えり『“甘味の神に最も愛された女”、“お菓子を食べるために作られた体”、“甘味大食いの象徴”、“お菓子ある所に宮永照あり”などなど、様々な異名どころかワケの分からない格言まで作られてしまっている甘味界の最凶の大食い大魔王、宮永照・・・!』
えり『そして、深山幽谷に潜む伝説の甘味モンスター… その小さな体に宇宙の如き無限のポテンシャルを秘めた清廉潔白なる大食い勇者、高鴨穏乃・・・!』
えり『この二人の少女の、どちらが“優れて”いるのか…? どちらの“生命力”の方が上なのか…?』
えり『それが、これから! このバトルフィールドの上で決まるのです! 皆さん、その瞬間を目撃しましょう!!』
えり『では! “シャイニング・スターズ”VS“キング・チョモランマ・キッカーズ”の次鋒戦! 「駆けのぼれ! 翡翠ずんだ富士勝負!!」・・・!』
えり『25分でまいりますっ! ・・・いよおぉぉ―――――い……っっ!!』ザッ
一同「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」ゴクンッ
えり『っはっじめええええぇぇぇ―――――――いっっっ!!!』ブオオンッ!
タイコ「 ドドーン!! 」
照・穏乃「「 い た だ き ま す ! ! 」」バチンッ!
えり『生命の火を燃やして食らえっっ!! 女子高生たちよおぉぉっっ!!!』
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423976214
・1作目→久「麻雀部限定、全国大食い選手権」
久「麻雀部限定、全国大食い選手権」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399305486/)
・2作目→優希「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(予選)」
優希「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(予選)」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399551723/)
・3作目→はやり「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(1回戦)だぞっ☆」
はやり「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(1回戦)だぞっ☆」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401369950/)
・4作目→のよりん「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(2回戦)…!!」プンスコ=3=3
のよりん「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(2回戦)…!!」プンスコ=3=3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403857666/)
・5作目→恒子「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(3回戦)っだぁぁーっ!!」
恒子「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(3回戦)っだぁぁーっ!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408157047/)
・6作目→(前作)咏「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(準決勝)だねぃ」
咏「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(準決勝)だねぃ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420487199/)
・インターハイ終了後の10月、出場校のメンバーが再び東京に集まり、大食い大会に参加しています。
・大食い競技の模様はテレビ放映されます。
・前回の3回戦(ラーメン勝負)を勝ち抜いた6名↓(記録の良かった順)
①南大阪姫松高校2年 愛宕絹恵
②長野清澄高校1年 片岡優希
③奈良阿知賀女子学院高等部1年 高鴨穏乃
④南北海道有珠山高校3年 獅子原爽
⑤鹿児島永水女子高等部1年 滝見春
⑥西東京白糸台高校3年 宮永照
・空腹感、または逆に強制的な満腹感や胸焼けを感じる可能性があるのでご注意下さい。
・かなり大量のキャラが現れます。
・遅筆です。よろしければお付き合いください。
・前作のあらすじ
準決勝は「シャイニングチーム(宮永照・片岡優希・滝見春)」VS「チョモランマチーム(愛宕絹恵・高鴨穏乃・獅子原爽)」の団体戦。
変則的な五番勝負の先鋒戦、片岡優希VS獅子原爽の試合は獅子原爽の勝利。
チョモランマチームの1勝0敗で迎えた次鋒戦、食材は和菓子の「ずんだ餅」。 エントリー選手は宮永照と高鴨穏乃。
PM6:35
~試合会場~
照・穏乃「「 い た だ き ま す ! ! 」」バチンッ!
えり『ついに始まりましたぁ! 全国高等学校大食い選手権準決勝、“決闘! みちのく岩手郷土料理五番勝負!!”の次鋒戦! 今、“甘味の大魔王”と“甘味の伝説の勇者”が、その胃袋を巨大なずんだ餅の山の中へと解き放ちましたぁぁっっ!!』
穏乃「うっひょおおおぉぉっ! よっしゃあ!ぶちカマすぜぇっ!! はああ… はんぐっ! むぐっ もぐっ もちもちむんにゅむんにゅ・・・」
照「ぐぇひひひひ・・・! おまたせずんだ餅ちゃん! 今食べてあげるからねえへへへへぇへええぇ・・・! もんぐっ! はんむっ! あー… むんぐもっちゅもっち・・・」
穏乃・照「「!!!???」」ビビクンッ!!
穏乃「う・ う・ う? うううぅぅぅ・・・・!! うんめええええぇぇぇぇぇっぇぇっYO―――――ッッ!!」キャイーン!
照「むへっ ふにゅ … はばばっ ぅま、ぅま、うまあああああああぁぁぁいいいぃぃっっっ!!!」アハーン!
えり『二人とも山のてっぺんから食べ始めました! お餅ですので手づかみで食べてもかまいませんが、二人ともきちんと箸を使って食べていますね』
咏「ずんだ餡はけっこうネットリしてるから、手づかみだと汚れちゃうからねぃ」
えり『さあ… この次鋒戦は、今大会初の“メガ盛り勝負”! ずんだ餅80個、総重量3200gの“お盆盛り”です!』
えり『選手たちが食しているお盆の下には、ご覧の通り、デジタルの量りが置いてあり、残量が表示されるようになっています。 そして、その残量の数値は、観客席上部のあの大画面のインジケーターにも常に表示されるようになっています!』
えり『さあさあ、開始時には二人とも“3200”だった数値が、今、目まぐるしく変動… みるみる数が減っていきます! 二人とも、25分以内にこの巨大な山を攻略し、インジケーターの数値を“0”にすることができるのでしょうか?』
えり『このお盆盛りを完食しない限りは、「おかわり」はできません! 完食すれば、5個入りの小皿が出される手筈になってはいますが… 果たしてこの試合、「おかわり」の声を聞くことができるのでしょうか!?』
PM6:35
~試合会場~
照・穏乃「「 い た だ き ま す ! ! 」」バチンッ!
えり『ついに始まりましたぁ! 全国高等学校大食い選手権準決勝、“決闘! みちのく岩手郷土料理五番勝負!!”の次鋒戦! 今、“甘味の大魔王”と“甘味の伝説の勇者”が、その胃袋を巨大なずんだ餅の山の中へと解き放ちましたぁぁっっ!!』
穏乃「うっひょおおおぉぉっ! よっしゃあ!ぶちカマすぜぇっ!! はああ… はんぐっ! むぐっ もぐっ もちもちむんにゅむんにゅ・・・」
照「ぐぇひひひひ・・・! おまたせずんだ餅ちゃん! 今食べてあげるからねえへへへへぇへええぇ・・・! もんぐっ! はんむっ! あー… むんぐもっちゅもっち・・・」
穏乃・照「「!!!???」」ビビクンッ!!
