【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★21【安価】 (1000)

・艦娘×提督の学園もの
・全然艦隊とか関係ありません
・エロ、グロといった描写があるかもしれません
・なんかドロっとしているかもしれません

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前スレ

【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの【安価】
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【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★20【安価】
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ヒロインまとめ(○はエンド艦娘、次回登場は不可、○付いてない子は出せます)


【1周目】

電(幼馴染)         
浜風(娘)          
あきつ(後輩)         
足柄(先輩)          
○青葉(同士)   



【2周目】

大和(管理人)       
○不知火(親友)      
飛鷹(教師)        
五十鈴(転校生)       
北上(同居人)       


【3周目】

雷(クラスメイト)       
球磨(スラッガー)      
間宮(バイト先の店長)   
○那珂(超人気アイドル) 
阿武隈(義妹)        


【4周目】

陽炎(幼馴染)        
川内(学生であり怪盗)  
卯月(妹分)         
榛名(後輩)         
○暁(妹)           


【5周目】


初春(宇宙人)
叢雲(↑のライバル)
長門(ながもん)
響(帰国子女)
山城(元カノ)

BAD。


【6周目】


千代田(義妹)
吹雪(親友)
赤城(大食いチャンピオン)
由良(後輩)
古鷹(フライフェイスとオッドアイの演劇の天才)

BAD。


【7周目】


比叡(記憶喪失・幼馴染)
○漣(家政婦)
明石(近所のお姉さん)
大井(クラスメイト)
レ級(クラスメイト)

【8周目】

○明石(義姉)
鈴谷(同居人)
文月(姉)
熊野(財閥令嬢・崩壊寸前)
白露(クラスメイト・電波)


【9周目】

○潮(従妹)
村雨(幼馴染)
鳳翔(先生)
朧(後輩)
武蔵(応援団長)


【10周目】

深雪(親友)
曙(従妹)
大鯨(母)
翔鶴(弟の彼女)
瑞鶴(弟の彼女)

BAD。


【11周目】

伊58(未亡人)
隼鷹(お嬢な同級生)
○初風(面白い同級生)
蒼龍(担任)
ビスマルク(留学生なお姫さま)


【12周目】

阿賀野(いつもニコニコガチサイコストーカー)
○瑞鳳(いじめられっこ)
龍驤(陰陽師)
睦月(おなちゅー)
翔鶴(従妹で居候な部活の後輩)


【13周目】

舞風(殺し屋)
○羽黒(許嫁)
雷(幼馴染)
霧島(生徒会員)
荒潮(未来からやってきた娘)


【14周目】

飛龍(家庭教師)    
磯風(幼馴染)    
卯月(お隣さん)    
大鳳(新人体育教師)    
○浜風(昼はクラスメイト/夜は…) 


【15周目】

霞(鬼教官)
雪風(幼馴染)
○島風(従姉妹)
弥生(クラスメイト)
加賀(部活の先輩)

【16周目】

摩耶(年上の同級生)
満潮(弟離れ出来ないダダ甘姉さん)
曙(脳天気でだらしない優しい妹)
○鬼怒(脳筋中学生)
山城(やたら尽くす幼馴染)

【17周目】


黒潮(ほんわかさん)
敷波(恩人)
大鯨(提督に片思いしている先輩)
衣笠(相棒)
○吹雪(凡人)


【18周目】


阿武隈(幼馴染)
伊58(幼馴染)
磯波(幼馴染)
摩耶(幼馴染)
○野分(親友)


【19周目】


大和(学園王)
○陽炎(転校生/ぱんつ)
金剛(帰国子女)
天津風(幼馴染)
雲龍(義姉)


【20周目】


秋月(貧乏高校生)
○如月(お母さん)
三日月(就職難のアラサーフリーター)
陸奥(姉)
龍田(ショタ食い先生)


【21周目】


蒼龍(水泳部)
○山雲(料理部)
白雪(幼馴染)
ビスマルク(ずっとも)
春雨(後輩)


【22周目】


天津風(従姉妹)
秋月(クラスメイト)
神通(天才)
イムヤ(幼馴染)
磯風(クラスメイト)


いまここ。

※単発IDの選択肢安価取得を制限してます、お手数ですが何でもいいので書き込みをしてから取得してください
※キャラ・コンマに関しては何でも構いません

>>+1-5

A.欲と幸、というお話(14・浜風)


彼が選んだのは、心ではなく欲。
つまり、目の前の自らを満たすためだけの選択。
ああ、そんな物が長続きなどするものか。
「……だから、まあ、鈴谷さんの目は間違ってた、ってかねぇ」
「…浜風ちゃん?」
「はい?」
「浜風ちゃんは、今、幸せ?」
「ええ――」
蠱惑的な笑みは、恐ろしいまでに彼女に似合う。
漂う香りは、容易く男の理性を崩させる。
少女はいつしか、その殻を脱ぎ捨てて。
もう、一人前の女になっていた。
「幸せ、ですよ」
「…そか、そんなら、何も言うこたないさ」
探しだして、拾い上げて。
女はどこまでも、幸福だった。


B.罪と罪、というお話。(1・浜風)


「お父さんっ♥お父さんっ♥」
間違ったのか。
間違ったのだ。
眼前、俺に跨って腰を振る娘。
血の繋がった、実の娘。
言い訳など出来ない。
俺は、間違ったのだ。
「…今日も…いっぱい、出ましたね、お父さん…」
「ふふ、…だいすき、です…」
間違って。
それで、満足したんだ。


C.何も無く、平和な日常、というお話。(自由・AFTER)


全周ヒロインより一人選択でどうぞ。


D.ぽんこつ加賀さん、というお話。(15・加賀)


諦めない、そう決めた。
空回っても、空振っても。
それでも、最後まで諦めないって。
「……提督くんが、好きよ」
「…ずっと、好きだったの」
やっと言えた想い。
届いて下さいと伝えた想い。
けれど彼は、静かに首を横に振ったのだった。

BorD 直下

秋月から再開
飯食いながらだからタイピング遅いかも

埋めネタならおkで
ストーリー中は無し、過去スレ見るとね…(遠い目)



秋月「先生」

提督「…ん、おお、秋月か、持ってきたのか?」

こくりと頷き、差し出した用紙。

そこには今度こそ、しっかり文系と書かれていた。

提督「文系か」

秋月「はい、…そっちの方が、得意です」

提督「…うん、確かにな、良い選択だと思うよ」

さて、何にせよこれで一つ肩の荷が下りた。

学年主任のプレッシャーからも逃れられる。

そんな気持ちが口を軽くしたのか。

提督「…しかし…なんだってそんなに就職にこだわるんだ?」

秋月「……それは…」

つい、言わなくていい事を聞いてしまう。

提督「あ、いや…勿論、答えづらかったら、それでいいが」

秋月「…いえ、別に隠すようなことでもありません」

秋月「ただ、うちは…凄く貧乏なので」

提督「……そうなのか?」

秋月「…はい、妹もいて…だから、秋月がどうしても家にお金を入れないといけないんです」

提督「……なるほど」

聞いてみれば、結構単純な理由だった。

うんと一拍置いて、続ける。

提督「なら、奨学金とかはどうだ?」

秋月「…それにしても、借金ですし…卒業後に返せるとは…」

提督「いやいや、返済不要の物だってあるし、学費免除みたいな制度だって利用できるぞ」

そういう問題となれば、それはそれで話は早い。

教師としては、結構お手の物である。

だが、秋月は首を縦には振らなかった。

秋月「…いえ、…妹達を、高校に通わせてあげたいので」

秋月「だから、働いて、お金を入れたいんです」

提督「…ふむ」

真っ直ぐな視線。

どうやら決意は固そうだ。

うーん――


>>+2


A.…秋月の問題だしな。

B.…秋月自身はどうしたいんだ?

C.…まあ、方法を探せるだけ色々探してみよう。

B.…秋月自身はどうしたいんだ?(*1.5)


提督「…秋月自身は」

秋月「え?」

提督「秋月自身は、どうしたいんだ?」

秋月「……」

提督「それで、良いのか?」

秋月「………」

言ってから、こりゃあんまりにも不躾な質問だったと気付く。

深入りしないとか必要以上に関わらないとかこの前は言ってたのに、気づくとこれである。

提督「…悪い、嫌なことを聞いた」

秋月「……いえ」

秋月「…ありがとうございます、先生」

提督「……ん?」

秋月「…いえ、秋月の事を考えてくださっているのですね」

提督「まあ、それが仕事だからな」

秋月「…それでも、嬉しいです…では」

提督「ああ、秋月」

秋月「はい?」

提督「使えそうなもの、こっちで調べとくから」

提督「…我慢は、あんまりすんなよ?」

秋月「……ありがとうございます」



秋月→  122/500



【8月2週】


イムヤ「………ぐぬぬぅ」

提督「…………」アイスペロー

イムヤ「…………はわぁ」プシュー

提督「…………」アイスペロー

イムヤ「………お兄ちゃん、わかんないよぉ!」

提督「………一問前もそう言ってたよな、お前」



磯風      133/500
神通      *78/500
イムヤ     *97/500
天津風    250/500
秋月      122/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

すまん 30分程外す


提督「今回は―そうだな、古代文明のロマンについて語ってやろう!」

神通「はいっ」

夏休み補修。

因みにこれと言って意味は無い。

俺が好きな話をして、神通がそれを聞いているだけだ。

でもまあ楽しいのでよしとする。

提督「それでだな――」

神通「……♪」

神通も楽しそうだし、うむうむ、まあ良かろう。

と、ひと通り話し終わって。

提督「……しかし、神通」

神通「何でしょうか、先生」

提督「何だって、こんな授業に毎度毎度参加してくれるんだ?」

そりゃ、俺は好きなコト語って楽しいけど。

神通が受けるメリットなんて、本当にあるのだろうか。

この前は面白いとか言ってくれたけど――

神通「……ふふ、あの…ですね」

提督「うん」

神通「…え、えっと…せ、先生の授業、だから…じゃ、ダメですか…?」

提督「………へ?」

…俺の授業、だから。

というのは――


>>+2


A.やっぱりわかる奴にはわかるんだな、俺の授業の素晴らしさ。

B.…じ、神通、冗談やめろって。

C.冗談でもそういうのはやめてくれ、神通。

A.やっぱりわかる奴にはわかるんだな、俺の授業の素晴らしさ。(*1.0)


提督「…つまり…その、神通、それって…」

神通「…は、はいっ」

何か覚悟でもしたかのように、神通がつばを飲む。

そして、何故か目まで瞑って俺の言葉を待っていた。

提督「やっぱりわかる奴にはわかるんだな、俺の授業の素晴らしさ!」

神通「…………え?」

提督「いやー、俺もな、ただ歴史を学んだって絶対面白くねぇって思ってたんだよ!」

提督「でも、それが教育課程で決められてるから、やりたいこと出来ないし…」

提督「そうそう、俺はこういう授業をしたかったんだよなぁ、はっはっは!」

神通「……くすっ、もう…まあ、いいです」

提督「ん、どうした、なんか言ったか?」

神通「いいえ」

首を振る。

長い髪が、合わせて揺れた。

神通「先生が楽しそうなので、つい、笑ってしまいました」

提督「…そ、そうか…う、うむ…少しはしゃぎすぎたかな…」

神通「ふふっ、素敵でしたよ?」

提督「誂うな、神通」

ちょっと調子に乗りすぎたかと、反省。

…しかし…楽しいなぁ、補修は。



神通→  *93/500



【8月3週】


磯風「………驚いた」

提督「ん?」

磯風「…夏休みもここにいるんだな」

提督「俺も驚いたよ、夏休みもここに来るのかって」

磯風「何でだろうな、いるような気がしたんだ」

提督「驚いてたろ?」

磯風「ふふ、本当に勘が当たるとは思わなかったからな」

提督「…ふーん」

磯風「…運命、だったりして」

提督「偶然だろ」

磯風「…先生は冷たい、そんなんじゃモテないぞ?」

提督「うるさい、仕事が恋人なんだよ、ほら、コーヒー」




磯風      133/500
神通      *93/500
イムヤ     *97/500
天津風    250/500
秋月      122/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



磯風「……ふむ」

提督「どうした、砂糖が少ないか?」

磯風「いや…というか、私をなんだと思っているんだ」

提督「いつも砂糖入れ忘れる娘」

んん、と声にならない苦笑を磯風が浮かべる。

大体その通りなので反論できないらしい。

磯風「…先生は酷い」

提督「優しくしていると思うんだけどな」

磯風「…ふん、一度自分の胸に手を当ててみるといいさ」

一気にグラスを傾ける。

こくこく、と小気味いい音がして、中身は磯風の喉を通り過ぎていった。

その空になったグラスを、乱暴に机に置く。

磯風「おかわり、だ」

提督「荒れてるな」

磯風「先生のせいだぞ」

これ見よがしに唇をとがらせる。

なんだかそんな仕草が微笑ましくて、ついつい笑みを漏らしてしまう。

磯風「…ほら、そうやって笑う」

提督「悪い、悪い」

磯風「……先生なんてキライだ」

提督「む」

そっぽを向いて、そんな事を言う。

けれど、ひっきりなしに此方をちらちらと窺っている。

…やっぱり子供じゃないか。


>>+2


A.俺は好きだけどな?

B.俺もそんな事をいう子は嫌いだ。

C.…悪かった、機嫌直してくれよ、お姫様。

A.俺は好きだけどな?(*1.5)


提督「俺は好きだけどな?」

磯風「なっ――!」

向こうを見ていた顔が、弾かれたように此方へ。

浮かべているのは、驚愕に染まった表情。

磯風「な、なっ、何を言い出すんだ!」

提督「うん、いや、磯風に嫌われてたら悲しいなーって」

磯風「…い、いや…」

右手を長い髪に潜らせる。

そのまま、指に絡めてくるくると。

磯風の、困ったときの癖。

磯風「…じょ、冗談に、決まっているだろう…」

提督「そうなのか?」

磯風「…わ、わかっているくせに…!」

非難の瞳が俺を見る。

そいつにやっぱり微笑で応えてやると、諦めたように彼女は溜息を吐いた。

磯風「……もういい、やっぱりキライだ、嘘じゃないぞ、今度は」

提督「…悪かったってば」

磯風「…た、ただ…先生の…さっきの言葉は…その、冗談なのか…本当、なのか…」

提督「ん?何だ?」

磯風「な、なんでもない!なんでもないぞ!ほ、ほら、おかわりと言ったじゃないか!」

俺の言葉の後、ボソボソと何か呟いた磯風の声は、扇風機の音にかき消されて。

何を言っていたのかは…結局、最後まで教えてくれなかった。



磯風→  238/500



【磯風―その1】


「……ふん」

先生なんてキライだ。

全然私の気持ちにも気付いてくれないし。

いつもいつもからかってくるし。

背伸びしても取り合ってくれないし。

教室では冷たいし。

神通と楽しそうに補修してるし。

コーヒー入れるの上手いし。

「……困った、もう貶める箇所がない」

「………むぅ」

「…やっぱり、スキだ」

「………………」

……凄く恥ずかしくなった。



【8月4週】


イムヤ「ふふん!」ドヤッ

宿題の山<オワッテルデ

提督「おお…」

イムヤ「凄いでしょ、お兄ちゃん!」

提督「…ああ、頑張ったんだな」

イムヤ「ふふん!」ドヤッ

天津風「あ、イムヤ…貴女、宿題写し終わったらちゃんと部屋に戻しといてって…あ、あなた!?」

提督「………おい、今聞き捨てならんことが」

イムヤ「…ふ、ふふん!」ドヤッ

提督「よーしイムヤちゃん、先生とお話しようかー」

イムヤ「わー!だめー!やめてー!ごめんなさいー!」ズルズル



磯風      238/500
神通      *93/500
イムヤ     *97/500
天津風    250/500
秋月      122/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

ここまで、眠くなった、ありがとうございました
磯風は持ってる、イベは基本全部やってるから
文章は多分その日のテンションで結構違う気がする
喧嘩しないでくだち

天津風コミュから
皆結構酷くないですかね


夏休み、それもじきに終わる。

今日はそのクライマックスを彩るが如く、我らが町きっての夏祭り。

――なのだが。

提督「行けよ」

天津風「いいじゃない、別に」

提督「誘われてたじゃないか」

天津風「…いいのよ、別に」

…何だこの子今更あの人に影響受けたのか。

しかし、なんとも不審である。

夏祭りに行かないで家のリビングでテレビを見る女子高生など。

天津風はこういうイベントが好きなはずなのに。

現に、俺に一緒に行こうと誘ってきたし。

提督「…花火、見たいんじゃなかったのか」

天津風「家でも見られるわ」

提督「遠いぞ」

天津風「…知ってるわよ」

ぷい、不機嫌そうに顔を背ける。

困ったものだ、自分から行かないと言い出したのに機嫌を損ねるとは。

お姫様の意図がどうしても見えず、頭を抱えた。



提督「……とりあえず花火は見るのか?」

天津風「…ええ、見たいわ」

提督「…なら、2階行くか」

そろそろ打ち上げ開始の時間だろう―と、テレビの電源を落とす。

提督「先行ってろ、飲み物くらいは持ってくよ」

天津風「…ええ」

彼女が先にリビングを出て行くのを確認して。

冷蔵庫からビールと天津風用のジュースを取り出し、階段に向かった。

2階のベランダがある部屋に辿り着けば、体育座りで彼女が外を眺めていた。

提督「なぁ、なんでそんなに機嫌悪いんだよ」

天津風「…悪くない」

提督「うそこけ、絶対怒ってる」

ジュースをコップに注いで、目の前に置く。

だけど、一瞬目を落としただけで、それを掴みはしなかった。

天津風「……だって」

提督「…なんだよ」

天津風「…あなたと一緒に見たかったのに、来てくれなかったもん」

花火が、鳴った。

なのに天津風は花火じゃなくて、俺を見ていた。

真っ直ぐに、射抜くように。


>>+2


A.……友達と行けよ、子供だな。

B.…悪かった。

C.そりゃ、行けるなら俺だって行くけどさ。

B.…悪かった。(*1.0)


提督「…悪かった」

天津風「………」

重い視線に刺され、その圧力に屈するが如く頭を垂れる。

提督「…でもな、俺とお前が一緒に行ったら」

天津風「…わかってるわよ」

提督「……ならいい」

顔を外へ向ける。

彼女の背中越しに、花火が見えた。

そうだ、俺と天津風は、色んな関係の前にまず、生徒であって教師なのだ。

天津風「…それでも、あなたと見たかったの」

提督「…………」

だから、その言葉は聞こえないふりをした。

そうしなければ、ならないのだから。



天津風→  262/500

好感度ミスです



【9月1週】


提督「皆おはよう!今日から新学期だが――」

新学期初のHR。

皆の顔に覇気が見えないのは気のせいではないだろう。

神通「………♪」

…まあ、約一名。

なぜか嬉しそうな天才もいるが。



磯風      238/500
神通      *93/500
イムヤ     *97/500
天津風    254/500
秋月      122/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



