【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★17【安価】 (1000)

・艦娘×提督の学園もの
・全然艦隊とか関係ありません
・エロ、グロといった描写があるかもしれません
・なんかドロっとしているかもしれません

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前スレ

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ヒロインまとめ(○はエンド艦娘、次回登場は不可、○付いてない子は出せます)


【1周目】

電(幼馴染)         
浜風(娘)          
あきつ(後輩)         
足柄(先輩)          
○青葉(同士)   



【2周目】

大和(管理人)       
○不知火(親友)      
飛鷹(教師)        
五十鈴(転校生)       
北上(同居人)       


【3周目】

雷(クラスメイト)       
球磨(スラッガー)      
間宮(バイト先の店長)   
○那珂(超人気アイドル) 
阿武隈(義妹)        


【4周目】

陽炎(幼馴染)        
川内(学生であり怪盗)  
卯月(妹分)         
榛名(後輩)         
○暁(妹)           


【5周目】


初春(宇宙人)
叢雲(↑のライバル)
長門(ながもん)
響(帰国子女)
山城(元カノ)

BAD。


【6周目】


千代田(義妹)
吹雪(親友)
赤城(大食いチャンピオン)
由良(後輩)
古鷹(フライフェイスとオッドアイの演劇の天才)

BAD。


【7周目】


比叡(記憶喪失・幼馴染)
○漣(家政婦)
明石(近所のお姉さん)
大井(クラスメイト)
レ級(クラスメイト)

【8周目】

○明石(義姉)
鈴谷(同居人)
文月(姉)
熊野(財閥令嬢・崩壊寸前)
白露(クラスメイト・電波)


【9周目】

○潮(従妹)
村雨(幼馴染)
鳳翔(先生)
朧(後輩)
武蔵(応援団長)


【10周目】

深雪(親友)
曙(従妹)
大鯨(母)
翔鶴(弟の彼女)
瑞鶴(弟の彼女)

BAD。


【11周目】

伊58(未亡人)
隼鷹(お嬢な同級生)
○初風(面白い同級生)
蒼龍(担任)
ビスマルク(留学生なお姫さま)


【12周目】

阿賀野(いつもニコニコガチサイコストーカー)
○瑞鳳(いじめられっこ)
龍驤(陰陽師)
睦月(おなちゅー)
翔鶴(従妹で居候な部活の後輩)


【13周目】

舞風(殺し屋)
○羽黒(許嫁)
雷(幼馴染)
霧島(生徒会員)
荒潮(未来からやってきた娘)


【14周目】

飛龍(家庭教師)    
磯風(幼馴染)    
卯月(お隣さん)    
大鳳(新人体育教師)    
○浜風(昼はクラスメイト/夜は…) 


【15周目】

霞(鬼教官)
雪風(幼馴染)
○島風(従姉妹)
弥生(クラスメイト)
加賀(部活の先輩)

【16周目】

摩耶(年上の同級生)
満潮(弟離れ出来ないダダ甘姉さん)
曙(脳天気でだらしない優しい妹)
○鬼怒(脳筋中学生)
山城(やたら尽くす幼馴染)


【17周目】


黒潮(ほんわかさん)
敷波(恩人)
大鯨(提督に片思いしている先輩)
衣笠(相棒)
○吹雪(凡人)


【18周目】


阿武隈(幼馴染)
伊58(幼馴染)
磯波(幼馴染)
摩耶(幼馴染)
野分(親友)


いまここ。

今日はこの辺でやめときます
おやすみなさい

始める
まずは埋めネタから
>>+2


A.正しい道、というお話。(暁ifAFTER 陽炎√)

「ねえ、この写真」
「……っ!?お、お前これ…」
「…いーのかな、こういうことして」
「……妹でしょ?暁ちゃん」
「…スキンシップ、だよ、ただの」
「…じゃあ…私にも出来るよね?」
「な…それは」
「…スキンシップなんでしょ?」
「…………」
「ほら…してよ、キス」
―暁と進むと決めた道。
それは、間違っているのだろうか。
「おにい……ちゃん…?」
「…あはっ」
陽炎は、ただ笑っていた。


B.飛龍せんせー、というお話。(飛龍√ 300辺り)


「ぬぐ…」
「約束っすよ!約束っすよ!?」
「…わ…わかってるわよー…」
飛龍さんが、たどたどしい手付きで俺のズボンを脱がす。
期待に膨らませていたその怒張が、勢い余ってその顔に当たった。
「ひゃっ!?」
「…ん、初々しいっすねぇ?」
「あ、もしかして初めてだったりしますか!はっはー、いやいや、飛龍さんも案外…」
「……提督くん」
「へ?…ぎっ!?」
瞬間、走る痛み。
それは、先程顔に押し付けられた物を強く握った飛龍さんの右手によるものであった。
「あんまり、調子乗らないでね?」
「ひ、飛龍せんせー…?」
にっこりと、先生は嗜虐的な笑みを浮かべた――


C.蒼龍せんせー、というお話。(蒼龍√)


「…また失敗したぁー…」
「先生、向いてないんじゃないですか?」
「思っても言わないでよぉー!」
「でも…やめないで下さいね、先生」
「…………」
「……先生?」
「…蒼龍」
「…え?」
「ふたりっきりの時は名前で呼んでって、言ったのに」
「……そ、蒼龍」
「…うん」
「…これでいいです…ごほん、これでいいか?」
「うんっ!」
…単純な先生だ。
でもそこがまた可愛いな畜生。



提督「………」

阿武隈「………」

ああ気まずい。

ああ気まずい!

あれからずっと何となくお互い避けてたのに何の因果か教室に二人きりになっちまった。

いや、真相は委員会が同じなのが悪いのだが。

美化委員として教室の掃除用具チェックやらをまとめなければならない。

…のに、一向に作業が進む気配は無い。

というか作業をする気配すらない。

提督「………」

阿武隈「………」

流れるのは、沈黙。

ひたすらに黙っている俺達である。

…この前…の、告白、だよなぁ。

…きらきらだとか、俺の為だとかって。

もしかして、こいつは俺のあの子供の時の発言を真に受けたのだろうか。

……も、もしそうなら…返事とか、した方が…いいよなぁ。

下に向けていた顔を、何とか阿武隈の方へ動かす。

彼女も、先程までの俺のようにひたすら俯いていた。

阿武隈「…………」

当たり前だが、表情は見えない。

一体、阿武隈は何を思ってあんな事を言ったのだろう…。

阿武隈(……あああああたしのバカーバカー!)

阿武隈(…提督と一緒の委員会なんて何で選んじゃったのよぉー!)

阿武隈(確かにあの時は嬉しかったけどもー!)

阿武隈(というか何でよりによってこんな時に仕事入れるの!?あり得ないし提督も何か言ってよってばぁー!)

提督「………ふぅ」

息を吐いて、移した視線を外す。

俯いて頭を抱えているだけの阿武隈に期待しても仕方ない。

…ここは、俺が動くしか無い。

……うむ――――


>>+4


A.…さぁ、仕事するぞー!

B.………嬉しかった。

C.……あれ、冗談だよな?

B.………嬉しかった。(*1.5 最低値301)

提督「………嬉しかった」

阿武隈「…………ほへ?」

呆けた顔で、阿武隈が俺を見た。

…うん、ちょっとこう、色々考えてみたんだけど。

やっぱり嬉しかった。

阿武隈にああ言われて、嬉しかった。

キスされて、めっちゃドキドキした。

遠くに行ってしまったと思っていた幼馴染。

もう会うことはないと思っていた幼馴染。

会いたかったのは、きっと。

…あの時、既に少しだけ惹かれていたのだろう。

提督「…すげー嬉しかった、阿武隈」

阿武隈「…あ、あの…えと?」

何が?とでも言いたげに、俺を見る彼女。

なんだこいつ鈍いな。いや、俺が言うのも何だけどさ。

提督「だーかーらー!嬉しかったんだよ!」

阿武隈「…嬉しかったって…」

提督「その…お前に、告白されて」

阿武隈「……え………ええっ!?」

ここまで言って、やっと意味が伝わったようだ。

阿武隈が大袈裟に驚いて、椅子を転げさせるんじゃないかという程の勢いで後退った。

阿武隈「な、なに!?なにこれ、夢っ!?」

提督「げ、現実だっての」

阿武隈「……ほっへは、いひゃい…」

俺の呆れ声も届かない様子で自分の頬を抓って、阿武隈が再び目を見開いた。

阿武隈「え、いや…それって…あの…ぅ」

提督「…だからさ、もっかい」

阿武隈「…もっかい?」

提督「……もっかい、キスしたい」

阿武隈「…ひゃ……ひゃぁっ…」

提督「…ダメか?」

俺の問いに、阿武隈はひたすら目を泳がせた。

定まらぬ瞳が、ぐるぐると回って。

結局、明後日の方向を向いたまま止まった。

そして、小さな声で。

阿武隈「……ど、どうぞ…」

しかも何故か敬語で、彼女はそう言って。

その様子に、ついつい笑いがこみ上げてきたのだった。


阿武隈→  301/500



【阿武隈―その2】


「……………ぽけー…」

「…どーしたんでち?」

「……ひゃあっ!?」

「…阿武隈ちゃん?」

「…ゴーヤちゃん、磯波ちゃん…」

「なんか最近、よく口半分くらい開けてぼーっとしてるねぇ」

「何か…悩みでも、できたんですか?」

「う、ううんっ、何でもないの」

「…そう?それならよかったぁ」

「…遠慮せず、何でも話して下さいね?」

「……うん、ありがとう…」

…あの話は、まだ二人には話していない。

ずっとタイミングを窺っているのだけれど…中々難しいから。

きっと、…言いにくいのは…罪悪感、かもしれない。

あの二人も、頑張ったから。

提督の為に…頑張ったから、ね。

…だけど、そんな事を思いながらも。

「……ふふっ」

心の何処かで、言い知れぬ優越感を覚えていた。

…提督は今、あたしのものなんだよ、って。

そう言ったら、二人はどんな顔をするのかな、なんて――

むしろここまでがプロローグ


【11月4週】


提督(………うーむ)

提督(……なんかこう、よく考えてみると)

提督(…阿武隈がその理由で転校してきたなら…)チラッ

ゴーヤ「………でね――」

磯波「………あはは――」

提督(…あの二人も、もしかして…?)

提督(だったら、隠さずに言っといた方がいいのかねー?)

提督(…いやでも、…阿武隈は有名人だし…それでどっかに漏れたら迷惑掛かるかもしれないし…)

提督(あーもうどうすりゃいいんだ俺…)




野分    168/500
摩耶    **0/500
伊58    118/500
阿武隈   301/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



阿武隈「てーとくっ!」

提督「お、いらっしゃい」

阿武隈「こんちはーっ!」

提督「おっとと!?」

部屋に入るなり、阿武隈が俺に突っ込んでくる。

なんとかその直前で身体を止めることには成功したが…どうにもこう、なんだ、スキンシップが過剰である。

提督「…いきなり何をするんだ」

阿武隈「あははー…ごめんなさい、ちょっと浮かれてた、かも」

提督「いや、良いけどさ…まあ、とりあえず座れよ」

阿武隈「う、うん」

促すと、床に敷いた薄い座布団へと腰を降ろす。

そして、なんか不思議だね、と独りごちた。

提督「不思議?」

阿武隈「…え、えと…ここに、提督の彼女として入ったの初めてだなぁ、って」

阿武隈「な、何回も来たことあるのにね!なんだか、…えへへ、不思議な感覚だよ」

提督「……そ、そうか…」

何だこいつ可愛い事言いやがって。

…そうか…彼女、なのか。

…いかん、なんか俺まで緊張してきた、自分の部屋だというのに。

阿武隈「……提督?」

提督「お、おう!?…ああ、すまん…えー…なんだ」

提督「まあ、…それでもさっきみたいな事は控えてくれ」

阿武隈「…さっきみたいな事?」

提督「あ、ああ…いきなり抱き着いてくる、とか、そういうの」

阿武隈「……嫌、…かな?」

提督「そ、そんなことはない!ただ…」

阿武隈「ただ…?」

提督「…俺もほら、男だから」

…自分の部屋で可愛い彼女にボディタッチされまくると…理性が保つ気がしない。

悲しいけどこれ、男子高校生なのよね。

阿武隈は、俺のそんな言葉に恥ずかしそうに視線を逸らした。

…だが、彼女が次に言った言葉は、予想もしていないものだった。

阿武隈「……て、提督なら…いいよ」

提督「…え」

阿武隈「…その先、しても…」


>>+1-5

A.……いい、のか?

B.…アホ、落ち着け。

C.……いやー阿武隈じゃあちょっと…。

A.……いい、のか?(*1.5)


「……いい、のか?」

…いや、よくねーよバカまだ昼だぞ。

違う別に時間なんて関係無いんだけどさこう色々おかしい。

「……うん…」

うんじゃないって阿武隈もホラ拒否してよホラ。

じゃないと俺止まれないからもうこのまま色々通過しちゃいそうだから。

「……っ」

「……唇、柔らかいよな、…阿武隈」

「……ふぁっ…れるっ、あっ」

唇の先、口内を舌でつつく度、喉の奥から阿武隈の吐息が漏れる。

たったこれだけでこんなに反応してくれるのならば、…舌全部入れたら、どんな反応するんだろう。

だからそうじゃないってば俺、止まって、止まりなさいこら。

「…んぅっ!?」

はい、入れちゃった。

驚いたようにびくっと身体が跳ねて、熱い空気の塊が喉の奥から上がってくる。

なるほど、凄い反応だ、つーか口の中柔らかっ。

「っ、ぁっ…んーっ、ふぅっ…」

舌先を動かす度に、ぐちゃぐちゃと音が響く。

最初はされるがままだった阿武隈も、段々と落ち着いてきたのか、自分の舌を俺に突き出してくる。

それはきっと非常に拙い動きなのだろうけど、なんだかそんな拙さが逆に俺を興奮させた。

「……っ、ふっ、んー……ぷはぁっ…」

たっぷりと口内を味わって、やっと舌を引き抜くと、一気に阿武隈の身体から力が抜けた。

そのまま倒れそうになる身体の後ろに手をやって、支える。

「…阿武隈、可愛い」

「……かわい…い…?えへへ…うれしい」

そんな蕩けた状態でも、俺の言葉に彼女は笑う。

…あー無理、もう無理、止まれるわけねーだろ。

「………ごめん、阿武隈」

「……ぇ?あっ…」

足にも手を差し込んで、背中に回した手と共に力を込め、彼女を抱え上げる。

「痛くないか?」

「…お姫さまだっこだ…ふふっ」

「………大丈夫そうだな」

短い距離のお姫さまだっこは、すぐに終わる。

未だにどこか惚けている阿武隈を、俺のベッドにそっと置いた。

「……ん」

それに、彼女は少し残念そうに唇を尖らせて。

…こんな時まで可愛い奴である、ほんとに。



「……ぅ、えっ!?」

「…重くないか?」

「…だ、だいじょぶ…」

阿武隈に覆いかぶさるように、ベッドの上に俺も乗る。

…なんかさっきまで止めようとか考えてたけど全部どっか行った、知らん。

「……っぅ…んっ」

控え目な胸に手をやると、先程と同じように…いや、先程よりも反応良く身体が動く。

…嫌がっては、いない。

きっと、俺達の求めている物は同じだから。

だから。

……つまり、その、なんだ。

…手を出した以上は、責任、取らないとなぁ。



阿武隈→  401/500




【阿武隈―その3】


「………にやー…」

あーもうダメだ。

なんかばかになってる、いまのあたし。

凄い蕩けた顔してるのが自分でもわかるもん。

「…やー…えへー……」

「あー…阿武隈ちゃん?」

「…にゃんでもないー」

「……ようには見えないでち」

「ほんと、何でもないんだってばぁー…えへへ」

夢が叶って。

ついでに色々叶って。

凄い幸せな気分で。

罪悪感はどこかに行って。

残ったのは、優越感だけだった。



【12月1週】


提督「…………」

野分「提督くん?」

提督「…………あー、野分か」

野分「…随分薄いですね、反応」ムッ

提督「……いや…別に、いつも通りだろ」

野分「いつも通り、なんてわざわざ言う人はいつも通りじゃないんです」

提督「…そうかー…そうかもなぁ、のわっち賢い」

野分「…もう、ほんとにどうしたんですか…調子が狂いそうです」

提督「…あー…うん、色々、後悔とか反省とか、でもやっぱ幸せだとか」

野分「…………?」



野分    168/500
摩耶    **0/500
伊58    118/500
阿武隈   401/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

ここまで
ありがとうございました



提督「おーす、摩耶」

摩耶「げっ、提督」

提督「げ、とはなんだ」

摩耶「あーいや……えーとー…」

「あら、摩耶ちゃんの友達かしら~?」

摩耶「…ま、まぁ…うん、そこそこ」

学校の廊下。

見つけた摩耶の姿に、思わず声を掛けてしまったのだが。

…なるほど、どうやら友人と同伴らしい。

あるよねぇ、こういう友達と歩いてる時にその友達の知らない知り合いから声かけられてどうすっかなーってなる時。

…さて、勿論俺は空気を読むので退散の一手である。

提督「…おっと、友達と一緒だったか、しからばごめん」

「あら、気にしないで良いのよ~?」

すすっ。

振り返って歩き出そうとした瞬間、その摩耶友Aに回りこまれて進路を塞がれた。

…な、何者だこの人…。

「うふふ~、ねぇねぇ、摩耶ちゃん」

摩耶「…あんだよ」

「この人が…摩耶ちゃんがいつも言ってる、ムカつくけど優しい幼馴染さんかしら~?」

摩耶「ああっ!?な、何言ってんだこら!」

「あらあら、違ったのかしら、この人を見た瞬間、急に様子が変わったから、てっきり…」

摩耶「ち、ちげーよ!ちげーからちょっと黙ってろって!」

「では、こちらに直接聞きましょうか、あの~…」

提督「あ、提督です」

「うふふ、ありがとうございます提督さん、それで…貴方、摩耶とはどんな関係なのかしら?」

後ろでぎゃあぎゃあと暴れる摩耶を軽く押さえつけて優雅に微笑む友人さん。

この人めっちゃ楽しんでるなぁ…。

ふむ、さてさてなんと答えたものか――


>>+2


A.ただの顔見知りです。

B.ははっ、恋人ですよ…な、摩耶?

