小林オペラ「この裁判…逆転して救ってみせる!」 (306)

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「はぁ……!はぁ………!!」

闇夜に照らされた横浜の空の下で、青い髪が鈍く光る

赤い血を啜ってしまったその青い髪は、もはや以前の輝きと煌きは無い

「…っう!!」

青い髪の少女は口元を押さえたその時、自分の手には血で赤く染まったナイフが持たれていた事に気づく

「ひっ…!」

思わず、そのナイフを投げ捨ててしまう。

何故だ?一体どうして

どうして私は、このナイフを持っている?しかも、素手で!

「あ……ああ………!!」

青い髪の少女の足が笑っていた。まるでこの状況に置かれた少女を見て嘲笑うかのように。

恐怖と混乱の目の前には、少女に対する絶望が居た。

そこには、ナイフで切り刻まれた跡のある死体が

先の尖った岩に串刺しにされている。

「どう…して…!?」

少女は、何が起こっているか分からない。

まるで、自分がやったと説明されている状況に少女は蹲る。

「助けて……」

脳裏に浮かぶのは、かつての4人の先輩と一人の男と

小林オペラとミルキィホームズ

「誰…か…!助…けて……!!」

声に出しても届かない、この場所で少女は

見つかるまでずっと、助けを求めていた。

考えれば考えるほど、この事件は

自分が犯人だと、突きつけられていたからだ。



第二話  「再結成 探偵オペラミルキィホームズ」


タッタッタッタッタ……

小林「はぁ……はぁ!」

タッタタッタッタッタ…

小林「そんな…そんなありえない…!」

タッタッタッタッタッタ……

小林「彼女達が…そんな!」

タッタッタッタッタッタッタ…



小林「今…刑務所に居るだなんて!!」



バタンッ





小林「君達ぃ!!」


シャロ「…………」モグモグ

ネロ「………」ペロペロ

コーデリア「…………」ズモモモモ…

エルキュール「…………」モッキュ…モッキュ…


小林「…………」

小林「……」

小林「……何を…しているんだい?」

ネロ「え?そりゃぁ今はお昼御飯…って、こっ小林!?」

シャロ「えっ!?ほっ…本当に先生なんですかぁー!?」

コーデリア「ええっ!?きょっ…教官が日本ン"ッ!!」ググッ

コーデリア「………」トントントントン

エルキュール「小林…さん!会いたかった……!!」キラキラ

シャロ「先生ぇー!!……ゴボフッ」ガコンッ

小林「…………」

ネロ「小林ぃー!お久しぶりー!!元気にしてた?」

コーデリア「ゴホンッ…きょっ教官!!おっおっお久しゅうましてッ!!」ガブッ

コーデリア「うきゃぁー!舌を噛みましたわぁー!!」

エルキュール「…ええと…あの…・・・//////」モジモジ

小林「…………」


バタンッ


次子「―ん?おっ来たか旦那。随分お久しぶりなこって」

シャロ「次子さぁーん!この檻、ちょっと開けてくださいー!!」バタバタ

次子「いやぁー、そういうわけにはいかないんだわ。ごめんなぁー」


小林「………あの、銭型君」

次子「ん?」

小林「彼女達は、一体何をしてここに居るんですか?」

次子「あー、やっぱり聞いちゃうか?それ」

バタンッ!

小衣「ちょっと次子!誰?探偵学園の保護者が来たの?」

次子「いんや、ちょっとお久しぶりな顔の探偵がさ」

小林「や…やぁ、小衣君」

小衣「…って、あっー!!あんたはお邪魔虫!!何しに来たのよ!!」

小林「いや…ちょっと、彼女達を迎えに…」

小林「…あれ、英国の警察組織から聞いてないかな?僕の事…」

小衣「は?何で日本の警察の私達が!英国の警察の事まで聞かなきゃいけないのよ。知らないわよそんなの!!」

次子「悪いな。私も知らないわ」

小林「……そっそうか。神津は?」

ネロ「ちょっと!アンタらばかり小林と話してズルイよ!僕達の教官なんだよ?まずこの檻から出せー!!」

シャロ「そうです!ココロちゃん、ちょっとだけ私達をここから出して…」

小衣「だまらっしゃい!!アンタらここを保育園か何かかと思ってるの!?残念だけど、ここは刑務所なのよ!!」

シャロ「そんなー!ひどいー!!先生ー!先生ー!!」バタバタ

小林「は…はは……」

小林「…それで、どうして彼女達が投獄されているんだい…?」

次子「あー…まぁ、話すのも少し馬鹿らしいんだが…」





―小林が帰国する数時間前―




コーデリア「皆!教官の事がニュースに流れているわよ!英国の裁判で被告人の立場でありながら本物のサイコパスを見つけたらしいのよ!」

シャロ「ええー!?そっそうなのですかぁ!?先生!凄いです!」

ネロ「ふぅーん。僕もそのニュース見たけど、中々えげつない殺人事件だったみたいだねその裁判」

エルキュール「小林さん…格好良い…です…///////」カァー…

シャロ「こうしている間にも、先生はどんどん先に行っちゃいますねぇー」

コーデリア「そうね。仮にも私達はミルキィホームズ…弟子は師を越える物。ここで立ち止まってばかりじゃいられないわ」

ネロ「でも、だからってどうするのさ。この横浜、怪盗事件ばかりでサイコパスの犯行なんて滅多に無いよ?」

コーデリア「平和なのは良い事なのは間違いないけど…これじゃぁ確かに教官の隣に立てませんわ…」

コーデリア「教官の隣…デート……二人で一つのアイス……サイゴニハセマイカンランシャノナカデ…」ふわふわ~

シャロ「うわわぁ!コーデリアさん!一人で向こうの世界に行っちゃダメですー!!」

コーデリア「…はっ!危ない所だったわ…。皆!こうしてはいられない。私がっ…ゴホン。私達が教官と並べる為に、凶悪事件を探すわよ!」

エルキュール「えっ………」

ネロ「オーキードーキー。……って、どうやって見つけるの?」

コーデリア「幸い、私達は今トイズが戻っている状態よ。ネロ!早速警察のプロファイルにトイズでハッキング!」

エルキュール「……えっ?」

ネロ「よしきた!任せてよ!」ガキィンッ  キュルルルルル

エルキュール「えっ?えっ?ええええええ…!?」



小林「……………」

次子「というわけで、トイズの犯行と分かった我々はすぐさま逆探知して犯人を捕まえましたとさ」

次子「ちゃんちゃん♪」

コーデリア「ちゃんちゃん♪じゃないですわ!凶悪事件なら探偵だって関わる権利がある!」

シャロ「そうですよ!コ○ンだって金田○少年だって!大体全部殺人事件じゃないですかぁー!!」

小衣「黙れサイバー犯罪者共!私がアンタらを殺してやろうかぁー!!」

小林(……帰ろうかな…)


小林「そういえば、神津はどこに居るんだ?」

次子「ん?最後に報告を聞いたのは…一ヶ月前だったか?小衣」

小衣「……そうよ。一ヶ月前からずっと連絡が無いわよ警視とは…」ズーン

次子「悪いな。今、東ヨーロッパでの報告からそれ以降連絡が無いから、私達もちょっと分からないんだ」

小林「…え?昨日、神津から「俺もその日に日本に帰る予定だ」とか聞いたんだけど」

次子「…………」

小衣「…………」

次子「……マジでか?」

小林「うん。」

小衣「…けっ…警視が!今日…帰ってくるの!?」

小林「うん。……って、連絡とか来てないの?」

小衣「そんなの全然聞いてな…って、どうしてアンタの所には警視の連絡が来てるわけ?」

小林「一応、LINEとか連絡手段はあるからね」

小衣「…………」

小林「………」

小衣「…つっ次子ぉ!!こいつも投獄してやりなさい!!この男をこいつら共と同じ檻に入れてやれぇ!!」ジワ…

小林「ええ!?何で!?」

シャロ「先生も私達と同じ檻の中に入るんですかぁ!?やったぁー!」ピョンピョン

ネロ「さぁさぁ小林もこっちに来ちゃいなよぉ~。僕達と一緒になろうぜぇ~?」ケケケケ

コーデリア「…じょっ女性と男性が同じ檻!?でっでも…教官なら…だっ…大丈夫…カシラ…?」ドクンドクンドクン

エルキュール「…………//////////」プシュー

小林「君達もどうしてそんなに乗り気なんだっ!?」


次子「というか同じ檻に入れるわけないし、何もしてない奴を投獄しても良いわけないだろ」

小衣「ぐぅぅ…うううう~~っ!!!」ウルウルウル

次子「はいはい悔しいのは分かったから。文句は連絡を碌に寄越さなかった警視に言おうな」

シャロ「ええ~…先生、入ってくれないんですかぁ?」ガッカリ

ネロ「ちぇっ、つまんないの。折角遊ぼうかと思ったのに」プイ

コーデリア「アア…キョウカン…キョウカンワタシハジメテナノ…ダカラ…ヤサシク……って、え?同じ檻にならない?」

エルキュール「……そっ…そう…ですか…」ションボリ

小林(……そんなに檻に入って欲しかったのか?僕に…)

次子「でも、折角来てくれた所悪いけど。一応今日の午後6時に釈放する予定だからさ。」

次子「それまで、こいつら連れ出せないけど、どうする?少しここでゆっくりしていくか?」

小衣「次子!犯罪者の保護者にそんな慈悲は無用よ!帰ってもらいなさい!」

小林「…そうだね。そのくらいの時間なら、神津も来るだろうし待つよ」

小衣「!!」

小衣「次子!!今すぐこいつを追い出しなさい!!このダメダメホームズも解放してやって良いわ!!」

次子「え?一応規定では…」

小衣「そんなものより今は警視の方が大事よ!まだ何も準備してないでしょ私達!!」

小林「いや…ここで規定を破るほうが神津に迷惑をかけるんじゃ…」

小衣「はっ、そんなもの咲に「この事件は無かった事」にしてもらえば良いわ」

小林(G4も、なんだか変わったな………嫌な方に)


小衣「おら!とっとと出なさいアンタら!!」ガコンッ

ダダダダダダ

シャロ「先生ぇー!!」ピョーン

ネロ「小林ぃー!!」ピョン ガバァッ

コーデリア「教官!!」ダキィッ

エルキュール「小林…さん…!」ギュッ

小林「うわ!きっ君達…」

小衣「とっとと出ろって、言ってんだろうがぁー!!」ゲシィ

ミルキィホームズ「「「「あひぃー!!」」」」ピュー


【横浜スタジオ近く 横浜公園  11月15日午後2時14分】



小林「……君達、結構元気そうだね…」

コーデリア「勿論です!これも、教官が私達の指導してくれたおかげ」

シャロ「先生が居ない間も、私達頑張って事件解決!してましたぁー!!」

小林(さっき投獄されていたのは…)

シャロ「でも、英国であんな凄い殺人事件を解決して、そのすぐに日本に帰ってきてくれるなんて!」

シャロ「私達も!すっごく嬉しいです!」

小林「ははは……」

小林(……本当は、まだあの事件は解決にまで至ってないんだけどね…)

コーデリア「ええ、私達も教官が私達の教官で…とても誇らしい気持ちです」

ネロ「それが、現実でも力として使えたら良いんだけどなぁー…残酷だよねぇー」

コーデリア「ちょっと!ネロ!」

エルキュール「おっ…落ち着い…て……」オロオロ

小林「…でも、元気そうで安心したよ」

シャロ「はい!」


ネロ「ねーねー小林ー。あっちでの生活はどうだったのさぁー。」

小林「うーん…。仕事は、君達が一度来た後に比べたらグッと増えたかな。IDOの仕事もちょくちょく来るし」

ネロ「お金は?」

小林「お金?うーん…ここで当分暮らす分、困らないくらいにはあるけど」

ネロ「……ふぅーん…」ニヤリ

小林「……っ!?」ゾクッ

コーデリア「ちょっとネロ!失礼でしょ教官にそんな」

シャロ「そういえば、先生は今日どこで寝泊りするんですか?」

小林「ええと、確か警察が手配してくれていた筈なんだけど…」

小林「…………」

小林「……あ」

小林(聞くの…忘れてた!)


エルキュール「…小林…さん?」

小林「ちょっちょっと待ってくれないかな…?少し電話を…」プルルルル…

小林「はいもしもし。あの、英国の警察組織が小林オペラの日本での停泊先を手配していたと思うのですけど…あっいやいや!不動産に聞けとかではなくて!」

小林「あの!僕、小林オペラなんですけど、クイーン警視が停泊の手配を…ええ!?聞いてない!?」

小林「いえ、聞いてる人が居る筈なんで…もしもし!?あの、もしもし!?」

小林「…………」プー…プー…

シャロ「先生?」

小林「……ああ、今日の寝泊りなんだけど…」

小林「どこかでホテルを借りる事にするよ。ははは…」

小林(明日、神津に聞こう…)

シャロ「ええ!?あの事務所じゃ無いんですかぁ!?」ガーン

コーデリア「わっ私達と一緒に暮らすんじゃ…」

小林「無いね。それに、一応僕も男だから。君達と同じ宿の下で寝た事なんて無いだろ?」

ネロ「覚えてない…小林が全然覚えてないよ!あの時の甘酸っぱい思い出!!」

小林「あの時の甘酸っぱい思い出って何かな!?誤解を生むような語彙は止めて欲しいんだけど!」


シャロ「そんなぁ、あの事務所で寝泊りしましょうよぉ!私達も今、あの事務所に住んでるんですから!」

小林「うん。余計に泊まれないかな」

小林(彼女達、以前は一人一つの部屋を持っていた筈だけど…何で今は事務所に住んでるのかな?)

エルキュール「あ…あの……」

小林「ん?何かなエルキュール」

エルキュール「…いっ一度……アンリエット会長に…」

エルキュール「挨拶ついでに…聞いてもらえれば…」

コーデリア「ああ、それは良いわねエルキュール」

シャロ「そうですよ!折角日本に帰ってきたんだから、先生もアンリエット会長に挨拶しましょう!」

小林(アンリエット会長…か。彼女と会うのも久しいな…)

小林「…そうだね。挨拶なら」


【ホームズ探偵学院 会長室 11月15日午後4時25分】

アンリエット「…これはこれは。英国からの長旅ご苦労様です。小林オペラさん」

小林「はは…ありがとうございます」

アンリエット「英国での活躍も、ちゃんと耳に届いておりますよ。先日の殺人事件に関しては、逆転劇だったみたいで」

小林「ああいえ。あの事件はまだ…」

小林(…やっぱり皆、あの事件の事が気になるのかな?)

小林(僕としてはあまり思い出したく無いし…皆が”それ”に首を突っ込んで欲しくないんだけどな…)

アンリエット「…まだ?」

小林「いえ、何も」

シャロ「会長!先生も私達と同じ事務所に寝泊りさせて良いですよね!?」

コーデリア「ええ!今日、教官は寝泊りする場所が無いとおっしゃってますから!」

小林「いやちょっと待って!だから一緒には寝泊りできないから!!」

アンリエット「…男女同じ部屋での寝泊りは校則により厳しく取締われておりますわ」

ミルキィホームズ「「「「ええぇーっ!?」」」」

小林(…良かった。アンリエット会長も承諾してしまったらどうしようかと…)ホッ

ネロ「じゃぁ小林は今日どこで寝るのさ!」

小林「ホテルに泊まるよ。明日には神津に向こうで手配された寝床を教えてもらうからね」

アンリエット「……………」

アンリエット「…警察の方から、寝床を?」

小林「ええ。向こうで色々ありまして…。ちょっとこっちに一時的に戻ってきただけなので」

アンリエット「…………」ジー

小林「………?」


アンリエット「…探偵とはライバル関係にある警察の紹介は…あまりこちらとしても感心できませんね…」

小林「はい?」

アンリエット「小林オペラさん。貴方、以前の事務所の方で停泊できませんか?」ニコッ

小林「ちょっと!?」



シャロ「えっ…それじゃぁ!私達と先生の同居を認めてくれるのですか!?」

エルキュール「///////////」

アンリエット「それは絶対に認めません」ニッコリ

シャロ「ええー…」

コーデリア「そっ…それじゃぁ私達はどうなるの!?」

ネロ「会長だって知ってるでしょ!?あの屋根裏部屋はティッシュと小麦粉が…色々あって爆発して使えない事!!」

小林(一体僕が居ない間に何があったんだ…?)

アンリエット「それでも、貴方達が以前使っていた個人部屋はまだ無事でしょう?」

エルキュール「……あっ」

アンリエット「幸い、貴方達は今トイズを取り戻しています。今までのように最底辺な生活を送る必要もありません」

アンリエット「なので、個人部屋の解放を許しますので。それぞれの部屋に寝泊りすればよろしいでしょう」

シャロ「…あっ!私達の部屋を返してくれるんですか!?」

アンリエット「まぁ、仕方ありませんしね」ニコッ

シャロ「わぁー…あのお部屋に、やっと戻れるんだ…」

ネロ「……結構久々だな。あの部屋に戻るの」

コーデリア「…埃とか溜まってなければいいけど」

エルキュール「……………」

小林(なっなんだか反応が薄いような…?)


アンリエット「ただし」スッ

エルキュール「?」

アンリエット「私の出す謎に、答えられたらの話ね」ニコリ

シャロ「…………」

シャロ「なっ謎!?」

アンリエット「ええ。私の出す謎(テスト)に答えられたら、部屋はちゃんと返します」

アンリエット「しかし、答えられなかった場合は部屋は返さないどころか…」

ネロ「どころか…?」

アンリエット「今夜の晩御飯は、無しです♪」

ミルキィホームズ「「「「…………」」」」

ミルキィホームズ「「「「きぃやぁああああああああ!!!」」」」ブルブルブル

小林(…何だか、会長との関係も少し変わったみたいだ)

コーデリア「こっ答えられなかったら!私達の部屋もどうなるんですか!?」

アンリエット「宿無しです」

ミルキィホームズ「「「「ひぃぃいいいいい!!!」」」」ブルブルブル

小林「あの…そうなったら本当に僕はホテルに泊ま…」

アンリエット「ダメです」

小林「有無を言わさない!?」

ネロ「小林ぃいい!!もしそうなったら、僕達もホテルに泊めてぇぇぇええ!!」ガシッ

シャロ「先生ぇえええ!!」ダキッ

コーデリア「教官!!」バッ

エルキュール「………小林…さん!」ギュッ

小林「君達も解けなかった前提で話を進めてないか!?もうちょっと前向きになろうよ!」


アンリエット「……今回の謎(テスト)は、ペーパーではありません」

ガラララ

アンリエット「”トリック”の実技です」

小林「…!」

アンリエット「ここは会場。今から、この槍が貴方達の心臓に向かって飛んできます」

アンリエット「何故この槍が、貴方の心臓に向かってくるのか。そして、貴方達はどう対処するべきなのか」

アンリエット「それを述べなさい。ミルキィホームズ。そして小林オペラさん」


小林「…………」

小林「…え?ぼっ僕もですか!?」

アンリエット「ええ。事務所に寝泊りするなら、貴方も当然…」

小林「いや、僕は別にホテルでも良いんですけど…」

アンリエット「ダメです」

小林「ダメ!?一体どんな権限を持ってるんですか貴方!」

アンリエット「こんな面倒くさい事になりたくなければ、この謎(テスト)をクリアすれば良いだけの話ですよ」

アンリエット「ねぇ…?ミルキィホームズの皆さん?」ニッコリ…

ネロ「……………」

シャロ「あうう…」

コーデリア「……大丈夫よコーデリア。私達はミルキィホームズミルキィホームズ…」

エルキュール「………グルグルグル」

小林「…………」

小林(まぁ…こんな子供だましなテスト…彼女達に解けない事は無いだろうし)


シャロ「そうです!心臓に来ると分かっているなら、胸にプロテクターを…」

アンリエット「この槍は突然飛んでくるのだから、事前に知る事はできませんわよ」

シャロ「がうーん!」

小林「………一度、皆で思いついた答えを言ってみようか」

コーデリア「!」

小林「槍は突然飛んできて、君達の命を狙ってくる」

小林「恐らくこれは、トイズの犯行と見て間違い無いだろう」

小林「もしそうでないとしても…どちらにせよ、強い一撃を加えるには一直線にしかどうしても飛ばない」

小林「仮にも、場所は会場。至近距離なんだからね。だからこの線は…」

シャロ「………あっそうです!」

ネロ「僕も分かった!」

コーデリア「私も!分かりました!」

エルキュール「えっ?えっ?あの…」

小林「え?まだヒントは…いや、分かったなら大丈夫だ」

小林「……それでは、みんな聞かせてくれ!」

小林「君達が見つけた、重要なファクターを!!」


【暴露開始】

シャロ「はい!槍を防ぐなら強力な盾!すなわち、トイズで硬化したエリーさんの後ろにつけば良いと思います!」

ネロ「エリーのトイズは攻撃力も防御力も高い。だから僕達はエリーの後ろにつけば良いのさ!」

コーデリア「エリーの後ろについて、槍を防げば良いと思います!」

エリー「えっ、えっ!?ええと…ええと…」

エリー「わっ私が!皆を守ります!!」


小林「……彼女達の答えを聞いて、導き出した答えは!!!」




小林「彼女達の答えは!どれも的外れだという事です!!!!!!」


ミルキィホームズ「「「「ショボーン…」」」」


【暴露終了】


小林「……どうして皆、エリーの後ろにつくって答えになったんだい?」

シャロ「だっだって…一番安全だから……」

アンリエット「………事前に知る事はできないと、言った筈ですミルキィホームズ」

コーデリア「うう…」

アンリエット「小林さんは、答えが分かっているのよね?」

小林「はい。先ほど申した通り、心臓を貫く程の強さというのは、骨をも砕く強さが無くてはなりません。」

小林「剣なら、あばら骨をくぐり内蔵を突き刺す事もできるでしょうが、この太い槍ではそうはいかない。」

小林「そして会場という屋内、どう頑張っても一直線にしか飛ばせない程の速度になってしまいます」

小林「更に」

小林「槍は普通、手に持って突き刺す物。機械では途中で回転してしまい、トイズでも真っ直ぐに飛ぶのは難しい」

小林「だから、その槍の攻撃を防ぐ方法は…」

小林「…単に、叩き落とすか歩けば良いだけの事です」

アンリエット「正解です」ニッコリ


シャロ「ええー!?そんなの納得いきませんよ!!」

ネロ「そうだよ!凄い速さで狙ってくるんでしょ!?そんなの叩き落せなかったらどうするのさ!」

小林「まぁ落ち着いて…問題は、もう一つの答えだよ」

エルキュール「もう一つの…?」

小林「会長は、どうして僕達の心臓に向かってくるのかと問いたね?それが重要なファクターなんだ」

小林「機械でなく、トイズの犯行だとすれば…飛ばす方向を指定して動かした奴が居る」

アンリエット「探偵ならば普通はそこで違和感を感じなければいけないのですが…まぁそれはよしとしましょう」

小林「それで、会長が言うように心臓をピンポイントで狙えるなら、それは余程な目利きかそれとも」

小林「追跡能力…そう考えたほうが筋が通る。つまり、本当は槍が早く飛ぶのではなくて、狙って来ている。だとしたら」

小林「…真っ直ぐ来ても狙ってきても狙う場所は一緒なので手で叩き落とすか歩けば、まぁなんとかなるでしょう。機械の線はここで消えます」

アンリエット「……少し、簡単すぎたかしら?」

小林「大分いじわるすぎな気がしますがね…」

ネロ「そうだそうだー!そんなの分かるかぁー!!」

シャロ「いじわるすぎますよー!!」

コーデリアー「ブーブー!!」

エルキュール「…ブッ…ブー…/////」

アンリエット「あのような単調の思考回廊では、とても怪盗もサイコパスも捕まえられません」

アンリエット「それを、身を持って学んでいただきたかったのです。後、寝床の件ですが…」

ネロ「あっ」

シャロ「私達……」

コーデリア「まさ…か……」

エルキュール「や…宿……無し…?」

小林「…………」

小林「…アンリエット会長。先ほどのテストに僕の参加も促しましたね?」

アンリエット「………」

小林「僕は解けたので、このテストは半分合格という形にはなると思うのですが」

小林「どうなのですか?」


アンリエット「………そうですね」

アンリエット「確かに、貴方をテストに加えたのは少し…失敗だったかもしれませんわ」

アンリエット「良いでしょう。ミルキィホームズ、貴方達にあの個人部屋を解放致します」

シャロ「………え?」

コーデリア「…ほっ本当…!?」

アンリエット「ええ。早く事務所に置いている荷物を部屋に戻しておきなさい」

シャロ「………いっ…」

シャロ「いやったぁあああああ!!!今日から!私達の部屋が帰ってきますよぉ!!」

ネロ「いやぁー、ようやく僕の城に戻れるんだ!バンザーイ!」

コーデリア「ああ!宿が有って…本当に良かったです!早く戻って掃除がしたい…!」

エルキュール「………………」

小林(……僕が居ない間、本当に何があったんだろう…大変だったのは間違いなさそうだけど…)

アンリエット「ああ、それと」

シャロ「はい!何でしょう!?」

アンリエット「今日の晩御飯は、抜きです」ニコッ

シャロ「えっ?」

アンリエット「半分合格、ですから♪」

ミルキィホームズ「「「「…………」」」」

ミルキィホームズ「「「「うわぁああああああああああああ!!!!」」」」


ネロ「小林ぃいい!!今日の御飯、奢ってぇえええ!!」ガシッ

シャロ「先生ぇえええ!!私、お魚が食べたいですぅ!!」ダキッ

コーデリア「教官!!最近横浜にもブッフェが沢山できましたの!!」バッ

エルキュール「………小林…さん!私は……お肉が……!」ギュッ

小林「うわぁ!ちょっちょっと!?」

アンリエット「…ああ、そうそう小林さん」

アンリエット「貴方、今日からミルキィホームズの教育係…お願いできますよね?」

小林「…えっええ!?このタイミングで!?」

アンリエット「ええ。残念ながら今のミルキィホームズは貴方が居た時と比べてダメダメになってしまいました。ですので」

アンリエット「また、再び彼女達が”まとも”になるまでの教育は貴方が一番相応しいとの、私の独断です」ニコッ

小林「いやでも、彼女達は既に教育関係は終えて…」

シャロ「……………先生」

シャロ「私達の元に…帰って来てくれるんですか…?」


小林「え?いっいや…あの、一応僕は…英国である集団に狙われていて…」

小林(今、僕に置かれている状況を考えると…とてもじゃないけど…彼女達と一緒には居られない…)

小林(彼女達が…また……僕の巻き添えを喰らってしまったら…!)

シャロ「っぃいいやったぁあああああああああああああ!!!!」

小林「え?」

シャロ「先生が戻って来てくれました!これで!ミルキィホームズ!完全体です!!」

ネロ「小林が居れば、僕達は再び無敵!またあの時の名声が帰ってくる!!」

コーデリア「ああ…教官…教官!!」ポロポロポロ

コーデリア「この日を…どれだけ待っていたか…!!うう…!!」ポロポロポロ

エルキュール「小林…さん……!!ううっ…ううう……!!」ポロポロポロポロ

小林(やっ…ヤバイ。本格的に僕が彼女達の指導する流れに…!)

