上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」(1000)

※注意
上条さんTUEEEEE!がしたかっただけのIFストーリーです
要は『上条さん×アイテム』なので、浜面ファンの皆さんごめんなさい
日常:戦闘:ラヴ:コメ=4:2:1:3、ぐらいです

最後までお付き合い頂ければ幸いです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1364862586

――教室にて

小萌「上条ちゃん、わかってますかー?高校ってのは義務教育じゃねぇんだぞ、って言うかですね。ぶっちゃけ単位が絶望的に足りないんですね」

上条「……不幸だ」

小萌「まぁ確かに上条ちゃんの乗ったバスを三週連続でバスジャックが占拠したり、お前ブ○ース・ウィリスよりも運が悪いんじゃねぇか、ってぐらいのツキの無さは認めますよ?」

上条「センセー。運が悪いのはマクレ○ンであって○ィリスは関係ないと思います!」

小萌「はい上条ちゃんは今良い事言いました。あくまでも俳優は演者であって役は演技にすぎない、と」

小萌「深夜にモヤシと殴り合ったとか、シスター服のカラーギャングをフクロにしていたとか、色々目撃証言もあるんですけど、上条ちゃんはお仕事や義務でやった訳じゃないですよね?」

小萌「上条ちゃんのお仕事は勉学であり、決してファイト○ラブの真似事じゃないんです」

上条「た、他人じゃないですかね?ホラ、『ふーやれやれ』系の主人公って珍しくもないですし!あ、ホラ、学園都市にマクレー○来ちゃったのかも?」

小萌「そこで先生考えました!上条ちゃんに必要なのは生活態度を改める事だと!」

上条「……へ?」

小萌「今から上条ちゃんには課外活動として、体験学習をしてきて貰います。ちょっとハードかもしれませんが、今の上条ちゃんには必要な事なんです!」

上条「た、単位の話はどこへ?」

小萌「勿論、”きちんと仕事をした”ら履修したと見なします。良いですか?”きちんと”ですよ?」

上条「マジですか!?小萌センセマジ天使!」

小萌「と、言う訳で今から指定した喫茶店まで行ってみて下さい。そこに居る女性の指示に従えばいいのですよ」

上条「女性って、つーかどんな仕事なんですか?」

小萌「行けばわかりますよー。ふふ、きっと上条ちゃんもビックリするのです!」

小萌(黄泉川先生のアンチスキル一日体験入隊、なんて言ったら逃げるかもしれませんし)

小萌「あぁでも怪我とかするかもしれないので、くれぐれも気をつけて下さいね」

上条「大丈夫です。俺、入院慣れてますから」

小萌「自慢する事じゃないのですよ!」

――とある駅前の喫茶店前にて

浜面(……はぁ、今日から暗部の下っ端かよ。一時期100人以上のスキルアウト束ねた俺が、一体どういう訳だ)

浜面(アイテム、だっけかな?女四人だから行けばわかる、ってぇ話だけど)

浜面(女四人……?オ ン ナ、四人だと!?)

通行人 ビクッ!?

浜面(待て待て浜面、これはチャンスなんじゃねぇのか?いくら暗部つったって相手は女、能力じゃかなわねぇが、腕力や荒事だったら俺の方が上だろ)

浜面(つーか、暗部つったって戦闘特化の決まりがある訳じゃねぇだろうし、もしかしたら俺ボディガード的な役割が求められてんじゃねぇのか?)

浜面(だとすれば、だ)

浜面(こう……敵に襲われてヤラれそうになっている所にだな、俺が颯爽と現われて)

通行人(あの金髪チンピラ、震えたと思ったらニヤニヤしている……頭大丈夫か?)

浜面「それはわたしのおいなりさんだ!」

通行人 ビクウゥゥッ!?

浜面(いや、何か違うな。もっとこうカッコいいのあった筈だろ)

通行人(変○仮面?○態仮面の中の人なの?)

浜面「なんだ、ゴクラクチョウか」

通行人 ビクビクッ!?

浜面(あれ?そう言うのは悪い方だっけ?んじゃ)

通行人(え、どうして○リコンフェニックスなんてニッチな方へ行ったの?バカなの?)

浜面「デ、ビーーーーールゥゥゥ!!!」

通行人 ビクビクビクッ!?

浜面(やっべぇ超クールじゃねぇ?)

通行人(やっべぇ超フールだ!シカトしよ)

浜面(決まったぜ!なんつっつても悪魔だぜ、悪魔。デーモン族は一杯居るのに、叫んで変身するヤツは一人しかいねぇってのがカッコいい)

浜面(よし。んじゃポーズは決まったし、次は高級車でもパチっておくか。そうすりゃ――)

女の子A(妄想)『やだぁ浜面さんったら用意周到だわ!』

女の子B(妄想)『超浜面超クールですね。惚れました』

女の子C(妄想)『はまづら、頼りになる……』

女の子D(妄想)『テケテケテケテケテケテケッ!!』

浜面「ぎゃああああああああああああぁぁぁぁっ!?テケテケ来たあぁっ!?何か妄想にテケテケ出て来たぁっ!?」

上条「あ、おまわりさんあの人です」

風紀委員「ちょっとお話いいですかぁ?」

浜面「」

――喫茶店にて

絹旗「なんか外が超騒がしいんですけど」

麦野「どっかのバカがはしゃいでんのよ。ま、別に気にするような事じゃないわ」

フレンダ「そういう季節だしねー。あ、でも結局学園都市はいつも煩い訳だけど」

絹旗「と言うか麦野。今日から入るのってどんな人なんですか?上からは『便利屋』ってだけで名前も写真も超知らないんですけど」

麦野「私も同じ、つーか別にどうでもいいんじゃないの?能力が聞かされてない、って事は下っ端よね」

フレンダ「いやーそうとは決まってない訳よ」

麦野「と言うと?」

フレンダ「アイテムも大分有名になってきた訳だし、他の……なんだっけ、この間半殺しにした連中?」

絹旗「スクール?」

フレンダ「って事もあったし、実は何か凄い能力を隠し持ってたりするワ――」

麦野「無いわね」

絹旗「超無いですね」

フレンダ「ちょっと!せめて最後まで言わせてよ!」

麦野「能力伏せとく意味が無いのよ。隠しておきたいんだったとしても、私らにまで秘密にするようじゃ頼りに出来ないわ」

絹旗「麦野の話は超極論ですが、相手に知られると――わたしたちに“まで”秘密にする、って事は、裏を返せばいつかわたしたちに能力超使うかも、って事じゃないですか」

滝壺「……そんな人は信用できない?」

麦野「戦力には数えにくいわね。つかそもそもどうして男なんだか。下っ端にしろ同性寄越すのが筋じゃないの?」

フレンダ「と、言う割には新しいシャドウ入れている訳だし?絹旗だっていつもより服短いし」

麦野「よし表行こっかフレンダ。10秒で二次元にしてやる」

絹旗「超お手伝いしますよ麦野」

フレンダ「わーちょっと待った待った!そういう意味じゃない訳よ!ただ、その」

フレンダ「わたしらってアレじゃない?結局仕事がアレだから、やっぱりその、色々と限られて来ちゃう訳」

フレンダ「あ、いや別に不満があるって訳じゃ……まぁある訳だけど、それは兎も角まだ10代の女の子――じゃない?」

麦野「どうして今一瞬私の方を見て言葉を詰まらせたんだコラ」

フレンダ「あぁ別に並んで歩くと親子に間違――ゴメンナサイ!だから室内で原子崩しは勘弁して!」

絹旗「で?フレンダ超何が言いたいんですか?」

フレンダ「あーうん、やっぱりさ同じ立場にある人じゃないと理解し合えないと思う訳。だからもし格好良かったら色々あるかもー、なんて」

麦野「止めといた方が良いわよ。暗部に来るような男に何期待してるの。顔が良くったって心底クズな人間なんて珍しくもないじゃない」

絹旗「麦野の言う事はもっともですけどね。別に今日明日までに付き合う期限がある訳じゃないですし、じっくり超見極めれば良いのでは?」

フレンダ「えーでも見てる間に彼女出来ちゃったら嫌じゃない?あーあん時こうしてりゃ良かったー、的な訳で」

麦野「だからっつって、即ベッドインってのも淑女じゃねぇでしょうが。全くフレンダは……」

絹旗「えぇ超フレンダですね」

フレンダ「ちょっと!形容詞みたいに言うの止めてよ!ねぇ滝壺」

滝壺「ふれんだだから、しょうがない」

フレンダ「結局全員敵かああぁぁっ!?」

麦野「あーうるさいうるさい……っと、アレ、か?」

絹旗「超キョロキョロしてますね。ツンツン頭の……高校生?」

フレンダ「何か地味ぃな訳よ。期待外れっぽい」

滝壺「……あれ……?」

絹旗「どうしたんですか?」

滝壺「あの人から、電波出てない……」

麦野「って事はレベル0決定っと。何だ本当に使いっ走りじゃない」

絹旗「でもそれ超おかしくないですか?出てないってのは能力開発されてない一般人未満、って事じゃ」

麦野「だったらその程度の能力だって話じゃないの?学園都市だからってもハズレは居るでしょうに。おーい!そこの人―!」

女「おーい!そこの人―!」

上条「あぁはい、っと。おねーさん達が」

麦野「初めまして、麦野よ」

上条「上条です。今日は宜しくお願いします」

絹旗「絹旗です。まぁ超よろしくです。で、こっちがフレンダ――フレンダ?」

フレンダ「よ、宜しくしてやっても良い訳よ!」

麦野「(何?何でツンデレ始めてんの?)」

絹旗「(予想以上に超意識したって所じゃないですか)」

上条「あぁ、こちらこそヨロシクな」(ニコッ)

フレンダ「――っ!」

麦野「(デレんの早ぇな、一瞬かよ)」

絹旗「(いえでもわたしたち超異性に慣れていませんし、そもそも暗部にこんなタイプ超居なかったですから、ある意味天敵じゃないですか)」

滝壺「……たきつぼ、です。かみじょー?」

上条「あぁ」(ハイタッチ)

パキィィィィンッ

滝壺(あれ……?頭がクリアになった?)

上条(やべ、なんかの能力打ち消しちまった。まぁ良いか)

絹旗「あ、上条これ支給されている携帯電話です。仕事中はこっち使って下さいね」

上条「おっけー。んじゃ私用のは電源切って、と」

――職員室

黄泉川『――アンチスキルの仕事が立て込んでて、上条拾えなくなったじゃん?』

小萌「仕方がないです。ですけど黄泉川先生も気をつけて下さい」

黄泉川『有り難うじゃん』(ピッ)

小萌「上条ちゃんがついてないのはわかっていましたが、まさか今回の狙撃事件も……?いやいや!いくら運が悪いからって黄泉川先生まで影響とか無いですから!」

小萌「……連絡を」(ピッピッピ)

(おかけになったナンバーは、現在電話の繋がらない所にいるか、お客様の電源が――)

小萌(メールを送っておきますけど……まさか、巻きこまれてないですよね?)

――喫茶店

麦野「――って訳でスクールの連中が狙撃事件をやらかしたわ。どう考える――新入り?」

上条「……陽動、じゃないかな?アンチスキルの注意を引きつけている間に、何かやらかす、とか」

絹旗「……意外に超考えているんですね」

上条「意外じゃねぇよ!むしろ上条さんはお馬鹿だけど、頭は良い的なポジションなんですからねッ!」

フレンダ「いやぁどっちにしろ勉強出来ないんじゃ、頭悪いカテゴリーって訳で」

絹旗「フレンダと同じですね」

フレンダ「ダイレクトに毒を吐かれた!?」

上条「え、俺もフレンダと同じはちょっと……」

フレンダ「アイテムに入ったばかりの後輩に嫌がられている!?」

滝壺「ふれんだ、どんまい……」

麦野「オイコラガキどもぶっ飛ばされたくないんだったら、私の話を聞け?」

四人「ごめんなさい(です)」

上条(この四人……小萌先生の紹介だから、悪い人間じゃないだろうけど……どんな繋がりなんだろう?)

上条(麦野さんが先生で、他の子達は生徒かな?あぁそう言えば学校に行きたがらない子供を集める、って言う団体があるからその繋がりかな)

上条(統括理事?の一人を狙撃したスクールってのを追い掛けて居るんだから、アンチスキルの親戚みたいなもんか)

麦野「つー訳で今からスクールに殴り込みかけるけど。オイ新入り、あんた車の調達とか出来る――訳ないか」

上条「普通の高校生ですよ、俺は」

麦野「の、割にゃ場慣れしている感じがするけど。まぁ良い。今日は私が調達するから」

――喫茶店前

浜面(あぁっもうっ!大分時間過ぎてんじゃねぇかよ!アンチスキルの野郎、テメーがもてないからって俺の邪魔しやがって)

浜面(ここは一つでかいワゴン調達でもしておいて、デキる男のオネェ返上でもしますか……)

カチャカチャ……ピキーン

浜面「ロック切ってーと、エンジンかかるようにー」

プチッ、ジジジジジっ……ブゥンッ

浜面「……よっし!んじゃ――」

女性「あ、ごめんなさい。ちょっといいかしら?」

浜面(やっべぇ超おっぱい大きい美人オッパイ大きい!逆ナン?逆ナンなの?俺に風が吹いて来ちゃっているの?)

浜面(よーし浜面頑張るんだ!第一声は紳士!取り敢えず気分の悪くなった彼女をホテルに連れ込んで――)

浜面「おっぱい?」(キリッ)

ドゥン!!!

麦野「アンタが今盗んだ車を寄越して運転するか、○○コ打ち抜かれたいか、どっちかを選べ?」

浜面「」

――スクールが乗り込んだ研究所前

上条(あぁは言ったものの、良いのかな……)

――少し前

麦野「じゃあちょっと行ってくる。新入り、あんたは車で待ってなさい」

上条「いや、俺も行く。つーか麦野さん達こそ待ってて下さいよ」

麦野「あぁ!?」

旗面(い、今のウチに逃げよっと)

絹旗「(いや上条超何言ってんですか!?)」

上条「だって狙撃したような連中が居るんだったら危ないし、せめてアンチスキルが来るまでは――」

麦野「……あんたさぁ、さっきのアレ見たわよねぇ?レベル0が何言っているか、分かって言ってんの?」

上条(ムッ)「レベルは関係ないだろ。仲間に危ない橋を渡らせるんだったら、俺が行った方が良い」

麦野(このガキ……拙いか、ここで始末するのは拙い)

フレンダ「(怖いっ!麦野のキレかけ怖いっ!)」

麦野「……えっと、アイテムってのは見ての通りアレな集団だってのは分かるな?だったらアンタが来る前にも色々やってる、つーかこの程度大した事はないわ」

麦野「加えて理事を狙撃したような連中が欲しがるブツ、ってのもさっさと回収しなきゃ拙い。だからこうして話している時間も惜しいんだ」

麦野「だからアンタは車番。逃げる足を確保するの大切だから、オーケー?」

上条「……わかった。ただし、あんまり遅いようだったら俺も乗り込むぞ?」

麦野「っのレベル0が何様のつもりだぁコラ!?下手に出てりゃ調子コキやがって!」

絹旗「超ストップ!敵がいるんですから!上条も!」

上条「危ない所に仲間向かわせて、自分一人安全な場所に居るなんてのは、俺が俺を許せそうにねぇんだよ」

麦野「……く」

フレンダ「む、麦野?」

麦野「ふふ、あははははははははっ!」

絹旗「いやだから超敵陣前ですから!」

麦野「なんの冗談だレベル0。この学園第四位の私を、名前も知らねぇようなレベル0が助けるだって?誰も信じやしねぇだろ!」

上条「あぁ別に信じなくても良い。俺が助けたいと思ったら、そうするだけだ」

麦野「レベル0が、か?」

上条「レベル0でも、だ。あと俺の名前は“上条当麻”だ。レベル0なんて名前じゃねぇ……!」

麦野「……」

フレンダ「……ほ、ほら!麦野!行かないと、ね?」

絹旗「そうです!超そうですよ!」

麦野「……新入り」

上条「はい?」

麦野「10分だ!10分経って帰って来なかったら、お前が助けに来い!」

絹旗「ちょっ!?麦野!?」

上条「分かった!」

フレンダ「上条までどういう訳!?」

――潜入中の無駄話

フレンダ「……いやー、ビックリしたって訳よ」

絹旗「……超全くです。麦野の能力見てもあれだけ超言える人間ていたんですねー」

フレンダ「でもちょっとナンか、アレな訳よ」

絹旗「何です?まさか自分も心配して欲しかったとか?」

フレンダ「そそ、そんな訳ない訳じゃない訳よ!」

滝壺「ちょう動揺してるー」

絹旗「それはわたしの超口癖です。しかし麦野――麦野?」

麦野「ん、あぁ?」

絹旗「どうしたんですか?やっぱり戻って超[ピーーー]とか?」

麦野「アンタら私を殺人鬼かなにかと思ってないか?」

三人「(はい・うん・思っている訳)」

麦野「そうじゃなくってだな、少し前に第一位が負けた、って話は聞いた?」

フレンダ「あーうんうん聞いた聞いた。噂じゃなかったの?」

麦野「噂、は噂なんだけど、その中に『レベル0に負けた』って話があった」

絹旗「超有り得ないです」

フレンダ「どうやって?寝ている間もベクトル反射するような怪物に?」

麦野「まぁ私だって信じてる、って訳じゃなかったが、実際に超電磁砲のクローン計画はある日突然凍結された。それも負けた噂が流れる直前にだ」

絹旗「こないだ超やり合ったばかりですしね」

滝壺「たいみんぐが合いすぎている?」

麦野「そしてあのモヤシが仮に負けたとして、勝った相手が居る筈よ。でも、だったらどうしてソイツは堂々と名乗りを上げないの?」

フレンダ「確かにおかしい訳よ。あたしが勝ったら自慢しまくるし」

絹旗「第三位、だったという話では?クローン計画を超止めるために」

麦野「かも知れない。でも、そうじゃないかも知れない」

麦野「仮の話だけど、表で私に喧嘩売ったみたいな馬鹿だったら、自分から吹聴するような事はしない、って思っただけ」

――現在。アイテム四人を待つ上条

上条「9分突入、か。さっきから爆発音ばっかりだけど、本当に大丈夫なのか?」

ドォォォォォォンンッ!!!

上条(壁が内側から弾け――いや、融けた?麦野さんの能力か!)

麦野「逃げるぞ新入りぃぃっ!さっさと車出せ!」

上条「絹旗とフレンダがまだだろ!?」

麦野「あの二人は別ルートから逃走してんだよ!アイツらが狙ってくるのは“ピンセット”持った私らだっ!!」

上条「わかった!――って、鉄球!?」

上条(金髪が逃げたから俺が運転するしかないけど、えっとアクセル踏んでハンドルを)

ペキッ

上条(あ、あれ?ハンドルって取れるんだっけ?)

麦野「あんくらいメルトで融かす――オぉイ」

上条「な、何でしょうか?」

麦野「お前の持ってんのは、なんだ?」

上条「ハンドル、ですかねー」

麦野「どうしてそれがブチ折れてんのか、おねーさんに言ってご覧?きちんと納得したら、年上の奇麗なおねーさんが優しぃく○○ルから原子崩しブチこんでやるから」

上条「いや、確かに麦野さんはタイプだけども!そーゆーハードなのは出会ったばかりなのに早いんじゃないかな!?」

麦野「こんな時に口説いてんじゃねぇわよ!もっと――そう、もっ――」

滝壺「たぶん、車のセキュリティを止めるためにハンドルを外した時、ちゃんと元へ戻さなかったせい」

上条「あの金髪かああぁぁっ!」

麦野「……あのヤロー、次見たらぶっ[ピーーー]!」

滝壺「かわいそうな金髪ジャージ……でもわたしには関係ない」

ガゴッ(瓦礫に乗り上げるワゴン)

麦野「アジトで落ち合うわよ!」

上条「あぁ!」

滝壺「りょーかい」

上条(……アレ、俺アジトの場所知ってたっけ?)

――光の届かない路地裏にて

フレンダ(マズいマズいマズいマズいっ!!!)

心理定規「うん、大丈夫よ。酷い事はしないから、ね?――」

フレンダ(体も動かない訳だし、頭がぼうっとして何も考えられなくなるし……)

心理定規「もう少し待てばお友達もこっちへ向かっているから、きちんと話せば彼も分かってくれるから、ね?全部話してみましょう?」

フレンダ(お友達って第二位って訳!?麦野があっさり負けた相手にどうしようもないって訳)

心理定規「じゃあまず、あなたのお友達の居場所を聞かせて?みんなで行ってお話ししましょ?」

フレンダ「ア、アジトは××学区の――」

心理定規「成程。それじゃ友達はどんな能力を持っているのかな?」

フレンダ(あぁ誰か助け――)

上条「フレンダ!」

フレンダ(上、条……!?)

上条「良かった……無事だったのか。そっちの人は?」

フレンダ(逃げて!近寄っちゃ駄目!)

心理定規「フレンダさんのお友達になったの。そうよね?」

フレンダ「そ、そうな訳よ!」

フレンダ(何言っている訳!?)

心理定規「と言うか近くまで来てくれないかしら?あぁ警戒するのはわかるけど、女の子二人しかいないから大丈夫よ」

上条「そっか」(スタスタ)

心理定規(はい、能力発動っと。義理堅いタイプに見えるから、親友で良いかな?)

心理定規「あなたのお名前は?」

上条「フレンダ、怪我は?酷い事されなかったか?」

フレンダ「だ、大丈夫だけど」

心理定規「あのー?」

上条「あぁ悪い。なんだっけ?」

心理定規「あなたの名前――」

上条「俺の名前は――」

ガンッ!(上条の拳が心理定規の頭を掠める)

上条「五人目の“アイテム”、上条当麻だ!」

心理定規「ど、どうして……」

バキィィン!

フレンダ「あ、あれ?動ける……?」

上条「車潰そうとしたヒラッヒラのドレスの女なんか、一回見たら忘れる訳ねぇだろ!」

上条「それに――」

上条「空気の読めないフレンダに友達が出来る訳ねぇだろうが!」

フレンダ「えっ」

心理定規「……ごめんなさい、わたしあなたに酷いことしてしまった。嘘でもお友達だなんて、凄い酷い事を!!」

フレンダ「いやいやいやいやっ!居るからっ!普通にアイテムの仲間とか居ますから!」

上条「分かってくれれば良いんだ。これから人を無闇に傷つけなければいい」

フレンダ「なんであたし無視されている訳?つーか上条何処からその設定持ってきたの?」

心理定規「優しい、んですね」

上条「あぁいや、君のような美人相手だけだよ」(キリッ)

フレンダ「かーみーじょーおーっ!!!」

上条「痛っ!?噛みつくな!ナンパしてる訳じゃねぇんだよ!」

フレンダ「だったらどういう訳よ!?」

上条「“スクール”の通信機で聞いているヤツに言ってんだ――こっちは、人質取るつもりねぇよ、って」

――某所にて。移動中の垣根

男『こっちは人質取るつもりねぇよ、って――』

垣根「……んだぁ?随分と余裕だなぁオイ。通信代われ、ソイツとだ」

男『フレンダが世話になった』

垣根「いいやぁ、こっちも何人か第四位に潰されているんだが、気にすんな」

男『だよなぁ?元々お前らが統括理事に喧嘩売ったのが先だもんな』

垣根(なんだコイツ?……まぁいい)

垣根「それでだ。俺らから盗んだ“ピンセット”は何処にある?返すんだったらこれ以上おたくらとモメるつもりはねぇよ」

男『返すも何も元々スクールの持ち物じゃない』

垣根「よっし分かったお前らマジ殺し決定な!殺しは好きじゃねぇんだが、ま、仕方がねぇよな」

垣根「アレだろ?アイテム何人かボロクソにすりゃ良いんだろ。お前が持ってるんだったら、『俺を捕まえてみろ』とか格好良い事言うもんなぁ?」

垣根「――と、とーうちゃーく。あーわざわざ連絡くれたのにゴメンナ?今っからちょっとアイテム全滅させるから、終わったら折り返し電話――」

麦野「待ってたぜ、未元物質」

ズオオォォォンッ!!!(垣根の乗った車ごと原子崩しに巻き込まれる)

――喫茶店へ戻る

浜面「えっと店員さん?待ち合わせなんだけど、女の子四人ぐらいいなかった?」

店員「いやーちょっと分からないですかねぇ。そのくらいのお客様なんて結構居ますし」

浜面「二時間ぐらい前なんだ!頼むっ!俺の命がかかってんだよ!」

店員「ちょっ!?止めて下さい、アンチスキル呼びますよ!」

浜面(クッソ……あの悪魔みたいな五人組から逃げられたのは良いものの、予定の時間は大分過ぎちまった)

浜面(一応上にはメール打ったけど、『もう[ピーーー]ば?』って返信しか来ねぇ)

浜面(後がねぇんだよおおおぉぉぉっ!働く口もねぇし、俺りゃどうすれば――)

店員「……あのー、お客様?」

浜面「え、は、はい?何すか?」

店員「これ、店長から」(カタン)

浜面「……ココア?俺、頼んで無いんですけど」

店員「『なんか大変そうだけど、これ呑んでガンバレ』って」

浜面「……ぐすっ」

店員「?」

浜面「お願いしゃあぁっす!このお店で働かせて下さい!」

――少し前のアジトにて。麦野・絹旗・滝壺合流

ツーツーツー

麦野「――どうして二人とも出ないのよ!」

絹旗「超落ち着いてください麦野。焦ったって仕方がありません」

麦野「滝壺、体晶使え!あの二人を――」

絹旗「……ん、りょうか――」

絹旗「だから超待てって言っているじゃないですか!」

バン!

絹旗「落ち着いて下さい!もしも向こうに捕まっていたら、人質交換を呼びかけてくるでしょう。それが来ないって事はまだ捕まってない――」

麦野「人質としての価値がない、って話もあるわね」

滝壺「……むぎの」

麦野「フレンダは……まぁ、外面は良いから生きているかも知れない。五体満足、かはどうか分からないけど。レベル0はどうよ?」

絹旗「……超、ムシケラ扱いでしょうね」

麦野「あの野郎、人には偉そうなに言っときながら、さっさとくたばってるかもしれねぇ、って事でしょうよ」

麦野「そうなったら笑ってやるわ。面白くはな――」

PiPiPi、PiPiPi……

麦野「フレンダからの通信……もしもし!」

絹旗「スピーカーで超お願いします!」

上条『フレンダが世話になった』

垣根『いいやぁ、こっちも何人か第四位に潰されているんだが、気にすんな』

上条『だよなぁ?元々お前らが統括理事に喧嘩売ったのが先だもんな』

麦野「レベル0!」

絹旗「生きてたんですね。超良かった――」

垣根『アレだろ?アイテム何人かボロクソにすりゃ良いんだろ。お前が持ってるんだったら、『俺を捕まえてみろ』とか格好良い事言うもんなぁ?』

麦野「絹旗、滝壺、あんた達は“ピンセット”を持って逃げなさい」

絹旗「麦野!?わたしも超戦います!」

麦野「アイツは伊達に第二位とは呼ばれてない――つーか、さっき誰に言った気がするけど、アンタじゃ無理、足手まとい、邪魔なの、おわかり?」

絹旗「こんな時まで超上から目線でムカつきますけど、超分かりました。行きましょう、滝壺」

麦野「さってと……あの莫迦も生きてるみたいだし、ムカつく顔面張り倒すため、ちょっと頑張りましょうか、と」

PiPiPi……

麦野「あの女からのメール……?今更、何を――」

麦野「……へぇ、そーゆー事かよ」

――逃走中の二人。遠くからは遠雷のように爆発音が聞こえる

滝壺「……かみじょー達と合流しよう」

絹旗「いやいや、超あり得ませんから。フレンダは兎も角、上条は只のレベル0、どうやったって超盾にもなりません」

滝壺「……ほんとうに?」

滝壺「ほんとうに、そう思ってる?」

絹旗「……えっと、そりゃちょっとは超アレですよ。どうやってフレンダ助けたんだー、とか第二位に啖呵切る自信はどこからー、とかは超思いますけど」

絹旗「あなたのAIM拡散力場には、上条は反応しなかったんでしょう?それが超現実です」

絹旗「そんな相手を戦場に立たせるなんて……なんて超幻想ですか」

垣根「えーなに?俺そんな相手から喧嘩売られてたの?引くわー、そんな相手にカッとなった自分に引くわー」

絹旗・滝壺「……!?」

垣根「って言う訳で垣根帝督って言うんだけど、“ピンセット”返してくれるかい?」

垣根「あーうん。第四位はどうした、とか言うんだろ?まぁ俺がここに無傷で立っているんだから、お察し下さいだわな」

絹旗「……滝壺、フレンダ達と合流して下さい。そうすればどうにか、なるかも知れません」

滝壺「きぬはたっ」

絹旗「レベル0ですが、上条には“運”があるみたいです。フレンダを助け出したのも、超そんな感じなんでしょう。だから――」

絹旗「行って、下さい」

滝壺「っ!」

垣根「行かせねぇよ!未元物質!」

絹旗「超させませんよ!」

未元物質と窒素装甲がぶつかり、悲鳴を上げる――

――逃走中の一人

滝壺「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

滝壺(早く、早く見つけないと!)

滝壺は普段よりも多い体晶を使っていた――それも、危険とされたレベルを遙かに上回る量を、だ。
投薬によって爆発的にこじ上げられた(開けられた、ではない)AIM拡散力場が周囲に存在する、ありとあらゆる存在を教えてくれる。

滝壺(あれは……むぎの。きぬはたまで)

滝壺が普段から感じられる量よりも弱々しく、麦野に至っては消える前の花火のように不安定な瞬きを繰り返している。

滝壺(時間かがない。もっとひろく、ひろく、ひろく!)

対象を広げ、自分に届く『自分だけの現実』の情報を掻き集める。しかし――。

滝壺(かみじょうは、ない。どこにもいない)

探し求めている、本来レベル4の自分達が縋るべきではない、上条の姿は何処にもなかった。

滝壺(逃げた……?)

視界がブレる。何も考えられなくなる。体晶によって無理矢理広げた知覚の中へ、自分が段々と融けていく錯覚――いや、融けているのだろうか?
境界線が曖昧になり、全てがどうでも良くなる寸前、何故か滝壺は上条が逃げている事を安堵しつつ、その意識を閉ざし――

パシィィンッ!

全てをぶち壊す、幻想を[ピーーー]、音が響く。

上条「……悪い。遅くなった」

メール欄にsaga
殺す 死ね その他フィルター外れるから

>>26
ありがとうございます。初投稿なんで「こうした方がいいんじゃね?」的な突っ込み随時お待ちしてします

――アイテムvsスクール

ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!

絹旗(あちゃー、これはもう超ダメかも知れませんね……)

垣根「ハッハァ!どぉしたレベル4!そんなもんなのかよおぉっ!」

かつて学園第一位を指して“一方通行”と呼ばれていた。
その戦いぶりなのか、能力なのか、蔑称なのか……彼を見た者は「確かに一方通行だった」と口を揃える。

絹旗「このっ!」

しかし学園第二位と呼ばれる存在もまた、一方的であった。

絹旗が折れていない方の手で殴ろうとしても、垣根の生み出す羽――未元物質によって攻撃は阻まれる。それだけであればまだやりようはあったかも知れない。
だが相手の未元物質はこちらの窒素装甲を透過してくる。フェアには程遠い戦いだ。

垣根「まぁムキになるなって。俺がやってんのは只の八つ当たりだから、お前が必死で抵抗すればする程酷くなる」

絹旗「超悪趣味ですね」

垣根「否定はしねぇがな。お前らんトコの第四位だって似たようなもんじゃねーか」

絹旗「……女の子ですし?人によっては超ご褒美です」

垣根「いやー、アイツはもうちょっとした熟女の域に達してんだろ。十歳ぐらいサバよんでるって」

垣根「いやでも頑張った方だと思うぜ――只まぁ?頑張りに結果がついて来なきゃ意味はねぇが」

絹旗「結果なんて超出ているじゃないですか。今頃フレンダ達と麦野は合流、ホラ後から超狙ってますよ?」

垣根「つまんねぇ遺言だが――じゃあな」

ゴオウゥンッ!

絹旗(……まぁ、超潮時かもしれませんね。五月計画が終わってからは麦野達と会えましたし。楽しくはありました)

絹旗(心残り……フレンダじゃないですけど、超格好良い彼氏でも欲しかったかもです)

絹旗(いや別に格好良くなくたって超構いません。いつも適当なのに、こう、わたしがピンチになると超助けに来てくれて)

パキィィィンッ!!!

絹旗(そうそう。こうやって超お姫様だっこなんかしてくれて、こう言うんです)

上条「間に合って、良かった」

絹旗「えぇ本当に超遅いですよ。女の子傷物にしたら超責任取らなきゃ許しませんから」

上条「んじゃ絹旗を俺のお嫁さんにすりゃ問題は無い訳か」

絹旗「しょうがないですね。上条で超我慢してあげ――って上条!?どうして上条が!?」

滝壺「……きぬはた、ナイスノリ突っ込み」

上条「降ろすな。滝壺、頼む」

垣根「……おぉい」

上条「あぁすまん。ちょっと待ってくれ」

垣根「つーか誰だよ!?いきなり横から出て来て王子様かよ!ちょっと格好良いじゃねぇか!」

上条「いやー、翼を生やしたヤツには言われたくないわ」

垣根「だよねー……って煩ぇよ!アイテムに五人目の能力者が居るなんて、聞いてねぇぞ!」

心理定規『聞こえる?』

垣根「あぁ!つーかお前殺されなかったのか?」

心理定規『ええ、人質にもされなかったわ』

心理定規『そうじゃなくて、彼もアイテムの一人だわ』

垣根「んー……あぁ!さっき無線で俺にケンカ売ってたヤツか!でも確かソイツって――」

心理定規『レベル0、上条当麻よ』

――喫茶店へ戻る

店長「……成程。君が働きたい動機は分かった」

浜面「お願いします!俺、俺ちゃんとした人間になりたいんです!」

店長「だがね。君の服装はどう見てもチンピラ、履歴書の一つもない、アポイントは当然ない。君もいい歳なんだから、社会的な常識は分かるだろう?」

浜面「……すいません」

店長「公の場ではスーツや礼服を着るが、あれはある程度のステータスでもあるんだよ。スーツの銘柄、着こなし方、馴染んでいるかどうかで、相手の“質”を見ているんだ」

店長「そう言う意味で君は駄目な方だね。いや救いようがないと言ってもいいぐらいだ。私達は遊びでやっている訳ではないのだから」

浜面「……」

店長「……でもね。今の君が例え君が望んだ環境でなくたって、人は努力する事が出来る」

浜面「てん、ちょう……?」

店長「身の丈に合っていない服を着ていても、背筋を張って堂々としていれば、いつか必ず君にも似合うようになるさ」

店長「君の場合、人よりもずっと努力が必要になるだろうけど――出来るかい?」

浜面「……はい、はい!宜しくお願いします!」

店長「うん、こちらこそ。今日は外回りから始めてみようか、接客は髪をちゃんとした色に染めるまでダメだからね?」

浜面「よっしくおねあいっしゃぁぁっす!!!」

――相対するレベル5vsレベル0

垣根「で、だ。その上条は何しに来たんだよ。今更ピンセット寄越しても、このまま帰すつもりはねぇぞ?」

上条「あぁそうなのか。んじゃこれ、持ってきても意味無かったかもな」

ヒョイッ

垣根「投げるな!……しかも本物かよ。何か爆弾でもついてる、ってオチだと思ったんだが、そう言う訳でもねぇのか」

絹旗「ちょっと超何やって居るんですか!?」

上条「あぁ別にいらねぇだろ。つーかスクールの人に聞いたんだけど、他の連中も動いているって言うし、半壊状態のアイテムで守り続けるのは無理だ」

垣根「良く分かってる。元々コイツはなぁ――」

上条「ゴメン。俺頭悪いから、分かるように頼む」

垣根「……学園は大気中に数千万個の超小型監視カメラを巻いているらしいんだわ。だからソイツを回収して、情報を得てアレイスター――あぁいや、理事側と交渉する」

上条「無理じゃないか?」

垣根「……何だと?」

上条「その監視カメラ、数千万個飛び散っているんだろ?でもって今も当然監視している訳だ」

上条「だからってのに、学院側はほぼ放置。おかしくないか?」

垣根「それはアイテムが――」

上条「別にアンチスキルを動員したって良いだろうし、一方通行を呼び出す方法だってある。あまりにも杜撰じゃないか?」

垣根「……」

上条「いや、まぁ別にそれは良い。お前らが学院側へケンカ売ろうってなら、好きにすれば良い。でもな――」

上条「だからっつって――俺がお前を許す理由にはならねぇんだよ!」

垣根「……へぇ、レベル0が怒るってか?」

垣根「いやいや現実を見ようぜ上条くーん。君のお仲間はボッコボコ、レベル5の麦野だって瀕死――あぁもしかしたら死んでるかもな?」

垣根「今君の反論にちょっとそうかなー、と思っていた所だし、能力追跡ブッ潰してから土下座してくれれば許そっかな、ぐらいには考えたんだが――」

上条「煩ぇ、本当に煩ぇよ」

上条「レベル5がどうした?力の差がなんだってんだ?」

上条「お前は相手が強そうだったら、目の前で仲間がボロボロにされていても、黙って見過ごせるのか?」

上条「強者が弱者を一方的に踏みにじって良いなんて幻想、俺がぶち殺してやる!」

垣根「は、やってみろよレベル0!俺の未元物質に常識は――」

バキィィィッ!!!

これ上条じゃなくて作者自身の名前にしようぜ
あと説教くさい

――数時間後

垣根「……っ!?」

心理定規「あ、起きたのね」

垣根「俺は……どうして寝ているんだ!?」

心理定規「さぁ?私が来た時には横になっていたから」

垣根(アイツの右手が未元物質を打ち消した――ように、見えたが)

心理定規「で、その彼らから伝言」

垣根「何だって?」

心理定規「あぁもう顔近い近い」

心理定規「えっとね――『次もし同じ事をしたら、二発ぶん殴る』って」

垣根「……はぁ?なに、ぶん殴る?そんな事――」

心理定規「言ってたわ、笑いながら。何か楽しそうだった」

垣根「……なぁ?」

心理定規「何?」

垣根「勝ったんだよな、スクールが」

心理定規「えぇ、ピンセットはわたし達が持って居るみたいだし」

垣根「だったらどうして虚しいんだ?」

垣根「あのガキの言う通りだ。アレイスターが俺達を監視しているのに、連中の尻尾を掴むかも知れない研究を許し、開発を認め、交渉に使おうとする俺達が手に入れた」

垣根「それは偶然なのか?それとも誰かに書かれた脚本なのか?」

垣根「本来であれば戦う必要もなかった第四位やら他の連中を巻き込んだ、大かがりの闘争――あのクソッタレの第一位がしていた、クローン虐殺と何が違うんだ?」

心理定規「わたしには分からないわ」

垣根「……だよな。俺だって分からん」

垣根「俺は、どうすればいい……?」

心理定規「だったら――」

心理定規「聞きに行く、とか?」

――そしてまた少し時が戻る。よくある死闘

上条「いやー、流石第二位強いわー――って痛いって!」

絹旗「超自業自得じゃないですか。第二位の攻撃を消したのは良いものの、余波で飛び散ったガラスで切られるなんて、超格好悪いです」

上条「いや、あの頑張ったんですよ?なるべく早く着くように急いだし、お陰でサイフはゼロだけども……ってだから包帯強く締めたら痛い痛い痛い!」

絹旗「まぁ間に合ったから良いですけどね。それよりも上条、あなたは能力者――」

麦野「かーみーじょーおー……」

フレンダ「逃げ、逃げて上条!」

絹旗「超何やってんですか麦野!?アイテムの仲間に!」

麦野「とーぜんだろ?このビ○チはアジトの場所やら私らの能力を喋った裏切り者だ」

麦野「あとソイツはアイテムですらねーんだわ」

滝壺「……え?」

麦野「なーんかおかしいとは思ってたんだけどな。暗部のくせにやたら明るいわ、大した能力は無い――一体全体どこの馬の骨かよ、って話よ」

麦野「さっきクソ女からメールがあってね。本当に配置されるヤツは、浜……ナントカ?って金髪の男らしいわ。高校生な訳ないじゃない」

麦野「つー訳で今からフレンダと一緒にぶち殺すから、そこどきな」

絹旗「超待って下さい!だからとしても上条は一緒に戦ってくれたん――」

麦野「アンタごとやったって良いんだけど。つーかそうしたいわー、今超ハイんなってるし」

上条「……成程。確かに小萌先生の持ってきた話にしては、ちょっとバイオレンス過ぎるとは思ったけど」

上条「まぁ俺は良い。誤解した上に、もしかしたら本当は来る筈だった浜ナントカより、足をひっぱっちまったかも知れない」

上条「けどどうしてフレンダが殺されなきゃならないんだ!同じアイテムの仲間じゃないのか!?大切な仲間なんだろう!?」

麦野「その、大切なお仲間を売ったのよ、コイツは。だから粛正されて当たり前。そうでしょ?」

上条「それは相手の能力にかかったせいだ!だから――」

麦野「うるせぇよ○○野郎。キャンキャン吠えるなみっともない。それが、私らの住んでいる“暗部”って所だ」

麦野「それで、だ。レベル0、私はアンタも疑っている」

麦野「高校生が巻き込まれた。まぁそう言うこともあるかも知れない。不幸が重なって、誤解が誤解を生んで、アイテムの一員を一日体験入学するかも知れない」

麦野「まぁそれはいいわ。浜ナントカが入った所でアンタと同じレベル0、活躍したとは思えないでしょうし」

麦野「でも、その全ての試練に悉く打ち勝った挙げ句、結果として生きている上、相手のチームに大切なピンセットを献上している」

麦野「まぁ――最初っからスパイ目的で近づいてきたとか、ねぇ?」

麦野「つー訳でブ チ コ ロ シ 確定ね」

上条「……分かった」

麦野「あぁ何?抵抗しないから楽に殺れって?ゴメン、今ちょっとぶち切れてるから、アジャスト効いてなくって、多分一思いには出来ないと思うわー」

麦野「死に損ないのジジイがやってるダーツみたいに、あっち行ったりこっち行ったりすると思うけど、ゆ・る・し・て・ね?」(ニコッ)

絹旗「だから待って下さい麦野!上条がスパイなんてする訳――」

上条「……絹旗、ここは俺に任せろ」

絹旗「超無茶です!」

絹旗「(フレンダが麦野に掴まれてて、超手出しできないじゃないですか!)」

上条「大丈夫だ、俺なら――俺“達”を信じろ!」

絹旗(上条……)

麦野「おーおー、ウチのメスガキどもに随分懐かれてんのね、羨ましいわー」

麦野「なんだったら今フレンダ灼く前に○○ckしてもいいんだぜ?○貞と処○のまま死んじゃあつまんないでしょうから」

フレンダ「……む、麦野!」

麦野「お、どうした淫乱ゴールド。マジFu○○してぇってのか」

フレンダ「あたしは仕方がないって訳!能力にかかったとは言え、情報を漏らしたのは事実だからっ!」

フレンダ「でも、上条は!上条がアイテムに入ったのが間違っていたんだったら、暗部のけじめを付ける必要は――」

麦野「煩ぇな。もう何発か腹パンすりゃ黙るか」

ブゥンッ

上条 パシッ

麦野「……んだぁ?手ぇ離せよ」

上条「離すのはお前の方だよ、麦野」

麦野「調子乗ってんじゃねぇぞレベル0があぁっ!!」

バキッ!

上条(くっ!?でもフレンダから手を離した!)「絹旗っ今だ!」

絹旗「フレンダ!わたしの後へ!」

麦野「原子崩し!」

絹旗(一発ぐらいならっ!――って窒素が高温で削られていく!?)

麦野「アンタの窒素装甲じゃ、んなに持ち堪えられねぇだろうがよおぉっ!!!」

上条(クソッ!間に合うかっ!?)

滝壺「曲がって!」

グゥゥンッ!

麦野「アタシの能力に干渉しただと!?ヤバい、制御がああぁぁっ!?」

上条「二人とも――いや滝壺も俺の後へ回れ!」

絹旗「上条、これじゃ全員超固まってしまいますよ!」

フレンダ「バラバラになって逃げた方が良い訳!」

滝壺「わたしが抑えているウチに、みんなは逃げ、て」

絹旗「超出来る訳がないです!」

フレンダ「仲間を見捨てて逃げれんだったら、最初からここへ来てない訳よ!」

上条「……絹旗、フレンダ、滝壺。もう一度だけ――いや、何度だって言うぜ」

滝壺「かみ、じょう?」

上条「お前達は俺を信じた。だから今、みんなでフレンダを助ける事が出来た」

上条「俺を信じろ!そうすりゃ麦野なんかに負ける訳が無い!」

麦野「――って、おらああああぁぁぁぁっ!!!」

ドォン!

麦野「あっははははははははははっ!面白――く、ねぇよクソガキ。私が生まれてから聞いたジョークの中で、一番笑えねぇ話だ」

麦野「あんまり怖くて狂っちまったかぁ?あぁまぁ別に抵抗してくれた方が、楽しいから良いけど」

上条「なぁ……麦野、あんたがそこまで徹底して厳しくするのは何でだ?それは相手になめられたくない、とかって言うんだろう?」

上条「でもな、結局それは“アイテム”を守るためにやっているんだよ!大事な仲間を、大切な人達を、外からの暴力に呑まれないようにするだめだろ!?」

麦野「……るさい」

上条「あんたの能力だってそうだ!本来敵に向けるための武器を、どうして仲間へぶつけなきゃいけないんだ!?」

麦野「……煩い」

上条「逆なんだよ、全てが!」

上条「誰かを守るために戦っているんじゃいないのか!?それともあんたにとって“アイテム”はそんなに簡単にぶち壊しにしても良い関係なのか!?」

麦野「煩い!煩い!煩い!煩い!煩い!煩い!煩い!煩い!」

上条「……オーケー、だったら俺はその幻想をぶち殺す!」

上条「いい加減ダダをこねてんじゃねぇぞ、麦野おおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

パシィィィンッ……!!!

――逃走中のアイテム。いや、凱旋中なのか

麦野(……)

絹旗「……上条、超重くないですか?代わりましょうか?」

上条「ん、あぁ大丈夫。つーか結構軽い。つーか片手折れてんのに無理だろ」

絹旗「決して麦野の超オッパイが背中に当たって、上条の下条が超おっきしている訳ではない、ですか?」

上条「かかかかか上条さんはねっ!紳士だからそんな事ぁ全く考えないのですよ!!」

フレンダ「だったらあたしが!……って無理か。麦野、背高いから足ついちゃう訳よ」

絹旗「これだからフレンダは超使えないんですよ」

フレンダ「あんたの方がチビなのに!?」

滝壺「ふれんだだから、しょうがない」

上条「だよなぁ、フレンダだしなぁ」

フレンダ「あたしの味方は居ないって訳!?」

絹旗「裏切り者のフレンダは超粛正されても仕方がないですし」

上条「こらあんま虐めんなよ。フレンダだって不可抗力だし」

滝壺「そーそー、もしもフレンダがほんとうに裏切ってたら、わたしたちを助けにはこないとおもう」

絹旗「なんですか、わたし超悪役じゃないですか――あぁそうそう、二人に聞こうと思っていたんですが」

絹旗「二人が戻ってきた際、どうしてフレンダは麦野の方へ向かったんですか?性格からして即メルトっても超仕方がなかったと思いますよ?」

垣根でも同じだったが、能力名を言いながら攻撃するってのはどうだろう?
麦野だったら罵倒や下ネタを叫びながら
面白いから頑張れよ

>>32
こっからユルくなるのでご勘弁を
>>43
地の文(○○が××した、とか)を省いているんで、どうしても説明台詞になりがちです(私の力量不足でしょうが)
ともあれ次回からの参考にします


フレンダ「そ、それはホラ!あたしにはあたしなりのケジメって訳よ!こう見えて暗部一員として当然な訳だし」

滝壺「おぉ、ふれんだ格好良い」

フレンダ「ふふん!」(ドヤ!)

絹旗「で、本当の所はどうなんです。上条?」

上条「あぁコレ麦野には内緒な?」

フレンダ「ちょっ!?結局言う訳?」

上条「俺もフレンダに同じような事言ったんだけど、完全にテンパってて、『麦野が!麦野が死んじゃう!』って突っ込んでったつーだけの話」

上条「自分が殺されっかも、とかは頭になくて心配だったみたいだ」

絹旗「フレンダ……」

フレンダ「ちょっ!見ないで!?そんな優しい目で見ないで!?」

絹旗「分かりました。いえ超感動しました。フレンダ――」

フレンダ「きぬ、はた?」

絹旗「今日からわたし達、超友達ですから」

フレンダ「絹旗……うん、今日から友達って訳、仲良くしようね――って違うから!今までは!?今まで友達じゃなかった訳!?」

滝壺「ふれんだ」

フレンダ「な、なによ……滝壺」

滝壺「むぎの、起きちゃうから、しーっ、ね?」

フレンダ「不幸って訳ええぇぇっ!?」

絹旗「――とまぁ、壊れたフレンダはさておき。上条、本当に超只の学生だったんですね。学院二位と四位を一時間以内に負かすなんて、普通の、ではないでしょうけど」

上条「いや、俺は普通のどこにでも居る学生だよ――つーか、だった、かな」

上条「今日からアイテムに加わった以上、ぼちぼちやらせて貰うよ」

絹旗「超甘いです上条。わたし達は暗部、今まで酷い事もたくさんやられてきましたし、やってきました」

絹旗「だからこそ、ですが、あなたには――」

上条「あのさぁ、麦野っていくつぐらい?」

絹旗「え?はい、トップ89のアンダー69の超Eカップですね」

上条の下条さん(そっかぁ、背中に当たる感触は圧巻の一言ですしねー)

上条「じゃねぇよ!つーか何でいきなりおっぱいの話になった!?歳の話だ、ト・シ!」

絹旗「こないだ超自慢してやがったので。年齢は多分17、8ぐらいじゃないかと」

上条「軽いんだよ」

絹旗「何を、言って――」

上条「年頃の女の子、背負う機会なんて滅多に……まぁ、そんなにはない――事もない、けど。比べた感じ、他の子と全然代わんないぐらいでさ」

上条「だってのにアイテムのリーダーなんて役目押しつけられて、義務感の強さから仲間にまで牙を剥かなきゃいけなくなって、だ」

絹旗(いえそれは別に麦野の超素だと思います、素だと思います。大事なので以下略)

上条「……何が第四位だ。何が原子崩しだ。暗部の一員だっつったって、別に超人でも何でもない、只の女の子じゃねぇか」

フレンダ(いやー女の“子”ってのは有り得ない訳よ。こないだスキルアウト素手でボコってたし、超人って言ってもおかしくないと思う訳)

上条「お前らだってそうだよ!普通の可愛い子達だってのに、汚い大人の訳分からない戦争に巻き込まれてる!」

滝壺(かわいい……誉められた)

上条「一度知った以上、ほっとく訳にはいかねぇんだよ」

滝壺「でも、どうやって……?」

上条「一人で出来ない事はみんなですりゃ良いんだ。だって俺達は“アイテム”の仲間なんだろ?」

滝壺「……うん」

フレンダ「……結局さぁ、何かそれっぽい言葉で誤魔化しているけど、ノープランて訳?」

絹旗「まぁ超仕方がないと思いますよ。所詮は超上条ですから」

上条「悪かったですね!そりゃ確かに成績良くないけどさ!」

絹旗「どうせ止めたって、わたし達が姿をくらましたって、一人で学園へ超喧嘩売るんでしょう?だったら超フォローした方がまだマシじゃないですか」

滝壺「手がかかる……でも、そんなかみじょう、応援している」

フレンダ「結局疫病神って訳」

上条「ひでーよ!?俺は結構真面目に考えてんのに!?――って静かに。麦野が起きちまう」

麦野(最初っから起きてんだけど……まぁ、いい)

麦野(今っから原子崩し仕掛けりゃ、腹ぁ風穴開けられるが……)

麦野(クソが。最悪だ、コイツは)

麦野(……まぁ、今は、な)

――喫茶店に戻る

店員「はい、パーティセットかける3、サバピザ1、鮭ピザ1、ドリンクは適当に……はい、××ビルの○○号室までですね?……はい、毎度有り難う御座いまーす」

店長「浜面君、最後の配達だ。宜しく頼むよ」

浜面「あ、お疲れっす……って××ビルですか?随分変な所っすね」

店長「うん常連さんでね。店にも良く来てくれるんだ」

浜面「わっかりました!不肖浜面、全力で行ってきぃあすっ!」

店長「(……ちょっとちょっと)」

浜面「(なんすか)」

店長「(娘がね、君が戻ったら歓迎パーティをしたがっているんだけど、今からピザを作るとちょっと時間がかかりそうなんだ)」

浜面(!)

店長「(だから、少しだけゆっくり帰ってきてくれないかな?)」

浜面「(うっす!)」

――“悪党”たちの会話

土御門「どうやら“ピンセット”はアイテムの連中が手に入れたようだ」

結標「垣根帝督が健在なのに?アイテムが見逃された、って可能性の方が高いんじゃない?」

土御門「一方通行、お前は第二位と第四位、両方に面識あったよな?」

一方通行「あァ、どっちも小物だったがァよォ」

土御門「二人はどんな感じだ?」

一方通行「第二位は、猟犬かァ?狩りが好きじゃなくっても、命令があればどんな相手でも食い破る、ってェ性格だ」

一方通行「第四位は……まァ、ワニか。それも川にいるヤツじゃねェ。ネバ○ランドで時計呑んだアレだ」

一方通行「一旦獲物と見なした相手ならどこまでも追い回す、噛みついたら相手を殺すか自分が死ぬまで離さねェ」

土御門「にも関わらず、現在アイテムはスクールを追撃する様子を見せていない。何人かは負傷したようだが、誰一人欠けていない状態だ」

一方通行「あァんじゃソレ、アイテムでアタリだな。垣根が最後に日和ったか、取引でもしたんじゃねェのか?」

海原「単純に第四位が下克上を果たしたのではないですか」

一方通行「有り得ねェ。未元物質はンな原子崩し如きで破れる代物じゃねェし、仮にそうだったとして、第四位が第二位を始末しねェ訳がねェ」

結標「……話を聞くに狂犬みたいな連中なのね。上位ランカーさんは何処か壊れているようだし」

一方通行「なァンですかァ?むっすじっめさァァァン?」

海原「いえだからそういう所がアレだと。自分としては結標さんも良い性格をしていると思いますが」

結標「言ってくれるじゃない。中学生にハァハァしている変態ランカーじゃ、あなたも上位へ入ると思うけど?」

土御門「やめろお前達。で、だ。俺達グループはピンセット回収に動くか否か」

海原「相手の能力は――」

一方通行「どォだっていいだろよォ。第四位を含めて何人居るかだけ分かりゃ、取りこぼしが無くていい」

土御門「第四位の麦野とレベル4、この二人が戦闘系。後は遊撃として一人、情報探査系が一人、だったな」

一方通行「……ちょっと待ってろォ……」

ガスッ(ピザ屋のバイク?を襲撃する)

一方通行「あ、すいまァせェン、アンチスキルなァンですけどォォ、ちょろォっとおっ時ィ間宜しいですかァ?」

ピザ屋の配達人?「は、ははははははいいいっ!?」

ピザ屋の配達人?(なんだコイツ!?超白ぇ、新しい都市伝説かなんかかよ!?)

一方通行「お兄ィさン、あそこの貸しビルに配達するンですよねェ?えっと名札名札――はま、メン?浜メン君?かっけェ、イケメンみたいな名前っすねェ」

浜面「は、はまづら、なんだけど……」

一方通行「悪い人達が集まって居るみたいだからよォ、俺が代わりに持ってってやンよ。オーケー?」

浜面「い、いえお金っ!」

一方通行「あァうんカード大丈夫ゥ?」

浜面「えっと、すいません」

浜面(アレ?ちゃんと払ってくれるの?あぁビックリした……)

一方通行「じゃ他にはナイショ――いや、口ィ軽そうだな。オイ、跳ばせ!」

浜面「え?とば――」

ヒュンッ

土御門「えげつないな、お前」

海原「いえ、多分一番酷いのは違います。どこへ跳ばしたんですか?」

結標「全裸に靴下で常盤台中学の学生寮。ちょっとお世話になった子が住んでいるのよね」

土御門・海原(流石S音様)

一方通行「オイ遊んでンなよ三下ども」

土御門「でも良いのか?問答無用で突っ込むよりも、一度話し合った方が――」

一方通行「おいおォい、なァに言ってるンですかァ?俺達は“悪党”だ。それもとびっきりのだ。今更格下相手にビビってンじゃねぇ」

一方通行「――ってェどうした海原ァ。ピィィィツァァ喰いてェんだったら、喰っても良ィぞ」

海原「いえ、そうではなく。枚数多すぎませんか?女性四人にしては大分多いような」

土御門「あぁそう言えば男が一人加わった、と言う情報もあったな。ただしレベル0の浜面とか言う男だそうだ」

結標「下部組織の連中かしら?」

海原「彼を捕まえて、自分が潜入する方法もありますが」

一方通行「いやァ必要ねェだろ。三下相手に面倒な策使う必要が感じられねェ」

土御門「お前の自信は、いつか身を滅ぼすぞ」

一方通行「……俺が怖ェのはたった一人のレベル0だよ。それにしたって守るべきものがある今の俺じゃァ、負ける筈ァねェンだよォ」

浜面はdisられる風潮

いくら上条がアイテムにいるからってひどいよ……
浜面は普通だけどさすがにかわいそう……

――アイテムのアジト前2。とある貸しビル前

一方通行「すいませェェェーン!ピィィィィィッツァァ持って来たんですけどォォォ!?」

男『あ、今オートロック開けますー』

一方通行「さァ、パーティの始まりだァ!」

ガチャ

上条「えぇはいそうですねー。パーティセット頼んだ○○号室の者ですー」

一方通行・海原・土御門「」

結標(あ、前にモヤシにぶっ飛ばされた時、救急車呼んでくれた人だわ)

上条「って一方通行?海原も!そっちの女の子は知らない――いやどっかで会ったか?」

上条「あ、ピザ……あぁ良かったー、きちんと働いていたんだなー。ちょっと心配してたんだよ」

上条「御坂妹から打ち止めの保護者になった、ってのは聞いてたけど、また悪い事やらかしそうでさ?うんうん、誰だって更正できるもんな」

上条「あ、ごめーん、フレンダ来てくれるー?」

フレンダ「はいはい、どうした訳よって」

上条「先運んで貰えっかな――おい、おい!お会計お願いしたいんだが」

一方通行「……さ」

一方通行「作戦たァァァイムゥゥ!!」

上条「ど、どうぞ」

海原「あ、お飲み物とサイドメニューはこちらです。あとこれ次回から使える割引券ですから」

フレンダ「ありがとうって訳よ」

>>54-55-56
浜面さんにとって超ご褒美ですよ?(迫真


――作戦たァァァイムゥゥ(in廊下)

一方通行「話がちげェェェだろォォがよォォッ!?なンだそりゃ!?何であのレベル0があそこにいンだァ!?」

海原「(中に聞こえるので、小声で喋ってください!)」

結標「何?アンタらの知り合いなの?」

海原「(自分と一方通行にとっては因縁の相手です)」

結標「負っけ犬―!プークスクス!」

一方通行「(なんだコラまた凧揚げされてェのか露出狂がァァ!)」

結標「きゃーたすけてー目つきの悪い白モヤシにカルピス蕎麦もぐもぐさせられるー」

一方通行 ビクウウゥゥッ!?ガクガクガクガク

結標(弱っ!?まるでハムスターみたいに怯えてる!)

一方通行「(海原からも何か言ってやれ!)」

海原「(いえ、一人でトンズラしたクソメガネに連絡を取っているのですが――あ、繋がりました)」

土御門『おかけになった番号は現在使われていないにゃー。もっかい正しいかどうか確かめてから連絡するにゃー』

一方通行「(ふざけンなよ!テメェノリノリだったじゃねェか!!)」

土御門『あームリムリ、上や――幻想殺しに勝てる気しないにゃー。ってかお前、今普通に動けるのって、シスターズの演算借りているだけだろ?』

一方通行「(それがどォした)」

土御門『幻想殺しに手ぇ上げたら、いくら打ち止めが頑張っても問答無用でMNWから弾かれるぜ?』

一方通行「(!?)」

土御門『って事で俺は今回の件から降りる。暴力以外でどうにか出来る、ってなら手を出しても良いと思うが』

海原「(自分もゴメンですね。あの少年を傷つけるのであれば、立場上敵に回らざるを得ません)」

結標「なにそれこわい。ストーカーだけじゃなくて、そっちまで――」

海原「(ある訳無いじゃないですか!……兎に角、今日はここで失礼します)」

一方通行「(で、お前はどうすんだァ?)」

結標「何か、こう、空気がピンクいのよね。危険じゃないんだけど、今入っていったら取り返しがつかなくなるような気がする」

一方通行「(どォしたモンかなァ)」

ガチャ

一方通行 ビクビクッ!?

結標(あ、面白い)

上条「あれ、海原は?」

一方通行「あ、あァ何か帰ったみたいだぜェ?」

上条「そっかぁ。まぁいいか次で。お前ら、一緒にピザ食おうぜ」

結標「あたしも?」

上条「一方通行の友達なんだろ?」

結標「違うわ!同僚よ!」

上条「どっちだっていいよ。兎に角、中へ入れよ、な?」

――アイテムのアジト前3。とある貸しビルの廊下

垣根(って来たのは良いんだけど、どうしよう?)

垣根(心理定規は『仕事の時間だから』って帰っちまうし、残ったスクールは俺一人……)

垣根(一体どうすれば、こう、フレンドリーに入っていけるだろうか)

垣根(いやでもレベル0相手だよ?俺が悩む必要なくね?)

垣根(やっぱり『話は聞かせて貰った!』的な?いやー……引くだろ)

垣根(でもちょっと前まで殺し合った相手に、今更協力しようなんて言えないよなぁ)

垣根 モジモジ



――貸しビル内、アジト

麦野「かぁーみーじょーおー」

上条「何だ?」

麦野「監視カメラにさっきのメルヘン野郎が映っているんだけど、アレどーにかしてこい」

上条「え、俺が?」

麦野「あー何か顔が痛いなー、誰かに殴られたせいじゃないかなー、原子崩壊が制御できそうにないなー、おっとあんな所に第二位が」

上条「悪かったよ!つーか持ちネタにするなよ!いいか、絶対だぞ!?」

麦野(いやもうそれやれっつってんのと同じだし)

上条「つーか麦野さん。さっきからどうして俺の方見ないで喋るの?」

麦野「うるせぇな!さっさと行け!」

麦野(ヤベェな。は、恥ずかしすぎて上条の顔、まともに見れねぇ)

――また廊下

垣根(いやーアレじゃね?ピンセット手に入れたのは良いけどさぁ、よくよく見ると何でこんなん欲しかったの?とか、我に返る時ってあるよな?)

垣根(ガチャのパーフェクトジオ○グMark2欲しかったんだけど、いざ手に入ってみれば、微妙な出来だったり?)

垣根(アレ今にして考えれば、マジ○ガーのパクりっぽい作りだったよなぁ……)

垣根(てかそろそろフェニックス○ンダムの1/144キットも出して欲しいんだけど……)

垣根(……あぁうん!別にいらなくね?こう、黙ってここへ置いておけば、『垣根さん実は良い人、勝ちを譲ってくれた!』みたいな感じで、好感度上がるんじゃねぇか)

垣根(よし!んじゃ早速)

ガチャ

垣根 ビクゥゥッ!

上条「よ、よう!」

垣根「き、奇遇だなぁレベル0!」

上条「……すまん、さっきからカメラに映ってた」

垣根「パーティの時間だぜ!」

上条「それ、一方通行がさっきやった」

垣根「」

上条「……ピザ残ってるんだけど、食べる?」

垣根「……うん」

上条「生サバブルーチーズピザと鮭缶カマンベールピザしか残ってないけど」

垣根「俺のこと嫌いなら嫌いって言えよ!?」

――アジト

麦野「なんつーか、まさかアンタらと一緒にメシ食う日が来るとは思わなかったわ」

一方通行「同ゥ感だ。つかどういう状況だよメルヘンくゥン?」

垣根「いや、話降られても。なぁ――えっと?」

上条「上条だ」

垣根「上条に聞いた方が早いだろ」

上条「……成り行き?」

結標「いやいや成り行きでもこうはならないわよ?」

一方通行「普通よォ、テーブルってェのはそれぞれの辺を囲むモンだ、四人いりゃ四人で向かい合うってェのが筋だろ」

結標「まぁ普通は“こう”よね」

(※□はテーブルです)

  上
通□結
  垣



一方通行「でもどォして“こう”なってンだァ?」

  滝   フ
絹上麦
通□結
  垣

フさんかわいそう

あと複数指定の安価は>>1-20って感じに
最初と最後だけ指定すればおk

>>69
㌧です


垣根「何?何なの?お前らマップ兵器来たら瞬殺されるよ?」

絹旗「いえ別にわたしは超手が骨折してて使えないので、上条に食べさせて貰ってるだけです」

垣根「いや俺が折ったのは、利き腕じゃない方だよね?一応気ぃ遣ったつもりなんだけど」

絹旗「上条、次はマヨチキ超取ってください」

垣根「アレ今俺説明したよね?食べさせて貰っている必要ないって。もしかしてスタンドなの?スタンド攻撃を受けているの?俺の台詞がズギュウウゥゥゥンって時間が跳ばされているの?」

一方通行「まぁ怪我してンだから、ってェのは分からねェ話でもねェが。後のやつァ何で背後霊みたいにひっついたまま寝てんだ?」

上条「あーうん何かさ。麦野さんおんぶしたのが羨ま――フガっ!?」

麦野「上条、こいつも食え。どうせいつも大した食生活してねぇんでしょうが」

垣根「(で、一番おっかねぇのは隣で甲斐甲斐しく世話焼いている第四位なんだが)」

一方通行「(正直鬼気迫る、つーか、どォして半ギレしてんのか訳分かんねェ)」

結標(まぁこんだけライバル多けりゃ危機感の一つや二つあるでしょうけど)

上条「つーかフレンダ」

フレンダ「な、なによ?」

上条「さっきからウロウロして何やってんの?」

フレンダ「べ、別に上条には関係ない訳だし!」

結標(いや、明らかに出遅れて戸惑ってるだけでしょうが)

上条「あぁうんごめんな。それで、だ」

フレンダ・一方通行・垣根・結標(放置したっ!?)

上条「垣根、だっけ?どうしてウチまで来たんだ?」

上条「……どうした?何か居心地が悪そうだし」

垣根「あぁいやいや別に何でもねぇ」

垣根(いやいやお前の後で泣きそうになっている子が居るんだけどぉぉ!)

一方通行(幼女じゃねェが何かハブられてると心が痛むぜェ)

結標(どうにかしてあげたいんだけど、部外者が口を挟むのもちょっとアレよね)

垣根「まぁ、なんだ。ホラこれ、手みやげ代わり、つっちゃ何だけど」

麦野「“ピンセット”……?どういう風の吹き回しだ、第二位」

垣根(あれ、普通に話進めんの?……あぁ第四位からは見えないか)

結標(意図的にシカトしている可能性もあるけどね)

垣根「俺らもちったぁ考えたんだが、結局埒が明かなくてな。だったら欲しがってる他の連中に聞きに来た、ってぇ話だ」

絹旗「って言われましても、わたし達は超回収を命じられただけで、それ以上は何も」

一方通行「お前ら手袋でドンパチやってたみてェだけど、フレデ○ゴッコでもしたいんですかァ?」

上条「いやいや、これは空気中の小さな監視カメラを拾える機械なんだよな?」

フレンダ ウロウロ、ウロウロ

一方通行(うわァなんかぼっちになっている昔のオレみてェ……)

垣根(オイどーすんだこれ、誰が収集つけるんだよ?)

フレンダ「(……ぐすっ)」

結標(あ、ヤバい。マジ泣き入りそう)

垣根「だが暗号になってて面倒でなー。だからまぁ他のヤツに任せようかなー、と」

垣根(ホラ、話振ったから!後の子に『立っている人、解析用のデバイス持ってきて』とか頼んで!半泣きになっているのに気づいてあげて!!)

上条「あぁだったら……一方通行、頼めるか?」

垣根(何やってんのレベル0おおぉぉっ!?俺が折角キラーパス出したってのに、どうしてスルーするんだよぉぉ!?)

フレンダ(ごしごし)

一方通行(おォいィィっ!?話の邪魔になりそうだから、無理矢理堪えたぞォォっ!?)

上条「一方通行……?あぁごめん、気は進まないか。いくらお前が昔暗部みたいな事してたからって、こんな事を頼むのは間違ってるよな」

上条「でもさ、俺は思うんだよ。俺達が力を合わせればなんだって出来る!誰だって救えるんだって!だから――」

一方通行(ヒーローさァァァンッッ、後の子、後の子を救ってあげてェェェ!!!)

垣根(ヤバいから!もっかい大きなの来たら、涙さん決壊するからっ!)

上条「――だから一緒に戦ってくれないか?」

一方通行「チッ、しょうがねェな。お前にゃ借りがあるし、その分だけ働いてやンよ」

一方通行「そのデバイス寄越せ。三分で解析する」

カチッ

垣根(一方さぁぁん、何とかしてよ後の子のHPはもうゼロだからっ!)

一方通行「ってかさっきから後のヤツ、ウロウロ煩ェんだよ。どっか座ってろ!」

フレンダ ビクッ

一方通行(ど、どうだ……?流石にここまで言えば、ヒーローさァンも気付くだろ?)

垣根(第一位は伊達じゃねぇな!あぁ俺達に出来ない事をやってのける!)

上条「あーそれで、垣根の方なんだけど」

フレンダ シュン

一方通行(そっち!?何それバカ優先するんですかァァ?オレ只の嫌なヤツじゃねェか!)

垣根(俺に話し振る前に後見てぇ、後!前向きだけじゃなくって、たまには後向いてぇぇ!)

垣根「なんだよ、まさか俺にも協力しろ、って話じゃねぇだろうな」

一方通行「(メルヘン何とかしろ!何とかしてフォローしやがれ!)」

垣根「(と、取り敢えず場所作ろうぜ!場所!モヤシ、テーブル引っ張れ)」


  滝   フ
絹上麦

通□結↓
  垣

上条「なぁ第二位、確かに俺は弱いよ。つーか殆どの学園生はそうだな。中には行き場を失ってスキルアウトみたくなっちまうヤツだっている」

垣根(いやいや、今まさにお前が後の子の行き場を無くしている所だからね?むしろ主犯はお前だからね?)

上条「そうかと思えば、俺達みたいなのが誰かの思惑に従って戦わなきゃならない」

一方通行(あ、ちょっと近寄ってきたじゃねェか!)


  滝
絹上麦  フ↓

通□結
  垣

上条「別に戦うのは良いと思う。誰かのために、国のために、大切なものを守るには戦うのは必要だ」

垣根(バッチこーい!もうちょっとだ!勇気を出せ!カモン!)

上条「只、今回の件で思ったんだ、戦うのは俺達じゃなくって、俺達“が”だって事に」


  滝
絹上麦
      フ↓
通□結
  垣

上条「俺達が戦わなきゃいけないのは、学生同士じゃない!俺達を良いように扱っている連中――学園側じゃないのか!!」

ズイッ、ズルズルズル


  滝   フ!?
絹上麦↓
通□結
  垣


垣根「」

一方通行「」

上条「俺にはお前の力が必要なんだ!だから、だから学園第二位と呼ばれた、お前が――」

結標(面倒だわ)

ヒュンッ

フレンダ「!?」

  滝   □
絹上麦
通フ結
  垣

上条「俺達の腕で抱えられる命は少ないんだよ!ほら、俺なんかだとフレンダで一杯になっちまう!!」

ギュッ

フレンダ「――っ!?――っ!?」

麦野・絹旗(コ ロ ス)

上条「だが、もし学園を変えようとする人間が多く集まれば、それだけ大勢の人達が――」

一方通行(ナイスババァ!天使ちゃんに全部持って行かれた不人気っぷりは流石だぜェ!)

垣根「良くやった!弟(業界では彼氏を指す事が多い)を溺愛しているだけはある!」

上条「?」

フレンダ スリスリ

垣根「い、いや、よく言ったっつったんだ!」

垣根(あ、ごめん。何の話してたんだっけ?聞いてなかった……)

上条「ありがとう!手伝ってくれるんだな!」

垣根(て、手伝い?まぁ大したこっちゃないだろうし)

垣根「あぁ当然だ! レベル0、いや上条だったか。俺を負かした相手に頭まで下げられちゃ、手伝わねぇ訳にはいかねぇだろ!」

上条「そうか!じゃあ一緒に学園と戦おう!」

垣根「俺の未元物質を使えば学園なんか簡単に――学園?」

一方通行「……解析終わったぜ。つっても俺らの抗争が殆どだったがなァ」

上条「そっか……」

一方通行「唯一、目新しい事だったのは――“ドラゴン”てェ言葉だけな」

上条「ドラゴン、か。分かる事なんて本当に少しなんだな……」

フレンダ クンカクンカ

一方通行「まァ気長にやってこォぜ?急に変えられるもンでもねェさ」

上条「あぁ宜しくな」

一方通行「おゥ」

一方通行(あれ?俺も仲間にカウントされてねェか?)

――某中学、女子寮

御坂「こっちは?」

女子生徒「いません!」

御坂「ったくどこのバカよ!常盤台に全裸と靴下で潜入するなんて」

女子生徒「何らかの能力者じゃ?警備の目をかいくぐるなんて、人間業じゃありませんし」

御坂「あり得るわね。見つけたらゼロ距離から超電磁砲お見舞いしてやるんだから!」

浜面(ガクガクブルブル)

浜面(な、何で俺の人生超ハードモードになってやがんだよぉぉ!?)

浜面(何コレ?つーか暗部で失敗してバラされる方がマシだったんじゃねぇか!?)

浜面(どうする!?どうすればいい!?考えろ浜面、どうにかなる――)

浜面()

浜面(わきゃねぇぇぇぇぇだろぅぅぅぉぉぉぉっ!!)

女の子?「ちょっとそこの変態の方?」

浜面 ビクゥゥゥッ?

浜面(な、何で分かった!?こいつ探知系の能力者か!)

女の子?「ロッカーが微妙に震動しているから、猫でも分かりますわね」

浜面(ど、どうしよ――)

女の子?「ベタに『にゃあ』とか言ったら即突き出しますから、そのおつもりで」

浜面 ピタッ

女の子?「今からわたくしの質問に答えなさいな。はい、はガタ、いいえ、はガタガタ。宜しいかしら?」

浜面 ガタ

女の子?「ではあなたに質問していきますが、わたくしの気に入った答えであれば解放して差し上げても宜しいですの」

浜面(気に入った答え?)

女の子?「女子寮へ入ったのは下着が目的かしら?」

浜面 ガタガタ

女の子?「」

ガンッ!

浜面(!?外から蹴られた?)

女の子?「そぉ、一回ですわね。素直で宜しいですの」

女の子?「次にあなたはお姉様――いえ、常盤台の超電磁砲のおパンツを盗んでいるかしら?」

浜面(んなおっかない事出来るか!)

浜面 ガタガタ

女の子?「」

ガンッ!

浜面(!?また何で!?)

女の子?「そうですわよねぇ、何と言っても“あの”レールガンですから、当然欲しがりますわよねー」

女の子?「つまりあなたは『常盤台の超電磁砲のおパンツを盗みに入った』んですわね?」

女の子「だから『あなたが逃げおおせてしまっては、お姉様のおパンツがごっそり無くなるのは仕方がない』――そう、思いませんこと?」

浜面(つまり、これはだ)

浜面(俺が下着ドロに仕立て上げた裏で、コイツが盗むって話か)

浜面 ガタガタガタ

女の子?「大丈夫ですのよ。あなたが捕まってしまっては元も子もありませんから、わたくしが責任もってキチンと脱出させて見せますの」

浜面 ……ガタ

女の子?「あら、素直な殿方は好感が持てますわね。では行きたい場所を仰ってくださいな」

浜面「(△△の、喫茶店の前)」

女の子?「では、ごきけんよう」

ヒュンッ……ドン

浜面「あいたっ」

カチャッ

浜面「良かった……俺、戻って来れたんだっ!!!」

浜面「店長おおっ!ただいま帰って来ましたっ!」

――駅前の喫茶店前

上条「何か悪いな。タクシーに相乗りさせて貰っちまって」

麦野「別にいいわよ。私もここから帰った方が結果的に安上がりだから。つーかアンタ学生なんだし、もうちょっとおねーさんを頼りなさいな」

上条「いやー上条さんとしてはあんまり、そうは見えないって言うか」

麦野「んだぁ?人をババア扱いかぁ?」

上条「そんなんじゃねぇよ!そう言う意味じゃなくって、麦野さん可愛いなって」

麦野「な、何を突然――ドッキリか!?」

麦野(つーかどうして“さん”づけに戻ってんのよ)

上条「あぁいや外見とかは年上のキレーなお姉さんって感じだけど、実際に付き合ってみりゃ、直ぐにキレるわダダはこねるわ、割とそんなに代わんねぇな、って話」

麦野「悪かったわね」

上条「いやいや付き合いやすいって意味ですから!背伸びとかしなくても、一緒になってバカやってくれるって感じで!」

麦野「バカはお前だよ、学園第四位にんなナメた口きいたら、ぶっ飛ばされんぞ?」

上条「おう、やってみろ!だがな、俺はその幻想をぶっ殺す!」

麦野「……」

上条「……はは」

麦野「……ふふ」

上条・麦野「あはははははははははっ」

麦野(あぁなんだ、コイツぁ“バカ”なのか。それもとびっきりの)

麦野(こっちの都合なんざお構いなしに踏み込んでくるわ、だからといって死んでも見捨てないってぐらいに――)

麦野(ぐらい、じゃないか。実際今日一日だけで何回殺されそうになったかも分からないのに、その全部に体張ってきた訳だし)

上条『あぁ別に信じなくても良い。俺が助けたいと思ったら、そうするだけだ』

麦野(たったそれだけの理由であの子達や私も救っちまった、と)

麦野(ある意味アイテム全滅かも知れないわね。人の事ぁ言えた義理じゃないけど)

麦野「――で、さ。この後ご飯でも食べない?」

上条「あーごめん。持ち合わせが無くて」

麦野「あぁそんぐらいは奢ってあげるわよ」

上条「有り難いけどそう言う訳には行かない。結局ピザ代も払ってないしな」

麦野(あれ?上条が払ったんじゃなかったっけ?)

麦野「だったら作りに行ってあげるわよ、って。材料費出せばロハでやったげるから」

上条「マジですか!?助かる、ウチには大食らいの居候が――」

ヒュンッ、ドゥゥンンッ!

麦野(なんだありゃ、ロッカー?ロッカーがどうしていきなり――)

上条(魔術師の攻撃かっ!?)

上条「麦野危ない!」

ダキッ

麦野(ちょっ!?いやいやいやいやっ!待て待て待て待てっ!?)

麦野(なんだコレ!いや、私がドーンして終わりだってつーのによ!)

麦野(私が守られるなんて――)

麦野(……あぁ護られる、ってぇのは、こう言う事)

麦野(思ってたよりは……どうって事ぁないわね)

上条(拙いな、ここだと他に被害が出る!)

ギュッ

麦野()

麦野(えぇっと……なんだっけ?何考えてたんだっけか)

麦野(男の子だったら、上条沈麻-シズマ)

麦野(女の子だったら……上条当利-トーリ)

麦野(――いやいやそうじゃねぇわよ!もっと大事な――)

麦野(二人とは限らないわよね!あ、愛し合った結果なんだから!)

麦野(麻利-マリ、沈当-シズト……後は)

麦野(当最-トーサイ、フレンマ、麻理-マリ、琴麻-コトマ、麻織-マオリ……アレ?)

麦野(なんか未来シミュレーターではママが私の他に一杯いる……?)

カチャッ

全裸に靴下の男「良かった……俺、戻って来れたんだっ!!!」

上条・麦野「」

全裸に靴下の男「テンチョオォォ!ただいま帰って来ましたっ!」

麦野「……オイ」

全裸に靴下の男(浜面)「はい?」

麦野「わざわざロッカーまで、多分能力か何かで転移させてだ」

麦野「なのにやる事がストリーキングなんざぁ――変態にも程があるだろうがよおおぉぉっ!!!」

ドオオオオオォォォォォンッ!!!(この日一番の火力)

全裸に靴下の男(浜面)「待て!そうじゃないんだ!これには事情があるんだ!」

麦野「言うだけ言ってみろコラ!つまんねぇ寝言だったら○○○もぐぞ!」

全裸に靴下の男(浜面)「ヒ、ヒィィィィィィィッ!?」

浜面(落ち着け俺!考えるんだ!ピンチな時ほど考えて行動するんだ!)

浜面(落ち着け俺!考えるんだ!ピンチな時ほど考えて行動するんだ!)

浜面(こんな時、店長ならなんて言うだろう……?)

ピコーン

浜面「……人は努力する事が出来るんだ!」

浜面(あれ、後はなんだっけ?まぁこのオッパイのケースに合わせりゃ行けんだろ)

浜面「い、今はババアっぽい服を着ていても、青筋を張って堂々とそそり立ってれば、いつか必ず歳になるって事だよ!!!」

麦野「……」

全裸に靴下の男(やっべぇ超決まったぜ!)

麦野「……あぁうん、オーケー。つまりアレだ」

麦野「オメェは似合う以前に服すら着てねぇだろうがよおおぉぉっ!!!」

ドオオオオオォォォォォンッ!!!


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」 -終-




読んで下さった方、またご支援頂いた方には多大な感謝を
駄文長文、失礼致しました
繰り返しますが、浜面ファンの方ごめんなさい

余談ですがこのSSの添削を上司へ頼んだ際の感想が、
『打ち止めは?打ち止めが一方きゅんをぺろぺろする話じゃないの (´・ω・`) ?』
でした。上司の幻想をぶち殺す能力を持った方、至急お電話下さい

豬憺擇www

終わりかー

>>93-98
みんなありがとう。書き溜めたのが尽きたので、一週間ぐらい待ってくれたら投下できるかもです
>>92
が、外国の人?

SS速報初めてなんで教えて頂きたいんですが、次は新しいスレ立てた方が良いのか、
それとも続けて書のとどっが良いんでしょうか?
あと、次書くとしたら
「アックア襲撃編(相手的に麦野メイン、シリアス多め)」
「イギリス争乱編(上条+アイテム乗り込む、フレンダvsレッサー)」
「その他(浜面店長編)」
の、どれが需要ありますかね?

――次回予告

男「嘆かわしいのであるな。戦場とは兵士が立つべき所である」

男「にも関わらず、貴様のその姿は何であるか?」

男「名の知れたブランドのコート、ジャケット、スカートにブーツ」

男「高級品で揃えるかと思えば、首には偽ブランドの安マフラー。実に浮いて見えるのであるな」

男「かといってそれがフェイクというわけでもなく、下に帷子の一つを隠し着るでもない。到底戦場に立つ格好ではないのである」

男「私は兵士でない女子供を痛めつける趣味はない。退く事を勧告するのである」

女「あぁうん、アンタあれだわ。アレでしょ?女の子から優しくされたら、『あーコイツ俺に気があるわー、困るわー』とか勘違いするタイプでしょ?」

男「話が見えないのである」

女「いや別にアタシはアンタのためにこの服着てきた訳じゃないし、自惚れんなよクソ野郎って事よ」

女「つーかキモいんだけど本当に止めてくれるかなぁ?おまわりさーん、たすけてー」

男「……では何しにここへ来たのであるか?」

女「そりゃアンタをぶち殺すためだけどソレが何か?」

男「……」

女「いやだからアンタをサクッと殺した後に予定があんのよ。今ICUに入っているから着替えとかタオルとか、意識戻るまでには持って行かなきゃならないし」

女「考えても御覧なさいな。目ぇ覚めたって感動のご対面でだ」

女「全裸で靴下だったら全部ぶち壊しになっちまうだろ?言わせんなよ恥ずかしい」

男「意味が分からないのであるが」

女「女にとって外面ってのは武器なのよ。戦場並みにドロっドロした人間関係、上手く生きていくための防具でもあるわね」

女「ウチにもムカつくクソガキがいてね。足は細いわ髪は金髪でサラッサラだわ、お前そりゃなんつー武装してんの、って感じ」

女「――あぁ何か思い出したらハラ立ってきた、やっぱ一回パ○○ンにしとっかぁ」

男「貴様は私との圧倒的な戦力差が分からないであるか?」

女「分かるわよ、多分私じゃ死なない限りアンタには勝てないでしょうね」

男「ではどうして――」

女「だってアンタ、放って置いたら殺そうとするじゃない?だったら勝ち目があろうが無かろうが、戦わない選択肢はねぇのよ。分かる?」

女「兵士じゃないから戦えないとか、男じゃないから戦えないとか、勝ち目がないから戦えないとか」

女「あと……能力が無ければ戦えない、とかって」

女「それは、きっと――『幻想』でしょうよ」


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――


アックア「さて、そろそろ……」麦野「ちょっといいかしら?」 -鋭意作成中(予定)-


続編なのでこのスレを使います。出来れば落ちないように保守兼感想とか書いて下さると非常に嬉しいです
(ヌトカェから書いているんで約一週間空きますが……必要なんですかね?極東から流れてきたので今一勝手が分かりませんが)

時系列的に行くかどうかはテンション次第ですが……(チラッ
色んな人が書き込みして下さったら上がるかも……(チラチラッ

……冗談は兎も角、賛辞・罵倒問わず経験値になりますのでお気軽にご批評下されば嬉しいです

超笑った
自分としてはシリアスは要らない
原作はなんか手が生えてくる敵がすごい強いとか言うところまで付き合ってギブアップしたんだけど復帰する価値あるかな?

>>123
極めて個人的な見解ですが、と前置きをした上でのお話ですが、
多分イギリス以後のお話になるので、『戦争』へ入っていきます
鎌池先生は所々で笑いを取るようにもっていきますが、やはり全体量としては少なくなっています
(雰囲気を崩すのでバランスに配慮したんでしょうが。でも禁書って元々シリアス多いですから)

が、更に個人的な話をさせて頂けるのであれば、私のようなクソSSを読むのを切っ掛けに、
原作に興味を持って頂ければ非常に誇らしい事である、とも思います

SSとしては手が生えてくる敵が出る『かも』しれないので、予習するのも宜しいかと存じます(ステマ

あれだろ
暗部がメインだからには目的や目標だけはシリアスだけど
言ってることとかがたまにふざけてたりとか
たとえば

麦野「おし、突撃前に点呼をとる。番号!1!」
滝壺「に」
絹旗「超3!」
上条「4!」
フレンダ「g麦野「よし全員いるな!」uスン……」

みたいな

前回から大分経過してしまいしまたが>>1です。諸事情によりお休みが取れませんでしたが、書き溜めは三本分やっていましたので投下したいと思います。

詳しくは下記にある通り超長いです。麦野編は最後までするつもりですが、その後は反応次第という事で(規制されなかったらと)。

暗部抗争編(上条アイテム参加編)・27,634語(電撃フォーマット、一ページ=42文字×17行で換算すると約38.7ページ)←前回投下した奴
アックア襲撃編(麦野贖罪編)・47,970語(電撃換算、約67.1ページ)←今回投下予定
暗部抗争編2(絹旗デート編)・49,171語(電撃換算、約68.8ページ)←完成済み
ブリテン動乱編(フレンダ受難編)・52,468語(電撃換算、約73.4ページ)←完成済み

つーか三週間で原稿用紙(20×20、400字詰め)換算374枚分書いた計算……流石に疲れました

アックア「さて、そろそろ……」麦野「ちょっといいかしら?」


※注意
上条さんTUEEEEE!がしたかっただけのIFストーリーです
要は『上条さん×アイテム』なのですが、今回のメインヒロインは麦野さんです
「麦野ぉ?俺が幸せにしてヤんよ!」と言う方にお勧めします
(あと上条さんの説教好きな方にも是非読んで頂きたいです)
繰り返しますが、浜面ファンの皆さんごめんなさい(テヘペロ)

日常:戦闘:ラヴ:コメ=4:2:1:3、ぐらいです
シリアスイラネ的なご意見も多かったのですが、私は『落差』も必要だと思います
(甘いものばかり食べていても飽きる、ぐらいの認識で宜しいかと。興味無い方は適度に読み飛ばして下さい。シリアス続きの所は面白くないにゃー、とか思われてブクマを外されても、それは偏に私が至らないだけでしょうから)

所詮は我が侭に過ぎませんが、それでも最後までお付き合い頂ければ幸いです

――○○学区校舎内、深夜零時

麦野「クソっ!フレンダは何処行ったの!?あのビ×チ目ぇ離したらチョコマカと」

フレンダ「助けてっ!助けてえぇっっ!?」

麦野「フレンダ!待ってろ――ってコラ!逃げんな!」

麦野(なんでアイツ地面に這いつくばってんだぁ?つかそのまま移動するなんざ、何かに足首を掴まれている――)

麦野(――ん、だったら何故フレンダを引きずり回しているヤツの姿が見えない?)

フレンダ「たすけ、てっ!……たす、けてっ!」

麦野「フレーーーンダッ!ちったぁ抵抗しろやボケがあぁっ!つーか敵に捕まってばかりのピー○姫気取りかコラアァッ!」

麦野(何つーかハプニングに弱いのよね、この娘)

フレンダ「……けて……けて……けて……」

麦野(止まった――か?周りにゃ人の気配はねぇが、一応やっとくか)

ドゥンッ!

麦野「潜伏出来るポイントにゃ潜んでない、か。ったく深夜の学校で追い掛けっこって、ガキの肝試しじゃないんだからよ」

フレンダ「けて、けて、けて、け、て」

麦野「何やってんのよフレンダ。さっさと立ちなさい、な……?」

麦野(……何かおかしい。なんだこのニオイ?)

フレンダ「て、け……てけっ!」

麦野(こいつを追い掛けてきた廊下にべっとりと、血か!)

麦野(けど生きていられる血の量じゃ――)

フレンダ「テケ、テケ、テケテケテケテケテケテケテケテケテケッ!!!」

麦野「テケテケ出たあああああああああぁぁぁぁぁっ!?」

――早朝、麦野沈利の寝室

麦野「っ!?」

麦野 キョロキョロ

フレンダ スースー

滝壺 スピースピー

絹旗 クカークカー

麦野「……夢オチ?21世紀に?」

麦野(あぁ全員で――もとい、四人で泊ったんだっけか)

麦野(つーか私のベッドだっつーのに、どうしてフレンダ潜りこんてで、しかも下半身にしがみついてんだ)

麦野 イラッ

フレンダ スースー

麦野「(よぉっ、と)」

フレンダ コテン

麦野(脚細っ!?)

麦野 ヌガセ、ヌガセ

フレンダ(……なんか、寒い訳……?)

麦野「」

麦野(あぁうん、そりゃ下も金髪だわね)

麦野 ガサゴソ……キラーン

麦野 ジョリ……ジョリ

フレンダ (……スースーするような……?)

麦野(……まだちょっとムカツクな)

麦野 ガサゴソ

麦野 パシャッ、ピロリロリーン!

麦野 ピッピッピッ(北欧、白人美少女、JC、パ××ン、なう)

麦野 ピッ(送信っと)

麦野 ハカセ、ハカセ

フレンダ(……あれ、あったかくなった……)

麦野「(良し、っと)」

フレンダ ダキッ!

麦野「?」

麦野 ナデナデ(あぁコイツもガキっぽいしな。つーか実際ガキなんだけど)

麦野(頼れるおねーさんとしちゃ、無理矢理引っぺがすのも、ね)

フレンダ「……ままー、だいすきー……」

麦野 ブチイイィィッ!!!

麦野「××にピアスぶち開けんぞこのパ××ンがあああああああああぁぁぁぁっ!!!」

ドゥンッ!!!


――アジト2、某貸しビルの一室

絹旗「バカじゃないですか?いえ超バカじゃないですか?」

麦野「……いやまぁ、私だって悪いとは思ってるわよ」

絹旗「わたしが窒素装甲オートで張ってたから良かったものの、下手すればマンションの端から端まで超全キルしてましたよ」

絹旗「麦野はいつまで経っても超麦野ですね。いい加減テンションでメルトるの超止めて下さい。危険です」

麦野「それはしょうがないのよ。そういう風にチューニングされているんだから。アンタだってそうでしょ?」

絹旗「否定は出来ませんが、でもっ」

麦野「はいはい話はここでお終いね。あーそーそー、これ今月分のお給料ね、みんなに渡しておいて」

絹旗「あ、はい――上条も、ですか?」

麦野「きちんと日当で割っといたわ。じゃヨロシク」

絹旗「麦野は来ないんですか?」

麦野「ちょいと野暮用があんのよ」

――ある日の日常の光景。戦いの末に支払わざるを得ない代償

麦野(結局謝れなかったわね)

麦野(フレンダは気にしてないみたいだけど、こっちは気にしてるっつーのよ)

麦野(気にしてない?本当に?)

麦野「……」

麦野(原子崩しで吹き飛ばせるんだったら、まぁ簡単だったんだけど)

麦野『吹き飛びなぁぁっ!!!』

ズゥンッ!

上条『相変わず飛ばしてんなー、麦野さん』

絹旗『いや、出力の1割未満ですよ?超本気でやったら火傷じゃすみませんし』

上条『相手がスキルアウトだからなぁ――って!危ない』

パキィンッ!

上条『麦野さん!2時の方向、上45°!』

麦野『オーケー死に晒せクソ××っ!!!』

ドオオオオォォォォォンッ……!!!

上条・絹旗『』

麦野『あちゃーちょぉぉっと火力間違えたわー、てへ』

絹旗『いえ超思いっきり狙っていたように見えましたが』

上条『ま、まぁ相手もビビって投降し始めているから、良かったんじゃないかな?うん』

滝壺『しーきゅーしーきゅー、こちらたきつぼ』

上条『敵の増援か?』

滝壺『上階でコソコソ爆導テープを貼ってたふれんだが巻き込まれた模様、拡散力場が微弱レベルまで低下』

上条『フレンダあああああぁぁぁぁぁっ!?』

麦野『あぁホラやっぱアタシじゃないじゃん。小娘のテープに誘爆したみたいだし』

――某所

麦野「と、まぁ大体こんな感じなんだが」

麦野「無理じゃねぇかな?つーかもうなんだろ、移動トーチカか突撃戦車ぐらいにしか思われてないような気がするわ」

麦野「どうしたもんかなー?どうすればいいと思う?」

垣根「……いや、何で俺?つーかどうして俺に言うの?」

麦野「アンタしかいねぇだろうが!いざとなったら口封じしても心は痛まない人材なんて」

垣根「痛めよ!俺だって生きて居るんだからね!?」

麦野「むしろアンタが今まで騙して食ってきた女の子から、感謝されまくると思うわ」

垣根「いやいや俺そこら辺かなーりジェントルよ?名前が知れている分、下手な事は出来ねぇし」

麦野「アタシはどうすればいいってんだよ!?あぁ!?」

垣根(何でキレまくんの?朝っから酒入ってんじゃねぇのか?)

垣根「あくまで一般論だがな。言葉遣い――」

麦野「を、直したところで、『何やってんのコイツ?』的なオチにしかならないでしょーが!」

垣根「否定早っ!?つーか面倒臭っ!」

麦野「先に言っておくが、私の女子力は“5”だ」

垣根「数字の根拠を教えてくれ。出来れば具体的に」

麦野「銃を持ったオッサンが5ぐらいね」

垣根「え、なに?お前オッサンって意味?それともオッサンの女子力が異常なの?」

麦野「ちなみにフレンダの女子力が“408”よ」

垣根「高っ!?……いのか?ピッコロ(マジュニア)と同じレベルって事かよ」

麦野「あぁでも今朝装備を外したから“332”まで下げたわね」

垣根「待って!?お前ピッコロさんの肩パット相当の女子力を、あの子の何をどうする事で減らしたのっ!?」

麦野「カミソリで――」

垣根「おいばかやめろ聞きたくない」

垣根「……いや、まぁなんだ?別に他と比べる必要はねぇだろ。金髪の子?フレンダちゃんとは別の方向性を出す、とか?」

麦野「じゃあ聞きますがー、アンタは女の子に何を求める?」

垣根「そりゃまぁ、こう可愛いなー、とか守ってあげたいなー、的な?」

垣根「なんつーかエロもガッチガチに堅いんじゃなくってスポーツ感覚で行けたらー、みたいな?」

垣根「でも俺の好みであって、全部の男がそうって訳じゃ――」

麦野「移動用トーチカの需要は無ぇんだよおおおおぉぉぉっ!」

垣根「実感籠もってんなぁ」

麦野「――で、だ。第二位」

垣根(んだぁ……殺気だと?)

麦野「最近『アイテム』のお仕事がクソつまんない――スキルアウトの駆除やら人捜しになってんだが、教えるか死ぬか選びな」

垣根「素直に教えると思うか、第四位さんよお?」

垣根「テメェこないだ仕掛けた喧嘩、どっちが勝ったか忘れたわけじゃねぇだろうがよおぉっ!」

バサッ!!!

麦野「……なぁ第二位、音声添付メールって知ってるか?」

垣根「遺言でも残すつもりかよ?」

麦野 チャキッ(携帯電話を開ける)

麦野「んんっ、あーあー、スペインの雨は主に平地に降る、っと」

垣根(たまにあの映画見たくなるよな)

麦野「きゃーたすけてー垣根に××されるー」(棒読み)

垣根「お、おい、お前そんなん――」

麦野 ピッピッピ

麦野「私の質問に答えなかった場合、今のボイスメールをウチの新入りへ送る」

垣根「汚っ!?しかも他人頼みっすか!?」

麦野「いいのか?アタシは別に送っても構わねぇわよ。そげぶした後には結構優しくしてくれるし――」

麦野「……」

麦野「(いや、送っちまうか。別に垣根がボコにされても困らねぇわね)」

垣根「待って!分かったよ!だから早まらないでください!」

垣根「何その変わりよう?お前つーかお前らさ、キャラ変わりすぎじゃね」

垣根「俺の未元物質に常識は通用しないけど、お前らの非常識は通用しちゃったからね?」

麦野「良いからさっさと答えな」

垣根「あーまぁ多分俺らの仕業だわな、多分俺らのせいだと思うぜ」

麦野「第一位と何かやったのかよ?」

垣根「あの日――俺らがぶつかった日、つかピザ食った日だ。お前らんトコから帰った後、第一位と“残業”したんだよ」

麦野「他の暗部の連中と?エラくお優しいこって」

垣根「……どこをどうやったかはお察し下さいだが、結論から言やぁ上条の言う通りだった」

垣根「××学区、俺らが戦った所の近くで異常な電力消費量があったんで、ちっと乗り込んでみたら――」

垣根「あったんだよ、冷蔵庫がな」

麦野「業務用……あぁアタシら用ってか」

垣根「非常用バッテリー付きの薄型コンパクト、人一人が余裕で入る上、全面スケルトンの特注仕様ってぇのは中々ねぇわな」

垣根「学院側としちゃどっちが負けても、誰が勝っても“回収”するつもりだったらしいってな」

麦野「狂ってんな。で、それが『アイテム』とどう繋がる?」

垣根「“上”は俺達の動きに気付いてんじゃねぇか、ってのが第一位の予想」

垣根「だから下手に刺激しないように、暗部同士の抗争を禁止しているそうだ」

麦野「……だからアタシらの仕事の質も変わった、か。つーこたアンタらも?」

垣根「第一位の『グループ』は知らねぇ。だがウチのスナイパーが失踪させられているらしいわ」

麦野「失踪した、じゃなくってさせられている?」

垣根「瀕死の重傷だったから自分で動ける訳がねぇ、つーかお前らん所の窒素装甲ちゃんにヤラれたんだが――まぁ、ソイツが入院先から消えた」

垣根「ぶっちゃけ入院記録すらも消えた。だ、もんでソイツの弟子だか義理の妹だかが探しているらしいわ」

麦野「さっきかららしいわ、らしいわってテメーはオカマかよ第二位。同じ組織の仲間に何かあったのに、どうしてそう他人事なのよ」

垣根「べっつにぃ?スクールなんざぁ結局只の戦闘・闘争互助会だし、別に同僚がやられたって、使えねぇなぁカスが、ぐらいにしか思わねぇ」

垣根「つーかお前だってそうだろ?こないだ、アイテムの連中皆殺しにしようとしたじゃねぇか」

麦野「……」

垣根「ハッ、俺もお前も、一万人のクローンどもぶっ殺した第一位サマと同じなんだよ」

垣根「テメーのためにゃ何でもするし、その他は全部クソだっつークソみてぇな人種だわな」

垣根「一つ教えてやんぜ麦野さんよぉ。まぁ?俺も同じなんで人の事ぁ言えねぇが」

垣根「お前人に好かれる好かれない以前の問題で――」

垣根「好きになって貰う資格すら、無ぇんじゃねぇのか」

――考察、自分だけの現実について・1

(能力ってぇのは自分の願望――欲望を叶えるための手段に過ぎない)

(いつだったかクソ木原が言っていた事だ)

(『だから学園都市で開発される能力ってのは、結局個人個人の欲によって左右される』)

(『例えば逃げ癖を持っている野郎は移動系や加速系。性格の激しい奴ぁ発火系、冷めた奴は凍結系』)

(『どんな能力であろうが、それはテメェの望んだ先にあるものでしかない』)

(例として第二位を挙げようか)

(奴ぁガキだ。善悪以前にテメェが目立ちたい事ばかりを優先してきた)

(そっから生まれたのは『未元物質』)

(何でもなく何でもある物質。実用化されればiPS細胞等よりも遥かに低コスト、短時間で多くの人間が救われる)

(ソイツを作りだした垣根は――みんなにチヤホヤされたいだけのガキ。アタシはそう考える)


――とある駅前の喫茶店

フレンダ「……最近さ、職場のふいんきが悪い訳よ」

絹旗「ふれんだふれんだ、ふいんき、じゃなくて『雰囲気』」

フレンダ「……最近さ、職場の雰囲気が悪い訳よ」

絹旗「超気のせいじゃないですか?ですよね、滝壺?」 スリスリ

滝壺「ふれんだ、ちょっとお疲れ……?」 スリスリ

上条「……いや、俺もフレンダと同じ意見だ」

フレンダ「でっしょーーーーーーーっ!?」

絹旗「でも超おかしいですね。『アイテム』結成以来一番良好な関係になっていると超思うんですが」 スリスリ

滝壺「……殴り合ったらダチ、みたいな……?」 スリスリ

フレンダ「いやいやいやいやっ!?原因100パー分かってる訳よ!」

絹旗「超気のせいじゃないんですか?超フレンダですし」 スリスリ

滝壺「ふれんだだから、しょうがない」 スリスリ

フレンダ「待って?取り敢えずその上条スリスリやめて?なんか頭がキーッてなるから」

滝壺「ふれんだ、あなた疲れてるのよ……」

フレンダ「そうじゃない訳よ!おかしくない!?席順おかしくない!?」

フレンダ「どうして“こう”なる訳よ!?」

━┯━┯━
  │  │絹
フ.│机│上

  │  │滝
  └─┘
 廊  下


フレンダ「何で?何であたしぼっちなの?六人席だし2-2に別れるのが普通じゃない訳?」

フレンダ「つーか結局上条も何でそっち座る訳!?何か当たり前にみたいになってんのが余計ムカつくんだけど」

上条「いや絹旗もギプス外したばっかだし、箸持つのが難しいんだったら手伝おっかな、って」

絹旗「どうですかフレンダ?あなたは上条の厚意を疑って超恥ずかしくないんですか?」

フレンダ「えぇ?う、うんごめん、ね?……」

滝壺「大丈夫ふれんだ、わたしたちは仲間だから、そんな事じゃ怒らない」

フレンダ「絹旗っ!滝壺っ!」

フレンダ「だよね!あたし達これからもずっと友達だよね――って違うわよ!ついノッちゃったけども!」

上条「いや、乗るぐらいならその時点で突っ込めよ」

フレンダ「そうじゃない訳!そーじゃーなーいーワーケって!別に絹旗のお世話をするのはカミジョーじゃなくっても良いって訳よ!」

上条・滝壺「っ!?」

絹旗「(チッ)」

フレンダ「いやいやいやいやっ!カミジョーと滝壺気付いてなかった訳!?つーか今どっかからチッて舌打ち聞こえてきたんですけどっ!?」

絹旗「(超ビ×チ)」

フレンダ「“チ”の前にもっと酷い言葉がついた!?」

滝壺「まぁむぎのがいつのビッ××ッチ言っているから」

上条「情操教育には良くないよなぁ、あれ」

フレンダ「……あぁもう何かどうでも良くなった訳、喉渇いた。カミジョー」

上条「あーうん。サバコーラで良かったよな?他には?」

滝壺「ウーロン炭酸割りで」

絹旗「野菜ジュースとオレンジのハーフ一つ超お願いします」

上条「りょーかい。あ、前ちっとこめんな?」

滝壺「……」

滝壺 サワサワ

上条 ゾクゾクッ!?

滝壺「……どうかした?」

上条「ん?あぁ別に何でもないっ」

上条(アレ今的確におしりをサスサスされたような……?年季の入った痴漢レベルで)

フレンダ「(……絹旗絹旗)」

滝壺 ボーーーーーッ

絹旗「(超何ですか?)」

フレンダ「(……前から思ってたんだけど、滝壺って妙にアレって言うか)」

絹旗「(……言いたい事は何か超分かります。なんか、アレですよね)」

フレンダ「(電波系の割にちゃっかりしてるって言うか)」

絹旗「(『女同士で遊んでいた方が楽しいよね!』って超言いながら、実は裏で一人だけ彼氏持ちみたいな)」

フレンダ・絹旗「(一番油断出来ないの、実はコイツじゃ……?)」

上条「おっまたせー」

フレンダ「ありかとーなわけー」

絹旗「超ですです」

滝壺「ありがとう」

店員「……あ、あのっ!」

フレンダ「どうした訳?」

店員「あ、あなたじゃなくって、そのっ!」

上条「あーいいよいいよ」

店員「でもっきちんとお礼しなくちゃって!」

上条「参ったなぁ。別にそう言うつもりで助けた訳じゃ」

絹旗「……あの、上条?」

上条「なに?」

絹旗「ここの店員さんと超お知り合いだったんですか?」

上条「あぁいや全然?」

フレンダ「その割りには、何か、ねえ?妙に親しげって訳」

上条「あぁ今ちょっと飲み物取りに行っただろ?そしたら、何か店員さんが急に倒れちまってさ」

絹旗(……まさか……?いやでも、超有り得ない話じゃ……?)

フレンダ(……なーんか、嫌な予感がする訳よ)

上条「抱き留めたのは良かったんだけど、どうやら誰かが能力で彼女へ干渉していたらしいんだ」

滝壺「え?何でわかったの……?」

上条「右手で揉ん――さ、さわった、から能力が解除出来てな?店内で見てた能力者が殴りかかってきたから、ぶっ飛ばしてアンチスキルに引き渡してきた」

絹旗・フレンダ「(コイツ、たった1分の間にフラグ立やがった!?)」

滝壺「(まさに匠の技……!)」

絹旗「(いえ滝壺それ超違いますからね?)」

上条「と、まぁ俺に別に何にもしていないから、気にしなくて良いよ」(ニコッ)

店員「あ、あのっそう言うわけにはっ!」(カアッ)

フレンダ「あー、ごめんねー?今ちょっとあたし“達”忙しい訳だから、ね?」

絹旗「超その通りです。わたし“達”は大事な話をしているので、また今度機会があればしてくれませんか?」

店員「え、でも」

滝壺 ゴゴゴゴゴゴゴッ!

店員「ご、ごゆっくりどうぞー」

絹旗(超失せろビ×チが)

フレンダ(ナイスって訳滝壺) ハイタッチ

滝壺(いえーい) ハイタッチ

上条「律儀な子だよなぁ」

フレンダ「(つーか二人とも、大切な事にあたし気付いた訳よ)」(ゴソゴソ)

フレンダ「(いつも麦野がいる時にはこんな事起きないじゃない?)」(ゴソゴソ)

絹旗「(えぇまぁ。七武海並の目つきで超威嚇しますからね、覇王色ですし)」(ゴソゴソ)

フレンダ「(って事はあたしら――)」(ゴソゴソ)

フレンダ「(結局お友達にしか見えてない、って訳……?)」(ゴソゴソ)

絹旗・滝壺「マジでっ!?」

上条「……お前ら、テーブルの下で何やってんの?つーか滝壺、ちょっと前ごめんな?」

滝壺「……ううん、どーぞ」

フレンダ「え!?結局そっち戻る訳!?」

絹旗「超仕方が無いじゃないですか!だって麦野が来たらどう思いますか!?六人がけのテーブルに四人が座っているんですよ!?」

フレンダ「いやソレ別に普通じゃ?なんであたし怒られてんの」

上条(よっと)

滝壺「……」

滝壺 サワサワサワッ!

上条 ゾクゾクゾクっ!?

上条の下条さん(ヤダ、この子超上手くなってる……!?)

絹旗「いえ2-2になっているとして、どちらかへ座りますよね?そうなると、座らなかった方の二人はどう思うでしょうか?」

絹旗「『テメーみたいな体臭キツめの外人の隣には座りたくねぇんだよ』と言うメッセージを超送ってしまうのでは、と」

フレンダ「あぁそっかぁ、確かにそれはあるある――ないわねっ!超無いからっ!」

フレンダ(ってもしかして剃ったのコイツか?)

滝壺「……どうしたの、かみじょー?気分でも悪いの?」

上条「ん!?あぁいや何でもないよ!」

上条(あっれー?)

上条「で、大事な話って?」

絹旗「はい?」

上条「麦野さんもいないし――まさか、何かあったのか?」

絹旗「いえ麦野今日超来ませんから」

フレンダ「だったら座席の話は何だった訳えぇっ!?」

絹旗「昨日四人でお泊まりしたんですが、朝、つい原子崩しが超暴走して大変だったんですよ」

上条「お前それ笑い事じゃねーだろ!」

絹旗「怪我人は誰も居ないんですが、流石に部屋を超ぶっ壊したので出ていけ、と」

絹旗「こないだ行ったアジト2、貸しビルにお引っ越しするそうですよ」

上条「いやいやいやいやっ、暴走って有り得ないからね?」

絹旗「……そうですね。上条も『アイテム』の一員として知っていた方が良いでしょう」

フレンダ「いやー後でオシオキされるんじゃないかなぁ、って」

滝壺「きぬはた、むぎのの事言うの?必要だとは思うけど」

絹旗「上条、あなたは『アイテム』ですね?」

上条「当然だ」

絹旗「なら仲間の特性はある程度知る必要があります。超聞いて下さい」

絹旗「こほん。能力は色々ありますけど、能力のチューニングやブーストってどうすると思いますか?」

上条「適度に使っていく、とか。あとやっぱ毎日記録を残すみたいに」

上条(御坂も週に何日か研究所に通ってるみたいだしな)

絹旗「大体あっていると思います。普通はそれで充分でしょう」

絹旗「ですが、それ“だけ”じゃありません。もっとメンタル的な面からアプローチした例があります」

絹旗「例えば一流のアスリートが試合前に精神統一するとか、小学生のサッカー大会の前日にカレカレーを食べるとか」

上条「……随分アナログなんだな」

絹旗「そして麦野の原子崩しは『感情』とリンクしています」

絹旗「同じ人が人を殴ったとしましょう。一度はジムのスパーリング中に、もう一度は親の敵相手に。さてどちらが強い力で殴れるでしょうか?」

上条「それは……」

絹旗「勿論能力自体の制御や演算行為に関しては、本人がある程度能動的に行わなければいけないのですが、麦野の場合、威力強化を計るために攻撃本能と能力をシンクロさせました」

絹旗「実験は成功、学園第四位の戦闘力はわたし達が一番身近に感じていますね」

絹旗「しかし完全な成功、とは行かなかったようです」

絹旗「人を殴ったら、と言いましたが、多くの人はリミッターをかけています。全力で殴れば拳自体が折れてしまいますから」

絹旗「人間は生きるために自分へリミッターを課しています。しかし麦野にはそれが働きません」

絹旗「原子崩しは理論上超電磁砲よりも強い破壊力を持ちます、と言うか研究所のシミュレーションでは瞬殺だそうです」

絹旗「第二位も未元物質の生成するスピードを上回る出力を持つため、勝てるだろう、と」

上条「いやそれおかしいだろ。序列が間違っているって言うのか?」

絹旗「ただし全力ですれば、の話です」

絹旗「そして麦野が100%全力で原子崩しを使えば、制御が出来ず――自分の体の大半が崩壊するそうです」

上条「……なんだそりゃ。なんだって言うんだよ?」

上条「つまりアレか?強いパンチを持つボクサーを育てたは良いが、そのボクサーが全力で殴ったらボクサーも死ぬって?」

上条「ふざけんなっ!そんな研究誰が――」

絹旗「木原数万。学園第一位の能力開発に尽力した男です」

絹旗「第一位と麦野の攻撃性、似ているとは思いませんか?時には自分まで巻き込むような所まで」

絹旗「零次元の極点、だか言うプロジェクトへ麦野が参加する筈でしたが、結局木原は行方不明になり、計画は凍結されています」

絹旗(暗闇の五月計画にも関わっていましたが、まぁそれは超置いておきましょう)

上条「一方通行が歪んじまったのも、ソイツの仕業って訳か?」

絹旗「否定はしません。ですが――」

絹旗「それも含めて、麦野です」

上条「……そっか。そう、だな」

絹旗「えぇ。学園都市にいる人間達は多かれ少なかれ代償を支払っています。善し悪しは兎も角、また自分の望んだものであるかもさておき――」

上条「麦野は、麦野だ、と」

絹旗「はい」

フレンダ「……結局喫茶店でするよーな話な訳―?」

滝壺「内容は別に、珍しい話でもないし……」

絹旗「――と、湿っぽいお話は超ここまでにしましょう」

上条「だな。麦野が悩んでいるんだったら、俺達がその都度首を突っ込めば良いだけの話だし」

フレンダ「(いや、それが出来るのは上条だけって言うか)」

絹旗「(普通はメルトられて超終わりですからね)」

絹旗「と、言う訳でお給金のお時間です。フレンダ、滝壺、今月もお疲れ様でした」

フレンダ「あ、そういえば今日だった訳!やったーっ!」

滝壺 ペコ

上条(こう言う所は年頃の女の子なんだよな)

絹旗「上条はこれです。途中参加なのでみんなよりも少ないですが」

上条「えっ!?俺も貰えんの?」

絹旗「ボランティアで構わないなら、この封筒は『アイテム』の遊興費に――」

上条「あざーすっ!」

上条()

上条 フラッ

絹旗「ど、どうしたですか」

上条「マジですかっ!?こ、こんなに貰って良いのか?多く入れすぎじゃねぇのか?」

上条「実は他の人の給料も雑ざってて、事務所を出た瞬間に泥棒呼ばわれされて捕まるとか」

上条「預金しようとしたら銀行強盗が入っている所に出くわして、ついでに持って行かれるとか」

上条「通りすがりの娘が思い詰めた顔をしていたから事情を聞いて見れば、今日付けで返さなきゃならない借金の額とお給料の額が一致しているとか」

上条「――って事はないんだよな!?なっ!?」

絹旗・滝壺・フレンダ「……」

上条「ど、どした?」

絹旗「いえちょっと見えざる神の手があるような不幸っぷりに超涙が」

フレンダ「……上条、良かったらサバ缶食べる?賞味期限ギリギリだけど」

滝壺「がんばれ、でも諦めも、大切……!」

上条「いやいやお前ら上条さんはそんなに同情して貰う程じゃないからね?あと滝壺は応援している割には酷い事言ってるからな?」

絹旗「まぁ上条が気にするような事は超ありませんよ?そんなに心配だったら、わたしが家まで送っていっても良いですし」

フレンダ「とか言って何かねだって買って貰ったりする訳よ。子供かっ!」

滝壺「ずるいー、はんたいー、えこひいきー」

絹旗「……いえ、わたし超最年少なんですが」

上条「あぁ気持ちは有り難いけど今日は良いよ。途中で買い物もしたいしな」

フレンダ「早速何に遣う訳?」

上条「食費かな?ウチには大食らいの同居人がいてなぁ」

フレンダ「か、彼女って訳?」

上条「ないない。インスマウスは只の居候だよ」

絹旗「インスマウスって。こないだ見た超B旧映画のタイトルに、そんな名前ありましたが」

上条「インスマウス……?あ、違ったインデペンデンス・デイだった」

絹旗「映画のグレードが超上がりました!?」

上条「……いや、ホンダ=インテグラだっけかな?」

フレンダ「バイクの名前に跳んだ訳っ!?」

上条「あれ……あぁごめんごめん、同居人の名前間違えるなんて酷いよな。確か――」

上条「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロンデックスだった」

絹旗・フレンダ「○魂の卑猥なオブジェクトに波及したっ!?」

滝壺「わたし、銀×月カプ好き」 ハイタッチ?

上条「あぁうん俺も俺も!」 ハイタッチ!

滝壺・上条「いえーい」 パシンッ

――少し後、いつもの喫茶店の前は良くあった女子会

フレンダ「なんなんだろうね、これ。あの店員が上条に『あ、有り難う御座いましたぁ!』って下目遣いではにかむのが、妙に苛つくんだけど」

絹旗「麦野居なくて超正解かもです……いえ、それはそれで管理責任が問われるかも?」

フレンダ「『アタシが居ない間にやってんだああぁぁドーン!』?」

フレンダ「あっはっはっはっはっ……ナイナイ、ないアルよー……」

滝壺「まぁてんいんさんは別に良いと思う。なんか幸薄そうだし、どっかのチンピラと絡んで運気が下がってそうだから」

絹旗「超問題は同居人、ですか」

フレンダ「あのさ、上条の性格だと隠し事は出来ない訳よね。だか彼女じゃないのは本当」

フレンダ「しかも一緒に住んでいても何もないってのは、『完全に異性として意識すらされていない』って訳だし」

絹旗「まぁ名前すら覚えてない時点でどうかと超思いますが」

フレンダ「でもまぁその娘が安牌だったとして、3分でフラグ立てるような相手に、あたしらがどうすりゃいいのかって訳だし」

三人「……はぁ」

フレンダ「あー……んじゃ、さ?」

絹旗「超怖いかーちゃん役の人も居ませんし」

滝壺「うん……うん」

――懲りない善人、足りない悪人。××学区の路上にて

浜面(出来る男の朝は遅い)キリッ

浜面(大体昼頃に起きて、俺は颯爽と仕事場へ向かうのさっ)

浜面 キョロキョロ(ゲ×や××コが無いか確認)

浜面 バサァッ(拾った新聞紙を広げる)

浜面 カシャカシャ(袋に入った商品を並べる)

浜面「浜面商店の開店だぜ!」キリッ

上条 フゥ

上条(喧嘩に巻き込まれるのが三回、女の子に助けを求められるのが四回)

上条(あと双子の姉妹に『わたし達を見分けられたら、つ、付き合ってあげても良いんだからね!』って言われるのが五回)

上条(今日はいつもよりトラブルが起きてないな、ラッキー!平和な一日を送れそうだ!)

上条(もしかしたらお金を落とさずに帰れるかも!……いやいや過信は良くない、慎重に行かないと)

上条(でも現金のまま持ってたら無くしそうで怖いし、何か買っちまった方がいいかもな)

上条(あれ、あんな所で何か売ってる?)

浜面「らっしゃいあせー、安いよ安いよー、高級ブランドを激安で販売しているよー」

上条 ジーッ

浜面「おう兄さんっ!どうだい、可愛い彼女やご両親にプレゼント送っちゃどうか――」

浜面(げえぇっ!?コイツこないだ悪魔みたいな女連れていたヤツ!つーか俺が暗部へ入るの邪魔した野郎じゃねーかっ!?)

浜面(や、やべぇ……どこにあのデ○ザウラーみたいな女隠れているかも知れない)

浜面(荷電粒○砲が射程外から飛んでくるかも!)

浜面 ガクガクブルブル

上条「あのーすいません」

浜面(い、いや!そうじゃねぇ!俺は逃げない!女に守られているようなヤツに、俺は負けられないんだ!)

浜面(覚悟を決めろ!俺は――男だ!)

浜面「スンマセンシタァっ!!!」(光速土下座)

上条「……大丈夫ですか?」

浜面「……へ?」

上条「急に顔色悪くなったみたいだけど、救急車でも呼ぼうか?」

浜面(コイツ……覚えてない、のか?それはそれでムカつくけど)

浜面「あぁうん問題ないない。ちょっと貧血気味だから」

上条「だったらいいけど」

浜面「それより兄さん見てってくれよ。人気の商品を大安売りだぜ?」

浜面(……くっくっく。腕っ節じゃ負けるようだがなぁ、この浜面仕上、口が達者なのはスキルアウトの中でも一目置かれた身だ)

浜面(100均で買ったパチモンブランド、精々高ぁく売りつけてやんぜコラあぁっ!)

上条「マジで?」

上条(やった!今日はなんてついている日なんだ!)

通行人A(あ、バカがカモになった)

通行人B(あの子可哀想……)

浜面「んでーどーすんのよ兄さんよぉ。相手誰に送っかーとかあんの?」

浜面(どーせあのブランドおっぱい相手なんだろ?クソったれが!)

浜面(夜になったら揉んで揉んで揉んで、朝になったら揉んで揉んで揉んで、昼になったら揉んで揉んで揉むんだろおぉっ!?)

浜面「いーなーそれ、いいなあぁっ!!!」

上条「……どうした?やっぱ頭打ったとかじゃ……?」

浜面(口に出てたっ!?)

浜面「大丈夫だぜっ!俺、頭は前っからオカしいからっ!」(キリッ)

通行人A(え、そんなフォローでいいの?)

通行人B(あのバカ可哀想……でも、ないな)

上条「そ、そうか。大変だな」

上条「に、しても色々あるんだなー。こういうのどっから仕入れてんだ?」

浜面「いやいや聞くのは野暮ってもんだぜ兄さんよお。只、この俺の名前にかけて合法的に仕入れたシロモンだ!」

上条「やっぱ店舗とか出さない代わりに安くしているとか、一人で売って人件費節約しているとか、そーゆー話?」

浜面「かなわねぇなぁ。大体合ってる」

浜面(へー、そんな商法あったのか。確かにそうすりゃ安く売っても元は取れらぁな)

上条(あ、スカーフ……そういや麦野さん、いつも着けてたっけ)

上条(……いやいや、俺がぶん殴った時、泥ん中突っ込んだような?)

上条(こないだのピザ代も『アタシは知らない』つって受け取ってくれなかったしなぁ)

浜面「おっ、このスカーフがいいのか?何だったら箱開けてみるかい?」

上条「いいのか?汚れっちまうだろ?」

浜面「後から箱と中身が違うって言われても困っから、商品見せて確認して居るんだ。どうだい、良心的だろぉ?」

上条(この人ちゃんとしてんのなー)

浜面(くっくっく、箱は拾った本物、中は100均のパチモン!アンチスキルに捕まった時にゃ――)

浜面(『ボク、箱から出して見せましたよー?この人も商品見た上で買ったんですよー?』で逃げられるんだぜぇ?)

上条(ブランド名はっと)

上条(P、R、A、D――あぁうんうん聞いた事あるなー。俺でも知っているんだから、喜んでくれるだろ)

浜面「つーか兄さんよぉ、んなスカーフ誰に送るんだい?割と着る人選ぶよ、それ」

浜面(どうせあのおっぱいだろうがよぉ!精々幻滅されてフラれりゃいーぜ)

上条(俺と麦野さんの関係?)

上条「同僚かな?同じ仕事の先輩後輩だよ」

浜面(あれ、俺の想像と違うな?)

浜面「またまたー、実は恋人なんでしょー?それともアレかっ!好きな相手にコクるんでしょー?」

通行人A(リア充死ね)

通行人B(リア充死ね)

上条(恋人なぁ……可愛い所結構あるけど、俺じゃ釣り合わねぇよなぁ)

上条「いや、そんなんじゃない。確かにタイプではあるけど、なんつーか尊敬出来る先輩?俺じゃとてもじゃないが無理っぽいし」

浜面「先輩後輩?只の?」

浜面「あーはいはい、分かる分かる。部活の先輩でキレーな人で、でも実は先輩の同級生と付き合っているから、俺らじゃスタートラインにも立ててない、って感じの?」

通行人A(あぁうん、あるよねー)

上条「そうそう!ズルいよなー、あぁいやズルくないけど」

浜面「でもってそう言う人に限って、こっちが諦めようとしてんのに、近寄ってくんだよなぁ」

通行人B(いやそれは……気があるからに決まってんでしょう。好きでもない相手に時間は遣わないし)

浜面(あぁコイツ以外と普通?つーか俺が勘違いしてたのかもな。何か罪悪感が今頃チクチクと)

浜面(……ま、少しゃ安くしといてやんよ。でもな、その前に確かめなきゃならねぇ事がある!)

浜面「で、だ。兄さんよお。その人――おっぱいは大きいのかい!?」

上条の下条さん(89のEですた)

浜面「そっかぁスゲーな、おっぱい!」

上条「だろう?分かってくれるよな、おっぱい!」

浜面「おっぱい!」

上条「おっぱい!」

通行人A「おっぱい!」

通行人B(参加しやがったっ!?)

浜面・上条・通行人A「おーっぱい!おーっぱい!!おーっぱい!!!」

通行人B「あ、すいませんアンチスキルですか?あぁはい、至急来て下さい。バカが三人――えぇ、お持ち帰りコースで」

五和「あ、あのっおしぼりどうぞっ!」

上条「あぁうん有り難う五和――って五和!?」

浜面(新しいおっぱいが!?)ビクッ

通行人A(リア中は死ね。氏ねじゃなくて、死ね) ペッ

上条「どうしてここへ?つーか何でおしぼり?」

五和「いえ、何か凄いヨゴレた感じがしたので」

上条「勘違いじゃねぇかなぁ?俺達は只の紳士だし!」

浜面(うっわーおっぱいオッキィー……見せつけてくれやがってクソが!格差か?格差社会が悪いのかよっ!?)

通行人A(汚れてなんか無いよっ?むしろ一度も使ってないから新品だよ?)

浜面「……つーかイチャつくなら余所でやってくれよ、兄さん」

上条「あ、ごめん。じゃこのスカーフ貰えるかな?」

浜面「予算幾らよ?結構高いぜぇ?」

浜面(あぁもうヤケだ、トコトンぼったくったらァ!)

上条 ガサゴソ

浜面 ヒョイッ(封筒をひったくる)

浜面「……ま、こんくらいで充分だぜ。ちっと足りないぐらいだがな」

上条「そうなのか?有り難うっ!」(キラキラ)

浜面(やべぇ……俺の良心がちっと痛む)

五和(あからさまに怪しいパチモンブランドで封筒丸ごと渡すなんて……まぁ上条さんですし、元々大して入ってないでしょうし……いいのかな?)

上条「ホントにっ、有り難うな!」

浜面「おぅ!」

五和「失礼します」

浜面「……」

浜面(行ったか。どれどれどんだけ入ってるっかな、と。全部クーポン券だったら泣くけど、まぁ千円×10枚ありゃ万々歳だろ)

浜面「………………」

浜面「嘘おおおぉおおおおおぉんっ!?」

浜面(ヤバいって!幾ら何でもそりゃ冗談にならないって!)

浜面(急いで謝って返さねぇと――)

通行人B「あ、おまわりさんあの人です」

アンチスキル「ちょっといいですかぁ?」

浜面「」

――立派なマンションの一室(※一部上司との合作)

一方通行「……はァはァ……クソがっ!なんだってンだよォ……」

打ち止め「ほらほら息がもう上がっちゃったのー?だらしないんだねー、とミサカはミサカは余裕の表情で言ってみたり!」

一方通行「……くっ!?」

打ち止め「あっ、ちょっとおーきくなった!きゃはっ頑張ったんだねー、えらいねー、ってミサカはミサカは上から目線で罵倒してみる!」

打ち止め「でもなー、おそいかなー、こんなんじゃミサカは満足できないよ?それとも喜ばせる気がないのかな、ってミサ――」

一方通行「だァらァアアアっ!!!」

打ち止め「わきゃっ!?」

一方通行「ナメてんじゃねェぞ、あァ?そンじゃそこらの三下たァ格が違うンだぜェ」

打ち止め「やん……大きく、なったねってミサカはミサカは壊れちゃうかも、って不安に怯えた演技をしてみたり」

一方通行「うるせェよ、お前はもう抱きしめたくなるぐらいアレだぜ」

打ち止め「あなた、どうしたのって――」

一方通行「満足すンのはオマエじゃねェ――オレが満足するまで泣き叫んでも許しゃしねェンだよオオォっ!!」

打ち止め「はやくはやく!ってミサカは知らないおっぱいの人も一緒にどうですか、って誘ってみたり!」

一方通行「あぎゃぱっ!何人だろうが俺が相手してやンよォ――オイオマエ今なんつった?」

打ち止め「『誘ってみたり?』」

一方通行「もォちょい前だ」

打ち止め「『ここから先は、一方通行だ?』」

一方通行「何カ月前の話だァ!?つーかオレの黒歴史掘り返すのやめろよォ!いやそォじゃなくって、知らないおっぱいって誰――」

麦野 パシャッ、ピロリロリーン!

