提督の徒然日記 (75)

※艦これネタ
※その日の気分で即興書き
※不定期更新
※やまなしおちなし

暇つぶしに見てもらえれば幸いです。


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提督「あー暇だ」

電「司令官さん」

提督「お、電じゃねーかどした?」

電「>>4

ミムラ

自害するのです

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IDよく見なさいよ!

ここはミムラの植民地ンゴ

[裏表紙]


この日記は執務の合間、報告や書類仕事がない手持ち無沙汰な隙間時間に暇つぶしに書いているものだ。

もし私の秘密等を覗くのが目的でこの日記を開いたのなら、残念ながらそのようなものは無い。

ここにあるのは休憩中に私の頭に浮かぶとりとめのない思考の羅列のみなので、君たちが読んで面白いものはないと思う。

それでも読みたいのなら好きにしてくれて構わないが、ちゃんと元の場所に戻しておくように。

あぁ、あと持ち出し厳禁とする。特に青葉、インタビューなら暇なときに受けてやるから私の留守中に机の中を漁るのはやめろ。

提督「>>3に電気あんましたらおしっこ漏らした」
提督「>>3に電気あんましたらおしっこ漏らした」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443691787/)

1 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/01(木) 18:29:47.80 ID:NCZ/2N4ZO
提督「しかも口を聞いてくれなくなった」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443691787

ミムラ荒らすのやめろや

他のスレも荒らすんじゃもはやミムラはクソ作者から荒らしの仲間入りだな

前からミムラは人のスレを荒らす荒らしだったんだよなぁ…

>>12
ゴミムラは最初から荒らしだぞ?

俺が知るだけでアイマススレ二つ艦これスレ一つ潰してる

[10月1日]

また新しい月が始まる。大本営からの新しい任務を大淀が持ってきてくれたが、あまり内容に変化はなさそうだ

スケジュールを組みつつ編成を考える。先月多数の新戦力の加入があったため練度の向上と並行して行いたい

今月はオリョクルを減らして他の海域への出撃を優先しよう、潜水艦たちからの休暇要求もあったしちょうどいい

ついでに何かねぎらいをしてやりたいところだな、彼女たちには日頃から世話になっている

大鯨に相談してみよう


待機時用の新しい制服は却下された、大鯨があそこまで焦るとは・・・演習旗艦時よりもひどかった

どうもあの水着は潜水艦のアイデンティティそのものらしい

これから気温も下がるしちょうどいいと思ったのだが

服についてはタブーだと念を押されたので無難に間宮券でも渡しておこう

・・・大鯨にも渡しておくか

期待
荒らし多いし取り付けたほうが良いよ

[10月2日]

資材を練度向上に充てるため、大型建造は控える必要がある

その旨を工廠で明石に伝えたところ露骨にがっかりされた

どうも大型建造の際にちょくちょくその様子を見に行っているらしい

大量の資材を投じ、大型艦が少しづつ出来上がる過程を見るのが好きなのだそうだ

私にはあまり理解が出来なかったが、改修や仲間の修理に携わる工作艦独特の感性なのだろう

あまりに嘆くのでこのところしていなかった大型装備の開発を再開することにした

少々資材を使うが高練度改修装備を作るための元手を作っておくのも悪くない

やたら喜んでくれたのでその勢いで3回分開発を頼んだところ41cm連装砲を2本持ってきた

戦意高揚状態が開発の質に関わるとは思えないが自分のジンクスにしてみようか



ちなみに大型建造の際、どうにも結果と消費資材が釣り合わないことが多いことを明石に話したところその理由を聞くことができた

彼女によれば建造終了後に余った資材を妖精たちがどこかへ持って行っているらしい

その資材がどうなっているか非常に気になるところだが、妖精についてはわからないことが多くあまり立ち入るのもためらわれる

日頃から頑張っている彼女たち(男性個体もいるのだろうか?)へのお礼や給金がわりということで納得しておくことにしよう

ガチャ!やっぱりガチャあるんですね!」
「ガチャ!ガチャ!またガチャががが回せるぅう!ヤッフゥゥゥウウウウウア!」
「ガチャァアア!10連続ガチャア!いっぱいいっぱい回すのぉぉ!溶けるぅう!溶けちゃうう!」

ガチャ!やっぱりガチャあるんですね!」
「ガチャ!ガチャ!またガチャががが回せるぅう!ヤッフゥゥゥウウウウウア!」
「ガチャァアア!10連続ガチャア!いっぱいいっぱい回すのぉぉ!溶けるぅう!溶けちゃうう!」

ガチャ!やっぱりガチャあるんですね!」
「ガチャ!ガチャ!またガチャががが回せるぅう!ヤッフゥゥゥウウウウウア!」
「ガチャァアア!10連続ガチャア!いっぱいいっぱい回すのぉぉ!溶けるぅう!溶けちゃうう!」

ageんなゴミクズ

[10月3日]

今日は終始練度上げの指示に追われていた

翔鶴の更なる改造が先日大本営から通達されたため彼女をメインに据えて編成を組んでいる

装甲空母化も可能とあって翔鶴のやる気も十分だ

ついでに瑞鶴も張り切っていた。というか姉を上回る張り切りっぷりである

やる気を出してくれるのはいいのだがMVPをかっさらっていくのはさすがに看過できない

それを注意した時の瑞鶴のバツの悪そうな顔と翔鶴の困ったような笑顔はなかなかいいものであった

やはりいい姉妹なのだろう。いつか来るであろう瑞鶴の改造の際には待たせなくていいように今のうちに練度を上げておいてやるか


気になることが一つ、大鳳が妙にそわそわしていた

明日少し話を聞いてみようと思う。いらぬ心配をしていないといいのだが

[10月4日]


週末恒例の鎮守府近海対潜哨戒は秋津島、山城、その他対潜要員二名で構成している

以前は軽空母を索敵要員としていたのだが秋津島の猛アピールを受け現在は彼女が旗艦を勤めている

初めは少し、いやかなり不安だったが二式大艇ちゃんと三式セットの組み合わせはなかなかの戦績をおさめた

更に秋津島本人も先日の大規模作戦を経て練度を飛躍的に上げ、旗艦としての貫禄も身に付いて来たようだ

着任当初の頼りなかった彼女からは見違えるようで私としても嬉しい限りである

その旨を任務終了時にねぎらいの言葉とともに本人に話したところ顔を真っ赤にして否定されてしまった

その直後、二式大艇ちゃんに同意を求めると少しの間のあと更に彼女は顔を赤くした

どうやら二式大艇ちゃんも私と同意見らしい(その際二式大艇ちゃんがこちらにウィンクしたような気がしたが見間違いだろうか?)