小林「アンリエット会長!英国での殺人事件の事は知っていますよね!?」

アンリエット「はい。知っておりますが」

小林「実は!その事件で僕を狙う組織の存在が確認され…」

シャロ「先生!!早く御飯を食べに行きましょう!!」ガバァッ

ネロ「今日は小林が僕達の元に帰って来てくれたお祝いだよ!小林の金で!!」

コーデリア「私…私頑張ってお酌します!!」

エルキュール「私も…!!私…うっ…うううう…!!」ポロポロポロ

小林「あの…君達も、話を…」

アンリエット「…お話は、また後日伺いますわ。小林オペラさん」ニコリ

小林「いや、それが…あの」


シャロ「先生!早く行きましょう!!もうお腹空いちゃいました!」グイッ

小林「うわぁ!シャーロック!?」

ネロ「おっと、逃げられると思わない方が良いよぉ~?もう、僕達は小林を逃がさないからね!」

小林「ネロ!?」

コーデリア「こっ…これからも!私達をよろしくお願いいたします!」ペコリ

小林「コーデリア!?」

エルキュール「グスッ…小林……さん…!私達の事…これからも……お願いします……!」ポロポロ

小林「エルキュール!?」

シャロ「それじゃぁ!早速御飯へレッツラゴーです!!」

ギィィイイ…


イヤダカラチョットマッテ!イマハキミタチトイッショニイタラキミタチガアブナ…


バタァーン



アンリエット「…………」

アンリエット「…英国で、フランダース容疑者が最後に放った最後の言葉…」

アンリエット「小林オペラのトイズ…不老不死……」

アンリエット「………」

アンリエット「ふふふふふふ……」ニヤリ




【ホテル・ニューグランド 1F  ザ・カフェ  11月15日午後6時53分】


小林「……………」

シャロ「うわぁー…凄い綺麗なホテルですねぇ」

ネロ「いやぁしかし、僕も驚いたよ。まさか小林がここの常連だったなんて」

小林「…ゆっくり御飯を食べたい時は、よくここに来るんだけど…」

小林(決して安くはないから、大体一人の時に来るんだけどな…)

小林(本当は、このホテルに宿泊する予定だったんだけどね)

ウェーター「ご注文の方は、よろしいですか?」

シャロ「はい!!私はお魚コースで!!!」

ネロ・コーデリア「私(僕)はお肉コース!!」

エルキュール「…季節の…コース…/////」

小林「…………」

ウェーター「…小林さん。貴方は?」

小林「…とりあえず、いつものパスタで」


シャロ「私!コース料理なんて初めてです!」

ネロ「僕だって!どんな凄い料理が来るんだろう…楽しみ~!」

コーデリア「教官と一緒にこんな綺麗なお店…なんだか夢みたい」

コーデリア「……二人きりだったら、もっと良かったんだけど…」ボソッ

小林「?」

エルキュール「…私…も……久しぶりの……美味しい料理…楽しみ…です」

小林「……そうか」

小林「それじゃぁ、今日はとことん楽しんで」ニコッ

シャロ「はい!!」

ウェーター「お待たせしました。前菜です」

シャロ「わぁー……え?」

ネロ「すっ…少なくない?」


小林「ここは、沢山の量を食べるレストランじゃないからね。でも、コースなら次第にお腹いっぱいになっていくから大丈夫だと思うよ」

コーデリア「うん…!凄い美味しい…けど、少し物足りないわね」

ネロ「…もしお腹いっぱいにならなかったら、コンビニでお菓子買ってもらうよ」

小林「はは…それは大丈夫だと思うよ。……あっ、すみません。彼女達にバケットを多めにください」

ウェーター「かしこまりました」タッタッタッタ

ウェーター「お待たせいたしました」タッタッタッタ

ネロ「うええ!?凄い量のパンッ!?」

小林「これならお腹いっぱいにもなるだろうしね」

ウェーター「こちら、スープになります」カタンッ

シャロ「わぁ!早い!」

エルキュール「ああ…ううう…」オロオロ

小林「…自分のペースで食べれば大丈夫だから。気を使う事は無いよ」



【小林オペラ横浜事務所  11月15日午後9時11分】


シャロ「あー……」

ネロ「うー……」

コーデリア「……久々にお腹いっぱい食べたわね……」

エルキュール「………」ケプゥ

小林「ははは。本当にいっぱい食べたからね」

小林「…それよりも、自分の部屋に戻らなくても良いのかい?そろそろ消灯の時間だと思うのだけど」

シャロ「……あっ…そうだ…自分の部屋……」

ネロ「自分の部屋……あれー?」

コーデリア「…長い間、戻ってないから…場所を忘れちゃったわね……」

エルキュール「…………」ケフゥ

ネロ「…………」

ネロ「動きたくなーいー。動きたくないよー小林ー」パタパタ

シャロ「私もー…ちょっと苦しいですー…」パタパタ

コーデリア「………さすがに、部屋が今日見つからなかったら…」

ネロ「ねー小林ー。良いでしょー?今日くらいはここで小林と一緒に寝泊りさせてよーねー」パタパタ

シャロ「そーですーねー。今日は食べすぎましたー」パタパタ

小林「いやだから。それはマズイんだって…本当に…」

小林「……部屋まで送ってあげるから、戻るんだ。早く」

三人「「「えー……」」」パタパタ

エルキュール「……」ケフゥ

小林「…………」

小林(これから僕…大丈夫かな?)



【小林オペラ横浜事務所  11月16日午前1時11分】

小林「……ふぅ」

小林(彼女達も、会長と石流さんの協力の下に部屋に戻したし…ようやく落ち着いたかな)

小林(……………)

小林(…裁判の時に起こった、サイコパス殺人事件の裁判の犯人自爆)

小林(自爆の前に言っていた、あの言葉)



フランダース≪私”達”はね、小林オペラが欲しいのよ≫

フランダース≪小林オペラの能力が欲しい。永遠の命が欲しい≫


小林(…理由は不透明だが、複数の人数の団体が僕のトイズを狙っている事は確かだ)

小林(その為に、僕を犯罪者にして…刑務所に居て動けなくなった僕を連れ出すと言っていた)

小林(……………)

小林(…あれは、英国だけの団体だったのだろうか)

小林(さすがに、英国に居る同じ団体が日本にも居るとは考えにくい)

小林(いや、可能性は無くは無いが…もし、日本にも居るとしたら…)

小林(………)


ピピピピピピピピピピピピピピピピピ!!


小林「うわっ!!」



ピピピピピピピピピピピピピピピピピ!!


小林「…けっ携帯か?」

ピッ

小林「はい…小林ですが」

神津『……………』

神津『…小林か?』

小林「! かっ神津!戻ってたのか!」

神津『ああ。7時間ほど前から日本に着いた。…が、』

神津『どうやら、この国でも俺を休ませるつもりは無いらしい』

小林「え?それはどういう…」

神津『赤レンガ倉庫の2号館に来い』

小林「……何だって?」

神津『殺しだ』

小林「!!」

神津『…赤レンガ倉庫の2号館の中で被害者と容疑者の二人が出てきた』

『おいこら!泣いてないでとっとと歩きなさいよ!!』

『ヒッグ…ヒッグ…タスケテ…タスケ…』

神津『詳しくは、お前が現場で調べてくれ』

小林「……分かった。今すぐ行く。そこで待っててくれ」ガチャンッ

小林「…………」

小林「…さっき、泣いていた声…どこかで聞いた事があるような…」



【横浜赤レンガ倉庫 2号館  11月16日午前1時33分】



小林「神津!!」

神津「…来たか。小林」

小林「…それで、現場は!?」

神津「今、鑑識が調べている。身元は敷鑑担当の刑事が調査に当たっている」

小林「G4は?」

神津「…彼女達は、怪盗専門のグループだ。殺人事件は管轄外で、こちらには来ていない」

小林「え?でもさっき電話口から小衣くんの声が聞こえたような…」

神津「………いや、ああ。そうか」

小林「?」

神津「そいつは聞き間違いだ。小衣では無い」

小林「え?でも…」

神津「今回、容疑者からの要望。そして関係者によりお前が特殊捜査権限を得る事となった」

神津「…正直、英国でのあの事件の後にお前をこの事件に巻き込みたくなかったのだが…」

小林「いや、もしお前が言わなくても僕はここに来ていたさ!」

神津「……………」

神津「…それもそうか」

神津「現場はこっちだ。着いて来い」スタンスタンスタン

小林「…………」

小林(あの声…あの泣いている声が、本当に僕の知っている人であれば)

小林(そんなの…放っておけるわけがない!)



【横浜赤レンガ倉庫 2号館 内部  11月16日午前1時35分】


小林「……ううっ!!」ビクッ!!

神津「………酷いだろ」

小林「………」

神津「被害者は、今の所分かるのは、この尖ったオブジェクトに突き刺さり心臓を貫かれた事によるショック死」

神津「そして、その後にナイフで何度も顔を刻まれた後がある。余程恨みがあったのか…顔を執拗にだ」

小林「……死亡時刻は?」

神津「11月15日の午後11時…細かい時間までは分からないが、こんな所だ」



証拠ファイル①身元不明の解剖記録

【死亡時刻は午後11時。死因は胸に尖ったオブジェクトを突き刺されたショック死。その後執拗に顔を切り刻まれている】



小林「…………」

神津「詳しい事は、後日裁判の日に鑑識と敷鑑が調べつくしている事だろう」

小林「……そうか」

神津「もし、この事件を受け持つ意思が無いのなら、ここで止める事もできるが」

小林「……」

神津「…まぁ、それはお前自身が決めろ」


【調査開始】



≪神津に話しかける≫

→【どうして日本に?】


小林「神津、どうして日本に来たんだ?…まさか、また大きな事件か?」

神津「…特に大きな理由は無い。強いて言えば、単なる里帰りだ」

小林「里帰り…?」

神津「ああ。スイスに潜伏していた仏教派生の異常宗教テロリストの事は知っているだろう?」

小林「……いや、ちょっと分からないなそれは」

神津「まぁ、とにかくだ。そいつらを殲滅した褒美として、一時的な帰省を許されたのだが…」

神津「…こうも立て続けに血を見るとはな。俺もツキが無い」

小林(…神津って、まさか警察とかじゃなくてエージェントなのか…?)


→【容疑者について】


小林「…ところで、二人。を発見したって言っていたよな?」

神津「ああ」

小林「その、一人は被害者。もう一人は容疑者と言っていたけど…その容疑者は?」

神津「…今は、護送車に乗って留置所に向かっている」

小林「いやそうじゃなくて、容疑者は…一体誰なんだ?」

神津「…………」

神津「…まぁ、お前なら話しても大丈夫だろう」

小林「…?」

神津「今回、この殺人を犯した容疑者に選ばれているのは…」

神津「……”エラリー姫百合”。以前のミルキィホームズの指揮官だ」

小林「……えっ」

小林「ええええええええええええええええええ!?」ビクゥッ


神津「…驚くのも無理は無い。俺も、あんな姿の彼女を見たのは初めてだ」

小林(ひ…姫百合君が……この殺人事件の容疑者!?)

小林「いっ…一体…なんで!?」

神津「我々が見つけた時は、今現場保存されている死体と」

神津「その隣で何かをブツブツ呟きながらナイフを”素手で”握り締めていた彼女の姿だ」

小林「…!?」

神津「小さく蹲り、俺が聞こえた内容だと…誰かに助けを求めていたように見えた」

小林「留置所に行けば…彼女に会えるのか?」

神津「……会った所で、無駄になると思うがな」

小林「なに?」

神津「姫百合は今、精神的に危ない状況に居る」

神津「落ち着くまで時間が掛かるだろう。最悪…」

神津「……廃人になってもおかしくない程に憔悴しているからな」

小林「……!?」

神津「そして、我々警察は」

神津「あのような精神状況では、人を殺していてもおかしくないと判断して」

神津「姫百合をこの殺人事件の容疑者として告訴するつもりだ」

小林「…そっ…そんな…!」

神津「今の所、警察は現場の調査に専念をしているが…」

神津「姫百合が不利になる証拠以外、今の所一切見つかっていない」

小林「………」

神津「俺はとりあえず、調査に戻るが」

神津「何か分かったら教えてくれ。…では」スタ…スタ…スタ…

小林「…………」

小林(姫百合君が……殺人事件の容疑者…)

小林(…いや、違う!これは、何かの間違いだ!)

小林(絶対に…この事件の”真実”を見つけ出してやる!)


≪現場調査≫

→【被害者の顔】

小林「うっ!」

小林(やっぱり…いつ見ても酷い有様だ…)

小林(真っ赤にグチャグチャにされて…最早原型すら留めて居ないじゃないか…)

小林(…………)

小林(…一体、どんな気持ちでこんなにナイフを突き刺したんだろう…)


→【ひしゃげたクレーン】

小林「なぁ神津、このクレーンは事件のあとにひしゃげたのか?それとも前からひしゃげていたのか?」

神津「それは事件の前から…というのも、ひしゃげたのは二日前だがな」

小林「…え?一体何が起こったんだ?」

神津「…何てことは無い。ただの老朽化だ気にするな」

小林「はぁ…そんなものか…って、あれは…」



証拠ファイル②アルバム

【ミルキィホームズとの思い出の写真が詰まっている。血まみれだが、この事件が起こるまで大事にしていたようだ。】



小林「これは…!」

小林(姫百合君が、彼女達と過ごしたはっきりとした証拠品…!)

小林(やっぱり…姫百合君はこの倉庫に来ていたんだ…!)

神津「…小林、なんだそれは」

小林「クレーンに挟まっていたアルバムだよ。…姫百合君ので間違いない」

神津「そうか。それも証拠品として押収させてもらうが」

小林「……事が終わったら、返してやってくれ」

神津「それは、牢獄かシャバかどちらだ?」

小林「さすがにシャバだよ!!」

神津「……どうだろうな」



→【不自然な血痕】

小林「神津!」

神津「…ああ、そこか。そこなら既に調べている」

神津「恐らく、そこに何か箱か金庫が置かれていたのだろう」



証拠ファイル③不自然な血痕

【殺した後に、箱を移動した形跡のある血痕跡。真死角の空白がある】




神津「今、その血痕の上にあった箱がどこにあるかを詮索している」

神津「…姫百合はあんな感じだ。どうやっても口が割れるとは思えないが…」

小林「…………」

小林「もし、ここにあった箱を持ち出した奴が犯人だとしたら…姫百合君は容疑から外されないのか?」

神津「無理だ。そもそも姫百合は被害者の血痕のついた凶器を手に持っていた」

神津「全身にも被害者の血が付着していた。…最早アレは、自らの手で殺さなければ付かない血痕だ」

小林「うっ……!」

小林(そう簡単には…いかないか…)


→【カセットテープ】

小林「……あれ?このカセットテープ…」

神津「どうした、小林」

小林「いや、このオブジェクトの死角にカセットテープのような物があるんだけど」

神津「…なんだと?」

小林「ほら、これ」

神津「…………」

神津「…鑑識!車からカセットレコーダーを持って来てくれ!」

鑑識員「はっ!了解です神津警視!!」

タッタッタッタッタ

神津「このラベルの貼られていない物…間違いなく録音用のテープだ」

小林「それじゃぁ、この中身は?」

鑑識員「持って来ました!警視!!」

神津「ご苦労。では、聞くぞ…」カチリ

小林「………うん」



ザザ…ザザザザ……

≪ピー…ガガガガガ-…………ブツン≫

≪………………≫

≪………≫

≪…≫

≪…誰か…聞いてる?聞いてるよね?≫

≪………≫

≪……………≫

≪くまさん≫

≪8≫

≪B≫

≪ブツンッ≫


小林「………」

神津「………」

小林「…えっ!?おっ終わり!?」

神津「どうやら、そのようだな」



証拠ファイル④カセットテープ

≪被害者の声が録音されている。内容は【くまさん、8、B】≫



神津「だが、無関係とは言い切れない。これも証拠品として預かることにしよう」

小林「………」

小林(この声を録音した場所はどこだ?一体どこでこの録音をした?)

小林(一体…何の目的で?)



「…ちょっと!!おいそこのアンタァー!!」

小林「…おい?神津。子供の声がしたぞ?」

神津「ああ、そうだな」

小林「今は深夜、そしてここは赤レンガ倉庫…どうして、子供の声が…」

小林「…まさか、ここは…」

小林「神津!もしかしたらここで子供が監禁されている可能性も…!」

神津「小林、頭に血が昇っている所悪いが…少し落ち着け」

小林「えっ?」

ドッ

小林「ゴハッ」

ドサッ

小林「痛たた…一体…何が…」

「どぉおおおして!!私の事件に探偵が関わっているのかしら!?んん!?」

小林「…え?あの…君は…」

「はっ!全くまだ子供じゃないのよ!とっとと摘み出しなさいよコイツ!!」

小林「…ええと…」

小林(子供に子ども扱いされた…)


神津「…北芝検事。こいつは特殊捜査権限を持った探偵です」

北芝「………特殊そーさけんげぇん…?」ギロリ

小林「………」

北芝「………」

北芝「そんなもの私の知った事じゃないわよ!こいつ邪魔!とっとと追い出せ帰れ!!」ムギー

小林「あはは…困ったな。…一応僕警察に呼ばれて来たんだけど」

北芝「うるさいうるさい!私は探偵が嫌いなの!とっとと帰れ!!」キーキー

小林「ははは…」

小林「…神津、警察は…小衣くん以外にも容姿の幼い女性が働く程人手不足なのかい?」

神津「お前は警察を何だと思っている。確かに前例はあるが…」

北芝「っはぁあん!?子供はアンタでしょうが!!チ○毛揃ってんのかぁ!?オラァ!!」

小林(くっ口調が変わった!)

神津「……彼女は北芝千尋。検事をやっている。そして、お前よりずっと年上だぞ小林」

小林「ははは…年上……」

小林「………」

小林「………えっ!?」


北芝「……何?そんなに珍しい?」

北芝「背も伸びず胸も大きくならない、後半年で三十路を迎える女が…そんなに珍しい!?」

北芝「ふざけんな!冗談じゃないわよ!!何で私は年を取らないのよ!!トイズ持ってるんのか私は!探偵にジョブチェンジしてやろうかしら!?」

北芝「ああダメだわ!!探偵なんて収入不安定だから無理!!トイズ無い警察の方が優遇も良いから無理!!ムリムリムリ!!」

北芝「トイズ無しでこんな見た目が幼稚園から変わらないなんてお笑いよね!笑えよ!笑いなさいよ!!私なんて笑いすぎて更に若返るわあーはっはっはっはっは!!!」

小林「…はは、とても元気な方ですね…」

北芝「うわぁあああああああ!!笑った!こいつ今私の事笑ったわ!?」

北芝「うえええええええん!!神津くぅうううん!!こいつ追い出してぇ!!うぇぇええええん!!!」ビィィイイイ

神津「仕事してください北芝検事」

小林(この人ちょっと…小衣くんに似てるな…)


北芝「仕事?はっ!馬鹿にしないで!現場なんてとっくに一通り見てやったわ!!」

小林(感情がコロコロ変わって忙しい人だなぁ)

北芝「大体、私の仕事なんて大方決まってるんでしょう?簡単よ簡単」

北芝「裁判当日、被告人のこの”エラリー姫百合”って奴を有罪にしてやれば良いんでしょ!」

小林(…!)

北芝「私の手にかかればお茶の子さいさいよぉ~!今まで、私が担当した事件で被告人が無罪になった事だって無いでしょ~?」

神津「…確かに、記録上存在しません」

北芝「そうそう!だから、今回も私に任せておけば良いって訳さ!」

北芝「私のこの頭脳明晰の検事力で!エラリー姫百合を処刑台に送ってやるわ!!」

小林「…まっ待ってください!」

小林「まだ…姫百合君が有罪と決まった訳では…」

北芝「あ?アンタお呼びじゃないわよあっち行ってシッシ」

小林「うぅ…!」

神津「…ですから北芝検事。彼は特殊捜査権限を…」

北芝「そんなの無駄でしょぉ~?だって、この現場を見渡した限り」

北芝「ずぅぅぇぇえええええええったい!このエラリー姫百合被告人が殺したんだから!」


北芝「私の勘は、一度たりとも外れた事が無いのよ。そして」

北芝「私の勘が裁判に影響すると言っても!過言じゃない!」

北芝「だから、アンタなんか捜査に必要無いのよ」

小林「…………」

神津「…小林」

神津「”ここ”で調べられるのは、恐らくこれで全部だ」

小林「……!」

神津「だから、悪いが小林…今は一度帰ってくれ」

北芝「そうよ!帰れ帰れ!三流探偵の癖に!あーっはっはっは!!」

小林「……分かったよ神津。一度、事務所に戻ってみる」


タッタッタッタッタッタ


北芝「ふんっ!やっと言ったわね。ところで、あの探偵は誰なの?神津くん」

神津「小林オペラ。以前にも多くの事件を解決に導き、横浜を一度崩壊から救っています」

北芝「へー、小林オペラ………」

北芝「……………」

北芝「…それって、あの有名の方の小林オペラ?」

神津「名探偵の方です」

北芝「……ふぅーん」ニヤリ

神津「………」

北芝「ま、私の方からは何もしないけど…」

北芝「私の裁判の邪魔でもしてきたら…容赦なく潰しちゃおっかなー」

神津「…………」

北芝「…探偵職が、弁護士資格も含まれるようになったのは最近」

北芝「もし、私が小林オペラを潰しちゃったら…ウプププププ」

神津「……北芝検事」

北芝「なぁに?神津くん?」

神津「仕事してください」スタンスタンスタン

北芝「ああー!ちょっと待ってよ神津くぅん!!」タタタタタ


【小林オペラ横浜事務所  11月16日午前7時11分】

小林「…………」

小林(結局、取れた睡眠時間は一時間…)

小林(姫百合君の事が気がかりで、とても眠れなかったな…)

小林(…………)



『ヒッグ…ヒッグ…タスケテ…タスケ…』



小林(あの声は…姫百合君の者だった)

小林(あんなに頼もしく、強かった姫百合君が漏らした…恐怖に支配された声)

小林(…絶対に、絶対に姫百合君が殺人を犯すわけが無いんだ!)ダンッ

小林「行こう…!もう一度、現場へ!!」

小林(神津は、もう現場には調べられる所が無いと言っていた)

小林(ならば…現場以外。事件現場の周りは!?)

小林(そこに、この事件を解く鍵があるかもしれない!)

ガチャリ…


シャロ「…………」

ネロ「…………」

コーデリア「…………」

エルキュール「…………」


小林「…きっ」

小林「君たち…?」

シャロ「……先生…」

小林「うん…?」

シャロ「ズルイです!!!」

小林「!?」

ネロ「…さっき、ニュースで見たよ。ヒメの事」

小林「えっ?」

小林(…いや、さすがにニュースには出てるか…)

コーデリア「ヒメちゃんとは、私達も共に過ごした仲です!」

シャロ「そうです!そのヒメちゃんが…殺人なんて!絶対にする訳無いじゃないですか!!」

エルキュール「そ…それ…と!こっこれ…!!」ピッ

エルキュール「映ってるの…小林さん…!」

小林「うっ…」

小林(いつの間にか、ネット掲示板でも画像が貼られている…)

ネロ「酷いよ小林!僕達に内緒でヒメの事件の捜査に行くなんて!」

シャロ「そうですよ!ヒメちゃんは、私達にとって大切な友達なんです!」

小林「………」


コーデリア「教官!無理を承知で言わせて貰います!私達も…」

小林「ダメだ」

ミルキィホームズ「「「「!!」」」」

小林「…この犯行は、殺人。つまりトイズを用いたサイコパス殺人事件だと警察は判断している」

小林「勿論それは姫百合君が疑われているから言われてるのであって、実際は違うかもしれない」

小林「でも…あの奇妙な殺され方は」

小林「姫百合君で無くても、トイズを用いたサイコパス殺人の可能性が非常に高い」

シャロ「それでも!私達は探偵です!!」

コーデリア「そうです!ヒメさんがピンチな時に、私達が何も出来ないなんて…そんなの納得ができません!」

小林「……怪盗を追いかけるのとは、全く違うんだぞ?」

ネロ「そんなの、百も承知さ」

シャロ「ヒメちゃんのピンチに!このミルキィホームズが本気を出さなくて!何をするんですか!」

コーデリア「教官!」

エルキュール「小林…さん!!」

小林「…………」


小林(……こうなると、何言っても諦めてはくれないだろうな…)

小林(それに、僕一人だと限界もある。……ただ)

小林(この事件が、サイコパス殺人事件で無い可能性だって無いわけじゃない)

小林(…本当に、危なくなったら…)

小林「……分かった」

ミルキィホームズ「「「「!」」」」

小林「そこまで言うなら、手伝ってくれ」

シャロ「…!はい!!」

ネロ「へっへーん!小林と捜査するの、かなり久々~」

コーデリア「教官の為に…そしてヒメさんの為に!私達、頑張ります!」

エルキュール「…頑張り…ます…!!」

小林「…ああ!」

小林(危なくなったら…守れるか?僕に)


→【今回の殺人事件】

シャロ「今回の殺人事件、赤レンガ倉庫で起こったんですよね?」

小林「…ああ、とても恐ろしい現場だったよ…」

ネロ「何か、持って来た証拠品とか無いの?」

小林「それならいくつかある。…けど、大丈夫か?」

コーデリア「大丈夫です!仮にも私達は探偵。怪盗もサイコパスも同じ犯罪者…キャァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

シャロ「どうしたんですかコーデリアさひぃやぁあああああああああああああああ!!!!」

エルキュール「えっ…?その写真…ひぃい!!!」ビクッ

ネロ「……そっ…想像以上に……エグイ…ね……これ…」

小林「しかも、僕はその現場を見てきたからね」

シャロ「しっ仕舞ってください先生!その写真!怖いですぅうう!!!!」

小林(…早速、トラウマが出来ちゃったみたいだな)


→【これからどうする?】


ネロ「それで?これからどうするのさ。また、現場に向かうの?」

小林「ああ。一応現場の検証は終えたけど、まだあるかもしれないからね」

小林(まだ、現場の周りは調べていないけど)

コーデリア「…殺人事件の…現場……」

エルキュール「う…うう…」ビクビク

小林「………」

小林「やっぱり、怖い?」

コーデリア「だっ大丈夫です!私達は探偵!死体の一つや二つくらい…」

小林「僕は正直怖いよ…」

コーデリア「っ!!」

シャロ「先生がその気でどうするんですか!ヒメちゃんはもっと怖いんですよ!!」

小林「……うん。そうだね」

ネロ「んじゃ、決まり!早く僕達を現場に連れてってよ小林」

小林「え?あっああ…。やっぱりついてくるんだ」

ミルキィホームズ「「「「………」」」」ジトー

小林(…そもそも、彼女達は特殊捜査権限を持っていないから入れないんだけどな…)



【横浜赤レンガ倉庫 2号館  11月16日午前9時03分】


ネロ「なんだよあの鑑識ー!!何で僕達を入れてくれないのさー!!」プンプン

コーデリア「教官にまで、子供を連れて入らないでくださいと言うなんて!私は教官の一つか二つしか違わないわよ!」プンプン

小林(さすがに、彼女達を連れて現場検証はできないか)

シャロ「どっどうしましょ~…これじゃぁ、現場検証ができません~!」オロオロ

エルキュール「……ぅぅ」オロオロ

小林「皆、落ち着いて。そもそも僕は内部の現場検証は終わってるんだ」

小林「だから、中に入らなくていい。僕達は外を調べよう」

シャロ「…あっ!そうですか!」

小林「それに、僕は特殊捜査権限を持っているから新しい証拠品とかも神津から流れてくる」

小林「だから僕達は警察にできない所を捜査するのさ」

シャロ「なるほど…分かりました!!」

ネロ「確かに、警察の手の届かない所に意外な物があったりするからなぁ~」

コーデリア「そうと決まれば皆!捜査開始よ!!」

ミルキィホームズ「「「「オー!!」」」」


【横浜赤レンガ倉庫 2号館  11月16日午後14時31分】


シャロ「全然見つかりませんー!!!!」バターン

ネロ「僕もー!!何だよこれ!もうダメダメじゃん!!」バターン

コーデリア「…私…気づいた…気づいてしまいましたわ教官…!」

教官「何をだい?」

コーデリア「現場じゃない所を虱潰しに探すのは……」

コーデリア「砂漠で麦チョコを探すような物だと!!」

シャロ「ひっひぃぇええええええ!!!!」

ネロ「…通りで途方も無いわけだぁ~…。」グゥゥウ…

ネロ「……お腹空いたよぉ~小林~」

小林「…そうだね。もうかれこれ5時間も探してるから」

小林(でも、想像以上に何も見つからないな…)


シャロ「あうぅぅ…お昼御飯~…」グゥゥゥウ…

エルキュール「疲れ…ました……」キュルルルルルル

コーデリア「皆はしたないわよ。教官が居るのに、お腹を鳴らすんじゃ…」グキュルルボボボボボボボ

コーデリア「…………」

小林「…コーデリアも、お腹空いたんだね」

コーデリア「きっ聞かないでくださいっ!!/////////////」カァァァァァァ

小林「………」

小林「少し遅いけど、お昼にしようか」

シャロ「!!」

シャロ「わぁああい!!私!でっかいマグロが食べたいです!!」

ネロ「僕、ジャンボチョコレートバナナパフェ!!」

コーデリア「20分で食べ切れたらタダのジャンボ餃z…ゲフンッ!!   ………紅茶とケーキを」

エルキュール「……カ…カルボナーラ…////////」

小林「ここぞとばかりにおねだりしてくるね君たち」


小林(……姫百合君の裁判は、このまま行けば明日には開かれる)

小林(それで、北芝検事の受け持つ裁判…弁護は誰だ?)

