【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★22【安価】 (803)

・艦娘×提督の学園もの
・全然艦隊とか関係ありません
・エロ、グロといった描写があるかもしれません
・なんかドロっとしているかもしれません

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前スレ

【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの【安価】
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【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★21【安価】
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ヒロインまとめ(○はエンド艦娘、次回登場は不可、○付いてない子は出せます)


【1周目】

電(幼馴染)         
浜風(娘)          
あきつ(後輩)         
足柄(先輩)          
○青葉(同士)   



【2周目】

大和(管理人)       
○不知火(親友)      
飛鷹(教師)        
五十鈴(転校生)       
北上(同居人)       


【3周目】

雷(クラスメイト)       
球磨(スラッガー)      
間宮(バイト先の店長)   
○那珂(超人気アイドル) 
阿武隈(義妹)        


【4周目】

陽炎(幼馴染)        
川内(学生であり怪盗)  
卯月(妹分)         
榛名(後輩)         
○暁(妹)           


【5周目】


初春(宇宙人)
叢雲(↑のライバル)
長門(ながもん)
響(帰国子女)
山城(元カノ)

BAD。


【6周目】


千代田(義妹)
吹雪(親友)
赤城(大食いチャンピオン)
由良(後輩)
古鷹(フライフェイスとオッドアイの演劇の天才)

BAD。


【7周目】


比叡(記憶喪失・幼馴染)
○漣(家政婦)
明石(近所のお姉さん)
大井(クラスメイト)
レ級(クラスメイト)

【8周目】

○明石(義姉)
鈴谷(同居人)
文月(姉)
熊野(財閥令嬢・崩壊寸前)
白露(クラスメイト・電波)


【9周目】

○潮(従妹)
村雨(幼馴染)
鳳翔(先生)
朧(後輩)
武蔵(応援団長)


【10周目】

深雪(親友)
曙(従妹)
大鯨(母)
翔鶴(弟の彼女)
瑞鶴(弟の彼女)

BAD。


【11周目】

伊58(未亡人)
隼鷹(お嬢な同級生)
○初風(面白い同級生)
蒼龍(担任)
ビスマルク(留学生なお姫さま)


【12周目】

阿賀野(いつもニコニコガチサイコストーカー)
○瑞鳳(いじめられっこ)
龍驤(陰陽師)
睦月(おなちゅー)
翔鶴(従妹で居候な部活の後輩)


【13周目】

舞風(殺し屋)
○羽黒(許嫁)
雷(幼馴染)
霧島(生徒会員)
荒潮(未来からやってきた娘)


【14周目】

飛龍(家庭教師)    
磯風(幼馴染)    
卯月(お隣さん)    
大鳳(新人体育教師)    
○浜風(昼はクラスメイト/夜は…) 


【15周目】

霞(鬼教官)
雪風(幼馴染)
○島風(従姉妹)
弥生(クラスメイト)
加賀(部活の先輩)

【16周目】

摩耶(年上の同級生)
満潮(弟離れ出来ないダダ甘姉さん)
曙(脳天気でだらしない優しい妹)
○鬼怒(脳筋中学生)
山城(やたら尽くす幼馴染)

【17周目】


黒潮(ほんわかさん)
敷波(恩人)
大鯨(提督に片思いしている先輩)
衣笠(相棒)
○吹雪(凡人)


【18周目】


阿武隈(幼馴染)
伊58(幼馴染)
磯波(幼馴染)
摩耶(幼馴染)
○野分(親友)


【19周目】


大和(学園王)
○陽炎(転校生/ぱんつ)
金剛(帰国子女)
天津風(幼馴染)
雲龍(義姉)


【20周目】


秋月(貧乏高校生)
○如月(お母さん)
三日月(就職難のアラサーフリーター)
陸奥(姉)
龍田(ショタ食い先生)


【21周目】


蒼龍(水泳部)
○山雲(料理部)
白雪(幼馴染)
ビスマルク(ずっとも)
春雨(後輩)


【22周目】


○天津風(従姉妹)
秋月(クラスメイト)
神通(天才)
イムヤ(幼馴染)
磯風(クラスメイト)


【23周目】


舞風(クラスメイト)
大井改二(同じ塾)
陸奥(先生)
千歳(お隣のお姉さん)
清霜(幼馴染)


いまここ

※単発IDの選択肢安価取得を制限してます、お手数ですが何でもいいので書き込みをしてから取得してください
※登場キャラ安価関してはこの限りではありません



提督「先生、体調悪そうですね」

陸奥「…そう見えるかしら」

提督「はい、なんかげっそりしてます」

陸奥「げっそり……見た目には気を遣ってるつもりなんだけど、ね」

提督「まあ、俺くらいになると先生の少しの変化も見逃さないんですよ」

陸奥「あら、…ありがと」

笑う姿も、どこか弱々しい。

明らかに体調不良が隠せていない。

提督「何かありましたか?」

陸奥「…別に、ただ…」

提督「……ただ?」

陸奥「…また、仕事が増えただけよ」

提督「……大変っすね」

陸奥「ええ…」

うんざり、とでも言いたげにむっちゃん先生は頷いた。

提督「今回もまたやっちゃったんですか?」

陸奥「…提督くんが私の事をどういう風に見てるか、問いただしたい気分だけど…」

陸奥「……まあいいわ、粗方事実だもの」

半眼を此方に向けて、すぐにそれを伏せる。

自嘲するような笑いをおまけに付け足して。

陸奥「だけど、今回は押し付けられただけよ」

提督「押し付けられた?」

陸奥「…そう、生徒の間にもだけど、先生の中でもインフルエンザが流行っててね…その皺寄せ」

提督「…せ、先生は大丈夫なんですか?」

陸奥「……今年は『運良く』予防注射の型が当たってたみたいね、『運良く』」

一部分を強調して言う。

…幸い中の不幸、とでも言うべきなのだろうか、こういう時は。

陸奥「…はぁ、そういうわけで、帰るのが遅くなって…もう大変なの」

陸奥「……って、ごめんね、提督くんにこんな話しても仕方ないわよね」


>>+2


A.いえ、相談してくれて嬉しいです。

B.…まあ、反応には困りますね。

C.はっはっは、他人の不幸話は聞いてて飽きませんから。

次のコミュ安価まで
A.いえ、相談してくれて嬉しいです。(*1.5)


提督「…いえ」

陸奥「?」

提督「相談してくれて、嬉しいです」

提督「先生の力にはなれないでしょうけど、先生だって話すことでスッキリする部分もあるでしょうし」

陸奥「…あらあら、先生、思ったより良い生徒に恵まれたのね」

提督「……今まで俺のことどう思ってたんすか」

陸奥「冗談よ、冗談、さっきの意趣返し…ってほどでもないけれど」

陸奥「…ほんとにありがとね、提督くん」

提督「ふふん、では内申点を」

陸奥「もう、何回も同じこと言わないの、心配しないでも最高点よ」

提督「…なんか贔屓みたいでアレっすね」

陸奥「先生だって人間だもの、贔屓くらいするわ」

陸奥「だから、これからも愚痴、聞いてね?」

提督「…そう言われると断れないじゃないですか」

陸奥「ふふっ、そういう風に言ったもの」



陸奥→  154/500



【12月2週】


提督「インフルエンザが流行っているらしいぞ」

清霜「気をつけないとねー」

提督「…マスクくらい付けたらいいのに」

清霜「だって邪魔だもんー」

提督「…子供か!」ズビシ

清霜「あいたっ」



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   267/500
大井   *75/500
陸奥   154/500
千歳   *83/500
清霜   *99/500

あ、単発か
むっちゃんはボーナスってことで、次週は大井→舞風と行きます
申し訳ありませんでした…ここまでです

大井っちから




大井「……寒いわね」

提督「だなぁ」

はふぅ、と大井と二人、合わせるように息を吐く。

二つの白い煙が、真っ暗な空へと昇っていった。

提督「ふっ」

大井「何よ、その笑い」

提督「いや、タイミングが丁度合ったもんでな、奇遇だと」

大井「…あっそう、嬉しくない偶然だと思うわ」

提督「冷たい奴」

大井「外気に合わせただけよ」

提督「そーかい」

今日もまた、北上がさっさと帰宅してしまったが故の帰り道。

歩く速度は、前よりも少し遅いような気がした。

駅前を並んで歩く姿は、周りから見ればどう写っているのだろうか―なんて事を考えて、すぐに首を振って払う。

大井「何してるのよ」

変なの、と笑う大井には、以前程の刺々しさは見当たらない。

言葉こそ厳しい時はあるが、それでもだ。

提督「……今日は、寒いな」

大井「さっき私が言ったじゃない、それ」

提督「再確認だ、再確認」

大井「…いつもに増してよくわからないわね、貴方」

提督「別にいいだろう、ところで――」

何よ、と大井が首を傾げた。


直下


A.寒い日は、もう少し身体を寄せた方がいいのではないだろうか。

B.大井は今日も可愛いな、うん。

C.ちょっと何か食っていかないか、腹減った。

A.寒い日は、もう少し身体を寄せた方がいいのではないだろうか。(*1.5)


提督「寒い日は、もう少し身体を寄せた方がいいのではないだろうか」

大井「はぁ?」

提督「…………いや、何でもない」

言ってから、大井の鋭い語気を受け、俯く。

俺と大井の二人組は明らかに周りを歩く人間達と比べて距離が開いている。

それを先程から微妙に気にしていたのだが、まあ、うん、このままでもいいや。

提督「…それより――」

だから話題をさっさと変えよう、と思ったその時。

大井が、少しだけ大きくなったように見えた。

提督「…え」

大井「……寒いから、近付いたほうがいいんでしょう?」

提督「…ん、そう言った、が」

まさか本当に来るとは。

などとは言えず。

近くなった距離、けれど何かを話すでもなく、俺達駅まで歩いたのだった。



大井→  120/500



風に舞う、まさに名前通りだな、そんな事を思って、彼女―舞風を見ていた。

舞風「…………」

彼女のランニングフォームは、遠目から見ても美しい。

だが何より目を引かれるのは、足が地面に付く度に揺れる金色の短い髪。

流れるように風を受けて靡くそれは、太陽を受けてきらきらと光り輝いて。

思わず息を呑んでしまうような美しさを持っていた。

舞風「…………」

グラウンド8周、そのラスト周回に舞風が入る。

動きに鈍りはなく、フォームは一周目のそれと相違無い。

さすがは運動部、という所だろうか。

うちの体育では男子がまず走ってから、その後女子と変わるというシステムなので、一周目からずっと彼女を追っていたが…。

なんともなんとも。まさかずっと見たままでいられるとは思わなかった。

一度男子から冷やかす声が飛んだが、なんだかそれも心地よい。なんだそりゃ。

提督「よ、お疲れ」

舞風「っはぁ……はー…提督かぁ」

というわけで、ゴールした瞬間いの一番声を掛けに飛んで行く。

彼女はそんな俺を見て、大きく息を整えながらも苦笑を浮かべた。

舞風「……っはぁ…提督さ、ずっと見てたでしょ、あたしのこと」

提督「……ん、…ま、まぁ…な」

途中、何度か目が合ったのでもしかしたら気付かれてるかも、と思いはしたが。

本当に気付かれているというのは少し心地が悪い。

舞風「…ふーん…もーしかしてー、見とれてた、とか?」

悪戯っぽい笑みを浮かべる舞風。

思わず視線をそむけた先、汗で濡れて張り付いた金髪が、陽の光を浴びて輝いた。

その眩しさにまた視線を彷徨わせ、結局は元の位置に。

出迎える舞風の笑みは、先程よりも益々楽しげになっていた。


>>+2


A.…暇だったからなんとなく、だよ。

B.……はい、そうです。

C.転けないかな、とか面白い行動を期待してただけだ。

A.…暇だったからなんとなく、だよ。(*1.0)


提督「…別に」

無理矢理にそっぽを向く。

何やってんだ俺は。

提督「暇だったからなんとなく、だ」

舞風「へー、ふーん、ほー」

提督「…なんだよ、なにが言いたい」

舞風「にしては、随分あっつい視線だったなーって思ってね!」

提督「………」

返す言葉に詰まる。

事実その通りだったからである。

提督「……自意識過剰だな、舞風よ」

舞風「むっ、なーんでそういう返し方するかなー」

提督「の、喉乾いたから、水飲んでくる」

彼女の言葉を遮るように、食い気味にそう言って踵を返す。

背後からは何か言いたげな目線が尚刺さっていたものの、それを振り切って水飲み場まで走った。

…くー。



舞風→  273/500




【12月3週】


提督「そろそろ、クリスマスだなー」

大井「…そうね」

北上「ね、提督って予定あんのー?」

大井「………」ピクッ

提督「ふっふっふっ」

北上「おお、その不敵な笑みはー」

提督「無いぞ」

北上「…ま、そだよね」

大井「ふふん、そうでしょうね、貴方に付き合ってくれるような物好きなんていないでしょうね」

提督「事実だけどさー、そう言うなよー」

北上(…わっかりやすいなぁ、大井っち)




>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   273/500
大井   120/500
陸奥   154/500
千歳   *83/500
清霜   *99/500

短くて申し訳ない、ここまでです
明日はなるべく早くから始めたいと思います、いつも遅い時間の更新でごめんなさい

始めるぞい
舞風から



舞風「ね、来週はさ」

提督「ああ」

味も素っ気もないカロリーメイトチーズ味を頬張りながら、舞風に適当に相槌を打つ。

非常に口の中がパッサパサする。ううむ。

舞風「クリスマスだねっ」

提督「………」

何か非常に素晴らしいお祭りを前にした子供のように瞳をキラキラとさせて、彼女はそう言った。

御年17になってもまだサンタ信仰が盛んなのであろうか。

提督「…そうだな、靴下の用意は万全か?」

舞風「いやいやいやいやいや」

違うでしょ、と顔の前で何度も手を振る。

サンタでなければクリスマスは一体何があるというのだ、七面鳥か、パーチーか。

舞風「あのね」

提督「なるほど、クリスチャンという可能性も否定できなかったな、舞風、参考までにお前の洗礼名などを教えてくれ」

舞風「ん、パウロ」

提督「ほう、いい洗礼名だな」

そういう名前を通すだけで舞風がなんだか素晴らしい人間に見えるのだから、やはり名とは重要だ。

名は体を表す。まさに言葉通りだ。

…ふむ、じゃあ俺の名前は…俺の名前は………。

舞風「って!違うから!嘘だから!適当だから!」

提督「え、そうなのか」

舞風「そんな真剣に受けられるとこっちとしてもノリツッコミしがいがないっての!」

提督「ふむ…これは困ったな、では一体クリスマスに何の用件があると」

俺の姓名について親にめちゃくちゃ問いただしたい、いや今度絶対問いただそうと思っていた思考を遮って、舞風は駄々っ子のように手を振る。

さて、俺としてはこれ以外にクリスマスの意義が見当たらないのだが。

舞風「…ほ、ほら…やっぱさ、クリスマスって、そういう…アレ、じゃない?」

提督「キリストの生誕祭だな」

舞風「ふぁっきゅー!」

提督「ぐへぁっ!?」

飛んできたのは拳。痛い。

なんだ、クリスマスに他の何の意味があるというのだ。



舞風「ほら…だから…その、か、カップルがー…みたいな?」

提督「…………」

……今、俺は何も聞かなかった。

いや、それは違うな、確かに舞風は何か言っていた筈だ、えー…か、カップ…Cup?

