 」
そのときズシン、と会場が揺れた。
偶々地震が起きただけかもしれないけどさ。
照明が割れるんだもの、家鳴りくらいするよ、きっと。
「貴女達の闘牌には執念が足りないよ。」
永水女子のトび終了。
ネリー選手はまな板だったけどロリだから疑惑の判定だった。
でも二条選手は違う彼女は紛うことなきまな板だ。
かなりいいまな板だったから許されたのだ。
まな板しか残らなかったことに控え室にいた京太郎君と松実玄は打ちひしがれていた。
そして同じく控え室で観戦していた染谷さんの眼鏡はまたもや割れた。
あまりに理不尽すぎる……
インターハイ六日目。
今日は反対側のブロックが準決勝をしているはずなのだけれど私達にとってはどうでも良かった。
加藤さんの心肺がまた止まった。
今度は京太郎君が心臓マッサージしても中々戻ってこない。
仕方ない、こういうときのためにAEDを用意して置いたのさ。
Dr.ミンチに会いましょう。
きっとこの電撃で蘇らせてくれるよ。
あとは加藤さんがミンチからハンバーグにならないように祈ろう。
それから数分後、何度目かの蘇生で加藤さんは何とか三途の川から戻ってきた。
「……はえ?」
「もしかしてまた逝ってました?」
「うん……」
「あと……何で私上半身裸なんですか?」
「AED使うときに邪魔だったから……」
「え……ああ……はい……」
「あの、須賀先輩もしかして私の裸見ました……?」
「見てないぞ。」
「本当にですか? これっぽっちもですか?」
「ああ。」
「何で見ないんですか……それでも男なんですか……」
何となくわかるよ、加藤さん。
見られると恥ずかしいけどこの状況で見てないと言われても女として負けた気分になるよね……
でもいくらおっぱい星人の京太郎君と言えども女の子の裸に反応しないとは思えないんだけど……
……もしやこれは……あれか……?
「京太郎君、戦争について聞きたいんだけど。」
「え? そうですね、何で無くならないんでしょうかね……」
「やっぱり!」
「何か知っているんですか小鍛治先生?」
加藤さんに質問されたことに返答する。
これは以前さっさと結婚したこーこちゃん(別の世界)に聞いたことがある。
正しく状態が一致しているから間違いないはずだ。
けんじゃもおど
「あ、あれは……『賢者喪男努』!」
「なんですかそれ!?」
「一度限界まで欲を捨てることによって煩悩に囚われなくなる業!」
「まさか京太郎君が体得しているとは……」
加藤さんには気の毒だけど『賢者喪男努』に入った男の人には色仕掛けなど無駄である。
私も昔に試しで色仕掛けをしたことあるけど会う男性は悉く『賢者喪男努』を使ってやがった、思い出しただけで腹立たしい。
その時ガチアラフォーだったけどさ。
何にせよお尋ね者にならなくて良かった。
インターハイ七日目。
今日は決勝戦である。
Aブロックからは清澄と千里山女子。
そしてBブロックからは新道寺女子と白糸台。
一体どんな決勝戦になるのだろうか……
余り特筆する点がないようなら染谷さんに頑張ってもらおうかな。
今日はここまで
提督と車長をやりすぎた
気付いたらこんなに日が経っていた
ついに始まる決勝戦。
先鋒戦に行くは片岡さん。
対して新道寺は去年に引き続き花田煌選手。
そして白糸台は原村和選手。
何たる偶然か、本来なら知り合いのはずなんだけどね。
「花田先輩、のどちゃん、悪いけど全力で行かせて貰うじぇ!」
「ええ、手なんか抜いたら承知しません。」
「二人はお知り合いなんですか?」
「はい、去年の練習試合のときに知り合いまして。」
なんて軽く話していたみたい。
千里山の先鋒? 知らない人ですね。
「ツモ、8000オールだじぇ!」
開幕の倍満。
僅か5巡だった。
確実に彼女は成長をしている。
そのオカルトのスピードの如く。
「ツモ! 6000オールは6100オール!」
「まだまだ行くじょ!」
勢いに乗っている片岡さんが更に稼ぐべく尚も攻勢に出る。
しかしそれに待ったを掛けられた。
「させません。」
「ロン、8000は8600。」
「うぐぐ……この私に振り込ませるとは……」
「さすがのどちゃんだじぇ。」
「当たり前です。」
「私達も強くなっているんです、去年と同じだと思わないでください。」
よくよく見ると原村選手の背中には翼が生えてるように見えた。
きっと彼女の力なんだと思う。
片岡さんが親流れしたのを挽回するためにも攻勢に出る。
「立直!」
「むむむ……」
まだ勢いが殺しきれていないせいか川には6枚しかなかった。
花田選手は少し悩んだあと、牌をつかんだ。
「通りますか。」
「通るじぇ。」
無筋の牌を通す。
しかも脂っこいところを次々と捨てていく。
かなり強打。
あの子、案外肝が太い。
「すばら! 純全三色ドラで3000・6000。」
脂っこい所を切ったのはこのためか。
それにしてもよく躱したものだ。
「先鋒戦終了!」
「去年の覇者清澄高校が30000点以上稼いで二位白糸台との差をあけました!」
「白糸台に続くは新道寺女子と千里山女子、ここから巻き返すことは出来るのか!?」
先鋒戦が終わる。
戻ってきた片岡さんは少し嬉しそうな晴れ晴れとした顔で言ってのける。
「いや~、もうちょい稼げると思ってたんだけど意外と手強かったじぇ。」
「十分だよ。」
「そうですよ、先輩に稼いでもらった得点、減らさないように頑張ってきます。」
「おう、任せたじぇ、ムロ。」
尚室橋さんの試合は特に面白くも無かったので染谷さん効果。
次鋒戦終了!
室橋さん頑張った!
+11000とかすごいね!
続いて中堅戦。
我らが部長染谷さん対するは船久保浩子選手と渋谷尭深選手。
三年生眼鏡対決。
一筋縄ではいかないだろう。
「ツモ、2000・4000。」
「ツモ、1000・2000。」
けど実力で言えば染谷さんが一番上だ。
伊達に清澄の部長をやっていない。
途中船久保選手と染谷さんが女の子がしちゃいけないゲス顔をしていた気がする。
放送禁止にはならないレベルである。
対局の内容は十代の打ち手とは思えない染谷さんが周りを手玉に取り、燻し銀のような渋い闘牌だった。
更に続くは副将戦。
加藤さんがいく。
相手は白糸台現部長の亦野選手。
千里山女子と新道寺女子は無名の選手。
実質一騎打ちだろう。
「君、一年生か。」
「悪いけど手加減は出来ないよ。」
「そうですか、でも私が勝ちます。」
「勝たないと後が怖いので!」
加藤さんが必死過ぎる。
今回プレッシャーを掛けない為に咲ちゃんには黙ってもらっていたのに……
「無言でオーラ送ってきた先輩が怖いんです!」
「ロン! 8000!」
「だから負けられません!」
「ミカちゃんに頑張れって念を送ったんだけどな……」
とは咲ちゃんの言。
完全に徒になってるじゃないですかやだー。
そして本日目玉の大将戦。
点数は182600でうちが一位。
続いて白糸台が80500で二位。
新道寺女子は75300で三位。
千里山女子は61600で四位。
大体十万点差がある。
そして選手は。
白糸台、大星淡選手。
新道寺女子、鶴田姫子選手。
同じ準決勝ではお世話になった千里山女子、二条泉選手。
そして昨日迷子センターで保護されていた『みやながさきちゃんこうこうにねんせい』。
対局室までの道程を迷わなくなったのは偉いと思うことにした。
始まった大将戦。
親は白糸台。
全員の配牌を見る限りかなりばらつきがある。
しかも大星選手自体は。
「立直。」
大星選手の絶対安全圏からのダブル立直。
最初から全力で挑んできている。
咲ちゃんは手を進めていく。
そして角が過ぎた頃。
大星選手が動いた。
「槓!」
大星選手の暗槓。
だがその時咲ちゃんも発声する。
「ロン。」
「……え?」
大星選手は何が起きているのか分かってないようだった。
一筒を暗槓したのにロンをされた。
しかも相手の配牌をバラバラにした上での振り込み。
思慮の外だったのだろう。
咲ちゃんが口を開いた。
「淡ちゃん、私が槓しか出来ないと思ってる?」
「え……だって……暗槓だよ……?」
「うん、だからもう一度言うね、それ、ロン。」
「国士無双、48000。」
搶槓、国士無双。
暗槓でも唯一搶槓が出来る役。
だが滅多に出ないので考えなかったのだろう。
でも咲ちゃんならやる。
国士無双や四暗刻を普通に聴牌する咲ちゃんならやってのける。
修正
「国士無双、48000。」→「国士無双、32000。」
勝負は決していた。
最初の局に役満を振り込んだ瞬間。
例え白糸台がトばなくても大星選手は完全に精神で負けていた。
咲ちゃんのことを意識的であれ無意識であれ書く上と認めてしまったのだ。
一度イメージがついてしまうと中々抜け出せない。
ましてや同日中に払拭するのは無理だったのだろう。
大星選手は絶対安全圏を使って守りの麻雀に入ってしまった。
その間の咲ちゃんは容赦なく周りを削る。
「おうちかえりたい……」
大星選手、終わらないと帰れないよ。
「やっと、こん場まで来ようたのに……」
鶴田選手は鈍りきつくて唇読めても意味が分からない。
そもそも正しく唇読めているのかもわからない。
「なんかすみません生きててすみません。」
「端っこの方で埃とか食べて生きてますんで許してください……」
二条選手卑屈すぎぃ!
何が貴女をここまでにした……
大将戦の結果は清澄一位、385600点。
次いで白糸台二位、5600点。
その次の三位千里山女子、4800点。
最後に新道寺女子、4000点。
このとき咲ちゃんは「5600ってお揃いだね!」と大星選手に言っていた。
咲ちゃん的には何て声を掛けていいか分からなかったのだろうけどそのチョイスはないと思う。
去年の県予選といい、嫌味にしか聞こえない。
その後の表彰式は流石の咲ちゃんも空気を読んだのかおとなしくしていた。
が。
「原村選手のおもちは中々の中々ですね。」
「うん、中々ですよね、特に丸みがすばらしい。」
空気を読めないおっぱい御馬鹿が二人。
君達個人戦にしか出ないからってフリーダム過ぎ。
ああ、逃れられぬ業の深さ。
この二人に少しは天罰が当たりますよう。
迫り来る壁に挟まれろ。
明日は休みで明後日から個人戦。
つまり今日はやや羽目を外せる訳で。
「すこやん団体戦おめでとー」
「ありがとうね。」
「と言っても私は大したことしてないんだけど。」
グラスが高い音を立てて鳴った。
「またまた謙遜しちゃってー。」
「すこやんが監督してたからじゃないの?」
「皆が頑張ったからだよ。」
実はコレ、謙遜じゃなくて責任逃れなのだ。
で、今こーこちゃんアナウンサー組やプロ達と呑んでいます。
「私も子供に教えてみようかなー。」
「赤土さんが監督やるの?」
「やったことはないけどちょっと興味はあるんだよ。」
「というか小鍛治プロや愛宕元プロ、それにスカウトしてくれた熊倉さんの様子を見ていて思うことがあってね。」
「うん、いいんじゃないかな。」
「赤土さんならきっといい指導者になるよ。」
お酒を飲みながらの話だったけど私は彼女が教える側として優秀なのは知っているしそれをどうこう言う資格もない。
阿知賀女子には申し訳ないとは思うけど。
熊倉さんで思い出したんだけど大人組みの間で流行った宮守女子のあだ名がひどい。
誰なのさ、小瀬川選手のことを最初にダルレアンの乙女だのジャンシ・ダルクだの言ったのは。
そう思っていると多分元凶っぽい人がやってきた。
「すこやん呑んでる~?」
「もー飲みすぎだよこーこちゃん……」
「それでアラフォーのすこやんは呑んでるのかね?」
「アラフォーじゃなくてアラスリーだよ。」
「アラサーじゃなくて?」
「うん、アラスリー。」
べろんべろんに酔って支離滅裂なこーこちゃんを適当に相手しながら話す。
アラウンドスリーハンドレッド……
厳密にはスパルタの兵士よりは少ないけどスパルタの兵士も吃驚するくらいの年齢です。
そんなスパルタの兵士も驚く私ですがこーこちゃんの酔っ払って絡んでくるのは苦手である。
何と言うか面倒くさい。
どの世界においても何歳になってもこーこちゃんが私を置いてスポーツ選手と結婚しても、お酒が入ると面倒くさいのが変わらないのがこの福与恒子という女である。
「ん~そっかそっか。」
「すこやん、アラ・サーメンになっちゃったもんね。」
「黒いオカルトなんて生み出そうと何てしてないしそもそも麻雀力(マゴイ)なんてものもないから。」
処女のまま三十路を過ぎても魔法使いにはなれないのだよ。
こーこちゃんは何でそこまで私の歳をネタにするのか。
解せないけどそれは多分私が弄られやすい人間だからだろう。
前からこーこちゃんとはよく呑むけど印象に残ってるのは自棄酒と祝い酒だったかな。
彼が消えたあの晩は思いっきり呑んだ。
……やだな、酔っ払うと感傷的になるようだ。
今日はそこそこにして寝てしまおう。
明日は個人戦の前に京太郎君の調整しておかないといけないよね。
今日はここまで次は個人選ですね
時系列的には
俺ガイル→俺イラナ→太陽オオォ!→これ
でいいのか?
ちょっと質問なんだが、>>1が書いた
京太郎「神代の守人」
の8シリーズって、それぞれなんてタイトルなん?
>>281それであってます
>>285は
京太郎「神代の守人」
小蒔「神代の戻人」
滝見春「神代の浄人」
戒能良子「神代の病人」
薄墨初美「神代の狩人」
宮永咲「神代の想人」
石戸霞「神代の良人」
狩宿巴「神代の暇人」
狩宿巴「神代の暇人」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1378378872/)
さて、今日は久しぶりに京太郎君の面倒を見ようかと思う。
当然他の個人戦出場者の部員も見ないといけないのだけれど京太郎君は団体戦に出てないから特に気をつけないといけない。
と言っても男子に敵はいないんだけどね。
女子も照ちゃんと福路さんが抜けたあとは咲ちゃんの一強だし二位以下がどうなるかの問題である。
染谷さんか龍門渕選手かはたまた別の選手か。
まぁとにかく練習しようか。
「じゃあ今日は特別なゲストがいらっしゃっています。」
「どうせお姉ちゃんじゃ……」
「美穂子さんか靖子さんかもな。」
「何で分かったの!?」
「健夜さんワンパターン。」
そこ、うるさい。
部屋に入ってきた照ちゃんに心の中で突っ込みながら福路さんと照ちゃんに席を設ける。
京太郎君固定の咲ちゃん・照ちゃん・私・福路さんでローテーションして打っていく。
正直な話これから始まる練習ってすっごい豪華でこれ個人決勝でいいんじゃないかなと思えてくる。
「じゃあ本気でいこうか。」
「照や京太郎君や咲ちゃん相手に手加減できるほど自惚れちゃいないわ。」
「団体戦の間俺は指を咥えてみてるだけだったんだ思いっきり打たせてもらうぜ。」
「私だって、大将だから何回か出番回ってこなかったから打ち足りてないよ。」
中学時代の面子が本気で打ち始めた。
自然災害のような打ち手が4人も集まり打っている。
染谷さんの眼鏡と加藤さんの心臓を避難させて置いたのが功を奏したのか被害は少なくて済んだ。
加藤さんが近くにいたら危なかった。
それから少しして照ちゃんが口を開く。
「健夜さん、仕事はいいの?」
「今してるよ?」
「教師じゃなくて雀士のほうの仕事。」
「う~ん。」
「この間大きい大会に出たばかりだから当分はいいかなって。」
「特に解説は当分受けないって社長にも言っておいてくれる?」
「……わかった、言っておく。」
「福路さんもお願いね、照ちゃんだけだと不安だから。」
「あら、うふふ、はい。」
「健夜さんひどい、私だってもう社会人。」
「それはもう少ししっかりしてから言おうか。」
妹の方がしっかりしてるもんね。
と言ってもその妹もポンコツだけど。
京太郎君も含めてまだまだ私のお守りが必要かな?
加藤さんの心臓が三回ほど止まりながらも時間は過ぎて翌日を迎える。
個人戦の開幕である。
京太郎君はいつもより気合を入れて。
咲ちゃんは鬱憤を晴らすかのように。
染谷さんは有終の美を飾る為に本気で向かっていく。
これからが本当の地獄だ。
最初に染谷さんが当たったのは松実玄と大星選手と二条選手だった。
「速攻のダブリー!」
「それなら私も立直です。」
「チーじゃ。」
「ずらされたところで淡ちゃんの勢いを止められると思ってるの?」
「ロンです。」
「……へ?」
「だからロンです、立直・断幺九・ドラ3・裏3で16000。」
なんと言うドラ爆。
しかも染谷さんもわかっててやってるね。
松実玄も角が来るまでに和了れると確信して打っている。
そのあと大星選手がムキになってドツボに嵌るも染谷さんが一番美味しく頂いていって松実玄を押さえていた。
二条選手? 空気でしたね。
その次の試合。
染谷さんと龍門渕選手・十曾選手・上重選手の試合。
龍門渕選手は最初から冷え切った状態からのスタート。
如何に今の染谷さんが強くなったと言えど冷えられたら分が悪い。
十曾選手も上重選手も必死に喰い下がるも突き放される。
「それは通らんぞ、12000じゃ。」
「また当たりじゃのう、8000じゃけぇとっとと払いんさい。」
しかし染谷さんも老獪とも言える打ち方で切り抜けていた。
龍門渕選手より他二人からの方が稼げると判断してからは奪うようにして。
そして龍門渕選手が動く気配を見せると邪魔しに入る。
同じ河の支配者だけど得意の部分だけは譲らなかったみたいだね。
経験だけが頼りになることもある。
そういうときに培ったものが支えになる。
結局のところ、僅差で染谷さんは和了って切り抜けた。
下手をしたら龍門渕選手に追いつかれていたかもしれない試合だった。
今のところ負け知らずの染谷さん。
それでも上には上がいるわけで。
咲ちゃんはきっちり全員から絞るだけ絞ってトばしていた。
咲ちゃん現在五戦終えて+200越えです。
もしかしたら+400行くかも。
これ間違いなく咲ちゃん一位だ。
平行して行われてる男子の方も大概だった。
咲ちゃんと同等のスコアを叩き出している京太郎君。
こっちは血の池あっちは火の海。
どちらも地獄である。
そして十戦終わった結果。
一位は当然のごとく咲ちゃん、+384。
二位は意外なことに松実玄選手、+187。
咲ちゃんに凹まされて一度は沈んだものの点数さえ稼げればいいのでドラ爆は個人戦でかなり有利である。
あとはタンヤオか立直にドラ4とかドラ6とかドラ8とかを絡めればいいだけなのだ。
三位は染谷さんで+183ある。
惜しくも後塵を拝した結果になったけど咲ちゃんにトばされたのに持ち返したのは十分な結果と言えるだろう。
しかも入賞なのだから喜ばしいことだ。
一方の京太郎君のスコアと言えば+386であった。
べつにそこまで稼ぐ必要はなかったんじゃないかな。
「気合入れすぎました。」
とのこと。
それに対してずっと男子側のモニターを見ていた加藤さんは……
「先輩素敵でした!」
加藤さんは京太郎君に盲目になっていた。
京太郎君も変な子に好かれるよね。
周りを見るに今までを見るに胸無し系が多いこと多いこと。
しかもポンコツとかオカルトの極致みたいな人物とか。
いつかオカルトで次元の狭間にでも取り込まれるんじゃないかなと心配になる。
そしてまたもや始まるエキシビジョンマッチ。
今回は男女の一位だけの出場である。
つまりプロ枠が二人と言うことだ。
果たして今年のプロは誰なのか。
今日はここまで
なんでこんなキャラ付けになったのか今でも分からないミカちゃん
というかミカちゃん登場の予定なかったのになぁ……
投下していきたい
私がちょっとお化粧直しをしに行った帰り、廊下のベンチに会話をしている男女二人がいた。
会話と言っても言葉は交わしていない。
男女と言っても決して色っぽい雰囲気ではない。
傍からみて孫と祖父くらいの年齢差があるからだ。
というか九州コンビである。
何をしているのだろうと思いつつ二人に目をやっていると視線がかち合う。
大沼プロが私に会釈したあと野依プロにサムズアップして去っていった。
その野依プロはこっちに向かってきた。
「こんなところでどうしたの理沙ちゃん?」
「解説! 仕事!」
「ああ、やっぱり。」
「それで大沼さんと話していたの?」
「別件!」
大沼プロと話していたのは別件?