これからもよろしく頼むと締めくくると照れ笑いをしながらそそくさと司令室をあとにしていった

この分なら新しく着任した瑞穂の指導も任せてみてもいいだろう・・・念のため龍驤に補佐してもらうか


大鳳ついてだが、探りを入れさせた隼鷹によると空母勢の中で練度が一番低いことを気にしているらしい

・・・改造を済ませた後異様なほど大食漢になってしまったために出撃を尻込みしていた、とは言えない

本人は気づいていないが一航戦達よりも食べるのだ。初めて見た時には驚愕した

大鳳を迎えるにあたり多大な資材を投入したことを引け目に感じているようでもっと活躍できるようになりたい、とのこと

練度上げメンバーのローテーション変更を大淀に打診するとしよう、どうせいつかはやらねばならぬことだ

資材のことでまた小言を言われそうだが甘んじて受けるしかあるまい・・・


秋津洲ね

>>24 すまん秋津洲、今度いい迷彩化粧品買ってあげるから待て二式大艇ちゃんは投げ捨てるものではn(ドゴーン)


[10月5日]


私の執務室は大概和室になっている。やはり畳はいいものだ

最近ようやっとちゃぶ台を購入し私の求める和室が完成させることができて非常に嬉しい限りである

そして今日も朝食前に任務の確認をしようと執務室に向かうと、そこにはすでに朝食の準備がされていた

秋刀魚、そしてご飯に味噌汁、漬物。シンプルかつ完璧なラインナップだ

そしてちゃぶ台の両脇で座っていたのは浴衣姿の雷と電だった

どうやらこの二人が用意してくれたようで、思いがけない出来事に驚いているうちに私は「提督」と書かれた座布団に座らされた

秋祭り着て以来気に入ったらしく浴衣姿でいることが多くなった二人だが、この構図ではまるで幼妻である

などと考えているといつの間にか二人共席に着いており促されるままに私たちは手を合わせ食事を始めた

いや、そうではない。なぜこのような事になっているのか?と素晴らしく旨い朝食に舌鼓を打ちつつも私は問うた

どうやらこの和室執務室の完成を記念して、このようなサプライズを考えてくれたらしい

初期艦である電に発足後すぐに着任した雷、ずっと和室を作りたいと一人計画していた私を二人は見ていたのだ

まさか見られていたことも驚きだが、こんな粋な計らいをしてくれた事に本当に感謝した

これぞ、まさに日本の食卓だ。一度でいい、こんな食卓を誰かと囲みたいと思っていた

思い掛けず私の願いを叶えてくれた二人に厚く礼を言うと

雷は、いつものようにもっと自分を頼っていいのだと胸を張って笑った

電は、こんなことでいいならいつでもしてあげると微笑んだ

こんな「娘」を持って私は果報者なのだろう。この子達のために今日も張り切って執務にのぞまねば


その後雷の淹れてくれた熱いお茶を飲みながら、暁と響の話を聞いた

暁は改二になってほんの少しだけレディっぽくなった気がするだの、響はロシア語が増えてたまに何を言っているのかわからないだの

最近は一緒に編成されることが少なくなったと寂しげに漏らしていたのでたまには4人で遠征に行かせよう。ささやかな恩返しだ

[10月6日]


廊下で夕雲型の面々とすれ違った際にふと巻雲の袖が気になって声をかけた

艦娘の服とは装甲であり彼女たちの一部であるため、基本的に私が服装に関してとやかく言うことはない

しかしこの袖では生活に支障が出るのではないかと思い指摘したところ彼女自身も改善の意欲を示していた

にもかかわらず巻雲の手は見えないままである。その理由を聞きたかったのだ

だがその理由はにわかには信じ難いものだった

「巻雲が服を着るとどうやってもこのサイズまで袖が伸びる」

ありえない、何かの間違いではないのか?

夕雲もそう思ったらしくあらゆる策を試したそうだ

・新しい袖の短い制服を着せる
 
→巻雲が袖を通した時点で何故かいつもの長さに変化している

・巻雲が着ている状態で袖を切り詰める
 
→その時点では効果があったものの、喜んだ巻雲が手を振ってはしゃいだら元に戻った

・もはや切るのは諦め、袖をまくることで手を出せるようにする

→絹のようにスルスルとまくりが解ける

もう万策尽きましたと疲れた笑いを見せる夕雲にねぎらいの言葉をかけながら私はある仮説を立てた

艦娘の服とは装甲であり彼女たちの一部である、つまりこれが規定の形なのではないか

空母は艦載機を扱える、島風は一番速い、巻雲の袖は長い。そういうことではないだろうか

幸い日常生活や戦闘に影響は無いとのことなのでとりあえずは現状のままで良いという形に落ち着いた

ヒラヒラと長い袖と共に手を振る巻雲に手を振り返しつつ私はその場を後にした


あの可愛らしい袖のままでいることを少しだけ嬉しく思う私はやはりダメ提督なのだろう

乙です

[10月7日]


執務室で一人お茶を飲んでいると睦月と如月の二人がやってきた

妙に真剣な顔つきである。何かあったのだろうか

そして睦月から無言で書類を手渡された・・・嘆願書?

内容を要約するとこうである

---------------------

私たち二人は睦月型であり、戦闘向きでないことは重々承知しております。にゃしぃ

しかし、他の改二駆逐艦は皆どこかしらの戦闘海域に出撃し活躍しています。にゃしぃ

私たちももっと活躍したい、遠征だけでなく戦闘でも司令官のお役に立ちたい。にゃしぃ!

今度の海域攻略の際には是非我ら姉妹を使うがよいぞ!

---------------------

(語尾は実際に書かれていたものであり私の妄想でないことを追記しておく)

とりあえず嘆願書にまで睦月の語尾が付いていることには後で触れることにした

少し不安げな顔の如月と、いつもの笑顔からは想像できないほど真剣な睦月の顔を見比べながら私は思考を巡らせる

さて、どうしたものか。確かにここまで高練度でありながら遠征のみの艦はこの二人くらいである

戦闘面では他の駆逐艦に届かない、しかし嘆願書まで持ってきたやる気を無下にもしたくない

次の作戦、任せてみるか?

この子達ならきっとやり遂げられるだろう、それにこの作戦に最も必要なのは性能ではないのだ

「睦月、如月両名に第一次サーモン沖海戦参加を命ずる」


しばらくの間の後に発せられた睦月の奇声と如月の驚愕した顔を映像に収められなかったことは本当に残念だった

そう、あの川内ですら泣いて帰ってくるという魔の夜戦海域である

さすがに予想外だったのか狼狽している二人にしっかりと説明してやった

この海域では戦艦ですら簡単に大破するような砲撃が平然と行き交う、故に数多の撤退を想定した上での作戦を練っている

ここで二人に求めるのは敵の撃破ではなく、艦隊を敵中枢まで導くことだ。道中で無理に戦う必要などない

そして何よりも必要なのは何度撤退しても立ち向かえるやる気であり、精神力である

二人にはこの激戦を戦い抜けるだけの決意を感じたこそ、この作戦に参加してもらう

頼んだぞ?と締めくくれば二人は見事な敬礼で返してくれた

きっと二人は期待に応えてくれることだろう


その後二人にもお茶を振る舞い、のんびりと雑談しつつ睦月に嘆願書の語尾について聞いてみた

いつもよりやる気を込めた語尾にしてみたと力説する睦月の隣で如月の笑顔が完全に固まったのを見るとやはり確認していなかったようである

おもむろに睦月の手を取ると用事を思い出したと告げて部屋を出て行ってしまった

睦月は分かっていなかったようだが如月のいつもの笑顔は全く目が笑っていなかった

次に睦月が持ってくる書類は立派な書式になっていることだろう

乙。にゃしい

[10月8日]


~~艦娘の装甲についての考察1~~

彼女達の装甲とは私たち人間で言うところの衣服である

無論ただの布製ではなく、鋼鉄と燃料と妖精の技術によって作り出された特殊繊維で作成されたものとなっている

この特殊繊維やそれを使った裁縫技術は今だ人間には再現できておらず、新たな「戦闘に耐えうる」艦娘用の衣服を作るには妖精との交渉が不可欠だ

そしてその交渉権は大本営にのみある、というより交渉役とされる妖精が大本営にしか姿を現さない

鎮守府に現れる通常の妖精に頼んでも不思議そうな顔をされるだけである

なので大本営では専門の交渉部署が設置されており日夜妖精との調整が続いている

(ちなみにその交渉内容は極秘事項に指定されている、一体なぜなのか?)

