禁書多数決安価SS 「今日は平日」 (390)

※最初は鬱展開なので要注意


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1386028904

――12月24日(火) 17時

上条「たっだいまー……って、誰も居ないんだっけか」

上条「うんまぁ別に?今日はね、ただの平日だからね。全然全然?」

上条「ただの連休明けの平日だし……うん」

上条「……」

ピッ

テレビ『――はい!ここ赤坂ではイルミネーションが煌びやかに彩られて綺麗ですねーっ!』

上条 .イラッ

テレビ『見てくださいよっ!こんなにカップルが――』

上条 ピッ

テレビ『――私達は今お台場フジテレビ「嫌なら見るな、by岡村隆史」に来ていますよーっ!』

テレビ『ほーら周りには韓流、そしてカップルがたーくさんっ!ホラ韓流が大ブームでっ!』

テレビ『ステージではフジテレビの子会社のポニーキャニオンと提携している韓流アイドルがーーっ!ステマじゃないですよーっ!』

テレビ『ステマじゃないですから、スポンサー凸は止めてくださ――』

上条 ピッ

テレビ『――今ですねー、丁度汐留の――』

上条 ピッ

テレビ『――テレ朝のイルミ――』

上条 ピッ

テレビ『――クリスマスには――』

上条 ピッ

シーン……

上条「……良し!何も見なかった!今日は平日!特に何もないんだよねっ!」

上条「よーしじゃあカーテン閉めてー」 シャーッ

上条「カップメンにお湯入れてー」 トクトクトクトク

上条「テレビは――うん、桃鉄の99年プレイにしてっと!」

上条「これで完璧だ!平日を過ごすのに相応し――」

PiPiPi、PiPiPi……

上条「誰……?――『もしもし?』」

土御門『あー、オレオレ。カミやんちょっといいかにゃー?』

上条「『いいけど、何だよ?』」

土御門『今、どこにいる?もしかして家?』

上条「『そう、だけど。それが』」

土御門『なんか、もしかしたら家のコタツ入れっぱなしになってんじゃないか、って舞夏が心配してんだけど、ちょっと見てくれない?』

上条「『おけ。鍵は?』」

土御門『カミやんちのテレビの下』」

上条「『おー、あったあった――って待てよ?人んちに何置いてんだ』」

土御門『緊急時に使うかと思ってー。いいじゃん別に、大した手間じゃないだろうし』

上条「『いいけどさぁ』」

土御門『どうせ誰か連れ込んでんでしょ?声聞かれたらマズいと思って、オレらも気を遣って外出てるんだし』

上条「『お、おぅっ?そう、だねっ!』」

土御門『で、結局誰にしたんだにゃー?カミやんならよりどりみど――痛い痛い!?違うって!?そういうんじゃないって!』

上条「『……』」

土御門『いや、これカミやんが――言うの?マジで?えーっ?』

土御門『うん……オレは……してるって』

上条「『……』」

土御門『――カミやん?ごめんごめん、ちょっと電波が遠くなったみたいで』

上条「『……そうだね、遠いよね、心の距離とかがね』」

土御門『じゃ悪いんだけど、コタツだけ切ってて貰えるかな?ごめんな?必ずこの埋め合わせは――』」

土御門『あ、じゃあさ。今っから二人で来るか?一緒の席でいいんなら、場所は――』

上条「『おい、いいって大丈夫!大丈夫だから、つーか妹さんに悪すぎるだろ!』」

土御門『……そう?悪いな、ホントに』

上条「『気ぃ遣わなくたっていいって!俺は、ホラ一人で――もとい、大丈夫だから!』」

上条「『だからお前は楽しんで来いよ、なっ?』」

土御門『……ありがとうな。カミやん。それじゃまた』

上条「『おうっ!楽しんで来いよ』」 ピッ

上条「鍵……これだよな」 ガチャッ

パタン

……

上条「お邪魔しまーす……あ」

上条「赤外線の光漏れてる……良かった、気づいて」

上条「下アルミだし、大した事にはなんなかったと思うけど」 カチッ

上条「……良しと。あ、ついでにガスの元栓」

上条「……おっけ、と」

……

上条「たっだいまー……うん」

上条「おかえりー……」

上条「……」

上条「何しようとしてたんだっけ……?」

上条「あぁ!カップラーメン!生タイプの高いヤツ買ったんだった!」

上条「これがね、もう前っから楽しみで」 ペリペリ

上条「今日は別に平日だけど、奮発して――」 ズルズル

上条「……」

上条「……伸びてるよね、そりゃ」

上条 ズルズル

上条「……美味しいなぁ、これ」

上条「豚骨スープに似た何かの絶妙なダシ!そしてチャーシューに似た肉っぽい何か!」

上条「いくらお湯を入れてもパサパサしてるネギっぽい何か!」

上条「そのハーモニーがね、また」

上条 ズルズル

上条「……ごちそうさまでした」

上条「えっと……桃鉄……いっか、別に」 ピッ

上条「何かもう、寝よう。うん」

上条「明日は!明日は何か、良い事が起きそうな気がするし!」

上条「そうだなぁ、そうだよ!不幸と幸運の量って決まってるんだったよな?」

上条「だったらきっと、明日は――」

上条「……」

――夢の中

佐天「ちゃんらーーーーーーーーーーーーーーーんっ!」

佐天「初めましての方には初めましてっ!二度目のあなたにはどーもですっ!」

佐天「みんなのアイドル、佐天涙子ですっ!」

上条「……はぁ」

佐天「最初から溜息って!?」

上条「……だって夢じゃん、これ?違うの?夢じゃないの?」

佐天「そりゃまぁはい、夢ですけど」

上条「……ごめん今、俺メンタル的に一杯一杯なんだ。遊ぶんだったら、他行ってくれないかな?」

佐天「ちょ!?待って下さい!最後まで話は聞きましょう、ねっ?」

上条「……あのさぁ、夢って事は、佐天さんは俺の妄想だって事なんだよね?」

佐天「うーん、どうでしょうねー?そこら辺は、なぁなぁで済ませとけって指示が」

上条「少し冷静になって考えてみようか?俺ら、基本そんなに接点は無いじゃない?」

上条「俺から見て知り合いの友達だし、そっちからは友達の知り合いじゃない?」

佐天「いやぁ、御坂さんの『知り合い』って括りはちょっと。ご本人聞いたら泣くと思いますよ?」

上条「そんな顔見知り程度の相手をだよ?よりにもよってクリスマス――じゃなかった、えっと何て事無い平日の夜に夢見るって」

上条「俺どんだけ追い詰められてるの、って思うじゃない?」

佐天「でも夢なんてそんなもんじゃないですかねぇ?割と脈絡無いのとか来ますよ?」

佐天「ほら、あたしが変形ロボに乗って戦ったりとか!」

上条「よせ。遠回しに明貴先生の無駄遣いとか言うんじゃない!」

上条「つーか向こうは御大なんだぞ!?普通はあの人がデザインした機体は主人公か赤いのが乗って戦うんだからなっ!?」

上条「それをまた……なんつーか、ゴミみたいにぶっ壊して何やってんの?」

佐天「いやぁ、あたしに言われましてもね。はい」

上条「……あぁごめん。もしかして俺がそれ言いたかっただけかも知れない」

佐天「いやいやっ、そうじゃないんですってば。今回の企画は違うんですって」

佐天「クリスマスの妖精的なアレらしいですよー――って壁に頭打ち付けちゃダメですってば!」

上条「あぁ……俺はなんで年下の子に無理矢理慰められてるんだろう」

佐天「いやいやっですからっ違いますってば!そう言う企画じゃないんですって!」

佐天「アレです!そう、人気投票!」

上条「公式でやってなかったっけ?つーかあれ誰に決まったの?」

佐天「あー、いやそう言うのではなく、なんて言うんでしょうね、こうファン感謝デー、みたいな?」

佐天「今まで色々やってきたじゃないですか?『アイテム』に入って四人斬りしたり」

佐天「深夜テレビのカメラマンやって、中学生に手を出したりとか」

佐天「ロリ系シスターさんとついに一線を越えちゃったり」

佐天「最近では魔術結社のボス(ロリ)や改造人間(ペド)、魔術師(アラサー)を落としたりとか?」


※参考資料

上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」
上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1364862586/)

佐天「佐天さんの学園都市七大不思議探訪っ!はっじっまっるっよーーー!」
佐天「佐天さんの学園都市七大不思議探訪っ!はっじっまっるっよーーー!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367376694/)

とある魔術の禁書目録SS 幻想魔笛 『帰らず村』
とある魔術の禁書目録SS 幻想魔笛 『帰らず村』 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373334420/)

インデックス「この向日葵を、あなたに」
インデックス「この向日葵を、あなたに」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1375930011/)

バードウェイ「ようこそ、『明け色の陽射し』へ」 ~断章のアルカナ~
バードウェイ「ようこそ、『明け色の陽射し』へ」 ~断章のアルカナ~ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1378160982/)

佐天「フィクションですっ☆」 (横ピース)