仕事とはということだろうか?
それとも解説とはということだろうか?
少し頭を捻っていると続け様に単語が繰り出される。
「エキシビジョン!」
もしかして野依プロが今回のエキシビジョンにでるの?
ということは今回京太郎君と咲ちゃんが相手にするのは大沼プロと野依プロってこと?
しかし何で急に……
私は気になって聞いてみることにした。
「ねぇ理沙ちゃん、何でまたエキシビジョンに出ることにしたの?」
「勧誘! 貢献!」
「青田買い!」
うん? 気になる単語がまた出てきたぞ?
もしかして何かウチの子達に何かする気なのかな?
「それじゃ!」
「え、ちょっと待って理沙ちゃん!?」
「仕事!」
私が質問しようとすると野依プロはさっと走っていった。
多分仕事があるから話を切り上げたんだろうけど私には聞きたいことがまだあった。
変な事にならなければいいんだけど。
京太郎君と咲ちゃんがエキシビジョンマッチの席に着いた。
そして相手取るプロも。
相手はやはり野依プロ。
もう一人は話していた大沼プロか三尋木プロかとも思っていたけどどうやら違うようだ。
そもそも大沼プロはシニアだし三尋木プロは別の仕事のはずだ。
多分今頃横浜と佐久の試合、つまり靖子ちゃんや照ちゃん、福路さんと打っているだろう。
で、野依プロともうひとりのプロが瑞原プロ。
旋風のはやり。
またの名を『島根のハーピィ』
「はやりの相手をしてくれのは君達だね☆」
「あ、はい。」
「よろしくお願いします瑞原プロ。」
「やだ、かたーい☆」
「はやりのことはもっと気軽にはやりんって呼んでもいいんだぞ☆」
しかし瑞原はやり、29であの言動。
きついよ。
あときつい。
「ところで……えっと京太郎君でいいかな?」
「ええ。」
「じゃあ京太郎君、君強いんだってね~☆」
「昨今の男子はレベルが落ちたとか言われてるけど君の実力は本物だって言われてるよね☆」
「しかも先生はあのトップランカーの小鍛治プロ☆」
「流石に注目されてるだけあるよね~☆」
「えっと、瑞原プロ「はやりん☆」……はやりプロは何が言いたいんですか?」
「ん~? ちょっとお姉さん君の事が気になってね☆」
「だから今の内に出来れば唾を付けておきたいんだ☆」
「! 待った!」
「私も!」
「え~? のよりんもなの~?」
「京太郎君ってばモテモテだね~☆」
「でもさー男の子ってこういうの好きだよね?」
瑞原プロがそう言いながら腕を組んで胸を強調している。
京太郎君も若干動揺している。
だがそれが逆に咲ちゃんの逆鱗に触れた!
「ちょっとそこまでにしてくれませんか? 京ちゃんが困ってるじゃないですか。」
「そもそもいい年してそんなこと恥ずかしくないんですか。」
「ちょっとそれどういうことかな?」
一瞬固まる空気。
それはモニター越しにでも伝わる。
「そのままの意味ですよ。」
「そして京ちゃんもデレデレしない!」
「どうせあんな無駄乳なんて直ぐに垂れるんだから!」
「いや俺は別に……」
「あん? 京ちゃん今何か言った?」
「いえ……なんでもないです……」
「とりあえずー失礼な子にははやりがお仕置きしちゃうぞ★」
ああ、京太郎君が完全に萎縮しちゃってる。
しかも周りは敵対心バリバリである。
雰囲気が最悪です。
そんな中野依プロが発言する。
「勝負! 麻雀!」
「ええ、いいですよ。」
「はやりは元よりそのつもりだよ★」
そんなこんなで始まるエキシビジョンマッチ。
一体行方はどのようになるのか。
あと、君達これ中継されてるって事忘れてない?
今日はここまで
闘牌描写と点数推移がすごく面倒くさい……
麻雀描いてる人本当にすごいと思う……
もうなんかある程度キンクリしてもいいですかね?
16局描写はきつい、はやりん並みに
今回のエキシビジョンマッチは少し変わっていて前回は半荘戦二回の前後半戦だったのに対し、今年は全荘(一荘)戦一回である。
全荘戦など昔のプロタイトルだったらいざ知らず、インターハイのエキシビジョンマッチなんかではやらないものだ。
これは明らかに京太郎君が有利になることを理解していて設けられているルール。
それにしても一体誰が……って京太郎君のオカルトを理解しているのはそんなにいないよね。
プロで多少目端の利く人ならビデオや牌譜で京太郎君のオカルトは大体の見当はつく。
つまり今打ってるプロのどちらかが仕組んだということだ。
試合前に大沼プロとノンバーバルコミュニケーションを取っていた野依プロあたりだろうか。
それともアイドル雀士として顔の広い瑞原プロだろうか。
「「よろしくおねがいします」」
「よろしく!」
「よろしくね☆」
そしてついに始まったエキシビジョンマッチ。
起家(東一局での親)は瑞原プロ。
様子見をすると睨んでか皆余り動かないと予見して相手を探る京太郎君。
対して咲ちゃんはあれだけ喧嘩を売った割に思ったより慎重に警戒をしている。
アラサー二人は化粧を崩さないように頑張ってる。
「立直だよ☆」
と思っていたら僅か六巡目で立直をするはやり(29)
「ツモ、立直一発ツモ、2000オールだよ☆」
そしてそのまま和了った空気の読めない29歳(独身)
この人は一体なんでエキシビジョンなんてインターハイ優勝の余韻に水を差すイベントに参加したのだろうか。
三尋木プロならリベンジとかで動機はわかるけど。
多分瑞原プロの動機は今の私には理解出来ない。
続いて東一の1本場、咲ちゃんは大体理解したのか様子見に見切りを付けて動き始める。
瑞原プロが切った牌に対して仕掛けた。
「カン。」
「ツモ、責任払いで5200は5500。」
「はやや!?」
びっくりした体面を整えてはいるが彼女にとってはそれなりに想定内だと思う。
野依プロも京太郎君も今だ動いてない。
東二局、野依プロの親。
野依プロの親だと言うのに当の本人は動く気配がない。
京太郎君は京太郎君で機を窺っている。
瑞原プロと咲ちゃんは完全に二人をそっちのけで火花を散らしている。
そんなことをしている内に瑞原プロが和了る。
「ツモ☆1000・2000!」
流石の和了スピード、7巡目で和了っている。
そしてこれ見よがしに胸を揺らしている。
上下に揺らしている、どこかで誰かの舌打ちが聞こえた気がした。
時間は少し飛んで南四局。
京太郎君が一回和了ったが野依プロが現在焼き鳥。
なんとも胡散臭い状況である。
「ツモだよー☆500・1000★」
瑞原プロも今回和了ったはいいものの、そのスピードはかなり落ちていた。
和了った巡目は14巡目、これでは得意の速攻もあってないものだ。
彼女にとって京太郎君の能力と今回のルールは頗る相性が悪い。
時間が経てば経つほど不利になっていくのだから。
そしてここからが未知の領域である。
今まで京太郎君に全荘などやらせたことなどなかった。
けれども状況に予想は付く。
既に場が焼け野原、東場を丸々捨てて様子見してきた京太郎君の独壇場である。
西入からは炎熱地獄だ。
「ツモ、500・1000。」
「ツモ、1000・2000。」
京太郎君の連続和了。
周りの人間は京太郎君の熱気に負けて追えないでいる。
「ツモ……!」
また京太郎君の和了かとも思ったがそうではなかった。
「2000・4000……!」
野依プロの初和了。
今まで動かなかった野依プロがついに動いたのだ。
どうやってこの場の支配を抜け出したのか。
京太郎君は多分気付けていない。
しかも例え気付いたところでどうにか出来るかはわからない。
私だったら問題はないけど。
野依プロのオカルト。
特定の条件で確定和了する能力。
京太郎君の火の鳥のカウンターや去年の新道寺女子のリザベーション、宮守女子姉帯選手の六曜などのオカルトなどがそうだ。
ただ特定の条件の特定するのが難しい、野依プロはそれを隠すのがとても巧妙であるからだ。
流石はプロと言ったところか。
伊達にそれで御飯を食べているわけではないのだ。
更に少し時間が飛んで北三局、ラス前である。
前半瑞原プロと咲ちゃんが稼いだ点数も京太郎君と野依プロが吐き出させて大分場が平たくなっていた。
多少平たくないのは瑞原プロくらいだろうか。
「ツモ……! 500・1000……!」
京太郎君の親のときに野依プロが和了る。
まるで連荘の阻止をするが如く。
多分彼が親のときに自分が和了れるように調節したんだろうけど。
北三局が終わった時点での点数は……
瑞原プロが26200点。
野依プロが23000点。
京太郎君が26300点。
咲ちゃんが25500点。
一応誰でもオーラスでトップになるチャンスがある。
そのために前半飛ばしていた二人が力を溜めていたのだから。
だがそれを許す二人でもない。
このまま勢いに乗って京太郎君か野依プロが和了るか。
それとも瑞原プロやが咲ちゃんがトップに返り咲くのか。
全てはオーラス次第である。
そして迎えるオーラス、泣いても笑ってもこれがエキシビジョン最後の一局だ。
今最大の正念場を前にして熱気が充満する。
「京ちゃん、言っておくけど負けないからね。」
「ああ、手を抜いたら承知しねぇぞ。」
「悪いけど、この勝負決めさせてもらいます……!」
「負けない!」
やる気も気合も十分。
ボルテージが最高潮に上がっている。
意地でも和了るという意思がひしひしと感じられた。
きっと忘れられないくらい熱い一局になるだろうことを誰もが期待している。
そんな中会場に響く声が。
「……あ。」
「ツモ、500・1000……」
「……てへ☆」
僅か2巡目の事故ともいえる和了り。
しかも反応も和了りもパッとしないという何とも締りの悪い終わり方である。
そして結果はこんな感じだ。
瑞原プロが27200点。
野依プロが22500点。
京太郎君が25800点。
咲ちゃんが24500点。
空気読め瑞原ァ!
何そのしょっぱい和了りは!?
久保さんだったら確実にそう言ってるレベルの尻すぼみ感。
完全に会場全体が白けている状況である。
一応プロアイドル雀士なんだからエンターテイメント性というか魅せる闘牌を意識しないとダメだよ。
まぁそんな事やってる余裕がなかったのだろうけども。
結局何とも不完全燃焼のまま終わったエキシビジョンマッチ。
だがその後に起こった事件というか騒動が今年のインターハイで一番まずかった。
今日はここまで
ふるいぴーしーからだけどちょっととうか
しゅうりちゅうのぴーしーはいつかえってくるのだろうか
エキシビジョンが終わり、瑞原はやり(29)から変な言葉をでてくる。
「これで京太郎君はウチのものだね☆」
「「……は?」」
咲ちゃんと京太郎君、それに控え室で観戦していたメンバーが揃って口にしている。
それほどまでにミルコ?クロコップばりの「おまえは何を言ってるんだ」状態なのだ。
それに異を唱えたのが一人。
「待って!」
「なにかな? 理沙ちゃん☆彡」
「キツイ!」
「じゃなくて!」
「ずるい!」
「え~? でも~、はやり勝っちゃったし~☆」
「よくない!」
「……え? なに? なにかのどっきりなのかこれ?」
アラサープロ二人がみっともなく言い争い、当事者は突然の事に思考停止、女子王者は米噛みに青筋を立てながら表情を凍りつかせている。
だけどもアラサーは尚も続ける。
「彼はこっち!」
「ダメだよ、大宮に来てもらうんだから☆彡」
「あの、俺の意思は……」
「京太郎君! 大宮に来ようよ!」
「今ならピッチピチのお姉さんが待ってるゾ☆」
「何なら今からでも高校を辞めてプロとして働いても良いんだし★」
「! ダメ! 九州に来る!」
「大沼プロ! 私と待ってる!」
「九州の未来、京太郎君に懸かってる!」
「おじいちゃんよりはやりみたいな女の子の方がいいよね☆」
「ええ~……」
自チームに対する勧誘に必死すぎる二人にドン引きの京太郎君。
自分の意見を述べようにも口を挟ませない勢いである。
この二人何が何でも首を縦に振らせたいらしい。
でも京太郎君にはちゃんと意思があるし、なにより高校を中退してほしくは無い。
それは人生の先輩としても、そして彼らの麻雀の先生としても、教師としても、保護者としてもだ。
だから二人の強引な勧誘は私にとって眉を顰めるものであり、憂慮すべき事態である。
つまり何が言いたいのかと言うと、いい大人がしている事に対し、「私はそれを我慢できない。」
私は控え室を後にして局の放送を止めるように指示を出して対局室に移動する。
対局室では今も尚、言い争ってる。
何となく男子戦力として貴重だし希少だから彼がほしいのは分かる。
でもやっぱり許せない事はある。
越えちゃいけない線はある。
彼らの未来は彼らが決めることであって大人が無理に歪めていい物ではない。
そういう思いを込めてアラサー二人に言ってあげた。
大人 子供
「プロが、一般人を巻き込まないでよ。」
とりあえず二人には色々と話して反省してもらうとして、大沼さんはどうするかと思ったがあの人はご老体なので無茶はしないことにした。
というかのらりくらりと躱される。
伊達に長くは生きてないわけだ。
尚、お話したあと矢吹ジョーみたいになった瑞原はやり(29)と野依プロに詳しく聞いたところ何か色々と頭の痛い勘違いをしている事が分かった。
「すこやんばっかずるい! はやりだって若い男の子と触れ合いたい!」
「はやり今年で29で後がないの!」
「だからちょっとくらい唾を付けたっていいじゃない!」
29で焦って結婚してその後離婚した例を知っているんですけどそれでもいいのかな……
一方の理沙ちゃんは結構違った考えを持っていた。
「男の子貴重な戦力!」
「彼がいれば男子は安泰! だから欲しい!」
今の男子プロには所謂花形がいない、そこに京太郎君みたいな若くて華のある打ち方が出来る子が入ればほぼ男子プロの人気を独占できるだろう。
試合前に大沼さんと話していたのは多分こういうことだろうけどそれにしても急すぎる。
いや、もしかしたら九州組二人は一年位前から考えていたのかもしれない、酒の場でプロ達の前で京太郎君の話をした時点で。
とりあえずプロに釘をさして置いたから暫くは大丈夫だろうけど京太郎君の将来が心配ではある。
何せ彼はしっかりしてるようで女に弱くて人が好い性格だから。
そう思いながらみんなのところに戻って夕ご飯を食べる事にした。
何故か松実玄も一緒に。
だから彼女は何故ここにいるのか。
ホントしれっと混ざるよね、この子……
自由時間には二人でトレーディングカードゲーム(おっぱい系)で遊んでいた。
そのあとは写真(去年や今年のインターハイの)を見ながらあーでもないこーでもないと論じている。
その後には呆れて何も言わない染谷さんとゴルゴ13に変貌した咲ちゃんが佇んでいた。
そんな中、空気の読めない片割れである松実玄はとある発言をする。
「このおもちは出来損ないです、揉めないのです。」
はっは~ん、わかったぞ。
さてはこの子、アホの子だな?
弘世選手の写真を見ながら言った松実玄を見てそう確信した。
そういえば別の世界の話だけど弘世選手に関して噂があった。
実はPADなのではないのかと。
出所は不明だけどさ。
誰かが言った彼女は「借りおもちのスミレッティ」というあだ名に怒っていたね。
誰だろうね、おもちなんて言い方は一人しか知らないけど、誰だろうね。
今日はここまで
早くWOTやりたい……
ネタが思いつかない&イベントに入ったので提督さん自転車操業
頑張りたい宣言
エキシビジョンが終わった日に皆と一緒に夕飯を取り、その後の懇親会という名の飲み会に誘われた。
去年も行ったのだが正直面倒くさい。
だけどこれに出なくなったら本当に物臭な女になってしまう。
なので生徒達にはそこそこの時間で戻ると伝えて出かけることにした。
京太郎君も染谷さんも室橋さんもいるので幾らなんでも問題はおきないだろう。
私が集合場所に着くと飲み会は既に始まっていた。
元プロである千里山女子の愛宕雅枝監督。
正式に姫松の監督となった赤阪監督。
臨海女子のアレクサンドラ監督。
本来なら今年からプロになっていたはずの赤土晴絵プロ。
あとはやらかしたプロ二人にアラサーアナウンサーとか無理に動かしたら危なそうなシニアプロとかとか。
そして私に声を掛けたのは……
「健夜さん、こっちこっち。」
「あ、照ちゃんに福路さん、二人とも来てたの?」
「私達も御呼ばれしちゃいまして。」
「分かってるとは思うけど二人は飲んじゃダメだからね?」
「わかってる。」
「私も付いてますから。」
「うん、任せるね。」
靖子ちゃんが返答してくれた。
社会人になったとは言え照ちゃんも福路さんも未成年である。
何か拍子で飲んでしまったらとても面倒くさい。
二人とも……福路さんはしっかりしてるし靖子ちゃんもついてるから大丈夫のはず。
少し気になることがあったので老婆心で聞いてみた。
「そういえばそっちの仕事の方は大丈夫だった?」
「三尋木プロのチームと対局してたって聞いたけど。」
「概ね大丈夫でしたよ。」
「照の奴も福路も期待以上の仕事をしてくれましたし。」
「そう、それならいいんだけど。」
「……小鍛冶さん何かお母さんみたいですね。」
「まだそんな歳ではないんだけど……」
「ただ二人とも小さい頃から面倒見ていたからそういうことが気になるだけで……」
私が何となく若さをアピールする為に言い訳してると照ちゃんたちが寄ってきた。
一体何事かと思ったら何の事はなかった。
「健夜さん、お菓子がない。」
「居酒屋にお菓子は無いと思うけど。」
「……騙された。」
「美味しいものいっぱい食べて良いって言われたから来たのに……」
まさか誘った人もこの子が御菓子狂いだとは思わなかったんだろうなぁ。
「……カツ丼置いてないのか。」
こっちもか。
ウチの事務所でまともなのは私と福路さんだけだね。
頭を抱えているとふと外から聞こえた音が耳に入る。
救急車のサイレンの音が聞こえた気がしたけど……まさかね?