小林(…………)

小林(…僕だけでも、現場の検証を徹夜でしないと…)

ネロ「でも、僕達が現場検証できないのはキツイよねー」

コーデリア「…それもそうね。現場を見れば何か分かるかも知れないんだけど…」

シャロ「…写真だけじゃ、ちょっと分かりづらいですもんね…あっそうだ!!」

シャロ「ココロちゃんにお願いすれば良いんだ!G4の皆さんなら!私達に特殊捜査権限をくれるかもしれません!」

ネロ「…そういえばそうだ!G4の奴ら、確か階級はそこそこ高かったよね!」

コーデリア「そうとなれば、御飯を食べた後に行ってみましょう!」

エルキュール「とくしゅ…そーさ…けんげん……ゲット…!」

ミルキィホームズ「「「「オー!!」」」」

小林「…はは。元気だなぁ」

小林(……そういえば、G4は怪盗専門の対策本部)

小林(今回のサイコパス殺人は管轄外と言っていたけど…どうなんだろう)



【横浜警察署 怪盗対策本部  11月16日午後15時55分】

シャロ「というわけでココロちゃーん!私達に特殊捜査権限をくださーい!!」

小衣「ココロちゃん言うなぁあああ!!!……って、誰がアンタらなんかに特殊捜査権限なんてやるもんですかっ!!!!」

シャロ「そっそんなぁ!だって!ヒメちゃんに関わる事なんですよぉ!!」

コーデリア「私からもお願いします!ヒメの為にも…私達に協力してください!」

小衣「はっ!ヒメって姫百合の事?」

小衣「確かに、今朝留置所に連れてかれるの見たわね。…あんな状態じゃ、人を殺してもおかしくないわ」

ネロ「なっ!…アンタもヒメの事疑ってるの?」

小衣「疑ってるも何も、姫百合が殺したんでしょ!?だったら自業自得じゃない!」

小衣「犯人を信じるのは勝手だけど、願望を押し付けてくるのだけは止めなさい!!不愉快だわ!いくらなんでもね!!」

エルキュール「ひっ…酷い…!」


シャロ「ココロちゃん!本当にヒメちゃんは殺人をする子じゃないんだよぉ!!」

小衣「だからココロちゃん言うな!!そんなもん知った事じゃないわよ!!」

小林(…警察は、やっぱり姫百合が犯人だと断定しているみたいだな…)

コーデリア「だったら、せめて特殊捜査権限だけでも…」

平之「いえ…申し訳ありませんが、私達にも無いその権利を、貴方に与える事が出来ません…」

次子「…私達にも、あの事件の捜査には介入できないんだ。怪盗専門の対策チームだからな」

シャロ「えっ…?G4の皆さんも、あの現場に行けないんですか?」

次子「行けるのは、担当の警視だけだよ。…私達は、情けなく別の怪盗事件が出るまでお留守番だと」ギリリ…

咲「ま、そーゆー訳でー。私たちにはどうしようもできないってわけー」

平之「…本当に申し訳ありません。聞くなら、警視に連絡したほうが…」

小衣「こんなくだらない事、警視の手に煩わせる事無いわよ!警視に余計な仕事が増えちゃうじゃない!!」

シャロ「!!」

ネロ「くだらない事ってなんだぁー!!人が死んでるんだぞ!!」

小衣「だから!警視が担当なら絶対に解決するから余計な心配すんな!!もう帰れ!!」ムギィイイ

シャロ「う…ううう…」ジワァ…


コーデリア「…帰りましょう。皆。…この人たちには、私達に特殊捜査権限を与えられないみたいだし…」

ネロ「…そうだね。僕達だけでヒメを助けるよ」スタスタスタ

小林「うん…神津はともかく、北芝検事は姫百合君を有罪にしようとしているからね…急がないと」

小衣「…………」

エルキュール「はい…。絶対に…絶対にヒメさんを助けましょう…!」

小林「その意気だ!それじゃぁ、現場に戻って…」

小衣「ちょっと待って」

小林「ん?」

小衣「今…北芝って言った?」

小林「え?今回の事件の担当検事でしょう?…知らされてないのかい?」

小衣「…それで、今、警視と一緒に居るの?」

小林「うん…。神津も今回の事件の担当だからね」

小衣「…………」

小林「……?」

シャロ「…どうしたの?ココロちゃん?」

小衣「………あっ」

小衣「あの野郎ぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴ

小林「」ビクゥ

シャロ「」ビクッ


小衣「あの猫かぶりの泥棒猫ぉぉおおお!!!まだ警視を狙ってたのかぁああああああああ!!!!??」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

小衣「許さん…絶っっっ対に許さないわよっ!!!あのクソババアがぁあああああああああああ!!!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

シャロ「コ…ココロちゃん?」

小衣「あ"あ"ん"っ!!?」ギロリ

シャロ「ひぃぃ!?」ビクビク

ネロ「すっ…凄い迫力…」

小林「…あの、小衣君と北芝検事と…一体何が」

次子「ああ、実はな。…小衣と北芝さんは、ちょっと…いや、かなり仲が悪いんだよ」

平之「何度か、神津さんを取り合って喧嘩…最悪戦争を起こしたんです」

小林「え?戦争?」

咲「ちなみにその時の写真がこれー」スッスッ

小林「え?写真が残……うわぁ何これ?爆心地?」


小衣「ちょっとぉおおお!!そこのダメダメホォオオムズ!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

シャロ「ひゃい!?」

コーデリア「なっ…なんでしょうか?」

小衣「アンタらぁ…現場に行くのよねぇええ!?だったらぁあああ!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

小衣「私も連れてけぇええ!!さもないと、…この世の地獄を、アンタ達にも見せてやる!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

コーデリア「わっ分かった!分かったから!」

ネロ「…ついて来るって言うなら、僕たちに特殊捜査権限くれるんだよね?」

小衣「あげるあげる!もうそりゃぁいくらでもあげるわよ!!アンタ達が要らないって言ってもくれてやるからとっとと連れていきなさいいいいいいいい!!!!!!」ゴゴゴゴゴゴ

次子「いやいやいや…あげられる程も持ってないだろ私等…」

小衣「そんなもの!私の一声でいくらでも湧き出てくるわ!!黙ってなさい次子ぉ!!!」

次子「…はいはい」

シャロ「やりました先生!小衣ちゃんから特殊捜査権限貰えましたね!」

小林「うっうん…これ、貰ったと言って良いのかな?」

小林(現場が色んな意味で荒らされそうだ……連れて行っても大丈夫なのか?)

小衣「ジェラララララララララララララララララ!!!!!!!!」ギュルギュルギュルギュル

シャロ「わぁー!小衣ちゃん爬虫類みたいな声出してますー!!」


【横浜赤レンガ倉庫 2号館 内部  11月16日午後16時35分】

小林「………」

シャロ「…あれ?先生。被害者の遺体がありません!」

エルキュール「血…!血痕だけ…残されて…!」

小林(…さすがに、遺体の鑑識が始まっているか)

シャロ「ま…まさか!遺体が真犯人の手に…!」

小衣「なわけあるか!解剖処理班に連れてかれたのよ!その死体!」

小衣「…それよりも!警視はどこ!?どこに居るのよ!!もう警察もまばらでほとんど居ないじゃない!!」

小林「まぁまぁ、さすがに神津も忙しいから。ずっと同じ場所に留まらないだろうし…」

小衣「はぁ!?だったら、とっとと警視と北芝(クソガキ)を見つけなさいよ!!」

小衣「見つかるまで、ここの現場捜索は許さないんだからねっ!!!!」

ネロ「えーっ!?」

コーデリア「ひっ卑怯よ!そんなの」

小衣「だったら!!とっとと警視を見つけて、あのクソガキをどっかに遠ざけてやりなさい!!!!」

小林(要求が増えてる…)

シャロ「せっ先生!まずは神津さんを見つけないといけないようです!」

小林「…どうやら、そうしないと小衣くんの機嫌が直らないみたいだね」

小林(やれやれ…)


コーデリア「むむぅ…!こうなれば…仕方がありません」

ネロ「とっとと、神津を見つけてやろうよ。小林!!」

「俺が、どうしたって?」

ネロ「んっ?……うわぁああああああああああああ!!!!」

小林「あっ…神津!」

神津「来たか小林」

北芝「…っおい、どうして子供が増えてるのよ?」

ダンッ!!

北芝「ここはねぇ!!保育園じゃないんだよ!!遊びたいなら公園に行きなクソガキ!!」

ネロ「なっ…!なんだよ!そっちだって子供じゃないか!」

北芝「ああんっ!?」ギロリ

シャロ「ひぃ!」ビクッ

ネロ「こっ小林!何だよこの子供!なんでこんなに偉そうなの!?」

小林「…この人が、その…今回の事件を担当する」

小林「北芝…検事だよ」

シャロ「…………」

コーデリア「………」

ネロ「………」

エルキュール「……………」

ミルキィホームズ「「「「えええっ――!!」」」」


シャロ「け…警察の人は!こんな子供を雇うほどに人手不足なんですか!?」

北芝「…喧嘩売ってんのかぁ!!コラァアア!!」ギャァアア

神津「………」

神津「これで、この人の説明をするのは三度目だが。こいつは俺よりもずっと年上の女性だ」

ネロ「ははっwうっそだぁwww神津警視も冗談が好きだねぇwwwww」

北芝「ちょっとそこの刑事!」

刑事「はい!何っすか検事!?」

北芝「こいつ逮捕!」

刑事「はいっす!」

ガチャンッ

ネロ「えっ?」

北芝「公務執行妨害および、人権侵害罪で逮捕。思い知りなさい」

ネロ「………うええええええええええええええ!?」

シャロ「え!?ほっ…本当に検事さんなんですかぁ!?」

北芝「そうよ。こう見えても私、ずぅーっと偉くて還暦もあるんだから。ねぇ?神津くぅん?」

神津「……確かに、検事について10年近くは経っています」

コーデリア「ほっ…本当に…検事の方なんですか…?」

北芝「…だから!さっきからそう言ってるでしょう!」キー

小林(……想像通りの展開になってきたな。…あれ?そういえば小衣くんは?)

北芝「とにかくとっととこっから出て行きなさい!捜査の邪魔よ。シッシ!!」

シャロ「そんな!でも私達は!ココロちゃんから特殊捜査権限を貰って…って、あれ?ココロちゃーん?」

タッタッタッタッタ

小衣「チェストォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」



ドゴッ



北芝「ガァァアアアアアアアド!!」カキィイイン

小林「!?」

小衣「ここで会ったが百年目ぇええ!!警視に近づくんじゃないわよこのクソババアアアアアアアア!!!!」

北芝「はぁああ!?私はただ捜査で居るだけですぅー!!そもそもアンタこの事件には管轄外でしょうが!何でここに居るのよ!?」

小衣「はんっ!常に被告人を有罪にしてきた奴だから、どぉぉせ!証拠の捏造とかしてるんじゃないかと、監視しに来たのよ!!」

北芝「んな事するわけ無いでしょうが!私は、ここ10年検察をやってきたけど被告人が有罪以外の判決を受けた所を見た事無いし経験した事も無い!!」

北芝「この事件だって!99%有罪なんだから私が捏造するまでも無く姫百合被告は有罪!」

シャロ「違います!ヒメちゃんは殺人なんか…」

北芝「そんなの関係無いわ!私がやる事はね、その有罪判決に更に重い罪を上乗せする事なの!!」

北芝「今回の裁判で、念願の死刑台送り150人達成なんだから!邪魔するんじゃないわよ!!!」ビシィッ

コーデリア「……っ!!」プルプル

小衣「へぇーそれはおめでとうー!!だけどねぇ、この事件は警視も受け持っても居るのよ!!警視の邪魔をしないでくれる!?」

北芝「邪魔してんのはアンタでしょうが!!」

小衣「何おぉおおおお!?」

神津「小衣」

小衣「はいはぁーい!!何でしょうか警視ぃー!!」

神津「帰れ」

小衣「…えっ」

神津「というより、何故お前がここに居る」

小衣「……えっえ…」


神津「お前達G4は、怪盗対策の特別チームの筈だ。サイコパス殺人事件は管轄外だろ」

神津「それに、そのチームにリーダーが居なくて。もしもの時が起きたらどうするつもりだ?」

小衣「…でっ…でも…でも…」

神津「もう一度言う。だが、もうこれ以上は言わん」

神津「今すぐ、持ち場に帰れ明智警部」

小衣「……………」

北芝「やぁーいwwwやぁーいwwwww振られたーwww振られてやんのーwwwww」

神津「北芝検事、黙ってください」

北芝「はぁーい」

小衣「」ジワァ……

小衣「ウェえええええええええええええええええええええええん!!!!」ビィイイイイイイイイイ

小林「!」


小衣「やだぁ…!やだよぉ警視ぃ…やだ…やだぁぁぁぁぁ……」ポロポロ

小衣「そ…そんな女なんかの…下に付かないでよぉぉおお!!」ポロポロポロ

小衣「びぃいいええええええええええええええええん!!!!!!」ビィイイイイイイイイイイイイイ

神津「……………」

シャロ「ああー!!神津さんココロちゃんを泣かしましたぁー!!」

ネロ「いーけないんだいけないんだ!けーいさつに言ってやろ!!」

北芝「神津君が警察よ?」

コーデリア「神津さん!私…貴方を軽蔑します!!こんな小さな女の子を泣かせるなんて…最低です!!」

エルキュール「酷い…です……!!」プルプル

神津「…………」

小林(不憫すぎる…神津が気の毒で仕方が無いな……)


神津「…お前達が何を言おうと、特殊捜査権限は小林にしか持たせられない」

神津「小林、警察はこれまでの調査で新しく三つの手がかりを見つけた」

小林「!」

小林「それは本当か!?神津!」

神津「ああ。だが、この新しい調査記録を教えて欲しければ」

神津「こいつらを、外へつまみ出せ」

小林「…!」

ネロ「なっ!?」

コーデリア「どうしてそこまでして!私達を追い出そうとするのですか!?」

神津「この事件に、学生探偵は関わる事は出来ない。分かっているだろう?」

小林「……」

神津「ここで、情報を知りたければ。この5人を追い出せ」

小衣「!!」

ネロ「5人て……」

シャロ「ココロちゃんも…含まれてます…」

小衣「…………」

小林(…神津の奴、さすがに言いすぎじゃないのか?)

小林(小衣くんが、今にも自殺しそうな顔をしているけど)


神津「………小衣」

小衣「…………」

神津「お前は、怪盗対策チームのリーダーだ。つまり、お前が居なければあのチームは動けない」

小衣「…………」

神津「ここまで来てくれた事には感謝する。だが、それとこれとは話が別だ。お前はこの事件に関わる事は出来ない」

小衣「…………」

神津「…今度、この埋め合わせはする。だから、一先ずは帰ってくれ」

小衣「……」

小衣「…埋め合わせ?」

神津「ああ。この事件が終わり、俺に暇が出来れば」

神津「半年前にお前が言っていた。食事会に無理でも参加する」

小衣「!!」

神津「だから今は帰り、自分の仕事を全うしろ」

小衣「…はい!!この明智小衣!!全力で持ち場に戻ります!!」

小衣「それじゃぁ、行くわよアンタら!!警視の仕事の邪魔になるでしょうか!!」ガシィッ

シャロ「わぁああ!ちょっと待って小衣ちゃん!私達はまだ納得してないですぅ~!!」ズルズル

ネロ「そうだよ!僕達は小林とヒメの容疑の解決をぉ~!!」ズルズル

小衣「うっさい!特殊捜査権限も無い奴がほざくな!!」ズルズル

コーデリア「なっ!いくらでもくれるって言ったじゃありませんか!」ズルズル

エルキュール「酷い…です!」ズルズル

シャロ「酷いですぅ~!!ココロちゃ……」


ガシャァァァアアアアアン……


小林「……………」

神津「…ふぅ。ようやく静かになったな」

北芝「本当よ!あの狂犬病、首輪にチェーンでもつけてやったらどうなの!?」

小林(……ごめん、皆)

神津「…さて、新しい手がかりの事だな」

北芝「はぁ!?ちょっと神津くん!本当に教えるわけ!?」

神津「裁判の時に、平等でなければならないと定められている。だからこれは”義務”でもあるのだ」

北芝「…ふん、どうせ有罪死刑に変わり無いんだけど」

小林(…この事件の、新しい手がかり)

神津「…ただ、新しく見つけたこの手がかりも」

神津「全て、容疑者の姫百合が不利になる証拠ばかりだ」

小林「………」

神津「それでも、話させてもらうぞ」

小林「……ああ、覚悟はしているよ」


→【証人】

神津「敷鑑の調査により、被害者の身元が判明した」

神津「被害者の名前は、浜崎紀子(21)探偵職を持っていてトイズも判明している」

小林「たっ探偵が殺されたのか…」

神津「被害者のトイズは、空中浮遊のトイズだそうだ。5秒間だけ一つの物を宙に浮かせる事が出来る」


証拠ファイル⑤被害者の個人情報

【名前は浜崎紀子(21)探偵職。トイズは5秒間だけ一つの物を宙に浮かせる事が出来る】


証拠ファイル①身元不明の解剖記録を→証拠ファイル①浜崎紀子の解剖記録に書き換えました



神津「次に、この殺人を直接的に見た者は居なかったが…」

神津「被告人、姫百合がこの倉庫の中に入っていったのを見たという人物を見つけた」

小林「なっ…なんだって!?」

神津「これは、検察側の強い証拠の一つになるだろう」

小林「そ…その証人に話をさせてもらう事は?」

神津「…申し訳ないが、裁判は明日。証人らは裁判当日まで控え室に居る事となっている」

神津「今日、お前が聞ける状況では無い」

北芝「ふん。探偵にやる情報なんて、こんなもんで十分よ!」フイ

小林(…………)

小林(証人確保が少し行き過ぎてるような…過去に何かあったのか?)


→【ひしゃげたクレーン】


神津「あの老朽化が激しいクレーンの事だが…」

神津「そのクレーンから、被害者と被告人の足跡が検出された」

小林「!?あっ…足跡だって!?」

神津「ああ」

小林「ひっ被告人と被害者以外の足跡は…」

神津「…残念ながら、存在しなかった」

小林「そっ…そうか…」



証拠ファイル⑥ひしゃげたクレーン

【柱がひしゃげ、妙に捻じ曲がったクレーン。被告人と被害者の足跡が検出される】



小林(…でも、いくらひしゃげているからって…あんな不安定なクレーンに乗ったりするのか?)

小林(一体…事件当日に何が起こった?)






→【不自然な血痕】


神津「…前に、不自然な血痕の無い跡があっただろう」

小林「それも見つかったのか?」

神津「いや、残念ながらまだ見つかっていない。だが…」

神津「そこにあった物が何か、それは判明した」

小林「えっ!?ど…どうして?」

神津「…姫百合の持っていたアルバム。その写真の中に、サイズにも合っているソレが写っていた」

小林「姫百合くんのアルバムの中に!?」

神津「ああ、それは…姫百合の私物でもある」

神津「この写真にも写っている、キャリーバックだ」ピラッ


証拠ファイル③不自然な血痕 を書き換えた

【殺した後に、箱を移動した形跡のある血痕跡。真死角の空白がある。そこには姫百合のキャリーバックがあった】


証拠ファイル⑦姫百合のキャリーバック

【姫百合が自分探しの旅に出ていた時に持ち歩いていたキャリーバック。紺色と赤色の十字国旗のデザイン。未だに見つかっていない】



小林「…こんな大きな物が、見つかっていない…のか」

神津「今、俺達が全力を尽くして探している。…見つかるのは時間の問題だろう」




神津「これが、我々が提供できる情報の全てだ」

小林「……想像以上に、姫百合くんに不利な証拠ばかりだね…」

北芝「そりゃぁそうでしょ。だって殺したのはその被告人でしょう!」

北芝「こんなに真実を示す証拠があるんだから、これは私がやらなくても被告人は有罪ね」

小林「…………」

北芝「まぁ、でも他の検事が担当だったら99%の有罪。1%の無罪っていう可能性があったと思うけど」

北芝「残念でした。私が相手だったら120%被告人は有罪ね!」フッフーン

小林「その20%は一体…」

北芝「余分な罪の上乗せよ。私は絶対に容赦しないんだから!!」

小林(それは捏造じゃないのか…?)


神津「………小林」

小林「?」

神津「もう一つ、お前に言わなくてはならない事があるんだが…」

神津「実は今、姫百合の弁護をする弁護士は…まだ居ない」

小林「…えっ!?」

神津「いや、正しくは誰もやりたがらないというのが正しい」

小林「どっ…どうして!?」

北芝「そんなの決まってるでしょ?私が相手だからよ!!」

神津「…今回ばかりは、北芝検事の言うとおりだ」

神津「今まで、北芝検事のやり方で多くの弁護士、探偵が潰され。最悪共謀罪として被告人と共に罰せられる者も居る」

神津「事件はともかく、北芝検事とやりあいたくない弁護士は非常に多い。…今までに無罪判決を許した事も無いからな」

北芝「やだぁ、神津くん褒めすぎよぉ」テレテレ

小林(絶対に褒めてない…)

神津「…とにかく、忠告だけはしたぞ」

神津「俺は一旦署まで戻る。お前は一度、姫百合に会った方が良いだろう」

小林「…………」

神津「じゃぁな、小林。また明日」スタスタスタ

北芝「あっ!待ってよ神津くぅん!!ちょっとこれから御飯行こうよ!」タッタッタ…

小林「…………」

小林(一度、姫百合くんに会いにいけ…か)

小林(もし今、本当に姫百合くんの弁護につく人が居ないのなら…だとしたら…)

小林(………)


【横浜赤レンガ倉庫 2号館 内部  11月16日午後17時15分】



シャロ「……………」

ネロ「…………」

コーデリア「…………」

エルキュール「……………」

小林「…えっ?みっ皆!?」

小林「どうして…?小衣くんに引っ張られたんじゃ…」

ネロ「はっ!甘いね小林。そのココロちゃんは今、あそこで縛られている!!」

小衣「モガー!!モガガー!!!」ウゴウゴ

小林(なっ何してるんだこの子達は…!?)

シャロ「それよりも先生!話は全部聞かせてもらいました!」

小林「ええっ!?」

コーデリア「あんな奴に!ヒメを殺人犯にさせてはいけません!絶対に!!だから!」

エルキュール「私…達も!!ヒメさんの為に…手伝わせて…ください!」プルプル

シャロ「お願いします!先生!!」

ネロ「小林!!」

小林「………」

小林「……」

小林「…ふふ。本当に…根元は変わらないな。君たちは」

シャロ「!」


小林「これから、姫百合くんの所に向かう所だったんだ。その時に君たちが居れば、彼女もきっと元気が出ると思う」

小林「だから、留置所まで行って姫百合くんを励ます…それは、できるね?」

シャロ「もちろん!」

ネロ「へへっ、これでようやく僕達らしくなったね」

コーデリア「はい!いつでも教官の傍に!ヒメちゃんの為に頑張ります!」

エルキュール「…はい……!」

小衣「モガガガー!!モガー!!」バタバタ

小林「…とりあえず、今は小衣くんを解いてあげようか」

ネロ「えー?でも、解いたらうるさいよ?いいの?」

小林「でもさすがに、このままだと駄目だと思うんだ…」

シャロ「分かりました先生!ココロちゃーん!ガムテープ剥がしますよー!!」

ビリビリビリッ

小衣「ごっはぁあ!!…こっこのクソホォオオムズ共がぁああああ!!!!現行犯逮捕してやるわぁあああああ!!!!!!!」ギャーギャー

小林(やっぱり怒ってるな…)


シャロ「わぁああ!!ココロちゃん落ち着いてください!!」

小衣「バリッバリ落ち着いてるわよ!!落ちていてからの判断よ!!現行犯逮捕!アンタら現行犯逮捕よっぉおおおお!!!」

ネロ「ところで小林、神津警視と北芝検事はどうなったの?」

小林「えっ?ええと…確か署に戻るとか言って二人で署に…」

小衣「」ピクッ

ネロ「ほうほう、それでそれで?」

小林「北芝検事が、神津を御飯に誘ってたけど…それから後は知らないな」

小衣「…………」

小衣「ゴハン…ケイシト……フタリデ……ゴハン……」ブツブツブツ

小衣「………」

小衣「ウッキャァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

シャロ「っ!!」ビリビリビリビリ

小衣「あのクッッッッッッソババアがぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!今度こそ殺してやるぁあああああああ!!!!」ダダダダダダダダダダダアd

シャロ「…………」

エルキュール「…………」

コーデリア「………」

ネロ「想像以上の効果だったね」

小林「…は…ははは……」


→【留置所  11月16日午後18時15分】


小林「…………」

ネロ「…………」

エルキュール「…………」

コーデリア「………」

シャロ「…でっ出てきませんね。ヒメちゃん…」

小林(…神津が言うには、少し精神に問題が出来たらしい…)

ガチャリ

シャロ「あっ!ヒメ……」

看守「………」

シャロ「ちゃん……じゃないかぁ」ガッカリ

小林(あまり露骨に態度を示さない方が良いよシャーロック。看守が何とも言えない顔になっているよ)

コーデリア「あっあの…ヒメ…姫百合さんの面会は…」

看守「…姫百合被告は」

看守「貴方達に会いたくない。そう言っております」

ネロ「!?」


シャロ「そっそんなぁ!」ガバッ

シャロ「ヒメちゃんは今!とても大変な事になってるんでしょ!?私達が何とかしてあげなきゃいけないんでしょ!?」

看守「しかし、本人が会いたくないと言っている以上…」

ネロ「何でだよ!その理由を説明してよ!!」

コーデリア「そうよ!そんなの納得できないわ!」

小林「君たち、落ち着いて…」

看守「……しかし」

看守「スピーカーとマイク越しになら、話ても良いという条件が…あります」

シャロ「……え?」

ネロ「……?」

看守「……理由は、姫百合被告にお伺いしてください」

看守「では、こちらのマイクとスピーカーを持ってきますので」スタスタスタ



≪…………≫

小林「…………」

小林「姫百合…くん。だよね?」

≪…………≫

≪……お久しぶりです。小林さん≫

小林「!」

小林(この声は…間違いない。姫百合くんだ!)

