【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★18【安価】 (1000)

・艦娘×提督の学園もの
・全然艦隊とか関係ありません
・エロ、グロといった描写があるかもしれません
・なんかドロっとしているかもしれません

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前スレ

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ヒロインまとめ(○はエンド艦娘、次回登場は不可、○付いてない子は出せます)


【1周目】

電(幼馴染)         
浜風(娘)          
あきつ(後輩)         
足柄(先輩)          
○青葉(同士)   



【2周目】

大和(管理人)       
○不知火(親友)      
飛鷹(教師)        
五十鈴(転校生)       
北上(同居人)       


【3周目】

雷(クラスメイト)       
球磨(スラッガー)      
間宮(バイト先の店長)   
○那珂(超人気アイドル) 
阿武隈(義妹)        


【4周目】

陽炎(幼馴染)        
川内(学生であり怪盗)  
卯月(妹分)         
榛名(後輩)         
○暁(妹)           


【5周目】


初春(宇宙人)
叢雲(↑のライバル)
長門(ながもん)
響(帰国子女)
山城(元カノ)

BAD。


【6周目】


千代田(義妹)
吹雪(親友)
赤城(大食いチャンピオン)
由良(後輩)
古鷹(フライフェイスとオッドアイの演劇の天才)

BAD。


【7周目】


比叡(記憶喪失・幼馴染)
○漣(家政婦)
明石(近所のお姉さん)
大井(クラスメイト)
レ級(クラスメイト)

【8周目】

○明石(義姉)
鈴谷(同居人)
文月(姉)
熊野(財閥令嬢・崩壊寸前)
白露(クラスメイト・電波)


【9周目】

○潮(従妹)
村雨(幼馴染)
鳳翔(先生)
朧(後輩)
武蔵(応援団長)


【10周目】

深雪(親友)
曙(従妹)
大鯨(母)
翔鶴(弟の彼女)
瑞鶴(弟の彼女)

BAD。


【11周目】

伊58(未亡人)
隼鷹(お嬢な同級生)
○初風(面白い同級生)
蒼龍(担任)
ビスマルク(留学生なお姫さま)


【12周目】

阿賀野(いつもニコニコガチサイコストーカー)
○瑞鳳(いじめられっこ)
龍驤(陰陽師)
睦月(おなちゅー)
翔鶴(従妹で居候な部活の後輩)


【13周目】

舞風(殺し屋)
○羽黒(許嫁)
雷(幼馴染)
霧島(生徒会員)
荒潮(未来からやってきた娘)


【14周目】

飛龍(家庭教師)    
磯風(幼馴染)    
卯月(お隣さん)    
大鳳(新人体育教師)    
○浜風(昼はクラスメイト/夜は…) 


【15周目】

霞(鬼教官)
雪風(幼馴染)
○島風(従姉妹)
弥生(クラスメイト)
加賀(部活の先輩)

【16周目】

摩耶(年上の同級生)
満潮(弟離れ出来ないダダ甘姉さん)
曙(脳天気でだらしない優しい妹)
○鬼怒(脳筋中学生)
山城(やたら尽くす幼馴染)

【17周目】


黒潮(ほんわかさん)
敷波(恩人)
大鯨(提督に片思いしている先輩)
衣笠(相棒)
○吹雪(凡人)


【18周目】


阿武隈(幼馴染)
伊58(幼馴染)
磯波(幼馴染)
摩耶(幼馴染)
○野分(親友)


【19周目】


大和(学園王)
陽炎(転校生)
金剛(帰国子女)
天津風(幼馴染)
雲龍(義姉)


いまここ。

そろそろ使いまわしネタになるから埋めネタやめた方がよかろうか
どうなのさ日向
開始22時くらい、チカレタ…

てーい

>>+4


A.夜戦仮面、というお話。


夜に舞う華、夜戦仮面――
彼女の目的は刀。
それは、遙か昔に彼女の先祖が将軍家に任せられ失敗した任務であった。
刀集めの失敗は、彼女の家が闇の一族から除かれるに十分な理由。
それから数百年を経て再び、彼女はその汚名を濯ぐと決めた。
再び大好きな夜に堂々と舞う為に―あと暇潰しに。
だが、その途中立ち塞がる同じく刀を狙う敵。
「おっそーい!」
「ま、負けませんからっ!」
ユキカゼ、シマカゼと名乗った謎の女忍者。
彼女らに対して優勢に戦いを進める川内であったが、そこに新たな敵、アマツカゼが!
流石に3対1では分が悪く押され始める川内。
見てるだけしか出来ない自分に歯噛みする提督に、握った刀から声がする。
それは川内の先祖、神通と名乗る忍者であった。
『お力を―お貸ししましょう』
『ただし、覚悟を決めなさい』
「え、あの、いきなり何ですか」
返事も待たずに流し込まれる力。事後承諾かよ。
結構理不尽に巻き込まれた提督の戦いが始まる――!
ギャグです。



B.ぽんこつ加賀さん再び、というお話。


「とりあえずジャージはやめましょう、加賀さん」
「違うの」
「何が違うんですか、何も説得力が無いですよ」
「その、話しくらい聞いてくれませんか」
「…はぁ、聞くだけなら」
「ジャージで…その、色んな所に出歩くのは恥ずかしいでしょう?」
「…そうですね、流石にそのくらいはしっかり認識しているようで安心しました」
「だから…つまり、服を買いに行くための服がないの」
「……………」
「……あの?」
「………彼氏くんに捨てられないように頑張ってくださいね」
「……ちょっと…あの、え…ちょっと!?」

加賀さんは告白を冷たく返している訳じゃなくて、ただ単にテンパッて何言えばいいかわからなくなってるだけだから。

                            ―友達 談


C.元通り、というお話。


『…大丈夫です』
『だって、私は…私は、本当の比叡じゃないですから』
『…わかって、ますから』
『……そ、そんな顔しないでください!綺麗な提督くんの顔が台無しですよっ!』
『って、お、怒るところですよここー!僕は男だー!って……っく、ひっ』
『…っ、ぁ…れ…おかしい、なぁ…大丈夫、なのに』
『……涙が、止まらなくて…違うんです、何でも、なんでもない…です』
『私……っ…ぁ……っく』
日常は、元通りになった。
比叡の記憶は戻って。
…だけども僕はまだ女子校に通ったままだ。
それは…過去に縋りたいからだろうか。
…少なくとも趣味ではないと断言したい。
「………比叡」
「ん?あ、はーい、提督…っぷ、くふっ…あははっ!よ、呼びましたか提督あははははっ!」
「…なんでもないわ」
「ご、ごめんなさいってば、悪気は…っふ、悪気は、無い…、無くて…ぅぷっ…慣れない、慣れないなぁその格好…」
「比叡様、気持ちはよーくわかりますです」
比叡だ。
此処に居る子こそ、僕の幼馴染の比叡だ。
だったら―彼女は一体誰なのだろうか。
ただ一年間だけ、僕の前に現れて消えた彼女。
今でも、君を思い出す。

やっぱり加賀さんは選ばれないじゃないか
始める



陽炎「……提督さ」

提督「ん」

陽炎「今日から掃除機って名乗っていいわよ」

提督「…何だその喜んで良いのか微妙に判断しづらい呼び名」

陽炎「だってー…凄い性能だし」

陽炎の部屋。

何度も通い詰め、そこは見違える程綺麗になっていた。

床に埃一つ無い。

劇的ビフォーアフターってやつである。匠は俺。

提督「…まあ掃除機でもルンバでも何でも構わんがよ」

提督「お前、流石にもうちょい綺麗にしとけ」

陽炎「なーによ、今時女の子は綺麗にしなきゃダメだーって言う時代錯誤な人?」

提督「ちげーよ、ただの一般的アドバイス」

提督「お前も嫌だろ、汚い部屋に棲むの」

陽炎「んー…なんかちょっと汚い方が落ち着く…あはは」

提督「お前なぁ…」

…凄くほっとけない奴である、ほんとに。

一ヶ月であれなら本当に一年後にはゴミ屋敷になってそうだ。

だいたい、あの状態で人をいれるってのがそもそも考え方として――

陽炎「あのさ」

提督「ん?」

陽炎「金剛が提督に懐く理由、わかった気がするわ」

提督「なんだ突然」

陽炎「面倒見、良いよわよね」

といいつつ、掃除し終わった床にごろんと転がった。

陽炎「おー♪よきかなよきかなー」

提督「……この野郎」

陽炎「で、物は一つ相談なんだけどね」

提督「…おう」

なんだろう、猛烈に悪い予感がする。

面倒な事になりそうな予感しかしない。

陽炎「これからも面倒見てちょーだい♪」

果たしてその予感は的中して。

これまでに見せたことの無いような笑顔で、陽炎は言い放ったのであった。


>>+4


A.……やだよ。

B.…仕方ないなぁ。

C.……対価。

B.…仕方ないなぁ。(*1.5)


……このまま放っておいたら。

『あー掃除めんどくさーい…洗濯物ぽいっ』

『動きたくないー…ごみ袋ぽいっ』

見える。

ゴミに塗れて生きる陽炎の姿が見える。

いかん。それはいかん。

提督「……仕方ないな」

陽炎「…え、ほんと?…あはは、言ってみるものねー」

提督「だが、条件がある」

陽炎「…条件?……え、エロい事はダメよ!?」

提督「落ち着けバカ」

非常に話しにくい奴だ。

どうしてそうなる。

はぁ、と溜息を吐いて続ける。

提督「次は手伝いなさい」

陽炎「…手伝う…って、掃除?」

提督「そう」

陽炎「…うえー…」

提督「嫌そうな顔をするな、いいか、俺はお前の為を思ってだな――」

陽炎「わ、わかった!わかったわよ!長くなりそうだからその辺でわかったわ!」

提督「いーや、ちゃんと最後まで聞け、だいたいお前は――」

陽炎「…………うー…なーんでこんなことに…」

くどくどくどくどくどくど。

言いたいことは言った。

スッキリした。



陽炎→  204/500



【陽炎―その1】


やー。

案外あれね、一人暮らしって辛いわね。

今まで色々やってなかったこと、全部やらなきゃいけないから。

出来る出来るーって啖呵切って出てきたのは良いけど、まさかこんなになるとはなぁ。

そしてさらにあんな事になるなんてなぁ。

……しっかし。

あんたは私のお母さんか、っての。

まあ、うざったいこともあるけど不思議と居心地は悪くなくて。

うーん、お礼くらいした方がいいのかしら。

「………ぱんつ」

…いや、これは違うわね。

洗濯しましょう。



【6月3週】


雲龍「あいたたたたた…」

提督「義姉さん、大丈夫?」

雲龍「…うーん…頭痛いわ…」

提督「…もう、飲み過ぎるからだよ」

雲龍「……お水頂戴、提督」

提督「はいはい、薬も持ってくるから待ってて」

雲龍「…ありがと」

提督(………)

提督(…やっぱ、この人のせいだよなぁ…)

提督(…だが一方で、世話を焼くのが嫌いじゃない自分がいる…)

提督(うーむ、葛藤)



大和    **0/500
金剛    121/500
陽炎    204/500
天津風   *97/500
雲龍    *66/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



提督「お礼すか」

陽炎「うん、お礼!」

提督「……随分簡単そうな料理だが」

陽炎「細かい事はいーの!女の子の手作りってのが大事でしょ?」

提督「はは、自分で言っちゃあ世話ねぇな」

目の前に並べられたのは、カセットコンロとその上にどんと乗った鍋。

中身はキムチ鍋。

今何月だと思ってんだ。

陽炎「…へへー、キムチ鍋の素が安かったの」

提督「…さいでっか」

ああもうこの子は。

人に出すものを安かったとか言っちゃいけないでしょ。

…だが落ち着け俺、折角陽炎が作ってくれたんだしここは我慢の一手だ。

微妙な空気にはしたくないからとりあえず喜んであげよう。

……本気でお母さんか何かかよ。

提督「…美味そうだな」

陽炎「ふふ、でしょでしょ!?」

提督「んじゃ、頂くと――」

陽炎「……………じー」

提督「……何でそんなに見てるんだこっち」

陽炎「え!?い、いや、他意は無いのよ!?本当よ!?」

提督「…へいへい」

と言いつつも、俺から視線を外すことはしない。

…ふむ、多分こいつ、人に料理とか出すの初めてだろうしなぁ。

提督「…んぐ」

………味は…普通に美味しい。

キムチ鍋の素を使ってキムチ鍋を作ったらこうなる感じ。

陽炎「……………」

陽炎の目が更に俺へと深く突き刺さる。

さて――――


>>+4


A.よー頑張った、美味いぞ。

B.…美味しいから、だからあんまこっち見んな。

C.普通だな!

A.よー頑張った、美味いぞ。(*1.5)


提督「……よー頑張ったな」

陽炎「……」

提督「…美味いぞ」

陽炎「やたっ♪」

机の下で小さくガッツポーズ。

やだこの子ったら全身で嬉しさを表現してる。

提督「ほら、自分でも食えよ」

陽炎「ん、いただきまーす……うわ、おいしい…私才能あるかも」

提督「…調子のんなっつーの」

陽炎「いやー、やっぱりご飯は誰かと食べないと美味しくないわね」

提督「…そうだな、それに関しては同意だ」

陽炎「………あのさ」

提督「ん」

陽炎「…また作ったら、食べてくれる?」

提督「勿論、待ってるぞ」

陽炎「……ふふっ、じゃあ私からもお願いね、ルンバ」

提督「誰がルンバじゃ!?」

汚い部屋が繋げた縁。

…なんか嫌だなぁ、それ。



陽炎→  399/500



【陽炎―その2】


なんとなく。

提督が来るのを楽しみにしたりしてる自分がいたりして。

なんでだろうって思ったけどわからなくて。

うーん、って思って。

まあいいか、って思って。

やっぱり気になって。

提督が来たら、全部どうでも良くなって。

帰ったら、また悩む。

……うーん?

わかんないなぁ。

…でもま。

この学校は、前の学校よりも楽しいな。

それは…何でだろ?