提督「イームーヤー!」

イムヤ「痛い痛い痛いよぅ!」

放課後、自宅。

イムヤちゃん(15)の折檻を行う成人男性、俺。

勿論変態的な意味じゃあない。

ひとえにこのイムヤちゃんの心根を矯正させるためだ。

提督「書き直せと言ったろうが!」

イムヤ「…ごめんなさい」

提督「…はぁ…俺だって、ホントは言いたくないの」

問題は、つまり夏休みの課題である。

イムヤが最初に提出してきた課題は天津風のコピー、と知ってしまったので、書き直しなさいと言い含めておいたのだが…。

世界史の課題は、驚きの天津風コピーそのまま。

そこでイムヤの他の教科の担当にちょっと見せてくれと頼んだ所。

言わずもがな、ほぼ全てが一致していた。

せめてバレないようにやってくれれば、何も言わないですむというのに…。

昔から、本当に要領の悪いやつだ。

提督「…あのな、イムヤ」

イムヤ「…はい」

提督「宿題ってのはな、ちゃんとやることで意味があるように出来てるの」

イムヤ「…はい」

提督「…勿論、お前があんま出来ないってのも知ってるぞ?」

提督「だったら出来ないなりにさ、空白混じりでも埋めてくれれば、俺はそれで良いんだ」

提督「そしたら、わからない所を、ちゃんとお前に教えてやれる」

イムヤ「…はい」

提督「………」

はい、と言うだけでこれは多分わかってないなこいつ。

怒られてる人間特有の、早く終わって欲しいと思いながら相槌を打つ態勢に入ってる。

……ああ、どうすっかね――


>>+2


A.…はい、説教終わり。なんか甘いモノでも食うか。

B.もっと叱り続ける。わかってくれよイムヤ。

C.…まあ、そういう事ならもういいか。

A.…はい、説教終わり。なんか甘いモノでも食うか。(*1.5)


提督「……まあ、うん、そんな訳で」

提督「…説教終わり、なんか甘いモノでも食うか」

イムヤ「ほんとに!?」

提督「変わり身はええな、おい」

イムヤ「あ…え、えへへ」

提督「いーよ、とにかく次は気を付けろ、な?」

イムヤ「うん!ありがとね、お兄ちゃん!」

提督「…はぁ」

…ああ。

昔からいつもこうだ。

この幼馴染には、ついつい甘くなってしまう。

多分もっとしっかり怒ってやった方がこいつのためなのに。

イムヤ「ふーふふーん♪」

……でもなぁ。

この笑顔は、あんま崩したく無い、よな。



イムヤ→  153/500

またミスってる


【9月2週】


提督「……ふむ」

「…あら、提督先生、調べ物ですか?」

提督「ああ…鳳翔先生、ええ、少し」

「……奨学金?」

提督「はい」

「利用する生徒がいるのですか?」

提督「ええ、…なるべくこう、返済不要だとかそんなやつを」

「秋月さん…ですか?」

提督「え?」

「ふふ、勘です」

提督「…女の勘、凄いっすね」

「うふふ、…そういうことなら、私の方でも少し調べておきますよ」

提督「いいんですか?」

「はい、生徒の悩みは、先生皆の悩みですからね」

提督「…ありがとうございます」



磯風      238/500
神通      *93/500
イムヤ     157/500
天津風    254/500
秋月      122/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

コンマは自分で取るもの
人もいなそうだし寝ます

1週間前に買った豚肉を焼けば食える理論で夕飯にしたら未だかつて無い感覚に襲われました(唐突な自分語り)
秋月コミュから



提督「秋月」

秋月「あ、先生…どうしました?」

提督「うん、今、ちょっといいか?」

秋月「大丈夫ですけど…」

提督「そうか、良かった」

小脇に抱えた封筒を、秋月の机に置く。

困惑顔で、彼女はそれを見た。

秋月「……?何でしょうか、これ、随分厚いですけど…」

提督「ああ、調べられる範囲で、秋月に合ってるかなって思った奨学金の書類だよ」

秋月「……え!?こ、この中身、全部、ですか?」

提督「おう」

狼狽、といえるまで驚いた秋月。

封筒を手に取って、その重さにもう一度目を開く。

秋月「……こ、こんなに…」

提督「いや、おせっかいかとも思ったんだけどな」

提督「良かったら、家で読んでくれよ、ほら、親御さんと一緒に」

秋月「……先生…」

どうしてここまで、と。

いかにも申し訳無さそうな表情を浮かべる。

提督「こら、そんな顔すんな」

秋月「……でも…」

提督「…あのな、俺、教師の仕事ってさ、選択肢を広げてあげる事だと思うんだよ」

秋月「選択肢…?」

提督「そう、こっちからあれしろこれしろっつーんじゃなくて、こういうことも出来るって示してあげる、勉強でも運動でもさ、その為に教えてるんだ」

提督「…ってまぁ、実はこれ、俺の高校の時の担任の受け売りなんだがな」

提督「……んで、…俺みたいなんはまだまだひよっこだけどさ、それでも秋月の選択肢、少しでもいいから広げられたらなって」

提督「勿論、家のために就職するってのは良いことだと思うよ、でも、秋月はそればっかりに拘ってたから…気になったんだ」

秋月「…………」

一気に語ってから、呆けた顔で俺を眺める秋月に気付く。

…しまった、いらん事を言い過ぎて引かれたかもしれん。

ど、どうするか――


>>+2


A.あ、あはは…悪い、変な事言った。

B.…ま、まぁ…そういうわけで、何かあったらこれからいつでも相談してくれ。

C.…………急に恥ずかしくなったぞ。

B.…ま、まぁ…そういうわけで、何かあったらこれからいつでも相談してくれ。(*1.5)


提督「…ま、まぁ…そういうわけで、な」

恥ずかしさを誤魔化すように、踵を返す。

何語っちゃってんだろう、俺。

提督「また何かあったら、これからいつでも相談してくれよ、秋月」

そのまま教室から出て行こうとして、あの、と呼び止める声。

提督「ん?って、おおっ!?」

立ち止まれば、秋月がその隙に俺の目の前、進路を塞ぐように回りこんできた。

秋月「…申し訳ありませんでした」

そして、慇懃に礼。

しかも、下げた頭を上げようとしない。

提督「あ、秋月?……な、何がだ?」

秋月「秋月は、最初、先生のお話を聞こうともしませんでした」

提督「あ、ああ…いや、そりゃしゃーないよ、秋月にだって事情があったんだし」

…というかそれを言えば俺だって途中投げ出す気マンマンだったし。

秋月「…しっかり、考えさせて頂きます」

秋月「秋月自身の答え、ちゃんと出します」

提督「…あ、ああ」

秋月「…それから」

そこで、やっと彼女は頭を上げて。

心の底からの笑顔で、言ったのだ。

秋月「ありがとう、ございましたっ!」



秋月→  167/500

下味…そういうのもあるのか


【9月3週】


―なんだろう。

秋月「あの、先生」

―最近、やたらと。

秋月「あ、先生、おはようございますっ!」

―秋月が。

秋月「先生!少し質問があるのですが…!」

―話しかけてくる。

秋月「先生っ!」

磯風「…………」

神通「…………」

そして約二名程、非常につまらなそうな顔をしている。

……俺が悪いのか?



磯風      238/500
神通      *93/500
イムヤ     157/500
天津風    254/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



天津風「…………」

従姉妹な同居人が一人。

とっても不機嫌そうにリビングに鎮座しておられる。

理由は勿論俺である。

まあ正直頼まれた家事を忘れていたというつまらんことではあるのだが…。

…いや、つまらんことなんて言っちゃあいけないか、忘れた俺が悪いのだから。

しかし、それでもここまで怒る程のものじゃあないとは思う。

それになんだか、最近はいつも不機嫌に見える。

提督「なあ、天津風」

天津風「……何よ」

提督「…機嫌、直してくれよ」

天津風「…怒ってない」

提督「……流石に無理があるぞ」

天津風「……だって、…あなたが悪いんじゃない」

提督「…そりゃ、そうだけど」

天津風「いつもいつも忘れるでしょ!」

提督「あ、ああ…うん、悪いとは思ってる」

天津風「だったら忘れないでよ!」

提督「天津風、どうしたんだよ、落ち着けって」

天津風「うるさいっ!どっか行ってよ、もうっ!」

あっちへいけと、ソファーの上で暴れる天津風。

…確かに俺が悪いが、ここまでキレることじゃない、よな。

一体、どうしたんだろうか。



>>+2


A.とりあえず放置しかないか。

B.なあ、本当にどうしたんだ。根気強く話しかける。

C.…なんか面倒臭いなぁ、知らん。

B.なあ、本当にどうしたんだ。根気強く話しかける。(*1.5)


提督「なあ、本当にどうしたんだ、天津風」

天津風「うるさいってば!」

提督「おい、少しは――」

ソファーに座る彼女の前まで歩く。

その時、不意に腰の辺りへ衝撃。

見れば、天津風が体ごと巻き付くように手を回していた。

提督「……あ、天津風?」

天津風「……うるさい」

……なぜいきなり。

…この子が読めない。

提督「…何か、嫌なことでもあったのか?」

天津風「……違うわよ」

提督「……正直に言ってくれよ、なぁ」

天津風「…何もないもん」

提督「………」

……………。

本当に、一体何なのだろうか。

それからしばらく、彼女は手を離してくれなかった。

そして、理由も話してくれなかった。

…同居人の乱心に、俺は困惑する他なかったのだった。


天津風→  287/500



【9月4週】


提督「……年頃の女の子って難しいよなぁ」

磯風「……はぁ?」

提督「…何考えてるか全然わからん」

磯風「ま、まぁ…そうかもしれないけど、な」

磯風「…ただね先生、一応私もその年頃の女の子なのだが…」

提督「……ほんと、難しいよなぁ」

磯風「………」

提督「……冗談だって」

磯風「……先生なんかキライだ…」



磯風      238/500
神通      *93/500
イムヤ     157/500
天津風    287/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



磯風「…ふーんふふー…♪」

珈琲の香りに混じる、お茶菓子の甘い匂い。

そして磯風の鼻歌、なぜかクラシック。

今日の社会科準備室は、ちょっとした喫茶店のような雰囲気を醸し出していた。

夏休み前以来久々に淹れたホットコーヒーは、なんと磯風の手による物。

機嫌が良いのは、勿論この珈琲がちゃんと飲める、どころか結構美味しくできていたからである。

磯風「どうだ、先生、私だってやれば出来るだろう」

ふふん、と胸を張る。

そしてその上機嫌のままコーヒーカップを一気に傾けて、熱さに舌を出した。

……締まらん奴だ。

提督「……まあ、うん、見直した」

磯風「そうだろうそうだろう、うんうん」

提督「…しかし、いつからこんなに上達したんだ」

正直、最初は絶対に飲まないと覚悟を決めていたくらいだ。

そのくらい、以前のこいつが出してくるものはただの泥水だった。

磯風「調べたんだ」

提督「調べたのか」

磯風「うん、頑張ったんだ」

提督「…そこまでしなくても」

磯風「だって…その、先生に、美味しいって、言って、欲しかったんだ」

提督「は?」

磯風「…………」

短く区切りながら言った言葉。

聞き間違えでもしたかと磯風を見れば、彼女は既に顔を背けた後。

……うーむ――


>>+2


A.…そうか、ありがとな。

B.…その労力を他に使えよ。

C.……聞き間違いだろうな、うん。

A.…そうか、ありがとな。(*1.5)


提督「…そうか」

誂ってやろうか、とか。

無視してやろうか、とか。

そんな事を一瞬考えたけれど。

提督「ありがとな」

磯風「……ん、んん、まあ、うん」

折角のこいつの気持ちを蔑ろにすることは、どうしても出来なくて。

多分、教師としては間違っていると知っていて。

磯風の長い黒髪に、右手を潜らせた。

磯風「………っ、な、先生」

提督「……うん、よく頑張った」

磯風「…こ、子供扱いは…やめてくれ」

提督「いいじゃないか、たまには」

磯風「…い、いつもだ、いつもしてるくせに」

提督「……磯風の気持ちが、嬉しかったんだよ」

磯風「…………卑怯だ、そんな言い方」

提督「大人は卑怯なもんだ」

磯風「…………むぅ」

提督「お前の髪、サラサラだな」

磯風「…セクハラ教師」

提督「わかってる、やめるってば」

磯風「……もうちょっと」

提督「ん?」

磯風「…もうちょっと、だけ」

提督「……ああ」

磯風の気持ち。

それは、無視すると決めた筈、なのに。



磯風→  365/500



【磯風―その2】


「……」

髪に手を潜らせる。

そのまま、くるくると巻き付けるように。

姉妹から言われたが、どうやらこれは私の癖らしい。

なにか困ったりすると、ついやってしまうそうだ。

つまり今、私は困っていた。

「……初めて、だな」

先生から私に触れてくれたのは、初めてだった。

それは勿論教師と生徒という間柄、そんな事が頻繁に起きていてはむしろダメだろうから当たり前だ。

なのに、もっと触れて欲しいと思った。

もっと触れられていたいと思った。

「…私は、本気で」

きっと、抱いてはいけない気持ち。

それは今更、どうやっても捨てられない気持ちだった。



【10月1週】


提督「………鳳翔先生」

「はい?」

提督「例えば、なんですけど」

「はい」

提督「こう、生徒の頭撫でたり、とかします?」

「…………したいんですか?」

提督「い、いえ!…あはは、参考までに…」

「…まあ…何の参考になるかは知りませんけど」

「間違いなく、この年頃の子たちだと嫌がると思いますよ?」

「少なくとも私は、…異性どころか、同性に髪の毛を触れられるのも結構嫌でしたし…」

提督「……ですよねぇ」

「…ですよねぇ、って…何が言いたいんですか?」

提督「…いえ、参考までに…」

「………?」


磯風      365/500
神通      *93/500
イムヤ     157/500
天津風    287/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

これハーレム出来るんじゃね先生
寝ます

天津風から
ハーレムとか書ける気せーへん



天津風「……はい、…それで、これが提出分のプリントです」

提督「うん、ありがとう」

天津風から差し出されたプリントを受け取る。

それはどこかぎこちない動作。

彼女が、必要以上に俺から距離を取ろうとして出来た物だ。

その理由は、今俺達がいる場所、職員室。

流石に此処であなた、とか言われた日には溜まったもんじゃない。

お兄ちゃんと言い出すどっかの幼馴染もいた気がするけど忘れた。

天津風「それじゃあ…えと、その…先生」

提督「ん、授業、がんばれよ」

事務的な会話をしてプリントを受け取る。

ただこれだけの作業なのに、えらく疲れた気がした。

こういう時に思わず求めてしまう物は、珈琲。

この時も例に漏れず、窓際に備え付けられた機器へと足を向けた。

「…提督先生」

提督「あ、鳳翔先生も飲みますか?」

「…いえ、お構いなく」

その俺の後へと続くように立ち上がったのは、鳳翔先生。

珈琲を注ぐ横へ、難しい顔をして並んだ。

提督「…あの?」

「……天津風ちゃんと、仲がよろしいのですか?」

提督「へ?」

目を見る。

冗談で言っているようには見えない。

提督「…い、いえ…どうして、ですか?」

「……彼女の、先生を見る目ですよ」

提督「目?」

綺麗な栗色をしていたか、などと思う。

それはどうにも違うようで、鳳翔先生は神妙な調子で言った。



「…早い話、…先生の事が好きなのではないでしょうか、ということです」

提督「…へ、へぇっ!?い、いや、んなこと…あぢいっ!?」

「だ、大丈夫ですか!?」

提督「あ、あはは…の、ノープロブレムです…で、……えと」

俺、超動揺。

思わず注ぎたての珈琲を手にぶっかけた。

大丈夫、とジェスチャーを送って、話の続きを促す。

「…まあ、…私も教師の端くれ、それに一応は女ですから…そういった勘、といいますか」

提督「…か、勘ですか…」

しかし残念ながらその勘は全く持って外れていらっしゃいますよ鳳翔先生。

鳳翔先生をもってしても、同居と言う結論には辿り着かなかったようだ、セーフ。

「……もし、ですけど」

提督「は、はい」

「…天津風ちゃんが本当に先生が好き、って言ったら…先生はどうするつもりなんですか?」

提督「あ、あはは…ありえませんて」

「もし、ですよ」

そう言って浮かべた鳳翔さんの笑顔は、有無を言わせぬ色を持っていた。

…ふむ、多分、天津風のことだけじゃないな。

これから万が一、誰かにそういう気持ちをぶつけられるようなことがあったらどうするか、という質問も含められている気がする。

俺は――


>>+2


A.教師と生徒、ですから。

B.あ、あはは…受けられるわけ無いじゃないですか…。

C.安心して下さい、受けませんよ、絶対に。

B.あ、あはは…受けられるわけ無いじゃないですか…。(*1.0)


提督「…あ、あはは…受けられるわけ無いじゃないですか…」

「…ですよね」

「もし考える、なんて言われたら…」

提督「……い、言ったらどうなってたんですか」

「…さあ?」

提督「……ひいっ!?」

笑顔が怖い。

俺は今日、生きてて初めてその感覚を味わった。

まあ、そんなわけで。

勿論の事、窓の向こうを走り去っていく影の存在には、欠片も勘付きやしなかったのだ。



天津風→  384/500



【天津風―その2】


『……訳無いじゃないですか…』

………わかってた。

わかってたのに。

あの人は自分の好意を受け入れられない立場だって、わかってたのに。

側で過ごす理由に、この学校を選んだら。

絶対に受け入れてくれないって、わかってたのに。

…どうして。

……どうして。

「……こんなに、悲しいの…」

胃の上くらいが、締め付けられるみたいに痛くて。

必死に涙を堪えた顔は、きっと見られたものじゃない。

……わかってたのに。

またミスっておるぞい


【10月2週】


提督「…秋だな」

磯風「そうだな」

提督「なんだ、風情の無い事を言うな」

磯風「…この場合、どう返したら風情ある返しなんだい?」

提督「……時候の挨拶…」

磯風「秋麗の候、先生におきましては如何お過ごしですか――」

提督「…冗談が通じない奴め」

磯風「…いや、冗談なんだが…」



磯風      365/500
神通      *93/500
イムヤ     157/500
天津風    383/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

どれ選んでもそこまで起こることは変わらなかったです


提督「イムヤぁぁぁぁぁぁ!」

イムヤ「わ、も、もう、くすぐったいってばぁ、お兄ちゃん」

俺はイムヤを抱き締めていた。

もう潰れるくらいの勢いで。

…勿論家の中でだよ。学校と違うよ。

まあ、その理由というのも単純明快。

提督「お前がこんなに勉強を頑張ってくれるなんてなぁ…」

イムヤ「…う、うん…が、頑張ったよ…」

イムヤ(………天津風のヤマカンが当たっただけって言いづらいよぅ…)

今回の中間考査において、イムヤは世界史のテストで93点を取ったのだ。

今までの結果を知っている俺としては、間違いなく感涙ものなのである。

提督「…良かった、ほんとに良かった」

イムヤ「……大袈裟だよー、お兄ちゃん」

提督「あはは、悪い悪い、嬉しくてなぁ」

イムヤ「…そっかぁ」

採点中は信じられないワッツハップンオーマイゴッドとそれはもう色んなリアクションを取ったものだ。

周りの先生方から酷く不審な眼で見られたことは言うまでもない。

イムヤ「ね、ねぇ、お兄ちゃん、あのね」

提督「……ん?」

くいくいと俺の袖を引っ張るイムヤ。

なんとも控え目で愛くるしい。

イムヤ「…い、イムヤ…ご褒美…欲しいな?」

提督「…え?…うーん、ご褒美か…」

イムヤ「だ、ダメ?」

…ふむ。

イムヤはこんなに頑張った。

ならば…そのくらいしたっていいんじゃないだろうか。

うん、完璧な帰結だな。

提督「…ああ――」


>>+2


A.そうだな、今度、一緒に買いに行こう。

B.ほら、お金。

C.何が欲しい?買える範囲でな。

C.何が欲しい?買える範囲でな。(*1.0)


