小林オペラ「これが最後の逆転だ!」 (274)
前スレです↓
小林オペラ「この裁判の逆転の逆転の逆転」 - SSまとめ速報
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前前スレです↓
小林オペラ「この裁判…逆転できるのか?」 - SSまとめ速報
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前前前スレです ↓
小林オペラ「この裁判…逆転して救ってみせる!」 - SSまとめ速報
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前前前前スレです↓
小林オペラ「この裁判…逆転してみせる!」 - SSまとめ速報
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前作です↓ニャル夫「真尋少年を誘拐したったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ニャル夫「真尋少年を誘拐したったwwwww」 - SSまとめ速報
(ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454167931/)
≪トイズの力を持ち悪事を働くのが怪盗。そしてトイズの力を持つ正義が探偵と呼ばれています≫
暗闇の部屋の中で、光源はこのテレビ一つ。
テレビの光から映されるこの惨殺現場は、誰が見ても殺人事件だと予測がつくだろう。
「………………」
その光に照らされたのは、白い髪の青年と年齢と身長が合わない少女のような三十路間近の女性。
二人の身長差は大きく開いていた。しかし、今この時は女性の方が青年を見下ろす形となっている。
「………………」
青年は見上げる。テレビの光源から放たれる女性の姿を
≪そして、トイズの力を持つ殺人鬼は……≫
テレビの光源が強くなる。同時に女性と青年の姿が鮮明に映し出された。
全身純白の青年は、女性の顔を見上げていた。
兵士に槍を突き刺す王の銅像の間に、槍で串刺しになっている女性を……
女性の名前は北芝愛。
青年の名前は神津玲…
≪サイコパスと、呼ばれているのです≫
第五話「さようなら小林オペラ」
【横浜警察署 12月25日 午後1時11分】
タッタッタッタッタ……
姫百合「はぁ……はぁ!」
タッタタッタッタッタ…
姫百合「そんな…そんなありえません…!」
タッタッタッタッタッタ……
姫百合「神津警視が…殺人事件の犯人だなんて!」
タッタッタッタッタッタッタ…
姫百合「そこを通してください!」
バタンッ
姫百合「G4の皆さん!!居ますか!?」
小衣「この野郎ぉお!!!!」ブンッ
姫百合「ごべっ!!」ガツーン
姫百合「痛たた…いきなり何を…」
小衣「捜査の邪魔をするな!!出てけ!出てけ!!」ブンッブンッ
姫百合「やっ止めてください!私も調査に参ったんですよ!」ポコッポコッ
次子「おい止めろ小衣!おい!」ポコッポコッ
小衣「うるさいうるさい!もう誰も信じない!!信じるもんか!!」
小衣「誰よ!?誰なのよ!!警視を殺人の冤罪に仕立て上げたサイコパスは!!」
小衣「分かるまで!私はここに誰一人として立ち入らせないわ!!」ブンブンッ
姫百合「やめてくだっ…やめっ…!」コツンッコツンッ
平乃「すみません姫百合さん!外へ!」ガシッ
ギィィイイ…バタン
次子「…はぁ」
平乃「困りましたね…これじゃぁ私たちも調査が…」
姫百合「…明智警部、相当取り乱してますね」
咲「…まぁー、それはしょうがないっしょ」
咲「愛しの警視がライバルの北芝愛検事の殺人容疑として拘束されたんじゃ…ねぇ」
次子「正直、警察内部に内通者が居てもおかしくないからな。…まぁ、現場の調査はもう終わってるんだから現場に用はもう無いんだけど」
姫百合「えっ…」
平乃「明智警部が現場から動かないとなると、こちらの調査も…」
姫百合「げっ現場の調査が終わってるんですか!?」
咲「ん。凶器と血痕以外何もおかしな所は何一つなかったしね」
次子「足跡も、指紋も、髪の毛も…不自然なくらいに何一つな。そりゃぁ小衣も疑心暗鬼になるわな」
姫百合「…詳しく話して頂けますか?」
【事件現場】
次子「詳しくねぇ…まず、どこから話すか」
平乃「まず基本的な所から。この事件の被害者は検事局の北芝愛。被告人は警視庁の警視正の神津玲」
咲「次に被害者の状況~。北芝検事は”断罪の決断”という像に心臓を串刺しにされて即死」
姫百合「えっ…”断罪の決断”?あの像に串刺しにできる箇所なんてありませんでしたよね?」
次子「そうだよ…だからやっかいなんだ」
平乃「この像は正義の王が悪人に槍で貫いている少し悪趣味な銅像ですが…被害者は…」
平乃「…その王と悪人の間の槍に貫かれていたのです」
姫百合「……はぁ!?」
平乃「見ての通り、この銅像の柄は王に握られ刃も悪人の身体の中に納まっています」
平乃「どう考えても、間にある槍で突き刺すなんて不可能の筈なんです」
証拠ファイル①警察署の銅像”断罪の決断”
【被告人は王と悪人の間の槍に貫かれていた。しかし、刃と柄は銅像と繋がっている】
姫百合「それで、どうして神津警視が疑われてるんですか!?」
姫百合「どう考えても神津警視も犯行が不可能じゃないですか!!」
次子「…確かに、実行方法がどうにも考えられん。でも、それは重要視されていない」
姫百合「…どういう意味ですか?」
咲「北芝検事の死亡推定時刻から約2時間、検事はずーっと警視と二人っきりだったんだって」
咲「そして現場には二人以外の痕跡は無い。つまり…」
平乃「方法はどうあれ、北芝検事を殺害できたのは警視だけなんです」
姫百合「そんな……!」
咲「…そういえばさ、今日はアンタ一人?」
平乃「あっ…そういえばそうですね!ミルキィホームズの皆さんは…?」
次子「旦那は?友人が大変な時に何もしてないとは考えにくいが」
姫百合「…………」
姫百合「…あの、聞いていないんですか…?」
次子「…何が?」
姫百合「ミルキィホームズの皆さんは今……サイコパスに」
???「事件現場は、ここかな?」
次子「!」
平乃「!」
咲「!」
姫百合「!」
姫百合「小林さん!」
小林「…やぁ君たち。調査の方は……」
ガンッ
姫百合「こんな所で何をしてるんですかっ!!!」
姫百合「どうしてミルキィホームズの皆さんを助けに…!!」
小林「おっ…落ち着いてくれ姫百合くん…」
姫百合「いいえ落ち着けません!!ただでさえ今はこんな…!!」
次子「やっやめろよ姫百合。穏やかじゃないな…」
姫百合「……っ!!」
小林「…悪いけど、今は穏やかになんてやってられないんだ」
小林「神津の居る留置所には今、行けるのか?」
平乃「いっいえ…それは…無理かと…」
咲「別にトイズを持ってる訳じゃないのに、あんなに警備厳しくする必要無いと思うんだけどなー…本当」
小林「そうか…やっぱりか……!」
姫百合「……えっ?一体何が分かったんですか…?」
小林「次子君!今すぐ神津の個別部屋の方へと案内してくれないか!?」
次子「えっ!?警視の部屋!?」
平乃「あそこはこの殺人現場から酷く離れてますが…」
小林「いや、今回の事件も彼女達の行方も…恐らく神津の部屋が関係している」
G3「!?」
姫百合「それは…一体どういう……」
バタンッ
小衣「…聞いたわよ、名探偵」
次子「あっ!小衣お前…落ち着いたのか?」
小衣「元から落ち着いてるわ!そんな事よりも名探偵!小林オペラ!!」
小林「…………」
小衣「警視に代わってアンタに特殊捜査権限の施行を宣言するわ!だから引き換えに…」
小衣「私達にも警視の部屋の捜査に加えなさい!!絶っっ対に!!!」
小林「……………」
小林「……分かった。君たちも来てくれ」
【神津玲警視正専属 特別捜査室 某時刻】
小衣「……警視の部屋って、初めて入るわね」
次子「うーわっ良い所で仕事してんなぁ…」
咲「私たちの部屋よりずっと広い……ちょっとずるくない?」
平乃「でも、家具や捜査資料はシンプルに揃えていて調査には快適です。何から調べますか?」
小林「…君たちは、サイコパス殺人の記録について調べてくれ」
小林「僕はここの……」スッ
ガコンッ グルグルグルグルグル
小衣「!仕掛け棚!」
小林「神津が独自に調べていた今までのサイコパス殺人の彼の考察資料を調査する」
小衣「まっ待ちなさい!その資料は小衣がまず最初に読むわ!私が最初に読むんだから!!」
姫百合「明智警部!我慢してください私たちには時間が無いんです!!」
小衣「やだ!私が最初にぃー!!」
次子「小衣!警視の裁判まで後3時間も無いんだぞ!」
平乃「今は彼らに情報を提供するのが先決です!小衣警部はこっちを手伝ってください!!」
小衣「うぐぐっ!ぐぐぅ~~!!」
小林「…今回の事件、裁判まで持っていくのが異常に早いな」
姫百合「ええ、本当不自然な程に…」
姫百合「…まさか、警察の中にサイコパスの内通者が?」
小林「それは、ずっと昔から神津も分かっていた事だよ」
小林「それよりも僕は、この不自然な裁判までの早さは神津が答えに近づきすぎたからだ考えている」
姫百合「答え…ですか?」
小林「ああ。姫百合くんが被告人になっていた裁判の時から疑問に思っていたんだ」
小林「だから僕と神津は独自にサイコパスについて調査を続けていた。神津の方が調査力に長けていたみたいだけどね」
小林「そして、エルキュールが誘拐されたあの事件で、神津はサイコパスの仲間のアジトまで足を踏み入れた」
姫百合「!!」
小林「そこで神津は…あるものを見つけたのかもしれない」
小林「神津が動けない今、その情報を見る必要がある。彼女たちはサイコパスに誘拐された可能性が高いからね」
姫百合「……………」
小林(…しかし、この資料の番号の乱雑さ…普段の神津なら有り得ないな)
小林(誰かが神津の部屋に侵入し、この情報を盗もうと考えていたとしたら…)
証拠ファイル②バラバラな資料番号
【引き出しの中の資料番号はバラバラだった。几帳面の神津では有り得ない情報整理だ】
姫百合「…だから小林さんは、この殺人事件の現場に来たんですね」
小林「うん。勿論慌てていないと言ったら嘘じゃないけどね」
小林(だけど、まさか上段が三重底になっているとは思わなかったみたいだな…)
【サイコパス資料FILE1:赤レンガ倉庫殺人事件】
小林「加害者はアンドレイ・みどり。警察署の交通課所属の巡査部長だね」
姫百合「私が被告人として出頭された裁判ですね」
小林「あの事件の事のおおまかは裁判で判明した通りだけど…一個だけ不明な証拠品があった」
小林「…被害者である紀子さんの残したカセットテープだ」
証拠ファイル③カセットテープ
≪被害者の声が録音されている。内容は【くまさん、8、B】≫
小林「改めて聞くけど、被害者の浜崎紀子さんとはどのような関係だったんだい?」
姫百合「はい。私が海外で旅をしていた時に会った探偵です。お互い探偵という事で意気投合して友人関係にありました」
姫百合「私が日本へ帰ろうとしたその時に彼女から連絡があったんです。赤レンガ倉庫で話ができないかと」
姫百合「早急の連絡だったので、急いで手続きをしたものですから身だしなみも髪も整えられなかったのですが…」
小林「…彼女がそこで伝える予定だった話の内容の思い当たりは?」
姫百合「……ごめんなさい。分からないです」
姫百合「全ては倉庫の中で話すとだけ言われたもので…」
小林「……そうか」
小林「そうなると、この神津の調査結果が全てか…」
姫百合「!?」
姫百合「神津警視が浜崎さんの話を解明したのですか!?」
小林「ああ。…と言っても、仮設から域が出てないけどね」
小林「だけど、信憑性は高いよ…証拠も揃っている」
平乃「あの…小林さん。これ……」
次子「赤レンガ倉庫の被害者が残した横浜観光ブックについてる横浜の地図がバラバラに切られてるんだけど…」
姫百合「…えっ!?」
小衣「ちょっと!それって……やっぱりサイコパスが!」
小林「…いや、これも神津が切った物だ」
小林「恐らくだけど、神津はこの部屋に敵が入ってくるのを予想していた。そして、この地図の枠」
小林「それが、こっちの隠された資料に挟まっていたんだ」
姫百合「…あっ!」
小林「そう、これは重要なファクターだ!」
小林「8のB!この地図は縦に数字、横にアルファベットで区切られている!」
姫百合「!」
小衣「平乃!今すぐこのバラバラの地図の中から8のBを探しなさい!!」
小林「いや、その必要は無い」
小衣「!?」
小林「その観光本には地図の詳細項が載っている筈だ。8のBを拡大した項を探すんだ!」
平乃「ええと…ありました!ここです!」
小林「!…ここは……」
次子「くまさん横浜っていう障害者のデイサービス施設があるけど」
平乃「まさかこんな所の中にサイコパスの集いがあるとは考えにくいですよね…」
小林「…………どうやら、この事件の情報はここまでのようだね」
姫百合「小林さん!サイコパスの居場所が分かった今、貴方は――」
小林「…いや、まだ神津の残した情報は残っている。それらに目を通してからだ」
姫百合「……!」
小林(…そうだ、まだ謎は残っている。それに本当にそこがサイコパスの拠点だなんて考えられない)
小林(まだ何かある筈だ、彼女が残したサイコパスの情報について、何かが…)
【サイコパス資料FILE2:神奈川県立歴史博物館・自爆テロ事件】
姫百合「…怪盗アルセーヌがサイコパス殺人犯として逮捕された事件ですよね」
小林「結局、彼女は殺人を犯していなかったけどね」
小林(しかし、この事件も何か妙に引っかかるんだよな…)
小林「…どうして、被害者扱いだったこのサイコパスは怪盗アルセーヌを襲ったんだろう」
姫百合「怪盗アルセーヌが、サイコパスの何かを知ったからでしょうか…?」
小林「そうとは…ちょっと考えにくいかな」
小林(うーん…なんだ?)
小林(もう少し、資料を熟読してみるか……ん?)
小林「こっ…これはっ」
姫百合「どうしたんですか?小林さん」
小林「…アメリカ大使館から派遣されたジェイソンさんがアルセーヌを呼び出したその理由」
小林「…アルセーヌが博物館に呼び出された証拠品が貼り付けられている」
証拠ファイル④赤い石
【トイズ増幅の効力がある石】
姫百合「えっと…小林さん?この石は一体」
小林「…これは、トイズを増幅させる力を持つ鉱石だ」
姫百合「えっ?それってユタカのトイズと同じ…!?」
小林「アルセーヌがこの鉱石を持っていた理由がまだ分からないが、とにかくサイコパスはこれを狙っていたのだろう」
小林(そして、警察組織とアメリカ政府はこの石の所持者をアルセーヌだと解明して)
小林(今、神津の手にあった…という事は…)
小林「…姫百合くん」
姫百合「えっ?あっ…はい!」
小林「この石は、君が持ってるんだ」
姫百合「えっ…?」
姫百合「いっいえ!寧ろこれは小林さんが持つべきだと思います!」
姫百合「だって小林さんは!今からミルキィホームズの皆さんを助けに行くんでしょう!?」
小林「僕がこれを持っていても、意味が無いよ」
姫百合「だったら!捕らわれてる皆さんに…!」
小林「良いから、これは君が持っているんだ」
小林「これは、きっと後々君が必要とするだろうからね」
姫百合「…でっでも…」
小衣「つべこべうるさいわよ!そもそもそれは警視の証拠品でしょ!?」
小衣「関係無いアンタになんて渡す義理は無いわよ!」ペシッ
姫百合「あっ!明智警部!」
小林「いや、良い。これで良いんだ」
小林「…調査を続けよう」
→【サイコパス資料FILE3:アイドル=顔事件】
小林「この事件は、本当に顔が重要なポジションを持った殺人だったね」
姫百合「つい昨日までの事件なんですよね?…強烈すぎて、実感が湧きませんでした」
小林「この事件で明らかにされてないのは、何故奴らが天城さんとBRのコンサートで大虐殺を行うつもりだったのかだ」
小林「神津でさえ、まだ確信には至っていないが。さすがと言うべきか色々と考察されている」
姫百合「……十分に参考できるレベルどころか、確信として得そうです」
小林「ははは。そこまで捕えてしまったら探偵として危ないけどね」
小林(……しかし、確かに大きな参考にはなるかな)
小林(サイコパス団体のアピール、ターゲットを他人もろとも殺害。……)
小林(……小林オペラのトイズの覚醒…?)
小林「まさか…いや、だとしても何の為に?」
姫百合「どうしたんですか?小林さん」
小林「…いや、何でもないよ」
小林(まさか……な)
姫百合「一通り資料に目を通しましたが、…皆さんが捕らわれた場所の手がかりは」
姫百合「カセットテープに記録されたデイサービス施設ぐらい…ですね」
小林「いや、これもちょっと怪しい物ではあるけど」
次子「…なぁ小衣、このテープから他に分かった事とか無いのか?」
小衣「そんなの知った事じゃないわよ!こっちは警視の捜査をしてるんだから!!」
次子「ああそうか。つまり知らないんだな。すまんかった」
小衣「ぐぅっ!……ほっ他の事なんて考えられないの!」
小林「確かに、情報がこれだけでは特定も考察も難しいよ」
小林(…もう一度、再生してみよう)カチリ
ザザ…ザザザザ……
≪ピー…ガガガガガ-…………ブツン≫
≪………………≫
≪………≫
≪…≫
≪…誰か…聞いてる?聞いてるよね?≫
≪………≫
≪……………≫
≪くまさん≫
≪8≫
≪B≫
≪ブツンッ≫
咲「……………」
平乃「…そういえば、これってどこで録音されたものなんでしょう」
次子「言われてみれば、ってもちょっとそれ特定は難しくないか?」
小林「…………」
姫百合「そうですよね。どうして彼女はこのテープを録音したのかも…」
咲「…あのさ」
平乃「はい、どうしたんですか?咲さん」
咲「最初に流れてたピー…とかガガガガガガガーとかブツンとかおかしくない?」
平乃「え?」
咲「だってそうじゃ~ん。普通は起動した時にこんな音ならないよ~?」
咲「いくらカセットテープだからって、こんな不調和音なんて記録されるとは考えにくいし~」
小林「…確かに、その通りだ」
小林「最初の砂嵐のノイズの時からおかしいと思っていた。これじゃぁまるでVHSテープに録音された音声を録音したみたいだ」
姫百合「!!」
咲「あのさヒメ?アンタこいつに会った事あるんだよね~?本当に声このまんまだったの~?」
姫百合「……ええと…あの…」
姫百合「…………音声にノイズがかかっていて、判別までは…」
平乃「………つまり」
小林「このテープは、あらかじめVHSに記録されたものを録音したものの可能性が高い」
姫百合「でも…だったら、どうしてあの時彼女を殺した犯人はこのテープがネットに流れるのを恐れたのでしょうか?」
小林「それは、この流れてる記録のテープが”奴らにとって不都合な物”である可能性が高いからだ」
小林「確かに内容自体は分からないが…奴らに浜崎さんを殺す動機ができた物だからね」
証拠ファイル③カセットテープ の内容を書き換えた!
≪映像記録の音声が録音されている。内容は【くまさん、8、B】≫
次子「しかし、VHSの映像記録から撮った物だと分かってどうなるんだ?」
小林「…この映像に写っていた女性が何故、聞こえるかどうかを問いたのかな?」
小林「色々と考察があるが、これはトイズを記録していた物の可能性もある」
姫百合「トイズ!?…まさか、研究…」
小林「…その可能性も、大いにあるだろうね」
小林(しかし、これだけの内容ではトイズの内容に確信が持てない)
小林(透視?いや、それとも思考を覗く能力?それとも暗号の解析?)
小林(…そもそも、この内容にどんな意味があるのか。それにより内容も根元から大きく変わってしまう…)
小林「………」
次子「しっかし分かんねぇよなぁ。何の目的があったんだ?」ウィーン
平乃「最悪、これが犯人解明に有益な証拠にならないかもしれませんしね」
姫百合「いえ、サイコパスが公開されるのを嫌がっていたテープですから、何かしらの情報がある筈なのですが…」
小林「…………」
小林「……」
小林「あっ!!!」
小衣「!?」
平乃「いっ一体どうされたのですか?小林さん!?」
小林「テープ……」
平乃「え?」
小林「そのテープの柄だ!背面に文字が書かれている!」
姫百合「え?あっ確かに小さめですけど書かれてますね…8・Bear……あっ!!」
咲「くま・8・B…!」
小林「そして赤と白線の奇妙な模様…間違いない。先ほどの地図の簡略図だ!!」
小林「8とBの中にある黒い丸…そこに何かがある!!」
咲「……一致したよ。場所は…クイーンの塔とジャックの塔と…キングの塔の間」
咲「そこに何があるかまでは分からないけど…」
小衣「…………」
姫百合「それよりもこれは…一体何を記録したものなんですか…?」
小林「分からない。しかし、サイコパスが公開を嫌がった時の反応、浜崎さんが意地でも守ろうとしたテープ」
小林「間違いなくサイコパス達に不利な証拠になり、第三者がサイコパス団体を潰すために撮られたものの可能性が高い」
次子「じゃぁ、そこに行けば…!」
小林「ああ。奴らのしっぽを掴む事が…」
バタァアアアアンッ
小林「!」
姫百合「!」
カツンカツン…カツン……
ガウディ「…………」
修正
咲「……一致したよ。場所は…クイーンの塔とジャックの塔と…キングの塔の間」
咲「そこに何があるかまでは分からないけど…」
小衣「…………」
姫百合「それよりもこれは…一体何を記録したものなんですか…?」
小林「分からない。しかし、サイコパスが公開を嫌がった時の反応、浜崎さんが意地でも守ろうとしたテープ」
小林「間違いなくサイコパス達に不利な証拠になり、第三者がサイコパス団体を潰すために撮られたものの可能性が高い」
次子「じゃぁ、そこに行けば…!」
小林「ああ。奴らのしっぽを掴む事が…」
バタァアアアアンッ
小林「!」
姫百合「!」
カツンカツン…カツン……
ガウデル「…………」
ガウディ「…あら?一足遅かったようね。もうここが捜査されてるわ」
姫百合「…え?えっと…どちら…」
小林「……ガウディル検事。お久しぶりです」
ガウディル「……!アンタは…本国イギリスで私に恥をかかせたあの!!ジャップ探偵!!」ダンダン
ガウディル「………」フゥー
ガウディル「こんな所で奇遇ね。今回の事件、貴方が弁護席に立つのかしら?」
小林「いえ、僕は…」
ガウディル「おーっほっほっほ!あの時は油断したけども!!決着つかずの引き分け…そう引き分けよ!でも今回こそ!法定であなたの依頼人を処刑台に送り届けてやるわ!!」
小衣「!!」
ガウディル「しかも今回の被告人はこの国の凄く偉い警視さんですってねぇ…今法廷で、英国と日本の対決で英国の力を見せつけ…」
ガウディル「このガウディが!無様な負けを貴方に見せつけてくれるわ!おーっほっほっほっほ!!」
次子「うわっまたこれは濃いのが来たな…」
姫百合「…結構日本語上手ですね。この人」
小衣「…………が」ボソ
ガウディル「ほほ……あら、何か言ったかしら?この童」
小衣「アンタなんかが!警視を有罪にできるわけ無いでしょうがっ!!」バンッ
姫百合「!」
小衣「見せつけられるのは貴方よ!!この国の警察組織がどれほど優秀か!思い知らせてやる!!」
小衣「特に警視はこの国の警察の中でも一番!一番!すっっっごく優秀なんだからぁああああ!!!!!」
ガウディル「……………」
ガウディル「ぷっ」
ガウディル「おぉぉっほっほっほほほほほほほほ!!!」ゲラゲラゲラ
ガウディル「警察組織にしては、随分と幼稚な言い分ねぇ赤ちゃん?」
小衣「うるさい!殺す!!殺す殺す!!」
ガウディル「あらやだ物騒。ちょっと貴方達、こいつら捜査の邪魔よ。つまみ出しなさい」
捜査官「Yes,sir!!」ダッ
小衣「ちょっと離しなさいよ!私だって警察なのよ!!一発ぶん殴ってやる!!この野郎ぉぉおおおお!!!!」ズズズズズズ
平乃「まっ待ってください!まだ私たちの捜査が――」ズズズズズズ
咲「……………」ズズズズズズ
ガウディル「…そうだ。ミスター小林」
小林「……なんでしょうか」ズズズズズ
ガウディル「二時間後を、楽しみにすることね」ニヤッ
小林「…………」ズズズズズズズズズ
【横浜警察署 12月25日 午後3時09分】
小衣「なんなのアイツ!なんなのアイツ!!!」ゲシッゲシッ
次子「まさか警察である私たちも追い出されるとはなー」
平乃「…このまま警視が居なくなったら、私たちはどうなるのでしょうか…」
小衣「はぁ?!何言ってるのよ!警視が殺人…」
小林「その通りだ。神津の心配はする事は無い」
小林「神津は間違いなく殺っていないんだから。それを証明するのは難しくない筈だ」
平乃「それはそうですけど…」
小衣「ふん!それに、あのババアだってこんな状況、不服な筈よ!」
小衣「今頃真犯人はババアの怨念に憑りつかれて祟られてるでしょうね!」
小林(警察が怨念を信じるのか…)
小林「それはともかく、神津にも北芝検事を殺す動機が無い」
小林「次子くん。今回の事件に目撃者は居るのか?」
次子「え?いやぁ…目撃者と言っても」
次子「勤務中に警察署を回っていた目撃者が被害者を刺殺した後の警視を見つけた。それが第一発見者みたいだけど…」
次子「それ以外に目撃者は居なかった筈なんだよなぁ」
小林「……そうか」
小林「なら、僕がやらなくてもこの裁判は大丈夫だ」
小衣「!?」
小衣「まっ…待ちなさいよ貴方!」
小林「?」
小衣「貴方…警視を助けてくれないの?」
小衣「友達なんでしょ…?戦ってくれないの…?」
小林「……………」
小林「…すまない。僕はこの裁判を手伝う事は出来ない」
小衣「――!」
小林「だけど、そんな心配は無い」
小林「神津だってサイコパスの捜査中にこの事を想定しなかった筈が無いんだ」
小林「間違いなく何かしらの策を取ってある。一転攻勢できるような証拠品も」
小林「……だから、やってくれるね?」
姫百合「…………」
小林「姫百合くん。そして…小衣くん」
小衣「!!」
小林「ここに居る皆が神津を救うんだ。この狂ってる裁判から」
姫百合「はい!」ビシッ
次子「んな事言われなくても、旦那を助けるに決まってるだろ!」
平乃「こんな裁判!今までと同じです。絶対に許されてはいけません!」
咲「……まぁ、正直胸糞悪いしね~。この事件の真犯人」
小衣「…………」
小衣「私が…警視を……」
小衣「………」
小衣「当然よ!警視を救うのは私なんだから!アンタは寧ろお邪魔虫!虫はどっかよそに行きなさい!!」
小衣「今回!アンタの出る幕は無いわ!!」
小林「……ありがとう」
小林「それじゃぁ、僕は行くよ」
姫百合「――っ!!」
姫百合「小林さん!」
小林「ん?」
姫百合「……気を付けて!」
小林「…ああ。分かってる」
【クイーンの塔 12月25日 某時刻】
小林「…………」
小林(しかし…大きいな)
小林(後ろにあるあれがジャックの塔…テープのBにあった位置)
小林(横にあるのがキングの塔…8の位置にあった場所)
小林「そしてその間に………少し古いビル」
小林(こんな所に、本当にサイコパスの情報があるのだろうか)
小林「…ん?」
白い髪の少女「…………」
小林「………」
小林「君は…いつぞやの…」
白い髪の少女「…………」
白い髪の少女「ここから先…」
白い髪の少女「ここから先に進んだら…もう戻れないよ?」
白い髪の少女「多分。もう”人間に”戻れない」
小林「…………」
小林「…一つ質問に答えてくれ」
小林「その先に、彼女たちは”居る”のか?」
白い髪の少女「……居るよ」
小林「!」
白い髪の少女「でも…もう会えないよ…一生」
小林「…!まさか…死んでいるのか!?」
白い髪の少女「生きてるよ。でも…」
白い髪の少女「会えるけど…多分分からない。だから会えないかもしれないよ」
白い髪の少女「それでも…”こっちに”来るの?」
小林「………無論だ」
小林「僕は彼女たちを助ける為にここに来たんだからね」
白い髪の少女「…………」ニコォ…
小林「っ」ゾクッ
白い髪の少女「…うれしいっ」
白い髪の少女「じゃぁ、ついてきて!」
小林「…………」
小林(…なんだ…?さっきの……寒気は…!)
