恒子「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(3回戦)っだぁぁーっ!!」 (358)



~プロローグ~


10月中旬、AM6:05



恒子「1・2、1・2、」フッフッ


東京都内の多摩川河川敷、水色のジャージを上下に着込み、首にタオルを巻きつけたアナウンサー福与恒子が、屈伸運動をしていた。


恒子「あーっ、もう朝は肌寒いなぁ」フーッ


先ほど上ってきたばかりの太陽の光が、多摩川の水面でキラキラと躍っている。

恒子は、体力を維持するために、週に3回は朝ジョグを行っているのである。


恒子「…よっし、じゃあ今日は30分くらい走るかな」チラッ


恒子は腕時計で時間を確認すると走り始めた。
人影はまだほとんど見られない。
対岸の遊歩道で、犬の散歩をしている男が一人見える。


恒子「んーっ、やっぱり朝の川沿いの道が一番だなー… 空気がおいしい!」タッタッタッ

恒子「今日は午後、大食い選手権の実況だからなぁ。気合い入れてかないと・・・ ん? あれは…?」


前から、ピンクのジャージを着た少女がこちらに向かって走ってくる。

薄茶色の髪の毛で、ショートカットでまるっこい頭をしている。


恒子(…どっかで見たなあの子。 誰だ…?)




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408157047



・1作目→久「麻雀部限定、全国大食い選手権」
     久「麻雀部限定、全国大食い選手権」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399305486/)

・2作目→優希「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(予選)」
     優希「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(予選)」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399551723/)

・3作目→はやり「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(1回戦)だぞっ☆」
     はやり「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(1回戦)だぞっ☆」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401369950/)

・4作目(前作)→のよりん「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(2回戦)…!!」プンスコ=3=3
     のよりん「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(2回戦)…!!」プンスコ=3=3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403857666/)


・インターハイ終了後の10月中旬、出場校のメンバーが再び東京に集まり、大食い大会に参加しています。

・大食い競技の模様はテレビで生中継しています。

・昨日の2回戦(スイーツ勝負)を勝ち抜いた7名↓(記録の良かった順)


①西東京白糸台高校3年     宮永照
 
②鹿児島永水女子高等部1年   滝見春

③奈良阿知賀女子学院高等部1年 高鴨穏乃

④長野清澄高校1年       片岡優希

⑤南北海道有珠山高校3年    獅子原爽

⑥南大阪姫松高校2年      愛宕絹恵

⑦兵庫劔谷高校3年       椿野美幸


・今回は、選手たちがラーメンを10杯以上本気で食べます。

・空腹感、または逆に強制的な満腹感や胸焼けを感じる可能性があるのでご注意下さい。

・かなり大量のキャラが現れます

・チームメンバーの交通費及び宿泊費も支給されるため、選手以外のメンバーも東京に来ています。

・遅筆です。よろしければお付き合いください




新スレ立てました。

3回戦もよろしくお願いします。

恒子「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(3回戦)っだぁぁーっ!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/.../l50


ごめんなさい>>3は間違い。
何やってるんだろう俺


恒子「…あれ? あ、椿野さん!?」

美幸「…あ、アナウンサーの…福与さん」

恒子「奇遇だねえ! こんなとこで会うなんて。 椿野さんもジョギング?」

美幸「…はい。 みんなが泊まってる宿泊施設、すぐソコなんですよ」

恒子「そっかあ。 ねえ、ちょっと歩いてお話しない?」

美幸「…そうですね、いいですよ」ニコッ


恒子「ジャージまで着て、泊まりなのに準備いいねー。 ジョギングよくするの?」

美幸「うーん、私、たくさん食べるとすぐ顔に出ちゃうんですぅ。 昨日3kg以上もスイーツ食べたから…、ちょっと運動しなきゃなっと思って」

恒子「へえ~、大食い戦士でもそういうこと考えるんだ。 いくら食べても太んないのかと思ってた」

美幸「…私以外は、そうかもしれないですね」

恒子「え?」

美幸「…勝ち残ってる7人の選手… 私を除いた6人はみんな、本物の『バケモノ』ですよ…
  あの人たちは、女子高生の皮をかぶったモンスターです」


恒子「はあ… いや、椿野さんも十分モンスターだと思うけど?」

美幸「私なんかフツウですよ。あの人たちに比べれば」

恒子「…そうかぁ? 確かに、椿野さんはここまでいつもギリギリで勝ち上がってきてるけど、昨日は3人脱落した中で堂々の7位だったじゃん」

美幸「あれはたまたまです。 江口さんも小瀬川さんも、まともに闘って勝てる相手じゃありません。 たまたま状況が有利に働いて奇跡的に勝てただけです」

恒子「いや、そんなに自分を卑下することないでしょ? …なんか、あなたらしくないね。 いつも能天気で明るいのに」


美幸「…怖いんですよ」

恒子「怖い?」

美幸「実際に何度も闘ったから分かるんです。 あの人たちは本物のバケモノ。そして私は凡人。
  ジェロニモですよ。人間なのに、ただ一人で超人たちに立ち向かうみたいなもんです。 それくらいの差がありますよ」

恒子「…」

美幸「今走ってたのも、緊張してて早く起きちゃったからなんです。 昨日は目が冴えてなかなか寝付けなかったし…」

恒子「そう…」

美幸「今日の3回戦、誰も、私が勝ち残るとは思ってないでしょうね。 チームメイトのみんなも、心の中ではもうさすがにムリだと思ってると思いますよ」

恒子「…ふうん、それで?」

美幸「…え?」

恒子「勝つ見込みは極めて低い。 だからって、そんなシケた顔で、低いテンションで勝負に挑むの?」

美幸「…ふふ、そんなわけないじゃないですか。 やだなあ、もぉー…」ニタアアア

恒子「?」ゾクッ


美幸「勝つ可能性が0.1%でも、私は全力で闘いますよ。 自分より弱い相手と闘ったってつまんないじゃないですか」

美幸「恐怖感はありますけど、あのバケモノたちとまた本気の勝負をできるかと思うと…、なんていうんですか、こう、こわ嬉しくて、こわ楽しみで、興奮して、体が震え出すんですよっ!」フルフルフル

恒子「…!」ビリビリビリ


美幸「ジョギングしてたのは、1時からの試合に向けて体調を整えるためでもあるんです。 昨日の夜も水をしっかり飲んで胃を膨らましときましたしね。 万全のコンディションで挑みますよぉ!」

恒子「・・・はは、なんだ、心配いらないね。 やる気マンマンじゃない」


美幸「…福与さん、3回戦のメニューって、“麺”なんじゃないですか?」

恒子「え?」

美幸「ここまで、オムライス・お寿司・駅弁とか、ご飯物が多かったから、今日はご飯が出るとは考えにくいですよね。 パン類かな?とも考えたけど、昨日ケーキやクレープを食べたばかりだから、それも考えにくい…。
  そうなると、残るはやっぱり麺類の可能性が高いんじゃないかと思うんです」ニヤッ

恒子「…」

美幸「大食いでは麺類はよく出てきますよね。 それなのに、ここまで全く出てきてないわけですから、そろそろ出てくるんじゃないかなー?って。 それが、うどんなのかラーメンなのかパスタなのかまでは分からないですけど」

恒子「…えーっと、私が食材を教えるわけにはいかないけど、まあ、イイ線いってんじゃない?ってかんじ?」

美幸「むふふ、やっぱり…」ニッコリ

恒子「…何? もし麺だったら、何か秘策でもあるの?」

美幸「秘策ってほどじゃないですけど、まあ、色々準備はしていきますよ」

恒子「ふうん…」

美幸「福与さん、また私のことガンガンあおってくれていいですからねっ!」

恒子「へえー、生意気なこと言うじゃん。 私を本気にさせると大変だよ?」

美幸「…楽しみにしてて下さい。史上最強の、ジャイアントキリングを見せてあげますよ・・・!!」ボッ


恒子(…)

恒子(この子、普段はのほほーんとして頼りなさげに見えるけど…)

恒子(大した根性だね… やっぱり超激戦区兵庫の代表チームで先鋒やってただけあるよ…)

恒子(なるほどねー。 こりゃ後輩さんたちに慕われるわけだ…)



AM6:40 宿泊施設内食堂


初美「まだ私たち以外誰もいませんねー。貸切り状態ですよー」ムッシャムッシャ

巴「他の学校の人たちは、みんな夜遅くまで遊んでたみたいだからね。まだ寝てるんだよ…」モグモグ

小蒔「はああ… お味噌汁おいしいです…」ホワアアア

春「…」モリモリモリモリ

初美「いやあはるるすごいですねえ… 昨日あんなにたくさんスイーツ食べたのに、いつもどおりのご飯の量ですよー」

巴「超山盛り… ご飯がそびえ立ってる…」

小蒔「おひつのご飯なくなるといけないから、炊事の人に言っておかないといけませんね」


霞「…あら? 春ちゃん、ゾウリの緒が切れてるわよ?」

初美「おや、本当ですねー」

春「…ここに来る時に、急に 切れた…」


霞「そんなゾウリはいてて転んだらいけないわ。 今直してあげるから貸しなさい」

春「…お願い…しま す」スッ

霞(…何かしら… 何か、嫌な予感がするわ… 春ちゃんの身に、何か、起きる…?)ザワザワ



AM7:10 宿泊施設内阿知賀部屋


玄「おはよー! そろそろ起きた方がいいよーっ」

憧「…あー、7時過ぎてるねえ。 朝風呂…行くんだったね…ゴメン」ムニャ

穏乃「何…? ここどこ…?」ヌボーッ

憧「何言ってんの?ホテルだよ東京の!」

穏乃「…ああ・・・」

穏乃「・・・・?」フニャフニャ

穏乃「大食い! 試合か!」ガバッ

憧「オイ主役! それ忘れちゃダメ!」


AM7:20 大浴場・脱衣所


玄「あ…先客いるねえ」

穏乃「この制服は…、白糸台だ!」





ガララッ

宥「わあ… 思ったより広いね」

菫「…お、宥…!///」

穏乃「どうも、オハヨーございまーっす!!」

照「ああ、阿知賀の人たち…おはよう…」

憧「あれ? チャンピオン、その左手どうしたんです?」

 
照は、大きなビニール手袋を左手にはめて湯船につかっていたのだ。


照「ああ、これ… 昨日あのロボットと闘った時にケガしたんだよ… 中手骨、剥離骨折してるみたい」

穏乃「えっ! 骨折!? 大丈夫ですか?」

照「ん~、痛みは今はないんだけど、包帯して固めてる… 物を握るのはちょっと無理」

憧「え…、今日の試合、大丈夫なんですか?」

照「まあ、利き腕じゃないから平気だと思うけど…」

穏乃「右手が大丈夫なら平気ですよ! まあ、チャンピオン強いから、それくらいのハンデどってことないですよね!」

憧「ちょっとシズ! …それ失礼よ…? 無理して痛めないようにして下さいね」

照「うん、ありがとう」ニコ



玄(むはっむはっ! 渋谷さんの、な、生おもち…! お、お姉ちゃんより、デカいですのだ…!///)ハアハアハア


ガラララッ!

淡「もー! みんな私置いてお風呂いくなんてぇ! ずっこいぃ!」スッポンポーン

菫「あ、淡… いや、お前、昨日結局部屋に戻らずに、そのまま姫松の部屋で寝てたじゃないか」

淡「お風呂行くんなら声かけてくれてもいいじゃん!」プンスカ=3

照「行く時ちょっと覗いたけど、気持ち良さそうに寝てたから…」

淡「むーっ」プクーッ

穏乃「大星さん、姫松の人たちと一緒に寝たの?」

淡「そだよーっ。 あ、阿知賀の人たちも全員そろってるんだね。 オハヨーッ!」


菫「淡、姫松部屋はどうだった?」

淡「めっちゃんこ楽しかったぁ! トランプして、枕投げして、一発芸大会して、ものすごく笑って死ぬかと思った!
上重さん2回もおならしたんだよ!」

照「…ふうん… 変なことされたりしなかった?」

淡「何言ってんの? 姫松にはテルーみたいな変態さんはいませんよぉーっだ」

菫「淡… ここは風呂場だ。もう少し声のトーンをおさえろ…」


宥「あったか~い。 ねえ菫ちゃん、なんだか学校合同の修学旅行みたいだね。 すごい楽しい…!」

菫「そ、そうだな…///」



すみません今日はここまでです。
また明日続き書きます。
競技開始まではしばしお待ちを。

このあと照とシノハユの春日井真深(まふふ)が主人公のSSのスレを立てるので、良かったらそちらも見て下さい。


AM7:55 施設内食堂


 ガチャッ

久「あら、洋榎じゃない、おはようっ!」

洋榎「おーう、清澄のメンバーも来たか。おはよーさーん」ムグムグ

優希「きぬちゃん! おはようだじぇえ!」ニパアッ

絹恵「優希ちゃんおはよっ! ちゃんと寝れた?」モグモグ

優希「バッチリ爆睡だじぇ!」ビッ



※絹恵と優希は1回戦の時、仲良くなりました


絹恵「モッシャモッシャワッシワッシガッフバックゴックン!」

優希「ぱっこぱっこはんむもっちゃもっちょんっちゅごぉっくん!」


久「…いやはや、2人とも本当にすごい食べっぷりねぇ」

由子「見てるだけでお腹いっぱいになっちゃうのよー」

洋榎「勝ち残ってる7人、みんな大した胃袋の持ち主やけど、トップツーはまあこの2人やろなあ」

久「へーえ、じゃあトップはどちらなのかしら?」

洋榎「久… それうちに言わしちゃあかんわ。 片岡も強いは強いねんけど、うちの絹にはかなわへんで」

久「あら?昨日の勝負じゃ大差で優希が勝っているのよ?」

洋榎「…昨日は食材が特殊だっただけじゃい! 現に1回戦では絹がトップだったやろが!」


久「あんな数秒の差なんて差じゃないわよ。 あの時優希はまだ余裕があったけど、絹恵さんはいっぱいいっぱいだったんじゃない?」

洋榎「アホぬかせ! あの日は終わったあと、帰りの新幹線で絹はさらに駅弁3つも食ったんやぞ! 予選でも絹は片岡の1.5倍以上食っとるがな」

久「バカね。予選では優希は本気を出す必要がなかっただけよ。 途中でタコス食べてたんだから」

洋榎・久「「うぬぬぬぬ…!!」」バチバチバチバチ



まこ「下らんことでケンカしなさんな二人とも… ほいなら、今日の試合で記録の良かった方が、とりあえず強いってことでええんじゃないか?」

久「いい案ね。 …うーん、でもそれだけじゃ面白くないわね… そうだ、お互いに何か賭けない?」

洋榎「賭け?」

久「そう、二人の勝負に、私と洋榎の何か大切なものを賭けるのよ」

洋榎「ほーお、オモロイやないか」

久「私は、今日の勝負、もし優希が負けたら>>23してあげるわ」



>>23 安価お願いします

本命にプロポーズ
本命は>>27

>>23
マジか!?
えーっと、ちょっと進めるね?



久「私は、今日の勝負、もし優希が負けたら、本命にプロポーズしてあげるわ!」

漫「ぶっ」ゲホッゲホ

洋榎「ほお…」

咲「ぶ、部長の本命…?」


洋榎「久… プロポーズっちゅうんは、中途半端な告白とちゃうねんぞ…? その相手のことを一生大切にするって誓うことなんやで。 お前にそれができるんか?」

久「やってみせるわ。 みんなの前で誓ってみせるわよ」



>>27の安価お願いします

タコスと絹の勝負がついてからのお楽しみ♪


洋榎「ほーお、言うのう」

和「なんだかすごい事になってきましたね」

咲「で、でも… 部長の本命って一体誰なんですか?」

まこ「わしも興味あるのう。 30人くらい本命がおるんじゃないか?」

久「失礼ね! 本命といったら一人しかいないわよ。 でも、今はナーイショ♪ もし万が一優希が負けたら、その時に教えてあげる」

優希「部長… いいのかじぇ? そんな約束して…」

久「平気よ。あなたが負けるわけないって信じてるもの」

優希「そうか… それなら、今日は本気の本気で闘ってやるじぇえ!」ゴオッ


久「さあ洋榎、あなたは何を賭けるの?」

洋榎「ふん、じゃあ、もし億が一絹が負けたら、うちは>>31したるで!」

清澄に1年生として入学して雑用

ごめんなさい寝てました。書きます。


洋榎「ふん、じゃあ、もし億が一絹が負けたら、うちは清澄に1年生として入学して雑用をしたるで!」


恭子「 ぶっっ! 」

漫「な、なんですて?」

絹恵「お、おねーちゃん、冗談でしょ!?」

洋榎「冗談なんかじゃあらへん。 この愛宕洋榎に二言はないで!!」



久「…本気にしていいのかしら?」

洋榎「あったり前田の敦子ちゃんや! 絹が今日、片岡に遅れをとるようなことがあったら、うちは姫松を卒業したあと清澄に高校再入学して、1年間麻雀部の雑用をやったる!!」

恭子「しゅ、主将! 何言うてるんですか? そんなことしたら、大学にも行けへんしプロにもなれませんよ?」

洋榎「ええわ。1年間浪人するようなもんや」


和「愛宕さんが清澄に入ってくれるなんて、願ってもないことですね」

まこ「そうじゃの。 久が抜ける穴を完全に埋められるのう」

咲「京ちゃんも雑用係が増えれば喜ぶよ! 優希ちゃん! 麻雀部のためにも絶対勝って!!」

優希「お、おう・・・」



洋榎「何を浮かれとるんや。 絹が負けたらの話やぞ?
  うちはなんの心配もしとらん。 絹が絶対に勝ってくれると信じとるでな。 なあ、絹?」

絹恵「そ、そりゃ、勝つつもりで闘うけど…」

優希「きぬちゃん、覚悟決めるしかないじょ。 あたしは今日は全力で闘う。 正々堂々と勝負しようじぇえ!」

絹恵「・・・分かったよ優希ちゃん。 でも、私は絶対に負けてあげないからね。
  竹井さん、今のうちにプロポーズのセリフを考えておいた方がいいですよ?」


優希・絹恵「「・・・・・」」バチバチバチバチ



とりあえずここまで。
今日の夜にまた続き書きます。
安価提供本当にありがとうございました!
楽しく書いていけそうです。

前スレに18日再開てあったからフライングびびった
期待

>>38
前スレの書き込みから3週間後っていったら今日ですもんね。
ごめんなさい曖昧な書き方で分かり辛かったと思う。



AM11:35 宿泊施設玄関前


漫「あれ? はやりさん?」

はやり「ヤッホー上重さん!☆ むむっ? 何そのオデコの『丑』って」

漫「…さっき罰ゲームで末原先輩に書かれたんですよ… 油性で書かれたからなかなか落ちひんのです…」

はやり「アハハッ☆ 上重さんのオデコかわいいから、何か書きたくなるんだよねぇ! はやりもなんか書いちゃおっかなっ!」ハヤッ

漫「や、やめて下さいよ。 な、何しに来たんですか?」

はやり「選手たちを迎えに来たんだよーっ! 館内放送かけるから、上重さん事務所まで案内してくれる?☆」


はやり『あー、あー、マイクテス、マイクテス、はやりのお肌はピチピチー、すこやんのお肌はシワシワー』


はやり『館内のみんなっ! オッハヨォ―――ッッ!! はやりだよんっ☆』キャルンッ


はやり『昨日はよく寝れたかな~? えーっとね、この後、選手の人たちは車で会場に移動するから、12:00までに準備して玄関に集まって下さーいっ♪』


はやり『選手じゃないオーエンの子たちは、12:30に迎えのバスが来るから、早目にお昼食べとくんだぞーっ!☆』


はやり『んじゃ、そーゆーことで、よろしくうぅぅっっ!!』パヤッ



はやり「さーて、待ってる間ちょっとトイレ行ってこよーっと」テケテケ


~トイレ~


ガチャッ

はやり「おしっこおしっこ~♪ はやりの黄金水は極上ジュ~スゥ~ッ♪ うわっ、何!?」


はやりがトイレに入ると、そこには山んばのような少女が立っていた。



爽「…あ、オハヨウゴザイマス…」ボッサボッサ

はやり「し、獅子原さん? すんごい寝グセだよ? まさか今起きたの?」

爽「…はい、なんか館内放送で起きました」ボーッ

はやり「…こんのスカポンタン!! 12時に会場行きのワゴンが出るよ! サッサと準備しなさい!
   昨日、村吉さんから説明あったでしょ?」

爽「…そうだったっけかな」ホケーッ


はやり「もーう! ああしかもクッサ! うんこしてたでしょ獅子原さん!!」

爽「むふっ… フランスパンくらいのヤツが出ましたよお・・・ 今日は私も、ちょっと本気出しちゃおっかな…」ニヤッ



AM11:50 姫松部屋


洋榎「絹ぅ準備できたか? そろそろ行くで」

絹恵「うん、大丈夫だよおねーちゃん」ヨイショッ

由子「絹ちゃん、そのリュックサックには何が入ってるのよー?」

絹恵「ああ、えーっと、使わないかもしれないですけど、一応ワサビとか一味唐辛子とかの調味料と、ドリンクのカルピスウォーターです」

漫「大食いもなんやかや準備がいるんやね… あれ? 主将、末原先輩まだ戻ってきてないみたいですよ?」

洋榎「ああん? 何やと? あいついつまでトイレ行っとるんや…」


恭子「ごめんなさい、遅くなりました。 ちょっと便のキレが悪くて…」ハアハア

洋榎「遅いわ恭子。 うちらも絹の見送りのあと、そのまま食堂で昼メシ食ってバスに乗るから、荷物全部持ってくで」

恭子「は、はい」アタフタ



姫松メンバーは全員で部屋を出、2階から1階への階段を降り始めた。


その時、


恭子「あっ」スルッ

あわてていた恭子のスリッパが脱げ、トントンと2、3段下まで転げた。


恭子「おっと…」

恭子はかがんでスリッパを拾おうとしたが、誤って足をふみ外してしまった。

恭子「わっ!」

恭子はバランスを崩し、すぐ前にいた絹恵の背中に激突…

絹恵「えっ」


ゴロゴロ ドタンドタン!!


二人はそのままもつれ合いながら踊り場まで落ちてしまった。


恭子「イテテテ…」



洋榎「おっおい! 大丈夫か二人とも!!」


絹恵「だ、だいじょぶです。 ご、ごめん絹ちゃん!って、アレ…?」


恭子「…うーんいたた… 末原先輩、だいじょ…って、ハッ、ハアア・・・・?」


洋榎「なんやどうした二人とも!」


恭子(絹恵)「す、末原先輩が私になった・・・」カタカタカタ

絹恵(恭子)「…目の前に私が…って、あれ? こ、このオッパイ… 絹ちゃんの体…?」


漫「こ、これってもしかして…」



一同「「「「「入れかわった?」」」」」



絹恵(恭子)「もつれ合って落ちた衝撃で入れかわってしまったようやね・・・」

恭子(絹恵)「えええ…ほんまですか…?」


由子「ど、どうするの? もう会場行きの車が出てしまうのよー」

洋榎「ああもうしゃあない! 絹! とりあえずもう玄関行っとけ!」

絹恵「わ、私は末原ですよ…」

洋榎「えーっと、恭子! 今お前は絹なんや。 お前じゃないと選手として認めてもらえんで、とにかく玄関行っとけ!」

絹恵「は、はい…」テケテケ





漫「ま、まずくないですか…?」

洋榎「しゃあないやろ… イザとなったら、恭子に大食いに出てもらうしかないわ。
  まあ、たとえそうなっても、体は絹なんやから、だ、大丈夫…! …だよな?」アセダラーリ

由子「大変なことになったのよー」

恭子「なは、なはははは・・・」




PM0:20


インターハイ会場に到着したはやりと7人の選手たちは、選手用控え室に向かった。


優希「はやりさん! 今日の食材は何なんだじぇ?」スタスタ

はやり「まーだ内緒だって! それよりねえ、これからあなた達には、“ある事”をしてもらうよんっ☆」スタスタ

照「ある事…?」

はやり「ビックリすると思うけど、これ一応テレビ番組だから、視聴率とるために仕方ないんだって思ってね☆」

穏乃「えっえっ? なんなんですか? なんか怖いな…」

はやり「いや、別に怖くはないよぉ? でも、ちょっと恥ずかしいかもしれないね~☆」ニヤニヤ

美幸「…恥ずかしい?」


はやり「はい着いたよ! ここが控え室☆ どぉーぞおっ! 入ってごらーん♪」

穏乃「…よし、じゃあ、開けますよ…」

 
ガチャッ


穏乃「…え?」

照「うわ…」

絹恵「なんやこれ…」

爽「こらすごいな」


控え室の中は、まるで特撮映画の衣装置き場のように、様々な衣服が部屋いっぱいに吊るされていたのである。




はやり「えへへっ☆ ビックリした? 今回はね、みんなこの中からどれか一つ衣装を選んで、それに着替えて大食いをしてもらうYO!」

一同「「「・・・・」」」

はやり「あ、でもね、滝見さんだけは着替えないでそのままでいいよ。 滝見さんの場合、巫女服がチャームポイントになってるからねっ!☆」

はやり「じゃーそういういことで、早目に服選んで着替えといてね。 試合開始15分前になったらスタッフさんが呼びにくるからっ☆」

はやり「あ、あと、もう分かってると思うけど、トイレちゃんと行っとくんだよっ? はやり今日はスタジオの実況やんなきゃいけないから、もうここでバイバイッ!☆ がんばってねーっ♪」ドヒューン



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ーーーー


PM0:50  インターハイ会場外の多目的広場


ザワザワザワ ガヤガヤガヤ ワイワイワイ



恒子『全国!』


恒子『五千万人の!』


恒子『女子高生大食いファンの皆様ぁ!』


恒子『お待たせしましたっ! これよりいよいよ、全国高等学校大食い選手権3回戦を開催いたします!!』


ワーワー ピーピー パチパチパチパチ


恒子『本日はごらんの通り、屋外での大食い対決です! 天気も、普段の私の行いが良いせいでしょう! 快晴でございますっ!!』

恒子『ただ今会場はすさまじい熱気でムンムンです! チームメンバーの高校生だけでなく、ネットなどで情報を得た大食いファンの皆様がつめかけ、選手の入場を今か今かと待ち構えています!』


恒子『ではっ! いよいよっ! 選手の入場です!』

恒子『ミュージックゥ、スタートゥッッ!!』


恒子の合図とともに、ロッキーのテーマが流れる。


デデーンデーン♪  デデーンデーン♪  デデーンデーン♪  デデーンデーン♪


恒子『さああっっ! まず一人目は、この人だぁぁっ!』


恒子『大食い界のド根性お嬢様ぁ! 接戦での粘り強さは随一! 可憐な外見からは想像もできないようなファイティングスピリッツでここまで勝ち上がってきました!
  今日はどんな熱い闘いを見せてくれるのかぁ!

  兵庫劔谷高校3年! 椿野ぉっ 美幸ぃぃぃ―――――っっっ!! 』


プシューッ


会場出入り口に設置された器具から白い煙が噴き上がる。



 友香「せ、先輩が最初なんでぇーっ!」ワクワク

 莉子「すごーい! まるでスターの登場だね!」ドキドキ



美幸「う、うう… ケムいな、もぉ――っ!」テクテク



煙の中から美幸が姿を見せた時、その場にいた者は全員凍りついた。

なんと、美幸はブルマ姿で現れたのである。


一同「「「「「」」」」」ポカーン


美幸「こ、こ、これしかマトモな服がなかったんだよっ! もおぉぉ―――――っっ!!!」



ダハハハハハ  ナンダアレ  ブルマダブルマ!  カワイー!