カップ…そうか、キリストに葡萄酒を捧げるゴブレットの事を言っているのか、なるほど素晴らしい信仰心だ。

提督「問題ない、葡萄酒なら用意は出来るだろう」

舞風「意味分かんないんだけどっ!?」

ああまどろっこしい、と彼女は頭を二三度振って、俺に改めて向き直った。

もう遠回りな言い方はやめる、そう言いたげに。

舞風「だーかーらー!クリスマスに誰かと予定あるのかって聞いてんの!」

提督「ねぇよボケ!」

ああ。

遂に。

遂に核心をついてしまったな、舞風の阿呆。

それだけは決して口にしてはならんというのに、言ってしまったら戦争だというのに。

提督「絶対にその話題にならないように俺が気を遣ってるのがわからんのか!」

舞風「や、わかったけど、面倒くさくて」

提督「畜生…畜生……どうせねえよ…ばーか…」

性の6時間など俺にとっては静の6時間だ。何もしないから。

お前らマジで人の誕生日を性行為で祝うのやめろよ畜生。

この際、性行為に拘泥しないから仲良く過ごす恋人が欲しい。切実にそう思う。

せめて男友達とでも集まって愚痴を言い合えればいいのだが…まあ、うん、輪に入りづらいだけだから。

舞風「…で、でも…そっかー…予定ないんだ」

提督「復唱すんな」

舞風「……なら、さ」

ニッコリと舞風が微笑む。

そして、自分の顔を指で示した。

舞風「付き合ってあげようか?」


>>+2


A.…え、クリスマスに?

B.やだよ。

C.いや、生憎キリストへの祈りは一人で捧げる派なんで自分。

A.…え、クリスマスに?(*1.5)


提督「…え、クリスマスに?」

舞風「うんうん」

提督「俺と?」

舞風「うん」

提督「…二人で?」

舞風「…う、うん」

提督「イチャイチャ?」

舞風「……や、それはどうかな」

提督「そこは頷いてくれよ!」

舞風「…てか何、イチャイチャしたいの?」

あたしなんかと、と付け加えて。

如何にも興味なさそうに、そっぽを向いた。

提督「…まあ…その、舞風は可愛いから」

舞風「……バカの一つ覚えみたいにそれだよね」

提督「語彙が少ないんだ」

舞風「…まー…いいや、気分次第で、イチャイチャする」

提督「気分次第か」

舞風「うん」

提督「………ほんとにいいのか?」

舞風「くどいっ」

提督「……なあ」

舞風「…?」

提督「こういう場合、喜ぶべきなんだろうか」

舞風「好きにしたら?」

……やったぁぁぁぁぁぁひゃっほおおおお。

遂にクリスマスを女子と一緒に過ごす日がやって来たぞ!

この世界も捨てたもんじゃないなありがとうございますイエス・キリスト!

提督「……とか叫んだらどうなるんだろうか」

舞風「……は?」

提督「や、なんでも…それなら、詳細の連絡入れるわ、帰ってから」

舞風「うん…その」

提督「ん?」

舞風「……楽しみにしてる」

提督「……おう」




舞風→   299/500

309だ、スマン

別に12月4週に舞風を選択しないでもすっぽかしイベントなどは挿入されません、念のため


【舞風―その2】


「クリスマスかぁ」

誘ってしまった、と。

冷静になって考える。

「……………」

というか。

イチャイチャとか言っちゃった気がする、その場のノリで。

………うえぇ。難易度高い。

本当にそういう事を求められたらどうしよう。

…拒め、…ない、なぁ、多分。

むしろ、自分から身を寄せていくかもしれない。

…それで…その、クリスマスといえばお決まり…ってわけでもないけど、…あの、ああいう事も。

求められたら……こ、拒むから!絶対それは拒むから!そんなに安い女じゃないから!

…まあ、そういう事を考えてしまう時点で。

「…やー、あたし結構本気かも」

「大会に?」

「………んー、ま、そゆことでいいよー」

「…?」

「乙女には色々あるんだよ、野分っ!」

…ほんとに、色々。

色々の中身は、よくわかんないけど、色々。



【12月4週】


清霜「……あれ、今年は家でパーティーしないの?」

提督「ああ、所用がな」

清霜「…所用……まさか、か、彼女!?」

提督「……くっふっふっふ…」

清霜「…なんて、そんなわけないかー」

提督「ふっふ、今のうちにそう思っておくがいいさ」

清霜「……え、ほんとに彼女!?」



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   309/500
大井   120/500
陸奥   154/500
千歳   *83/500
清霜   *99/500



提督「本日はお日柄が良いな」

舞風「…そ、そだね、洗濯物がよく乾きそう」

提督「それは素敵な話だ、じゃあ、洗濯物を干しに行くか」

舞風「…違うでしょ!」

提督「あ、…ああ…クリスマス、だったな、教会に行かなければ」

舞風「それも違うから!」

まずこの時点で俺の精神状態は尋常ではない。

意味の分からない言葉を喋っていると自分で気づいているのに訂正できない。

隣にいるのはただの舞風だというのに、なぜこんなに緊張するんだ。

提督「…さ、さて…あー…少し、駅前を回るか」

舞風「……う、うん…そだね」

やっと捻り出した言葉はこれ。

此処でかっこ良く小綺麗なレストランなどを案内してやれればよいのだが、生憎そんな金も勇気もない。

故に、クリスマスの夜、駅前のイルミネーションを見ながらただ人波の間を並んで歩くだけである。

舞風「……綺麗、だよね」

提督「…そうだな」

周りで輝く人工の星々を見ながら、舞風が白い息と共にそう漏らす。

これになんと返答せばよいのかと一瞬思案するも、結局ただの相槌くらいしか返せなかった。

「いや、お前の輝きには負けるよ」とか言えばいいのだろうか、わからん。

舞風「駅前、見慣れてるはずなのにさ」

提督「ああ」

舞風「全然、知らない景色みたい、今日は」

提督「…うん、舞風と歩いてるからかな」

舞風「……っ、ど、どーいう意味、それ」

提督「…いや…クリスマスだから、だろうな」

舞風「…だ、だね」

折角まとも…かどうかはしらないが、カップルっぽい返しが出来たというのに、二人してチキン。

イチャイチャするとはなんだったのだろうか。

提督「……雪でも降れば、もっと綺麗だったかな」

舞風「それは…寒いと思う」

提督「今でも十分寒いけどな」

舞風「…ん、提督、手袋は?」

提督「……あ、いや、母さんが勝手に洗濯しちまってさ」

寒い事この上ない、と手をひらひらさせてみせる。

彼女はしばらくその手をじーっと見つめていたが、突然。

舞風「…こうしたら、寒くない?」

提督「へ――」

自らも片方の手袋を外し、俺が振っていた手を握る。

冷たい外気に触れていた手が暖かい物に包まれる感覚は心地よかった。



提督「な、お前」

舞風「…イチャイチャ」

提督「え」

舞風「…そういう、気分」

提督「……そ、そか」

二人、先程よりも近い距離で歩く。

握った手の暖かさは十分、どころか少し汗ばむほどの暖性。

尤も、これには暖かさ以外の理由もあるのだろうが。

舞風「…あ、あのさ」

提督「お、おう」

舞風「少し、休も?」

提督「…そうだな、そうしようか」

イルミネーションの群生もその終わりが見えてきた所で、舞風が一件の喫茶店を指して言う。

確かに、そろそろ暖かい場所で休みたいと思う。

彼女を先導するように喫茶店の扉を開くと、暖気が冷えた身体に染み込むように感じられた。

「お二人様ですか?」

提督「はい」

誂えたように空いていた窓際の二人がけの席を、店員が指し示す。

それに従って席まで歩いて、舞風と見つめ合う。

舞風「…離さなきゃ、座れないよ?」

提督「…ん、そうだな」

心の底から惜しいと思う気持ちを抑えつつ、握った手を解く。

暖房の風が掌を撫でたけれど、先程までの暖かさに比べれば、なんでもないような気がした。

提督「何か、腹に入れていこうか」

舞風「提督の奢り?」

提督「…今日くらいはな」

舞風「やたっ、じゃあ、一番高いサンドイッチ」

提督「遠慮を知らん奴め…」

そんな会話を挟んで注文したのは、ホットコーヒーとサンドイッチ(一つは一番高い物だ)。

それらが運ばれてくるまでの間、舞風との間には奇妙にも似た沈黙が流れていた。

こんなカップルだらけの喫茶店の中で思うのは、俺達はどう見えているんだろうかなんて愚問。

今の俺達を見て人がどう思うかなんて、一つしか答えはないのに。

提督「…なあ」

舞風「うん?なに?」

提督「俺達、どう見えてるんだろうな」

舞風「……ん、…恋人、じゃない」

提督「…そっか」

確認するように、彼女に問う。

なんとなく、彼女からその答えを聞きたかったのだ。



舞風「…そんなん聞いて、どうしたいの」

提督「……お前から、それが聞きたかった」

舞風「……むぅ」

俺の言葉の意味を考えるように、けれどはっきりとは分かりかねるといったように舞風が唇を窄める。

きっと、それは不満を表していた。

舞風「…はっきり言ってよ、どうせなら」

提督「……ん、まあ」

舞風「……あたしだってさ、…誰とでも…」

「お待たせしました」

提督「…あ、どうも」

彼女の言葉を遮ったのは、無表情の店員。

そりゃお前の仕事は配膳だろうが、せめてもう少しタイミングを読めといいたくなる登場だ。

舞風「…………」

提督「…………」

案の定、食事という意識を背ける先を見つけた俺達は途端に無言になる。

響くのは、盛り上がる周りの客の声と、コーヒーを啜る音くらいで。

俺がコンビニで買うよりも数段高いサンドイッチの味は、よくわからなかった。

沈黙は、続く。

もうそろそろ、皿の上に乗せられたパン切れも無くなる。

……………。

………。

……。


>>+1-5


A.……さっきの続き、俺から言ってもいいか?

B.……さっき、何て言おうとしたんだ?

C.……………。

A.……さっきの続き、俺から言ってもいいか?(401)


提督「……さっきの」

舞風「……え?」

提督「…さっきの続き、俺から言ってもいいか?」

舞風「わかるの?」

提督「…なんとなく、な」

舞風「……じゃあ、見当違いだったら帰るから」

提督「…そりゃお前…なんつーか、酷いな」

舞風「そう?」

提督「まあいいや、外さないから…ちょいとお耳を貸してくれ」

ちょいちょい、と手招きをすると、舞風は素直に俺に顔を寄せた。

正面の顔、その耳へと唇を近付けて。

けれど途中で、軌道を変えて。

もっと下へ、小さく吐息を漏らす部分へと。

舞風「え……」

だから、彼女が驚きに目を見開いたのも無理は無い。

提督「続き……の、つもり」

唇を離してから、なんと気障な行動をしたのだと赤くなって、つい明後日の方向を向く。

舞風は同じく顔を真っ赤にしてから、ややあって、笑った。

舞風「……及第点っ」

そんな減らず口を叩いて。


舞風→  401/500



【舞風―その3】


「…………」

唇に触れる。

ガサガサだ。手入れを怠っていたからだろうか。

「やばい」

痛いとか思われたかもしれない。

なんだこの女はリップケアもしないのかと思われたかもしれない。

いや、口臭は大丈夫だったかな。

もしかして二撃目が来なかったのはそういった原因からなのでは。

「………………」

二撃目、欲しかったんだよね。

…そっかそっか。うん。そっか。

そういう色んな事を考える前に、一つだけ。

「すっごい今心臓バクバクしてるんだけど!?ねぇ野分、ちょっと胸触って今すぐねえったら!」

「は?舞風?ちょ、ちょっと――」

「あああ大丈夫かな何か変じゃない?臭いとか顔とか髪型とかいやもう今更気づいても遅いんだけどさ変じゃないかなってもうなんかよくわかんなけど提督のバカ!」

「…………」

何言ってんだこいつ、という眼であたしを見る野分。

…立場が逆なら、あたしもきっと同じことをしていただろう。



【1月1週】



提督「……ちとねー、お年玉ー」

千歳「何を言うか若造っ」

提督「…ダメっすか」

千歳「うん、大学生に期待するもんじゃないわよ」

提督「ケチ」

千歳「お、お酒ならあるわ」

提督「未成年に勧めるもんじゃないでしょ…」



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   401/500
大井   120/500
陸奥   154/500
千歳   *83/500
清霜   *99/500

休憩
やっぱ偏るか

バラけて欲しいというか単純にやっぱ出すからにはなるべく全員400を超えて欲しいというだけです
やっぱ次からコンマに戻すしか無いねー、もうこれからは時間空いたらがんがんセルフコンマねじ込んでいくことで補おう
再開




提督「……うーっす」

舞風「…ど、どもっ」

提督「……お、おう」

舞風「………冬休み」

提督「……ん」

舞風「……どだった?」

提督「…別に、寒かった」

舞風「…あたしも寒かった」

提督「……そっか」

舞風「…冬だし」

提督「…まぁな」

冬休みは明けた。

すると、席が隣のクラスメイトと会話が出来なくなっていた。

理由は単純で、その、恥ずかしいからで。

提督「……ま、舞風」

舞風「…な、なに?」

提督「いや…そのさ」

舞風「う、うん」

提督「……クリスマス」

びくっ、と肩が震えるのがわかった。

考えていることは同じらしい。

提督「……色々あったな」

舞風「あ、あったね」

提督「………」

舞風「………」

沈黙。

間が重い。非常に重い。

あの日の行動の理由とか、そのへんの諸々。

それを全部、放ったらかしたままだからだろうか。

キスをした。けれどその後は結局それだけで帰ってしまった。

それは恥ずかしさによるものなのか、それとも嫌がられたのか。

……色々考えたけれど、答えは出ない。

当然だ、答えを持っているのは、俺ではなくて舞風なのだから。

…俺達はまだ、間に揺蕩う微妙な空気を、明確に言葉にはしていない。

…………。

>>+2

A.………好きだ。

B.……………黙っている。

C.………あ、用事を思い出した。

A.………好きだ。(500)


提督「………好きだ」

舞風「は―――え?」

提督「好きだ、舞風」

舞風「………はぁぁっ!?ちょ、ちょまっ、こ、ここ教室、教室なんだけどっ」

誰も聞いてないよね、と周囲を見回す舞風。

心配せずとも、そんなに大きな声では言っていない。

提督「…え、…あ、…うん、まあ」

舞風「まあ、じゃないから!何、何いきなり言い出してんのさ!」

提督「落ち着けって、パウロ」

舞風「そのネタはいいからもう!」

重かった沈黙は、あっさりと取り払われて。

なんだこんな簡単なもんだったのか、と思わず笑いが出る。

舞風「……あのさー」

提督「…ん?」

舞風「…もーちょいこう、ムード、ってものがあると思うわけですよ、あたしとしては」

提督「セオリーに縛られない恋愛、というのは素敵じゃないかな」

舞風「セオリーってのはちゃんと理由があってセオリーになってるんだからね!?」

提督「……でも、言いたくなったんだから、しゃーないだろが」

舞風「…なーんでこう、…そんななのかなー、もう」

提督「わからん、多分照れ隠しだと思う」

舞風「わー、面倒くさい人だー」

と、殊更大きく溜息を吐いて。

舞風「………あたしも」

舞風「…同じ、気持ち、だから」

提督「……なら、良かった」

舞風「…うん、良かった」

………・こういう時は。

人生で初めて彼女が出来ました、とでも言えばいいのだろうか。



舞風→  500/500 



【1月2週】


提督「舞風、おはよう」

舞風「おはよっ!」

提督「…可愛いな、今日も」

舞風「相変わらずそれかー」

提督「本心だよ」

舞風「知ってる、提督ってばあたしにクラクラだもんね」

提督「否定はしない」

舞風「肯定しなさいっ」

提督「…何か違うのか?」

舞風「肯定して欲しい乙女ゴコロなのっ!」

提督「……わからん」




>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   500/500
大井   120/500
陸奥   154/500
千歳   *83/500
清霜   *99/500