白い髪の少女「…?」
白い髪の少女「何してるの?こっちだよ!」
小林「……………」
小林「………ああ」
スィッ ガコォーン
小林(…なんだ…ここ…?)
小林(こんな所に、地下鉄なんてあったか…?)
コォーン コォーン
小林(…そして…何の音だ?)
白い髪の少女「ほら!こっちこっち!」
小林「………ああ…」
スタ…スタ…スタ……
…スタ……
【続く】
今回は短いですがここらへんで終わりです。次は裁判パートとなります。
後二回で終わりです。最後までお付き合いいただけたら幸いです
証拠ファイル①警察署の銅像”断罪の決断”
【被告人は王と悪人の間の槍に貫かれていた。しかし、刃と柄は銅像と繋がっている】
証拠ファイル②バラバラな資料番号
【引き出しの中の資料番号はバラバラだった。几帳面の神津には有り得ない情報整理だ】
証拠ファイル③カセットテープ
≪映像記録の音声が録音されている。内容は【くまさん、8、B】≫
証拠ファイル④赤い石
【トイズ増幅の効力がある石】
乙。神津と小林の活躍に期待
乙。これ、最初の審理は姫百合や小衣たちがやるんかな
乙です
北芝さん死んじゃったのか…悲しい
明日の深夜に投下予定です。しばらくお待ちください
投下します
【横浜裁判所 第二控え室 12月25日 午後5時10分】
姫百合「…………」
姫百合(今までは、裁判は被告人だったり傍聴席だったり小林さんの隣だったり…)
姫百合(私自身が弁護側として本格的に立つ事は無かった)
姫百合(今までの裁判は、全て小林さんの実力により勝訴したもの)
姫百合(…私に、出来るんだろうか……)
姫百合(私に、神津警視が救えるんでしょうか…?)
小衣「ちょっと!姫百合!」
姫百合「えっ…あっはい!明智警部!何で…きゃぁ!」バシッ
小衣「さっきから喋ってるのに何黙ってんのよ!裁判まで後5分も無いのよ!?やる気あるの!?」
姫百合「あっ…あります!勿論!」ビシッ パラパラパラ
小衣「書類!さっき渡した証拠品の書類を床に落とすな!」
姫百合「えっあっすっすみません!」サッサッ
小衣「はぁぁぁ…こんな時、警察にも弁護資格が取れたら良いのに…」スタスタスタスタ
小衣「そしたらこいつの力なんか借りずに小衣が警視を助けるんだから!」スタスタスタスタ
姫百合「……(小衣警部…今もピリピリしている。落ち着きのない証拠だ)」
小衣「いーい!?今回は特別に私もアンタの隣で警視を弁護するわ!」
小衣「もし小衣の邪魔をして警視を冤罪にでもしたら…分かってるでしょうね!!」
姫百合「…百も承知です」
小衣「分かってるなら良いわ。とにかく!あれから新しい証拠品が二つ!手に入ったの!」
小衣「今から目を通すのよほら早く!」バンッ
姫百合「えぇ!?あっ…はっはい!」ペラッ
証拠ファイル⑤銅像の指紋
【銅像には指紋一つ無かった】
証拠ファイル⑥ユーカリの葉
【被害者の遺体の足の裏にくっついていた】
姫百合(こっ…これだけ…!?)
小衣「少なかったけど、無いよりはマシでしょ!二人で警視を救うのよ!」
小衣「絶っ対に!アイツらの思い通りにはさせないんだから!!」ダンッ
姫百合「…………は…はい…」
「弁護人、間もなく裁判が始まります。入廷してください」
姫百合「!きっ…来た…!」
姫百合(私の…最初の裁判が…!)
小衣「…準備は良い?」
小衣「戦うわよ」スタスタスタ
姫百合「……………」
姫百合(本当に…私はこの裁判で勝てるのだろうか…?)
姫百合(神津警視が殺人を犯すことは無い…それは分かっているけど)
姫百合(私は小林さんじゃない……)
姫百合「……………」
姫百合「ふんっ!」
パチーンッ!
小衣「!……何してるのよ姫百合」
姫百合「…なんでもありません。気合を入れていただけです」
小衣「…今回の裁判、サイコパスが一枚噛んでる可能性が高いのよ?」
小衣「気合を入れるなんて、当然の事でしょ!」
姫百合(何をネガティブな事を考えているんだ私は…!)
姫百合(小林さんは今、攫われたミルキィホームズの皆さんを助けに行ってる)
姫百合(そこで私が頑張らなくてどうする!)
姫百合「…弁護側。エラリー姫百合、入廷します!」
ガチャリ……
姫百合(闘うんだ!今は小林さんの事を考えずに、神津警視の事だけを思って!)
【????? 某所 某時刻】
カツーン…カツーン…カツーン
小林「………………」
小林(このあたりは、当然と言えば当然だけど…電気が通っていない)
小林(奥に進めば進むほど、荒れ放題の壁と床は光を失い視界に映らなくなる)
小林「…あの、これはどこまで進めば……」
小林「………あれ?」
小林(気づけば、あの白い髪の少女も姿を消していた)
小林(まるで、狐につつまれ煙のように消え僕を欺いているかのようだった)
小林「……………」
小林「…先を、進もう」
小林(言い聞かせるように、僕はとにかく前へ前へと進んだ)
カツーン…カツーン…カツーン……
【横浜裁判所 第一法廷室】
ザワザワ…ザワ……
カッ!!
裁判長「これより!神津玲の殺人の審議を開廷します」
裁判長「弁護側、検察側、準備の方はよろしいですか?」
ガウディル「…………」
姫百合「弁護側、準備完了し「とっとと始めなさいよこのタコ親父!警視の無実は小衣が晴らしてやるわ!」」
姫百合「あっあの小衣警部!冒頭から張り切らないでください!」
小衣「あんっ!?こんなもんは最初からぶっちぎってやれば良いのよ!こんな裁判!とっとと終わらせてやれば!」
裁判長「…弁護側は元気いっぱいのようですね」
裁判長「準備も整っておられるようで感心です。…それで、ガウディル検事?」
ガウディル「…………」
ガウディル「…私は、ミスター小林と再戦する準備だけしていたのよ」
ダンッ
ガウディル「決して!このクソガキ共とおままごとをする為にこの裁判に私は居ない!!」
裁判長「……………」
裁判長「…事件の方の準備は、完了していますか?」
ガウディル「そんなの当然やっているわ!でも!相手がこんなクソガキじゃ」
裁判長「よろしい。検察側も準備は完了しているようですね」
ガウディル「…………」
裁判長「それでは、早速初めて行きましょう」
ガウディル「……あらかじめ、最初に言っておくわ可愛い弁護士さん?」
姫百合「?」
ガウディル「私は、かの有名なミスター小林と再戦する為に全力で準備をさせて貰ったの」
ガウディル「だけど、相手がミスター小林じゃなく半人前の未熟者のアンタなら…」
バンッ!
ガウディル「容赦なく本気で叩き潰してやるから、覚悟しなさい?」ギロッ
姫百合「…………」
ダンッ
小衣「言ってなさい!この三流検事!アンタが敵に回したのがこのG4でも警視の次に偉くて強い小衣だった事を後悔させてやるわ!」
姫百合「……例え、貴方がどんな姑息な手を使おうが」
姫百合「私は、この裁判で真実を明らかにするだけです」
ガウディル「…ふぅん。口だけは達者にミスター小林に似せたのね」
ガウディル「おぉーっほっほっほ!それじゃぁ裁判長、裁判を進めようかしら?」
裁判長「…そうですね」
裁判長「それではガウディル検事、事件のあらましを説明してください」
ガウディル「了解したわ」
ガウディル「被害者は横浜検事局で検事副局長に就いていた北芝愛(29)よ。配偶者は無し」
ガウディル「両親は死別していて17歳になるまでに兄が居たみたいだけど、あるサイコパスによって殺害され裁判で無罪判決を受けている」
姫百合「!?」
ガウディル「その事がきっかけで検事を目指し犯罪者を一掃…そんな彼女が皮肉にも、警察の警視正に位置する被告人」
ガウディル「神津玲容疑者により殺害。凶器は警察署の銅像”断罪の決断”に貫かれていたわ」
ガウディル「凶器と被害者の写真は、解剖記録の中にあります」
証拠ファイル⑦北芝愛の解剖記録
【死亡時刻は12月25日午前0時1分。銅像の槍に貫かれて即死。槍による損傷以外の外傷は無かった】
裁判長「なるほど。そうですか…おや?」
裁判長「………あの、これはどのようにして貫かれたのですかな?」
裁判長「どこをどう見ても、このような貫かれ方は不自然のように思われますが」
ガウディル「…ええ。一見するとそうかもしれません」
ガウディル「ですが、警察側は被告が北芝愛を殺す動機と方法を証明できます」
姫百合「っ!!?」
小衣「なっ…何よそれ!?私達全然聞いてないわよ!?」
小衣「北芝が両親と兄を殺されてる事も!不可能だと思われた殺害方法が警視に可能だったことも!」ダンッ
ガウディル「…わざわざ敵に情報を漏らす馬鹿は居ないでしょう?」ニヤァ…
ガウディル「安心しなさい。ちゃんとその事は証言するつもりで居るのだから」パシーン
姫百合「…………」
姫百合(なっ…何なの?この裁判…)
姫百合(北芝検事の家庭事情を話したのは…弁護側の混乱の為?そして神津警視が北芝検事を殺す動機と方法?)
姫百合(……わっ分からない…)
ガウディル「…それじゃぁ、まず第一の証人を召喚しましょうか」
姫百合(この事件…もう何が何だか…分からない…)
カンッ
裁判長「…よろしいでしょう」
裁判長「では係官。第一の証人を連れてきてください」
赤「…………」
青「…………」
黄「…………」
ピンク「…………」
馬マスク「……………」
姫百合「……………」
小衣「……………」
ガウディル「…どうやら、全員そろったみたいね」
ガウディル「それじゃぁ皆さん。まず自己紹介を…」
姫百合「待った!!」
姫百合「何ですかこれは!?何でこんな…5人も証言台に立ってるんですか!?」
小衣「何が第一の証人よ!?こいつら一遍に証言させる気!?」
裁判長「……さすがの私も、これは少し驚きましたが…」
裁判長「つい最近、10人近い証人を相手にした裁判もありましたので。いやはや、慣れというのは怖い物ですね」
裁判長「それでは証人、名前と職業を…」
小衣「待った!!!」
小衣「アンタはそれでいいのか!?証言台にあんな戦隊物の恰好した4人とあと馬マスクよ!?あんな奴らがまともな証言すると思ってるの!?」
ガウディル「残念だけど、事件の目撃者には間違いないのよね」
裁判長「例え証人がどのような恰好であろうとも、証言は当裁判においては重要なものです」
姫百合(本当に頭痛くなってきた…)
裁判長「それでは改めまして…証人、名前と職業を…」
青「フッ……我々は、犯罪撲滅キャンペーンの為に警視庁から生み出された新たなるヒーロー…」
黄「今日も元気に!サイコパスという悪い人たちを懲らしめる!探偵なんかには負けないもん!」
ピンク「愛と勇気と!みんなの笑顔の為に!」
赤「今日も戦え!正義の為に!」
馬マスク「警視戦隊!ポリレンジャー!!」 ドガァァアアアアアンッ
姫百合「…………」
小衣「…………」
ガウディル「…………」
裁判長「……………」
赤「…おっと!そういえば俺達の紹介は済んでも、俺の紹介がまだだったな!」
赤「俺の名前はレッドポリ!先週警視相当官に選ばれてポリレンジャーに入ったんだ!」
姫百合「あれが…警視相当官……」
黄「私はイエローポリ!私達は警視という地位にいながら、現場で国民の皆さんを守るという正義の団体なの!」
ピンク「私はピンクポリ!私も警視相当官だよ☆でもでも!私は甘いパフェとか大好きだしぃ!美味しいお店もよく行くの!皆に馴染みのあるよう頑張りまーす!」
小衣「こっこんなのが…私より階級が上なの…?」
青「フッ…俺は群れるのが嫌いだが…仕方なくやっているブルーポリ…神津玲とはライバルさ…」
小衣「嘘つけ!警視はアンタの事絶対知らないわよ!!」
馬マスク「そして俺がリーダーのポリホースだ!警視正をやらせて貰ってるぜっ!」シュキーン
姫百合(ええぇぇ…よりによってこの馬がリーダーなの…!?)
5人「「「「「5人そろって!警視戦隊ポリレンジャー!!」」」」」ドガァアアアアアアアアアアアアンッ
姫百合(…警視庁も大変なのかな…?)
ガウディル「……それで、貴方達は事件当日に殺人を目撃したのよね?」
赤「ああそうさ!あの時俺達は!神津警視正をレンジャーの仲間に勧誘しようと今日も駆け回る日々だったんだ!」
姫百合「…神津警視、大変だったでしょうね」
青「だが、…俺達はその時に見てしまった…そう、あれは悲しき偶然だった…」
馬マスク「ああ…まさか…まさか!」ダンッ
馬マスク「神津警視正が…!検事を殺してしまっていたなんて!!」ダンッ
ピンク「私達の仲間に…殺人犯が出るなんて…!もぉー!プンプン丸なんだからね!」
姫百合(軽いなぁ…)
小衣「ざっけんな!だから警視が人を殺すわけ無いでしょうが!!」ダンッ
青「いや…あれは間違いなく神津…殺ったぜ?」
黄「例え私達の仲間だったとしても!絶対に許すわけにはいかない!それが私達ポリレンジャーなの!」
馬マスク「その通りだ!例え彼が我々ポリレンジャーの仲間候補だったとしても!罪は罪だ!」
馬マスク「我々は全力で!彼を有罪にするために証言する!」
5人「「「「「正義の為に!!」」」」」ドガァアアアアアアアアアアアアンッ
ダンッ
姫百合「まだ神津警視が殺人を犯したと決まったわけではありません!」
小衣「だから!警視はアンタ達の仲間じゃないでしょうが!そもそも警視にはG4という優秀な――」
カンッ
裁判長「…このままでは纏まりませんね。弁護側、少し落ち着いてください」
小衣「ぐぅっ!ぐぬぬぬぬぬ……!」
姫百合(……これは、よく観察しなくても分かる…)
姫百合(こいつら…明らかに何かを隠している!)
ガウディル「…それでは証人。証言をお願いしますわ」
ガウディル「あの日起こった事、できれば一人ずつ」
5人「「「「「了解!!」」」」」ドガァアアアアアアアアアアアアンッ
姫百合(ところで後ろの火薬はどこから来てるんだろう)
【証言開始】
赤「あれは深夜の警視庁のパトロールの時だったぜ!」
青「あの時俺達は…神津玲を探していたのさ」
黄「その時見ちゃったの…神津玲が北芝検事を殺した瞬間を」
ピンク「その時の北芝検事…可哀想だった…苦しそうに悶えてどんどん…クスン」
馬のマスク「だから俺達が、アイツに引導を渡してやったのさ…」
姫百合「……………」
ガウディル「…貴重な証言、ありがとうございました」
赤「いや、これくらいの事ならいつでも言ってくれ!俺達はいくらでも証言するから!」
馬のマスク「正義の為にな!」ビシィッ
小衣「…何が正義よ…」
ダンッ
小衣「あんな嘘八百の証言でよくもまぁのうのうと言えたわね!!」
ピンク「えぇー!?ひどいよココロちゃん!嘘八百じゃないよぉ!」
小衣「ココロちゃんじゃない!殺すぞ!!覚悟しなさい!アンタ達には偽証罪を適用して…!」
カンッ
裁判長「…弁護側は静粛にお願いします」
姫百合「明智警部、落ち着いてください」
小衣「落ち着けるわけ無いでしょ!こんな嘘八百な…!」
姫百合「…この証言が嘘だというのなら」
姫百合「証拠品で証明してやれば良いんです。この証言が嘘っぱちである事を」
小衣「!」
カンッ
裁判長「それでは弁護側は尋問をお願いいたします」
【尋問開始】
赤「あれは深夜の警視庁のパトロールの時だったぜ!」
姫百合「待った!」
姫百合「…どうして、貴方達は深夜に警視庁でパトロールをしたのですか?」
赤「ははは!そりゃぁ勿論…正義に休みなんて無いからさ!」
黄「さすがレッド!恰好いい~!」
青「フッ…さすが俺のライバル…」
馬のマスク「うむ!良い心がけだ!」
赤「へへっ照れるなぁ…でも、まさかあんな事になるなんてなぁ…」
姫百合「……あんな、事とは?」
赤「それはブルーが説明してくれるぜ!なっ!?ブルー!」
青「フッ任せろ…。それは俺達が何故、パトロールをしていたにも関係する…」
姫百合(それはさっき言ったんじゃぁ……)
青「あの時俺達は…神津玲を探していたのさ」
姫百合「待った!」
姫百合「どうして、神津警視を探していたのですか?」
青「当然だろう。アイツは俺のライバル…それと同時に、仲間でもあったのさ」
青「だから今日もアイツをレンジャーに招待すべく会いに行った…それだけだ」
ピンク「神津くんも釣れないよねー!もう174回も勧誘してるのに入ってくれないしさー!」
馬マスク「うむ。彼が入ってくれれば我がレンジャーの力も確実なものになるのだが…」
姫百合「あの、恰好良く言ってるかもしれませんけど、全然恰好良くありませんよ?」
小衣「だから!警視にはG4が居るって言ってるでしょうが!!」
赤「おいおい、俺達も知らない訳じゃないぞ?神津が居なかった時のG4がポンコツだったって皆言ってるぜ?」
ピンク「そうそう。探偵4人組に負けたり対怪盗なのに怪盗に負けたり仕事しなかったり」
黄「時には黄色くて小っこいのしか居なくてG1になってたって話も…」
小衣「うっうるさい!それでも最近は私たちも凄いのよ!?サイコパスを捕まえたり誘拐されたアイドルを救出したり!!」ダンッ
青「いや…それ神津の手柄だろ?」
馬マスク「G4の手柄の話もほとんど神津絡みじゃないか…」
小衣「けっ警視が凄すぎるってだけで!私達だって十分凄いのよ!ねぇ姫百合!!」
姫百合「……………」
小衣「何か言いなさいよこらぁあ!!」
ガウディル「…貴方達は、その神津を有罪にするために証言台に立っている事、忘れないでくださいまし?」
青「クッ!…そうだった…なかなか辛い仕事だな…」
馬マスク「だが…やるしかない。かつての仲間の断罪も!正義の為に!」
赤「正義の為に!」キラーン
黄「それじゃぁ、次に私が証言します!」
黄「でもその時見ちゃったの…神津玲が北芝検事を殺した瞬間を」
姫百合「待った!」
姫百合「ほっ本当にその…殺した瞬間を目撃したのですか!?」
青「その通りだ。俺達は…」
赤「決して!悪を見逃さないんだからな!」ギャギャーンッ!