友香「でっでえぇぇぇ―――っ?」

莉子「わあ先輩めっちゃかわいいっ!」パチパチパチ

澄子「よく似合ってるねーっ!」


恒子『続いて二人目は、この人だああぁっ!』


恒子『この人こそが大食い界のリーサルウェポン! 大阪に現れた食べるアルマゲドン!
   昨日の2回戦では苦手な食材で苦戦したものの、予選、1回戦では圧倒的な実力を見せつけましたっ!
   まちがいなく今大会の優勝候補の一人! なにわのビッグストライーターこと、

   南大阪姫松高校2年!  愛宕ぉっ 絹恵だあああぁぁ―――――っっ!!! 』


プシューッ


絹恵(恭子)「…」スタスタ



 洋榎「へぶぅっ!?」

 漫「お、OH・・・・」

 由子「のよよよよよよっ!?」

 恭子(絹恵)「あは、あははははは…///」ニガワライ


恒子『愛宕選手、今回はなんとビキニ姿での登場だぁ! すんばらしいグラマラスボディィィッ!
   女性の私でもドキドキしてしまうほどの完ペキなプロポーションです! あのスリムなウエストにどれだけの食材が吸い込まれるのか、注目ですっ!』


ワースゴーイ  オモチデカーイ!  エ、エロスギル…  ウラヤマシィー!



健夜「こ、恒子ちゃん、なんなの? ビッグストライーターって…」ヒソヒソ

恒子「ん? ああ、『ストライカー』と『イーター』を合わせた造語だよんっ。 カッコよくない?」


 漫「主将… どうするんですか? このまま本当に末原先輩に大食いをさせるんですか?」

 洋榎「しゃ、しゃあないやろが! もうこうなった以上、恭子に大食いさせるしかない!」

 恭子「末原先輩、お願いしますよ…!」



絹恵(…)

絹恵(腹くくって、私が絹ちゃんの代わりに大食いするしかない…!)

絹恵(1・2回戦は両方とも冷たい食材だったから、次は間違いなく熱い食材が来るはず…)

絹恵(ビキニは恥ずかしいけど、熱さ対策としては最も有効な衣装のはずや…!)

絹恵(絶対に勝つ! 主将を長野になんかやるもんか!!)カッ


恒子『続いて3番目は、この人だあぁぁぁぁっっ!!』


恒子『彼女はまさに百獣の大食いスピードキング!
   予選ではわずか15分でお寿司を3kgも食べ、1回戦の中盤戦でも人間離れした咬筋力を見せて他を圧倒しました!
   ポテンシャルを爆発させれば彼女が一番強いのかもしれません!

   南北海道有珠山高校3年!  獅子原ァァ! 爽ァァァァァッ っだあ―――――っっ!!』


プシューッ


爽「うぉっほっほっほっ♪」センスパタパタ


恒子『今日は真っ赤なチャイナドレスで登場ぅ!スリットからのぞく太モモがセクシーだぁぁっ!』



 揺杏「オゲエッ …なんなんだよあれ… マジでクソ気持ちわりぃ…」

 由暉子「…似合ってないですね…」

 誓子「頭が痛くなってきた…」

 成香「そ、そうですか? わ、私は素敵だと思いますぅ…///」ポワアアン


恒子『ドンドン行くよぉ! 4番目はこの人だぁぁっっ!!』


恒星『・・・ああっ! 彼女の胃袋に、“限界”の二文字はあるのか? 長野の食べる人間ポンプが、今日も竜巻のように食材を吸い上げていくぅ!
   ここまでどの戦いでも、安定して上位をキープしています!
   “地上最強の胃袋”の称号は彼女にこそふさわしい!

   長野清澄高校1年!  片岡ぁ、 優希ぃぃぃっ! っだあああああああぁぁっっ!!』


プシューッ


優希「にゃははははっ♪」ピョンコピョンコ


恒子『今日はなんと、魔法少女まどか☆マ○カのコスプレで登場だぁぁっ!
  ちゃんと魔法スティックも持っているぞぉーっ!』



 咲「わあ優希ちゃんかわいい!」

 まこ「けっこう似合っとるのう」

 和「…アリですね!」

 久「ちょ、ちょっと、あんな格好でちゃんと食べられるのかしら…?」


恒子『5番目は、この人だぁぁ――っっ!!』


恒子『その正体は奈良の山奥にひそむ伝説の珍獣なのかぁ? 今大会の参加選手の中で最も小柄な体でありながら、その勇猛果敢で清々しい食べっぷりは観る者を魅了してきましたっ!
   小さな体にゴジラの胃袋ぉぉっ!

   奈良阿知賀女子1年! 高鴨ぉっ 穏乃っっ! っだああぁぁぁぁ―――っっ!!』


プシューッ


穏乃「…いやー、あはは。 どうも・・・」テクテク


恒子『!? どええっ! 高鴨選手、なんとスクール水着を着て登場だあ! 足元は上履き! ご丁寧に赤いランドセルまで背負っています!
   これはもう完全に小学生にしか見えません! っこ、これは放送していいんでしょうか…?』



 憧「」ブ―――――ッ

 宥「わあ穏乃ちゃんかわいいねっ」ホワーン

 玄「あは、あはは・・・ ペッタン子ぶりが強調されてしまってますのだ…」

 灼「…動きやすい服装は、多分、有利…」


恒子『6番目! イッちゃうよぉっ! この人だぁぁっっ!!』


恒星『鹿児島に突如現れたブラックホール! まったくもって死角なしぃ! 
   ここまで、一度も苦しそうな顔をしていないのは彼女だけです!
   本物の底無しなのでしょうか…? 完全無欠の食べる巫女型精密機械ぃ!

   鹿児島永水女子1年!  滝見ぃっ 春ううううぅぅぅ―――――っっっ!!!』


プシューッ


春「…」スタスタスタ


恒子『滝見選手だけはいつも通りの格好です! やはり彼女の戦闘服はこの厳かな巫女服以外ありえませんっ!』



 初美「はるるのコスプレ姿も見てみたかったですよー」

 小蒔「いえ… 私たちのイメージを損ねるといけませんから、あれで良いと思います…」

 霞(…春ちゃん… 私の嫌な予感が当たらなければ良いのだけど…)



恒子『いよいよ最後の選手ですっ! 7番目、ラストを飾るのは、この人だぁぁっっ!!』


恒子『最凶・最狂の大食い大魔人! 常識破りの大食いクラッシャーぶりを発揮してここまで勝ち上がってきました!
   昨日の2回戦の、他を蹂躙するかのような圧倒的強さは記憶に新しいところですっ!
   大食いターミネーターを超えたフードデストロイヤーッ!!

   西東京白糸台高校3年!  宮永ぁぁっ 照ぅぅぅ―――――っっ!!』


プシューッ


照「 うぅ、重い… 」ノッソノッソ


恒子『宮永選手は…  ゲエエエエエッ!!?』



ナ、ナニアレ…?  カイジュウダ…  ヤベエマジデ…  ジョ、ジョウダンデショ…?


恒子『・・・えーっ、宮永選手、な、なんと、ゴジラの着ぐるみを着て登場です・・・』



 淡「」ポカーン

 尭深「WWWWWWW」オチャブーッ

 誠子「や、やばい、ふっ腹筋が・・・WWW」

 菫「これは夢だ… うん、夢なんだ…」



恒子『…えー、宮永選手、ただ今、尻尾だけ取り外してもらって、なんとか席につきました… ほ、本当にあの格好で食べるのでしょうか…』


 
 健夜「ちょ、ちょっと恒子ちゃん! いくらなんでもやり過ぎだよっ! あんな格好で大食いなんて、頭おかしいバラエティ番組みたいじゃない!!」ヒソヒソ

 恒子「い、いや…、置き場所がなくってたまたま控え室にあったんだよ、あの着ぐるみ… まさかあんなの選ぶ子がいるとは思わなくて…」ヒソヒソ



照(この着ぐるみ…、カッコ良くて強そうで最高だけど、やっぱ動きづらいな…。
 そういえば、今から大食いしなきゃいけないんだよね…)ポケーッ



今日はここまでです。
また今週末に続きを書いていきます。
読んでくれた方、書き込みしてくれた方、ありがとうございました。

あぽーんぽ0んぽぽぽぽぽぽぽ

てことはシズも交えて混戦になる可能性も…マジで予想つかんな



  優           美     穏
  希  照  春  爽  幸  絹  乃
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恒子「さあ、ただ今選手が全員席につきました!」

恒子「えー…、左から、魔法少女、ゴジラ、巫女さん、チャイナドレス、ブルマ、ビキニ、スクール水着、と並んでいます。 これはもう、シュールというより、仮装大賞が今から始まるのかな、というかんじですね」


恒子「では、いよいよ本日のメニューの発表です! 今回は、こちらの屋外調理場で作られています!!」ババンッ

恒子「鶴賀のみなさん! お願いします!!」



  優           美     穏
  希  照  春  爽  幸  絹  乃
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恒子『さあ、ただ今選手が全員席につきました!』

恒子『えー…、左から、魔法少女、ゴジラ、巫女さん、チャイナドレス、ブルマ、ビキニ、スクール水着、と並んでいます。 これはもう、シュールというより、仮装大賞が今から始まるのかな、というかんじですね』


恒子『では、いよいよ本日のメニューの発表です! 今回は、こちらの屋外調理場で作られています!!』ババンッ

恒子『鶴賀のみなさん! お願いします!!』


カメラは調理場の、鶴賀学園の5人のメンバーを映し出した。

全員、Tシャツにジーパン、前掛け、頭にはバンダナを巻きつけている。


ゆみ「麺は1玉135gだっ! 寸分の狂いもなく量れよっ!」

桃子「まかせて下さいっす! 先輩!」ザッ


恒子『おおお…? ダンボール箱から、黄色い麺が勝手に浮かび上がり… まるまって量りの上に乗りました。 か、怪奇現象です!』

健夜「何言ってんのこーこちゃん、あれ東横さんだよ。 見えないの?」


睦月「うむ」ガシッ  バッ


 恒子『その麺を、津山さんが、大釜のグラグラと沸騰している熱湯の中に投入しました!』


智美「ワハハ、茹でてる間にスープを注いでおくぞー」ジョロロ・・・


 恒子『大釜の隣の調理台では、蒲原さんが、元だし、ラードなどの入ったドンブリに熱々の白いスープを注ぎ込んでいます! う~んこの独特の濃厚な香りは、まさか…?』


睦月「…」ザッザッザッ


 恒子『おっ、津山さん早くも動きました! 大釜の中の麺を、なんでしょうあれは、木の棒の先に、平たいザルがくっついたようなものでかき回しています。』


睦月「…」ザッザッザッザッザッザッ


 恒子『…? いや、これは、かき回しているのではありません! 大釜の中でバラバラに泳いでいた麺たちが、平たいザルの上にみるみるうちに集まっていきます! まるで魔法を見ているようです!!』


睦月「うむぁっ!」ボッ


 恒子『おおっ! 津山さん棒を上に掲げたぁ! それと同時に、黄色い麺、イエロー・ドラゴンが上空に舞い上がったぁぁぁっっっ!!!』


睦月「うむぁぁっっ!!」 パッチーンッ


 恒子『そしてぇ! 間髪入れず上空で麺の湯を切り、そのままドンブリに投入!!』


智美「ワハハ、盛り付けは私にまかせろだぞ~」サササッ


恒子『ドンブリに麺が入るのと同時に、蒲原さんが箸で麺を持ち上げ、折り曲げて平らにしました! そこへ、刻みネギ、メンマ、薄切りチャーシューを盛り付けたぁぁっ! うおおおおおっっ こ、これは・・・!!』


佳織「はい、『豚旨(とんこく)うま屋』の特製ラーメンです!」


 恒子『きたああああああああっっ!! 3回戦の食材は、激ウマ醤油とんこつラーメンだあぁっ!!!』


穏乃「っひゃああああ… おっおいしそおぉぉ~~~~~っっ!!」ダラーリ



 恒子『激ウマ醤油とんこつラーメンだあぁっ!!!』


美幸(ははん、やっぱり…!)


絹恵(…ラーメン?)

絹恵(かなり熱そうだな、あれは…)

絹恵(あれを、これから10杯以上は食べなくてはいけない…)

絹恵(私は、今は体は絹ちゃんやけど、脳みそは末原恭子や。大食いの経験はほぼ皆無…)

絹恵(素人の私が、どうすれば、勝てる…?)

絹恵(…)ポクポクポク

絹恵(!!)チーン


絹恵(見えたで! 勝利の方程式が!!)



南大阪最強の頭脳… この状況下での最適解を、瞬時に導き出す!



絹恵「なあ、漫ちゃん、漫ちゃん!」ヒソヒソ


絹恵は小声で観客席の漫を呼び寄せた。


漫「なんですか、絹… じゃなくて末原先輩」

絹恵「ええか… 今から私が言う物、ダッシュで買ってきてほしいんや。 えっとな、まず、方眼紙と…」

漫「は? ホウガンシ?」

絹恵「だまって聞くんや! 方眼紙と、色鉛筆、定規…。 それと、ザルと、タライ、氷、ミニタオルを5枚くらい、アイスノン…」

漫「ちょちょちょちょっと! そんなに覚えられませんて!」

絹恵「時間がないんや! 頭に叩き込め! できなきゃそのオデコに全部書いたるで?」


絹恵「…ええか、そんで、氷はできればゴロゴロしてるのと、細かくクラッシュしてるのの2種類用意してや。」

絹恵「そんで、買って戻ってきたらなあ、(・・・・・・・・・・・・・・)をして欲しいんや!」

漫「ははあなるほど… さすが末原先輩! じゃ、買ってきます!」

絹恵「たのむで漫ちゃん!」


すみません今日はこれだけです。
また明日投下します。
登場するラーメンは、とんこくうま屋のものをベースにしてますが、作り方などは若干違い、明日出てくる“トッピング”も他店舗のものを参考にしています。

おつー
一種類だけなら飽きが重要なポイントになるな


~応援席周りの、外部観客席~


ザワザワ ガヤガヤ
ホウ、ラーメンカ・・・ ウマソウダナ グガスクナクネ?


>>81「なあ>>1、食材が一種類だけなら、飽きが重要なポイントになるな」

>>1「そうですね、>>81さん。 後半は、片岡とかにとっては厳しい闘いになるかもしれませんね」

>>71「混戦になる可能性もある… マジで予想つかんな」

>>70「あぽーんぽ0んぽぽぽぽぽぽぽ」

>>1「! どうした>>70さん? お腹痛いの?」


美幸(…)

美幸(…そう、私が望むのは、混戦…!)

美幸(大物同士がツブし合ってるスキをついて、通過してやるよぉ…!)メラメラ


~応援席~


久「ラーメン…! 優希、ラーメンは大好物だったわよね」

咲「そうですね… でも、1・2回戦と違って単品勝負だから、優希ちゃん途中で飽きてくるんじゃないかな…?」

和「きっと大丈夫ですよ、今回は何しろ…」

まこ「そうじゃの、あの“秘密兵器”があるからのう…」


淡「…」パシャッ パシャッ

菫「…淡、いつまで照の写真を撮っているんだ…」

淡「…だってだってwww、 あの格好でww ラーメン食べるんだよwww おかし過ぎるでしょwww
 この写真、帰ったら部室に貼ろうねwwww」ヒーヒー

尭深「…賛成」ズズッ


揺杏「ラーメンか… だからチャイナドレスなんかあったんだ…」

由暉子「爽先輩の得意そうな食材ですね」

揺杏「多分なあ… …アイツ何さっきからニヤニヤしてるんだ…?」

誓子「まった良からぬ事考えてそうね…」



恒子『では私、早速味見をさせて頂きます!』

恒子『ふーっ ふーっ あっちっち…』

恒子『ずぞっ ずぞぞぞぞぞぞぞぉ~~~~~っっ!!』

恒子『…こ、これはぁ…!』


恒子『ううむ、とにかくものすごく美味しいです…! スープがすごい…! コクがあるのにあっさりとしています!』

恒子『香りも、とんこつの濃厚さは感じられますが、決して臭くはありません! ううっ口の奥に旨味がジュワッと広がりますっ!!』

恒子『麺は中細のストレート麺ですが、いやもう、シコシコ感がハンパありません! 小麦本来の旨味がすごい感じられますね。 スープとからみながら、のどをスルスルと通っていきます!』

恒子『九条ネギがたっぷりのっていますが、麺との相性が最っ高です! チャーシューは薄切りの小さめの物が5枚ほどありますが、いやもうこれが柔らかくって超ジューシー! くさみもなく大変食べやすいです!!』


優希「あああもう! 早く食べさせろだじぇえ! 昼メシ抜いてるからもうお腹ペッコペコだじょお!!」


恒子『では続きまして、このラーメンを作ってくれる調理員の人たちを紹介しましょう!』

恒子『こちら、先ほどパフォーマンスを見せてくれた、長野鶴賀学園麻雀部のメンバー5名です!』ババンッ


恒子『調理の核となるのは、まず麺をゆでる“麺あげ”担当の津山睦月さん! そして、盛り付け“デシャップ”担当の蒲原智美さんです!』

睦月「うむ!」

智美「ワハハー」

恒子『残りの加治木ゆみ・東横桃子・妹尾佳織、の3名は、食材の補充や、ラードと元だしを混ぜておく“ドンブリ作り”など、中の2人を適宜補助しながらラーメンを選手へ届ける係をやって下さいます!』


恒子『鶴賀の皆さんは、2ヶ月間、今日のために“うま屋”店舗でアルバイトをし、ラーメン作りの修行に励んできました。
  選手たちに最高の一杯、じゃなくて数十杯を届けてくれることと思います! どうぞ彼女たちの活躍にもご期待下さいっ!!』


ワーワー パチパチパチパチ ガンバレー! カンバラバンダナニアウゾー!



恒子『続きまして、ホールスタッフの紹介イッちゃいます! こちらの3名です!』バッ

恒子『一回戦でも選手たちをフォローしてくれました、風越女子の福路美穂子・池田華菜、そして今日は吉留未春さんも来てくれています!』


美穂子「よろしくお願いします。何か困ったことがあったら、いつでも声をかけて下さいね」ニコリ

華菜「よろしくだし! たくさん食うがいいし!」

未春「う、うう… ミスとかしないようにガンバります」


恒子『そして、もう皆さんご存知、選手たちの体を守ってくれるドクター、三箇牧高校の荒川憩さんです!』


憩「よろしくお願いしますよーぅ。 火傷だけはしちゃあかんでー」


恒子『では、3回戦のルールについて説明をいたします!』

恒子『おかわりコールをしてラーメンをもらっていき、45分間の時間で、できるだけたくさんのラーメンを食べて下さい! 競技終了時に最も杯数の少なかった1名の方はここで脱落、残った6名の方は来週の準決勝に進むことができます!』

恒子『ちなみにスープは残して構いません。 ただし、おかわりしたあと、ホールスタッフが穴あきお玉でスープ内のネギや麺のかけらを次のドンブリに移します。 スープ以外は、完全に完食して下さい!』

恒子『それと、おかわりをしてラーメンをもらう時に、必ずホールスタッフに「次のラーメンの麺の固さ」を注文して下さい。 麺の固さは、「粉落とし、バリカタ、カタメン、普通めん、やわめん」の5種類!』

恒子『1・2杯目だけは、全員普通めんを食べてもらいますが、3杯目以降は全て自分で麺の固さを選択することができます』


絹恵(麺の固さを選べるやと…? これは、重要なポイントになりそやな…)


恒子『皆さんの卓上にある酢、コショウ、すりゴマは、自由に味変アイテムとして使って下さい』

恒子『そしてぇ! 今回は1・2回戦と異なり単品勝負ですので、なるべく“飽き”がこないように“トッピング”を用意しております!』ババンッ

恒子『こちらに、ラーメンのトッピングとして、「半熟味玉」「ゆでもやし」「紅しょうが」「ニラからし」「チャーシュー」「九条ネギ」「メンマ」の7種類の具材があります。 
  このあと全員、バイキング方式で自由にトッピングを選択して持っていって下さい! 何をどう選んでも構いませんが、必ず“300g”ジャストの量を持っていくんだぞっ!』

恒子『後半になってラーメンに飽きてきたら、このトッピングを自由にラーメンに入れて食べて下さい。 ただし! このトッピングは、必ず300g全てを完食して下さい。
  もし、競技終了時点でトッピングが少しでも残っていたら、どんなにたくさんラーメンを食べていても“失格”にするから、注意が必要だよ!』

恒子『それでは! 福路さんたちが量をはかってくれるから、みんなトッピングを選んで持ってって!』


ザワザワ ガヤガヤ ドレニシヨー チャーシューゲキモリダジェ!




PM0:55
~都内スタジオ・実況室~


ダヴァン「ハフッハフ! ゾルッ ゾルルルルッ!」ムグムグ=3

ダヴァン「ウマシ…! 日本のラーメンは、やはり、ムゲン…!!」ホワアアーン


バタンッ


はやり「ダヴァンさんごめ~ん、おっまたせー!☆」ハヤッ

ダヴァン「あ、はやりサン! きょ、今日はよろしくお願いしマス!」

はやり「そんなかしこまらなくていいよっ☆ 気軽には~やりんっ!て呼んでいいからね!
   一緒に仕事するんだから、対等対等! はやりは、ダヴァンさんのことなんて呼べばいい?☆」

ダヴァン「あ、ハイ…。 えと、サトハからは、メグって呼ばれてますケド…」

はやり「メグ?! わぁかわいいね! よろしくたのむねっ メグちゃん♪☆」

ダヴァン「ハ、ハイ!」


はやり「さっそく試食してるんだね。 どーお、うま屋のラーメン?☆」

ダヴァン「ハイ、これはすごいデス。 私、日本全国の何百件ものラーメン店を食べ歩いてきまシタガ、ここまで完成度の高いラーメンはそうそうお目にかかれまセン」

はやり「ほーう…」

ダヴァン「東海地区を中心に30店舗以上の店をチェーン展開している“豚旨 うま屋”。 しかし、驚くベキことに、提供しているラーメンは、この『特製ラーメン』1種類のみなんデス」

はやり「へえそうなの? はやりはラーメン屋さん行くといつも5杯くらい食べるから、1種類だけじゃ飽きちゃうなーっ☆」

ダヴァン「とんこつベースを秘伝醤油ダレで仕上げた“とんこく”スープ…。 『うま屋』は、このスープに絶対の自信を持っているのデス」

ダヴァン「そのスープにピタリと合う風味豊かな中細ストレート麺、そして厳選された自家製の具材、これらが三位一体となって絡み合い、得も言われぬ旨味を引き出しているのデス!」

はやり「おいしそぉーっ! スタッフさーん! はやりもこのラーメンとりあえず3杯くらい持ってきてぇーっっ!!☆」

ダヴァン「“ラーメン”とは、安い食材を使っていながら、どんな高級料理をも上回る“幸福”を人々に与えることができる、人類の到達した究極の魔法デス。 このラーメンは、まさにそのラーメンの真髄を体現した一杯と言っていいでショウ」


はやり「すごぉーいメグちゃん! そんなに若くて、しかも留学生なのに、めちゃくちゃラーメンに詳しいねっ! はやりビックリしちゃったっ☆」

ダヴァン「私は、テレビ東京の“ラーメン通選手権”で、準優勝したことがありマス。 ラーメンを愛する気持ちだけは誰にも負けまセン」


はやり「ほえぇ~… ラーメンの超人だねえ。 じゃっ! 今日は、この7人の選手たちは、一体何杯くらいラーメンを食べると思う?」

ダヴァン「そうでスネ… まず、ラーメン一杯が、どのくらいの量があるかですが、うま屋の特製ラーメンは、1玉135gデス。 しかし、これをゆでると1.5倍以上の重さになりマスので、麺だけで大体220gくらいあるでショウ。」

ダヴァン「これに、ネギ、メンマ、チャーシュー、そして麺についてくる少量のスープ、これらが大体50gくらい…。
つまり、ラーメン一杯の量は270g、と見積もることができマス」

はやり「へえ、それくらいなんだ、ラーメン一杯って。 牛丼の並一杯よりもずい分少ないね」

ダヴァン「そうデスネ。 まあ確かに、このラーメンは比較的量の少ない方デス。 しかし、ラーメンは決して大食いしやすい食材ではありまセン。 食べている間に、麺が少しずつ水分を吸って膨らむということが、胃袋の中で起きるからデス」

ダヴァン「食べれば食べるほど、胃の中の麺が膨らんでいき、ズッシリとお腹に響いて、選手たちを苦しめることになるでショウ。 牛丼の並を3杯食べられる人でも、このラーメンを4杯は食べられないでしょうネ」

ダヴァン「また、ラーメンは“すすって”食べますので、空気が胃に入りやすいと言われていマス。 その点、同じ麺でもパスタのナポリタンなどより量を稼ぎづらい食材のようデス」

はやり「ふ~む☆」

ダヴァン「しかし、ここにいる7人の選手は全員えりすぐりの怪物ですから、まちがいなく10杯はいくでショウ。 恐らく勝負は、『10杯を越えてから』が肝になってくると思いマス」


はやり「なるほどぅ!☆ ま、はやりなら軽く20杯はイッちゃうけど、あの子たちならそんなもんかな? 誰か、メグちゃんが特に注目している選手はいる?」

ダヴァン「そうデスネ… 滝見選手や片岡、愛宕選手など、底の知れない異常な強さの選手もいまスガ、私は劔谷の椿野美幸選手に注目していマス」

はやり「へぇっ。 して、そのココロは?☆」

ダヴァン「彼女は恐らく実力では他の選手に若干劣っていながらも、ギリギリの闘いをここまで勝ち抜いてきまシタ。 たかが大食い、と考えることは決してせず、頭も使いながら、競技に対して常に全力前傾で挑んでいマス」

ダヴァン「2回戦では、あの花田煌選手に競り勝った強靭な精神力も持ち合わせていマス。 今回も必ずや、素敵なファイトを見せてくれることでショウ。
    彼女がどう動くかは、この試合全体の流れを左右するほどの影響力を持つかもしれまセン」



PM0:59

~屋外多目的広場・試合会場~


恒子『さあ、選手全員が、自分のトッピングを用意して席に戻りました! 1杯目のラーメンも配膳完了です!』

恒子『うーむみんなけっこうバラバラですねぇ。もやしをもりっと盛ってる人もいれば、チャーシューをガッツリ持っていった人もいます』

恒子『それにしても、コスプレした女子高生たちがズラリと並び、目の前にはとんこつラーメン…
  今テレビつけた人、一体これはなんなんだ? 何してるんだ? って思っちゃうね!』


恒子『うぉっと、そうこうしているうちに、試合開始まであと30秒となりましたぁ! みんなぁ! 胃袋の準備はO.K.かぁ!?』


一同「「「「「オ―――――ッ!!」」」」」


恒子『精一杯闘え! この45分間に、自分の生き様を見せてみろおっ!!』


恒子『では まいります!!

   全国高等学校大食い選手権第3回戦!