上条「うわ殴りてぇ……ん?」

佐天「でもってまぁ色々な女の子を手込め――じゃなかった、寝取る?」

上条「俺最悪ですねっ!……死のう」

佐天「あーっ待って待って!今のは言葉のあやで、ガスホースくわえるのは止めてください!」

上条「ちなみに今の都市ガスには一酸化炭素が入ってないから、自殺出来ないんだぜ☆……で?」

佐天「まぁなんだかんだ言って、二・三人ぐらいは喜んで下さる方もいるようですし、お返ししたいなぁって」

上条「……それと何の関係が?」

佐天「ですから『人気投票をして最多得票者一名と過ごすクリスマス!』って事になります」

佐天「ある意味アフターのアフター的な展開になる感じかな?えぇ」

佐天「あ、ただし『過去口説いた事がある娘だけ』に限られますよー?間違って他の娘さん選んでもノーカウントなのでご注意下さい」

上条「口説いたって人聞き悪ぃよな」

佐天「後からもまとめますけど、具体的には麦野さん、絹旗さん、滝壺さん」

上条「フレンダは?残念な子は入れてあげないの――ってか、この下りなんか超懐かしい!」

佐天「フレンダさんですね。あとはあたし――佐天涙子、インデックスさんの中編二人組」

上条「あの長さで『中編』なのか」

佐天「でもってバードウェイさん、円周ちゃん、シェリーさんの計9人となっております」

上条「残念な子は?」

佐天「食蜂さんと五和さんは対象外です。今回はご縁がなかったと言う事で」

上条「食蜂さんは、まぁコンセプトが人様の小説のパクリ――ってか、それ言ったら全部が全部そうだけどさ」

佐天「五和さんは『作者が納得してない』上、後日天草式で長編書く『かもしれない』ので除外だそうです。はい」

上条「『アイテム』とか、『全員』ってのは?」

佐天「おっと来ましたねー超肉食系!流石は人妻と出産前の子を墜としただけの事はありますっ」

上条「説得しただけでしょうが!?アレは関係ないし!」

佐天「その調子で魔神さんも行ってくれれば――あぁ違いますね、えっと」

佐天「そうそう、複数形はダメです。ってのも今回はもう一つ裏がありまして」

佐天「『個人的にどの話が好きだったか?』を知りたいんだそうで」

上条「うん?どういう事?」

佐天「例えば『アイテム』の絹旗さん、原作では絶対にあんな事はしませんよね?」

上条「浜面が上手くやればもしかして、とは思うけど。今っからじゃくっつくのはまず無いだろ」

佐天「あくまでも>>1が書いた話、その中でどのヒロインが上手く書けていたか、ってのも知りたいんだそうです」

上条「ぶっちゃけ原作ありきの盗作だよね、法的には」

佐天「あーいやいや、オリジナル作る時の参考にしたいので、そこをなんとかお願いしたいと」

佐天「でもまぁそんなに深く考えなくても、好きなヒロインに投票するだけでもいいと思いますよー、ねっ」

上条「で、投票はいいんだけど、その後どうするの?」

佐天「そりゃもう決まってるじゃないですかぁっ!ってか言わせるんですか、このっ『幻想殺し』っ!」

上条「ついに俺の能力がセクハラと同義語にまでなっちまったかぁ……」

佐天「そりゃもうクリスマスですよ?二人でグダグダするに決まってますってば」

上条「出来ればラブラブしたかったけどなー、うん」

佐天「あー、じゃちょっと見てみます?」

上条「え、出来るの!?」

佐天「特別ですよー?本当はフライングだから、良くないんですけど。サンプル版的な感じで」

上条「誰?俺の知ってる人?」

佐天「それは見てのお楽しみって事で――ではではっ!」

――自室

ピンポーン

上条「……」

上条「……あれ、俺寝ちまって……?」

ピンポーン

上条「佐天さん……いや、夢だよな」

ピポピポピンポーンッ

上条「分かってるよ!ちょっと待てって!」

ガチャッ

浜面「おいっすー」

上条「HAMADURA?」

浜面「惜しいな!それ多分俺じゃねぇ!――って、大丈夫?誰か来てる?」

上条「いや、居ないけど……」

浜面「カップラーメン一人で食ってるって事は、この後の用事もないっぽいな。よしよし」

浜面「あーじゃお邪魔しまーすっ」

上条「待て待て!お前勝手に何やってんだ!?」

浜面「いやぁ?アレだよ、あれ。クリスマスにぼっちで寂しくてさぁ?」

浜面「もしかして大将、フラグ立て忘れて暇してねーかなって」

上条「いや、そりゃ俺もぼっちだけどさ」

上条「大体お前滝壺さんや麦野さん達はどうしたんだよ?彼女持ちが一人ってケンカでもしたのか?」

浜面「説明するけど、寒い。中入って良い?」

上条「ん、いいけど」

……

上条「お茶どぞー」

浜面「あざっす――で、ケンカしたって訳じゃなくだな、意見の相違的な?」

上条「つーか彼女持ちが初めてのクリスマスなのに、どんだけなんだよ」

浜面「ほら、クリスマスとかってその家によってお祝いの仕方が違うじゃんか?」

上条「……そう、か?ケーキ食ってプレゼントして終りじゃねぇの?」

浜面「いやいや浜面家にはしきたりみたいなのがあってだな」

上条「へー?そうなんだ」

浜面「『神聖なクリスマスの日には、バニーさんの格好で厳かに迎える』って風習がね?」

上条「100%嘘じゃん!?それ何が何でも滝壺さんにコスプレさせたいって魂胆がただ漏れじゃねぇか!」

浜面「チクショウっ!完璧な作戦だったのに!あん時麦野が邪魔しなきゃ今頃はっ!?」

上条「いやどーだろうなぁ?意外と汲んでくれたかも知れないけどさ」

浜面「――で、俺が予約していたホテルとアミューズメントパークのチケットかっさらって、四人で今頃楽しんでるんだよ」

上条「……それさぁ、途中から彼女さんだけ戻ってくるってオチじゃないの?」

浜面「うん、実は俺も期待してたんだけど、見てみ?」 ピッ

上条「千葉県の某東京アトラクション……フレメア、ネズミ耳つけてんな」

浜面「この時間だとどうやったって戻って来れねえんだよっ!なあっ!?」

上条「落ち着け、興奮すんな。つかメールの履歴……30分前か」

上条「そっからタクシー乗っても、余裕で明日の朝ぐらいにはなっちまうよなぁ」

浜面「なんか最近ちょいギスギスしてたみてーだし、こういうのも悪くないと思うけどさっ!」

浜面「今日でなくたって良いじゃああぁんっ!?もしかして大人の階段登っちゃうかも、って思ってたのにぃ!」

上条「知り合いの生々しい話聞きたくねぇよ。つーかまだだったのかよ」

浜面「だ、だって滝壺の嫌がる事はしたくないじゃんか!」

上条「……まぁ、気を遣って遣いすぎるって事はないけどさ」

浜面「だから、だからっ俺はバニーガールを着せてだな!」

上条「気の遣い方が斜め上過ぎる。アナキ○がフォースの暗黒面に堕ちたレベルで、お前は勘違いしている」

浜面「ってかあれもうちょっと周囲がしっかりしてれば、止められたよね?」

上条「リメイク出るって言うから期待してってけど」

浜面「……まぁ、そんな感じ。つーか大将一人なん?そっちの方が不思議って言うか」

上条「……現実が全てだしなぁ、うん」

浜面「だからパーティバレルとホモ弁のオードブル奮発してきたんだけど、迷惑だった?邪魔なら帰るけど」

上条「あ、いやそんな事はないさ。ぼっちで寂しかったし、有り難いよ」

浜面「そっか、良かったー。んじゃ食おうぜ」

上条「おー」

……

上条「――あー、負けた!くそっ」

浜面「意外と格闘ゲームは強かったり」

上条「ルガールなら誰だって勝てるじゃないっ!ジェノサイドカッで7割持ってくし!」

浜面「真剣で私に恋しなさ○に出てなかったか?」

上条「あの人は……うん、面白いんだけど、パクリとネタの境が曖昧すぎてちょっと」

浜面「俺、『オリキャラですけど何か?』って顔してるのが、割と嫌い。つーかネテロ会長とか、執事のじーさんとかどうなの?」

上条「その内、俺らの誰かも行くんじゃねぇかなって思うけど。白くて反射能力持った人とか」

浜面「中の人おかもっさんで出そうだよな」

上条「ってかそろそろ寝なくて大丈夫か?明日も平日だけど」

浜面「俺らはまぁガッコ行ってる訳じゃねぇし」

上条「ってかよくよく考えたら、お前ら平日なのに泊まりで遊びに行くつもりだったんだよな」

浜面「じゃなきゃ予約取れないって。土日に殺到するだろうし――てか、毛布かなんかねぇの?」

上条「お前はベッド使ってくれよ。俺は雑魚寝すっからさ」

浜面「え、逆じゃねぇの?」

上条「いやいや、いつもそうしてるし?」

浜面「いつもって……いや別に一緒でいいんじゃね?エロい事なんてしないって」

上条「……そう、か?だったら」 モゾモゾ

浜面「あ、それじゃ電気――」 ピッ

上条「あ、んじゃ……うん」 モゾモゾ

浜面「やっぱ狭いな――って大将?」

上条「うん?」

浜面「なんか予想以上に近いっていうか、こう、あれたよ」

浜面「上条さんの下条さん的なものが、当たってるっていうかだな」

上条「何?はっきり言えよ」

浜面「いやいや、つーかお前これ――」

浜面「なんで臨戦態勢になってるの?」

上条「――なぁ、浜面?」

浜面「な、なに?」

上条「お前って――意外と肌綺麗なのな?」

浜面「い、いやいやいやいやっ!」

浜面「っていうかイヤァァァァァァァァァァァァァッ!?」

浜面「マジでかっ!?おいちょ、ちょっと待て――」

浜面「俺は男だっ――」

上条さんの下条さん「だがしかし、俺は――」

上条さんの下条さん「その幻想をぶっ殺す!」

浜面「幻想じゃねぇよ!?リアルでオスなんだよっ!」

上条「呑み込んで――俺の『幻想殺し』!!!」

浜面「アッ――――――――――――┌(┌^o^)┐―――――――――――――!?」

――東京某所 グレムリンとの決戦

上条「もう――ダメなんだ!俺の『右手』じゃ、『右手』だけじゃどうやったって限界がある!」

上条「だから頼むよ!お前の力を俺に貸してくれ!」

御坂「任せて」

インデックス「任せて」

浜面「任せろ!」

御坂「……えっと?今一人分余計なのか……?」

インデックス「あ、あれ?なんかおかしい、かも」

上条「……有り難う浜面、恩に着る」

浜面「よせやい大将。水臭いこたぁ言いこなしだぜ?」

浜面「俺は、俺がしたいにようにやってるだけだ。つーかもう帰れっつったって、帰りゃしねぇよ」

上条「お前はホントに……」

浜面「気にするな、相棒。俺が死ぬ時はお前が死ぬ時、そしてお前が生きるのは俺の側だって誓ったじゃねぇか」

上条「……どーにも恥ずかしいよな。それ」

御坂「ま、任せて!」

インデックス「そ、そうなんだよ!」

上条「うん、頑張れば?」

御坂「……」

インデックス「……」

上条「……」

御坂「待って?ねぇちょっと待とうか?その反応おかしくないかな?」

インデックス「なんか、金髪ととうまが妙に近いっていうか?」

上条「よし!お前達はここで俺達の退路を確保してくれ!」

御坂「それ映画でよくある『お前ら邪魔だからさっさとハケろ』って意味よね?」

インデックス「フラグなんだよ、悪い意味でもっ!」

上条「お前らもう帰れよ?なっ?」

御坂「なんだこの扱いっ!?どんだけなのよっ!散々人を巻き込んでおいて――」

御坂「――死ね」

ドォォォォォォォォンッ!!!」

浜面「危ないっ!大将っ!?」

上条「HAAAAMAAAAADUUUUUURAAAAAAAっ!?」

インデックス「凄い巻き舌だけど、とうまそれネタでやってるようにしか聞こえないかも」

浜面「け、ケガはねぇか?」

上条「浜面、浜面っ!?おい、おいっ!」

浜面「……あぁ大丈夫みてぇだなぁ。よかっ――げふっ!?」

上条「クソっ!?どうしてこんなっ、浜面が一体何をしたって言うんだよ!?」

浜面「……おいおい、やめろよ大将。こいつぁ、きっと罰なんだ」

浜面「俺達ぁ色んな人を裏切った、だろ?だからきっと」

上条「裏切って……そんな訳があるかっ!?好きな相手を!大切な相手を求めて何が悪いんだよっ!?」

浜面「……いやぁ、分かってたろ。全部、クリスマスのあの日、俺達が惹かれ合った時」

浜面「俺達は、もう」

上条「……」

浜面「……ぁぁ、そんな顔はよしてくれよ。俺ぁ大将の笑った顔が――」

浜面「……」

上条「はま、づら……?HAMADURAAAAAAAAAAAAAっ!?」

御坂「いや別に叫ぶ時も『浜面』で良くない?なんで横文字っぽくするの?」

インデックス「っていうか浜面の『ZURA』であって、『DURA』じゃないのかも」

上条「……ちきしょうっ!俺は、俺はっ!愛した人すら守れないっていうのかよ!?」

上条「俺達が何したっていうんだよ!?どうして世界は放っておいてくれないんだ!?」

上条「浜面、あぁ、浜面――」

上条「――お前の居ない世界なんて――」

上条「――もう、要らねぇんだよ!!!」

――夢の中

佐天「って感じで」

上条「長っ!?つーか浜面ってどういう事!?候補にいなかったじゃん!?」

佐天「何ともまぁ切ないお話でしたよねぇ。えぇえぇ」

上条「ってかさヤロー同士で集まったって、別に愛は生まれないからな?言っとくけど」

上条「知り合いが男子校通ってたから言うけど、友達の田○君以外は同性から告白もされなかったからね?」

上条「君らだってそうでしょ?女の子同士で遊ぶけど、別に愛は育まれないよね?」

佐天「白井さんは違いますけど?」

上条「あの子は……うん、なんか、こう。設定で一番損してるんじゃないかな、って時々思うんだけどさ」

上条「もっとソフトにした方が、誰のためでもあるような、ないような」

上条「ってか狙ってない筈の君が、気がついたら白井さんや初春さんより、ずっと露出も人気もあるってんだし」

上条「『恋愛感情はないけど、公私ともに頼りになるバディ』的な路線の方が、きっとね。うん……まぁ今更どうしようもないんだけど」

佐天「ってまぁ大体こんな感じですかねぇ。例えが極端すぎでしたけど、ギャグメインのラブコメするって感じで」

佐天「でも基本>>1が書いた設定を引き継いで、という感じなので――例えばあたしだと、恋人になってから初めてのクリスマスみたいな?」

上条「……なんか別に無理矢理じゃなくても良くね。植物のように穏やかに生きていたい気もするんだ」

佐天「またまた吉良さんみたいなー。でもあれ『シンデレラ』の流れって強引すぎますよね?」

上条「荒木先生は天才だから良いんだよ!最近色んな所でイジられてるとやっぱり腹立つ!」

佐天「それじゃまぁそんな感じで宜しくですっ!取り敢えず『佐天さん』にしときゃ良いと思いますよー」

上条「アニメ・コミックスに続いてここでまでゴリ押しするの?人気があれば何やったって許されると思うなよ?」

佐天「いやぁゴーリキーさんと違って、薄い本でも大人気ですし?」

上条「あれもなぁ……ステマとか散々叩かれてるのに、女優さんのタレント生命削ってるようにしか見えないし」

上条「今で言うステマの先輩格、演技が下手な芸能人の中ですら、更に浮くぐらい下手な藤原紀香もCM出まくってたけど」

上条「身の丈に合わない仕事してたから、今じゃ反政府芸しか残ってないって言う」

佐天「それじゃ、そんな感じで宜しくおねがいしまーすっ」

-続-

>>1です。ぶっちゃけると多くのアンカーを頂いたキャラとのクリスマスSSを書きます
『レスではなくアンカー』です。なんかそっちの方が集計楽そうなので、はい
内容は私が以前に書かせて頂いたSSの続きとなるので、参加キャラは限定させて頂きます。具体的には

麦野沈利

絹旗最愛

フレンダ=セイヴェルン

滝壺理后

佐天涙子

インデックス

レイヴィニア=バードウェイ

木原円周

シェリー=クロムウェル

以上9名が候補です。以上の19-27に対し、

投票例)-
>>○○
麦野

と、出来れば投票したキャラの名前も書いて頂ければ間違いが無くて良いかと。違ってたら無効票で

投票方法は今から大体一週間、最もアンカーを頂いたキャラクターが自動的に決定となります。同数であれば『先にその数に達した』方です
出来れば一人一日一票ぐらいで宜しくお願いします。まぁそんなに居ないでしょうし

ではまぁそんな感じで宜しくお願い致します


余談ですが上×浜は大変上司(推敲頼んでいる人)に超好評でした。全身サボイボ出まくりでしたが
そして何が悲しいかってこれ、前半ほぼ実話って事かな。うん

>>19
麦野沈利さん!

ID:yGskI0Ae0みたいに多重投票されたらどうするの?

>>51
同じIDの場合は一回のみ有効で

つってもこれ以外に人気投票は出来ませんしね。何か「次回からこうやった方がいい」ってアイデアがあれば書き込んで頂けると嬉しいです

あとムキになって連投するほど、私の書くものは大層なものではありませんから。いやマジで

……てか今「そういや公式の人気投票どうなったんだっけ?」って見てきたら、一位が御坂さんで二位が火野ってどういう事?