提督「何が欲しい?ただ、買える範囲でな」

それなりに給金の蓄えはある、とて。

そうホイホイと高い物は買えない。

それはイムヤの為でもある。

イムヤ「…うんとね、…服、欲しい」

提督「服か」

…ふむ。

近年女子、中でもこの年頃の子の服は高騰気味であると聞く。

いや、それに関しては昔からずっとなのかもしれないが。

なんにせよ、あまり高い物を買い与える訳にはいかん。

提督「だけど、ご褒美とか言っといてなんだが…その、指が3本も4本も折れるようなものは…」

イムヤ「う、ううん!そんなんじゃなくて、お、お兄ちゃんに選んで欲しいの!」

提督「…俺に?」

イムヤ「…う、うん」

……一緒に買物に行けということだろうか。

これから先、それなりに時間は取れるが…。

提督「服飾センスは期待しない方がいいぞ、昔、買い物に行って別れたことがある」

イムヤ「……う、うん…大丈夫」

後半の話には反応してくれなかった。

実話なのに。

…まあいい。

提督「…わかった、都合がいい日を教えてくれ」

イムヤ「ぁ…うんっ、ありがとう、お兄ちゃん!」

こうして。

俺はパソコンを開いて「ファッション 流行 女子高生」と打ち込むことになったのだった。



イムヤ→  256/500

あ、ホンマ…まあ200丁度なら良かった


【イムヤ―その1】


彼は自分にとってどんな存在ですか、と言われたら。

多分、お兄ちゃん、としか答えられないと思う。

…でも、確かに言えることが何個かある。

遠方に行ってて会えなかった時は、凄く寂しかったって事と。

また会えた時は、凄く嬉しかったって事。

「……ふふん♪」

そして、買い物に一緒に行くのが凄く楽しみだって事。

「どんな服着て行こうかなぁ…」

…服を買いに行くのに、着ていく服で迷う。

いっそ、これもお兄ちゃんが選んでくれればいいのになぁ。



【10月3週】


提督「…神通」

神通「は、はい…?」

提督「お前は面白く無いな」

神通「……え……せ、先生…?」

提督「…テスト、全部満点だ、面白く無い」

神通「あ、ああ…そういう…ですか」ホッ

提督「…?」

神通「な、何でもないですからっ」



磯風      365/500
神通      *93/500
イムヤ     200/500
天津風    383/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



天才、神通には実は弱点がある。

それを知った時、俺は大層驚いた。

…と言うのは嘘で。

そりゃそうだ、と思っただけなんだけどね。

神通「……ど、どこか、行きましたか…?」

提督「うんうん、大丈夫大丈夫、包んで捨てたよ」

神通「包…?」

提督「あ、このティッシュの中に」

神通「きゃぁぁっ!?」

提督「……冗談だから、ごめん」

神通「…も、もう…冗談は、選んで下さい…」

まあ、平たく言うと。

いわゆる一般家庭でよく見られる真っ黒いカサカサしたり飛んで行ったりするやつ。

あれがどうにもダメらしい。

提督「まあ、神通も女の子だしなぁ」

神通「…今までなんだと思ってたんですか…?」

提督「そりゃ、女の子だと思ってたよ」

神通「…そうは、見えないです…」

唇をこれでもかと尖らせる神通。

なんだか歳相応のその仕草が、やけに可愛らしい。

提督「…ところで」

神通「…は、はい…あ、授業の続きですか」

提督「いや…その」

腰の辺りを指さす。

彼女はゆっくりとその指の先、下へと視線を移す。

つまり、俺にぴったりと密着、というかもう抱き着いてむぎゅーしてる状態の自分の身体へと。

神通「……わ、わぁ、わぁぁっ!?」

さっきまで虫に見せていた態度もかくや、というまでの様子で、弾かれたように神通が身体を剥がす。

提督「……ま、まぁ…俺はいいけど…その」

神通「…ご、ごめんなさい、先生!」

提督「いや…むしろ神通が嫌じゃなかったのかなって」

神通「え、…い、いえ…そんな事は……ない、です」

提督「…そ、そうなのか?」

……気を遣われてしまったか。

…なんだか弱みにつけこんでいる様な状況でバツが悪い。


>>+2

A.…じゃ、じゃあ…もうちょっとくっついとく?…なーんて…。

B.…授業、続けようか。

C.…と、とにかく…こんなことは二度とないようにするよ。

A.…じゃ、じゃあ…もうちょっとくっついとく?…なーんて…。(*1.5)


提督「…じゃ、じゃあ…もうちょっとくっついとく?」

神通「……え…?」

提督「は、ははは…なんて…」

神通「…………」

くいっ。

服の裾を引っ張られる感覚。

提督「……なんて…」

神通「…………」

先程のように、強く抱きしめられているわけではない。

接触も、ただ指の先と服の裾。

提督「………」

神通「………」

だけど、なんだかさっきよりも掛かる重みは増したような。

そんな、不思議な感じだった。

……どんだけ照れてるんだよ、大人だろ俺。



神通→  118/500



【10月4週】


提督「秋月ー」

秋月「はい、先生、何か御用ですか?」

提督「いや、用ってほどでもないが」

秋月「と、おっしゃいますと…」

提督「この前の書類、どうなったかなって」

秋月「あ…えっと、…考えてます、ずっと」

提督「そっか、そんならいい」

秋月「わ、忘れたりしてませんからね!」

提督「うん、なら安心だ」



磯風      365/500
神通      117/500
イムヤ     200/500
天津風    383/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

寝ます
また明日

始める
あまっちゃんから



提督「なあ、天津風」

天津風「…………」

提督「…はぁ、最近おかしいぞ、お前」

天津風「……うるさい」

最近、天津風とあまり会話が成立しない。

というか、いつ話しても怒っている。

以前からずっと…いや、以前よりも酷くなった気がする。

提督「…天津風」

天津風「うるさ――」

がしっ、と。

声を掛けて振り向いた天津風の頭を、上から掴んでやる。

天津風「な、なにするのよ!?」

提督「あんまりそういう事ばっかしてっと、俺も怒るぞ、天津風」

天津風「……怒るって…」

提督「そんな態度ずっと取られたら、俺だって不快になる」

天津風「………っ」

提督「…天津風、理由があるんだろ?」

天津風「………ないわよ」

提督「……話してみろよ、話くらいなら、俺にも聞けるんだからさ」

天津風「…………」

その言葉に、何故か俺を睨む。

……ヤバイな、これマジで嫌われてるとかじゃないのか。

どうすりゃいいもんか―と思案していると、不意に天津風の瞳から、涙が溢れた。



提督「……へ?」

天津風「……って…だって、…だって、私」

提督「お、おい…が、学校で辛い事があったのか?な、なぁ?」

いじめというやつだろうか。

気付け無かったのは全く持って俺の無能のせいだが、今すぐにでも対策をというか犯人ぶち殺す――

天津風「…違うもん…そんなじゃ、ない」

提督「じゃあ…」

天津風「好きなの……!」

必死に。

彼女は、そう叫んだ。

俺の目を見て。

溢れる涙を、拭うこともなく。

提督「……え?」

天津風「あなたが、好き…なの…すごく、すごく、好きなの」

提督「……あ、あはは、ああ、俺も好きだよ、天津風」

天津風「違うわ…!そういう、好きじゃ、ない…」

提督「……」

そういう―どういう?

家族として、じゃない。

教師として、でもない。

だったら、残るのは。



天津風「あなたの、側にいたいの…!」

天津風「あなたの、一番、側に…!」

提督「…天津風、落ち着け、俺達は」

天津風「……知ってる」

俯いた。

まるでそう返ってくると、知っていたように。

天津風「…知ってたから、…ずっと、言わなかった、言えなかった」

天津風「…あなたは、絶対に応えてくれないから」

天津風「……だから…」

提督「………ああ…俺達は…」

天津風「…………っ!」

俺の肩に、震える手を置いた。

端正な顔が、目の前に映る。

彼女はぼろぼろと涙を流しながらも、尚真っ直ぐに此方を見ていた。

天津風「………そんな、そんな事、聞きたいんじゃないっ…」

提督「…そんな事、って」

天津風「教師とか、生徒とか、そんな…そんなことじゃないの!」

天津風「応えてくれなくてもいい、でも、せめて、答えてよ!」

天津風「…あなたは…あなたは、私の事、どう思ってるの…?」

最後は、すっかり弱々しく。

天津風は、そこまで言ってもう一度俯いた。

涙が落ちて、俺の服に小さな水玉模様を作った。



>>+1-5


A.……好き、だ。

B.………天津風、落ち着け。

C.…………無理だ。

A.……好き、だ。(*1.5 401)


小さな時から知っている、ちょっと生意気な従姉妹。

今まではそのくらいにしか思ってなくて。

これからもそのくらいにしか思わないだろう、と。

そう思っていたはずなのに。

俺は、この子のことが。

天津風のことが。

提督「……好き、だ」

天津風「…………ぁ…」

提督「……俺も…好き、だよ」

天津風「………じゃ、じゃあ!」

提督「…でもな、その気持ちには、応えられない」

天津風「……………っ」

天津風が顔を上げて。

すぐに、また下げた。

天津風「……やっぱり、…聞くんじゃ、なかったわ…」

提督「……そうだな、…俺も、聞かなきゃよかった」

肩に置かれた天津風の手を、丁寧に外す。

知ってしまった以上、これは止めなければならない。

提督「………天津風」

天津風「………」

提督「…今日のことは、忘れよう」

天津風「…………」

返事は無く。

だけど、微かに彼女は首を振った。



天津風→  499/500

多数決の時の好感度の上昇値ってどこから取ってるん?



【天津風―その3】


通わなくても。

応えてくれなくても。

それでも、彼は答えてくれた。

それでいい。

それなら、いい。

きっと、前よりは良いから。

ただ想ってた、あの時よりはずっと。

「……うん」

涙は乾いた。

前を向こう。

考えてみればいい。

何もしないのは、嫌だから。

>>368 Aを選んだ人の中央値、今回は 62 72 89 96だから、80.5の切り捨てで80*1.5=120上昇、の、499止まり


【10月4週】


提督「…………」

「先生?」

提督「…鳳翔先生ですか」

「…やつれてません、なんか?」

提督「そう、見えますか」

「……はい」

提督「…色々ありました」

「…?」



磯風      365/500
神通      117/500
イムヤ     200/500
天津風    499/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

早いけどここまで

神通から



提督「それでな―その、英国の繁栄は…」

神通「……………」

提督「…1870年代には既に……あー…1860年だったか…?」

神通「……先生、どうかしましたか?」

提督「……や、少し…体調が、悪いのかもしれない」

身が入らない。

授業にしても、何にしても。

理由などわかりきっている。

天津風の事だ。

情けない―ということもわかっている。

恋煩いで頭を悩ませていいのは、せめて10代までだろう。

……俺は本当に、情けない。

忘れる事も、いっそ踏み込んでしまうことも出来ない。

神通「………先生?」

提督「あ…いや、…この原因はつまり…その、英国がそれまで工業製品を輸出していた…」

神通「…無理は、なさらないでください」

提督「……すまない」

神通「…謝らないで下さい、この補修は、元々先生の仕事じゃなかったんですから…」

だから、私が悪いのだ―とでも言いたげに、神通が目を伏せる。

情けなさが、一層増したような気分になった。

生徒に気を遣われるなど―例え相手が神通程の才女であろうとも―あってはならぬだろうに。

提督「………暫く、補修は無しでいいか?」

神通「……先生が…そう、言うのなら」

提督「…すまない」

彼女は何か言いたげな感情を瞳に籠めて、それを降ろした。

どこか、悲しそうな仕草だった。

神通「………あの」

提督「…ん?」

控え目な声。

神通「…何か、ありましたよね?」

提督「…………」

話しては、くれないでしょうか――

瞳は、そう語っていた。


直下


A.何も無いよ。

B.話せない。

C.…振られたのさ。

C.…振られたのさ。(*1.5 201)


提督「…振られたのさ」

神通「…………そう、ですか」

提督「……驚かないのか?」

神通「…いえ…なんとなく、そんな気が、していました」

提督「……そんな、気…?」

神通「…敏いんです、こう見えても…色んな、事」

提督「…そうか、見抜かれてたとは…敵わないな」

神通「先生の、ことですから」

提督「……そう、か」

何と返して良いのかわからず、曖昧に頷く。

神通は、いつもの微笑を浮かべていた。

神通「……先生」

提督「…ん」

神通「それは、……生徒相手だったんですか?」

提督「…馬鹿、冗談でもそんな事を言うな」

提督「………大学の時の、知り合いだよ」

神通「……」

嘘の上に、もう一度嘘を塗り固める。

やはり自分は、教師などに向いていないのであろう。

此方を射抜く神通の視線からは、目を逸らした。



神通→  201/500



【神通―その1】


強い感情に、心が揺れる。

そんな瞬間は、私の至福。

それは、昔から何でも出来た弊害でしょうか。

自分の心が揺さぶられることなど、殆ど無かったからでしょうか。

「………だから、先生」

貴方を好きになって。

見つめているだけでも、幸せで。

ずっと、ずっと見ていたから。

貴方が見つめている先に、誰かがいるという事にもすぐに気付きました。

その時芽生えたのは、きっと憎悪。

憎んで、恨んで、妬んで、嫉んで。

誰かにここまでの悪意を向けるなど、初めての経験でした。

心地良い経験でした。

風に舞う木の葉のように、心が揺られました。

恋慕に焦がれ、憎悪に浸り。

ああ、こんなに強い感情は、味わったことがありません。

「……ふふっ…」

恋慕に恍惚し。

憎悪に陶酔し。

心が揺れる度に、私は幸せになります。

先生――

貴方の、おかげです。



【11月1週】


提督「…………」

磯風「………美味しくなかったか?」

提督「……い、いや…その」

磯風「…すまないな、先生ほどには、どうしても」

提督「違う、美味しいと思ってる」

磯風「……だったら、そんな顔をしないで欲しい」

提督「………」

磯風「此処の所、おかしいぞ、先生」

提督「……気のせいだろう」

磯風「はぁ…まあ、そういうことでも構いやしないよ、私はな」



磯風      365/500
神通      201/500
イムヤ     200/500
天津風    499/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ




イムヤ「~♪」

提督「………ぐぅ…」

約束の買い物。

それ自体は、結構楽しかった。

まるでイムヤの着せ替えをしているみたいで。

次々に色んな服を試着して来るので、一々感想を考えるのは大変だったが。

素材の良さもあってか、飽きることはなかった。

そんなテンションのせいか、良いと思ったものを俺は片っ端から買ってしまった。

行く先々の店全てでそれをやったもんだから。

提督「……重い」

イムヤ「あはは、いっぱい買ってくれたもんねー」

そりゃ荷物持ちが辛くなるのも、また必然か。

一つ一つは軽い荷物のはずだけれど、ここまで積み重なると指に掛かる負荷が半端無かった。

提督「ちょっと休むか」

イムヤ「うん、そうしましょうか」

提督「……はぁ」

どかっと、フードコートの椅子に腰を降ろす。

デートで飯を食う場所ではないと大学の時の先輩が言っていたが…まあ、デートじゃないしな。

イムヤ「焼きそば買ってくるね、お兄ちゃんの分も!」

イムヤにしても、家の近くのデパートだから勝手は知ったるもの。

雰囲気などは何も考えず、いつも決まって頼んでいるソース味でベタベタの焼きそばを注文にいった。

変わらんなぁ、昔から。

………。

これまでずっとのしかかってた重い物が、降ろされたような感触。

今日の買い物の荷物のことじゃない。

心に乗っていた、天津風の事だ。

イムヤと一緒に、いるからだろうか。

彼女の明るさのおかげだろうか。

どうしようもないと思っていた心の重さは、大分マシになっていた。

イムヤ「はいっ!マヨネーズ勝手に掛けといたよ!」

提督「…えぇ…」

イムヤ「嫌いだったっけ?」

提督「んにゃ、何か気分的に」

イムヤ「何よー、それー」

ぶーと頬を膨らませて、イムヤが焼きそばに箸を入れる。

最初の一口から早速、唇の周りをソース色に染めていた。

……高校1年生には見えない、やはり。



イムヤ「………ねぇ、お兄ちゃん」

提督「ん?」

その食事の最中。

半分ほど焼きそばを平らげて、口の周りの焦げ茶色を濃くしていたイムヤが、急に神妙そうな様子になって口を開いた。

イムヤ「最近、天津風ちゃんとなにかあったの?」

提督「……なんでさ」

イムヤ「えっと…最近、二人が…仲、悪そうに見えたの」

提督「………」

言われてみれば。

家にいても、天津風とは殆ど話をしていない。

イムヤの前でも、余りその態度は変わらない。

そりゃ、不審にも思うか。

提督「……かもなぁ、あいつも難しい年頃だから」

提督「お前や天津風みたいな歳だと、急に誰かのことを嫌いになったりするもんだ」

イムヤ「そんなこと、無いと思うけど…」

提督「よくある事だって」

イムヤ「ううん、それじゃなくて…天津風ちゃんが、お兄ちゃんの事を嫌いになるなんて、きっと無いよ?」

提督「………」

無邪気で、真剣な眼。

今の俺には、辛かった。

イムヤ「だから、大丈夫だと思うけどなぁ…お兄ちゃんがきっと嫌な事したから、怒ってるだけだと思う」

提督「……お、俺のせいなのな」

イムヤ「お兄ちゃんだもん」

あはは、と笑みを浮かべる。

俺は上手く笑い返せているだろうか、わからない。

イムヤ「でもね、もし天津風ちゃんが真剣に怒ってたら、私が…」

提督「…………」

まだ話を続ける気のようだ。

…………。

……。


>>+2


A.その話はもういい。

B.…そうだな、その時は頼むよ。

C.イムヤがいるから、別に放っといてもいい。

A.その話はもういい。(*0.5)



提督「…やめろ」

イムヤ「……え?」

それを聞きたくなくて。

制止しようとしたら、思ったよりも強い口調になってしまった。

提督「あ、ああいや…その話はもういい、天津風は此処にはいないんだし…」

イムヤ「…そう…だね、ごめんなさい」

慌てて取り繕うも、イムヤはしゅんと頭を下げる。

ああ、何やってんだ本当に、俺は。

提督「ちょっと強い語気になったな、俺の方こそごめん」

イムヤ「ううん、気にしてないよ?」

提督「そっか、そんなら良かった」

提督「…そうだ、ソフトクリームでも買ってくるよ、イムヤ」

イムヤ「……うん、ありがと、お兄ちゃん」

少し降ろせた物が戻ってきて。

また重くなった。

そんな気がした。



イムヤ→  246/500



【11月2週】


―買い物中の回想―


提督「………」ガクガク

イムヤ「…ど、どう…かな?」

提督「凄く似合ってるぞイムヤ!」

イムヤ「え、えへへ…」

提督「これも買いだな!」

イムヤ「……え?でも、カゴもう一杯だよ…」

提督「もう一つカゴを持ってくればいいんだよ!」

イムヤ「………う、うん…そうだね…」


―この後11月1週コミュ冒頭に至る―



磯風      365/500
神通      201/500
イムヤ     246/500
天津風    499/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