監督達やプロと飲んでいてお酒がある程度入るとこんな話が出てきた。
それは昼間の騒動にも関係してくる話なのだけれど知らない人は知らないだろう。
「そういえば小鍛冶プロ、須賀君のことなんやけど、進路どないするとか言うてました?」
「あ、それ私も気になるわ~。」
その話が出ると明らかに空気に変化を生じさせた。
皆気になるところではあるということなのだろうか。
「京太郎君はまだ二年生ですよ。」
「進路とかまだ考えてないんじゃないですかね。」
適当に流して別の話題に移してしまおうと思ったけどそうは問屋が卸さない。
関西のおばちゃ……お姉さん方はなんでか気にしてるようだった。
「今度ウチんとこに練習試合しに来てくれへんかなって。」
「なんやったら姫松のとこにもきてほしいわ~。」
「まぁそれなら考えておきます……」
「お願いするわ~。」
赤阪監督にお願いされた後、愛宕監督が割りと小声で聞いてくる。
「あ、そうそう、須賀君って彼女持ちやったりします?」
「いえ、そういう浮いた話は聞いてませんね。」
「やったらええんやけどな……」
「……はぁ。」
あ、愛宕監督の顔が私が三十後半に入った時のウチのお母さんと同じような表情をしている。
結婚はもう諦めたんだろうなっていうときの親の顔、中々にきつい。
四十越えるとマンションとか保険とかさ、勧めてきたりして……
ん? ということはもしかして京太郎君を自分の子供の婿候補にする為に聞いたのかな?
大丈夫ですよ、私の経験上お宅の娘さんは憎たらしいことに二人とも結婚できてました。
ウチの子に唾なんか付けなくても将来安泰ですよ。
ふと周り見るとついさっきまでいたはずの行き後れ共が見当たらない。
もしかしてと思い、照ちゃんたちに話を聞くと先に帰ったのだという。
私は嫌な気がして靖子ちゃんに後の事をお願いしてホテルに戻ることに。
現在私達が泊まっているホテルは関係者以外立ち入り禁止になっている。
つまり保護者か引率者、または学生しか入れないはずなのだが……
私がホテルについて息を整えていると入り口に制服を着た人が三人ほどいた。
その三人は警備員に堂々と嘯いている。
「君達は?」
「……17才学生です。」
「17才学生だよ☆」
「17才! 学生!」
「よし、通っていいぞ。」
ここのセキュリティがザルじゃないかな!? あと29歳が制服着て12才鯖読むのは無理があるよね!?
アラサー三人の行動を見張りつつ移動すると一人が愚痴っている。
「何で私がこんなことに巻き込まれてるんだろ……」
「まぁまぁ☆ これも何かの縁だよ★」
「一蓮托生!」
うん、変装していても誰が誰だか分かるね。
キツイプロに緊張して単語しか喋らないプロ。
その二人付き合わされている赤土プロ。
しかもよくよく野依プロの格好を見るとおかしなところがあった。
バイーンと膨らんでいる胸部。
これ絶対に入ってるよね? み○らじゅんもびっくりなレベルで胸に何かが入ってるよね?
完全に食品の偽装表示ですね。
しかも賞味期限も偽装している始末。
ダメだこいつら早く何とかしないと。
「何してるのかな?」
「……げ、すこやん。」
「何でここに……」
「私は巻き込まれただけなんです……」
「瑞原プロが主犯!」
「私達巻き込まれた!」
「あ、はやりを売ったね!?」
「理沙ちゃんだってノリノリだったのに★」
「私は完全に巻き込まれたんですけど……」
ぐだぐだと文句を垂れる赤土プロに主犯瑞原と言い逃れようとする野依プロが揉め始める。
正直お酒の入った頭では考えるのが面倒くさいので一言言ってあげる。
「まぁまぁ揉め事は後にして。」
「とりあえず私の部屋に行って打とうか。」
三人は観念したのかがっくりと項垂れて私に着いて来た。
このあと
滅茶苦茶
徹夜麻雀した。
今日はここまで
Yafoooo!
PC戻ってきたぜー!
これでWotも艦コレもやりたい放題だZE☆
バケツ0のボーキ60の燃料は底を突いたけど
ということでちょっと更新お休みです申し訳ない
投下出来たらいいのに~
結局あのあと二人ほどリタイアさせて御帰り頂いた。
赤土さんをリタイアさせなかったのは主犯じゃないことを鑑みて。
あと二人を運ばせる為。(これが主な理由)
そのあとは適当に生徒達の様子を見て床に就いた。
生徒達(松実玄も何故か居た)は若干羽目を外していたが頑張ったから大目に見てあげよう。
翌日、私達は車に乗って長野に戻った。
照ちゃん達は靖子ちゃんの運転する車で帰るらしい。
去年はプロ一人に対して三人で挑んで負けたけど。
今年はプロ二人に挑んで片方に勝った。
照ちゃんと福路さんも今回のタイトル戦で三尋木プロと戦って成長したみたいだ。
皆少しずつ進歩してるね。
長野に戻り、少しするとインターハイ後の処理がある。
新たな部長・副部長の誕生、そして染谷さんの引退、それに伴っての部長引継ぎ。
元々副部長だった京太郎君が部長に繰り上がり、室橋さんが新たな副部長になった(事前に私と京太郎君と染谷さんで相談していた)
正式に決まると部長、副部長として挨拶する。
「え~っと、新たに部長になった須賀京太郎です。」
「もう少しタメ二人がしっかりしてくれりゃ俺の負担が減るんだけどそこは諦めた。」
「何だ? この優希様に文句があるのか?」
「私はちゃんとしっかりしてるよ!」
「うっせ、そう思うんならもっとしっかりしろ。」
「今年から一年間部長として頑張るんでよろしくな。」
片岡さんと咲ちゃんの野次に反論しながら京太郎君は続ける。
京太郎君が軽めの挨拶を済ませると片岡さんが声を上げた。
「じゃあ、京太郎、新たに部長になったところでタコスを作ってくれ!」
「早速パシリじゃねぇか!?」
結局そのあとぐだぐだな空気の状態で室橋さんが挨拶して終わった。
京太郎君と室橋さんと染谷さんが話す。
「部長って要は面倒臭い事を引き受ける役目ですよね。」
「そうとも言うのう。」
「ま、上手くやりんさい。」
「わしや久が通った道じゃ、京太郎達にも出来るじゃろ。」
「だといいんですけどね。」
「ま、何かあったら頼りになりそうな先生と新副部長に手伝ってもらいますよ。」
「え、私もですか!?」
「おうよ、当たり前だろ?」
「頼むぜ、"室橋副部長"?」
「……私、大丈夫かな……?」
何かあったら"頼れる大人である私"に相談してくれたまえ。
困ったときは手を貸してあげるよ。
そんなこんなで交代と引継ぎが終わって新たな世代に入ったわけである。
染谷さんが引退してから色々新人戦とか国麻とか他校との合同練習とかやっていたり。
細々としたイベントには事欠かなかった。
更にそれから少しすれば秋も過ぎて雪が降り始めるような時節となる。
毎年この時期になると憂鬱になる、何故なら要らぬ歳を取るからだ。
今年で29歳の誕生日、今年で最後の二十代。
結局今年も浮いた話一つなかった。
ああ、無常。
侘しい人生を送るのは嫌ではあるが相手がいないことにはどうしようもない。
唯一の救いなのは周りに教え子がいて祝ってくれることか。
あとで須賀さんにちょっと愚痴でも聞いて貰う為に酒盛りしに行こうかな。
酒の肴は京太郎君に作ってもらう前提だけど。
更にもうちょっと経つと正月がやってきた。
今年は実家に帰るかどうか悩みながらも帰らずに居た。
何と言うかやばいから。
主にお母さんからの「あんた早く結婚しなさいよ」オーラが。
29と30の差には絶大な差があるんだけれどそれを超えて結婚というプロセスを通して家庭を築くことなんてなかった。
というか毎回死ぬときは孤独に死ぬ。
人間死ぬときは一人だ、何回か死んで悟りました。
だから私は結婚しないの。
結婚出来ないんじゃなくてしないの。
別に結婚しなくても幸せは見つけられるもん。
旦那が見つかんなくたって子供作れなくたっていいじゃん、それだけが幸せじゃないよ。
ただ、人間死ぬときは一人だけど。
そんなことを須賀さんに愚痴を言いながら正月を過ごした。
……何と言うか須賀さんには申し訳ない。
正月が過ぎ、冬休みも明けて染谷さんの進路も決まるとなるといよいよ持って何もすることがない。
厳密に言えば教職員としての仕事はあるんだけれど顧問としてあんまり手がかからない状況なのだ。
京太郎君が後輩に(と言っても後輩は二人しかいないけど)麻雀を教えながら上手いこと部長として働いているからだ。
染谷さんにしても竹井さんにしても、部長業はそつなくこなしていたけれど京太郎君の場合は私に手間が掛からないように動いてくれていた。
全く持って先生思いのいい生徒である。
後輩の指導にしても感覚派である咲ちゃんや片岡さんに比べて京太郎君は割りと理論派なので(私がそういう風に育てたのが原因)きっちり説明しながら教えることが出来る。
というか二人が教え下手なので京太郎君に皺寄せが来てるだけなんだけど。
「勢いでドーンと行けばいいじぇ」とか「まずここで槓材がくるから」とか人と違う前提を出されてもどうしようもない、人に合わせて指導しないと……
まぁ、何と言うか一流のプレーヤーが一流の指導者になれるとは限らないと言うことだね。
逆もまた然りだけど。
そして迎える卒業式。
染谷さんはあっけらかんとして自身の後輩達と話している。
片岡さんや室橋さん、それに咲ちゃんは結構感情を抑えることなく目に涙を浮かべて話しているけど加藤さんや京太郎君は平静に努めているようだ。
咲ちゃんや片岡さんでも別れを惜しむレベルで面倒を見てくれた人。
それが前部長、染谷まこと言う人物だった。
恐らく人徳のなせる業なんだろうね。
貴女はきっと将来良いお嫁さんになるよ。
何はともあれ卒業おめでとう、染谷さん。
今日はここまで
E3クリアしたのでひっそり投下頑張りたい
さてさて、加藤さんと室橋さんが二年生になり、京太郎君達が最上級生になって新たな新入生がやってくる。
例の如く今年も部員の確保に躍起になっていた。
染谷さんが卒業して今女子は4人なのだ、団体戦に出るにはあと一人足りない。
部員不足に悩まされるのは毎年のこととは言えこれは死活問題である。
何故こんなに苦労するのか。
名門校とは言えないけども女子団体戦は二連覇。
個人戦に到っては京太郎君と咲ちゃんで男女でも二連覇だし、照ちゃんのも含めれば学校として三連覇。
人が集まらないのは何が原因なんだろうか。
やっぱり今年も頑張ってアピールしないといけないのかな。
そう思いつつ頑張っても結局惨敗するわけで。
もしかして私、知名度が足りないのかな?
そんなことはないよね、私ってば結構有名だよね。
なら一体何が悪いのか、未だに原因が分からないままだけど。
「先輩!」
「ん? おお、確か夢乃さんだったか。」
「ウチの高校に来たのか。」
「はい! マホは頑張って清澄に入りました!」
私がやたら悩んで今年は皆で何の着ぐるみを着ようかと考えて部室に入ると、そこには一昨年の合宿に室橋さんと一緒に参加していた子がいた。
今その子が京太郎君と話しているが少しもじもじしながら聞いてくる。
「それでですね……麻雀部に入りたいんですけど……」
「おう、いいぜ、ウチの部はいつでも部員歓迎だ。」
やった! 部員一人確保だよ! これで変な着ぐるみを着ないで済むね!
よくよく思い返したら着ぐるみ作戦を発案したのは私だったけど。
結局そのあと皆で着ぐるみを着て部員勧誘したけど新入部員は結局夢乃さんだけだった。
何で人が集まらないの? 何がいけなかったの? 着ぐるみ? 着ぐるみのデザイン?
それとも咲ちゃんが自虐でぬりかべとか言ったから? 私がアラサーだから?
もし運命の神様がいるなら一発引っ叩いて来たくなるレベルだった。
「何はともあれ新入部員が入ったね。」
「ええ、これで今年も女子は団体戦に出れますね。」
「男子は未だに出れないけど。」
「もう、京ちゃん、腐らないの。」
「わかってるって、ただ言ってみただけだって。」
「ま、一回くらいは団体戦を経験してみたかったって気持ちはあったけどな。」
京太郎君の気持ちは分かる。
同性の人間がいないこの部で上手く立ち回れているのは京太郎君の不断の努力とコミュニケーションがあるからだ。
その中で少しくらい気を許せる同性の友達とか欲しかったんだろうね。
それに咲ちゃんたちの団体戦を見てきてるから自分もやってみたいという気持ちもあっただろうし。
ともあれいないものは仕方ない、無いものねだりしても出てこないものは出てこないのである。
新しく入ってきた夢乃さんを加えて初の部活動。
時間がないので実力を測るのと同時に強化を施すことに。
卓は片岡さん・室橋さん・加藤さん・夢乃さんの四人に着いて貰う事に。
「カン、ツモです。」
彼女の対局を見ていて大体分かった。
見た感じ夢乃さんの能力は真似することらしいけど、これには問題が何点かある。
まずは錯和。
これは夢乃さんがうっかりしてるせいか能力のせいか分からないけどよく少牌・多牌などの錯和をしでかす。
次にコピーの限界度。
これは強力なオカルトを真似した時になるんだけど、真似する対象のオカルトがあまりに強力すぎると制限が掛かるようだ。
単純にオカルトに対するセーフティなのかそれとも単に技術不足なのかは分からないけど訓練次第でどうにでもなると思う。
その次はコピーの持続時間。
これは半荘に一局分しかコピーできないという欠点だ。
これの問題は片岡さんや咲ちゃんみたいなオカルトならばいいけど京太郎君や照ちゃんみたいな継続して使うタイプのオカルトの真似には向いていない。
別にそこまで問題ではないけど一応欠点ではある。
最後にコピーの回数。
先ほど問題と重複するけど半荘に一回しか真似しきれないということ。
つまり半荘で一回使ったらそれでお終いなのである。
ここの部分を何とかしない限り実戦運用は難しいだろう。
その後夢乃さん専用の対策を練って練習に組み込んでみる。
と言ってもいつも通り大会まで時間がないので合宿する予定になった。
出来れば合宿中に皆仲良くなって欲しいけど本の虫娘がどう親交を深めるのかが心配だ。
まぁ何とかなるよね……?
申し訳ないが眠いので今日はここまで
低レベルなのにあっさりE-4クリアできたので投下頑張る
酒匂? いえ、知らない子ですね。
やってきた夢乃さんを加えての初合宿。
今回も例の如く京太郎君に手伝ってもらって車に荷物を詰め込む。
こういう時男手って重要だよね。
部長自ら荷物運びしてるのはどうかと思うけど。
ともあれ今年で三回目で慣れてきた合宿所の山道。
例え京太郎君と片岡さんと咲ちゃんが修羅場ごっこしていても気にならなくなった。
三人が最上級生になったので上の押さえが私しかいない。
なのでそこは副部長さんに頑張ってもらおう。
頑張れ室橋副部長さん。
合宿所にあっさり着くと室橋さんを部屋で休ませる。
室橋さんは立ったり座ったりしていたせいか車酔いでぐったりしていたのだ。
一休みして室橋さんの体が休まると特訓を始める。
休ませている間京太郎君が用意してくれたPC(私の私物)で三年生組はネトマ。
二年生二人と夢乃さんは卓でがっつり指導です。
時たま三年生が交代して入ったけど基本的には夢乃さんの猛特訓。
全員で寄って集って夢乃さんの指導。
ネックになるところは今の内に強化しておかないと。
「はい、一旦お昼休憩に入ろうか。」
「あうぅぅぅ……」
時刻はお昼になり一区切りと掛けた号令が緊張の糸を弛める。
長い吐息とともに倒れこんだ夢乃さん。
ぷしゅうと音を立ててそうな雰囲気だ。
最初は錯和(ちょんぼ)してばかりだったけど今では大分改善されて10半荘に一回程度になった。
まだ不安ではあるけど1半荘に一回やらかしていた時に比べて大きな進歩。
この調子でもっと頑張ろうか。
だがその前に昼食を取ってそのあとお風呂に入ろう。
お風呂に入るのは恒例行事だから仕方ない。
昼食を取り終えたあと女子皆で脱衣所に向かう。
その間京太郎君は留守番をしながらネトマをしている模様だった。
私達が脱衣所に着くと私はあることに気付いた。
染谷さんが抜けてしまったことでこの中で一番胸が大きいのが私になった。
若干ウェスト周りは怪しいけどそれでも一番プロポーションがいいんじゃなかろうか。
前のプールの惨劇を教訓に節制したのが功を奏したようだね。
「うわー、先生、大人の体です……」
「え? そうかな。」
夢乃さんが私に対して言ってくれた言葉が嬉しい。
いやぁ、まいったなー、大人の貫禄見せ付けちゃったよー。
清澄麻雀部で一番スタイルがいい女教師こと小鍛治健夜はお風呂から上がって部屋に戻ると京太郎君は暇を潰していたようだ。
麻雀部一のプロポーション持ち主である私は聞いてみる。
「あ、お帰りなさい。」
「京太郎君ずっとネトマ打ってたの?」
「いえ、途中からチャットしてたんですよ。」
「へぇ~誰と~?」
何の気なしに聞いてみた会話。
だがお相手は意外な相手だった。
「のどっちです。」
「え? もしかして原村選手?」
「ええ、二年のインハイ終わったあとの秋大会にメルアドとか交換したんですよ。」
「『一年の時に励ましてもらったお礼です』って言われましたよ。」
「なんと言うか人脈が着々と……」
「麻雀する度、友達増えるね……」
「はい、本当にそうですよね。」
「練習試合とかインハイとかで友達増えましたね。」
まぁ私は麻雀する度友達減らしたけどね。
京太郎君と私達、どこで差がついたのか。
京太郎君の話はまだ続く。
「で、実はさっき判明したんですけど玄さんと龍門渕さんも同じタイミングで打ってたらしくどうやら同室だったみたいで。」
「それで話が盛り上がっちゃって……」
ヤバイ、京太郎君からリア充オーラが発せられている。
このまま私達喪女予備軍が当てられ続けたら日光を浴びた吸血鬼の如く灰になってしまう!
「だ、ダメだよ! リア充なんて不良の巣窟だよ! 世の中の敵だよ!」
「ほら! 咲ちゃんとかが悲しむよ!」
「健夜さん、俺リア充じゃないっす。」
「え?」
「だって男友達いないし……」
「……あっ。」
「何かごめんね……」
「いえ……同性との付き合い方を学ばなかったのは俺ですから……」
ごめんよ……先生じゃどうしようも出来ないよ……
そして京太郎君ごめん……君がボッチなのは間違いなく私達のせいだ……
主に麻雀漬けにしたせいだ……
あと女所帯のせい。
ここは私のせいじゃないね。
うん、わたしのせいじゃない。
結局そのあと京太郎君は若干ブルーが入った状態でお風呂に向かっていった。
まぁ汗と共に嫌な気分も流れるでしょう。
京太郎君が出て行ったあと、夢乃さんと咲ちゃんが戻ってきた。
夢乃さんはつい先程まで京太郎君が使っていたPCを気にしているようだ。
「…………」
やたらと気にしている。
もしかしてネトマをしてみたいのだろうか?