穏乃「う・ う・ う? うううぅぅぅ・・・・!! うんめええええぇぇぇぇぇっぇぇっYO―――――ッッ!!」キャイーン!
照「むへっ ふにゅ … はばばっ ぅま、ぅま、うまあああああああぁぁぁいいいぃぃっっっ!!!」アハーン!
えり『二人とも山のてっぺんから食べ始めました! お餅ですので手づかみで食べてもかまいませんが、二人ともきちんと箸を使って食べていますね』
咏「ずんだ餡はけっこうネットリしてるから、手づかみだと汚れちゃうからねぃ」
えり『さあ… この次鋒戦は、今大会初の“メガ盛り勝負”! ずんだ餅80個、総重量3200gの“お盆盛り”です!』
えり『選手たちが食しているお盆の下には、ご覧の通り、デジタルの量りが置いてあり、残量が表示されるようになっています。 そして、その残量の数値は、観客席上部のあの大画面のインジケーターにも常に表示されるようになっています!』
えり『さあさあ、開始時には二人とも“3200”だった数値が、今、目まぐるしく変動… みるみる数が減っていきます! 二人とも、25分以内にこの巨大な山を攻略し、インジケーターの数値を“0”にすることができるのでしょうか?』
えり『このお盆盛りを完食しない限りは、「おかわり」はできません! 完食すれば、5個入りの小皿が出される手筈になってはいますが… 果たしてこの試合、「おかわり」の声を聞くことができるのでしょうか!?』
~シャイニングチーム~
久「始まったわね… それにしてもあのアナウンサーの人… 針生さんだっけ? かなりの問題発言ブチかましてたわね」
初美「? なんのことですかー?」
久「大食いでお互いの優劣を決める、価値を決める、みたいな事言ってたじゃない。 これじゃあ、負けた方が相手より劣った人間ってことになっちゃうわ。 ・・・いくらテレビ番組とはいえ、随分エグい追い込み方するのね…」
咲「でも… おねえちゃんたちは、そんな事全然気にしてないみたいですよ…?」
照「いゃっひょおぉぉいっ! トロける! トロける!! トロけちゃうよおひょほほおぉん!!」=3
穏乃「やっべえええぇぇっっ!! んま、んま、ぅぅぅうまいどころじゃねええええええぇぇ―――っっ!!」=3
久「・・・そ、そうね…」
~チョモランマチーム~
洋榎「始まったな… 二人とも、あんな餅の山を前にして、全然気後れしとらんな。大したタマやわ」
誓子「食べ方は… 二人とも同じようなかんじですね。 一個ずつ箸で取って、2~3口で食べる… 普通によく噛んで食べてますね」
恭子「そやな… 上新粉が配合されてるとはいえ、餅やから急いで食べたらのどにつまるかもしれんからな… まあそこら辺は二人ともよく分かっとるやろ」
成香「…それにしても… 二人とも美味しそうに食べますね… ・・・ん? は、はわわわわ…??///」
会場の大画面に目をやった成香は、思わず顔を赤らめた。
そこには、ずんだ餅を口いっぱいに頬張り、まるでエクスタシーに浸っているかのような恍惚の表情を浮かべている照の顔が、大映しにされていた。
洋榎「な、なんやあのチャンピオンの顔は・・・ 頬を上気させて… し、しかもなんか涙ぐんどるで?」
由子「…見たこともないような幸せそうな顔なのよー」
灼「す、すご… ずんだ餅が宝石に見える…」
漫「…なんかエロい顔やな」
~試合会場~
ウオオオオオ・・・ オ、オイシソウ・・・・ ナ、ナニアノカオ・・・? ス、スゲエエェェ・・・ ゴクリッ!
えり『ん…? 観客席の皆さんが、みんな大画面の方を見てますね… 映し出されているのは宮永選手のアップ… って、な、なんというカオでしょうこれは・・・?!』
照「………」ノヘーッ
えり『こ、恍惚の表情を浮かべています、宮永選手… 半泣き半笑いの、ちょっと変なカオですが… なんという幸せそうなカオでしょう…!』
咏「すごいね… あの子、お菓子のCMに出したらバカ売れするんじゃね?」
その時だった・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・ ドドドドドドドドドドドド・・・・・・・!
えり『え?』
突然、会場中に、地鳴りのような音が響き渡ったのである。
えり『な、なんでしょうかこの音は… じ、地震?』
咏「違うよえりちゃん… 観客席の方見てごらん」
ゴゴゴゴゴッゴゴゴオオオ――――――ッ! ドドドドドオオオオオオオ――――――ッッ!!
えり『な!? なんですかこれは!! 観客席の皆さんが全員席を立ち… 我先にと出口に押し寄せています! い、一体何が起きたのでしょうか?』
美幸「あぁーも――――うっ! ガマンできないよぉっ! 私、ずんだ餅買ってくるぅ!」タタタッ
煌「こうしてはおれません! 私もフードファイターのはしくれ… あんな美味しそうな表情を見せられては、食べに行くしかありません!!」ダダダダッ
セーラ「ううぅタマんねえぇ! もう試合なんか見てらんねえっ! オレにもずんだ餅食わせろおおおおぉぉっっ!!」ズダダダダダッ
いちご「わじゃっ! ちょ、ちょっと押すのはやめるんじゃー! ちゃちゃのんが潰れてまう―――!!」ジタバタ=3
ドドドドドッ ドドドドッ・・・ ドドォォ・・・・・・・・
えり『な…な…?? アリーナを埋め尽くしていた観客の皆さんが… 一人残らず!会場の外へ飛び出していってしまいました・・・ わ、私は一体何を見ているんでしょうか…? これは、夢…?』
咏「さすがは宮永ちゃんだね。 食べるだけで超常現象起こすとはねぇ…」
この日・・・ 盛岡アイスアリーナから飛び出した数千人の暴徒は、ズンダモチズンダモチと叫びながら盛岡中を駆け巡り、アッという間に盛岡市内のずんだ餅を完全に食い尽くしてしまったという。
のちに都市伝説として語られることになった“盛岡市ずんだ餅消滅事件”である。
即効性
えり『えー・・・ えーっと… 観客の方たちが0になってしまいましたが… す、すぐ戻ってくるでしょうか…? 気を取り直して、先鋒戦の実況を続けていきたいと思います…』
えり『さて… このずんだ富士を攻略するためには… 25分が1500秒ですので、それを80で割ると約19秒… 1分で3個、つまり120gは食べていかないといけないわけですが、二人のペースはさてどうでしょうか…?』
えり『うーん、ただ今試合開始2分が経過しましたが、それとほぼ同時に、宮永選手の残量が3000gをやっと切りましたね… 高鴨選手はそれより少しだけ前に進んでいるようです』
えり『しかし… 1分で100gかそこらのペースでは、当然完食はできません。 後半になればペースも落ちるでしょうし… やはり二人とも、このずんだ餅のメガ盛りを攻略するのは厳しいでしょうか』
穏乃「……」ムグムグモチュモチ
穏乃「照さん… そろそろ、1速上げましょうか…?」モグモグ