ここまで
コンマはもうばんばん連投していいよ、深夜とか特に人いないし
システムとかガバガバだし気分でやってる部分の方が多いからあんまり気にしないで

ろーちゃん可愛すぎやろ…ろーちゃん可愛すぎやろ……(ショルイポチー
イベント俄然やる気、といっても今日はもうちょっと情報待つけどね
天津風から



天津風「あなた!」

提督「あ、ああ…天津風?」

今日も今日とて会話の無い自宅。

なんとなく寂しさを覚えながらも、仕方ないことだとどこか割りきって。

普段は飲まない発泡酒などに手を伸ばしていた時のことだった。

足音荒くずかずかと、リビングに天津風が入ってきたのは。

天津風「お酒?」

提督「…まあ…うん、それで、何だ?」

天津風「そうよ、あなた!簡単なことだったのよ!」

提督「………?」

やけに声が大きい。

主語のない言葉に首を傾げていると、天津風は指をビシッと指して言った。

天津風「卒業するまで待てばいいの!」

提督「…………」

…………。

……待て、とは。

…ふむ、なんとなく言いたいことはわかった。

俺とてそれを考えなかったわけではないからな。

提督「却下だ、天津風」

天津風「どうして!?」

これでもかと食いかかってくる。

どうも、本人的には完璧な案だったようだ。

……それが上手くいくなら一番良いけどさ、そりゃ。



提督「…まずひとつ、お前が思ってるより3年は長いぞ」

提督「その間に、多分心が浮つくんじゃないか?」

天津風だって、年頃の女の子。

そんな窮屈な恋でいつまでも満足できるとは、限らない。

天津風「そんなことないわ!私は、あなたが好きだもん!」

提督「……ありがとな、で、2つ目」

提督「俺達はそれをするには、距離が近すぎる」

天津風「…近すぎる、って」

提督「一緒に住んでんだぞ?…それで、好きな子が目の前に居て……何もしないって保証は、できん」

非常に情けないことだが。

これは本当に確約できない。

今でこそなんとか割り切っているものの…。

それに、一度手を出してしまったら、後はきっとそのまま――だ。

だから、この案は考えてすぐに消した。

天津風「……………」

彼女は、何も言わずに唇を咬んでいる。

………。


>>+2


A.…………だけど…それでも、お前と。

B.……まあ、そういうことだよ。

C.…………諦めろ。

A.…………だけど…それでも、お前と。(500)



提督「……だけど」

提督「………頭ではそういうことわかっててもさ」

天津風を、諦められない。

目の前にいるこの子を、諦めることが出来ない。

提督「……なあ、天津風」

天津風「…うん、あなた」

提督「…本当に、待ってくれるか?」

天津風「…ええ、待つわ」

提督「……我慢できないかもしれない」

天津風「その時は、蹴っ飛ばすわよ!」

提督「……そりゃ…完璧だな、おい」

天津風「ふふ、そうでしょう?」

天津風「…でも、そうね」

提督「………?」

不意に天津風が大きくなって。

提督「……っ!?」

柔らかい物が触れて。

また、小さくなった。

天津風「このくらいは…許してあげるわ」

提督「……」

天津風「……言っとくけど、あなたからしてきたら怒るからね」

提督「……はい」

天津風「学校でも、普通にしなさいよ!」

提督「…勿論」

…………我慢。

………出来るのだろうか。



天津風→  500/500



【11月2週】


提督「…………」

磯風「…先生」

提督「うん?」

磯風「…いや、清々しい顔になった、と思ってな」

提督「そう…かもな、多分そうだ」

磯風「……相談は、してくれなかったんだな」

提督「生徒に心配なんて、掛けるもんじゃない」

磯風「…そうか」

磯風「……そうだな」



磯風      365/500
神通      201/500
イムヤ     246/500
天津風    500/500
秋月      167/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

そうか、そう来たか

やっぱり普通に終わるのかと
神通か磯風混ぜたかった

今回は期待したんだけどねー
アニメ見てからキャラ安価で、0:30~です

それならろーちゃんを取りなさいって
始めますって

一人目ですって>>+4

舞風(クラスメイト)

二人目>>+4

大井改ニ(同じ塾)

三人目>>+4

陸奥(先生)

四人目>>+4

千歳(お隣のお姉さん)
ラスト直下


舞風(クラスメイト)
大井改ニ(同じ塾)
陸奥(先生)
千歳(お隣のお姉さん)
清霜(幼馴染)

そろそろ幼馴染が勝ってもいいと思う

ちょっと安価、あんまり意味はないんだけど埋めネタ関係
直下 初風or天津風or野分or弥生の一人

了解、弥生で
今日はここまでです、ありがとうございました

もういっこ
直下 開始時期は?
春(4月) 夏(9月) 冬(1月)

はい
今度こそ最後です



【エピローグ】


――卒業式。

今日で高校生活を終える生徒達は、色んな表情を浮かべている。

中でも目立つのは、寂寥という色だろうか。

毎年の事だ。

長年過ごした友達や学校、そこから離れていくことは、やはり皆寂しいのだ。

そして、それを見送る俺達だって例外じゃない。

…去年の卒業式は大変だったなぁ。

神通からは告白されるし。

磯風は大泣きするし。

…ああ、でも、秋月がしっかり進学してくれたのは嬉しかった。

俺も少しは、生徒の役に立てたみたいで。



「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」

思考を遮ったのは、いつもよりも心なしかきちっとした制服に包まれた幼馴染の声。

「……イムヤ、おめでとう」

「うん、ありがとっ!」

幼さは、昔よりもちょっと失われて。

ほんの少しだけ、大人になった。

「…イムヤが、大学生かぁ」

「……うん」

「…試験、頑張ったな」

「………お兄ちゃんの、おかげだよ」

「……んなことない、イムヤが自分で頑張らなきゃ、この結果にはならんかったさ」

えらいえらい、と。

頭に手を置こうとして、その手を途中で止める。

いつまで俺は、この子を子供扱いしているんだ。



「イムヤ」

「うん」

「……大きくなったな」

「…えへへ」

来年からイムヤは、横須賀から遠く離れて呉の大学へ行く。

もう、こうして顔を見ることも少なくなるだろう。

「…よしっ」

「どうしたの?」

「卒業ついでに、今日で俺は、お前のお兄ちゃんを卒業しよう」

「えぇっ!?」

目を開いて、イムヤが俺を見る。

「お前も、そろそろ大人だってことだ」

「…………うん」

その言葉の意味を考えていたのか、長い沈黙を挟んで。

彼女は、小さく頷いた。

俺の後ろを付いて来る、あの幼い少女はもういない。

お兄ちゃんが守ってやらなくても、自分で好きな方向へと歩いて行く。

そんな事を思うと、なんだか涙が溢れてきたのだった。



「………………」

「………………」

卒業式後、自宅。

テーブルを挟んで、天津風と向かい合う。

今日からは、もう生徒ではなくなった彼女と。

「…………長かったわね」

「…………長かったな」

約束――

卒業まで待てと、それだけの単純な約束。

それを果たす為には、非常に苦労した。

認めてしまった彼女への恋心は、まるで思春期の少年のように、意識すればする程に大きくなり。

加えて、毎日彼女が家にいるという状況。

自分でも、よくここまで耐えられたものだと思う。

「………」

「…あー…なんだ、天津風」

「……ええ」

「……今なら、撤回してもいいぞ」

「…撤回?」

何を言っているのかわからない、そんな表情を彼女が浮かべる。

その視線は、どこか非難めいた物が含まれていた。



「……ごめん、何でもないよ」

「…全く、こんなに待たせて、最初に言う事はそれなの?」

「あのね、あなた」

机の上に、身を乗り出す。

荷重に、机が小さく軋んだ。

気付けば、彼女の顔は目の前にあった。

「こういう時は、違うでしょ?」

「……そうだな」

今まで触れないようにしていたその顔に、手を伸ばす。

指先が、頬に柔らかく沈んだ。

「天津風」

「はい」

「好きだ」

まだ、年齢差だとか、親戚であるということだとか、問題が無くなったわけじゃない。

でも―気持ちが通い合っているのなら。

それだけで、今は満足だと。

頷いた天津風を見て、思った。



【天津風 HAPPYEND】

ろーちゃんの笑顔を濁らせたい
ここまでですって

翔鶴(死に別れた妻)
野分(現妻)
ろーちゃん(愛人)