一方通行「」

麦野 ピッピッピッ(和、美少女、炉、モヤシ、なう)

麦野 ピッ(送信送信)

一方通行「何やってンのオォっ!?テメェコラ何してくれてンだコラアアァッ!!!」

麦野「……堕ちたわね、アンタ。こんなんが学園第一位だと思うと、悲しくて血のシ××ベン出そうだわ」

麦野「でもね。アンタが幸せなら、私も良いとは思うのよ?」

麦野「日本の法律じゃあアウトだけれど、一応二人の間に肉欲以外の何かがあれば、それはそれで」

麦野「だから――だからもう二度と話かけてくんじゃねぇわよセロリ野郎」

一方通行「待て待て待て待て!オマエは勘違いをしてンだァ!別にいかがわしい事やってる訳じゃねェだろうがよ!」

麦野「……オーケイ第一位。だったら状況整理してみようか。お互いに混乱している可能性もあるし」

麦野「私は垣根からアンタらの残業を聞いて、セロリからも話を聞こうとやってきたのよ」

一方通行「オイオマエ今までモヤシっつってただろォが。そっちで呼べよォ」

麦野「マンションの前で黄泉川さん?に『セロリぶっこ抜きたい』って事情を話したら、ロックを外してくれて――」

一方通行「なんかァ、セロリって言われるとォ、ロリ的な責められ方をされてるっつーかァ」

麦野「で、衝撃の光景を目撃してしまったと」

一方通行「……黄泉川の野郎ォッ……」(ギリギリ)

麦野「で、今度はアタシからの質問よ。アンタ今どんな体勢?」

一方通行「……四つんばいになってンなァ」

麦野「まぁそれ自体は別にどうってこたぁ無いでしょうよ。問題は上のちっこいの――」

打ち止め「わたしは打ち止めって言うの!ってミサカはミサカは空気を読んで黙っててエラかったねー、って誉めて欲しかったり」

麦野「おー良い子良い子、つーか一人称と名前違うのかよ」(ナデナデ)

麦野(ミサカ、ねぇ。超電磁砲もちっさい頃は可愛かったんだな)

麦野「それで?どうして打ち止めちゃんを背中に乗せたまま、大きいとか満足とか、場合によっちゃ出るトコ出なくちゃイケナイ単語を連呼してたのよ?」

一方通行「そいつァ誤解だってンだよォ。俺はコイツに脅迫――」

一方通行(待て待て。MNWが無ェと動けねェってバラすのは拙いだろォ)

一方通行()

一方通行(無理ゲーじゃねェかな?)

麦野「脅迫?」

一方通行「い、いやァ教育つったンだ、教育」

麦野「あぁ調教的な?」

一方通行「違げェよ!つーかこのガキが覚えるから変な言葉口走ってンじゃねェ!!」

麦野「アンタも口の悪さじゃ変わらねぇだろうが!」

打ち止め「ねぇねぇネットワークに流したら凄いレスが――」

一方通行「オマエも黙ってろ!……もう勘弁してくれよォ……」

一方通行「俺はコイツに“お馬さンゴッコ”をしてただけだろうが!何でこんなに責められなきゃなンねェ!?」

麦野「いやー……」

一方通行「ンだァ?言いたい事ァあったらはっきり言いやがれ!」

麦野「幼女に乗られて罵られて喜ぶロリペド変態野郎、もうお前そのまま腹上死しちまえよ」

打ち止め「ねーねー“ふくじょうし”ってどんな意味なのー、って」

一方通行「あァもうおン前ェほンっとに情操教育に悪りィよなァ!?もうお願いですからァ、発言全部にピー音入れてくれませンかねェ!」

麦野「アタシは別に困らないし」

一方通行「……いいのかァ?」

麦野「何がよ」

一方通行「想像してみろよォ、オマエがガキこしらえた時の事をよォ」

一方通行「てめェの汚ねェ言葉遣いがそのまま移るンだぜェ?」

麦野「はっ!子供なんざ別に――」

麦野「」

上条沈利『あ、お帰りー、沈麻―、当利―』

沈麻『ただいまーおかーさん』

当利『ただいまーババア』

上条沈利『バっ!?こ、こんのガっ!……が、学校はどうだった?』(ニッコリ)

沈麻『うん!楽しかったよー』

当利『隣のクラスの琴黒ちゃんが、お兄ちゃんをビリビリしようとしてきたから、ア×ルから原子殺しブチこんておいたよー』

上条沈利『それ即死っ!?』

沈麻「大丈夫だよおかーさん。ボクが幻想崩しでぶっ殺しておいたからー」

当利『うん、お兄ちゃんに怒られちゃったー』

上条沈利『そ、そっか。まぁそれなら』

当利『あ、でもねー、むすじめ先生がお兄ちゃんを体育倉庫に連れ込もうとしていたから、ひん剥いてク×と×首にピアス空けて吊っといたからー』

上条沈利『よくやった!今日はカレーよ!』

沈麻・当利『わーい!』

麦野「……」

麦野(……子供の前では、ね。抑えた方がいいのかしら?)

麦野(……それより琴黒?美琴×黒子?出来るの?)

麦野「……あぁうん、何かごめん。私は何も見ていないから、それで良いわよね」

一方通行「ちょっ!?気ィ遣われると余計辛ェンだけど!」

麦野「まぁ聞きたい事だけ聞いたら帰るから、そのまま続けて続けて?ゴメンナサイね、打ち止めちゃん」

打ち止め「おねーさんも一緒に如何ですか、ってミサカはミサカはレディとして誘ってみる!」

麦野「あーうん、お誘いアリガト。でもおねーさん安いタクシーだと悪酔いする方だから」

打ち止め「あ、じゃあじゃあ人間イスってのは――」

麦野「えっとそろそろ下の半人半豚ド畜生がぶち切れそうになっているから遠慮しておくわ。まぁ私には構わずどうぞ」

打ち止め「ありがとー、ってミサカはミサカはおっぱいの大きな人は心も広いのね、って感動してみる!」

麦野(オリジナルの惨状を見るにあなたは期待薄だけどね)

一方通行「で何ィ?なァンの用ですか、第四位さァァンっ?」

麦野「アンタら残業の話とか、知っている事全て話しなさいな」

打ち止め「おうまさーん!」

一方通行(俺が変な言葉使うのは拙いだろォなァ)

一方通行「パッカパッカ――あァ?テメ、それが人にものを頼む態度なンですかねェ?その大きめの体地面にペコリしてお願いするのが先じゃねェンですかァ?」

麦野(汚ぇ言葉使えないから上手く罵倒出来無ぇな)

麦野「煩ぇなセロリ野郎。アンタのやおいホールから原子崩し突っ込んで貫通させるわよ」

打ち止め「おうまさーん!」

一方通行(どォしたもンかァ……まァアニメならいいかァ?)

一方通行「パッカパッカ――あァやってみろよォビ○ザムさァンよおォっ!学園最強の白い悪魔のニュータイプ能力、テメェら弱いお魚さン達にも見せてやンぜェ?」

麦野「誰がビグ○ムだコラアアアァァァッ!?あんな美脚羨ましいじゃねぇか!!」

打ち止め「ねぇねぇおうまさんはなんて鳴くのー?」

一方通行「ヒヒーンッ、ブルブルブル――はッハァコイツァ滑稽だなァ!んな派手な格好したお歳を召された女性はよォ、結局ご自分に自信が無ェから着飾ってらっしゃるンですかァ!」

麦野「てめェいい加減にしねぇとこんがり健康肌に灼いてやんぞ!」

打ち止め「どうどうー、ストップー!ひんべー、とまれー!」

一方通行「ヒヒーン!」

打ち止め「ミサカはちょっとお花を摘みに行ってくるのだ!ってミサカはミサカは覚えたばかりのお上品な言葉を使ってみる!」

打ち止め タタタタタタッ

パタン

麦野・一方「……」

麦野「アンタら残業の話とか、知っている事全て話しなさいな」

一方通行「あァ?テメ、それが人にものを頼む態度なんですかねェ?そのデカい体折り曲げて土下座してお願いするのが先じゃねェンですかァ?」

麦野「煩ぇなセロリ野郎。アンタのア×ルから原子崩し突っ込んで口とトンネル開通させるわよ」

一方通行「あァやってみろよォウドの大木さァンよおォっ!学園最強の能力、テメェら雑魚どもにも見せてやンぜェ?」

麦野「誰がウドの大木だコラアアアァァァッ!?あんな色白羨ましいじゃねぇか!!」

一方通行「はッハァコイツァ滑稽だなァ!んな派手な格好したババアはよォ、結局てめェに自信が無ェから着てンのかァ!」

麦野「テメェいい加減にしねぇと全身消し炭にすンぞ!」

ジャァァァッ、パタン

打ち止め「ただいまー、あれ?」

麦野・一方「………………」

打ち止め「続けないの?ってミサカはミサカは愛らしく首を傾けてみたり!」

一方通行「……ケータイ出せ」

麦野 ガサゴソ

一方通行 ピッ(メアド交換)

一方通行「……後でレポート送るから、そのォ、なンつーかァ」

麦野「わかってる。大丈夫だ。私を信じな」

一方通行「……悪りィ」

麦野「良いわよ。でも貸し借り無しだからね」

麦野「じゃあ帰るけど、その、ごめんね?いやホント、悪気とかあった訳じゃないし」

一方通行「あーうん問題ねェよ。分かってっからァ」

打ち止め「おっぱいの人―、またねってミサカはミサカは手を振ったり!」

麦野「打ち止めちゃんもまたね?今度はお菓子でも持ってくるから」

打ち止め「わーいっ!ってミサカは――」

――考察、自分だけの現実について・2

(例として第一位を挙げよう)

(こいつの『反射』は傷つきたくないという恐れから生まれた、と推測している)

(相手を拒絶すれば傷はつかない。馴れ合わなければ、友人を作らなければ、愛する人を求めなければ――)

(そう、全てを拒絶し、まさに“一方的”であれば自分は傷つかない)

(だが結局、最後まで拒絶を貫けなかった。それは――)

(第一位が他人との繋がりを求めていたからに、過ぎない)

(バカよね、ほんと)


――路上

浜面(クッソ何であんなにタイミング良くアンチスキルが来るんだ?)

浜面(商品は没収されるわ、金は一時預りになんわ、一銭も稼いでねぇじゃかよ)

浜面(……メシでも食うかぁ)

男「……」

男(天草式の隠形術式はここで途絶えている)

男(つまり私に尻尾を掴ませる事が目的であるか?)

男(いや、そうであれば監視か襲撃があるのであるな。と、すれば隠形術式に少しなりとも接触した人間が近くにいる)

男(あの、青年であるか)

浜面「……はぁ」

男「すまない。ちょっと良いのであるか?」

浜面「あぁ!?」

浜面(うわなんだこいつムッキムキじゃねぇか!)

男「人を探しているのであるが、見覚えはどうであるか?」 ピラッ

浜面「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?知ってる!つーか誰!?」

男「話を聞かせて欲しいのであるが――何処かで食事でも奢るのである」

浜面「あぁ良いけどもっ。あんた名前は?」

男「アックア、傭兵である」

浜面(あっくあ?ようへい?)

浜面(あぁ『アックア=洋平』って事、ハーフなのか)

浜面「んじゃそこで構わないぜ、洋平さん」

アックア「あぁ」

アックア(傭兵と呼ばれるのは……まぁ良いであるか)

――ファストフード店内

アックア「良いのであるか?高い所でも良かったのであるが」

浜面「あぁいーのいーの、俺にゃこっちの方が合ってるし」

浜面「で?こいつ、上条ってのを教えりゃいいのか?」

アックア「あぁ、頼むである浜デュラ」

浜面(デュラ?……ま、まぁ発音しにくいだけだよな)

浜面「まず俺とアイツが出会ったのは、雨が降る日だった――」

浜面(ちょっと盛るか。どーせ興信所とか探偵さんだろうし)

浜面「アイツが車泥棒をしようとしている所に俺が出くわしたんだ。俺は当然止めたぜ?」

浜面「でもな、アイツの側にはいつも凄ぇ能力持った女達が居るんだ!上条は女を盾にして、こう言ったんだ」

浜面「『一々邪魔なンだァよォ三下がァ!てめェみてェなクソネズミは、お弁当の中に入っている草っぽいペラペラでも漁っている方がお似合いだぜェ?』」 ヘラヘラ

アックア「なんと!何と酷い男なのであるか……!」

アックア(というかバランであるな。ハラン――葉蘭を真似て作られたのである)

浜面「だから俺は言ってやったさ!『お前が俺を何回ぶちのめそうと、俺は何回だって立ち上がる!』」 キリッ

浜面「『歯を食いしばれ、上条!俺の最弱はお前の幻想を一方通行だ!』」キリッ

アックア(言葉の意味は良く分からないが、兎に角凄い自信であるな!)

浜面「けど――だけどよぉ、ダメだったんだよ!俺じゃ勝てなかったんだよ!」

浜面「上条に騙されている女どもを!俺は殴るなんて出来なかった!」

浜面「むしろ殴って欲しかったんだよ!!!」

アックア「いや、しかしその場合は仕方がないのである」

浜面「……俺は出来なかった、俺は女に手を上げられなかった!それが、全てだ」

アックア「浜デュララ!貴様の悔恨は理解したのである!このアックア、右席に連なる者として汝の罪を許そう」

浜面(“ラ”が一個増えた?)

浜面「俺が、俺が罪だってぇ!?」

アックア「弱さは罪である。無知も然り、戦う力を持たないのは悲劇であり、受難である」

アックア「だがこの私が戦えない者に代わって戦えばいいだけの話である」 キリッ

浜面「洋平さんっ!!!」 ガシッ

アックア「浜デュラララ!!」 ガシッ

浜面「頼む!俺はいい、だが上条に騙されている女達を救ってやってくれ!」

アックア(なんと……この期に及んで復讐ではなく、他人の幸せを望むのであるか!)

アックア「あぁ任せるのである!神の右席に誓って汝の無念を晴らすのである!」

浜面(ちょろいなー、つーかちっと盛りすぎたか?)

浜面(あれ?俺上条に謝るつもりだったんじゃ……?)

浜面(いや、金はいつか返すが恨みは別だぜ!)

アックア「まぁそれはさておきデュラララ!!は結構息が長いのであるな。登場人物が多すぎで、相関図を書かねば理解出来ないのであるが」

浜面「本気で何の話よ!?」

――帰り道

上条「神の右席、ねぇ。聖人って事は神裂みたいもんか?」

五和「とんでもない!女教皇とあんなゴロツキを一緒にしないで下さい!」

上条「俺、最初から問答無用で疑われたんだけど……」

五和「そ、それはホラ!マジ殺しか警告の差ってあるじゃないですか!」

上条(あ、天使堕としの時が初めて会ったんじゃなかったんだっけ?)

五和「とにかく、です!わたし達天草式十字凄教では全力であなたをお守りしますから!」

通行人A(リア充なんて死ねばいい)

通行人B(オイ巨乳、お前今わざと噛んで可愛く見せようとしただろ?)

通行人C(それが通じんのは10代までだからなぁ、いつかお前も飽きられんぜぇ?)

上条「あーうん、有り難うな」(キリッ)

五和「と、とんでもないです!わたし達の方こそいつもいつも助けて貰ってばっかりで!」

上条・五和 イチャイチャ

通行人D(あ、あの女の子可愛えぇ。ちょい地味めだけど)

通行人E(同級生の子、って感じだなぁ。あぁ俺もあそこでフラグ立ときゃなぁ)

通行人F(あ、貴様は上条当麻!……って誰だ、隣の子?)

通行人G(ウッホウッホウッホ)

通行人H(ついにわたしも名前が消えた……このままモブキャラに一直線、フフ)

上条「……なんか今日はやけに視線を感じるような……?」

五和「あ、きっと護衛しているわたし以外の十字凄教――じゃないですかね」

上条「かなぁ?つーか建宮とかにお礼言った方が――危ない!五和!」

五和「えっ、えぇっ!?」

通行人I(よし五和!教皇代理が発案した『転んでハプニング大作戦』の発動じゃ!)

通行人J(そしてお前は『もう、上条さんなんてエッチなんですから!』と言う!)

通行人K(ヤダ、この人ジョセ○・ジョースターだわ……)

通行人L(あ、あの人だ!ってミサカはミサカはスネークを続けてみる!)

通行人M(……ったくクサクサすんなぁ。垣根はバカだし第一位はペ×だし)

通行人M(あん?上条かよ)

五和「もう、上条さんなんてエッチなんですから!」(テレッ)

上条「違う!これは事故だあぁ!?」

通行人M ブチイィッ

通行人M?「オイ」

上条・五和「はい?」

麦野(通行人M)「人がちったぁ真面目にお仕事してるってのに、ナニ街中でイチャコラしてやがるんだあボケがぁぁっ!!!」

上条「不幸、だああぁぁぁぁっ!?」

ドーン!

――13/XX/XX 23:00 From-lovelove-last-order-peropero@misaka.com 『残業』の件

麦野「……ふんふん」

麦野(要はちょっとした戦争出来る装備を持った連中を待機させていた、と)

麦野(でもあのバカコンビが面白半分で壊滅させた。相変わらず酷ぇな)

麦野(戦闘中負傷した能力者は生死を問わず全て回収され、今日時点で行方が掴めているのは誰も居ない)

麦野(『アイテム』と『グループ』以外は半壊か壊滅状態、中には姿を消したメンバーも居る)

麦野(一歩間違えりゃアタシ達も危なかったわね)

麦野(……いや、今更だな。暗部ってのはそういう所だ)

麦野「……」

麦野(そういう、所だわ)


――翌日、放課後にいつもの喫茶店にて

麦野「――で?言いたい事があったら話せるウチに言ってご覧なさい?」(ニコッ)

絹旗「(うわ超怖いんですけど何やったんですか上条)」

滝壺「(むぎの、電波三本立ってる……)」

上条「(いやもう何が何だか訳分からない状態でさ)」

麦野「いや別にぃ?上条くんがどこでどんな女の子引っかけようと、アタシはいーのよ?」

絹旗「(ちなみに麦野の一人称が『アタシ』になった場合、超ぶち切れる寸前です)」

滝壺「(頑張れ、そんなかみじょうを応援している)」

上条「(俺に言われてもなぁ)」

麦野「でもほら、余所で女作るぐらいだったら、こう例えばフレンダをFu××してもいいんだからねっ?」

絹旗「(スネた仕草は割と可愛いと言えなくもないんですが、発言内容は『×欲を満たすんだったらフレンダで良くね?』と超鬼畜まっしぐらですからね)」

滝壺「(ふれんだ、うらやま……)」

絹旗・滝壺「え?」

麦野「つーかフレンダはどうしたのよ?こう言う時に弄ってストレス発散させるのが、あの子の仕事じゃない!」

上条「酷いなオイ」

絹旗「スーパーでサバ缶の超タイムセールらしいです」

上条(俺ちょっと行きたいかも)

麦野「と・に・か・く!アンタも『アイテム』なんだから自覚を持ちなさ――」

上条「――で、なんだが!麦野さん、これプレゼントなんだけど良かったら貰ってくれる?」

麦野・絹旗・滝壺「っ!?」

麦野「わ、私にか?絹旗じゃなくって?」

上条「あぁ」

麦野「滝壺の方が――」

上条「いや、俺は麦野さんに受け取って欲しいんだ!」(キリッ)

麦野「そ、そうなの?まぁアリガト。開けても、いいかな?」

上条「どうぞどうぞ」

絹旗・滝壺「(フレンダは聞きもしなかった!?)」

麦野(PRADAの箱……へぇ、少し古いけどかなり良いヤツじゃんか)

麦野(それにしても私にかぁ、ふふっ)

麦野(何だかんだ言ってション××臭いガキとは魅力が違うってのよ)

絹旗(超余裕が超ムカつきますね)

滝壺(あ、ふれんだがこっちに向かってる。悪い予感が、する)

麦野 ガサガサ

麦野「」

麦野「……あぁうん、ありが、とう?」

絹旗「どうしました?超見せてくださいよ」

麦野「ちょっ!?」

絹旗「」

上条「どしたん?何で固まる?」

絹旗「えぇ、ちょっと超ビックリしちゃいました。高かったんですかね、これ?」

上条「いや、そーでもないぞ?」

絹旗「で、ですよねー?超そうですよね?」

上条「店の人が昨日のお給金だけで良いってさ!いやー良い人っているもんだな」

絹旗「そ、そうです、よね?」

麦野(何か頭痛いわー。結構あった筈なのに、こんなゴミ掴まされたのかよ)

絹旗「む、麦野は超着けないんですか?」

絹旗(わたしが超フォローしないと!)

麦野「ア、アタシがか?」

絹旗「ホラ!『折角貰った大事スカーフなので、一度着けて後はずっと仕舞っておく』んですよね?超そうですよね!?」

麦野「あぁうん!そうよね!それが良いわ!」

麦野 ガサゴソ

麦野「ど、どうかしら?似合う?」

上条「うん。麦野さんは何着ても奇麗だな!」

麦野(コ、コイツ!いや嬉しいけども!何か損した気分になるわね)

絹旗(なんでしょうね、こう超爆発しろって思ったんですが、二人が可哀想でもう)

フレンダ「おっまったっせーっ!」

麦野・絹旗・滝壺(最悪のタイミングでバカ来やがった!?)

滝壺「ちなみにきぬはたの名前はさいあい、モアイじゃない」

絹旗「超何言っているんですか滝壺」

フレンダ「見ってー!結局サバ缶超買っちゃった訳よ!あ、麦野もほぐした鮭の瓶詰め買っといてあげたわよ!」

麦野「あ、ありがと」 コソコソッ

フレンダ「あれ麦野新しいスカーフ?いいなー、見せて見せて!」

麦野「ちょっ!待て!?」

フレンダ「えっとぉ……P・R・A・D――」

絹旗「あっちゃー……」

フレンダ「――O・T・E・P・E・S?」

上条「えっ?」

フレンダ「……ぷひゃっ」

フレンダ「あっはっはっはっはっはーっ!ヴラド、ヴラド=ツェペシュって!?串刺し公って訳!!」

四人「……」

フレンダ「どーした訳?なんで麦野がっ、100均に売ってるようなパチモンっ……ぷぷっ、着てる、訳――」

絹旗「フレンダ、ちょっと超屈んで貰えますか?」

フレンダ「何よっ!今ちょっとツボに入っちゃって――」

絹旗「……じゃあ超しょうがないですね。当て身は届きませんし」

フレンダ「へ?」

絹旗「超腹パンっ!!!」

フレンダ「そげぶっ!?」

絹旗「超すいません。フレンダがリバースしたいって言うので、外に行ってきますね」

上条「今鳩尾に入っちゃいけない深さまで拳が刺さったように見えたんだが……」

絹旗「滝壺はお水とナプキン超貰ってきて下さい。ほら、フレンダ自分で歩かないと」

滝壺「ん……」

フレンダ ズルズル

麦野・上条「……」

上条「……ごめんな?なんつーか、色々と気ぃ遣わせちゃって」

麦野「あぁうん。でも気持ちは嬉しかったわ。つーかどこで買ったのよ、こんなん」

上条「路上で金髪が売ってた」

麦野「怪しいのにも程があるでしょーが。もうちょっと人を疑う事を覚えなさいな」

麦野(なんつーか、こう、ネットショップで買ったは良いけど、いざ手元につくと大した事無いっていうか。吊り橋効果ってヤツ)

麦野(あの戦闘中、生死を賭けたクソみてぇな死闘の中)

麦野(アタシがアンタに見たのは『幻想』だったのかもな)

麦野(……まぁ――潮時、よね)

麦野「……ねぇ上条。一つ提案があるんだけどね」

麦野「暫く『アイテム』を離れてみるつもりはない?」

上条「待ってくれ!それとこれとはっ!」

麦野「関係ないわね。前から思っていた事だし」

麦野「私は、私達はあなたに大きな借りがあるわ。またあなたが望むのであれば、戦う事だって躊躇いはない。それは絶対によ」

上条「だったら、どうして――」

バチッンッ!

上条(暴発、した!?)

麦野「最後まで聞きなさいな。でも実際の話、アンタが『暗部』に入るのは問題がある。ありすぎるってぇ程だ」

麦野「アタシ達は汚い事も色々やってきた。そして暗部みたいなクソ組織に身を置いている以上、仕方がないとは思う。他のメンバーも覚悟決めている」

麦野「だがな上条、アタシらと一緒にいる事で、アンタにもアタシ達の災禍が及ぶ」

麦野「アタシはそれが耐えられない。恩人であるあなたが私のしでかした事で傷つくのは――イヤ、なのよ」

上条「麦野、さん」

麦野「だから、だから暫く――距離を置きましょう?あなたが覚悟出来るように、そして私達が覚悟を決められるまでは」

麦野(せめて、暗部の抗争が一段落するまでは)

上条「……」

上条(アックアの襲撃に『アイテム』は巻き込めない)

上条(当然だ!分かってる事じゃないか!)

上条(なのにどうして――)

上条(胸が、痛いんだ)

上条「……分かった」

麦野(っ!?)

麦野「……そう、良かったわ」

上条「……あぁ暫くの間、会わない事にするよ」

麦野「……あと、帰る時にあの子達に挨拶してあげて?あなたの事を気に入っているみたいだから」

上条「ん、じゃ、またな」

麦野「ええ、またね」

麦野(……クソが!)

麦野(どうして――振り向くのを期待してんのよ!)

麦野編、大体半分ぐらい投下終わりました…読んでる人、居ます?
一人居るのはわかったんですが、孤独なマラソンしてるようでちょい不安です

――喫茶店前

絹旗「どうしてあんな事超言ったんです?麦野や上条の性格知ってれば分かりそうなもんですし」

フレンダ「だって!」

絹旗「だっても何も超ありませんよ!どうしたんですか、フレンダ」

フレンダ「だって……悔しかった訳よ!」

絹旗「はい?今なんて?」

フレンダ「何か、何かこう、ズルい訳よ!」

フレンダ「あたしだって『アイテム』の仲間な・の・に!何か、麦野ばっかりズルいって訳なの!」

絹旗「はぁそれはアレですか、超修羅場的な話ですか」

フレンダ「シュラバー?」

絹旗「あぁいえフレンダも上条が超好きって――」

フレンダ「な、ナイナイナイナイナイっ!?そんな訳ある訳がない訳よっ!?」

絹旗「また分かり易いリアクション超どーもです。つーかやっぱフレンダ女子力超高めですね」

フレンダ「そういう絹旗はどうな訳!?結局同じって訳でしょ?」

絹旗「好き嫌いで言ったら好きだと思いますよ」

フレンダ「ほらぁっ」

絹旗「只その、男女関係とかってのは超分からない、ってですかね」

絹旗「映画で男女の銀行強盗が駆け落ちする、ってのを超見たんですけど、あまりシンパシーは感じませんでした」

絹旗「だからわたしが上条に対して抱いている感情は、兄妹とか家族のそれだと超思います」

フレンダ「兄妹、兄妹ねー。あーうんなんか分かる訳。パ――お父さんみたいな感じがしないでもない訳」

絹旗「超良い機会ですから聞きますが、滝壺は?」

滝壺「すき、だよ?」

フレンダ「具体的にはどう?」

滝壺「?」

フレンダ「いや色々ある訳よ。兄妹っぽいとか、恋人にしたい、とか」

滝壺「わたしの居場所に、なってくれそう」

絹旗「それって――」

滝壺「おしり、サスサスしたい」

フレンダ・絹旗「……」

フレンダ「(ごめん絹旗、なんて言っているのか理解出来ない訳)」

絹旗「(わたしも時々超分からなくなります)」

滝壺「むぎのは?むぎのはどう、なの?」

絹旗「それは……まぁ超アレですよね」

フレンダ「今何を話しているのか、大体分かる訳だけど」

フレンダ「結局どうでも良い相手だったら、遣い潰すとか殺そうとか、危ない目に遭わせたとしても、ずっとその後まで悩んだりしない訳」

滝壺「……うん、うん」

絹旗「暗部の動きがおかしいって聞きますし、一回離れるのも超やむなし、ですかね」

フレンダ「そうって訳――あ、絹旗絹旗―」

絹旗「超何ですか?」

フレンダ「何でさっき、『超』好きですって言わなかった訳?」

絹旗「え」

絹旗「えっと、ほら、超、あれ?そうじゃない!超そうじゃないんですよっ」カアァッ

絹旗「(――くぅぅっ!?)」ワタワタ

フレンダ(ヤダ超かわいい!)

滝壺(あ、超必殺技ゲージ三本溜まった)

絹旗「フレンダ……超もっかい超腹パン超欲しいんですね超わかりました」

バスッ!バスッ!バスッ!バスッ!バスッ!

絹旗「あなたがっ、吐くまでっ、わたしはっ、腹パンをっ、やめないっ」

フレンダ「ちょっ!?いたぁっ!?下腹部はっマズっ!?赤ちゃん出来るトコだかっ!?そげぶっ!?」

上条「……何やってんのお前ら!?」

――路上探索

五和「上条さん、これ、こんなのどうです?」

上条「おっ、五和分かってるな!」

五和「こう見えても年上ですからねー。お姉ちゃん、って呼んでも構いませんよ、トーマ君?」

上条「あ、ごめん五和さん、少し離れて歩いて貰えませんか?」

五和「ええっドン引きですか!?思わず敬語を使われる程に!」

五和(教皇代理話が違うじゃないですか!?『年上のお姉さん大作戦』はダメっぽいです!)

上条・五和 ギャアギャア

フレンダ「(チッ、見せつけてくれる訳、あのおっぱい!ちょっと人より大きいってだけで、上条の視線は釘付けな訳!?)」

滝壺「(たしかに、『アイテム』の平均胸囲は低め……)」

絹旗「超全くです。しかしわたし達『アイテム』には秘密兵器があります!」(チラッ)

フレンダ「(あぁうんある訳よ)」(チラチラッ)

滝壺「(ごー、むぎのー!!!)」(チラチラチラッ)

麦野「……オイ、メスガキども」

絹旗「(もっと超声落として下さい!気付かれますよ)」

麦野「(いや、おかしかないか?)」

フレンダ「(どうした訳?)」

麦野「(ちょい前に別れたよな?割とシリアスに)」

麦野「(でも何でアタシらは上条を尾行してんのか、って事なんだけど?)」

絹旗「(いやでも呼んだのはわたしですけど、超ついて来たのは麦野の意思ですし)」

フレンダ「(結局麦野も心配って訳よ)」

麦野 イラッ

バスッ

フレンダ「あべしっ!?」

絹旗「(ちょっ!?暴力はマズ――)

絹旗(と言いながら窒素装甲全身へ超展開します) シャキーン

麦野 ガソゴソ、プシュー

絹旗「(超辛っ!?防犯スプレーですか!?洗い流してこないと!)」

上条「……ん?」

五和「どうしましたか?」

上条「いや、知り合いの断末魔の叫び声が聞こえたような……?」

五和「……聞き分けられる程、その人の悲鳴を聞き慣れている、ってのはどういうご関係でしょうか……?」

上条「いや、よく弄られるんだよ。拳で」

五和「虐めじゃないですか!?」

上条(んー……フレンダだし?)

上条「さて、もうちょっと見て回ろうぜ」

麦野「(つーかアタシが来たのはアンタらが暴走させないためなんだから)」

滝壺「(語尾に『べ、別に勘違いしないでよね!』って付けて?)」

麦野「しねーよ!古いだろうがよぉ!」

滝壺「(いや、テンプレは大事。王道ラヴコメを理解出来ない人は、可哀想な人)」

麦野「(知らねぇわよ。つーかピーピングするために集まったの?追跡と簡単なバステ確認だったら、能力追跡で充分でしょうが)」

滝壺「(だってかみじょー能力効かないし)」

麦野「(だからってプライベート覗き見るような真似、良くないでしょうが。つーかアタシはアンタ達のカーチャンじゃないんだからね?)」

フレンダ「(ままー、おっぱいー)」

麦野「(学園第四位腹パンッ!)」

フレンダ「げふおええぇぇっ!?」

滝壺「(説明しよう!学園第四位腹パンチとは、むぎのーが繰り出すごく普通の腹パンなのだった!)」

麦野「(いやあの、さっきから『むぎのー』を推して居るみたいだけど、やらないからね?)」

滝壺 ペッ

麦野「(この子は自由すぎる!?)」

絹旗「(……何やっているんです?超目立っているんですけど。フレンダは×ロ吐いてますし)」

麦野「(常識人が帰ってきてくれたわっ)」

絹旗「(真面目な話、昨日からですね。上条の周囲に変な人間達が表れたんですよ)」

麦野「暗部の連中か!?」

絹旗「(麦野っ、声声!……ではなくてですね、どうやらガードしているらしいです)」

滝壺「(溜まり場に居た人と、今、かみじょうの周りに居る人、何人か同じ)」

麦野「(暗部の――)いや、もう離れたし小声で話す必要ないでしょ――で、暗部の仕業じゃないの?」

滝壺「ふれんだが命を削って人払いの結界(ゲ×)を張ってくれたおかげ……」

絹旗「いえ超違います。超々遠くから観察してみた所、守っているようです」

絹旗「例えばチンピラが喧嘩を仕掛けそうな時は事前にぶっ飛ばしたり」

絹旗「鳥の糞が落ちて着そうだったら、ボーラ(紐の両端に石を結んだ狩りの道具)で捕獲したり」

絹旗「マンホールが蓋を開けていれば、工事留めの看板を設置したりと」

麦野「それただのアホ集団じゃねぇのか……?つーかアンタ達、どうしてそんな事知っているの?」

麦野「まさか昨日抜け駆け――じゃ、ない。勝手に調べた、と?」

三人「……」

絹旗・滝壺「フレンダが(超)主犯(です)!」

フレンダ「裏切るのに躊躇が無かった訳!?いや途中からしか見つかんなかったし!」

麦野「……はあ、アンタ達は。人がどんな思いで切ったか、つーのに次から次へバカやらかして」

麦野「つーか上条の影響だよなぁ。今まで『アイテム』でこんなアホらしい尾行なんてしなかったし」

フレンダ「でも、楽しい訳よ!麦野は楽しくない訳?」

麦野「アタシは――」

滝壺「まって!」

絹旗「どうましたか?」

滝壺「あれ、見て」

クワガタアフロと取り巻き (サッカーボールを地面へ置く)

フレンダ「……何やってる、ワケ?」

クワガタアフロ (数歩下がる)

クワガタアフロ (十字を切る)

クワガタアフロ (助走を付けて――)

クワガタアフロ「タイガ○シュートおおっ!!!」 (ボールを蹴り飛ばす)

絹旗「超古っ!?」

滝壺「あれは――ふぁいやーしょっと?いや違う!炎じゃなく、トラの姿がっ!」

フレンダ「……ねぇ麦野、滝壺疲れているんだと思う。無理ばっかさせちゃったから」

ボール ダーン(上条に直撃)

上条「!?」 タユンタユンッ(五和に突っ込む)

五和「ちょっ上条さんっ!?」

上条の下条さん(デカルチャー!)

麦野「いやいやいやいやっ!ハニトラにしたって不自然極まりねぇだろうがよ!」

フレンダ「サッカーボールを使う必然性はおろか、脈絡すらなかった訳よね」

麦野「いや、もう帰ろうぜ?なんか頭痛くなってきた……」

御坂「ちょっと!アンタ達」

麦野「あぁ!?……って超電磁砲じゃねぇか。用は無ぇから消えて良いわよ」

御坂「アンタにはなくてもこっちにはあるってのよ!」

麦野「あー、んじゃメシでも食ってくかぁ?いつも同じじゃ飽きが来るから」

バリバリバリッ

御坂「は・な・し・を・き・き・な・さ・い・よ!!」

御坂「聞いたわよ、あんた達あいつを『アイテム』に引き入れたんですってね!?」

麦野「お前にゃ関係ねぇだろうよぉ」

麦野「つーかぁ?アンタだってその無能力者に、第一位サマとの喧嘩に巻き込んでるじゃねぇか」

御坂「あ、あたしは仕方がなかったし!第一妹たちの命がかかっていた――」

麦野「アタシらだってそうだな。もっとも、常盤台のお嬢様からすりゃムシケラみてぇな命なんだろうけど」

御坂「ちょっとそんな事言ってないでしょ!?」

麦野「じゃあ何だってんだ、あぁ!?」

絹旗「二人とも超落ち着いて下さい。乱闘なんかしたら超面倒ですよ」

御坂「あのね、麦野。あんた達――いえ、あんただけど、“本当に立場分かって”んの?」

御坂「暗部だかなんだか知らないけどさ、平気で道徳やら尊厳とか踏みにじるような連中がいて――自分達がその手伝いをしている、って」

御坂「住んでいる場所が違う、勿論価値観だって違うわ」

御坂「あんたは自分達の命をムシケラだって言ったけど、あんたにとっちゃ他人の命だってムシケラ同然に踏みつけてきたじゃない!」

御坂「あんた達が“そっち側”にいる限り、どうやったってあいつも巻き込まれんのよ」

麦野「んだとぉ……?」

御坂「あたしはあんた達を認めない。また戦う事になってもよ!」

麦野「おーおーご大層なこったな超電磁砲。そういや、決着はついてなかったかぁ」

麦野「なんだったら――やるかぁ、延長戦」

御坂「……麦野、一つ覚えておいて」

御坂「あいつがあんた達を助けるのは構わない。それはもう……諦めているわ、悪い意味で」

御坂「でもあんた達があいつを巻き込むようなら、あたしはあいつの敵に回ったって止めるんだから!」

タッタッタッタッ

フレンダ「……何つーか、超電磁砲はいつも誰かのために怒っている訳」

絹旗「そりゃ生まれてからすっと陽の下ばっか超歩いてきた人ですし。わたしたちとは違うでしょう」

麦野「クソが……」

絹旗「……麦野?」

麦野(分かってんだよ、アタシらが誰よりなぁ)

――考察、自分だけの現実について・3

(第三位の例を挙げよう)

(能力は特上位の電気・雷撃操作能力。通称超電磁砲と呼ばれる)

(電撃、電撃なぁ?)

(自然界では電気を発する能力を持つ動物は多い)

(光の届かない深海で微弱な電気を発したり、受信する事で獲物の位置を探る)

(また高電圧をかけて周囲の脅威から身を守ったり)

(正直訳が分からない。何がしたかったのよ?)

(ただまぁ、超電磁砲は――)

(誰かのために、戦う)


――夕闇。陽は、堕ちる

上条「なーんか騒がしかったなぁ。喧嘩でもあったんかね」

五和「ですかねー」

五和(いやいや教皇代理がしょーもない作戦したんでしょうけど)

五和(……何で建宮さんが代理やってんだろ?)

上条「んじゃ帰ってメシにでもすっか!イヤンクック亜種もお腹を空かせているだろうし」

五和「いやその人知りませんし――って、あれ」

上条「どした」

五和「静か、過ぎませんか?」

上条「確かに。つーかこれって――」

アックア「上条当麻、で間違いないのであるか?」

五和「アックア!?」

上条「お前――」

アックア ブウンッ!!!

ガッ!

上条(異能じゃない――)

上条「がぁっ!?げほっ、ほっ……」

アックア「生憎と外道相手に名乗る名は持たないのである」

五和「こんのぉっ!」

アックア ブンッ!

上条「ぐあああぁぁぁぁっ!」

アックア(女を……庇ったのであるか?)

五和「上条さん!?上条さぁんっ!?」

アックア「猶予を与えるのである。期限は今から数時間、その間に右腕を差し出せば良し。でなければ少年の命を貰い受けに行くのである」

五和「待って下さい!上条さんが何をしたって言うんですか!?」

アックア(浜デュラの言う通りである。騙されている事に気付かぬ、か)

アックア(ならば――)

アックア「ローマ聖教の秩序に異を唱えた。罪過は充分であるな」

アックア(悪役として振る舞うのもまた礼儀である)

――深夜の病院

麦野「よおクワガタアフロ、ちっとお姉さんに顔貸しな」

建宮「お前さんに関わってる暇はないのよな」

麦野「そこで眠っているクソガキの関係者だ、つった方が良いのか?」


――少し前、アジト2

PiPiPiPi、PiPiPiPi……

麦野「――はい?」

絹旗『麦野!第七学区の××病院まで来て下さい!』(グスッ)

麦野「どうしたのよ、いきなり――」

絹旗『上条がっ!上条が敵に襲われました!』

麦野「まさか――」


――アンチスキル事務所にて

黄泉川「いやだからダメって言ってんじゃんよ」

浜面「どーしてよっ!?現金だけ返却しねぇって横暴じゃねぇかよおおっ!?」

浜面「俺は弾劾するねっ!アンチスキルがパクるんじゃねぇのかっ!」

黄泉川「あー……んじゃ浜面ぁ、このお金つーか封筒どっから手に入れたじゃん?」

浜面(銀行の、しかも中身ピン札だったよな)

浜面「そりゃ当然降ろしてきたばっかりだけど、銀行から」 キリッ

黄泉川「そいで?」

浜面「遣う前にあんたらに捕まったんだよ!」

黄泉川「ぶっぶー!ハズレじゃん。不正解者は賞金ボッシュートでお帰り下さいじゃん」

浜面「なんでだよぉっ!?どうして分かんだ!?」

黄泉川「ホレ、封筒の匂い嗅いでみ?」

浜面 クンクン

浜面(あ、なんか良い匂い?)

黄泉川「誰かがコロン振ったじゃんよ」

浜面「なんか意味あんの?」

黄泉川「……浜面ぁ、あんたホントに駄目な子じゃん」

浜面「見ないで!そんな優しい目で俺を見ないでぇっ!」

黄泉川「まぁ……例えば女の子がハンカチ借りたとするじゃん?で、当然『洗濯して返します』的な流れになるじゃん」

黄泉川「んで返す時とかにコロンを振っておくじゃん。そーすっとハンカチの持ち主、男の子は当然使うわけじゃん?」

黄泉川「で、その男の子から普段使わないようなコロンの香りがする、と周囲の女の子は気付くってわけじゃんよ」

浜面「意味分からねぇんすけど?」

黄泉川「要は『男の子のハンカチを洗濯して香水振るような相手がいるんだから、手ぇ出すんじゃねぇわよメスども』って意味じゃん」

浜面「怖っ!?女の執念怖っ!?」

黄泉川「ま、今言ったのは極論じゃん?只単に『自分の使っているコロン振って意識させたい』ぐらいの意味かも知れないじゃんよ」

浜面「ま、まぁそのぐらいなら理解出来るけど」

黄泉川「つーかどうせ銀行前で拾ったとかそういう話じゃん?」

黄泉川「落とし主が現われたらあたしが返しておく――」

アンチスキル「すいません、黄泉川先生ちょっと来て頂けますか?」

黄泉側「今行くじゃんよ。つーワケであんたはさっさと帰るじゃんよ」

パタン

浜面「……」

浜面(いやー上条に返す以前に、俺の手元に戻ってこないってのはなぁ)

浜面(いっそ事情を話すか?……いやなんか奉仕活動とか喰らいそうだし)

浜面(つーか頭ごなしに否定ってのはどうよ?腹立ってきた)

浜面 ペリペリ(ノートを破く)

浜面 キュッキュッ(サインペンで書く)

浜面(『前から後から激しくチチ揉んで下さい』)

浜津 キュッキュッ

浜面(『どうか助けると思って蹴って下さい』)

浜面 ピーッ、チョッキン(テープで輪っかを作る)

浜面(どっちがいい?暴力沙汰はまずいか)

浜面 ピタッ (黄泉川のイスの背逆向きに貼り、その上にも輪っかテープを設置)

浜面(くっくっくっく、黄泉川さんよぉ、あんた次にこのイスに座った時が最後だぜ!)

浜面(あんたが座りゃ自動的にコイツが背中に貼られる。つまりは――)

浜面(性欲を持て余した同僚達から前から後からあんな事をっ!)

浜面(タイトルは『現役アンチスキル黄○川!職場の輪×カーニバル!-もう、普通じゃ満足できないじゃんよ-』)

浜面 ツーッ

浜面「あ、やべ鼻血……」

――現在へ戻る

五和「あなた達には関係ありません!」

麦野「あるかどうかはアタシが決める。つーかテメェぶち殺すぞ?負け犬どもが騒いでんじゃねぇわよ」

建宮「……その通りなのよな。我らは上条を守る筈なのに手も足も出せないで負けたのよ」

建宮「今はアックアに対する戦力が一人でも欲し――」

五和「――何が、何が『アイテム』ですか!上条さんが一番危ない時に、側にいなかったくせに!」

絹旗「……麦野っ抑えて下さ――いえ、冷静ですか?」

麦野「アンタの言う通りだわ。でもだからってウジウジしてる場合じゃないでしょ」

麦野「つーかクワガタアフロ、『アイテム』を知ってるんだったら、アタシ達の事も知ってるわよね」

麦野「学園第四位とその愉快な仲間達が手ぇ貸そうってんだから、感謝してくれてもいいんだぜ?」


――病院、個室

フレンダ「魔術ねぇ。外の機関の能力使いって言われた方が、まだ分かりやすい訳」

建澪「学園都市が出来たのはここ半世紀なのよな。それ以前から別口でアプローチしていた人間達だと思って良いのよ」

絹旗「まぁ学園都市も知らない人からすれば超オカルトですしね。それでどうしてアックア?が上条を襲ったんですか?」

建宮「因縁なのよな。上条はローマ十字聖教との抗争に参加し、勝利してきた」

建宮「少年としては目の前の人間へ救いの手を伸ばしただけなのよ。アンタ達もその口なのよな?」

滝壺「うん……たすけてもらった」

建宮「が、ソイツが気に入らねぇって連中が、アックアを仕向けてきたのよ」

麦野「成程ね。じゃソイツ、アックアだっけ?の能力全部教えなさいな」

建宮「戦う気なのか」

麦野「戦わない理由がないでしょうが」

建宮「だが、我らは――」

麦野「別に負け犬にゃ何も期待してねぇよ。つーかアックアが独りで来てるって保証がある訳じゃない」

麦野「他の勢力のチンピラが紛れ込むかもしれない。これ幸いと狙う連中をどうかにしなさいな」

麦野「で、『アイテム』としての結論から言えば――上条当麻を護る、そのためには何が必要なのか?」

麦野「上条当麻を瞬殺出来るような相手に『アイテム』が勝てるか?」

麦野「答えは上条当麻が必要よ」

絹旗「意味が超分かりません」

麦野「上条が散々言ってたでしょうが。一人なら無理だけど、みんなでやりゃどーだのこーだの」

麦野「今のあたし達だけじゃ勝てない。でも一緒なら話は違うわ」

麦野「だから――アンタ達は、そうしなさい」

滝壺「むぎの?」

麦野「今回チームを二つに別ける。アタシとアンタらと」

麦野「作戦は簡単、アタシがアックアの相手をしている間に、フレンダは周囲の建物をランダムで爆破させ、相手の注意を引く」

麦野「絹旗がガードした滝壺はアックアの能力追跡で『覚える』事」

麦野「その後、アンタ達は戻って上条をガード。場合によっては病院から連れ出してでも逃げ回りなさいな」

麦野「時間さえ稼げれば、学園側も第一位や二位を投下するしかなくなるでしょうしね」

フレンダ「麦野は……?麦野はどうするって訳よ!?」

麦野「ま、腕の一本ぐらいはナントカ落としてあげるわよ」

絹旗「麦野?超何考えてるんですかっ!?」

麦野「……あの後さ、何回かアンタ達に謝ろうとしたんだけど、やっぱ止めるわ」

麦野「結果的に大団円になったけど、第二位の始末が付けられなかったら、アタシら『アイテム』は壊滅していたわ」

麦野「だからあの時、フレンダを粛正して滝壺に体晶を使おうとしたのは、間違いだったつもりはないわよ」

麦野「それがベストではないけど、ベターな選択肢だったと思うからね」

麦野「上条にはぶん殴られると思うけど、『アイテム』ってのはやっぱりそーゆーもんなのよ」

麦野「強い相手には人を遣い潰して戦って、こっちが嘗められないように食い殺して喰い殺した。ずっとそうやってきたわけだから」

麦野「だから今回の『これ』も同じよ。上条がタイマンで負けた相手に、回復を待って『アイテム』で戦う。それだけの話」

麦野「だからその時間稼ぎのためにアタシが遣い潰される。それだけのお話」

絹旗「超何言ってんですか!」

フレンダ「そうな訳!麦野一人戦わせるワ――」

麦野「どうもこうもねぇんだよ。騒ぐなガキども、大人になりなさいな。他に方法がないんだったら、そうするだけ」

麦野「アタシは馴れ合うつもりはないわ。今まで『アイテム』がそうだったようにね」

麦野「だけど、まぁ、これからどうするかはアンタ達が決めな。四人で考えりゃ良い案の一つでも浮かぶでしょうから」

麦野「天草十字凄教だっけ?もしもん時はウチの娘らもお願い出来るかしら」

――考察、自分だけの現実について・4

(第四位の例を挙げよう)

(能力は原子崩し。原子を振動させて放出したり、生み出された熱量により攻撃する)

(最大の特徴は出力を最大まで高めれば、超電磁砲と謳われる第三位を凌駕する)

(しかし手に余る威力のため、制御出来ずに自分の体をも灼く、と)

(言ってみりゃ欠陥品)

(アタシが欲しかったのは、何だ?何が欲しかったんだろう)

(アタシは何を望んでこの能力を発言させた?)

(第一位は自分を守るため、第二位は周囲から見られたい)

(第三位……あぁ誰かを助けるため、か?)

(だったら第四位の能力は――)

(何がしたかったんだろう?)


――深夜、路上にて

御坂「……探したわよ」

麦野「おーどうした超電磁砲。中坊が出歩いて良い時間じゃねーぞぉ?帰ってママンのおっぱいでも吸ってなさいな」

麦野(拙いな。アックアが近くにいるってのに)

御坂「忠告、したわよね。あいつの事」

御坂「アンタ達が一緒にいるからこんな事に!」

麦野「まぁんなに騒ぐなよ。もうなんかアンタの相手するのも面倒なんだけど」

麦野(アタシら関係無い、つったって信じねぇか)

御坂「結局これでしょ?あんた達が側にいるからっ!あいつは一人で傷ついて!」

御坂「わたしと戦いなさい、麦野」

麦野「あぁごめん。今ちょっと急いでいるから」

御坂「後からだろうがあたしは撃つわよ!ましてやアンタ達はアタシの妹を助ける時に邪魔したんだから!」

麦野(成程、“これ”が差かよ。何処まで行ったってぇ昔やった事はついてくる、ってね)

麦野 ガバッ(地面に膝をついて、頭を下げる)

御坂「麦野……?」

麦野「今はダメよ。ちょっと今からデートの約束があるからね。明日以降だったらいくらでも暇になるから、そん時――」

御坂「デート?あいつが入院してるのに!?アンタにとって仲間ってのは、『アイテム』の仲間ってのはその程度のもんだったの?」

麦野「この程度、ってのは酷い言い様だなオイ。デートが終わったら着替えの一つでももってくから、それまでついてってやりゃいーだろ」

御坂「この――っ!」

麦野「アンタはアンタのすべき事をしなさいな。余所に構っている暇がなんてないでしょうに」

麦野(これでもう一枚壁が出来た、と)

――路上、また別の所

絹旗「超大丈夫、でしょうか」

滝壺「……」

絹旗「予定の時間よりも少し遅れてますし、もしかして――」

滝壺「きぬはた」

絹旗「はい?」

滝壺「やっぱり、わたしたちも、戦お?」

絹旗「それは……超無理です」

絹旗「上条ですら瞬殺されているのに、そんな能力を持つ相手にわたし達だけじゃ超勝てるわけがないじゃないですか!」

滝壺「でも、むぎのは戦うよ?」

絹旗「だから超無理なんですよ!わたし達が側にいたら、麦野は『全力』を出せません!」

滝壺「それって」

絹旗「……えぇ麦野はアックアと――」

絹旗「刺し違える、つもりなんでしょう」


――少し、ほんの少し前の路上

浜面(金返ってこなかったなー、しかも黄泉川預りは余計にキツいぜ)

浜面(上条に事情を話すか?いやーあの取り巻きの女怖すぎるわ、つーか今も夢に出るわ)

浜面(つー事はだ。持ち主不明のままアンチスキルで保管されて、学園のモンになっちまうとか?ムカつくぜ)

浜面(まぁ上条、お前のカタキは黄泉川に討っておいたぜ!) キリッ

ケータイ 『メールを受信したよ、まひろくん。誰からなのかな?』(釘宮)

浜面(アドレス不明?昔の仲間のイタズラかぁ?)

『B公園にて待つ。貴殿の敵を晴らすのである。アックア』

浜面(洋平さん?カタキって何?なんかあったっけか?)

浜面(んー……?)

浜面(あぁ、アンチスキルに掛け合ってくれんのか!秩序や法がどうこう言ったけど、そっちの人って事ね)

浜面(んじゃ行ってみますかね)

――少し前

麦野「……」

麦野(服汚れちまったなぁ。クソが)

麦野(ハンカチハンカチ……ってこれ)

麦野(上条から貰ったスカーフ、か)

麦野(ダセェよなぁ。つーかパチモン以前に人に贈れるデザインじゃねぇでしょうが)

麦野 バサッ

麦野 キュッ、ムスビムスビ

麦野 パカッ(コンパクトを開いて確認)

麦野(まったく……ダサイわね)


――現在。とある公園

アックア「さて、そろそろ時間であるか」

麦野「ちょっといいかしら?」

アックア「誰かは知らないが婦女子の出歩く時間ではないのである」

麦野「あぁうんアタシもさっさと帰りたいんだけどね。やる事があってさ」

麦野「ちょっと死んでくれねぇかしらクソ野郎?」

ドォォォォォンッ!!!

アックア「右手の少年の関係者であるか」

アックア(浜デュラの言っていた事は正しかったのである)

アックア(しかしそうすると無碍に殺すのも憚られるのであるな)

アックア「嘆かわしいのであるな。戦場とは兵士が立つべき所である」

アックア「にも関わらず、貴様のその姿は何であるか?」

アックア「名の知れたブランドのコート、ジャケット、スカートにブーツ」

アックア「高級品で揃えるかと思えば、首には偽ブランドの安スカーフ。実に浮いて見えるのであるな」

アックア「かといってそれがフェイクというわけでもなく、下に帷子の一つを隠し着るでもない。到底戦場に立つ格好ではないのである」

アックア「私は兵士でない女子供を痛めつける趣味はない。退く事を勧告するのである」

麦野「あぁうん、アンタあれだわ。アレでしょ?女の子から優しくされたら、『あーコイツ俺に気があるわー、困るわー』とか勘違いするタイプでしょ?」

アックア「話が見えないのである」

麦野「いや別にアタシはアンタのためにこの服着てきた訳じゃないし、自惚れんなよクソ野郎って事よ」

麦野「つーかキモいんだけど本当に止めてくれるかなぁ?おまわりさーん、たすけてー」

アックア「……では何しにここへ来たのであるか?」

麦野「そりゃアンタをぶち殺すためだけどソレが何か?」

アックア「……」

麦野「いやだからアンタをサクッと殺した後に予定があんのよ。今ICUに入っているから着替えとかタオルとか、意識戻るまでには持って行かなきゃならないし」

麦野「目ぇ覚めたって感動のご対面の際に、全裸で靴下だったら全部ぶち壊しになっちまうだろ?言わせんなよ恥ずかしい」

アックア「意味が分からないのであるが」

麦野「女にとって外面ってのは武器なのよ。戦場並みにドロっドロした人間関係、上手く生きていくための防具でもあるわね」

麦野「ウチにもムカつくクソガキがいてね。足は細いわ、髪は金髪でサラッサラだわ、お前そりゃなんつー武装してんの、って感じ」

麦野「――あぁ何か思い出したらハラ立ってきた、やっぱもう一回パ××ンにしとくかぁ」

アックア「貴様は私との圧倒的な戦力差が分からないであるか?」

麦野「分かるわよ、多分私じゃ死なない限りアンタには勝てないでしょうね」

アックア「ではどうして――」

麦野「だってアンタ、放って置いたらアイツ殺そうとするじゃない?だったら勝ち目があろうが無かろうが、戦わない選択肢はねぇのよ。分かる?」

麦野「兵士じゃないから戦えないとか、男じゃないから戦えないとか、勝ち目がないから戦わないとか」

麦野「あと……能力が無ければ戦えない、とかって」

麦野「それは、きっと――『幻想』でしょうよ」


――ICU

上条「………………」

上条「…………」

上条「……」

上条「……?」

インなんとか スースー

上条「……っ!」

――公園

麦野(クソッ!水の壁で全部防ぐなんざ、人間技じゃねぇぞ!!)

麦野(防御行動を取るって事は、直撃すりゃダメージを与えられるかも知れない――が)

麦野(だからって近寄ればデカい電柱みたいなので一発KO。距離を取れば取るだけ確実に防御されちまう)

アックア「……下らないのであるな。恐らく“これ”も右手の少年から貰ったのだろうが」

何度か地面に叩きつけられた衝撃か、上条から貰ったスカーフは千切れて紙面へ落ちている

アックア「騙されているのではないのか?こんな二束三文の品物を後生大事に抱える姿は、滑稽にすら映るのである」

アックア「こんな――ゴミを」 グシャッ(踏みにじる)

麦野「……っ!!!」

アックア(あんな愚かな人間に義理立てして、死に急ぐ必要はないのである。騙された者を救うのも、また右席としての役目であるな)

麦野「……ろすっ!」

麦野「殺す殺す殺ぉすっ!テメェはぶち殺し確定だああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!」

麦野「消し飛びなあぁっ!クソ×××がっ!!!」

アックア(出力が更に上がったのであるか!?)


――同時刻、公園の片隅で

浜面「……マジかよ。洋平さん、あの女と互角にやりあえんのか」

浜面(つえーなんて話じゃねぇぞ。学園第四位をあんだけボコれる奴なんざ、どっから来たんだ?)

浜面(へっ、ザマぁみろ!調子に乗ってっからだ)

浜面(あんなに必死んなって、格好悪りぃ)

浜面(……格好悪い、か?)

――同時刻、同じ公園の片隅で

絹旗「……超おかしいですね。予定の時刻を過ぎているのにフレンダは超動きません」

絹旗「滝壺、ちょっと場所とバステ探知して貰えませんか?……滝壺?」

滝壺「……きぬ、はた。やっぱり、わたし達も、行こ?」

絹旗「はぁ?超何言っているんですか?そんな事したら麦野の超邪魔になるだけですよ」

滝壺「だから、なに?」

絹旗「いえだから、じゃなくてですね。もう一回超説明しないと分かりませんか?」

滝壺「わたし達は知ってる筈、かみじょうに教えて貰った」

滝壺「能力が無いとか、足手まといになるとか、そう言う事じゃなくって」

滝壺「友達を助けるのは、当然だと思う」

――戦いの中心点

麦野「クソが!あれだけぶっ放しても無傷かよ!……クソっ!?」

麦野(つかよくあの電柱モドキで殴られて生きてたな、アタシ)

アックア「大したものである。正直、学園都市など取るに足りぬとは思っていたのであるが、賛辞を捧げるのである」

麦野(やべえな。リミッターを外すどころか、痛みで集中出来ない!)

アックア「とはいえ、するべき事は変わらな――」

女?「そ、そこで何やっているんですか?」

アックア(しまった。浜デュラに顛末を見せるため、人払いの結界を解いていたのである)

女?「ア、アンチスキル呼びますよ!」

麦野「馬鹿野郎!何やってんだ――」

アックア「心配はない、少し眠って貰うのである」

女?「こ、来ないで下さ――」

アックア「起きた時には全て終わ――」

女?「うっさい訳よ!!!」

ドォンッ!!!

アックア(至近距離からの指方向性榴弾であるか?)

アックア「だか、その程度で右席は揺るがないのである!」

女2「超させません!」

ガキィンッッ!

女2「くぅっ!?」

麦野「おい……おい!何来てんのよ――」

麦野「フレンダ!絹旗!」

フレンダ(女?)「麦野っ麦野っ!?ってボロボロだしっ!」

絹旗(女2)「……いったぁ、超何ですかこれ。ノーモーションの裏拳一発で窒素装甲ぶち破るなんて、超チートじゃないですか」

麦野「なんで――なんで来るんだよおぉっっ!?」

フレンダ「そりゃ助けに来たに決まってる訳!つーかそれ以外の理由だったら驚くし」

絹旗「ちなみに滝壺も近くにまで来ています。転んだだけで超戦闘不能になりそうなので、超待機して貰っていますが」

麦野「そうじゃねぇよ!そう言う事を言っているんじゃない!」

麦野「アタシはっ、アタシはここでっ、ケジメをつけなきゃならなかったんだ!」

麦野「アタシはアンタ達を殺そうとした女だぞっ!?」

麦野「独りでぶち切れて!独りで癇癪起こして!負けてムカついた、って――下らねぇ理由でよ!」

麦野「そんなアタシがっ!アンタ達に守ってもらえる資格なんて無いっ!」

麦野「『アイテム』に居て良い訳なんてねぇんだよおぉっ!!!」

――同時刻。同じ公園の片隅

浜面(な、なんか超展開になってんじゃねぇか)

浜面(つかこれもしかして俺のせいじゃね?俺が不用意に話盛ったせい?)

浜面(いやー、まさかそんな事はねぇだろう。ねぇよな?)

浜面(で、でも一応黄泉川に連絡しとこっかな、うん)

浜面 ガサゴソ

浜面「ケータイケータイ、クソ!バックの中かぁ?」

浜面(これも違う)ポイッ

浜面(飲みかけのドクペ……違う) ポイッ

浜面(あ、さっきのノートの切れっ端。なんで俺とっといたんだろ?) ポイッ

浜面(急いでいる時に限って出ねぇのな)

浜面、「お、あったあった!」

浜面「早速連絡を――」 ピッピッピ

滝壺「……」

滝壺(あ、幸薄そうなチンピラっぽい人)

滝壺(道に一杯落とし物している)

浜面「あ、黄泉川か?オレオレ、俺だって!」

滝壺 ジーッ

滝壺(……紙?)

滝壺(あぁうん、そーゆーの好きな人。了解了解)

浜面「ガキみたいなイタズラすんな?悪い今ちっと大変で――そぉじゃねぇよ!誰が童×だコラアァッ!新品未開封なだけだ!」

滝壺 ペタッ

滝壺(よし。良い事を、した)

滝壺(もうちょっと近く、行こ) トコトコ

浜面「え?出られない?目の前で乱闘してんだぞ!?」

浜面「――切りやがった!?クソッ!」

浜面(ヤバいな。つーかアレどっちもマジ殺しに入ってるんじゃねぇのか?)

浜面(アンチスキルも来れない。周りには助けられる人もいない)

浜面(悪魔みてーな女だったとしても、幾らなんでも終わりだろ)

浜面「……いや、それで良いのか?」

浜面(相手は女だぞ?どんな能力だろうが、どんだけ強かろうが、だ)

浜面(だったら助けない理由はねぇだろうがよおっ!)

アックア「これで――終わりなのである」

浜面「待て洋平さん!俺が相手――」

――少し前

アックア(この者達は本当にろくでなしのアバズレであるか?とてもそうは思えないのである)

アックア(友を守り友を助け、命を省みずに戦火へ身を投じる。それは兵と呼ぶべきである)

アックア(だが少年の始末を付けねばいけない以上、放置は出来ないのであるが)

アックア「何人増えようが結果は同じなのである。いや、無駄に犠牲を増やしただけで徒労以外の何物でもない」

フレンダ「あんたに何が分かるって訳!?友達を助けに来るのは当然でしょうが!」

絹旗「無駄とか犠牲とか超ウザいです。戦うのなんてそんなに立派な理由は超要りません」

アックア「そうなのであるか?だが結局ネズミが獅子に喰らいつく事は出来ても、死に至らしめるのは無理なのであるな」

アックア「これで――終わりなのである」

アックアが空へ向け軽く手を振ると、呼応したかのような巨大な水の戦槌が現われる。
公園全てを覆い尽かさんばかりに広がったソレは、逃げる暇を与えず迫り来る。

麦野(ダメだっ!原子崩しじゃ消し切れない!)

神の審判とは絶対なのか。人間は抗えないのか。

麦野(アタシはいい!殺されても文句言えない事だってやってきた!けど、けどこの娘たちだけは――)

圧倒的な死の暴力が友情も、希望も、そして微かな祈りすらも押し流そうとする。

麦野(誰かっ、だれか――)

――その瞬間、声が響いた。

上条「俺の仲間に、何やってんだよ!!」

パシイィィィンッ!!!

――戦いの中心点

麦野「かみ、じょう……?アンタ――」

上条「……お前があの時、仲間を殺そうとしたのは確かだ。それは絶対に変わらない」

上条「『アイテム』が人を簡単に遣い潰すような組織だった、ってもそうなんだろう」

上条「お前がやってきた事、お前らがしてきた事、それが全部一度にゼロになるなんてのは絶対にない。していいもんじゃないさ」

上条「ろくでもない生き方をしていればろくでもない死ぬ方をする。それは当然だろ」

上条「でもな――人は、変えられる」

上条「人が変わるんだから組織だって幾らでも変えられる」

上条「それに麦野、お前は気付いていないだけだ」

上条「仲間のためにアックアに立ち向かったり、仲間のために自分を犠牲にしたり、仲間のために泥まみれになっても、何度も立ち上がる」

上条「そんなの、ただの仕事仲間相手に出来る事じゃねーだろうが!」

上条「麦野、アンタはもう、とっくに変わっているんだ!」

上条「暗部がなんだ?生き方がどうした?今まで日の当たらない場所にいたからって、ずっと同じ所に居なきゃならないなんて事はないだろ!」

上条「だから――麦野、俺と、いや――いや、『アイテム』の仲間と一緒に、生きよう!」

麦野「駄目だ上条!アンタまで居たら一緒に巻き込まれるわ!」

上条「俺を信じろ!そして俺が信じたお前を信じろ!」

上条「お前の目をふさいでいたその幻想――俺はもうぶち殺してんだよ!!!」

麦野「……ごめん、絹旗。ごめん、フレンダ。ごめん、滝壺」

麦野「アタシ――わたしね、アンタ達と生きたいよ!」

麦野「みんなとバカやって、はしゃいで、買い物行ったり、旅行に行ったり」

麦野「下らない事で喧嘩したり、もっと下らない事で仲直りしたり」

麦野「生きて、みたいっ!!!」

――少し前。英雄失格

浜面「待て洋平さん!俺が相手――」

神裂「女教皇式忍者レッグリラリアートおぉっ!」

ゲシッ!

浜面「ノォウッ!?」

神裂「今は先を急ぐ身なのでこれにて失礼します」

浜面「オイ待てやポニテのねーちゃん!いきなり背中に蹴り入れる以上の失礼はねぇぞ!?つーかいきなり何で蹴られる必要があんだゴラアアッ!?」

神裂「いえ、でも背中に」

浜面「背中?背中がなんだってんだ!」

建宮「教皇代理キイイック!」

浜面「イヤンっ!?」

浜面「いやだからどうして俺が蹴られなきゃ――」

五和「天草式ヤクザキック!」

浜面「同じ所に二回はらめぇっ!?」

牛深「天草式ソバット!」

浜面「遠心力が威力を高めている、だと!?」

香焼「天草式浴びせ蹴り!」

浜面「顔面に!顔面に入ったから!背中って主旨を思い出して!」

諫早「天草式ドロップキック!」

浜面「待って!噴水の高低差を利用した攻撃は洒落にならないの!?」

野母崎「天草式以下略!」

浜面「最後なんだから略すなよおおおっ!?」

浜面「ちょ……なんで?今回は割と頑張ったのに、どうして扱いが酷いの……?」 ガクゥッ

対馬「そりゃ背中にこんな紙貼ってればねぇ。助けを求める人に救いの手をってのは、ウチの信念みたいなモノだし」 ゲシッ

『どうか助けると思って蹴って下さい』

――戦いの中心点

アックア「半死半生の人間が揃った所で勝ち目はないのであるな。雑兵の群れなら恐るるに足りないのである」

神裂「そう、とは限らないでしょう」 シュタッ

アックア「極東の聖人、神裂火織であるか」

神裂「獅子とネズミの戦力差は絶大。それは事実です。何度戦っても勝ち負けは覆らないでしょう」

神裂「ですが私達は人間、獣ではありません。ネズミは助けを求める他人の手を取りはしないでしょうが――」

神裂「――ヒトが救いを求める人間へ対し、手を差し伸べない理由など何一つ無いのですよ」

神裂「そして――麦野沈利、あなたに深い感謝を」

神裂「私がっ!どれだけ傲慢であり、そして独り善がりであったのか!あなたから教えられました!」

神裂「独りで事を成し、信の置ける仲間ですら遠ざけようとした私に、あなたは答えを示して下さいました」

神裂「ですから今日“だけ”はあなたと共に在ります――明日からは“好敵手”でしょうが!」

神裂「天草式、出ます!」

天草式一同「おう!!!」

麦野「……つーか誰よ?神崎かおり?なんかのギャグ?面白くもねぇ話だわ」

上条「麦野」

麦野「あーもうこっち見んな!女の泣き顔なんざつまらないでしょうよ」

上条「そっか。んじゃ後からだな」

ダキッ

麦野「ちょっ!?……かみ、じょう?」

上条「原子崩し。全力でやってくれ」

麦野「無理よ!だってそんな事したら――」

上条「俺達じゃ今のアックアへ決定的な一撃を入れるのは無理だ。天草式が時間を稼いでいる内に、早く」

麦野「だって、それじゃ――」

麦野(今だったら簡単にリミッターは外せる。けどこの体勢じゃ上条を巻き込む!)

上条「大丈夫だ、俺が右手で何とかする」

麦野「……」

麦野「……タチの悪い男よね」

上条「関係無いだろ!?何の話だ!」

麦野「まぁ、騙されてあげるわよ。責任はきちんと取って貰うけど」

麦野(バッファ確保、変数及び変列型の宣誓、座標軸の設定っと。焦点距離は960mmぐらい、画角は20mm、F値は1.2固定)

麦野(つーか本当に安定しているみたいだし、メモリが普段の倍ぐらいまで拡張されてる)

麦野(何だかなぁ、ホントはもっとクールだって思ってたんだけど。簡単に騙されちまうぐらい単純だったのかよ)

麦野「あぁ……アタシは、そっか、そうだったんだ」

上条「何の話?」

麦野「世界ってのは意外と優しいんだな、ってお話よ」

麦野(私の能力はコイツのためにあったのか。こいつの腕の中にいる限り全力でぶっ放せる、って訳)

麦野(つまり私の能力は、上条と出会うために生まれてきた――)

麦野(――そんな、『幻想』)

麦野(全く似合わねぇが……ま、悪かぁないわね)

麦野「――行くわ、上条」

上条「行けよ、麦野!」

ドオウウウウウウウウウウウウウウウッン!!!

神裂「来ました!」

アックア(直撃すれば危ういのであるな)

アックア「だが、当たらなければどうという事はな――」

滝壺「それ、死亡フラグ」

グイィィンッ(軌道修正)

アックア「んなっ?!ぐおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっ!?」

滝壺「覚えておいた方が良い。『アイテム』は五人だから」 ウンウン

神裂「今です!『聖人殺し』を!」

アックア(聖人としての力が失われていく!?)

ドォンッ!!!

――死闘の後に

浜面「……」

浜面「はっ!?」

浜面「なんか背中がメチャメチャ痛ぇ!つーかなんだったんださっきの連中!?」

浜面「あ、あれ?終わってる?誰も居ないし」

ポンッ(浜面の肩に手を乗せる音)

黄泉川「はーまーづーらぁー?」

浜面「ど、どうした黄泉川?完全装備じゃねぇか」

黄泉川「……今晩はなぁ、スキルアウトのテロ予告があったから、あたしらは待機してたじゃん」

黄泉川「だもんであんたの要請には応えられなかったじゃんよ」

黄泉川「でも浜面じゃん?何だかんだで悪い事は出来ない奴だから、もしかしたら、って事で出動してきたんだけど――」

キリキリキリッ(肩に手が食い込む音)

浜面「痛っ!ボクの肩が折れちゃう!?撫で肩になっちゃうからっ!?」

黄泉川「公園でぐーぐー寝てるのはどういう事じゃんよ?」

浜面「いやでもだってさっきからあっちでドンパチやってたし?」

黄泉川「確かに破壊の跡はあるじゃんよ。でも学園都市では珍しくもないレベルじゃん」

黄泉川「つーわけで浜面ぁ、今から留置所でしっかりお説教するじゃんよ」

浜面「い、いやっ!俺は悪くない!無実だ!無実なんだぁ!?」

黄泉川「良い機会じゃんよ。これを切っ掛けに更正するじゃん。まずは丸刈りからじゃん!」

浜面「いやああぁぁっ!?」

――麦野ルート・エンディング?

郊外に建つ極々普通の一軒家。その庭先に居る普通の家族。
ゆりかごには双子の幼児が眠り、彼らの側ではデフォルメされたクマのぬいぐるみが物言わず佇んでいる。
歴戦の傷痕――年季が入って所々補修された跡――が残る彼、もしくは彼女は、首に『PRADO-TEPES』のスカーフを巻かれたまま、どこか誇らしげだ。

麦野 (双子の幼児へ微笑む)

上条 (隣で麦野の肩を優しく抱く)

麦野「しっかし分からないもんだわね。私がガキ産むなんざなぁ」

上条「想像はしてなかった?」

麦野「全然、って事は無かったけど。幸せなのに今一信じ切れてなかったみたい」

上条「今は?」

麦野「信じるも信じないも無いでしょうよ。でも、当麻は私で良かったの?」

上条「当然だろ?お前以外に誰が居るってんだ」

麦野「あの娘達――絹旗や滝壺には悪いと思っているけど」

上条(フレンダは?)

麦野「他にも超電磁砲や同級生の子達、クローンや十字教とかも――あぁクソ思い出したらハラ立ってきたなぁ!」 ギリギリ

上条「笑って!?上条さんは君の笑顔が好きだなっ!」

麦野「ま、またそうやって誤魔化すんだから!」 テレテレ

上条(いや誤魔化さないと死にますし)

上条「あーでも御坂は大丈夫だぞ。アイツ結婚したって言ってたし」

麦野「へー本当に?相手は誰?私の知ってる人?」

上条「いや、黒子」

麦野「女同士でかっ!?先鋭的すぎるだろ学園都市!」

上条「なんつーか誰かにフラれた御坂を黒子が優しく(性的な意味で)慰めているウチに、って話」

麦野「じ、人生何が起こるか分かんないわよね」

上条「あと一方通行も打ち止めと結婚するんだって。招待状が近い内に届くそうだ」

麦野「うん、それはなんとなく分かってた。驚きはないわね」

上条「しかも出来ちゃった婚だって」

麦野(やっぱり手ぇ出してんじゃねぇかロリペド野郎)

上条「子供の名付け親になって欲しいって頼まれたんだけど、どうしよっかな?」

麦野「やってあげたら?別に困るようなもんじゃないし」

上条「んじゃウチみたいに親同士の名前を取って――」

上条「『通行止め』?」

麦野「グレるからっ!?語呂は凄く良いんだけども!絶対に子供の人生ハードモードになるから!」

麦野「そう言えば最近話を聞かないけど、アナタと一時期暮らしていたシスターはどうなったの?」

上条「誰?」

麦野「ホラ、イン何とかって娘」

上条「知らない知らない」

麦野「……」

麦野「ごめんなさい、勘違いだったみたいね」

上条「俺が一緒に住んでいる女の子は、前にも後にも沈利さんだけですよーって」

麦野「もうっアナタったら!」

上条「あぁ後、母さんが近い内に会いたいっつってたぞ」

麦野「しいなさんが?あんまり会いたくないわね」

上条「苦手?」

麦野「素で親子に間違えられるのよ!ってか未だにあの人幼女のままってのはおかしいでしょ!?」

上条「まぁ……母さんだし?小萌先生もそうだけど」

上条「なんてったっけかな……?『他の娘のフラグを折る方法を教えたい』とか何とか」

麦野「直ぐメールしなさい。私はいつでも構わないって」

上条「ま、色々あったけど、つーか自分が不幸だ不幸だって言ってたけど、そうじゃないって俺は思うよ」

上条「沈利、俺と一緒に生きてくれて有り難う。愛してる」

麦野「……うん。私もよ。私と一緒に生きてくれて、有り難う」

上条「『愛してる』は言ってくれないの?」

麦野「昨日散々言ったでしょうが!素に戻ると恥ずかしいのよ!」

上条「いやでも聞きたいしー」

麦野「そうじゃなくって、その――言わせてみなさいよ、って話よ!」

上条「……沈利」

麦野「……ん」

――現実。病院のベッドの上

麦野「――って夢に決まってんでしょうが!」

ガゴンッ

フレンダ「メメタァッ!?」

麦野「あ、フレンダ」

フレンダ「何で起き抜けに攻撃される訳っ!?」

麦野「いやー多分あんたのせいだし?」

フレンダ「人が折角心配して付き添ってたのに何となくで殴られたっ!?」

麦野「他の連中は?アックアとか言うのはとうしたの?」

フレンダ「あたた……みんな無事だよー。重傷順に上条はICUへ出戻り、絹旗は肋骨何本かヤラれちゃって入院、滝壺も体晶使ったんで様子見も兼ねて検査入院」

フレンダ「唯一無傷だったあたしも、たった今ケガを負ったって訳だけどね!」

麦野「全員お揃いで良かったじゃない」

フレンダ「出来ればそんな妙な連帯感は欲しくなかった訳!」

フレンダ「アックアは結局逃げられた訳。天草式が言うには“聖人”としての加護が失われた以上、回復するまでには年単位が必要、しかも出来るかどうかは分からないって」

麦野「しかしまぁ私も結構なバケモンだし?私以上のバケモン達も知ってるけどさ、アレは流石に規格外って感じがするわね」

フレンダ「結局返り討ちに出来たからいい訳。つーか麦野も凄かったじゃん。アレ何だったの?友情パワー的な?」

麦野「あーアレね。なんつーのか、私は確かに感情でリミッターを外してたのよね」

麦野「でも“怒りでリミッターを外せば制御出来ない”って二律背反だったわ。だから――」

麦野「“怒り以外の感情でリミッターを外した”だけの話よ」

フレンダ「どーゆー訳?」

麦野「自転車に乗る時って補助輪は要るじゃない?でもいつか必ず外す時は来るわ。でもその外した後、最初の内は転ぶのが怖いから強い力で漕ぐわよね?」

麦野「段々慣れてくれば、ゆっくりと走らせても止まらないし、やり方によってはバランスを取っているだけで、漕がすに制止も出来るようになる」

フレンダ「えーなんか詐欺みたいな話。つーか怒り以外って何?なに考えてたの?」

麦野「学園側としては一番簡単で身近にあるのが“怒り”なのよ。友人関係やら連帯感を構築するのは時間がかかるけど、怒らせるのは簡単でしょ?」

麦野「他にも兵士として運用したいんだったら、攻撃性を高めた方が人を殺す事へのストレスも少ないでしょうし」

フレンダ「んで麦野は?」

麦野「……内緒」

フレンダ「えーここまで引っ張っといてそれー、って訳?」

麦野「聞いてきたのはあんたでしょうが。それとも『友情パワーでぶっ飛ばしました』とか言わせたかったの?」

フレンダ「そっ、そんな事はない訳よ!別にあたしは麦野なんて心配してないし!」

麦野(命令違反して突っ込んできた子の台詞じゃねぇわよね、って可愛いなーこの生き物)

フレンダ「んじゃあたし他の子へ知らせに行くけど、なんか欲しいものとかある訳?」

麦野「出来ればいつ退院出来るか知りたいわ」

フレンダ「あっ、カエル先生に起きたら知らせろって言われてた」

麦野「オイコラ淫乱ゴールド」

フレンダ「あ、あははー。んじゃちょっと呼んでくる訳」 ガチャ

麦野「フレンダ!」

フレンダ「なにー?」

麦野「……ごめん」

フレンダ「良いって訳よ!あたし達仲間って訳!」 ブイッ

麦野「あんたをパ××ンにしたの、私だから」

フレンダ「そっち!?そっちを謝ったの!?今謝る必要なくない!?」

麦野「ずっと気になってたのよ」

フレンダ「いやあたしも気になってたけども!っていうか麦野しか犯人居ないなーってむしろ確信すらしてたけど!もっとこう大事な『ゴメンナサイ』無い訳!?」

麦野「いやでも実はあの部屋には幽霊が出るのよね」

フレンダ「ないないないないっ!住人の毛を剃る幽霊なんて聞いた事はないわねっ!」

麦野「生前毛が少なくて自殺したかも知れないでしょうが!」

フレンダ「メンタル弱いオッサンなんて掃いて捨てる程いる訳!そもそも頭の毛が薄いのに別の部位を狙う意味が分からない!完全な八つ当たりでしょ!?」

麦野「全く、フレンダはこれだから」 ハァ

フレンダ「苦しくなるとあたしのキャラで落とすのやめて!?」

パタン、タッタッタッタッ……

麦野(……いいなぁ、仲間って)

――某日、路上にて。未来のために今出来る事を

浜面「らっしゃい、らっしゃい、安いよ安いよー」

浜面(まぁそう簡単に人間生き方なんざ変えられないしぃ)

女性「すいません、ちょっと良いかしら?」

浜面「ういっす。気に入ったのあればどれでもどーぞ」

浜面(うっわスッゲェ美人!ナチュラルメイクでしま○ら着てんのに、モデルみてー)

浜面(……いや本職かも?俺どっかで見た事あるわ)

浜面「あぁでもごめんよおねーさん。ウチにあんのはパチモン商品ばっかりだから、ジョークで買うようなモノしか無ぇよ」

女性「え、でもこれドンケのバッグよね?」

浜面「あぁこっちのシートは全部本物。店と問屋通さない分だけ割り引いているんだわ」

女性「でも偽物も売っているんでしょう?『PRADO-TEPES』のスカーフを探しているんだけど」

浜面「あーそれなら……ちょい待ってねー……あったあった」

女性「あぁうんこれこれ。このダッサイデザインと“Maid in Italy”がたまらないわね」

浜面「おねーさんさぁ、俺が言うのもどうかと思うけど、こんなん欲しいの?作りも酷いし、なんつったってホンモンじゃないよ?」

女性「まぁ趣味は悪いかも?自覚はあるわね」

女性「でもブランドもんで着飾るよりも、こう言うのが好きって人もいるし」

女性「私にとっては、そうね――お守り、みたいなものよね」

浜面「そーゆーもんかねぇ。あぁ!そーいやさぁ、前にもそれと同じの買ってった客が居てさぁ」

女性「…………へぇ」

浜面「あん時は俺も若かったからね、ちょっとお高めの値段で売ってやったんだよねー」

女性「……その話、良かったら詳しく聞かせてくれない?」

浜面「いやソイツったら間抜けな野郎でさぁ!俺の言うデタラメ全部信じやがった上、『安くしましたー』なんつー事ぁ真に受けやがってよお!」

女性 ピキピキ

浜面「なんつーかね、世の中には自分からババを引く馬鹿がいるっつーか、間抜けが居るんだよねー」

女性「その男の人――こんな顔してなかった?」(ケータイの待ち受け画面を見せる)

浜面「おー似てる似てる、多分コイツだわ――って」

女性「そっかぁ、そうなのね――テメェかぁ、ウチの上条を騙した奴ぁ!」

ドゥンッ!

浜面「この火力はっ!?……アレ?どうしてボクの足はガクガク震えているの?」

麦野(女性)「場合によっちゃ、あと二ヶ月後に来るかも知れない人生最大級のイベントを、最短三ヶ月後まで延長させやがったのはテメェだったのねぇ。そっかそっか」

浜面「い、いやあのにーちゃんの性格だと、流石に学生結婚は無いと思――」

麦野「さぁ、生きのこれるかにゃーん?」

浜面「か、荷電粒○砲はもうイヤああぁぁっ!?逃げてっ、俺のシールド○イガーさん逃げてぇぇ!?」

麦野「誰がデスザ○ラーだぁコラああぁぁっ!!!」

ドオオオォォォンッ!


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

アックア「さて、そろそろ……」麦野「ちょっといいかしら?」 -終-



読んで下さった方、またご支援頂いた方には多大な感謝を。駄文長文、失礼致しました
繰り返しますが、浜面ファンの方ごめんなさい

余談ですがこのSSの添削を上司へ頼んだ際の感想が、
『足りないよ!そんなんじゃ足りないよ!君のスレ見たけど、みんなペロペロだよ!?みんな一方きゅんをペロペロしたいんだよ!分かってんの!?』
でした。上司をぶち殺す能力を持った方、至急お電話下さい

――次回予告

少女「それで?結局あなたは何が超したいんですか?」

女「敵討ちですかね。復讐とか」

女「グチャグチャにしてやりたかった。あの人の受けた痛みを万倍に、いいえ数え切れないぐらい乗算して返したかったです」

少女「成程、気持ちは超理解出来ます。それじゃお二人のご関係は?」

少女「家族ですか?友達ですか?恋人ですか?」

女「家族、じゃないし、友達でも無い。恋人なんかじゃもっとありませんでした」

女「でも、どれかにはなりたかったかも知れません。私は彼を好きでしたから」

少女「わたしだったらあなたと違う道を超歩くと思います」

少女「わたしは好きとか嫌いとか、男女関係やお付き合いは超よく分かりません。けどもし、もしも超素敵じゃなくても」

少女「まぁ多少は妥協するとして――超大切な人を見つけたなら、どんな時も側にいて、しっかり手を握っているつもりです」

少女「どこにも行かないように、離れないように、ずっと一緒に居たいじゃないですか」

少女「でもそうすると――あなたは、超違うんですね?」

少女「家族でも無い、友人でも無い、恋人でも無い人の側に居ないで、彼を傷つけた人へ銃口を向けている、と」

少女「あなたは本当にその人が――好きなんですか?」

女「だとしてもっ!」

女「あなたの手には何がありますか!?能力で作った壁?鉛玉を飛ばす武器?誰の手も握って無いじゃないですかっ!」

女「同じなんですよっ!私とあなたはっ!」

女「大切な誰かの手を掴むなんて事は出来やしませんっ!守ろうとする相手を護りきる事なんて出来ないんですよ!」

少女「……そうですね、超そうかもしれません。なんと言った所で結果は超同じですしね」

少女「ずっと手を離さないで、なんて言うのは――超『幻想』なんでしょうね」


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

絹旗「この手を――」上条「あぁ、離さない!」 -完成済-

絹旗「この手を――」上条「あぁ、離さない!」


※注意
上条さんTUEEEEEE!がしたかっただけのIFストーリーです
要は『上条さん×アイテム』なのですが、今回のメインヒロインは絹旗さんです
「俺の絹旗がこんなに可愛いわけがない」と言う方にお勧めします
(あと上条さんの説教好きな方にも是非読んで頂きたいです)

日常:戦闘:ラヴ:コメ=4:2:1:3、ぐらいです

それでは最後までお付き合い頂ければ幸いです

――いつもの喫茶店にて。過去

絹旗『そう言えばこの間、映画を超見ていたんですが、変な言い回しがありました』

滝壺『……どんなの?』

絹旗『二人の男女が超逃避行を続けながら銀行強盗をする、と言う話なのですが』

フレンダ『その時点で大体オチが見えた訳。つーか結局“明日に向かって撃て”じゃ?』

絹旗『あ、いえオチは“木星○国の帝王になったオッサンが、自分のクローンを超量産して地球圏へ攻め込む”でした』

フレンダ『木星帝○かっ!?と言うかクロスボーンバンガ○ド入ってるし!』

滝壺『資源がないと言いつつ、気持ちの悪いモビルスー○を量産出来る不思議……』

麦野『何の話をしてんのよアンタら。で?分からなかったって?』

絹旗『ラストシーンで妻の亡霊がオッサンへ向かって、“地球が綺麗ですね”と超語りかける場面がありました』

絹旗『オッサンは“ああ、とても”と返し、大気圏の摩擦熱で超小さくなっていく――その絵を背景にしてスタッフロールが流れました』

フレンダ『B級映画にありがちな“最後だけそれっぽくしとけば良くね?”的な匂いがぷんぷんと。っていうか、ここまでアレだと見たくなってくる訳』

絹旗『今月中はやってますから、超週末にでも』

滝壺『わたしも行きたい……』

麦野『はい。ではみんなで超行きましょうか』

麦野『待て待て。私も頭数に――まぁいいか。で、聞きたいのって?』

絹旗『吹き替え前の台詞が“I love you”だったのに、どうしてそんな訳になったのか、と』

フレンダ『あーそれは夏目漱石ね』

絹旗『吾輩は猫である?』

フレンダ『そうそうその人。漱石が学校の先生だった頃、生徒が“I love you”を“私はあなたが好きです”って訳した訳』

滝壺『やくしたわけ、って読み辛いよね』

フレンダ『でも漱石が“月が綺麗ですね”って訳しなさい、つった訳よ』

絹旗『何でですか?』

フレンダ『さぁ?昔の人だったし、そうゆうダイレクトに表現するのを避けたんじゃないの?』

絹旗『そうですか。超分かりましたフレンダ。意外とやるじゃないですか』

フレンダ『良いって訳よ。意外と、ってのが引っかかる訳だけど』

絹旗『あ、すいません。超本音がポロッと』

フレンダ『もっと酷い訳よね?それつまり日頃から信じてないってゲ×しちゃっているよね?』

絹旗『ポロロッと』

フレンダ『不満があったのは擬音じゃないから!?』

滝壺『ポロロッカ』

フレンダ『ボケの被せ方が絶妙で不安定になるし!?』

絹旗『で、麦野?本当の所は超どういう意味なんですか?』

フレンダ『全然信じられてなかった!?っていうか扱い酷くない!?酷い訳よね!?』

麦野『フレンダので正解。教科書にはそう書いてあったわね』

滝壺『そして放置されるふれんだ……よしよし』 ナデナデ

フレンダ『……何で良い事言ったのに心が折れそうになってる訳……?』

絹旗『むぅ……超意味が分かりません。好きなら超好きって言えばいいじゃないですか』

フレンダ『ま、お子様の絹旗には分からないって訳よ!お・こ・さ・ま・だし?』

滝壺『そういう言い方イクナイ。というか多分それは自爆フラグ』

麦野『フレンダだって中一でしょうが』

絹旗『えぇまぁ確かにフレンダの超言う通りなんですが。それはつまりお子様ではないフレンダさんは超違う、と?』

フレンダ『当然な訳よ』

絹旗『でしたらコイバナの一つでも超披露して頂けるんですよね?』

フレンダ『へっ?』

絹旗『では超張り切って語って貰いましょう。お題は――』

フレンダ(やったろうじゃない!どんな無茶ブリにも人生の先輩として応える訳よ!)

絹旗『――“淫乱ゴールド-悪堕ちヒロインに迫る牙-”』

フレンダ『悪意しかないなそのタイトルっ!?って言うかタイトルで9割内容決まっている訳だし!と言うかコイバナとして使っちゃいけない単語しかない訳よね!』

滝壺『ふれんだなら……ふれなんだなら純愛モノへ路線変更できるかも!』

麦野『辛うじてヒロインはどうにか……いやぁ、無理か』

絹旗『麦野と滝壺は超どうです?』

麦野『男持ちだったら、毎日毎日ファミレスやら喫茶店には集まらないでしょうが』

滝壺『おなじくー』

絹旗『……分かりませんね、なんか』

麦野『ま、別に焦ってどうこうする事じゃないわね。つーかアンタは……来年中学だっけ?』

絹旗『どうせ籍だけですが』

麦野『今しかやれない事をやりな、なんて説教出来るような立場でもないしな』

フレンダ『でもモタモタしていると何もしないまま麦野のようなババアに――』

麦野『あ、ごめん。今からちょっとフレンダ灼いてくるから今日は解散ね』

フレンダ『真顔で言われると余計怖いんですけど!?』

麦野『いやだわフレンダ――冗談じゃねぇに決まってんだろぉ?』

フレンダ・麦野『……』

フレンダ『じゃっお疲れって訳で!!!』 ダッ

麦野『逃げてんじゃねぇぞ腐れ×××がっ!――あ、これでここ払っといて。何食べてもいいからっ』 ダッ

絹旗『……』

絹旗『えっと』

滝壺『……うん、たいみんぐ、だと思う』

絹旗『ですか?』

滝壺『むぎのはああだけど外面は良いから幾らでも出来る筈。でもしなかった』

滝壺『たいみんぐが悪かっただけ』

絹旗『いえわたし達の仕事とかもあったかと超思いますが』

滝壺『それも含めて。きっといつか、きぬはたは素敵な恋をする筈』

絹旗『またどういう根拠があって超勝手な事を』

滝壺『きぬはた、良い子だから』 ナデナデ

絹旗『あの超脈絡をキャンセルされても』

滝壺『良い子は幸せにならなきゃいけない。この世界にはそういうルールがある』

――いつもの喫茶店にて。現在

フレンダ「……最近、職場の雰囲気が悪い訳よ」

麦野「あ、代入式間違えてるわね。そこはこっちの使うのよ」

絹旗「奇遇ですね。わたしも超思います、それ」

上条「あーなるほど。道理で何度やったって間違えるよな」

滝壺「でれ反対ー……昨今の安易なツンデレ量産はよくないー」

麦野「別にテストじゃないんだから、ゆっくりやりなさいな」

上条「でも麦野って勉強教えるの上手いよな。学校じゃ上の方?」

麦野「籍はある筈だけど、能力開発ばっかで行ってないし。つっても演算使うからある程度の知識ないとお話にならないでしょうが」

上条「そっか。でも暗部の仕事も最近少ないし、行ってみれば?」

麦野「いやー制服が絶望的までに似合わないのは自覚あるし、どこのコスプレよって感じだから、正直行きたくはないわね」

上条「ブレザー?セーラー?」

麦野「貰ってすぐクローゼットに放り込んであるから、どっちだったかも忘れた」

上条「見てみたいなー、麦野の女子高生姿。出来ればポニテで」

麦野「イヤよ。似合わないから」

上条「そっかな?今、前みたいなブランド物やめちまって、しま○らだけど、似合ってるし」

上条「着てみたら結構、ってのはあると思うぞ」

麦野「うーん……だ、だったらさ、ウチ、来る?」

上条「え、見せてくれのんか?」

麦野「あんまり自信ないのよね。上条だけだったら、まぁいいかなっ――」

フレンダ「のおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

フレンダ「何コレっ!?何なのコレっ!?何お持ち帰り確定してる訳!?」

フレンダ「喰う気でしょ!?どうせ『あ、あんたにしか見せないんだからねっ』とか言って誘うつもりな訳!?」

麦野「で、いつにする?」

フレンダ「話を聞いてえええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!?」

フレンダ「って言うかあんた誰よ!?麦野はそんな事言わないわよっ!」

フレンダ「あたしの知っている麦野は黒○に跨ってトゲパットと釘バットで武装して、『ぶるわあああああああああああああっ!』って笑ってた訳よ!」

絹旗「いや北斗○拳が超入っていますから」

滝壺「音速○さんマジかっけー……」

麦野「さっきから煩ぇな。私が上条に勉強教えるのがそんなに変か?」

絹旗「いえ、何かこう席順もアレなだけあって。超違和感があると言いますか」

フレンダ「そうそう!なんで“こう”な訳?」

━┯━┯━
絹│  │上
フ.│机│麦

滝│  │
  └─┘
 廊  下


上条「……何かおかしいか?」

麦野「別に変な所は何もないでしょうが。考え過ぎなのよ」

絹旗「何なんでしょうね。超違和感と言いますか、こう『近寄るんじゃねぇぞメスども』的な雰囲気がするような」

滝壺「デレはんたいー、Mの需要も考えろー」

麦野「あぁもう分かったわよ。“こう”すりゃいいんでしょうが」

━┯━┯━
  │  │絹
フ.│机│上

滝│  │麦
  └─┘
 廊  下


絹旗「流石麦野。わたし達のリーダーです」 スリスリ

フレンダ「いやそれおかしい訳。デカい方から二人そっちに集まってるのに、どうして絹旗もそっち行ってる訳よ」

滝壺「……わたしは“こう”すれば良いと思う」

━┯━┯━
  │  │絹
フ.│滝│上

  │  │麦
  └─┘
 廊  下


フレンダ「テーブルに載った!?っていうかすっごい邪魔なんだけどっ!?」

上条「しかも正座して見下ろされているから圧迫感が半端ないぜ……」

滝壺「あなただけ見つめてる……」

絹旗「能力追跡のあなたが言うと超洒落になりません」

麦野「あーもう煩いから“これ”でいいんじゃない?」

━┯━┯━┳━

  │  │絹┃
  │滝│上┃フ
  │  │麦┃
  └─┘  ┃
 廊  下


フレンダ「隣の席に追いやられた訳っ!?え、なにそれあたしの扱い悪くないっ!?」

麦野「大体こんな感じでしょ」

絹旗「芸人的には超オイシイとも言いますが」

滝壺 グッ(親指を立てる)

フレンダ「だーかーらー――」

上条「つかフレンダあんま騒ぐなよ。こっちこい」 ヒョィッ

━┯━┯━

  │  │絹
  │滝│合
  │  │麦
  └─┘ 
 廊  下


麦野・絹旗・滝壺「」

フレンダ「ちょっ!?抱っこって!?」

上条(ちっさいなー。絹旗とそんなに変わらないか?)

上条「んで?フレンダは何が言いたかったんだ?」 ナデナデ

フレンダ「えっとその、結局アレよ!アレな訳よ!」

上条「うん」 ナデナデ

フレンダ「…………にゃあ」

麦野「よしフレンダ殺そう」

絹旗「超お付き合いします」

滝壺「お墓には鯖寿司を捧げる」

フレンダ「待って待って!ちがっ、そーじゃないの!?違うからっ!?」

上条「いやもうなんか混沌としてきたし、店員さんもいやーな目で見ているから、取り敢えず元へ戻そうぜ」

四人「はい」

麦野「……で、フレンダ?さっきアタシを世紀末覇者呼ばわりしてなかった?」

フレンダ「き、気のせいじゃないかなー、なんて思ったりする訳でー」

麦野「ま、フレンダへのオシオキは後でするとして、上条――は、拙いか。絹旗」(封筒を手渡す)

上条「何で俺はダメなんだ?」

麦野「100%落とすから」

上条「ひ、否定出来ない」

絹旗「中身は……映画のチケットですね」

麦野「今日はもう行けないけど、明日二人で行ってきなさいなって話よ」

上条「脈絡が見えないんだが。みんなで行けば良いんじゃないのか?」

絹旗「かみじょー、わたしとじゃイヤ、ですか?」 ウルウル

上条「そんな事ぁ言っていないだろ!どうして俺ら二人が指名なんだ」

フレンダ「ずーるーいーわーけー」

滝壺「そーだそーだ」

麦野「いや明日ね、仕事が入ったんだけど、アンタ達元重傷人じゃない?」

麦野「ケガも治りきってないから、二人は大人しくしてなさいな」

絹旗「はぁそれは超構わないんですけど、仕事の方は三人で大丈夫なんですか?」

上条「そっちが危なくなるんだったら、遊んでいられないしな」

麦野「詳しい内容は言えない――って言うか知らないんだけど。第二位の所と合同でやるみたいだから、そんなに心配はしなくていいわ」

上条「垣根が居れば問題ない、かな?」

麦野「敵に回った所でぶっ飛ばせば良いだけだし」

絹旗「(超冗談になっていませんからね、それ)」

フレンダ「(っていうか原子崩しが制御出来るようになったし、学園序列上がるんじゃ?)」

上条「んー、まぁ分かったよ。危なくなりそうだったら顔出すから」

絹旗「またそんな超簡単に」

上条「難しい話じゃないだろ?……っと先帰るわ、同居人の赫炎のインガノックにメシ作らねーといけないし。場所と時間はメールでよろしくー」

絹旗「……また名前超変わったんですね」

滝壺「『こんにちは。ぎー』」

フレンダ「仮面の道化師の幻がっ!?」

――喫茶店。少し後

絹旗「――で、実際の所は超どうなんですか?」

麦野「裏も表もないわよ。話したので全部」

絹旗「本当に慰労目的で超楽しんでこい、と?」

麦野「そうそう。あ、絹旗ちゃんたら、男の子とデートに行くの初めて?」

絹旗「超誤魔化さないで下さい!」

麦野「相手がなぁ、悪りぃんだよ」

絹旗(あ、口調戻った)

麦野「迎電部隊っていう情報・奇襲戦に特化した連中なんだが、誰か一人二人軸になる能力者がいる訳じゃない」

麦野「だもんでアタシらにとってはフツーの相手なんだけど、アイツの右手にゃ出番はねぇのよ」

絹旗「でしたらフレンダか滝壺へ任せた方が良いのでは?」

フレンダ「はいはいっ!あたしもテロよりデートしたい訳っ!」

滝壺 コクコク

麦野「あー、んじゃこうしましょう。明日、上条と遊びに行きたい人ー」

フレンダ「はいっ!」

滝壺「はい」

絹旗「……」

麦野「絹旗は?本当は行きたいんでしょ?」

絹旗「え、まぁ……はい」

麦野・フレンダ・滝壺「どうぞどうぞ」

絹旗「ダチョウ倶楽○っ!?古いしベタですし!」

麦野「と言う訳で本人の強い希望により絹旗ちゃんが同行人になりましたー」

絹旗「いえあのネタではなく、ですね」

フレンダ「(麦野っ、ここはあたしに任せる訳よ)」

麦野「(気が進まねぇんだけど)」

滝壺「(ふれんだに任せよ?)」

フレンダ「(滝壺っ)」

滝壺「(どうせ失敗するし)」

フレンダ「(どうせとかって!?何、あたしの信用はそこまで無いの!?)」

麦野・滝壺「……」

絹旗「えっと……すいません、超良く分からないですけどフレンダ?話は聞きますから、超泣かないで?」 ヨシヨシ

フレンダ「……まぁ何?相手はテロリストじゃん?銃とか爆弾とかで武装した」

絹旗「能力以外では一番超効率的ですからね」

フレンダ「で、狙う相手は子供とか無能力者とか、弱い相手を人質にする訳よ。結局根性無しだから」

フレンダ「だからつまり明日残党とかが街へ逃げたら、必然的にマクレ○ンばりに運の悪い男が人質になったりする訳よね?」

絹旗「!」

麦野「なんつー説得力よ」

滝壺「むしろフラグの域にまで達している気配」

フレンダ「たまたま遊園地で通りかかったヒーローショーに本物のテロリストが乱入!上条と一緒に捕まる子供達!」

フレンダ「テロリストの理不尽な要求に上条がキレて説教し出す訳よ!」

絹旗「その光景が超浮かびます。というかまさかこれ超伏線じゃないでしょうね?実は明日まるっと同じ展開だったら超怒りますよ」

フレンダ「でも相手は能力者じゃないし銃を持った相手にボコられる上条!しかぁし!颯爽と現われるヒロインが!」

フレンダ「『全くあんたって奴はレベル0のくせに何やってんだか!……いや、まぁ一々付き合うあたしもどうかとは思うけども!むしろ結婚を前提に付き合いたいわ!!!』」

麦野「オイ話の主旨変わってんだろ。明らかにレーガンじゃねぇか」

滝壺「でも逆に考えよう。今こうして想像する事でフラグをヘシ折っている」

フレンダ(超電磁砲)「『べ、別にあんたを助けた訳じゃないんだからね!?』」

麦野「まぁた見本のようなツンデレだなぁ」

滝壺(上条)「『分かってるよ、子供を助けたかったんだろう?お前はそういう優しい奴だって』」

麦野「唐突に参加すんなよ!?」

フレンダ(超電磁砲)「『……違うわ。そうじゃない!』」

滝壺(上条)「『ビリビリ?』」

絹旗「……何時まで続くんですか、この超小芝居」

フレンダ(超電磁砲)「『あたしはずっとあんたを助けたかった!あんたが独りで戦うのはもう嫌なのよ!』」

滝壺(上条)「『ビリビリビリ?』」

麦野「いや、その場面で“ビリ”を一個増やすようなボケは要らねぇだろ。っていうかアンタ達のシミュレーションは明らかに、おかしい」

フレンダ(超電磁砲)「『だから、あたし――』」

滝壺(上条)「『れーがんっ!』」

フレンダ・滝壺 ガシッ!

フレンダ「――と言う訳で、明日は上条と一緒に居た方が良いと思う訳」

絹旗「いえあの実に説得力はあると思うんですけど、後半のお芝居のせいで信用性が超無くなったと言いましょうか」

フレンダ「まぁテロリスト云々も大切だけど、たまにはのんびりと遊んで来たらいい訳」

絹旗「でもっ」

フレンダ「心配ならあたしが定時連絡するから、ね?」

絹旗「……はい。まぁそう言う事であれば、はい」

麦野「(たまに思うんだが、フレンダのこう言う所妙に手慣れてんな。絶対下に弟か妹が居るわね)」

滝壺「(小芝居をする辺り、結構歳は離れていると思う)」

麦野「(……ま、機会があれば会うでしょうよ)」

滝壺「(そうやって遭遇フラグを立てるむぎのであった)」

麦野「(何の話よ!?)」

――翌日。いつもの喫茶店がある駅前

上条(結局場所はいつもと変わってないな)

絹旗「あ、上条。超こっちです」

上条「待った?」

絹旗「今来た所です、って何超定番させているんですか。普通逆だと思いますし」

上条「言う割には時間より早く来て乗り気のような――っても今日も服変わらないのな」

絹旗「超デートじゃないですからね。知り合いと遊びに行くだけですし。っていうか中学生相手に何を超期待しているんですか?」

上条「してないからね!?話の流れで言っただけだから」

絹旗「えー、それはそれで『お前なんか興味ねぇよ』って言われてるみたいで超テンション下がりますしー」

上条「俺はなんて答えりゃいいんだ?」

絹旗「『愛しているよ、最愛』」

上条「愛しているなんて言えるかっ!」

絹旗 ピッピッピ

上条「何してんの?ねぇ何してんの絹旗さん?」

絹旗「あ、それも超頂きますね」

上条「いやだから何を――」

絹旗 ピッ

携帯 (上条の声で)『愛してる、絹旗さん』

上条「オイ携帯寄越しなさいイヤマジで洒落にならないからっ!」

絹旗「やだえっちちかんへんたい、おまわりさーん超たすけてー」

上条「いやいやっ!麦野辺りに知られたら上条さん消し炭になっちゃうからねっ!?」

絹旗「その時は超守ってあげますからご心配なく」

上条「そっかぁ、じゃ安心だよね――ってお前が!お前が不安の種を蒔いてんだよ!」

絹旗「まぁ上条を弄るのも飽きてきましたし、そろそろ超行きましょうか」

上条「その前に携帯を貸しなさい。いやマジで」

絹旗「取れるものなら超取ってみてください。わたしの窒素装甲に死角はありません」

上条「言いやがったな?俺の右手に殺せない幻想はないぜ!」 キリッ

絹旗「では超勝負をしましょうか?10分後にわたしの携帯を持っていない方が、いる方の言う事を何でも聞く、って事で」

上条「わかった!後悔するなよ?」

絹旗「あ、ちなみに『ゴメンナサイ』すれば今日一日に超限定してあげても良いですよ?」

上条「期限無かったのかよ!?……いやまぁやるけどさ」

絹旗「あ、んじゃ今超準備しちゃいますから」

絹旗 (携帯電話を掲げる)

絹旗 (胸元に入れる)

絹旗 シャキーン(窒素装甲で固定)

絹旗「さ、超どうぞ?」

上条「すいませんでしたっ!!!」

絹旗「超弱いですねー。幻想殺しはその程度なんですか?」

上条「いや白昼の駅前で女子中学生のワンピん中に手を入れるなんて、そんな幻想殺せませんから!むしろ俺が社会的に抹殺されるわ!」

上条(と言うか絹旗小学生ぐらいにしか見えないし、余計にヤバいだろ)

上条「この状況でなんか出来るか。絹旗ん中の俺のイメージってどんなんだよ?」

絹旗「割と超緩い感じですね。ほら前の事件の終わりに、天草式の人が超露出きょ――」

上条「もうそれは許してやって!神裂さんには触れないであげて!」

絹旗「最近は聖人もああ言う格好しないと人気出ないんですかね、超不景気ですし」

上条「いやあれは神裂が特殊なだけであって。あと俺を同類で括るのは止めてくれ」

絹旗「でも神裂が年上のおねーさん路線で来たら、超好きでしょう?おっぱい大きいですし」

上条の下条さん(そりゃもう大好物です)

絹旗「需要の少ないわたしは超どうすればいいのかと」

上条「まぁ急ぐ必要は無いんじゃないか?別に好きな相手でも居る訳でもないし、ちょっとずつ大きくなっていけば」

絹旗「似たような主旨の事を麦野にも超言われました」

上条「つーかさ、歳だのキャラだのって拘るよりは、楽しんだ方が良いと思うけどな」

絹旗「……まぁ超一理あるかも知れませんね」

上条「意外と負けず嫌いなんだな」

絹旗「おやぁ?ゲームで超負けた人に台詞とは思えませんが――あぁそうだ。今日一日言う事超聞かなくちゃいけないんでしたっけ?」

上条「しまった!余計な事言ったか。あ、でも金そんなに持ってきてないから――」

絹旗「麦野から上条の給料を前借りしてありますので、超ご安心を」

上条「安心じゃないな!?すっげー不安しか覚えない上、なにそれ今まで全部計画的だったのか!?」

絹旗「いえまぁ超流れで何となく。と言うわけで、手」

上条「て?」

絹旗「左手を超出して下さい。右手だとパキーンされますから――と思ったんですが、一応超確認を」 ペタペタ

上条「くすぐったいし、絵面が危険な事になっているんだが」

絹旗「どうやら能力は右手に触ったままでも超使えるようですね。多分接触してないせいかと」

上条「どういう事?」

絹旗「わたしの盾は超接触しているのではなく、空気中に固定しているだけなんですね。元々存在している窒素を操っています」

絹旗「その盾に触ればパキーンされるんでしょうが、直接触らなければ超無効化出来ない、んじゃないでしょうか」

上条「あれでもビリビリ触ったら、電撃出なくなったぞ?」

絹旗「デート中に余所の女の名前を出されて超ご機嫌斜めですが、電撃能力者は体内から精製・放出するタイプだから、でしょうかね」

上条「麦野ん時も使えたしなぁ」

絹旗「恐らく超そうだと思います。あぁはい、手」

上条「ん」

絹旗 ギュッ(手を取る)

絹旗(あ、結構超大きいんですね)

グッ

絹旗「ほら、何やってるんです?超巻きで行きますよっ!」

上条「あーうん」

上条(……ま、普通の女の子、だよな)

――同時刻。光の届かない地下室

垣根「おー久しぶり。元気してた?えっと滝壺ちゃんとフレンダちゃん?も。二人足りないみてぇだが」

麦野「アンタの顔を見るまでは良かったわよ。ウチの二人は野暮用――つーかアンタも一人じゃねぇか」

垣根「あーうん心理定規は忙しいんだと。つーか何?こっちより優先しなきゃいけない仕事って何よ?」

麦野「捕虜の口割らせんのだって、別に能力は必要ないしいいんじゃない。それより補充したスナイパーは何処行った?」

垣根「知らねぇよ。俺の方こそ聞きてぇぐらいだ」

麦野「(砂皿って奴を追い掛けてるの?)」

垣根「(あぁそれっきりだ。学園を出た所までは俺も確認したが)」

麦野「つかこの集まりは何よ。クソ木原の猟犬部隊が結構居るし」

垣根「知らねぇの?第一位が木原潰したんだけど、頭だけ潰したから大分余っちまったって」

麦野「セロリにしてはやるじゃない。でもアイツら親子みたいなモンじゃなかったっけ?」

垣根「外から見ると性格もそっくりだしなぁ。あんな親父イヤだわ、あんな息子はもっと嫌だけど」

スピーカーの声『はいはい、無駄話はそこまでよー。お姉さんの話を聞いてねー』

麦野「たまには現場まで出て来たらどうなの?」

スピーカーの声『嫌よ。汚れるじゃない?あ、麦野服変えたんだ?失恋?』

麦野「テメェにゃ関係無い」

スピーカーの声『そっかー、でも全然似合ってないわよ。つかキログラム100円の服なんてよく着られるわねぇー』

麦野「そりゃどーも。人前にすら出られないドブスの言葉は心に響くわー。アタシも見習って見せる相手が居ないのにドレスでも注文しようかしらー?」

垣根(麦野、メンタル強くなってんな)

麦野「で、行き遅れニートさんよぉ?アタシ達集めて何をさせたいわけ?」

スピーカーの声『……今日は迎電部隊へのカチコミを頼もうと思ってたんだけど、情報漏れたらしくてねー』

スピーカーの声『ついさっき子供を人質に立てこもられちった、テヘ』

麦野「アンタもう管理者として最悪だな」

滝壺「(昨日のフラグがもう回収された)」

フレンダ「(って上条居なくて良かった訳。絶対突っ込むし)」

垣根「つーかダベってるより、さっさと向かった方がいいんじゃねぇの?」

スピーカーの声『大丈夫よー、一方通行のグループが解決しちゃったから』

垣根「俺ら必要ねぇじゃん」

スピーカーの声『でも何人か撃ち漏らしちゃったしー、そもそも別働隊がスタンバってたらしく全員じゃないのねー』

スピーカーの声『だから今日、アンタ達は学園内を駆けずり回って害虫駆除をお願いしまーす』

――そして平穏を破る第三勢力

【法律?】あの人をストーカーしてみるスレ★787【なにそれ新しい食いモンか何か?】

10032『おいお前らちょっとこれ見てみ?』

10039『ブラクラ乙』

13577『うそだああああああああああああああああああああああああああぁ!!!』

19090『幼女と、だと!?』

10039『ブラクラじゃねーの?』

10032『いや見てみ。KJさんとビ×チが手ぇ繋いで歩いているから』

10039『またまたご冗談を――』

11039『ちょっと俺吊ってくるわ』

13577『ないわー、いやこれはないわー。つーか誰こいつ?』

10032『KJが最近つるんでいる奴の一人。アイテムだっけかな』

13577『まさかとは思ってたけど幼女好きだとは』

19090『まだ決定したわけじゃないし』

10032『待て待て幼女じゃないし。つーか中学生?俺らと一緒じゃね』

10039『つまりこいつを否定するのは、俺らもダメだって認めんのと同じか?』

13577『取り敢えずSNKする?』

19090『やっとくでしょ、そりゃ。運営にスレ止められねぇかな?』

10032『そしたら実況かvipに避難所立てればいいし』

19090『今どこ?』

10032『映画見てる。上映時間は後1時間ぐらいあるみたい』

13577『んじゃ現地集合で』

10039『おけ』

19090『よろー。あぁ後抜け駆け禁止な。同期切んなよ?』

10032『大丈夫。俺を信じろwww』

13577『いやお前ペンダント買って貰ったじゃねーか、つーか芝生えてんぞコラ』

10039『お前とは一回ケリつけっかんな、覚えとけ』

19090『氏ね、つーか死ね』

――第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦。『終わらない明日へ、戦場を駆る不死鳥』

クルーゼ『キラ君!あぁキラ君!』

キラ『何がしたいんだ――あなたはっ!?』

クルーゼ『絶望が宇宙を覆い!暗闇が未来を閉ざす!私はね、ナチュラルだのコーディネーターだのに興味はないのだよ!』

クルーゼ『私は全てが疎ましかった!人の絆、縁、そして繋がり全てがだ!』

クルーゼ『存在そのものが偽りである私にとって、君達もまた嫌悪の対象でしかなかったのだよ!』

キラ(あの脱出艇――フレイが乗ってる!?)

フレイ(キラ!?来ちゃ駄目っ!)

クルーゼ『サヨナラだ、フレイ君――そしてようこそキラ君、私の住む夕闇へ!』

バキュウウウゥゥゥンッ!

キラ『やめろおおおおおおおおおぉぉぉぉっ!?』

数多の命が散る戦場において尚、死は全てに対し等しく訪れる。
クルーゼの放った一撃がフレイの乗った脱出艇を撃ち抜き、キラが復讐に囚われる。
前大戦の英雄は一線から退き、彼が重い腰を上げるまで多くの人が死に、そしてまたとあるザフトの少年との因縁は修復不能なまでにひび割れる。

クルーゼが一人の少女を殺めた事に端を発する悲劇。
英雄が英雄であり続ければ、ザフトの少年に同じ道を辿らせはしなかったのに。
無慈悲な一撃は脱出艇を容易に貫き、数多生まれる希望が闇で塗り潰される。

だが――瞬間、炎が舞った。

ゴオオオオオオオォォォォォッ!!!

クルーゼ『なんだ……宇宙に、炎、だと!?有り得ない!』

キラ『フレイっ!?』

???『大丈夫だ、ボーズ。お嬢ちゃんも無事だぜ』

キラ『あなたは……』

クルーゼ『新たなガンダムタイプのMS、だと?馬鹿な、そんなモノ存在する訳が無い!』

???『世界には物言えぬ声がある』

???『戦場で儚く散った兵士の叫び』

???『故国で帰りを待つ恋人の祈り』

???『世界で平和を願う家族の願い』

???『そして、もし、もしもあの時ああしていれば――』

???『あの戦場に“オレ達”が居れば、ああしていたという後悔の想い』

???『“オレ達”はそんな想いを糧に羽ばたく不死鳥!』

???『例えはお前が何度絶望を繰り返そうとしても、“オレ達”は何度だって蘇る!』

クルーゼ『馬鹿な……馬鹿な!おとぎ話の筈だ!戦場を旅する死者の軍隊!歴史が大きく移り変わる時に姿を現わす傭兵団の話など!』

???『なんだ、知っているなら話は早い』

クルーゼ『悪魔のような常識では考えられぬ技術を擁した彼ら、どれ一人が一騎当千の力を持ち、先頭に立つ機体は同じ紋章が刻まれている――』

???『そう、それがオレのガンダムの名前――』

クルーゼ・???『――フェニックス』

クルーゼ『貴様――マーク・ギルダーか!?』

マーク・ギルダー(???)『ここはオレに任せて、ボーズはお嬢ちゃんをキャリーベースに連れてってやれ』

キラ『でもっ!』

マーク・ギルダー『流石に今代最強のNT相手に守りながらは無理、はっきり言って邪魔。言う事聞かないとエターナ姉さん(17歳)に叱って貰う』

マーク・ギルダー『お前の機体もボロボロだから、一回戻っとけ。な?』

キラ『……はい』

クルーゼ『させるかああああぁぁ!これはっ、私の戦争だっ!!!』

マーク・ギルダー『そうだな。誰かが望み、お前が続けた戦争だ。それは認めよう』

マーク・ギルダー『だが、下らない闘争、悲劇だけの結末、そんなのもう誰も望んじゃいないんだよ!――ここらで幕引きと行こうじゃないか!!!』

――映画館

絹旗「……」

上条「……」

絹旗「予告編にしては、こう超違和感があったというか」

上条「俺もテレビ版見てたんだけど、明らかに出てない集団が居たような?フェニックスガンダ○って何よ?」

絹旗「まぁ色々葛藤はあったんでしょうが……お腹が超空きました。お昼にしましょうか」

上条「あ、映画の半券持っていけば、近くのレストランで割引になるみたいだけど、行ってみる?」

絹旗「ですかね。超危険そうな店でない限りは」

絹旗(あ、でも半券とっておきたい、って言ったら超子供っぽいですかね)


――危険そうな店の前

上条「なんて言うかな、こう『大丈夫なの?入っている人見た事無いんだけど』的なお店?」

絹旗「話題作りに超チャレンジしたい反面、体調を崩しそうな感じがひしひしと」

上条「他にも候補が何件かあるっぽいけど、止めとく?」

絹旗「人生賭けて超チャレンジしなくても良いですし。ならどこへ?」

絹旗(良かったー、半券使わずに済みます)

上条「だったらマックでいいんじゃないか」

絹旗「デートへ来てマックってのも超引きません?」

上条「学生同士が遊びに行くのに、超お高い所を予約したりとかする方が引くわ!」

絹旗「超電磁砲なんかはやらかしそうですけどね。食べ物のグレード落とさずに、相手を超ドン引かせたり」

上条「まぁそれは別にいいんじゃないかなー、と。色々怖いからね!」

絹旗「噂をしたら来るのがこの業界の超掟……って来ませんね?」

上条「んじゃモ○はどう?少し頑張ってみました」

絹旗「超妥協してあげましょう」

上条「……何で上から目線なの?」

――モ○バーガー。B級映画論議

絹旗「B級映画の神髄は超しょーもない所にこそあります。例えば超有名なハリウッド映画であっても、大失敗すればB級のカテゴリーへ入ります」

上条「ラズベリー賞だっけ?あれにノミネートされるとB級?」

絹旗「いえそう言う訳でもなく、B級映画とは超“生き様”なのです」

上条「また言い切ったな」

絹旗「なろうとしてなれるものではなく、超気がついたらなっているもの――それがB級映画です!」

絹旗「ブレアウィ○チも元々は低予算短期間で作られた、言わばB級になるべく生まれてきた映画でしたが、超ヒットしてしまいましたしね」

絹旗「ちなみに続編は超B級に戻ったとわたし達は超喜びましたが!」

上条「作った人に謝れ!続編で大コケしたのは別に狙ったんじゃないぞ!」

絹旗「S○Wもなー、ジグソ○が『実は超悲劇の主人公』的な流れへ持っていった時、あぁもうB級じゃないなー、と」

上条「中学生がR15の映画を語るんじゃありません」

絹旗「日本の映画でもサイレ○なんかは超酷かったですね」

上条「見た見た!映画のラストで芸人が気持ち悪い動きで迫ってきてコントかと!」

絹旗「原作が良かっただけに超アレはなかったです。ビブリ○堂に超ビ×チ店員さんがなったみたいな絶望感を覚えました」

絹旗「ネギ○の実写版も超酷かったんですけど、本屋さんは終盤に探している筈のお母さんが出て来る超展開。原作レ×プも超いい加減にしやがれと」

上条「JI○やテルマ○がヒットしたんで、成功体験が忘れられないんじゃないか?配役だって事務所の力関係だろうし」

絹旗「そういえば風紀委員の――」

上条「危険な話は止めよう!白衣だって頑張っているんだから!」

絹旗「頑張っただけで結果が超出るとは限りませんし、もっと適当な後藤麻○さんとか居るでしょうに」

絹旗「ウィッチズガーデ○超やりやがれ。むしろ妹の演技が良すぎて超浮いているぐらいですし」

上条「後藤○衣さんは出てないからね!?そのゲームにはっ!よく似てる人だけども!」

絹旗「いえ別に演技力やら何やらを超disってる訳じゃないんですね、ええ。そうでなく合う合わないかが超大事って話――」

上条(いかん、なんかツボに入ったみたいだ)

上条「き、絹旗はさ、自分で撮ってみないの?」

絹旗「……はい?今超何て?」

上条「B級映画じゃなくってもさ。こう、ショートムービー?みたいな感じで」

絹旗「超盲点でした!……成程、ないなら作ればいいと」

上条「あんま真剣にならなくても、動画サイトで犬とか猫撮ったみたいなのあるじゃん。そんな感じで」

絹旗「うーん…………正直超心引かれるんですが、わたしなんかが撮っていいものかどうか」

上条「別に資格が必要って訳じゃないし」

絹旗「いえそうではなく。B級映画には『本人達は大真面目に作ったつもりが超駄作』がありまして。学祭とかであるような感じの」

絹旗「わたしが撮った映画を他人から笑われるのは超ムカつくな、と」

上条「つまり『人の努力を笑うのは良いけど笑われるのは嫌』だと」

絹旗「大体超合ってます」

上条「そこまで難しく考えんでも。別に言わせときゃいいんじゃないか?」

絹旗「『だって絹旗が真剣に作ったものなら、俺は笑わないぜ』(キリッ)ですか?中学生にフラグ立てようとするなんて超変態ですか!」

上条「先に言うなよ!フラグも関係ねぇよ!」

絹旗「超見解の相違ですね――と、失礼メールが」

上条「ん」

絹旗「フレンダですね」

上条「応援要請か?」

絹旗「いえいえ状況をメールしてくれるように超頼んだんです。えっと……なんでしょう、どっかのアドレスだけが添付されてますね」

上条「ブラクラ?」

絹旗「フレンダに限って超無いとは言えませんが。まぁポチっとな――ってはぁ?」

上条「踏んじゃった?」

絹旗「いえ、多分もっと超タチが悪いんじゃないかと」 チラ

ふれんだ@Friend-a――××学区のカラオケ店の前なう

上条「ツイッターかよ!?」

絹旗「合同チームの内部情報超漏らしまくりじゃないですか」

上条「麦野に連絡して――」

絹旗「勿論超やってます――が、今回の相手情報戦が得意らしく、一部の回線がジャミングで不安定になっているみたいで」

上条「……こっちからは届かない?」

絹旗「何度かトライしていますが。超難しいのでは、と」

上条(合流してフレンダに突っ込むのが一番だけど……もう少し遊びたい気もするし)

絹旗(と言うかチームの居場所が超バレてもどうこう出来るような面子じゃないですし)

上条「あー……見なかったよな?」

絹旗「えぇまぁ、何の事だかわたしには超サッパリです」

絹旗(メールを削除っと)

絹旗「さ、午後からも超行きましょうか――あの」

上条「繋いでいこっか」


――××学区のカラオケ店の前

フレンダ(絹旗に送信っと。これで良い訳よ)

麦野「面倒臭ぇな。おい垣根」

垣根「えー俺も出んの?」

麦野「ギャラの分ぐらいは働けよ。アンタ上から私らは下から、オーケー?」

垣根「おー」

タンッ

フレンダ「空中を駆け上がった訳?」

滝壺「ううん……足の下に未元物質を精製、空間に固定させたんだと思う」

麦野「応用が利く能力は羨ましいわね」

フレンダ「ウチらはどうする訳?」

麦野「軽く流すだけで充分でしょ?」

麦野(制御出来るようになった『原子崩し』、実戦で使えなきゃ意味はないわね)

麦野(『原子崩し』をループさせる事で出来た閃光のアーム、そしてロケットエンジンみたいに高速移動……理論上は出来る筈だけど)

麦野(まぁ迎電部隊の連中は次の人生に期待って事で)

――モ○バーガー。少し後

10032号 コソコソ

10032号(てれってれっててー。あの人のストローと紙ナプキンをゲットしました、とミサカは誇らしげに報告してみます)

客A「(おい、あの制服。常盤台の子じゃない?)」

客B「(お嬢様がダストボックス漁るなんて……)」

10032号(ついでに他にも何か無いかと採集を続けます、とミサカはぶつぶつ言いながらあの人の座っていた席の下をゴソゴソします)

10032号(なんかちょっとあの人の匂いがするようで、良い感じ――いやいや、レアものを探して――おや?)

10032号「とったどーーーーー!!!とミサカは咆哮を上げて喜びを表します」

客A「(よく見たら超電磁砲の子だ)」

客B「(あんな可愛いのにストーカーって奴?)」


――路上

絹旗「そういえば上条。半券超持ってますか?」

上条「捨てた覚えはないからあると思うけど」

絹旗「わたし映画の半券を集めるのが趣味でして、良かったら超欲しいなー、なんて」

上条「いいぞー……って、あれ?」

絹旗「もしかして超落としやがりましたか」

上条「……ごめん。モ○バーガーで無くしたみたいだ。取りに――」

絹旗「超あったとしてもゴミとして捨てられていますって。はあ、全く上条は超上条なんですから」

上条「フレンダみたいな扱いは止めろよ!」

絹旗「そうですか?ああ見えてフレンダは超オイシイと思いますよ?」

上条「芸人として弄られる時点で、色々と大切なものを失っているような気がする」

絹旗「でも女子力は結構超高めだったり?超聞きたいですか?」

上条「それ、俺が聞いてもいい話か?」

絹旗「フレンダ、脱ぐと超凄いんですよ」 ボソッ

上条「マ、マジで?」

絹旗「肌の白さと線の細さに『お前外人か!』って超突っ込みました」

上条「外人だよね?どっからどう見ても日本人じゃないよね?」

絹旗「いやもう麦野も超スタイル良いんですけど、フレンダはもう何つーか超妖精?」

絹旗「超ちなみに幼い方じゃない妖精です」

上条「それじゃない妖精を俺は知らない。知らないったら知らない」

絹旗「アレはアレな割に意外とアレがアレだったんで、超アレになりました」

上条「聞きたい所を全て誤魔化された!?」

絹旗「いやーわたしの口からは超言えないです」

上条「たった今まで嬉々として仲間の秘密を暴露してなかったか……?」

絹旗「超聞こうと思ってたんですけど、上条は誰がいいですか?『アイテム』の中から一人選ぶとすれば」

上条「いやいやそんなんじゃないからね。別にそう言うつもりで入ったんじゃないし」

上条の下条さん(全員ですよね?)

