【艦これSS】提督「壊れた艦娘と過ごす日々」06【安価】 (1000)

※艦これのssです。安価とコンマを使っています。

※轟沈やその他明るくないお話も混じっています。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422961385

好感度的なもの

99 睦月
63 榛名
41 浜風
41 加賀
38 夕立
32 鈴谷
30 伊58
12 雪風
11 大淀
00 金剛
00 清霜

※攻略は出来ないけど絶対に病まない癒し的な存在
曙・阿武隈・阿賀野

・好感度30 トラウマオープン

・好感度60 トラウマ解消
ここから恋愛対象&好感度上昇のコンマ判定でぞろ目が出たらヤンデレポイント(面倒なのでYP) +1

・好感度99 ケッコンカッコカリ

・好感度は150まで

・YPは5がMAX、5になったら素敵なパーティ(意味深)

沈んだ艦娘24人

一回目の襲撃事件で沈んだ艦娘
大和・朝雲・那珂・武蔵・弥生
(雪風は生還)

二回目の襲撃事件で沈んだ艦娘
深雪・大鳳・如月・雲龍・龍驤
(雪風は生還)

三回目の襲撃事件で沈んだ艦娘
白露・時雨・村雨・五月雨・涼風・皐月・文月・長月
伊19・伊168・伊8・北上・神通

???
春雨


現在の資源とか建造とか
燃料259 弾薬242 鋼材241 ボーキ282

A【燃料30 弾薬30 鋼材30 ボーキ30】
いわゆる最低限レシピ。駆逐艦・軽巡洋艦が対象です。

B【燃料250 弾薬30 鋼材200 ボーキ30】
軽巡洋艦・重巡洋艦・潜水艦が対象です。

C【燃料400 弾薬30 鋼材600 ボーキ30】
重巡洋艦・戦艦が対象です。

D【燃料300 弾薬30 鋼材400 ボーキ300】
軽空母・正規空母が対象です。

E【燃料500 弾薬500 鋼材500 ボーキ500】
駆逐艦・軽巡洋艦・重巡洋艦・潜水艦・戦艦・軽空母・正規空母「以外」が対象です。


・装備
今いるヒロイン候補の新しい装備を作ります。
と言っても錬度とか戦力数値も無いスレですので、要は資源と引き換えに好感度を上げるだけです。
まず【燃料100 弾薬100 鋼材100 ボーキ100】を支払います。
次に誰の装備を作るか選択し、その後はコンマ次第で好感度が上がります。
ただし実際のゲームと同じで失敗する場合もあります。勿論その場合資源は帰ってきません。
具体的には3割の確率で失敗します。