はえーよホセ

400つったのは修羅場以外にも周によっては設定を明かしたいなーって 
つっても最近はもうそんなに裏設定考えてないけどね、ビッスの周くらいか 
ちなみに5の正史(長門と響が見た未来)は全員400になると再現できた、という完全な余談

キャラ安価行くでー

24周、学生です

一人目>>+4

朝潮(義妹)

朝潮(義妹)
義理だからセーフ

二人目>>+4

瑞鶴(幼馴染)

五月雨(異世界人)
よくわからんけどセーフ

3人目>>+4

若葉(後輩)

瑞鶴(幼馴染)

大和(幼馴染)
今度こそ幼馴染を

4人目直下

若葉(舎弟)

榛名(従妹)
3連続とはたまげたなぁ

ラスト直下

瑞鶴(クラスメイト)

朝潮(義妹)
五月雨(異世界人)
大和(幼馴染)
榛名(従姉)
ヲ級(ネトゲ嫁)

時間かかるかも、といいつつ早いかも、わからん
複数取得は…せめて次から連取禁止にはしとこう
コンマに戻すよー、ごめんね


前回取れなかったから取れて満足



「このまま大人になるのだろーかー」

「なるだろうな」

「嫌だねー」

「何がだよ」

「この気持ちが失われていくのが」

「気持ち?」

「うんうん、あたしのこの…初々しい恋心」

「………ふぁぁ…あー…」

「欠伸すんなこら」

「……で、本題は」

「いえす!バレンタインいーず今日!」

ぴょーんと舞風が跳ねる。

ついでにくるっとターン。

いつの間にか手に持っていたらしいチョコレートを差し出す。

今回は足をぶつけることは無かった。



「ああ、バレンタインだったか、気付かなかった」

「うそこけ、朝から『何か俺に渡すもんは無いか、舞風』って聞きまくってたでしょーが」

「…そう…だったかな」

「……面倒くさいやっちゃなー…もうっ」

「で、どう?」

「…ん?」

貰ったチョコレートを両手で抱えて、喜びの余り震えんとする身体をなんとか抑えていたら、質問を投げられる。

その意図がわからずに、首を傾げた。

「チョコ貰ったんだから、なんか感想いいなさい、ってことー」

「…正直に言っていいのか?」

「どぞどぞ」

「舞風大好き」

「……チョコ貰った感想じゃないじゃんそれ!?」

「まーまー」

「…抱き締めるなー」

「……やわっこい」

小さな身体を抱いてみる。

やわっこい。

あんまり胸とかその辺は無いけどやわっこい。



「たまにさー」

「うん」

「なんで提督なんかと付き合ってんだろ、って思うんだよね」

「……」

「ごめん、そんな絶望的な顔されるとは思ってなかった」

「……つ、続けてくれ…」

「…んー、わかった、あのね」

「提督って変だし、あんまかっこよくないし、微妙に臆病だし、よく考えるとあんまいいとこ無いのにさ」

「………」

「…あ、大丈夫?生きてる?」

「……ツヅケテ」

「わかったわかった、じゃあさっさと結論言っちゃおー」

「まー、なんてーかさ…その度に、思うの」

こほんこほん、と可愛く二度咳払い。

そして、とびっきりの笑顔。

「あたし、よくわかんないけど、どうしても提督の事好きなんだなぁ、って」

「……そか」

なんだか腕の内の舞風が無性に愛おしくなって、抱き締める手に力を込める。

いたい、と彼女は小さい声を漏らしたけれど、それだけだった。



「…………よくわかんねーなぁ、恋愛って」

「そんなもんでしょー、そんなもん」

「……そんなもんか」

「うんっ」

「重要なのは、今がとっても幸せだってことだよ、提督」

「…そうかもな」

「かも、じゃなくてそうなの!」

てーい、と俺の腕を舞風が解いたかと思うと、直後、唇を押し付けられる。

やわっこい。

「バレンタインの贈り物、以上!」

「……ありがとうございました」

「というわけで、ホワイトデーはよろしくねー!」

「舞風、知っているか、ホワイトデーというのは日本のお菓子会社が作った完全なこじつけで…」

「だーめ、3倍返し」

「……くぅ」

「チョコも、告白も、キスも」

「全部ね、全部」

「………あの告白の3倍か」

「うんっ」

「そりゃまた」

――なんとも、難儀な話だ。





【舞風 HAPPYEND】

超電波ストーリー、始まります
プロローグも投下



【プロローグ】


『Abyss_Carrier_Wo:俺さ、女キャラじゃん』

『Admiral_T:そうだな、ネカマ乙』

『Abyss_Carrier_Wo:うるさい童貞』

『Admiral_T:いや、まあ今更どうでもいいけど、唐突にどうしたんだよ、キャラリメイクでもするのか?』

『Abyss_Carrier_Wo:…次のアップデートの内容見た?』

『Admiral_T:3.00か、色々あったな、装備の改修とか』

『Abyss_Carrier_Wo:そう、その中にさ』

『Abyss_Carrier_Wo:ケッコンカッコカリってのがあった』

『Admiral_T:んだそりゃ』

『Abyss_Carrier_Wo:その名の通り、結婚だけどさ』

『Abyss_Carrier_Wo:なんか色々、使えそう』

『Admiral_T:使えそうって?』

『Abyss_Carrier_Wo:ホームが共有になる代わりに半額で買えたり、装備のトレードに制限なくなったり、キャラ間でインベントリ共有っつった方が早いかな』

『Admiral_T:また随分だな、よく実装する気になったもんだ』

『Abyss_Carrier_Wo:ほら、この前拾ったレア長砲、トレード制限付いてて渡せなかったじゃん、ああいうこととかなくなるし』

『Abyss_Carrier_Wo:俺もお前のボックスの肥やしになってる長弓と艦載機欲しいし』

『Abyss_Carrier_Wo:だから、しようzr』

『Abyss_Carrier_Wo:ミス、しようぜ』

『Admiral_T:アイテム目当てかよ、そこまでいくといっそ清々しいな…いや、信頼はしてるけどさ、お前のこと』

『Admiral_T:ただ、そこを差し置いても何より、男とケッコンとか中々ぞっとしないんだが』

『Abyss_Carrier_Wo:なんだよ、キャラは美少女じゃん』

『Admiral_T:中身おっさんじゃねーかw』

『Abyss_Carrier_Wo:単芝やめろ、つーかおっさんじゃねぇし、もうちょい若いわ』

『Abyss_Carrier_Wo:単純に、ゲームの効率良くしたいなーと』

『Abyss_Carrier_Wo:どうせ二人クランなんだしさ』

『Abyss_Carrier_Wo:じゃあもうとことんまで行こう、みたいな感じ』

『Admiral_T:とことんまでってなんだよ』

『Admiral_T:まあ、確かに効率は良くなるな、ホーム買いたいってのはあるし』

『Admiral_T:五月雨ちゃん育成ルーム作らなきゃ(使命感)』

『Abyss_Carrier_Wo:だろ?…後半のロリコン宣言はわざわざ反応してやんないけどね』

『Abyss_Carrier_Wo:だいたいさ、最近は一日10時間以上チャットしてるし』

『Abyss_Carrier_Wo:正直家族よりもお前と話してる時間の方が多いよ』

『Abyss_Carrier_Wo:これはもう既にAdmiral氏は俺の嫁と言っても過言では無いのではなかろうか、よし結婚しよう』

『Admiral_T:役割逆だろ、ゲーム内性別的には一応』

『Admiral_T:つーか悲しい現実突きつけんな、お互いにとっての』



『Abyss_Carrier_Wo:はははー、で、受けるの?』

『Admiral_T:メリットも多そうだしな…わかった、受ける』

『Abyss_Carrier_Wo:Thanks!』

『Admiral_T:あ、でも課金アイテムだったりしないか、それに必要なもの』

『Abyss_Carrier_Wo:いやいや、クレのNPCからクエスト受注』

『Admiral_T:クエストなのか…参考までに、クエスト名は?』

『Abyss_Carrier_Wo:………………「二人の愛で全ての試練を乗り越えろ~愛の観艦式~」』

『Admiral_T:やっぱパス』

『Abyss_Carrier_Wo:そこをなんとか』

『Admiral_T:馬鹿だ馬鹿だとは常々思ってたがやっぱここの運営馬鹿だわ』

『Abyss_Carrier_Wo:といいつつクレまで転移してくれるAdmiral氏マジツンデレ萌え』

『Admiral_T:いや、これはアレだから、クレの工廠使いたいだけだから』

『Admiral_T:か、勘違いしないでよねっ』

『Abyss_Carrier_Wo:……とりあえず、今日はそろそろ落ちるわ』

『Abyss_Carrier_Wo:明日のアプデ後に、ケッコン一番乗り決めようずー』

『Admiral_T:おーい、スルーかい、それに落ちるの早くねーか』

『LOG:友軍艦隊:Abyss_Carrier_Wo―さんがログアウトしました』



「…………マジでスルーかよ」

暗い部屋の中、そこだけ明るいディスプレイを見ながら呟く。

あの野郎本当に落ちやがった。

「ふぁぁ……ぁぁ…今何時だ…」

PCの時計を見る。

『03:57』

「……あー…ま、しゃーねーか」

全然早くなかった。

いや、それでも普段はあと1時間くらいはやっていた気がするんだが。

首を回すと、ボキボキと不健康な音が鳴る。

一体どれだけこの姿勢でディスプレイを覗いていたのだろうか。

「仕方ねぇ、一人で狩りに行くかー」

もう一度出そうになる欠伸を噛み締めながら、艦クエ―艦隊クエスト―の転移ボタンを押す。

程なくして、赤レンガのクレ―呉の街が写されていた画面が、海上に変わった。

「このまま一人寂しく狩りを続け…あ、そうだ、五月雨ちゃんがいたっけ、ひゃっほう」



艦クエは結構な人気MMORPGである。

プレイヤーは伝説の戦士「提督」となり、在りし日の艦の力を借りて戦うという設定だ。

敵はなんか湧いてくる深海棲艦、いや、こういうものには理由を求めてはならないのはお約束である。

プレイヤーの職業は戦艦、駆逐艦、軽巡洋艦、空母…など、艦種で規定されている。

これは最初のキャラメイクの時に選択することになっていて、後からのやり直しは効かない。

中盤にサブ艦種を付け加える事ができるが、メインは最初に選んだ艦種となる。

この艦種選択が結構個性的な感じになっていて、これでステータスがガラリと変わってしまう。

戦艦なら近接攻撃特化、所謂通常RPGでいうところの戦士であったり、空母だと遠距離特化、弓兵のようなものになる。

また、これと組み合わせられるサブ艦種は非常に幅広い種類があり、メイン艦種との組み合わせでまさにオンリーワンのプレイヤースキルを身につけることが出来るのだ。

尤も、wikiでの検証やらなんやらで結局ある程度艦種の組み合わせは最適化されている、というネットゲームにありがちの現象は悲しいかな艦クエにも当てはまっているが。

さて、ここまでならば艦クエはなんら普通のMMORPGと大差ない。

このゲームに関しては、PCの要求スペックの手軽さ、何よりその課金要素の無さが人気を呼んだ部分が多い。

やり込みで十分に重課金ユーザーに対抗できる仕様なのだ。

実際、サービス開始からこっち、殆どの時間を艦クエに費やしている俺のステータスは高い。

『Admiral_T:Main:戦艦/Sub:超重戦艦 Lv 150/150』

『Following:Samidare_Bot:Main:駆逐艦/Sub:駆逐艦 Lv 74/29』

高い近接能力を持つ戦艦に、素早さを犠牲にしてさらなる近接能力特化、完璧なタンク役を実現させる超重戦艦を組み合わせたステータス。

レベルも現時点ではカンスト、ゲーム内でしか誇れないけれども、これはかなりの上位ユーザーと言っていい。ゲーム内でしか誇れないけれども。

ちなみに、下の娘はいくつかのクエストをこなすと入手できる随伴艦と呼ばれるAI操作のお供である。

自由な見た目のキャラメイクが可能ということで、これも艦クエ人気の一翼を担っている。

可愛い/格好いい随伴艦を育てるのは、中堅以上のユーザーの大きな楽しみの一つだ。

俺の随伴艦の五月雨ちゃんは青い髪が特徴で、その他の部分においても全く手を抜いていない、完璧な出来だと自負している。俺の趣味、という部分においては―だが。

職業は、重タンクの俺にぴったりの素早さ重視職、駆逐艦をメインとサブで重ねがけしたちょっと偏向な構成だ。

俺が敵の攻撃を受ける間にちょこまかと攻撃する五月雨ちゃんは本当に可愛い。

つい敵を攻撃するのをやめて五月雨ちゃんに見とれてしまう事も多い。

Bot特有の心なしかわたわたした動きが本当に可愛い。五月雨ちゃんは可愛い。



…まあ、五月雨ちゃんに関してはこんなもので。

さっきのアビスとかいうクッソ痛い名前のクランメンバー―といっても俺達のクランは俺とあいつだけなのだが―も、俺と同じく廃人さながらにゲームを指定たのでそこそこ以上に強い。