シャロ「ヒメちゃん!どうして私達の前に出れないのですか!?」ガバァ

ネロ「ヒメ!今、凄い状況になっている事、分かってるの!?」ガバァ

コーデリア「ちょっとネロ!大丈夫よヒメ!私達が貴方を何とかして助けるから!」ガバァ

エルキュール「負けないで…ください!」ガバァ

姫百合≪ちょっちょっと待ってください皆さん!≫

姫百合≪そんなにいっぺんに言われたら、よく聞き取れませんよ≫


コーデリア「それもそうね。皆!一回止まって!」ギャーギャー

シャロ「そんな事言われても!私は何も納得していません!」ギャーギャー

ネロ「そうだよ!こんなの、黙っていられるわけないよ!」ギャーギャー

エルキュール「負け…ないで!ヒメさん…!」プルプルプル

姫百合≪……小林さん。申し訳ありませんけど…貴方を出頭に話してくれませんか?≫

小林「…そうだね。分かった」

小林「あの、皆。ちょっと今は落ち着いて。深呼吸をして」

シャロ「分かりました!ヒッヒッフー…」

コーデリア「それは産む時の深呼吸でしょう!シャロ!貴方一体だれの子供を…はっ!まさか!」

ネロ「そんな!小林…ついに自分の教え子を…」

エルキュール「…ふ……ふぇ……あ…あ……/////////」カァァァァァ

小林(……助けて)



→【どうして姿を現せない?】

小林「…多分、ここに居る皆が疑問に思ってる事だと思うけど…」

小林「どうして…僕達の前に姿を現せないのかな?」

姫百合≪……………≫

姫百合≪…すみません。今は…ちょっと出られないんです≫

シャロ「どうして!?」

姫百合≪色々と理由がありますが…多分、私がそこに行ったら……≫

姫百合≪泣いてしまうかも…しれないから……≫

シャロ「…………」

エルキュール「…………」

コーデリア「………」

ネロ「…………」

姫百合≪それに…今の私は、実刑者の一歩手前です≫

姫百合≪皆さんに会う資格なんて…とてもありません≫

シャロ「そんなこと!」

小林「よそう、シャーロック。今、この話はしない方が良い」

小林「僕達が聞くべき事は、この事件に何があったかだ」

コーデリア「でも、教官!」

姫百合≪小林さんの言うとおりです≫

コーデリア「…!」

姫百合≪皆さんも探偵なら、この事件の事に探りを入れてください≫

シャロ「ううう……」



→【あの時何があったのか】


小林「姫百合くん。昨日、あの倉庫の中で何があったのか」

小林「それを詳しく、教えてくれないか?」

姫百合≪……………≫

姫百合≪…良いですよ。でも…≫

姫百合≪話したら、余計に私の事を犯人だと思ってしまうかもしれません≫

シャロ「そんなの絶対にありえません!!」

ネロ「そうだよ、今更何言ってるのさ!!」

小林「…ここに居る皆は君の味方だ。だからどんなに君が不利な状況にあったとしても」

小林「僕達は君を最後まで信じてみせるよ」

姫百合≪……………≫

姫百合≪……分かりました。話しましょう≫


姫百合≪昨日、浜崎さんに呼ばれて倉庫まで向かったんです。呼ばれた理由は分かりませんでしたが…≫

姫百合≪呼ばれた時間は…午後10時くらいでしょうか。その時私も横浜に着いたばかりだったので≫

姫百合≪ちょっと軽くパンを食べてから向かったんです。…着いたのは午後11時くらいでしょうか≫

姫百合≪倉庫の中は暗くて、よく見えなかったけど声は聞こえました。≫

姫百合≪でもそれは、上から聞こえてきたんです≫

小林「あの、ひしゃげたクレーンの上からだね?」

姫百合≪…クレーンはその時分からなかったのですが、私もその声に返事をしたんです。…≫



姫百合≪その瞬間、浜崎さんの絶叫が聞こえたんです。一瞬、何が起こったのか分からなくて≫

姫百合≪その時、視界がブラックアイトしたかのように真っ暗で何も見えなくなったんです≫

姫百合≪驚いて、辺りを走ったり歩いたりしていたら≫

姫百合≪急に倉庫の電気がついて、気づいたら私はクレーンの上に立っていて≫

姫百合≪目の前には、鏡があったのか自分の姿が映っていたんです。でも、おかしいんです≫

姫百合≪映っていたのは、自分の後姿で…≫

小林「…ちょっと待って、鏡だって?その時、現場には鏡どころか光が反射したものなんて…」

姫百合≪分かっています。だから、あれは鏡とかでは無かったと思います≫

姫百合≪そして、また暗闇になって何も見えなくなって。≫

姫百合≪また、倉庫の電気がついた時には。顔がグチャグチャになった浜崎さんがオブジェクトに突き刺さって絶命していて…≫

姫百合≪私の手には…浜崎さんの血がついたナイフが……≫

姫百合≪…………≫


姫百合≪…私が、話せるのは…ここまでです≫

小林「……そうか」

シャロ「あっ…あの…これ…この事件って…」

小林「ああ。間違いなく」

シャロ「ゆっ…幽霊の仕業…ですよね?」

小林「えっ?」

シャロ「だって!急に電気が点いたり消えたり!目の前に同じ自分が居て背を向けているだなんて!」

コーデリア「そっそれに…いつの間にか場所が転々としていたのも気になるわ!」

エルキュール「血のついた…ナイフも…!」

ネロ「…これは、倉庫に住み着いた自縛霊の仕業だね…」

三人「「「ひぃぃええええ~!!」」」

小林「…ほっ本気で言ってるのかい?君たち…」

姫百合≪……ぷっ≫

姫百合≪ははは…あーははははははは!≫

シャロ「ひっひぃいい!ヒメちゃんにあの時の幽霊が取り憑きましたぁー!!」

コーデリア「教官!どうか、どうか私達と一緒に悪霊退散の儀を!!」

小林「いやだから!これは幽霊の仕業じゃなくてね!」


姫百合≪…本当、面白いですね。貴方達は≫

姫百合≪何だか、少しだけ元気が出てきました≫

小林(……それなら良いんだけど…僕はちょっと後先が不安になってきたよ)


→【弁護について】


姫百合≪…そういえば、どうして先輩達はここに来ているんですか?心配で来てくれたのは分かってるんですが…≫

姫百合≪事件の事を詳しく聞くのも、今回は警察か弁護人の仕事だと思うのですが≫

小林「…………」

姫百合≪小林さんはともかく、皆さんは弁護の資格がまだありませんよね≫

小林「…姫百合くん。多分、知っているかもしれないが…」

小林「このまま裁判が始まると、君は弁護士の居ない裁判に出なければいけなくなるんだ」

姫百合≪…………≫

小林「そうなってしまえば、結果は火を見るより明らかになる」

小林「特に、今回の検察側だと想像する限り最悪のね」


姫百合≪……≫

姫百合≪…そうですか。分かりました≫

シャロ「ヒメちゃん…?」

姫百合≪そもそも、自分でも疑っているんです。本当は自分が殺したんじゃないかって≫

姫百合≪あの時の事は、当事者なのに私が一番分からないでいる。だからそこで何が起こっていたとして≫

姫百合≪もう、何もかも仕方無いのかもしれませんね≫

コーデリア「そんな…!罪を認めてしまうの!?」

姫百合≪もし、今回の事件で私が殺人をしていたとしたら、その罪は償わなければいけません≫

姫百合≪その覚悟はしているつもりです≫

小林「………」

姫百合≪それに、本当に私がしていないとしたら≫

姫百合≪その時は自分でなんとかしてみせます。仮にも私は探偵です。だから、自分でも何とか…≫

シャロ「でも!」

姫百合≪大丈夫なんです!≫

シャロ「!」


姫百合≪仕方の無い…事なんですよ……今回は……本当に…≫

姫百合≪私にも…分からない事だらけなんですから…!それに…あの倉庫に行った……私の責任です≫

小林「…………」

姫百合≪…あそこで、人が死んだんです。それは、間違えようも無く。真実です。だから…≫

小林「姫百合君」

姫百合≪…なんですか?小林さん≫

小林「今回の弁護の事なんだけど」

小林「僕にやらせてくれないだろうか」

シャロ「!」

ネロ「!」

コーデリア「!」

エルキュール「!」

姫百合≪……どうしてですか?≫


小林「僕自身、この事件の真相には非常に興味がある。その真相を知るには、この裁判に出た方が真実に辿り付けるかもしれない。それに」

小林「君を放ってはおけないからだ」

姫百合≪……………≫

小林「これは、僕からの頼みでもある。…姫百合くん」

小林「ここは僕に、任せてはくれないか?」

姫百合≪…………≫

姫百合≪……貴方のその言葉で、どれほどの女性を泣かせて来たんですか…≫

小林「……え?」

姫百合≪…分かりました。じゃぁ、小林さん≫

姫百合≪どうか、私の弁護…お願いします≫

小林「……ああ。こちらこs」

シャロ「やったぁぁああああああああああああああああああ!!!!」

小林「うっうわぁ!」

コーデリア「教官が弁護をしてくれるなら!この事件…勝ったも同然だわ!」

ネロ「これで、あのクッソ生意気な検事共も歯噛みしてくるだろうね!!」

エルキュール「ありがとうございます……小林さん……」ウルウル

シャロ「安心してくださいヒメちゃん!先生が弁護するからには!!」

シャロ「絶対に!!ヒメちゃんを無罪にしてあげますからね!!」

姫百合≪……そうですか≫

姫百合≪それじゃぁ、期待していますね――プツリ―≫

ネロ「さすがは小林!今回の事件を丸ごと背負い込むなんてね!さっきのも凄い格好良かったよ!」

シャロ「これでヒメちゃんも安心できますね!ね!?先生!」

小林「…うん。そうだね」

小林(神津、こうなる事を分かっていたんだな)


シャロ「バンザーイ!」

ネロ「バンザーイ!」

コーデリア「バンザーイ!」

エルキュール「バ…バンザーイ…/////」

小林「まだ気が早いよ。今はまだ無罪判決も取れてないんだから」

ミルキィホームズ「「「「グキュルルルルルルルルルル~」」」」

シャロ「おっ…お腹空きました~…」

ネロ「僕も……」

コーデリア「私も……」

エルキュール「…///////」

小林(テンションが下がるのも早いな…)


ネロ「そうだ!頭に栄養が行くように今日はケーキバイキングでも行こうよ!」

コーデリア「そうね!こうなったら私も張り切っちゃうわ!」

シャロ「私も頑張りますー!!」

エルキュール「私…も……」

小林(そして僕を置いて話が進んでいく…)

ネロ「小林もそれが良いよね!」

小林「…うん。君たちに任せるよ」

シャロ「それじゃぁ決まりです!ミルキィホームズ!明日に備えて頭に栄養を貯えましょー!!」

ミルキィホームズ「「「「オー!!」」」」



小林(そして、僕達は明日の裁判に備える事となった)

小林(僕は証拠品を整理し、明日の裁判に備えて情報を整理する)

小林(……しかし)

小林(明日の裁判で、僕は)

小林(史上最悪の、絶対絶命に陥る事を)

小林(この時僕はまだ、知らなかった………)





【つづく】

今回はこれでおしまいです。次回は裁判パートです。
続きはこのスレで投下致しますので、お待ちいただけたら幸いです

【手に入れた証拠品の整理】


証拠ファイル①浜崎紀子の解剖記録

【死亡時刻は午後11時。死因は胸に尖ったオブジェクトを突き刺されたショック死。その後執拗に顔を切り刻まれている】




証拠ファイル②アルバム

【ミルキィホームズとの思い出の写真が詰まっている。血まみれだが、この事件が起こるまで大事にしていたようだ。】




証拠ファイル③不自然な血痕

【殺した後に、箱を移動した形跡のある血痕跡。真死角の空白がある】




証拠ファイル④カセットテープ

≪被害者の声が録音されている。内容は【くまさん、8、B】≫


証拠ファイル⑤被害者の個人情報

【名前は浜崎紀子(21)探偵職。トイズは5秒間だけ一つの物を宙に浮かせる事が出来る】



証拠ファイル⑥ひしゃげたクレーン

【柱がひしゃげ、妙に捻じ曲がったクレーン。被告人と被害者の足跡が検出される】



証拠ファイル⑦姫百合のキャリーバック

【姫百合が自分探しの旅に出ていた時に持ち歩いていたキャリーバック。紺色と赤色の十字国旗のデザイン。未だに見つかっていない】

投下します

【横浜裁判所 第二控え室  11月17日 午前10時45分】

小林「……………」

小林「とうとうこの時が…来てしまった」

小林(…まだ、事件の真相については仮定すらも立てられていない)

小林(というのも、この証拠品だけじゃぁ本当に姫百合くんが犯人だと言っているような物…)

小林(………いやいや、何を考えている小林オペラ!)

小林(僕は姫百合くんを最後まで信じると言っただろう!?今更そんな事を考えるな!)

姫百合≪…小林…さん?≫

小林「…ああ、姫百合くん。大丈夫かい?」

姫百合≪いえ、あの…小林さんの方こそ、大丈夫ですか?声がちょっと疲れているように思えます≫

小林「いや、僕の方は大丈夫だよ。それよりも…君の方が心配だ」

姫百合≪…そうですよね。私自身が、私の事を一番疑っているようでは…≫

小林「それもそうだけど、…君はまだ」

小林「…僕達の前に、姿を現せないのかい?」


姫百合≪…………≫

姫百合≪…証言台の上に立った時に、お会いできますから≫

小林(姫百合くんは、一向に僕達の前に姿を現さない…)

小林(一体、彼女に何があったんだろうか…)

シャロ「先生ぇえ――!!!」

小林「うっうわ!シャ…シャーロック!」

シャロ「今日の裁判…頑張ってください!!」

ネロ「…結局、特殊捜査権限が持てなかった僕達じゃぁ、弁護席にも立てなかったからね」

コーデリア「それでも!傍聴席で見守っています!!」

エルキュール「応援…して…います!」

シャロ「ヒメちゃんも、今日の裁判!頑張ってください!!」

シャロ「私達は最後まで!絶対に信じてますから!!」

姫百合≪…みっ…皆さん…≫

小林「…皆、ありがとう。とりあえず…」

小林「その派手な団扇と僕の顔写真の旗とかは仕舞っておいてくれるかな?後、裁判中は静かにね」

シャロ「えっ?でも…応援するならこの格好が…」

小林「その格好で来られたら、逆に集中できなさそうだから…頼むよ」

ネロ「えー、折角作ったのにぃ…」

コーデリア「このTシャツも、勝訴した後に売るために大量生産までしたのですが…」

小林「それ、僕の許可得てないよね!?勝手に作っちゃったの!?」


姫百合≪ぷふっ…ははは…≫

姫百合≪…なんだか、皆さんの話を聞いていると…緊張も解けてきますね≫

シャロ「えへへ」

小林(多分褒めてない)

姫百合≪とりあえず、皆さんは小林さんの裁判を…いえ、私の裁判を見守っていてください≫

姫百合≪結果はどうあれ、小林さんならこの裁判。真実まで解き明かしていきますでしょうから…≫

小林「…………」

小林(…そうだ、何を考えていたんだ僕は)

小林(確かに僕は今日、姫百合君を弁護する。しかしそれ以上に)

小林(僕はこの事件の真実を、突き止めなくてはならない!)

小林(……さっきまでの心境だと、僕はきっと…)

小林「……君たち」

小林「応援。よろしく頼むよ」

ミルキィホームズ「「「「はい!!!!」」」」

小林(頑張れ…頑張るんだ僕!)

小林(僕のこの違和感が本物なら…この事件は!)

小林(姫百合君が犯人なんて、有り得ないのだから!!)


シャロ「あっ!」ピコーン

シャロ「待ってください先生!これ!」ピッ

小林「…え?何だい?これ…写真?」

シャロ「はい!あの後、私達だけで現場の周りを捜し歩いたんです!」

ネロ「そしたら、一個だけ変な所があったんだよね。そこの写真を撮ったんだー」

小林「…えーと、これ…壁…だよね?」

シャロ「はい!ここの壁だけレンガがいくつか無くなってるんです!それも上の方で!」

ネロ「これは絶対!何かあるよ小林!」



証拠ファイル⑧穴の空いた壁

【何故か、一部分だけレンガが切り取られたかのように穴が開いている】


小林「なるほど、これは良い手がかりだね」

シャロ「えへへ~」

コーデリア「そっそれほどでも…」

小林(これ、ただ老朽化が祟って壊れただけじゃぁ…)

シャロ「それじゃぁ改めまして」

シャロ「頑張ってください!先生!」ビシッ

小林「…うん、頑張ってくるよ!」



【横浜裁判所  第一法廷室】



カッ!!


裁判長「これより、エラリー姫百合の裁判を始めます」

裁判長「弁護側、検察側、準備はよろしいですか?」

小林「弁護側、準備完了しております」

北芝「…言うまでもないわ」

裁判長「そうですか」

裁判長「………この裁判、弁護席に立つのはかの有名な小林オペラ氏」

裁判長「そして、被告人は一度横浜を窮地から救い怪盗を捕えた一人、エラリー姫百合氏」

裁判長「検事は、無敗の天使。北芝愛検事…」

裁判長「…自分で言っておいて何ですが、凄い裁判ですな」

小林(…考えてみたらそうだな。…北芝検事の事は昨日まで知らなかったけど…)

北芝「…………」

小林(しかし…北芝検事の乗っているあのダンボール箱…大丈夫なのか?)

小林(店の名前を見る限り…大量の卵が入ってるみたいだけど…)


北芝「ふん、でも小林オペラ伝説もこれでお終いよ」

小林「!」

北芝「今回の事件は明白。殺人実行犯は姫百合被告」

北芝「この私が、完膚なきまでに証明してやるわ!!覚悟しなさい小林オペラ!!」


ザワザワ…ザワ…


カッ


裁判長「静粛に!静粛に!」

裁判長「…確かに、今回の事件も被告にとっては不利な証拠ばかりです」

小林(…それも…そうだけど…)

裁判長「それでは検察側は、今回の事件のあらましをお話ください」

北芝「承知したわ」


北芝「被害者は、独自で探偵職をしていた浜崎紀子。21歳。配偶者は無し。家族構成は母と父と弟の4人家族」

北芝「そして、被告人はエラリー姫百合。15歳。同じく探偵職をして世界中を旅していたそう」

北芝「二人の関係は、共に友人関係にあったと被告人が供述。被害者の関係者に聞いた所、似たような答えが返ったので異論は無し」

北芝「場所は横浜赤レンガ倉庫の2号館の中。時刻は午後11時5分。凶器は芸術家加藤柊氏の作品【無題彫刻】」

裁判長「むっ…無題彫刻?大きな顔から大きな岩のような三角形の刃が天に向かって突き出ていますが…」

北芝「ただのナンセンス芸術の一種よ。そして、その槍に被害者は心臓を貫かれ死亡」



証拠ファイル⑨加藤柊氏の彫刻作品

【奇妙な顔から大きな尖った岩のような物が突き出ている。被害者を殺した凶器】



小林(まっまた、証拠品が増えた…)

北芝「そして、現場には被害者と被告人の二人だけ」

北芝「他には誰も居なかったと、被告人すら認めている上に、被害者の顔にはナイフの切り傷が多数」

北芝「そのナイフは、被告人がずっと手に持っていた」

北芝「これはもう、誰が見ても被告人が殺したと思うでしょう!!」


ザワザワ…ザワ…

「確かに…これは決定的じゃないのか…?」

「いくらなんでも、小林さんだって分かっているんじゃない?」

「分かっていて、弁護するのか…。何だか、軽蔑しそうになるよ」


カッ

裁判長「静粛に!静粛に!」

北芝「…ふふん、どうやら…傍聴席の素人も事件の真相に辿りついたそうね」

小林「…………」


北芝「それじゃぁ早速、最初の証人を召喚するわ。神津くぅん!早速入場してきてぇ~♪」

「軽々しく警視を名前呼びすんじゃないわよ!!このババア検事っぃいいい!!!」

北芝「係員、さっき大声出した奴。次に大声出したらつまみ出して」

「おい小衣!静かにしろって!追い出されちまうぞ!」

「ムゴゴー!ムゴー!」

小林(G4の皆も来てたのか……)

北芝「…ゴホン」

北芝「それじゃぁ気を取り直して、神津警視!入ってきてください!」



神津「…………」

北芝「証人。名前と職業を」

神津「……神津玲。今は警視正をしている」

北芝「…………」

神津「………」

北芝「……え?」

北芝「ええええええぇぇえええええ!?神津くん、警視から昇進しちゃったの!?」

神津「………」

北芝「凄いすごい!どうしてそれを先に言ってくれなかったのよ!」

神津「北芝検事」

北芝「言ってくれれば、お祝いだってしてあげたのに!もっと積極的にならないと皆も困っちゃうよ?」

神津「仕事してください北芝検事」

北芝「そうだ!今回の裁判が終わったら神津くん昇進パーティ…」

カッ!!!!

裁判長「検察側は、私語を慎むように!!」

神津「仕事をしてください。北芝検事」

北芝「………」

「やぁーいやぁーい!怒られてやん…ヌグゥッ!」

「馬鹿!今度こそ追い出されたいのか!?」

裁判長「…それでは、気を取り直して」

裁判長「神津警視正。証言をお願いいたします」

神津「……承知しました」



【証言開始】




①被害者は、ひしゃげたクレーンの上から落ちオブジェクトの槍に貫かれている


②更に解剖結果によると被害者は死んだ後に顔をナイフで滅多刺しにされて


③被告人、姫百合は精神的に不安定となっており。その現状を見る限り彼女が殺ったと我々は判断


④敷鑑の調べで、被害者と被告人に接点があった事も判明した。


以上で、被告人が被害者を殺害した経緯の証言を締める



裁判長「……ふむ。分かりました」

裁判長「その被告人は、今どこに?姿が見えないようですが」

神津「…………」

神津「本人の希望により、この法廷には現れない」

北芝「はぁ!?何よそれ。そんなの認める訳無いじゃない!!」

北芝「係員!とっとと連れてきなさい!!居るんでしょ?一応連れてきてるんでしょ!?裁判に!!」

神津「……被告人の要望は、無し…という事ですか」

北芝「犯罪者に耳を傾ける必要は無いわ。早く連れてきなさい!!」



係員「被告人を連れてきました!」

北芝「ご苦労。そこに座らせなさい」

小林「………!!!」

小林(なっ…なんなんだ!?あの姿は…)

係員「はっ!さぁ、こちらに座ってください」

姫百合「…………」

小林(かっ…乾いているとは言え前進血まみれで…目には隈が出来て…髪にも乱れが…!)

姫百合「…………」

北芝「被告人は、私の要望により事件当日から一切の着替えや入浴を許さなかったわ」

小林「!?」

神津「………」

北芝「皆さん見てください!この被告人の状態を!」

北芝「こんな血に汚れた姿を見て!生気の無い目を見て!正気の無い姿を見て!」

北芝「こいつ自身が人を殺していると証明しているわ!」

北芝「検察側は、被告人自身を!この事件の最も重要な証拠品として提出します!!」


ザワザワ…ザワ…


裁判長「…………」

裁判長「確かに、彼女なら被告人を殺りそうではありますね」

裁判長「証拠品として受理する事は出来ませんが、被告人は被告席に座っているように」

姫百合「…………」

北芝「…」ニヤッ

小林(……姫百合くんが、僕達の前に出たがらなかったのは……)

小林(この状態のまま、入浴どころか着替えさえ許してもらえなかったからなのか…!!)


カッ


裁判長「…それでは、弁護人。尋問をお願いいたします」

姫百合「…………」

小林(……この、裁判)

小林(絶対に…!姫百合くんを救ってみせる!!)


【尋問開始】

①被害者は、ひしゃげたクレーンの上から落ちオブジェクトの槍に貫かれている

小林「待ってくれ!」

小林「本当に!あのクレーンに人が乗れるのだろうか!?あまりにも不安定すぎでは無いのか!?」

神津「あのクレーンからは、被告人と被害者の足跡が検出された。それ以外は検出されなかった」

神津「人が乗れるのか?と疑問視しても。足跡が検出された限り。それを認めるしかあるまい」

小林「しっしかし…」

北芝「異議あり!!」

北芝「弁護人は警察の調査に難癖をつける気!?趣味悪いわよ!!」

神津「別に間違っていない。弁護士は我々の調査に異議を唱えるのが仕事だ」

北芝「………それもそうね」

小林(ひどい……そもそも僕は弁護士じゃないんだけど…)



②更に解剖結果によると被害者は死んだ後に顔をナイフで滅多刺しにされて

小林「待ってくれ!!」

小林「一体、どんな理由で被害者の顔を滅多刺しにしたんだ!?」

神津「…理由は二つ考えられる。一つは、被告は被害者に余程の恨みを持っていたか…」

神津「精神的におかしくなり、被害者の顔を意味も無く滅多刺しにしたかだ」

小林「………!!」

北芝「私達が、根拠の無い仮説でも出すと思った?残念でした」

北芝「そんなもの!とっくに答えにいたってるわよ!!バーカ!!!」

「バカって言った奴がバカなんですー!!」

「教官をバカ呼ばわりするなんてー!!」

北芝「係員!!次、傍聴席の奴がうるさくしてきたらつまみ出して頂戴!!」

小林(…………いや)

小林(違う。この証言…何かが引っかかる)

小林(恐らく…これがこの裁判の重要なファクターだ!)


③被告人、姫百合は精神的に不安定となっており。その現状を見る限り彼女が殺ったと我々は判断

小林「待ってくれ!」

小林「その、精神的に不安定な状況にいつ!なったのか…それは分からないんじゃないか!?」

神津「それはそうだが」

小林「つまり!僕は被告が精神を侵されたのは!」

小林「殺人が起こってしまった後なのだとしたら…」

北芝「異議あり!!」

北芝「そんなもの悪魔の証明よ!!敷監に色々調べて貰ったけどねぇ!!あの倉庫には監視カメラが使い物にならない!!」

北芝「故に、あの殺人の映像も、写真も!どれも被写体に現場が無い!!だから」

北芝「今現在!被告が精神を侵されている以外に殺人事件の後か先か!どっちにおかしくなったのか判明できないし」

北芝「例えそれが後だとしても!被告が殺した事には変わり無い!!」

小林「異議!!」

小林「もし!精神が侵されたのが事件の後ならば!検察側の仮説の動機が崩れてしまいます!!」

北芝「………」

北芝「…まぁ、こんな証明も糞もできない事言い争っても意味無いけどね。当事者の被告が証言しても、それは証拠にすらならないし」

小林(うっ…)

裁判長「…証人、証言を続けてください」



④敷鑑の調べで、被害者と被告人に接点があった事も判明した。

小林「待ってくれ!」

小林「接点というのは…友人関係の事か?」

神津「ああ。他にも被告と被害者は日本では無くアメリカで出合ったという記録もある」

神津「ヴィクトル・セントレア大学で研究員をしている日本人の友人が居る事も分かっていて、その方からも話を聞いた」

神津「どうやら、先に被害者が帰国してすぐに被告が日本に帰国するとして、向こうで落ち合う約束をしていたそうだ」

小林「つまり…被告が被害者に会う事は決定事項だった…」

北芝「んで、被告は被害者を殺してしまった」

北芝「そういう所かしらね。この事件のあらましは」

小林「…………」


⑤以上で、被告人が被害者を殺害した経緯の証言を締める

小林「待ってくれ!!」

小林「ほ…本当に、これで終わりなのか?証言は!」

神津「…俺の証言はここまでだ。後は」

北芝「この事件の目撃者。そいつから証言も聞きだすわよ」

小林「…………」

小林「……えっ?」

小林「も…目撃者ぁあ!?」ガーン

北芝「当然よ、目撃者くらい見つけられなかったら、私は敷監をクビにしているわ」

北芝「これで、被告人の有罪…そして死刑は確実ね。せいぜい足掻いてみせなさい?弁護士」

小林「………」

小林(これは……マズイ事になったぞ………)


小林(………マズイ事に…なった……)

小林(こんなに証拠があるのに…証言に突っ込み所がどこにも無い!!)

神津「…………」

小林(…一応、一つだけ。気になる所はあるんだけど…神津の事だ)

小林(完膚なきまでに叩きのめされる未来しか見えない)

裁判長「……どうやら、神津警視正の証言はこれで終わりのようですね」

神津「…はい」

姫百合「…………」

裁判長「…分かりました」

裁判長「如何ですかな?弁護人」

小林「…………」

小林「…証人から聞ける事は、もうこれ以上は無いと思われます」



ザワザワ…ザワ…


裁判長「……つまり」

裁判長「この証言には、矛盾が一切無い…その上」

裁判長「被告の罪を、認めるというのですか?」

小林「いいえ」

小林「証言だと、この事件に目撃者が居るとの事」

小林「その目撃者から、話を聞かない限りは…」

小林「この裁判も、全く進展しないと言って良いでしょう!!」

北芝「………」

北芝「……はっ!自分から墓穴を掘りに行くなんてね」

北芝「次の証人は、神津くんよりもっとヤバイ事件の目撃者よ?…オムツの準備でもした方が良いんじゃない?」

小林「問題ありません」

小林「弁護側は!次の証人の召還を要請します!!」



ザワザワザワ…ザワ……

カッ!

裁判長「……分かりました」

裁判長「検察側は、今すぐ次の証人を召喚してください」

北芝「…ふんっ!言われなくてもするつもりよ」

北芝「次の尋問で!より一層恐ろしい目に会うが良いわ!!」

小林「…………」

北芝「係員!とっとと連れてきなさい!!じゃないと減給よ!!!」

係員「りょっ了解しましたぁあ!!」


「…………」

北芝「…証人、名前と職業を」

「………」

北芝「証人、名前と職業」

「……ふふっふふふ…」

ダンッ!!