C.まあ、そいつの言った通りです。

B.ははっ、恋人ですよ…な、摩耶?(*1.0)


うん、普通に答えてもつまらんな。

多分この友人さんも面白い受け答えを期待している筈だ。

…よし。

提督「ははっ、恋人ですよ…な、摩耶?」

「あら~!?そうだったの!?」

摩耶「は、はあっ!?」

友人Aさんが、わざとらしく驚いた素振りで摩耶を見る。

摩耶はそれを誂われていると見破る余裕もないらしく、俺に詰め寄ってきた。

摩耶「お、おい提督!?お前何言ってんだよ!あ、アタシとお前が、…つ、つき…とか」

提督「…んん?月?」

摩耶「ばっ、ちげーよ!だ、だから…付き合…とか」

提督「おいおい、はっきり言ってくれないと聞こえないぞ?」

摩耶「ぬ、ぬぐ…ぐぐぐっ」

「あらあら~」

友人さんはどうにもご満悦な様子だ。

顔を赤くする摩耶を見てくすくすと上品に笑っている。

提督「……ほら、どーしたんだよ、摩耶?」

摩耶「…うがーっ!」

提督「ごっ!?」

俺が催促するように摩耶に寄った瞬間、我慢の限界を迎えたらしい。

綺麗な腹パンが決まってしまった。いてぇ。

「あら~………」

摩耶「ふんっ!お前なんかもう知らねーよ!」

どすどすと不機嫌そうに廊下を踏み鳴らしながら遠ざかっていく摩耶。

……どうにも、誂いすぎたようだ…。



摩耶→  *54/500



【12月2週】


クリスマス。

そんな単語が街に溢れ始めるこの時期。

去年までなら何がクリスマスだぶっ潰すぞクソども、なんて毒づいていたものだが…。

阿武隈「クリスマスだねー」

提督「だな、…どっか行くか?」

阿武隈「もー…聞かなくてもわかるでしょ?」

提督「だよな!」

阿武隈「プレゼント、何がいいかなぁ…」

提督「阿武隈の選んだものなら、何だって」

阿武隈「ふふ、楽しみにしててね?」

ああ。

クリスマス最高。



野分    168/500
摩耶    *54/500
伊58    118/500
阿武隈   401/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



野分「…提督くん」

提督「……野分?」

ぽん、と肩を叩かれて振り返る。

そこには、いつもよりも些か無表情な野分が立っていた。

野分「……先程から呼びかけていたんですが…」

提督「す、すまん…少し考えごとをしててな」

眉を下げ、不満顔で言う野分。

どうにも注意力散漫でいかんな。

…これも、阿武隈が有名人なせいだ。

隠しておくべきなのか、それとも近しい人くらいには言うべきなのか。

それをずっと考えて、結局答えが出ない。

野分「…最近」

提督「ん?」

野分「…最近の提督くん、少し、おかしいです」

提督「おかしい?」

野分「はい、ぼーっとしてるし…それから、私にも、冷たい…ような」

提督「んなことないよー!俺はいつでものわっちに暖かさを供給してるよ!」

野分「…無理に振る舞わなくていいです」

提督「……うい」

のわっちのみやぶる。

空元気を即看破。

…つーか、これは鋭いっつーよりも俺がわかりやすすぎるのかね。

野分「…何か悩みでもあるのですか?」

提督「悩み、……というか…うーん」

野分「…良ければ、お話してみてくれませんか?」

野分「……友人、として…少しでも力になれればと」

友人の部分を強調して野分が言う。…なんか悲しいじゃないか。

…まあ、それはいい。

悩み…確かにこれは悩みなのだろうけれど…。

のわっちに言っていいのだろうか――――


>>+4


A.…包み隠さず話す。

B.…あくまで友人の話、と前置きして話す。

C.なーんでもないよ、のわっち!

A.…包み隠さず話す。(*1.5)


提督「……じゃあ、聞いてくれるか?」

野分「っ!?は、はいっ!」

野分が、今日初めての笑顔を見せた。

うーむ、やはりのわっちはこうでなくては。

…頼れる友人は、いいよな、やっぱ。

提督「あのな――」

――――――――――

野分「……………」

提督「…それで、…言うべきか言わざるべきか…って」

提督「隠しててもさ、いつかバレるんだろうけど…あんまりおおっぴらに付き合ってたら、阿武隈がなんか影響受けたりしないかって」

提督「…でも、まあ…仲の良い奴くらいには言っとくべきか…とか思ってさ」

提督「ちょっと別の懸念もあるし………のわっち?」

野分「え、あ、あぁ!はい!」

提督「…どしたん、ぼーっとして」

野分「あ…いや…その、提督くん」

提督「うん、思ったことでいいからさ、言ってくれれば」

野分「…ごめんなさい、私、そういう話題とは思わなくて…力になれそうには…無い、わ」

提督「いやいや、そんな気負わなくても、思ったことで――」

野分「……少し、用事があるの、ごめんなさい」

提督「のわっち……って、ホントに行っちゃったよ」

提督「……んー」

もしかして、他人からはまるでノロケてるみたいに聞こえるんだろうかね。

…やっぱ、誰かに相談するもんじゃないのかもなぁ。

提督「…参ったなぁ」



野分→  264/500



【野分―その1】



頭がぐちゃぐちゃで、何だか何も考えられなかった。

付き合ってる、なんて。

その言葉だけで。

何も言えなくなった。

…聞かなきゃよかった。

それで何かが変わるわけじゃないけど。

でも、知りたくなかった。

「……提督くん」

私達の関係は変わらないと、どこかで信じていた。

変わるとしても、その時隣にいるのはきっと私だと信じていた。

…そんなこと、あるわけないのに。

ぐちゃぐちゃの頭は、一向に纏まる気配はない。

教室を適当に飛び出して来たのはいいものの、もはや何処をふらついているのかもよくわからない。

「…でさ」

「…なんでそうなるんでちっ!」

そんな時、前から歩いてきた二人組。

ゴーヤさんと……阿武隈、さん。

楽しそうに笑っていた。

楽しそうに、楽しそうに笑っていた。

………。

……………。

…………………。

がしゃん!

「わっ!?」

「でちっ!?」

手近にあった教室の窓を殴った。

大きな音がして、破片が飛び散った。

「の、野分さん?」

「ど、どうしたんでち!?…て、手から血が出てるよぉ!?」

「…何でもない」

「…何でもないって、保健室…」

「触らないでっ!」

「え……」

「………大丈夫、だから」

「……あ…う、うん」

…不思議と、痛みは無かった。



【12月3週】


提督「ちょ、のわっち!?」

野分「…おはようございます」

提督「いやいや、何その手!?」

野分「……不注意です、気にしないでください」

提督「気にするって!不注意ってどんな…」

野分「…いえ、大丈夫です」

提督「……んー、わかった…気をつけなよ?」

野分「…はい、ありがとうございます」



野分    264/500
摩耶    *54/500
伊58    118/500
阿武隈   401/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



提督「…野分、どうしたんだ?」

野分「どうした、とは?」

提督「…いや、なんか最近おかしい気がしてさ」

野分「……どこがでしょうか」

提督「…どこが、って言われても…何と言えばいいか」

野分がおかしい。

それは、丁度この前悩みを相談した次の日からのことだった。

手を怪我していたり、口数があまりに少なかったり。

冗談を飛ばしても笑ってくれなかったり。…あ、こりゃ前からか。

まあ…それはいいとしても、流石に気になる。

このままじゃいかんですよ。うん。

提督「のわっち!」

野分「…なんでしょうか」

提督「……あ、あはは…いや…ね」

のわっち呼びでもこの反応なのか。

…い、いかにせむ。

というか一体全体野分はどうしてこんな事になってしまったんだ。

野分「…用がないなら、帰ってもいいでしょうか」

提督「ああいや!のわっち遊び行こうぜ!?」

野分「…生憎、そういった気分ではありませんので」

提督「……ぬ、ぬぐ」

…取り付く島もない。

せめてランゲルハンス島くらいの島はあってほしかったぜ。

……うーむ…。

どうすれば――


>>+4


A.…悩みがあるなら相談してくれよ?

B.のわっち元気だせよー!

C.……ぐう、何も出来ない。

A.…悩みがあるなら相談してくれよ?(*1.5)



提督「…悩みがあるなら相談してくれよ?」

…あの時、野分が言ってくれた言葉。

それをそっくりそのまま返した。

提督「俺達友達だろ?ほら、信頼度も結構高くなってたはずだぞ?」

提督「だからさ、そんな風に1人で抱えてないで…」

野分「相談、ですか」

提督「うん、そうそう、頼りにならないかもだけど――」

ずっと視線を逸らしていた野分が、そこで初めて俺を見た。

瞳が、なぜだか昏く見えた。

野分「私は…」

提督「う、うん」

野分「私は、提督くんが好きです」

提督「………え?お、おい、野分」

いきなり言われた言葉の意味をよく理解できなくて。

冗談はやめろ、そんな事を言おうとして、それは野分に遮られた。

野分「…冗談などではありません」

野分「だから、貴方が恋人がいるという話を聞いて、ずっと最悪の気分でした」

提督「……たはー!もーのわっちったら、俺の純情を弄ぶ、のは…」

野分「………ふふっ」

野分「…そうですね、ごめんなさい」

提督「…だ、だよねぇ…あーびびった」

野分「………もう、変わったんですね、全部」

提督「…へ?」

野分「…それじゃあ、失礼します、提督くん」

提督「ちょ、野分!?今のどういう――」

俺の制止をまるで意に介した様子無く。

野分は、教室を去って行って。

俺は一体どうすればいいのだろうと思うしかなかったのであった。



野分→  399/500

書けね
ごめんここまで



【野分―その2】


変わってしまった物。

そして、二度と元には戻らない物。

提督くんはきっと、まだ昔みたいな関係でいたいんだと思う。

だからあの話をはぐらかした。

それは悪くないし、当たり前で当然のことだ。

でも、出来るわけがなかった。

私にそんな事が出来るわけがなかった。

だって、好きだから、好きだったから。

貴方の事が、とても、とても。

……変わってしまった物。

そして、二度と元には戻らない物。

だけど。

「…取り返すことは、出来るから」

自分に言い聞かせるように、そう言った。

これは全部、自分の臆病と怠慢が招いた結果だ。

今更になって焦るのは、滑稽だとすら思う。

でも、諦めたくは無い。

…まだ、諦めたくは無いのだ。

だから――――

のわっちの好感度396だった


【12月4週】


阿武隈「うぃーうぃっしゅあめりー♪」

提督「…下手だなぁ」

阿武隈「う、うるさいよっ!」

提督「…しかし、もうクリスマスだなぁ」

阿武隈「そだよー?」

提督「今年は、寒くなるらしいぞ」

阿武隈「んー…じゃあさ」

提督「ん?」

阿武隈「えいっ!」ギューッ

提督「お、おい阿武隈!?ここ通学路…」

阿武隈「こうやって、温まろうよ!」

提督「……なるほどなぁ…うん、そりゃいい」

阿武隈「へへー、でしょ?」



野分    396/500
摩耶    *54/500
伊58    118/500
阿武隈   401/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ


寒い。

約束の時間に遅れないようにと、少し早めに家を出た瞬間に思った事はそれだった。

ひっじょーに寒い。

俺達の街ってこんなに寒かっただろうか、と思う程には。

提督「うひー…」

…まあ、なにはともあれ。

いくら寒かろうと阿武隈との約束を破るわけにはいきやしない。

そんな訳で、身を縮こまらせながら駅へと歩く。

けれど、歩く速度はいつもよりも早いくらいだ。

しかも大通りではなく駅への近道である裏道的な住宅街を通っている。

何せ、阿武隈とのメリークリスマスである。

一刻でも早く約束の場所へと着きたいのだ。

ふっふー、いやいや、今日は色々考えたからなー。

今日これからの出来事に思いを巡らして、何となくニヤついてみたりして。

傍から見ればきっと不審者極まりない行動であろうが、んなこた知らん。

俺は幸せなんだ、文句ならガンガンつけてこい!

「……ねぇ」

提督「ホントに文句があるんですかぁっ!?」

野分「……て、提督くん、どうしたの?」

提督「…って、…の、のわっち…?」

背後からの声に思いっきりビビって振り返ると、そこにはのわっちがいた。

俺の反応に怪訝そうな顔を見せて、憮然とした表情で立っていた。

提督「…えーと…どしたん、のわっち」

野分「……ん、…少しだけ、用事があるのだけど」

提督「用事…って、…急いでるんだけどさ、また今度でも…」

野分「…今じゃないとダメなの、提督くん」

提督「ダメ、…って言われても」

野分「別にこの場で済む話よ、手間は取らせないから」

提督「んー……」

まあ、大分余裕を持って出てきたし、時間はおそらく大丈夫だろう。

それに、もう駅はすぐそこだ。

多少長引いても、なんとかなりはする…が。

…なんつーか、どうにも野分らしくないやり方…な気がする。

そんな大事な話なら、こんな偶然会った時じゃなくて前もって学校で話を通しとくとか色々あったんじゃないか―と思う。

少なくとも、いつもの野分ならそうしていたと思った。

…さて――――

>>+1-5

A.わかった、いいぞ。

B.…ほんとーにごめん!今急いでてさ、後にしてくれ!

C.…悪い、時間ないから――すぐに駆け出す。

C.…悪い、時間ないから――すぐに駆け出す。(変化なし 野分√消滅もとい黒化進行)


提督「…悪い、マジで時間ないからさ」

くるりと、野分に背を向ける。

野分「……っ!」

本当にその数瞬、後。

先程まで俺がいた場所へ、彼女が掴むように手を伸ばしていた。

…そこまで重要な用事だったのだろうか。

もしかして、かなり悪い事をしてしまったのかもしれない。

だが、一度走りだした足は止まらない。

後ろに見える、小さくなった野分に手を振った。

提督「……ごめんな、…じゃあまた学校で!」

野分「………提督、くん」

……さぁ。

今日は楽しいクリスマス、と行きましょうか!