小衣「うっ嘘よ!絶対に嘘!」
小衣「警視が人を殺すはずが無いもの!ましてやあんな…!」
姫百合「…その時の状況を、詳しく話してください」
黄「了解!余す事なく教えるわ!」
黄「最初、神津くんの部屋で銃声のような物が聞こえたの」
姫百合「!?」
小衣「じゅ…銃声!?」
黄「神津くんに何かあったのかな?って思って神津くんの部屋に向かったんだけど…」
黄「部屋は荒らされていて、何も無かった」
小衣「…確かに、私が来た時には警視の部屋が荒らされていたわね…」
姫百合「…………」
黄「その後、神津くんの声が聞こえて、声のする方向へと進んでいったの」
黄「そして、部屋を覗くと…神津くんが……北芝検事を…」
黄「と言っても、私が見たのはもう既に神津警視は既に突き刺さった後なんだけどね」
姫百合「…ちなみに、この中での第一発見者は」
馬マスク「それはピンクだな」
ピンク「えっ!?そうなのぉ!?…でもでもぉ!ピンクも神津くんがどうやって検事を突き刺したのか分からないしぃ!」
姫百合「……神津警視が被害者を殺害した瞬間は見ていないんですね?」
黄「そうね…でも、その瞬間が見れなくてもどう見ても神津くんが検事さんを殺したようにしか…」
黄「私は気が動転していたから…後はピンクが証言してくれない?」
ピンク「了解~!私がこれから言う証言はショッキングだから、心して聞いてね♪」
ピンク「その時の北芝検事…可哀想だった…苦しそうに悶えてどんどん…クスン」
姫百合「待った!!」
姫百合「……苦しく悶えている姿を見たのですか?」
ピンク「そうだよ!神津くんをにらんでいて…それはもう親の仇を見るように…!」
ダンッ
小衣「仮にもあの北芝がぁ!?警視を睨む筈無いでしょ!!」
小衣「正直全く想像が出来ないわ!この証言こそ矛盾が――」
カンッ
裁判長「弁護側は静粛に!」
小衣「…………」ジワァ…
姫百合(ああ…調子が狂ってついに泣き出したな…)
姫百合(……でも)
姫百合「小衣警部の着眼点は間違っていないと思います」
小衣「!」
姫百合「確かに、さきほどの証言は何かがおかしいです」
姫百合「一度、証拠品を見直してみましょう」
馬のマスク「だから俺達が、アイツに引導を渡してやったのさ…」
姫百合「待った!」
姫百合「引導…ですか」
ガウディル「被告人は生きているのですが…」
馬のマスク「俺達が引導を渡すという事は、社会的に殺すという事だ」
馬のマスク「警察が捕まった時点で、社会的に死ぬというのは違った意味じゃないだろう」
小衣「…それが……警察のやり方なの?」
赤「そうさ!なんたって俺達は!警視戦隊!ポリレンジャー!」
青「正義の為に戦うのが…宿命なのさ」
裁判長「ふむ…たしかに貴方達の引導で我々は裁判を開いていますからね」
馬のマスク「ああ、是非正当な判決を下してやってくれ」
赤「俺達は!悪は決して容赦しない!」キビッ
小衣「…何が……正義よ……」
姫百合(………果たして)
姫百合(この人たちは本当に、正義なのでしょうか)
姫百合「どうでしたか?小衣警部」
小衣「こんな奴らに警視が告訴されたと思うと…腸が煮えたぎってくるわ…」
小衣「姫百合!さっさとこいつらに恥をかかせてやりなさい!」
姫百合「はい!了解です」
姫百合(これは、突きつける箇所は明らかだ。今すぐにでも思い知らせてやろう)
次は1時に投下します
→ピンク「その時の北芝検事…可哀想だった…苦しそうに悶えてどんどん…クスン」に証拠ファイル⑦北芝愛の解剖記録を突きつける
姫百合「異議あり!!」
姫百合「…ピンクさん。北芝検事はその時、苦しそうに悶えていたんですね?」
ピンク「それは勿論!本当に…本っ当に悲しい光景だった…!」
ピンク「あんな悲しそうで苦しそうな北芝検事…見た事無かったから…」
姫百合「…そうですか」
姫百合「それは…とてもおかしいです」
ピンク「?」
赤「なっなんだってぇ!?」ガーン
馬のマスク「一体、どこがおかしいというのだ!?」バキューン
姫百合(しかし、大分オーバーリアクションですねこの人たち…)
姫百合「良いですか?被害者の解剖記録にはこう記されています」
姫百合「”胸を貫かれて【即死】”…ですと」
ピンク「えっ!?」
姫百合「つまり」
姫百合「被害者が苦しみ悶える光景を見るのは不可能なのです!!」
ザワザワ…ザワ……
カンッ
裁判長「静粛に!静粛に!」
裁判長「…証人、どういう事でしょうか?」
ピンク「えっええと…じゃぁ、違ったのかなー?…なんて」
ダンッ
黄「それは死体を見た恐怖からなる幻覚に過ぎないわ!」
赤「そうだ!誰だって死体を見れば怖気づくだろうさ!」
小衣「どちらにせよ、そんな曖昧な証言では証明なんて無理そうね」
ピンク「うっううん!違うもん!あの時は怖くて怖気づいて北芝検事が悶えてるように見えただけだもん!」
姫百合「異議あり!!」
姫百合「しかし!貴方達は仮にも警視庁の人間で正義の為に悪を絶対に許さないと証言しました!」
姫百合「そのような貴方達が!こんな曖昧な証言をして良いと思いですか!?」
ピンク「ぐっぐぐうう!!」
パシィーン
ガウディル「………弁護人」
ガウディル「どうやら、曖昧なのは貴方の頭みたいですわね」
姫百合「…どういう事ですか?」
ガウディル「被害者が苦しみ悶えた光景が偽りだろうと本物だろうと、そんなものが解明された所で真実は変わらない」
ガウディル「そう、被告人が被害者を殺害したという事実には」
姫百合「………!」
小衣「……言われてみれば、そうね」
小衣「姫百合!こっからとっとと畳みかけるわよ!このまま警視の冤罪を晴らしなさい!」
姫百合「えっ!?いや、あのっえっと……」
姫百合「……………」
ガウディル「…ま、無理でしょうね」
ガウディル「この尋問では、まだ何一つ証言が崩れていないんですもの」
姫百合「うう………」
パシーン
ガウディル「裁判長!この証言と証拠品、それだけでも被告人が被害者を殺害したことは明白!!」
ガウディル「早急に判決に移ってもよろしいかと!」
裁判長「……そうですね」
裁判長「それでは、早速判決に…」
姫百合「待った!!!」
姫百合「まっ待ってください!まだ判決に移るには早すぎます!」
姫百合「まだ!この裁判では解明されてない所があるんですから!」
ガウディル「…………」
小衣「そうよ!まだ説明さえされてないわ!!」
小衣「警視の動機と殺害方法よ!!これが解明されない限り」
小衣「横浜警察署は、判決を許さない!!」ダンッ
裁判長「……しかし、動機はともかく殺害方法は解明が難しいのでは?」
裁判長「何せ、目撃証言が皆無なのですからな」
ダンッ
姫百合「だったら、情報を集めれば良いんです!」
姫百合「弁護側は!証人に証言を求めます!」
ガウディル「………ほーう?」
ガウディル「一体、何の証言を求めるというの?」
姫百合「………………では」
姫百合「被告人を拘束した時の事を、証言してください」
黄「……………」
馬のマスク「…良いのか?それこそ、神津くんが不利になるかと思われるが」
赤「何言ってるんだリーダー!俺達は言ったじゃねぇか!」
ピンク「どんな悪にも容赦しない!神津くんを有罪に私達はするって!」
青「フッ例えそいつが…俺達の仲間だろうがな…」
小衣「まだ言うか…」
馬のマスク「………そうだな」
馬のマスク「では証言しよう!我々ポリレンジャーが行った正義執行を!!」
【証言開始】
馬のマスク「我々が神津くんを拘束し始めたのは私の合図からだ!」
赤「まずは俺の飛び蹴りがさく裂したぜ!神津は避けたけどな!」
青「それから俺のクールな警棒で頭を狙った…外れたが当たった」
ピンク「私は北芝検事を助けようとした、でも…もう遅かった…」
黄「最終的には私の麻酔銃が決め手だったわね」
姫百合「………えっ?神津警視を…撃ったんですか!?麻酔銃で!?」
赤「おう!イエローの射的の腕は確かだからな!」
小衣「アンタら警視に何してんのよ!!!!」
青「仕方無かったんだ…あれは…間違いなく神津が殺人を犯していたんだ…!」ギリリ…
ピンク「だって!北芝検事を殺して…酷いよ!」
馬のマスク「…だが、甲斐あって我々は神津くんを拘束する事が出来た」
馬のマスク「彼の戦闘技術は確かだからな…苦労したよ」
姫百合「神津警視、そんな凄い人だったんだ…」
ガウディル「……」
裁判長「…それでは弁護人。尋問をお願いします」
【尋問開始】
馬のマスク「我々が神津くんを拘束し始めたのは私の合図からだ!」
姫百合「待った!!」
姫百合「それは…明らかに被告が殺人を犯していたからですか?」
馬のマスク「ああ、一目見た瞬間分かった。こいつは殺ってるってね」
赤「あんな奇妙な殺し方するのも神津なら有り得そうだしな」
青「本当に優秀な奴だったのに…クッ!」
姫百合(この人たち、よっぽど神津警視を仲間に入れたかったんだな…)
馬のマスク「そして、私の合図で最初に動き出したのはレッドだった…」
赤「まずは俺の飛び蹴りがさく裂したぜ!神津は避けたけどな!」
姫百合「待った!!」
姫百合「それってつまり…当たらなかった。という事ですよね?」
赤「何を!?ちゃんと当たったさ!壁に!!」
小衣「それを世間では外れたと言うのよ」
青「さすがは俺のライバルなだけあって素早さは一級品…反撃されたら、俺達全員やられていた…」
姫百合「…それってつまり、被告は反撃しなかったという訳ですよね?」
馬のマスク「うむ。確かに反撃はしてこなかったな」
姫百合「でも…それっておかしくないですか?」
姫百合「本当に神津警視が殺人を犯したのなら、普通は目撃者を攻撃するのも辞さないかと思うのですが」
黄「…いやぁ、さすがにあの冷静な神津警視正が反撃してきたら、余計怪しまれるじゃん?」
赤「確かに、保険かけて攻撃してこなかった…そう考えるのが自然だな」
小衣「…何が何でも、警視を悪者に仕立て上げようとするわけね」ギリッ
赤「だけど俺達は容赦しなかったぜ!次に青の連係プレーがさく裂だぁー!!」
青「それから俺のクールな警棒で頭を狙った…外れたが当たった」
姫百合「待った!!」
姫百合「あの…外れたが…当たった?どういう意味ですか?」
青「そのままの意味だ、頭を狙ったが…外れた。だが、当たった」
姫百合「いやあの、全然分からないんですが」
馬のマスク「…ブルーの警棒は狙った獲物は逃がさない。頭こそ外したものの」
馬のマスク「足には当たった…そういう事さ」
姫百合(うわぁ…ダサッ)
小衣「ダッサ。よくそれで当たったと言えたわね」
青「フッ、奴は仮にも俺のライバル…勝負は互角だったというわけさ」
青「俺達が死闘を繰り広げていた中、人質を救おうとしていた彼女の事…俺は忘れないぜ?」
ピンク「私は北芝検事を助けようとした、でも…もう遅かった…」
姫百合「待った!!」
姫百合「遅かった…というのは?」
ピンク「そのまんまの意味だよ…北芝検事…死んじゃったんだ…」
ピンク「酷いよ…私…北芝検事の事可愛いって思ってたのに!!」ダンッ
姫百合(可愛いって思ってただけなんだぁ…)
姫百合「被害者はその時、息は無かったんですね?」
ピンク「うん…その後色々調べたんだけど…あの部屋銅像と机以外何も無い殺風景な所でしょ?」
ピンク「だから…捜査も何もできなくて…」
姫百合(確かに、事件現場は殺風景な場所だったけど……)
姫百合(……ん?)
→事件現場は殺風景だったことを覚えますか?
→覚える
覚えない
→覚えるを選択
姫百合「……………」
姫百合「それでは、事件現場が殺風景だった事を証言に加えて貰えますか?」
ピンク「もっちろん!私達は警視庁の戦隊!正義の為なら!!」
カンッ
裁判長「…では、証人。事件現場の状況を証言に加えてください」
→ピンク「私は北芝検事を助けようとした、でも…もう遅かった…」を
→ ピンク「無機質な殺風景の部屋の中、北芝検事は突き刺さっていたの…」に変更
ガウディル「証人は、よほどつらい体験をしたのですね」
ピンク「ううん!でも大丈夫!最後にイエローちゃんが活躍してくれたから!」
黄「最終的には私の麻酔銃が決め手だったわね」
姫百合「待った!」
姫百合「まっ…麻酔銃ですか…」
黄「そう、私はそういうの担当なんだ。こうバチューンってね」
小衣「アンタ覚えてなさいよ…!警視に発砲したこと…後悔させてやるわ…!」ギリギリギリ
黄「後悔なんてしないよ…だって…」
黄「私は、悪を拘束する為に正義執行してやっただけなんだから!!」ピシィッー
姫百合「…………」
姫百合「本当に、後ろめたさとかは感じなかったんですか?」
黄「正義にそのようなものは不要なのだ!!」
姫百合「……そうですか。分かりました」
ピンク「無機質な殺風景の部屋の中、北芝検事は突き刺さっていたの…」
姫百合「待った!」
姫百合「…現場には、何があったのか詳しく証言できますか?」
馬のマスク「あれは強烈だったからな…部屋も机と銅像以外に何もない」
青「まさに処刑場…そう比喩しても遜色ないだろうな」
赤「人が隠れられる場所も無かった…これは間違いなく神津警視正が殺したに違いないんだ!」
ピンク「そうだよ!だって、本当に誰も居なかったんだもん!!」
姫百合「…他に誰も居なかったから神津警視が殺したと主張するのですね?」
黄「当然だよ、だって…誰も居なかったら殺されるなんて事はないでしょ?」
小衣「私はアンタ達を殺してやりたいわよ…」
姫百合「小衣警部、今は抑えてください」
黄「だから、皆が神津警視正を取り押さえている時に……」
姫百合(この証言に、嘘はどこにもない…)
姫百合(だったら、視点を変えて別の個所に着目すれば良い)
姫百合(そこに、何かしらの相違点がある筈だから…)
姫百合(まず、証拠品を見直してみよう)
次は一時15分に投下します
→ピンク「無機質な殺風景の部屋の中、北芝検事は突き刺さっていたの…」に証拠ファイル⑥ユーカリの葉を突きつける
姫百合「異議あり!!」
姫百合「……ピンクさん。部屋は本当に殺風景だったんですね?」
ピンク「うんそうだよ?さっきからそう証言してるじゃん!」
赤・黄「そーだそーだ!」
青「あれはまさに処刑場…ふん、殺しにはもってこいだな」
姫百合「机と銅像以外に何も無かった…本当にそうなら」
ダンッ
姫百合「被害者の足にユーカリの葉がつく事なんて無いですよね!?」
ピンク「!?」
馬のマスク「ユ…ユーカリの葉だと!?」
姫百合「はい!被害者の足には確かにユーカリの葉が付着していました!」
姫百合「もし!この殺風景の部屋で殺人が行われていたとしたら!」
姫百合「被害者の足に!現場に無い物が付着している筈がありません!!」
ガウディル「異議あり!!」
ガウディル「そんなもの…こう説明してしまえば良いわ」
ガウディル「被害者は別の場所で殺され、串刺しにされた」
ガウディル「そして串刺しにされた銅像ごと現場に移動した。と」
姫百合「異議あり!!」
姫百合「しかし!銅像には指紋一つ付着していませんでした!」
ガウディル「ハッ!手袋でもつけて移動すれば指紋なんて…」
姫百合「それに、仮に凶器が遺体ごと移動したとすればパトロールしていた彼らに見つかってしまいます!」
姫百合「更に、もし凶器と遺体が移動されていたのなら…」
姫百合「殺人犯が神津警視だとは限りません!!」
ガウディル「異議あり!!」
ガウディル「…まぁ、お遊びはこれくらいにしようかしら…」
姫百合「……?」
ガウディル「残念だけど、凶器が移動された形跡は全く無いわ」
姫百合「!?じゃぁ…どうして?」
ガウディル「言ったでしょう?私は今遊んでいたのよ」
ガウディル「力の差を見せつける為にね……証人、言ってやりなさい」
馬のマスク「…銅像は移動された形跡は一切無かった」
赤「俺達だって現場検証くらいしたんだぜ!動かされてたらすぐにでもわかるさ!」
青「…つまり、遺体も凶器もその場に行われ」
黄「そこで…殺されたのよ」
姫百合「……しっしかし!この足の裏の…」
ガウディル「……もう一つ、面白い事を教えて差し上げますわ」
ガウディル「この警察署でユーカリの木があるのは、被告人の個室だけ」
小衣「っ!?」
ガウディル「つまり」
ガウディル「被告人と被害者は、個室の仲間でも共に行動していた」
ガウディル「葉っぱは、その時に踏んづけた物で間違い無いわね?」
ピンク「そう、その通り!二人は死ぬ寸前まで二人で居たのよ!!」
馬のマスク「確かに…二人で歩いている所は事件当日の夜も目撃していた…」
裁判長「………つまりは」
裁判長「これも、何でも無かった。というわけですね」
姫百合「…いっ…いっ………」
姫百合「いやぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!!」ガガーン
ザワザワザワ…ザワ………
姫百合(…………)
姫百合(だ…駄目……何を…何を発言しても………)
姫百合(ただの…無駄な足掻きにすら…ならない………)
姫百合(…………私…は…)
姫百合(やっぱり……小林さんみたいには………)
小衣「…………」
裁判長「…弁護側は、もう異論はないみたいですね」
ガウディル「そのようね。裁判長!早急に判決を」
裁判長「分かりました…。では、」
小衣「異議あり!!!」
姫百合「!」
裁判長「!」
ガウディル「…何かしら?」
小衣「…あのね、さっきから聞いていれば……」
小衣「そっちが出した解剖記録によれば、北芝が死んだのは深夜の0時一分なんでしょ?」
ガウディル「…そうね。確かにそう」
ガウディル「それで?それがどうかしたの?」
小衣「アンタら…監視カメラの映像は調べなかったの?」
ガウディル「……………」
馬のマスク「…なっ何っ!?」
赤「監視カメラ…!?馬鹿にするな!俺達だってしっかり調べてるさ!!」
小衣「だったら、今見れば分かる筈よね?」
小衣「私達は裁判始まる前には調査したんだから、この”矛盾”に大きな違和感しかなかったわ?」
姫百合「…え?むっ…矛盾ですか?」
小衣「ええ。姫百合はまだ見てないでしょうけどね」
ダンッ
小衣「明智小衣警部は!これより監視カメラの映像を証拠品として提出します!!」
馬のマスク「!?」
赤「!?」
青「!?」
黄「!?」
ピンク「…!?」
ガウディル「…………」
カンッ
裁判長「……よろしいでしょう。提出を許可します」
裁判長「それでは、今すぐに見る事はできますか?」
小衣「当然よ、咲!早く持ってきて!!」
「ウーイ」タッタッタッタッタ
咲「ふー…持ってきたよ~。これが警視の部屋の前の廊下のテープ」
咲「さすがに個室の監視カメラは無かったけどぉ」
ガウディル「…ふぅん、それに何かおかしな事が映ってる…というの?」
小衣「ええ、映ってるわ。それもバリバリおかしな部分がね」
姫百合「…………」
裁判長「…なるほど、それなら」
裁判長「係官!今すぐ再生してください!!」
【12月24日 午後11時59分】
①廊下の前で部屋に向かう北芝愛と神津玲
②扉を開けた時、一瞬固まる二人
③ゆっくりと中に入る北芝愛
④腰に拳銃を隠し中に入る神津玲
⑤閉じられる扉
姫百合「…………!?」
裁判長「こっ…これは!?まさか!?」
ガウディル「……どういう事かしら?まさか…」
ガウディル「弁護側が、被告が被害者を殺そうとしている決定的な瞬間を見せてくるなんて……」
小衣「……………」
姫百合「小…小衣警部…!一体…何のつもりで…」
馬のマスク「やっぱり…神津くんは北芝を殺すつもりだったのか!!」
ピンク「そうよ!腰に拳銃を隠して部屋に入って…扉を閉めて!!」
ガウディル「…それで?これの何が検察側の主張と矛盾しているのかしら?」
ガウディル「被告人は被害者を殺す際、部屋で乱闘。そして部屋が荒らされ殺した…」
小衣「…まだ気づかないの?」
小衣「この映像で矛盾しているのは、映像なんかじゃないわ」
姫百合「えっ…?」
小衣「姫百合、アンタなら分かるでしょ?この記録のどこに矛盾があるのか」
姫百合「…………」
姫百合(この、映像の矛盾は………)
→【12月24日 午後11時59分】を突きつける
姫百合「……あっ!!」
姫百合「ああああああああああああああああ!!!!」
裁判長「なっ何なんですか!?一体!」
姫百合「矛盾している……!」
ダンッ
姫百合「殺害現場と、被害者の解剖記録の死亡時刻と!!大きく矛盾しています!!」
馬のマスク「なんだと!?……あっああっ!!」ガガーン
小衣「……気づいたようね」
ダンッ
小衣「そうよ!この時刻が証明しているわ!!」
小衣「この時刻から被害者が殺される時間まで2分も無い!そんな状況で!!」
小衣「場所の移動どころか、人を一人殺す事だって不可能よ!!」
姫百合「増してや、部屋は大きく荒らされていました!その状況で…」
ガウディル「異議あり!!」
ガウディル「しかし!解剖記録にはこうも書かれているわ!!」
ガウディル「胸を一突きされて”即死”だと!!」
姫百合「異議あり!!」
姫百合「神津警視の個室の出口は一つしかありません!」
姫百合「仮に一分以内に移動できたとして、この監視カメラの映像に遺体と凶器が移動される瞬間が映っていなければおかしい!!」
ガウディル「異議あり!!」
ガウディル「映像に残らないで移動する方法が一つあるわ…!部屋の窓からあらかじめ紐を垂らして下の階にまで…」
小衣「異議あり!!!」
小衣「事件現場は警視の個室の上の階にあったわ!!」
小衣「もし上の階に移動させるとなれば、あんな重い像…二人がかりでも相当な時間が掛かる!」
小衣「更に言えば、そのような紐は一切無かった!!」
小衣「借りに警視が犯人だとして、彼らに見つかるまでの間に紐を処分する手段は皆無に等しい!!」
小衣「それに、貴方達はさっき証明したわ!!「凶器と遺体に移動された形跡は無い」って!!」
小衣「検察側の現場検証と記録不足!そして発言の記憶不足!!いくらなんでも検察側は不足しすぎよ!!!」
ガウディル「ぐっ…!!ぐぐぐぐぎっ…!!!」
カンッ!!
裁判長「……しかし、そうなれば」
裁判長「被害者と共に、どうして被告人も一緒に事件現場に居たのでしょうか?」
姫百合「……………」
姫百合「…検察側は、何か証明できるものはありますか?」
ガウディル「………………」
ガウディル「……10分の休廷を要請するわ」
姫百合「!」
ガウディル「10分で検察側は事件現場の監視カメラを調査する」
ガウディル「調査不足に関しては謝罪します。ですが」
ガウディル「私は、諦めるつもりはございません」
裁判長「……分かりました」
裁判長「それでは!これより10分間の休廷に入ります」
カンッ
続きは一時半から
【????? 某所 某時刻】
ポ…コカ……ガガゴ……ボゴォ……
小林「……………」
小林(何だろう…この奇妙な音は…)
小林(明らかに人為的で…泡がはじけるような音がする…)
ポ…ポココ……コ……ボボボ……
小林(……………人の、声?)
小林(にしては、すごく潰れてるような…)
小林「………音は、こっちの方かな?」
小林(この暗闇の中、僕はずっと足と耳を頼りに前へと進んでいた。)
【横浜裁判所 第二控え室 12月25日 午後6時10分】
姫百合「…………」
姫百合(あ…危なかった……)
姫百合(小衣警部が証拠品を提出してこなかったら…私は……)
ポカッ
姫百合「いっ痛っ!」
小衣「…………」
姫百合「あっ…小衣警部…」
小衣「…しっかりしなさいよ!」
小衣「貴方、裁判中に諦めてたでしょ!?」
姫百合「えっ!?……あっ……」
小衣「…………」
小衣「ふん、否定しないって事はやっぱりそうなのね」
姫百合「すっ…すみません…」
小衣「いーい!?この事件は警視が絶対殺してない事件なの!」
小衣「小衣達がやるのは真実を証明してやるだけ!たったそれだけなのよ!!」
小衣「何も難しい事は無いじゃない!!」
姫百合「……………」
姫百合「…そう…ですよね……」
姫百合(私は…最初に意気込んだ事も忘れていたのだろうか…)
姫百合(今は、神津警視を信じるだけだって…)
姫百合(………っ!!)
パシーンッ
小衣「…………」
姫百合「…よしっ!目を覚ましました!!」
小衣「よしっ!今度こそちゃんとしなさい!!」
姫百合「はい!!」
姫百合(大丈夫…私は!真実を証明するだけ!)
姫百合(今までと比べたら、どうって事ない裁判なんだ!!)
「ちょっと待った!」
小衣「!?……って、次子じゃない。どうしたのよ」
次子「いや、あのさ。さっきまで警視の部屋を調べてたんだが」
次子「…どんな些細な事も見つけたら報告って事で、一応思ってきたんだが」
小衣「そうよ?分かってるならとっとと出しなさいよ」
次子「おっ!分かった。まぁ、多分これ警視の物じゃねぇよな?」
証拠ファイル⑧レースの一部?
【神津玲の個室に残っていたもの。個室にはレース付きのものは存在していない】
小衣「…なにこれ?ただのゴミじゃないの?」
次子「いや、警視がこんな少女趣味そうなもの部屋に置くかなぁ?って思うじゃん?」
次子「あのチビッ子検事もこんなの趣味じゃなさそうだしさ」
姫百合「…………」
小衣「…ふん。とりあえずもらっておくわ」
小衣「行くわよ!姫百合!」
姫百合「あっ…はい!」
次子「おっす!頑張れよ二人とも!傍聴席で応援してっから!」
【横浜裁判所 第一法廷室】
ザワザワ…ザワ……
カッ!!