絹旗「神の手のような成り行きと偶然だったのは認めますが、だからって超選んじゃいけないって事は超無いと思いますよ?」

絹旗「恋人とかお付き合いするとかじゃなく、超かるーい気持ちでどうぞ」

上条「んー……絹旗、かな?」

絹旗「この超ロリコン」

上条「だから違うっつの。映画も結構好きだし、学生同士がお安く遊びに行くんだったら、絹旗が一番気軽に行けるなって話だ」

上条「と言うか少し分かってきたぞ。恥ずかしくなると無理矢理話題を変えたり、ボケて誤魔化しているよな?」

絹旗「それはっ!……超仕方が無いじゃないですか、慣れてませんし、こういうの」

絹旗「男の子と遊ぶのなんて、超初めて、ですし」

上条「いや、そんなに気負う必要は無いんじゃないか?別にエロ根性は皆無だし」

絹旗(それはそれで超ムカツク……いやいや何考えてるんですかわたし)

上条「つーかさ、絹旗はしっかりしすぎなんだよ」

絹旗「それのどこが超悪いんですか」

上条「『アイテム』の三人、ねーちゃんだと思って甘えたりは出来ない?」

絹旗「基本ビジネスライクなお付き合いが多かったので、そういう発想は超ありませんでした。姉妹、ですか」

絹旗「麦野は前から超格好良いなーとは思っていましたし、前回の事件、一人でケジメをつけに行ったのちょっと憧れますね」

絹旗「むしろ超かーちゃん的な?」 ボソッ

上条「いや、麦野のアレは死地に赴くサムライのアレだから、あまり参考にしない方が良いと思うぞ。後の方は何も聞こえなかったけども!」

絹旗「滝壺なんか長女って感じが超しますよね。フレンダも次女のイメージが超ぴったりですし」

上条「不思議系の長女、お調子者の次女、しっかり者の三女。割とテンプレだよな」

絹旗「きら○辺りの4コマでありそうな超設定ですね。でもまぁ――」

絹旗「超欲しかったのは、お兄ちゃん、だったり?」

上条「俺?俺で良かったら」

絹旗「いえ超無いです。頼りになりそうにないし、金銭的な意味で」

上条「金銭の有無で兄妹になるのは兄妹じゃない、絶対」

絹旗「……まぁ超仕方がないですし、それで妥協しますよ――とーまお兄ちゃん?」

上条「ん、ヨロシクな最愛」

絹旗「……」

上条「……」

絹旗「……超すいません、なんかこう照れ半分サブイボ半分でして」

上条「……あぁ分かる分かる。俺も女の子の名前なんて呼ばないから、異常に照れるし」

上条(オルソラとかアニェーゼみたいな横文字だったら、あんま意識しないんだけど)

絹旗「で、次は超どうしますか?定番で言ったらショッピングかカラオケか。あ、ゲーセンってのもありますが」

上条「その三択だったらショッピングじゃないかな。あ、ゲーセン行きたい?」

絹旗「いやぁ多分格ゲー無双、チンピラ現われてきゃー助けて的な展開になるんでしょうけど、そーゆーのって超飽きましたし」

絹旗「逆に聞きますが、むしろゲーセンに連れて行く意味が超分かりません。せめて事前にプライスマシンに彼女が好きな景品があるとかじゃないと、超ポカーンじゃないですか」

上条「……さっきからお前の話を聞いていると、『お前の趣味には付き合わないけど、最大限チヤホヤしやがれ』って聞こえるんだが?」

絹旗「え、むしろ超聞こえませんでしたか?」

上条「麦野か?お前に余計な知識を植え付けたのは麦野なのかっ!?」

絹旗「いえフレンダが女性誌片手にデートとは超こんなもんだと」

上条「あぁうん。俺も今漸くフレンダがフレンダ扱いされる理由が分かったよ。なんつってもフレンダだもんな」

絹旗「でも相手の趣味とか好き嫌いに合わせるのって、超大事じゃないですか?」

絹旗「B映画オールナイトするのとか超好きですけど、好きでもない相手に付き合わせるのは悪いと思いますし」

絹旗「相手に合わせるのも超大事、って言う――」

上条「あー、絹旗。それ多分勘違いだぞ?」

上条「午前中俺と一緒にいたけど、全部が全部絹旗の好みって訳じゃなかっただろ?危険っぽいレストランとか」

絹旗「モ○も超普通でしたしね。それが?」

上条「でも、楽しかったよな?」

絹旗「それは――はい、超楽しかったですよ、えぇ」

上条「好きな相手と一緒にいたり、一緒に遊べば何だって楽しいと思うぞ」

絹旗「好き――好きって、わたしを?上条がですか?」

上条「友達と遊んだりすりゃ誰だって楽しいし、ちょっと失敗したなー、とかあっても一緒に笑えれば楽しい思い出になっちまう」

上条「好きな相手と過ごす、ってのはそういうモンだろ。『アイテム』のみんなと過ごすのだって同じじゃないか?」

絹旗「……超ムカツク」

上条「なんでだよっ!?」

絹旗「一体上条は他の女の子を超どれだけ騙してきやがったのかと怒りがふつふつと」

上条「騙してねぇよ!つーか人聞きが悪いからねっ!?」

絹旗「あーもう良いじゃないですか。上条さんの超言うとおりですってば」

上条「いや、何でキレてんの?」

絹旗「んじゃわたしを好きな上条さんには超お買い物に付き合って貰いましょうか」 グイグイ

上条「いいけどさ――って急がなくても!」

絹旗「取り敢えず下着売り場をフルコースで超お見舞いします。わたしの下着が超好きな上条さんですし、楽しいでしょうねー」

上条「待って!?俺の台詞に悪質な捏造が付け加えられているから!そもそも見た事無いし!」

絹旗「……見ます?」

上条「え!?いや――」

絹旗「あーやだやだ超怖いなー、JCにはぁはぁする人から『好き』だなんて言われちゃったら、超警戒するしかないですよねー」

上条「罠だ!填められているのは俺の方だろ!」

上条「つーか嫌なら手を離せばいいだろ」

絹旗「嫌な訳ないじゃないですか」

上条「え」

絹旗「これからたぁっぷり超困っている所を見せて貰うんですから」 ニヤリ

上条「いやお前それ余計に酷いからな?」

絹旗(嫌な訳――ないじゃないですか)

――【犯罪だって気にしないわ】あの人をストーカーしてみるスレ★788【盗撮だってだってお気に入り】

10032『っかさぁ何コレ?コレ何?』

10039『手ぇ繋いでお兄ちゃん?どんなプレイかっての』

13577『むしろして欲しいわ!つーかしろよおおぉぉ!』

19090『何だろな俺ら。スペックじゃそんなに変わらないのに』

10032『数じゃ圧倒してんのにな』

10039『やっぱそれじゃね?量産しすぎで付加価値が少なくなってんの』

19090『存在意義否定されてもなぁ』

10039『……やっちまうか、いっそ』

19090『通報しまつた』

13577『通報しまつた』

10032『通報しまつた』

10039『そういう意味じゃねぇよ!つーかお前らライバル蹴落として、倍率下げようとしてんじゃねぇぞ』

19090『いやでも他に方法なくね?俺ら病院組以外にも狙ってんのは一杯居るし』

13577『つっても無理矢理はなぁ……あるあ……ないわー』

10032『気持ちは分かるが犯罪じゃん。お前エロ同人だけにしとけよ』

10039『だから違うっての。逆レ――は別の日にするとしてだな』

13577『するのかよ――俺も混ぜろ』

10032『マジすか?いつ?いつヤんの?』

13577『食いつき良いなお前ら――俺カメラ担当な』

10039『今は取り敢えず目の前のコイツ排除すれば良くね?』

19090『あーなるなる』

13577『あ×る』

10032『一人で拡張されてこいよ。一通さんなら喜んで郵便ポストブチこんでくれっから』

10039『話聞けよ。だからデート妨害すれば良くね?』

19090『えマジっすか。やめとけって』

13577『無駄だって』

10032『俺も同じ事考えたんだが。むりぽ』

10039『なんでだよ』

10032『いや考えてみ?俺らがなにやったところで、KJさんのラッキースケベになるって』

10039『あー……』

19090『コケてくぱぁすっかもしんねぇんだぞ?後はラブホ直行だろ』

13577『あるある。敵から庇ってフラグ立てんのはお約束だしな』

10039『……じゃどうすんだよ。ストーキング続けるだけってのか?』

10032『むしろ逆に考えようぜ。事件を起こすんじゃなくて、起こさせるんだ!』

19090『青島乙』

10032『違げーよ。そうじゃなくてKJさんは事件がありゃ突っ込むだろ』

10032『デートの最中だろうが、それこそベッドに女連れ込んでてもだ』

13577『連れ込まれてぇな……』

19090『俺らで事件起こすっての?』

10032『いやいや。それだとそげぶされっから、巻き込まれる方で』

10039『そんなに都合良く事件なんて起きてる訳がねえし』

19090『今さ電波の具合悪いよな。それってどっかの馬鹿がやってるみたいだわ』

13577『無線マニアじゃねえの?』

19090『いやいや、ちょい待ち――今同期すっから』

――同時刻。学園内の遊園施設内、『ゲコ太のヒーローショー』会場

迎電部隊隊員A「お、おとなしくしろおぉっ!コイツの命がどうなってもいいのか!?」

迎電部隊隊員A(やべぇ殆どのチームはやられっちまった!こうなったら人質取って学園と人質交換するしかない!)

男「……おいテメェ!」

迎電部隊隊員A「お前に用は無い!引っ込んでろ!」

パァンッ!

迎電部隊隊員A「今のは警告だ!次は当てるぞ!」

男(まいったな……バイトで着ぐるみ着たのは良いものの、テロリストに子供を人質に取られた)

男(相手は銃持った男三人、しかもそっちの訓練した連中じゃねぇか)

男(レベル0の俺なんかに出来る事なんて――)

子供「助けてっ!ゲコ太っ、ゲコ太ぁっ!?」

迎電部隊隊員A「大人しくしろ!」

男(見過ごすなんて――有り得ねぇよ)

男「うおおぉぉぉぉぉぉっっ!?」

迎電部隊隊員A「なんだコイツ!突っ込んで来やがった!」

迎電部隊隊員B「構わん。撃ち殺――」

ドオォォォンッ!!!

迎電部隊「ぐあぁぁぁぁっ!?」

男「電気の槍?」

女「そこまでよっ!」

御坂(女)「全くあんたって奴はレベル0のくせに何やってんだか!……いや、まぁ一々付き合うあたしもどうかとは思うけども!」

御坂「むしろ結婚を前提に付き合いたいわ!!!」

男「あ、有り難う。助かったぜ!」

御坂「べ、別にあんたを助けた訳じゃないんだからね!?」

男「あぁうんそうかもしれないけどな」

御坂「全くあんたは本当に、ほら、さっさとゲコ太の頭取りなさいよ!」

男「うん」 ポンッ

御坂「」

御坂「……あんた誰よ?」

浜面(男)「え、浜面って言うんだけど、それが何か?」

御坂「違うじゃん!あたしが求めるシチュエーションと違うわよね!?」

浜面「は、はぁなんかすいません」

御坂「そうじゃないでしょー!?ここは中身があいつであって『助かったよ、美琴(キリッ)』ってする所でしょお!?」

浜面「た、助かったよ、美琴?」

御坂「違うわよ!もっとキリッって言うか!あんたじゃないし!」

浜面「あ、ごめん。アンチスキルの人が来たから行くから」

御坂「何なのよおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!?」

19090号「哀れだな、とミサカはありったけの哀れみの視線でお姉様を見下してみます」

――【いつもニコニコあなたの側に】あの人をストーカーしてみるスレ★789【這い寄るシスコン】

19090『――って話なんだけど』

10032『突っ込み所はいっぱいあるんだけど』

10039『お前何やってんの?尾行してんじゃねーの?』

19090『ゲコ太のヒーローショーがあると聞いたから、つい』

10039『つい行かねえよ!あの人と場所も方角も全然違うだろ!』

13577『つーかオリジナルも哀れだよな。休日に遊園地へ女一人て』

10032『いやなんつったけ?レ×子と×ズ予備軍二人と一緒なんじゃねーの?』

13577『なんで同級生の友達が皆無なんだよ……』

10039『まぁなんだ。なんか事件が起きてるらしいってのは分かった』

13577『あーそっかそっか。それでかー』

19090『どしたん?』

13577『さっきデカい装備持ったパツキン見たなーって』

10032『通報した方が良いんじゃね?』

13577『いや、アンチスキルの制服着てた』

10039『つー事は取り締まる側か。いつ?』

13577『ちょい前。トイレ入ってった』

10032『なんかおかしいような気もするけど』

19090『あ、そうだ。思い出した、お前モ○で同期切ってたじゃん?』

10032『ん。それが?』

19090『何も無かった、つってたよなぁ?』

10032『疑うのかよ』

19090『いや、今モ○の監視カメラにハッキングしたら、仮面ライ○―のポーズを取る、お前の映像が残ってたんだが?』

……10032号さんが、ログアウトしました……

13577『逃げんのかよ!?つーか何見つけた!?』

19090『の野郎、ネックレスといい今回といい、役得多いじゃねぇか!』

10039『取り敢えず見つけて剥こう。話はそれからだ』

13577『おけ』

19090『タクシーでそっち行くわ』

10039『あ、ごめん。遊園地限定のゲコ太グッズ買っといて』

13577『俺も俺も』

19090『無問題、四人分買ってあるぜ』

――ショッピングモール外れの公園。芝生の上にて

上条「……勘弁して下さい。いやもう何でもしますから……」

絹旗「超おかしいですねー?別に男は上条だけしか居なかった訳ではないでしょうに」

上条「アレは高校生かっぽーだからだよっ!高校生×中学生(外見ほぼ小学生)なんて居なかったからね!」

絹旗「あぁ成程。だから露骨に『こいつロリコンくわっ?』的な視線を超投げかけられていたんですね?」

上条「知ってただろ!?途中で『とーまお兄ちゃん(はぁと)』って呼び方変えた時に気付いてただろ!?」

上条「いやもうホントに勘弁して下さいよ絹旗さん。俺が悪かったから」

絹旗「んじゃちょっとジュースでも超買ってきて上げますよ」

上条「あーうんヨロシクー」

絹旗「良いですか?知らない女の人に超声をかけられても、ついて行っちゃいけませんからね?」

上条「……お前それが言いたかっただけだろう?なぁ?」

絹旗「あと買ったばかりのパンツは超汚さないで下さい」

上条「お前の中の俺はどんだけ変態なの?むしろまともな部分ってあるの?」


――同時刻。カラオケ店前

フレンダ「麦野すっごい訳!新しい能力なんて何時開発したの?」

麦野「んー、まぁちょっとね」

麦野(閃光のアームは威力がライフル銃程度、高速移動は体に負担がかかりすぎて多用は出来ない)

麦野(別に私の体じゃなくても、レーガンみたいに何かを撃ち出してもいいのか)

PiPiPi……

麦野「迎電部隊の残党狩り終わったわよ?」

女『はいはいお疲れ様―。でね、もうちょっと働いて欲しいんだけどー』

垣根「いやーもう飽きたし。帰りたいなって思うんだが」

麦野「下らない、とは言わねぇがな。こんなもん暗部に任せなくても、アンチスキルで充分でしょうが」

麦野「それとも知られたらヤバい事でもあんのかよ?」

女『――でねー、次のお仕事なんだけどぉ』

麦野(聞けよ話)

女『グループを潰して欲しいなって、ね?』

垣根「……第一位のチームかよ?何やったんだ」

女『んー潮岸統括理事の暗殺未遂。四人ともバラして良いって』

麦野「……分かったわ。アタシと垣根は第一位を追跡するから、他の連中はそっちで好きにやりな」

女『指揮権はこっちにあるんですけどー』

麦野「馬鹿かテメェ。核ミサイル撃ったって平気な相手に、ザコ向かわせたって邪魔にしかならないでしょうが」

女『電極の話って知ってる?』

麦野「ああ?」

女『一方通行の能力には時間制限があってね。しかもそれは外部の機関が必要なわけ』

女『だもんでジャミングしちゃえば、能力は使えないってね』

麦野「……おい」

女『って言うわけでさっさと――』

麦野「今日アタシらが狩った迎電部隊、連中が情報戦やジャミングを得意としているのと、第一位にジャミング仕掛けたのは“偶然”なのか?」

女『……』

麦野「スパークの連中追い込んで、第一位を無効化させるための周波数だかを手に入れるのが、テメェらの目的だった、とか?」

垣根「……そいつぁまた」

女『……それは考えすぎよ。私達が一方通行を管理する以上、知らない訳は無いでしょう?』

麦野「まぁ確かにそうよね……第一位の捜索へ入るわ」

女『分かってくれて何より。猟犬部隊も使ってやってね?』

プツンッ

麦野「(滝壺)」

滝壺 コクコク

垣根「(どういう事だ?)」

麦野「(最後のアレは嘘ね。確かに管理している側は第一位の電極を支配できるんでしょうよ)」

麦野「(でも恐らく『あのクソ女の所属している派閥は管理していない』ってトコか)」

垣根「(つまり俺達は学園都市の非主流派から命令を受けていた、って?)」

麦野(あぁ成程。猟犬部隊は、アタシらが変な動きした時の保険かよ)

麦野(……さて、どう動くか……?)


――ショッピングモール。手洗い

絹旗(前髪よし!服も……まぁ超こんなもんでしょうか)

絹旗(ちょっと危かったですが、超間に合って良かったです)

絹旗(ジュース、何にしましょうかね?天然果汁か、体に超悪そうな蛍光色の奴か)

絹旗(わたしは天然物、上条は蛍光ピンクで良いですかね。わたしを“好き”なら、それも楽しいって事ですし)

女?「あのー、ちょっとすいません?」

絹旗「はい?」

女?「絹旗、最愛さんですよね?私、私っ!覚えていませんかっ?」

絹旗(夜戦迷彩上下の金髪美人……ちっ、おっぱい超大きいですね)

絹旗(こんなモデルみたいな人、会ったら超忘れないでしょうけど?)

絹旗「すいません。覚えてませんが?」

女?「あー、仕方がないのかも知れませんねぇ。ステファニー!ステファニー=ゴールドパレスで思い出しません?」

絹旗「すいません。本当に覚えていません」

絹旗(能力開発で超会った人でしょうか?)

ステファニー「そっかぁ、じゃあしょうがないですね。私は――」

ステファニー「――あなたに瀕死にさせられた、砂皿さんってスナイパーの弟子でーす」

ドオウンッ!!!

――同時刻。ショッピングモール外れの公園

上条(爆発音?まさかテロかっ!?)

PiPiPi……

上条(絹旗からのメール?題名無し。副題無し?)

絹旗『すいません。昔の知り合いに出会ったので先帰っ』

上条(途中で送信しちまったのか?)

PiPiPi……

絹旗『て下さい。荷物もお手数ですが回収よろしく』

上条(知り合い?『アイテム』の仕事相手とかち合ったんじゃないだろな?)

ピッピッピ

ふれんだ@Friend-a――××学区の路地裏の前なう

上条(あっちはあっちで別地区に居る、か)

PiPiPi……

上条(また絹旗?)

絹旗『下着、あんまり汚さない下さいね?』

上条「あんまりってどういう意味だ!?」


――ショッピングモール内

絹旗(と、まぁ超こんな所でしょうかね)

ガガガガガガガガガガッ!

絹旗(あーもう超面倒です。砂皿って誰ですか?知りません……し?)

絹旗(スナイパー?そういえ前々回の抗争の時に超病院送りにしたような……?)

絹旗「あの、超すいません?」

ステファニー「何か?命乞いなら聞きませんよ?」

絹旗「いえ、そのどうしてわたしが超狙われているのかなー、って――」

ガガガガガガガガガッ!

絹旗(足を止めたら窒素装甲超ぶち抜く程の威力のフルオート式ショットガン、ですか。学園都市謹製の超特注品っぽいですね)

絹旗(窒素ボンベは上条が持ってる荷物の方ですし、切り札は使えない、と。とすれば残弾減るか、熱でバレルが曲がるまで超逃げの一手ですね)

ステファニー「――なーんて、思ってるんでしょうけど?」

ドオオォォォンッ!

絹旗(ファイアグレネード!?)

ステファニー「大気中の窒素を吹き飛ばしたり、熱して化合物を作ったり、能力対策は出来ているんですよおぉっ!」

絹旗「くぅっ!?」

ステファニー「楽にゃ殺しませんから安心して下さーい!」

――××学区の路地裏の前

麦野「あー居た居た。芋虫みたいに這いずり回ってるわ」

一方通行 ビクビク

垣根「マジかよ!?うっわー……」

麦野「良し、んじゃ取り敢えず――フレンダ!」

フレンダ「おっけーって訳!」

ドオオオオオオオォォオンッ!!!

垣根「おいっ?自分のバス吹っ飛ばしてなにやってんだよ!?」

麦野「猟犬部隊全キルしたに決まってんでしょうが」

垣根「いやいや、決まってるって言われても」

麦野「よいしょっと……うわ軽っ!?セロリ、フレンダより軽っ!」

フレンダ「あたしを引き合いに出すのやめて!」

麦野「アタシの友人のFさんと同じぐらいだわ」

フレンダ「変わってないよね?でもちょっと友人カテゴリに入ってて嬉しかったけども!」

垣根「いやいや、俺らはそいつぶっ殺すってのが仕事だろうが!」

麦野「なぁ第二位――いや、垣根帝督。あんた第一位に拘ってたわよね?アンダーライン使ってアレイスターと交渉するとかなんとか」

垣根「あぁ」

麦野「で、アンタはこんなクラゲみたいな『最強』をぶっ倒して自慢する訳だ?」

垣根「それは……」

麦野「つーか学園学園って信じられるの?あんたが第一位になったとして、クローン一万人ぶっ殺すとか、ワケ分からない実験が待ってんのは目に見えてるでしょうよ」

麦野「そんなつまらない『最強』、そんなもののために戦ってんのかよ」

垣根「……学園都市230万人、ぶっちゃけ余所に能力者が居るとも思えねぇし?つー事は実質上の人類最強決定戦、憧れねぇ奴ぁ居ないと思うぜ」

麦野(実際にゃアックアみたいな規格外もいるんだけどな)

垣根「お前だって似たようなモンだったろうがよ。超電磁砲のクローン計画、邪魔してたのは少なからず嫉妬もあった筈だよなぁ」

麦野「あーうん。まぁ確かね。それはそうだったわね」

麦野「……あんた、この間さ『好かれる資格がない』って言ったの覚えてる?」

垣根「あー言った言った――いやでも関係無いだろ」

麦野「アタシも色々考えたんだけど、やっぱ考えるのは止めたわ」

垣根「はぁ?なに、開き直ったって?」

麦野「資格があろうが無かろうが、結局人を好きにならずには居られないみたいだし、何より黙っていられる性分じゃないのよね」

麦野「腹が減ったらメシを食ったり、眠くなったら横になったり、男が欲しくなったら酔ったフリすんのと同じもんよ」

垣根「いや最後のは明らかにおかしい!話がリアルで引くわ!」

麦野「結局何を考えようが、どうかしたくたって無理なものは無理って話」

麦野「それでよ、垣根。アンタはこの萎びたセロリぶっ殺して学園第一位サマになりたいの?」

麦野「アタシらを戦わして回収しようとしたクソどもにチヤホヤされたいって?」

麦野「第一位になって何がしたかったのかまでは分からねぇが、それってわざわざ学園側に認めて貰わなくちゃ出来ねぇのかよ?」

垣根「……成程。『学園側がどう来ようと勝手にやれ』つー事か?悪かねぇが」

垣根「そういうお前はどうだってんだ?学園側に喧嘩売ってまで何がしたいんだ?」

麦野「……デート、したい」

垣根「……はい?」

麦野「まだ、その、一回しかお買い物に行ってないのよ!好きだって伝えてもないし!」

麦野「だからアンタらみたいなクソの始末するより、さっさと帰りてぇんだよ!」

垣根「……お前、くく、暗部止めたい理由が男って」

フレンダ「麦野っ!猟犬部隊の増援が来――」

垣根「ふふ、あははははははははははははっ!!!」

ドオゥゥンッ!!!

滝壺「羽根、きれい……」

垣根「オーケーオーケー!まぁ良いんじゃね?学園のジジイどもと殺り合うにゃ充分な理由だよな!」


――ショッピングモールの外れ

10032号(病院組の執拗な追撃にふぅ、とミサカは息をついてみます)

10032号(映画の半券というレアアイテム、渡す訳には行かない――)

上条「おー、御坂妹じゃねーか」

10032号「こ、これは偶然ですね、とミサカは動揺を隠して平静を装います」

上条「いやいつも突っ込んでいるんだが、何一つ隠せてないからな?」

上条「なんか銃持ったミサカ達も居るみたいだけど、爆発音ってお前らの仕業?」

10032号「いえ、発砲許可は下りていないので麻酔銃かと、とミサカは推測を披露します」

上条「おかしいな?その割りには派手な音だし」

10032号(い、今ツレの小娘がいないという事は、フリーだと言う事!)

10032号(つまり話の持って行き方によっては、ミサカ10032号ルートへ移行するかも――)

上条「ってお前何握りしめてんの?あ、これ――」

10032号「……半券ですね、とミサカはしまったと内心で唾棄します」

上条「良かった!持ってきてくれたんだな!有り難う!」 ガシッ

10032号「え?えぇまぁそんな所ではないかとミサカは表現を曖昧にして切り抜けます」

上条「そっかぁ。良かった良かった。貰って良いんだよな?」

10032号「えぇ勿論です、とミサカは名残惜しそうに映画の半券を引き渡します」

上条「何?好きなのか?」

10032号「好きに決まっています!とミサカは勇気を振り絞って告白します!」

上条「そっかぁ、んじゃ今度お礼も兼ねて映画行こうぜ?……っとごめん、ちっと用事が出来たから、これでっ」

10032号「ちょっ!?スルーかよ!とミサカは……」

10032号(いやでも半券一枚でデート一回、悪くない、悪くない結果でしょう)

10032号(給料三ヶ月分のレアアイテム、今度こそゲットするぜ!と心に誓――)

ツンツン

10032号「はい?ミサカはいやーな予感を覚えつつ振り向――かずに、ダッシュして逃げます!」 ダッ

19090号「待ちやがれこの抜け駆け野郎!とミサカは今日こそひん剥くために追い掛けます」

13577号「おうやってやるぜ!とミサカは全力でサポートします」

10039号「というかデートを約束したミサカとこのミサカがどうやって成り代わるか、それが大事だとミサカは口に出さずに追撃を緩めません」

――××学区の路地裏の前

垣根「つーかセロリさんよぉ、そろそろ起きなって」

一方通行「……テメェ、何しやがった……?」

垣根「ジャミング受けてるんだったら、似たような周波数出して相殺させただけだ」

一方通行「礼は言わねェぞ」

垣根「聞きたくもねぇよ。それで、お前何で学園側から狙われてんの?」

麦野「淫行?やっぱり打ち止めちゃんのペッタペタなボディをペロペロしちゃったのね?」

垣根「マジで?第一位ってそんな趣味あったの?」

一方通行「嘘吐いてンじゃねェぞ!ババアとメルヘン野郎が!」

麦野「おっとこんな所にこないだ撮った写メが」 チラチラッ

垣根「やだ一方さん恍惚の表情で馬になってるじゃないですかー」

一方通行「お前らミンチとミートボールどっちがいいンですかァ?好きな方ォに調理して学食で大安売りしてやンぜ」

一方通行「……『ドラゴン』ってェのを知ってる奴に会った。統括理事の一人、潮岸だとよォ」

一方通行「もうちょォォっと教えて下さァい、って頼ンだらこのザマだァな」

麦野「あー無理無理。コミュ障のアンタじゃ話にならないわね」

垣根「どうせアレだろ?ダラーンとしてたんだろ?そんなんじゃ面接通らねぇよ」

一方通行「煩ェよ。どうせお前らだってコンビニの面接でも弾かれンだろォがよ」

垣根「んなこたぁねぇよ」

麦野「『俺の未元物質に常識は通用しない』」 キリッ

一方通行「いィやァ、常識通用しなかったら、面接受からねェよなァ?」

垣根「俺が言ったんじゃねぇぞ!?つーか人の黒歴史引き出すのいい加減にしとけよお前」

麦野「はっ、こっちはアンタらと違って真っ当な生活してんのよ!」

フレンダ「(いやー、麦野も結構アレな気がする訳)」

滝壺「(比較の問題。プレデタ○はジェイソ○に比べれば人道的)」

フレンダ「(ってかこの面子と互角にやり合える麦野って凄い!)」

麦野「んじゃ潮岸ん所乗り込んでチ××の一つも引きぬきゃ良いでしょうが」

垣根「……恋する乙女の言葉とは思えねぇよ。そもそも乙女は××コ言わねぇから」

一方通行「つーか俺の周りの女ってェのはこンなンばっかりかよォ」

麦野「第一位、車拾ってきな。アンタが言い出しっぺだし」

フレンダ「(第一位に命令したっ!?)」

一方通行「そっちの二人も連れてくンのかァ?」

フレンダ「あ、ああたしですかっ!?」

滝壺「ん、行きたい」

一方通行「んじゃァデカい方がいーだろォなァ」 ヒュンッ

フレンダ「あー怖かった……ってか滝壺よく平気な訳?」

滝壺「ん?優しそうな人だけど……?」

フレンダ「いや、それは無いと思う訳」

垣根「……あー、麦野、ちょっと思ったんだけどさ」

麦野「何よ」

垣根「お前、いい女だったんだな」

麦野「残念。来世まで売約済みよ」

――炎燻るフロアにて

ステファニー「ハッハァっ!?どうしたんですか絹旗さんそれだとさっさと終わっちゃいますよってかもうくたばったんですかねっ!?」

ダダダダダダダダダダッ!

絹旗(物陰に隠れようとしても、隠れた物ごと撃ち抜かれますし!超どうしろっていうんですか!?)

絹旗「ふんぬっ!!!」

ステファニー「無駄ですってば!」

グウンッ、ガッ!

絹旗(どうしてこのオンナを殴ろうとすると、わたしに超攻撃が戻ってくるんですか!?)

絹旗(反射じゃない!一方通行のようにベクトルを曲げられたわけでもない!わたしが握った拳を――窒素装甲ごと、自分自身へと向けられている!?)

ステファニー「不思議でしょ?不思議ですよね?このフロアのスプリンクラーは作動しないんですよぉ!」

ステファニー「だって窒素ってのは高温だと反応して窒素化合物になっちゃうんですねっ!だーかーらっ、私にとっちゃ火の海の方が都合が良いってもんなんですよ!」

絹旗(流石にこの手品を超喋る気はない、って事ですか!まぁ超当然ですけど)

PiPiPi、PiPiPi……

絹旗(わたしの携帯……上条からですか!?)

ステファニー「あ、どーぞどーぞ出て構いませんよ?待ってますから?」

絹旗(しかし――いや、襲撃を仕掛けるなら上条の一緒の方が、この女にとっては都合が良かった筈)

絹旗(なら出ないのは超不自然、ですね)

絹旗「はい、どーも絹旗です。超今忙しいのでメッセージの後にもう一度超かけ直してください」

絹旗「超空気読めよ上条――」 ペッ

上条『違うよな!?それ明らかに電話に出ている反応だよな!?』

絹旗「ってか超何の用ですか?おねーさんの声が聞きたくなりました?」

上条『』

絹旗「いやそこで絶句されると超辛いんですけど」

上条『あ、ごめん。お前の成長した姿が想像出来なかった』

絹旗「いえいえこう見えて結構超有望株だと思うんですね。性格は良いし、器量も充分だし、超お買い得ですよー、なんて」

上条『自分で言うなよ。可愛いとは思うけどな』

絹旗「それで?結局何の用なんですか?今ちょっとステファンと遊ぶのに超忙しいんですけど」

ステファニー「ステファニーです。ステファニー=ゴールドパレス」

絹旗「――だ、そうです。何だったら超替わりましょうか?」

上条『いや別にそこまでは。つーか大した用じゃないんだけど、実は友達が半券届けてくれてさ』

絹旗「あったんですか!?」

上条『あぁわざわざ届けに来てくれたんだ』

絹旗「そうですか――オンナ、ですよね?」

上条『うえっ!?あぁうん、まぁ二択で言えばそうかな?』

絹旗「人類のおおよそは超どっちかですが。で、他に用事は?」

ステファニー「あ、続けて構いませんよ?最後なんですから」

上条『いや、用事終わったんなら一緒に帰ろっかなー、なんて思ったりしたからさ』

絹旗「一緒に、ですか。それも超いいですね」

絹旗(でも、多分わたしは)

絹旗「今日は用事があるのでまた次回に超回しますよ」

絹旗(帰れる事は出来ない、ですけど)

上条『そっか。それじゃ――』

絹旗(あ――)

絹旗「――上条っ!!!」

上条『ん、何だ?やっぱり一人じゃ寂しいか?』

絹旗(超ダメです!今呼んだら巻き込んでしまう!)

絹旗「今日は、その――有り難う御座いました」

絹旗(あなたと一緒に過ごした時間は短かったけれど)

絹旗「とても、楽しかった、です」

絹旗(だから――)

絹旗「また、そのウチに」

上条『おっけ。約束な?』

絹旗(この約束を守る事は無いでしょうが)

絹旗「一人で超帰れますか?おウチに帰るまでがデートですからね?」

上条『……お前は俺を一体何だと思ってんだ』

絹旗「寄り道したら超罰ゲームですから。そうですね――」

絹旗「もし破ったら、上条は一生わたしの超パシリって事で」

上条『重いなっ罰ゲーム!?』

絹旗「じゃ、また」

上条『ああ、また』

プツン

絹旗「……ふぅ。超有り難う御座いました」

絹旗「その、最初からずっと超尾行していたんですよね?わたし達を」

絹旗「でもわざわざわたしが一人になった所を見計らって、超攻撃を仕掛けた、と」

ステファニー「……さぁ?偶然じゃないですかね。ここ――モールは燃化物や液体ガスのタンクもいっぱいありましたし」

絹旗「それで?結局あなたは何が超したいんですか?」

ステファニー「敵討ちですかね。復讐とか」

ステファニー「グチャグチャにしてやりたかった。あの人の受けた痛みを万倍に、いいえ数え切れないぐらい乗算して返したかったです」

絹旗「……成程、気持ちは超理解出来ます。それじゃお二人のご関係は?」

絹旗「家族ですか?友達ですか?恋人ですか?」

ステファニー「家族、じゃないし、友達でも無い。恋人なんかじゃもっとありませんでした」

ステファニー「でも、どれかにはなりたかったかも知れません。私は彼を好きでしたから」

絹旗「わたしだったらあなたと違う道を超歩くと思います」

絹旗「わたしは好きとか嫌いとか、男女関係やお付き合いは超よく分かりません。けどもし、もしも超素敵じゃなくても」

絹旗「まぁ多少は妥協するとして――超大切な人を見つけたなら、どんな時も側にいて、しっかり手を握っているつもりです」

絹旗「どこにも行かないように、離れないように、ずっと一緒に居たいじゃないですか」

絹旗「でもそうすると――あなたは、超違うんですね?」

絹旗「家族でも無い、友人でも無い、恋人でも無い人の側に居ないで、彼を傷つけた人へ銃口を向けている、と」

絹旗「あなたは本当にその人が――好きなんですか?」

ステファニー「だとしてもっ!」

ステファニー「あなたの手には何がありますか!?能力で作った壁?鉛玉を飛ばす武器?誰の手も握って無いじゃないですかっ!」

ステファニー「同じなんですよっ!私とあなたはっ!」

ステファニー「大切な誰かの手を掴むなんて事は出来やしませんっ!守ろうとする相手を護りきる事なんて出来ないんですよ!」

絹旗「……そうですね、超そうかもしれません。なんと言った所で結果は超同じですしね」

絹旗「ずっと手を離さないで、なんて言うのは――超『幻想』なんでしょうね」

――潮岸邸前

垣根「つーかシェルターだねぇ、こりゃ」

麦野「シェルター如きでどうにかなると思ってんのかしらね」

一方通行「知らねェよ、ご本人サマもパワードスーツだか着てたから、素顔見てもいねェし」

麦野「あーさっさと片付けてぇ。ってか今この瞬間も絹旗の幼いフラグを立ててるかと思うと、能力暴走しそうだわー」

一方通行「アル中じゃねェかよ――ってお前ら、なにやってンだァ?」

土御門「いや、あの、垣根帝督?」

垣根「おう」

土御門「麦野沈利?」

麦野「人の名前気安く呼んでんじゃねぇわよクソメガネ」

土御門「なんで学園都市ワースト3が集まってんだ!?」

垣根「ワーストだって俺ら。酷くね?」

麦野「レーガンは制御しやすいからねー、アタシらと違って」

垣根・麦野「どう思いますかワースト1さん?」

一方通行「煩ェよ。示し合わせたみてェに息ぴったりなのが余計にウルセェ」

一方通行「良く分かンねェが手伝ってくンだとよォ。つーかこいつらも学園の暗部が気に入らねェンだ――」

麦野「潮岸クーン」

ドゥン!

垣根「あっそびっましょっ!」

ドゥンドゥン!!

一方通行「何やってンのお前らァアァァっ!?いきなりシェルターにぶち込ンで何やってンのオォ!?」

結標「(セロリが突っ込んでる所、初めて見た)」

海原「(無茶苦茶の程度は彼らも同じぐらいですが)」

麦野「つーかアタシらがカチコミかけている時点で、出て来ないってのはおかしいのよ」

垣根「だよなぁ、こんだけ暴れてんのにシカトは寂しいよなぁ」

一方通行「中で何か起こってンの――ゲートが、開くなァ?」

グイイイーーン、ガシャン

海原「トチトリ!……テクパトルまで!?」

一方通行(妙なプレッシャー感じると思ったら、海原の関係者かァ!?)

テクパトリ「久しいな裏切り者。待っていた、んだがなぁ」

麦野(ここまで騒いでおいて、潮岸の私兵が動かないなんざ、おかしいにも程があるわね)

垣根(さっきから監視カメラも頭振ってねぇし、ジャマーも未作動。何がしてぇんだ一体)

海原「……自分の不始末です。ですから――」

一方通行「オイオイ海原くぅンよォ、お前が居なくなったらどうするンだよォ」 ズシャッ

海原「一方通行」

一方通行「誰がグループのパシリすると思ってンだァ」

海原「自分じゃないでしょ!?」

土御門「そうだ!お前が居なくなったら、××女子校のブルマー誰が集めると思っているんだ!?」

海原「それも自分じゃないですよね!?」

結標「そうよ!あなたが居なくなったら、誰が○○小学校の縦笛を集めてくるのよ!?」

結社組「……」 (汚物を見るような目)

海原「ちょっと!妹達の前でなんつー事言うんですか!?」

一方通行「嫌だったらぶン殴って言う事聞かしゃいいじゃねェか」

一方通行「ガキってのは保護者に叱られてなンぼだ。テメェが居ない間に、変なオッサンに騙されたなンかしたんだろォ」

一方通行「だったら話ァ早ェよ」

海原「……そう、ですね」

土御門「つっても常盤台の中学生目当てで裏切った事実は変わらないにゃー」

海原「いやだからっ!?」

結標 ポンッ(笑顔で海原の肩を叩いて中指を立てる)

海原「……もういいです、それで」

一方通行「ちったァ楽しませてくれよ、外人さンよォ!!!」

――炎燻るフロアにて

ステファニー「いやーもうなんかつまらないじゃないですか。砂皿さん敵討ちに来てみたものの、こーんなあっさり終わるなんて、ねぇ?」

絹旗(フロア全体の窒素量が超減っています……ね。これじゃ満足に、盾も張れやしません、か)

ステファニー「……終わりにします?終わりにしたいですか?えぇそうしましょうか?私達だって――いえ」

絹旗(そもそも攻撃しようとした所で、全部超自傷へ向かうんだから意味は無いかも知れませんが)

ステファニー「うんじゃもういいです。有り難う御座いました。ごめんなさいね?なんか長々付き合わせてしまって――」

次の一斉射撃で全ては終わる。
異能としても高いランクを誇った窒素装甲は、本領を発揮できずに。

ステファニー「ではおやすみなさい――」

休みを得るため目を瞑ろうとする――だが、止める声は力強く響く。

上条「終わらせ――ねぇよ!!!」

ガッ!!!

ステファニー「ぐっ!?」

絹旗「かみ、じょう?……上条!?」

上条「どーも、パシリ志願です」

絹旗「どうして来たんですかっ!?相手は銃、だから――あなたの能力じゃ――」

上条「仲間を助けに来て何が悪いんだよ」

絹旗「だってあなたじゃ、彼女に超勝てませんよ!」

上条「あぁ、そうだな。俺じゃ無理だ」

絹旗「だったら、だったらどうしてっ!?」

上条「俺は――独りじゃないから」

上条 ギュッ(右手で絹旗の左手を握る)

パキイィィンッ!

上条(やっぱ何か変な術式の影響を受けてたか)

上条「あとこれ」

絹旗「窒素スプレー缶っ!?」

上条「麦野から『よろしく』って言われてんだ、こっちは」

上条「お前が俺を護ってくれてるように、俺もお前を護ってる。『アイテム』の仲間ってはそーゆーモンだろ?」


ステファニー「……何の、真似ですか?お涙頂戴すれば私が見逃すとでも!?」

ステファニー「いやーむしろテンション上がって来ちゃいました!絹旗さんの前で彼氏さんバラすの楽しそうですしー!」

ステファニー「さってどうしましょうかねー?」

上条「……ステファニーだっけ?お前と組んでいた魔術師は倒したぞ」

ステファニー「はぁ?魔術師ぃ?なんですそれ?」

上条「知らなかったのか?」

ステファニー「組んでいた娘の事ですかね?変わった能力を持っている、とは聞きましたけど」

ステファニー「まぁでもアレですよねー?絹旗さんのお仲間が来たっつっても、レベル0に何が出来るんですかねー?」

ステファニー「結局ミンチになるのがあなたの答えって事でしょうかね」

上条「下らねぇな、お前。見せないと分からないのか」

上条 (繋いでいる手を掲げる)

上条「これが、俺達の答えだ」

――炎燃えさかるショッピングモール。少し少し前

上条(おかしい。消防隊が入り込んでこない一角がある)

上条(まるで意識してないように……人払いの魔術か?)

ガガガガガガガガガッ!

上条(銃声が響いているのに無関心、ってのは不自然すぎんだろ!)

ショチトル「上条当麻、で合っているか?」

上条「お前は……?」

ショチトル「私はショチトル、エツァリ――海原の元同士だった、と言えば分かるか?」

上条「お前が、お前らがまた下らない事で仕掛けてきたのか!?」

ショチトル「私だけではないぞ。ステファニーという女も利用させて貰っている」

ショチトル「もっともお前ではなく、お前のツレに恩人を再起不能にされた、そうだが」

上条「……成程。復讐をしたい奴らが手を組んだ、と」

ショチトル「違う!私は結社の本懐である上条勢力の暗殺が目的だ!あんな裏切り者は関係無い!」

上条「裏切り者……海原がか?」

ショチトル「そうだ!女にうつつを抜かした結社の恥だ!戦士ですらない臆病者は、お前を始末した後に奴も――」

上条「ふざけるな!!!海原を馬鹿にしてんじゃねぇぞ!」

上条「海原は俺と戦う時正面からぶつかってきたぞ?」

上条「やろうと思えば無関係な人間を幾らでも巻き込めた筈なのに、しなかった。けどお前らはしてるよな」

上条「それの何処か“戦士”だ。ただの卑怯者じゃねーか!」

ショチトル「煩いっ!お前に何が分かるっ!?兄とも慕った人間が、たかが小娘一人のために結社を裏切ったんだ!」

ショチトル「そんなの、そんなのっ!許せる訳がないだろう!?」

上条「……良しわかった。取り敢えずお前のその幻想、俺がぶち殺す!!!」

上条「そんなに大事なヤツだって言うんだったら――」

上条「――離れないように手ぇ繋いでりゃ良かったんだよ!!!」

――潮岸邸内部

麦野(あー暇ね。つかさっさと帰りたいんだけど)

麦野(セキュリティは切られているし、あっちの戦闘には首突っ込みにくいし)

フレンダ「麦野っ麦野っ!」

麦野「なによ。私はあんたのかーちゃんじゃないんだから、って」

麦野「気持ち悪っ!?なんだソレ、人ぐらいの大きさのゴム?肌色で服着せて、趣味悪いって話じゃねぇだろ」

フレンダ「何か廊下に一杯落ちてる訳。何かピクピクしてるし」

滝壺「ふたりとも、それ!さわっちゃ、ダメ!」 ブルブル

麦野「大丈夫よ。爆発物とかそういうのは仕掛けてないっぽいから」

滝壺「拡散力場を感じる……!それも、これも!」

フレンダ「って事は何?結局このゴムっぽいのは――」

麦野「全身の骨を抜かれた――人間!?」


――炎燃えさかるショッピングモール。少し前

上条「これが、俺達の答えだ」

上条(ショチトルには逃げられたが、人払いの結果は解けた。スプリンクラーの復旧も時間の問題だろう)

ステファニー「……あーあーうんうんそーですか、そりゃ凄いですねー。なんでしたっけ?好きな人の手を離さないとかなんとか?」

ステファニー「でもだからどーしたって――」

上条「今度はお前――いや、お前達が答えを出す番だ。聞いているんだろう、ショチトル!?」

ショチトル(隠形術式がバレたか!?)

上条「このまま敵を討つのか、大事な奴の側についていてやるのか。お前達が選べよ」

上条「本当お前らが大事な奴のためを思っているんだったら、こんな所でドンパチしている場合じゃねぇだろ!」

上条「大事な奴が良くなるように走り回って、その上で側に居るのが『筋』じゃねぇのかよ!」

上条「俺は戦う力がないから、つって置いて行かれた人間だから分かる!」

上条「好きな人間――絹旗が傷つくのは苦しいし、辛い!」

上条「出会って少ししか経ってない俺達だってそうなんだから、お前達だってそうだろうさ!」

上条「砂皿が目を覚ました時お前が居なかったら、妹と可愛がっていた人間が消えちまったら、それは寂しいに決まってんだろ!」

ステファニー「お、遅いんですよ!私はもうここへ来てしま――」

ショチトル(結社を裏切れる訳が、ない!)

上条「いい加減目を覚ませよ!もしもお前達が自分の復讐しか見えないってんなら、誰を犠牲にしても巻き込んでもしていた!」

上条「俺と絹旗が遊んでいる時、幾らでも後から撃てた筈だ!」

上条「それをしてないって事は、お前達は自分でも気付いてんだよ!」

絹旗「……上条っわたしの後へっ!」

絹旗(この人だけは!死なせない、超絶対に!!!)

ステファニー「あ、ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

ガガガガガガガガガガガッ!!!

絹旗(窒素装甲が張れる!でも窒素缶で補充した分で超ギリギリっ!?)

絹旗「その、ですね。上条」

絹旗(例え次の瞬間、わたしが命を落としたとしても)

絹旗「この手を――」

上条「あぁ、離さない!」 ギュッ

ステファニー「うあああああっあっあっあっああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

ガガガガガガガガガガガッ!!!

カチッ、カチカチカチカチッ

ステファニー「ま、予備のマガジンを――」

上条「行くぞ!」

絹旗「はいっ!」 ダッ

ショチトル(操作系術式が効かない!?)

ステファニー「そ、そんな私はっ!私は――」

上条「お前達が見ていた『幻想』――復讐なんてモンは、とっくにお前ら自身がぶっ壊してんだよ!!!」

パキイィィンッ!!!ガッッッ!!

上条「好きな相手と何時だって――戦場だろうが、病院だろうが、手を繋いでられるってのは幻想なんかじゃねぇ」

ステファニー「……っ」

上条「砂皿が元気になって、まだ復讐したいってんなら何時でも来い」

上条「ショチトル、応えなくて良いから聞いてくれ」

ショチトル「……」

上条「結社なんか辞めちまえ、海原が大事だっつーんだったら、今度こそ手ぇ離さなきゃ良いだけの話だ」

上条「二人と戦った俺ならわかる」

上条「何だかんだと理由を付けて、自分を止めて欲しかったアイツ。他人を巻き込むのを最低限に留めようとしたお前。そっくりだ」

上条「――結局、お前らは『兄妹』なんだよ」

――潮岸邸跡。“現在”

テクパトル「原書はお前を選ぶ、のか……?」

海原「すいません。自分、ゲテモノに人気なもので」

テクパトル「だが終わらん!来い!」

ズオォォンッ

麦野「っと。外に出てみりゃ象サイズの……あれは」

垣根「豹?」

一方通行「いやァ、ジャガー、じゃねェかな。模様の丸ン中に点々がある」

海原「……最悪だ!『鏡の義足』の召喚術式まで行ったというのですか!?」

テクパトル「……あぁ、屋敷の中にいる連中、全員分の骨を黒曜石として捧げれば、然程苦労もなか――ゴフッ!?」

一方通行「よく分かンねェが、あいつぶっ飛ばしゃァ終わりなンだろォ?」

海原「いけません!仮にも自分達の世界を滅ぼしたとされる神格ですよ!?人がどうこう出来る相手では――」

ドゥォォォォンッ!!!

麦野「おーおー確かに堅いわー」

垣根「え、マジ?じゃ俺も俺も!」

ズゥン!

一方通行「おいおい三下さンよォ学園第一位を忘れてもらっちゃァ困るぜェっ!!」

ヒュンッヒュンッ――ドォンッ!!!

海原「人間が逆らった所で勝てる訳がありません!」

麦野「おいアンタ、キモ原だっけ?」

海原「海原です!」

麦野「アンタは何?勝てる喧嘩はするけど、負ける喧嘩はしない主義?」

海原「当然でしょう!?生き延びるためには逃げる事だって必要です!」

麦野「あーうん、失格。しかも時間切れだわ」

海原「はい?」

麦野「こーゆー時はね、正義のヒーローが現れるって相場は決まってるモンなのよ」

男?「垣根!一方通行!道を作ってくれ!」

垣根「遅せーぞヒーローさんよおっ!!!」

一方通行「つーか俺よりも垣根の方が先ってのはどォいう事だァ?」

垣根「やだ、男のジェラシー?」

一方通行「テメェごとぶっ飛ばすぞメルヘン野郎ォがよォォっ!!!」

ドオオオンンッ!!!

海原「あなたはっ」

上条「本日三回目のっ、うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっ!!!」

パキィィィンッ

――夜の凱旋。路上を歩く学園最強組

麦野「――で、なんだけど。タイミング良く現われた、つーかどうやって場所知ったの?」

上条「ツイッター」

麦野「いやいや有り得ない――ってコレ」

ふれんだ@Friend-a――潮岸の家の前なう

フレンダ「どう?今回連絡が取りにくかったから、頭を使ってみた訳!」

麦野「使ってねぇよ!むしろ使いなさいよ!どう考えても合同チームの内部情報でしょ、これ!?」

麦野「帰ったらオ・シ・オ・キね?」

フレンダ「いやああぁぁっ!?オシオキはいやーーーーっ!?」

上条「……いつも思うんだけど、オシオキって何するんだ?」

絹旗「受けた事がないので超分かりません。滝壺は?」

滝壺「おなじくー」

フレンダ「助けて上条!」

麦野「オイコラひっついてんじゃねぇぞクソビ×チが!」

上条「まーまー麦野も」

麦野「またそうやってフレンダを甘やかして!」

絹旗「……なんでしょうね、こう熟年夫婦の子供の超しつけを聞いているような感が」

滝壺「ふれんだはカテゴリ的にペットかも?」

フレンダ「失礼な!あたしだっていも――」

絹旗「はい?今なんて?」

フレンダ「いや別に何でもない訳よ、うん」

麦野「ま、まぁフレンダも反省しているみたいだし、今回は不問って事にしましょうか」

絹旗「今の間に超何やったんですか?」

麦野「全然全然?うん、特に何もなかったわよ?」

フレンダ「嘘だっ!殺気も完全に消えてる訳よ!」

上条「うん。何か頭撫でてって――」

麦野「ちょっ!?内緒だって」

フレンダ「ずーるーいーわーけーっ!」

絹旗「なんでしょうね。少し前フレンダが『頭がキーってなる』と言っていたのが、超理解出来る気がします」

滝壺「むぎのはデレ補正があるから卑怯だと思う」 ヨシヨシ

一方通行「……よォ」

上条「お疲れー」

一方通行「お前ンとこはいつもこンなに煩ェのか?」

上条「女の子ばっかだからな。仕方がないさ」

一方通行(麦野を女の“子”扱いできる時点で、ただ者じゃねェと思うぜェ)

上条「それよっか今からお疲れ会するんだけど、お前らも来るだろ?」

一方通行「俺かァ?いや俺は別にィ」

上条「何か用事とかあるのか?」

一方通行「いやァ、ねェけど」

上条「こないだみんなでピザ食ったじゃん。あれを焼いてくれた店で、どうだ?」

一方通行「コーヒー、は」

上条「美味いらしいな。マスターが月によって仕入れる豆の原産地を変えてるって言ってた」

一方通行「へェ……」

上条「おっし、んじゃ参加な。海原はー?」

一方通行「オイまだ参加するっつった訳じゃねェし――妹らを病院連れてくンだと」

上条「結標は?」

一方通行「いやァだからまだ決まった訳じゃァ――おいババア。垣根に構ってンな」

垣根「ひでーな!もう少しで口説き落とせそうだってのに」

結標「いや無いから。で、何?」

上条「今からみんなでメシ食いに行くんだけど、どう?あ、勿論垣根も。一方通行も来るって」

一方通行「お前ェン中じゃ確定ンなってンみてェだがよォ、俺ァ別にアレだ」

上条「何で?どうせ今から食事取るんだろ?だったらみんなで食った方が美味しいって」

一方通行「……あァもう行ってやンよ。感謝しろ三下ァ」

上条「あぁ有り難うな」

一方通行(俺の天敵だろォ、こいつ)

フレンダ「『やべェな……逃げられねェ――むしろ逃げたくねェわ』」

滝壺「『だがな、俺はその幻想をぶち殺す!ぴきーん(効果音)』」

上条「おい、“かっこ、こうかおん、かっことじ”って口で言うのは無理すぎだろ」

フレンダ「『ヤダ、俺の一方通行が対面通行になっちゃう!ビクビク(効果音)』」

垣根「セロリはそんな事言わない。キャラの原型とどめてねえだろ」

滝壺「『大丈夫だ!今日からお前が俺の――片側交互通行だ!』」

結標「工事中なの!?セロリのどこを拡張工事しているのよ!?」

フレンダ「『三下ァ!』」

滝壺「『いっぽぅ!』」(巻き舌)

滝壺・フレンダ ガシッ!

一方通行「なァコイツら殺すけどいいよなァ」 カチッ

上条「まぁまぁ仕事終わってハイんなってるだけだから、許してやれって」

一方通行 チッ

上条「あーそんで二人はどう?」

垣根「マジ?俺も行っていいの?」

上条「当たり前だろ何言ってんだ。何度も助けて貰ったって聞いたし、お礼としちゃ安いけどな」

垣根「だったら有り難く――ってか奢り?ドリンク有り?」

上条「ま、そんぐらいはな。アルコールはウチ中学生居るから自重してくれると助かる」

結標「だったらあたしも参加するわね」

上条「ってかもう一人居なかったか?こないだも思ったんだけど」

一方通行(土御門はバケモンが出た瞬間に逃げたしなァ)

一方通行「気のせいじゃねェか?」

結標「下っ端でも紛れ込んだんじゃない?」

結標(クソメガネって情報戦もあんま役に立たないし、なんで『グループ』にいるのかしら?)

上条「んー……まぁいいか」

麦野「フレーーーーーーンダッ!アンタって娘は!」

フレンダ「あたしは悪くない訳よっ!?滝壺逃げてー、窓に!窓にっ!」

滝壺「ふっ……50m、10秒フラットの足を見せる日が来るとは!」

垣根「むしろ遅い方だからな」

一方通行「――って街中で荷電粒子○撃つンじゃねェよ!結標ェ、第四位の靴飛ばせ!」

結標「ふざけんなバーカ!あたしに命令するなんざ、10年遅いのよ!」

垣根「遅いのかよっ!?」

上条「はは、何か大変そうだな」

?「すまない」

上条「ん、どした?」

?「私も行きたいんだが、構わないかな?」

上条「うん。来い来い」

?「そうか。有り難う」

上条「つーかごめんな?お前居なかったみたいだから、声かけられなかった」

?「いいんだ。私はどこにでも居るし、どこにでも居ないのだから」

――いつのも喫茶店(夜はアルコールも出しています)

上条「飲み物全員持った?あぁ滝壺それ醤油の瓶だから!フレンダはサバ缶を掲げるのやめなさい!」

上条「こほん。まぁ色々あったけど、仕事が終わった事を祝して――かんぱーい!」

麦野・結標・垣根「乾杯」

フレンダ・滝壺「かんぱーい!」

絹旗「超乾杯です」

一方通行「おーゥ」

エイワス「乾杯。で、いいのかね?」

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺・一方通行・結標・垣根(……誰?)

上条「あーうんうん合ってる。つーか飲みもん飲めるんだな」

エイワス「カザキリだって大丈夫だったろう?まぁ飲み食いした所で娯楽の域を出るものではないのだが」

上条「食っても食わなくても良いって事か。それはそれで羨ましいけどなー」

一方通行「(……なァオイ。誰よ、アイツ?)」

麦野「(何か天使っぽくキラキラしてるんだけど。垣根の知り合い?)」

垣根「(知らねぇよ!幾ら俺でもあそこまでキラキラしてねぇし!)」

絹旗「(というか超そっちの関係者じゃないんですか?)」

結標「(って事は『アイテム』の関係者でもないのね?じゃ一体――)」

滝壺「(拡散力場が不安定になってる……?)」

上条「んじゃモノ食べるのも初めて?」

エイワス「そうだろうな」

上条「だったら味の薄い物から食べた方が良いのかな」

フレンダ「あーちょっ。ちょっとごめんって訳」

上条「何?追加の注文?エイワスは何食べたい?」(メニューを見せる)

エイワス「私には分からないので、君に任せるよ」

上条「だったらオートミールなんかサッパリして――」

フレンダ「いやいやそうじゃない訳よ!そうじゃなくって、その人、誰かなーって?」

エイワス「私はエイワス、君達が『ドラゴン』と呼ぶ存在だよ」

上条「すいませーん!オートミール一人前お願いしまーす!」

上条「で、何の話?あ、自己紹介したんだ?だったら俺らも一人一人名前と特技言っていこうぜ」

エイワス「必要ないよ。ある程度は見知っているから」

上条「そうなんだ、へー」

一方通行「ちょっと待てよォ!ンな軽りィ話じゃねェだろう!」

上条「なんで?」

一方通行「イヤなんでって。俺らが血ィ吐いて探し回ってンのがソイツだろうがよォ!」

上条「向こうから来てくれんだから良いだろ?なんか問題でも?」

一方通行「い、いやァ……」

一方通行(問題しかねェ気がするんだが)

上条「俺の友達にもエイワスみたいな拡散力場の体の子が居るし」

エイワス「むしろ彼女は私を作り出すための呼び水みたいなものだな」

上条「風斬の弟?」

エイワス「はは、まさか。私は体を得てないだけで、この世界に漂いはしていたからね。君達の文明よりも私の方がずっと年上だな」

一方通行「(何でコイツ普通に話してンの?)」

垣根「好みのタイプは?」

麦野「(オイ馬鹿が食いついたぞ!?)」

エイワス「年下の子、かな?」

垣根「鉄板ギャグ頂きました!」

一方通行「(なんだオイ、なんだコイツ、ドラゴンが目の前でギャグ飛ばすってのはどういう状況ォ?」

垣根「まぁ飲め飲め。行けるクチなんだろ?」

エイワス「有り難う……おや、エールかね」

上条「あぁコラ、アルコールはやめろっつったのに!」

垣根「いーじゃん別に。つーかさぁ、麦野がさっき酔ったフリ――」

麦野「学園第四位腹パンっ!」

垣根「そげぶっ!?」

麦野「やだわーバ垣根ってたらもう酔いが回っちゃったみたいでー」

垣根「おいテメェ俺が未元物質でガードしなかったら致命傷だったぞ!」

麦野「甘ぇんだよ!ウチのフレンダは毎日これで鍛えてんだ!」

絹旗「……そうだったんですか?」

フレンダ「初めて明かされた真実……と言うか第二位ですら危険視するブローを、あたしは生身で受けてたって訳……?」

麦野「それで?結局、アレイスターのプランってのはどういう話なの?」

エイワス「私は彼ではないので分からないよ。でも私を抽象化――顕現化させる事が目的か、もしくは目的に近づく手段だったんじゃないかな」

一方通行「何考えてやがンだァ、アレイスター。ソレにどういった意味があンだよ?」

エイワス「繰り返すが『わからない』だ。というか君は安穏としている場合なのかね?」

一方通行「……あァ?」

エイワス「シスターズというか打ち止めに流された『ウイルス』はまだ完治出来ていない筈だが?」

一方通行「テメェっ!」

エイワス「いいのか?放っておけば待っているのは、破滅しかない」

一方通行 カチッ

エイワス「私を消せばプランも大分後退するが。はてさて君に出来るかどうか」

一方通行「上ォ等だァ――」

上条「はいはいヤメヤメ」 カチッ

なんかたくさん投下来てたー!!

>>273
ごめんなさい。馬鹿がミッソー打ち上げるってから缶詰だったんです

一方通行「テメェ何勝手に――」

上条「エイワスに何かしたって、というよりエイワスが何かしたわけじゃないだろう?」

一方通行「だからってあのガキを助けるためなら、俺ァなンだってするって――」

上条「エイワス、今ここでお前を消す事でプランは後退するかも知れない。でもだからって打ち止めは回復するのか?」

エイワス「しないだろうね。むしろ彼女に利用価値が無くなれば、治療する必要も消える」

一方通行「テメェっ!!!」

上条「だったらどうすればいい?打ち止めの体を治すには、俺達は何が出来るんだ?」

エイワス「……そうだな。『禁書目録(インデックス)』を探す事だ」

一方通行「本かァ?」

エイワス「いや、彼女の記憶する魔導書の中に、打ち止めを助ける方法がある。君はもう目にしているだろう?」

一方通行「木原にウイルスを流し込まれた時に居た、あのシスターかァ!」

上条「で、その禁書目録ってのはどこに居るんだ?」

エイワス(……え?)

上条「まさか居場所は分からないのか?それとも移動しているとか?」

エイワス(君と住んでいるよ?今日の朝も噛まれていたよね?)

エイワス「あー、『インデックス』。あぁそうそう『インデックス』はね。もしかしたら君の近くにいるかも知れないよ?」

エイワス「例えばどこかのレベル0の家に転がり込んでいるのかも知れないね?」

上条「参ったな。俺と同じレベル0なんてゴロゴロ居るぞ」

エイワス(え?スルーなの?ボケる所じゃないよね?)

一方通行「近くってェも230万人の学園都市だぞォ。分かるワケがねェ」

麦野「そもそも学生だって保証はあんのかよ?下手をすれば外部から許可無しに乗り込んできた可能性だってあるし」

一方通行「シスター服なんざァ普通見ねェしなァ。巫女服は結構見っけど」

上条「そうすると探し出すには分かり易いって事か。あぁでもいつも同じ服とは限らないよな」

エイワス(いやだから君一緒に暮らしてるよね?毎日毎晩、あの子のおはようからおやすみまで面倒見てるよね?)

麦野「何ヶ月か前に、シスター服の連中が学園都市近くの教会で殴り合ってた、って話聞いたけど、そいつらじゃないの?」

上条「あ、ごめん。そいつら俺の知り合いだけど、インプラントなんて名前の子は居なかった」

フレンダ「……どうして上条がシスターと乱闘する羽目になった訳?」

上条「色々あったんだよ。アニェーゼとオルソラ、今頃何やってんのかな……?」

絹旗「おっぱい超大きそうな名前ですね」

上条「片方は小さいよ!」

滝壺「……片方“は”?」

エイワス「そうだな。君に心当たりがなくとも、そういうお友達に聞いてみたらどうだ?」

上条「学園都市に居た人間を魔術師が知ってる訳ない、と思うけど」

エイワス(イジメなの?ねぇタチの悪いイジメじゃないの?インデックスはいない事になってるの?)

一方通行「あァもう埒が明かねェ!禁書目録が記憶してる“かも”ってェ事はだ。その元となる知識があンだろ?」

麦野「そっちを調べた方が早いでしょうね。居るかどうかも分からない人間を捜すよりは」

垣根「あ、すいませーん。ポテマヨ三つとワインをボトルでー」

結標「焼酎ありますー?んじゃそれもロックで」

フレンダ「サバのカルパッチョ……美味しい訳?」

滝壺「頼んでみれば、わかる」 モグモグ

フレンダ「そうよね。すいませーん」

麦野「おいお前ら人の話聞けよ。つーか何完全に部外者モードになってんのよ!」

垣根「いやーなんかさー。よく考えてみ?俺らが死ぬ程――つーかまぁ一杯死んだけども――戦った挙げ句、取った情報が『ドラゴン』だったろ?」

結標「蓋を開けりゃキラキラのにーちゃん現われるわ、何よコレって思うわよね」

垣根「なんつーかな。俺らもしかしてアレイスターの変態趣味に付き合ってただけじゃね?とかそんな疑惑がね」

結標「まぁ確かに?アレイスターってホ×っぽかったけど」

フレンダ「マジでっ?ホントに!?」

結標「ぽくない?ってか食いつきいいな!」

一方通行「ホ×談義は置いとけェ。興味の無ェ奴ァ勝手に飲み食いしてやがれ。つーか目障りだから話に混じってくンな」 シッシッ

垣根・結標・フレンダ・滝壺・エイワス「はーい」

一方通行「って待てやゴラァァ!テメェまでそっち行くンじゃねェよ!」

エイワス「いや興味無いし。ホ×って何かね?アレイスターは私にそれを求めているのだろうか?」

フレンダ「『オイ上条ォ、俺ァ昔っからお前の事がァ』」 フラフラ

滝壺「『あくせられーた!俺も俺も実はお前の事がっ!』」

上条「実演すんなよ。そもそも実演出来んのかよ」

フレンダ「『上条ォ!』」 フラフラ

滝壺「『れーたっ!』」

一方通行「人の名前を勝手に略すなァ。展開早すぎだろォよ」

フレンダ・滝壺 ガシッ

結標「『ちょっと待った!』」

麦野「馬鹿劇団に参加すんなよ!?――ってうっわ、酒臭っ!?」

絹旗「そういう麦野は鮭臭――あぁいえ何でもありません。超言いたかっただけです」

結標「『俺の未元物質に常識は通用しねぇ!俺の性癖もだ!』」

垣根「……俺、他の人から見るとあんな感じなの?」

麦野「アンタのテンション振り切ってる時はまぁ割と」

結標「『お前らまとめて――俺が幸せにしてやんぜぇ!』」

フレンダ「『垣根ェ!』」 フラフラ

滝壺「『だーくまたー!』」

垣根「そんな呼ばれ方した事ねぇわ。どっかの白モヤシみてぇに本名非公開にしてる訳じゃねぇから」

フレンダ・滝壺・結標 ガシッ

絹旗「はいはいそこで出て来る幻想殺し超腹パンっ×3!」

バスッ、バスッ、バスッ

酔っぱらい三人「げふっ!?」

絹旗「あぁこっちは始末付けときますから、お話超続けて下さいね?」

垣根「ええ子や。もちっと大きけりゃなぁ」

上条「――で、どうなんだエイワス?」

エイワス「いや、非生産的な愛はちょっと」

一方通行「そっちじゃねェよ。むしろ聞きたくねェわ」

麦野「概念は理解しちゃったのね……」

上条「イン何とかに頼らなくても良い方法は無いのか?」

エイワス「そうだね。魔術結社に頼るのも方法の一つだけれど、君達の立場上拙いかも知れない」

垣根「最悪人質に取られるかも知れないしなー。なんつったけ?学園都市潰しにアックアだかって来たらしいじゃん?」

麦野(対外的にはそういう事になってんのか。ある意味間違いじゃないけど)

エイワス「ロシア――いやエリザリーナ独立国を知っているかな?」

麦野「近年ロシアから無理矢理独立した国の一つね」

エイワス「そこのエリザリーナという魔術師は、癒しの業に長けていると聞く」

エイワス「加えて独立国はロシア成教とも揉め事を起こしている。恩を売れば歓迎されるんじゃないかな」

一方通行「……俺向きの話だァな」

エイワス「だが忘れないでくれ。彼女が治療法を知っている保証はない。無駄足になる可能性だってある」

一方通行「それだけ聞きゃァ充分だァ、ンなもンはよォ」

エイワス「そうか。君は変わったんだな」

一方通行「煩ェよ」

上条「よし!んじゃいつ行こうか?」

一方通行「そォだな、ってお前は連れかねェよ?えっ?じゃねェよ」

上条「いやでも――」

一方通行「気持ちは有り難ェがアレだ。俺の喧嘩にお前が出る必要は無ェってンだろ……お前一人だったらノタレ死のうが関係ねェンだが」 チラッ

麦野(こっち見んなセロリ)

一方通行「つっーか何?レベル0に学園第一位サマが心配される覚えはねェしな」

上条「……分かった。でも何かあったら呼べよ?」

一方通行「あァ俺と垣根で行きゃァ大抵の事ァどうにかなる」

垣根「そうそう俺らが行けば――待って?ねぇちょっと待って?今俺の名前が出て来たんだけど?」

垣根「言ってないよね、俺行くって?何でそんなクソ寒い所についてく必要があるの?」

上条「そっか……そうだよな!垣根がついてれば安心だよな!」

垣根「そ、そうかな?いや俺別に行くって決まった訳じゃ――」

エイワス「そういえば――独立国の代表は、若くして多くの人間の信を集める才女らしい。天は二物を与えたとかなんとか」

垣根「……マジ?与えちゃったんだ、二物?」

エイワス「国一つ独立させるのだから、それ相応のカリスマを持っていて然るべき、とも」

一方通行「あァ英雄ってのはモテるよなァ。なァヒーローさンよォ?」

上条「俺は別にモテてないけど。でもきっと活躍すれば大人気じゃないか?」

垣根「あー……うん。れー太クン、俺達友達だよね?」

一方通行「なった覚えは――ってテメ手ェ離――」 モガモガ

上条「(空気読めっ!)」

垣根「友達のピンチ見捨てる訳に行かないよ!つーか行きたいよ!」

一方通行「……あァうン。だったらついてくればァ?」

垣根「なにそれっ!?お願いしますって頼む方じゃねぇのかよ!」

一方通行「……煩ェ、そのテンションがウルセェ」

垣根「いいか!?嫌だってつってもついていくからな!むしろ一人でも行くし!」

一方通行「お前ェホントっに期待を裏切らねェ馬鹿だよなァ」

上条「もう何しに行くのか分からなくなってるしなー……って絹旗?」

絹旗「……え?いえ、起きてます。超起きてますよ、はい」

麦野「まぁ色々あったしね、今日は。上条、送って上げなさいな」

上条「知ってたのか?」

麦野「ボロボロの服と煤だらけの髪を見れば、誰だって分かるわよ。他の子達はアタシが面倒見とくから、アンタも帰って良いわよ」

上条「んじゃ――あぁ一方通行、カエル先生の連絡先って知っているか?」

一方通行「知ってっけどさァ、冥土返しって言ってやれよォ。また人助けか?」

上条「知り合いの知り合いが意識不明の重体なんだけど、何とかしてほしいって」

一方通行「ふーン」 ピッ

上条「ありがと。後、こっちも」 ピッピッピ

一方通行「オイこれ超電磁砲とシスターズのアドレスじゃねェか!?」

上条「俺が借りイチ、って言えばまぁ大体助けてくれると思う」

一方通行「……ふざけてンじゃねェぞ。俺みてェな悪党が、今更どのツラ下げて頼めってンだよォ!?」

上条「……はぁ。面倒臭ぇな」

一方通行「ンだとォ?」

上条「本日四回目――あぁいや日付が変わったから、一回目か――の、そげぶっ!」

一方通行「あがっ!?」 ガッ

一方通行「ってェなテメェ!巫山戯てンじゃ――」

上条「巫山戯てんのはお前の方だ!」(胸ぐらを掴む)

麦野(あ、やばっ)

上条「お前は悪党なんかじゃねぇ。誰かのために命を賭けて戦う奴の何が悪党だってんだ!」

一方通行「……」

上条「いいか?お前を悪党だって言うヤツは、俺が全員ぶっ飛ばす!お前だってそうだからな!」

上条「胸を張れよ一方通行!お前はもう陽の下を歩いてんだ!」

一方通行「……下らねェ。ほンっとに下らねェよ」

一方通行「下らなすぎて、吐きそうだぜェ……」(トイレに向かう)

垣根「いいのか?」

上条「良いも悪いもあいつが決める事だしなぁ。あ、垣根も良かったら」

垣根「おけおけ」 ピッ

上条「何か悪いな。演技までさせちまって」

垣根「つーかステファニーと砂皿の件で、お前らには借り一つあったから。これでチャラって事で」

上条「あー……そういえば二人ともお前んとこだっけ」

垣根「ケンカ終わった後に仕掛けるなんざ、三流ですら有り得ねぇよ」

上条「でも気持ちは理解出来るしなぁ。だったら砂皿何とかならないかな?」

垣根「そうなぁ……冥土返しが未元物質の応用試験したい、って言われてんだが、アイツの順位上げるぐらいだったら、何とか」

上条「頼む!」

垣根「んー……カエル先生に祈っとけ。ま、ロシア行くのは学園都市以外の能力者ってのも気になるし」

上条「程々になー。あ、店員さんおしぼり貰えますか?」

店員 ポーッ

上条「店員さん?」

店員「は、はいっ!?」

上条「おしぼり一つ下さい」

店員「はいっわたしだったらいつでもオッケーです!」

上条・店員「……はい?」

麦野「……まぁそうなるわな。頭痛いわー」

垣根「うん。気持ちは分からないでもないけど」

上条「エイワス。携帯持ってたら電話番号交換しないか?」

エイワス「私と?必要ない。学園都市で呟けば聞こえるし、興味があれば顔を出す」

上条「そっか。それは頼もしいな」

エイワス「私は君達の味方ではないよ。かといってアレイスターにも与していないが」

上条「いや、お前は俺達の味方だよ」

エイワス「……何を根拠に?」

上条「お前や風斬の体って、俺やシスターズの能力から出来ているんだろ?」

エイワス「体“は”その通りだ」

上条「だったら俺達側じゃないか。お前にとって、学園生徒は身内みたいなモンだろ?」

エイワス「」

エイワス「……そうか、その発想は無かった……」

上条「ま、機会があったらヨロシク」

エイワス「興味が向けば、な」

上条「きぬはたー、絹旗?寝ちまってる?」

麦野「送ってってやりなさいな。デートってのは家に帰るまでがデートよ」

――絹旗ルート・エンディング?

馴染みの喫茶店がある駅前。
肩まで伸びた髪を手で整えていた女子高生は、待ち人が来ると笑顔を咲かせる。

絹旗「遅いです。超遅いです。一体わたしがどれだけ待ったかと超問い詰めたい」

上条「……いや、あの家出たの一緒だよな?乗った電車も車両も一緒だったし」

上条「そもそも一緒に暮らしているんだから、わざわざ外で待ち合わせする必要性が」

絹旗「いえでもデートって超こう言うもんじゃないですか?」

上条「どーだろ?俺、絹旗とした事しかないから、比較対象がなぁ」

絹旗「おっと朝一で超殺し文句が来ましたねっ!心臓に悪いから超やめて欲しいんですが」

上条「まぁ他の娘と行くつもりはないから、別に良いんだけど」

絹旗「だーかーらっ超奇襲禁止!」

上条「ん、はい、手」

絹旗「はいっ」 ギュッ

上条「あのすいません、こう、もうそれは手を繋ぐってレベルじゃねぇぞ、って言うか、実に素敵なものが腕に当たっていると言いましょうか」

絹旗「超あててますからねー。好きですよね?」 スリスリ

上条「大好きだよチクショウっ!」

上条の下条さん(えぇまったく)

絹旗「でっすよねー。誰が超ここまで育てたんだと。むしろ超責任取りやがれ」

上条「俺?俺の責任なのっ!?」

絹旗「だって小さい時から超大好きだったじゃないですか。というか彼女になった直後は、わたし超壊れるんじゃないかな、ってぐらい――」

上条「その話は後で!なっ、アンチスキルとか風紀委員の人が怖いから、ねっ!?」

絹旗「いやでも中学生だからー、とか、大事にしたいんだー、とか言ってた割には朝昼夜、おはようからおやすみまで、つーかむしろ超寝かさないぜ(キリッ)って感じでしたし」

絹旗「やだ誰かこの人の幻想壊してよぉ、ってわたしが超何度思ったかと」

絹旗「っていうか何だかんだ言って超アレですよねー。最初のデートで買った下着、結局超すぐ披露しましたっけ?」

上条「いやだから外でする話じゃねぇし……あの、そろそろ許してくれませんか」

絹旗「あ、ごめんなさい。超わたしの勘違いでした。見るのではなく、超脱がされた、ってのが――」

上条「そろそろ周囲の人から殺気が飛んでくるからねっ!二人の思い出をバラするのは良くないんじゃないかなっ!?」

絹旗「やれやれ超これだから――あ、でも上条?」

上条「うん?」

絹旗「おっきくなったわたし、超どうですかね?」

上条「どうって、何が?」

絹旗「あぁいや、そうではなく。超幻滅したり、とか、やっぱ小さい方が良かったなー、とか」

上条「あぁそりゃなぁ。誰だって不満の一つ二つあるかもしれないけど」

上条「好きになっちまえば、そんなの関係無いって言うか。俺は絹旗が一番だよ」

絹旗「――つまり、わたしが小さかった頃から超念入りだったのは、カスタマイズしたかった、と?」

上条「いやだから特定の部位の話じゃねーし!つーか恥ずかしくなるとボケる癖も変わらないよな!」

絹旗「いや、ですか?超嫌だったら、直しますっ!」

上条「いやいやっ、俺はその、絹旗のそういう所も、さ?」

上条「可愛いし、好きだなって思ってる」

絹旗「何ですかー?超聞こえませんよー?はっきり聞かせて下さいよ、ねーねーねーねー?」

上条「……お前、さっきから全部計算してるだろ?俺に恥ずかしワードを言わせて、MP削ろうとしてるよね?」

絹旗「さぁ何の事だか超分かりませんね」

上条「だーかーらっ!」

絹旗「きゃーいやー超たすけてー昨日の夜―性的な意味で寝かせてくれなかった人がー」

上条「腕組んでる時点で逃げる気無いなっ!?」

絹旗「全く、超悪い男に捕まっちゃいました」

上条「そうか?俺は良い女の子を捕まえたと思ってんだが」

絹旗「うっ、だからそーゆーの超禁止っ!」

上条「どうしろっつーんだよ……あぁもうどっか行こうぜ。話してるんだったら家でも同じだろ」

絹旗「そうですねー。ゲーセン!ゲーセン超行ってみたいです」

上条「あれ前興味ねぇよつってなかったっけ?」

絹旗「えぇ今も超興味ありませんが何か」

上条「んじゃ何で?」

絹旗「んーゲームはあんま興味ないですけど、ゲーム真剣になってる上条は超可愛いかなーって」

上条「主旨違ってんだろそれ」

絹旗「出会った頃に超言ってたじゃないですか、好きな相手となら何やっても楽しいって」

上条「あーうん、言った、ような?」

絹旗「超酷っ!?言った本人が忘れるって!」

上条「いやほら、あれだよ。その、ずっと一緒だったじゃん?俺ら」

絹旗「ええもう『アイテム』のみんなに同棲発表した時は、超ロリ×ンペ×野郎お前もう一方通○って名前にしちゃいなよyouの大合唱でしたしねー」

上条「だからその、ずっと楽しかったっつーか。もう俺の人生、絹旗補正がかかっていたようなモンでね?」

絹旗「成程成程、上条はわたし無しじゃ超生きていけないと?」

上条「無理だな。つーか死んじゃう」

絹旗「仕方がないですねー、うん。ホント超仕方がないんですから……ねぇ、上条」

上条「ん」

絹旗「これからも、わたし、この手を超離しませんからっ!」

――深夜の路上。月が輝く夜の帰り道

絹旗「――ああうん、超分かっていましたとも。どうせ夢オチなんですよね」

絹旗(というか彼氏彼女になっても名字呼びなんて、超有り得ないです……わたしの想像力に超限界があるんでしょうか?)

上条「おー、起きたか?」

絹旗「えぇ自分で超歩けます、っと」 トンッ

絹旗「えっと、その」

上条「あぁうん、はい」

ギュッ

絹旗「か、上条」

上条「うん?」

絹旗「月が、綺麗ですね」

上条「えぇ、とても」

絹旗「――え?」

上条「まぁ、その、なんだ」

上条「ゆっくり歩いていけば、良いと思う」

絹旗「わたし達には、わたし達のスピードで、ですか?」

上条「別に急ぐって訳じゃないし。だよな?」

絹旗「いやーどうでしょう?あんまり遅いと、今日みたいに一人で何処かへ超行ってしまうかも?」

上条「そりゃ心配ないさ。俺達はこうやって、繋がっているんだから」

絹旗「あちゃー、超悪い男に捕まってしまいましたー」

上条「人聞きが悪すぎる!あ、そうだ。半券――って焦げちゃってるなぁ」

絹旗「超格好つけるからですよ。上条のクセに」

上条「だよなぁ。やっぱ慣れない事はするもんじゃない」

絹旗「でも――何だかんだ言って、超来てくれるんですよね?」

上条「いやもう行かない」

絹旗「えっ!?」

上条「ずっとこうやってりゃ、危なくなる前にわかるからな」 ギュッ

絹旗「……」

上条「あ、ごめん。怒った?」

絹旗「いえ怒りはしませんが。そのっ、超ビックリしました」

絹旗「なんかそれ告白っていうか、プロポーズ、みたいですよね?」

上条「……」

絹旗(え、なんですこの超沈黙?もしかしてさっきのは超予知夢?)

絹旗「……か、上条?」

絹旗(って事はあれですよ超アレです。今日は色々あったから下着取り換えないといけませんし、幸い買ったブツがあってラッキー――って超混乱してますねわたし)

上条「絹旗ってさぁ?」

絹旗「は、はいぃっ!?」

絹旗(き、来たっ!?いやでも麦野とか滝壺に悪いなって超思ったり!いやでも断る選択肢は超有り得ない訳ですからっ!)

上条「結構ロマンチック?」

絹旗「はいっ!わたしで良いなら超喜ん……はい?」

上条「それとも結婚願望強い方か?」

絹旗 ギュウウッ!

上条「痛い痛い痛いっ!?折れるからっ!?」

絹旗「まぁ分かっていましたけど、上条は超上条なんですから。全く」

上条「悪いの俺か!?」

絹旗「他に誰が超居ると?」

上条「きぬ――じゃないですね!俺だよねっ!」

絹旗「あのですねぇ。夜空には超綺麗な月ですし、辺りには人も居ません。でもって昼間二人で超死線をくぐり抜けてきたばかりじゃないですか」

上条「死にかけるのはいつもの事だけど。自慢にならないけどなっ!」

絹旗「割と超雰囲気あると思いません?むしろ勢いで超告白しやがれ的な」

上条「あーうん、まぁそうかな?」

絹旗「むしろさっきの夢は超予知夢だったのかと。どっかで履き替えるべきなのか、超真剣に悩んだわたしは何だったんでしょう」

上条「いやごめんな。空気読めとはよく叱られるけど」

絹旗「全くです、超全くですよ。上条は超反省すべきかと」

上条「本番は、きちんとするから」

絹旗「ですね。そうして貰わないと超困ります――っていま、今今今っ、何か超変な事言いませんでした!?」

上条「で、半券なんだけど」

絹旗「いやいやいやいやっ!超そこの所をはっきりして頂きたい!後出来れば、ちょっと着替える時間を超要求しますっ!」

上条「要らない?」

絹旗「超まさかです!欲しいに決まってるじゃないですか――そのっ!」

絹旗「また、超行きましょうね?」

上条「ああ。みんなで行こう」

絹旗 ムカッ

上条「半券届けてくれた娘が居るんだけど、そいつも映画好きなんだって。多分中二ぐらいだし、絹旗と気が合うんじゃないかな?」

絹旗 ムカムカッ

上条「……いやあの手、痛いんだが」

絹旗「乙女心を超理解しない男には超オシオキですかねー」 ググッ

上条「いやだからどういう意味――って折れる折れる折れるっ!?」

絹旗「って言うか、上条は超罰ゲームで一生わたしのパシリ確定なんですから。そこの所をもうちょっと超わきまえて下さいね?」

上条「待て!電話のやりとりは時間稼ぎだから!別に本気で言った訳じゃ――」

絹旗「そこは『あぁ一生ヨロシクな』(キリッ)って超言う所じゃないですかっ!?」

上条「ちょっと待って!珍しく俺としてはノーダメージで終わりそうだってのに、何で味方から攻撃がって折れるからああああああああああっぁっっっっ!?」


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

絹旗「この手を――」上条「あぁ、離さない!」 -終-



読んで下さった方、またご支援頂いた方には多大な感謝を。駄文長文、失礼致しました

余談ですがこのSSの添削を上司へ頼んだ際の感想が、
『取り敢えず上条×絹旗(小)の初めてを、電撃フォーマット30枚で書いてきなさい。待ってるから、超待ってるから。フレンダ編なんてどうでも良いから、ね!?』
でした。名無しの中にマリアンさんいらっしゃいましたら、奴を女子小学生の自転車のサドルへ改造してやって下さい。多分喜びますから

超途中まで読みました
ただ、>>1に言っておきます
あんたは超孤独なんかじゃないと
多分、時間帯のせいもありますし、ここの住人は基本夜に活動する事が常です
一度に多く投下するよりも、区切りをつけて超少しずつやるのがいいんじゃないですかね?
楽しみにしてるので頑張ってください

>>286-287
ありがとうございます。
でもどっちにしましょうか?実はフレ編は100%完成しているんですが。
仕事の都合で中々抜け出せないのがありまして。お察し頂ければ幸いです
一応、予告だけは投下しときます

――次回予告

女「あーうん。なんか言い残す事があれば、言ったらいーの。墓に刻んであげるし――」

女「って何よこれ。ウチの妹はそんなにひんそーな体してないし」

少女「あっはっはっはっはっはー、まんまと騙されたって訳よ!」

女「誰だし。つーかこんなチンチクリンと間違えんなよ、騎士団長。服が同じだからってお前達の目は節穴なの?」

少女「ちょっと聞いてよ!?折角あんたの妹とすり替わったんだからっ!」

女「縛ってその辺転がしとけばいーし。カーテナを汚すのは勿体ない」

少女「いやだから話を聞いて!?」

女「あーでも、ウチの無能な事だ。一人で逃げられる根性もないだろーし……ふむ」

少女「ねぇあんたっ!なにがしたい訳?ブリテンを戒厳令下に置くなんて正気じゃない!」

女「お前に理解出来ない高度な政治のお話だし。とゆーかだな、国民としては国から庇護を受ける一方、義務を果たすのが当然――」

少女「関係無い訳!そんなのくっだらない訳よ!」

女「……ふーん?お前には国家と臣民の関係よりも、下らなく無いモノがあるの?」

少女「あんた、あの子のお姉ちゃんでしょ!?なのに、なんで酷い事しようとしてんのよ!」

女「感情論だし。あのクズも人望だけは人並みあるが、それ以外は全っ然ダメだし」

女「せめて姉上のよーな一芸でも持っていれば、まだ生かす価値はあったん――」

少女「馬鹿じゃないの?っていうか馬鹿じゃないの?」

女「あーん?」

少女「あんたは国を動かしたがってるみたいだけど、結局絶対に失敗する訳。あたしの命を賭けたっていいし」

少女「国ってのは色んな家族が集まった訳だし。家族がいーーーーっぱいあって、お互いを支えようって事じゃないの?」

女「だから私は――」

フレンダ「お姉ちゃん、って言うのは絶対に妹を守らなきゃいけないし!妹の我が侭を聞かなきゃいけない訳!」

フレンダ「家族は家族同士で助け合わなくちゃいけない訳!そんな簡単な事も出来ないし、分からない。分かろうともしないあんたが――」

少女「国を護るなんてのは結局――『幻想』って訳よ」


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

フレメア「お姉ちゃんをいじめるな、にゃあ」フレンダ「なんであたしハブられてる訳!? -完成済-

フレメア「お姉ちゃんをいじめるな、にゃあ」フレンダ「なんであたしハブられてる訳!?


※注意
上条さんTUEEEEEEE!がしたかっただけのIFストーリーです
要は『上条さん×アイテム』なのですが、今回のメインヒロインはフレンダさんです
「フレメアと打ち込んでたつもりが、いつの間にかハピメアになっていた」と言う方にお勧めします
(あと上条さんの説教好きな方にも是非読んで頂きたいです)

日常:戦闘:ラヴ:コメ=4:2:1:3、ぐらいです

それでは最後までお付き合い頂ければ幸いです

――いつもの喫茶店

上条「ちーす」

フレンダ?「にゃあ」

滝壺「あ、かみじょう。ふれ――んだ?」

━┯━┯━
滝│  │絹
上│机│麦

フ?│  │
  └─┘
 廊  下


麦野「お疲れー」 ペラペラ

絹旗「超どーもです」 ジーッ

上条「いやー、駅前でフレンダと会ったんだけどさ、最初他人のフリ――って二人は何見てんの?カタログ?」

絹旗「えぇこの間麦野が部屋を超ぶっ壊した件がありましたよね?」

上条「あったなぁ。随分昔のような気がするけど」

麦野「アジト2に間借りしてたんだけど、家具を新調して本格的に住もうかなってね」

上条「貸しビルに?マンションとかアパートじゃなくて?」

麦野「……ま、それは事情がね。私も完全に納得した訳じゃないんだけど」

フレンダ?「上条、私パフェ食べたいのだ!」

上条「あぁサバパフェだっけ?」

フレンダ?「そんな不味そうなもの食べないのだ!お姉ちゃんじゃあるまいし、にゃあ」

フレンダ?「抹茶パフェ、大体ー女の子はスイーツで出て来ていると言っても過言じゃないのだ!」

上条「へいへい。すいませーん、注文お願いしまーす!」

絹旗「あれ……フレンダ?髪切りました?いつもよりイメージが超違うような?」

フレンダ?「にゃあ?」

絹旗「いや、すいません超気のせいでした」

麦野「あー何か違うわね。いつもより賢そうって感じ?」

滝壺「……んー」

上条「どったの?」

滝壺「拡散力場がふれんだと違うような……?」

上条「体調でも悪いんじゃないか?」 ピトッ(額に手を当てる)

パキイイィンッ

滝壺 スリスリ

滝壺「……気のせいだった」

店員「お待たせしましたー!抹茶パフェとオムライス一つお持ちしましたー!」

フレンダ?「にゃあ!」

上条「あ、すいません。オムライス、ウチのテーブルじゃ頼んでないんですけど」

店員「いえいえ!これはウチのお店の試作品ですので、お代は結構です!」

上条「そっか。今日ついているな」

店員「感想は良かったらお願いしまーす!」

上条「ん、ありがとうございます」

麦野「新メニュー、ねぇ」

絹旗「いえ超頭痛い。というか悪い?」

上条「ん、食べようぜ?」

麦野「アタシの目にはそのオムライス、『上条ラブ(はぁと)』って書いてあるように見えるんだけど」

上条「そういうサービスだろ?アキバ系のってテレビで見た」

絹旗「まぁそれは百歩譲って超そうかも知れませんが、何故かついているお子様ランチ用の旗に、店員さんの名前と携帯電話の番号が書かれているってのは」

滝壺「おっきな釣り針にしか、みえない」

上条「感想聞きたいって言ってたからそれだろ?食べないのか?」

絹旗「わたしはちょっと。色々超お腹いっぱいと言いますか」

麦野「何入ってるか分からなくて食欲失せるわね」

フレンダ?「お姉ちゃん達が食べないんだったら、私がもらうのだ!」

上条「ホラホラ口にクリームついているから」 フキフキ

フレンダ?「にゃー……」

麦野「んー……?」

絹旗「どうしましたか?」

麦野「フレンダ何かおかしくない?違和感があるって言うか」

絹旗「わたしも超感じているんですけど、別に普段と変わりありませんしね」

滝壺「失敗してかみじょうにフォローして貰うのも、ふつう」

麦野「あ、じゃあアレやってみなさいよ」

絹旗「アレって超何ですか?」

滝壺「アレはフリがないと使えない。あの人は日本にいないから無理……」

絹旗「ですから一体何を――」

PiPiPi……

上条「お、一方通行からだ。スピーカーにするな」

一方通行『俺だが……聞こえるかァ?』

上条「大丈夫。ちょっとハウリングしてるけど」

一方通行『こっちは設備が悪ィんだよ。お前の取り巻き連中も聞いてンのかァ?』

麦野「ウルセェぞセロリ野郎。さっさと用件言うか萎びるか選びな」

一方通行『……お前、こンな女のどこが良いンだァ?苦労するのが目に見えてンじゃねェか』

上条「麦野は笑った顔も素敵なんだ」

麦野 ブッ!?

絹旗・滝壺 チッ

一方通行『……いやまァ良いけど。それよっか現状報告だァ。結論から言やァあのガキは――』

打ち止め『ねぇねぇ何やってるの、ってミサカはミサカは電話機の周りで騒いでみる!』

一方通行『って煩ェよ!大事な電話だから静かにしとけっつッたろォが!』

麦野「おー元気になってんのね打ち止めちゃん」

打ち止め『ってその声はおっぱいのお姉ちゃん!お久しぶりなのだ!とミサカはミサカは――』

一方通行『あーもうひっこンどけ!』

絹旗「超お知り合いですか?」

麦野「お菓子あげる約束してんのよ。退院祝いと一緒になりそうで良かったわ」

一方通行『――つーワケで、取り敢えず学園都市に居た頃みてェに、今日明日どうこうってェ状態じゃ無くなった』

上条「治ったのか?どうやって?」

一方通行『完治はしてねェ。何か医者が言うにはネットワーク自体から、恒常的に“毒”みてェのが流されてるンだそォだ』

一方通行『だもンで対処療法しか無かった筈なンだが――』

一方通行『一度だけイ、イン――何だっけ?』

上条「井口裕香?」

一方通行『あァその井口裕香ってェのが、コイツのウイルスを和らげようと一回『歌』を歌ってンだァ』

上条「一回聞いただけで覚えられたのか?」

一方通行『いや。だがコイツの記憶やネットワークの中に音声データが全部残ってる筈だってな』

一方通行『お前から紹介されたシスターズに頼ンだら、事情を話さねェウチにデータを送ってくれた』

上条「……そっか」

上条(御坂妹……10032号か。お礼言わないとな)

麦野「おいおいそんな簡単に行くのかよ。つーかなんてご都合主義だよ。日本にゃねぇ解決法探しにロシア行ってたまたま見つかるなんざ、有り得ないでしょうが」

一方通行『井口裕香が歌ったのは“アンブロジオ旧聖歌断章・Alma Redemptoris Mater――「アルマ・レデンプトリス・マーテル(救い主のうるわしき母)」”』

一方通行『要は三世紀頃、東方教会の聖歌として謳われていた歌なンだそうだ』

一方通行『もっともその後すぐローマ十字教に吸収されちまってるから、オリジナルは失伝してンだがな』

麦野「あー……はいはい。だからアンタ達はエリザリーナ独立国に行った――と言うより、行かせられたのね」

絹旗「超どういう意味ですか?」

麦野「あの辺り、独立国を含めた東欧諸国はロシア成教と東方教会の影響を受けてんのよ。人種や文化、価値観その他にもね」

麦野「地方は東方教会の流れを汲んだ所が多かったんだけど、モスクワ大公国、ロシア帝国、ソビエト連邦とほぼ国教扱いのロシア成教の影響下に入るしかなかったのよね」

麦野「まぁそこはそれ天草式みたいに、看板だけ掲げて実は裏で――って形で東方教会の信仰やら教義が伝わってたんでしょうよ」

麦野「だもんであの子にアンブロジオ聖歌が効くって言うのなら、失伝されていない所……まぁ多少なりとも欠片が残っている所じゃないと無理なのよ」

絹旗「つまり最初から治す方法をエイワスは超知っていて、井口裕香無しでも可能性がある場所――つまり独立国へ向かわせた、と」

上条「詳しいんだな、麦野」

麦野「まぁ念のために、ね」

麦野(アックアみたいな、変則的な能力者と対抗するためには必要になりそうだからね)

一方通行『つーか向こうのお偉いさンも、失伝した部分が戻りそうだって喜ンでるぐらいだしなァ』

上条「でも完全じゃないんだろ?」

一方通行『あァ一日二日で完治はしねェ。不完全なままだから、免疫療法みてェに少しずつ治るのを待つしかねェンだと』

一方通行『っても音声データから歌詞やら音階の割り出しは難しくねェし、一ヶ月もありゃ不完全ながら断章聖歌が断章じゃなくなンだとよォ』

上条「って事は!」

一方通行『あァまァどンなに遅くっても、そン時にゃ打ち止めは治ンらしいぜ』

上条「そっか。良かったな!」

一方通行『あァうン。まァ。その、な――』

滝壺「『ヤベェな。この胸のトキメキ、こりゃア何だァ?』」

麦野「(行け!フレンダ!)」

絹旗「あーはいはい。超確かめるアレ、ってこれですか」

フレンダ?「『風邪?いやァそんなンじゃねェ、これは、これは!』」

フレンダ?「『インフルエンザなのだ!』」

麦野「あーほらやっぱりいつものフレンダじゃない」

絹旗「いえ、でもいつもより超キレが鈍いような……?」

滝壺「……」

絹旗「滝壺?」

一方通行『なンか盛り上がってるみてェだけど、そろそろ切るわ』

上条「あぁわざわざ電話アリガトな。あと垣根はどうしてる?」

一方通行『あァなンかフッサーってしてる。バカ無双?』

上条「ま、まぁ元気ならそれで。うん」

一方通行『勝手についてきた癖に、もう飽きたっつってたから、もしかしたら一人で帰るかもしンねェなァ。そン時はフール宅急便で送るわ』

上条「人体は無理じゃね?」

一方通行『そン時ゃ小分けにすりゃ大丈夫だろ――あと、あーそのなンだ。お前には借りが出来た、つーかな』

上条「俺は何もしてないって。みんなお前の頑張りが結果出しただけだよ」

一方通行『……そォかァ?悪りィな』

一方通行『実ァ音声データ貰った10032号がな、“お前に給料三ヶ月分のアレ買って貰える”ってェ呟いてたから、心配だったンだかよォ』

上条「」

一方通行『お前がそう言ってくれンなら、俺ァ気にしねェ事にすンよ』

麦野「オイコラセロリさらっと問題発言してんじゃねぇぞ!どんな流れでそうなった!?」

一方通行『いやァ借りイチって言っていい、つったからァまァいいかなって』

麦野「テメェがどんだけデカい不発弾投げ込んだか、乗り込んでア××に刻むぞクソ野郎!何でアタシらがテメェのオ×××に付き合わされんだ!」

一方通行『まァ別にいいンじゃねェかな?一人二人増えンのも変わンねェだろ』

麦野「変わるだろ!物理的に一人当たり減るでしょうが!」

一方通行『……なァ?お前らマジでそっちの方向へ向かうワケ?倫理がどォたらじゃなく、三下のカラダ保つンかァ?』

上条「言ってる意味が分からないんだが……」

一方通行『……まァいい。借りは気が向いたら返すわ』

麦野「ツンデレか。似合わねぇよ」

一方通行『煩ェよ。じゃァな』 プツッ

上条「元気そうで良かったよ。垣根が帰りたがっているのは意外だけど」

麦野「アイツらあっちに住むかもね。学園都市に居ればそれだけ訳の分からない抗争に巻き込まれるし」

上条「いや、一方通行は帰ってくるよ。アイツが守りたかったモノってのは、打ち止めだけじゃないんだからな。ってどした滝壺?」

滝壺「……この子、ふれんだじゃない!」 ガタッ

絹旗「いえ、超フレンダでしょう?」

麦野「どう見てもフレンダよね?」

上条「フレンダじゃなかったら、誰だって言うんだよ?」

フレンダ?「にゃあ?」

滝壺「……あ、ごめん勘違いだった……」

フレンダ「ちょっと待ったあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

フレンダ?「あ、お姉ちゃんなのだ!」

麦野「どうしたのよ、フレンダ――フレンダ!?じゃあ、こっちのは一体――」

絹旗「超待って下さい!敵の能力かも知れません!」

上条「見損なったぞ海原!ロ×をこじらせて幼女に化けるようになったなんて!」

滝壺「……くっ、力場もウリ二つ!」

フレンダ「いや違うわよね!?たった今この娘わたしの事『お姉ちゃん』って言ったし!」

フレンダ「ビックリしたわよ!このまま置き去りにされたまま話進むかと思った訳!」

フレンダ「って言うか待ち合わせの場所に居ないと思ったら、どうしてここに居る訳っ!?」

上条「あーうん俺俺」

フレンダ「あんたかあああっ!?つーかフレメアもどうして!?知らない人と不幸そうなツンツン頭について行っちゃいけないってあれ程言ったのに!」

絹旗「躾としては超しっかりしてますね」

麦野「後は杖ついた白モヤシも入れれば完璧だな」

フレメア(フレンダ?)「大体―お姉ちゃんの匂いがしたのだ!」

フレンダ「あぁもうどうしてこの子は危機感がない訳っ!?……というか結局8歳児と間違われる中二って一体……?」

絹旗「まぁ、超若く見られる、と言う事で一つ」

フレンダ「有り得ない訳っ!?」

フレメア「上条も、お姉ちゃん達も良くしてくれたしー」

フレンダ「それはねフレメア。見てご覧なさい、あのおねーさんを」

麦野「私かよ」

フレンダ「昔は『ぶるあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』って奇声を上げながら、所構わずオプティックブラス○かましていたのに、今はもうあんなに大人しくなって!」

麦野「オイ誰がサイクロップ○だ。映画版では悉くヘタれた奴と一緒にすんなよ」

滝壺「ゲーム版から入ったファンは性格の悪さにドン引き……」

絹旗「でもウルヴァリ○の女癖の悪さも超悪かったですし。おや、誰かと超デジャブが?」

上条「こっち見るな。あと中の人が忙しかったんだよ!」

フレンダ「じゃあ隣のあの子を見なさい!」

絹旗「はぁわたしが超何か?」

フレンダ「昔は『マッタダンガー!』とか言いつつ全員銀色でスーパーアーマー張っていたってのに!今はもう年下後輩キャラ気取りで!」

絹旗「確かにわたしの能力とコロッサ○は超似ていますけど。てかあの勝利ポーズ何を言っているのか、未だに超謎ですが」

麦野「てかメンバーの中にテレパス居たし。ボマーは居なかったみたいだけど?」

滝壺「くのいち……嫌いじゃない」

フレンダ「ねっ!?」

上条「いや、『ね』の意味が分からない」

フレメア「お姉ちゃんをいじめるな、にゃあ!」

フレンダ「なんであたしハブられてる訳!?」

麦野「むしろ因縁ふっかけられていたのは私達だと思うけども。なんかこう、色々ごめんなさい」

絹旗「えぇわたしもアレでしたし、超さーせん」

上条「と言うかフレンダも落ち着け。妹さん?の前だろ」

フレンダ「……ちょっと目を離したら、『アイテム』の一員になっている妹を見れば、誰だって錯乱する訳……」

上条「と言うか妹居たんだ?」

フレンダ「あー、うん。まぁ?」

麦野「上条。人んチの事情に首突っ込むのはルール違反よ」

フレンダ「居るのは分かっちゃった以上、別に良いと思う訳」

絹旗「まぁ仕方がないので、以後超注意って事にしましょうか」

フレメア「上条、あーん」

上条「ん、あーん」 モグモグ

滝壺「……既にフラグは建設済み。あきらめよ、ね?」

フレンダ「だからあれ程ツンツン頭の不幸そうな男には近づくなと口を酸っぱくした訳よ……!」

フレンダ「だってこの先どうなると思う!?結局フラグを立てたまま放置されるって訳!」

麦野「ま、まぁ別に私達の仕事――活動とは関係無いだろうし?大丈夫でしょ」

絹旗「そもそも普段から生活している範囲が超違いますし、そうそう遭うって偶然もないですってば」

フレンダ「甘いわね!見なさいよアレをっ!」

上条「はい送信っと」 ピッ

フレメア「にゃあ!友達なのだ!」 ピッ

麦野「幼女にフラグ立てるどころか、早々とメールアドレスを聞き出す、か」(遠い目)

絹旗「えぇもうこれはそういうモノだと超諦める方が良いかと」(新しい妹を見るかのような優しい目)

麦野「あ、でもそうしたら絹旗が最年少じゃなくなるわね」

絹旗「なんとっ!あーでも年下キャラ+甘えたがりには、最年少属性は超捨てがたいんですよねー」

フレンダ「どうせアドレス消したとしても、『実はレシートの裏に書いていました』的なトリックで覚えている訳!」

滝壺「もしかしたら特製オムライスの旗が伏線かも……?」

フレンダ「それよっ!フレメアが事件に巻き込まれて、助けを呼ぼうとしてもアドレス消しちゃったから、分からなくって!」

フレンダ「でも何となくとっといた旗から!店内に居る上条に連絡を取って貰うって訳!」

滝壺「『どうしたふれめあ?ふれめあっ!?今どこに居るんだっ!?』」

フレンダ「『上条っ、何か真っ白くて杖をついたモヤシが、かきくけこ言いながら追い掛けてくるのだっ!』」

麦野「そのセロリは今ロシアだから。流石にロ×目的で学園都市まで遠征は……やりかねないわね」

滝壺「『待ってろ!俺が行くまでそこを動くな!』」

フレンダ「『にゃ、にゃあ!早く、はやく――』」

絹旗「割とありそうな話ですが。超良いんですか?」

麦野「どっかかのバカがあの子達を人質に出来るんだったら、とっくにしてるでしょうよ」

絹旗「まぁフレンダの戦闘力も超一般人よりちょい足し程度ですしね」

麦野「つーかアタシがフレンダ灼こうとしたのが広まってるらしいし、んな心配は要らねぇと思うがな」

麦野「それよりアタシには家に置くベッドの事で頭が一杯なのよ!」

麦野「あーホラ、絹旗もそうなんでしょ?だったら後から揉めないように、アンタも選びなさいよ」

絹旗「えぇまぁ超言いにくいんですが……良いんですか?」

麦野「良いも悪いもねぇわよ。つーかもうそっちは諦めてるし」

絹旗「それに関してはわたしも超投げているんですが。そういう意味ではなく、ダブルで超足りるのか、と」

麦野「何?あんた今から増量する予定でもあんの?まぁ三人だと狭いっちゃ狭いかぁ」

絹旗「出来れば縦に超したい所なんですが、そうではなく。三人で終わるのか、と」

麦野・絹旗「……」

麦野「……と、取り敢えずえっとキングサイズ?四、五人で寝られるサイズがありゃ、充分――よね?」

絹旗「あ、でも更に上にはカリフォルニアキングとロングってのが超ありますね」

麦野「だったらキング二つ並べた上が良いんじゃねぇかな」

絹旗「あんまり大きすぎるのも、離れて超寂しいですよ」

麦野「盲点だわ。だったら暫くクイーンで?」

絹旗「キャパ超えたら……まぁその記念として、その都度超買い換えるという事で」

麦野・絹旗「……はぁ」 チラッ

フレメア「上条はお姉ちゃんの恋人――じゃないかー」

フレンダ「疑いすらしなかった!?」

滝壺「……見えないし」 ボソッ

上条「フレンダは可愛いし元気だしで好感はもてるけどなー。仲間相手にそういう目で見るのも失礼だろ?」

フレンダ「にゃあ。良くわからない」

上条「フレメアは良いねーちゃんが居て羨ましい、って事だ」

フレメア「お姉ちゃんが居たらいいなー?」

上条「いやフレンダはちょっとウザい」

フレンダ「そこは話の流れで『うん』って言う流れだと思う訳よ!」

滝壺「あ、ふれんだ、それ自爆ふらぐ」

フレンダ「へっ?」

上条「俺もフレンダみたいな姉ちゃんは欲しいかも?」

フレメア「にゃあ!だったら私と結婚すれば、お姉ちゃんは上条のお姉ちゃんになるのだ!」

滝壺「よし戦争だ!」

上条「待て滝壺!テーブルを持ち上げるな!」

滝壺「なんか、このガキとは前世の頃からの因縁がありそう……」

フレンダ「妹がっ!妹までもが上条の毒牙にっ!?パパママごめんなさいっ!」

上条「身に覚えが無さ過ぎる!?」

フレメア「にゃあにゃあ」 スリスリ

麦野・絹旗「……」

麦野「8歳、8歳なぁ……」

絹旗「わたしと大体5歳差ですね」

麦野「無い、わよね?」

絹旗「無い無い。超無いですって、ねぇ?」

麦野「まぁでも」

絹旗「覚悟だけは、超しておくって事で」

――同時刻。イギリス・学園都市関連施設。能力開発機構

男「ここかー。まさか海外まで飛ばされるとは思わなかったなー」

赤いキャスケットを被った少女「すいません。ここは関係者以外立ち入り禁止ですよね、とミサカは懐に忍ばしたナイフを確認しながら誰何します」

男「怖えぇよ!?いやだから俺は、えっとね、ちょっと待ってね?」 ゴソゴソ

浜面(男)「学園都市から研修に来た、浜面って言います」(書類を見せる)

赤いキャスケットを被った少女「お待ちしていました、とミサカは営業スマイルを浮かべます」

浜面「いや、これっぽっちも笑ってねぇからな?」

浜面(手書きの“1”と7000号は印刷文字の名札?なんて読むんだ?ホーム○っぽい帽子被っているし、変わった読み方とかすんのかな?)

17000号(赤いキャスケットを被った少女)「ミサカは17000号です。以後ヨロシクと握手を――やっぱり拒否します」

浜面「まんまかよ!って言うか呼びづらっ!つーか手袋してんじゃん!」

17000号「運気が下がりそうだなーとは思いますが、ミサカは相手を思いやって口には出しません」

浜面「言ってるからな?さっきから俺のガラスハートはブロークンだからな?ペルソ×だったらコミュ止まってるよ?」

17000号「あの人以外の異性には極力触りたくないのです、とミサカは勘違いしてストーカーになりそうな男に先手を打ちます」

浜面「……うんまぁ、もういいから、俺は何すればいいか教えてくれねぇかな?」

17000号「ではこちらへどうぞ」

……

浜面「庭、だよなぁ。ガーデニングを途中で放置したように荒れてるけど」

浜面(つーか目立つなドラム缶。薬品かなんかの借り置き場?)

17000号「ではまず地面をご覧下さい。下に石灰で白線が五本引いてありますね、とミサカは地面を指さします」

浜面「あるなぁ。それぞれの端っこに1番から5番までの数字も書いてある」

17000号「五本の白線、全ての端にドラム缶が立っているのが見えますよね?とミサカは基本的な確認をします」

浜面「わかるけど。ミ○四駆のゼロヨンレース場?」

ミ 浜

 ●━━━━━ 1
 ●━━━━━ 2
 ●━━━━━ 3
 ●━━━━━ 4
 ●━━━━━ 5

17000号「まず1番のドラム缶を数字の脇まで押して下さい、とミサカは非情な事実を言い放ちます」

浜面(非情?どゆこと?)

浜面「分かったけど……ってこれ重っ!?ふんぬぐぐぐぐっ!」

17000号「早くした方がいいですよー、とミサカはノルマをさっさとこなすようせっつきます」

浜面(ノルマ?なにそれ?)

-10分後-

浜面「ぜーっ、ぜーっ!終わったぜチクショウ!」

 ━━━━浜● 1
 ●━━━━━ 2
 ●━━━━━ 3
 ●━━━━━ 4
 ●━━━━━ 5

17000号「はい、お疲れ様でした、とミサカはねぎらいの言葉をかけます」

17000号「では続いて2番から5番のドラム缶も同じ要領で移動させて下さい、と早く仕事をするよう促します」

浜面「はぁ?結構時間かかったのに、つーかフォークリフトで運んだ方が早いだろ」

17000号「……」

浜面「……」

17000号 チャキッ

浜面「なんでナイフ抜くの!?意味が分からないからっ!」

17000号「いえ、私の指示が良く聞こえなかったようなので、耳の隣へもう一つ穴を空ければいいかなー、とミサカは親切心を露わにします」

浜面「分かったよ!?やればいいんでしょっやればっ!」

-40分後-

 ━━━━━● 1
 ━━━━━● 2
 ━━━━━● 3
 ━━━━━● 4
 ━━━━浜● 5

浜面「終わったー!クソ、やってやったぜ!」

17000号「はいどうも。で、嫌な予感は感じていると思うのですが、とミサカは不吉な前置きをします」

浜面「ま、まさか!……いやー、それは流石に」

17000号「ドラム缶を全て元へ戻せクズ野郎、とミサカはマニュアル通りの言葉を投げかけます」

浜面「なんでだよっ!?つーかおかしいよ!おかしいだろっ!?」

17000号「……」

17000号 チャキッ

浜面「わかってた!そう来るのは分かってたよっ!?でもどうせもう一回あるんだよなっ!?」

-50分後-



 ●浜━━━━ 1
 ●━━━━━ 2
 ●━━━━━ 3
 ●━━━━━ 4
 ●━━━━━ 5

浜面「……死ぬ、もう駄目、動けないもの、足ガクガク大爆笑だもの……」

17000号「トータルで100分ジャストですか、悪くないタイムだとミサカは賞賛します」

浜面「……なに?何なの?新人へ対する嫌がらせなんか?」

17000号「それでは庭の壁にある時計の横をご覧下さい、とミサカはぴしっと指さします」

浜面「いや、結構ノロノロしてっけど。あースコアボードみたいに『001』って出てんな」

17000号「ちなみに先程中庭へ入った時、数字は見ましたか?とミサカは気の毒そうな顔を作って訊ねます」

浜面「無表情だし。いやー……確か『000』だった気がする――ってこれまさか!?」

17000号「はい。今の行程をする事が『1』です。加えてこの支部で行っている能力開発のメニューはこれだけです、とミサカは誇らしげに事実を告げます」

浜面「威張る所じゃねええええぇぇぇっ!?これ見た事あるよ!囚人にやらせて自×へ追い込もうってヤツだよな!?」

17000号「そうなのですか?しかし前の被験者は新たな能力を開眼させましたが、とミサカは反論します」

浜面「あ、そ、そうなの?やっぱ学園都市だから、一応根拠はあるのね?良かったー」

17000号「彼のレポートによりますと、能力は大能力レベル4、『跳躍自在(スケアクロ○)』だそうです、とミサカはダークナイ○の鑑賞をお勧めします」

浜面「……え、ジャンプ系?ってかその当て字おかしくない?スケアロ○ウってカカシだろ?」

17000号「本人の自称ですのでこればっかりはどうしようも無いかと、とミサカは事情を鑑みるよう訴えます」

浜面「あぁまぁイマイチ納得出来ないけど。どんな能力?」

17000号「レポートによれば――『どんな高い所からでも、自由自在に飛び降りる事が出来る能力。人は、自由なんだッ!』と書かれてあります、とミサカは該当部分を読み上げます」

浜面「へー……まぁでも凄いよな?その能力さえあれば、最悪飛行機事故からも無傷で脱出出来るって事なんだろう?」

17000号「いえ出来ませんよ、とミサカは冷めた目で目の前のバカを軽蔑します」

浜面「どーしてだよ」

17000号「えぇですから、レポートには『どこからでも飛び降りられるが、当然高さに見合っただけのダメージを受ける』と書いてあります、とミサカは――」

浜面「待て待て。そういう能力なんだろ?」

17000号「はい、とミサカは肯定します」

浜面「どっからでも飛び降りられるけど、ダメージは受けるって、特に能力じゃなくね?ってか普通じゃね?」

浜面「つーか能力開発出来たってのも本人の妄想だったり?連日連夜のドラム缶マラソンで、精神病んだ、つーパターンじゃ……?」

17000号「……」

浜面「……」

17000号「ではもう一つ前の被験者の報告をします、ミサカは何事も無かったかのように振る舞います」

浜面「待てやゴラああぁっ!?前の被験者どこ行った!?危険極まりない妄想にとりつかれたまま、どこへ行ったんだ!?」

17000号「ロンドン塔の上から――」

浜面「いや言うな!それ以上言うなよ!?フリじゃないからなっ!?」

17000号「街灯に突き刺さった姿は、まさにスケアクロ○――」

浜面「言わないで!?聞きたくないからっ!?」

17000号「本人の意向により、ドラム缶へ――」

浜面「ドラム缶を指さすのはヤメテっ!?もう俺触れなくなっちゃうからっ!?」

17000号「いえ確かに今の例は不適切でした、とミサカは謝罪の意を伝えます」

浜面「だ、だよなぁ?他にもちゃんと能力を確認した例ってあるよね?自称じゃなくって」

17000「えーっと、あぁはいありますね。これは私が直接確認した能力です、とミサカは発展途上中の胸を張ります」 ペラペラ

浜面「だよね?学園都市も意味無くこんな事させないよね?」

17000号「被験者はこの施設の一番最初の方です。能力はレベル3、『永遠恋人(エターナルラバーズ)』です、とミサカはちょっとアレな名前を恥ずかしそうに言います」

浜面「レベル3ねぇ。名前がアレだけど、異能は確認したんだろ?」

17000号「はい、ミサカは今日も見ています。と言うかあなたも見ていますね、とミサカは確認します」

浜面「俺も?あ、もしかしてここの職員の人?俺も挨拶させてくれよ」

17000号「いえ、この支部の職員は私だけです、とミサカはばっさり切ります」

浜面「あ、んじゃ施設の能力に関係してんの?永遠とか言う名前だし?」

17000号「正解ですね、とミサカはバカ面の評価を改め、ナイフのセーフティロックを常時開放へと切り替えます」

浜面「やったぁ!ってどうして警戒レベル上げた!?あと俺の名前は違ってるからね!?」

17000号「私に触って良いのはあの人だけです、とミサカは貞節である事をアピールします」

浜面「よっぽどいい男なんだな。で、それはいいから能力って何よ」

17000号「あの回数表示板ありますよね、あれですよ、とミサカは結論を言います」

浜面「え、あれ普通じゃね?」

17000号「アレは実は誰がカウンターを押しているのではなく、自動的にカウントされているのです、とミサカは驚愕の事実を発表します」

浜面「おー、よく見りゃバスケのスコアボードみたいに数字を手動で入れ替えるヤツだ。アレがオートなぁ」

浜面「凄いようなショボイような?でも変わった能力だよな。つーかなんでそんな能力が発現されてんの?自分のために使えばいいのに、勿体ない」

17000号「ですよねー、とミサカは同意を現わします。私もいつも言っているのですが、どうやら後進の事が気にかかるらしいのです、とミサカはため息をつきます」

浜面「へー。良い人も居るんだなー。で、その人は今どこに?」

17000号「少々お待ち下さい、とミサカは自身の能力を発動させます」 ビリビリ

浜面「あ、なんかアホ毛動いている……止まった?」

17000号「あちらですね、とミサカは反応のあった辺りを指します」

浜面「あのー、誰も居ないんだけど……?」

17000号「いえ日中は見えないのですよ、とミサカは――」

浜面「ごめんやっぱ俺これ以上踏み込むの危険な気がしてきた!もういいから、説明しなくていいからなっ!?」

17000号「まぁぶっちゃけ自縛霊なのですが、とミサカは期待通りの答えを返します」

浜面「やめてっ!?俺はここでドラム缶押すお仕事があるんだからねっ!?」

17000号「イギリスはゴーストの本場ですからねー、とミサカは遠い目をします」

浜面「どーゆー事!?俺そんなに悪い事したかああぁっ!?」

17000号「御坂美鈴の殺害未遂及びあの人への傷害行為、刑事裁判とならずにこの程度で済むのは御の字でしょう、とミサカは唾棄しながら言い放ちます」 ペッ

17000号「ちなみにノルマは100回、一回あたり100分、単純計算で約167時間。一日8時間押しても20.8日で達成出来ます、とミサカは渋々慰めます」

浜面「ま、まぁそう考えると悪くはない――って俺、お前のあの人に会ってんの?」

17000号「あぁそう言えばその汚い拳であの人を殴ったのですね、とミサカはあなたの拳を凝視します」

17000号「……」

17000号「剥がすか」

浜面「助けてー!?やっぱりこの支部おかしいって!SAN値が大幅に下がっているもの!?」

17000号「まぁ冗談は兎も角、滞在中は研修扱いで余分にお金も貰えるし、遊び回るのも良いのでは、とミサカは提案をします」

浜面「あぁうんまぁ、期限はないんだよな?だったら二ヶ月ぐらいかけてするのも、まぁアリっちゃアリか」

浜面「寮じゃメシも出るし、週一ぐらいで観光地行ったって良いんだしな!」

浜面「良し!だったら頑張るぞ!筋トレだと思えばどうって事は――」

17000号 シャーコシャーコシャーコ(砥石でナイフを研ぐ)

17000号 フッ(削りカスを息で飛ばす)

17000号 スッ(研いだナイフを髪に当て、なんの抵抗もなく髪が切れるテスト)

浜面「……」

17000号「あ、すいません、音が気になりましたか?とミサカは謝罪します」

浜面「あ、いや別にそういうこっちゃないんだけど、なんでナイフ研いでんの?」

17000号「……」

17000号 ニヤッ(擬音だけで真顔のまま)

浜面 ビクッ!?

17000号 シャーコシャーコシャーコ

浜面「いや言えよ!?何やってるか言えよ!?実はジョークでしたー、ってオチなんだって言いなさいよっ!?」

声「彼女だって複雑なのだよ。君が時間をかけて信頼を築けば、いつか分かってくれるさ」

浜面「ないって!もう捕食獣の目をしているもの!」

声「そこら辺は君の態度次第じゃないかな。まぁ焦らずに生きたまえよ」

浜面「いや字ぃ間違ってるし!『生きる』じゃなくって『行き』だからねっ!」

浜面「……」

浜面「……え」

浜面「いや、俺今――」

浜面「“誰”と話して、た?」

17000号 ニヤリ(擬音だけで真顔のまま)

浜面「ドッキリだよな?実はこれは全部夢で、俺は朝起きたら学園都市の堅いベッド上なんだよなっ!?」

浜面「おっかねぇけどスタイル抜群のヤンデレ女や、年下の後輩属性の女の子や、ちょっとダサいジャージの娘とキャッキャウフフしてるんだよっ!」

浜面「誰か嘘だよ言ってくれよおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!?」

声「気持ちは分かるがね。人生諦めも肝要――終わってからが再出発、とも言うが」

浜面「聞いた事ねぇからそんな格言っ!?」

――数日後。第23学区。学園都市内の『空港』

フレンダ「……」 ピッピッピ

フレンダ(フレメアってば一体何をしてる訳?どーせモバイルゲームに夢中になってるとか、そんな理由なんでしょうけども)

フレンダ(治安は悪くないけど、このまま放置も出来ない訳って、もしかしたら――)

館内アナウンス(想像)『フレンダ=セイヴェルン様、お連れ様が○○窓口でお待ちです。繰り返します――』

フレンダ(って事は避けたい訳だけど!)

女の子「ねーねー金髪?ちょっといい?」

フレンダ(あーもうこうなったら、こっちが呼び出して――ってあぁGPS機能ついてたっけ?だったら向こうの携帯に――)

女の子「ねえってば、聞いてる?」 ペシッ

フレンダ「痛っ!?……く、は無いけど。何?誰?」

女の子「Z番ゲートって知ってる?」

フレンダ「あ、あたし?」

女の子「他に居ないよね?もしかして金髪には金髪以外の金髪が見えているのかも」

フレンダ(ちっこいシスターさん?……シスター?どっかで聞いたような?まぁいいや)

フレンダ「ちょっと待つ訳。Z番、Z番はっと」 ピッピッピ

女の子「ケータイ、じゃなくて!」

フレンダ「あぁ携帯電話から順路の検索――えっと、携帯電話の中に地図が入ってんのよ。ホラ見てみ?」

フレンダ(別に外でもスマートフォンぐらい珍しくない筈だけどね)

女の子「凄いんだねー。最近のケータイは」

フレンダ「うん、だから今あたし達ココにいるから、まず○○を通り過ぎて、××を右に曲がって――」

女の子「むー」

フレンダ(まぁ時間はあるし。送るぐらいなら――いやでもフレメアは大丈夫かな?) ピッ

フレンダ(えっと……あぁなんだ、ちゃんと乗る予定のBブロックには居るのね。だったらいっか)

フレンダ「んじゃ送っていってあげようか?」

女の子「いいの?でも悪いんだよ、金髪にも予定があるんでしょ?」

フレンダ「大丈夫な訳。二時間先だから往復しても30分ぐらいだし」(チケットを見せる)

女の子「ありがとーなんだよ!」

フレンダ「良いって訳よ」

――同時刻、同学区、Bブロック

上条(マツコ=デラックスどこ行っちゃったかなぁ?超音速飛行機イヤだっつーから、こっちの一般用客席に来た筈なのに)

上条(ま、次まで二時間あるから、呼び出して貰えば良いとは思うけど)

フレメア「にゃあ!上条!」

上条「おーフレメア?――ってフレメア!?」 ナデナデ

フレメア「にゃあ、お姉ちゃん見なかった?」

上条「いや今日は会ってない。ちょい待ち」 ピッピッピ

『ただいまお電話に出る事が出来ない――』

上条「何やってんだ――ってアレ?超音速旅客機が離陸していく。俺達が乗る予定だったのじゃ……?」

フレメア「にゃあ?」

上条(マツコ=デラックス一人でイギリス行ける訳はないし、別の便、だよな?)


――ほんの少し前。Z番ゲート

フレンダ「初めて来たけどスッゲーって訳。つーかシスターさん何モン?超VIP?」

女の子「えっへん!こう見えてもわたしはとてもとても――」

黒服「失礼。インデックス様とそのお連れ様で御座いますね?」

インデックス(女の子)「うん、わたしはそうだけど――」

フレンダ(トラブル?誘拐?)

フレンダ「あんたら何やってん――」

黒服「時間が御座いませんので、どうかご容赦を」 プシューッ

フレンダ「ちょっ!?」 パタッ

インデックス「またこの展開なんだよ!?」 パタッ

黒服「急げ!予定時間は過ぎているぞ!」


――30分後。超音速旅客機、客室内

フレンダ「あばばばばばばばばばばばばばばば――」

インデックス「ごはんごはんごはんごはんごはんごはん――」

――同時刻、23学区、インフォメーションコーナー内、『迷子室』

館内放送『繰り返し申し上げます。マツコ=デラックス様、並びフレンダ=セイヴェルン様、お連れ様がお待ちです。お近くの業務員へお声をかけるか、インフォメーションコーナーまでお越し下さい。繰り替え――』

上条「来ねぇなー」

フレメア「……にゃあ」

上条「あぁうん大丈夫だから。フレンダ来るまで俺がついてるから、な?」

フレメア「にゃあ」

上条(何でこの子はにゃあにゃあ言うんだろう?)