前スレのあれは残りレス数が少なかったのでやってみただけです、冗談です。


提督「清霜、か」

清霜「う、うん」

 廊下を歩く清霜を見かけ、声を掛ける。

 思えばあの時は、榛名の問題と重なってしまい、彼女への対応がややおざなりになってしまった感が否めない。

 彼女は特定の鎮守府に着任してい訳ではないみたいなので、ここで引き取っても問題ないだろう。

 だとしたら、ちゃんと正式に迎えてあげなければならないな。

提督「今更になってすまないが、よろしく頼むな」

 こくりと頷いた。

 少しばかり距離を感じるのは、ほぼ初対面に近いからだろう。ぞんざいな扱いを受けたと思われてしまっているのかもしれない。

提督「他の子には全員会ったか?」

清霜「駆逐艦の子には」

 となると残りは四人か。

 榛名と加賀はまだ良いにしても、問題は鈴谷と伊58である。

 街……親友の墓に足しげく通う鈴谷とは物理的に会えない可能性があるし、反対に今もふさぎ込んでいる伊58とは精神的に会わせ辛い。

 伊58の場合は、特に。

 清霜が深海棲艦だとは思わないが、彼女にはそう思えて仕方ないだろう。

 とはいえ、しかし、何も説明もしない状態で二人が出くわしたら。

 伊58からしたら、深海棲艦が陸に上がって攻めてきたと思うに違いない。

 それがどれほどの恐怖と悲劇を生むのかを、俺は良く知っている。

 知っている。教えられた。

清霜「……ええと、司令官。清霜に何か?」

提督「ああ、すまない」

 やや考え込んだ俺に尋ねた清霜。

 そうだな、まずは……。


↓1

1.鈴谷から紹介するか

2.加賀と榛名から紹介するか

3.伊58から紹介するか


提督「やはり、伊58からか」

 新しい艦娘に対して一番敏感なのは彼女だろう。

清霜「潜水艦?」

提督「ああ。ちょっとわけあって、あまり部屋から出られないんだ」

 不思議そうな表情を浮かべながら後ろを歩く清霜。

 この鎮守府についてどこまで話すべきかは難しいところだが、少なくとも各々個人が抱える悩みについては、俺がむやみやたらに話さないほうが良いかもしれない。

 伊58の部屋をノックする。ほどなくして、返事が返って来た。

提督「伊58、少し良いか?」

伊58「ん、何?」

 扉をほんの少し開けて、隙間から俺を見る。以前に比べたら、開けてくれる様になっただけ大分変わったといえるだろう。

伊58「……っ」

 しかし、俺の横にいる清霜の姿を見て、伊58の肩が震えた。

 声を挟む間もなく、扉が閉まる。

 呆気にとられたのは清霜で、口をやや開けながら気の抜けた反応をこぼした。

伊58「え、だ、誰?」

提督「落ち着け、伊58。新しくこの鎮守府に着た仲間だ」

清霜「あ、えっと。うん。清霜、です」

 やや困惑しながら清霜もそう名乗った。

 結ばれた髪を少し触りながら、説明を求めるように一度俺を見る。

 わけがあるとは言われたものの、彼女もここまでのものとは思っていなかったのかもしれない。

提督「彼女は、伊58の心配している様な子じゃない。大丈夫だよ」

伊58「……」

 深海棲艦に襲われたショックで、知らない艦娘はそう見えてしまう彼女からしたら、今まさに俺の隣にあの忌まわしき存在がいるようなものだ。

 伊58の過去は壮絶なものだが、しかし清霜を遠ざけてしまうのは、清霜にとって可哀相である。

提督「清霜は、深海棲艦なんかじゃないよ」

 唐突に深海棲艦の文字が出てきて、驚いたのは清霜だった。

 伊58の恐怖している内容については話してはいないが、しかし彼女の清霜への先入観と畏怖を消すためには、そう言う他になかった。

 と同時に、これは清霜に対しても、伊58の抱えている病について触れるものである。

 詳しくは説明しないにしても、全く言わないというのも取り付く島もない。

 彼女がどれだけ頭の回る子かは分からないけれど、これである程度察してくれればいいのだが。

清霜「……、うん、清霜は、駆逐艦。清霜は、駆逐艦だから。ただの駆逐艦だから大丈夫」


伊58「……、ほんと?」

清霜「うん」

伊58「……んん」

提督「まぁ、彼女もまだ着たばかりで、今他の仲間にも紹介するところだ。今無理をする必要はない」

 扉を開けるか否か葛藤しているのを察し、そう助け舟を出す。

 今この場で分かりあえればいう事はないが、そう単純にはいかないだろう。

 伊58の苦しみは、それくらいには重い。

伊58「ん。分かった」

 少しほっとした声で伊58が答える。

提督「何かあったら、いつでも相談になるから。だから一旦また」

伊58「ん」

 伊58の部屋を後にする。彼女の部屋からだと、一番近いのは榛名の私室だが、彼女はあいにく部屋にはいなかった。

 仕方なくそのまま廊下を曲がり、もう片方の廊下を回る。

 正直な所、加賀の場合は工廠室にいると予想しているし、きっと榛名もどこか一箇所にいると言うよりかは、何か仕事をこなしてるのだろう。

 であれば、まずは次いで鈴谷に会っておこうと思ったのだ。

 鈴谷が街に行ってしまう前に会えればそれに越したことはない。

清霜「あの。その鈴谷さんというのは、艦種は……」

提督「重巡だが、それがどうかしたのか?」

清霜「……別に、何も」

 伊58と鈴谷に関しては、清霜はまるきり会った事もない相手だ。

 先ほど伊58の時も、艦種を話題に出していたし、緊張でもしているのだろうか。

提督「出かけていなければいいが……」

 不安に思い、ついそう口に出したが、運よく彼女は鎮守府にいた。

 運よく、と言うのもおかしな話ではあるが。

 一度こちらに気付いて、顔をこわばらせた鈴谷だったが、清霜の姿を見てやや首を傾げた。

提督「鈴谷。ちょっと良いか」

鈴谷「……なに?」

 腕を組んで、壁に背を預ける。

 今になって気付いたが、彼女は俺と話すときは大抵その格好だ。

 以前は気にならなかったが、しかし彼女の過去を知ってしまった今ならばその理由が分かってしまう。

 やはり、彼女にとっては提督であり、男である俺が、怖いのだろう。

 だから、身体を庇う格好をとってしまうのだ。

 殊更冷たい目線も、単に耐えているものだと思うと、納得がいく。


提督「この子、この間出撃した時に遭難していて保護したんだ」

鈴谷「ふぅん」

提督「特定の鎮守府にいたわけではないから、うちで引き取ることにした。つまり仲間だ」

鈴谷「……そう」

提督「仲良くしてやってくれ」

清霜「よろしくお願いです」

鈴谷「ん。よろしく」

 素っ気ない態度ではあったが、鈴谷の言葉は否定的なものではなかった。

 やはり彼女の場合、単に提督が嫌いなだけで、同じ艦娘に対しては基本的には穏やかなようだ。

 榛名の様に、今の自分の立ち位置と真逆にいる相手はよほどの例外なのかもしれない。

鈴谷「……あたし、出かけるから」

 以前であれば、咎めたかもしれないであろうその言葉も、今はそうは出来ない。

 彼女にとっては墓参りと言うよりは、失った仲間と会話をしに行くようなものだ。

 あるいはそうすることで、何とか心の均整を保っているのかもしれない。

提督「鈴谷」

鈴谷「……なに」

提督「まだ寒いから。風邪を引かないように、気をつけてくれ」

鈴谷「……分かってる」

 ゆっくりと鈴谷は歩いていった。

 伊58の時と同様、鈴谷について詳しく知らない清霜は、鎮守府の外へ行く彼女に疑問を抱いているようだったが、別段それを口に出すことはなかった。

 鈴谷にも何か特殊な事情があると、察したのかもしれない。

提督「後は、加賀と榛名か」

 工廠室に行けば加賀はいるだろう。榛名は、特別どこかに留まっているイメージはないが、その代わりどこにいても不思議ではないので、その内会えるだろう。

清霜「あの」

提督「どうした?」

清霜「良く考えたら、その二人には会ってたかも」

提督「そうだったか……」


 確かに彼女が保護された時には加賀も榛名も戦闘に参加していたので、その時に面識が出来ていても不思議ではない。

 だが、加賀はまだしも、榛名はあの時正常ではなかったはずだ。

 なので、せめて榛名にだけは会わせておいたほうがいいだろう。

清霜「大丈夫、もう話したから」

 ふるふると首を横に振る。それに合わせて結ばれた左右非対称のテールがバラバラに揺れた。

 色だけならば浜風や榛名にも近いが、中々に珍しい髪型である。

提督「そうか……分かった」

 榛名を改めて探すのは、そこまで骨の折れる作業ではないように思えた。

 というより、恐らく執務室にいれば、彼女の方からやってくるだろう。

 心の問題が解決したとはいえ、基本的には働きたがりなのだ。

 もうそれは、元来そう言う性格なのかもしれない。

 なので、逆に言えば、時間さえ経てば榛名と清霜が顔を合わせるのも簡単という事になる。

 だとすれば、あまり気にしすぎる必要もないかもしれない。

提督「そういえば、君の部屋は?」

清霜「あそこのの、一番端」

 彼女が指差したのは、左の玄関を入ってすぐのところだった。

提督「入り口すぐじゃないか。何もあんなに端じゃなくても」

清霜「いいの、ここで」

 角部屋が好きなのかもしれない。

清霜「清霜は部屋に戻るから、司令官」

提督「ああ、分かった」

 そういえばどうでもいいことだが、俺の事を司令官と呼ぶ艦娘は彼女が初めてだ。

 ……いや、本当にどうでもいい。

提督「さて。俺も部屋に戻るか」

提督「……ん」

 清霜を見送り、自分も執務室に戻ろうと廊下を歩いていてふと気づく。

提督「そういえば……」

 清霜の部屋は、左の玄関を入ってすぐ。

 そこから、鈴谷、夕立、睦月と部屋がある。浜風は……今は、どうだろう。夕立と一緒にいると言う話を聞いたが、直接確かめたわけでもないので分からない。

 廊下を右に折れ、執務室の前を通ってもう一回右に折れると、もう一つの玄関まで廊下が続く。いわゆる鳥居の形をしている。

 そしてその廊下の一番執務室に近い部屋に榛名の私室があり、続いて加賀、最後に伊58となっている。


榛名「提督」

提督「ああ、榛名か」

 執務室の前に、榛名がいた。

提督「榛名、そういえば清霜とは話をしたか?」

榛名「いえ、まだ」

提督「……そうか」

 なんとなくそんな予感がしたので聞いてみたが、やはりそうだったか。

 榛名と清霜の部屋は、壁を挟んで対角線上にある。

 それはつまり、最も離れた位置だ。

 清霜が保護された時の榛名の状態と、その後のこの部屋の位置関係を考えると、もしかしたら清霜は榛名をやや怖がっているのかもしれない。

 あくまで、勝手な憶測ではあるが。

榛名「明日には話すつもりです」

提督「ああ」

 単に、一人で海を漂って不安だった所に、深海棲艦が現れたことによる恐怖や何やらが重なっただけかもしれない。

 少しの間、様子を見てみるか……。



清霜の好感度上昇
↓1のコンマ十の位


【一月三週 前半】


提督「街の発展に反対……ね。ふむ」

 先週雪風の見舞いに行った際に貰ったビラである。

 貰ったと言うより道行く人に押し付けるように配られていたそれを、多分に漏れず俺も受け取ってしまっただけではあるのだが、なんとなくそのまま持って帰ってきた。

 何でも街を更に発展させるべく大規模な改装工事が行われるらしいのだが、それに反対する住民達がこうして抗議のビラを配っているようだ。

 長い目で見れば確かに工事は必要なのかもしれないが、住民からすれば何十年百年後の安泰よりも、今の生活も大事だろう。

 今工事をして苦境を乗り越えるか、将来にそのツケを回すか。

 どちらが正しいのかは俺には分からないが、出かける街の雰囲気が悪くならない事を祈るのみである。



↓2

1.出撃

2.演習

3.遠征

4.工廠

5.その他(自由安価。お好きにどうぞ)


睦月「お見舞い?」

提督「ああ」

 きょとんとした顔を浮かべた睦月だったが、すぐに合点が言ったと言う風に頷いた。

睦月「前の鎮守府の子ですか?」

提督「ああ」

睦月「睦月もついていっても良いですか?」

 そう言うであろう事は分かっていた。

 どうにも俺と雪風だけでは、上手く会話が続かないのである。

 互いにどうしてもあの夏のことを引きずってしまい、どこまで話せばいいのか、どこを避ければいいのかが分からない。

 結果どうしても当たり障りのない、火傷をしていない皮膚の部分だけを撫でるような会話になってしまうのだ。

 もしそこに睦月がいれば、緩衝材になってくれる気もする。

睦月「だめですか?」

提督「……」

 気もする。

睦月「……だめ?」

提督「……」

 気も……する。

睦月「……うにゃあ」

提督「分かった。分かったから、放れて」

 ……。

 すりすりと頬を摺り寄せられて、猫撫で声を出す睦月に仕方なく折れる。

 何だか睦月に主導権を握られている気がしないでもないが、考えるだけ情けないのでやめておこう。

睦月「提督は優しいから好きなのですよ」

提督「それより、雪風の前ではあまりくっつかないでくれないか」

睦月「およ?」

提督「とぼけた顔をしても駄目なものはだめだ。彼女の前で、そう言うのはしたくない」

睦月「彼女? 睦月の事ですか?」

提督「違う、そうじゃない」


提督「雪風。起きてるか?」

雪風「どうぞ」

 横開きの扉をスライドさせる。

 以前と同じく雪風はベッドごと上半身を斜めに起こしていた。

雪風「その子は?」

睦月「睦月です!」

 口調は変わっても、誰に対しても穏やかな性格はあまり変わっていなかったらしく、すぐに雪風は睦月の事を受け入れた。

睦月「ええと、雪風ちゃん」

雪風「ちゃ、あ、はい」

睦月「これどうぞ!」

 どんどんと懐に入ろうとする睦月に少し戸惑う雪風であったが、渡された花束を見て衒いもなく微笑んだ。

睦月「お花です。部屋を飾って、少しでも気分を良くしないと」

雪風「ありがとうございます」

睦月「あと果物を持ってきましたよ。林檎とオレンジとバナナと……」

雪風「わぁ。何だか悪いです、そこまでしてもらって」

睦月「むしろ今まで提督が手ぶらだったと言うのが信じられません。女心と言うのが分かってないのです」

雪風「あぁ、それはあるかもしれませんね」

睦月「雪風ちゃんもそう思います?」

雪風「ええ。前から変なところでずれているというか……」

提督「……」

 言われ放題である。

 雪風がこうして積極的に話してくれるのはいいが、飛び火が俺のところに来るのはおかしな話ではあるまいか。

 いや、逆に、それだけで雪風が少しは気分を良く出来るのであれば、やはり甘んじて受け入れるべきなのかもしれない。


提督「別に、俺だって毎回手ぶらだったわけではない」

睦月「どうせ缶コーヒーとかなのです」

雪風「当たりです」

提督「……」

雪風「しかも、私今握力が戻ってないから開けづらくて開けづらくて」

睦月「分かってない。分かってないにゃあ」

雪風「そこで開けてくれたら格好良かったんですけどね」

提督「……」

睦月「おりょ? 提督?」

雪風「ちょっといじめすぎちゃいましたかね?」


↓1

1.謝罪する

2.飲み物を買いにいく

3.花を生けて林檎をむいたりする


提督「睦月。その花を」

睦月「はい?」

 活けるくらいはしないと、面目躍如できないだろう。

 個室に水道があるのを見つけ、水を汲もうとするも、その前に睦月に止められる。

睦月「この花束は水を汲む必要ないのです」

提督「そう、なのか? 枯れてしまうんじゃないか」

睦月「最近はお見舞いに花を持つと病院側に断られるらしいのですよ」

 花瓶の水は毎日変えないと雑菌が発生する。

 それにより患者が感染症を引き起こすケースがあるらしい。

睦月「なので、お水のいらない花束なのです」

 水の代わりに中にゼリーじょうの水分が入っていて、包装は二重構造になっている為水分が漏れることはない。

 花束と言っても両手で持つほどのサイズではなく、片手で持てる程度の大きさだ。

 しかもこれはスタンディングブーケといって、花瓶がなくてもそのまま置いておくことが出来るらしい。

 ……最近の見舞いの品は凄い。

 というより隣で買っていたのをみていたのに、そこまで見ていなかった。

雪風「そんなのがあるんですね」

提督「ううむ……」

雪風「しかも、可愛いですねこれ」

 白い花は、雪風に似合う。

睦月「他にも種類があったので、次は違うのを買ってきますね」

雪風「ありがとうございます」

 俺の立場が危うくなってしまう。

提督「そうだ。林檎をむこう」

雪風「あなたがですか?」

睦月「出来ない事を言っちゃだめなのです」

提督「……」

 信用なさ過ぎやしないか。


提督「大丈夫だ、信頼してくれ」

睦月「今までの所業を棚に上げてよくもそんな事を」

提督「火を使ったりするわけじゃない、ただ皮をむいて切るだけだ」

睦月「どこかから蜂蜜を取り出したりしません?」

提督「しない。それに万一そうしたとしても、林檎と蜂蜜は相性がいいだろう。そういうカレーがある」

睦月「いやまぁ確かにそういうレトルトカレーありますけども」

提督「これくらいは俺にだって出来る……見ていてくれ」

睦月「不安だにゃあ……」

提督「ほら……俺にだってこれくらい」

睦月(……もしここで提督が手を切ったら)

睦月(“大丈夫ですか!?”って指を舐めて)

睦月(お互い見つめ合っちゃったりして……)

睦月(そのまま……)

睦月(だめですよぉ!)

雪風(睦月さん、すごい身をくねらせているけど、悪いものでも食べたんですかね?)

提督「……」

提督「ほら、出来た」

睦月「えっ」

雪風「上手ですね」

提督「ええと、何等分にすればいい? 雪風、全部食べられるか?」

雪風「お二人も食べてください」

睦月「……」

睦月「……あるぇ?」

提督「なんだ、俺が手を切ると思ったか」

睦月「はい」

提督「そこまで不器用ではないぞ。これまでだって、味付けが下手なだけで、切ったりは出来ていただろう」

睦月「ぐぬぬ……」


提督「雪風。もう少し細かく切ろうか。それとも、摩り下ろすか?」

雪風「いえ、もう固形も食べられますので。ただ、もう少し細かく切ってもらっても良いですか?」

提督「ああ、分かった。一口大で良いか?」

雪風「はい、ありがとうございます」

提督「左で食べるのか? 今そっち側に回るぞ」

雪風「ええと……はい。すみません」

提督「いや、気にしなくて良い。君はそのまま楽な体勢でいてくれ」

睦月(むぅ……)

睦月(雪風ちゃんには優しいですね)

睦月(いや、二人の関係というか、昔については、分かってますけど)

睦月(分かってますけどぉ……)

雪風「ん……」

提督「焦らなくていい。ゆっくりでいいぞ」

雪風「刺さらないですね……」

提督「スプーン……では取れないか」

雪風「すみません、あの、刺してもらっても良いですか?」

提督「ああ。……ほら」

雪風「ありがとうございます」

雪風「ん……美味しいです」

提督「そうか」

雪風「はい、あなたが切ったからですかね」

提督「世辞でもありがたく受け取るよ」

睦月「……」

雪風「拗ねちゃったんですか、さっきので」

提督「少し傷ついた」

雪風「くす」

提督「まったく」

睦月(楽しそう)

睦月(むぅ……)