そう思って私が声をかけようとした時、一足早く咲ちゃんが声を掛けた。
「もしかしてマホちゃんPC使いたいの?」
「! はい! マホはネット麻雀してみたいです!」
「うん、三年生の私が教えてあげるよ。」
「えっとじゃあここの電源を……」
「スイッチオーン!」
咲ちゃんすっごいドヤ顔、しかもPCの電源を入れただけで。
夢乃さんも夢乃さんで電源が入っただけなのに目を輝かせていた。
咲ちゃんはそのあとにネトマのブラウザを立ち上げながら説明する。
流石は先輩と言うところか、二年前はネトマのネの字も知らなかったのに進化するもんだね。
「で、ここにアカウントを入れるとネトマが出来るようになるよ。」
「わー! 咲先輩ありがとうございます!」
「まー、このくらいはね。」
咲ちゃんすごいしたり顔。
ペタン娘と身内や友達には優しい咲ちゃん。
今は滅多に吹かせられない分先輩風を吹かせている。
だがそのあとの夢乃さんの発言で咲ちゃんはフリーズする。
「ところで咲先輩、新しいアカウントってどうやって作るんですか?」
「…………えっと」
「……健夜さーん!」
結局私か京太郎君か福路さんか照ちゃん……には頼らないけどいつもの誰かに頼る破目に。
咲ちゃんのポンコツ具合は小さい頃から変わらないなぁ……
「ありがとうございます小鍛治先生!」
「いいよいいよ。」
「では『スーパーまほっち』頑張ります!」
結局私がアカウントを作ってあげたわけだが夢乃さんは既にやる気満々である。
意気込むのはいいけどへばらない様にして欲しい。
何せこのあとも練習はあるのだから。
そういえば夢乃さんが入った部屋ってさっき京太郎君が入っていた部屋じゃ……
まぁ気にするほどじゃないか。
今日はここまで
ミカに関しては>>534で出てます
玄に関しては浪漫砲積んだKV-2だと思ってください
今から投下頑張る
夢乃さんがスーパーまほっちとして頑張っているのよそに咲ちゃんは文庫本を取り出して読み漁る。
それから少しするとぞろぞろと女の子達が戻ってきた。
「あれ? 須賀部長は?」
「お風呂に行ったよ。」
「そうですか。」
私がそう答えると気の抜けた返事をする加藤さん。
最近心停止することが少なくなってきたけど油断は出来ない。
特に今は京太郎君がお風呂に行ってるのでここで止まったらアウトである。
一応AEDを持ってきているとは言え慣れてる人がいないと不安なのである。
その点、室橋さんは心停止しないから心配ない。
よく考えたら京太郎君が戻ってくるまで加藤さんにネトマを打たせれば良い事に気付いてそれを実行する。
幸いにも京太郎君は長風呂するタイプではないので1~2半荘ほど打っていれば上がって来るはず。
それにしても男の人って何であんなにお風呂短いのか?
お父さんにしろ須賀さんにしろ京太郎君にしろ結構入浴時間が短い。
周りにいる男の人の例が少ないから一概には言えないけど。
割とどうでも良い考えを他所に追いやり練習の再開をする。
加藤さんは京太郎君がお風呂から上がるまでネトマ固定、夢乃さんと室橋さんは卓に固定。
私と片岡さんと咲ちゃんはローテーションで入る。
まず誰が一番最初に音を上げるのかな?
昼を過ぎ、練習を始めてから一時間ほどして音を上げたものがいた。
「じょ~……もうだめだじぇ……」
「優希ちゃん、だれるのが早いよ。」
「うぅ~咲ちゃん……私はもうだめだ……」
「タコスが切れて集中出来ないじょ……」
「京太郎とマホには一日三食与えてください……」
「マホ一日三食食べさせてもらえるんですか?」
「夢乃さん、突っ込むところはそこじゃないと思うよ……」
「……それにしても京太郎君遅いね。」
「そういえばそうですね。」
「私見てきましょうか?」
「加藤さんは男風呂にどうやって行くつもりなの……」
「……修学旅行とかのお風呂で覗きするのは恒例行事みたいなものですよね。」
「……流石に先生としてそれを肯定することは出来ないかな。」
加藤さんの怪しい発言はさておき、京太郎君が湯中りを起こしてる可能性も無きにしも非ずではあるが。
流石に先生で小さい頃からの付き合いとと言えど覗きに行くわけにもいかない。
男友達云々の話が地味に響く。
私が行くか行くまいか悩んでいると部屋の戸が開いた。
「良いお風呂だったー。」
「おかえり、京太郎君にしては珍しく遅かったね?」
「お風呂入っている時にちょっとアイデアが浮かんで。」
「それで優希もそろそろへばるかなと思って新作のタコス作ってました。」
「……え?」
「京太郎の新作タコスかぁ……」
タコス成分が枯渇した片岡さんが新作と聞いて渋る。
それを見た夢乃さんが疑問に思い聞いてきた。
「? 須賀部長のタコスはおいしいですよ?」
「マホ、須賀部長の作るタコス大好きです。」
「マホは知らないから言えるんだじょ……」
それもそのはず片岡さん(私と咲ちゃんもだけど)は割りとタコスの試食実験台になっているのだ。
一年のときにはタコ墨タコス(実際はイカ墨だったけど)を作って食べた片岡さん顰蹙を買っていた。
そのあと龍門渕の執事さんから教えてもらって大分改善されたけどそれでも時たま創作タコスを作ってくる。
しかもそのタコスは当たり外れが多いのだ。
そんな経験からか咲ちゃんが苦笑いを浮かべながら言う。
「あはは……前に失敗したからね。」
「大丈夫だって、今回は自信作なんだ。」
「まぁ、タコスだから食ってやるじぇ。」
「余りの美味さに腰抜かすなよ?」
「まずこっちはフルーツ系の新作。」
「で、こっちはサラダ系の新作。」
「皆の感想も聞きたいから皆食べてくれ。」
京太郎君はそう言いながらタコスを振舞う。
それを手に取った皆が一斉に食べ始める。
「美味しいです! このサラダ系タコスいいですね、マホ大好きです!」
「うん、須賀部長、これ美味しいです。」
甘辛系のサルサソースを入れたトマトなどが入ったサラダ系のタコスは概ね好評だった。
が、横ではフルーツ系タコスを食べた片岡さん撃沈している。
こっちは外れかぁ……
「優希、もしかしてまずかったか……?」
「盛られたかと思ったじぇ……」
「そんなに不味かったんだ……」
「味は悪くないんだが食べた瞬間に口の中で広がる匂いがやばいじょ……」
「一口二口はいいけど何個も食いたくはない……」
「あと女子は絶対匂いが気になるじょ。」
「失敗か……」
「でもまぁ方向性は間違ってないと思うじぇ。」
「甘いのはクレープみたいで美味しいしな。」
「それにこっちのサラダ系タコスはヘルシーで美味い。」
「ん、感想サンキュな。」
それにしても京太郎君、タコ墨タコスの時と比べたら段違いに腕が上がったなぁ。
前のは食べられたものじゃなかったからね。
フルーツ系も残念だったけど改良すれば美味しいし結構何だかんだで進歩してるね。
さて、京太郎君が戻ってきたことだしこれで心置きなく加藤さんを参加させられる。
そのあと何回か加藤さんが失神しかけた。
加藤さんも進歩した、前は簡単に心肺停止していたのに。
気を取り戻した加藤さんが言った「伊達にあの世は見てないです。」という言葉には驚いた。
そんなどこぞの不良主人公じゃないんだから。
短いけど今日はここまで
男友達居ないって以前は少なくとも嫁田が居たけど麻雀部の全国大会放送見て友達やめたんかな……
あとまこは進学?就職?
久の時も思ったがそれより更に1年多く魔王軍に所属してんだし打ち方的にも欲しがるチームありそうだけど
まあ実力があるからといって必ずしもプロ志望とは限らんけど、ポンコツ姉と違って麻雀以外にも才あるし
WOTやろうか書こうか悩んだ末、書くことにしました
>>595
我らの聖人まこ元部長は就職です
実家の手伝いで嫁力をメキメキ上げてます
他にも描写忘れがあるかもしれません
それでは投下頑張る
三年生を交えての練習。
片岡さんは東場の勢いを更に強めていき、咲ちゃんは周りを封殺するが如く動く。
京太郎君に到っては鉄火の鳥のブースターを思いっきり噴かして周りを焼き焦がさん勢いだ。
京太郎君にしても咲ちゃんにしてもリベンジしたい相手がいる。
片岡さんも今年は個人でも全国に行きたいことだろう。
三人とも今年が最後のインターハイ、否が応にも練習に力が入る。
ただこうなると二年生でもかなりきつい状況だ。
片岡さんは二年とちょっと伊達で鍛えられたわけじゃないから二人に張り合えるが室橋さんや加藤さんじゃ相手にならない。
一年生の夢乃さんなんか勝てる勝てないという状況を通り越して尊敬や憧れといった感情を抱いているのが分かる。
おいおい、夢乃さんもそのチームの一人なんだからしっかりしてもらわないと困るよ。
そうこう練習している内に日はすっかり落ちて一日目の練習は終了した。
三年生の練習は今までの総仕上げ。
二年生は粗が目立つ所を矯正して弱点潰し。
一年生(といっても夢乃さんだけである)は基本的なところを徹底的に覚えさせてミスをなくさせた。
結果として全体の底上げとチームとしての穴を埋めることができた。
そのあとは休憩時間と夕飯と自由時間である。
つまり毎年のことではあるが私はお酒を片手に京太郎君に作ってもらった肴で晩酌である。
出先の宿場で温泉上がりに浴衣を着てお酒を飲む。
たまらなくいいものだ。
お酒を飲んで、ある程度出来上がってくるころに部屋を訪ねる者がいた。
部屋の戸を叩かれそれに返事をすると人が入ってくる。
てっきり京太郎君がおつまみを追加しに着てくれたのかと思ったが違ったようだ。
厳密にはそれもあったのだけれどそれだけではない。
入ってきたのは京太郎君と咲ちゃんと片岡さん。
京太郎君と咲ちゃんが来るのは珍しくないけど片岡さんが来るのは珍しい。
てっきり中学の後輩と親交を深めているものとばかり思っていた。
「どうしたの?」
「先生に特訓をつけてほしいんだじょ。」
「しかも飛び切り濃いやつを。」
「もう個人戦だけ置いてけぼりなんて嫌だからな。」
「俺も今年こそはリベンジして終わりたいからやれることはやっておきたい。」
「今年は絶対に勝ちたい。」
「勝ってやりたいことがあるんだ。」
「……私も京ちゃんじゃないけどリベンジがしたい。」
「お姉ちゃんたちは既にリベンジしてるらしいから一番乗りとはいえないけど、それでももう一度お姉ちゃん達みたいに頂に上りたいです。」
「うん、わかった。」
「悔いを残さないように目一杯に練習しよう。」
皆真っ直ぐな目をしていたいつも和やかな空気を醸し出しているあの三人がだ。
その目を見て私は先生として力になってあげたいと思った。
そのあと後輩達が寝静まっても、上級生は切磋琢磨に己の技量を上げていた。
どうやら今日は夜が長そうだ。
夜もどっぷり浸かりながら打っていく。
時間の感覚も忘れたまま、ただ研鑽を積むためだけに。
やがて空が白み始めてきた、辺りでは雀が囀っている。
時間の移り変わりに流石に拙いと思い三人に伝える。
「とりあえず今はこれくらいにして少し仮眠を取ろうか。」
「これ以上はこのあとの練習に支障が出ちゃうと困るし。」
「そうですね。」
「わかったじぇ。」
「俺も寝るか……」
皆各々にのそのそと自分の部屋に戻っていく。
さて私も寝ないと持たない。
生徒の体調も心配だが何より私が眠いの。
十代の体とは違ってこっちは二十代後半の体なの。
無茶するとガタが出るしお肌も荒れるしで大変なの。
お酒を止めれば少しは改善するかもしれないけどする気は無い。
人生の楽しみの一つを奪わないで頂きたい。
朝に軽く寝たあと恒例行事の一つ早朝ランニングをする。
これは麻雀部みたいな座りっぱなしの部活動には結構重要なことなのだ。
しかし二日酔いで戻す事は無かったけど足腰にガタがくる。
日頃の運動不足が祟ったか。
毎回運動とかプールに行く度に常日頃から運動しないといけないと思いつつも麻雀とデスクワークの日々。
昔は京太郎君を乗せて自転車で走ったこともあったけど今では車の便利さに負けて物置の肥やしになっている。
そんなことを思いつつもこういう機会が無ければ結局しないことになる。
一方三年生は部長である京太郎君を先頭にきっちり走っている。
私と同じタイミングで寝たはずなのに……若さってすごいなー。
ランニングが終わると朝食を取って練習である。
今年は最初とは違ってちょっと遅めに帰るのだ。
具体的には夕方頃に車が出る。
それまではぎっちり練習だ。
特に夢乃さんは戦力になって貰わないといけないので念入りに。
しかしいくら十代の体がタフとは言え終わってみると二年生と一年生はグロッキーになっていた。
少しは三年生を見習いなさい。
京太郎君と咲ちゃんは長年やってるから仕方ないとして片岡さんなんてタコスをあげれば直ぐ復活するんだから。
そう思いつつもそのあと皆を労ったあとお風呂に入って合宿所を後にした。
車の中では揺られたせいか疲労のせいか生徒達の殆どが眠っている。
いよいよ来週からはインターハイだ。
京太郎君たちにとっては最後のインターハイだからしっかり対策とかしておかないと。
今日はここまで
ちょっと色々やってたらこんなに空いてしまった申し訳ない
書き溜めはないけどいまからやっていきます
休みが明けていよいよインターハイ。
三年生は今年で最後なので気合の入り様が違う。
しかし気合の入れ様に反して恐ろしいことに今年の出場校は清澄を含めて全部で14校。
競技人口は変わっていない筈なのに去年より減っている。
とはいえちゃんと出場してくれる高校はあるわけであり、その中には当然常連校も含まれている。
だけど去年県予選を準優勝した龍門渕は出場しておらず代わりに風越がシード枠に入っていて、順調に行けばうちと当たるのは決勝だ。
シード枠はこの出場枠から推測する限り準決勝からだと思う。
つまりうちと風越は最多でも準決勝と決勝の二回しか打たない。
もしかして高校麻雀は衰退しました? そんなこと無いよね? ね? だって照ちゃんがいた時はすごい盛り上がっていたし。
それはそれとして皆が居る状態で話しておかないといけないことがある。
「はい、皆聞いて。」
私の号令に皆注目してくれた。
それを確認して再度話し始める。
毎回恒例のオーダー発表である。
「えっと、本来なら部長が説明するんだけど京太郎君は女子の部にはノータッチだから私が説明するね。」
「先鋒、片岡さん。」
「次鋒、室橋さん。」
「中堅、加藤さん。」
「副将、夢乃さん。」
「大将、咲ちゃん。」
「以上です。」
「「「「「はい。」」」」」
今回は染谷さんが抜けた部分を詰めて副将に夢乃さんを入れた形だ。
片岡さんが稼いで二年生二人が守って副将で吐き出して咲ちゃんで勝利を?ぎ取る。
文字化け修正
片岡さんが稼いで二年生二人が守って副将で吐き出して咲ちゃんで勝利を?ぎ取る。
↓
片岡さんが稼いで二年生二人が守って副将で吐き出して咲ちゃんで勝利をもぎ取る。
オーダーを発表したのはいいけど私達は出番が来るまで暇なので控え室で待機していることにした。
というか京太郎君は男子個人のみ出場なのに律儀についてこなくても……
部長(お守り役)だから仕方ないんだけどさ。
控え室で待っている間、一応対策とかで現試合をモニターで眺めている。
割と良い感じの雰囲気だ。
予選の予選だから温い雰囲気とも言えるけど。
風越もシードから出てきて打っている、私達もそろそろか。
「それじゃあ行ってくるじぇ。」
「頑張ってください優希先輩。」
「おうよ!」
そういうと片岡さんはタコス片手に向かっていった。
対策とか特に何も言って無いけど片岡さんだから大丈夫でしょ。
私が何もしなくても大丈夫、そう思っていた時期が私にもありました。
怠慢とまでは行かないけど私が油断したのは否めない。
「タコスの奴……」
「これはひどいですね……」
と言ったのは部長と副部長の言だ。
それもそのはず。
何故なら片岡さんは各校から70000ずつ徴収したのだから。
これでは試合経験を積ませたい子にまで回らない。
しかも咲ちゃんは麻雀を打てない。
うーん、惨劇の予感。
優しさと畜生は紙一重
>>642
そこに希望が無いせいだわ
結局計220,000点ほど稼いだ片岡さんは意気揚々と帰ってきた。
「帰ったじょ~。」
「お疲れ。」
「お疲れ様。」
「これなら多少点数に余裕があるから軽い気持ちで打てるじょ。」
「仮に点数を失ってもうちの大将は強いからな。」
片岡さんは椅子に座ったあとそう言った。
片岡さんは時折、言に棘があるが何だかんだ言って後輩に優しいタイプ。
年上にも物怖じせずにタメ口を使う。
よく言えばフレンドリーなのだ。
そういうところがあるから後輩に慕われているし友達も多い。
片岡さんが居なかったらウチの部は潰れていただろう。
片岡さんの人徳に感謝だ。
その後準決勝次鋒中堅と流れて行き副将戦に入る前に相手校がトんで終わってしまった。
準決勝が始まるまで和気藹々だったのに準決勝では常時御通夜モードの様相。
裏ではウチのチームは「魔王軍団」や「死神部隊」と呼ばれているらしい。
私にいたってはチャック・ノ○ス扱いである。
誰だ、チャック・○リスのコピペを改変して私のバージョンを作った奴は。
「生まれた赤ちゃんが泣くのは、この世に小鍛治健夜が居ることを知っているから。」
これを作った奴は絶対に許さない、絶対にだ。
短いけど今日はここまで
【最強伝説編】
・小鍛治健夜のあがるスピードは二種類。1.ツモる 2.[ピーーー]
・毎晩、はやりん(永遠の28歳と信じられているオバケ)は寝る前に自宅のクローゼットに小鍛治健夜がいないかチェックする
・小鍛治健夜は時計をしない。彼女が今、何時何分か決めるのだ
・小鍛治健夜のピースサインは「あと二秒でトばす」の意味
・子供は小便で雪に名前を書くが、小鍛治健夜は点棒でコンクリートに名前を彫る
・小鍛治健夜に麻雀を挑むことは、司法では「小鍛治自殺」として扱われる
・小鍛治健夜は老眼鏡でアリに火をつけることができる
・小鍛治健夜は麻雀でれんがの麻雀卓をブチ破った唯一の女
・4月1日に小鍛治健夜に悪ふざけを試みた男を知っていますか?彼の墓石にはただエイプリルフールとだけ刻まれている
・小鍛治健夜は天和、地和、人和を同時にできるが、いつも天和だけで相手が死んでしまうので誰も気づかない
・牌が人を[ピーーー]のではない、小鍛治健夜が人を[ピーーー]のだ
・小鍛治健夜の最初のあがりは平和のみだった。平和を上がらせた他家は、すべからくこっぱみじんになった
・小鍛治健夜は一度ガラガラヘビに咬まれたことがある。3日間もがき苦しんだ末…、ガラガラヘビは死んだ
・小鍛治健夜は一度の上がりで二人の他家を[ピーーー]事ができる
・小鍛治健夜はフル装填された銃でロシアン・ルーレットに勝った
・小鍛治健夜の主要輸出品目は非婚である
・小鍛治健夜と同じ職場で仕事をするときは、間違っても「パンチで3つ穴あけてくれない?」などと気安く頼まないことだ
・小鍛治健夜は「狩り」には行かない。なぜなら「狩り」は失敗する時もあるから。小鍛治健夜は「殺し」に行く
・小鍛治健夜はシャワーを使わない。彼が入るのは血の風呂だけだ
・小鍛治健夜が言葉を発する時、周囲の全員がそれを聞き、そして周囲の全員が死ぬ
・平均的な居間には小鍛治健夜があなたを[ピーーー]のに使える物が1242個ある。部屋そのものを含む
・牌は剣より強しと言うが、それは牌が小鍛治健夜によって保持されている場合に限る
・小鍛治健夜は、彼女の体のあらゆる部分を別々に殺傷兵器として登録しなければならない。彼女の脾臓は50以上の州で隠し武器とみなされている
・ハリーポッターの賢者の石は実際には小鍛治健夜の腎臓結石だった
・小鍛治健夜は一度腋毛を剃ることを試みた。 彼女は芝刈り機を壊した
・ウルヴァリンは小鍛治健夜の腋毛を切ることができる唯一の存在である
・小鍛治健夜が血を寄付するために行くとき、彼女は注射器を使わず、その代わりに点棒とバケツを使う
・緊急事態になると、119は小鍛治健夜に電話をかける
・一部の国では、犯罪者は刑務所に行くか小鍛治健夜と一日麻雀か選択することができるが、誰も小鍛治健夜を選ぶことはない
・小鍛治健夜が見えているかい?小鍛治健夜からも君が見えている。だが小鍛治健夜が視界から消えたら、君の命もあとわずかだ
・小鍛治健夜はあらゆるスポーツのワールドチャンピオンになれる。 第二位は彼の腋毛である
・小鍛治健夜は敵を持っていない。ただ犠牲者がいるだけだ
・小鍛治健夜はどんなことでも実行できる。結婚することを除いて
・ベジータが測定した悟空のパワーは9000以上であった。しかし実際には小鍛治健夜の怒りメーターだった
・小鍛治健夜のリビングに居る赤土は死んでいるのではない。彼女を怖れて動けないだけだ
・小鍛治健夜は点棒でナイフを切る
・小鍛治健夜は普段は、チェーンソーで歯磨きしてる
【不条理伝説編】
・小鍛治健夜はカード麻雀でも人を絞め[ピーーー]ことができる
・小鍛治健夜は麻雀卓でウイリー走行できる
・小鍛治健夜はドンジャラで麻雀をすることができる
・小鍛治健夜は点字でしゃべることができる
・小鍛治健夜は以前、無限まで数を数えたことがある。しかも2回
・小鍛治健夜の腋毛には腋毛がある
・生まれた赤ちゃんが泣くのは、この世に小鍛治健夜が居ることを知っているから
・小鍛治健夜が子供の象を蹴ったらその象は思春期に入った
・小鍛治健夜はものを食べる時飲み込む必要がない
・小鍛治健夜がトランスフォーマーのおもちゃを食べてうんこをするとロボットに変形している
・小鍛治健夜が水を発明した
・小鍛治健夜がバーガーキングでビッグマックを注文したら出て来た
・小鍛治健夜はHIVに感染していないのに他人に感染させる
・小鍛治健夜がSAT(センター試験のようなもの)で全ての解答に「小鍛治健夜」と書いたら満点だった
・小鍛治健夜は玉ねぎを泣かせる
・チャック・ノリスは本を読まない。彼女は、ただ彼女の欲する情報が得られるまで本を睨み続けるのだ
・小鍛治健夜は天和だけでオーケストラを指揮することができる
・小鍛治健夜は回転ドアを閉める事ができる
・小鍛治健夜の腋の横に胸は無い。3つめの拳がある
・小鍛治健夜の涙は癌を治す効果がある。ただ、彼女は泣いた事がない
・小鍛治健夜はガソリンで火事を消しとめることができる
・新型インフルエンザは小鍛治健夜が毎回バラまいている
・集団でイルカが陸に打ち上げられる現象は、海水浴にきた小鍛治健夜に驚いたための悲しい事故だ
・小鍛治健夜はeメールで天和を送ることができる
・小鍛治健夜は、円周率の最後の2桁を知っている
・タイタニック号は氷山に激突して沈んだ事になっているが、実は背泳ぎで海を渡っていた小鍛治健夜に出くわした為である
・小鍛治健夜+婚姻届+あなたの顔=核による全滅
【聖書伝説編】
・聖書はもともと"小鍛治健夜と愉快な仲間たち"というタイトルが付けられていた
・神が「光あれ」と言ったところ、小鍛治健夜に「『お願いします』だろ?」と怒られた
・小鍛治健夜は12月25日にイエスに間違ってバースデーカードを送った。しかしイエスは小鍛治健夜に「間違いだ」とは言い出せず、それから12月25日がイエスの誕生日として知られることになった
・イエスは水面を歩けるというが、小鍛治健夜は砂漠を泳ぎきることだって出来る
・イエスは水をワインに変えた、小鍛治健夜はそのワインをビールに変えた
・小鍛治健夜は宗教を持たない。神々が小鍛治健夜を崇拝する
・小鍛治健夜はサンタを信じていないがサンタは小鍛治健夜を信じている
・進化論はウソだ。小鍛治健夜が存在を許した生物だけが生存している
・大概の人は死神を恐れる。小鍛治健夜にとって死神はまだ若造である
・小鍛治健夜は10年前すでに結婚しているのだが、死神がそのことを告げる勇気を持ち合わせていない
・人々が死ぬときは、死神が現れる。 死神が死ぬときは小鍛治健夜が現れる
・地獄の入口には"小鍛治健夜お断り!!"の札がついている
【PC・インターネット伝説編】
・小鍛治健夜のパソコンにはCTRLキーが無い。彼女が常に全てをコントロールしているからだ
・ビル・ゲイツは常に不安にさらされている。いつ小鍛治健夜のPCがクラッシュするのかと
・小鍛治健夜が音楽を聞く時、アップルは彼に99セント支払う
・小鍛治健夜の綴りを間違えてgoogleで検索したとしよう。そこに現れる文字は、”もしかして小鍛治健夜?”ではなく”今のうちだ、逃げろ!”