上条「あー……仕方がない」 ピッピッピ


――同時刻。いつもの喫茶店

麦野「んー……」

絹旗「超どうしましたか、麦野?」

麦野「あぁいえね。フレンダと上条がお休み取ったじゃない?」

絹旗「そうですね。超偶然ってあるもんですね」

麦野「偶然、だと思う?」

絹旗「いやまさかフレンダに限ってそれは超ありませんって」

麦野「上条は今日になってだけど、フレンダは一ヶ月ぐらい前から言ってたしね」

麦野「ただなんかこう、トラブルというか、あぁ金田○かコナ○と同じ宿に泊っちまったぞ的な?」

絹旗「その二人と同席したら超高確率で死亡フラグですしね」

麦野「まぁフレンダに関しては予防策を打って置いたんだけどね」

絹旗「はぁ」

麦野「でもフレンダってさ、『アイテム』の中だと一番モテると思うのよ」

絹旗「普段の言動が超フレンダですけど、外見はオッサン受けしそうですもんね」

麦野「あぁいや、そうじゃなくてだな。こう“普通”じゃない?」

絹旗「わたし達みたいに壁を超作ったり、気を遣ったりしませんから」

麦野「男友達のノリでバカ騒ぎして、アホみたいに笑い会った後、なんつーか気がついてみれば妙に距離が近くなってて――って感じ?」

絹旗「……何でそんなに超具体的なんです?」

麦野「本人も意識しないし、させないでスルっと入ってくる、ってのが私の第一印象なんだけど。それってやっぱり男から見たら違うじゃない?」

絹旗「あー……分かる、ような?」

滝壺「女の子同士では仲良くなったらそこで終わりだけど、男友達ならその先があるかも、だし……」

隣の席のツインテの中学生「女同士だってその先はありますの!!!」

頭に花を載せた中学生「あ、すいません。こういう病気なんですー。ほら帰りますよー?」

麦野「……何だ今の。つーかわざわざ挟む必要あったか?」

絹旗「奥が超深いんですねー」

麦野「フレンダの場合、見た目がミドルティーンモデル顔負けだし、やる気になりゃかなり良い線行けるでしょうに」

絹旗(いえ、麦野にそれを言う資格は超無いかと。園内雑誌のモデルがスカウト来てる癖に)

滝壺「ふれめあも、フリフリの服、すっごく似合ってた」

絹旗「むう。わたしは地味目代表なので超ひっそりと生きますし」

麦野(いや、あんたの場合は着てるモンが地味なだけで、背が伸びて肉が付きゃ化けると踏んでるけどね)

滝壺「わたしは?」

麦野「あんたは化粧の一つでも覚えるか、ジャージをどうにかしなさい」

PiPiPi……

滝壺「あ、かみじょう?うん……うん?ちょっと待って」

麦野「トラブルか?」

滝壺「今23学区の空港に居るんだけど、ふれんだが居ないって」

絹旗「え?居ないって事は――」

麦野「一緒に居た、と。へー、そーなんだー」 バチバチッ

絹旗「まだ超確定してませんからっ!それより用件はなんて?」

滝壺「んで、探して欲しいって……えっと……アレ……?」

麦野「どうしたの?まさか、感じないの!?」

滝壺「ううん、そうじゃないんだけど。きぬはた、地図アプリで世界地図出して?」

絹旗「どうぞ」 ピッ

滝壺「ここにいる」 ピシッ

絹旗「なんか、ジリジリと動いてますね。と言う事は超ものっそい速度で移動していると」

麦野「時速、えっと秒速がこうで、この国の端から端まで×××キロだから、あーっと――7000km!?超音速飛行機じゃあるまいし……」

絹旗「あぁフレンダ、超やっちゃったんですね。ちーん」(合唱)

上条『どうした?ヤバいのかっ!?』

麦野「『取り敢えずアタシらもそっち行くから、そのまま事情を話しな』」

――更に30分後。23学区の空港内

上条「つまり俺のツレとフレンダが何故が、俺の乗るべきだった超音速旅客機に乗って移動していると」

絹旗「……字面にすると超冗談のような単語ばかり並んでいますが」

麦野「ま、向かっちまったもんはしょうがないわよ。問題はフレメア、あなたとお姉ちゃんはどこへ行くつもりだったの?」

フレメア「にゃあ」(フライトチケットを見せる)

上条「俺と同じイギリス、だな」

絹旗「でしたら二人で追い掛けて、現地で合流するのが超ベターかと」

麦野「んー……」

上条「どうした麦野」

麦野「上条、アンタは『アイテム』やらアタシらがピンチになったらどうする、つーかどうしてきたっけ?」

上条「そりゃ首を突っ込むさ」

麦野「うん。そこに関して疑うつもりはないわ」

麦野「でも当然、アンタが困った時にはアタシ達が首を突っ込む。これは分かるわよね?」

上条「まぁ一応は」

麦野「以上を踏まえた上で聞くんだけど、アンタ、学園が用意した超音速飛行機使ってイギリスまで何しに行くのよ?」

上条「えっと、だな。それはまぁ――」

麦野「あぁ最初に言っておくわね。アンタがもし『危険がある』って言うんならアタシ達は仲間として同行するわ」

上条「じゃ、じゃあ――」

麦野「かといって『危険がない』って言うんだったら、アタシ達は友人として同行するから?だって観光とか里帰りとか、そういうんでしょ?」

上条「ちょっ!?それは無いって!」

絹旗「麦野、あんまり上条を超困らせないでください」

麦野「ってもなぁ。仲間は助けるけど、助けさせないってのは――それは仲間だと認めてないのと一緒よ?」

絹旗「あぁいえいえそういうのではなく」 ギュッ

上条「あ、あの絹旗さん?俺の手を握って何をしているんですか?」

絹旗「この手を離さないだけで超充分かと」

麦野「なるほどねー」

上条「もっとタチ悪りぃよ!物理的に逃がさないって宣言だよな!?」

滝壺「かみじょう」

上条「……何?」

滝壺「諦めも、大切」 ウンウン

フレメア「にゃあ、上条はモテるんだな!」

麦野「うん、そうなのよ。フレメアちゃんもぎゅってしたい?」

フレメア「大人のレディは人前ではしたない事はしないのだ!」

麦野「……あのアホに聞かせてやりてぇわね」

滝壺「でも、ふれめあ?時には、戦いも、大事」

麦野「ま、諦めなさいな。何を言った所で私達は付いてくわよ」

上条「パスポートとか、旅費とかどうするんだよ?」

麦野「うん。ここ来る途中で回収して来たし、着替えなんて向こうで買えば充分じゃない?」

絹旗「麦野って超旅慣れてるんですか?」

麦野「あー……まぁ親の関係で色々引きずり回されてんのよ。クソみてぇな連中だったが、そこだけには感謝してやってもいいかもね」

上条「あーもう喋るし、連れて行くから離せよ!」

麦野「何で?別にそのままで良いじゃない」

上条「いや、落ち着かないんだよ!」

麦野「良し行け滝壺」

滝壺「らじゃー」 ギュッ

上条「いやもう両手に花だけどもっ!色々問題がねっ!?」

上条の下条さん(呼んだ?)

麦野「イヤだったら全部ゲ×しやがれ。そうすりゃ絹旗一人にしといてあげるわ」

絹旗「ちなみに解答が遅いと超密着度が高まります」

上条「わかったゴメン俺が悪かった全部話すからっ!」

フレメア「大体ーなんでおっきいお姉ちゃんはハグしないのだ、にゃあ?」

麦野「人前でそういうの、は、恥ずかしいじゃない?」

絹旗・滝壺 ブーブー

――イギリスへの旅客機内

絹旗(B級映画やってませんね。超つまらないです)

男 ゴソゴソ

絹旗「すいません、隣はわたしのツレの席ですよー。今トイレ――」

男「(うるさい!騒いだら刺す!)」

絹旗(骨ぇ?また超アナログな方法で)

男 ピッピッピ(座席のインターフェイスを弄る)

絹旗(なんか調整しようとして、失敗している?あぁさっき上条が超触ってましたからね)

男「(クソッ!)」

絹旗「あ、そろそろ帰ってくるんで超失礼します」

ベキッ!

男(素手でへし折った!?)

絹旗「よっと」

バスッ!

男 グッタリ(失神)

上条「あれ席間違え――て、ないよな。その人誰?」

絹旗「気分が悪くなったみたいですね。リーダー」

麦野「あぁ?あーはいはい」

絹旗「ちょっとスッチーさんに渡して、麦野に容態を超看て貰います」

上条「俺も手伝うよ」

絹旗「いえ多分開腹する事になるので、素人さんは超座ってて下さいな」


――同機、貨物室

テロリスト(おかしいな。決行の時間は過ぎているのに)

カッカッカッ

テロリスト(仲間かな?……ん) フワッ

ガタッ、ガタガタガタガタっ!

テロリスト「げふっ!?がっ!?ぎゃっ!?」

絹旗「あー超アタリですね。流石麦野、女の勘ですか?」 ズンッ

麦野「入り口から見えない所で蓋も反対側、でもって人が降りられる位置は一個だけだからね」

テロリスト(俺のっ、隠れているコンテナを掴んでシェイク、しただと!?)

テロリスト「クソッ!」 バスッ(サイレンサーつきの銃で発砲)

ジュッ

テロリスト(何だ?こいつらの周りに浮かんでいる光の玉に当たった?)

麦野「飛行機ん中で銃使うなよ。穴開いたら面倒でしょうが」

絹旗「今ちょっと超イラっとしてますんで、死んじゃったらごめんなさい?」

ガスッ!

――同時刻。イギリス

フレンダ「……何コレ?どこココ?」

五和「えっと、確か学園都市の組織の方、ですよね?」

インデックス「ごはんごはんごはんごはんっ!」

フレンダ「そうだけどもっ!何であたしが強制的にビックリドッキリ飛行機に乗せられてんのよ!?」

五和「いえ、それより上条さんは?一緒じゃないんですかっ!?」

フレンダ「こっちが聞きたいわよっ!?って言うかあたしに説明するのが先じゃない!」


――10分後

フレンダ「――って事らしいわ」

五和「じゃあその妹さんとは?」

フレンダ「あーうん大丈夫。上条達と一緒にスコットランド行きの×××便に乗ってる訳」

五和「良かったぁ。上条さんと会えるんですね」

フレンダ「そっち?ねぇそろそろ突っ込みすぎプラス叫びすぎて喉が痛いから、小声になるけど結局そっちが心配なの?ねぇ?」

五和「ではお二人には移動して貰います。こちらへ」

フレンダ「え、あたしも?」

五和「はぁ、『インデックスさんとその保護者をお連れしろ』と言う命令ですので。その後、お送りしますから」

フレンダ「今からあたし、エジンバラ空港まで行かなくちゃいけない訳だけど」

五和「旅費と交通手段はイギリス王室が出す、との事です」

フレンダ「さっすが王室、太っ腹よねー。って王室!?何で王室が!?」

五和「それも含めて説明しますから、兎に角来て貰えませんか?」

インデックス「ぐるるる……」

フレンダ「シスターちゃんも『早く食料のある所へ連れて行かないと喰い殺す』的なオーラを出してるし、まぁ付き合うわよ」

フレンダ(上条って王室にまでコネがある訳?)

フレンダ(まさか……三王女の誰かにまで手を出した!?)

――イギリス王室バッキンガム宮殿内

フレンダ(はぁ……何か女王陛下も王女様達もフランクというか、アットホームというか)

フレンダ(結局プライベートならこんなもんかも?あたしらも暗部にいるけど、仲は良いわよね)

キャーリサ「ところでそこの小娘はどーいう役割なの?」

フレンダ「でっすよねー。じゃあ一般人のあたしはここで失礼という訳で――」

フレンダ(元々関係無い訳だしね)

エリザード「つい今し方エジンバラ行きのテロリストを排除した、学園都市機関『アイテム』の一員だそうだ」

フレンダ「えっ?」

キャーリサ「……神の右席を撃退したとかゆー異能集団なの?幻想殺しの代わりに禁書目録の警備を任せる程に?へー」

フレンダ「あぁいえ、その別に大したもんじゃないですからっ!」

フレンダ(つーかあたしは何にもしてないし!)

エリザード「謙遜はいらんよ。君のお仲間はテロリストに銃の一発も発射させず、また誰一人巻き込む事なく事を収めたようね」

フレンダ(何やってんの!?あぁもう麦野達の無駄に高い能力がここへ来てあたしの邪魔に!?)

リメエア「オブザーバー役としては妥当かと思います」

エリザード「お前がブリテン臣民である事は誇らしいな!」

フレンダ「はぁ、それはどうも?アリガトウゴザイマス……」


――数時間後。エジンバラ空港

上条「――で、だ。フレンダからのメールをまとめると」

絹旗「何か超流れで禁書目録って女の子の護衛をする事になった、と」

麦野「私達にはフレメア連れてさっさと学園都市へ帰れ、つってる訳ね」

フレメア「にゃあ?」

滝壺「にゃあにゃあ」 コクコク

フレメア「にゃあっ!」 フルフル

滝壺「……にゃあ」 ウン

フレメア「にゃあ」 ウンウン

滝壺・フレメア ガシッ

麦野「オイ誰か突っ込んでこい、あのメス猫どもに」

絹旗「傍目からは超会話が成り立っているような?」

上条「いやー無いと思うが。滝壺だしナァ」

絹旗「で、超どうするんですか?話を聞くにフレンダは超VIPに囲まれていますし、取り敢えず心配はないでしょうけど」

絹旗「でもテロが起きるんだったら、私達はイギリスから超出た方が良いのかも知れませんし」

上条「現実的な方法がなぁ。飛行機は何処かでテロ未遂があったらしくて、全部運休」

麦野「ユーロトンネルは先日爆破されたばかり、と。残るは船便かぁ」

絹旗「そっちもテロのせいで運行ダイヤルは超遅れていますしねー」

露出狂の女?「あのーちょっと良いかしら?」

麦野「女連れの観光客に声かけてくんなよ。失せろ」

露出狂の女?「違うんだけどなぁ、っていうかあなた処×でしょ?」

麦野「おおっと手が滑ったメルト――」

上条「やめろっ!コイツは知り合いだ!」

オリアナ=トムソン(露出狂の女?)「知り合いって。あんなに激しくヤりあったのに、つれないわねー」

麦野「……上条。一度病院行った方が良いわよ?どんな病気持ってるか、分かったもんじゃないんだし」

オリアナ・麦野「……」

オリアナ・麦野「殺す」 ダッ

上条「だから違うっつーのに!オリアナは昔戦った魔術師だ!」

絹旗「じゃ今も超敵なのでは?」

オリアナ「違うわよ、ってかイギリス清教と取引したから自由の身だわ。取り敢えず現在の状況を説明すると――」


――数分後

上条「了解。じゃ俺はオリアナと『新たなる光』のメンバーを追い掛ける」

麦野「ふざけんな、と言いたい所だけど。まぁそういう訳にも行かないでしょうしね」

上条「フレメアを頼む」

麦野「任せなさいな」

絹旗「あのーわたし超ついてくってのはどうでしょうか?」

麦野「あんま困らせんじゃないわよ?」

絹旗「やたっ!」

上条「麦野達は待機するのか?」

麦野「天草式に連絡取って、状況の把握と足を調達しておくわ」

オリアナ「それじゃおねーさんとデートしましょうか?」

麦野「手ぇ出したら穴増やすぞ変態女」

オリアナ「だったら一人で寂しくロスト×××ンしちゃったらいいのに?」

麦野・オリアナ「……」

麦野・オリアナ「死ね」 ダッ

上条「あぁもう争ってる場合じゃねぇからな!」

滝壺「先行き不安……」

フレメア「にゃあ……」

――ロンドン中心部から100キロ離れた長距離護送馬車内

フレンダ(あっれー……今頃ウェールズに居る筈なのに、どうしてあたしはVIPと一緒に揺られているの?)

キャーリサ「結局、そーゆー話なの。華やかに始まったEUと言うパレードは、ギリシャを綻びにキプロス、スロベニア、イタリアにまでデスマーチが回ろーとしているの」

キャーリサ「友愛だの、一つの価値観だのを謳って経済的な共同圏を作ろーとした挙げ句大失敗。幸い我らがブリテンは呑まれずに済んだし」

ヴィリアン「私は……そうは思いません。いつか来る日のためにも、今日の失敗は糧となる筈です」

キャーリサ「――と、確かにEU並びにユーロとしては失敗。だが債務不履行を引き起こす国がある一方、フランスはかってない好景気だそーだ」

キャーリサ「答えは簡単。外需に頼った対外貿易依存が強い国は、自国通貨が低ければ低い程輸出で有利になれるの」

キャーリサ「だから『フランスは他のEU国を墓場へ送り、そーして下げたユーロで自国製品を安く売り抜ける』訳だ」

キャーリサ「お前の残念な頭でもわかるだろー?価値観や物価、国内産業が全く違う国家が通貨を統一すれば、必ずこーなると」

ヴィリアン「まさか、フランスは予め予測していた!?」

キャーリサ「さーな。傾国の女じゃないし、姉上でもないから真相は分からん。だが結果としてウチはEUへ参加せず、ドミノ倒しも傍観者で居られる」

キャーリサ「各政府へ高まる不満を吸収しよーと、ローマ正教が信者取り込みを謀っているのもまた事実だし」

ヴィリアン「姉君の仰りようだと、不安を煽って信者を獲得しようとしているように――」

キャーリサ「そーだと言っているだろー?少し前にあった全世界的な反学園都市運動だって、その類のものだし」

キャーリサ「お前が対話や人望で何をしよーとした所で、精々一人二人に話を聞かせるのが精一杯だし。その程度の――」

フレンダ「あの、ちょっといいですか?」

キャーリサ「何だし?学園都市側から意見が聞けるのか?」

フレンダ「あたし、あんまり頭良くないからそういうのは、ちょっと」

キャーリサ「じゃーどーしたの?まさか座りっぱなしでケ×でも痛くなったって?」

フレンダ「キャーリサ様、あたしあなたのブロマイド持ってます!」

キャーリサ「あぁ、そりゃどーも?」

フレンダ「両親からも、こう何かワガママ言う度に『お前はキャーリサ様と同じお姉ちゃんなんだから、我慢しなさい』って言われてきました」

フレンダ「歳が離れているのも同じぐらいで、だから、あたしっ!ずっとキャーリサ様みたいにしっかりしたかったんです」

キャーリサ「過去形ってのが気に入らないし」

フレンダ「政治とか経済とか、ローマ正教がーとかは分からないんですけど、姉妹って、家族って助け合うものなんじゃないかな、と」

キャーリサ「あーうん分かったの。お前は私がヴィリアンを軽んじているように見える、って事だろ?それは勘違いだ」

フレンダ「そう、ですか。なら――」

キャーリサ「軽んじてすらいない。ただのお荷物だと思ってるし」

フレンダ「……え」

キャーリサ「まぁ例え話“と”しよう。王権とは『剣』のよーなものだ。それを振り翳せば民は頭を垂れ、不届きな者は刃で処断する」

キャーリサ「時にはそれを掲げて戦場へと赴くの。だがその『剣』が二本も三本もあったらどーする?邪魔だろー?」

キャーリサ「ヴィリアンが何をしよーが、最悪カザンディッ×でパパラッチされよーが、別に私は構わないし。まー肉親としての情はあるから、したい事をさせてやりたくはある」

キャーリサ「だがコイツの『人望』はつけ込まれる。クーデターはおろか、易々と敵に捕まって人質にされかねないし」

キャーリサ「いざ戦争だって時に、コイツのア×顔タブルピース二輪差しなんて写真がバラ巻かれてみろ。士気はガッタガタだろーな」

キャーリサ「正直、どこかのゴロツキと駆け落ちでもしてくれれば、私は気が楽だったのだがなー」

フレンダ「酷いですキャーリサ様!ヴィリアン様は心から――」

ヴィリアン「いいんです、フレンダ様。姉君の仰る事は事実ですから」

キャーリサ「無力は自覚しているのさ。だからといって許されるものではないんだがな?」

――深夜のロンドン

レッサー(いやーバカ騒ぎをした割には追っ手が付かない、というか何なんでしょうね?不自然なまでにノーマークですが)

レッサー(このまま目的地へデリバリー出来てしまうのも、それはそれで不安大爆発というか、ブリテンの将来が頭イタタですけどねー)

女「――っ!!」

レッサー(おや……?男女が暗がりで――あーもうお盛んで結構じゃないですか)

レッサー(って何か魔力ピリピリ感じますね。人払いの結界?)

女「誰か助けて、助けて下さいっ!?」

レッサー(……あぁうんクソ野郎は魔術師の中にも居るんですかそうですか。あの男の方、ちょっきんしちゃいましょうか)

レッサー バッ(屋根から路地裏へ飛び移る)

レッサー「そこまでです!」

絹旗「――そして超発見でーす」 ブンッ

レッサー「へ?――って車が空飛んできたっ!?」

オリアナ(女)「ついでにオマケもあ・げ・る!」

ゴオウウッ!

レッサー「ひょわっ!?たったったっとおぉっ!」 ガシッ(『鋼の手袋』で車をキャッチ)

レッサー「よいしょっと!」 ブゥンッ!(そのまま炎を振り払う)

レッサー「いやいや中々私も捨てたもんじゃ――」

上条(頬に口紅付き)「でもってトドメにそげぶっ!!」 ガッ

パキイインッ

上条(頬に口紅付き)「あ、ついでにトランクも」 ツンツン

ボコッ

レッサー「汚っ!?やる事が汚いっ!?人が折角人助けをしようとしたのに!」

上条(頬に口紅付き)「煩ぇよ。お前らがお姫様達の暗殺なんて企む方が酷いだろうが!」

レッサー「あー……そういう事になっているんですね。まぁそう言うしかないでしょうが」

上条(頬に口紅付き)「どういう意味だ?」

オリアナ「こっちのトランクは空だわ。他の奴らへ中継済みかも」

レッサー「あぁまぁ仕方がありませんね。このままオメオメと私から情報を引き出されるのは拙いでしょうし、受け入れましょう」

上条(頬に口紅付き)「何を言ってる?」

レッサー「最後に一つだけお教えしますよ。私達が運んでいた『カーテナ=オリジナル』。それはこの国の王が持つに相応しい剣です――」 キリッ

レッサー「……」

レッサー(あっれー?来ませんね?)

レッサー「それはこの国の王が持つに相応しい剣です――」 キリリッ

レッサー「……おかしいな?」

上条(頬に口紅付き)「おい今なんで二回言った?つーかキョロキョロして増援でも待ってんのか?」

レッサー「角度の問題?」

絹旗「いえ人選の超問題でしょう」 ドサッ

オリアナ「こいつの装備は――『ロビンフット』!?」

絹旗「狙撃しようとしていたので超職質してきました、拳で」

レッサー「あっちゃー情けないですねー。女の子のワンパン一発で沈みますか」

オリアナ「拙いわ!騎士派よ!」

上条(頬に口紅付き)「何が?」

オリアナ「最初から『新たなる光』と騎士派はグルだったって事!」

上条(頬に口紅付き)「つまり最初っから――」

レッサー「えぇ私達は共謀してたんですね」

絹旗「でもってそれを超素直に言うって事は」

レッサー「『カーテナ=オリジナル』は相応しき主の元へ着いたそうです」

上条(って事は騎士派に守られている――)

上条(頬に口紅付き)「しまった。フレンダが危ない!」

絹旗「――とまぁそれは別に超どうでも良いんですが」 ガシッ

上条(頬に口紅付き)「良くないだろっ!?フレンダだぞっ!?」

絹旗「口紅超着いてますよ、ほっぺに?」

上条 ゴシゴシ

上条「しまったっ!フレンダが危な――イタタっ!?折れる折れる折れるっ!?」

絹旗「人生にやり直しなんて超出来ないんですよ、上条?わたしにゲ×するか、それとも麦野達の前でゲ×を吐くか、お好きな方を超どうぞ?」

上条「いや俺は何もしてないって!オリアナ、オリアナっ!?」

オリアナ「ごめんなさいね?今、急いで車回してくるから。続けて続けて?」

絹旗「超ありがとうございます。で?あの暗がりで嫌がるオリアナに超何やってたんですか?」

レッサー(あ、今なら逃げられるかも?)

絹旗「えっと『新たなる光』の人?この男が何をやってたのか、あなたの位置からは超見えましたよね?」

上条「頼む!俺の誤解を解いてくれ!」

レッサー「……」

レッサー ニヤリ

レッサー「舌、入ってました!」

絹旗「はい超処刑でーす」

上条「待って!?今あの子ニヤってしたじゃない!?見えてたよなっ!?」

レッサー「あーすいません。私の勘違いかも知れません。暗かったですからねー、なんせ」

上条「だよな!正確に言おう、正確に!俺の命がかかっているんだからっ!」

レッサー「下、挿入ってました!」

絹旗「よし殺す」

上条「待って!あの子はっ、あの子は日本語が良くわからないだけだからっ!?同音異義語なんて分からないからっ!?」

レッサー「つまりですね、おしめがめしべを――」

上条「完璧だなチクショウっ!って言うかイギリスでもその例え使うのかっ!?」

絹旗「まぁやってしまったのは超仕方がないですね。超前向きに考えましょうか」

上条「そうだな!俺は無実だけども、そう思うよ!」

絹旗「取り敢えず超脱げ」 グイッ

上条「なんで俺のパンツに手をかけるっ!?ってかそっちの子もどうして興味津々って顔で見物してんだっ!?」

レッサー「いやぁ実は私こういうの見るの初めてで。あ、どうぞどうぞ?人払いの結界は張り直しておきましたから」

上条「手際が良いなっ!つーか絹旗お前こないだ遊びに行ってきてから、微妙にキャラ変わってんぞ!?」

絹旗「そりゃデート相手が超意識しやがらない、つてのは怒りたくもなります――あ」

上条の下条さん(初めまして)

上条「ちょっ!?それは生理現象だからね!?恥ずかしくなるぐらいだったら最初っからすんなよ!」

レッサー「ほほう。要約すれば『最後まで責任持ちやがれ』ですか!中々立派な誘い受けですな!」

上条「お前詳しいなっ!でも言ってないし!つーか誰か助けろよおおぉぉっ!?」

麦野「――何やってんの、アンタ達」

上条「……何やってるように見える?」

滝壺「きぬはたがかみじょうを逆レ××しようとしてる?」

絹旗「……」

絹旗「こほんっ――麦野っ、フレンダが大変な事に!」

上条「やり直すなよっ!さっきやり直しがどうこうって自分で言ったよね!?」

レッサー「まぁ得てして自分は例外ってヒト多いですしねー」

滝壺 ウンウン

上条「……良く追いついたな。結構車で走ったと思うけど」

麦野「んー、足持ってきたから。つーか絹旗も。これ見てみ?」カチャッ

上条「ツイッター……?」

ふれんだ@Friend-a――『カーテナ=オリジナル』奪ったったwwww

――少し前。ユーロトンネル内

インデックス「やっぱりこれはフランス、それもローマ正教の術式なんだよ」

キャーリサ「そうか。それは良かった。お前を斬りたくはなかったからな」

インデックス「え?」

騎士団長「『大船の鞄』を解放します。どうぞ」

キャーリサ「ご苦労」 チャキ

フレンダ「キャーリサ様?」

キャーリサ「あーお前禁書目録の護衛だったか。まー居ても困りはしないが、邪魔ではあるし――」

キャーリサ「――死ね」

フレンダ「きゃあぁぁっ!?」

フレンダ「――ってどーん」

ドォンッ!!!

キャーリサ「なにっ!?」

フレンダ「あと――女としてごめん!」 ズリッ!

キャーリサ「ちょっ!?服を――ってこっち見るな騎士団長ァ!」(両手で胸元を押さえる)

フレンダ「よっしゃ!カーテナ=オリジナル、とったどおぉぉっ!!」

フレンダ「シスターちゃん、今のウチに逃げて!」

インデックス「き、金髪は?」

フレンダ「いいからっ早く!」

騎士団長「馬鹿な!火薬など持って空港に乗れる訳があるか!」 チラチラッ

フレンダ「学園都市謹製の変態技術なめんじゃない訳よ!ついこないだも修正テープに偽装した爆導テープを間違って使って、死にそうになったばっかって訳!」

キャーリサ「お前……何なんだ?」

フレンダ「何って?」

キャーリサ「中には私達、外には騎士が詰めているのに、どーしてそんなバカをするし?せめて命乞いをするか、仲間に入れろと懇願するのが筋ではないの?」

フレンダ「あーごめんなさいキャーリサ様。あたし、あなた――あんた、嫌い。つーかヴィリアン様派になった訳」

キャーリサ「意味が分からないし」

フレンダ「ちょい前に仲間から騎士派と『新たなる光』がグルだってメール来たのよ。だもんでその運んでたっつーブツをかっさらおうかなー、なんて」

フレンダ「良く分かんないけど、ブリテン全域の要所へ騎士派を集結させてるって訳ですよね?クーデター?」

フレンダ「そんな相手に何やったっていいじゃないですか?」

キャーリサ「騎士団長」

フレンダ「あ、動かないで下さいね。これ、さっきからなんの匂いだと思います?」

騎士団長「香水……いや、違うな」

フレンダ「学園都市特製の気体爆薬『イグニス』。火花が出たらどっかーん、って訳」

フレンダ「さっきの万倍の威力、キャーリサ様に耐えられるかなー?どうかなー?」

キャーリサ「不可解なの。生き残るんだったらここまでする必要はないし!一体何を考えているし!?」

フレンダ「あんたがさっき言ってた訳、ヴィリアン様の『人望』は一人二人にしか届かないって」

フレンダ「結局あたしはその一人って訳よ」 ブイッ


――同時刻。ブリテン某所、繁華街のパブ

アックア「今夜は妙に騒がしいのであるな?」

店主「ですかねー?いつもより人が多いような気がします」

アックア(決行の日は今日であるか。キャーリサ様も愚かな事をする)

アックア(だがしかしそれはブリテンのためである――私と同じように)

浜面「あっれー?洋平さんじゃね?」

アックア「浜デュラであるか?なんと奇遇な!」


――現在。フォークストーン近くの路上

フレンダ(いやもう死ぬかと思った訳)

キャーリサ『ハッタリだし!』

フレンダ『うんまぁそうだけどね――“それ”は』

ドウゥゥゥンッ!!!

キャーリサ『なんだ!?ただの煙幕だし』

騎士団長『いえ、違います!足下に――』

キャーリサ『海水の下にクラゲ……?いや、機雷か何かか?あの短時間に良くも仕掛けたし』

騎士団長『しかも本人は暗闇の中、自身の爆弾にはかからずに逃げ出しました。相当の実力者かと』

キャーリサ『ま、仕方がないし。第一ラウンドは譲るか。スペアを寄越すの』

騎士団長『はっ』

………………

フレンダ『……ぷはぁっ!?……うへぇ、海水でベッタベタ』

フレンダ(とっさの事で生×用×××ンぶちまけるしか出来なかったけど。海外の人は使わないって本当だったのねー)

フレンダ(メールとか全部ハッタリだし、『カーテナ=オリジナル』ってテキトーにカマかけたら意外とペラペラ喋るからビックリした訳……あ、そだ。みんな連絡っと) ピッ

フレンダ(って訳で、どうにか徒歩でユーロトンネルを抜けた訳だけど。結局どうしようか)

フレンダ(禁……えっと、禁食目録?ってシスターちゃんも、逃げられたら良いんだけど)

フレンダ「なんか心細いなぁ……上条、早く来て欲しい訳だし」

フレンダ「……」

フレンダ「いやいやっ、そうじゃないっ、そうじゃない訳よ!?」

フレンダ「あたしは違うからっ!麦野や絹旗みたいに急なデレは無いからっ!絶対に!」

フレンダ(あの二人みたいに、助けられたらこう、好きになっちゃうとか、そういうんじゃなくって――)

フレンダ(割と最初っから、いいなー、って思ってた訳だし!)

フレンダ(うん!だからあの二人とは全然違う!うんっ!)

ヴィリアン「それじゃ最初からお好きだったんですね?」

フレンダ「え?いやいや、そうじゃな――くもないけども!そういう訳じゃない――ってヴィリアン様!?」

ヴィリアン「はい。フレンダ様、ですよね?」

フレンダ「どうしたんですか、そのデカい馬車みたいな要塞?それとも要塞みたいな馬車?」

ヴィリアン「兎に角中へどうぞ」

フレンダ「あ、はいお邪魔します」

――護衛用馬車内

ヴィリアン「凄いですっ!流石は学園都市の精鋭さんですねっ!」

フレンダ「いやーそれ程でも?成り行き半分って訳ですが」

フレンダ「それでヴィリアン様は、と言うかこの馬車はどちらへ向かうんですか?」

ヴィリアン「カンタベリー大聖堂です。そこまで行けば清教派の方と合流できるかも知れません」

フレンダ「良くご無事でしたね」

ヴィリアン「私は……私の周りの者が事前に察知して、逃がしてくれましたから」

フレンダ「そうですか……」

ヴィリアン「結局、姉君の言う通りだったのかも知れません。私にリメリア姉君のような頭脳や、キャーリサ姉君のような武力があれば、こんな、こんな事には!」

フレンダ「えぇまぁそうですけど――そうだけど、それ悪いって訳?」

ヴィリアン「……え?」

フレンダ「あたしの家はあたしと妹だけです。妹の方がしっかりしてる、って友達に言われたけど、でもそれが悪いの?」

フレンダ「家族、ってのはそういうモンじゃないって訳。ヴィリアン様に無いモノだったら、キャーリサ様がフォローすればいいし。逆もまたそうだし」

フレンダ「ましてやキャーリサ様はお姉ちゃんなんだから!ヴィリアン様の助けるのが当然って訳よ!」

フレンダ「妹を甘やかすのがお姉ちゃんの仕事、それは絶対って訳!」

ヴィリアン「それが、家族、ですか?」

フレンダ「うん、それが家族って訳」

ヴィリアン「あなたの妹君は、きっと、いえ絶対に幸せなんでしょうね」

フレンダ「いやーどうだろ?あたしがパパとママの分まで叱らなきゃいけないし、結構ウザがれると思う訳よ」

ヴィリアン「表面だけですよ。私には分かります。お友達だって羨ましい」

フレンダ「いやー……どうだろ?なんか最近、いやもしかしたらずっと前から蔑ろにされている感がヒシヒシと」

ヴィリアン「あなたの言葉を借りれば、その方達も“甘えている”んじゃないでしょうか?」

フレンダ「いっやー、いやいやいやっ無い無い。それは無い訳よ。もうみっんな酷いんだから、ほんっとに」

フレンダ「あたしもヴィリアン様みたいな友達が欲しかった訳よ」

ヴィリアン「じゃあお友達になりますか?」

フレンダ「い、良いんですか?あたしなんかが?」

ヴィリアン「私の方こそ、姉君と騎士団長二人を相手に引かぬ方と、正直不釣り合いだと思わないでもないですが」

フレンダ「いえいえとんでもないです!あたしはホラ、慣れてるだけでー、つーか麦野の方が怖いだけだし!」

フレンダ「こちらからヨロシク、って言うか」

ヴィリアン「じゃあ今日から」

フレンダ「はいっ!」

ヴィリアン「で、なんですけど。お友達には隠し事はしませんよね?」

フレンダ「一般的には、まぁ」

ヴィリアン「さっき言ってた『カミジョー』って人とのご関係は?」

フレンダ「結構黒いなこの三女!?」

――ヴィリアン追撃

キャーリサ「まーオリジナルを奪われたのは痛いが、あれを使えるのは世界に四人。壊すのは有り得ないだろうし」

騎士団長「しかし、だからといって使い手を減らすというのは――」

キャーリサ「『全英大陸』が発動されていない以上、お前達はただの騎士に過ぎない。正面からやり合えば負けるとは思えないが、脅威は早々に詰んでおくべきだし」

キャーリサ「決行の時間が遅れているのは痛いがなー」

騎士団長「……」

キャーリサ「不満、だろーな」

騎士団長「いえ、全くそのような事は御座いません。ただ――」

騎士団長「アイツが居れば、この程度では済まなかっただろうな、と」

キャーリサ「ふんっ。ゴロツキの一人や二人恐れるのか」

騎士A「見えました!ヴィリアン様の馬車です!」

キャーリサ「そーか、ならば引導を渡しておこーか」

騎士団長「おやめ下さい!」

キャーリサ「どーして?お前は手を汚したくないんだろー?」

騎士団長「姉妹で、それは――」

キャーリサ「引き摺り出せ!」

騎士A「騎士団長……」

キャーリサ「早くするの」

騎士A「……はっ」

ヴィリアン?「……」

キャーリサ「って自分から出て来たか、感心感心」

キャーリサ「あーうん。なんか言い残す事があれば、言ったらいーの。墓に刻んであげるし――」

キャーリサ「って何よこれ。ウチの妹はそんなにひんそーな体してないし」

フレンダ「あっはっはっはっはっはー、まんまと騙されたって訳よ!」

キャーリサ「誰だし。つーかこんなチンチクリンと間違えんなよ、騎士団長。服が同じだからってお前達の目は節穴なの?」

フレンダ「ちょっと聞いてよ!?折角あんたの妹とすり替わったんだからっ!」

キャーリサ「縛ってその辺転がしとけばいーし。カーテナを汚すのは勿体ない」

フレンダ「いやだから話を聞いて!?」

キャーリサ「あーでも、ウチの無能な事だ。一人で逃げられる根性もないだろーし……ふむ」

フレンダ「ねぇあんたっ!なにがしたい訳?ブリテンを戒厳令下に置くなんて正気じゃない!」

キャーリサ「お前に理解出来ない高度な政治のお話だし。とゆーかだな、国民としては国から庇護を受ける一方、義務を果たすのが当然――」

フレンダ「関係無い訳!そんなのくっだらない訳よ!」

キャーリサ「……ふーん?お前には国家と臣民の関係よりも、下らなく無いモノがあるの?」

フレンダ「あんた、あの子のお姉ちゃんでしょ!?なのに、なんで酷い事しようとしてんのよ!」

キャーリサ「感情論だし。あのクズも人望だけは人並みあるが、それ以外は全っ然ダメだし」

キャーリサ「せめて姉上のよーな一芸でも持っていれば、まだ生かす価値はあったん――」

フレンダ「馬鹿じゃないの?っていうか馬鹿じゃないの?」

キャーリサ「あーん?」

フレンダ「あんたは国を動かしたがってるみたいだけど、結局絶対に失敗する訳。あたしの命を賭けたっていいし」

フレンダ「国ってのは色んな家族が集まった訳だし。家族がいーーーーっぱいあって、お互いを支えようって事じゃないの?」

キャーリサ「だから私は――」

フレンダ「お姉ちゃん、って言うのは絶対に妹を守らなきゃいけないし!妹のワガママを聞かなきゃいけない訳!」

フレンダ「家族は家族同士で助け合わなくちゃいけない訳!そんな簡単な事も出来ないし、分からない。分かろうともしないあんたが――」

フレンダ「国を護るなんてのは結局――『幻想』って訳よ」

――同時刻。ブリテン某所、繁華街のパブ

アックア「……浜デュラには済まないと思っているのである。上条にはトドメを刺せなかった」

浜面「いいって、それは。俺も洋平さんの戦っている所見たら、責める事なんて出来ないよ」

アックア「浜デュララ!」

浜面「アイツらなんて卑怯なんだ!洋平さんが正々堂々一人で戦っていたのに、結局集団でフクロにしやがって!」

浜面「俺は思うよ。俺みたいなクズのために戦ってくれた洋平さん、アンタこそが勝利者だって!」

アックア「浜デュラララ!!」

アックア「杏里ちゃんとイオちゃんとアオちゃんの見分けがつかない私は、オッサンであるか?」

浜面「しーーーーっ!やめろよおぉっ!危険なボケ挟むなよおおおおぉぉぉっ!?」

アックア「個人的にはイオちゃんが可愛いのである、巨乳だし」

浜面「……あぁ、確かにな!」

アックア「……おっぱい!」

浜面「おっぱい!」

店主「おっぱい!」

アックア・浜面・店主「おーっぱい!おーっぱい!おーっぱい!」

他の客(なんだアイツら?つかオッパイって何?何語?)

アックア「それで?今浜デュラは何をしているのであるか?観光?」

浜面「洋平さん、俺さ。実はずっとずっとなりたかった職業があるんだ」

アックア「ほう?」

浜面「子供ん時かな?ゲームの中に出て来たんだけど、あんま現実的じゃないんだ」

浜面「でもやっぱり夢は捨てられなくて、この歳になっても捨てきれなかった!」

アックア「それは羨ましいのであるな。貴様はまだ若い、チャレンジするのもまた良いのである」

浜面「ありがとう洋平さん!そんな事を言ってくれるのは洋平さんだけだぜ!」

アックア「何を言っているのだ。我らは友人であろう?」

浜面「……あぁ、あぁ!そうだよなっ!」

アックア「それで?結局どんな仕事がしたかったのであるか?何かのアクターかシンガー?」

浜面「いやー、そういう現実的じゃないのはちょっと。老後とか大変だろ?」

アックア「難しいのであるな。であればポリスマンとかファイアマン?」

浜面「あー悪くないけどもっと地味だよ」

アックア「降参である」

浜面「正解は――ドラム缶押しだ」

アックア「」

浜面「……」

浜面「正解は――」

アックア「いやちゃんと聞こえているのである。あまり馴染みのない単語だったのであるな。良ければどんな職なのか教えて欲しいのであるが?」

浜面「あんまり有名じゃないかもな。まぁ難しくはないから」

浜面「まずドラム缶を白線の端に置くんだ、こう端だぜ?白線が丁度缶の中心に来るようにセッティングするんだ」

アックア(船か何かへドラム缶を積み込む仕事であるか?今更手動は有り得ないのであるが)

浜面「次にドラム缶に両手をかける。つっても添えるだけだぞ?あくまでも恋人を支えるように、そっとだ。優しくな」

浜面「しばらくそうした後、全身の筋肉を爆発させる!足から腰へ力を伝え、その螺旋運動を伝播させる。それがドラム缶押しのコツだな?」

アックア(どうするのであるか。同意を求められても何一つ共感出来ないのである)

浜面「動き始めたら止まっちゃいけない。何故ならドラム缶押しが途中で止まってしまったら、それは敗北を意味するんだ」

浜面「一度止まったドラム缶は、まるで世界樹のように根強く、堅い!だがそれは俺が相手にしている存在の偉大さを示している!」

アックア(酔っているのであるか?いや、微妙に変な『天使の力』らしきものは感じるのである)

浜面「長い長い、とてつもなく長いドラム缶押しも、ついにはゴールが見えてくる。だが決して気を抜いちゃいけない!」

浜面「最後まで一気にドラム缶を押しきれるか!それがプロの世界だ!」

アックア「あーその、ドラム缶を運ぶとは言ったが、もっと具体的にどのような仕事なのであるか?」

浜面「あぁ毎日毎日、ドラム缶を白線の端から端まで往復させ続ける!それだけだ!」 キリッ

アックア(それは確か囚人の拷問方法だった筈であるが)

アックア(というか魔力……霊力であるか?放置は出来ないのであるな)

アックア「成程。浜デュララがかける情熱は何となく理解したのである。で、職場で抱えている問題とかは無いのであるか?」

浜面「そうなぁ……同僚はおっかねぇけど、上司は優しいし。みんな気の良い奴らばかりだぜ?」

アックア「それは、同じドラム缶押しの、であるか?」

浜面「あぁみんな俺と同じドラム缶押しだったんだが、今は立派な能力者になったんだ!俺も早く仲間入りしたいぜ!」

アックア「ふむ。例えばどんな?」

アックア(考えすぎである可能性もあるにはあるが)

浜面「一人はホースマンって言う――」

アックア「すまない浜面。お腹いっぱいなのである」

浜面「なんだよ洋平さん!鉄板ボケはしないのかよっ!?」

アックア(ホースマンとは首の無い馬に乗った、首無し騎士の伝説であるな。基本はアメリカであるが、原型はウェールズのデュラハンであるし)

アックア「職場は近いのであるか?」

浜面「歩いて三十分ぐらいだけど?あ、良かったら洋平さんも紹介させてくれよ!」

アックア「……あぁそれは私も是非挨拶がしたいのである」

アックア(多少遅れるが、我が友に手を出したゴーストの群れ、放っておけぬのである!)

――ヴィリアン追撃

キャーリサ「……ふむ。まぁお前の言い分は分かったし。で、それでどーする?」

キャーリサ「盗んだカーテナ=オリジナルを秘密の場所へ隠した、だから自分は殺すな?」

フレンダ「大体合ってる」

キャーリサ「殺してくれ、と懇願するまでぶつ切りにするってのも、まー楽しそーではあるが」

フレンダ「で、でもそれじゃオリジナルの場所は分からないでしょ?」

キャーリサ「だから?それがどーした?」

キャーリサ「まさかお前、私が剣一本無ければ失敗するようなクーデターを計画していた、なんて思ってはいないだろーな?侮辱にも程があるぞ」

キャーリサ「無いなら無いでそれだけの話だし」

フレンダ「つ、強がり言ってんじゃないわよ!」

キャーリサ「かも知れないな。そーじゃないかも知れないが」

キャーリサ「とゆーかヴィリアンが居ない時点で剣の行方も大体分かるし。大方あの無能に持たせてカンタベリーへ向かわせたんだろ?」

キャーリサ「あのグズは戦えない。戦わないのではなく、戦えないの。調和だ愛だの人徳だの言っているが、それこそただの『幻想』なの」

フレンダ「別にヴィリアンが戦う必要はない訳!足りないモノがあれば、あたしが補えばいい訳だし!家族とかっ、友達とかって結局そういう訳だし!」

キャーリサ「……はー、飽きたし」 ヒュンッ

フレンダ(早っ!?)

ガスッ、バキッ!

フレンダ「げふっ!?」

キャーリサ「こいつが『カーテナ=セカンド』だ。レプリカだが、何本でもあるし」

キャーリサ「お前には『王権』の話をしたよな?王権を持つ者が増えれば、増える程、有り難みは薄れるって」

キャーリサ「つまりコイツがただの棒切れであったとしても、他の王族を皆殺しにした後、私が持てば『カーテナ』と変わらないし」

フレンダ「くる、ってる……」

キャーリサ「それはお前の方だし。さっさと逃げれば命は助かったろーに。なんであのバカの馬車に残って、私達を待ってたの?」

フレンダ「足止めに決まってるじゃない!友達だし」

キャーリサ「あーうんうん。感動しすぎで×れそーよ」 ガッ

フレンダ「くぅっ!」

キャーリサ「あの無能も無能じゃなかった訳だし!出会ったばかりの相手をたらし込むとは。くく、はははははははははははははっ!!!」

フレンダ(あーなんか笑ってるよ、この人……あ、下も赤か)

フレンダ(なーんかノリで命賭けちゃったけど。なんだろうなぁ、変な事になっちゃった訳)

フレンダ(結局どっから歯車が変わった訳か、と?)

フレンダ(『アイテム』が垣根一人にボコられて、あたしが情報漏らして麦野に半殺しにされた時だっけ?)

フレンダ(あれは痛かったなぁ……知り合いに殴られるのは、凄く、いたい)

フレンダ(こころが、ぎゅっ、となるような。しかも麦野も殴りながら泣きそうな顔してて)

フレンダ(それに比べたら、こんなのは)

フレンダ(こんなのはっ!)

フレンダ(こんな至近距離で全開の『イグニス』使ったら、あたし帰れないけど――)

キャーリサ「さーてそろそろ飽きたし。首を落とすのと、足を斬ってから首を落とすのと、腕を切ってから首を落とすの、どれがいーし?」

フレンダ「ロクなの、無い訳だし」

フレンダ(でも『友達』を守るため、なら)

キャーリサ「わたしのオススメはフルコー――」

ヴィリアン「やめてください、姉君!」

キャーリサ(やはり来たか。それがお前の『人望』の限界だし)

――――少し前。イギリス・学園都市関連施設。『能力開発機構』

浜面「……」

浜面「……あれ?俺、どうして……?」

アックア「気付いたのであるか、浜面」

浜面「洋平さん?俺達確かパブで飲んでいたんだよな?」

浜面「ってなんだ!?ウチの建物が炎上してるじゃねぇか!?」

アックア「……これで良かったのである。死者は土へ帰り、生者は街へ戻る」

浜面「いやあのそれっぽく言ってるけど、俺イギリスに来てからの記憶があんまり……?」

17000号「……」

浜面「ど、どうしたっ!?17000号!?」

アックア「……浜面、それは」

浜面「どうしてコイツの体が透けているんだっ!?」

アックア「見るのである、浜面」

浜面「名札の“1”が解けていく……?」

アックア「正確には7000番であるな。この娘はとうに死んでいたのである」

浜面「でもよっ、コイツは最近の事まで知ってたんだぜ!だったらおかしいだろ!?」

アックア「この娘は電気能力者であるか?」

浜面「そう、だよ。それがっ」

アックア「電気と霊体の繋がりは深い。ラジオ黎明期にはよく得体の知れないモノの声が入ったのであるな」

アックア「もしかしたらこの娘も、生前の能力を利用して、某かの情報ネットワークに接続していたのかも知れないのである」

7000号「……あの人、あの人はっ……?」

アックア「済まないが、私はこれで失礼するのである。このあと少し用事があるのでな」

浜面「洋平さん!」

アックア「……何であるか?」

浜面「よく分かんねぇけど……また、助けてくれたんだろ?」

アックア「なんの事だか、私にはサッパリである」

アックア「だがまぁ、浜面が生きているのであれば、それは生きたいという思いがそうさせたものであるな」

浜面「ありがとう、洋平さん!」

アックア「気にするな――友達、である」 ダッ

アックア(クーデターの決行まで余裕はある。高速移動すれば充分間に合うのであるな)

――ヴィリアン追撃

フレンダ「ヴィリアン様、どうして――」

ヴィリアン「フレンダ、友に敬称は不要です」

ヴィリアン「あなたは私の友なのです!友を置いて一人逃げられる訳がありません!」

キャーリサ「こいつぁ、はは、良くやったのフレ何とか。お手柄だ!」

フレンダ「……ヴィリアン、ヴィリアンっ!」

キャーリサ「まさかその手に構えている『カーテナ=オリジナル』でやり合おうってゆーの?本当に今日はツイてるのか、ナイのか分からんな」

ヴィリアン「姉君、お願いがあります!」

キャーリサ「あー分かってるの、一騎打ちがどーたらで勝ったら助けろー、だろーが」

キャーリサ「だがどーやって?お前は武器を持った経験があるのか?訓練した事すらないのだろー?」

キャーリサ「この世界に『もしも』は有り得ない。正義のヒーローなど居ないし。お前が待ち焦がれるゴロツキは、今どこで何をしているの?」

ヴィリアン「彼は、彼はっ今も誰かのために戦っています!それが私の側でない、それだけの話です!」

キャーリサ「だったらお前のその手で切り開いて見せろ。騎士団長!」

騎士団長「はっ」

キャーリサ「『全英大陸』の加護が無い今、王族へお前の攻撃は通用するんだろー?」

騎士団長「はい」

キャーリサ「首を落とせ」

騎士団長「……はっ」

騎士団長「……ヴィリアン様。あなたの首は美しく保って見せます。生前と同じ――いや、それよりも美しく!」 チャキッ

ヴィリアン「騎士団長、その言い方では生前の私が死者に劣るように聞こえますが?」

騎士団長「これは失礼を」

ヴィリアン「魂の無い抜け殻を気遣うのであれば、どうか――」 チラッ(フレンダを見る)

騎士団長「(……はい。命だけは、何とか)」

ヴィリアン「……ありがとう」

騎士団長「参ります」 シュンッ!

ガキイィィンッ!!!

ヴィリアン「くううぅぅっ!?」

キャーリサ「ほう!流石は『カーテナ=オリジナル』、騎士団長の初太刀を受け止めたの!」

フレンダ「ヴィリアン!?……クッソ!」

キャーリサ「おっと動くなよ学園都市の能力者。お友達の最後、見届けてやるの」 ゲシッ

フレンダ「くぅっ……!」

フレンダ(『イグニス』が取り出せない!?)

フレンダ(あたしに能力があったら、力があれば、ヴィリアンを助けられるのに!)

フレンダ(何が友達よ!助けられてるばっかりじゃない!!!)

キャーリサ「これで終わりなの。面白くもなかったし」

騎士団長の白刃がヴィリアンの腕を押し返し、次の瞬間には頭と胴は離れる。
そして騎士団長の嘆願を受け入れる暇もないまま、キャーリサの無情な刃は即席の友を同じ道へと追いやるであろう。

それが、運命。それは、現実。

第二王女の引き起こしたクーデターは未曾有の混乱を生む。
魔術サイド、科学サイド――そしてどちらでも無い多くの人間を巻き込んだ第三次世界大戦の道を。

――だが、しかし。

ドウウゥゥゥンッ!!!

騎士団長「くっ!?」

ヴィリアン「きゃっ!?」

天空より地を貫く光は、その男の存在を何よりも如実に示していた。

騎士達「……戻ったか」

キャーリサ「戻ったか」

騎士団長「戻ったかッ!」

何度も何度でも這い上がり、勝利をその腕に抱くその者の名は。
絶望を振り払う力を持つ、男の名は――。

騎士達は戦慄と共に呟く。

騎士達「……ウィリアム=オルウェル」

反逆の王は忌々しげに唱える。

キャーリサ「ウィリアム=オルウェル!」

騎士団長は熱病に浮かれたように謳う。

騎士団長「ウィリアム=オルウェル!!!」

そしてただ一振りの剣を頼りに、大きな暴力へ立ち向かう姫は呼ぶ。

ヴィリアン「ウィリアム……オルウェル」

騎士達・キャーリサ・騎士団長・ヴィリアン「ウィリアム=オルウェル!!!」

上条「あ、違います」スタッ

――同時刻。少し離れた森の中

アックア(あれ?私は?)


――最後の別れ。イギリス・学園都市関連施設。『能力開発機構』、現在

7000号「あの人は――」

浜面「死んでまで探してんのか。随分と惚れられてんなぁ。殆ど見えなくなっちまってんのに」

浜面「ほら」(拳を突き出す)

7000号「はま、づら……?」

浜面「……お前の言ってたあの人ってぇのは分からないけど、もしかしたら匂いぐらいついてっかもしんねぇ」

浜面「抱いて逝けよ、な?」

7000号「ありがとう……」 チャキッ(ナイフを取り出す)

浜面「」

浜面「いやいや!物理的にやるといった覚えはな――」

7000号「大丈夫、ねっ、囓らないから、ねっ?」

7000号「だから、だから、ちょっとだけ、ネッ?」

浜面「いやあああああぁぁっ!?なんか別のオバケに変わってるうううぅぅっ!?」


――死闘

神裂「天草式は陣形を乱さないで下さい!」 スタッ

オリアナ「やだ、おねーさん飛び降りるの注目されてるみたい?」 スタッ

麦野「つーかぶっ放したのアタシなんだかなぁ?」スタッ

絹旗「まぁまぁ超似たようなもんじゃないですか。わたし達『アイテム』はみんなで一つ、ね?」スタッ

滝壺「がんばって、わたし達、応援してる」

フレメア「上条っ!お姉ちゃんをっ」

上条「あぁ、任せろっ!」

17000号(本物)「どうかご武運を、とミサカはメインヒロインのようにヒーローの帰りをヘリ制御しつつお待ちしています」

滝壺「ひろいんはヘリ、飛ばせないとおもう……」

キャーリサ「輸送ヘリから兵士だと?騎士団長っ、どーゆー事だ!?何故フリーになっているの!」

騎士団長「あの型番は軍でも実用化されていません!つまり学園都市製の――」

麦野「ま、そういう事よね」

絹旗「対外的には武装をしてないから『超民間ヘリですが何か?』と言う立場です」

建宮「流石学園都市汚いのよなっ!」 スタッ

五和「相乗りしているわたし達が言うのは、ちょっとアレですけどね」 スタッ

騎士団長「貴様らは誰だっ!?なんの資格があって我らの戦いに参加する!」

上条「……ごちゃごちゃ煩ぇよ!資格もクソもねぇ、目の前で誰かが傷つきそうになってんだったら、助けるのは当たり前だろ!」

上条(フレンダ?暗くてよく見えないけど、同じ服……この子、だよな)

上条「待ったか?」(抱き上げてお姫様抱っこ)

フレンダ「ちょっ!?わ、わたわたわたっ!?」

フレンダ(男の人に抱き上げられるのは、あの人以来……)

上条(フレンダ、こんなにガタガタ震えて!――こいつら!)

上条「大丈夫だ!もう何も言わなくてもいい!俺が来たからには、お前に何もさせない!」

フレンダ(えっ!?えぇっ!?い、いきなりっ!?)

上条「お前ら、俺の大事な人に何しやがったんだ!」

フレンダ(大事って!大事って言われた、きゃー!!!)

キャーリサ「へー。その無能にも人並み男が居たの」

上条「無能なんかじゃねぇよ!こいつは誰より頑張ってる!」 ナデナデ

フレンダ(私、頑張ってる、って誉めて貰った。この人、私を認めてくれるんだ……)

上条「確かに、他の連中は大なり小なり色んな力を持ってる。だがそれがなんだ?足りなければ助け合えばいいだろ!」

上条「それにこいつの周りには、いつも助けようって人間が現われる!それだって立派な能力だ!」

上条「他人を大事にしたい、そのために人と人の繋がりを大事にしてんじゃねぇのか!?」

上条「そんなこいつを無能なんて呼ぶ奴は、俺が相手だっ!お前ら何人だろうと、どこの誰だろうと、俺がいつだって護ってみせる!!!」

フレンダ(いつだってって、それ、それってつまり――)

麦野「あー……ちょっと。ちょっといいかしら?」

上条「なんだよ。今大事な所なんだから!」

絹旗「あぁいえ超すぐ終わりますから。あ、他の人も超すいません」

麦野「つーかアタシもこんな事ぁ確かめたか無いんだけどね」

麦野「取り敢えずアンタが必死になっているのは良いと思うのよ、うん。私もそれで救われた人間だし?」

麦野「でもね、人間一度は基本に返ってみようって言うか、大事な事、あるわよね?」

上条「……つまり?」

絹旗「はい、上条がお姫様抱っこしている女の子、顔、超よーく見て下さい」

上条「え、うん……え?」

ヴィリアン(フレンダの服を着ている) ポーーーーーーッ

上条「」

上条(誰?)

麦野「着てるものはフレンダの余所着だけど、多分ホラ、あそこで無様に転がっているアレ、あっちが――ね?絹旗」

絹旗「あ、はい超回収してきます」

キャーリサ「……」

絹旗「超すいません。足、フレンダ踏んでるの上げて貰えますか?」

キャーリサ「あ、うん」

絹旗「ありがとうございます。ほらフレンダ、超立って動いて下さい?」

フレンダ「……」 ガクガク

麦野「駄目だな。散々頑張ったのに、フラグ全てこっちのフレンダもどきに持って行かれたし」

滝壺「ふれんだ、かわいそう」(ヘリから)

上条(つーかお姫様っぽい格好しているのが、フレンダ?割と似合うかも)

ヴィリアン(で、でも私には心に決めた方が!)

麦野「(完全にフラグ立てやがったな)」

絹旗「(超無理もありません)」

滝壺「かわいそうなふれんだ……魂抜けてる。かえってこーい」

フレンダ「……」

ヴィリアン(けれど……私を助けて下さったのは、この方。姉君や騎士達に怯まず、武器の一つもなく立ち向かったのも――)

神裂「ヴィリアン様とフレンダさんは私達がお守り致します……勿論、あなたからも!」

上条「頼む!――って俺からも?俺関係無いよね?」

上条(剣、抜き身のままか。鞘に入れとかないと)

パキィィンッ!

上条「あ、ごめん。まぁ古い剣だったしいいよな?」

キャーリサ「」

騎士団長「」


キャーリサ「お前――何なんだ!?急に現われたと思ったら、『カーテナ=オリジナル』ヘシ折るってのはどーゆー了見だし!」

上条「お前も同じの持ってんじゃん、同じヤツだろ」

キャーリサ「これはレプリカだし!そっちがオリジナル!」

上条「……電波状態良くなかったからさ、途切れ途切れにしかお前らの会話、聞こえてなかったんだけど」

上条「お前、言ってたよな?使う人間次第で棒切れも、価値のある人間が使えば価値のある剣に変わるって」

麦野「(って言うか、繋げっぱなしにしてたフレンダの携帯からの会話を、私達が意訳してたんだけど)」

絹旗「(もうちょっとリスニング超頑張った方が良いですね)」

上条「でも今のお前が持ってる剣、それがもしもオリジナルに劣るって事はさ」

上条「――お前自身に価値が無いって事じゃないのか?」

キャーリサ「……騎士団長」

騎士団長「はっ」

キャーリサ「皆殺しだ!!!」

騎士団長「御意に!」


――女の戦い

騎士A「キャーリサ様をお守りし――ろおおぉっ!?」

ドォウンッ!

キャーリサ「下がれ。お前らじゃ相手にならないし」

麦野「おっと第二王女様自らがお相手してくれるってか。そいつぁどーも」

キャーリサ「お前は私を知っているの?」

麦野「そりゃまぁ人並みにテレビぐらいは見るからね。アイツはまだアンタ達がどこの誰だか分かってないみたいだけど」

キャーリサ「ちょっと自信を無くすかと思ったし。つーか仮にもブリテンの第二王女だぞ?」

麦野「いやーアンタが別に誰だって関係無いと思うわよ?」

キャーリサ「そもそも学園都市のバケモンどもが、どーしてブリテンの内戦に介入しているし?」

麦野「別にアタシはどうだって良いんだけどね。仲間を回収しに来たら、たまたまアンタらと出くわしただけだから」

麦野「まぁそれは置いておくわね、本題じゃないし」

麦野「取り敢えず――死ねよクソ野郎」

ドオオオォォンッ!!!

キャーリサ「おっと!」

ズシャァァッ!!!

麦野「空間ごと、斬った?」

キャーリサ「オリジナルには遠く及ばないが、空間切断術式は使えるし。まートラック数代分の広さが限界か」

キャーリサ「お前の攻撃は私には届かないが、私の攻撃はお前に届くし。頭を下げて跪けば、優しく介錯してやるかも知れないぞ」

麦野「ふーん。これ、なんだと思う?」

キャーリサ「拾った木の枝だろーが――」

ブゥンッ!

キャーリサ「ぁくっ!?」

麦野「アタシの能力でね。『原子崩し』でロケットみたいに加速してやれば、音速に近い速度で撃ち出せるのよ」

キャーリサ「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

ザンザンザン、ザンッ!!!

キャーリサ(逃げ場を与えずに空間ごと斬り裂いた!これなら――)

麦野「――勿論、アタシも高速で移動が出来るわ?」

ガスッ!

キャーリサ「ぐっ!?」

麦野「あ、そうそう。言い忘れてたんだけどね――」

麦野「――テメェがウチのフレンダに手ぇ上げた時点で、どこのどなた様だろうがぶち殺し確定だから?」

麦野「その腐れ××コ以外にも5、6個穴が空くと思うけど、精々よがり苦しんでのたうち回りやがれ!!!」

――男の戦い

騎士団長「まさか、『幻想殺し』が出しゃばってくるとはな!我が国をどこまでバカにすれば気が済むのだ学園都市!」

上条「学園都市から命令を受けている訳じゃない!自分の意思でここへ来たんだ」

上条「俺はお前達がどこの誰かも知れない。あと正直言って、もしかしたらお前達が正しい事をしているのかも知れない」

騎士団長「ならばどうして手を出した!?何も理由が分からぬお前達が、触れていい闘争ではないのだぞ!」

上条「……けどな、理由があろうが無かろうか。事情を知っていようが無かろうが、分かっている事は一つだけある」

上条「こんな大勢でたった二人の女の子を取り囲んで殺そうとする。そんな連中に正義なんてあってたまるか!」

上条「お前ら騎士っぽい格好してるけど、やってる事はゴロツキと同じじゃねぇか!」

ヴィリアン(あの方が私のために、怒って下さっている……!)

滝壺(今なんか都合良く脳内補完されたけはいが……?)

上条「お前の下らない幻想、俺がぶち殺す!」

騎士団長「素手で何が出来るかっ!」

絹旗「――って後から超腹パンっ!!!」

バキイイッン!

騎士団長「卑怯な!?」

絹旗「素手相手に長剣で斬りかかってて超寝言ほざいてやがるんですか?あ、前見た方が良いと思いますよ?」

騎士団長「なっしまっ――」

絹旗「超すいません、私から見て前でした――もっかい超追撃!」 ゲシッ

騎士団長「くっ!まだまだだっ!この程度では――」

絹旗「はいはい。そこで超本命のっ」

上条「その幻想、俺がぶち殺ぉすっ!!!」

パキイインッ!!!

――女の戦い。妹>姉

麦野「どうしたどうしたぁ?息が上がって来たみたいだにゃーん?」

キャーリサ「クソ!埒が明かないし!」

麦野「ま、アタシも結構疲れるんだけどさぁ。つーかそろそろ飽きてきたし。頭と×ン×と心臓と、撃ち抜かれるんだったらどれがいい?」

麦野「今、ちょぉぉぉぉぉおおおっと怒ってるから、ジジイのショ×ベ×みたいにあちこち飛び散るかも知れないけど、まぁそこは笑って許してね?」

キャーリサ(なんだコイツ!私なんかよりずっと狂ってるし!)

麦野「んじゃまぁ推定未貫通の××コからやってみよっか。スルって入ったら王室スキャンダル確定かしらね――」

ヴィリアン「やめてくださいっ!」(麦野の前に立ちはだかる)

麦野「おんやぁ?」

ヴィリアン「私の姉君をこれ以上傷つけないで!」

麦野「……オイオイ、あんた今そのおっかないおねーさんにギロチンされかかったんでしょうが。だってのに庇う訳?」

ヴィリアン「はい。家族が、家族を守るのは当然の事だ――そう、私の友が教えて下さいましたから」(フレンダを見る)

キャーリサ「ヴィリアン……お前は」

麦野「ふーん?でもアンタはそう思ってても、後の人は違うみたいよ?」

キャーリサ「お前はなんて――馬鹿だし!」 チャキッ

ヴィリアン「……」

キャーリサ「あーもー小悪党みたいな真似をする羽目になるとは、今日は厄日だし。あ、動くなよハッピートリガー?」

ヴィリアン「キャーリサ姉君……」

上条「お前はっ!!!」

キャーリサ「おー来たか幻想殺し。つーか騎士団長も負けたよーだし、他の連中も総崩れか」

絹旗「神裂が大人げなく聖人の力で超フルボッコにしていますし。嫌な事でもあったんでしょうか?」

上条「お前が何を護ろうとしたかは知らないが、妹を犠牲に差し出してまでする必要があるのかよ!?」

キャーリサ「……この世界は綺麗事だけでは成り立たないし!」

キャーリサ「武力がなければ戦争は起きない、と言うのであれば、全裸に靴下でスラムでも歩いてみろ。そーすればお前でも理解出来るかもな」

キャーリサ「必要なのだよ、私達は。だからしただけの話だし」

キャーリサ「騎士達だってそーだ。私利私欲のためだったら、その場で私を切り捨てただろーに」

キャーリサ「これはブリテンの問題だし!貴様ら外国人が口を挟んでいー問題では――」

ヴィリアン「ならば何故っ!私に、私を頼って下さらなかったのですか!?」

キャーリサ「……はぁ?」

ヴィリアン「必要なのでしょう?だったらどうして私やリメエア姉君に相談して下さら無かったのですか!?」

キャーリサ「バカかお前は。『クーデターするから力を貸せ』と言えとゆーのか」

ヴィリアン「バカはキャーリサ姉君ではありませんか!一人で無茶して!みんなから嫌われ者になって!」

キャーリサ「……いやーだからな?必要だから――」

ヴィリアン「だって騎士派の皆様には言ったのでしょう!?どうして私達は家族なのに秘密にされたのですっ!?」

ヴィリアン「あぁもうっ剣なんて捨てて下さい!」 クルッ

キャーリサ「危ないし!斬れたらどーするんだ!?」

ヴィリアン「私が、私も一緒に謝りますから!ね?だから、もう、止めて下さい!」

キャーリサ「……」

上条「お前の負けだよ」

キャーリサ「……なぁ幻想殺し」

上条「うん?」

キャーリサ「その前に教えてくれ。私は誰に、何に負けるんだ?」

キャーリサ「お節介モノの学園都市のバケモノどもか、それとも清教派の密偵どもか」

キャーリサ「まさかこの無能の『人徳』なんて話じゃないだろーな?」

上条「そりゃお前――『お姉ちゃん』だからだよ」

キャーリサ「あー?」

上条「『お姉ちゃん』っては、妹のワガママを聞かなきゃいけないんだと」

ポイッ、カキーン

キャーリサ「……成程、だったらしょーがないし」


――少し離れた森の中

アックア「……」

アックア(ね、念のため、もう少しだけ様子を見るのであるな!)

――戦闘終結

騎士団長「『待機している全ての騎士へ命ずる!クーデターは中止だ!武装と霊装を全て解除し、本来の持ち場へ戻れ!繰り返す――』」

フレンダ「アイタタ……あ、あれっ?終わってる?なんで終わってるの?」

絹旗「あー起きましたかフレンダ。超お疲れ様でした」

フレンダ「なんか結局途中からの記憶が曖昧になっている訳」

麦野「それはまぁあんたのピンチをそげぶして助けてくれたわよ?うん、それだけだから」

フレンダ「えー?なんか所々『ヤベェこれ超惚れる』的な台詞を聞いたような……?あぁいや結局惚れなかったけどね!」

麦野「(フレンダには知らせない方向で)」

絹旗「(超了解しました)」

滝壺「みんなー」

フレメア「おねーちゃん!」 ダキッ

フレンダ「あーもう。フレメアったら心配性なんだから!」 ヨシヨシ

フレメア「にゃあ……」

フレンダ「……だいじょぶ、うん。あたしはフレメアを一人にはしないって訳よ」 ナデナデ

滝壺「ふれめあの居場所、ふれんだの隣……うらやましい」 ギュッ

フレンダ「あーもう滝壺もどうしたの?もう子供じゃないんだから!」

絹旗 ウズウズ

麦野「おっと手が滑ったわ」

ポイッ

絹旗「むぎのっ!?」

フレンダ「絹旗が降ってきた!?」

絹旗「麦野超何するんですか!」

麦野「心配だったんだろ?ハグの一つや二つ、許してやりなさいな」

絹旗「だってフレンダ、死ぬかもって!」

フレンダ「あたしは死なないし!……みんなが助けてくれれば、まぁ何とか?」

麦野「他力本願じゃねーか」

フレンダ「えへへ。で、なんだけど。上条、は?」

麦野「そういえば」

絹旗「超居ませんね」

滝壺「あっち。おひめさまと話してる」

上条「ほら、上着。俺ので悪いけど」

キャーリサ「必要ないし。敵の施しは受けん」

上条「あ、いやそうじゃなくてだな。戦闘で所々ドレスが破けて、だな?」

キャーリサ「早く寄越せ!」

上条「見てないからね!?」

上条の下条さん(赤いドレスの下も赤ですた)

キャーリサ「まったく!母上にも見せた事がないとゆーのに!」

上条「見てないって!……つーかさ、この後どうなるんだろ」

キャーリサ「さーな。結局騎士派が動く前に。クーデターが始まる前に終わってしまったし」

神裂「先程、騎士派から逃れた陛下と最大教主の身柄を確保したそうです――が、本人達は『ヒッチハイクしたかっただけ』と言い張っているとか」

キャーリサ「私は不問にすると?それはそれで後々まで弄られそーだし」

ヴィリアン「姉君も反省してくださいね。少なからず原因はあるのですから」

キャーリサ「失敗して胴と首が繋がっているだけでも有り難いがな。それより――来なかったな」

ヴィリアン「……はい」

キャーリサ「タイミングが悪かったんだろー。あのゴロツキは今も何処かで誰かを助けているだろーし」

ヴィリアン「あの方にとって私は、ただの救うべき一人にしか過ぎなかったのでしょう」

ヴィリアン「それを私だけに向けてくれている、そう思いたかったのかも」

キャーリサ「そーかー?満更でもないように見えたの」

ヴィリアン「私の手を取って下さる事はなく、私と一緒に『王室』というものに挑んで下さらなかった。それが全てです」

上条「何の話?」

ヴィリアン「初恋、ですかね。でももう終わりました」

上条「……そっか」

ヴィリアン「そんな顔をなさらないで下さい。あなたには、もっと楽しそうな顔の方が似合いますよ?」

麦野「……オイなんか変な空気になってんぞ」

フレンダ「よしあたしに任せるって訳よ!行くわよ、フレメア!」

フレメア「にゃあ!」

絹旗「……フレンダが自信満々だと、超不安しかありませんが」

滝壺「ふれんだはやれば出来る子……でも失敗した方が、実はオイシイ」

フレメア「ぱぱー、にゃあ!」

麦野「無理すぎだろ!?」

キャーリサ「その歳で父親だしっ!?」

絹旗「超信じたっ!?」

上条「違うわっ!つーかなんでこんな演技してんだよ!?」

フレンダ「何言ってるのかしら、あ・な・た!ホラ、娘のフレメアも会いたがってた訳」

フレメア「ぱぱー、だっこー」

絹旗「無駄に超絶妙なコンビネーションですね」

麦野「その設定だとフレメアいつ産まれた子よ」

ヴィリアン「でもフレンダ。フレメアって妹がいる、そう仰っていませんでしたか?」

麦野「瞬殺で嘘バレしたな」

絹旗「ま、超フレンダですしね」

フレンダ「と言う訳で行くわよ、上条!」

ヴィリアン「あ、上条ってさっき言ってた好きな方――」

フレンダ「あー!あああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!聞・こ・え・な・い・訳っ!!!」

???「ハハッ、こいつは凄いな。大団円だ。誰も傷つかず、誰も死なず、か。悪くないが外連味が足りないな」

――少し離れた森の中

アックア(あれは――拙いのである!)

アックア「義によって助太刀するのである!」 キリッ


――右方のフィアンマ、襲来

騎士団長「誰だっ!?」

フィアンマ(???)「神の右席、『神の如き者(ミカエル)』、右方のフィアンマ、と言えば分かるか?」

フィアンマ「まぁここで顔を出すのはどうか思ったんだが、礼儀としては挨拶を、な」

フィアンマ「お前らをフランス政府経由で揺さぶった結果、バッキンガム宮殿の“アレ”も手に入れられたしなぁ」

フィアンマ「ま、ちょっとだけ見せてやろ――」

滝壺「……くぅっ!?」

上条「滝壺?大丈夫か?」

麦野「……これは、もしかして『体晶』!?アンタまた無茶して使ってたのね!」

滝壺「だいじょうぶ、ぶいっ……」

フレンダ「あーもう、こんなにガクガク震えてる訳だし!天草式の人っ、ブランケットあるー?」

五和「あ、はい!すぐ取ってきます!」

上条「……大丈夫なのか?顔色、真っ青だ」

麦野「断言は出来ないけど、多分。あなた――アンタが来てから安定してたから、すぐにどうこうはならない、と思うわ」

絹旗「体晶なしでも超安定していたから、ついつい頼りっぱになっていましたね」

フィアンマ「……」

キャーリサ「……」

騎士団長「……」

フィアンマ「ハハハッ、俺様が手に入れた力、見せてやろ――」

上条「あ、ごめんな?今こっち病人居るから、静かにしてくれないか?」

フィアンマ「バカバカしいっ!どうして俺様が――」

ドオウンッ!!!

麦野「空気読めクズ」

フィアンマ「その程度では――」

絹旗「超喋んな」

ガスっ!

フィアンマ「く――いや、俺さ――」

フレンダ「『イグニス』」

ドオオオォォォォォンッ!!!ゴオオオォォッ!

フィアンマ(危なっ!?直撃してたら死ぬだろ!?)

フィアンマ「効かんな――」

上条「黙れ」

パキイイイイインッ!!!

フィアンマ(あ、俺の右手が分解された……)

上条「……今ちょっと余裕無いんだ、俺の日本語、わかるか?」 ズシャッ、メキメキ

フィアンマ(お前それ壊すかっ!?)

フィアンマ「オイ!禁書目録の制御霊装――」

バキッ

フィアンマ「……」 バタッ

上条「ごめん。後、任せて良いか?」

キャーリサ「あ、うん。いーし?」

騎士団長「取り敢えず、捕獲します……」

キャーリサ(ローマ聖教のリーダー瞬殺?私が倒したかった男が、一瞬で?)

滝壺「大丈夫、だって言ったのに」

上条「何言ってたんだ。仲間心配するのは当然だろうが」

フレンダ「ありがとー五和ー。はい、体冷やさないようにして――どうしよっか?」

麦野「『体晶』は普通の方法じゃ抜けないのよ。冥土返しに看て貰うのが一番だけど」

滝壺「少し休んだら、平気だから……」

上条「体調悪いまま飛行機乗せるのも悪いだろうしな」

絹旗「あーじゃあこうしませんか?イギリスって超魔術的な本場でもあるんですよね?」

フレンダ「超魔術って聞くとアレを思い出す訳」

フレメア「ハンドパワ○です、にゃあ」

絹旗「科学的な治療は現状維持に勤めるとして、魔術的な側面から超治療できないかと」

麦野「あー……あり、かも知れないわね。一方通行んトコの打ち止めちゃんが良くなったぐらいだし」

上条「まぁ看て貰うぐらいは良いと思うけど。滝壺はどうしたいんだ?」

滝壺「お腹、すいた……」

フレンダ「あー確かに、こっち来てから何にも食べてない訳よ。だから体力落ちたのかも」

フレメア「大体ー、お姉ちゃんが悪いのだ!にゃあ!」

フレンダ「あたし?あたしは巻き込まれた側でしょうが!」

絹旗「ってか上条が超諸悪の根源なんですからね?わたし達を置いて一人でイギリスへ行くなんて」

上条「俺かっ!?いやだってクーデターに巻き込まれるとは思わないだろ!」

麦野「まぁまぁ今回ので責めるのは酷だと思うわよ?」

滝壺「やだーでれのさんじゃないですかー」

フレンダ「デッレ反対っ!デッレ反対!」

麦野「あーもうやっかましいわね!灼くぞコラぁ!」

絹旗「きゃーいやーたすけてー上条」 ギュッ

フレンダ「デレザウラ○がやってくる訳―」 ギュッ

麦野「……こんのメスガキどもがっ!」

滝壺「(今の内に後から抱きつく、うん)」 ギユッ

神裂「……」

神裂(は、入っていく隙間がありません)

五和(なんですこの疎外感、ピンクいオーラすら出ているような!?)

野母崎「(教皇代理っ!これはかなり拙いのではないですかっ!)」

香焼「(そうっす。数でも質でも負けてるっす!)」

建宮「(確かに拙いのよな。ここは一つ俺が策を出すのよ!)」

建宮「(名付けて『酔ったフリして既成事実作戦!』)」

五和「(いやーそれ拙いんじゃ!?信仰的に色々と!)」

建宮「(いや、神は言ったのよ――×で出せ、と)」

五和「(言ってません言ってません、それ書いてありましたっけ)」

神裂「(あの……どういう意味でしょうか?)」

建宮「(かーっもうこれだから女教皇わっ!それを教えて貰いに行くのが大事なのよなっ!)」

建宮「あー、お疲れなのよなー」

上条「あぁお疲れー。今回もお互いボロッボロだなー」

建宮「ま、それは仕方がない事なのよな。何にせよ、大事が無くて良かったのよ」

建宮「それで、なのよ。差し当たって当分の間、滞在する所の当てはあるのよ?」

麦野「あー考えてなかったわね。六人かー、宿を取るより家借りた方が良いかもしれないわね」

絹旗「あ、ダブルならわたし上条と一緒で超構いませんよ?」

滝壺「問題発言きたー」

フレンダ「説明を要求する訳っ」

絹旗「ダブルで二人ずつってなったら、フレフレ姉妹は超確定じゃないですか?」

麦野「ま、妥当でしょうね。で?」

絹旗「残った四人で組むとなれば、誰かが上条と超相部屋にならないといけません。でしたら年も若い、言ってみれば超危険性の低いわたしが適任――」

麦野「じゃあどうしよっか?スイートかコンドミニアムは高けぇんだよなぁ」

滝壺「すいーとっ!とまってみたい」

フレンダ「はいはいっ!あたしもっ!」

フレメア「にゃあにゃあ!」

絹旗「超無視されたっ!?」

麦野「まぁ一般的には辛うじて正しいんだけども。あんた数時間前にロンドンで逆××プかまそうとした前科があるからね?」

神裂・五和・フレンダ「」

絹旗「いやあれは超冗談ですしっ!」

麦野「はい実際はどうでしたか、被害者のKさん」

Kさん(上条)「イヤだって言っても手を離してくれなくて、周りの人は笑って見てたんですよぉっ!」(裏声)

フレンダ「『誰も呼んでも助けなんか来ねェんだよォ?クックック』」

滝壺「『や、やめろっ!それ以上近づいたら、おれのイマジン何とかが黙ってないぞ!?』」

麦野「あ、フレメアー。ちょっとお耳塞いでおきましょうねー?」

フレメア「にゃあ?」

上条「教育に悪すぎるだろこいつら!」

フレンダ「『へェ?やりゃあ良いだろ?どうして使わないンだよォ?』」

滝壺「『そ、それはっ!』」

絹旗「っていうかフレンダ誰設定なんです?わたしじゃ超ありませんよね」

フレンダ「『俺からの愛は――一方通行なンかじゃねェンだよ!!!』」

絹旗「あーはい。超了解しました。というか話が超脱線してますね」

滝壺「『やだっ、おれのイマジン何とかが使えない!?これが、愛の、チカラ?』」

麦野「スゲェな。あそっから立て直したぞ。あぁいや凄くはないけど」

上条「つーかイマジンまで言ってんだから、ブレイカーまで言ってくれてもいいと思うんだが」

フレンダ「『三下ァ!』」

麦野「『れーたっ!』

フレンダ・滝壺 ガシッ

麦野「――とまぁ見て分かったように、ファミリー向けのホテルかなんか、知ってたら教えて欲しいんだけど?」

建宮「あ、あぁそうよな!その件なんだが、急にってのは無理なのよな」

建宮「だからお前さん達は必要悪の教会の女子寮へ泊るってのはどうなのよ?」

絹旗「女子寮、ですか。なんか超ちょっと楽しそうですね」

フレンダ「シスターさん一杯な訳!?歌とか歌うのっ!?」

建宮「いや、それは映画であって――」

麦野「ま、二、三日ならそれも悪くないわね。っても上条は?」

絹旗「女子寮、ですか。それはそれで超フラグを突貫工事しそうな予感がヒシヒシと」

フレンダ「むしろしない訳が無いと思う」

上条「ビジネスホテルでいいだろ!幾ら何でも肩身が狭すぎる」

建宮「あーいやいや。恩人をそんな扱いは出来ないのよ!だから我々天草式のアパートで暮らせばいいのよな!」

五和(珍しくナイスです!教皇代理っ!)

神裂(あの、私は女子寮の方なのですが……)

キャーリサ「ちょっと待つし!」

建宮「キャーリサ王女殿下?」

キャーリサ「偶然ではあるが、右方のアックアも確保出来たよーだし、私のしでかした事も有耶無耶になりそーなの」

上条「懐深いなイギリス」

フレンダ「いやー、多分“そーなればいーな”って願望な訳」

キャーリサ「まー何せよ色々な意味で恩人であるお前達を、下に置くような真似は出来ないし。宮殿暮らしをするつもりはないか?」

フレンダ「……マジでっ!?」

絹旗「それはまた……超意外です」

麦野「つーか恩人も何もその危機はアンタが作ったんだけどな」

滝壺「自作自演にも、程がある……」

ヴィリアン「あまり姉君を責めないでください」 ググッ

上条(顔近っ!?なんでこの人俺の手ぇ握ってんの?よくよく見ればぱっつんぱっつんの服着てるし!)

上条の下条さん(ヤダ、あたってる……)

麦野(また頭痛いわー)

絹旗(今のウチに左手を超キープ、と) コソコソ

フレンダ(んじゃあたしは右腕をと。あ、能力者じゃないから、こっちの手にくっついても大丈夫って訳よね) コソコソ

滝壺(あれ、森の中から負け犬の電波が……?)

ヴィリアン「何もない所ですが、是非おいで下さい。ね?」

上条「えっと、だな」

建宮「ちょっと待つのよな!我らと少年はダチ同士!そこへ女が割って入るのは、王女殿下であらせられようが見過ごせないのよ!」

牛深「よく言った!教皇代理!」

キャーリサ「……ほー。疲れた恩人を癒そーとゆーのに。お前は友の邪魔をするの?」

麦野「いやいや、アタシら全員のケガ100%アンタの仕業だからな?」

フレンダ「うぅっ、あたしもお気に入りの服ボロボロ……」

ヴィリアン「そもそもサイズがちょっと、なので、動き回るのは難しかったようですね。私のお古で良かったら差し上げますよ?」

フレンダ「マジでっ!?……あ、でもドレスばっかとか」

ヴィリアン「普段着もあります。と言うかパンツスーツの方が着る機会は多いですね」

フレンダ「へー欲しい欲しい!ヴィリアンの服着てみたい訳!」

麦野「(でも中二と成人女性の体格差ってあるよな?)」

絹旗「(子供服とか、超あると良いですよね)」

滝壺「(着られなくてしょんぼりするふれんだ、がんばれ)」

建宮「……いやさキャーリサ王女殿下!あなたは甘いのよな!確かに宮殿では多くの付き人に囲まれているのよ!」

建宮「だがしかぁしっ!100人の付き人より、心の籠もった一人のメイド!」

騎士団長「……むぅ、敵ながら一理ある!」

キャーリサ「……お前はどっちの味方なの?割とクーデター中から思っていたんだが?」

建宮「ウチへ来れば女教皇が堕天使エロメイド!隠れ巨乳が大精霊チラメイド!二人がかりであんな事やこんなこ――」

バスッ!!!

神裂「ウチの者が失礼を致しました。どうかお忘れ下さい」

建宮「……」 ドサッ

上条「あの、さ」

神裂「忘れて下さい!良いですね!?」

キャーリサ「という訳でウチへ来るし。ヴィリアンが何とかメイド?を着てやるの」

ヴィリアン「ちょっ!?姉君酷いです!」

騎士団長「こんな事もあろうかと、お二人のご衣装は用意しておきました!」

建宮「貴様……中々の武人よな!」 ムクッ

五和「復活早っ!?」

騎士団長「ふっ、紳士として当然の事をしたまでの事だ!」

キャーリサ「『あ、母上か?あー、うんうん。悪かったと思ってるし。いーじゃないか、演習代わりになっただろー?』」

キャーリサ「『結果的にフィアンマも“私達が”生け捕りにしたし――あー、それはほらヴィリアンか私がたらし込むし。え?姉上もやる気?歳を考えろ!』」

絹旗「……なんでしょうね。超凄まじく不愉快な会話がされているような……?」

麦野「姉妹揃って××コ灼いときゃ良かったわね」

キャーリサ「『あーそうではなく騎士団長の解任決議をだな――』」

騎士団長「何故私がっ!?」

上条「分かるだろ!?」

フレンダ「あーもう混沌としてきた訳」

絹旗「滝壺、超疲れませんか?」

滝壺「へーき。こーゆーの楽しくて、好きだし」

フレメア「にゃあ、早くご飯食べたいのだ」

麦野「そうね。結論も出そうにないし、あたしらだけで近くのパブにでも行きますか」

上条「さんせー」

フレンダ「あ、あのさ、みんなっ」

麦野「あぁショ××ンなら待っててやるから」

フレンダ「違う訳!そうじゃなくって、イギリスに居るんだったら、ちょっと寄って行って欲しい所があるかなー、と」

フレメア「お姉ちゃん」

絹旗「……わたし達、で超良いんですか?」

フレンダ「うん。どう?」

上条「行かせて貰うよ、みんなでな」

神裂「あと香焼。後で少しお話があります。誰が質で劣っていると?」

香焼「ひぃっ!?」


――同時刻。少し離れた森の中

アックア「……」

アックア(……どこかで飲み直す、のであるか……)

アックア「……」 ピッ

アックア「『あ、浜デュラであるか?野暮用は終わったのであるが』」

アックア「『何?ナイフを持った赤い帽子の女であるか?それはレッドキャップという、返り血で帽子を染める妖精の一種であるな』」

アックア「『……分かったのである。ではまたすぐに』」 ピッ

アックア(……まぁ誰が相手でも、すべき事は変わらないのであるな)

――フレルート・エンディング?(※閲覧注意!)

王立墓地。××年後。
一つの墓の前で腰を下ろす二人の女性と一人の男性。

フレンダ(パパ、ママ。久しぶりな訳。あたし達は元気だから)

フレンダ(って今日は上条もなんで礼服?フレメアもちょっとオシャレしてるような?)

フレンダ(ま、まさかっ!?『娘さんを下さい』的な話がっ!?)

フレンダ(いやー?無い訳だし。つーか『アイテム』に誰一人手を出さない上条、最近ゲ×なんじゃねぇかって噂が――)

上条「――セイヴェルンさん、今日は大事な話があって来ました」

フレンダ(ウソ?マジでっ!?……あぁいやいや落ち着けあたし!ま、まだ早い訳よ!うん!)

上条「その、色々あったんですが、俺にはやっぱり彼女しか――いや、あなた達のお嬢さんしかいません」

フレンダ「」

フレンダ(きゃーーーーーーーーっ!?うっわー、どーしよマジでっ!?マっジっでっ!?)

上条「俺は人のために色んな戦いを続けてきました。けど、今になって考えれば、彼女と一緒に居たかったんだと思います」

上条「どんな過酷な戦いだって、彼女と一緒であれば平気でした。そうしているに、俺は彼女を愛してしまっている事に気づいたんです」

フレンダ(ヤッバい訳ね!いやーまぁ?何となく?そんな気はしてたんだけど、出来ればパパとママに伝える前に、こう直接言って欲しくはあった訳よ!)

上条「俺は大した財産もありません。能力だって人並みです。でもあなた達のお嬢さんを守る力は他の誰にも負けません!例えそれがあなた達であってもです!」

フレンダ(こう、たまーにロマンチックな雰囲気になった時とか、それっぽく振る舞って欲しかった訳。まぁ日本男児だし?格好良いけど!きゃーっ!)

フレンダ(あー……でもあたし、上条と結婚すれば日本人になるのかぁ……)

上条「これからは、俺達三人で生きていこうと思います。だから、だから――」

フレンダ(うん……うん!あたしが愛する人と出会った、大好きなニッポンでフレメアも一緒に三人で暮らす訳ね……)

上条「――フレメアとの結婚を許して下さい!!!」

フレメア「にゃあ!」

フレンダ「つーかそっち!?小さい方!?何それっ!?どういうオチなのっ!?」

フレンダ「わりーと足とか足とかあと足とかには自信があった方なんだけども!結局勝負以前に負けてたって訳なのね、ローパスフィルターじゃないと通さないって訳っ!?」

フレンダ「やっぱそれなの!?ちっちゃくないと攻略キャラになれないのっ!?日本人はロリが多いって話は本当だった訳ね!」

フレンダ「つーかフレメア今何歳設定よっ!?どう考えても『にゃあ』つってんだから幼女よね!?幼女設定よね!?」

フレンダ「結局あんたはウチの妹に何してくれてるワケよおおおおおぉぉぉっ!?」

上条「あ、フレンダ。居たんだ?」

フレンダ「結局そこからっ!?飛行機一緒に乗ったし、同じホテルにも泊ったわよねっ!?つーかそもそも朝、ここへ来るのに話した訳だし!?」

上条「いや、ほら頭が一杯だったって言うか?」

フレンダ「つーか居るも居ないもあんたさっき、三人で暮らすとか、言ってた、わよね?」

フレンダ「そうすると、その、三人目、ってのはまさか――」

上条「あーうん。その、ほらさ?」 チラッ

フレメア「にゃ、にゃあ!」 テレテレ

フレンダ「いやあああああぁぁぁっ!?フレメアのお腹を意味ありげに見るのは、いやあああああぁぁぁぁ!?」


――バッキンガム宮殿。“現実”

フレンダ ガバッ

フレメア スースー(隣で眠ってる)

フレンダ「……」 ツンツン

フレメア「にゃ……くすぐった……」 スースー

フレンダ「…………よし!」

フレンダ(つーかまだ来てない筈だし……なんつー夢を見たんだ、あたし)

フレンダ(麦野に言って××コ引き抜いて貰った方が良い訳?いやでも将来困るし――あ、あたしは困らないけど!)

フレンダ(最近絹旗と二人でなんか連結プレーしてるのって、結局夢みたいにならないよう外堀を埋めるって訳?)

フレンダ(あー……今度、相談しよっかな、うん)

――数日後。王立墓地

フレンダ「あーうん、ここ」

フレメア「にゃあ」

上条「ここ……眠っているのは、その」

フレンダ「パパとママよ」

麦野「そうかよ」(手を合わせる)

麦野「あんたらの娘は、出来は良くないけど。まぁ面倒は一応見るから心配すんな」

フレンダ「酷っ!?出来って!」

絹旗「あ、じゃわたしも」(手を合わせる)

絹旗「フレンダは今日も超フレンダです、まる」

フレンダ「意味がっ!?意味が分からない訳!」

滝壺「……ん」(手を合わせる)

滝壺「…………分かった、うん」

フレンダ「あれ?もしかして今降霊的な事しなかった?」

滝壺「娘二人の名前を『ふれ』で始まるようにしたのは、反省していると――」

フレンダ「言わないでっ!?時々二人で病院の待ち合い室とかで待ってたら、『フレ――』って呼ばれると、二人どもビクってなるんだからっ!」

フレメア「にゃあ」(手を合わせる)

フレメア「……………………にゃあ」

フレンダ「もういいの?次は、また来年になるわよ」

フレメア「大体ー、いつも一緒なのだ!」

フレンダ「……うん。それは、うん、そうよね」

上条「んじゃ俺も」(手を合わせる)

上条「えっと、娘さんは普通です」

フレンダ「ふ、ふつー……?」

上条「だから、誰だって仲良くなれるし、誰の心の痛みも分かってくれる」

フレンダ「……あ」

上条「寂しい時にはぎゃーぎゃー騒ぐし、楽しい時にもぎゃーぎゃー騒ぐ」

フレンダ「……なにそれ。騒いでばっかり」

上条「だからフレンダの周りには人が集まる。彼女の笑顔が見たくて、彼女を笑顔にしたくて」

フレンダ「っ!」

上条「あなた達の娘さんが独りになる事はないよ。いつも、彼女を慕って助けてくれる人達が周りに居るから」

フレンダ「その、えっと!」

上条「ん?」

フレンダ「い、いやっ何でもない訳よっ!」

上条「そう、か?」

フレンダ「…………うん。別に、何でもない訳よっ」

麦野「……あーもう。仕方がないわね、滝壺」

絹旗「超かましてやっちゃってくださいな、センセイ」

滝壺「おーけー。わたしに任せる……」 グッ

フレンダ「ちょ、あんた達何を――」

滝壺「『それで?きみは娘とどんな関係なのかね?』」(裏声低め)

フレンダ「パパ呼んだのっ!?しかも流暢な日本語だしっ!」

上条「あー……まぁ、友達、ですかね。仲間でもあります」

滝壺「『きみが言ってた娘を慕う者、の一人ではないのかな?』(裏声低め)

フレンダ「それっ、ちょっと!」

上条「はい。それは勿論」

フレンダ「あ……」

滝壺「『だったらいつか娘を幸せにすると言う選択肢はないのかね?中途半端な気持ちで娘に近づかないでくれたまえ!』」(裏声低め)

上条「いやまぁぶっちゃけ、フレンダはウザいです。目を離すと何するか分かんないし」

フレンダ「全否定っ!?」

滝壺「『わたしもそう思うよ』」(裏声低め)

フレンダ「パパからもダメ出し来たっ!?」

上条「でも、だからって離れようとか、考えた事は無くて。むしろ近くに居なきゃ駄目だろって言うか、ですね?」

上条「今はまだ分からない。分からないけど、分かっている事もある」

上条「友人かも知れないし、仲間かも知れないし、家族かも知れないが、どんな形であれ」

上条「俺の手が届く限り、フレンダを守るよ。絶対に!」

フレンダ「……っ!」

滝壺「『……まぁ良いだろう。でも避妊はしっかりするんだぞ?』」(低い裏声)

フレンダ「パパはそんな事言わないから!」

滝壺「『娘をよろしくね、とーまくん……ふれんだ、ふれめあ、愛しているわ』」(高い裏声)

フレンダ グスッ

滝壺「『ふんぐるいむぐるうなふくとぅるーるるいえうがなぐるふたぐん』」(超低い裏声)

フレンダ「誰っ!?今の誰っ!?どこと混線したのっ!?」

上条「ほい、交代だ」 タッチ

麦野「よーしフレンダ最後は愉快な爆発オチが待ってるわよ」

絹旗「いやーここは古式ゆかしい超タライかも?」

滝壺「がんばれー、だいばくしょー」

フレメア「にゃあにゃあ」

フレンダ「あたしは笑いを取りに行っているつもりは無いし!つーか違うでしょ!もっとしんみりする所って訳よ!」

フレンダ「でも、まぁ」(手を合わせる)

フレンダ「……パパ、ママ。今まで色々あったけど」

フレンダ「結局――あたし今、笑ってる訳!」


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

フレメア「お姉ちゃんをいじめるな、にゃあ」フレンダ「なんであたしハブられてる訳!? -終-



読んで下さった方、またご支援頂いた方には多大な感謝を。駄文長文、失礼致しました

余談ですがこのSSの添削を上司へ頼んだ際の感想が、
『あれ?アニェーゼたんは?眠ってる上条さんの下条さんをロータスワンドと間違えてペロペロさすさす撫で撫でしこしこする展開はないのっ!?』
でした。名無しの中に砂皿さんいらっしゃいましたら、楽にしてやって下さい


――次回予告

「絶対、なんてのはありえないと思う。あるとすれば、それは『幻想』」

「人間はいつか死ぬし、人間じゃなくたって死ぬ。この星もそうだから」

「人の寿命はあっという間に過ぎるし、ましてあなたは人のために磨り減らす人だから、余計に」

「でも、だからこそ。あなたが戦いに行ってもその傍らで。そして帰ってきても、ずっと一緒にいたい」

「あなたが命を落とすのならその隣で、わたしが旅立つとしても最後までその横に」

「あなたが不幸であるのなら、あなたを襲う不幸から守ってあげるから――あなたがいないと言う不幸から、わたしを守ってください」

「あなたが世界を守ると言うのなら、わたしはあなたを世界から守るから」

「あなたが泣きたいときには側で騒いで、笑いたいときには側で騒ぐから」

「あなたを独りには、もう、しないから」

「わたしは――わたし達はあなたの居場所になりたい」


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

滝壺「わたしは――わたし達はあなたの居場所になりたい……」 -鋭意作成中(予定)-

※『上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」』は次回で最終回です。短い間でしたが、ご声援有り難う御座いました。

あーあとすいません>>1ですが、ここの板はスレの容量500KBを超えると自動的に落ちるんでしょうか?

――新番組予告

佐天「さーてやってきましたっ!学園都市七大不思議探訪!うっいはるー、見てるーーー?愛してるぞーーーーーーーーーーっ!!!」

上条「ちょっと待て!これ学園中に流れんだぞ!?」

佐天「別に大丈夫ですってば!後から幾らでも編集できますよ!ほらなんか上条さんも言いたい事があったら言っといた方が良いですよ?」

佐天「ほらほらっ、『愛してるぞ、美琴!』、プリーーーーーズっ!!」

上条「どうせ切られるんだから意味はないだろっ!?と言うか対象の人選と台詞に作為的なモノが感じられるよねっ!」

佐天「この番組はあなたの身近な都市伝説や学校の怪談、本当にあった怖い話を、ワタクシっメインリポーター佐天涙子とぉ――」

上条「カメラマン兼アシスタント兼雑用パシリの上条です」

佐天「――んがっ、取材して視聴者の皆さんへ送りするっ、突撃リポーター型オンライン番組でーす」

上条「……そうなの?オンラインって何?投票とかすんの?」

佐天「ヒドっ!?どうしてアシスタントさんが内容把握してないんですかっ!怠慢ですよ、ぶーぶーぶーっ」

上条「いや俺学校帰りに佐天さんに捕まって、近くの公園まで連行された挙げ句、問答無用でハンディカム持たせられたんだけど?」

上条「見ろホラ、カメラを横移動させると近所のガキンチョが『何あのおねーちゃんテンション振り切ってない?頭大丈夫?フ○ミ通なの?』って見てんだぞ」

佐天「ま、まぁまぁまぁ、それはいーじゃないですかっ!ちょっと時間がねー、無かったんですから!」

上条「いやまぁ困ってるんだったら助けるけどさ。つーか本当に何すんの?」

佐天「学園内のケーブルテレビの番組なんですよー?知りません、生徒がスポンサー募ってやってるヤツ」

上条「知ってるけどもそっちじゃなくてだな。何で七不思議?何で都市伝説?」

佐天「あーそりゃあたしが好きだからですが何か?」

上条「佐天さんってこーゆーテレビの仕事してんの?」

佐天「いえそうじゃなく、今日の放課後クラスメイトのお見舞いに行ったんですよ」

上条「それ流していい話か、ってあぁ後で編集出来るんだっけ」

佐天「まぁ本人の許可も得てますし。で、その娘が担当していた番組があったんですが、ちょい前に人がバタバタ倒れた事件ありましたよね」

上条「あぁヴェントん時の話な」

佐天「えっ?」

上条「えっ?」

佐天「ベント?誰です?」

上条「あーうん!俺の取り合いがその時期に偶然来てたんだ!」

上条「あーうん!俺の知り合いがその時期に偶然来てたんだ!」

佐天「はぁ、なーんか隠してるような?まぁそん時の彼女や彼女のスタッフが取材をかましたんですけど。全員倒れちゃいまして」

佐天「番組スタッフが足りない以上、彼女達が受け持つ時間帯にがっつり穴が空いちゃったんですね」

上条「はーそんで佐天さんがフォローしようって?でも素人が手を出していいの?」

佐天「誰だって最初は素人ですってば。編集とかは別番組のスタッフさんがやってくれますし」

上条「それで急遽超低予算で安易な番組でもやっとけ、と」

佐天「あっれー?アレアレアレー?もしかして乗り気じゃない?」

上条「うーん、ほら怪談とか都市伝説とかって、放課後とか夜とか遅い時間が多いよな?一人で行くのは危ないんじゃないかなー、って」

佐天「やっだなぁもうそんな事ですか。二人で行くから大丈夫ですよぉ!」

上条「あーそなの」

佐天「はい、だから次からもお願いしますね」

上条「あぁ任せろ!――って俺?どうして俺なの?」

佐天「いやー恥ずかしながら他に年上の男の人の知り合いって居ないんですよねー」

上条「他のスタッフさん居るだろ」

佐天「暇を持て余してそうなのは、ちょっと」

上条「暇って言われたよ!?」

佐天「本当にご迷惑なら諦めますけど」

上条「んー……んじゃ、暗くなったら俺の側を離れない事。それが守れるんだったら」

佐天「やっべぇ噂には聞いていましたが、超ナチュラルに口説きやがりましたね!」

上条「常識の範囲内のお話だよ!」

佐天「だがあたしには既に初春という恋人がっ!かかってこい!やったンぞコラ!」

上条「……あのな佐天さん、こないだ初春さんが『最近、周囲の目が痛いんです……』って本気でヘコんで――」

佐天「あーっ!あーあーあーあーっ!!!聞こえないなーっ!マジ説教なんて聞きたくないですっ!」

上条「『一般の方が黒子さんを見るような、まるでシビルウォ○のミュータン○――』」

佐天「とまぁカメラマンの泣き落としに成功した所で、番組説明ですねっ!ねっ!」

上条「おい今誰か泣いたか?泣いているのはむしろ初春さんの方だからな?カガ○よりも泣いてたからね?」

佐天「涙子だけにっ!!!」

上条「何ともかかってないよ!?ニアミスぐらいだよ!」

佐天「あーもうウッサイなぁカメ条さん、番宣なんだから番組の宣伝しないと」

上条「上手くないからな?カメラ担当だからって、上条をカメ条つっても笑いは取れないからな?」

佐天「上条さんだって下に――あぁやだゴメンなさいあたしにはまだハードルが高すぎますっ!」

上条「おい今視線をどこに向けてた!?あとさっきから聞いてるけど、佐天さんのハードルは跳ぶ必要の無いのばっかりだからな?」

上条の下条さん(偶然に目が合うのも恋愛の才○?)

佐天「あたしっセクハラなんかにっ負けないっ!」

上条「されてないよね?むしろ俺がされている側だよね?」

佐天「『へっへっへーカメラにゃ映ってないが、俺の下条はこんな大き――』」

上条「誰か止めてっ!?中一の娘がそんな発言したらケーブルテレビ免許差し止めになっちゃうから!?」

佐天「そんな時は叫べば良いんですよ、はいレッツリピートアフターミー」

上条「佐天さんあんま頭良くないよね?割と最初っから思ってたけど」

佐天「『愛してるぞーーーーーっ、美琴ーーーーーっ!!!』」

上条「あーもうヤケだっ!愛してるぞーっ、美琴ーっ!」

佐天「よく言った!それでこそ男だぜっ!よっフラグ一級建築士!」

上条「人をやっつけ仕事みたいに言うなっ!」

佐天「と、まぁノルマが終わった所で、実はっ、なんとっ、重大発表があったりしますっ!」

上条「番宣は?内容一個も紹介していないよね?つーかノルマって何?」

佐天「いーんですよぉそんなもんは。どうせ深夜27時半の番組なんて、誰も興味ありませんって」

上条「それはもう朝っつった方が早いよなオイ!つーか何か、これ朝三時半の番組なの?……あぁでも中一の子が任せられるんだから、そんなもんか?」

佐天「番宣だから今日だけは違いますけどね」

上条「へー今日だけは――“今日”?」

佐天「ではでは改めて重大発表です。後から幾らでも編集出来る、って言いましたけど――これ実は生放送だから無理ですから、残ぁ念んっ!」

上条「はぁ?オイだったら今も全部放送されちまったのか!?」

佐天「あ、ちなみに御坂さんには事前に『あたしが出るから見て下さいねっ?』って告知済みです」

上条「なんでした!?というか俺に何させてんの!?」

佐天「大丈夫ですってば。こんなどローカルな番組告知見てる人なんて他に居ませんって」

佐天「むしろお二人の仲を進展させてアリガトウゴザイマス、って感謝してくれてもいいんだぜ?」

上条「駄目なんだよおぉっ!俺の仲間にこーゆーしょーもない番組をチェックすんのが、大好きな奴が居るんだ!」

上条「『学生が必死に作ったのを鼻で笑うのって超楽しいじゃないですか?あ、でもたまーに超感動作があってそれはそれで』って言う後輩系ドSが――」

ちゃーちゃっちゃちゃーちゃちゃっちゃー

佐天「おっとルー○さんのとーちゃんからのお呼び出しがかかってますねー。あ、どうぞどうぞ?あたしに構わず取ってくださいな?」

上条「やめろよおぉっ!学園内に俺が携帯に向かって土下座する姿を流したいのかっ!?」

佐天「真実の報道をするのが、この佐天涙子のポリシーでありますっ!」 ピシッ

上条「タチ悪りぃな!?つーか無責任すぎるわっ!誰が喜ぶんだその絵面っ!」

佐天「あ、すいませんー。残念ですがそろそろ中継のお時間が終わるみたいですねー」

上条「フォローはっ!?俺の交友関係のフォローはしないで終わるのっ!?」

佐天「はいアト残り時間10、9、8――」

上条「いや拙いって!このまま終わんのは俺の人生も終わるから!」

佐天「テレビの前のみっんなー、新番組で佐天さんと会おうぜ!約束だぞ!」

佐天「あ、うっいはるーーーーっ!けっこ――」プツンッ

――常盤台女子寮

御坂「……あれ?なに今の?生放送?生放送よねぇっ!?」

御坂「しかも最後、佐天さん結婚って言いかけてなかった……?」

御坂「……」ピッ

御坂「『あ、もしもし初春さん?今ちょっと良いかな、相談が――』」

御坂「『――うん、うん。あぁアーカイブ?有料会員になれば、誰でもダウンロード出来るのね?』」

御坂「『ありがとー助かったわ。今度ご飯でも奢るから――ううんっ!?そうじゃないし!』」

御坂「『ってか見てたの?――あー、呼んでたもんね――』」

御坂「『いやいやいやいやっ!だから違うってば!』」

御坂「『うー……はい、そこはまぁ、悪かったかなって』」

御坂「『あーうん。んじゃまた。はいー』」

御坂「……」カチャカチャ

御坂(……あれ?)

御坂「予告番組はアーカイブ対象外ってどういう事よおおぉぉぉぉぉっ!?」

御坂「……」ピッ

御坂「『あ、もしもし?ごめん何度も。今――』」

御坂「『え?録画してたの!?本当に!?――』」

御坂「『あーんじゃ今から取りに行くから!詰め所でしょ?』」

御坂「『いや駄目ヤツには知らせないで!絶対渡す訳がないからっ!』」

御坂「『うん――はい、また後で』」

御坂(……ブルーレイ買お……)


※作者注。や、やらないよっ!?やるとしたら『アイテム』編終わってからになるんだからねっ!?

乙ー!!wwwwwwww

度々すいませんが、>>1です。一応『アイテム』編が完結した後にアフターストーリーを書きたいと思います。
ので、宜しければ『誰のアフターが見たいのか?』も次回投下までに書いていて頂ければ幸いです。
(※あくまで参考にしたいので数が多ければ決定ではありません。どうぞご了承下さいませ)

基本的には『各エンディング?』の前後のお話、シリアスなしで日常をラヴったりコメったりする内容です。
『麦野』・『絹旗』・『フレンダ(ちゃんと書き直します)』・『滝壺(まだ書いていませんが)』のメイン四人個別アフター。
加えて『アイテム』アフター(全員俺の嫁)と『全部』(前出5アフター、全部書いちゃいなよyou…ただし私の胃にダメージが入ります)。

プラス『そんなんどうでもいいから佐天さんはやく ><』。『アックアと浜面さんどうしたの?』アフター。

以上、8つの選択肢の中から一つお選び下さいませ。今日は落ちますので、最終回でお会い出来れば。

上条さんマジ神浄さん

>>381-434
みんなありがとう。みんなからの『お前はどうなってもいいからSS書け』っていう暖かい言葉に涙が出そうです
絹旗一人以外他全部ってどういう事だコラ

滝壺「わたしは――わたし達はあなたの居場所になりたい……」


※注意
上条さんTUEEEEEEEE!がしたかっただけのIFストーリーです
要は『上条さん×アイテム』なのですが、今回のメインヒロインは滝壺さんです
「滝壺のつもりで書いたけど、最後まであんま似なくてごめんね?でも一番仲の良い(筈の)フレンダ生きてたら、多分こんな感じだと思うんだ」と言う方にお勧めします
(あと上条さんの説教好きな方にも是非読んで頂きたいです)

日常:戦闘:ラヴ:コメ=4:2:1:3、ぐらいです

暗部抗争編(上条アイテム参加編)・27,634語(電撃フォーマット、一ページ=42文字×17行で換算すると約38.7ページ)←投下済み
アックア襲撃編(麦野贖罪編)・47,970語(電撃換算、約67.1ページ)←投下済み
暗部抗争編2(絹旗デート編)・49,171語(電撃換算、約68.8ページ)←投下済み
ブリテン動乱編(フレンダ受難編)・52,468語(電撃換算、約73.4ページ)←投下済み

エリザリーナ防衛編(滝壺救済編+『アイテム』エンド+バッドエンド)・72,514語(電撃換算約101.1ページ)←今回投下予定

全部トータルで約249,757語、400字詰め原稿用紙624枚、電撃文庫換算で349ページ書いた計算……お陰で胃壁と睡眠時間が大分削られました


今回ご愛読感謝キャンペーンと致しまして、『本編(『アイテム』エンディング)最後に上条さんにそげぶ食らうの誰よ?』クイズを開催したいかと存じます
参加して頂ける方は一人一回、『※※○○(※2個の後に人名)』の形式でお書き込み下さい
例)-※※上条の下条さん

正解された方先着一名様には『好きな禁書SS短編を書かせる権利』を進呈致します
スレタイとあらすじをご指定して頂ければ、短編(原稿用紙50枚ぐらいのSS)を私が書きます
例)-『上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」』-内容『上条さんが浜面の代わりに『アイテム』へ入る話が読みたい』

尚、一人もご応募御座いませんでしたら、私がしょんぼりします。晩酌で飲む量が増えます。そして胃から出血します。どうか助けると思ってどしどしご応募下さいませ


それでは最後までお付き合い頂ければ幸いです

――バッキンガム宮殿。ささやかな宴

エリザード「『――と言う訳でウチのバカ娘がしでかしやがったが、まぁ許して欲しい。取り敢えず座れなくなるぐらいケ×を叩いておいたのでな』」

騎士団長「おい一国のトップがケ×とか言うなよ!」

エリザード「『いや関係者しか居ないし別に良くね?メイドもどうせ王室派の戦闘メイドだろ?』」

騎士団長「客がいんだっつーのに!」

キャーリサ「おいババアー早くしろー。お前の汚い顔ばかり見てると料理の味が落ちるし」 ポソッ

エリザード「『やっぱその首落としとくか。おい、誰かカーテナ=セカンド持ってこい!』」

キャーリサ「――ってヴィリアンが言ってたし」

ヴィリアン「酷っ!?キャーリサ姉君前と変わっていませんし!?」

キャーリサ「姉妹丼がどーこー言ったのはお前の方だし」

ヴィリアン「言っていませんから!?と言うかアレだけ頑張ってこの程度の認識って……?」

騎士団長「お二人とも、一応『外』の方がいらっしゃっていますので、もう少し普段の振る舞いをですね」

上条「あー、ごめんちょっと良いかな?」

騎士団長「なんだ?」

上条「アニェーゼとか参加してないんだ?」

エリザード「『あぁシスター達は基本ローマ正教の出張、と言う体裁だからな』」

上条「つまり?」

騎士団長「ローマ正教でないのにローマ正教を自称した上、私的にとは言え王室へ招いてしまえば、お墨付きを与えかねない」

上条「えっと……?」

騎士団長「喧嘩を起こす口実を与えるな、と言う事さ」

上条「面倒なんだな」

エリザード「『どっかのク×娘のように、一朝一夕で変わる関係は早々ないからな』」

キャーリサ「つーか煩いからさっさと乾杯の音頭を終わらせて、マイクを切るし」

エリザード「『というか基本お前のためにやってんだぞ?取り敢えず飲んで騒いで有耶無耶にしちまえ、と言う高度な政治的判――』 ブツッ

騎士団長「はいっ!と言う訳で陛下のマイクがアクシデントにより使えなくなった訳だが、不肖この私が音頭を取らせて貰うっ!」

エリザード「オイコラコードを抜いたのは誰だっ!?覚えたジャパニーズ・アニソンを歌う機会が――」

騎士団長「かんぱーーーーーいっ!!!」

一同「乾杯!」

エリザード「あーコラお前達女王より先に食うとは何事だ!」

麦野「……何かアメリカのコテッコテのホームドラマ見てるみたいだわ」

絹旗「宮殿泊が出来るとは、と最初超構えていたんですが、意外と使用人も少なかったですし。快適でした」

神裂「大勢の人間の出入りが多くなれば、それだけセキュリティも厳重にしなくてはいけません。なので理に叶った方法ですね」

麦野「魔術師ってのも結構紛れてるんでしょ?」

神裂「メイドの格好をしてるが実は、と言うパターンですね」

麦野「ちょっと喧嘩してみたい――冗談に決まってんでしょうが。一国の王女が暗部相手に10メートル以内まで近づく以上、それ相応の対策をしてるんでしょ?」

神裂「えっと、まぁ私がここにいるのもその関係なので、お気を悪くしないで頂きたいのですが……」

絹旗「ま、お仕事ですので超仕方がないかと。それより上条と話しているシスターはどちら様で?」

神裂「あぁインデックスですね。聞いていませんか?」

麦野「あれそんな名前だっけ?」

インデックス「とうま、わたし、イギリスへ戻ろうと思うんだよ」

上条「理由、聞いても良いのか?」

インデックス「わたしは10万3000冊の魔導書を記憶しているんだよ。だから悪用されないよう、外からコントロール出来る『鍵』が必要なんだよ」

インデックス「フィアンマが持ち出したのはとうまが壊してくれたけど、でもっ」

インデックス「わたしに必要なのは信頼なんだよっ!悪用されないような、誰からも頼られるようにっ!」

インデックス「そうすればっ、わたしも『鍵』とか無くても生きていけるかもっ」

インデックス「だからみんなに信用されるような、そんな立派なシスターさんになるんだよ!」

上条「……そっか。お前が決めたんだったら、俺は引き留めないよ」

インデックス「とうま……」

上条「でも一つだけ約束してくれ。もしもまたお前を潰そうとしたり、酷い事をしようとする奴が居たら、俺を呼ぶんだ。いいな?」

インデックス「うんっ」

上条「あとな。お前の記憶がリセットされていた頃、お前を神裂とステイルが攻撃していただろ?ありゃ嘘だったんだ」

インデックス「……えっ!?」

上条「お前に嫌われるための演技だ。あの二人は、お前を家族かそれ以上に大事だと思っているよ」

インデックス「でもっ!」

上条「お前だってわかってんだろ?ステイルがお前を見る時の悲しいけど優しい目、神裂がお前を傷つけた者へぶつける身震いする程の怒り」

上条「それが、どんな感情から出て来たもんか、って。今までのお前じゃ分からなかったかも知れないけど、今のお前なら分かるよな?」

インデックス「……うん、なんとなくわかるかも!」

上条「お前の味方は俺だけじゃない。それを忘れてないでくれ――いや、忘れてもいい!」

インデックス「とうま……?」

上条「お前が忘れたって、俺達は忘れないからっ!」

インデックス「とうまっ、とうまっ!!!」 ギュッ

麦野「あーあー泣かせやがったわね」

滝壺「あれは、良い涙……」

絹旗「ちょっと超羨ましいかもです。ちょっと、ですよ?」

神裂「……あなたという人は、本当に。私に一体どれだけ貸しを作れば……」

建宮「――と、まぁお涙頂戴はここまでで良いのよっ!」

神裂「な、何の用ですか!?」

建宮「今!あの少年はずっと共に暮らしていた禁書目録との別れで、心におっきな穴が出来ているのよな!」

絹旗「オチが超読めたんですが。神裂、最後まで言わせるんですか?――って超真面目に聞いてるっ!?」

麦野「あぁ成程。聖人ってのは色々とピュアじゃないといけないのね」

滝壺「そうするとあっくあもあの歳でどーて×」

麦野「おいおい待て待て。そう考えるとこいつらの反応が、まるで中二みたいなのも――」

絹旗「超知りたくもないトリビアを知ってしまいました」

滝壺「そしてあなたは誰かに話したくなる筈……」

麦野「イギリス聖教は妻帯可能だったような?聖職者はどうだったっけかな」

建宮「――優しーく慰める女教皇!芽生える恋!二人が逢瀬を重ねる間に育まれる愛!」

神裂「愛……」

建宮「そしてついに二人の間にはなんとおおおっ!愛のおぉっ、愛の結晶が!!!」

神裂「結晶がっ!!!」

絹旗「とどのつまりは傷心の男につけ込み、既成事実を作った挙げ句、体を使ってつなぎ止め、然るべき時に超一発当てて逃げられなくする、と」

麦野「聖人が使っていい方法じゃねぇよなぁ」

絹旗(まぁわたし達は超使いますけどね)

麦野(――って事を考えてるよな、絶対)

建宮「そのためにもこの堕天使エロメイドを――」

神裂「いやだから“それ”は必要ないでしょうが!」

麦野「つーか神裂ちょっと思ったんだけどさ、あんたがいつも着てるエロい服もそんなに変わんなくない?」

滝壺「むしろいつものジーンズの方がエロいかも……」

神裂「エロくないですっ!ですからっこういう術式なんです!」

絹旗「はいちょっと超失礼しまーす」 ムニムニ

神裂「ひゃうっ!?」

建宮「女教皇、え、エロいのよなっ!!!」

滝壺「まるでエ○ゲに出ているかのような……!」

神裂「出てません!他人です!って、胸を揉むのに何の意味が――くぅっ!?先っぽコリコリはダメっ!」

建宮「あ、ごめん。俺ちょっとトイレ」

天草式・男一同「あ、じゃあじゃあ俺も一緒に」

麦野「もう聖職者名乗るのやめちまえよ。性職者でいいだろ。むしろ他人を救う前に救われねぇお前らをなんとかしてもらえよ」

絹旗「あぁすいません。なんか超殺意が沸いたので、つい夢中に」

神裂「酷い事をされた上に殺意まで!?」

麦野「で?何がしたかったのよ」

絹旗「なーんか超不愉快に揺れやがると思ったら、着けてないんですね。ブラ」

神裂「え、えぇそれが一体……?」

滝壺「ほんものの痴女だった……!」 クワッ

神裂「違いますよ!ですから信仰上の理由から華美であったり、必要以上に豪華な服装は避けているだけです!」

麦野「いやでもおかしくないか?五和とかは普通の服着てるわよね?TPOに合わせたりとか、割とカジュアルな格好してるし」

神裂「そ、そう言われてみれば。確かに!」

絹旗「魔術の事は超分かりませんが、同門である以上お二人の装備は超おんなじか、近い系統なんですよね?」

絹旗「超ぶっちゃけ、五和の普段着を神裂が超真似しても効果は同じじゃ?」

神裂「……」

麦野「つーかさぁ、女子サッカーとかそうなんだけど、アスリートは揺れて邪魔にならないようにつけてるのよね。神裂みたいに大きな娘だと特に必要になるだろうし」

絹旗「あぁでも聖人?なんですし、専用の装備なのかも知れませんね。超エロい格好」

麦野「だよなぁ。そうじゃないとあんなにエロい格好で外歩けないよな?」

滝壺「まさかと思うけど……たてみやに、騙されてる……?」

絹旗「いやーそれは超無いですってば。幾ら世間知らずだからって、ねぇ?」

麦野「いやいや、分からないかも知んないわよ?『女教皇には質素な格好を!乳バンドを着けるなんて言語道断よな!』なんつって?」

絹旗「あーはいはい。それを子供の頃から超言われ続けて真に受けちゃったー、みたいなの」

麦野「ねぇ?まさかそんな冗談みたいな話ある訳が――神裂?どうしたのよ神裂?」

神裂「……すいません、ちょっと野暮用が出来ましたので。失礼します」

麦野(あ、やべ地雷踏んだわね)

絹旗(まぁ神裂、エ×同人で超前から後からされている責任を取ると言う事で一つ)

滝壺「かんざきっ……」

神裂「ご用があれば後ほど改めて――」

滝壺「ここから東北300メートルぐらいの所に全員いる」

神裂「……あなたに感謝を。では」

麦野・絹旗・滝壺「……」

絹旗「……ま、まぁ色々ありましたが、同じ仲間同士隠し事をせず、超腹を割って話し合える、という事で一つ」

麦野「物理的に開腹されるかもな、あいつら」

滝壺「気になってたんだけど、ふれんだは?」

フレメア「にゃあ?」 モグモグ

麦野「さっきからお肉食べてるじゃない。あーもう、口の周り拭きなさいな」 ゴシゴシ

フレメア「にゃー……」

麦野「あとお野菜も食べないと。グリーンピース残しているわよ」

絹旗「麦野麦野、それ超妹さんの方ですって」

麦野「えっ?……あぁ確かに!分からなかったわー」

絹旗「素で超間違えませんでしたか?」

滝壺「……まずい……!」 ガタッ

絹旗「滝壺?」

滝壺「ふれんだとかみじょう、同じところにいるっ」

麦野「あー、そう言えば姿を消してるわね」

絹旗「第三王女もいませんから、三人で超何か用事でもあるんでしょうかね」

麦野「いや、つっても別になんか起こるって訳じゃないでしょうし、別に放置したって――」

滝壺「……ふれんだのふらぐが立った!」

麦野「そんな事まで分かるのっ!?」

絹旗「超気になるんだったら探してみます?なんかカラオケ始まったみたいですし」

エリザード「『がちゃがちゃきゅー○、ふぃぎゅっあっ○!このほーしーに生まれたえーじぇる○』」

騎士団長「おいバカやめろ!女王が○ロゲ主題歌を歌うんじゃねえぇぇっ!誰だ陛下にこの歌教えた奴ぁぁぁぁっ!?」

キャーリサ「あれ?動画サイトにあった奴を紹介したんだが、ANI-SONではないの?」

騎士団長「あぁいえ、私も詳しい事は分からないのですが――」

騎士団長「エスクー○から発売されたR18のパソコン用ゲームソフト、フィギュ○メイトの主題歌、電波系ソングでお馴染みのMOSAIC.WAVのみーこさんの楽曲ですね」

騎士団長「ちなみに余談ですが、同作品の初回特典で付属したドラマCD、フィギュ@ラジオではご本人も登場しており、ファンは抑えなくてはならない一品となっています」

キャーリサ「……」

騎士団長「……」

キャーリサ「……なー、騎士団長?クーデター中も思ったんだが、たまにお前のキャラが分からなくなるんだが?」

騎士団長「滅相もない!何故にそのようなお疑いの目で私を見るのですかっ!?」

キャーリサ「あー、いや。なー?」

騎士団長「私は血の一滴までも国家へ捧げた身。キャーリサ様の仰りようは――」

ぴーぴー……ぴーぴーぴー、ぴー……

キャーリサ「笛の音?」

エリザード「おい、次の曲入れたの誰だ?」

騎士団長「『刻む針の○、柔らかなてのひ○、忍びよー○、狂い咲くよくぼ○――』」

麦野「カルタグ○っ!?霜月はる○かっ!?」

絹旗「いやーもう超ダメじゃないですね、ブリテン。戦争起きなくても文化的に超食われてましたって」

滝壺「『あいしてる……おにいちゃん……』」

――同時刻、より少し前。バッキンガム宮殿、ヴィリアン私室

フレンダ「ど、どうって訳?」

上条「おーおーよく似合っているよ。結構、いやかなり」

フレンダ「ほ、ほんとに?結局『雨後にも衣装だよな』とか言って落とさない?」

上条「いや幾ら俺でもそこまでバカじゃないぞ?あと雨後に衣装が出て来たら、それは確実に屍体埋まってるからな?」

フレンダ「いやー、そこら辺は信用出来ないし。ねぇ?」

ヴィリアン「えぇ。上条様のお話を聞くに、ちょっと」

上条「お前何吹き込みやがった!?」

フレンダ「ありのままをフツーに喋った訳だし。と言うか良くこんな小さなドレスとってありましたよね?」

ヴィリアン「えぇ、お父様から送られた品物なので」

フレンダ「え。だったらあたしなんか着るのは勿体ないんじゃ……?」

ヴィリアン「いえ大切なドレスだからこそ、着て貰いたかったのですよ」

フレンダ「ヴィリアン……」

上条(いやーサイズが他になかったんじゃ?一昨日フレンダ服着たヴィリアン、絵的に凄い事になってたもの)

上条の下条さん(永久保存しまつた)

ヴィリアン「あ、ごめんなさい。私戻らないと」

上条「だったら俺達も」

ヴィリアン「(あなたはもう少し見てやって下さい。フレンダ、あなたのために着たんですから)」

上条「……え」

フレンダ「ちょっ、ヴィリアンと上条が内緒話!?あんたまた不用意にフラグ立てて!」

上条「違うって!」

ヴィリアン「じゃ、また後で」 パタン

上条・フレンダ「……」

上条「座るか」

フレンダ「そうね――って何椅子に座ってる訳」

上条「立ってろっつーのかよ」

フレンダ「そーじゃなく、こっちこっち。遠いじゃない」 パンパン(ベッドを叩く)

上条「……いやーベッドで二人並んで座るってのは、ちょっと問題があるような?」

フレンダ「ん、なんかあったっけ?あぁ、上条って人の物に触りたくない人って訳?潔癖性?」

上条「……まぁ大丈夫か」 トス

上条(フレンダって無防備すぎないか?)

フレンダ「いやーでもつっかれた訳よ?」

上条「だよなぁ。何でイギリスまで来てドンパチするんだか」

フレンダ「つーかあんたもうちょっと反省しなさいよ、今回のは100%あんたが悪いんだからね?」

上条「あーうん、ごめんな。次はちゃんとするから」

フレンダ「――その『次』ってのは、結局何をどうするって訳?」 パタパタ

上条「ん、どういう意味だ?あと行儀が悪いから足パタパタやめなさい」

フレンダ「次はあたし達四人を置いてブリテンまで行ってー、あたしらには知らせずに解決してー、何にも無かったですよー、みたいな顔して帰ってくるって訳?」

上条「あー……怒ってる?」

フレンダ「分かんない」

フレンダ「分かんないけど、なんか、こう、寂しかった訳」

フレンダ「結局上条にとって、あたしってのはその程度って事?」

上条「そんな事はっ!」

フレンダ「あ、ううん。別に疑ってるって訳じゃないし。麦野も絹旗も滝壺も、もちろんあたしも、命助けられてるから」

フレンダ「だから多分世界中の人達が上条を疑ったとしても、あたし達だけは信じるよ」

上条「……ありがとう」

フレンダ「えへへ、どういたしました!」

上条「た?」

フレンダ「言ってないし!いや言ったかも?」

フレンダ「あーいやいやそうじゃない訳。そーゆー事じゃ無くって、そのさ?」

フレンダ「上条は、あたし達の事、信じてる?」

上条「はぁ?意味が分からないんだが」

フレンダ「大事にされてるのは分かる訳。文字通り命賭けて色々して貰ってるから」

フレンダ「でも実際、ブリテンへ来る時には誰にも何にも言わなかったじゃない?」

上条「それはっ、まさかこんな事にはなるとは思わなかったからだよ」

フレンダ「そう、よね?あたしの考えすぎたよね?あたし達を置いていったりはしない訳よね?」

上条「大切な仲間なんだから、それは――」

フレンダ「うん。だから――」

ドオオォォォォォォンッ!!!