現時刻を以て締め切りと致します。投票して下さった方には感謝を
一応先週の土曜には様子見に来ていたんですが、ボクシングの判定王者にような泥仕合っぷりに諦めました

ID変えて多重投票された方もいるとは思いますし、個人的には「そういうの」もまた匿名掲示板の楽しみ方だとは思います
ただまぁ「どう考えてもスレの無駄遣い」なので、程々に
つーか今後の参考にしようと傾向やら見てる方の実数知りたかったのが、無意味だったって事ですね (´・ω・`)

繰り返しますが、そんなに力入れる程大したもんじゃないですからね?褒めて下さったりご期待を頂けるのは非常に嬉しいんですが
やっている事は所詮デッドコピー。上っ面だけを似せたまがい物に過ぎません
つーか鎌池先生は似せようとすらしていません。『向日葵』とかでは吹寄さんのキャラが全崩壊してますし

来年はHPでも立ち上げて、そっちに過去作SSの加筆修正&ポチるカウンターでも載せようかと思います。その時までこういった投票は自粛する方向で
勿論アフィリエイト等広告は無……うん、まぁそこはそれ、来年車検ですし?柔軟に対応を検討するって事で。えぇ

ともあれ多重投票であろうが無かろうが、ご意見頂いた方にはもう一度深い感謝を
ただ今集計中なので暫くお待ち下さい。『明け色』の投下終わったら発表します

結果発表、アンカーだけ測りました。大体ですが、僅差ではなかったので割りと曖昧です

1位 118 麦野沈利
2位 094 バードウェイ
3位 033 佐天涙子
4位 004 フレンダ=セイヴェルン
5位 003 インデックス
7位 001 絹旗最愛・滝壺理后
8位 000 シェリー=クロムウェル

多重投票に関しては本家ですらあの有様ですので、正しいとも間違っているとも言えません
上条×麦野のクリスマスSSは24日前後に投下させて頂きたいと思います。それまでは雑談でもどうぞ。ただし荒れるの禁止
あと私に「○○の引き出し増やしたいんだけど、どうすれば?」的な質問あれば受け付けます