   『激ウマ醤油とんこつラーメン勝負!!』

   よお―――――――――――――いっっ!!……』


一同「「「「「…!!!」」」」」ゴクリッ



   恒子『ッスッタァ―――トゥオオオオォォ―――――ッッッ!!!』


   タイコ「ドドーン!!」


一同「「「「「「「いただきます!!!!!!!」」」」」」」バチンッ



恒子『青春をすすりあげろおぉっ! 女子高生たちよぉぉっっ!!』




今日はここまでです。
また週末投下していきます。
そろそろ食欲の秋ですね。
書き込みして頂いた方に、勝手に外部観客として出演してもらうかもしれません。
別にイイですよね…? ダメ…かな?



PM1:00



一同「「「「「「「いただきます!!!!!!!」」」」」」」バチンッ



恒子『ついに始まりましたぁっ! 第3回戦醤油とんこつラーメン勝負!!
   7名のコスプレ女子高生たちが、今、はしを持ち、イザ!熱々のラーメンに挑み始めましたぁっ!!』


爽「フーッ フーッ あっちぃなコイツ…」

美幸「ズゾッ ズゾゾゾゾゾゾゾゾゾッゾゾォ~~~~~~~~ッ!」

穏乃「はぐっ ぞっるるるるるるるるるるぅぅ~~~~~~~っっ!!」=3=3


爽「うっ? うっ う っ ううう・・・ うまああWiiiiiii~~~~!」ズkkッキュゥーン!

美幸「MOOOOOoooo Oo Ou!! うんまぁ! んnまあぁ!! なだコレ!?」キュンキュンキュwウィーン!

穏乃「あばばばっ! やばっ これ! ウメェ! ウメェェ!! UMEEEEEEEEEEEE!!」ワッッsショォ―――イッ!


恒子『あまりの美味しさに、歓喜の声というよりか悲鳴があがっています!
   どうですかこのラーメンはぁ!? 劔谷椿野選手ぅ!』

美幸「もぉー、ガチヤバです! これ! 身体の細胞一つ一つが元気になるような… 染みわたるようなおいしさですっっ!!」

恒子『なるほ…』


 『ホンギャアアアアアアアッッ』


恒子『ふぇ!?』



恒子『な、なんですか今の! 貞子が現れた時の悲鳴みたいのは!?』キョロキョロ


照「ギョエエエエエエエエッッ!!」

優希「な、なにごとだじぇえ…」

春「…」


恒子『ちょ、ちょっと宮永さん? ど、どうしたの?』

照「は?」

恒子『いや、なんなのその声? 何が起きたの?』

照「いや、その… ラーメンが、あんまりおいしいから… 私、今ゴジラなので、ゴジラが『おいしー!』って叫んだらこんなカンジかなーと思って…」

恒子『そんなっ、声までゴジラやらなくてもいいよっ! ビックリして心臓止まるかと思ったじゃん!』

照「…スミマセン」


 
 誠子「ゴジラが謝ってる… なんか背中に哀愁漂ってますね」

 菫「・・・いい加減脱げ… いつまでもあんな格好で食べられるわけない…」

 淡「ゴジラッて『ホンギャア』なんて鳴かないよね? なんか、キュ~~~とかキェ~~~とかいう鳴き声だよね」

 尭深「弦楽器を使って声を出してるって…聞いたことある…」ズズッ

 菫「いやゴジラの鳴き声なんか今どうでもいいだろう…」



恒子『まったくもう・・・ って、 は?? な、なんですかソレ! 片岡選手!』

優希「じぇ?」



恒子『な、なんですかその、チャーシューの山は…』

優希「一度やってみたかったんだじぇ! チャーシュー激盛りラーメンだじぇえ!」マッグマッグマッグ


恒子『…か、片岡選手、まだ1杯目だというのに、トッピングを全部のせてしまっています… しかも300g全部チャーシュー!』

恒子『ドンブリに肉の山ができてますね… これは最早チャーシュー麺と言っていいのでしょうか…?』

優希「うっまぅまだじぇええぇ~~~っっ」モッギュマッギュ


健夜「麺をオカズに肉を食べてますね」


 咲「はわわわ、優希ちゃん…」

 和「後半の“飽き”を回避するためのトッピングを…」

 まこ「相変わらずメチャクチャやっとるのう優希は… 競技だってこと分かっとるんかのう?」

 久「…まあしょうがないわ、あれが優希だもの。 あんなカンジでも、勝ってくれるはずだわ…」



爽「うはww 超ウマウマwww」ハフハフッ=3

爽←カメラー

爽「…! よぉーっし! 今日もたくさん食べるゾ★ るんるんる~ん♪」


恒子『なんじゃありゃ… 今度は、あからさまにキャラ変えてる変な人が現れましたねぇ…』


恒子『獅子原さんどうした? チャイナドレス着てキャラ変わっちゃった?』

爽「え? サワヤはいつもこういうキャラだよーっん♪★」キャルンッ


恒子(・・・こいつ、マジでうぜえ…)

健夜「…こーこちゃん、だから獅子原さんはほっときなって…」



 由暉子「…キモい…」

 成香「爽さん、せっかくチャイナドレス素敵なのに…」

 揺杏「…やべえ、ガチで殺意が…」ワナワナワナ

 誓子「…真剣に、帰りましょうか…?」

>>99
>恒子(・・・こいつ、マジでうぜえ…)
声な出してたら、お前が言うな!!と総ツッコミ食らっただろうなあww


<3回戦 サポート体制>

・実況 瑞原はやり  ・解説 メガン・ダヴァン

・現場実況 福与恒子  ・現場解説 小鍛治健夜

・ホールスタッフ 福路美穂子 池田華菜 吉留未春

・調理スタッフ 津山睦月 蒲原智美 加治木ゆみ 妹尾佳織 東横桃子

・専属ドクター 荒川憩  



~スタジオ・実況室~


 照『むぐむぐ、もむもむもみゅ…』ゴッソー


はやり「メグちゃん! 宮永さん、咀嚼しながら箸で大量の麺をがっさーって持ち上げてるよっ☆』

ダヴァン「さすがチャンピオン、良い判断でスネ。あれは麺を冷ましているんでスネ」

はやり「ふむ?」

ダヴァン「今回のラーメン勝負では、熱さにどう対応するかが一つの鍵になりマス。 熱い物を大量に食べると、体に熱がこもって、それが徐々にボディーブローのように体力を奪っていくのデス」

はやり「うんうん、ああいうふうに持ち上げれば、あんまりフーフーする必要ないものね!☆」

ダヴァン「ハイ。 今回の麺は細い方ですので、空気に数秒触れさせるだけでかなり麺を冷やすことができマス。 チャンピオンは咀嚼している間に次の麺を冷やして、テンポ良く食べれるようにしてるのだと思いマス」

はやり「でもさあメグちゃん、熱さ対策するならまずあの着ぐるみ脱ぐべきじゃないかなっ?☆」

ダヴァン「…そうでスネ… まあ、きっとテンションを上げたくて、あんな格好をしてるんじゃないカナと…」


~試合会場~


恒子『…まったく…って、ん? 獅子原さんよく見たらお箸二膳持ってるね…?』

爽「ぞるぞるっ ずずっ ずううううう~~~っ!」

恒子『左右の箸で麺をすくい、交互に食べています… これは? ま、まさか伝説の二丁食い?』

美幸「ゾゾゾゾゾゾゾッ ちゅるちゅるるるる~~~っ!」

恒子『おおっ! そしてとなりでは、なんと通天閣食いが炸裂しているぅぅっ! 椿野選手、ドンブリ置いたまま立ち上がって食べてます!』

健夜「両方ともラーメンの熱さに対抗するための食べ方ですね。 今のうちにどんな食べ方が良いか試してるのかな? …それにしても獅子原選手見事な二丁食いですね」


爽「えへへっ! サワヤは実は両利きなんだゾッ★ 二丁食いでラーメンいっぱい食べちゃうよひょんっ★」


恒子『…小鍛治プロ、両方とも有名な食べ方だけど、詳しく解説お願い!』

健夜「あ、はい。えーっと二丁食いはまあ、両手に箸を持って食べる食べ方をそう言うんですけど… 獅子原選手は麺をすすってる時にも、空いた片方の手で麺を空中でキープして冷ましているんですね。 そうやって左右交互に食べることで、フーフーせずにテンポ良く食べることを狙っているんだと思います」

恒子『なるほど~。 二丁食いができればけっこうなアドバンテージになりそうですね』

健夜「いや… 別にアドバンテージにはならないと思うなぁ…」

恒子『へ? そなの?』


健夜「二丁食いは派手ですけど、実戦向きの食べ方ではありません。 麺を冷ます方法は他にいくらでもありますので、何もあんな手の疲れることをしなくてもいいと思いますよ。 
  多分、レンゲやドンブリを持てないというデメリットの方が大きいんじゃないかなぁ」

恒子『う~ん… 確かに特に速く食べれてるわけでもなさそうですね…』

健夜「大食い王選手権3連覇の菅原初代さんと仲山沙織さんという選手が二丁食いを実戦で使ったことがありますが、食材はラーメンではなく熱々のカレーうどんでした」

健夜「うどんはラーメンより冷めにくいし、熱々のカレースープがねっとりとまとわりついてきますので、空中でできるだけ長くキープして熱さとスープを逃がすのも効果があったのだと思いますけど… このラーメンはそこまでしなくてもいいんじゃないかな…」

恒子『う~んじゃあ通天閣食いは?』

健夜「通天閣食いは、立ち上がってドンブリと自分の口の間に距離を作ることで、すすってる間に自然に冷ましてしまうという食べ方です」

健夜「これは… 確かに冷ます必要はなくなるんですが、とにかく食べづらいですよ… それに…」


絹恵「あちっ あちちっ! ちょっと、あんたスープ飛んできとるで!」

爽「おま! 熱いって! 座って食えよ!」


健夜「あんな風に、周りの選手の迷惑になってしまいます」


美幸「ご、ごめんごめん…」スッ


恒子『なるほど! ああやって食べながら周りの選手を攻撃していたわけですね! あざとい! さすがブルマ美幸あざといです!』


美幸(あんにゃろ… >>100さんじゃないけど、獅子原さんよりあんたの方がよっぽどうざいよっ もぉーっ!)


恒子(けけけ… 椿野さん、「ガンガンあおってくれていいですよ」なんて生意気言うからだよん♪)




穏乃「おかわりください!!」ビシッ


ざわついていた空気を払拭するように、穏乃の凛とした声が響いた。


恒子『! おっと、1杯目完食第一号は、阿知賀の小さなモンスター高鴨穏乃選手です! 時間は… これは早いですね! まだ1分40秒しかたってません!』


佳織「ど、どうぞ… 2杯目です。 ガンバって下さいね!」コトッ

穏乃「あ、ありがとうございます///」

ゆみ「お、おい、佳織、アレ聞かないと…」

佳織「あ! そうでした/// えと…高鴨さん、次のラーメンの麺の固さを注文してください!」

穏乃「ほへ? あ…じゃあ、“バリカタ”でお願いします!」


~スタジオ・実況室~


 穏乃『“バリカタ”でお願いします!』


はやり「ほうほう☆ 高鴨さん、1回目の麺の固さ注文は“バリカタ”にしたね! 2番目に固い麺だよね?」

ダヴァン「いいえ、“バリカタ”は一番固い麺デス」

はやり「ほえ? そなの?☆ 一番固いのは“粉落とし”なんじゃないの?」

ダヴァン「“粉落とし”は、本当に麺の打ち粉を湯の中に払い落とす程度にしか加熱しないのデス。 つまり半生状態なので、麺そのものの柔らかさが残っているのデス」

ダヴァン「一方“バリカタ”は、グラグラに沸騰させた熱湯の中で一気に麺を締めるので、非常にカタい麺になりマス。 極細の博多ラーメンには、“バリカタ”よりもさらにカタい“ハリガネ”という麺もありマス」

はやり「へー、それははやり知らなかったなぁ☆ どの固さの麺が一番大食いしやすいんだろう?」

ダヴァン「ウ~ン、一番軽いのは間違いなく粉落としデスが… 半生なので、胃に負担がかかりますから、大食い向きではないと思いマス… カタメンあたりが無難だとは思いマスガ…」


~試合会場~


春「ずっ ちゅるるるるるるっ」

春「んくっ ムニュムニュムニ」ゴクンッ

春「…///」ハア・・・


恒子『滝見選手もおいしそーに食べてますねぇ! 相変わらず姿勢がイイです。 まっすぐに背筋を伸ばして、必要最低限の挙動でするすると麺を吸い上げています!』

恒子『滝見選手が食べてると、なんでも上品な食べ物に見えちゃいますね! まったくあわてる様子もなく、今日もマイペースです』

恒子『…ずい分涼しげに食べていますが、これといった熱さ対策は…してないようですねぇ…』

健夜「こーこちゃんよく見てごらんっ。 滝見さんちゃんと熱さ対策してるよ」

恒子『え…? おやっこれは…』


春「…」チュルチュル

恒子『…レンゲを使って、スープの中の麺を手前に寄せてますね… そして麺を浮き上がらせて、一番上から麺をすくって食べてます。 なるほど! これなら、咀嚼してる間に麺を十分に冷ましておくことができますね!』

健夜「この方法はほとんどエネルギーをロスしないし、効果も高いです。さすが滝見選手ですね…」


恒子『おや、いつの間にか隣の獅子原選手も、その隣の椿野選手も“寄せ食い”をしていますね! こっちの二人は、手前ではなく、ドンブリの左前方に麺を押し付けるようにして、少し前かがみになって食べています!』


恒子『獅子原さん、何、二丁食いやめちゃったの? もっと見たかったのになー』

爽「えへ、二丁食いは手がつかれちゃうんだぞっ★ サワヤはか弱いからもう無理なんだぞっ! あ、おかわりだぞっ!!」

美幸「私もおかわりでっす!」


恒子『獅子原選手と椿野選手ほぼ同時に1杯目完食です! えーっと、2分半がたったところですね』


美幸「バリカタお願いします」

爽「バリカタだぞっ!★」


睦月「麺、入ります!!」ザッ


恒子『うぉっと! 調理場から、津山さんの威勢のいい声です! これは… あ、高鴨選手の3杯目のラーメンを作ってるんですね?』

恒子『グラグラ沸き立つ大鍋に麺を投入… おっ早くも麺あげ棒で麺を集め始めました!』


睦月「うむぁっ!」パッチーンッ


恒子『豪快な湯切りです! いやあ迫力ありますねえ…』


照「おがわりぃ!」ガオー

絹恵「おかわりです!」


恒子『こちらではゴジラとビキニがおかわりです! 試合開始まもなく3分になろうとしています!』


「バリカタがおーっ」
「とりあえずバリカタで」


健夜「バリカタ人気だね」


絹恵(おっそいわ漫ちゃんはよしてや…)アセアセ

ダメだ
今日ここまでっす
明日多めに投下します
爽がいつまでこんな調子でしゃべるのか分からないのでウザかったら言ってね


PM1:03


照「…はふっはふっ ずずっ ぞぞぞ~っ」

恒子『宮永さんやっぱり食べづらそうだね。 しかも左手ケガしてるんでしょ? 大丈夫?』

照「あ…はい、今のところは…」ハフハフ


絹恵「…」マゼマゼ

恒子『…む…? 愛宕選手、2杯目のラーメンの麺と具を全部、空のドンブリに移して、クルクル回してますね…』

健夜「あれは、完璧な熱さ対策ですね…」

恒子『ほう?』

健夜「愛宕選手は、一杯目からああやって食べてましたよ。 麺と具をドンブリに移して、お酢を1.2滴たらして軽く混ぜて食べる… ああすれば、まったく熱さに苦しむことなく食べることができます」

恒子『…いや… でもこれ…ちょっと反則くさくね?』

健夜「いや、別に、ラーメン食べる時取り皿に移すことは普通にやるし… 一応OKだよ」


春「おかわり…お願いします カタメンで…」スッ


恒子『滝見選手も1杯目クリア! これで、2杯目に行っていないのは、トッピング全乗せした片岡せ… ほやあ? 片岡さん?』


優希「…」グビッ グビッ グビッ

優希「ぷっっはああぁっっ!! おっかわりだじぇい!!」カラッ


恒子『片岡選手、一杯目のラーメン、スープも全て飲み干してしまいました! ちょっと片岡さん! スープは飲まなくていいんだよ?』

優希「…そなのか? あんまりおいしいから、全部飲んじゃったじぇえ!」ニャハッ


穏乃「おかわりください!」ビシッ


恒子『おっと! トップの高鴨選手、早くも3杯目突入です! ここで初めて“バリカタ”のラーメンがやってきましたぁ!』

穏乃「ハフハフッ ズゾゾッ ぞるぞるずぞお~っ」=3=3


恒子『各選手いろんな食べ方をしていますが、高鴨選手は普通の食べ方ですね。 適量を箸ですくってフーフーしてすする… それを、ハイテンポで繰り返しています!』

健夜「滝見選手とは違った意味で、高鴨選手の食べ方も美しいですね… 『ザ・ラーメン』というかんじですね、迫力があります」

恒子「いや、しかし… まだ序盤だというのに、額に玉のような汗が浮かんでいます。 高鴨さん大丈夫かな? 熱さ対策しなくていいの?」


穏乃「…!」ギロッ


穏乃は、ラーメンを口にしながら恒子を一瞬ねめつけると、スクール水着姿のまま吠えた。


穏乃「…ラーメンを食べるのに、テクニックなんかいらねえんだっ!!」クワッ

恒子『ふぇ?』

穏乃「本能のままに、一心不乱に食す…! それこそが、ラーメンの、極意なんだあぁぁぁっ!!!」カッ


一同「「「「・・・・」」」」アゼン



 ゆみ「…高鴨のやつ、なかなかいい事言うな」

 智美「ワハハ、そうだなゆみちん。 作る方としては、やっぱりあんな風に食べてもらえるのが一番嬉しいな」



~スタジオ・実況室~

 
 穏乃『ラーメンの、極意なんだあぁぁぁっ!!!』カッ


はやり「はわわっ☆ 高鴨さん怒ってるのかな?」ハヤッ?

ダヴァン「…いえ、彼女はただ、心底ラーメンを愛しているのだと思いマス。 熱さ対策をした方が、大食い競技としては有利だということは、彼女もよく分かっているでショウ…
     しかし、“ラーメンはこうやって食べるべきだ”というこだわりが、それをさせないのデス」

ダヴァン「同じくラーメンを愛している私も、彼女の気持ちはよく分かりマス。 しかし、これは大量の食材を胃袋に入れる大食い競技… しっかり毎回フーフーしてますから火傷はしないと思いマスが、あのままでは、かなり体力を消耗してしまうかもしれまセンネ…」



~試合会場~


絹恵(…高鴨の言うことはもっともや… 私だってこんな食べ方本当はしたあない…)

絹恵(…しかし私は、あの怪物片岡に勝たなあかんのや… そのためには、反則ギリギリだろうがなんだろうが、やれる事は全てやるで…)

絹恵(…それにしても片岡は、一杯目トッピング全部とスープまで完食… 800gくらいあったはずなのに、それを3分ちょいで食べとる…)

絹恵(他の連中も、ラーメンの1杯や2杯はオヤツにすらならんちゅう勢いで食っとるな…)

絹恵(はあ、なんなんやこれは… 予想以上に怪物胃袋の見本市… 普通の食事させてーな…)

絹恵(てか、漫ちゃん遅過…)


漫「末原先輩!」

絹恵「!」

漫「買ってきましたよ全部!」

絹恵「あ、ありがと…」(末原先輩じゃないって…!)コソコソ

漫(あ、すんませんつい…)ヒソヒソ


穏乃(…末原先輩?)

美幸(スエハラ…?)


絹恵(えーかぁ、さっき言った通りに頼むで。 タライの方はとりあえず氷なしで水だけ入れといて。 あ、ザルだけ今ちょうだい)ヒソヒソ

絹恵(あと、片岡の1杯目は3分15秒くらいやった。でも、1杯目にトッピング全部乗せとったんだわ。 あと、滝見さんの1杯目を3分10秒でチェックしといて)

漫(了解です!)

絹恵(たのむで漫ちゃん!)


優希「はぐんっ! ぞるぞるずろろぉっ!」モガーッ=3


恒子『うおうおうおおおぉっ!? 長野の人間バキュームカーがついにその本領を発揮ぃ! ラーメン一杯を4口で平らげているぞぉっ?!』


優希「おっかわりだじぇい!」ニャハー


恒子『なんてことだぁっ! 1杯目にトッピングとスープまで完食しておきながら、高鴨選手に次いで2位で3杯目に突入しましたッ!!』

健夜「今の2杯目、1分ちょっとで食べてますね…」

絹恵(なんやと…? マジか…?)


ナンダアレ・・・ ハヤスギヤ ラーメンガジョウハツシテク・・・


恒子「これには場内も騒然としておりますっ!」


 睦月「麺、入ります!」ザッ

 智美「おい桃子、ネギの補充しておいてくれ」

 桃子「了解っす!」

 ゆみ「とりあえず10杯分のドンブリを仕込んでおいた。 あとは頼むぞ!」

 智美「ワハハ、まかせておけ!」


ズゾゾゾゾ~!  ズルズルズル~  ムッシャムッシャモグギュゾルル~!


恒子『片岡選手や高鴨選手に負けじと、女子高生の皮をかぶった怪物たちが! 勢いよくラーメンをすすり出しましたぁ! それに呼応するように、調理場のラーメン作り隊も本格始動! 現場はすさまじい熱気に包まれてまいりました!!』


美幸「おかわり、お願いします!」ビシッ

爽「おっかわりだぞっ!★」


恒子『ブルマとチャイナがまた同時におかわりぃ! 3杯目に突入ぅ! 二人の、お前には負けるもんかという熱い視線が交差しますっ!』

恒子『こちらでは、鹿児島のブラックホールとゴジラがガップリ四つだぁ! まったくなんて闘いだぁ!』

恒子『いやはや、私の! アナウンサー人生で! ここまで猛烈な勢いでしゃべったことはありません! 私、今日はテクノブレイクするまでしゃべり倒しますよぉぉっ!!』


健夜「…こーこちゃんまぁ少し落ち着きなよ。 はい、お水」スッ

恒子「あ、ありがとすこやん♪」ゴクゴクゴク



【PM1:05 完食杯数】

 高鴨穏乃  2杯

 片岡優希  2杯

 椿野美幸  2杯

 獅子原爽  2杯

 宮永照   1杯

 愛宕絹恵  1杯

 滝見春   1杯



PM1:05


爽「ひょーっ! オーッ ホッホーッッ!!」


恒子『獅子原選手が今度は何かホーホー言い出しましたね』


爽「オホホホホホホホホホッッ!!」


恒子『なんだもう! 獅子原さんちょっとうるさいよ? どうしたの、ターザンのモノマネ?』

爽「味玉が激ウマなんだYO! 黄身を麺にからめると、イッちゃうほどおいっしいんだぴよんっ!★」


ナニッマジカ ドレドレ タマゴタマゴ・・・


恒子『おいしいと聞いたら黙ってはいられないのが大食いの性ですね! みんなトッピングの玉子に手を出し始めました!』


美幸「やばっ! マジでうんまぁ!」
春「……//////」=3=3
照「ガオーッ!」


恒子『うわぁこれは本当に美味しそうですね… 私、先ほどラーメン一杯いただいたんですけど、また食べたくなってきました…』ジュルリ


優希「誰かぁ! 私にも味玉をよこせくださいだじぇええ!!」

恒子『え? 片岡さんもうトッピング全部食べちゃったじゃん』

優希「追加を頼むじぇえ!」

恒子『…すこやんどうする? いいの?』

健夜「…いいけど、他の人より多く食べることになるよ?」

優希「全然かまわないじょ!」



 和「…賭けのこと、完全に忘れてますね、優希…」

 久「は、ははは…」アセタラリ


穏乃「いただきま… じゃなくて、ごちそうさま!!」

絹恵「…高鴨さん、おかわりください、でしょ」

穏乃「あ、そか/// おかわりくださいぃ!」ズビシッ


恒子『トップ快走の高鴨選手4杯目突入! しかし早くもすごい汗です! …えーっとただ今気温は24度と、そこまで高くはないのですが… これは高鴨選手水着を選んで正解でしたね』


穏乃「ハフハフッ ずるずずずっ!」=3=3


?「高鴨さん、良かったらおしぼり使ってくださいね」スッ

穏乃「ほえ?」

美穂子「汗を拭いて一息ついたほうがいいですよ?」ニコッ

穏乃「あ、ありがとうございます!」フキフキ

本日ここまでっす
余裕あったら明日も投下しまっす


美穂子「皆さん、冷たいオシボリ用意してますから、欲しい方は言って下さいね!」

優希「風越のー! 私にも頼むじぇ!」=3


恒子『片岡選手も汗かき始めてますね』

健夜「ラーメンを食べれば食べるほど、体の内側から熱くなってくるからね… 早めにクールダウンしておいた方がいいと思います」


絹恵「おかわりください!」


恒子『愛宕選手が3杯目突入! ん? なんだアレ…?』

絹恵「…」ゴソゴソ

恒子『…空のドンブリの上にボウル型のザルを乗せ、その上に麺と具を移しています…』

健夜「これは…考えましたね。 麺にからんでいるスープを切る作戦のようですね」

恒子『スープ…? あんなことしても、数gの差だよね?』

健夜「1杯では数gでも、10杯以上食べればけっこうな差になるよ。 それに、ラーメンのスープは塩分と油脂分が多くて満腹中枢を刺激しやすいから、なるべく摂らないに越したことはないです。
   …それにしても、今日の愛宕選手は随分ストイックに色々やってきますねぇ…」


~応援席~


漫「…」カキカキ

洋榎「ん? 何を書いとるんや漫?」

漫「…えーっとですね、末原先輩に、片岡と、永水の滝見と末原先輩自身のペースをチェックするように言われたんです」

由子「…なんで色鉛筆で書いてるのよー?」

漫「時間を長さで表した棒グラフを作るように言われたんですよ。 それで、1杯目は赤、2杯目は緑、ていう風に杯数ごとに色分けしろって…」

洋榎「なるほど… 大食いのペース早見表ってわけやな…?」


恭子「色分けしてれば、どこでどのくらい時間がかかったかが一目瞭然… それを見れば、相手の現在の状況や、もしかしたらあとどのくらい食べるかとかもある程度予想できるのかも。 さっすが末原先輩や…」

