咲「麻雀商売」 (104)

江戸時代風?咲-Saki-ss
不定期で思い付きで適当

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照「道場を開いたけど門下生が集まらない…」

咲「入門してもすぐに辞めちゃうしね」

京太郎「2人とも教え方が悪いんだよ。何だよ嶺上ツモを1日200回しろとか1000点からハネ満まで徐々に点数を上げろって。普通の人はそんなことできねえよ!!もっと基礎的なことを教えろよ」

咲「京ちゃんいたの?」

京太郎「いたの?じゃねえよ唯一の門下生にその扱いかよ!!」

照「門下生のくせに師範に対して反抗的…そんなんだから上達しない。それに君は麻雀に向いてない」

京太郎「ちょっと!酷くないですか!?」

照「酷くない。私は事実を言ったまで嫌なら辞めてもかまわない」

咲「お姉ちゃん!京ちゃんまで辞めちゃったらお菓子食べられなくなっちゃうよ」

照「それは困る。須賀君、あなたは大事な金づるだから辞めないでね」

京太郎「うわぁ…」

咲「京ちゃんそんなことより稽古だよ」

照「暇だから私も稽古をつけてあげる」

咲「じゃあ3麻だね」

京太郎「お手柔らかに…」

京太郎「ぐはっ」バタン

照「弱すぎる…それでも宮永道場の門下生なの」

京太郎「そんなこと言われても、いつも稽古とか言って俺をいたぶるだけで何もアドバイスしてくれないし」

咲「京ちゃん、槓して嶺上でツモれば良いんだよ」

照「まずは見に回って相手の打ち筋を見極める…あとは和了るだけ」

京太郎「辞めよっかなこの道場…」

照「それは困る辞められたらお菓子が…」

京太郎「…」

咲「お姉ちゃん!京ちゃん、やる気が有るのだけが取り柄なんだから頑張ろうよ」

京太郎「やる気が有ってもこんな道場じゃ強くなれねえよ!!」

まこ「なんじゃ、ついに最後の1人も辞めるのか」

咲「染谷さん」

照「家業の雀荘をサボってここに打ちに来るなんて酔狂だね」

まこ「誰も麻雀打ちに来たとは言うとらんじゃろ」

照「じゃあ何しに来たの?雀荘で雇う気になったとか」

まこ「おまえさん方は客商売向いとらんけえ、それは無い。でも金になることじゃよ」

咲「危ないことじゃないですよね?」

まこ「危ないかどうかは分からんが人を探して欲しいんじゃ」

照「見くびらないでお菓子のためにお金は必要だけど、私達を金さえ払えば何でもすると思ったら大間違い」

まこ「見くびっとる訳じゃ無くて今は人手が必要での、それに天才雀士の2人の発想と閃きがあれば心強いんじゃが駄目かのう」

照「天才雀士…咲この仕事受けよう」

まこ「そうか受けてくれるか」

咲「お金は必要ですからね。それで誰を探せば良いんですか」

まこ「探して欲しいのは原村和を襲った下手人じゃ」

京太郎「知ってますよその事件。この辺りで1番人気の道場の師範の原村和が何者かに襲われたんですよね」

咲「さっき染谷さんがそう言ったでしょ」

京太郎「でもあの事件の下手人は最近道場を破門された龍門渕透華だって読売が出てましたけど」

照「須賀君は黙ってて、そんな簡単な事件じゃないから私達に手伝って貰いに来たんでしょ。そんなに察しが悪いから麻雀が上達しないんだよ」

京太郎「染谷さーんこの人酷くないですか?いつもこうなんですよ」

まこ「そういう教育方針なんじゃろ。自分から好きで通っとるんじゃから泣き言言わずに頑張らんかい」

京太郎「はーい…」

咲「でもそれってお役人さんの仕事ですよね?」

まこ「さっき京太郎が言った通り役人は龍門渕透華が下手人だと思っとるからのう」

照「じゃあ何で」

まこ「藤田靖子って知っとるじゃろ?」

照「なかなか腕が立つって有名だね、いつか勝負してみたい。そして…私が勝って有名になって門下生大量獲得お菓子もいっぱい食べられる!」

咲「お姉ちゃん落ち着いて…こないだ染谷さんのお店で対局した人ですよね?」

照「えっ?咲、対局した事あるの?」

咲「うん、負けちゃったけど…あの人常連さんなんですよね」

照「じゃあ今度行って見るとして、その常連さんが言ったからって役人の調べを覆そうとするの?」

まこ「藤田さんは龍門渕と親交があるんじゃが、どうも濡れ衣らしいから調べてくれと頼まれてのう。おまえさん達以外にも何人かに頼んであるから無理にとは言わんが」

照「やります!お菓子のために」

咲「でも良いんですか?染谷さんは実家の雀荘を手伝いながら御用聞きの仕事をしてるじゃないですか…」

まこ「まあバレたら上司である奉行所から怒られるかも知れんが…あと龍門渕透華と話たかったらわしに言ってくれ奉行所の知り合いに頼めばなんとかなるかもしれん」

照「他の事件を調べてることにすれば怒られないと思う」

まこ「タコス屋の優希を連絡係にしてあるから何か有ったら優希に頼む。それとこれが礼金じゃ調査の手間賃こみじゃがな」

咲「前払いで良いんですか?」

まこ「信頼出来る人間にしかこんなこと頼まんけえ」

照「これからも何か有ったら私を頼ると良い」

照(これでお菓子代には困らない)