雪風「ごちそうさまです」

提督「もういいのか」

 全てを食べきる前に、雪風はそう言って息を吐いた。

雪風「はい、もう十分です」

提督「そうか。……雪風、一応口を拭いておこうか」

 少しばかり濡れてしまった唇を見て、ティッシュを手繰り寄せる。

雪風「あ、はい」

 雪風の顔がこちらを向いたところで、

睦月「ふにゃー! すとーっぷ!」

 と睦月が叫びながら身をベッドに投げた。

提督「な、なんだ、いきなり」

睦月「何をやってるのです!」

 上目に睨み、(といっても、パンダのような穏やかなものである)さっと起き上がると雪風を俺からひったくるように抱き寄せる。

 訳も分からず上半身を睦月の方に寄せられた雪風を見て、どこか痛まないか不安になったが、そんな様子もなさそうだ。

提督「何って、雪風の口をだな」

睦月「なりません! なりませんよ! それは睦月がやります!」

 抗議しながら俺の手からティッシュを取ると、そのまま雪風の口許を軽く拭いた。

提督「……」

 それを見てようやく睦月の言いたいことに気がつき、誤魔化すようにこほんと咳を吐く。

 確かにこれは恥ずかしい。

睦月「全く、鈍いのか鈍くないのかはっきりしてほしいのです」

雪風「むぁ。同意れす」

提督「……すみません」


提督「雪風。また見舞いに来るよ」

雪風「はい。待ってます。睦月さんも」

睦月「またなのです!」


雪風「……」

雪風「……」

雪風「……睦月さん、あの人が好きなんですね。可愛い」

雪風「私は、どうなんだろう」

雪風「雪風は……」

雪風「……」

雪風「半分は雪風。半分は雪風じゃない」

雪風「私は……」



好感度上昇
睦月↓1のコンマ十の位(ぞろ目でYP+1)
雪風↓2のコンマ十の位


 病院から戻り、鎮守府の食堂である。

 執務室に戻ろうとしたところ、睦月に呼び止められたので椅子に座って待つ。

 湯を沸かす音と、包丁の音。

睦月「提督」

提督「どうした、睦月」

 お盆を持ってきた睦月がこちらにやってくる。

 何故かそのお盆には、皮を剥かれ等分された林檎が乗っていた。

 帰りに夕飯の食材を買うために寄り道をしたので、その時に買ったのだろうか。

 だとしても、先ほど食べた林檎でなくとも良いと思ったのだが……。

睦月「どうぞ」

提督「ああ……?」

 湯呑み……でもなく、グラスでもなく。

 漆器のコップには、ゆらゆらと薄紫色の波が揺れていた。

提督「ワインか? なんでまた……」

睦月「林檎が食べたかったのです」

 答えになっていない答えで睦月が隣に座る。

 ぴたりと椅子を真横にくっつけ、すっと一歩身を寄せる。

 甘い香りと暖かさが、左半身を伝って巡る。

 まだ慣れない感触ではあるが、しかし無碍に断るわけにもいかない。

提督「これを、飲めと」

睦月「はい」

提督「何が入っているんだ?」

 ワインにしては、暖かい。

睦月「ホットワインです。ショウガと、蜂蜜と、レモン汁……あと、少し砂糖」

 一口だけ、舌を湿らせる程度に確かめる。

 じんわりとした暖かさと香りが鼻を抜けていった。

 そのまま更にもう一口喉に滑らせる。

睦月「林檎もどうぞ」

 林檎は、俺が雪風にやったように、小さく切られていた。

 その一つをフォークで刺した睦月が、そのまま俺の口に持ってくる。

睦月「あーん、ですよ」

提督「あ、ああ」

 もしかしたら、雪風とのやり取りを何か変な風に勘違いしたのかもしれない。

 しかし雪風との事は懇切丁寧に話したはずで、睦月がむくれるようなことはないと思ったのだが……。

そもそもイッチはなんでYPなんてシステムを作ったんですかねえ…(困惑)
絶対イッチはこういうの好きだよね俺も好きだけど


 じっと睦月に見つめられる。

 おそらくは、右手に持ったまま動かないコップを傾けろという事だとは思うが、しかし俺はそもそもにおいて酒が苦手だ。

 睦月の手前一口だけ含んだが、飲みきれる気がしない。

提督「林檎だけで良い。俺は、どうにも酒が苦手なんだ」

 正直にそう告げると、睦月も別段強く出ることはなく、あっさりと引き下がった。

 しかし、全くの下戸というわけではないにせよ、飲まない酒を通したことで体温が上がるのを自分でも感じる。

 生姜もそういう効果があると良く聞くので、より俺の身体は温かくなりやすくなっているに違いない。

睦月「……はい。あーんです」

 ただでさえ、こうして睦月に寄り添われていると言うのに。

 口元に運ばれた林檎を咀嚼する。

睦月「おいしいですか?」

提督「ああ」

睦月「睦月がむいたから?」

 意趣返しのつもりなのだろうか。

 やはり何か睦月は勘違いして、雪風との会話を引きずっているようだ。

提督「あのな、睦月。雪風は」

睦月「分かってます。ちょっとだけ焼きもちを焼いているだけなのです。今だけ、ちょびっとワガママを言うだけです」

 本人がそう自覚をしているのであればそれで良いのだが。

睦月「提督。睦月にも食べさせてください」

提督「俺がか」

睦月「はい」

 小鳥の様に小さな口を開ける。

 コップをテーブルに置き、フォークを右手に持った。

 左にいる睦月に食べさせるにはしかし難しいが、しばし逡巡して、妥協したように空いた左腕を睦月の腰に回して少しだけ引き寄せる。

 最初から想定内と言った表情で、睦月がとろりと微笑んだ。

睦月「ん……」

 しゃくりと睦月が林檎を噛んだ。

 蜜が唇を光らせる。

睦月「口、拭いて欲しいです」

 これもまた雪風に対するものなのだろうか。


提督「……分かった」

 思い切り振りほどこうと思えば出来ないこともなかったが、しかしそうはしなかった。

 この場限りのワガママだと宣言したのもあるし、回り道ながらも、やはり睦月の気持ちには応えたいと言う感情があったからだ。

提督「と言っても、拭くものが」

睦月「口で良いのです」

提督「馬鹿を言うな」

睦月「じゃあ、指で」

提督「……」

 いっそ服で拭いてしまおうとも思ったが、それだと睦月は満足はしないだろう。

 さすがに全ての要求を飲み込むわけではないが、指くらいであれば、まだ我慢できると思った。

 ……多分に、その思いも、慣れないワインのせいで揺らいだものなのかもしれないけれど。

睦月「ん」

 唇に指を這わす。しっとりと濡れた箇所は、引っかかることなく指を通らせた。

 目を閉じた睦月だったが、ほんの一、二秒の出来事だったので不満そうだ。

提督「……拭いたぞ」

睦月「もう一回お願いしまぁす」

提督「もう一回だけだぞ」

睦月「にゃは……ん」

 再度唇に指を置く。口を閉じている以上鼻で息をするしかない訳で、呼吸がむずがゆい。

提督「終わりだ」

睦月「指……」

 そっと睦月が、先ほど彼女の唇を伝った指をとる。

 そして口付けと言わんばかりに俺の唇にくっつけた。

睦月「睦月の味、しますか?」

提督「……、いや、別に。わからないな」

睦月「およ……」

 唇に指を合わせられただけなので、味など全く分からない。

睦月「じゃあ、やっぱり、直接……しますか?」

 蕩けた表情で、甘い香りを漂わせながら、睦月が耳元で囁いた。

睦月「……ん」

 そして答える前に、そのまま唇を重ねる。

 二度目は、林檎の匂いと、蜂蜜の味だった。


睦月「醤油、蜂蜜を大さじ一杯。赤ワインは、提督が苦手なので、少し減らしてこれも大さじ一杯」

睦月「鶏肉を皮目から強火中火で」

睦月「両面を焼いたら、最初の合わせ調味料を投入」

睦月「蒸し焼き。蒸し焼き」

睦月「中まで火が通ったら蓋を取る」

睦月「もうしばらく……うん。これでいいのです。一つまみだけ唐辛子」

睦月「玉葱、胡瓜をスライス。アボカドも添えて、サラダ」

睦月「デザートはチョコレート。湯煎して、切ったバナナにデコレーション」

睦月「出来ました」



 林檎と蜂蜜は、媚薬なのです。

 貴方の大好きな味なのです。


【睦月のYPが1増えました】

>>150
完全に趣味ですね。すいません

今日はここで終わりです。

上の選択肢の時に、病院で飲み物を買いに廊下に出ていたら、今後の情報的なのが拾えてました。

それでは始めますね。


【一月三週 後半】


 榛名、加賀、浜風、睦月、夕立。

 現状確実に来週末の演習に参加できるのは、この五人だ。

 伊58は難しいだろうし、鈴谷にしても、仮に参加してもらうにしたって説得を試みないことには始まらない。

 となると、残りの一枠として先日保護した清霜には、是非とも参加してもらいたいところだが、彼女がどちら側なのかはまだわかっていない。

 海で見つかったということと、身体的に出撃できないような部分はなさそうだという事を併せて考えれば、何もない限りは前者だろうが断言は出来ない。

 何か彼女も心に抱えるものがあって、出撃や演習に躊躇いがあるのだとすれば、無理強いはしたくはないのだ。

提督「……」

 執務机の上を眺める。

 街の工事のビラや海域資料の上に、北鎮守府からの便箋が鎮座している。

 日時くらいしか情報は読み取れないが、果たして彼は、こちらが五人での艦隊を組んでも合わせてくれるだろうか?

 あるいは、清霜を除いたこちらの五人も、今のままで良いのだろうか。

 お世辞にも空母とは言えない戦いをする加賀と、敵に突っ込んでばかりの夕立。

 表立った行動は少ない浜風は、演習においては榛名や睦月側に数えてもいいかもしれないが、それでも不安がないのはこの三人だけだ。

提督「やるべきことは、まだまだ多いな……」



↓1

1.出撃

2.演習

3.遠征

4.工廠

5.その他(自由安価。お好きにどうぞ)