フレンダ「な、なにっ!?」

上条「……爆発音。同じ階だな」

フレンダ「ちょっくら見てくるワ――」

上条「誰か走ってきている?」

フレンダ「隠れる所、クローゼット、しかない訳ね」キョロキョロ

上条「あぁじゃ俺はちょっと――」

フレンダ「いいからあんたも来る訳よっ!」 グイッ

上条「待て待てっ!この展開だとオチは読めてるっ!?」

フレンダ「どうせラッキースケベなんて早々起こらない訳、つーかピンチんなったら向こうの三人が見つけてくれるし」

上条「いやでも――」

フレンダ「(いいから来る訳!来なかったら大声出すわよ!)」

上条「(本末転倒だなそれっ!?)」

パタン、ゴソゴソ

上条「(思ったよりも、狭い?)」

フレンダ「(まぁ庶民派でお馴染みのヴィリアン様だし?)」

上条「……」

フレンダ「……」

フレンダ(あれ?なんであたし達かっつり抱きしめ合ってんの?別に離れたって良くね?)

上条(フレンダ腰細っ!?こないだ見たよりも、お姫様って感じだな)

フレンダ「(な、なんか思ったよりもさ、近いって訳?」)

上条「(そ、そーだよな?なんか近いよな?)」

フレンダ「(狭いから、仕方がない、訳よね?)」 ギュッ

上条「(だよな。仕方がない、んだよな?)」 ギュッ

タッタッタッタッタッタッタッ……

上条・フレンダ ビクゥッ!?

神裂『お待ちなさい!今ならまだ丸刈りで許して差し上げます!』

建宮『髪だけはっ!髪だけはどうかお慈悲をっ!?』

タッタッタッタッタッ、ドォーン……(足音と爆発音か遠ざかっていく)

上条・フレンダ「……」

上条「神裂が、建宮を」

フレンダ「ボーズにしようとしてた、訳?」

上条・フレンダ ハァ

フレンダ「結局よくよく考えれば分かる訳よ。陛下と三王女殿下がいらっしゃるバッキンガムに、バカが突っ込んできたりはしない訳」

上条「それにもしも突っ込んでくるだけの力がある連中だったら、交戦になってこんな騒ぎじゃないだろうしなぁ。はは、ビックリしたー」

フレンダ「ね?ホントよねー」

上条・フレンダ「あははははっ」

フレンダ「――で、なんだけどね、上条」 ギユッ

上条「う、うん。フレンダ、近いかな?」 ギュッ

フレンダ「って言いながら力強くなってる訳だし?」

上条「あ、ご、ごめんっ!そういうつもりじゃ――」

フレンダ「――その、さ、しちゃおっか?」

上条「……え」

>>433だ、だれ?


フレンダ「今さ、あたしお姫様じゃない?多分人生一番キラッキラな訳よ」

上条「あぁまぁ確かに?」

フレンダ「だから、ほらっ、ね?初めての思い出作りも兼ねて、って言う訳で――」

フレンダ(よっし!どうよ、これなら上条も落とせるって訳!)

フレンダ(髪良し!服良し!シチュエーション良し!あぁ、全てがあたしに味方している!!!)

フレンダ(最後の最後で人生のメインヒロイン昇格とはっ!今まで散々弄られ続けて来た苦労がやっと実っ――)

フレンダ「……」

上条「……フレンダ?」

フレンダ「ちょっ、ちょっとごめんね?」 クルッ

上条(どうしたんだろ?急に訳分かんない事言い出したかと思ったら、後振り向いて)

フレンダ(まさか、まさかっ――) ペタペタッ

フレンダ「麦野おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおっ!?」

上条 ビクッ

フレンダ「そーかーあぁっ!あの女何で意味の無いボケかましたんだろう、ってずっと思ってたけど、こーゆー事だった訳ね!汚い!麦野汚い!」

フレンダ(何で麦野んちでパ××ンにされたのか分かってなかったけど、これか!つーかあん時からあたしを警戒してたって訳!?)

フレンダ「……あー、ごめん。やっぱいいわ。後一ヶ月は待って欲しいって訳」

上条「良く分からないが、出る――」

バキッ、メキメキメキメキッ(クローゼットが無理矢理破壊される)

絹旗「……フレンダ、超何やってるんですか?」 ニコッ

フレンダ「い、いやこれは結局深い訳があるって訳でして、その、ね?」

滝壺「……ふれんだ、ヌケガケ?」

フレンダ「出来なかったわよ!どっかの誰かさんがずっと単発ボケだと思ってた伏線を張りやがったお陰って訳で!!!」

麦野「……へぇ」

フレンダ「ちょっ、違っ!?今の無し無しっ!」

上条「いや別に俺達変な事してた訳じゃないぞ?爆発音が聞こえて隠れてただけだから」

絹旗「あぁあれは超心配要りませんよ。神裂がちょっとオシオキするとか、そう言う話ですから」

上条「……いや充分心配じゃないかな、それ?」

麦野「ふっれっんっだっちゃーーん?一体何をしようとしたのかしらねー?」

フレンダ「イヤだからっ大した事は、ね?」

麦野「よーし!じゃ罰ゲームでもしようかしら?」

フレンダ「ゲーム、なのよね?決して拷問とか、そういうんじゃない訳よね?」

絹旗「何言っているんですかフレンダ。わたし達がそんな事する筈無いじゃないですか」

フレンダ「そうよねっ!する訳ないもんねっ!あたし達仲間だもんねっ!」

麦野「名付けて『フレンダ危機一髪ゲーム!』」

フレンダ「死ぬしっ!?それタルん中に入った海賊に剣刺すアレよねっ!?」

絹旗「いえ、剣(ケン)ではなく拳(ケン)ですが。勿論フレンダが超跳ぶまで続けますよ?」

フレンダ「跳ばないからっ!?タルの中に入った人を殴り続けるって、それただの拷問以外の何物でもない訳っ!?」

滝壺「タマシイ的なものが――」

フレンダ「結局意味は同じだしっ!あと滝壺、その『いい仕事しました』みたいな顔はヤメテっ!」

――数日後。必要悪の教会、支部

ステイル「と、まぁ検査の結果は出たんだけれども」

フレンダ「(バーコードっ!ねぇねぇ何で顔にバーコード?)」

絹旗「(こう、コンビニとかで、店員さんが超レジ開けるとき、自分の社員証をピッてするじゃないですか)」

フレンダ「(あーするする。じゃあの人も)」

滝壺「(出勤した時、読み取り機の前で、ピッって)」

絹旗・フレンダ プッ

ステイル ジロッ

麦野「(おいあんた達失礼よ。初対面でしょうが)」

絹旗「(い、いえでも、麦野?背の高いこの人が、毎日毎日、スキャナの前で屈んで、ピッってしてると思うと、笑いが……)」

フレンダ「(見たい訳!その絵っ!)」

滝壺「(いやでも歳をとったらもっと大変……)」

フレンダ「(な、何で?)」

滝壺「(よくよく考えれば、ピッ、はレーザー?だから危険。誰かにやって貰う必要がある)」

滝壺「(もしも頭がバーコードになったら――)」

滝壺「『(あ、おはようございます)』」

フレンダ「『(……ども)』」

滝壺「『(ピッやっちゃいますから、ちょっと屈んで下さいね。あ、はいおっけーです)』」

滝壺「『(あるぇ?反応しませんねぇ、おっかしいなー、機械の故障かなー?)』」 スカッスカッ

フレンダ「『(そっちじゃないですからっ!頭頂部のバーコードはただのハゲですからっ!)』」

滝壺「『(あ、すいませんねー。ついうっかりー、てへ)』」

滝壺「(って毎日弄られる……)」

絹旗 プププッ

麦野「……プッ」

フレンダ「(あ、今麦野プッてした!プッて!)」

麦野「(してねぇよ!つーか黙れ!)」

滝壺「『(ふっ、きさまは確かに強かった。だがダブルバーコードのおれには及ばなかった)』」

フレンダ「『(き、貴様!一体どこにバーコードを隠し持っていたっ!?全裸に靴下のどこにっ!?)』」

滝壺「『(おれの――頭にだ)』」 キリッ

麦野「(……クッ!)」

ステイル「……帰っていいかな?いいよね?」

上条「……うんごめん。ほんとーーにっごめんな?今度、日本のタバコでも送るから、な?」

上条「で、何でお前?お前確か治療関係の魔術駄目じゃなかったっけ?」

ステイル「あれ以来少しは勉強しているし、それに専門用語を日本語へ通訳するとなると、僕が良いらしいね。やりたくはないんだが」 チラッ

滝壺「ん?」

ステイル「……ま、貰った診断書を読むだけだから、時間もかからないし」

フレンダ「よっ!ツンデレっ!」

滝壺「昔読んだKOFの同人誌風に言えば、『目が×してくれと言っている』」

絹旗「それ超幻聴ですよね?」

ステイル「……帰る」

上条「あーもう待て待てっ!悪かったから!後で腹パン入れてとくからっ!」

ステイル「まったく。まぁ結論から話せば――魔術的な方法でも治療は可能だ」

上条「やった」

絹旗「よっし!」

滝壺 ボーーーーーッ

ステイル「ただし完治はしない。今まで体晶が体へ与えたダメージは、人間が本来持つ回復力――まぁ時間によって治すしかない」

ステイル「詳しい話をすると、体晶というのは何かの異能の力らしいね。だから右手が彼女に触れた時、その時々で体に残存していた体晶を少しずつ取り除いていたらしい」

上条「それじゃ――」

ステイル「体晶とは能力を暴走させる事で、威力を上げる効果がある。それ自体は魔術師達も古くからやっていた事だ」

麦野「コカの葉やタバコって事?」

ステイル「ハーブなんかも含まれる。トランス状態にして、と言うのは珍しくもない」

ステイル「とは言え君の毒抜きであっても、体内に消費されてしまった部分は消しきれない。それは別の物質に変化してしまったと考えられる」

上条「毒を飲んでも100%毒抜きは出来ない?」

ステイル「……パーセンテージの見解が分かれているが、決して右手を過信してはいけない、との話だ」

麦野「10と90は別モンだと思うけどね」

ステイル「以上により、僕達の世界での治療は『消化された体晶により落ちたり、失った力の回復』と言う方針になるらしい」

ステイル「あぁ勿論二度と体晶には頼らない、と言う前提の元にだが」

ステイル「それさえ守りをすれば、後遺症が出るリスクを最小限に抑えられる“かも”しれない」

麦野「副作用は?期間や費用も聞いておきたい所だけど」

ステイル「皆無ではない。だが無視出来る程小さいレベルではある。それこそ10年、20年レベルで体調を整えていく方法だ」

ステイル「魔術師の元へ、最初の一ヶ月は出来れば滞在しながら投薬を受け、次は投薬を受けながら三ヶ月に一度、半年に一度、一年に一度と伸ばしていくと」

ステイル「費用に関しては……まぁ法外なレベルではないよ。保険は効かないがね」

フレンダ「『ほ――』」

麦野 バスっ(フレンダに腹パン)

フレンダ「……」 パタッ

ステイル「中々シビアな上下関係だね?」

上条「いやまぁ、そのごめんな?空気読めないしアレな子なんだけど」

ステイル「『カーテナ=オリジナル』を正面から盗んで、クーデター決行を遅らせた、とは聞いたんだけど。ただ、空気読まなかっただけなんだね?」

上条「大体合ってる。普通あの場面は、逃げて盛り上げる所だし」

絹旗「あの、ちょっと超良いですか?」

ステイル「大体は話したけど、具体的なハーブの調合方法までは知らないよ」

絹旗「そうではなく。少し前に似たような症状で苦しんでいた知り合いが、エリザリーナ独立国と言う所で治療を受けたら、超劇的に良くなりまして」

絹旗「もしかしてイギリスでは無理でも、そちらの方へ行けばまた話は超変わるんでしょうか?」

ステイル「確かに居るね、『傾国の女』の妹が」

上条「有名なのか?」

ステイル「有能な魔術師として、だけど。確かにそこいらの魔術師が適うような相手じゃないし、可能性としてはブリテンよりも良い解決方法が見つかるかも知れない」

上条「だったら――」

ステイル「ただ、いきなり行って『看て下さい』と言うのはまず難しいだろう。国の指導者であるから多忙な身なのは確実だからね」

ステイル「次に政情が不安定なんだよ。最近ロシア成教の動きが活発になり、ロシア正規軍や非正規軍の動きが活発になっている」

麦野「エリザリーナ独立国へ戦争を仕掛ける?」

ステイル「だね」

上条「うーん……」

ステイル「一応言っておくと体晶を使わなければそれ以上悪くはならない。だからまぁ駄目だったらすごすご戻ってくるのも良いんじゃないかな?」

上条「言い方がムカつくんだが」

ステイル「どうせもう決まっているんだろう?なら僕も無駄な問答はしたくはないさ。これが診断書を紙で印刷した奴、こっちがUSBメモリだ」

ステイル「で、これがエリザード様の紹介状。国の立ち位置側的にはフランス側だが、無いよりはマシだろう」

上条「お前、何だかんだで手際いいのな?」

ステイル「あの子が帰って来た以上、君を殺す必要はなくなったからね――と言うか、一つ良いかな?」

ステイル「喋ったんだな?」

上条「あぁ」

ステイル ガッ!

上条「くっ!」

ステイル「僕達が一体どんな思いであんな真似をしたか――」

麦野「よし。取り敢えず麻酔無しで大脳摘出な」

上条「麦野っ、いいんだ!俺はこいつに殴られるような事をした!」

上条「だがステイルっ!言わせてくれっ!あいつだって立派――ではないかもれしないが成長はしている!」

上条「確かに今までは子供だった。守られる側だったかも知れない」

上条「けど少しずつだけど成長している!お前らのついている嘘なんか、簡単に見破るに決まっているだろ!」

ステイル「……」

上条「戦っただろう、俺達と肩を並べて!あいつだって弱いままじゃないんだよ!」

ステイル「……謝りはしない。僕はあの子に隠すべき、いや隠し通すべきだったと今でも思っているからな!」

ステイル「……出ていってくれ。資料は――あぁもういい、トランクごと持って行けよ」

上条「……分かった」

ギィ――

ステイル「――上条当麻」

上条「うん?」

ステイル「……君達の旅路に、どうか幸多からん事を。そして願わくは邪悪を退ける光が君の右手と共にあらん事を」(十字を切る)

上条「……あぁ!」

パタン、コツコツコツコツコツ……

フレンダ「……うーん。怒らせちゃった訳ね」

絹旗「超反省しなさいフレンダ」

滝壺「うん。ふれんだ、めっ」

フレンダ「お約束のようにあたしだけ悪者なのっ!?」

上条「悪いのは俺だよ。あ、いや悪いとは思ってないけど。ステイルが嫌がる事をしたんだから、当然だな」

麦野「――上条、そのトランクなんだけど、さ」

上条「何の話だよ。随分古っぽい奴だけど」

麦野「昔の人は船旅が多かったんだけど、やっぱり船も安全じゃなくってね。時々座礁したり、沈没したりしてたのよ」

麦野「当時はビニール製の浮き袋なんて無かったから、海に投げ出されたら、客は身一つで助けを待たなきゃいけなかったの」

絹旗「超溺れちゃうんじゃ?」

麦野「そうでしょうね。でも中には運良く船の一部だった板きれとか、救命ボートに乗って助けを待ったり――」

麦野「後はやたら頑丈で、大きくて立派なトランクにしがみついたりして、難を逃れたそうよ」

滝壺「じゃ、それって……」

麦野「あるメーカーがシェア殆どを占めた時代もあったんだけど、その内、イノベーションだっけ?」

麦野「馬車が普及すれば徒歩は廃れ、汽車が普及すれば馬車は廃れ、車が普及すれば汽車は廃れって感じに」

麦野「船の安全性が高まれば、大きくて重いトランクの人気や実用性も下がり、生産メーカーも倒産しちゃったんだけど」

麦野「でもそんな、数世紀前に生産停止になったトランクを探し出してきて、その筋の職人へ頼んで新品同様までメンテして」

麦野「そうまでして実用品レベルまで引き上げるのに、手間暇お金が尋常じゃなくかかった“それ”」

麦野「だって言うのに、見た感じルーンの一つも刻むでもなく、只々『多くの持ち主を無事に帰還させてきた』って験担ぎしか無い“それ”」

麦野「そんな大事な代物を、たまたま訪れた嫌いな相手へあっさり送る――」

麦野「そう言う偶然、あったら素敵よね?」

フレンダ「ほもおおおぉぉぉっ」

絹旗「上×ステ?」

滝壺「いや、すて×かみ……」

上条「お前らは綺麗に落とせないのかっ!?」

――ロシア・ボシビルスク。学園関係機関、能力開発機構・ロシア支部

浜面「……」

19999号「見ろ、とミサカは地面を指さします」

19999号「棒の影が一番左の石に掛かったら穴を掘り始めろ、場所はどこだって良い、とミサカは投げ遣りな言い方をします」

        太陽



     棒
  /(棒の影)
石   石   石

浜面「……」

19999号「次に影が真ん中の石に掛かった時、お前が掘った穴を埋め始めろ、とミサカはどうでも良い事柄を簡潔に告げます」

    太陽



     棒
     |(棒の影)
石   石   石


浜面「……」

19999号「最後に影が右の石にさしかかったら、埋めるのを止めて帰って寝ろ、とミサカは業務内容の説明を終えます」

太陽



     棒
       \(棒の影)
石   石   石

浜面「……」

19999号「じゃあなクソ野郎、とミサカは唾棄しながら暖かい建物の中へ帰ります」 ペッ

浜面「……待ってよ!ねぇ待ってよ!?」

浜面「俺なんか悪い事したのっ!?どうして捕虜虐待で告発されそうな最悪の待遇を受けているのっ!?」

浜面「つーか何でロシアっ!?他にもっと暖かい所あるじゃないっ!?」

19999号「その問いに対する答えは『知らない』だ、こっちは撤退戦の準備でクソ忙しいのに、どうしてきやがった、とミサカは怒りを露わにします」

浜面「撤退戦?なに撤退って事は何か終わんの?」

19999号「始まるんだよ戦争がな、とミサカは厳しい現実を突きつけます」

――ほぼ同時期。イギリス処刑塔

ミーシャ『Gigigigigigigasasasas水翼』

ドオオオオオォォォォォンッ!!!

……

フィアンマ「……死んだらどうする」 モゾモゾ

ミーシャ『fjl;sdkfweirymcvnb』

フィアンマ「あー分かった分かった。何一つ分からん事が分かった」

ミーシャ『行く……Голые и смешные』

フィアンマ「あぁ帰ろうか――我らが大地、ベツレヘムの星へ!」

フィアンマ「多少は不安定だろうが、まぁ人の作った物だから、な」

――日本、いつも喫茶店

一方通行『――事情は分かった。だかなァ』

上条「やっぱり戦争、か?」

一方通行『ロシアも本腰じゃねェらしい。電撃戦――さっさと人と戦車送り込んで占領した後、“国内問題ですがなにか?”で通せねェ事ァない』

一方通行『ンだか散発的にスパイやら、魔術師崩れとか、バッカニアみてェな連中が来てるだけだなァ』

絹旗「バッカニア?」

フレンダ「国に認められた海賊、私掠船って訳」

滝壺「王下七武○」

フレンダ「合って……る、かな?」

麦野「正規軍が来ない、ってのも不思議な話よね。宣戦布告した割に何やってんの?」

一方通行『打ち止めの主治医、エリザリーナって奴ァ、時間稼ぎっつってンなァ。何を待ってンのか、何がしてェのかも不明だが』

上条「待つ、待つか」

絹旗「超心当たりでも?」

上条「普通さ、戦争を仕掛けるんだったら準備を揃えてからするだろ?だったらロシア側としても、予測してなかったんじゃないかな?」

麦野「戦争を起こした側が?ありえないでしょ」

一方通行『あァ……それはアタリかもしンねェなァ。戦争を起こしたンじゃなく、起こさなきゃいけない、ってンなら』

絹旗「ロシアの裏にも誰か居るって話ですか?超止めて下さいよ、そんな世界の裏側を仕切る秘密結社があるー、みたいな話」

フレンダ「あ、すいませーん。サバパフェ一つー」

一方通行『何言ってやがンだ。学園都市にしろイギリス清教だかも、似たよォなモンだろォがよ』

滝壺「わたしも、とろろソバ……」

麦野「ま、ベタに考えればロシア成教?がなんかしてるとか」

フレンダ「んじゃそれもー。え?キャンペーン中?」

上条「フランスがユーロトンネル爆破したのも、フィアンマ干渉してたって言うし、無い話じゃないかもなぁ」

滝壺「んー……じゃテンプラもセットで」

絹旗「超メンドいですよね。あーいやでも別に、今行かなくてたって良いんじゃ?」

フレンダ「んー、いいなー。あたしもお腹空いて来た訳」

一方通行『俺もそォした方がいいと思うぜ』

滝壺「半分食べる……?」

上条「戦争ってなると国と国との話だしなぁ」

フレンダ「ありがとー!滝壺愛してるー」

麦野「それはそれで不安だけどね」

滝壺「うんわたしも……」

フレンダ「最後まで言えよっ!?」

上条・麦野・絹旗・一方通行「……」

店員「お待たせしましたー、サバパフェ、とろろソバ天ぷら増量一つお持ちしましたー」

フレンダ「はい、はーいっサバっサッバー」

滝壺「お蕎麦、ありがとう……」

店員「ではごゆっくりどうぞー」

麦野「……ごめんな?ウチのお気楽組二人が」

一方通行『いーンだけどなァ。あー俺もマック○コーヒー飲みたくなってきたァ』

上条「エリザリーナって人は治療オーケーしてくれたんだろ?」

一方通行『可能な限り、だかなァ。そこァ俺と垣根が散々恩売ってンだし』

麦野「それに関しちゃアンタ達バカ兄弟に礼を言いたいんだけど、やっぱりなぁ」

一方通行『口頭とMNW経由で診断書は見せといたが、まァ直接看てみないと結論は出せねェンだと』

絹旗「政情不安ってのは超イタイですしね。向こうが困っているのに、わたし達が押しかけて『超治療しやがれ!』なんて言えませんし」

滝壺「わたし、別に急いでない、よ?」

一方通行『まァこっちはンな感じだ。そろそろ交代の時間だし、切るわ』

上条「いつもありがとうな」

一方通行『まァ最悪、クレムリンまで垣根乗り込ませっから』

上条「やめとけよ!可哀想だろ!?」

一方通行『あァ前向きに検討しとくわァ、んじゃな』 プツッ

麦野「何か変な事になっちゃってるわね。でもまぁ仕方がないけど」

上条「後一ヶ月ぐらい待つのか、それともさっさと行っちまった方が良いか」

ポクポクポクポク(靴の音)

シスター?「あーいたいた!さっきから電話が通じねぇと思ったら、こんな所にいやがりましたか!」

上条「おー、久しぶりアニェーゼ」

アニェーゼ「どーもです」

麦野「(ま、また新しい女か!?)」

絹旗「(キャラ超被ってますね、わたしと)」

フレンダ「(一度過去の女関係を洗いざらい喋らせた方が良いって訳)」

上条「わざわざ日本までどったの?他のシスター?ルチアとちっこいのは?」

アニェーゼ「シスター・アンジェレネも相変わらずですが、今日は居ませんよ。あ、すいません。ちょっと立っちゃくれませんか?」

上条「ん、いいけど」

アニェーゼ ピトッ

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「」

上条「ちょっ何やって!?」

アニェーゼ ペロペロ(首筋ペロペロ)

上条「何だこれっ!?」

アニェーゼ「……パパぁ……」クンカクンカ

上条 ゾクゾクッ

アニェーゼ バッ(離れる)

アニェーゼ「と、言うわけで、今日はお客人を連れてきたんです」

上条「何でしたっ!?つーか今の一連の行為にどんな意味があったんだっ!?」

アニェーゼ「ではどーぞ」

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ

ヴェント「……いやあの、空気が悪いんだけど?」

アニェーゼ「いえいえ、上条さんトコはこんなもんですって。別に意図的に会談が決裂するよう誘導してるとか、そーゆー裏はねぇです」

ヴェント「ゲ×ってるよなぁ?アンタ完全にゲ×ってるよなぁ?」

アニェーゼ「昔っからテメェみてーなケバいババア死ねばいい、とか思ってはいませんでしたし、アドリア海の一件の事も全っ然恨んじゃいませんって」

ヴェント「こぉんのガキぃ!」

フレンダ「あー……誰?どちら様?」

上条「ちょっと前に、こうケンカした人?」

絹旗「超仲良くないんですよね」

上条「いやまぁ、驚いたけど座ろっか」

……

ヴェント「ローマ正教は上条当麻の処断命令を撤回する。これが命令書よ」

上条「はぁそりゃどーも……何語?」

麦野「ギリシャ語か……あの、法王って人のサインが入ってるんだけど?」

ヴェント「あぁん?バチカンの奥に居るジジイの事よ。ついさっき目ぇ覚ましたから、署名させて持って来たんだよ」

フレンダ「何やったっ!?世界三大宗教のトップ相手になにしてくれた訳っ!?」

絹旗「超落ち着いて下さいフレンダ。多分あれですよ。転んだ拍子にジジイを押し倒してしまって、ブラチラした、とか」

滝壺「……説得力がっ!?」

フレンダ「ブラ着けてる法王猊下と上条にそんな出会いがっ!?」

ヴェント「ねぇよ。つーかそんな絵面逆に見たいわね。ともあれ免罪符は確かに渡したわよ」

ヴェント「で、ロシアがエリザリーナ独立国へ宣戦布告――と言うか、『反政府組織の逮捕』と言う形で実質的な侵攻を始めたのは知ってる?」

上条「あれだけニュースでやってりゃなぁ。あぁでも現地では侵攻のスピードがおかしいって話も聞いたぞ」

ヴェント「その戦争が始まる前日、イギリスの処刑塔に幽閉されていたフィアンマのクソ野郎が逃亡したわ」

上条「そうなのかっ!?聞いてないぞっ」

アニェーゼ「それは……まぁ混乱しちまってたんです」

上条「どういう事だ?」

アニェーゼ「ええ。天使みたいな存在、恐らくテレズマで創られた術式か霊装、そいつぁ処刑塔をごっそり爆破。当然現場も上も大混乱」

アニェーゼ「そうしているウチにロシアでデカい氷の固まり、全長数キロっつー非常識なシロモノが空に浮かんで、飛び続けてんです」

アニェーゼ「そっから出されたフィアンマの声明に寄りゃあ――」

アニェーゼ「空飛ぶ氷の固まり、『ベツレヘムの星』へ『禁書目録』を持って来い。さもなくば人工天使のミーシャが西側に乗り込むぞ、と」

上条「ふーん。持っていけば?」

アニェーゼ「えっ?」

ヴェント「えっ?」

上条「えっ?」

上条「いやいやだって本一冊なんだろ?そんなに大事な本なのか?」

アニェーゼ(インデックスの事、覚えてない?)

アニェーゼ「いえでも禁書目録……あぁ!『インデックス』ですね、『インデックス』。『インデックス』は10万ちょいの魔導書を記憶した少女ですからねっ!」 チラッ

ヴェント「(話振るなよ!)」

アニェーゼ「(えー……あたし一人じゃキツいってもんですよ)」

ヴェント「(アタシも直接会った事はないんだって。つかアンタ交戦経験だってあっただろうが!)」

アニェーゼ「まぁ、その、何です?そんな魔導知識を持った女の子を、シスター服で語尾が『なんだよ』とか、『かも』って言う女の子を!」

アニェーゼ「ものっそい食欲旺盛で、ウザい女の子をっ!差し出す訳にゃいかねぇって話ですよ!」

上条「……そうか。分かったよアニェーゼ!」

アニェーゼ「わかってくれましたかっ!」

上条「そんな女の子をフィアンマには渡せないよなっ!!!」

アニェーゼ(あんだけ説明したのにっ!?)

麦野(何となく事情は分かるんだけど、どうしていつもスルーするのかしらね?)

絹旗(超キリッ、ってしているのは良いんですけど、多分全員心の中で突っ込んでますから)

滝壺(がんばれー、いんなんとかー)

フレンダ(身内にも一人ハブってる気配がする訳っ!?)

ヴェント(あ、ケーキ美味しいわね)

上条「良し分かった!なら俺が――」

ヴェント「座ってろバカ。アンタじゃねぇ、つーかアンタ達に頼みに来たのよ」

麦野「“ら”ってぇと、『アイテム』にか?」

ヴェント「えぇ、フィアンマの居場所を特定して欲しいのよ」

滝壺「……たわし?」

フレンダ「この緊張感の中っボケる意味が分からないっ!?」

滝壺「あ、違った……」

麦野「つってもなぁ。その『岸田メ○』?」

アニェーゼ「ベツレヘムです、『ベツレヘムの星』。文字数以外何も合ってねぇです」

麦野「――へ、巡航ミサイルでも撃ち込めば?実質脅威になってんのが、天使ちゃんなんでしょ?不人気メインヒロインじゃなくって?」

絹旗「結標の悪口は超やめてあげて下さい。ヨゴレ芸人として頑張って居るんですから!」

ヴェント「……やってんのよ、それはもう」

アニェーゼ「フランス・イギリス海峡の国籍不明の原子力潜水艦から、計6発の巡航ミサイル“と、思しき”ものが発射されています」

アニェーゼ「でも岸田○ルは未だ健在。天使ちゃんが叩き落としたと推測されます」

フレンダ「ねぇ伝染ったの?どうして岸田メ○が伝染した訳?後どうしてミーシャって言わないの?」

ヴェント「ロシア正規軍をエリザリーナで足止めしている間に、魔術師サイドで岸田○ルへ総攻撃をかける計画が立てられている」

フレンダ「あ、あれ、こっちも?」

ヴェント「が、だ。あたしらに二の足を踏ませているのは、クソ野郎の居場所が掴めない事だ」

上条「最悪、ベツレ――岸田メ○が囮、って事か?」

フレンダ「ねぇ?言い直したわよね?何でしたの?」

アニェーゼ「集めておいて手数になった所へ、インデックス盗みに来るかもしれねぇってんです」

滝壺「べつれへむのほ――○しだめる」

フレンダ「それもう岸田○ルが言いたかっただけよね?」

絹旗「超仮の話ですが、岸田メ○ってのはどんな脅威があるんですか?ぷかぷか浮いている氷の固まりでしょう?」

フレンダ「あれ、『アイテム』全滅なの?」

ヴェント「岸田○ルはまぁそれなりに。問題は天使の方だな。イギリス清教がギッチギチにガード固めている処刑塔まで堂々と踏み込んでいる」

フレンダ「そ、そろそろあたしも呼んだ方が良いの?岸田○ルって?金箔ツインソードで一言断ればおしり触ってもOKな人なんでしょ?」

麦野「何言ってんのよフレンダ?遊びじゃないんだからね」

絹旗「そうですよ!岸田メ○先生とベツレヘムなんて一文字もあって無いじゃないですか!」

フレンダ「やっぱ責められるのあたしっ!?どーゆー事よおぉっ!?」

上条(逆ギレするフレンダ見ると、何か落ち着くんだよな)

滝壺(ふれんだ、おいしい……) グッ

ヴェント「分かり易く言えば北の豚首領様に核ミサイルを持たせた、という所かしらね?」

アニェーゼ「下手をすれば魔術師の存在がオープンになっちまいますし」

麦野「学園都市が能力の研究や実現をしている以上、魔女狩りみたいな事にはならないだろうけど、大混乱は必至でしょうね」

ヴェント「と、まぁそれがローマ聖教の言い分よ」

麦野「何とかしてやりたい所だけど、アタシらのメリットは?なし崩し的に巻き込まれて、そっちの闘争に使われるのはごめんだわね」

上条「おい、人助け――いや、滝壺の方が大事か」

滝壺「わたしなら、大丈夫だよ……?」

ヴェント「顔面バーコードから話は聞いている。能力者の体がもう限界で、後一回が最後だって」

麦野(あの、ウソツキ神父)

絹旗(超ナイスツンデレ)

滝壺(楽聖少○……)

フレンダ(今頃かっ!?)

ヴェント「だから魔術師サイド――少なくとも、ローマ正教、イギリス清教としても、それなりの誠意を示す事にした」

ヴェント「交渉過程や筋道はアタシも知らないし、何をどうやったのかも知りたくない」

アニェーゼ「と言うか王室の方からほぼ脅迫が入った、てぇ噂もあるんですけどね」

ヴェント「協力してくれれば、アンタ達全員『暗部』から解放される。悪くない条件だと思うけどね?」

――某国上空。学園特製非武装輸送機内、個室

コンコン

上条「はーい、どうぞ」

滝壺「……おじゃま?」

上条「いや、そんな事はないって」

滝壺「ん……」

上条「座――ってんな、ベッドの上に」

滝壺「ん、ここ。あっち向いて座って」 パンパン(隣を叩く)

上条「うん」

滝壺 ゴソゴソ

上条「……背中合わせ?なんでこの格好?」

滝壺「かみじょうの、前はむぎの、じゃない……?」

上条「前?前ってあったか?」

滝壺「うん、あっくあの時、ぎゅってしてた」

上条「あー、はいはい。あったなー。つーか随分昔の話みたいだ」

滝壺「きぬはたは、左手」

上条「あいつホンっとにくっつくの好きだよなぁ。まぁ年相応っちゃそうなんだろうけど」

滝壺「ふれんだは、右手。ぱきーん、ってしないから、丁度良い……」

上条「……あー何か最近ひっつくようになって来たような?」

滝壺「だから、わたしは、ここ。ここがわたしの居場所」

上条「顔、見えなくないか?」

滝壺「……聞こえる。とくんとくんとくん、って心臓の音」

上条「聞こえるのか?」

滝壺「うん、静かにすれば……」

……

上条「……するな」

滝壺「それに、顔は、見なくても目を瞑れば、浮かぶし」

上条「……」

滝壺「……とくんとくん、ちょっと、早くなった」

上条「いや照れるだろうさっ!?」

滝壺「……でも、わたしもこれがいい……」

滝壺「顔を見たら、とくんとくん早くなりそうだから……」

……

上条「……見えなくても、早くなってるよな?」

滝壺「れでぃにそゆこと言うの、マナー違反」

上条「あー、うん、それはよく言われるかも」

滝壺「まったく、かみじょうは……」

……

上条「……最後まで言えよ」

滝壺「ねぇ、怒ってる?」

上条「……どうだろう?」

滝壺「わたしが、引き受けた事……」

上条「それ自体は、別に、かな?むしろ受けて欲しかったりもしたけど」

滝壺「だいじょうぶ。えりざりーなから、対象に近い所から能力使えば、負担も少ないし……」

上条「そっか。でも実際の所、どうなんだ?」

滝壺「体晶なしでは、学園都市内ぐらいだったら誤差なしで……後はよく分からない」

滝壺「……」

滝壺「とくんとくん、早くなった……?」

上条「……俺さ、言ったよな?一番最初に入った時、お前らを暗部からどうにかしてやる、って」

滝壺「……うん。嬉しかった」

上条「でも、何の事はないんだ。俺、何にも出来なかった!」

上条「アックアん時もイギリスの時だって、お前らに迷惑ばかりかけちまってるし、今回だって俺、滝壺の力になれなかった!」

滝壺「……」

上条「『ふざけんな!そんな方法で『暗部』を抜けなくたって、どうにかしてやる』――そう、言えなかったんだよ!」

上条「言わなくちゃいけなかったのに!俺は、俺はっ!」

滝壺「……」

上条「何が『幻想殺し』だ!大事な人も助けらないのに、何が仲間だってんだよ!」

……

滝壺「……ありがとう」

上条「……なんだよ?」

滝壺「わたし達のために泣いてくれて、ありがとう……」

上条「泣いてなんかねぇよ!顔、見えないだろうが!」

滝壺「見えないけど、分からないけど」

滝壺「わたしはずっと、あなたを、みていたから」

上条「……」

滝壺「むぎのが、暗い所へ行きそうになった時、あなたは助けてくれた」

滝壺「きぬはたが手を離そうとした時、あなたは手を取ってくれた」

滝壺「ふれんだがあきらめそうになった時、あなたは勇気を見せてくれた」

滝壺「そして、わたしはあなたに居場所を作ってもらった」

滝壺「ね、泣かないで?わたし達、もういっぱいあなたから貰っている、から」

上条「……っ」

滝壺「どれ一つ、何一つ欠けても、こうはならなかった」

滝壺「あの日、かみじょうが間違って『アイテム』へ入って来なければ、むぎのは“新入りへ見せしめ”にする事なく、ふれんだをその場で殺していた」

滝壺「そうすれば『アイテム』は壊滅していたし、きぬはたもきっと一人で戦って、命を落としていたから」

滝壺「だから、ね?かみじょうはよくやってくれた、よ?わたし達なんかのために、傷ついて、戦って、涙まで流して」

滝壺「わたし達が辛いときでも、辛くて辛くて、たすけてーって言っても」

滝壺「世界中の誰にも届かなかった声でも、あなたはそれを聞いてくれた」

滝壺「楽しいときは一緒に笑って、辛いときには頑張ってくれて、そんなあなたを――」

滝壺「わたしはずっと、みていた、から」

……

上条「……ごめん。本当にごめん」

滝壺「……ううん。二人だけの秘密」

滝壺「『アイテム』は仲間だけど、これぐらいの秘密はあってもいい……」

上条「……そろそろ、着くかな」

滝壺「……かみじょう、その前に、聞いていい……?」

上条「……うん?」

滝壺「わたしの、わたし達の居場所にあなたはなってくれたけど……」

滝壺「あなたの居場所は、一体どこにある、の……?」

――ロシア某所

ドオオオオオォォォンッ!

ロシア軍兵士「ぐあぁぁっ!?」

アックア「何処へ行っても雑兵ばかりであるな……」

アックア(ベツレヘムの星、ブリテンの脅威になりかねないのである)

アックア(高速移動に探索術式も効かず、視認しか捉えられないのではな)

ドゴォンッ!

アックア(また――プライベーティア……違うであるな!)


――少し離れた場所

ガガガガガガガガガガガガッ!!!

浜面「拙いって死ぬって!?何で俺!?何で俺戦闘に巻き込まれてんのっ!?」

ロシア人「HAMADURAっ!無事かっ!?」

浜面「無事に見えるんだったらお前アタマおかしいからなっ!?」

ロシア人「すまないHAMADURA!まさか、まさかお前が一人で『連中』を引きつけるため、俺達の車を盗んだとは思わなかった!」

浜面(100%誤解ですよ?もうロシア支部がイヤになってエリザリーナへ行こうとしただけですから)

浜面「でもアイツらなにモンだっ!ロシア軍の戦車相手に正面から凹ますし、ギンギンピカピカの装甲って!」

ロシア人「あれは『学園都市』の兵士ではないのかっ?捕虜にしたプライベーティアがそんな事を言っていたぞ」

浜面「学園都市だぁ?俺の居た所はロシア軍来る前にさっさと逃げちまったけどなぁ」

浜面「つーか独断でそんな事かませる訳がねぇ――」

ズガガガガガガガガガガッ!

浜面「あ、ごめん。俺死ぬかも?じゃ、お先っ」

ロシア人「HAMADURA――――――っ!?」

浜面(あー……やべ、走馬灯だ。時間がスローになってるような気がする)

浜面(走馬灯……)

浜面(あれ、俺の周りには馬がいねぇよなぁ?じゃ違うの?良かったぁ、んじゃ俺死なないわー)

ドオオォッン!!!

ロシア人「あの学園都市の兵士達を、一撃で」

浜面「……よ、洋平さんっ!?」

アックア「息災、ではないようであるが、一応生きていて喜ばしいのである、HAMADURA」

浜面「呼び方が変わったっ!?」

アックア「ちなみに走馬灯とは円形の筒がついた明かりの事で、馬以外の絵柄もあるのであるな」

浜面「口に出してないのに突っ込んだ!?エスパーっ!?」

ロシア人「言ってた言ってた」

アックア「ちなみに魔術師である」 キリッ

――三十分後、少し離れたロシア人の集落

ロシア人「――と言う訳でHAMADURAは俺達の英雄なのさっ!」

アックア「ほう……友人として鼻が高いのであるな」

浜面「……止してくれ洋平さん。それよりもだ。今、この国はどうなっているんだ?」

アックア「正直、私にも分からないのである。学園都市製の変態兵器が持ち込まれているかと思えば、HAMADURA居た支部は逃げてしまっているのであるか」

アックア(正規兵が散らばっているのは、ベツレヘムへ電撃戦を挑もうとする際の“盾”であるな。実際に私の歩みも遅くなって居るのであるし)

ロシア人「……兎に角、今日は二人とも泊っていってくれ。大したものはないが、精一杯のもてなしをしよう」

アックア「……かたじけない」

浜面「ありがとな」

ロシア人「毛布を持ってくるよ」

パタン……

アックア「……しかしHAMADURA、あまり無理をするのでは良くないのである。貴様は普通の人間、したがって――」

浜面「ごめん、洋平さん。その、違うんだ」

浜面「俺、車を盗んだだけなんだ。敵の囮になったのは、偶然なんだ」

アックア「……」

浜面「それだけじゃないっ!洋平さんと初めて会った時、上条の事色々聞かれたけどっ!あれも実は――」

アックア「HAMADURA」

浜面「……俺みたいなクズ、洋平さんから友達って言われる資格はないんだ!」

アックア「知っていたのである」

浜面「……え?」

アックア「右手の少年――いや上条当麻の事は後からであるが、先程の車は偶然であろう事は」

浜面「じゃ、じゃどうして……?」

アックア「……嘘を吐かない人間は居ないのである。また人から良く見られたい人間も殆どがそうなのである」

アックア「だがHAMADURA、それがどうしたのであるか?」

アックア「確かに嘘を吐いた。だがブリテンのパブで私を励まし、また燃え落ちるゴーストハウスでHAMADURAは少女に対して泣いたではないか?」

アックア「それは、嘘では無かったのであろう?」

浜面「あ、当たり前だっ!」

アックア「ならば、良いのである」

浜面「洋平さんっ……!すまねぇ、すまねぇ……」

アックア「嘘、で思い出したが……知り合い、と言うか同僚というか。孤独な男が居たのである」

アックア「同じ目的のために集ったとは言え、仲は良くもない集団であったが……その男は嘘すら吐かなかったのである」

浜面「正直者、だったって事か?」

アックア「一面に置いてはそうなのである。正確には“嘘を吐く必要がなかった”と言うべきなのであるか」

浜面「……凄い、お金持ち?」

アックア「か、どうかは知らないのである。高い能力を持ち、才能を持ち、恐らく努力すら万夫の数倍を行ったのであろう。その力は極めて高かったのである」

浜面「へー……居るんだなー、そういう天才肌の人」

アックア「しかし奴は全てが出来るあまり、極めて傲慢で他者を顧みない性格だったのである。慈悲を知らず、恩寵を知らず、愛を知らないのであるな」

浜面「そりゃまた……なんつーか」

アックア「その道を違えた時、私はどうすれば良いのであるか……いや、どうすれば良かったのであるか」

浜面「ぶん殴れば?」

アックア「……は?」

浜面「いやだから訳分かんねぇ暴走してるって事だろ?なら『空気読め』、って全力でぶん殴ってやりゃいいじゃん」

アックア「それは――」

浜面「嫌いでも同僚なんだろ?だったら『余計な仕事増やしてんじゃねぇバーカ!』って言えば良いんだよ」

浜面「俺を、俺を何度も助けてくれた洋平さんなら、きっとそうするんじゃねぇかな?」

浜面「だってテメェの仕事や本当に守りたかったモノとかあんのに、目の前の俺みたいなバカ助けるために駄目にしちまったんだろ?」

浜面「そんな洋平さんが、同僚を助けないなんて、見捨てるなんて、する訳がねぇよ」

アックア「……はは。いや、そうなのであるな」

アックア「ありがとう浜面――いや、HAMADURA!」

浜面「何で今言い直したっ!?その名前にこれっつった意味は無いからなっ!?」

アックア(確かに私は色々なモノを失いはしたが――)

アックア(だが、失うばかりではないのであるな!)

――エリザリーナ独立国。国境付近

垣根「あーだりぃ超だりぃ帰りてー、超帰りてーわ」

一方通行「煩ェ。黙ってバカしてろ」

垣根「バカじゃねぇよ!?番だよっ!?」

一方通行「あ、悪ィつい本音が」

垣根「いやーもう飽きたし。ケンカもこう一方的だとなぁ?」

一方通行「学園都市の兵器らしきモンが確認されてンだからよォ、もうちょォォっと危機感持てませンかねェ?」

垣根「……なぁ、クレムリン落としてくるわ」

一方通行「大人しくしてろよォ頼むからよォ!お前がこないだァ、『見て見てー、ロシアの戦車ゲットしたぜ!』って大問題になったばっかだろォーが!」

垣根「えー、でもエリザリーナの人喜んだぜ?」

一方通行「……空気読もうぜ垣ィ根ェくううゥゥンっ!?そりゃァ引いてンだよ!半笑いなンだよ!」

垣根「あーカップラーメン食いてー。上条に頼んだら送ってくれねぇかな」

一方通行「買やァいいだろォがよ通販で!」

垣根「やってねぇし。2chに書き込むのだって、●と専ブラ必要なん――」

ゴオオオォォォォォォォオオッ!!!

一方通行「学園の音速飛行機だァ……?」

垣根「音が微妙に聞こえるっつー事は、アレか」

一方通行「大分速度落としてる、って事だァな――なンか投下するために」

ヒュンッ

垣根「パラシュート、ねぇ。撃ち落とした方がいいのかな?あー、何か銀色?雪原迷彩服か」

一方通行「一人ってェのも。麦野――は、色々な意味で駄目ンなったし。もう一人の熱血バカってェ可能性も――」

垣根「女だっ!おっぱい揺れたっ!」

一方通行「あァうン、良かったですねぇ――」

女?「いやぁそうじゃないと思うけどねぇ」

一方通行(この声――クソったれがアァっ!)

垣根「おっ、スゲー美人」

女?「この場面で女ってぇのは、割とアンタにとって悪夢だと思うけど?」

女?「ちっわー学園都市からのデリバリーサービスでぇす、ご指名ありあとあっしたー」

女?「ミサカは番外個体でぇす、ってミサカはミサカは自己紹介してみる!」

一方通行「テメエェェェェェェっ!!!」

番外個体「サードプラン発動おめでとー、あと抵抗しないでね?じゃないとミサカは遠隔操作でぶっ殺されちゃうみたいだし?」

番外個体「だから取り敢えず――」

垣根「死ね」

ガギギギキィンッ!

番外個体「げぐっ!?」

一方通行「オイ!垣根ェェェっ!?何してやがったンだァっ!?」

垣根「この女は、俺が、殺した。それ以上でもねぇし、以下でもねぇ」

垣根「詳しい事は知らない――あぁいや知ってっけどもよぉ、お前がここで死んだら打ち止めちゃんはどーなんだよ?」

一方通行「……っ煩ェ」

垣根「黙ってろ根性無し。いいか、俺達みてぇな『悪党』はよぉ!引き算しか出来ねぇんだよ」

垣根「守りてぇもの全部何てぇのは、無理だ。それこそ、このクソみてぇな悪夢ん中にどっぷり浸かった俺達が、一体どんな夢を見んだ?」

垣根「テメェの手の大きさ考えろ!ましてや片手しか空いてないテメェはな――」

垣根「あの子の手ぇ掴むだけしか残ってねぇんだよ!!!」

一方通行「……」

垣根「……目ぇ瞑ってろ。DNAも残さずに燃やしとっから」

番外個体「ミ、ミサカは、もう出番、終わりなのかな、ってあの人に聞いてみる……?」

番外個体「培養液の中で……さっさと育てられて、首に、ワケ変わらない機械、着けられて……」

番外個体「助けて?ってミサカは――」

垣根「黙れクソが。テメェは生きる資格がねぇんだよ」

番外個体「なんで?なんでって――」

垣根「誰にも望まれねぇで生まれてきた、それだけだ」

一方通行「……!」

垣根「……次はもうちょっとゆっくり産まれてこい。じゃな――」

ゴオウンッ、パキインッ!

垣根「……おいおい何やってんですか親御さぁん?」

一方通行「……煩ェよ」

垣根「テメェの後に居るのは娘さんじゃねぇですよ、つーか――」

番外個体「マジあざーすっ!!!」

バスバスバスッ!!!

一方通行「ぐァァっ!?」

垣根「反射切りやがったのかっ!?クソが――」

番外個体「やっべぇ超×そうだっ!まーさーかーっこおおおおおおぉぉんなにっ、チョロいとは思わなかったよ!……げふっ」

一方通行「……」 ガクガク

番外個体「あーくそ、肺に刺さってんな」

一方通行「……もう、しねェンだよ」

番外個体「あぁ何か言ったのか負け犬?」

一方通行「俺の前でコイツらを死せンのは、もうシタかねェンだよオオォォっ!!!」

垣根「……お前、死ぬぞ?」

バスッ!

一方通行「……つっ!」

番外個体「あービックリした、『だから許してよママン』とか言うと思ったのに、きっちり反射解いてんのか」

番外個体「んだよぉ、面白くねぇよお。泣き叫んで命乞いしてくれよ!」

垣根「……このアマ」

垣根(早く意識失えセロリ。そうすりゃ後の奴にぶち込める)

一方通行「……殺したきゃ、殺せ。お前らにはその資格があンだ」

番外個体「はああぁぁぁぁっ!?開き直ってんじゃねーぞ!」

一方通行「……俺はもう、『悪党』なんかじゃねェンだよ」

番外個体「……」

一方通行「だから、もう、誰一人だってお前らを手にかけるつもりはねェ」

垣根「……」

一方通行「片手しか空いてねェだ?引き算しかねェ?……はいはい、そうだな。おまえはそうなンだろォな」

垣根「……」

一方通行「だが、俺はもう違う!そんなとこにゃア居ねェンだ!『悪党』だの『ヒーロー』なんかどうでもイいンだよおおォォっ!!!」

一方通行「こいつを!こいつらを助けるためだったら、なンだってすンだあァっ!」

一方通行「俺はもう、誰一人だって死なせねェよ、そう誓ったンだ……」

番外個体「……ぷっひゃ」

垣根「……あぁ?」

番外個体「あっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!」

番外個体「全っ然面白くねぇよその冗談。つーか笑えねぇし。滑り芸?滑り芸へー、転向したの?」

番外個体「名前何?アクセラ=レー太君?ヤダちょっと可愛い!」

一方通行「……お前、何を――」

番外個体「クソが!止めてよね、そーゆーの嫌い!大っ嫌い!」

番外個体「下らねえし。あなたへの『悪意』を散々植え付けられてきたけど、話も違うし」

垣根「お前……まさかっ」

番外個体「もうちっとその白セロリでダーツゲームしたかったんだけど」

番外個体「……ま、遠隔操作でバチン!ってぇのもミサカらしくないから、自分でするわ」

一方通行「オ、オイっ!?」

番外個体「……おいおい、なっさけない顔は止してくれよ、マイハニー、僕は君の笑った顔が見たかったのさ」

番外個体「……んじゃまぁ、色々、ごめん――」

一方通行「――っ!!!」

上条「あれ、おい御坂、首の後にゴミついてんぞ?」 ブチッ

パキイインッ

一方通行「」

垣根「」

番外個体「あイタっ!?……あ、あれ?爆発、爆発は?」

上条「あれ?髪切った?」

番外個体「ミ、ミミミミサカですかっ!?」

上条「なーんかいつもと違うような?ってあぁ!」

番外個体「は、はい!?」

上条「お前怪我してるじゃねぇか!一方通行っ!」

一方通行「……あァうン、何?」

上条「うんじゃねぇよ!早く病院――って、お前も真っ赤っかだぞ!?」

一方通行「まァ……色々あったンだ」

上条「病院行こうぜ!あ、垣根、悪いけど俺のリュック頼むっ!」 ダキッ(番外個体、お姫様抱っこ)

番外個体「んーっんーっんーっ!?」 (一方通行に助けを求める)

一方通行「……ごめン、多分お前、色々と終わったンだわ」

垣根「だなぁ。まぁ諦めろ」

番外個体「ちょっ――」 (上条と顔近くて硬直)

上条「御坂っ!御坂!」 (もっと顔接近)

番外個体 コテッ(幸せすぎて失神)

上条「御坂、みぃぃぃぃさぁぁぁぁぁかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

麦野「取り敢えず落ち着けバカ」 ガコッ

――数時間後。エリザリーナ独立国、エリサリーナ私室

エリザリーナ「――えぇと。聞いていたよりも大所帯でビックリしたけど」

上条「あー、何かすいません。でも学園からの援助物資、乾パンとか水の濾過装置とか、非常食とかあるんで、その」

エリザリーナ「うん。それはありがとう」

エリザリーナ「で、一方通行さんからも話は伺っています。私で宜しければ滝壺さん?を看ましょう」

滝壺「はい、よろしくおねがいします……」

エリザリーナ「では一時間後にまた来て下さい」

上条「え、いや俺付き添いで――」

滝壺「見たいの……?」

上条「看たいけど?」

麦野「そっちは良くなってからにしろ。つーか今から脱ぐのよ」

上条「ごめんなっ!?」

滝壺「……ちっ」

絹旗「良くなってからです、ね?」

フレンダ「結局待ってる訳よ」

エリザリーナ「……なにかこう、あなた方の特殊な関係性が階間見えたような……?」

麦野「いや別に普通よ?よくあるじゃない」

エリザリーナ「で、ですよね?」

麦野「サバンナだけども」

エリザリーナ「言葉を選びましょう?こう、大人になりやがれっていうかね?」

――少し後、一方通行と打ち止めの部屋

打ち止め「わーい!日本のお菓子だぁってミサカはミサカは全身で飛び跳ねてみる!」

一方通行「あァもう騒ぐンじゃねェ。ありがとう、ってェ言うのが先だろォが」

打ち止め「うん、ありがとうねおっぱいのおねーさんってミサカはミサカはペコってしてみたり!」

麦野「……麦野ね、私。つーかまぁ親御さんが板についちゃってまぁ」

一方通行「てめェにゃァ一生関係ねェ話だがなァ」

麦野「××コ毟って永久凍土に埋めんぞコラ」

一方通行「意味が分からねェよ。それ刑罰なのか、壮大な放置プレイなのか、どっちだよ?」

上条「あー、後マックスコーヒ○一箱、あと良く分からないから、適当に何箱か買ってきた」

一方通行「ありがたいンだがな、普通、こう、前もって連絡とか入れねェかな?常識的に?」

一方通行「つーかお前らが来ンの分かってたら、俺ァ無駄な怪我しなくてすンだンだがよォ?」

フレンダ「第一位が常識をっ!?」

絹旗「いやぁ超アレですって、俺の未元物質に――」

垣根「常識は通用し――って言わすなよ」

一方通行「あ、ごめン。人の部屋入って来ないでくださァい」

垣根「あーうん――じゃねぇよ!どうして俺だけのけモンなんだよっ!?」

一方通行「煩ェンだよ!お前ら人が夜勤だっつーのに、毎日毎日トランプ一つで盛り上がりやがって!」

麦野「いいじゃない打ち止めちゃんもほぼ完治したんだから」

上条「あーはいはい、分かったから。垣根もカップラーメンとインスタント味噌汁、あと手紙」

垣根「おーサンキュ。でも手紙?誰から?学校から?」

上条「いや心理定規」

垣根「……ぁっ」

麦野「オイそこのバカ、何で今小さく『アッ』つった?」

垣根「あぁうん。何か忘れてるなー、と思ったらあいつに連絡取るの忘れてたわ!」

一方通行「お前ェ最悪だなァ」

垣根「いやー、だって仕事仲間だぜ、基本?お前らみたいに仲良くしねぇよ」

一方通行「ウチもそうだが、余所は余所だろォがよ」

フレンダ「で、何々っ?なんて書いてある訳っ!?」

垣根「いや公開しねぇよ」 ペリペリ

カチャン

上条「何だこれ、鍵?」

麦野「アンタ……最低だなァ?」

垣根「待て待て知らねぇよ!?これ、ウチの鍵じゃないねぇしさっ!?ちょい待ち…………あぁこれだ」 ジャラッ

一方通行「ロシアに自宅の鍵もってくンなよ」

絹旗「あー確かに超違いますね。でもだとすればこれは一体どこの?」

打ち止め「MNWで検索かけた所、彼女の家の鍵じゃないかな、ってミサカはミサカは大人の事情に首を突っ込んでみる!」

フレンダ「どゆこと?」

上条(あ、この二人すぐ仲良くなりそう)

麦野(でも賢いバカと馬鹿なバカって決定的に違うから)

打ち止め「『今まであなたに渡していましたが、取り換えましたから』って、どういう意味なのかなってミサカはミサカは確信犯的に責めてみたり!」

一方通行「……お前、ホンっとに最低だなァ?」

垣根「違うって!……多分?」

絹旗「いえでも限りなく超グレイっぽい気配が……ってか第二位、封筒の中に紙入ってますよ?」

垣根「ほ、ほらぁっ!違うって言ったじゃねぇか!」

上条「じゃあ読めよ。つーか俺読むわ」 ヒョイッ

垣根「あぁコラ勝手に――」

上条「あーなになに、『×月○○日、あなたにお弁当を作ってきました』」

フレンダ「普通じゃん。つーか付き合ってない訳?」

垣根「いや、そういうつもりはねぇけど」

麦野 ウズウズ

一方通行 ギュッ(打ち止めの耳を塞ぐ)

麦野「肉体関係は?アンタ挨拶代わりに×××握らせてんでしょ?」

一方通行(やっぱこのアマ教育に悪りィよなァ!)

垣根「無実だし!心理定規とは何もねぇよ!」

一方通行「まァ中学生ぐらいだしなァ?」

麦野「アンタはもっと小さくないと駄目なのよね?」

一方通行「違げェよ。つか俺をロリ×ン扱いはやめろ」

上条「『あなたには笑われるかも知れませんが、勇気を出して作ってみました』」

フレンダ「あ、何かちょっといい話になってきた」

絹旗「中学生の超切ない恋愛話じゃないですか」

垣根「えー……いやでも、今までそんな雰囲気なかったんだぜ?」

上条「『ですが、あなたは帰ってきません。なので冷蔵庫へ入れておきました』」

全員「……」

フレンダ「な、何日前だっけ。日付?」

上条「二週間前だけど……」

麦野「ってか冷蔵庫に鍵て。業務用なの?」

垣根「いやー一人暮らしだし、別に料理もしねぇし。家庭用2ドアだぜ?」

絹旗「あー……それじゃ、買った、とか?その『他の人には超食べさせたくない!』的な目的で」

垣根「あっあー、それそれ!多分それだって!そうじゃないとおかしな話だもの!」

麦野「いやーでも普通冷蔵庫買うかぁ?何か嫌な雰囲気しかしないんだけどな」

上条「『×月○×日、お弁当を作ってきました。でもあなたは帰ってきません』」

一方通行「二回?二日連続かァ?」

上条「『なので、冷蔵庫へ入れておきました』」

全員「……」

麦野「しかも前の入ってんじゃないかしら?――あぁセロリ、打ち止めちゃんの耳離すなよ!」

一方通行 グッ

垣根「……つ、続けて?」

上条「『×月○△日、あなたの彼女と名乗る女の子がやってきました』」

垣根「い、いやーモテる男は辛いなっ!なっ!……何でお前ら黙ってんの?」

麦野「……オチが読めたからよ。現実見ろ!」

上条「『なので、冷蔵庫へ入れておきました』」

全員「……」

垣根「……」

打ち止め「えーなになに、どーしたのってあなた達だけで楽しむのは良くないんじゃないかなって、嘆願してみるっ!」

上条「『×月○□日、誰もやってきませんでした』」

絹旗「お、終わったんですか?この悪夢が超終わるんですね?」

フレンダ「よ、良かった訳よ!」

麦野「あ、上条!次最後よね?ちょっと読むの停止、あと中学生二人は部屋の外行きな」

フレンダ「え、でも――」

絹旗「……超行きましょう、超嫌な予感しかしません」

一方通行「悪ィ、こいつも頼ンだ」

絹旗「分かりました。えっと打ち止め、ですよね?」

打ち止め「お姉ちゃん達のお名前はなんて言うの?って――」

パタン

垣根「……俺、聞きたくないんだけどさぁ?」

麦野「アタシもそれが正解だと思うわ」

一方通行「……つーかァこの状況で淡々と読める三下のメンタル半端ねェなァ」

上条「俺だって読みたくはねぇぞ!つーかオチは知ってるから俺だけで終わらせるかっ!」

麦野「……まぁ聞くけどね」

上条「『×月○□日、誰もやってきませんでした』」

上条「『なので、冷蔵庫に入っています』」

上条「『あなたが、開けるまで、待っています、ずっと」

垣根「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」

一方通行「……」

麦野「……」

上条「……あー、うん。手紙返すから」

垣根「……」

上条「あ、ごめん!俺ちょっと用事がっ!」

麦野「あの子達、打ち止めちゃんと仲良くしてるかしらねー。親御さん、ここら辺に遊ぶ所ってないの?」

一方通行「あ、あァ。ガキどもの保育所みてーなのを、ボランティアでやってン女がいてなァ、ソイツが色々世話焼いてきて煩ェんだ」

上条「それ、お前に気があるんじゃないのか?」

麦野「こら!ロリコ×に酷い事言わない!」

一方通行「お前の方が殺されても文句言えねェ事言ってっかンなァ?あァ?」

パタン

垣根「……」

垣根「俺をっ、俺を一人にしないでくれよおおおおおおっ!?」

――エリザリーナ独立国・個別病室

番外個体「……」

番外個体(あー……眠みぃ。麻酔か?麻酔打たれてんのかな?)

番外個体(生きてる、って事は良かった、のか?ってもなぁ生かされてもなぁ?)

番外個体(白モヤシのために急遽造られて、何か機械埋め込まれて、それでロシアまで直輸されたけども)

番外個体(勝っても負けてもってぇのが、何か――何か、だーよなぁ)

番外個体(……あん?)

番外個体(何か冷たい?あー……マブタ、マブタ開かねぇなぁ)

番外個体(電気信号……)

ヂッ

番外個体(病室暗いしハレーション起こして見えねぇなぁ。まぁ白い服じゃなかったし、学園側の暗殺者って所か)

番外個体(やだなぁ、死ぬ前にパーツでも回収されてんのかなぁ。どうせならオリジナルが好きなあの人にちょっかいかけたかったな)

番外個体(あーでも、お姫様抱っこして貰ったんだっけ?)

番外個体(みさかー、なんて呼んで貰ったりもしたか)

番外個体(でもそれ、よくよく考えたらミサカの名前じゃないんだよね)

上条「……ミサカ、だよな?」

番外個体(あーそうそう。こんな声こんな声)

上条「あーごめん。さっき勘違いしてたみたいだ」

番外個体(いや、勘違いはしねぇだろう。明らかに部分的に違うよな?――って!マジかっ!?本物かよっ!?)

上条「……学園なんだな?お前達に酷い事をしたのは、またアイツらか」

番外個体(いやいや、熱くなるなよヒーローさんよおっ。鬱陶しいんだテメー、つーか何様のつもりだボケ、死ね)

上条「……俺が、約束したのにっ。お前達を護るって約束したのに」

番外個体(……約束?誰と?何の話だよ?)

上条「……あぁ、でも俺が、全て終わらせるから」

上条「この下らねえ戦い、全部終わらせるから!」

番外個体(あっついんだよこのクソが!どっか行けよ!お前なんか、お前なんかっ!)

番外個体(……)

ヂッ

上条「……ん?今、火花が――いや、気のせいか?」

番外個体(気付よクソが!だからお前なんて大嫌いなんだよっ!)

上条「……じゃ俺、ちっと行ってくるから――あれ、換えのガーゼに文字が――」

番外個体(……)

上条「焼け焦げて、そうか!火花でかっ!」

上条「……『シネ』?」

上条「あのさぁ、もうちょっと、こう色々あると思うんだけど」

番外個体(ウルセェよ、どっか行け)

上条「まぁ……ちょっくら行ってくるわ」

番外個体(……行っちまえ)

上条「帰ってくるまで体治しとけよ――番外個体」

番外個体(……!)

番外個体(……ウルセェよ。なんかもう、ウルセェ)

番外個体(オリジナルも、あの人も、白モヤシも)

番外個体(ミサカの心臓も――ウルセェつってんだろ!)

――ロシア某所

浜面「洋平さんっ、レジスタンスが何人も『ベツレヘムの光』見たって報告が!」

アックア「無理なのであるな。ランダムに移動しているから、リアルタイムで補足しないと意味がないのである」

浜面「違うんだよっ!スマートフォン――の地図見てくれっ!」

浜面「目撃証言を点で置いていくと、真っ直ぐに移動してんだ!」

アックア「……奇妙であるな。余程急ぐ用事でも――この、先には!」


――エリザリーナ独立国・客間

『我が青竜刀の錆になれいっ!』

『にゃー、愛紗は怒りっぽいのだー』

……

ヴェント「……何か三国志のアニメらしいんだけど、女の子しか出てないってのはどうよ?」

ヴェント「アタシの知ってる三国志、ってぇのはこんな話じゃなかった筈だけど」

アニェーゼ「イノベーション、ってヤツなんじゃないですか。古いババアは若いロリキャラに淘汰されるように」

ヴェント「アンタは確実にケンカ売ってるわよね?あと若くないロリキャラって矛盾してないか?」

アニェーゼ「いえいえそんなとんでもねぇ話ですって」

PiPiPi……

ヴェント「ったく――あぁアックアからか」

アニェーゼ「普通の携帯?あぁ音だけですか」

ヴェント「『どうしたゴロツキ。今更なんの用よ?』」

アニェーゼ「取り敢えず罵倒から入るんですか」

ヴェント「『外?あぁ曇ってはいるけど――雲じゃない?』」

ヴェント「『だったら、アレは――』」

――少し前。エリザリーナ独立国、エリサリーナ私室

エリザリーナ「……どう?」

滝壺「体が軽くなった、ような……?」

エリザリーナ「方針自体はイギリス清教と同じよ。ただし使う薬草の類が違うから」

麦野「つまり?」

エリザリーナ「一年ぐらい摂取していれば、それ以上は必要ないわね」

上条「良かった!」

エリザリーナ「あ、勿論もう『体晶』を使っちゃ駄目よ?それだけは絶対に守って頂戴」

滝壺「……」

絹旗「……滝壺?」

滝壺「……それは、いや」

フレンダ「滝壺っ」

滝壺「わたしは、みんなが大切……!だからきっと、危険になったら――」

エリザリーナ「……気持ちは、分からないでもないけど。例えば、ね?あなたが犠牲になって生き延びたとして、他の子達は喜ぶかしら?」

滝壺「それは……」

エリザリーナ「うん、建前では悲しみながら、実は裏では何とも思わずに仲間を遣い潰しているような人達、私は結構見てきたのよ?」

エリザリーナ「でも、あなた達は違うじゃない?夫婦の絆を比翼の鳥に例えられるけど、あなた達はみんなで一つ、って気がする」

滝壺「だから……」

エリザリーナ「あなたの居ない世界、それがあなたのお仲間に耐えられるかしら?」

滝壺「……」

エリザリーナ「……と言ってもまぁ、余裕はないけど極めて深刻でも無いのよね。後はきちんと話し合いなさい、ね?」

滝壺「……はい」

滝壺「あ、でも依頼が一つ。試してみ――」

麦野「どうしたのよ?」

滝壺「近い……?いやでもっ……!」

絹旗「超落ち着いて下さい滝壺、具体的にどのぐらいなんですか?」

滝壺「北に、一キロ……?」

上条「ちょっと待て!?それじゃまさか――」

ドオオオオオオオオオオォォォォォオオォオウンッ!!!

――エリザリーナ独立国、現在

アニェーゼ「少年っ!」

上条「何が始まったんだ!?」

アニェーゼ「ロシア軍正規兵の機甲部隊が攻めてきやがってます!」

アニェーゼ「そっちはまだエリザリーナ義勇軍で持ち堪えていますが――」

ズゥゥンッ!

アニェーゼ「北方約1キロに『ベツレヘムの星』、しかも天使の護衛付きですっ!」

麦野「天使はどうしているの?」

アニェーゼ「学園の白い人と黒い人が抑えていますが、どうにかってぇ感じです!」

上条「ヴェントは?」

アニェーゼ「義勇兵を援護しています!――私は負傷者へ治癒術式を施さないといけないので、これで失礼っ!」 ポクポクポクポクッ

麦野「参ったわねー、こりゃ」

上条「……」

絹旗「逃げる、ってのも超後味が悪そうですし。何とかしたい所ですが――上条?」

上条「ん?あぁいや、どうしたもんかなって」

フレンダ「んー……戦争かぁ。つーかあたしら別に誰も驚いてないって訳よね」

滝壺「……『体晶使わずに済んだから、らっきー』みたいな?」

フレンダ「良いって訳?向こうから来ちゃったみたいだけど」

麦野「一回は一回、証人はエリザリーナも居るしね。とまぁ火力が必要なのは、ロシアの機甲兵団かぁ?」

麦野「セロリと冷蔵庫いなくなって士気ガッタガタだろうし、ちっとドンパチやってくるわね」

絹旗「わたしは超どうすれば?」

麦野「あんたと上条はミーシャ相手、しかないでしょうね」

絹旗「はい!命に代えても――っていひゃいいひゃいいひゃい!!!」 ムニーッ

麦野「馬鹿言ってんじゃないわよ。一人でも欠けたら、私が地獄まで追い掛けてって殴り倒すからね?」

フレンダ「……結局死んでもそんなカルマを背負い続ける訳……?」

滝壺「なむー……」

麦野「残った二人は打ち止めちゃん――と、あぁそういや、ミサカ新型も居たか。二人の護衛をしなさいな」

絹旗「いたた。エリザリーナはどうするんですか?」

麦野「私達が側につくのは色々問題がありそうなのよ、主にスパイ的な問題で」

フレンダ「この国の事はこの国で、っていうのもシビアかも知れないけど」

滝壺「ぶっちゃけ、薬草のレシピやらなんやらは、イギリス清教へメールで送信済み……」

麦野「とまぁそんな感じで。全員、死ぬんじゃないわよ!」

絹旗「はーい、おかあさーん」 ダッ

フレンダ「おっけいっ!ままっ!」 ダダッ

滝壺「かーちゃん、いってくるぜ……」 ダダダッ

麦野「おいこらメスガキどもがっ!!!……ったく本当に」

麦野「……良い娘ばっかりよね――上条?」

上条「あぁうん!行って、来るよ!」

麦野「えぇ気をつけて……?」

――義勇兵vsロシア機甲兵団

ヒュンッ、ドオウンッ!

ヴェント(火力が段違いよね。向こうは落ちぶれたとはいえ超大国、こっちは西側の中古兵器のオンパレード)

ヴェント(士気が高いってのはまぁ認めてやらなくはないか)

独立国兵士「下がってください!民間人は早く退避を!」

ヴェント「誰にモノを言っているの?このアタシに命令形は無い!」

独立国兵士「……え?」

ヴェント(水……雪があるから、行けるな!『アドリア海の女王』部分召喚!)

ゴウウン――ドゥンッ、ドゥンッ、ドゥンッ……

ヴェント「ハッハァっ!良い悪意!」


――学園都市序列1位2位vsミーシャ

ミーシャ『laskdfjsa;ofijwooqiwjeqoiwejqopiっ』

垣根「なぁに言ってるのかわっかんねぇしっ!!!」

ズウウンッ!

一方通行「あぁもう面倒臭ェンだよォォっ!」

ゴガッ、ズウウンッ!

垣根「どうにもこうにも膠着状態だねぇ、こりゃ。つーか親御さん、娘さんとこ行かなくていいの?」

一方通行「あのガキ助けてもらった恩も返さねェで逃げるってェのは、俺の性分に合わねェ――つーか今頃、煩ェ奴らが保護してンだろうよ」

垣根「随分信頼してんだコト」

一方通行「口よりも羽根動かしやがれ。来ンぞ!」

ミーシャ『豬憺擇www』

ドウンッ!!!

――医務室

番外個体「あークソ頭痛い頭痛い頭痛いっ!ドッカンドッカンしててうるせーっ!」

フレンダ「居た居た。すっごい訳ね、打ち止め」

打ち止め「えっへん!とミサカはミサカは将来立派になる胸を張ってみたり!」

番外個体(あ、しまった。プロテクト外してた)

滝壺「とにかく、ここは危ないから……」

番外個体「あー……おねーさん達、ミサカにも武器をくれないかな?」

フレンダ「使えんの?」

番外個体「つーか白モヤシを殺すためにチューニングされた個体だし?能力もレベル4相当の電撃系だってさ」

滝壺「それは……すごい」

フレンダ「……守りに来たのに、逆に守られてる感がヒシヒシと」

番外個体「あの人には借りがあるし?今日は出血大サービスで、三人とも守ってやっても良いんだぜ?」

滝壺「おおっと、こんな所に、あなたをお姫様抱っこしている画像が……」

番外個体「ぎにゃーーーーーーっ!違うのっ!それは違うって!」

滝壺「あなたのケータイ出して……?」

番外個体「……ん」

番外個体(拾った奴だけど)

滝壺「そうしん……」 ピッ

番外個体「い、依頼料は確かに貰ったぜ!」

フレンダ「今さらハードボイルドっぽい事されても、ねー?」

打ち止め「ねー?ってミサカはミサカはハイタッチしてみる!」 タッチ

番外個体「あーもう、うっぜぇぇぇっ!ミサカこの組もうイヤっ!組変えを要求するっ!」

――義勇兵vsロシア機甲兵団

ヴェント「どうにも面倒だな――つーかアンタが来る必要も無かったわね?」

麦野「……いや、正直あたしも引いている。なんだそりゃって感じ。アックアといいアンタといい、バケモンしかいねぇのかよ」

ヴェント「あのゴロツキと一緒にされるのは心外だけどね」

麦野「来てんでしょ」

ヴェント「さぁ?さっきは急いで来る、とは言ったけれど――って第二陣が来るわね」

麦野「次はアンタ休んでろよ。んなハイペースで疲れない訳がないわ」

ヴェント「煩いわね。このアタシに――」

麦野「っと失礼、携帯が。あー……取りたくないわぁ……」

ヴェント「何?借金の取り立てかなんか?」

麦野「だったらどんだけ気が楽だったか――『はい……あー、んじゃ、二人を回収しといて?』」

麦野「『うん。つーか行く所は一つしかないし。こっちから行った方が早いから』」

麦野「『打ち止めちゃん達はアニェーゼに――うん、じゃ』」 ピッ

ヴェント「深刻そうね?」

麦野「ウチの馬鹿が一人暴走したのよ」

ヴェント「あー……もしかして、あっちに?」

麦野「うん。戦場突っ切って、あそこに」

――ベツレヘムの星・内部

フィアンマ「どうした上条?不思議そうな顔を……してないなぁ?」

上条「近くまで行けば、お前が拾ってくれそうな気がした」

フィアンマ「つまらないな。折角幾つか台詞を用意していたというのに」

上条「……やり直そうか、最初っから?」

フィアンマ「いや時間が勿体ないだろう?お互いに」

上条「お前は一体何がしたかったんだ?大勢の人を巻き込んでまで、何を――」

フィアンマ「世界の救済だな。俺様の造り上げた秩序の元に、世界を立て直そうとするだけさ」

上条「意味無いだろう!?この世界はお前に救って貰う程、腐ってなんか無い!」

フィアンマ「お前の住んでいる所は、な?だがそれにした所で、たかが高校生相手にローマ正教20億が目の敵にする世界だろ」

フィアンマ「もっと腐っている所は幾らでもある。それぐらいは理解出来るだろう?俺様はそんな下らない世界をどうにかやり直したいのさ」

上条「腐ってなんか無い!確かに俺は、俺達は変な戦いに巻き込まれただけだ!」

上条「けどな、だからつって助けてくれる人は居た!」

上条「お前と違って俺には仲間が居たんだよ!」

フィアンマ「……ふむ。同じ『右手』を持つもの同士、話が合うかと少し思ったんだがな」

フィアンマ「つまりアレか?俺様は独りでお前は大勢の仲間が居る、だから俺様みたいな人間が世界を救うのは相応しくない、と?」

上条「お前に救われる程、この世界は終わっちゃいない――」

フィアンマ「じゃあ聞くが――どうしてお前は今、『独り』なんだ?」

――同時刻。vs天使

ミーシャ『ioioieoqwieoweioq!!!』

ドゥンッドゥンッドゥンッ!!!

垣根「拙いな、っと!」

ドオオンッ!!!

垣根「――まぁこんで暫く大人しくなんだろ」

一方通行「……弱音吐いてンじゃねェよ。だからお前は使えねェンだ!」

垣根「お前、そろそろバッテリー切れんだろ?」

一方通行「お前にゃ――」

垣根「下がれ。邪魔だ」

一方通行「煩ェよ」

垣根「……分かるだろ?なぁ?」

一方通行「……」

垣根「多分アレは、俺達じゃ無理だ」

垣根「残った時間は打ち止めちゃんと逃げやがれロリコ×野郎」

一方通行「ロリコ×じゃねェし、クソが!死ね!」

垣根「うるせぇよ。時間稼ぎしてやろうってぇ人間に死ねとか言うんじゃねぇよ!そこは『垣根君ありがとう!』じゃねぇのかよっ!」

一方通行「あーもうお前死んで来いよ、なァ?死ねばその馬鹿治っかもしンねェから」

垣根「誰が馬鹿だっ、つーか前から言おうと思ってたんだが、なんで俺馬鹿なの?学園二位じゃん?」

一方通行「……意味も分からねェのに、必要もねェのにロシアまでついてきやがって、帰りたい帰りたい言いながら、ダラダラ居座るし」

一方通行「なにやってンだよ!?バカじゃねェのか!?」

垣根「……あーお前居なかったっけ?あん時トイレでメソメソ泣いてたもんなぁ」

一方通行「捏造すンなバァカ」

垣根「ウルセェセロリ。上条に借りがあんだよ、ウチの組織の連中がケンカ終わった後にまでアイツらに手ェ出したってな」

垣根「だから、ケジメなんだよ。テメェなんかのためじゃねぇ、『悪党』である俺のプライドのためだ!」

一方通行「……ワッケ分かンねェ、お前もう死ねば?」

垣根「ウルセェよ。さっさと失せろ!」

一方通行「――テメェみたいな『悪党』、見た事ァねェよ」

垣根「……」

一方通行「……」 ダッ

垣根「……はは」

垣根「マジかよっ!?あの学園大一位サマから『悪党』って!ははっ、あはははっ!!!」

ミーシャ『ioqiwoqwiqowiqowi』

垣根「だよなー?お前も笑っちまうよなぁ?」

垣根「クソの中のクソだっつーあのバカが、俺を『悪党』って!」

垣根「あーやべー、ちっとやる気出て来たかも?」

ミーシャ『al;sa;sla;sla;sla;sl』

垣根「……いやでも天使がコレて。やっぱ出ないわー、うん」

垣根「いやホラ天使ってのはさ、全裸に翼で?しかも綺麗なんだよ、全裸で?」

ズドオオオオウンッ!!!

垣根「さっさとぶっ殺して、ナンパでもすっ――」

ミーシャ『jqhwjqhwjqhwjqhwjq……一掃』

ズッゴオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォウンっ!!!

――ペレホムの星・内部

フィアンマ「俺様の独り善がりである。否定はしないさ」

フィアンマ「だが――だからといってお前はなんだ?俺様との圧倒的武力を知りながら、どうして一人でやってきた?」

フィアンマ「俺様が孤独であるのは認めよう。と言うよりもその通りだ。『右手』に『ベツレヘムの星』、更には部分的ではあるが天使を御したこの武力!一国に凌駕する程にだ!」

フィアンマ「だが、どうして、非力な筈のお前が!精々異能を打ち消すだけの力しか持たないお前が!単身乗り込んでくるのだ?」

フィアンマ「そして――お前の友は!仲間は!同胞達はっ!どうしてお前一人“だけ”を戦場へと送り込むっ!?」

フィアンマ「教えてやろうか、幻想殺し――お前もまた――孤独なんだよ」

上条「違う!俺は今まで多くの仲間を救って――」

フィアンマ「お前が救ってきたのは、本当に『仲間』だったのか?」

フィアンマ「お前の事は恐らくお前よりも知っているぞ。同じ右手を持つものとして、ずうっと見てきたからな?」

フィアンマ「禁書目録――あの小さなシスターに嘘を吐いている事だってなぁ?」

上条 ビクッ

フィアンマ「だが敢えて問おう。お前がアックアに立ち向かった時、ブリテンのじゃじゃ馬へ拳を振り上げた時、お前はどうだった?」

上条「俺はっ仲間と戦った!お前とは――」

フィアンマ「だなぁ?仲間が居なければどの戦いも勝てなかったよなぁ?」

フィアンマ「でもお前は最初、一人で敵と戦おうとしたよなぁ?」

上条「それはっ!」

フィアンマ「あーそうだな。お前にだって色々理屈はあるんだろう。仲間のため、友のため、吐きそうなぐらいご立派な信念だよ」

フィアンマ「なら俺様からの質問だ。お前の言う『仲間』ってのは、ビンテージのワインみたいに仕舞っておくモノなのか?」

フィアンマ「それとも暇な時にちょっとだけ会って遊ぶだけか?どうにも良く分からないなぁ?」

フィアンマ「なぁ教えてくれよ、英雄さんよぉ。俺様とお前は違うんだろ?俺様は力に取り憑かれた狂人なんだろう?」

フィアンマ「俺様は力があるから孤独でも戦える。だがお前は力が無いのに孤独で戦おうとする」

フィアンマ「その大切なお仲間とヤラもお前の周りには見えないなぁ?あぁつまり、アレだ?」

フィアンマ「――お前には仲間なんて、最初っからいなかったのさ」

――vs機甲兵団

ヴェント(通常兵器とはいえ数が多すぎるっ!砲撃術式もそろそろ限界か……)

独立国兵士「どうかお下がりください!あなたはもう充分に戦われたのですからっ。あとは我々がっ!」

ヴェント(アンタ達が根性見ている以上、下がる訳にも――)

ヒュウッ!ズゥンッっ!!!

ヴェント「魔術の光、だと……?クソっ!」

ヴェント「ロシア軍を盾にして温存してやがったのか!?ロシアの異端者どもめ!」

独立国兵士「危ないっ!?」

オォンッ

独立軍兵士「……」

ヴェント「……クソッ!クソッ!クソがあああああああああぁっ!」

ヴェント(後の事なんて考えなくて良い)

ヴェント「討ち滅ぼしなっ、『アドリア海の女王』!!!」

ドオオオウンッ!!!

――ベツレヘムの星・内部

フィアンマ「おかしいなぁ?おかしいよなぁ?おかしな話だよなぁ?」

上条「……」

フィアンマ「お前は、ただの、無能力者だ。ほんの少しだけ変わった力を持った、学園都市風に言えばレベル0か」

フィアンマ「だのに、世界に20人しかいないと言う聖人は?ルーンを自ら作った天才魔術師は?天草式十字凄教の連中はどうした?」

フィアンマ「お前が助けたシスターは?騎士団は?友であり仲間であるお前を放って置いて、一体を何しているんだ?」

上条「俺はっ、俺は、見返りが欲しくて戦ってきた訳じゃない!」

フィアンマ「だなぁ。その結果、お前には仲間など誰一人出来なかったんだが」

上条「あ……」

フィアンマ「世界を変えるのに大きすぎる力は要らない、か?お前の言葉程空々しいモノはないよ、ヒーロー」

フィアンマ「お前は言う――『俺を信じろ』、と。何だって、どんな事だって、俺が打ち払ってやるから、踏み込んでこいと」

フィアンマ「だが同時にお前は結局誰一人として、何一つとして、『信じなかった』んだ」

フィアンマ「だから誰の力も頼れず、頼らず、最凶最悪の敵相手ですら、こうして一人で来るしか無かった」

上条「違う、俺は――」

フィアンマ「違わないさ。現実に周囲を見渡してみろ、それが全てだろう?」

上条「……っ!?」

フィアンマ「魔王相手に独りで乗り込んでくる勇者なんて、居る訳がない。もし要るとすれば、それは――」

フィアンマ「魔王、と呼ばれるべきだろうな?」

――エリザリーナ独立国・市街地

ガガガガガガガッ!

アニェーゼ「くっ!」

キィンッ!

ロシア軍兵士「!?」 パタン

番外個体「へー何かすっごいねー?ちょっと貸して貸して?」

アニェーゼ「巫山戯てる場合じゃねぇでしょうが!前も後も敵、敵、敵!」

番外個体「いやー、こればっかりはねぇ?」

打ち止め「うん、ミサカはミサカは仕方がないのよねって言ってみる!」

アニェーゼ「あーもう何でこの人達の担当があたしにまわってきちまうんですかっ!?」

アニェーゼ「つーかあの人達は何処行ったんですか!?現在の最大戦力でしょうに!」

番外個体「あー、多分、つーか確実に、あそこじゃないかな?」

アニェーゼ「いやでもこの状況をほっぽり出してまでする必要性がっ!」

打ち止め「あのね、生きるよりも死ぬよりも大切な事はあるのよって、ミサカはミサカは言ってみたり」

打ち止め「それがどんなにくだらなくっても、バカにされても、本人達が満足ならいいじゃないかなって、ミサカはミサカは達観してみるっ!」

アニェーゼ「……はぁそんなもんなんですかねぇ?あたしにゃ分かりませんが」

番外個体「そんなこと言ってぇ、ホントは分かってるんでしょー?うりうりっ」

アニェーゼ「あーもう鬱陶しいですっ。班変えっ、班変えを要求するってもんですよ!」

――ベツレヘムの星・内部

フィアンマ「もういい。お前は良くやったよ。それは俺様が評価してやろう」

フィアンマ「だが、ここまでだ、というだけの話。独りでは俺様をどうこうする事は出来ん」

上条「クソがっ!」

ゴウゥッ!

上条「ぐああっ!?」

フィアンマ「あんまり俺様を刺激しないでくれよ――と、話も飽きた。そろそろ終わりにしようか」

上条「まだだっ、俺にはまだお前を……!」

フィアンマ「決着などとうに着いていたのだ。お前が独りでここへ乗り込もうとした、その時に――」

麦野「――だよなぁ、良い機会だからそのバカに教えてやってくれよ」

上条「むぎ、の……っ!?」

フィアンマ「お前はっどうやって!?」

麦野「テメーが犠牲になるのは良いけど、他人が巻き込むのはお断り、なんつーのは仲間でもなんでもねえんだよ」

絹旗「超ですよねー。もう超折檻してやろうかと……性的な意味で(ボソッ)」

上条「絹旗、まで」

滝壺「ふたりともダメ出しから入るのは良くない……こう言う時には定番がある……」

滝壺「『きちゃった、てへ……』」

フレンダ「結局主旨はあんま変わってない訳?つーかもうちょっとエロっぽく言った方が」

上条「みんな……どうしてっ!?」

麦野「そりゃまぁ来たんでしょうよ、『みんな』で」

――少し前、vs天使

垣根「……」

垣根「……おおぅっ!?」

垣根「い、今ちょっと死んでたような……?」

垣根「大丈夫だよな?生きてるよな、俺?」

垣根(あーでも全身痛ぇ!超痛い!つーか死んだ方がマシかもっ!)

ミーシャ『hgfjghfjghfjghfjghfjgh!』

垣根「あー……お前は無事なのね、やっぱり」

垣根「白モヤシに啖呵切った手前、もうちょい何とかしたかったんだが。まぁ」

垣根「悪くはねぇか」

ミーシャ『qwqwqwasasasdfdfioi!』

垣根「……天使ってのが、これってのは不満しかねぇけどさ」

垣根「そうなぁ天使ってえのは、アレだ。翼が生えていてだな」

ミーシャ『qwqwqwqwqopwqpop!』

垣根「お前じゃねぇよ。なんつーか、可憐な娘なんだよ!お前可憐要素ゼロじゃねーか!」

ミーシャ『qwruiposidjg;l!』

垣根「いいからさっさと――」

ヒュインッ、グオンッ!!!

ミーシャ『kjf;lkfdgh;odghpo!?』

垣根(なんだぁ……?超高速で突っ込んできやがった)

垣根(学園都市の制服の女子高生……?翼生えている?)

垣根「……」

垣根(俺にも天使ちゃんきたああああぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!)

風斬「あの、もう大丈夫ですからっ」

垣根「へっ、喋れんの?」

風斬「え、えぇはい、ごめんなさいっ!」

垣根(腰低いっ!?あ、でも――可憐だっ!)

垣根「あのっ、すいませんっ!」

風斬「はい、何でしょうか?今ちょっと手が離せな――」

垣根「直ぐに終わりますっ。そのっ――」

垣根「一目惚れですっ、俺と付き合って下さい!!!」

風斬「ごめんなさい!」

垣根「……」

風斬「そ、そのっ、巻き込まないように、場所移しますから、失礼しますねっ!?」

ヒュンッ

垣根「……………」

垣根「もう殺せよおおおおおおぉぉぉぉぉっ!一思いにやってくれよおおおぉぉっ!?」

一方通行「……何騒いでんだ、バカ」

垣根「ウルセェよセロリ――ってお前、なんで?」

一方通行「……あんだけデカい爆発ありゃ、誰だってわかンだろうが、バカ」

垣根「打ち止めちゃんは?」

一方通行「……今から探しに行くンだよォ、バカ」

一方通行「だから」

一方通行「……さっさと掴まれよ、バカ」

垣根「ウルセェよ。テメェが能力無しで人担げる訳がねぇだろうが」

一方通行「やってみねェとわっかンねェだろうがよ!……クソ、重っ!」

オルソラ「……」 ドキドキ

垣根「あーもう無理だって!誰か呼んでこい、馬ぁ鹿!」

一方通行「煩ェよ、バカ!お前に指図される覚えはねェンだよ、バカ!」

シスター・ルチア「……」 ドキドキ

垣根「つーか何?お前バカバカ言いやがって!ケンカかコラ、ケンカすんだったら買うぞ!?」

一方通行「いや、違げェだろうがよォ!ここでンなバカな事言い出すから、お前はバカって言われンだぞ!?」

シスター・アンジェレネ「(ね、ねぇねぇシスター・ルチアっ!あの二人、いつイチャイチャするんですかねー?)」

シスター・ルチア「(しっ!静かに!お二人の邪魔は神がお許しになりませんっ!)」

垣根「……」

一方通行「……」

アンジェレネ「(あ、あれ?止まっちゃいましたよ?脱ぐんですか、脱ぐんですねっ!?)」

ルチア「(えっとデジカメデジカメ……)」

アンジェレネ「(あーっシスター・ルチア新しいの買ったんですねー!?いいなーいいなー!)」

ルチア「(お待ちなさい!あなたは直ぐに壊してしまうでしょうがっ)」

一方通行「……おい」

オルソラ「何で御座いましょうか?」

垣根「何やってんの?つーか何で戦場にシスターさんいんの?」

オルソラ「私達はイギリス清教のシスターでして、傷ついた方の救助をしに来たので御座いますよ」

一方通行「……だったらこのバカ、なンとかしてくンねェかな?」

垣根「ウルセェよ、バカ」

一方通行「お前の方が煩ェ――って、待て待て待てっ!どォしてお前ら笑顔で生暖かく見守ってンだ!?」

オルソラ「お二人はそう言うご関係なのでしょう?私達が間に入るのは、野暮かと」

垣根「違うからっ!?つーか何とか出来るんだったら、包帯の一つでも巻いてくれよっ!」

オルソラ「あ、私達が何故ここへ来たかと申しますと――」

垣根「会話が巻き戻った!?」

オルソラ「『あの方』のお手伝いで御座いますよ」

――ベツレヘムの星・内部

麦野「ちなみに言わせて貰うと上条、アタシらがあんたを助けに来なかったんじゃない。来れなかったんだ」

麦野「そのバカがデカい結界だか張りやがったお陰で、人も弾道ミサイルも通じなかったのよ」

上条「じゃあ、どうやって――」

麦野「アックア達もどういう魂胆か知らないけど、ここへ乗り込もうとしてたみたいでね」

麦野「学園都市のヘリに同乗するのと交換条件で、結界ぶち破って乗り込んできたって話」

麦野「でも、ソイツの言う事は間違ってないわよ」

麦野「なぁ上条、アンタはなんだ?アタシ達の仲間じゃないのか?それともアタシ達があんたを仲間だと思っていたのは『幻想』なのか?」

上条「……俺は――麦野やみんなを仲間だと思っている。それは絶対だ!」

上条「でも俺には仲間が傷ついたり、死んだりするのは耐えられねぇ――」

麦野「フザケんなっ!フザケてんじゃねぇわよクソ野郎がっ!」

上条「……っ!」

麦野「アタシは人形じゃない!生きた、人間だっ!あんたが欲しがっているのは、都合の良いアンティークドールかなんかでも充分だろーが!」

麦野「……アタシには分かるんだ!この世にはテメェ自身が死ぬよりずっと、辛い事だってあるってっ!」

麦野「アタシにそれを教えたのはアンタだぞ!?責任とりやがれクソッたれが!!!」

――少し前、vs機甲兵団

ズゴオオオオォォォォォォォォォォォォォゥンッ!!!

ヴェント「……遅いんだよ、このゴロツキが」

アックア「酷い言われようなのであるな。『天罰術式』は兎も角、『アドリア海の女王』も使わなかったのであるか?」

ヴェント「使ってこのザマよ。はっ、アタシもヤキがまわったのかしら?」

アックア「乱戦になった友軍を巻き込まないように出力を絞っていれば、仕方がないのであるな」

ヴェント「……」

アックア「こっちの青年――少年は、見た目程には酷い怪我ではないのである。どれ」

ヴェント「――っオイ!?空に機影がっ!?」

アックア「……成程、陸戦部隊ばかり展開させておいて、航空支援がないと思ったら、何処ぞの誰かとやり合っていたようであるな」

ヴェント「あれは、味方か?それとも敵?」

アックア「別にどちらであろうが、すべき事は変わらないのである」

ヴェント「……あん?」

アックア「敵であれば叩き潰すだけ、味方であれば肩を並べるだけの話である」

――ベツレヘムの星・内部

絹旗「あーあ、麦野超泣かせちゃったー、超悪い男じゃないですか」

上条「……」

絹旗「ねぇ上条?あなたは超言いました、俺達は一人じゃないって。一人じゃないから、負けないって」

絹旗「大事な人とずっと手を繋いで、離さずに居られるのは『幻想』なんかじゃない、わたしあれ、超とっても嬉しかったんですよ?」

絹旗「でも――どうしてあなたはわたしを超置いて行ってしまうんですか?」

絹旗「子供だから?女だから?頼りにならないから?それとも――」

絹旗「わたしなんか、仲間じゃない、とか?」

上条「違うっ!絹旗はっ俺の大事な人だっ!仲間だし、友達だし、大事なんだよ!」

絹旗「んー……出来ればもう一声超踏み込んで欲しかったですが、まぁ及第点としましょう」

絹旗「わたしは超いい女――になる予定ですから、一つだけ、忘れないで下さいな」

絹旗「わたしはもう、あなたの手を超離しませんよ?」

――――エリザリーナ独立国・市街地

ヒュゥウウウウウゥゥッンッ

アニェーゼ「ありゃあ、学園都市の超音速飛行機っ!?」

番外個体「あっちゃー……ミサカのお友達来たかも?」

アニェーゼ「どういう意味です?」

番外個体「元々学園ってのは派閥があってだねぇ、一つの国に右と左がいるようなモンなの」

アニェーゼ「もしかしてロシア軍と一緒に学園都市の兵士が居たってぇのは」

番外個体「『セロリとか第二位とかが活躍すると俺困るんだよなぁ、よしやっちまうか!』って非主流派達。あ、ミサカもその関係で急遽出て来たのよ」

アニェーゼ「色々あるんですねぇ、そっちも」

番外個体「イヤイヤ2000年経ってんのに、未だにお仲間で血みどろの戦いやってる君らには負けるよー、あっはっはっはっはー」

アニェーゼ「――来ましたっ!飛翔体より何か落下!」

ヒュウウウウゥゥンッ……

番外個体「あー……あれ爆弾だったら、逃げようがねぇなぁ。おいちっこいのとエロシスター、ミサカの後に来い」

打ち止め「ぶー、ミサカはミサカは――むぎゅっ!?」

アニェーゼ「別にエロかねぇですし」

番外個体「声がエロい」

アニェーゼ「そんな事言われたの初めてだっ!?」

番外個体「つーかちっこいのに何かあったら、アタシの責任問題だっつーの!親御さんにボコられるのはイヤだけど……」

番外個体(……いや待てよ?これはチャンスかも?)

上条『番外個体っ、番外個体っ!しっかりしろ!』

番外個体『か、上条……あの子は?打ち止めは大丈夫たった、の……?』

上条『あぁ!お前が身を挺して庇ってくれたお陰だ!ありがとう、番外個体!』

番外個体『そっかぁ、良かっ……うっ!?』

上条『ど、どうしたっ……!?』

番外個体『あなたの顔が……見えない?だから、もっと側へ……』

上条『俺はここにいる!だから――』

番外個体『寒い、体がっ!?』

上条『番外個体!?』

番外個体『……あなたの体で、暖めて……?』

番外個体「……」

アニェーゼ「どうしちまったんです?もしもーし」

番外個体「」 ビクビクッ

アニェーゼ !?

番外個体「あぁ、あの人に言葉責めされてみたいっ!!!ものっそい悪い事して説教されたいっ!!!」 ゾクゾク

アニェーゼ「……どう考えてもそちらさんの方がエロいんですがね」

ヒュウウゥゥンッ……スタッ

神裂「……ふぅ、もう大丈夫です!私が来たからには、あなた方に手を出させま――」

アニェーゼ「」

番外個体「」

神裂「……な、何か?」

アニェーゼ・番外個体「あんたが一番エロい」

神裂「助けに来たのに暴言を吐かれたっ!?」

――ベツレヘムの星・内部

フレンダ「あーもう汚い!絹旗汚いっ!汚い絹旗っ!」

上条「フレンダまで」

フレンダ「いやー、あのね?あたしあんま覚えてないんだけど、さ」

フレンダ「ブリテンで危なくなった時、色々考えた訳よ。そりゃもう一生ぶん考えるんじゃねぇかっつーくらい」

フレンダ「キャーリサ様に踏まれて殴られて、あーあたしこのまま死んじゃうんじゃないかなー、なんて考えた時」

フレンダ「何かみんながウィリアム何とか?って人の名前呼んでた時、実はあたしポカーンだった訳。なんでか分かる?ねぇっ?」

上条「……いや、分からない」

フレンダ「『何言ってんの?はぁ?誰?そんな人来る訳ないじゃんっ!』――って」

フレンダ「『そんな『幻想』ないって訳!』」

フレンダ「『この場面で来るのはあたしの王子様だっつーの!ウィリアム何とかが来る訳ねーだろバーカっ!』

フレンダ「……あたしはね、あたしだけは、絶対、上条が来てくれるって信じてた――ううんっ、知ってた訳よ!」

上条「……王子様?」

フレンダ「言ってない!?そんな事は言ってない訳!?」

上条「いやもう何かグダグダだし」

フレンダ「兎に角っ!麦野と絹旗は難しく考えてるみたいだけど、別に良くね?って」

フレンダ「だって家族が家族同士助け合うみたいに――」

フレンダ「お姉ちゃんが妹のワガママを聞かなきゃいけないように――」

フレンダ「結局、過程は色々あったけど、あたしは今、こうやって上条を助けに来てる訳だからっ!」

フレンダ「それは、あたしにとって当然だって訳よ!」

――ベツレヘムの星・内部、少し離れた場所

フィアンマ(……あれ?俺様は?俺様の出番じゃないの?)

アックア「少し――遊ぶのであるな」 ポンッ

ヴェント「あークソ、服汚れたっつのーに」 ポンッ

フィアンマ「お前達は――」

アックア「あぁ私の友からの伝言があるのであるな――『空気読め』」 ゲスッ

フィアンマ「がふっ!?」

ヴェント「つーかやっぱりか。アンタ禁書目録も無しにこんなデカい術式動かしてる、って事は制御で精いっぱいなのね?」

ヴェント「だからこっちの最大戦力、ミーシャ潰せるあのバカの心折らないと勝ち目はない、と」

アックア「すまないが――」

ヴェント「ええ。極点へ不時着するよう、進路変えてくるわ」 ヒラヒラ

フィアンマ「待てお前ら!余計な真似を――」

アックア「――あぁ、そう言えばこんな事も言っていたのであるな」

フィアンマ「な、何の話だ!?誰だ!?」

アックア「『余計な仕事増やしてんじゃねぇバーカ!』」 バキイインッ

――ベツレヘムの星・内部

滝壺「……」

上条「……」

滝壺「『きちゃっ――』」

上条「やったからな?それ一回やった所だからな?」

滝壺「……」 ポンポン

上条「え?座れって?また背中合わせに?」

滝壺 コクコク

上条 ストン

滝壺 ペタン

上条(心臓の音、聞こえる)

滝壺「絶対、なんてのはありえないと思う。あるとすれば、それは『幻想』……」

滝壺「人間はいつか死ぬし、人間じゃなくたって死ぬ。この星もそうだから……」

滝壺「人の寿命はあっという間に過ぎるし、ましてあなたは人のために磨り減らす人だから、余計に……」

滝壺「でも、だからこそ。あなたが戦いに行ってもその傍らで。そして帰ってきても、ずっと一緒にいたい……」

滝壺「あなたが命を落とすのならその隣で……わたしが身罷るとしても最期までその横に」

滝壺「……」

上条「……」

滝壺「……」 クイックイッ

上条「……どうした?後で何かやって――」

麦野「……」 ストンッ(目の前に座る)

上条「む、麦野?」

麦野「アンタが不幸であるのなら、アンタを襲う不幸から守ってあげるからっ」

麦野「だから、だからっ――アンタが居ない不幸から、私を守ってくれよおぉっ!」

上条「……っ!」

絹旗「……」 ソッ(左手を繋ぐ)

上条「絹旗……」

絹旗「あなたが世界を超守ると言うのなら、わたしはあなたを世界から超守りますっ!」

フレンダ「……」 ギュッ(右手を握る)

上条「フレンダ……」

フレンダ「あんたが泣きたい時には側で騒いで、笑いたい時には側で騒ぐって訳」

滝壺「あなたを独りには、もう、しないから――」

滝壺「わたしは――わたし達はあなたの居場所になりたい」

上条「……みんな」

上条(無駄じゃなかった……)

上条(俺には、居場所も――守るべき人も!)

上条「おれ、俺っ!」

麦野「言わなくていいわよ、それは」

絹旗「別に超今更ですし?」

フレンダ「結局、言葉にしなくたって」

滝壺「……うん。わかってる、から」

上条「…………………………ああ!」

――ベツレヘムの星・内部

上条「……ってかさ、思ったんだけど。カゴメカゴメしてる場合じゃねぇよな?」

フレンダ「んー、何かあったっけ?」

絹旗「後は超帰るだけですけど?」

上条「いやいやっ!フィアンマ倒さないと!」

麦野「あー……あそこ、ほら」

フィアンマ ボロッ

絹旗「超フルボッコじゃないですか」

アックア「久しいのである、右手の少年」

麦野「テメェは!!!」

上条「あー、しばらくー?元気してた?」

アックア「ん、あぁそれなりは、であるな」

上条「そっかぁ。フィアンマを倒してくれたのも?」

アックア「あぁ」

上条「ありがとなー」

麦野「(何でコイツ普通に話してんだ?)」

絹旗「(いやでもヴェントとかも超そうでしたし、もしかしたら前ケンカってのも)」

フレンダ「(実は死闘でしたー、ってオチって訳?)」

上条「別に命令書つったっけ?アレも撤回されてんだから、大丈夫――なんだよなぁ?」

アックア「特に害するつもりはないのである」

上条「だってさ――なぁフィアンマってどうなるんだ?」

アックア「……多くの人間が、少なからず血を流した以上無罪放免とも行かず、ましてや『神の右席』として受け入れる訳には行かないのである」

上条「……そうか。ちょっと話して良いかな?」

アックア「好きにするのである」

フィアンマ「……笑いたければ笑うが良い。結局、俺様とお前は違って居た――」

上条「いや、同じじゃねぇかな?」

フィアンマ「……はぁ?何をどうすればその発想が――」

上条「俺は仲間が来てくれたし、お前だってホラそこに電柱持ってる人と化粧ケバい人」

アックア「アスカロンであるな」

ヴェント「仕事なんだよ」

フィアンマ「馬鹿な!お前の仲間は仲間を殴り飛ばすって言うのか!?」

上条「そりゃそうだよ。間違ってて言う事聞かなかった殴り飛ばすだろ?」

フィアンマ「……」

上条「俺はお前らの事を良く分かんないけどさ。アックアが小麦粉の人?を割算したけど、お前はしなかった。それってつまり――」

上条「お前の事、仲間だって認めてるんじゃねぇかな?」

フィアンマ「ふさげるなっ!それは俺様を生きて連れ帰る理由が――」

上条「お前って、実は気付いてないだけで、仲間は居たんだよ」

フィアンマ「……え」

上条「そりゃまぁ仲は良くないかもだけど、結局同じ組織にいて、同じ目標?世界の救済?ってのに力を注いでて」

上条「――あぁ勿論俺はお前らのやって来た事は認めないけど、それでも――」

上条「そういうのが、仲間って言うんじゃねぇのか?」


――ベツレヘムの星・極点へ向かって移動中

アックア「……しかしなぁ。良いのであるか?」

上条「まぁ一応。借りがあるからな」

ヴェント「借りねぇ」

上条「あいつがやった事は酷いけど、俺にとっては恩人みたいなモンだからな」

――回想

フィアンマ『バカバカしい!そんな、そんな訳がっ!』

上条『あー、んじゃ試してみようぜ?なぁ、ここって脱出装置ってあるの?』

フィアンマ『あぁ、機械の力で自動的に降下する脱出ポッドが何組かあるが』

上条『うし。逃げちまえよ』

フィアンマ『そんな事コイツらが許す訳が――』

アックア「……」(よそ見)

ヴェント ピッピッピ(ケータイを弄ってる)

フィアンマ『許す、訳が』

アックア『……これは独り言なのであるが――』

アックア『腐った世界を救済する、それ自体は共感できるモノである』

アックア『……ただ、惜しむらくはその方法である。一人が独りで全てを背負うなど、あってはいけないのであるな』

フィアンマ『お前っ!』

ヴェント『無辜な一般人バラしてたカスとは違うんだし、別に?』

ヴェント『つーかアンタそんな大層な術式持ってんだったら、最初から言えよバーカ!』

フィアンマ『……』

上条『お前がまた何か騒動起こすってんなら、俺は止めに入るけど』

フレンダ『俺“達”』

上条『だ、そうだ』

フィアンマ ガコッ!

フィアンマ カタカタカタカタッ(次第に下降している)

フィアンマ『――おいっ!』

上条『なんだー?』

フィアンマ『俺様にもっ!お前、みたいにっ!』

上条『手ぇ伸ばしてみれば良いんだよ!肩からじゃ無くって、“お前”の右手をなっ!

フィアンマ『――――っ』

――現在

麦野「――さて、あの莫迦の敗戦処理だけど、後はアタシらで何とかするわ」

ヴェント「いいのか?このデカブツを簡単に処理できるとは思えないわね」

ステイル『そこはそれ共同作業でね』(遠隔会話霊装の声)

アックア「必要悪の教会であるな」

麦野「ここの霊装?ってのをぶっ壊して、少しずつ削りながら、人の居ない所で落とすって方針」

上条「右席の二人には、戦争終了後のローマ正教の監視をして欲しいんだって」

アックア「あぁ、『ベツレヘムの星』が駄目になった以上、戦争は続けられぬのであるな」

ヴェント「だからって魔術師どもが大人しくなる訳じゃない、か。いいわ、引き受けましょう」

絹旗「外にヘリがあるので、それで超移動をよろしくです」

ヴェント「じゃあな」

上条「ありがとうな、色々と」

ヴェント「死ね」

上条「死なねぇよ。生きるよ」

アックア「上条」

上条「ん?」

アックア「今回は肩を並べたが、次はどうなるのか分からないのである」

アックア「学園都市が世界に覇を唱えんのであれば、我々はまた敵同士。その時に容赦はしな――」

上条「いや?敵同士にはならないぜ?」

アックア「……うむ?」

上条「学園側があんた達の領分を不当に侵すってなら、俺はあんた達と学園と一緒に戦うだけの話」

アックア「……」

上条「もちろん、そっちが因縁つけて攻め込んでくるなら、仲間と一緒に戦うけど?」

アックア「それは……面倒なのであるな」

上条「だろ?俺だってイヤだ」

アックア「ではまた。願わくは――」

上条「また一緒に、な?」

ステイル『――では各自僕の指示通りに動いてくれ』

麦野「時間はどうなの?」

ステイル『考えなくて良いレベルだ』

フレンダ「やっと!爆発物のエキスパートであるあたしのっ!あたしの晴れ舞台がっ!」

絹旗「よし!超頑張ってください、フレンダ!」

滝壺「せかいはふれんだを待っていた……」

フレンダ「二人ともっ!……よし、あたし、頑張るって訳よ!」

絹旗「最後は爆発オチが超待ってますよ!押しちゃいけないボタンを押して、ドッカーン、な超展開です」

滝壺「ふれんだなら、ふれんだなら、やってくれる……」

フレンダ「死ぬからっ!?リアル世界で爆発オチは命と引き替えだからっ!?」

上条・麦野・ステイル「……」

ステイル『……すまない。念のため、巻きで』

麦野「ま、それが懸命よね」

インデックス『とうまっ!?聞こえるかな、とうまっ!?』

絹旗「インデックス、ですよね」

ステイル『すまないが移動しながらでいいから、聞いてやって欲しい』

麦野(身内に甘いなペ×神父)

絹旗(超問題になりましたっけ?確か聖職者が性職者だってスキャンダルが)

滝壺(よくあること)

フレンダ(フイクションの話よね?ねっ?)

インデックス(ここでわたしの出番なんだよ!)

インデックス(『あいてむ』だかなんだか知らないけど、とうまはわたしを助けるために戦い始めてくれたんだもん)

インデックス(やっぱりわたしじゃないと駄目なんだよ、うんうんっ)

上条「俺、お前にずっと謝らなきゃならないと思ってた」

インデックス(あれ、それってもしかして)

上条「ごめん!俺は騙し続けてきたんだ!」

インデックス(あ、記憶の事。それはもう――知ってるんだよ)

インデックス(わたしはとうまをずっと見てきたから、とうまの事だけを見てきたから)

インデックス『とうま、ううん、もうそんな事どうだっていいんだよ』

インデックス(話してくれなかったのは、ちょっと悲しかったけど)

インデックス『とうまが無事に帰ってきてくれれば、わたしはそれだけで――』

インデックス『もうそれだけで、充分だから』

上条「でも、俺、お前に言わなきゃならないんだ」

インデックス『とうま……うん、じゃ聞くね?』

インデックス『でも、わたしは、とうまのどんな事だって』

インデックス『例えどんな悪い事をしたって、許すんだよ?』

上条「……ありがとう。じゃ、言うな?」

インデックス『うん』

上条「お前さ――――――名前、何つったっけ?」

インデックス『』

ステイル『』

麦野「あー……うん、知ってた」

絹旗「あれ超ネタじゃなかったんですか!?」

フレンダ「良かったー。結局あたしがまた弄られそうで怖かった訳」

滝壺「けどまぁ順当といえば、順当……」

上条「俺、俺はなっ!お前の名前思い出せなくてさっ!いや別に興味ない訳じゃなかったんだよ!」

上条「でもホラっ『あ、そろそろスフィンクス(猫)のご飯無くなってきたよなー』とか考えると、どうしても忘れるだろ!?」

麦野「つまりキャットフード以下の優先度、と。猫の名前は覚えてるのにね」

フレンダ「フォローになってない訳よ、何一つ、全っ然」

上条「いやいやっ!他にも、ほらっ!ティッシュの紙切れるじゃないか?そうすると――」

絹旗「ペット未満から無機物以下の優先度に超チェンジしましたね」

滝壺「あー……まぁ、諦めも大切、うん」

上条「だって玄関出たら『あ、今日も良い天気だなー。一日頑張るぞ!』って思うって!そしたら普通忘れるだろう!?」

絹旗「さっきから遠回しに『俺、実はお前の事大嫌いだったんだ』って超言ってませんか?」

麦野「性格的にそれは無いけど、無いだけに本音で言ってるのが逆に辛いわね。つーかアタシなら、多分樹海行くわ」

フレンダ「……なんか、目から汗がっ!」

滝壺「それは、悪い涙……」

上条「な?わかってくれるよなっ!?」

インデックス『……とうまは死ねばいいと思うよ。むしろ帰ってきて欲しく無いんだよ!』

上条「待ってくれ!部分的には思い出したんだ!部分的にはっ!」

インデックス『……言うだけ言ってみれば?』

上条「『岸田メ○』?」

インデックス『うわあああぁぁぁぁぁぁんっ!?とうまがっ!とうまが酷いんだよっ!?』

上条「待てよ!?もう殆ど合っているだろう!?」

絹旗「同じ文字を一つも使ってない上、文字数すらも超合っていませんし」

フレンダ「共通点は精々『日本語』ぐらい?」

麦野「インデックスは英語……まぁいいか、別に」

滝壺「むかしのおんなは、忘れるべき……」 ウンウン

上条「待てよ岸田○ル!そこまでは思い出したんだ!あともうちょっとで思い出すからっ!!!」

上条「ヒント!ヒントくれよっ!」

ステイル『……君がバカなのは大分昔から知っていたつもりだけど』

ステイル『ましてや、今回の事でも有り難うと言わなきゃならないのに、どうしてだろう、今すぐ君をぶん殴りたい気分で一杯だよ』

麦野「……殴っとこうか?アタシが代わりに」

ステイル『頼む』

上条「いや違うって!岸田メ○までは思い出し――そげぶっ!?」 ガゴッ

フレンダ「……なるほど、仲間が間違ったら殴るってのはこういう訳ね!」

絹旗「超違います。というか女の子の名前超忘れた仲間を殴るのは、また意味が違います」

滝壺「……ま、でもふらぐ折れたし。結果的には、よし」

フレンダ「むしろそれ、最初っから折れてたんじゃ……?」

――ロシア某所

フィアンマ「……」

浜面「――おーい、生きているかー?もしもーし、こんな所で寝てたら死ぬぞー?」

フィアンマ「……?」

浜面「って日本語じゃ通じねぇんだった!えっと挨拶教えて貰ったんだっけ……Голые и смешные?」

フィアンマ「……それはウクライナのエロ番組、『Naked&Funny』の現地読みだ」

浜面「日本語喋れんだっ!?つーか俺挨拶でそんな事言わされてたのっ!?どんだけエロいと思われてんだっ!?」

フィアンマ「お前は――」

浜面「ほら、立てよ」(手を伸ばす)

フィアンマ「……」

浜面「ここら辺にはプライベーテイア?だかがまだ居るから、危ねぇんだよ。だからホラ」

フィアンマ「……俺様を誰だと思っている?」

浜面「知らねぇから!?誰?有名人なの?」

浜面「いやだから、危ないからさっさと移動しようつって――」

ブルゥウンッ、ブルブルブルッ

浜面「あーもう来やがった!雪上ライダーかっ!」

浜面「あんたも速く逃げろっ!俺が何とかすっから!」

フィアンマ「どうしてだ?どうしてお前は戦っている?」

浜面「この先に世話んなってる町があるんだよ!あいつらどうせそこへカチコミかけるつもり――」

フィアンマ「そうじゃない!力も訓練も積んでないお前が、どうしてだ!?答えろ!」

浜面「知らねぇよ!全部成り行きだよっ!俺だって何で戦ってるのかなんて分からねえし!」

浜面「俺が何言ったってお前が戦う理由にはならねぇ、つーか自分で見つけろよ」

フィアンマ「……」

浜面「すまねぇが俺はここで。北東行けば町があっから、増援呼んで来――」

フィアンマ「――いや、その必要はない」

浜面「い、いや俺一人じゃ無理だし!?」

フィアンマ「手伝ってやる。行くぞ」

――滝壺ルート・エンディング?

何もない一日。だが。

朝。

上条「……あー……っておああぁぁぁぁっ!?」

滝壺 ジーッ

上条「……すまん滝壺。寝起きに無表情で見つめられると、流石に驚くんだが」

滝壺「早く起きて、暇だった……」

上条「寝直せばいいのに」

滝壺「ごはん、つくらないと……」

上条「一緒にやろうつったのに」

滝壺「かみじょう、過保護すぎる。わたしも包丁ぐらい使えるし」

上条「手」

滝壺 プイッ

上条「あ、こら逃げないっ!手を見せなさい!」

滝壺 ムー

上条「あー……切ってるし。消毒した?」

滝壺「ううん」

上条「あーもう」 ペロペロ

滝壺「んぅ……はぁっ!」

上条「朝一でエロい声を出さない!」

滝壺「……きのう、さんざん、わたしに出させたのはだれ?」

上条「……はい、俺ですね。ごめんなさい」

滝壺「……のりのりで言葉ぜめを始めたのはだれ?」

上条「……はい、それも俺ですね。ごめんなさい」

滝壺「……もう一回もう一回って、何回も続けたのはだれ?」

上条「いやそれは滝壺――じゃないですよねっ!?俺ですよねっ!ねっ!?」

上条「つーかさ?思ったんだけど、滝壺さん俺の奥さんになって長いよね?」

滝壺 コクコク

上条「家事も結構こなす、つーか分担制で問題なくやってるよね?」

滝壺 コクコクコク

上条「何で休みの日の朝は、割と失敗する可能性高いの?何で他の日は100%成功するのに?」

滝壺 プイッ

上条「もしかして、初めて泊った日の時の再現、してる?」

滝壺「気のせい……」

上条「……妥協案。怪我しなくても、するから。出来れば傷つけて欲しくないなー、なんて」

滝壺「右手も?」

上条「いや、しろっつーんなら。でも確かちょっと切ったのは左だよな」

滝壺「はい」

上条「やっぱりワザとかっ!?」

滝壺「……むー」

上条「……まぁいいけど。食べよっか」

滝壺「ん」

……

上条「今日どうしよっか?行きたい所とか、やりたい事ある?」

滝壺「スーパー行かないと……」 チラシ

上条「あ、洗剤とキッチンタオル安い」

滝壺「洗濯終わったら」

上条「おけおけ」

……

上条「うし。掃除も終わったし、行くか」

滝壺「……良い天気、自転車がいい」

上条「あぁ……でもこれ本当は違反なんだよなぁ――ってもう荷台に横座りしてるっ!?」

滝壺「早くっ」

上条「……好きだもんなぁ、これ」

……

チリンチリーンッ

上条「そ、そろそろさっ、車っ、買わないかっ?」

滝壺「わたし、重い?」

上条「あぁいやっ、そんなっ、事はっ、ないんだけどねっ」

キキィッ

上条「スーパー前の『心臓破れ(ハートブロークン)』の坂がキツいなって」

滝壺「かみじょうの、中二は治らなかった……」

上条「放っとけよ!」

滝壺「でもわたしは、そんなかみじょうを愛している……」

滝壺「だから、だいじょうぶ……」

上条「……だから反則だと思うんだ、それ。よっと」 ググッ

ギーコギーコ

上条「いやまぁっ?俺もっ、世界を救ったっ、男っ、ですしっ?」

上条「体力はっ、まだまだっ、負けてませんからっ」

滝壺「……それが今やただのりーまん。何が悪かったのかと」

上条「俺はっ、別にっ、何が欲しいってわけでもねぇしっ」

上条「欲しいものはっ、背中にっ、積んでるしっ」

滝壺「……」

上条「なんかっ、言えよっ」

滝壺 ギュッ

上条「……あぁ、俺もだ」

……

店員「ありがとうございましたー」

上条「おーし帰る――って滝壺?どした、自販機の前で?」

滝壺「新しい、アイス」

上条「『鯖アイス』……食べたい、のか?」

滝壺 ピッ、ピロリロリーン、ピッ

滝壺「ふれんだに送った」

上条「食べんの?」

滝壺「せるふ罰ゲームは、いや……」

上条「だよなぁ。次来るのは来週の週末だっけ?」

滝壺「……みんな一緒に」

上条「んじゃ帰るか。乗って――」

滝壺「うん……」

上条「よーし!じゃしっかり捕まって――」

滝壺 ギュッ

上条「やっぱ食べたい?」

滝壺「そうじゃなくって、その、さっきの坂道」

上条「あぁ別に重くないって。いつまで経っても滝壺はキレイだよ?」

滝壺「そ、それはっ嬉しい、けど。違くてっ!」

滝壺「重くなったの、その、本当だから」

上条「そうなのか?あ、だからダイエットメニューにするとか?」

滝壺「そうじゃなくって!その、今までは二人分、だったから」

滝壺「でも今は、三人分になった、の」

上条「」

滝壺「えっと……」

上条「いやったああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ギコギコギコギコっ!

滝壺「さかみちっ、危ないからっ!」

上条「おーしお前ら全員愛してるぜっ!そーか俺もとーちゃんかぁっ!ひゃっほーーーーーーっ!」

滝壺「かみじょうっ!声っ恥ずかしいっ……!」

上条「何だよ?恥ずかしくないって!恥ずかしいけどどうって事もないって!」

キキイッ

上条「えっと、もしかして、滝壺は、その――」

滝壺「……ううんっ、そうじゃないっ、そうじゃなくって!」

滝壺「……わたし、『体晶』のせいで、きっと出来ないって、思ってたから!」

上条「……そっか。よしよし、泣くな泣くな」

滝壺「だれがっ、泣かせてるとっ、おもっ」

上条「あーんじゃ、アレだ。叫ぼうぜ?」

滝壺「さけぶって――きゃっ!?」

ギコギコギコギコッ

上条「俺は、滝壺を、愛してるっ!この世界もだーーーーーっ!」

上条「たがらっ、だからお前は、安心して産まれてこいっ!」

滝壺「……あ」

上条「それまで何からだって守ってやる!お前の父ちゃんは外国にまでケンカしに行ったんだっ!」

上条「世界を終わらせる悪い奴が居たら、俺が右手でぶっ飛ばすからっ!」

上条「話をしよう!お前の父ちゃんと母ちゃんが出会って恋してっ!一緒に冒険したあの日の話をっ!」

上条「お前の母ちゃんの『居場所』になった日の事を!」

滝壺「……ん」

上条「くっだらねぇ事で喧嘩したり、もっとくだらねぇ事で仲直りしたりっ!つーか100%俺が謝る方なんだけどもさっ!」

上条「だからっ、だからっ!」

上条「早く、俺達の――お前の『居場所』へ来いっ!!!」

滝壺「……うん、うんっ!!!」

――ベツレヘムの星・極点移動中

絹旗「滝壺っ!起きてください!超緊急事態ですっ!」

滝壺「……わかってた、うん。なんとなくわかってた……!」

フレンダ「ミーシャ――天使が凄い勢いでこっちに向かってるって訳!」

麦野「最後の最後でデカいの残ってる訳ね」

上条「つっても逃げる訳には行かない、よな」

ステイル『待て!君達だけでは無理だっ!神裂とアックア達を向かわせる!』

麦野「あー、駄目だったらヨロシクね?」 ピッ

フレンダ「あ、切った」

麦野「ぎゃーぎゃー騒がれるのも煩いしね、何が変わるってモンでもないわ」

絹旗「というかわたし達、修羅場に超慣れすぎたと言いましょうか」

滝壺「あれだけやってれば、まぁ……」

上条「しかしどうしたもんかなぁ……あ、そうだ」

麦野「いい手があるの?」

上条「駄目元で良いなら――仲間呼んでみる」

――学園都市・時差+6時間、夕方、とある喫茶店

御坂「――っと、そろそろ帰らないとね」

佐天「それじゃお開きですかね」

初春「ですね」

御坂「それじゃまた――」

PiPiPi……

御坂「『はい?――はいぃ!?』」

白衣「お姉様のあの態度……あの泥棒猫がぁぁっ!」 ギリギリッ

初春「あー、どうどう黒子さん。お薬の時間ですよー?」

白衣「ぐるるるるるるっ」

佐天(白衣さんって、こんなキャラだっけ?)

御坂「『えー……!?分かった!分かったから怒鳴らないでよっ』」

ピッ(スピーカーにして机に置く)

佐天「どうしたんですか?というか、どちら様で?」

御坂「あのバカ。要求は不明過ぎるんだけど、兎に角こうしろって」

上条『聞いているかっ!?俺だっ!直ぐ来てくれ!』

上条『都合の良い頼み事だってのは分かってる!けど、お前にしか頼れないんだ!』

初春「……上条さん、ですよね。でも一体何を話して居るんですか?」

白衣「私達に向かって、と言う内容でもありませんわよね、これ?」

佐天「かといってあたしや初春宛でもないでしょうし。御坂さんへ公開プロポーズかも!?」

御坂「ちょっ!?ナイナイっ!無いから、絶対に!」

上条『……お前にしちゃ娯楽かも知れない!たった少しの暇つぶしかも知れない!』

上条『けどなっ!俺達にとっては、全部が全部“本気”なんだ!』

佐天「『お前』ですか。この中にそう呼ばれる人はいないよね」

初春「他に聞いている人もいませんし?」

白衣「やはり何かの罰ゲームで、恥ずかしい台詞を言わせられているとか?……お姉様?」

御坂「うんっ!?あー、いやいや、別に?」

御坂(良かったー!念のため録音にしといて良かったー)

上条『お前だって、俺達が好きなんだろう?だからこそ、俺達に寄り添ってる!』

上条『頼む!お前の力が必要な――』プツッ

佐天「んー……謎ですねぇ」

初春「わたし達向けのドッキリ?にしてはリアル過ぎたと言いますか」

御坂「……ごめん。ちょっと行ってくるわ」

白衣「お姉様っ!?」

御坂(あのバカ!またどっかで戦ってんのか!)

――極点

上条「切れちまったなぁ」

フレンダ「と言うか良く通じた訳」

麦野「学園都市の輸送機から借りて来たヤツだから、性能は良いと思うけど」

上条「俺の携帯なんて使える訳がないしなー」


――同時刻・学園都市

御坂(――とまぁ、飛び出てきたのは良いんだけど、手がかりは皆無な訳だし)

御坂(今から戻るのは……でもなんか、不安なのよね)

男?「すまない。少し話を良いだろうか?」

御坂「は――ぃぃっ!?」

御坂(な、何か無駄にキラッキラした人が居るんだけど?)