裁判長「これより!神津玲の殺人の審議を開廷します」
裁判長「弁護側、検察側、準備の方はよろしいですか?」
姫百合「…」スゥー
姫百合「弁護側!準備完了しています!!」ダンッ
ガウディル「…………」
裁判長「…何やら、弁護側は元気いっぱいになって帰ってきましたね」
裁判長「それで、検察側はどのようで?」
ガウディル「…………映像の調査は終わったわ」
姫百合「!」
裁判長「…なるほど、それはそれは」
裁判長「それで、何か分かりましたか?」
ガウディル「………それは」
ガウディル「見て貰った方が早いわね」
姫百合「…………」
姫百合(ガウディル検事…先ほどよりもずっと冷静だ…)
姫百合(一体…何を考えている?)
裁判長「…分かりました」
裁判長「係官!今すぐ映像記録を再生してください」
【映像記録】
①12時01分→暗闇
②12時12分→暗闇
③12時30分→点灯
④12時30分→遺体と凶器と神津玲が立っている
⑤12時31分→神津玲との戦闘
⑥12時32分→赤の飛び蹴りがさく裂。だが、神津が交わし壁に当たる
⑦12時32分→青の警棒がさく裂。しかし外れて神津の足の先に当たる
⑧12時32分→神津玲がポリレンジャーに手を突き出そうとした瞬間、首に麻酔銃の弾が刺さりそのまま倒れる
姫百合「………こっ…これって……!」
ガウディル「…どうやら、私達はとんだ勘違いをしていたようね」
ガウディル「何も、被害者が殺された時間と証人に見つかった時間が同じとは限らない…」
ガウディル「そこに30分もの時間があった…なら」
ダンッ
ガウディル「証人は遺体を動かす事が可能だったのよ!!」
姫百合「異議あり!!」
姫百合「しかし!凶器は!凶器には動かされた形跡がありませんでした!!」
ガウディル「異議あり!!」
ガウディル「…何も、あれが真の凶器だったと考える必要も無いでしょう?何せ、時間は三十分あった」
ガウディル「真の凶器で殺害した後、あの銅像に突き刺した…そう考えるのが当然の事でなくて?」
姫百合「異議あり!!」
姫百合「しかし!方法がありません!!」
姫百合「あの繋がっている箇所に串刺しにする方法が!!」
ガウディル「……ククク……おぉーっほっほっほほほほ!!!!!」
ガウディル「ついに…そこまで来てしまったわね…」
姫百合「…っ!?」
ガウディル「あの銅像…確かに被害者の遺体を回収するには銅像を破壊する以外に無かったわ」
ガウディル「でもね、それは大して問題じゃないの。問題は…」
ガウディル「そこには、そこでパトロールしていた戦隊と被害者と被告人しか警視庁に居なかった!」
ガウディル「彼らのアリバイは監視カメラの映像で確認されている!しかし、被害者と被告人には無い!!つまり」
ガウディル「殺害方法が何であれ、被害者を殺せたのは被告人以外に有り得ないのよ!!」
小衣「異議あり!!」
小衣「そんな!そんな事がまかり通ると思ってるの!?」
小衣「殺害方法が不明な事件なんて!そんな!!」
ガウディル「…一つだけ、方法があるわ」
小衣「!?」
ガウディル「覚えてるかしら?貴方が提出した映像の中には、最後に拳銃を構えて被害者と部屋に入った被告人が映っていた」
ガウディル「これが何を意味するか、分からないわけじゃないわよねぇ?」
姫百合「………一度…被害者を射殺して棒を貫かせた…」
姫百合「あなたは、最初からそれを狙っていたのですか?」
ガウディル「ふふっいいえ、最初とは大分大番狂わせだったけど…」
ガウディル「ただ、証拠品からして非常に確立が高いわねぇ」ククク…
姫百合「…………っ」
小衣「クゥゥ…!…何で私はあんな証拠品を…!」
姫百合「………(何だ?この違和感は)」
姫百合(この映像、どこかおかしい所は映ってるか?映ってないか?…?)
→映ってる
映っていない
→映っていないを選択
姫百合「…小衣警部。おかしいと思いませんか?」
小衣「何がおかしいって…まさか、捏造!?」
姫百合「いえ…おそらくあの映像は本物だと思います」
姫百合「しかし、最後に行った神津警視の行動」
姫百合「逃げずに手を突き出し、止めようとしたのを誰かに妨害されたかのようにも見えますよね?」
小衣「!……って当然でしょ、警視は無駄な暴力はしないのよ!」
姫百合「はい。それで、映像見てもう一つ違和感があったのですが…」
姫百合「ピンクの人が、全く映っていませんよね?」
小衣「!」
ダンッ
姫百合「証人!…の、ピンクさん!!」
ピンク「はぁ~い☆なんですかぁ?」
姫百合「…先ほどの映像を見て貰った所、分かっていると思いますが」
姫百合「この映像、貴方が全く映っていませんよね?」
馬のマスク「!?」
赤「あっ…あれ!?ほっ…本当だ…」
ピンク「…………」
姫百合「更に言うと、貴方達が現場に来たのは12時30分……」
姫百合「当然、被害者はとっくに死んでいます。確認するまでも無いでしょう」
姫百合「ですが、貴方は確認どころか駆け寄り近づこうともしていません」
姫百合「…ピンクさん、貴方」
姫百合「一体何を隠しているんですか?」
ピンク「……………」
ピンク「……本当はね」
ピンク「近づかなくても、死んでいるって気づいてたんだぁ……」
馬のマスク「えぇっ!?」
青「ちょっ待てよ!俺達は見たぞ!?検事に向かっていくピンクの姿を!!」
赤「そうだ!今から確認してくるって言ったのは…!!」
ダンッ
姫百合「しかし!映像から見ても被害者に近づくピンクの姿はありません!!」
姫百合「…ちなみにリーダーさん。このカメラの死角には何がありましたか?」
ピンク「………」
馬のマスク「え?いっいや…特に何も無かったぞ?せいぜい窓があるくらいしか…」
ピンク「…………」
姫百合「…この監視カメラの映像の視野は狭くありません」
姫百合「一目見ても窓が映っていない事と入り口が遠い事は一目瞭然です。そんな部屋で」
姫百合「二人は、どうやって入って来たのでしょうか?」
ガウディル「…何が言いたいのかしら?」
姫百合「先ほど証明した通り、現場は被告人の部屋の上の階にあります」
姫百合「そして、二人は個室から部屋に出た形跡がありません」
姫百合「紐も無し、そんな状態で移動なんて可能でしょうか?いいえ、不可能です」
ガウディル「しかし、ラグは30分あった。それなら……」
ダンッ!!
姫百合「…一つだけ、あるのですよ」
姫百合「誰にも見られず、かつ一瞬で移動でき殺す方法が」
小衣「!!」
ガウディル「………ほう?それじゃぁ、聞かせてもらおうかしら?」
ガウディル「北芝検事を殺し、誰にも人目につかず現場に向かえる方法を!!」
→協力者が居た
壁をのぼった
テレポート
→テレポート
姫百合「…この方法は、被害者と被告人を一瞬で移動するだけでなく」
姫百合「被害者を一瞬で殺し、銅像に触れずに串刺しに出来る方法です」
ガウディル「……っ!!?」
小衣「…えええっ!?」
裁判長「いっ一体…どのような方法なのですか!?」
姫百合「………”トイズ”です」
ガウディル「………は?」
姫百合「犯人は、テレポーレーションとアポートができるトイズ能力者です」
姫百合「神津警視の個室に忍び込んでいたそいつは、両人に見つかり拘束されそうな所」
姫百合「二人をトイズで瞬間移動させたのです。そう…北芝検事は……」
姫百合「その時に、犯人のトイズの所為で銅像に串刺しにされた!!」
ガウディル「異議あり!!」
ガウディル「馬鹿馬鹿しいわね…!この三流探偵!!」
ガウディル「だったら私は、被告人がトイズを隠して持っていた事を主張するわ!だって!!」
ガウディル「部屋に第三者が居た可能性なんて―――」
姫百合「異議あり!!!」
姫百合「被告人の部屋は荒らされていました!それに……第三者が居た可能性なら、あります!!」
ガウディル「……だったら!!出してみなさいよ!!」
→証拠ファイル⑧レースの一部?を突きつける
姫百合「くらえ!!」
ガウディル「…何よこれ、ただのゴミじゃない」
姫百合「はい。人によってはゴミに見えるのかもしれません…しかし」
姫百合「これは、被告人の部屋にありました。当然被告の部屋にレース製品なんて存在しません」
姫百合「そして…覚えていますか?被告人の部屋で発砲があった事を」
ガウディル「!!」
黄「………あっ!!」
ダンッ!
姫百合「このレースには焦げ跡があります!つまり!!」
姫百合「被告が発砲した際に真犯人の一部に当たって落ちたものなのです!!」
ガウディル「異議あり!!」
ガウディル「だったら!それの持ち主は誰なのよ!?」
ガウディル「私じゃないわよ…?だって、私はつい先ほど英国から日本に来た」
ガウディル「事件当日、当時間に私は日本に居なかったのだからねっ!!」
姫百合「………分かっています」
姫百合「一人、心当たりがありますから」
ピンク「…………………」
姫百合「…ピンクさん」
姫百合「そのマスクとスーツを、脱いでください」
ピンク「……………」
姫百合「事件の遭遇から被告の拘束の時、ずっと彼らから離れず今この時まで着替えていないと思われます」
姫百合「当然ですよね。事件発覚から、一日も経っていないんです。取り調べとかもあったでしょう」
ピンク「……………」
姫百合「このスピード裁判、着替える暇なんて無かったかと思われます」
ピンク「……………」
姫百合「なら、当然事件当時の服のままなのでしょう」
姫百合「ピンクさん。私が間違っている可能性だってあるのは承知の上です」
姫百合「――そのマスクとスーツを、脱いでください!!!」
ピンク「…………………」
ピンク「……まっいいかぁー…」
ピンク「どっちみち、私達の勝ちだしぃ………」
ピンク「………………はは」
ピンク「はははは…はは………」
ピンク「…………警視戦隊!ピンクポリ!!」ビシッ
ピンク「これより!!キャスト☆オフを始めちゃうよぉー!!」キラン
ピンク「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
キラーン☆
キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル→きゅるきゅるきゅるきゅるきゅる
ドガァアアアアアアアアアアアンッ
ゴスロリ少女「キャハ☆」
ゴスロリ少女「ポリピンク解除!私は普通の女の子、間宮ザクロでぇーすっ☆」
ザクロ「職業はー…んーと、高校生とサイコパスやってまぁーす☆」
馬のマスク「!!!」
赤「サ…サイコパス…!」
ガウディル「……………」
裁判長「そっ…それでは、貴方が!被害者を!?」
ザクロ「うん!でもね…まさか北芝検事が串刺しにされるなんて思わなかったよぉ……」
姫百合「…………」
小衣「…アッサリ自白したわね」
ザクロ「だってぇー、本当はぁ」
ザクロ「神津くんも殺すつもりだったのに」
青「!!」
黄「!!」
小衣「!!!!!!!!」
カンッカンッカンッ
裁判長「かっ係官!今すぐ彼女を拘束しなさい!!」
係官「…………」
裁判長「係官!?一体何を立って…」
ザクロ「まぁまぁー落ち着いてくださいよ裁判長さぁーん?だってもう――」
ザクロ「勝敗はついてるんですからぁ♪」
姫百合「……貴方は、今ここで自白して有罪判決を受けます」
ザクロ「ん?いやぁ、それはそうだけど…違う、違うのよヒメちゃん」
姫百合「……貴方にヒメちゃんと呼ばれたくはありません」
赤「…だっ……誰なんだよ……」
裁判長「…え?」
赤「誰なんだよお前…ピンクじゃ…ピンクじゃねぇぞ!?」
馬のマスク「そうだ…お前ピンクじゃない…!?一体いつから…!?」
ザクロ「ん?あー…あの人の事?もうとっくに死んでるよ?」
赤「!?」
ザクロ「一週間くらい前だったかなー?ちょっと上からの命令でピンクの人を殺して入れ替わって来いって言われてぇー」
ザクロ「ん”んっ…声も変えれるようにしとけって、いやぁー結構キツかったねーこの仕事」グルングルン
赤「…お前…ピンクを………高島を……」
赤「…………」
赤「ぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!」
パァアアアアンッ……
姫百合「!!」
小衣「!!」
赤「」
ドサ……
ザクロ「はいはいはい。ちょっとだけ落ち着いてもらえるかなー?だってさ」
ザクロ「君たちは、もう負けてるんだよぉー?」
裁判長「けっ…拳銃……!!」
小衣「…………」
ザクロ「私としては、ここからは少し温厚に終わっておきたいなー、なんて」
ザクロ「なのに早速人を一人殺しちゃったじゃん!んもー!プンプン」
姫百合(………え?)
姫百合(一体…何が…起こってるんですか…?)
姫百合(私…勝った…んですよね…?)
姫百合(なのに…真犯人は笑って…拳銃を持って…)
小衣「…本当なら、貴方テレポーレーションで逃げられる筈でしょう?」
ザクロ「?」
小衣「なのに、何故それをしないのかしら?もしかして…」
小衣「瞬間移動できる距離も、限りがあるって事じゃないの?」
ザクロ「……………」
ザクロ「ふふっ、まぁ…そんな事は分かっちゃうかぁ」ニコォ……
小衣「だったら…アンタに逃げ場なんて無いじゃない…!」
小衣「勝つって事がいつでも逃げられる事だと思ってたけど…違うなら…」
小衣「何であなたはまだ笑って居られるのよ!!」ダンッ
ザクロ「ふふ、それは――」
神津「逃がすつもりは無いぞ」
姫百合「!」
小衣「警視!」
神津「俺が、これを不測の事態だと思っているだろうとその気になっていないだろうな?」
ザクロ「…………」
神津「こんな明らかに不自然な裁判で気づかない筈が無いだろう」
神津「既に手は回させて貰った」
神津「極秘に北芝検事と手を回しこの日の裁判を標的に数百の機動隊を囲ませた」
神津「中には仏国からの英雄マイルティ・ジェイソンも居る」
ザクロ「…………」
神津「この中に何人仲間が居るかは知らんが…」
神津「簡単に逃げられると思わない事だな。サイコパスよ」
小衣「さっ…さすが警視!頼りになります!!」
姫百合「――!」
姫百合(まさか…神津さんはこの事も予想の範囲内だったと…!)
ザクロ「………………」
カンッ
裁判長「…神聖な裁判所で、このような行為は当然認めるべきではありません」
裁判長「証人…いや、間宮ザクロさん。今すぐ伏状し大人しく……」
バァアアアアアアアアアアアンッ
小衣「っ!?」
姫百合「っ!?」
裁判長「」
ドサ……
馬のマスク「さっ…裁判長ぉおおおおおおおおおお!!!!」
姫百合「どういう…つもりですか…?」
ガウディル「…………」
姫百合「ガウディル…検事!!」
ガウディル「…………貴方は」
ガウディル「この裁判所に、何人のサイコパスが居ると思いですか?」
姫百合「………っ!!」
小衣「あっ…?傍聴席に何人か居るのは分かってるわ!せいぜい…」
姫百合「…待ってください小衣警部」
姫百合「何で…二人も死んでいるのに傍聴席はこんなにも静かなんですかね?」
小衣「!!」
神津「まさか……貴様…」
ガウディル「さすがに、察しだけは良いみたいね」
「……………」
「……………」
「……………」
ガウディル「そうよ、傍聴席に居るのは全員トイズ持ちのサイコパスよ」
ガウディル「そのうち、サイコパスでないのは証人と弁護人とG4と…被告人と被害者かしら?」
ガウディル「やろうと思えば、数秒で貴方達を始末できるわね?」
姫百合「…………っ」
小衣「…そんな……こんな…事って……」
神津「…………クッ…」
ザクロ「…ふぅー☆やぁーっと分かりましたかぁ。私達が勝ってるって意味」
ザクロ「そうですよ。そもそも貴方達が裁判に入ったその時点で”勝って”たんですよ。私達は」
ザクロ「私達は仲間は大切にする方でしてね?これが一番安全かつ確実な方法だったんですよー☆」
神津「……何が目的だ…」
ザクロ「?」
神津「俺の部屋を荒らし…こんな事まで…そして……小林の弟子の誘拐…」
神津「貴様らは…何を考えている…?」
ザクロ「……んー、とりあえず…一番の目的はー…」
ザクロ「……小林オペラの確保って聞かされてますねー☆」
姫百合「!!」
ザクロ「出来るだけ一人だけ!だからこっちで事件起こしてついでに調べてる情報隠滅しちゃえ☆って事で」
ザクロ「この裁判を開いて、小林オペラに一人で向かわせたり♪」
ガウディル「……まさか」
ガウディル「ここまでとんとん拍子に進むなんて思わなかったけどねぇ……」クックック
小衣「…そっそれじゃぁ…小衣たち…アンタ達の掌に弄ばれていただけってこと…!」
神津「…………」
ガウディル「今頃、ミスター小林がどうなっているかは分からないわ」
ガウディル「でも」
ガウディル「これも全て、計画通りよ。Thank you 姫百合弁護士?」
姫百合「……………」
姫百合(私は……負けていた…?)
姫百合(この裁判が…始まる前から…?)
姫百合(奴らに…踊らされていただけだった…?)
姫百合(奴らは…裁判の行方なんてどうでも良かった…)
姫百合(被告人の審議さえ、遊びだったんだ…全部…!)
姫百合(………私は………)
ガタンッ
姫百合(私…は………)
【????? 某所 某時刻】
ボボ…ゴボボ……
小林「……………」
小林(聞けば聞くほど…ガマガエルを轢き潰したような音だ…)
小林(一体どこからこんな音が…)
小林(……………)
小林(……こんな所に、本当に彼女たちが居るのだろうか?)
小林(もし、これが…罠だとしたら…)
小林(………いや)
小林(罠だとしても、何か手がかりが残っている筈だ。何かしらの…)コーン
小林「…………ん?」
小林「扉……行き止まりか」
小林「この先…なのかな?」キュイッ
小林「クッ……重っ…!?」
ゴボボ…ボボボ………
小林「音が…大きく…!」
小林「!!!!」
そこに彼女たちは居た。
椅子に縛られていた。
彼女たちしか居なかった。
手足を椅子に拘束され、首しか暴れていない。
上には裸電球がつるされていた。裸電球が彼女たちの姿を映し出していた。
血まみれだった。
全員、目と耳を潰され黒い血が流れ出ていた。
口から詰まったように血を吐き出すのをみて、先ほどのガマガエルのような声は彼女たちの物だと知った。
ネロ「ゴボ…ゴボボボ………」
エルキュール「ゴボ…コポポ…」
コーデリア「ゴボボボボボ…ボ…」
シャーロック「……………」
目と耳と喉を潰された彼女たちは、今完全なる闇の中に精神があるのだろう。
小林「………ぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
僕がその光景に耐え切れず叫んだその時、地面の一部が起き上がり
地面の突起が僕の目と口を貫いた。
小林(……………)
小林(………ここは……)
小林「――ッ!――ッ!」
小林(声が…出せない……)
小林(そうだ、僕も目と口を……潰されて…)
小林(……………)
小林(何も…見えない………)
小林(本当に、暗い…暗闇の中だ…)
小林(彼女たちも…僕と同じように………)
小林(………………)
小林(………)
小林(…)
【横浜裁判所 第一法廷室】
姫百合「…………………」
ガウディル「…さて、もうそろそろかしら」
ガウディル「それじゃぁ私達は、もう用が済んだ頃だと思うので」
ガウディル「ここで、お暇させて貰うわね?」ニコッ
小衣「!!」
小衣「させるかっ…!アンタ達なんか…アンタ達なんかぁ!!」ダンッ
ザクロ「ふふーん?」ヒュンッ
小衣「!!」
ザクロ「テレポートって、結構な殺傷能力あるの。さっきの裁判で痛い程知ったでしょう?」
ザクロ「北芝ちゃんみたいに、あの旗にテレポートさせて串刺しにしてみせましょうか?」
小衣「――――ッ!!――っ!!」
姫百合「………………」
神津「……………」
ガウディル「…しかし、貴方達は良い子ねぇ。動けば殺されるってこと分かってるみたい」
ガウディル「まぁ、約120人のサイコパスに囲まれれば…そりゃぁね?」
ガウディル「警視正が用意した機動隊も役に立たないでしょうしねぇ」
神津「…………」
神津「……姫百合」
姫百合「………」
神津「お前は…俺の資料を読んだのか?」
姫百合「…………」
神津「呼んだのなら…分かる筈だ」
神津「何故、小林がお前に俺の弁護を任せたのか」
姫百合「…………」
神津「…よく、考えろ。そして…思い出せ」
姫百合「…………」
姫百合(よく…考えろって……こんなの……)
姫百合(こんなの……どうしろって…言うんですか…)
姫百合(簡単に人を殺せるトイズを持つ人たちが…120人…!)
姫百合(こっちは…トイズを使えるのは…私一人…)
姫百合(……ここで、機動隊が突入すれば機動隊どころか私達の命も危ない)
姫百合(そんな…そんな状況で…あの資料の事なんて………)
姫百合(…………)
姫百合「!!」
姫百合(あった…!でも…この方法は…)
姫百合(ほとんど博打…!そもそもあの証拠品が本物だとは限らない!!)
姫百合(…でも、確かに)
姫百合(この方法しかない!!)
ダンッ
姫百合「……弁護側は」
姫百合「………私達は…!!」
→証拠ファイル④赤い石を突きつける
姫百合「くらえっ!!!!!」
ダンッ!!!
姫百合「…やれるもんなら、やってみてください」
ガウディル「…?」
姫百合「私達は…弁護側は………」
姫百合「決して!!降状しません!!最後まで全力で抵抗します!!」
姫百合「…さぁ、使ってみてください」
姫百合「貴方達のトイズを!!!」ティロン
ガウディル「…………」
ガウディル「…とうとう恐怖でおかしくなりましたか」ハァー
ガウディル「良いでしょう。そこまで言うなら見せてあげますよ」
ガウディル「これが貴方達の最後にみる光景となるのですから。ちゃんと見ておきなさい」
ガウディル「私のトイズは!!どんな物でも切れ味の強い刃物に変えてしまうトイズ!!」
ガウディル「この鞭で切り裂かれれば!例え鉄でも生クリームのように切れてしまう事でしょう!!」
ガウディル「そして!この120人の一斉に放たれるトイズのハーモニー!!」
ガウディル「この美しきトライアルの中で!朽ち果てるが良い!!」ビュンッ
ペチンッ
姫百合「……………」
ガウディル「……………」
姫百合「……………」
ガウディル「……なっ…何…!?」
ガウディル「何で……鞭の刃物が…!?」
「オイ…ナンダヨコレ……」 「オレノトイズモデナクナッタゾ!」
「ナンデダ!?トイズガキュウニツカエナクナッタ!!」 「イッタイナニガオコッテイル‼‼」
ダンッ
ザクロ「きっ…貴様ぁああ!!一体何をしたぁああ!!」
姫百合「……これが、私の最後の抵抗です」
姫百合「「強制発動」のアンチ…「強制停止」を行いました」
ザクロ「っ!?アッ…あんたのそのトイズは!こんな大勢の人間のトイズを一気に止める筈が…!!」
姫百合「はい。私一人のトイズの力では、無理でした」
姫百合「しかし、今の私にはコレがあるのです!!」スッ
ガウディル「!?…なっばっ馬鹿っな!!それは!!アイツが!!アイツが持って…!!」
神津「…俺がお前らのアジトに踏み入った時、隠し場所を間違えたのか見つかってな」
神津「所持品管理はちゃんとしておいた方が良い……」
ザクロ「………っ!!」チャキッ
ザクロ「!!」パキィイイン
次子「おっと、させねぇぞ」シュゥゥゥ…
小衣「…ここまでの事をしてくれたのよ、さすがに覚悟はできてるでしょうね?」
神津「……ここで、ヤキが回ったな…サイコパス共」
ザクロ「…あっ……こっ…この……下等人間…が…」フラッ…
姫百合(……小林さん)
姫百合(貴方は…こうなる事が分かっていたんですね…)
ダンッ
ガウディル「馬鹿なっ…!認めない…こんなの認めないぞ!!」
ガウディル「私達は!サイコパスは!!小林オペラのトイズと共に!!新人類へと…!!」
姫百合「……貴方達がどのような目的を持っていたのか、知った事ではありません」
姫百合「しかし、貴方はもう詰んでいるのです。裁判の周りには機動隊。そしてトイズを使えない今」
姫百合「形成は逆転し、貴方達の負けは確定したのです!!」ダンッ
ザクロ「グ……グググググググググ……!!!」プルプルプル
姫百合「貴方達は、もう私達に勝つ事はできません!!」
姫百合「これで…チェックメイトです!!」
ガウディル「……………認めん…私は…認めないぞ……!!」
ガウディル「この時の為に…!!小林オペラを日本に帰したんだ…!!横浜に送ったんだ…!!」
ガウディル「計画は順調だった…!今日までずっと…順調だったんだ…!そうだ…順調なんだ……!!」
ガウディル「今も…順調なんだ…!!私が!私が生き残れば!!」
ガウディル「ククク…ハハハハハ………」
ガウディル「はぁあああああああああはっははっはあははははははははあはははははははははは!!!!!!!!!」ゲラゲラゲラゲラゲラ
ガウディル「はっはははははははははははあっはははあははっはあっはははははははははははははははははははっははは!!!!!!」ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ
ザクロ「…………何よこれ」
ザクロ「ふざけんなよ」
ザクロ「私は!!不老不死が手に入るって言うから!新人類になって旧人類を見下せるっていうから!!」
ザクロ「ずっとここまでやってきた!!やってきたんだ!!!」
ザクロ「アンドレイみどりに命令した!!松本ゲイシーにも命令した!!篠田久留美にも命令した!!!」
ザクロ「あんな奴らでも成功したんだ!!だから!!!だから私だってできたはずなんだ!!」
ザクロ「いやできるんだ!!できるの!!できるんだよ!!できるできるできるできるできる私は新人類!!不老不死になるのよ!!」
神津「…機動隊Aチーム!Bチーム!!突入!!!!」
ガタァアアアアアアアアアアンッ!!!