照「ん… いいよ、ついてくね・・・」ニタアアア・・
えり『えー・・・ えーっと… 観客の方たちが0になってしまいましたが… す、すぐ戻ってくるでしょうか…? 気を取り直して、次鋒戦の実況を続けていきたいと思います…』
えり『さて… このずんだ富士を攻略するためには… 25分が1500秒ですので、それを80で割ると約19秒… 1分で3個、つまり120gは食べていかないといけないわけですが、二人のペースはさてどうでしょうか…?』
えり『うーん、ただ今試合開始2分が経過しましたが、それとほぼ同時に、宮永選手の残量が3000gをやっと切りましたね… 高鴨選手はそれより少しだけ前に進んでいるようです』
えり『しかし… 1分で100gかそこらのペースでは、当然完食はできません。 後半になればペースも落ちるでしょうし… やはり二人とも、このずんだ餅のメガ盛りを攻略するのは厳しいでしょうか』
穏乃「……」ムグムグモチュモチ
穏乃「照さん… そろそろ、1速上げましょうか…?」モグモグ
照「ん… いいよ、ついてくね・・・」ニタアアア・・
穏乃「……」ハムアンムモッチモッチョムッチュマッチュ
照「……」ムグッ モチモチムッシャガッフバフマフ
えり『おや…? 二人とも、少し食べるペースが上がってきたようですね』
咏「ギア入れ替えたみたいだねぃ…」
えり『え?』
咏「初めは、味や食感、のどの通り具合なんかを確認しながらゆっくり食べて… 25分間でコレをどんなペースでどのくらい食べるか、頭ん中である程度計算したんじゃないかな? こっから徐々に本気出してくのかもね」
照「……」フンフンフフフ~ン♪ ハムハム
えり『確かに、まだ本気ではないようですね… 宮永選手は鼻歌唄いながら食べてます』
えり『さてでは…、両選手に味のほうを聞いてみましょうか。 和菓子屋の娘さんでもある高鴨選手! どうですかこのずんだ餅は?』
穏乃「へ? いや…もう、この外側の餡がメッチャクチャ美味しいんですよ! おもちも、粘りとコシがしっかりあるんですけど、けっこう歯切れが良くて食べやすいです。 その柔らかいおもちに、枝豆の餡の甘さと旨味がしっとり溶け込んでてもうタマら」 照「ウォーイ針生さん! そっちの山よりこっちの山のほうがおいしいよ!!」
えり『は、はぁ・・・? どっちも同じおもちですよ』
照「むひひ・・・ とろけるずんだ餡が今の私の気分にジャストフィット! そして、おもちのほのかな甘みが私の熱い心を撃つ!!」ズキューン
照「さらにぃ! おもちと餡が、お、お口のステージで絶妙のシンフォニーを奏で… 私の脳天を突き破るぅ! ああんこの快感! これぞ女の悦びぃ!」キュンキュンキュイーン
照「そう! 完ペキ! まさに完ペキすき無し! 鉄壁の守り! 日本の守護神! ビバずんだ餅! ブッラヴォ―――ッッ!!」ヒャホーイ
えり『・・・宮永選手、マイク向けないのに勝手にしゃべってくれます』
咏「しゃべってないで食えってかんじだねぃ」
久「…なんか照さん、キャラおかしくなってきてない?」
菫「あいつは、お菓子を食べだすと変なモードに入ってしまうんだ…」
尭深「宮永先輩… 差し入れです」コポコポコポ スッ
照「尭深? え、何これ緑茶?」
尭深「桑の葉茶… 今話題の健康茶です。 飲みやすいようにぬるめに淹れてきました」
照「え… 桑の葉って、あの、カイコとか育てるやつの?」
尭深「そうです。 高鴨さんもどうぞ…」コポコポ スッ
穏乃「え、あ、どうもすんません! グビグビグビッ」
穏乃「!! ナダコレ!うまぁっ! すごい!スッキリしてて飲みやすいですね!」グビグビ
照「! ホントだ… 苦いかと思ったら全然そんなことない。 おもちともよく合うね。 これぞベスト・エンドレス・マリアージュ・・・」グビグビッ
えり『両選手とも、渋谷さんの差し入れの桑の葉茶を飲んで一息ついてしまいました』
咏「桑の葉茶はね、絹があまり生産されなくなったため不要になった桑畑の再利用で開発されたお茶だよ… 岩手の新しい特産品として、今まさに売り出し中の商品らしいねぇ」
えり『…初めは、魔王と勇者の凄まじい殴り合いのような勝負が始まるのかと思いましたが…全然そんなことないですね。 二人でずんだ餅を楽しみながらハイキングしてるような雰囲気です』
咏「そりゃまぁ… この“山”は、5合目くらいまではなだらかだからねぇ…」
えり『…それは、中盤を過ぎたら、徐々に坂が急になってくるということでしょうか』
咏「そっ。 てっぺんに近づくに連れて険しくなってくる山だから、最初は余裕で登れても、後半はキツくなってくる筈だよ。 そして、最後には・・・」
咏「…“魔の絶壁”が待ち受けている… それが、このずんだ富士勝負さね」ニタリ
えり「そ、そうですか… ではなおさら、楽に登れる今のうちに量を稼ぎたいところだと思いますが… タイマーは、もう少しで開始4分になろうとしていますが、両選手、量りの数字が2700g台に入ったところですね。 つまり400g、ずんだ餅10個を食したところです」
えり「普通の人なら10個も食べたらもうギブアップでしょうが… 甘味に強い両選手のこと、これくらいはまだなんともないでしょう。 スタート時から、高鴨選手が少しだけ先行し、それを宮永選手がピタリとくっついて追いかけています!」
~チョモランマチーム~
洋榎「・・・序盤はほぼ互角か… わりといい調子なんちゃうか? 高鴨の奴」
恭子「そうですね… まあまだ始まったばかりで分かりませんけど、食材の分にあまり差はないのかもしれませんね」
?「ふふっ、甘い甘い、駿河屋の栗羊羹より甘い考えですよーぅ、それは・・・」
漫「ん? アンタ…」
憩「まだ二人とも全然本気は出してないで、特にチャンピオンは…」ニュッ
灼「わっ、荒川さん…?」
恭子「憩ちゃん… そういえば二回戦の時、チャンピオンが甘味に異常に強いのは特異体質がなんたらとかって、話しとったな」
憩「そうですよーぅ。 “お菓子を食べるために作られた体”は伊達じゃないで… 甘い物をいくら食べても、チャンピオンは血糖値が上がらんのやからな」
誓子「? どういうことですか?」
憩「チャンピオンは完全にお菓子の大食いに特化した体をしとるんや。 膵臓から分泌されるインスリンの量が常人の3倍くらいあるのと、腸内細菌のビフィズス菌の割合が異常に高いことで、血糖値や血中のコレステロール値がとにかく上がりにくいんや」
由暉子「つまり… お菓子をたくさん食べても、普通の人ならすぐに起こる糖分による満腹中枢への刺激が起きないということですか?」
憩「そうやでー。穏乃ちゃんもインスリンの量は多いけど、チャンピオンほどじゃない。 体質的にはやっぱりチャンピオンの方が圧倒的に有利やで」