洋榎「ははあ考えたなあ恭子… でも、片岡と自分は分かるけど、なんで滝見までチェックするんや?」

漫「…いや、そこまで聞いてないですけど…」

恭子「…私、分かる気するなぁ。 滝見さんが、この7人の中で最も安定したペースで食べる人やから、多分自分のペース作りの参考にするんじゃないかな…?」


~試合会場~


照「…おかわり…下さい」


恒子『宮永選手が3杯目に入りました! …さっきもう滝見さんがおかわりしましたので、宮永選手今ラストになっちゃってますね』


照「…」ズイッ


恒子『おや、ゴジラ立ち上がって…?』


照「・・・あっつうぅぅい! ぬ、脱ぎます!」ヌギヌギ


美穂子「…宮永さん引っ張りますよ?」ヨイショヨイショ

照「あ痛い痛い! そ、そこケガしてるから、やさしくやさしく…」ヒーヒー

華菜「全くなんでこんなの着てたんだし…」グイグイ


恒子『宮永選手、ついにゴジラを脱ぎ始めました… 着ぐるみでよく分かりませんでしたが、すでにかなり汗かいてますね…』

照「…」ヌギヌギ

恒子『おや? そしてさらに下に… なっ ぜ、全身タイツを身につけています!』


 淡「WWWWWWWWWW!!!」=3=3

 菫「せ、誠子! お前ジャージ持ってたよな? 急いで照に着せてきてくれぇ!」

 誠子「は、はい」





恒子『宮永選手… 学校指定のジャージに着替えて、やっと食べ始めました! しかし大分時間をロスしてしまったようですね』


淡「ダントツビリになっちゃったよ。 大丈夫かな」

菫「…あいつ… こんなんで負けたら、絶対許さん…」



美幸「おかわりぃ! カタメンで!」


恒子『元気のいい声です! 椿野選手これでもう4杯目… 高鴨・片岡選手に続いて3位につけています!』

健夜「いいペースですね」

恒子『椿野選手は、顔に似合わず前半はけっこう速いんですよね…。 1・2回戦でも“前半”は調子良かったですからね。 “前半”はね・・・』フヒヒ


美幸「…」メラメラメラ

爽「な、なんかあのアナウンサー、今日やたらお前にからんでくるな… あ、あんま気にすんなよ…?」


PM1:08


優希「おっかわりだじぇえ!」

穏乃「おかわりください!」


恒子「トップツーの勢いが止まりません! なんと二人とももう5杯目です! えーっと、片岡選手が、ついに高鴨選手を少し抜きましたね」


優希「カタメンだじぇ」

穏乃「カタメンお願いします!」


恒子『最初はバリカタ人気でしたが、今はみんな大体カタメンを選ぶようになってきました』

健夜「バリカタは歯応えがあって非常においしいんですが、多分のどごしが悪いんじゃないかな…? やはり普通めんかカタメンが一番食べやすいようですね」


優希「あっついじょ! 私も脱いでいいか?」ヌギヌギ


恒子「あーっと… 片岡選手早くも、せっかくの魔法少女コスを脱いでしまいました… 魔法スカートにタンクトップ姿で、おしぼりを首すじにセット! さらに本気モードに入ったようです!」


絹恵「おかわり、下さい!」


恒子『はい、愛宕選手が今4杯目入りましたね! 徹底した熱さ対策で、まだ涼しげに食べ… ううん? …いつの間にか、愛宕選手も首うしろにおしぼりをセットしてます… そして、ビキニの胸元の横にもおしぼりをはさみこんで、両脇を冷やしてますね…?』

健夜「愛宕選手は、さっきからチームメンバーがおしぼりを準備してくれていますね。 首すじと脇は、血流の要所ですから、効率良く体をクールダウンできると思います」

恒子『…いや、でも、高鴨さんとかがやるなら分かるけど、愛宕選手はまだ汗ひとつかいてませんよ…? ビキニ姿だし、あそこまでやったらかえって寒いんじゃないの…?』


~スタジオ・実況室~


はやり「みんなけっこう汗かいてきたねっ! でも、愛宕さんは、福与さん言うようにやりすぎじゃないのかな?☆」

ダヴァン「…これは… 多分、ワザと体を冷やしてるんでスネ…」

はやり「なぬ?」

ダヴァン「…はやりさん、夏の暑い日には、冷たいカキ氷が… そして冬の寒い日には、熱々のおでんが食べたくなりますヨネ…」

はやり「へ? そだね、まあ」


ダヴァン「体に“熱”がこもってる時は、冷たいものを体が求め、とてもおいしいと感じるのデス。 そして逆に、体に“熱”が足りない、つまり寒い時は、あったかいものを体が求め、とてもおいしく感じるものなのデス」

はやり「うん、そりゃそうだね。 …ははあ、だから…」

ダヴァン「ハイ、愛宕選手はワザと体を少し冷やして、あったかいものを体が求めるように、最も“おいしく”感じるように、体を調整しているようデス…」

ダヴァン「おそらく、常に体が“あったかいもの”を求めるように、体内の“熱の量”を調節していくつもりなのではないでショウカ…?」

はやり「・・・へええ… なんかすごい緻密な計算をしてそうだね… 愛宕さんってこんな食べ方する人だったかな~?☆」


~試合会場~


春「おかわり…お願いします」


恒子『滝見選手も4杯目に入りました! 相変わらず一定のペースで淡々と食べていますね! しかし一方トップの片岡選手はそろそろ6杯目に入りそうです! 早くも2杯近くの差がついていますね…』


絹恵(…片岡… こりゃ予想以上の化け物や… しかし、45分経過時点では、多分、滝見と同じくらいの量になるハズや… つまり、必ずペースは落ちる…!)

絹恵(私は大食いのペースのことはよう分からんけど、滝見より少し速いくらいのペースを保って食べればちょうどいいはずや…)

絹恵(しかしまぁ、絹ちゃんの体はすごいな… ラーメン3杯食べてもなんともあらへん。 4杯目も1杯目と同じようにおいしい…!)

絹恵(体の熱の調節も今のところ順調や… このままの調子で、落ち着いて体力温存しながら食べ進めるで…!)


優希「おかわりだじぇえ!」ニャハッ

照「おかわりお願いします」


恒子『片岡選手ついに5杯完食! 6杯目に入ります! やはり強いですねこの人は!』

恒子『現在最下位の宮永選手との差がもう完全に2杯以上ついています! 長野の人間ポンプ、この勢いのままどこまで行くのでしょうかぁ!!』



【PM1:10 完食杯数】

 片岡優希  5杯

 高鴨穏乃  4杯

 椿野美幸  3杯

 獅子原爽  3杯

 愛宕絹恵  3杯

 滝見春   3杯

 宮永照   3杯

今日はここまでです
読んでくれた方、書き込みしてくれた方、ありがとうございました!
また週末に

すみません時間つくれなくて投下できませんでした…orz
今ちょっと投下して、また夜書きます


PM1:10


 ザワザワ ガヤガヤ ワイワイ

恒子『いやもう魔法少女が強い強い! スバラしい勢いでラーメンを蒸発させていきます!』


優希「ふふん、意外とみんな遅いじぇ」ムグムグ


美幸「こーこさん、片岡さんって今何杯目なんですか?」

恒子『ん? 気になる? 6杯目だよん』

美幸「6? は? 何ソレもー! 大丈夫なんですか?」


恒子『片岡さん周りから大丈夫かって心配されてるよ!』

優希「? 何のことだ? 全然大丈夫だじぇ」


爽「大丈夫じゃねーよ!早過ぎアルよ。 止まれアルよ!」

美幸「あれ、キャラ変えたの?」

爽「? なんのことアルか?」モグモグ


優希「うまぁーいじょー♪」マッグマッグ

恒子『よく見ると、片岡選手はあんまり麺をズルズルとすすってないですね! なんというか、麺のかたまりをモリッと持ち上げて、そのままズボォッと口につっこんでます。
   それにしてもなんちゅう口のデカさでしょうか!大口コンテストだったら、もう今すぐ優勝できますね!』


穏乃「おかわりお願いします!」ビシッ

恒子『高鴨選手も6杯目に入りました! しかし、トップの片岡選手との差は徐々に開いてきているようです』

健夜「そうですね。さすがに高鴨選手も少しペースが落ちてきてますからね」

恒子『長野の人間掃除機の暴走が止まらなぁああいいっっ!!』


~応援席~


由子「片岡さんやっぱり強いのよー」

洋榎「ま、まだ序盤やからな。後半になれば、恭子がまくってくれるはずや!」

漫「…しかし片岡はなんであんなに速く食べられるんですかね」

憩「呼ばれた気がしましたよ~ぅ」ニュッ

洋榎「うぉっ 荒川!」


憩「フツーの人があんな無茶な食べ方したら、のどに麺がつまってまうでー」

恭子(絹恵)「ゆーきちゃんは特殊体質ってこと?」

憩「そやな。片岡はまず、フツーの人より食道の断面積が広い… それと、食道の周りの、ぜん動運動をする輪状筋という筋肉が異様に発達してるんや。 ここが弱いとムセの元となって、大食いのペースを乱す原因になるんやな」

洋榎「物を飲み込む力が異常に強いってことか…」

憩「そやで。 アナウンサーが人間ポンプとか掃除機とか言っとるのも、あながち大ゲサってわけでもないんや。 おまけに片岡は胃の活動も活発で、幽門反射が起きやすいから、後半になってもそこまでペースは落ちんかもしれんで」


一同「「「「……」」」」

憩「あ、いや、絹ちゃんも、片岡と同等かそれ以上の宇宙の胃袋やからね。ま、後半には追いつくと思いますよーぅ」ナハハ


漫(主将… 清澄入学、まったなし…!)

夕方からまた書きマース


久「優希いい調子ね」

和「…今のところ飽きもくる様子ないですね」

咲「…でも、優希ちゃん、あんな熱そうなラーメン、よくモリモリ食べられるね… あんまりフーフーして冷ましてる様子ないし…」

まこ「他の選手はみんな“空冷”作戦みたいじゃが、優希は“水冷”作戦みたいじゃな…」

咲「え?」

まこ「よく見てみい。優希の奴、今回は食べる合間合間に、コップを口に運んどるじゃろう。 あれは少量の氷水で熱さを緩和しとるんじゃないか?」

久「…なるほど。水はのどの通りも良くするから、テンポ良く食べやすくもなるってわけね」

和「でもそうなると、周りよりも多目に水分を摂らないといけないから、後半不利になりませんか?」

久「…スープ全部飲んだり、トッピング追加したりしてるから今更よね… あの子の胃袋を信じるしかないわ」


~試合会場~


絹恵「おかわり下さい」

優希「お~か~わ~りっ だじぇ!」


恒子『愛宕選手4杯を完食! 続いて片岡選手がなんと6杯目を完食! まだまだ勢いに衰えが見られません!』


絹恵「漫ちゃん、ちょっと方眼紙見せてや!」

漫「あ、はい」スッ


絹恵(・・・・)

絹恵(アナウンサーはああ言っとるが、片岡は明らかに徐々にペースが落ちてきてる…)

絹恵(それに比べて私は1杯目から、ほぼ同じペースで食べ続けてる…)

絹恵(完全に2杯差つけられとるけど、大丈夫…焦ることはないで…!)ズルズル ムグムグ


照「おかわりです!」


恒子『おっ、宮永選手が5杯目に入りましたね。着ぐるみ脱いで、少しペースアップしたかな?』


照(…)

照(やっぱり左手で物を持てないと、食べづらいな…)

照(レンゲもドンブリも持てないし、水を飲む時も、毎回箸を置いて右手で飲まないといけない…)


春「おかわり…お願いします」ストン


恒子『滝見選手も5杯目! 今ラストになっちゃってますね』


照(滝見さん… 本当に淡々と食べるなあ。 ゆっくりに見えるけど、後半必ず追い上げてくるんだよね)

照(ムフフ… ここはちょっと、鏡で力を量っておこうかな…)

照(クックック… この改良を加えたスーパー照魔鏡で…)ズアッ

照(すっぽんぽんにしてやんぜぇ! 滝見ぃ!)クワッ


照魔鏡「ポワポワポワ~ン」


照(どれどれ… むっ! こりぇはぁ…?)


照魔鏡データ:滝見春

 胃力    16
 アゴ力    7
 忍耐力    8
 のど力    7
 オカルト力 12


照(ひええ…! 胃力16…?)

照(マジか…? あの片岡さんよりも上…?)

照(胃力以外はそんな大したことないけど…)

照(ほんとにブラックホールだ… こりゃお菓子か、何か硬い食材とかじゃないと勝てないかも…)


春「…」チュルチュル


※…照の照魔鏡は、大食いに必要な基本的力を数値化して見ることができる!
  ちなみに数値は照の力が全部10の場合の対比値が現れるのだ…!


PM1:13


恒子『白熱しております大食い選手権3回戦ラーメン勝負! 一体どれだけのラーメンが女子高生たちの胃袋に吸い込まれるのでしょうか!?』

恒子『今のところ、熱さなどに苦しめられながらも、全員順調に自分のペースで食べ進めているようです!』


穏乃「おかわりお願いします!」ビシッ


恒子『現在2位につけている高鴨選手6杯目を完食! 大汗かきながらも果敢に麺をすすり上げていきます!』


恒子『高鴨さんどーお? このラーメン何杯くらいイケそう?』

穏乃「…え? うーん、いや、分かんないですけど…12杯、は行く、かな…」

恒子『おおっと! 高鴨選手が「12」という数字を出しましたが、他の選手! これを聞いてどう動くのか…?
   へへっ、全員に聞いちゃおーっと。ビキニの愛宕さんはどう?』

絹恵「…ないしょです」

恒子『あらいけず。 ブルマ美幸は?』

美幸「・・・ブルマブルマってやめて下さいよもー! 私もとりあえず12!」=3

恒子『ほう、獅子原さんは?』

爽「そうネ。 口うるさい女子アナの年齢÷2くらいは行くと思うアルよ」


恒子『…』


美幸(ナイス獅子原!)


恒子『…滝見さんはどうかな?』

春「杯数…ですか? 14… 15くらい」

恒子『でえぇ15!? マジで?』

春「…」

恒子『滝見選手現在最下位ですが大きく出ました! さて元ゴジラはどうかな?』

照「私もとりあえず12を目指します」

恒子『ふうん… じゃ最後! 片岡さんは?』

優希「…」バッ


優希は左手をパーの形にしてグッと突き出してみせた。


恒子『ん? 5杯? 片岡さん、45分で食べれると思う杯数だよ?』

優希「だから、私は5キロだじぇえ!」

恒子『ごごっ 5キロォ?』


恒子『5キロってすごいことになりますよね小鍛治プロ! このラーメンだと何杯?』

健夜「自分で計算してよ! 1杯が大体270gくらいだよ」

恒子『えーっと、じゃあ、トッピングの300を引いて、4700g÷270g・・・っていくつだ』

健夜「…17あまり、110…」

恒子『てことは、片岡さん17杯半も食べるってこと? まっさかぁ!』

優希「みくびるな! 私は本気だじょ!」


絹恵(…落ち着け…! インターハイでも片岡はしょっちゅうトラッシュトークで相手を惑わせとった… 17なんて、適当に言ってるだけや…!)

絹恵(…私の目標杯数はとりあえず滝見と同じ15… あとは、終盤のスプリント勝負で、トップに立つ…!)ギラッ


爽「おかわりdeath!」クワッ


恒子『はいはい、獅子原選手が6杯目に入りましたね! 現在5位です』


美穂子「はいどうぞ。カタメンですね」トンッ

爽「ふふ… お嬢さん、またお会いできるとは、最早運命ですね」キリッ

美穂子「…あ、こないだの…」

爽「どうですか? アイドルを目指す気にはなってもらえましたか?」


美穂子「いえ、だから私はアイドルは…」

爽「分かりました! 私の覚悟を見たいわけですね?」

美穂子「は…?」

爽「どうでしょう! もし私がこのラーメン勝負を勝ち抜いたら、アイドルを目指してみるというのは…!」

美穂子「…」


未春「勝ち抜くって… 何? ここで脱落しなかったらってこと…?」

華菜「つまりビリにならなかったらってことか? ハードル低すぎだし…」



【PM1:15 完食杯数】

 片岡優希 7杯

 高鴨穏乃 6杯

 椿野美幸 5杯

 愛宕絹恵 5杯

 獅子原爽 5杯

 宮永照  4杯

 滝見春  4杯 


PM1:15


華菜「ふつうそこは『トップになれたら』とか言うとこだし」

爽「…」ポリポリポリ

美穂子「・・・どうかしたんですか?」

爽「いや、私ちょっと猫アレルギーがありまして… 猫に近づかれると体がかゆくなってくるんです」


未春「華菜ちゃんを、バカにするのは、許しませんよおおっっ!!」ジタバタ

華菜「み、みはるん落ち着くし…!」ハガイジメー


美穂子「申し訳ありませんが、私にはその気はありませんので…」

爽「OK! 分かった! 3位! 3位以上に入ったらどーですか!」クワッ

美穂子「・・・分かりました。 3位以上に入れたら、話だけは聞くことにしましょう」

爽「YOSSHAAA!!」グッ

美穂子「その代わり、4位以下だった場合は、もう私を誘うのはあきらめて下さい。いいですね?」

爽「むむ… 分かりました! それでいいでしょう…」


華菜「キャ、キャプテンいいんですか…?」

美穂子「なかなかあきらめてもらえそうにないから… 私もちょっと賭けをしてみるわ」


爽(ウェヒヒ… 交渉成立…)

爽(話聞いてもらう約束で十分… あとはじっくりゆっくり、私の交渉術で…)ムフフ

爽(ユキと福路さん、それと清澄の原村と… 千里山の清水谷も入れておもちアイドルユニットを組む…)

爽(この4人が、おもち揺らしながら踊って歌えば…マジで天下取れる…! ちゃちゃのんなんか目じゃねえぜ…!)

爽(お、おもちが八つ・・・ 縦ゆれ、横ゆれ、縦ゆれ、横ゆれ・・・)タラー

爽(やべっ また鼻血…)グイッ


爽(いかんいかん、とりあえず3位以内に入らねえと…)

爽(強い奴は潰しておきたいな…)キョロキョロ

爽(左のブルマは普通にやっても多分勝てるよな… 問題は…)


春「…」チュルチュルムグムグ


爽(こいつ…! 永水の滝見…!)


春「おかわり…お願いします」スッ


恒子『滝見選手5杯目完食! まだ最下位ですが、まったく焦っている様子はありません! 鹿児島の精密機械の後半の追い上げがまた見られそうです!』



 巴「さすがに…他の人たちも強いですね…」

 小蒔「心配いりませんよ。いつも通り食べてれば、必ず勝てるでしょう」

 初美「はるるはこの試合を勝負だとすら思っていませんよ。 ただ普通に食べてるだけですねー。 まあこの3回戦もらっくらく~に通過でしょう!」

 霞「……」



爽(そう… 滝見は速くはないけど、最後までほとんどペースが落ちない)

爽(45分経過時点では、何食わぬ顔で必ず上位に入ってくる…)

爽(まともにやったら勝率は低い… むふふ… ちょっとちょっかい出しとくか)


爽「ねえ滝見さん」

春「…?」 


爽「ずい分のんびり食ってるね」

春「…そう?」

爽「あれ? 分かってねーの?」

春「…」

爽「周り見てごらんよ? みんな1杯を2分とか2分半とかで食ってるよ」

春「…」

爽「時計見てる? あんた1杯に3分以上かかってるよ」

春「う…ん」

爽「いや、別にいーんだけどさ。ちょっとあんたが滑稽に見えてさ」

春「…?」

爽「さっきみんなが自分がどのくらい食べられるかって予想を言い合ってたじゃんね。 まさかアレ真に受けてる?」

春「…」

爽「あんなの、みんな用心して、わざと少な目の数言ってるんだよ。みんな本当は間違いなく20杯近く行くぜ。もちろん私も」

春「…え?」

爽「あんたこのままじゃ置いてけぼり。 最後までずーっと最下位。 はは、カッコわりーな」

春「……」ピシッ

爽「あは、ごめんごめん、なんか余計なこと口走っちゃったな。 いや、忘れてくれていーからさ」

春「…何…言ってるの…」

爽「あん?」

春「ここまでは…前哨戦… ここからが…本番…」

爽「あ、そなの? じゃ、お手並み拝見させてもらおかね」

春「見て…て」


爽(こいつマジちょれえ)ニタリ


穏乃「おかわり下さい!」ビシッ


恒子『高鴨選手7杯目完食だあぁ! これは…少しトップとの差をつめてきましたかね?』


穏乃「ぞるずぞぞっ じゃっくうむんむんむん!」ガフーッ=3


恒子『汗を拭き拭き麺を豪快にすすり上げます! あれ、鼻水出てるよ高鴨さん!』ティッシュー

穏乃「あ、すいません///」チーン

恒子『奈良の小さな巨人! その食べる姿の迫力には全く衰えが見えません! 気合いの汗と鼻水をほとばしらせ、どこまで突っ走るのかぁーっ!?』


 
 玄「…穏乃ちゃん大丈夫かな… まだ前半なのにもうあんなに汗かいてるよ…?」

 憧「全然平気よ」

 玄「え?」

 憧「シズのばか体力は超高校級よ。 陸上部に入ってたって間違いなくインターハイに出れたくらいなんだから」

 憧「毎日山を駆けずり回ってつけた体力は伊達じゃないって。 スタミナに関しての心配はいらないわよ」



春「ズズルルルッッ モグムッシャムニュムニュゾルルッ!!」=3=3


恒子『おや…? 滝見選手が…ペースを上げてきましたね…?』

春「はぐっはぐっ ずるぞぞっ!」

恒子『…なんでしょう…突然滝見選手が猛然と食べ始めました。 前傾姿勢になって、食べ方も変えてますね… 何かの作戦でしょうか…?』

健夜「・・・?」



~応援席~


霞「…あれ? 春ちゃん…」

初美「急に食べるの速くなりましたねー」

小蒔「…? あんなに急いで食べる春ちゃん、見たことありません…」

巴「なんか、さっき有珠山の人と話してましたよね。 何か言われたのかな…」


霞「変だわ、どうしたのかしら…?」

初美「まあ、速く食べられるならそれでいいんじゃないですかー? もう3回戦だし、はるるもきっと本気になったんですよー」


~試合会場~

絹恵「おかわり下さい!」
優希「おかわりだじぇ!」


恒子『! 愛宕選手6杯目完食! そして片岡選手は8杯目を完食です!3位以下に2杯以上の差をつけ、トップをまだまだ快走中です!』



 洋榎「おいっ! どうや? 漫?」

 漫「…えーっと、あ、今のラーメン、二人とも同じ…いや、末原先輩が少し速く食べてます! 片岡落ちてきてますよ!」

 洋榎「うっし…! きたできたで~… 絹の底力が…!」グッ



絹恵「漫ちゃん!アイスノンや!タオルでくるんで持ってきてや!」

漫「あ、はい!」スッ


恒子『おやっ、愛宕選手、チームメンバーからぐるぐる巻きのアイスノンを受け取って… 両脚のそけい部にセットしましたね…』

健夜「徹底してますね… 愛宕選手1杯目から非常にいいペースで食べてると思いますよ」

恒子『万全の熱さ対策を行いながら、大阪の食べるアルマゲドンが虎視眈々と上位陣を追いかけるぅ! これはトップツーもうかうかしてられなくなってきましたね!』


PM1:18


春「おかわり…ください!」ハアハア


恒子『お…! 滝見選手が6杯目完食… ん… あれ…?』


美幸「おかわり下さい!」


恒子『はい、椿野選手も… 今6杯目完食… ってことは、あれ、滝見さん今4位?』

健夜「そうだね… 滝見選手は今のラーメン2分で食べてますね」

恒子『・・・何が起きたんだぁ? 滝見選手わずかの間に3人をゴボウ抜き! 精密機械から、突然野性的な食べ方へとモードチェンジしました!』


春「もぐはぐもふっ ぞるずるるっっ!!」=3=3


美幸(…滝見さん?)

絹恵(…? 滝見、どうしたんや…? 時計みたいに正確に食べとったのに… これじゃペースメーカーにならんで…)


照「おかわりお願いします」

爽「おかわりよぉん♪」


恒子『おっとおかわりのラッシュラッシュ! 宮永選手、獅子原選手、ともに6杯を完食! 全員がすでに1.5kgを超える量のラーメンを胃袋におさめています!』

恒子『トップ片岡選手にいたっては、トッピング含めてすでに2.5kgの食材を吸い込んでいます!』 


恒子『さあ、ぼちぼち、折り返し地点が近づいてきましたが… さすがに、全体的に勢いがゆっくりになってきたでしょうか…? 選手たちの、箸を上げて麺を空中でキープしている時間が長くなってきたように思います!』

恒子『しかしそんな中、永水の滝見選手がここへ来て猛然と麺をすすり上げています! これは全く予想していませんでした! この中盤戦で上位陣に追いついておこうという作戦でしょうか?』


照(…滝見さん、おかしい… あの胃力ならあんな風に食べる必要はないはずなのに…?)

爽(…そろそろ、かな…)


 霞「…おかしい! ちょっと止めた方がいいわ!」

 初美「…え」


春「ぞるずずっ… …むぐっ  ・・・うっ!?」


春(・・・・!!!)