阿武隈との約束の場所へと、俺は軽い足取りで走りだした。


――――――――


「……提督くん」

彼女は、立ち尽くしていた。

彼女の名前が刻まれた表札の家の前で。

手に、護身用と言うには余りに威力の強いスタンガンを持って。

…彼女は、立ち尽くしていた。



野分→  396/500

まだ消滅はしてない 消滅に向かって進行しただけです
>>1の日本語は不自由だってそれ一番言われてるから



【1月1週】


ゴーヤ「はっぴーにゅーいやーでちー!」

磯波「あ、あけましておめでとうございます…」

阿武隈「あけおめー!」

提督「もうちょい統一性を持たせろよ!」

ゴーヤ「ゴーヤは先進的なグローバル人材なのでち」

提督「…きょうびそのくらいの英語誰にも使えるだろ…つーか、着物着てるじゃねーかお前」

ゴーヤ「ま、ま!とにかく初詣でちー!」

提督「おー、…あ、そういや…摩耶、来なかったよ」

ゴーヤ「…そうなの?」

提督「ああ…なんか、行きたくないってさ」

ゴーヤ「…なんでだろうなぁ、摩耶ちゃん、全然話してくれないよぉ」

磯波「…ですね…少し、寂しいです」

阿武隈「…そうだよねー…」

提督「…ま、恥ずかしがってんだろ、そういう奴だし」

提督「んじゃ、初詣行くぞー」


野分    396/500
摩耶    *54/500
伊58    118/500
阿武隈   401/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

今日はここまで
ありがとうございました



初詣。

近所のそれなりに大きな神社は、アホみたいに人が多い。

なんでお前らは普段神なんか必要ねえんだよ!って態度取ってるくせにこういう時だけわらわらとここに来るのじゃ。

なんて毒づいてみても始まらないが。

つまり何が言いたいのか、といえば。

提督「……はぐれたなぁ」

磯波「……はい…」

文化祭の時からずっとご所望だった浴衣に身を包んだ磯波。

彼女が俺の言葉に、雑踏の賑わいへ消え入りそうな声で答える。

…いかん、元気無くなってるっぽい。

この歳になって迷子でここまで気持ちがやられるというのもまた、磯波らしいっちゃらしいものではある。

提督「あー…磯波?」

磯波「は、はいっ…」

提督「…だ、大丈夫、きっとすぐに見つかるって」

磯波「…そ、そう…ですね」

しかし勿論俺の励ましなど全く意味を成さない。

我ながらもうちょい他に言い方があっただろうと思う。

…早く阿武隈とゴーヤを見つけねば…と辺りを見回す。

磯波(…わわわわ…どうしよう…提督くんと二人…!?)

磯波(……だ、大丈夫かな、着物、ヘンじゃないかな…?)

提督「…磯波?」

磯波「ひゃ、ひゃいっ!?」

提督「お、おう…いやすまん、考え事してたのか…」

磯波「い、いえ!何も考えてなかったです!ぜ、全然っ!」

提督「…そ、そうか…?まあ、んならいいけどさ」

提督「やっぱあいつら近くにいねーから、こっちから探したほうがいいと思う」

磯波「…はい」

提督「こういう時あんまり動くもんじゃないとは言うけどさ、このままじゃ埒が明かんだろうし…」

磯波「…わかりました、行きましょう」

提督「おう、それじゃ――――」


>>+2


A.人多いから、またはぐれないように気をつけろよー。

B.はい、手。

C.探してくるから、ちょっと待ってろ。

B.はい、手。(*1.5)


提督「はい、磯波」

磯波「…え?」

提督「人多いし…俺達までバラバラになったらもうどうしようもないだろ?」

磯波「…あ…え、と…はいぃ…」

チラチラと此方を窺いながら。

ゆっくりゆっくり、磯波が俺の手を取った。

…なんか、正直握られているというか添えられているだけのような小さな感覚だった。

磯波「……い、行きま…しょうか」

提督「…それで大丈夫か?」

磯波「だ、大丈夫です!離さないです!」

提督「…それなら良いけど…よし、まずは――」

この後、結構な距離を歩いて。

やっと二人と合流した頃には人もまばらになり始めていた。

…というか。

スマホに連絡入ってたの、全然気付いてなかった。

まだまだ文明人には程遠い。



磯波→  132/500



【1月2週】


提督「のわっちあけおめー」

野分「…あけましておめでとうございます、提督くん」

提督「結局、この前の何だったんだ?」

野分「ああ…いえ、別に大したことじゃないですから、お気になさらず」

提督「…そうなのか?」

野分「はい…ごめんなさい、混乱させて」

提督「いーっていーって」

野分「……あの」

提督「ん?」

野分「…課題は…やってきましたか?」

提督「ん、ああ!阿武隈と一緒にやったよ、いやー、ギリギリで危なかった」

野分「………そう、ですか」




野分    396/500
摩耶    *54/500
伊58    118/500
阿武隈   401/500
磯波    132/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



磯波「……大丈夫ですか?」

提督「だ……ひぃ、ふぅ…げほっ、大丈夫…もーまんたい」

磯波「…え、えと…?」

提督「いける…全然いけるから気にしないで…ごふっ」

この冷え込む時期の体育と言えば、長距離走。

といっても授業で走る距離なんてたかが知れている。

学校の外周を2周走って、合計約4キロである。

まーそんなに運動しない俺でもこんくらいなら軽いだろう、ってことで。

バリバリ陸上ウーマンの磯波に付いて行くよあははーと言った結果こうなった。

いや、とりあえず授業で適当にだらだら走っている奴らを遙か後方に置いてゴールはした。

そして今はクールダウンの為にグランドの隅を歩いている。

息をする度に肺が痛い。

もう人間は多分元々長距離を走るようにはできてないと思う。

つーか何で同じペースでずっと走ってきたのにこの磯波は平気なんだ。

磯波「…提督くん?」

提督「…あー……ぜぇっ、軽かったー…あー…」

磯波「……もう」

仕方ないですね、と磯波が息を吐く。

そして素早く俺の後ろに回った。

提督「……?」

もはや振り返る余裕も無い。

何をしてんだろうと思った瞬間、膝に強い衝撃が走った。

提督「のがっ……」

それはいわゆる膝かっくんというやつで、走ったばかりでガクガクの俺の膝は耐えきれやしない。

そのまま腰から砕け、地面に落ちる前に後ろに回り込んだ磯波に捕まえられた。

提督「な、何やってんだ磯波…」

嫌がらせか、嫌がらせかこんちくしょう。

だが、その予想は全く間違っていた。

彼女は力の入らない俺をそっと地面まで降ろし、先程俺を破壊した膝の上に頭を置いた。

…………膝枕であった。

提督「…て、おい!?」

磯波「…無理しちゃ、ダメですよ」

提督「いや、そういうことじゃなくて…」

嫌じゃないのだろうか磯波は…。

…それにいずれ皆が帰ってくるし――――


>>+2

A.…まあ…もう少し…。

B.…気合で立ち上がる。

C.……やめてくれ。

A.…まあ…もう少し…。(*1.5)


…うーむ、いやいや。

中々どうして居心地がいい場所だし。

もうちょいくらいこうしていても罰は当たらんだろう。

…本音を言うと、もう動けない。

提督「ぐぅ……」

磯波「…大丈夫…ですか?」

提督「んー…今度からはゆっくり走ることにするよ…」

磯波「ふふっ…そうですね、それがいいですよ」

提督「…しかし、凄いなぁ、磯波は」

磯波「…そ、そんなことはないです」

提督「いやいや、凄いね、俺が保証する」

磯波「…提督くんが、ですか?」

提督「…って、何の意味があるのかはわかんねーけどな」

磯波「いえ…凄く、嬉しいです」

そう言って、磯波が俺の額をそっと撫でた。

…くすぐったかった。



磯波→  177/500



【1月3週】


阿武隈「…………」ソワソワ

ゴーヤ(………最近なんだか阿武隈ちゃんが落ち着ちがないでち)

ゴーヤ(……ということで調査でち!)

磯波(…な、何で私も…?)

ゴーヤ(いいから頑張るでち、隊員2号!)

磯波(……お、おー…)

阿武隈「……あの」

ゴーヤ「でちっ!?」

阿武隈「…流石にその距離でずっと見てられると困るから…」サッキノハナシモキコエテタシ

磯波「…せめてもうちょっと距離置こうよ、ゴーヤちゃん…」

阿武隈「……落ち着きがないのは、その通りだけどね」ボソッ

ゴーヤ「…?」

阿武隈「ううん、なんでもないっ」




野分    396/500
摩耶    *54/500
伊58    118/500
阿武隈   401/500
磯波    177/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

短いけどもう寝る
ありがとうございました

ごめん第二次世界大戦してた
始めます

やっぱりhoi2くんを…最高やな! 問題は時間泥棒ってこった
戦争編は最初にやったポケ裏だからめっちゃ記憶に残ってる、結局200日生きたことなかったような



提督「…さみー…」

歯の根が合わない、とはまさにこんな寒さの時に使うのだろう。

先程から歯がガチガチ震えまくっている。

なんなら林檎とか突っ込んだらすりおろせそうだ。

全自動すりつぶし機、俺の唾液付き…気持ち悪い。

摩耶「さっきから寒い寒いうるせーぞー」

そんな俺を睨む一緒に登校中の幼馴染。

だが、その本人も身体を震わせているのだからなんとも説得力がない。

提督「…お前だって震えてるじゃん」

摩耶「言葉にしたらもっと寒くなる気がすんだろが」

提督「あ、今寒いって言った!」

摩耶「………小学生かよ」

はー、と吐いた溜息は、白い空気の塊となって漏れる。

何でも、今日は今年一番の冷え込みらしい。

既にテレビでそのフレーズを何回も聞いた気がするが、気のせいだろう。

提督「にしてもさぁ」

摩耶「んだよ」

提督「冬になると夏がいいなーっつって、夏になると冬がいいなーって言うじゃん、皆」

摩耶「…そんなあるあるを話してどうするんだよ」

提督「…やっぱ夏だよなぁ、夏が一番だ」

摩耶「そうか?…アタシは…冬の方が好きだな」

提督「なんでさ、寒いぞ」

摩耶「お前は温度しか見てねーのかよ、…ほら、冬は色々あるじゃねーか…」

提督「色々?」

微妙に語尾を濁した摩耶に、その先を促すように訊き返す。

それに彼女は少し渋い顔をして、ゆっくりと語り始めた。

摩耶「……た、例えば…クリスマスとか…バレンタインとかよ…」

提督「……へ」

摩耶「んだよ!アタシだって女なんだから人並みにそういうのに興味持ったって良いだろーが!」

提督「あー…いや…その――」


>>+2


A.…ぷっ。

B.…案外ロマンチストなのな。

C.………やっぱ似合わねー。

B.…案外ロマンチストなのな。(*1.5)


提督「…案外ロマンチストなのな、摩耶」

摩耶「…そ、そーだよ、悪いかよ!」

ぷい、と顔を背ける。

この寒さからか、耳は真っ赤に染まっていた。

提督「いーや…まあ、アリなんじゃないか、そういうのも」

摩耶「けっ…思ってもないようなことを」

提督「んなことねーよ、お前は結構乙女だからな、隠してるつもりなのかもしれないけど」

摩耶「あぁ!?」

提督「……本棚の少女漫画」

摩耶「…っ!?な、何でお前知っ…知ってんだよ!?」

提督「さぁなー、この前おもろい漫画ねーかなーって本棚の奥探ってたらさー?」

摩耶「死なすっ!このっ!このっ!」

提督「おっと、当たらん当たらん、かっか」

いつもより若干動きにキレが無い摩耶の攻撃を避けながら。

なるほど冬も悪くない、そんな事を思ったのだった。



摩耶→  156/500



【1月4週】


野分「…………」

提督「野分」

野分「…提督くん?…なんですか?」

提督「…や、何か最近、お前あんまり話さないなーって思ってさ」

野分「……前からこんな物ですよ」

提督「いやいや、もうちょっとキレのあるツッコミを飛ばしてたね!」

野分「…そういう気分じゃなくなっただけ、です」

提督「…そ、そうか…」

野分「………」

提督「な、なぁ…もし怒ってるとかだったら…」

野分「大丈夫です、気にしないでください」

提督「…あ、ああ…」




野分    396/500
摩耶    156/500
伊58    118/500
阿武隈   401/500
磯波    177/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



野分「……」

提督「うむうむ、良かった良かった、こうしてのわっちがしっかり話し合いの場を作ってくれるなんてなぁ!」

野分「……そうですね」

提督「…はーっはっは…」

微妙に俺の元気が空回りする、放課後の空き教室。

暖房の電源が入れられていないそこは寒かったが、野分がわざわざ指定してくれた場所だ、文句は言えない。でも寒い。

…しかし、やっと話をしてくれる気になったかー…いやー良かった。

ずっとなんだか険悪は空気だったからな、うん。

提督「それで、話って?」

内容次第ではなんなら即土下座まであるぞ。

のわっちに俺の誠意を見せるのだ。

野分「……提督くん、私は」

提督「…うん」

野分「…貴方が、好きです」

提督「…へ…、あ、いや、それ確か冗談って」

野分「本気です、心からそう思っています」

提督「……の、のわっちってば、そういうのは…」

野分「…最初は、馴れ馴れしくて嫌いでした」

野分「だけど、…いつからか、そんな貴方とのやりとりが、楽しくなりました」

野分「何でもない毎日が、少しづつ楽しくなったんです」

提督「…野分」

野分「………」

野分「…好きになっていたんです、貴方のことが」

野分「……尤も、それに気付いたのは…全部、変わってしまった後、でしたけど」

提督「…え、と…」

野分「…貴方は、多少なりとも私に好意を抱いていたと…自惚れかもしれませんが、そう認識しています」

野分「勿論、今、貴方が阿武隈さんと交際していることも理解しています」

野分「…その上で…その上で言います」

野分「……私では…ダメ、ですか?」

野分「私は、貴方の隣にいる資格はありませんか?」

かつて無いほど饒舌に、彼女は想いを語った。

それはどこまでも真摯な態度で、嘘を吐いているようには欠片も見えなかった。

…………俺は―――


>>+1-5

A.……ごめん、阿武隈。

B.…ごめん野分、俺は…。

C.……はは、だから冗談はやめろって…。

D.立ち去る。

A.……ごめん、阿武隈。(*1.5 最低401 阿武隈HAPPY消失)


………野分。

高校に入って、一番最初に話し掛けた子。

『な、なぁ』

『……はい?』

『…あのさ…春休みにやってこいって言われてた課題…見せてくんね?』

『……はぁ?』

『い、いや、俺も入学の準備やらなんやらで…』

『…はぁ、…どうぞ』

あれから、俺は。

だんだん彼女に惹かれていって。

でもきっと、叶わないだろうと思っていたから。

……だから、阿武隈で妥協したのかもしれない。

…だいたい、あの時は―愛というよりも、肉欲が勝ったようなものだし。

…ああ、そうだ、そうなのだろう。

…俺が真に好きなのは、野分だ。

そう納得してしまえば、後は楽だった。

野分「………あの、提督く――?」

不安げに此方を窺う彼女を抱き締めた。

心なしか、その身体は震えている。

…当然か、こんな告白をしたのだから。

提督「…ありがとう、野分」

野分「……え?」

提督「…俺もやっと、気付けたよ」

野分「………それ、って…」

提督「俺が本当に好きだったのは、誰かって」

野分「…じゃ、じゃあ…」

提督「ああ―――」

その小刻みに揺れる唇に口付ける。

緊張か乾燥か、乾いて荒れたそれに触れた瞬間、少しチクリとした。

提督「…好きだよ、野分」

野分「……ていとく、くん」

提督「…阿武隈には、謝るさ」

野分を抱きしめている高揚は。

俺の罪悪感を塗り潰す程に、強かった。

頭の片隅で金髪の少女が笑顔が浮かんで、すぐに消えた。



野分→  477/500



【野分―その3】


結局、自分さえ良ければなんだっていいのだと思った。

それは浅ましいのかもしれないし、下品なのかもしれない。

けれど、それでもあの鬱屈した気分を味わうよりはずっとマシだ。

阿武隈さんには…悪い、とも思わない。

私に言わせれば、奪っていったのは彼女だ。

そう、私は取り返しただけ。

彼の隣は、私の物。

…クリスマスは、焦って強引な手を使おうとまでしたけれど。

なんだ、正面から直接やるのが一番早かったんだ。

「…ふふっ」

私は、久しぶりに笑った。

嬉しくて、楽しくて。

跳ねるような心は、鳴り止まず。

何度も何度も、彼の感触を思い出していた。



【阿武隈―特殊1】


「……ふーん♪……ふふーん♪」

こうして台所に立つのなんて、いつぶりだろうか。

ずっとテニスのことばかり考えてたから、本当に久しぶりだ。

でも、練習しなきゃだもんね。チョコ。

手作りしたは良いけどビミョーな出来で気を遣って貰うのも嫌だし!?