睦月「提督、雪風ちゃんのお見舞いに行きましょう」

提督「そうだな……」

 睦月は雪風の事をそれなりに気にかけてくれているようだ。

 睦月の世話焼きが良い方向に作用してくれている様で少し安心する。

 病院で一人過ごすのは気が滅入るだろうし、睦月の暖かさと明るさでそれが和らぐのであればそれに越したことはない。

 以前は雪風も、どちらかと言うと睦月のような天真爛漫だった性格だった。

 あの事件以来、塞ぎこんで大人しくなってしまった彼女だけれど、睦月といるときは少しだけ口数も多かったように感じられる。

 明るさを取り戻した、とまでは言えないものの、明るさに当てられたというのはあるかもしれない。

 いずれにせよ、それは俺には出来ない方法である。こればかりは、睦月に感謝しないといけないだろう。

睦月「今日はピンクのお花にしましょうか」

提督「ピンクか……」

 どちらかと言うと、雪風には黄色の方が似合う気がする。

睦月「およ、そうですか」

提督「ああ」

 夏が来るまでは、それこそ向日葵のような表情と声で笑う子だった。

睦月「なるほど、それで」

提督「……後、向日葵の種をかじるのが、何だか妙に似合っててな」

睦月「あぁ……」

 一度しか会っていないはずの睦月だが、何故か納得した表情で何度か頷いた。


睦月「お花は?」

提督「買った」

睦月「飲み物は?」

提督「買った」

睦月「気の聞いたお話の用意は?」

提督「……今考える」

睦月「もう」

 とは言っても、これと言って引き出しがない。

 以前は冗談を言い合うこともあったが、今となってはそういう事もしなくなった。

 互いの間にある溝を、互いが理解しているような、そんな距離感だ。

睦月「……それが駄目なのです。まずは提督から歩み寄るのですよ」

提督「しかしなぁ」

 それで下手に踏み込んで、余計に雪風を傷つけてしまうかもしれないと思うと、とてもそういう気にはなれない。

 雪風の事は大事だし、助けてあげたいとは思っているが、そうしてしまったのが自分である以上、歩み寄っていいのかどうかが分からないのだ。

睦月「そういうのが駄目なのです。ここは思い切り優しくしてあげるのですよ。雪風ちゃんも実はそれを待っているのです」

提督「そうだろうか」

 そうは思えないが。

 もしくは当事者である俺には見えないものの、本当に雪風が歩み寄って欲しいと思っているのかもしれないけれど。

 しかし憶測でそれを実践できるほどの、短い溝ではない気がする。

 一度踏み出したら最後、失敗したら奈落の底だ。

睦月「考えすぎなのです! 当たって砕けるのですよ!」

提督「砕けたら駄目だろう。というより、もう少し静かにしなさい」

 雪風の病室に向かう廊下。

 少し長い角部屋までの道を歩きながら、そう睦月に返すと、

大淀「全くその通りですね」

 部屋の前に居た大淀が、呆れた声でそう言った。


大淀「外れの鎮守府の方が、中央鎮守府の雪風さんに何か御用ですか?」

提督「見舞いだよ」

大淀「本当にそれだけですか?」

提督「と、いうと?」

大淀「雪風さんは、知っての通り、酷い状態ですからね」

 知っての通り、という事は、俺が何度か会いに来ている事も知っているのだろう。

 もしかしたら、待ち伏せしていたのかもしれない。

 大淀からしたら、俺が中央鎮守府の艦娘に会う事を良いことだと思っていないのだから。

睦月「え、と」

 状況の分かっていない睦月だけが、戸惑いながら俺と大淀を交互に見やる。

 空いた片方の手で、不安そうな表情を浮かべた睦月の頭を軽く撫でる。

 睦月は少し安心した表情を浮かべ、大淀はつまらなさそうな表情になった。

大淀「新しい鎮守府でも、うまくやっているみたいですね」

提督「おかげさまで」

大淀「だったら、わざわざこちらに構う必要もないでしょう」

提督「そうなんだけどな」

大淀「まさかこれが罪滅ぼしになると思っているわけではないでしょうけど」

提督「そこまで馬鹿じゃないよ」

大淀「でしたら、もう少し賢くなってくださいな」

提督「と、言うと」

大淀「回れ右、という事です」

 やはり雪風にはあわせてもらえないらしい。

 彼女とは、一貫してこういったやり取りが続いている。


提督「通してはもらえないか」

 彼女は頭がいい。

 だから、今の雪風が戦線に戻れる状態でないことは理解している筈だ。

 それはつまり、雪風にとってどういう身の振り方が一番波風を立てないのかも、彼女は分かっている。

 分かっているからこそ、俺を雪風に会わせるわけにはいかないと思ったのだろう。

 雪風が正常か、壊れているか。

 その判断は大淀には出来ていて、それでも彼女がそういう結論に至らないのだとしたら。

 やはり大淀だって、優しいのだ。

 彼女にも彼女なりの、雪風を守りたいと言う思いがある。

 そしてその方法は、俺とは反対のものと言うわけだ。

大淀「ええ。通せません」

提督「……そうか」



↓1

1.せめて睦月だけでも話させて欲しい

2.諦めて引き返す

3.何とか説得できないか試みる


提督「……」

大淀「……」

 一分ほど黙りこくる。

 大淀の無表情に少し怖くなったのか、睦月がきゅっと服の裾を握った。

 それを合図にしたかのように、互いに目線を逸らす。

提督「……分かった。睦月、今日は帰ろう」

睦月「ええっ、帰るんですか……?」

 眉根を寄せて異議を唱える睦月だったが、大淀の視線にしゅんと俯いた。

提督「大淀。せめてこの花を雪風に渡してくれないか」

大淀「……」

提督「この花は睦月が選んだんだ。せめて睦月の思いだけでも汲んでやってくれ」

 一つ息を吐きながら、渋々と言った表情で大淀が手を伸ばす。

 大淀が俺を避けたい気持ちは尤もである。

 あの夏の時に、俺が居ない鎮守府で、必死になって仲間を守ったのが彼女だ。

 救えなかった命に対して忸怩たる思いがあるだろうし、その時傍に居なかった俺を恨みたくなる気持ちも当然だ。

 しかし、だからと言って何の罪もない睦月の気持ちまでも無碍にするほど彼女は冷たくはない。

 大淀は頭がいい。そして、その辺りの線引きは、きっちりと引く方だ。

提督「雪風に、よろしく言っておいてくれ」

大淀「覚えていたらそうします」

睦月「ほんとに帰るのです?」

 未だ後ろ髪を引く思いで諦めきれない睦月だったが、一度頭を撫で、促す様に背を押すとゆっくりながら歩き出した。

 何度か振り向き、雪風のいる部屋に視線を飛ばす。

大淀「……」

 少しだけ大淀が表情を曇らせた。

提督「またくればいい」

睦月「……はぁい」


大淀「雪風さん、入りますよ」

雪風「大淀さん、酷いですね」

大淀「開口一番に何ですか突然」

雪風「何も追い返すことはないのに」

大淀「関係者以外を入れるわけにはいきませんからね」

雪風「もう」

雪風「だったら睦月さん、いえ睦月ちゃんは友達なので今度は通してあげてくださいね」

大淀「覚えていればそうします」

雪風「同じ返答ですね、さっきしたのと」

大淀「聞こえていたんですか」

雪風「はい。大淀さんの声だけでしたけど」

大淀「そうですか」

大淀「……、……」

雪風「どうかしました?」

大淀「いえ。足の具合はどうですか?」

雪風「ん……。良いと思います」

大淀「そうですか。それは良かった」

雪風「……」

大淀「……」

雪風「……退院したら、どうするか」

大淀「……」

雪風「そう聞きたかったんじゃないですか?」

大淀「……さぁ、どうでしょう」


雪風「大淀さんは、私が、外れの鎮守府にいくかもしれないと。そう思っているんじゃないですか?」

大淀「……」

雪風「私は、見ての通りもう駄目ですから。退院して、この先リハビリを続けたとしても、元通りになるには時間が必要です」

大淀「……」

雪風「中央に戻れば、その時間は与えられない。でも、あの人のところなら、その時間がある」

大淀「……」

雪風「だから、私が向こうに行くんじゃないかと、そう考えているのかな、って」

大淀「……そうですね」

大淀「でも、行くのかどうかは問題ではないんです」

雪風「?」

大淀「行くのかどうかではなく、行きたいのか否か。大事なのはそっちです」

雪風「……」

大淀「行きたいにしても、どういう気持ちで行きたいのか。それだって大事ですよ」

大淀「単に貴女が、あの人のことを今でも想っているだけならば、私は余計なお世話をしているんでしょうけど」

大淀「そうではなく、貴女が自分の事を壊れているだなんて、そんな風に思って欲しくない」

大淀「そう思うくらいなら、いっそここに縛り付けてでも留めておきたい」

雪風「……」

大淀「それでもう何も悪いことが起きないのであれば、それが一番です」

雪風「……すみません」

大淀「……」

大淀「……少し、話しすぎました。花、置いておきますね」

雪風「ありがとうございます」



好感度上昇
大淀 ↓1のコンマ十の位
雪風 ↓2のコンマ十の位
睦月 ↓3のコンマ十の位(ぞろ目でYP+1)

(やっべぇ、完全にアニメ忘れてた……録画してるけど忘れてた)

一応名前が出たらよほどの事が無い限り好感度は上がります。
でも自由安価で上がるのは三人くらいまでのつもりです、でないと「全員出せば出撃いらんやんけ!」ってなってしまうので。

今睦月の好感度いくつになってんだ

名「はい、提督のおかげです」

 結局の所彼女が壁を乗り越えたのは彼女自身の頑張りでしかなく、俺を敬う必要性はないのだが。

榛名「そんな、謙遜を。提督のお言葉で立ち直れたのです。今でも感激しています」

 どうにも根が真面目なので、一つ一つに感動する性質のようだ。

提督「そ、そうか……」

 嫌われるよりは良いのかも知れないが、これはこれで対処に困る。

 ある意味では睦月以上に突っ走るタイプだ。

榛名「はい。週末の演習に備えて、やれることをやりましょう」

提督「そうだな……」



↓2

1.出撃

2.演習

3.遠征

4.工廠

5.その他(自由安価。お好きにどうぞ)

すみませんコピペ途切れました、もう一度お願いします


【一月四週 前半】


提督「……ううん」

榛名「提督、どうなさいましたか?」

提督「週末の演習がな……」

 北鎮守府。

 以前榛名が所属していた鎮守府であり、彼女の心を痛める原因になった場所でもある。

 榛名以外の人物までもがそんな辛さを味わっているとは思いたくはないが、何も警戒をしないと言うのも些か無用心に思える。

榛名「そう、ですね……」

 少しだけ表情に影が差す。

 が、すそれも一瞬のことで、すぐに頷きながら気を取り戻した。

榛名「榛名は、大丈夫です」

提督「そうか」

榛名「はい、提督のおかげです」

 結局の所彼女が壁を乗り越えたのは彼女自身の頑張りでしかなく、俺を敬う必要性はないのだが。

榛名「そんな、謙遜を。提督のお言葉で立ち直れたのです。今でも感激しています」

 どうにも根が真面目なので、一つ一つに感動する性質のようだ。

提督「そ、そうか……」

 嫌われるよりは良いのかも知れないが、これはこれで対処に困る。

 ある意味では睦月以上に突っ走るタイプだ。

榛名「はい。週末の演習に備えて、やれることをやりましょう」

提督「そうだな……」



↓1

1.出撃

2.演習

3.遠征

4.工廠

5.その他(自由安価。お好きにどうぞ)

>>304

116 睦月(YP1)
63 榛名
41 浜風
41 加賀
38 夕立
32 鈴谷
30 伊58
25 雪風
17 大淀
06 清霜
00 金剛

こうなってます。


提督「榛名。出撃の準備を頼む」

榛名「はい、分かりました。ええと、清霜さんも、でしょうか」

提督「そうだな……」

 どちらにせよ、一度話をしないことには始まらない。

 彼女に出撃の目処が立てば、週末の演習も滞りなく行えるし、もし仮に彼女が海に出たくないのであっても、事情を確認することが出来る。

榛名「榛名を旗艦に、加賀、夕立、浜風、睦月。それから清霜。この六人で行ける様動こう」

榛名「分かりました」

 頷いて踵を返し、執務室を後にしようとする榛名。

榛名「……」

提督「……?」

 が、何故かその足がぴたりと止まった。

提督「どうした?」

榛名「あ、あの!」

 勢い良く榛名が声を挙げる。

榛名「もう一度メンバーを仰ってくださいませんか?」

提督「あ、ああ……?」

 聞きそびれたのだろうか?

 しかし現状で組める六人といったら、先ほど言ったパターンしかないのだが。

 首を傾げながら、再度言葉を繰り返す。

提督「榛名を旗艦に、加賀、夕立、浜風、睦月、清霜の六人だが……」

榛名「……はい!」

 やや目を輝かせて、小気味良く返事をする榛名である。

提督「……、あぁ、なるほど」

 旗艦に戻れて喜んでいるのか。

 あの時、榛名が久々に眠った日。

 彼女には今後旗艦を任せると宣言したものの、こうして改めて出撃をするわけだ。

 思えばあの時以来の出撃である。

 榛名にとっては、分かりやすい新たな一歩な訳だ。

提督「まぁ、その。気負いすぎないでくれ」

榛名「はい!」

 こんな元気な子だったか……?


 結論から先に言うと、清霜は本人曰く、あまり錬度や戦闘経験は豊かではないらしい。

 なので不安だという旨は呟きながらも、それでも別段海に出ること自体に後ろ向きというわけでもないようだ。

 晴れて六人目の誕生、ということになる。

 とはいえ、六人中四人が駆逐艦と言う編成だ。

 軽巡洋艦や重巡洋艦、潜水艦もいない。

 加賀も、艦載機を備えていない以上、行動としては戦艦などとさしてかわらなかった。

 鈴谷や伊58が出撃を出来るようになれば戦略の幅はぐっと広がるのだが、今はないものを考えていても仕方があるまい。

 出来る事をやらなければ。

加賀「それで。出撃と言っても、どうするのかしら」

 鎮守府近海か、少し先の南西諸島まで海域を延ばすか。

 清霜の戦闘能力が未知数であると言うのもあるが、そろそろ先の海域も見ておくのも悪くない。

提督「そうだな……」


↓1

1.鎮守府海域(いわゆる1面)

2.南西諸島海域(いわゆる2面)


提督「今回は、南西諸島の海域に出撃してもらいたい」

榛名「新しい海域ですね」

 榛名の言葉に頷く。

睦月「敵も強いのかなぁ」

加賀「ええ」

提督「確認したことがあるかの様な言い方だが……」

加賀「確認したことがあるわ」

 すでに加賀は行った事があるようだった。

 おそらくは、一人でだろう。

提督「いずれにせよ、気をつけてくれ。六人とはいえ、決して慢心はしてはいけない」

清霜「出撃します!」

 清霜の掛け声と共に、榛名が頷き、睦月が応答した。

 加賀は細く息を吐きながら、それでも気を引き締めたのか身を正す。

提督「……そういえば、夕立と浜風はどうした?」

榛名「浜風さんは、夕立さんを捜しに」

提督「そうか……」

 不安要素のうちの一つである夕立。

 戻ってきたら、彼女の様子を確認してみようか。


夕立「うーみーはひろいーなー、おおきーいーっぽい」

浜風「こんな所にいて良いの?」

夕立「出撃するなら、そのうち皆ここにくるから」

浜風「まぁ、そうね」

浜風「夕立は、普段海の上で何を考えてるの?」

夕立「なにも」

浜風「なにも? 全く?」

夕立「んー……。一応、色々考えてるけど。うまく言葉に出来ないっぽい」

浜風「あぁ、そういう……」

夕立「ギリギリの所で、敵味方入り混じって、めちゃくちゃに撃ちあうのが、楽しいよ」

浜風「私には出来ないかな」

夕立「そう? どきどきとか、ぞくぞくしない?」

浜風「そういうのは、違う所で間に合ってるから」

夕立「ふーん」

浜風「そういうのが欲しくて、無茶してるの?」

夕立「んー……。そうなのかな? わかんないっぽい」

夕立「ただ、どうせ死ぬなら、撃たれて死にたいかなって」

浜風「ふうん」

夕立「皆がそうだったから」

浜風「今の鎮守府より、姉妹艦の方が大事?」

夕立「んー……。やっぱりわかんない」

夕立「あ。皆来たっぽい」

浜風「そうだね」


そんなわけで出撃コンマ、と同時に好感度もとっちゃいます

↓1のコンマの数+30だけ燃料 十の位の分だけ加賀の好感度上昇
↓2のコンマの数+30だけ弾薬 十の位の分だけ浜風の好感度上昇
↓3のコンマの数+30だけ鋼材 十の位の分だけ夕立の好感度上昇
↓4のコンマの数+30だけボーキ 十の位の分だけ清霜の好感度上昇
↓5のコンマの十の位の数だけ睦月の好感度上昇(ぞろ目でYP+1)
↓6のコンマの十の位の数だけ榛名の好感度上昇(ぞろ目でYP+1)

↓1、↓2にぞろ目でドロップ(安価)
↓3、↓4にぞろ目でドロップ

最後に深海棲艦の数を決めて今日は終わりにします。
よくよく考えたら(確認したら)2面って人型は出ても姫とか出ないですよね。勘違いしてましたすいませんでした。

深海棲艦の判定
↓1のコンマ

00-24 3体
25-49 4体
50-74 5体
75-99 6体


          _,/ ̄ ̄` ̄\、/レ
        //   ,  /\ .i i V〈  こうやって読者が壊れていく
        / /  ∠ム/ ー-V l 「ヽ 殺伐とした安価スレもとっても好きなのです
         j v、!●  ● i ' ├'   ぞくぞくしちゃうのです
       /  〈  -=-'  / .i y 
      / _ ,.イ , `ーゥ  t-!,、_У     ∴
      ´ ' .レ^V´ V_,ィtー〈  「| 「|