今ググってみたらFC2さんのブログでレンタル投票出来るそうなので、そっちで開くと思います



――『今日はクリスマス』

――駅前の喫茶店 回想

店員「いらっしゃいませーーっ!何名様ですかー?」

上条「あぁ連れがもう居ますんで」

店員「……ちっ」

上条「店員教育がなってねぇなこの店!?」

店員「毎日毎晩回転率落とされる身にもなってみろ、あぁ?」

上条「すいませんすいませんすいませんっ!」

店員「では、ご・ゆっ・く・り、どーぞ?」

上条「……はい」

絹旗「――てな訳であの時わたしは超思った訳ですよ、はい」

滝壺「うんうん」

絹旗「『ケミカロイドより「原子崩し」デッドコピーしてる方が超凄くないですか?』って」

上条「やめてあげて?開幕超必殺技は誰のためにもならないと思うんだ、きっと」

絹旗「てか『原子崩し』を搭載した多脚戦車を投入しておきながら、素人中学生二人の乗ったロボに負けるって、超どんだけだと」

絹旗「バトルテッ○じゃあるまいし、『デカい=超強い』って図式が成り立つ訳でもないでしょうに、はい」

絹旗「現実は兵士の携行武器、無反動砲数発も当てればチョバム着たエイブラムスでも超沈みます。攻撃力が超インフレ状態になっているのに」

絹旗「大体兵士なんかわざわざ超造らなくても、『暗部』に落ちてきた人間を再利用すれば良かったんですけどねー」

上条「絹旗さん、思考が悪くなってるよね?俺達は足洗った的な感じなんだけども」

絹旗「でも学園側としては『超電磁砲』と『原子崩し』、どっちの方が超有用ですかね?」

滝壺「……んー、電源が限られているんだったら、れーるがん、かな?」

滝壺「せんとうきとか、荷重制限が厳しそうなのには重宝しそう。爆薬積む必要がないから」

絹旗「麦野のアレは電力超食いしそうですしねー。マップ兵器として設置した方が超効率的でしょう」

上条「あんまり触れないであげて?割とあっちの世界は、うん、原作に反映しないって言うか」

絹旗「あの頃は……そうですね、あまり昔の事ばかり超振り返っても仕方がないですもんね」

滝壺 コクコク

上条「そうだね、だからこの話はここまでに――」

絹旗「あの時――超輝いてましたもんね、ヌレンダ」

上条「フレンダね?確かにキーボードの隣にあって、かな入力だと間違いやすいけど」

滝壺「あの後……まさか、あんな事態になるとは……!」

絹旗「滝壺さん……それは、今更言っても超仕方がないでしょう。あまり責めないでください」

滝壺「げっと……!」

上条「『けど』な?」

絹旗「『すねーくばいと!!!』」

上条「それゲットバッカー○な。後それ要は『凄い握力』って事ですよね」

上条「今読み返すと「蛇遣い座()」とかちょっと面白いけど」

フレンダ「あのー……?人がちょっとお花摘みに行ってるだけで、何か故人的な扱いになってんるんだけど?」

フレンダ「しかも滝壺の『けどっ!』からボケにボケを上乗せして、全然別の方向へ行っちゃってるんだけど、どう収集つける訳?」

絹旗「一度は第三位を超押していたのに……それがっ!」

フレンダ「いやぁ?まぁ結局あんなものかなー、っては最近じゃ思ってるけど。もっかいはやりたくない訳だし」

絹旗「薄い本では悉く第五位に出番を超取られる始末!」

上条「あー……」

フレンダ「……やめてくんない?それ本気で凹むから、いやホンットに」

滝壺「……ふれんだ、現実と戦わないと……!」

フレンダ「もうちょっとあったっていいじゃないっ!?頑張った!何か能力もあやふやなままで頑張ったのに!」

フレンダ「それがたまたまコミックスで第五位が活躍する前後だったってだけで、こうも出番が無くなるってナニよっ!?」

上条「まぁ落ち着けよ」

フレンダ「アンタだってそうでしょうが!海外のファンサイト見たら――」

フレンダ「" Who? " " Champion! " " Ohhh, The consent! "ってスルーされてたって訳だし!」

絹旗「『誰こいつ?』『あー、ほら「カンピオーネ!」の』『あぁ居た居た!』……超訳すればこんな感じで」

上条「……いや、確かにカブるけど。つーかそんなに知名度無いんかい、俺」

滝壺「れーるがんのすぴんおふがいんでっくす、って解説してあるさいとも……頑張れ、わたしはそんな二人を応援している」

フレンダ「滝壺……っ!」

滝壺「かも知れない運動―」

上条「だからあっちは無かったんだよ?誰も何も得をしないんだからね?」

絹旗「ってか超正直な所、『お泊まり佐天さん・Yシャツフィギュア』の宣伝を半年でかけてやっただけな気も」

上条「残念な子は……まぁ、アレだよ。グッズで稼いてくれるからいいじゃない、うん」

フレンダ「もしかしたらっ、もしかしたらあたしのフィギュアとか、エロ同人とか出まくるって期待してたのに……」

滝壺「……よしよし」 ナデナデ

絹旗「まぁまぁ終わっちゃった世界の事は超どうでもいいじゃないですか。それより上条、ちょっとお願いが」

上条「なに?あ、またレイトショー連れて行けって」

絹旗「超ですね」

上条「『そうですね』みたいに言わないの」

滝壺「びーきゅー映画?」

フレンダ「アンタも……まぁいいけど、今度はどんなラインナップな訳?」

絹旗「超知りたいですか?」

フレンダ「あ、店員さーんっ!サバパフェウィンタースペシャルひとーつっ!」

上条「口頭で注文するなって、呼び出すボタンあんだろ」

滝壺「ふれんだは……まぁ、仕方がない」

絹旗「……いえ、超興味ないのは分かりますけど、もうちょっと社交辞令的に付き合ってくれてもいいんじゃないですかね」

フレンダ「えぇー?いやだって絹旗の、ネタ抜きでB級よね?」

上条「何だろうな、こうこないだ付き合わされた時には『北野映画って実は面白かったんだ』って感じたし……」

絹旗「いやいや、流石にわたしも超反省しました。次のラインナップは超気に入って貰えますってば」

麦野「――それが怪しいんだけど、ねぇ?」

フレメア「にゃあ!」

上条「おつかれー。一緒だったんだ?」

麦野「白モヤシの彼女と仲良くケンカしてたんだけど、面倒だからかっ攫ってきたわ」

フレンダ「マジ?あのちっさい超電磁砲って、第一位とそうなの?」

上条「ネタだってば……ネタだよね、うん。そうに決まってる」

絹旗「いやぁどうでしょうね?超意外にアレがアレして嫁ポジにいる可能性も否定出来ないかと」

麦野「何にせよ当人同士の問題でしょうよ、っとまた映画の話してるの?」

滝壺「れいとしょー、どう?って」

フレメア「ホラーあるのっ!?あるんだったら私もー行きたいのだ!」

上条「いいんですかね、お姉さん」

フレンダ「この子ってば映画じゃなくてホラーゲームが好きな訳だし?あんま変な影響受けて欲しくないっていうか」

絹旗「あぁいえ問題ないと超思いますよ?私はホラーもイケる口ですけど、特に超おかしいって訳じゃないですし」

フレンダ「……ぇっ?」

絹旗「よっし表超出ろ淫乱ゴールド!」

麦野「いやいや今のはアンタが悪い。いや、悪くないけど」

上条「まぁ『変わり者』的なニュアンスだよね!?フレンダ!」

フレンダ「え?……あーあー、うん、そうそうっ!そんな感じで!」

絹旗「超納得行きませんが――いいでしょう!それではわたしがB級映画の良さをですね!」

フレメア「にゃあ、ごはんー」

麦野「サケ定食美味しいわよ?」

滝壺「いまは新蕎麦が通……!」

フレンダ「煮込みうどん風定職も……あれ?でも結局煮込んでないんだったら、煮込みうどんじゃない訳よね?」

絹旗「えっと……流石に超悪ノリしたのは謝りますけど、扱いがフレンダ並みに非道くないですかね?」

フレンダ「あたし並ってどういう訳よっ!?」

上条・麦野・絹旗「え?」

フレンダ「え?」

一同「……」

滝壺「……ふれんだ、ふれんだは疲れてる、うんきっとそうに違いない」

フレンダ「滝壺?何でそんなに優しいの?」

絹旗「――と、まぁ話が全然先に進まないので、レイトショーの内容を超公開します」

絹旗「これを聞けば『わぁい超行きたいです!』って、思うに違いありませんし」

麦野「やったら推してくるけど、まぁ、言うだけ言ってみ?」

絹旗「超見てくださいよ、このパンフ!どーしようもないB級カルト映画が超勢揃いなんですから!」

上条「目ぇ輝かせてる所は年相応なんだけど、発言内容はどうだろうな?」

フレメア「にゃあ?……『口裂け女2』?ゲームに出てたのだ!」

麦野「ホラー映画、よね?なんで2からなの?」

絹旗「1は結構面白いんですよ。だから敢えて超駄作の方をチョイスしたんでしょう」

上条「でも口裂け女っつったら、アレだよな?ハサミ持って『わたし、綺麗?』だよな?」

麦野「暗い夜道でテキトーに追い回す絵撮ってりゃ、それだけで尺稼げる的な」

フレンダ「結局そんなにつまんなくなる要素がない、って感じな訳だし?」

絹旗「いやいや2は超凄いんですよ。だって『口裂け女』最期の最期まで出て来ませんから」

上条「だったら何でそんなタイトルつけたっ!?」

絹旗「ビギニングみたいな超感じで、『口裂け女にはこんな悲しい過去から生まれました!』と」

上条「あー……あぁ?」

麦野「確か『13日の金曜日』も、第一作は正確な意味でジェイソンは出て来ないのよね?」

絹旗「中々通ですね、超麦野」

麦野「人を勝手にランクアップさせんなコラ。つーかアンタに付き合わされたんでしょうが」

上条「あー、昔っからそうなの?」

麦野「一年ぐらい前だけどね。結構仲間に依存するタイプ」

絹旗「でもまだまだこれは超序の口です、つーか超つかみですから。この後の『フライングシャーク』が超凄いんですよ!」

滝壺「とぶの?」

上条「そりゃそうだろ。『フライング』だけにこう、空飛ぶトレマー○みたいな……あ、続編では飛んだんだっけか」

フレンダ「そっかぁ……そう考えると逃げ場はない訳だし、結構怖い訳よねー」

絹旗「いえ作中一回、しかもジャンプしてるだけでした」

フレンダ「じゃあ何で『フライング』つけたのっ!?意味がっ!意味が分からない訳だけどっ!?」

絹旗「邦題が超それだって話です。えっと原題が――原題『Swamp Shark』」

麦野「沼鮫?全然違うじゃない、ってか地味よね」

絹旗「配給会社が『地味すぎる』と思って、そう名付けたんだと超思います。実際に内容も超地味でしたし」

絹旗「ちなみにわたしが調べた限りの超推論ですけど、サメが海水から淡水へいきなり移動した場合、まず窒息死します」

麦野「そうよね。淡水と海水じゃ植物プランクトンも量も違うだろうし、酸素濃度も一定じゃない」

絹旗「超続いて『Shark Attack』かな?そんなタイトルだった気がします。今から40年ぐらい前の映画だかビデオ映画です」

フレンダ「……鮫なの?」

絹旗「一言で言えば――サメ、出て来ません」

フレンダ「なんでつけた訳っ!?だからなんでっ!?」

絹旗「ジョーズばりに、というかジョーズをパクった映画なんですね。展開が超そのままです」

絹旗「最後は『サメじゃなくタコでしたー、超てへぺろー』と」

上条「……何でシャークつけたの?本気で意味分からないんだけど!」

絹旗「当時は超流行りでしたからねー。あぁオチをバラしますけど、最後は入り江みたいな所で、ボートの上から火炎放射器で超燃やします」

麦野「定番っちゃ定番よね、ゾンビ映画の。まぁオリジナリティはあるの、か?」

絹旗「『遊星からの物体X』、原題『The Thing』も火炎放射器で焼いていたので、まぁ超リスペクトしたんでしょう。それは置いときます」

絹旗「ですが超よく考えて下さい。ヤツ、というかタコは水面に顔を出しているんですよ?」

フレンダ「それが?倒すのには絶好のチャンスって訳よね!」

絹旗「潜れば火、超消えますよね?何故か超潜らないんですよ」

フレンダ「……突っ込んで良いのか分からない訳……」

絹旗「そして邦画からの堂々ランクインした『×ゲーム』!しかも1と2が連続上映と超プレミア!」

フレンダ「ばつげーむ?」

絹旗「一言で言えば『出演者が罰ゲームをさせられていると思っていたら、いつのまにか観客が罰ゲームになっていた』と言う超珠玉の一本です」

滝壺「過労死したぽるなれふ……」

絹旗「原作小説“は”超面白いです。先に読んでから映画を見ると、より超ガッカリ感が楽しめます仕様ですかね」

上条「楽しむのかよ、ガッカリを」

絹旗「ちなみに映画のキャッチが『これを観るのも“罰ゲーム”』なので、ある意味超正直だったと言えなくもないですか」

絹旗「他にも『Jack Frost』のような超バカ映画も並んでいます!これは超是非行かねばならないでしょう、えぇっ!」

麦野「せめてサイレントヒルみたいな名作挟みなさいよ。延々拷問受け続けるラインナップって」

上条「パンフレットの端っこに何か書いて……『※全部実在する映画です』か?見たいような、時間の無駄のような」

滝壺「続きが……『じゃっくふろすとはつべにあるから見とけ。見終わった後、時間の大切さを思い知るから』……うん?」

絹旗「それは超無駄に決まってるじゃないですか。何言ってるんです?」

上条「それを見に行こうっつー話をしてんじゃねぇのか!?」

絹旗「っていうか娯楽全般は時間の無駄を超楽しむのでは?」

麦野「まぁ否定はしないけど、私はパスね」

滝壺「おなじく」

フレンダ「あたしもちょっと」

フレメア「にゃあ?」

フレンダ「あんたもダメ。ってか小学生禁止って書いてある訳」

上条「それじゃ俺も――」

絹旗「超仕方がありません。それじゃ二人で行くしかないですね」

上条「あ、やっぱ俺に選択権は無いんだ?」

絹旗「麦野と滝壺さんがダメだと、引率出来るのは超一人だけになってしまいますから。ダメ、ですかね?」

上条「んー、まぁいいけど。いつ?」

絹旗「今度の24日です」

一同 ピキッ

上条「レイトショーって事は」

絹旗「日付超跨いじゃいますねー。まぁ終わった後はカラオケかファミレスでオールすれば超いいだけですし?」

絹旗「ってか超先約ありましたか?あれば流石に超遠慮しますけど」

滝壺「……きぬはた、悪魔のようなっ……!」

フレンダ「待ってよ!?いやだから、それは――」

麦野「きっぬっはったっ、ちゃぁぁぁぁぁああんっ?」

絹旗「おっとどうしましたか超麦野?別に先約があ――」 ガシイィッ

麦野「ちょっと、表出ようか?あぁ?」

絹旗「や、やだなー?超ジョークに決まってるじゃないか。あわよくば強引にルート変更とか、そーゆーのは全然全然、はい!」

絹旗「わたしはあくまでも、こう兄を慕う妹のような純粋な気持ちで」

フレンダ「あ、混沌バステで超つけるの忘れてるわけー」

絹旗「調子に乗んなよ淫乱?憶えとけコラ」

フレンダ「ゴールドはつけよ?身に覚えはないんだけど、せめてネタがネタだって事はハッキリさせようって訳ね?」

滝壺「『なまえをよんではいけないあのひと』みたいになるかも……?」

バタンッ

上条「……どったの、あれ?」

滝壺「あー……おんな同士の話し合い、的な?」

フレメア「にゃあ?」

フレンダ「もしかしたら、今日が絹旗を見た最後の日になるかも知れない訳かー」

ドォォォォォォンッ

上条「何か聞き覚えのある破壊音が、外から」

滝壺「そういえば……ほら、ふれんだ?」

フレンダ「うん?――あぁ、うんっ!そういえば、ねっ!アレって訳よね!」

フレメア「最近白いカブトムシさん、みないのだー」

フレンダ「そ、そうそうっ!どこへ行っちゃったのかしらねーっ!」

上条「白井は御坂の周りに居るんじゃ?」

滝壺「かみじょー、それしろい違い」

上条「黒子のバスケも犯人見つかって良かったよなぁ。つーか警察が尾行500kmすげーって思った」

フレンダ「まぁあたし達もある意味お隣さんだった訳だしねっ!枠的に!」

滝壺「できれば第三期も……あ、そうしたらふれんだとおわかれ」

フレンダ「言わないでっ!?考えないようにしてるんだから!」

上条「カペド虫は冬眠に入ったんじゃないかな?今頃は土の下で眠ってると思うぜ?」

フレメア「そっかー、大体春にならないと遊べないかー」

上条「……そうだな。生まれ変わったら、今度こそ祝福してやろう」

フレンダ「……つーか何でカブトムシ?他にも色々あったじゃない?」

滝壺「そもそも虫である必要性が……うん」

上条「というか幼女のオプションになってる時点でもう、って感じじゃあるけど」

麦野「――ただいまー」

上条「お帰りー。って絹旗は?」

麦野「なんか『バウムクーヘンの年輪を数えるのを超忘れてました』って」

フレンダ「……ねぇ麦野。もうちょっと、嘘吐くにしてもやり方ってのがある訳じゃ?」

上条「そっか。アレ何枚あるのか時々気になるよな」

滝壺「信じたっ……!?」

フレンダ「えっと、ごめんね。ちょっと良いかな?」

上条「はい?」

フレンダ「例えばの話、結局例えばの話なんだけど、上条が帰宅しました。すると玄関には返り血まみれの麦野と、瀕死の絹旗が居ます」

上条「なんだその状況」

フレンダ「さて、第一声は?」

上条「『ただいま』?」

フレンダ「……うん、ごめんね?やっぱりこう、麦野と付き合えるって時点で、色々と常人とは違う訳よね。結局分かってたけど」

麦野「人を勝手に犯罪者にしないでくれない?」

フレンダ「あっうんっ!違う違う!そう言うんじゃ無くって!」

麦野「実証出来なければ罪には問われないわよね、うんうん」

フレンダ「更にタチ悪いな!?結局自覚はある訳よね!」

上条「あー……なんか、和むな。こういうの」

滝壺「かみじょう、おつかれさま?」

上条「突っ込みが俺一人しか居なくてオーバーワーク的な世界とか、そんな夢を見たんだ」

滝壺「……まぁ、たにんずうの場合、突っ込み役をてきどに分担しといた方が、いい」

上条「ってかフレンダってボケ?ツッコミ?ただのイジられ役?」

滝壺「いじるのって基本ぼけ、だから、まぁそこを指摘するのはつっこみ……」

滝壺「けどてんねんだから、時々すごいぼけもするし……おいしいきゃら……!」 グッ!