まこ「頼もしいのう。じゃ、わしはこれで」

照「という訳だからしばらくは自主練しててね」

咲「もし誰かに真剣勝負を挑まれたら京ちゃんは間違いなく死んじゃうから留守番しててね」

京太郎「ちぇっ、せっかく原村和とお近付きになれると思ったのに」

照「道場の師範だし自分より麻雀強い男にしか興味ないんじゃないかな」

京太郎「それは照さんでしょ!」

咲「どっちにしろ京ちゃんはまだ人に言えるほどの腕じゃないんだから大人しく自主練しててね」

京太郎「分かったよ」

優希「タコスはいらんかー南蛮渡来の美味しい食べ物だよー」

咲「あなたが優希ちゃん」

優希「そうだけど、冷やかしはお断りだじぇ」

照「私達は染谷さんに仕事を頼まれた」

優希「ということはのどちゃんを襲った真犯人を探してるのか?」

咲「のどちゃん?」

優希「のどちゃんはのどちゃんだじょ?」

照「もしかして原村和のこと?」

優希「そうそう」

咲「早速事件について聞きたいんだけど良いかな?」

照「咲、タコス食べてみたい」

咲「良いよ、私も気になってたし。タコス2つください」

優希「まいどあり~」

照「美味しい」

咲「美味しいね」

優希「それは良かった、これからもご贔屓頼むじぇ」

優希「っと、事件について聞きたかったんだったな」

咲「うん」

優希「まず、のどちゃんが襲われたのは道場から実家へ向かう途中」

咲「実家ってどこなの?」

優希「道場の隣町だ。月に何回かは実家の両親に会いに行くらしいじょ」

照「近いね」

咲「私達の実家は長野だもんね」

照「なんで龍門渕さんが下手人なの?」

優希「襲われて倒れてたのどちゃんのそばに落ちてた凶器が龍門渕さんちの物だったからな。ちなみに凶器は木彫りの人形で片手で持てる位の大きさだじぇ」

照「盗まれたとかは?」

優希「龍門渕の家の人はなくなった事に気付いてなかったらしい」

咲「その場合、家の人はみんな怪しいよね?」

優希「龍門渕の家の者で証人がいないのは龍門渕透華だけだったから」

咲「つまり他の人達は犯行時刻に誰かしらと一緒だったんだね」

照「龍門渕さんは何て言ってるの?」

優希「散歩してたらしいじょ」

咲「無実なんだよね?」

優希「龍門渕透華が家を出た時間と家に帰って来た時間から考えると犯行現場に行くのは不可能なんだじぇ」

照「それなら無実のはず」

優希「でも奉行所は時間の証言は身内をかばうためにされたものとしてまだ龍門渕透華を解放してないんだじぇ」

咲「そんな」

照「それで龍門渕家の人が困ってるのを藤田さんが知って染谷さんに相談したんだね」

優希「今のところ分かってるのはこれくらいだじぇ」

照「とりあえず原村和の道場に行こう」

咲「うん、優希ちゃんまたね」

優希「おう、頑張ってなー。また何か掴めたら連絡するじぇ」

原村和の道場

咲「ごめんくださーい」

裕子「はーいどちら様ですか?」

照「宮永道場から来た宮永照と咲です」

裕子「まさか道場破り!?こんな時に」

咲「落ち着いてください。私達は道場破りじゃありません」

裕子「では何の用ですか?」

照「原村和の事件の話を聞きに来た」

裕子「そうですか…立ち話もなんですのでどうぞこちらへ」

裕子「申し遅れました。私は室橋裕子と申します」

咲「私達は原村和さんを襲った真犯人を探してるんです」

裕子「真犯人ですか…龍門渕さんの仕業じゃないんですか?破門された場に居合わせたんですが大分揉めてましたし」

照「会ったことがないから分からないけど、龍門渕透華が真っ当な打ち手なら麻雀で借りを返すこと以外は考えないはず…あなたから見て彼女はどんな人だった」

裕子「目立つのが好きな人でした…あと『今日こそは正々堂々原村和に勝って見せますわ!』って良く言ってました」

咲「卑怯な事は嫌いみたいだね。それに龍門渕さんが復讐するなら家の力を使った方が確実だし」

裕子「雀士は麻雀以外ただの人ですからね」

咲「ところで原村さんの容態は?」

裕子「命に別状は無いみたいですけど意識が戻らなくて…」

照「じゃあ本人に話は聞けないね。龍門渕さん以外に揉めてた人は?」

裕子「実は…心当たりが有りすぎて…」

咲「え?」

裕子「龍門渕さんの破門の時もですけど原村さんは頑固な人で…」

照「その上麻雀の試合でも恨みを買ってるかもしれない」

裕子「そうなんですよ。色んな人と試合してましたし道場が有名になってからは道場破りも多くて」

咲「有名道場も大変なんだね」

設定が現代?

>>21
江戸時代のような何か

照「私の道場も出来た当初は有名だった」

裕子「そういえば宮永照さんって去年どこぞの偉い人が開いた模擬戦で優勝した方じゃないですか?」

照「その通り。模擬戦の賞金で道場を開いて門下生が沢山でうはうはかと思ったけど今は門下生がたった1人の宮永道場の師範の宮永照です」

咲「そんなことまで紹介しないでいいから!」

裕子「道場経営は大変みたいですね…原村さんもいつも頭を悩ませていましたよ」

照「そうか…こんな有名道場でも大変なんだな咲」

咲「有名な所は有名な所で色々大変なのかもね」

裕子「まだ何か聞きたいことはありますか?」

照「いや、原村さんが話せるようになったらまた来るよ」

咲「ありがとうございました」

裕子「あなた達の言う通り真犯人がいるのなら早く捕まえてくださいお願いします!」

咲「もちろんです」

照「楽しみにしてて」

照「咲、次は龍門渕さんの家に行こう」

咲「うん」

照「ん…この匂いは…」ダッ

咲「お姉ちゃん待って!」

照「やっぱりたい焼き…ねえ咲」

照「……」

照「……咲がいない…」

照「探さなきゃ…でもその前に」

照「すみませーん、たい焼き2つ」



咲「ふえぇ…ここどこ…」ウルウル

咲「お姉ーちゃーん」

咲「うぅ…」

照「咲、こんなところにいたの」

咲「お姉ちゃん!もーお姉ちゃんが勝手にどっか行っちゃうから!」

照「ごめんね」モグモグ

咲「ってそれ、たい焼き!?もう、すぐ買い食いするんだから」

照「ごめんね…でもこれ美味しいよ。はい、咲の分」

咲「ありがとう……うん、美味しい」モグモグ

照「でしょ」

咲「ところでお姉ちゃん道分かる?」

照「分からないけど…適当に歩いてたら知ってる所に出るはず」

咲「大丈夫かなあ」

照「見て咲、道場がある。こんなところにも道場があるんだね」

咲「何の道場だろうね…そうだここで道を聞こっか」

照「そうしよう」

照「たのもー」

咲「道場破りと勘違いされませんように」

睦月「何の用ですか?うちの道場で道場破りをしても箔はつきませんよ」

咲「道をお聞きしたいのですが…」

睦月「道ですか…多分地図が有ったと思うのですが、ついて来てもらって良いですか?」

咲「はい、ありがとうございます」

照「良い人で良かった」

睦月「あの…不躾で悪いのですが宮永照さんですよね?」

照「そうだけど…」

咲(もしかしてお姉ちゃんに何か恨みが…)