今日はここまで



【6月4週】


「副会長、ちょっと良いですか?」

提督「ん、何だよ写真部」

「いや、副会長たるもの、やはり会長と一緒にいる時間は増えるわけでしょう?」

提督「まあ、そうなるな」

「それなら話が早いです!」サッ

提督「…カメラ?」

「この私!写真部としての矜持を捨て!提督に縋りたいと思いますっ!」

提督「……あのなぁ写真部、そんな頼み聞けるわけ――」

「…会長の何気ない日常の一瞬、ふとカメラで残したいと思ったことはありませんか?」

提督「…何が言いたい」

「大丈夫です、生徒会の活動記録だとでも言っておけばいいんです」

「本来なら写真部で販売できないような写真でも…ふふ、提督の懐に入るかもしれませんよ?」

提督「…………馬鹿馬鹿しい」

「あー!私のカメラー!」

提督「…これは没収だ、写真部」

「…………(ま、それ予備ですけどね)」

提督「………で、どこにこのカメラ持っていけば良い?」

「………(ちょろいっ!)」ニター




大和    **0/500
金剛    121/500
陽炎    399/500
天津風   *97/500
雲龍    *66/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



輝きとは、近付き過ぎるとその綻びに気付くもの。

星はただのでこぼこの石だし、人の嫌な部分は見えてくる。

それはきっと世界の常識で。

だけどこの大和さんにはそんな物は通用しなかったのだ。

大和「……と、いうわけで…提督くん?」

提督「はい!過去の予算に関する書類をリストアップしておきます!」

大和「ありがとうございます、お願いしますね」

提督「いえそんな…ありがとうだなんて…ふひっ」

大和「…………あはは…」

感謝なんて勿体無い。

もう大和さんの言葉なら罵声でも感謝に匹敵し得るくらいのレベルなのに。

でも嬉しい。

大和「…………あの、提督くん」

提督「はいなんでしょうか!」

そんな考えを遮ったのは、控え目な大和さんの言葉。

そういうのもいいですね、いい雰囲気だ。

大和「…もう少し…その、それ、なんとかなりませんか?」

提督「それ…ですか?」

大和「…は、はい…その話し方、というか…距離感、というか…」

提督「……な、何か気に入りませんでしたか!?」

大和「…えと……あまりそう畏まらないで欲しいのですけれど、という意味です」

提督「しかし…」

なんかもうこういう態度を取る事がプログラミングされているかのようなレベルで染み付いている。

これを変えることは容易ではないと思う。

それに、これは大和さんみたいな人に当然払うべき敬意であるとも思う。

大和「…私は…あまり、そういった態度を取られるのは…好きではありません」

大和「……こうして一緒に仕事をしている以上、あまり肩肘を張ってやっていくのはどうかと思いませんか?」

提督「……ですが…」

…何と言ったものか。

そういう事を望んでくれるのは個人的には嬉しいのだけど…ふーむ。


>>+2


A.ずっと、憧れてましたから。

B.…無理です。

C.そんな畏れ多い…。

A.ずっと、憧れてましたから。(*1.5)


提督「…ずっと、憧れてましたから」

大和「え?」

提督「大和さんに、この学園の王に」

俺の言葉を聞いて、大和さんは微かに渋い顔をした。

その理由はわからなかったけれど、話し始めた事を急に突然止めるわけにもいかない。

提督「…貴女の側で働くために、勉強をしました」

提督「すいません、何か即物的な理由で」

提督「でも…それだけ、貴女という存在に俺は憧れてて」

提督「だから……多分、変えようと思っても、すぐには」

大和「………そうですか」

今度は微かになんかじゃないくらいの、苦い顔。

しかしそれをすぐに引っ込めて、大和さんは笑顔を作る。

大和「…ありがとうございます、嬉しいですよ」

提督「……いえ」

提督「…それでは、書類を探してきます」

大和「はい、お願いしますね」

―嬉しいですよ、か。

とても、そうは見えなかったが。

それでも、詮索する気にはなれなかった。



大和→  *40/500



【7月1週】


提督「おい、アイドル部」ガラッ

「わぁっ!?い、いきなり入ってこないでよ!」

提督「んなこたどうでも良い、出頭要請だ」

「へ?な、那珂ちゃん何か悪い事した?」

提督「予算希望額が多すぎる、アイドル部はお前一人だろうが」

「ち、違うんだってばー!今度の文化祭のステージのためにはどうしてもそのくらい…」

提督「文化祭の予算申請はどの部も必死なんだ、お前だけじゃない」

「…でもー…」

提督「だから出頭してくれ、なるべくそっちの希望も聞きながら出来る範囲で収めたい」

「……え、希望、聞いてくれるの?」

提督「…勿論、無下に断るような真似はしない」

「…わー…優しいね、生徒会!」

提督「…そういう方針だってだけだよ」

「ねぇねぇ!那珂ちゃんのファン一号になってみない!?」

提督「……今まで出来てなかったのか?」

「…那珂ちゃん一年生だし、これから増えるもん」

「あ!えっと…提督…さん?どうかな!マネージャーとしてアイドル部に!」

提督「…はぁ、今度のステージが良かったら入ってやるよ」

「ほんと!?」




大和    *40/500
金剛    121/500
陽炎    399/500
天津風   *97/500
雲龍    *66/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ




提督「ごちそうさまでした、美味かったぞ」

陽炎「ん、お粗末様でした」

食卓には、すっかり空になった皿。

何度目かの陽炎の手ずからの夕食をご馳走になっていたところだった。

ちなみにあの皿を洗うのは俺。

そして台所を掃除するのも俺。

確かに料理の腕は上がってきたが、今度からは片付けというのも意識させなければならないな。

使った後の調理器具や食材をごちゃっと放置させておくのは頂けない。

……あー何で俺はこんな事ばっかり気にしてるんだろう。

提督「…ああそうだ、陽炎」

陽炎「はい?」

提督「少し、言っておきたい事があってな」

陽炎「うん、どしたの?」

提督「いや、大したことでもないんだが…しばらく掃除には来られないかもしれない」

陽炎「…え?なんで?」

提督「夏休み明けの文化祭に向けて、生徒会も本気になるからな」

横須賀学園の文化祭といえば、ここいらではよく知られた超巨大な祭りである。

なにせ、この広大な敷地すべてを使って、1週間も丸々開催するのだ。

11月の開催に向け、普通は夏休み前から、早いところは5月には準備をするというのも頷ける一大イベントだ。

加えて、小間使い達が死ぬほど忙しくなる時期でもある。

陽炎「……文化祭終わるまで来れないの?」

提督「ああ、正直どれだけ忙しくなるのかは俺にもわからん、わかってるだけでもかなりスケジュールが埋まってる」

…その間にどれだけ汚れるかが不安だが。

流石にこれはどうにかなるような物ではない。

陽炎「…夏休みも?」

提督「ああ、一日使って色んな所と打ち合わせしないといけない日もあるし…不測の事態に備えて生徒会室に待機しておかないと」

好き勝手盛り上がって準備をする奴らが居れば、それを補佐する奴も必要なのだ。

世の中とは世知辛い。尤も、自分で望んだ道だから文句を言うのは筋違いだが。

陽炎「…………そうなんだ」

沈んだ顔で、陽炎が答える。

夏休みにルンバが無い事を気にしているのだろうか。

まあ、これで少しでも自覚を持って掃除その他に取り組んでくれれば俺も嬉しいんだけど。

陽炎「……ねぇ、提督」

提督「ん」

陽炎「どうしても来られない?」

提督「どうしてもって」

陽炎「………会いたいの」

提督「は?」

陽炎「……ずっと会えないのは、嫌なの」



>>+1-5


A.……どういう意味だ?

B.大袈裟だな。

C.…そんなに掃除が嫌か。

A.……どういう意味だ?(*1.5 401~499)


提督「……どういう意味だ?」

陽炎「……へ、あれ、今私何を……っ!」

どうやらその言葉は自分でも無自覚だったらしい。

言った言葉の意味に気付いて、陽炎が顔を真赤にして俯く。

俺も顔真っ赤にしたい。

陽炎「……えと」

その火照りも治まってきた頃、陽炎がやっと声を出す。

顔は此方を向いていたけれど、瞳は明後日の方向へ焦点を当てていた。

陽炎「…なんかごめん」

提督「いや…謝るようなことじゃ」

陽炎「…提督がいるの、当たり前みたいになってた」

提督「………」

陽炎「私の家でこうしてるの、凄い居心地良くなってた」

提督「…そうか……まあ、俺も、こうしてるのは…好きだよ」

陽炎「…ん、そっか…そう思ってくれてるなら、嬉しいわ」

陽炎「…だから…その、えっと」

陽炎「嫌だったの、提督がずっといなくなるなんて」

提督「そりゃ大袈裟だろ、陽炎」

陽炎「……でも」

提督「そうだな…」

やはり沈んだ顔をする陽炎を遮って、ふぅ、と息を吐く。

提督「掃除は、出来ないかもしれない」

陽炎「………え?」

提督「…それでも良いか?」

言われて、その意味を確かめるように何度も瞬きをして。

陽炎「うんっ!」

やっと、彼女は笑ってくれたのだった。



陽炎→  499/500



【陽炎―その3】


それは大失敗なのか大成功なのか。

悩むところですよ、うん。

…参った参った。

あれじゃまるで―ううん、まるでっていうか、まんま。

…その、いわゆるあの、そんな感じの。

よく一山いくらの恋愛マンガであるような。

「…………恋、ねぇ」

……口に出してみると思ったより恥ずかしい。

でも多分私はもっと恥ずかしいことを、それも誰かに向けて言った。

…大失敗、なのかなぁ。

だけど…、うん。

結果おーらい。

終わりよければすべてよし。

「…って、まだ始まってもないっての」

……そうなのである。

未だスタートラインにすら立っていない。

「……とりあえず、掃除機かけよ」

我ながら珍しい決意であるが。

…なんだか、彼に汚い部屋を見せるのは、もう嫌だったから。

そんな自分でもよくわからない、オトメゴコロ。

……流石に下着はまずかったかなぁ。

今更になって色んな事を気にするのも、きっとその延長。



【7月2週】


天津風「……仕事多い…」

提督「何だ、情けない」

天津風「…………うー…」

提督「……本格的に参ってるな、お前」

天津風「………だって」

提督「…疲れた、なんて言葉を口にするんじゃねえぞ」

天津風「……え?」

提督「そう感じてるのはお前だけじゃないんだからな」

天津風「………ごめんなさい」

提督「…まあ、俺はまだ全然疲れてないから」ヒョイ

天津風「…ちょ、ちょっと?」

提督「だから、この書類は片付けとく」

提督「お疲れのお前は邪魔だからその辺で寝てろ」

天津風「………ありがと」



大和    *40/500
金剛    121/500
陽炎    499/500
天津風   *97/500
雲龍    *66/500


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雲龍「……てーとくぅー…どこなのぉ……?」

提督「…………」

これは酷い。

俺は頭を抱える以外の行動を取れなかった。

生徒会の打ち合わせで結構な時間になってしまい、家に帰るのが遅れた。

その間に義姉さんが帰っていても不思議ではない。

だが、俺の部屋のベッドの上で空き缶片手にゴロゴロしている尊敬する我が義姉を見つけた時の心境といったら。

筆舌に尽くし難いとはまさにこのことであろう。

雲龍「…あ!てーとくだぁー!」

そしてそんな姉に感知された。

非常に精神年齢が幼いようで。今年で何歳でしたっけ貴女。

勿論俺の心の内など義姉さんに伝わるはずもなく、わざわざ後ろに回られていつもの首巻き付き攻撃を食らわされた。

雲龍「…わたし、寂しかったのよー…?」

提督「……酒くせぇ…」

喋る度にいつもの数倍―この比較は如何なものかとは思うが―くらいの酒臭が漂ってきて、こっちまで酔いそうだ。

提督「…義姉さん」

雲龍「もぉー……つれないわねー、名前で呼んでよ?」

提督「……雲龍義姉さん」

雲龍「なーに?」

うふふと上品に笑う義姉さん。

楽しそうですねぇ。

提督「…今日はもう、部屋に帰って寝たほうが良いよ?」

雲龍「……やー…嫌よ、そんなの」

提督「あのねぇ」

雲龍「…そうだ!提督、今日は久しぶりに一緒に寝ましょー…?」

提督「は?」

そう言うや否や、空き缶をその辺に投げ捨てて義姉さんは俺のベッドへとダイブした。

しかもそのままいくらもしない内に寝息を立て始めるのだから、溜まったものではない。

……本当に。

はぁ、と空き缶を拾いながら深く溜息を吐く。

どうすっかな、この酔っ払い。


>>+2


A.俺が義姉さんの部屋で寝るか…。

B.リビングに来客用の布団敷いて寝よう。

C.……一緒に寝る。

C.……一緒に寝る。(*1.5)