揺杏「体質って… なんだよそれすげぇチートじゃねえか…」
恭子「・・・憩ちゃん、このずんだ餅勝負、穏乃ちゃんが勝てる確率はどの位だと見立ててるんや…?」
憩「確率…は分からへんけど、あのチャンピオンに対して麻雀で勝つより難しいことは確かやで」
~バトルフィールド~
穏乃「……」ムグムグモチュモチュ
照「……」ハグハグマッグモグムグ
えり『“人はなぜ山に登るのか… それは、そこに山があるからだ”という、著名な登山家の有名な言葉があります。 そこに山があれば、いかに危険でも苦しくても、登らずにはいられないのが人の本能というもの…』
えり『今、二人の少女たちも、自らの本能に従い難攻不落の甘味の山を駆け登っています! しかし、この“翡翠ずんだ富士”を征服することは、ヒマヤラ山脈を単独で登頂することより難しいでしょう』
えり『どこで力尽き倒れるか… あるいは足を滑らせ、奈落の底のような崖を滑落することになるか、分かりません。 ですが、両選手の表情にはまだ微塵の迷い、焦りも感じられません!』
えり『甘味の山における決闘も、そろそろ中盤戦に差し掛かりますが… どのような展開が待っているのか、目が離せません!』
穏乃「……」ムグムグ
穏乃「…照さん、じゃ、そろそろ、もう1速上げましょうか?」モムモム
照「…まだ上げられるの?」モムモム
穏乃「やめて下さいよ。 こんなのが私の本気なわけないじゃないですか…!」スッ
えり『おや? 高鴨選手、突然ジャージの袖をまくり・・・ ?? な、なんですかソレは?』
<5分経過時点メーター数値>
宮永照(シャイニング) “2680g”(520g完食)
高鴨穏乃(チョモランマ) “2640g”(560g完食)
ちょいちょい豆知識が入るねー
続きはよ
頑張れー
生存報告だけでも頼む。今日大食い番組あるんだから。
生きてるお。
諸事情ありなかなか書けません。
多分明日少し投下すると思います。
PM6:40(試合開始5分)
ザワザワッ ナンダアレ・・・? リストバンド?
えり『な、なんですかソレは?』
穏乃「あ、これですか…? ふふん、“リストウエイト”ですよ!」
えり『リストウエイト・・・?』
穏乃「そうです。 あ、玄さんちょっと持っててもらえますかコレ」スッ
玄「え、何こ… わっ! 重っ!」ズシィッ
えり『松実さんちょっと見せてもらえますか… ?! さ、3kg…? た、高鴨選手なんと両手首に3kgもあるおもりをつけていました! な、何やってるんですか…?』
洋榎「リストウエイト?! 何やっとるんやあいつ… あんなもんつけて今まで食っとったんか?」
漫「…少年マンガ王道のパターン… “ふっふっ、今までは力を抑えてたんだぜ!”ってやつのつもりですかね…」
誓子「で、でも胃袋にはなんの関係も無いですよねアレ…」
恭子「まあ… 気分の問題なんちゃうか?」
穏乃「ふうっ、へっへ! パワーアップ完了・・・ 高鴨穏乃Ver.3! 始めるぞぉっ!!」カッ
マグモグムギュマギュモッチモッチョハングモグモグ・・・・
えり『た、高鴨選手両手のリストウエイトを外し、手づかみで猛然と食べ始めました! 奈良の小さな巨人が本気を出してきましたね!』
咏「…2速から3速に入れ替えたねぃ… ふふっ、高鴨ちゃん、やっとエンジンがあったまってきたかな?」
照「……♪」モグモグマッチュモッチングハンムマムマムマムムグムグ・・・
えり『お…? でも、宮永選手まったく慌てる様子はありません。 高鴨選手をチラリと一目見ると、こちらもグングン加速していきます!』
和「リストウエイト… まったく穏乃らしいですね」
久「ふふっ、そうね。 …でも、高鴨さんもやっぱり強いわね。 これは照さんも苦戦することになるかしら…」
淡「だいじょーぶだよっ! あのテルがお菓子の大食いで負けるなんて有り得ないから!」ヒョコッ
菫「おっ 淡おかえり。 ちゃんと買ってこれたか?」
淡「ぶーっ! テルは私とスミレに、て言ったのに、なんで私だけお使いに行かすかな!」
菫「それくらい一人で買いに行けるだろう…」
咲「あ、淡ちゃん味変アイテム買いに行ってたんだったね。 …って、これ・・・?」
淡「そ、普通和菓子にこんなのつけないよね?」
菫「…まあ照には色々と常識が通用しないからな…」
~スタジオ実況室~
みさき「さあ、試合開始から5分が経過しましたが… ここまでずっと、高鴨選手がわずかにリードし、それを宮永選手がピタリとくっついて追いかけるという展開が続いています。
…三宅さん、どうですか? この序盤戦はどうご覧になられますか?」
三宅「うーん、そうですね… ここまでは、二人ともずんだ餅を楽しみながら、体に慣らしていたかんじですね。 いよいよここからがレースの本番だと思いますよ」
みさき「宮永選手が、本当にピッタリと後ろをついていますが…」
三宅「あれは… 相手のペースに合わせて食べることで、実力を推し量っているのかもしれませんが… あの子はどうなんだろ、ちょっと違うかな?」
みさき「…え?」
三宅「大食いでは、相手のペースにわざと合わせてプレッシャーをかけて疲れさせたり、食べ方とペースをトレースすることで自分と相手の実力差を推し量ったりすることがあるんですが… 宮永選手は、ただあんまり離れないように、楽しんで食べているだけかもしれません」
みさき「確かに… 宮永選手からは、まだ全く“勝負している!”という気迫が感じられませんね」
三宅「食べ始めよりはペースも上がっていますが、二人とも… 特にやはり宮永選手は、まだかなり余裕がありそうですね。 その気になればいつでも相手を追い抜いて突き放す自信があるのかもしれません」
待ってた
~バトルフィールド~
えり『さあさあ… 両選手のペースが徐々に上がってきてますね…
このずんだ富士勝負、最初は二人で仲良くハイキングという雰囲気でしたが、いよいよ本格的なクライミング・ファイト… 真剣勝負へと切り替わってきたようです!』
穏乃「……」ハグムグモチモチムッチュムッチュムッチュマッチュ・・・
えり『高鴨選手は先ほどから箸を置いて手づかみで食べ始めました。 ねっとりした餡が指につくのも気にせずワイルドに食べ進めます!』
えり『大口をあけて、どんどんおもちを口に放り込んでいきます。 自分の指まで食べそうな勢いですね!』
照「……♪」ハグマグアングバックムチュッムチュッモッチモッチモッチ・・・
えり『対する甘味大魔王宮永選手・・・ まだまったく力みのようなものは感じられませんね… ニコニコ笑顔で普通に食べているのですが、かなりのスピードでずんだ餅が蒸発していきます! 高鴨選手にピタリとくっついて離れません』
えり『さあ時間は今、開始7分になろうとしていますが… 二人とも800g… ずんだ餅20個、ちょうど山の1/4を食し終わったところです!