北芝「証人!名前と職業!!」

「わわぁ!」ビクッ

「ちょっ…ちょっと待っといてや!ウチやて登場くらいは格好良くしたいけん!!」

北芝「……まぁ、良いわ。証人、名前と職業は?」

「ふふふ…ウチは、大阪の巷で有名な30分で事件を解決する名探偵!」

コロン「少女探偵、コロンちゃんやで!」ピカァアアー

北芝「…………」

裁判長「…………」

小林「……」(手に串カツを持ってるけど大丈夫なのか?この子)

「あー!コロン様だぁー!!」

「本当だわ!コロン様!!お久しぶりですー!!」

小林(ええー…しかも、知り合いなの?君たち)


コロン「ふっふっふ…ウチが来たからには、もう心配しなくてもええで」

コロン「この事件!ウチが全部解決したるー!!」

北芝「異議あり!!」

北芝「アンタがここでする事は、事件当日に見た被告の事を証言する事」

北芝「それ以外の行動は、公務執行妨害及び偽証罪で拘束よ!」

コロン「ふふ~ん?なら、弁護席に立っとる。小林オペラはどないなるんやろなぁ?」ジー

小林「…いや、僕は一応弁護士として…」

コロン「とにかく!横浜もん一…いや、関東一の探偵と言ったら小林オペラと呼ばれとる!」

コロン「ウチは!関西代表として小林オペラに負けるわけにはいかんねん!ほなら!」

コロン「この裁判で!三十分以内に犯人を見つけだしたるってゆうとるねーん!!」

北芝「係員」パンパン

係員「はっ!」ガラガラガラガラ


バチバチバチバチゴゴゴゴゴゴグルグルグルグル


コロン「えっ…?なっなんや?その物騒な機械は…」

北芝「証人が口を割らない時に使う拷問器具よ。許可は私の口で決定されるわ」

小林(そっそんなものが検察側の武器として認められているのか!?)

北芝「…それで?証人は事件当日被告に何があったか喋るの?喋らないの?」ガコン  ギュルルルルルルルルルルル

コロン「喋ります。喋らせていただきます!!」ビシィッ

北芝「だったら…とっとと喋れや前髪パッツンがぁああ!!」

コロン「はぃぃいいいい!!!」ビクゥーン

小林(…だが、効果覿面だな……)



【証言開始】

①あれは、午後11時前くらいやったかな


②なんかな、あの青髪の女の子がでかいキャリーバック持って中に入ってったんや


③事件の臭いがしたから、ウチはその赤レンガ倉庫に近づこうとしたら…なんと!


④……そっから先は、記憶が無いねん


北芝「…………」

小林「…………」

裁判長「…あの、記憶が無い…というのは?」

コロン「言葉通りや。そっから先の記憶がまるでレム睡眠の如く無くなって気づいたら朝になっとった」

コロン「起こされた時、警察に連れてかれた時は本当ヒヤヒヤしたわ。生きた心地がしなかった」

小林(よくそれで事件解決するって豪語できたね…)

北芝「…その女の子以外、人が入ったのは見てないのよね?」

コロン「?確かに、そっから後は誰かが入った後は見てないなぁ」

小林「…被告を見た時の、詳しい時刻は分かりますか?」

コロン「そんくらい分かるわ!10時56分頃やで!」

小林(つまり…被害者が死亡した時刻から5分も無いのか…)

北芝「…途中から記憶が抜け落ちた事に関して突っ込みを入れたかったのだろうけど」

北芝「時間的には問題ないから、無駄よ小林オペラ」フッ

小林「…………」

裁判長「…それでは弁護人。尋問をお願いします」


①あれは、午後11時前くらいやったかな

小林「待ってください!」

小林「それは、本当に合っているのですか?」

コロン「失礼やで小林オペラ!いくらなんでもウチかて探偵や!時間くらいいちいち確認するわ!」

小林「…では、どのような物で時間を確認されましたか?」

コロン「うん?確か…ウチかて最近腕時計買ったからな。ほらこれ」ドヤァ…

北芝「……大阪のお土産で並ぶ時計みたいねそれ」

コロン「はん!甘いでお譲ちゃん。これは阪神タイガースの…」

北芝「誰がお譲ちゃんですってぇえええええええええ!?」バチバチバチバチバチバチ

コロン「ひっひぃぃぃぃいいいいいいいいいいいい!!!!!!」ガクガクガク

小林(…どうやら、地雷踏んだらしいな。あの証人)


②なんかな、あの青髪の女の子がでかいキャリーバック持って中に入ってったんや

小林「待ってください!」

小林「それは本当に被告だったのですか?見間違いというのは…」

コロン「探偵の洞察力を舐めたらアカンで!アンタだって探偵やろ小林オペラ!!」ビシッ

小林(前髪で目が隠れているのに…よく見えるのか?)

コロン「あれは間違いなく、あそこに居る被告やったで!青い髪、ボサボサ!髪飾り!」

姫百合「………」

コロン「むしろ、あんな不振な人物…どない間違えろっちゅーねん!!」

北芝「…どうやら、弁護人」

北芝「被告が、殺人前からあんな状態だった…これで我々の仮説が」

北芝「ここで立証されたようね!!」ビシッ

小林「ウッ……!!」

北芝「この証言に突っ込みを入れてくれて、感謝するわ小林オペラ」

北芝「おかげで検察側の立証が、また一つ確信に変わっていったのだから」

小林「………」

小林(他に…他に無いのか?)

小林(この証言に…気になる所)


→ある

 ない



小林「…大きなキャリーバックと言いましたね」

コロン「うん。あんなでかいバック…一体何が入ってるんやろうな」

北芝「…被告は、世界中を旅していると聞くわ」

北芝「なら、大きなバックを持ち歩いていても、さぞ不思議では無いわね」

小林「……何色でしたか?」

コロン「さぁ…暗くてよう見えんかったでアレは。何色と言われたら、黒やったかな?」

コロン「しかし、本当に大きかったであのバック。私が二人くらいは余裕で入れそうや」

北芝「…バックの事はもう良いわ。早く次にいって頂戴」


③事件の臭いがしたから、ウチはその赤レンガ倉庫に近づこうとしたら…なんと!

小林「待ってください!」

コロン「なんや!?これから結構重大な事を言おうとしていたのに!」

小林「…事件の臭いがした。というのは?」

コロン「どう見ても様子のおかしい女が倉庫の中に入っていったんや。どう考えてもおかしいやろ?」

小林「他に、何かありませんでしたか?」

コロン「他?」

小林「その…音を聞いたとか。変な物が見えた…とか」

コロン「変な物は、あの被告人や。んで、音…音か。音……」

コロン「……何か、パコーン!っていうバットにボールを当てる音が聞こえたわ野球の中継でもあったんか?」

小林「他には?」

コロン「なんも!」

小林「……そうですか」

北芝「ふん、無意味な尋問だこと」



④……そっから先は、記憶が無いねん

小林「待ってください!」

小林「記憶が無い…というのは?」

コロン「いや、その、なんて説明すればええんか…」

コロン「……向かおうとした途中、記憶が無くなっとるんや」

北芝「なら、これ以上尋問しても無駄ね」

小林「いえ待ってください。…記憶が無くなった時の時間というのは、分かりませんか?」

コロン「えー?どうやろ…ウチ、しばらく怪しい奴を観察してから中に入るから…」

小林「…!」

小林「一体、どのくらい時間が経ってから倉庫に向かったのですか!?」

コロン「わわ!……いや、ちゃんと喋るわ!喋るから大声出さんといてーな!」

小林「…分かりました。では、証言を…」

北芝「異議あり!!」

北芝「証人が被告人を殺人現場で見た。その証言をした以上!こいつの役目は終わってるわ!」

北芝「弁護人は!時間稼ぎか知らないけど根掘り葉ほり聞かない事ね!!」

小林「そういう訳には行きません!ちゃんとした審議をするならば…」

小林「知れる事は、知る必要がある!例えそれが、些細な事でも!!」

北芝「だから!!」

裁判長「検察側の異議を却下します」

北芝「……!」

小林「……では、答えてください証人。貴方が倉庫に向かったのは何時頃なのですか!?」

コロン「ウチが倉庫に本格的に向かったのは…あそこの怪しい女が倉庫に入ってから15分後、11時11分くらいや!」

北芝「……」

小林「…分かりました。ありがとうございます。証人。証言に加えてください」

コロン「ええで!ウチは時間に厳しい女やからな!時間を覚えるのは得意やで!」ドヤッ


④……そっから先は、記憶が無いねん→④…そっから11時11分先は、記憶が無いねん。




小林「…さて、引き出せた証言はこのくらいか…」

小林(この証言には、決定的な矛盾が存在する)

小林(それを、この証人に突きつけてやるんだ!)

一旦休憩です
続きは21時20分から



証言④に証拠ファイル①浜崎紀子の解剖記録を突きつける


小林「異議!!!」

小林「……証人、本当に観察している間には物音は一つしなかったんですね?」

コロン「せやで!ちゃんと耳も澄ましたし」

小林「…本当に、パコーンという音以外何も聞こえなかったのですか?」

コロン「しつこいで!だから何も聞こえなかったし何も見えなかったゆうとるやろ!」

小林「…それはおかしいですね」

小林「証人、被害者はいつ死んだのかは知っていますか?」

コロン「え?ウチが記憶を失ってからじゃ…」

小林「いえ、違います。寧ろ、意識が覚醒して倉庫を観察していた時に起こっていたのです」

コロン「……え?」

小林「被害者が死亡した時刻は11時5分。つまり」

小林「本当に証人が11時10分に向かっているのならば!被害者が死んだ時の悲鳴、そして物音!」

小林「それらが聞こえなかったとは思えません!!」

コロン「…うっ」

コロン「うぇぇえええええええええええっ!?」ビックゥン


小林「答えてください証人!」

小林「貴方は、本当に赤レンガ倉庫の二号館の前に居たのですか!?」

コロン「うっ…嘘やないもん!本当に見たんやもん!!」オロオロ

コロン「あそこに座っとる女が!倉庫の中に入ってったのを見たんやもん!!」

小林「…それは否定しません。僕が気になっているのは」

小林「何も聞こえなかった。その筈は無かったのに、どうして貴方はその音が聞こえなかったのか」

コロン「うう……」

北芝「異議あり!!」

北芝「そんなもの、証人の思い違いとして通せば良いだけの事よ」

北芝「こんなガキんちょから時間の事を詳しく聞くなんて、そんなもの無駄な事よ!」

小林「そのガキんちょに証言をさせているのは誰ですか!!」

北芝「…………」

コロン「なんだかウチ…散々な事を言われとる気がする…」

裁判長「……しかし、そうなると」

裁判長「どうして、証人はその音が聞こえなかったのでしょうか?」

小林「……証人」

コロン「なっ…なんや?」

小林「その、記憶が無くなる瞬間という所」

小林「…何か、心当たりがありますね?」

コロン「!」


小林「裁判長!弁護側は、この証人が意識を失う前に何があったのか!」

小林「その証言を要求します!」

北芝「ちょっと!とっくにこいつの証言は終わってるのよ!なのに弁護側が図々しく要求なんて…」

裁判長「…弁護側の要求を認めます」

北芝「!?ちょっと!!裁判長!!」

裁判長「このまま終わってしまっては、モヤモヤしてしまうではありませんか」

裁判長「証人、この事件について知っている事を、どんな些細な事でも良いので証言してくれませんか?」

コロン「…………」

コロン「…分かった。ほな、思い出すから待っててな……」グルグル

小林(…………)

小林(……この子は、何か隠しているような気がする…)

小林(誰にも知られたくない、何かを)

北芝「…それじゃぁ証人」

北芝「意識を失う前に何があったのか、答えてくれるかしら」



【証言開始】


①えーと…確かな…時間は間違ってないねんほんま


②ただ…本当の事を言うとな…ウチ、転んでもてん


③倉庫の入り口近くにレンガが転がっとったんや。それに躓いて頭ドーンやったわ


④気を失ったのは、ちゃんと理由があったんや。すまんな~皆


小林「…………」

北芝「…………」

「……………………」

裁判長「なるほど…転んでしまったと」

裁判長「確かにそれは、ちょっと格好悪いですかね」

コロン「せやろ!?いざ、調査開始ー!って時に、転んで気絶なんて」

コロン「そんなの、格好悪すぎて証言できる筈無いやんけ!」

小林(……こっ転んだ……それで気絶…か)

小林(確かに…それは少し格好悪……)




北芝「異議ありっ!!!!!!」




小林「!」

裁判長「!」

コロン「!?」


北芝「アンタ…私達を馬鹿にしてるの!?」

北芝「倉庫の入り口付近で転んで気絶ですってぇ!?馬鹿も休み休み良いなさいよ!!」

コロン「いっいや…ウチは嘘は言ってな…」

北芝「アンタが見つかった場所は!!第二倉庫から離れた第一倉庫の建物の影なの!!」

北芝「倉庫の入り口!?そこで転んだ!?馬鹿も休み休み言いなさい!!!!!」

コロン「でも…嘘やなくて…」

コロン「……まさか…いや…やっぱり…?」

コロン「…………」

小林(………)

コロン「……せっせやった!転んだのは第一倉庫の建物の影やった!スマンかったわ~」

小林「異議!!!」

小林「どうして、事件現場に向かっていたのに第二倉庫から離れた場所で気絶していたんですか!」

小林「先ほどの証言と、矛盾しているじゃありませんかっ!!」

コロン「うぐ…ぐ……!」


北芝「……まさか、アンタ……」

北芝「アンタも…被告人と共犯で殺人していたわけじゃないわよねぇ?」ユラァ…

コロン「ちっ違う!ウチは殺人なんて…!!」

北芝「…おかしいと思ったのよ、だったらどうしてアンタは倉庫から離れた場所で気絶していた!」

北芝「本当は!アンタも被告と共謀していたからじゃないの!?」

コロン「ちっ違う…ウチ…ウチは……」

小林「異議!!」

小林「検察側は!根拠も無く証人を犯人呼ばわりしないようにしてください!!」

北芝「……っ!!………」

北芝「………アンタだって同じ事してるじゃない」

小林「…え?」

北芝「アンタら…アンタら弁護士だってぇええ!!」ゴッ!!

コロン「きゃぁああ!!」ビクッ

カッ!

裁判長「静粛に!検察側は静粛にお願いいたします!!」

北芝「はっ!私は静粛にはしないわ!冷静には行うけど」

北芝「証人!どうなの!?どうしてアンタはさっき、嘘をついた!!」

コロン「うっ嘘や…嘘やないもん……」ポロポロ…

小林「…確かに、それは気になる所ではあります」


小林「証人、貴方はやっていないし、殺人の共謀もしていないんですよね?」

コロン「うん…してない……してないんよ…ウチは…!」ポロポロ   グスッ

小林「でしたら、どうして警察の場所に見つかった場所が違うのか、心当たりはありますか?」

コロン「心…心…当たりは………」ゴシゴシッ…

コロン「……………」

小林「あるんですね」

コロン「…………」

小林「証人、答えてください」

小林「どうして貴方が発見された場所と気絶した場所が食い違っていたのか」

小林「明確に答えなくても大丈夫です。心当たりがあるのなら」

小林「どんな事でも、僕は前向きに受け入れるつもりです。それが、事件の鍵になる可能性があるのですから」

コロン「…………」

小林「さぁ、証人。その、心当たりとは?」

コロン「…………」

コロン「……」


コロン(?)「…本当に、前向きに受け入れてくれるんですか?」

小林「え?あ…はい。証言ですので」

コロン(?)「そう…なんですか。……嬉しいです」ニコッ

小林(何だ?急に言葉遣いと空気が……)


バッ



ポー(コロン)「私の事!前向きに受け止めてくれるんですね!!」バッサー(全裸)

小林「うわぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!?????」ビックゥウウン

裁判長「ぎゃぁぁあああああああああああああああああああ!!!???」

姫百合「………………」

ポー「さぁ小林オペラさん!見て!私の!服と言う邪悪な根源を全て失くした私の姿を!!」ガバァ

小林「きゃぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

「せっ先生ぇー!!」

「コロン様ー!!それだけは駄目ぇぇええええ!!!」

「や…やめ…駄目……!!///////」

ポー「私、嬉しい!!」

北芝「………………」

北芝「…何してんの係員ん!!とっととこいつを取り押さえなさい!!!!」

係員「えっ…!?」

北芝「傍聴席用の毛布で簀巻きにして椅子に縛り付けるの!!早くしろ!!!」

係員「か…かしこまりました!!」ドドドドドド



裁判長「……………」

裁判長「……どうやら、何とか収まったようですね」

北芝「本当、いきなり服を脱ぎ始めたと思ったら弁護人に駆け寄って…」

北芝「弁護人、アンタが何もしていなくても、これは貴方に自動的に罪が被せられる危険性だってあるのよ?」

北芝「だから次にからは無駄な発言は控える事ね!!」

小林(返す言葉が無い…)

ポー「離してくださーい!!私をこんな布で包んで…私に対する冒涜です!!」バタバタ

北芝「黙れ証人。この裁判が終わったら次は猥褻物陳列罪の裁判が待ってるわよ」

裁判長「……それより、違い場所で気絶していた…という事に関して」

裁判長「心当たりがある…と、申していたのは?」

ポー「解いてー!解いてくださいー!!」ジタバタ

小林「…あっあの、証人。気絶していた場所が違っていた理由についてなんですが…」

ポー「酷いよ!私の事を前向きに受け入れてくれるって言ってくれたのは、小林さんじゃないですかぁ!」

ポー「うわーんうわーん!」ビィイイイ

小林「……君のその癖を受け入れる事と、この疑問には何か意味があるのかい?」


ポー「そうだよ!だって、私はコロンちゃんとは違う人格なんだよ!?」

小林「……はい?」

ポー「だから!私はコロンちゃんとは別の、もう一人の人格…」

ポー「ポーなんだよ!珍しくコロンちゃんが前向きに私と代わってくれたのにぃ!こんな仕打ち酷い!!」

小林「いやいやいや!ちょっと待ってください!」

小林「違う人格って…どういう事なんですか!?それが、一体何を…」

ポー「だって、あの時の事でしょ?あの時、コロンちゃんが転んで気絶したその後」

ポー「私が現れて、あの串刺しの女の人と犯人を見たんだもん!!」

小林「………え?」

北芝「え?」

裁判長「え?」

小林「ェェぇェェええええええええええええええええええええ!?」

バンッ

北芝「なっ…何よそれ!聞いてないわよそんなの!!!」

ポー「だって、コロンちゃんは気絶してたから知らないんだもん。当たり前だよ」

北芝「同一人物でしょうが!何わけの分からん事をっぉおお!!」

ダンッ

小林「証人!あの事件現場を…”見た”んですか!?」

ポー「見ました!もうそれはバッチリと」

裁判長「……何と」

カッ

裁判長「これは…驚きの展開になりました」

裁判長「証人が二重人格。…少し疑わしい所はございますが」

裁判長「…証人、証言をお願いします」

裁判長「貴方が今、言いたい事、分かっている事を…全部」

ポー「…!」パァアア

ポー「はい!」



【証言開始】



①そもそも、人類が服を着始めたのは20万年前のネアンタール人が最古と言われているけど


②その時から人類は服という束縛に囚われていたと私は思うわけです


③更に、アダムとイヴでイヴが蛇に騙されて禁断の果実を食べた事から服を着始めたという所から


④服は人類の”呪い”の象徴として祀られていたと思うの。だから私は…


⑤その”濡れ衣”を脱ぐ為に!!全力で服を着ないって誓ったのっ!!!


北芝「……………」

裁判長「…………」

小林「………あの」

小林「これに尋問しなくちゃいけないんですか…?」

裁判長「……証人」

裁判長「事件に関係の無い証言は、できればご遠慮ください」

ポー「え……?」

ポー「だって…言いたい事を喋れって…受け止めてくれるって……」ジワ…

北芝「…私はね、こんな無駄な事で時間が過ぎていくのが大嫌いなのよ!!」ダンッ

北芝「アンタ!あの倉庫で何を見た!?ええ!?決定的瞬間か!?人の数は!?被害者は!?」

ポー「ふーん!こうなったら、私だって意気地があるんだもん!」

ポー「私の話を全部聞いてくれるまで!事件の事は絶っっ対に話しません!!」

北芝「係員」パンパン

係員「はっ!」ガラガラガラガラ


バチバチバチバチゴゴゴゴゴゴグルグルグルグル


ポー「話します!!もう!!全部洗いざらい話させていただきますっ!!」

北芝「最初からそう言えばいいのよ」

小林(本当…見た目は人道的に外れてるけど、便利な機械だな…)


【証言開始】



①転んで私になったその時、倉庫の中で音が聞こえたんです


②その音を探る為に倉庫の中に入ったら…中は血まみれの惨劇に!


③串刺しになった女の人と…隅っこでナイフを握り締めながら震える血まみれの青い髪の女の子


④怖くなって、その場から離れようと走っている時に走ってる最中に転んじゃって…


⑤コロンちゃんと一緒に目が覚めたら…警察に保護されたんです


裁判長「……なんと…」

裁判長「本当に…現場を見たのですね!?」

ポー「はい…もう、本当に信じられない光景でした…」

ポー「あの光景は…もう…一生忘れられそうにありません…」

小林(先ほどの君の行動も信じられなくて忘れられそうに無いけどね…)

北芝「……何よ」

北芝「やっぱり、被告が殺人した事については揺るがなかったじゃない!」

小林「………」

北芝「はっ!そんなもんよね。それじゃぁ弁護人、尋問頑張って~」ヒラヒラ

裁判長「では、弁護人。尋問をお願いいたします」


【尋問開始】

①転んで私になったその時、倉庫の中で音が聞こえたんです

小林「ちょっと待ってください!」

小林「その音というのは?一つ前の人格の貴方は聞こえなかったと言ってましたが」

ポー「でも、私は本当に聞こえてたよ!本当だもん!」バタバタ

ポー「もうー!窮屈だよぉー!私を解放してくださいー!!」バタバタ

小林「……どんな音だったかは、分かりませんか?」

ポー「んー!何ていうか、ドーン!とか、チュドーン!とかじゃなくて」

ポー「トイズが発動された時の音に近かったかな?」

小林「……トイズが、発動された時の音?」

北芝「…つまり、一度倉庫の中でトイズが発動されたのね?その音は一回だった?」

ポー「私が聞いたのは2回かな。それよりも解いてよーこれ!」バタバタ

小林(…………)


②その音を探る為に倉庫の中に入ったら…中は血まみれの惨劇に!

小林「ちょっと待ってください!」

小林「血まみれの惨劇という事は…やっぱり、既に殺人は行われた後なんですね?」

北芝「…当然じゃない。証人の言う時間的にもとっくに被害者が死んでる時間よ」

北芝「何?話を聞いていなかったの?」

小林「…いえ、ちょっと確認したかった事があっただけです」

小林(本当に、被害者が死んだ後の事なら…)

北芝「ふん!被告の容疑が一層酷くなったから、時間稼ぎのつもりかしら?」

北芝「だけど残念、そこに居る被告がこれから絞首形になる未来は変わらないわよ!!」

ポー「そんな事よりも!私を解放してよー!!」

小林(………うるさくて考え辛いな)


③串刺しになった女の人と…隅っこでナイフを握り締めながら震える血まみれの青い髪の女の子

小林「待ってください!」

小林「ナイフを握り締めながら震えていた女の子は…被告で間違いありませんか?」

ポー「え?……あー!!あの時倉庫の中で震えてた女の子!!」

姫百合「…………」

ポー「ひっひぃいい!怖い!助けて!!」バタバタ

北芝「…それで?何回この事を確認するつもりかしら?弁護人は」

ポー「やめてよー!あの時の事はトラウマなんだよ!」

ポー「串刺しになったあの女の人の鬼のような顔!!あの顔を見て私は!!」

小林「! ちょっと待ってください!」

小林「被害者の顔を、見たんですか!?」

ポー「勿論見たよ!その鬼のような顔が怖くて私はー!!」

小林「証人!被害者の女性の顔を見た事を、証言に付け加えてください!」

ポー「え?……別に、いいけど…あの女性の顔を見た時!私は!」


③串刺しになった女の人と…隅っこでナイフを握り締めながら震える血まみれの青い髪の女の子

③串刺しになった女の人の鬼のような顔を見て私は



④怖くなって、その場から離れようと走っている時に走ってる最中に転んじゃって…

小林「ちょっと待ってください」

小林「その場所が、第一倉庫の影だった…そういう事ですね?」

ポー「うん。これが、検事さんが知りたかった謎の答えだよ!」

北芝「………そう」

北芝「どっちみち、どうでも良い事だったわね。この尋問」

小林(……いや)

小林(この尋問は必ず、真実に辿りつく為の大きな武器になる)

小林「それで、証人はこの後どうなりました?」


⑤コロンちゃんと一緒に目が覚めたら…警察に保護されたんです

小林「ちょっと待ってください」

小林「その時は、二人の意識が共有されていたんですか?」

ポー「さすがに二人一緒に気絶しちゃったら、その時の意識は無いし…」

ポー「基本的に記憶も共有してるけど、今回は例外だったんだよ」

小林「なるほど…そして警察に保護されたと」

ポー「そうそ…あっ、これコツさえ掴めば外れそうかも!ふんっ!ふんっ…!!」プルプル

北芝「係員!よりきつく締め上げて!!」

係員「了解です!!」ババッ

ポー「ぎゃぁああああ!!痛い痛い痛い痛い!!」グギギギギギギ…

小林(…係員も大変だな)


③串刺しになった女の人の鬼のような顔を見て私は

小林「待ってください!」

小林「貴方は、見たのですね?被害者の顔を」

ポー「え?うっうん…そうですけど」

小林「そして、被告人もその時から血まみれだった。そしてナイフを持っていた。そうですね?」

ポー「…確かに…血まみれでしたけど…」

小林「………それは」

小林「決定的に、矛盾している!!」

ポー「!?」

北芝「………」

裁判長「なっ…なんですって!?」

裁判長「一体、どこが矛盾しているというのですか!?」

ポー「そうですよ!私は!何一つ嘘を言っていません!!」

小林「…もし、本当に証人が嘘を言っていないのであれば」

小林「この証拠品に決定的な矛盾が生じてしまうのです!!」




→証拠ファイル①浜崎紀子の解剖記録を突きつける



小林「この解剖記録にはしっかりと記されています!」

小林「心臓を貫かれた後、顔を執拗にナイフで切り刻まれている!と!」

ポー「……え?」

小林「もし、本当に被害者の死体を見た後であれば」

小林「被害者の”顔”を見たなんて事は!絶対に有り得ません!!」

北芝「異議あり!!」

北芝「貴方は愚か者なのかしら?小林オペラ!」

北芝「被害者は、心臓を貫かれた”後”に顔を執拗にナイフで切り刻まれていると書かれている!!」

北芝「なら、この証人が去った後に被告が切り刻んだと考えても!何一つ不思議じゃない!!」

小林「異議!!」

小林「なら、どうして被告の持っていたナイフは既に血まみれだったのでしょうか?」

小林「あんな大きなオブジェクトに刺さり心臓を貫かれたのなら、ナイフに血なんて付く訳無い訳無いじゃないですか!!!」

北芝「ぐぐっ…!!」

小林「それに、神津警視正はしっかりと証言しました!ひしゃげたクレーンの上から落ちて串刺しになったと!!」

小林「この事件は、被告がナイフで被害者の顔を執拗に切り刻んだ疑惑があるから殺人の容疑にかけられているに過ぎない!」

小林「もし!被告がナイフを持っていても被告の顔に傷一つつけていないとしたら!!」

小林「検察側の被告の立証は!根元から覆される事となります!!」

北芝「うぐぐぐぐぐぐ……!!!!」プルプル


裁判長「…しかし、そうなれば」

裁判長「どうして、被告はナイフで切り刻む前に被害者の血にまみれていたのでしょう」

北芝「………」

小林「…そうです。そうなると、その疑問も出てきます」

小林「皆さん、この証拠品を見てください」



→証拠ファイル⑥ひしゃげたクレーン


裁判長「これは…随分歪な形をしたクレーンですね」

小林「これには、二人の足跡が検出されたそうですね?北芝検事」

北芝「……ええ、検出されたわ」

小林「では、貴方達はこう解釈する事もできる」

小林「被告は、このクレーンの上から被害者を突き落として殺した」

北芝「………」

小林「お分かりかもしれませんが、これでは矛盾が生じてしまうのです」

小林「もし、被告が被害者と共にクレーンの上に居て、被告が突き落としたのだとしたら」


ダンッ


小林「被告に被害者の血が付着するなど有り得ません!!」



ザワザワ…ザワ…


カッ



裁判長「静粛に!静粛に!」

裁判長「…しかし、現に被告は血まみれになっていました。これは揺ぎ無い事実です」

裁判長「これを、どう説明するのですか?弁護人」

北芝「そうね。後、顔が執拗に切り刻まれた意味は?」

北芝「被告と被害者が、クレーンを登った意味は!?」ダンッ

小林「…………」

小林「…証人は、前に興味深い発言をした事を覚えていますか?」





ポー≪んー!何ていうか、ドーン!とか、チュドーン!とかじゃなくて≫

ポー≪トイズが発動された時の音に近かったかな?≫





北芝「あっ…あんた…まさか……!」

小林「そう!この事件は…この不可解な出来事は!」

小林「トイズを用いた犯行である可能性があります!!」



ザワザワ…ザワ……


北芝「………」

小林「つまり、この事件は遠隔操作のできるトイズも考慮しなければならなくなります」

小林「それは、承知の上です。ですが」

小林「このままでは!調査不十分です!」

小林「裁判長!」

小林「この事件がトイズを用いた犯行である可能性が出てきた以上!被告に判決を下すことが出来ません!」

裁判長「確かにそうですが…」

小林「ですから!この事件の再調査を弁護側は…」



北芝「異議あり!!!」



小林「!」

裁判長「!」

北芝「…ちょっと良いかしら?」

小林「…はい、なんでしょうか?北芝検事」

北芝「…情弱である小林くんに一言言っておくけど」

北芝「この事件がトイズの犯行だって事は、とっくに分かってた事なのよ」

小林「…え?」

北芝「だって、気づかなかった?被告人だってトイズを持っていたのよ?」

北芝「そして、そのトイズが何なのか。貴方、知らない訳じゃないわよね」

小林「そっそれは…5秒間だけ一つの物を宙に浮かせる事が出来るトイズ…」

小林「…………」

小林「……あっ」

小林「ああっ…!!」


北芝「そうよ。彼女は、落ちるときに避けようと思ったら出来ていた筈なのよ。5秒間という短い間だけど、何でも浮かせる事が出来たんだから」

北芝「でも、どうして彼女は串刺しになったと思う?」

小林「………」

小林「ま……まさか」

北芝「そう、気づかなかった?いや、知らない訳無いわよねぇ…だって、」

小林(僕は…心の底で気づいていたかもしれない…でも)

小林(多分それ以上に…僕は…)

北芝「被告は、強制終了のトイズがあるって事くらい。知ってるでしょ?」ニコリ

小林(この…最悪な可能性から…逃げていたんだ…!)