…あれは俺のベッドだ。

俺はあそこ以外で寝る場所がない。

そして流石に本気で寝た義姉さんを運ぶのは不可能だ。

ここから来たる帰結は一つの純然たる事実。

即ち、俺は義姉と一緒に寝るしかないという事だ。

提督「………失礼します」

飯を食って風呂に入ってちょっとゆっくりして。

その後なら義姉さんも起きてないかな、と小さな期待をしたのだが、生憎そんな事は全く無かった。

雲龍「……すぅ…」

義姉さんの豊満な身体が、寝息に合わせて揺れる。

まあ、無視するしかない、と背を向けた。

これなら良い。身体は接していても、最小限だ。

…が。

雲龍「………んー…」

提督「…ぐごっ」

いつもの巻き付き攻撃。

それはやはりこんな状況下においても発動された。

そんな最大限となってしまった接地面積に耐えながら、俺は必死に眠りにつこうとしていたのだった――


――――――――――


「……ふぁ……朝…?」

「……え」

「……えぇぇえぇぇぇ!?」

「ちょ、ちょっと何で提督が私の部屋にいるの!?ねぇ!ねぇったら!」

「…え?……私が…お酒飲んで?」

「…………ほんとなの?」

「………………ごめんなさい」




雲龍→   *93/500

ここまで
家帰ってちょっと横になったらそのままあの時間まで寝てた



【7月3週】


提督「…………」

「あら副会長、暇そうね」

提督「……ん、元クラスメイトか」

「その呼び名は如何なものかしら」

提督「何でも良いだろ、それと暇じゃない、死ぬほど忙しい」

「随分ボーッとしていたようだけれど?」

提督「…意識が飛んでた」

「……本当かしら?」

提督「本当だよ、初風」

「……ふぅん、ま、何でもいいのだけどね」

提督「何でもいいってなぁ…ああ、そういやお前、文化祭何かすんの?」

「これといって、強いて言えばクラスの演劇の裏方かしらね」

提督「勿体無い、主役張れる美貌だろうに」

「冗談、展示と演劇と模擬店の3グループに分かれても何十人もいるのよ?」

提督「俺はそれでもお前が一番だと思うがな」

「…それ、、口説いているのかしら?」

提督「さぁな、どう思う?」

「質問に質問で返すものでは無いと思ったわ」

提督「参った、こりゃ手厳しい……そんじゃ、仕事してくる」

「ええ、いってらっしゃい………」

「……頑張って」ボソッ

提督「ん?何か言ったか?」

「ええ、貴方に聞こえないような小さな声で言ったわ」

提督「…ああそうかい」



大和    *40/500
金剛    121/500
陽炎    499/500
天津風   *97/500
雲龍    *93/500


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天津風「…………夏休み、ね」

提督「………そうだな」

天津風「………休みはあるの?」

提督「………盆くらいは」

天津風「……………」

提督「……………」

二人して机に突っ伏す。

とりあえず今日の午前の書類仕事は終えたが、この後に待つのは各部を回って打ち合わせというイベントだ。

このクソ暑い時に、歩いて各部(それも今日は運動部!)を回って打ち合わせ。

絵面だけで地獄だ。ラグビー部とか絶対行きたくない。

因みに大和さんは外部との会議である。

そこに俺達が付いて行く意味も無い、という学校側の見解が大和さんへの信頼と俺達のどうでも良さを感じさせる。

提督「………なあ」

天津風「…何よ?」

俺がとりあえず鞄から弁当を取り出すと、天津風もそれに倣う。

女の子らしい、これだけで栄養が足りるのかとツッコミたくなる小さな弁当箱だ。

これは自分で作ってるんだろうかね―なんて事を考えながら、天津風に向けて続ける。

提督「何で生徒会に入ったんだよ」

天津風「この前言ったでしょ?」

提督「…いや、お前は推薦なんかの為にこんな事までして頑張る奴じゃねーだろ」

天津風「…私だって、将来の事を考えたら本気にもなるわよ」

提督「……どうにもしっくり来ないんだよ、なんとなくな」

お前にそういうイメージが持てないんだ、と。結構失礼な事を言ってみる。

しかし天津風は怒りもせず、弁当箱の中身を乱暴に口に突っ込んだだけだった。

天津風「………別にいいじゃない、何でも」

提督「まあ…な、何でもいいが」

そのままお互い弁当に視線を移して、しばらくは沈黙が続いた。

だが、ねえ、と天津風が唐突に発した言葉によってそれは破られた。

天津風「……あなたは」

提督「ん」

天津風「…私がここいると、そんなに嫌?」

提督「何でさ」

天津風「……やけに、そういうことを気にするから」

…ふむ。別にそういうわけで聞いたんでも無いし、俺一人だったら仕事量がさらに増えていたことを考えるとむしろ助かっているとすら思う。

だが素直に伝えるのも…。はてさて、何と言ったものか――


>>+4

A.いいや、むしろありがたいくらいだ。

B.ああ、嫌だね。

C.…本気で嫌がってると思うか?

C.…本気で嫌がってると思うか?(*1.5)


提督「…本気で嫌がってると思うか?」

天津風「……え?」

提督「あのな、天津風」

微妙に恥ずかしいが、此処は素直になっておこう。

いつもみたいに変に意地張って、夏休み中嫌な空気になったら敵わん。

提督「お前がいてくれて、良かったと思ってる」

天津風「………はぁ!?」

提督「…と、少なくとも俺は考えてるよ」

天津風「え、ちょ、…何それ!?」

提督「素直な気持ち」

わたわたとする天津風を尻目に、食い終わった弁当箱を鞄に仕舞う。

ごちそうさまでした、義姉さん。

提督「そんじゃ、ちょいトイレ」

天津風「ま、待って!私も付いて行くからさっきの話の詳しいこと――」

提督「……付いて来るのか?」

生徒会室備え付けの男女共用トイレを指差して言ってやると、天津風が恥ずかしそうに俯いた。

これではい付いていきますって言われたらどうしようかと思った。

天津風「……その後に聞かせて」

提督「午後の仕事終わって、覚えてたらなー」

…ぱたん。

トイレの扉を閉じて思う。

……恥ずかしい。



天津風→  172/500



【7月4週】


金剛「フフーフ♪」

提督「なんで武器商人みたいな笑い方してんだ」

金剛「おーテートク!お仕事中デスか!?」

提督「おう、お前は…準備か?」

金剛「イエース!欧州文化研究会では喫茶店をやるのデース!」

提督「……欧州文化研究会…」

金剛「…いちおうこの教室で週3回活動してマス」

提督「…まあ、この学校色々あるしなぁ」

金剛「あ、どうデスカ一杯紅茶でも!」

提督「紅茶か……いいな、確かに」

「お姉さまー!紅茶お淹れしましたー!」

金剛「……oh、そういえば今日はヒエイの練習…」

提督「……?あ、これ貰って良いのか?」

「ちょっと!それはお姉さまに――」

提督「……………」

金剛「…て、テートクー…?」

提督「……………」バタン

金剛「テートクー!?」



大和    *40/500
金剛    121/500
陽炎    499/500
天津風   172/500
雲龍    *93/500


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大和「おはようございます、提督くん」

提督「おはようございます…今日は生徒会室で仕事ですか?」

大和「はい…ごめんなさいね、いつも空けていて」

提督「ああ、そういう意味で言ったわけじゃ!」

大和「…いえ…本当はみなさんと仕事をしたいんですが…その」

提督「仕方ないですって!大和さんは特別ですし!普通の仕事なんて俺達に押し付けてくれて構わねーっすよ!」

どん、と胸を叩く。

しかし大和さんはそれに、更に顔を苦くした。

大和「…………」

提督「…大和さん?」

大和「…あ……いえ、その………お仕事、しましょうか?」

提督「……は、はぁ…」

明らかに無理やりとわかる話題転換であるが、そう言われては仕方ない。

ファイリングしてある物から書類を何枚か抜き取って、広げた。

提督「とりあえず、昨日の時点で問題になったのはここの予算なんですけどね――大和さん?」

大和「………あ、…申し訳ありません、もう一度」

提督「……お疲れですか?」

大和「……いえ、そういうわけではありませんよ」

提督「…ですか」

にしたって、何も事情が無いようには見えない。

だけれど、そんな詮索を口に出すのも憚られて。

結果として生まれたのは沈黙であった。

…天津風、…は、文化部棟で仕事してるんだっけ、しばらく帰ってこねーな…。

チクショウ、折角大和さんと二人きりになれているというのに、何だこの空気。

……仕事するしかねぇな、うん。

こういう時にとにかく意識を向けられるものがあるのは良い。

そう思い、先程の話題を再び口にしようとして顔を上げれば。

大和「提督くん」

大和さんが、真っ直ぐに俺を見ていた。

思わず見惚れてしまいそうな、凛々しい顔だった。

提督「…え、あ、はい」

だから、微妙に返事が遅れる。くぅ。

大和「……私は、特別でしょうか?」

提督「…へ?」

質問は、それだけ。

大和さんはそれだけ言って、俺の返答をただじっと待っていた――

>>+4

A.そうでしょう。

B.少なくとも、俺にとっては。

C.…そうじゃないんですか?

B.少なくとも、俺にとっては。(*1.5)


提督「…少なくとも、俺にとっては」

大和「……」

提督「俺は貴女に憧れてましたからね、ずっと」

大和「……そうですか、貴方にとっても、ですか」

小さく顎を下げて、彼女は言った。

提督「……大和さん?」

大和「…さて、それでは本当にお仕事をしましょうか」

それで、どうにも用事は終わりであったらしい。

しっかりと俺を向いた顔は、いつもの大和さんの笑顔だった。

すれ違った人がつい振り返ってしまうような、目を合わされたらこっちまで笑ってしまうような。

そんないつもの綺麗な笑顔。

だけど今日は、その笑顔の奥に少しだけ、さっきの苦い顔がチラついた。

…しかし、にしてもよくわからん質問だった。




大和→  184/500

ここまで



【8月1週】


提督「…………」

天津風「……お疲れ様、お茶飲む?」

提督「……うん」

天津風「今日は…ああ、運動部との打ち合わせの続きだっけ」

提督「………皆」

天津風「?」

提督「…皆が権利を主張してくるんだ…」

天津風「………そう」

提督「……こんなものが民主主義なのか…」

天津風「まあ、その一端ではあるんじゃないの?」コトン

提督「……はぁ、冗談はともかくとして、難航しそうだ…」

天津風「それでも…8月中にはまとめないと、ね」

提督「……初めて生徒会活動を嫌だと思ったよ」

天津風「頑張りなさい、あなた」


大和    184/500
金剛    121/500
陽炎    499/500
天津風   172/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



欧州文化研究会。

正直その部活動の存在はこの前金剛に聞くまで知らなかった。

なんといってもこの学校には大小千は下らぬ程の部活動があるというのだから、仕方ない部分はあるだろうが。

俺は、その部室で紅茶を飲んでいた。

金剛「……申し訳なかったデス、この前は」

提督「いや、話を聞いてなかった俺も悪い」

金剛「そう言ってくれれば幸いデス、お詫びに今日は張り切って淹れたネ!」

提督「…うん、…美味しい…と、思う」

金剛「Yes!」

金剛が自信を持って出してきたその紅茶。

俺は紅茶の味の区別ができるわけではないが、普通に飲んでいて美味しいと感じた。

この前のは……琥珀色の胃液みたいな味がしたが、あれのどこに紅茶成分が存在したのだろう。

何はともあれ、今日のは良い。コーヒー党な俺も思わずおかわりを要求してしまうほどだ。

金剛「OK!また淹れてくるからちょっと待ってテネ!」

提督「おう、サンキュー」

今の時間は、本来ならば仕事のはずだった。

けれど、外注の仕事の進み具合が悪くそれに取り掛かれず、丁度ぽっかりと空白の時間になってしまったのである。

…どうせ後で回ってくるので、あまり休みになっても嬉しくはない。

だが、ゆっくりお茶を飲めるのは幸福である、掛け値なしに。

金剛「ドーゾ!」

提督「どうも」

差し出されたティーカップを傾ける。

うむ、美味い。

夏、冷房の効いた室内で飲む暖かいお茶は、まさに現代人だけに許された贅沢華奢であろう。

金剛「………♪」

そしてなんと珍しく、今日の金剛は騒いだりせずお茶を飲む俺をにこにことしながら眺めている。

…紅茶、本当に好きなんだろうな。

やっぱり自分が美味しいと思う物を人も美味しそうに頂く図というのは良いものらしい。

ふむ――――


>>+4

A.やっぱ、黙ってると可愛いな。

B.なんだ、お前も飲みたいのか?

C.こっちみんな。

B.なんだ、お前も飲みたいのか?(*1.0)


提督「なんだ、お前も飲みたいのか?」

金剛「…?」

提督「いや、珍しく黙ってるからさ」

金剛「ち、違いマス!そんなに卑しくないネ!」

提督「…あれ、そうなのか、俺はてっきり」

金剛「ワタシは……ただ」

提督「…ただ?」

金剛「…ンー…やっぱり何でもないデース!」

提督「……なんだそりゃ、気になるだろ」

金剛「女の子にはヒミツが付き物ネー!」

提督「そうかい、それじゃ聞かんよ」

金剛「………」

提督「…なんだ」

金剛「それはそれで寂しいデース…」

提督「我儘だなおい」

それから仕事が始まるまで、二杯目の紅茶を飲みながらぐだぐだとしていたが。

やっぱり今日の金剛は大人しかったのであった。



金剛→  204/500

あーマジだ
疲れてんのかな
上下どちらにもBなんて文字が無い
1.5にするんでそれで許してください


【金剛―その1】


私は、ただ。

その後に続く言葉。

言ってしまえばよかっただろうか、とも思う。

けど、たぶん本気にしてくれないだろうなぁ、とも思う。

だから、独り言として呟くことにした。

「…こうしてるだけで、満足デース」

我ながら欲の少ない事だ。

向かい合って、彼が私の淹れた紅茶を飲んでいる。

うん、満足だった。

…私は、この国があまり好きではなかった。

それは排他的な空気だとか、いろんな理由で。

でも、私は彼が好きになった。

それもまた、いろんな理由で。

だから、私はこの国も好きになった。

単純である。

しかし、複雑でもある。

乙女心とオータムクラウドというやつである。

どういう意味かは、実はよくわからないのだけれど。



【8月2週】


提督「義姉さん」

雲龍「…くー」

提督「……すっかり眠ってらっしゃる」

提督「…はぁ、流石に運べないって、義姉さん、義姉さんってば」

雲龍「……んー……やー……」

提督「やーじゃないよ、…つーか、義姉さんあんた今いくつだと――」

雲龍「………」ガバッ

提督「思って……」

雲龍「………」ドサッ

提督「…………」

提督(……一瞬謎の覚醒するほど気にしてるのか)



大和    184/500
金剛    245/500
陽炎    499/500
天津風   172/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

ごめんなさい
ここまでにします
あと明日は無理です




提督「そういや、喫茶店だっけ」

金剛「……what?」

提督「欧州文化研究会の模擬店」

金剛「Yes!」

再びこの部室でお茶を御馳走になる俺。

なんだか最近は少し紅茶派に傾いてきた。

ボストン港の底にあるお茶っ葉を救い出してみようか。

提督「でもさ、喫茶店って結構大変じゃないか?」

金剛「ンー…確かにネー」

提督「メインは紅茶だとしても軽食くらいは出すんだろ?」

金剛「その予定デース」

提督「欧州文化研究会、4人しかいないって書いてたぞ」

実はあの後。

気になって欧州文化研究会に関する書類を漁ってみた。

するとそれはちゃんと実在して、崇高なような口から出任せのようなよくわからない活動理念なんてものまで長々と書かれていた。

が、部員数は定員ギリギリの4人。

それを見て、喫茶店をやるには少なすぎないか、と老婆心ながら考えたのである。

金剛「No Problem!ちゃーんとヘルプを呼んだヨ!」

提督「なんだ、ちゃんと考えてたのか」

金剛「Of Course!ワタシだってそんなにバカじゃないネ!」

提督「…………」

金剛「何でそんな目でこっち見るデース!?」

提督「ははっ、いやいや、成長したな、金剛」

金剛「……複雑ネー…」

提督「お前、昔は雛鳥みたいに後ろ付いて来てたのになぁ」

新入生としてここにやってきた直後。

俺に心を開いたこいつは、何処へ行くにも離れなかったのを今でも覚えている。

迷惑だったが…今思えば、なんだか微笑ましい。

金剛「……あれは…しょうがないネー、知り合いもいなかったし」

提督「今はいるんだろ?」

金剛「当然ネ!」

それが、こんな部活を立ち上げたりして。

その部活のイベントの為に頑張ったりして…。

本当に成長したんだな、こいつも。もう俺の助けなんて必要としない。

……ああ――

>>+2

A.…よかった。

B.…………そう思うと、何故か少しだけ寂しくなった。

C.せいせいした。

B.…………そう思うと、何故か少しだけ寂しくなった。(*1.5)