爽(あ、きた)


春(………!? …んー・・・)



恒子『おや…? 滝見選手、手を止めて… ?  箸を持ったままピクリとも動かなくなりました』

健夜「あ、まずい!」ダッ

恒子『え?』


憩「!? あかん!」ダッ



健夜と憩が同時に春に走り寄る。


健夜「滝見さん! 大丈夫?!」

春「・・・」

憩「…チアノーゼの症状は、ない… 大丈夫や。 食道に麺がつまってるだけや…」サスリサスリ


春「…さわら、ない、で… だい、じょ、うぶ…」


憩「…呼吸は、きちんと、できるか…?」

春「ん…」コクコク


憩「…小鍛治プロ・・・ とりあえず大丈夫です。 うちがしばらく様子見ますから…」

健夜「…うん、荒川さん、お願いね…」ホッ


恒子「な、なにすこやん、滝見さんどうしたの…?」

健夜「のどに… 食道に麺がつまってる。 ラーメンの大食いではたまに… いや、よくあること…」

恒子「大丈夫なの?」

健夜「多分… 噴門、あ、胃の入り口ね、が閉じてる時に、無理やりつめこんだんだと思う…。 ちょっと、復帰するのに時間かかるかも…」


春「………」


恒子『滝見選手、勢い良く食べていましたが、のどに麺がつまってしまったようです… 眉間にしわを寄せて、ジッと動きません』

恒子『…かなり汗をかいてますね…』

健夜「あれは暑くてかいてる汗じゃないね」

恒子『…初めて、初めて、滝見選手が苦しそうな表情を見せました… 大丈夫でしょうか…?』


春(… しまっ た… 麺が… 下に 落ちない… 胸が、痛 い…)




【PM1:20 完食杯数】

 片岡優希  8杯

 高鴨穏乃  8杯

 愛宕絹恵  6杯

 滝見春   6杯

 椿野美幸  6杯

 宮永照   6杯

 獅子原爽  6杯

後味悪いかもですが、今日はここまでです。
また、多分土曜から続き書いていきます。


PM1:20

~スタジオ・実況室~


 春『… …! …!!』グッグッ・・・

 恒子『・・・滝見選手の箸がピタリと止まってから1分が経過しました! まだ動けません! 額に脂汗を浮かべ、身動き一つせずラーメンをにらみつけています…!』


はやり「…メグちゃん!☆ 滝見さん、のどがつまっちゃったみたいだねぇ」

ダヴァン『…ハイ。 大食いは“ムリをして食べる”場面がどうしてもありますから、たまにあのような事がありマス… 万が一気道につまった場合は、命の危険すらありマス。
     事実、TV番組の早食いの真似をした中学生が気道に食べ物をつまらせ、亡くなるという痛ましい事件が起こったことがありマス』

はやり「“競技”である以上、必ず危険はつきまとうよね… でも、なんで滝見さんは急に速く食べ始めたりしたんだろ?☆」

ダヴァン「…彼女が、状況をしっかり把握できず、ペース配分を誤った結果でショウ。 しかし、何か裏に“かけ引き”があったようデスネ」

はやり「かけ引き?」


ダヴァン「はやりサン、大食い競技はよく“マラソン”に例えられることがありますヨネ」

はやり「え? うん、そうだね。 マラソンは走ることによって“距離”を稼ぐレース競技、大食いは食べることによって“食材の量”を稼ぐレース競技だからねっ☆」

ダヴァン「マラソンは、体力や技術とともに、一緒に走る相手選手たちとの“かけ引き”も重要なファクターとなりマス。 現場の地形、路面状態、気温や湿度、相手選手の走り方や表情などを把握した上で、周りを“出し抜く”ことも必要になってきマス」

はやり「ふむふむ☆」

ダヴァン「大食いも似ているのデス。 ほとんどの選手は、周りの選手のペースや表情などを意識しながら、自分のペース配分や食べ方、スパートや味変のタイミングなどについて最善策を常に考えながら食べていマス」

ダヴァン「…しかし滝見選手の場合は、周りを意識せず超マイペースにただ食べる、というスタイルだったようです。 それが彼女の強みでもあったのかもしれまセンが、今回は誰かに“かけ引き”の渦に引っぱり込まれたようでスネ…」

はやり「ふーむ、そして、周りの状況を“錯覚”してしまい、ペース配分を誤ったってことかな?☆」

ダヴァン「ハイ。 大食い競技では、わざと苦しい顔をしてもう食べれないフリをする、逆に限界近いのにまだ余裕があるフリをする、自分の得意な食べ方に相手を引きずりこむ、挑発してペースを崩す、といった、なんというか、テクニカルな“かけ引き”が行われることがありマス。
     滝見選手はおそらく、その“かけ引き”において出し抜かれたのではないでショウカ…」



~試合会場~


恒子『鹿児島のブラックホールのまさかの大ブレーキィィッッ! 滝見選手先ほど水を少し口に含みましたが、まだジッと動かないままです!!』


優希「おかわりだじぇ」


恒子『おっと、トップ片岡選手、ついに10杯目に入りました! しかし、今のラーメン… 完食するのに3分以上かかっていますね。 明らかにガクンとペースが落ちました!』


恒子『片岡さん元気なくなってきてるよ、大丈夫?』

優希「…あきてきたじぇ」


恒子『ありゃま。 でも、後ろから高鴨さんや愛宕さんがヒタヒタ追いかけてきてるよ? こりゃ大ピンチかな!?』

優希「ふふん… おぬし誰に向かって言ってるんだじぇ…」ニヤリ

恒子『おりょ? でもあきてきちゃったんでしょ?』

優希「むふふ… 今日の私には秘密兵器があるんだじぇえ!」ドドンッ


恒子『ん? 片岡選手… ? …1リットルと500mLのペットボトルを取り出しました。
   1リットルの方には半透明の液体… 500mLの方には、オレンジ色の粉…? が入っていますが、なんですかこれは?』


優希「“タコス”に決まってるじぇえぇっ!!」


~応援席~


咲「わ! ついにアレ出しましたよ! ゆーきちゃん!」

和「予選で157さんが出してくれたアイデアが、ついに日の目を見るんですね!」

まこ「うむ。 京太郎が中心になり、清澄の総力を結集して開発した…」



咲和まこ「「「“タコスジュース”が!!!」」」



久「いや、タコスをフリーズドライ加工して粉末にしただけだけどね・・・」


~試合会場~


優希「…」コポコポコポ

恒子『…片岡選手、粉をコップに1/3ほど入れ、上からスポーツドリンクを注いでいます』

優希「むふふ…」クルクル

恒子『箸で撹拌して… 濃いオレンジジュースのような色になりましたね…?』


優希「よく見てろだじぇ!」

優希「ぐびっ ぐびっ ぐびっ ぐびっ」ゴクゴク

恒子『コップ一杯を一気に飲み干しましたァァ!!』

優希「ぷっはああぁっ!」トンッ

優希「ふう・・・」ドクンッドクンッドクンッドクンッ…

恒子『おおお・・・・?』


この時、優希の中に眠っていた莫大な量の食闘気が、タコスによって、目覚める・・・!!


優希「むああっ!」ギンッ!


バチバチバチバチバチバチバチッッッ


一同「「「「「「!?」」」」」」


菫「ぬおぉっ?!」

灼「うっ! あ、あれは…!!」

成香「あわわわわ…」プルプル


その場にいた全ての者は戦慄した・・・!!


  シュウウウウウウウウウウ~~~ッッ・・・・・


優希「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・!



優希「タ コ ス ぢ か ら !!  フル・チャージだっじぇい!!」ズアアアアッ

いったん止まります
また夜続き書きます


優希「覇アアァァァァァァァァァッッ!!」ガッ

優希「MOGUMOGU! ZURURU! HAGUMAFU GATSUGATSU!!」=3=3


恒子『・・・・』

恒子『あ!』ハッ

恒子『申し訳ありません! 私一瞬言葉を失っていました! お、折り返し地点を目前に、とんでもない事が起こりましたァァ!!』

恒子『トップの片岡選手、10杯目に入ったところで持参したタコスジュースを摂取! 再び序盤と同じようなペースで暴走を始めましたァッッ!!』



絹恵(な、なんやあれ・・・? メゲるわ・・・)カタカタカタ


 洋榎「……」

 由子「これはやばいのよー」

 恭子「ナハッ、ナハハハ・・・」タラリ

 漫(長野行き! まったなし! まったなし!)



美幸「おかわりくだしゃい!」フウーッ=3


恒子『! おっと! 現在4位の椿野選手、8杯目のラーメンに入りましたぁ!』

健夜「いや、こーこちゃん、さっき、獅子原さんおかわりしてたから椿野さん5位だよ!」

恒子「ん?! おや失礼! 獅子原選手、先ほどは最下位になってた気がしますが、再び上がってきましたねぇ。
   中盤戦! 目まぐるしく順位の入れ替わる乱戦となっています!」


照「おかわりください」

穏乃「おかわりお願いしまぁーっす!!」=3


恒子『立て続けにおかわりぃ! えーっ、宮永選手は8杯目、高鴨選手は片岡選手を追って10杯目に入りましたぁ!』

恒子『しかし、高鴨選手のおかわりの声が元気満々です! お願いしますの「まぁーっす!」に力が入っております!』


恒子『調子良さそうだね高鴨さん。 まだまだガンガンいけそう?』

穏乃「…いや、なんかそろそろ、やばくなってきそうな感じがします」ハフハフ

恒子『おろ、そなの?』

健夜「もう時間もほぼ半分まで来てますからね… しんどくなり始めてもおかしくはありません」


美幸「…」モグモグ


恒子『むむ…! こちら椿野選手の体操服の背中からは、何かこう、つらそうなオーラ・雰囲気が感じられますねえ…
   先ほどおかわりした時も、「フウッ」と一息ついて、“他の選手今どんなんだろう?”という目でキョロキョロしてました』

恒子『ペースも確実に落ちています! これからの後半に向けて、何か有効な戦略は持っているのでしょうか?
   ねえ椿野さん、今、何考えてるぅ?』ヘラヘラ

美幸「・・・」ジロリッ

美幸「…私は、ペース落としますよ」

恒子『なぬ?』

美幸「…でも、絶対に負けませんよ私は。 最後は必ず勝ちあがって準決勝に行ってみせます」ギラッ


恒子『ただ今折り返しの22分30秒を過ぎましたっ! 椿野選手からペース落とします宣言が出ちゃいましたね』

健夜「いや… 彼女は自分の能力やペースをよく分かっているんだと思いますよ。 45分という時間を目一杯使って、最大のポテンシャルを引き出すことを考えているんではないでしょうか」


春「……」スルッスルル…


恒子『おや!? 滝見選手が… 箸を動かし、麺をすくいました…!』

春「…」チュルッチュルチュル…

恒子「そして、ついに食べ始めましたぁ! 4分ほどストップしていましたが、滝見選手再始動ぅ!! ダントツの最下位になっちゃってますが、ここから挽回できるでしょうか?」

健夜「つまりは取れたみたいですが… まだ本調子ではないようですね」


PM1:23

~応援席~


小蒔「あ、春ちゃん…」

初美「食べ始めましたねー!」ホッ

霞「…でも、だいぶ差をあけられちゃったわね…」

巴「やっぱり、有珠山の人に何か言われて、ペースを乱してたみたいですね」


初美「ははあ、でも、もしそうだとすると…」

霞「今度心配なのは…逆に獅子原さんの方ね」フフフ

小蒔「そうですね… 何しろ、六女仙の中で、怒ったら一番怖い人は」

巴「実は霞さんじゃなくって…」

初美「はるるなんですからねー。 獅子原さん、泣いて後悔することになるんじゃないですかー?」


優希「おっかわりDAッJEEEEEッッ!!」=3


恒子『トップ片岡選手凄まじい勢いです! ついにラーメン10杯を完食してしまいましたぁ! タコスドリンクを飲んでからまるで神がかった食闘ぶりです!!』


絹恵「…おかわりください」

恒子「3位でトップツーを追っている愛宕選手は今8杯完食! …しかし、片岡選手にまた差を広げられ始めているようですね」

絹恵「……」


末原恭子は、試合前に作った勝利の方程式が、頭の中で音をたてて崩れ落ちるのを感じていた。


絹恵(…片岡、10杯を超えてもあの勢い… 全くの想定外や… ありえん…!)

絹恵(このままのペースでは追いつけへんか…?)

絹恵(ペースを上げるか… いやしかし、ここであまり無理をするのはリスクが高い…)

絹恵(どうする…?)


絹恵「…へくちっ!」

絹恵「あれ…?」タラーッ

絹恵(鼻水… あかん、体冷やし過ぎた…!)

絹恵「漫ちゃん!」

漫「は、はい」

絹恵「アイスノンもおしぼりも一旦返すわ。 あ、あとごめんティッシュ持ってきて」


絹恵(…)

絹恵(動揺すれば即、ペースを乱す原因になる…)

絹恵(落ち着くんや、末原恭子…! 私だって、絹ちゃんの体という、片岡に負けない最高のマシンに乗ってるんや…! 今は余計なこと考えず、このまま食べ続けるんや…!!)


爽「おかわり! バリカタでぇ!」


恒子『獅子原選手、少し調子が上がってきたようですね。 今8杯完食で9杯目に入ります! 4位につけて愛宕選手の背中を猛追しています!』


春「ずるっ ずるっ ちゅるるるる…」ムグムグムグ


恒子『おぉ、そして滝見選手…! ようやく元のペースで落ち着いて食べられるようになってきたようですね!』


爽「…あれ、もーちょい時間稼ぎできるかと思ったけどなー」ボソッ

春「…」ギロッ


春「獅子…原さん」

爽「ん?」

春「だました…ね?」

爽「…だまされるのがわりーんだよ」

春「…」

爽「麻雀でもそうじゃねーか。 いかに相手の裏をかいて点数をむしり取るか…だろ?」

爽「勝負の最中に、ボサッとしてるからそうなるんじゃねーか」


春「…そこまで 言うなら… 意趣返しも… やむなし…!」ブワアッ


爽「え?」


その瞬間、爽の目の前は真っ暗になった。



ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー


 ザザア・・・ ザザザア・・・・


爽(……)

爽(あれ…?)


 ザザザザアア・・・

どこかで波の音が聞こえる。


爽「!?」ハッ


爽が目を覚ますと、そこは静かに波の打ち寄せる砂浜だった。
夜なのか周囲は暗い。
しかし空にはまんまるの月が浮かんで、辺りをぼんやりと照らしている。


爽(なんだここ…? 私、さっきまでラーメン食べてなかったっけ…?)


?「爽さん」

爽「へ?」クルッ

爽「え? おま… ほげえええ!?」ブーッ


そこには、ヤシの木の葉のようなものを胸と腰にまきつけた、ほとんど裸のような格好の由暉子が立っていたのだ。


爽「ユ、ユキ…? お前、なんでそんな格好してるんだ…?」

由暉子「え…? 何言ってるんですか? 爽さんも同じ格好じゃないですか」

爽「なぬ?」


…確かに、爽の腰には何か獣の皮のような物が、そして胸には小さな葉っぱが2枚張り付いているだけであった。
チャイナドレスはあとかたもなく消えていた。


爽「な、なんなんだ、これ…??」


揺杏「どーしたんだ爽?」スッ

誓子「眠れないの? 爽?」スッ

二人とも同じ原始人のような格好である。


爽「ゆ、揺杏… こ、ここってどこなの…?」

揺杏「はあ? お前頭でも打ったのか? ここは南海の孤島・鬼界ヶ島だぜ」


爽「キカイガシマ・・・??」

誓子「本当にどうしたの爽? 私たち、インターハイ準決勝敗退の罪で島流しにされたのよ」

爽「はあああああああああっっ??!」


揺杏「なんで覚えてねーんだ? お前が大将戦であの長野のカンカン野郎に数え役満振り込んで、ぶっトんで試合終了。 最下位の罪としてみんなでここに来たんだろーが?」

爽「みんなって…あと、成香もいるの…?」

誓子「成香なら、洞窟でもうぐっすり寝てるわよ」


・・・これは夢だ。 ありえない。
確かに私たちはインハイ準決で敗退したが、私はトバされてなんかいないし、島流しにされた覚えもない。


由暉子「でも、長かったここでの生活もやっと明日で終わりますね」

揺杏「そうだな、運良く恩赦があったからな」

爽「おんしゃ…?」

誓子「都のてるてる姫とあわあわ姫がついにご結婚なさるのよ。 それで、罪人である私たちも特別に許されることになったの」

爽「ほえ…?」


翌朝、明るくなると、沖から一艘の船がやって来た。

見たこともないような巨大な木造の船である。

どうやら今は平安時代らしい。


誠子「えいさっ ほいさっ」ギコギコ

尭深「えいさ…ズズッ ほいさ…ズズッ」オチャー


成香「来ましたね! やっと帰れます!」

由暉子「北海道に戻って、早くカニを食べに行きたいです」

揺杏「そうだな、私はウニいくら丼食いてえ…」ジュルリ

誓子「ジンギスカン鍋食べに行きたいわ」

爽「…」


菫「よし、今から名前を呼ばれた者は船に乗れ。 …本内成香、桧森誓子、岩館揺杏、真屋由暉子、…以上だ」

爽「へ? 私は?」

菫「む…? 獅子原爽、お前はインハイ敗退の罪以外に、タラシの罪、おもち好きの罪、下ネタの罪など様々な罪状があり、島流し3000年間ということになっている。 今回の恩赦でも戻ることはできん」

爽「そんにゃああああああぁぁぁ―――――っっ!!」グニャアアア


誓子「残念ね、爽」

由暉子「島暮らしも気楽でいいと思いますよ」

成香「ここ無人島ですから、爽さん王様になれますよ、島の!」

揺杏「ユキのプロデュースは私がやっとくから安心しろ。 じゃーな」


爽「お、お前らあああああぁぁぁぁぁ!!」


爽の必死の叫びもむなしく、4人を乗せた船は沖へと消えていった。


爽「どちきしょおおっっ!! こんな所で一人で暮らせっかよおぉぉh@ikじょ¥#1ん!>rghf=3!!111!!!」ダダダダダッ


爽は目に涙をにじませながら海沿いを走った。

しかし、ただただ白い砂浜が延々と続き、沖の方も水平線がずっと続くだけである。


爽「クソオ…!」ガクッ

爽はついに膝をつき、砂の上に倒れ込んで肩で息をした。


爽(…)ハーハー

爽(思い出せ… なんか変だ…)

爽(今が平安時代ってのもおかしい… 私は平成生まれだぞ…?)

爽(とにかくラーメン食ってた記憶がある… 確かとなりに、ブルマと巫女が… …ん? あの巫女が何かやったのか?)ガバッ


爽は顔をあげて海の方を見た。

すると、波打ち際に、何か白っぽい物が落ちているのが目に入った。

爽「…?」


歩いていき拾い上げると、それはエプロンと三角巾をつけた少女の人形だった。

薄茶色の髪の毛で、なぜか左右の目の色が違っている。


爽「こいつ… どっかで見た気がするぞ…?」


その時、突然、人形の右目から目もくらむばかりの閃光がほとばしった。

爽「あ!」

そしてその青い光はアッという間に爽を包み込んでしまった…


爽(う…!?)

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー


ザワザワ  ガヤガヤ  サアツギノオカワリハダレダー?


爽「・・・!?」


気がつくと、すぐ正面に、ブラウンとブルーの目でこちらをジッと見ている美穂子がいた。


爽「ふ、福路、さん…?」

美穂子「…気がつきましたね。 獅子原さん、あなたは今、一瞬だけ幻術にかけられていたのです」

爽「へ…」


美穂子「…滝見さん」ジロッ

春「…」

美穂子「ちょっとやり過ぎではありませんか?」

春「…その人…は そうカンタンに、壊れ…ない」

美穂子「そういう問題ではありません」

春「…」

美穂子「競技の最中に足を引っ張り合うなんて、みっともないという話をしているんです」


美穂子「獅子原さんあなたも!」

爽「は、はひ…」

美穂子「人をたぶらかしてだまし討ちで勝てれば、それで満足ですか?」

爽「・・・」(…すみません、多分満足っす…)


美穂子「そんなヒマがあるんなら、もっと別のことができるのではないですか」

爽「…そ、そうだね… うん、私が悪かった。 滝見さん、ごめん」

春「…いや、 私も やりすぎ…た。 ごめん…」ニコッ

美穂子「…後半は、見ていて感動するような、素敵な闘いを期待してますよ」



爽(福路さんあんたやっぱサイコーだわ… ううん欲しい…)

爽(よし…! 気持ちきりかえて、全力で3位以内、取りにいくぞ…!)カッ



未春(う~ん… 麻雀やってる時のキャプテンも、実はけっこうえげつないけど、ね・・・)


優希「ZORUZORU! GAFUGAFUMOGUGATSU!」=3


恒子『やばいやばいやばい!! トップ片岡の勢いが止まらないぃ! 11杯目のラーメンをそろそろ完食しそうです! 一体この人の体はどーなっているんだあっ?!』


恒子『…片岡さんだいじょぶなの? 今お腹何分目くらい?』

優希「ん? さあ…? 30%くらいだと思うじぇ」ムグムグ


恒子『まだ3割とか言ってますよ! どーすんのすこやん!!』

健夜「…いや、さすがに今30%ってことはないだろうけど、片岡さんはまだまだ満腹になるまでには余裕がありそうだね…」


その時、

Prrrrrr!


恒子『あれ? どっかで携帯鳴ってますね?』


優希「はーい、もしもしだじぇ」ピッ


恒子『あらら、片岡選手試合中に電話してますよ。 ちょっとすこやんこれいいの?』

健夜「ダ、ダメだよ。 試合中は携帯はチームメイトに預けるか、電源切っておかないと…。 でも、この事は確かにちゃんとルール説明してなかったかも…」



優希「…おぬしだれだじぇ? よく聞こえないじょ」

?『 …… 』



【PM1:25 完食杯数】

 片岡優希  10杯

 高鴨穏乃   9杯

 愛宕絹恵   8杯

 獅子原爽   8杯

 椿野美幸   7杯

 宮永照    7杯

 滝見春    6杯

今日はここまでっす。
また明日続き書きます。

ごめんなさい今日書けない…
明日書きます


PM1:25


穏乃「おかわり! お願いしまーっすぅ!」ビシイッ


恒子『高鴨選手! 9杯完食で10杯目に入りましたぁ! これで今、杯数では片岡選手に並んでいます!』


穏乃「ぞるぞるずぞぞぞぞっっ はむはむもぐもぐっ うんうん、おいっしいい!」=3


恒子『高鴨選手ペース自体は落ちていますが、まだまだその迫力には衰えは感じられません! 彼女の食べっぷりには、神々しささえ感じられます!』


健夜「高鴨選手には頑張って欲しいですね」

恒子『ん? なんで?』

健夜「いや… 予選のBグループで生き残ってるのは高鴨選手だけだから…」

恒子『おおっ、確かにそうですね! Bグループは、トップ通過だった江口セーラ選手が昨日負けてしまいましたからねえ…』

恒子『えーっと、そうなると、残りは、Aグループだった選手が2人… そしてCグループは… おっとすごいですね! 通過した4人全員がまだ生き残っています!』

健夜「各チーム、総合的な実力には差があるとは思いませんが…今回はこのような結果になっていますね」


春「おかわり…ください」

照「おかわりお願いします!」


恒子「滝見選手、ようやく今7杯目を完食しました。 のどに麺がつまるというトラブルがありましたが、やっと序盤と同じように、落ち着いて食べられるようになったようですね! 
   宮永選手は8杯目を完食したところです」


優希「…」


恒子『あれ!? さっき電話してた片岡選手… 手が、止まってます… 11杯目をもうほぼ完食しているのですが…? どうしたんでしょうか??』


恒子『片岡さん、どうかした? なんで止めてるの』

優希「…」プルプルプル

恒子『か、片岡さん!?』

優希「も、もう、食べられないんだ、じぇ…」

恒子「は!?」

健夜「…!?」



絹恵(・・・・?)



優希「……」


恒子『えーっとぉ? さっきまでとても調子良く食べ進めていた片岡選手ですが、突然、ピタリと箸を止めました… 何が…起きたんでしょうか…??』


健夜「…片岡さん、どうしたの? 何かあった?」

優希「ほ…ほっといてくれ、だじぇ…」

 
 
 洋榎「お…? 片岡が、止まってる…?」


 由子「箸を置いてしまったのよー」

 漫「チャンスですね、今のうちにできるだけ食べ進めれば…」

 恭子「……?」


絹恵(…チャンス…だけど… なんや…片岡のやつどうしたんや突然…)


~応援席~


久「…優希?」

和「…どうしたんでしょう?」

まこ「なんじゃろう… 何かトラブルかのう?」


咲「…」ブルブルブル

和「!? 咲さん? どうしました?」

咲「わ、分からない… 分からないけど、な、なんか、すごくいやな感じがする…」ガタガタ


久「・・・何が、起きてるの…?」



和「悪寒ですか咲さん、ちょっと熱を計ってみましょう」スイッ

咲「ちち、ちがう、違う…」ガタガタ


~試合会場~


優希「…」


恒子『滝見選手が動くようになったら、今度は片岡選手が…、 あれだけ勢いのあった片岡選手が、何の前触れもなく止まってしまいました…。 すこやんどうしたの、これ?』

健夜「…体調の変化ではないようです… ちょっと様子を見ましょう…」


優希(部長、ごめんだ、じぇ…)


美幸「おかわりお願いします!」ザッ


恒子『お、ブルマがんばっています! 8杯目完食! しかし後半になってやはりずるずると落ちてきたようですね。宮永選手に抜かれて今6位! 
   順調に食べ始めた滝見選手がその後ろを追っています! さあ意地を見せられるのかぁ?』


美幸「次“粉落とし”お願いします」

恒子『? 椿野選手今までカタメンを頼んでいましたが、ここで初めて粉落としを注文しました! 何か作戦ですかね』


美幸(…この9杯目を食べ終わるのに、多分約4分…)

美幸(10杯目が来るときには、残り15分を切っている…)

美幸(粉落としは消化に時間がかかるんだろうけど、残り15分なら、それより単純に重さの少ない方が胃に入りやすいはず…)

美幸(そろそろ限界も近い… 賭けをしなきゃ私は勝てない)

美幸(いったんラストに落ちるかもしれないけど、たとえそうなっても、終盤、“あの作戦”で、前の人をまくる…!)


絹恵「…」ズルズル ムグムグ


恒子『3位につけている愛宕選手、9杯目を完食しそうです! …序盤からペースが変わってませんねえ。 時計をチラチラ見ながら堅実に食べ進めています』


 
 洋榎「よし! 恭子にはまだまだ余裕ありそうやな。 これならまくるのも時間の問題や!」

 由子「でも、片岡さんはなんで突然止まってしまったのよー?」

 洋榎「作戦やないか? 多分限界が近かったのに、周りにそれを悟られんように勢いよく食べて、こちらを焦らせようっていう魂胆やったんやろ」

 由子「なるほどなのよー」


 恭子(いや… 違う… 戦った私は分かる。 優希ちゃんはまだ限界なんかじゃない。 何か…トラブルがあったんや…)


絹恵(……)ムグムグ

絹恵(電話や… あの電話のあとに、片岡はピタリと止まっとる…)

絹恵(誰に、何を言われたんや…?)

絹恵(いや… そんなこと私には関係ない…!)

絹恵(チャンスなんやから、勝つことだけ考えてればいいんや…!)

絹恵(特に、とんでもない賭けがかかっとるんやから、私は絶対に負けるわけにはいかん…)

絹恵(相手の心配なんかしとる暇はない! 余計なこと考えず、食べ進めるんや…!)ズルズルモグモグ


短いですが一旦止まります。
また明日書きます。
読んでくれた人ありがとう!


PM1:27


優希「……」ジワッ


恒子『片岡選手、25分過ぎから止まったまま… う、うつむいて、涙ぐんで…ますよ?』

健夜「…」


 
絹恵(泣いてるやと…? くっ、でも、気にしちゃ、いかん…)ムグムグ

絹恵(か、必ず勝たなきゃいかんのや。 相手のことなんか、考えちゃあかん…)ズルズル

絹恵(……)ムグムグ

絹恵(私は… 私は…!)ピタッ

絹恵(な、何が、したいんや…?)



健夜「…荒川さん」

憩「あ、はい。何ですか?」

健夜「片岡さん、顔色は大丈夫なんだけど…やっぱり様子おかしいから、あなたの方からも声かけてくれる?」

憩「…分かりました。まかせて下さい」スッ


憩「片岡さん?」

優希「…」

憩「どうしたんや? どっか体おかしいところあるんか?」

優希「…」

憩「…それとも…、何か心配なことがあるんか?」

優希「! …な、なんでもないじぇ! た、ただ食べられないだけだじぇ!」

憩「そう…? …どうしても無理なら、リタイア…するか?」

優希「う…」


?「憩ちゃん、ちょっと待ってや」スッ


絹恵「…」


憩が振り返ると、そこには、席を離れてやって来た絹恵が立っていた


憩「…絹ちゃん?」

絹恵「片岡…お前さっき誰と話しとったんや」

優希「…か、関係ないじぇ… おぬしには…」

絹恵「…片岡、お前の携帯を見せるんや」

片岡「え…?」

絹恵「ええから見せるんや!」ガッ

 絹恵はかまわず優希のカバンに手をつっこんで携帯を取り出した。

優希「な…なにするじぇえ?」


絹恵は優希を無視して携帯の電源を入れた。

絹恵(一体片岡に何があったんや…)ポチポチ

絹恵(着信履歴があるはずや… ん… これは…?)

絹恵(…!!)


表示されたのは、恭子の見覚えのある番号だった。


絹恵(…??)ポクポクポク

絹恵(!)チーン

絹恵(分かった… 片岡は何か脅迫されとるんや…!)