機動隊A「進めぇえ!!」
機動隊B「取り押さえろ!!」
マイルティ「ヤァ―――――ハァ――――――――!!!!!!ジャスティスっ!!!マイルティ・ジェイソォオオオオン!!」
ザクロ「いやぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
姫百合「………………」
姫百合「…神津警視正。それからサイコパス達はどうなりましたか?」
神津「無力化して拘束した後、サイコパス専用留置所に強制送還した。あそこなら誰一人として脱獄する事は不可能だからな」
神津「逃げ出そうとしても、マイルティ・ジェイソンが瞬時に捕まえるだろう」
姫百合「…結構凄い人だったんですね。彼」
小衣「………コホンッ」
小衣「…でも、人が二人死んだのは変わりないわ」
小衣「その中には、裁判長も……」
裁判長「……………」
裁判長「………ふぅ。なんとかなりましたか」
姫百合「!?」
小衣「えっ…裁判長!?ジジイあんた!?」
裁判長「いやはや、やはり裁判長バッチ、つけておいて良かったですねぇ」
裁判長「正直物凄く痛かったですが…あっ痛たたたた…やっぱり痛いですねはい痛い」
姫百合「……………」
姫百合「…しかし、レッドさんが…」
青「…フッ安心したまえ」
青「あいつは今病院に送った所、命に別状は無かったとのことだ」
姫百合「……ええっ!?頭部に当たったんですよ!!!?」
馬のマスク「ははは!俺達は何も裸のまま覆面してるわけでは無いのさ!!」
黄「ちゃんとヘルメットつけてからマスクつけてるのよ!ほらぁ!」スッ…
姫百合「おおぅ…だからそんなに頭がでかかったのですね…」
裁判長「……ですが」
裁判長「ここまでサイコパスが関わっていた裁判は…正直初めてです」
裁判長「まさか、係官もサイコパスの一味だったとは…一度、検査する必要がありますな」
神津「それには同意だ。二度とこんな事は無いようにして頂きたい」
神津「ましてや、拳銃を持ち込む証人など言語道断だ」
姫百合「それは…本当にですよね」
カンッ
裁判長「色々ありましたが、一つ確実な事が判明いたしました」
裁判長「被告人は被害者を殺害していない。すなわち冤罪だった。という事です」
馬のマスク「…今のを目の前で見たら誰でもそう考えるぞ爺さん」
青「フッ誰でもって言う割には…もう傍聴席のお客さんはゼロ人だけどな」
次子「私が居るぞー」
平乃「私も居ますよ!」
咲「うぃーっす、咲ちゃんも居るよー」
小衣「…ふん、こんな恥さらしな裁判なんて初めてよ……馬鹿」
神津「……………」
カンッ
裁判長「それでは、これより被告人の判決に移りたいと思います」
裁判長「被告人、よろしいですね?」
神津「…………」
神津「小衣、姫百合」
小衣「はいっ!警視…正!」ビシッ
姫百合「あっはい!神津警視!!」ビシィッ
神津「…………」
神津「よく、頑張ったな。ありがとう」ニコッ
小衣「っ!!////」キュン…
姫百合「……っ!はいっ!!」ビシッ!
カンッ
裁判長「それでは!被告人に判決を言い渡します!」
【 無 罪 】
ワーワー! オメデトーゴザイマース! ヤッター!カッタンダゼココロー! オメットサーン
裁判長「それでは!これにて閉廷!!」
カンッ
【????? 某所 某時刻】
小林(……………)
小林(手足の…感覚も無くなってきたな…)
小林(もう…僕は倒れてるのか立っているのか)
小林(今の感覚だと…浮いているように思える…)
小林(……………)
小林(僕は………)
小林(死んだのだろうか………)
小林(死んだ先は…このように無の世界なのだろうか…)
小林(彼女たちは…ここに居るのだろうか…)
小林(……もし、居ないのだとしたら)
小林(彼女たちは…まだ生きている事になる…)
小林(それが、良い事なのか悪い事なのか……僕にはわからない…)
小林(この暗闇と無の中…僕はずっと生き続けるのだろうか…)
小林(………………)
小林(この…謎も答えも無い世界に……)
小林(…………)
小林(………)
…………
白い髪の少女「あーあ。やっぱり人間じゃ無くなったんだね」
小林「…………」
白い髪の少女「あのね、今貴方の眼じゃ私以外が見えていないかもしれないけど」
小林「…………あれ」
白い髪の少女「今の貴方ね、現実では化物みたいになってるよ」
小林「……………」
小林「…君は………」
小林「この暗闇の世界で…何をしてるんだ…?」
白い髪の少女「何もしてないよ。貴方の目が潰れて周りが見えてないだけ」
小林「でも…君の姿だけはハッキリと見えるよ?」
白い髪の少女「それはね、私がいくつか上の次元にいるからだよ」
白い髪の少女「うーん、何から言えば良いのかな…」
小林「…………」
小林「…前に君は言っていたね。サイコパスは君に興味があると」
白い髪の少女「うん?」
小林「それは、……もしかしてだけど」
小林「今、僕がこの暗闇の中でハッキリと君の姿が見える事に関係があるのかい?」
白い髪の少女「……うーん、まぁバッチリ関係あると思うよ?」
白い髪の少女「私ね、ずっと昔にトイズが開花して、何のトイズが分からなかったんだけどね」
白い髪の少女「最初は、姿が見えなくなるトイズかと思ったの」
小林「ジェイソンさんと同じような?」
白い髪の少女「でも、今度は瞬間移動が出来たりしたの」
小林「…北芝くんを串刺しにした犯人のような?」
白い髪の少女「でもね、違ったんだぁ。私のね、トイズはね」
白い髪の少女「”すごく上の次元に行く”っていうトイズだったの」
小林「…………」
白い髪の少女「それが、常時発動されるトイズになって」
白い髪の少女「誰も私の存在も認知しなくなったのよ」
白い髪の少女「人間のそうだし、犬や猫も、昆虫も空気も」
白い髪の少女「パパだって私が見えなくなった……」
小林「…………」
白い髪の少女「でもね、貴方のようにトイズが完全に開花したと共にね」
白い髪の少女「やっともう一人の友達ができたの」
白い髪の少女「貴方は、私と同じ違う次元に来れたのよ」
小林「……よく…分からないな…」
白い髪の少女「うん。こう言えば分かりやすいかな?」
白い髪の少女「貴方のトイズは今開花した」
白い髪の少女「全盛期よりもずっと強いトイズになった」
白い髪の少女「でも、その代わり貴方はもう人間の形をしていないの」
小林「…………」
白い髪の少女「その姿は、見えないんだけどね」
小林「……………」
小林「………」
小林「………彼女たちは」
白い髪の少女「………」
小林「彼女たちは…どうなるんだ…?」
白い髪の少女「…………」
小林「目と耳と…喉を潰されていた……」
小林「誰か…助けられる者は…?」
白い髪の少女「…………」
白い髪の少女「……今の君には、何でも分かると思う」
小林「……………」
白い髪の少女「今の貴方になら、この部屋を監視しているカメラを辿って、その映像を見ている人の元へ行って」
白い髪の少女「それから………」
白い髪の少女「…………」
白い髪の少女「……もう、行っちゃったみたいだね」
【???????????????】
監視カメラを辿って辿り着いた場所は、どこか見た事のある光景だった。
そして、見た事のある人物が画面を見ていた。
「ひっ…!!」
僕を見て怯えていた
「あっ…!!あっ…!!ばっ…化物……!!」
後ずさりをしている
「なっ…なんで!?何で画面から出てくるのよ!!日本でしょ!?貴方は日本に居た筈でしょ!?」
怯えて、こっちに物を投げつけてくる
しかし、当たらない
「やだっ!待って!お願い待って!私は!私はただ命令されただけなの!!監視を命じられただけなの!!だから待って!」
画面を見ていた女が、何かを言っている
しかし、聞こえない。何も聞こえない
「待って…お願い…待って………」
僕は、そいつの顔に
手を、伸ばす
「ああああああ!!溶ける!溶ける!顔面が溶ける!!」
タンパク質とカルシウムと脂肪と糖質、ミネラルが掬いだせる
手を掴んですくえばすくう程、彼女たちを救える
目や耳や喉なんて、すぐに作れる
「なんで…?わたし…わたしはただ…頼まれてた……頼まれただけ…」
タンパク質、ミネラル、糖質、糖質、カルシウム、タンパク質、脂肪、脂肪、脂肪…
「……………」
女は動かなくなった。
これだけ質量を取られれば、人間は機能を停止する事を知った。
僕は、これだけの質量を持って、画面に戻って
日本の横浜のあの部屋へと、帰ってゆく………
【????? 某所 某時刻】
姫百合「おそらくここです!!ここに小林さんと皆さんが!!」
神津「……っ」
キィ……
神津「…開いている」
姫百合「!」
ガタァアンッ
姫百合「皆さん!小林さん!!」
ネロ「」
コーデリア「」
エルキュール「」
シャロ「」
姫百合「!!血……!!」
次子「おっ…おいおい!これは洒落になってねぇぞ!」
神津「いや待て!…大丈夫だ」
神津「どこにも外傷は無い。トイズで治された跡がある」
平乃「…!」
小衣「…なっ何よ…!本当この探偵どもはお騒がせよね…」
姫百合「………良かった……」
咲「…………」
姫百合「…本当に…良かった………!」ポタポタポタ
神津「……………」
次子「…おい?旦那はどこに行ったんだ?」
姫百合「…………え?」
小衣「…そういえば、見当たらないわね」
神津「………G4」
神津「お前たちは、この4人を担いで直ぐに病院に連れていけ」
平乃「りょっ…了解です!警視…正!」
姫百合「!…私は」
神津「……何か、嫌な予感がする」
神津「姫百合、二手に分かれて小林を探すぞ」
姫百合「…はい!」
【英国 タイムズ・スクエア 12月26日発行】
ロンドンの郊外にあるリバプーレビルの4階で女性の変死体が発見された。
その女性の遺体は顔面からドロドロに溶かされ、身体は完全にケロイド状になっていたという。
また、女性の部屋は複数のテレビに囲まれ、画面にはどこかを監視していたという事から
盗撮魔の可能性がある事が証明された。しかし、ロンドン警察のクイーン警視の捜査によれば
女性の遺体はロンドンで有名な怪盗チェスター・キャットの片棒クレアストーム・ブリアの可能性が高いとして
ロンドンでは波紋を呼んでいる。
そもそも、怪盗チェスター・キャットはもう一人のフランダース・サファイストルムがサイコパス殺人を犯したとして
悪い方で話題になった怪盗である事から、サイコパスに何かしらの関係があるとしてロンドン警察は捜査を進めている。
【1月1日 横浜大学病院 204号室】
シャロ「………………」
シャロ「………んふぅ……ん……」
シャロ「………うん?」
シャロ「…………あっ」
シャロ「学校だ!」ガバッ
シャロ「時間はっ!?……って」
シャロ「なぁーんだ、今日はまだ冬休みじゃないですか」ボフン
シャロ「まだ1月1日、新年が明け……新年…」
シャロ「…………」
シャロ「あぁー!!」ガバッ
シャロ「今日は先生と初めてのお正月を過ごすんでしたぁ!楽しみにしてたのに忘れてましたぁー!!」
ネロ「そうだよ!!小林にお年玉を貰わなきゃ!!」ガバッ
コーデリア「ハッ!今日は教官と初めての初詣!」ガバァッ
エルキュール「おっ…お雑煮……」スッ…
シャロ「…………」
ネロ「…………」
コーデリア「…………」
エルキュール「……………」
シャロシャーロック「……あれ?ここ、どこですか?」
ネロ「んー…見た感じ、病院みたいだね」キョロキョロ
コーデリア「うーん…どうして私達、お正月に病院で寝過ごしてるのかしら?」
ネロ「まぁでも、前回は刑務所だったしねー。刑務所から出る年越しそばとお節は美味しかったじゃん」
エルキュール「…でっでも…今回は…」
シャロ「そうです!先生とおせち料理を頼んでいたんですよ私!」
シャロ「なので今すぐ事務所に戻りましょう!もうすぐ届きます!!」ガバッ
ネロ「なんだって!?それはウカウカしてられないね!」バッ
コーデリア「教官もそこで待っている…筈!!」バッ
エルキュール「…でっでも…一度…看護師に…」スッ
シャロ「大丈夫ですよ!だって私達、今こんなにぜーんぜん元気なんですから!」ガラララ
姫百合「」ビクッ
シャロ「…あっ!ヒメちゃん!」
ネロ「ヒメ、お見舞いに来てくれたの?でも悪いね!今から僕達退院するんだ!」
エルキュール「あの…私達に一体何が……」
コーデリア「今から私達、事務所に戻るのよ!」
姫百合「…………えっ」
姫百合「えっ…?皆さん……目は……」
シャロ「?目…ですか?いつもよりパッチリ見えてますよ!」クリクリ
姫百合「…………うっ……」
姫百合「…うぅ……」ガタンッ
シャロ「!ヒメちゃん!?」
ネロ「どうしたのさ!急に泣き出して」
姫百合「…ほっ…本当…に……!!」
姫百合「うっ…ううぅ…!!」ポロポロポロ
コーデリア「ちょっちょっと…落ち着いてヒメ。何がどうしたの?」
エルキュール「私達に…何が…?」
姫百合「…………はい」
姫百合「全部…話します……」
シャロ「…………」
ネロ「…………」
コーデリア「…………」
エルキュール「……………」
姫百合「……………」
ネロ「…つまり、僕達はサイコパスに誘拐されて血まみれだったって事?」
姫百合「はい…私達が見たときは外傷は無かったのですが」
エルキュール「それで…小林さんが私達を助けに…」
姫百合「…はい。私が、神津警視の裁判を受け持ちました」
コーデリア「そうだったのね…」
ネロ「僕達が居ない間、そんな大事件が起こっていたんだ」
シャロ「でもヒメちゃんも先生も凄い!結果的にどっちも助けちゃいましたもんね!」
シャロ「サイコパスっていう悪い人たちも捕まえて、これで事件解決!です!」
ネロ「だよね!ちゃっかり活躍しちゃってさ!もう、ちょっと羨ましいぞヒメ」
姫百合「……あはは…」
シャロ「それで、先生は今どこに居るんですか?」
姫百合「………………」
コーデリア「……ヒメ?」
姫百合「………………」
ネロ「…ねぇ、ヒメどうしたの?黙っちゃって」
姫百合「………………」
エルキュール「…………あの…」
エルキュール「小林さんは…一体どこに…居るんですか…?」
姫百合「………………」
コーデリア「…ねぇ、ヒメ?教官は?…ねぇ?」
姫百合「………………」
姫百合「…見つかって…いないんです…」
シャロ「っ!?」
ネロ「!!?」
コーデリア「!!」
エルキュール「………っ!!」
姫百合「あの後…現場と横浜中…警察も動いて捜査していました…」
姫百合「捕獲したサイコパスとも面会で取り調べもしました…しかし、有益な情報は持っていませんでした…」
姫百合「全国の警察署にも要請し、行方不明の捜索願も出したのですが……」
姫百合「…姿どころか、手がかりさえ何一つありません…でした……!」
ネロ「……どういう、事…?」
姫百合「私にも…分かりません…!!でも……もう一つ……悪い知らせが…」
コーデリア「……え?」
姫百合「小林さんの捜索はこれまでも続いていくのですが…しかし…」
姫百合「見つかったその場で…日本を追放される可能性があります…」
ネロ「!!?」
コーデリア「えっ!?」
シャロ「ど…どうしてですか!?」
シャロ「先生は悪い人をいっぱい捕まえました!怪盗も!サイコパスも!!冤罪になった人を助けたりもしました!!」
シャロ「なのに……なんで先生は追放されるんですか!?」
小衣「危険だからよ」
シャロ「!!」
姫百合「明智…警部」
小衣「…何よ姫百合。やっぱりこんな所に居たの?暇ね」
小衣「まぁ、正月何て誰もかれも暇か」
ネロ「それより!小林が追放ってどういう事だよ!答えろ!」ダンッ
小衣「答えなくても…ちょっと考えれば分かる事よ」
小衣「サイコパスの狙いは小林オペラ。奴が居る限り何度でも殺人を犯すでしょうね」
小衣「一度は大量虐殺のテロを起こそうとした奴らよ?日本に標的を置いておくのはさすがにマズイでしょ」
ネロ「…でも!小林は何も――」
小衣「何も刑務所に入れるとは言って無いわ。ただほとぼりが冷めるまで隔離させるだけ」
小衣「さすがにこの国は危険物を許容する程、生易しくないって事よ」
ネロ「…………」
小衣「…心配しなくても、小林に対する補助金は出るわ」
コーデリア「………そんなの…」
小衣「…………」
コーデリア「そんなの!!私達が認めると思ってるんですかっ!?」
小衣「…思ってないわよ」
小衣「だって、アンタ達は小林が居ないとダメダメダメダメダメダメなホームズ達でしょ?」
小衣「そりゃぁ、反発もするでしょうよ」
ネロ「―――っ!!」ガッ
姫百合「!」
姫百合「やめてくださいネロさん!」ガッ
ネロ「………………」
ネロ「………なんで…」
小衣「…………」
小衣「…まぁ、捕まえようにも小林はまだ見つかっていないんだけどね」クルッ
小衣「…何を言おうと、こっちはもう決まった事だから」
小衣「もうこれ以上、サイコパスを大きくさせたくないんだから」
ガララララ………
ネロ「…………」
シャロ「…………」
コーデリア「…………」
エルキュール「……………」
姫百合「……………」
シャロ「………先生」
シャロ「どこに…行ったんでしょうかね」
ネロ「……………」
コーデリア「…………」
エルキュール「……ウッ…クッ……!」
ポロポロ…
エルキュール「エグッ…!ウッ…!ヒグッ…!」ポロポロポロポロ
ネロ「ちょっと、エリー泣かないでよ…」
コーデリア「そうよ、貴方が泣いたら…私だって……」ポロポロポロポロ…
コーデリア「うっ…ううううっ……」ポロポロポロポロポロ
ネロ「コーデリアまで…もう。でも、仕方ないか…」
ネロ「こんな理不尽な結末にされちゃぁ…悔しいよね……」ジワッ……
ネロ「……ウッ……クッ………ウゥッ…」ポロ……
シャロ「………………」
シャロ「……っ」ゴシゴシッ
シャロ「っ」キッ
シャロ「…探しましょう!!」
エルキュール「……えっ?」
シャロ「先生を探すんです!!私達の手で!!」
姫百合「…でも、どうやって探すんですか?」
ネロ「そうだよ…だって、手がかりが一つも無いんだよ?こんなの、いくらなんでも…」
シャロ「それでも…探すんです!!」
シャロ「だって!私達は探偵じゃないですか!!」
ネロ「!!」
コーデリア「!!」
エルキュール「!!」
姫百合「……!!」
シャロ「皆が駄目駄目だって無理無理だって言っても!私達なら先生を見つけられます!!」
シャロ「だって!私達が一番先生に近い探偵なんですから!!」
シャロ「先生と…!先生の一番の探偵なんですから!!」ポロポロポロ
シャロ「だからっ………!!」
タンッ
シャロ「誰よりも先に先生を見つけましょう!!」
シャロ「見つけて…!もう…もう…どこにも……!どこにも…!」
ネロ「……………」
ネロ「………そうだね。まだ、僕は小林にしてほしい事があるんだ」ゴシッ
ネロ「お年玉だって、おせち料理だってホワイトデーのお返しだって」
ネロ「まだ、全然貰えてないもん!!」ダッ
コーデリア「……………」
コーデリア「……私だって……教官に憧れて探偵を目指したのよ…」
コーデリア「そんな私達が、たった一人を探すのに絶望しているようじゃ!探偵どころか教官の隣に立てない!!」
コーデリア「立派な探偵に何て、なれないのよ!!」ダンッ
エルキュール「……………」
エルキュール「私も…まだ…小林さんと話し……したい…!」
エルキュール「まだ…!まだいっぱい…!話したい事が…ある…!!」
姫百合「……………」
姫百合「このまま終わるなんて…目覚めが悪いですからね…」
姫百合「どうせ終わらせるなら、キッチリと納得のいく終わりにしましょう!!」
シャロ「私は!まだ!まだまだ先生と一緒に居たい!!」
シャロ「だから!!探しに行きましょう!!」
シャロ「ミルキィホームズ!」
シャロ「捜査開始です!!」
オオオオオ―――――――――!!!!!
白い髪の少女「…………」
白い髪の少女「」スッ
スタスタスタスタスタ……
第五話「さようなら小林オペラ」 ……終
【某日 某時刻 ベルギー アントウェルテン 地方維持裁判所】
カンッ!
裁判長「そこまで!」
裁判長「この裁判は、これ以上の審議を必要としません」
被告人「………っ!!」
検察側「…私も、同意見です」
弁護側「…私も、同意見です」
被告人「まっ…待って!待ってください!」
被告人「私は…!私は本当に…!殺して……」
弁護側「被告人」
被告人「そっそうよ…どうして貴方が真っ先に諦め…」
弁護側「諦めなさい」
被告人「!!」
弁護側「貴方が有罪になる事で、この事件は丸く収まるのですよ」
被告人「……!」
検察側「…………」
被告人「あっ…貴方達……組んで…」
カンッ
裁判長「どうやら、両側も異議は無いようですね」
被告人「ちっ…違う…違う……私は…私は…!」
裁判長「……被告人。罪を認め審議の判決に納得をしてください」
被告人「…………」
スッ
裁判長「それでは!被告人に判決を!!」
「異議!!!」
弁護側「!!」
検察側「!!」
被告人「……!!」
裁判長「………貴方は」
「その判決…ちょっと待ってください」
スタスタスタスタスタ
「この証拠品、どうにもおかしいと思いませんか?」
「誰かが捏造した痕跡もあります」
検察側「――っ!!」
弁護側「だっ…誰だ貴様は!一体何のつもりで――」
「…僕は、ただ真実を求めて来ただけですよ」
裁判長「…………」
「分かっていますよね?裁判長…いや、カーリー・ヘプバーンさん」
カッ
小林「今ここで!全ての真実を突き止めてみせる!!」ビシッ
証拠ファイル⑨カーリー・ヘプバーン 解剖記録
【頭部が内側から破壊され即死、裂かれた腹部には生ゴミが押し詰められ眼球が焼かれていた。死亡時刻は11月10日16時45分】
証拠ファイル⑩カーリー・ヘプバーン 殺害現場
【ブレーディン・ハート・ヤード通りの聖母マリアの絵の前で遺体が見つかった。絵の聖母マリアは心臓を5つの剣で貫かれている。】
証拠ファイル⑪殺害現場の監視カメラを手に入れた!
【遺体は上から降ってきており、その映像がこの監視カメラに記録されている。】
証拠ファイル⑫通話記録を手に入れた!
【16時17分頃に、怪盗二人からの通報があった。】
次回最終回です。最後までお付き合いいただけたら幸いです
クレアストームも死んだか…
北芝もだけど好きなキャラが死にまくってるわ
投稿乙です
あーなるほど全部繋がってんのか…
お疲れ様です
小林の奴人間に戻れたのか?