【プロローグ】



「……寝てるねー」

「…放っとけばいいのよ、このまま」

つん、と額に触れる指。

煩わしくって薄目を開いてみると、意地悪そうに微笑む北上と目が合った。

―ちょっとそのまま寝てなよ、と、アイコンタクト。

また何か企んでんのかと辟易したが、けれど同時に少しその内容も気になって。

言われた通り、睡眠の姿勢を継続してみる。

「……いいの?」

「別に、いいんじゃないの」

俺からは見えない、頭の後ろから聞こえる大井の声。

それは頭の上を通り過ぎて、目の前の北上へ向けられていた。



「……へへー、ほんとにいいの?」

「…何が言いたいのかしら、北上さん」

相変わらず、意地悪そうな笑顔はそのままの北上。

繰り返す言葉に、頭の上を飛ぶ声にも、少し苛つきが混じっただろうか。

「いやー、提督放ってたら大井っち困るんじゃないかなーって」

「ど、どうして!?そんなことあるわけないじゃない!」

「えー、一緒に帰んなくていいの?」

「いいわよ!むしろ北上さんとの家路を邪魔されたくないわ!」

「そっかそっかぁ、だってさ、提督」

はい起きた起きた、とでも言わんばかりに額をぺちぺち。

なるほど、そういう意図だったのか。

「へっ?」

「………ああ、悲しいなぁ」

顔を上げて後ろを向けば、本気で驚いた様子の大井。

しばらくその状態でフリーズしていたけれど、不意に俺の肩を掴む。



「ちょ、え、い、いつから起きてたの!?」

「放っとけばいいのよ、くらいから」

「なっ…」

もう一度固まる。

なんだか、俺まで意地悪い笑顔になってしまいそうだ。

「にへ、そんじゃあね、提督」

「おう、北上」

「な、なんでアンタ帰ろうとしてるのよ」

「そりゃ、俺と帰るの嫌って言われたから」

「ね」

北上を見れば、彼女は短く頷く。

そのまま、視線を大井に向けた。

さーどうする大井っち、そんなところだろうか。

「………わかったわよ、わかったわ、付いてくればいいじゃない」

どうせ駅までだし、とそっぽを向く。

北上が、殊更楽しそうに目を細めた。


「…おやおや、大井っち、誰に言ってるのさ?」

「……北上さんっ!」

「全く、大井っちはツンデレさんだねぇ」

「デレてないですからっ!」

「だよなぁ、北上、あんま大井からかうのやめとけよー」

「……お前も相変わらずだなこのやろー…」

「…何がだ?」

「……んーにゃ、なーんでも、報われねーなー大井っちも、ってさ?」

「?」

「まーあれだ、今日は帰りにマックでも奢ってね、提督!」

「…支離滅裂だなぁ」

教室には他の影は既に無く、どうやら俺達で最後のようだった。

鞄を持って、そんな寂しい教室を出る。

その横に付いて歩くのは、大井と北上の二人組。

春から通っている、俺の学校からは少し離れたこの塾の、数少ない友人だ。



最初は本当に心細かった。

いくら良い進学塾だと言っても、学校から結構離れた場所にあるというのは。

案の定知り合いも全然いなかったし、そんな中で彼女らに出会えたのは本当に幸運だったと言えよう。

尤も、北上はともかく大井とは最初は喧嘩ばかりしていたような気もするが。

それに比べれば今は仲良くなった―と思う。少なくとも、一緒に帰ってくれるくらいには。

「………提督、置いてくわよ」

「あ、すまん、ちょっと考え事を…ん、何だ?」

くい、と大井に袖を引かれて意識が戻る。

彼女は、何か言いたげに俺を見ていて。

北上は、少し先を歩いていた。

「………さっきの」

「…さっき?」

「…本気じゃ、ありませんからね、……その、一応」

それだけ言って、いそいそと前を歩く北上の横まで小走りで。

「……うん」

やっぱり、仲良くなれたのは確かみたいだ。

そんなわけで、夏期講習の最終日は中々にいい気分だった。



「あー!提督!」

「え…ちと姉?」

「もー会いたかったー!」

大井北上とは塾近くの駅で別れ、人もまばらな電車に揺られて何駅か。

降りた後は、ホームから改札まで、昼よりもかなり勢いの減った人波に身を任せ、任せたままに駅を出て。

自宅近くの駅前の、いかにも大学近くの繁華街らしい深くも浅くも酔いを纏った若者―といっても俺よりは年上だが―の集団なんかを眺め。

ああ、俺も近くこんな風になる日が来るのかと何だか深いんだかそうでないんだかよくわからない事を考えていれば。

いきなり俺に突っ込んで来る影があった。

影がその豊満な身体を惜しげもなく押し付けるので、非常に反応に困る。

…相変わらずでけぇ。



「ちょ、って…うわ、酒臭っ」

「そういうわけでー、先輩ごめんなさい、用事を見つけたので千歳これで失礼致しますっ!」

「あの、何が」

「いーから歩くっ」

手を取って、ずんずんと俺を引いて歩いて行くちと姉。

体中から漂わせる酒臭にも関わらず、その足取りはしっかりしたもの。

あっという間に、ちと姉を呼び止めようとする軽い男の声は遠くに離れていった。

「ちと姉、どういうことさ」

「…二次会のお断りしたかったのよー」

「あー、そういう」

「そう、信じらんない!絶対そのままお持ち帰りする気だったわ、あれ」

ぷんすかとでも擬音を付けたらいい程に可愛く憤慨を見せるちと姉であったが、そこにはやはり酒で酩酊している様子など微塵も見受けられない。

果たして二次会に行ったとしても先に潰れていたのはどちらであったろうか。

齢20になったばかりであるはずのこの大学2年生様は一体どこでこの酒耐性を身につけたのだろう、などと考えても詮無きことか。


「よかったぁ、提督見つけて」

「そりゃどーも、お役に立てたなら幸いです」

「塾?」

「うん」

「そっかー、大変ねぇ」

短い問答の後、アルコールたっぷりの息を吐いて、沈黙。

既に繁華街の喧騒はすっかり抜け切って、ちと姉を未練がましく追う視線も消えたというのに、相変わらず酒精の臭いを漂わせた身体は俺に押し付けたまま。

平均的男子高校生である俺としては、普通にかなり非常に悩ましい。

いや、勿論柔らかい身体の感触を味わうのは魅力的であるが、なんだかそれはちと姉を裏切るようでどこかバツが悪いのだ。

こうまで無防備に男に身体を許してくれている程の信頼を寄せてくれている嬉しさと、それに疚しい気持ちを抱く自分への嫌悪。

このままでいてもなんとなく落ち着かないし、かといって離れてくれというのもそれはそれで嫌で。

まるで二律背反のようなこの気持ちをどう扱えばと今日の授業で使った単語を頭の中で反芻させていた時、ちと姉が突然笑い出した。


「っふふ、どう、気持ちいい?」

「………ちと姉」

それは酔払いが何かの拍子に笑い出したなんてものではなく、明らかに悪意と楽しさの混じった笑み。

つまるところ、彼女は俺に身体を押し付けて誂っていたのだと気付くのはそう難しくなかった。

「…やー、提督もお年頃じゃない?」

「……ちと姉にそんな気持ちなんか抱くかよ」

「あら、酷いなぁ」

およよと崩れ、また俺に掛かる体重が増える。

それを注意しようという気持ちよりも、役得だからこのままでいいやという気持ちが勝る辺り、先の言葉はただの強がりであるという事が容易に知れるというもの。

何を隠そう俺の初恋の相手はこのちと姉であり、中学生の時に盗んだ下着は未だに押入れの中に入っている。

あれをそういう用途に使ってしまった時の罪悪感からして、恐らくかなり本気で惚れていたのであろう。

その気持ちは今になって流石に落ち着いたが、多分まだ存在しているのだろうとは、漠然とだが思う。

何故ならってつまり他の女の子を見た時、どうしてもこの魅力的な女性と比べてしまうのだ。

活発で明るく、別け隔てのない性格。

出るところは非常に出ている身体。

そして、昔から変わらない笑顔。

時間が経とうが、見る度に胸が高鳴るのは相変わらずで、ちと姉に会った日は無条件でいい日だ。

そんな彼女が隣にいるというわけで、今だって実は心臓バクバクだったりする有様であった。



「ふふふー」

「……なんだよ」

「いーや、なーんでも」

「…酔ってんの?」

「素面でーす」

その言葉の勢いでもって身体を離し、腕に寄りかかった態勢から抜け出して一歩前に出た。

柔らかな感触が突然の消失を見せた寂しさからか、それとももっと別の感情か、俺は思わず離れていくちと姉に手を伸ばしてしまう。

その手が彼女の肩を掴んで、振り返った顔が悪戯好きの童女の様相を呈していたところで、やっと俺も気づいた。

俺はまたまた誂われてしまったのだ、と。



昨日はいい日で、迎える本日はいよいよ以って始業式。

2年生の2学期、都合高校生活の折り返し地点の開始ということになる。

けれどまあ、そんな日だからって別に何か特別に変わった様子を見せるでもない。

と、朝、家の前に立っていた幼馴染を見て思った。

「おっはよー、提督っ!」

「おはよ、清霜」

この清霜、快活元気を絵に描いたような幼馴染だが、高校二年生を名乗るにしては些か身長その他諸々が足りない。

けれど、そんな小さい身体をぴょこぴょこと伸ばし、手を挙げて挨拶をする姿はなんとも可愛らしい。

同級生に抱く印象としてはどうかとも思うが、紛れも無い事実である。

「うんうん」

「…なんで撫でてるの?」

「なんとなく」

「……?まぁいいけど…」

疑問符を浮かべながらも結局は俺の手の下に収まってくれる辺り、やはり清霜である。

このまま欲望に任せひたすらに頭を撫で回そうとするも、しかしそれは横から伸ばされた手によって払われた。



「こーら、お兄」

「ちよ、いたのか」

「さっき来たの、いこーよ」

ちよ―同じく、俺の隣家に住む幼馴染で、ちと姉の妹。

清霜との違いは右隣か左隣か、そして1歳下であるということと、1歳下であるはずなのにちと姉譲りの身体は既に素晴らしい第二次性徴を終えつつあるということである。

……本当に清霜よりも一つ下なのだろうか。

「清霜もー、ほらー」

「…いっつも思ってるんだけど、なんで千代田ちゃんは清霜だけは呼び捨てなの?」

「なんでだろ、あんまお姉って感じしないもん、お兄は背高くていかにもお兄、って感じだけど、清霜は妹みたい」

ちよの中のお兄の定義というものについて問いただしたい気持ちは多少ながらあったが、それよりも気になったのは不機嫌さを表した清霜。

「むーっ、清霜だってこれから背高くなるんだから!」

いかにも不満そうな膨れっ面で突っかかる彼女は、悲しいかな、ちよに手で頭を押さえられてしまい、それ以上何も出来ないでいた。

そして多分もう背は伸びないぞと俺の胸中に帰来した言葉は、流石に可哀想なのでそのまま引っ込めておいた。

「清霜はちっさいままでいいよー」

「こ、このー!歳下のくせにー!」

「こらこら、学校行くぞー」

そう言って歩き出せば、ちよははーいと元気よく、渋々ながらと言った様子で清霜も諦めて後ろに付く。

「……おっきく…なれるもん…ちと姉みたいになるもん…」と彼女が通学中ずっと呟いていた言葉。

それにはおそらく何も返してやらないのが、ここでの正答であり優しさであったことは、自明の理というものであろう。



「おっはよーごーざー……まぁいっかー…」

「眠そうだなぁ」

途中清霜とちよの第二次大戦が勃発するというトラブルもあったものの、ちゃんと時間内に学校に到着し。

昇降口で二人と別れたことに少しだけ寂しさを覚えたが、それも席に座った瞬間に立ち消えた。

隣の席でぐったりと寝そべるクラスメイト―舞風に気を抜かれたおかげであった。

「…夏休み時間が抜けないかもー」

「かも、じゃなくてどう見ても抜けてないな」

「だよねー、ぐぅ…何すんのー」

その無防備な頬をぺちぺち叩いてやると、少しは目を覚ましてくれたらしい。

一先ずは起き上がってくれた。

ショートカットの金髪に所々寝癖が見えていたりして、なんともなんともな状態ではあったけれど。



「むむー……よしっ、今日も一日、頑張んないとねっ!」

「お、その意気その意気」

「というわけで、改めておはよう、そして久しぶり、提督!」

「おはよ、久しぶりだな、休み前以来か?」

「だねー、会わなかった、ま、部活忙しかったから」

「ああ…戦艦道部…だっけ?何してたんだ?」

「普通に戦艦道だけど?」

「……そ、そうか」

普通に戦艦道ってなんだろう。

それで通じるのかな、皆に。

世の中は俺が夏期講習に行っている間に随分進歩してしまったものだ。


「あ、そだそだ!あのね、その部活の合宿で海行ったんだけどさ」

「おう、海…まあ、戦艦道だもんな」

海に行くこともあるだろう。

何しているのかは依然全くもって不明だが、まあ戦艦というくらいだから海にも行くのだろう。

「それでさー、へへー」

「んん?」

やたら勿体つけてはにかんだ笑みなんかを浮かべる舞風。

一体どうしたというのだろうか。

「なんと、私舞風、ナンパされてしまいましたー」

「おお」

心なしかドヤ顔。

訂正。物凄いドヤ顔。

それにつられて思わず拍手などをしてしまった。

「それで?」

「…え?いや、それだけだけど?」

「………え、何、ひと夏の経験で大人になった舞風さんの恋愛話とかしてくれないの?」

「はっはー、ないない、あるわけなーい、そういう提督こそどうなのさ?」

「俺?」

「うんうん、ほら、塾に仲良い子がいるって言ってたじゃん?」

「………ふっ」

「おー、その表情は」

「何もない」

「…だよねぇー」

その後も、こんな身どころか枝も無いような会話を、担任の先生が来るまで続けていたのであった。



「……提督くん?」

「はい、むっちゃん先生」

「…その呼び方はやめてちょうだい」

「申し訳ありません」

むっちゃん先生―もとい、陸奥先生が溜息を吐く。

陰が浮かんだ顔も綺麗だ。…俺、もしかして年上が趣味なのだろうか。

「それでね」

「はい」

「ううん、別に大したことじゃないんだけど…えっとぅ…その、ね?」

「はい」

「……またちょっと手伝ってくれない…かしら?」

「……はい」

非常に言いづらそうに絞り出した言葉はつまり、クラス委員の俺に仕事を手伝ってほしいということ。

勿論、普通はクラス委員にそんな役割はあてがわれていない。

けれど、このむっちゃん先生、うっかり者なのか慌て者なのか―普段の様子からは到底予想できないけれど、そんな人物で。

重要な書類をピンポイントで無くしてしまったり、何故かその日に提出する筈の書類だけが机の中で破れていたりと、良く先生方に怒られていて。

故に、普段使わない教室の掃除などを罰として押し付けられる事が多いらしい。

1学期、その重労働であまりに疲れていた様子だった陸奥先生を手伝いましょうかなどと言ったのが始まりで。

その頃から、先生には頼れるヘルパー、言い換えれば体の良い雑用係として頼りにされてしまっている。

「…ごめんなさいね、いつも」

「いえいえ、先生も大変でしょうから」

…と、言いつつも。

なんだかんだ、この先生と過ごす時間を役得に感じている辺り、俺も俺である。

正直、最初の申し出の下心の有無を問われれば答えに窮するところであり。

要するに、俺はこの雑用を嫌がってなどいないのであった。





【プロローグ 終】

そんな感じ、ですって
今回からコミュ対象を下1~3で並べてもらってコンマが一番高かった子にしようと思う
下5までのコンマ埋まるのちょい最近は厳し目な感じあるから、深夜にいつも連投してもらうのもなんか悪いし
単発規制すれば同じ子三人は並ばんでしょ、多分
おやすみなさい

そういえば今回からはキャラコンマも単発禁止か

見返すと随分尻切れトンボなプロローグだった
途中で集中力が切れたのがなんとなく窺えてしまう
そんじゃ23周目始めます

>>608
あ、はい、そうなります
単発、もう外そうかなとも思ったんですけども、如月の時みたいになるとどうしてもモチベが下がってしまうので、ご容赦下さい



【9月1週】



清霜「……うぷっ…」

提督「なんだなんだ、朝から景気の悪い顔して」

清霜「……牛乳、飲み過ぎたぁ…」

提督「……」

清霜「…でも、これで…大きく…けぷぅ」

提督「……とりあえず、腹を下さんくらいには止めとけな」

提督(それから、そもそも努力の方向性を…いや、やめておこう、これ以上は)



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   **0/500
大井   **0/500
陸奥   **0/500
千歳   **0/500
清霜   **0/500



提督「ほぅ」

舞風「なんだい、爺さん」

提督「や、えらくカラフルな弁当じゃないか、婆さん」

舞風「婆さん言うなっ」

提督「お前が振ってきたんだろが」

舞風「そこんところの乙女心を読み取らなきゃ、だよ」

提督「オトメゴコロ…難解だなぁ」

少なくとも俺には死ぬまで理解できそうにない。

まあこいつの乙女心など、精神分析学者でも解析出来そうにないが。

提督「で、弁当だよ、弁当」

舞風「あ、うん、そだったね」

提督「いつもはもうちょい彩り抑え気味だろ?」

なんでも部活の朝練の為に早く起きるので、舞風の弁当は自作らしい、と語っていたのは、目の前の本人。

ただ自作と言っても、冷凍食品が占めるスペースが多いような状況だったりして。

本当に作ったのは卵焼きだけとか、酷い時はご飯の上に塩鮭と梅干し乗せて持ってきたこともある。

その度に、女子力足らなすぎるなこいつと密かに思っていた物だが。

今日の弁当は、中々にカラフルかつ手作り感が溢れている。

舞風「えっへへ、気付いた?」

提督「ああ、まあ」

舞風「お母さん作ですっ」

提督「……」

非常に気が抜ける。

…どうせそんなもんだろうとは思ったけれど、まさか本当にその通りだとは。

舞風「やー、あたし料理へったくそだから」

などとけらけら笑う舞風。

こういう時に開き直れるのがこいつの質の悪さであり、長所でもあるのだろう。

出来ないものに下手に拘泥するよりはずっとマシだと、以前語っていた。

提督「練習してみたらどうだ?」

舞風「した結果」

提督「なるほどなぁ」

そりゃどうしようもない。

だが果たしてそれでいいのか乙女心。

舞風「てか、別に提督には関係ないじゃない?」

提督「そう、だけど――」


>>+2


A.料理の上手い女の子には憧れるだろう?

B.…まあ、そうだな、別にどうでもいい。

C.そんなんじゃ嫁の貰い手が無くなるぞ。

A.料理の上手い女の子には憧れるだろう?(*1.5)


提督「料理の上手い女の子には憧れるだろう?」

舞風「えー、なんか前時代的」

提督「前時代的言うな、現代まで脈々と受け継がれてきた価値観だぞ」

舞風「だって今、下手な料理よりも冷凍食品のが美味しくない?」

提督「…お前なー」

舞風「そんなもんでしょ」

ひょいと箸で母親の作らしいおかずを摘んで、口の中へ。

それを小さく咀嚼してから、笑顔を見せた。

舞風「ま、お母さんの料理は美味しいけどさ、勿論」

舞風「あたしが作るよりは、少なくとも冷凍食品のがずっとマシだね」

提督「つまらない子に育ってしまったなぁ」

舞風「それはどーも、すいませんねっと」

舞風「だいたい、食べさせる人もいないしさ、料理」

提督「目の前」

俺の顔を指さしてみると、舞風はこれでもかと口を尖らせた。

舞風「……前に、あたしの弁当食べて『うわクッソまずっ』っつったのどこの誰だっけ、提督?」

提督「…あっはっは、いや、…ありゃ本気でマズかった」

舞風「こんにゃろ…」

提督「俺は嘘はつけない男なんだ」

舞風「はぁ……まーでも、食べさせるとしたら、提督くらいしかいないんだろうけどね」

提督「毒味役というアレか?」

舞風「まだ言うかこのー!」

提督「いてぇ!いてぇ!締まってる!締まってるって!」



舞風→  *55/500



【9月2週】


千歳「あ、提督じゃない、やー」

千代田「お兄!こんにちはー!」

提督「ども、姉妹揃って買い物っすか?」

千歳「そんなところ、一緒に行くかしら?」

提督「んー、これから塾なんすよ」

千歳「そっか、残念、下着見に行こうって思ってたんだけどなぁ」

提督「………………」

千歳「ほんとに、残念ねぇ」

提督「…誂わないで下さい」

千歳「ふふっ、それはどうかしら、ね?千代田?」

千代田「え、う、うん、下着買いに行くのは本当よ、お兄」

千代田「またおっきくなっちゃって、サイズが…」

提督「………」

ああ。

残念だ。

非常に残念だった。

何よりも俺という人間が非常に残念だった。



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   *55/500
大井   **0/500
陸奥   **0/500
千歳   **0/500
清霜   **0/500



陸奥「あらあら…」

提督「いや、何をそんなに落ち着いているんでしょうか、先生」

人間、あまりに想定外の事態に遭遇すると逆に冷静になるという。

であればこのむっちゃん先生もその口なのだろうか。

―と、目の前の惨状を見て思う。

棚から落ちて床に散乱したボロボロの本と紙。

その上で舞う、窓から差す光に輝く大量の埃などは、もはや一種幻想的な光景ですらある。

陸奥「……あらあら……」

提督「…あ、フリーズしてるんですね」

まあ、無理もない。

この第二図書蔵庫の掃除を言いつけられた陸奥先生に頼まれ、本日も甲斐甲斐しく手伝いに馳せ参じて。

気は乗らないがさっさと終わらせてしまおうと第二図書蔵庫に入った瞬間の出来事であった。

陸奥先生が不運にも入り口の段差に足を取られ、なんとか転けずに態勢を保とうと伸ばした足の下には、計ったように設置されたつるつるの紙。

それに滑って尚も、彼女はバランスを取ろうと今度は本棚に手を伸ばす。

が、なぜか立て付けの悪くなっていた本棚は傾き、長年詰め込まれていた本を積もった埃と共に吐き出した。

そんな感じの事の顛末で、陸奥先生は尻もちを付いたままで放心してらっしゃる。

提督「…あのー」

陸奥「……ごめんなさい、提督くん」

提督「いえ、まあ、なんかこう、先生と掃除してる時ってこういうことよく起きますし」

陸奥「…そうだったかしら?」

提督「はい、夏休み挟んだんでてっきり忘れてましたけど、今思い出しました」

というか思い出さざるを得なくなりました。

どうするんだろうこんなに仕事増やしちゃって。

陸奥「…ごめんなさい」

提督「いやいや、不運だっただけですよ、先生が謝らずとも」

陸奥「…不運…そうよね、不運よね」

提督「えー、で、その…」


>>+2

ミス


>>+2


A.帰ってもいいっすか?

B.…とりあえず喋ってても仕方ないですし、作業、始めましょうか。

C.……どうしましょうこれ。

微妙に日本語に不備が
B.…喋ってても仕方ないですし、とりあえず作業始めましょうか。(*1.5)


提督「…喋ってても仕方ないですし、とりあえず作業始めましょうか」

陸奥「え?」

提督「なんで意外そうな顔するんですか、やりますよ、早く」

陸奥「…でも、これ、相当時間掛かるわよ?」

提督「別にいいですよ、今日は俺も暇ですから」

提督「だいたい、先生一人でやったらもっと時間掛かるじゃないですか」

陸奥「提督君」

提督「というか、この状況初めてじゃないですし」

陸奥「……そういえば、そうだったわね」

陸奥先生が、何か諦めたように溜息を吐く。

そのままバツが悪そうに、視線を窓の外へとやった。

陸奥「…ごめんなさいね、いつも」

提督「いえ、気にしないで下さい、無理な時は無理って言いますし」

提督「それに一回手伝うって言ったんだし、まあ、そのくらいは貫きますよ」

陸奥「ふふ、ありがと、頼もしいわ」

相変わらず視線は合わせてくれなかったけれど。

そこで初めて、先生は小さく笑みを見せてくれた。

提督「あ、でも、内申は考慮して下さいね」

陸奥「……そこは現実的なのね……」




陸奥→  *24/500



【9月3週】


提督「…なあ、アレ持ってね?」

大井「……はい」シャーシンポイー

提督「悪い悪い、何かいっつも無くなるんだよなぁ」

大井「だらしない、持ち物くらいちゃんとしなさいな」

提督「や、まあそうだけどさ、お隣さんが貸してくれるって思ったらな」

大井「呆れた、今度から貸してあげない方が貴方のためかしら」

提督「…勘弁してくれよ」

大井「自分で持って来なさいな、嫌なら」

提督「大井っちー」

大井「……その言い方、やめて」

北上(…絶対仲良いよねぇ…)




>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   *55/500
大井   **0/500
陸奥   *24/500
千歳   **0/500
清霜   **0/500



自宅のリビング。

夏休み中で暇を持て余しているらしいちと姉が、ソファーにぐったりと身体を投げ出したまま。

千歳「提督はさ、彼女とかいないの?」

提督「……また唐突な」

千歳「やー、だってさ、気になるじゃない?」

千歳「年頃の男の子なんだし、そういう浮いた話の一つや二つあってもおかしくないかなって」

相変わらず本気なんだか誂ってるんだかわからない声音で、いきなりそんなことを言い出した。

困ったのは俺である。

いやまあ回答には幸いというか不幸にもというか全く困りはしない。

いませんと、ただその一言を言えばいい。

だけど―相手はちと姉なのだ。

多分向こうだって、俺にそんな物などいないこと前提で聞いてきているだろう。

それに想定通りの答えを返してしまったら、どうせ、『ふふ、じゃあお姉さんがうんたら――』みたいな流れにしてくるに決まっている。

……それならそれで悪くないと思ってしまったのが微妙に悲しい。どうせ誂われてるだけだというのに。

…とにかくだ。

そんな風にちと姉の思い通りになるのはなんだか酷く癪である。

千歳「おーい、提督?」

提督「………」

だが何と返したら良いものか。

ちと姉もそろそろ痺れを切らして来ているし。

ふーむ――――


>>+2


A.…いないけど。

B.……いるよ。

C.ちと姉がなってくれたら――

C.ちと姉がなってくれたら――(*1.5)


提督「…いない、けど」

千歳「ふふ、そうなの、なら――」

提督「ちと姉がなってくれたらいいなって、思ってる」

千歳「………え?」

…恥ずかしい。

油断すると顔から火が出そうだ。

多分今、顔真っ赤だと思う。

慣れないことを言うもんじゃあないが、けれどその代償を払っただけの効果はあった。

ちと姉の動きを一瞬とはいえ止める事に成功したのである。

千歳「……ふふっ、そっかぁ、そっかそっか」

…が。

それは本当に一瞬で。

提督「へ」

彼女はすっくと立ち上がり、別のソファーに掛けていた俺の横に腰を下ろした。

千歳「なーんだ、だったら早く言ってくれたら良かったのに」

提督「…ま…まぁ…えー…その」

もうこの時点で演技を続けることは不可能になっているのだが、もうそれに気を払う余裕は無かった。

ちと姉が近くにいて柔らかくて良い匂いがして柔らかいので、頭がフットーしそうであった。

千歳「あのね、提督、私も…ね?」

提督「…っご、ごめん、ごめんさっきの冗談っ!」

そして程なく限界を迎え、ちと姉から逃げるように立ち上がる。

やっぱり彼女は、そんな俺をくすくす笑って眺めていて。

千歳「ふっふー、提督が私を手玉に取ろうなんて、100年早いわよ」

提督「…くー…」

なんともやられっぱなしで具合が悪い。

なればせめて文句の一つでも言ってやる、そう顔を上げるも。

千歳「……でも、嬉しかった…ふふっ」

密やかに見せた色のある笑みと、耳をくすぐるような声で完全に俺はノックダウンしてしまい。

やっぱりこの人には敵わないと再認識するに至ったのであった。



千歳→  *45/500



【9月4週】


提督「……くそう」

舞風「いきなりクラスメイトに罵声を浴びせられたんだけど、どうすればいいのこういう時」

提督「いや、舞風、お前に言ったわけじゃない」

舞風「はぁ、あたしだからこういう時でもジュースの一本で許すけどね、気をつけなよ、提督」

提督「え、何、ジュース?」

舞風「あたしだからジュースの一本で許すけど」

提督「……確定事項なのか?」

舞風「うんっ、奢って?」

提督「………ほら100円、ついでに俺の分も買ってこい」

舞風「だったら一緒に行こうよ、ほらほらっ」

提督「調子の良い奴だなぁ」



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   *55/500
大井   **0/500
陸奥   *24/500
千歳   *45/500
清霜   **0/500



大井「もう、北上さんったら……」

提督「…まあ、事情はあるだろ?」

大井「そうかもしれませんけど、でも…」

と、俺の方にちらりと視線を送って溜息。

…失礼な奴だ。気持ちはわからんでもないが。

というのも、今は塾の帰り、大井と二人きりで歩いているからだ。

大井が北上に恨み言を述べているのはつまり、北上が『あ、やべ、用事思い出したー』といかにもわざとらしく先に帰ってしまったのが理由である。

要するに、俺と二人なんて状況を歓迎していないのだ、大井は。

提督「………」

大井「………」

そうなれば必然、お互いの間に会話も無い。

ただ駅に向かって、一定の距離を保ちながら並んで歩いているだけである。

北上がいる時はそれなりに賑わうものなのに、たった一人欠けただけでこうまで違うものなのだろうか。

提督「大井」

大井「はい?」

提督「…今日の内容は、結構難しかったな」

大井「…そうかしら、貴方がちゃんと話を聞いてなかったんでしょう、どうせ」

ちなみにテンプレっぽい会話を振るとこのように撃沈することになる。

ここで『ああうんそうだね、難しかったねー』なんて当たり障りない返しをしてくれないのが大井だ。

提督「なあ」

大井「何?」

つまらないことは聞きませんから―とでも言うように、視線は鋭い。

なんともなんともな女の子である。

提督「いや、俺のこと嫌いなのかな、って」

大井「……そういうわけじゃないわよ」

これには少し考える素振りを見せて言う。一応は、否と。

しかし、どうにもそういう風にしか見えないのである。

提督「………」

大井「だから、どうしたのよ?」


>>+2


A.だったら、少しくらい笑ってくれても。

B.だったら、そんなに怒んなくても。

C,嘘つけ、絶対嫌いだろ俺のこと。

A.だったら、少しくらい笑ってくれても。(*1.5)