睦月「実は私…有名雀士に目がないんです!」

咲(良かったあ)ホッ

照「有名雀士…私が」

睦月「もちろんですよ。記念に手形を取らせてもらって良いですか?」

照「えっ…」

睦月「実は有名雀士の浮世絵を集めてるんですが、宮永さんのは無くって…でも記念に何か欲しくて」

照「分かった。ついでに咲の手形も取ろう…近い将来咲も有名雀士になるだろうし」

咲「え!?私も!?」

睦月「ありがとうございます!一生大事にします」

照「大事にしてね」

咲「何で私も……あのー地図は?」

睦月「す、すみませんすぐにお持ちします」

ゆみ「騒がしいな何をやってるんだ?」

睦月「加治木師範!」

咲「お邪魔してます」

ゆみ「何だこれは…手形…?」

睦月「偶然にも宮永照さんが道を尋ねに来たので記念にと思いまして…」

ゆみ「そうか…あまり無礼の無いようにな」

睦月「はい、ところでどこかに地図が有りましたよね?」

ゆみ「ああ私の部屋に有るぞ…そうか道を尋ねて来たんだったな。モモいるか?」

桃子「はいっす」

咲「わっ突然出てきた」

照「…」

桃子「驚かせてすみません。昔から存在感がなくて」

咲「私の方こそごめんなさい」

ゆみ「モモ私の部屋からこの辺りの地図を持って来てくれ」

桃子「分かったっす」

咲「お姉ちゃんどうしたの?ずっと黙っちゃって」

照「別に…ここって麻雀の道場?」

ゆみ「ああそうだ。良かったら打っていかないか?あの宮永照の実力がみたい」

照「良いよ」

ゆみ「参りました。噂通りの強さだな」

睦月「強い…妹さんも…」

照「あなた達もなかなか強かったよ」

桃子「師範が負けるなんて…あっ、これ地図っす。色々あるから迷ったっすよ」

ゆみ「ありがとう」

咲「地図が好きなんですか?」

ゆみ「地図だけじゃなく本も好きなんだが最近は懐が寒くてな…」

咲「私も読者が好きなんですけど、同じく懐が…」

照「門弟は2人だけ?」

咲「お姉ちゃん!うちはよそのこと言えないんだからそういうこと聞かないの!」

桃子「2人じゃないっす!一応4人いるっすよ。失礼な人っすね門下生が少なかったらなんなんっすか!」

ゆみ「たいして変わらないぞモモ。すみませんうちの門弟が」

咲「謝らないといけないのはこっちの方です。お姉ちゃんが無礼な事を言って」

照「なかなかの腕だったのに人が少ないから気になって…」

ゆみ「近くに今流行りの原村道場が有るからな」

桃子「あんなおっぱいさんより師範の方が上っすよ」

ゆみ「試合で負けたけどな…お前だって勝手に道場破りに行って負けたんだろ?」

照「…」

桃子「今度は絶対勝つっすよ」

咲「ありがとうございました」

照「また来ます」

睦月「本当ですか!」

ゆみ「次までに腕を磨いとかないとな」

桃子「次は私も打ちたいっす」

咲「では、失礼します」

照「失礼します」

咲「遅くなっちゃったね」

照「そうだね、龍門渕さんのところへは明日行こうか」

咲「うん、じゃあ帰ろうか」

咲「ただいまー」

京太郎「おかえりー」

咲「え??」

照「何でいるの?」

京太郎「留守番してたんですよ」

咲「うちに入る泥棒なんていないと思うよ」

京太郎「まあそう言うなって晩飯も用意しておいたぞ」

照「気が利くね…でも目的は原村和のことでしょ?」

京太郎「さすが察しが良いですね。で、どうだったんです?」

咲「原村さんはまだ意識が戻らないらしいよ」

京太郎「そんなあ…お百度参りでもするかな」

咲「会ったことも無いのに入れ込みすぎだよ…」

照「明日も道場休みだから」

京太郎「はーい、2人が事件を調べてるうちに強くなって驚かせてみせますよ」

照「そう…期待しないでおく」

京太郎「そこは期待しておくとこでしょ!」

咲「ごめんくださーい」

ハギヨシ「こんな朝早くからどなたですか?」

照「宮永照と宮永咲と申す者です」

咲「原村和襲撃事件のことで伺いたい事が有るのですが」

ハギヨシ「そうですか」

一「萩原さん、どうせ読売のネタ師か何かだろうから追い返そうよ」

咲「待ってください!私達はあの事件の真犯人を探してるんです」

一「じゃあ君たちは透華は下手人じゃないって思ってるの?」

照「龍門渕透華はそれなりの打ち手と聞いた。そんな人があんな真似をするとは思えないし、やるならもっとうまくやるはず」

一「…分かった。君たちを信用するよ」

ハギヨシ「どうぞ、粗茶ですが」

咲「お構いなく」

照「咲、このお菓子美味しいよ」

咲「お姉ちゃん…」

一「さっきはごめんね。僕は国広一、こっちが純君でともきーと萩原さんだよ」

咲「宮永咲です」

照「照です」

純「で、ホントの下手人の目星はついてんのか?」

咲「それはまだです。でも皆さんの証言は嘘じゃないですよね?」

智紀「当然…だから透華に犯行は不可能」

ハギヨシ「伝説の籠屋がまだ仕事をしていれば別ですけどね」

咲「伝説の籠屋?」

純「何でも物凄く速い籠屋で浜松まで1日足らずで行けるらしいぜ」

一「噂を聞いたと思ったら、もう廃業したって噂がすぐに広がったけどね…」

照「それは考慮しないで良いと思う。凶器に使われた人形はいつなくなったの?」

一「分からないんだ…あれは旦那様のお土産なんだけど、出かけるたびに旦那様がお土産を買って来るから透華の部屋にはああいった物がいっぱいあるんだ。まさかなくなるとは思ってないから数を改めたりもしないし」

咲「そうなんですか…うっ…」ゾクッ

照(ふーん)

衣「客人か?」

純「透華の無実を証明してくれるらしいぜ」

衣「何っそれは本当なのか?」

照「本当だよ」

咲(悪寒が収まった…さっきのはこの子だよね…?)

衣「奉行所は役に立たない…頼んだぞ」

照「まかせて。ところで私は宮永照、あなたは?」

衣「衣だ」

咲「あ、私は宮永咲だよ。よろしくね衣ちゃん」

衣「ちゃんではなく」

ハギヨシ「衣様、離れの方で何かございましたか?」

衣「いや何もないぞ。ただならぬ気配を感じたから様子を見に来ただけだ」

ハギヨシ「左様ですか」

照(そんなに気配を出してたつもりはないけど…)