『Abyss_Carrier_Wo:Main:航空母艦/Sub:工作艦 Lv 150/148』

『Following:Abyss_Battleship_CLASS-LE_Bot:Main:航空戦艦/Sub:重雷装艦 Lv 21/5』

艦種構成は遠距離特化の航空母艦に回復その他フォローに適した工作艦を重ねた、遠距離支援構成。

俺が前衛となりあいつが後衛となる布陣を破れる物は、艦クエ界広しといえども中々いない。

が、何よりもアビス(笑)について特筆すべきは随伴艦の化け物じみた能力だ。

何故か、というのも、随伴艦の入手工程に関連していることで。

中盤、トラック泊地という街で受けられる随伴艦入手クエストを達成すると、随伴艦『候補』が手に入る。

これはその名の通り『候補』でしかないので、破棄して再受注も可能なのだ。

なぜ『候補』でしか無いのかというと、随伴艦の初期メイン艦種が報酬を受け取った時点でランダムに決定されてしまうから、という点だ。

俺は駆逐艦で十分だと思ってそれで一発決定したが、あいつはそうはいかなかった。

超レアメイン艦種『航空戦艦』が出るまで、それこそ何百回も随伴艦クエストをやり直したのだ…ありゃーキツかった。

そうして手に入れた随伴艦に、これまた取得に特殊アイテムが必要な超レア艦種『重雷装艦』を組み合わせて出来たのがアビスの随伴艦、通称レ級ちゃん。

メインレベル、サブレベルとも低い艦のくせに、めちゃくちゃな遠近両用攻撃力を誇る化物。

これが育ちきった暁には一体どうなるのか、想像もしたくない。

「……ふぁ……ぁぁ、だめだ、何もドロップしねえ」

「…寝たほうがいいか、もう」

色々と考えながら適当に深海棲艦を殴っていたが、何も収穫がない。

ダメだこりゃ、と思いつつ、また転移。

クレの街に着いたのを確認してから、ログアウトボタンを押す。

…この瞬間は、いつまで経っても嫌いだった。

現実と隔絶された世界から、元へと戻る瞬間が。

『あと10秒でログアウトします』という表示が出て、きっかり10秒後、味気ないデスクトップが現れる。

「……今…4時半か…」

デスクトップの隅、時計の横のカレンダーが目に入る。

今日の日付は4月7日―始業式がある日だ。

「……学校、行きたくねぇな…」

嫌な事しか思い浮かばない現実。

どれだけゲームの中で強くなったって、そっちは何も変わらない。

「…榛名姉さん、いるんだっけ……畜生、サボれね」

「……朝潮だけならなんとかなんのに…」

どうせ今目を閉じた所で、禄に睡眠など取れやしない。

わかっていても、少しでも迫り来る現実から逃げるために、微睡みの中へと自分を落とし込んだ。

「…………めんど…」



「……あ、おはようございます、提督くん」

「…榛名姉さん、おはようございます」

「今、起こしに行こうかって思ってたんですけど、良かったです」

7時40分頃に起き出せば、食卓には、既に朝食が並んでいた。

トースト、サラダ、スープ、ハムエッグ、カットフルーツで彩ったヨーグルト。

朝飯にしてはやや気合が入りすぎているが―まあ、豪華で困ることはない。

おそらく始業日だからと張り切ってくれたのだろうと、エプロン姿の従姉、榛名姉さんを見ながらそう思う。

「……どうしました?」

「いえ、美味しそうなご飯だと」

「そう、良かったです、遠慮無くどうぞ」

「はい、頂きます」

椅子に座って手を合わせ、再び食卓に目をやると、一人分だけもう片付けられているのに気付く。

「朝潮はもう?」

「はい、部活の朝練ですって」

「…そうですか」

「提督くんも、あまり時間はないですよ」

「……はい」

それはつまり、急いで食べて学校へ行け、という事だろう。

全力で首を振りたい気分を抑えつつ、なんとか頷く。

「…………」

「……………2年生、ですね」

「……あ、…はい」

その独り言のように呟いた言葉が、俺へ向けられたものだと、数瞬遅れて気付く。



「…学校、どうですか」

「………別に、普通です」

「……余り、行っていないと聞きました」

「……勉強の成績は、そんなに悪くありません」

「………そういう問題では、無くて」

「……学校は勉学を育む場でしょう」

自分でその言葉の白々しさに気付いて、思わず舌打ちでもしたくなる。

けれど、榛名姉さんの相手は―していたくなかった。

この人は優しい。

だからこそ、このまま話を続ければきっと、俺を励ます方向へ持って行こうとする。

うんうんと、尤もらしく相槌を打ちながら話を聞いて、最後にはきっと、大丈夫です、これから頑張りましょう、なんて締めるのではないだろうか。

この人にはそれが出来るから。

出来ない俺の事なんてお構いなしに、そう言える。

優しくて、明るくて、誰にでも好かれる、そんな人だから。

「………お友達は、」

「ご馳走様でした」

「提督くん、あの」

「行ってきます、姉さん」

「……はい、いってらっしゃい、気をつけて」

彼女に背を向けて、時計を見る。

まだ8時にもなっていない。

この時間から家を出れば、HRの随分前に学校に着いてしまうだろう。

だけど、一度行くと行ってしまった以上は行かねばならない。

榛名姉さんから逃げるようにリビングを出て、玄関へ。

せめてもの抵抗とでもばかりに、のろのろと時間を掛けて革靴を履く。

ドアを開いてしまいたくは、なかった。

意味のないこととわかっていても、それでも。



勿論、いつまでもそうしているわけにもいかない。

靴を履き終われば、立って、外へ出なければならない。

「……っ」

そうして開いた扉から見えたのは、久しぶりに見る太陽。

遅れて、人の話し声。

タイミングの悪い事に、俺と同じ学校の生徒が通りがかったようだ。

どうせならそいつらが行ってから家を出るか、と開きかけの扉をもう一度此方側へ引こうとして。

「…………」

「………大和」

此方を見ていた視線に、気付く。

半端に開いた扉の向こう、友達と連れ立って歩く少女の一人が、俺を見ていた。

何かを言いたそうに、じっと。

「……大和よ、どうした?」

「う、ううん、何でもないの、何でも…」

不意に掛けられた声で、見つめ合っていた少女―大和がはっと我に返る。

そして、すぐに友達との会話へと戻っていく。

その話し声は、だんだんと遠くなっていった。

見つめ合っていたのは、きっとほんの僅かな時間。

なのに、なぜか心には重い重い疲労がのしかかっていた。



「提督くん?」

「………あ、す、すいません、榛名さん、今行きます」

「具合でも悪いの?顔色…悪いですよ?」

「いえ、そんな事は、行ってきます」

「…………はい、気をつけて」

そのまま、半ば榛名姉さんに急き立てられるように玄関を出る。

久々に踏みしめる地面の感触に、思わずクラリと来た。

それを振り払うように、やたらと強い足取りで歩いて行く。

「…………」

『……学校、行きませんか?』

『…部屋の中にいたって、しょうがないですよ』

『辛い事は、誰だってあるんですから』

『わかります、そういう気持ち』

『提督、ねえ、そうだ!大和と一緒に――』

記憶が、一瞬だけ脳裏を過った。

「……わかって、たまるかよ」

「……お前に、お前なんかに」

浮かんだ全てを吹き飛ばすかのように、足下に落ちていた石を蹴る。

当たりどころが悪かったのか、俺のセンスの無さか、石は大して飛びもしなかった。

「……ちっ」

陰鬱な気分は、相変わらず晴れない。

家を出る前の方が、きっといくらかマシだった。



「義兄さん!」

「……朝潮」

「良かった、来るかどうか…って、ま、待って下さい、義兄さん!」

「…人、待たせてるんじゃないのか?」

「そんな事心配しないで下さい、義兄さんに比べたら些細な事です」

…それはそれでどうなんだ、と思うが。

些事と言い切られてしまった同級生は、微妙な顔で俺を見ている。

その子から速やかに視線を外して、朝潮に向き直った。

「学校で会うのは、久しぶりですね」

「……春休みだったしな」

「…そういう意味じゃないです」

「わかってるよ」

曖昧に頷いて、頭を掻く。

どうしてだろうか、朝潮は嬉しそうに笑っている。

「義兄さん」

「ああ」

「……頑張りましたね」

「…学校に来ただけだ、やめてくれ」

「……ごめんなさい」

少しだけ、声を小さくして。

それでも尚、暖かい笑みは絶やさない。



「…ですけど」

「…辛かったら、休んでもいいんですよ、義兄さん」

「無理は、しないで下さい、お願いですから」

「朝潮にとっては…義兄さんが――」

「…あ、あの、朝潮ちゃん、そろそろ教室に」

「うるさい」

「…え…?」

「あ、ああ、わかった、わかったからさ、朝潮、な、それじゃ、俺は教室行くから」

「……そうですか…そうですね、これ以上此処にいると、遅れてしまうかもしれません」

先程些事だと切り捨てた友達に対して、今度は鋭い声を出す義妹。

これは不味いと、話を切り上げる。

「…義兄さん、榛名姉さんが何を言おうと、気にしないでくださいね」

「…朝潮は、義兄さんの味方です、いつまでも、何があっても」

「……ありがとう」

ぽん、と頭を軽く叩く。

それに義妹は、羞恥と嬉しさの入り混じった表情で応えた。



「でさ――――」

「ああ――――」

「だよな――――」

「……………」

新しいクラス。

別に特段変わった光景などはない。

至る所で新たな友人関係を構築する姿や、久闊を叙す姿が見えるだけだ。

勿論、俺はどの輪にも加わってはいない。

「…なあ」

「…あ、は、はい…俺ですか?」

ボーッとしていると、突然後ろから声がした。

自分でも不自然だと思うくらいの勢いで振り返れば、見覚えの無い男子。

「お前、前は何組だったんだ?見たことねーけど」

「…あ、…え、…お、俺は…その」

「あー西村、そいつあれだ、5組の…ほら」

「……あー…そっか、悪い、なんでもねぇわ」

横から飛んで来た声で、俺の正体に思い当たったのだろう。

いかにも興味を無くした風に視線を外し、再び輪へ戻っていく。

「…あ、あはは…そ、そっすか…」

俺はそんな彼らに、ただ卑屈な笑みを浮かべていることしか出来なかった。



「……………」

ボーッとしていると、話しかけられるかもしれない。

そう思い、机に伏せる。

…昔からこうだったのか、と言われれば、違う。

…高校で嫌なことがあったのか、と言われても、違う。

嫌な事があったのは、中学の時だ。

運動音痴で、勉強はそこそこ、容姿はそこそこ…以下。

その上オタク気質を持っていた俺は、そういった行為の標的には最適だったようで。

今思えば、そんなに大したことではなかったのかもしれない。

少なくとも、ニュースやフィクションで見るような嫌がらせ行為に比べれば、そう大したものではなかったといえる。

無視やら物を隠されるやら、スタンダードな事はひと通りされたけれど、…そこまで致命的では無かった。

尤も、俺にとってはそれだけで十分堪えたのだが。

中学を卒業してそいつらから離れた今も、もう家族以外とはまともに会話も出来ない。

折角入った高校も、一年間は殆ど学校へ行かずに棒に振った。

親への最低限の恩返しとして、考査だけは保健室で受けていたが、やっていたのはゲームばかり。

現実からは、ずっと目を逸らしていた。

そうしたらいつの間にか、どんどん人が怖くなって、外が怖くなって、他人と話す時には卑屈な笑みを浮かべるようになって。

そんな風に生きる事しか出来なくなっていた。

今だって、お願いだから早く先生が来てくれと心で願い続けながら、机に伏している。

この衆人環視の牢獄に囚われているような時間の終わりを、ひたすらに願い続けながら。



「……………?」

キリキリと、胃に痛みを感じ始めていた時。

肩をとんとんと小さく叩かれる感触が走った。

「…………あの」

気のせいだろうかとそのまま伏していると、今度は小さな声もおまけに付けて。

どうやら自分を呼んでいるので間違いはないらしい。

一度大きく歯を噛み締め、気合を入れてから顔を上げる。

そこには、少女がいた。

「…そこ、私の席……」

白い、少女がいた。

病的なまでに、透き通るほどに。

どこまでも白い少女が。

真っ白な肌は、窓から降り込む光を反射させていて。

まるで、彼女の周りだけが、この普通の教室という世界から浮き上がっているように見えた。

「……あの」

「は、はいっ、すいません」

その見た目で呆気に取られている俺に、彼女は不満を露わにした顔でどけと促す。

どうやら席を間違えるという大失態を犯していたらしい。

「…貴方は、後ろ」

「あ、は、はい、ごめんなさい」

急いで荷物を纏めて、投げ出すように後ろの席に置く。

「………はぁ」

そうして移動する間、つまらなそうに吐かれた溜息に、思わず身が縮み上がる。

我ながら、酷いものだ。



…ヲ級さん。

この人は、たまにしか来ない俺でも流石に知っている。

身体が弱くて、ひっきりなしに入退院を繰り返しているという少女。

俺とは違う意味で、学校には余り来ていない。

…ただ、誰かさんとは違って、来たら皆が喜ぶような人だ。

特筆すべきは、その容姿。

風の噂で聞いた話だと、彼女はハーフで、アルビノだという。

誰が言い出したのかは知らないが、その噂は専ら真実だと信じられている。

無理もない。彼女はそれを信じさせ得るだけの容姿なのだ。

真白い髪と肌も、整った目鼻立ちも、どこか日本人―いや、人間離れしている。

声を掛けたくなるのではなく、遠くから眺めていたい、そんな美しさだと―これも誰かが言っていた。

クラス内でも、彼女を指してざわついているグループが幾つかある。

皆一様に、彼女が同じクラスであるということに対する幸運を喜んでいた。

このように、不登校児の俺でもこれだけの話を知っている程、そして同じクラスになっただけで話題を独占する程、彼女は有名人で。

その上、滅多に誰かと喋る姿を見かけない程に無口だ。

だから、驚いた。

「………艦クエ」

「…え?…あ、え、あ…す、ストラップ…のことっすか、この」

「…うん」

彼女が俺に突然話しかけてきた事にも、聞き慣れた言葉が彼女の口から出たことにも。その両方に。



ヲ級さんは、俺のスマホにぶら下がったストラップをじっと見ていた。

一見して艦クエの関連製品であるとは分かりづらい、レア武器、46cm3連装砲を象ったストラップ。

彼女はそれを手に取って、感触を確かめるように何度か撫でる。

「…再現度、凄い」

「……で、ですよね…あはは…」

彼女は無表情ではあったが、何か喜色のような物が声に見えた気がした。

…しかし、対する俺は卑屈な笑み。早く会話が終わってくれと願うのみ。

その内、彼女はストラップに興味を無くして、不意に再び前を向く。

これで用件は終わり、らしかった。

美少女との会話が終わった寂寥よりも安堵が勝って、俺は深く息を吐く。

勘弁して欲しいものだ、家族以外の女子と会話したのなんて何時ぶりだろう。

にしても…意外だったなぁ、ヲ級さん、ゲームとかするのか、なんて。

そんな共通点に奇妙な嬉しさを覚える自分に、なんとなく嫌気が差した。



『Abyss_Carrier_Wo:Admiral氏…優しくしてね?』

『Admiral_T:やめろ寄るな、壁際に俺のキャラを寄せるな』

『Abyss_Carrier_Wo:ふふふ、どこへ逃げようと言うのかね、この愛の巣に逃げ場は無いぞほらほらほら』

『Admiral_T:テンションたっけーなぁ…』

恥ずかしい名前のクエストは、内容としては二人で協力して外洋に伝説の指輪を取りに行く、というだけの物で。

俺たち程のレベル帯ならば、とても楽なクエストだった。

アップデート終了直後にクエストを受注した俺達は、宣言通りにケッコン実装後一番乗りを果たす事ができ。

記念すべき、艦クエ横須賀サーバー初めてのカップルとなった。

しかしその実情たるや、ネカマと一緒に指輪を取りに行き、めちゃくちゃ目立つクレの街の中央広場でそれを交換したというもの。

非常に後悔していてどん底テンションの俺とは対照的に、アビスのテンションはやたら高い。

『Abyss_Carrier_Wo:もーAdmiral氏ったらー』

『Admiral_T:熱烈にログアウトしてぇ…あ、そうだ、五月雨ちゃんトレーニングルーム』

『Abyss_Carrier_Wo:ああ、そんな事言ってたな、いくら?』

『Admiral_T:500000家具コイン』

『Abyss_Carrier_Wo:…う、うちにそんなお金は有りませんからね!これは生まれる赤ちゃんのための…』

『Admiral_T:インベントリ共有だから隠せてないぞ』

『Abyss_Carrier_Wo:離婚よ!』

『Admiral_T:わー何のためにクエゼリンまで指輪取り行ったのかわかんねー』

『Abyss_Carrier_Wo:まあいいや、レ級ちゃんのスペースも作っといて』

『Admiral_T:変わり身早いなー…とりあえず後で工廠に注文してくるわ』

『Abyss_Carrier_Wo:はー…しかし、結婚かー』

『Admiral_T:なんだよ、ホモに目覚めたか?』

『Abyss_Carrier_Wo:Admiral氏なら…ぽっ』

『Admiral_T:……ログアウトしなきゃ』

『Abyss_Carrier_Wo:素直じゃないんだから』

『Abyss_Carrier_Wo:ん、ごめん』

『Admiral_T:どした』

『Abyss_Carrier_Wo:今日これで落ちる』

『Admiral_T:マジか、まだ10時だぞ』

『Abyss_Carrier_Wo:悪い、どうしても無理っぽい』

『Admiral_T:了解、ま、色々あるわな』

『Abyss_Carrier_Wo:浮気はしちゃダメだよ?』

『Admiral_T:さっさと落ちろ』

『Abyss_Carrier_Wo:冷たいな、だがそれが良い』

『LOG:友軍艦隊:Abyss_Carrier_Wo―さんがログアウトしました』



「…アホなこと言ってんじゃねえぞアビス(笑)め」

「……んー、今日はアプデで加わった新マップに行こうと思ってたのに」

「…はー、しゃーないから一人でもやっとくかなー」

ショートカットキーを押して、五月雨ちゃんを召喚する。

程なくして、俺のキャラの後ろに、青い髪の小さな人影が現れた。

「よし行こう五月雨ちゃん!新しい世界へ!」

新マップ、ミッドウェーの入り口まで転移する。

安全マージンを確保するためにアビスがサポについて欲しかったが、こうなっては致し方あるまい。

もし死亡しても復活できるように、ダメコンをいくつか船倉へ入れておく。

「あーあ、現実でもさー」

「こうして、五月雨ちゃんがいてくれたらよかったのになぁ…」

愚にもつかないような戯言を漏らしながら、現れる敵を狩っていく。

結局ダメコンの出番は無かったが、やはり結構な手応えのあるエリアだった。

レベル制限も上がったし、しばらくここに籠もることになるだろう。

レベルが151に上がるのを見て、クレの街に転移。

適当にドロップアイテムの処理をしてから、ログアウトボタンを押す。

「………榛名姉さん、明日もいるよなぁ」

「…………あー」

そしてベッドに身体を投げ、程なく意識を手放した。



「――様、―人様!」

声が、聞こえる。

目を開ける。

部屋だ。俺の部屋。

なのに、女の子の声がする。

朝潮だろうか。榛名姉さんだろうか。

声は、頭の横から聞こえる。

「起きて下さい、ご主人様!」

横を向く。

青い髪。

…青い、髪?