絹恵「片岡… お前誰かに監視されとるんやな…?」

優希「…!?」

絹恵「心配せんでええ。 …私が…なんとかしてやる」

絹恵「ええか片岡、リタイアなんかする必要ない。 私があとでまた声をかけるから、そのまま待ってろ。 ええな?」

優希「・・・」

恒子『ちょっと愛宕さん! 勝手に立ち歩いちゃダメだよ! あと電話はダメだよ?』

絹恵「すみません、分かってます。 もう戻ります」スイッ


絹恵「漫ちゃん、漫ちゃん」ヒソヒソ

 席に戻った恭子はすぐに漫を呼んだ。

漫「どうしたんですか末原先輩」

絹恵「ええか…今からすぐ、千里山の江口に電話をかけるんや」

漫「は? 江口セーラですか?」

絹恵「そうや、そんでな、(・・・・・・・・・・)と伝えるんや」

漫「は、はああ? なんですかソレ?」

絹恵「ええからすぐかけるんや! たのんだで!」


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ーーーーーーーー
ーーーー

同時刻・大阪市阿倍野区


ドッドッドッドッッドッ・・・・


天王寺駅近くのコンビ二駐車場…


そこには、YAMAHAのVMAXにまたがったまま缶コーヒーを飲む江口セーラがいた。

そしてすぐ隣に、ホンダCBR400にまたがった二条泉と清水谷竜華もいる。


セーラ「けーっきょく泉は竜華と同じバイクにしたんやなー」

泉「いや… だってやっぱり大型取るの色々めんどうですから…」

セーラ「お前なあ、高速乗ったら全然ちがうんやぞ? こう、安定感とか、加速とかなあ…」

竜華「高速なんかほとんど乗ることあらへんやん。 街乗りは400が一番やで」

泉「そうですよ」

セーラ「分かっとらんなあ… バイク乗るなら大型やで…?」グビッ


Prrrrrrr


竜華「携帯鳴っとる。 セーラじゃないんか?」

セーラ「ん? あ、ほんまや。 …誰やこの番号?」ポチッ

セーラ「はーい誰やー」


漫『あ、あの…姫松の上重ですけど…』


セーラ「ああん? ウエシゲエェ?」


セーラ「どうしたんやあいきなり?」

漫『あの…すみません今どこにいますか?』

セーラ「へ? んーっとなあ、今竜華たちとツーリングでアベノに来たとこやで」

漫『! ちょうどよかった! すんませんちょっとお願いがあるんです!』

セーラ「どうした。何があったんや」

漫『あの、末原先輩からの伝言なんですけど…』


セーラ「…ふんふん、はあ、はいはい…」


泉「何話してるんですかね」ヒソヒソ

竜華「さあ… 上重さん言うたら、絹ちゃんの付き添いでまだ今日は東京におるはずやけどな」


セーラ「…ん、分かった。 ええでまかせとけ。 あとでまた連絡する」ピッ

セーラ「…竜華、泉、今からある所に向かう。 話しとるヒマないで、とにかくついてきてや」

泉・竜華「「??」」

セーラ「ええか、全速でぶっ飛ばす。 事故らんようについてくるんやでえ!!」ブロロロローッッン!


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ーーーー

~インハイ会場屋外多目的広場・試合会場~


絹恵「おかわりください!」


恒子『愛宕選手9杯完食で10杯目に入りました! えーっとでも、さっき立ち歩いてたからか、遅れましたねえ。 獅子原選手に抜かれ、現在4位です!』


絹恵「…」ゾルゾルッ ムグムグ


優希「…」


恒子『片岡選手は… 動きませんねえ… 11杯目完食目前までいったんですが、ドンブリにわずかに残った麺を睨みつけたまま、箸を持とうともしません!』


爽「カタオカはもう限界アルよ! 前半で無理したツケが回ってきたアルよ」ズルズルズル


恒子『先ほど3位まで上がってきた獅子原選手、勝手に他の選手についての解説を始めました! 調子乗ってますねえ…』


爽(よし… 初めて3位になれた…。 しかも、トップの片岡のやつ完全に止まってるから、あいつもすぐ抜けるだろう…)

爽(私もきつくなり始めてはいるけど、最後まで、食べ続けるだけの余裕は、ありそうだ… こりゃもしかしたらトップもイケんじゃね?)イヒヒ


穏乃「おかわり、お願いしまぁーっすぅ!!」ガフーッ=3


恒子『! おおっ? 高鴨選手が11杯目を完食しましたぁ! これで…ついに片岡選手を抜きましたね! 試合開始28分40秒!久々にトップが入れ替わりましたァァ!!』

恒子『しかしまあ、ラーメン11杯! 高鴨選手のこの小さい体の、一体どこに入っているのでしょうか…? 彼女の前にそびえたったこのドンブリタワーが、その凄さを物語っています!』


恒子『高鴨さんすごいじゃん! 今トップだよ?』

穏乃「へ? あ、そうなんですか?」ズルズル

恒子『いいねえ、本当に一心不乱に食べてるねえ! お腹の調子はどうなの?』

穏乃「…よく、分かりませんが… けっこう胃はきつくなってる気がする… でも、大丈夫ですまだまだイケますよ! ラーメンならまだ全然入ります!」ゾルゾルズズズッ


恒子『すごいすごい! 奈良の小さな巨人が、終盤近くまできて、その本領を発揮しています!』

健夜「胃も…そうですけど、単品勝負だとそろそろ飽きてきちゃって、二重の意味でしんどくなってくるんですが…
 すごいですね、高鴨選手にはまだ全く“飽き”の感覚はないようですね」

いったん止まります。
明日の朝もうちょい書きます。






~??~


タキミセンシュキュウハイメニハイリマシター!
ソシテタカカモセンシュハトップヲカイソウチュウー!


?「…」

?「ほう…いい調子じゃないか… この賭け馬は…」

?「はい…」

?「ククク… このままこの娘が勝った場合、いくらのもうけになるんだ…?」

?「ハッ 約2億かと…」

?「ふむ… 実によい金ヅルを見つけてきてくれたものだよ… さあ、もっと食べるのだあっ!」クックックッ

?「…」






~試合会場~


爽「……」


恒子『あれ、さっき片岡さんのこと解説してた獅子原選手… 急に止まりましたね』


恒子『どーした獅子原さん? あなたもそろそろ限界なんじゃないの?』

爽「違うネ。 間違えてボタンを押してしまったアルよ」

恒子『は? ボタン?』

爽「よくあることネ。 早送りを押したつもりが、一時停止ボタンを押してしまったネ」

恒子『・・・何言ってんの?』


爽「早く再生ボタンを押さないと食べられないのネ。 フクヨさん、私の大食い再生ボタン、押して下さいアルヨ」

恒子『…どこなのよ。 獅子原さんの再生ボタン』

爽「ムフッムフフン… それは、左のTKBなのネ!!」グイッ

恒子『…!』ギリッ

恒子(うおおあぶねええ! マイク持ってんのに、思わず“死ねッッ!!”って叫びそうになった…)ハアハア



爽「早く押して下さーいアルネ!」



【PM1:30  完食杯数】

 高鴨穏乃  11杯

 片岡優希  10杯

 獅子原爽   9杯

 愛宕絹恵   9杯

 宮永照    8杯

 椿野美幸   8杯

 滝見春    8杯

今回ここまでっす
また多分、土曜から続き書きます
読んでくれた方、書き込みしてくれた方、ありがとうございました!


PM1:30


爽「フクヨさーん! その細くていやらしい指で、早く私のTKB押してくだサーイ!」


恒子(こいつ・・・ マジでセクハラで失格にしてやろうかな…?)


爽「再生ボタン押さないと食べられないノネ…」ショボン

美幸「ああもうっ! いっつもいっつも世話の焼ける人だねもぉー! ハイッ 私が押してあげるよ!」ポチットナ

爽「あ゙ん゙っ! そそ、そっちは右のTKB! 右のTKBは巻き戻しボタンなのネ! ゲボが出てしまうノネ!」オエップ

美幸「こっち向くんじゃねえ! もーぉこの変態ぃっ!!」オッパイレンダー

爽「あへほうっ!!///」


~調理場~


アヘホウッ!!///  ヨッシャ!  サイセイスタートダゼッ!!


ゆみ「…全国は恐ろしい所だな… あんなおかしな奴がいるのか…」

佳織「あはは… それにしても、少しヒマになってきましたね」

ゆみ「ああそうだな。 終盤に入って、おかわりのペースが全体的に落ちてきているからな」

ゆみ「しかし、ここからが選手たちにとっては最も厳しい時間帯だろうからな。 何かあった時すぐフォローしてあげられるように、よく見ていくぞ」

佳織「はい」


智美「佳織ー! チャーシューの予備出しといてくれー」

佳織「あ、はーい」

佳織「……」ゴソゴソ

佳織「智美ちゃんチャーシューないよ。 冷蔵庫の中だよね?」

智美「? そんなわけないぞ、さっき確認した時はあったぞ?」

ゆみ「・・・おい・・ モモ!」

桃子「ふぇっ、 な、なんっすか?」モグモグ


ゆみ「お前また… ステルス食いしてたな…」

桃子「ご、ごめんなさいっす… 選手たちがあんまり美味しそうに食べてたから、我慢できなかったっす…」

佳織「なんですかステルス食いって…」

ゆみ「ああ… モモはな、そのステルス能力を使って、誰にも気づかれずにつまみ食いすることができるんだ。 教室でも、授業中に早弁してもお菓子を食べていても、一度も見つかったことがないらしい」

佳織「桃子さん食い意地張り過ぎだよ…」


智美「モモ…! あのなあ、チャーシューは、トッピングで片岡が大量に持ってったから不足してるんだぞ? 足りなくなってラーメンが作れなくなったらどうするんだ?」

モモ「ごご、ごめんなさいっす…」シュン

睦月「…桃子、ほら、これ食べていいぞ…」ホワアアン

モモ「こ、これは・・・!!」

睦月「肉なしラーメンだ… 腹が減ってるんならコソコソせずにちゃんと言え…」

モモ「むむむむっちゃんせんぱああああああいっ!!」

睦月「うむ…」


ゆみ「いいのか睦月…?」

睦月「またつまみ食いされたらかなわないから…」

桃子「ぞるぞるっ ずぞぞぞぞぞぞぞぉぉ~~~~~っ!」=3=3

桃子「ううう、うまああああああああいいいいいっすううううううううぅぅ―――っっ!!」ヤホーイ


~試合会場~


照「いただきま…じゃない、おかわり下さい!」


恒子『さあ、宮永選手、9杯完食で10杯目に入ります! 今5位くらい…かな? ちょっとペースも落ちてきてますね。昨日と違って今日は全然目立ててません!』

照(やっば… そろそろきつくなってきたなあ…)ムグムグ


絹恵「おかわりください!」


恒子『おっ 愛宕選手は10杯を完食しました! 獅子原さんを抜き返してまた3位にあがってきましたね。 …ペースがほとんど衰えてないですねえ… さすがは愛宕選手です!』

健夜『序盤から色々な対策を講じていた事が、ここにきて有効に働いているようですね。 まだまだ余裕がありそうです』

絹恵「ずるぞぞっ むぐむぐむぐ…」

恒子『…しかし愛宕選手、何か先ほどから非常に厳しい顔になりました… 眉間にしわを寄せ、何か怒っているような表情で食べてます…』


絹恵(ほんとすごいわ絹ちゃんの体は… ラーメン10杯食べても苦しくない…)

絹恵(でも… 胃はまったく大丈夫やけど、なんなんやこの感覚… のどが、疲れてきてる…?)

絹恵(鈍い痛みがある… 飲み込むのが少ししんどくなってきてるで…)



優希「…」


恒子「2位に落ちてしまった片岡選手はまだ動きません! ピタリと止まってからもう5分以上経過しています!!」


絹恵(片岡… 悔しいやろ… 自分の実力を出せんのは…)

絹恵(もう少しで、きっとセーラたちがなんとかしてくれるからな…)

絹恵(私は、やっぱりどんな時も正々堂々と戦いたい。 お前を助けた上で… 全力で叩き潰す!)

ちょっと止まります。
土曜日なんかここつながらなくなってましたよね?
更新遅くなりすみませんでした。
また明日の朝と夜に続き書いていきます。


美幸「おかわり下さい!」


恒子『椿野選手9杯を完食! そして、粉落としの麺の10杯目がやってきました!
   さあ・・・ 椿野選手は目標として“12杯”という数字を出していましたが、それまであと3杯! 大分ペース落ちてきてますけど、到達できるでしょうか…?』

美幸(もぉーきっつ… でも、今はまだ我慢… このラーメンは普通に食べて、11杯目から、アレをしてやる…!)



爽「おっかわりだぴよん★♪」


恒子『獅子原選手は今10杯目を完食! フザケてたせいでしょうね。 順位は落ちちゃってます』


爽(・・・ちょっと… 食べるのダルくなってきたな… てかもうラーメンはいいよ…)

爽(こんな時は味変だよなー。 んー、酢にコショウにすりゴマ…ニラカラシもあるな… ちょっと辛くしてみっか)ニラカラシー

爽(おっ けっこうピリッときていいなコレ… よしもっと入れて…)ズルズル


~スタジオ・実況室~


 優希『…』

 恒子『ダメです、片岡選手は動きません! 愛宕選手がそろそろ背中に追いつきそうです!』


はやり「…片岡さん、本当にどうしちゃったんだろうね?☆」

ダヴァン「あれだけ勢い良く食べていたのに、突然止まるというのは、明らかに不自然デス… 何か…精神的なトラブルかも知れまセン」

はやり「精神的? それってどーゆーこと?☆」

ダヴァン「いや、詳しくは分かりまセンが… 片岡さんの体自体は、まだ食材を受け入れられるはずですカラ…」

はやり「ふーん… でも、終盤に入って、みんなさすがにしんどくなってきてるみたいだねっ。 お酢とかコショーとか、調味料を使う人が増えてきたよ☆」

ダヴァン「味変をどのタイミングで、何を使って行うかは、食材によってはかなり大きなポイントになりマス。 しかし、ただ単純に行き当たりバッタリで“とりあえず味を変えとこう”では、かえって失敗することもありマス。 注意が必要ですヨ」


PM1:32

~試合会場~


春「おかわり…ください」


恒子『滝見選手9杯完食…! まだ最下位ではありますが、ペースの落ち始めている他の選手たちを、着実に追い上げています!』


照(…)ムグムグ

照(やっべ… やっぱ滝見さん上がってきそうだな…)

照(これ食べ終わったら、ラーメン10杯完食か… はあ、体がラーメンになりそう)

照(…時間は、あと13分切ってる… よし、そろそろ使いますかー…)

照(“ネオ・ストマック・コークスクリュー”をね…!)フフフ


照(ふふふ… 1回戦の時は、周りのお弁当とかも飛ばして怒られちゃったから…)

照(ちゃんと、胃の中だけでコークスクリューできるように、練習してきたんだよね)

照(コークスクリューで胃の中のラーメンを腸に送り込めれば、まだまだ余裕を持って食べられるはず…)ゴゴゴゴゴゴ・・・

優希「…!?」

春「……!」


恒子『…む…! 宮永選手が… 何やら胃様なオーラを放出し始めました…!
   こ、これは・・・! インハイ決勝で「ギギギ」をやった時のオーラ…!?』

健夜「…大丈夫ですかね。 …またなんかブッこわす気じゃないですか?」


照(よし・・・雀力を右手に集中・・・)ギュルギュルギュル・・・


照はテーブルの下で右手に小さくスクリューの渦を作る… そして…


照(ストマック・コンタクト…!)スウッ


その右手を下腹部に当て、気流を体内に送り込み始めた・・・!!


照(よし…胃の中を撹拌して… 下に…)


しかし、次の瞬間・・・

照「!!?」グッ ドタンッ

照「・・・!?!?」ジタバタジタバタ


照はイスから転げ落ち、口を押さえて床をのたうち回り始めたのだ…!


恒子『!?』

憩「どっどないしたんやチャンピオン!?」

照「…!!…!」


照は、食材が食道に上がってくるのを必死になって押しとどめていた・・・


照(…やべえ…!)

照(コークスクリューの方向間違えた…!)



同時刻…


~全国高麻協会・会長室~


ミヤナガセンシュダイジョブデスカー?
モゴモゴモゴ・・・!!=3=3


会長「…おい、チャンピオンはどうなっている?」

大沼「あー…宮永は、昨日圧倒的な強さを見せていましたからね… 大分買ってる連中がいます。 したがって…順位が落ちれば我々には好都合かと…」

会長「ふむ… あとは… 愛宕の娘もかなり買われていたんじゃないのか?」

大沼「…そうですね」

会長「…止められないのか」

大沼「赤阪を使って、すでに片岡を止めていますから… これ以上は…」

会長「…それもそうだな… 赤阪の方は大丈夫なんだろうな?」

大沼「大阪の…“隠れ家”にいます。 彼女と人質がそこにいるということは、誰も知りえないことです…。 完全な…安牌ですよ…」

会長「ふむ… 下らんことでパクられていたのを、うまく釈放してやったんだからな… キッチリと働いてもらわんといかん…」ニタリ


~試合会場~


穏乃「おかわり…お願い、しまぁーっす!」


恒子『行ったああ高鴨選手! 12歳、12歳完食です!!』

健夜「は? 12歳??」

恒子『あ、あ、間違えたww 12“杯”完食です!』

穏乃「私12歳じゃないよ…」


恒子『いやすごい! 現在、2位以下に1杯以上の差をつけています! 公約通り12杯を完食! 時間はまだ10分以上あります! どこまで杯数を伸ばすんでしょうか?』

恒子『高鴨さんどう? お腹の調子は?』

穏乃「…すみません、ちょっと… 話しかけないで下さい…」スッ


穏乃は箸を置き、立ち上がって体を揺すり始めた。


恒子『すこやんあれは?』

健夜「…たまってる麺を…少しでも下に落とし込みたいんでしょう。 まあ、立っても気休め程度にしかならないことも多いですが…」


絹恵「おかわり…ください!」


恒子『! 愛宕選手が11杯を完食です! これで…止まっている片岡選手を抜いて2位に上がってきました!』


絹恵(片岡のことは今はいい、とにかく自分…)

絹恵「漫ちゃん、方眼紙…」

漫「あ、はいっ」スッ


絹恵(…)

絹恵(やっぱり… ペースが若干落ちてきてる…)

絹恵(なんというか… のどが疲れて、飲み込む力が弱まってる…)

絹恵(これは… スープを徹底的に切って食べてきたのが、裏目に出た・・・?)

絹恵(スープが全くからんでない、のどごしの悪い麺を食べてきたからや…)

絹恵(あかんで…早急に作戦を立て直さな…)


恒子『さあ、ただ今残り時間11分を切りましたぁ! さすがの…! この7人の怪物胃袋の持ち主たちも… 険しい表情が目立ってきましたね。 なんと言いますか、空気がピリピリしてきているのが感じられます!』


照「…」


恒子『先ほど床を転げていた宮永選手、席につきましたが、箸は動いておりません! 大丈夫でしょうか?』


照(やっばい… さっき逆流した時に、なんか、つまった…?)

照(しくじったな…ちょっと、キモい… もう少し、落ち着くまで、待とう…)



絹恵「ちゅるちゅるちゅるちゅるっ」=3=3


恒子『お…? 愛宕選手が…ここにきて食べ方を変えましたね。 これは… 茶碗に少量のスープを入れて、ザルに移動させた麺をすくってそこに浸けてから、すすりあげています。 まるでざる蕎麦を食べるようにラーメンを食べています!』


絹恵(よし… 多分これ正解や… 格段に食べやすくなった…)チュルチュル

絹恵(あと10分ちょい… とにかく…今は片岡より自分だ。 体は…まだ大丈夫! 目標の15杯まで…一気に駆け上がるで…!)


爽「おかわり、ください…」


恒子『ん? 獅子原選手、久しぶりに、素に戻ってのおかわり。 えーっと、11杯を完食ですね! 獅子原選手も片岡選手を抜いてしまいました!』


爽「…」ゴロゴロキュ~…

爽(マジかこれ… なんか、ちょっと腹いてぇぞ…?)サスリサスリ


恒子『終盤に入ってから、調味料やトッピングを使う選手が増えてきましたね』

健夜「はい、でも、“ニラカラシ”は、加熱処理してない生の辛味噌なので、一度にたくさん摂るとお腹を下すかもしれないので注意が必要ですよ」

爽(は? なんだそれえええぇぇ?! も、もっと早く言えよ…)キュルルルr・・・



優希「……」


~応援席~


まこ「…優希…、どんどん抜かされていくのう… 久、プロポーズの言葉は考えてあるんか?」

久「…いいえ、まだ、あの子が負けるとは決まってないわよ。 まだ…まだ何があるか分からないわ」


咲「…」ゾクゾク

和「咲さん、やっぱり一度熱を…」

咲「ううん、違うこれ・・・ なんかの、胸騒ぎだ…」

和「は?」

咲「この感覚、何度かなったことあるんだ… 小学生の時、おねえちゃんがお菓子と間違えて金魚の餌大量に食べてお腹壊して入院した時も・・・ こんな風になった…」

咲「誰かが… 危険な目に遭ってる気がする」

和「SOA。 熱を計りましょう」





【PM1:35 完食杯数】

 高鴨穏乃  12杯

 愛宕絹恵  11杯

 獅子原爽  11杯

 片岡優希  10杯

 宮永照    9杯

 椿野美幸   9杯

 滝見春    9杯
 

いったん止まります。
開始40分まで書きたいので…また明日書きます。


PM1:35

~試合会場~


恒子『ただ今試合残り時間はついに10分を切りましたぁ! さあ、だいぶペースの落ちてる選手や… 止まってしまっている選手もいますが、ラスト10分! どんな展開が待っているのでしょうか?!』

健夜「この10分を、“あと10分しかない”と思っているか、それとも“まだ10分もある”と思っているかが、重要ですね…」

恒子『なぬ?』


春「おかわり…ください」


恒子『おっときたあ! 滝見選手が10杯を完食ぅ! これで・・・ んん? 宮永選手と椿野選手を抜きましたね!』

恒子『鹿児島のブラックホールが完全復活です! 一気の二人抜き! さあさあ追い上げてまいりましたぁっ!
   後ろからグッサーッと刺されてしまった二人は大丈夫なのか?』

健夜「ここで…宮永選手も椿野選手も苦しいと思いますが、“まだ10分もある”と、時間を前向きにとらえて頑張れるかがカギになると思いますよ」


PM1:35

~試合会場~


恒子『ただ今試合残り時間はついに10分を切りましたぁ! さあ、だいぶペースの落ちてる選手や… 止まってしまっている選手もいますが、ラスト10分! どんな展開が待っているのでしょうか?!』

健夜「この10分を、“あと10分しかない”と思っているか、それとも“まだ10分もある”と思っているかが、重要ですね…」

恒子『なぬ?』


春「おかわり…ください」


恒子『おっときたあ! 滝見選手が10杯を完食ぅ! これで・・・ んん? 宮永選手と椿野選手を抜きましたね!』

恒子『鹿児島のブラックホールが完全復活です! 一気の二人抜き! さあさあ追い上げてまいりましたぁっ!
   後ろからグッサーッと刺されてしまった二人は大丈夫なのか?』

健夜「ここで…宮永選手も椿野選手も苦しいと思いますが、“まだ10分もある”と、時間を前向きにとらえて頑張れるかがカギになると思いますよ」


優希「…」


恒子『4位に落ちてしまった片岡選手はまだ動きません! もう10分以上も箸を持っておりません!』


絹恵(・・・間に合わんか… 片岡、私にできることはしてやったつもりだが… もう勝負はあったな…)

絹恵(私は… あとは、相手への礼儀として、全力で闘って勝つだけや。 さすがにきつくなってきたけど… 残りはもう9分、スパートかけていくで…)ギラッ


絹恵「おかわりください」

美幸「おかわり、お願い…します」ハアハア=3


恒子『愛宕選手12杯を完食です! これで…、杯数では高鴨選手に並びましたね! 
   先ほど立ち上がっていた高鴨選手、今は席につきましたが…明らかにペースが落ちています! これはトップ交代もあるかぁ?』

恒子『そして、ブルマ美幸は10杯を完食! いや… なんとも… “私もーダメですぅ…”ていうのが思いっきり顔に出ちゃってますねぇ…』


美幸(もぉー…うるさいんだよぉ… み、宮永さんが落ちてくれたから、まだ、私は6位… 通過圏内だ…)

美幸(でも、もーほとんど胃にスキ間がない… あとは、こいつに、かけるしかない…)ゴソゴソ


恒子『お…? 椿野選手… 何か色々カバンから出しましたねえ。 椿野さん、それは?』

美幸「・・・余裕ないんで… もー話しかけないで下さい… とにかく見ててください」


恒子『椿野選手が出したのは…、 まずラー油、それと、何か黄色っぽいペースト状のもの… すこやんなんだろあれ…?』

健夜「しょうが… いや、ニンニクのすりおろしみたいですね」


美幸「空のドンブリをください」

恒子『おおっ、そして愛宕選手みたいに、空のドンブリに全部麺を移動させて… その上に、すりゴマ、お酢、…そして持ち込みのラー油とニンニクすりおろしを入れ、まぜまぜし始めました…  うわっ、これは・・・?!』

健夜「…すごくおいしそうですね」

恒子『これは、まるで、今流行りの汁なし坦々麺のようです! 椿野選手、大食い競技の最中に、なんと自分で調理をして、まったく違う料理に作り変えてしまいましたぁ! これはすごい!』


美幸「ぞるぞる、ずずず・・・」

美幸(よっしゃ… メッチャおいしい! これで…スパートかけてくよぉ…!)



美幸「ぞるぞる、もぐもぐ、むぎゅむぎゅ…」


恒子『椿野選手、もう限界が近いように見えましたが… 汁なし坦々麺にしてから、少しペースが上がってきましたね!』

健夜「そうですね。 …まあ調味料混ぜただけだから調理ってほどじゃないけど、確かにこれはもう全く違う料理ですね… 
   味を変えて、飽きを回避して“おいしい”という気持ちで食べると、内臓の働きも活発になって胃袋にスキ間ができるんです」

健夜「それと、ラー油、酢、ニンニクと、トリプルで食欲増進効果のあるものを使用… 味のバランスも良いようですし、これはよく考えましたね」



照「おかわりください」


恒子『お、宮永選手も10杯完食! いやしかし… 現在最下位に落ちてしまっています。 どうしたんだチャンピオン?』


照(食べられるようになったけど… くそっ、なんかお腹が変だ… 残り8分切ってるし… やばいなマジで)ハアハア



その時である。


Prrrrrrr


漫「あっ」


漫の携帯が鳴ったのだ。


漫「はい! 江口さん?」ピッ


 絹恵「!!」


漫「ホ・・・ ホンマですか?」

漫「あ、ありがとうございます… 末原先輩! ビンゴです! 成功です! もう大丈夫ですよぉ!!」

絹恵「よっし… やっぱり私の予想通りやったんやな。 漫ちゃん、片岡に携帯を渡してやってや」

漫「はい」


恒子『・・・? ちょ、ちょっと上重さん!何やってんの? 選手が電話するのはダメだよ?』

漫「あ… えと…」

絹恵「福与さん、片岡さんに話をさせてあげて下さい」ギラリッ

恒子『!?』

健夜「・・・こーこちゃん、何か特別な事情があるみたい。 今だけ認めてあげよう」


優希「…もしもし…」

優希「・・・!!」

優希「………」


 恒子「誰と話してるんだろ…?」

 健夜「いや、知らないよ…」


優希「お、おう・・・」

優希「バッ バッチリだじぇ!」クワッ

 恒子「!?」

優希「おう! まかせろだじぇええっ!!」ニッパアアアッ



 咲(あ・・・、胸騒ぎおさまった)



 優希「お・か・わ・り・ だっじぇえええぇっっ!!」クワアッ!