…ま、提督は優しいから全部食べてくれるんだろうけど…。

…あ、それはそれで…いけないいけない。

やっぱ美味しく食べてもらいたいよね、うん。

「…えーと…湯煎で溶かしてー…」

その為には何よりも練習。

日々の精進あるのみだよねっ!

「あつっ!」

……なるほどー。

溶けたばっかりのチョコって熱いんだねー…。

あと2週間、間に合うかなぁ…。

…待っててね、てーとくっ♪



【2月1週】


提督「………」

最低だとは自分でも思う。

…だがまぁ、…それはそれで、仕方のない事じゃなかろうか。

そういう年頃だし、ああいう風に誘われりゃ誰だって乗るさ。

だから…うん、仕方のない事だったんだ。

…仕方のない事だから。

……俺は、悪くない。




野分    477/500
摩耶    156/500
伊58    118/500
阿武隈   401/500
磯波    177/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



ゴーヤ「……おーい、おーい」

提督「……ん、…あ、ゴーヤ?」

眼を開くと、俺を覗き込むゴーヤの顔と、部屋いっぱいに差し込んだ陽。

その眩しさに、思わず目を瞬かせる。

ゴーヤ「そだよー、…おねむ?」

提督「…ちょっとな…ふぁ……今何時だ…」

ゴーヤ「2時だよー」

提督「…げっ…何時間寝てんだよ俺…」

ゴーヤ「まーまー、休日はそんなものだよー、良くあるよー」

提督「……単に寝付けが悪かっただけだよ」

ゴーヤ「何かあったの?」

提督「………色々な」

…何度も目を覚ましたとはいえ、12時間以上眠っていたのか、俺は。

思ったよりも心にのしかかっているらしい。

…そりゃそうだ、軽々しく切り出せる話じゃないのに、絶対話さなきゃいけないんだし。

ゴーヤ「お悩み?」

提督「…んー、そんな感じ」

ゴーヤ「…大丈夫?」

提督「ああ、…平気だ」

そんな風には見えないけどなー、とゴーヤが俺を見る。

ゴーヤ「何かあったら、話してほしいな」

提督「…話すような内容じゃない」

ゴーヤ「…あー、それ、何かあるって言ってるみたいなものだよー?」

提督「……うげ」

墓穴をほった。

注意力やらなんやらが散漫である。

ゴーヤ「…ね、話してみるだけでもスッキリすることはあるよ?」

提督「………」

しかしなぁ…。

…うーむ――――


>>+4


A.そうだな…。

B.…いや、やめとくよ。

C.……お前には話せん。

A.そうだな…。(*1.5)


提督「…そうだな…」

ゴーヤ「ん、どーんとこいでち!」

提督「…気が向いたら、話す」

ゴーヤ「ずでーっ」

提督「……すまん」

ゴーヤ「…別に気にしてないよー、気が向くの、待ってるからね」

提督「ああ、ありがとな、ゴーヤ」

ゴーヤ「うん!気にしないで!」

ゴーヤは、相変わらずの綺麗な笑顔を見せた。

…でも、きっと俺の悩みを話せば。

それは、軽蔑の目に変わるはずだろう。

…そのくらい、わかってるんだけどさ。



ゴーヤ→  134/500



【2月2週】


バレンタイン。

…ロッテの元監督ではない。

お菓子会社の陰謀と男達の欲望が交差する日だ。

この日までには…なんて、思ってたのに。

…思ってたのになぁ。

……抱えた荷物はどんどん重くなって。

そのうち、身動きすら出来なくなるんじゃないかとまで思う。




野分    477/500
摩耶    156/500
伊58    134/500
阿武隈   401/500
磯波    177/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



野分「…きょ、今日は…今日はぁ…は、は!」

提督「どうどう、落ち着け落ち着けのわっち、どうどう」

野分「はぁ…はぁ…いえ、申し訳ありません、取り乱しました」

提督「…取り乱しすぎだ、もう何言ってんのかよくわかんないぞ」

野分「……ふぅ…大丈夫です、問題ないです」

放課後、空き教室へのお呼び出し、二度目。

しかし今日がバレンタインデーであり、野分が後ろ手に何かを隠しているということから用件は確定的に明らかである。

だかしかし、俺は野分の口からその言葉を待つ。

だってそんなもんでしょ、そんなもんだよ、うん。

野分「えー…と、…本日は…お日柄もよく…」

提督「…のわっち…?」

野分「んんっ!…ああいや、…お日柄もよく…バレンタインデーに相応しい陽気です…」

提督「…別に雨でもいいと思うけど」

野分「………いえ、…つまりですね…その、今日はバレンタインなので」

提督「うん」

野分「…チョコを…作ってきたんです」

提督「……なるほど」

そう言って、隠していた物をやっと取り出した。

それは予想通りチョコであった。

しかも言葉通りの手作りらしく、丁寧な包装が野分の性格を窺わせる一品だ。

野分「…あの」

提督「ん?」

野分「……こういう時って、何て言えばいいんですか」

提督「…へ」

野分「…ど、どうぞ…だけじゃ味気ない…ような」

提督「………そんなら、愛してるーとか」

野分「………た、高いですね、ハードル」

提督「はは、まあ嫌なら――」

野分「…愛してます、提督くん」

野分「これは、そのほんの気持ちの欠片ですが…」

野分「どうか、受け取ってくれると幸いです」

………わーお石直球。

さて、なんと返事したものか――――


>>+4

A.…俺もだ、野分。

B.……照れる。

C.……ホントに言うとは…。

A.…俺もだ、野分。(ED解放)


提督「…俺もだ、野分」

野分「………」

提督「………」

野分「…照れますね」

提督「……んだな」

二人して沈黙したその様に、くすっと野分が笑みを見せる。

そして、手に持ったチョコをしっかりと俺に握らせた。

野分「はい、提督くん、忘れないで下さいね」

提督「勿論、これは今の俺にとって財布よりも大事だ」

野分「あら、それならお財布から何か出して貰えるんですか、帰り道」

提督「…と、言うのは言葉の綾であり…」

野分「…ふふっ、冗談ですよ、冗談」

提督「まあ…うん、財布から金を出すのは、ホワイトデーだよ」

野分「……3倍なのよね?」

提督「…愛情はそのくらいにするさ」

野分「ふふっ、楽しみに待ってますよ、提督くん」

提督「…阿武隈に、言わねーとだけどな」

野分「……辛いなら、その役、買ってもいいんですよ?」

元々私のせいだから―と渋い顔をする。

提督「いーや、自分でやるさ」

野分「…そうですか」

…一番大きな問題は、俺の前に立ちはだかる。

それはきっと、乗り越えても決して後味は良くないだろうけれど。



野分→  500/500



【阿武隈―特殊2】


「…あっれー?」

放課後の校舎を、提督を探して歩きまわる。

目的は勿論、手に抱えたチョコを渡すため。

…大丈夫、味見もした、問題ないっ。

さてさて、教室に荷物があったし、帰っては無いはずだけど…。

「あ!………?」

幸い、彼はすぐに見つけることが出来た。

…けど、一緒にいるのは…野分さん?

その姿に、声をかけようと思った言葉を思わず引っ込めた。

二人は、連れ立って空き教室へ入っていく。

「…………」

…なんだか、少し嫌な気分になった。

それは…その、仲が良いのは、知ってるけど。

…そーゆーの、あたしに断るべきじゃない、ふつう。

そーっと、二人が入っていった教室、その漏れ聞こえる声に耳をそばだてる。

…盗み聞きみたいだけど、…気になったから、うん、いちおうだよ、いちおうね。

だって、あたしは提督の彼女だし、…彼女だし!

だから――――





――――だから、二人の話を全部聞いてしまって、あたしの頭はまっしろになった。

…あんなに一生懸命練習して作ったチョコは、渡すことはできなかった。

ねる
ありがとうございました



【2月3週】


ゴーヤ「………阿武隈ちゃんが休み?」

磯波「…どうしたんでしょうか?」

ゴーヤ「……わかんないよー、何も聞いてないから」

磯波「……先週は元気だった、ですよね」

ゴーヤ「…寒いからねぇー、…あ、お見舞いに行くでち!」

磯波「……そうですね、行きましょうか」

ゴーヤ「おーい、てーとくーも一緒にさー……あれ?」

磯波「…あ、提督くんなら…野分さんとどこかへ」

ゴーヤ「……むー」



野分    500/500
摩耶    156/500
伊58    134/500
阿武隈   401/500
磯波    177/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

なんでやねん

キャラ安価>>+4

次>>+2

次>>+2

次>>+2

ラスト直下

大和(学園王)
陽炎(転校生)
金剛(帰国子女)
天津風(幼馴染)
雲龍(義姉)


すげー消化不良感あるけどここまで

あ、別に責めてるわけじゃないです
1レスしか更新してないんでそういう消化不良感がね、ごめんね

ちょっとエピローグの前にプロローグの最初の方投下するっぽい
好き勝手やった時は舞風の時の反省を活かしてまだ完成しない内にいけるかどうか判断を求めるっぽい




民主主義。

普通選挙。

聞こえのいい言葉だ。

人類は長い歴史の中で、惑い、悩み、そして争いながら、この政治体制を作り上げた。

では、そうして出来上がったこれらは理想の政治なのか?

素晴らしい、非の打ち所のない政治体制なのか?

そんなはずはない。

コネや慣例だけで当選する政治家。

選挙に際してまともに情報すら集めようとすらしない国民。

民主主義の事を衆愚政治、と誰かが呼んだが…まさに全くそのとおりであろう。

それが人類が長い時間をかけて作り上げた統治の集大成だというのなら、笑うしかない。

だから、今こそ。

今こそ、王が必要だ。

人民は天才的な王のもとに皆すべからく頭を垂れろ。

人を統べるのは衆愚によって培われた偽物の政治家たちではない。

人類の中でも選りすぐりの才能を持つ者に、全てを委ねるのだ。

だがしかし、勿論君らにも選択の余地がある。

そう、唯一つだけ、諸君らを導く王を選ぶ、その余地だけを持っている。

故に選べ。

王を選べ。

自らを、友人を、家族を委ねるべき者を選べ。

それこそが、我々の目指すべき真の政治形態である――



――以上が、全校で何万人とも呼ばれている大マンモス私立学園、横須賀学園の生徒手帳の前文である。

横須賀学園。

中高一貫であることを考慮したとしても、その人数は異常であると言わざるをえない。

尚且つ全寮制であるこの学園は、一般には学園街と呼ばれる程の広大な土地を横須賀郊外に持つ。

生徒は普段、その限られた範囲だけで生活することになるのだ。

そして授業は完全に単位制であり、生徒の進行具合によっては中学生が終わる頃には高校教育課程を終える人間などもいる。

この学園の教育方針はただ一つ、才能を伸ばすこと。

入試は拍子抜けする程に簡単で、金を積めば誰にでも入れると揶揄される程。

しかし、そうして晴れて学園に入学したとしても、何もしなければ何も育たぬまま時間だけが過ぎていく。

だけども学校は手を差し伸べることはない。

それどころかこちらから手を伸ばさなければ、向こうは俺達に気付きさえしない。

だからこそ、ここでは生徒間のレベルが著しく開いている。

ある者はスポーツで、ある者は勉学で、またある者は美術で。

自らの才能を伸ばすことだけを推奨させられ、それを望めば学校は可能な限りのサポートをしてくれる。

……さて、まぁここまででも十分特殊な学校なのだが。

この学園の最も特殊な部分は、生徒の自主性が認められすぎている部分である。

一般に生徒会と呼ばれる組織、その権限が非常に大きいのだ。

部活の予算、承認…果ては生徒の入退学と言った部分にまで口を出せる。

そう、例えば生徒会が決めたのならば明日にも野球部の予算は0になるかもしれないし、前を歩いている女子は退学になるかもしれない。

それ程までに、生徒会―いや、正確には生徒会長の権限は大きい。




だが、誰もこの制度に文句を言うものは居ない。

答えは単純で、即ち生徒会長は王であるからだ。

全てを決める王、それが生徒会長。
ミンシュウ
生徒に与えられるのは、これを決める選挙に参加する権限だけ。

立候補などは無い。

また、年齢制限も無い。

入学したての中学1年生でも構いやしない。

ただ生徒は、名前を書いて投票すれば良い。

この学園で最も才能溢れると思う者の名前を。

そして、自らを導くのに足る者の名を書いた用紙を提出すれば良い。

別に書くのは自分の名前でも構わないし、あるいは出さなくても構わない。

だが―決まった王には従わねばならぬ、ということだけが絶対のルールである。

まあ、故にというか、必然的に生徒会長以外の役職は形骸的な物になる。

それでも一応無視していないだけマシなのかもしれないが。

こちらは立候補をし、そして生徒会長選挙のほんのついでの余興程度で行われる。

しかもぶっちゃけ仕事は雑用と相談相手。

勿論これの立候補に際しても成績やスポーツその他の実績などそれなりの制約はあるのにもかかわらず、だ。

…その雑用係の中の一、誰も興味を示さぬ生徒会副会長。

それが、今日からの俺の役職である。

「…………なーんか言ってて悲しくなんな」

支えるのは、入学以来5年連続で王を務める、学園始まって以来の才女―大和さん。

彼女にあるのは才覚だけでは無い。

彼女を王たらしめるのは、何より何万人もの人間を虜にするその圧倒的なカリスマ性。

彼女に魅了された人間は数知れず、そして俺もまた例外でない。

だからこそ―努力をして、この地位まで上り詰めた。

例え誰にも興味を持たれないとはいえ、だ。

「……よしっ」

豪奢なエレベーターが、最上階に到着した事を告げた。

一般校舎棟最上階は丸々生徒会室である。

つまりこの扉をくぐった瞬間から、というわけだ。

そう思っただけで、エレベーターの扉が開く速度がやけにゆっくりと感じられた――

が、学園王…
とりあえずエピローグ書いて来ますので、意見など頂ければ幸いです
話始めた後につまんないって言われると割と心に来るので、今なら気の迷いってことでメモ帳ごとドーン出来る

設定だけならなんでもいいというか、話が思い浮かびさえすれば書きます
思い浮かばなかったら申し訳ないが再安価ということで…その辺曖昧で申し訳ないです
ただ性格や来歴をを完全に指定されるとキツいです、未来人、だけなら色々考えようがあるんですが~~が目的の~~とかだとどうしても話をそこから始めなきゃならんので
とりあえずこの感じで書きます、どうもありがとうございました