智紀「ここにみんなで集まってるけど、衣の事を仲間外れにした訳じゃないから安心して」

衣「べ、別に気にしてないぞ!」

照「ねえ、原村和の事件の何日か前に変な気配を感じたりしなかった?」

衣「む、変な気配か……感じたぞ、いつかは忘れたがその事件より前なのは間違いない」

照「そう…」

咲「?」

衣「ところでお前たち暇か?暇なら衣と麻雀をしてはくれまいか?」

咲「ごめんね。この後用事があるから、また今度ね」

衣「そうか…」

純「残念だったな衣。お前より強い奴と打てるかもしれなかったのに」

一「…ん?もしかして宮永照って、衣が出場を辞退した模擬戦の大会の優勝者の!?」

衣「以前の経験から幕府の関係筋にはロクな打ち手がいないと思って辞退したが早計だった様だな」

照「また今度暇な時に打とう」

衣「絶対だぞ、咲も来るんだぞ」

咲「分かったよ衣ちゃん」

衣「衣は子供じゃない!」

咲「え?」

ハギヨシ「実は…」ゴニョゴニョ

咲「えっ…えぇぇーーー!!」

衣「咲、驚き過ぎだぞ」

咲「ごめんね衣ちゃん」

衣「だから!ちゃんではなく」

照「そういえば龍門渕さんはどうして破門されたの?」

一「なんでも透華の打ち方が道場の流儀に反するらしくて」

咲「厳しいんですね…。流儀って言うのは?」

智紀「今流行りのデジタル打ちと言うヤツ」

純「普段はその通りに打つんだけど、目立ちたがる性格のせいかたまに外れた打ち方をするし別人みたいになる時もあるからな」

ハギヨシ「そのような理由で破門されてしまいましたが、お嬢様は決して下手人などではございません。お嬢様は麻雀の借りは麻雀で返すとおっしゃっていました」

衣「大方道場主は透華の力を恐れ破門にしたのだろう」

照「龍門渕さんはそんなに強いの?」

衣「強いぞ、冷たくなった透華は特にな」

咲「冷たく…なる?」

一「別人みたいになった時の透華のことだよ。周りの空気が冷たくなるからそう呼んでるんだ…たしかに強いけど、僕は普段の透華の方が好きだな」

咲「今日はありがとうございました。別の用事が控えてますのでこれでおいとまします」

照「お茶とお菓子おいしかったです」

ハギヨシ「お嬢様のことよろしくお願いします」

照「大丈夫です、2、3日の内に解決してみせますから」

ハギヨシ「それは心強い」

咲「あんなこと言って大丈夫なの?」

照「問題ないよ。とりあえず優希に会ってから染谷さんの所に行こう」

咲「うん」

咲「お姉ちゃん、犯人の目星がついてるなら私にも教えてよ」

照「今はまだ話せるほどまとまってないから、もうちょっと待って」

咲「分かったよ」

照「ごめんね。自分でも驚くほど荒唐無稽な事を考えてるから、今の段階だと恥ずかしくて」

優希「ターコスー美味しいよー、ん?」

優希「おーい咲ちゃんとてるてるー」

咲「優希ちゃん恥ずかしいよ///」

照「いつもそんなので染谷さんからの仕事してるの?しかもてるてるって…」

優希「可愛いと思うけどな。そっちの仕事はそっちの仕事できっちりやってるから問題ないじぇ」

照「そう…それでね、かくかくしかじかなんだけどそっちは何かある?」

優希「なるほど。残念ながらこっちは新しい情報は無いじょ…しいて言うなら龍門渕さんがやったって証人も未だにいないから奉行所の方も決めかねてるってことかな」

咲「襲うなら人気の無い所で襲うだろうから当然なんじゃ…」

優希「ところが違ったんだじぇ。のどちゃんが襲われて倒れてたのは人は多くないが街の中らしいでも、そんなところで襲ったのに龍門渕さんを目撃した人がいないってのが奉行所は気になってるみたいだじぇ」

照「優希、これで優希と他の仲間に調べて欲しい事がある。もちろん事件と関係があることだよ」

優希「了解だじぇ」

咲「お姉ちゃんが食べ物以外にお金を使うなんて…」

照「この仕事が成功すればまた染谷さんから仕事がもらえてお菓子代が手に入るからね」

咲(結局はお菓子なんだ…)

照「あ、タコスちょうだい」

優希「まいどあり~」

照「じゃあ染谷さんのお店に行こうか咲」モグモグ

久「いらっしゃいませ」

久「あら、咲じゃない久しぶりねえ」

咲「お久しぶりです」

久「道場の方は相変わらず?お金に困っても博打には手を出しちゃダメよ。咲みたいな良い子はカモにされちゃうんだから」

照「お菓子以外にはお金を使わせないから大丈夫」

久「あなたは…もしかして咲のお姉さん?」

照「そう宮永照…染谷さんはいる?原村和の事で話があるんだけど」

久「今は仕事で出てるからいないけど、書状を預かってるわ。少し待っててね」

咲「書状…私達がいつ来ても良い様に準備してたんだね」

照「そうみたいだね。さっきの人知り合いなの?」

咲「ここで働いてる竹井久さんだよ」

照「ふーん」

咲「竹井さんがどうかしたの?」

照「お客にたいして馴れ馴れし過ぎる」

咲「私と竹井さんが親しいだけで普段はちゃんとしてるよ」

照「私の知らないところで咲に悪い友達が増えてる…」

咲「悪い人じゃないから大丈夫だよ」

久「お待たせ、この書状を奉行所の与力の池田さんに頼んでお奉行の福路さんに渡して貰うと良いわ」

咲「ありがとうございます」

照「じゃ、私たちはもう行くから」

久「また今度遊びに来てね」

咲「すみません池田さんはいますか?」

華菜「何のようだ?」

照「あなたが池田?」

華菜「そうだけど」

咲「これ、染谷さんが」

華菜「ちっ、またあいつか。下っ端のくせにお奉行に書状なんて生意気な」

咲「あのー?」

華菜「今お奉行の所に行ってくるからその辺で待ってるし!」

咲「は、はい」

照「染谷さんはいつもこんな事してるんだね」

咲「そうみたいだね」

華菜「みはるんお奉行は?」

未春「部屋にいると思うけど、どうしたの華菜ちゃん?」

華菜「また染谷のやつだし」

星夏「誰かの使いで手紙を持って来てるだけじゃないですかね」

華菜「そういう時がほとんどだけど、きっと今回は違うし」

純代「なぜ?」

華菜「見たこと無いやつらが染谷の書状を持って来たし!恐らくいつも染谷に使われてるやつらだ。まったく…下っ端のくせに生意気な事しやがって」

未春「まあまあ、お奉行は咎めてないから良いんじゃない?」

華菜「きっとお奉行の優しさに付け込んでるんだ」

華菜「お奉行失礼します」

美穂子「どうぞ」

華菜「染谷からの書状らしいです」

美穂子「ふふっ今日は何かしら」

華菜「差し出がましい事ですが、あまりあいつの勝手にさせるのはどうかと思います」

美穂子「勝手な事ではないわよ。私との約束通りだから」

華菜「えっ??」

美穂子「あら…ふふっ…華菜、書状を持って来た人たちを龍門渕さんのところに案内してあげて」

華菜「何言ってるんですか!龍門渕が何か企んでるかもしれませんよ」

美穂子「大丈夫だから、私を信じて」

華菜「分かりました…」

華菜「待たせたな、龍門渕の所に案内してやる。会話には私も立ち会わさせてもらうからな」

照「そう」

咲「ありがとうございます」



華菜「ここだ。おい龍門渕、お前に客だ」

透華「まったく何ですの?家の者には来ないように言ってありますのに…」

咲「はじめまして。宮永咲です」

照「宮永照だ。あなたに聞きたいことがある」

透華「聞きたいこと……そちらの猫娘は邪魔ではございませんの?」

照「問題ない」

華菜「誰が猫娘だ誰が!」

透華「お気に召しませんでした?似合っているのに残念ですわ」

照「あなたは原村和を襲ったの?」

透華「はあ…何かと思えばそんなことですの。私は襲ってません!もし仮に襲うなら確実にトドメをさし堂々と奉行所に出頭いたしますわ」

華菜「その後家の力でどうにかするんだろ」

透華「あなたは何も分かってないんですのね。そのような破廉恥な真似をこの私がするはずがありませんのに」

照「証言に嘘は?」

透華「ありません。全て真実ですわ」

華菜「わざわざこんな事を聞きに来たのか?」

照「本当の下手人か人形を盗んだ者に心あたりは?」

透華「残念ながら全くございませんの」

照「原村道場に来た道場破りで誰か印象に残ってる人はいる?」

透華「そうですわねえ…加治木道場とやらの東横桃子さんかしら。何人もの門弟を破りましたわ。もっとも原村和にはかないませんでしたけど。とても悔しそうにしていたのも印象的でした」