…そう思うと。

何故か、少しだけ寂しくなった。

提督「………」

金剛「テートク?」

それは良いことなのだろう。

こいつにとって、良い変化なのだろう。

なのに、何故。

俺は、こんな気持ちになるのだろうか。

提督「…………」

金剛「オーイ、テートクー」

迷惑だったはずだ。

いつでもどこでも付いて来て、うるさくて。

そんなこいつを面倒臭いと思っていたはずなのに。

金剛「………shutdown?」

提督「…………」

いくら考えても。

やはり、それは消えなかった。



金剛→   339/500



【金剛―その2】


………………。

…最近、テートクが微妙に優しい。

向こうから話しかけてくることもあるくらいだ。

勘違いではない、うん、中学生の時からずっと一貫して冷たかったテートクが優しい。

……俗に言うデレ期というやつだろうか。

「…………にへー…」

…………あ、ダメだ、緩む頬を抑えられない。

非常に嬉しい事態だ。

やっぱり少しアタックを止めてみるという榛名のアドバイスは正しかったのかもしれない。

それとも、霧島の細々としたアドバイスだろうか。

それとも、比叡――は、………何もしてないね。

…まあ、それは置いといて。

気付けば、自分の周りにはこんなにも自分を助けてくれる人がいた。

それは、全部貴方のお陰なんだろうな、と思う。

貴方に出逢わなければ、きっと今頃は欧州にでもいただろう。

そして、この国を嫌っていただろう。

…うん。

貴方に逢えて、良かった。

……霧島には止められたけど、やっぱりシェークスピアの愛の詩でも贈ってみようかな。

………引かれるのかなぁ。



【8月3週】


提督「うん、いい調子で消化出来てるな」

天津風「…あなた、本当に頑張ったわね」

提督「お前もだろ?」

天津風「…ううん、私はあなた程は…」

提督「なーに気持ち悪いくらい殊勝な事言ってんだ、っての」ペシ

天津風「あうっ」

提督「大和さんとお前と俺、生徒会の皆で頑張ってる、そうだろ?」

天津風「………うん」

提督「よし!じゃ、今日も張り切って仕事だ!」

天津風「おー!」

大和「………ふふっ」クスッ



大和    184/500
金剛    339/500
陽炎    499/500
天津風   172/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



陽炎「ぶー……」

提督「ぶーたれんな、折角来てやったのに」

陽炎「……久しぶりー…」

提督「…悪かったって」

陽炎「……………」

やっとまとまった空き時間が出来た。

ということで、久々にやってきた陽炎の家。

そして鎮座するもう見るからに不機嫌な家主。

提督「……機嫌直せよ」

陽炎「…寂しかった」

提督「………」

…直球すぎんだろ。

デッドボールコースだぞ。

陽炎「…掃除してたのよ、ちゃんと」

提督「………お?」

言われて、気付く。

そういえば何も違和感がなかったが…よく見れば陽炎の部屋はとても綺麗だ。

塵一つない―とは流石に言い過ぎだが、十分に綺麗な部屋と呼んで差し支えないレベルだった。

陽炎「…いつ来てもいいように、って」

提督「………」

陽炎「………寂しかったの」

提督「………」

俺に向かって、控え目に視線を投げる。

それはまるで、甘えているかのようだった。

俺は――


>>+4

A.だーかーら!悪かったって!

B.…本当にごめん。

C.抱き締める。

C.抱き締める。(*1.5)


陽炎「……あ」

提督「……ごめんな、陽炎」

陽炎の正面から、背中へと両手を回す。

とくんと鳴ったのは、俺の心臓なのだろうか、それとも彼女のなのだろうか。

多分、普通ならこんな事はしないと思う。

だけれど―何となく、この場ではこれが一番正しい行為のように思えたのだ。

提督「…どうしてもな、仕事が多くて」

陽炎「………ううん」

彼女もまた、俺の背中に手をやる。

俺よりも、強い力だった。

陽炎「…私も、ごめん、忙しいって知ってたのに」

陽炎「凄く…我儘なこと、言ったよね」

提督「………いや、…」

陽炎「……?」

提督「…俺も寂しかった、仕事、抜け出したいくらいに」

陽炎「………提督」

肩の上に置かれた彼女の顔は見ることはできない。

でも、なぜだか笑顔だろうと確信できた。

陽炎「……今日は、ずっといて」

提督「…夜までな、無断外泊は禁止なんだ」

陽炎「…それでもいいよ、ご飯食べて、駄弁って…一緒にいて?」

提督「……嫌って言ったら?」

陽炎「…このままずっと離さない、ふふっ、無断外泊は禁止なんでしょ?」

ぎゅっ、と背中の手に力が籠もる。

なるほど、簡単に離してはくれないようだ。

提督「……そりゃ、従うしか無さそうだ」

俺の返答に、満足そうに陽炎は笑って。

それでも、やっぱり背中の手は力強く俺を捉えていた。

…もう少しくらい、こうしていよう。



陽炎→  500/500



【8月4週】



提督「か、陽炎じゃないか…お、おはよー…」

陽炎「………う、うん…おはよー」

提督「………」

陽炎「………」

提督(……どうしよう)

陽炎(……恥ずかしくて目が合わせられない)

提督(…つーか何でいきなり次の日に学食で鉢合わせるんだよ!)

陽炎(今までカスリもしなかったのに…)

提督(………なんて言ったっけ、俺)

陽炎(………なに言ったかしら、私)

提督(………)

陽炎(………)

「……あのー、すんませーん、レジ空いてるんで進んでくださーい」




大和    184/500
金剛    339/500
陽炎    500/500
天津風   172/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



天津風「………・うにゃー……」

提督「……スポーツドリンク飲むかー?」

天津風「……飲むわー…」

夏休みも遂に終わりに近付く。

それにつれて、横着していた奴らから提出される書類が山のように積み上がる。

全くもって迷惑な話である。

人間はどうしてギリギリまで引っ張ろうという心理で物事に当たるのだろうか。

提督「…天津風、大丈夫か?」

天津風「んくっ……うん、ありがとう」

生徒会室備え付けの冷蔵庫のキンッキンに冷えてやがるスポーツドリンクを一気飲みして、多少ながらも天津風の顔色が良くなった。

そのペットボトルを降ろすと同時、口の端から液体が垂れる。

何かエロい。…うん、俺はまだ余裕あるな、それなりに。

天津風「…それにしても、あなたは大丈夫なの?」

提督「へ?俺?」

天津風「ええ、ずっと休んでないじゃない」

提督「ああ、全然平気だって、まーだまだ余裕あるぞ?」

ぐっ、と力こぶを作ってみせる。

けれど、天津風の顔はどこか険しいままだ。

天津風「…休みなさいよ、あなたも」

提督「何を言うか、小人閑居して不善を為す!色々考える前に働くのだ!」

天津風「……もう、たまにはちゃんと話聞いてよ」

提督「……だから、大丈夫だっての」

浅い息とともに、いいからと首を振る。

それでもそんな俺に、少しでいいから休みなさい―と彼女は続ける。

はぁ……。


>>+4


A.わかったよ。

B.いやだ、働くね。

C.わかったよ、だからお茶でも淹れてくれ、ほらほら。

A.わかったよ。(*1.0)


提督「……わかったよ」

こいつ一人に雑務を押し付けるようで嫌だが、仕方ない。

このまま文句を言われ続けても、それはそれで仕事にならん。

少し休めば、こいつも納得してくれるだろう。

冷蔵庫へ飲み物を取りに行こうと立ち上がる。

それを見て、お節介な幼馴染は満足気に微笑んだ。

提督「なんだよ」

天津風「……なんでもないわ」

提督「……」

天津風「ゆっくり休むのよ?」

提督「…へいへい、ありがとよ」

精々休ませて貰おうかね、と選ばれたのは綾鷹でしたを持ってソファーに身を投げ出した。

…まあ、結局。

あいつ一人に仕事をさせている状況に我慢できず、休憩は5分と持たなかったのだが。



天津風→  204/500



【天津風―その1】


今回の会長選挙。

大和さんは実に95%以上もの票を得て当選した。

残りの5%は―無効票だったり、お遊び票だったり、様々で。

『天津風―1票』

きっとこれも、お遊びの部類に入るのだろう。

これは、あなたが憧れた職。

だから、会長になれれば―って思ったら。

自分の名前を、投票用紙に書いていた。

勿論、誰の話題にもならなかった一票。

やっぱり私は、あなたの後ろを追うだけ。

昔からずっと、あなたの後ろを追っているだけ。

追いつきたいと思って、並びたいと思って。

だけど、あなたはどんどん速くなって。

追っていた背中が、もう消えそうなまでに小さくなっていた。

手を伸ばせば掴んでくれる距離では、無くなっていた。

…私は、それでも頑張るしかない。

あなたが大和さんしか見ていないように。

私はあなたしか見ていないのだろう、きっと。

否定したいけど、できない。

「………成績、落とさないようにしなきゃ…」

せめて、小さくてもあなたの背中が見えるように。

私は、今日も頑張る。



【9月1週】


雲龍「………あのハゲ…」

提督「……ね、義姉さん、落ち着いて…」

雲龍「…嫌だわ、落ち着いてるわよ、提督」ギチギチ

提督「グラスが割れるから、本当に落ち着いて」ソレタカカッタンダヨ

雲龍「………提督は心配してくれないんだ、私の事」

提督「心配してる!してるって!」

提督「こんな綺麗な義姉さんだから、当然皆放って置かないんだろうなー!って!」

提督「だからそのセクハラまがいの事してくる先生の気持ちもさ!なんとなくわかるよ!」

雲龍「………ふーん…へぇ、そう、そうなの…そうなのね…ふ、ふっ」

提督(義姉さん、最後まで隠そう、笑い)

提督(…つーか…チョロいな、我が姉ながら…)



大和    184/500
金剛    339/500
陽炎    500/500
天津風   204/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



提督「ぐぬぬ…!」

引き戸に向かって思いきり力を込める。

だが、それは固く閉ざされており、ぴくりともしなかった。

提督「…開かない」

金剛「………oh……」

横須賀学園の扉は、学生は自由に施錠することが出来ない。

鍵を持っていれば、内外どちらからでもロック、アンロックが可能だが、鍵なしには何も出来ないのである。

何でも不純なアレの対策らしい。

わざわざ校内でしないで近いんだから寮まで帰ってヤれよ。

閑話休題。

つまり、この状況が意味することは。

提督「…閉じ込められたなぁ」

金剛「デスネー…」

欧州文化研究会部室に、俺と金剛は二人きりということである。

二人して溜息を吐いたあと、金剛が時計を見上げる。

金剛「あと30分もすれば、榛名達がやって来るはずデス」

提督「30分かー…ま、今日は取り立てて仕事無いから助かったが…」

金剛「…誰が閉めたのネ、鍵」

提督「知らん、呑気に紅茶飲んでたしな、俺ら」

金剛「……だネー…あ、もう一杯淹れましょうカ?」

提督「そう…だな、長丁場になりそうだし」

金剛「OK!Just a moment!」

厨房に走って行く金剛を尻目に、窓を見る。

ここは3階、流石に飛び降りて逃げられる高さではない。

それにわざわざ助けを呼ぶのも―30分後に人が来るならば、大袈裟に思える。

なんとも、微妙に都合が良すぎる閉じ込め方であった。

……はぁ…ったく、本当に誰だよ鍵閉めたの…用務員のおっちゃんかー…?

あの人ボケ始めてるしなぁ…。



――――――――――――――


「計算通りね、これで仲が進展するはずだわ」

「榛名、覗きたいです!」

「……やめなさい」

「…ダメですか…」

「お姉様がぁ、お姉様がぁ!」

「比叡、こら、ダメよ、30分後まで放っといてあげるのよ」


提督「…………」

金剛「…………」

金剛が二杯目として淹れてくれたティーカップは既に空。

閉じ込められて15分ほどが経過している。

なんか、こんな状況だと飲み物の進みが早い。

提督「……金剛?」

金剛「……ハイっ!?」

先程からずっと黙っている金剛に声をかけると、びくりと身体が跳ねた。

提督「ど、どしたよ?」

金剛「……い、いやー……な、なんだか緊張しちゃってネー」

提督「…緊張……」

ああ、そうか…。

今って、一応閉鎖された空間で異性と二人きり、なのか。

…………。

……マジじゃねーか!

なんか俺まで緊張してきた。

相手は所詮金剛なのに。

金剛「……ね、ねぇ、テートク」

提督「お、おう、何だ」

ティーカップを思わず手に取る。

が、勿論空である。

それを誤魔化すために、片付けるふりをして席を立った。

…何をやっているんだ俺は。

金剛「…テートクは、サ…」

流し台にカップを置いて、水道で軽く流していると、後ろから金剛の声が聞こえた。

彼女は、一度そこで言葉を切り。

一体何だろう、と思いながら水道を止めた所で、背中に僅かな感触を感じた。

提督「…こ、金剛?」

背中に、微かながらも力を感じる。服を摘まれているのだろうか。

どうやら水の流れる音で、全く接近に気づかなかったらしい。

金剛「……テートクは、ワタシのこと、どう思ってマスカ?」

提督「……!」

金剛「…ワタシは―ワタシは、ずっち、ずっと貴方が好きデス」

金剛「…でも、返事は…まだ、貰ってないヨ」

……俺は――――

>>+1-5

A.……いつの間にか、金剛を――

B.……はっは、またいつものか。

C.……他に、好きな娘が――

D.アホ、冗談はやめろ。

C.……他に、好きな娘が――(変化なし)


提督「……他に、好きな娘がいるんだ」

金剛「…………」

長い沈黙の後、吐き出した言葉。

返事は無かった。

代わりに、服を摘んだ手が震えていた。

それが漸く収まってきて、彼女は手を離した。

振り返れば、笑顔だった。

金剛「………そっか」

提督「……ごめん」

金剛「…ううん、いいヨ、言ってくれたもん」

提督「………」

金剛「………誰なの…って、聞いてもしょうがないカナ」

提督「………」

金剛「……あーあ…正式にこうやって振られたのは、初めてダネー」

提督「金剛――」

金剛「…テートク」

何を言えばいいのかはわからなかったけれど。

ただ、金剛を放っておけなくて。

上げた声は、彼女によって遮られた。

金剛「応援してるヨ!」

いつもの元気な声で、そう言い切った彼女。

その笑顔の奥に、光る物が見えた。

…俺はただ、ありがとう、とだけしか言えなかった。



金剛→  339/500

ちょっと休憩



【9月2週】



大和「提督くん」

提督「…………うーっす」

大和「……大丈夫ですか?」

提督「あ、ああ大和さん!?」

大和「お疲れ…でしょうか?」

提督「ち、違うんですえっとその少し考え事をですね…」

大和「…いいのですよ、気を遣わずとも、疲れたのなら…」

提督「元気です!いけます!やれます!」

大和「…無理はしないで下さいね?」

提督「はいっ!」

提督(…元気なのは本当だけど…)

提督(……こればっかりは、休んでも治らんな)

提督(…それと…陽炎、か)

提督(……まだ、ちゃんと言葉にしてはないんだよな、あっちも)

提督(…贅沢者だなぁ、俺)



大和    184/500
金剛    339/500
陽炎    500/500
天津風   204/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



結局。

俺は大和さんという人間について、何も知らないのだと。

そういう他なかった。

彼女の顔に差した陰も、彼女の問いの意味も。

何も知らない俺に、わかるはずはないのだ。

凄い人。生徒会長。王。

そんな修飾をして、彼女を見ていた。

だが、この夏。

彼女の側で仕事をして、少しはわかった―というのは傲慢だが、少なくともあの時よりはまともな解答を出せると思った。

本質なんて見抜けるはずも無いけれど、笑顔の奥、あの陰の意味を推測するくらいは。

そのくらいは、出来るんじゃないかと。

提督「大和さん、少し、時間いいですか?」

大和「…構いませんよ、どうしました?」

提督「ええと…ちょっと、この前の事で…」

大和「……この前…?」

提督「あはは、かなり前なんですけどね…貴女の質問の答え、です」

大和「………まだ考えていたんですか?」

目を見開いて俺を見る大和さん。

…これは引かれたかもしれない。

だが…まあ、いい。

その時はその時だ。

あんな適当な答えじゃ俺は満足しないのだ。

提督「…はい、ああ、嫌なら…」

大和「……とんでもないです、…聞きたいです」

提督「……はい」

…大真面目な顔で大和さんが俺に向き直る。

だから、俺も改めて解答を出した。

『私は、特別でしょうか?』

あの時の問いに対する答えを――


>>+4


A.…やはり、貴女は特別なのだと思いました。

B.そういう風に、見せてたんですね。

C.少し疲れたんでしょうけど、大和さんはそんな事で悩む必要なんかないですよ!