……え?

「……あ、あぁぁぁ!!!!?」

現実、というか。

その「現実のような物」を認識した瞬間、俺は叫んでいた。



「義兄さん!?どうしたんですか!?」

「お、おはよう朝潮今日はいい日だな非常に心地が良いふはははは」

「…あの、何をやっているのですか」

「見ればわかるだろう、こうして布団をマントの代わりにして羽織り、神に祈りを捧げることで今日一日の平穏を願っているのだ」

「………まだ、6時半ですから、あまり大声は出さないで下さい」

「うむ、善処しよう」

朝潮がめちゃくちゃ怪訝な顔で扉を閉じる。

それを確認してから、俺は布団で包むように隠していた青い髪の少女に向き直った。

「あの」

「は、はいっ」

「どなたですか」

「さ、五月雨です」

「………さみだれ」

「は、はい」

「………………」

妨害電波が全世界を埋め尽くす前にアルミホイルで頭を包んで守らなければならないかもしれない。

思考を、脳を守るのだ。あははははははは。

叩きつける程の勢いでPCの電源ボタンを押す。

そして艦クエを起動。

青い髪の随伴艦は、新しく出来たばかりのトレーニングルームで自主トレとして命じた腕立て伏せをしていた。

その姿形は、今、俺のベッドに座っている少女と瓜二つ。




「……五月雨?」

「…は、はい、五月雨です」

「………………」

なるほど。

細い眉、くりっとした瞳、優しい表情、スレンダーなボディ。

全て俺がメイクしたものと寸分違わない。

「…………」

「………ごふっ」

「ご、ご主人様ー!?」

俺は倒れた。

きっと疲れているのだ。

今日は学校を休もうと決めた。





【プロローグ 終】

終わり
うーんこの




【4月1週】


提督「……うーむ」ジロジロ

五月雨「………あ、あのー…何をしてー…」モジモジ

提督「え、と…す、凄い再現度だなーと」シゲシゲ

五月雨「……はぅ」

提督「…………」ピコーン!

提督「…さ、さ、五月雨ちゃんってさー、お、俺の随伴艦だよね?」

五月雨「…え、えっと…はい」

提督「だったら…ちょっと、こう…そのスカート、めくってみてくれないかな!?」

五月雨「ご、ご主人様…?目が怖いん…ですけど…」

提督「………い、いやー…ちょっと、ちょこっとだけ、ね?」





榛名     **0/500
大和     **0/500
朝潮     **0/500
ヲ級     **0/500
五月雨   **0/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ



提督「……………」

五月雨「……………あの?」

本日、学校を休んでこの五月雨ちゃん(仮)について様々な検証を行った。

まず、榛名姉さんには姿が見えなかった。

朝潮にも姿は見えなかった。

そして触ることも出来なかった。

……………。

提督「俺の妄想じゃねぇかこれ!」

五月雨「うひゃあ!?い、いきなり大きい声出さないで下さい!」

提督「…自分でもヤバイヤバイとは思ってたが…本格的にヤバイな俺…」

五月雨「え、えっとあのー…ご主人様?ご主人様ー?」

妄想を現実世界に召喚してしまった。

所謂脳内お友達クロスアウトである。

提督「………はぁ、死にてぇ…」

五月雨「何か負のオーラが凄い事になってますよっ!?」

提督「……めっちゃテンション上がってたし…つーかさっきスカートめくってくれとか言ってたし…何なんだよ俺って…」

五月雨「え、えと…ご主人様、私は妄想なんかじゃないんですけど…ご主人様ー!」

提督「…というかご主人様呼びなのかよ、俺の妄想なんだからせめてお兄様っ♪くらいのサービス見せろよ…」

五月雨「…………」

非常に困惑している妄想五月雨ちゃん。

俺の想像力は随分と表情作成能力が優秀らしい、まるで本当に悩んでいるようだ。

五月雨「……………むー」

そして拗ねた。

頬を膨らませて拗ねた。

可愛い。でも妄想だから。早く消さなきゃ。

…どうやって消すんだろうか。

五月雨「…あのー」

提督「…なんだよ、話しかけてくるなよ」

五月雨「どうやったら、信じてもらえますか?」

提督「……どうやったらって…んなもん…」


>>+2


A.無理です。

B.……そうだ、ゲームの五月雨ちゃん操作してみてよ。

C.……ぬ、ぬ、脱げ。

A.無理です。(*1.0)


提督「……無理です」

五月雨「……………むー」

拗ねられてもどうしようもない。

せいぜい俺の想像力のレベルの高さに我ながら感服するくらいだ。

提督「…だいたい、どうやって妄想じゃないって証明するんだよ」

PCの画面に目を移す。

そこには五月雨ちゃん(本物)が映っている。

提督「お前が本物だっていうなら、これは一体何なんだ!?」

五月雨「あ、そっか!そっちを動かせばいいんですか?」

提督「ああん?そんな事出来るわけ…」

ぺこり。

画面の中の五月雨ちゃんが、随伴艦が取れるアクションの一つ、お辞儀をした。

提督「…………」

…確か随伴艦がアクションをしてくれるタイミングは完全にアトランダムで、おまけの遊び要素のような物だったはずだが…。

提督「……ぐ、偶然」

ぶんぶん。

今度は手を振った。

それも画面の向こうの俺へと身体を向けて。

提督「……………………」

五月雨「えへへ、信じてくれましたか、って、わぁっ!?」

こけた。

………こんなアクションは見たことがない。

五月雨「あいたた…ごめんなさい、ドジってしまいました…って、ご主人様?」

提督「……………うひゃー」

五月雨「ご主人様ー!?」

俺は、また倒れてしまったのだった。



五月雨→  100/500



【4月2週】


提督「最高だね五月雨ちゃん!俺たちに敵はいないよ!」

五月雨「そ、そうですねー…」

提督「よーしガンガンいくぞー!…ん?」

『Abyss_Carrier_Wo:何かお前の五月雨ちゃん、挙動めっちゃ最適化されてないか?』

『Admiral_T:愛の力』

『Abyss_Carrier_Wo:升はやめとけよ』

『Admiral_T:はっ、俺の愛が通じたんだよ、ばーか』

『Abyss_Carrier_Wo:……まあ、うん、いいや』

『Admiral_T:なんだよ、変な奴』

提督「全く、俺と五月雨ちゃんの狩りに付いて来ているだけでも光栄と思え、ね?」

五月雨「あ、あははー…ソデスネー」

五月雨(……うぅ…全然話聞いてくれないー…)



榛名     **0/500
大和     **0/500
朝潮     **0/500
ヲ級     **0/500
五月雨   100/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ



いやー。

一念岩をも通すというか。愚公山を移すというか。

こんな事があるなんてなぁ。

二次元から女の子がやってきて、ご主人様と呼んでくれるなんて。

未だに信じらんねーけど、こんなこともあるんだなー。

提督「ねー五月雨ちゃん!」

五月雨「は、はいっ」

提督「…はぁ、幸せだなぁ…学校とかどうでもいいやー…」

五月雨「だ、ダメですよ、学校は行かないと!」

提督「………何言い出すの、五月雨ちゃん」

五月雨「私はご主人様に、ちゃんとして貰いたくてこっちにやってきたんです!」

提督「……………え」

五月雨「…生まれてから、ずっとご主人様を見ていました」

五月雨「それで、気付いたんです!」

提督「…な、何にさ」

五月雨「このままではご主人様がダメになってしまう、と!」

提督「………」

ぐへぇ。

言われ慣れてることなのに、五月雨ちゃんに言われると、なんだかかなりダメージが増えた気がする。

提督「…五月雨ちゃん、あのね」

五月雨「なんですかっ」

返事も、どこか怒ったような様子だ。

提督「…いーんだって、そんな事気にしなくて」

提督「そんなことより、俺と一緒にゲームしよ、ね?」

五月雨「ダメです、ご主人様、もう2時です!起きられなくなります!」

提督「……なんで学校行く時間知ってるの…」

五月雨「情報収集は欠かせませんからっ」

今度は胸を張る。

……どういうこっちゃ。

…しかし、どうにも本気みたいだし――


>>+2


A.…一日くらい、真面目に行くかなぁ。

B.知るか馬鹿!そんなことよりゲームしよう!

C.…なんで五月雨ちゃんにそんな事言われなきゃいけないのさ。

A.…一日くらい、真面目に行くかなぁ。(*1.5)


なぜそんな事を言うのかは全く不明ではあるが。

なんだか、五月雨ちゃんに言われると煩わしい言葉も素直に受け止められる。

俺のことを思って言ってくれてるんだよなぁ、だって。

提督「わかった、行く」

五月雨「ほ、本当ですかっ!わわっ!?」

嬉しさのあまりか、五月雨ちゃんのキャラがホームの壁にぶつかった。

…いや、なぜぶつかる、さっき部屋の中央にいたろ。

五月雨「あいたたた…で、でも、よかったです、ご主人様がやる気になってくれて」

提督「…まあ、辛かったら帰るけど、途中で」

五月雨「が、頑張ってくださいね!」

提督「……うん」

…しかし。

……二次元のキャラに生活を矯正されるというのは、どうなんだろう。



五月雨→  142/500



【4月3週】


提督「おはようございます」

朝潮「義兄さん!おはようございます!」

榛名「…お、おはようございます、早いですね、今日は」

提督「…いえ、…なんとなく、起きたので」

榛名「……そうですか、それは良かったです」

朝潮「…~♪」

提督「どした、朝潮?」

朝潮「義兄さんと朝ごはんなんて、久しぶりですから」

提督「大袈裟だな、朝飯だろ、ただの」

朝飯「いいじゃないですか、別に」

朝潮「そうだ!一緒に学校、行きましょうよ!」キラキラ

提督「……ま、まぁ…たまには…」



榛名     **0/500
大和     **0/500
朝潮     **0/500
ヲ級     **0/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ

もしかしたら五月雨ちゃん、長いコミュが入るかもしれないです
ここまで、ありがとうございました

ちょっとだけやる
今回は単発でもなんでもいいです



悪意だ。

この世界は悪意で構成されている。

玄関を出ただけでこんなにも胸が重くなるのが、何よりその証拠だ。

提督「…………」

「で、3組の――」

「マジ!?」

提督「……っ」

ぎゃはは、と下品な笑い声が聞こえる。

それだけで俯いて、思わず背後を振り返る。

あれはきっと俺に向けたものでは無い、そんな事はわかっていた。

だけど怖い。

誰に向けたものであっても、その悪意が怖いのだ。

それがもし自分に向けられたら、そう思うだけで胃から酸っぱい物がせり上げてくるほどに。

背後、閉じられた玄関。

後一歩でも踏み出せば、きっと此処には戻れない。

提督「………帰ろう、かな」

今なら。

あんなもので満ちている学校へ行かずに済む。

この扉を開けて、階段を登って、部屋に入って、パソコンを付ける。

それだけで済む。

何も辛い思いをせずに済む。

或いは、ただの逃避でしか無いのだとしても。

その逃避は、俺にとって何よりの救い。

後で苦労するとか、そんな将来に積み重なる諸々は関係無い。

今、この時、少なくとも辛い思いをせずにいられる。



提督「………はっ」

自分の惨めさに、薄笑いが漏れた。

けれど、そんな行動をしながらも、心は既に決まっていた。

逃げる。辛い事を受け止めたりなんか出来ない、と。

無様に、惨めに、卑屈に。

そのまま、地面を眺めていた顔を上げ、踵を返そうとして――

大和「…………」

提督「…………」

彼女と、目が合った。

幼馴染の少女と。

物珍しげな眼で、彼女は俺を見ていた。

うちの家の門の前でわざわざ立ち止まっているのだ、勘違いということはない。

その双眸に射抜かれて、嫌な汗が脇をつたう。

早く行けよ。早く立ち去ってくれよ。

見つめ合っている時間はまだせいぜい数秒というところだろうに、それだけで動悸が激しくなる。

……俺は―――


直下


A.眼を逸らす。

B.踵を返す。

C.……お、…おは、よう。

C.……お、…おは、よう。(*1.5)


提督「……お」

それは、傍から見ればさぞ滑稽だったろう。

引き攣ったような笑顔に、小さな声。

視線は、明後日の方向。

提督「…おは、よう……」

大和「……!は、はい、おはようございます!」

けれど、幼馴染の少女は笑ったりなんかしなかった。

それどころか、ぱぁっと、花が咲くような笑みを浮かべて、そんな挨拶に応えてくれた。

大和「い、今から…学校、ですか?」

提督「……あ、…う、うん」

大和「そうですか…えっと、よければ、一緒に…」

提督「…あ、…い、いや、…やめとく、……あの、…ごめん」

大和「そうですか…そうですよね、いきなり変なこと言って、ごめんなさい」

提督「…あ、…こ、こっちこそ、ごめん」

大和「それじゃあ、会えたらまた、学校で!」

元気よく、彼女は早足で歩いてゆく。

遠くなっていく後ろ姿を見て、一つ、息を吐いた。

提督「………はぁ、緊張した、全然喋れねぇでやんの」

相変わらず、どこまでも情けない人間だ。

提督「……学校、で」

去り際の言葉を呟いて、背後をもう一度振り返る。

眼に映った玄関の扉を振り払うように顔を左右に何度か振って、前を見た。

彼女の善意に、少しだけ救われたのか。

門の外に踏み出した一歩は、普段より幾分か力強かった。



大和→  127/500



【4月4週】


提督「……………」

教室、絶え間なく飛び交う人の声。

その下で、俺は机に伏せっていた。

誰も気に留めない、誰も不思議に思わない。

俺はそういう人間なのだと、皆が思っているからだ。

提督「……………」

惨めだと思う。

けれど、どんな風に過ごしていても、死にたいとは一度も思わなかった。

つまりは、そんな程度なのだ。

どちらにしても、俺は中途半端で。

学校に来るのが怖いくせに、こうして伏せっていたら誰かが話しかけてくれないかなんて期待を抱いている。

斜に構えて、友達なんてつまらないなんて言えず。

未だに、淡く、都合の良い幻想を夢見ている。

普通に生きる事に諦めは付かず。

逸脱して生きる事にも踏ん切りが付かず。

死にたいと思うこともない。

……はは、本当に何なんだ、俺は。



榛名     **0/500
大和     127/500
朝潮     **0/500
ヲ級     **0/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ

じどり




朝潮「義兄さん、おはようございます」

提督「…おはよう、朝潮…今日は部活か?」

朝潮「いえ、今日はお休みです、ずっと家にいます」

提督「…そうか」

朝潮「そういえば、義兄さん…今週は、毎日行ってたんですね、学校」

提督「………ん、まあ…」

朝潮「偉いです」

心の底から嬉しそうに、朝潮が笑う。

思わずむず痒くなるような、そんな表情だった。

提督「…そのくらいで…」

朝潮「義兄さんにとっては、凄く辛い事だったでしょう?」

提督「………」

朝潮「だから、偉いです」

…これではどちらが年上かわかったものではない。

気を逸らす為にボサボサの髪の毛に手をやると、朝潮の顔に影が差した。

朝潮「…でも、本当に、無理は…しないでください」

朝潮「……朝潮は、義兄さんが心配です」

朝潮「また、義兄さんが中学の時みたいになってしまったらと思うと…朝潮は」

提督「…大丈夫だよ」

朝潮「……無理だけは、…やめてください」

提督「…ありがとな、心配してくれて」

提督「………お前だけだよ、そう言ってくれるのは」

朝潮「当然です、妹ですから」

提督「…こんな出来の悪い兄、見捨てたっていいんだぞ」

自嘲気味に笑って呟いた言葉で、胸を張った義妹の顔がすっと曇る。

朝潮「……冗談でも、そういう事は言わないで欲しいです」

提督「…悪い」

朝潮「義兄さんは、義兄さんです…朝潮の、たった一人の」

朝潮「見捨てるなんてこと、絶対にしませんから」

朝潮「……だから、もっと頼ってください」

朝潮「…一人で溜め込んだり、しないでください」

提督「…………」


直下


A.…ああ、頼りにしてる。

B.…もっと自分の事、考えていいんだぞ。

C.…ごめんな、こんな奴で。

B.…もっと自分の事、考えていいんだぞ。(*0.5)


提督「…もっと自分の事、考えていいんだぞ」

朝潮「………」

提督「……俺のことなんて、放っとけよ」

義妹が、唇を噛んだ。

…これでいいんだ。

俺の事なんて、構わなくていい。

俺の問題を、朝潮にまで背負わせたくない。

朝潮「…義兄さんは」

提督「……」

朝潮「…どうして、そうやって突き放すような言い方をするんですか」

提督「……俺に関わったって、お前に良い事は無いからな」

朝潮「…っ」

眼は合わせられなかった。

けれど、彼女が今どんな顔をしているかは、なんとなくわかった。

朝潮「……榛名姉さんも、お義母さんも」

朝潮「…義兄さんの事なんて、何もわかっていません」

朝潮「……だけど、朝潮は――」

提督「………部屋、戻るよ」

朝潮「…はい」

今日は休日。

何もしなくていい日。

なのに、なんでこんなに気分が悪いんだろうか。



朝潮→  **4/500



【5月1週】



『Abyss_Carrier_Wo:やっほーい、レベル上限到達だー』

『Admiral_T:おつかれさーん』

『Abyss_Carrier_Wo:愛のぱぅぁーだな!』

『Admiral_T:…………』

『Abyss_Carrier_Wo:無言のフレンドリーファイアいくない!』

『Admiral_T:……はー、寝る』

『Abyss_Carrier_Wo:どうしたよ、最近やけに早いなー』

『Abyss_Carrier_Wo:…もしかして、飽きた?』

『Admiral_T:いや…そういうのじゃねぇけど』

『Admiral_T:色々あんのよ、じゃあな』

『Abyss_Carrier_Wo:Admiral氏つめたーい、じゃあのー』




榛名     **0/500
大和     127/500
朝潮     **4/500
ヲ級     **0/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ

俺が一番のコンマを出す

いやまぁこの時間は辛いよねぇ

この辺にしときます
ありがとうございました

可愛い女の子に好かれてるんだからいいじゃん(いいじゃん)
本当は大和榛名朝潮からの初期好感度を超マイナスにしようかと思ったけど500じゃ収まりが付かんからやめた
始めよーか



榛名「おかえりなさい、提督くん」

提督「…ただいま、姉さん」

榛名「今日もお疲れ様でした、お菓子、用意してますよ」

提督「…ありがとうございます」

榛名「……今日は、どうでしたか?」

提督「…別に、特筆して言うような事は」

榛名「……そうですか…」

……今、俺の家に母親はいない。

単身赴任の義父を追って、家を出て行った。

理由は、…どっかの馬鹿息子のせい、とだけ言っておく。

その代わりに面倒を見てくれているのが、榛名姉さん。

丁度去年までで就いていた仕事を退職したのもあって、快く引き受けてくれたらしい。

だけど俺にとって、この人と過ごす時間は、この人と話す時間は、何よりの苦痛だった。

彼女は、母親のように俺を見下したりはしない、優しい人で。

心の底から俺のことを思って、優しい言葉を、優しい期待を掛けてくれる。

それが、苦痛以外の何だというのだ。

出来もしない期待を掛けられて、当たり前のようにそれが出来なくても、榛名姉さんは少し残念そうに笑って、頑張りましょうと言ってくれる。

見下してくれた方がよっぽどマシだ。

見限ってくれた方がよっぽどマシだ。

そんな生暖かい優しさなんて、苦痛でしかない。

この人は、俺のことを思ってくれているようで、実は何にも思っていない。

ただの優しさの押し付けだ。ただの自己満足の押し付けだ。

提督くんなら大丈夫です、なんて、そんな事があるものか。

俺だからこそ出来ないのだ、貴女に出来る、当たり前の事すら。

俺は、この人が嫌いだった。

榛名「今、お茶を淹れますね、お菓子と一緒に…」

提督「………いえ、…大丈夫です、部屋に戻りますから」

榛名「…え、と…その、…お菓子、美味しいですよ」

提督「姉さんが食べて下さい、俺は…あんまり、腹も減ってないので」

榛名「……提督くん」

提督「…失礼します」

台所に立つ榛名姉さんに背を向ける。

彼女の視線は、まだ張り付いていた。


>>+2


A.そのまま無言で去る。

B.……気が変わりました。

C.…ごめんなさい、姉さん。

B.……気が変わりました。(*1.5)


提督「……姉さん」

榛名「は、はい…?」

提督「…やっぱり、お菓子、貰ってもいいですか」

榛名「え?か、構いませんけど…」

提督「…お茶も、お願いしたいです」

榛名「……はいっ!任せて下さい!」

俺はこの人が嫌いだ。

…嫌いなのに。

優しいから、断れないのだ。

優しいから、捨てられないのだ。

提督「…………」

榛名「お待たせしました、どうぞ」

目の前に置かれたカップに、紅茶が注がれた。

ふわりと香る湯気の奥、榛名姉さんは笑っていた。



榛名→  *89/500



【5月2週】


提督「…ふーむ」

五月雨「どうしました?」

提督「…五月雨ちゃんは、何故脱がないのだろう」

五月雨「………お、怒りますよっ!?」

提督「だって俺の随伴艦だろ!?脱いでくれてもいいじゃん!」

五月雨「なんでそうなるんですかぁ!」

提督「だいたいねぇ、折角画面から出てきたんだから――!」クドクド

朝潮(…ゲーム画面と喋ってる…)

朝潮(……義兄さんが、ちょっと本格的にヤバイです…)



榛名     *89/500
大和     127/500
朝潮     **4/500
ヲ級     **0/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ



夢の中にいる。

周りに広がる海と、身体を包む艤装。

俺は艦クエのキャラクターになって戦っていた。

背後からは頼れる仲間が、俺に襲い掛かる深海棲艦へ向けて弓を射ている。

楽しい。とても楽しい夢だ。

でも、これはあくまで夢で。

現実なんかじゃない。

それを証明するように、夢の世界から、意識がどんどん遠ざかっていく。

代わりに現れるのは――

提督「…………あれ」

重い瞼を擦りながら顔を上げると、目に入ったのは無人の教室。

思い描いていたものとは違う光景に戸惑い、ついキョロキョロと辺りを見回してしまう。

教壇の前の時計が指し示す時間は、10時49分。

まだ放課後でも休み時間でも無いはずだが――

ヲ級「……おはよう」

提督「…うわぁっ!?」

そんな時、不意に足下から聞こえた声。

飛び上がらんばかりに驚いて目を向けると、白い少女が俺の机の横に腰を下ろしていた。

…全く気付かなかった。

提督「ヲ級、さん…?」

ヲ級「…ストラップ、カバンにも付けてるんだ」

提督「……あ、は、はい…そう、です」

ヲ級「……可愛い」

彼女はカバンに付けていた、艦クエ運営の告知キャラクターであるネコをデフォルメしたストラップを見ていたらしい。

よっぽど気に入っているのだろう、心なしか、頬が緩んでいるように見えた。

…この人も、こんな風に笑うのか。…じゃない。

提督「あ、あの」

ヲ級「…なに?」

ネコストラップを愛でる時間を邪魔された事が不満だったのか、ヲ級さんは鋭い目を俺に向ける。

思わず怯んでしまうものの、なんとか言葉を続けた。

提督「……あ、あ…いや、…なんで、教室、誰もいないのかな…って」

ヲ級「……ん」

それを聞いて、彼女が教室背後の黒板を指差す。

その先に眼をやれば、『3限 美術に変更』と書かれていた。



提督「……………」

…2限目の途中から眠りこけて、そのままクラスメイトたちに放置されていたようだ。

こんなもんだとわかってはいるけれど、それでも心にくるものは少なからずあった。

今から向かおうかと思って―首を振る。

どんな顔をして入っていけばいいかわからない。

途中入室なんて事をしたら、どれだけの視線を浴びるか。

置いて行かれた俺が途中で入ってくれば…向けられる物は、嘲笑だろうか、それとも僅かばかりの悲哀だろうか。

どちらにせよ、今から腰を上げる理由にはなりそうもなかった。

ヲ級「…私達、置いて行かれたみたい」

独り言のように、ヲ級さんが呟く。

彼女はついに我慢しきれなくなったのか、白い指でストラップをぐにぐにとまさぐっていた。

提督「……あ、そ、そう…すね」

ヲ級「…残念」

はふ、と軽く息を吐くヲ級さんは、とても残念がっている風には見えない。

その証拠に、ストラップを弄る手は全く止まっていない。

提督「…え、と…ヲ級…さんは、なんで、置いて行かれたんですか…」

ヲ級「……さっきまで、保健室にいた」

提督「…あ、そう、…ですか…」

言われてみれば、朝から目の前の席は確かに空いていた。

珍しく饒舌に、彼女は言葉を継ぐ。

ヲ級「折角、学校に来れたのに、暇」

提督「……で、ですね…」

ヲ級「でも、このストラップに出会えたのは僥倖…可愛い」

提督「……か、艦クエ…好きなんですね」

ヲ級「…うん」

感慨深そうに、ヲ級さんは頷く。

そして、何か大切な物でも扱うように、ネコのストラップを両手で包む。

その瞳の先には、目線をやっているストラップとは別の何かが映っているように見えた。

……………。

………。

…。


>>+2


A.…お、俺も、…好きなんです。

B.………………。

C.……そ、それ…いります、か?

C.……そ、それ…いります、か?(*1.5)


提督「…そ、それ」

ヲ級「……?」

提督「…いります、か?」

ヲ級「…いいの?」

嬉しそうに顔を上げる。

はっきりとわかるくらいに、口元が緩んでいた。

提督「は、はい…お、俺は…他のキャラの、まだ、家に…あるんで」

ヲ級「…ありがとう」

待ち切れないとばかり、拙い手付きでカバンからストラップを外していくヲ級さん。

ようやく自由になったそれを顔の高さまで掲げ、うんうんと二三度頷いた。

そうして嬉しそうに微笑む彼女は、本当に綺麗で――

提督「ぶっ!?」

ヲ級「……?…どうしたの」

ヲ級さんは地面に座っている。

尻餅を付かないように、膝を曲げて腰だけを降ろした姿勢で。

スカートが汚れるのが嫌なのか、裾が地面に付かないようにわざわざ手でたくし上げた跡も見える。

そして俺はそんな彼女を椅子に座って高所、しかも正面から見下ろしている。

つまりそこから導き出されるスカートの中身は――白。

ヲ級「………っ!?」

俺の目が食い付いて離さない物についてある程度の予想がついたのだろう、ヲ級さんが勢い良く立ち上がる。

その真っ白な頬を、ほんの少しだけ朱色に染めて。

ヲ級「………えっち」

提督「ち、ちが、違うんです、これはその、不可抗力というか、あの、えっと」

ヲ級「…………」

憮然とした半眼で射抜かれて、泡を食ったような様子で言い訳にもならない言葉を並べ立てる俺。

しばらく彼女は黙っていたが、不意に、息を漏らした。

ヲ級「……まあ、いい…私も悪いし」

提督「…あ、ありがとう、ございます…」

ヲ級「…………」

提督「……え、えと…」

ヲ級「…こっちみるな」

提督「……はい」

……ヲ級さんには非常に申し訳ありませんが。

今日の夜使う物が、決まってしまいました。

たまには、置いて行かれるのも悪くないのかもしれない。



ヲ級→  *42/500



【5月3週】


『Abyss_Carrier_Wo:もう終わりかこの深海共!』

『Admiral_T:……なんか荒れてね?』

『Abyss_Carrier_Wo:今の私ならばイベントボスでもソロ狩りしてみせる!』

『Admiral_T:…あ、ああ…いや、マジで何があった』

『Abyss_Carrier_Wo:汚された…』

『Admiral_T:そうか、じゃあ俺転移するわ』

『Abyss_Carrier_Wo:最後まで聞けよ!』

『Admiral_T:え、やだ、めんどいし』




榛名     *89/500
大和     127/500
朝潮     **4/500
ヲ級     *42/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ



どうして貴女は俺を見捨てないのですかと聞いたことがある。

彼女は困ったように笑って、そんな事するわけないでしょうと答えた。

それは、正確には答えなんかじゃない。

そういう所も、嫌いだった。

榛名「……提督くん、行かないんですか?」

提督「………腹の調子が悪いので」

榛名「…………」

病は気から。

学校に行きたくないという気持ちが積み重なれば、それが体調に現れるのは珍しくない。

現に、腹は本当に痛かった。

榛名「…最近は、行ってたのに」

提督「…………」

部屋に戻ろうとする時、ぽつりと姉さんがそんな言葉を漏らした。

それをどうしても無視できなくて、俺は吐き捨てるように言った。

提督「…どうせ、面白くもなんとも無いですから」

榛名「……………」

殊更に、姉さんは困り顔を作る。

きっと、わざわざ言うことは無かったのだろうけど、それでも。

それでも、行った所で何が変わるんだ、という疑問を姉さんにぶつけたかった。

榛名「……大丈夫、大丈夫ですよ、提督くん」

榛名「…絶対、変わりますから、貴方の心持ち次第で」

提督「…………」

腹の痛みが増した気がした。

彼女は本気だったから。本気でそう思っているようだったから。

榛名「提督くん」

優しい笑顔で、俺を見る。

大丈夫、それがこの人の口癖だった。



>>+2


A.…無理です。

B,…俺は、貴女とは違うんです。

C.………無視して部屋に戻る。

B,…俺は、貴女とは違うんです。(*1.5)