男?「少し話を聞きたいんだが、構わないかな?ほんの数分だけで良いから」

御坂「へ、変な質問じゃなきゃ、良い、けど」

男?「有り難う」

男?「例えばの話だが、君が助けを求められたとしよう」

男?「リスクも高く、下手をすれば助けようとした側が命を落とすかも――」

御坂「助けるわね」

男?「……まだ言い終わっていないんだが?」

御坂「質問は間違ってないわよね?」

男?「理由を聞いても良いかな?それは君が助けられる力を持っているからか?それとも助けを求めているのは知り合いだからかな?」

御坂「どちらでもないわ。助けたいと思った、それだけよ」

男?「ほう?」

御坂「ともだ――知り合いにっ!一人バカがいるの、もーすっごいバカが」

御坂「そのバカは傷つこうか何だろうが、一人で突っ込んでって」

御坂「『何やってんの、あんた力もないのに、知り合いでもないのに、バカじゃないの!?』って言ったら」

御坂「帰ってきたのが、その言葉よ」

男?「……」

御坂「誰かを助けるのに理由は必要?助けない理由はっ、それこそいっぱいあったのよ?」

御坂「力が足りない、経験が足りない、知り合いじゃない、って『助けない理由』は幾らでも」

御坂「でもアイツは、それでもっ!だからアタシはっ――」

男?「――分かったよ。有り難う」

男?「実に『興味深い』内容だった」

御坂「えっと、これ何の話?」

男?「『簡単なアンケートです』」

――極点

?『……l;kjfg;lkjf;kasdfjl;skadfjlsakdfjoiwerpoq……』

麦野「つーか遠くから聞こえるこれ……歌?」

フレンダ「負ける気はしないけど、勝てる気もしない訳」

上条「ま、『アイテム』なら何とかなるんじゃないか?」

絹旗「またそんな超適当な発言を」

滝壺「危機感は、あってもいい……」

上条「駄目だっつっても、どうせこの規模じゃ五人一緒だし?」

麦野「……ま、そうなんだけどな」

絹旗「超後ろ向きなのか、超前向きなのか分かりませんが」

シーン……

フレンダ「歌、が止まった?」

絹旗「映画では超安心した所にガッツリって来るパターンですが」

PiPiPi……

フレンダ「ひっ!?」

上条「何だよ驚くなよ、俺の携帯だろ?」

麦野「アンタはいつもビビりすぎなんだよ。もうちょっと落ち着きなさいな」

滝壺「だからふれんだは」

絹旗「超フレンダって言われるんですよ?」

フレン「言われてないしっ!?そもそも人の名前をオチに使うのは――っそうじゃない訳!それ、上条の私物の方でしょ!?」

フレンダ「何で極点でも使える訳よっ!?」

全員「……」

絹旗「よっしフレンダ!超勇気を出して出てみましょう!ふぁぃっ」

フレンダ「何であたしっ!?」

麦野「頑張れー、私達はあなたの味方よー」

フレンダ「無理矢理出させてる時点でっ!もう味方じゃない訳よっ!?」

滝壺「そんなふれんだをおうえんしている」 ナデナテ

フレンダ「ううっ……」

上条「緊張感無ぇよなぁ……『もしもし?』」 ピッ(スピーカー)

エイワス『あぁ私だ。メッセージは受け取ったよ』

上条「そうかっ!じゃあ――」

エイワス『が、前にも言ったが私は誰にも組していないと』

麦野「ちったぁ手伝ってくれたって良いでしょうに」

エイワス『確かにその通りだ。どちらでもない以上、助けても良いし助けなくても良い』

エイワス『だからアンケートを取ってみた。学園都市230万人中、無作為に超電磁砲を選んで答えを聞いてみたのだよ』

絹旗「超作為的なものしか感じられないんですがっ!?」

上条「ありがとうっ!恩に着るぜエイワス!」

エイワス『――幾つか台詞を用意してきた上、正解発表すらキャンセルされたのは少々気に入らないし、最後は勿体をつけたかったのだが、まぁ良いだろう』

エイワス『今、叩き落とすから。そのまま右手を突き出していたまえ』

プツッ、ツーツーツーッ

絹旗「『叩き落とす』って、今――」

ヒュウウウウウウンゥッ……

フレンダ「降ってくる訳ね、文字通り」

滝壺「えんぜる、ふぉーる?」

麦野「思いっきり力業じゃねぇかっ!……つーか、もしかして最後怒ってたのか?」

上条「何を今更。つーか何だかんだ言って力業じゃなかった時の方が少ないだろ?」

麦野「アックアん時もまぁ、全員でフクロにしたわね」

絹旗「ステファンは……まぁ割と超喋った気がしないでも?」

フレンダ「キャーリサ様は……結局、ヴィリアン様の泣き脅し?」

滝壺「ふぃあんまは、話しかしてない、うん。わたし達は」

麦野「明らかに他の連中が肉体言語使ってた上、敵味方兵器使いまくりだったよな?」

上条「……まぁ、こんなもんじゃないかな?何処に行ったって変わらないものは、変わらないだろうし」

上条「泣いて笑ってバカやって、ケンカしたりケンカしなかったり、フレンダを弄ったり」

フレンダ「最後のは要らない訳よね?」

上条「そんなグダグダな関係が変わらないっていう『幻想』。別にあったって良いと思うけど」

ヒュウゥゥゥゥゥゥ……スガアアンッ

フレンダ「天井をぶち破った!」

麦野「大きな破片はアタシが灼く!絹旗っ残りはっ」

絹旗「超了解ですっ!」

フレンダ「……いや、あのあたしも指方向性榴弾持ってんだけど?」

麦野「口動かす前にぶっ放しやがれっ!」

ドゥンっ!ガガガガガガッ!

滝壺「きたっ……!」

上条「本日最後のおおぉっ――」

上条「その幻想を、ぶち殺おおおおおおおぉぉぉぉすっ!!!」

パキイイィィィンッ!!!

――エンディング0 『アイテム』
10日後。いつもの喫茶店にて

麦野「まぁなんだ上条、私が言うのも何だけどね。もう諦めたら?」

上条「そこをなんとかっ!お願いします麦野さんっ!」

麦野「いやぁ幾ら勉強したって無理なモンは無理っつーか、短期間でそんなに出来りゃそもそも勉強する必要ないって言うか」

絹旗「他の課題とかで超カバーして貰う、とかないんですかね?」

フレンダ「あったらしてる訳じゃない?」

滝壺「てすとで高得点を取らないと同級生になるかみじょう、わたしは応援……」

滝壺「……まぁ、いいか」

上条「してくれよっ!?スルーしないで!?」

フレンダ「あー、落第すれば滝壺と同級生になる訳ね」

絹旗「でしたら4浪してわたしと並ぶっていうのは超どうでしょう?」

上条「縁起でもない事言うなよっ!?成人してからも高校生は嫌だっ!」

麦野「まぁでも?全試験ぶっちぎった割には軽い処分だと思うけど?追試を受けられるだけマシかも」

上条「……いや、お前らだってイギリスとかロシアとか行ってたんだからね?」

フレンダ「あたしら籍はあるけど行ってないし」

上条「良いのか?暗部解体されたから、今までのように給料出ないんだよなぁ?」

麦野「レベル5の人ー、はーい」

絹旗「レベル4の人、超はーい」

滝壺 ピシッ

絹旗「割とえげつない実験とかもしてましたし、そもそも基本給が高かったんで。超お金貯まってるんですよ」

上条「そ、そうなのか?聞いてもいいの?」

絹旗「えぇわたしは別に。書き書きっと」(ノートに書き込む)

上条「」

滝壺「あ、白くなった……」

麦野「結構少ないわねー」

絹旗「麦野と超比較するのはどうかと。あれ、上条?おーい」 ペチペチ

上条「なんだコレっ!?桁数えるのに時間かかったぞ!?」

フレンダ「」

滝壺「あ、ふれんだも燃え尽きてる」

麦野「『アイテム』は均等に分けてたから、そんなに苦しかない筈だけど」

麦野(ここの払いも『必要経費』とか言ってるけど、私が全部出してんだしね)

フレンダ「あたしがコツコツ節約していたのは、一体……?」

麦野「あー……フレメア関係でヤバいんだったら、助けるけど?」

フレンダ「あんまり貸し借り作りたくない、って訳。危なくなったら借りるけど」

麦野「そうしなさいな。ま、嫌だっつっても手を出すけどね」

フレンダ「麦野見てるとたまにママ思い出す訳」

麦野「……私もあんた達相手にしていると、子を持つ親の気持ちが少し分かるわ……」

上条「なぁ絹旗」

絹旗「何です?」

上条「結婚しよう?」

絹旗「いいですよ?」

麦野・フレンダ・滝壺 ブーッ!?

絹旗「わたしが16になったら超結婚出来ますから、あと3年待って下さいね」 ギュッ

絹旗「あ、んじゃ今日から超同棲ですねー。歯ブラシとタオル買うから、コンビニ寄って超帰りましょうかー」

絹旗「わたしのお部屋超狭いんで、暫く上条の部屋で良いですよね?それとも今から不動産屋さん超行った方がいいですかね」

フレンダ「(なんかやったら具体的なプランが進められている訳っ!?)」

麦野「(あれ、この娘こんなに押し強かったっけ?)」

滝壺「(前にいったとおもうけど、同性相手にグイグイいかないし……)」

隣の席のツインテの中学生「女同士だってグイグイ行きますの!!!」

頭に花を載せた中学生「あ、すいません。こういう病気なんですー。ほら帰りますよー?」

麦野「いやだから誰だよ」

上条「ちょっ!?あの、冗談、なんですけど?」

絹旗「あ、そうなんですか。超残念です。超傷つきましたー」

麦野「(ど、どういう展開だっ!?てっきり力業で押し切るもんだとばかり)」

フレンダ「(いやー、多分絹旗はここからがえげつない訳よっ!)」

滝壺「(あ、なんか嫌な予感がひしひしと……)」

絹旗「あ、じゃあじゃあ今、恋人とか超居ないんですか?今今今っ」

上条「いや、居ないけどさ?」

絹旗「好きな人とか?実は『麦野に超片思いでしたー』的な?」

麦野「アタシの名前を出すかっ!?」

フレンダ「(いや麦野ね、多分これそんなチャチいもんじゃないって訳よ)」

麦野「(どういう事よっ!?)」

滝壺「(ほら、ちょっといいな、って想っている人の前で、『好きなんでしょ?』って言われたら、大抵恥ずかしくて……)」

フレンダ「(だからどんな思いでも結局答えはこうなる訳よ!)」

上条「い、いやそんな事はないよ?」

フレンダ「(ほっらーーーーーっ!ねえぇっ?)」

麦野「(うっわなんだろ、予想以上に凹むわね……)」

滝壺「(よしよし……でもまだ終わってない)」

麦野「(あぁ?)」

絹旗「ですかー、それじゃあ超しょうがないですね。だったらわたしとお付き合いしませんか?かっるーい気持ちで」

上条「いやいやっ軽い気持ちってのは良くない!」

絹旗「いえ別にそんなに超深く考える事はないですよ?ほら、年下の子が年上の人に超懐いているようなものですし」

麦野「(はー、外堀ってああやって埋めんのか)」

フレンダ「(うん、つったらダラダラ付き合っている内に既成事実を作られ、人生ゲームのマッチ棒が一人増えるって訳よ)」

絹旗「えー超いいじゃないですか。お休み“ごと”に会ってお話しするだけでも、いいですから、ねっ?」

滝壺「(いつのまにか毎週会う事になっている……恐ろしい子っ)

上条「い、いやほら他の知り合いとかもさ、色々付き合いがあるって言うか?」

絹旗「だったら超紹介してくださいよー。一緒に超遊べばいいじゃないですかー、ねーねーねーねーっ?」

麦野「(そして紹介させたら『彼女ですっ』つって爆弾投げ込んで牽制すんのね)」

フレンダ「(年下、よね?絹旗って?あれ、おかしいな?)」

上条「ま、まぁその話はまた今度な?今は俺の追試の話――」

絹旗「え、それじゃ、前『付き合うならお前が一番だよ、最愛?』って言ってくれたのは嘘――」

フレンダ「言ったのかっ!?中一相手に愛を囁いちゃった訳!?」

上条「『気軽に遊びに行くなら』としか言ってねぇよ!?ねつぞ――」

絹旗 ピッ

上条(録音)『愛してるぞ』『最愛』

麦野・フレンダ・滝壺「……」

上条「お前アレまだ持ってやがったのかよっ!?つーかあれ冗談じゃ――」

絹旗「……冗談?そうですか、上条には超冗談だったんですね……」

上条「え、なにコレ?俺がものっそい悪い事、具体的には一方通○的な犯罪しやがった、つー目で俺を見ているの?」

絹旗「えっと、うんっ!気にしないでくださいねっ?わたし、ちょっと、その、一人で超盛り上がっちゃっただけ、ですから」

絹旗「上条にとって、わたしっ、って……(グスツ)……ぁ、すいませんすいませんっ!大勢の中の一人って、だけで――」

上条「オイちょっと待て絹旗!?どうして君はリアルな演技が出来るのっ!?」

絹旗(超グ○りました)

麦野「……よし。灼くか」

上条「何をっ!?」

麦野「フレンダ、右手頼めるよな?」

フレンダ「あいまむっ!」

滝壺「わたしは左を……」

絹旗「んじゃわたしは超胴体ですかねっ」

上条「待って!絹旗泣いてないじゃない!涙の欠片すら無かったよね、今っ!?」

麦野「――と、まぁ冗談は兎も角としてだ」

上条「冗談なのか!?」

麦野「冗談にしなくても構わないけど」

麦野「(今は人工授精って手もある訳だし)」

上条「冗談ですよねー!いやーびっくりしちゃったなー!」

麦野「真面目な話、あんた達ルームシェアする気ない?」

滝壺「るーむしぇあ、ってなに?」

絹旗「同じ物件に複数人が住み、お家賃や家事を超折半するって事ですね」

フレンダ「なにそれ楽しそう!」

絹旗「でも24時間フレンダのテンション付き合わされるのは超ちょっと」

フレンダ「あたしだけ仲間はずれっ!?」

麦野「しないから。家事も分担、家賃も折半、セキュリティは軍隊並の私が居るし」

上条「……それ、冗談にならないからな?」

絹旗「正しくは『ロシア軍の戦車・砲戦部隊をものともしなかった』が超正解です」

フレンダ「軍隊“並”じゃなくって、軍隊“以上”……」

麦野「そっちなら上条の勉強も、私と滝壺で見てあげられるし?」

上条「お、俺も?」

絹旗「なんです?また超一人で行くなんて寝言言っているんですか?」

上条「そうじゃなくて体裁とか悪いんじゃないかなー、って」

フレンダ「あんたはちっさいシスターちゃんと同棲してたクセに」

上条「……誰?」

フレンダ「へっ?」

上条「俺、こっち来てからずっと一人暮らしだけど?アレ言ってなかったっけ」

絹旗「い、いえあのインデックスは……?」

上条「知らない?目次?」

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「」

上条「あーでも最近ちょっとおかしいんだよ」

麦野「……風邪でも引いたの?」

上条「いやいや家の事。何か買った覚えのない歯ブラシとかコップとか、女物の生活用品があったりしてさ」

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「……」

上条「こないだもさ、知らない電話番号から女の子がかけてきて、その子、俺と一緒に暮らしてた、って言うんだぜ?気味が悪いよな」

滝壺「心霊現象、っぽいよね。そこだけ聞くと……」

麦野「そうよね、そこだけ聞くと、だけど」

フレンダ「座敷童?あの子座敷童だったの?」

絹旗「食費的にはむしろ超貧乏神だと思います」

上条「オカルト、つーか魔術師連中も居るから、もしかしたらオバケかもって思ってなぁ」

絹旗「えっと、それはその――」

麦野「絹旗。ここは誤魔化さずにきちんと言った方が良いわよね」

絹旗「え、でも」

麦野「上条がこうなのも、誰かがはっきり言ってやらなかった。なぁなぁにして来たのが原因なの。分かるわよね?」

絹旗「……はい」

麦野「こんな時にこそ『仲間』である私達がしっかりしなくちゃ!そうでしょ?」

絹旗「えぇ!流石麦野です!」

上条「……何の話?」

麦野「上条、今からすっごく大事な話をするわ。茶化さないで聞いてね?」

上条「……ああ」

麦野「上条――あなた疲れてるのよ」

絹旗・フレンダ・滝壺 ブッ!?

麦野「幽霊なんて居る訳無いじゃない。だからその女物の生活用品も、あなたが買ったに決まっているわ」

フレンダ「(そっち!?そっちに話持ってく訳!?)」

滝壺「(流石レベル5、さっきのきぬはたからもう学習した……)」

絹旗「(いえ、わたしは超ネタだったんですが……)」

絹旗(でもまぁ、うんって言った瞬間に超抜け駆けしてわたしルート確定でしたが)

上条「いやっでも俺、そんな記憶――」

麦野「色々、あったからね。暗部だった私達ですら疲れているのに、あなたは余計に、ね?」

上条「そ、そう言われてみれば、確かにそんな気も?」

フレンダ「(騙されるの早っ!?)

絹旗「(いいんですかねー、これ。超止めなくて?)」

麦野「だから疲れが取れるまで、私達と一緒に暮らしましょう?」

上条「いやだからそれは倫理的に――」

麦野「バカっ!何言ってんだよ!アタシ達は仲間じゃねぇかっ!」

上条「麦野……」

麦野「アンタが困っている時はアタシ達が守る!そうでしょ――絹旗!」

フレンダ「(グルにしようと話振って来やがったーーーっ!?)」

滝壺「(壮大なコント……)」

絹旗「えっ!?いえその、あれですし――」

麦野「(日替わりで添い寝)」 ボソッ

絹旗「上条、わたし達はある意味超家族同然です。あなたは目の前で困っている家族を、何もせずに見ていられますか?」 キリッ

フレンダ「(変わり身はやっ!?)」

滝壺「わたし達は、かみじょうの力になりたい……」

フレンダ「(こっちも添い寝で一本釣りかっ!?)」

麦野「(フレンダ)」

フレンダ「(あ、あたしはっ!その、プライベートは分ける方だし!)」

麦野「(もうハラくくっちまいなさいな)」

フレンダ「(ダメダメダメダメっ!こ、恋人にならないウチはっ、そういうのダメっ!)」

麦野「(人んちのクローゼットの中で誘った女がよく言うぜ)」

フレンダ「(あれはっ……まぁ、勢い!)」

麦野「(でもまぁフレンダが嫌なら、私は無理に勧めないわよ)」

フレンダ「(そ、そう?仲間外れは寂しいけど)」

麦野「『あーもしもしフレメア?実はルームシェアする事になったんだけど――』」

フレンダ「待ちなさいよおおおおおぉぉぉぉっ!?」

麦野「『あーそっか。寮か。だったら週末にでも遊びに――うん、そうね』」

フレンダ「何やってんの!?人の妹に何してくれようとしてんのよっ!?」

麦野「『んじゃまたねー、はいー』……どうよフレンダ。これでもまだ来ない気?」

麦野「いつか上条から『お姉さん』って呼ばれ――」

フレンダ「いやあああああああああぁぁぁぁぁぁっ!?リアルな想像が出来てイヤアアアアアァァァッ!?」

上条「……あの二人、さっきから何騒いでんの?」

絹旗「落ち着いたらフレメアも超呼ぼう、って事でしょうねきっと」

滝壺「ね、かみじょう、家、引っ越すつもりだったんでしょ……?」

上条「あー、何か気持ち悪いからさ」

滝壺「だったら、わたしたちはしぇあするけど、かみじょうは次が見つかるまで、居ればいい……」

滝壺「ともだちの部屋に、泊まりに来るのは、よくあるから……」

上条「成程、言われてみればそうだよな」

絹旗「(流石は『引き』の滝壺)」 ハイタッチ?

滝壺「(そして『押し』のきぬはた……コンビプレイの勝利)」 ハイタッチ!

麦野「話まとまったわよー」

フレンダ「……」

上条「何でフレンダ燃え尽きてんだ?」

麦野「色々葛藤があるんでしょうね、きっと」

絹旗「こっちも超説得に成功しました」

上条「……うん、短い間だけど、お世話になる事にしたよ」

麦野「気にしなくて良いのよ?私達、仲間じゃない」

上条「あぁ、そうだよなっ!」

絹旗「(そしてまぁ徐々に超既成事実を作って)」

滝壺「(仲間から家族へじょぶちぇんじ……ぽっ)」

フレンダ「(……気が重い……フレメア参加したい、って言い出したらどうしよう……?)」

絹旗「あ、そうです麦野ー」

麦野「はい?」

絹旗「例のクイーンサイズのアレ超どうなったんですか?」

麦野「完全受注生産だけど、そろそろ来ても良い頃だと思うわ。タイミング的にはベストよね」

絹旗「まさに超天の配剤」

PiPiPiPi……。

麦野「って私――げ、あのクソ女か!……『あー何?今人生設計で忙しいんだけど、ニートブサ女は気にしなくて良いわよねー』」

上条「あの女って、暗部解体したんだよなぁ?」

絹旗「えぇでも『アイテム』自体は解散していませんよ、って超言ってませんでしたっけ?」

上条「いや、意味が分からない」

絹旗「暗部はイリーガルな治安維持の役割も超果たしてたんですね。例えばアンチスキルでは手に余る事件の解決とかも」

フレンダ「……結局、あたしらは、裏側から表へ来ようってバカを相手にする事になった訳」

上条「それ危ないだろ!?」

滝壺「……でも、かみじょうは目の前で人が倒れていれば、助ける、でしょ……?」

絹旗「という事は、わたし達も超その人を助けて必然的に巻き込まれるんですし」

フレンダ「だったら最初っから『依頼』として受けた方が、結局儲かるって訳よ」

上条「納得、かぁ?」

絹旗「以前と違って人助けオンリーになるんだから、超ヒーローっぽくて良いと思いますが」

フレンダ「それはそれでまた心配があるけども」 ジトー

上条「俺?いやもう一人で突っ込んだりはしないって!」

フレンダ「いやーそうじゃない訳。結局フラグを乱立させるんじゃない?」

滝壺「あっ、ふれんだ、それふらぐ……!」

フレンダ「えぇっ?」

麦野「おーし依頼よ。何でも『新入生』って連中が暴れて――」

ガッシャアアアアァァンッ!

フードを被った少女「がはァっ!?」

上条(店中に人が投げ込まれて来た!?)

絹旗「あいつ……黒夜、海鳥っ!?」

黒夜「あのクソったれが!?殺す!殺してやンよォっ!!!」 フラフラ

上条「誰だ――つか、傷だらけだし!」

絹旗「えっとわたしの昔居た研究機関の……まぁ超同級生、ですかね?」

上条「そか、絹旗の友達なんだな?」

絹旗「いえ超違――って上条っ!?超危険ですっ!?」

上条「おい、大丈夫かっ!?」

黒夜「テメェは……『幻想殺し』かよっ!?クッソっついてねェ!」 バスッ(窒素の槍)

上条「っと!混乱してるな」

パキイイィンッ

黒夜「やっぱ通用しねェか――ってお前勝手に触ってンじゃねェぞっ!?」

上条「店員さん!タオル持ってきて!早くっ!」 ペタペタ(怪我を確認)

店員「はいっ!」

絹旗「いや、ですからね?それは多分、つーか確実に超ヴィランですし」

麦野「ヤバいの?」

絹旗「例の研究者超皆殺し」

麦野「あー……そりゃ、ヤバいわ」

絹旗「はい、ですからっ!」

麦野「別の意味で、ヤバい」

絹旗「えっ?」

黒夜「離せクソがっ!テメェに関わってる暇は――」

上条「大丈夫だ」

上条「もう、大丈夫だから」

黒夜「……お前に何が分かンだ――」

上条「俺には何にも分からないさ。でもな、もう心配しなくたって良いんだ、なっ?」

黒夜「はぁ?バカじゃねェのか?」

上条「怖かっただろう?一人で戦って、傷ついて、ボロボロになって」

黒夜「それはっ私が選んだ――」

上条「違う!お前が選んだんじゃない、それしか道はなかったんだ!」ナデナデ

黒夜「……あ」

上条「俺はお前の事情なんて分からない。けどな、一つだけ分かっている事は、ある!」 ナデナテ

黒夜「んっ!やめろっ、私に触るンじゃねェっ!」

上条「それはお前みたいな女の子を、傷つけて泣かせるヤツは――そんな下らねぇ『幻想』を持ってるヤツは、俺の敵だって事だ!!!」 ナデナデ

黒夜「……」

上条「ちょっと待ってろ。俺が、全部終わらせてくるから、な?」 ナデナデ

黒夜「……その、よォ」

上条「何回でも言うぜ――大丈夫だ。お前のためだったら、俺は世界相手にだって戦える」 ナデナデ

黒夜「」 カアアッ(真っ赤)

ガッシャアアアァァァァァァンッ!!!

一方通行「いィやっはァはあああァァァッ!どォしたどォしたァァァァァっ!」

一方通行「どォしたンでッすかァっ、くっろっよっるっさアアァァァァァンっ!?」

グシャァァァッ(黒夜のイルカ兵器を踏み潰す)

黒夜「このっクソがっ!」

一方通行「テメェの武器はもォねェンだよォ!後ァ俺に嬲り殺されンのが決定してンだよおおォォッ!!」

一方通行「まずはテメェの薄汚ェ両腕むしり取ってからァ、その足ィ麻酔無しでェ引っこぬ――」

上条「……」

一方通行「……」

上条「……そうか」

一方通行「待て待て待て待てっ!?違ェよっ!?そォかじゃねェっ!お前の考えてる事ァ違ァンだよ!?」

上条「麦野。頼めるか?」

麦野「あーうん。その、色々な意味で圧倒されちゃったけど、まぁ、うん、頑張るわ」

絹旗「取り敢えず超こっちへ。今のウチに適当に話超盛っちゃいますから」

黒夜「テメェはっ!」

フレンダ「諦めた方が良いと思う訳。多分もう、手遅れだから」

滝壺「また新しい妹がひとり……居場所が、拡張……」

上条「一方通行、俺は悲しいよ。あれだけ、あれだけ打ち止めのために戦ってたお前が!」

上条「小さな子のっ!腕を引き抜こうとするなんてなっ!」

一方通行「イヤだからっ違げェンだっ!そいつが悪りィ事しようっつーのを俺達がだなァ――」

上条 ガチャ(壊れたイルカを拾い上げる)

上条「こんな、こんなっ!黒夜が大切にしているオモチャを、壊しちまうなんてっ!」

一方通行「オモチャじゃねェよ!それ思いっきり殺戮兵器だからなァッ!?」

上条「黒夜っ!」

黒夜「お、おゥっ!?」

上条「お前はもう独りなんかじゃねぇぞ!俺達『アイテム』がついてる!」

黒夜「……っ!」

上条「行くぜ、最強?俺は友達としてお前のふざけた『幻想』をぶち殺す!!!」

一方通行「だァァァァかァァァァらアァァァあああああァっ!!!?つーか止めろお前ェらよォォォォォォォォォォッ!?」

絹旗「(いやぁ、今止めたら黒夜の好感度超上がりませんし)」

フレンダ「(こういうのは結局理屈とか言葉じゃなくって、行動するかどうかが大切な訳)」

滝壺「(綺麗事を一万回言うより、一回手を差し伸べる……)」

黒夜(コイツバカじゃねぇのか!?見も知らないガキのため、学園最強に突っ込んで)

黒夜(私みてェな、クソを、信じて――)

麦野「……まぁ、なんだ。あんたも色々あるとは思うけど」

麦野「『アイテム』ってのは、この後も大体こういう感じだから――諦めな?」

上条「俺はっ、その幻想をっ、ぶち殺おおおおぉぉぉぉすっ!!!」

パキイィィィンッ


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

滝壺「わたしは――わたし達はあなたの居場所になりたい……」 -終-

上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」 -完-

※『上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」』は今回で本編最終回と相成りました。私の駄文長文にあなたの大切なお時間を削ってまでお付き合い頂けた事、心より感謝申し上げます。
また支援兼様々なお言葉、初投稿の私にsagaや各種ルールを教えて頂きましたが、それがなければこの超マラソンを一人で走破出来なかったでしょう。本当に有り難う御座いました。

加えて禁書SSと言う板がある事を知る切っ掛けになったぷん太様、この場を借りてお礼申し上げます。あなたのブログがなければ投稿はおろか、書く事すらしていませんでした。
(アフィサイトなので怒る方いらっしゃるかも知れませんが、あまり時間が割けない人間にとって、まとめサイトは大いに有り難いです)

短い旅では御座いましたが、あなたも『アイテム』の一員として、彼または彼女達と一緒に泣いたり笑ったりフレンダを弄ったりした時間が、あなたの人生に於いて某かの糧になる事が出来れば、書き手冥利に尽きる思いで御座います。
ではまた何処かでお会い出来たら――いやまぁアフター書くんですがね、割と早く。

>>538
1が期間決めてないし良いんだけど、分かってからの書き込みはズルいww

それから白井さんが白衣さんになってましたよー?

念のため酉を

>>542
添削頼んだ人のギャラ減らしておきます

>>546
幸運かどうかは分かりませんが、ともあれご正解おめでとう御座います。正解は『一方通行』でした。またご参加頂いた方全てへ感謝を
遅れたんじゃねぇかな、的な話もありますが、正解者一人しか居ないんでいいと思います

取り敢えず日付(ID)が変わる前に以下の内容を書き込んで頂ければ、2~4週間ぐらいで400字詰め原稿用紙50程度の内容で、私がスレ立て+投稿致します(トリップありならこのスレ落ちるまでならいつでもかまわないと思いますが)

『スレタイ名』+『大体の内容』
キャラは本編(含む新約)+SS2冊。縛りはありませんが、何分容量が限られているため、壮大な話よりも身近な話の方が詳しく書けると思います
ただまぁ私の力量不足により、ご期待に必ずしも添えるとは限りません。それもまたご了承下さいませ

――エンディング5 『バッドエンド』
※本編では無かったメタ発言多し。終わった勢いで書いてみた。反省は全くしていない
10日後、学校

小萌「あのですね上条ちゃん、高校は義務教員じゃねぇんだぞっていうか、単位が絶望的に足りねぇぞって言うかですね?」

小萌「こないだニュースで見たブリテン王室の第三女特集の中で、王女殿下のお部屋の中に、やったら引き延ばされた上条ちゃんとのツーショット写真が飾ってあったり」

小萌「エリザリーナ独立国の特集を見ていたら、どっかで見た事のあるツンツン頭の学生の銅像の建設が進められていたり」

小萌「先生はもうどうしたらいいのですか、って気分なんですか、どうすればいいですかねぇ?」

上条「ドッペルゲンガー!そう、世界には似た人が三人居るって聞きますし!日本とロシアとエリザリーナっ、ほら丁度三人ですってば!」

小萌「……そう、ですかねぇ?上条ちゃん先生に嘘吐いていませんよね?」

上条「だ、大体ですよっ?!ボクみたいな一介の高校生が、世界を股に掛けた活躍出来る訳がないでしょうっ!?」

小萌「ですよねぇ?先生の勘違いですよね?」

上条「そ、そうですよっ。自分で言うのもアレですけど、俺ってアレじゃないですかー!」

小萌「今度ブリテンから、軍事技術の視察に来られるキャーリサ王女殿下が――」

小萌「『案内役は上条当麻でいーし。誰?あぁ、ツンツン頭のレベル0の。関係?それは……あー、まだ話すべき事ではないし』」

小萌「『でもまー、もしかしたら万が一にそーゆー事もあるかも知れないから、あまりアイツを粗末にした方がいーし?』」

小萌「って直々の打診があったのも――」

上条「外堀埋めに来やがったなあの女っ!?気を遣う欠片も無ぇしっ!」

小萌「と言う訳で上条ちゃんには一日体験学習をして貰います!何故か留年させないように、と上からものっそい圧力がかかってきました」

小萌「じゃ明日、指定された所へ行ってみて下さいっ。その場所にいる女の人の指示に従うのですっ」

上条「は、はい。頑張ります……?」

――翌日・指定された場所

神裂「――おや、上条当麻。遅かったですね」

上条「お前かよっ!?なんで日本にいんのよっ!?」

神裂「実は常陸の国――今の北関東某所に不穏な動きがあります」

上条「え、何?話進むの?ルート確定したの?」

建宮「あそこら辺はちょいと訳ありな霊格が多いのよな」

建宮「例えば天津甕星なのよ。天体の運行を司り、同時に星の機を織る古い――いや、旧い神なのよな」

五和「他にも続日本紀において、『海ヨリ来タル人ニ能ク憑ク神』を奉っている伝承もありますし」

建宮「何せ太平に出張っているため、様々なモノが流れ着きやすい土地柄なのよ」

神裂「……嘗てはそこに住む人を指して『東夷(とうい)』と呼ばれていた事もありました」

建宮「まぁそこはそれ中央から見ての話で、我らも隼人と呼ばれていたのよな。だから中央に反する気持ちは理解――いや、共感出来るのよ」

神裂「建宮。それを言ってはいけません」

建宮「女教皇、ですが」

神裂「確かに虐げられた歴史を持つ我らではありますが、今では人の理を知り、人の道を説き、人へ手を差し伸べる存在です」

神裂「恨みを未だに引き摺り、それを晴らさんがために多くの罪のない人間を犠牲にしようとする彼ら――」

神裂「東日本の魔術結社、『TOY機関』に大義などありはしません!」

神裂「恐らく戦闘は避けられないでしょうが、どうか我々も気をしっかりと――」

上条「あ、ごめんなさいっ!部屋間違えちゃいましたっ!」 ダッ

神裂「あ、こらお待ちなさいっ!」

パタンッ

……

上条「……ここだよな?さっきのは間違いなんだよな?あそっから『上条「今日から天草式十字凄教の一員になった上条です!」』が始まったりしないよな?」

上条(学園外で日本の魔術師とドンパチするなんて需要無ぇだろ)

上条「……」

上条「……よし、今度こそ」

上条「失礼しまーす!」 カチャッ

アニェーゼ「遅いですよ、上条さん。会議はもう始まっちまってんですから、さぁさぁ中へ入って下さいな」

上条「」

アンジェレネ「あー、お久しぶりですー、上条さん」

ルチア「……どうも」

アニェーゼ「あーもうシスター・ルチアもそんな仏頂面しねぇで下さいよ。今日から仲間なんですから」

ルチア「シスター・アニェーゼ。『深きものども』相手にどうしてこの男の手を借りねばならないのか、不思議で」

アニェーゼ「仕方がねぇでしょう。向こうは精神汚染のプロなんですから」

上条「高校生が相手するには重すぎる敵だなっ!?」

アニェーゼ「取り敢えず、ここ座って下さい」 スッ(席を立つ)

上条「い、いや俺は別に――」

アニェーゼ「そうじゃねぇですってば。遅刻してきた上条さんには、罰として会議の間中わたしを抱っこして貰――」

上条「失礼しました部屋間違えたようですよねすいませんでしたあぁっ!!!」

アニェーゼ「あ、こらっ」

パタンッ

……

上条(何?今度は『上条「今日からアニェーゼ部隊の一員になった上条です!」』なの?)

上条(海外でクトゥルー系の魔術師とドンパチ……うーん、需要はねぇよなぁ)

上条(ルチアが触手責め……いやいやなんでもないっ!)

上条(つかアニェーゼに座られて甘えられたら、何か一生帰って来れなくなりそう……)

上条「……ここ、だよな?」

上条「し、失礼しまー――」 カチャッ

黒夜「おゥ、遅かったなァ新入り――」

パタンッ

……
上条(『上条「今日から新入生になった上条です!」』?)

上条「……」

上条(黒夜更正させて、膝の上に載せてマッタリ――俺が予定よりちょい早く帰ってくれば……嫌いじゃない)

上条(むしろ大好きだけどなっ!いやいやっ違う違う!俺の居場所はここじゃないっ!)

上条「こ、こっちのドア――」

上条「失礼しまーす……?」 カチャッ

レッサー「おぅ、らっしゃいあせーっ!一名様大テーブルご案内でぇーーーーっす!」

上条「」

ベイロープ「いやいや、一人で大テーブルなんてどんだけ寂しいのよ」

フロリス「スコットランドで『亡霊騎行(ワイルド・ハント)』が起きてるってに、随分とのんびりとしてんだな」

レッサー「まぁまぁでもそこら辺にテキトーに座っちゃって下さ――あぁいえいえっ、実はわたしの前しか空いていませんでしたー?てへ」

ランシス「……そのココロは?」

レッサー「わたしの対面に座ったところで、足を組み替えてパンツ見せ放題――」

パタン

……

上条(『上条「今日から『新たなる光』になった上条です!」』?)

上条(スコットランドでゴースト相手に何しろって?いやホラーコメディなら需要あるかも?)

上条「あ、でもレッサーとぎゃーぎゃー言いながら逃げ回るのはちょっと楽しそう」

レッサー「そう思うんだったら来ーいーよーオラっ!今ならニ○ル子さんのコスプレでお持てなししちゃいますからぁんっ!」 グイグイッ

上条「やめて離してっ!?ドア内側から開けるの禁止っ!」

上条「……」

上条(どうしよう、どのドア開けても戦闘に巻き込まれそうな予感がする)

上条(い、いや嫌いじゃないよ?嫌いじゃないんだけども、たまには、こうゆっくりしたいんだよ!)

上条(神様っどうか俺に平和と安らぎを!戦いはもう嫌なんです!普通の高校生に戻りたいんですっ!)

上条「カモンっ!平穏!」 カチャッ

キャーリサ「遅かったし」

上条「普通の高校生は王女と接点ねぇよっ!?神様三番目手ぇ抜きやがったな!?」

キャーリサ「あー大丈夫だし。追っ手は撒いたから。それより今日はどーしたんだ?」

上条「いや、俺も何がなにやら訳分からない状態で」

キャーリサ「よし、じゃお前付き合え」

上条「俺の事情聞いてた?つーか何で話振ったの?」

キャーリサ「映画でも見よーぜ?今日は私の休日に付き合――」

パタンッ

……

上条(『上条「今日からブリテン王室の一員になった上条です!」』?要は婿入りじゃねぇかっ!?」

上条(つーか『ローマの休日』?どう考えてもアレだしなぁ)

上条(……もういや、楽になりたい)

上条(神様本当にすいませんでした。心から謝ります)

上条(だもんでどーーーかっ楽な所が良いです) ガチャッ

少女「あ、当麻お兄ちゃんだっ!わたしずっとずっと待ってたんだよ?」

上条(良かった、まともそうだ。小学生ぐらい?お兄ちゃんって呼んでるって事は、俺の親戚?)

上条(天使堕としの時、御坂の顔してた従妹の子いたったけか。良かったー、家族ルートね)

上条(これなら別に危険もないし、楽な所だよな)

少女「ね、座って座って?」

上条「あー突っ込みすぎて疲れたから、んじゃちょっと――」 ガチャッ

上条「がちゃん……?なんで椅子からベルトが出で俺を身動き出来なくしたのっ!?」

少女「うん、うんっ。こういう時は――」

上条「待て!嫌な予感しかしないっ!?」

円周「『木原』ならこうするんだよね……ッ!」

上条「『木原』ルートは、いやあああああああぁぁぁぁぁっ!?」

※モニタの前の『木原』さんども、『木原』ならどうするか、コマンドを打ち込んできやがれ
(重複連投可・意見バラけたら数優先。指令が来なかったらノリで決定)

<コマンド?>
もっとやれ→もっとする(最長五回)
たすけてあげて→上条さん解放(一回で終了)


556-558
助けてくれてありがとう。上条さんが『ルール無用の逆レイ×→ちょいらぶ和×』される話だったから、ちょっと自信なかったんですよね
ってかここの板って18禁オーケーなんでしょうか?まぁ日の目を見なかったし良いかなー、と
尚、コマンド受付は終了致しました。ご協力有り難う御座いました


――途中下車(たすけてあげて)

円周「うん、うん。加郡おじさん。こんな時、『木原』ならこんなオチをつけるんだよね?」 ウィィィィンッ、ヴヴヴヴヴヴヴッ(チェーンソー起動)

上条「待て待て待てっ!?その凶器で何をするつもりだっ!?」

円周「当麻お兄ちゃん、右手、ちょうだい?」

上条「嫌です!絶対に!」

円周「分かってるよ、数多おじさん!こんな時、『木原』なら言うんだよね!」

上条「もうイヤその前フリっ!?」

円周「最初は痛いけど――最後まで痛いからねっ?」

上条「それ痛いだけじゃねぇかよおおおおおおっ!?」

上条(『上条「今日から木原一族になった上条です!」』……は、無い!)

――校門前 『バッドエンド……の、先』

佐天「上条さんっ、聞いてますかっ人の話!」

上条「えっ!?」

佐天「そんな小○みたいな返しは止めて下さいよっ!プリンか、金髪プリンかっ」

上条「あぁうんごめんな、さい?」

上条(夢オチ?いやでもそれにしては生々しかったような?)

上条(女の子四人と冒険したような、凄く楽しかった)

佐天「ちょっと付き合って欲しい所があるんですよっ、しかも割と緊急に」

上条「俺?良いけどさ」

佐天「はい、じゃこれ持って下さいねー」

上条「学園都市製ハンディカム?何すんの?」

佐天「だーいじょうぶですっば。痛くしませんから」

上条「ビデオカメラで痛覚の刺激は元から出来ないからね?」

佐天「近くの公園でちょっとカメラテストするだけですからっ!」

上条「あぁ、うん。付き合うけども」

佐天「よっし!チョロいです!」

上条「せめて小声で言おうな?ちょっとは気を遣おう?」

佐天「早く行きましょう!時間がないんですからっ」

上条「意味が分からないっ!つーか本当になにすんの?」

佐天「ケーブルテレビの番組作るんですよぉ――ね、上条さんっ!」

上条「うん?」

佐天「今度はっ――あたしと冒険しよーぜ!」


佐天「佐天さんの学園都市七大不思議探訪っ!はっじっまっるっよーーー!」
佐天「佐天さんの学園都市七大不思議探訪っ!はっじっまっるっよーーー!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367376694/)

――エンディング5 『バッドエンド』 -終-

とある上条佐天の恋愛模様

佐天さんと上条さんのほのぼのイチャイチャコメディが見たい。右手の所為の不幸は一般人よりすこし低い程度(1日一回転けるとかその程度)
上条さんの記憶喪失無しで インさんは居なかったことに。学園都市は平和。そもそも世界が平和。アレイスターのプランなんてなかった。
佐天さんと上条さんは親戚同士で
昔から一緒に遊んだりお風呂入ったりしてた
兄妹みたいな感じだけども、めちゃめちゃ両想い。呼び方は甘えるときはお兄ちゃん、人前は兄さん、だけどテンションあがるとお兄ちゃんと言ってしまう。上条さんは涙子と呼ぶ。 ファーストキスは子供の時に遊びでシた(もちろん上条×佐天が) 部屋は学園側の手違いで一緒になる。買い物と言う名のデートしたり、フラグメーカーな上条さんに怒りつつも正妻の余裕。フラグ立てられた女の子は、上条さんと佐天さんの様子を見て入る隙が無いのであきらめる。周りからは夫婦扱い。あとはひたすらほのぼのイチャイチャコメディしてもらえば シリアスはいらん。ラッキースケベ全開
 最終的には結婚して妊娠、子供がいたりなんかしてほしい。プロポーズイベント必須  エロは出来れば欲しい ここは18禁OKだから安心しな!

登場人物はまかせる。

スレタイはセンスねぇなと思ったら変えていただいて結構ざます。

>>563-564
了解致しました。スレ立てたらここで報告します

>>565 よろしくお願いします。
こんな妄想が出来るのにSSが書けない自分がムカつく…

>>568
書いてみたら如何でしょうか?何も投稿する必要もありませんし、私みたいにブルーカラーが趣味でダラダラ書いてて、
ある日勢いで投下したのがこのSSですので
お勧めは毎日『あ、こんな事したら楽しいだろうな。こんな会話したら面白いな』ってのをメモしてて、それをツギハギして書いたりしています

ただしプロ目指すには厳しいです。知人の某レーベルで書いている人間は、
『書きたいものが書けない。企画書にはテンプレ(幼馴染・ツンデレ、ロリ担当)を必ず出して、その上に色々乗っけないと絶対に通らない(書かせて貰えない)』
と泣いていました。編集の言う通りに書いているのに『オリジナリティがー』『ありきたりー』とかアンケート来て死にそうになると

……まぁ逆に私(を含めたSSなどの書き手の方の多く)が、『プロじゃないから出し惜しみせず、全力でカマせる』という強みもあったりします


後はそれぞれのアフターがあるらしいよ!
残りアフター6つだけど

>>573
6つでいいの?私まだアフター一個も書いてないんですが……
それより『全部やる』なんて一言も言ってないのに、既成事実化している件について

学園探訪2話目、『トイレの時計屋』は上司預かり(完成はしています。添削待ち)
順番からすれば◆RsInltgThpGfさんのが最優先、続いて麦野・絹旗・フレンダ・滝壺・ハーレム・アク×浜?
…まぁ20枚ぐらいずついけば、何とか。ってかアク×浜、要ります?

ともあれ今日は落ちます。読んで下さった皆さんに感謝を。次は◆RsInltgThpGfさんのでお会いしたいと思います
ではまた

お疲れ様で御座います。>>1ではありません代理です
>>1が根腐れ病で入院致しましたので、本日のアフター投下は私が代理投下&半分執筆と相成りました。何卒ご了承下さいませ

大雑把な内容紹介と致しまして、麦野アフターを二種類用意致しました

まず一つ目は『麦野アフター』。公約通り麦野エンディング?の少し前のお話です。これは田中(ドワーフ)が書いたものです

二つ目が『麦野“ある意味”アフター』。こちらは私、上司(ゴールデン)が書きました
内容は通常アフターより大幅に変更致しまして、
『本編では途中までしか描写無かったけど、あの後二人はどうなってたの?』
と言うお話になっています
それぞれ各ルートへ入っていたら、こんな事があの後(アフター)として起こっていたかも?みたいな感じだと思って下さい
(ぶっちゃけ書きたかったんだけど、ルート確定するから無理だったんだよね、的なお話です)

ちなみにある意味アフターの内容には若干の性表現がありますので、18歳未満の閲覧は禁止とさせて頂きます
また同描写があるのは例外なく全員18歳以上である事も付記致します

尚、『文体>>1と同じじゃねぇか』『つか恥ずかしいから別名義って。子供かっ!』『パンツ脱いでもいいの (´・ω・`)』等のツッコミは空気を読んでご遠慮下さい

では、最後までお付き合い頂ければ幸いで御座います



『麦野“ある意味”アフター』

――某病院個室 24時 

コンコン

麦野「はい?」

上条「失礼しまーす」

麦野「ふんっ!」 バチバチッ

上条「出会い頭に『原子崩し』っ!?」 パキイイィンッ

麦野 バサッ(頭からシーツを被る)

上条「……何やってんの?つーか俺何かしたっけ?」

麦野「だ、だめっ!今ちょっと、すっぴんだからっ」

上条「だからって出会い頭に灼こうとすんなよっ!?俺じゃなかったら死んでたわ!」

麦野「……あんたじゃなかったらしてないわよっ!」

上条「えっ?」

麦野「えっ?」

上条・麦野「……」

上条「昼間来れなかったら、様子を見に来たんだけど。帰った方が――」

麦野「それはイヤっ!」

上条「あー、俺はどうすれば?」

麦野「電気っ、電気消してっ!」

上条「……良いけど。意味あるのか?」 パチッ

麦野「……」

上条「……」

麦野「……み、見えない?」 バサッ

上条「……月明かりで、何となく輪郭が分かるかも?って感じだ」

麦野「まぁ、いいか……な?」

上条「いやでも化粧一つでそんなに変わる?正直分からないんだけど」

麦野「あんたみたいに、いっつも同じパンツとシャツ着回している奴には分からないでしょうよ」

上条「他の面子はしてないよな?下二人はまぁそんなもんかと思うけど、滝壺だってさ」

麦野「全員してるわよっ!うすーくしてるから気づかないだけでっ!」

上条「気づかないメイクって意味あるのか?」

麦野「……怪我が治ったら真っ先にアンタぶっ飛ばすからね?三人の分まで」

上条「意味が分からねぇよっ!?……と、ごめん。病院で大声は拙いよな」

麦野「大丈夫よ。ここの個室はちょっとお高い所だし、ってか消灯時間を過ぎても電気点けてたでしょ?」

上条「あー……いいの?」

麦野「ってかアンタは何しに来たのよ?昼間見に来なかったのに」

上条「もしかして、待ってた、とか?」

麦野「自意識過剰もいい加減にしなさいよ」

上条「だよなぁ。麦野が待ってるなんて――」

麦野「――待ってたのよ、そりゃね」

上条「え」

麦野「アタシが待ってるのがそんなに――って、ごめん。そんな言い方無いわよね」

上条「こっちの方こそごめんっ。ちょっと抜け出せなくてさ」

麦野「天草式と、あー……イン、なんだっけ?」

上条「井村屋ほの○?」

麦野「そうそう、その井村屋ほ○かの相手してて忙しかったってのは聞いてたけどさ」

麦野「絹旗から『エロメイドが超エロかったです』って写メ貰ったんだけど、何?そういう商売もしてるの?」

上条「神裂さんの事は触れない上げてっ!?テンパって訳分からなくなってるだけだからっ!?」

麦野「っていうか企画モノのA×とかでありそ――」

上条「聖人って名乗ってるのに割とアレな神裂さん弄るのヤメテあげてよっ!」

麦野「いやまぁ、私も絹旗と滝壺から話は聞いてたから。怒るのは筋違いだって分かるのよ」

上条「フレンダは?フレンダからは何も聞いてないの?」

麦野「……『着替え持ってきてね』って頼んだら、下着と部屋着、あとクマのぬいぐるみを持ってきた残念な子に?」

上条「……最初の二つは分かるんだけど、どうしてクマ?一応一人で寂しいとか、気を遣った結果じゃないかな、うん」

麦野「『クマのぬいぐみ?うん、そっちも少し怪我してほつれているけど、治した方が良いのかな?』って先生に言われたアタシの気持ちが分かる?」

上条「ま、まぁフレンダだし? 」

麦野「お願いしたけどもっ!」

上条「したのかよっ!?……あ、いや家が火事にならなかった分だけ、良いと思わないと」

麦野「まぁフレンダだしね。最悪のタイミングで最悪の事をやらかすし」

上条「んで怪我、どうだったんだ?」

麦野「一番重いのが絹旗で肋骨三本、次にアンタで要入院、その次がアタシで打撲とヒビ」

麦野「滝壺も検査入院で一泊か、フレンダは軽い打ち身っと」

上条「フレンダ怪我してたっけか?」

麦野「『お揃いって訳よね!』って喜んでたわよ、多分」

上条「本人が良いんだったら良いけどさ」

上条「あー、いやその、そうじゃなくてな?」

麦野「『俺の戦いに巻き込んで悪かった』つったら、100%メルトをぶち込むわよ?」

上条「ツッコミが厳しすぎるなっ!?」

麦野「アックアだっけ?アレが出張ってくるって事は、アンタが絡まなくても『アイテム』や暗部も引っ張り出されたでしょうしね」

上条「それは仮定の話だろ!」

麦野「あー、そうじゃなくってね。確かに今回の原因はアンタだったかも知れない。でもね」

麦野「『取り敢えず高校生の右手を引き抜こう』ってキ××イ連中が居るのよ」

麦野「そんな連中が『新しい方法で能力者造りましょう』って学園都市を、放置したままで置くと思うの?」

上条「それは」

麦野「学園都市としても分かってるんでしょうよ。だからただの無能力者を採算が取れない無人兵器を出してまで守ろうとした」

麦野「結局、アンタは戦争を起こす口実に使われた訳よ」

上条「……」

麦野「常識で考えてみなさいな。戦争を引き起こしかねないのに、高校生の腕一本にこだわると思う?」

麦野「アンタが責任を感じるのは結構だけどね、今からどうこうしたって――例えば、自殺したってどうしようも無いわよ?」

麦野「アタシ達が学園都市って枠組みに居りゃあ、否応なしに巻き込まれるしね」

上条「……俺は、どうすれば良いんだろうな?」

麦野「全部を捨てて逃げ出したって、どんなに遠くまで逃げ出した所で、現実はあなたを追い掛けてくるわよ。経験者から言わせて貰えれば、ね」

上条「……」

麦野「仮に上手く逃げ切ったとして、名前や顔を変え、誰にも分からない所から出発したとしましょう」

麦野「でも、上条。あなたは必ずここへ帰ってくるわよ。アタシの人生全てを賭けてもいい」

麦野「何処か遠い空の下で、途切れ途切れにしか分からない学園と他の戦争。上っ面しか報道しないラジオに齧り付いている姿が目に浮かぶわね」

麦野「逃げ場なんて、無いのよ。逃げた先で関係無い顔して生きていられるのなら、最初から巻き込まれてすら居ないわ。違う?」

上条「……あぁ」

麦野「でもそれは――『責任』であるとも私は思うわ」

上条「どんな?」

麦野「助けてしまった責任、って言うと何か八つ当たりみたいだし。生き残ったから、そうじゃない人の分まで生きろ、って言うのも何か違うか」

麦野「なんて言うのかしらね……あぁ、もうちょっと近くまで来て貰える?」

上条「悪い。よく見えないんだが」

麦野「私には見えてるから大丈夫よ。うん、そのまま真っ直ぐ」

上条「えっと……?」

麦野「はい、そこで前ジャンプっ」

上条「よっと」 ピョンッ

ガッ

上条「痛っ!?」 ドサッ

麦野「……っ」

上条「あ、あれ?なんでジャンプさせたっ!?」

麦野「……この状態でそのツッコミが出来るのは、色々と自信を失うんだけど?」 (超至近距離)

上条「……」 ムニムニ

麦野「……んっ」

上条「……つまり?」 ムニムニ

麦野「ヒントいち、アンタの右手でむにむにしている物体は――Dよ?」

上条「圧倒的破壊力ですねっ!?……じゃねぇよっ!すまんっ、今どくか――」

麦野「ヒントに、私はあんた達と生きていたい、って言ったぞ」 ギュッ

上条「麦野……」

麦野「ヒントさん、最後まで言わせるなよバカヤロウ――ん、ちゅっ」

上条「んむっ!?」

麦野「くぷ、ん……ちゅば……くぶ……ちゅぶ……」

麦野「――はぁ。逃げ、ないのね?」

上条「……責任取れっつったのはどっちだよ」

麦野「あー……その、アレよ。自分で言うのも何だけど、私は重いわよ?」

上条「うん、何となく分かる」

麦野「あなたが死んだら――フレンダを殺して私も死ぬわ」

上条「フレンダ逃げてーーーーーっ!?」

麦野「あの子の将来がどうなるか、もう不安で不安で。悪い男にちょっと守られて一目惚れなんてあり得そうだし」

上条「どっかで聞いたような話ですねっ!俺に心当たりは無いですがっ!」

麦野「まぁ冗談は兎も角、いいの?私で?」

上条「うーん、いいのって聞かれると良い気分はしないけど」

上条「最初っから麦野の事、『あ、綺麗なお姉さんだな』ってちょっと憧れていたし」

麦野「おっぱい大きいし?」

上条「関係無――くはないけど、それだけじゃないかな」

上条「何だかんだで仲間――つーか友達思いの所とか、『アイテム』だって最初っから万全って訳じゃなかったんだろ?」

麦野「ま、そこは色々とね。私からは何も言えないけど」

上条「むしろ俺で良いのか、って聞きたいぐらいなんだけど――んんっ!?」

麦野「ちゅる……んん……や、ちゅる……くぶ……やっ、ぢゅる……ちゅちゅ……」

上条「――言葉に出さないと伝わらない事だってあると思うっ!」

麦野「確かにね。んじゃまぁ言うけどさ――」

麦野「私を貰ってくれないかな?」

麦野「遊びでも良いし、飽きたら捨ててくれても構わないから」

上条「嘘だな」

麦野「またバッサリ切ったわね?どこがよ」

上条「もう逃がすつもりなんて無いクセに」

麦野「あたり――ちゅっ」

……

上条「えっと、脱がしていいんだよな……?」

麦野「ん、つっても色気もなんにも無い病院着だけどね」

上条「いやー、これはこれで。うん」

麦野「……一枚、貰っておく?」

上条「どんな趣味だと思ってんだっ!?」

麦野「と言う割には右手が執拗にねちっこく責め、んっ」

上条「ってか改めて触るのって初めてだから、余裕がないんだよっ!?」

麦野「いやアタシに聞かれても?……ってなんだその意外そうな顔はっ」

上条「暗くて見えない――事もないな。月明かりで結構分かるか」

上条「麦野みたいな人、他の男が放って置くわけがないかなー、と」

麦野「そうでもないわよ?能力開発と実験の繰り返し、後はあの子達の世話で色々と」

麦野「小娘だ、ってナメられないように服をカッツリ固めたり、ね」

上条「そこだけ聞いていると納得だけど、研究者にエロい事されなかったかっ!?」

麦野「なんでそこだけ食いつきが良いのかはさておくとして、無かったわよ」

麦野「アイツらにしちゃ、アタシらは話すモルモットぐらいにしか見られてないみたい」

上条「嬉しい反面それはそれで腹が立つ――あ、紐」

麦野「……ん」 シュルリ

麦野「どう?」

上条「うん、凄く綺麗だ。出来ればもうちょっと明るい所で――あぁいや、月明かりで見た方が、その」

上条「女神様みたいだ、って言ったら笑う?」

麦野「……バカ、誉め過ぎよ」

上条「嘘吐いているつもりはないんだけどなぁ」

麦野「だから余計にだっつーのよ。結構傷だらけよ?」

上条「――ちゅっ」

麦野「ん――あっ……んぅ」

上条「やっぱり大きいな」 モミモミ

麦野「好きでなった訳じゃ――んっ、あっ、ふぁ」

麦野「は、んぅ……!」

上条「ちゅっ、ちゅぷ、ちゅぷっ」

麦野「や、だ……つか、手慣れて――」

麦野「ん、あぁ……くぅんっ、や、あぁ……んっ!」

麦野「ん、んっ、あぁ、んぅっ……ひぅっ……!?」

上条「麦野、可愛い」 コリコリ

麦野「んっくぅっ!?……あぁんっ、くっ……!」

麦野「ふぁっ……あ、くんっ、く、くんっぁぅ、やっ!」

麦野「ちゅっ、んっ、じゅぶっ、じゅっ、ちゅぷっ!」

麦野「んっんっんっ、じゅるっ、ちゅぷっ、ちゅぶぶっ!

麦野「――ってか、そのっ」

上条「ちゅっ、じゅっ、ちゅっ、ちゅっ」

麦野「んぅんっ!?んっ、ぁくっ、んっんんっんんっんっ!?」

麦野「く、くうぅぅぅぅんっ!?」

上条「ちゅっ」 ペロペロ

麦野「……はぁ、はぁ」

上条「よしよし」 ナデナデ

麦野「……どんだけ私の胸好きなんだっつー話だけど、妙に手慣れてない?」

上条「……えっと、妄想をね?イメージトレーニング的なアレでね?」

麦野「……私で?」

上条「すいませんでしたっ!もうしませんからっ!」

麦野「いやまぁ、いいけどね。でも、その」

麦野「次からは私が、さ?必要ないでしょ、っていうかね?」

上条「」

上条「あぁもう可愛いなぁっ!」 ガバッ

麦野「――っと、今下脱ぐから」

上条「あ、下は着けてんだな」

麦野「デリカシーの無い事言わない……いや、そう言う問題かしらね?」

上条「つかいつも思ってたんだけど、生足出さないの?」

麦野「……足、あまんまり自信ないのよ。太くない?」

上条「気にしてんの?」

麦野「能力者って能力に偏りがちだから、近接戦闘も少しだけ。どう、かな?」

上条「むしろペロペロしたいけど?」

麦野「むしろの意味が分からないわっ!?……ま、まぁ、今度ね?」

……

上条「大丈夫?重くない?」

麦野「ん、平気――じゃないけど、問題ないわよ」

上条「んじゃ、行くな?」 グッ

麦野「うんっ!……くぅぅっ!?つっ、ったぁ……!」

上条「ちゅっ」

麦野「んーちゅっ、んんっ、ちゅっぢゅぷっ、ぢゅるっ」

上条「――ぷはぁっ、なんか痛々しいんだけど」

麦野「……いったいけど、まぁ。何とか」

麦野「あんたじゃなきゃ紅葉おろしにしてたわね」

上条「光栄なのか、それとも恐ろしいのか――って麦野?」

麦野「何?」 ポロポロッ

上条「なんで、泣いてっ?」

麦野「あっヤダっ、そのっ、これはねっ?」

上条「後悔、してる、とか?」

麦野「違うっ!そうじゃないっ、そうじゃなくって、その――」

麦野「――幸せすぎて、私っ、どうしたらいいのかっ!わからなくって!」

上条「麦野……」

麦野「『アイテム』やって、何だかんだ言って、アンタには絶対言えないような酷い事もしてきたっ!」

麦野「でもっ、でもそんな私が幸せでっ!そんなんでいいのかよって!」

上条「……良いと思うよ、俺は」 チュッ

麦野「上条……」

上条「お前が何をしてきたのか、俺は分からないけど」

上条「でもそんな自分が嫌だって、変えたいって思ったんなら」

上条「俺はずっと、側にいるから――一緒に、な?」

麦野「うんっ、うん――ぁぅっ!?」

上条「……ごめん、なんだか我慢できなくてっ」 ガクガクッ

麦野「うん、来てっ?」

上条「麦野っ、麦野ぉっ!」 ググッ

麦野「んっ、あん、くぅっ、やっ、んっんっんっんっ!」

麦野「ひゃっ、うんっ、くっ、あっぁっあっ、くぅんっ!?」

麦野「私も、くっ、幸せにっ、なりたいっ、んんっ!?」

麦野「普通にっ、生きてっ、みたいよぉっ!」

上条「我慢しなくていいっ!俺がっ、俺とっ、幸せになろうっ!」

麦野「うんっ、うんっ!私っ、私っ!」

麦野「くっ!?あああああああぁぁぁぁぁぁっ!?」

――某病院個室 朝

麦野「いやー『幻想殺し』……」

上条「意味が分からないなっ!」

麦野「まさか病院のベッドで押し倒されるとは思わなかったわね」

上条「絵的に見たらそうだけどもなっ。実態は違うよね?」

麦野「んー……卑怯かな、ってはちょっと思うけど」

麦野「何だかんだ言っても、体をダシにして既成事実作ったようなも――んっ!?」

麦野「んっ、ちゅっ……ちゅぷっ、んんっ、ちゅぷっ、んーっ!?」

上条「……はぁ。それ言ったら俺もだ。無理目な年上のおねーさん相手に、怪我して気弱んなってる所につけ込んだのと同じ」

麦野「……いやぁ、つけ込まさせたんだけどね」

上条「もう知らねぇよ。言い訳もしない」

麦野「上条……」

上条「俺はこのおっぱいを守るために生きるって決めたんだ!」

麦野「100%体目当てかっ!?」

上条「俺が、俺達がおっぱいだっ!」

麦野「あーうん、なんか完徹して錯乱しているのは分かるんだけども」

麦野「でもさ、あの子達に悪いかなー、とかそう言う――」

上条「あ、んじゃもし俺が浮気したら――」

麦野「あなたとフレンダを殺して、私も死ぬわよ」

上条「疑問系ですらないっ!?あとフレンダは許してあげてっ!」

麦野「どうかなぁ?あの面子の中で一番怪しいのフレンダだと睨んでるんだけど」

上条「無い、と思うけど。信用出来ない?」

麦野「いや、なんつーかな、『言葉に出さないと伝わらない』って言われたばっかなのに、何も言ってくれないなー、って」

上条「えっと……」

麦野「うん、なに?」

上条「あー、なんだ」

麦野「なによ?言わないとわからないわよ?」

上条「結婚、しようか?」

麦野「跳ばしすぎでしょ!?あぁ、いや良いんだけども!」

上条「オッケー?」

麦野「ちょっともうっ、色々すっ飛ばしすぎでしょうがっ!」

麦野「もっと前段階として色々あるし、ねぇっ!?」

上条「いやー信用出来ないって言うんだから、させるしかないかなぁ、と」

上条「その、俺なんか、ちょっと変わった右手を持った不幸なガキでしかないけどさ」

上条「麦野の事、誰よりも大事にしたい、大事にしていきたいって思うよ」

麦野「……うん」

上条「だから、そのっ……好きだ、麦野」

麦野「……沈利」

上条「ん?」

麦野「沈利、って呼んでくれるんだったら、信じる、かも」

上条「し、沈利」

麦野「う、うんっ」

上条「し、信じたっ?」

麦野「キスしてくれたら、多分?」

上条「ちゅっ」

麦野「んっ」

上条「どう、かな?」

麦野「……もっと」

上条「……んっ」

麦野「ん、ちゅっ、ちゅぷっ、んっ」

上条「えっと……?」

麦野「愛してくれたら、きっと信じると思うわ」

上条「愛し――」

麦野「物理的に」

上条「……朝なんだけど?」

麦野「あ、明るい所でも、見たいって言ってたわよね」

上条「んじゃ遠慮無――」

フレンダ「おっはろーーーーーーーーーーーーーーっ!元気してたーーーーーーーっ!?」

上条・麦野「」

フレンダ「あぁいや元気じゃないわよねっ、入院してんだもんねっ」

フレンダ「でももう大丈夫よっ!麦野ンちからちゃんとした着替えとか化粧品とか持って来あげたんだっかっらっ!」

フレンダ「あたしがっ!この、残念な子と言われ続けてきた、あたしがっ!」

フレンダ「さぁどうよ麦野っ!?今日からあたしは『空気読む』キャラとして、確立された訳――」

フレンダ「……あ、あれ?」

上条「お、おはよう?」

麦野「……こんのクソビ××は……!」

フレンダ「お、おかしい訳よね?病室、間違っちゃった訳?」

フレンダ「も、もしかして、あたし、また空気読んでない?」

上条「あー、割と?でも今日のはフレンダ悪くないと思う」

麦野「ふっれっんっだっちゃーーーん?」 ギュッギュッ

フレンダ「あ、あれ、麦野、どうして体にシーツを巻いている訳?」

麦野「それはねぇ、体が汗やら液やら汁やら血やらでベッタベタで、とても人様にはお見せ出来ない有様だからよぉ?」

上条「汁言うなっ!」

フレンダ「じゃ、じゃどうしてテンションが振り切っている訳?」

麦野「朝までこの元童貞がそれはもう、ねちっこく執拗に責め続けたお陰で、一睡も出来なかったからよぉ?」

上条「元童貞て。あと半分以上は沈利も共犯だからな?」

フレンダ「い、今名前呼んだっ!名前っ!えっちっちーっ!」

上条「小学生みたいな煽りは止めろよっ!子供かっ!」

フレンダ「それで、その、どうして、そこまでして、あたしの方へ近づいてくる、訳?」

麦野「それはねぇ――」 バチバチッ

麦野「――人生初めて男に甘えてた、アタシの邪魔をしやがったビ××をねぇ――」

麦野「――確実に灼くために決まってんだろボケがあぁぁぁぁぁあああぁっ!!!」

フレンダ「ひいぃぃぃぃっ!?」

上条「待て麦野っ!その出力は洒落にならないっ!?」

麦野「沈利っ!」

上条「うんその訂正を求めるのは可愛いんだけどっ!『原子崩し』を発動させるのはやめてあげてっ!?」

バタンッ!

絹旗「超大変です麦野っ!?上条の病室に上条が居ませ――」

絹旗「ん、って……はい?超居ましたね。なんで裸?」

滝壺「きぬはた、おはよー……」 ガチャッ

絹旗「あ、はい、おはようございます?って言うか、この超状況は一体……?」

滝壺「わたしが起きた時には、二人とも一緒だった、みたい」

絹旗「って事は、もしかして」

滝壺「……うん。夜這い」

上条「してねぇよっ!?」

麦野「したでしょうがっ!」

フレンダ「やっぱりした訳ねっ!?」

上条「したけどもさっ!合意だから夜這いじゃないっ!」

滝壺「ちなみに本来の意味でのよばいは、全部ごういだった……」

絹旗「村落共同体の中で一々レ××してたら、超村八分されますからね」

絹旗「いや、そうじゃなく。二人とも、あなた達は超病人である自覚をもっと、ですね」

滝壺「それはだいじょうぶ」

絹旗「いえ、そう言うわけには」

滝壺「病人は10回も出来ない」

麦野「なんで知ってんのよっ!?能力追跡ってそんなに万能なのっ!?」

滝壺「そうなんだ……?」

上条「あっちゃー……」

フレンダ「あっ、絹旗、そうじゃないのっ!?これはねっ」

フレンダ「二人がプロレス的な事をした訳であって――」

絹旗「そうなんですか?」

フレンダ「そうよっ、あんたにはまだ早――」

絹旗「超避妊はしたんですかね?家族計画はしっかりしないと」

フレンダ「詳しいなっ!?」

絹旗「いや、今時知らない方が超おかしいでしょう」

滝壺「少女まんがも、そういうの、あるし……」

上条「なんかグダグダになっちゃったなぁ」

麦野「ね?まぁ私達っぼくて良かったかも知れないけど」

上条「と言うかあっさりいったな……あ、そうだ沈利」

麦野「なに?」

上条「その、さ。昨日の夜は、月明かりでも良いなーとは思ったけど」

上条「沈利には日の光の下も似合うと思うんだ」

麦野「……ん」

上条「まぁ、その、これからも色々あるとは思うけど」

上条「一緒に、生きよう」

麦野「……うん。一緒に、ね」

――『麦野“ある意味”アフター』 -終-



――『麦野アフター』

――第23学区 学園都市内空港 12時

麦野「……いやー、帰りたいわねー」

上条「早いって!」

麦野「いや、流石に冗談だけどさ。こんなに緊張するの初めだわ」

上条「そりゃ俺もだけど」

麦野「おかしく、ないかしら?」

上条「すっげーキレイだよ?」

麦野「ありがと――ってそっちじゃないわよっ!」

上条「パンツスーツも似合うよな、沈利スタイル良いから」

麦野「あなたも学生服……まぁ、そんなもんよね」

上条「いいんだよっ!高校生なんだからっ」

麦野「そういう意味じゃあたしだって未成年なんだけどさ」


――同学区 少し離れた場所 同時刻

フレンダ「あっちゃー緊張している訳よねー、やっぱ」

滝壺「初めての、相手のおやへのかおみせ、だし」

絹旗「あの、二人とも?超何やってんですかね?」

フレンダ「え、だって昨日麦野が」

滝壺「『来るなよ!ぜったい来るんじゃないわよっ!ぜったいだからねっ!?』」

フレンダ「つってた訳よ?」

絹旗「……いや、明らかに『ついてきたら超殺す』って話でしたよね?」

フレンダ「やっだもうっ絹旗たらっ!仲間のピンチに動かない私達じゃない訳よっ!」

滝壺 コクコク

絹旗「で、その心は?」

フレンダ「テンパってる麦野ちょー面白い!」

滝壺 コクコ――ブンブンッ

絹旗「まぁ気持ちは超分からないでもないですけど、程々にして下さいね?あまり無茶をするようでしたら、腹パン入れてでも止めますし」

フレンダ「だいじょーぶっ!こーゆーのドラマで見た訳っ!」

滝壺「なかま、だいじ……」

絹旗「どうして一番年下のわたしが超抑えるポジションにいるんでしょうか……?」

――同学区 “外”からの飛行機到着

刀夜「おーいっ、当麻ーーーーーっ!」

詩菜「とうまさーーんっ!」

上条「来たっ!」

麦野「やっべぇわね。アックアに喧嘩売った時より緊張するし!」

上条「……俺の親だから、な?」

麦野「……うん」

刀夜「えっと、そちらが紹介したいって言ってたお嬢さんか?」

麦野「初めまして上条刀夜さん、詩菜さん。麦野沈利です」

詩菜「これはご丁寧にありがとうございます」

刀夜「そっかぁ、お前もなぁ。そういう歳になったんだなぁ、うん」

上条「この歳で頭を撫でるのはやめろよっ!」

麦野「……ふふ」

詩菜「ね、麦野さん?それとも沈利ちゃんって呼んだ方が良いかしらね?」

麦野「は、はいっ、宜しければ、沈利で……」

詩菜「私の事も『お義母さん』で構いませんからね?」

麦野「はい、宜しくお願いします、お義母さん」

刀夜「おっ、母さんばかりズルいぞー?私もこんな綺麗なお嬢さんに『お義父さん』って呼んでほし――」 ガシッ

詩菜「あらあら、刀夜さんったら昼間なのに、寝ぼけているのかしらね?」

刀夜「や、やだなぁ私には詩菜さんだけだってば!」

麦野「(力関係把握っと。親子揃って尻に敷かれるタイプね)」

上条「(まあ大体こんな感じだよ、ウチは)」

上条「兎に角立ち話もなんだからさ。ちょっと場所変えよっか」

フレンダ「(動いた訳っ)」

滝壺「(わたしの能力からは、逃げられない……!)」

絹旗「(超有効活用してませんからね、それ)」

――いつもの喫茶店 個室

店員「ご注文以上で宜しいでしょうか?ではごゆっくりどうぞー」

麦野「はい、ありがとうございます」

詩菜「ありがとうございます」

フレンダ「(ど、どう聞こえる?)」

絹旗「(何とか――ってか隣室借り切るなんて超やり過ぎですよ)」

滝壺「(盗聴器、しこめばよかった……)」

刀夜「良いお店だよね。沈利さんも当麻とよくここへ?」

麦野「はい。と言いますか出会ったのがこのお店ですから」

詩菜「当麻さんも隅に置けませんね。ナンパですか?」

上条「違うよっ!」

麦野「ではありませんが、私や友達が困っていた所を助けて貰って、その後――はい」

刀夜「そっかー、父さん達もそんな感じだったっけなー」

詩菜「懐かしいですわねー、あなた」

上条「――で、なんだけど、父さん母さん、報告しなきゃいけない事があるんだっ!」

刀夜「……聞こう」

詩菜「続けて、ね?」

上条「その、沈利とは付き合って半年ぐらいなんだけど、子供が出来たんだ」

刀夜「」

詩菜「……そう、なの」

麦野「はいっ」

上条「だからそのっ、俺達結婚したいって!」

刀夜「――バカヤロウっ!」

上条「――っ!」

フレンダ「(ジャパニーズガンコ親父きーーーたーーーっ!)」

絹旗「(なんでこじれるのが超嬉しいんですか?)」

滝壺「(まぁ、初恋の相手だから、いろいろと、複雑)」

刀夜「はいそうですか、なんて言える訳ないだろうが!歯を食いしばれ、当麻っ、父さんはお前をそんな子に育てた覚えはな――」

麦野 バスッ!(刀夜に腹パン)

刀夜「げふっ!?」

フレンダ「(手ぇ出しやがったーーーーーーっ!?)」

滝壺「(ナイス腹パン……っ!)」 グッ

絹旗「(いえ、超喜んでいる場合じゃないかと)」 ワクワク

フレンダ「(あれ今ワクワクって聞こえたような?)」

上条「ちょっ!?」

麦野「すいませんが、当麻さんを傷つける相手は容赦出来ませんので」

詩菜「沈利ちゃん……」

麦野「産みたい、と言ったのは私です。当麻さんに責任はありませんっ!」

上条「沈利……違うぞっ!俺だって責任が――いや、取りたいんだよ!」

上条「だから二人が反対してもっ、俺達は一緒になるからなっ!」

刀夜「……だ、だかな。当麻はまだ未成年だ。沈利さんだって、そんなに変わらないんだろう?」

刀夜「君だけでなく、君のご両親の手前もあるし、私達だけで結論を出して良い問題じゃない!」

上条「けどなっ!」

詩菜「あー、もう刀夜さんも当麻さんも熱くならないで下さいね?」

上条「でも母さんっ!」

詩菜「この問題、結論はもう出て居るんでしょう?」

刀夜「どういう事かな、母さん」

詩菜「私達に報告する、って事は――何があっても、二人は一緒になるつもりなのよね?」

上条「あぁ」

麦野「はい」

詩菜「だったら私達に出来る事は、まだ未熟な二人を精いっぱい応援してあげる事。違うかしら、刀夜さん?」

上条「……父さんっ」

麦野「……お義父さん、願いしますっ!

刀夜「……」

刀夜「……分かったよ。私が悪者みたいじゃないか」

上条「……ありがとう」

刀夜「子の幸せを願わない親なんて居ないさ」

詩菜「格好良かったですよ、刀夜さん」

フレンダ「(えーーー、あっから立ち直したのー?)」

絹旗「(もうちょっと色々揉めた後、わたし達が乱入して涙ながらに超語るんでは?)」

滝壺「(今はしなくて良い……今は)」

詩菜「――すると沈利ちゃんは今大学生なのね?」

麦野「資格は持っていますので、どちらかと言えば研究職ですね」

刀夜「聞きにくいんだが、先立つものは大丈夫なのかな?あぁいや、責めている訳じゃないよ?」

刀夜「もし心配なようなら、ウチ――当麻の実家である私達の所で出産する、って手もあるし」

詩菜「私がお世話になった先生もお元気でらっしゃいますしね」

麦野「あ、いえそこまでご面倒をおかけする訳にはっ!」

麦野「その、私もそれなりの立場にありますので、そういった心配は、ですね」

上条「えっと、学園都市の序列って知ってる?」

詩菜「えぇ確かに有益な人材をランク付けしている、って聞きますよね」

上条「沈利は第四位。230万人の中で上から数えて四人目なんだ」

刀夜「それは凄いのかい?」

麦野「あの、これぐらいが収入でして」

刀夜「……凄いなあ。私と年収同じぐらいだよ」

詩菜「まだお若いのに……」

麦野「その、年収ではないんですよっ」

刀夜「そ、そうだよね?今までの貯金合わせないと、とても行かないよね?」

詩菜「でもこつこつ貯めてここまでは凄いですよね」

麦野「月収、なんですが……」

刀夜「」

詩菜「」

上条「……うん。二人の気持ちはよーく分かるぞ」

麦野「貯金も何年か分は貯めていますし、金銭的な意味での問題はありません」

フレンダ「(ちっ、これだから金持ちはっ!)」

絹旗「(残念、あなたとは意見が超違います)」

滝壺「(がんばれ、ふれんだ)」

フレンダ「(……見ないでっ!?優しい目であたしを見ないでっ!?)」

刀夜「……まぁ沈利さんが凄いのは分かった。当麻も良い人見つけたんだなー」

詩菜「沈利ちゃん、当麻さんに騙されてないの?言っちゃ何ですけどヘタレですよ?」

上条「息子に対する言いぐさじゃねぇからなっ!?」

麦野「あぁいえそんな事はっ!」

麦野「当麻さんは私を助けて下さった恩人です!それだけじゃなくって――」

麦野「まともな生き方を教えてくれた、大切な人、ですからっ」

麦野「だからもし、私が騙されていたとしても、別に構いませんっ!」

上条「うん、いい話なんだけど。沈利の言い方もどうかと思うんだ、俺」

麦野「刀夜さん、さっきはすいませんでした。でもっ、あなたのお子さんは多くの人を助けていますっ!大勢の命をですっ!」

麦野「だからっ、決してあなた達の教えが間違っていた訳じゃないんです!」

詩菜「……刀夜さん」

刀夜「すまないな、当麻。理由も聞かずに殴ろうとして」

上条「……良いって。俺が父さんだったら、多分同じ事をしてたと思うよ」

詩菜「ね、沈利さん。そっくりでしょう、あの二人」

麦野「家族、なんですね。羨ましい」

詩菜「何言ってるんですか、もうすぐあなたも家族になるんですよ」

麦野「……はい、ありがとうございます」 グスッ

刀夜「それでだ。出産に関しての問題は解決したけど、沈利さんのご両親はどうなのかな?」

詩菜「私達に話が来ている、って事はまだ?」

麦野「私は……その、能力が幼い頃から発現していたため、あまり親とは馴染めませんでした」

麦野「実際、最後に会ったのは私を学園都市へ預けたその日で、以来連絡を取っていません」

麦野「なので今回も――」

刀夜「……沈利さんの家のご事情もあるだろうし、私らは強い事は言えない。けどね」

刀夜「でも出来れば、一度で良いから連絡をしてくれないかな?」

麦野「ですがっ!」

刀夜「君は捨てられた、そう思ったんだね?」

麦野「――っ!?」

刀夜「辛かったんだろう。それこそ全てを恨まずには居られないぐらいに」

刀夜「だから多分荒れて――その関係で当麻と出会ったのかな」

麦野「……はい」

刀夜「そうでもなきゃ、ウチのバカ息子が沈利さんみたいな人に出会える訳がないよ」

上条「余計な事言うなっ。その通りだけども」

刀夜「でもね。親だって同じなんだよ。君を捨てたと思っている筈だ。その事で自分を責めているよ」

麦野「それはっ!」

刀夜「今から私は卑怯な言い方をするよ。当麻も沈利さんも、気に入らなかったら殴ってくれても構わない」

上条「……」

麦野「……」

刀夜「君は当麻に助けられたんだよね?つまり君は助けられた側だ」

麦野「はい」

刀夜「――だったらさ、今度は君が助ける側になってくれないかな?」

麦野「!」

上条「沈利」

刀夜「君は――君達はもう一人じゃない。大人して生きて自立して、生きて行く事を選んだんだ。だから色々なものに責任がある」

刀夜「それは産まれてくる子供だけじゃなく、その他のものにだってそうだよ」

刀夜「あくまでもそれは、私からのお願いだけどね」

詩菜「私からもお願いします」

上条「母さん」

詩菜「子の幸せを願わない親なんて居ません。いえ、中にはそういう人だって――『親なのに親じゃない』って人も居るわ。でもね――」

詩菜「沈利ちゃんは、違うわ。こんな良い娘のご両親が、そんな事は有り得ないでしょう」

麦野「はいっ、はい……」-ポロポロ

上条「ん。俺も一緒だから。どうなっても、ずっと」

麦野「……うんっ」

フレンダ「(……はぁ)」

絹旗「……」 グスッ

滝壺 ナデナデ

――23学区 16時 搭乗ゲート

上条「……泊らなくて、良かったの?」

刀夜「充分だよ。お前が充分以上に立派になってて安心した」

刀夜「子供はまぁ……フライングだけど、責任を取るってので及第点だよ」

詩菜「沈利ちゃんも、いつでも電話してきて良いんだからね?用事がなくたって別に構わないのよ?」

麦野「えぇ、ありがとうございます」

刀夜「んじゃそろそろ行くな」

詩菜「またすぐに会うとは思うけど、お体に気をつけてね」

麦野「はいっ」

上条「……な、沈利」

麦野「うん?」

上条「俺、お前に見本見せるから」

麦野「何の?」

上条「親との、和解の仕方ってやつ」

麦野「お、おい」

上条「父さんっ母さんっ!」

刀夜「どーしたとーま?」

詩菜「……刀夜さん」

上条「俺、俺さっ!生まれてきてから色々あったよっ!不幸だとかっ!不運だとかっ!」

上条「でも最近こうも思うんだっ!」

上条「父さんと母さんの子供に生んでくれて、ありがとうっ!」

刀夜「……」

詩菜「……」

上条「俺は学園都市に来て良かった、そう思ってる!」

詩菜「……当麻さん」

刀夜「……そうか。良かったなぁっ、当麻っ!」

上条「ああっ!」

麦野「……」

――同学区 同時刻

絹旗「よーし、超感動のシーンゲットしましたっ!」

フレンダ「いや、あれをムービー録画するってのはどうかと思う訳」

絹旗「何言ってるんですかっ!結婚式で超流して会場の爆笑を取るに決まってるでしょう!」

フレンダ「あー……テントウムシのサン○?あれ歌う準備もしなきゃいけないの?」

滝壺「めんどー……」

フレンダ「人の幸せ見せつけられて、お腹いっぱいな訳―」

麦野「そっかぁ、だったらちょぉぉぉぉぉぉっと削ぎ落としちゃおっかなー?」

フレンダ・絹旗・滝壺「」

麦野「朝っからなーんか楽しそうなお話ししているわよねぇ?アタシにも混ぜてくれないかにゃーーーんっ?」

絹旗「ち、違うんです麦野っ!これはフレンダがっ!」

フレンダ「あたしっ!?」

滝壺「ふれんだのせい、うん」

フレンダ「多数決であたしの責任なのっ!?」

麦野「まぁ絹旗にはバカ二人見張るよう、しっかり言いつけてあった筈だし、連帯責任で良いわよねぇ?」

麦野「よーし逃げろメスガキどもっ!アタシに捕まったらペナルティよっ!」

フレンダ「ぐ、具体的には?」

麦野「ま、一本で良いかしらね」

フレンダ「みんな逃げてーーーーーっ!?」

上条「……何やってんの?鬼ごっこ?」

麦野「冗談よ。お義父さんとお義母さんは?」

上条「ん、二人とも号泣しながら帰ってったよ」

麦野「……そっか」

上条「俺、麦野の実家まで行こうか?」

麦野「んー……電話で話してみて大丈夫そうだったら、まぁ?」

上条「焦らなくて良いと思う。何年も会ってないんだったら、その分だけ時間がかかってもおかしくないだろうし」

麦野「ダメ、だったらさ」

麦野「慰めて、くれるんでしょ?」

上条「当然」

麦野「だったらまぁ、頑張ってみよっかな」

――???

麦野「『あ、もしもし私――うん、沈利』」

麦野「『母さん、よね?――うん、元気だった?』

麦野「『そうじゃないわよっ!こう見えても第四位――知ってる、の?学外には情報は出てない筈だけど』」

麦野「『来て、たの?学園都市までっ!?』」

麦野「『……』」

麦野「『……学校には、能力開発ばかりで行ってないから、うん』」

麦野「『……』」

麦野「『思ってないわよっ!そんな事っ!思う訳が――』」

麦野「『……ごめん、アタシ思ってた』」

麦野「『ずっと、パパとママに捨てられたんだ、って』」

麦野「『覚えてる?お誕生日に貰った――うん、クマのあの子』」

麦野「『ずっと二人だけでやって来たんだよ』」

麦野「『……でも、さ。最近好きな人が出来て、ね』」

麦野「『その人から助けて貰って――うん、大事な、人よ』」

麦野「『とても幸せにして貰って、この間も向こうのご両親にご挨拶してさ』」

麦野「『その人がやってるの見て、アタシも言わなくちゃいけないって』」

麦野「『アタシを生んでくれて、ありがとう』」

麦野「『アタシを愛してくれてありがとう』」

麦野「『アタシっ、パパとママの娘に、生まれてっ、本当に良かった……!』」

麦野「『ううんっ!アタシが悪いのよっ!子供で、バカだったから!』」

麦野「『……』」

麦野「『でも、でもね。そんな事をしてきたから、今は胸を張って言えるわ』」

麦野「『――アタシ今、幸せだって』」

麦野「『……うん。近い内に――』」

麦野「『今週っ!?幾ら何でも――』」

麦野「『わかった、けど』」

麦野「『多分パパに殴られると思うけど』」

麦野「『……』」

麦野「『そうよ。意外と驚かない、のね?』」

麦野「『……』」

麦野「『ママも同じだったのっ!?』」

麦野「『あー……今から考えると年の差もアレだよね』」

麦野「『向こうのご両親も……うん、了解は得ているから』」

麦野「『一度顔合わせ……あー、まぁ、必要だけども!』」

麦野「『……日取りは向こうも……うん、電話しておくわね』」

麦野「『はい。じゃまた。ね――』」

――第23学区 学園都市内空港 12時

上条「……どうしよう、何か緊張しすぎで倒れそう」

麦野「がんばれー、私の旦那さまー」

上条「メッチャ余裕ですね、麦野さん」

麦野「そりゃもう頑張るのは私じゃないですし」

麦野「ほらほら、根性見せろよ『幻想殺し』」

上条「能力ネタを振られても、テンパり過ぎて碌に返せないっ!」

麦野「……ま、気にしなくても良いと思うけど。私の親なんだし」

上条「だってお前の親父さん怖そうだしっ!」

麦野「怖いわよー、とっても。撃たれるかも知れないわね」

上条「無意味に怖がらせるの止めてくれないかなっ!?あと物理的な暴力は俺の専門じゃないっ!」

麦野「ダメよ。反対されたら命に関わるでしょ?」

上条「命の危険性まであるのかよっ」

麦野「私がキレない理由はないわね」

上条「命危ないのってお前の両親の方なのっ!?」

麦野「お義父さんにも早速手を上げたしね」

上条「……いやまぁ、助かったけどあそこで腹パンってどうなのさ?今更だけども」

麦野「脊髄反射で殺さなかった分、誉めてくれても良いと思うけど」

上条「それもちょっと直そうぜ?お前は俺を大事にし過ぎるっ!」

麦野「あー来たわね。あれ」

上条「うっわー……似てない上にものっそいヤクザ的な感じじゃないですかー」

麦野「良し行けっ!男を見せろっ!」

上条「お、おうっ!任せろっ!」

男「……」

上条「すいませんっ!」

男「……はい?」

上条「麦野さん、娘さんを俺に下さいっ!」

男「はぁっ?」

上条「俺は確かに未熟者者だって分かってます!でも、沈利さんを愛してしているんですっ!」

上条「その気持ちなら誰にだって負けませんっ!一生幸せにしますからっ!」

男「えっと……頭を、上げてくれませんか?」

上条「じゃあ、麦野さんっ!認めてくれるんですねっ!」

男「あ、いえ、私は麦野じゃありません。人違いです」

上条「」

麦野 ピッ、ピロリロリーン

麦野「ムービー保存、っと」

上条「何やってんのおおおっ!?つーか何させてんだよおおおっ!?」

おいおい皆。
気持ちはまぁ分るが、>>1が頑張って書いてくれたんだから、感想の一つでも言ってあげた方が>>1も喜ぶと思うぞ。



エロシーンも書いてくれるなんて感激だわ。大変だと思うけど他のも頑張ってくれ。次のも読まさせていただきますん。

テスト



>>1ですが、投下してたら急にアクセス出来なくなりました。続き行きます

麦野「あーごめんごめん。暫く会ってないから、間違えちゃったみたいね」

上条「今、思いっきりムービー撮ってたよね?明らかに計画的犯行だよなっ!?」

麦野「あー、ごめんごめん。肩に力入ってるから、つい、ね?」

上条「いーやっ今日は怒ったよ。流石の俺も限度ってものが――」

麦野「(大家さんプレイ一回)」 ボソッ

上条「昔の事に拘るのは良くないよねっ!うんっ」

麦野「って言うか、あなたも悪いのよ?私を置いて一人で行くんだから」

上条「ケジメをつけるのは大切だろ?」

麦野「否定はしないけど、二人でやれば良いんじゃない?それだけの話」

上条「まぁ……そうだけど」

麦野「あの日、あなたが私を救ってくれてから、私はずっとあなたのモノだから」

麦野「捨てたりしたら、許さないからね?」

上条「……うん。手放すつもりはないよ」

麦野「その、さ。ありがとう、色々と」

上条「沈利?」

麦野「もしどこで一つ歯車が違っていたら、こうはならなかったわね」

麦野「誰かの都合で不幸せになったり、バカの引き立て役で死にそうになったり。そんな未来もあったかも知れない」

上条は「それは……仮定の話だろう。少なくとも俺達はこうやって出会って、今一緒に居るんだから」

麦野「うん。そう、よね」

上条「悪い夢を見たのならば、早く目が覚めるように祈ればいい」

上条「こっちには俺だけじゃない。絹旗、フレンダ、滝壺……みんな、沈利の味方だよ」

麦野「でもっ、でももしこれが夢でっ、目が覚めたらベッドに一人だったら、アタシっ!」

上条「『胡蝶の夢』だっけ?俺達が現実だと思っている事は現実じゃない、って」

上条「でもあれは、どっちであっても変わらないと思うんだよ」

麦野「どういう意味?」

上条「蝶々だったとしても、上条当麻だったとしてもやる事は変わらないよ」

上条「自分の役割を、自分に出来る事をする。どっちの世界であろうとも、な」

上条「悪い夢の中だろうが、良い夢に変えればいい。現状を嘆いて自分探しをするより、そっちの方がずっとマシだろ」

麦野「……かも、知れないわね」

上条「納得は出来ない?」

麦野「ま、やるだけやってみるわ。黙って見てるのも性分じゃないしね」

上条「沈利らしいけどさ」

麦野「――あ、来たみたい」

上条「あの二人?」

麦野「うん、絶対ね。絶対にあの二人よ、絶対だからねっ!」

上条「悪いフラグ立てるの止めろよおっ!?空港で一日三土下座はしたくねぇんだからなっ!」

麦野「いやいや、似ているでしょ私と」

上条「あー、確かに似てるなぁ。よっし!」

麦野「行きましょうか、これからは二人で――ずっと、ね」

――『麦野アフター』 -終-

お疲れ様で御座います。>>1ではありません代理です
唐突ですがアンケートを取りたいと思いますので、宜しければ是非ご協力下さい。期限は本日より大体二週間程度とさせて頂きますのでご了承下さいませ

Q.アフターどっちが良かった?
1.普通のアフターの方がいい(エロいと引くし)
2.“ある意味”アフターでいい(実質ラヴコメだし、そもそも引く程エロくはないし)
3.つーか田中と上司って別人なんだから、両方書けばいいんじゃね?(や、やろめよっ!負担がハンパないんだから絶対にやめろよっ!絶対だからなっ!)
4.その他(1を指示するけど滝壺さんは浜面さんのだからヤメテあげて、とか)

あくまでも参考にするのであり、人数が多ければ確定という訳ではありませんので――と、以前書いた割にアフター全部が既成事実化してしまいましたが、まぁ気軽にお書き込み頂ければ

ともあれ本日は以上です。回り車(ハムスターホイール)から滑落して腸捻転になった>>1に代わりまして、上司(ゴールデン)がお届け致しました
ではまたこのスレでお会い出来れば幸いです

※注意!
以下の内容には若干の性表現がありますので、18歳未満の閲覧は禁止とさせて頂きます
また同描写があるのは例外なく全員18歳以上である事も付記致します
地の文書いてないからエッチぃくはないですが、まぁそれっぽい雰囲気が伝われば幸いです

>>655
ごめん誤爆りました。無視してください。本日の投下は以上です

乙ー!!
自分としては2ですな。

3だ 残りのフレンダ(フレメア)絹旗 滝壺 全員3
別人なんだろ?

やっぱ訂正。時間がちょっと余ったんで、お蔵入りにした>>555の続きを投下します
>>657-658
エロ書くのって昔エ○ゲの外注貰って以来だから、自信ないんですよね

――もっとやれ一回目

上条「……」

上条「あ、あれ?」

円周「どうしたの、当麻お兄ちゃん?」 ガンガンガンゴンガンガンッ(出入り口の鍵を壊して中から板を打ち付ける)

上条「夢、なんだよな、これ。だからこう、ぎゃーってすれば、場面切り替わるって話なんだよ……ね?」

円周「やだなぁ当麻お兄ちゃん、だってこれ『上条「今日から木原一族になった上条です!」』なんでしょ?」

上条「極めて不本意ではあるが、多分」

円周「だったら当麻お兄ちゃんが『木原』になるまでは終わらないんじゃないかな?」

上条「助けてー!?人体改造は嫌だああぁっ!?」

円周「うん、うん、病理おばさん!流石にその道のプロだよね!」

上条「この娘空気さんと会話しやがってるし!」

円周「『上条』から『木原』にするためには、婿養子が一番だよね?」

上条「ま、待てっ!?見せつけるように伝染しまくったタイツを脱ぐなっ!?」

円周「ううん、乱数おじさん。世の中にはそう言うのでしか欲情しない人も居るんだって!」

上条「俺は違うって!つーか解放してっ!?」

――もっとやれ二回目

上条「……」

上条「終わんねぇよ!なんで終わらねぇんだよっ!?」

円周「はーい、当麻お兄ちゃーん、あーんしてー?」

上条「ち、近いっ!顔近――んぐっ!?」

円周「ちゅっ……あむ、ちゅ、ちゅうっっ、ふぷっ、んぐ――」

上条(舌っ!?舌入って来て――甘っ)

上条「むーーっ、むぐーーーっ、んんんんんんんっ!?」

円周「じゅっ、じゅっ、んぷ、ぱぁ、んっんっんっ、ちゅっ」

円周「――ぷはぁっ。ね?私達キスしちゃったね?」 テレテレ

円周「私、初めてだったんだよ?当麻お兄ちゃんもそうだといいなっ」

上条「そんないい話じゃないよ!?ってか最初からフルスロットルだよ!ぶっちゃけコレルール無用の逆レイ×だよな!?」

円周「でもこれ他の『木原』だったらこうするって事だから、私悪くないんじゃないかな?」

上条「待って!?普通はここまでしないんじゃないのっ!?放送出来ないしっ!?」

円周「あ、当麻お兄ちゃん、口の端ヨダレついてる。れろっ」

上条「って言いながらパンツ脱がすのやめっ、止めろおおっ!?」

――もっとやれ三回目

上条「……」

上条「ってまだかっ!?まだお前らは俺を痛めつけたいのかっ!?」

円周「うん、うん、そうだよね、青ピお兄ちゃん!『木原』ならこうするよね!」

上条「それお前の身内じゃねぇぞ!?壊れっぷりは同じレベルだけど!密かに伏線じゃねぇかって疑ってるけども!」

円周「あ、でもほら、下条さんがこんにちはしてるよー?」

上条「その子は節操がないからねっ!ホントにごめんなさいよっ!」

円周「あ……」 ジーッ

円周「えーと、そのね?」

上条「やめてお願いだから助けてっ!?右手なら切り落としていいからっ!?」

円周「やだ、下にも『幻想殺し』……」

上条「どういう意味だよ!?幻想じゃないよっ!?実物だからねっ!」

円周「うん、うん、わかったよ。『木原』ならこうするんだよねっ!」

上条「ふざけんなお前っ!つーかお前それは玩具じゃな――」

円周「――ちゅっ」

上条「」

円周「ちゅっ、ぢゅっ、んーんっ、はふっ、ちゅちゅっ、あぁむ、れろっ」

円周「また大きくなった。当麻お兄ちゃん、私でも感じてくれてるんだよね?」

上条「」

円周「やめよっか?やめてもいーんだよっ?私、当麻お兄ちゃんに嫌われたくないし」

円周「こんなとき、『木原』ならどうするんだっけ?」

――もっとやれ四回目

円周「うん、うん、わかったよ!『木原』なら続けるんだよねっ」

円周「んーちゅっ」

円周「れろ、んっ、くぷっ、ちゅぷっ、くぷっ、じゅっ、じゅ」

円周「ぁんっ、れろっ、んっんっんっ、はふ、んぷっんくっ、じゅっ」

円周「ぢゅるっ、ちゅぷっ、くぷっ、じゅるるるっ、あん、ぱぁ、じゅぅぅぅぅっ」

円周「――んんーっ、ぷはぁっ。あー、口疲れた」

上条「……えっと、その、止めないか?」

円周「当麻お兄ちゃん、気持ちよくなかった?ぺろぺろもっとした方が良いのかな?」

円周 チラッ

円周「なんか、さっきより大きくな――」

上条「熱膨張じゃないかなっ!?ほらっ、この部屋暖かいからねっ!?」

円周「うーん、そだね?暑いよね?」

上条「う、うんだから――」

円周「はい、脱ぎ脱ぎしましょーね?」

上条「お前ほんっとにいい加減にしやがれよっ!?」

――もっとやれ五回目。『円周』ルート確定

上条「」

上条「え?嘘だろ、マジで?最後まで行くの?」

上条「マズいマズいマズイっ!?非存在少年なんちゃらで捕まるしっ!?」

円周「え、何言ってるの当麻お兄ちゃん。私はお兄ちゃんの指を執拗にぺろぺろしてただけだよ?」

円周「エッチだと思う方がエッチなんじゃないかなぁ」

上条「良い事言ったっ!今君は大変良い事を言いましたっ!」

上条「このSSには性的な表現なんか一切含まれてなんか無いんだからねっ!」

円周「うん、うん、そうだね!こんなとき『木原』ならこう言うんだよねっ」

上条「嫌な予感しかねぇなぁその前フリっ!」

円周「今日、大丈夫な日だから」

上条「信頼の欠片も無ぇし――って!?」

円周「くっ!?――う、ううっ!?」

上条「お、おいお前っ」

円周「つっーーくぅっ!?……っっっったぁ!」

上条「……お前、泣いて?」

円周「痛いけど、私――じゃなかった、『木原』ならこんなとき、言うんだよね」

円周「『木原』ならしおらしい事言って、相手を、騙せ、って」

円周「『木原』なら、そうするって……」

上条「……えっと、お前。名前、なんだっけ」

円周「円周、円と周囲って漢字、だよっ」

上条「円周、なんでこんな事、したんだ?」

円周「『木原』だからっ!私はそれ以外の生き方なんて知らないっ!」

円周「だからっ、『木原』だからっ!『木原』ならっ!『木原』であればっ――」

上条「……俺は、お前の生き方は肯定出来ない」

円周「んっ!?……うん『当麻お兄ちゃん』なら、そう言うよね」

上条「だから――『木原』なんて捨てちまえっ!」

円周「無理だよっ!私、私にはこれしかな――」

上条「お前は今日から『上条』になればいい」

円周「……あ」

上条「つーか女の子はどっちにしろ、一回名字は変わるもんだ。なら『上条円周』でいいじゃねぇか!」

円周「……」

上条「俺と一緒に、行こう……?」

円周「……うん」

上条「じゃ、これを解いて――って、くっ!?」

円周「……ううん、これは、おれい、だから、ったぁ!?」

上条「オイ馬鹿止めろっ!」

円周「ううんっ、初めてだからっ、お兄ちゃんにっ、上げたいっ、のっ」

円周「お兄ちゃんっ、大好きっ、すきっ、すきっ、すきっ、すきっ、すきっ」

上条「円周っ、ごめん!俺、そろそろっ!」

円周「ぅんっ、私もっ、私もっ!」

上条・円周「くううううぅっ!?」

……

上条「あー……こっちのドア壊れてんなぁ」

円周「当麻お兄ちゃん、このドアなんだったの?」

上条「いや、俺も良く分からないけどさ。まぁ帰ろうか?」

上条(『上条「今日から木原一族になった上条です!」』……この娘だけだったら、まぁアリっちゃアリかもな?)

円周「うんっ、あ、でももう一つだけ嘘吐いてたんだ、ごめんねっ?」

上条「いや逆レイ×よりもキッツイ事は早々無いけども。嘘って何?」

円周「今日、全然大丈夫な日じゃない、って事だよっ」

上条「」

円周「うん、うん。こんなとき『上条』ならこう言うんだよねっ!」

上条・円周「不幸、だあああああああああああああぁぁぁぁぁっ!?」

円周「あ、でも不妊で悩んでいるカップルも少なくないんだから、むしろぶち当たるのは幸運じゃないかな?」

上条「ウルセェよっ!その壊れたポジティブシンキングがウルセェっ!」

円周「やったねお兄ちゃん!『上条』が増えるよ!」

上条「その元ネタは最低の漫画だからなっ!?」


※以上、本日の投下は本当に最後となります。お付き合い頂き有り難う御座いました


あ、ちなみにオリ主もアリはアリたど思いますよ?でも『私の筆力で面白くさせる自信は無い』だけです
商業作品じゃあるまいし、また人様の二次創作なんですから『楽しくやろうぜ!』ってのが私の意見です
気に入らないスレならそっと閉じる、もしも見つからないのなら自分で書く、それが全てかと

あと、>>644さんは良い事言ってます。書き手としては良かれ悪しかれテンション上がりますから

3に一票!


オリ主×原作キャラ見かけたら徹底的に荒らすって決めてるから気をつけるんだなキチガイww



――『アイテム』インターミッション ~バレンタインの出来事~
※エンディング0の後のお話
ご意見応募中の繋ぎで書いたのでアフターではありません


>>684
そういう不毛なのイクナイです
立ち位置的には私も荒らしさんも同じで、

1.あれ『アイテム』の女の子達、可哀想だお (´・ω・`)
2.でも原作だと幸せになれないお、特に麦野とフレンダ (´・ω・`)
3.だったらSSで幸せにすればいいんじゃね (`・ω・´)

と言う実に頭悪いコンボで出来たシロモノです
だもんで原作並びに並み居るSSが気に入らないというのであれば、煽り無しでSS書かれるのが宜しいかと存じます
私のような凡夫愚犀の駄文ですら喜んで下さる方も居ますし、取り敢えず始めなければどんな評価も頂けないかと
酷評されてもそれを直して修正すればいいだけですし、誉められたら励みにするだけの話

――いつもの喫茶店 2月12日

絹旗「――それで、お二人はバレンタイン超どうするつもりですか?」

麦野「え?何よ突然」

滝壺 コクコク

絹旗「いえ上条に超なんかあげるのかなー、と」

麦野「い、いや超がつくようなモノはあげないけど。普通の物は、ねぇ滝壺?」

滝壺「うん、お世話になってるから……」

絹旗「です、よねー?超良かったー」

麦野「あんたも用意したの?」

絹旗「用意はまだですが、一応超送ろうかと。あ、勿論超義理チョコですよ?」

麦野「その言い方だと嫌々あげてるように聞こえるわね」

絹旗「イヤ、ではないんですが、超照れません?」

滝壺「わかる」

麦野「あー、確かにね。今更感があるって言うか」

絹旗「何かこう、距離感的に超詰めていいものかどうか、って感じもしますし」

麦野「まぁ、ね」

滝壺「だったら、みんなで贈る……?」

絹旗「成程、チョコじゃなくても構いませんしね」

麦野「悪くないけど。他に何にするのか、って話よね」

フレンダ「おっはろーーーっ!どったの?」

絹旗「あれ、一人ですか?」

フレンダ「あーうん、なんか第一位と遊びに行くって話してた訳」

麦野「まぁ好都合、かしらね?」

フレンダ「何の話何の話?」

絹旗「バレンタインの話ですね。フレンダは超どうするつもりだったんですか?」

フレンダ「あたし?そりゃフレメアとみんなにプレゼントしようと思ってる訳」

麦野「私達にも?」

滝壺「そういえば、去年ももらった……」

フレンダ「みんなからは一ヶ月経ってから返して貰ったけど、アレってなんか意味があったの?」

麦野「あー……フレンダ、日本のバレンタインを知らな――」

絹旗「でっすね!超その通りですよ!」

滝壺「あ、またなんか……」

麦野「(おいこらアンタ変な事考えてるでしょ)」

絹旗「(超人聞き悪い事言わないで下さい。わたしはただフレンダの自主性を尊重したいだけです)」

滝壺「(そのこころは……?)」

絹旗「(ぶっちゃけライバル超一人減ります)」

麦野「(そうよねっ!フレンダの国の文化も尊重してあげなくちゃねっ!)」

滝壺「(文化は、大事……うん)」

フレンダ「あのー……流石にあたしも目の前で内緒話されると、気になるって訳なんですけど?」

絹旗「あー、はい。フレンダはそのままで超良いと思いますよ。家族と仲間を大切にするって、素敵な事じゃないですかっ」

フレンダ「そ、そうかな?そんなに大したもんじゃないけどっ」

麦野「良いと思うわよ。フレンダらしくてさ」

フレンダ「ちょっ、やめてよっ麦野まで!あたし別に勝手にやってるんであってさ」

滝壺「ふれんだ、わたしたち、親友」

フレンダ「滝壺まで……っ!」

麦野「――と、言う訳で色々ありましたがっ!」

麦野「今回はガチンコで行きましょう?正々堂々と」

絹旗「ですね。わたしも超本気を出す日がついに来ました!」

滝壺「νガンダ○は伊達じゃない、うん……!」

フレンダ「あ、あれ?どうしてあたしageだったのに、殺気立っているの?」

麦野「と言う訳で今日は解散にしましょう?あぁ、明日は忙しくなるでしょうから、緊急でもない限り集まりはナシって事で」

絹旗「でっすねー。色々と超準備しないとですしねー」

滝壺 コクコクッ

フレンダ「い、良いけどさ。みんなどうして超気合い入っている訳?」

絹旗「フレンダ」 ポン

フレンダ「な、なに?」

絹旗「時には、仲間だって超譲れない事もある。そう思いませんか?」

フレンダ「そりゃまぁないとは言わないけど」

麦野「よし、言質取ったわね!じゃ、解散っ」

フレンダ「いいけど……んー……?微妙にバフられている感が……んー?」

――十分後

上条「おつかれー」

フレンダ「あれ、第一位と一緒じゃなかった訳?」

上条「打ち止めの服買いに行きたいから、付き合って欲しいって話だったんだけど」

フレンダ「あー、三人じゃ厳しいわよねー」

フレンダ「って言うかあんたら二人を連れて歩く、あの子の方が罰ゲームだからね?」

上条「構わないだろっ!……あ、いや厳しいか?」

フレンダ「兄妹にしちゃ雰囲気がアレだし、第一位は目立つって訳よね。特にあのっ美白が!!!」

上条「フレンダも白い方だとは思うけど。んで他のみんなは?」

フレンダ「んー?良く分からない訳、何か用事あるみたいだけど」

フレンダ「明日も何か緊急のお仕事以外はお休みだって」

上条「そっか……んじゃ頼めないよな。休みになったのは丁度良いけど」

上条「フレンダも忙しいのか?メシ奢ってくれるってから、付き合ってくれないかなー、なんて」

フレンダ「良いって訳よ。あ、でもいつ?今からとか?」

上条「出来れば明日が良いってさ」

フレンダ「あー、んじゃフレメアも呼んでいいかな?確か同じぐらいよね」

上条「ちょい待ち――『――あーうん、俺俺』」

フレンダ「『あいしてる、あっくん』」

上条「『言わねぇよっ!?……ごめんごめん!違うって!』」

フレンダ「そこだけ聞いてると恋人に言い訳してる絵に見える訳ー」

上条「『あー、ちょっと待ってな』――何時ぐらいが良いかな?」

フレンダ「九時半集合お昼までショッピング。後は遊園地でも行かない?」

上条「『――って言ってるんだけど。あ、うん。了解。んじゃまた明日なー』」

フレンダ「おっけ?」

上条「うん、オッケー。でも悪いな」

フレンダ「いーのいーの。元々明日はフレメアと遊ぶ約束してたって訳」

フレンダ「結局ご飯と遊園地ぐらいは奢ってくるんでしょ?」

上条「……まぁ、あいつ金持ちだし良いんじゃないかな?」

フレンダ「よっしっ!……あーでも服も買いたいし、どうしよっかなー」

上条「流石にそこまでタカるのは自制しとけ」

フレンダ「えー?……あ、嫉妬してるって訳?このこのーっ!」

上条「『もしもし、うん、服も買って欲しいって――フザケンナ?あーうんごめんごめん』」

フレンダ「即座に連絡取るぐらい肯定するのイヤかっ!?」

――翌日の駅前 2月13日

フレメア「にゃあ!」

打ち止め「おこちゃまめっ!」

フレメア・打ち止め「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬっ!」

一方通行「……なンでこいつらケンカ腰になってンだ?」

上条「さぁ?」

フレンダ「見てないで止めなさいよっ!つーかどっちも変わらないし」

打ち止め「ミサカは一人で寝れるもん!ってミサカはミサカは自慢してみる!」

一方通行「お前昨日芳川ンとこ潜り込んでたじゃねェか」

フレメア「はっはーっ!大体私は一人で眠れるしっ!」

フレンダ「あんたもあたしが泊まりに行くと一緒に寝る訳よね」

フレメア・打ち止め「勝負だっ!」

上条「あー、はいはい。お洋服買ってからにしましょうねー。あ、親御さん達、手ぇ離さないで下さいな」

一方通行「……俺も?キャラじゃねェンだよ」

フレンダ「ちゃんと見張っとかないと、フラグ立てられるわよ?」

一方通行「お前もう帰ればァ?」

上条「酷すぎるなっ!?つーか冤罪にも程があるだろうが!」

一方通行「――って被告は言ってンだが」

フレンダ「ねぇフレメア、上条の事どう思う?」

フレメア「おっきくなったら結婚するのだ!」

一方通行「……お前金やるから帰れよ、なっ?」 グイグイッ

上条「サイフ押しつけようとするなよっ!厚みが半端無くて誘惑に負けそうだしっ!」

フレンダ「まぁどうしようも無いから、うん。それより移動しながら話しましょ」

一方通行「つーかよォ、順番おかしくねェか?普通は遊びに行ってから買いモンじゃねェのかよ」

フレンダ「あ、んじゃそうする?」

上条「適当だなぁ」

フレンダ「いやぁこの子らの性格だと、遊び先に持ってきたら全力出すのが見えてんじゃない?」

フレンダ「結局疲れてへろへろになってー、ってオチが分かってる訳だし」

一方通行「よし。買いモンが先だなァ。コインロッカーにぶち込ンどきゃいいし」

上条「おーし頑張ってくれ」 ポン

フレンダ「え、あたし?」

一方通行「俺らがついて行けると思うか?あァ?」

フレンダ「あー……うん、わかったけど」

一方通行「取り敢えず二週間ぐらいローテーション組めるようなン頼ンだぜ」

上条「山ごもりでもすんの?」

一方通行「……色々あンだよ、こっちにも」

フレンダ「まぁ深くは突っ込まない訳だけど」

打ち止め「んーとねっ、黄泉川がねっ『レディは紐パンをつけてこそ大人じゃん?』って――イタイイタイイタイっ!?」 グリグリッ

一方通行「だァかァらァっ!アイツの言葉を真に受けンじゃねェつってンだろ!」

上条「大変ですねー、情操教育。つか黄泉川先生プライベートじゃいい加減なんか」

一方通行「中身はオッサンでしたっつっても驚かねェよ」

フレンダ「おっけー!紐は駄目だけど、透けは良いって訳――イタイイタイイタイっ!?」 グリグリグリッ

上条「余所様の子に妙な知識を植え付けるなっ!」

一方通行「……なァ、こいつ大丈夫?つかお前ンとこ、他にも居たよなァ?」

フレンダ「ヒドっ!?」

上条「他は忙しかったんだよっ!」

フレンダ「こっちも消去法って訳なの!?」

フレメア「お姉ちゃん、ふぁいっ!にゃあ」

打ち止め「うんうん、人生諦めが大切だってミサカはミサカは空気を読んでみたり!」

フレンダ「……ネタに乗っかっただけで全攻撃ってのは、何か納得いかない訳だけど」

上条「いやぁ、フレンダだし?」

フレンダ「あたしの名前で落とすのやめてって!?」

――テーマパーク内アウトレット……の、少し離れた所 11時

上条「コーヒーで良かったんだよな?」

一方通行「おォサンキュ――『炭酸コーヒー』?」

上条「新製品だって!」

一方通行「いやァ、ンなキラッキラした目で見られてもなァ?飲むけどよォ」 カチッ

上条「……あ、意外にイケる」

一方通行「悪かねェが、コーヒー飲んでる気がしねェンだな。てかお前今意外つったよなァ?」

上条「最近どう?」

一方通行「……お前はオレのかーちゃンですかァ?つーかこないだ一緒に仕事したろォがよ」

上条「いやー、なんか心配でさ」

一方通行「心配、つーか、まァ、あのガキの事でな」

上条「俺で何とか出来るんだったら、手伝うけど?」

一方通行「あァいやそンなンじゃねェよ。学校、どうすっかってなァ」

上条「あー……」

一方通行「シスターズの方は学園関連施設に割り振られたンだが、全員戸籍は無ェ訳だ」

一方通行「無理にねじ込むのも出来るっちゃ出来るが、どうしたもンかな、ってな」

上条「打ち止めはどう思ってるんだ?」

一方通行「話してねェ。でも、なァ」

上条「『行かなくても平気』?」

一方通行「――ってェ言うのは分かってるしなァ」

一方通行「勉強なんざ、そもそもネットワークがありゃ必要無ェだろうし、俺が教えた方が早いっちゃ早い」

一方通行「……でもまァ、今日連れてきたチビみたいなのとは、なァ?」

上条「うーん……だったらさ」

一方通行「あァ?」

上条「プライベートをもう少し広げる、ってのはどうだ?」

一方通行「あのチビとか?」

上条「とか、だな。ウチの面子も何だかんだで打ち止めの事気にして居るみたいだし。遊び相手が増えるだけでも違うと思うんだよ」

一方通行「有り難ェ話だが、よォ」

上条「学園にケンカ売ってるのは俺らも同じだし?今更危険が一つ二つ増えたってなぁ」

一方通行「んー……考えとくわ」

一方通行「……つーかさ、オマエラ付き合ってンの?」

上条「誰と?」

一方通行「アイツらの引率者」

上条「フレンダと俺が?ないない」

一方通行「そォかァ?」

上条「それっぽく見える?」

一方通行「いやァ、どうだろうなァ?」

上条「じゃあ何で言った!?」

一方通行「近けェな、ってな」

上条「距離が?」

一方通行「あァ。俺の印象だが、違うってンならそうなンだろォよ」

上条「うーん……言われてみれば、そうかも?」

一方通行「やったらお前にバシバシ触ってくるし」

上条「それも、心当たりある」

一方通行「どうすンだよ?」

上条「いやっ、考えた事すらないって。仕事仲間だぜ?」

一方通行「関係無ェだろ」

上条「お前だって結標にコクられたらどうする?」

一方通行「吐くな」

上条「……いや、その反応もおかしい」

一方通行「まァ、覚悟はしといた方がいいンじゃねェか?」

上条「何で分かるんだよ」

一方通行「明日は何の日ですかァ?」

上条「……ば、バレンタイン?」

一方通行「何でちょっとモジモジしてンの?死ぬの?」

上条「い、いや急だったしさ!」

一方通行「精々感謝しやがれ。不意打ち食らうよりかはマシだろォが」

上条「でも、そっちはどうなんだよ」

一方通行「俺より強くねェとなァ」

上条「……お、俺?」

一方通行「よっしまずァは右手からぶっこ抜こうか、最強サンよオォォッ!」

上条「冗談に決まってんだろうが!――そういや最近垣根見ないんだけど、どっか行ったのか?」

一方通行「いやァ……?言われて見りゃ、どこ行きやがったンだあのバカ」

上条「白いカブトムシ見ると、なーんか思いだしてさ。あいつの羽根との色と同じだし」

一方通行「カブトムシだァ?今2月だぞ?」

上条「あ、見てない?今度検索してみ、学園内のニュースサイトにも載ってっから」

一方通行「ふーン……」

打ち止め「おっわったーーーーーーーーーっ!ってミサカはミサカは背後から抱きついてみるっ!」

フレンダ「にゃあ!お子様めっ、レディは人前で恥ずかしい事はしないのだよ!」

打ち止め「大人だもん!ってホラホラ、ミサカはミサカは今買ったブラを見せびらかしてみるの!」

一方通行「あーうン、せくしーせくしー。最ッ高ですよ、ミサカさーん」

打ち止め「棒読み!?」

フレメア「女の子には恥じらいがないとオトコは落とせないのだ!」

打ち止め「さ、流石は我がライバルっ!」

フレメア「ふははははははーっ!思い知ったか、なのだっ!」

上条・一方通行「……」

一方通行「なァ、必要か?友達」

上条「まぁ……本人達は喜んでるし、良いんじゃないかなって」

フレンダ「よっく無い訳よっ!もう大っっっっっ変だったんだからねっ!」

一方通行「あーお疲れっしたァ」

上条「良しメシ食いに行こうぜ。二人は何が食べたい?」

フレメア「タイヤキ!」

打ち止め「クレープ!」

上条「どっちも主食じゃねぇだろっ!?」

フレンダ「……ね?二人で代わる代わるボケて大喜利みたいになってるから、ツッコミがあたし一人じゃ拾いきれないのよっ」

一方通行「あー、まァメシ奢るし。それでな?」

フレンダ「……もうあたし内村プロデュー○のウッチャ○になったかと」

打ち止め「そこでミサカはこう言ってやったのさ、ってミサカはミサカはボケを繋げてみるっ」

フレメア「うーーーいっはるーーーっ!愛ーしてーるぞーーーーーーっ!にゃあ!」

上条「駄目だ!ここにまで頭残念な子の浸食が始まっているっ!?」

――テーマパーク内 16時

フレメア「にゃあ、次は観覧車で勝負だ!」

打ち止め「受けて立つぞーーーっ!ってミサカはミサカは横目で保護者の許可を求めてみる!」

一方通行「……最後だからなァ?今度こそ」

上条「あ、俺行ってくるよ。つーかフラフラしてんじゃん」

一方通行「いや、最後ぐらいは面倒見させろ。つーかあっちの方が大変そうだなァ」 チラッ

フレンダ「つ、疲れたー……」 グデン

上条「あー、まぁなぁ」

一方通行「(なァ?)」

上条「何だよ小声で」

一方通行「(頑張れよ?)」

上条「ウルセぇよっ!さっさと行ってこい!」

フレンダ「んー、どったのー?」

上条「あぁいやなんでもない、ベンチ座ろうぜ?」

フレンダ「ういー」

上条「ジュース買ってくるけど――」

フレンダ「炭酸よろー」

上条「おー」

上条(無い、よな?いつものフレンダだもんな)

……

フレンダ「……にしてもフレメアも随分楽しそうにした訳」

上条「二人で来るよりもはしゃいでる?」

フレンダ「全っ然!倍できかないぐらい」

上条「そりゃ凄いな」

フレンダ「まぁ結局友達と家族は違うんでしょうけど、何かちょっと、悔しいような?」

上条「そんなもんか」

フレンダ「んー、保護者としては一番でありたかったけど、ね」

上条「……」

フレンダ「どったの?なんか顔についてる訳?」

上条「あぁいや別に?全然全然?」

フレンダ「挙動不審だけど……まぁいっか」

上条「でも本当に今日はありがとうな?一方通行も感謝する、みたいな事は言ってた」

フレンダ「あ、いいって訳よね。あたしも前からフレメアと約束してた訳だし」

フレンダ「出来れば明日の方が良かったんだけど、あの子はクラスで行事があるらしくってね。だから一日前倒し」

フレンダ「クリスマスとバレンタインぐらいは家族で集まって、ってはちょっと思うけどねー」

上条「……そっか」

フレンダ「――でっ!じゃーんっ!こっれなーんだっ!」

上条「包み紙……もしかして!」

上条(え、マジなの?マジで告白される流れなの?)

フレンダ「日頃からお世話になってる上条にもプレゼントっ!一日早いって訳だけども!」

上条「俺、で良いのかな?」

フレンダ「なぁに言ってる訳よっ!あんたもあたしのファミリーみたいなもんでしょうが!」

上条「か、家族っ!?義理とかじゃないのかっ!?」

フレンダ「義理?やっだもう義理であげたりしないって訳!」

フレンダ(あれ?日本のバレンタインって、『家族や友達へプレゼントする日』じゃないの?)

フレンダ(去年も一ヶ月経ってからお返しが来たような……?)

フレンダ(あ、でも他のみんなも今年は気合い入ってたから、合ってる、訳よね?)

フレンダ「ね?ハンカチ、あんたいっつも血塗れになってるから拭いとけ、的な意味でねっ」

上条「……ありがとう、フレンダ。俺、すっげー嬉しいよ」

フレンダ(あ、あれ?『余計なお世話だっ!』的なツッコミが来る筈よね?外した?)

上条「その、さ。うん、俺も前から良いな、っては思ってたんだけど――」

上条「――俺も、好きだ」

フレンダ「」

上条「付き合って、くれないか?」

フレンダ「」

上条「ふ、フレンダ?」

フレンダ「え、いっいやっどうしてこんな超展開にっ!?」

フレメア「にゃあ、お姉ちゃんに先を越されちゃったのだ」

フレンダ「フレメアっ!?」

打ち止め「おめでとー今どんな気分ですか、ってミサカはミサカはインタビューを試みてみるっ!」

上条「うん、ビックリしたけど嬉しかった」

一方通行「まァなンだ、良かったじゃねェか」

上条「ありがとうな」

フレンダ(いやあたしまだ返事してないんだけどもっ!)

フレンダ(でもイヤって言う訳じゃないし!むしろバッチコイ的な、ね?うん!)

フレンダ(と、取り敢えず落ち着けあたし!落ち着いて考えるのよ!ドッキリかも知れないし!)

上条「あ、フレンダ。ちょっと上向いてくれるかな?」

フレンダ「は、はぃ?」

上条「ちゅっ」

フレンダ「んむーーーーーーーーーーっ!?」

フレメア「にゃあ!?」

打ち止め「ふおおおおおぉぉぉっ!?」

一方通行「家でやれ、家で。ガキどもの教育に悪りィだろうが」

フレンダ「いやいやいやいやいやっ!そうじゃなくって、ね!?」

上条「これからヨロシクな?」

フレンダ「う、うんっ!あたしこそヨロシクね――じゃ、ないって訳よ!」

上条「あ、ごめん。いきなりは嫌だったか?」

フレンダ「いや、じゃないけどもっ!そうじゃなくって!」

上条「フレンダが可愛すぎたから、つい」

フレンダ「んなああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

フレメア「お姉ちゃんテンパってるにゃあ」

一方通行「……」

打ち止め「どうしたの、ってミサカはミサカは気遣ってみたり?」

一方通行「いやァ」

一方通行(もしかして――俺の勘違い、か?)

フレンダ「そうじゃないのよっ!結局!あたしが問題にしてるのはちがくって!」

一方通行「三下が嫌い?」

上条「おまっ!?」

フレンダ「そんな事は無いわよっ!むしろ大好きよっ!」

一方通行「じゃあいいじゃねェか。ライバル多いンだし、棚ぼた食っちまえよ」

フレンダ「それもっなんか、こうっ!」

一方通行「よォし帰ンぞ。チビのねーちゃんはお持ち帰りだとよォ」

打ち止め「あ、だったらウチに泊らないかな?って提案してみる!」

一方通行「いいンじゃねェかな?ガキが一人増えようが」

フレメア「外泊許出したけど、にゃあ?」

打ち止め「あなたのお姉ちゃんの所には将来のお兄ちゃんが泊るのだよ!ってそれっぽい事を言ってみる!」

上条「いやぁ」

フレンダ「照れないでよっ!?そんな予定無いからね!」

一方通行「まァ子供じゃねェンだし?……いやァ俺には関係無ェか」

フレンダ「あったっしっの話をっ!聞きなさいよおおおおおおおぉぉぉぉぉおおっ!?」

――いつもの喫茶店 2月14日

上条「――とまぁそんな流れで俺達付き合う事になりました、はい」

麦野・絹旗・滝壺「」

フレンダ「あー……うん、そうなっちゃった、みたい?」

上条「何で疑問系?」

フレンダ「いやー、あたしもまだ納得してない所が結構あるんだけど」

上条「え、話し合ったよな」

フレンダ「そ、そうだっけ?あっれー……?話し合おうとしたら寝技に持ち込まれた気が……?」

上条「うん、まあそんな感じで俺達デートだから」

フレンダ「んじゃまぁお先にって訳で――いや、ハッピーはハッピーなんだけど、納得いかないって言うか」

上条「まぁ細かい所はその都度話し合えば良いんじゃないかな?差し当たっては今日どこ行くか、だけど」

フレンダ「いい?バレンタインってのはね、本来家族や友達とプレゼント交換する日な訳よ!」

上条「か、家族?」

フレンダ「え、いやいやいやっ!深い意味は無い訳っ!」

上条「……なれたら、良いよな」

フレンダ「……なれたら、うん。それは、そうね」

麦野・絹旗・滝壺「――リア充爆発しやがれっ!!!」

――『アイテム』インターミッション ~バレンタインの出来事~ -終-

お疲れ様で御座います。>>1です
>>654のアンケート〆切りまで大体一週間ぐらいあるので、是非あなたのご意見をお聞かせ下さいませ
尚、選択肢一つ追加します

5.エロ無しで1と2両方で

例えば上条×麦野さんの場合、
麦野編終了後、上条お見舞い→告白(ある意味アフター)→お互いの両親と面会(アフター)→麦野エンディング?
と言う感じです
ぶっちゃけ『ある意味アフター』ってのは『両想いになるシーン』なので、それ無しにアフター突っ込むのも違和感あるかなー、と
かといって麦野の性格上キメる時はキメるし、滝壺だってアレじゃねぇかなー、とも思いますし

真面目な話、お話の構成上避けて通れない気もするんですね
例えば麦野が一人でケジメつけに行かないと、その後の『仲間との絆』が非常にチープなものになったように
絹旗が意地を張らなければ『お互い守られている』と信じなかったように
フレンダが『姉』じゃなかったら、キャーリサは最後の最後まで振り上げた剣を下ろせなかったように
滝壺が『孤独に戦うバカを救済』しなかったら、フィアンマに負けていたように

>>1は決めかねているので、どうか助けると思ってご意見宜しくお願い致します

>>658
>3だ 残りのフレンダ(フレメア)絹旗 滝壺 全員3
ひ、一人多くない、かな?『アイテム』の女の子って四人だったような気が……?


頑張れと言いつつぐいぐいハードルを上げてくる、そんな皆様に応援されてこのスレは成り立っています (´・ω・`)

HAMADURAと洋平さん成分がほしいなあ

>>703
んじゃ来週はそれで

2でいいかと
上条さんがアイテム女性陣(麦野、滝壺、フレンダ、絹旗)+フレメアもらうというハーレムエンド
という選択肢ってありますかね?

3でお願いするのよな!五和をだすのよな!