B.そういう風に、見せてたんですね。(*1.5)


提督「そういう風に、見せてたんですね」

大和「…………」

その言葉に。

大和さんが、薄く笑った。

正解です―とでも言うように、どこか満足気に。

提督「…今思うと、露骨でしたよね、結構」

大和「やはり…そうだったのでしょうか」

提督「……ええ、此処で見る貴女は、いつも見る貴女とは違いました」

大和「………でも、それでも、誰も気付いてはくれなかったのですよ、今までの生徒会役員は、誰も」

或いは―気付こうとしてくれる人がいなかったのかもしれませんけれど。

そう言って、また俺を見た。

提督「だって、俺は大和さんのファンですからね」

気付きますよ、そのくらい―なんて、胸を張る。

大和「……あはは、君は変ですね、相変わらず」

提督「……もしかして、俺ってずっとそう思われてました?」

大和「…ま…まぁ…はい」

提督「……………」

…変なのか、俺。

いや、行動を鑑みれば確かにその通りなのかもしれないが。

大和「提督くん」

提督「…はい」

大和「…ありがとうございます、その答えに辿り着いてくれて」

提督「……いえ、俺は別に」

大和「……それから、お願いがあるんです」

提督「…お願い?」

真剣な顔で。

刺すような視線を俺に向けて。

彼女は、揺るぎない声で言った。

大和「………甘えさせて下さい」

それがもし、幻聴だとしたら。

俺はなんとも歪んだ性癖を持っているものだと―そう思った。



大和→  229/500



【大和―その1】


殺してきた。

ずっと、ずっと自分というものを殺してきた。

誰かに求められるような自分になるために。

誰かの憧れられるような自分になるために。

特別に、なるために。

その結果、周りに積み重なったのは期待と成功。

最初は、自分の才能や素質に驕ることもあった。

だけど、それも段々変わっていく。

期待が、私を押し潰す。

成功が、私を塗り固める。

自分はどんどん死んでいって。

もう、私は私でいられなくなった。

引き揚げられることのない彼女達は、心の底で、ただ虚ろに私を見ていた。

ここから出してくれと、手を伸ばして。

「……ありがとう、ございます」

それは。

生徒会長としてではなく、大和として。

貴方に向けた言葉。

「……甘えさせて下さい」

こっちは。

……ただの願望。

困らせたよね、ごめんなさい。



【9月3週】


提督「……………」

雲龍「てーとくがー…元気無さそうな顔してるー」イッショウビンゴクー

提督「……義姉さんは変わらないねぇ」

雲龍「んー?…そうよー…変わらないわよー?」

提督「…安心するなぁ、なんか」

雲龍「……ぎゅー…」

提督「…はいはい、酒臭い酒臭いー…」

雲龍「…疲れたの?」

提督「……かもね」

雲龍「………一緒に寝る?」

提督「また朝から叫ばれるから、やだ」

雲龍「…ざんねーん」



大和    229/500
金剛    339/500
陽炎    500/500
天津風   204/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



大和「……提督くん」

提督「はい、どうしました?」

大和「…お茶にしましょうか」

提督「あ、もうそんな時間ですか…天津風は――」

大和「部活棟に行ってもらいました」

提督「部活棟?…急ぎの仕事ありましたっけ?」

大和「……ごめんなさい、どうしても……大和のお話、聞いて欲しかったんです」

提督「…それは…構いませんけど」

大和さんといる時間が増えた。

その代わりに、天津風といる時間が減った。

今の天津風は、外回りの仕事ばかりをしているように思う。

だけど、そのことで彼女を責める気にはなれなかった。

大和「………ありがとうございます、提督くん」

こうして話を聞いてあげるだけで、とても嬉しそうな顔で笑うのだ。

演説をする時の笑顔でも、生徒が手を振った時に返す微笑みでもない。

大和さんの、彼女自身の笑顔で。

…これを見せられたら、俺には彼女を責める気にはなれなかった。

彼女が今まで溜め込んできたもの、その大きさなんて想像も出来ないし。

それを発散させるための唯一の方法が俺だというのなら、断れるはずもない。

だいたい、本当にお茶を飲みながら話を聞くだけだ。

愚痴、時事、流行――――

本当に、取るに足りない話。

つい最近まで、彼女とこんな話をすることになるなんて思いもしなかった。

……そして。

大和「…………ごめんなさい」

話し終わると、彼女は決まって頭を下げる。

迷惑をかけてごめんなさい、だそうだ。

…やめてくれ、と言ったが―これに関しては頑として譲らなかった。

……これだけは、どうしても引っかかる。

……ふーむ――――


>>+4


A.そんな物いらないですよ。

B.理由があるのだろうし放っておこう。

C.どうして謝るんですか?

B.理由があるのだろうし放っておこう。(*0.5)


…それを聞くのは。

なんだか、躊躇われた。

俺は、まだこの人に対して二の足を踏んでいるというか…そういう部分があるのだろう。

天津風「…ただいま帰りました」

大和「……おかえりなさい、天津風さん」

提督「おかえり、天津風」

そうこうしているうちに天津風も帰ってきて。

その日の生徒会活動も、恙無く終了したのであった。



大和→  251/500

寝る
ありがとうございました



【9月4週】


9月も終わる。

暑さもすっかり収まって、陽気は秋を感じさせる。

学園祭も、もうすぐだ。

思えば早いものだった。

働き詰めで過ぎ去っていく毎日。

それは辛かったけれど、楽しくて。

素直に、生徒会活動に参加して良かったと、そう思う。

提督「………うーむ」

あと一ヶ月かぁ。

やっぱ、こういうのって準備してる時の方が楽しいよな。

それだけしか残ってないのが、どうにも寂しい。

天津風「…難しい顔して、どうしたの?」

提督「いやなに、もうそろそろ学園祭だなと」

天津風「……そうね」

生徒会室から見える学園は、所々に学園祭ムードが漂っていた。

眼下を見る俺につられるように、天津風も視線を落とす。

天津風「…頑張ったわね」

提督「…だな」

天津風「…あともうちょっと、ね」

提督「……だな」

精一杯やりきったと。

そう胸を張れて、悔いの残らない。

そんな、学園祭にしよう。




大和    251/500
金剛    339/500
陽炎    500/500
天津風   204/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ


天津風という少女は、本当にギリギリまで自分を追い込んでいた。

生徒会活動の傍らで勉学に励み、その代わりに減らしたのは睡眠時間。

…勿論、それが長続きなどするはずもなく。

「過労が原因の貧血ね、クラっと来たんでしょう」

「…そうね、3日くらいはゆっくりさせてあげた方がいいんじゃないかしら」

生徒会室で突然倒れた天津風を、保健室に抱えこんで。

告げられた保険医のその言葉に、ホッと胸を撫で下ろした。

少なくとも、大事ではないようである。

天津風「…………すぅ…」

こうなると、なんか目の前で寝息を立てているこの少女が恨めしくすら思えた。

…チクショウ、大分取り乱した。

保険医などは、とても微笑ましい物を見るように俺を生暖かく見ていたし。

そんなに慌てて此処に駆け込んだのだろうか………慌ててたな、うん。

とりあえず席を外してくれて良かった、あの視線を当てられ続けるのは流石に恥ずかしい。

提督「……ったくもう」

額から目を隠す髪の毛を掬って、上に持ち上げる。

手に伝わる、ふわふわした感触。

その気持ち良さそうに閉じられた瞼の下には、くっきりと刻まれたクマ。

提督「…キツかったら言えっての」

手触りの良い髪をくるくると弄びながら、届かないと知っていてもつい文句が口をつく。

心配させやがって、バカ。

天津風「………ん…」

しばらくそんな風にして髪を弄っていると、瞼がゆっくりと開かれた。

その奥から覗いた瞳が、段々焦点を俺の方へと合わせていく。

天津風「……あれ…あなた…?」

提督「…おはよう、バカ」

天津風「……い、いきなり何よ…っ!?」

その言葉に反応したのか、ぐわっと勢い良く起き上がろうとして、途中で身体の力が抜けたようにベッドにまた倒れる。

天津風「……あ…そういえば…」

提督「思い出したか?」

天津風「…うん…」

それでやっと今の自分が置かれた状況を理解したらしく、途端にしゅんと俯いた。

提督「…はぁ、無理しやがって」

天津風「……そ、そうだ!仕事…」

提督「大和さんがお前の分、代わってくれてるよ」

天津風「………そうなんだ…私…また迷惑かけて…」

提督「…はぁ」

自分を責めるような言葉。

…こいつ、何もわかってないな。

深く溜息を吐くと、怯えるように天津風が身体を震わせた。



天津風「…あの、ごめんなさい…」

提督「それは、何に対してだ?」

天津風「…え?…そ、それは…私、ちゃんと仕事出来なくて…」

提督「…違うだろ、バカ」

再び隠れてしまった額にかかった髪を払って。

その下のでこを、ぺしっと叩く。

提督「俺が怒ってるのは、そこじゃない」

天津風「……え、っと…だったら…」

倒れるくらいまで身体を酷使して。

それでも、最後まで何も言わないなんて。


>>+4


A.そんなに俺が信用出来ないか?

B.ちゃんと自分で考えることだな。

C.……わからないなら、言う事はないよ。

A.そんなに俺が信用出来ないか?(*1.5)


提督「…そんなに、俺が信用出来ないか?」

天津風「………」

提督「言ってくれよ、辛かったらさ」

提督「それなら、いくらでも仕事くらい代わってやる」

天津風「…でも、迷惑…」

提督「アホ」

天津風「…うぅ」

でこぺし二回目。

ちょっと鈍い音がしたのは、先程より力が篭っているからだろうか。

提督「…黙って倒れられる方が迷惑だ」

天津風「……っ」

提督「……あのな、天津風」

提督「…ものすっごく心配したんだぞ、俺」

天津風「…………」

その言葉を受け取って。

しばらく、彼女は瞼を閉じた。

そして、再びゆっくりとそれを開いて。

天津風「………ごめんなさい」

とだけ、今にも消え入りそうな声で言ったのだった。

提督「…ん」

提督「……わかればよろしい」

今度は、額に優しく手を置く。

そのまま彼女がもう一度眠るまで、ずっと撫で続けていた。

…ほんと、手のかかる奴。



天津風→  255/500



【10月1週】


天津風「………えと、あの」

提督「何だよ」

天津風「……も、もう体調いいんだけど……」

提督「ダメだ、安静にしてろって言われたろ」

天津風「で、でも…流石に、ここまでされなくても…」

提督「いーや、お前はすぐ無理をするからな」

天津風「あなたにも、仕事とか…」

提督「今日の分は終わった、気にすんな」

提督「全く、お前洗濯物溜め込み過ぎだろ…」

天津風「…………洗濯は良いっていったのに…」

提督「しかも畳んでねぇし、こういうのがな――」ブツブツ

仕事終わり、天津風の家。

炊事家事その他もろもろに動く俺。

天津風はベッドに強制的に寝かせている。

提督「ああ、食欲はあるか?」

天津風「……ええ、あるわ」

提督「そりゃよかった、スープ作って持ってきたから、後で温めて食ってくれ」

天津風「……あ、ありがと」

提督「しかし、お前のゴミ箱、弁当とかカップ麺とかばっかだったぞ」

提督「いいか、過労ってのはこういう食生活からも――」クドクド

天津風(…………凄くうるさい)

天津風(…でも、それだけ心配してくれてるのね)

提督「聞いてるか!?」

天津風「は、はいっ!」



大和    251/500
金剛    339/500
陽炎    500/500
天津風   255/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



金剛「テートクー!Hello!」

提督「…おう、金剛か」

金剛「元気ナイネー!そんなんじゃダメヨー!」

提督「…なんか、それはお前の台詞じゃない気がする」

金剛「……what?」

提督「…いや、なんでもない」

あの日から。

特に何が変わったというわけでもなかった。

金剛は会う度に相変わらずうるさかったし、ちょいちょいまとわりついてくるし。

それは自然で、だけど不自然なことだった。

金剛「oh、そーいえば、テートクテートク」

提督「ん?」

金剛「学園祭で出す軽食のメニューが粗方決まったノネ」

提督「お、そうなのか」

金剛「Yes!だから、よかったらちょっと試食して欲しいネ!」

金剛「感想を聞きたいって、皆が言ってるのヨー」

提督「うん、そりゃ構わんけど…」

金剛「……ケド?」

提督「いや…」

その不自然について。

…問い詰めてみるべきだろうか。

何でお前そんなに普通なの?と…そう聞くのは、自意識過剰だろうか。

いつも通りに見えるからこそ、何となく心配してしまうのは考えすぎなのだろうか。



>>+1-5


A.ズバッと聞いてみる。

B.少し遠回しに聞いてみる。

C.…触れられらくないのだろうし、放っておく。

C.…触れられらくないのだろうし、放っておく。(変化なし)