その交渉の成果こそが各地の鎮守府に実装される季節折々の期間限定衣服だ

いつもすべての艦娘に限定衣服が行き渡らないのは主にこの交渉に時間がかかることが原因と言われている

しかし数年前に比べれば交渉がスムーズになりつつあるのは明白だ。交渉部には文句ではなく賛辞を送るべきだろう


通常の衣服や艤装は艦娘がその生を受けると同時に生成される、いわば彼女たちの一部である(潜水艦等の例外もいるが)

一部艦娘が非常にきわどい服装でも恥ずかしがらないのはあの姿が彼女たちの自然体であり、当たり前だからだ

しかし新たに作られた衣服はその限りではなく、人間がデザインしたものを妖精が作成している

つまりあの素晴らしい服の数々を作成した人物又は団体が大本営にいるということだ

・・・・感謝の手紙を大本営に送れば本人達に届くだろうか?是非とも一言礼を伝えたいものだ

ん、掲示板とか交換日記の人かな?
よいぞよいぞ

>>32 スレ立て初めてなので人違いです。あんな風に可愛い子達を書けるようになりたい


[10月9日]


本日より秋の秋刀魚祭りイベントが開催される

前回の菱餅集めは正直なところ意味がわからなかったが、今回はある程度目的のはっきりしているイベントのようで安心した

深海棲艦が現れて以降、生産地を奪われた漁業業界は衰退の一途を辿っている

制海権を取った海域といえど絶対安全と言えるのは鎮守府近海くらいのもので、漁師たちは毎日命懸けで漁へ出ているのが現状だ

規模の大きい貿易会社などは対価を支払い艦娘を護衛に付けることも可能だが、各地に点在する漁業組合レベルではそれもままならない

そういった現状を一時的にでも打破すべく、このイベントが発案されたのだろう

普段なら絶対に立ち入ることのできない豊富な漁獲量が望める漁場まで我々の艦隊が護衛する

可能であれば漁そのものの支援も行い対価として漁獲量の一部を徴収する

ただしこの徴収割合では報酬は雀の涙だろう。大本営の目的はあくまでも漁師たちに対しての支援であることが伺える

そしておそらくは艦娘のイメージアップも目的の一つに入っている

軍事機密の塊である艦娘についての情報は世間にはほとんど公開されない

人形-ヒトガタ-でありながら深海棲艦を屠る力を秘める謎の娘達を快く思わない者たちが出てくるのも致し方のないことだ

そういった者たちにまともな説明のできない海軍は行動で示すという方針を取るしかなかった

遠征任務にある哨戒や護衛などの項目もその一環である。そして今回は更に一般の人間にもアピールするチャンスなのだ

報酬が微々たるものだから、などという理由で手加減などしない

彼女たちの未来のためにも大成功を収める義務が私にはある。早速作戦を練らなければ・・・

決してこれから間宮食堂に並ぶことになるであろう秋刀魚料理のためではない。そう、断じてない

俺もあの人かと思った
おつ

[10月10日]


今日も今日とて執務室で仕事に勤しんでいると雪風と時津風がやってきた

暇だから来た、とのことである。普段なら適当に追い払うところだがちょうどキリが良かったため三人で休憩にすることにした

お茶とお菓子を準備して提督座布団に座ると即座にその両脇へ二人が座り込む

自然体かつ素早い動きに軽く驚いた。そこまでおやつが待ち遠しいか

要望通りお菓子をやれば夢中で頬張り、頭を撫でてやれば気持ちよさげに目を細める

私はペット等を飼ったことはないがおそらくこんな感じなのではなかろうか

更にサラウンドでの「しれぇ」呼びも加わり視覚・触覚・聴覚での相乗ヒーリング効果抜群だ

お茶を飲みながら二人を撫でつつ他愛もない雑談をして過ごした


その後お茶もお菓子も無くなりまったりしていると、唐突に時津風がこちらに倒れ掛かり私の膝を枕にしだした

撫でられていたら眠くなったので責任を取って枕になれ、とのたまうこの小娘は私が何者か忘れているのではあるまいか

さすがに拒否しようと口を開きかけると同時にもう片方の膝に雪風の頭が乗せられた

眠たげに自分もお昼寝したい、などと言われては断れるすべなどなかった

司令官としては断るべきだったと反省している、しかし眠る二人を撫でながら寝顔を堪能できたことを後悔はしていない

結局執務に戻ったのは二人が起きてからであり、大淀に小言を言われてしまったが必要経費と割り切ることにしよう

なんだ大淀も膝枕してほしかったのか

[10月11日]


艦娘の中には特徴的な語尾を持つ者が多数いる

語尾、とは書いたが要はそういう類の総称である。口癖の様のなものでもあり、もはや鳴き声になっているものもある

「ぽい」だの「かも」だのという語尾に至っては初めて聞いた時には混乱したものだった

今ではただの語尾か、本来の曖昧という意味かすぐにわかるようになった。慣れとはつくづく恐ろしいものである


特にこの手の特徴が濃いのが球磨型の4人である

多摩はにゃあにゃあいう割には猫扱いすると文句を言うが、猫じゃらしにじゃらされては説得力にかける

いつかマタタビを使った判別実験をするつもりだ。果たして本能まで猫なのか?楽しみだ

球磨は熊らしくは無いが、「クマ」という語尾が必ずつく

秋祭りではわたあめ片手にご満悦でクマクマ鳴いていた。間違いない、あれは鳴き声だった

そのうち多摩と鳴き声のみで会話し始めるのではないかと密かに観察してる

大井は言わずもがな「北上さん」である。もはや中毒といっても差し支えないだろう

彼女の名誉のために記しておくがああ見えてちゃんと公私を分けられる娘なのだ

確かに北上至上主義であるし、秘書官になっても5分おきに北上を心配する始末である

だが仕事はちゃんとこなしている。むしろかなり有能な部類に入ると言っていい

オプションで北上LOVEがついてきているだけで、やることはやる「できる女」だ

(オプションが強烈すぎることに関しては否定しない)

木曽は語尾というよりもその性格が濃いタイプなので今回は割愛しよう

一言添えておくなら内外共にイケメンである。加古とは一線を画す点だ

そんな中で北上は唯一そういった強烈なキャラがない

しかしその飄々とした行動には振り回されてばかりで、まるで雲のようだ

ある意味では多摩よりも猫らしいと言える


こういった艦娘の特徴は何かしらの素となった事象がある

そしてそのほとんどが船だった時の体験に起因している

一見態度のきつい娘でも、その歴史をたどればその意味が見えてくる

この法則を知ってから彼女たちを見る目がだいぶ変わった

無論この法則だけが全てではないのだが。更に彼女たちを知るにはコミュニケーションあるのみだ

[10月12日]


そろそろ昼時かと考えていた頃に浜風から磯風が秋刀魚を焼こうとしているという通報を受けた

すぐさま私たちは現場へ急行したのだが、浜風は何故か間宮食堂ではなく屋外へと向かった

そこでわたしを待っていたのはうちわを片手に七輪の上の秋刀魚と格闘する磯風であった

なぜだ磯風、なぜ七輪で炭火焼などという通常よりも難易度の高いものを?