【エピローグ・前】


「お前が3日も休むなんてなー」

「………うん」

「体調でも悪かったのか?」

「………うん」

「……もしかして、まだ悪いか?」

「………うん」

2月18日。晴天。寒い。

この日は朝から阿武隈と一緒だ。

というか、家の近くでまるで俺を待つかのように立っていた。

「…阿武隈、大丈夫か?」

「……………」

「………なぁ?」

…しかし、なんというか少し様子がおかしい。

3日休んでいたし、体調が優れないんだろうが…もう少し休むべきじゃないか、これ。

さっきから反応も鈍いし、どこか遠くを見ている様な感じだし、何より顔色が悪い。

そんな無言の道中、突然阿武隈が俺を引っ張った。

「お、おい?」

「……来て」

「あ、ああ…」

これが思いの外、というかスポーツ少女なので普通に力が強い。

従わなくても普通にそのまま引っ張られてしまいそうなので、名誉のために自主的に同行する形を取った。

「…なぁ、どうした?」

「…………」

「……無視か」

ずんずんと歩いて行くのは、通学路からはかけ離れた道。

行き交う学生の波とは反対方向へ進んでいき、だんだんとすれ違う学生も減っていく。

いよいよもって人がまばらな町外れの公園までやって来て、やっと阿武隈はその足を止めた。



「……提督」

「…どーしたよ、阿武――」

振り返った阿武隈が、不意に飛び込んできて。

背伸びをして、俺に口付けた。

「……え、っと?」

「…して」

「……は?…え?」

ぽい、と投げ捨てるように俺の手に置かれたのは、あの避妊具。

それを俺が受け取るのを確認してから、阿武隈は制服のスカートを履いたまま、下着だけを降ろした。

そしてそのまま目の前のペンキの剥げかけたベンチに腰を降ろし、足を開く。

「なぁ、何して…」

あまりのいきなりな状況に戸惑うばかりの俺を、彼女は全く気にした様子もなく。

俺に見せつけでもするかの如く、二本の指で陰部を広げた。

「…ね、…して」

「…………な、お、お前」

阿武隈は笑っていて。

指の間に見える膣口は、ぬらぬらと光って蠱惑的に俺を誘っている。

「…ゴム、嫌だったら…着けなくてもいいよ」

「…ば、そういう問題じゃ…とにかく服着ろって、こんないきなり…」

「……嫌?」

「……ああ嫌だ、あのな、いくらなんでも――」

「あははははっ!」

言おうとした言葉は。

甲高い笑い声にかき消された。

それは、あまりに突然な笑いで。

全くこの状況にそぐわない、さも可笑しそうな声だった。



「…あ、阿武隈?」

「野分さんが」

「…え?」

そして続く声、そこに出てきた名前に、思わず一瞬固まる。

そんな俺を見て、また阿武隈は可笑しそうに笑う。

「野分さんが、いるから?」

「……なんで」

「…あたし、見たの」

「……見たって」

「バレンタインデー」

「……っ!?」

笑っているのに、紡がれる言葉は恐ろしいまでに平坦で。

何か事務連絡でもしているかのように、彼女は続ける。

「提督、酷いよ」

「………」

「なんで?あたしのこと嫌い?」

「……それは、違う」

「…あたし、凄く楽しかった、凄く嬉しかった、凄く幸せだった」

「………」

「そう思ってたのは、あたしだけ?」

「…………違う」

「…じゃあ、何で?」

問う彼女。

態勢は相変わらず変わらない。

股を開いたままの下品な格好で、笑いながら。

不釣り合いな、平坦な声で。



「……何で、野分さんだったの?」

「…………お前は、きっと俺よりも相応しい人間がいる」

「あはは、質問の答えになってないよ?」

「……本当は…もっと早くに言うつもりだったんだ」

「……へぇ?」

「…だけど…言えなくて、…それで、引き伸ばしてた」

ごめん、と。

頭を下げた。

こんなことしたって何の意味も無いのかもしれないが、これより他に思い付かなかった。

「……頭、上げて」

「………」

下げた頭を、彼女の言葉に従って上げる。

格好は、変わっていない。

「………あのね」

「………」

「…全部、手段でしかないの」

「………手段?」

「あの時からずっと、みんなみんな、手段なんだ」

「……ごめん、どういう」

「テニスにしたって―あたしにとっては、手段以上の物になりえはしなかった」
      モクテキ
「…全部、提督の為の手段なの」

「…………」

そこで、初めて阿武隈の笑顔が崩れた。

懇願するように、空いた方の手で俺の服の裾を引いた。

「…だから、捨てないで」

「…野分さんが好きなら、それでもいい」

「それでもいいから―その中の、ほんのちょっとでもいい、あたしにも分けて」

「…ううん、愛情なんかじゃなくたって良いよ、…ストレスでも、性欲でも、何でもいいから」

「あたしは、貴方の為だけに生きたいの」

「……ねぇ、捨てないで」

「あたしを、捨てないで――」

冷たい風が吹いて、阿武隈の前髪を揺らす。

はらりと舞った髪が、彼女の目を隠した。

その奥で、何かが光って。

だけどれでも変わらず、阿武隈は陰部を広げていた――



>>+3

A.…それでもいいなら。

B.…そんなことは。



【エピローグ・後】


「のわっちー」

「……のわっちやめなさい」

「のわっちー」

「……怒りますよ」

「…短気だなぁ野分は、折角の修学旅行だというのに」

「……京都奈良大阪は、中学でも行きましたから」

「まーまー、楽しもうぜ楽しもうぜ」

「……」

「…ほら、二人で来たことは無いだろ?」

「………ん、…それは…」

「二人じゃねーでち」

「……二人じゃないですね」

「……………別行動しようぜ」

「あははー、嫌だよー?」

「…なんか怒ってません?」

「…そりゃー怒るよ、いきなり付き合ってる、だなんて」

「………怒りますね」

「…いや、なんでさ!?」

「……わかんねーなら別にいいでち、けっ」

「……わからないなら別にいいです」

「…ゴーヤ…お前なんかキャラ変わってね」

「ううん、いつものゴーヤだよぉ?」

「…だから今日は、ずーっとずーっと!後ろに付いて邪魔してあげるからね!」

「……私もやろうかな」

「……磯波まで!?」

「…はぁ…だいたい、行動は班単位なのでそもそも別れられはしませんから」

「そりゃそうだけどさー…ほら、のわっちとのアレだし?」

「…アレってなんですかアレって…」

「……あーあ、つまんないでちー」

「…阿武隈ちゃんも転校しちゃったし」

「…………っ」

「……ま、そりゃ目的が達成出来ないってわかったんだから当たり前なのかもしれないけどー…なーんか冷たいなー」

「…提督は…何か知らないの?」

「……いや……知らない」

「…ふーん…そ、…それなら別に良いけど、さ」

「……そ、それよりさ…早く行こうぜ?」

多分、こいつらとちゃんと話したのはこの修学旅行が最後。

3年生になった途端に、彼女らはそれぞれの才能を活かす為、この学園を去った。

野分とはいいかんじにしておいて裏で便器とズッコンバッコンやってたら伝説になれた


――阿武隈は。

あの場から逃げるように去って以来、直接会いはしなかった。

…だけど、スポーツ雑誌の隅に載っていた記事で、身体を壊したという事だけを知った。

…それからは、知らない。

たまに思い出すことはあるけれども…罪悪感も後悔も、いつしか薄れてしまった。

俺は成長して、多分普通に育って。

あの時の半年間は、すっかり思い出になった。

『……でよー、ゴーヤのやつ先週の大会で負けたのがよっぽど……あーわりぃわりぃ、暴れんなって馬鹿』

「…なんだ、今日は摩耶の家でまた残念会か」

『んーそんな感じ…ってうっせーな!提督だよ提督!あ!?渡さねーよ酒臭ぇな!』

『…あー・……代わるか?』

「……いや…いい、話すことも無いし」

『……お前、いつもそうだよな…最後にこいつに会ったのいつだよ』

「………成人式…」

『…あん時も逃げやがったくせに…ま…気が向いたら来いよ、お父さん』

「……お父さん言うな」

『かっか、そんじゃな、また』

…ただ、ゴーヤたちは摩耶とはそれなりに仲良くやっているようで。

電話口の後ろで叫ぶ声だけは聞いている。

……たまに磯波も叫んでいるのだから恐ろしい。

「…摩耶さんですか?」

「……あ、起こしたか?」

「……ふふ、大丈夫です」

リビングの扉を開けたのは、大きくなったお腹をさする野分。

彼女は俺の隣に寄ってきて、腰を降ろした。

「…でっかいなー」

「……何ですかその感想は」

「……ん…なんつーか、思ったことを」

「……はぁ…こんなのがお父さんですって、悲しいですねー…」

「やめてくんない!?」

「ふふっ」

「……最近のわっちが冷たい」

「…のわっち、…あはは、久しぶりに聞きました、それ」

「…………のわっちー」

「……きゃっ、…もう、パパの方が甘えん坊さんじゃないですか」

「……今日はこのまま寝るー…明日仕事行きたくないー……」

「…はいはい、風邪引くからちゃんとベッドで寝ましょうねー……」




【野分 HAPPYEND】

どっちもはっぴーにする予定だったから正確には分岐じゃないよ、うん
だいたい>>687みたいな感じになる予定だった、こっちのが文量としては短い
寝ます

>>635から


ゆっくりと開いた扉、その先で。

――俺は、その場に凍りついた。

豪奢なエレベーターの扉を潜った体勢のまま。

広大な学園を見渡せる、大きく広げられた窓。

そこに腰掛けて、憂いを帯びた視線で眼下の街を見下ろす大和さんを見て。

それはまるで絵画の世界のように、完成されていた。

ひゅう、と春の風が吹いて、髪が舞う。

彼女は煩わしそうにそれを押さえて、そして視線を動かしたついでに俺を見つけたらしい。

顔を此方に動かし、すぐに笑顔を作った。

「……ふふ、こんにちは」

「………………あっ、あっはい、こんにちは」

どもった。

………どもった。

「副会長さんの提督くん、ですね」

「……そ、そうです、はい」

「大和、と言います」

「…え、えっと…提督です…このたびは、どうも…」

「ふふ、そんなに緊張なさらずとも…そうだ、お茶でも淹れましょうか」

「え!?い、いや!そういうのは俺の仕事で…」

「まあまあ、提督くんはこの生徒会室には不慣れでしょうから、どうぞ座っていて下さいな」

「で、ですが…」

そのまま反論を続けようとしたところで。

ドン!と目の前に乱暴に置かれた湯呑みの音に、それは遮られた。

「…はい!お茶!」

「あら…」

「…………天津風」



…そう。

生徒会副会長という役職が存在する以上、当然書記やらなんやらという物だってある。

…ただ、はっきり言ってこの学園の生徒会では全ての役職が埋まる事は珍しい。

現に俺達の世代も副会長、庶務以外は空き役職だし、遡っていけば王たる会長だけの世代もそれなりにある。

これは恐らく生徒会役員の成績制約などが厳しい為ではあるのだが…。

王の小間使いなどごめんである、という生徒達の気持ちの表れでもあろう。

なんたって、生徒会役員の要件を満たすのならばそれなりに優秀な生徒であるはずなのだから。

でも大和さんは優しいなぁ……俺の為にお茶…うへへ……こほん。

閑話休題。

だが、そんな枠にわっざわっざねじ込んできて俺と大和さん二人のどきどき生徒会室(R15くらいの予定)を邪魔してきたドアホウがいる。

それが目の前に立つ、お茶すらまともに置けないこの幼馴染―天津風であった。

「…全く、会長の邪魔をしないで欲しいものね」

「……いや、会話してただけなんだが…」

「いいえ!あなたには明らかに下心が見えたわ!」

「…な、何を言うか!そんな物はない!ただの自己紹介だ勘ぐるなこの制服改造痴女!」

「ち、痴女ですって!?違うわ!ちゃんと下にスパッツ履いてるもの!」

「見せてくるな!」

「いいかしら!?これは機能美と履き心地という物の両立を目指した――」

ばさっとスカート…というか上着の一部をめくる天津風。

…やだ変質者だよこの子…。

だいたいそもそもスパッツは恥ずかしくないのか。

パンツじゃなければ恥ずかしくないのか。



「…はぁ…とりあえずお前は痴女って事でも良いが…」

「良くないわよ!」

「…何で庶務に立候補なんかしたんだ、そんな事何も言ってなかったろうが」

「………別に、ここの生徒会にいたら推薦とか取りやすいの」

「だったら一言くらい相談しろや!全力で止めてやったのに!」

「なっ!?び、びっくりさせようと思ったのよ!」

「嬉しくない方向にびっくりだよ!」

「何よその言い方!?」

「…………ぷっ」

ますます口喧嘩がヒートアップしてきたところで。

それまで黙って俺達を眺めていた大和さんが、耐えられないといった風に吹き出した。

「……大和さん?」

「……会長?」

「…あははは、仲が良いのですね、二人は」

「「誰がこいつなんかと!」」

お互いを指さした同じ姿勢でそう言って、あっ、と固まる。

「……うふふっ」

そして、大和さんはもう一度笑いを漏らした。

……あーなにあの笑顔、超素敵じゃん。

大和さん…彼女は王だが―決して権力を振りかざしはしない。

溢れる才能に驕ることも、それを見せつけることもない。…魅せつけられはするが。

いつも優しく微笑んでいて、その決定は全て学園のために、生徒のために行われる。

…ああ、なんと素晴らしい人なのだろう!

ちなみに大和さんのにっこりスマイル写真は写真部で販売中だ!大人気だぞ!俺もいっぱい持ってる!

あのね俺のイチオシは去年の林間学校で燃え盛るキャンプファイヤーがあんまりな勢いで燃えててそれにちょっとビビリながらも必死にその怖さを隠して笑ってる時のね――――

「………あなた、また変な顔してるわよ」

「……はっ、まあいい…大和さんのプラスは、お前というマイナスを遥かに凌駕する」

「…誰がマイナスよ!?」

「あの…流石にそろそろ、お仕事の説明をしたいのだけれど…その夫婦漫才、もう少し続くのかしら?」

それが初日のことで。

なんとも先が思いやられるが、やっぱり大和さんは美しく。

俺のやる気は有頂天に達したのであった。

あー…頑張ってきてよかったー…。

ちなみにお茶は美味しかった。天津風のくせに。



「……へー…凄い学校ね」

「…だよな、変な場所だよ」

「そうかしら?私は…変だとは思わないけど」

「…そうなのか」

「うんっ、むしろ広くてワクワクするわね」

「はは、そりゃ重畳だ」

転校生―陽炎。

この学校に途中編入は珍しいが、それでも無くはないもので。

時たまこうして現れることがある。

そんでその案内を押し付けられた俺。

副会長だからさって言われたら断りづらいです。

でも、可愛い女の子だったので許す。

そんなもんだ、人生なんて。

「ねね、あっちは?」

「ああ、あっちは運動部のグラウンドだ、広いぞ?」

「………グラウンド…」

「見に行くか?」

「いいの?」

「いいよ、どうせ今日の予定はこれだけだし」

「そう、ならお言葉に甘えるわね、ありがとっ!」

ぴょん、と一つ喜びを表すように陽炎が跳ねた。

ツインテールがつられて揺れる。

なんつーか元気な子だ。



「…でも、案外暇なのね」

「ん?」

「生徒会役員なんでしょ?」

「…ああ…いや、大和さん―会長さえいりゃ、なんとかなるからな」

「…確かに入学案内にもそんなこと書いてたけど…ほんとなんだ」

びっくりびっくり、なんてわざとらしく続ける。

「…流石に特殊だよなぁ、これ」

「私、『退学だー!』とか言われたらどうしようかな」

「大丈夫大丈夫、大和さんは最高の会長だからな、まったくもって問題無いよ、全身余すところなく捧げると良い」

というか大和さんにそう言われたならそのとおりにすべきである。

退学だろうが部費0だろうが奴隷制度だろうが何でも導入しろ。

大和さん万歳。

「……な、なんか提督、笑顔が気持ち悪い…」

「そうか?」

…あ、ナチュラルに呼び捨てなのな。

別にいいんだけどさ。

「まーそんなわけで、今日はまるっと暇なのさ」

「そうだ陽炎、寮は何処だ?」

「寮?えーとね…」

この学園の居住区は、東西南北の端に4つずつ。

そこに様々なランクの集合住宅が並んでいて、予算と相談しながら生徒は6年間共に暮らす部屋を決めていく。

ちなみに俺は東、結構いいランクの寮に住んでいる…まあ、それにはちょっと理由があるのだが。



「東の…2-45だったかな?」

「…おいおい、東だけ言えばいいのに…つか、近所だな」

「え?そうなの?」

「おう、俺は2-58」

「58……58…?…げっ、あのでっかいマンション!?」

「はっはっは」

「ぶるじょあじーめ…」

「僻むな僻むな、しかし家が近いなら丁度いい、夕飯でも奢るぞ?」

「え?」

「ぶるじょあじー様が有難くも貧民に施しを授けてやろう、と言っておるのじゃ」

「さいてー」

半眼で陽炎が此方を見る。

案外ノリが良いな。

「はは、いやまあ…学食街には色々店があるけどさ、美味いところを教えてやろうってね」

「ん、なるほど、確かにそれは知りたいかも」

「だろ?ついでに送ってくよ」

「うーん…魅力的な提案だけど、ごめんね、荷物の片付けとか、親への連絡とかしないと」

「あー…そっか、そうだよな、すまん」

「それに私、送り狼とか怖いし…」

と、しなを作って陽炎が不安そうに俺を見る。

…調子のいい奴め。

「…急にしおらしい格好をするんじゃない」

「あははっ、うそうそ、だいたいそんな度胸無さそうだもんね、提督」

「…否定はしない」

「うん、素直でよろしいっ、というわけで、また今度奢ってね!」

「奢りは今日だけのタイムサービスだ」

「えー…ケチだなぁ、ぶるじょあじー」

「…あのなあ、さっきは否定しなかったけど、別に俺は――」

と、事情を説明しようとした時。

それを遮る声がした。

「その話!聞かせて貰ったネー!」



「……え?」

「……げぇっ」

威勢のいい声に、陽炎も俺もそちらを見る。

尤も、俺の方はかなりげんなりとした視線であったが。

「テートクー!私が代わりにご馳走になるネー!」
            
「………聞いてたのかエセライミー」

「いきなりグレートブリテン人をディスるのはやめるデース!」

「……誰?」

「…ああ、こいつは金剛、自称帰国子女、客観的に見たらルー大柴」

「そしてテートクのガールフレンドデース!」

言うなり、胸に向かって飛び込んでくる。

それを避けてやると、そのままべちゃっと地面に転がりかけて、しかし華麗に回転を決めて態勢を立て直した。

「おおー……」

陽炎が小さく拍手。

「何で避けるのネー!?」

「…なんとなく」

「だったらリトライすれば良いだけヨー!」

「…ぐっ」

そして果たして二回目の突撃には成功。

無事俺はロイヤルネイビーの捕虜となった。

大和魂を持って抜け出したい、切実に。

「彼女なの?」

「Yes!」

「No」

「…どっちなのよ」

「帰国子女特有の妄想だ」

だから俺の言う事を信じてくれ、と陽炎をじっと見る。

しかし何が何だかわからぬ様子で彼女は首をかしげるだけだった。



「……帰国子女ってそんな特別な人達だったっけ?」

「Non!私は真実のloveに目覚めただけネー!」

「うるさいエクアドルにでも行ってケツ出して来い」

「もー…相変わらずツンデレさんだネー……Oh…um…nice smell…」

くっつけた身体をぐりぐりと押し付けて鼻をスンスン――

って何してんだこいつ!?