姫百合「…………」

姫百合「…………ぁ」

北芝「検察側は、実は仮説がいっぱいあるのよ。その中の一つも結構有力なのがいっぱいあるわ」

北芝「一つは、飛び降りようとした被害者を止めようとする被告」

北芝「まぁこれは可能性としては低いから…”事故”と考えましょう」

北芝「被害者はついウッカリ、足を滑らせてしまったの」

北芝「当然、被害者は自分自身のトイズが分かっているから何とかしようとした」

北芝「でも、被告は助けようとしたのか。殺意があったのか。それとも気が動転していたのか」

姫百合「ああ…ああああああ……」

北芝「自分のトイズを、ウ ッ カ リ 使 っ ち ゃ っ た とか」

姫百合「ああああ…あああああああああ」

北芝「つまり」

北芝「これだけ証拠品と証言が揃えば!どう転んでも、殺したのは」

北芝「被告人である事に絶っっ対に揺るがない!!!」


小林「…………」

姫百合「あああああああああああ!!あああああああああああああああああああああああ!!!!!」

姫百合「ああああああ…あ………」

姫百合「………」バタリ

裁判長「被告人?被告人!!」

係員「おい!誰か担架を持ってこい!!」

「ヒメちゃん!」

「ヒメー!!」

北芝「…まぁ、そんな事故なら死刑とまでは行かないと思うわ。それは認めてあげる」

北芝「でも、殺してしまったのなら」

北芝「それ相当の償いは!絶対にさせてやるわ!!!」

小林「…………」

小林(まさか…もう……)

小林(ここまで…なのか?)

小林(………)

北芝「……でもねぇ、この私が」

北芝「そんな生ぬるい終わり方にすると、思う?」

小林「……!?」


北芝「実はね、この裁判。証人は」

北芝「あと、もう一人居るのよ」

小林「…なっ!」

北芝「赤レンガ倉庫近くまでがパトロール領域内の巡査長の警官なんだけど」

北芝「そいつは、この事件の全貌をほぼ全部見ているわ」

小林「…………」

北芝「…でも、私あいつ嫌いだからできれば証人として証言させずに私の力だけで終わらせたかったけど」

北芝「そういう訳には、いかなそうだからねぇ…」ニヤァ

小林「…………」

北芝「覚悟しなさい、小林オペラ。」

北芝「この私が、被告人もろとも完膚無きまで叩き潰してあげるわ」

北芝「あーっはっはっはっは!!あぁーっはっはっはっはっはっは!!!!!」


カッ



裁判長「…では、少しアクシデントがあったようなので」

裁判長「これから、10分間の休憩を挟んだ後に。再審理を行う物ととします。」

裁判長「それでは、一時閉廷!!」



カッ




一旦休憩します。
10分後に再開


【横浜裁判所 第二控え室  11月17日 午前12時34分】


シャロ「先生!ヒメちゃんは…大丈夫なんですか!?」

コーデリア「ヒメは…ヒメは無事なんですか!?」

小林「………」

小林「…大丈夫だよ。今の所はね」

エルキュール「!」

シャロ「よっ…」

ミルキィホームズ「「「「良かったぁ~……」」」」ハァ~

小林「……それよりも、ピンチなのは…」

小林「僕の方かも…しれない…」

ミルキィホームズ「「「「……」」」」


ネロ「…何言ってるんだよ」

ネロ「小林が諦めたら!誰がヒメを助けるのさ!」

コーデリア「そうですよ!そんな弱気にならないでください!!」

小林「……だけど」

小林「どう推理しても…やっぱり串刺しにした原因は姫百合君にあると思うんだ…」

小林「それは…どう考えても避けられようがない。恐らくこれは事実だ」

シャロ「そんな!だったら」

小林「だけど、姫百合くんは無実だ」

シャロ「…!」

小林「昨日、姫百合くんが体験したあの異常現象の事を考えると、姫百合くんが被害者なのは間違いない筈だ」

小林「つまり、この事件…姫百合くんを陥れようとしている奴が居る…」

シャロ「………」

ネロ「………」

コーデリア「…………」

エルキュール「…………」

シャロ「それは…誰なんでしょうか?」


小林「分からない。その為にも、この事件は再調査が必要だと思うんだけど…」

小林(果たして、あの検事がそれを許すかどうか…)

ネロ「…というよりも、あのクソガキ検事は一体なんなのさ!そんなにヒメを殺人犯にしてやりたいわけ!?」

コーデリア「いくらなんでも…!あんな裁判は酷すぎます!!」

エルキュール「…あんな…姿のままにされて……可哀想…すぎる……!!」

シャロ「先生!やっぱり私達も何かお手伝いがしたいです!!」

シャロ「お手伝いして!あんな検事なんてぶっ飛ばしちゃいましょう!!」

ネロ「出来れば物理的にね!!」

小林「いや、さすがに物理的は駄目だと思うよ…」

小林(……こんなに真剣な彼女達は、日本に帰って来て初めて見る気がする…)

小林「…じゃぁ、この裁判を通して君たちが疑問に感じた事を、どんな些細な事でも良いから教えてくれないか?」


シャロ「はい!!」

ネロ「そりゃぁ!疑問だらけだよ!」

コーデリア「洗いざらい全てを話します!教官!」

エルキュール「私…も……全部……!」

小林「…ありがとう」

小林「それじゃぁ、シャーロック」

シャロ「はい!」

シャロ「私が疑問に感じた事は…やっぱり被害者の顔です!」

シャロ「あの顔がいつ傷つけられたかというのもそうですけど…」

シャロ「一体、どうして犯人は被害者の顔を執拗に切り刻んだのでしょうか?」



証拠ファイル⑩シャロの疑問点

【どうして犯人は被害者の顔を執拗に切り刻んだのか】



小林「じゃぁ、ネロは?」

ネロ「…僕が疑問に感じたのは、血の事だよ」

ネロ「ヒメがクレーンの上に居たっていうのなら」

ネロ「ヒメはどうやってあんなに血を浴びたの?」


証拠ファイル⑪ネロの疑問点

【姫百合はどうして、あんなに血を浴びたのか】


小林「コーデリアは、どう思う?」

コーデリア「はい!私が疑問に感じたのは、コロン・ポーが音を2回しか聞かなかったという事です」

コーデリア「トイズの音の他に聞こえる物はまだある筈なのに」

コーデリア「どうしてコロン・ポーは肝心の音が聞こえなかったのでしょうか」

小林(…いつの間にか、様付けから呼び捨てに変わってるな…)



証拠ファイル⑫コーデリアの疑問点

【コロン・ポーは、何故殺害時の音が聞こえなかったのか】



小林「エルキュール。君の意見も聞きたいな」

エルキュール「は…はい!」

エルキュール「私が変に思ったのは…ヒメさんの姿についてです」

エルキュール「コロン・ポーさんの証言によれば…事件前からヒメさんは髪がボサボサだったようで…」

エルキュール「どうして…ヒメさんはそのような格好で浜崎さんに会いに行ったんでしょうか…」


証拠ファイル⑬エルキュールの疑問点

【どうして姫百合は乱れた格好のまま浜崎の待ち合わせ場所に向かったのか】



小林「…………」

小林(なるほど、どれも確かに興味深い謎だ)

小林(だけど、これらの疑問はこの次の裁判で解決する…のか?)

シャロ「…先生?」

小林「ありがとう君たち。これならなんとかなりそうだよ」ニコッ

シャロ「……!」パァア

小林(…いや、何を言っている僕!この謎こそ、この裁判で明らかにしなければならないじゃないか!)

「弁護人!そろそろ開廷です。入廷してください」

小林「じゃぁ…そろそろ時間みたいだ」

ネロ「小林!僕達…ちゃんと見守ってるから!」

コーデリア「教官!どうか…ヒメをお願いします!」

エルキュール「小林…さん……!どうか…助けて……!」

シャロ「先生!私達は、どんな時でも!ずっと味方ですから!!」

小林「…ありがとう皆、それじゃぁ…」

小林「行ってくるよ」



ギィィイイイイイ……バタン


【横浜裁判所  第一法廷室】



カッ!!


裁判長「これより、エラリー姫百合の裁判を再開します」

裁判長「弁護側、検察側、準備はよろしいですか?」

小林「弁護側、準備完了しております」

北芝「検察側、もとより」

裁判長「…よろしい。」

裁判長「それでは検察側は、証人を召喚してください」

北芝「……ええ、そうね」

北芝「皆、安心していいわ、この裁判…次の証言で全てが終わる」

北芝「何故なら、この事件を最初から最後まで目撃した人物が証人なのだから!」


ザワザワ…ザワ…

カッ

裁判長「静粛に!静粛に!」

裁判長「さ…最初から最後まで目撃した証人!?どうして、それを先に入廷させなかったのですか!?」

北芝「……それは」

北芝「その証人が居なくても、この裁判は私の手で終わらせられると思ったからよ」

北芝「…そうは行かなかったけど」ギロッ

小林「…………」

裁判長「…………なんだかよく分かりませんが」

裁判長「この裁判に白黒つけられるのならば、問題は無さそうですね」

裁判長「それでは係員。証人を入廷させなさい」


「…………」

北芝「…それでは証人、名前と職業を」

「………よしっよしっ大丈夫大丈夫」

小林「…?」

「……スゥー…」

「…ハァー…」

パンパンッ

「こんにちはぁあああああー!!!皆ぁー!!私の名前はー!!アンドレイみどりでぇーす!!☆」

小林「!?」

みどり「職業はぁー!小学生の皆に交通事故の恐ろしさを伝える事!交通課からやってきましたぁー!!」

みどり「みんなぁー!!今日はよろしくねぇー!!」

ザワザワ…ザワ…

みどり「あれれぇー?みんなぁ、おかしいぞぉー?ノリが悪いなぁー」

みどり「ノリの悪いとぉー、大型トラックに轢かれてバラバラになっちゃうぞ☆」

みどり「みんなぁー!!交通事故には気をつけようねぇー!!」

小林「…………」

小林「…え?何ですか?この人は」

北芝「一応この事件の目撃者、警察署の交通課所属のアンドレイ緑(32)よ」

北芝「他にも私服パトロールとかをしてるらしいわ。…証人、アンタ確か当日もパトロールしてたのよね?」

みどり「そうそーう!!なんだかぁー、身だしなみがちゃんとしてない薄汚れた人が歩いてたからぁー」

みどり「これは交通事故を起こしてしまう!って思っちゃったお姉さんはねぇー、その人を尾行していたんだぁー!!」

小林「え……ええええええええ!?尾行!?」

みどり「そう!それがまさか…あんな事になってしまうなんて…ビックリ!」

みどり「さて問題です!お姉さんはあの日、一体何に遭遇してしまったでしょうか!ヒント:交通機関と車は関係無いよ!」

北芝「………」

みどり「そこの小学生の貴方!可愛い赤い髪の貴方!お姉さんは何と遭遇したでしょーか!!」

北芝「だぁぁれが小学生じゃぁああああ!!!!」ガガアアアアアアア

小林(……本当に、ここは裁判所なのだろうか…)

北芝「いいからとっとと証言しなさいよアンタ!!こっちは仕方なく召還してやってるんだから!!」

みどり「あれれー?分からないかなー?答えてくれないと、お姉さんこっから先に進めないぞー?」

北芝「その喋り方止めろ!!緊張解け!!いつも通りで良いのよ!!とっとと喋れ役立たず!!」


みどり「…………」

みどり「………本当に、緊張を解いてもいいの?」

小林「え?ええ…一応、ここは裁判所なので、緊張されるとこちらもやりづらく…」

小林(というか、アレ緊張しているのか…?)

みどり「……………」

みどり「なぁぁぁぁあああああんんんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」ダラァァァ

小林「……え?」

みどり「それならそうと言ってよぉぉぉぉぉ……わたしぃぃ……余計な体力使っちゃったじゃんかぁぁぁ……」

小林「あの、みどりさん?」

みどり「あんんん?」

小林「さきほどの、ハイテンションな感じとは違うようですが…」

みどり「ああああ……これがぁぁぁぁ…私のぉぉぉ…オフだからぁぁぁぁぁ………」

みどり「いつまでもっぉぉぉぉぉぉ…あんなぁ、営業スマイルゥゥゥ……やってられっかぁぁぁぁぁ……つぅぅのぉぉぉぉぉ………」

小林(何て極端な人なんだ)

裁判長「……今回の証人は、人格をいくつも持ってる人が多いですね」

北芝「…はぁ、さっきのよりは大分マシになったわね」

北芝「そんじゃ証人。あの事件当日何があったのか」

北芝「早く帰りたかったら、全て証言しなさい」

みどり「えええええええ……?めんどぉぉぉおぉおおおおおお………」

北芝「証言しなかったらいつまで経っても帰れないわよ!アンタ!!」バンッ

みどり「……うぃぃぃぃぃぃいいいいいす……分かりましたぁぁぁぁ……」グダァァァァァァ……


【証言開始】



①ええとー…確かぁぁぁ…なんか赤い建物の中でぇぇぇ…


②そこに居る被告がぁぁぁぁー…ええと……ドッカーン…つってぇぇぇぇぇ


③バーンってぇぇぇぇドチューンってぇぇぇ……テクテクーってぇぇぇぇぇぇ


④いやぁーなんかぁ、とってもベリバリーっていうかぁぁぁぁぁぁ……


⑤なんかぁぁぁぁぁ……色々凄かったですぅぅぅ…はぃぃぃぃ………


北芝「…………」

裁判長「……………」

小林「……あの」

小林「これ…尋問できるんですか?」

北芝「…やってみるかしら?」

裁判長「今こそ、弁護士としての実力が試されますぞ?」

みどり「がんばれガンバれぇぇぇえへへへぇええいいいい……」

小林(何だこれ……ここは苛められっこの席なのか…?)

小林「って、こんな証言!尋問できるわけが無いでしょう!!」

裁判長「……どうやら」

裁判長「さっき緊張して喋らせた方が、まだ聞き取りやすかったみたいですね」

北芝「……チッ」


北芝「ちょっと、みどり巡査部長」

みどり「あああああんんん?」

北芝「やっぱり、緊張しろ、お前」

みどり「えええええええええええ?めんどぉぉおぉおおおおおおお………」グダララー…

北芝「このままじゃぁ一向に審議が進まないのよ!!いいから!!とっとと営業スマイルに戻りなさいよアンタ!!」バンッ

みどり「………………」

みどり「ダイジョウブ…ワタシハダイジョウブ…ウン…」

みどり「ゴホンゴホン」

みどり「みんなぁああ!!みどりお姉さんが、帰ってきたよぉー!!」

みどり「これから、お姉さんは証言するから!ちゃんと聞いててねー!!」

みどり「お姉さんの話を聞かない悪い子はぁー…ダンプに轢かれて内蔵を排水口にぶちまけちゃうぞー!!」

小林(この人…営業でもこんなグロイ事を子供に言ってるのだろうか…?)

北芝「そんじゃ証人、改めて」

北芝「事件当日、何があったか。証言しなさい!!」



【証言開始】


①なんだか、怪しいぞー?って子が居たのでー、尾行してみたらぁー


②何と!赤レンガの倉庫に向かって行ったではありませんか!


③そして、お姉さん息を殺して中に入るとー…


④なななんと!その怪しい子が!クレーンの上で女の人を突き落としたのです!


⑤更に更に!女の人が岩に突き刺さり大事件!!


⑥もーお姉さんは大変!すぐに本部に連絡しましたとさ!めでたしめでたし



裁判長「……なんと」

裁判長「まさか…貴方はその…」

裁判長「殺人の決定的瞬間を見てしまったというのですか!?」

みどり「そのとぉぉおおり!!ち・な・み・に♪これは立派な犯罪なんだゾ☆」

小林「それは全員知っています」

みどり「だから皆も!クレーンの上に乗っている時に人を突き落としたりしないようにねー!!お姉さんからの約束だよ☆」

小林「それも全員心得ています」

北芝「…そんなチンケなツッコミで満足かしら?弁護人」

裁判長「おっと、そうでした」

裁判長「それでは弁護人、尋問をお願いします」


【尋問開始】


①なんだか、怪しいぞー?って子が居たのでー、尾行してみたらぁー

小林「待ってください!」

小林「そのっ…怪しいって言う子は…もしかして…」

みどり「そう!今も被告席っていう、悪い事した人が座る椅子に座っている、あの子なんだよ☆」

姫百合「…………」

小林「ちっちなみに…貴方が尾行した時から彼女は、あのような格好でしたか?」

みどり「うーん…あんなに血まみれじゃなかったけどなぁー。でも、それ以外はそのまんまだよ☆」

みどり「一日半経っているのに、まだそのまんまの格好なのはビックリしたけどね☆」

姫百合「…………」

みどり「みんなぁー♪お風呂には毎日入ろうね!入らないとぉ~…被告人みたいになっちゃうぞぉー!!」

小林(なっ…なんて不謹慎な教訓を言うんだこの人は!)

姫百合「…………」


②何と!赤レンガの倉庫に向かって行ったではありませんか!

小林「待ってください!」

小林「…その時、被告人の他に誰か居ませんでしたか?」

みどり「ん?横目でチラリと見た程度だったけど」

みどり「お姉さんねー、小さくて可愛い女の子を見たんだよー!こんな夜遅くに、何してたのかなー?」

みどり「良い子のみんなー!夜遅くまでお外に居ちゃ駄目だぞー!もし、夜遅くまでお外に居るとぉー…」

みどり「真っ黒いベンツの車が!皆を遠い国へと連れてって二度とお父さんとお母さんに会えなくなっちゃうからねぇー!!」

小林(リっリアルで具体的過ぎる!!)

小林(…しかし、この人はコロンくんの姿を確認しているのか。)

小林(コロンくんは、この人の事を認識していなかったようだけど…)

北芝「…………」


③そして、お姉さん息を殺して中に入るとー…

小林「待ってください!」

小林「…自分が入っていく所を、誰かに見られた感じはありませんでしたか?」

みどり「いやいやー?お姉さん、誰にも見られてないぞー?お姉さん、嘘つかないよー」

小林「……それはおかしいですね」

小林「実は、事件現場にはもう一人目撃者が居たのですが、その目撃者が言うには」

小林「被告が倉庫に入った後に、また誰かが入ったのを見ていないと言っているのですが」

みどり「…………」

小林「これは、どう説明するのですか?」

みどり「…………」

みどり「あれれ~?弁護士さんは、お姉さんが普通に入り口から入ると思ってるのかなー?」

小林「えっ?」

みどり「お姉さんわねー、結構用心深い性格だからー、窓から入るんだぞー!!」

みどり「皆も、入り口から入れないときは窓から入ろうね!」

小林「いやいやいや!それ、泥棒ですからね!?泥棒まがいですからね!?」

みどり「あれー?そうなのかなー?お姉さん、交通課の担当だから分かんないやぁー」

小林(…大丈夫なのか?横浜の警察署は…本気で)


④なななんと!その怪しい子が!クレーンの上で女の人を突き落としたのです!

小林「待ってください!」

小林「貴方は、入った瞬間に突き落とした瞬間を見たのですか?」

みどり「いやいやー?ちょーっち待ったよー」

みどり「でも、覗いた時には既に怪しい子と被害者はクレーンの上に居たけどねー」

みどり「皆は危ないから、クレーンの上に乗っちゃ駄目だよー」

みどり「被害者みたいに、串刺しになっちゃうからねぇー☆」

小林「だから!不謹慎ですよって!!それ!!」

裁判長「…証人、証言を続けてください」



⑤更に更に!女の人が岩に突き刺さり大事件!!

小林「ちょっと待ってください!」

小林「…岩に、突き刺さり?」

みどり「そう!もう、お姉さんビックリしちゃったよー」

みどり「まるでサウス○ークの無修正映画版のラストみたいに串刺しになっちゃってぇー」

小林「サウスパ…え?何ですって?」

みどり「あれれー?サウ○パークに興味があるのかなー?あれは、良い子は見ちゃ駄目なアニメだよー」

小林(じゃぁ何でそんな話題を出したんだよ!)

みどり「皆も!健全な著作物を見ようね!見なかったら…」

みどり「この映画のサダム・フセインみたいになっちゃうからね!!」

北芝「………」

裁判長「…………」

小林(……果たして子供にサダム・フセインが分かるだろうか?)

小林(…しかし、この証言…ちょっと気になるな)


⑥もーお姉さんは大変!すぐに本部に連絡しましたとさ!めでたしめでたし

小林「ちょっと待ってください!」

小林「それじゃぁ…通報したのは…」

みどり「そう!お姉さんだよー。良い子のみんなー!」

みどり「犯罪を見つけたら、有無を言わずにスグに警察に通報しようねー!お姉さんからのお願いだよー♪」

小林「…………」

小林「…その間も、ずっと被告は大人しくしていたのですか?」

みどり「そうだよー。ずーっと大人しくしてたんだー!」

みどり「今頃になって罪悪感が生まれたのかなー?人間って不思議だね!」

小林(僕は貴方が不思議でしょうがないよ……)




小林(さて……証言はこんなものか)

小林(しかし本当に決定的瞬間を見たのなら、彼女の証言で)

小林(一つ、気になる箇所がある)

小林(それを突きつけてやろう)

休憩します。次は22時15分から



→証言⑤に証拠ファイル⑨加藤柊氏の彫刻作品を突きつける


小林「異議!!」

小林「……証人。被害者は、本当に岩に突き刺さったのですよね?」

みどり「そうだよー!まるであれはサウスパ…」

小林「その話題はもういいです。……証人」

小林「突き刺さったものは、岩…他に何か特徴がありましたか?」

みどり「え?岩は岩だよー、変な小林くんだなー」

小林「……残念ですが」

小林「”岩”以外に言う事が何も無い。そう捕えて良いのですね?」

みどり「えー?一体どうしたの小林君?ちょっと怖いよー。まるで大型トラックの顔みたいだよー?」

バンッ

小林「見落とす筈が無いんですよ。もし、本当に見えていたとしたら…」

小林「岩の下に大きく広がる、顔をね!!」

みどり「顔?」

みどり「………」

みどり「…あれー?」



ザワザワ…ザワ……


カッ


裁判長「静粛に!静粛に!」

裁判長「しょっ証人!貴方は、このオブジェクトのこのインパクトの強い顔が見えなかったのですか!?」

みどり「ええー?でも…あのー…」

小林「普通だったらありえません」

小林「こんな顔を見てしまえば、この顔から出ているオブジェクトに突き刺さる被害者…」

小林「どう考えても!岩と認識できる筈が無いですよね!!」

北芝「異議あり!!」

北芝「…弁護人は、忘れているようね」

北芝「この証人は、窓から覗いて中を見ていた」

北芝「窓はそこそこ高い場所にあるし物も溢れている。あの高さの窓から覗いてしまえば」

北芝「当然死角が出来、あの顔どころか床すら見えないわ!!」

小林「うっ…!」


北芝「それに、あんなオブジェクトの顔が見えなかったとして気にする事は無いじゃない」

北芝「彼女は決定的瞬間を見た。たったそれだけで」

北芝「この被告の有罪は、確かな物になったわ!!!」

小林「ううっ…!!」

裁判長「………確かに、その通りです」

裁判長「弁護人、他に言いたい事は?」

小林「…………」

小林「……」

小林「……あの」

北芝「ん?どうしたのかなー?小林くん?」

小林「トイズの音は…聞こえませんでした?」

北芝「おお?この裁判、もうそこまで行っちゃってるのかい!?」

北芝「勿論聞いてるよぉ~!トイズの音は、トゥルン!みたいな可愛い音なんだよぉ。良い子の皆は、分かったかなぁ?」

小林「他の…音は?」

北芝「聞こえなかったよぉ~、そもそも」

北芝「あの倉庫は、中は響くけど外にはあまり響かないから、音なんてほとんど聞こえないぞぉ~、分かったかな?」

小林「………はい」

小林「分かり…ました」


ザワザワ…ザワ…

カッ

裁判長「静粛に!静粛に!」

裁判長「…それでは弁護人、もう異論はありませんね?」

小林「…………」

北芝「…はんっ所詮、あんたもこの程度よ」

北芝「けど、真実を前によくぞそこまでもがいたわ」

北芝「虚事に縋りたいその醜い姿、よくぞここまで!!」ビシィッ

小林「………」

小林(もう…終わりなのか…?)

小林(もう…これ以上…反論の余地が…)

「先生!諦めないでください!!」

「ここで諦めるの!?小林ぃ!!」

小林(…ごめん…ごめん…皆…)

小林(だけど…もう……これ以上は…)

「教官!諦めないでください!!」

「小林…さん!負け…ないで!!」

小林(…………)

小林(駄目だ…!やはり…)

小林(…何も……思い浮かばない…!)

裁判長「……もう、言う事は何も無いようですね」


裁判長「それでは、これで姫百合被告の審議を終了したいと思います」

北芝「…全く、無駄な時間を使わされたわ」サラサラ

北芝「結局、有罪判決には変わりないのだから。早急に諦めがつけばすぐに終わったのに」

小林「………」

北芝「本当…つまんない男」

小林「…………」

裁判長「…弁護人、本当によろしいのですね?」

小林「…………」

小林「……最後に、一つだけ…良いですか?」

北芝「………はぁ」

北芝「いい加減にしなさいよ、もう、アンタだって分かってるでしょ?この裁判は…」

小林「いや、何てことは無い。…みどりさん」

小林「最後に、窓から何が見えたのか、その全てを言って欲しいんだ」

みどり「んー?それは、全部言った筈だよー?」

小林「……いや、目に見えた物。それ…全部だ」

小林「全部聞けば…僕も……納得が行くと思うから……」

みどり「んっんー。分かったぞー」

みどり「ええとー、まず見えた物はー被告人と被害者!そしてひしゃげたクレーン!倒れたアイスランド国旗のキャリーバック!そして岩!」

みどり「こんなものかなー?どうだい?納得できたかなー?」

小林「…………」

小林(…あれ?)