提督「…なんでもない」

金剛「………ンー…?」

それに触れるというのは。

つまり、俺の傲慢だ。

振っておいて、まだ踏み込もうとするのは。

傲慢以外の何物でも無いではないか。

…わからんなぁ。

もとより正解なんてないのだろうけど。

最善の行動すら、わからない。

金剛「サンドイッチが自慢ネー」

提督「…そか」

結局俺には、そのままモヤモヤを抱えて。

いつか、それを時間が溶かしてくれるのを待つ事くらいしか出来ないのだろう。




金剛→  339/500



【10月2週】


提督「………陽炎や」

陽炎「ん?」

提督「なんか、俺がまた来るようになってから、部屋が汚くなり始めている気がするんだが」

陽炎「あははー…提督が掃除してくれるだろうしまあいっかー…って?」

提督「……お前なぁ」

陽炎「甘えたいのー」

提督「……甘やかさんぞ」

陽炎「……ダメ?」

提督「………だ、ダメだ」

陽炎「………」

提督「そ、そんな目をしてもダメだからな!」

陽炎「…じゃ、一緒に掃除しよ?」

提督「…………」

…この後、一緒に掃除(労働率9:1)した。

……チクショウ。



大和    251/500
金剛    339/500
陽炎    500/500
天津風   255/500
雲龍    *93/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

キャラ安価行こう
一人目>>+4

秋月(貧乏高校生)
餌付けしたい

二人目>>+4

如月(お母さん)
どんな設定でも選ばれる、そう、コンマならね

三人目>>+4

三日月(就職難のアラサーフリーター)
いかんでしょ

4人目>>+4

陸奥(姉)
中で火遊びしたい

ラスト直下

秋月(貧乏高校生)
如月(お母さん)
三日月(就職難のアラサーフリーター)
陸奥(姉)
龍田(ショタ食い先生)

非処女が二人いる

忘れられた成長期、高校生なのに見た目は小○くらいのショタ提督なんでしょ(すっとぼけ)

いやアラサーなら流石に3人か…
埋めネタですら微妙に躊躇していたお母さんネタ使っていいんですねヤッター

大鯨「ゆるされたんですか?」
金剛「許されたのデース!」

まあ書いてみないことにはどうにも
今日はここまでです
ありがとうございました

年上ヒロインは取りたくない?逆に考えるんだ、年上ヒロインの素晴らしさを理解するチャンスだ、そう考えるんだ

誰がどういう理由で地雷なのよ?
秋月→普通
如月→母親は初めての異性
三日月→頑張ってるけど中々報われない微不幸系お姉さん
陸奥→こんなお姉ちゃんがいたら僕はもう…
龍田→性食者

ほら、みんな魅力的じゃないか

艦娘達のギスギスした感じは見ててゾクゾクするけど、お前らのギスギスなんぞ見ても面白くもなんともないもんね
不毛な言い争いをするより、みんなで三日月さんを応援しよう!そうすればみんな幸せになるよ、きっと!

ってか、いちゃもんつけて安価やり直しすれば自分が取れるとでも思ってるのか?
大体、平でやってもスレ住民全員と安価取得バトルロワイヤルしてるんだし、勝てる方が珍しいだろ

あと、決まったことを混ぜ返しても>>1の心象悪くするだけだぞ
俺は>>1にこのスレを畳んで欲しくないんだ、いい加減自己中の駄々っ子は諦めな

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い(自称)正義の絶対不正許さないマンが暴れまわって如月・龍田・陸奥の三人をなかったことにしようとしてるだけだね
ぶっちゃけ、アイツは自分が取れなかったから取れた奴の粗探しして、やり直せ!ってダダこねてるだけっていうね?あの三人を貶めてもキャラ再安価する可能性なんて無いのに…