「離れろ!」

「Ouch!」

「……仲良いじゃない」

「…ンフフ、テートクは私を助けてくれたのヨー…それ以来、ずっとテートクにloveを誓ってるのデース」

「そうなの?」

「…あんまりにもぼっちだったから…」

一年生、つまりここに入ってすぐの時。

帰国子女という引け目―これが引け目になるのもこの国だけだが―もあったのだろう、今後はなんか凄く馴染めてなかった。

といっても1クラス何百人はいるようなマンモス学校だ、勿論金剛に話しかける人もいた。

……顔は良いしなぁ。…つーのは置いといて。

だけどこいつは口数が少なく、誰とも会話を継続しようとしなかった。

……だから…その、諦めず根気よく話し続けたら…。

「テートクー!テートクー!」

「あはは、懐かれたのね」

「………ああ」

…今思えば…こいつ、この変な話し方を隠していたのかもしれないな。

あんまり話し続けると地が出るから…と。

……だとすると…。

『…いいんじゃないか?』

『俺はその金剛の方が好きだぞ、元気でさ』

「……大失敗だったなチクショウ!」

「…わ、いきなり何よ!」

「………いや…過去を悔やんでいるだけだ…」

「はぁ……?それより、グラウンドどうするの?」

「あー……」

「…グラウンド行くノー?付いてくヨー!」

………結局。

俺達は3人でグラウンドに向かい。

金剛はとてもうるさかった。



「……義姉さん」

「…うーんー?」

「……非常にお酒臭いよ」

「…だってぇー……」

だらんべろーん。

肉付きの良い躰を思い切り押し付けて、俺の首に巻き付く義姉。

普段はとてもしっかり者の頼れる義姉である。

そう、普段はとても。

俺の事情とはつまりこれで、義姉さん―雲龍義姉さんはここ横須賀学園で教鞭をとる、俺の保護者だ。

色々あって…俺はこの人の義弟になった。

…さて、普段はぴしっとしてきりっとした義姉さん。

「……てーとくー…わたし、疲れちゃったわー…」

「…あーはいはいー…」

「だってねー…皆酷いのよー?…仕事、みんな押し付けてきてねー…」

しかし、酒が入ると途端にこれである。

すっごい首に巻きついてくる。

どうもお気に入りポジションらしい、勘弁してくれ。

「……ふぅー…」

「ひえっ!?」

ぞわわっ。

耳に息を吹きかけられて、思わず震える身体。

「てーとく、かわいいわー…」

「やめてくれよ…」

「…うふふー、…副会長なんて、てーとくは本当、私の自慢の弟ねー…」

えらいえらい、と頭をくしゃくしゃに撫で回される。

…はずい。

「……いいこいいこ………くぅ…」

「………義姉さん?」

「……すぅ……ぅん……」

…背中に掛かる重みが増している。

どうやら本当に寝たようだ。

……明日、土曜とはいえ…なんつー義姉さんだ。

…はぁ。

義姉さんは部屋まで運んで、俺も寝よう。

…明日も、良い日になりますように。

おやすみなさい、義姉さん。





【プロローグ 終】

今回は多分最初から最後までラブコメちっくな学園ものだよ ほんとだよ
ここまでです

金剛の名前がアフリカの国名になってた
>>744 今後→金剛

とっても可愛いと思う
クリスマスはケッコンしてから執務室でしか生活してないのわっちにはいい刺激になったんじゃないかな
始める



【4月1週】


陽炎「そういえばさ」

提督「ん?」

陽炎「なんかちょこっと小耳に挟んだんだけど、副会長になる条件って何なの?」

提督「…生徒手帳に書いてるから調べてみろ」

陽炎「そうだけどさ、めんどくさいのよ」

提督「……はぁ…学業でってんなら、昨年度の学期末成績平均が5位以内だ」

陽炎「5位っ!?」

提督「…何だその反応」

陽炎「………え、凄くない?」

提督「ふふん」

陽炎「…絶対バカだと思ってた…」

提督「おい」

陽炎「ふふっ、ごめんごめん」

提督「…ああ、ちなみに、役職が下がっていくと条件も緩くなるぞー」

陽炎「ふーん…」

提督「非常に興味無さそうですね」

陽炎「だって、聞きたいことはもう聞けたし?」

提督「…あーそっすか」

陽炎「ありがとねっ」

提督「……おう」



大和    **0/500
金剛    **0/500
陽炎    **0/500
天津風   **0/500
雲龍    **0/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



天津風「………むにゃぁ」

提督「………」

校舎の最上階、生徒会室。

エレベーターを降りて執務室に入るなり、その物体を見つけた。

横須賀学園指定制服を微妙にかなり改造した痴女が、ぐっすりとソファーで眠っていたのだ。

春眠暁を覚えず、ってか。

つーか大和さんいないな、なんでいないんだよ。

天津風「………ぅー……すー…」

提督「おい、天津風」

天津風「……んー………」

……ごろり。

ひっくり返ってむこうを向く。

その拍子にスカートがめくれた。

…あ、パンツじゃないからいいんだっけ。

じゃなくて、仕事もせずになにしてんだよ。

提督「おいこら、起きろって」

今度は肩を掴んでゆさゆさ。

しかしうーんと唸るだけで一つも起きやしない。

提督「………ったく……ん?」

はぁ、と部屋を見回して、初めて机の上に広げられた物に気づく。

それは緻密に書き込まれたノートと筆記用具。

よく見れば今日の授業の範囲だ。

ノートをまとめ直していたのだろう跡が見える。

悪いとは思ったが、好奇心から少しぱらぱらとそれをめくってみる。

去年から使っているノートのようで、授業の内容だけでなく、たまにコメントのような物まで書き込まれていた。

『庶務の最低ラインは25位、全然いける!』

とかなんとか、そんな自分に対する応援までもが書かれていた。

それは置いといて、内容は物凄い丁寧で、きっちりとポイントも押さえている良いもの…だと思う。

だが、とんでもない時間がかかっていることもまた間違いないだろう。

…こいつ、ここまでしてまでこの仕事したかったのか?

……たぶん今日は、これまとめてて、少し休もうとしたらああなったってとこなのかね。

ふむ――――


>>+3


A.おい起きろ。

B.……せめてもうちょい休ませてやるか。

C.………でも起こさねーとな。

B.……せめてもうちょい休ませてやるか。(*1.5)


提督「……さて、外の仕事はあったっけな」

何かを頑張ったからといって、他の何かを疎かにしていいわけではない。

だけど人間には限界ってもんがあって、いつでも全力ってわけにはいかない。

だからああいう風に疲れてる時くらいは、ゆっくりさせてろう。

どーせ大した仕事もない。

提督「………ん?」

最後にもうノートを一度開かれたページに戻して…、はたと気づく。

…間違ってやんの。

……ははっ、訂正してやるか。


――――――――――――――


天津風「…………んにゃ…は……えっ!?」

赤色の陽を顔に受けて、その不快感に思わず目を開ける。

そして周りを見回して…やってしまったと気付く。

天津風「…夕日…夕日!?」

…ノート纏めてて、あんまりにも眠くなって…そのまま少し休もうと思って…。

………あぁ…嘘だぁ、やっちゃったぁ。

天津風「…な、なんで誰も起こしてくれなかったのよー!?」

そんな寂しさと理不尽を込めた怒りを空っぽの生徒会室にぶつける。

とにかくノート片付けて会長と提督を探さないと……って?

『やる気は認めるが、間違ってちゃ意味ないな』

『いいか天津風、この部分をお前は勘違いしているようだが――』

……ノートにびっしりと書き込まれた嫌味と解説。

…考えるまでもない、誰の字か、なんて。

……勝手にノート見られた…のよね。

あー……ほんっとに!…昔からムカつく……私もそりゃ悪いけど、普通人のノートマジマジと見ないでしょ!

…あれ?

……でも、私の事起こさなかったんだ、提督。

『P.S.  ちゃんと寝ろよ 身体は大事に』

………。

天津風「……わかってるわよ、言われなくても」

…ほんとに、もう。

…むかつくんだから。



天津風→ **3/500



【4月2週】


金剛「フーンフフーン♪」

提督「えらい上機嫌だな、どうした?」

金剛「あ、テートク!実は昔の友だちから紅茶の葉っぱが届いたのネー!」

提督「へぇ、英国の?」

金剛「イエース!」

提督「金剛の友達かぁ…ははっ、さぞかしうるさいんだろうな」

金剛「そんな事ないヨー?プリンス・オブ・ウェールズちゃんもキングジョージⅤ世ちゃんも良い子ダヨー!」

提督「………え?何その名前…?」



大和    **0/500
金剛    **0/500
陽炎    **0/500
天津風   **3/500
雲龍    **0/500


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陽炎「ごーはん♪」

提督「…今回だけだぞ、今回だけ」

陽炎「えー、せっかくこんな可愛い子と食事に行けるのよ?」

チャンスじゃない、と微笑む陽炎。

…どこまでも調子のいい奴である。

提督「じゃあ飯食った後お前の部屋まで行っていいか?」

陽炎「んー、風紀委員呼ぶわ」

提督「ノーチャンスじゃん!」

陽炎「あははっ」

楽しそうな笑い声が響く。

つまりは。

この前奢るよーとかうっかり口を滑らせてしまったのが悪かったのだ。

いまさらになってそれを持ちだされてしまった、というわけで。

提督「……ま、ご近所さんだしなぁ…仲良くしてやるよ」

陽炎「そうそう、仲良くしましょ?」

提督「…なぁ…店は教えるけど割り勘で行こうぜ」

陽炎「…みみっちー、モテないわよ?」

提督「うっせ、厳しいんだよ」

陽炎「あんな場所に住んでるのに?」

提督「…だから、あそこには義姉さんがいるから」

陽炎「あ、そういえばそんなこと言ってたわねー」

提督「忘れてたんかい!」

陽炎「うそうそ、覚えてたわよ…うーん、じゃ、割り勘にしよっか」

提督「…いいのか?」

陽炎「ええ、本音言うと、1人でご飯食べるの寂しくなっただけなの」

提督「……あー…確かに、味気ないよな」

陽炎「うん、そういうこと…行きましょ?」



>>+3


A.ま、俺は義姉さんと二人で食べる事が多いけどな!

B.おう、行こうか。

C.やっぱ奢るよ。

B.おう、行こうか。(*1.5)


提督「おう、行こうか」

陽炎「いこいこー!」

ぴょんこぴょんこと揺れるツインテール。

…なんつーか、大人っぽいようで子供っぽい、変な奴だ。

提督「……なあ」

陽炎「うん?」

提督「…いや…これからも、たまに食いに行くか、飯」

陽炎「……いいの?」

提督「…陽炎がいいならだけど、さ」

提督「ああそうだ、つーかむしろあれだ、家に来いよ」

陽炎「……え゛っ」

提督「…下心なんてないからそんな目でこっちを見るな」

提督「義姉さんに言えば、一人分くらいは多く作ってくれるから」

陽炎「………」

提督「…陽炎?」

陽炎「……提督さ」

提督「…おう?」

陽炎「…良い人だねっ!」

ぽむっ。

肩を叩かれた。

陽炎「じゃあ、今度ご馳走になっていい?」

提督「うん、いつでも来い」

陽炎「…変なことしないでね?」

提督「しねえよ」

……変なことはしないけど。

…できたら酔った義姉さんの相手とかしてくれねえかな。



陽炎→  *69/500

寝る
最近マジで帰りが遅くて死にそう



【4月3週】


雲龍「おはよう、提督」

提督「おはよう、義姉さん…ん、朝飯パンなんだ」

雲龍「ええ、たまにはこういうのも良いでしょう?」

提督「だねー、いただきます」

雲龍「…提督、パンの欠片が溢れてるわ」

提督「いーよいーよ後で払うから」

雲龍「…全く、綺麗に食べなさい」

提督「義姉さんは細かいなー」

雲龍「気になるのよ、提督がしっかりしてないから」

提督「わかったって」

雲龍「生徒会副会長として恥じない振る舞いをしなさいね?」

提督「ういういー」

雲龍「…本当にわかってるのかしら」



大和    **0/500
金剛    **0/500
陽炎    *69/500
天津風   **3/500
雲龍    **0/500


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金剛「テートクー!」

提督「…うげ」

金剛「Hh、朝から嫌なもん見たーって目してるネ」

提督「ご明察だぞ嫌なもの」

金剛「相変わらず照れ屋デース!」

提督「なんでそうなるんだよ…」

一回こいつの頭を割って中身を見たい。

どういう思考回路をしているのだろうか。

悪いもの達は全部どっかから出るように出来てるのだろうか。

金剛「それで、学食街にいるってことはbreakfastデスカー?」

提督「ああ、今日義姉さんが早くてよ、朝飯作ってもらえなかった」

金剛「Wow!それなら丁度イイネー!」

提督「…人が朝飯作ってもらえなかったって話の何処が良いんだよ」

金剛「穿った見方しないでヨー、一緒にbreakfastできるって意味ネ」

提督「……えぇー…」

金剛「…何で嫌そうな顔するのデス!?」

提督「朝からうるさいのはちょっと…」

金剛「なんか流石に凹んでくるネ…」

溜息とともに、元気なく一度下を向く。

しかし、すぐにその顔を上げた。

再び見せた顔は、笑顔だった。

打たれ強いやっちゃ。まあ、それを知ってないとここまではしないけど。

いわゆるいつものノリみたいなものである。

金剛「一緒に来てくれたら、美味しい紅茶が飲める店を紹介するネー!」

提督「…紅茶か」

…金剛が勧める程の紅茶。

なるほどそれなら確かに美味しいだろう。

ふむ――


>>+4


A.金は出さんぞ。

B.…わかった。

C.和食食うから。

B.…わかった。(*1.5)