・Googleは小鍛治健夜を検索しない。何故ならあなたが小鍛治健夜を見つけるのではなく、小鍛治健夜があなたを見つける事を知っているからだ
・プロレスラーは電話帳を引き裂くが、小鍛治健夜はFacebookを引き裂く
・小鍛治健夜のFacebookには友人のリストはなく殺しのリストがあるだけである
ちょっと今投下出来ないので明日か明後日当たり頑張る
よし投下がんばる書き溜めはない
続いての決勝。
実質風越との一騎打ちではあるけど敵ではないだろう。
私はふとした思い付きで皆に提案をした。
「試合中に何かかっこいい決め台詞を言ってきてね。」
「!?」
「何の罰ゲームなの……」
「小鍛治先生の意図が分かりません……」
咲ちゃんは中学時代の黒歴史を思い出して京太郎君まで巻き込もうとしていたが、一足先に逃げた京太郎君はどこ吹く風であろう。
その隣では私の何気ない一言(無茶振り)についての意図を一生懸命考えている副部長さんはうんうん唸っている。
実は理由は特に無い。
別に無い。
ただなんとなくだけど教え子たちがラスボス扱いなのが気に食わないので主人公っぽくしたかっただけ。
そして始まった県予選決勝先鋒戦。
注意するのは風越女子の先鋒の文堂選手くらいだ。
正直ウチの片岡さんだったら敵じゃないし他の面子は文堂選手より見劣りするレベル。
夢乃さんだったらいい勝負になるかもしれないけどそれは文堂選手レベルでの話だ。
福路さんが居た頃ならともかく今年はどうやっても勝ちは確定である。
あれ、そういえばこれって大将戦まで回らないんじゃ……?
「賽は回すが親はまわさんじぇ。」
モニターの中の片岡さんが決め台詞を言っている。
私の言葉を忠実に守ってくれるのは嬉しいけどほどほどにしてくれないと困る。
あんまり稼ぎすぎるとラスボスみたいだし、何より咲ちゃんに回らない可能性が高くなる。
そんな祈りも虚しく片岡さんはバンバン和了っていく。
片岡さんは風越女子からは20000前後削っていた。
文堂選手の守りが上手かったからかそこまで削れなかったようだ。
その他二校からは50000前後削ってはいるけど油断はできない。
ウチの子がいつ飛ばすかわからないからである。
でも大丈夫! 室橋さんは気遣いができる子だから私の意図を汲んでくれる筈!
そんなふうに考えていた時期が私にもありました。
室橋さんはずっと悩みながら打っていて和了ったときに一頻り悩んで言葉を繋ぐ。
「えっとえっと……」
「清澄の副部長の肩書きは伊達じゃないです。」
「あの、はい……なんかすみません……」
人間余裕がないと気遣いはできない。
苦労人の香りが其処彼処から感じられる室橋さんは決め台詞を考えていて余裕がなかったようで気付いたら相手の一校から30000ほど削っていた。
次鋒戦が終わる頃には断ラスの一校は20000を切っている状況。
若し三倍満か親倍でも当たれば即終了である。
ああ、次は加藤さんだ、AEDの準備でもしておくべきかな。
中堅戦が始まる。
もう加藤さんに関しては心臓を止めたりしなければいいかなってそう思う。
相手の持ち点は50000・20000・30000であまり余裕はない。
完全に御通夜の雰囲気の状態である。
だけどそんなことは関係ないと言わんばかりに加藤さんは攻め続ける。
何が彼女の心をそんなに追い立てているのか。
「伊達にあの世は見ていません。」
「先輩達が見ているので全力でいきますね。」
そう言った加藤さんは手牌を倒して和了りを宣言する。
そしてその後何かを思い出したように呟いた。
「あ、そうそう、決め台詞を言わないといけないんでしたっけ。」
「それじゃあ……いっぺん、死んでみる?」
それを言われた相手の子は試合終了と共に気絶した。
まさか対戦した子があんなになるなんて……
控え室に居る皆が私を見ている。
…………うん、私は悪くない。
私は悪くない。
副将戦が始まる前に少し整理しておこう。
相手校の持ち点は風越は30000点前後。
他は12000点と5800点である。
しかも選手は全員聞き覚えのない程度の選手。
対してこちらは錯和を無くして能力を強化した夢乃さん。
咲ちゃんまで回るかな?
「ツモです! マホ、ツモっちゃいました! 8000オールですね!」
ダメみたいですね。
片岡さんのまねをした夢乃さんはわざわざ京太郎君からタコスを貰ってまでして力を上げて自摸る。
その結果一校がトび終了。
清澄高校は晴れて三年連続全国出場である。
やっちまったなぁ……
アマチュア界「頼むから早くプロに行って、どうぞ」
プロ界「え、なにこれ(ドン引き)」
あとはすこやんのコネで教え子達をフェレッターズ
に押し込めば黄金時代到来だな。
夢乃さんが戻ってきてやや興奮気味で語る。
初の公式試合で買ったのだから仕方ないといえば仕方ない。
「マホ勝っちゃいました!」
「みなさんのおかげです!」
「ちゃんと見てたからわかってるじぇ。」
「マホの初勝利祝いだ、後でなんか奢ってやるよ。」
「本当ですか!? やりました!」
「京太郎、ついでに私の分も奢ってくれ!」
「自分の分くらいは自分で払えよ。」
はしゃぐ夢乃さんに悪乗りする片岡さんに漫才をし始める京太郎君。
そんな中何とも言えないオーラを放つ女子が一人。
原因はわかってるんだけどね。
「……むぅ。」
また咲ちゃん(の出番なし)かぁ……(個人戦選手が)壊れるなぁ……
流石に脹れっ面になった咲ちゃんに何も言わないのは可愛そうなので話しかけてみることに。
「咲ちゃん、出番なかったね。」
「別に皆を信じてたから問題ないし……」
「私が出るまでもないだけだったから気にしてないし……」
「いや、ほんと、別に気にしてないし……」
それにしては妙にプルプルしてるね。
これはあれかな、咲ちゃんも決め台詞を考えていたけど出番がなかったから空振ったから震えているのかな……
咲ちゃんが若干池田ァみたいな口調になっていたのは置いといてお菓子を買い与えておいた。
多少は機嫌がよくなったようである。
さて、次の週末は個人戦だね。
それまでの間は練習をするか息抜きするかどうしようかな。
今日はここまで
期間が開いた割りに短くて申し訳ない
投下宣言
学校の放課後、来る個人戦に向けて休息をとるか練習をするか部室で悩んでいるときに部員達がやってくる。
正直悩んでいるので生徒達に投げようかと思う。
生徒が望むなら練習しても良いし毎年の恒例になりつつあるプールに行ってもいいのだ。
「練習とプール、どっちがいい?」
「私はプールかな? 毎年行ってるし。」
「私はどっちでもいいじょ。」
「私は先輩達に合わせます。」
「私もです。」
「マホも行って良いんですか?」
「勿論だよ。」
「あとは部長さんの意見次第だけど。」
そう言って京太郎君に意見を求める。
夢乃さんは目を輝かせている。
少し悩みながら京太郎君は口を開く。
「俺は別に練習でも「え?」……息抜きは必要だからプールに行こうか。」
女性陣の声が被った気もするけど最初から京太郎君はプールに行くつもりだったはずだ、きっとそうに違いない。
部長なのに発言力がないって辛いね、でもウチは女所帯だから仕方ないね。
「持ち物はどうします? 俺が適当に見繕っても良いですか?」
「それは良いけど何で自動卓に手をかけているのかな?」
「ちょっとプールで打とうかと。」
「京太郎は少しくらいは息抜きするべきだじぇ。」
「俺は24時間365日いつでも打てるぞ。」
「おい誰かあの麻雀馬鹿を止めろ。」
「そうだ、咲ちゃんの幼馴染だろ、早く何とかするんだじょ。」
「京ちゃんがああなったのは健夜さんの責任だから健夜さんが止めるべきだと思うんだよね。」
「え、私!?」
案の定私にお鉢が回ってくるわけで。
ダメだと言って軽く窘めて諦めさせた。
それでも京太郎君は麻雀をしたいのかマットと牌をを持っていこうとしていたが私が止めた。
全く、プールに全自動卓持っていこうとするひと前代未聞……
いや……そういえば居たね、一人……
しかも結局現地で係員さんに怒られてた人が……
プールに自動卓持って行くのはあの子だけで十分だよ……
生徒たちを車に押し込んで出発する。
然しもの京太郎君も麻雀を取り上げれば大人しくなると思ったのが甘かった。
私が運転していると後ろから声が聞こえてくる。
「部長、カード麻雀持ってきたんですか……」
「おうよ、インターハイが久しぶりの大会だからどうも気合が入っちゃって。」
「気合入れるのはいいけど空回りしないでよ?」
「そうだじょ、空回りならまだしも相手を再起不能にするなよ。」
「お前らと一緒にすんなよ、俺は割りと良心的な雀士だっての。」
「え?」
「え?」
その「え」は何の「え」なのか気になるけどそろそろ車がスポーツランドに着くし、そもそも話を伸ばしたら私にまで飛び火しそうなので流しておく。
そしてスポーツランドで水着に着替えるときに注意しておくことがあった。
この中では一番スタイルのいい私ではあるが少々体の肉付きが全体的に増えているので気になるところではあるが其処は亀の甲よりなんとやら。
体をぎっちぎちに締めて寄せて上げて全身(主に腰周りと背中)から持ってきた余ったお肉を胸に集中させる。
これでワンサイズカップ数が上がるのだ。
ただし咲ちゃん達みたいに痩せている子はこれをやっても効果は薄い。
まあ何にせよ今回はパーカーで隠さなくても良いかもしれない、代わりに激しい運動はできないけど。
寄せて上げて上げ底して胸を増量した後は皆でプールに向かう。
皆去年とは違う水着を着ていて女の子らしさが際立つ。
しかし咲ちゃんはぎりぎり大丈夫だけど夢乃さんと片岡さんは一部の方々には受けそうな体型だこと。
ただし一般受けはしない面子であるね。
プールに着くと去年とは違うパーカーを着た京太郎君が待っていた。
「お待たせ。」
「パーカー要りますか?」
「今回はいいよ。」
「それよりも私達の姿を見て言うことがあるんじゃないの?」
私が京太郎君に話を振ると皆の姿を確かめる。
まず最初に目が合った夢乃さんがこういう機会が無かったのか恥ずかしそうに京太郎君に声をかけた。
「マホの水着はどうですか?」
「ああ、かわいいよ。」
「水着もマホに似合っているしな。」
「やったー!」
厭味や含みを持たせずさらっと褒めるあたり彼らしい。
褒められた夢乃さんも普通に嬉しそうだ。
それを見ていた加藤さんも期待して視線を送る。
視線を受けた京太郎君も直ぐ様褒めだした。
「ミカもその水着似合っているな、とても綺麗だ。」
「ありがとうございます。」
褒められた加藤さんがにっこりと微笑んだあと、後ろに振り返ったときに然り気無くガッツポーズをしていた。
そんなに嬉しいのかな?
流石気遣いが出来る男は違いますね、だから部長をやらされているのかもしれないけど。
それはそれとして若干リップサービス感が否めないけどそれが彼の処世術なのだろう。
多分に私達のせいではあろうけど。
続いて副部長こと室橋さんに移ったときだった。
室橋さんは徐に京太郎君に進言する。
「あ、私は良いので先輩方を見てあげてください。」
「おう、と言っても勝手に俺に評価されるのも気分良くないだろう。」
「いえ、そういうわけではないですけど。」
「その、余計な恨みは買いたくないので……」
何となく理解した。
京太郎君は恨みを買うような人物ではないのに、と不思議そうな顔をしている。
確かに室橋さんは良い子だし恨みを買うような人物ではないね。
でもそういうことじゃないんだよ、人間は。
続いて咲ちゃんと片岡さんがポージングを取りながら京太郎君に見せ付ける。
一昨年の副会長君なら泣いて喜びそうではある。
「どう? 京ちゃん、似合う?」
「どうだ京太郎? 私の水着に発情したか?」
「え? ああ、いいんじゃねぇの?」
「似合ってる似合ってる。」
「何だその雑さは!?」
「ムロやミカやマホはちゃんと褒めたくせに!」
「そうだよ京ちゃん! 私去年より成長しているんだから良く見てよ!」
「ははは、わりーわりー。」
軽口叩けるのが付き合いの長さを物語っている。
仲のよさも。
彼らの夏は今年で最後だけど付き合いは今年で最後ではないだろう。
私も良い友達がほしいよ、主にスク水と猫耳を勧めてこない友人が。
まぁ軽口は叩けるけどね。
京太郎君が準備体操をしてパーカーを脱ぐと夢乃さんが京太郎君の背中を見つめている。
「須賀先輩!」
「ん? ああこれか?」
「かっこいいですね!」
夢乃さんは目をきらきらと輝かせながら言い放つ。
なんか夢乃さんって人とずれてるよね。
京太郎君は夢乃さんの言葉に対してあっけらかんと返している。
「だろ?」
「一生もんの思い出だぜ?」
「まるで天使の羽みたいでかっこいいです!」
「ありがとな。」
のりのりだね、あの二人。
何にせよやっぱり京太郎君はあまり気にしてないんだね、火傷の事。
周りが思っているより結構楽観的なのかもしれない。
いよいよ泳ぎだすというとき、私はふととあることを思った。
ここで私が泳いだら溢れんバストが水着からポロリしてしまうのではないのかと……
流石に私と言えどもポロリしても大丈夫なほど女を捨ててはいない。
なのでちょっと様子見。
決して動くと疲れるからではない。
きっと加藤さんたちの「ドキ! 女子麻雀部員だらけの水泳大会! ポロリもあるよ!」がおきてしまう。
だからあえての様子見。
おお、くわばらくわばら。
それからしばらく様子見をしていると案の定事故が起きた。
「せんせー! ミカが溺れて心肺止まりました!」
「やっぱりかー、京太郎君蘇生お願い。」
「はい。」
手慣れているけどやっぱりおっかないものである。
息を吹き返した加藤さん曰くもう少しでプールを泳いでる途中で三途の川を泳ぐところだったらしい。
危なかった……もう少しで加藤さんの命がポロリするところだった……
その後も明らかにわざと溺れた加藤さんを助けながらもプールを楽しんでいた。
一頻り楽しみ、一旦休憩に入ると通路の向こうから見覚えのある顔ぶれがやってきた。
「きょーたろーではないか、久方ぶりだな、息災だったか?」
「ええ、衣さんこそどうですか?」
「うん、大学に行ってるよ。」
「父君のような国文学者を目指しているところだ。」
「時折衣のことを迷子と間違える無礼な輩も居るが大学生活は概ね快適だ。」
そりゃそうだろうよ、御付の人も保護者も居るんだし、しかもあの容姿だから取り巻きも出来ているかもしれない。
それに多分大学も龍門渕の息が掛かっているんだろうなぁ。
それからしばらくの間、京太郎君と天江さんは喋っていたが二人してどこかに行ってしまった。
もしかして保護者(VIP)のところに行くのかな?