     ∴     / `央ー'j  \_|:| |:|
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更新来てるー!と思ったら…


          _,/ ̄ ̄` ̄\、/レ
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        / /  ∠ム/ ー-V l 「ヽ >>481
         j v、! ●  ●i ' ├'   フッ ・・・騙されたなのです
       /  〈  ‐=-'  / .i y'
      / _ ,.イ , `ーゥ  t-!,、_У
      ´ ' .レ^V´ V_,ィtー〈  「| 「|

           / `央ー'j  \_|:| |:|
          ,/ー、{,_ノ /ー、!  \::::]

鈴谷さんに提督が料理を振舞う ⇒ もう立ち直れない・・・

>>499
「睦月は子供舌」って言うシーンもあったし鈴谷含む年長組3人に提督飯ふるまう安価取りたいんだけど、男性恐怖症の鈴谷が果たして男の手料理を食うかどうか……

>>503
そこは男性恐怖症克服の為とか上手い事言いくるめてだな・・・


 榛名は考えました。

 提督の言葉で自身と向かい合い、何とか過去から立ち直ったわけではありますが、全てが好転しているわけではありません。

 夕立さんや加賀さんが榛名の言葉よりも自身の経験を優先し、陣形を崩すのは変わっていませんし、先日鈴谷さんとたまたますれ違ったときは、相変わらず会話らしい会話も出来ませんでした。

 あと、何故だか新しく仲間になった駆逐艦の子にも避けられているような気が。

 それで言えば、ずっと伊58さんにも避けられているような気が。

 あと、何故だかここ最近提督と睦月さんの距離がやけに近い様な気が。

 こほん。

 ……いえ、まぁ。最後は別に良いとして。

 それより、今一番の問題は夕立さんです。

 加賀さんはこの際、良いのです。

 榛名より戦闘に長けていて、夕立さんほど敵に急接近するわけではないので、まだ良いのです。

 それよりも問題は、とにかく夕立さんなのです。

 あれほど敵に接近してしまっては、不安になるのです。

 今は良くとも、何か一つボタンを掛け間違えれば、悲劇が起きてしまうのは避けられません。

 悲劇が起きてしまってからでは遅いのです。今から何とかしなくてはいけません。

 旗艦として、夕立さんの先行癖を少しでも治さなければ。

 考えて、考えに考え抜きました。

 その結果がこれです。

夕立「……榛名さん、これなぁに?」

榛名「夕立さんのためです」

 榛名の腰に巻きつけたロープ。

 それは二十メートルか三十メートルほどの長さがあります。

 その先は、困惑した表情を浮かべる夕立さん。

 そうです。

 何も夕立さんを縛るものがないから先行してしまうのであれば、こうして文字通り縛れば良いのです。

 これぞ榛名が昨晩考えに考え抜いた、夕立さんに対する方法のうちの一つです。


睦月「えっ……」

清霜「どういうことなの……」

榛名「え、だ、駄目ですか?」

 まさかの不評。

浜風「……んふっ」

 浜風さんが、後ろを向いて笑いを噛み殺しています。

 そんなに身悶えしなくても良いと思うのですが……。

加賀「……」

 加賀さんだけは、何も言いませんでした。

 唯一理解を示してくれたのかと思いましたが、むしろ頭痛を堪えるようなしかめ面です。

榛名「加賀さん、加賀さんはどう思いますか」

加賀「……どうもこうも。邪魔さえしないのなら別に良いわ」

夕立「えぇ……止めて欲しいっぽい」

 少し挫けそうです。

 ……ですが、何事も挑戦です。

 榛名の言葉だけでは夕立さんが止まってくれないのなら、別の手段を試していく必要があります。

榛名「さぁ、行きましょう」

夕立「本当にこれで行くっぽい?」

榛名「はい。夕立さんが先に行き過ぎないための物です」

浜風「まるでリードみたい……んふっ」

 よほど面白かったのでしょうか。目元を拭いながら浜風さんがそう呟きました。

きっとこれは寝不足の結果なんだ……

ちゃんと冴えた頭で対策立てれば榛名は大丈夫ですなはず……


 ロープで結ばれた二人が居るとして。

 片方が先に行き、片方が残ったとしたら、基本的には先に行くもののほうが引っ張る力は強い。

 先行する分だけ運動エネルギーが生じるわけなので、当然といえば当然ではある。

 とはいえそれは、先に行かれる側──今回で言えば、榛名が、棒立ちの場合だ。

 海の上で滑走しているのは榛名も夕立も変わらない。

 しかもロープは二十数メートルであるとはいえ、だからといって二人がくっついて滑走しているわけでもない。

 元々二十メートルほどは離れているのだ。

 そのため、夕立が加速しきるのに十分な距離にならなかった。

 ましてや、夕立が自分から離れていくのを予め分かっているので、不意打ちにもならない。

夕立「敵発見! 行くっぽい!」

榛名「夕立さん!」

 結果、榛名が夕立に引っ張られることはなかった。

 いつもの如く夕立が敵を見つけ、ぐっと足に力を込める。

 そのまま思い切り海面を蹴り、榛名と距離をとる。

 この時点で、既に夕立の中からロープの事はすっぽり抜け落ちていた。

 ただ何も考えず敵に向かって歩を伸ばす。

 もともと大した弛みもなかったロープがあっと言う間に張り詰められる。

夕立「──っぽいいぃ!?」

榛名「あ」

 張ったロープの勢いそのままに、夕立の足が海面から離れる。

 空中を一瞬もがき、あっさりと後頭部から夕立が海に落ちた。


榛名「大丈夫ですか!?」

 大丈夫も何もお前がそんな珍妙な事をするからだろう……そんな言葉をぐっと堪えたのが約二名。

 その片方である加賀が砲弾を構える。夕立が出遅れている以上、今回は自分が先立たなければならない。

 もともと加賀からすればそれが当然であり、言ってみれば加賀の行動範囲に夕立が荒らすように駆け巡っていただけなので、別段動揺はなかった。

夕立「海水飲んだっぽ……いぃ!」

加賀「……」

 ……動揺はなかったが、何をやってるんだと言う呆れはあった。

 二度目の転倒をする夕立を視界の端に捉え、頭を痛くしながら砲弾を始める。

 榛名と夕立を追い越し、睦月が加賀と一線に並ぶ。

 先ほど言った、言葉を堪えたもう一人が彼女である。

睦月「……」

加賀「……」

 榛名の生真面目がおかしな方向に向かったことで、加賀と睦月はある共通の思いにかられる。

 それは、今この海の上でまともなのは自分と隣に居る者だけだという、諦めにも似た達観だった。

 無言で二人が頷いた。

 二人分の砲弾が鳴り始め、遅れて清霜もたどたどしく攻撃をし始める。

浜風「ふ、ふー。んふっ」

 本来そのまともな枠に居るべきはずの浜風は、笑いを堪えるのに必死だった。

夕立「夕立も攻撃……に゛ゃあ゛!」

榛名「夕立さぁん!?」

浜風、無理せず笑って良いと思うよ

むしろ笑った方が榛名の為かもわからん


榛名「ただいま、帰投しました」

夕立「……ぽ……い」

 虫の息状態である夕立を小脇に抱えるようにして榛名がそう報告した。

 ちなみにここは母港である。

 全身くまなくずぶ濡れ状態の夕立と榛名を執務室に入れようものなら、たちまち床が水浸しだ。

 自分で拭くのならまだしも、床を濡らしたのは自分だと言って榛名が拭くことになりそうだし、あるいは睦月が掃除したがるかもしれない。

 それは申し訳がないので、母港で報告を受けることにした。

榛名「今回は、あまり資源は回収できませんでした」

 そんな事やってるからだよ。そう言いたげな目で加賀が半眼で榛名を見やるが、背後からの視線だったので榛名は気がつかなかった。

睦月「そんな事やってるからなのです」

 というか睦月が代弁した。

榛名「良い案だと思ったんですけれど……」

浜風「犬の散歩みたいだったね」

 ようやく笑いが収まったのか、浜風がそう言った。

 心なしか顔が赤い。よほど笑ったのだろう。

清霜(これが戦艦……)

 ごくりと唾を飲んだ清霜である。

 何かよからぬ勘違いをしているようだが、しかし訂正をするべきか否か悩んで、もう面倒になったので口を挟むのをやめた。

 なんにせよ、夕立が先行をしなかったのは事実ではある。

 とはいえ、毎回こんな事をやっていては、それはそれで危ういので駄目だろう。

榛名「そうですか……そうですよね」

 しゅんとしながらも、榛名自身もそう思ったらしい。特別反論をするわけでもなく、頷いた。

提督「というより、何故榛名まで水浸しなんだ」

 夕立が何度も海に叩きつけられたのは分かるが、何故榛名までずぶ濡れなのだろうか。

榛名「いえ、別に、他意はないです」

提督「そうか……」

浜風(多分、夕立ばかりが転倒し続けるのを見て、自分が重いんじゃないかと思ったんじゃないですかね)

睦月(駆逐艦と戦艦の違いがあるから仕方ないのです)

清霜(とってつけたような転倒だったし……)