天にそびえる綺麗な円錐型をしていたずんだ富士が、阿蘇山のようなカルデラ型の山に姿を変えてきています…!』
淡「まーたの先輩!」テテテッ
誠子「ん? 淡… どうした?」
淡「すいません、これ、テルーに渡して下さい!」スッ
サポーターの誠子にスーパーの白いレジ袋が渡される…
誠子「宮永先輩、淡が味変アイテム買ってきてくれましたけど… あの、本当にこれで良かったんですか?」ガサッ
照「ん… ナイス淡。 大丈夫まったく問題ない」ニヤッ
淡「へへっ ガンバってね!」
宥(…? チャンピオンも味変用意してたんだ… でも、なんだろあれ…? 憧ちゃんが買いに行ったのとまた違うものかな?)
照「ふふふ… じゃ早速一つ目、使わせてもらおうかな…」ガサガサ
玄「・・・うっ!?」ゾクッ
宥「? クロちゃん? どうしたの?」
玄「お、おねーちゃん、 チャ、チャンピオンが・・・」ガクガクガク
宥「…え?」ハッ
照「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
宥(…! す、すごい… 禍々しいまでの強烈なオーラ…! これが、インハイチャンピオン宮永照の本当の姿…? 間近で見るとこんなにすごいんだ…)ブルッ
えり『おや… 宮永選手、サポーターから受け取った袋から、何か取り出しましたね… えっ それは…?』
照「ふふふ…」スッ
えり『は? こ、粉砂糖・・・??』
照「……」フリフリフリ
えり『…?? 宮永選手、ずんだ餅の山の上に粉砂糖をふりかけています… 黄緑色だったずんだ富士が、みるみるうちに… 雪をかぶったように真っ白になってしまいました… 三尋木プロ、あれは…?』
咏「味変…っつーか、自分の好みの甘さに調節してんだろ?」
えり『はあ・・・? いや、その、この次鋒戦のポイントは、いかにして迫り来る“甘さ”を克服するかだと思ってたんですが・・・ それにさらに“甘さ”を足すんですか?』
咏「いや知らんし。 まあ、宮永ちゃんは1回戦の時もマックシェイク飲みながら駅弁食ってたからね… 別にいんじゃね?」
粉砂糖をかけ終わった照は、 ふぅっ と一息ため息をつくと、なぜか少し淋しそうな顔をして正面の穏乃の方を見た。
照「高鴨さん… じゃ、私、そろそろ行くね…?」
穏乃「… 置いてくつもりですか…?」ムグムグ
照「うん… 楽しかったよ、本当に… ありがとね・・・」スウウウウウ・・・・
ブワアァッ!!
穏乃「!!?」
その時・・・ 穏乃の目には、照の背中から突然巨大な翼が現れたように見えた。
照「…@モングッ#*>ytk…ハムアム≒”%pk&モッチュ$jk★;ムグハンムゥッ!」ドッドドドドドドドドド――――――ッッ!!
えり「・・・?」ボトッ
咏「ちょ、ちょいちょいえりちゃん! マイク下に落ちたよ!」グイッ
えり「え? は…!」バッ
えり『 ご、ごめんなさい失礼しました! み、宮永選手・・・ え、なんですかこれは… と、突然飛ぶような勢いで食べ始めました! 何が起きたんでしょうか!?』
恭子「あかん・・・」カタカタ
憩「始まったで… チャンピオンのオン・ステージが…」
誓子「魔神が… 目を覚ましちゃったみたいですね…」
灼「穏乃・・・」グッ
照「マギュムグ^%wt…mktj*ムグムグ>…xgバックモンニュ!」ドドリグワラズブジョシアァ―――――ッッ!!
えり『み、宮永選手アッという間に高鴨選手を抜き去り… あああ、ずんだ富士が、まるで巨大地震でも起きたかのようにどんどん崩れて小さくなっていきます!』
穏乃「・・・??!」ムグムグ
えり『高鴨選手、一瞬で風のようにまくられ茫然自失・・・ 置き去りです! これが、甘味界の最凶大食い大魔王の本気…? 二回戦の、たった一人で他を蹂躙した悪夢の再来となるのでしょうか?!』
照「…&ミギュッ;*f…w<もちゅうっp¥m…&Kマグムグッkrt%はんむっ!」バババババババババァ―――――ッ!
洋榎「こ、これはあかん… なんやアレは、ホンマに人間か…?」
漫「目から光線出そうな勢いで食べてますね・・・」
揺杏「で、でも、あれって、餅だろ…? あんな勢いで食ったら、すぐのどにつまるんじゃねーか…?」
照「‘@マギュグッ ゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュゥゥ・・・・ッ!」
由暉子「り、理由は分かりませんが…、まるで、飲み物のようにのどを通っていってるみたいですよ…?」
恭子「くっそ… やっぱり、甘味でチャンピオンに立ち向かうのは、無理か…?」
洋榎「早目にストップかけるか? 恭子…」
「まって」
誓子「・・・ 鷺森、さん?」
灼「阿智賀の大将は… まだ、やれる」
洋榎「いやいや、高鴨の奴、リストウエイトも外して、もう本気出しとるんやろ? こんなのどんどん差がつくだけやで・・・」
灼「みんな、穏乃の、顔を見て・・・」
洋榎「は?」
穏乃「………」ムグマグモグモグ、 ニッイイイイイイイイイィィ・・・・・
洋榎「・・・あれは・・ 笑ってる・・・? のか?」
灼「まだ、大丈夫… 山の主・・・“深山幽谷の化身”の真骨頂は、ここから…!」カッ
穏乃(……)モグモグマグモグ
穏乃(すげえ… やっぱチャンピオン、ハンパない…!)