提督「だったら、もう少しくらい笑ってくれてもいいじゃないか」

大井「…そんなこと言われても」

大井が瞳を伏せる。

それはまるで、言葉を必死に探しているようにも見えた。

大井「…今まで、男子と二人きりになることなんかなかったし」

大井「…私だって、どうすればいいかわからないのよ」

提督「………ほう」

大井「…何よ、その目」

提督「いや…うん、なんだ、照れてるのかな?って」

大井「………殴るわよ」

提督「あー、すまん、どうどう、ストップ」

本気でカバンを振り上げ始めた大井を、手で制す。

こういうところに容赦も遠慮も無いから、止めなければおそらくあれはあのまま振り下ろされていただろう。

提督「…そうだなあ、とりあえずさ」

大井「ええ」

提督「北上と話す時みたいにやってみ?」

大井「…北上さんと?」

なんで貴方にそんな事しなきゃいけないのよ、と睨み付けられる。

どんだけ血の気が多いんだ。

提督「練習、ってことで」

大井「……練習」

呟いて、大井は立ち止まり俯く。

ややあってから、その顔を上げた。

大井「…て、提督…?」

提督「…引きつってる引きつってる」

が、それは笑顔というには程遠く。

まだまだ二人きりで盛り上がるには難しそうであった。



大井→  *75/500



【10月1週】


陸奥「…………」

べきっ、と嫌な音がしてチョークが砕け、床に落ちる。

これでこの時間、何本のチョークを消費したことになるのだろうか、などと少し考えてみた。

…多すぎて思い出せない。なんとも。

陸奥「…………」

しかし陸奥先生も慣れたもの、大量に中身の詰まったチョークボックスから新品を一本取り出して再び黒板へ。

ぼきっ。

陸奥「…………」

やはり現実は非情である。

もう一度チョークボックスに伸ばした手は震えていて、瞳などはなんならこれから泣き出しそうな程の有様であった。




>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   *55/500
大井   *75/500
陸奥   *24/500
千歳   *45/500
清霜   **0/500

ここまでで
おやすみなさい

舞風から
がわ゙い゙い゙な゙ぁ゙ろ゙ーぢゃ゙ん゙



舞風「踊る?」

提督「いや踊らんけど、なんだ唐突に」

舞風「あははー、だよねぇ」

脈絡無く振られた会話。

といっても、こんくらいはいつもの事なのだが。

提督「で、踊り?」

舞風「うん、あのね、ちょっと事情あってさ」

提督「事情ってなんだ、踊るのか」

舞風「あ、凄い、当たり」

提督「……マジか」

―話を聞けば。

舞風属する戦艦道部、来る学園祭で部活として出し物をしなければならず。

そこで決まったのが踊りだという。

提督「…踊りなぁ…流行りのアイドルみたいな?」

舞風「やー…バレエするんだって」

提督「難易度たっけぇなおい…」

舞風「実はそうなったの、あたしのせいなんだよねー」

提督「お前がやりたいって言い出したのか?」

問いに、舞風は違うよと首を振る。

そして、ちょっと恥ずかしそうに目を伏せた。

舞風「あたし、昔やってたんだよ」

提督「へぇ…まあ、確かに女子の習い事としては一般的だけど、お前がなぁ」

舞風「…ぜーったいそういう事言うって思ってた」

意外、と彼女へ向けた瞳に込めてやれば、だから言いたくなかったんだと口を曲げる。

舞風「…それを皆の前で言っちゃったらさぁ、なんかじゃあ出来るじゃんって感じになって」

提督「ああ、そういう………いや、出来るか?」

舞風「ま、学園祭の余興だから、てっきとーに跳ね回ってれば笑いが取れていいでしょ」

つまり言外にまともな物は出来ないと言いたいのだろう、舞風はそう言って笑った。

しかし、こいつがバレエ…とは――


>>+2


A.案外似合うかもな。

B.……ぷっ。

C.本当に出来るのか?

A.案外似合うかもな。(*1.5)


…案外似合うかもしれない。

普段騒がしいこいつが粛々と踊る姿、ふむ、うむ。

舞風「…?どしたの?」

提督「いや、踊ってるお前を想像してみた」

舞風「えっち」

提督「何がだよ」

舞風「で、感想は?」

提督「結構似合いそう」

舞風「ふふん、見る目あるじゃない、提督」

上機嫌そうに鼻を鳴らして、立ち上がる。

そのまま俺に向かって一礼。

提督「なんだ?」

舞風「舞風、踊りますっ」

言って、手を上に伸ばして良くあるバレエのポーズを取る。

そして華麗にくるっとターン――

舞風「いだっ!?」

提督「………」

しようとしたところ、机の足につま先をぶつけた。

………。

…前言撤回。



舞風→  121/500



【10月2週】


提督「清霜、入るぞー」

清霜「はいさっさー!」

提督「お邪魔…って、珍しく片付いてるな」

清霜「んー…昨日千代田ちゃんが来てねぇ、片付けろーって言われたから」

提督「ああ、ちよがなぁ…にしても」

清霜「……?」

提督(…本当にどっちが年上なんだか…)



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   121/500
大井   *75/500
陸奥   *24/500
千歳   *45/500
清霜   **0/500

ズラします
先に言っとくべきでしたね、申し訳ありません



千歳「むっふっふー」

千代田「えへへー…お姉ー…お兄ー…えへー…ぐぅ」

提督「……ちと姉、なにこの状況」

夕食を頂けるというので隣家を訪ねてみたところ、リビングには酒臭が広がっていた。

それからちよが幸せそうに床へぐったりと倒れ伏していた。

おい未成年飲酒じゃねーか。

千歳「悪気はなかったのよ、悪気は」

提督「最近の世の中は動機よりも結果に拘るらしいっすよ」

千歳「一人で飲んでたんだけどね、千代田がどうしても飲みたいって言うからー」

提督「……」

千歳「まぁまぁ、明日、休みだし?」

提督「そういう問題じゃねーと思うんですよ」

とりあえず、手頃な場所に座る。

夕食をご馳走してくれるというのは確かのようで、食卓の上には色々なおかずが並んでいた。

…並んでるの全部酒のつまみっぽいんだけどね。

提督「…おばさん達は、ちと姉?」

近くにあったもつ煮をつまむ。…悔しいけど美味いなこれ。

千歳「出掛けたわよ、だから今日は私達姉妹の自作ー」

提督「…自作…女の子の手料理というか、居酒屋のラインナップですね」

千歳「なによー、不満なの?」

提督「…いや、美味いですけど」

千歳「でしょ」

しかし、白飯は無いのだろうか。

これだけ食べていると喉が渇いて仕方ない。

と、そんな表情を察したのか。

千歳「はいっ」

提督「……アンタねぇ」

日本酒をなみなみと注いだコップを差し出してくるちと姉。

相変わらずこの人は……。

千歳「明日休みじゃない、ほら」

提督「ほらじゃねーっすよ、未成年」

千歳「細かいこと言いっこなし、私の酒が飲めんのかー」

提督「………」

この人絶対酔ってる。

面倒くさいけど、だからと言ってここでこれを承諾するのは――


>>+2

A.当然断る。

B.ちと姉を適当に乗せて、酒飲ませまくって誤魔化す。

C.……ちょっとくらい…かまへんか。

C.……ちょっとくらい…かまへんか。(*1.0)


……興味が無いというわけではない。

むしろ、ちと姉をそこまで夢中にさせる酒精とはいかな物なのか、気になる程だ。

…明日は、休み。

……。

提督「…わかった、ちょっとね、ちょっと」

千歳「流石、話がわかるわね、提督」

提督「……うげっ、…なんだこれ、…辛っ」

千歳「飲んでる内に美味しくなるのよ、こういうのは」

提督「…えー…いや、でもさ」

千歳「ほらほら」

…毒を食らわば皿まで、そんな言葉が脳裏をよぎり。

ちと姉に勧められるがままにコップをぐいぐい傾けて―――


――――――――――――――――――


提督「……あ…?…あれ、朝…?」

起きると、天井が見えた。

別に知らない天井なんてことはなくて、ちと姉の家の物だ。

提督「…え?…俺の家じゃない?」

咄嗟に身体を起こそうとして、起こせないことに気付く。

何かが身体の上に乗っている。

提督「ぐぐ…き、清霜!?」

清霜「………むにゃー…」

俺の腹を圧迫していたのは、酒臭い息を吐く清霜。

状況が理解できず、とにかく起き上がろうと思って横へ転がる。

千代田「おにいー……」

提督「………」

逆側へ転がる。

千歳「……うーん……」

提督「………」

……後で知った話なのだが、あの後潰れた俺を千代田の横に転がして、ちと姉は清霜を次に呼び寄せたらしい。

その結果できたのがこの状況だったのだが、そんな事を知る筈もない俺はただ、全身に感じる女性の柔らかさと頭痛に耐えることしか出来なかった。

………お酒は二十歳になってから。



千歳→  *83/500



【10月3週】


提督「なあ、ちよ」

千代田「うん?どしたの、お兄」

提督「いや…学校、どうだ?」

千代田「楽しいよ?」

提督「変な目で見られたりしない?」

千代田「変な目……?」

提督「こう、身体の一点を凝視されたりしてない?」

千代田「……?」

提督「そういう視線を受けたら、俺に相談するんだぞ」

千代田「…よ、よくわからないけど…わかった」




>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   121/500
大井   *75/500
陸奥   *24/500
千歳   *83/500
清霜   **0/500



清霜「てーとくー」

提督「んー」

清霜「何してんの、ねーねー、何してんのー」

提督「塾の課題」

清霜「へー、難しそうだねぇー…ねーねー、息抜きしないのー?」

提督「始めたばっかでお前が来たからなぁ」

清霜「ぶー、息抜きしようよー」

提督「もーちょっと溜めてからな」

清霜「……つまんないなー」

先程、机に教科書を広げてまもなく清霜がやってきた。

遊ぼうという懇願をひたすら無視していたら一度は諦めたらしく、本棚の漫画などを漁っていたのだが…。

清霜「ねー、ねーねー、ゲームしよ、ゲーム」

提督「………」

清霜「スマブラー、スマブラやろ!」

提督「………」

勉強できねぇ。

さっきから1ページくらいしか進んでない。

こう言ってはなんだが、こいつがいると多分勉強出来ないな。

…さて――


>>+2


A.追い出す。

B.仕方ないので付き合う。

C.1時間後にきなさい。

C.1時間後にきなさい。(*1.0)


提督「…清霜」

清霜「はいっ!」

ぴしっと姿勢を正す。

そのまま身体を揺らして俺の言葉を今か今かと待っている。

…可愛い、じゃない。

提督「1時間後に来なさい」

清霜「……1時間…?」

期待の二文字を貼り付けたような表情が、すぐにこの世の終わりのような顔になった。

嘘だよ冗談だよ今からゲームしようと言い出したい気持ちをなんとか抑える。

提督「…うん、勉強したいから」

清霜「………ん…わかった」

しかしそれでもやっぱり清霜はいい子。

ここで変に食い下がったりはせず、不満そうではあったが頷いた。

提督「ごめんな」

清霜「いいよ、清霜のタイミングが悪かったんだよねっ」

そして最後には、そう言ってしっかりと笑みを浮かべる。

なんとも可愛い生き物だ。飼いたい。

提督「じゃあ、1時間だけ待ってくれな」

清霜「うんっ!」


――――――――――――――


清霜「1時間!」

提督「うおっ」

問題に向けていた意識が、急激に引き戻される。

その原因は扉を勢い良く開く音。

清霜「提督!1時間経ったよ、1時間!」

部屋に入ってくるなり、ぴょんぴょんと飛び回る。

小動物みたいな奴だ。

提督「だな…待たせて悪かった、清霜」

清霜「ううん、いいよいいよ、ほら、遊ぼ遊ぼ!」

清霜「ふふん、この前負けたから清霜は一杯練習して――」

相変わらず清霜は可愛い、のだが。

……高校二年生、かぁ。

変わらずにいて欲しいような、変わってほしいような。

複雑な気持ちだった。



清霜→  *56/500



【10月4週】


陸奥「提督くん、ちょっといいかしら?」

提督「はい、どうしました?」

陸奥「あのね、この荷物なんだけれど…」

提督「ああ、重そうですね、持ちます、どこまでです?」

陸奥「…ごめんね、いつもこんな風に使ってばっかりで…」

提督「いえいえ、先生も大変でしょうから」

陸奥「………」

提督「先生?」

陸奥「…ちょっと感動しちゃった」

提督「大袈裟ですって」


>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   121/500
大井   *75/500
陸奥   *24/500
千歳   *83/500
清霜   *56/500



第二図書蔵庫。

埃と紙とボロボロの本に塗れていた場所は、すっかり綺麗になった。

これも俺とむっちゃん先生の努力のおかげである。

なので、少しくらい私的に利用しても構わないだろう、というのが事の発端。

提督「お菓子ですか」

陸奥「ええ、久しぶりだったけどね、美味しく出来たと思うわ」

感謝の気持ちを形に込めて。

そんな所であろう、むっちゃん先生手作りのマフィン。

それは上手く出来たという言葉に違わぬ、食欲をそそる綺麗な見た目だった。

提督「マフィンとか作れるんですね」

陸奥「別にそんなに難しくはないわよ、先生、こう見えても実は料理得意だから」

提督「そうなんですか」

女性の手作りの物など今まで隣の居酒屋メニューしか口にしたことがない俺としては、マフィンなどというお洒落極まりない食べ物は非常に嬉しい。

しかもむっちゃん先生の御手で作られたものともなれば、もはや言うことはない。

提督「では、頂きます」

いかにも柔らかそうなマフィンに齧りつく。

提督「…おお」

これは…なんというか、ふかふかで甘さが控え目というか。

素材の味を活かしているというか。

卵が非常に活きているというか。

有り体に言ってしまえば、砂糖の風味が感じられない。

……………。

陸奥「ね、どうかしら?」

提督「…………」

……期待の視線。

…さあどうしよう、俺。


>>+2


A.大事な物を入れ忘れている、そんな味ですね。

B.………まあ、えっと。

C.……よし、とりあえず全部食おう。

C.……よし、とりあえず全部食おう。(*1.5)


……こういうもので一番大事なのは何か。

そりゃ美味いに越したことはない。

だが、最も重要なのはそこか?

違う、ここで大事なのは気持ちだ。

むっちゃん先生が俺のために手ずから作ってくれた、これだけで俺は満足するのだ。

ならば、ここで悲しませる訳にはいかない。

もしむっちゃん先生がこれを口に運んでしまったら、すぐにミスに気付く。

提督「…先生、残りも全部頂きますね!」

陸奥「あら、あらあら…ふふっ」

幸いにして、砂糖が入ってないだけで味は悪くない、…決して良くはないが。

確かに陸奥先生は言葉の通り、一つの手順以外は完璧にこなしたのだろう。

提督「…うん、美味いっすよ!」

陸奥「もう、喉に詰まらせちゃうわよ?ほら、お茶」

提督「どもっす!」

…その後、しっかり全て平らげたが。

当分、こういう系の物は食いたくない。



陸奥→  126/500



【11月1週】


提督「……」

舞風「……ん?」

提督「なあ、舞風」

舞風「どーしたの?」

提督「…いや、なんというか」

提督「お前、結構可愛いな」

舞風「………」

舞風「………は、はぁっ!?ちょ、ちょちょ何なのさいきなり!?」



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   121/500
大井   *75/500
陸奥   126/500
千歳   *83/500
清霜   *56/500



提督「あっはっはっはっはっは!」

舞風「いつまで笑ってんのー、もう」

提督「いやぁ、戦艦道部、良かったぞ」

先日の学園祭――

戦艦道部のバレエっぽい何かは、非常に好評を博し、なんと表彰までされた。

並み居る即席漫才コンビを押しのけて、堂々のコミカル賞受賞である。

いやはや、とてもコミカルだった。

舞風「まあ、正直途中からそういう方向で行くって決めてたからいいんだけどさ」

提督「にしては不満そうじゃないか」

舞風「久々にバレエの衣装とか着たのに、なんか消化不良ー」

どうやら経験者の舞風さんとしては、笑い者になるためにステージに出るのは気に召さなかったらしい。

しょうがないとは言いつつも、どこかご機嫌斜めである。

提督「でも、お前が一番動き良かったよ」

舞風「うれしくなーい」

べだぁ、と机に張り付く。

舞風「……あー、あんなこと言い出さなかったらよかったー」

そのままぶつぶつ文句を。

相変わらず変な所にいつまでもこだわるやつだ。

なんとか機嫌を直して欲しいものだが――


>>+2


A.…そういえば、あの衣装着た舞風、可愛かったな。

B.いいじゃないか、俺もめっちゃ笑ったし。

C.ジュースをおごってやろう。

A.…そういえば、あの衣装着た舞風、可愛かったな。(*1.5)


提督「そういえば」

舞風「これ以上なにを馬鹿にするのよー」

机に張り付いた舞風はすっかり拗ねた様子である。

極端なやっちゃ。

提督「いや、あの衣装着た舞風、可愛かったなって」

舞風「………そんな取ってつけたようなお世辞、いらないんだけど」

提督「本当に思ってるって」

舞風「…どーだか」

言いつつ、張り付けた身体を起こす。

とりあえずテンションの底は脱したらしい。

提督「…ああ、ほら、これ見ろよ、証拠だ」

舞風「証拠……?……っ!?」

舞風に向かって差し出したスマホの写真。

それは、踊る舞風を写したもの。

折角だから記念にと撮っていたのである。

提督「いやぁ、可愛かったから、つい撮っちゃった」

舞風「……しゅ、趣味悪いね、提督」

提督「んな事ないと思うがな」

舞風「……」

また俯いてしまった。

…とりあえず待ち受け画像にしておこうか、これ。

後日、ちと姉にこれが見つかって一悶着あったりしたのだが…それは、また別の話。



舞風→  128/500

おう、ミス


【11月2週】


提督「だいぶ寒くなってきたなぁ」

清霜「そーだねー、冬だよー」

提督「冬かぁ……冬が過ぎたら、もう3年になるのか」

清霜「だねー、卒業だね、卒業」

提督「その前に受験だろ」

清霜「うひー、嫌な事思い出させないでよー、提督のばかー」

提督「お前はもうちょっと覚えてたほうがいいぞ、すぐに遊ぶこと考えるんだから」

清霜「いいじゃん、そっちのほうが楽しいよ?」

提督「そんなんじゃ大きくならないぞ?」

清霜「か、関係ないでしょそれとこれとはー!」



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   125/500
大井   *75/500
陸奥   126/500
千歳   *83/500
清霜   *56/500