>>713
『アイテム』ルートはその予定。ただしえっちは難しいかと
>>715
五和は天草式で長編書く予定ですので、そっちでまぁなんとか


――アックアアフター ~戦後処理~

※笑うに笑えない、と言うお話


――エリザリーナ独立国 13時

ワシリーサ「ロシア成教は今回の騒動が一部の独立主義者の仕業であったとし、ロシア成教自体は無関係であると主張すると共に」

ワシリーサ「またテロリスト達を食い止められなかった事に対して遺憾の意を表明し、同対象の討伐に協力を宣誓します」

エリザリーナ「エリザリーナ独立国はロシア政府及び成教会の意思表明を受け入れます」

ヴェント「ローマ正教は二つの国の誓いが神の元で行われたと確認する、っと」

ワシリーサ「……これでイイの?」

エリザリーナ「まぁ仕方がないでしょうね」

ヴェント「つーか戦争ふっかけておいて、『下っ端の勘違いでした』で済まそうっては虫がよすぎるんじゃない?」

ワシリーサ「それを言うんだったらあなたの所のバカの責任でしょう?」

エリザリーナ「やめなさいよ。ここで言い合ったって仕方がないわ」

アックア「そもそもで言うのであれば、フィアンマもロシア成教も不穏分子を抱えていたのであるな」

アックア「それが爆発しただけ、膿が出たのを良しとするべきなのである」

ヴェント「イギリスの元騎士様が偉そうに講釈たれてんじゃねぇわよ!あんただって裏切り者でしょうが!」

アックア「さて?ローマ聖教に弓引いた記憶はないのであるが」

ヴェント「ったくあんたまで居なくなったらわたし一人で右席やれ、ってのかよ」

ワシリーサ「……帰っていい?」

エリザリーナ「そう言わないで頂戴。今、お茶でも煎れるから」

……

エリザリーナ「さて、以降の話はお茶会での話、他愛のない世間話だと思って下さい」

エリザリーナ「議題は――」

ヴェント「『デカくなった科学サイドをどうするか?』って事でしょうよ」

アックア「茶飲み話にしては剣呑すぎるのであるな」

ワシリーサ「別に良いと思うわよ。この面子の中じゃ今更でしょうが」

女?「ありゃりゃ、面白そうな話し合いをされていますねー?私も混ぜてくれませんか?」

アックア「誰であるか?」

木原病理「通りすがりの木原と申します。こんにちはー」

エリザリーナ「確か、学園都市の兵器を引き上げに来られていた……?」

病理「えぇまぁ、威力斥候も兼ねていますがね」

ヴェント「ふぅん?」

アックア「人の国で騒動を起こすな」

病理「お優しいんですねー」

アックア「貴様にも言っているのである」

ワシリーサ「丁度良いじゃない。『冗談』でする話としちゃ、あちらの研究者さんも居るみたいだし」

病理「ですねー。『冗談』ならば誰が何を言った所で問題にはならないでしょうし」

病理「打倒・学園都市計画を聞かせて下さいよ」

アックア「ならば遠慮無く――ローマ正教の世界規模での反科学運動ですら、さしたるダメージを与えられなかったのであるが」

病理「方向性は悪くなかったんですがね。宗教による民衆の意識操作」

病理「アレですよね?EU統一もローマ正教さんの息がかかっていたんですよね?」

病理「経済統合を果たして巨大な準国家を作ってしまおう、との壮大な社会実験」

アックア「ブリテンの立場からすれば、認められない話ではあるな」

ワシリーサ「でも結局、参加しなかったイギリスが勝ち組と言われているわね」

病理「仰る通りで。経済的に、ドイツやフランスなどの大国とギリシャやキプロスの小国で同じ物価なんてのは有り得ないんですね」

病理「しかも為替が経常収支のバランサーになる筈なのに、統一通貨でほぼ固定と。自殺でもしたいんですかねー?」

ヴェント「……信仰をナメて貰っちゃ困るわね。腐っても20億人を動員すれば――」

病理「ならすればいいじゃないですか?」

病理「TOYOT○のブレーキパッドの下に聖書でも置けば、きっと止まってくれますよ」

病理「信仰を持つ者が、持たない者へ対して攻撃をする――生憎、それが許されるような世界ではなくなった、んですよねー」

病理「前の戦争であなた方は勝ったんでしょうね。でも何を手に入れました?」

病理「欧州で起きていた反シオニズムを全てナチスへ押しつけ、まるで自分達は正義の味方とばかりに振る舞う」

病理「いいですねー、偽善の臭いは大好きでーす」

病理「前の戦争であなた方はアジアの植民地を失いましたが、今度は何を失いますかね?」

ヴェント「黙れ無神論者め!」

病理「まぁ確かに?私達は狂っていますよ、えぇ」

病理「二万匹のモルモットを殺して実験するより、二万人殺して実験するような人間の集まりですから」

病理「でも『だからといって何』ですかね?」

病理「iPS細胞だって、確か法王猊下からお墨付きを貰っていますよね?」

病理「人はですね。前へ前へ進んでいくんですよ、カビの生えた技術に背を向けて」

病理「だからそろそろ『諦めて』くれませんか?」

アックア「学園都市の流儀に染まれ、と?」

病理「とは言っていませんよ?ただ、一緒に生きるつもりは無いんですかね、ってだけです」

病理「まぁ?仮にそちら側の誰かが乗り込んできて、完膚無きまでに学園を叩き潰したとしましょう」

病理「ですが――そうなったとしても『第二、第三の学園都市が出来るだけ』ですからね」

病理「対象が拡散してしまって、やりにくくなるのはあなた方ではないのかな、と」

病理「さて、私の『冗談』は面白くないと言われますがー、何か反論あればどーぞ?」

アックア「理屈は分かった。理論もまぁ極論ではあるが、その通りなのだろうな」

病理「ご理解頂けて何よりです」

アックア「だが私ははっきり言おう――『学園都市は胡散臭い』と」

病理「……はい?」

アックア「科学の進歩が人類を救う。それは認めるのである。流石に種痘を悪魔の印を呼ぶ程には世間ずれはしていない」

アックア「科学が進歩するのは悪とは言っていない。だがそのスピードが性急すぎるのである」

病理「どうしてですかー?乗りたいじゃないですー、リニアモーターカー」

アックア「学園都市の技術の多くが軍事開発に費やされている」

病理「あぁいますよねぇ、そういう事言う人。『犯罪者の約98%がパンを食べた』とかって奴でしょ?」

病理「そりゃ鉄やプラスチックだって、子供のオモチャから大人の兵器にまで使われてますって」

アックア「その言葉を信じられるのであれば、であるな?」

アックア「ただでさえ各国政府が財政的に疲弊しているのに、学園都市だけが一線を走り続けている、と言うのも面白くはないのであろう」

ヴェント「色々とお題目を掲げて、学園都市の研究を縛りに行く、って所か?」

ヴェント「能力者だなんだとか言われているけど、人が集まらなければどうしようもない、と」

病理「でもそれが通りますかね?生憎あなた型が戦わねばならない敵は他にいます」

病理「それは『経済』と言う敵ですね」

病理「恐らくあなた方は『学園都市を仮想敵国へ定める事で、そういった人間達の意思誘導をしたい』んでしょう?」

病理「神に反する技術を持つ彼らは異端である、とか何とか」

ヴェント「……ケンカ売ってるわよね、あぁ?」

エリザリーナ「――待って。それは否定出来ないんじゃないかしら」

ヴェント「どっちの味方だクソ女!」

エリザリーナ「実際の所、学園都市には大なり小なり問題がある。それは私達も認めているわ」

アックア「だからといって、教団を動員してまで反学園都市を訴えるのは間違っている、であるか?」

ワシリーサ「理屈は間違ってないけど、綺麗事ばかりじゃやっていけないわよ」

エリザリーナ「学園を擁護するつもりはないけど、それが正しいの?」

病理「EUと言う図体のデカいお子様は生まれてから、すぐに瀕死になってしまいました」

病理「だから学園都市への恨み辛みを持っていこうぜ、って事ですね。奇しくも為政者とあなた方の利益が一致した訳ですか」

病理「でもね、『そんな事じゃ絶対に好転しない』んですよ」

病理「繰り返しますが、あなた方は真っ先にどうかしなければいけない敵は『経済』でしてね」

病理「例えば『EUでは極右政党が台頭している』って朝……ナントカ新聞が書いてありました。朝目?朝臼?」

病理「他の新聞でも似たり寄ったりですねー。『経済が苦しくなると移民排他の機運が高まる!けど日本も進んで移民様を受け入れよう!』って狂った思想です」

病理「でも実体は全然別です。その『極右政党にアフリカ出身の黒人が少なからず居る』のはご存知ですかね?」

病理「彼らは苦労して帰化条件を満たしており、それを守らず、守ろうともせずに押し寄せては税金を食い潰す違法移民へ対し、怒っているんですよー」

病理「ちなみにスイスやスウェーデンでは既に押し寄せる不法移民の数が多すぎて、規制や強制送還の動きが進んでますしね」

アックア「それと経済がどう繋がるのであるか?」

病理「ぶっちゃけ『庶民は反学園運動なんて興味ない』んでーす。そんな事より日々増える不法移民や彼らの作るスラム街の方が余程脅威」

病理「尤も『経済がきちんと回っていれば、そう言った反感も多少は緩和された』と」

ワシリーサ「教会の思想が現実に即していない、と言う事ね」

病理「いやぁそこまで言っていません。上層部が抱いている不安は正しいものでしょうし」

病理「ただし嘘発見器がある訳じゃないですし、『同じ宗教だから仲良くしようぜ!』って言われたら、信じる他がないだけです」

アックア「頭の痛い話であるな」

病理「学園都市関連企業及び日本企業を一掃するのは簡単ですよ?そちらさんのトップが会見すれば直ぐに終わるでしょうしー」

病理「でも『学園都市系企業はEUにも少なからず経済的な貢献』もしています。具体的には工場の現地生産や技術移転」

病理「はてさて恐慌を起こしてまで、あなた方は私達と戦うんでしょうかね、と」

エリザリーナ「信徒は見捨てるかもね、身勝手だって」

病理「同じく反学園運動の一環として、反捕鯨や旧日本軍の蛮行どーたらって話ありますね」

病理「でもその自称『地球市民』様と一緒になっててどうするんですかー?所詮特定アジア不法移民がヘイトスピーチをしているだけでしょ?」

病理「『現在起こっている危機を、逸らせるためのスケープゴートにしか過ぎない』んですよー」

アックア「現実と、戦うのであるか?」

病理「わたし達を安易な悪者にするのは勝手だと思いますよ、えぇ。それが例え嘘八百であったとしてもです」

病理「それが某かのお題目の名を借りた明確な人種差別であっても」

病理「でも『そんな愚策を邁進している内に移民で国を乗っ取られ、内需・外需ともボロボロになる』でしょうね」

病理「国富とは無限ではありません。勤勉な国民と現実的な政治家によって成り立っています」

病理「100人のお金で100人用のピザを作ったとしても、1000人並べば一人当たりは10分の1枚になってしまう」

病理「そうですねー……ギリシャ破綻した時、同政府は『第二次世界戦中の賠償金』をドイツへ求めました」

病理「まぁ今後似たような動きは起こるでしょうね。EUの破綻如何によっては、あなた方が学園都市へ向けるべき矛は、隣人へ突きつけると」

ヴェント「フランスが一番敵視しているのは、イランやシリアじゃなくってイギリスだからな」

病理「ちなみに今、一番EUで熱いのはフランスですね。高額納税者にバカ高い税金を課して、大量の海外脱出組を生んだり」

アックア「首相がドイツ野党の集会へ顔を出したり、同性婚を認めたりと混迷しているのであるな」

病理「EUにしたって信用不安を収める気があるかのどうかすら怪しいでーす」

病理「今から30年程前ですかねー?」

病理「日本のバブルが弾けた際、政府が銀行や企業へ公的資金で注ぎ込むのを見て、あなた方は嗤っていましたが」

病理「サブプライムから始まる一連の信用不安に於いて、あなた方は嗤っていた国のやり方をそのまま踏襲するしか無かった、と」

病理「結局政府が後ろ盾となって支援するのが、最善の解決方法だったんですね」

病理「ねぇ、今どんな気持ちですか?嗤ってた時を覚えていますか?」

病理「あぁいえゴメンナサイ。言い過ぎました」

病理「『キプロスで銀行預金の一部をスポイルさせたように、日本の解決方法のコピーすらロクに出来なかった』んでしたっけ?」

エリザリーナ「あれは……悪手だと思うわ」

エリザリーナ「『国が後ろ盾となって保証しないと分かったため、資金はより安全な所へと移動する』って事だもの」

病理「そうさせた理由がまた凄くてですね。『キプロスの預金を保護してしまえば、それぞれの国民から不満の声が上がるから』と」

ワシリーサ「最悪、よね」

アックア「……経済的な垣根を無くそうとして、国民の声は残るのであるか」

病理「『国』と言う入れ物を壊す――となると中へ入っていた“モノ”は一体何処へ行くのか?」

病理「皮肉なモノですね。その結果愛国心は高まり、排他的な流れは勢いを増していくでしょう」

病理「学園都市ですらやっていない、壮大な社会実験をありがとうございます」

病理「……ま、そんな感じでわたし達とやり合うのを『諦めて』下さればな、と」

ワシリーサ「何も全面戦争にならなくってもいいじゃない。学園都市は表面上研究施設」

ワシリーサ「なら入る人を絞れば枯渇するんじゃないの?」

病理「あちゃー、痛い所を突かれましたね。まぁ確かに『倫理』をお題目に――いや違った、人質にされると弱いですねぇ」

病理「お互いに色々と小競り合っていますけど、全力でやった方が早いんじゃないのかって思う時もありますしねー」

エリザリーナ「後、私も前から聞きたかったんだけど」

エリザリーナ「科学サイドはどうして本気で私達を潰そうとはしないの?どう考えても共存しようとは考えてないでしょ?」

病理「えぇわたしもねー、色々考えてみたんですが――さっき言ったように『科学は学園都市じゃなくても生き残る』んですね」

病理「にも関わらず『学園都市製の科学』に拘るって所に答えがあるんじゃないかなー」

アックア「科学という割には、非合理的なやり方が多い、であるか?」

病理「恐らく、ですが――最終的な目標が科学、で収まりきれない所へ行こうとしているのでは、と」

ワシリーサ「そんな事言っちゃっていいの?どうせ聞かれてるんでしょ?」

病理「別にわたしが死んでも科学が滅ぶ訳ではないし、またどこかにわたしとよく似たクズが生まれるだけですよぉ」

アックア「その考え方自体、宗教じみているのであるな」

病理「研究職の中には信心深い方は結構おられますよ?あ、でもそう考えるとわたし達も洗礼とか受けた方が良いんでしょうかねぇ」

ヴェント「冗談でも、やめろ。気分が悪い」

病理「酷いですねぇ。わたしだって結婚する時にはチャペルでと決めているのに」

エリザリーナ「あら意外。お相手はいるのかしら?」

病理「んー、仕事が恋人って奴でーす。そちらも色々と諦めていますし」

ワシリーサ「まだ若いんだしトライしてみれば?数式を書くより刺激的よ」

病理「……ですかねぇ。そう言う皆さんはどうなんですか?」

エリザリーナ「この面子の中に居ると思う?」

ヴェント「と言うかウチは駄目だろ、信仰的に」

アックア「右に同じくである」

ヴェント「あんたは違うだろうが」

ワシリーサ「だわねぇ。一番時間的に余裕があるのはアナタだけと」

病理「一人一族へ婿養子に欲しい人材が居るには居ますけどねー……っと、失礼。そろそろ輸送機の時間ですので」

エリザリーナ「分かったわ。今回の学園の協力には感謝を致します」

病理「あくまでも非公式ですが。あ、皆さん機会があったらまたよろしくー」 ガチャッ

……

ワシリーサ「……何割、本当かしらね?」

アックア「そもそも我々魔術師が取るに足らない脅威であるならば、接触しようとすらしなかった筈である」

アックア「そう考えると全てがブラフでもおかしくないのであるが」

エリザリーナ「でも一理はあるかもれしないわ」

ヴェント「わたし達の業界が廃れるって事か?」

エリザリーナ「魔術とは才能のない人間が努力して得られる力。でも科学とはもっと分かり易く、しかもある程度オープンになっている」

エリザリーナ「どちらかを選べと言うのであれば、多くの人間の信頼を得られるのはあちらでしょうね」

アックア「何を愚かな事を」

エリザリーナ「酷い言い草ね」

アックア「魔術だ科学だ、どちらが覇権を握ろうとも、そして握らなくてもすべき事は変わらないのである」

アックア「涙する者がいれば、神の慈悲にてその泣く理由を変えるだけの話であるな」

エリザリーナ「……科学万能、と呼ばれる時代にあっても救われない者は居る、か」

ワシリーサ「飽食の時代とか言われているけど、食べられるのは一部だけって話もあるわよね」

ヴェント「そもそも科学が全てであるならば、あの島国はとうの昔に全ての信仰を捨てている筈」

ヴェント「でも都市部でもビルの谷間にTempleはあるし、地方へ行っても町のあちらこちらに大きな神殿が建てられている」

ヴェント「それを見ると信仰と科学の共存も可能なのかも知れないわよ」

アックア「あの少年に感化されたのであるか?」

ヴェント「表へ出ろクソ野郎」

ワシリーサ「いいなー、私も会いたかったわね」

エリザリーナ「右席同士の戦いは国へ帰ってからやって頂戴。あ、写真ならそこにあるけど」

ワシリーサ「へー……やだっ!白くて歪んでで可愛いっ!」

ヴェント「違うわよ。その隣だっての」

ワシリーサ「あー、ギャングっぽい子ね。嫌いじゃないけど、ちょっとおっきいかな」

アックア「それも違うのである。私の右隣だ」

ワシリーサ「……なに?アメリカのラッパーみたいに、回りに女の子侍らせてるんだけど?」

エリザリーナ「……と言うか全員で記念写真なんて、どう考えても有り得ないんだけど」

アックア「まぁ色々あるのであるな」

ワシリーサ「それじゃわたしもそろそろお暇しようかしら」

エリザリーナ「色々とありがとう。独立国を代表して感謝します」

ワシリーサ「感謝ならウチの総代主教によろしく。今回の件で一番割を食ったのはあの子だから」 ガチャッ

エリザリーナ「えぇ。落ち着いたら是非お会いしたいわ」

ヴェント「私も本国へ帰らないとね。あんたがウチの敵にならないように心かげなさい」

エリザリーナ「……まぁ、姉さんとの兼ね合いで大丈夫だと思うけど」

ヴェント「さよなら」 ガチャ

アックア「では私も託された用件は済んだのであるな」

エリザリーナ「その、本当に有り難う御座いました。出来れば安定するまで残って欲しいんだけど」

アックア「済まない。今から野暮用である」

エリザリーナ「『聖人』としての力の回復ね」

アックア「マリア信仰を辿ればあるいは、であるか」

エリザリーナ「可能性は低くない筈だわ。十字教には復活の奇蹟が残されているし、あなたの力もきっと」

エリザリーナ「でもそこまでする必要あるのかしら?あなたが警戒していたフィアンマも事実上死んだのでしょう?」

アックア「世界に争いの絶えた時代など無いのである――」

アックア「――あの女の言う通り、数十年前まで我々は隣国同士で殺し合っていたのだから、いつ戻ってもおかしくないのであるが――」

アックア「――終わらない戦いへ身を投じるのは、兵士としての定めであるな」


――アックアアフター ~戦後処理~


※魔術以外の部分は全て事実です。興味がある方は是非ニュース極東板へ



――HAMADURAアフター


※ギャグ以外の部分がありません。勢いで書いたけど、必要、ですかね?
余談ですが新約7巻読んでたら、「あれ?何で浜面さん絹旗と顔見知りなんだろ?」と思うようになった私は色々と末期です

――?年後 某国強制収容所

囚人A「ぐおおぉっ!?」

囚人B「――クソっ!おい、誰かタンカ持って来いっ!」

囚人C「無理だったんだ……俺達じゃ!」

囚人B「言ってる場合じゃないぞ!いいから急いで連れて行けっ!」

囚人A「……あぁ……神よ……」

囚人B「しっかりしろっ!」

若い囚人「……なんだ、ありゃ」

年期の入った囚人「若いの、お前さんは初めてかね?」

若い囚人「そうだが。アレって」

年期の入った囚人「アレはの、『生き様』じゃ」

若い囚人「生き様?」

年期の入った囚人「あぁ。ここにぶち込まれた男達が挑戦しては、戦い、そして敗れていった」

年期の入った囚人「その証が、墓標がアレなんじゃよ」

若い囚人「……俺には分からない。意味も、価値も」

年期の入った囚人「若い内はそれでいいんだ……だがな、同時にそれは『チャンス』を失う事でもある」

若い囚人「チャンス?何に対して?」

年期の入った囚人「アレは人を選ぶ。いや、逆かもしれん」

年期の入った囚人「アレには選ばれた人間しか挑んではならないんじゃ」

若い囚人「……」

年期の入った囚人「見てみろ、今運ばれた男は『ヒート』の二つ名を持つ」

年期の入った囚人「そんな奴ですらアレに対しては無力。経験など役には立たんよ」

年期の入った囚人「……そう、経験なんぞは、の」

若い囚人「あんた、その手……」

年期の入った囚人「これは持病じゃよ。アレとは何の関係もないわい」

年期の入った囚人「だが、アレをする人間にとっては致命的――いや、致命傷じゃ」

年期の入った囚人「『超竜』と呼ばれた儂も、今はこの体たらく」

年期の入った囚人「老兵は死なず、とは言うものの、因果な話じゃて」

若い囚人「……ふぅん?」

年期の入った囚人「若いの、どうした――まさかっ!?」

若い囚人「……どいつもこいつも話がオーバー過ぎんだよ」

年期の入った囚人「よせっ!お前みたいな若造に何が出来るっ!?」

若い囚人「やってみなくちゃわからないだろ?つーかな、あんたみてぇな爺様でもやれたんだ」

若い囚人「俺に出来ない訳がねぇよ」

年期の入った囚人「若いのっ!」

若い囚人「あぁそうだ、爺さん。一つだけ覚えておけ」

年期の入った囚人「な、なにを言っている……?」

若い囚人「俺の名は“若いの”じゃねぇ――『レインメーカー』だ」

年期の入った囚人「なん、だと!?噂とは違う!」

レインメーカー「へぇ、どんな噂だよ?」

年期の入った囚人「ヤツは刺し違えて死んだ、と」

レインメーカー「だったら俺は幽霊か何かか?足も×××もついてるぜ」

レインメーカー「残念だがそりゃあ俺を妬んだバカが流したんだろ」

レインメーカー「例えば、あんたらがご大層に崇めるヤツとか、な?」

年期の入った囚人「馬鹿なっ!あの方がそんな事をする訳がないわっ!!!」

レインメーカー「おーおー、んなに怒るなって。冗談に決まってんだろ」

レインメーカー「にしてもヤツのカリスマっぷりは半端無ぇな」

年期の入った囚人「当然じゃ!お前は直に見てないからこそ、そんな口が叩ける!」

レインメーカー「……そうだな。それは否定しねぇよ」

レインメーカー「だが、だからどうした?表に出て来ないヤツに何が出来るんだ?」

年期の入った囚人「それは」

レインメーカー「“伝説”に縋るのも結構、テメェらの過去の栄光で一杯やるのも悪くはねぇが」

レインメーカー「が、それも今日までだ!今日から俺が『伝説』となる!」

年期の入った囚人「……やめておけ、お前じゃまだ勝てん」

レインメーカー「ハッ、老いぼれの戯言に付き合ってられねぇよ」

年期の入った囚人「……忠告は、したぞ」

レインメーカー「そりゃどーも――おいテメエら道を空けろっ!」

囚人B「誰だよ。お前今まで見てなかったのか?」

囚人C「よせ!言うだけ無駄だ」

レインメーカー「ウルセェよ臆病者が。何も出来ねぇ野郎はガクブルしてやがれ!」

囚人A「……っ」

囚人C「そいつ、何か言ってるぞ……?どれどれ?」

レインメーカー「遺言でも残してぇんだろう」

囚人C「『俺の敵を討ってくれ』だと」

レインメーカー「……知らねぇよ。テメェがどこで死のうと俺には関係無ぇさ」

囚人B「テメェっ!」

レインメーカー「だがまぁ?結果的としちゃそうなると思うが」

囚人A「……」

囚人B「『――』」

レインメーカー「言うな、聞かなくても分かる」

レインメーカー「さてっと。これか」 ガシッ

レインメーカー(予想以上に重い。重いがやれない事はない)

レインメーカー「行くぜ――ぬおおぉおおおおおおおぉっ!!!」 ズズズッ

囚人B「動いた、だと!?」

囚人C「まさかアイツは――『レインメーカー』じゃねぇのか!?」

囚人B「知っているのか?」

囚人C「あぁまだ若いのに序列9位まで入ったルーキーだ」

囚人B「まさかっ!?そんな大物がどうしてこんな所に居るんだよっ!」

囚人C「俺にだって分からねぇ。だが想像はつく――第一位だ」

囚人C「あの男が最後に現われたのは“ここ”だからな」

レインメーカー(――あぁその通りだよクソッタレどもめ!)

レインメーカー(俺ぁヤツに憧れたその日から、ずっと戦い続けてきたんだ!)

レインメーカー「うおおおおぉぉぉっ!」

囚人B「確かに、速い!しかも正確だ!」

囚人C「それだけじゃねぇ。ヤツが何で『レインメーカー』の二つ名を貰ったのか、理由は知っているか?」

囚人B「雨でも降らすのか?返り血で染めるとか?」

囚人C「いいや。んなラノベやプロレスで使われるチャチなギミックじゃねぇ」

囚人C「その程度であれば序列50位にも入れないだろうさ」

レインメーカー「ぐ、ぐああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

囚人C「――始まった、あれが『レインメーカー』だっ!」

囚人B「あ、あれは――」

囚人C「……あぁ」

囚人B「な、なんて――美しいんだっ!?」

囚人B「両手と額を擦りつけるようにしなからっ、別に珍しくもないスタイルだと言うのにっ!」

囚人B「なんで、何で俺の目から涙が止まらないんだっ!?」

囚人C「――俺達はクズだ」

囚人C「お前も俺も何らかの悪事を犯してペナルティとしてここに居る」

囚人C「だがな!そんな俺達だからこそ分かるんだっ!あれはっ」

囚人C「『レインメーカー』が見せている姿は『殉教者』のアレだっ!」

囚人C「神なんざ信じねぇ俺らであっても、アレはっアレだけはっ!」

囚人B「……俺、実は神学校に居たんだ」

囚人B「アイツは!アイツのあの姿はっ!十字架を背負うキリストを、後から支える老婆のようだぜ!」

囚人C「……成程。俺も漸く理解した」

囚人C「俺達の瞳から流れる暖かい涙っ!これが『レインメーカー』の本質だってな!」

レインメーカー(……クソが。ウルセェよ)

レインメーカー(こっちが全力出してんのに、ギャーギャー騒ぎやがって)

レインメーカー(テメェらが騒げば騒ぐ程、下手に負けられねぇだろうか!)

レインメーカー「おおおおおおおおおおぉっ!!!」

囚人B「まただっ!また速くなったぞ!」

囚人C「……」

囚人B「これならっ!これなら行けるかも知れないぜ!」

囚人C「……いや、駄目だ」

囚人B「なんでだよっ!?このペースで行けば充分だろうがっ!」

囚人C「速すぎるんだよ、幾ら何でも」

囚人C「確かに速度は第一位とタメを張っている。それは認めよう」

囚人C「だがこの先も同じペースで行けると思うか?」

囚人B「それは……」

囚人C「それが出来るのは、世界に一人だけ。それはお前だって知っているだろう?」

レインメーカー「ウルセェよっ!!!」

囚人B「『レインメーカー』っ!?」

囚人C「叫ぶんじゃねぇよ!余計な体力は遣わずにとっとけ!」

レインメーカー「さっきからゴチャゴチャウルセェってんだよ!」

レインメーカー「この戦いは俺の戦いだっ!誰にも――ぐあぁぁぁぁぁっ!?」

囚人B「駄目だっ!?『レインメーカー』の片足がグラついている!」

囚人C「……やはりこうなったか」

囚人B「前半で、力を」

囚人C「ハイペースすぎたんだ。確かにアレじゃスピードは出るが、その分最後まで持つ訳がねぇ」

囚人B「おいっ!あんたはよくやったよ!だから意地を張らずにリタイアしちまえって!」

レインメーカー「ふざけんなっ!ここで、ここまで来てやめられるかよっ!」

囚人B「だからって無理をしたって何が得られる訳じゃねぇだろうがよっ!そこまでして一体何があるって言うんだ!」

年期の入った囚人「無駄じゃよ」

囚人B「じいさん……」

年期の入った囚人「確かに“これ”は無駄かもしれん。余所の連中からすれば笑われ、蔑まれ、罵倒されるじゃろう」

年期の入った囚人「だがもしも、お前さんも外の連中と同じ考えだったら――その頬に流れる涙は、何じゃ?」

年期の入った囚人「こんな下らない事に涙する――それはもう、『何かがある』と同じじゃないかの?」

囚人C「だけどよぉっ!」

年期の入った囚人「……儂らに出来る事は一つだけ」

年期の入った囚人「『レインメーカー』と言う男が居て、そいつがどんな戦いをしたのか、それを目に刻む事だけじゃ」

レインメーカー「……ウルセェよクソジジイ……」

年期の入った囚人「まだ減らず口が叩けるか」

レインメーカー「……戦い方をクソどもが、テメェら安全な所からグダグダ言っても、俺には届かねぇよ」

レインメーカー「戦場には戦場で戦った連中にしか分からない空気がある!」

レインメーカー「戦いすら放棄したチキンどもが『俺達』を語るんじゃねぇよ!!!」

囚人B・C・年期の入った囚人「……」

レインメーカー「俺はここで倒れるかも知れないっ!だがそれだっていいっ!」

レインメーカー「いつか!その内いつかっ!俺の屍を乗り越えようとするヤツが必ず現われる!」

レインメーカー「そいつは道端に転がってるゴミになった俺を見てこう思うのさ――『あぁなんだ、俺が来た道はもうとっくに誰かが通っているじゃねぇか』ってな!」

レインメーカー「だからっ!だから俺はここで死んでも後悔はし――」

男「――おいおい、勝手な事言うなよ『雨男』さんよぉ」

レインメーカー「誰だっ!その名で俺を呼ぶんじゃねぇっ!」

男「いや、長くないか?意味も変わらない無いし!」

レインメーカー「ウルセェっ!テメェは一体誰なんだよっ!?」

年期の入った囚人「お、おお……」

囚人B「どうした爺さん?」

年期の入った囚人「あ、あの方はっ!」

囚人C「まさか――帰ってきた、のかっ!?」

囚人B「帰ってきた、って――まさかっ!第一位がかっ!?」

男「はぁ?んな大したもんじゃねぇだろ。俺はただ、したいからしているだけの話だ」

レインメーカー「あんた――いや、あなたは――っ!」

年期の入った囚人「儂らには『序列』がある」

年期の入った囚人「そしてまたスタイルに応じた『二つ名』がある」

年期の入った囚人「『二つ名』とは本質、長所であり欠点でもある」

年期の入った囚人「だが、だが唯一『二つ名』を持たない者もおる!」

年期の入った囚人「それは、最強にして最高、唯一にして絶大!」

年期の入った囚人「序列第一位の男はこう呼ばれる――」

『HA・MA・DU・RA』

囚人B「HAMADURAっ!?帰ってきてくれんだっ!」

囚人C「馬鹿な……っ!HAMADURAだと!?」

囚人A「……やっと、死ねる……」

浜面「おいおい、何言ってんだ。人を死人みたいに言いやがって――と、その前に、だ」 ガシッ

レインメーカー「何しやがるっ!?これは俺の戦いだっ!」

レインメーカー「俺の名誉を奪うつもりかっ!?」

浜面「何言ってやがる。お前が居るのは俺が通った道なんだよ」

レインメーカー「んなっ!?」

浜面「だから後から来た奴が居たとしてもだ。お前を指さして、『あ、途中で死んだ間抜けだ』って笑うだけだぜ?」

レインメーカー「ば、バカな……」

浜面「まぁ次は頑張りな」

レインメーカー「次、だと?俺に次などある訳がないだろうっ!?」

浜面「どうして?」

レインメーカー「それは、序列も下がるし――」

浜面「別に生きてるんだから仕切り直せば?面倒だったらやめてもいいし」

浜面「今駄目だったとしても、次やればいいんだよ」

浜面「ここは、お前の後は俺がケリをつけるからな?」

レインメーカー「……後から刺すかも知れないぞ?」

浜面「やってみやがれ――行くぜ!」

浜面「ぐおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」 ズズズズッ

囚人B「HAMADURAが動いたっ!?」

囚人C「速い……そして力強いストロークだ。まさに第一位と呼ばれるだけはある」

囚人B「でもおかしいよな?どうしてあんなにスゲェの二つ名を持たないんだ?」

年期の入った囚人「必要ないからじゃよ」

囚人B「爺さん?」

年期の入った囚人「確かにHAMADURAは二つ名を持たない」

年期の入った囚人「例えば『レインメーカー』であれば、その姿に感動する者が泣き崩れる」

年期の入った囚人「儂が若い頃に呼ばれていた『超竜』であれば、一撃一撃が恐竜のように重い」

年期の入った囚人「『二つ名』とは『名前が知られていない』証拠でもある」

年期の入った囚人「が、HAMADURAはHAMADURAだ」

年期の入った囚人「HAMADURAもまた、その名を知らぬ者はおらん以上、わざわざ二つ名を持つ必要がない」

囚人B「スゲェな……」

浜面「……おおぉぉぉぉぉっ!」

囚人C「……いや、何かおかしいぞ?」

囚人B「確かに、少し遅くなった」

年期の入った囚人「いかん!一線を離れていたため、普段の勘を取り戻せないのじゃ!」

囚人B「お、おい。脅かすなよ。まさか――」

年期の入った囚人「……最悪、このままゴール手前で力尽きるかもしれんな」

囚人B「馬鹿なっ!?HAMADURAが負ける訳がない!」

囚人A「……いや、ブランクはあって当然だ。それだけ『脅威』は強いって事なんだろ」

囚人B「そんなっ!?クッソ!何とかする方法は無ぇのかよっ!?」

囚人A「……HAMADURA、頑張れ……っ!」

囚人B「お前、叫べる程体力が――」

囚人C「HAMADURAっ!負けるんじゃねぇっ!」

囚人B「……HAMADURAっ!戦ってくれっ!俺達の分までっ!」

囚人A・B・C「HA・MA・DU・RA!HA・MA・DU・RA!HA・MA・DU・RA!」

年期の入った囚人「……おぉ、立ち上がる気力もなかった男がっ!」

男一「――だけじゃねぇよ」

男二「だな。正直、拍子抜けだぜ」

年期の入った囚人「キサマらはっ!序列三位の『獣神』と序列第六位の『野人』っ!」

囚人B「あ、あんた達も応援に来てくれたかのっ?」

野人「誰があんな野郎に会いに来たんだ!見に来たんだよ!」

獣神「……いや、同じじゃねーか」

浜面「お前らっ」

野人「いいか!テメェに勝つのは俺なんだっ!俺がぶっ殺す前に死んだらぶっ殺すぞっ!」

獣神「いやだから色々と間違ってる」

野人「だから――負けるな、HAMADURA!!!」

獣神「まぁ精々頑張りな、HAMADURA」

浜面「……はは、クソッタレどもが。人の苦労も知らずにわざわざ応援に来やがって!」

浜面「これじゃ格好悪いトコ、見せられねぇだろーがよおぉぉぉっ!!!」

囚人C「ま、またスピードが上がったぞ!行ける、これならっ!」

獣神「いや、難しいだろうな」

囚人B「何だと!?」

獣神「事実を言ってるだけだ。と言うか、もう失速し始めている」

囚人C「HAMADURAっ!HAMADURAっ!?」

獣神「所詮HAMADURAといえどもこの程度が。わざわざ見に来るまでもなかったな」

囚人B「テメェは仲間じゃなかったのかよ!」

獣神「共闘はしていたがな。だが、これが現実だ」

浜面「……くっ!」

獣神「第三者がバトルフィールドへ入るのは許されない。従ってHAMADURAの伝説もここで終りだ」

獣神「……しかしそうなると二位の抑えが効かなくなるか――」

レインメーカー「――ウルセェよ、外野で騒ぐんじゃねぇ」

獣神「『レインメーカー』?そうか!その手があったのか!」

レインメーカー「安全な所からグダグダ偉そうにかましやがって!ぶっ殺すぞテメェら!」

レインメーカー「テメェもだHAMADURA!俺にあれだけ言ってときながら、何つーザマだよ!」

浜面「……へへ、悪ぃな」

レインメーカー「俺は、認めねぇ。俺がここで負けるのも!お前がここで負けるのもだ!」

レインメーカー「だから――こうするんだよおおおぉっ!!!」

ガシイッ

年期の入った囚人「あれは……幻と言われたっ!?」

獣神「そう。『二人押し』だ」

野人「知っているのかっ!?」

獣神「あぁ見ての通り二人によるコンビネーション技だ。単純計算で一人一人の負担は半分になる」

囚人B「だったら勝ったも同然じゃねぇか!」

獣神「さて?そう上手く行くだろうか?」

獣神「一人でも制御が困難だったのに二人ならばより難しくなる」

獣神「ましてや反目してあっているのであれば――」

年期の入った囚人「それは杞憂というものじゃよ」

獣神「ふむ?」

年期の入った囚人「HAMADURAは伊達に第一位ではない。見よ」

浜面・レインメーカー「ぬおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

獣神「ほう、見事に息が合っている!」

年期の入った囚人「確かにあの若いのは未熟。またHAMADURAも現役のアンタに劣るかもしれん」

年期の入った囚人「だがアレが全てじゃよ。一人一人では足りぬ力でも、な」

野人「……帰る」

獣神「いや、まだ終わってい――」

野人「終わるぜ、すぐに。それよりも時間が惜しい」

獣人「……あぁ」

浜面「これでっ、終りだああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ガァァンッ

囚人C「やった……のか?最後まで」

囚人B「あぁ!最後まで押し切ったんだ!」

囚人A「……神よ……!」

年期の入った囚人「……」

囚人B「どうした爺さん、浮かない顔して?勝ったんだよ、HAMADURAが勝ったんだ!」

年期の入った囚人「ん、あぁそうじゃな。だが」

年期の入った囚人(『二人押し』が解放されてしまった以上、他のランカーも倣うのは必須)

年期の入った囚人(と、すれば――荒れるか)

年期の入った囚人「……いや、少し疲れただけじゃよ」

浜面「いぃやっほおおぉぉぉぉぉっ!勝った!やったんだよっ!」

レインメーカー「ウルセェっ!抱きつくなっ!」

年期の入った囚人(……いや、この二人であれば――)

年期の入った囚人(この先来るであろう戦乱の時代も、乗り切れる、か)

――少し離れた場所 同時刻

看守二「あの先輩、ちょっといいですかね?」

看守二「何だ?」

看守二「あの囚人達――ドラム缶押してるだけですよね?」


 ━━━レ浜● 1
 ●━━━━━ 2
 ●━━━━━ 3
 ●━━━━━ 4
 ●━━━━━ 5

※●はドラム缶


看守一「そうだな」

看守二「別にペナルティもありませんよね?」

看守一「無いな、ソ連じゃあるまいし。問題あるんだったらさっさと処刑するだろ」

看守二「何であれ、盛り上がっているんですか?」

看守一「俺に聞くなよ」

看守二「ちょっと俺もしたいんですけど、流石に拙いんですかね?」

看守一「いいけどお前、試すようなもんじゃないぞ」

看守二「何か面白そうに見えてきて、つい?」

看守一「あー、んじゃ行ってこい。休憩時間も半分切ったから」

看守二「ちょっと失礼しまーす……おーいっ!」

年期の入った囚人『ば、馬鹿なっ!?「クレイジータウン」が何故ここにっ!?』

囚人B『野郎!HAMADURAが弱っているのに刺客を送って来やがった!』

看守二『お、俺?』

レインメーカー『……させねぇよ、お前との勝負、俺が引き受けるっ!』

浜面『雨男っ!?』

看守二『えっと……くっくっく、この序列五位に勝てるかなぁ?』

囚人A『あ、ごめん。俺実は五位って設定だから』

看守二『そうなんだ?一桁で空いてるのってどれ?』

囚人B『七位ぐらいでいいんじゃないかな?小手調べみたいな感じで』

看守二『おけおけ――この序列七位に勝てるかなぁっ!?』

看守一「あー……」

囚人A『それでは戦士はバトルフィールドへ!』

看守一「平和だなー……」

年期の入った囚人『では「ドラム缶押しバトル」、レディ――』

囚人C「ゴウッ!」

浜面「俺達はまだ登り始めたばかりだ――この男坂をなっ!!!」

――イギリス能力開発機構(学園都市関連施設) 深夜

浜面「男坂をなっ!!!」

浜面「……?」

浜面「ゆ、夢?ドラム缶押さなくて良いの?」

少女「何か悪い夢でも見ていたのですか?」

浜面「ん、あぁちょっと昔のトラウマがな。つーかこの支部でこさえられたシロモノだと思う――」

少女「どうしました?」

浜面「あるぇー……?俺ロシアにいなかったっけ?」

少女「気のせいではないでしょうか?あなたはまだドラム缶を押す毎日が待っているのですから」

浜面「夢じゃなかったよ!?悪夢なら早く覚めてって!」

浜面「……」

浜面「……イヤイヤ違うって。こうギャーってすれば場面変わるみたいなの」

少女「ですからこれは現実だと言ってるではないですか」

浜面「だってお前確か洋平さんにパチコーンっ、ってぶっ飛ばされた筈じゃ……?」

レッドキャップ「まぁ元々幽霊みたいなものですし、とミサカはちょい前使っていた口調で答えてみます」

スケアクロウ「心配性だなぁ、ぴょーんって跳んじゃえば楽になれるのに」

ポルターガイスト「こらこらあまり無茶は言うもんじゃないよ」

浜面「やっぱりいやがったっ!?」

ポルターガイスト「でも君の先輩だよ?」

浜面「先輩だからって言う事聞くとは限らねぇだろっ!つーか姿見せろっ!」

ポルターガイスト「あーいや、私は良いんだけどね、スケアクロウ君がちょっと」

スケアクロウ「ガス灯がお腹から抜けないんだよねー。破片取ると痛いしさ?」

浜面「見せなくていいものっ!?超グロじゃねぇか!」

レッドキャップ「ロクなのいませんよねー、全く」

浜面「お前もだなっ!特に帽子を血で染める所なんかねっ!」

レッドキャップ「おっとこんな所に血袋が」

浜面「俺じゃねぇかっ!つーか血は詰まってるけどもだ!」

レッドキャップ「じゃちょっと失礼しまーす」

浜面「切り裂きジャックに襲われるううううぅぅぅぅっ!?」 バタンッ

浜面(……あ、あれ?)

浜面(追ってこないな、あいつら?)

浜面「……つーかここ、どこ?ドアが一杯ある廊下……」

浜面「あれ今何しようとしてたんっだったけ……?」

浜面「――あぁ今日は『暗部』との初顔合わせだったけか」

浜面「そうだよっ!俺はこんな扱いじゃねぇんだよ!主人公の一人として華々しくヒロイン落として頑張るんだよっ!」

浜面「よっし!浜面仕上、いっきまーすっ」 ガチャッ

手塩「――あぁ新しい面子か」

浜面(……誰?)

鉄網「……手、失礼します」 ギュッ

浜面「だ、誰?つーか何?」

佐久「こいつの能力だ。ま、後ろめたい事がなければ問題ない」

鉄網「浜面仕上、レベル0。元スキルアウトのリーダーをやっていた」

手塩「クズの頭……?」

浜面「ひでぇなっ!?」

鉄網「好きなコスプレはバニーガール。特に白が好き」

浜面「スゲェな能力っ!?でもここで暴露する意味が分からないけどもっ!」

鉄網「えっと――『上条・一方通行・俺の三主人公になったんだから、俺もハーレム構築したって良いと思う』」

佐久「あー……お前、後ろめたい事しか考えてないな」

浜面「俺は思っていないよっ!?文句は神様に言ってくれ!」

鉄網「『まずは滝壺を何とかしてから、弱っている麦野を押し倒して、絹旗はフラグ立っているから焦らなくてもいいや』」

浜面「違うものっ!それも俺の意思じゃないからねっ!神様が仕組みやがったんだし!」

佐久「……まぁ、俺は別にお前が主人公格に引き上げられたため、美琴ちゃんの出番が大幅に無くなったとか、そんな事は思っちゃいないさ」

浜面「言ってるよね?本音がダダ漏れして、床にシミまで作ってる勢いだよね?」

佐久「ようこそ、『ブロック』へ――」

パタン

浜面「……」

浜面(……違う、よな。俺の居場所はここじゃない、絶対)

浜面「こ、こっちのドアだよね。間違っちゃったなー」 ガチャッ

博士「いらっしゃい。君が新しい――」 パタンッ

浜面(ジジイとAIB○の組織なんか入れるかっ!)

浜面「……」

浜面(最近、AI○Oって見ないよな?)

浜面「あー……」 ガチャッ

心理定規「あ、こんに――」 パタンッ

浜面「何か相性が悪い気がするっ!後のヤクザっぽい人もおっかないし!」

浜面「オレの、オレの居場所はどこなんだよおおおおっ!?」 ガチャッ

海原「おや、新しい面子ですかね」

土御門「なーんか使えなさそうな感じだぜ」

結標「貧相な顔ね」

浜面「……」

浜面「ごめん、ちょっといいかな?」

結標「な、何よ?」

浜面「サラシ引っ張っておっぱい――げふっ!?」 バキッ

結標「死ね」

結標「エロい目で見られるのは慣れているけど、どストレートにセクハラされたのは初めてだわ」

海原「と言うか前々から聞こうと思っていたんですが、何故そんな格好を?」

結標「ノーコメントで」

土御門「察してやれよ」

海原「あぁ、はい。プレイ的なアレですね、了解しました」

結標「違うっつってんでしょ――」 パタン

浜面「……」

浜面(なんだろうな、こう、コレジャナイ感が)

浜面(今までの自分がどんだけ奇蹟の上に立ってた、つーかね)

浜面(何処に行っても即死というか、人の盾扱いされて終りって言うか)

浜面(あっれー……?俺の居場所って、どこにあんの?)

浜面「……」

浜面(逃げたってしょうがないんだよ、うん!)

浜面「だったら――飛び込んでやるっ!!!」 ガチャッ

木原数多「オイクソ野郎、テメェ今死んだぞ?」

浜面「」

数多「時間に遅れ――」 パタン

浜面「詰んでるよね?もうこれは悪意100%だよね?」

浜面「『お前死んだぞ?』と最初の一回は注意してくれる上司は、割とまともな方だけどもさっ」

浜面「……神様、もう楽になりたいですっ!具体的には女の子っ!」

浜面「女の子四人に囲まれてキャッキャウフフでハーレム構築したいんですよっ!」

浜面「それさえ叶ってくれれば――」 ガチャッ

浜面「……あ、あれ?ファミレス?」

浜面(もしかしてここはっ!俺が暗部に初めて行った時の話じゃねぇか!)

浜面(神様ありがとうっ!原作だと分不相応な立場過ぎる上、超電磁砲とかの出番も食いまくってるから、『誰得?』とか言われるけどっ!)

浜面(俺はっ!俺はこの世界で嫁四人作って幸せになりますっ!いーやっほうううっ!)

御坂「おー、こんなトコにいやがったのね。捜した捜したー」

浜面「え、俺ですか?」

御坂「他にいないでしょうが。ほら、さっさと来なさいよ」 グッ

浜面(確かこの子超電磁砲の子じゃ……?)

浜面(あぁっ!この子らも四人で行動してたっけか!って事はだ)

浜面(JC四人×俺、的な話になるの……?)

浜面(や、やばくないかな?都条例に引っかかったりしない?)

浜面「……」

御坂「ちょっ!?何で鼻血出てんのよっ!」

浜面「い、いやっ!嫌いじゃないよっ!悪くないものっ!」

浜面(あぁ時代はまさに俺へ来た!つーか神様ありがとうっ!逆恨みしててゴメンナサイっ!)

浜面(だよね!『アイテム』の四人は色々と濃すぎるもの!俺にはこっちの子らの方が合っているものっ!)

浜面「よくよく見れば超可愛いしっ!……あ、この子のかーちゃんも超おっぱい大きかったなぁ……」

浜面「決めたよっ!俺、四人とも幸せにするからっ!」

御坂「はぁ?なに言ってんだお前、バカじゃねーのか」

浜面「またそんなにツンはやめとけって。どうせすぐにデレるんだ・か・らっ」

御坂「まぁ訳分からないけど、あ、これ」 ポイッ

浜面「おっと、って電動ドリル?これでどうすんの?」

御坂「いやお前が言ったんだろ、『相手にワザと負けて情報を渡す』って」

浜面「え?――ちょっと待て!お前まさかっ!!!」

御坂 ジジッ!

トール(御坂)「どうしちまったんだ、お前?」

浜面「男じゃねぇかああぁぁぁぁぁぁっ!?何か男の娘っぽいけどさっ!薄い本ではどっちでもありそうだけど!」

トール「おー、バードウェイ居た居た。んじゃ頼むぜ?」

浜面「違うって!俺の役割はそんなんじゃな――」

トール「――ふむ。お前が何を言おうと何をしようと勝手なんだがなぁ」

トール「その『場所』ってのはそんなに安い所じゃねぇんだよ、これが」

浜面「な、何の話だ」

トール「映画を見るにはチケット代が必要。んじゃお前が主役になるには何が必要か?」

浜面「ゆ、勇気的なものだろ?」

トール「違うね、そりゃ誰だって持ってる。お前が持ってい“た”のは、『意外性』だ」

トール「だが逆に考えて見ろよ。主役ってのはある種の安全地帯だ、それは分かるよな?」

浜面「あ、あぁ当然だろ?途中で居なくなったら話にならないか、そもそもソイツは主役なんかじゃねぇよ」

トール「だよなぁ。居なくなる“筈”は無いよな?」

トール「でもなぁ『もしも』の話、主役が死んじまったら、意表を突かれるよなぁ?」

トール「それこそ『意外性』のある展開だ」

浜面「お、俺の事かよっ!?」

トール「やりそうじゃないか?神様、持ち上げてから落とすの大好きっぽいし」

浜面「助けてーっ!?フレ/ンダはいやあぁぁぁぁぁぁっ!?」

トール「落ち着けって。そう言う時にこそ『主役』を張るのさ」

浜面「いやだから張ったら死ぬって話でしょうが!」

トール「話に食い込めばいいんだよ。流れ的に絶対居ないと困るってなれば、死にはしないじゃん?」

浜面「確かに!俺はどうすればいいっ?」

トール「バードウェイ襲撃してこい、そーすりゃ何とかなるって」

浜面「ほ、ホントに?死なないかな?」

トール「大丈夫だって。顔見知りだろ?」

トール(まぁバードウェイが『優しく』リタイアさせてくれるかも知れないけど)

浜面「よっし!俺行ってくるよ!」

トール「よーしがんばれーハマなんとかー、未来は君とともにあるかもーしれないぞー」

浜面「投げ遣りだなっ!」

トール「あー、生きて帰ってきたら、巨乳のねーちゃんに化けてバニーさん着てやるよ」

浜面「よおおおおおおおぉぉぉぉしゃああぁぁぁぁっ!!!」

浜面「見てろっ!俺の戦いは――これからだっ!!!」

――HAMADURAアフター -終-


※以上、浜面アフター終了です。お疲れ様でした
浜面さんのキャラ自体は割と好き(オイシイ)なんですが、鎌池先生の都合で徐々にフェードアウトしそうな予感がします
来る前までは『上条×御坂×一方通行』的に話が進んでいたのに……せめてプロローグとエピローグ以外でもイソデックスさんに出番をやって下さい
つーか最新刊のテゴイ役だってイン〒゙ックスさんで充分じゃ……?

乙ー!
あらゆる危機を幸運と悪運で生き延びて様々なすごい人たちと無駄に交流と面識があるここの浜面からは道化のバギー臭がしてたんだがなー

>>745
スレの主旨が基本『上条さん×アイテム』のお話なので、浜面さんが主人公のお話は機会があれば前向きに検討したいと思います

>>all
様々なご意見有難う御座いました
民主主義(数の暴力)により、来週から3で絹旗アフター投下したいと思います


戦後処理の話は全て事実。

時事をSSに絡められる>>1が羨ましい…

自分も禁書SS書いてる身としてアドバイスをお願いします!

アイテムの面子が完全に別人で萎える
優しいと言われてる滝壺でさえ目の前で人の骨が折られてても一切気にしないドライなのが根幹なのに

黒夜も上条が眼中に無しだったみたいに暗部の人間とは根本的に相容れない性格だから仕方ないんだろうけど

>>751
人様に言える程偉い立場では御座いませんし、それで食べている訳ではないので気の利いた事も言えませんが、科学サイトに関しては、
『現実の方がエグいので、フィクションを加えて希望を持たせる』
でしょうかね
時事の情報自体は各種ニュースサイトまとめを辿っていれば充分かと(おいでませ極東板、床屋談義って所がオススメです)
SSで国内の政治に関しては取り上げないのが無難かと。確実に荒れます

魔術は各種フィクションを読んで気になったのを調べるのがスタートだと思います
「あぁこれはあの神話の○○とい話が元になっているのか」と

後は派生するようにして民話や文化を調べてみるのも面白いと思います
例えば五和さんがアックア戦で『自分の服を身代わりした』ってのも、古くはイザナギが死者の国から逃れる際、
『自分の持ち物を投げ捨てて身代わりにした』と言う所から派生しています

更に似たような『呪的逃走』の概念は他の神話にも存在していて……と、言った具合に話を広げていけばと


>>752
ご指摘もご尤ともなんですが、
『もしも暗部の人間が表の人間を仲間にしたら、感化されて丸くなるんじゃないか?』というIFですので、
作中でも書きましたが、『暗い場所に居たからって、ずっとそこに居なければいなけい理由はない』と
原作で一方通行さんもあれだけ荒んでいたのに、幼女の保護者になってからは割りと丸くなりましたので



――『絹旗“ある意味”』アフター

 月の綺麗な夜。日付が変わって少し経った後

絹旗「しかしいつも思うんですが、学園都市終電が大体6時ってのは超早すぎですよねー」

上条「学生は勉強が本分だっけ?でもその割にタクシーとかファミリーワゴンで白タクやってる奴も居るみたいだけど」

絹旗「白タクって何ですか?白いタクシー?」

上条「白ナンバー、自家用車で許可取らずにタクシーやってる奴だな」

絹旗「超ボられそうですけどね。ってか車、車ですかー」

上条「ドライブ好きだったり?」

絹旗「んー、どうでしょうね?助手席で超ガンガン文句言ってる姿が浮かびます」

上条「……なんだろうな?俺も絹旗にナビさせながら運転する未来が見えたような……?」

絹旗「『もー、超違うじゃないですかー。次の信号右って言ったのに』」

上条「『あれそうだっけか?もう少し早く言ってくれよ』」

絹旗「『いやいや超言いましたって。大事な事なので二回言いました』」

上条「『いやだから二回曲がったんだが』」

絹旗「『あーもう超使えないですね。ほら、次の角左に曲がればリカバー出来ますから』」

上条「……思ったんだけどさ、カーナビ買った方が早くないか?」

絹旗「いえ、合法的に超言葉責めする機会はあった方が良いかと」

上条「問題発言過ぎるなっ!?言葉責めって何よ!?」

絹旗「ズバリ、上条は年下から無理難題をふっかけられるのか超好きと見ました」

上条「あー……」

絹旗「超心当たりがあるようですね。超いやらしいです」

上条「下心は無いって!別に年上からも無理難題貰うし!」

絹旗「どうにももうちょっと超危機意識を持って下さいな、と」

絹旗「確かに人助けは良いと思いますよ?でも上条はレベル0なんですから、身の程ってのが超ありましてね」

上条「いやー麦野にも言われたっつーか釘刺されたけど、そんな生き方は無理だしなぁ」

絹旗「普通なら『妄想超乙』ぐらいの話なんですが、今日――いえ、昨日ショットガン持ったハッピートリガーへ超有言実行してましたねー」

絹旗「全く、超悪い男ですよ」

上条「結論逆じゃないかなっ」

絹旗「いやぁ多分他の三人や、レーガンもそう考えているのは超間違いないかと」

上条「言いがかりだよ!……言いがかり、だよね?俺間違ってないよね?」

絹旗「あ、超つきましたー。あそこのマンションが我が家です」

上条「聞いて?俺の人生を大きく左右しそうな命題だから、是非ハッキリさせときたいんだけど」

絹旗「あ、超すいません。お願いがあるんですけど、上条も超お疲れですかね?」

上条「ん?別にさっきメシ食って騒いだし」

絹旗「でしたらそこのファミ○で二人分の食べ物と飲み物買ってくれませんか?あ、これお財布です」

絹旗「10分ぐらい経ったら×××号室までデリバリ超よろです」

上条「おー……」

上条「……」

上条(あれ?俺、家まで送るだけだったよね?)

上条(まぁ別に、なし崩しに『寄って行け』なんて事はならない、よな?)

上条「……」

上条(なーんか仕組まれている感がするんだよなぁ……?)

――15分後 絹旗のマンション内

ガチャ

絹旗『はーい、どうぞー?』

上条「えっと、サイフと買い物ここに置くな?」

絹旗「あ、すいません。中まで超持ってきてくれませんか、今ちょっと手が離せなくて」

絹旗「オートロックですんで、カギとか気にしなくて良いですし」

上条「あ、いや直ぐにお暇するんで」

上条(意外と普通の部屋?打ちっ放しのコンクリとか、殺伐とした部屋を想像してたんだけど)

絹旗「インスタントコーヒーですが、どうぞ。超お砂糖とミルクって入れる派ですか?」 コト

上条「出来れば欲しいけど――ってそうじゃなくてだな」

絹旗「一人でご飯食べるのもアレだったんで、超付き合って欲しかったりするんですが、駄目ですか?」

上条「……あぁいやそっちは良いんだけど、その」

絹旗「はい?」

上条「女の子の部屋に上がるのは遅い時間だなー、と」

絹旗「何か超問題でも?」

上条(わかってない?……いや俺の考えすぎ、だよな?)

上条(何というか、こう、二重三重のトラップにかかったような感触が……?)

絹旗「サンドイッチとパスタですか。超どっち食べます?」

上条「好きな方食べればいいって。俺、打ち上げで結構飲み食いしたし、ってかそっちも食べてなかったっけ」

絹旗「そっちの班がエイワス?と真面目に話をしている時、わたしは酔っぱらい三人の相手をしなくてはいけなかった訳ですし」

上条「結標ってそんなに酒癖悪いの?つーか滝壺……は、まぁだけどフレンダは拙いんじゃ」

絹旗「場の雰囲気で超酔った、的な感じでしょうかね」

上条「付き合い良いよな」

絹旗「まぁそんな感じで超気疲れした上に、あまり食べてないという羽目に」

上条「んー、絹旗って意外と食うキャラ――って、ベッドを振りかぶるのは危険だっ!」

絹旗「『窒素装甲』、と言うか白モヤシの演算能力の一部を再現しているので、常に超オートガードしている状態なんですよね」

絹旗「ですので消費が人よりも超激しい、と言いましょうか」

上条「あー……俺の知り合いにも一人居るよ。能力かどうか分からないけど、記憶能力がすっごいっての」

絹旗「『完全記憶能力』ですか?学園都市以外でもたまに聞きますけど、絶対に忘れられないってアレですよね」

上条「その子もよく食べてたけどなー」

絹旗「話を聞くに超辛そうかも知れませんね」

上条「辛いってのか?忘れてしまう方が辛いんじないのか?」

絹旗「いえ、そう思うのはその子が超幸せだからですよ」

絹旗「その子がもし不遇な立場で、毎日毎日忘れたい事があったとすれば、苦痛でしかないでしょうし」

絹旗「辛い記憶があったとして、それを忘れられればそちらの方が良い、とは思いませんか?」

上条「人によって、じゃないかな。今は辛くてもきっと笑い飛ばせる日が来る、って」

絹旗「ですかね」 シュルシュル

上条「綺麗事だけじゃやっていけない、ってのも分かるよ?『暗部』としてほんの少しだけどスキルアウトと関わってきたし」

絹旗「へー」

上条「でも綺麗事もあったって良いと思うんだ。目的と手段、両方持ってないと」

絹旗「あ、すいません。超聞いてませんでした」

上条「いい話をしてたのにっ!?――って何で脱いでるの!?」

絹旗「え?昼間の戦闘で怪我したから、超手当てして貰おうと思ったんですが?」

絹旗「おやおや上条さんはわたしが超脱いじゃって期待しました?きゃーいやーたすけてーむぎのー」

上条「待って!麦野さんには内緒にしておいて!じゃないとヒヒが入るからっ、信頼関係とか俺の体とかにっ!」

絹旗「……ってか、超照れますね。これ」

上条「俺だってそうだけど。つーか素に戻らないでくれ……」

絹旗「『とーまお兄ちゃん、きて……?』」

上条「昨日の設定を持ち出すなっ!?なんだそのキャラ作りっ」

上条「バカ言うなって。俺の好みは年上のおねーさんだ。年上になって出直してこい!」

絹旗「物理的に超無理なんですが。と言う割にはわたしの下着姿を超ジロジロ見ているような?視線が痛いんですけど」

上条「き、気のせいじゃないですかね?」

絹旗「と言うかこれ、昼間超買ったのです。見覚えありますよね?」

上条「あー確かに――って俺は見てないからなっ!?見覚えがある訳がないし!」

絹旗「あぁいえ、下着売り場で超真剣に青白しましまを見ていたもんですから、わたしがそう判断した訳ですけど」

上条「ノーコメントで良いよな、うん」

絹旗「と言うかネタ的にも物理的にも超寒いんで、ちゃっちゃっとネタじゃなく消毒して欲しいんですが」

上条「あ、ごめんな。消毒液は?」

絹旗「すいません、今超切らしちゃってて」

絹旗「だもんで舌で超お願いします」

上条「うん、無いならしょうがないよな――ってならないからっ!衛生的じゃないし!」

絹旗「いやぁ昔っから怪我はしてたんですけど、アルコールの臭いが超苦苦手なんですよね」

絹旗「一応、さっきシャワー浴びたんで超汚くはないと思いますけど?」

上条「いやいやっ!そう言う問題じゃなくてだな、コンビニで買ってきた方が良いってば!」

絹旗「……むー、だったらしませんよ、って。上条はわたしの肌に傷が残っても良いと」

上条「あーいやそう言う事じゃ無くっ。なんつーか、本格的に拙いだろ?」

絹旗「超マズいって、何がです?何か超危ない事でもあるんですか?」

上条「いやそれは、その、年齢的な慎みを持てって言うかな?」

絹旗「え、わたしの事をそんな目で超見ていたんですかっ!?」

上条「冤罪だよね?訴えたら勝てるレベルだよね?」

絹旗「まぁでもわたしが良いって言ってるんですから、上条に超問題が無ければ良いと思いますよ?」

絹旗「いや、まっさか?わたし相手にはぁはぁしたりしなければ、超大丈夫なんですよね?」

上条「あ、いや、そう言う問題じゃなくてだな」

絹旗「……昔、能力制御が超出来なかった頃の話です」

上条「……」

絹旗「いつもいつも体に生傷を超作っては、それをルームメイトに消毒して貰う毎日」

絹旗「わたしは、あの頃の事が好きじゃないんですが」

上条「絹旗」

絹旗「はい?あぁ超すいません、そんな話聞きたかった訳じゃ――」

上条「えっと……うん」

絹旗「……はい。超お願いします」 ギュッ

上条「……ってか凄い格好だよな」

絹旗「えぇまぁ。あ、手、肩に置いても超良いですかね?」

上条「どうぞ。ってかお腹の傷口痛々しいのな」 ペロッ

絹旗「ん……散弾の弾、と言うよりは、コンクリとかガラスの破片で超切ったんで」

上条「……あれ?」

絹旗「超どうしましたか?」

上条「いや、なんか甘い香りがするな、って」

絹旗「水で流しただけですので、わたしの体臭かなー、と」

上条「んー?」 クンクン

上条(これが絹旗の、匂い……)

絹旗「……なんか、超エッチですね」

上条「そう言う主旨じゃない!……よ、なぁ?」

絹旗「超違いますって?……んんっ!」

上条「いやぁ……」 レロッ

絹旗「やん、あ……あん……」

上条「ん……ん、ちゅっ」

絹旗「ふぅ……んうっ!あぅっ」

絹旗「はぅ……やん……んふぅ……うぅ……」

絹旗「舌、ざらざらしてて超気持ちいい、です」 ギュッ

上条(俺の頭が抱えられて、下着越しに胸当たってるんだけど)

絹旗「ひゃうっ、んう、んぁ……」

上条(意識してない、んだよな?)

絹旗「んぅっ、んぁ、はぁ、ふぁは……んふぅ……」

絹旗「あああっ、ひゃうっ、や、んぁ……あん……」

上条「……あのさ」

絹旗「はい?」

上条「一つ確認したいんだけど」

絹旗「どうぞ」

上条「医療行為、なんだよな?やましい所はないんだよね?」

絹旗「……すいませんが、こっちも超お願いできますか?」 パチッ、スルッ

上条「ちょっ!?ブラ外すのは拙すぎるだろっ!?」

絹旗「……その、赤くなってる、みたいなので」

上条「いやぁ……」

絹旗「エッチだと思う方が、超エッチなんですよね?」

上条「……そう、かな?」

絹旗「腫れてませんか?――ひゃうっ?!?」

上条「まぁ、医療行為なら、な?」 チュッ

絹旗「あん、ふぁはっ、んぅ……あああ、はぁっ」

上条(絹旗の胸、小さいけど綺麗だよな) チュ、チュッ

絹旗「やん……んく、あんっ、ひゃ……んぅ」

絹旗「んぁっ、はぁっ!ふぁは、んく、あああっ!」

絹旗「ひゃ、な、なんか子供みたい……や、んぁっ、あふ、ふぁっ?」

上条(可愛いな、絹旗)

絹旗「ひゃう、や……んぁっ!?あふっ、ふぁはっ」

絹旗「んぅ、あああ、はぁっ!やんっ!んくっ」

絹旗「あんっ、ひゃっ、んぅ……んんっ!はぁっ」

絹旗「ふぁはっ、んく、あああ……ひゃうっ!?やっ」

上条(ペース、上げてみようか) コリ、チュパッ

絹旗「んっ、あああっ!んうっ!?あふ、はぅっ!」

絹旗「んっ!んんっ、うぅっ!ふ、んくっ!?」

絹旗「あぁっ!ひゃっ!ふぅっ!んんっ、あぅっ!?」

絹旗「ふっ!?んっ!あぁっ!うぅっ、やっ、」

絹旗「んうっ!?あふっ!はぅっ!んっ!んふぅっ」

絹旗「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?」

上条「……」

上条(……あれ?俺何やってんだっけ……?)

絹旗「……ふう、超ありがとうございました。スッキリしました」

上条「どう、いたしまして?」

絹旗「――で、なんですがね。超言いにくいんですが、わたしの太もも辺りに、あたって居るんですが」

上条「あー……」

上条「い、いや違うんだっ!?これは敵の魔術師の攻撃――」

絹旗「ちゅっ」

上条「んむっ!?」

絹旗「あぅ……ちゅぷ……ちゅる……あぅ、やっ!」

上条(なんて俺キスされてん――あ、絹旗の、舌、入ってきて――)

絹旗「くぷ……ちゅちゅ……ちゅばっ!ちゅぷ……ちゅちゅ……」

絹旗「あぅ、ちゅぷ……ちゅる……あぅっ、や……」

絹旗「くぷ……ちゅちゅ……ちゅば……ちゅぷ……ちゅちゅ、」

上条(ヤバい何も考えられなくな――)

絹旗「ちゅるっ、んん、ん……ちゅる……くぶっ!」

絹旗「や、ぢゅる、ちゅちゅ……んん……ぢゅるっ!」

絹旗「――ぷはぅ、っと」

絹旗「あー、気のせいじゃないですよね?超おっきくなってますよね、これ」 キュッ

上条「違うんだ!この子は節操が無くってだな!」

絹旗「えっち、じゃないんですけどねー?」 キュキュッ

上条「これはつまり敵の魔術師の一方通行がベクトル操作してだな」

絹旗「すいません。超座って貰えませんか、あ、はい、そんな感じで」 ジーッ

上条「いけない!多分近くに顔にバーコードを貼ったストーカ――んんっ!?」

絹旗「あむ、んっちゅ、んん――」

上条「何やってんのっ!?そこまでするのはマズ、いっ!?」

絹旗「んふ?」

上条「取り敢えず続けるか止めるか、どっちにしてくれないかな?」

絹旗「ちゅぷ……れろ……ぴちゅっ、びゅく、ちゅぷ……ちゅる……ぴちゅ……」

上条「続けるのっ!?そういう流れじゃ無くないかなっ!?」

絹旗「――あ、いえ、これは別に超えっちぃ事じゃないですよ?」

上条「いや、その考えはおかしいと思う!」

絹旗「今さっきしてくれたのと超同じですって――挿れなければセーフです」

上条「い、いやそうじゃなくって」

絹旗「ね?」

上条「……そうか、も?」

絹旗「んじゃ続けますね――んっ」 チュッ

絹旗「れろっ!ぴちゅ……んぐ……ちゅぷ……ちゅる……ぴちゅっ、びゅく」

上条(うっわー……何か、本能に来る気持ちよさっつーか、)

絹旗「ぴちゅ……ちゅばっ、ちゅぷっ!ぺろ……ぴちゅ、ん……ちゅぷ……」

絹旗「ぺろ、ちゅっ、ん……ぢゅる、ぺろっ、ちゅ……んん」

上条(い、いやいや俺っ!このままじゃ拙いだろ!後輩みたいな女の子にアレ出すのは、兎に角良くないっ!)

絹旗「ぴちゅ……ちゅばっ、ちゅぷっ、ぺちゃ……ぴちゅ、ちゅばっ、ちゅぷっ!?」

絹旗「ぺろ、ぴちゅっ、んっ!?ぢゅるっ!?ぺろっ、ちゅっ!んっ!」

上条「いやいやっそこでピッチ上げる必要性が分からないっ!?ストップ、ちょっと待ってくれ!」

絹旗「――おやぁ、超どうしましたか?」

上条「どうしましたか、じゃなくってだな!それ以上は、その医療行為じゃないよねって」

絹旗「あぁなんだそんな事ですか。超ご心配なく」

上条「だ、だよねっ。俺の心配しすぎなんだよねって、あははー」

絹旗「最初っから医療行為のつもりはありませんから」

上条「やっぱりだなっ!分かってはいたけどもっ!」

絹旗「って言うか普通超信じませんってば。力業にも程がありますし」

上条「いやなんか、空気に押されてって言うかね?」

絹旗「で、まぁそれは超どうでも良いんですけど、その」

絹旗「わたしとしては、超続けたいんですけど。どう、ですかね」

上条「そりゃその、俺はとしちゃまだ早いかな、って思うよ?」

絹旗「……」

上条「絹旗が思いつきとか、ノリでするような子じゃないってのも分かる」

絹旗「あ、すいません。もうちょっと超横に――あ、はい、そんな感じで」

上条「俺は絹旗のこと大事にしたいからっ!だからっ!」

絹旗「くぅぅぅっ!?いっーーーつぅ」 プツッンン

上条「何やってんのっ!?何でインサートしてんだよっ!?人がいい話してんのにっ!」

絹旗「いえ、天丼は三回までお約束だと超言いますし――で、でも思ってたよりも痛みは少ないかも、です」

上条「と言うかさぁ、その」

絹旗「……上条は気に病まなくても構いません、よ?わたしが好きで――って言うか、超ワガママですし」

絹旗「あはは、超おかしいですよ。どうしちゃったんでしょうか、ね……」

上条「……ねぇよ」

絹旗「はい?今なんて?」

上条「おかしくなんてねぇよ」

上条「なんつーかな、こう色々と手段をすっ飛ばしたって言うのか」

上条「もうちょっと、その手順を踏むべきだった、つーかさ」

絹旗「……すいません、超簡潔にお願いします」

上条「『本番は、きちんと告白するから』って、さっき言っただろ?」

絹旗「……つまり?」

上条「まだ言わせんのかっ!?」

絹旗「超大事な事、でしょう?」

絹旗「それとも、わたしだけ、なんですかね?」

上条「んな事はない、けど。その、俺だってさ」

上条「絹旗を守りたい、護らせてくれよって思う」

絹旗「あ、超すいません。良く聞き取れなかったのでもっかいお願いします」

上条「どういう事っ!?聞き逃す要素ゼロだよねぇっ!?」

絹旗「あと出来れば、もうちょい超ムーディによろです」

上条「ダメ出しまでっ!なぁっ、お前俺に恥ずかしワードを連発させて、MP削ろうとしてるだろっ!何かそんな未来が見えるんだけどもっ!」

絹旗「……いやぁ超照れますね」

上条「……俺もだけどさ」

絹旗「えっと、その」

絹旗「好き、です。あなたの事が」

上条「……うん」

絹旗「わたしは、と言うかわたし達には親しい異性なんて居なかったから、もしかしたらこれは只の憧れで――」

絹旗「――わたしか勘違いしているだけかも知れません。けど――」

絹旗「――でも、なんであれ、わたしはあなたの側に居たいです」

上条「……分かった」

絹旗「あの、ですね。そろそろ痛みも引いてきましたんで」

上条「大丈夫か?真面目に聞くけど」

絹旗「上条から、超キスしてくれたら多分――ちゅっ」

絹旗「ちゅぶ……んんっ!ん……ちゅる……くぶ、や……ぢゅる……」

絹旗「やん……んふぅ……あん……ひゃうっ、んう、んぁ……はぅ……ふぁは……」

絹旗「んふぅ……あぅ、ひゃう……やん……んぁ……あん……ふぅっ!んぅ……」

上条「どう、かな?」

絹旗「……超言わせますかね、この状況で」

絹絹旗「ん――ちゅぷ……ぺちゃ……ぴちゅ……ちゅば……ちゅぷ……ぺろ、ぴちゅっ!ん……」

上条(……痛い筈なのに、必死になって――)

上条(あれ?絹旗って、意外と尽くすタイプ?)

絹旗「はぅっ、ん……んふぅ……うぅ、ふ……んう……あぁ、」

絹旗「ひゃっ!ふぅ……んん……あぅ……ふ……」

絹旗「やん……あぁっ、うぅ……ふぅ……んうっ!あふ……」

上条「ごめんっ、俺そろそろっ!」

絹旗「あ、そうだ上条っ。今日、中はダメですからねっ!?」

上条「分かったっ!」

絹旗「絶対っ!超絶対ですからねっ!?」

上条「分かったって!」

絹旗(両手両足で超抱きついて――)

絹旗(――『窒素装甲』で超固定っと) シャキーン

上条「何やってんのおおおおっ!?固定されて動けないんだけどっ!」

絹旗「んぁっ、はぅっ!?ふぁは、んふぅっ、あああっ!?ひゃうっ!?やんっ、んぁっ!」

絹旗「あん、ふぁはっ、んぅっ!あぅ……はぁっ、やんっ、んく……あん、」

絹旗「ひゃうっ!んぅっ!?んぁ、はぁっ、ふぁはっ!?んふぅっ!?あああっ、」

絹旗「んうっ、んぁっ!はぅっ!?ふぅっ、んふぅっ!やあっ!や、やだっ!」

絹旗「中はっ!中だけはっ!あぅっ!?ひゃうっ、やんっ!あぁっ!あんっ、ふぅっ!」

絹旗「くううぅんっ!?」

……

絹旗「超酷いです、上条っ!あれだけ中はイヤだって言ったのに!」

上条「……何で俺悪いみたいな話になってんの?つーか確実に不思議なパワー働いていたような気がするんだけどっ」

絹旗「いやでも最初っから外とか、何か超違うような気がしません?」

上条「素に戻らないでっ!?もうちょっとグダグダな展開で続けるのかと思ったのに!」

絹旗「なーんか、超満ち足りたって感じです。はい」

上条「それはまぁ、俺もだけどさ」

絹旗「あ、ちょっと寒いんで超ぎゅっとして下さいな」

上条「あーはいはい、しますします。つーか意外と甘えたがり?」 ギュッ

絹旗「あー、言われてみれば超そうかも。今までは甘える対象が無かっただけで」

上条「そう考えると甘えてくれるのは嬉しいけどさ。歳からすれば意外じゃないかー」

絹旗「甘えられるの、超嫌いじゃない?」

上条「好きな子にされるんだったら、嬉しい」

絹旗「……何だかんだで、わたし、超悪い男に捕まったと思うんですよ」

上条「酷い言い草だなっ!?」

絹旗「いやぁ多分超同意してくれる人は少なくない筈。っていうか、どうします?」

上条「何を?」

絹旗「他の面子になんて超言うのか、ですよ。上条がイヤって言うのならば、別にわたしは秘密にしちゃってもいいかと」

上条「言うべきだとは思うけども、出来れば少ーし時間を置いて欲しいかなって」

絹旗「あー、分かります分かります」

絹旗「デートした日にお持ち帰りした上、○○生相手に医療プレイで童貞喪失ってのは、超引きますしね」

上条「違うよっ!?……あぁいや、主旨はそうなんだけどもっ」

絹旗「でしたらしばらくは、超秘密って事で」

上条「それもあんまり気持ちよくないけどな。何か後ろめたい事してるみたいで」

絹旗「あ、超ご心配なく。わたしは堪え忍ぶ女ですからっ」

上条「俺っ!?何が何でも俺を悪者にしたいのかっ!?」

――10時間後 いつのも喫茶店にて

絹旗「――はい、超あーんして下さい?」

上条「いやあの、な?絹旗さん?」

麦野「……」 ジーッ

絹旗「あ、口移しの方が――」

上条「わぁいっやったね!絹旗さんから食べさせて貰ってラッキー!」

フレンダ「……」 ジジーッ

絹旗「上条ったら超喜んでくれてわたしも嬉しいです」

上条「いや、うん、そうなんだけどね?もっと空気読めって言うか、ね?」

滝壺「……」 ジジジーッ

絹旗「つまり?」

フレンダ「……どうしてカミジョーの膝の上に、絹旗がポジショニングされている訳?」

絹旗「あぁいえ別に超深い意味はありませんよ?ね?」 スリスリ

上条「言っているよ!態度が普通じゃないって完全に裏切っているモノっ!」

滝壺「じゃあどうしてきぬはたがすりすりしているの?」

絹旗「それはまぁ、そのウチ上条から超発表しますから、ちょっと待ってて下さいな」

上条「お前それ100%解答してんのと同じだからなっ!」

麦野「……まぁ、えっと一応確認するけども」

麦野「同意、なのよね?」

上条「お前らは俺をそんな目で見ていたのかっ!?」

絹旗「そうです麦野っ!上条だけを責めるのは超筋違いですからっ!」

上条「絹旗もまた誤解を生みそうな事をっ!」

麦野「アンタもう名前ペ×条で良いんじゃないかしらね?」

フレンダ「いやここは後々まで反省させる意味も込めて、ロリコ×条で良いって訳」

上条「そんなファミコンジョ○みたいな名前は嫌っ!?」

滝壺「もういっそいっぽうつうこ×って名前にしちゃいなよ、ゆー……」

上条「あいつと同じカテゴリーに入るのはいやあぁぁぁぁぁっ!?」

絹旗「いやー、流石に仲間相手だと超隠し事は出来ませんねー」

上条「隠す気無かったよね?最初からフルオープンだったよね?」

フレンダ「ってかそろそろ聞かせて欲しいんだけど、結局昨日別れた後に何があったのかって!」

麦野「あー、興味あるわねー。場合によっちゃ――もぐか」

滝壺 コクコク

上条「よっし絹旗、言ってやれ!俺が無実だって事をなっ!」

絹旗「傷の手当てを超お願いしたら、いつの間にか超ペロペロされていて、しかも超させてられて、中はイヤだって言ったのに超ガンガン出されてしまいましたっ、まる」

上条「また堂々と嘘を吐くなよおおおおおっ!?」

絹旗「あ、いえ全部超事実ですよね」

麦野「って言ってるけど?」

上条「嘘では無いが事実全てじゃないっ!」

フレンダ「『俺は誘われたんだ』?」

麦野「それ、最低の言い訳よね」

滝壺 コクコク

上条「だーかーらっ!」

麦野「んー……一本、毟っとっかぁ」

上条「ポンって何?人体にはバランスってモノがあるんだけどねっ!」

麦野「大丈夫よ。右側さえあれば『幻想殺し』も使えるでしょ?」

上条「嫌な気の遣い方だなっ!?」

絹旗「超待って下さい!上条は――わたしが護りますっ!」

麦野「絹、旗……?アンタ、そこまでペ×条の事がっ!?」」

上条「違うよね?マッチポンプ的な展開にも程があるよね?」

フレンダ「(いやまぁ、別に全員でボケてるって訳じゃ無いし)」

滝壺「(むぎのが怒ってるのは、じぇらしー的な。うん)」

絹旗「まぁそんなこんなで恋人同士になりましたので、皆さん超よろしくです!」


――『絹旗“ある意味”』アフター -終-



――『絹旗アフター』

――数年後 自宅 18時

絹旗「はぁ、教育実習ですか」

上条「うん。来週からだって」

絹旗「……超嫌な予感しかしないんですけど」

上条「何となく酷い事言われるのは予測出来るけど、言うだけ言ってみ?」

絹旗「『まさかっクラスの子全員に手を超出すなんてっ!?』」

上条「俺の予想と違ってた!?むしろ数十倍修羅場になってるなっ!」

絹旗「いやー……なんか、超想像付きませんか?例えばですね、能力開発のカリキュラムが遅れている子が居ますよね」

絹旗「まぁ高等部ですし?大体の人はある程度、もう伸びないなー、とか超思っている筈ですが――頑張り屋さんのその子は違うんですよ」

上条「……俺もう一回言うけど、そのオチ読めたよ?今度こそ外さないからね?」

絹旗「放課後、夕暮れで超赤く染まった教室、二人は空いている教室を借りて、毎日毎日秘密の超特訓をします」

絹旗「おバカな訓練をしたり時にはラッキースケベで超テレテレしたり、二人は楽しく過ごして行きます――んがっ!」

上条「いやもう外さないって。その展開で行くと鉄板だもの」

絹旗「教育実習はもうすぐ超終り、これで最後だな、と寂しく思っていると――教え子が服を超脱ぎ出すんですね」

上条「それなんてエ×ゲ?それとも薄い本なの?」

絹旗「『超ダメだっ!俺とお前は教師と教え子、そんな、そんな関係になっちゃいけないんだっ!』」

上条「良かったー。俺一応止めるって思われてるんだ」

絹旗「『先生っ!ボクは先生の事がっ!……それども、先生はボクの事が嫌いですかっ!?』」

上条「ボクっ子って現実には居ないよな?森永理○さんってフィクションだよね?」

絹旗「『じゃ、じゃあ一回だけなら?』」

上条「想像の中の俺弱っ!?どんだけ押され弱いと思われてんだっ!?」

絹旗「『先生……ボク、男の娘だけど、いいの……?』」

上条「最後にどんでん返しキターーーーーーーーっ!?」

絹旗「『嫌いじゃない』」 キリッ

上条「キリッてしないよっ!?流石にそっちには興味ないしなぁっ!」

絹旗「――ってな具合にわたしの中での超シミュレートでした」

上条「俺の中の俺はどんだけだと問いたい。ストライクゾーン、イチロ○並に広すぎじゃねぇか」

絹旗「あー、でも男の娘は超浮気に入るんですかねー?」

上条「知らないよっ!?浮気しないしっ」

絹旗「超ファイナルアンサー?」

上条「超ファイナルアンサー!」

絹旗「あ、テレフォンが繋がっていますね」 ピッ

フレンダ『もっしー、どったの?』

上条「何でフレンダ呼んだのっ!?」

フレンダ『ありゃ上条も元気ー?』

上条「元気だけどさぁっ」

絹旗「『突然ですが、フレンダさんに超質問』」

フレンダ『な、何?もしかして知り合いにクイズに答えて貰う番組に出てる訳っ!?』

フレンダ『バッチこぉいっ!「アイテム」のリアクション担当のあたしに任せるって訳よ!』

上条「お前のそのローギアからトップへ一瞬で入れるのはおかしいっ!あと『アイテム』にお笑い部門があったのは初耳だっ!」

絹旗「超衝撃の新事実がここにっ」

上条「ウルセェよっ」

絹旗「『ではフレンダさんに質問です。もしも彼氏が男の娘と浮気したらどうしますか?』」

上条「口頭で男の娘が通じる訳ねぇだろっ!」

フレンダ『出来ちゃったENDが無いし、良いんじゃない?』

上条「何で通じるのっ!?お前らアレだろっ!事前にネタ合わせてしてたよねぇっ!」

フレンダ『ってか上条……あー……うん』

上条「納得しないでっ!?もしもって言ったからねっ!」

フレンダ『あ、あれじゃないかな?ほらっ、仙谷時代にはみんなゲイだった訳でしょ?』

上条「日本の歴史を間違って覚えてる!」

絹旗「あとその時代は『自衛隊は暴力装×』で超お馴染みの数年前ですね」

フレメア『にゃあ、お姉ちゃん「おとこのこ」ってなんなのだ?』

フレンダ『あ、ごめんね?今からちょっと大切な用事が出来たから、切る訳』

上条「その知識は要らないっ!人んチの事情に首を突っ込むようでアレだけど、おいばかやめ――」

プツンッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ

絹旗「一人目からは『まぁ超いいんじゃね?』とのご意見頂きました」

上条「……なに?俺フレンダからそう言う目で見られてんの?次、フレメアにはどんな顔して会えばいいの?」

絹旗「『あ、麦野。ちょっと相談が、はい』」 ピッ

上条「何二人目のテレフォン繋いでんのおおおぉっ!?」

麦野『うっわー引くわー、何やってんの?BL?BLなの?』

上条「やってねぇしお前がBLって単語知ってる方が驚きだよっ!」

麦野『んー、浮気は浮気じゃない?良くないと思うわよ』

上条「冤罪だけど、言う事は真っ当だな。冤罪だけどもっ」

絹旗「『超どうすればいいでしょうかねー?』」

麦野『あんたがフレンダ辺りとクロコれば良いんじゃない?』

上条「お前頭おかしくないかっ!?どうやったらその発想が出て来るんだよ!?」

絹旗「ていうか二人とも『クロコる=レ×る』って所を流すのは、超マズいと思います」

麦野『でもそう言う事じゃない?人にやられたらヤな事を、自分でするなって話よね』

上条「そうだけどさぁ」

絹旗「『参考まで聞きますが麦野だったら、超どうします?』」

麦野『私?参考にならないと思うけど、監禁――』 ピッ

絹旗「あ、何勝手に超切ってんですかっ」

上条「……麦野ってあんなに病んでたっけ?冗談とは思えないトーンだったけど」

絹旗「まぁそこは超色々と葛藤があったりなかったり?」

上条「どっちだよ」

PiPiPi、PiPiPi……

絹旗「おや、ちょっと超失礼しますね」 ピッ

上条「麦野この上まだ追い打ちを掛けるつもりなのかっ」

滝壺『話は聞かせて貰った……!』

上条「どっからだよっ!?つーか良く分かったなぁっ!」

絹旗「滝壺を超ナメてはいけませんよ?」

上条「しねぇが、このこの展開は読んでなかったしっ」

絹旗「当麻が超ぺろぺろして良いのはわたしだけです」 キリッ

上条「おっと、それ以上俺の性癖をバラすのはやめてもらえるかな?」

滝壺「……わたしのボケが中途半端に流された上、なんかイチャイチャしている……」

絹旗「『超失礼しました。ではでは滝壺さんのご意見を超伺いましょうか』」

上条「待てよっ!その前にどうして滝壺が知ってるのかを追求する方が先だっ!」

滝壺『匿名希望のふれなんとかさんから、タレコミがあった』

上条「あのバカ――あぁごめん口が滑った、言い直すとあのドバカは何してしくさってんの?」

滝壺『だから「あいてむ」のオチ担当としては、色々用意してた……!』 グッ

絹旗「携帯の向こうで超やる気になっている、超レアな滝壺の姿が浮かびますね」

上条「滝壺ってオチ担当だったの?俺、『アイテム』入って結構経つんだけど、どうして今頃新事実がボロボロ出て来るの?」

絹旗「『んで、彼氏が男の娘と超浮気した場合、どうすればいいと思いますかね?』」

上条「しかも決定事項になってる……」

絹旗『かれしを責めるのは、よくない。それは多分不毛なだけ』

上条「だよねっ!滝壺さんは良い事言いましたっ!」

絹旗「『それは、そう、かもしれませんが。では超どうしたら?』

絹旗『いい機会だし「あいてむ」全員と性的関――』 グシャアッ

絹旗「おっと力を込めすぎて携帯が超壊れてしまいましたねー、失敗失敗」

上条「……あんま良く聞き取れなかったけど、今なんて言ったの?」

絹旗「あー、いえ別に超気にするような事じゃないですよ?」

上条「いやあの、だから――」

絹旗「気にしないで、下さいね?」 ニコッ

上条「はいっ」

上条(あれ、おかしいな?アックアやトールよりも迫力あるよね?)

上条「……いやいや、つーかさ。俺が教育実習で行くっつってもさ」

絹旗「『別に俺はモテる訳じゃない』とか超言ったらぶっ飛ばしますからね?」

上条「何でだよっ!?つーかモテてないじゃんっ!」

絹旗(公私ともに女の子四人侍らせておけば、大抵は超遠慮しますし)

絹旗(超電磁砲とか五和とか、イ……イノケンティウス?とか、諦めの悪いストーカーが超居ますし、はい)

絹旗「っていうかですね。あなたは超問題があります。彼女が遠回しに『心配だなー』と超言っているんですよ?」

上条「そうなのか?俺はてっきり俺をネタにして遊んでいるもんだとばかり」

絹旗「超大体合ってます」

上条「認めちゃった!?」

絹旗「で、なくてですね。その、ほら、ですからね?」

絹旗「言うべき事が、超あるんじゃないですかね、って」

上条「あぁっと……まぁ、俺は浮気したりしないし」

上条「割とその場の雰囲気で流されたり、突っ走ったりするけども」

上条「最愛が一番で、一番好きな人だから」

上条「だから、期待を裏切ったりはしない」

絹旗「あ、すいません。超良く聞こえませんでした」

上条「この距離でっ!?膝くっつくぐらいの間しかないのにかっ!」

絹旗「『俺の最愛の人は最愛だよ』の後から超お願いしますね」

上条「ベタネタ来たっ!?殴られそうだったから自制したんだよっ!?」

絹旗「もっと超言って下さいよー、ねーねーねーねーっ?」

上条「……なぁ、何回言ったのか分からないけど、最愛さんちょくちょく俺を罠にかけるの止めてくれないかな?」

上条「君の攻撃は無属性だから、属性無効の『幻想殺し』だって防げないんだからね?」

上条「しかも俺甘えられるの嫌いじゃないから、『うっわこいつ可愛いなっ!』って色々我慢してるんだよ?」

絹旗「いやいや我慢って何ですか?こないだ時間が無くてブレザーのまま夕食作っていたら、後から超ガバって来たのは誰かと」

上条「すいませんでしたっ!またお願いしますっ!」

絹旗「あ、超良い事考えました」 パチン

上条「嫌な予感しかしないし、どうせ俺の予想の斜め上を行くんだろうがなっ!」

絹旗「要は超おイタ出来ないようにすればいいと」

上条「まぁ、そうだな。っていやいや元からしないよ?」

絹旗「超合意を得られた所で超脱ぎましょうねー」

上条「つ、つまり?」

絹旗「今夜“から”は超寝かせませんよ、って――あ、勿論性的な意味でですよ?」

上条「予想通りじゃねえかなっ!」

絹旗「ほらほら、ここは超素直なんだぜ?」

上条「やめろっ!その子はお前にベタ惚れしているっ!俺の危険が貞操だああぁっっ!」

――翌週 とある高等部の教室、朝のホームルーム

教師「――はい、と言う訳で副担任になる上条先生です」

上条「か、上条当麻ですっ!よろしくっ」

絹旗 ペコッ(軽く会釈)

佐天 ニヤニヤ

初春 ハラハラ

上条「」

上条「最悪じゃねぇかっ!?何だこの悪意のある仕込みっ!?」

教師「あのー、上条君?」

上条「えぇいや、見込みのあるクラスだなって!」

教師「えぇどうも?」

上条「じゃあ挨拶は終わりましたのでっ!」

佐天「あ、せんせー、質問がありまーすっ」

上条「ごめんなっ!今ちょっと奇襲されて混乱バステ食らってるから後でな、後でっ!」

教師「あぁ時間は大丈夫ですから。答えてやって下さいね?」

上条「は、はい……」

上条(いやでも佐天さんだし?事情も分かってるから踏み込んでは来ないよね、うんっ)

佐天「上条先生に恋人って居ますかー?」

上条「空気読めよっ!?一手目から王取りに来てるじゃん!?」

佐天「あ、居ないんですかー?だったらぁ――初春が立候補しちゃいますっ」

初春「なんで私がっ!?」

佐天「西葛西出身の初春がっ!」

初春「もう許してくれても良いと思うんですよ、はい。ネタ抜きで思うんですけど」

絹旗 ジーッ(期待するような目)

上条「います、はい」

絹旗 グッ

佐天「どんな人ですかっ!?好きになった理由とか、告白はどっちから?」

上条「君アレだよね?初対面だから良く分からないけど、ガンジーでも助走つけて殴るレベルの悪事をしているからね?」

教師「佐天さん、ダメですよ?」

上条「あ、はい。ほら、先生もプライベートな質問は駄目だって言ってるよ?」

教師「なんて告白したのかも聞かないと」

佐天「やっちゃいましたっ」 テヘペロ

上条「お前らグルかああぁぁぁっ!?何、佐天さんの関係者になると緩くなるのっ!?」

初春「えぇまぁ、大体あってます。はい」

上条「君は前から割と緩かったけどな」

初春「ヒドっ!?」

佐天「上条@イマンジンブレイカー先生、答えて下さいー」

上条「人に妙なミドルネームをつけるな!」

佐天「あーんじゃ彼女――じゃなかった、絹旗さんから聞いて貰いましょうか?」

絹旗「あ、はい」

上条(分かってるよね?高等部の娘と同棲してるなんてバレたら、教育実習以前に社会的に死ぬんだからね?)

絹旗「今日の晩ご飯、どっちが超当番でしたっけ?」

上条「はい死んだ俺っ!社会的に死にましたねっ!」

――休み時間 人気の少ない廊下

上条「なぁどういう事?つーか何で俺ここへ来てるの?」

絹旗「コネを使って超ごり押ししました」

上条「いえ、前日に『ミスで担当学校が変わったから、こちらで用意した車に乗ってくださいね』って言われたんだけど」

絹旗「いやでも超危ない所だったんですよ?ネタ抜きで真面目な話」

上条「え、そうなの?」

絹旗「ってか元々超赴任する筈だった所の名前って覚えてますか?」

上条「常葉院附属高校」

絹旗「一見何の変哲もない、超普通の高校ですが」

絹旗「実は毎年二週間程常盤台高等部からの学生超交換をしてまして」

上条「つまり?」

絹旗「危うく超電磁砲+妹達に超逆レ××される所でした」

上条「有り得ないっ!?その発想は無かったものっ!」

絹旗「まったくわたしがねじ込まねば、超どうなっていたのか。ふう」

上条「どうもなってないよ。いや常識的に考えよう?」

絹旗「わたしだったら超しますもん」

上条「うん。昔々白カブトムシに説教されたんだけど、『投影』って言葉知ってるかな?」

上条「『俺が思っている事は、相手も思っているはずだ』って木道さんも言ってるし」

絹旗「……大切な事なので、超はっきり言っておきます」

上条「な、なんだよ改まって」

絹旗「この世界には超汚い事や平気で罠を仕掛ける人が居ます――フレンダとか」

上条「あの子の名前を出す必要はないよね?間違っちゃいないけど、それ以外戦い方が無いだけだよね?むしろよくやってるよね?」

絹旗「人を信じるのは超大切ですよ?でもだからといって全てが全て、同じような人種とばかり思わないで下さい」

上条「うん。俺告白された時、ものっそいトラップに嵌めた女の子もいるしね」

絹旗「……」

上条「……」

絹旗「――んっ」 チュッ

上条「ごまかし方が酷いなっ!?『わぁいもういいや』って思ってる俺も俺だけどっ!」

絹旗「超好きなクセに」

上条「えぇもう大好きだよっ!好きで悪いかチクショーっ!」

佐天「――はーい、いただきましたー」 パシャッ

上条「おぉいっ!?どっから生えたっ!?」

佐天「やですねー、『佐天涙子ある所にトラブル有り、むしろ佐天涙子がトラブルじゃね?』と言われてるあたしですよ?」

上条「それって君がトラブル作るだけだよな?危険視と厄介者扱いされてるよね?」

佐天「ガッコで生徒と抱き合う先生っ、あぁっスレ立てしたら勢い出そうっ!」

上条「佐天さんVipperなのっ!?意外でも無いけどさっ!」

絹旗「むー、佐天と超いちゃいちゃしないで下さい」

上条「してないからね?何ひとっつしてないからな?」

絹旗「あ、すいません。超失礼しますね」 チュッ

絹旗「ぺろ……びゅく、んっ、ちゅる……ちろ」

佐天 パシャパシャパシャパシャッ

上条「んーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

絹旗「ぷはっ。ん、超悪くないですね」

佐天「よーし、いいよいいよー。次は男優さんを脱がせながら、ムード出して行ってみよっかー」

上条「君らバカなの?バカのゴールデンエイジなの?」

上条「ネタじゃなくて社会的に死ぬんだってば!いやマジでっ!」

佐天「わかってますよー。ダチョウ的な意味でしょ?」

上条「つーかお前らいつの間に仲良くなった!?クラスメイトだなんて話聞いた事ねーしっ!」

絹旗「この日のために、約二年間かけて超仕込んだ甲斐がありましたっ」 ハイタッチ?

佐天「いえーいっ!」 ハイタッチ!

上条「初春さんはっ!?ボケが多すぎて俺一人じゃ処理しきれないっ!」

絹旗「何事も無く超終わると良いですねー、教育実習」

上条「やめろっ!フラグを立てようとするんじゃないっ!」

佐天「――で、ですね。『天○小学校』って知ってます?」

上条「コープスパーテ○っ!?よりにもよってあのグロッグロの伏線張るのっ!?」

絹旗「新生『アイテム』で行ったら、全員無傷で超脱出できるヌルゲーですけどね」

絹旗「攻撃・防御・探知・精神汚染無効化と浄化、あと囮役がいて完璧ですし」

上条「だからフレンダを分割しようとするのやめてあげて!」

佐天「あー、それどころか序盤でサチ○ちゃん仲魔にしそうな勢いですかねー」

絹旗「『俺が全員助けるっ!だからお前は自分を許してやれっ!』」

絹旗「『もう充分だろっ!これ以上他人を――自分を傷つけないでくれっ!』」

佐天「『お兄ちゃん……うん、分かったよ。サ○コはもう行かなくちゃいけないけど』」

佐天「『生まれ変わったサチ○を、見つけ出して、ね?』」

上条「人をフラグ建築士みたいに言うんじゃねええぇぇぇぇっ!!!」

――校門前 19時

上条「つっかれたー……」

絹旗「超お疲れ様でーす」

上条「君だからね?俺が職員室で詰問されてたのって、最愛のせいだからね?」

絹旗「あー、流石に超やりすぎましたかね」

上条「両親公認って事で学校は見なかった事にしたみたいだけど」

絹旗「わたしも適度に超牽制出来てwin-winって事ですね」

上条「反省しようぜ?君ともう一人の問題児もだが」

絹旗「超帰りましょうか」 ギュッ

上条「あークソ。最愛に腕掴まれたら『まぁいいや』って思うようになった……」

絹旗「折角大きく育てたんだから、超当然ですよねー」

上条「否定出来ない……」

絹旗「まぁでもわたし、超思ったんですけど――もしもの話、先生と生徒として出会ってたら、どうなのかなって」

上条「俺達が?」

絹旗「……あー、何か放課後の教室で押し倒している姿が超浮かびます」

上条「やっぱりかっ!もっと、穏当な告白の仕方を検討しようぜっ!」

絹旗「そしてダメダメ言いつつも、始まってしまえば超ノリノリで応戦する当麻」

上条「ですよねー」

絹旗「でも、えっと……あの時から何年か超経っていますし、わたしも上条もフリーじゃないのかも」

上条「俺は……まぁ確実に独り身だけど、最愛は周りが放っておかないような気がする」

絹旗「いやぁわたしは超モテませんよ?」

上条「こんなに綺麗なのに?」

絹旗「入学式の日、肩を超叩こうとした男子の顔面を陥没させて以後、距離を置かれてますし」

上条「……どうしよう。実習生としては注意しなくちゃいけないんだけど、彼氏としては嬉しい気がする……!」

絹旗「能力の超無駄遣いの気がしないでもないですが」

絹旗「ま、多少暴れても、いざって時にはわたしを超守ってくれるんですよね?」

上条「するけどさ。当たり前だ」

絹旗「……ふふっ」

上条「能力を持っているから盾になるとか、護れるとか、そう言う事じゃない」

上条「……でもきっと絹旗は『アイテム』のみんなを護るために、一番前に立つんだろ」

上条「ワケ分からない能力やら、場合によっちゃ魔術とかも」

上条「だったら俺はその横に居たい。守ってあげたいって思うけど」

絹旗「いやいやっ当麻、それは認識が超甘いですよ」

上条「甘い、かな?」

絹旗「あの日、炎に包まれたアウトレットの中、あなたはわたしを守ると超言ってくれました」

絹旗「仲間だから、友達だから……まぁ確かに、それも超大事な理由です」

絹旗「でも、ですね?世界はもっと超シンプルなんですよね、はい」

絹旗「人が人と寄り添うのに、寄り添って生きるのにそんなに超深い理由は要りません」

絹旗「好き、だから。あなたを誰よりも愛しているから」

絹旗「だから、ずっと一緒に居たい。この手を繋いでいたい」

絹旗「それだけで、充分です」

上条「……だな、うん」

絹旗「前も超言いましたし、これからも超言いますけど――」

絹旗「――わたし、あなたの手を超離しませんからっ」


――『絹旗アフター』 -終-


※来週はフレンダアフター投下予定
しかも学園探訪のラストが『フレフレ姉妹×上条で本物の出るお化け屋敷を取材』だから、来週はフレンダ三昧です

…アニメでも御坂さん相手に善戦してますが、消える前の花火が一番輝いて見えるという言葉もありますよね(遠い目)

二次創作全般は『全て暇人の妄想』です



――『フレンダ“ある意味”』アフター

――ヴィリアン第三王女 クローゼット内

フレンダ「――で、なんだけどね、上条」 ギユッ

上条「う、うん。フレンダ、近いかな?」 ギュッ

フレンダ「って言いながら力強くなってる訳だし?」

上条「あ、ご、ごめんっ!そういうつもりじゃ――」

フレンダ「――その、さ、しちゃおっか?」

上条「……え」

フレンダ「今さ、あたしお姫様じゃない?多分人生一番キラッキラな訳よ」

上条「あぁまぁ確かに?」

フレンダ「だから、ほらっ、ね?初めての思い出作りも兼ねて、って言う訳で――」

フレンダ(よっし!どうよ、これなら上条も落とせるって訳!)

フレンダ(髪良し!服良し!シチュエーション良し!あぁ、全てがあたしに味方している!!!)

フレンダ(人生のメインヒロイン昇格とはっ!今まで散々弄られ続けて来た苦労がやっと実っ――)

フレンダ「……」

上条「……フレンダ?」

フレンダ「ちょっ、ちょっとごめんね?」 クルッ

上条(どうしたんだろ?急に訳分かんない事言い出したかと思ったら、後振り向いて)

フレンダ(まさか、まさかっ――) ペタペタッ

上条(……あれ?スカートめくって何やってんの!?)

フレンダ「麦野おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおっ!?」

上条 ビクッ

フレンダ「そーかーあぁっ!あの女何で意味の無いボケかましたんだろう、ってずっと思ってたけど、こーゆー事だった訳ね!汚い!麦野汚い!」

フレンダ(何で麦野んちでパ××ンにされたのか分かってなかったけど、これか!つーかあん時からあたしを警戒してたって訳!?)

上条(脱いでる、って事は……その、いいん、だよな?)

フレンダ「……あー、やっぱあと一ヶ月は――」

上条「――ヌレンダ」 ガシッ

フレンダ「フレンダね?つーかどうして間違ったの?キーボードの配置のせいなの?」

フレンダ「てか肩ちょっと痛いんだけど」

上条「ん?あぁごめんごめん」

フレンダ「でも、離してはくれない、訳?」

上条「離したくない、って言うのか。あ、嫌だったら」

フレンダ「嫌じゃないっ。嫌じゃない訳!だけどね?」

フレンダ「急に、って言うか、うん。突然、よね」

上条「そりゃまぁ確かにフレンダはアレだけどさ」

フレンダ「アレって何!?この状況でおかしくないっ!?」

上条「いやでも、ネタ抜きで凄いって思うぜ?多分屋内で爆弾使われたら、俺にはどうしようも無いだろうし」

フレンダ「爆弾?」

上条「そういう設定じゃねぇかっ!?御坂を追い込んだ話はっ!?」

フレンダ「あー……何か、あったわよねー……」

上条「いやいやっ!アンチスキル掃討に活躍してたよなっ!?」

フレンダ「結局、あたしは遊撃担当だった訳よね。斥候やら滝壺のガード、攪乱――フォックスハント?」

上条「聞かれてもな」

フレンダ「猟犬みたいな感じって訳よね。麦野達の方へ標的を逃げ込ませたり」

上条「獲物を追い立てるみたいな?」

フレンダ「麦野がダブルエンジン仕様ギドラ砲装備のウルフ、絹旗がバグってない閃光迎撃神話積んだ装甲車、滝壺がハッカーであたしがアーチストね」

上条「メタルマック○!?仲間二人が戦車扱いだし、正確にはハッカーは居ない事になってるし!」

フレンダ「あー、んじゃさ。ハッカー主人公にして敵を仲間に出来るとか?」

上条「ボケモ○だよね?それともメガテ○?ノア・シー○を主人公にすれば、出来るかもだけど」

フレンダ「そしてバイオノイ○三将軍を倒す訳よ!」

上条「今一瞬アレ?って思ったけど、そいつらラグランジュポイン○の話だよね?」

フレンダ「ちなみにカミカゼキン○は課金専用モンスターで」

上条「ウルセェよっ!マジで実現しそうだからやめてくれないかなっ!」

フレンダ「ま、だから。上条が来てくれて楽にはなった訳よ」

上条「……うん」

フレンダ「ただねー、あんたってばいっつも前に出すぎな訳よ。フォワードの絹旗よりも前に出るとか、正気とは思えないし」

上条「……よく見てんなぁ」

フレンダ「そりゃ見てる訳。好きな人だもの」

上条「……えっと?」

フレンダ「言ってないっ!?ひとっことっも言ってない訳よっ!」

上条「……」

フレンダ「……」 ドキドキ

上条「絹旗とね。うん、良いんじゃないかな?」

フレンダ「この二択で外す訳っ!?絶対もう分かってるわよねっ!」

上条「御坂達と同じかー」

フレンダ「分かってなかったかー。そっかー」

フレンダ「ってか、あっちのあの子と同じ扱いっ!?しかもちょっと距離開けてるし!」

上条「いや別にそんな事無いですよ?」

フレンダ「麦野にすら使ってない敬語っ!?そんなに引くレベルなのっ!?」

フレンダ「てかあんた絶対に分かってる訳よね?」

上条「……まぁ、何となくはだけど」

フレンダ「だったらホラ、言う事あるって訳よね?」

上条「催促して言わすのもどうかと思わないでもないけど、まぁ、なんだ」

上条「ほら、フレンダって喋らなかったら綺麗な方だよな?」

フレンダ「条件付けがどう反応したらいいか迷う、って訳だけど?」

上条「一昨日、俺達が駆けつけた時にも思ったんだけど、ヴィリアンさんの格好したフレンダ、凄く綺麗だったよ」

フレンダ「」

上条「お姫様みたい、ってか正直最初誰か分からなくてさ?あの後暫くくっつかれて、俺結構ドキドキしてたんだよな」

上条「どっちかっつーと、フレンダとは男友達間隔で付き合ってたから、新鮮でさ。『あぁ、よく見ればこの子は可愛いんだよなぁ』って」

上条「今だって、どこかの国のお姫様だ、って言われたら俺は信じるけど」

フレンダ「……えっと。マジ告白なの?あたしてっきり『加護にも異称』的な展開で、ぎゃーぎゃー騒ぐのかと思ってたんだけど」

上条「今はそんな気がした。あと加護ちゃんの異称は元モーニング○だ」

フレンダ「ん、んじゃさ。あたしも言わせて貰うけど、キャーリサ様の時、ありがとうね?」

上条「いいって、別に。俺達仲間だろ?」

フレンダ「うん。いつも恥ずかしくて言えないんだろうけど、今は言わなきゃいけない気がした訳」

上条「そっか。一緒だな」

フレンダ「……ありがとね」

上条「どういたしまして」

フレンダ「……ん」 チュッ

上条「ん――」

フレンダ「……あれ?」

上条「どうした?」

フレンダ「いやいやっ違うって訳よ!?どうして今、あたしキスし――」

上条 チュッ

フレンダ「ちゅぶ……んん……ん……ちゅぶ……く、んんっ」

フレンダ「ちゅるっ、ちゅちゅ、や……ちゅぷ……ちゅちゅ……」

上条(フレンダの舌、熱いな……)

フレンダ「んんっ!ちゅぷ、ちゅる……あぅ……や……」

フレンダ「ちゅるっ!ちゅちゅっ、や……ちゅぷ……ちゅちゅ……」

フレンダ「ちょ、ちょっと待っ」

上条「ドレス、脱がせるな」

フレンダ「あ、うん。良いって訳――じゃなくって!」

フレンダ「ちゅば……ちゅぷ……ちゅ、あぅっ、ちゅぷ……」

フレンダ「くぷ、あぅっ、ちゅば……くぷ、ちゅちゅっ?」

フレンダ(あ、あれ?なんか寝技に持ち込まれてる感が……?)

上条「ショーツも下ろすな?」

フレンダ「う、うんっ――ってそっちには麦野の罠がっ!?」

上条「へー、フレンダって体毛薄いんだ」

フレンダ「はへ?」

上条「やっぱ日本人とは違うのかな?」

フレンダ「う、うんうんうんっ!そうなのよねっ!」

フレンダ(結果オーライって訳?意外と男の人は気にしないのかな?)

フレンダ(ま、まぁ良かった訳だけど。なーんか忘れてるような?)

フレンダ「あのー」

上条「……一方通行の事白い白いって言ってるけど、フレンダの方が白いよ?」

フレンダ「嬉しいけどもねっ!結局あたしが言いたいのはそう言うこっちゃなくって!」

上条「ん、じゃこっちにも」 チュッ

フレンダ「バカっ!そっちはきたな」

フレンダ「んふぅ……あん……ひゃうっ、んう……んぁ……」

フレンダ「はぅ、ふぁは……んふぅ……あああ、ひゃうっ!」

フレンダ「やん……んぁ……あんっ!ふぅ……んぅ……」

フレンダ「あぅっ、はぁ……やん……んく……あん……」

上条(舌、入れても大丈夫かな?)

フレンダ「んう……んぁっ、はぅっ、ふぁは、んふぅ、あぅっ」

フレンダ「ひゃう……やん、んぁっ、あん……ふぅ、んぅっ」

フレンダ(ダ、ダメっ!来ちゃう!)

上条(あ、いい反応)

フレンダ「んふぅっ!あんっ、ひゃう、んう、んぁっ!?はぅっ!」

フレンダ「ふぁはっ、んふぅっ、あああ、ひゃう、やんっ!んぁっ!」

フレンダ「あんっ、ふぅ、んぅ、あぅ……はぁっ!やんっ」

フレンダ「んく、あん、ひゃう……んぅっ!んぁっ、はぅっ」

フレンダ「待って待って待って!ストップストーーップ!」

上条「はい?」

フレンダ「そうよっ!言って貰ってない訳!」

フレンダ「『好きだ』って!」

上条「……あぁ、俺もフレンダが好きだ」

フレンダ「あ、あれ?なんかあたしから告白したみたいに……?」

上条「さっきさ、フレンダ『お姫様みたいだ』って言ってたけど」

フレンダ(あ、やばっ。エロスイッチ入っちゃってるから)

上条「別にヴィリアンさんの服を着てなくっても、フレンダは俺にとってお姫様だよ?」

フレンダ「殺し文句キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」

上条「俺はレベル0だし、能力だって大したもんじゃないけど」

上条「お姫様助けるためには、イギリスにもケンカぐらいは売るし」

フレンダ「やっばいわねっ!色々とっ!」

上条「他には……あぁ、さっき『キラキラしてる』って、言ってたけども」

上条「意識しなくっても、フレンダはキラキラしているから」

フレンダ「……恥ずかしくない訳?」

上条「……言われるよりは、まぁ?」

上条「でも言わないと、伝わらないような気がするんだ」

フレンダ「……うん、それは。そうね」

フレンダ「結局、生きている間にしか伝わらないわよね」

フレンダ「順番が逆になっちゃったけど、あたしもあなた――あんたが、好き、かな」

上条「かな、って。しかも言い直した」

フレンダ「んー?どうなんだろー?エロ補正がかかってるような気もするし、テンション上がってるだけのような気もする」

フレンダ「でもまぁ、アレよ!アレ!そんだけあたしの事好きだって言うんだったら、仕方がないから付き合ってあげても良いかなーって訳!」

上条「どんだけ上から目線だよ」

フレンダ「いーのよっ!どうせあたしはベタ惚れしてんだから、そこら辺を汲んでくれないと困る訳だし?」

上条「……なんだかなぁ」

フレンダ「何かね、何か。出会ったあの日、あたしは多分死ぬ筈だった訳よ」

上条「まさか。麦野だっつっても」

フレンダ「うん、それはいいって訳。あたしもまぁ?ロクな生き方してなかったし、ロクな死に方するのは覚悟してたんだけど」

フレンダ「でも結局さ?何だかんだで生き残っちゃったし、あたしにとっては毎日がボーナスステージみたいなもんな訳?」

フレンダ「だから何が言いたいのか、って言えば――」

フレンダ「――結局、これからよろしくね、って訳!」

上条「よく分からないけど、まぁ何となく分かった」

フレンダ「んで、そろそろ、ね?」

上条「うん。挿入る、から」 ググッ

フレンダ「……何で上条の下条さん、そんなに元気になってる訳?」

上条「聞くなよっ!?」

フレンダ「んじゃ、うん」

上条「……っ」 ズプププッ

フレンダ「……」

上条「――挿入った、けど。フレンダ?大丈夫か?」

フレンダ「……あれ?」

上条「どうした?」

フレンダ「血……あぁ出てる訳よね?痛くないな、って」

上条「俺としては嬉しいけど。個人差なのか?」

フレンダ「麦野のオシオキに比べれば、まぁ大抵の事はどうっつーこたぁない訳だけど」

上条「……一度内容教えてくれないかな?」

フレンダ「ん、動いていい訳」

上条「露骨に誤魔化されたけど。まぁいいか」

フレンダ「んふぅ……うぅっ!ふ……んう……あぁ……はぅ……」

フレンダ「ふぅっ!んんっ、あぅ……ふ……やん……あぁ……」

フレンダ「うぅっ、ふぅ、んう……あぅ……はぅ……」

フレンダ「ん……ひゃう、んうっ!んぁ……はぅ……ふぅっ!」

上条(あ、本当に痛がってないみたい――つてかフレンダのナカ、とけそうだ!)

フレンダ「ふ、んっ、あああ……うぅ、やっ」

フレンダ「んう……あふ……はぅっ、んっ!」

フレンダ「んん……うぅ、ふ……んく……」

フレンダ(あ、ヤバっ。これハマりそう!)

フレンダ(……いや、いい訳か?別に?)

フレンダ「ひゃう、んう、んぁっ!はぅ……ふぅ、んふぅっ、」

フレンダ「あぅ……ふ、やんっ、あぁ……あん、ふぅっ」

フレンダ「んぅ……あぅ、はぅっ、やんっ、んふぅ」

上条「フレンダっ、舌出してっ」

フレンダ「んっ」

フレンダ「ちゅぷっ、ちゅる、んん、や……ちゅるっ!」

フレンダ「ちゅちゅっ、や、ぢゅる、ちゅちゅ……んん……ちゅぷっ、」

フレンダ「ちゅるっ、んん、や、ちゅる……ちゅちゅっ!やっ」

フレンダ「あんっ、ひゃう……んぅ、んぁっ!はぅっ!?ふぁは」

フレンダ「んふぅっ、あああっ!?ひゃう、やんっ、んぁっ!あん」

フレンダ「ふぁはっ、んぅっ!あぅ……はぁっ、やんっ!」

上条「フレンダ、フレンダっ!」

フレンダ「うんっ、うんっ!」

フレンダ「あんっ!ひゃっ、んぅっ!んんっ!はぁっ!?ふぁはっ!」

フレンダ「んくっ!あああっ!?ひゃっ、やっ!んぁっ!?あふっ」

フレンダ「ふぁはっ!んっ!?あああ、うぅっ!やっ!んくっ、あふっ!」

フレンダ「ひゃっ!んぅっ!?んんっ!はぁっ!ふ、んくっ」

フレンダ「あぁっ!ひゃっ!?やっ、んんっ!あふっ!?ふぁはっ」

フレンダ「ん、くぅうぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!!!」

……

フレンダ「……結局さぁ?」

上条「はい?」

フレンダ「告白したの、ってどっちからって訳?」

上条「フレンダじゃないの?」

フレンダ「あたし!?いやいやいやいやっ!そっちからよね?」

上条「いやでも『割と最初っから一目惚れでした』って言ってなかったか?」

フレンダ「あー……?」

上条「自覚なかったんかい!」

フレンダ「いやー、言われてみれば?んー?」

上条「一々考える程の出来事じゃないと思うけど」

フレンダ「あ、なんだぁ。そうよねー。あーびっくりした」

上条「だよなぁ?それは流石になぁ?」

フレンダ「結局、ほとんど一目惚れみたいな訳」

上条「マジでっ!?初耳なんだけど!」

フレンダ「言われてみれば確かに思い当たるフシがあるし」

上条「なんつー他人事だな。具体的には?」

フレンダ「割と上条の事考える時間が増えたり、意味もないのにタッチしてみたり?」

上条「あー、言われてみれば確かに」

フレンダ「後、ひとりえっちもそういえば」

上条「……はい?今なんて?」

フレンダ「言ってない!?なんにも言ってない訳よねっ、うんっ!」

上条「まあ深くは聞かないけどさ。で、問題が一つあるんだけど」

フレンダ「何よ」

上条「後始末、どうしよっか?」

フレンダ「……」

上条「……」

フレンダ「……そう言えばヴィリアンのクローゼットの中だった訳よねぇ」

上条「幸い、飛び散ってはないけど、ニオイとか、さ?」

フレンダ「そうよねぇ」

絹旗「取り敢えず超外へ出ては如何でしょうか?」

上条「だな。こっそりシャワーでも借りられたらいいんだけど」

麦野「あぁそれならこの部屋についているみたいだから、さっさと入ってくればいいじゃない?」

フレンダ「ホントにっ?よかったー、汗と汁でベットベトよねー」

上条「……あれ?おかしくない?」

フレンダ「どったの?」

上条「本来聞こえる筈のない人達の声が」

フレンダ「やっだもうあたしを怖がらせようって訳?そんな事しなくっても、ハグしてあげる訳よ」

フレンダ「あ、でもあたし的にはオバケより麦野の方が数倍怖――」

麦野「ふっれっんっだっちゃーーーーんっ?」

フレンダ「」

上条「オゥ……」

麦野「今ぁ、何かぁ、暴言が聞こえたんだけどぉ?」

麦野「ちょおおおぉぉぉぉっとそこから出て来やがれ?」

上条・フレンダ「……はい」

――10分後

麦野「いや、だからね?アタシは二人がどこで小作ろうといいのよ?」

麦野「でも流石に『アイテム』の面子を潰すような真似は避けて欲しいと」

絹旗「あ、ファブリー○超終わりましたー」

滝壺「拭き掃除も、終り」

上条「すいませんすいませんすいませんっ!」

絹旗「あぁいえそれは別に。わたし達は超仲間ですからっ!」

上条「その言葉には『その仲間に超何後始末させてんだバーカ』って付きそうだけど、兎に角二人ともありがとうな!」

フレンダ「」

麦野「つかフレンダ。さっきから黙っちっゃてどうしたのよ?お腹痛いの?」

フレンダ「……いつから?」

絹旗「はい?」

フレンダ「いつから見てたって訳よおおおおおおおおおっ!?」

絹旗「割と超最初の方、ですよね?」

麦野「アンタらが帰ってこないもんだから、心配になって来てみたら」

麦野「クローゼットの中から知り合いのギシアン音、結っ構キツかったわよ?」

絹旗「ですよねー。他の人が近寄らないようにと、超気遣いましたって」

フレンダ「そ、そうなの?ありか、とう?」

滝壺「ふれんだ、おめでとう」

フレンダ「えぇ、ありがとう。滝壺」

滝壺「……これ。プレゼント」 ピッ

フレンダ「端末にデータ送信?」

滝壺「二人の初めて完全録画しておいた……!」 グッ

フレンダ「いい仕事してないわよっ!?むしろ犯罪よねっこれっ!」

上条「……撮った、って事は」

麦野「……聞かないで?身内のえっちって、地味にクるでしょ?」

絹旗「と言うか超ノリノリで録画した滝壺に、超戦慄を感じました」

フレンダ「え、なに?あたし知り合いに見られながらえっちしちゃったって訳!?」

滝壺「きれいだった、よ?」

フレンダ「ノオオオオオォォォゥゥゥッ!?」

絹旗「まぁまぁ、ノリノリで超誘ってたじゃないですか」

フレンダ「ち、違うのよっ!これは第一位がベクトルを操作したって訳で!」

絹旗「……言い訳が『敵の魔術師の攻撃だ』って知り合いが、超一人知って居るんですが?」

麦野「あーあと、パ××ンにしちゃってごめんね?ネタ9割だったんだけど、まっさか淫乱ゴールドさんが、早速手を出すとは予想してなかったわ」

フレンダ「あれ?謝られてる筈なのに、遠回しに責められてる訳よね?」

上条「……何の話?」

絹旗「あまりそこら辺はツッコミ超禁止で。誰が得する訳でもありませんし」

フレンダ「うん、あたしとしてはプライベートを尊重して欲しかった訳だし、出来れば厳しく追及したい所なんだけど」

滝壺「小さい事は気にしない……あと、たいせつなはじめても、フルハイビジョンで録画できた」

フレンダ「そ、そうかな?」

滝壺「おめでとう、ふれんだ。わたしはそんなふれんだを応援している……」

フレンダ「ありが、とう?」

上条「(完全に言いくるめられてる、って言った方が良いのかな?)」

麦野「(本人が納得してるんだし、いいんじゃない?)」

絹旗「(それはただ、『サギにあったのを超理解してない』だけだと思いますが)」

麦野「兎に角、よ。二人とも大人、ではないけど、きちんとした節度をもってお付きあいしなさい。いいわね?」

フレンダ「はいっ」

上条「あぁ」

絹旗「さて、この後超どうしましょうかね」

上条「パーティってまだ続いてるのか?」

絹旗「女王がリトバ○――RIT○さん超歌ってました」

上条「それでいいのかブリテンっ!?」

滝壺「それがおとめが○なのです……!」

フレンダ「乙女学入○っ!?ゲームが全然売れなかったけど、曲は超名曲よね!」

麦野「クーデター起こす気分がちょっと分かったわね、えぇ」

フレンダ「上条ー、あたしちょっとお腹空いちゃった訳」 グイ

滝壺「……運動、したもんね?」

上条「意味ありげに言うなよっ。あったけどもっ」

絹旗「って言うか『カミジョー』なんですね」

麦野「名前、呼ばないの?」

フレンダ「は、恥ずかしい、じゃない?」

滝壺「ういういしー」

麦野「いや、簡単よねぇ」

上条「あ、そう言えば最初っからフレンダって呼んでたっけ」

絹旗「良い機会ですし、超ここから名前呼びしちゃいましょうよ」

フレンダ「そ、そう?……こほんっ」

滝壺「がんがれー、ふれんだー」

フレンダ「と、とーま?」

上条「な、なに?」

フレンダ「えっと、さっきも言った訳だけど――」

フレンダ「――ふ、ふつつか者ですが、末永くよろしくっ!」

滝壺「あ、ふれんだそれプロポーズの台詞……」

フレンダ「――え」

麦野「……流石淫乱ゴールド、一日で婚約まで済ませるのねー」

絹旗「光ってます、超輝いてますよー」 パシャッ

フレンダ「ちょっ!?違くて!それは、そのっ、誤解なんだけど!」

上条「……こちらこそ、色々と至らないと思いますが――」

上条「――何とぞ、よろしく」

フレンダ「えと――うん。あたしも、よろしくって訳!」


――『フレンダある意味アフター』 -終-



――『フレンダ』アフター

――数年後 自宅 朝

フレンダ(あー、つっかれたー)

フレンダ(送信……で、終りよね?) ピッ

フレンダ(レポート忘れて落第は避けられた訳だけど、結局完徹しちゃってたかー)

フレンダ ガチャッ

上条 スースー

フレンダ(いやまぁ先に寝ててとは言ったけど……ま、いっか)

フレンダ(あーもう、着替えなくて言い訳よねー) パタッ、ギシィッ

フレンダ「……?」

フレンダ(ベッドのスプリング、こんなに軋んだっけ?)

フレンダ(体重はベストポジションだし?当麻が太った的な?)

フレンダ「まさか……!」 ピラッ

フレメア「……」 スゥスゥ

フレンダ「」

フレンダ「――ふんっ!」 バキッ!

上条「げふっ!?」

上条「て、敵の魔術師の攻撃だっ!?」

フレンダ「違うわよ!つーかあんた全部魔術師のせいにするのやめなさいよっ!」

上条「いやでも50%の確立で当たるし……ってか、何?何で俺目覚まし代わりに腹パン喰らってんの?」

フレンダ「あんたっ!何やってんのよっ!つーか何でフレメアと一緒に寝てる訳っ!?」

フレンダ「出しちゃったの!?手とか上条の下条さんとか出しちゃったって訳っ!?」

上条「出してねぇよっ!?つーかこの子が潜り込んでくるのはいつもの事だろーがっ!」

フレンダ「いやいやいやいやっ!もう誤魔化されない訳よ、最近妙に仲良くしてない?」

上条「それは……なぁ?」

フレンダ「ほっらーーーーーーーーーーーっ!?ねぇ?やっぱり浮気よ、うっわっき!」

上条「してねぇよ誤解だって!大体ンな小さい子に手を出すか!フレメアの歳考えろ!」

フレンダ「……あたしら付き合ったのって、確か同じ歳、なんだけど……?」

上条「……」

フレンダ「ロリコ×なのっ!?ジャパニーズには多いって聞いたけど、本当だった訳ね!?」

上条「違う!今一瞬『あれ、あの時のフレンダってもっとちっさく無かったっけ?』って考えただけだ!」

フレンダ「悪かったわね!そりゃブラ着けた歳もフレメアの方が先だものっ!」

上条「誰も聞いてねぇからなっその情報!……あー、確かに」

フレンダ「やだ……フレメアのサイズは把握しちゃった訳!?『ちょっと脱いでみようか?』とか言ったの?言ったんでしょっ!?」

上条「どこの一方通×だ俺はっ!だから誤解だって!俺は何もしてないし!」

フレンダ「いーーーーやっ!今日という今日はあたしも頭に来たって訳!」

フレンダ「実家に帰らせて貰います!」

――いつもの喫茶店 9時

フレンダ「――って言う訳で!皆さんには集まって貰いました!」

滝壺 グースカピー

フレンダ「フレメアを魔の手から助けるためにもっ!今こそ『アイテム』の力を集結させる時って訳よ!」 グッ

滝壺 スースー

麦野「どっから突っ込んだもんか迷うんだけど、取り敢えず一つ一つ処理していきましょうか」

絹旗「超面倒臭いです」

麦野「あー、んじゃ腹パン入れて転がしておくか」

絹旗「超いいですね。じゃそれで」

フレンダ「じゃって何!?それでって!?腹パンで黙らすってどうなのよっ!?」

麦野「あーうるさいわね。つーかさ、アンタ達の痴話喧嘩に私達を付き合わせるなと何度言えばいいのよ」

絹旗「更に言えばここ、フレンダの超実家じゃありませんしね」

フレンダ「実家みたいなもんじゃないっ!あたしの帰る場所はみんなの所よっ!」

滝壺「……あー、たましい、的な?」

麦野「お盆に帰ってくるの?いやまぁ別に良いんだけど」

絹旗「ってか休日を超無駄に浪費させてる感が。今日は佐天や初春と買い物行く予定だったんですよ?」

フレンダ「でもあたしを優先してくれたって訳!」

絹旗「時間が来たら超抜けますけど」

フレンダ「暇つぶし!?あたしの人生相談って合間合間に処理できるレベルなのっ!?」

麦野「いや処理も何も、アンタが暴走してるのを上条がお持ち帰りして、寝技に持ち込んで和解する、ってぇパターンでしょうよ」

絹旗「それに付き合わされるこっちの身にも超なってほしいもんですね、はぁ」

滝壺「りあ獣ー、もげろー」

フレンダ「あ、あれ?いつの間にかあたしが糾弾される方になってる訳?後なんかリア充の漢字が違ってたような……?」

滝壺「ぽるなれ○っ、ぽるな○ふはどこにっ……?」

絹旗「あの人は鳩○の時代に超過労死しましたから」

麦野「つーか、何?逆にやばいと思うのよ」

フレンダ「な、何よ?」

麦野「こうしている間にも二人はフリーになってるんでしょ?」

絹旗「朝から超しっぽりと、的な?」

フレンダ「いや、それは幾ら何でも?」

絹旗「甘いですね、超甘いですよフレンダ」 キリッ

麦野(あ、悪い顔になってる)

滝壺(展開よめた……)

フレンダ「甘いって何がよ」

絹旗「いいですか?上条は超ある意味、ペ×条なんですね」

フレンダ「え?いや、そんな傾向は無かったような……?」

麦野「まぁフレンダに手を出したぐらいだしね」

滝壺「このものがたりはふぃくしょんです……」

絹旗「彼らはまるで車を乗り換えるが如く、超次々と相手を変えていきます。それは何故でしょうね?」

フレンダ「ま、まさかっ!?」

絹旗「そうです。世のアイドルのサイクルが超早いのも、そういった×ド野郎が多いのを証明しているでしょう」

フレンダ「な、なんだってー!?」

麦野「いやぁ、あれは消費と人気だから、新商品を出すのは資本主義の常なのよね」

滝壺「でも若さがないと売れない、のも病んでる気がする……」

麦野「日本はマシな方よ?向こうじゃ誘拐されても身代金を要求されないんだからね」

滝壺「……どうして?」

麦野「ビデオに何本か出されて、その後運が良ければ愛人に。悪かったらスナッフビデ×の主演女優だもの」

麦野「病んでる以前に狂ってるわよね。ま、そうした危機感があるから、わざわざ極東の島国相手に規制しろ、って言ってんのよ」

滝壺「よけいな、おせわ」

麦野「保護運動に名を借りた人種差別はよくある事よね。それを鵜呑みにしないのが大切」

絹旗「――と、言う感じで。超分かりましたか?」

フレンダ「分かった訳!やるかやらせるか、って話よね!」

滝壺「悪い感じでまとまったみたい」

麦野「……ま、いいんじゃない?実害を食うのは上条なんだし」

滝壺「なむー……」

フレンダ「あたしっ、ガンバルっから!応援しててね、みんなっ!」

麦野「あー、はいはいガンバよ、ガンバー」

滝壺「ゆり○っ、ふぁいおー」

絹旗「フレンダの冒険は超これからですねっ!」

フレンダ「ありがとーっ!じゃ行くわねっ」 ダッ

麦野「……何吹き込んだのよ」

絹旗「あ、いやこれといって超大した事は」

麦野「んー?……まぁいいか」

滝壺「きぬはた、時間大丈夫?」

麦野「車で送ろうか?」

絹旗「超ありがとうございます」

滝壺「わたしもどらいぶ……」

麦野「何が悲しくって女子供だけで休日遊ばなきゃいけないのよ、ホントに」

滝壺「むぎの、モテそうだけど」

麦野「レベル5だっつった瞬間に笑顔が泣き顔に変わるのよ?」

滝壺「わたしも制作がれべるふぁい○、ってテロップ出ると泣きそう……」

絹旗「ガンダムag○なんて無かったんですから、超許してあげましょう、ね?」

滝壺「……ですてぃにーのリメイクが……」

絹旗「あぁそうだ。だったら二人とも超来ません?佐天が会いたがってるんですよ」

麦野「あのやったら押しが強い子よね。どうする?」

滝壺「ひこうきの人気投票は飽きたから、行きたい……」

絹旗「いつも思うんですけど、vipperってレベルファイ○に超恨みでもあるんですか?」

麦野「時間いいの?そろそろ出た方が良いんじゃない?」

絹旗「ですね。んじゃ麦野超よろしくです」

麦野「はいよ、滝壺も行くわよ」

滝壺「……はーい」

――自宅 10時

フレンダ「はい、正座」 バンバン

上条「……なに?帰ってきたらうがいと手洗いは先じゃないの?」

フレンダ「するけどもっ正座!するからっ!」

上条「……いや、うん分かりましたけど」 ペタ

フレンダ「いーい?あたしが見てない間に崩したら絶交だからね?」 タッタッタ

上条「う、うん?」

フレンダ ジャー

上条(なんで正座?そして怒っててもうがいと手洗いはするんだ?)

