P（晶葉から眼鏡を渡された）

P（新発明の試作品だそうで、事務所でつけて過ごしてくれと言われた）

P（特別な機能があるらしい。でもそれが何なのかあえて説明されなかったし、実験をしていることを他人に話してもいけないらしい）

P（今のところ何も起こっていない。そろそろアイドル達が集まってくる時間だが、さて……）

ｶﾞﾁｬ

蘭子「煩わしい太陽ね（おはようございます）」

P（ん……？　今、副音声みたいのが聞こえたぞ……？）

P「おはよう、蘭子」

蘭子「今宵も世界に詩を届けるべく、共に羽ばたこうではないか、我が友よ！（今日もよろしくお願いします！）」

P「ああ。今日もよろしく、蘭子」

蘭子「うむ！　時が来るまで、我は魔導書を紐解くとしよう（お仕事の時間まで、本を読んで待ってます）」

P「わかった。出発の時間に声をかけるよ」

P（……）

P（なんだったんだ今のは。まさか、発明品の効果？）

ｶﾞﾁｬ

凛「おはよう、プロデューサー（おはようございます！　今日もプロデューサーに会えて嬉しいなっ）」

P「！？！？」

凛「どうしたの？プロデューサー？（わわわ！プロデューサーと目が合っちゃた！今日もいい日になりそうっ）」

P「いや……。おはよう、凛。今日は何かあったのか？」

凛「……？　別に（私、浮かれてたのが顔に出ちゃってた？）」

凛「プロデューサーこそ、眼鏡なんかしてどうしたの？（プロデューサーの眼鏡姿、格好いい！）」

P「オシャレの一環だ」

凛「ふーん。まあ、悪くないかな（眼鏡のまま強気に迫られたら、私、断りきれないかも…）」

P「お、おう」

P（間違いない。この眼鏡は、相手の心の声が聞こえる発明品だ）

P（蘭子の言ってることは、今までもだいたい分かってたからいいとして）

P（凛は、まあ……。好意を持たれている兆候はあったが……。確かに可愛いが、今後は接し方を考えないとな）

ｶﾞﾁｬ

卯月「おはようございます（おはようございます）」

P「おう、おはよう。卯月」

卯月「あれっ？　プロデューサーさん、眼鏡かけることにしたんですか？（うわー、冴えない顔が更に冴えなくなってる）」

P「」

卯月「とっても似合ってますね（お前にはその程度のモノがお似合いだよ）」

P「そ、そうか。今、オシャレを研究中でな」

P「そうなんですか！　プロデューサーさんなら、なんでも似合いそうですよね（顔に特徴がないから、どれもそこそこにはなるでしょ）」

P「うん、ありがとう」

卯月「それでは、レッスン室に行ってますね。島村卯月、頑張ります！（さっさと仕事取って来いよ）」

P「そうだな。一緒に頑張ろうな」

P「……」

P「笑顔な鬼畜卯月……良い……アリだな。実は前からぴったりな属性だと思っていた」


ｶﾞﾁｬ


菜々「おっはようございまーす！　今日も元気に、ウサミンパワーをお届けします！（二日酔い辛いです……でも、ナナはアイドル、永遠の17歳……笑顔でいなきゃ！）」

P「菜々さん、飲み過ぎには注意してくださいね」

菜々「な、なんですかいきなり！？　昨日は飲んでませんよ！（次からは深夜のビールは一缶だけにしましょう）」

ｶﾞﾁｬ


美波「おはようございます（アーニャちゃん可愛いアーニャちゃん可愛いアーニャちゃん可愛いアーニャちゃん可愛い）」

アーニャ「ドーブラエ ウートラ! 　おはよう、です（ミナミカワイイミナミカワイイミナミカワイイ）」

Ｐ（お前らそれしかないのか！）

Ｐ「おはよう。美波、アーニャ」