穏乃(これだよ、これ… このヒリつくような緊張感・・・!)ゴゴゴゴ・・・
穏乃(うぇひひ、私の脳から、なんか出てくる… 脳内麻薬がガンガン出てくる・・・!)フヒヒヒヒ・・・
穏乃(すげえ“生きてる”ってかんじする・・・ こんなとんでもない人と闘うなんて、本当は、無理があるのかもしれないけど…)
穏乃(今の私なら、まだ、ヤレる・・・!)
穏乃(なぜなら、ここは、山の中… 私のテリトリーだ・・・! それも、麓はもう過ぎて中腹に差し掛かってる…)
穏乃(山の中に・・・ 私の意識・・・ 存在・・・ 魂・・・ 全て・・・ 溶け込ませる・・・・!!)スウウウウウウウ・・・・・
人の理を外れた戦が……始まる
がんばれー
>>37訂正
×阿智賀
○阿知賀
~スタジオ実況室~
照『…wrマングッ!#*>yt…ハムアム@”%pk&ムッチュ$jf⇔;マグハンムゥッ!』ドドドドドドドドド―――――ッ!
みさき「・・・?? 宮永選手…、粉砂糖をずんだ餅に振りかけたかと思ったら… 突然凄まじい野獣食いを始めました!
…三宅さん、これは、一体・・・?」
三宅「…いやー…、久々に見ましたねぇ、食材に砂糖かけて大食いする人…w」
みさき「え?」
三宅「まさかこんなとこで見れるとは思いませんでした」
みさき「以前にもいたんですか? そんな人」
三宅「いましたよー、非常に稀だと思いますけどね♪ 砂糖を“食欲増進剤”として使っていたフードファイターで、最も有名な人は・・・」
三宅「あの、元祖大食い女王、 赤○尊子さんですよ
みさき「アカサ○タカコ・・・?」
三宅「知りませんか? まあ、今から20年近く前に全盛期で活躍してた人ですからね… 当時の、いやホントに超圧倒的な最強大食いチャンピオン… そして、今なお、大食い史上最もインパクトの強かったフードファイターの一人とされている人です」
みさき「伝説の大食い女王…といったかんじでしょうか」
三宅「はい、まさにレジェンドです。 いつも砂糖を持ち歩いてて、“砂糖水のおばちゃん”なんて呼ばれたりもしてました。 私、小学生の時大ファンだったんですよ! テレビに釘付けになって見てました♪」
三宅「勝負の時、周りの人がみんな限界に達したところで、突然砂糖水を作り出して… それをあおりながら鬼食いを始めて、対戦者がみんな唖然とするという… もーすっごくカッコ良かったんですよ?」
みさき「は、はあ… …いえ、でも、“砂糖”って、血糖値を上げやすいから、大食いには向いてないんではなかったでしたっけ…?」
三宅「ええ、そうなんですけどね。 でも、“砂糖”に強力な食欲増進作用があるのは本当のことなんです」
みさき「・・・すみません、よく分からないんですが」
三宅「食欲を増進させる食べ物の成分で、身近なモノは、“化学調味料”“油”“砂糖”の3つです。 ふだん食べてる物で、食べ始めるとどんどん食べたくなる物ってあるじゃないですか? そういう加工食品の成分表示を見てみて下さい。 ほぼ例外なくこの3つがすべて入ってますよ」
みさき「あ、スナック菓子とかですね…? 塩味の食品でも、何かブドウ糖とか粉糖とかいう名前で、糖分は大体入ってますね、たしかに」
三宅「はい、砂糖や油は生存本能が大喜びする食品で、食べ出すと“もっと食べろ”っと脳が信号を出すらしいです」
みさき「いえ、でも・・・ そうは言っても、適当な量ってものがありますよね…? 普通なら、甘すぎるモノはかえって食欲を減退させますよね?」
三宅「そうですね、普通の人なら、そうなんですけどね・・・」
三宅「ごく稀に、その理屈が全く通用しない人間がいるんです。 底無しに“甘さ”に対する食欲を持ち続ける人間… 俗に、“糖質人間”とも呼ばれています」
みさき「糖質人間・・・」
三宅「赤○さんは、もうムチャクチャな糖質人間で… マヨネーズとかケチャップに直接砂糖をブッかけて、それをつけて大食いしたりもしてました」
みさき「なるほど… では、やはり宮永選手も普通ではない“糖質人間”ということですね?」
三宅「間違いなくそうでしょう。 ずんだ餅は、ケーキや羊羹などと比べれば糖度は低いとはいえ、甘い食材にさらに砂糖をかける人というのは私も初めて見ます」
三宅「体の中がどんな仕組みになってるのかは分かりませんが… 普通の人の何倍も何十倍も糖分を摂取しても平気でいられる… そんな、理解不能のモンスター級甘味人間みたいですね」
みさき「そ、そうですか… やはり“お菓子を食べるために作られた体”は伊達ではありませんね! アッという間に高鴨選手を抜き去り、どんどん差を・・・ あれ、おや・・・?」
三宅「? どうしました村吉さん」
みさき「いえ・・・ 高鴨選手の様子が・・・」
~バトルフィールド~
穏乃「………」ムグマグハムアムゴキュモッチマッチュモミュモミュハングアグマグ!・・・・
えり「・・・次鋒戦ずんだ富士勝負! 大変なことになってきました! 宮永選手が魔神のようなスパートで高鴨選手を突き放したかのように見えましたが… すぐさま高鴨選手も追撃! 腕の回転にターボをかけて…あの宮永選手に食らいついています!」
咏「…すごいね。 4速を飛ばして一気に5速に入れたねぃ」
えり「大食いのF1レースのようになってきてしまいました… …高鴨選手、大丈夫ですか? そんなペースで食べ・・・ あれ?」
穏乃「………」モグモグガツガツモチモチムンニュムンニュハムアムアム・・・
えり「高鴨選手? あの・・・」
咏「…えりちゃん、ダメ、話しかけない方がいい」
えり「え? 高鴨選手、何か、様子が・・・」
咏「極度の集中でゾーンに入ってる。 何も聞こえてないよ」
穏乃(・・・・・)モグモグムグモグモグモグムグハム・・・
この時・・・ 高鴨穏乃は、一人だけ、周りとは全く違う異空間にいた。
穏乃(・・・何も聞こえない。 完全に、無音だ・・・)ハムアムハムアム
穏乃(周りの人たちが… スローモーションみたいにゆっくり動いてる…)
穏乃(あんなに速かったチャンピオンも、全然、普通のペースで食べてる。 あれくらいのスピードなら、ついていける…)ハムアムアム
穏乃(時間がゆっくり流れるようになってきてるぜ…! よし!このまま、もっともっと意識を、ずんだ餅の山の中に・・・!)スウウウウウ・・・
穏乃(今、この世に存在しているのは… ずんだ餅と、桑の葉茶と、私… この、3つだけ・・・!)スウウ―――ッ・・・!
