提督「なに? RAPEだと?」 (68)
他スレから影響を受けた。エログロは書けないんでありません
提督「本部から通達が届いた」
提督「本部の仕事はいかに鎮守府に厄介を押し付けるかだから、嫌な予感しかしない」
提督「まあ、次はどんな命令か読んでみよう」
『艦娘ヲ強姦セヨ』
提督「なるほど。艦娘を犯せばいいんだな」
提督「達成すると資材報酬も貰えるし頑張るぞ」
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憲兵「―――――それで艦娘を強姦したと?」
提督「はい」
浜風「まず最初にどうしたのですか?」
提督「金剛が執務室に来たので金剛から犯しました」
憲兵「どのようにしてだ?」
浜風「それを聞く必要あります?」
憲兵「ある」
浜風「………」
憲兵「疑わしい目で見るな。それでどうなんだ提督?」
提督「はい。最初はやんわり拒否されてたんですが、ベッドに誘った途端にその態度は軟化して、むしろあっちがリードする形で事は始まりました」
浜風「そこまで驚くべきことでもありません。金剛は提督LOVE勢筆頭ですからね」
憲兵「羨ましいことで。憲兵LOVE勢はいないのか?」
浜風「いません」
提督「だから強姦というよりも和姦になってしまったわけなんです」
憲兵「良かったじゃないか」
提督「よくありません」
憲兵「なぜだ?」
浜風「それは「強姦セヨ」が指令なのですから、和姦になってしまったら任務達成できないからでしょう」
提督「はい。浜風さんが述べた通りです。金剛に強姦は不可能だったわけです」
憲兵「任務が達成できないのだから、君は強姦努力を続けなければいけなくなったわけだな?」
提督「はい」
浜風「その後はどうしたのですか?」
提督「たとい以前からそういった男女関係になっていなくても、その相手がこちらに好意を寄せていたら和姦になる可能性に気づいたんです」
憲兵「そうだな。もっと早く気づくべきだったな」
浜風「仕方ありませんよ。本部が明確に「強姦」とはこうだって言っていなかったのですから」
提督「ならば次の標的になる艦娘は決まってきます」
憲兵「姉妹艦LOVE勢だな」
浜風「大井とかですね」
提督「いえ、大井も考えましたが、やめました」
憲兵「なぜだ?」
提督「下手したら殺されそうだったからです。俺がしたいのは強姦であって殺されることではないので」
浜風「そうですね。殺されたらもう強姦はできませんものね」
提督「そこで目をつけたのが山城です」
憲兵「妥当だな。山城の体は気持ち良さそうだしな。やはり戦艦はいい」
浜風「あの」
憲兵「ああ! 安心したまえ。君のことも勿論評価している。機嫌を悪くしないでくれ」
浜風「………」
提督「それで山城を執務室に呼んで犯してみたんです」
憲兵「それでどうだった?」
提督「ダメでした」
憲兵「そんな馬鹿な! 山城は胸以外の太ももや尻もむっちむっちのエロボディだぞ!? 金剛のようなモデル体型とは違うが、あのちょっと熟れた感じが最高にいいだろ!? さては貴様、不能だな!?」
浜風「ちょっと黙っていてください。恐らく彼がダメって言っているのはセックスの具合ではなく、強姦任務のことです」
提督「はい」
憲兵「っなんだよ! それならそうと言えよなー」
憲兵「つーかー、何でダメだったんすかー? シスコンの山城さえも君の高貴な人格に感化されて和姦にでもなったんすかー? すげーっすねー」
浜風「だらけないでください。それに強姦する人が高貴なわけないでしょ」
憲兵「ああ? 強姦するから高貴なんだろうが?」
浜風「何を言っているですか?」
憲兵「神は自然を人間のために創ったと聖書にある。人間は自然を道具として使用できるから、その道具より高貴なんだよ。強姦も女を道具としてみてるから高貴なんだよ。男が女をオナホと見なさずに対等の立場とみなしたら、その分だけ男の価値は下がる。現代で最も高貴な男はレイパーと痴漢だよ」
浜風「随分とひどい物言いですね」
憲兵「ああ!? 酷くねーよ! お前ら艦娘なんてモロにオナホみたいな存在じゃねーか。俺らが仕事のポイントを稼ぐためにオマケで人権を与えられた奴らがよく言うぜ!」
浜風「素晴らしい侮辱です。ところで、高貴さという箔はその名の通り高くつくものです。さて、そろそろその代償を払って貰いましょうか」