フレンダ「はーい静かに。これから裁判を開廷する訳よ」

上条「被告人と裁判官のマンツーマンでかっ!?」

フレンダ「あ、処刑人も兼ねてる訳よ」

上条「どこの未開部族の神明裁判だよっ」

フレンダ「麦野達も加えた方が良いってなら」

上条「やめて下さい!あの元ドSロリを加えるのだけはっ!」

フレンダ「結局、まぁその絹旗から助言して貰ったんだけども!」

上条「期待を裏切らないよね!たまには裏切って欲しいけどね!」

フレンダ「はいはいお口チャックよ。で、被告人上条当麻さん、あなたの罪状を読み上げます」 ピッ

上条(携帯端末?あぁメモしてあんのか)

上条「あ、あぁでもどうせ朝のだろ?だったら俺も謝るから、そろそろ許して欲しいかなって」

フレンダ「10日前、あなたはフレメア=セイヴェルンさんと腕を組んで歩いていました」

フレンダ「どうよっ!」

上条「いや、どうって言われましても。だから、としか言いようがないんですが」

フレンダ「彼女以外と腕を組むのは良くないと思う訳!」

上条「相手は子供だよ?男女がどうこうって話じゃないと思うけど」

フレンダ「フレメアさんと同じ歳なのに、女の子から女にさせられた、と言う証言がある訳だけど?」

上条「ですよねっ!彼女が居るのに不誠実ですもんねっ!次からはしませんからっ!」

フレンダ「次に一週間前の話です。フレメアさんがお泊まりに来ました」

上条「え、まだあるの?つーか先週だろ?」

フレンダ「フレメアの分のチャーハンにはグリーンピースが入ってなかった訳!」

上条「ちっさっ!?」

フレンダ「あたしもあんま好きじゃないのにっ!」

上条「あー、妹さんの手前食べてるって事ね」

フレンダ「フラグを立てようとしていたんじゃないの!?」

上条「グリーピースぐらいで立たねぇよ!どんだけ虐待されてても、そんなちっぽけな優しさじゃ無理だっつーの!」

フレンダ「あたしも贔屓しなさいよっ!チヤホヤする訳!」

上条「……それが目的だろ?それ言いたかっただけだよね?」

フレンダ「そしてぇ、その日の夜っ!」

上条「月華の剣○2三人でやったっけか。二人とも斬○使いでビックリしたわ」

フレンダ「え?ニンジャ出るゲームは基本じゃない訳?」

上条「『剣質:極』で一回入ったら体力半分持ってくコンボは、生きた心地がしなかったけど」

フレンダ「当麻の嘉○もしゃがみCから目押し4+Aへ繋ぐのはえげつなかった訳よね」

上条「いやぁゲーメス○に載ってたから。で、それが何?接待プレイでもしろと?」

フレンダ「あぁそれは別に良い訳。そうじゃなくってさ、その夜……来なかったじゃない?」

上条「客が来てんのにかっ!?」

フレンダ「『いいわよ?』ってチラ見したのに!」

上条「あぁアレそう言う意味だったのかよ。てっきり『空気読め』的な流れかと」

フレンダ「ねーっ?」

上条「納得いかねぇよ!むしろ自制したのにどうして責められるんだっ!?」

フレンダ「はい次ー、二日前です」

上条「一昨日?あれ、別にその日は会ってすら無かったよな」

フレンダ「新しい下着なのに誉めてくれなかった訳よ!」

上条「見てないものっ!?」

フレンダ「あ、あれ?ペロペロしなかったっけ?」

上条「……しましたね、そういや」

フレンダ「でっしょーっ!?あー、良かったあたし勘違いしたもんだとばっかり」

上条「殆ど勘違いっちゃ勘違いなんだけどな」

フレンダ「で、被告人は何か言い分があったらどーぞ?」

上条「いやぁ、フレンダさん人としてちっちゃいでよすね、って改めて思い知ったんだが」

フレンダ「よっし有罪って訳ね」

上条「つーか何?何か有罪になるとペナルティがあるの?」

フレンダ「あ、絹旗から言われたんだった……んっとねー」

上条「そんなに悪い事したんじゃないから、程々に済ませて欲しいかなー、なんて」

フレンダ「第一位にマジ告白、もちろん性的な意味で」

上条「ふざけんなっ!?拒否られても受け入れられても死ぬだろうが!」

フレンダ「意外と成功したりして?」

上条「可能性ありそうだから、それだけは勘弁して下さい!」

フレンダ「第一位ってヘタれ受けよね」

上条「その専門用語は俺知らないからな?」

フレンダ「普段は威勢がいいのに、エロは総受け的な?」

上条「解説が欲しいんじゃねぇよ!?それだけは嫌だって!」

フレンダ「いーや、あたしもさ。浮気とか本気で疑ってはない訳よ?」

フレンダ「もしそうだったらバラしてるだろうし」

上条「愛が重いなっ!前にも誰かに言った記憶があるけど!」

フレンダ「でもほら、なーんか結局フレメアは特別扱いしてる訳よ?」

上条「あー、まぁ、それはその、ね?」

フレンダ「なにっ!?マジで姉妹丼貰ってる訳かっ!?」

上条「違うって!ないないっ!ないから爆導テープ仕舞えっ!」

フレンダ「ぶーぶーぶーっ!だったら一体全体どんな理由があるのよっ!」

上条「……あー、ほら、さ。フレメアさんはセイヴェルンさんちの、妹さんですよね?」

フレンダ「お、おう?そうって訳、だけど」

上条「まぁホラあれだ、あれ。俺とセイヴェルンさんがお付き合いしてたら、その内変わりますよね――名字が」

フレンダ「そっ、そんな事言ったって誤魔化されない訳よ!」

上条「そうなるとフレメアさんは義理の妹ですし、今のウチから反対されないように、懐柔しといた方が良いかな、って」

フレンダ「当麻……」

上条「いや別にフレメアは良い子だし?付き合ってて気持ちいいってのはあるけど」

フレンダ「あたし、信じてたっ!」 ギュッ

上条「堂々と嘘吐くなよっ!?俺の人生の中でトップ3に入る軽さだし!」

フレンダ「そ、そんな事は無い訳よ?」

上条「ほー、右手に持ってるテープはどうした?何のために使うの?」

フレンダ「ま、ま、終わった話だし?人を疑うのは良くないって訳よ!」

上条「最初に疑ってきたのはお前の方だからね?しかもグリーンピース以外無実だし」

フレンダ「あたしを贔屓しなかったアンタが悪い!」

上条「なんだそのラノベのタイトルになりそうな台詞っ?」

フレンダ「……あー、んじゃね?彼女にしかしない事、してもいい訳」

上条「いやでもまだ昼間だし?」 シュルシュル、パチッ

フレンダ「とか言いつつ高速でブラを外すのはどうかと思う訳――んっ」 チッュ

上条「と言う割にはフレンダのここ、熱くなってるけど?」

フレンダ「んぅっ?もー、仕方がない訳ね」

フレメア「だっだいまー」 パタンッ

上条・フレンダ「」

フレメア「あ、お姉ちゃんも帰ってたんだー?大体あれだよー、話もせずに飛び出すなんて、お兄ちゃんに失れ、い……」

上条「や、やぁ!」

フレンダ「お、お帰りー?」

フレメア「……はい、二人とも正座」

フレンダ「あたしもっ!?」

上条「ってか俺はそろそろ限界なんだが……」

フレメア「つべこべ言わない!早くするのっ」

上条・フレンダ「……はい」

――20分後

フレメア「そりゃね?私も二人が恋人同士なのは分かるよ?」

フレメア「でもね、もうちょっと責任と節度があったって良いと思うのね」

フレメア「大体二人ともきちんと避妊とかしてるの?」

フレンダ「し、してるわよ?」

フレメア「本当に?出来るのは良いと思うけど、二人とも学生なんだから、考えなくちゃいけないんだからね?」

上条「(……なぁ、フレメアしっかりし過ぎてないか?)」

フレンダ「(あたしの教育が良かった訳よね、うんうん)」

上条「(あぁアバウトな姉を持つと、下がしっかりする、と)」

フレンダ「(失礼ね!フレメアも結構抜けてるわよ!)」

上条「(否定するなら自分んトコにしろよっ!?)」

フレメア「あーもうっ、そうやってまた人の話を聞いてないし!」

フレメア「もう少しだけで良いから、麦野さんとか絹旗さんを見習ってよね?」

上条「いやー、フレメアは知らないけどあの二人も、なぁ?」

フレンダ「特に麦野は、うん。外面は良いけど、中身は腰ミノ穿いて斧持った人らと変わらない訳だし」

PiPiPi……

フレメア「『はい。あぁ、はい。大丈夫です!行きます行きます』」

フレンダ「あ、良かった。何か解放される流れみたい」

上条「しーっ」

フレメア「『では直ぐに。はい、失礼します』」 ピッ

フレンダ「麦野?」

フレメア「うん。何人かでいるけど、一緒に遊ばないかって」

フレンダ「そうなの?だったらあたし達も」

フレメア「お姉ちゃん達はウザいから来るな、と」

フレンダ「もう何年も一緒に戦ってる仲間へ対しての台詞じゃないわよねっ!?」

上条「……いやー、言われても仕方が無いかも」

フレメア「と言う訳で私はここで。二人とも私が居なくなったからって、無茶しないで下さいね?」

フレンダ「……うん。それはね、ちょっと反省してるって言うのか、うん」

上条「絶対信じて貰えないだろうけど、この流れにも入る前に色々あったんだよ……!」

フレメア「どうせまたお姉ちゃんを甘やかしたんでしょ?」

フレンダ「……あぁ、昔の可愛かったフレメアはどこ行っちゃった訳……?」

上条「絹旗と麦野の悪影響を受けまくってると思うんだ」

フレメア「まぁ、お説教はこのぐらいにしておきますけど――あ、そうだお兄ちゃん」

上条「ん、何?」

フレメア「……昨日の夜、とっても良い夢が見られました」 テレテレ

フレンダ「へー」

上条「あぁテメェっ!卑怯じゃねぇかなぁっ!?」

フレメア「それじゃごゆっくりー」 パタン

上条「い、いや違うんだ!俺は、俺は無実なんだ!」

フレンダ「……当麻、あたし、何を信じれば良いのか分からない訳!」

フレンダ「でも、あたしは分かってる!だって当麻の事は誰よりも知っているからっ!」

上条「……フレンダ!そっか、分かってくれるんだな!」

フレンダ「要は体に聞けば良い訳よね?」

上条「分かってなかったな!?何一つっ!いい話が台無しだよっ!?」

フレンダ「いやぁ?元々いい話って訳でも無かったような?」

上条「素に戻らないで?もうちょっと引っ張ろう?」

フレンダ「よっし!じゃまず寝室へ行く訳よねー」

上条「助けてっ!?」 ダキッ

フレンダ「――と言いつつも、お姫様抱っこで運んでくれる当麻が当麻だってトコよねっ」

上条「ち、違うんだ!これは体が勝手に一方通行のベクトルしてるんだ!」 モミモミ

フレンダ「てか左手が思いっきり揉んでる訳だし?」

上条「だーかーらっ!」


――数年後 自宅前 五分後

フレメア「……」

上条『……まず……一回目……』

フレンダ『うん……大好きよ……』

フレメア「……はぁ」

フレメア(ケンカって言うのか、ケンカっぽいイチャイチャって言うのか)

フレメア(周りには目の毒だよねー……にゃあ)

――王立墓地。××年後。
 一つの墓の前で腰を下ろす二人の女性と一人の男性。

上条「……セイヴェルンさん、お久しぶりです。今日はお話があって来ました」

上条「いつだったか、フレンダさんとの関係を問われた時――あぁいや、問われたっても、友達が勝手に言ってただけですけど」

上条「俺は即答出来ませんでしたが、『何らかの形では守る』って言いました」

上条「その後色々あって、まぁ世界相手にケンカしたり、大した事はしていませんが」

上条「今日は答えが出たのでご報告に」

上条「――フレンダさんを俺に下さい」

上条「俺が生きている限り、命の限り守ります。絶対に」

フレンダ「……パパ、ママ。あたしもまぁ色々あった訳」

フレンダ「ずっと日の当たる場所に居た訳じゃないし……二人から怒られるような事も、しちゃってたと思うけど」

フレンダ「でも、ね?結局今のあたしを形作ってる、全部が全部その時からの積み重ねだって、そう思う訳よ」

フレンダ「もしも二人が居なくならなければ」

フレンダ「もしも学園都市へ来ていなければ」

フレンダ「もしもあの時当麻が居なければ、なんて色々考えるけど」

フレンダ「全部が全部ベストの答えを出した訳じゃないし、失敗もたくさんしたけれど」

フレンダ「それで、あたしは今、とても幸せよ」

フレンダ「フレメアが居て、好きな人が居て、あたしを好きだって言ってくれて」

フレンダ「結局それは幾つもの偶然、コイントスで裏が連続で百回出るような、奇蹟みたいな確率なのかも知れない」

フレンダ「もう一度、あたしじゃない誰かがしようとしても、失敗するかも」

フレンダ「けどね?だからこそ」

フレンダ「あたしは、あたしが今掴んでいる幸せを離すつもりはない訳。それは、絶対」

フレンダ「だから、安心して、ね?今まで見守っててくれてありがとう、そしてこれからはちょっとだけ安心して、ね?」

フレンダ「――あの、さ?」

上条「うん」

フレンダ「これからはずっと、家族としてヨロシクって訳よっ!」


――『フレンダ』アフター -終-


※来週は滝壺さん予定
「アフターって短くね?」とか思われるかもしれませんが、「アフター+ある意味」合計一人当たり16,000語オーバー(原稿用紙約40枚)です
本編最後の滝壺編は約64,440語なので、四人合わせれば同じ量……ノリと勢いだけの文は読みやすい、と

ちなみに『学園探訪』の方にも見えざる神の手(アンカー)によって、フレンダが調子に乗っているので読んで下されば幸いです

あれ?あるいみアフターの時って
上条さんたち何歳だっけ…

>>852
ある意味の方は全員現在なんですが、まぁアレがアレなのでお察し下さい

結局、ここの>>1はインデックスが嫌いなのだろうか……
終わる前に知りたいな

>>856
>>1はインデックス嫌いなの?」みたいなご質問賜りましたが、答えと致しましては、

Q.あなたが自宅へ帰ってきたら、ベランダに人が倒れていました。さてその人はどんな人?
1.「禁書目録と呼ばれるシスター」
2.「超電磁砲と呼ばれる女子中学生」
3.「女教皇と呼ばれる巨乳」
4.「露出狂と呼ばれる爆乳」

の選択肢の内、1で満足できなかった方がこの板に集まってるんだと思います
要は優先順位の問題。嫌いじゃないですけど、まぁ取り上げる(わざわざSS書く)程じゃないかなーと
私がフィクションで嫌っている人物は『自分が仲間だと信じている敵』だけです
(PS3の順平、Canvas2の柳。お前ら最後の最後まで反省ゼロだよな、と。シャドウよりもイベントの順平の方が鬱陶しかった)



――『滝壺“ある意味”』アフター

――某国上空。学園特製非武装輸送機内、個室

 背中合わせで座っている二人

滝壺「……ありがとう」

上条「……なんだよ?」

滝壺「わたし達のために泣いてくれて、ありがとう……」

上条「泣いてなんかねぇよ!顔、見えないだろうが!」

滝壺「見えないけど、分からないけど」

滝壺「わたしはずっと、あなたを、みていたから」

上条「……」

滝壺「むぎのが、暗い所へ行きそうになった時、あなたは助けてくれた」

滝壺「きぬはたが手を離そうとした時、あなたは手を取ってくれた」

滝壺「ふれんだがあきらめそうになった時、あなたは勇気を見せてくれた」

滝壺「そして、わたしはあなたに居場所を作ってもらった」

滝壺「ね、泣かないで?わたし達、もういっぱいあなたから貰っている、から」

上条「……っ」

滝壺「どれ一つ、何一つ欠けても、こうはならなかった」

滝壺「あの日、かみじょうが間違って『アイテム』へ入って来なければ、むぎのは“新入りへ見せしめ”にする事なく、ふれんだをその場で殺していた」

滝壺「そうすれば『アイテム』は壊滅していたし、きぬはたもきっと一人で戦って、命を落としていたから」

滝壺「だから、ね?かみじょうはよくやってくれた、よ?わたし達なんかのために、傷ついて、戦って、涙まで流して」

滝壺「わたし達が辛いときでも、辛くて辛くて、たすけてーって言っても」

滝壺「世界中の誰にも届かなかった声でも、あなたはそれを聞いてくれた」

滝壺「楽しいときは一緒に笑って、辛いときには頑張ってくれて、そんなあなたを――」

滝壺「わたしはずっと、みていた、から」

上条「……ありがとう」

滝壺「どうしたしまして……うん」

上条「……」

滝壺「……」

滝壺「……あの、ね?わたしの『能力追跡』じゃ、かみじょうは感じられない」

上条「あぁ、右手で打ち消しちまうしな」

滝壺「だからこうして」 ギュッ

上条「ちょっ!?胸、当たってる!」

滝壺「『あててんのよ』?」

上条「フレンダだなっ!?女性誌かレディコミ片手に余計な事言ったんだろ、なぁっ!?」

滝壺「ううん、きぬはた」

上条「最年少に焚きつけられるのってどうなんだよっ!?」

滝壺「かみじょうは、いいこ」 ナデナデ

上条「あ……」

滝壺「いままでがんばってくれた、だから誉める」

上条「……っ」

滝壺「居て、いいんだよ?ここに」

滝壺「あなたが望んでくれるのなら、くれなくたって。わたし達はあなたの味方だから」

上条「……」

滝壺「不幸だって、かんけいない。それが、それだってかみじょうの一部なんだから」

上条「……そんな個性、嫌だけど」

滝壺「わたしは、それでもいい」

上条「……物好きだな」

滝壺「うん」

上条「悪い男に騙されるぞ?」

滝壺「じゃ、守って……?」

上条「俺が?俺でいいのか?」

滝壺「……あの、ね?」 ナデナデ

上条「……ん?何で冷静?」

滝壺「でもない。とくんとくん、どう?」

上条「あー……うん。すっごいドキドキしてるけど」

滝壺「……うん、かみじょうは?」

上条「そりゃまぁ、うん、色々な意味でしてる、けど」

滝壺 ジーーーッ(ジャージのチャックを下げる)

上条「えっと……」

滝壺「やめろ、って言わない、の?」

上条「よ、予想外におっきくて、うん」

滝壺「むぎのに『むだにおおきい』って誉められた事がある」

上条「無駄じゃないよっ!大切だものっ!」

滝壺「やっぱりかみじょうはおっぱい属性、と。めもめも……」

上条「待って!その情報を知って得する人は居ねぇぞ!?」

滝壺「そう、かな?むぎのはよろこぶと思う」

上条「気持ち悪がられるだけだっ!」

滝壺「……んー」

上条「な、なに?」

滝壺「いいほうほうがある」

上条「口止めするだけのカネはないぞ。いやマジでっ」

滝壺「物理的にしゃべれなくすれば、いい」

上条「……暗部的な話か?そういうのはちょっと」

滝壺「そうじゃなくって……」 グッ

上条「あのー……顔、近いんですけど……?」

滝壺「物理的に、しゃべれなくすれば、いい?」

上条「……つまり、口を塞げ、的な?」

滝壺 コクコク

上条「ん」 チュッ

滝壺「んー……んん……ぢゅる……ちゅる……んんっ!」

滝壺「……はぁ、うん。この程度じゃ、しゃべっちゃう、かも?」

上条「塞がないと、いけないんだよな?」

滝壺「うん――ちゅぷ……くぷ……」

滝壺「あぅ、やっ!くぷ……」

滝壺「ちゅちゅ……ちゅば……ちゅぷ……」

上条「……どう考えても、俺が得しかしてない気がするんだが」

滝壺「きのせい。これはあいてを黙らせるために、ひつよう」

滝壺「ちゅっ、んっ」

滝壺「ちゅぶ、くぷ」

滝壺「ん……ちゅば……くぶっ、ちゅ、」

滝壺「くぶっ、んんっ、ぢゅる、ちゅる」

滝壺「んん……んっ!ちゅるっ、くぶ」

滝壺「や、ぢゅる……くぶっ」

滝壺「んんっ、ぢゅる、ちゅる、んん……」

上条「……ぷは、つーか積極的過ぎる!」

滝壺「……ひきょうな事を言う、と思う」

上条「滝壺……?」

滝壺「わたしは、こわい」

上条「怖い、って俺かが?」

滝壺「これから、どうなるのとか、ぜんぶ」

上条「それは!」

滝壺「『体晶』を使ったのは後悔してない。多分かみじょうがするように、わたしも無茶をする。それは、ぜったい」

滝壺「けど、だからって不安がないわけじゃない」

滝壺「そうからどうなるのか、とか、どうなっちゃうのか、とか」

滝壺「ふあんで、不安でっ……!」

上条「……あぁ」

滝壺「『アイテム』のだれかがいなくなるとか、かみじょうが黙っていっちゃうとか」

滝壺「わたしはこわい、よ」

上条「……そか。そうだよな」 ナデナデ

上条「自分が無理をするからって、他人を失う痛みに耐えられるか、ってのは別の話だ」

滝壺「うん、うんっ」

上条「思ったんだけど、俺と滝壺って似てるよな」

滝壺「おんなたらしじゃないよ……?」

上条「うん、後でフレンダはぶっ飛ばすとして、そうじゃないんだ。なんつーかな」

上条「『他人のために自分を賭けられる』って所が」

滝壺「……」

上条「……もしかしたら、俺は楽な道を選んできたのかも知れない」

上条「一人で戦うのは……辛いけど、誰かを巻き込むのは、俺の好きな人達が傷つくのはもっと辛くてさ」

上条「だから、って訳じゃないけど。まぁあんまり他人を当てにしなかったんだ」

上条「でもさ?それも、俺の友達から見たら『ふざけんなよ!』って話」

上条「滝壺が俺に教えてくれた」

滝壺「わたしは、わたしの出来る事をして、いばしょがほしかっただけ」

上条「それでもだよ!俺は滝壺が一人で苦しんでるのは、もう見たくないんだ!」

上条「俺の友達が居てさ?そいつがボロボロになって帰ってくる俺を見て、いつも『どうして自分を頼りにしなかったんだ』って怒るんだよ」

上条「滝壺に俺が何も出来ないのって、あぁ同じなんだろうな、って」

滝壺「……むずかしい、ね?」

上条「あぁ、難しいよな」

滝壺「なきたくなるぐらい相手が大事で、その人の代わりに戦おうとして」

滝壺「でも逆に傷ついて帰れば、その人の心を傷つけてしまう」

上条「……それは、嫌だよな」

滝壺「でも、けど、だから」

上条「滝壺?」

滝壺「わたしは、このむねの痛みが、誇らしい」

上条「どういう意味だ?」

滝壺「大切ななかまを守るために、大切なひとを護るために、きずつくのは勲章」

上条「バカっ!そんな訳あるかっ!そんな、自分を犠牲にしてまで――その、仲間が喜ぶ訳がねぇだろうがっ!」

上条「生きてくれよっ!滝壺、お願いだからっ!」

上条「もっと俺達とバカやってり遊んだりしようぜ!なぁっ!?」

滝壺「できれば、そうしたい。でも、わたしはみんなを守るためなら、なんだってする」

滝壺「それは、かみじょうも、おなじ」

上条「そうだけど!」

滝壺「だから――だからこそ、わたしは、あなたと一緒に生きたい」

滝壺「最期まで、上条と」

上条「……頑固だよなぁ」

滝壺「おたがいさま、だと思う」 ウンウン

……

上条「……ほんとに上でいいのか?初めては痛いって聞くけど」

滝壺「んー……カン……?」

上条「まぁ、いいけど。あぁイヤイヤ良くないけど、うん」 チュッ

滝壺「ぢゅる……ちゅぶ……ぺちゃ、ぴちゃ……ちゅば……」

滝壺「ちゅぷ……ぺちゃ……ぴちゅっ!」

滝壺「ちゅば……ちゅぷ……ぺちゃ……」

滝壺「ぴちゅ……んっ、ちゅぷ」

上条「……超エロいですね。ジャージからこぼれるおっぱいが特に」

滝壺「お化粧とか、した方がいい……?」

上条「したいならすればいいと思うけど――俺は滝壺がいい」

滝壺「『いまじんぶれーかー』がはたらいてない……っ!?」

上条「え、どういう事?折角の殺し文句が臭かったって事?」

滝壺「気をとりなおして、うん……!」

上条「釈然としないけど、行く、ぞ!」

ズ、ズズズッ

滝壺「――っく!」

上条(滝壺痛そ……あれ?) ゾクゾクッ

滝壺「……ぁんんっ、かみじょう……?」

上条「ん、いやなんでもない」

滝壺「いたい、から。まだちょっと動くのは」

上条「大丈夫だって。俺はこのままでも充分――んんっ?」

滝壺「くぶ……ん……ぢゅる……ぢゅる……ちゅぶっ、」

滝壺「んん……ん……ちゅるっ!くぶ……や……」

滝壺「ぢゅる、くぶ……んん……」

滝壺「ぢゅるっ、ちゅぶ……んん……ん……」

滝壺「……ぁぅ」 モジモジ

上条「……あのー?」

滝壺「ごめん、動くね……?」

滝壺「ひゃう……やん……あぁ……」

滝壺「あんっ、ふぅ、んぅ……」

滝壺「あぅ……はぁ……やんっ!」

滝壺「んふぅ……あん……ひゃう……んう……」

上条「くっ!?早いって!」

滝壺「わからなくって、とま、らないっ!」

上条(あれ、もしかして)

滝壺「んぅっ、んぁ、はぁ」

滝壺「ふぁはっ、んく……あああ、ひゃうっ」

滝壺「や……んぁ、あふっ」

滝壺「ふぁはっ!んぅ、あああ」

滝壺「はぁっ!や……んくっ」

上条「」

上条 チュッ、コリコリ

滝壺「やっ、んうっ!あふっ!」

滝壺「はぅっ、んっ、んふぅっ、うぅ……」

滝壺「ふっ!んうっ、あぁ、だめっ」

滝壺「ひゃ、ふぅ……んんっ!?」

滝壺「あぅっ、ふっ、やん、おっぱい、だめっ!」

上条(もしかして滝壺って?)

滝壺「あん……ふぅっ!?んぅっ!あぅっ、はぅ」

滝壺「やん、んふぅっ!?あんっ!ひゃうっ、んうっ、んぁ」

滝壺「はぅ、ふぁはっ!んふぅっ!あぅっ、ひゃう、やん」

滝壺「んぁ……あんっ!ふぅっ……か、かみじょう?」

上条「思ったんだけど、滝壺って――エロい?」

滝壺「ち、ちがっ……!」

上条「いやでも」 グッ、ググッ

滝壺「んくっ、あぁっ!?ひゃっ!?」

滝壺「ふぅっ、んんっ!あふっ!ふ、んっ!」

滝壺「あぁ……うぅっ、やっ、んう……あふ、はぅっ」

滝壺「んっ!?んん、うぅっ、ふっ!?んうっ!?あぁっ」

上条「全力で感じてるよな、うん」

滝壺「そうじゃないっ、かみじょうがわるい……!」

上条「……そっかぁ?でも、滝壺はのこっちは」 ギュッ

滝壺「あふっ!ふ、んっ!あああっ!?」

上条「ってなってるんだけど?」

滝壺「そ、れはどーていがねちっこく責め――んんっ!?」

滝壺「ちゅ、ぢゅる、ちゅぶ……んんっ!んっ」

滝壺「ちゅぶ、くぶ、ん……ちゅっ!」

滝壺「ぢゅるっ、ちゅぶっ、んん、ん」

滝壺「ちゅるっ!くぶっ!んっ、ぢゅるっ」

滝壺「ちゅぷぅ……ちゅる……ぢゅるっ!はぷっ」

滝壺「ちゅぴ、ちゅぅぅぅぅぅぅ、あぅっ!?じゅぷっ!」

滝壺「じゅるるっ、ちゅるるるっ、ちゅぱっちゅぴ、ちゅぶ」

滝壺「ちゅばっ!んぷっ!ちゅぅぅっ」

上条「よーし、それじゃ取り敢えず一回行ってみよっか」

滝壺「ふっ、んっ、あぁっ!うぅ、ふぅっ、んうっ!」

滝壺「あふ……はぅっ、んっ、んふぅ……うぅ、ふっ!」

滝壺「んうっ!?あぁ、はぅっ、ふぅっ!?んん、あぅっ」

滝壺「ふっ!やん、あぁっ、うぅっ!ふぅ……んうっ」

滝壺「あぅっ!はぅっ!ん、んふぅっ!うぅっ!?ひゃう」

滝壺「ひゃっ、んぅ、んぁ……はぁっ!?ふぁはっ!」

滝壺「んくっ、あああ、ひゃう、やっ!?んぁっ!あふっ、ふぁはっ」

滝壺「んぅ、あああ、はぁっ!やっ!んくっ、あん」

滝壺「ひゃ、んぅ……んんっ!はぁっ、ふぁは、んく」

滝壺「あああ……ひゃっ!?やっ、んぁっ、あふ、ふぁは」

上条「最後はキスしながら」 チュッ

滝壺「んんっ、んっ、ちゅる、くぶ、やっ!」

滝壺「くるっ!きちゃ――んんんぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

――某国上空。学園特製非武装輸送機内、個室……の、隣の個室

麦野「……あー」

絹旗「え、っと、ですね」.

フレンダ「……キツいわねー、うん。ホントっにキツいわー」

麦野「ってか?幾ら輸送機たって旅客機じゃないのよね」

絹旗「会話ぐらいは聞こえませんけど、あの声は超響いてますし」

フレンダ「壁パンしようにも絹旗がアレ過ぎてツッコミをためらう訳だし。いやー、あんなおっきな声出せた訳か」

麦野「ってかアンタ達、どうしてこの部屋に集まってんのよ?」

絹旗「それは超気になるじゃないですか」

フレンダ「麦野だけピーピングしようっての!?」

麦野「黙ってろ淫乱ゴールド。まぁ最悪を考えたら邪魔する訳にもいかないか」

絹旗「ってか超公認なものだとばかり」

フレンダ「あ、はーい!それあたしも思ってたー!」

麦野「まさか。何を根拠に?」

フレンダ「カミジョー角部屋で隣ケルベ――麦野って配置が!」

麦野「取り敢えずアンタは次の戦闘で使い潰すからね?……別に考えた訳じゃないわよ」

絹旗「ですかね。じゃ、超しょうがないですし」

フレンダ「二人とも何で分かり合ってんの――分かった訳!」

麦野「絹旗、ツッコミの用意を」

絹旗「超了解です」

フレンダ「実は二人はクロコるほどに肉体で通じ合っ――」

絹旗「ふんぬっ」

バスッ!

フレンダ「そげぶっ!?」 パタッ

麦野「……フレンダったら疲れてたのね?見て、こんなにグッスリと眠ってるわ」

絹旗「いや、流石に今から超母性的なポイント稼いで、女子力上げるとか超無理ですから」

麦野「やっぱこういう時に必要なのかしらね、女子力?」

絹旗「やっぱ超アレじゃないですかね。包容力的な」

麦野「滝壺脱いだら結構凄いのよね、胸」

絹旗「あー、はいはい。超好きそうですもんね」

麦野「……」

絹旗「……」

麦野「ケジメとして殴ろっか。そういやアタシ、最初ん時にそげぶ一回分の貸しがあるんだったわ」

絹旗「わたしは……ありませんが。まぁ超ケジメって事で」

麦野「『悪い男に騙された』ってのはどうよ?」

絹旗「あー、超良いですねー。それを採用しましょう」

麦野「だよなぁ。ぶん殴られてもおかしくない事はしてるわよね?」

絹旗「えぇ、そりゃもうっ……って、ふと超思ったんですが」

麦野「何よ」

絹旗「本当に悪い男だったら、最後まで超騙しきりますよね?」

麦野「って事は」

絹旗「女運が超悪い、としましょうか」

――某国上空。学園特製非武装輸送機内、個室

上条「えっと、ですね?」

滝壺「……せいざ」

上条「……はい」

滝壺「いいたい事は……?」

上条「……ごめん。本当にごめん」

滝壺「……調子に乗って抜かずに三回したのはだれ?」

上条「……はい、俺ですね。ごめんなさい」

滝壺「……のりのりで言葉ぜめを始めて、最後の方は『えっちなりこうちゃん』って言わせたのはだれ?」

上条「……はい、それも俺ですね。ごめんなさい」

滝壺「……もう一回もう一回って、初めてなのに12回もねだったのはだれ?」

上条「いやそれは滝壺さん――じゃないですよねっ!?俺ですよねっ!ねっ!?」

滝壺「まったくかみじょうは……しかたがない」

上条「この件に関しては共犯だと思うが」

滝壺「……でも、いい。二人だけの秘密」

滝壺「『アイテム』は仲間だけど、これぐらいの秘密はあってもいい……」

滝壺「でも、わたしがしゃべっちゃうかもしれない……その時は」

上条「その時は?」

滝壺「くちをふさいで、ね?さっきのやり方で」

上条「あぁ……そろそろ、着くかな」

滝壺「……かみじょう、その前に、聞いていい……?」

上条「……うん?」

滝壺「わたしの、わたし達の居場所にあなたはなってくれたけど……」

滝壺「あなたの居場所は、一体どこにある、の……?」

上条「……」

滝壺「だから、その、ね……」

上条「あのさ。良かったら、でいいんだけど」

滝壺「……うん」

上条「俺はバカだから、つーか目の前に助けてって言ってる人が居たとしたら、考えずに突っ込むと思うんだ」

滝壺「……ばかだもんね」

上条「ちょっとは否定してくれてもいいと思うんだが……まぁ、それは変わらないし、変えられないと思うんだよ」

上条「滝壺が言ってたように、俺達は似てるからこそ理解出来るんだし」

滝壺「うん」

上条「けど、何処へ行ったって、誰とケンカしたって――」

上条「――滝壺の所へ戻ってくる、ってのはダメかな?」

滝壺「え、えぇっと……?」

上条「俺の居場所になってくれないか?」

滝壺「……はい」

上条「よろしく」

滝壺「これでわたしルート確定」

上条「いきなり何の話だっ!?」

滝壺「よかった……四番目だから、他の子のルートへはいると選択肢すらでない」

上条「滝壺ってたまによくわからない事を言うよね?エロ×脳なの?」

滝壺「え、おさななじみの大半は付き合ってるんじゃないの……?」

上条「だったら少子化問題は解決済みだっ!そもそも同性だったらどうするつもりだっ!?」

滝壺「きらいじゃない……『かみいち』というじゃんるもある……!!!」

上条「俺が見た滝壺の中で、ベストに入るぐらい強い口調で断言されてもな。内容は怖いから聞かないけど」

滝壺「あといもうとはおにいちゃんが大好き」

上条「それってあれだよね、性的な意味も含まれてる、つーかそっちがメインだよな?」

滝壺「『おれい○』もそんなかんじだったし……?」

上条「あのラストは、まぁあんなもんじゃないかな。ゲームの方で補完されるっぽいし」

滝壺「でもあれ、くろね○が『おにいちゃん』って呼んでれば、らすとは違ったとおもう」

上条「うん、そろそろ控えような?立場とか立ち位置とか、色々あるから」

滝壺「……ごめん。はずかしくて」

上条「わかるけど」

滝壺「あ、さっき『待ってる』っていったけど、ほんとうにまってるから……」

上条「ん?あぁ」

滝壺「何カ月でも何年でも、帰ってくるまで、ずっと……」

上条「あ、あれ?もしかしてこの子病んでるの?ちょい前に流行ったヤンデレなの?」

滝壺「ふれんだといっしょにみーとぱい作ってる……」

上条「フレンダは許したげて!?巻き込まないであげて!?」

滝壺「……冗談」

上条「だ、だよな?ミートパイの具材が何か突っ込まなくて正解なんだよな?」

滝壺「でも、ね?しあわせの形は色々あったって良いと思う」

滝壺「それが、帰ってこないと分かってる人を待つのだって」

上条「それも後ろ向きだと思うけどな」

滝壺「……だから、一緒に待っててくれる人が欲しい」

上条「フレンダは許してあげて?幾ら友達だっつても」

滝壺「こどもが欲しい」

上条「……はい?」

滝壺「そうすれば、寂しくない。うん、それがいい。決定」

上条「あの、否定するつもりはないけど。早くないですかね?」

滝壺「だいじょうぶ」

上条「うん、それは冗談って意味の大丈夫だよね?」

滝壺「一生わたしが養うから」

上条「論点が違うよねっ!?つーか金は結構あるんだっけチクショウっ!」

滝壺「……一生、苦労はさせない、よ?」

上条「……うん、男としては素直に喜んじゃいけないんだけどな。でも『そ、それじゃ甘えちゃおっかなー?』的な俺がいるんだよ!」

滝壺「とつきとうかごをお楽しみに……!」 ブィッ

上条「Vサインしない!そりゃ楽しみにするけども!」

滝壺「……あ」

上条「何?」

滝壺「たいせつな事を忘れていた」

上条「まだなんかあんの?そろそろ俺のチキンハートがヤバいんだけど」

滝壺「好きだ、って言ってなかった」

上条「今更っ!?」

滝壺「ん、んんっ……こほん」

滝壺「ありがとう。わたしの居場所を守ってくれて」

滝壺「ありがとう、わたしの居場所になってくれて」

滝壺「わたしはそんなかみじょうが――好き、です……!」


――『滝壺“ある意味”』アフター -終-



――『滝壺』アフター

駅前の喫茶店 エリザリーナ攻防戦から半年後

上条「たっだいまー」

滝壺「まー」

絹旗「あー超お疲れ様です」

麦野「お帰りー、早かったわね」

フレメア「にゃあ」

上条「あー、基本問診だけで済んだし。あ、これお土産のマカダミ○チョコ」

絹旗「はぁ、超どうもです。エリザリーナ独立国からのお土産かこれ、ってのもどうかと思いますが」

フレメア「にゃあ、私は嬉しいのだ」

滝壺「やっぱりましょとーりかの方が良かった……?」

麦野「どっちもどっちでしょうが。そんな事より結果の方はどうだったの?」

滝壺「……ざんねん」

絹旗「超マジですかっ」

滝壺「にんしんは、まだみたい」

絹旗「……超殴りますよ?」

滝壺「ふっ、きぬはたの腹パンを喰らったら、わたしは致命傷……それでも出来るかな……?」

上条「やめなさいお前ら。後、絹旗はこっちを狩人の目で見るんじゃない!俺は無関係だ!」

麦野「連帯責任、って言葉もあるわよね」

上条「俺の辞書にはそんな意味では載ってないっ!」

フレメア「にゃあ、チョコ食べていーい?」

滝壺「いい、よ」 ペリペリ

上条「まぁ見ての通り、というか見たまま、っていうか取り敢えず問題は無い。『体晶』で失った体力とかも、徐々に回復してるんだと」

絹旗「それは超重畳」

麦野「あんたそれもう口癖じゃないわよね?滝壺はいっつもあんま動かないから、よく分からないけど」

絹旗「昼間のカブトムシのように超スローですからね」

滝壺「うん」

上条「ちょっとは怒ろう?友達に対する台詞じゃないし……で、次はまた半年後に来なさいって」

麦野「直通便があるから、そんなに疲れないのは良かったけど」

絹旗「何だかんだで魔術サイドへ対する超橋頭堡ですよね」

麦野「それだけの投資したんだから、回収するのは当然って話だわ」

上条「いやでもロシアとしちゃ厄介だと思うし、学園都市の戦力――と言うか武器供与があった方が独立国としても有り難いんじゃ?」

麦野「それも当然よ。他の国がどう思うかは別として、だけど」

絹旗「見方を変えれば超テロリストですからね。国同士のパワーゲームの上に揺れてる木の葉であるのは、変わりがありませんし」

滝壺「……おいしい?」

フレメア「あんまり」

滝壺「……このガキ……!」

麦野「――って言う具合に『アイテム』の中でも諍いが起きてる訳だし。地球市民なんてのはサギよね、ほんと」

絹旗「『友好』ってのは本来、『平和』の一手段に超過ぎませんからね。下手に独立国が八方美人するより、特定国と通じていた方がまぁ?」

上条「お前ら見てないで助けてよ!?理后さんとフレメアさん引き離すの手伝って!」

麦野「はーい、それじゃ『アイテム』の依頼のお話をしまーす」 パンパン

滝壺「……はーい」

フレメア「にゃあ!」

上条「あれ?どうして麦野の言う事は聞くの?」

滝壺「ざんねん、とうまは交渉すきるをもってない」

絹旗「CP超どこに遣っちゃったんでしょうね?あっ」

上条「『あっ』てなんだ、『あっ』って?」

麦野「今回の仕事は学園側じゃなくって、アンチスキルからの依頼よ」

上条「珍しいな。また『新入生』絡みか?」

麦野「いいえ人捜しよ。相手は――学園第二位、垣根帝督」

絹旗「あー……超言われてみれば、あー」

滝壺「あれ……?でも」

フレメア「にゃあ?」

上条「あいつ今失踪してんのか!?つーか最後に会ったのっていつだっけ」

絹旗「エリザリーナから帰ってきた後、全員で超打ち上げしましたよね。その時以来超見てません」

麦野「あたしも右に同じく」

フレメア「だれ?」

上条「フレメアは置いとくしても、俺もそうだな。まぁ接点が無いから分からないけど」

滝壺「いま、いるよ?そこに」

上条「だよなぁ。捜さないと――って今、なんて言った?」

絹旗「居る、とか。超空耳ですよね?」

滝壺「あってる。だいにい、そこにいるし」 ピッ

フレメア「にゃあ?」

麦野「フレメアの隣の席……幽霊的な話?」

上条「やめろよぉぉっ!?俺そう言うの苦手なんだからなっ」

絹旗「むしろ得意なものがあるのかと超小一時間。あ、寝技以外で超お願いします」

麦野「それ、結構時間とられそうよね」

滝壺「とうまの悪口はいくない」 キリッ

上条「理后っ、味方は一人だけだよな!」

滝壺「いがいとねちっこく、えっちの時に攻めてくる……!」

上条「全員敵かよっチクショウっ!」

麦野「んで?どういう意味なの、本当に拡散力場しか見えないとか?」

滝壺「ううん、ちがう。だいにいの拡散力場がある」

絹旗「超間違えないんですか?」

滝壺「いつ敵に回るかも、分からなかったから覚えておいた……あと、正確には、それ」

上条「フレメアのボディバックからはみ出ている。これ、携帯用のストラップ、か?」

絹旗「もしかして『これ』ですか?」

滝壺「うん、その『白いかぶとむし』から、だいにいとおなじ電波がとんでる」

白いカブトムシ『……』

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ

フレメア「にゃあ?JOJ○みたいな書き文字が飛んでるのだっ」

麦野「……白い、わよね」

絹旗「そりゃもう、はい。超白いですよね」

上条「白いよなぁ、ほんとに」

フレメア「にゃあ?」

白いカブトムシ『……』

麦野「なーんか思い出すよなぁ、アタシをボコった『未元物質』とかねぇ」

絹旗「あー、超ありましたっけ。『未元物質』もこんなに超白かったですよねー」

上条「あったよなぁ、『未元物質』」

フレメア「あ、カブトムシさんが汗かいてるのだ」

白いカブトムシ『……』 タラーッ

上条「なぁフレメアこのストラップ、っていうか、この色んな意味で気持ちの悪いカブトムシ、どこで手に入れたんだ?」

フレメア「駅前のハン○買った、にゃあ」

麦野「えっと、フレメア?良かったらでいいんだけど、このクソカブトムシ、譲って貰えないかしら?」

フレメア「にゃあ。お店の人が『あれ?こんな商品入れたっけ?』って言う程のレアものなのだ」

上条「頭の緩さが遺伝してるぞフレンダ!」

絹旗「あぁこのお兄ちゃんが新しいの超買ってくれるそうですよ、ね?」

フレメア「いいのだ!」

滝壺「このガキ……っ!」

上条「せめて俺の了解取ってからにしろ!あと滝壺はどうしてフレメアに拘るんだ!?」

フレメア「あ、ごめん。待ち合わせの時間なのだ、にゃあ!」

絹旗「ではこのカブトムシ、超貰いますね」 ブチッ

麦野「車とセロリには気をつけなさいね?」

フレメア「はーいっ!」 カランコロンッ

麦野「――はい。ではこのカブトムシ、いえ『垣根・ペド野郎・虫未満』、略して『カペドムシ』の仕分けを始めたいと思います」

絹旗「あれあれ?上条の能力って超なんでしたっけー?」

滝壺「いのうの力全般を打ち消す、んだよね」

上条「そだな。『右手で触れた異能を打ち消す』んだな?」

白いカブトムシ『……』 ブルブルブルブル

麦野「……あっらぁー?バイブ機能かしらね」

絹旗「最近のストラップは超ハイテクなんですねー、流石学園都市っ」

上条「悪い事は言わないっ!さっさと自白しろ――垣根!」

白いカブトムシ『……』

白いカブトムシ『――こ、ここはどこだっ!?まさか敵の魔術師の攻撃か!?』

麦野「あーごめん。そう言うのいいから」

上条「あとそれ俺の持ちネタだから」

白いカブトムシ『やぁ上条君、お久しぶりですね』

上条「そんな口調聞いた事ねぇぞ!キャラ違うし!」

絹旗「ハル○の小○君口調ですね」

滝壺「なかのひとの名前を、『気持ち悪い』で検索してはいけない……」

白いカブトムシ『いや偶然じゃねぇかな?他人のそら似的な?』

上条「いや俺お前の『未元物質』以外に、そんな白くて不思議生物つったら一方通行さんぐらいしか知らねえもの」

麦野「てか何やってんのよ?能力使って何やらかしてくれてんの?」

白いカブトムシ『いやぁ自主的な警備行動的な、ね?』

上条「犯罪だよね?女の子のプライベート覗こうとしてる変態だよね?」

白いカブトムシ『カブトムシだけに?』

上条「あんまナメた事言ってると、そげぶするよ?」

白いカブトムシ『い、いや待て待て!これには深い事情があるんだよ!』

上条「事情って――もしかしてフレメアが本当にストーキングされてるとかかよ!?」

白いカブトムシ『ぁっ』

白いカブトムシ『そうだよ!だから俺は――』

麦野「うん最初に『あっ』つった時点でもう色々とダメだからね?」

上条「あーもう面倒臭いなー、幻想殺しちゃおっかなー」

白いカブトムシ『分かったよ!聞けばいいじゃない!納得するまでさ!』

絹旗「喫茶店で喋るカペドムシが超開き直る、って凄い絵面ですね」

滝壺「ん、ほぞんほぞん」 パシャッ

白いカブトムシ『あの、喋るから「カペドムシ」はやめてもらえませんかね?地味に心が痛いんだ』

滝壺「こんなすがたになっても、人の心は残っているなんて……!」

上条「台詞は感動的だけど、実態はゴミ以下だからな?」

上条「つーかお前何やってんの?エリザリーナから帰ってきて、打ち上げやったよなぁ?」

白いカブトムシ『おー、白モヤシが無理矢理女装させられてたなー』

麦野「その後消息不明って聞いてんだけど。下手踏んで地下に潜ったとか?」

白いカブトムシ『いや心理定規にバラされた』

上条・麦野・絹旗「……」

滝壺「あいするがゆえに?」

白いカブトムシ『どーかなぁ?しこたま酔った所をだな。バールのようなもので、こう』

上条「説明は要らない!聞きたくもねぇし!」

白いカブトムシ『あ、ちなみに「バールのようなもの」つっても、ベルゼブブやイシュターとかじゃないぜ?』

絹旗「えぇ、それは『バアルのようなもの』ですからね?てか、その小ボケを超挟む必然性ってありましたか?」

白いカブトムシ『んでまぁ、バラバラにされたけど、放って置きゃ再生したんだが』

麦野「凄いわねアンタ。人間やめてるよな」

上条「……もうやだこの学園……!デタラメすぎるモノっ!」

滝壺 ヨシヨシ

白いカブトムシ『んが、失敗した』

絹旗「どういう事ですか?」

白いカブトムシ『体の精製やってのがバレて、またバラされた』

上条「病みすぎだろ……ってかお前そこまで追い詰めるぐらい、何やったの?」

白いカブトムシ『いやホント今でも分からねぇよ!マジで手とか一切出してねぇし!』

絹旗「逆にそれが超原因なのでは?」

麦野「あー、アタシの近くにも刃傷沙汰でアナザヘブ○されそうな男の人知ってるわー」

上条「見るなっ!こっち見るなよぉっ!」

白いカブトムシ『まぁ、気がついたらバラされた一体一体が俺になってた、って話だな』

上条「……何でカブトムシ?何で昆虫なの?」

白いカブトムシ『最後に見たのがムシキン○とかそう言う理由じゃね?』

上条「アバウトな生き物だよな。生き物、か?」

白いカブトムシ『生きてるよ!……多分!』

上条「事情は分かった――でも、それがどうして学園生のストラップになってんの?」

白いカブトムシ『……』

白いカブトムシ『……カルマ、かな?』

白いカブトムシ『例えば原罪ってあるよな?アレと一緒だ』

白いカブトムシ『人が生まれながら背負った罪、俺達はどこまでも追い続けなければいけないんだよ』

絹旗「はい、つまり『小学○のストラップに超なりたかった』って事ですよね?」

白いカブトムシ『身も蓋もない表現をすれば、そう、かな?』

上条「最初っからどこにもねぇからな?ゴミみたいなオチだからね?」

白いカブトムシ『ゴミみたいな命でも、俺達は懸命に生きているんだ!』

麦野「それっぽく言っても、アンタがやってる事は人間椅子の域を出てないからね?変態は変態だから」

滝壺「とにかく、かいけつ、ぶぃっ」

上条「いやーこの節足動物突きだして『垣根です』ってのは流石に無理が」

麦野「それで?アンタはどうしたいの?本体捜すってんだから協力しなさいよ」

白いカブトムシ『面倒じゃね?』

上条「頭の中身もカブトムシ相当になってるよね、確実に」

麦野「聞いたと思うけど、アンチスキルからアンタの本体捜せって言われてんのよ。さっさと案内しなさいな」

白いカブトムシ『いや、マジ知らない。神と幼女に誓ったっていい』

上条「隠そうぜ?折角俺達があえてその部分に触れないようにしてきたんだから!」

滝壺「すきなものはすきだからしょうがくせ○」

絹旗「スルーする所でしたが、途中から超問題発言に切り替わってますよね?」

白いカブトムシ『まぁそんなこんなで俺はそろそろお暇しようかなー、なんて』

麦野「あ、そうだ。その前にちょっと聞いて良いかな?」

白いカブトムシ『おうよっ!俺い疚しい所はないぜっ!』

上条「お前つい数分前までストラップに偽装してたよな?存在の意義自体が疚しいよね?」

麦野「記憶の同期とかどうやってんのよ?もしかしたらそれで本体の場所とか分かるんじゃ?」

白いカブトムシ『アップデートは月一、最初の日曜の深夜にやってるみたい。そん時は前後の記憶が飛ぶし?』

麦野「そっかぁ。それじゃ次は小学生の自転車のサドルに生まれ変わると良いわね?」

白いカブトムシ『おうっ!……ぉぅ?』

麦野「よいしょっと」

ジュッ

白いカブトムシ『』 サラサラサラサラッ

絹旗「あー、低出力の『原子殺し』でも超いけますね」

上条「おいっ!?殺しじゃないのかっ!」

麦野「どう見ても能力が暴走してるに決まってんでしょうが。つーか生存欲よりも性欲が上回ってるなんて、タチ悪すぎだし」

絹旗「えぇこれは超早めに手を打った方がいいかと」

上条「そう、か?」

麦野「垣根は確かに前からアレだけども、子供相手につきまとうなんて正気じゃないわよね?」

滝壺「そのりくつだと、コミ○とかにいくひとの扱いは?」

絹旗「超リリカルなお友達は、疚しくなんてないんですよね、えぇ」

麦野「推測だけど、本体の再生が中途半端でワケわからない行動を取ってるんだと思うわ。滝壺?」

滝壺「あいまむ」

麦野「他のペド根の反応はないの?」

滝壺「んー……ざっと100ぐらい」

絹旗「……うっわー、超面道ですね」

上条「本体が分かりゃ、他のも制御出来るんじゃないか?」

滝壺「大きい電波がとんでるのは、あるけど」

麦野「私は反対よ。最悪暴走して制御を失う危険性だってあるしね」

絹旗「腐っても第二位ですからね。アンチスキルや普通の応援を当てにするのは超無理ゲーですし」

滝壺「……だいじょうぶ」

麦野「嫌な予感しかしないけどね」

絹旗「超奇遇ですね」

上条「なんとなーく想像は出来るんだけど、うん」

――某野外音楽堂 数時間後

フレメア(ステージ)「『にゃあ。にゃあにゃあにゃあにゃあっ』」

打ち止め(ステージ)「『みんなーきいてねー、次の曲は星間飛○です、ってミサカはミサカは言ってみたり!』」

フレメア(ステージ)「『つきぬけてー、銀河のー!』」

観客『はてまでえぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』

白いカブトムシ107『はてまでええぇええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』

上条「あ、発見」 ピトッ

白いカブトムシ『たのし、かっ――』 サラサラサラサラッ

滝壺(通信機)『次、100めーとるしたの、かめこのあいだ』

上条「また酷い所に居るな」

滝壺(通信機)『ぱんつねらいだから、そこしかいない』

一方通行(通信機)『あァ俺が行っからいいぜェ?』

上条「殺すなよ?絶対だぞ、絶対だからな!?」

一方通行(通信機)『あァ楽には殺さねェよ』 プツッ

上条「通信切ってんなよ!?」

麦野「いやまぁ自業自得だし?」

絹旗「ってか今ので何匹目でしたっけ?超そろそろ終りかも?」

滝壺(通信機)『ん、らすいちだった。次はほんたいだけ』

上条「滝壺が『幼女のライブを開く』つった時は正気を疑ったけど」

絹旗「超熱狂のステージを見る限りは、わたし達の方が非常識なんですかね」

麦野「つーか本当に集まってくるとはね……なんであたしあんなバカに負けたんだろ?」

上条「108体に分かれて一匹一匹がレベル低くなってる……って事にしておこうぜ」

絹旗「煩悩全てがペ×ってのもそれはそれで超凄いですが」

滝壺(通信機)『能力を極めるにはロ×じゃないといけない……』 クワッ

麦野「あー……客席最前列でカメコをフルボッコしているセロリ見ると、ほんとそう思うわー」

絹旗「しかも何が超凄いかって、ヤラれている方が引かないって所でしょうかね」

上条「……コメントしたくないから、さっさと本体の回収に行こうぜ?」

――某廃ビル 地下駐車場

滝壺「……ここ。ここの、さんめーとるぐらい下」

麦野「死ねっ!」

ドオゥンッ!

麦野「……ちっ、破壊出来なかったわね」

上条「今死ねっつたよなぁ!?」

麦野「かけ声よ、かけ声。本気だったら地下数十メートルまで貫通してるわよ」

上条「信じて良いんだよなぁ?」

麦野「大丈夫大丈夫、一回だけだから、ね?」

上条「言葉の意味は分からないけど、その一回が致命的な結果を生む予感がするな!」

絹旗「まぁ超文字通り『産む』んですけどね」

滝壺「みんなで育てるから、べつにいい、よ?」

麦野「あ、それじゃ帰ったら早速」

絹旗「じゃあじゃあ、わたしも」

滝壺「だったら、わたしも……」

麦野・絹旗・滝壺「……」

麦野「なんか足りなくない?」

絹旗「ですよね。ここで『あ、あたしも入る訳だし!』って超言った所へ」

滝壺「どうぞどうぞ、ってオチなのに……?あれ……?」

麦野「まぁいいか。それじゃ今晩から宜しくね?」

上条「今夜は帰りたくない!」

絹旗「上条それ女の子からの超殺し文句ですよ」

上条「いいんだよ――って、鉄の箱?」

絹旗「って言うよりは、よいしょっと」 ズズウンッ

麦野「冷蔵庫か。うっわ開けたくないわね」

絹旗「さて、ここで上条に超問題があります」

上条「……うん、内容は検討ついているから、わざわざ言わなくたっていいんだけどな?」

絹旗「探知役は絹旗、削岩役が麦野、重機役がわたし。さて、冷蔵を開ける役はだれ?」

上条「そんなこったろうと思ってたよ!まぁ最初からやるつもりだったんですけどね!」

滝壺「がんばれー、わたしはそんなとうまを以下略」

絹旗(……とはいえ攻撃受けても良いように、庇える位置には超居る訳ですし)

麦野(――の、後に攻撃出来るよう、『原子崩し』をスタンバイっと)

上条「あーもうっ!どうにでもなれっ!」 ギギィッ

垣根「――こ、ここはどこだっ!?まさか敵の魔術師の攻撃か!?」

麦野「ごめん。それ昼間やったから」

垣根「やぁ上条君、お久しぶりですね」

上条「それも二回目だな」

絹旗「第二位の知能は超カペドムシ程度だった、と」

滝壺「……っていうか、ぼうそうしてたの?」

絹旗「今にして思えば、超『素』だった可能性もあるかも、ですね」

垣根「おれは しょうきに もどった !」

上条「カイ○っ!?親友裏切った奴の台詞だな!」

麦野「『いいですとも』と並んでアレな台詞よね。てか特に裏切った理由も、元へ戻ったのも『素』だって話だわね」

滝壺「恋していいですと○!」

垣根「なんだか、長い夢を見ていたようだ……」

上条「うん、グロを見せられなくって非常に安心してはいるけど、お前の分身の罪は消えないからね?」

垣根「何の事だ?あれは暴走した奴らが勝手にした事だぜ!」

麦野「いや、いいんだけどねアタシらは。頼まれた事をやっただけだから」

上条「この危険人物を野放しにするの、ってのもアレだよなぁ」

垣根「いやいやっ!本当に違うって!あれは俺の意思じゃないし!」

滝壺「せんざいてき、むいしき、ってのかも?」

絹旗「超本能みたいなものですからね」

麦野「んじゃ確かに見つけたからね。アンタがアンチスキルに頼んだ人捜し、これで解決したのよね?」

心理定規「えぇ、ありがとう」

垣根「」

滝壺「ふう、つかれた……」

上条「今日は久々に能力使ってたけど、体調は?」

滝壺「だいじょうぶ」

上条「そっか。なら良かったけど」

麦野「あー、んじゃ打ち上げよね。ライブも終わってるだろうし、合流しましょっか」

絹旗「フレメアの超回収もしないと。セロリに預けたのは超失敗かも?」

垣根「待ってよ!そうじゃねぇだろ!?」

麦野「何がよ?」

垣根「いやだからっ!俺がバラされたのって、こいつの仕業なんだってば!」

麦野「カブトムシは信じるな、的な事言ったばかりよね?」

垣根「ネタじゃねぇんだってば!命に、命に関わ――」

上条「おーい、麦野―?車出して欲しいんだけどー?」

麦野「はーいっ、今行くわーっ――って感じだから、今の話は次会った時に聞くわね?」

垣根「来ないからっ!俺に明日は来ないんだよっ!」

麦野「アンタも程々にね?」

心理定規「はーい」

垣根「ま、待てって!」

心理定規「今度は……痛く、しないから、ね?」

垣根「いいねっ!――じゃ、ねぇよっ!一瞬反応しちゃったけども!」

心理定規「疲れてるのよ、あなた。だから――」

心理定規「――ゆっくり、休みま――」 ジジジッ

――いつもの喫茶店にて 打ち上げ会場

上条「えー、今日は色々と大変でしたが、お疲れ様でしたっ」

一同「お疲れ様でした」

上条「依頼人と行方不明の垣根を再会させましたし、まぁ結果オーライです」

麦野「(明日からまた失踪状態になるんだけどね)」

絹旗「(今度は超どんな仕打ちをされるんでしょうね?)」 ワクワク

滝壺(あ、きぬはたがわるい事考えてる……)

上条「ともあれっ!今日はみなさんのお陰で、どうにか解決する事ができ――」

フレンダ「あ、あのー?ちょっといい訳?」

上条「フレンダ。どうしたんだ?」

フレンダ「あたし、何で今日――ハブられてたの?」

上条「あー……」

フレンダ「『あー』って何!?その『あ、そういえばいなかったっけ?』的なリアクションは流石に傷つくんだけど!」

絹旗「フレンダはこないだ超出ずっぱりでしたから、まぁいいかなって」

フレンダ「まぁいいかなって!?何が!?どうすればそういう判断になる訳よっ!?」

麦野「いやでも、あんたの代わりにフレメア置いといたけど、いつもと同じだったわよ?」

フレメア「にゃあ!」 キリッ

フレンダ「酷くないっ!?ってかここでずっと待ってたのに、誰も何も連絡寄越さないって――」

上条「――かんぱーいっ」

一同「かんぱーいっ」

フレンダ「無視ってどういう事よおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

滝壺「おつかれー……」

上条「うん、滝壺もお疲れ……ごめんな?本当ならデートする筈だったのに」

滝壺「でーとは、いつでもできるし。わたしにはみんなと騒ぐのもだいじ」

滝壺「わたしの居場所は、ここだけど」 ギュッ

滝壺「他にも居場所はあるし。段々大きくなってく」

上条「……だな」

滝壺「むぎのときぬはたのそば、も」

上条「フレンダは?散々スルーしといてなんだけども、フレンダは?」

滝壺「ふれんだは、親友枠」

上条「その割には約半日誰も突っ込まなかったみたいだけど」

滝壺「……そしてこれが、恋人枠」 チュッ

上条「うんもうフレンダだし別にいいよねっ」

滝壺「えっちだけど、なんだかんだでヘタレだけど」

上条「いやだから理后も結構だと思うんだよな、俺」

滝壺「だいじょうぶ、わたしはそんなとうまが大好きだから……」


――『滝壺』アフター -終-


※来週は『アイテム』アフターです。つってもダラダラ日常書くだけだと思いますが。漸く終わり……
ちなみにハーレムエロは無理です



――『アイテム』アフター

前略
 梅雨の候、如何お過ごしでしょうか。当麻です。
 ご心配されていたアビニョン、エリザリーナ内戦に関わった事実は御座いませんので、どうかご安心下さい。
 世の中には似た人物が三人居ると申しましょうか、兎に角他人であり、私上条当麻ではありません。絶対。

 学園都市にも大分慣れ、どうにか学業にもついて行けるようになった昨今、現在使っているアパートから諸事情により引っ越すことが決定致しましたので、ご報告を――。

――上条家 実家

詩菜「ってハガキが」

刀夜「お金が足りない、とかって事かい?」

詩菜「いえ、そんな素振りは全然」

刀夜「引っ越し、引っ越しねぇ……あ、当麻の奴、彼女でも出来たんじゃないか?」

刀夜「だからもっと大きな所へ引っ越したい、とか」

詩菜「ヘタレの当麻さんにそんな甲斐性はありませんよー」

刀夜「そうなの?」

詩菜「えぇ、暫くお友達の所にご厄介になるそうですし。ほら、住所まで」

刀夜「ふーん。男親としちゃ寂しい限りだけどねぇ」

詩菜「ただ、その」

刀夜「何か気になるのかい?」

詩菜「勘ですけど……フラグ管理を間違えて、修羅場になってる予感が」

刀夜「どんな第六感?子を思う母親にだって限度はあるよね?」

詩菜「あなたが若い頃の匂いが、ね?」 ギリギリッ

刀夜「昔の話じゃないか!?私は詩菜さんを選んだんだし!」

詩菜「あらあら、刀夜さんったら」

刀夜「そうだとも!当麻だって私のような一途な恋愛を――」

詩菜「――この間、知らない女の人から電話がかかってきて、『刀夜さんと別れてください』って言われたんですけど?」

刀夜「」

詩菜「はい、じゃこっちで話しましょうか?血は落としにくいですからね」

刀夜「知らないよっ!?私には何の事だかサッパリだし!」

詩菜「あ、お洋服に付いた血液を落とす時には、完全に渇く前に大根おろしを加えると落ちやすいですよ?」

刀夜「なにそれ必要な情報じゃないし!?誰情報なのっ!?」

詩菜「『今宵も召しませAlicetal○』ですね」

刀夜「10年前のエロゲだよっ母さん!?しかも実際に試したって事だよねっ!?」

詩菜「アリ○役の声優さんって、ナレーター役でひっぱりっこですよねー」

刀夜「引退したんだよ?葉月サ○さんはもうこの業界に居ないんだからね?」

詩菜「と言うわけで、こっちへいらして下さいな、ね?」

刀夜「……はい」

――某住宅地前 13時すぎ

上条「……あれ?」

上条(住所は合ってるよね?でも目の前のこれ、って)

上条「ちょっとしたマンション、だよなぁ」

上条(シェアハウスって、家をシェアする、つーか共同で暮らすんだよな?)

上条(三階建てのフツーのマンションて。どんだけ)

絹旗「無駄にお金は超持ってますしねー」

滝壺「除くふれんだ……」 ナムナム

上条「おー、ちーす。ってかここ?ここで合ってるの?」

絹旗「一応様子を見に来て超正解でした」

上条「いや、もっとおっきめのマンション一ブロック借りて、四人で暮らしてるもんだとばかり」

絹旗「まぁ、説明するよりも見た方が超早いと思いますので、中へどうぞ?」

滝壺「へっへっへー、おきゃくさんウチにはいいこがそろってますぜ……?」

上条「淡々とネタを振られてもなっ!」


――室内

上条「オートロックから玄関入ってエントランスて。ホテル?元々ホテルだったの?」

絹旗「超惜しいです。近くの学校の女子寮だったそうなんですが」

上条「あー、人が足りなくなってとかね?わかるわかる。少子化だもんね」

滝壺「いなくなった、って」

上条「……はい?」

絹旗「おや、超ダメですよ滝壺さん。そんな超脅かすような事言っちゃ」

滝壺「てへっ……」

上条「え、何?居なくなったってどういう意味?人が居なくなったとか、そう言う意味だよね?」

絹旗「ではリビングへ超どうぞ?」

滝壺「あかいあめがふる夜には……」

上条「滝壺さん何か受信してない?拾っちゃいけないワードが混じってるんだけどさっ」

――リビング

麦野「いらっしゃい?それともお帰りなさい?」

上条「ただいま?……あぁいやいやそうじゃなくってだな」

フレンダ「元女子寮がそんなに珍しいって訳?あたしも最初はビックリしたけどね」

絹旗「まぁその内に超慣れますから、お気になさらず」

絹旗「(気づいた時には超手遅れだと思いますし)」

滝壺(あ、きぬはたから悪いでんぱが出ている)

麦野「女子寮って言っても業者が一度手を加えてるからね。一階がダイニングやキッチンやお風呂。二階が個室×8。三階が物置よ」

上条「俺の部屋は?なんだったらここでもいいけど」

フレンダ「確かに広いは広いけど、あたしらも通る訳だし」

絹旗「どうしても、と言うのであれば止めませんが、部屋は貸すほど超余っていますし」

滝壺「ぷらいべーとは、だいじ……」

上条「んじゃありがたく、ってどこ?」

麦野「二階の201から4号室までは私達使っているから、他は好きな所どうぞ?」

フレンダ「え、あたし『5号室使う』って聞いたから、掃除しちゃったんだけど?」

絹旗「あ、じゃ6号室なんて超どうです?」

フレンダ「あれ?どうしてあたしが片付けた部屋を勧めないの?」

麦野「角部屋が良いっ、てなら8号室がいいわね」

フレンダ「うんもうこれはパワハラよね?訴えたら勝てる訳よね?」

滝壺「ふれんだ、相変わらず、おいしい……!」 グッ

フレンダ「狙ってないもの!むしろこれはイジメじゃないの!?あと上条はもう一つボケを載せるべきじゃない訳っ!?」

上条「ボケ待ちかよ!?つーかイジメじゃねぇじゃんか!」

絹旗「『このチームにイジメは超ありません』」

麦野「これでオッケーよね、うん」

上条「いや5号室使うけどさ」

絹旗「あ、お茶入れますんで。荷物置いたら超また戻って来て下さい」

上条「うーす」

――10分後

麦野「――歓迎会はいつもの喫茶店でするとして、今から会議を始めます」

上条「……はい?」

絹旗「まぁ家事分担だと超思って下さいな」

フレンダ「はーいっ!あたし料理あんま出来ませーん!」

滝壺「いばるような、ことじゃない……」

上条「……嫌な予感が」

絹旗「多分その予感は超アタリかと」

麦野「自室の掃除やら洗濯は自分でやるとして、食事はどうするのか、って話よね。掃除はまぁどうにかなるんだけど」

上条「俺、作ろうか?三食分は流石に無理だけど、夜はなんとか」

フレンダ「よーし決定って訳ね!」

絹旗「いやいや、それでは超良くないんですよ、フレメ――ンダ」

フレンダ「今なんであたしの名前間違ったのっ!?」

滝壺「かみじょうがわたし達暮らすようになったのは、かみじょうの負担を減らすため……」

麦野「そうよ。えっと、『女物の日常雑貨が家にあった』んだっけ?」

上条「まぁ、それが切っ掛けだけどさ」

絹旗「そもそも上条はわたし達の仲間ですしね。だったら少しぐらいは負担を超減らしてあげるのが筋かと」

フレンダ「なるー。うん、分かった訳」

上条「……みんな、本当にありがとうな……!」

麦野「いいのよ?私達は仲間なんだからね?」 ニコッ

絹旗「超その通りですって。互いに超欠けた所があっても、フォローし合えばいいんですからっ」 キリッ

上条「お前らっ!」

フレンダ「(罠、よね?)」

滝壺「(むしろワナいがいの何に見えるかと小一時間)」

麦野「とは言うもののよ?出来ない家事をやって失敗するよりは、きちんと配分した方が良いと思うわ」

上条「具体的には料理だよなー。俺はまぁ、どっちかって言うと得意な方だけど、出来るひとー?」

フレンダ「一通りは、まぁ?」

絹旗「わたしは外食とサプリメントで超済ませる感じで」

フレンダ「あ、だっから発育――げふっ!?」 バスッ

滝壺「いまのはふれんだがわるい……わたしは、出来る、よ?」

麦野「私もパスね」

上条「まぁ学園都市の食い物は安いしな。お菓子は高いけど」

麦野「んー、料理は出来た方が良いに決まってるでしょうけど。あ、それじゃ上条が教えてくれるってのはどうかしら?」

絹旗「超負担じゃなかったら、ですけど」

上条「あぁ、問題無いよ」

フレンダ「ある程度こなせるようになったら、段々担当を増やせばいい訳だし」

麦野「それじゃ次は共同スペースの掃除当番を決めちゃいましょうか」

――30分後

麦野「とまぁそんな感じかしらね。あぁ、お買い物用のカードは――上条以外が持つ事、いいわね?」

上条「何で俺ハブるの?子供のお使いも出来ないレベルなの?」

フレンダ「落とさない自信があるんなら止めないけど」

絹旗「ちなみに超ロストした分を体で返すんであれば、まぁどうぞ?」

滝壺「そしてふさいがうなぎのぼりに……」

上条「ごめんなさい。基本誰かと一緒に行って貰いますっ、ってか四人も居て俺の味方は居ないのかっ?」

フレンダ「いやー、味方したいんだけどね?うん」

絹旗「わたしはバカな子に『あなたはバカなんですから、超勉強しないといけませんよ』と言うべきかと」 チラッ

麦野「あー、それは正しいわね」 チラチラッ

上条「フレンダを意味ありげに見るのはやめてあげて!?」

フレンダ「あ、あれ?ここホームの筈なのに、いつアウェイへ来た訳なの?」

滝壺「わたしはそんなふれ以下略」

麦野「まぁ食材とかに関しては気にしなくて良いわよ。毎日キャビアとかネタに走らない限りはね」

上条「ネタ以前にあれって凄い塩辛いんじゃなかったっけ?成人病になるし」

麦野「ヨーロッパじゃ魚の卵は全部キャビアって言うし、ロシアでもイクラーなのよね」

上条「え?んじゃカズノコをヨーロッパへ持っていったら……」

麦野「一応キャビアね……ってそんな話じゃなくって」

絹旗「今日はいつもの所で超歓迎会です。そろそろ超着替えてきて下さいな」

上条「はーい」 タッタッタ

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「……」

麦野「……作戦、分かってるわよね?」

絹旗「えぇ、それはもう」

フレンダ「結局最後まで気が進まない訳だけど……」

滝壺「そのときはれぎゅらーがふれめあに交代」

麦野「あっちの方がよりロ×専でいいかもね」

絹旗「むー、わたしとしては最年少キャラも超捨てがたいんですが」

フレンダ「それだけはっ!その選択肢だけはっヤメテっ!」

麦野「でも週末に泊まりに来る、ってメールが」 ピッ

フレンダ「待ってよ!?聞いてないし!?何人の妹勝手に誘ってる訳よっ!?」

滝壺「心配は、いらない、よ?」

フレンダ「滝壺……!?やっぱり味方はあんただけ――」

滝壺「わたしたちの、いもうとにもなるんだから、ね?」

フレンダ「おかしいモノっ!?なんでみんなもう人としての一線超えようとしてんのっ!?」

絹旗「まぁ超濃すぎる時間を過ごしましたしね」

麦野「例えばの話よ、フレメ――フレンダ?」

フレメア「どうしてちょくちょくあたしを交換させようとしてるの?ねぇイジメなの?」

麦野「これは特に他意のある話じゃないんだけど、とある所に一人の男と三人の嫁候補が居たのよ」

絹旗「本編と外伝合わせて小説16巻という超ボリュームですね」

滝壺「まじしゃんずあかでみ○」

フレンダ「あれ?すっごい具体的な話になってる気が?あと他意ありまくりよね?」

絹旗「滝壺を超スルーしたのは良い判断ですが、まぁ嫁一人目は超ケモノっ娘です」

麦野「二人目は従妹?二重人格だから、まぁ二度オイシイっちゃおいしいけど」

滝壺「さんにんめはごーれむ?めいどさん?……まぁそんなかんじで」

フレンダ「何か面白そうじゃない?ファンの子達は三人のどれがいいー、みたいな言い合いしたりとか」

麦野「で、男の方はこの三人だったら、誰を選ぶ?」

フレンダ「そうねー……まぁ順当に従妹の子かな?何だかんだで幼馴染みは強いって訳だし」

麦野「残念」

フレンダ「んじゃケモナー?最初っから出てるんだから、妥当は妥当じゃない」

絹旗「超ハズレです」

フレンダ「え?メイドさんとくっついた訳?いかにもヒロインっぽい二人を外したら、相当非難されそうな訳だし」

滝壺「……それも、はずれ」

フレンダ「……はい?じゃ、じゃあ誰とくっついたのよ」

フレンダ「あ、もしかしてハーレムルート?あぁおけおけ、それは最近多いし別にいいんじゃないか、って――」

麦野「……話には全っ然関係無い、しかもたまにしか出て来ないクラスメイト」

フレンダ「……え?」

絹旗「ですから、今までの話を完全に超ぶっちぎって、主人公は『誰得?』的な子を選んだ訳ですね、はい」

滝壺「あれは、ない……!」

フレンダ「いいの?ファンの子達納得しないんじゃ?」

麦野・絹旗・滝壺「……」

麦野「――はい、と言う訳で淫乱ゴールドさんも危機感を持った訳よね」

絹旗「まぁ全員とは超言いませんから、せめて『アイテム』内で留めておこう、と」

フレンダ「分かった、訳だけど、淫乱ゴールドってそろそろ言わなくても良いと思う訳よ、うん」

滝壺「おまけの話を募集していたら、さいごのさいごにのっとったくせに……」

フレンダ「アンカーよね?あたし別に悪くないわよね?むしろ空気を読まなかった子が居たせいよね?」

麦野「と・に・か・く!今晩から、分かってるわよね?」

絹旗「超問題ありません」

滝壺「かくごは、おっけ」

フレンダ「あたしは納得いってないんだけど、まぁ一応参加する訳」

上条「お待たせー。着替え出すのに手間取っちゃってさ」

絹旗「超お気になさらず。フレンダ弄って遊んでただけですから」

フレンダ「ネタっ!?ネタだったの今の!」

滝壺「あいからず、おいしい」

麦野「んじゃまぁ揃った所で行きましょうか」

――ハウスシェア一日目 23時

上条「つっかれたー……」

上条(飲んで食べて騒ぐのはいつもと同じだったけど、少しみんな距離が近かった気が?)

上条「……」

上条(まぁ、気のせいか。寝よ寝よ)

コンコン

上条「……はい?」

滝壺「『わたしわたし』」

上条「あー、どうぞ?開いてるから」

滝壺「おじゃまします……」

上条「パジャマ、つーかジャージ?」

滝壺「きのうせい、ばつぐん」

上条「俺もTシャツとハーフパンツだしなー」

滝壺「かみじょうは、くーらーかける派?」 モゾモゾ

上条「いや、前のアパートついてなかったし」

滝壺「わたしも苦手。あ、ごめん。もうちょっと寄って?」

上条「ん」 ゴソゴソ

滝壺「でんき、消して」

上条「あ、スイッチはベッドの枕元ん所についてるのか。ビジネスホテルみたい」 カチッ

滝壺「おやすみなさい……」

上条「おー、おやすみー」

滝壺「……」

上条「……ん?」

上条「おかしないかっ!?なんで滝壺っ!?なんで一緒に寝てんのっ!?」

滝壺「めっ、夜はしずかに」

上条「あ、ごめんなさい……?」

滝壺「……」

上条「いや、言えよっ!?途中で自己完結すんなよっ!?」

上条「つーか他の連中に見つかったらフレ/ンダされるからっ!俺の命が割とピンチなんだよ!」

滝壺「……ぐーすかぴー」

上条「口で言ってるよね?寝てる時の擬音って普通口で言わないよね?」

滝壺「……かみじょう、うるさい」

上条「いやあの、だから俺の質問にですね。答えてくれると嬉しいかな、って」

滝壺「ふあんていになってる、ってむぎのが言ってた」

上条「つまり?」

滝壺「……ひとりでいるのは、きけん?」

上条「……?」

滝壺「どうせいごっこ、してたんだよね……?」

上条「あぁはいはいはいっ。ありましたねー、そんな話」

滝壺「だから、これからよくなるまで、わたし達がめんどう看る」

上条「……それで添い寝?」

滝壺「それで、添い寝」 コクコク

上条「いやいやいやいやっ!有り得ないから!つーか滝壺さん俺と同じ年だし!」

滝壺「えっちなこと、するの?」

上条「しないよっ!人畜無害で通ってるものっ!」

滝壺「じゃ、もんだいなし」 ギュッ

上条「いやでもだからっつってなぁ!?」

滝壺「だいじょうぶ。わたしはかみじょうを信じている」

上条「……っ」

滝壺「だから、ね?」

上条「……前に言ったかもだけど、滝壺のそれって卑怯だと思うんだよ」

滝壺「そう……?」

上条「ベッドから落ちるから、もっとこっち来い」

滝壺「ん」 モゾモゾ

上条(……あ、石鹸の匂い?なんか甘い……)

上条(いやいやっ正気を保て俺!信頼を裏切るのは最低だ!)

滝壺「……」 スゥスゥ

上条「……」

上条(寝付き早っ!何となくそんなイメージはあったけど)

上条(滝壺は普段からちょくちょく寝てるし、そんなに珍しくもないっちゃないか)

上条(――って考えないと、俺の理性が保たないかも)

滝壺「……んっ」 ゴソッ

上条(寝返り打ってジャージの前がはだけてる……?)

上条「……」

上条(滝壺さんブラ着けてませんかっ!?いやマジで、つーかこれヤバくないか!?)

上条の下条さん(呼んだ?)

上条(呼んでないって!一生寝てろって!俺の信頼に関わるんだよぉぉっ!)

滝壺「……んぅ……」

上条(心なしかちょっと吐息がえっちだし)

上条(こ、これいっちゃってもいいんじゃ……?)

上条「……」

上条(ダメだっつーのに!信頼してくれてる相手を裏切る訳には――)

滝壺「……」 チラッ

上条(眠れる訳がねぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?)

――ハウスシェア二日目 朝 リビング

フレンダ「おっはろー……って」

上条「……」 グッタリ

フレンダ「どったの?目の下にクマが出来てる訳」

上条「……昨日はちょっと、眠れなくてな」

フレンダ「朝までしっぽり?いやーーーーっ、ふけつーーーーーっ!」

上条「出来るかっ!つーか昨日の添い寝プランは誰の差し金だ!?」

フレンダ「ドSコンビの麦旗が」

上条「わかってた、何となくわかってたけど!」

フレンダ「ていうか滝壺は?まだ寝てるの?」

上条「あぁ、俺は学校があるから起きてきたけどさ。他の面子はまだ?」

フレンダ「絹旗はマラソンだと思う訳。麦野は……うん。低血圧的な、ね?」

上条「あー、なんか朝弱そうなイメージがあるなぁ」

フレンダ「つーか時間大丈夫?」

上条「前よりも近くなったぐらいだから――ってやべっ、そろそろ行かないと!」

フレンダ「車とフラグ管理には気をつける訳よー」

上条「俺も知りたいわっ!あ、あと今日の帰り、スーパー寄って買い物したいんだけど」

フレンダ「食べ物ね?おけー、学校終わったぐらいにメールくれればあたしが行くから」

上条「頼んだ!朝飯はキッチンに作っといたから、チンして――」

フレンダ「わかったってば!本当に遅刻するわよ」

上条「んじゃ――行ってきます!」

フレンダ「いってらっしゃいー……」

パタン

フレンダ(行ってきます、ね?家族みたいって訳か)

――ハウスシェア二日目 遅い朝食

麦野「……分かってはいたんだけど、女のプライドとか無くなるわよね」

絹旗「外食よりも超美味しいです」

フレンダ「いやぁ、一人暮らしして節約してればある程度はねー。って滝壺、どったの?」

滝壺「……」

絹旗「『昨日は超お楽しみでしたね』?」

滝壺「んー……?」

麦野「食事中にするような話じゃないでしょうけど。大丈夫だったの?」

滝壺「さき寝ちゃったから、わからない?」

絹旗「あー……まだ超初日ですしね。大分SAN値も超削ったし、いいんじゃないでしょうか」

フレンダ「あれ、そーゆー主旨だったっけ?」

麦野「今晩は頑張りなさいね、フレンダ」

フレンダ「まぁ、このあたしに任せておけば完っっっ璧にっ!――待って?ねぇちょっと待って?」

滝壺「あ、ふれんだ、そっちの小皿取って」

フレンダ「いやだからっ」

絹旗「このシーザーサラダ超美味です。ってかドレッングなんてありましたったけ?」

麦野「調味料は一通り揃えておいた筈だけどね。あ、フレンダもさっさと食べちゃいなさい」

フレンダ「う、うん?そうよね?」

絹旗「麦野は今日、超どうするんですか?」

麦野「免許講習よー。足がないと出かけられないでしょ?」

絹旗「超いいですねー。ちなみにどんな車を?」

麦野「まだ決めてないけど、この人数だし最低でも普通車よね」

絹旗「あ、だったらクーペに超しません?」

麦野「だーめ。あんた、どうせ変なB級映画の影響でしょ」

滝壺「ふぁみりーわごんっ、ふぁみりーわごん……!」

麦野「が、妥当かな?まぁ、適当に考えてて頂戴」

滝壺「きぬはたとふれんだはどうするの?」

絹旗「わたしは……まぁ勉強の超準備、ですかね」

麦野「棚川中学だっけ?」

絹旗「この間校舎見学へ行ったら、黒髪ロングと頭が超お花畑の二人組に捕まりました」

滝壺「あたま?」

絹旗「こう、超花束を頭に載せている感じです」

麦野「罰ゲーム?イジメよね」

絹旗「まぁなるべく二人には超関わり合いにならないように、と」

滝壺「あ、それふらぐ……」

麦野「んでフレンダは?絹旗と一緒になの?」

フレンダ「え?うんうん、あたしもそのウチ行こうかな、って思ってる訳だけど」

麦野「ま、いいんじゃない。って滝壺は?」

滝壺「……おひるね?」

フレンダ「まだ午前中よね」

絹旗「せめて家事を超するフリぐらいして欲しかったですが」

麦野「良くはないけど、無理強いするのも違うわよね。んー……」

フレンダ「滝壺も体調万全って訳じゃないし、あんまガミガミ言うのも違うと思う訳」

麦野「来年になったら上条と同じ学年に並ぶから、その時まで通うかどうか考えましょ?」

滝壺「うん……」

絹旗「超ごちそうさまでした。今日の当番はフレンダでしたっけ?」 カチャカチャ

フレンダ「はーい。流しの所に片しとく訳」

麦野「……たまに思うんだけど、フレンダってすっごい庶民的な日本語使うわよね」

滝壺「ふつー、しんく、って言うと思う」

フレンダ「ほらほら、麦野達もさっさと食べるしー」

滝壺「……っ!?」

フレンダ「どったの?」

滝壺「しんく、で一ぼけしようと思ったんだけど、すいせいせきネタしか思いつかなかった……」

フレンダ「うん、ヒロイン降板した娘の話はやめる訳よね?あたし達ももしかしたら可能性はあるんだし」

麦野「だからあんたは『外見だけ』って言われるのよ」

フレンダ「誰っ!?誰に言われてるのっ!?」

麦野「はい、ごちそうさまー」

滝壺「さまー……」

フレンダ「え、なに?この流れでスルーする訳だし、こっちの方がイジメじゃないの?」

絹旗「あぁそれでフレンダは超どうするんですか?」

フレンダ「ん、あぁ食材の買い物したい、つってたから買い出しに付き合う訳」

絹旗「それは超好都合ですね」 キリッ

麦野「あ、また何か」

滝壺「しようとしている……」

絹旗「フレンダ。いえ、超フレンダ!」

フレンダ「いやだからあたしの名前に超付けられても。前にも言ったような気もするけど」

絹旗「あなたは超大事なミッションがあります。それは――」

――放課後 教室

上条「……」

土御門「―――い、上やん、おーーーーいっ」 ユサユサ

上条「それでも俺はやってない!無実だっ!」

土御門「かみ、やん?どうしたんだにゃー?」

上条「え?……え、え?」

土御門「授業をぶっちぎって寝てたみたいだけど、何かあったん?引っ越し先でお化けでも出たとか?」

上条「……まだオバケの方がマシだった……オバケは触れるしな!」

土御門「いやぁ普通の人間には残留思念は触れないと思うぜい。と言うかその状況で触って何とか出来るのも上やんだけだすぃ」

上条「俺のっ!俺の苦しみが分かるかっ!?」

上条「一晩中悪魔が『かァァみィィちゃァァァァァンっ!一回だけなら、一回だけなら誤射で許してくれンだぜェェェッ!』と囁き続けられた俺の思いを!」

上条「その横では天使さんが『手を出しだければ出せばいいだろう。「原子崩し」ブーストでビンタされるかも知れないがな』って!」

土御門「なぁ、上やんの中での悪魔が黒夜で、天使がバードウェイなのはなんで?上やんは心の中にまで幼女を飼っているの?」

上条「リアルでも飼ってない!……飼ってない、よ?」

土御門「あ、ごめーん。舞夏からメールが来たにゃー」 ピッ

上条「聞けよ俺の話を!」

土御門「いやでもそんな事言われても説得力無いにゃー。あれ見てみ?」

上条「はい?」

フレンダ『かっみっじょーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!うぉおーーーーーーーーーーーーーーーーーいぃっ!!!』

滝壺 ボーッ

上条「何やってんだっあのクソ金髪っ!?目立つってレベルじゃねぇぞ!」

土御門「あぁ、流石に俺もニヨニヨしてるのが忍びなくって、起こしちまったぜ」

上条「じゃまた明日っ!」 ダッ

土御門「まったなーっ」

――マンションの近くのアーケード街

フレンダ「結局、滝壺が通うかも知れないから下見に行ったって訳」

上条「……いやさぁ、でもそれ普通事前に言わない?アポ無しで来る?」

滝壺「『きちゃった』って言いたかった……」

上条「うんそれ『岸田メ○の星』でやったよね?」

フレンダ「岸田○ルじゃなくってベツレヘムよね??終末を超えてカオスが近づいてるの?」

滝壺「そっちのほうがかみじょうは喜ぶから、ってきぬはたが」

上条「うん、俺も実はヤツの仕業だとは何となく分かってたけどもっ」

フレンダ「ま、実際に奇声を上げて大喜びしてくれた訳だし?」

上条「腐ってるからね?ホントにそう見えるんだったら、色々とイタタだからな」

フレンダ「パパー、今日の晩ご飯なにー?サバ買って、サバー」

上条「こんな可哀想な娘を持った覚えはない!」

滝壺「サバ照り焼き……」

上条「いいけども」

フレンダ「パパー、朝ご飯美味しかったってみんな言ってた訳」

上条「あぁ、そりゃ良かった。あるもので済ませるのもまぁ、慣れだよな」

フレンダ「結局当番制にするよりも固定にした方が良いのかっもねー」

滝壺「ぱぱ、いっぱい食べる女の子は嫌い?」

上条「俺の作ったメシなら、美味そうに食べてくれる子は当然好きだけど」

滝壺「……こうみえて、いがいと健啖家……!」

フレンダ「滝壺は脱いだら結構凄い訳よ」

上条(うん知ってる)

滝壺「おかしかってー」

フレンダ「まんしょんかってー」

上条「ママに買って貰いなさい!つーか他のお客さんが『まだ若いのに……』的な目で俺を見てるから自粛しなさいよっ!」

フレンダ「あ、プレイだから結局合法ですんでー」

上条「ヒソヒソ話すのが大きくなった!?だからここ通うっつってんだろ!」

滝壺「でじゃぶが……?」

――2日目 夜 リビング

絹旗「と、言う訳で超やって来ました二日目。今日の挑戦者はフレンダさんです」

滝壺「どんどんどんどん……」

フレンダ「……気が、進まないんだけど」

絹旗「ターゲットは昨日滝壺が超弱らせましたんで、もう虫の息ですよ」

フレンダ「いやぁ、うん。ねぇ、もうちょっと穏便な方法とかない訳?」

麦野「じゃどうするってのよ」

フレンダ「き、絆的な?そもそも別に男女関係になる必要はないでしょうが!」

麦野「――と、言ってるあんたから新しいコロンの匂いがするんだけど?」

滝壺「きっとぱんつも勝負ぱんつ」

絹旗「ていうか何だかんだ言いつつ、結局行くんですから超意味無いかと」

フレンダ「そりゃ意識してるけどっ。別にこんな急ピッチでならなくってもいいじゃない!」

麦野「あー、フレンダの気持ちも分かるわよ。私達全員が全員、暗部に居たんだし急に方向転換しろって方が無茶よね」

絹旗「えぇですからフレンダが超無理する必要はありませんよ?今日はわたしが代わりに超行きましょう」

フレンダ「絹旗っ。そうよね、分かってくれるわよね!」

麦野「だったら私が代わるわよ。別にあんたじゃなきゃいけないってもんでもないだろうし」

フレンダ「あ、あれ?雲行きが怪しい訳よね……?」

滝壺「だったらわたしも、行く」

麦野・絹旗・滝壺「……」 ジーッ

フレンダ「しないわよっ!?どう見てもこれ『どうぞどうぞ』よねっ!竜ちゃんの匂いがぷんぷんするものっ!」

絹旗(カンペ)『あたしも行く訳よ!』 チラッ

フレンダ「いやカンペを出されても――てかそれ用意してあったの!?あたしがグズるの織り込み済みだった訳かっ!」

滝壺「ぶい」 キリッ

フレンダ「うん、あんたの能力にはそんな設定はなかった訳だし?」

麦野「うっさいわね、シリコンカードも無かったのよ!」

絹旗「ちなみに対物狙撃銃が100だとするならば、散弾銃の超威力はコンマ1未満です。連射したってタマゴボー○バラ撒くようなものです」

滝壺「そもそも連射しすぎると、ばれるが熱に耐えられない」

絹旗「フルオートの対物狙撃銃は反動が超大きい上、重機関銃と役割が被るので、重宝はされていない筈です」

麦野「というよりフォークランド紛争の時、アルゼンチン側が取ったのが、狙撃銃の代わりにヘヴィバレルで狙い撃ったのよね?」

フレンダ「うん、あたしは意味良く分からないけど、熱膨張的なツッコミな訳?」

絹旗「まぁネタは兎も角、超どうします?」

フレンダ「そりゃ、あたしは――」

――ハウスシェア二日目 23時

上条「……はぁぁぁぁっ……」

上条(学校で寝たから大分マシになったけど、昨日の夜は辛かった)

上条(……いや、あれですよ?相談した以上、善意で添い寝してくれるってのも分かる。分かるんだけど)

上条(それ以前に男女として色々あるっていうのか、)

コンコン

上条「は、はい?」

……コンコン

上条「開いてる、けど」

……コンコン

上条 スタッ、カチャ

フレンダ「ぱ、ぱぱー?」

上条「」

パタン、ガチャガチャッ

フレンダ「ちょっ!?なんで無言で締めて鍵かける訳よっ!?」

上条「嫌な予感しかしねぇからだろーがっ!つーかパパってなんだ!?昼間の続きかよ」

フレンダ「『上条は超アレですから、父性をくすぐれば超一発KOです』」

上条「誰が主犯か分かっちゃったゾ☆」 キラッ

フレンダ「似合わない横ピースな訳……」

上条「見えてないよね?鍵締まったままなんだけど」

フレンダ「って言うか開けてほしい訳」

上条「あ、ごめん」

フレンダ「……」

上条「……」

上条(フレンダのパジャマ超可愛い)

フレンダ「な、なによ?」

上条「いや別に?入る?」

フレンダ「お、おうっ!入ってやろうじゃない!」

上条「なんでそんなに気合い入ってんの?」

フレンダ「知らないわよ!あたしもグッバイグッバイなんだからっ!」

上条「は、はぁ。あとグッバイじゃなくイッパイな?淀川長○先生になるから」

フレンダ「寝てた、の?」

上条「うん、そろそろ電気消そっかなと」

フレンダ「そ、そう。じゃ、あたしも?」

上条「聞かれても」

フレンダ「だってそういう企画でしょ?ハートオブチキンの上条のためにって」

上条「いやまぁそうなんだけどさ」

フレンダ「あー、やだやだ。ウチの妹だって一人で眠れる訳よ?だってのに高校生になった男が、って話だし」

上条「ちょっと待て。情けないとかは別だろ?大体一人でも大丈夫なのに、麦野が気ぃ遣ってくれんだろ?」

フレンダ「あっ、あーあーあーっ!言っちゃう訳?そゆ事言っちゃう訳かー、うん。男らしくない訳ー」

上条「関係無ぇだろ!つーか確かに不安は不安だったけど、添い寝して貰うまでじゃねぇし!」

フレンダ「あたしに添い寝して欲しくないって訳か!?」

上条「んな事ぁ一言だって言ってないだろっ!」

フレンダ「言・い・まっ・しっ・た!はっきりあたしは聞いた訳だし!つーか何?麦野とか滝壺みたいなおっぱいじゃないとダメなの?」

上条「おっぱいが嫌いな男なんて居ないって!」

フレンダ「あーほらっ!本音が出たし!やっぱり男ってのはおっぱいか!」

上条「だってしょうがねぇだろうが!第一印象は見た目から入るだろっ!」

フレンダ「いやだって限度ってものが――んじゃ、あたしはどーよ?」

上条「問題ないですし?フレンダさんのどこに欲情しろって?はぁ?」

フレンダ「やったろうじゃないの!ベッドへ行くわよ!」

上条「おうっ!」

上条・フレンダ バサッ、パチッ(電気を消して潜り込む)

上条・フレンダ「……」

フレンダ「あ、あのさ?思ったんだけど」

上条「……なんだ?」

フレンダ「あたしの方、向いている、訳?」

上条「いや、俺も背中合わせだから」

フレンダ「そ、そう?」

上条「あぁ」

フレンダ「意味無い、訳よね?結局、確かめるって事なんだから、さ?」

上条「……かもしれない、よな?」

フレンダ「……こっち向きなさいよ」

上条「フレンダだって」

フレンダ「あたしはっ!ほらっ、恥ずかしいじゃないっ」

上条「……それが平気だっつって、こう言う流れになったんだよな?」

フレンダ「いっせーのっ!いっせーので、向き合わない?」

上条「おけ」

フレンダ「ん。それじゃいっせーの」

上条「せっ、と」

上条・フレンダ 「……」

上条「近くない、かな?」

フレンダ「そりゃ、同じお布団に入ってる訳だし?当然よね」 グッ

上条「だよなぁ。くっついても、仕方がない、よな?」 ググッ

上条・フレンダ「……」

上条「もっとこっち来ないと……」

フレンダ「ベッドから落ちちゃう、訳よね。うんうん、仕方がないし」 グググッ

上条・フレンダ「……」

フレンダ「えっち、なのはダメなのよね?」

上条「そりゃまぁ、ダメ、だと思うけど」

フレンダ「それじゃあさ――えっち、じゃないのはオケ?」

上条「オケ、じゃないかな。多分」

フレンダ「んじゃ――ん」 チュッ

上条「んっ」 チュッ

フレンダ「ちゅ……ちゅば……ちゅぷ、ちゅ……あぅ……ちゅぶ、くぷっ!ん……」

フレンダ「……はぁっ」

上条「今の?アウトじゃなかった、か?」

フレンダ「あたしの国じゃ友達でもキスする訳よ」

上条「そう、なのか?」

フレンダ「――多分!」

上条「予想かよっ!?どこ情報だっ!?」

フレンダ「パパとママが――」

上条「明らかにそれ別のキスだろっ!?」

フレンダ「いやでも上条はあたしの事、そう言う目では見てない、って訳よね?」

フレンダ「だったら続きしたって問題ない――」

絹旗 ピー、ピピッ

上条・フレンダ ビクゥッ!?

絹旗「はい、フレンダさん。超アウトー」

上条「絹旗、さん?」

フレンダ「ってか何!?何このシステムっ!?聞いてないしっ!?」

絹旗「まぁまぁ超こちらへどうぞ。話は直ぐ終わりますから」 ズルズル

フレンダ「ちょっと待って!」

上条(あ、廊下にフレンダが連行されてった)

バスッ!!!

上条「すけー音したぞ今っ!?」

絹旗 トコトコ(肩に失神したフレンダを担いで)

絹旗「すいません。フレンダは超夜に弱いみたいなので、お話の途中で寝てしまいました」

上条「今、廊下から名状しがたい腹パンの音が聞こえてきたんだけど……?」

絹旗「あ、超詰めてくださいね?よいしょっと」 トサッ

フレンダ「……」

上条「寝てる、って言うか、悶絶してるって感じなんだけど」

絹旗「では超おやすみなさい」 パタン

上条「お、おやすみ……?」

フレンダ「……」

上条(まぁ……惜しかったけど、今日はきちんと眠れそうだな)

――ハウスシェア三日目 朝

上条「んじゃ行って来まーす」

絹旗「はーい」

滝壺「……いってらー」

麦野「はいよ」

フレンダ「……」

絹旗「どうしましたフレンダ?顔色が超悪いようですが」

フレンダ「何かお腹が痛い……?あれ?」

滝壺「気のせい。うん」

フレンダ「と言うか途中から記憶が無い訳だけど」

麦野「――と、言う訳で色々あったけどっ!」

絹旗「上条も押せば超イケる事が判明しました」

滝壺「わー、ぱちぱちぱちぱち」

フレンダ「あ、あれ?いつのまに観察してたの?」

絹旗「気のせいですってば。何かフレンダに先越されるのがイラっとしたから、超割って入ったとかそう言う事実は全く」

麦野「フレンダは(拳で)直ぐ眠っちゃったからね。仕方がないわ」

フレンダ「あっるぇー?」

絹旗「そんなこんなで超今日はわたしの番なのですが――超決めます」 キリッ

滝壺「がんばれー」

絹旗「滝壺さんは超宜しいので?」

滝壺「もんだい、あるの……?じゅんばん、だよね」

麦野「あたしはまぁ思う所もあるけど」

絹旗「つまり?」

麦野「無理矢理はダメだからね?」

絹旗「まっさかぁ。わたしがそんな事するような子に見えます?」

フレンダ「あ、超って付けなかった」

絹旗「超ぶっ飛ばしますよ」

フレンダ「何でよっ!?」

麦野「はいはい、そこまでよ。やりすぎないようだったらいいんじゃない?」

絹旗「勿論です。『アイテム』の中で一番の苦労人兼常識人のわたしが暴走なんて超あり得ません」

絹旗(よっし!これでわたしルート超確定したら、明日から同棲ですねー)

麦野(――って悪い事を考えてるんでしょうけど。上条に通じるかしらね?)

滝壺(何か二人から悪いでんぱがてでる)

フレンダ(……なんだろう?凄い理不尽な制裁を受けた気が……?)

――学校 放課後

上条「おーーわったーーーーーーっ!」

土御門「おー、上やん昨日と違って元気そうぜよ」

上条「人間睡眠が自由に取れるっていいよねっ!」

土御門「……拷問でもされてんのか?」

上条「……まぁ、ある意味拷問と言えなくもない」

土御門「女絡みかよっ!」

上条「違わ――くはないけどもだっ!」

土御門「いやまぁいんだけどにゃー。上やんが幸せなら別にぃー?」

上条「お前は俺のどこが幸せに見えるの?」

土御門「いやぁ学園都市来た頃の荒みっぷりに比べれば、大した事はないにゃー」

絹旗「へー、そうなんですか?良かったらその話を超詳しく」

上条「止めてくれよっ、あれは俺の黒歴史――って絹旗っ!?」

絹旗「あ、超どーもです」

土御門「どちら様かにゃー?」

上条「同僚――」

絹旗「上条当麻の『妹』です」

青ピ「なんやてっ!?それは聞き捨て――」

絹旗 バスッ(無言で腹パン)

上条「……あのー、妹、って何?」

絹旗「そんなっ!?当麻お兄ちゃんは超忘れちゃったんですかっ!?」

土御門「おいおい上やん、聞き捨てならないぜよ」

上条「いやでもっ本当にっ知らないって!」

絹旗「え、わたしの下着を買いに行った時、確かにそう超呼んでくれましたよねっ」

上条「ネタじゃねぇかよおおぉぉぉぉぉぉっ!?伏線じゃないものっ!」

絹旗「ご、こめんなさいっ!わたしてっきり超勘違いして、妹面なんて……!」

上条「妹面ってなに?なんで君さっきから妹に拘るの?世の中には妹に拘る人、そう多くはないんだからね?」

土御門「上やん、こいつぁ――見過ごせないぜよっ!」 キリッ

上条「直ぐ近くに妹バカいやがった!?だよねっ!」

上条「つーか教室のみんなドン引いてんだけど、この空気なんとかしてくれよぉぉっ!?」

絹旗「え、でもあの日当麻お兄ちゃんは超言ってくれましたよね?『絹旗は俺が守る』って」

上条「言ったけど!物理的な意味でだよっ!」

土御門「もうちょい詳しく頼むぜい。場合によっては後日、クラス裁判にかける必要が生じるぜよ」

絹旗「わたし、超覚えています」

上条「よっし言ってやれ絹旗さんっ!真実をありのままににな!」

絹旗「(火事の中で)灼けそうなぐらい熱かった当麻兄ちゃんの手、わたしを(助けようと)超必死に求めてくれましたっ」

土御門「よっし、有罪確定だにゃー。おめでとー上条@シスコン当麻くんっ」

上条「お前大事な所小声になってるしっ!?見てよっ!?クラスの温度一気に下がったもの!」

土御門「……大丈夫。俺だけは上やんの味方だぜい?」

上条「……土御門っ」

土御門「同じ性癖を持つ者同士、仲良くやってくにゃー」

上条「俺を仲間にしようとするんじゃねええぇぇぇぇぇぇっ!?」

――ハウスシェア三日 23時

上条「……」

上条(一昨日が滝壺、昨日がフレンダって事はだ)

上条(昼間の展開からすると絹旗なんだよなぁ……)

上条「……んー?」

上条(いやでも逆に考えろ。最年少だからこそ、『そういうの』には無縁だよな?)

上条(俺は一方通×じゃない。むしろ巨乳好き……あぁ、そうか問題が起きる訳がない)

コンコン

絹旗「あのー、こんばんは。絹旗です、超入りますよ」 カチャッ

上条「おー、いらっしゃい」

絹旗「むー、なんか超余裕ですね」

上条「いや、そう言うわけでもないけどさ」

絹旗「企画の主旨は超覚えてますよね?」

上条「いつの間にかイベントになってるがな!」

絹旗「ってな訳で超お邪魔します」 モゾモゾ

上条(あー、なんかちょっと癒される感じ?小動物に懐かれてる感じがする)

絹旗「超どうしました?」

上条「ん?いや、悪いなぁって」

絹旗「超気にする必要はありませんって。わたし達は仲間ですから、超助け合うのは当然の事かと」

絹旗「それとも――超ワルイこと、しちゃいます……?」

上条「そのシーツ口元まで持ってきて上目遣いは止めなさい!俺には通用しないけども!」

絹旗「それじゃ電気超消しちゃって――あ、そうだ。折角ですので頼み事があるかも、です」

上条「何?」 パチッ

絹旗「腕、超ぎゅっ、ってしてもいいでしょうか?」

上条「どうぞどうぞ」

絹旗「やたっ」

上条(よかったー……何か、こう癒されるよね)

絹旗 ニヤリッ

上条(あ、あれ?今一瞬寒気が……?)

上条「お、おやすみ?」

絹旗「はい、超おやすみです」 ギュッ

――三日目 深夜

絹旗「……はぅ…………んん…………!」

上条(……ん?きぬ、はた?)

絹旗「…………あんっ……んう……あぅっ、はぅ……ん……」

上条(あったかいのが、腕に触れて……触れて?)

絹旗「はぁ……や……んくっ、あん……ひゃ……んぅ……んん……」

上条(どうして絹旗さん俺の腕で×××―してやがんだっ!?)

上条(当たってる当たってる!形容したら色々ヤバいものが腕に当たってるって!)

絹旗「あっれー……?」

上条「……」

絹旗「……もしかして超起きちゃいましたか?」

上条(眠ってます!俺は何も見てないし、知らない!)

絹旗「ワルイことは超ダメですけど――」

絹旗「イイこと、ならしても良いんです、よ?」 ボソッ

上条(こいつ一番ヤバいだろっ!?)

絹旗「あああ……はぁ……やん……んく……あんっ、ひゃ……んぅ……」

上条(頑張ってえぇぇぇぇぇぇっ!?俺の理性さああぁぁぁぁぁんっ!?)


――ハウスシェア四日目 朝

上条「……いってきまーす……」 ガチャッ

フレンダ「……ねぇ、何したの?完徹したってあぁはならないと思うんだけど」

絹旗「超意外に――でも、ないですかね。自制心は超特筆すべきものがあります」

麦野「いやまぁ何となくは分かるけど。良く大丈夫だったわね」

絹旗「はい。わたしから超×うのは自制しましたっ!」

滝壺「きぬはた、ちょうかっこいい……!」

フレンダ「逆じゃないの?それ普通上条の方を誉めるべきよね?」

麦野「なーんか違う未来で既成事実をLv100の彩○テトリ○ばりに積み上げていく、あんたの姿が浮かぶわ」

絹旗「でも伏線は超張っておきましたので、麦野がトドメを刺せばいいかと」

フレンダ「だったら別にあたしの日でも良かったんじゃ……?」

麦野・絹旗・滝壺「……」

麦野「はい、解散」

絹旗「さってと。今日は超どうしましょうかねー」

滝壺「おひるね……」

フレンダ「聞いてよっ!?扱いがっ!幾ら何でも杜撰過ぎる訳だし!」

――ハウスシェア四日目 放課後

上条「……」

土御門「……あのー、上やん?たった一日で、三歳ぐらい老けた感じなんだけど。どったの?」

上条「……土御門……?」

上条「俺っ、俺頑張ったんだよ!」

土御門「そ、そうか。大変だったな!」

上条「俺だって男の子だよっ!そりゃちっとは疚しい事だって考えるさ!」

土御門(あー、何となく繋がりは分かった気がするぜい)

上条「でも現実と妄想と壁ってあるよなっ!?越えちゃいけないライン的なの!」

土御門(いやぁ、ウチの舞夏はまぁゴニョゴニョだし?)

上条「どうしよう……こうしている間にも、○京の刺客が来るんだよおぉぉぉぉぉっ!?」

土御門「彩○の刺客って言うとストライカーズ194○?それとも対戦ホットギミッ○?新声社爆○とかシャレにならないジャンファイタ○なの?」

上条「見ろっ!あそこ、校門の所っ!」

土御門「あー、っとアレって日傘?校門の横、向こう側に誰か居るみたいぜい」

上条「ダメなんだ!あれはっ、あれだけはっ!俺の『幻想殺し』にも殺せないんだっ!」

土御門「……どんな敵だよ。つーか行こうぜ?なんだったら俺が話し付けてやるぜい」

――校門

麦野「あ、当麻さん。今お帰りですか?」

上条「なああああぁぁぁぁっ!?」

土御門「全力で同意を求められても困るぜよ」

土御門(第四位のまぁ、私服だよな?ワンピースに日傘に。ちょい野暮ったい、つーか年上っぽい感じがするだけ)

土御門「いや上やんビビる要素が皆無だぜ?むしろ実態知らなきゃお近づきになりたいぐらいだし」

麦野「ですよね?ほら当麻さん、一緒に帰りましょう?」

上条「罠なんだよっ!これは巧妙に仕組まれたトラップなんだお!」

土御門「なんで今ちょっとvipperに……って罠?どこが?」

上条「お前っ俺の好きなタイプ知ってんだろっ!」

土御門「えっと……?あぁ!」

上条「管理人さんっぽいんだよっ!」

麦野 ニコニコ

土御門「おつかれー」

上条「待てよ!?俺を一人にしないで――」

麦野「当麻さん今日の晩ご飯、何にしましょうか?良かったら、今から一緒にお買い物でもって」

上条「お供しますっ」 キリッ

土御門「あー、んじゃなー上やん。性的な意味でがんばれー」

麦野「え、えっと……?」

上条「黙れ土御門っ!俺の管理人さんを穢すな!」

土御門(うっわー重症だわ……つーか今まで、欲求不満と睡眠不足のボディブローをガンガン喰らってたのが効いているぜい)

土御門(上やんもついに童×卒業かにゃー)

土御門「……」

土御門(……誰と?『アイテム』って確か、女四人だったよな?)

土御門(この調子じゃ第四位以外にもフラグ立てまくってるだろうし)

土御門「……血の雨が、降るかもにゃー……」

――ルームシェア四日目 23時

上条「……えっと」

上条(今日は管理人さん、じゃなかった麦野の番だよな?)

上条(い、いや別に期待はしてナイヨ?全然全然?これっぽっちも疚しくないもの!)

上条(でも、うん、そろそろゴールしても良いと思うんだよね)

上条(麦野さんのおっぱいとかおっぱいとかおっぱいを、うん)

上条(事故なら仕方がないよな。だって事故だもの。つーか事故から始める愛があったっていいじゃねぇか!)

上条「……」 ソワソワ


――同時刻 リビング

フレンダ「思ったんだけど――麦野ばっかりズルい訳」

麦野「はぁ?何を今更言ってんのよ」

滝壺「どうい」

フレンダ「つーかさぁ?順番おかしくない?なんでいつもと逆な訳?」

滝壺 コクコク

麦野「って言われてもね。最初に決めた筈だけど」

フレンダ「納得いかない訳ー、やり直しを要求するー」

滝壺「そーだそーだ」

麦野「このガキども……ってあんたからも言ってやりなさいよ絹旗――絹旗?」

フレンダ「あれ?ちょい前まで居たのに」

滝壺「あ、ヤバ」


――上条の私室前

絹旗「……」

絹旗(まぁアレですね。何だかんだ言ってわたしルート超確定、と)

絹旗(いやー、なんか超悪いですねー。うん、超悪い。超すいませんねー)

絹旗「……」

絹旗「はい、懺悔超終了。では早速――」

麦野「きっぬっはったっ、ちゃーーーん?」 ガシッ

絹旗「違うんです!超違うんです!これは――フレンダが!」

フレンダ「間髪入れずあたしに責任転嫁っ!?」

滝壺「せめて『てきのまじゅつしのこうけぎだ』ぐらいはボケてほしかった」

フレンダ「結局滝壺って笑いに厳しめよね?」

麦野「まぁ?下でお話ししましょうか?」

絹旗「……はーい」

――リビング

麦野「……まぁ、話は分かったわ。気持ちは理解出来るし」

絹旗「納得行かないとは言え、かといって反故にするのも超アレですよねっ」

フレンダ「速攻仕掛けようとしたあんたには言われなくないんだけど。あー」

滝壺「しょうぶ、しよ?」

麦野「え?お風呂一回入っちゃったんだけど」

フレンダ「返り血を落とす気満々な訳かっ!?」

絹旗「ある意味『アイテム』の結束は超ボロボロですし」

滝壺「ううん。鉄腕がっちゅ○」

フレンダ「古っ!?って言うか9年前のエロ×よねっ!」

滝壺「四人対戦が出来るから、ちょうどいい」

絹旗「まぁ、やりますけど――超手加減はしませんよ?」

麦野「……あたしは強いわよ?アズ○おねいさんを使わせればね!」

フレンダ「麦野は超投げ兼設置型飛び道具キャラかー。んじゃあたしはRIN○さんで」

絹旗「飛び道具超汚いじゃないですか。じゃわたしはマリ○で」

滝壺「すらいむ、はよし……!わたしは……きん○」 クワッ

フレンダ「テレビにノーパソ繋いで、っと」

テレビ『No Mercy?Ready――』

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「GOっ!!!」


――暫し後 上条の私室

上条「……来ない?」

上条 カチャッ

上条(リビングの方で楽しそうな……?)

……

麦野「『やっっっっっっちゅう!』」

フレンダ「『わたしの歌を聴けえぇっ!』」

絹旗「『超マリカアッパーっ!』」

滝壺「『きんたって言うなあー』」

上条「……」

上条(格闘ゲームしてる?あー、何か楽しそう)

上条「……」

上条「……勘違いでしたね、うん」 パタン

上条(明日はお休みだし、友達と徹夜でゲームするってのも、まぁまぁ?)


――ハウスシェア五日目 朝 リビング

四人「……」

上条「死屍累々状態……つーかアルコール無しでどんだけ盛り上がったんだよ」

上条(毛布かけてっと……あれ?なんか忘れてるような……?) バサッ

上条「――あぁ!約束があったんだよな」

――ハウスシェア五日目 夜 リビング

フレンダ「……はっ!?」 キョロキョロ

滝壺「……おっはー」

絹旗「です」

麦野「……うん」

フレンダ「あ、あれ?みんな一緒?つー事は?」

絹旗「全員超寝オチしたようです。上条からのメモに寄れば、ですが」

フレメア「むー、大体お姉ちゃん迎えに来なかったのだー」

フレンダ「フレメア?あぁ麦野が呼んだっつってたっけ?」

麦野「結局誰が勝ったかも分からす仕舞いだし、どうしたもんよね、って話してたの」

フレメア「にゃあ!お姉ちゃん眠いのだー」

フレンダ「……ごめんね?あたし今、あんたのお兄ちゃんをナントカしようって頑張ってる訳」

フレメア「にゃあ?」

滝壺「ぜんせからのいんねんとは、おさらば……」

麦野「ごめんね?次はちゃんと遊ぶから」

絹旗「本当に超すいません」

フレメア「にゃあ……」

フレンダ「あたしは戦わなきゃいけない訳よ!」 キリッ

麦野「……まぁ、悔いが残らないといいわね。無理だろうけど」

滝壺「弱いしぇるてぃーほどよく吠える……!」

絹旗「それ超仕事ですからね?習性とも超言いますけど」

フレメア「……にゃあ。あ!」 タッタッタ

テレビ『No Mercy?』

麦野「行くわよ」

絹旗「超受けて立ちます」

フレンダ「ゲームなら勝機はあるし」

滝壺「いいでんぱが吹いている……!」

絹旗「何度も言いますけど、それ超気のせいですからね?」

テレビ『Ready――』

フレメア「ねー、お兄ちゃん。一緒に寝ていーい?」

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「ちょっと待った!?」

ガチャ

上条「ん、あぁ構わないけど」

フレメア「にゃあ!やったのだ!」

上条「まだ寝るのは少し早いし、何かで遊ぼ――」 パタン

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「……」

麦野「……×すか」

フレンダ「待って!?つーかどっちをよ!」

絹旗「いやぁでも一方通×じゃあるまいし、超幼女をどうこうするってのは無いですって」

滝壺「ねんのため、回収してきた方が良い、とがいあがささやいている」

フレンダ「……うん、念のためとあたしの精神衛生上、そうする訳」 タッ

絹旗「しかし最後の最後でロ×に超持って行かれるとか、何が悪かったんでしょうね?」

滝壺「そとぼりを埋めるのはちゅうとはんぱ、だった?」

麦野「まあ短期間だしね。んー……あぁ、だったら、さ?」 ゴニョゴニョ

絹旗「あー、超名案ですねー。かなり強引すぎる気がしますが」

滝壺「……このぐらいでいいとおもう」 コクコク

フレンダ「おまたー。つーかフレメア速攻で寝ちゃってたみたいでさぁ――ってどうした訳?みんな悪そうな顔してるし」

滝壺「つまり――」



前略
 当麻です。突然ですが、帰宅してお話ししたい事が出来ました。

――上条家 実家

詩菜「って内容なんですけど」

刀夜「んー?昨日着いて来るのは今日か、一体何をやったんだろうね」

詩菜「人様にご迷惑をかけるとか、かしら?」

刀夜「それは無いよ。当麻に限ってそれだけは」

詩菜「ですよね。やっだもうわたしったら」

刀夜「多分アレじゃないかな?彼女が出来ましたー、とか」

詩菜「まだ当麻には早すぎますよ」

刀夜「いやいや分からないよ?あの子はフラグを立てるのが上手いからね」

詩菜「あらあら、一体誰に似たんでしょうね?」

刀夜「取り敢えず包丁は下ろそう?今も昔も私は詩菜さんしか居ないし!」

ピンポーン

刀夜「お、おや来たのかな!?来たんだね!」

上条「たっだいまー」

詩菜「お帰りなさい当麻。さ、上がってくださいな」

上条「い、いえその前に紹介したい人が居るんだ」

刀夜「彼女かい?ホラ母さん、私の言った通りだろう?」

詩菜「んー、でも嫌な予感が……?」

麦野「初めましてお父様、お母様。麦野沈利と申します」

刀夜「すっごい美人じゃないか!やったな、当麻!」

上条「だけ、じゃないんだ」

詩菜「はい?」

絹旗「超こんにちはです。絹旗最愛です」

フレンダ「フ、フレンダ=セイヴェルンです!」

滝壺「たきつぼりこう、です」

刀夜「えぇっと、だな」

上条「うん、まぁ。俺、全員と付き合う事にしたから!」

刀夜「」

詩菜「あ、じゃ娘が四人増えるのね。さぁ上がって上がって」

刀夜「母さんっ!?ここは怒る場面じゃないのかいっ!?」

詩菜「でも当麻は決めちゃったし、他の子達も納得したんでしょう?」

上条「あーうん、なし崩し的に、だけど」

刀夜「い、いやでも――」

詩菜「誰かさんのようにフラフラしてるよりも、ガッツリ周りを固めた方が安心よね?」

刀夜「……はい」

フレンダ「おっじゃましまーすっ!てか上条の母さん若い訳ー」

絹旗「って事はかみじょうちち超ろ×」

上条「初対面でこれ以上好感度下げるんじゃねぇっ!?あと人の母親×リ呼ばわりも止めろ!」

滝壺「さいしょが、だいじ」

詩菜「と言うかどういう経緯でこうなったのか、を聞きたいんですけど」

上条「『アイテム』の一員になって色々あったんだけど、さ?」

上条「そうしていく内に、段々と離れられなくなって、離したくなくなって」

上条「ずっと一緒に居たい――そう伝えたら、自然とこう言う形になったんだ」

刀夜「……それは、誰からも祝福される形じゃないぞ?」

麦野「はい。ですが――約束をしたんです」

詩菜「約束……?」

麦野「『あなたが不幸であるのなら、あなたを襲う不幸から守ってあげるから――あなたがいないと言う不幸から、わたしを守ってほしい、と』」

絹旗「『あなたが世界を守ると言うのなら、わたしはあなたを世界から守るから』」

フレンダ「『あなたが泣きたいときには側で騒いで、笑いたいときには側で騒ぐから』」

滝壺「『あなたを独りには、もう、しないから』」

上条「――だから、一緒に生きようって」

詩菜「……そう」

刀夜「言いたい事はたくさんあるし、私は直ぐには認められないと思う。けど当麻、一つだけ聞かせてほしい」

上条「……うん」

刀夜「お前は今でも『不幸』かい?」

上条「そりゃ決まってる。当然の話なんだけど」

麦野「……うん。言ってやりなさいな」

上条「みんなと一緒に居られる事が」

絹旗「ですよね。えぇ」

上条「一緒に生きていける事が――」

フレンダ「……ま、結局こうなっちゃった訳だし」

上条「――これ以上無いってぐらいに――」

滝壺 コクコク

上条「――『幸せ』だよ!」


――『アイテム』アフター -終-

――上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」 -完-

※読んで下さった全ての方に心からの感謝を。またSS速報初めての投稿にも関わらず、温かく見守って下さった貴方にも深くお礼申し上げます
『上条×アイテム』と言う外道なお話(「全員幸せにしてやんよ(`・ω・´)」)はここでお開きと相成ります
もしもこの続きがあるとすれば、それぞれの能力を受け継いだ上条5兄妹(一番上が男女の双子、他が女の子一人ずつ)と言うカオスな子供達の話になると思います
そこまで行くと設定が飛びすぎていて私の手には負えませんが、まぁ近親相×上等のラブコメをかましてくれると思います
ともあれ超分量(トータル約37万語、原稿用紙900枚超)にも関わらず、最後までお付き合い下さって、本当に本当に有り難う御座いました

願わくばまだどこかでお会い出来れば幸いで御座います。コテ名は田中(ドワーフ)で暫くSS速報様にお世話になりますので、どうかまた貴方様の大切なお時間を頂戴出来ればな、と
禁書の他にも『恋姫無双×真・女神転生』、『SEED×Gジェネ』とかでやりたい話もありますし、私用ではサモンナイト5で100枚書かなきゃですし(添削依頼分の対価、落としたらこっちに持ってこようかと思いますが)

では、またいつか

長編

超電磁砲

アニメ

あったあった、こいつだ

19 名前: つくばちゃん(埼玉県)[sage] 投稿日:2011/01/18(火) 08:40:47.34 ID:RcZEdQsY0
ν速に阪神も宮城も経験した奴いたでしょ。
うちの県には来るなとか皆に言われててワロタ

30 名前: ぼっさん(関東・甲信越)[sage] 投稿日:2011/01/18(火) 09:16:47.51 ID:/0rU1bbmO
>>19
そいつ新潟も経験してなかったっけ

84 名前: あんらくん(神奈川県)[] 投稿日:2011/01/18(火) 17:53:50.82 ID:g3gC8jBR0
>>19
それ俺だ
大阪出張で阪神淡路、新潟出張で中越、石川県出張で能登半島と
被害の大きかった大地震三回を出張先で食らった


今年の三月中旬に岩手県に行くけど地震ないといいな

>>1
http://i.imgur.com/hDJNcgL.jpg

http://imgur.com/delete/2nb6xovXrAAxuEf

実験の真意は絶対能力進化計画などではない
世界中に配置すべき人形の量産にこそあったのだ
いかにも自然に街の外に送るために敢えて一度量産型能力者計画を潰し、さらには隠れ蓑であるはずの絶対能力進化計画も潰して二重の偽装を経て妹達は世界中へ蔓延した
現にイギリス清教を初めとする教会諸勢力は妹達が外に配布されたことの意味に気づいていない

・たった一発ぶん殴るだけで浜面に吐き気を催させつつその腹を橋の欄干に食い込ませる
・地上数メートルはあると思われる橋の上から線路に飛び降りつつ地面に手を突き刺す
・浜面が限界になるほど走って逃げ続けたにもかかわらず平然として追ってくる
・爆発を受け吹っ飛んだ直後の浜面に追い付いて正確に耳の中にドライバーを差し込む
・拳銃弾を何発も食らって立ち上がる
・女子高生とはいえそれなりの重さがあるであろう滝壺を片手で引きずった挙句投げ捨てる
・3メートルの高さにある通路から金網の上へ、
 その金網の上から飛行機を格納できるくらいの広さのある最下層へ華麗に着地
・蹴りの一発で浜面を数メートル宙に舞わせ、その蹴りを7~8発も連続で放つ
・往復ビンタで人の首がメトロノームみたいに揺れる
・空き缶放り捨てる様な気軽さで浜面を片手で横に投げるとノーバウンドで街路樹に『激突』する

雷神の槌、接続開始。接続後即時供給開始

禁書目録

ドラクエ


くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

さやか「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

マミ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

京子「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

ほむら「・・・ありがと」ファサ

では、

まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、俺「皆さんありがとうございました!」



まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり

【一般回答】 えー、お会計は3000円になります。
【軽度障害】 っかいけー、3000円になりまー(↑vib)す。
【重度障害】 っかいけー、さーぜッス。
【末期状態】 さぜーす。
【人格破綻】 うーーーーい。(ォライッ、ォライッ

【一般回答】 こちらの方にサインお願いします。
【軽度障害】 っちらの方にサインっねがいしや~す♪
【重度障害】 っちらほに、サインしやーす。
【末期状態】 サイしやァーす。
【人格破綻】 うーーーーい。(ォライッ、ォライッ

【一般回答】 レシートはよろしいですか?
【軽度障害】 レシートはよろしかったですか?
【重度障害】 レシーはよろしーやっスカ?
【末期状態】 レシーよしーっスカ?
【人格破綻】 うーーーーい。(ォライッ、ォライッ

あれ
なんか保存してたコピペがばらまかれてる

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