上条「……まぁ愛されてるよな、みんなに。良くも悪くも」

麦野「よっしフレンダ?言いたい事があったらハッキリ言ってご覧なさいな?怒らないから、ね?」

フレンダ「いやぁ、むぎのんがそう言ってあたしが無事で済んだ試しがないって言う訳よ!」

麦野「私を信じて?最近随分安定してきたし」

フレンダ「そうかな?素人と比べるとまだ振れ幅が広い、って感じがするけど」

麦野「……さっさと言わねぇと潰すぞコラぁ?」

フレンダ「そーゆートコがっ!今っ、まさにっ、それがダメだって言ってんでしょーが!」

上条「おー、フレンダにしては割とまとも」

滝壺「……でもふれんだはふれんだ、だし」

麦野「……分かったわよ。それで?怒らないから、絶対に怒らないから言ってみ?」

フレンダ「麦野って結局、歳いくつな訳?」

麦野「――アンタの体に刻んでやろうくぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

滝壺「ね?」

上条「『ね』、じゃねぇ!?沈利止めるのお前も手伝えよっ!?」

滝壺「……あ、ふれめあ。ちょっとおみせ出よう」

フレメア「にゃあ?お姉ちゃんがピンチなのだ!」

滝壺「おいしいわっふるのお店を知っている」

フレメア「にゃあ!行くのだ!」

フレンダ「あいたたたたたたたたっ!?アイアンクローで頭がっ、割れるよーにっ!?」

麦野「脳漿をぶちまけなぁっ!」

上条「止めてあげて!?店内で殺人はイクナイっ!あと滝壺もこっそり逃げるな!」

上条「つーかフレンダの耳から出てはいけない何かが――」

――ある相談 学校の昼休み

上条「……むぅ」

青ピ「どーしたんだにゃー、カミやん。っんな不景気顔してー?」

上条「それ土御門の台詞。あれ?ヤツは?」

青ピ「弁当じゃ足りひん言うてパン買いに。ってメシに手もつけんと、どうかしたんかいいな?」

上条「あー……ちょっと悩んでてな」

青ピ「キタっ!キマシタワァァっ!イベントが!」

上条「人の悩みをネタ扱いすんな。こっちは本気で困ってんだよ」

青ピ「なんでそんな事いいますのんっ!?そんな、そんなっ水臭い事言わなくたっていいですやんかっ!?」

上条「お前時々アザゼルさ○入ってるからな?……相談しろ、って意味?」

青ピ「まぁまぁ解決出来るかどうかは別にして、言うだけ言ってみるのもいいんとちゃいます?」

上条「んじゃまぁ……実はな」

青ピ「ふんふん?」

上条「クリスマスの話なんだけど」

青ピ「死ねやリア獣、ちん○もげろ」

上条「掌返すの早すぎじゃねぇか!」

青ピ「ワイは最初からワイだけの味方じゃボケ!」

上条「お前もうあっちいけ、な?」

青ピ「まぁお約束は置いておくとして……あー、カミやん彼女出来たんやったっけ」

上条「あ、お前らには正式に紹介してないけどもさ」

青ピ「あぁ別に恥ずかしいんやろ?わかっとるわかっとる、そりゃ相手が常盤台のお嬢様じゃあなぁ」

上条「違うぞ?」

青ピ「あ、あぁそーなん?てっきり土御門がそれっぽい事言ってたから、てっきり」

青ピ「あぁんじゃ柵川中学の黒髪ストレートの」

上条「それも違う。つーか俺年上の管理さんっぽい人が好きだって言ってんだろ、なんで中学生だけなんだよ」

青ピ「あるぇ?」

土御門「あー、違う違う、ウチのねーちんがですねー」

上条「かんざきさんじゅうはっさいは関係ないでしょうが!こないだ一躍動画サイトにエンデュミオン・パトリオットが公開されて有名になったけど!」

青ピ「あー、ポニテの巨乳ちゃんな?あれって直ぐ削除されてたけど、手の込んだ合成だったやん」

土御門「そりゃ作りモンに決まってるぜぃ。普通の人間が、じゃなきゃ高位の能力者でもない限り、大気圏再突入したら死ぬぜよ」

土御門「ちなみにあの後『聖人レバーブロー』貰って、三日ぐらい流動食しか食べられなかったぜよ」

上条「ってかさ、あれ別に普段そのままの格好じゃなくたって、変装するとか考えはなかったの?ねぇ?」

上条「何かインタビュー見たら、『お祭り的な雰囲気で出せるキャラクターは全部出そう』……」

上条「天草式は?オリキャラで魔理沙とバカ作る暇があったら、出せばいいじゃない?」

上条「あそこら辺はまだ言う程仲良くなかったし、『敵対するかに見えて、実は鳴護の保護目的!』の伏線で一本書けるよね?違うかな?」

土御門「まぁまぁカミやん、マジツッコミはそのぐらいで。ステイルの弟子がどうなるのか楽しみにしてるんだし?」

上条「中途半端に参加したばかりに、日笠さん達はレギュラーから脱退……」

土御門「で、結局なにがどうしたんだにゅー?」

上条「デジ○になってる……あー、ほら、クリスマスじゃん?もう少しで」

青ピ「一発決めたいけど彼女のガードが堅くて難儀してますのん?」

上条「いやそーゆーのはちょっと。最初からある意味ノーガードで体力削ってた気がするし」

土御門「わりかし順調そうで何よりだけど、だったら何を悩んでるのかにゃー?」

上条「えっと、プレゼント、どうしようかなって」

土御門「あー……はいはい、分かった。確かにな」

青ピ「何言ってますのん?最近カミやんバイトも順調で、お金に困ってないって言うてましたやんか」

青ピ「てきとーにブランドもんでも買って上げれば、喜ぶとちゃいますの?」

上条「いや、それがな?相手は年上で、結構な金持ちなんだよ」

青ピ「あー、そりゃ困りますなぁ。何贈っても相手がもう持っとる、もしくは敬遠したブツって可能性か」

土御門「つーか第四位は……あぁ実家もそれっぽい話は聞いたっけか」

上条「俺だってさ頑張って……こないださぁ、彼女が着てるハーフコートみたいなの?を、調べたんだ」

上条「冬になってから買ってたし、気に入ってるブランドだったら、それのバッグとか買えば良いんじゃ?って思ってだ!」

青ピ「まぁまぁ妥当な判断やね。ボクもそうしますわ」

土御門「下手に買うよりは全然マシだけど……それで?」

上条「そしたら『セットアップのハウンズトゥース柄ジャケット』って答えがだね。お値段約30万」

青ピ「うわぁ……」

土御門「キッツイな」

上条「……そりゃまぁ確かに、アンチスキルの手伝いみたいなバイトをするようになってから、結構溜まったけどさ」

上条「一瞬で消し飛ぶような使い方、しかも喜んでくれる以前に下手すれば『持ってた』『趣味じゃない』的なのはちょっと……」

上条「ボカぁもうどうすればいいんですかねっ!?」

青ピ「落ち着けカミやん!パニクたってどうしようもないですやんっ!なぁっ!?」

土御門「あー……それじゃ、だ。値段は置いておこう、この際」

土御門「もっとピンポイントでクリティカルを狙おうぜぃ」

青ピ「と、言いますと?」

土御門「外して大ダメージを受けるんだったら、外さなきゃいい。違うか?」

上条「そ、そうだけどっ!俺はどうすればいいんだよっ!?」

土御門「それとなーく、何か欲しいものを聞き出したらどうかにゃー?ほら、共通の女友達に聞いて貰ったりとか?」

土御門「そうすれば……まぁ、その、そんなに無茶な事にはならないと思うぜぃ?あくまでも経験上の話だけど」

上条「信じて良いのかな?こないだクリスマスイブにレイトショー連れて行け、って言われた子なんだけど」

青ピ「それ浮気させる気満々――」

土御門「信じろカミやん!お前は仲間を、『アイテム』の仲間を信じるんじゃなかったのか!?」

土御門「ロシアまでフィアンマを殴りに行った、お前達の絆はそんなもんなのか……!?」

上条「土御門……」

青ピ「いや、よう分からんけど精神論で乗り切れるもんじゃないですやんか」

土御門「(いや、修羅場になった方が面白くね?)」

青ピ「流石やねっ!土御門センセの仰る事に間違いがある訳がないですわっ!」

上条「そ、そうかな?」

青ピ「カミやん思い出せ!我ら桃園で誓いを立てた身やんか!」

上条「したっけ?多分してない気がするんだけど」

青ピ「ボクがまた不良グルーブのヘッドやった頃、カミやんはその拳で更正させてよったの――あの時の話を!」

上条「お前」

青ピ「黄巾賊での懐かしい闘争の日々、思い出すわぁ……」

上条「都会って怖い所なんだなぁ」

土御門「いやまぁ都会にチンピラはいるけどさ、そういうのは基本暴力団がケツ持ってる準構成員な?」

土御門「実態は少年法で守られてる連中にパシリさせて、上がりを掠め取ってるだけで、バカどもが気づいてないだけだし」

上条「……そっか、そうだよねっ!友達を信じるのは大切だよねっ!」

青ピ「そうですやんっ!俺達の友情パワーで明日もホームランやねっ!」

土御門「創世合体!」

青ピ「GO!」

上条「アクエリオン!」

バカ×3 ガシッ!!!

姫神「……なんか。楽しそう」

吹寄「あ、ダメよ姫神さん。見るとバカが移るから」

上条「――んで、お前ら二人はクリスマスどうするんだ?」

青ピ「お、俺らの方はいいですやんか!なぁっ?」

青ピ「自分が幸せだからって、他を見下すような事はしたらあかんよ?いやホンマっに!」

土御門「あー、うんまぁ?そうだよね、あぁ」

上条「青いのは口調口調。あ、土御門は妹さんと遊びに行――」

土御門「おっとカミやんそろそろ授業が始まるぜぃ!急いで教室に戻らないとっ!」

上条「ここだよね?お前のクラスはずっとここだったよね?」

土御門「アッハハハハハハハハッ!俺ならそげん細かい事いうもんじゃないきに!」

土御門「もっとデッカイ視点をもっちょらんといかんぜよ!」

上条「お前もなんでキャラ変更してんの?仕様?」

土御門「じゃあワシはちぃとばかり用事があるけん、この辺で失礼するじゃがぁ!」

上条「どこ行くの?つーか小萌先生にこれ以上迷惑かけるな!」

青ピ「土御門先生は股間を媒介に性病の蔓延させるお仕事をしてるんや、ボンは邪魔したらあかんよ?」

土御門「アッハハハハハハ!ぶっ殺すぞテメー?」

――放課後

上条「……」

上条(仲間を信じろ、か……そっか、その通りだよな!)

上条(俺には大切な仲間達が!『アイテム』と培った絆があるんだ!)

上条(……なんか、強いられている気がしないでもない、けども!)

上条(さっさとその後バックれれば良かったのに、ズルズルと墓穴を掘り続けている……うん!)

上条「……」

上条(さて、沈利へのプレゼントなんだが、誰に聞き出して貰うかが問題だ)

上条(順当で考えれば滝壺……うん、何か、イメージがね?)

上条(麦野と仲は悪くないんだけど、あんま話してる感じはしないよなぁ)

上条(最近ちょっと仲良くなったらしくて、色々と滝壺の服を選んだりとかしてるみたい、ってのは微笑ましいけど)

上条「……」

上条(絹旗……なんだろうな、こう。そこはかとなく漠然とした不安を感じるんだが)

上条(沈利と一番仲が良いし、常識もきちんと持ってる……使うかどうかは別にして)

上条(良い子だよ?それは俺が保障するし、妹みたいに懐いてくれるのはくすぐったくもあり、またちょっと気恥ずかしいけど)

上条(……けど時々、猛禽類のような目で俺を見ているような……?)

上条(超ロングスパンで罠を仕掛けられている感じが、しないでもないって言うか)

上条「……」

上条(と、すると最後はフレンダ)

上条「……」

上条「……は、無いな。無い無い」

上条「……」

上条(かといって『アイテム』以外の人に聞き出せ、ってのは不自然極まりないし……うーん?)

上条(まぁ、そう考えると……だよなぁ) ピッ

――いつもの喫茶店前

着信音『ネガティブゼロ、ぱーらだいすー♪ゆーめーなんて、あーりえないー♪』

絹旗(おや?メールが) ピッ

――From 上条 『沈利にプレゼン』

絹旗(麦野にプレゼンして超どうするんでしょうか?エントリーシートの準備とか?)

――内容 『ト贈りたいんだけど、何が欲しいか聞き出しといてくれないかな?頼む!お礼は何でもするから!』

絹旗(……まぁ、超そんな所でしょうが。ってかもうすぐクリスマスなのに、まだ考えてるんですか)

絹旗「……」

絹旗「……展開次第では超潰せますよね、これ」

悪い絹旗『超どうしたんですか、ここは行くべきじゃないですか』

絹旗(いやぁ、ねぇ?それはちょっと仲間として超躊躇うって言うか)

悪い絹旗『そもそも麦野と付き合ったって、超釣り合わないですからお互い不幸になるだけですし』

悪い絹旗『だったらわたしが犠牲になってでも、二人の目を超覚まさせる的な。えぇ』

絹旗(……ですかね?)

悪い絹旗『なんか原作じゃ黒夜と超ニコイチですし、そろそろ弾けたって良いと思います』

絹旗(確かに最近のは超頂けないですよね。それは何となく分かってましたけど)

絹旗(それじゃまぁ遠慮無く) ピッ

――RE 『プレゼンの結果について』

――内容『』

絹旗「そうですね……『納豆の詰め合わせ』っと」 ピッ

良い絹旗『待って下さい、超待って下さい!』

絹旗(何かかなり超ゆっくり目に出て来たんですけど、どうしました今頃?)

悪い絹旗『ってか完全にメール送信する直前まで、超待ってたって感じじゃないですか』

良い絹旗『超ダメじゃないですか、仲間同士の幸せを裂くなんて超良くないですよね?』

絹旗(いやぁそうですかね?一般的に年下の方が好みな気がしないでもないですが?)

良い絹旗『だからそれを超決めるのはあなたではないでしょう?超考えてご覧なさい』

絹旗(まぁ……そう、ですけど)

良い絹旗『決して付き合っている二人を、意図的に裂いたってシコリが超残るじゃないですか?それは流石に超バッドです』

絹旗(です、ね)

良い絹旗『ですからここは「最善を尽くしたつもりだけど、結果的に超失敗してしまった」事にしましょう』

絹旗・悪い絹旗『……え?』

良い絹旗『ここは超敢えて、こう返信しましょう――』

良い絹旗『「好きな相手から貰った物であれば、それは何だって嬉しいじゃないですか?」』

良い絹旗『「だって――わたしが上条から貰えるんだったら、そうですし?」』

悪い絹旗『策士超キターーーーーーっ!?』

絹旗(超なるほど……それで?)

良い絹旗『そうして上条の絹旗好感度を超上げておいて、麦野にはさりげなくこう言っておくんです』

良い絹旗『「こういうプレゼントって相手の趣味とか超分かるじゃないですかー」』

良い絹旗『「だからこう、超変な物貰ったらショックっていうか、それが一生続くんですよねー」』

悪い絹旗『超すいません?良い絹旗ですよね、そっち?なんか生々しくて超嫌なんですけど』

良い絹旗『そしてクリスマス当日、恐らく上条の事だから赤べこかうまい棒みたいな、超理解に苦しむブツを持ってくるに決まってます!』

良い絹旗『そのセンスについて行けなくて、麦野に超フラられる上条――だがしかぁし!そこへ一部始終を超見ていた絹旗ちゃんが!』

絹旗「……わたしが!」

良い絹旗『麦野に踏みにじられて原形を保っていないプレゼントの泥を超払い、目尻に涙を浮かべながら、超言うんですよ!』

良い絹旗『「わたしは、上条から貰えるんだったらどんな物だって超大切にするのにっ!こんなの、こんなのって無いじゃないですか!」』

良い絹旗『「わたしじゃダメなんですか!?なんだってします!なんだって上条の言う事を超聞きますからっ!」』

良い絹旗『「だから――っ!」』

悪い絹旗『超半壊した赤べこ持って、それ言うんですか?』

良い絹旗『あとまぁ?ほら、一回体を重ねればきっと超ズルズルと籠絡できますって、えぇ』

良い絹旗『電光石火で超決めてしまえば、麦野の性格上よりを戻すのはプライドが邪魔して出来ませんから』

絹旗 ピッ

絹旗『――好・き・な・相手・から・貰った――』

悪い絹旗『え?超採用するんですか!?』

絹旗(いやぁ仕方がないなー、超仕方がないですねー)

絹旗(わたしは万全を超尽くしたのに、結果的にご破算してしまうのは仕方がないですよねっと)