憲兵「お? やんのか? お? お?」
提督「その言葉は看過出来ない!!」ドンッ
憲兵「あ?」
提督「彼女達は笑ったり泣いたりします! 同じ人間として! 艦娘を道具として見なすことは許せない!」
憲兵「アッハイ」
浜風「………そもそも私達は彼から事情を聞いていた途中です。仕事を放棄しないでください」
憲兵「あ? 俺はずっと仕事してましたー。君が妙に突っかかってきただけですー」
浜風「どこが仕事ですか?」
憲兵「俺の言葉で提督は本心をちゃんと現わにしただろ? いやー、提督。君は誠に尊敬すべき人物だよ。提督のうち90%は屑だけど君は10%に入る好青年だ。そんな君ならば何があったか包み隠さず教えてくれるね?」
浜風「あなたは屑ですがね。それで山城への強姦に失敗したとはどういうことですか?」
提督「まず言っておくことは、別に山城は金剛みたいにこっちに好意を持っていなかったことです」
浜風「それで失敗ということは、セックス自体が阻止されたということですか?」
提督「いえ、違います」
憲兵「それでは、なぜだ?」
提督「ちょっと説明しづらいんですが、恐らく扶桑を標的にしなかったことと同じ理由からです」
憲兵「扶桑を狙わなかった理由? 扶桑というか不幸姉妹なんて強姦が似合うと思うが」
提督「そうです。ある意味、彼女達に強姦が似合いすぎたのが原因です」
浜風「つい今しがた艦娘も同じ人間なんだと言っていた同じ口から出た言葉とは思えません」
提督「すみません。でも、彼女達自身そういった不幸なイメージ像を鏡の中に持っていたんだと思います」
憲兵「つまり、あれか酸っぱいレモンだ。不幸に慣れているがゆえに、不幸を甘くするような精神構造を持っていたってことか?」
提督「はい。扶桑を狙わなかったのは、強姦したとしても諦めて受け入れる可能性があったためです」
浜風「好意を持っていなくとも、受け入れられたらそれは和姦になって強姦にはならないわけですか。しかし、ではなぜ山城を選んだのですか? 山城も扶桑と同じようにシーシュポスの如く運命として受け入れる可能性が高かったのでは?」
提督「それはたとえ不幸に慣れていても、山城は扶桑とは違う感情的に頑固な側面があったからです」
浜風「頑固な側面?」
憲兵「シスコンってところだろ。扶桑を盾にしておけば、山城は不本意ながらも肉体を明け渡すだろうな」
提督「はい。彼女が扶桑を想って犯されている内は、そこに諦めがあっても俺への好意を作り出して納得するのではなく、扶桑を守るためだと割り切ってくれるはずです。そして俺への嫌悪が維持できるのだから、その行為は和姦にはなりえず、「強姦」は完成しているように思えました」
浜風「思えました?」
提督「そうです。結果的に強姦ではなかったのです」
憲兵「奇妙だな。嫌悪を感じるセックスを強要することが強姦ではなかったのか?」
提督「違います。先程、憲兵さんは強姦は高貴な振る舞いだ、なぜなら強姦は相手に人格を認めないからだと言いました」
憲兵「そうだな」
提督「それです。知らず知らずのうちに俺は山城に人格を認めていたのです」
浜風「どういうことか説明を要するのはわかっていますね?」
提督「はい。山城とのセックスは「強姦」ではなく「援交」だったということです」
憲兵「なるほど。援交か」
提督「援交は相手から報酬を貰って性行為をサービスする商売です」
浜風「そして、商売において普通は両者に人格的上下関係はなく、対等な立場ということですか」
提督「援交における報酬は金銭的なものが代表ですが、山城とのセックスの場合は「扶桑に手を出さない」ってことが報酬になったのです」
浜風「しかし、その報酬は対等に商売的でしょうか? 強盗が命を助けてやるから金を出せと言って利益を得るように、その山城とのセックスもそもそも報酬にはならないものを暴力的に無理に提示しただけでは?」
憲兵「浜風ちゃんはおバカですねー。扶桑は別に山城のものじゃねえだろ。扶桑が提督と自由なセックスをする可能性があるんだから、十分にその報酬は報酬として機能している」
浜風「馬鹿と言いましたか?」
憲兵「ああ。何度だって言ってやる。ばーか、ばーか! この乳風め。頭の代わりに膨らんだそれ揉ませろや」