提督「清霜ー、おーい、清霜ー?」

清霜『ちょ、ちょっと待って!うぇーいとだよー!』

土曜日。

あまりに暇すぎて清霜の家まで遊びに来てしまった。

のだが、こうして部屋の前で待たされること既に5分ほど。

普段は散らかってた所で何も気にせずに人を入れるくせに、珍しいこともあるものだ。

清霜「ど、どーぞ!汚いところですが、おくつろぐ、お、おくつろぎください!」

提督「はは、慣れない言葉使って噛むなよ」

清霜「い、いえー、では、どうなされますか、ゲームですか」

提督「おいおい、どうしたホント、今日はお前なんかおかしいぞ」

部屋も、あれだけ待たせた割には普通に散らかってるし。

一体こいつは何をどったんばったんしていたのだ――

提督「………」

清霜「え、えーとね提督、リビング降りよーよ、久しぶりにガンダムで対戦しよ、ガンダムー」

清霜の言葉は耳に入っていない。

部屋をキョロキョロと見回していたら、それが目に入ったからである。

そう、いかにも急工事で隠したつもりであろう…成人用のアッチ系の本。

普通は男子高校生あたりが良く使用しているものだ、あえて目的は言わないが。

その表紙が、クッションの山の下から少し覗いていた。

クッション一杯積むのはいいけど、密閉性に気を遣ったほうが良かったな、清霜。

清霜「ね、ねー提督ったらー!ねー!早くいこー!」

提督「……」

なるほど、だからこうして追い出したがってるのか…。

ふむ――――


>>+2


A.なあ清霜、あれはなんだろうなぁ?(ゲス顔)

B.無言で本を指し示す。

C.見ないふり。

B.無言で本を指し示す。(*1.5)