多分、始まったらこの三人を落とそうぜとか言い出したり、明らかな0,5安価連打するだろうけどスルー推奨で

最近やったゲームで貧乏お嬢様がお金のために一緒にお風呂(意味深)に入ったりするってのがあったな…

とりあえず個人的に頑張って欲しいのは本命三日月さん、対抗秋月・陸奥姉、大穴如月ママ・龍田先生かな
まだプロローグもやってないから本命心変わりするやもしれんが

再安価はしないです、一応
そもそも何で皆お母さんを嫌がるのか私には理解に苦しむね(ペチペチ



【エピローグ】



第一体育館。

横須賀学園の誇るその巨大な建物に、全校生徒が集合していた。

大人数の中で、誰も声を発することは無い。

ただ黙って前を向き、彼女の言葉を待っている。

そして、静謐に一滴の水が落ちた。

「―今、ここに」

体育館全体に響く、凛とした声。

壇上に立つ大和さんが発したそれに、皆、真剣に耳を傾けていた。

「第42回、横須賀学園学園祭の開催を宣言します!」

静かな流れに落ちた水は、波紋を広げ。

それはやがて、大きな波になっていく。

その言葉で、静まり返っていた体育館は一斉に盛り上がる。

わけのわからない叫びや歓声が、至る所であがって。

長くて短い宴が、始まったのだった。



―とまあ、宴などという言葉を使ってみたはいいものの。

俺達にとっては実はそれどころではないというのが実情だ。

この学園祭は地域の人どころか、全国から人がやってくる。

言ってしまえば、この周辺の最大のイベントというわけだ。

当然、人が増えれば運営側のやることは増えるわけで。

勿論警備やらなんやらの直接の指揮は学生ではなく委託した民間警備会社が執っているが、俺達の仕事がないというわけではない。

「第4エリア、予想以上に人出が多いわ!」

「…あそこ、なんかあったか?」

「何個もある料理研で合同主催した料理対決よ」

ほら、とパンフを投げてよこす天津風。

何を搬入したとかどんな設備になってるだとかはすぐに浮かぶのだが、そこでやっている内容が思い浮かばないというのがなんとも悲しい。

「…ふーん、楽しそうだな」

「他人事みたいに言わないで!風紀と警備だけじゃ全然誘導出来ないらしいのよ!」

「他のエリアから回すのは?」

「それが出来るんだったら私達のところまで回ってこないわよ、あなた、クラス委員連合に連絡して何十人か都合させて」

「了解」

という風に、各エリアの状況報告を受けて臨機応変に対応を行っている。

いや、臨機応変に出来ているのかは甚だ疑問ではあるが。

それでも精一杯やっているのだから責められはしないだろう、少なくとも。



「…大和さん、遅いな」

「しょうがないわよ、挨拶だけで何個あると思ってるの?」

「だな」

因みに大和さんは今此処にいない。

各所を回って生徒会長としての挨拶をしている。

その際に来賓との会話なども交わさなければならないので、どうしても時間がかかってしまうらしい。

…嫌な仕事だ、と彼女は言っていた。

それについては他言する気はないが…意外だ、と思った。

彼女はやはり、今まで俺が思っていたように完璧な存在ではないのだろう。

面倒な仕事は面倒だと思うし、やりたくない事はやりたくないと思う。

ただ、その気持ちを隠しているだけ。

そして、隠し方が巧すぎただけ。

『……嫌なお仕事が終わったら』

『…一緒に回りませんか、学園祭?』

だから、歳相応に友達と一緒に学園祭―なんて事を求めたりもする。

…尤もそれに関しては、非常に後ろ髪を引かれる思いで断ったが。

俺は一向にかまわないし、むしろ叶えてやりたいし大和さんと一緒に学園祭なんて泣いて喜ぶレベルだったけれど。

それで迷惑が掛かるのは大和さんだろう。

俺の断りの言葉を聞いた彼女は、どこか寂しそうに。

『……そう、ですか』

理由を問うでも責めるでもなく、そう言って笑った。

彼女は、あの笑顔の下に色んな感情を隠して。

今もまた、嫌な仕事をしながらも笑っているのだろうか。



「あなた!聞いてるの!?」

「え、あ、ご、ごめん」

「もう、しっかりしてよね!」

などと意識を飛ばしていたら、幼馴染に叱り飛ばされた。

どうにもまた問題が起こっていたらしい。

「いいかしら、今度はちゃんと聞くのよ――」

すっかり元気になった幼馴染。

嬉しさ半分面倒臭さ半分である。

しおらしい方が良かったかなぁ、なんて思ってしまう。

「…天津風」

「なに?」

「…何でもないよ」

「……?あのね、忙しいのよ、ふざけないで」

「悪かった、よし、じゃあ連絡してくる」

「ええ、お願いね」

内線用電話の受話器を取る。

少しくらいは俺も学園祭をゆっくり楽しみたいものだ。

なにせ、せっかく自分で創りあげてきた学園祭だ。

できたらいいな、と一つ胸で呟いて、意識を仕事に戻した。



「Hello!って、テートク!?」

「よ、金剛」

「来てくれたノネ!」

「つっても、各店舗の視察って建前だけどな」

さて、早いもので学園祭も3日目。

学園祭は土日開始であり、ここから平日へ突入するため、この頃から少しだけ暇が出始める。

少なくとも、常に人員補充に追われるようなことはなくなった。

その代わりに入れられる仕事が、各店舗の視察。

提出された書類と内容に乖離はないか、不正な運営を行っていないか、など。

早い話が監査のようなものである。

今はその一貫として欧州文化研究会にやって来た、というわけだ。

…まあ正直、先程言ったようにそれは建前で本音は腰を下ろして休みたかっただけなのだが。

朝から歩き詰めで、しかも監査の宿命として各所で疎まれまくったもんで非常に疲労感を感じる。

ウェイトレス姿の金剛に案内されて席に座ると、なんだか疲れがどっと押し寄せてくるような錯覚を覚えた。

「はぁ…」

「お疲れネー?」

「…ちょっとな」

「ンー…悔しいネ、Fight!って言うくらいしかワタシには出来ないヨ」

「はは、十分だよ」

「…そっか…うん、せめて、ゆっくり休んでいってネ!」

「ああ、そのつもりだ」

「注文はどうするノ?」

「可愛い店員さんのおすすめで」

「Oh!口が巧いお客さんダネ!」

サービスしちゃうヨー、と金剛が奥に引っ込んでいく。

…なんだろ、なんかあれだよな。

その口上だけ取るとなんつーか。

……外国人が働いてるピンクなお店みたい。

とか言ったら殴られるかなぁ。

そんな益体のない事を考えてる内、紅茶とサンドイッチが運ばれてきて。

以前食べたのと相違無い美味しさに舌鼓を打ちながら、身体を休めた。

よく見れば、他の客よりもサンドイッチの量が多かったりしたけれど。

監査としてはこの不正を見逃し、ただ金剛に感謝をしたのであった。



「お疲れ様、提督」

「義姉さん」

5日目の夜。

この日もへとへとで家に帰ると、義姉さんが台所に立っていた。

食卓には、見るからに手間を掛けたのだろうと思われる料理。

彼女も教師として働き詰めで暇では無いはずなのに。

「今日はね、上がるのが凄く早かったのよ」

俺の気持ちを見透かしたように、義姉さんが言う。

そして、座りなさいなと椅子を引いた。

その勧めに従って腰を下ろす。

義姉さんは、ふふっと満足気に笑みを零した。

「…いただきます」

「ええ、どうぞ」

丁度今日は、昼飯を食べ損なってしまい。

非常に―それこそ腹と背中がくっつくくらいの腹の減りようだったためか。

食卓に置かれた皿の上から、どんどんと料理が消えていく。

それにしても、義姉さんがこんなに気合を入れて料理を作ってくれたのはいつぶりだろう。

がつがつと食事を頬張りながら、そんな事を考えていた。



「ねえ、提督」

「……うん?」

机の上も粗方片付いた頃。

義姉さんが、突然話を切り出した。

「…凄いわね、学園祭」

「……毎年でしょ、見慣れてるんじゃないの?」

「ううん、今年は特に」

「…去年とそこまで変わったようには見えないけど」

「あら、全然違うわよ、なんたって私の弟が運営してるんですもの」

くすくす、と上品に笑う。

何が言いたいのだろうか。

「提督も、いつの間にか大人になったのね」

「どうしたのさ、いきなり」

「…いいえ、ただ…何だか寂しくなったの、無性に」

「…いつか、私の前から貴方は離れていくって―当たり前の事なのに、今更気付いたから」

「………酔ってる?」

「素面よ、今日は」

そう言って、義姉さんが俺の頭に手をやった。

俗に言うなでなでである。

…何やってんだ。

「………な、何してんのさ」

「…よしよし、頑張ったわね」

「…………恥ずかしいんだけど」

「ちょっとくらい我慢しなさいな」

「……………」

「…提督」

「……ん」

「……大きくなったね」

ぽんぽん。

言葉とともに最後に二度頭を叩いて、義姉さんはやっと手を戻した。

義姉の、昔から変わらないどこまでも優しい声音。

それに俺は、なんだか泣き出しそうになってしまったのだった。



最終日。

8日目の今日は、また土曜日。

再びごった返すような隙間の無い人波が襲ってきて、現場も本部も大混乱に陥った。

だけど大和さんの的確かつスピーディーな指揮統制の中、俺達は色んな委員と一丸となってそれを駆け抜けた。

そして、存外にあっさりとその時はやってきた。

「……以上を持ちまして、第42回横須賀学園学園祭を終了します」

その声に、体育館は様々な反応に包まれた。

寂しそうに肩を落とす者、また授業だと呟く者、中には泣いている人もいた。

…本当は、俺も泣きたかった。

全部終わってしまったという喪失感に身を任せて、泣いてしまいたかった。

だけど、実は。

実はまだ、俺にとっての学園祭は終わっていなくて。

だからこそ、まだ泣くわけにはいかなかった。



―後夜祭。

そんな名前を冠したバカ騒ぎが学園の至る所で行われていた。

各エリア、各教室、各店舗で。

皆が笑いながら、泣きながら、それぞれの終わりを惜しんでいた。

「……学園祭、一緒に回りたかった」

「…ごめんな」

「………ぶー」

ゆっくりと上昇する、生徒会室行きのエレベーター。

俺はその中で、いかにも機嫌が悪そうに鼻息を鳴らす陽炎を宥めていた。

絶対に時間を取ってやると思ったのだが、どうしてもゆっくり二人で過ごすような時間は取ることが出来ず。

毎日やってくるLINEに、ごめん、とだけ返す日々が続いた。

それどころか、会うことすらままならなくて。

こいつが出るらしかった演劇も、軽く覗くくらいしか見ていない。

そんなもろもろは、陽炎の機嫌を損なうには十分値したらしく。

後夜祭に誘ってみたのはいいけれど、まだどこか不満そうだった。



「…だいたい、何で生徒会室なのよ」

「……ゆっくりできるかなって」

「第3エリアで、残り物使って料理研の優勝グループのレストランやってたのに」

「……花火も、第一グラウンドの方だし」

「…ごめん」

「………」

陽炎はふん、とつまらなそうにそっぽを向いた。

…こりゃ怒らせちゃったなぁ、なんとも。

その時、ぽーんと軽い音がして扉が開く。

真っ暗な生徒会室を見て、やっぱり陽炎は苦い顔をした。

「……別に、私の家でも良かったんじゃない?」

「…それは…」

「……はぁ、提督が忙しかったのはわかってるけど――」

陽炎が続けようとした言葉は。

真っ暗な生徒会室に急に差した光と、遅れてやってきた轟音で遮られて、それ以上継ぐことが出来なかった。

「……え?」

それは止むこと無く、何度も何度も続く。

窓の外を少し見上げれば、光が散って綺麗な模様を描いていた。



「………花火?」

その光は生徒会室から見下ろすことの出来る第二グラウンド、その人混みの向こう側から次々とやってくる。

上がって、広がって、落ちてゆく。

真っ暗だった室内も、それに照らされて光っていた。

「……本当は、今年も第一グラウンドでやる予定だったんだよ」

「…校舎の側だと、どうしても色々問題があるからね」

「だけど、ゴリ押ししてみた、うん」

…いやぁ、安全面やら片付けやら、解決する問題山積みだった。

本当に色々助けてくれた大和さんには感謝である。

陽炎が、花火から視線を逸らして俺を見る。

なんで、と。

「…だってさ、第一グラウンドで打ち上げると、研究棟の影になってここから良く見えないだろ?」

「多分忙しいだろうなって思ってたからさ、陽炎と学園祭中にゆっくりは出来ないのも予想してた」

「だから…これくらいはゆっくり見たかったんだよ、二人で」

本校舎の側の第二グラウンドで上がった花火は、きっとこの部屋から見るのが一番綺麗なことだろう。

なのでその為だけに、ずっと続いてきた伝統を変えさせてもらった。

ごめんなさい先輩方、来年からは戻ると思うんで。

後ごめんなさい花火楽しみにしてた人、先に教えると陽炎にバレるんで。

…まあ、このくらいの我儘は許してくれ。

今まで頑張ったご褒美ってことでさ。



「……提督」

「…何も言わなくてごめん、驚かそうと思って」

「それから…食べ物とか色々貰ってきて冷蔵庫に入れてあるから、後で一緒に食べよう」

「…………」

先ほどまでの不満そうな顔は何処へやら。

一転して陽炎は申し訳無さそうな表情を浮かべていた。

「…陽炎、嫌だった?」

「……ううん、あの…私、一人で勝手に怒ってたから…」

「しょうがないって、忙しくて会えなかったのは本当だから」

「…あのさ、陽炎」

息を吸い込む。

さあ、これを持って俺の学園祭は本当に終わりだ。

「………今まで、ちゃんと言葉にしてなかったよな」

「…提督」

一歩、陽炎に近寄る。

丁度良く打ち上がった光に、重なった俺達の影が照らされた。

「……あ」

「…好きだ、陽炎」

「良かったら、俺と付き合ってくれないかな?」

「………私…凄くズボラで、…面倒くさがりだよ?」

「知ってるよ」

「…迷惑、いっぱいかけると思う」

「はは、そうだろうなぁ」

「……貴方が忙しいって知ってたのに勝手に怒って困らせるくらい、我儘だよ?」

「うん、知ってるさ」

「…あと、ね」

「………凄く…凄く、貴方の事、離したくないくらい、好きなの」

今度は、彼女から俺に近づいた。

花火の轟音も、学生達の喧騒も。

今の俺達の耳には入らなかった。

「…それは…知らなかった」

「……気付いてよ、ばーか」

後から聞いた話だが。

場所の通達もないサプライズ花火は、やはりすこぶる不評だったらしい。

尤も、目の前で笑うこの少女以外に、だけれど。




【陽炎 HAPPYEND】

終わりです
なるべく早くプロローグ書きます

勝手に考えてみた
聖人度(常識人度)なら
3>2>7≫11>9>その他
クソ度なら
18≧1>10>12≫17(過去の経歴)
戦闘力は…どうなんだろ

>>824
何で聖人二位に二周目が入ってるんだ…
そこはさっき終わった十八だろ!

また間違えてるよ俺…十九だろ…
ごめんROMっとく

龍田「あら、可愛い子♪食べちゃおうかしら?」
提督「うわあああああああああああ」
ソイヤソイヤソイヤソイヤソイヤ
み~みみみ~♪
弾道が1下がった
体力が80下がった

のりか枠は誰ですかねえ

>>869
一周目の金剛おばさん
少なくとも初代クソ提督にとっては立派にのりか枠だったかと



【プロローグ】


「…お姉ちゃん、お姉ちゃんってば」

「んー…………」

この歳になってまでお姉ちゃんという呼称はいかがなものか。

そうは思うけれど、こう呼ばなければ姉は反応してくれないので仕方ない。

そんな困った姉―陸奥は、布団の中で幸せそうな顔を浮かべていた。

「起きとかないとバイト遅れるよ、またクビになっちゃうよー?」

「…うー…んー…」

「…呻いてないで早く起きてってばぁー」

これでは埒が明かない。

こうなったら布団を剥ぐしかないか。

と、布団に手を伸ばしたその時。

「……つーかまえたっ♪」

「へ?わっ――!?」

ぐいーっ、と。

物凄い力で姉の隣に引っ張られ、柔らかな腕で包まれる。

なんか他にも柔らかい物が当たりまくっている。

「お、お姉…姉さん!」

「もー、お姉ちゃんって呼びなさいってばー、んー♪」

すりすりすりすりすりすりすりすり。

ムツゴロウさんも真っ青なスピードでのすりすりを受けている。

摩擦熱で燃えてしまわないか不安だ。

「離してよ!離してってばー!」

「この腕の中すっぽりサイズが落ち着くわぁ…提督かーわいー♪」

「これから伸びるんだよ!」

「諦めなさいな、というかこのままで良いじゃない」

「嫌だよ!せめてお姉ちゃんよりは―離せー!」

「もーちょっと、ね?」

結局、それから10分程もムツゴロウ王国に巻き込まれ。

這々の体で部屋を出て行くことになったのであった。



「あら、遅かったわねぇ」

「…お母さん、ごめん、お姉ちゃんが」

「うふふ、あの子ったらもう」

くすくすと笑う、実の歳よりも随分若く見える女性。

僕も結構身長は小さな方だが、それよりも小さい。

なのに纏う空気は大人のそれだったりする、そんなアンバランスなこの人こそが、僕の母親―如月だ。

幼いころに父親と別れてから、以来女手一つで僕らを育ててくれていた。

とてもそんな風には見えないけれど、かなりのやり手のキャリアウーマンらしい。

日付が変わるまで家に帰らないことすらままある。

だけど、絶対に疲れたとかそういう弱音は吐かない。

親として、そして何より人として―心から尊敬できる、そんな母だ。

「…ごめんね提督、今日もきっと遅くなるから、ご飯お願いしてもいいかしら?」

「……うん、大丈夫だよ」

「それと…あの子、ちゃんとバイトに行かせてね」

「う、うん…」

「もう…ほんとに、手がかかるんだから…それに比べて提督ったら素直で可愛いわぁ…」

「わっ」

食卓から立ち上がったと思うと、僕の目の前までやってきて。

そのまま正面から抱き着いてきた。

「お、お母さん」

「お母さんはねぇ、今からお仕事だから、こうして癒されたいのよ~」

「は、恥ずかしいってば」

この歳にもなってこれというのは男の子的矜持としてどうなのだろうか。

反抗期ってわけでもないけど、…流石に。

だが、母の要求は留まるところを知らない。



「提督、ちゅーして?」

「…ち、ちゅーって!?」

「もう、昔はしてくれてたじゃない?」

「そ、そんなの小学生とかの時でしょ!?な、何でいきなり…」

抱きしめたままで、母が顔を正面に持ってくる。

まつげが長い。

相変わらず微笑んでいるその顔は、身内の贔屓を抜きにしても綺麗だと思った。

…いや、僕は何を冷静に分析しているんだ。

「……だめ?」

「…も、もうそんな歳じゃないでしょ」

「………」

すると、その表情が途端に悲しそうな物に変わる。

まるで今にも泣き出しそうな程に。

「……ごめんね」

「…お、お母さん」

ふぅ、と浅く息を吐いて、母が僕の肩にやった手を引く。

そして、すぐ近くに寄せた頭も。

なんだか、そんな光景に無性に罪悪感を覚えて。

「………っ!」

「……あらぁ♪」

だから、これはただのスキンシップだと言い聞かせて頬に唇を伸ばした。

まだまだ張りのある頬は、触れると少しだけ化粧の匂いがした。

そして、母は待ってましたとばかりにころりと表情を変えた。

「うふ、優しく育ってくれてよかったわ、提督」

「……」

…多分こうだろうってわかってはいたけどさ。

……やっぱりこの母親には勝てない。

「…だけど…ね?」

「…へ?……!?」

うぅ、と頭を抱えたい気持ちで憮然としていると、母親が不意に笑いをいたずらっぽい物に変える。

何を―と思った時にはもう遅い。

母の唇は僕をしっかりと捉えていた。

「な、なぁっ…!?」

指の腹で、唇に触れる。

微かに色づいた朱は、彼女の口紅だろうか。

「ふふふ~、それじゃ、お仕事行ってくるわね?」

母は固まる僕から手を離し、最後にウインクをして居間を出て行く。

僕はしばらくその場に固まるしか無く。

着替え終わった姉に声を掛けられるまでそのまま固まっていたのだった。



「………提督?」

「……何さ?」

「いや、今年も可愛いな?」

「…殴るよ」

「あっはっは、冗談だっての」

前の学年で同じクラスだった友人が、幸いにも一緒のクラスだった。

ざわざわと騒がしいクラスの中で、なんとか一人にならなくてすむ。

「ふーむ」

「何してんの?」

「いや、女の子ウォッチ」

…最近流行りの物をもじれば何でも許されるってわけじゃない。

あと妖怪のせいにすれば何でも許されるってわけじゃない。

そう言いたい気持ちをなんとか堪えて、友人の視線の先を見る。

しかし彼は一通り教室を見回すと肩を落とした。

「…お前が一番可愛いな」

「やめてよ!?」

かと思えばそんな事を言い出す。

ちょっと衝動的にお尻を抑えたくなった。

なんで僕こいつと友達なんだろ。

「……ん?おおっ!」

「……?」

が、その時教室に入ってきた影を見て、彼は目を開いた。

いや、彼だけではない。

教室にいる男子、そして女子までもがそちらを見る。

彼女はその集められた視線を軽く受け流して席に座る。

…その動作を、知らず僕も目で追っていた。

名前は、知っている。

秋月さん―この学年で、一二を争う人気の女子だ。

「秋月ちゃんじゃねえか…!同じクラスだったのか!」

「……やっぱり凄い人気だね」

「ああ!なんたってお前よりも可愛いんだぞ!?」

「………」

その基準は心の底からやめて欲しい。

僕はそんなに男らしくないんだろうか。

そりゃ、背は小さいけどさ。

これでも最近筋トレとか凄くやってるんだし、もっとこう――



「は~い、みんな、席についてねぇ?」

「……おおっ!?」

友人レーダー反応二度目。

今度は、しっかりとしたスーツに身を包んだ女性教師に対してだった。

彼女は皆が席に座ったのを見てから、黒板に綺麗な字で自分の名前を書いていく。

「龍田だよ、よろしくね~?」

「先生は今年からこの学校に来て、わかんないことだらけだから…色々教えてくれると嬉しいなぁ?」

そんな挨拶に男子がなんだか色んな返しをしていく。

任せて下さいだとか、彼氏いますかだとか、俺がむしろ彼氏になりたいですとか。

それを女子はなんだか冷めた目で見ていた。

僕も、なんとなしに先生を見る。

なるほど、面食いの友人が反応するのも頷ける容姿だ。

「……………へぇ?」

「……へ?」

そうして先生を見ていたら、なんだか一瞬だけ目が合ったような気がした。

彼女は細めた目を少しだけ開いて、唇を舌で拭った。

ぞくっ、と。

寒気のような物が、全身に広がる。

「………き、気のせい…?」

唇が乾いていたのだろうか。

そう…だよね。

でも、あんな、まりで舌なめずりみたいな――

そんな筈も無いし、そんな事をする理由も無かったけれど。

背中に走った悪寒は、気のせいではなかった。

それから先生を見ていても、やっぱり普通に微笑んでいて。

僕は最終的に勘違いという結論を下したのであった。

「…龍田先生、いいなぁ…踏まれたいなぁ」

「僕が踏んであげようか?」

「…………」

「なんで迷うの!?」

…そして友人はいつも通りだった。



春の風舞い、暖かな太陽が差す屋上は。

実に気持ちのいい陽気で、まさにお弁当日和。

そんな中で、僕は弁当を片手に溜息を吐いていた。

「……はぁ、いらなかったのになぁ、今日」

そう、僕はなんだかいつも通りに弁当を拵えてしまったのである。

明日学校だ、と思って昨日の夜から準備までして。

まあ…どちらにせよお昼は作んなきゃいけなかったし、お姉ちゃんのバイト用の弁当にもなったし、いいけどさ。

始業式とHRで半ドンなのすっかり忘れてたよ。

でも、これだけ良い天気なら結果オーライかも、と笑う。

「……あれ?」

そして屋上のベンチに目をやると、見知った背中が見えた。

「秋月さん?」

「……わぁっ!?え、あ、だ、誰ですか!?」

背中から声をかけられて余程びっくりしたのだろうか。

手に持ったものを身体で隠すように抱え、凄いスピードでこちらを振り返る。

「…ご、ごめん、えと…」

「あ…同じクラスの…えー…提督、くん」

「覚えててくれたんだ」

少し声に喜色がにじむ。

これは幸先良いかもしれない。

「…あ…その、男の子なのに、可愛いなぁ…って」

「………そっか」

…い、いいよ。

覚えててくれた事には変わりないし。

いいんだよ、別に。

「…もしかして、お弁当食べてたの?」

「え!?い、いえ…その……その、あのぅ…」

「良かったら一緒にいいかな?僕もお弁当を…」

「それは、…こ、困るというか…困るんです!」

「え?」

…………。

………幸先、わっるいなぁ…。

「……あ!ち、違います!そういうことじゃ!」

「………そうだよね、うん、そうだよね…」

「…その!ほんとに、貴方がどうこうというわけじゃなくて――」

わたわたと、秋月さんが僕に向かって手を伸ばす。

その拍子に、大事そうに守っていた弁当箱が露わになった。



「……………」

「………何を見て…あぁっ!?」

僕の視線を追って、彼女は慌ててそれを再び隠す。

だけれど…それは、一瞬で僕の脳裏に焼き付いてしまうような、そんな衝撃的な光景だった。

……一言で言うなら、日の丸。

弁当箱には、立派な日本国旗が飾られていたのである。

そりゃ焼き付きもする。

「………見ました?」

「……………うん」

「ち、ちくわもあるんですよ!」

ほら!と秋月さんはバックから半額シールの付いたちくわとパックの醤油を取り出す。

………ち、ちくわ。

「……だ、だからその…今日は…えっと、たまたま、ちょっとだけ…その」

「…両親が忙しかったと言いますか…えーと…」

「……時間がなくて…あ、日の丸って芸術的だと思いませんか!?」

誤魔化すのは下手くそらしい。

もう全く誤魔化せていない。

「………え、えっと…」

「秋月さん」

「は、はい!?」

「……僕の弁当、食べる?」

「……え?」




――――――――――――――――


「唐揚げ、きんぴら、卵焼き…♪」

「…あ、あはは」

お弁当の味が、余程お気に召したらしい。

ふふふーんと軽く鼻歌まで歌っている。

なんかおばさん臭い茶色弁当だったけど、満足してくれたみたいでよかった。

「提督くん、美味しかったですっ!」

ご馳走様でした、と秋月さんが僕に向かって手を合わせる。

「お、大袈裟だって、ちょっとおかず分けただけだよ」

「いえ!とても美味しかったです!」

にっこりにこにこ。

まさに満面の笑みで、秋月さんはもう一度手を合わせた。

「……ま、まぁ…それは良かったよ」

「にしても、何で…えーと、その弁当なの?」

「…わかりました、お世話になりましたし、言うべきでしょう」

「………いいの?」

「…ええ、構いません…これは、ですね」

「…これは?」

いきなりの真剣な語り口調と眼差しに、思わず僕も身構える。

知らず、喉を鳴らしていた。

そして彼女の言葉を、じっと待つ。

「……給料日前なんです」

「…は?」

「給料日前だから苦しいんです」

「…それに、今月はまだいいです、パンの耳じゃないですから」

…真剣な眼差しは変わらない。

……給料日前?パンの耳?