時たま箸で秋刀魚をつまみ上げながら難しい顔をする割烹着姿の磯風は正直しばらく物陰から見守っていたいほどに真剣そのものであった

(余談だが料理の邪魔にならないようにか髪を縛ってポニーテールにしておりとてもよく似合っていた)

なのでしばらく物陰から様子を見ることにした。浜風に抗議されたが退けた

あんなにがんばっているのだ、出来ることなら一人でやり遂げてほしい


結論から言おう、できたのは焦げの目立つ黒い秋刀魚であった

やはり素人に炭火の焼き加減を見るのは難しかったようだ、それでも完全に炭にならなかっただけ儲け物だろう

皿に乗った黒魚を見て意気消沈する磯風に声をかけるとビクリと体をはね上げた。よく秋刀魚を皿から落とさなかったものだ

弁解に口ごもる磯風にとりあえず私が怒ってないことを教えてやる

見守る選択肢をした時点でこの結果は想定していたのだから当然だ、これで叱ればただの鬼である

事情を聞くとなんと私の昼食のために秋刀魚を焼こうとしていたらしい

最初は食堂で焼こうとしたのだが大量の煙が出ることを聞き、思案の結果「屋外」で美味しく焼けるという「七輪」を試すことにしたそうだ


顔を伏せ「忘れてくれ」などと言ってそそくさと去ろうとするこの娘をただ見送っては提督の名が廃る

磯風から皿を取り上げ予定通り私の昼食とすることにした

二人に必死に止められたが無視だ、ここで食わねば男ではない!

そして案の定腹を壊した。思いのほか中身の方は焦げていなかったのでいけると思ったのだが・・・軟弱なこの腹が恨めしい

しきりに磯風が謝ってくるので次は焦げの少なめな秋刀魚がいいと注文しておいた

戦闘も料理も経験がものを言う、今回のことでめげずに頑張って欲しいものだ


腹をさすりながら執務室に帰ると大淀がそれはそれは素晴らしい笑顔で出迎えてくれた

必死の弁解により今回は情緒酌量の余地アリと認められたが、次はせめて一言伝えて欲しいとのことだ

次の昼食には大淀にも同行してもらうとしよう

乙、全然秋刀魚獲れない・・・

さらば大淀……

[10月13日]


艦娘達には基本的に出撃前か非常事態や特殊な事情を除き陸上での艤装の装備を制限している

理由は大きく分けて三つ

1、暴発等による事故を防ぐ

2、重い艤装を身に着け続けることによる艦娘の負担を減らす

3、日常生活を送る上で非常に邪魔であるため

ただし「特殊な事情」として秘書艦は艤装の常時装備又は非装備状態での執務室への持ち込みを許可している

秘書艦は出撃の頻度が高くなるが執務室への出入りも多くなるため、出撃準備や艤装点検の時間短縮のための配慮である


特に3は大型艦になるほどに切実な問題になる

あの大きな主砲を身につけての生活はさぞや辛いものだろう、周りも危なくて迂闊に近寄れなくなる

しかし、逆に邪魔にならない程度の大きさで且つ軽いものであれば常時装備を許可している

その代表格が電探であり、オシャレなのかたまに装備している者が見受けられる。帽子やカチューシャ代わりになっているようだ

無論、エンジンにあたる艤装との接続がなければ本来の機能を発揮することはない(他の艤装も同様である)

そうでなくては常時燃料を消費することになるのでこの仕様は非常にありがたいものだ


しかしこの仕様には一つ例外が存在する。島風の連装砲ちゃんを筆頭にした自律型の艤装である

この艤装達は驚くべきことに一主砲でありながらエンジン機能を内蔵しているのだ

よって主人である艦娘が艤装を装備せずとも稼働し続け、燃料や弾薬も主人とは別に各自で補給を行っている

まるで一個の生命体のように振舞う自律型艤装は妖精たちと同様に今だ謎に包まれたままだ

私個人の考えだが、本来別個に存在しているはずの装備妖精が何らかの形で艤装と一体化したものではないだろうか?

そう考えれば色々と納得がいくのだが……本人?たちに聞いていいものか分からず結局今まで聞けずにいる

知ったところでどうこうなるわけではないし、そもそも明確な回答が帰ってくるかもわからない

だがやはり、気になる。いつかこの謎が解ける日が来るといいのだが

[10月13日]


今日はあきつ丸と共に昼食をとり、少し話をした。内容はその白い肌のことである

彼女は体質だと言っていたがそれにしても白すぎるし、何よりも不思議なのは日焼けをしないという点だ

長良などはしっかりとハチマキ焼けしていたりするのだがあきつ丸は全身均等に白いままだ

少し手を触らせてもらったのだが「陶器のような」という表現がしっくりくる白さとなめらかさであった

しかしやはりこの白さは病的すぎるだろう。初見の時は陸軍が嫌がらせに病弱な娘を送りつけたのかと思ったのを覚えている

さらに改になってからは行灯?を持つようになったので、これまた初見の時は改造に失敗して幽霊に化けて出たのかと震え上がったものだ

ちなみにこの容姿が原因で着任早々ひと騒動起こしたこともある

深夜トイレに立った暁とその付き添いに起こされた響が、同じくトイレに向かう途中であったあきつ丸と鉢合わせたのだ

その時の二人の悲鳴たるや近くの部屋の艦娘たちを叩き起すほどだったらしい。そして駆けつけた艦娘たちもあきつ丸を見て腰を抜かしたとか

その容姿と着任したてで顔合わせがろくに済んでなかったことが重なった悲劇であった

(正直、夜中の出会い頭では顔見知りかなど関係無く驚くとは思うが)


次の夏には軽装になって肌を焼いてみてはどうかと提案したところ、やはりそういったきわどい衣装が趣味なのか?とドン引きされてしまった

違う、断じて違う。艦娘達の衣服は本人たちの意思で着ているのであって私の私情は一切関与していない

ただでさえ目のやり場に困る娘達が多いのにこれ以上自らそんな娘を増やしてなるものか。逆にまともなスカートを全員に配布したいくらいだ

必死の説得が功を奏したのか彼女も一応納得してくれたようである、本当に良かった……

白いよねぇあきつ丸、最初マネキンかと思ったくらい

[10月15日]