照「ありがとう」

透華「お力になれたかしら?そういえば衣たちは元気にしていましたか?当然、家の方も訪ねましたわよね?」

咲「はい、皆さん元気にしてましたよ。でもやっぱり早く龍門渕さんに会いたそうでした」

華菜「ほら、もう行くぞ」

華菜「まったく…お前たちあんなこと聞いて何か分かったのか?」

咲「えーと…」

照「そんなことより龍門渕さんをどうするつもり?色々決めかねてるみたいだけどそれならもっと事件を調べるべき」

華菜「うるさい!こっちにも色々あるんだよ」

咲「龍門渕家からの圧力とかですか?」

華菜「そうだ…決定的な証拠はないが今まで数多くの盗賊達を返り討ちにした龍門渕の家から凶器を盗むなんて不可能。そのうえ家人にも怪しい者はいなかった」

咲「龍門渕さんを除いては…」

華菜「そうだ、だから私たちは万が一に備えてあいつを捕らえてるんだ。それが気にいらなくて圧力をかけてるみたいだが、いずれ証拠を掴んではっきりさせてやる」

照「そう…頑張ってね。私たちはこれで」

咲「ありがとうございました」

咲「ただいまー」

咲「今日は京ちゃんいないみたいだね」

照「いなくていいけど、ご飯は用意しておいて欲しかった」

咲「お姉ちゃん…京ちゃんはただの門下生だから」

照「ちゃんと自主練してるといいけど」

咲「事件が解決したら強くなってるのかなあ」

照「そうじゃないと困る」

咲「でも自主練で強くなったら、やっぱり私たちの指導が悪かったって言われるんじゃ…」

照「……大丈夫、私たちが言わなかったら強くなってても気づかないはず」

咲「そうだね京ちゃんには悪いけどそうしよっか。辞められたら困るもんね」

照「これもお菓子のため。許してね須賀君」

咲「お姉ちゃんもうお昼だよ。今日はどこも行かないの?」

照「そろそろ優希に会いに行こっか」

咲「そういえば昨日何か頼んでたね」



照「タコスくださいな。咲も食べるよねお昼まだだし」

咲「食べるけど、あんまり買い食いしてるとお金が…」

照「優希、昨日頼んだ事はどうだった」

優希「これこれこう言う訳で家にいない時があったって事ぐらいしかないじぇ」

照「ふむふむ」

照「咲、加治木さんの道場に行くよ」

咲「うん分かった」

照「たのもー」

咲「ごめんください」

佳織「はーい、もしかして入門希望の方ですか?」

照「だれ?」

佳織「え??」

咲「この間あと2人門下生がいるって言ってたよね?」

照「そういえばそうだったね」

睦月「妹尾さんどうかしましたか?」

佳織「あ、津山さん」

照「津山さん、約束通りまた来たよ」

睦月「宮永さん!来てくれたんですね。ささ、どうぞ」

照「お邪魔します」

咲「お邪魔します」

睦月「師範、宮永さんが来てくださいました」

ゆみ「本当か」

桃子「今日は対局したいっす」

智美「昨日話してた人だな」ワハハ

照「麻雀も良いけどその前に話がしたい」

ゆみ「話とは?」

照「原村和の事件について」

佳織「私達は関係ないと思いますけど?」

照「関係なかったらそれでいい、それを確かめるためにも話を聞きたい」

ゆみ「何が聞きたいんだ?」

照「事件の日とその三日前の事。まずは加治木さん」

咲(事件の三日前って何か関係があるのかな)

ゆみ「事件の日は夕方まで道場で稽古をして、そのあとは部屋で本を読んでいた」

照「稽古の参加者は?」

ゆみ「私と津山と妹尾だ」

照「他の2人は何で稽古に行かなかったの?」

桃子「具合が悪かったから家で休んでたっす」

智美「家の手伝いをしてたぞ」ワハハ

照「そう…ありがとう」

照「事件の三日前は?」

ゆみ「その日も夕方まで稽古して…その日は全員いたぞ。稽古が終わった後私は蒲原の家に行った。そのまま泊まって帰ったのは朝だ」

智美「ゆみちんには世話になってるしお金に困ってるらしいから夕飯をご馳走したんだ」ワハハ

桃子「もういいっすよね。これで事件に関係ない事が分かったはずっす」

照「東横さんは?」

桃子「私は稽古の後は家に帰ってそのままっすよ」

照「それを証明してくれる人は?」

桃子「はあ?なんなんすか、家には私1人で暮らしてるからそんな人はいないっすよ」

照「そう…」

照「でも隣の人が夜に明かり用の油を借りにあなたを訪ねたら留守だったらしいけど?」

桃子「寝てたんだと思いますけど」

照「それはありえない。あなたの存在感の無さは近所では有名だから戸を開けて中を確認したら草履がなかったらしい」

咲「寝てたとしても戸締まりしてないのはおかしいね」

桃子「たまたまちょっと散歩に行ってたのかも…」

照「龍門渕さんの家に行ったんだよね?」

桃子「何言ってるっすか…」

ゆみ「まさか事件で使われた凶器をモモが盗んで来たって言いたいのか!?」

照「その通りだけど」

ゆみ「ふざけるな!!」

照「聞いた話によれば東横さんはただ存在感が無いだけではなく、麻雀においては自分の牌の存在すら消せるらしい。そんな人なら誰にもバレずに龍門渕の家に忍び込むのは簡単なはず」

桃子「…」

ゆみ「そうかも知れないが…」

睦月「証拠はあるんですか?」

照「存在を消せると言っても原村和に麻雀で負けたようにそれが通用しない相手がいるのもまた事実。龍門渕に忍び込んだあなたの気配を感じ取った人がいます」

桃子「気配ってそんなのが証拠になる訳ない!」

咲(衣ちゃんかな…?)

照「東横さんの様な特殊な人の気配なら間違えようが無いからその人に確かめてもらってもいい」

咲「お姉ちゃんにも分かるの?」

照「分かる。だから初めて合った時私は驚かなかった」

咲「最初から存在に気付いてたんだね」

桃子「仮にそうだとしても私が原村和を襲ったとは言えないっすよね!?」

照「街中での犯行にもかかわらず目撃者がいないのもあなたが下手人なら説明がつく」

桃子「そんなの言いがかりっす!!」

照「なら何で家にいたなんて嘘をついたの?事件の日にはあなたの家を訪ねた人が何人かいたけど皆留守だったと言ったらしいのだけど」

桃子「具合が悪いから居留守したっす」

照「居留守するなら戸締まりすれば良い、だけど戸締まりはされてなかった」

咲「じゃあ訪ねた人は中を確認したはず…居留守のために草履を隠すなら戸締まりした方がずっと良いし…」

ゆみ「だとしてもモモが下手人だと言うには証拠が無いだろ!!」

照「確かにそうかも知れないけど、龍門渕さんよりはずっと下手人と言いやすい。この事件の不可解な点も解決するし」

咲「確かに…いくら否定してもこれなら奉行所も動くはず…」

照「拷問されるのは間違い無い。そうなればいずれ加治木さんが犯行を指示した事を言ってしまうかもしれない…それは嫌だよね?」

桃子「ふざけるな!!加治木師範は関係無いっす!!」

照「私もそう思う。でもやっぱり下手人はあなたなんだよね?」

桃子「うっ…」

ゆみ「モモ…」

ゆみ「逃げろ…この2人は私が食い止める!」

桃子「師範…」

照「逃がさない」

ゆみ「すまんな…私は師範だから門弟の事を守ってやりたいんだ。麻雀勝負受けてくれるよな?」

佳織「私も麻雀勝負を挑みます」

睦月「雀士なら挑まれた勝負は受けますよね?」

ゆみ「お前たち!」

智美「モモ行くぞ!籠屋で鍛えた私の脚力でお前を逃がす」

ゆみ「蒲原…籠屋の時と違ってモモの安全も考えろよ」

咲(まさか伝説の籠屋って…)