提督「…俺は、貴女とは違うんです」

榛名「…………提督くん」

提督「…誰からも好かれるような、貴女とは」

榛名「………」

提督「……やめてください、そういう事を言うの」

榛名「……榛名は、…別に…そんな」

提督「…放っておいて下さい、もう、俺のことなんか」

榛名「で、できません!そんな事!」

提督「…どうして、ですか」

榛名「…………」

その質問に、彼女は視線を彷徨わせて。

結局、曖昧に笑った。

榛名「…そんな事、するわけないでしょう」

いつかのように。

答えを出さずに、ただ笑った。

榛名「きっと、大丈夫ですから」

提督「…………っ」

榛名「提督くん!」

踵を返し、ムキになったみたいに、乱暴に床を踏み鳴らしながら歩く。

…嫌いだ。

やっぱり、彼女のことは嫌いだった。



榛名→ 191/500



【5月4週】


優しくされるのが嫌いで。

厳しくされるのも嫌いで。

憐れまれるのが嫌いで。

気を遣われないのも嫌いだった。

じゃあ、俺は一体どうして欲しいんだろうか。

提督「……我儘だよなぁ、我ながら」

五月雨「確かにご主人様は我儘ですよねー」

提督「………」

五月雨「な、なんで睨むんですかっ」



榛名     191/500
大和     127/500
朝潮     **4/500
ヲ級     *42/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ

俺まで腹痛くなってきた、ちょっとトイレ
毎度毎度遅筆でごめんなさい、最近考えてる事がうまく文章になりません



榛名「……今日も、行かないんですか?」

提督「………姉さん」

この前からまた、休みがちになって。

今週は、月曜日から水曜日まで行っていない。

そして今日も、俺は部屋に戻ろうとしていた。

提督「…放っておいて下さい」

榛名「……提督くん」

部屋に戻ろうとする俺の前に、姉さんが立ち塞がる。

彼女にしては、珍しい行動だった。

提督「……どいてください」

榛名「…提督くんはこの前、榛名とは違うと言いました」

提督「…それが、何か」

榛名「確かにそうなのかもしれません、榛名には、貴方の気持ちはわかりません」

榛名「考えても、考えても、貴方を理解することは出来ませんでした」

提督「…………」

牧師に懺悔をする罪人のように、姉さんが告げる。

悔しそうに、悲しそうに。

榛名「……榛名の事を、提督くんは疎ましいと思っているのかもしれません」

榛名「…いえ、きっと今も思っているのでしょう」

榛名「それでも、榛名にはわからないんです、一番良い方法なんて」

榛名「こうするしか、出来ないんです」

提督「…だったら、放っておいてくれれば」

榛名「出来ません」

提督「……どうして」

榛名「…………」

目を伏せて、また戻す。

そのまま、姉さんは真っ直ぐに俺を見た。

榛名「……どうしても、です」

妙に、重い視線だった。

思わず何処かへ視線をやってしまいたい程。

榛名「今日休んだら、きっと明日も行きにくくなるでしょう」

榛名「そしたら、ずるずるとそのまま提督くんはまた休み続けてしまいます」

榛名「…そういう風に、過ごしていて」

榛名「…提督くんは、後悔しませんか」

提督「…………」

遂にその圧力に押しつぶされるように、下を向いた。

フローリングの木目が、やけにくっきりと見えた。



榛名「…押し付けなのかもしれません、いらないお節介なのかもしれません」

榛名「……だけど」

榛名「…榛名は、提督くんの事を思って言っています」

榛名「……きっと、こういうことは口に出すべきでは無いのでしょうけれど」

榛名「……榛名は、貴方に後悔してほしくないんです」

提督「…………」

話は、そこまでのようだった。

姉さんは、優しい微笑を湛えて、俺を見ていた。



>>+2


A.無言で横を通り抜ける。

B.……準備、してきます。

C.………ごめんなさい。

ダメだ書けね
寝る

やる
久々だし単発規制はしませんので大丈夫です

B.……準備、してきます。(*1.5)



提督「……準備」

榛名「………」

提督「…学校の、準備、してきます」

榛名「……はいっ」

嬉しさを隠さずに、姉さんが頷く。

言うなれば、根競べに負けたのだ。

このまま姉さんの相手をするよりも、さっさとこうして承諾してしまった方が労力を使わない。

ただ、それだけのことだ。

榛名「がんばってくださいね」

提督「………」

視界の端に映る彼女の笑顔は、やたらと眩しくて。

俺はそれに、小さな会釈で返すことしかできなかった。



榛名→  299/500



【榛名―その1】



『……あの子のこと、お願いね』

今にして思えば、親としては最低の言葉だったのだと思う。

おばさん―彼のお母さんが最後に私に言った言葉。

それはつまり、ただの丸投げだった。そこに悔恨などなく、むしろあったのは首尾よく他人に押し付けられた安堵くらいだろう。

そうして出会った彼の印象は、ずいぶん昔と違っていた。

あまり話したことはなかったけれども、活発で、正月や盆などで会うたびに暴れまわっているような少年。そんな覚えがあったから。

だから、この家で最初に会った時、思わず言葉を失った。

『……………あの、誰でしょうか』

リビングの扉の影から突然に現れた彼は、幽鬼と言われても不自然でない程の様子で。

無意識に半歩後ずさって、それにまた彼の顔が翳った。失敗した、と思ったその時には、既に視界に彼の背が広がっていた。

おそらく、出会いとしては最悪の部類だった。

それからもう、1年は優に過ぎた。良い結果が出せたとは、とても言えない。

元々、色んなことが上手くいかずに仕事をやめた帰結がこの家だったという不満もあってか、最初は彼に憤ることもあった。これだけ自分が手を尽くしているのに、優しくしているのに、と。

けれどそのうち、段々と気づいていった。私の優しさは、彼にとって苦痛でしかないということに。

外に出ようと説得するのも、学校は楽しいと笑いかけるのも、私の行動の何もかもが。そして、同時に、彼は一度も私に怒ったりしなかったことにも思い当った。

気まずそうに眼を逸らすことも、黙って俯いてしまうこともあったが、私に対して怒りを向けることはなかった。

耐えきれないほど、辛く思ったことだってあったはずなのに。

例え彼の性格や社交性というものを差し引いたとしても、本当に優しかったのは、どちらなのだろうか。

それに気付いた時から、私の彼に対する優しさの押し付けは更に加速した。

彼にとっては苦痛なのだろうし、邪魔なのだろうし、耳を塞ぎたいのだろうけど。

でも、私は許せなかったから。あんなに優しい子が、あんなふうにしか生きられないことが。

きっと皆、彼を知ったら、優しい彼を受け入れてくれる筈だから。彼の居場所ができるはずだから。

だから、外に、学校に行って欲しい。それが、最初の一歩を踏み出す助けになってほしい。

「……大丈夫、貴方なら、大丈夫ですから」

優しさの押し付けに、彼がどう思っているのかはわからない。

だけど、私はこれが貴方にとって正しいと思うから。真っ当な道に進んでくれるように、真っ当な道を指し示してあげることが、正しいと。

「…だから、大丈夫」

掠れるように呟いたその言葉は、自分か、彼か、一体どちらに向けたものだったのかすら、わからなくて。

「大丈夫…」

直そうと思っている口癖だった。

いつまでも直らない口癖だった。



【6月1週】


怠惰というものは、どうやら罪らしい。

しかし、世の中はその罪に溢れている。

例えば科学の発展なんてものも、突き詰めれば怠惰を求むるが故、と言えなくもない。

人間が手間暇かけてしていたことは、どんどん簡略化され、怠惰が生まれていく。

提督「…ふむ」

朝潮「どうしました、義兄さん」

提督「俺の姿こそ、人間のあるべき姿なんじゃないだろうか」

朝潮「……………」

提督「冗談だから本気で困った顔をするのはやめてくれ」



榛名     299/500
大和     127/500
朝潮     **4/500
ヲ級     *42/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ



姉さんの言うことは、いつだって耳を塞ぎたくなるほど正しかった。

俺のために、きっと最も正しいのであろう道を示してくれた。そこに迷いはなく、常に明瞭だった。

――と、いうのに。

榛名「…………」

提督「…………」

舞台は駅前のなんか若者がいっぱいいる通り。

初夏らしい水色の薄手のチュニックワンピースに身を包んだ榛名姉さんは、俺の方をチラチラと窺いながら隣を歩いている。

フレア気味になっている裾が、進むたびふわふわとゆるやかに揺れていた。カジュアルながらも、可愛い恰好だった。

………じゃねえよ、違う。なんでこんなことになってしまったのだろうか。何を間違ったのだろうか。

『…榛名姉さんがデートでもしてくれたらやる気も出るんですけどねー』

発端は、ほんの数日前、学校に行く時にせめて文句の一つでもと呟いた言葉。

まさかあれがここまでのことになるなんて思ってもいなかった。

しかも、強引にそのデート計画を推し進めたくせに、今日の榛名姉さんは明瞭どころか挙動不審レベルで視点が彷徨っているし。

リードとかしてくれよ。どうすりゃいいんだよ。俺なんかジーパンにTシャツだから今すぐ謝ってこのオシャレ通りから逃げたいくらいなんだぞ。

榛名「て、てて、提督くん!」

提督「ほぁい!」

榛名「……………」

提督「……………」

なんのこっちゃ。何やってんだよ俺。いや、もともとコミュ障ですけども。

榛名「…な、なんでも…ないです、…はい…」

提督「……で、ですよねぇ…」

お互いがお互いと逆の方向を向く。

なんというベストカップルだろうか、おそらく通りすがる人間の9割は俺と榛名姉さんの容姿の差も加味して俺たちを他人だと思うことだろう。

ああ、一体全体、なにがあって姉さんは俺なんかとデートに…いや、デートと言っていいかわからないお出かけに来たのだろうか。

そして俺もなにを思ってついてきてしまったのだろうか、あ、Tシャツほつれてる帰りたい。

…………。

………。

……。


>>+2


A.…どうしたんですか、今日は。

B.……帰りません?

C.……か、可愛い、ですね、姉さん。

C.……か、可愛い、ですね、姉さん。(*1.0)


提督「……か」

榛名「…?」

提督「か、かわ……かわっ!」

榛名「川……?」

デートというものを画面の中でしか体験したことがない俺は、しかしその画面の中という貴重な体験を参考にして。

とりあえず定番っぽく、可愛いですねって言おうとしたが、どうしても言葉にならない、それも俺がコミュ障過ぎるのが原因だった。

提督「……河合塾が見えますね…」

榛名「…え、ええ…受験のことでも考えていましたか?」

提督「…はい…だいたいそんな感じです…」

こうして、俺は必死に予備校の名前を呟く不審者となってしまった。

榛名「……そうだ、…お昼、あそこでいいですか?」

提督「…か、格式の高そうなお店ですね…」

榛名「…あ、あはは…ただのイタリアンですよ…」

この後色々と歩いて回ったりして…まあ、それは普通に楽しかったような、気がする。

姉さんの真意はともかくとしても、うん。



榛名→   393/500



【榛名―その2】


近づけば何かが見えると思った。

その推論自体は特に間違っていないのだろうけれど、まさかそもそも近づけないとは想定外だった。

「…提督くん、かぁ」

思えば、ずっと彼のことを考えている気がする。

男の人と一緒に出掛けたのも、大学生の時以来かもしれない。

「……髪、整えて…ちゃんと顔洗って、お肌のケアとか…髭とか…」

頭に思い浮かんだ彼の顔を、好きにお手入れしていく。

そうして出来上がったのは、存外にかっこいい顔だった。

「………って、違いますっ!」

ぶんぶんと、脳裏の光景を振り払う。

ため息を吐いて、腕で視界を覆った。

「…………はぁ」

もし、彼が立ち直ったら。自分の役目はそれで終わってしまうのだろうか。

この生活も、必要のないことになってしまうのだろうか。

それは嬉しいことであるはずなのに、どこか寂しい―なんて。

そんなことをふと思って、やっぱり頭を振った。



【6月2週】



ヲ級「……………おい」

提督「は、はいっ」

突然に声を掛けられて寝たふりの態勢を解く。

その声の主が意外で、見上げたまましばらくぼーっとしていると、頭にこつんと軽い衝撃。遅れて、机に軽い音。

提督「……飴?」

ヲ級「…ん」

それは、彼女の手から投げられたと思われる何の変哲もない飴だった。

俺が拾い上げて手に持つと、小さくうなずいて。

ヲ級「この前のお礼」

とだけ言い、背中を見せた。

提督「……………」

案外いい人なのかもしれない。



榛名     394/500
大和     127/500
朝潮     **4/500
ヲ級     *42/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ



そもそもが大和という人間は、俺と住む世界が違うのだ。

容姿端麗、文武両道、温厚篤実。

人間としての良い部分を詰め込んだような生命体だったが、俺はそんな超人と、隣の家に住んでいるというよしみで昔それなりに仲が良かった。

けれど、俺はいつからか彼女を遠ざけるようになってしまった。それは、彼女に対して嫉妬していたからなのかもしれない。

そうして俺たちの間に生まれた不和は、ある事態によって決定的に広がった。

それというのも、いじめられて不登校なうになった俺の元に、毎日訪ねてきてくれた彼女が原因で。

つまり端的に言ってしまえば、それ以来俺は大和が大嫌いになってしまったのである。

大和「提督くん!」

…というのに。

俺の気持ちは微塵も彼女に伝わっていない。

彼女は道の向こうで俺を見つけるなり、ぶんぶんと嬉しそうに手を振った。

提督「……………」

非常に無視したい気持ちに駆られたけれども、一応は衆人環視という状況。

物凄く小さく手を挙げて、それを振って返す。

大和「…………!」

すると手が加速した。なんかよくわかんねーけどすごい仕組みっすね。

思えば、呑気にそんなことを考えずにさっさと立ち去るべきだったのだろう。

気付けば、タイミングを見計らって横断歩道もない道を彼女は渡ってきていたらしく、俺の目の前に立っていた。

大和「一緒に帰りましょうよ!」

提督「あ、…え、……い、いや…えと」

大和「隣じゃないですか、ね?」

そう言って首をかしげる彼女の仕草は、同意を求めるというよりも確認に見えた。

多分、俺が断るなんて微塵も考えてないのではなかろうか。

…まあ、普通は大和の頼みを断る男子なんてもんは存在しないだろうしな。



>>+2


A.断る。

B.頷く。

C.……やめてくれ。

寝る
半端でごめんね

グリエル「ニッポンコレナイ説明してね」
(*^◯^*)「チョトマテチョトマテオニーサーン(切実)」)

B.頷く。(*1.5)