今日はここまで
自分が書いたようなSSに出会うと変な気分
ちょこちょこ投下
京太郎君が天江さんと一緒に消えてから十数分。
気になった加藤さんが後を追っていった。
しかし加藤さんが出て行ってから時間が経っても戻ってこない。
中々戻ってこない二人を心配した片岡さんも探しに出て行く。
だけども片岡さんも中々戻ってこなかった。
そして更に探しに行った部員が次々と一人、また一人と姿を消していく。
明らかにおかしいと思った私は最後まで残っていた咲ちゃんと一緒に生徒達を探しに廊下を歩く。
ひたひたと廊下を歩いていく。
辺りには人の気配は無く、また物音もしない。
私達は以前教えられたVIPルーム場所を記憶を頼りにして進む。
およそVIPルームと思しき場所が見つかった。
龍門渕さんの趣味らしい華美な装飾が施された扉がある、多分間違いなくここだろう。。
私達はその扉をノックして開ける。
其処にはタコスを貪る片岡さん。
そして別の場所では京太郎君と天江さんと夢乃さんと龍門渕さんが卓を囲んでいる。
どうやら加藤さんと室橋さんもローテーションで入っているらしい。
「あ。」
「あ、じゃないよ。」
「人を放って置いて何楽しんでいるの……」
「いやー、衣さんと一緒に卓を囲んだら何時の間にか時間が。」
「はあ……まったく……」
折角の休息だと言うのに。
心配して損した。
完全に私達のことを忘れていた生徒達を説教を食らわせた後、執事さんやら龍門渕さんやらに挨拶してお邪魔させてもらった。
タコスを食べ終わった片岡さんが卓に入り打っている。
そういえば片岡さんも今年で三年目か。
二年とちょっと見てきたけど一年生の頃と比べて大分腕を上げたね。
多分インハイ全国の雀士では相手にならないレベルまで仕上がっている。
だけどもそれでもまだ上を目指す、二人に追い付く為に。
「立直だじぇ。」
片岡さんがどれだけ頑張って来たか知っている。
上級生や京太郎君と咲ちゃんに追い付く為に必死で練習していたのを私は知っている。
私だけじゃない、三年生は一緒に打ってきたのだ、二人ともちゃんとわかっている。
「ツモ、8000オールだじぇ。」
まだ気が早いかもしれないけどインターハイが終わった後も練習していけばオリンピックにも出られるかもしれない。
少なくともオリンピック強化選手候補には選ばれると思う。
片岡さんから見れば上は遥かに高いだろうけど人生は長い。
なのでこれからの成長にも期待していこうかな。
咲ちゃんは夢乃さんに先輩風を吹かせながら調子に乗って打っている。
その天狗のような鼻を手折ってやろうかと思うくらいドヤ顔がすごかった。
「そういえば宮永先輩は決め台詞をどうするつもりだったんですか?」
「あ、聞いちゃう? 聞いちゃうか~、仕方ないなー。」
「ちょっと次和了ったときに言うね。」
「ありがとうございます!」
「わたくし達の前で簡単に言ってくれますわね。」
「割と簡単ですから。」
「ほら、カン。」
「嶺上ツモ、1000・2000。」
そう言って笑顔で咲ちゃんは応対する。
苦虫を噛み潰したような顔をした龍門渕さんを置いといて咲ちゃんは咳払いした後。
決め顔で夢乃さんに視線を送りながら決め台詞を言う。
「絶望をその身に刻め。」
「……なんてね。」
「わー! 宮永先輩かっこいいです! マホ憧れちゃいます!」
「そんなに言われると照れるよ~。」
これは調子扱いてあとで布団でジタバタするレベルですね。
卓に着いてない京太郎君ですら他人の振りをしてる。
あともうちょっと主人公っぽい台詞にならなかったのかな。
せめて悪役っぽくない台詞にしてほしかった。
皆を車に詰め込んで送り届ける途中、皆疲れたのか車内で眠ってしまっている。
唯一起きているのは助手席に座っている京太郎君だけだ。
何と無しに会話をする、皆眠ってしまうと私が退屈なのだ。
「京太郎君、今日はどうだった?」
「楽しかったですよ。」
「そう、いい息抜きになったね。」
「……インターハイ今年で最後だね。」
「ええ、負けられませんよ。」
「大丈夫だよ、学生で君達に勝てるのはまず居ないから。」
「敵は学生だけじゃないですよ。」
「それに今年は絶対に負けたくないんです。」
「勝ってしたいことがあるんで。」
「そっかー。」
「ちなみにそのしたいことってなに?」
「えっと、それは……」
「……その時まで秘密ですかね。」
「秘密かー残念だなー。」
「大丈夫ですよ、その内わかりますから。」
「多分健夜さんびっくりしますよ。」
「んー? じゃあ期待してようかな。」
そんなくだらない話をしながら車を揺らして生徒を送り届けた。
ミスった>>749の前にこれ挿入
打ってる途中途中京太郎君が創作タコス(地雷)を作って執事さんと話していた。
「これ俺的には結構当たりだと思うんですけど皆からは不評で。」
「これは人を選ぶフルーツですので無難な味にするか臭いを徹底的に抑えるかしないといけませんね。」
とか言っている。
多分この間の合宿のときに作ったフルーツタコスだろうね。
でもアレはない。
正直無い。
味的にも臭い的にも。
それから打ったり遊んだり食べたりして遊んでいた。
まだ夏前とはいえ早くも日が暮れてきたので挨拶してその場を去ることにした。
天江さんは片岡さんや京太郎君と今生の別れをするかのように別れを惜しんでいる。
何と言うか微笑ましいね。
皆を車に詰め込んで送り届ける途中、皆疲れたのか車内で眠ってしまっている。
唯一起きているのは助手席に座っている京太郎君だけだ。
何と無しに会話をする、皆眠ってしまうと私が退屈なのだ。
「京太郎君、今日はどうだった?」
「楽しかったですよ。」
「そう、いい息抜きになったね。」
「……インターハイ今年で最後だね。」
「ええ、負けられませんよ。」
「大丈夫だよ、学生で君達に勝てるのはまず居ないから。」
「敵は学生だけじゃないですよ。」
「それに今年は絶対に負けたくないんです。」
「勝ってしたいことがあるんで。」
「そっかー。」
「ちなみにそのしたいことってなに?」
「えっと、それは……」
「……その時まで秘密ですかね。」
「秘密かー残念だなー。」
「大丈夫ですよ、その内わかりますから。」
「多分健夜さんびっくりしますよ。」
「んー? じゃあ期待してようかな。」
そんなくだらない話をしながら車を揺らして生徒を送り届けた。
最後ちょっと順番間違えたけどそこはご愛嬌
今日はここまで
WOT・艦これ・マイクラが面白すぎ問題
頑張ろう
来る個人戦の県予選。
男子一位はどうやっても出来レースになるので割愛するけど女子の方の個人戦はちょっとわけが違う。
総合力だったら咲ちゃんの方が上なのだけど東風のみだったら片岡さんに分があるのだ。
去年までだったら東風戦だとしても咲ちゃんが本気なら勝っていたかもしれないけど片岡さんだって必死に練習してきたのだからどうなるかわからない。
と言っても後半からは半荘戦になるんだけどね。
だけどそうなると咲ちゃんと片岡さんが全国出場枠に入ったとして残り一人がどうなるかだ。
もしかしたらウチの高校からではないかもしれない。
夢乃さんはおいといて加藤さんと室橋さんは良い線行っているとは思うけど今年の三年生がすんなり通してくれるかどうか……
現シニアプロ南浦聡プロの孫である平滝高校の南浦数絵選手。
かなり特殊なオカルトを持った鶴賀学園の東横桃子選手。
女子団体戦にも出ていた風越女子の文堂星夏選手。
ウチ以外の三位候補をざっと挙げればこんなものだろうか。
「じゃあ行ってきます。」
「おう頑張って来いよ。」
「京ちゃんも油断しないでね。」
生徒達が軽く会話を交わしてそれぞれの戦場に赴いて行く。
私はそれを見送り、観戦席でのんびりと見守る。
安心して試合を見ていられるあたり皆成長したんだなと思える。
のんびりしているとふと後ろから気配がした。
「靖子ちゃん?」
「よく見もせずに私だってわかりましたね。」
「え、だってカツ丼の臭いがしたんだもん。」
「……そんなに臭うかな?」
そう言いながら靖子ちゃんは自分の服とかを嗅いでいた。
間も無くしてから二人して席に座って観戦を始めた。
疑問に思ったことを口にしてみる。
「ところで靖子ちゃん、どうしてここに?」
「後輩の様子を見に来てたんですよ。」
「っとそんなことより咲の試合始まるみたいです。」
「あ、本当だ。」
基本的に同じ学校の人間同士が同卓になることは少ない。
もしそうなったら露骨なアシストが横行が出来るからだ。
だが今回は面倒臭い事に咲ちゃんの相手の一人が片岡さんだった。
その脇を固めるのは文堂選手に東横選手。
いきなり県予選できつい勝負が始まった。
「優希ちゃん、同じ学校だからって手は抜かないからね。」
「咲ちゃん、余裕抜かしてるのも今のうちだじぇ。」
「私も居ることを忘れないでほしいっす。」
「私のことは忘れてくれてかまいません。」
「文堂ェ……」
そうして始まる東風一戦目。
先制はやはり片岡さんだった。
「立直!」
「ポン。」
片岡さんの宣言に合わせて咲ちゃんが鳴く。
これで一発消しと巡目をずらした上、咲ちゃんは加槓の準備を出来た。
しかしそれでも片岡さんの勢いは止まらない。
「ツモ、門断平・赤ドラドラ! 6000オールだじぇ!」
「さぁ、続いて一本場行きますか!」
結果として一発と一盃口が消えたので跳ね満止まりだった、咲ちゃんが止めてなければ倍満になっていただろう。
そのままの調子で片岡さんは行くつもりだろうけどそう簡単には事は進まない。
「もっかい立直だじょ!」
「カン!」
一回目のカン。
嶺上開花するにはまだ足りない。
そのまま牌を捨ててドラをめくる。
咲ちゃんが先ほど明槓した二索だ。
しかもカンしたことによって片岡さんの勢いが完全に殺されている。
片岡さんは当たり牌を引けずにツモ切りする。
「カン。」
咲ちゃんは自順にツモった牌で暗槓をする。
暗槓した牌は二筒。
捲られたドラ表示牌は一筒。
これで倍満確定。
そして嶺上牌をツモり宣言。
「嶺上ツモ、嶺上開花・ドラ八・三色同刻。」
「6000・12000は6100・12100。」
三倍満ツモ。
槓ドラもろ乗りの恐ろしさである。
その後も激烈な点数争いをするもほかの二人が同時にトんで終了。
片岡さんは勢いを殺されて二位に甘んじた。
とは言っても50000点オーバーだが。
ちなみに咲ちゃんは55000オーバーである。
後半の二次予選に入れば点数はリセットされるけどトんだ二人は結構頑張らないと二次予選に行けないんじゃなかろうか。
今日一日の個人戦で咲ちゃんと片岡さんに当たった人はご愁傷様です。
出場人数がかなり減っているのでウチの高校以外はほぼ当たっているはずだけど。
「それにしてもすごいですね。」
「あれだけ強かったら並みのプロじゃ歯が立たないですよ。」
「誰が顧問やっていると思っているの?」
「世界一位の小鍛治健夜プロですね。」
乗ってくれるあたり靖子ちゃんはやさしい。
こーこちゃんも乗ってくれることは乗ってくれるけど更に余計な追加をしてくるからだ。
そして靖子ちゃんと話している内にあっさりと前半が終わり、お昼になったので食堂に向かうことになった。
人が少ないからか食堂はそれなりに空いていた。
「あれ? 靖子さんも来てたんですか?」
「ああ、ちょっと様子を見にな。」
「俺たちの応援ですか?」
「まぁそれもあるんだけど……」
「それより早く昼食を取ろうお腹が空いて仕方ない。」
私達はそれぞれ適当に食事を取った。
会話でタコスがどうのカツ丼がどうのと食べているものの話をしている二人に京太郎君が巻き込まれていた。
「京太郎、今度カツ丼タコスを作ってくれ。」
「カツ丼にタコスって……」
「タコスはいいですけどカツ丼は作ったこと無いですし手間掛かりそうですよね。」
「この際カツ丼は出来合いのものでもいい。」
「でもカツ丼用意したらしたで靖子さんカツ丼はカツ丼で食べちゃうでしょう?」
「カツ丼タコス用意してカツ丼も用意しろって……」
「京太郎、日本にはいい言葉がある。」
「『それはそれ、これはこれ。』だ。」
「にほんごってたのしーなー。」
若干諦めモードに入っている京太郎君、年上の女性には逆らえない性分なんだね。
仕方ないね。
後半の二次予選始まる。
今回人が少ないので一日で個人戦を終わらせるつもりなのだろう。
どうやら二次予選では解説が付くようだ。
私は再び生徒達を見送って観戦席で靖子ちゃんと一緒にポップコーンを食べながらスクリーンを見ていた。
「女子個人戦の解説をする宮永照です。」
「よろしくおねがいします。」
ああ、靖子ちゃんがいた理由がわかった。
後輩というのは京太郎君たちじゃなくて照ちゃんのことだったのか。
「靖子ちゃん、今日解説にに来たのって照ちゃんだけ? もしかして福路さんも居る?」
「ええ、福路の方は男子個人戦の解説に回ってますよ。」
「そっちかぁ。」
「二人とも弁が立つわけじゃないけどちゃんと能力や戦略が見極められるし理解しているから解説には向いているのかもね。」
「福路は言わずもがなですけど照も営業モードに入ればそこそこには愛想がよくなりますよ。」
「これも健夜先生の教育の賜物ですかね。」
「かもね。」
私はそう返すとまたポップコーンに手を伸ばす。
そういえばさっき食べたばっかりなのにこんな油っぽいものを食べたら後で節制しないといけなくなる。
剣呑剣呑。
男子は観戦しなくてもわかるのでやっぱり割愛。
女子は案の定咲ちゃんと片岡さん確定の候補はウチの残りの女子部員と文堂選手・東横選手・南浦選手である。
残り一枠を巡って六人が奪い合う。
今日はここまで
(>>751で意味深な会話したけど実はまだそこの展開を決めてないとはいえない)
やばいWOTが終わらない
今日はお休みして投下しないと
スクリーンを眺めてると試合が始まる。
最後のインターハイとなると流石に気迫が違う。
後半から鬼気迫るように追いかける南浦選手とずっと気配を消して機を窺う東横選手。
三位争いは実質この二人かな。
しかしかたやポップコーン片手に試合観戦してる女とカツ丼の匂いが染み付いた女。
女子力が足りない二人が並んでいて余計男が寄って来なさそうである。
「うーん、やっぱり南浦プロの御孫さんの方が有利ですかね。」
「そうだね、ただ何が起きるかわからない分東横選手からも目が離せないけど。」
まぁどちらが勝ってもウチの子二人が全国に行くからどうでもいいのだけれど。
全国でも咲ちゃんと京太郎君が男女で優勝だろうしなぁ……
で、全試合が終わりましてざっくりと結果を言うなら咲ちゃん文句無しの一位で+356。
二位片岡さん+258、三位は+143で南浦選手。
ちなみに京太郎君は+395だった。
鬼か。
何にせよ全国予選は通過出来たので夏休み明けまで余裕が出来ました。
ここからきっちり生徒を鍛えないとね。
夏も中頃、外は茹だる様な暑さの中、私達はクーラーの効いた部室で麻雀を打っていた。
最近めっきり強くなって簡単には心臓を止めなくなった加藤さんに多少のことでは動じなくなった室橋さん。
錯和が無くなりオカルトの幅が出てきた夢乃さんに今一番の気合の入っている片岡さんが卓に入っている。
咲ちゃんネト麻していて、私は監督をしていて、京太郎君は部長としての雑事に追われていた。
私は生徒達を眺めていたが突然加藤さんがこんな事を言い出した。
「牌が見える……」
室橋さんは若干怪訝な顔をしているし夢乃さんの頭の上には疑問符が浮かんでいる。
だが私は即座に理解し、そして加藤さんに聞いてみる。
「どの牌が見えるの?」
「山にある五萬・五筒・五索です。」
ついにその領域に辿り着いたのかと私は安堵した。
ガン牌に近い能力。
これがあるのと無いのでは違ってくる。
プロの能力の中ではこういう能力も少なくない。
というより厳密には「能力に沿った牌の感知が出来る」と言った方が正しいのだろうか。
「ミカもわかるようになったのか。」
「多分キー牌は5牌だね。」
京太郎君と咲ちゃんもさらっと言ってのける。
先輩方による突然のカミングアウトに目を丸くする室橋さんと加藤さん。
まぁそれが普通の反応だよね。
咲ちゃんは更に続ける。
「私は王牌とその付近の牌がわかるよ。」
「だから咲はよく嶺上開花を出すんだよな。」
「俺は大体は拾う予定の牌はわかる。」
「最初は一索だけだったけど途中から他の牌も見え始めたんだよな……」
京太郎君が感慨深く言っているが君達にいつの間にそんなことになっていたのか。
私の教育方針が間違ってなかったという証明のはず。
ちなみに私が前に言った麻雀は囲碁や将棋みたいなものだというのはこういうことである。
それは例えるならば開始時にランダムで数目碁石を置かれる囲碁やルーレットで駒が増減する将棋に近い。
運だけではどうにもならず。
理屈だけでもどうにもならず。
技量だけでもどうにもならず。
能力だけでもどうにもならない。
それが私達の麻雀である。
まぁ私に到っては全部見えるんですが。
頭を抱えている室橋さんは置いといて練習を進める。
加藤さんだけ特別練習である。
世界一位とマンツーマンだよ! よかったね!
空いたところに咲ちゃんを入れて私と加藤さんは濃密な練習をする。
時折京太郎君も混ぜて練習するけどそのときに限って能力に振れ幅が出ていた。
おや? おやおやぁ? これはもしかして?