照「残念だけどそれは無理…私は東横さんに麻雀勝負を挑む、真剣勝負で!」

ゆみ「なんだと!」

照「あなた達との勝負は咲が受ける」

桃子「真剣勝負……麻雀に痛みが伴う今までに何人もの雀士が命を落とした勝負形式…」

ゆみ「モモ、そんなもの受ける必要は無い早く逃げろ!!」

照「やっぱり下手人風情にはもう雀士の誇りは無いのかな」

桃子「なっ…ばかにするな!私だって雀士っすよ!!」

照「そう…じゃあ始めましょうか」

智美「私も加勢するぞモモ」

桃子「すみません…こいつとはサシで勝負したいっす」

ゆみ「モモ!」

咲「加治木さんこっちも早く始めましょう」ゴッ

ゆみ「くっ」

照「4人打ち形式で、いない他家の自摸牌とかは裏返しのまま横によけるやり方でいいよね」

桃子「つまり他家に行った牌は鳴けないし何なのかも分からないってことっすね。良いっすよ」

咲「槓っ!自摸!これで私の勝ちですね」

ゆみ「強い…」

咲(お姉ちゃんは…)

桃子「ぐっ…はぁはぁ…」

照「安心して、次で楽にしてあげるから」

智美「もうやめてくれ!」

照「麻雀勝負に手出しは無用。邪魔をする事は許されない」

桃子「もう勝った気でいるんすか…」ハァハァ

ゆみ「消えるのが通じないとはいえここまで差があるのか…」

睦月「これが宮永照…」

照「東横さん、雀士が麻雀以外のことで 借りを返すのは麻雀を汚す行為…私は絶対に許さない」

桃子「ひっ…」

照「奉行所には他の人があなたをかばったことは話さないであげる」

桃子(師範…みんな…さよなら)

照「自」美穂子「町奉行です!東横桃子を捕らえに来ました!」

華菜「抵抗しても無駄だからな」

美穂子「宮永さん、勝負の途中みたいだけど、無効試合でいいわよね?」

照「………分かりました」

華菜「こいつ死にそうだし!お前ら何してやがった」

照「真剣勝負」

華菜「なんだと…」

美穂子「とりあえず彼女は医者に連れて行きます。それでは」

佳織「桃子さん大丈夫かな…」

ゆみ「生きててくれればそれでいい…」

美穂子「染谷さんのおかげで助かったわ」

まこ「まあ仕事ですから」

久「でも危なかったんでしょ?」

美穂子「宮永照さん…優秀だけど少し危険な人みたいですね。今後気をつけてください」

まこ「分かりました」

久「下手人の処遇はどうなるの?」

美穂子「原村さんは意識を取り戻しましたしあんな目にも遭いましたから、しばらく牢屋で反省してもらえばいいかと」

久「そう…でも今回の件は上がうるさいんじゃない?」

美穂子「藤田さんと久保さん、それに龍門渕さんがとりなしてくれるそうですから恐らく大丈夫です」

久「それなら良かった」

美穂子「染谷さんまた何かあったら頼むわね」

まこ「それはいいんですが、私なんかと親しくしてると池田のやつがグレたりせんですかね?」

美穂子「ふふっ華菜なら大丈夫よ」

京太郎「ぐえぇ……もう…勘弁してください」

照「何言ってるの!もう一本行くよ」

咲「全然上達してない…」

京太郎「自主練の成果で少しは上達したのに……だいたい照さん今日機嫌悪すぎでしょ」

照「そんなこと無い。機嫌が良いから出来の悪い弟子の相手も出来る」

まこ「そうか、それは良かった。弟子に八つ当たりしとる訳じゃないんじゃな」

照「誰のせいで」ボソッ

照「何しに来たの?」

京太郎「やっぱり機嫌悪い!」

咲「京ちゃん黙ってた方が良いよ」

まこ「事件解決の礼じゃよ」

咲「前払いでもらってたから、お礼なんていいのに」

まこ「ま、気にするな話したい事もあったし。東横桃子がどうなったか気になるじゃろ?」

照「どうでもいい」

まこ「これは菓子折りじゃ」

照「特別に家にあげてやる」

京太郎「ホントお菓子に弱いっすよね」

照「須賀君、後で特訓してあげる」

京太郎「げえぇ…」

咲「だから黙ってた方が良いって言ったのに…」

照「さっそくだけど東横さんはどうなったの?」

まこ「誰かさんに殺されかけたせいか随分反省しとるらしく、しばらく牢に入れられるだけで済むようじゃ」

照「…」

まこ「不服か?まあわしも甘いとは思うが」

照「さっきも言ったけどどうでもいい。そんなことより何であそこにお奉行が来たの?」

まこ「それはあの人自身の判断じゃ、わしは仕事通り上に報告しただけだからの」

照「そう…私決めたから。これからもお菓子のために染谷さんの仕事を手伝うって」

咲「お姉ちゃん!」

まこ「それは助かるんじゃが今回みたいに真剣勝負で殺そうとするんはダメじゃからな、ちゃんとお上の裁きを受けさせるんじゃ」

照「分かった。でも麻雀を汚したやつには保証出来な……いや、殺しはしないでおく」

まこ「頼むから殺さんでくれよ」

まこ「咲はどうする?」

咲「えっと…報酬がいただけるなら」

まこ「それは当然咲のと照さんので2人分払う」

咲「本当ですか!よろしくお願いします」

まこ「そうか、よろしく頼む」

照「咲も一緒に麻雀商売頑張ろう」

咲「麻雀…商売?」

照「今考えた。麻雀の腕を活かしてお金を稼ぐことをこう呼ぼう」

咲「呼ぶ機会ないと思うけどね…」

まこ「なかなか面白いことを考えたのう。これから麻雀商売頑張ってくれ」

照「当然頑張るお菓子のために」

咲「頑張ります暮らしのために」

ある日

照「染谷さんから色々頼まれて懐が暖まる予定だったのに全然仕事が来ない…」

照「怪しい奴がいたら教えて欲しいとしか言われないし、だいたい御用聞きに縄張りがあるとか聞いてない。これじゃあ仕事が来なくて商売あがったりだよ」

「ごめんください」

照(む、もしや入門希望者…逃げられないように営業モードでいく)

照「はい、どちら様ですか?」ニコッ

男「こちらに宮永照殿はいらっしゃいますか?」

照「私が宮永照ですけど」

男「それは良かった、是非ともあなたに受けていただきたい仕事があるのですが、受けていただけますでしょうか?」

照「内容を聞いてみない事には…あと、あなたのお名前も」

照(これでお菓子が買える)

男「拙者、鈴木と申します」

照(身元を明かさないし偽名かな?)