乙。
ど、どういう状況になってんだ……?
最終回早くみたいですね…
個人的なキャラの勝手なイメージ
間宮ザクロ
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira120060.jpg
まだ?
最終話の投稿はいつですか?
お待たせしました。
明後日の深夜頃に投下します。
しばらくお待ちください
間違えました。明後日の深夜ではなく明後日に投下いたします。
お待ちいただけたら幸いです。
よしきた
ヤター
投下します
『……………』
死体を引きずる白い髪の少女が一人、建物の狭間から覗く星の光を見ていた。
ロンドンはここ最近、曇り空が続いていたからか、今日の夜は特別のように思えたのだろう。
その光から漏れる煌きとほんのりと暖かい風を感じながら、白い髪の少女は上を見上げる。
上を見上げながら、死体を引きずる。
『……………』
月には女性の横顔が映っている。
その女性の目には、まるで私を見て恨み言を呟くの如く醜い目をしていた。
いや、きっと私が醜いからかもしれない。
その月だけは好きにはなれなかった。
曇り空が続くロンドンには珍しいこの月は、白い髪の少女はどうしても好きにはなれない。
月の周りに煌く星は、こんなにも美しく輝いているというのに。
そんな事を思いながら歩くと、引きずっていた死体の首が千切れた。
脊髄と背骨が一気に抜けたのか、殺した時にあばら骨が滅茶苦茶になったのか、首に繋がる脊髄がまるでアーサー王の剣のように伸びていた。
だが、引き抜いてしまうと背骨は情けなくしなっと垂れてしまう。
そのだらしない脊髄を見て、少女はクスリと笑い
再び死体を持ち直して、白い髪は輝きこの星空が煌く夜空の下で死体を引きずり続けた……。
『…本当に、ベルギーまで行くの?』
『…ああ。これが僕の最後の戦いだからね』
ボロボロになった死体は喋り、私の手を掴んで歩く
傍から見れば、死体を引きづっているように見えるだろう。
『それじゃぁ伝えてね。私は元気だよって』
証拠ファイル⑨少女の言葉
【それは少女の所在を大きく主張している内容だった】
『ああ、きっと伝えるさ…伝えるよ』
白い髪の少女は微笑んだ。
最早、人の姿をしていない小林オペラは最後の戦いの場まで進んで、白い髪の少女の手を引きベルギーへと向かっていた…
最終話 【異議あり!】
【某日 某時刻 ベルギー アントウェルテン 地方維持裁判所】
カンッ!
裁判長「そこまで!」
裁判長「この裁判は、これ以上の審議を必要としません」
被告人「………っ!!」
検察側「…私も、同意見です」
弁護側「…私も、同意見です」
被告人「まっ…待って!待ってください!」
被告人「私は…!私は本当に…!殺して……」
弁護側「被告人」
被告人「そっそうよ…どうして貴方が真っ先に諦め…」
弁護側「諦めなさい」
被告人「!!」
弁護側「貴方が有罪になる事で、この事件は丸く収まるのですよ」
被告人「……!」
検察側「…………」
被告人「あっ…貴方達……組んで…」
カンッ
裁判長「どうやら、両側も異議は無いようですね」
被告人「ちっ…違う…違う……私は…私は…!」
裁判長「……被告人。罪を認め審議の判決に納得をしてください」
被告人「…………」
スッ
裁判長「それでは!被告人に判決を!!」
「異議!!!」
弁護側「!!」
検察側「!!」
被告人「……!!」
裁判長「………貴方は」
「その判決…ちょっと待ってください」
スタスタスタスタスタ
「この証拠品、どうにもおかしいと思いませんか?」
「誰かが捏造した痕跡もあります」
検察側「――っ!!」
弁護側「だっ…誰だ貴様は!一体何のつもりで――」
「…僕は、ただ真実を求めて来ただけですよ」
裁判長「…………」
「分かっていますよね?裁判長…いや、カーリー・ヘプバーンさん」
カッ
小林「今ここで!全ての真実を突き止めてみせる!!」ビシッ
【証言開始】
①まず、この事件の被告人であるクイーン警視ですが彼女は英国の警察の筈です。
②どうしてベルギーで犯罪を犯す必要があるのか
③そもそも被害者は事件当日レストランステルヘマでムール貝の白ワイン蒸しを食べていた証拠を残しています。食べ終えた時刻は12時32分
④被害者が殺されたのは12時40分頃…その時被告人はブリュッセルの警視庁に居ました
⑤レストランから出て8分もの間に警視庁に居て被害者を殺すのは被告には不可能です!
検事「……………」
弁護人「………………」
裁判長「……ふむ、なるほど」
裁判長「貴方は、この裁判に提出された証拠品を疑うというのですね?」
小林「はい。その通りです」
小林「こちらに、僕の証言を裏付ける証拠品があります」
クイーン警視「…ミスター小林、何のつもり?」
クイーン警視「そもそも貴方は日本から追放されて行方不明だった筈…!どうしてこんな所に」
小林「今、その話をする余裕はありませんよクイーン警視」
クイーン警視「……!」
裁判長「…わかりました」
裁判長「では、検察側と弁護側はこの哀れな探偵に現実を突きつけてやりなさい」
検事「全く…捏造だと?それは検察側に対する最大の侮辱と受けるぞ」フサフサ
弁護人「そもそも、カーリー・ペップバーとは…誰の事でしょうかねぇ。ふふふ……」
小林「……………」
カッ
裁判長「それでは弁護人、尋問をお願いします」
【尋問開始】
弁護人「まず、被告が被害者の死亡時刻時にブリュッセルの警視庁に居たという話ですが」
弁護人「それに対する証拠品は、もちろんあるのですよね?」
小林「はい。警視庁に設置された監視カメラにはしっかりと映っております」
小林「それも、被害者の死亡時刻時の時もしっかりとね」
証拠ファイル⑬ダップ・ガードン氏の解剖記録
【12時40分に頭部が破裂して死亡。眼球がまだ見つかっていない】
証拠ファイル⑭ブリュッセル警視庁の監視カメラ
【12時~12時45分までの間、クイーン警視がベルギー警察警視総監と討論している姿が映し出されている】
検事「異議あり!!」
検事「証人は嘘をついています」
検事「ブリュッセル警視庁に英国の警視が訪問する等という記録は警視庁にはありません」
検事「当然、警察側である検察庁にそのような記録を伝えてないのはおかしい」
検事「それも、被告という裁判に大事な人物の記録なら特に!」モサモサ
小林「異議!!」
小林「……記録が残らないのは当然の事でしょう」
小林「なんてったって、クイーン警視は極秘任務で行動していたのですから」
裁判長「極秘任務…ですか?」
小林「その通りです」
小林「…前日、イギリスで一度殺人容疑にかけられた怪盗が溶解死された遺体を発見しました」
小林「日本では連日サイコパス殺人事件が起こり、最終的にサイコパス犯は一つのグループに収まっていた事が判明し」
小林「その溶解死された怪盗も関わりがあった事が判明されています」
検事「……何が言いたい?」
小林「…英国警察の捜査によると、その怪盗は……」
小林「以前、ベルギー警察の士官学校に通っていたそうです」
検事「!!」
小林「それは、この写真を見ても明らかです」
証拠ファイル⑮10年前のベルギー警察士官学校の名簿表
【顔写真の下に名前が表記されている。怪盗チェスターキャットの二人も乗っている】
弁護人「たっ確かに…!この二人はあの英国の裁判自爆テロ事件と溶解事件の…!」
小林「英国警察と白国警察は、この怪盗についての調査をしていたにすぎない」
小林「日本の事件でも明らかになった通り、サイコパスの情報収集力は凄まじい」
小林「その為、記録を残さず極秘に捜査をする必要があったのです!」ダンッ
クイーン「…よくもまぁ、機密事項をスラスラと答えてくれるわね」
検事「………」
検事「…もし、それが本当の事なのであれば」モサッ
検事「被害者を殺したのは…一体誰なのかね?」
小林「………」
弁護人「確かに、警察が被告を告訴したのは被告人が現場に居たからです」
弁護人「警察が現場に向かうまで、それまで被害者の近くに居たのは被告だけだった」
弁護人「現場の足跡から、それは明らかですからねぇ…」
小林「………」
小林「…証言の発言権を要求します」
裁判長「よろしい。ならば証言してみるが良いでしょう」
裁判長「ですが、我々は貴方に一寸も容赦しませんよ?」
【証言開始】
①被害者の頭部は、拳銃からでは有り得ない程の量の火薬が検出されました。
②これは、爆薬を使った殺人だと考えるのが常識です。
③そして爆弾があった場所は推定するに首…つまり
④被害者は首に爆弾を巻かれていたのです!!
弁護人「……………」
弁護人「…首に爆弾がまかれていた。それで何が分かるというのかね?」
小林「状況が大きく変わります。首に爆弾を巻かれていたのなら…」
小林「被害者は真犯人の手によっていつでも殺せた。違いますか?」
検事「……それは、尋問で明らかにしてみせようじゃないか」
小林「……………」
カンッ
裁判長「では弁護人、尋問をお願います」
【尋問開始】
弁護人「えーまずですね。首に爆弾が巻かれていたという事なのですが」
弁護人「現場に火薬物はあっても、爆弾の破片とかは全く見つかっておりません」
弁護人「これには、どうお考えですか?」
小林「そうですね。確かに爆弾の破片はありませんでした」
小林「同時に、あるはずの物もありませんでしたね?」
小林「火薬のにおいがするはずなのに、火薬跡の炭がほとんど無かったのです」
小林「これは、明らかに誰かが爆発物を回収したと考えるべきじゃないのでしょうか!?」
検事「異議あり!!」
検事「無意味な考察は遠慮いただこう!!」
検事「これでは推理ではなく検察側の調査に対するいちゃもんに過ぎない!」
小林「異議!!」
小林「僕の推測がいちゃもんだというのなら、それを指摘する証拠品の提出を要求します!」
検事「異議あり!!」
検事「馬鹿馬鹿しい…!そんなもの、検察側が提出する義務はない!!」
小林「しかし、こちらには証拠品があります!」
小林「検察側に提出が不可能ならば、有力説はこちらの方にある!!」
ダンッ
検事「ならば!誰だというのかね!!」
検事「この殺人事件を起こした犯人というのは!!」
小林「……………」
小林「おかしいと、思いませんかね?」
小林「クイーン警視、被害者のガードン氏の素性は明らかになっていますか?」
クイーン「いっいえ…あまり詳しくは聞かされていないわ」
小林「そうです。僕も最初からこの裁判を傍聴させてもらっていましたが…」
小林「被害者の情報は何一つ聞くことはありませんでした」
検事「…………」
小林「これは…明らかにおかしいですよね?」
小林「さらに、被害者の近くには破壊された無線機らしき物が残されていました」
小林「一体何の為に被害者はそのような物を持ち歩いていたのでしょうか?」
弁護人「…………」
小林「更に、レストラン入口の監視カメラには爆弾を付けた首輪を身に着けている被害者の姿が見つかっています」
小林「どうして、この証拠品が提出されていないのですか?」
裁判長「……………」
小林「更に、映像から被害者の顔は酷く重く怯えているようにも見えますね?」
小林「これは、誰かに殺される事を知っている事他ならない」
小林「そして、このような有力な証拠を証拠品として受理しない姿勢…」
ダンッ
小林「断言します」
小林「この事件の真犯人は…この中に居る!!」
クイーン「!!」
検事「………」
弁護人「………」
裁判長「………」
小林「一方的に罪を被告人に押し付けるような裁判…間違いなく」
小林「貴方達全員、グルですね?」
検事「………」
弁護人「………」
裁判長「………」
小林「…僕は、今まで一連の事件を預かり一つの団体の存在を発見しました」
小林「それは、サイコパスが集まる殺人集団。日本で多くのサイコパスを捕らえた際いろいろな情報を日本の警察は引き出しています」
小林「そして、日本はその団体のただの支部であった事」
小林「黒幕は、僕がまだ英国に居た時の裁判にそこに居た事」
小林「……そう」
小林「その時から始まった…日本の一連の連続殺人は貴方の計画で!!」
検事「………」
弁護人「………」
裁判長「………」
小林「違いますか!?」
小林「英国裁判自爆テロの被害者……カーリー・ヘプバーン!!!」ビシッ
検事「………」
弁護人「………」
裁判長「………」
裁判長「………どうやら、ここまで来たみたいですねぇ」
検事「信じてましたよ?貴方が我々の所まで来る事を」
クイーン「!!」
裁判長「証人…いや、小林オペラ」
裁判長「そこまで知っていて…どうしてこの裁判に来たのですか?」
小林「…僕は」
小林「このクソッたれな連続殺人事件に終止符を打ちに来たんだ…!」
小林「だから!ここで追いつめて――」
裁判長「追いつめられてるのは、君の方ですよ?」
小林「………」
裁判長「そもそも、私たちが今回この事件を起こした理由は何だと思いますか?」
弁護人「………」クイ
弁護人「小林オペラを、おびき寄せる為ですな」
小林「…!!」
クイーン「えっ…じゃぁ、まさか!!」
裁判長「ええ。小林オペラ…君は、まんまと引っかかったわけです」
裁判長「私たちが用意した釣り針に…」
ガチャッ
クイーン「動くな!!」スチャッ
裁判長「…………」
クイーン「今、応援を呼んだわ!貴方達はすぐに捕らえられ――」
裁判長「撃ってみなさい」
クイーン「!?」
裁判長「貴方は非常に良い判断をしている。今、私を撃てるタイミングはここだ」
裁判長「私を撃てば全てが終わる。さぁ、私の額を…いや、目だな。目を撃ちなさい」
裁判長「今ここで、トイズを使われても困るでしょうからなぁ」
クイーン「…………」
小林「…クイーン警視、撃っては駄目だ」
小林「奴は何かを企んでいる」
クイーン「……………」
クイーン「……そんな手に、やすやすハマると思いかしら?」ガチッ
裁判長「……なんだ、撃たないのか」
裁判長「なら」
裁判長「お前は用無しだ」
ガコンッ
クイーン「っ!?」
小林「床がっ!?」
クイーン「きゃぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ………
ウィーン… ゴゴーン…
裁判長「……さて」
小林「………」
検事「私たちを」
弁護人「どう、追いつめるつもりですかな?」
小林「………」
裁判長「逆に」ガコン
ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
バァァァァンッ!!
裁判長「追いつめられてる。そう理解できましたか?」
小林「………!」
小林(壁が割れて…中から大量の殺戮の道具が…!)
小林(それも…苦しませて殺すものばかり…!!)
裁判長「……では、最後に審議の時間を差し上げましょう」
裁判長「私たちが、どうして貴方をここまで求めるのか」
裁判長「それを、最後に推測してもらおうじゃありませんか」
小林「…どういう、つもりだ?」
裁判長「ただの遊びです。最後くらい、大掛かりに楽しく終わりたいじゃありませんか」
裁判長「では、問題です」
裁判長「どうして、私は貴方を強く求めるのでしょうか?」
小林「……以前、僕の知る者達からは不老不死に興味があると言っていた」
小林「それが全部じゃないのか?」
裁判長「それは”一部”ですね。ですが、私は違います」
裁判長「では改めて質問します。私はどうして貴方を強く求めるのでしょうか?」
小林「…………(だっ駄目だ…)」
小林(ここまで多くの情報があるにも関わらず…何も思い浮かばない!!)
裁判長「…その顔だと、どうやら何も思い浮かばないようですね」
検事「残念です…」
弁護人「本当、残念です……」
小林「くっ……!!」
小林(何か…何か無いのか!?)
小林(奴が僕のトイズを求める、もう一つの理由が!!)
「「「「「「待った!!!!!」」」」」」
小林「!」
検事「!」
弁護人「!」
裁判長「………」
シャロ「その裁判!ちょっと待ってください!!」
ネロ「僕たちが来たからには、これ以上小林を苛めさせはしないよ!!」
コーデリア「教官を追い求めるのは、貴方達だけじゃありません!!」
エルキュール「小林さんを…返して……もらいます…!!」
姫百合「このまま易々と小林さんを渡しませんよ!!」
コロン「師匠の教えてもらった事!今こそ実行に移す時や!!」
小林「みっ……みんな!?」
コーデリア「やっと…やっと見つけましたよ…!教官!」
ネロ「本当だよ!もう勝手にいなくならないでよ!!小林は僕たちの何だから!!」
エルキュール「もう…もう会えないかと思ってました…!」
シャロ「…もう、一人じゃありません!」
シャロ「最後まで、私たちも戦います!!」
小林「……どうして…ここに居るんだ…!?」
小林「僕は…もう君たちをこんな馬鹿げた狂気に付き合わせたくないから…離れたのに…」
ネロ「…そんなのさ、決まってるじゃん」
シャロ「先生の事が、大好きだからですよ!」ダキッ
姫百合「居なくなったら全力で探すのも、探偵の仕事ですから」
コロン「久々のウチのトイズが役に立ったやで!!」フンス
小林「……………」
小林「………」
小林「皆……」
裁判長「…………」
裁判長「…それで、貴方達も私の審議に参加するというのですね?」
小林「っ!!」
シャロ「はい!もちろんです!!」
ネロ「小林が居れば怖いもの無しだ!!最後にコテンパンにしてやるよ悪党!!」
コーデリア「もう二度と!教官を誰かの手に渡しはしませんわ!!」
エルキュール「……小林さんは……私達が…守ります……!!」
姫百合「小林さんの関係無しに…私は貴方の事が許せません…!」
コロン「観念しいやぁ!日本の西の大探偵様は容赦せぇへんでぇー!!」ビシッ
裁判長「……わかりました」
裁判長「なら、もうこのハンデも要らないようですね」カターン
検事「」バタッ
弁護人「」バタッ
小林「!!!」
姫百合「せっ…背中が……無い!?」
ネロ「…脊髄のある場所に傀儡の棒が深く突き刺さってる」
コーデリア「人っ形…だったって…言うの?」
裁判長「…これは、どう足掻いても私が勝つ審議です」
裁判長「それでも、貴方達は参加しますか?」
小林「…………」
エルキュール「……この審議に…出なくても…」
エルキュール「小林さんは…きっと…連れて…いかれます…!」
シャロ「だから!私達は足掻いて!足掻いて!そして最後まで」
シャロ「絶対に!サイコパスに小林先生は渡しません!!!」
小林「……………」
裁判長「……わかりました」
裁判長「それでは、審議に入りましょう……」
【証言開始】
①何故、私達は小林オペラを求めるのでしょうか?
小林「………」
小林(奴の証言は…これだけ)
小林(このシンプルな証言から引き出すんだ…この一連の事件の真相を!)
姫百合「…奴らは小林さんのトイズを求めてる事には違いありません」
ネロ「なら、奴が小林のトイズで何をしたいのかを求めれば良いんだね!」
小林「…そうだね。たったそれだけで良い」
小林「それだけを証明できれば……」
【尋問開始】
①何故、私達は小林オペラを求めるのでしょうか?
小林「待った!!!」
小林「…その理由は、貴方にとっては明確なのですね?」
裁判長「ええ。大変明確です」
裁判長「それは、ずっとずっと昔から変わりませんよ」
小林「…そうですか。なら…」
小林「どうして、貴方はたくさんの人を殺さなければならなかったのか。答えられますか?」
裁判長「…トイズが覚醒する条件の中に、とことん苦しめるという方法が有力です」
裁判長「その内に殺してしまったり、身内を殺して負荷を負わせたりする事でトイズを覚醒させる例は少なくありません」
ネロ「…それじゃぁ、ヒメの知人を殺したのも…アルセーヌを殺させようとしたのも…クリスマスライブにテロを計画したのも…」
ネロ「全部…小林のトイズを覚醒させるためだったって事…?」
裁判長「はい。それは間違いありません」
姫百合「――っ!!」
ダンッ!!
姫百合「貴方は…そんな…そんな理由で……!!!!」
裁判長「結果的に、小林オペラはトイズが復活しました」
裁判長「それも、大変満足な結果でです」
小林「……………」
小林「…貴方は、トイズを持ち合わせていないのですか?」
裁判長「持ち合わせていますが、それは今言うべき事ではありません」
コーデリア「!!」
小林「それは、今言う事で計画に支障が出るからですか?」
裁判長「答えられません」
ネロ「こいつ…!」
小林「……分かりました」
シャロ「!?先生!?」
シャロ「大丈夫なんですか!?何も情報が引き出せていませんよ!?」
小林「大丈夫だ。もっと慎重に情報を引き出していっても」
小林(しかし、今ある情報だけではとても証明なんてできない)
小林(いくつか質問してみるか――?)
→最初の英国の裁判について
姫百合の裁判について
アルセーヌの裁判について
アイドルの裁判について
北芝の裁判について
→最初の英国の裁判について
小林「――貴方は、最初の事件の時には被害者でした」
小林「あの時の遺体は間違いなくカーリー・ヘプバーン氏の者で間違いありません」
裁判長「………」
小林「しかし、貴方も間違いなくカーリー・ヘプバーンです」
小林「それは間違いありません」
ネロ「え?でもそれって死んでるよね?死んだ後も生きていたって事?」
小林「そう…これは、重要なファクターだ」
小林「奴のトイズの正体は、この時の事件に全ての答えがある」
シャロ「!?」
ネロ「!?」
コーデリア「ま…まさか…」
エルキュール「!?」
姫百合「!?」
コロン「!?」
小林「コーデリアは、気づいたようだね」
コーデリア「…まだ、確信には至っていませんが」
証拠ファイル⑯コーデリアの疑問点
【カーリー・ヘプバーンのトイズの正体】
小林「しかし、これは次の推測でより明らかになるだろう」
小林「あの事件での被告人は僕だったが、真犯人はフランダース氏」
小林「しかし彼女は、あの時自爆してしまった」
小林「果たして、それは何故なのか……」
→被害者を殺したから
遺体が崩壊したから
サイコパスだから
→被害者を殺したから
小林「…被害者と真犯人はサイコパスだった。つまりこの事件はただの茶番に過ぎない…」
小林「しかし、どうして殺す必要があったのか?」
小林「それも、トイズと関係しているんじゃありませんか?」
裁判長「…………」
エルキュール「…もし、死とトイズが関係…していると…したら…?」
エルキュール「…………!」
エルキュール「まっ…まさか…!」
小林「エルキュールは感づいたみたいだね」
証拠ファイル⑰エルキュールの疑問点
【死とトイズの関係】
小林「…カーリーさん。どうですか?」
小林「貴方のトイズと死は、大きく関係してるんじゃないですか?」
裁判長「………はい。その通りです」
裁判長「さすがは、名探偵ですね」
裁判長「最初に貴方の元に訪れた時から、信じていましたよ」
小林「………!」
小林「やっぱり…あの時事務所で出会った貴方とは同一人物…だったのですね?」
裁判長「はい」
小林「姿形は違えど…貴方は…!」
小林「あの時から…!!この連続殺人は始まっていたのですか…!」
裁判長「はい」
小林「貴方は……!」
姫百合「小林さん!落ち着いてください!!」
小林「っ」ハッ
小林「すっ…すまない。姫百合くん」
裁判長「…………」
シャロ「えっ?あの時の被害者と姿と形が違うんですか!?」
小林「ああ。だけど…間違いないよ」
小林「こいつは…同一人物のカーリー・ヘプバーンだ…」
裁判長「…その事に関しては、否定しません」
小林「………」
小林(落ち着け…落ち着くんだ。小林オペラ!)
小林(今は冷静に…次の事を聞くんだ!)