日記の昨日の分を見直していたら日付が13日になっている

いつも日記に書き込む日付は日めくりカレンダーの日付を参考にしているためこんなことは起こるはずがないのだが

昨日も一昨日もちゃんと自室へ帰る前にカレンダーをめくって執務室を後にした記憶もある

しかし、今日のカレンダーの日付は14日。おかしい

ゴミ箱を漁り13日分のカレンダーを掘り出すと破った箇所にセロハンテープが付いていた

さらによく見ると裏面の隅の方に


「引っかかったぴょ~ん♪ぷっぷくぷぅ~♪」


なんて手の込んだイタズラを……昨日から時折卯月が遠巻きにニヤニヤしながらこちらを見ていたのは知っていたが

また何か企んでいるのだろうと思ったら既に引っかかっていたとは。今回は完全にしてやられた

ここまで見事だと怒りを通り越して賞賛してやりたくなってきた

明日、いかにも怒って呼びつけたように見せかけて怖がらせてから間宮アイスをおごってやろう

[10月16日]




隼よう たち に
           し こたまの


                   まさ  れた 


あす かなら                            こと
        ずせいさ  い          くわえ る 
                     を


隼鷹エ・・・

[10月17日]


誰かに揺さぶられ、痛む頭を抑えながら起床すると大淀の心配そうな顔があった

どうやら彼女が起こしてくれたらしい。時刻は9時を過ぎており完全に寝坊である

まずは大淀に礼を言って、艦隊指揮がどうなっているのかを聞いた

当面は彼女が取り仕切って最低限の索敵と遠征の派遣をしてくれたらしい。いい判断だ、さすが最も秘書艦歴が長いだけある

いきなり私がいなくなっても安心だな、と笑ったら冗談でもやめてくれと真顔で返された


昨夜は隼鷹と飲んだのだが昨日の殴り書きされた日記からも潰されたことは明白である

いつもなら晩酌は適当なところで切り上げるのだが、大鳳の件での報酬ということで最後まで付き合ったのだ

しかし私の肝臓も弱ったものだ。提督になってからは翌日支障のないように飲みすぎないようセーブしていたのが仇になったか?

途中までの記憶はあるのだが、最後にどうやって自室に戻ったのかが定かではない

なんにせよこんな体たらくは言語道断だ。どうせ隼鷹も自室で爆睡していることだろう

しばらくは私も含め禁酒、あとは他にも罰則を考えねばなるまい

「隼よう たち」とあるので他にも関わった娘達がいるはずだ、記憶は曖昧だが全員探し出してみせる

たしか飛鷹に千歳、ビスマルクもいたような気がするのでそこから話を聞いてまわろう

ビスマルクとか一杯でヘロヘロになりそう

[10月18日]


禁酒だけはと縋る隼鷹をスルーしたことを除けば特に何もない平和な一日だった

そういえば休憩中に窓から外を見ていると海辺に村雨と曙を見かけた

二人で釣り師フル装備を身に付け何やら本を読んでいるようだったが、釣りを始めるのか?

今は秋刀魚漁ブーム?なので触発されたのだろうか、色々なことに興味を持つのはいいことだ

……まさかあれで漁に出るわけではないだろうな?いや、我々の取り分として釣る分にはアリなのか?

などと考えていると視線に気付いたのか曙がこちらを向いたので軽く手を振ってやった

案の定こっちを見るな!といつもの罵声という名の挨拶を頂いた。うむ、今日も元気でなにより

彼女のクソ提督呼びには初めは面食らったが慣れればただの口癖、可愛いものだ

それに口ではああ言いつつもこちらの視線にすぐ気づいたり何かと私を気遣ってくれるいい娘である

そうだ、今度適当な理由をつけて何かプレゼントでもしてみようか

どんな反応が返ってくるか楽しみだ

[10月19日]


朝から島風と長良と共に走り込みをした

この二人は走るのが好きなため度々一緒に走り込みをしており、執務室の窓から仲良く走っているのをよく見かけていた

今回はこれに私も同行した形である。最近は書類仕事ばかりでまともな運動をしていなかったのでたまには体を動かそうと思ったのだ

しかし走り始めてすぐに、これは失策であったと思わざるを得なかった

二人共異常に速いのだ。二人の言うジョギングが既に私のいっぱいいっぱいである

おかしい。これでも軍人の端くれ、運動不足気味とは言え平均的な成人男性よりも鍛えてはいるはずなのだが

ついていくのに必死な私は島風の「おっそ~い」コールにも碌な反応ができなかった

お前が速すぎるんだ、と返せば上機嫌になって更に加速する島風にそれを慌てて追う長良。頼むから置いていかないでくれ

結局二人が私に合わせてくれてなんとか完走することができた

走り足りないのかむくれている島風とそれをあやす長良はまるで姉妹のようだ

悪いことをしたとは思いつつ、同型艦のいない島風がちゃんと友好関係を広められているようで安心した


私が荒い息を整えていると横からスポーツドリンクが差し出された

誰かと振り向くと速水である。このタイミングで冷えた飲み物はありがたい

島風と長良にも飲み物を配るその姿は制服も相まってさながら部活マネージャーだ。さすが補給艦

しかし何故速水がここに?二人の反応を見るにいつもの事というわけではないようだが

そう速水に尋ねると、なんと大淀に依頼を受けたと言うのだ

確かに執務室を空けることになるので事前に大淀には走り込みの件を伝えていたが…なんとも出来る秘書艦である

先日の件といい、そろそろ一度本格的に彼女を労ってやりたいものだ。さてどうしたものか?

長良はドラム缶背負って走ってそう

最近はここの更新が楽しみ

あ、あと速水じゃなくて速吸な

>>53 すまん速吸…お詫びにこの間宮券~秋限定スイーツセット~を待て流星拳は流石に洒落にならn(ドッゴーン)


[10月20日]


今月も終盤に差し掛かる頃合になってきたので大淀と今後の予定の確認を行った

各方面特殊海域の制圧は順調。北方方面での作戦が未完了だが制圧は時間の問題と言っていい、阿武隈には少々酷だが頑張ってもらおう

相変わらず駆逐艦が言うことを聞かないと嘆いていたが、まぁ彼女なりの愛され方なのだろう。多分

秋刀魚漁はノルマ半ばといったところか。正直あまり芳しくない

漁師たちからはこのイベントのおかげで豊漁だが同じ場所で獲りすぎたのか全体的な秋刀魚の量が徐々に減少している、との報告書も上がっている

護衛艦隊の漁支援用の装備を増やすか、漁場を変えるか。いずれにせよ対策を講じる必要がある

ちなみに曙達による釣り作戦は一応の成功は納めたものの、やはり漁獲量が少なすぎるためノルマへの貢献はほとんどなかった

だが間宮食堂への秋刀魚供給が強化されたため鎮守府への貢献度は上々である(後日功労者へ間宮券を進呈予定)

艦隊の練度上げは概ね目標達成済みだ

全新規参入艦の一次改造の完了、翔鶴の二次改造の完了、大鳳の練度向上…あとはビスマルクか

現在改二(ツヴァイ、と読むらしい)の彼女はもう一段階改造を残しており、これを完了すれば雷装の使用が可能になる

戦艦の中で唯一無二の武器であるこの能力は大規模作戦でも大きな戦力となるだろう

今後の出撃は基本的にビスマルクを中核に据え編成する、対空が苦手なので同伴する空母の艦載機は吟味せねば

それから連続出撃になるので本人のモチベーションの維持もサポートする必要がある

大淀との相談の結果とりあえず褒めまくる、ということで合意した(相談の所要時間1分)