浜風「フフ……浜風を怒らせたわね……!」
提督「しかし、こうなってくるといよいよ強姦が困難になってきました」
憲兵「和姦にならずかつ援交にもならない純粋な強姦だな」
提督「次はオリョクルで疲れている58を睡眠中に犯してみました」
浜風「それで強姦になりえましたか?」
提督「ダメでした」
憲兵「そりゃそうだ。強姦は女を物体として扱うたって、寝ていたら本当にブツだ。誰もオナホを強姦することは出来ないからな」
浜風「しかし、ずっと寝ているわけでもないでしょ? 起きたら嫌悪を感じて強姦が成立するのではないですか?」
提督「いえ、それでオリョクルが休めるならって歓迎されました」
憲兵「では、オリョクルに出せばいい。報酬が払われないなら、それは不正な姦通になるだろ?」
提督「いえ、そうしたらオリョクルに文句を言いつつも出撃しました。どうやら犯されたことは彼女にとってはさして重要なことでもなかったらしいです」
憲兵「好意でもなく嫌悪でもなく無関心だったわけか」
浜風「厄介ですね。強姦というものは」
提督「そうですね。強姦がこんなに難しい行為だとは思いませんでした」
憲兵「この世は悪に満ちている、だから神はいないって主張する奴がいる。そいつは考えを改める必要があるな。罪を犯すのがこんなに難しい世界なんだ、だから神はいるってな」
浜風「それでは、あなたは神を信じるのですか?」
憲兵「では、聞かせてもらおう。俺が浜風をベッドに押し倒したら、君はどうする?」
浜風「殺します」
憲兵「な? 俺ならばこんな簡単に罪を犯せるんだ。わざわざ神を信じてやる道理はないって」
提督「俺は神の存在に気づきましたよ」
憲兵「お! 流石提督は言うことが違うねー」
提督「そして、同時に世界の設計者という神は非常に気味の悪いものだということにもです」
浜風「あの私達は何か神学的なことを議論するためにいるのではありません。あなたの事件についてお尋ねしているのですが」
憲兵「浜風が俺に神を信じるかーって聞いてきたのに、ひどい言い様だな」
浜風「………話が脱線しそうなら、私しか元に戻すことができないのが問題です」
憲兵「では、話を戻そうか。強姦は困難。というのも、艦娘は優しいからね。まかり間違っても人を殺すなんて言わないほどに」
浜風「当て付けですか。まあ許してあげます。それで、提督は強姦のため次にどのように動いたのですか?」
提督「はい。交換を含まずなおかつ好意を持たない純粋な嫌悪からなるセックスの達成のためには馴染みのある顔ぶれだと難しいと考えました」
浜風「なるほど単純な接触といえども、それを繰り返せば、なんとなくそれに好意的になったりしますものね」
憲兵「その割に浜風は俺に対して会うたびに態度が辛辣になって来ているのだが」
浜風「当たり前です。単純接触による好感は相手が最低でもプラマイゼロの評価値の時に生じるのであって、あなたはいつもマイナスですから嫌悪が積み重なっているだけです」
提督「それで馴染みのない艦娘を探して、白羽の矢が立ったのは駆逐艦の春雨です」
憲兵「駆逐艦か? 気づいていたとは思うが、セックスに肉体が不適性という理由では強姦にはならないぞ」
浜風「それはあくまで肉体ができていないと言うことですからね。ただ「達成困難な」としての和姦になりうる可能性が高いです」
提督「はい。別に幼い肉体だからって理由で選択したわけではありません」
憲兵「続けろ」
提督「戦艦や空母は肉体も成熟していれば同時に精神も成熟している艦娘が多いんです。一部例外はいますが」
憲兵「精神が成熟していれば、その強姦はただのワガママとして処理されてしまい強姦に至らないってことか」
提督「はい。それで、春雨を呼び出して犯しました。顔を合わせたのは二度目でした」
浜風「しかし、彼女は随分と柔らかい性格をしていたと思いますが」
提督「はい。しかし、強姦においてはどれぐらい強く反発するかは重要ではなく、嫌悪を抱いており、彼女には何の利得もないセックスならばいいので、たといじっと耐えていても強姦は成立するはずでした」
浜風「でした?」
提督「はい。失敗しました。春雨は二度目の挨拶だというのに、セックスを受け入れてきたのです」
憲兵「出会って数秒で合体みたいなエロゲーみたいな展開だな」