→3つのリボンについて
英国での仕事について
博物館
→3つのリボンについて
小林「被害者の腹部の中にあったリボンの事ですが…今、すべての事件が終わり分かった事があります」
小林「紫と、黒と、白…これは」
小林「日本で起こった事件の真犯人がつけていたリボンと全く同じ色なのです!」
シャロ「!?」
小林「アンドレイ緑は紫!篠田久留美は黒!ガウディル検事は白!!」
小林「貴方はこのリボンで…指示していたのではありませんか?」
裁判長「…………」
裁判長「果たして、彼女たちがこれをどう捕らえたのかまでは分かりません」
裁判長「貴方達は、どう捉えるのですか?」
小林「…………」
コロン「………あの」
小林「どうしたんだい?コロンくん」
コロン「うち…いっこだけ思い当たる事があるんやけど…でも…自信あるかって言われたら……」
証拠ファイル⑱コロン・ポーの疑問点
【三色のリボンの意味】
小林「いや、思い当たるだけで上等だよ」
小林(…しかし、まだ確信には至らないか…)
小林(次は、何を聞こう…)
→小林オペラのトイズ
サイコパスのトイズ
ミルキィホームズのトイズ
→小林オペラのトイズ
小林「…僕のトイズが必要。貴方達は何度もそう言ってきました」
小林「貴方達は僕のトイズを使って不老不死を目論んでいる」
小林「つまり、貴方のトイズは僕のトイズを奪えるもの」
裁判長「…………」
小林「違いますか?」
裁判長「それも…一部でしかない」
ネロ「そんなの!答えになって無いじゃないか!」
ネロ「適当に流して逃れようたってそうは行かないよ!!」
コーデリア「ネロ!そんなに噛みついても…周りを見てみなさい!」
姫百合「…この大量の殺戮兵器。私達の命なんて軽く潰せそうですよね」
ネロ「それに、小林のトイズが復活したからって何なのさ!」
ネロ「奪いたかったら、いつでも奪えたくせにそうしなかったのは……」
ネロ「………あっ!」
小林「…ネロも一つ、思いついたみたいだね」
証拠ファイル⑲ネロの疑問点
【何故今まで小林のトイズを奪おうと思わなかったのか】
ネロ「……でも」
ネロ「やっぱり、まだ頭の中は有耶無耶だよ」
小林(…そう…かもしれないな)
小林(ならやはり…まだ質問を続けるべきだろう)
→年はいくつなのか
どうして身体が違うのか
→どうして身体が違うのか
小林「…カーリーさん」
小林「私が以前出会った時の貴方と、今の貴方の姿は全く違うんですよ」
裁判長「……………」
小林「しかし、僕は貴方をカーリー・ヘプバーンと認識した」
小林「これはどうしてだと思いますか?」
裁判長「……………」
姫百合「怪盗トゥエンティみたいに、姿かたちを変えるトイズだとか…?」
裁判長「違います」
姫百合「違う?そもそも、カーリー・ヘプバーン氏は英国の事件で殺された犯人なんですよね?」
姫百合「なのに、姿形が違うのに同一人物って……」
姫百合「……まっ…まさか!!」
小林「…どうやら、姫百合くんは真実に近づいたみたいだね」
証拠ファイル⑳エラリー姫百合の疑問点
【姿形が変わっているわけ】
小林(あと一押しだ…あと一押しで)
小林(この審議の核心に迫れる!)
→どうして小林がカーリー・ヘプバーン氏を認識できたのか
カーリー・ヘプバーン氏の年齢
怪盗チェスターキャットとの関係
→怪盗チェスターキャットとの関係
小林「貴方と猫怪盗の関係は何か、答えられますか?」
裁判長「…白い方は純粋なサイコパスです」
小林「黒い方は?」
裁判長「貴方が、殺しました」
シャロ「!?」
コーデリア「きょう…教官…!?」
小林「…………」
小林「本当に、黒い方…クレアストームが死んだと思っていますか?」
裁判長「はい」
小林「……わかりました。では、白い方とは前から知り合っていましたか?」
裁判長「はい」
シャロ「せ…先生!殺し…殺したって…!」
小林「…大丈夫だシャーロック…僕を信じて」
小林「それよりも、君もここまで来れたのなら僕が英国で初めて体験した裁判の記録は目を通しているね?」
シャロ「え?あっ…はっはい」
小林「そこで自爆テロを起こしたフランダースという人の経歴に、違和感はなかったかな?」
シャロ「………」
シャロ「…あっ!!」
証拠ファイル㉑シャーロックの疑問点
【カーリー・ヘプバーンとフランダースとの関係性】
小林「そう…これは」
小林「重要なファクターだ」
証拠ファイル㉒小林オペラの疑問点
【何故、サイコパスは小林オペラを狙うのか】
小林(もう…この証言で聞けることは無い)
小林(これで間違いは無い筈だからだ)
小林(この一撃で…終わらせてみせる)
小林(一連の最悪な事件を…今ここで!!)
→①何故、私達は小林オペラを求めるのでしょうか?に
証拠ファイル㉒小林オペラの疑問点を突きつける
小林「異議あり!!!!」
小林「…これで、全ての材料がそろいました」
小林「貴方のトイズ、そしてサイコパスの…貴方の目的」
小林「そのすべてが、今ここで明かされるでしょう」
裁判長「…………」
小林「さぁみんな、聞かせてくれ!」
小林「この裁判で見つけた、重要なファクターを!!」
【暴露開始】
小林「コロンくん!!」
コロン「おっしゃ!!」
コロン「英国の事件の資料を見させてもらったけどな、現場に残っていた遺体の腹部に押し込められた三つのリボンだけが意味不明な証拠品やった」
コロン「だけど、今までの事件を通して分かった事がある」
コロン「この事件は新聞にも載って有名になっとる。当然、サイコパスの仲間の元にも情報が届く」
コロン「つまり、このリボンは」
コロン「仲間に計画を伝える印のようなもので」
コロン「日本に居る仲間どもに計画の開始を早急に伝達したものなんや!!」
小林「よしっ!!」
裁判長「…確かに、その通りですね」
裁判長「あのリボンにはシリアルナンバーが書かれており、それぞれ番号が振られています」
裁判長「その番号に書かれた三人は、特に大事な指令としてリボンを用いりました」
小林「……………」
裁判長「しかし」
裁判長「それだけで、私のトイズと目的を判明できるのですか?」
小林「……それは」
小林「彼女が順を追って聞かせてくれる!」
→証拠ファイル⑰エルキュールの疑問点
小林「エルキュール!!」
エルキュール「は…はい!」
エルキュール「先ほど、カーリーさんとフランダースさんは接点があると言っていました」
エルキュール「そして…カーリーさんが先に死にフランダースさんが後に死にました」
エルキュール「この流れには…何か関連性があると思わざるを得ません」
エルキュール「貴方は……その時に……」
エルキュール「トイズを…使ったんじゃありませんか!?」
小林「よし!!」
裁判長「…まさか、そんな所に着眼点を置くとは…思わなかったが」
裁判長「いかにも、私はその時にトイズを使ったよ」
姫百合「!」
小林「…そうですか。なら…」
小林「彼女が見つけた重要なファクターも…確信をもって披露できる!!」
→証拠ファイル⑳エラリー姫百合の疑問点
小林「姫百合くん!」
姫百合「はい!!」
姫百合「貴方が姿形を変えているのは…貴方のトイズが誰かに乗り移る能力だから!」
姫百合「貴方は殺されるときにフランダースさんに乗り移り…」
姫百合「あの裁判を起こすことを、ガウディル検事と組んで実現させた!」
姫百合「違いますか!?」
小林「よしっ!!」
裁判長「…違いません」
裁判長「驚きました。まさかここまで…」
小林「……いえまだです。まだ貴方のトイズを暴露していない」
小林「貴方が隠し続けてきたトイズの正体を、彼女が暴きます!!」
→証拠ファイル⑰エルキュールの疑問点
小林「コーデリア!!」
コーデリア「はい!!」
コーデリア「エリーの証言とヒメの証言とあの時の事件を照合して確信した事は…」
コーデリア「貴方のトイズは他人の中に入り込む事!そして――」
コーデリア「乗り移った身体を完全に殺さなければ乗り移れない事!!」
コーデリア「貴方は!殺されたのではありません。殺させたのです!!」
コーデリア「あの時の事件の犯人に、自分の事を!!」
小林「よし!!」
裁判長「…素晴らしい」
裁判長「さすがは探偵だ。そこまでわかるとは」
裁判長「しかし…だとすれば不思議ではないかね?」
小林「………」
裁判長「何故、私はあの時証言台で自爆した時に君に乗り移らなかったのだろうか?」
裁判長「時としても、あの時が一番タイミングが良かった筈だ」
小林「…貴方は、あの時乗り移らなかったのではありません。乗り移れなかったのです」
小林「何故なら―――」
→証拠ファイル⑲ネロの疑問点
小林「ネロぉ!!」
ネロ「よし来た!」
ネロ「あんた達サイコパスは、小林が目的というけど実際は違うでしょ?」
ネロ「小林のトイズが欲しいだけでしょ?」
ネロ「だったら、トイズが碌に使えないときの状態で乗り移っても仕方無いよね?」
ネロ「だから…アンタ達は待ったんだ」
ネロ「小林のトイズが覚醒するのを、今この瞬間まで!」
小林「よし!!」
裁判長「…ええ。すべてはこの瞬間まで待っていました」
裁判長「彼女の言う通り、小林オペラのトイズを…いえ、それだけではありません」
裁判長「小林オペラのトイズの”覚醒”を…今、この時までにね」
小林「………」
裁判長「つまり…分かりますね?」
裁判長「追いつめられたのは…貴方達の方なのですよ」
裁判長「今、最高のこの瞬間に貴方は見事に私達の釣り針に引っかかった」
小林「…それは、どうでしょうか」
小林「彼女の証言を聞いても、まだそう言えますか…?」
→証拠ファイル㉑シャーロックの疑問点
小林「シャーロック!!」
シャロ「はい!!」
シャロ「怪盗チェスター・キャットは元々、怪盗側にスパイとして入る警察側の人間でした!」
シャロ「警察学校での記録でも、そのことがキッチリと書かれています!」
シャロ「特にフランダースさんはサイコパス団体を見つけ、自ら入っていきました」
シャロ「これが何を意味するか分かりますか…?」
シャロ「フランダースさんは、貴方に乗り移られるまでは」
シャロ「列記とした警察官!!正義の味方だったんです!」
シャロ「そして…スパイと知った貴方は彼女を計画の一部に組み込み」
シャロ「最終的に殺した…でも!」
シャロ「フランダースさん程のスパイなら!警察所のどこかにサイコパスの情報が残っている筈です!!」
小林「よしっ!!」
小林「以上の事から踏まえて、導き出される答えは」
小林「まず、貴方には死んだ後に誰かの身体の中に乗り移れるトイズを持っている事」
小林「それを使い貴方はフランダースさんの目の前で誰かに殺され、フランダースさんに乗り移った後であのような裁判の悲劇を起こした」
小林「そして僕を日本に送りつけた後、日本にいるサイコパスを使い僕を徹底的に陥れ」
小林「僕のトイズを覚醒させた」
小林「それを使って怪盗チェスターキャットの相方であるクレアストームも消そうと声をかけたのでしょうが」
小林「前日、彼女は貴方に声をかけた事をクイーン警視に密告。後にベラルーシ在中の死刑囚が代役としてモニター室に派遣されています」
小林「彼女は……彼女の事は、本当に申し訳ないと……思いました…」
小林「しかし、そこで僕の姿が消えてしまった事からこのような事件を起こしたのです」
小林「あからさまに僕を釣るための事件を装い」
小林「僕に乗り移るための、全てはただの茶番だったんだ!!」
小林「そして…彼女達が残した情報でここが警察に囲まれるのも時間の問題」
小林「貴方はもう…逃げられない!!」
裁判長「……素晴らしい」
裁判長「だが、あと一歩だ」
裁判長「まだ重要な事が判明されていない」
小林「…………」
裁判長「どうして私が、君を欲しくてやまないのか」
裁判長「何故君なのか」
裁判長「まだ、分かっていないではないのか?」
ネロ「……あっ!言われてみれば…」
シャロ「あの人のトイズの能力が分かっただけですぅ…」
コーデリア「…教官!このままじゃぁ…」
小林「……わかっていますよ。そんなものとっくに」
シャロ「!?」
ネロ「!?」
コーデリア「!?」
エルキュール「!?」
姫百合「!?」
コロン「!?」
裁判長「ほう…分かるのか?本当に?」
小林「ええ……証明してみせます」
小林「貴方が…僕を求める本当の理由は…!!」
→証拠ファイル⑨少女の言葉を突きつける
小林「くらえ!!!!」
小林「……100年前、とあるトイズが開花した女の子が居ました」
小林「そのトイズは、常時発動していていつしか誰もその姿を見る事ができなくなりました」
小林「トイズの能力は…上次元の移動」
小林「少女の姿は、より上の次元に行ける者でないと見えるようにもならなくなったのです」
裁判長「…………」
小林「少女は…その間もずっと独りぼっちだった…」
小林「ずっとずっと…誰かが来るのを待ち続けた…」
小林「そしてあなたは…その少女に会う為にずっと研究し続けてきた…」
小林「トイズを使って誰かの身体を乗り移って…生き永らえてきた…」
裁判長「……小林オペラ…」
裁判長「お前は…ゾーイに…私の娘に会ったのか…!?」
小林「……そして、その娘は」
小林「そんな貴方の事が………」
裁判長「…クク…クククク……」
裁判長「そうか…そうか……!やっぱり…私は間違っていなかった…!」
裁判長「会えるのだな!?ようやく…お前に乗り移れば!私はゾーイに!!」ガコンッ
ガラ
ガラララララララララララララララ……
小林「!」
シャロ「かっ壁の歯車が動き出しましたよ!?」
裁判長「ようやく…ようやく…!私は…何人殺してきた事だろう…」
裁判長「100年だ…100年…!この長い間…娘に会うこと為だけに生きてきた!!」
裁判長「はは…はははははははははははははは!!!!」フラァ…
姫百合「っ!!いけない!!奴が刃の入り口に!!」
ネロ「…そうか…!小林をここに連れてきた本当の理由は…!」
コーデリア「今ここで死んで…教官に乗り移る為…!」
エルキュール「……!!」
小林「やっぱり…そう来たか」
裁判長「ゾーイ…見ているのか…?お父さんに…やっとお父さんに会えるのだぞ…?」
裁判長「もう…ずっと一緒だ…一人になんて…させるものか……」フラ…フラ…
小林「っ!!!」
△シャーロック
○ネロ
□コーデリア
×エルキュール
Rエラリー姫百合
→□コーデリア
小林「コーデリア!!」
コーデリア「はい!!」ティロン
コーデリア「――――――っ」
コーデリア「!」
コーデリア「右の壁の奥から三番目の歯車です!」
小林「くっ!!」
△シャーロック
○ネロ
□コーデリア
×エルキュール
Rエラリー姫百合
→×エルキュール
小林「エルキュール!!」
エルキュール「は…はい!!」ティロン
タッタッタッタッタ…
エルキュール「ふんっ……!」ガシッ
エルキュール「てぇぇえええええええええい!!!」ブンッ
オオオオオォォォォォ……ガコーン
シャロ「やりました!!」
ゴゴゴゴ……ガタン
ネロ「止まった…」
………ガシャンッ!!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
コーデリア「!!余計に酷く動き出しました!」
小林「そっちがメイン電源か…!」
△シャーロック
○ネロ
□コーデリア
×エルキュール
Rエラリー姫百合
→〇ネロ
小林「ネロォ!!」
ネロ「了解!!」ザクッ
バババババババババババババババ
ネロ「グッギャッギッ!!グググググッグググググッググ…!!!」ババババババババババババ
姫百合「なっ…何て膨大な電力…!」
シャロ「でっでも見てください!動きが鈍くなってますよ!!」
ガ…ガガ…ガ………
小林「駄目だ…奴の後ろに待っているのはローラーだ!」
小林「完全に止まらなければ奴はあれでも死ねる!!」
ネロ「どっ…だ…デデデ…!!!」ババババババババババババババ
小林「……っ!!」
△シャーロック
○ネロ
□コーデリア
×エルキュール
Rエラリー姫百合
→Rエラリー姫百合
小林「姫百合くん!」
姫百合「はい!!」ティロン
裁判長「……インダクションか。無駄だ」
裁判長「私のトイズは死後に発動される…それを狙えるものか?」
姫百合「いえ…狙ったのは貴方ではありません」
ネロ「…サンキューヒメ。これで何とか!!!」バババババババババババ
ゴゴゴゴゴゴコ…ゴ……ゴ
………シーン…
コーデリア「や…やった…」
エルキュール「止まっ…た……」
裁判長「…………」
小林「さぁ、これでもう貴方を殺す機械は動かな…」
ガコンッ
裁判長「」ニヤッ
ネロ「なっ!?」
姫百合「隠し…落とし穴!?」
小林「!!」
△シャーロック
○ネロ
□コーデリア
×エルキュール
Rエラリー姫百合
→△シャーロック
小林「シャーロック!!」
シャロ「はい!!」ティロン
シュルシュルシュルシュルシュル ギュッ
裁判長「…!」
小林「これで、貴方を拘束しました…もう貴方は死ぬことを許されません」
小林「この審議、私の勝ちで―――」
裁判長「さよならだ」カチャッ
ジャキンッ
小林「っ!!隠し刃!?」
シャロ「あっ…あっ!落ちていきます!!」
小林「くっ…そ!!」ダンッ
クイーン「…だぁりゃぁあああああああああああああ!!!!!」
ド ゴ ッ
裁判長「ボッ……」
コロン「!?」
コーデリア「その声は…クイーン警視!?」
小林「生きていた…のですか?」
クイーン「…勝手に、殺さないでくれるかしら?」
クイーン「…それよりコイツ、重いわね……誰か、紐で引っ張ってくれない?」
シャロ「…は…はい!」
シャロ「喜んで!!」
裁判長「…………」
姫百合「これで…本当にチェックメイトですね」
小林「…カーリー・ヘプバーンさん。認めてくれますね?」
小林「これでもう、貴方はどう足掻いても死ぬことは無い」
小林「どうか、負けを認めてくださ……」
裁判長「…やれやれ」
裁判長「この方法は、確実に死ねるか分からんから嫌なんだがね」ガチャッ
コーデリア「!!」
クイーン「隠し銃!?」
小林「駄目だ――間に合わ」
バァァァアアアアアアアアアアアアンッ――――
裁判長「……………」
裁判長「………」
裁判長「…………?」
裁判長「……確かに、頭に向けた筈だが…この手は…?」
裁判長「………」
裁判長「……」
裁判長「まさか……」
裁判長「お前…なのか…?」
白い髪の少女「…………」
裁判長「お前…なのだな…?」
白い髪の少女「……パパ」
裁判長「………なんだ?ゾーイ」
白い髪の少女「…私ね」
白い髪の少女「例え、どんなに人を殺しても…悪い人になっても…ずっと私のパパなんだよ…?」
白い髪の少女「ずっと…大好きなパパなんだよ…?」
裁判長「………」
白い髪の少女「……………」
白い髪の少女「…ずっと……」
白い髪の少女「ずっと…待ってたのに…」
白い髪の少女「パパがここに来るのをずっと待ってたのに…」
裁判長「………」
白い髪の少女「どうして…?」
白い髪の少女「こんな事を…?」
裁判長「……………」
裁判長「………」
裁判長「…」
裁判長「ただ、私は……」
裁判長「お前に会いたかっただけなんだ……」
裁判長「だけど…そんなお前の顔は……」
白い髪の少女「…………」
裁判長「……私は…」
裁判長「間違って…いたのだな…」
裁判長「…………」
裁判長「………」
裁判長「…」
小林「…………」
ネロ「………」
シャロ「………」
クイーン「…………」
コロン「………」
コーデリア「…………」
エルキュール「…………」
姫百合「……………」
ネロ「……死んだ?」
裁判長「………」
ネロ「死んだ…の?」
裁判長「……………」
裁判長「ハッ!!」
ネロ「うわぁぁああああ!!!」
シャロ「ぎゃぁああああああああああ!!!」
コーデリア「きゃぁぁあああああああああ!!!」
エルキュール「ひぃい!!」
コロン「おんぎゃぁぁぁああああああああああああああああああ!!!!」
姫百合「」ビクッ
小林「…………」
裁判長「…………おや?」
裁判長「ここは…どこですかな?」
小林「…あの、カーリーさん?」
裁判長「カーリー…?ああ、今回の事件の被害者ですな?」
裁判長「いやはや…先ほどの爆発は何だったのでしょうか。証人であるフランダースさんが急に爆発して…」
クイーン「いやあの…カーリー・ヘプバーン?」
裁判長「?カーリー氏は…被害者の方でしょう?」
裁判長「私は、この事件を担当する裁判官の…」
裁判長「…おや?法廷の内装が随分と変わりましたな」
裁判長「これは…一体どういう事ですかな?」
小林「…………」
裁判長「…ああ!もしかして先ほどの爆発は、私を驚かせる為のイリュージョンですな!?」
裁判長「いやはや…驚きましたぞ!急に証人が爆散して私も吹っ飛んで…という事は、あのような惨い事件も仕掛けなのですな?」
クイーン「…まさか貴方…英国法廷自爆テロ事件の時の裁判官ですか!?」
裁判長「え?法廷…自爆テロ…?すいません。そのような事件は初耳ですが…」
小林「……奴が…フランダースが自爆した時に…」
小林「近くに居た人間に乗り移った事までは分かっていたが…」
小林「まさか…あの時の裁判長の事だったとは…」
姫百合「………」
ネロ「……という、事は?」
シャロ「……終わった…んですか?」
コーデリア「…いいえ、まだよ」
シャロ「えっ!?」
コーデリア「まだ…安心できないわ。点呼を取るわよ!シャロ!貴方の好物は!?」
シャロ「カマボコです!」
コーデリア「ネロ!貴方の部屋のタンスの二段目に入っているゲーム機は!?」
ネロ「ZBOX TWOだけど…それが?」
コーデリア「エリー!初めて私と共に教官の衣服の匂いを嗅いだ日はいつ!?」
エルキュール「去年の12月12……ひっひぃぃいいい///////」ブンブンブンブンブン
コーデリア「ヒメ!貴方が出発する前に私があげたものは!?」
姫百合「か…髪飾りです」
コーデリア「コロン……は、好きな食べ物?」
コロン「何で疑問形なんや!?串カツや串カツ!」プクー
コーデリア「……………」
小林「……どうやら、これで終わったみたいだね」
小林「カーリー・ヘプバーンのトイズも不発に終わり、完全に消えたみたいだ」
コーデリア「…………」
小林「でも、最後に……ちゃんと」
白い髪の少女「ちゃんと…会えたから……」
小林「……うん」
白い髪の少女「ありがとう…小林オペラ…」
白い髪の少女「やっと…最後の最後で…お父さんに会えた…」
白い髪の少女「悪い事に気づいて…ちゃんと死ねた」
白い髪の少女「もう…私は独りぼっちじゃないよ」サラサラサラ……
小林「……そう、だね」
白い髪の少女「そろそろ…小林オペラも私の姿が見えなくなるかな?」サラサラサラ…
小林「……でも、大丈夫だよ。また会いにくる」
小林「だって……」
姫百合「…あっ!あの時の白い髪の!!」
ネロ「えっ?あれ!?本当だ!小林そいつ誰!?」
シャロ「うっうわぁー!幽霊さんです!透けてます!!」
コロン「幽霊?うぎゃぁああああ!!!」ビクゥッ
コーデリア「もう!折角終わったのに幽霊幽霊って…ぎゃぁああああああ!!!!お化けぇぇえええええ↑!!!」
エルキュール「………キュゥ」バタン
小林「………ね?」
白い髪の少女「……うん」サラサラサラ…
白い髪の少女「私のトイズが弱くなってるのか…彼女たちが強くなってるのか…ちょっと分からないけど」サラサラサラ…
白い髪の少女「また近いうちに、会って話ができそうだね」サラサラサラ…
小林「ああ…」
白い髪の少女「……バイバイ、小林オペラ」フリフリ サラサラサラ…
白い髪の少女「また…楽しいお話聞かせてね……」サラ………
スゥゥ……
小林「……………」
クイーン「…さっきの彼女たち…何が見えていたの?」
小林「……さぁ」
小林「未来のお友達…かな?」
【某日 某時刻 ブリュッセル 小林オペラ探偵事務所EU支部】
シャロ「……先生を求めて、死ぬ気でここまで来ました」
コーデリア「大阪の探偵のトイズに頼り、私のトイズで教官の匂いを辿り…」
エルキュール「残した記録と書物を読んで……」
ネロ「本当、来た価値あったよね。僕たちの小林…そして何て言っても…」
ミルキィホームズ「花とお菓子の都!ベルギー!!」ババーン
シャロ「凄いです!そこらじゅうが宮殿のようです!!」キラキラキラ
ネロ「どこもかしこも漂う美味しそうなチョコの香り!!」キラキラキラ
コーデリア「まだ見ぬ憧れの広場!グラン・プラス!」キラキラキラ
エルキュール「フランダースの犬の…舞台…アントワープ聖母大聖堂……!」キラキラキラ
姫百合「もう…皆さん?遊びに来たわけじゃないんですよ?」
小林「いや、良いんだ。もう事件は終わったんだから」
小林「確かにこれで僕のトイズを狙うやつが居なくなった訳じゃないけど…」
小林「今は、彼女達のやりたいようにさせよう」フフッ
ネロ「おっ!小林の太っ腹ぁ!ほら!まず皆の分のチョコレートワッフル買ってきたよ!」ズイッ
シャロ「わぁ!ネロ手を出すのが早いです!」
ネロ「へっへーん!前から本場のチョコとワッフルを食べてみたかったんだ!あ、小林お金払っといて」
小林「払って無かったの…?」
コロン「スーパー行ってもソースがほとんど無かったで…」ズーン
姫百合「ワッフルにかける気だったんですか…?」
コーデリア「教官!私…ベルギーに来たら行ってみたい所が沢山ありまして!」
コーデリア「ベルギーだけじゃなく、フランスにもドイツにもイタリアにも…もう!行きたい所がたくさんありすぎて!!」
エルキュール「ベルギーの王立図書館にも…お話の舞台となった教会にも……!」
小林「ははは。そんなに焦ることは無いよ」
小林「…そういえば、君たちはいつ頃横浜に帰るんだい?」
ネロ「え?何言ってるんだよ小林」
ネロ「僕たち、横浜に帰るつもりは全然無いよ?」
小林「えっ」
エルキュール「…帰りの航空券が…買えなくて……行きしか…買えませんでした…」
エルキュール「なので…泊まる所も…ありません………」
小林「えっえっ」
姫百合「あの…お恥ずかしながら、私も夢中になって小林さんを探していたのでお金がなく…」
姫百合「……本当に申し訳ないのですが…帰るまでしばらく小林さんの家に厄介になってもよろしいでしょうか?」
小林「えっえっえっ」
ネロ「おっ良いねそれ!僕も丁度そう思ってた所なんだよ!」
コロン「というわけで師匠!しばらく厄介になります!」
小林「えっえっえっえっ」
コーデリア「そっその…教官!その…」
コーデリア「…家事や手伝いはしますので…どうか食事の事も……」
小林「えっえっえっえっえっ」
シャロ「先生!これからもずっと!よろしくお願いします!!」
ネロ「そうと決まったら早速レストランに行こ!事件の解決祝いだから一番高いやつ!勿論、小林の奢りで!!」
姫百合「えっそんな…申し訳ないです」
コロン「おっ!ベルギーの料理って食べたことないから楽しみやな!」
コーデリア「私、もうお腹ペコペコで…///」
エルキュール「はぅぅ…」グゥゥゥゥゥ…
シャロ「えー本当ですかぁ!やったぁ!高くて美味しくてご飯~♪」
小林「……………」
小林「…あの…その前に一言、言っても良いかな?」
ネロ「おっ!言っちゃう?ここで言っちゃう?」
エルキュール「あっ…私も聞きたいです…あの言葉」
コロン「ぬっ!法廷外で聞く師匠のレアな一言か!」
姫百合「何度も私を助けてくれた言葉ですからね。是非」
コーデリア「教官のあの言葉、私大好きです」
シャロ「折角なので、みんな一緒に言っちゃいましょう!」
小林「それじゃぁ……遠慮なく…………」
i. i'ヽ、 ,
、 !ヽ、 _ i.ヽ,.--、 i ノヽ ./i _,.-
ヽ丶、._ ノ,.._ヽヽ ̄ヽ,._ヽ、`' ´_,.!ヽ 、__ /. | _. -'./
ヽ _.. '´ iヽ、i. '´ .`'´,.ィ ."'´〉.< !、 __..-‐' ´ /
___ ..`''´ ._. -'! 、.!-‐'´ _ .. -<' _,. .'´'´、 <ヽ  ̄ /
< _..-'! `''´.、 .ヽ、,シ'´_.ィ',.:'´、.'i i'.ゝ'、ヽ / ___
i `-'´,. !-' _ノ i、_-'´_._-、. r'" ,. ヾ、_.ィヽ ____ /´ `ヽ、
! !.-'´_,.、 !_'´ヽ_> 、´" .'´ : ';'、 /´ >! ヽ..__ ヽ、 `.i、.,' iヽ
. i ,ri `'´_i ''"´ `! i'´! .、-‐ヾィ.、 `'''´ .i´ `)ヽ.! ! i ,. ' _!