【一月四週 後半】


提督「さて……」

 今日は、北提督の指定した演習の日である。

 一応六人の目処は立った。

 ただそれは、ほとんど頭数に近いもので、決して万全と言うわけではない。

 加賀は相変わらず空母というよりは戦艦と変わらない動きだし、清霜も戦闘経験では不安が多い。

 元より編成に若干の偏りがある事を考えると、もう少し何か手を打てた様な気がするが……。

提督「……仕方ないか」

 今更考えても仕方ない。

提督「さて、母港に行くか」

 執務室を出て、母港に向かおうとする。

提督「……ん?」

鈴谷「っ……」

 と。

 鈴谷と出くわした。

提督「おはよう」

鈴谷「……」

 ぷいと顔を背けて、一歩下がり、壁に肩を触れた。

 返事が返ってこないのは寂しいが、鈴谷の事を考えるとそれも仕方ないといえる。

提督「すまない」

鈴谷「……べつに」

 腕を組んで、枝毛を探すように髪を触る。

 ぐっと閉じた口の中では、おそらく奥歯を強く合わせているだろう。

提督「今から眠るのか?」

 余計な世話かもしれない。会話などしたくないかもしれない。

 それでも、何もしないというのは出来ない。

 拒否をされるのであればそれでも構わないけれど、自分から鈴谷を遠ざけることだけはしたくなかった。

 それが、彼女の辛い過去を聞いたことに対するせめてもの姿勢だと思ったからだ。

 悪戯に過去を聞くだけで、何もしないのであれば、それは最初から聞くべきではない。

 あの雨の夜に、途中で話を遮るか、あるいは元々彼女を探す事などしないほうが良かった。

 優しくする素振りだけして何もしないのは、それこそ彼女の傷をより深く抉る行為でしかない。

 そうではなく、ちゃんと鈴谷を助けたいと思うから、あの夜に彼女を探し。

 そして今も、彼女から逃げないのが、俺の出来る唯一の行動だ。

 そう思った。


鈴谷「……出かける」

提督「今からか」

 夜型の鈴谷からしたら、朝のこの時間は眠っている時間だ。

 たまたまそれが遅くなり、今から眠るのかとも思ったが、そうではないらしい。

鈴谷「別に、いいでしょ」

提督「そうだな。その通りだ」

 こちらを見ることなく、壁に向かって話すように呟く。

 それでも、彼女が俺と会話をしているだけで今は十分だ。

 言葉を交わせば、必ずそこに何かが宿る。

 それは本音かもしれないし、もしくは嘘や建前かもしれない。

 そしてその全てが、その人の心を読み取るチャンスになる。

鈴谷「……用があるから」

提督「ああ」

 鈴谷はそう言うと足早に立ち去った。

 揺れる髪と後ろ姿を見ながら考える。

提督「用、か」

 ただいつもの様にお墓に行くのであれば、わざわざそんな断りはいらない。

 彼女が出かける理由など、俺はそれ以外に知らないからだ。

 であれば、何かそれ以外の別の目的があるのだろうか。

提督「街、か……」

 思考をめぐらせて、ふと気づく。

提督「あれ。そういえば」

 鈴谷の部屋は、執務室と玄関の間にある。

 つまり、彼女が外出するのであれば、執務室の前を通ることはない。

提督「何故鈴谷は、ここに居たんだ?」

 単に食堂にでも寄ったのだろうか。

 工廠室なら、そのままぐるっと外周をめぐるので、同じくここを通ることはない。

 それとも。

提督「……何か、俺に言いたいことがあったのか?」

 自分でも良く分からないそんな考えがふと浮かんだ。

 夜型の彼女が、朝に街に行く理由。

 そして執務室の前に居た理由。

提督「……分からないな」

 しかしそれは、いくら考えても出口の見えない袋小路だった。


「今日は演習か」

「……」

「メンバーは?」

「……組める限り、最大限のものを」

「そうだな。それでいい」

「……本当にやるんですね」

「不満か?」

「……」

「大した問題じゃない。今更壊れかけの艦娘が本当に壊れようと」

「……」

「なに。弾薬の中身がちょっと変わるだけじゃないか」

「……」

「過程が違うだけで、結局オレンジ色になるのには変わらない」

「……」

「まぁ、オレンジと言うより、赤だけどね」

「……」

「血だって立派なペイントだ」

「……」


提督「今日はよろしく頼む」

北提督「……」

 相変わらず無口な男だ。

 ろくに言葉も交わさず、すぐに戻っていった。

比叡「榛名!」

榛名「比叡お姉様」

 ぱっと榛名の顔が明るくなった。

 彼女のそんな顔を見るのは殆んど初めてと言っていい。

比叡「今日はよろしくね」

榛名「はい。こちらこそ」

比叡「榛名が相手になっても、手加減は出来ないから」

 朗らかな表情でそういう彼女に、同じく榛名が微笑みを重ねた。

榛名「榛名もです。お姉様といえど、勝手はさせません」

比叡「……良かった。榛名、元気になった」

 榛名が向こうの鎮守府を離れた時の事を考えると、今の彼女は見違えて見えるだろう。

 とはいえ、本来あるべき姿に戻っただけである。

榛名「迷惑をかけて……」

比叡「ああ、もう。そう言うのはね?」

榛名「……はい!」

 宥めるように肩を優しく叩き、榛名がそれに頷いた。

比叡「私呼ばれたみたいだから、そろそろ戻るね」

榛名「はい、また後で」

 ひらひらと彼女が手を振った。恥ずかしそうに榛名もそれに応える様に、小さく数秒片手を振る。

提督「……良かったな」

榛名「……はい」

 息を吐きながら答える。

提督「さ。俺たちも準備しよう」

榛名「はい」


演習のコンマ判定です。
前スレで言った通り、戦力数値やら補正やらが出てきます。

こちらは(コンマの十の位+好感度)×艦種 が数値です。小数点以下は切り捨てです。
相手側は(コンマの一の位+好感度)×艦種 が数値です。小数点以下は切り捨てです。

艦種はそれぞれ、
軽巡洋艦=1.3
重巡洋艦=1.6
軽空母・戦艦=1.8
空母=2
その他=1
です。

相手艦隊の艦種決めです。比叡は確定なので残り5人。

↓1~5です。
00-14 駆逐艦
15-29 軽巡洋艦
39-59 重巡洋艦
60-79 戦艦(軽空母)
80-99 空母

アカン…

\(^o^)/

重ねてコンマ判定ですみませんが、これで演習準備整いました。

こちらの艦隊→十の位 向こうの艦隊→一の位
より優勢っぽいほうが勝ちです。敵艦隊の錬度は皆一律です。
殺りにきてるので高いです。

榛名 (↓1のコンマ十の位+好感度69)×1.8
加賀 (↓2のコンマ十の位+好感度50)×2
睦月 (↓3のコンマ十の位+好感度124)×1
夕立 (↓4のコンマ十の位+好感度44)×1
浜風 (↓5のコンマ十の位+好感度46)×1
清霜 (↓6のコンマ十の位+好感度7)×1

敵艦隊
比叡 (↓1のコンマ一の位+錬度70)×1.8
軽空 (↓2のコンマ一の位+錬度70)×1.8
空母 (↓3のコンマ一の位+錬度70)×2
駆逐 (↓4のコンマ一の位+錬度70)×1
重巡 (↓5のコンマ一の位+錬度70)×1.6
駆逐 (↓6のコンマ一の位+錬度70)×1

/(^o^)\


 最初に異変に気づいたのは、榛名だった。

 姉である比叡との交戦。

 砲弾をかわし、隙を見て撃ち返す。

 何発かは互いを掠め、また何発かはそれよりもより身体に触れる。

 しかし半数かそれ以上は当たることなく、海へと消えていく。

 自分だけでなく、周りで戦う相手の砲弾も同じ事だった。

 あるいは空から降る艦載機や、折を見て飛んでくる海中の魚雷。

 それらは演習用にペイントされたものであり、多少の衝撃こそあっても、命を奪うはずのものではない。

 少なくとも、榛名達はそう思っていた。

 あるいは、彼女たちもそう思っていたはずだ。

榛名「くっ……!」

 身を捩り、姉の攻撃をかわす榛名。

 彼女の袖は着物のように幅が広く、はためいて風に揺れた。

 その袖が黒くなっているのに、榛名は気がついたのだ。

榛名(え……!?)

 匂いを確かめる余裕はなかったが、しかしそれが確かに砲弾によるものだという事は分かった。

 火薬の代わりにペイント弾が入っているはずのこの演習で、何故自分の袖が焦げ付いているのか。

 その理由を考える間もなく、次の瞬間にはその答えが見えた。

榛名「──清霜さん!」

 遠く。

 自分から一番遠い場所で、清霜の身体が海に投げ出されたのを、榛名は見た。

 彼女の体からは、火薬の爆発する煙と音が立ち上がっている。

 そのまま仰向けに清霜は倒れ、続くように浜風も砲弾を貰い突っ伏した。

 それがペイント弾ではなく、本物の、紛れもない弾薬だという事に、その時になってようやく榛名達は気付いたのだ。


 歯をすりつぶす程強く噛みながら、加賀が砲弾を続ける。榛名が叫び、自分の後ろを通過したのを感覚だけで確かめながら、加賀が滑る。

 先ほどまで榛名が居たスペースへ身を動かし、降って来る艦載機に唾を吐くように舌打ちをした。

 この状況に向こうの艦隊は気付いているのか、いないのか。

 後者であって欲しい。

 たまたま間違って、ペイント弾の中に実弾が紛れてしまった。

 そして不幸にもそれが当たってしまった。

 そう思いたかった。

 しかし、そこまで加賀は楽観的ではなかった。

 相手の砲弾は、全部が全部実弾というわけではない。実弾とペイント弾の両方が混じっている。

 過失にしては、実弾の数が多すぎるのだ。

 現に加賀の右肩はオレンジ色に染まっており、それは明らかにペイント弾だ。

 その一方で清霜や浜風は倒れ、睦月も異変を理解し回避に専念している。

 夕立だけは気付いてか気付かずか、未だ砲弾を辞めないが、いずれにしてもこれが異常な状況であることだけは確かだ。

加賀「……反吐が出る」

 加賀の苛立ちは増し、とうとう堪えきれず言葉に零した。

 ……それは、正規空母と言う肩書きを持つはずの自分が、唯一つの艦載機も飛ばせずに、軽空母に劣勢を強いられていると言う状況に対するものでもあった。

 いっそのこと危険を承知で迫り、武器をぶんどってしまおうか。

 そう考えたが、しかしそれはあまりに難しい。

 相手の撃つ砲弾が、全部が全部実弾と言うわけではないにせよ、何割かはそうである以上、やはり回避しなくてはいけない。

 当たってから実弾だったでは意味がない。

 しかし敵に近づけば近づくほど、弾幕の密度は濃くなる。

 その中を掻い潜るのは、いかに戦闘経験の豊富な加賀でも、至難の業といえよう。

 ただ一人。

 回避と言う言葉を知らない、夕立を除いては。


 花火の様に爆ぜる弾幕に、興奮を全く隠すことなく夕立が突っ込む。

 ペイント弾が頬を掠め、実弾が服を破いた。

夕立「あは……!」

 この時点ではまだ夕立は、ペイント弾の中に実弾があると言う事を知らないし、背後で清霜と浜風が倒れているなどと夢にも思っていなかった。

 ただ単純に、自分の内側からこみ上げる熱い蕩けるような昂ぶりを、瞳に宿すことで心地よくなっていたのだ。

 身を翻して砲弾を避ける。遅れて長い髪が跳ねる様に揺れ、微かに砲弾で散っていった。

 敵の動揺する顔が見て取れる。

 それに唇を歪めながら、連装砲をなぎ払うように撃ちまくる。

 榛名が清霜のほうへ向かい、浜風が倒れたことで、今この場において最も狙われるのは夕立だ。

 複数の方向から砲弾が撒き散らされ、そのどれもが夕立を掠める。

夕立「ん……っ」

 くすぐられたように甘い声を出す夕立だが、しかしそれは実弾で、脇腹からは赤い雫が垂れた。

 そこでようやく夕立は、実弾の存在に気がつく。

 しかしそれは彼女にとっては瑣末なことでしかなく、攻撃をやめる理由にはならなかった。

 むしろ、それが実弾であると言う事を理解した夕立は、目を細め惚けるように息を吐いた。

 半ば運に賭ける様に夕立が水を蹴る。

 放たれる砲弾。避けるよりも距離を詰める事を選択した夕立の足に、それが命中する。

 間違った賭けに夕立は敗れたようで、がくっと膝を突くようにつんのめった。

 スカートが破れ露わになった太腿からは、とめどなく赤い血が流れ、僅かに煙も巻き上がった。

 それを夕立は、まるで想い人との抱擁とでも言わんばかりに息を荒くしてうっとりと眺めた。

 とはいえそれも一瞬のことで、すぐに連装砲を構えなおす。

夕立「……?」

 そしてそこにいたって、ようやく砲撃は止まった。

比叡「待って! 待って!」

 必死の形相で叫ぶ比叡。首をかしげたまま連装砲の照準を比叡に合わせ、そのまま引き金を引こうとしたが、どうにも様子がおかしい。

比叡「実弾が混じってます! 止めて!」

 どうやら比叡も異変に気付いたようで、演習を止めるべく叫んでいたのだ。

 ほっとしたように構えを解いたり、慌てて混乱した様子を浮かべる相手の艦娘たち。

 それを見て、途端に夕立の中で熱が冷めていくのを感じた。

夕立「なぁんだ」

 つまらなさそうに、まるで道端の石を蹴るように海面に視線を落とす。

夕立「んん……」

 そして目に入った自分の太腿を指で伝う。

 砲弾で撃たれた傷から流れる血を舐め取った。

夕立「あ、はっ……」

 ぞくりと夕立が身を震わせた。

 冷たい鉄と、微かな潮の味。

 紅い瞳が、赤い雫を愛しげに見下ろしていた。

自分でも夕立が変な方向に行ってる気がしてならない(焦燥)
途中ですが今日はここで終わりです。

判定の仕方は今後も調整します。しないと駄目ですねすみません。


こういう強制イベントでの好感度の上昇はあるんですかね?
あと、戦闘システムが変わった今、例えば加賀が艦載機持ったら倍率が変わったりします?
もう一つ、3で装備を作って渡した場合、好感度はどれくらい上がります?いつも通りなのか少し多目に上がるのか
質問ばかりだけど答えてくれたら安価の方針が取りやすくなるから教えて欲しいッス

自分からも一つ


流石に暗殺とかは無理だと思うけど、北提督を生け捕りにして拷問にかけたり、謀略で提督業から引きずり下ろして、二度と提督に歯向かえなくする事は可能ですかね?

>>655
上がります
変わりません(と言うか現時点で空母と同じ数値な加賀さんがおかしい)
話の都合上言えません、すみません

>>657
出来るか出来ないかで言えば出来ます。ただし結果は保証出来ません

とりあえず早めにやっておいた方がよさげなのは
・雪風の好感度
・鈴谷が何か言いたそう
・加賀さんの艦載機

この辺か

>>703
ふと思ったんだけど人事権的なのは雪風自身じゃなくて中央提督にあるんじゃね?

大淀が『貴女が行きたいなら云々』言ってたから好感度上げが無意味とは言わないけど

ついで言うと大淀さん堕とさないと雪風奪取妨害されそう

そこなんだよね……

果たして好感度幾つで雪風が自分から提督の元へ行きたいと言うのか……

新イベントやらバレンタイングラフィックが追加されましたね。
新艦娘の子には悪いとは思いますが、さすがにキャラ把握出来ていませんのでこのスレではお話の中で登場させられないです。すみません。

あと、戦闘の判定ですが、色々考え直した結果、「コンマ 好感度 艦種」にし、艦種をそれぞれ
軽巡洋艦=20 重巡洋艦=30
軽空母・戦艦=45 空母=65 にしようかと思います。これなら一応駆逐艦でも35%の確率で空母に勝てます。

潜水艦は潜水艦で、相手が重巡洋艦・戦艦・空母・潜水艦だった場合、引き分け以上が確定します。コンマで相手を上回ったら勝利で、例え下回っても引き分けです。

あれ、半角のプラスは表示されないのか
コンマ+好感度+艦種 です。すみません

まだなにかを入れるほど病んでないから…(震え声)

>>782
睦月「愛情がたっぷり入ってるよ」

ここの睦月なら愛情たっぷりレベルだな、まだ
味の感想を言うのです!って食ってかかって感想返されて真っ赤になるまでがワンセット

>>784
YP0
愛情がたっぷり入ってるのです!