絹旗「……って訳で、超送信――」

フレンダ「――そこまでって訳よ!」 ガシッ

滝壺「ひぎしゃ、かくほー」 ガシッ

絹旗「フレンダに滝壺さんっ!?どうしてここが、っていうか何でっ!?」

フレンダ「って言ってる間にも送ろうとしない!滝壺っ!」

滝壺「おっけー」

絹旗「やだ、イヤっ!?離して下さい――この、淫乱!」

フレンダ「ゴールドはつけよう、せめて?昨日も言ったけど、元々身に覚えが全然無いし?」

フレンダ「っていうか『ミサカ20000号=変態』みたいに、暇人の妄想からファンの間に広がったらどうしてくれる訳よ!?」

滝壺「――っと、でりー」 ピッ

絹旗「あ……って」

フレンダ「よーし大人しくする訳よ。つーか目立つから店ん中へ連行するし」

滝壺「きりきりあるこう、うん」

絹旗「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……」

――喫茶店 店内

絹旗「――って言うかですね。これはちょっと超酷くないですか?明らかにプライバシーの超侵害じゃないですか」

絹旗「大体わたしの携帯をどうやって――まさか滝壺さんの新しい能力、ですか?」

滝壺「ふっ……!」

フレンダ「って勝ち誇ってるけど、そんなんじゃないって訳だし。結局、ほら見て見て」 ピッ

絹旗「淫乱の携帯にも超同じメールが着て、る?」

フレンダ「やめてくんない?人の名前勝手に変えるのやめてくんない?」

滝壺「たぶん『あいてむ』ってカテゴリで、一斉送信」

絹旗「あー……はいはい、そういう。調理解しました」

絹旗「え、ではそれって超つまり?」

フレンダ「……どうしよっか、麦野」

絹旗「あー……それはまた超痛々しいじゃないですか」

滝壺「だからどうしようかって――あ、手遅れ」

絹旗「その心は?」

麦野「読んじまった後だからだよ、っと」

フレンダ「Oh……!」

絹旗「あっちゃー」

滝壺「おつかれー……あ、でも意外とへこんでないみたい?」

麦野「なんで凹むのよ?理由が無いじゃない」

麦野「『何やってんだこの天然』ってはちょっと思ったけど、まぁまぁそれだって、向こうは向こうで考えてくれてんだしね」

絹旗「あ、じゃこうしません?文面から超察するにわたし宛っぽいですから、わたし達が上手くやって麦野に着てた分は消してた、みたいな」

フレンダ「……ちょい前までカップルの間裂こうって顔してた訳だけど、この変わりようって」

絹旗「黙ってろ超淫乱」

フレンダ「確かに変えろとは言ったけどねっ!誰もアップグレードさせろなんつって無い訳だし!?」

滝壺「それで?むぎのは、なにかほしいのは、あるの?」

麦野「あー……正直、これっつって無いのよねー」

フレンダ「……けっ、これだから金持ちは!」

麦野「いやいやあんたらだってそうでしょうよ。好きな相手から贈られるんだったら、まぁ大概の物はアリじゃない、って――言わせんなよ!」

絹旗「……ちっ」

滝壺「……けっ」

フレンダ「ま、まぁまぁ穏便に、ね?結局なんだっていいって訳?」

麦野「マジ話――だけど、服を貰ったとするわね。あぁ、なんかバッグとかでも良いけど」

麦野「『やだーこれ前から欲しかったんだー!』って言うじゃない?」

絹旗「超言わないでしょう」

麦野「例えばだっつってんでしょうが――んで、まぁ奇跡的にも趣味の良い、結構良い感じのを貰ったとするわね」

麦野「でも、そんなに使い回さないわよね?現実問題」

絹旗「あー、流行り廃りも超ありますからね。個人差もあるでしょうけど、言う程長く使えませんから」

滝壺「そう、なの?」

麦野「ブランドっつっても、最近のは縫製がド下手くそなのよ。つーかブランド自体が世界に広まったって、結局職人は増えない訳でしょ」

麦野「そうすると二流、三流のアパレルが下請けで作るんだって。製造先も途上国に丸投げとかあるし」

絹旗「ですから『中途半端に型が古いの使ってれば、逆に超笑われかねない』ですか」

麦野「そこまでは言わないけど、まぁ消耗品じゃない?」

絹旗「あーそれ男女で意識が超分かれますよね。男の人ってブランド物とか、消耗品って考えてないのでは?」

麦野「かもなぁ?高い服だっつっても、それがずっと流行りな訳はないんだし?」

麦野「今の流行りの服を一年後に着て歩くのは、上下フライトスーツで出歩くみたいなものなのよねぇ」

滝壺「……?」

麦野「そういうのを気にする人間が居るって事よ」

フレンダ「……なんだろう、麦野がすっごい遠くの人に見える訳……」

麦野「んー、まぁ?私は別によ、同じの長く使うだって悪くは無いんだけど――それ、結局他の連中してみればアレって思われんのよ」

麦野「一緒に歩いてる連中を笑われないため、気ぃ張るって事もあるんだしね」

フレンダ「いやそれ考えすぎじゃ無いの?」

麦野「あんたも二十歳過ぎれば分かると思うわ。女なんてブランドか男かってぐらいにガッチガチに固めてるから」

滝壺「だから、そんな消耗品を買わせるのは気が引ける、と?」

麦野「そうそう。そんな下らない事にお金を使って欲しくないのよね」

絹旗「超大事にしてますねー。もっとドライな付き合い方だと思ってたんですが」

麦野「失礼ね!……死んどくか、あぁ?」

フレンダ「うん、麦野が変わってなくて嬉しい――かな?もうちょっと抑える努力はね?」

麦野「アタシだってなぁ、こう見えて色々とやってんだよ!似合ねぇって思われんだろうけど」

絹旗「あぁそれで最近微妙に超付き合いが悪いんですね。超把握しました」

フレンダ「なになに?何やってんの?」

滝壺「そりゃとうぜん」

麦野「ちょっと、言わないでよ!」

絹旗「素手でスキルアウトを圧倒する格闘力を超強化に決まってるじゃないですか」

麦野「ボケ振ってねぇだろ。ってかもっと他に発想あるでしょうが!」

絹旗「すいません、超興味ないのでその話は後で伺います」

麦野「……こんなキャラだっけか、この子?」

フレンダ「あたしもねー、何か絹旗の荒み具合がハンパ無いって思ってたんだけど」

滝壺「それで?むぎのはなにがほしいの?」

麦野「何だって良いわよ?」

絹旗「超面倒臭い――あ、じゃあじゃあ赤べこなんてどうですかね?結構可愛い系ですよ」

麦野「どの引き出しから持って来やがったんだよ、それ」

フレンダ「んー……だからってカミジョーに任せるのは一抹どころか、ものっそい不安が残る訳で」

滝壺「……はい……っ!」

絹旗「何か超やる気ですね滝壺さん、ではどうぞ?」

滝壺「『あんまりお金をかけて欲しくない』って、言えば?」

麦野「セミの抜け殻とか来たらどーすんのよ?」

フレンダ「いやいやいやいやっ!流石に幾ら何でもそれはっ無い訳だし!」

絹旗「セミはないでしょうけど……ピコーン!」

滝壺「あれ……?今悪い電波を受信したような……?」

フレンダ「発信源は特定済みよね、主にあたしの目の前」

絹旗「失敬な!わたしがそんな面白半分ネタ半分で提案する筈無いじゃないですか!?」

麦野「しむらー、超忘れてんぞー」

絹旗「超演技です!……ではなく、ですね」

絹旗「今一緒に暮らしているんでしたっけ?」

麦野「いやまだ――関係ねぇだろ、それ」

絹旗「『上条の家の鍵が欲しいな』とか?」

麦野「――オイ」

絹旗「あぁ超すいません麦野。これはですね、きっと第一位がベクトル操作で敵の魔術師が」

フレンダ「そんなにいるかな?魔術師と第一位」

麦野「それ、採用」

絹旗「えー……」

麦野「流石は『絹旗の能力が最強なのではなく、絹旗の持ってる能力だから最強なのだ』と言わしめた女よね!」

絹旗「意味が超分かりません。『JOJOのスタンドがラバーズだったとしても最強だよね』的な話でしょうか」

フレンダ「完璧に理解してると思うんだけど……」

滝壺「……いいけど、むぎのがいいんだったら」

麦野「……何よ?」

滝壺「同棲、だいじょうぶ?おたがいの嫌なところも見えるよ?」

麦野「……」

フレンダ「言うわよねー、それ。外面良くて遊ぶのも楽しくってー」

フレンダ「いざ一緒に暮らすようになったら、相手のアラも見え始めて、みたいなの」

フレンダ「――ハッ!?まさか絹旗――」

絹旗「わたしが、超何か?」 キリッ

フレンダ「ヤダ殺気!?」

麦野「……ウルセェなメスガキども」

絹旗「ありゃ、すいませんマジ凹みとは超思いませんでした」

滝壺「ごめんなさい」

麦野「あぁいや良いのよ?……なんつーかなぁ、面倒っていうか、うーん?」

フレンダ「相手が大事だと悩むって訳か――麦野の乙女っぽい所は可愛い訳だし?」

麦野「……ま、まぁまぁ?同棲ってのは、まだちょっと早いわよねっ!」

絹旗「急ぐようなもんでもありませんしね――って話がまた振り出しに戻ってしまいましたが」

フレンダ「――あ、それじゃさ。麦野はどうなの?どんなの贈るの?」

絹旗「あぁそれと被らないようにした方が超良いかもですね」

麦野「アタシは……ホラ!」

滝壺「……ん?」

麦野「……恥ずかしいから、内緒」

フレンダ「まーたまたっ!どうせアレよねっ、全裸にテープ巻いてこう言う訳よ!」

フレンダ「『プレゼントは――あ、た、しっ!』」

滝壺「『……ふれんだ……っ!』」

フレンダ「『当麻っ!』――って、あたし!?あたしなんでプレゼントになってる訳よ!?」

フレンダ「いざ一緒に暮らすようになったら、相手のアラも見え始めて、みたいなの」

フレンダ「――ハッ!?まさか絹旗――」

絹旗「わたしが、超何か?」 キリッ

フレンダ「ヤダ殺気!?」

麦野「……ウルセェなメスガキども」

絹旗「ありゃ、すいませんマジ凹みとは超思いませんでした」

滝壺「ごめんなさい」

麦野「あぁいや良いのよ?……なんつーかなぁ、面倒っていうか、うーん?」

フレンダ「相手が大事だと悩むって訳か――麦野の乙女っぽい所は可愛い訳だし?」

麦野「……ま、まぁまぁ?同棲ってのは、まだちょっと早いわよねっ!」

絹旗「急ぐようなもんでもありませんしね――って話がまた振り出しに戻ってしまいましたが」

フレンダ「――あ、それじゃさ。麦野はどうなの?どんなの贈るの?」

絹旗「あぁそれと被らないようにした方が超良いかもですね」

麦野「アタシは……ホラ!」

滝壺「……ん?」

麦野「……恥ずかしいから、内緒」

フレンダ「まーたまたっ!どうせアレよねっ、全裸にテープ巻いてこう言う訳よ!」

フレンダ「『プレゼントは――あ、た、しっ!』」

滝壺「『……ふれんだ……っ!』」

フレンダ「『当麻っ!』――って、あたし!?あたしなんでプレゼントになってる訳よ!?」

麦野「……へぇ、良い度胸してるじゃねぇか、あぁん!?」

フレンダ「ちょっ!?今のは明らかに滝壺が余計な一ボケ加えたんじゃないっ!?悪くないし!」

滝壺「いやぁ……」

フレンダ「褒めてないから!?折角レシピ通りに作ったのに完成前に台無しにしてるのと同じだし!」

麦野「いよーしっ、そんなに彼氏が欲しけりゃ全裸に剥いて男子校前にでも放置してやんよ。そうすりゃ大人気だろ、なぁ?」

フレンダ「む、麦野……?目が本気っぽくて、怖」

麦野「あ、一番近くの高校はっと」 ピッ

フレンダ「――あ、ごめんっ今日はちょっと用事がっ」 シュタッッ

麦野「逃がさねぇぞゴラアアアアアっ!」 ダッ

絹旗「あー……」

滝壺「……」

絹旗「超どうしましょうか、これ」

滝壺「んー……それじゃ」 カチカチカチ

絹旗「……まぁ、超無難ですかね。面白くはないですけど」

――RE 『プレゼンの結果について』

――内容『お金のあまりかからない物。服とかバックとかの消耗品はNG』

――放課後 マック

上条「土御えもーん助けてーーーっ!」

土御門「……どうした?また魔術師からちょっかいでもかけられたのか」

上条「い、今っメールが!」

青ピ「あぁ、お昼に言っとったプレゼント聞き出すヤツな。早いですやんか」

土御門「あー……」

青ピ「どら拝見っと――うっへー、こりゃまた」

土御門「気を遣われてるぜぃ、明らかに」

上条「……マジで?女ってお高いモンでも消耗品なの?」

青ピ「それこそ感性の違いとちゃいますか?こっちとしては『贈った物を大事に長く使って欲しい』って思っても、実際には早々、うん」

土御門「アパレルは流行り廃りがあるからな。特に拘る人は、な?」

上条「……なんか自信なくなってきた、あー……」

青ピ「まぁまぁカミやん!そんなに落ち込むことでもないですやんか!たかがプレゼントぐらいで!」

土御門「そうぜぃ!仮に失敗しても、挽回出来るって!」

青ピ「それあんまフォローになってしませんけども」

上条「……いや、なんだろな?それは分かってるんだけど、向こうは年上だろ?」

上条「だからこう、見合うだけの度量的なものは持たなきゃって思うんだよ」

青ピ「いやー、それ高校生がどうこうするって無理ですやんか。カミやんは多少予算に余裕があったとしても」

土御門「むしろそこら辺を気遣ってくれて、『安いので良いよ?』って言ってくれたと思うぜぃ?」

上条「……そっか。そう、かな?」

青ピ「ってかそういう包容力?みたいなん期待してたら、最初っから年上と付き合うんちゃいます?」

土御門「それも良い言い方じゃないけどにゃー。『頼れる年下』ってもありだと思うぜぃ」

上条「ちょっと話は変わるんだけどさ、マジ話しして良いか?」

青ピ「どーぞどーぞ。むしろカミやんの本音を待っとったわ」

土御門「今まではマジ話じゃなかったのにゃー?」

上条「方向性、あぁ話のベクトルはプレゼントの延長線上、って事なんだけど」

上条「正直、どこまで付き合ってる相手に合わせる必要があると思う?」

青ピ「どこまで、って何ぉん?」

土御門「生活スタイルか?」

上条「んー?何つったら良いんだろ、こう、うん、まぁ普通に喋るじゃんか?」

上条「そうするとホラ、向こうは服の話題とか振ってくるし、俺も知っておいた方が楽しいと思うんだけど」

上条「でもいざファッション誌買おうー、って立ち読みし始めたら、『あれ?なんか違くね?』って不安がだな」

青ピ「別に雑誌ぐらい良いんちゃいます?」

土御門「雑誌だけならな。他にも生活全般にまでって事だろ?」

青ピ「なんて?」

上条「相手の好みとか趣味もそうだけど……あー、例えばコーヒー好きだったとするじゃんか」

上条「でも相手は紅茶派で、それに合わせた方が良いのかなって」

青ピ「別に飲みモンぐらいで――」

土御門「だから例えだ、例え話。そういう微妙な好みの差やら価値観の差異が、生活全般にまで及ぶんだよ」

青ピ「朝はパン派かご飯派とか?」

上条「……沈利がオシャレでアパレル系が好きってのは良いんだけど、俺まで付き合って全然興味が無かったのを調べるのは、どうかなと」

土御門「……難しいぜぃ。それは多分兄弟とか家族レベルじゃないと、好みはバラけるからな」

上条「彼女が喜んでくれるんだったら、俺も詳しくなるのは別に負担でもないんだけどさ」

上条「でも好きでもないのに拘るのって、それはそれで不誠実な気がしないか?」

土御門「知り合いの彼女の趣味がメイドなんだが、俺は『メイドになりたい』とは思わないしぃ?」

土御門「俺が詳しいって訳でも……うーん」

青ピ「いやいや、それは違いますよって!二人とも悩むような所違いますのん」

上条「それ関西弁としちゃ間違ってる――って、何が?」

青ピ「興味ないんだったら、聞けば良いと思いますわ。服だったら、彼女さんが喜んで見立ててくれると思いますし」

上条「あー……相手に頼る、ってのもアリなのか」

青ピ「それじゃカミやん、自分が彼女さんに話振ったとしますー。あ、ネタかなんかでね?」

青ピ「そしたら相手が詳しくなってくれるんの、期待してるん?」

上条「それは、無いかな」

青ピ「相手が詳しいんやったら、頼ればいいんでっせ?持ちつ持たれつ、お互いに支え合えば良いだけの話」

上条「……そうか。納得」

土御門「どうして彼女が居ない奴が、一番真っ当な台詞を吐けるんだ……」

青ピ「そりゃ持ってないからとちゃいますのん?当事者じゃないから、テンパってない分余裕があるんでっせ」

青ピ「ってツッチー今、おかしな事言わんかった?もしかしてお前も彼女さん居る――」

上条「――ありがとう、二人とも!何か話聞いて貰ったらすっきりした!」

青ピ「お、おぅ?良かったでんなけど、今は土御門を締め上げ――」

上条「今日は奢るから!なんでも好きなもの頼んでくれ!」

青ピ「え、マジで?良いですのん?」

土御門「カミやんの口からそう言う言葉が出る日が来るとは……色々な意味で感謝だにゃー」

青ピ「でも『予算が足りなくなってプレゼントどうしよう!?』的な展開は簡便やで?」

上条「それは大丈夫!もう大体決まってるし」

土御門「早いな。結局どうするんだぜぃ?」

上条「いや二人からも言われたし、彼女からも気を遣わなくたっていいって言われたから」

上条「もうちょっと飾らないシンプルな贈り物をしようと思うんだよ」

青ピ「それがいいですやんか。お互いに気持ちが通じ合ってれば!」

土御門「……全く。で、何をプレゼントするんだ?」

上条「赤べこ」

土御門・青ピ「「それはやめとけ」」

――夜 上条のアパート

上条「……」

上条(気を遣わなくて良い、んでもって服とかの消耗品もダメ。うーん?)