_,`r'"_, `'´_,.._. =ニ、.'i !''、_/i ) _> ̄ヽi /´,、.ィ| .i i / /
ーニ_,. >'´ -、ヽ. ノ!_.ノ i'ヽ! '´_... _ノi ! /./. 〉! .|| / /、_
ヽ_,..イ / ソ ,.-'´ノ、ー-'‐'´ i''、-‐ 、二! .'' .| .,' !. ∥ / /---‐'
>' / .ハ、_,.:-'´. ヽ、__ノ,i '´ ,.、_ ヽ. `iノ /.| ,:' /
. < '´_.,.-'´ .>'´_, !' /. /!. !`'´ _.-' .!i /
`´/ _. - ' ´ヽ / / ! / // // _..:‐'´_.. -'ノヾ、ヽ
. /, -'´ | _!、_ '、/ .,、!,_/'_.-'/_ : ' _. -'´ r'´ ヽ、ヽ
-'´ !./ ヾi、__/. 人 _/-'´_ 、'.i' ヽ_ ...-'. !`ヽ
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原作:ブシロード「探偵オペラミルキィホームズ」
カプコン「逆転裁判」
クレアストーム「わけあって私、警察署の交通課に所属することになりました!」
クレアストーム「急にトイズが開花した時は驚きました。とうとう私も警察解任かなぁーって」
クレアストーム「…まぁ、それでちょっとグレて怪盗に走ったのは内緒ですが」
クレアストーム「今はまだ罪滅ぼし中です!フランダースの事もありますし…」
クレアストーム「フランダースの為にも私、立派に生きてやりますよ!」グッ
クレアストーム「見ててくださいね小林オペラ!…あっはい!今行きます先輩~!」タッタッタ
小林オペラ:森嶋秀太
裁判長(英国)「いやはや…あの後の事を聞いて私ビックリしましたよ」
裁判長(英国)「私の中に大量殺人鬼の魂が入っていたなんて…本当悪魔って恐ろしいです」
裁判長(英国)「…何?悪魔ではなく幽霊ではないかって?」
裁判長(英国)「ほっほっほ…そんなものは、些細な問題です」
裁判長(英国)「では、今日も審議がありますのでこれで……」
シャーロック・シェリンホード:三森すずこ
クイーン「…フランダースの件については、我々もお悔やみを申し上げます」
クイーン「しかし、警察は一人の死を等しく懺悔し思うことはあっても足を止めるわけにはいきません」
クイーン「英国ではまだ犯罪が多い…特に人の多いロンドンでは尚更」
クイーン「それに、探偵に後れを取るわけにもいきませんからね…」
クイーン「今回は旗を上げてやりますが、次はそうはいきませんことよ…小林オペラ!」ビシッ
譲崎ネロ:徳井青空
ジェイソン「HAHAHAHA!!ムシュー小林!?オオーウ!ミーのベストフレンドのコトネ!」
ジェイソン「ムシューには大変お世話になったヨ…カレこそ本物のヒーローと言っても過言ではナイ!!」
ジェイソン「近日、ムシューコバヤシのハリウッド映画の企画が通り撮影がスタァートゥされる予定ヨ!」
ジェイソン「勿論、主演はこの…ワタシ!!マイルティィィィジェイソォオオオン!!」ジャスティスッ☆
ジェイソン「おっとぉ!ソロソロタイムアップ!ミーはちょっとマンダラケでBLという物を発掘しに行くネ!」
ジェイソン「ん?ドントノウ?HAHAHA!それじゃぁキミ遅れてるよ!BLというのは今ジャポーンで一番ホットな本ナンダ!!」
ジェイソン「最初はミーも吐き気を催す程精神が侵されたケド…今はサイコーネ!これもムシューコバヤシのオカゲ!」
ジェイソン「HAHAHAHAHAHAHA!!!!!」
コーデリア・グラウカ:橘田いずみ
腐藍「…ん?何?小林オペラ?ああ、私の書いたキャラクターの事?」
腐藍「いやぁー本当良いキャラクターよね。相方の神津くんとも相性バッチリだし正直ご飯何杯も食べられる」
腐藍「今書いてる新作ではとうとう…第三者の男が現れてドロドロの関係になるのよ」
腐藍「そいつの名はカーリー…外国人なんだけどね、そいつが加わることで二人の関係は拗れ溝が現れでも最後には共依存になって最終的に三人一緒に仲良く●るんだけどそれでもカーリーくんの独占欲が邪魔して余計に関係がドロドロしてプレイもハードに…」
腐藍「え?違う?漫画じゃなくて三次元の方の小林オペラ?」
腐藍「…でも、私にとってはこっちが本物の小林くんだしなぁ…」
腐藍「あっ!良いネタ思いついた!」ピコーン
腐藍「ちょっと箱に入って執筆するから邪魔しないでね!!」ガコンッ カリカリカリカリカリカリカリ
エルキュール・バートン:佐々木未来
20「ふふっ…♪ミルキィホームズも愛しき小林オプェラも僕ほどでは無いけど美しき都ベルギーへと旅立ったようだね…☆」
ラット「やっとこれで学園が平和になったぜ。アルセーヌ様のストレスも穏和されるだろうし最高だ」
ストーンリバー「我々も共になって捜索を手伝ったのが吉となったな…これで、怪盗帝国も動きやすくなるなるだろう」
20「すぃかし!僕たちの恩返しはまだ終わってナッシングッ!!!」
20「いつかきっと!小林オゥペエエラに出会って…この美しき僕の身体を堪能してもらうんDA☆!!」
ラット「おい!やめろ気色悪い!俺が今ここで止めれば十分アイツに借りが返せるくらいの有難だぞその案件!!」
ストーンリバー「いや…そんな事では小林オペラに恩を返せる筈がない。何と言っても、アルセーヌ様を救ってくださったお方なのだからな」
ユタカ「そうですね…それじゃぁ、小林オペラが帰ってくるまで僕たちも平和に過ごしましょう」
ラット「えぇー?それじゃぁ暇過ぎて死んじまうぜー?」
ストーンリバー「案ずるな。アルセーヌ様の指示以外では動かんという事だ」
ストーンリバー「それまでに…十分に牙を磨いておくとしよう…」チャキッ
神津玲:千葉進歩
アンリエット「あら、小林さんの事ですか?」
アンリエット「そうですね…あの方のおかげで探偵学院の評判は今までより凄く上がりました」
アンリエット「そして居なくなった瞬間、少しだけ落ちました」
アンリエット「更にミルキィホームズが色々騒動を起こしたおかげで、かなり…」
アンリエット「……やっぱり、彼は探偵学院に不可欠な存在のようです」
アンリエット「今やあのサイコパスの団体は消え、小林オペラの追放処分は解決に向かっています」
アンリエット「次に戻ってきた時は、二度と逃がさぬよう首輪でもつけておきましょうか」ニコッ
アンリエット「まだ、口づけよりも良い事の約束を果たせていませんしね…ふふふ」
明智小衣:南條愛乃
藍川「おっ何々?私達BRに取材~?」
洲水「…ええと、小林さん?ああ、あの事件の時の」
アーグニャ「Хммм…あの時は…とてもタイヘンでした」
栗野原「ヒヒ…フヒ…何度呪おうかと思ったかわからないね…」
藍川「まっまぁまぁ!結局プロデューサーは無実だったんだからさ!」
洲水「当然だよ、プロデューサーが人を殺すはずないもん」フン
鬼瓦割「…おい、話はそれだけかよ?」
藍川「おおっとぉ!忘れるところでした!今月の30日に私達、名古屋ドームでコンサートやりまーす!!」
栗野原「まさかの名古屋…フヒ…こんな無名アイドルに…誰得…w」
洲水「そう言わない。ドームの仕事を持ってきてくれただけでも凄いんだから」
鬼瓦割「チッ…面倒くせぇなぁ…でも、チケット完売してるし、やるしかねぇか…」
藍川「みんなぁー!私達の晴れ舞台を見に来てねぇー!マリネちゃんも居るよぉー!!」
銭形次子:沢城みゆき
真田P「あっ……」
ゴソゴソ
真田P「どうも…私はこういう者です…」
プロデューサー「ん?なんだなんだ~?スキャンダルの奴らかぁ~?」ジトー
マネージャー「プロデューサーさん!違いますよぉ~この人は電話で言ってた…」
プロデューサー「ん…あっ!そうかそうか。ごめんごめん!小林くんの事だっけ?」
プロデューサー「いやぁー…正直探偵にしとくのは勿体無いと思うよ?あれほどの逸材は」
真田P「そうですね…後、ミルキィホームズという人たちも…上手くいけばアイドルに…」
マネージャー「いやぁ、それは私達がするまでも無いんじゃないかな?」
真田P「?」
プロデューサー「うーん、あの娘達も良いんだけどねぇ~やっぱり、小林くんを女装させて…」
真田P「先輩。それはさすがに可愛そうでは」
プロデューサー「おっ!言うようになったなぁ~?きっさまぁ~!」グリグリ
真田P「せっ先輩…やめ……」
洲水「……何してんの?」黒イオーラ
プロデューサー「!あっいや、その…ただのスキンシップだよ。あはははは……」
真田P「………」サスサス
真田P「…はい。私達は今よりもずっと頑張ります。彼女を迎えに行くまでは…懸命に」
遠山咲:田村ゆかり
茉莉音「今月の月末に、クリスマスでやれなかった私達のライブが行われます」
美樹「ねぇ!やっぱりあの銀髪の警視さんも来るのかな!?来るのかな!」ワクワク
茉莉音「ど、どうだろう…一応、G4の皆さんにも招待券は送りましたけど…」
美樹「本当!じゃぁさ、じゃぁさ!私、どんな服を着ていこうかなぁ~?」
茉莉音「ええ…服はさすがに指定されたものを着ないと…」
美樹「ええ~?でも、さすがにいつもの服じゃぁ私の王子様は落せないよ~」
美樹「それに、このままだと小林さん取られちゃうよ?あの4人組に」
茉莉音「えっ!?いや…私のは…ええと…その…//////」アセアセ
先生「フフッ若いわねぇ…服が駄目なら、じゃぁ」
先生「ダンスで魅了すれば良いじゃない!うん!それじゃぁ今日からレッスンの量三倍だからね!頑張るわよぉー!」
二人「「ひっひぃぃいいいいい~~~~~!!!!」」
長谷川平之:新谷良子
馬のマスク「ん?俺たちポリレンジャーに取材か…良いぞ!」
赤「今、何をしているかだって…?神津玲を勧誘しているのさ!」ババーン
青「フッ、あの事件以来…ピンクを失ったからな…その代わりとして唯一ふさわしいのが…俺のライバル」
黄「神津玲くん、なんだよね!」
赤「だけど…なかなか上手くいかなくて…この前なんか金髪の少女に恐ろしい形相で拳銃を向けられたのさ!クッ…!」
青「その時のライバルの顔も…虫を見るような眼をしていたな…あんなにクールな目できるとは…さすがは俺のライバル…」
黄「ブルーがその口調になったのって、神津くんの影響が大きいからねー」
馬のマスク「それじゃぁ皆!何度も神津くんに「ウザイ」やら「消えろ」やら「二度と顔を見せるな」と言われ続けた事だろう…」
馬のマスク「次にどう勧誘するか…そして、新しいピンクになった暁にはどんな特典をつけるか会議だぁ!!」
ポリレンジャー「「「「オー!!!」」」」
天城茉莉音:新田恵海
小衣「あのポリレンジャーからの勧誘…あの泥棒猫アイドル共からのライブ招待券…」
小衣「正直ウザったらしくてやってられないわぁぁあああああ!!!」ビリビリビリビリビリビリ
次子「おーおー荒れてんなぁ小衣」
咲「まーそりゃぁねー。警視をアプローチする人が増えた上に」
平之「当の警視は、昨日フロリダに出張に行かれましたもの…」
次子「あーあ。今日から警視無しで仕事かぁー…しんどいなー…」
小衣「…うっ…うううう~~…」プルプルプル
小衣「また…今回も告白できながっだぁ……」ポロポロポロ
咲「あららら…そんな目標立ててたの?乙女ぇ~」
平之「凄く可愛らしいですね明智警部」
小衣「うるさい!!アンタ達に言われても嬉しくない!可愛い言うな!!」
小衣「警視ぃぃいい!!早く帰ってきてぇええええ!!!!!」
次子「まっ!いつも通り仕事しますか!」
法条美樹:中津真莉
神津「…なんだ?お前は」
神津「取材だと…?例のサイコパス事件の事か」
神津「あの事件を解決したのは探偵小林オペラだ。俺は関係無い」
神津「…北芝検事は素晴らしい検察官だった。それは真実だ」
神津「そろそろいいか?俺も暇じゃないものでな」
神津「…その話をするなら、G4に聞くといい」
神津「奴らは俺の自慢の部下なのだからな」フッ
エラリー 姫百合:高森奈津美
裁判長「小林オペラ?勿論存じ上げますぞ」
裁判長「今まで長く裁判長をやってきましたが…彼と共に審議した事件は忘れられそうにありません」
裁判長「孫にこの事を話したら心底羨ましがられましたよ。ほっほっほ」
裁判長「彼が日本の法廷に戻ってきた時には、一度サインを強請るべきですかねぇ」
裁判長「あと、サイコパスに撃たれたとも自慢したら家内に怒られてしまいましたがな。ほっほっほ」
コロン・ポー:松岡由貴
コロン「師匠と一緒にベルギーに来たのはええけど…ここ…」
コロン「ウチが好きなソースがほとんどあらへん!!」
コロン「アジアンマーケットをようやく見つけて中に入っても…ソース高っ!!」
コロン「これじゃアカン!早く普及させなきゃと考えた結果…ウチは商売することにした」
コロン「いつまでも師匠の脛を齧るのもアカンからな!少しでも負担を減らせば良いと思って開発したんや!」
コロン「それも…ソース味ワッフル!」
コロン「生地にソース!焼いた後にもソースの二度付けを再現!これは売れるで!!」フンスッ
コロン「……ただ、ワッフルを焼く型がまだ買えへんから当分先になりそうやけどな」
文:ND
トリック:ND
姫百合「小林さんの事は、本当に感謝しています」
姫百合「恩返ししたくても…こんな状況ではできそうにはありませんが…」
姫百合「最近、コロンさんが商売を始めようと奮起し始めたそうですね」
姫百合「私も、ずっと小林さんの傍で皆さんと共に助手をするわけにも行きませんし…」
姫百合「お金が溜まったら、事務所を出て自分探しの旅を再開したいと思いま――」
グゥゥウゥウウウゥゥウ…
姫百合「………いっ今はまだお金が無いので難しいですが…///////」
「ヒメちゃぁーん!今日は先生がオマール海老とムール貝とオリーブオイルとバジルのペペロンチーノを皆の分作ってくれました!しかも大盛りです!!」
姫百合「…………」ジュルリ
姫百合「まっまぁ、そんなに急がなくても大丈夫ですね。うん」
姫百合「もうしばらくだけ、ここで厄介になりましょう」スタスタスタ…
掲載元:したらば掲示板・SS速報R
シャロ「それじゃぁ先生は真ん中で!ヒメちゃん!もうちょっと詰めてください!」
姫百合「こっこうですか?」
ネロ「へっへーん!じゃぁ僕は小林の隣ね」
エルキュール「じゃ…じゃぁ私も…右の…//////」
コーデリア「ちょっと!?私だって教官の隣に…」
コロン「じゃぁウチは師匠に肩車やで!」
シャロ「あっコロンちゃん!頭が見切れますので降りてください!」
コロン「」
シャロ「…よし!それじゃぁ押しますよ!?タイマーポチッ!」カチッ ジー…
コーデリア「ほら!シャロ早く!」
シャロ「えへへ…今行きますよう~」パチッ タッタッタ
小林「あの、今ちょっと横にずれたけどカメラ?」
ネロ「小林ー!もうちょっと詰めてよー」
小林「ええと…僕真ん中なんだけど…?」
シャロ「じゃぁ私は先生のお腹ー!エヘヘ~」ダキッ
小林「うっうわっ!?」
ネロ「!」
コーデリア「シャ…シャロ!」
エルキュール「だ…大胆…/////」
シャロ「…先生」
小林「…うっ…うん?」
シャロ「……これからもずっと…」
シャロ「私達の傍に居てくださいね?」
小林「…………うん」
小林「君たちも、立派な探偵にね」
姫百合「フフッ」
ネロ「ちょっとー!シャロばっかりずるい!こうなったら僕も!」ダキッ
コーデリア「わっ私だって!」ダキッ
エルキュール「わ…私も…!!」ダキッ
小林「わっ!?きっ君たち!?」
コロン「肩車が駄目なら、おんぶや!!」ダキッ
姫百合「……本当に」
姫百合「皆さんと居ると、退屈しませんね」
カシャッ!
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121580.jpg
最終話 【異議あり!】……【終】
これで小林オペラ先生の逆転ssは終わりです。
ペースが遅くて完結が遅くなりましたが、書いてて楽しかったです。
ここまで見てくださってありがとうございました。
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira121581.jpg
また、どこかで出会いましょう
>>192で証拠ファイルが⑰になっていますが、
実際は
→証拠ファイル⑯コーデリアの疑問点を突きつける
です。
大変申し訳ございませんでした
乙
面白かった
乙、面白かったまたよろしく
乙です
面白かった
乙でした!またオペラ先生の作品見たいです!
結局人の姿をしていない云々はどうなったんです?
乙。
面白かったし楽しかった。
短かった気がするけど半年も経ってたんだなぁ……。
いい話でしたね…
>>1乙です
出番のなかったフェザーズが草葉の陰から覗いてる気がする
乙です!
小林とホームズ達の活躍が見れて良かった。
ありがとう!
最初はフェザーズ専用の話も考えていました。
フェザーズの二人が殺人罪で告訴されてミルキィの4人が小林先生を紹介するのですが
カズミちゃんは喜んでお願いするのですが、アリスちゃんは家庭から小林オペラは敵だのように教えられて怯えて断ろうとします。
事件自体は横浜湾で十字架に磔され3本の矢を貫かれた遺体を発見したというもので被害者は怪盗という話でした。
しかし、どう頑張っても本編の一本筋に加えられず断念しました。
本家のダウンロードコンテンツみたいに番外編でやろうと考えていましたが、ちょっと無理そうです。
乙でした!
本筋と関係無くてもいいんですよ…?
最初は面白かったのになぁ。
話が進むごとにどんどん面白くなくなって…。
完全に読めくなるほどつまらなくなる前に完結してよかったよかった。
おつおつ、実にいいクロスだった
レントン×逆裁があるなら、ミルキィ×逆裁出ないかな
年末アニメで小林と姫一緒にいたけど、あの二人一緒に行動してるのかなぁ
あぁ続編でないかなぁ
コーデリアだけ、口調が変な所がやたら多かった。
コーデリアが姫百合を呼ぶ時は、「姫」ではなく「ヒメちゃん」だった筈。
それにコーデリアの台詞で時折、「~ですわ」と語尾に付いていたが、そんな喋り方をしたシーンは、アニメでも原作ゲームでも無かったと思う。
小林のトイズが明かされずに終わるのも、変だと思う。
不老不死云々や、監視カメラ越しの空間移動、人体を溶かして特定の成分だけ取り出す、ミルキィ達の治療、上の次元にいる少女と会話(トイズ未復活にも関わらず)等々、色々やっているのに、結局具体的な説明がない。
ラスボスの目的であり、ストーリーの根幹を成す部分の筈なのに、これが説明されないのではかなりモヤモヤする。
「ラスボスの目的が上の次元にいる娘に~だから小林のトイズを求めて~」云々の話の時、ミルキィ達は小林のトイズを知らない筈なのだから、ミルキィ達に向けて小林のトイズの説明が成されるべきなのでは…
トイズ使用犯罪に対して、探偵が捜査出来る権限って、「特"時"捜査権限」じゃなかったっけ?
それに特時捜査権限って、探偵が持っている権限であって、警察が探偵に渡したり施行したりする様な物じゃ無かったと思う。
いやまあ、逆裁クロスに合わせて、ミルキィ原作とは設定変えてあるっていうなら、それはそれで良いと思うけど。
ごめん。
上で「特"時"捜査権限」って書いたけど、「特"事"捜査権限」が正しいみたいだな。
ネットで調べると「特"時"捜査権限」も結構出て来るが、ゲームでは「特"事"捜査権限」になってるし、wikiでもそうなってる。
細かい設定とかはともかく続きが気になる展開とか尋問とか面白い要素は多かった
今第二話がフリーゲームとして出てるのね。それで今後物語構成を整えてもらえればいいよ
すげー面白かったけど最後に上から目線の変なやつがいる……
遅くなりましたが完結乙です
もう一回読み返してみたけど、やっぱコーデリアだけ喋り方変な感じだなー。
他のキャラは喋りとか行動とかにも全然違和感ないし、逆裁とミルキィの合わせ方も上手いだけに、何だか勿体ないというかどうしてコーデリアだけって感じ。
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