提督「…わかった」

金剛「Yes!」

その返答を聞いた途端に拳を握ってガッツポーズ。

…ここまで好意を真正面からぶつけられると、なんか照れる。

だって顔が良いもん。正直に言っちゃうけど顔が良いもん。

悲しいけどこれが男という生き物なんだね。

金剛「…フフ、テートクも段々素直になってきたネ」

提督「違う、紅茶に興味があるのだ」

金剛「またまたー」

つんつんつんつん。

めっちゃほっぺたつついてくる。

提督「……で、紅茶以外はどんな物があるんだ?」

金剛「英国風のフル・ブレックファストネ!」

提督「……………」

金剛「イギリスのご飯だって美味しいからそんな顔しないでヨ!?」




金剛→   *72/500




【4月4週】


大和「提督くん」

提督「はいなんでしょうか!?」ヒュバッ

大和「…え、えと…あの、そんなにかしこまらなくても」

提督「いえ!自然体です!ナチュラルです!」

大和「そ、そうなの…?え、えっとね…向こうにある書類を」

提督「はいわかりました!お任せ下さい!」

大和「……け、結構量が多いから天津風さんも…」

提督「いえ!大丈夫です!」

大和「……そう…あの、頑張ってね?」

提督「!?…ありがとうございます!」

大和「……………はぁ」



大和    **0/500
金剛    *72/500
陽炎    *69/500
天津風   **3/500
雲龍    **0/500


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雲龍「提督」

提督「ぬおっ!?」

雲龍「…あら、何か疚しいことでもしていたの?」

提督「……違うよ、勉強してた」

雲龍「ふふ、本当かしら」

提督「……義姉さん」

例え何も悪い事をしていなかったとしても、部屋にいきなり家族が入ってくるとビビる。

そんな俺の心持ちも知らず、義姉さんはずんずん部屋へと足を踏み入れてきた。

提督「何か用?」

雲龍「うん、少しね」

と言いつつ、義姉さんはベッドに腰掛けた。

なんか寛いでないっすかこの人。

提督「あの、義姉さん」

雲龍「…ごめんね、勉強中に」

提督「いや、そりゃ構わないけど…」

用件も明かさずに部屋で寛がれると扱いに困る。

正直ちょっと義姉さんにしては珍しい行動だ。

まるで酒を飲んだ時みたいな…そう、まるで甘えてるみたいな感じだ。

雲龍「……少し、疲れたから」

提督「…疲れた?」

雲龍「うん…今の時期、どうしても色々やらなきゃいけないことがあるの」

雲龍「…最近は提督にご飯も作ってあげられないわ」

提督「別に大丈夫だよ、義姉さんの忙しさはちゃんと理解してる」

雲龍「……ごめんね」

提督「大袈裟だなぁ」

相変わらず、どっかの帰国子女を見習ったほうがいいくらいの打たれ弱さである。

義姉さんはしっかりしている分、完璧主義者というかなんというか…ダメなことがあればそれをひたすら責めるような人だ。

そして、疲れているとやけにその傾向が増す。

それを毎週酒で発散しているのだが…週末が来る前に限界を迎えたらしい。

…うーむ――――


>>+4


A.いい子いい子。

B.……あとちょっとで土日だから、頑張って。

C.…義姉さんは悪い方に考え過ぎだよ。

A.いい子いい子。(*1.5)


提督「………」

雲龍「……提督?」

義姉さんの前に立つ。

見下ろした義姉さんは、いつもよりもずっと小さく見えた。

提督「………大丈夫」

その丁度手の位置にある頭を、優しく撫でる。

義姉さんの髪は少し固いんだな、なんてことを思った。

雲龍「…………何してるの」

提督「いい子いい子」

雲龍「…………あのね…」

義姉さんはそのまま文句を言いかけて、ふぅ、と口を噤む。

…いつもお疲れ様、義姉さん、と。

そんな感謝を込めて、手を動かす。

義姉さんはやっぱり時折何か言いたそうにしたけれども、遂に最後まで黙っていた。




雲龍→  *66/500



【5月1週】


天津風「……あなた!」

提督「なんだ」

天津風「この処理、間違ってるわよ!」

提督「……細かい事をぐちぐちと言う奴だな」

天津風「あなたこの前私が間違ってた時ものすっっごい嫌味たらしく文句言ってきたじゃない!」

提督「…だっけ?」

天津風「あのねぇ!」

大和「…提督くん、間違いを犯すことは誰にでもありますが、それに対する対応を――」

提督「はい!すいません大和さん!」

天津風「…………」

大和「…………き、気をつけてね…」




大和    **0/500
金剛    *72/500
陽炎    *69/500
天津風   **3/500
雲龍    *66/500


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コンマだし別にいいよ


購買部街。

購買部と銘打ってはいるものの、日用品や服など幅広い物が売っている店が集まっている場所である。

店の数も多いので、まるでショッピングモールのようになっていて、休日は学生達で溢れかえっている。

今日は、俺もその溢れかえる学生を構成する一人となっていた。

天津風「…人多いわねぇ」

提督「………そうだな」

…隣にいる、天津風とともに。

断っておくが、断じてデートなどではない。

副会長と庶務として、連休中の購買部を監視しているのである。

…風紀委員の人員が足りないということで駆りだされた。

マジで小間使いだなぁ、俺ら。

天津風「あ!…あの服…」

提督「今日は買い物に来たんでも遊びに来たんでもない」

天津風「わ、…わかってるわよ!いいじゃないちょっとくらい!」

提督「どうだか、釘刺しとかないとな」

天津風「…むぅー…」

提督「……お、あの本…」

天津風「……今日は…なんだっけ?」

提督「…わーってますよ」

…はぁ、連休気分も何もあったもんじゃない。

頼むから起きるなよトラブル。

しっかし、こういう仕事だとはわかっていたとはいえ、実際に実感すると萎えるもんだ。

大和さんはあんまり生徒会室にいなくて同じ空気を吸えないし。

どきどき生徒会室(R17)なんて所詮夢でしかなかったのである、くぅ。

天津風「………ねぇ、あなた」

提督「なんだ?」

天津風「…ちょっとくらい…その、遊んでも構わないんじゃないかしら?」

提督「…そりゃ、最後に報告して終わりだし…誰も気づかんだろうけど」

天津風「………」

……だからどうだ、と言いたいのか。

うーむ――


>>+4


A.アホ、サボるなよ。

B.…魅力的だけどな、仕事はちゃんとしないと。

C.……そうだな、うん、いいぞ。

C.……そうだな、うん、いいぞ。(*1.5)


提督「……そうだな、うん、いいぞ」

天津風「……ほんとにっ!?」

提督「…ただ、あくまでも見回りの延長っぽくな、風紀委員に見つかると面倒くさい」

天津風「……延長っぽくってどんな感じなのよ」

提督「……まあ…フィーリングだよフィーリング」

天津風「とりあえず、遊ぶってことでいいのね!?」

提督「…そうなるな」

天津風「…やたっ!ね、ね、あの服屋行きましょう!?」

提督「はいはい、後で本屋寄ってくれよ?」

天津風「しょうがないわね」

提督「……ったく、やけに上機嫌だな、そんなにサボりたかったか?」

天津風「…そういんじゃ無いわよ」

提督「……じゃあ?」

天津風「…………」

提督「…………?」

天津風「…とにかく!行くわよ!ほらっ!」

提督「引っ張んなっての」


――――――――――――――


――こうしてると、なんだかデートみたいなんて。

…言えるわけないじゃない。




天津風→  *55/500



【5月2週】


陽炎「…あら奇遇、こんにちは」

提督「おう、どーも」

陽炎「提督もこの授業取ってるの?」

提督「ああ、俺達の学年だと珍しいけどな」

陽炎「そうみたいね、…というか、今まで気付かなかったわ」

提督「しゃーねえさ、この教室、何人入ると思ってんだ?」

陽炎「それもそうねー、ということでノート見せて?」

提督「間宮のプリン」

陽炎「……けーち」

提督「人生は甘くないんじゃぞ、少女よ」

陽炎「良いもん、勝手に見るから」

提督「あ、おいこら返せ!」

陽炎「あははっ、明日ね」

提督「……ったく」



大和    **0/500
金剛    *72/500
陽炎    *69/500
天津風   *55/500
雲龍    *66/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ




一人暮らしの女の子の部屋。

非常に魅力的、かつ魅惑的な響きである。

もう何か言葉だけでご飯が…いや、行けねぇけど。

……だけどさぁ。

提督「……汚いな」

陽炎「だからちょっと待ってって言ったのよ!」

提督「……ちょっとで済むのか…?」

玄関で待ってろと言われてその通りにしていたら、奥からがっちゃんがっちゃんと凄い音が聞こえてきたので。

すわ何事かと思って奥に進んだところ。

…汚かったのであった。

足の踏み場もないというレベルではないんだが…なんだろう、全体的に色々行き届いてない。

引っ越しの時のダンボールっぽいものがそのまま置かれてるし。

…中身は少し減ってるって事は片付けずにダンボールから直接出してたのか。

……お前は大学一年生男子かよ。

………さっきはこれを押入れに入れようとして落とした音か?

あー、一先ず床に転がってるもの全部押入れに突っ込む片付けスタイルできたかー。

などと冷静に分析していると、陽炎が俺の横でプルプル震えていた。

…普通に恥ずかしいらしい。…なら片付けてから呼べよ。

提督「…とりあえず、弁当食うか?」

陽炎「……食べる」

ちなみにそもそもの目的は、一緒に学食街で買った弁当を食うことである。

俺の家は…義姉さんが仕事なので、流石に人を入れるのは遠慮しといた。

提督「……しかしなぁ」

陽炎「…何よ」

ぐるりと周りを見渡す。

やっぱり何か汚い。

陽炎「…その、引っ越したばっかりだから…」

提督「もう一ヶ月だろ」

陽炎「………うぅ」

……なんだろう。

こういうのを見ていると―――


>>+4


A.めっちゃ掃除したくなる。

B.めっちゃからかいたくなる。

C.……陽炎ちゃんずぼらねー。

A.めっちゃ掃除したくなる。(*1.5)


…義姉さんがしっかりかっちりとした人だからか。

昔から掃除についてはかなり厳しく言いつけられてきた。

だから、こういう光景を見ると――

提督「…陽炎」

陽炎「……なに?」

提督「飯食ったら掃除しよう!」

陽炎「……え?い、いやいいわよ、自分で…」

提督「どうせしないんだろうそう言いつつ!」

陽炎「…うっ…じゃ、なくてさ!」

提督「決まりだ!決定!掃除するぞ!」

陽炎「……おせっかい焼きすぎでしょ、提督」

提督「うっさい!こんな部屋の存在は許せんのだ!」

陽炎「…はいはい、ありがとーございます」

陽炎「……でも、私の見てるとこでやってね」

提督「…手伝わないのかよ!?」

陽炎「あははー、折角やってくれるんだから、任せるわ」

提督「あのなー…」

……ほんとに調子の良い奴である。

この後めちゃくちゃ掃除した。

提督「陽炎、この下着…」

陽炎「ああああああそれ洗ってないやつ!」

提督「…………」

……興奮の前に衛生的な心配をしてしまった。

何日熟成されてたんだろうあれ…ゴム手でも持ってくればよかった。



陽炎→  177/500



【5月3週】


「この時の資本の投入量に――」

提督「…………」ガックン

眠い。

いつもは真面目に授業を受けているが、今日はやけに眠い。

やっばい。

崩れる。

崩れちゃう。

金剛「…………このままなら寝顔get出来そうネー……この無音カメラが…ヌフフ…」ジュルリ

提督「…………」

…危機感により起床。

舌打ちが何処かから聞こえた。



大和    **0/500
金剛    *72/500
陽炎    177/500
天津風   *55/500
雲龍    *66/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ




提督「なぁ」

金剛「どうしたノ?」

提督「…お前って、英語出来るの?」

金剛「of course!」

そういう他人のスキルは、なんとなく気になるもの。

ということでついつい聞いてみたら、笑顔で頷かれた。

金剛「それどころか、仏語も伊語も独語も行けるネ!」

簡単な日常会話くらいで、文章書けはしないけどネー、と笑う。

提督「…マジか」

…EU産って有能なのか…。

金剛「つまり!ワタシは5ヶ国語で愛を伝えられるネー!」

提督「…そうか」

なんてもん押し付けてくれてんだよEU、さっさとこいつ引き取れよ。

提督「…にしても、何でそんなに言語覚えたんだ?」

金剛「実はイギリスだけじゃなくて、小学校低学年くらいまで結構色んな国を転々としてたのネー」

提督「へぇ、そうだったのか」

…もしかしたらこいつのルー大柴語が成立したのは幼少期言語野に色々詰め込まされすぎたからなのだろうか。

…なんか微妙に説得力ある説だな。

金剛「だから、一つの所にとどまるのは初めてなのヨー」

提督「案外大変な人生なんだなー」

金剛「…スッゲー興味無さそうに言うのやめて欲しいネ」

提督「悪い悪い」

金剛「………でもネ」

提督「…ん?」

金剛の声のトーンが落ちる。

珍しいこともあるものだ。

金剛「…この国では、友達全然出来なかったノヨ」

提督「……小学校低学年に来てから、か?」

俺の問いに金剛が頷いた。

…まあ、排他的な国だしなぁ。

少なくとも外国人やそれに類するような人と積極的に仲良くしようとする人間が少ないのはその通りだろう。

おまけにこいつこんな喋り方だし。

…………。


>>+4


A.じゃあ、俺が金剛の此処での初めての友達だったのかな。

B.…性格に問題が…。

C.話してみれば楽しい奴なのにな、お前。

C.話してみれば楽しい奴なのにな、お前。(*1.0)



提督「話してみれば楽しい奴なのにな、お前」

金剛「テートク…」

提督「売れない芸人みたいで」

金剛「………」

必殺言葉の槍。

結構なダメージを与えられて金剛は沈黙した。

金剛「…酷いネー」

提督「はっは、真に受けんな」

提督「ただ…話してて楽しい、ってのだけは本当だよ」

金剛「……そうなノ?」

提督「…ああ、本当」

金剛「そっか…」

金剛「…うん、それなら良いヨ」

何が良いのかは知らないが。

金剛はそう言って、また元の笑顔に戻ったのであった。




金剛→  121/500

今日はここまで



【6月1週】


提督「義姉さん」

雲龍「なーにー?」

提督「…何か格好がヤバいよ、色々はだけてる」

雲龍「そうなのー?ふふっ、それは困ったわぁ」ギューッ

提督「…………頼むから首に巻き付かないで」

雲龍「提督、つめたーい…もっとぎゅーってしちゃうー…」

提督「いでででで」

雲龍「……はふー…」



大和    **0/500
金剛    121/500
陽炎    177/500
天津風   *55/500
雲龍    *66/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



今日も今日とて。

大和さんが生徒会室にいない。

そんあわけでぐでーりあんである。

天津風「ちょっと、あなた」

提督「……なんだ天津風、仕事なら終わらせたぞ」

天津風「……そうなの?それなら…って、よくない!しゃきっとしなさい!」

提督「…いーじゃんかー、お前も寝てたし?」

天津風「あれは…あれは、その…」

提督「この部屋凄い高級感溢れてるからさー…うん、寝ちゃいたい」

天津風「…ダメ!と、とにかくダメだったら!」

提督「…なんだよー」

相変わらず邪魔ばかりする奴である。

俺はこのまま惰眠を貪りたいのに。

いや、家に帰ってもいいんだけど多分家に帰っちゃったら目が覚めそうなのよ。

この最上階という最高の立地の生徒会室で寝たいんだ、俺は。

天津風「うー…起きなさいよ」

提督「……んー」

だというのにこやつはちょこちょこと妨害を加えてくる。

うーむ、全然寝られない。

天津風「…お茶淹れるわよ、少しお話でもしましょうよ」

提督「………んー」

俺は眠い。

お茶よりも睡眠が欲しいのだ。

天津風「……ねぇ、あなた」

しかしなおも食い下がる天津風。



>>+4


A.……しゃーない、相手しよう。

B.………ぐー。

C.一緒に寝るか?

A.……しゃーない、相手しよう。(*1.5)


…しゃーない。

相手してやろうじゃないか。

提督「…………」

起き上がると、天津風が途端に嬉しそうな顔をした。

天津風「あっ…」

提督「…お茶、期待してるぞ」

天津風「ええ!楽しみにしてなさい!」

提督「…にしても」

天津風「……?」

提督「…なんで大和さんがいないんだろう」

天津風「…………知らないわよ」

提督「ん、天津風、天津風ー?」

…天津風がすたすたと奥へ消えていく。

……怒らせた…のか?

よーわからんやっちゃ。



天津風→  *97/500

埋めネタちょっと長めだから次スレ立てる
なんで幼馴染がこんな扱いになってるんですかね…

【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★18【安価】
【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★18【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418567073/)

全部提督って奴が悪いんです



【暁After・IF】



正しい道とは、一体何であろうか。

そして間違っている道とは、一体何であろうか。

暁と愛し合っていることは間違っているのか?