小林(これって……まさか……)

小林「…………」

裁判長「どうやら、納得したようです」

カッ

裁判長「これより!エラリー姫百合の裁判を閉廷致します!審議は―――」







小林「異議ありっ!!!!!!!!!!」






北芝「!?」

裁判長「!?」

みどり「?」

小林「…みどりさん、貴方」

小林「今…とんでも無い事を言いましたね?」

みどり「とんでも無い事?んー?それは何かなー?」

みどり「お姉さんの最近のとんでも無い事は、ホームレスのおじさんがバキュームカーに吸い込まれた瞬間かなー」

小林「いえ、貴方はさっきとんでも無い事を言った事に」

小林「気づいていないんですよ。アンドレイ・みどりさん」

北芝「…何?ハッタリのつもり?」

ダンッ

北芝「いい加減にしなさいよ…往生際が悪過ぎるわ!!」

北芝「私達だってねぇ!暇じゃないのよ!この事件をとっとと!終わりに…」

小林「残念ですが、そういう訳には行きません」

小林「みどりさん、貴方は窓から事件が起こった倉庫の中を見たのですよね?」

みどり「そうだよー!玄関から入ったら、バレちゃうからねー」

小林「……だとしたら」

小林「見えていたらおかしい物を!貴方は見てしまっているのですよ!!」


北芝「!?」

裁判長「みっ…見てしまってはいけないもの!?」

小林「そうです!検察側と証人は、確かに言いました!」




北芝≪窓はそこそこ高い場所にあるし物も溢れている。あの高さの窓から覗いてしまえば≫

北芝≪当然死角が出来、あの顔どころか床すら見えないわ!!≫




小林「もし、本当に床すら見えない程の死角ができるのなら!!」

小林「証人は見えてはいけないものを見てしまった事になる!!」

北芝「いっ一体何だと言うのよ!!」

北芝「この証人が見えてはいけなかった物とは!!?」




→証拠ファイル⑦姫百合のキャリーバック

小林「これです!!」

小林「これは、事件現場に有った被告のバックです」

小林「先ほどの証人も、その存在は確認しています」

北芝「だからなんだと言うの?そんなバックが見えなかった事なんて!」

北芝「現に、こいつは持っている姿を確認したじゃないのよ!!だから有って当然じゃない!!」

小林「そうなら良いのですが、前の証人はこう言いました」



コロン≪さぁ…暗くてよう見えんかったでアレは。何色かと言われたら、黒やったかな?≫



バンッ

小林「現場は暗かった!例えそのキャリーバックが見えていたとしても!」

小林「アイスランドの国旗柄とはっきりと分かるわけがありません!!」

北芝「ぐぅぅ…!!」ググッ

みどり「…………」

北芝「…だから!?何?何だと言うの!」

北芝「こいつが!そのバックが窓から見えなかったとして!一体何が分かるのよ!!」

小林「…………この事について解明した事は、ただ一つです」

小林「この証人は、窓から見ていない!!」

北芝「なっ…なんですって…!?」


小林「そうなると、どこから見ていたか?…という事になりますが」

小林「そもそも、最初から最後まで目撃していたという時点で僕は一つの可能性も考えていました」

みどり「………」

小林「みどりさん」

小林「貴方も含まれるのですよ…被害者を殺した容疑者に」



ザワザワ…ザワザワ……


カッ

裁判長「静粛に!静粛に!」

裁判長「と…という事は弁護人!貴方は…」

裁判長「告発するつもりなのですか!?この証人を!!」

小林「………」

小林「このまま、裁判が進んでいき…僕の推論が正しければ」

小林「それも有り得るでしょうね」

みどり「…………」

みどり「…ぇぇぇえええええええ!!?お姉さんを告発ぅぅうう!?」ガビーン

みどり「よっ良い子の皆は!勝手に告発しては行けないよぉおお!!」


バンッ

小林「それでは…証人は答えてください」

小林「証人は!本当はどこに居たのか!!どこで見ていたのか!」

みどり「…………」

小林「証人!本当の事を喋ってください!!」

小林「貴方は!事件当日…どこで現場を見たのですか!?」

みどり「………」

みどり「……お姉さんねー。疑われるのって、ちょっと嫌いなんだよねー」

小林「…!」

みどり「だから、窓から見た光景でも通るかなー?ってノリで言っちゃったけど」

みどり「どうやら、やっぱり駄目みたいだねー。皆も、嘘は駄目だよー」

小林「…それじゃぁ、話していただけるのですね?」

小林「貴方は事件当日、どこの居たか」

みどり「話すよー!今度は」

みどり「嘘も偽りも無い。本当の事を喋るよー!!」

みどり「泥棒はうそつきの始まりだよー!皆ぁー!覚えておこうねー!!」

小林(逆なんだけどな…)

北芝「………チッ!!」


【証言開始】



①本当は、被告と同じ入り口から入ったんだよー


②そこで、被害者にはバレたけど、被告にはバレなかったんだー


③被告が被害者を突き落とした後、しばらく呆然として震えてたんだけど


④急にキャリーバックからナイフを取り出してトチ狂ったように顔を突き刺したんだよー!異常者って怖いねー!


⑤そこからまた呆然として震えてたんだー。そこで私はとりあえず被告を気絶させて


⑥目に入ったキャリーバックを立てて移動させたんだー


小林「…………」

小林「…え?ちょっと待ってください。被告人を?気絶させた?」

みどり「そう!こういう時は、正当防衛って言うんだ!」

みどり「呆然としていたチャンスだよ!みんなー!覚えておこうねー!!」

姫百合「……………」

小林(姫百合くんが再び呆然としているぞ…)

裁判長「…弁護人、尋問をお願いします」



①本当は、被告と同じ入り口から入ったんだよー

小林「待ってください!!」

小林「…えっ!?被告と…同じ?!入り口!?」

みどり「そうなんだー!いつバレるか分からなくてヒヤヒヤしたよぉー」

北芝「…下手な行動は警官にとって命取りよ。ちゃんと考えて行動しなさいこの馬鹿!!」

みどり「ごめんねー北芝ちゃーん。小さいのに偉いねー」

北芝「喧嘩売ってんのかぁ!!ゴルゥァアア!!!!」キシャー

みどり「でも大丈夫だよー!お姉さんねー実は…」



②そこで、被害者にはバレたけど、被告にはバレなかったんだー

小林「待ってください!」

小林「えっ!?ひっ…被害者にはバレたんですか!?」

みどり「そうだよー。でも、目の前には怪しい女の子が居たもんだから」

みどり「見事にアイコンタクトを駆使して、私の存在を悟られないように連携プレーだったんだー!」

みどり「これを連携プレーって言うんだよー!皆も覚えておこうねー!」

小林(二回も言ったぞこの人。後違う。絶対にこれ違う!)



③被告が被害者を突き落とした後、しばらく呆然として震えてたんだけど

小林「待ってください!」

小林「…これに関しては、嘘偽りは無いんですね?」

みどり「そうだよー!お姉さん、何回この事言えば良いのかなー?」

みどり「さすがにお姉さんウンザリしてきちゃったよー」

小林「……………」

北芝「どうやら弁護人は、よっぽど認めたくないようね」

北芝「被告人が、人を殺してしまった事実を」

みどり「でも、真実は受け止めなくちゃいけないよー!いいかい皆、死っていうのは…」

みどり「二度と戻らないんだからね!!」ドヤッ

小林「……証言を続けてください」

みどり「あれれー?ちょっと反応薄いぞー?小林くーん」


④急にキャリーバックからナイフを取り出してトチ狂ったように顔を突き刺したんだよー!異常者って怖いねー!

小林「待ってください!!」

小林「キャリーバックからナイフを取り出したんですか!?何でですか!?普通入国審査に引っかかるでしょう!!」

みどり「うーん、でも見た所、それしか持って居なさそうだったからー」

みどり「途中で買って、キャリーバックに隠したんじゃないかなー?」

小林「………」

小林(この証言は…何かおかしいぞ)

小林(ポーくんが証言していた現場と比べたら…これは…明らかに矛盾している!)

小林「…………」


→言及する

 言及しない


小林「……ナイフを取り出した瞬間に、顔を突き刺したんですか?」

みどり「そう!まるでキ○ガイの顔だね!」

小林「……その時既に、被告は血まみれでしたか?」

みどり「んーん?そんな事無かったよー?そもそも」

みどり「突き落としただけなのに、どうして被告が血まみれになるのかなー?」

北芝「…証人の言う通りよ」

北芝「さっきの証人との違いを指摘したかったんでしょうけど、あんなのはね」

北芝「ただの思い違いと片付けてしまえば良いわ!!」

小林「異議!!」

小林「いやいや!どうしてそうなるんですか!?証言なんですよ!?」

北芝「でも、あっちは死体を見慣れていないでしょう?それで、ナイフを持って血まみれの被告人と鬼のような顔をした被害者」

北芝「その鬼のような顔は、真っ赤に潰れた被害者の顔じゃなくて?」

小林「!」

北芝「……そういう事で」

北芝「あんたのその話題は!議論するに値しない!」ビシッ

小林「…………」

小林(…まだ、突き詰める段階じゃないか…)

小林「…分かりました、証言を続けてください」

みどり「おっ、聞き分けが良いねー小林君。そんな良い子はお姉さん、大好きだぞー!」

北芝「…単に納得しただけでしょ。ふんっ」



⑤そこからまた呆然として震えてたんだー。そこで私はとりあえず被告を気絶させて

小林「待ってください!」

小林「きっ気絶させたって…一体、何で?」

みどり「お姉さんを舐めちゃいけないよー!お姉さんはねー、これでも警察官」

みどり「護身術はあらかた習ってるから、気絶させるくらい訳無いんだぞー!皆も強くなりたかったら警察官になろう!」

小林「はっはぁ……」

姫百合「……………!?」

小林(姫百合くんの反応を見るに、嘘ついてるとしか思えないんだけど…)


⑥目に入ったキャリーバックを立てて移動させたんだー

小林「待ってください!!」

小林「いっ移動させた!?何でですか!?」

みどり「何でって、ナイフが入ってる物騒なキャリーバックだよぉ?」

みどり「そんなもの、殺人犯から引き離さなくてどうするんだーい?」

小林「うっ……」

みどり「武器は出来るだけ相手から遠ざける、お姉さんからの約束だよー♪」

小林「……その、移動させたキャリーバックは、今どこに?」

みどり「うーん…それはちょっと分かんないかなー?」

小林「え?」

みどり「あの時は必死で、どこに捨てたのか覚えてないんだー」

小林「…すっ捨てたぁ?!キャリーバックを!?」

みどり「そうだよー、もう大変だったよー」

小林「……………」

小林(こっちが今、大変な事になってるよ……)




小林(うう…窓から見ても、入り口から入っても、大して証言が変わらない…)

小林(それもそうだけど…でも、この証言にも矛盾は必ずある筈だ!)

小林(何より、姫百合君を信じればこの証言、矛盾だらけじゃないか!)

小林(突きつけても大丈夫な証言を選んで…証拠品を突きつけるんだ!)


一旦休憩です
22時40分頃に投下致します



→証言⑥に証拠ファイル③不自然な血痕を突きつける


小林「異議!!」

小林「……証人、もう一度聞かせてください」

小林「このキャリーバックを、”立てて”動かしたんですよね?」

みどり「そうだよー!さすがに、横にしながら動かすのは難しいから、車輪のある方使ったよー」

小林「…北芝検事、ここで証拠品を今一度確認ください」

北芝「……はぁ?」

小林「この、不自然な血痕です、そこには真四画の空白がありますよね?」

北芝「…あるけど、それがどうしたの?」

小林「さて、ではここで問題です」

小林「この写真のキャリーバックを、真四画の形の空白にするには、どうすれば良いでしょうか」

北芝「…どうすればって、こんな変に横に広いキャリーバック。立てやれば…」

北芝「………」

北芝「…あっ!!あああ!!!」

小林「……そうです。このバックが現場にあったとして、このように真四角の形の空白を作るには…」

ダンッ

小林「そもそも!元から立ってなくてはならない!!」


みどり「…………」

小林「しかし、みどりさん。貴方は確かに言いましたね」

小林「このキャリーバックを、”立てて”動かしたと」

みどり「………そりゃぁ、立てたさぁ」

みどり「だって、このバックは血を浴びた後に倒れたんだからねー。真四角の跡ができてから倒れたんだよー」

みどり「良い子の皆は――」

小林「…さっきから疑問だったのですが」

小林「貴方は、警察官でしょう?なのにどうして」


ダンッ


小林「貴方は目の前で危険な目に会っている被害者をただ見ていただけなのですかっ!?」

北芝「!!」

裁判長「……………」

裁判長「言われてみれば、そうですね」

裁判長「証人は、現場の状況をはっきりと見えていた」

裁判長「それに窓からでなく入り口から。そして被害者とアイコンタクトまで取っていた。なのに」

裁判長「…貴方、何一つ被害者を助けようという意思が無いように思えますな?」

みどり「…………」

北芝「異議あり!!」

北芝「そんな事は問題じゃないわ!問題は!!」

北芝「殺人の瞬間を目撃した!その…」

小林「異議!!」

小林「ただ見て、人が殺されるのをじっと眺めていただけの人の証言を、まともに聞き入れろと言うのですかっ!?」

小林「明らかに怪しいでしょう!!」

北芝「そっそんなの持論証拠じゃない!!」

小林「いえ、もう一つ気になる所があります」

小林「…みどりさん。事件当日、停電がありましたか?」

みどり「えー?何言ってるの小林くん!」

みどり「そもそも、あのレンガ倉庫はあの時間電気つけないよー?皆ーまた少し賢くなったねー♪」

小林「…なら、停電は無かったのですね?」

みどり「もちのロン!どうしてそんな当たり前な質問をしたのかなー?小林くーん?」

小林「……前に、被告人から話を伺った事があります」



姫百合≪倉庫の中は暗くて、よく見えなかったけど声は聞こえました。≫



小林「…貴方は言った。倉庫の中からはトイズの音しか聞こえなかったと」

小林「それが窓のから見たならば、倉庫の音が漏れなかったで済む。ですが、今回は違う」

小林「被告と共に入り口から入ったのならば!その声が聞こえなければおかしいのです!!」


北芝「異議あり!!」

北芝「なっ何を言ってる!!聞こえていたとしても絶叫の類だろうが!!」

北芝「そんなもの証言に入れる必要は無い!!」

小林「異議!!」

ダンッ

北芝「異議を認めない!そもそも!」

北芝「被告人が発した証言など!聞くに値しない!!」

小林「………」

小林「…これは僕の推論なのですが、ここでとあるトイズが確信されているんですよ」

北芝「トイズ…?被害者と、被告人だけでしょう?トイズを持ち合わせていたのは」

小林「いいえ、それとはまた違う、別の物です」

小林「被告人は、面白い事を証言しました。」





姫百合≪その時、視界がブラックアイトしたかのように真っ暗で何も見えなくなったんです≫

姫百合≪急に倉庫の電気がついて、気づいたら私はクレーンの上に立っていて≫

姫百合≪そして、また暗闇になって何も見えなくなって。≫

姫百合≪また、倉庫の電気がついた時には。顔がグチャグチャになった浜崎さんがオブジェクトに突き刺さって絶命していて…≫



小林「これらの証言から考察すると、考えらえる真犯人のトイズは――」

小林「意識を一時的に他人と交換するトイズです!!」


ザワザワ…ザワ…


カッ

裁判長「静粛に!静粛に!」


北芝「馬鹿馬鹿しい!何それ!?そんなのがまかり通ると思ってるの!?ここは神聖なる裁判所よ!」

北芝「妄想の垂れ流しは、2ちゃんにでも書いてなさい!!」ビシィッ

小林「…根拠は、もう一つあります」

小林「それは、証人がオブジェクトの顔が見えなかった事にも関係があります」

北芝「なんだと…!?」

小林「ええ、あのキャリーバックが見えていたからと言って」

小林「あのオブジェクトの顔が見えていなかったというのは事実。これは見過ごすことのできない矛盾です!」

北芝「異議あり!!」

北芝「だったら、なんだと言うの!?」

小林「ただ、殺害現場を傍観していて、窓から見た。入り口から入った。等とコロコロ変わるその証言から…僕の推論は確信に近づいている」

小林「彼女は、確かに入り口から入った。被害者が気づいたのも本当だろう」

小林「…違うのは、彼女が居た”場所”だっ!!」

北芝「はぁああ!?支離滅裂じゃない!!意味分かんない!!全然意味が分からないわ!!」

カッ

裁判長「…それでは弁護人、示して頂きましょう」

裁判長「この証人が事件当日、一体どこに居たのか!?」


→証拠ファイル⑦姫百合のキャリーバック

小林「これだ!!」

北芝「…何?これ…キャリーバック?」

小林「先ほど、コロンくんが言った証言を覚えていますか?」




コロン≪しかし、本当に大きかったであのバック。私が二人くらいは余裕で入れそうや≫



小林「…あの証人が二人くらい入れるのなら、この証人ならギリギリで入る事もできるでしょう」

みどり「…………」

小林「そもそも、被告と共に入り口から入ったと言った時点で察するべきだったと思います」

小林「だって、入り口にから入ったのであれば、前の証人が見た筈ですからね。しかし、そのような証言は見られなかった」

小林「そう!つまり、この事件の真犯人は!」

小林「このキャリーバックの中に潜んでいたのです!!」

北芝「……えっ」

北芝「ェェェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!??」ビクゥッ



ザワザワ…ザワ…


カッ

裁判長「静粛に!静粛に!」

北芝「しょっ証拠は!?その証拠はどこにあるのよ!!」

小林「…残念ですが、このキャリーバックはまだ見つかっていません」

みどり「それはそうだよー、私でさえ分からないんだもーん」

北芝「だったら!もうどうしようも無いじゃないのよ!!黙ってなさいよアンタ!!」

小林「しかし、ある証拠品がこのキャリーバックの場所を示している!」

北芝「!?」

小林「このキャリーバックの居場所を示す、ある証拠とはっ!?」



→証拠ファイル⑧穴の空いた壁


北芝「何…?この…穴?」

小林「正しく注目するのは、この穴の場所そして」

小林「こぼれたレンガが一つも無いという事でしょう」

みどり「………」

北芝「……まさか…!?」

小林「このでかいキャリーバックを、警察が来るまでの短時間やそこらで処分できる筈がありません」

小林「しかし、赤レンガ倉庫の近くには海があります。…ですが、そこでも問題が生じてしまいます」

小林「ご存知の通り、キャリーバックは浮いてしまいます。では、どうすれば良いのか」

北芝「…まっ…まさか…」

バンッ

小林「そう!真犯人は!このバックの中にレンガを敷き詰め」

小林「海に放り投げたのです!!」

北芝「…ひっ」

北芝「いやぁぁああああああああああ!!!!」ビクビクゥウウン


小林「…被告人は、確かに言っていました。倉庫の中は暗く良く見えなかったと」

小林「しかし、前の証人は言いました。被告人がナイフを持っている所や被害者の顔まではっきりと見えたと」

みどり「………」

小林「そして、前の証人はこうも言いました」




コロン≪……何か、パコーン!っていうバットにボールを当てる音が聞こえたわ。野球の中継でもあったんか?≫



小林「これは、壁を壊しレンガを取り出した音の他ならない!」

小林「倉庫の中の明度が変わったのは、壁が壊され外の光が中に入ったから!!」

小林「そして!レンガを取り出し中に敷き詰めて沈めたその理由は!」

小林「バックの中を調べられたら、真犯人の髪の毛と指紋、汗などをDNA鑑定に出され確実に特定される…」

小林「神津警視正!」

バンッ

小林「今すぐ!現場付近の海にバッグが沈められていないか!調べてください!!」

小林「あれほどの大きさのバックならば、相当な重さです!そんなに遠くの沖に沈んでいない筈!!」

神津「了解した。すぐに捜査に入る!」ダッ

みどり「………」


小林「そして、被告の視界が真っ暗になったのは被告の意識がバックの中に居る貴方の中に入ったから」

小林「この事から、この能力は意識の交換であると考えられます」

みどり「………」

小林「そして、そのバックのスキマから見えるとすればかなり視界が限られる筈です」

小林「だから貴方は、被告を操る事はできても視界に入る場所まで移動し、再び被告を動かせるようにしなければならなかった」

みどり「…………」

小林「そして!あのオブジェクトが見えなかったのは!視界が限られていたから。そして!倉庫が暗かったからだ!!」

小林「貴方が言った、倒れたのは!一度倒れなければ開らかなかったから…そうでしょう!」

小林「みどりさん。これは僕の推測です。もし、違うというのなら違うと言ってください。ただし…」

小林「あのキャリーバックが見つかれば、この事件の全てが明らかとなります!!!!」

みどり「……………」

みどり「……はあああああああああああああああああああああああああ………」

みどり「…ばっかばかしぃぃぃぃ………」

小林「…!」

みどり「私がぁ?あのバックの中に入ってたぁ?いつぅ?どうやってぇ?」

みどり「んでぇ、私が、トイズの持ち主ぃ?…意味わかんねぇぇぇぇぇぇぇぇ……」

みどり「そもそも動機はあぁぁぁああぁ?私ぃぃ…あいつら知らねぇぇしぃぃ……殺す理由なんて無いじゃぁぁぁぁん……」

みどり「なぁぁぁんで、そんな面倒くさぁぁぁぁあい事しなくちゃいけないわけぇぇぇぇぇぇぇ…?はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

小林「…………」

みどり「そもそもぉ…この事件自体意っ味わかんねぇしぃぃぃ……」

みどり「どぉぉぉしてぇぇぇ……あの女の顔があぁぁぁ…滅茶苦茶に切り刻まれてんのぉぉぉ?」

みどり「わっっっけわからんしぃぃぃ……」

小林「………その答えは、彼女達の重要なファクターが教えてくれる!」

みどり「はぁぁぁぁぁぁぁ?」

小林「さぁ皆…聞かせてくれ!」

小林「この裁判を通して見つけた、重要なファクターを!!」



【暴露開始】



→証拠ファイル⑫コーデリアの疑問点

小林「コーデリア!!」

コーデリア「はい!!」ガタンッ

コーデリア「コロン・ポーが殺人事件当時、彼女の悲鳴が聞こえなかったと言っていましたが」

コーデリア「それが本当だとして、理由が倉庫の外には音が漏れないという事」

コーデリア「果たして、それは本当にそうでしょうか?」

コーデリア「そこで、被害者の顔の切り傷から一つの推論が出ます!」

コーデリア「顔の傷は!悲鳴を出さない為に喉笛を掻き切る為の物!そして!」

コーデリア「顔が切り刻まれていたのは!暗くて喉の場所が把握できず、何度も切りつける必要があったから!」

小林「よし!」

みどり「…あのさぁぁぁ…死んでたんだよ?被害者はぁぁぁ…」

北芝「…そっそうよ。死んだ人間は悲鳴なんて出さないわよ!!」

北芝「何を今更!そんな事をする必要があるのよ!!」

小林「…そうですね。確かにその必要はありません」

小林「被害者が、本当に即死であったのならば」

北芝「……なんですって?じゃぁ!!あの被害者が!」

北芝「あんな死に方で!まだ息が合ったという証拠はあるの!?」




→証拠ファイル⑪ネロの疑問点


小林「ネロ!!」

ネロ「よしきた!」ガタッ

ネロ「…ところで、あの顔の傷って心臓が貫かれた後に付いたんだよね?だとしたら」

ネロ「血が吹き出ると思う?そんで、ヒメの身体に、そんなに血が付くかなぁ?」

ネロ「もしかしたら、顔を切り刻んでる時にはまだ生きていて、静動脈を切った時に血が噴出したんじゃない?」

ネロ「んで、コロンが見た被害者の顔は」

ネロ「まだ、切り刻まれている最中だった…って、考えれば。コロンのヒメが血まみれなのに被害者の顔が見えたという事に納得が行くね」

小林「よしっ!!」

みどり「………はぁぁぁぁぁぁぁ…それって、もう認めてるじゃん」

みどり「被告人が被害者を殺したって事…認めてるじゃぁぁぁぁん…?」

小林「…確かに、実際に殺したのは被告人自身かもしれません」

小林「しかし!被告人が真犯人に操られて殺人をしていたとしたら!」

小林「本人の意思で行った物ではないとして!被告は無罪となります!!」ダンッ

北芝「!!」

北芝「ふっ…ふざけんな!!大体!そんなトイズが本当にあるかどうかすら怪しい!!」

北芝「実際にあのキャリーバックにみどりのDNAが見つかったとして!そのトイズの証明はどうするのよ!!」

小林「………北芝検事」

小林「もう少しで、彼女が殺された理由というのが見えてきそうなんですよ」

北芝「…え?」

小林「そ理由の手がかりを…今!ここで証明する!!」


→証拠ファイル⑬エルキュールの疑問点

小林「エルキュール!!」

エルキュール「はっ…はい!!」

エルキュール「ええと…ヒッヒメさんは被害者に呼ばれて倉庫に向かいました…!」

エルキュール「その被害者が…どうして赤レンガ倉庫の二号館を…選んだのでしょうか?」

エルキュール「それも…ヒメさんが身だしなみを整えないくらいに大急ぎで…!」

エルキュール「それは……被害者が…!ヒメさんが…!真犯人を追っていて…」

エルキュール「その情報のやり取りをしていた可能性が……高いです…!」

小林「よし!!」

北芝「その情報のやり取りって何よ!?理由がふわふわすぎるじゃない!!」

北芝「そんなの理由の一つにもならないわよ!却下よ却下!!」

小林「……北芝検事」

小林「実は、僕その情報に一つ心あたりがあるんです」

北芝「!」

小林「恐らく…その情報は、こいつの事じゃないでしょうか?」



→証拠ファイル④カセットテープ

北芝「かっ…カセットテープ…!」

小林「はい。これは被害者のポケットの中に入っていました。……内側のね」

みどり「…………」

小林「この内容は、一見聞いただけでは分かりません。…今も分かりませんが」

小林「恐らくこれが、真犯人に対する大きな手がかりの一つになるのでは無いでしょうか」

みどり「………で?」

小林「はい」

みどり「……どうするの?それ…」

小林「……そうですね。今はこのテープ、警視庁の中にありますので…」

小林「神津警視正と取り合って、ネット上に流してみましょうか」

みどり「…………」

小林「そうすれば、民衆の中からいくつかの考察が生まれ」

みどり「……ふざけんなぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

北芝「!!」

裁判長「!!」

ネロ「!!」

コーデリア「!!」

エルキュール「!!」

シャロ「…!!」


小林「……ようやく、本性を表したみたいですね」

みどり「………はぁー!…はぁー…!!」

小林「そして、もう一つ。この事件に対する謎の答えがあります」

小林「さぁ!この答え、否定できるものならしてください!!」


→証拠ファイル⑩シャロの疑問点

小林「シャーロック!!」

シャロ「はい!!」ガタッ

シャロ「真犯人が被害者を殺したのは!情報を封じ込める事で間違いありません!」

シャロ「そこで!真犯人は被害者を上から突き落とし、串刺しにしたんです!」

シャロ「その時!まだ生きていて驚いた犯人は喉笛を掻き切りました!」

シャロ「そして執拗に顔を切り刻んだのは…喉笛を探す為!!」

シャロ「それが、被害者の顔の傷の正体です!!」

小林「よし!」




小林「以上の事から、この事件の全貌は」

小林「貴方は被告人のバックに潜み、中で息を潜めていた」

小林「そして待ち合わせ場所に辿りつくと、貴方はすぐさまトイズで近くの被告人と意識を交換した」

小林「そこで貴方は被告人の身体を使って、クレーンの上から被害者を突き落とした!!」

小林「その瞬間、トイズが一度切れかけて意識が一度身体から外れたのでしょう!」

みどり「…!なっ……!!」

小林(この図星の反応…やはり姫百合君が見たもう一人の自分の姿は…)

小林(意識が離れた時に見えた、自分の身体だったのか!!)