照「&ミギュッ…;@f…hj>まちゅうっp¥g…&Kマグムグッprt$はんむぅっ!」バリバリバババババババァ―――――ッ!
穏乃「………」もちゅもちゅムグマグはむあんむゴキュモッチもみゅもみゅハングアグマグがつがつ!・・・・
えり『ちょっと… なんなんでしょうか… バトルフィールドの空気が、非常に殺伐とした雰囲気になってまいりました! 両選手ともに… 何かオーラのようなものが噴き出しているような気すらします!』
えり『宮永選手の前の、白く雪化粧された山は、まるで淡雪が解けて無くなるようにみるみるうちに小さくなっていきます! しかしぃ! その宮永選手に負けないペースで、ずんだ餅を吸い込んでいきます、高鴨選手!』
えり『二人とももう食材しか見ていません! 一心不乱、ずんだ餅一直線です!』
久「……」
菫「……」
恭子「……」
洋榎「……」
えり『両選手の、あまりにも鬼気迫る食べっぷりに、両チームとも応援の声がやんでしまいました・・・ 何か、未知の生物を見るかのように、押し黙って戦況を見守っています』
えり『時間は間もなく開始10分になろうとしています! 最後までこんなペースが続くはずはありませんが… この後、一体、どんな展開が待っているのか…? 私、少し恐ろしくなってきました・・・!』
<10分経過時点メーター数値>
宮永照(シャイニング) “1760g”(1440g完食)
高鴨穏乃(チョモランマ) “1840g”(1360g完食)
乙ー
毎度思うが咀嚼の擬音?にセンスを感じる
~バトルフィールド~
穏乃「………」ムグマグハムアムゴキュモッチマッチュモミュモミュハングアグマグ!・・・・
えり『・・・次鋒戦ずんだ富士勝負! 大変なことになってきました! 宮永選手が魔神のようなスパートで高鴨選手を突き放したかのように見えましたが… すぐさま高鴨選手も追撃! 腕の回転にターボをかけて…あの宮永選手に食らいついています!』
咏「…すごいね。 4速を飛ばして一気に5速に入れたねぃ」
えり『大食いのF1レースのようになってきてしまいました… …高鴨選手、大丈夫ですか? そんなペースで食べ・・・ あれ?』
穏乃「………」モグモグガツガツモチモチムンニュムンニュハムアムアム・・・
えり『高鴨選手? あの・・・』
咏「…えりちゃん、ダメ、話しかけない方がいい」
えり『え? 高鴨選手、何か、様子が・・・』
咏「極度の集中でゾーンに入ってる。 何も聞こえてないよ」
PM6:45(試合開始10分)
~チョモランマチーム~
洋榎「お…おい、荒川!」ヒソヒソ
憩「ん? なんですかーぁ洋榎さん?」
洋榎「一体どうなっとるんやアレは・・・ 二人ともほんまに大丈夫なんか? あんなペースで食べ続けて…」
憩「あぁ… まあ、今んとこはなぁ」
恭子「二人とも、1分で5~6個のずんだ餅を食べとるで… 食べ始めた時の2倍のスピードになっとる… ちゃんと噛んどるんか…?」
誓子「いくらのどに詰まりにくい素材で作ったとはいえ、あんなペースで食べたら…危険ではないですか?」
憩「桧森さん・・・ “危険じゃない大食い”なんか、無いんですよ・・・?」
誓子「え、いや、そうは言っても…」
憩「ま、だから不測の事態に備えてウチがいつもいる訳なんやけどなー… でも、今のとこはあのスピードでも、二人とも順調に咀嚼と嚥下をできとるから問題はあらへんで」
揺杏「…すげえな。 二人とも、片岡並みの“のど力”があるってことか…」
憩「いや、それは違うで、岩館さん」
揺杏「違うって… でもどう見ても片岡と同等かそれ以上の迫力だぜ、あれは…?」
憩「うん、でもな、片岡さんののど力は完全にナチュラルボーンのものなんや… 食道の断面積が普通よりも広いことと、食堂の周りの輪状筋が異常に発達してることで、あんなムチャ食いが可能になっとるってワケやな。
それに比べれば、チャンピオンと穏乃ちゃんののどは、作りはみんなと大して変わらないですよーぅ?」
誓子「え…? じゃあ、どうしてあんなすごいスピードで…?」
憩「アレは… 多分、甘味限定で働く“能力”みたいなもんやな…」
恭子「能力・・・?」ブルッ
絹恵「…麻雀で能力を発揮するように、大食いでも特殊な能力を発揮しとるっちゅうことですか?」
憩「そうや。 絹ちゃん、のど力を“管轄”しているのは、どこか知っとる?」
絹恵「のど力を管轄・・・? コントロールしとる所ってことですか…?」
漫「そりゃ当然、脳でしょ?」
憩「ふふん、脳っつっても色々あるで。 脳のどこらヘンか分かるかな~ぁ?♪」
漫「さ、さあ…? 右脳とかですかね?」
憩「ブッブーちがいますよーぅ。 嚥下だけでなく、呼吸やくしゃみ、せき、しゃっくりなんかの体の“反射”をつかさどっているのは・・・ “延髄”なんやで」
洋榎「エンズイ… 首の後ろの部分にあるヤツやな?」
憩「そーですよぅ♪ 延髄は、大脳と違って、“思考”をつかさどってる場所ではないんや。 例えば、くしゃみとか、“よし、くしゃみしよう!”と思ってするワケじゃなくて、勝手に出てくるもんやろ? あれは、延髄の“くしゃみ中枢”っちゅう部分が働いているからなんや。 呼吸や嚥下も一緒なんやで」
憩「食べてる時、口の中の物を“飲み込もう”と思って飲み込むことって少ないやろ? 別に何も考えんでも、勝手にのどを通ってく… あれは、延髄による“嚥下反射”が起きとるからなんや」
漫「うーん… じゃあ、チャンピオンと高鴨は延髄が超マッチョなんですかね」
憩「いや、そういうワケじゃなくて・・・ えーっとなぁ、みんな、自分の嫌いな物を食べなきゃいけない時って、お腹すいとってもなかなかのどを通っていかへんやろ? その逆で、自分の大好物を食べる時は、美味しい美味しいって思っとるうちに、どんどんのどを通っていくやろ?