…世間一般の感覚で言うのならば、きっと是、なのであろう。

だけど、俺の中では答えは出なかった。

間違ってるとは知っていても、正しい事だと思いたかった。

だから、それを無視して、見ないようにして。

俺達は勝手に道を行く。

きっとなんとかなる、そんな甘い事を考えながら。

壊れてしまう、その日まで。




「…暁、そろそろ起きろ」

シャワーを浴びて、着替えて、洗濯機回して、朝飯も用意した。

凡そ一般の男子大学生とは思えぬ程精力的な朝だが、これが俺の日常である。

そして最後の仕事として、布団に丸まってごそごそと動く妹を揺する。

「……ふにゃーん」

すると聞こえてきたのは、やたらふにゃふにゃした甘い声。

悲しきかな、こいつは高校生であった。

「…猫か、お前は」

「…ごろにゃーん…」

どうにも気に入ったようで、鳴くのを一向にやめない。

同時に布団もしっかり守っている。徹底抗戦の構えだ。

「……はぁ、起きてんだろ」

「…ふにゃはー……にゃぁ」

…あくまでも起きないつもりらしい。

仕方ないので、こうなったら殺し文句を使うことにした。

「……起きないとキスするぞー」

「……ぐーぐー」

徹底抗戦の構え解除。

目はしっかりと閉じたまま、布団を投げ捨てた。



「…わっかりやすいなお前」

「……ぐー…はやくー…ぐー…」

それどころか急かしてくる。

我が妹ながらなんともであった。

「…へいへい…」

「…んっ」

「……ほれ、満足したかお姫様」

「…うむ、良い朝であるぞよー……ふぁぁ…おはよ、おにーちゃん」

王子様もといお兄様のキスで目を覚ました暁姫は、だらしなく欠伸をして辺りを見回した。

ぐしぐしと涎を拭うのも忘れない。もうちょい頑張れ高校生。

「さっさと準備しろー」

「……はーぁい……着せてー、おにーちゃん」

「やだよめんどくせぇ」

「…けちー」

制服と下着を投げてやると、のそのそのっそりとそれに着替えていく暁。

相変わらず起伏のない体だ。

「………なんでじーっと見てるのよ」

「…成長の跡が見られないな、って」

「……おにーちゃんが手を出してくれたら成長するかもだよ?」

「………やだ」



……暁とは。

まだそういう事をしたことはない。

それは、俺の中に未だ残った最後の理性なのか、それともただ単に怖いだけなのか。

…少なくとも今は、暁と触れ合っていられるだけで幸せで、満足しているけれど。

これから先、それを破ることは―あるのだろうか。

「ほら、揉まれると大きくなるんでしょ?」

「俗説だよ、真に受けんな」

「試してみてもいいのよ?」

ずい、と胸を差し出す暁。

俺の気持ちなど全く知ったこっちゃねぇって感じである。

「あーほ」

「いたっ」

べしっ。

頭を叩いて、顔を背ける。

「飯出来てっから、着替えたら来い」

「……はーい」

そのまま台所へと歩いて行く。

後ろから不満気な視線と声が俺にぶち当たる。

…俺だって、興味が無い訳がないのだ。

本当に―本当に、困ったお姫様である。



「じゃあ、いってきまーす!」

「へいへい、てらさい」

「…てゆーか、おにーちゃんずるくない?なんで学校がお昼からなの?」

「大学というのはそういうものだ」

朝飯を終えて、マンションのロビー前。

暁をゴミ捨てのついでに見送ってやる。

正直ゴミ捨ててこいよ妹と押し付けたいのだが俺はいいお兄ちゃんなのでそんなことはしない。

「よ…っと、そんじゃな、暁」

ロビーを出てすぐ側にあるゴミ集積場に燃えるゴミ袋を投げる。

これで仕事は終了だ、と暁を振り返ると、なぜかにやにやと笑っていた。

「ん?」

「おにーちゃんっ」

「…なんだよ」

「行ってらっしゃいのちゅー」

「……お前、こんな場所で」

やめろやめろ、そんな意味を込めて手を振る。

「…むー、いいわよ、勝手にするから」

「っ!?」

宣言するやいなや、顔の距離を詰める。

それは零になってすぐに離れ、暁はやはりにやにや顔をやめなかった。

「………あのなぁ」

「ふふーん、それじゃあいってきます!おにーちゃん!」

「…はいはい、気をつけるんだぞ、暁」

「はーい!」

元気に暁が歩いて行く。

俺はそれを意味も無く、見えなくなるまで見送っていた。

「…………………あはっ」

その時の俺は、あんな事をいいながらもきっと浮かれていて。

そんな光景を見ている誰かには、気付く余地など無かったのだ。



「提督」

「…ん、ああ、陽炎」

大学の講義室、その中ほどの席。

3人がけのそこを荷物を脇に置くことで占領していると、不意にそれが持ち上げられた。

見やれば―何故かついて来ていた幼馴染、陽炎。

「隣いいかしら?」

「どーぞ、どうせ誰も座りやしねえよ」

「それじゃ失礼するわね、はーしんど」

「おっさ…いや、おばさん臭いな、お前」

「…誰がおばさんですって?」

「いでででででで!?ギブギブ!ギブ!」

…最初は、面倒だとか嫌だとか思っていたが。

知り合いの全く存在しないこの大学に幼馴染の陽炎がいるということは、わりと俺の救いになっている。

一緒に行動する友達が出来るというのはそれだけでほっとするものだ。

悲しきかな、集団にならないと安心できない日本人。

「……はぁ、ホントバカなんだから」

「うっせーやーい」



「お、何だ何だ何だよーお前ら相変わらず仲良いなー」

「んだんだー、おい提督、妹紹介してくれよ」

「あとノート見せてくんねー」

後ろからやってきた一応友達の3人組が、通りざまに色んな言葉を投げてくる。

…こういう風に、陽炎と一緒にいるというのは女性関係的なカモフラージュにもなってくれたりする。

そういう邪推をする人間などは存在しないだろうが…まあ、一応。

暁は絶対に紹介しないが。

「ノートは構わんけど、何か奢れや」

「わ、聞きましたか皆さん、こいつ酷ぇよ」

「全くだな、妹紹介してくれ」

「お前そればっかだな…」

「あはは、紹介してあげなよ提督」

「やだ、暁が汚れる」

「酷くねぇ!?」

「お前みたいな軽い風貌の男は暁の周囲5メートルに寄らせん」

「…うわシスコンだこいつ」

不安だらけだった大学生活も、なんとなく慣れてきて、楽しくなった。

そして家に帰れば暁と二人。

多分、俺は間違いなく幸福だったのだ。

「………あ、そうだ提督」

「…ん?」

「ちょっと後で付き合ってくれない?」

「…ああ、構わんが…」

…その日、までは。



学内、昼時を外れた講義時間中ということもあって人もまばらな学食。

俺は陽炎と向かい合って座っていた。

こういう時にファミレスまで行かなくていいのは便利だ。

それでなくても呉大周辺はクソ田舎だし。

なんでこんな場所に大学作ったんだよ市内とは言わないまでもせめてもうちょい…。

…まあいいか、今は関係ない。

「で、どうしたよ」

「…うん、少し見て欲しい物があるの」

「何だ、だったらあの時でも良かったのに、随分勿体ぶるな」

「……あんまり、人に見せちゃいけないものかなって思って」

「……見せちゃいけないもの?一体――」

なんなんだ。と。

その言葉は告げなかった。

差し出されたスマホの画面に写っていたのは。

「………見せちゃいけないもの、でしょ?」

朝の。

俺と暁が唇を触れさせている写真。

嬉しそうに笑う暁と、少し驚いた俺が写っている。



「…え、あ……え?」

「……ほんとはね、おじさん達に見せようかと思ったんだけど」

「な、何で!?何でこれを!?」

がたっ!

椅子が床を擦る音が響いて、学食内の視線が一斉に俺を見る。

「……あ、…いや、すいません」

それに頭を下げてから、再び陽炎に向き直った。

「……朝、遊ぼうかなってあんたの家に行ったの」

「…だとしても、こんな写真なんて――」

「…まぁ、細かい事はいいじゃない、この際」

「あぁ!?」

「……で、これ、おじさん達に見せていいわけ?」

「……………」

「…いーのかな、暁ちゃん、妹なのに」

おじさん達―つまり、俺の両親。

我が親ながらいい人だと思う。

父さんなんかは暁の事を溺愛していて―今回の事でも泣く泣く見送っていたくらいだ。

そんな普通に良い親で。

勿論、とてもじゃないが俺達の関係を認めるような人達ではない。

流石にこの写真だけで全てがバレるってことはないだろうが…それでも拙い事には変わりない。

「……違うよ、陽炎」

「……?」

だから、なんとか落ち着いて笑顔を作った。

いつも陽炎に見せている笑顔を、無理矢理に作った。



「ただのスキンシップだってば、兄妹の」

「……ふーん?」

「あいつも親元離れて寂しいのか知らないけどさ、こういう風にやたら甘えてくるんだよな」

「へぇ、スキンシップ」

「そうそう、俺も嫌なんだよ、こういうの」

俺の言葉に、陽炎は微かに口元を歪めて。

楽しそうに、言葉を紡いだ。

「………じゃあさ」

「……ん?」

「私にもしてよ、キス」

「……はぁ?」

「スキンシップなんでしょ?」

「…………アホらしい、兄妹間の…そう、あくまで家族内でのだよ」

「……ふーん、そ」

つまらなそうに息を吐き。

そして、学食の椅子から立ち上がった。

「とりあえず、場所変えない?」

「…は?…いや、もう良いだろ、これで勘違いだって」

「……わかってないなぁ、提督」

言って、陽炎が人差し指を俺に向ける。

口元は歪んでいるのに、目は真っ直ぐに俺を射抜いていた。

「………写真、これだけだと思ってる?」

「……な、…何、どういう」

「そうね、提督の考えてる通り、これだけじゃおじさんにもおばさんにも決定打にはならないかもしれないわね」

「…陽炎、おい」

「でも…何回も何回も―それこそ毎日キスしてるような兄妹はおかしいと思わない?」

「……………」

「…だから…言うとおりにした方が良いよ、提督?」

陽炎は、今度こそ笑っていた。

その笑顔に、最初から俺はこいつの言う通りにするしかなかったのだと―そう悟らされた。



「…何が目的だ?」

「え?」

やって来た場所は、俺の家。

終始笑顔の陽炎に連れられるように帰ってきた。

そこに入るなり、鋭い声で陽炎に問う。

「一体何がしたい?」

「…にっぶいなぁ、相変わらず」

「……は――っ!?」

油断していたら、すぐに押し付けられたのは唇。

暁のよりも固いそれを、ぶつけるように触れさせてきた。

「…っー…ふふっ、ちょい勢い強すぎたかも?」

「…陽炎!」

「はぁー…まだわかんない?」

「……いや…何となく、何となくだけど、理解はした」

「…じゃあ、返事くらいしてよ?」

「決まってんだろ、嫌だ」

「……あはっ」

内容なんてあくまで想像でしかないが、その想像が間違ってるとも思えない。

…わざわざその為にここまで来たんだとしたら、本当にご苦労様だ。

だけど、こいつをそういう対象として見るなんざあり得ない。

だから吐き捨てるように言ってやった。

しかし、まるでそれを悦ぶように―陽炎は、笑う。



「あははっ、そっかぁ、そだよねぇ」

「…そうだ、だから」

「だけど、関係無いのよね、私には」

「――っ!?」

陽炎が大きくなった―と思った瞬間。

後ろのベッドに、そのまま倒されていた。

気付けば馬乗りの態勢で、しっかり両手を抑えられて。

「にしても…もーちょっと鍛えた方がいいんじゃない、提督?」

「お前、何を」

「…わかんないかなぁ?」

再び近付けて来た顔。

その目的は想像に難くない。

「…いい加減にしろっつの!」

「……ぁっ!?」

だからそこに、唯一自由に動く頭を振って、思い切り頭突きをかました。

額に綺麗に命中したが、けれどそれでも俺を拘束している力は緩むことがない。



「……あはっ、痛いじゃない」

「陽炎、ふざけんな」

「ふざけてなんか無いわよ、全部本気」

「それがふざけてるつってんだよ」

「………うるさいわね、いい加減」

「…もがっ――!?」

陽炎が一瞬ごそごそと動いて拘束が緩んだかと思うと、口の中に何かを突っ込まれた。

口に、凝縮された汗のようなすえた臭いが広がる。

「あははっ!どう、私の下着?」

「…ごほっ、がっ!」

「無様ねぇ、ひょろひょろだからこんなことになるのよ」

「――――!」

「あーあ、何言ってるか全然わかんないわよ、提督」

あのね、と俺の上に乗った陽炎が続ける。

「私、全然気付かなかったのよ、こんなに提督の事が好きだったなんて」

「……………」

どうせ何を言っても、声は声にならない。

口に充満した匂いに耐えながら、彼女の言葉をただ待つ。

「貴方が遠くに行くって聞いた時、初めて…初めて、この気持ちに気付けたの」

「だから、暁ちゃんとあんな事をしてるって知った時、凄くショックだったわ」

「………私はね、提督…貴方の為を想って、こうしてるのよ?」

「提督を、助けたいの」

「…………」

……何が俺のため、だ。

ふざけるのもいい加減にしろ。

こんな脅迫や強姦まがいの事しやがって。

とにかく、なんとかこの拘束から抜けだそうと藻掻いて――

「おにーちゃんただいまー…ってあれ?陽炎…さん?何やってるの?」

「――――あはっ」

陽炎はおろおろする暁を見て。

待っていた、と言わんばかりに笑い。

加えられた力が、一段と強くなった。



「えっと…陽炎さん、どうして」

「あは、見たままよ、暁ちゃん」

「――――!」

何とかして暁に向けて言葉を発しようとするが、陽炎が突っ込んだ下着の上にさらに手を被せていて本当に何も喋れない。

ならば今度は拘束を―と思っても、俺には片手の拘束すら破れない。

…非常に不甲斐ないが、諦めるわけにはいかない。

そんな必死に抵抗を続ける俺を、何か微笑ましいものでも見るように陽炎は見て、それをすぐに暁へと移した。

「……見たまま…?」

「…お兄さんは…提督はね、ずっと私と付き合ってたの」

「………え…?」

「――――!」

違う!暁、違う!

そう叫びたいのに、届かない。

抑えつけられた身体も、動かない。

ただ、俺には聞いていることしかできない。

「…あはっ、あなた、本当に兄妹で愛し合ってるなんて妄想、信じてたの?」

「……そんな…だって、おにーちゃんは…」

「提督はずっと、迷惑だって言ってたわ、あなたのこと」

「………嘘…そんなの、そんな事あるわけないじゃない!」

「本当よ?嫌がってたわ、ずっとね」

「…信じないわよ!おにーちゃんはそんな事言わない!」

「……ふふっ、そうかもね、貴女の前ではそういう風に振る舞っているもんね」

「そうよ、おにーちゃんは…」

そこでまた、陽炎が動く。

口に置かれた手が外されたが、やはり喋る事はできない。



取り出したのは、さっき俺に画像を見せてきたスマートフォン。

『あいつも親元離れて寂しいのか知らないけどさ、こういう風にやたら甘えてくるんだよな』

『へぇ、スキンシップ』

『そうそう、俺も嫌なんだよ、こういうの』

「…………………嘘」

響いた声は、俺のもの。

確かに、俺の言った事だった。

…ただ、会話の一部を切り取っただけのそれを聞いて。

暁は、何も言わなくなった。

必死に声を出そうとしても、必死に身体を起こそうとしても、どうしても叶わない。

やたらと楽しげな陽炎の声を聞くことしか、俺には出来なかった。

「ずっと、こんな事言ってたの、提督」

「……………嘘、言わない、そんな事言わない…おにーちゃんは…」

「気持ち悪いんだって、そういうこと」

「………嘘よ…そんなの……」

その反対に、暁の声はどんどん小さくなっていく。

「暁ちゃんには、心当たりない?」

「……あるわけないじゃない!」

「ふふ、…本当に?」

「…そんなの………おにーちゃんはずっと暁を…あ……」

その時、暁が不意に言葉に詰まった。

「…………もしかして…おにーちゃんが何もしてくれなかったのは」

「…あら、ほんとにあったのね、ざーんねん」

「…………………っ!」

陽炎がそう言った瞬間、床を乱暴に踏みしめる音がして。

少し遅れて、玄関が乱暴に閉じられた。

それはきっと、色んな物が壊れてしまったような音だった。

「あはっ」

陽炎が、笑った。




【おわり】

いっぱい書いた気がしたのだがそんなことはなかった
なんともなんともなお話になってもうた


【6月2週】


陽炎「………何よ?」

提督「……いや」

陽炎「………?」

提督「…変な夢を見た」

陽炎「夢ぇ?」

提督「…だから何でもないんだ、忘れてくれ」

陽炎「………んー?」



大和    **0/500
金剛    121/500
陽炎    177/500
天津風   *97/500
雲龍    *66/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

どんまい大和さん
今日はここまで

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