無粋な勘繰りは一旦置いといてこの後無茶苦茶練習した。
ちょっと今日はここまで
早くエキシビジョンまで進めたい
でもまだ闘牌が書けてないジレンマ
ひっそり投下
またある日、それは室橋さんの練習を見ていた日だった。
最近は加藤さんと夢乃さんの底上げが急務だったので他の人に比べて室橋さんの練習につけてなかったけどそこは三年生がカバーしてくれていた。
流石我が教え子達というべきか。
京太郎君が練習プランを考えて咲ちゃんと片岡さんが手伝いをするといった感じで進んでいた。
部長としての責任感からかそれとも生活と共に身に付いた物なのか知らないけど京太郎君は教えることに長けているようだ。
京太郎君は基本的にぐいぐい引っ張るタイプではなく、皆に合わせて歩む性格だけど時には強引に事を進めることもある。
彼が部長になってよかったと思うよ、本当に。
そんな彼がみんなの前でこんなことを言い出す。
「なぁ、今日の夜にお祭りあるんだけど皆で行かないか?」
「いいね、去年は行かなかったんだっけ。」
「去年はインハイ間近で練習不足だったから仕方なかったんだろ。」
「その分染谷先輩が気を遣ってくれただろ。」
「でも今年は夏祭りに行って一旦息抜きでもしようと思ってな。」
「染谷先輩には感謝してるじぇ。」
「だから今年は私ら最後の夏祭りになるんだから今回は目一杯楽しむじょ!」
「あ、片岡さん、数学の追試あるって担任の先生が言ってたよ。」
「じぇじぇ!?」
「お前また赤取ったのかよ。」
「おかしいじょ……会心の出来だと思ったんだがなぁ……」
案の定片岡さんはKONOZAMAだよ。
幸いにも日程の関係で夏祭りは参加できそうだから可哀想な事にはならないけど。
それでも先輩として格好が付かないね。
それから部活を早めに切り上げてみんな一時帰宅する流れに。
私はある程度仕事を片付けると急いで家に戻り浴衣に着替えることにした。
が、家に戻ったところで電話が鳴ってしまった。
学校からのラブコールで内容は仕事の追加が入ったんだって、モテる女はつらいね。
私は京太郎君たちに連絡を入れて祭りにいけないことを謝って急遽出来た仕事に取り組む。
ああ、なんでこんなときに限って仕事が入るんだろ。
公務員だから? 教職員って結構ブラック企業染みてるんだよね……やりがいはあるけどさ。
仕事を放り出したい気持ちを抑えて仕事をやっつける。
何とか終わらせた頃にはオレンジ色だった外も今ではどっぶりと濃い紺色に浸かっている。
今頃皆は祭りを楽しんでいる頃かな。
今から祭りに向かっても多分皆のところには間に合わないだろう。
こんなことなら残業確認をするべきだったが後の祭りである。
そう思いながら何となく部室に足が向かう。
何となくというよりは部室の窓から花火でも見えたらなぁって思ってのことだ。
しかしまだ打ち上げの時間ではないようで暇を持て余す。
仕方ないから帰りにお酒でも買って帰るかと考えて部室を出ようと思ったら不意に扉が開く。
「あ、居た居た。」
「あれ、京太郎君お祭りは?」
「ちゃんと楽しんできましたよ。」
「それでこれはそのおすそ分けです。」
「俺たちだけで楽しむのも申し訳ないし。」
そう言って京太郎君は屋台のたこ焼きやら焼きそばを寄越してくれた。
私はお礼を言って食べ物を口にするのはいいが気になることがあった。
「咲ちゃんたちはどうしたの? 花火も見に行ってたんでしょ?」
「ああ、途中で靖子さんや照さん、美穂子さんと会いまして。」
「それでその三人に咲たちを任せてきました。」
「靖子ちゃんや福路さんは安心だけど照ちゃんは不安だなー。」
何て事無い会話を交わして屋台の出物を食べる。
何でお祭りの焼きそばってこんなに美味しいんだろうね、雰囲気かな?
御腹も落ち着いて飲み物を口にしていると窓のほうから幽かな明りが差す。
その直後遠くから花火の音が聞こえてきた。
音がするほうに目を向けると夜空に大輪の花が咲いている。
「始まったみたいですね。」
「花火なんて一昨年ぶりだね。」
私たちは窓辺に近付き花火を眺め始めた。
しばらく流れる空気を振るわせる花火の音。
京太郎君がポツリと零す。
「俺たち今年で最後なんですよね。」
「うん、そうだね。」
「もしかしたらこうやって花火を見るのも今回で最後かもしれない。」
「そうかな? また見ようと思えば見れるよ。」
「だといいんだけどなー。」
やっぱり三年生最後というのは感慨深くなるものだ。
今後の進路によってはもしかしたら離れ離れになる可能性も無きにしも非ずではある。
とはいえ集まろうと思えば案外集まれるものである。
会おうと思えば会えるものだ。
だからそこまで気にする必要は無い、はず。
あとは心の問題かな。
会えることより会いたい気持ちのほうが大事なのである。
更に暫くすると花火も打ち終わり、夜空に静寂が戻った頃に部室の扉が再び開く。
今度は強めの訪問だった。
「楽しんでるかー!?」
「あ、京ちゃんたちやっぱりここに居たんだ。」
「屋台でカツ丼がないのが納得いかない。」
「まぁまぁ。」
ぞろぞろと入ってくる、生徒と福路さんと照ちゃんと靖子ちゃん。
面食らってしまった私と京太郎君。
マイペースに進める他の人たち。
思わず聞いてしまった。
「何で皆がここに?」
「やっぱり屋台の食べ物は皆で食べたほうが美味しいんだじぇ!」
「皆で楽しみたかったんで。」
「カツ丼頼むついでに染谷と久も呼ぶか。」
「あ、お酒買ってきたんですけど飲みます?」
本当にマイペースである。
学校にお酒とか仕方ないなぁ。
ここは先生として没収せねば。
そのあと染谷さんやら竹井さんが来た上で靖子ちゃんが酔い始めて収拾が付かなくなっていた。
こういう景色を見てると先生やっていてよかったと思う。
ビバ教師。
ちなみに次の日が休みだからといって羽目を外し過ぎて二日酔いなったのは内緒である。
尚、京太郎君には見抜かれていて朝ごはんを作っていただきました。
そして満を持して迎えるインターハイ全国の舞台。
今回も多少学校から予算に色を付けて頂いているのでボロッちい民宿に泊まらずに済んだ。
当然今回も教師・男子・女子の部屋はバラバラに取ってある。
有名になったので警戒はしておくべきだろうしね。
今回プロ達には釘を刺しているか大人たちはちょっかい掛けないだろうけど。
でも餓えた狼が襲わないからと言って鳥が啄みに来ないとは限らないので用心するに越したことは無いのだ。
部屋に荷物を置いた後一度女子部屋に集まる、そしてミーティングを始めた。
まずは団体戦でのおさらいをする。
初日に抽選会をするのだけれどウチはシードなので基本的に動かず突っ立って眺めるだけだ。
そしてそれが終わり二日目になるといよいよ本番である。
抽選会の結果次第ではあるけど女子団体戦ではトーナメント形式で二位以上が上がっていくので一緒に進出する相手校を選ぶのもまた重要な要素だ。
と言ってもウチの戦力だったら敵は居ないからどこと一緒に上がっていこうが関係ありませんけどね。
対策もばっちりと取ってあって抜かりも無いし。
そこから一日おきにAブロックとBブロックの対局が始まって最終日にAB両方の一位と二位の優勝争いで団体戦は幕を閉じる。
要するにいつも通り。
団体戦が終わると個人戦が始まる。
男女共に日程は同じである。
そして男女の個人優勝者はエキシビジョンマッチとしてプロとの対局が催される。
一番の目玉と言うか一番視聴率が良いのでTVもこれが目当てになってる部分もある。
このときばかりは猫も杓子もこーこちゃんも注目するのだ。
こーこちゃんはハイテンションなだけだけど。
大体のおさらいをするとこんなものだろうか、と言っても全国が初めて夢乃さん以外は知ってるはずなので問題ないでしょう。
ああ、あとは試合が無い日に遊ぶときとかに羽目を外し過ぎないように釘を刺しておいた。
念入りに釘を刺しておいた。
あまり話が進んではいないけど今日はここまで
投下せねば
休みの日に何するか計画を練っている生徒達をよそに私は先生としてやることをやっていた。
主に手続きとか挨拶回りとか。
挨拶回りのほうは相手側の方から来るんだけどその相手と言うのは大会関係者であったりプロチームのスカウトだったりであるわけで。
大会関係者からは頼むからあんまり無茶苦茶しないでくださいと懇願されたり。
スカウトに関しては言わずもがなだけど、アレクサンドラ監督とか熊倉さんとか大沼プロとかも会いに来てくれる。
というか臨海の監督が何してるんですかね。
翌日の抽選会。
開会式が終わった後に行われる抽選会に参加していたのだけれど清澄はシード枠なので何もすることが無い。
とは言え出場校のチェックとかしないといけないので参加しているわけだけど……
『大生院女子、三番です。』
「うわあぁぁぁぁ! 皆ごめんよおおぉ! ごめんよおおぉぉ!」
「部長! しっかりしてください! 貴女は悪くない!」
「そうですよ! 来年がんばりましょう!」
清澄はAブロックの一番シードである。
そこに近い番号を引いた高校はご覧の有様であり引いた瞬間の阿鼻叫喚や絶望の表情が出た後の御通夜モード。
そのあとに慰め合いが入るのはどこも同じようだった。
Bブロックの活き活きとした表情。
Aブロックの半ば諦めたような表情。
まるで天国か地獄かをくじ引きで決めていた状況である。
DEAD OR ALIVEの意味が「生か死か」なのか「生死問わず」なのかはウチの子達(主に咲ちゃん)の気分次第である。
抽選会を終え、軽々とした気分でご飯を食べに行くことにした私たちではある、が。
会場に設けられた食堂でとある人物と出会った。
「あれ? のどちゃーん!」
「優希? やっぱり今年も来てたんですね。」
「おうよ! 今年は個人戦も団体戦も張り切るじぇ!」
「あ、サキー!」
「淡ちゃんも久しぶりだね。」
「今年は負けないからね、何と言っても今年は300年生分の実力だから!」
「ウチはBブロックだから決勝まで会えないけど待ってるからね。」
「うん、私も楽しみにしてる。」
仲のいいことですね、素晴らしき青春ですこと。
私には高校生活に青春は無かった。
訂正、高校生活だけじゃなかった。
心の中の自虐は置いといて生徒達は適当に話して食事を取って解散だった。
夢乃さんと原村選手が仲良くしていたのは意外だったけどネットで知り合った仲らしい。
ああ、そういえばそんなこともあったね。
二日目からいよいよ試合が始まる日ではあるけどシードなので何も無い。
ついでに言うなら明日はBブロックなので今日明日は何も無い。
生徒達に関しては割と自由にさせていた。
練習するもよし、のんびりするもよし、観戦や友達の応援に行くもよし、観光するもよし、各々好きにやらせても問題なかったはずだった。
だが、京太郎君が私に練習したいと言ったときに片岡さんがそれに乗っかり加藤さんと賛同して咲ちゃんも参加して……といった具合に結局全員で練習することになった。
そして三日目の夜、女子部屋に集まって女子団体戦対策会議を行う。
「これが明日戦うことになる対戦校だよ。」
「わからない事があったら言ってね。」
生徒達が配られた資料を読み始める。
その間に眉間に皺を寄せる人物が一人。
「京太郎君、そんな顔してどうしたの?」
「いや、この場に俺要りますかね?」
「京ちゃん部長だから。」
「俺男子なんだけどなぁ。」
「細かいことを気にすると禿げるじょ。」
「それに女子の部屋に入れるなんて役得だろ?」
「いい冗談だな、衣さん風に言うなら片腹大激痛だ。」
「その喧嘩買ったじぇ。」
「優希ちゃん、私も参加するよ。」
「先生、先輩方が遊び始めましたけど良いんですか?」
「いつものことだから気にしないでいいよ。」
団体行動を乱す行為はよろしくは無いけどいつもと違う環境にある夢乃さんに緊張を与えないようにしているのは何となくわかる。
上級生が余裕を持っておれば下級生は安心できるからそういういつも通りに見せている、あの三人は場慣れしているからだろうけど気遣いの余裕が違うね。
今一番意気込んでいるのは三年生のはずなのに。
対策会議が終わり解散となったが女子達はまだ京太郎君を帰す気はなさそうだ。
私もその輪に加わりお喋りとかしていたけどティーンエイジャーの中にアラサーティーンはきついと思うんだ。
私にキャピキャピ感なんてないし。
そのあとは皆部屋に戻り寝ることにした。
だが私の部屋に訪れる人物が。
「どうしたの京太郎君。」
「健夜さん、嫌な予感がするのでここに退避させてください。」
「え、なにそれ。」
仕方がないので隣のベッドを貸すと京太郎君はすやすやと眠りだした。
完全に安心しきってますね。
それより嫌な予感って何だろう。
不思議に思ったがそれは翌日に判明することとなった。
「京太郎、昨日はどこにいたんだじょ……」
「俺に何か用があったのか?」
「夜食にタコスを作ってもらおうと思ったのに……」
「私は先輩の部屋に遊びに行きたかったんですが。」
どうやら加藤さんと片岡さんが彼の部屋に遊びに行こうとしていたらしい。
だが不在だったのですごすごと戻ったとの事だ。
多分咲ちゃんは京太郎君の行き先を察してはいたけど敢えて彼女たちに言わなかったんだろうね。
理由は多分面倒くさいから。
恐るべし京太郎君の危機察知。
今日はここまで
やらかした……
訂正
×サーティーン ○サーティー
投下せねば、でも全然掛けてない……
来るべき四日目。
今日から私たちの団体戦が始まる。
今日当たる高校は永水女子と千里山女子と臨海女子。
昨日の会議の話なるが結局残す高校は大将である咲ちゃんの気分次第という結論に至ったわけだけど……
何故か今日勝ち上がる高校が大体わかってしまったあたり悲しいなぁ。
試合の時間が近付くと片岡さんが元気よく控え室から出て行く。
出て行く際に片岡さんはこう言って行った。
「別にトばしてしまっても構わないのだろ?」
「やめてあげてください死んでしま「構わないよ優希ちゃん」す……すみません、なんでもないです……」
「じゃあ行って来るじぇ!」
京太郎君は途中まで何か言い掛けていたけど咲ちゃんのインターセプトにより阻止されてしまった。
京太郎君の要望が通るわけ無いじゃない。
彼は肩をがっくりと落とし、とぼとぼと歩いてソファに腰掛けてぼそりと呟いた。
「あとで画像をもらおう、そして玄さんに贈ろう……」
懲りない男である。
気になる先鋒戦の相手はハオ・ホェイユー選手と滝見春選手である。
千里山の選手はあまり知らない選手ではあるが印象としては地味であった。
先鋒戦の始まりに片岡さんが賽を回すボタンを押しながら周りに宣言する。
「悪いがここから先はずっと私の親番だじぇ。」
「貴様らの乳はいらん! 点だけ置いてけ!」
「ダブル立直だじょ!」
啖呵を切った直後のダブル立直。
ここから片岡さんの独壇場である。
「ロンだじぇ! 9600!」
「ツモだ! 4000オールは4100オール!」
「ツモ! 8000オールの二本付けだじょ!」
そこからの勢いは止まらず結局のところ永水女子を目の敵にしてトばしてしまった。
決勝に進出したのは千里山女子である。
終わった片岡さんは満足そうな顔をした後一言だけ呟いた。
「悪は葬ったじぇ……だが何故か、最後のロンはせつないじょ……」
それはきっと世の中の巨乳を駆逐しても自分の胸が大きくなるわけではないからだと思うよ。
そして意気揚々と戻ってきた片岡さんとは対照的に意気消沈した京太郎君は「ムンク」の「叫び」みたいな顔をした後、携帯電話をいじって誰かと連絡していた。
彼は譫言(うわごと)の様に「石戸選手が……石戸選手が……」と頻りに呟いていた。
仕方ないね。
永水女子は敗退しちゃったんだもんね。
まぁ、どうせ10分くらい経過したら立ち直るからそっとしておこう。
思ったより時間が余ってしまったので昼食を取りに行くことに。
皆自由に食べに行ったのだけれど私はちょっと用事があったので皆を先に行かせていた。
私は所要を済ませて食事に向かうとその途中に千里山の監督さんと遭遇した。
「小鍛治プロやないですか。」
「ご無沙汰してます、愛宕監督。」
「これからお昼ですか?」
「そうやけど……ところで小鍛治プロ、いや小鍛治監督のほうがええんかな?」
「今は顧問としてきていますので。」
「なら小鍛治監督、率直に聞きたいんやけど、あんたがおたくの片岡って子にウチを残すように指示したんか?」
「自分で言うのも何やけど他の高校と比べて何や尖っているわけでもないで?」
「私は何も指示してないですよ。」
「ならなんでウチを残したんやろな。」
「多分胸部の問題じゃないですかね。」
「……ああ~……それでか~納得行ったわ。」
「今回泉が選手を選出したいって言ってたのはこのためやな……」
「『私より大きいのはあかんから。』やなんて言うから何事かと思たわ。」
通りで皆胸部が薄いわけだ。
さっき気付いたのだけれど千里山女子は監督が一番グラマラスという清澄と共通な点があるね。
いやー被っちゃうなー私とキャラが。
ご飯を食べた後、千里山のメンバーをざっと見てみた。
確かに絶壁である。
明日はBブロックだからお休みだ。
羽を伸ばしてゆっくりしたいけど皆で遊びに行くとか言っていたような……
折角の東京なんだからもっとゆっくりしようよーとか思ってみたりする。
だってラーメンにタコスにファッションに本屋を回るとか言い出してるんだもん、一日で回れるわけ無いよ……
特に渋谷、あそこは場所によっては十代しか歩いちゃいけないような場所だよ、私はまだ若いけどつらいよ。
ファッションで109とかあと道玄坂の方のラーメンとか色んな意味で死んでしまいます。
時間が時間なので今日はここまで
この時間なら誰もいないと思うのでこっそり更新
五日目はBブロックなので私たちは自由に動いていた。
と言っても元々は仲良しグループが適当にそれぞれで動いているようなものなので普段のそれと変わらない。
片岡さんはタコス巡り、咲ちゃんは本屋、京太郎君と室橋さんは対戦校のチェック。
夢乃さんは片岡さんといっしょで加藤さんは咲ちゃんと一緒に動いていた。
加藤さんと咲ちゃんの組み合わせとは珍しいけど別段仲が悪いわけではない。
前は打つときに若干怯えていたけど今ではコミュニケーションは取れている。
まぁ付き合い長くなればお互いの気心は知れてくるから誤解とかも解けるよね。
誤解じゃないところや新たな面が見つかるかもしれないけど。
生徒達が何事も無く帰ってきた、部長副部長はまだ対戦校をチェックをしているけど片岡さんは夢乃さんと一緒にタコスを満喫してきたらしい。
咲ちゃんは文学少女らしく流行の小説なり何なりを買ってきていた。
一緒についていった加藤さんは何か買ってきたのだろうか?