あれは、“好物”の場合は、延髄が活発に働いて“嚥下反射”をどんどん起こすからなんや」
由子「つまり… チャンピオンも高鴨さんも甘い物が大好きだから、立て続けに嚥下反射が起きて、速く食べれるってことなのよー?」
憩「そーやね。 チャンピオンはまさにそう… 穏乃ちゃんは、それ以外にも何か別の能力を発動しとるみたいやけどね…」
洋榎「ほーかほーかなるほどな! ふふん、どうや荒川! さっきは高鴨がチャンピオンに勝てる可能性は殆どないみたいなこと言うとったけど… チャンピオンが本気出しても高鴨はついていっとるで? 考えが変わったんちゃうか?」
憩「…いや、別にぃ? チャンピオンの圧倒的有利は残念ながら変わりませんよーぅ?」
恭子「なんや・・・ チャンピオンにはまだ何かあるんか?」
憩「多分… 中盤終わりから終盤にかけて… 本来の“実力差”が顕在することになると思うで…」ニタア・・・
バタンッ
一同「「「「「!!?」」」」」
憧「憩さん… 適当なこと、言わないでもらえますか? シズは…勝ちますよ」ハアハア
憩「・・・憧ちゃん」
灼「憧、おかえり、買ってこれた?」
憧「コンビニ、意外と見つかんなくってさ…、遅くなっちゃった。 でも、目的のブツはばっちり買ってこれたわよ、これ!」ガサガサ
揺杏「ん…? これが味変アイテムなのか?」
憧「そうよ。 じゃ、私、玄たちに渡してくるわね!」テテテッ
~バトルフィールド~
照「マギュムグ^#wj…kt▼はむもっちゅ>…pgヴァックモンニュゥ!」ドドリグショウィヤアァ―――ッ!
穏乃「………」マグモグガツガツモッチモッチハンムモンニュムンニュハムアムアムゥゥゥッ・・・!
えり『・・・両選手、トップギアに入れ替えたまま、ペースが落ちませんね… 凄まじい中盤戦になってまいりました…!
私、選手たちに話を聞きたいんですが、さっきから完全に無視をされてまして… マイク向けることもできません』
咏「えりちゃん、だからってボサッとしてちゃいかんよ。 少しずつだけど、状況変わってきてるぜ・・・?」
えり『え・・・ そ、そうですね… さきほど…メーターの数値は、宮永選手が100g近くの差をつけていましたが… 徐々に縮まってきてますね・・・
今、二人の差は約40g… ずんだ餅わずか1個分になっています。 これは・・・ 高鴨選手のペースがさらに上がっている・・・?』
咏「うん、それと… 宮永ちゃんは逆に、少しずつだけど… ペース落ちてきてるみたいだねぃ」
玄(…穏乃ちゃん… 憧ちゃんが味変アイテム持ってきてくれたけど、今はとても渡せないよ… ものすごい気迫と集中力ですのだ・・・!)
宥(穏乃ちゃん・・・ ガンバッて・・・!)フルフル
穏乃(……)ムグムグムグ
穏乃(今… 時間ってどのくらい経ったんだろ…?)
穏乃(チャンピオンに、少しは追いつけたのかな…?)
穏乃(目の前の山以外、何も、見えないけど・・・ でも、なんだろ、ものすごく体が軽い・・・!)
穏乃(もう、完全に山の半分は食べてるけど、体の調子は、食べ始める前と全然変わらないぜ…)
穏乃(チャンピオンを気にする必要なんか、ない・・・! 今の私は絶好調だ・・・ このまま、最後まで突っ走るぞ・・・!)モグムグハムアム
照「…&Kマグムグッprt$はんむぅっ&ミギュッ…;@f…hj>まちゅうっp¥!」 ドドドドドド―――ッ!
穏乃「………」ゴキュモッチもみゅもみゅハングアグマグがつがつもちゅもちゅムグマグはむあんむぅぅっ!・・・・
えり『さあさあ… 凄まじい勢いが止まらない両選手… しかし、徐々にメーターの数値が横並びになってきましたね・・・? ハイスピードのデッドヒート…! その中で、大食い勇者、高鴨選手が果敢に追い上げています! もう少しであの宮永選手をまくれそうです!』
えり『二人とも、先ほど残り1200gを切りました・・・! ついに2kg… ずんだ餅“50個”をその胃袋に収めてしまっています!』
咏「ふふっ、ずんだ餅50個ね… 大相撲の若手でも食べるの無理だろね」
照「……」チラッ
照「・・・ふぅ」ピタッ ゴキュゴキュ
えり『お… 宮永選手、脇目もふらずに食べていましたが、今、チラッと高鴨選手の方を見ましたね…? そして、ちょっと手を止めて、桑の葉茶を
飲んで一息ついてしまいました…』
穏乃「……」モッチモッチハンムモンニュまぐまぐがつがつムンニュハムアムアムゥ・・・!
えり『そ、そのスキに、高鴨選手がついに宮永選手を抜きましたね…! すごいです! 勢いに衰えが全く見られません!』
憧「シッズぅぅ! その調子よぉっ!!」
由暉子「が・・・がんばって下さい! 絶対に勝って下さいぃ!」
絹恵「穏乃ちゃあん! ファアイトオオオオォォ―――ッッ!!」
淡「?? て、テルー…?」
咲「おねえ、ちゃん…?」
霞「あら、あら、ら…?」
えり『押し黙っていたチョモランマチームから、一気に歓声が沸き上がります! そして… 逆にシャイニングチームは… “そんなバカな?”というような表情で唖然としていますね!』
えり『宮永選手、休んでるヒマありませんよ? さすがに、少しキツくなってきましたか?』
照「いや… お腹はまだ大丈夫なんですけど… 少し、飽きてきたかもしれない・・・」
えり『宮永選手、快調に飛ばしていましたが、ついに“飽きてきた”宣言が出てしまいました…! これは… 甘味大食い大魔王が、大食い勇者に追い詰められてると見ていいのでしょうか?』
照「は? 追い詰められてる…? 私がですか?」
えり『えっ、いやでも… せっかくリードしてたのに、もう完全に抜かれちゃいましたよ…?』
照「うん、確かに、高鴨さんがここまでついてくるとは思わなかった… 正直、ちょっとビックリですけどね… そろそろ、私も次のヤツ使いますね」ゴソゴソ
えり『…ん? 宮永選手、袋から、2つ目の味変アイテムを取り出し・・・ ?? なんですかそれ、チューブ…?』
照「ふふっ、これをつけるとですねぇ… ずんだ餅ちゃんが、“変身”するんですよ・・・」クククク・・・
((;゚Д゚))
揺杏のうんこを食う
この作者読者が微妙に不快になるっていうか、不愉快になるところついてくるのうまいね
満腹感の表現とかね。読んでて「うえぇ、キツそう」ってなるわ。
あと、なんかキャラの言動が微妙に気持ち悪いっつーか
揺杏のうんこを外気に触れないように肛門から直接食う
まだー?
まだー?
揺杏のうんこを食う
揺杏のうんこを食う
揺杏のうんこを食う
まだ?
揺杏のうんこを食う
揺杏のうんこを食う
揺杏のうんこを食う
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