提督「………」

黙って、俺は頷いた。

情けないことに、はいという言葉すら一緒に出てこなかったが。

大和「良かったぁ!」

殊更楽しそうにそう言って、隣に並ぶ大和。

彼女の表情には、悪意など微塵も感じられなかった。

大和「こうして通学路を二人で歩くのなんて、いつぶりでしょうか――」

悪意は無いのだ、彼女には。

彼女はただ、笑っているだけなのだ。

まるで世に蔓延る悪意とは無縁であるかのように、綺麗な表情を浮かべているだけなのだ。

『あのさぁ、お前、大和さんとどういう関係なの?』

だから―その行動が、どんな結果をもたらすかなんて、知る由もないのは当然で。

大和「それでですね――」

提督「………」

悪気はないけれど、いや、悪気がないからこそ、大嫌いなんだ。

彼女のことも、そういう風にしか考えられない自分のことも。

ほら、今だって。

大和「――と、そんな感じで――」

彼女の話を聞きなんかしないで、俺はひたすらに周りを気にしているだけ。

断ればよかった。

そんな後悔が、意味を成すはずもなく。

二人での通学路は、一人の時よりずっと苦しかった。





大和→  209/500



【大和―その1】



『ごめんなさいね、大和ちゃん、いつも』

『いえ、大和は別に…』

『あの子も、さっさと出てくればいいのにねぇ』

『…そう、ですね』

『だいたい、昔っから根性なしで、何でもなぁなぁで済ませようとするような性格なのが悪いのよ、まったく』

『ちょーっと学校で嫌なことがあったくらいで、やれ行きたくないだのもうやめるだの…ほんと、ご近所さんに顔向けできないったらもう…』

『まぁまぁ、おばさま、大丈夫ですよ、大和が連れ出してみせます!』

『頼もしいわぁ、ほんと、うちの子が大和ちゃんみたいな――』

少女に少年のことを理解しろ、と言うのはつまり。

人間が昆虫の気持ちを理解して生活しろ、と言うのに等しい。

それくらい、彼らの生きる世界は違った。

だから、少女は理解できない。

彼の苛められるようになった切欠であるとか、彼が扉の向こうで会話を聞いてさらに居心地悪く身を縮こまらせていたことであるとか。

全て、少女によって引き起こされたものであることを。



【6月4週】


提督「…………」

ゲームには、好感度、という数値がある。

その名の通り、主人公に対する好感を数値化して表したもの。

これが、現実にあればいいと思った。

嫌われているか好かれているか、わからないままに会話をするのは苦痛なのだ。

朝潮「…どうしましたか、義兄さん、難しい顔をして」

提督「なあ、朝潮」

朝潮「はい?」

提督「お前の好感度って、いくつ?」

朝潮「500ですよ」

提督「…なぜ500」

朝潮「パッと思い浮かんだので…まあ、多い方がいいじゃないですか」

提督「そんなもんかねぇ」



榛名     394/500
大和     209/500
朝潮     **4/500
ヲ級     *42/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ

今日はこんだけ



提督「………はぁ」

気分は最悪だった。

目の前に映るものがすべて暗く見える。

それというのも――

提督「…………」

手に持った紙を睨む。

何の事はない、ただの期末試験の成績表だ。

いつもよりずっと悪い成績が印字された紙。

油断、というか。慢心、というか。

学校に行っていない間はそれなりに勉強を続けていたのだが、こうして微妙に通い始め、授業をところどころ聞くようになってから、その習慣を怠っていた。

というのも、授業を受けてみてわかったのは、俺より勉強が出来ない奴らがたくさんいるということで。

それに気を緩めてしまったのだろう、確実に。

中間も多少下がってはいたが、これは流石に下がり過ぎだろう。といえる成績。

…この紙を、榛名さんに渡さなければならない。

いつもテストが終わればそうしていたし、そうしないのは不自然だ。

それに、どうせ後で郵送で同じ物が家に届く。今誤魔化す意味なんて、ありはしない。



提督「………渡して…」

俺は、怒られるのだろうか。

…当たり前だろうな。成績すらも、最低限それなりに保つことが出来なかったのだから。

『何よ、この成績は――』

『また下ってるじゃない、そろそろ受験に向けて――』

『隣の大和ちゃんなんて――』

口の中が、やけに乾いていた。

母の言葉が、頭の中で何度も蘇る。

『勉強すら出来ないのなら、何が――』

『どうせ、努力が足りないのよ――』

動悸が激しくなる。

ふとした拍子に紙を握りつぶしてしまいそうなほど、手へ不器用に力が籠もる。

それを何とか抑えようとしていた、その時。

榛名「提督くん?」

ひょこ、っと。

肩口から、俺を覗くようにして榛名さんが顔を出した。

提督「え、あ、……う」

榛名「どうしたんですか?リビングの前でぼーっとして」

手には、買い物袋。

どうやら、彼女が玄関を潜った音すらも俺の耳には届いていなかったらしい。

提督「あ…と、その…」

榛名「……あら、それは…」

咄嗟に後ろ手へ持ち替えようとした成績表を、榛名さんの瞳が捉えた。

そして彼女は、何故か笑いを浮かべる。

榛名「今回は、自分で持ってきてくれたんですね!」

提督「…え、と……」

榛名「いつも郵便受けに入っている物を見てるだけでしたからねー、ふふっ」

軽い手付きで、彼女はその紙を俺の手から拾い上げて。

榛名「さ、そんな所で立ってないで、リビングへどうぞ、お茶、淹れますから」

提督「………はい」

普段に比べて格段に上機嫌な彼女に、そう促され。

俺は、それを断ることなんて出来なかった。



榛名「…美味しくありませんでしたか?」

提督「…いえ…」

榛名「……なら、いいんですけど…」

浮かない顔でカップを傾ける俺へ、榛名さんは不安そうな様子で何度も視線を向けてくる。

紅茶はきっと美味しいのだろうけど、味はわからなかった。

榛名「さて!それじゃあ、見させて頂きますね、提督くん!」

提督「…は、はい…あの、でも…」

姉さんが紙を開いて、ふむ、と難しい顔をする。

思わず、目を伏せた。

対面から、うーんとか、ああとか、そんな言葉だけが聞こえる。

榛名「……提督くん」

提督「………はい」

そして、一通り目を通したらしい彼女が紙から顔を上げた。

そちらへ目線すら向けられずに、俯く。

けれど。

榛名「数学、頑張ったんですね」

提督「……へ?」

予想すらしていなかったその言葉に。

ガチガチになっていた身体から、思わず力が抜けていった。



榛名「この前より、上がってますよ」

提督「……え、…その、でも」

俺の言いたいことをあらかた察してはいるのだろう。

姉さんは、表情を苦笑いに変えた。

榛名「まあ…確かに、全体で見ると…大分下がっちゃいましたけど、ね」

榛名「ほら、前のテストより平均も下がってますし、きっと難しかったんですよね、今回は」

提督「………えっと」

榛名「そんな顔、しないでも大丈夫です、提督くん、だって――」

姉さんが、俺を安心させるように、顔を和らげた。

榛名「榛名は、提督くんが頑張ってるの、知ってますから」

提督「――あ」

榛名「調子が悪い時は、誰にだってあります」

榛名「勿論、今回みたいなのが何度も続いたら、榛名だって怒りますけどね」

榛名「でも…って、て、提督くん!?」

ふと、涙が零れて。

それを、どうしても止められなくなった。

提督「…い、いや、なんでも、なんでも、なくて」

榛名「何でも無いようには見えませんよ!だ、大丈夫ですか!?」

提督「ほ、ほんとに、だいじょぶ、ですから」

俺は――――


>>+1-3


A.泣き続ける。

B.誤魔化す。

C.逃げ出す。

寝る
ごめんなさい

A.泣き続ける。(*1.5 401)


提督「………ぅ、ひっ」

榛名「…え、えーと…提督くん…?」

おろおろ。

まさにその擬音が相応しい程に、榛名姉さんは混乱していた。

俺はそんな彼女を尻目に、早く泣き止まなければならないと思いながらも、涙が止まらず。

その上なんか鼻水まで出てくるという始末。

榛名「あのー…その、あの」

提督「…俺は」

榛名「え?」

提督「……俺は、俺なのに…大和じゃなくて、俺なのに」

叱ってくれても構わない。罵ってくれても構わない。

だけど、なんでいつも、あいつが出てくるんだ。

親も、担任も、誰だって。俺と彼女を比べたがる。

努力も怠慢も、俺自身のものなのに。

それは、心に渦巻いていて、誰にも伝えられなかったこと。

泣きながら、ぐちゃぐちゃの言葉でその気持ちを垂れ流した。

榛名「……提督くん」

一通り聞き終わると、姉さんは俺の頭を包むように腕を伸ばした。

榛名「…大丈夫、ですよ」

大嫌いな口癖だったはずなのに、その言葉を聞いた俺は不思議なくらいに落ち着いて。

そろそろと目を開けば、未だに靄がかった視界から姉さんの笑顔が見えて、心臓が跳ねた。

その日、俺は、ほんの少しだけ前に進めたような気がした。

きっと、他人から見れば動いたことすらわからないような一歩だろうけれど。

俺にとって、とても大きな一歩を。




榛名→  431/500



【榛名―その3】



「…やっと、言葉にしてくれた」

彼が、心の中で抱えている物。

その中の一つだけではあるけど、やっと、引き出すことができた。

それが、彼が自分を信頼してくれている証のようで、なんだかとても嬉しくて。

「って、ダメダメ、まだこれで終わりじゃないのに」

いつか、彼が普通に生活を送るようになれるまでが私の仕事。

そう気合を入れなおして――はた、と思い当たる。

終わりとはつまり、もう彼の側にいなくていいことだ、と。

なぜだかそのことに多少の寂しさを感じて、ぶんぶんと首を振った。

いけないいけない。流石にそれは―うん、いけない。


【7月1週】



榛名姉さんに、彼氏がいた事はあるのだろうか。

…あるだろうな、絶対。ないはずがない。

というか、もしかして今現在もいるんじゃないか?

いても全然おかしくないな。むしろ自然だ。

『つーかマジ今面倒見てる子がキモくてー』とか話してるんじゃないか?

ああ、あり得る。あり得る話だ。

いや待て俺。なんで榛名姉さんを疑ってるんだよ。あの人がそんなこと言うはずないだろう。

…言うはずはないけど…彼氏はいるかもしれない……。

ああ聞きたい。物凄い聞きたい。

提督「ね、姉さん」

榛名「…?おかわりですか?」

提督「あ、は、はいっ」

榛名「ふふ、朝から一杯食べるんですね」

提督「…………」

……げっぷ。

…頼むから授業中に腹痛とかならないでくれよ。








榛名     441/500
大和     209/500
朝潮     **4/500
ヲ級     *42/500
五月雨   142/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ

なんというか色々ありました、ごめんなさい
他の2つも近いうちに更新します
続きはまた明日の深夜になります
今週末くらいから前のペースに戻せると思う、タブンネ



自分という存在を見て下さいとか、肯定して下さいとか。

そんな言葉は口に出せば酷く惨めな物になると思う。

まあ、普通はそういったものは自然と手に入る物なのだから当然といえば当然である。

それは例えば、親しかり、兄弟しかり、友人しかり――

だから、どちらかと言えば手に入れられなかった俺が異常で。

なればこそ、初めて手に入れた自分を見てくれる人間―榛名姉さんに対して、恋慕に近しいような感情を覚えた事も必然ではなかろうか。

提督「どう思う、五月雨ちゃん!?」

五月雨「…………あ、あははー」

そんな俺の告白を聞き、妄想産物の二次元美少女は、そこらの人間より余程人間らしく、曖昧に曖昧を重ねたような笑みを浮かべて応えた。

五月雨「……よ、よかったですね?」

提督「…ま、そうなるよねぇ」

自分の感情を表すことは簡単だが、言葉に乗せてそれを誰かに伝えようとすると、途端に難しくなる。

わかっていたことではあったが――それでも、この感覚はきっと俺にしかわからないということに、肩を落とした。

五月雨「い、いえ…も、勿論、馬鹿にしているとか、そういうわけじゃあないんですけど…」

提督「わかってるって、ごめんね、俺も口下手だから」

五月雨「…申し訳ありません、ご主人様」

提督「…気にしないで、五月雨ちゃん」

宙に浮かんだ虚像が、居心地悪そうに身体を揺らすのを見て、大丈夫だと手を振って見せる。

彼女はそんな俺に、これ以上その話題を続けるのを嫌がったらしく、露骨に高い声を出して話題を逸らした。

五月雨「そ、そうだ!」

提督「うおっ!?」

五月雨「あ、え、えーと…ご主人様は、その方の事が好きになったんですよね?」

提督「…榛名姉さんのこと?」

五月雨「は、はいっ」

…………。

…そういう逸し方をするのかい。

……まあ――


直下


A.…きっと、そうなんだろうね。

B.…か、家族愛っていうか、親愛っていうか、そんな感じだけどね!

C.……どうせ釣り合わないし、ちょっと、憧れただけだよ。

C.……どうせ釣り合わないし、ちょっと、憧れただけだよ。(*1.0)


提督「……どうせ釣り合わないし、ちょっと、憧れただけだよ」

五月雨「……ご主人様」

それも、わかっていることだったけれど。

言葉にすると、心がちくりと刺されるようで。

痛みを振り払うよう、無理矢理に笑みを形作った。

提督「ま、まあ、その、…榛名姉さんはほら、綺麗だし、えー、なんというか、ね」

五月雨「だ、大丈夫ですよ!ご主人様はほら…えー……とても、個性的で…」

提督「……慰める要素がないなら、無理に頑張らなくていいから」

五月雨「あぅぅー……ご、ごめんなさい…」

両手で頭を抱えてうずくまる。

いちいちもって人間らしいその仕草に、何度目かの疑問が頭の中に浮かんだ。

即ち、五月雨ちゃんとは一体どういう存在なのだろうか――と。




五月雨→  165/500



【7月2週】


『踊れない者に剣を与えるな』と孔子は言ったらしい。

正直意味不明の極みだが、よく考えてみると実は深い言葉なのではなかろうか。

剣と踊り――この2つの組み合わせが意味するものはつまり、剣舞。

剣を戦にしか使えないような人間に剣を与えても良い事はないが、剣舞が出来る人間に与えれば他人の娯楽にという――

『Abyss_Carrier_Wo:ああ、それ、ただの誤訳だぞ』

…………。

……俺の貴重な思考時間を返せ。



榛名     441/500
大和     209/500
朝潮     **4/500
ヲ級     *42/500
五月雨   165/500



>>+1-5のコンマに対応、一番高い娘とコミュ

また明日

自分でつまんねと思ってたらそうなるわな、間を空けたのが悪いのか
キャラ安価からやり直させて下さい

すまんな
やめるよ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月22日 (日) 18:42:54   ID: xO9eRHmr

こういうストーリー好き

2 :  SS好きの774さん   2015年03月15日 (日) 21:28:21   ID: PzUUHVFn

続きまだですか?このシリーズは大好きなのでまだ読みたいです

3 :  SS好きの774さん   2015年03月18日 (水) 20:21:13   ID: F0yy3Q3v

投げたんかね

4 :  SS好きの775さん   2015年04月21日 (火) 22:59:15   ID: i7vLBpI7

昔のIFルートとか見てみたいですね。

5 :  SS好きの774さん   2015年04月21日 (火) 23:02:25   ID: i7vLBpI7

1さんがんばれ!

6 :  SS好きの774さん   2015年05月09日 (土) 16:12:55   ID: 3sq1BlRL

7 :  SS好きの774さん   2015年05月24日 (日) 13:12:38   ID: 7hzaXeVJ

お疲れ様でした

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