提督「はい。驚くとともに目眩がしてきました」
浜風「目眩?」
提督「俺は強姦さえもできないのかっていう無力感です」
憲兵「和姦のほうが難しいはずだけどな」
提督「そうです。それもまた無力感の一因になりました」
浜風「どうしてですか? 性生活が充実していると活力が湧いてくるものだと思いますが?」
提督「はい。最初はね。俺の男根も魅力的で女を満足させることができるんだって自信がついて、執務にも堂々たる風格をもって取り組めたと思います。性的能力が評価されることは男にとって安楽の椅子ですから。少々無茶をしても倒れることはないと感じて全能感を持ちました」
浜風「では、どうしてその全能感の原因が無力感の原因になったのですか?」
提督「そうですね。余りに上手くいきすぎたということでしょうか」
浜風「?」
憲兵「浜風、お前はもう少し人間を理解しろ。張り合いがなさすぎたってことだ。自分は何回な数式を解いていたと思ったら、それが1+1という非常に簡単なものだと判明したら落ち込むだろ?」
浜風「どうしてですか? それは難解なものをあたかも基礎のように自然にこなせるようになったということですから、自信が逆につくんじゃないですか?」
憲兵「あー、そうじゃない。自分の能力が向上したから簡単になったんじゃなくて、そもそも初めからそれが簡単だったという話だ。つまり、自分は一人相撲で苦労していたと気づいた時の無力感だ」
提督「和姦というものは俺が考えていたより遥かに通過儀礼的に簡単に行われるものではないのかという疑念です」
浜風「どういうことですか?」
提督「つまり、好意というのは俺が努力しなくても勝手に獲得されるものであって、今までは俺自身の力で得ていたものと考えていたものが実は裏で機械的に与えられているに過ぎないのではないかと考えたのです」
憲兵「価値の暴落が起きたわけだ」
提督「はい。その考えに囚われたら最後、急に世界が色あせてきました。寝つきも悪くなって、まんじりともできない夜が続きました」
浜風「それで強姦という目的はどうしたのですか?」
提督「しばらくは金剛を使って適当に気を紛らわせてました。しかし、連日の夜の営みは執務に支障をきたすには十分な疲労を与えました」
憲兵「そりゃあ、大変なことで。充実していることが不満の種とは不幸なこともあったものだ」
提督「格段に仕事の能率が落ちていたので、秘書艦の曙に何度も我慢ならないという様子で怒鳴られました」
浜風「では、曙をレイプすれば良かったのでは? そこまであなたに不満があったのなら、強姦が達成できたのではないですか?」
提督「それも考えましたが、考えるに留めました」
浜風「どうしてですか?」
提督「言葉とは裏腹に、曙の瞳は心配の波に揺られていて、スコールの中を小舟でどうしようもなく耐えているかのような心細さが見えたからです」
憲兵「ツンデレだぞ? 浜風、お前も見習ってその可愛げを身につけろ」
浜風「死ね」
憲兵「もー、浜風はツンデレ可愛いなー! こっちにおいで! 頭をよしよししてやろう」
浜風「死ね」
提督「それだから、曙は必ずセックスを受け入れると直観しました」
憲兵「ある意味すごい自信だな。………俺も浜風がなんやかんやでセックスを受け入れてくれると信じているぞ?」
浜風「それではずっと強姦は不可能という甘い無力感のもとに打ちひしがれていたのですか?」
提督「春雨ではなく曙が初対面だったのならば良かったのにと、たらればの空想にふけっていました」
憲兵「それはなんとも愉快な空想だな」
提督「そうですね。金剛にスク水を着せて腰を振らせている間は、ずっとそんなことを考えていました」
浜風「意外に楽しそうなセックスライフしてますね」
提督「金剛に「でち、でち」言ってみろよと命令して、気恥かしそうに小声で「でち、でち」言う金剛を眺めていると、ある天啓に恵まれました」
憲兵「天啓?」
浜風「ひどい状況で天啓にうたれましたね」
提督「簡単なことだったんです。空想の解決策を実現すればいいだけです。すなわち、春雨を曙にしてしまえば良かったのです」
浜風「よく理解できないのですが? 詳しく述べてください」
提督「難しく考えないでください。つまり、春雨の脳と曙の脳を入れ替えるってことです」