提督「………」

すっ。

ある一点目掛けて指を出す。

清霜「はぇ……?」

清霜はその指の先へと目をやって。

清霜「わぁーーーーっ!?」

絶叫した。

ご近所迷惑ですぞ、清霜や。

清霜「ち、違うの違うの違うの!あれはちと姉が、うんそう、ちと姉がね押し付けてきてね!」

清霜「あたしは関係ないっていうか全然興味ないの、あれも捨てようって思ってたんだけどね、それがね、ね、ね!?」

提督「…ふーむ」

清霜「だめー!拾っちゃだめー!」

提督「……あ、漫画なのか」

清霜「だって本物は怖…じゃなくてちと姉がー!」

提督「……の割には、読みグセついてないか、これ?」

清霜「ち、ちと姉が読んでたんだよ、そう、そうに決まってるから、ねっ!?」

ぴら、と自然に開いてしまうほどに読みグセの付いたページは、漫画の1ページ目。

『夕雲型の末っ子と司令官の情事』というタイトルである。

提督「……なんかこれ、俺と清霜に似てないか?」

清霜「…………はわぁー……」

とりあえず絵柄の印象を言ってみた瞬間、清霜が前向きにぶっ倒れた。

提督「っておい、清霜!?清霜ー!?」

まあ、その、なんだ。

清霜もそういったものには人並みに興味があったということで。



清霜→  *66/500

今日はここまで
A(0.5)B(1.5)C(1.0)です、一応

折角なのでバレンタイン要素を入れて少し早めに埋めネタ投下します
本編は遅くなるかなと思います



【罪と罪、というお話】



「………………」

仕事帰り、自宅のマンションの前で息を吐く。

理由は疲れているというのも勿論あるが、それだけではない。

家に帰りたくなかったのだ。

家には娘がいる。

娘がいて、俺を出迎えてくれる。

それが、どうしようもなく苦痛だった。

だからといって、こうしていつまでもマンションの入り口前で突っ立っているわけにもいかない。

「………浜風」

娘の名前を呟いて。

重い足取りで、自動ドアを潜った。



「おかえりなさい、おとうさん」

「……ただいま」

「スーツ、皺にならないように」

「…ああ」

脱いだ上着を、浜風が受け取る。

手慣れた仕草だった。

いつも彼女がこの仕事をしているのだから、それも当然といえば当然か。

浜風―俺の娘。

初めて会った時の幼さはすっかり消え去って、顔立ちも、身体つきも、十分に女といえる程に成長していた。

今年で、高校2年生だったはずだ。

そんなことすら、まともには覚えていない。

正確には、覚えようとする気を無くしてしまった。

この娘を見ないようにし始めたのは、いつからだったか。

確か―そう、金剛が、死んでから。

そうして二人になってから、俺はどこかこの娘を意図的に避けていた。

昔はそうじゃなかったような気もするし、昔からこうだったような気もする。

今となっては、どうでもいい事ではあるが。



「……お父さん?」

浜風の声で我に返る。

スーツの上着を掛け終わった彼女が、首を傾げて此方を覗いていた。

「…ああ…すまん、夕飯は?」

「今、温めてます」

「そうか、いつもありがとう」

「いえ、気にしないでください、家族ですから」

事務的と言える程に無機質な感謝の言葉も、目すら合わせずに。

治そうと思ってはいるが、改善の兆しは見えない。

「今日はお父さんの好きな、麻婆茄子を作ったんです」

綺麗な銀髪が揺れる。

その色は俺の物に似ているのに、何故か段違いに輝いて見えた。

髪――ああ、あの髪の色を金剛は不満だと言っていたっけ。

次の子は、私の髪色になって欲しいとか、そんなことも。

当時はぐちぐちと面倒臭いなと思っていたのに、今はもうあの声も聞けないのだと思うと、寂しさを覚えた。



「どうぞ、本当は出来たてを出してあげたいんですけれど」

「…ああ、いただきます」

出会いも、それからも最悪だったけど。

色んな事を経て、彼女の気持ちを知って、好きになって、ちゃんと籍を入れて――

やっと始まったと思った矢先、2年もせずに、彼女は亡くなってしまった。

事切れた姿は、今だって鮮明に思い出せる。

マンションのエレベーターの中、血の海に沈む彼女。

必死で抱いた身体は、まだ暖かかった。

暖かくて、だけど冷たかった。

警察が来るまでの事は、思い出せもしない。

俺はただ、金剛に縋り付いていたらしいと、後になって聞いた。

警察はエレベーター魔の犯行だろうと結論づけて、結局犯人は捕まっていない。

…尤も、これだってもう、どうでもいいが。

捕まえた所で、彼女が帰ってくる訳じゃないのだから。



「……お父さん、美味しくないですか?」

「…いや、美味しいよ」

食事に手を伸ばして、金剛の味付けと違う事に違和感を覚える。

毎日のことだ。

毎日食べていても、俺はこの味付けに慣れない。

「そうですか、だったら、もっと美味しそうに食べて欲しいです」

「…そうだな、よし、なら全部食べてやるから覚悟しろ、浜風!」

「あはは、もう、子供みたいですよ」

「…………」

「…………」

笑って、沈黙。

馬鹿みたいに明るい声を出したことを、後悔した。

上辺だけの会話など続きはしない。

この食卓も、金剛が死ぬ前は、もっと賑やかだった気がする。

今は、煩わしい沈黙か、無理矢理にそれを破って先程のような意味のない会話を交わすだけ。

沈黙は確かに重い。

けれど、何かを話しているよりはマシな気がした。

俺はきっとどこかで、この娘と話をしたくないと感じている。

それは――そう、怖いのだ。

俺はこの娘が怖いのだ。

目の前の人間が、目の前の他人が怖いのだ。



「………?どうしました?」

「……いや、…大きくなったな、って」

「……どこ見て言ってるんですか、お父さんったら」

「身長の話だよ、邪推するな」

「お父さんも男の人ですから、わかりません」

「……浜風」

「……………ごめんなさい」

溜息を吐いて、会話を終わらせる。

もう一度また、沈黙が流れた。

今度は、食事が終わるまで。

「……ごちそうさま」

「…お粗末さまでした」

食事を全て平らげてから、手を合わせる。

浜風はどこか寂しそうにその言葉を受け取り、僅かな逡巡を挟んでから口を開いた。

「あ、あの…お父さん」

「…ん?」

「今日は何の日か、知って…ますか?」

「…………さあ」

その質問を、頭の中に巡らせて。

別に普通の平日だろうと判断をした。

そうして首を振った俺にも、娘は諦めずに言葉を投げ続ける。



「えと、ほんとに、何も思い当たりませんか?」

「ああ」

「も、もうちょっと考えて…」

「浜風」

「…ごめんなさい」

尚もそれを口にする娘を、名前を呼んで止める。

さっさとしてくれと、そういう含みを持たせて。

彼女は俺の言葉に一度目を伏せたけれど、すぐ無理矢理に明るい顔を作った。

「バレンタイン、です」

そしてその顔に相応しい、この場には明らかに場違いな程に朗らかな声。

声に遅れて、食卓の下に隠していたらしい手と、そこに抱えていたものを差し出す。

綺麗に包装された、可愛らしいプレゼントだった。

「お父さん、クッキー好きでしたよね、だから、チョコクッキーを」

怯えたように、だけど抑えきれず漏れる期待を込めて。

娘は早口に言葉を紡ぐ。

「……バレンタイン」

「は、はい」

「……忘れてたな、すっかり」

言われて初めて気付いた、今日という日付の意味。

しかし俺は、なるほどそんな日もあったなと、実に無味乾燥な言葉しか抱けなかった。



「お父さん」

「いらない」

「え?」

此方に差し出していた手を、待ち切れないとばかりに揺らしていた浜風に、短く、はっきりと拒絶を叩きつける。

驚きで目を一杯に開いて、娘は俺を見た。

「誰か他の、そう、同級生にでもあげればいいだろう」

「そ、んな…」

「とにかく、俺はいらない、甘い物を食いたい気分じゃない」

「疲れてるんだ、さっさと寝るよ」

話はこれで終わり、とひらひら手を振って立ち上がる。

包装紙がテーブルに落ちる音がした。

浜風は、下を向いていた。

「…じゃあ、風呂入ってくるから」

「…はい」

今日交わす会話は、きっとこれが最後。

これが、毎日のことだ。

不思議でも何でもない。

できるだけ、この娘から離れていたいから。

この後風呂に入って、寝る。

次の朝、会社に行って、帰って、またあの食卓に付いて。

日常は、ただその繰り返しと化した。

バレンタインの贈り物くらい、別に受け取ってよかったのかもしれないが。

そんな僅かなつながりでさえ、嫌だったのだ。

あの日からずっと続いていた、繰り返しの毎日を壊したくなかったから。

これからもずっと続けていきたかったから。

なのに。



「…………っく、ひっ…」

「……浜風?」

風呂場から部屋に戻る時に聞こえた、啜り泣く声。

反射的に声を掛けてしまったのが、間違いだった。

そんなもの、無視してしまえば良かったのだ。

関わらなければよかったのだ。

娘に、関わらなければ。

「……おい、浜風」

「………おとう……さん?」

開いたドアの先。

部屋の隅で縮こまって、彼女は目を腫らしていた。

「…風呂、空いたぞ」

「…ご、ごめんなさい……わざわざ、ありがとうございます」

「……………」

せめて、このまま。

このまま触れずに、去ってしまえば。

そうすれば、良かったのだろう。



「……どうして、泣いてたんだ?」

「……え?」

「…気になったんだよ」

「…………」

娘が、微かに嬉しそうな気色を見せた。

だけど、それはすぐに俺を責めるような視線に変わった。

「…だって」

「だって、お父さんが、私を愛してくれないから」

「………」

脳の奥で。

何かが揺れた。

光景が、一瞬だけ浮かんでは消えていく。

倒れる金剛。

それに縋る俺。

そして、…そして、何か。何かが。側に。



「…私はずっと、愛して欲しかったのに」

「でも、お父さんは、私の事」

「……何言ってるんだよ、浜風、俺は」

「お父さん、言ってました」

「私は、お父さんが望んで出来た娘じゃない、って」

「そんな、事――」

揺れる。

『嬉しいヨ――』

また、揺れる。

『アナタ――望―――から』

脳裏に何かが浮かんでは、消えていく。

『やっと――の子供が――』

ああ、揺れる。

「…お父さんは、ずっと私を遠ざけて、ました」

「……浜風」

「違いますか」

「………」

そうだ。

金剛と暮らすようになってからも。

俺は、この娘との距離感が掴めないでいて。

掴めないで、いて――



「だから」

揺れる。

「だから、私は」

揺れる。

『――――なったら』

奥深くに、ずっと仕舞いこんでいた筈の記憶が揺れる。

『――お父さんは――――くれる』

思い出せと、忘れるなと叫ぶ。

『――いらない』

やめろ。

『私を――愛し――なくなる――』

それは。

『――ですよね?』

それは、そのままにしておかなければ。

思い出しては。

「お母さんを」

いけないのに。

揺れる。

揺れる。

揺らいで。

バラバラの点でしかなかった画像が、一つの映像を映し出した。

「殺したのに」

エレベーターの中。

血で服を汚して立つ浜風の下、既に息のない金剛が倒れている。

俺は、呆然とそれを見ていた。



――ああ。

『――お父さん』

『…………金剛?』

………そうだ。

……そうだった。

忘れていた。

逃げていた、記憶。

あの日。

エレベーターを降りようとして。

扉の前に、彼女が立っていて。

包丁を持って。

金剛の腹を刺して。

何度も、何度も、突き刺して。

赤が、彼女を中心にどんどん広がっていって。

血塗れで。

赤色で。

『…金、剛…、なぁ?』

『……お父さん』

『………浜風?…金剛、なんで、血』

『だって、こうしないと』

俺に近付いて。

裂ける程に、口を開いて。

長い舌で、唇の周りを舐めて。

彼女は、娘は。

『お父さんが、愛してくれないじゃないですか』

嗤ったんだ。




――あの日は。

『二人目が出来たのネ!』

――あの日は、産婦人科に行った帰りで。

『今度は、私に似るといいナ』

――俺は。

『ねぇ、テートク』

――間違ったんだ。

『名前、何にしようカ?』

――浜風を。

『……嬉しいヨ、だって…あの子は』

――愛してやれなくて。

『…アナタが、望んだわけじゃなかった、から』

――3人で住むようになってからもずっと、どこか他人のように扱っていて。

『…やっと、二人の、子供が――』

――間違ったから。



『お母さんがいなくなったら』

――忘れようと思った。

『お父さんは、私を愛してくれる』

――何もかも、忘れてしまおうと思った。間違ったことから、逃げてしまおうと思った。

『お母さんも、新しい子も、いらない』

――いや、違う、俺は。

『私を、愛してくれなくなるなら』

――覚えていたくないと思ったんだ。

『そんなもの、いらない、ですよね?』

――娘が。浜風が。

『ねぇ、お父さん』

――怖かった。

『愛して、下さい』

――怖かったんだ。



「……浜風」

「お父さん」

手が、俺の首に触れた。

信じられない程に、冷たい手。

「愛しています、愛して下さい」

耳元で、囁くように。

「私を愛して下さい」

彼女が、言葉を紡ぐ。

「私は、お父さんの娘です」

俺の罪を紡ぐ。

「いらないなんて言わないで下さい」

全ての間違いの、元凶を。

「愛して、ください」

元凶は、金剛でも、浜風でもない。

俺の罪なのだ。

娘を愛さなかったという、俺の罪。

それが、全ての始まり。

とん、と。

軽く、浜風が俺を押した。

そんな力だけで、そのままベッドに倒される。

抵抗する気など、もはや無くなっていた。



「……ねぇ、お父さん、愛し合いましょう」

「…………」

何も答えられなかった。

脳裏に浮かぶのは、ただ、あの時の光景。

倒れる金剛と、嗤う浜風。

そして、何も出来なかった俺。

「私、こんなに大きくなったんですよ?」

浜風がシャツを捲った。

そのまま溢れるてしまいそうなほどに大きな、二つの乳房が露わになる。

彼女はただ少しの躊躇いもなく、それを下腹部へ押し付けた。

「……っ」

「……男の人、胸、好きなんですよね?」

俺の股間の上で、ぐにぐにと、不思議に胸が踊る。

それは射精を促すというにはあまりにも弱い刺激で、けれど視覚的には酷く興奮する光景だった。

身体に触れる度に浜風の乳房が、へこみ、張り、揺れる。

まるで胸でマッサージされているかのような快感と淫靡な情景に、知らず、性器が硬さを帯びる。



「…ふふっ、感じてくれてるんですね」

浜風が、それに嬉しそうに笑みを漏らした。

同時に、胸を動かす手を早める。

ズボン越しに胸を押し付けられる感覚は、手で扱かれるような強い快感でも、膣で締め付けられるような快感でもない。

酷く弱い刺激の筈なのに、びくりと震える性器。

「……は、まかぜ」

止めろ、と。それを言い出すチャンスは、きっと今しかないと思った。

今言いそびれてしまったら、もう、止められない。

灯った欲情は、消すことなど出来ない。

だから―と、口を開こうとして。

脳裏で、また、何かが揺れた。

――俺は、娘を愛さなければならない。

――彼女が求めるのだから。

――愛してあげなければならないのだ。

――間違っているから。

――娘を愛してあげないのは、間違っているから。

――もう、間違ってはいけいない。

――もう、あんな事には。



「………お父さん、どうしましたか?気持よく…ない、ですか?」

「…………」

彼女が俺を見る目は、どこまでも透き通っていた。

深く覗いてしまえば、そのまま吸い込まれてしまう瞳。

狂れそうな程純粋に愛が込められた、瞳。

「……ズボンを、脱がせてくれ」

「………はいっ!」

彼女が、俺のスラックスに手を掛ける。

そして何の躊躇いもなく、それを降ろした。

空気に触れた性器は、既に鈴口から透明な汁をしたたらせて、その存在を主張させていた。

「……お父さんの、凄い、こんなに」

うっとりと恍惚の表情を浮かべて、浜風がそれに触れる。

「っ…」

胸とは違う強い刺激に、またびくんと脈を打つ。

それを面白がってか、彼女は愛おしげに、何度も何度も優しく俺の性器を撫でた。



「……先っぽから、どんどん…お汁、出てますね…ふふ」

「れるっ……ん、変な、味…」

「これが…お父さんの、味なんですね…」

「……くっ」

遂に彼女は舌を出し、性器を一周するようにゆっくりと舐め回す。

丹念に、丁寧に。

その動きはまるで、俺の逸物を掃除でもしているかのようだった。

それはだんだんと上の方へ上の方へと上って行って。

先よりも汁を滴らせる勢いが増した口へ触れた所で、止まり。

「…あーん………ちゅぅ……っ」

「………!?」

ストローで飲み物を飲むかのような気軽さでもって、鈴口に吸い付いた。

さっきとは全く違う強烈な刺激に、意識ごと持って行かれそうになる。

「……じゅるっ、…あむ、ふ…んっ…」

吸い付いた彼女は、必死さすら感じられる動きで口を上下させる。

決して上手な物ではなかったのに、頭が真っ白になってしまうような快感を伴って。

「う…あっ」

「んー……ふっ、…れる……っぷはぁ…っ」

「…ふふ、だめですよ、お父さん、まだ、です」

そんな射精感がついに臨界に達しようとした所で、急にそれは遠ざかっていった。

「な、浜風…」

その時の俺の顔は、一体どんな風だったか、知りたくもない。

ただ、浜風が何やら楽しそうに微笑んでいた辺りから、大凡は察せるというものであろう。



「そんなに残念そうな顔、しないでください」

「お父さんの最初は、こっちで…したいんです」

そう言って彼女が腰を浮かせば。

目に入ったのは、既に肌を晒した股間。

その入口を、浅ましいまでにいきり立った俺の逸物に擦り付ける。

いつの間に脱いでいたのか、そんな疑問はすぐに霞と消える。

入り口が触れた性器同士は、互いに蜜を塗り合って僅かな滑りを見せた。

「ん…くっ、なあ、は、浜風」

「私、初めてなんですから、お父さん、よく、濡らしておかないと…です、んっ」

急かすように呼んだ名前を、けれど彼女は微笑で受け流す。

これでは、どっちが年上かわかったものではない。

それからも彼女はゆっくり、ゆっくりと腰を上下させるだけ。

その緩い、求めている物に比べて緩すぎる刺激に、俺はただ荒い息を吐いて抗議をすることしかできない。

そんな事すらも、彼女にとっては恍惚を加速させる一端に過ぎぬようで。

狂っている、なんて事を思い、しかしはたと思い当たる。

狂っているのは、今この状況にあって、あの膣口に突っ込むことしか考えていない俺とて同様ではないかと。



相手は娘だ。

義理なんかじゃない、本当に血を分けた娘。

俺はその痴態を前にして、ただ自分の快楽を貪ることしか考えていない。

なれば、そんなお前とて狂っているだろうに。

客観がそう囁いて、一瞬だけ血の気が引く。

けれどそれは、すぐに浜風の耳朶を食むような声にかき消された。

「お父さん、私を愛して下さい、余計なことなんて、考えないで」

止めようとする気持ちなど。

今、ふっと沸いた小さな正常さなど。

その言葉で、簡単にかき消えた。

―愛さなければならない。

―求めるならば、求めるままに。

ああ、もはや此処に至りて正常なんて物を求めるのが、もはや筋違いなのだ。

此処は浜風と俺、ただ二人だけの世界。

異常こそが正常。

正常こそが異常。

従えばいいのだ、俺の心が求むるがままに、浜風が求むるがままに。



「……ああ」

「…んっ」

蜜で滑る入り口に、性器をあてがう。

いつのまにか浜風は腰の動きを止めて、主導権を俺へ預けていた。

身体の上下を入れ替えて、彼女を下に敷くような態勢を取る。

そうして初めて見た娘の膣口は、良く濡れてぬらぬらと光っていたものの、思っていたよりもずっと小さかった。

「…変、じゃないですか?」

「……変なんかじゃない」

「良かった…」

「ただ…痛いぞ、多分」

「ううん、気にしないで下さい」

どうせ彼女が何と答えたところで、俺に止まる道理などありはしなかったのだろうけれど。

その言葉に安堵するような心地を覚えて、腰を進める。

「………ん、ふっ…」

先端が僅かに、肉の中に沈む。

それだけでも感じる、挿入された異物を排除しようという強い力と、それとは逆に男根を捉えたまま離すまいとする圧迫感。

相反する二つの力は、これをこのまま進めれば果たしてどれだけの快感が待っているのかと俺を昂ぶらせた。



「…………が、……ぐっ」

進める。進めていく。

狭い狭い隘路を、無理矢理な力でもって掻き分けて。

「、っ……」

浜風から漏れるのは、声にならないような呻き。

進める度に増していく、俺の逸物をなんとか押し出そうとする粘膜の動き。

そして。

「あ、――――っ!?」

粘膜を一挙に突き破るかのような感触。

一瞬遅れて、一際大きな、悲鳴のような声。

「い、あ……っ、おと、おとうさん、が、中に、いる……あはっ…」

けれどそれは、一時も待たずに恍惚に変わる。

涙を流しながら、痛みに歯を食いしばりながら、挿入された異物を噛み付くほどに締め付けながら。

浜風は、幸せそうに、何よりも幸せそうに笑っていた。

その心情など、俺に想像出来るはずはない。

だが確かに感じるのは、浜風の膣内の締め付け。

痛い程の締め付けは、だんだんと緩くなって、けれど緩みきりはせず。

解れ切っていない膣内は、うぞうぞと蠢いて、今までに味わったことのないような快感を与えてくれた。



動かしたい、と。

頭の奥、本能のようなものがそう告げた。

「あ、が、あは、…おと、さん、そんな、急にっ…」

彼女の痛みがどんなものか、俺にはその片鱗すらつかむことは出来ないが。

処女を散らすというのは、それなりに痛いものなのだろう。

ましてその直後、狭い狭い膣内をかき回されるなどといえば。

だけれど、浜風はやはり笑っていた。

痛みに、快感に、狂気に瞳を染め上げて。

「…は、まかぜ…」

「はい、おとうさんっ、おとうさんっ」

取り憑かれたように、浜風に腰を打ち付ける。

抽送を阻害していた粘膜は、いつの間にかたっぷりと潤いを持ち、逆に性器の滑りを助けていた。

娘の瞳から、痛みが徐々に消えていく。

濃くなっていくのは、快感と狂気の色。



「んっ、あっ、おとーさん、すき、だいすきですっ」

ああ。

なんで俺は、この娘を遠ざけなどしていたのだろう。

この娘は、こんなにも俺をひたむきに愛してくれていたというのに。

どうして、俺は間違ってしまったのだろう。

「浜風、俺も、…お前を…」

揺れる。

脳裏がまた揺れて、映像を映し出す。

「愛してる、っ――!」

瞬間、浜風の膣内が、まるで射精を促すようにざわざわと蠢いて。

それに抗うことは出来ず、俺は彼女の中に全てをぶち撒けた。

「あは、あ、……はぁっ……ん…っ…♥」

「…うれしい…うれしいですっ、…おとうさん」

「これからも、わたしをずっとあいしてください」

「……ずっと、ずっと――」

意識が、遠くなっていく。

その中で、最後に見たのは。

浜風の、笑顔だった。





――――――――――――――――


「弥生」

「はい、お母さん」

「貴女も、今日からお父さんが愛してくれるよ」

「…本当、ですか、お父さん」

「……ああ」

「…愛してる」

「…愛してる、愛しい娘達」

「俺の、俺の、娘達――」

罪は、積み重なる。

間違った俺は、間違い続ける。

そこに罰はない。俺を裁いてくれる罰はない。

行き場のない罪だけが、どこまでも積み重なっていく。




【浜風 HAPPYEND】

エロシーン書きたいなーと思ってこの埋めネタ入れたけども私にはやはり書けなんだ
それではまた

まあアレな感じの駄文だけど勘弁してーな
本編やるけど埋められてない埋めネタ使っちゃったんで単発回避がてらこちらを先に
今回は余ったらまた埋めネタ募集しようかねー
>>+1-5


A.桜と花と、恋心。(21 春雨・山雲 しゅらばー)


「えへへ、また振られちゃいましたね、山雲先輩」
「………春雨、ちゃん」
無邪気な笑みだった。
彼女はどこまでも無邪気に笑っていた。
「恨まないで下さいよ?」
「……………なんで」
「だって私の方が、提督先輩の事、好きですから」
「……山雲、だって」
少女が、持っていたスコップを握る。
己が無力を噛みしめるように、行き場のない怒りをぶつけるように。
いや。
行き場なら、一つだけ。
一つだけ、あったのだ。
無邪気に、誇らしげに笑う少女は、それに気付かない。
向けられた怒りに、気付かない。


B.秘密基地、漂う湯気は、一つだけ。(22・磯風)


「……先生」
「……どうして、だろうな」
「なんで、私はまだ此処にいるんだろうな」
「もう、先生は…来ないのに」
先生の、系列校への転勤の辞令。
それはあまりに突然で。
心の準備なんて、出来るはずもなくて。
「…先生……」
「なんだ、呼んだか?」
「うわぁぁぁ!?」
「え、何、出ちゃダメな空気だった?」
「だ、ダメというか、な、なんでいるんだ!?」
「……いや、此処にも荷物、置いてたから」
「…あ、…ああ、そうか…」
「ん…まあ、そういうことだ」
貴方と過ごす、最後のティータイム。
その日くらいは、ブラックコーヒーを飲んでみようと思ったんだ。


C.貴方と過ごした、馬鹿な日々。(17過去 提督・衣笠)


「よう、テメェが衣笠か?」
「………はい?衣笠さんに何か用?」
「おいおい、邪険にすんなよ、せっかく有名人に会いに来たのに、寂しいじゃないか」
「はぁ、めんどくっさいなぁ…言っとくけど、今衣笠さん機嫌悪いから、手加減してやんないよ」
「抜かせ!」
「っ!…っぐ、ちょ、不意打ちは卑怯じゃないの…?」
「正面からで不意打ちもクソもあるかよ、ボケ!」
それが出会い。
後に、周辺を震撼させることになる悪ガキ達の。



D.ある日見つけた、サンプル動画。(18AFTER あったかもしれない未来)


「………」
流石に妊婦に手を出すわけにはいかない。
そりゃそうだけれど、それでも溜まる物はある。
男だから。
「…野分は今日は検査入院だっつってたし…」
パソコンを立ち上げる。
開くのは勿論R18なサイト。
「さってとー…ん?お、この娘可愛いな」
クリックしたリンク先、書かれていた言葉を見て。
マウスを握る手に、無意識に力が籠もった。


『かつてはテニス界の妖精とも呼ばれた――――』

ハイエースも誰も選んでなかったしやっぱり皆優しいね
春雨ちゃんの汎用性高いと思う
それじゃ本編やります

うーむむ 考えときます


【11月3週】



提督「あ、エロ霜」

清霜「エロくないー!」

提督「まぁまぁ、思春期だもんな?」

清霜「むぎゃー!その目やめてよー!」

提督「しかし、お前もやっぱ…人並みには…なぁ?」

清霜「………」プクー

提督「…?どした?」

清霜「…提督、きらい」

提督「!?ま、待て!待てって清霜!俺が悪かった!」

千代田「…なら最初からやらなきゃいいのになぁ」

千歳「ふふ、色々あるんでしょ」





>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   125/500
大井   *75/500
陸奥   126/500
千歳   *83/500
清霜   *66/500



清霜「おべんとー!」

提督「ちと姉作、な」

清霜「…彩りが悪いよねー」

提督「…うむ、しかし味は抜群だ」

学校、教室、昼休み。

本日のランチは、舞風とではなく清霜とである。

といっても、何も俺が女の子をとっかえひっかえしちゃうプレイボーイというわけではなく、ただ単に戦艦道部の諸々で舞風が忙しいというだけだ。

他に一緒に食べる奴?…輪に入りづらいから、輪に入りづらいだけだから。

まあ、此方の居心地もさして良いとは言えないのだが。

早霜「……じー」

提督「…どうしたんだ?」

早霜「いえ、見ています」

提督「…そりゃ、見てるのはわかるが」

それも普段清霜と一緒に昼ごはんを食べているらしい早霜のせいである。

無理言ってご一緒させてもらっているのだし、どちらかと言えばこの場の異物は俺だというのも承知してはいるが…。

こうもガッツリ視線を向けられるとなんとも居心地が悪い。

けれど、清霜といえば。

清霜「早霜ちゃんはいっつもこうなんだよねー」

なんて言って弁当をぱくぱくとかっ食らっている。

いつもこうで済ませていいのかこれ、ものすっごい見てるんですけどこの子。

お陰で飯もまともに食えない。

提督「……は、早霜、だっけか」

早霜「はい」

提督「なんでそんなに俺を見てるんだ?」

早霜「はい、清霜の彼氏がどのような人なのかと観察しています」

提督「ぶふぉっ」

清霜「ご、ごほっ!は、早霜ちゃん!?」

早霜「……この人、いつも清霜が話してくれる人ではないの?」

清霜「そ、そうだけど!」

早霜「あの話し方からして、そういう関係だと思っていたけれど…違うの?」

質問を振られた清霜は、あーとかうーとか唸って、最終的に視線を此方に向けて質問ごと投げて寄越した。

代わりに答えろ、ということらしいが…。

早霜「……」

早くしろという視線が突き刺さる。

…うーむ――


>>+2

A.んなわけない。

B.鋭いな、実はそうなんだよ。

C.…秘密だ。

A.んなわけない。(*0.5)



提督「んなわけない」

早霜「あら」

清霜「………」

早霜は一瞬だけ清霜にちらっと視線を移し、それをまた俺に戻す。

そこに込められている感情は…よくわからない。

早霜「そうだったのね、ごめんなさい」

提督「いや、からかったんだ、ってのはわかるし」

なあ、と清霜に言葉を投げるも、返ってこない。

提督「…清霜?」

清霜「……そーだね」

どころか、非常に不機嫌そうに佇んでいた。

早霜「……はぁ」

そんな俺達を見て、早霜は溜息一つ。

早霜「変な間を挟んでごめんなさい、食事を続けましょう」

提督「あ、ああ…」

程なくしてランチタイムは再開されたものの、やはり空気は少し重かった。




清霜→  *99/500



【11月4週】


舞風「最近、微妙に寒いねー」

提督「随分面白くない話題の振り方だな」

舞風「何さ、じゃあ面白い話題振ってよ」ムッ

提督「いや、別に無いけどな」

舞風「そーいうと思ったぁー」

提督「ま、そんなもんだ」

舞風「そんなもんかぁー」



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   125/500
大井   *75/500
陸奥   126/500
千歳   *83/500
清霜   *99/500



舞風「幸せってなんだろねぇ」

提督「……また随分哲学的な」

舞風「やー、ふと思ったのだよー、ワトソンくん」

提督「適当なキャラ付けだなぁ」

舞風「でもさ、考えちゃうじゃん、そういうの」

提督「そうか?」

昼飯を食いながらにしては随分不釣り合いな話題だと思ったが、少なくとも向こうはそれを続けたいようだ。

しょうがない、と少し考えてから、言ってやる。

提督「今だって結構幸せだと思うけどな」

舞風「んー…そだね、あたしもそう思う」

舞風「でもさ、もっと上があるかも、とも思うの」

提督「……上、ねぇ」

際限なく上を見るのは人の人たる所以か、などと高尚な言葉が頭を過る。

大抵の場合そういう人間は足下をすくわれるのがお決まりだ。

提督「今で満足するって手は?」

舞風「ん、満足してるけどさ」

そこで間をとって、なおも続ける。

舞風「今の幸せは―いつまでも続くわけじゃないから、短かったら3月まで、長くても卒業まで」

提督「…なんだ、俺といる時間の事を言ってたのか」

舞風「そだよ、相変わらず鈍いねぇ」

提督「…や、普通その発想には至らんだろう」

舞風「ま、そりゃそうだ」

というか、その意味をそのまま受け取ると―結構えらいこっちゃになる気もするんだが。

それはそれでいいのか、舞風。

舞風「あたしさ、結構提督といる時間って好きなんだ」

提督「…お、おう」

好き、という言葉に思わずドキリとする。

そんなもんなのである。

舞風「楽しいし、多分幸せなんだろなーとも思う」

舞風「だけどさ、最近……もっと上があるかも、って思っちゃったら、なんかなー、って」

提督「もっと上?」

舞風「うん、一緒に過ごす時間、友達って関係じゃなくて…もっと、上」

提督「な――」

まるで告白じゃあないかと、目を剥く。

舞風「へへ、なんてねー、それは流石に嘘」

が、舞風はどこか飄々と受け流す。

提督「……あのなぁ」

舞風「ごめんごめん、…でもさ」

謝って、また少し間を開けて。



舞風「提督はそういう風に思ったことない?」

提督「どういうふうに」

舞風「今の幸せ、あたしとの幸せをもっと上にしたいとか」

提督「……もっと上てなあ」

…つーか幸せ感じてる前提なのな。

…まあ、そりゃ楽しいけどよ。

舞風「それじゃ、わかりやすく彼氏彼女になりたいとかでもいいけど」

提督「………んー…」

舞風「ほらほら、言っちゃえ言っちゃえー、あたしだけ恥ずかしいこと言わせるなー」


>>+2


A.まあ、うん、そうだな。

B.確かに、そういう風に思ったことくらいなら。

C.ないない。

B.確かに、そういう風に思ったことくらいなら。(*1.5)


提督「確かに、そういう風に思ったことくらいなら」

舞風「おー」

提督「舞風、可愛いしな」

舞風「………」

続けた言葉に、辟易したような様子で舞風が俺を見た。

提督「…なんだ」

舞風「そればっか、語彙少ないなぁ、提督」

提督「いいじゃないか、本心だよ」

舞風「そんなんじゃ女の子は喜ばないよー」

などと、余裕綽々で言う。

よしならば挑戦してやろうじゃないか、そんな気持ちが湧いてきて。

提督「舞風、可愛いよな」

舞風「だから」

提督「ほんと可愛い、もうめっちゃ可愛い」

舞風「…あのね」

提督「学園祭の時とか可愛い過ぎて変な声出たし」

舞風「……」

提督「もうこの世に舞い降りた天使かなんかと思ったくらい可愛い」

舞風「……えへー、そう?」

提督「お前チョロいな!?」

挑戦者の勝利。

ただし、チャンピオンが弱すぎたという説が濃厚。



舞風→  267/500



【舞風―その1】


案外、冗談でもないんだって。

そんな事をいったら、彼はどんな顔をするんだろうと、ふと思った。

「ま、どーせはぐらかすんだろーけどねー」

それはそれでも構わない。

だってきっと自分の気持ちは、恋心というにはあまりに小さくて。

ただ、一緒に居たいの延長線上。

でも、この気持ちがずっとずっと伸びていったら、その時は。

「どうなるんだろ」

当然、疑問に答える声は無かった。

だけど、なんとなく自分の中で予想はできていたから。

「そういうことなんだろねー」

「……舞風、先程からうるさいです」

「あー野分、ごめんごめん」

まあ、そんな感じ、うん。



【12月1週】


千歳「提督は、クリスマスの予定あるの?」

提督「ない」

千歳「…そんなキッパリ言っちゃう?」

提督「ない」

千歳「お姉さんが付き合ってあげようかー」

提督「酒飲ますだけでしょ、ちと姉」

千歳「ま、そうだけどね」アハハ

提督「…ああ、クリスマスっぽくイチャイチャしたい…」

千代田「…………」ウズウズ

提督「……あ、ちよ」

千代田「はいっ!」

提督「…っても、ちよは予定ありそうだよなぁ……」モテソウ

千代田「………はぁ」



>>+1~3でキャラ指定、最高コンマのキャラと交流



舞風   267/500
大井   *75/500
陸奥   126/500
千歳   *83/500
清霜   *99/500

【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★22【安価】
【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★22【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423931677/)

次スレ
イケメン陰陽師回の阿賀野棲鬼が今回のイベで実現した事が密かに嬉しかった

あ、次スレ貼ってくれてた、気付きませんでした
今までの週、修羅場で組み合わせるなら誰と誰だろうか
最近那珂ちゃんに謎の親愛湧いて那珂ちゃんが8人くらいいる、まあ那珂野くんはファミリーみたいなもんやし

おお、母娘があったそういえば、ってまた近親モノになるのか
あの週はエピローグ短くてすいませんでした
埋め

こっちでも向こうでもヒロインやしそれの影響ちゃう?(適当)
今までの周回だったら…見てみたいのは6周目の由良と古鷹のかねー

初春VS叢雲 長門VS響 明石VS文月 瑞鶴VS翔鶴 RJVS阿賀野
満潮VS曙 大和VS天津風 如月VS陸奥
ざっと思いつくもんでこんな感じかな

六周目の由良古鷹辺りが良い味出しそう

うめ

>>990
>>991
>>992
ありがとうございます
5と12だと修羅場っつーかバトルモノになりそう
いい感じにインスパイアできたので埋め

埋め

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