そして大本営からの通達。来月中旬に中規模の作戦を展開予定、とのことだ

備蓄開始時期は全体の予定進行度を見ながらだが、なるべくなら早めに始めたい

高速修復材を多少使ってでも予定進行を早めるか。幸いこちらの備蓄は潤沢だ


こんな話を進めつつ、私は大淀への労いの方法について考えていた

ここで欲しいもの・やりたいことを直接聞くのは簡単だが、彼女の性格上本心を隠される恐れがある

彼女は仕事優先、自分は後回しなところがある。無難に間宮券を要求されて終わり、なんてことになりそうな気がするのだ

こういった事のリサーチには適任がいる、ここは本職?に依頼してみるか

[10月21日]


本日は晴天なり、絶好の散歩日よりであったので昼食の後腹ごなしに海沿いを歩くことにした

この時期にしては暖かな日差しを満喫しつつ歩みを進めていると座って海を眺める古鷹に出くわした

そしてその膝を枕に眠る加古も見つけた。この日差しに古鷹の柔らかな頭撫でも加わってその顔は完全に緩みきっており本当に幸せそうだ

私が口の端から垂れるヨダレを拭いてやりながらいい寝顔だ、と呟くと

古鷹はこれまたいい笑顔で、加古の寝顔は見ているだけで幸せになれるのだと教えてくれた

確かにこれだけ気持ちよさげだとこちらも思わず顔が綻ぶというものだ

だがそれを語る古鷹の笑顔も相当にいいものだと教えてやると、一瞬驚いた後顔を赤らめてはにかんだ

その後私も隣に座りしばらく二人で海を眺めていた。とても穏やかな海だった


執務室へ帰る間際に青葉を捕まえて例の件を依頼をしておいた

依頼内容の説明中終始ニヤニヤしていたのが気にかかるが、まぁ大丈夫だろう。腕は確かだ

[10月22日]


~駆逐艦究極改修実験~

概要:駆逐艦のエンジン艤装に強化改造を施し本来規格外となる主砲、その他大型武装の装備を可能にする

発案者及び技術担当者:明石、夕張

被験者:清霜

実験支援者:武蔵、伊58、伊8

実験日時:十月二十三日 ○九○○

実験内容:強化艤装を被験者に装備させ15.2cm連装砲二基を搭載し抜錨する。通常と変わらぬ航行を十分間維持、その後帰投

     実験支援者は被験者の直後、直下を航行し異常があれば速やかに被験者の救出を行う

注意事項:事前情報では成功確率は極めて低い。実験参加者全員に失敗時の対応講習を徹底のこと


正式な書類として書くと私の首が飛びかねないのでここに記す。本実験の成功を祈る

キヨシ……良い奴だった……

[10月23日]


実 験 失 敗


まぁ実は明石から事前のエンジン出力検査で必要値を上回ることができなっかた旨を報告されていたので予想通りである

だが「艦娘に装備されれば出力が変化する可能性がある」との意見を聞き入れ実験決行に踏み切った

(清霜に実験中止を伝えることは躊躇われたというのも理由に含まれるのだが)

実際、この意見は正しかったのだ。本来であればこのエンジンでは抜錨と同時に自沈するであろう出力しか出せないはずだった

しかし艦娘に装備されたためか、はたまた清霜の熱い心に共鳴したか?10数秒ではあるが立派に航行してみせた

始めはその場にいる全員が感嘆の声を上げたが、その後力尽きたようにゆっくりと沈み始めたので早急に清霜救出作戦に移行した

まず武蔵が清霜を抱き止め沈むのを防ぎ、清霜本人は手順に従い武装をパージ、その後海中のゴーヤとハチが装備を回収した

沈んだ清霜を二人が救出するという最悪の事態は免れることができた。武蔵の反応の早さは流石である


実験終了後、ションボリと肩を落とす清霜を武蔵が励ましているようだがあまり効果がないようだ

間宮の甘味への誘いにも浮かない顔のところを見ると相当落ち込んでいるようである。アホ毛も力なく垂れたままだ

ここは私が「戦艦は一日にしてならず」、ということを教えてやらねばなるまい

私は二人に今後の展望についてしっかりと説いてやった

結果こそ失敗であったが得られたものも多い、特に艦娘とのシンクロによるであろうエンジンの性能向上は興味深い

更に今回はエンジン面のみの強化実験であったが、既存の強化缶との併用案や

大型艦のエンジンを駆逐艦に装備可能なまで圧縮・軽量化する案、装備ではなく艦娘本人の肉体改造案、その他多数のアイデアがある

今日の実験はその一つに過ぎない、一つくらいの失敗に気を落とさず戦艦になるべくこれからも共に頑張ろうではないか!

私が演説を終えると清霜は期待に満ちた笑顔で頑張る!と答えてくれた。やはり清霜にはこの顔が一番似合うな

その後武蔵に肩車されて上機嫌で戻っていった。アホ毛にも張りが戻っていたのでもう大丈夫だろう


あの子の戦艦へのあこがれは大切な仲間を守りたいという思いが根底に有る

例え戦艦にはできなくとも、あの子が仲間を守れるだけの力を身に付ける手助けが出来ればいいのだが

[10月24日]


今日は一航戦の二人に誘われ共に夕食を食べた。メニューは足柄特製カツカレーである

たまに作られるこのレアメニューは美味であるのはもちろんのこと、食べると体に力が漲ると評判である

本人曰く、勝つためのカレーだから当然の効果だそうだ。彼女の勝利への渇望がなせるワザであろう

私はこのカレーを大盛りで注文したのだが二人は超弩級盛り(通称扶桑盛)で注文していた

山のようなご飯にこぼさず美しくルーがかけられ、特大のカツが添えられる様は一種の芸術とも言える

そして食事が開始されると二人の手によりそのご飯の山は瞬く間に切り崩されていく

その速度がとにかく早い。非常に美味しそうに食べるのは結構なのだがもう少しよく噛んで食べてほしい

私が食べ終わる頃には既に追加で頼んだデザートを完食する寸前であった

いつものことだがその体のどこにこんな量の食事が入るのやら…艦娘の謎の一つである


その後私もアイスを貰って食べているとおもむろに加賀が最近の五航戦の調子はどうか、と聞いてきた

少し驚いて顔を上げると少し恥ずかしげに顔を背ける加賀とそれをニコニコと見ている赤城

なるほど、私を誘った理由はこれか

五航戦の着任当時ならともかく、幾多の戦場と月日を共にした今ならそのくらい本人たちに気兼ねなく聞けるくらいの仲になっているだろうに

加賀はこういう人間関係の面では少々臆病というか奥手なところがある

戦闘技術に関してはいくらでも口を出せるのにそこから外れるとてんで喋らなくなるのだ

本当は人一倍優しく心配性であるのにそれを知る艦娘はそう多くはない。なので普段は赤城がそれとなくフォローしてくれている


五航戦はいい具合に仕上がっている。練度も十分、翔鶴改二に至っては性能面でも一航戦に匹敵するほどである

おそらく瑞鶴にも素晴らしい改造が来ることだろう。もう加賀が心配してやらなくても大丈夫なくらいの一人前だ

そう伝えると安堵したようにほんの少しだけ頬を緩ませた。その優しい表情を五航戦に向けてやれば万事解決だと思うのだが

その後すぐ顔を引き締め、実戦で確かめたいので練度上げに同行させて欲しいと頼んできた

正直航空戦力過剰になるので気乗りはしないがここで断れば隣で凄みのある笑みを浮かべる赤城に何をされるかわからない

結局一日だけという条件で同行を許可した。何故か赤城も一緒にということになったがまぁいいとしよう

ボーキサイトの消費が予想されるので大淀に遠征スケジュールの変更を打診しなければ

[10月25日]