YP1
愛情がたっぷり入ってるのです

YP2
アイジョウがたっぷり入ってるのです

YP3
睦月のハートが入ってるのです

YP4
睦月が入ってるのです

YP5
………ニャハ


こんな感じ?

たまたま間違えて睦月を秘書艦にしたらバレンタイン仕様になってておったまげた。しかも可愛い
ついでにたまたま比叡さんを演習で使ったらあまりにアホなセリフ言ってて草生えました

0:30になったら始めます


提督「一体何が起きたんだ……!?」

 状況が分からぬまま母港に引き返した榛名達を迎え入れる。

 相手の艦娘達も海上に立ち尽くすわけにも行かず、同じく引き返してきた。

榛名「清霜さん、しっかり……!」

睦月「浜風ちゃん、大丈夫!?」

 榛名と睦月が、それぞれ二人に付き添う。

 特にダメージが深刻なのは浜風と清霜で、痛々しい赤い傷跡が制服を濡らしている。

 榛名と睦月も無傷と言うわけではないのだが、それでも彼女たちに比べたらかすり傷に分類されるだろう。

夕立「終わりっぽい?」

 破けたスカートと、露わになった太腿、そしてそこに走る砲弾の跡もそのままに夕立が口を尖らせた。

 その夕立が話しかけたのは、恐らく近くに居る加賀なのだろうが、しかし加賀は何も答えない。

 それよりも彼女の目線は相手の艦隊、そして向こうの提督に向けられていた。

 威嚇を飛ばすように低く睨みつける加賀。

 もし今ここにある、互いを隔てる二十メートル程の距離がなかったら、きっと加賀は胸倉を掴んででも締め上げただろう。

 あるいは今からでもそうしかねないほどの強い怒りを、全く隠すことなく迸らせる。

 加賀の怒りも尤もではあるが、しかしだからと言ってそういった物理的な解消法では何も収まらない。

提督(ひとまずここは……)


↓1

1.榛名と共に清霜を看護する

2.睦月と共に浜風を看護する

3.加賀に夕立を看護させる


提督「睦月」

 清霜よりも比較的近くに居た睦月に声を掛ける。

 数箇所から出血をした浜風の顔はやや青白く、目を瞑ったまま痛みに耐えているようだった。

睦月「提督、浜風ちゃんが……」

 その場にぺたんと座りこみ、浜風の腰と肩に手を回す睦月が、消え入りそうな声で俺を見上げた。

 仰向けの浜風の呼吸は浅い。

提督「浜風、大丈夫か」

 大丈夫な訳がないと分かっていつつも、ついそう尋ねてしまう。

浜風「とりあえず、生きています」

 うっすらと瞼を開けて浜風が答えた。

 少し目線を泳がせて、自分を抱える睦月を見上げる。

 目尻に涙を貯め、鼻をすする睦月を見て微かに口角を上げた。

睦月「浜風ちゃん……」

 一番酷い箇所は脇腹のようで、そこを抑えていた浜風の白い手袋が、赤く変色していた。

 そのほかにも幾つかの銃創があり、彼女の白い制服は、手袋と同様にその部分を悲惨たらしめている。

浜風「人を助けるのと、自分が助けられるのでは、違いますね」

提督「今はそんな事を言う必要ない」

浜風「やっぱり私は前者がいいですね」

 こんな状況で何を言うのかとも思ったが、しかしまったく話せないよりはまだいいのかもしれない。

 とはいえ、浜風の口調も穏やかなものではなく、やや掠れ疲れたものであるので全く油断は出来ない。

 自分に皮肉を聞かせるように浜風が再度口を開く。

浜風「……見てください」

提督「浜風、今はあまり口を開かない方が……」

浜風「血。赤いです」

提督「……」

浜風「私の血って、赤いんですね」

 瞼さえも重そうに、途切れ途切れの呼吸の中で浜風がそう呟いた。

 深海棲艦の体液は、青色である。

 それはつまり。

 彼女が、自分の正体を確かめる貴重な雫だった。

提督「……ああ。君の血は、俺たちと同じだ」

浜風「……」

提督「だから、今は傷を治すことだけを考えてくれ」

 浅い呼吸の先から、答えは帰ってこなかった。

 それでも、浜風の表情はどこか安心した様子のものだった。


提督「睦月。浜風を鎮守府に連れて行って、手当てを」

睦月「わ、分かりました」

 出来れば手伝いたい所だが、しかし二人だけに気を割く訳にもいかない。

 重傷なのは清霜も同じだし、怪我の具合が軽いとはいえ夕立だって血を流している。

 加賀だって無傷と言うわけではない。先ほど鬱陶しそうに払った右腕から、微かに血が数滴飛び散ったのを見逃さなかった。

 皆が皆、どこかしらを怪我しているのだ。

 ひとまずは浜風に駆け寄ったものの、それで終わりという訳にはいかないし、何より確認しなければいけ無い事がある。

夕立「加賀さん、待ってってばぁ!」

加賀「放して頂戴」

 夕立の諌める声に振り向くと、加賀が向こうの艦隊に詰め寄らんと歩を進めていた。

 その左腕を掴んで止めようとしているのが夕立である。

 とはいえ撃たれた足を庇いながらの夕立が、怒り心頭である加賀を止めることはできず、半ば引きずられるようについていっていた。

 加賀の目線と歩の先は当然向こうの艦隊で、しかし彼女たちも事態を飲み込めていないのか、ただ加賀の表情に驚くか怯えるかのどちらかだった。

 そんな中で、仲間を守るように彼女達の先頭に立ったのが、先ほど榛名と会話をしていた比叡という女性である。

 恐らく向こうの艦隊のまとめ役なのだろう。

加賀「これは一体どういう事なのかしら」

比叡「私達にもよく分かっていないんです。決して、こんなことになるはずでは」

加賀「話にならないわね。どいて頂戴」

比叡「ど、どうするつもりですか」

 苛立ちを隠すどころか、彼女にぶつけるように吐き捨てる。

加賀「貴方達の指揮官に直接問いただすだけよ」

 加賀の視線は既に比叡からは離れ、彼に向いていた。

 そんな加賀の視線に気がつかないはずもない。

 眼鏡を拭き、面倒臭そうに再度掛け直した。


 その仕草は自然なもので、だからこそ不自然だと思った。

 何故なら、彼は全く取り乱していないのである。

 これだけの出来事、普通であればまず起きえない想定外の代物のはずだ。

 当然慌てるか取り乱すかをし、せめて加賀達に何か一言言って欲しいものである。

 あるいは彼が士官学校時代のまま、無表情で冷静なのだとしても、少なくとも比叡らに事実確認や原因の追及くらいはするだろう。

 彼はどちらかというとエリート思考だ。

 こんな“事故”が起きれば、出世に影響しないわけがない。

 早急に原因を突き止め、対策をするなり解答を導き出すなりのことはすると思った。

 にも拘わらず、彼がただ棒立ちと言うのが、しっくりこなかった。

提督(……いや、まさか)

 口元に手を当てる。

 自分の考えが、ある一つの仮定を持ち出した。

 そしてその仮定は、今を遡り、過去にまでもつれるものだった。

提督(慌てないと言うのは、すなわち予め把握していたから)

 ペイント弾に実弾が混じるという事故。

 一歩間違えれば命を脅かし、事実半歩間違えて清霜と浜風は多くの血を流した。

 それが、予め予測されていた物なのだとしたら。

提督(これは、最初から仕組まれたものだった……?)

 ぐるぐると思考が巡る。入り組んだはずの迷路を、突き当たることなく進んでいく。

 事故。過失。過ち。誤認。

 ──誤射。

提督(……!)

 背筋に氷を押し当てられた感覚に陥る。

提督(ありえるのか。ありえてしまうのか、そんな事)


 ペイント弾と実弾を間違える。

 深海棲艦と艦娘を間違える。


 半年前、夏の雨の日に。

 かつて榛名が巻きこまれた、不幸な事故。

 あの時の榛名が所属していたのは、確か北鎮守府だ。

 大和達との演習の帰りに、誤って大和を撃ち抜いた。

 そして今日再び、彼の指揮する艦娘が、再度誤射をした。

 前回は人を間違え、今回は弾を間違え。

 二度も、こんな“事故”が起きるだろうか。

提督(いや。そうじゃない)

 もしもこれが事故でなく、故意なのだとしたら。

 明確な意図をもって、明確な悪意でもって仕組まれたものだとしたら。

「……」

 それはあってはならない、最悪の出来事だ。


比叡「聞いたところで、分からないと思います。武器の準備は私達が自分でするんですから」

加賀「それを信じろと?」

 決して彼を庇っているわけではないのだろう。

 恐らく彼女達は、何も知らないのだ。

 あるいは、彼女達の見ていないところで弾薬をすり替えたのかもしれない。

 自分の知らない所で、悪事に加担させられている。

 それは榛名のときも同様だった。

 榛名もまた、けっして大和を撃てと指示された訳ではない。

 そうなるように、そうなったら良いと言う風に水を向けられただけで、彼女たちがそれに賛成したわけではないのだ。

 視界不良の雨の中で、深海棲艦と艦娘を誤認する。

 演習に使うペイント弾の中に、実弾が紛れ込む。

 そのどちらもが決してありえない出来事ではなく、おきてしまっても不慮の事故で説明のいく内容だ。

 それはまるで、プロバビリティーの犯罪だ。

 起きても起きなくても構わない。起きる確立はむしろ低い。

 しかしいざ起きれば、ほとんど手がかりもなく完全犯罪に近い工作になる。

 それを彼は、自らの手を汚さずに、艦娘を利用して行った、のだとしたら。

「……帰るぞ」

比叡「え、え?」

加賀「この状態で、よくもそんな……!」

 加賀が比叡を押しのけようとするも、比叡も譲らない。

夕立「加賀さん、ちょっと冷静になって」

加賀「貴方は、私に構ってないで、怪我を治してきて頂戴」

 怒りを抑え切れない中でも、夕立の怪我のことは気にかけていたようである。

夕立「そう思うなら、止まって欲しいっぽい。引きずられて痛いっぽい」

加賀「……」

 睨むように夕立を見やり、それでも冷たく突き放すことも出来ずに、荒く息を吐いた。

 加賀も加賀なりに、夕立が心配なのだ。

 その優しさがあったからこその、今の加賀がある。

提督「加賀」

加賀「……」

 一瞥しながら加賀が踵を返す。

 精一杯言葉を堪えた様子で、肩を震わせながら夕立と共に戻っていった。


比叡「あの、今回は……」

提督「事故だと信じることにするよ」

 ここで突っぱねてしまうのは簡単だったが、しかしそれをした所で得るものは何もない。

 彼女達自身は何も知らない様子だし、責任を感じて縮こまっている。

 これ以上追い込んだり迫ったりしたら、かつての榛名や睦月のような傷を背負ってしまうだろう。それは嫌だった。

 かといって彼に迫ったところで、証拠も何もない。ただ知らぬ存ぜぬで逃げられるのがオチだ。今問いただしても意味はない。

 それに、彼がもし故意によって今回や過去の出来事に関わっていたのだとしたら、その理由も大事になる。

 前回と今回で共通している点といえば、俺か榛名だろう。

 彼にどちらか、あるいは両方に被害を負わせる目的があるのなら、その理由も知らなくてはいけない。

 もし、万一それが榛名ではなく俺なのだとしたら。

 士官学校の時か、提督になってからのものなのかは分からないが、いずれにしても彼にとって、何か俺を憎む理由があるはずだ。

 その内容によっては、俺も考えなくてはいけない。

 彼の憎しみの根源に、何か俺の非があるのならば、糾弾だけが俺に出来る事ではないのだから。

提督「……」

北提督「……」

 何の感情もなさそうな、蛇のような目で俺を見る。

 それも数瞬のことで、すぐに彼は俺に背を向けた。

提督「……また、来るのだろうか」

 もしまた彼の鎮守府と出会うことがあったとして。

 その時は、誰も怪我をしないでいられるだろうか。

 それだけは、全く分からなかった。



好感度上昇

睦月↓1のコンマ十の位(ぞろ目でYP+1)
浜風↓2のコンマ十の位

睦月って多分好感度40ぐらいから6以下が一度も出てないんじゃないですかね……?