鈴木「ある者に真剣勝負にて勝利していただきたい」

照「その人の名や理由を聞かせてもらえますか?」

鈴木「名は江口とかいう大阪から来たゴロツキです。これ以上の事は詮索されても答えることは出来ません」

照(どうしよう…もしかしたらこの人の方が悪い人かもしれないし)

鈴木「色々と気がかりなのは分かります。ですからその分も考慮いたしまして、報酬は前金で十五両成功報酬で十五両の合わせて三十両をお出ししますので、なにとぞ」

照(三十両…そんなにあったらお菓子が沢山食べられる。)

照「お受けします!」

鈴木「おお!かたじけない。試合の日取りが決まりましたらお知らせします」

照「これでお菓子が…ふっふっふ」

照「……」

照「お金に釣られて受けてしまったけど、こんな大金をあっさり出すなんてやっぱり怪しい……いや…もしあの男が悪事を働いているなら前金だけもらっておいて逃げれば良い」

照「うん、これは名案。あとはこのお金を咲にバレない所に隠すだけ」

咲「ただいまー」

照「げっ…」

咲「お姉ちゃんそれ…」

照「咲違うの…これは」

咲「そんな大金どうしたの?何か質に入れたの?それとも担保にして高翌利貸しかな?」ゴゴゴゴ

照「ちっ違う、仕事っ!仕事だから麻雀商売の!」

咲「こんな大金くれるなんて怪しいよ」

咲(さりげなく麻雀商売って言ってるし…そんなに気に入ったんだ…)

咲「今からでも断った方が良いよ」

照「咲は何も分かってない」

咲「えっ?!」

照「今仕事を断ったら、この十五両がなくなるだけ」

咲「でも怪しいし…断って染谷さんに報告した方が良いよ」

照「咲、染谷さんには報告する。だけど私はこのまま依頼を受ける。悪事だったら染谷さんが何とかするし、そうじゃないならそのまま仕事をこなす。これで悪事を防ぎつつ十五両手に入る」

咲「お姉ちゃん……凄いよ!確かにそれなら十五両手に入るね」

照(成功報酬の十五両は黙っておこう…お菓子のために)

今日はこんなところで

まこの店

咲「ということが有ったんですけど」

まこ「んー…助太刀を頼むのを恥と思って隠したいのかもしれんしのう」

照「でも真剣勝負を指定してきたのは何かあるかもしれない」

咲「真剣勝負でその人を弱らせるのが目的とか?」

まこ「照さんと試合させて弱ったところで本命の勝負を挑むということか?しかし…そうだとしたら何のために」

照「それを調べるのが染谷さんの仕事」

まこ「その仕事あんたにもまわるんじゃが…」

照「それは咲がやる。私は須賀君を使ってなるべく相手を傷つけないようにして勝つ練習をする」

まこ「自分とこの門下生を何だと思っとるんじゃ…」

久「ちょっといいかしら耳よりな情報があるんだけど」

まこ「盗み聞きはやめろと言っとるじゃろ」

照「部外者は黙ってて」

久「咲ー、2人が冷たい。私だって平和のために頑張ってるのに」

咲「えっ、えーと…」

久「何で目を逸らすの?」

照「咲は暮らしのために頑張ってるだけだからだよ!!」

まこ「自分だってお菓子のためになくせに…」

咲「実は私たちそうなんですよ…貧しさが敵だ!みたいな…」

久「ふふっ、2人とも素直じゃないわね。お金のためだったらまこに言いに来る必要はなかったはずよ」

咲「それはそうですけど…」

久「そんなあなた達に飛びっきりの情報を教えてあげるわ。関西に江口って言う大名がいるんだけど、今子供と一緒に江戸に来てるらしいわ」

咲「大阪…江口…お姉ちゃんの対戦相手と一緒だ!」

照「何でそんなこと知ってるの?」

久「靖子から聞いたの」

照「靖子…もしかして藤田靖子?」

久「そうよ。靖子とは昔からの知り合いなの」

照「そう…とりあえず他に目星も無いし咲は大名の江口さんの子供の事を調べて見て」

咲「うん」

久「私のおかげで助かったでしょ?」

照「それはまだ分からない」

まこ「情報はありがたいんじゃが、あまりこういう事に首を突っ込んで欲しくはないのう」

久「もしかして心配してくれてるのかしら?」

まこ「まあ…一応はの」

久「ありがとう。でもまこの方こそいつも危ない事してるんだから気をつけなさいよ」

咲「それじゃあ調査を始めましょうか」

まこ「頑張って試合前に真実を突き止めんとな」

照「咲、気をつけてね」

京太郎「はあ…」

照「須賀君、食べないならそれちょうだい」

京太郎「嫌です。せっかく来たんだから食べますよ」

照「せっかく須賀君をねぎらって近所のおばさんに聞いたおいしい甘味処に連れて来てあげたのに何か不満なの?」

京太郎「自分が来たかっただけですよね…てっきり例の男について調べるんだと思ったのに…」

照「それは咲がやる。それに須賀君には私の特訓に付き合ってもらわないといけないから」

京太郎「おかげでいつも以上に痛めつけられてます……でも咲1人じゃ迷子になるんじゃないですか?」

照「咲のことは優希に頼んであるから大丈夫」

京太郎「あー、あのタコス屋の」

??「すいません隣ええですか?」

京太郎(男1人で来るなんて変わった人だな)

照「はいどうぞ…むっ」

照(この人…できる)
??(なかなかの使い手みたいやな)

京太郎「2人ともどうしたんですか?」

??「俺は江口セーラお前は?」

照「宮永照」

照(江口…)

京太郎「セーラって変わった名前ですね。それに女の子みたいな」

セーラ「俺、女やし」

京太郎「えっ!?すみませんでした!」

セーラ「まっ、慣れてるからええんやけどな」

セーラ「それよりも…」

照「?」

セーラ「あんたが宮永照か…どうりで」

京太郎「知ってるんですか!?」

セーラ「親父から聞いた。どこぞの人が開いた麻雀大会で優勝したとか」

京太郎「試合とかに呼ばれたのはその1回だけみたいですけどね」

照「須賀君…余計な事は言わないでね」

セーラ「1度手合わせして欲しいんやけど」

照「今は立て込んでるからまた今度で。道場の場所を教えるから良かったら打ちに来て」

セーラ「道場持ってるなんて凄いな。あんたみたいな人と打てるなんて親父に付いて江戸まで来て良かったわ」

京太郎「門下生は俺1人ですけどね」

照「須賀君…余計な事ばっかり言ってると飛ばすよ」ニコッ

京太郎「ひっ…ごめんなさい…」

照「じゃあ私たちはこれで」

セーラ「おうまた今度な」

京太郎「帰ったらまた特訓かあ」

照「いつもよりは痛くないでしょ?そういう特訓だから」

京太郎「でも朝からずっとなんていつもよりきついですよ…」

照「そんな事言ってるうちに道場に着いたよ」

京太郎「はあ…ん?あの人なんですかね?」

照「あの、うちに何か用ですか?」

男「お侍さんにここの人に手紙を渡すように頼まれまして」

照(あの男か…)