「加藤さんも何か買ってきたの?」
「え? いえ、大した物は買ってきてないですよ。」
怪しい、明らかに人の目を気にしている。
気にはなるけどすごく隠したがってる、気になる。
咲ちゃんに視線を送ってみると首を振られた。
咲ちゃんも知らないのか。
でもまぁ本人が見せたがらないなら無理矢理見ることはよくないよね。
こーこちゃんみたいなこともしたくないし。
と思っていたら加藤さんの後ろに片岡さんが後ろに回っていた。
「何隠してるんだじぇ?」
「ちょっと!? 先輩だめですって! 見ないでください!」
「……おろ? バストアップの本?」
「あー!? 見ないでって言ったのに……」
「ひどいですよ……」
加藤さんは見る見る赤くなった後、両手で顔を隠してしまった。
そんな加藤さんを見て片岡さんが声を掛ける。
「気持ちはわかるじょ、ミカ。」
「でもな恥ずかしがることは無いんだじぇ。」
「隠すことも無いんだじぇ。」
「女にとって体型の悩みは誰にでも持っている永遠のテーマだからだ。」
「だけど周りを見てみるんだじぇ。」
「見よ! 私の体型を! そして咲ちゃんの体型を!」
「すっごいまな板だじょ!」
「でもな、こんな体型でも好きだと言ってくれる人もいるんだじぇ、きっと。」
「それは一種のステータスなんだじょ。」
「巨乳のような下品さが無い乳、それはつまり、貧乳は品乳なんだじょ。」
「品がある乳に誇りを持つんだじょ。」
その主張は多分一部の人だけだと思うな、特に前々年の副会長君とか。
それでも納得行っていない加藤さんは声を搾り出す様に言った。
「先輩……それでも私は……胸を大きくしたいです……」
「そうか、それでも貧乳が気になるなら私も付き合ってやるじょ。」
「皆でやれば恥ずかしくないからな。」
「それに一緒にやった方が長続きするはずだじぇ。」
「ミカちゃん、私も一緒にやるよ。」
「マホも一緒にやります!」
「先輩……マホちゃん……皆、ありがとう。」
「わざわざ私のために……」
涙ぐむ加藤さんに片岡さんが笑顔で応える。
「ミカ、気にするな。」
「だって私達みんな……」
「仲間だもんげ!」
君は一番いいところで噛んだね。
それに君達手伝うって言ってるけど一人だけ大きくなったら裏切り者と言って怒るでしょうに。
後で戻ってきた室橋さんと京太郎君は状況がわからず、疑問符を頭の上に抱えていた。
夜になって対策会議が始まる。
と言っても残す高校は既に決まっていた。
満場一致の「千里山。」だそうな。
なんだろう、すごい一体感を感じる。
今までにない何か熱い一体感を。
ただし調べてきてくれた京太郎君は若干冷えた顔をしていた。
六日目、Aブロック準決勝。
今日当たる相手高校は千里山女子、有珠山、晩成。
先鋒戦に出るメンバーは聞いたこと無い名前ばかりである。
新子選手は知ってるけど岡橋初瀬って子は聞いた覚えが無い。
はてさて、実力はいかがなものか。
先鋒戦終了、片岡さんが八万点ほど稼いで来てくれた。
岡橋選手は普通に上手い程度だったけど善戦していたと思う。
だけども片岡さんは止まる事を知らない破竹の勢いで点を稼ぐ。
後続が安泰だと思わせてくれるエースは強い、信頼関係も精神的な意味でもチームとしても。
よくもまぁこれだけ育ったものだね。
一年の頃を思い出すと感慨深いものだ。
次鋒戦に入る。
続く室橋さんも副部長としての自覚が出てきているのか中々に上手くなった。
打ち方自体はオーソドックスなスタイルだし染谷さんのことを意識してあるんだろうけど彼女とはまた違ったアプローチの仕方だ。
慎重な打ち回しと経験による危機回避。
パッとはしないけど堅実を地で行くような打ち筋だ。
信頼とは斯くあるべきと示しているようだね。
中堅戦に入ると加藤さんの番である。
最近発育してきたオカルトを使っていくがまだ若干拙い部分がある。
それでも十分な武器には違いない。
彼女のオカルトは心臓に関してのオカルト。
人の中心である心臓に牌を見立てて、数牌の中心である五牌を中心に動く。
まるで心臓を動かすように牌は流れてくる。
彼女の心《ハート》に火をくべるから心臓《エンジン》は動いてくれる。
感情によって、或いは体調によって心臓は早く強く鼓動を刻む。
それに伴い流れも速くなっていくもののようだね。
副将戦、夢乃さんの番だけどコピーは敢えて使わないで打ってもらった。
収支はトントンだけど隠し球を活かせるのは魅力的だ。
球種が多いのが隠し球とは変な話ではあるけど。
大将戦。
我等が咲ちゃん。
ウチの持ち点は250000点オーバー。
まず負けない。
とはいえ溜まった鬱憤もあるだろう。
何せ相手はあの真屋由暉子選手だ。
他には新子選手と二条選手もいるけどゴルゴ咲ちゃんは完全に真屋選手ロックオンしている。
暴れる気だ。
だってシャープシューターより鋭い目つきをしているもん。
完全に狩る気だ。
げに恐ろしきは人の嫉妬なり。
でも原村選手と福路さんにはしないんだよね。
モニターの中の咲ちゃんが宣言する。
「カン、ツモ、責任払いで8000。」
「ロン、12000。」
容赦の無い攻撃、まるで巨乳は駆逐すると言わんばかりだ。
有珠山の点数は見る見ると減っていき、あっと言う間にトび寸前。
だがそれを新子選手は黙ってみている気ではないようだ。
「チー!」
巡目をずらして相手の手を遅くすると同時に自分の手を進める。
中々に上手い、が。
「カン、ツモ、4000オールは4100オール。」
咲ちゃんには敵わない。
伊達に私の元で十年近くも打っていない。
対応の出来ないレベルではないということだ。
歯噛みするような表情の新子選手。
トび寸前の真屋選手はカタカタと震えている。
一方では二条選手は我関せずのスタイルでお茶を啜っては黙って気配を消している。
不意に咲ちゃんの目の色が変わる。
「新子さん、貴女はノットギルティだけどリア充っぽいから」
「ダメです!」
オレたちひょうきん族のひょうきん懺悔室の如く手で×を出された後、倍満ロン宣告。
そのあと三倍満ツモをして有珠山をトばした。
リア充も許さない咲ちゃんのストロングスタイルである。
確実に私の影響を受けているね。
何にせよ決勝進出だ。
そういえばひょうきん懺悔室のあれって許されたことあるのかな?
一旦休憩
ちょっと休憩するつもりがこのざまだよ!
イベントに向けてレベリングとバケツ千個用意してたらこんな時間に
書き溜め無しだけど投下再開したい
明日はいよいよ団体戦決勝。
今日の時点でA、Bブロック同時に準決勝をやっていたから一日置かなくてもいいのだ。
ウチの部長さんの調べによると明日の対戦相手は姫松と白糸台らしい。
姫松の大将は名前の知らない高校生だった。
実質千里山と白糸台の二位争いだろうか。
対策会議は開かれてはいるけど決勝なのでどこを残すとかはないのだ。
好きなように打てる、思いっきり打てる。
彼女たちにとってはただそれだけでいいようだ。
翌日になりついに女子団体戦の最後の日になる。
流石にこの夏最大の大舞台とあってか色々と思うことがあるようだ。
ある者は緊張で顔を強張らせて。
またある者は楽しみで顔を綻ばせる。
またある者は目の保養を楽しみにしている。
最後のは余計だった。
一番気合を入れているのは片岡さんだ。
今年最後のインターハイ、否が応にも力が入るようだ。
試合前に京太郎君がタコスを渡す。
「ほい、優希。」
「お? 気が利くな。」
「んぐ!?」
「これこの間の失敗作じゃないか!」
「わりぃわりぃ、間違えて渡しちまった、本物はこっちだ。」
「ったく、そそっかしいやつだじぇ。」
「……ま、礼は言っとくじぇ。」
「あんまり気負うなよ。」
「あとでタコス作ってやるからさ。」
「おう、行ってくるじぇ!」
気合を入れすぎて空回りしそうな片岡さんにいつも通りのペースに戻してあげた京太郎君。
部長であり、仲間であり、友人であり、尚且つ今日の団体戦出場選手ではない彼だから出来る気遣い。
本来私がするべき何だろうけど先を越されてしまった。
より気遣い出来るようになった彼を見て成長したなぁと感慨深くなる。
対局室に向かう片岡さんを見送りモニターに目を向ける。
そこには各校の先鋒が映っていた。
千里山と姫松の選手は知らないけど白糸台の先鋒は知っている。
原村和。
いかに片岡さんが強くなったと言えども彼女は大きく崩れない。
それは彼女が信仰していると言っても良いほどのデジタルへの信頼。
それがバックボーンになっているので多少勢い付かれても大きく崩れないのだ。
ただデジタルの申し子のような彼女だが、彼女もまたオカルトを持っていると思われる。
先鋒を任せられるというのはデジタルだけでも運だけでもダメなのだ。
ただ彼女が自身の能力に気付いているかどうかはわからないけど。
「ツモ! 4000オールだじぇ!」
「ツモ! 6000オールは6100オールだじぇ!」
とは言え今の片岡さんの序盤の勢いを止められるほど片岡さんはやわではない。
開始三本場まではきっちり稼いでいた。
「通しません、7700は8600。」
そこを崩していったのが原村和である。
彼女の能力を見るに前はただデジタルに運がいい程度だったのに対し、今ではデジタルで打っている限り裏目にならない能力。
より正確に言うなら自分の信じる理論を使う限り裏目にならない能力。
そういう形に昇華したと言える。
一応は違うけど一番近い例は一昨年の宮守女子に居たウィッシュアート選手が近い。
流石はインターハイ決勝まで残った先鋒なだけあるね。
やがて先鋒戦が終わり、片岡さんが帰ってくる。
如何にも疲労困憊といった表情をして戻ってきた。
「三万点しか稼げなくてすまないじぇ……」
「大丈夫ですよ、先輩。」
「次は私が頑張りますから。」
「頼んだじぇ。」
掛けられた言葉に対し片岡さんは笑顔で応えて椅子に座った。
そのあと京太郎君からの差し入れを食べて元気を取り戻していた。
そのあと室橋さんは対局室に向かっていった。
心なしか彼女の表情は凛としていたように見えた。
「さあ打ちましょうか。」
「清澄の副部長という肩書きが伊達ではないことを証明して見せます。」
モニターの中で室橋さんは啖呵を切る。
その切った啖呵に負けないくらいの活躍をしていた。
自身が和了るのではなく相手の手を先読みしてその手を悉く潰していった。
大舞台というのは人によって影響の掛かり方が違ってくる。
影響を受けない者。
緊張して実力を発揮出来ない者。
逆に本番に強くいつも以上に力を出せる者。
てっきり室橋さんは影響を受けないタイプだと思っていたけど、ここ一番でいつも以上に力を発揮してるみたいだった。
彼女も何か思うものがあるのだろうか?
多分片岡さんのこともあるんだろうけど自分も団体は最後だと思ってるからかもしれない。
次鋒戦が終わり室橋さんが戻ってくる。
収支こそは多くなかったけど支出をほぼ全て抑えたあたりが素晴らしかった。
「流石次期部長、見事な腕だったな。」
「ありがとうございます。」
戻ってきた室橋さんが京太郎君の言葉を受けて返事をする。
さて次は加藤さんである。
加藤さんは京太郎君に向かって言う。
「見ててくださいね、部長。」
「私、頑張りますから。」
「おう、ちゃんと見てるよ。」
「はい!」
元気よく返事をした加藤さんが対局室に向かう。
はてさて京太郎君はこの意味に気付いているのかどうか。
加藤さんがモニターの中に映る。
席に着いて宣戦布告。
「悪いけど負けてあげるわけには行きません。」
「先輩達が見ていますから。」
実際加藤さんはよくやってくれた。
先鋒からの収支を合計すると五万点強稼いでくれている。
個人では15000強くらいだ。
文句なしに役目は果たしてくれていた。
戻ってきた加藤さんがいの一番に発した言葉はこんなことだった。
「どうでしたか?」
「よく頑張ったな、ミカ。」
「私ほどではないけど稼いできたのは偉いじょ。」
「ええ、頑張りました。」
「じゃあ次はマホの番ですね。」
「頑張ってきます!」
意気揚々と夢乃さんが出て行く。
が、対局室とは違う方向に行きかけたので京太郎君が慌てて追いかけて対局室に連れて行った。
何か締まらないね。
そして副将戦が始まる。
夢乃さんは若干緊張してるが問題なく打っている。
とはいえ周りが全員三年生であり、かつ三校から狙われているからか若干押され気味だ。
必死に喰らい付いて来る三校に少しずつ、夢乃さんは点棒を手放していってしまう。
ピリピリとした雰囲気に今にも泣きそうな夢乃さんが深呼吸をしてブツブツと呟き始めた。
数巡後、夢乃さんが聴牌をして黙のまま進行していく。
更にその数巡後、夢乃さんはツモった牌を手牌と一緒に倒して宣言する、
「これが今のマホの精一杯です。」
「三つずつ、揃いました!」
「ツモ! 四暗刻です!」
まさかの役満。
役満ツモで何とか点棒を取り返したものの、その後も夢乃さんは点数を取られてしまい結局彼女の収支は微弱ながらマイナスになってしまった。
それでも一度は一矢報いたから良しとしよう。
それに大将である咲ちゃんまで回したんだから問題ない。
今日はここまで、戦車と艦娘の面倒を見なくちゃ……
こっそり投下
大問題の大将戦。
多分構図としては清澄対他の高校の1対3の形になると思う。
それはまるでこの世界ではない、かつての照ちゃんの如く。
千里山と新道寺と阿知賀で抑えた時と似たような構図になると予感をした。
そうじゃないと40000点以上のアドバンテージを持った清澄以外に勝ち目がなくなるからだ。
ただ、それでも咲ちゃんに勝つには並大抵のことではない。
大前提である三校連携が取れても尚、実力差があるからだ。
しかも大星選手・二条選手はお互いに面識も無い上に負けん気の強い選手。
すんなりと「仲良く咲ちゃんを倒しましょう」とは行かないだろうね。
姫松は開幕からカタカタしている。
まだ何もしていないのに……どうやら周りの威圧感に萎縮しているようだ。
そこから大将戦が始まった。
大星選手がまず先制の絶対安全圏でジャブをする。
咲ちゃんは当然対応できるけど様子見といったところか。
二条選手も様子見ではあるが準決勝とは違って積極的だ。
まず塔子を集めてチー宣言。
それに合わせて大星選手が巡目を鳴き戻す。
成るほどね、今の行動で大体わかるね。
そして数巡後大星選手が一足早く和了する。
「ツモ、1300・2600。」
そのまま東二局に移行。
先程と同じように大星選手が絶対安全圏を使って和了る。
東二局が終わった時点で空気が変わり始めた。
大体小手調べが終わったところで全員が本腰を入れ始めたのだ。
お互いの探り合いはここで終わらせたのだろう。
大星選手が二条選手に言い放った。
「ねぇ千里山の人、悪いことは言わないから大人しくしておいたほうが良いよ?」
「これからサキと私の闘いが始まるから、巻き込まれちゃうよ?」
およそ大星選手の善意での忠告だろう。
若干傲慢な物言いではあるが咲ちゃんが潰してきたのを見ているであろうと言うことと自身でも何人か潰したこともあるような経験から言える言葉だった。
そんな大星選手に対し二条選手はツモった牌を手牌に加えて言い放つ。
「確かに宮永には勝てんかも知れん。」
「けど決勝の舞台で簡単に諦められるほどええ根性してるわけでもないんやわ。」
「あと大阪の人間として東京もんには、負けられへん!」
「大阪人の本気見せたるわ!」
「立直!」
「私たち相手に立直って強気だねー。」
「雀士だったら例え負け確定だとしても最後の最後まで強く打って死ぬ。」
「それだけのことや。」
その局、結局大星選手が和了る。
たださっきの言葉を受けて姫松の生徒も何か思うことがあったのか、多少顔持ちがよくなった。
単独で戦える感じではないけどそれでも戦意は戻ったみたいだ。
多分これが二条選手の狙いだったのだろう。
戦うために周りを利用する。
言い方は悪いけどそんな感じかな。
東三局一本場、またもや大星選手が安全圏を作り出していた。
だけども二条選手は喰い下がる。
負けん気と根性で泥臭くっても点棒を奪いに行く。
鳴いて巡目をずらし。
鳴かれて巡目を戻される。
それでも喰い下がる。
鳴いて喰い下がる。
「チ、チー!」
その姿をみて姫松もアシストし始めた。
ただし自分も勝つために。
「ツモ、2000・4000の一本付けや。」
その結果は千里山が拾ったけどまだまだ戦意は衰えない。
そのまま試合は進み局は南二局。
咲ちゃんは意外にも動いてなかった。
点数差による余裕の表れなのか。
それとも眠れる獅子が居眠りしてるだけなのか。
何れにせよ転機が訪れる。
調子に乗った二条選手が更にリミッターを解除するべくとある行動にである。
「私の本気、見せたる。」
二条選手がそう言いながら服に手を入れて布切れを取り出す。
つまりさらしを取ったのだ。
「私が本気出せばバストサイズが上がる。」
「13mmや。」
1.3cmって……それって元を考えたらほぼ誤差じゃん……
もしかしてとは思うけど息を大きく吸って胸囲を誤魔化すなんて小技やってないよね?
どんぐりの背比べとはこのことを言うのだろう。
そもそもさらしと麻雀関係ないじゃん。
「私が本気出せばバストサイズが上がる。」
「13mmや。」
1.3cmって……それって元を考えたらほぼ誤差じゃん……
もしかしてとは思うけど息を大きく吸って胸囲を誤魔化すなんて小技やってないよね?
どんぐりの背比べとはこのことを言うのだろう。
そもそもさらしと麻雀関係ないじゃん。
その後も続く二条選手の自己申告。
「カップもAAからAになった。」
「なん……だと……」
「うそ……」
なぜか驚いている咲ちゃん。
大星選手もその場のノリで生きているらしく一緒に驚いてあげている。
案外いい子なのかも。
あほの子っぽいけど。
でも大星選手ってDくらいあるよね?
しかし先ほどまで真面目な雰囲気だったのにこのざまとは……
大阪人恐るべし。
そんなところより麻雀の腕を磨けば良いのに。
姫松は咲ちゃんと同じ世代を育ててないし。
一年生のうちに育てておかないと後で苦労するよ。
後続の育成を怠ったからこうなるのだ。
まぁうちは後続の育成どころか確保すら危ういんだけどね。
来年以降は団体戦は無理だろうなぁ……
三日天下ならぬ三年天下である。
大星選手が二条選手に言い放つ。
「あまり強い言葉を使わないでよ、無乳に見えるよ。」
いや見た目は元々だよ!
強い言葉関係ないよ!
だがそれに対し二条選手が言い返す。
「宮永の乳圧が消えた……?」
なんで流れがそっちに行ったの!?
それに咲ちゃんには元から乳圧なんて無かっただろ! いいかげんにしろ!
そんな声が聞こえそうだけどそれを口にしたらアウト。
というか全員アウト。
咲ちゃんが静か過ぎて怖い。
まるで潮が引いて水位が下がった感じ。
およそこれから来るのは大津波だ。
咲ちゃんは始める間に一言だけ言った。
「さぁ、私と一緒に麻雀を楽しもうよ……」
まず照明が割れた。
その次にノイズが混じって音声が途切れる。
最後に映像も途切れて様子がわからなくなった。
咲ちゃん達の力の解放に耐えられなかったんだね。
その結果機材の全滅。
やってしまいましたなぁ……
それから少しして「ただいま映像が乱れておりますご不便をおかけして申し訳ありません。」というテロップがしばらく流れていた。
あーあ、咲ちゃんが機材を壊すから……プロは基本的にそこらへん気をつけて打っているので壊さないのだ。
そしてそれからしばらく経った後、映像が戻る。
モニターの中には項垂れた二条選手と泣いている姫松の選手。
そして一人で思いっきり笑っている大星選手と勝利の拳を挙げた咲ちゃん。
一体何があった。
結果的に清澄は一位、白糸台二位、姫松と千里山がトびの三位四位である。
その後対局室でむっすりした大将を宥めて表彰台に上げた。
団体戦でこれなら個人戦では一体どうなるのだろう。
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健夜「せめて思い出に須賀る」【アラ4LOOP】 - SSまとめ速報
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