【二月一週 前半】


提督「……朝、か」

 演習が終わった直後の鎮守府は、久々に暗いものだった。

 重傷の浜風と清霜を筆頭にほぼ全員が治療に専念することになったし、それに気を落とした睦月でさえ大人しかった。

 その為会話らしい会話も殆んど出来ず、ややもしたら少し前の鎮守府に逆戻りかとも危惧したが、良い出来事もあった。

 一応一晩明けて、改めて全員の命に別状もなく、浜風や清霜も意識もしっかりし始めたのでほっと一息つけたのだ。

 加えて、その時に榛名が清霜を世話したのもあって、二人の関係もほんの少しだけ良くなったように思える。

 まだぎこちないことには変わりないが、少しずつ苦手意識がなくなっていくにこしたことはない。

 浜風と清霜は今週は安静にさせてあげた方が良いだろう。

提督「今週は何をしようか……」


↓1

1.出撃

2.演習

3.遠征

4.工廠

5.その他(自由安価。お好きにどうぞ)

ところでさらっと出撃してた覚えがあるんすけど
資材は建造Dあたりまでは溜まりましたかね?


提督「いないな……」

 食堂を見回しても睦月が居ない。

 恐らくは浜風を看ているのだろう。後は安静にして、数日すればドックで回復できるとはいえ、それまでの間不安がなくなるわけでもない。

 やはり睦月にとって浜風は大事な親友なのだ。

 例え立ち直った自分を見て、興味をなくして部屋を出て行ったのだとしても。

 また、浜風からしても、本当に鬱陶しく思ったのであれば睦月を追い出すことだって出来る。

 それをしないのは、もしかしたら心のどこかで負い目のようなものを感じているのではないだろうか。

 それが、見捨てるように部屋を出たことに対するものか、あるいはそれでも自分を心配する睦月の心に対するものなのかは、分からないけれど。

提督(いずれにしても、出る幕はなさそうだ)

 いや、決してそんな事はなく、睦月であれば俺を受け入れてくれるかもしれないし、浜風もおれをからかうことで気が晴れるかもしれない。

 とはいえ、言ってみればこれは、二人が久々にゆっくり出来る良い機会なのではないだろうか。

 最近、というより、睦月が立ち直ってからは、とにかく彼女は俺と居ることが多い。

 恥ずかしながらその事に救われがちだった俺ではあるが、立ち直った睦月の優しさを一人で受け続けるのもよろしくない。

 それこそ今の浜風にはきっと、睦月の心が必要な気がするのだ。

提督「一人で行くか……」

 なので、今回雪風への見舞いは一人で行くことに決めた。

 睦月のおかげでこの間は会話に困らなかったが、しかしもともと楽しい会話をするために彼女の元を訪れているわけではない。

 雪風を通して、半年前の事を嫌が応にも思い出す。

 決して忘れられない、あの出来事を。

 今もまだ苦しみ続ける雪風に、俺は何をしてあげられるだろうか。

 それを確かめたくて、彼女の元を訪ねているのかもしれない。

>>854
今は燃料298 弾薬277 鋼材334 ボーキ331 です


提督「雪風、邪魔しても良いか?」

 扉をノックする。

 今日も大淀に断られたらどうしようかとも思ったが、どうやら彼女は居ないようだった。

提督「……? 雪風?」

 一度目のノックに返事はなく、再度ノックをしなおす。

 ──と。

「ひゃあっ」

提督「雪風? どうした、入るぞ!」

 小さな悲鳴と共に、何かが倒れる音がした。

 それを聞き、返事も待たずに扉をスライドさせる。

 ぱっと視界に入ったベッドには雪風の姿はなかった。

提督「……雪風、大丈夫か」

 一瞬どこにいるのかと思い、周囲を見回すが、すぐに音の在り処を突き止める。

雪風「え、あ、いらしたんですか。すみません」

 ベッドと窓の間の床に、雪風が倒れていた。

提督「何があったんだ」

 慌てて駆け寄り、手をとって身体を確かめる。

 別段血を流したりはしていない。

雪風「ちょっと寝返りを打っていたら、落ちちゃいまして」

 どうやったら寝返りでベッドから落ちるんだ、と思ったがしかし、言葉を飲み込む。

 嘘のような話ではあるが、実際の所確かに俺の知る雪風は、寝相が悪かった。

 実際に彼女が眠っている所を見たわけではなく、あくまでルームメイトの話ではあるが、朝起きたら部屋の端から端まで移動していたこともあったようだし、酷い時は別の部屋の二段ベッドの上で眠っていた事もあったと言う。

 珍しく恥ずかしそうに、昔のような表情を浮かべる雪風。

 まだ何も悲劇に遭っていなかったころの彼女がそこに居た。

 跳ねた茶色の髪の毛を片手で押さえながら、ばつの悪そうな顔で俯く雪風。

 そんな彼女を抱きかかえながら、ベッドの上へと引き上げる。

雪風「お姫様抱っこだなんて、昔なら絶対にしてくれませんでしたね」

 恥ずかしそうに頬を赤らめた。

提督「今だって、君がベッドから落ちていなかったらするつもりはなかったよ」

 とても軽いその身体を、傷つけないように優しくベッドへと迎える。

雪風「ありがとうございます」

 少しだけ、昔の雪風に逢えた気がした。


提督「大丈夫か。どこか痛くはないか」

雪風「そうですね……。右腕と、両足が少し」

 逡巡し、そう答える雪風。

 やはりどこか痛めたのだろうか。落ちた時に怪我が悪化してしまったのかもしれない。

雪風「冗談です。元々ですから」

提督「……あまりそう言う冗談は言わないでくれ。不安になる」

雪風「心配してくれるんですか?」

 くすりと口に手をやって微笑んだ。

 寝癖を押さえていたほうの手でそうしたため、再び雪風の髪が跳ねた。

 恥ずかしそうな表情を浮かべて、左手で髪を梳く。

提督「当たり前だろう。あの時からずっと、君の事は心配してた。今だって心配している」

雪風「殺し文句みたいですね」

提督「本心だ」

雪風「知ってます。貴方は嘘のつける人じゃありませんし、誰に対しても同じ態度をとる人です」

提督「……」

 口調は穏やかで柔らかく、どこか懐かしむようなものだった。

 そして何故だかそれが、責められているように感じてしまう。

雪風「最近、良くお見舞いに来てくださいますね」

提督「君が心配だからだ」

雪風「君というのは、雪風のことですか?」

提督「……、そうだ」

 雪風。

 あの夏が終わって、再度彼女に会った時から。彼女は自分の事を名前で呼ばなくなっていた。

 あの夏で変わってしまった彼女のうちの一つだ。

 それが今、彼女は自分の名前を呟いた。

雪風「そう、ですね……」

 言い淀むように、彼女が下を向く。

 跳ねた髪をそのままに、左手で右腕を掴む。

雪風「提督」

提督「どうした」

雪風「もし……もし」

提督「……」

 悲しそうな声で囁く。その一方で、表情だけは微笑を絶やさないようにと何かを堪えていた。

雪風「もし私が、雪風じゃないといったら、どうしますか?」


提督「それも、冗談か?」

 そういう風には見えなかった。

 だけれど、雪風の真意が分からず、ついそう尋ねていた。

雪風「どうでしょう。冗談かもしれませんし、そうじゃないかもしれません」

提督「雪風。君は……」

 俺の言葉を遮って、雪風が再度口を開く。

雪風「それより」

雪風「……それより、もう一度だけお聞きしますけれど。最近、良く来てくださいますよね」

提督「……ああ」

 萎縮したわけではない。雪風の口調は決して強くなく、どちらかと言うと小さなものだった。

 それでも俺が彼女の言葉に答えるべく自らの口を閉じたのは、それほど雪風の瞳が悲しそうだったからだ。

 あるいは、彼女の言葉のたどり着く先が、自分と同じものだと思ったからかもしれない。

雪風「それは本当に、お見舞いと言う理由だけですか?」

提督「と、いうと」

雪風「何か私に、言いたいことがあるんじゃないでしょうか」

 驚きはなかった。

 別段隠していたわけではなく、単に話す機会を見計らっていたからであり、それが今であればそれでも良かった。

提督「……ああ」

雪風「聞かせてください」

提督「……」

 彼女は、退院したら再び戦列に戻りたいという意思がある。

 だけれどそれは、今の彼女には無謀とも言える思いだ。

 先ほど抱き寄せた時に、雪風の両足には殆んど力が入っていなかった。

 以前の演習でも左足は微かに引きずっていたし、右手も握力が戻りきっていない。

 退院できると言うのは、あくまで生活能力が戻ったと言うだけで、決して海の上で戦えるという訳ではない。

 今の彼女が、そのまま月末になって海に立ったところで、深海棲艦の犠牲になるだけである。

 であれば。

 もしも俺に、何か出来ることがあるのだとしたら、それは……。



↓2

1.うちの鎮守府に来ないか

2.中央鎮守府に戻るべきだ

3.艦娘を卒業してみてはどうか

ぬわああんお腹痛いよもおおおおん

今日はここでおわりにさせてください、最後に雪風の好感度のコンマとって終わりです。

↓1のコンマ十の位

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月05日 (木) 02:31:23   ID: CmVsVWnm

空母の加賀さんに艦載機が未だに無いのか…

2 :  SS好きの774さん   2015年02月05日 (木) 09:33:58   ID: w5UoXBef

果たして清霜の抱える心の闇とは⁉︎
まぁなんとなーく予想がつくような…

3 :  SS好きの774さん   2015年02月05日 (木) 18:00:29   ID: k22RZA11

加賀さんに早く艦載機作ってやれよw

4 :  SS好きの774さん   2015年02月06日 (金) 01:00:40   ID: w1kbLzAm

安価がすべてを台無しにしてる

5 :  SS好きの774さん   2015年02月06日 (金) 14:30:30   ID: F-Q7Nrf-

更新とても楽しみにしております。

6 :  SS好きの774さん   2015年02月07日 (土) 06:15:51   ID: b8kWrXrD

睦月ばっかやな。せっかく他の艦娘もおるのに

7 :  SS好きの774さん   2015年02月08日 (日) 05:16:11   ID: UFbGmTkR

雪風も上げたいけどそろそろ金剛を救ってくれよ

8 :  SS好きの774さん   2015年02月08日 (日) 17:39:48   ID: ICOcgzb-

妖精さんはいつになったら着任するんだろうか

9 :  SS好きの774さん   2015年02月08日 (日) 22:08:17   ID: 5sUAr8F8

本スレが知障だらけで1が次スレ取れなかったみたい

10 :  SS好きの774さん   2015年02月10日 (火) 08:57:20   ID: ETNjZ0GU

面白いな。ぐいぐい引き込まれちゃったよ。
睦月が嫌なわけではないのだが、他の艦娘のエピソードも見たいよね。
とりあえず早く加賀さんに艦載機作ってあげてほしいw

11 :  SS好きの774さん   2015年02月10日 (火) 11:09:30   ID: 8PUbhyOS

安価でここまで話を展開できるのは凄い。
しかもハズレエピソードが1つも無いという。
本職の人の暇潰しかな?

12 :  SS好きの774さん   2015年02月10日 (火) 19:24:13   ID: KrWYmd29

安価なんだなら1に文句言うのは間違いだろw

13 :  SS好きの774さん   2015年02月28日 (土) 22:39:38   ID: FR1SBzLu

本スレのクズっぷりがやばい
正直エタるんじゃない?

14 :  SS好きの774さん   2015年03月09日 (月) 05:16:36   ID: 05qs-nlU

安価ssは書き手に優しい素材

15 :  SS好きの774さん   2015年03月13日 (金) 03:01:39   ID: GN1qgPTM

睦月可愛さが留まることを知らない

16 :  SS好きの774さん   2015年06月27日 (土) 02:25:42   ID: -s0S1cPH

まさかの打ち切りエンド

17 :  SS好きの774さん   2015年09月09日 (水) 23:19:32   ID: vFdUa6-r

なんだよ打ち切りかよぉ〜

18 :  SS好きの774さん   2016年07月12日 (火) 08:02:18   ID: _H_djeV_

再開してたからまとめてくだしあ
ttp://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1423299889

19 :  SS好きの774さん   2016年09月09日 (金) 07:36:58   ID: MOEv9e8l

打ち切りかよ

20 :  SS好きの774さん   2017年07月24日 (月) 04:47:37   ID: 2bnvC1Nj

次スレ: http://ssmatomesokuho.com/thread/read?id=269550

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