みどり「何故…そこまで…?」

小林「…認めるのですね?貴方がこの事件の犯人である事を!」

みどり「…!」

ネロ「さっすが小林ぃ!カマかけたんだねぇ!!」


ダンッ

小林「そして貴方は再び意識を交換し!遺体の確認に行った。その時!貴方は一層驚いたでしょう」

小林「被害者がまだ!”生きていた”のですから!!」

みどり「………」

小林「貴方は気が動転して、声を出さずに肺も潰されて叫べない被害者の喉笛を探し執拗に顔を切り刻んだのです」

小林「全部、被告人の身体でね!!」

北芝「…ぐぐ…ぐぐぐぐ……!!!!」

小林「僕達探偵がここまで追い詰めた以上!この裁判が終われば、まだ仮設であるこの推論を確認しに捜査します」

小林「例え、この裁判で何とか凌げたとしても後日、真相は絶対に明らかとなります!!」

小林「つまり!!もう既に貴方は僕たちに負けているのですよ!!アンドレイ・みどり!!」ビシ―

みどり「…………」

小林「さぁ答えてください。貴方は、僕達のこの推論を否定できますか!?否定できるなら――」

小林「それ相応の根拠を証言してください!!!!!」


【暴露完了】



みどり「……………」

みどり「……」

みどり「…」

みどり「みんなぁぁああああ☆とっても辛いとき、悲しいとき。そんな時は!!」

みどり「大きな声で笑ってみると、とってもハッピーな気持ちになるんだよぉー♪」

みどり「それじゃぁ皆ぁー!!笑ってみよーう!!」

みどり「あっはっはー!!あっはっはー!!」

みどり「あっははははははは!!あーっはっはっははははははははは!!!」

みどり「あああああああああああっはっはっはっはっはっはっはははははははははははははは!!!!はははははははははははは!!!!」

みどり「ははははははははははは!!!はははははははははははははは!!!!はははははははははははははは!!!!」

みどり「アハハは母はハハハははいあはいひは位牌灰は位牌亜ひあひあひあはいひあおいあほいあひあいおはいおあほい」

みどり「非肺ヒア悲哀亜ヒアヒアヒアヒアヒアヒヒウィ費ヒア悲哀はおアホ亜ひあおはおはおひあおいおあほいあはおいはいおはいお」

みどり「肺亜火オアはおはおいはオハイオ居青はイオヒアヒアはイオはお位牌オア費オア費オア補遺亜日あおはいおあほいあほいあはいおはいおはいおはおはあいおはおいはおいはいおはいおひお」

みどり「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」






キキーッ   ドーン


北芝「…………」

裁判長「…………」

小林「…………」

小林(これで……終わった)

小林(…後は、神津の調査を待てば…)



みどり「これで終わりだと、思った?」





北芝「!」

裁判長「!」

小林「!」


みどり「いやぁー、もしそう思ってるとしたらお姉さん、ちょっと嬉しいかなぁー」

みどり「これ以上の事は、想像もしていないって事なんだからさぁー」

裁判長「…こっこれ以上の事…とは?」

みどり「んー?だって、お姉さんは殺人犯のトイズ持ちでしょー?つまりー」

みどり「お姉さんは、サイコパスなんだぜ☆」キラン

小林「!」


裁判長「ま…まさか!貴方は!!」

みどり「ピンポーン!!私はサイコパス、この窮地こそ脱出できるチャンスなのだぜ☆」キラン

みどり「あの時、浜崎が私達の事探られた事を知って、殺せって言われた時だって、トランクの中結構キツかったけど何とかなったし」

みどり「今回も何とかなるだろ!うん!」

小林「…やすやすと逃がすと思っているのですか!?」

みどり「いやぁー、でもなぁーお姉さんはさぁーここまで来られたらぁー」

みどり「    容赦    しないよ    」

小林「!!」

小林「…容赦しないのはこちらの方だ!絶対に逃がしはしない!」

みどり「……フッ」ティロン♪

裁判長「!!」ガタンッ

みどり「…ななっ!?こっ…これはなんですかな!?」

小林「!!」

裁判長「」グググ…

小林(まさか…裁判長に!?)

裁判長「」ブンッ!!




△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合


→△シャーロック

小林「シャーロック!!」

シャロ「はい!!」ティロン♪

グルグルグル……ブンッ

裁判長「…」

裁判長「」フッ

裁判長「おっおお…!視界が元に…」

みどり「」フッ

みどり「……」ギロリ

小林「!」

みどり「」ティロン♪





△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合



→Rエラリー姫百合

小林「姫百合くん!!」

姫百合「はいっ!!」ティロン♪

みどり「…っ!!」

みどり「……」

小林「これで貴方はトイズが使えません」

小林「観念してください…アンドレイ・みどり!!」

みどり「……ははは」

みどり「あああああああああっはっはははははははははははははははははは!!!!!!」

ブシュゥゥウウウウウウウウウウウウウ!!

小林「!! 煙幕」

ダダダダダダ

小林「!犯人が逃げて…!」

係員「コラ!大人しく…ぐあああああ!!!」ザシュッ

係員2「あああああああ!!!」ザシュッ

小林「……っ!!」




△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合


→○ネロ


小林「ネロォ!!」

ネロ「了解!!」ガッ

ネロ「ふんっ!!」ティロン♪

ガララララララララ  ガララララララララ

みどり「!」

≪非常用シャッターが起動しました。非常用シャッターが起動しました。一時的に皆さんはここから出られません。ご了承ください≫

みどり「………」

みどり「…きひっ☆」

みどり「きひひひいひいひひひひひひひひひ」ダダダダダダッ

小林「待て!アンドレイ・みどり!!」

小林(くっ…!思っていた以上に霧が濃い!)

小林「………っ」




△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合



→□コーデリア


小林「コーデリア!!」

コーデリア「はい!!」ティロン♪

コーデリア「………!」

コーデリア「そぉぉこぉぉかぁぁああああああああ!!!!」ガシッ  ダッ

みどり「!」

コーデリア「チェストォォオオオ!!!」ゲシッ

みどり「ぐふっ…!!」ドゴォッ

カラカラカラ…

小林「よし!サイコパスから凶器が離れた!」

みどり「……ひひ」

みどり「ききききききかかかかかかかかくくくくくけけけけけけけけけこここここここここここ」ガクンガクンガクンガクンガクン

コーデリア「ひっ!」ビクン

ビュンッ

小林「消えた!?」

コーデリア「いえ、飛ん――」ティロン♪

コーデリア「……っ!!!」

コーデリア「エリー!!」


ストンッ…


エルキュール「…!!」

みどり「ッ派家費和え費和えヒア鋭意はえいはいえひあえひあえひえはいえはいえひあひえあへいあへあいえはい!!」シャキンッ

シュルシュルシュルシュルシュル

エルキュール「ひぃっ…ひっ!!!!」ブルブルブル



△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合


→×エルキュール


小林「エルキュール!!」

エルキュール「…はっ」

エルキュール「はいっ!!!!!!」ティロン♪

カキィイイイイイン…

みどり「!?」

エルキュール「え…えええええい!!!」ダキッ

みどり「ま"っ」

バキバキバキバキバキバキ

みどり「ゴッガッバッババババババババババババ」ベキベキバキバキベキ



ドッシャァァァァアアアアアアアアアア……



みどり「…………」

小林「よしっ!!」

カッ!!

裁判長「今すぐ!確保ぉお!!」

ダッ

次子「おっしゃぁあああああああああ!!!」

平之「行きますよ!」

咲「おいーっす」

ダンッ

カシャン

小衣「アンドレイ・みどり!浜崎紀子の殺害によるサイコパス殺人事件の真犯人として…逮捕する!!」



小林「…………」

北芝「…………」

裁判長「……それで、銭型警部補。アンドレイ・みどり証人の身柄は」

次子「おう!ついさっき見たとおり緊急逮捕してやったぜ!」

裁判長「……よろしい」

裁判長「今回の事件で、私達は大きな過ちを生んでしまう所でした」

裁判長「本物のサイコパスを野放しにしたまま、この裁判を終わらせてしまう可能性があったのです」

北芝「…………」

北芝「……とっ…と言う事は…つまり……」

裁判長「ええ。真犯人のトイズも、ここで明らかとなりました」

裁判長「例え、殺したのが被告人の身体だったとしても、意識が真犯人の者だとしたら、それは」

裁判長「罪に問われる事なんて、何一つありません」

北芝「……………」

北芝「うっぎゃぁぁああああああああああああああああああああ!!!!!」ダンダンダン


北芝「…小林ぃぃいいい!!!小林オペラぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!」

北芝「よくも私にぃぃいいい!!!!屈辱を味わせたわねぇえええええええ!!!!!!今後はぁぁあああ!!!絶対にっぃいいいいいい!!!」

北芝「アンタを絶対ぃぃいいいい!!!!ぶっ潰してやるぁぁぁああああああああああああ!!!!!」ダンッダンッダンッ

小林「………北芝検事」

小林「貴方は、裁判を勝負の場だと考えていたのかもしれません。有罪で当然とも思っていたのでしょう」

小林「ですが、裁判の本当の意味は違う。裁判は、事件の真実をつきとめ」

小林「その真実の前に!裁かれなくてはならない!!!!」ダンッ

小林「…ですが、仮に裁判を勝負として例えるならば、貴方の敗因はたった一つ」


ダンッ


小林「被告人の有罪判決に拘り、真実から目を逸らしてしまった事です!!」


北芝「…………」

北芝「………何よ…正論ぶりやがって…」グラッ

北芝「そんな…そんな事で私が……」グラグラ

北芝「…ああ……ああああああああああ……」グラグラグラグラ

北芝「うぎゃぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!」ガラガラガラ  ドッシャーン



クシャッ  クシャッ  クシャッ  クシャクシャクシャクシャ  ピヨピヨピヨピヨ



小林「…………」

小林(…乗っていたダンボールが崩れて、北芝検事生卵まみれだな……)

小林(後…どうしてひよこが……?有精卵が混じっていたのか……?)

カッ

裁判長「…それでは、これで本当にこの裁判に審議の必要は無いようですね」

裁判長「北芝検事も、伸びてしまいましたようですし」

裁判長「弁護人も、異論はありませんか?」

小林「はい。僕は、この裁判は。この事件はずっと」

小林「被告人の無罪を、信じていましたから」

姫百合「…………」

小林(…本当は、ちょっと危なかったけど)

裁判長「それでは被告人。貴方に判決を言い渡します」

姫百合「…………」

姫百合「………はい」ニコ

小林「!」

小林(彼女の生の笑顔を見るのは…そういえば、これが初めてだな)

カッ





      【    無  罪    】









ワーワー!  キャーキャー!  センセェー!  コバヤシー!  キョウカーン!  コバヤシ…サ‐ン!









裁判長「それでは!これにて閉廷!!」




カンッ!!!


【横浜裁判所 第二控え室  11月17日 午後3時8分】


小林「…………ふぅ…」

小林(勝った…勝った…んだよな?僕……)

小林(……………)

小林(何だか……信じられない……自分でも……)


ダダダダダダダダダダダダダダ


シャロ「先生ぇえええええええええ!!!!!」ダキー

小林「うっうわ!」

ネロ「やった!やったね小林!!勝った!勝ったんだよ僕達!!」

コーデリア「はい!もう…本当に!教官!格好良かったです!!」

エルキュール「エグ…ヒグ……こ…小林…さ…ウウ…」

エルキュール「…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ………」ポロポロポロ

コーデリア「もう!どうして泣いてるのよエリー!今はおめでたい時じゃない!」ジワッ…

ネロ「そういうコーデリアだって、泣いてるじゃないか!」

コーデリア「そっ!しょうがないじゃない!だって……嬉しいんですもの!!」ギュッ

シャロ「本当に…本当に…良かったでずぅぅう!!」ズズズ

シャロ「ヒメちゃんが…ヒメちゃんがぁぁああああああ!!!」ポロポロポロ


小林「……そうだね」

小林「きっと、この中で一番頑張ったのは。姫百合くんかもしれないよ」

「…ほとんどギリギリで頑張った人が、何を言ってるんですか」

小林「え?あ……姫百合くん」

姫百合「……お疲れ様です。小林さん。そして」

姫百合「ありがとう…ございました」ペコリ

小林「い、いや。……こちらこそ…」

シャロ「ビメ”ぢゃぁあああああん……!!」ポロポロポロ

姫百合「うっうわぁ!シャーロックさん!?涙と鼻水で凄い事になってますよ!?」

コーデリア「…ほっ本当に…!ヒメが…ヒメが無罪になって…教官が勝訴して……」

コーデリア「うう…うううううううううう!!!!」ポロポロ

姫百合「こっコーデリアさんまで!」

エルキュール「うっう……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」ポロポロポロ

姫百合「エルキュールさんも…そんなに泣かれたら、まるで私が負けて有罪になったみたいじゃないですか…」

ネロ「甘いねヒメ。もし、ヒメが有罪になってたらね。僕も泣いてるよ」フフン

姫百合「…ネロさんも、泣いてますよね?涙、流れてますよ?」

ネロ「……え?あれ?」

ネロ「おかしいな…泣いてないと思ったんだけど…」ゴシゴシ

小林「………」

姫百合「…まぁいいです。後、小林さん?」

姫百合「貴方は勝ったんですから。もっと堂々とした方が良いですよ。だって今回の裁判で一番頑張ったのは」

姫百合「紛れもなく、貴方なんですから」ニコッ

小林「……いや、この事件で一番大変だったのは姫百合くんだよ」

姫百合「え?それでも私?ですか?」

小林「ああ、だって」

小林「それを証明する証拠が、こっちにはあるからね」



→証拠ファイル②アルバムを突きつける


姫百合「……あっ」

小林「現場に落ちていた物なんだけど、見た感じ凄く大事にされているね」

小林「彼女達と過ごした思い出の写真、そして、世界を回った記録の写真」

小林「そして、今回の事件で起こった悲劇…」

姫百合「………」

小林「君は、ずっと今まで一人で闘ってきたんだ。一人で世界を回ってた時も、そして今回の事件も」

小林「…怖かったんだろう?ずっと」

姫百合「…!!」

小林「一人で何でもしようって考える気持ちは分かるよ。僕も一人でできる事なら一人でやろうとする」

小林「でも、君は事件当日。助けを求めていた」

小林「…君は、ミルキィホームズに会いたかった。でも、この裁判が邪魔をしていた」

小林「本当は会いたかったけど、実際に会って話したかったけど、君はずっと我慢して、頑張って、被告人席で……って、違うかな?」

姫百合「………ちょっと謙遜すぎますよ」

小林「ははは。やっぱりそうかな」


姫百合「だから私は、一人で頑張ってたって言うんですか?そんなの…」ポロ

姫百合「…あれ?え?あれ?」ポロポロポロポロ

姫百合「え?何で?止まらない?え?」ポロポロポロポロ

姫百合「…………!!!」ポロポロポロポロポロ

姫百合「うわああ…ああああああああああああああ……!!」ポロポロポロポロ

姫百合「ありが…とう…ありがとう……ござい…ます…小林…さん……!!」ポロポロポロ

姫百合「なんか…なんか…もう……何ですか…!?これ……何かが壊れたみたいに……!!」ポロポロポロポロ

姫百合「あああ……うううううううう……」ポロポロポロ

シャロ「うわああああああ!!ヒメちゃーーーん!!」ダキッ

コーデリア「ヒメ!大丈夫よ…!今、お姉ちゃん達はここに居るから!だから…!いくらでも泣いても!」ダキッ

エルキュール「ヒメ…さん……!!うう…ううううううううう…!!」ポロポロポロ

ネロ「…………」

小林「あっそのっえっと……」

小林(泣かせるつもりは、無かったんだけど…)


ネロ「…ずるいよ小林。その写真を見せられたら…」

ネロ「ヒメじゃなくても泣いちゃうに決まってるじゃん…」

小林「…え?あっ。この写真……」

小林(彼女達が、姫百合くんと一緒に記念写真を撮った物だ)

小林(彼女達と過ごしたアルバムの、最後のページのに一枚だけ貼られている)

小林(……きっと、この写真は)

小林(以前、彼女達と過ごした時の…別れの瞬間の写真なのだろう…)

小林(大事そうに、一面丸々この写真一枚が贅沢に貼られていた――)

小衣「あああああっはっはっはっはっはっは!!」

姫百合「…あっ、明智警部」

シャロ「あー!!ココロちゃん!!ココロちゃんもヒメちゃんのお祝いに来てくれたんだー!!」

小衣「ココロちゃん言うなー!!…まぁ、でも今回は大目に見てやるわ。あーっはっはっはっはっは!!!」

小林「…随分と機嫌が良いね。確か、今回の事件は警察側が負けたんじゃ…」

小衣「そんな事はどうでもいいのよ。それよりアンタ!今回の裁判はグッジョブだったわ!」

小衣「あのイカレたクソババアが負けた時のあの顔!!あの顔が見れただけでも最高だったわよ!!」

小衣「ああーっはっはっはっはっはっは!!」

小林「は…ははは…」

小林(…やっぱり、似たもの同士だと思うんだけど…同族嫌悪かな?)


小衣「そんじゃ!私はあのババアが今どんな馬鹿面下げてるか見てくるから!勝手に感動ごっこ楽しんでなさい!」ビシッ

シャロ「ええー!?ココロちゃんもヒメちゃんの勝訴祝い、出てくれないんですかー!?」

小衣「何で私が警察ですらない女を祝なくちゃいけないのよ!」

姫百合「…G4は忙しいんですから、あんまり無茶言っちゃいけませんよ。シャーロックさん」

シャロ「でっでもぉ~…」

小衣「まぁとりあえず挨拶だけは交わしてやるわね。無罪放免!おめでとうエラリー姫百合!!」

姫百合「……あっ」

姫百合「はい!ありがとうございます!明智警部!」バッ

小衣「そんじゃ私は!奴が居なくなる前に馬鹿面見に行ってくるわ!あーっはっはっはっはっは!!!」スタスタスタ

小林「…珍しく終始ご機嫌だったね」

シャロ「ヒメちゃんの勝訴が嬉しいんですよ!きっと!」

小林(そうだと良いんだけど…)


ネロ「ねぇ小林?ヒメの勝訴祝いパーティはどこのお店でやるの?」

小林「ん?ああ、そうだね。今回は本当に御目出度い事だから結構高めの…」

小林「……って、まさか…」

ネロ「やったよヒメ!皆!ヒメの勝訴祝いパーティは高めのレストランで食事だってさ!!小林の奢りで!!」

シャロ「ええー?!本当ですか先生!!」

小林「えっ?」

コーデリア「そんな…ありがとうございます教官!私達の為に…そして何よりヒメの為に!!高級レストランに連れてってくれるなんて!」

小林「えっ?えっ?」

エルキュール「楽しみ…です!!」キラキラ

小林「えっ?えっ?えっ?」

姫百合「……その、小林さん……」

姫百合「私の為に…ありがとうございます」ペコリ

小林「えっえええええええええ!?どうして当然のように僕の奢りになってるんだい!?」

ネロ「それでは点呼よーい!それぞれの全財産を提出ー!!」

シャロ「5円!!」

コーデリア「25円!!」

エルキュール「さっ…三十…円…!!」

姫百合「…そっその…飛行機に乗ったら…お金が少なくなって……」

姫百合「…三千…二百円……」

ネロ「そして僕は――バイトも最近やってないから70円ー♪」

小林(いっ一体彼女達はどんな生活をしていたんだ…?)


ネロ「それで?小林の全財産は?」

小林「…ええ?!それも言わなくちゃいけないのかい!?」

ネロ「当然じゃないか!僕達は言ったんだよ?乙女の秘密をね!それを教官が言わなくてどうなるのさ!」

小林「…………」

小林「…それじゃぁ、あまり他人に聞かれるのもマズイから、皆耳を貸して」



ゴニョゴニョゴニョ……



5人「「「「「………」」」」」

5人「「「「「えええええええええええええ!?」」」」」

コーデリア「あ…IDOって…そんなに儲かるんですか!?」

小林「いや、ちゃんとした探偵業も一応軌道に乗ってきたから、7割は実業と貯金の…」

ネロ「ずるいよ小林!僕達がひもじい思いをしている時に!小林だけ美味しい物毎日食べてたなんて!!」

姫百合「…すごい………」

シャロ「先生ー!!私達も美味しい物食べたいですー!!」グゥキュルルルルル

エルキュール「凄く…羨ま…しい……」グゥゥウウウウ…

小林(ロンドンって、そんなに美味しいレストラン無いんだけどね…)


ネロ「そんなにお金あるんならさ!余裕で僕達を大きなレストランに連れて行けるじゃん!!連れてけー!!」

3人「「「そうです(よ)(…!)!!そうです(よ)(…!)!!」」」

小林(………どうして僕が、彼女達に非難されてるんだ…?)

シャロ「ヒメちゃんだって!お祝いなら美味しい所が良いですよね!?」

姫百合「えっ!?いや、でも…私を助けてくれたのは小林さ…」グゥゥウキュルキュルキュルキュルキュルキュルゴゴゴゴゴクルッポー

姫百合「…………」

ネロ「おっと!これは今まで聞いた中でも凄いお腹の虫だね」

シャロ「なぁんだ!ヒメちゃん、私達より凄くお腹空いてたんですね!」

姫百合「しっ仕方無いじゃないですか//////だって…事件当日からずっと食べてなくて…」

姫百合「先ほどまでは、食欲が全く無かったのに…終わって安心すると…その分が一気に……////////」グゥゥウウウウウウウウオオオオオオオオオオオ……

小林(…失礼だけど、本当に凄い音だな…)

小林「…うん!分かった。じゃぁ、今日は美味しい物をいっぱい食べよう!」

シャロ「ほっ本当ですかぁ!?先生!!」

コーデリア「やったぁああああ!!やりましたわ!私も!緊張で朝からずっと何も食べていなくて…お腹が…」グルグルグルルルルルルル

コーデリア「そろそろ…限界……」

ネロ「もー、一週間は何も食べなくても何とか我慢できてたのに、弱くなったねーコーデリアは」

エルキュール「もう…今は…!ひもじい思いしなくても…良い…!!」グゥゥウウウウウ…

小林(…本当に、僕が去ってから彼女達はどんな生活を送ってきたんだ?)

ミルキィホームズ「「「「高級料理!高級料理!高級料理!!」」」」

小林(……まぁ、ホテルのブッフェならいくら食べても料金変わらないし。それで良いか)


姫百合「…あっあの……」

小林「ん?どうしたんだい姫百合くん」

姫百合「…ほ…本当に…今回はありがとうございます。……私の為に、レストランの事まで…」

小林「いや、良いよ。それに、こんな大事な時にお祝いが出来ないっていうのも、寂しいだろ?」

姫百合「…そ…それと…もう一つ…お願いがあるのですが……」

小林「?」

姫百合「お…一昨日から…お風呂も…着替えもしていないので…あの……私……」

姫百合「…一度、学園の事務所に戻って…シャワーを浴びても良いですか?」

シャロ「………あっ」

ネロ「そ…そういえば……」

小林「…うん、そうだね。それじゃぁ、僕達は待っているよ」

小林「君たちも、それで良いね?」

コーデリア「勿論です!綺麗な服だって調達しちゃいますわ!」

ネロ「もーしょうがないなー。お腹が背中にくっつく前に、済ませてよ?」

エルキュール「はい…!今日の主役は…ヒメさん……」

シャロ「今までの苦労!辛かった事を一度全部洗い流して!そして御飯を食べましょう!!」

姫百合「皆さん……」

小林「それじゃぁ決まりだね。君たち、まずは事務所に戻って……」


コロン「…………」


小林「…あっ君は…」

コロン「……さっきの裁判、ずっと見させて貰ってたけどな」

コロン「正直……アンタの事舐めとったわ……あんなの…あんな逆転見せられてもうたら…もう…ウチ…」

コロン「……完敗や。あんな推理を見せ付けられて……勝てるわけあらへん」

シャロ「勿論です!さすがのコロン様でも先生には勝てませんよ!」

ネロ「なんたって、僕達ミルキィホームズの教官なんだからね!小林は!」

コーデリア「過去にいくつもの難事件をしてきた名探偵の銘は!伊達じゃありませんわ!」

小林「…いや、君の証言が無かったら僕だってこの事件の真相には辿りつけなかったさ」

小林「僕がこの裁判に勝ったのも、君の探偵としての力に助けられたからだよ。ありがとう」

コロン「………やっぱり敵わんわぁ…」デレ/////

コロン「……んでな?ウチ…ウチ……」モジモジ

小林「うん」

コロン「……アンタの推理に…惚れてもうたみたいなんや……/////////」モジモジ

小林「…うん?」


コロン「せやから…ウチを……」モジ…


ガバァッ

コロン「小林さんの傍に置いてくれーなぁあ!!」ダキィー

小林「うっうわぁあ!?」

ネロ「!!」

コーデリア「!!」

エルキュール「!!」

シャロ「わぁー!コロンちゃんも、先生と仲良くなりたいんだね!」

コロン「せっせや!だからウチを…小林オペラの側近に…///////」ハァハァハァ

3人「「「駄目ー!!!!!」」」


ガバァッ


ネロ「この…離せ!!露出魔!!」ギギギギギギギ

コーデリア「アンタみたいな変態にぃぃ…!教官は渡さないわぁぁぁぁ…!!!」ググググググググ

エルキュール「そ…それだけは……駄目……////////」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

コロン「なんでや!ええやろ!?こんなにいっぱいおるんやから!一人や二人くらい…!!」ギリギリギリギリ

小林「痛たたたたたた!!握力が強い!!」

シャロ「な…なんだか大変な事に…!」

姫百合「…良かったですね小林さん。モテモテですよ」シラー

コロン「なぁええやろ!?ウチを小林オペラの弟子になるなり近くに居ても!!////////」ギギギギギ

ネロ「駄目に…決まってんだろう…がぁあああ…!!」ギギギギギギギギギ

コーデリア「コートの下…ほとんど裸の姿で……教官に触らないでぇぇ………!!!」

エルキュール「ト…トイズを使ってるのに…!離れない……!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

小林「痛い痛い痛い痛い!!ちょっと!!やめて!お願いやめてぇええええ!!!」



小林「誰かぁぁああああっ―――――――――――!!!!!!」






小林(そして、姫百合くんが関わった事件はこれで幕を閉じた)

小林(……だけど、まだ分かっていない事がある。)

小林(結局、このカセットテープの中身は何を示していたのか?)

小林(アンドレイ・みどりは、いつキャリーバックの中に入ったのか。……後日神津が明らかにした)

小林(どうやら、空港の中で待ち伏せし姫百合くんのバックの中に気づかれないように入ったのだそうだ)

小林(そして、アンドレイ・みどりが最後に言っていた”私達の事探られた”という言葉)

小林(…”私達”という事は、彼女の他にも同じサイコパスが横浜に潜んでいる可能性が高い)

小林(イギリスのあの裁判と、同じように……)

小林(…………)

小林(姫百合君の格好が乱れていたのは、単に急いでいて寝不足と準備不調なだけであり)

小林(食事途中、事件の時に出来たレンガの穴から見えた星空だけが、心を落ち着かせていたなんて事も喋っていた)

小林(皆は、とてもロマンチックだと言っていたが、そこで彼女は興味深い事も言った)

小林(そのレンガの穴から、一瞬だけ犯人とは違う姿を見たのだという。)

小林(それは、子供の姿で……真っ白い肌と髪が)

小林(月夜に照らされて、白く光っていたというのだ――)




第二話  「再結成 探偵オペラミルキィホームズ」   【終】


第二話はこれでお終いです。
第三話は次スレを立てて投下しようと思います。


まだ、ちょっと矛盾とかツッコミ所とかあるかもしれませんが。ご了承ください

面白かったけど最後の投下は焦ったのか誤字脱字がありまくりで読みにくいのが惜しい
特に>>209のみどりのセリフと思われる部分を北芝が続けて言ってる部分は特に読みづらかった

>>289
指摘ありがとうございます。修正します

>>209 修正

北芝「それに、あんなオブジェクトの顔が見えなかったとしても事件には関係無いわ」

北芝「彼女は決定的瞬間を見た。たったそれだけで」

北芝「この被告が被害者を殺した事を証明している!!!」

小林「ううっ…!!」

裁判長「………確かに、その通りです」

裁判長「弁護人、他に言いたい事は?」

小林「…………」

小林「……」

小林「……あの」

みどり「ん?どうしたのかなー?小林くん?」

小林「トイズの音は…聞こえませんでした?」

みどり「おお?この裁判、もうそこまで行っちゃってるのかい!?」

みどり「勿論聞いてるよぉ~!トイズの音は、トゥルン!みたいな可愛い音なんだよぉ。良い子の皆は、分かったかなぁ?」

小林「他の…音は?」

みどり「聞こえなかったよぉ~、そもそも」

みどり「あの倉庫は、中は響くけど外にはあまり響かないから、音なんてほとんど聞こえないぞぉ~、分かったかな?」

小林「………はい」

小林「分かり…ました」

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