美波「あれ、プロデューサーさん、眼鏡かけるようになったんですか？（アーニャちゃんに赤縁の眼鏡をかけさせたいな）」

アーニャ「いいと、思います（今夜のミナミには眼鏡メイドさんになってもらいましょう）」

Ｐ（お前らもう籍入れてこい）

ｶﾞﾁｬ

まゆ「おはようございます、プロデューサーさん（おはようございます、プロデューサーさん）」

ｐ「おはよう、まゆ」

まゆ「あら……？プロデューサーさん、眼鏡姿もとっても素敵ですね（プロデューサーさん、眼鏡姿もとっても素敵ですね）」

Ｐ「お、ありがとう」

まゆ「プロデューサーさんの御眼鏡にかなうよう、まゆも頑張りますね（プロデューサーさんの御眼鏡にかなうよう、まゆも頑張りますね）」

Ｐ「おお……まゆは素直で良い子だな」

Ｐ（実際の声と、心の声が一致するのは初めてだな。まゆは純粋なんだな）

まゆ「うふふ……。ところでプロデューサーさん」

Ｐ「なんだ」

まゆ「その眼鏡、どこで手に入れたんですかぁ？（その眼鏡、どこで手に入れたんですかぁ？）」

Ｐ（言葉に裏表はないのに、なんだこの寒気は……）

まゆ「ここ数日でプロデューサーさんが眼鏡を買いにいったことなんて、無かったはずですよね？　まさか、誰かのプレゼント？（ここ数日でプロデューサーさんが眼鏡を買いにいったことなんて無かったはずですよね？　まさか、誰かのプレゼント？）」

Ｐ（怖い！心の内をどストレートに放ってくるからこれはこれで怖い！　もういい！眼鏡外す！）

Ｐ「えーと、これは、だな。晶葉の発明品で、今実験中らしい」

まゆ「へぇ……」

ｶﾞﾁｬ

晶葉「助手よ、実験はもういいぞ。そこそこデータは取れた」

Ｐ「ナイスタイミング」

晶葉「ちゃんと副音声のようなものは聞こえたか？」

Ｐ「ああ、すごいな。人の心の声が聞こえる発明品か」

晶葉「そんな小型の機械で、そんなことが出来るわけないだろう」

Ｐ「え」

晶葉「まあ、しかし。最終的には持ち運び可能なテレパシー装置を考えていた。装置が普及して、みんなが身につけるようになり、お互いの気持ちが分かれば、コミュニケーションはスムーズになるだろう」

Ｐ「それはそれで危険な気がする」

晶葉「可能性の一つだ。ともかく、この眼鏡はその研究の前段階のようなものだな」

Ｐ「というと？」

晶葉「この発明品は、かけている人の思考を読み取り、会話相手をどう思っているかを知ることができる」

Ｐ「つまり……？」

晶葉「心の声のように聞こえていたものは、その実、プロデューサーが相手に対して心の奥底で思っている印象を音声化したものなんだ」

Ｐ「ええ……！？　それじゃあ、畜生スマイルの卯月は！？　俺にデレデレな凛は！？」

晶葉「何を言っているんだ？」

凛「ねえ、何の話？　プロデューサー、私にそんな変な印象持ってるの？」

まゆ「うふふ、誰かさんと違って、まゆはとっても素直な良い子ですよぉ」

凛「あ゛？」

晶葉「この状況なら、テレパシー装置も要らなそうだな」

Ｐ「人間、本音は隠しておくくらいがちょうどいいと思うぞ」

Ｐ「ところで、なんで眼鏡型なんだ。イヤホンとかヘッドホンでいいだろ」

晶葉「骨伝導で音を伝えやすい、日常生活に普及させる目的、会話相手に身構えさせない等、目的はいくつかあるが、一番は『全日本眼鏡っ娘協会』が資金提供や広報活動をしてくれるというから」

Ｐ「なんだその怪しい協会は」

春菜「『全日本眼鏡っ娘協会』とはですね！」

P「どっから出てきた！？」

春菜「全人類眼鏡っ娘計画を遂行するべく立ち上げられた団体で」

P「説明しなくていい！」





おわり