照「家主は私です。ありがとうございます」

京太郎「もしかして例の試合の?」

照「そうみたい」

咲「ただいまー」

照「お帰り。どうだった?」

咲「今から話すね。染谷さんにも来てもらったよ」

まこ「お邪魔します」

照「染谷さんを呼んだって事は収穫が有ったんだよね」

咲「うん、実はね江口さんのお子さんに縁談があるんだけど」

まこ「自分より強い人じゃないと結婚せんって言うとるらしいんじゃ」

咲「それでね明後日その縁談を決める試合が行われるらしいんだ」

照「なるほど…それでか」

咲「どういう事?」

照「依頼人から手紙が来た。仕事は明日だって」

咲「間違いなく試合相手の江口さんは」

照「関西の大名の娘の江口セーラ」

まこ「道場で特訓しとったはずじゃろ?何でそんなこと知っとるんじゃ」

照「出掛けた時に合った。確証が無かったからこの事については何も聞かなかったけど」

まこ「もっと早くこの事が分かってればのう」

照「そうでもないよ。江口さんとの試合楽しみ」

咲「江口さん強いの?」

照「うん」

まこ「でもそれだと悪事に加担する事になりますけど?」

照「…やっぱり試合は後日改めてやる方向で」

咲「まあ…当然だよね」

照「麻雀で悪事を働く奴は許せないからね」

咲「でも…裏があるとはいえ麻雀の試合を仕組んだだけじゃ奉行所は動いてくれませんよね?」

まこ「奉行所が動かんでも助っ人は連れて来れるけえ安心せえ」

照「助っ人…大丈夫なの?」

まこ「腕に覚えのある奴じゃから大丈夫ですよ」

照「ということで明日は私の後をつけて来て頃合いを見て乱入して」

咲「分かったよ」

照「危険だから咲はダメだよ」

咲「でも…」

まこ「相手はお侍じゃからのう。咲は剣術とかの心得はあるんか?」

咲「ありません…」

まこ「照さんはわしがちゃんと連れて帰るけえ、ここで待っててくれ」

照「咲、私はちゃんと帰って来るから待ってて」

咲「お姉ちゃん…分かったよ」

鈴木「お待ちしておりました。ささ、こちらへ」

照(やっぱり)

セーラ「あ、あんたは!」

鈴木「お知り合いでしたか」

照「たまたま昨日会っただけ」

セーラ「立て込んでるってこの事やったんやなあ」

照(鈴木の仲間は鈴木を合わせて四人か…)

照「真剣勝負で良いの?」

セーラ「こいつらが俺の事弱いとかぬかしおったから実力を見せてやろう思ったんや」

照「簡単に挑発に乗り過ぎ」

セーラ「そんなことより早くはじめよか」

照「分かった」

セーラ「自摸!ハネ満や!」

照「くっ」

セーラ「1局目は様子見したみたいやけど後悔するで」

照「大丈夫それはない」

セーラ「そうか、そうこなくっちゃな」

鈴木(勝てなくても良い。手傷さえ負わせてくれれば)

照「自摸…断幺九」

セーラ「ちっ…」

セーラ「大して痛くないんやけどどういう事や?」

照「真剣勝負でも安い手ならこんなものだよ」

照(嘘だけど)

セーラ「そうか…てっきり気合い入れて打ってないからや思ったわ」

照「自摸…役、ドラ1」

セーラ「くっ」

鈴木(この調子で頼むぞ)

セーラ「自摸や!満貫」

照「ぐぁ…」

照(気合いが入ってる分江口さんが有利)

鈴木「おい!しっかりしろ」

照「ここで私が負けたら明日の試合は勝ち目が無いから?」

セーラ「なんやて?」

鈴木「貴様なぜそれを」

セーラ「どういうことや!明日の試合で俺に勝つ自信が無いからこんなこと計画したんか!?」

照「江口さんを嫁にとれば…大名家が後ろ盾になる…だからなんとしても…縁談を成立させようとしてこんなまねを」ハァハァ

鈴木「どこで知ったかは知らんが、お前には何も関係ない事だ」

照「私は麻雀が好きだから…こんなことは絶対に許さない」ハァハァ

鈴木「……真剣勝負での痛みがつらいようだな。いま楽にしてやろう」

セーラ「待てや!俺が親父にこの事言うたらどうなるかは分かるやろ!!」

鈴木「まさかなんの対策もしてないとでも。こいつを始末したらあなたにも痛い目に合ってもらいますよ」

セーラ「対策済みっちゅう訳か…」

鈴木「ふっ」ニヤリ

照「残念だけどあなたの思うようにはならない」

鈴木「なんだと」

まこ「そこまでじゃ観念して大人しくせえ!」

まこ「大丈夫ですか?」

照「なんとか…」

鈴木「たった1人で何ができる!こっちは四人だぞ」

久「まだいるわよ」

美穂子「大人しく諦めてください」

照「福路さん!?」

美穂子「悪事を阻止するために個人的に来ちゃいました」

セーラ「ちょうど四対四になったようやな」

久「あら、あなたは戦えるの?」

セーラ「麻雀だけやなく剣の腕前も一級品やで」

照「お奉行の福路さんはともかく竹井さんは大丈夫なの?」

まこ「昔、剣術を習っとったらしいから大丈夫じゃろ」

「ぐわぁ…」
「うっ…」
鈴木「がっ…」
「ぐえ…」

セーラ「なんや楽勝やったな」

美穂子「腕は衰えてないみたいですね」

久「まあね」

まこ「まさか縁談をまとめるために相手を襲うとはのう」

久「誰かさんが自分に勝ったら縁談を受けるって言ったせいなんでしょ?」

セーラ「まさかこんな事をして来るとは思わんかったわ」

美穂子「宮永さんを襲った訳だし、お縄にしても問題なさそうね」

まこ「復讐を企てるかもしれんからそれが良いですね」

セーラ「首謀者との関係は分からんように手は打ってあるらしいからなんも分からんやろうけどな」

久「それなら詮議はあっさり終わるんだろうけど、首謀者があぶり出せないのは面白くないわね」

照「私は咲が心配してるから早く帰りたい」

美穂子「この人たちは私と染谷さんに任せて皆さんは帰って大丈夫ですよ」

セーラ「ほな俺も帰るわ。宮永気ぃ付けて帰れよ」

照「そっちもね」

照「ただいま」

咲「お姉ちゃん!」バッ

照「ちょっ!咲、そんなに勢いよく飛びつかれたら」バタッ

咲「あいたたた…お姉ちゃん大丈夫?」

照「咲…重い…」

咲「おっ重くないよ!だいたいお姉ちゃんが簡単に倒れすぎなんだよ」

照「ごめんね。真剣勝負でちょっとやられたから…」

咲「お姉ちゃんがこんなになるほど強かったの!?」

照「相手の体を気遣って打ったせいもあるけど、それを差し引いても強かったよ」

咲「そうなんだ」

照「とりあえず今日はもう寝たい」

咲「そうだね…疲れてるめんね。おやすみお姉ちゃん」

照「うん、おやすみ」

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