上条「……やっぱ、赤べこ……か?」 ピッ

上条(ちなみに赤べこは会津地方の郷土玩具として有名なんだゾっ☆)

上条「……?」

上条(今どっかから電波が飛んできたような……?)

上条(うーーーーーーーーーん?)

上条(人生初の彼女が出来たのは快挙だけども、こんな悩みをまさかするとは)

上条(アレだよな。小説とかゲームとかだと、普通は恋人になってちょっと描いて終りだけど)

上条(その後も続いていくのが、『現実』なんだよ、うん)

上条「……」

上条(続けて、行きたいよな。出来れば長い間、願わくばずっと)

上条(……そう考えると、今、俺が沈利に贈れるモノってのは――)

――夜 麦野のマンション

麦野「……痛っ!つー……また切っちゃった」

麦野(中々上達しないわよねぇ、どうにも得手不得手っていうか)

麦野(これだったらまだなぁ、アタシも慣れない事だって分かってるんだけど)

麦野「……」

麦野(当麻が色々考えてくれるのは、正直、嬉しい。心が奮い立つ、っていうか)

麦野(クソどもと殺し合ったような高揚感はまた別の、もっと奥っていうかね)

麦野(そう……自転車で下り坂を走る時、どこまでブレーキかけられないか、って感じ……か?何か違うけど)

麦野(でもこれは、別だ。麻薬みたいな……一度浸ってしまったら、抜け出せないぬるま湯。羊水みたいなもんかぁ?)

麦野(ガキが泣くのはこの世に生まれ落ちて悲しい、ってジョークがあるけど。あながち外れてはないのかも)

麦野「……」

麦野(服にしたって化粧にしたって、アタシに取ってみればそれは『鎧』だ)

麦野(外から軽く見られないための、文字通り薄っぺらい――今考えれば笑っちまうぐらい、薄い、けど)

麦野(それでも――精一杯やってきた、つもりだ)

麦野「……」

麦野(今と昔は違う。分かってる事だけれど、でも)

麦野(――戸惑いは、ある)

麦野(これからどうして生きていけばいいのか、生きていって良いのか、それすらもあやふやで)

麦野(フレンダに『何も変わってない』って言われたけど、事実よね)

麦野(多分、きっと、今誰かを殺せって言われたら――)

麦野(――「あぁ」とか言って躊躇いなく能力使う、そんなビジョンしか浮かばないし)

麦野(そんなアタシが普通の生活とヤラに染まって良いもんか、今も――まぁ?)

麦野(フレンダをフレ/ンダするぐらいで守れるんだったら、まぁ仕方がないよね?で済ませられる……か)

麦野「……」

麦野(『暗い所よりも明るい所が似合う』、か)

麦野「……バーカバーカバーカっ!」

麦野「……」

麦野(大人のオンナだって、充分の格好悪りぃんだよ!)

――クリスマスイブ いつもの喫茶店 昼間

フレンダ「あー……暇よねー、うん」

絹旗「まぁ、超暇ですけど」

滝壺「きょうはへいじつ、きょうはへいじつ、きょうはへいじつ……」

絹旗「滝壺さん、超怖いんですけどその呪文」

フレンダ「まぁ気持ちは分かる訳だしー。つーかあの女は?あの悪魔のような女はどこ?」

絹旗「あの後、超どこ行ったんですか?マジで放置&超恥女プレイしてたとか」

フレンダ「するわっきゃないでしょうが!結局あたしを縛り上げて、駅に着いた所で逃げた訳だし!」

絹旗「……今までの『オシオキ』とか、超何やってたんでしょうね。聞きたいような、超聞きたくないような」

フレンダ「出来ればあたしもトラウマが甦るから、遠慮して欲しかったり」

絹旗「まぁフレンダも超悪いんですけどね、はい」

フレンダ「酷っ!?だからってエロ同人誌みたいな目に遭う罰ゲームは重すぎじゃないかなっ!?」

絹旗「『超電磁砲』のアレですか。あれはまぁ、相手が超アマチュアさんだから助かっただけですからね。超反省しましょう」

フレンダ「そんな昔の事言わなくたって、いーじゃない、ねぇ?」

滝壺「あんぶじゃなくなったし、まぁ?」

絹旗「超全く、滝壺さんはフレンダに超甘いんですから」

フレンダ「滝壺はあたしの味方って訳だし!」

滝壺「あ、ごめん?そのてんしょんは、ちょっと」

フレンダ「酷くない?ねぇ扱い酷くないかな?」

絹旗「まぁ麦野は『準備』があるので今日は超来られないかと――リア中は死ねばいいのに」

フレンダ「あたしらもどっか遊びに行こっか?」

絹旗「どこ行ったってカップルカップル超カップルですって、えぇ。超ウザいだけど思いますし。それに」

滝壺「……てんないにも、多いよね」

絹旗「超どうしたもんでしょうね。あぁこんな時麦野が居てくれれば荷電粒子○でなぎ払ってくれるのに」

フレンダ「いや、いっくら何でも――あれ?やり、そう……?違和感が仕事してない」

絹旗「ま、ここでダベってるのも、超無意味ですしねー。何か適当にお菓子でも買って、アジトにでも超行きません?」

滝壺「どうい」

フレンダ「そう、ね。結局女子会が妥当って訳だし」

滝壺「ふれめあ、は?」

フレンダ「クラスでクリスマス会……なんだろうな、こう、リア中度で負けてるような……?」

絹旗「ほら、超行きますよー、滝壺さんと超ゴールド」

フレンダ「惜しいっ!ってうかそれ髪の色だけじゃない!」

絹旗「『淫乱ゴールド』と『リアルゴールド』って、早口で言えば超似てませんか?」

フレンダ「その『おはようございます』と『代打バース』的なボケは必要かな?お兄ちゃんとか居るの?」

――夕方 麦野のマンション前

上条「……」 ピンポーンッ

麦野『どうぞー、開いてるわよー』

上条「おっじゃましまーす――」 ガチャッ

麦野「いらっしゃい。寒かったでしょ、ほら――って、それ凄い荷物ね?」

上条「あー、うん。頑張って作ってきた――つーか、もしかして」

麦野「うん、まぁ。ってかさ、これ」

麦野「プレゼント、被った?そっちのおかもち?も料理よね、やっぱ」

上条「そうそう」

麦野「あっちゃー……やっちまったか」

上条「和食メイン?あ、鮭の煮付け」

麦野「そっちは洋食……」

上条「ん、鮭のホワイトシチューとソテーとかだな」

麦野「あー、何かグダグタになっちゃったわね」

上条「ん、いやいや別に良いんじゃないか?俺は嬉しいけど」

麦野「はぁ?」

上条「俺が和食好きだから、わざわざ作ってくれたんだろ?すっげー嬉しいって!」

麦野「ま、まぁね?女としちゃ手料理の一つぐらい出来て当然って訳だし?」

上条「嘘吐けよ、ほらっ。両手の指、絆創膏だらけじゃないか」

麦野「これは――アレよ?フレンダを剥いた時に抵抗されて」

上条「お前フレンダに何やったの!?」

麦野「大丈夫、途中で逃げられたから!」

上条「生きてるんだったら、まぁまぁ……?……いやいや、ネタは良いから」

麦野「あ、剥いたのはホントよ」

上条「お前ら俺の居ない所で――いやいや、それも違うってば。えっと」

上条「沈利ってほら、洋食好きじゃないか?」

麦野「んー……?まぁ、どっちかって言ったら、うん」

上条「でもわざわざ俺のために慣れない料理作ってくれて、しかも好みを合わせてくれた」

上条「気遣ってくれてたし、大事にされてるなって――俺は、嬉しいよ?」

麦野「……そう?なら、いいけど」

麦野「当麻だって、いつも料理作ってくれるじゃない?だからたまには、思ったんだけど」

上条「……なんつーか、さ。俺達って根本的な所が似てるのかも知れない」

麦野「えー……」

上条「いやいやっ!そのリアクションはおかしいしっ!」

上条「……そうじゃなくてだな、こう、中々踏み込めないって所がだよ」

上条「大事にし過ぎて、こう、無理に合わせてる感じがするって言うか」

麦野「……うん、それは、分かるわ。確かに」

麦野「私も無理に、じゃないけど、戸惑ってる?それとも迷ってる、のかな」

上条「何に?」

麦野「距離感がさ、どうしても分からないって言うか。『暗部』とかは抜きにしたって、こういう――大切な人が出来たのは、暫くぶりだから」

上条「お父さんとお母さん振り?……って、ちょっと嬉しいけど」

麦野「父さんも母さんも――この間仲直りしたけど、中々上手く行かないじゃない?前みたいには」

上条「それは大丈夫だよ。何年も音信不通だったんだ、これからこれから」

麦野「だから当麻とも、上手くやっていけるのか……うん」

上条「不安?」

麦野「少し――じゃない、凄く」

麦野「あなたがどこか遠くに行ってしまいそうで、だから」

上条「それも大丈夫だよ。俺は沈利を裏切る事は、無い」

麦野「でもっ!だったら――」

上条「……確かにさ。今回みたいにやっちまった、って時はあると思うよ?人間だし、俺は特に鈍い部類だから迷惑をかけると思う」

上条「でも、だからこそ、話していこう?分からなければ、聞けばいいって俺は思う」

上条「俺達は生きてるんだから、間違ったらその都度軌道修正すりゃ良いんだって」

上条「なんだっけ、ほら?童話であったじゃんか、旦那が妻の美しい髪のために髪留めを買って」

麦野「奥さんが主人のために時計の鎖を買う、のよね」

上条「けど、どっちともそれを買うのに時計と髪を売っちまった、って話。今回のこれは、んな大層なもんじゃないけど」

上条「俺は沈利のために、沈利は俺のために、ってしてくれたんだ。何も間違っちゃいないよ」

麦野「……」

上条「沈利?」

麦野「……プレゼントも?」

上条「……ビックリさせたかっんだけど、まぁこれはこれでアリじゃね?」

上条「何年か経って、また一緒に過ごす時にさ、『そういや最初は大失敗だったよな』って笑えば、それはそれで」

麦野「……その時まで、一緒に?」

上条「居たいって思うけど、ダメかな?」

麦野「あー……実は、さ。プレゼント、欲しい物があったの」

上条「何?」

麦野「あなたの部屋の鍵、とか……?」

上条「……うん、それじゃ一緒に暮らそうか?」

麦野「いいんだっ!?あ、でも」

上条「……俺のアパートは狭い?」

麦野「それはこっちに越してくれば良いし――そうじゃなくって、えっと」

麦野「同棲し始めたら、お互いの嫌な所が見えるって言うじゃない?」

上条「沈利でもそんな事気にするんだ?」

麦野「大事じゃない!だって、大切な話よ!?」

上条「もしかして料理を作ってくれたのも」

麦野「で、出来た方がいいかなって」

上条「あぁもうっ可愛いなぁっ!」 ギュッ

麦野「ちょっ!?」

上条「んー……やっぱり沈利は最高だと思う。俺が保障する」

麦野「誰によ、つーかはぐらかすな」

上条「今、お互いにドキドキしてるよな?」

麦野「そりゃまぁ……直接聞こえそうなぐらいだしね」

上条「これも多分、その内慣れると思う――あぁ悪い意味じゃなくってだ。こう、当然のように、って感じでだよ?」

上条「一緒に暮らして、少しずつ変わっていけば良いんだって。そりゃ嫌な所あるかも知れないけど」

上条「それもその都度直すなり、ケンカしたり、お互いに修正していけば」

麦野「失敗したら?」

上条「それも同じだ。出来るまで繰り返せば良いし――時間はたっぷりあるだろうし、な?」

麦野「それはアレ?プロポーズ的な」

上条「するけどね、いつかは。ただちょっと、せめて俺が働くまで待って欲しい、っていうか」

麦野「私が稼いだ方が要領良いと思うけどね」

上条「……それも、話し合おうぜ?折角これからずっと一緒なんだ、時間はあるだろうから」

上条「俺達がどう生きていくか、一人でアレコレ悩まずに、さ?」

麦野「……」

上条「……なに?」

麦野「いやぁ、ドキドキ落ち着かないわねって」

上条「すいませんねっ!もしかしたら一生収まらないかも知れませんけど、その時はヨロシクっ!」

上条「ってかさ、沈利は働きたい派?それとも共稼ぎ派?」

麦野「んー……?正直、何回か生まれ変わっても大丈夫なぐらい貯金はあるんだけど、それに頼りっきりもアレだし」

麦野「だからっつって、子供産む時とその後何年かは休みたいじゃない?」

上条「だなぁ」

麦野「大きくなって小学校へ行ったらパート行く、とか」

上条「……結構考えてるんだなぁ、意外」

麦野「女の方が得てしてリアリストだって言うのよ。ま、心配してない――事も、ないけど」

上条「それはなんですかね、主に俺の不幸加減でしょうか?」

麦野「それは全然?別になんかの拍子で破産しても、二人ならやってけるでしょ?」

上条「まぁ俺は元々そっちの方が性に合うしなぁ」

麦野「問題はフラグ体質っていうか、ラッキースケベっていうか」

麦野「ロシアから帰ってきたら、あのテガいミサカが周囲をうろついてんだよ、なぁっ!?」

上条「落ち着いて沈利さんっ!?俺には君しか居ないから!」

上条「もう俺はこの麦野おっぱいさえあれば、他には何も要らないし!」

麦野「ちょっ!?まだ時間が――っていうか料理手もつけてないじゃない!」

上条「あー、じゃ食べてから。にしても量は多いって気がするけど」

上条「まぁ冷凍すればいっか――ん、沈利?」

麦野「正直さぁ、気は進まないし?つーか、こんなんアタシのキャラじゃねぇんだけどさぁ」

麦野「折角だから――」

――夜 第二アジト(※第一アジトは垣根の襲撃で全壊)