恒子『おおっ!? つ、ついに、片岡選手食べ始めましたぁっ! 37分50秒、わずかに残っていた11杯目を完食ぅ!』

恒子『久々に、片岡選手の「おかわり」の声が響きわたりましたぁっ!!』


優希「MOGUMOGUZORUZORUFUGAFUGAMAGYUMAGYU@¥>じぇ$&”~%≠!!!」=3=3


恒子『だだっ だああああぁぁっっ?! な、なんだこの勢いはぁ??!』



ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー

3分程前

~大阪市西成区・木津川沿い倉庫~


ドッドッドッドッドッド・・・・


セーラ「ここや… 上重の言ってた倉庫は。 …外壁に麻雀牌の塗装… 間違いないで」

竜華「ここに赤阪さんがおるんか」

セーラ「どうもそうらしいな。 おい泉、速攻で110番や」

泉「え、なんて言えばいいんですか?」

セーラ「なんでもええ。 泥棒がおるでもヤクザの集団が戦争しとるでもなんでもええから、とにかくすぐパトカーに来てもらうんや!」


セーラ「じゃあ竜華たのむで、無極点モードで中探ってみてくれや」

竜華「ん・・・」ゴオオオオオオ・・・

竜華「・・・倉庫内に熱源二つ感知… 呼吸… 脈拍は二つとも正常や…」

セーラ「よっし…! 次はトキちゃんやな」

竜華「ほいほい、 “…ここに… 怜を感じる…!”」フトモモー


枕神トキ『ふぁ~い、呼んだかえ~』ポヤポヤ~ン


セーラ「…サーモグラフィーに未来予知… ほんまチートやな。 お前麻雀しとるより特殊部隊入った方がええんちゃうか…」


泉「電話しました。 パトカー到着まで5分もかからんと思います」

セーラ「よし… 警察来る前にケリつけるで。 どうや? トキちゃん」

枕神トキ『ん~… なんかすぐに誰か出てくるで。 そこの入り口から』ポヨポヨ

セーラ「ま、マジか? どないしよ」アタフタ

竜華「ねえセーラぁ、これで捕まえられるんちゃうか?」ゴソッ


竜華は大きな麻袋とロープを拾ってきた。


セーラ「おっ! ナイスや竜華ぁ! よし、泉はロープ、竜華は袋… んで、出てきたら速攻で、ゴニョゴニョゴニョ…」

泉「うまくいきますかね…」

竜華「ま、やってみよか!」


3人は入り口のすぐ横に身をかがめて待機した。


枕神トキ『あと3秒で出てくるで…』


 ゴクリ…


 ガチャッ


いくのん「ふぁんふぁんふぁ~ん♪ とってもガッチレ~ズ スッエハーラちゃ~ん♪
     あんなトッコええな~♪ デッキた~らええな~♪」イヒヒヒ


セーラ「今や!」ダッ

竜華「うっりゃああああああぁっっ!!」バッサー

いくのん「!?」


竜華が郁乃の上半身に麻袋をかぶせ、セーラがタックルをかます。間髪入れず泉が上からロープでグルグル巻きに縛りつけた。


いくのん「・・・!!」=3=3


竜華「うっし! ここは私が見とる! 二人とも中に入るんや!」

セーラ「たのむで! 泉、中にもう一人、多分人質がおる!」ダッ

泉「はい!」ダッ


倉庫の中に入る二人。


?「・・・・?」モゴモゴ


そこには、目隠しと猿ぐつわをされ、イスに縛りつけられた金髪の少年がいた。


セーラ「! おいっ、大丈夫か?」バッ

京太郎「…!? あ… 千里山の…?」プハアッ

セーラ「よっしゃ救出成功や! 泉すぐ上重に電話したれ!」






漫『ホ・・・ ホンマですか?』

セーラ「ああ、赤阪はふんじばったし、人質は今目の前におるで。 ケガもなく元気そうや」

漫『あ、ありがとうございます… 末原先輩! ビンゴです! 成功です! もう大丈夫ですよぉ!!』


優希『…もしもし…』

セーラ「おっ? 片岡か?」

優希『…誰だ…じぇ?』

セーラ「千里山の江口や。 片岡!もうなんの心配もいらんで。 今かわったる」

セーラ「おいアンタ、片岡だ、しゃべってやれ」


京太郎「ゆ、優希…?」

優希『!! きょ、京太郎…? 無事なのか…?』

京太郎「ああ… なんか突然拉致されてさ… 縛りつけられてたんだけど、今、千里山の人たちが助けてくれたんだ…」

優希『京太郎・・・』ポロポロポロ

京太郎「な、泣くなよ大丈夫だって! お前、今、試合の最中だろ? 電話してる場合じゃないんじゃねえか?」

優希『お、おう・・・』

京太郎「試合が終わったら、また話そうぜ。 あ、タコスジュース飲んだのか?」 

優希『バッ バッチリだじぇ!』クワッ

京太郎「じゃあまたあとでな、ガンバレよ!」

優希『おう! まかせろだじぇええっ!!』ニッパアアアッ



ウウ~ ウ~ ウウ~


セーラ「…警察も来たみたいやな、一件落着や」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー

ちょっと止まります


~試合会場~

PM1:38


優希「ZURUUUUッ ZORUZORUHAGUMAHUッッ!!」=3


恒子『かかか片岡選手! 食べ始めたら勢いがすごいすごいっっ!!』

恒子『序盤と変わらないものすごい暴走の再来です! 先に進んでいる3人を猛追し始めましたぁ!』


穏乃「…!」

絹恵「……」

爽「…?!」


恒子『しかし残り時間はもうわずか7分です!今からどこまで取り戻せるんでしょうか?!』


~応援席~


咲「やったぁ! 優希ちゃん復活だ!」

まこ「本当じゃ… 一体なんだったんじゃあのブレーキは…」

久「…ふふっ、面白くなってきたじゃない」

和「咲さん具合はもういいのですか?」

咲「あっ うん大丈夫! ごめんね心配かけて」

まこ「しかし今から愛宕さんに追いつくのはちと厳しいかもしれんのう」

久「…いや、いいのよ、もう。 賭けの事よりも、あの子が最後まで元気に一生懸命闘ってくれれば、私はそれで満足だわ」

まこ「……そうじゃな。 笑顔でたくさん食べる優希を見とると…、こっちもなんだか嬉しくなってくるの」ニコ



由子「片岡さんまたすごい勢いなのよー」

恭子(絹恵)「残り時間はわずかだけど… これはまだ何が起こるか分かんないですね…」

漫「…末原先輩… 片岡を助けたのは立派ですけど…、結果として…、それで負けるかも、しれませんよ…?」

洋榎「アホか、漫」

漫「え?」

洋榎「あの末原恭子が考えてやったことなんや。 うちはもう、どんな結果になっても構わへん。 恭子が闘った結果は、うちはどんなんでも全て受け入れるで」



同時刻

~全国高麻協会・会長室~


ハグマフッ! ガツガツモグ!!=3=3
カタオカセンシュトマラナアアアイ!!


会長「なんだこれは…? どういうわけだ!」

大沼「…あー… 片岡は…、赤阪が、友人を拉致し、それを材料に、食べないように脅迫していたはずですが…」

会長「何が起きてるんだ・・・ 赤阪に連絡してみろ!」

大沼「はい…」ポチポチポチ


Trrrrr…

ピッ

セーラ『はーいもしもし、大沼プロか、それとも協会の会長さんか?』

大沼「な!? お前・・・誰だ・・・?!」

セーラ『誰でもえーやろ。 悪いけどなあ、赤阪が全部吐いてまったで』

大沼「なに…?」

セーラ『高校生の、体を張った真剣勝負を… ネット配信して、こっそりトトカルチョで金儲けたあな… えらい熱心な仕事っぷりじゃないすか。 いやいや恐れ入るで』

大沼「……」

セーラ『観念しやあ。 逃げてもムダや。 もう警察がそっちに向かっとる。 おとなしくお縄につくんやな』

セーラ『これはとんでもないスキャンダルやで… あんたらみたいな腐った大人が世の中をダメにしとるんやろな。
    ええか… 俺たちはな、金持ちのオモチャじゃないんや! ・・・ムショに入ってじっくり反省しろや…』



※この日、協会会長、大沼プロ、その他協会幹部数名が、大食い競技をダシに違法賭博を行っていたことが発覚、逮捕される。 以後、再犯を防ぐためリアルタイムでのネット配信は禁止になり、高麻協会の内部もかなり入れ替えが行われた。


~試合会場~


絹恵(すごいな片岡… はは… やっぱほっときゃ良かったかな…)

絹恵(なーんて考えとるヒマはない。 あと7分弱… なんとしてもリードを守りきらなあかん…)

絹恵(しかし…、片岡の携帯に代行の番号があった時はわけ分からんかったけど…)

絹恵(やっぱりや… 昨日捕まったあと、何故かすぐ釈放されとったらしいしな…)

絹恵(私が改造される時に、連れていかれた、代行の隠れ家…)

絹恵(覚えといて良かったで… 私みたいな犠牲者が出ずにすんだみたいやしな…)


春「おかわり…ください」

穏乃「……」スッ


恒子『滝見選手が11杯を完食ぅ! 順調にラーメンの杯を重ねていきます! …そして高鴨選手、トップで13杯目を完食しましたが… ? …おかわりコールをせずに、立ち上がりましたね…』


穏乃「……」ユサユサ


恒子『高鴨選手… 立って体を真っすぐにし、お腹をさすりながらゆらゆらと体を揺らしています…』



 灼「…もう… さすがに、限界近い、みたい…」

 玄「うん、でも13杯も食べてれば、もう食べなくても通過できるよね?」

 憧「多分ね… 変にムリをしない方がいいかもね」



穏乃(・・・おなかパンパンだ・・)

穏乃(ハハ… 半年くらいラーメン食べなくても平気かも…)

穏乃(13杯食べてれば… 通過できるよな… もう、休もうかな…)



?「高鴨さん、がんばってください!」

>>278
再犯云々の前に麻雀部員が麻雀と関係ない大食い大会自体が廃止になる。
安価実行のために色々考えてるみたいだが、無理してるのがモロに出てて読んでて痛々しい。
大食い部分のリアリティが高い分、周辺のリアリティのなさでなんじゃこれ状態になってるのが残念すぎる。


穏乃「…?」キョロキョロ

煌「スバラです! 高鴨さん! ここまでのスバラな食べっぷり、拝見していましたよぉ!」

穏乃「は、花田さん…?」(ま、まだ東京にいたんだ…)


優希「じぇ、花田先輩?」モグモグ


煌「優希、がんばっていますね…! 高鴨さん、今、もしかするとさぞかし辛いかもしれませんが、ここからが勝負ですよ!」

穏乃「え…」

煌「何事も、全力を尽くしてこそ意味があります! いいですか、やるならとことんやるのです!」

穏乃「…!」

煌「私には、高鴨さんの中に闘神が眠っているのが見えます。 さあ、最後まで、スバラな闘いを見せてください!」

穏乃「んんん・・・・ 分かりました! ありがとうございます、花田さん!」スッ


穏乃(…手を抜いたりしたら、花田さんみたいな、いつでも全力投球な人に対して失礼だ…)

穏乃(最後まで… 私だって… 闘う…!!)


穏乃「おかわり! お願いしまぁ―――っっすうぅ!!」


恒子『うぁっと! 今日一番元気な「まぁーっす!」が出ましたぁ! トップ高鴨選手、ついに14杯目のラーメンに突入ですっっ!!』


爽「…おかわり」


恒子『続けて獅子原選手もおかわり! 12杯を完食ですね!
   いやしかし、さっきまでの元気はどこへやら、ずい分とまあしょぼくれた顔で食べています!』

恒子『どーよ獅子原さん、そろそろヤバいの?』ヘラヘラ

爽「いや・・・ 腹いてーし…、 キッツイのよおお、お腹が…」

恒子『うん、まあ、そりゃそうだよね… あなたもう、3.5kg近くもラーメン食べてんだからさ…
   今、胃に何分目くらい入ってる?』

爽「190%は入ってる」

恒子『190%? 死んじゃうじゃん!』

爽「いや、死なねえけどさあ… くそったれキッツイ… 泣いてもいいすか?」

恒子『あ、全然いいよ! カメラで大映しにしてあげる!ww(むしろ泣け!)』

爽「あー…やっぱそうなるよね…」


優希「おかわりっ! っだJEEEッッ!!」

絹恵「おかわり下さい!」


恒子『キタキタキタッ! 片岡選手が12杯目を完食ぅ! 
   えっとですね、今のラーメン、1分半くらいで食べちゃってますよ! ものすごい追い上げです!』

恒星『そして愛宕選手は13杯を完食です! 2人の差が今ちょうど1杯分になっていますが、その差はどんどん縮まってきているようです!』


絹恵「・・・」カタッ


恒子『おっと愛宕選手ここでメガネをとったあ! そして、髪を後ろに縛ってポニーテールにしました! オデコが汗でつやつや光ってます!』


絹恵(へ…へへ・・・・ なんだ、これ… メッチャきつくなってきたけど・・・ ゾクゾクする… 楽しいいいぃ・・・・!)ゾクゾクゾク


恒子『おおお笑ってる! 笑ってます!! ものすごい怖い顔で笑ってます愛宕選手!!』

恒子『ついに大阪のアルマゲドンが本気を出すのかああぁっ?! 怪物たちの、胃袋の限界に向けての激闘ぉぉ! 残りは5分! 一体どうなってしまうんだあぁっ!!』




【PM1:40 完食杯数】

 高鴨穏乃  13杯

 愛宕絹恵  13杯

 獅子原爽  12杯

 片岡優希  12杯

 滝見春   11杯

 椿野美幸  10杯

 宮永照   10杯



いったん終わります。 また多分土曜から続き書いていきます。
今週末で3回戦は終わらせるつもり…


余談ですがちょっとお知らせ
「元祖! 大食い王決定戦」が今週末に放映されます。

 予選 9/27(土) 午前12:30~
 本線 9/28(日) 夜6:30~

予選は見れない地域も多いと思いますが、本戦はほとんどの地域で見れると思います。
今回はベテランが出ないので、あまりレベルは高くないと思うけど…
咲やシノハユの単行本を買ったら、こちらも録画予約オススメです。

>>281
せっかく読んでくれたのになんじゃこれと思わせてしまってすまない。でもありがとう。
いろいろ気をつけて書いていきます。

テレ東の大食い予選見た
このスレから得た予備知識?で楽しめたわ

遅くなりました。投下します。

>>292
良かった!
皆さんこのあと6:30から本選ありますので、良かったら見てね。
昨年2位で元ミス鎌倉のサチヨちゃん、昨年3位現役アイドルもえのあずき、少林寺の達人青木優子など強かわいいです。優希や春より強いです。
男性選手も面白い人いるみたい。


PM1:40


ゾルゾル…  ムグムグ…  マッグマッギュ…  ズズズズズウゥ…


恒子『・・・音がします。 麺をすする音… モグモグと咀嚼する音… フーフーと麺に息を吹きかける音… 鼻をすする音……』

恒子『残り5分、7人の選手全員が必死に箸を動かしています! …そしてみんな、ものすごい量の汗が顔をつたい、それぞれのコスチュームを濡らしています!!』

恒子『いや、そうでしょうそうでしょう…! 全員がすでに熱々のラーメンを10杯以上体の中に入れているのです! これで暑くないわけがありません!! おしぼりを首筋に引っ掛けたり、直接体に水をかけたりして冷やしている姿が見られます!』


美幸「・・・おかわり、下っさい!」


恒子『おっ! 坦々麺食いをしていたブルマ美幸!おかわり出ました!! 11杯目を完食ですね!』

恒子『…やはり少しペースを上げてきたでしょうか? 12杯目のラーメンも、空のドンブリに移して、先ほどと同じように調理を始めました!』


美幸「……」


恒子『さあ最下位は… やはり変わらず宮永選手です! まだ、けっこう麺が残ってますね…
   残り4分半で、前を走る椿野選手に追いつかなければ、ここで脱落です! 大丈夫なんでしょうか?』


~スタジオ・実況室~


チャンピオンガダイピンチー!  ホントニダイジョブナノカアア?


はやり「…宮永さんやっばいねえっ! 昨日のスイーツ勝負ではムチャクチャに強かったのに、どーしちゃったんだろー?☆」

ダヴァン「さきほど… 床に倒れた時に、のどに麺がつまったとか、何かトラブルがあったんだと思いマス。 あるいは…、満腹中枢によって胃液が逆流して、胸ヤケを起こしているのかもしれまセン」

はやり「あー… 胸ヤケきっついよね… はやりも、揚げ物食べ過ぎるとたまになっちゃうんだっ☆」

ダヴァン「左手をケガしているのもやはり影響していると思いマス。 あと…チャンピオンは、甘い物は得意でも、麺類は苦手なのかもしれまセン」

ダヴァン「得意な食材、苦手な食材というのは、かなり個人差がありマス。 油っこい物をいくら食べても平気な人がいれば、モソモソしたパンを食べるのが異常に速い人もいますし、ご飯物が苦手だったりする人もいマス… 本当に、人それぞれで食材との“相性”は様々なのデス」

はやり「ふんふむ☆ 食の好みだけじゃなくって、、体の相性もあるってことなんだよね!☆」

ダヴァン「ハイ、単品勝負では、相性はとても大きな意味を持ってきマス。 高鴨選手や片岡選手はラーメンとの相性が良いようですが、相性のあまり良くない選手は… これだけたくさん食べるのは、余計ツラいでショウネ・・・」



~試合会場~


優希「おっかわりだじぇええいっ!!」=3


恒子『キタァ―――ッ! 怒涛の進撃の片岡選手、13杯を完食です! 杯数ではトップに並びましたぁっ! 長野の人間ポンプが完全復活ですっ!!』


優希「…そこの… えーっと… フクヨさん!」

恒子『ん? どした?』

優希「絹ちゃ・・・ 愛宕さんは、今どんくらいなんだじぇ?」

恒子『愛宕さん? そうだねえ、14杯目のラーメンを… 半分ちょい…食べたとこかなあ。 なんで?』

優希「…なんでもないじぇ……」ニタアアアッ



爽(やっべえ抜かれた… マジか…?)

爽(私の前にいるのは、片岡、高鴨、愛宕… か…)

爽(こっちだってもう苦しくてマジ泣きしそうなのに…)

爽(あと4分で誰か抜くなんて、無理だ・・・ チクショウ、誰か止まれよ・・・!)


照「おかわり、ください・・・」


恒子『最下位宮永選手、今ここでようやく11杯目を完食です! 大量に汗をかいて… かなり辛そうですね・・・』


春「おかわり…お願いします」


恒子『おっと続いて滝見選手が12杯を完食! 食べる巫女型精密機械が、抜いた二人との差を順調に広げていきます!』


照「……」


恒子『あれ? 宮永選手、おかわりはしましたが、おしぼりで顔を覆って、食べようとしません! どした? 大丈夫?』

照「いや、その… 体が熱くて、少し冷やさないと… 今、食べるとマズイ気がする…」ハアハア

恒子『えっ でも・・・宮永さん今最下位だし、時間もうほとんどないよっ?!』

照「そっか・・・ ああ、もう・・・」ヌギヌギ


恒子『おっ 宮永選手ジャージを脱いで… って、でも、その下は・・・!』


照「……」ムグムグ


恒子『ジャージを脱ぎ捨て、全身タイツむき出しでラーメンを食べ始めましたぁww! もう格好なんてかまってられません!!』


 淡「wwww!」=3=3

 菫「いや、笑ってる場合じゃない… 本気でまずいぞこれは・・・?」



照「水っ! 水ブッかけて下さいっ!」


絹恵「おかわり、くださいぃっ!!」


恒子『さあさあビキニのアルマゲドンが吠えましたぁ! ついにラーメン14杯を完食ぅ! やはり大食いリーサル・ウェポンの名は伊達ではありません! ここに来て高鴨選手を抜きついにトップに立ちましたぁ!!』


穏乃「……!」ムグムグ=3


絹恵(・・・あと、1杯… とにかく、この、1杯を、時間内に… 食べっ切る…!)



爽「おかわり…」


恒子『獅子原選手も来ましたねっ! 13杯を完食です!
   しかぁし! 完全にグロッキーになってます! 今にも死にそうな顔です獅子原選手ぅ!』

健夜「目が泳いでるし・・・ 無駄な動きが増えてますね。 集中力が切れている証拠です」


爽(・・・腹いっぱいで… 座ってるのもツラい… みんなよくやるわ…)ハア


爽「うう・・・」チュルチュル


恒子『獅子原選手14杯目のラーメンに取り組み始めましたが、もうまったく覇気がないですね・・・ 2、3本の麺をすくって、めんどくさそうにすすっています・・・』


 成香「…爽さん……」

 揺杏「なっさけねえなぁアイツ…」

 誓子「本当ね… 他の選手は苦しくても一生懸命食べてるのに…」

 由暉子「・・・私が・・」スッ

 揺杏「あーいいよユキ! あいつ甘えてるだけだから…ほっときゃいいって!」


照「・・・・・・」スック


恒子『あ… 宮永選手! 箸を止めて一旦立ち上がりました…! 全身タイツで仁王立ち! しかも体は汗と水でずぶ濡れです!』

恒子『宮永選手本当にピンチです! 前を行く椿野選手にとっては今がチャンス!! 順調に箸を進め… うおぉ!?』


美幸「……」プルプルプル


恒子『ブルマ美幸が・・・ 箸で支えてる麺とチャーシューが・・・ 空中でプルプルと震えたまま動きません・・・!』

美幸「う…!」カタッ

恒子『あっと、ダメです! 麺をドンブリに戻して箸を置いてしまいました… 椿野選手…ついに限界でしょうか…?』


美幸「……!!」ギリッ


恒子『椿野選手再び麺をすくい… ましたが… やはり空中で止まったままです! 口に運ぶことができません!』



 莉子「せんっぱい…」

 友香「せんぱい、がんっ ・・・・うぅ・・・」


友香は大声で美幸を応援しようとしたが、その声は途中で止まってしまった。
彼女たちにも分かっていたのだ。
美幸がもう、すでに限界を超えてしまっているということを・・・


美幸「…」コトッ


恒子『椿野選手、ダメです、箸を置き… うつむいてしまいました…』

恒子『当落ラインの6位と7位が止まってしまっています! どうなるんでしょうかこれは・・・ 胃袋が、先に動き出すのは、どっちだ・・・!?』


美幸「もぉ、くっそ…!」ギリリッ


その時・・・、

突然、恒子の脳裏に、今朝、川原でジョギングをしていた美幸の姿が浮かび上がった。


“美幸『あの人たちは本物のバケモノ。そして私は凡人…』”


恒子「あ…?」


“美幸『勝つ可能性が0.1%でも、私は全力で闘いますよ。自分より弱い相手と闘ったってつまんないじゃないですか』”


恒子「……」


“美幸『福与さん、また私のことガンガンあおってくれていいですからねっ!』”

“美幸『…楽しみにしてて下さい。史上最強の、ジャイアントキリングを見せてあげますよ・・・!!』ボッ”


恒子「あん…た…」



恒子「ジェロ、ニモ・・・」ボソッ

美幸「!?」

健夜「えっ 何?」


恒子「・・・椿野ォォォ!!!」カッ



一同「「「「「「!??」」」」」」


恒子「・・・お前えぇ・・・、口だけか? バケモノ退治するんじゃねえのかよおぉぉっっ!!」


美幸「……」


健夜「・・・こーこ、ちゃん・・」


恒子は美幸が、誰よりも真剣に、この勝負に挑んできてるということをよく分かっていた。

彼女はもう、アナウンサーとしての公平な立場で、選手を見るということができなくなっていたのだ。


恒子「…根性見せろぉぉ!! そんなもんかよお前はぁぁ!!」ポロポロ

美幸「・・・!!」

恒子「見せてみなさいよぉ!私たちにぃぃ! 史上最強の、ジャイアントキリングってやつをォォォッ!!!」


 友香「…?」

 莉子「……」


美幸「…は、はあああああぁぁ……!」ワナワナワナ



美幸「うぇぁ―――――――っ!! かぁ―――――っっっつ!!!」クワッ



大食い競技は普通、根性や気合いでなんとかなるものではない。
しかし、この時美幸の脳内から分泌された大量のアドレナリンは、彼女の胃袋にも作用し、少しだけ、体を軽くさせたのである…




美幸「ぞるるっ… むぐっ はぐっ…」=3=3


恒子「・・・」

健夜「こーこちゃん、しっかり!」バシッ

恒子「!? あ、ご、ごめんすこやん…」

健夜「あなたがしゃべらないと試合にならないよ?」

恒子『あ――……、 大変失礼いたしましたぁ! 私、一瞬我を忘れて感情的になってしまいました・・・! 
   ええっと、椿野選手、ゆっくりですが、再び、麺をすすり始めました・・・!!』



照「……」


恒子『宮永選手は… まだ立ってお腹をさすっていますね… 手負いのチャンピオンを、大食いお嬢様が追い詰めていますっ! 最強のフードデストロイヤーも、最早ここまでなのかぁ?!』


照「ふう・・・」ニタアァ…ッ


恒子『!? おっ? 宮永選手、食べ始めた椿野選手の方を見て、ニタアアッと笑い、席につきました・・・ うわあ、これは…恐ろしい、恐ろしい嗤い顔ですっ!!』


照「・・・」ズルッ  ズルル・・・


恒子『そして、険しい顔で再び麺をすすり始めましたぁっ! ここへ来て、ブルマVSタイツの闘いが凄まじいものになってきましたあぁっ!!』


美幸「ずるっ …もぐっ むぐっ…」=3


爽(こいつ・・・! すげえ・・・ なんで、こんなガンバれるんだ…?)

爽(体は…、多分私よりキツいのに…!)

爽(くっそ…! 私も… まだ、3位に入るのは、不可能じゃあないっ・・・!)

爽(負けるかよ・・・ 私だって、最後まで、あきらめねえ…!!)ズルズルッ ズズズッ


恒子『試合時間は残り2分ん!! まだ、まだ! 7人全員が食べ進めています! ペースは落ちてますが、その必死の食べっぷりは迫力を増すばかりだぁ! これは一体どんな結末になるんだぁぁ!!?』



PM1:43


優希「おかわりっだじぇええぃ!!」=3


恒子『片岡選手! えーっと14杯を完食ですっ! これで… 高鴨選手を抜いて2位に上がってきました!』

健夜「・・・ちょっと信じられませんね…。 この終盤でもまだ、1杯を2分弱で食べてますよ・・・」

恒子『これは、ラストでトップが入れ替わる可能性もありますねっ! 現在トップの愛宕選手… 15杯目を、まだ1/3… くらいしか食べ進めてません!』


絹恵「……」コトッ


恒子『・・・むっ? その愛宕選手が… 一旦箸を置きましたね… さすがの彼女も限界が近いのでしょうか…?』


絹恵(…)

絹恵(胃は… まだ大丈夫みたいやけど…、 くそっ、吸う力が、残って…ない…! また、麺が、つっかえるようになってきた…)トントン


恒子『愛宕選手、胸の辺りを自分で叩いていますね…』

健夜「麺がうまく落ちていかないんでしょう。 終盤になればなるほど、食道もスムーズに働かなくなってきますから…」


優希「ぞるずるっ! もぐがつもしゃばっく!」=3


恒子「いやしかし、そんな中片岡選手だけは勢いが止まりません! 途中食べていない時間があったとは言え、彼女も愛宕選手とほぼ同じ量を食べているのにです!」


絹恵(いや… スープやトッピングの追加のことを考えれば、片岡はもうすでに私より多く食べてる… なのに、ペースが落ちない…?)