青葉から調査結果が出たとの知らせを受け、大淀が留守のタイミングを見計らい執務室へ来てもらった

今回はかなり正確だと自慢げに話す彼女から報告書を受け取り目を通す

…とりあえずほしい物リストの一番始めにでかでかと書かれている「指輪」はスルーでいいだろう

あとは「ペン」「メガネ」「新型通信機」「間宮券~秋の味覚フルコース~」「お手軽な運動機器」か

最後の二つはやめておいたほうが良さそうだ

間宮券で喜びはするだろうが後で本人が苦労することになるし、私から運動機器を渡されても反応に困るだろう

新型通信機も大本営との兼ね合いがいるので難しいか。壊れてもないのに交換はおそらく却下される

やはり実用的で手軽なペンかメガネが有力となるが、これはもっと機能性を重視したものが欲しいということか?

青葉にそう尋ねると思い切りため息をつかれた。そんなに呆れられるようなことを言っただろうか

彼女によると実用性ではなく見た目重視なものが欲しいらしい。支給品はみんな地味でファッション性に欠けると力説された

そう言われれば確かにそうなのだが、私はまるで気にしたことがなかった。ここら辺はやはり年頃の女の子の感性ということか

(かわいい小物を揃えて販売してみては?との助言も受けたので後日前向きに検討しようと思う)

しかしそうなるとデザインを考えねばならないが、私はこういう美術面は全く役に立たない

青葉に見繕ってもらおうと打診したらまたもや大きなため息をつかれ、これだから提督は…などと呆れられる始末である

確かに丸投げはどうかと自分でも思うがこればっかりは本当に苦手分野なのだから勘弁して欲しい

結局拒否され自分で考えろと言われてしまった。さてどうしたものやら

ただ一応助言は貰うことができた

彼女が隣で執務してる時に可愛いと思えるデザインがいいんじゃないか?とのことだ

なるほど、それならイメージがしやすい。なんとかなりそうだ


その後今回の仕事と助言に礼を述べ、報酬は何がいいかと聞いてみたところ貸一つにしておいてくれと言われた

また何か無茶な取材の後始末に使われそうな気がするが…仕方ないか

青葉有能でよかったね提督さん

[10月26日]


今日は金剛四姉妹に誘われ一緒に午後のティータイムを楽しんだ

鎮守府では基本的に飲み物は水か緑茶なのでたまに紅茶を飲むのは新鮮でいいものだ

和菓子と緑茶、洋菓子と紅茶。味は違えどこの組み合わせは万国共通の贅沢であるらしい

談笑する四人を眺めながらゆったりとスコーンを頬張っていると突然榛名に提督は料理をするのですか?と聞かれた

どうやら料理の話題になり比叡が何か言い出す前に私に振ったようだ

以前は作っていたと答えると全員に驚かれた。そんなに意外だろうか

軍人になる前は一人暮らしの時に一通りの家事はこなしていたものだ

あとは鎮守府発足当初は仕事も少なかったので、疲れて帰ってくるであろう電達のために間宮に台所を借りて夕食を作っていたな。懐かしい

なんで今は作らないんデスか!?と金剛に食いつかれたが、忙しいのと今の大人数の分を作るのは流石に専門外だ

すると霧島が私たちがお手伝いがすれば作れるのでは、と食い下がる。まぁできなくはないだろうが…

元々男の一人暮らしでできるようになった程度の腕しかないので期待されるような美味しさのものはできる自信がない

それでもいいならと言うと四人で一斉にお願いしますと言われた。ここで息が合うあたりやはり姉妹である


流れで作ることになってしまったがここまで期待されると失敗はできないので、後日間宮に頼んでリハビリさせてもらおう

そう思いつつお茶会を後にすると少し歩いたところで追いかけてきた霧島に呼び止められた

どうやら比叡も手伝うという件に関してらしい。真剣な顔の彼女に笑って大丈夫だと答えた

比叡はアレンジが過激なだけで基本的な料理の腕はいい方なので手伝いを頼むだけなら問題ない

あとは料理を始める前に、これは「私の」料理なので無断でのアレンジは遠慮して欲しいと言っておけばよもや勝手な真似はしないだろう

そう伝えると一応納得した顔になったが念のため二人一組での作業を指示してくださいと言われた

そこまで信用無いか…恐るべし比叡。これを了承してようやく安心した霧島は部屋に戻っていった

比叡はアレンジの方向性さえ改善できれば化けるの思うのだが。出来ればなんとかしてやりたいものだ

[10月27日]


今日は一日雨であった。久しぶりの天の恵みである

静かな雨音をBGMに執務に勤しんでいると時雨がやってきた

用件を聞くといい雨だから来てみた、だそうだ。うん、それなら仕方ない

せっかくなので執務を中断してしばし二人で雨を楽しむことにした


喋ることもなく、目を合わせることもなく

ただお互いの体温がわずかに感じられるほどの距離で、並んで窓から雨を眺める

空から水滴の落ちる音を二人無言で聞いているだけなのにこれほど心安らぐのはなぜだろうか

まるで雨以外の音が消えてしまったかのようだった

しばし、降りしきる雨に見とれていた


どのくらいそうしていただろうか?その静寂を破ったのは「ぽいぽ~い!」という元気な声であった

我に返って声のする方を見ると雨の中夕立が走り回っている

さながら雪にはしゃぐ犬のようだ。全身に雨を受け飛沫を散らしながら駆ける姿は力強く、そして微笑ましい

楽しくて仕方がない、そんな喜びが手に取るように伝わってくる

しかしさっきまでの静けさは何処へやら。時雨の方を見やれば彼女もこちらに目を向け、二人同時に苦笑した

そしてそのままやれやれといった風に夕立を連れ戻してくると言って部屋を後にしていった

ああ、そうしてくれ。無いとは思うが風邪でもひかれたら困るからな


時雨が静、夕立は動。それぞれの雨の楽しみ方があるようだ

今度は夕立に付き合ってみるのも一興かもしれないな

提督がぽいぽい言いながら雨の中を走り回るのか……

[10月28日]