絹旗・フレンダ「かんぱーいっ!」 カチャンッ

滝壺「……ふたりとも、のみすぎ。何回目のかんぱい?」

絹旗「いいじゃないですか、超いいじゃないですか。こんな平日――っていうかクリスマスイブに一人って超ドンだけだと問いたい」

フレンダ「それは、アレよっ!あたし達まだ若いんだしぃ?そりゃもうロリコンでもない限り……」

フレンダ「……」

滝壺「ふれんだ?」

フレンダ「……ねぇ?『彼氏居ない理由に、外見がロ×向け』って言い訳、アリだと思う?」

絹旗「アリナシで言えば超無いですね。てか中学生ぐらいのカップルも結構居ましたし」

滝壺「しかたが、ないよ。ふたりとも、お仕事いそがしかった、し?」

フレンダ「滝壺は優しいなぁ……あたしの嫁になって!」

絹旗「超ダメですっ!滝壺さんはわたしの嫁に決まってますから!」

滝壺「ここに来てもてき……けれど嬉しくな――うん?」

フレンダ「どったの?誰か来たとか?」

絹旗「まっさかこの切ない女子会に超乱入するバカとか居ないでしょうね?わたし、今日は超ご機嫌斜めですから」

フレンダ「いぃよぉっし!バラそうって訳!」

絹旗「玄関ですか?大統領でも超殴ってみせます!」

滝壺「いや、あのそれ――」

麦野「――何やってんのよ?」

絹旗「ただし麦野だけは超カンベンですけど!」

フレンダ「麦野っ!?……ハッ!まさかあたしらを粛正に!?」

麦野「しないでしょうが。つーかするんだったら、もっと早くやってるわよ」

フレンダ「そ、そうよね?いやー、ビックリしちゃった訳―」

上条「フレンダのそのリアクションもオカシイからな?さらっと流したみたいだけど」

絹旗「……あれ?超酔ってますかね、わたし。今頃超しっぽりがっぽりやっている二人が見えます」

滝壺「ほんもの。どうしたの?おしごと?」

麦野「んー、そういうんじゃなくってだな。あぁっと」

上条「いや、二人でメシ作ったんだけど、作りすぎちまったんだよ」

麦野「だから寂しく女子会やってるメスガキどもに、差し入れ――って、フレンダ?」

フレンダ「麦野っ!あたし信じてたっ!」

麦野「そ、そう?そりゃ良かったわね」

フレンダ「ごめんね?いつも心の中では『電光石火の淫乱女、お高くとまってる割にはあっさり行きやがって』とか思ってたけど!」

麦野「……へぇ?」

フレンダ「まさかあたし達をこんなに大事に――」

麦野「久しぶりの――第四位腹パンっ!」 バスッ!

フレンダ「おぉふっ!?」 パタッ

滝壺「ないすはらぱん」

絹旗「あーもう超きれいに寝ちゃってますねー?起きないとお料理、わたし達で超全部食べちゃいますよー?」

上条「なんだこのカオスっぷりは」

麦野「明らかに味が分かるか怪しいけど、まぁ余らせるよりはマシか」

滝壺「ふたりは、行っちゃうの?」

上条「行かない行かない。折角だし、俺達もこっちに混ぜて貰って良いかな?」

滝壺「むぎの?」

麦野「ん、まぁ、仲間も大事だ、って当麻が言うからね?仕方がなくよ?」

フレンダ「麦野――あたしも愛しているって訳!」

麦野「いや、私は別にそれほど。つーか」

麦野「未成年がいいのかよ?しかもこれ結構良いヤツ開けてんじゃねぇか」

上条「まぁまぁ、たまには羽目を外したっていいじゃんか」

麦野「そうね。ま、うるさくは言わない事にしましょうか」

上条「それじゃ俺と沈利の料理、みんなで食べようぜ。はい」

全員「いただきます」

――?

麦野「……」

麦野「……あ、あれ?クリスマスはどうなった?」

麦野(ここは――山の中の、三階建てのログハウス、か?なんでこんな)

麦野「……?」

麦野「……あぁ、夢ね。うん」 ポンッ

麦野(そういやいつだったか、病院でも見た気がするわね。うん)

麦野(私の、と言うか私達の子供も居たのよ。名前は確か)

沈麻「お母さん?ねぇ、お母さん?」

当利「母さん、沈麻が呼んでるよー?」

麦野「沈麻と当利、だったわよね」

麦野(沈麻は当麻によく似てる。子供の頃はこんな感じだったのか)

麦野(当利は私似、よね……まぁ能力が出てからは、こんなに明るい表情はしなかったと思うけど)

麦野「どうしたの二人とも?当麻――じゃない、お父さんは?」

沈麻「え、父さんはお仕事じゃなかったの?」

麦野「そう、だっけ?」

当利「それより聞いてよ母さん!沈麻がまた新しい女の子と仲良くしてるんだから!」

麦野「……あー……遺伝しちゃったかー。スゲェなDNA」

当利「義母さんからも『うわきはフレ/ンダ』って言ってやってよ!もうっ!」

麦野「不穏な単語がいくつか出てるけど、まぁ夢だしスルーするわね?」

麦野「つーか後々当たりそうで拾いたくないって言うか、えぇ」

沈麻「お母さん、俺の話を聞いてってば」

麦野「ん、あぁごめんね?どうしたの?」

沈麻「それがさぁ、さっき仲良くなった子達か変な事言い出すんだよ」

麦野「どんな?」

沈麻「それは――あ、ホラ!あの子達!」

麦野「よく分からないけど――って!?」

絹旗?「あ、超どーもです。沈利お母さん」

麦野「絹旗っ!?じゃ、ない!もっとロ×向けになってる!?」

絹旗?「初対面で超失礼ですね、ってか母さんから連絡行ってません?」

フレンダ?「あー、ムリムリ。絹旗ママって意外とルーズって訳だし」

麦野「フレンダっ!?いや、こっちもなんか、違う!若い!」

滝壺?「……こんにちは」 ペコリ

麦野「えぇ、はいこんにちは。滝壺――いやいやっ!現在よりも若いってどういう」

滝壺?「たきつぼ、じゃない」

麦野「え」

滝壺?「かみじょう、きこう、です」

麦野「」

絹旗?「正確には『妃后』姉さんですね。んでこっちが超」

フレンダ?「超いらなくない?明らかに必要ない訳よね?」

絹旗?「金髪が『上条フレイア=セイヴェルン』です」

フレイア「あたしには姉さんじゃないの?せめてさんはつけよう?」

麦野「そ、それじゃ、アンタが絹旗の――」

絹旗?「えぇそれはお母さんですね。わたしは――」

絶愛「上条絶愛です。コンゴトモヨロシク」

麦野「い、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

――クリスマス 朝

麦野「」

麦野「――はっ!?」

麦野「……?」

麦野「夢、よね?流石に」

麦野「前も確か……夢オチだったし、うん」

麦野「あれから……あぁアジトで雑魚寝したんだっけか。あぁ頭痛い……」

麦野「ゴールドに無理矢理飲まされたんだっけか、クソ……」

麦野「何か記憶が、つーかちょっと寒い」

フレンダ スー

麦野「ってまたアンタはアタシに抱きついて」

フレンダ(※全裸)

麦野「――はい?」

麦野(※全裸)

麦野「……落ち着こう?冷静によ、うん。私は落ち着いてるわ、大丈夫」

麦野「取り敢えずフレンダを分割して、保健所に引き取って貰えばオーケー。うん、問題ない」

絹旗「――超あるに決まってるじゃないですか、犬猫じゃないんですから?超朝から……ふわぁ……はふ」

麦野「これは違うのよ?きっと敵の能力者がね」

絹旗「はぁ、超そーですかー。ってエアコンのリモコン超知りません?」

絹旗「あぁ、ありました超ありましたっと」 ピッ

絹旗「流石に全裸は超寒いですからねー」

麦野「……え」

絹旗(※全裸)

絹旗「はい?どうしました?」

麦野「待ってよ!?つーかどういう事おぉっ!?まさかこれっ――」

絹旗「むぎのー、超うしろうしろー」

麦野 クルッ

滝壺(※全裸)

滝壺「……んー?おは、よう……?」

絹旗「はい、超おはようございます。今ちょっとコーヒーでも炒れ――」

麦野「……どういう事、これ、もしかして」

絹旗「そこの金髪バカが麦野に無理矢理超飲ませる、麦野覚醒してバカを超押し倒す」

滝壺「で、もって、なんかまぁふんいきで、うん」

絹旗「上条の下条さん超暴走モードへ突入。で、まぁまぁ、はい、ね?」

麦野「ってコトは、つまり」

滝壺「これから、ごにん、いっしょ……!」 グッ

麦野「どうしてこうなるのよっ!?なんか、こう、『リアルっぽく付き合う話』が台無しじゃないっ!?」

麦野「こんな爛れたクリスマスってアリな訳ねぇだろ、なあぁっ!?」

絹旗「いやでも麦野、超割と真剣に聞きますよ?っていうかこれ、超マジ話ですから」

麦野「な、何よ?」

絹旗「正直――体、超保ちます?」

滝壺「あー……」

麦野「……どういう意味よ」

絹旗「そこで眠ってやがる男は昨日4vs1と言う超不利な状況に関わらず勝利しました」

上条(※全裸)

絹旗「麦野、一人だったら超死にますよ。いや、超マジで言いますけど、どんだけ底なしだと」

滝壺「しぬかと思った、うん……」

麦野「ひ、否定は出来ないけどっ!」

絹旗「まぁまぁ今日からわたし達文字通り超姉妹という事で、コンゴトモヨロシク」

滝壺「やったね、かぞくが増えたよ……!」

麦野「……あぁもう、どうしてクリスマスプレゼントから、どう脱線すりゃンな話になるのよ……?」

滝壺「むぎの」 ポンッ

麦野「……うん?」

滝壺「わたしたち全員、むぎののぷれぜんとを聞き出したから、お礼を受け取る権利があった……」

麦野「あったわ、そういやそんな設定」

滝壺「だからまぁ……全員でかみじょうを貰った、的な?」

麦野「上手くない!それは無理矢理にも程があるでしょうがっ!」

麦野「つーか元凶!当麻は何スヤスヤ寝やがってんのよっ!?」

絹旗「超繰り返しますが、始めたのは、麦野です。あ、ほら携帯にフレンダと絡み合う姿が――って超聞いてませんね」

滝壺「……きぬはた、ひとつ、いい?」

絹旗「はいはい?」

滝壺「おさけを用意したのも、フレンダに飲ませたのも、きぬはた、だよね?」

絹旗「でしたっけ?昨日の事は超よく憶えていませんねー」

滝壺「いっしょにのんでいた筈なのに、お酒の臭いがしないし、証拠動画もばっちりだし――これ、もしかして」

滝壺「――最初から、全部、仕込み?」

絹旗「……」

滝壺「……」

絹旗「……超ファイナルアンサー?」

滝壺「……いえす」

絹旗「……」

滝壺「……」

絹旗「超正解、って言ったら、どうします?」

滝壺「ぐっじょぶ……!」 ハイタッチ?

絹旗「超どーもです」 ハイタッチ!

上条「――いや、分かった沈利!俺――」

上条「――全員嫁にするよっ!」

麦野「当麻、格好良い!――なんて」

麦野「言うわきゃねぇだろうがああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 ドゥンッ!


――『今日はクリスマス』 -終-

※王道から更に一本外してみました。色々と台無しでしたが、まぁこれはこれで幸せだと思います
4月頃からSS速報さんにお世話になり、『アイテム』で始まり『アイテム』で終わった8ヶ月でしたが、お付き合い頂いた方には深い感謝を

では良いクリスマスとお年を。またどこかでお会い出来れば幸いです

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