「……あの?」

「あ、ああいや!え、えーと…大変…だね…?」

「はい…だから隠しておきたかったのですけど…」

…ああ、それでこんな場所でお昼を食べてたんだ。

てっきり春の陽気に誘われたのかと思ったよ、僕みたいに。

…なんだろ、僕って不審者なのかな。



「……何か、お礼をしなければいけませんね」

「え!?いやいや!いいよいいよ、そんなつもりじゃ…」

「しかし…貰うだけ貰ってそのまま、などというのは…」

うーん、と真剣に唸る秋月さん。

本当に気にしなくていいんだけど……あ、そうだ!

「じゃあさ、秋月さん」

「はい?」

「僕と、友達になってよ!」

「……友達」

一度首を捻って、不思議そうな顔をする。

「…そんな事でいいのですか?」

「そんな事じゃないよ!重要だよ!」

「そうですか、では…これからもお願いします」

「それでさ、秋月さん」

「ええ」

「良かったら、また一緒にお弁当食べない?」

「…え?…ですが、その」

「僕が作ってくるよ、秋月さんの分も」

「……そ、それは!流石に悪いです!」

「いや、今までずっと姉さんとお母さんと3人分作ってたんだけど、最近お母さんがお弁当いらなくなっちゃってさ」

「なのに、いつもの癖で3人分作っちゃうんだよね、まだ」

「それで余るのは勿体無いと思わない?」

「は、はい!勿体無いです!凄く勿体無いです!」

「……はっ」

つい反応してしまって、しまったという顔を秋月さんが浮かべる。

「…うん、だから…その、良かったら食べてくれないかな?」

「……いいのでしょうか」

「だって、友達でしょ?」

「………提督くん」

この後も、微妙に渋ったりしたけど。

最終的に秋月さんは首を縦に振ってくれたのだった。

……押し付けがましいんだろうか、僕。

でも、あんな顔をして食べてくれたら。

また作りたくなるって物だろう。



「………まだ夜は少し寒いなぁ」

その日、夜。

燃えるゴミを担いで、明日のゴミの日に備える。

春になったばかりの夜は、どこか肌寒い物があった。

さっさとゴミ捨ててお風呂入ろう、なんてことを思いながらゴミ捨て場に――――

「……………」

信じられないものがあった。

「………すぴー…むにゃあ…」

ゴミの上で寝る…少女?

少なくとも見た目で判断するならそういうことになる。

如月―母さんくらいの身長しかないんじゃないだろうか。

けれど、その少女からはアルコールの匂いがぷんぷん漂ってきて。

更にその上、皺々のスーツに身を包んでいた。

そんな彼女は幸せそうにゴミに身を投げ出していて。

ほか弁の袋を大事そうに抱きかかえている。

笑えない。



「………あのー…?」

「……くぅ」

「……もしもし…?」

とんとん、と肩を叩く。

するとその甲斐あってか少女は目を開いた。

「…なんで…」

「……?」

「…なんでそんなに空白期間について聞くんですかぁ……」

「…………」

ぱたん。

それだけ言って、またゴミに倒れる。

そしてその拍子にポケットから財布が落ちた。

…不用心だなぁ。

「……失礼しますね」

幸いにも身分証明証はすぐに見つかった。

三日月、さん――2×才!?

……僕と10以上違うぞ、嘘だろ…。

で、住所は…この近所。

………本当は、交番にでも通報すべきなんだし是非そうしたいけど。

この人がこの状態だし、それをすれば絶対時間を取られるだろう。

…三日月さんが運べそうな人でよかった、とりあえず部屋の前に置いていこう……。

「…………………あれ…?…んぅ…?」

「…………げっ」

「……誰……ですか?」

………そして、三日月さんは図ったかのように運搬中に起床し。

僕はやっぱり警察に届けるべきだったと後悔するのであった。



【プロローグ 終】

ちょい忙しかった、というか明日も忙しい 出来ても深夜
ショタじゃなくて大人の男の味をたつたせんせーに教える話とか
秋月ちゃんが極限まで不幸な話とか
候補は色々あったんだが結局無難な物になってしまった

ごめんなさいでち
書き直すほどの気力はないでち

今年のお仕事終わり
埋めネタ投下して次スレ建てる


【元通り―というお話】


「……………晴れ」

屋上から、空を見ていた。

突き抜けるような、高い空。

一点の曇りすらない、という言葉はまさにあの空の為にでもあるのではなかろうか。

けれど、その中天に眩しい程に浮かぶ太陽は、僕を照らしてはくれなかった。

この学校に来て、一年。

冬が過ぎ、春が来て。

こんなに暖かな陽気の中で、僕だけが一人、まだ寒々とした景色を抱えていた。

「比叡」

比叡は、僕の幼馴染。

それこそ本当に小さな頃からの知り合いだ。

強気で、負けず嫌いで底抜けに明るくて。

弱音は吐かない、転んだら、立って笑う。

それが、比叡だ。

僕のずっと見てきた、比叡だ。



だったら―だったら、あの子は?

一年間だけ居た、あの子は誰だ?

誰にも望まれず消えていった、あの子は。

あの子がいた事を知っているのは、僕と両親、漣、そして比叡の両親だけ。

そして、比叡の記憶が戻ると聞いた時―僕以外の皆がその話に飛びついた。

当たり前――ああ、そうだ。

当たり前の事なのだ。

記憶を亡くしてしまった比叡の記憶を取り戻すこと。

それは、僕だってずっと考えてきた。

比叡の両親も、あの比叡にはあまり会おうとしなかった。

彼らにとって、娘の姿をした別人と交わす会話はさぞ辛かったのだろう。

それも当たり前の事で、責められるような事じゃない。

漣も、元の比叡に接する対する態度よりも前の部分に線を引いていた。

言葉にこそしなかったが、やはり彼女だって辛かったのだろう。



そして―僕も。

僕も最初はそうだった。

比叡であって比叡じゃない彼女。

彼女と会話を交わす度に、比叡が消えていくようで。

やっぱり、辛かった。

だから、彼女は―比叡の形をした女の子は、ずっと孤独だったんだ。

皆が見ているのが自分じゃないって、知っていたんだ。



だから、あの日だって。

自分が消えるって告げられた日にだって、彼女は。

『…いちゃ、いけないんですよね』

『……提督くんだって、無理してます』

『最初、病院で…私の事を、辛そうに見てました』

『…………だから…良いんです』

『…大丈夫、です』

『だって、私は…私は、本当の比叡じゃないですから…良いんです』

『…わかって、ますから』

『……そ、そんな顔しないでください!綺麗な提督くんの顔が台無しですよっ!』

『って、お、怒るところですよここー!僕は男だー!って……っく、ひっ…いつもみたいに…っ』

『…っ、ぁ…れ…おかしい、なぁ…大丈夫、なのに』

『……涙が、止まらなくて…違うんです、何でも、なんでもない…です』

『私……っ…ぁ……っく』

『……ねぇ…提督、くん』

『……私は…』

『…………私は、誰なんでしょうか…?』



そこまで言って蹲った彼女に向かって、僕は手を伸ばしたままで固まった。

僕に、彼女に何か言葉をかける資格なんて無かった。

ずっと、こんな時になるまで、彼女の気持ちに気付けなかった僕には。

その次の日。

彼女は消えて。

比叡が戻ってきた。

彼女は、誰の記憶にも残らない。

彼女が消えて、比叡の両親は、手を叩いて喜んだ。

勿論、漣も、僕の両親も。

悪いことなんかじゃない。

当たり前で、普通の事。

強いて言うなら言い方だ。

彼女が消えた、じゃなくて―比叡が戻ってきた、の方を取れば良い。

だけど、僕には出来なかった。

どうしても、出来なかった。

それからはきっと、全部元通りになって。

今は、彼女を覚えているのはもう僕だけになった。

彼女という異質は、日常の外へと放り出されたのだ。



「提督ー」

その時、屋上の扉が開く音がした。

振り向けば、メイドと幼馴染。

「…ご主人さま、なーに黄昏れてるんですか、その格好でセンチメンタリングしないでくださいよ」

妙に似合ってて気持ち悪いです、と言った漣に合わせて、比叡が笑う。

「確かに!なーんかぴったりな感じですよね!…というか、ほんとに綺麗だなぁ、提督………はぁ」

「まあ、このメイド渾身の一作ですからねー」

「そんで、何をしていましたか、ご主人さま?」

「………空が…綺麗ね」

「……そですけど…どしましたホント、3人しかいないのに喋り方戻ってねーでございますよ?」

「……ねぇ、比叡さん?」

「……っぷ、っはははははっ!わ、笑わせないで下さいよ提督ったらもうー!」

「…ごめんなさい」

「………はぁ……比叡様、少し先に帰っててくだせーな」

「っあははは……え?どうしたんです?」

「いえいえ、ちょーいとこのご主人さまとお話をば」

「そう?…うん、わかりました、じゃあお先に失礼しますね、提督、漣」

会釈をして、どこか笑いを堪えたような様子で歩き。

比叡は屋上を出て行った。

残されたのは、僕と漣。

重そうな扉がしっかりと閉まる音がしてから、漣は溜息と共に言葉を吐いた。



「……まだ、気にしてますか」

「…………してる」

「……私が比叡様のご両親にあの医者の件を報告したこと、怒ってますか」

「…それは…仕方なかった、と思う」

「……仕方ない…ですか」

「……………そうするのが一番良かったんだよね」

「…そういう顔、してないですよ」

「……ごめん」

「………ご主人さまは、優しすぎます」

「そんなこと、ないよ」

「…だってさ、あの子を思い出して、居て欲しかったって思うことは」

――つまり、今の比叡が居なくても良かったって、そう思ってるってことじゃないか。

視線をまた空に向けて、そう言った。

「……………それ、は…難しい問題ですから」

漣は珍しく言葉に詰まった様子で、僕の背中に言葉を投げた。

空は、変わらず透き通るように青かった。



「……ごめん」

「……ご主人さま」

「…色々、悩んでるんだよ、ずっと」

「…………」

「……答えは、出ないけどね」

「………辛かったら、もっと頼って下さい」

「ありがとう」

できるだけ明るい声で言って、だけども首を振る。

今は、いらない、って。

「…………メイド、ちょっと悔しいです」

「どうしたのさ」

「…ご主人さまが辛そうなのに、何もできないです」

「……いいんだよ、それで」

きっと、何をされたってこの気持ちは晴れない。

積もった雲を晴らすのは、いつだって時間の流れだ。

だから、待つだけしか出来ないのだ。

この気持ちが薄れて行くのを。

「………あの」

「…うん」

「……私も、先に失礼します」

「…うん、ありがとう」

振り向いて、漣へ軽く頭を下げる。

それを彼女は複雑そうな顔で受け取った。

そして、そそくさと屋上を出て行った。

「………何も出来なくて、ごめんなさい」

去り際に、そんな言葉を残して。



「……大袈裟だなぁ」

十分助かってるのに。

って言っても、きっと納得しないだろうけど。

「はぁ」

屋上、ベンチに転がるように倒れる。

仰向けに寝転がった先には、やっぱり高い高い空が見えた。

「……比叡」

呼んだ名前は、どっちのものだったのだろうか。

その呟きと一緒に、頬に一筋、液体が垂れた。

「………ごめんね…ごめんね、比叡」

「僕は、…君を……っ…!」

一度堰を切った水は、とめどなく溢れる。

「ひぐっ…うぅ…ごめんね、比叡ぃ……」

泣いても、喚いても。

彼女は二度と帰ってこない。

だけど、せめて僕は君のことを覚えているから、忘れないから。

「いちゃいけないなんて、そんな事ないよ…!」

「君は、君は…他の誰でもない、比叡だよ…」

だから、あんな事を言わないで。

いちゃいけないなんて、自分が誰かなんて言わないで。

言えなかった、もう届くこともない言葉。

それは何に遮られる事もなく、空へと昇っていった。




【おわり】

良く考えたら比叡が戻ってきてもハッピーエンドにならないじゃないか
って事実に漣その2あたりで気付いた
次スレ立ててくる

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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419608018/)

とりあえずご飯食べてくる
そろそろ思いつかなくなってきたのでこのスレの残りで次回埋めネタ候補募集します
ネタ書いてくれた中から3つ抜いて多数決するよ、別にヒロイン名前と周回だけでもいいけどね
ご飯食べ終わったらセルフ埋めタイムするので、それまでよろしくお願いします

色々ありがとうございます
てなわけで埋めます

全然関係ないけどグリエル弟が微妙に楽しみ
外国人枠の問題もあるがどうなるやら

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