絹恵(・・・くそっ! これは、負け…る…?)


 漫「末原先輩!もうちょっとですよぉ!」

 由子「もうひとふんばりなのよー!」

 恭子「が…、がんばって下さい!」


絹恵(う…)

絹恵は顔を上げて姫松メンバーの方を見た。
3人が声援を送ってくれる中、洋榎だけは険しい顔で黙ってこちらを見ているだけだった。


絹恵(主将… あの人は、言ったことは必ず実行する人や・・・)

絹恵(もし… ここで私が負けたら、誰がなんと言っても、本当に長野に行ってしまうやろう…)


洋榎「・・・どうしたんや恭子、きついか」

絹恵「…」


洋榎と絹恵の目が合った。 そして、その瞬間、洋榎の険しい表情は崩れ、ニッと微笑んだのだ。


絹恵「…!」

どこか見覚えのある表情だ。


絹恵(あ…、あの時と、同じ顔、や…!)

ここで一旦終わります。
明日の夕方からまた書いて、3回戦編は、試合の後のことも含めて全部投下し、準決勝についても少し触れます。

おつ
さっき大食いにチャンネル合わせた
22歳の娘タイプwwと思ってたのに限界まで頬張った顔(´;ω;`)

>>309
あらら、残念…
22歳…元ミス鎌倉の桝渕祥与(ますぶちさちよ)ですね。
サチヨちゃんは頬張った顔もイイと思うけど…

今回の決定戦は… 決勝はちょっとなんというか、気の毒でしたね…
あんな豪雨の中で雨ガッパ着てラーメン食べるなんて…

投下します。


それは・・・ あの、インハイ団体の決勝大将戦・・・

咲、淡、穏乃という魔物3人を相手に奮闘しながらも、わずかに及ばず敗退し、メンバーの控え室に戻った時・・・

その時、出迎えてくれた時の洋榎の顔と同じだったのだ。


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恭子「ごめん、みんな… 私のせいで…」ポロポロポロ

由子「恭子のせいじゃないのよー」

絹恵「私が、亦野と原村に競り負けたせいですよ…」

漫「うちが、チャンピオンに点数半分にされたからですって」


恭子「主将、すみません、せっかく中堅戦でトップを取ってくれていたのに…」

洋榎「…恭子、お前は…、大将戦の時、一度でも手を抜いたか?」

恭子「?! いや、もちろん、全力でやりました…」

洋榎「お前は、この決勝に辿り着くまで、誰よりも勝つための努力と研究を重ねてきたんや。 そういう奴が、全力で闘った結果なんや、うちはごっつ満足しとるで」ニッ

恭子「…」


洋榎「恭子… チームの負けは、チーム全員の責任や。 うちは、このメンバーでインハイの決勝を闘えて、本当に良かったと思っとる」

洋榎「うちら姫松は、誰一人として、恥ずかしい麻雀はしとらん! みんな胸を張るんや!」

漫「張るほどの胸なんか無いじゃないですか」

洋榎「漫! 訂正やぁ! お前だけはみっちり反省をせえ!」バチコーン

漫「うぇがぽぉっ!!」


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絹恵(今・・・ もし私が片岡に負けても、きっと主将はあの時と同じように、私を責めず… 笑って受け入れてくれるんやろな…)

絹恵(しかし、私は……)ゴゴゴゴゴ・・・

絹恵(主将の、あんなやさしい顔は、もう見たくないんや!!)カッ


絹恵「…!」スクッ


恒子『おや、止まっていた愛宕選手、立ち上がり・・・?』


絹恵「…」ゴックゴックゴック


恒子『…おっとお! コップに半分ほど残っていた水を、一気に飲み干しましたぁ!』


絹恵(・・・絹ちゃん、すまんな・・・ この、大事な体・・・ ブッ壊してでも、私は、勝つ!!)クワッ


恒子『…そして席につき、箸を、手に取りましたね…!  おおそしてぇ! また、食べ始めましたあぁぁっっ!!』


絹恵「チュルルッ ゾルッ ムグッ ガツッガツ!」=3


恒子『トップをゆずってなるものかという凄まじい気迫です! しかし、その背中を! 非情にも片岡選手がとら・・・え、 あれ?』


優希「…」ポカーン

恒子『なっ?! へっ? どうしたの片岡さん? なんで食べてないの?』

優希「・・・?」キョトン

恒子『? いつ止まったの? 何かあった?』

優希「…なんか、変だじぇ… 食べられないんだ、じぇ…」

恒子『・・・は?』

優希「私は… お腹が、いっぱい、なのか?」


恒子『…な、何言ってるの…?』

優希「入らないんだじぇ… どうしてだ…?」

恒子『私に聞かれても分からないよっ! 急にお腹いっぱいになったの?』

優希「・・・そうなの、か?」ポーッ



 まこ「くおら優希ぃ! わりゃあ何をやっとるんじゃあぁっ!!」



優希「…そ、染谷、せん、ぱい…?」


 まこ「あと1分じゃあ! ボサッとするなぁ! ええから突っ込むんじゃあぁっ!!」


優希「ま、ま…  はぐっ むぐっ ずるっる…」


恒子『快調にトバしていた片岡選手、あと1分というところでなんの前ブレもなく突然止まりました…』

恒子『今、チームメイトの声を聞いて、我に返ったかのように食べ始めましたが…、非常に険しい顔で、まったく先ほどの勢いはありません!』

健夜「ダムが… 満杯になったのかもしれません…」

恒子『は?』

健夜「ごくまれに… 本当の限界まで、満腹中枢が殆ど働かない人がいます。 片岡選手は… もしかして数年ぶりに“満腹”の感覚になり、戸惑っているのかもしれませんね…」


残り45秒


優希「うっ う…」ズルッ ズルル・・・


恒子『片岡選手… 先ほどまで笑顔食いしてたのに、今は涙を滲ませながら食べています!』

恒子『いや… 彼女も、人間だったんですね…! やはりどんなに強くても、胃袋に限界があったのですっ!』

恒子『残りはあと40秒切ったあぁ! スプリント勝負に入りましたぁ! あとは、もう、根性と執念の闘いです!!』



穏乃「ズルッゾッゾ…!!」ムグッ ムグ・・・


恒子『お、そして3位の高鴨選手が、今ドンブリの、最後の麺をすすり上げ・・・』


穏乃「…」ムグッ  モグッ  ムグッ


恒子『目をつぶって、咀嚼して・・・』


穏乃「…すうううううううぅぅっっ!」ス―――ッ


穏乃「お か わ り !! お願い! しまあぁぁ―――――っっすううぅぅ!!!」


恒子『うあっ! 今日! 一番気合いの入ったおかわりが出ましたぁ! 高鴨選手も最後まで気を抜きません! 今、ついに14杯目を完食しましたぁぁ!!』



残り30秒


照「…ずるっ ぞっ ずるっずず…」=3

美幸「むぐっ まっぐ はぐっ ずるっろ…」=3


恒子『そしてそしてぇ! 当落ラインでは宮永選手と椿野選手の死闘が続いています!
   ラスト30秒! 残量はほぼ同じかぁ? ブルマとタイツのデッドヒート! どちらがここでオサラバしてしまうんでしょうかぁ?!』


残り25秒


優希「ずる… むぐっ はぐ…」ポロポロポロ


恒子『あああもう片岡選手がマジ泣きし始めましたぁ! 長野の怪物の、こんな姿を誰が想像できたでしょうか…! しかぁし! それでも必死に箸を動かしていますっ!!』


絹恵「まっぐ… ふぐっ もぐっ ぞるっる…」


恒子『愛宕選手ももはやヒトの顔ではなあぁぁいっ! 悪魔のような形相で食べています! ついに第二形態への変身が始まるのかぁ?!』

恒子『この二人の麺の残量もほぼ同じです! どちらが3回戦のトップに立つのかあぁ!!』


残り15秒


春「おかわり…ください」


恒子『ブラックホールがラーメン13杯吸い込んだあぁ!! しかしもう今はそんなことにかまってられません! 熾烈なトップ争いと当落ラインでの激闘ぉ!!』

恒子『さあ残り10秒ぉ! 7人の選手の全ての箸がまだ動いています! 皆さん! 太鼓が鳴ったらすぐに動きを止めて下さいよぉ!!』


 友香「せんぱぁい! がんばれぇぇ!!」

 莉子「勝てます! 勝てますよおぉ!」


 菫「照! あともう少しだっ!」

 淡「つっこめテルー!!」


恒子『カウントダウンいきます! 5ぉ!』


 漫「末原せんぱいぃ!」

 由子「口につめこむのよー!」


恒子『4! 3! 』


 煌「ゆ――きぃっ!」

 和「 優希! 」

 咲「食べろ―――――っっ!!」 

 
恒子『2! 1!・・・』



「「おかわりくださいぃ!!」」ババッ



タイコ「ドンドンド―――――ン!!!」




恒子『 しゅう りょう です!!! 』






PM1:45


恒子『終了です! そのまま! そのまま!! 動かないで下さい!』


ザワザワ  ガヤガヤ  ザワザワ   ガヤガヤ


恒子『確認をいたします! ・・・えーっと、終了寸前におかわりをした選手が・・・2人いたようですね!』

恒子『いったい誰が・・・』

恒子『・・・・・』

恒子『最後のおかわりをしたのは・・・!』


恒子『“姫松”愛宕選手! そして、“劔谷”椿野選手です!!』


絹恵「…」ハアハアハア

美幸「…」モゴモゴハアハア



恒子『えーっと、そうなりますと、まずトップは愛宕選手…!』

恒子『そして、椿野選手はギリギリで12杯を完食しましたが、宮永選手は、わずかに!麺が残っています・・・!』


恒子『残念ですっ! ここでの脱落は、白糸台宮永照選手です!!』


 淡「…え?」

 菫「ああ、まったく…!!」

 友香「・・・や、やった・・!」

 莉子「す…すごい!」




健夜「まったぁ!!」


恒子『え・・・、どうしたのすこやん?』


健夜「椿野選手の・・・ トッピングのお皿を確認してください」


美幸「あ・・・?」


恒子『えっ? あ、トッピング・・・?』



美幸「な、何やってるんだ私…?? あーっ! もおおおおおおぉぉっっ!!」



美幸は笑顔を一瞬にして絶望の顔に変えると、テーブルの上に倒れこんだ。


彼女のトッピングの皿には、チャーシューが1枚だけ残っていた。



恒子『…椿野選手のお皿に、チャーシューが1枚だけ、残っています・・・ つまり、これは・・・ え? でも・・・?』

健夜「ルールです。 チャーシュー1枚でもダメです。 トッピングは完食していなければ、杯数にかかわらず失格です」


恒子『・・・・なんて、ことでしょう・・・! 椿野選手・・・ギリギリで6位に入っていながら・・・ 失格・・・ 失格ですっ!』

恒子『よって・・・ 宮永選手は7位ですが、繰り上げで・・・ 3回戦は、突破ですっ!!』


ドオオオオオオオオオオッ・・・・・  ワアアアアアアアアアアッ・・・・・・・





<3回戦 醤油とんこつラーメン勝負 最終完食杯数>

 1位  愛宕絹恵  「15杯」

 2位  片岡優希  「14杯」

 3位  高鴨穏乃  「14杯」

 4位  獅子原爽  「13杯」

 5位  滝見春   「13杯」

 6位  椿野美幸  「12杯」(※トッピングが残っていたため失格)

 7位  宮永照   「11杯」




PM1:47

~スタジオ・実況室~


シッカク・・・  コレハ、ザンネンナケッカニ・・・


はやり「あららっ☆ 椿野さん惜しかったなぁ、チャーシュー1枚で失格か… 気が付かなかったのかね?」

ダヴァン「いえ… 分かってはいたんでしょうが… 恐らく、最後の最後に、口の中に放り込むつもりだったんではないでショウカ…?」

ダヴァン「…これは気持ちは分かりマス。 限界近くまで食べている時は、チャーシューの脂は、とてもキツイものデス。 口の中に入れただけで、えづいてしまい、ペースを乱してしまうかもしれまセン」

はやり「あー… そうだね、胸ヤケしてる時とか、脂は見るだけでも嫌ってときあるね☆」

ダヴァン「終了寸前に口に入れるつもりで残していたんだと思いマス… それが、ラストのギリギリの闘いの中で、一瞬、頭から抜けてしまったのデショウ… これは本当に残念、悔やまれマスネ・・・」


PM1:48

~試合会場~


ザワザワ  ワイワイ  ガヤガヤ・・・


美幸「…」


美幸は、つっぷしたまま、動くことができなかった。
そして、チームメンバーや恒子も、かける言葉を見つけることができなかった。


?「ツバキノ、さん・・・」

美幸「…?」


顔を上げるとそこには、タイツ姿の照が立っていた。


照「ごめんね… 私…負けてたのに、あなたの代わりに、勝ち進むことになった…」

美幸「…もー…、気にしないで下さい… 私がバカだっただけなんですから…」


照「・・・」グイッ

美幸「?!」


美幸は、そのまるい頭を、照のまな板おもちの上に抱かれていた。


美幸「・・・・」

照「・・・あなたはとてもすごかった。 あなたのパワーも、私がもらって、このあともガンバるから…」ギュッ

美幸「…」


美幸(・・・この人、汗くさいよぉ、もー・・・・)



PM1:49

チームメイトのところへ、それぞれ戻る、7人の選手たち・・・


爽「…」

成香「…爽さん、…あの、準決勝進出、おめでとうございます・・・」

爽「…」

揺杏「おい爽… お前何泣いてんだよ… 気持ちわりぃぞ?」

爽「え・・・?」


揺杏の言うとおり、爽の頬には、一筋、二筋と伝い落ちていく涙が光っていた。


爽「は・・・マジだ… ははっ、ダセェな泣くなんて… どうしたんだ私」グイッ

揺杏「あの、長野の福路さんを、またスカウトしようとしてたんだろ…? フラれたのがそんなに悲しいのか?」

爽「・・・いや・・ 悲しいっていうか… なんか、わりと気持ちいいよ…?」

揺杏「…気持ちいい?」

爽「うん… なんか清々しいかんじ」

誓子「爽あなた… 終盤だけ本当に、全力で闘ってたみたいね。 きっと…全力を出しても及ばなかったから、本気で悔しいのよ…。
   だけど、全力を出せたからこそ、心が満足してるんじゃないかしら?」

由暉子「そうですね… 爽さん珍しく、いい顔してますよ」

爽「あらっ、マジ?」

揺杏「へっ、キモいけどな…」


春「…」

霞「春ちゃん、のどの方はもう大丈夫?」

春「うん… 良くなった…」

小蒔「お腹の方は?」

春「全然平気… まだ…食べられる」

初美「途中で止まらなかったら、トップに立ってたかもしれませんよねー」

巴「そうだね、実力は十分だけど… 準決勝も、また駆け引きみたいなことがあるかもしれないから、それだけは注意しないとね」

春「ん…」ポリポリ←黒糖


憧「シズ、大丈夫なの?」

穏乃「ダメ。 死にそう、もう、なんも考えられない…」ウェップ

玄「あんなに無理するから・・・」

穏乃「んー… でも、やっぱさ、あの雰囲気で、チンタラ食べることは、できないよ…」

灼「2回戦、3回戦と、いい調子…」

穏乃「はは… わりと、得意な食材でしたからね…」

宥「準決勝も、あったか~いお料理だといいね」

穏乃「・・・いや・・ その…また熱々な物は、嫌かも…」アセダクダク


PM1:50


洋榎「おーい久!」

久「あら、何?」

洋榎「いや何って、賭けのことやけどな…」

久「ああ、うん、分かってるわ。 優希の負けね」

洋榎「いや、今回はノーカンや。 片岡にはトラブルがあったんやから、こんなの正当な勝負じゃないやろ」

久「…」


洋榎「今回は、お互いほんまによう頑張ったわ。 どっちが強いかって話は、また準決勝以降でケリをつけようや」

久「ふうん…、ねえ優希、愛宕さんがこう言ってるけど、あなたどう思う?」

優希「・・・」

久「正直に思ってること言ってごらんなさい」

優希「…私は… たとえ、電話がこなくても、この勝負・・・ 負けていたと思うじぇ・・・」

絹恵「……」

優希「部長には悪いけど・・・、私は、負けを、認めるじょ・・・」


久「…そう。 洋榎、優希がこう言っているんだから、賭けは成立よ」

洋榎「ふん…そうかい。 まあ、そこまで言うんなら、勝手にすればええんとちゃうか?“本命へのプロポーズ”ってやつを」

久「あらつれないのね。 私のプロポーズ、あなたたちにも見て欲しいのに」

洋榎「・・・なんやと?」

久「私の“本命”は、この会場の中にいるのよ」


 まこ「おい咲・・・ 誰なんじゃ部長の本命って・・・」ヒソヒソ

 咲「わ、私は知りませんよぉ…」


洋榎「ほお… おもろそうやないか。 誰なんや久の本命ってのは?」

久「ふふ… 絹恵ちゃんって肌キレイよね… おもちもまだ成長途中みたいじゃない?」ウヒヒ

洋榎「な!? 久、お前…!」

久「冗談よ。 私、タラシとか言われることあるけど、こう見えて一途なのよ」


洋榎「お前の頭の辞書に、一途なんて言葉があったんか」

久「失礼ね… まあいいわ。 ねえ、春―――! …それと、美穂子―――!」


春「…?」ポリポリ

美穂子「どうしたの?」

久「私、今から、一世一代の告白をするの。 それを、見守っていて欲しいのよ」

洋榎「ずい分もったいぶるな… だから誰なんやって、お前の本命とやらは」

久「それは・・・」



久「・・・美穂子、あなたよ」

美穂子「…!!」

春「…」

まこ「!」

咲「…!」


洋榎「福路さん、か・・・ おいおい、今度は冗談じゃないんやろな」

久「もちろんよ! ねえ美穂子!!」

美穂子「…はい」

久「…インターハイの時・・・ いつも私たちのことを手伝って… 見守ってくれてありがとう。 合宿の時も、あなたが影ながら支えてくれたこと・・・ 本当に感謝してるわ」

美穂子「……」

久「…私は… これからも、ずっと、あなたにそばにいて欲しい」

久「私…竹井久は、福路美穂子のことが、好き。 大好きなの! ・・・美穂子、私と、結婚を前提に、付き合ってくれないかしら?」

美穂子「………」



久のプロポーズ、>>336のコンマ以下、01~70だったら、成功。
                  71~00だったら、失敗。

お願いします!

ごめんなさい!



美穂子「…つつしんで、お受けします…」ポロポロポロポロ


オオオオオオオオオオオオ―――ッッ!   パチパチパチパチパチパチパチパチ


久「えっ! 本当に?」

美穂子「 はい… 」ポロポロ

久「あはっ、やった! やったわぁ!!」


 洋榎「ほお… やるやないか、久…」パチパチ

 由子「おめでとうなのよー!」パチパチ


 華菜「キャ、キャ、キャプテン・・・!」ワナワナ

 未春「華菜ちゃん、私が隣にいるよ…?」


 咲「かっこいいです! 部長!!」パチパチ

 和「こんなオカルトありえるんですね…」パチパチ 

 まこ「ふう…、これで久の浮気性が治ればええんじゃが…」パチパチ

 優希「今回は、私が負けて… ハッピーエンド…なのか…?」パチパチ



このあと・・・
久の浮気を疑う美穂子が、度々清澄の麻雀部部室を訪れるようになり、メンバーはその影におびえながら部活をやることになるとは、この時はまだ、誰も考えなかった・・・




※絹恵と恭子はこの後、永水の人たちの力を借りて、無事元の体に戻りました…


3回戦は以上です。読んでくれた方々ありがとうございました!

準決勝は、これまでの試合形式と全く異なり、3対3の「団体戦」を行います。 とは言っても、「1対1のタイマン勝負×3」ですが。
しかも、団体戦でチームが負けても、2/3の確率で生き残ることができるんですけど。

というわけで、「タイマン」の組み合わせ、どんな対戦を見てみたいか、意見を頂けると嬉しいです。 希望があったものを優先して、対戦を組んでみたいと思います。

また、食材は、3つのタイマン勝負それぞれで異なり、多分前半と後半に分けるので、全部で6種類の食材を用意することになります。
爽にステーキを食べてみてもらいたいな、ということ以外はあまり考えていないので、「こんな食材を食べてみてもらいたい」というのがあったら、どしどし書き込んで頂けると助かります。
よろしくお願いします。

来週、多分ですが、準決勝の内容に触れつつ、ダヴァンとはやりの3回戦の総括を少し投下したいと思います。
準決勝の開始は、すみませんが1ヶ月ほど咲になると思いマス。


PM1:25


穏乃「おかわり! お願いしまーっすぅ!」ビシイッ


恒子『高鴨選手! 10杯完食で11杯目に入りましたぁ! これで今、杯数では片岡選手に並んでいます!』


穏乃「ぞるぞるずぞぞぞぞっっ はむはむもぐもぐっ うんうん、おいっしいい!」=3


恒子『高鴨選手ペース自体は落ちていますが、まだまだその迫力には衰えは感じられません! 彼女の食べっぷりには、神々しささえ感じられます!』


PM1:55

~スタジオ・実況室~


はやり「さあ来週はいよいよ準決勝だねっ!☆
    残ってる子たちは、
    姫松 愛宕絹恵!
    清澄 片岡優希!
    阿知賀 高鴨穏乃!
    有珠山 獅子原爽!
    永水 滝見春!
    白糸台 宮永照! の6人だよっ!」

ダヴァン「予選の時は52人いたんですヨネ… そこから勝ち抜いてきた6人… 究極の戦士たちでスネ」


はやり「さっ、もう終わりになるから、メグちゃん、3回戦の総括をお願いっ!☆」

ダヴァン「いえ… 私はモウ… 7人の選手それぞれの、個性溢れる全力の食べっぷりが、スバラしかったとシカ、言いようがありまセン…」

はやり「はややっ! 駄目だよ解説なんだからなんでもいいからしゃべんなきゃ!☆」

ダヴァン「そうでスネ… とても素敵なファイトだったと思いますが、欲を言えば、滝見選手や片岡選手、あと…チャンピオンもそうでしタガ、実力を思う存分発揮できていなかったようだったノデ… 準決勝では、彼女たちのフルパワーを見てみたいデスネ」

はやり「ふふん… 実は準決勝はねえ、これまでとは全く違う試合形式になるから、ものすごいガチンコ勝負が見れちゃうかもよ!☆」

ダヴァン「全く違う…のデスカ?」

はやり「うん、詳しくは来週話すけどね! 準決勝は“チーム戦”、しかも“1対1”のタイマン勝負を3回行うんだよっ!」

ダヴァン「1対1・・・?」

はやり「そっ! 食材も6種類も用意されて、かなり変則的な勝負になるよんっ☆」


ダヴァン「それは… 選手たちにとっては厳しい勝負になりそうデスネ…」

はやり「あらっ、分かっちゃった?☆」

ダヴァン「今まで通りみんなで一緒に食べれば、“最下位にならなければ決勝には進める”という、なんというか、ある程度の精神的余裕をもって闘いに臨めまスガ… 1対1ではそうはいかないデショウ。 相手に“勝つ”か“負ける”かしかない勝負なわけですカラ…」

はやり「へへっ、そうだね☆ まあ決勝戦は5人で闘うから結局落ちるのは一人だけなんだけど、誰だってタイマン勝負で負けたくはないからね! かなり緊張感のある闘いになるんじゃないかと思うよっ☆」

ダヴァン「大食いの実力だけでなく、“作戦”や“運”が、勝敗に大きくからんでくることになりそうでスネ…」

はやり「うん、ぶっちゃけ、前代未聞の試合形式だから、私もどーなるんだかサッパリ分かんないんだけどね☆」

ダヴァン「ここまで選手たちは繰り返し同じ相手と闘ってきましたから、それぞれの選手の大食い特性も把握しているデショウ。 それを踏まえた上でどう闘うか、といったことも見所になるのかもしれまセン」


はやり「さあまだちょっと時間あるよっ☆ メグちゃんもうちょいなんかしゃべって!」

ダヴァン「ええと… じゃあはやりサンへの質問でもいいでスカ?」

はやり「質問? なんだろーはやりに答えられるかなーっ?☆ ま、いいよ! 何?」

ダヴァン「あの… 人は何故大食いをするんでショウカ…?」

はやり「なぬ?」


はやり「どーゆーことかな?」

ダヴァン「はい… 3回戦の最後、選手たちはみんな、もう苦しいはずなのに、全力でラーメンを食べていまシタ… その姿はとても胸を打つものがあったのでスガ、同時に、なぜここまで頑張ることができるんだろう… という疑問の気持ちも湧いてきたのデス」

ダヴァン「食事は本来、美味しく楽しくするもののハズ… なのになぜ彼女たちは… あそこまで苦しみながら食べようとするのでショウカ…?」

はやり「ふんふんなるほどねっ☆ それはねえ、愛だよ!愛!!」

ダヴァン「愛…?」

はやり「そだよっ!☆ みんなの、食べ物への愛があまりにも大きすぎて、その熱い思いが大食いへと駆り立てるんだよきっと! 大食いは、食事への究極の愛情表現なんだよっ!!☆」

ダヴァン「……」

はやり「あらっ? 納得できない?」

ダヴァン「いや、ベツニ…」

はやり「いいよ! 別に気ぃ遣わなくて!☆ あのねえ、じゃあメグちゃん、人はどうして危険も顧みず物凄く高い山に登ろうとしたり、ゲボ吐きながら練習して、速く走れるようになろうとしたりするんだと思う?」

ダヴァン「……」

はやり「それはね、“私は生きているんだ! ここにいるんだ!!”ていうことを強く実感したいから、つまり自己実現をしたいからなんだよ!☆」

ダヴァン「自己実現…デスカ?」

はやり「そっ!☆ 生きてる人間なら必ず持ってる欲求だね。 大食いはね、きつーくなってくると、自分の体も、精神も、プライドも建て前もなんもかんも、自分の全てをかけて挑みたくなってくるんだよ☆」

はやり「大食いは苦しい時もあるけど、壁を越えた時の達成感、自己実現感はハンパないからね。 だからみんな、必死になっちゃうんだと思うなっ☆」

ダヴァン「なるホド…」

はやり「ま、これは私の考えだけどねっ! 来週の準決勝や決勝で、また必死こいて食べるあの子たちを見れば、もっといい答えを見つけられるかもしれないよっ☆」


はやり「あっと! ちょうどいい時間になったねっ☆ メグちゃん今日はありがとねっ!」

ダヴァン「こ、こちらこそありがとうございマシタ・・・」

はやり「テレビの前の皆さん! 来週も見るんだぞっ!☆ バイバーイ♪」ハヤッ


食材や対戦カードについての書き込み、ありがとうございました。
6種類のうち、2種類は「わんこそば」と「焼き芋」にします。
白飯オンリーはちょっと今回はなしで…

「爽VS春」は決定で、残り4人は適当に対戦カードを組んでみます。

準決勝開始まではしばしお待ちを。

スレ立てしたらまたリンクを貼ります。

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