明石から照月が新しい機銃の対空砲火訓練をするとの話を聞きその様子を見せてもらうことにした

私が訓練場に着いた時には既に臨戦態勢の照月が最終確認をしているところだったので、あえて声はかけず遠目からその様子を見守った

訓練が開始されると同時にダミーの艦載機が放たれ、それに向けて彼女の全砲門が一斉に火を噴く

通常の駆逐艦の倍を優に超えるその弾幕はやはり圧巻である。流石は防空駆逐艦、摩耶がライバル視するのも納得だ

瞬く間にダミーは全滅し、それをしっかり確認したあとに彼女は小さくガッツポーズを決めた

文句なしに素晴らしい結果である。機銃の性能もそうだが本人の練度の高さによるところも大きいだろう

戻ってきた照月を拍手で出迎えると驚いた様子でこちらへやってきた。私の来訪はかなり予想外だったようだ

手放しで褒めてやると照れながらもニヨニヨしながら謙遜していた

やっぱり長10cm砲ちゃんのおかげだ、と彼女は言うがもっと自分に自信を持ってもいいと思う

そしてその長10cm砲ちゃんはと言うと、やはりずっとこちらを睨んでいた

私は何故か彼?にはよく思われていないようで照月の着任当初から彼女に話しかけるときには終始睨まれっぱなしなのだ

まるで「この娘に手を出そうもんならその眉間をぶち抜くぞ」と言わんばかりである。そんなつもりはもちろん毛頭無いのだが…

そんなに悪い奴に見えるのだろうか?睨まれる度に軽く気落ちするのでそろそろなんとかしたいところである


照月と別れた後に明石に今回のデータを見せてもらった

新型機銃の性能も上々だ、次の作戦に向けての準備は着々と整ってきている

後はメインの戦艦用主砲の改修のみ。明石の腕の見せどころだ

あまり改修素材用の主砲に余裕がないので失敗は許されない

頼めるか?と聞けば、お任せ下さい!と自信満々の笑顔で返してくれた。この笑顔を信じよう

[10月29日]


大淀へのプレゼントはペンに決定しデザインも考えたのだがここで大変な事に気がついた

いつ目当てのものを買いに行けばいいのだ?

私は提督、ちょっと買い物に街までなどと気軽に言える立場ではない

かといって他の艦娘に頼むわけにもいかない

自分のイメージするデザインを正確に伝えられる自信はないし、何よりここで他人を頼るのは何か違う気がする

ではどうするか?買えないなら作るしかあるまい

幸い支給品のペンなら山ほどあるのでこれを加工すればいい…のだが当然そんな技術が私にある訳もなく

こういった加工が得意な艦娘といえば彼女しかいないだろう


向かったのは工廠。困ったときの明石である

ペンの装飾加工はできるか?という突然の依頼にも、出来ますよーと快諾してくれた。本当に頼りになる娘だ

どうやら迷彩塗装などと同じ要領でできるらしい。潮風にも強いペンになりそうだな

明石が塗装する横で私がデザインを伝える

主体の色は青と白。濃い青で海、薄い青で空、白で波と雲を描く

派手な色よりこの方が大淀の手になじむと思ったのだが、吉と出るか凶と出るか

あまり白が多くてもただの縞々になってしまうので綺麗にできるか不安だったがそこは明石が見事にカバーしてくれた


そして出来上がった作品は私の想像以上の出来栄えとなった

私の拙い説明でここまでの物を仕上げるあたり明石には芸術面の才能があるのではなかろうか

私が褒めちぎると、慣れてますからとは言いつつも満更でも無いようだ

大切に使ってくださいね?という彼女にこのペンが贈り物だと伝え忘れたのを思い出す

せっかく協力してくれたのだからこのペンの行く末を教えておくのは筋だろう

これは大淀に贈るのだと伝えると驚いたように目を丸くし、その後徐々にニヤケ顔に変わっていった

その顔は青葉もしていたが一体何だというのだ


そして、頑張ってくださいね!と送り出されて私は工廠を後にした

これでようやく準備が整った。さっそく明日にでもこいつを渡すとしよう

さす明石

[10月30日]


自分で考えた贈り物を人に渡すのは存外に勇気のいる行為だ

こんなことなら無難に間宮券にしておけば…などという思考が頭をよぎるくらいである

だが明石に仕上げてもらったこの贈り物、自分のデザインが信じられなくとも彼女の腕を信じないなどあってはならない

意を決して大淀を呼び止めたのは今日の仕事も終わりさぁ自室に戻ろうというタイミングであった

自身の緊張などおくびにも出さず、なるべくさりげなく、軽い感じで日頃のお礼だとペンを渡す

あっけにとられたようにペンを受け取り、それをしげしげと眺める大淀

そしてポツリと呟いた言葉は「かわいい…」であった

内心で思い切りガッツポーズを決めつつ、「それは良かった」と返す私は平静を装えていただろうか?


いつこんなものを買ったのか?と不思議がる彼女に明石に加工してもらった事を教えてやると大いに納得したようだ

だがついでにデザインは私がしたことを伝えると「嘘でしょう…!?」と驚愕されてしまった

そりゃあ私の柄ではないのは百も承知だがそこまで驚かなくてもいいだろうに

改めてペンを観察する彼女の目つきは先ほどとは打って変わって真剣だ

とりあえず気に入ってくれたようで何よりである

まるで宝物のように両手でペンを握り締め「大切に使わせていただきます」と微笑む大淀を見て、私はこの作戦のS勝利を確信することができた

この笑顔のためならこれまでの苦労など安いものだ

大淀可愛い

[10月31日]


今日で10月も終わりだ。思えばこの日記もひと月書き続けていることになる

暇つぶしに始めたものだが、なかなかどうして面白いものだ

特に艦娘達の様子を記録しておくというのは非常に有意義である

記憶力のない私でも読み返して彼女たちの可愛らしさを再確認できるのは素晴らしい

これからも暇があれば書き留めていくこととしよう


来月は大規模作戦が展開される

前回が大丈夫だったからといって油断することの無いように。慢心するべからず

たった一つの采配ミスが彼女たちを沈める事になる

初めの頃はその責任に押しつぶされそうになったものだ

だがあの出来事が私を変えてくれた


ある艦娘に質問したことがある。戦うのが怖くはないのか?と

その娘は、人を守れるのが自分の誇りなのだと言った。そのためなら死の恐怖にも打ち勝てるのだと

そう答えた彼女は笑っていた

そんな姿を見て、誰かのために命を懸けるこの娘を守りたいと思った

艦娘が人を守るのなら、私(提督)が艦娘を守るのだ

そのためならこの重圧にも耐えてみせる。戦場に赴く彼女らに比べれば楽なものではないか


その覚悟があったからこそ、ここまで轟沈者0名でやってこれた。あの娘には今でも感謝している

そしてもちろんこれからも続けていくつもりだ

犠牲のない勝利などありえないと人は言うが、それならば私は勝利を捨てて犠牲をなくす事を選ぶ

作戦遂行では無く彼女ら全員の帰還こそが私の勝利だ

明日もまた、暁の水平線に勝利を刻もう

これにて完結


こんな駄文に付き合ってくれた人に感謝

特にレスしてくれた人、本当にありがとう

正直レスつかなかったら一週間くらいで終わってたと思う

きっちり一ヶ月か
おつかれさん。またな

今日見つけて一気に読ませてもらったわ
ニヨニヨせざるを得ない

乙でした

乙ー
秋イベ頑張れー


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