浜風「SFのような話ですね。しかし、あなたの空想の曙は初対面の曙であって、入れ替えた曙は既にあなたに好意を持っている曙ですよ? 計画倒れになるはずです」
提督「いいえ。たとい春雨の曙が俺に好意を持っているにしても十分に有効な手になります。むしろ、曙が俺に好意を持っているほど有効な方法になるものでした」
浜風「どういうことですか?」
憲兵「それは肉体が入れ替わっているからだろ」
提督「そうです。曙からしてみれば自分の体が春雨になっているなんて、何かの夢だと思えるはずです。つまり、春雨の意識に何故かダイブしている感覚に陥るはずです」
憲兵「そんな状態で春雨(曙)を提督が犯し始めたら、どうなると思う?」
浜風「曙からしたら、自分の想い人が新参ものの春雨の体を求めているように見えるから………非常に不愉快になる、ですか?」
提督「そうです。今までは精神と肉体が対応していたからこそ、強姦が不可能だったわけです。ならば、精神と肉体の通常の関係を壊すことによってなら?」
憲兵「和姦しか不可能っていうことは、艦娘全員が提督に好意を寄せているということだから、他の娘とのセックスに拒絶反応を示すはずだ。特にそれがありありと実感できるのならば、尚更な」
浜風「………流石に悪趣味がすぎると思います」
提督「しかし、強姦を成立させるためにはこれしかないと思いました。脳の入れ替えは、まさに失恋ゆえに拒絶するセックスを彼女自身に参加させることによって、強姦の条件を満たすのです」
憲兵「君は素晴らしい人材だ! ここまで艦娘を道具的に見れるのは天賦の才だ!」
浜風「そんなに素晴らしい提督ならば、肉体に春雨をわざわざ選択した理由があるのですよね?」
提督「はい。先程も述べたように春雨が新しく来たということが重要でした」
憲兵「付き合いの長い他の艦娘に負けるならともかくとして、ぽっと出の新参者には負けたくないという心情の利用だな」
浜風「しかし、もし春雨の選択理由が新参者というだけなら不十分です。他にも新参娘はいますし、一度は抱いた体です。何かしらの不都合が生じるかもしれません」
提督「その時の俺にとっては、もはや強姦任務の達成は第一の優先目的ではなかったということです」
浜風「どういうことですか? あなたは今まで強姦の達成のためだけに努力してきたのではなかったのですか?」
提督「そうです。最初はその任務の達成だけを目的にしていました。しかし、それを成し遂げようとすると困難だと知り、それによって非常に神経的にストレスがかかりました」
憲兵「その最も強かった衝撃は春雨との和姦だったわけだ。君にとって彼女とのセックスは強姦以外にはなかったのだからな」
提督「精神の安寧を取り戻すには、それを回復する必要がありました。あるべきものはあるところに。春雨とのセックスのあるべきところは強姦だったのです」
浜風「提督の心的損害は新参者である春雨とのセックスが予想に反して、和姦だったこと、それゆえに艦娘の好意はあなたの能力への報酬ではなかったという猜疑からです。自己信頼ではなく自己猜疑に陥らされたことが問題だったのですね?」
提督「そうです。だから、中身は曙ですが、それでも春雨との強姦が成立するならば世界の位置関係は全て正常に戻るという信念がそこにはありました」
憲兵「春雨はもともとほぼ初対面でも体を許していたんだ、曙に入れても体を許すだろう。となると、外面上は付き合いの長い曙とは和姦になり、初対面の春雨からは性的関係を拒絶されるという事態になり、提督の納得のいく世界観が維持されるというわけだ」
浜風「しかし、提督はその入れ替えを知っているのですから、春雨に外面的に強姦できたとしても、あなた自身には何の慰めにもならないのでは?」
提督「それでも、俺が犯すのは春雨の体です。たとい自分のことを曙だと言い張ってきたにしても、春雨には何かの記憶の混乱があると考え、結局は春雨をレイプしていると実感するだろうと考えていました」
浜風「そうですか。では、一番重要なことを聞きましょう。あなたはその入れ替えによって強姦することができましたか?」
憲兵「無駄なことを」
浜風「無駄?」
憲兵「ああ。気を悪くするな。無駄というのは贅沢という意味だ。君はその無駄によって大きな価値を持っている。でも、君が乳風じゃなくても浜風ではありえたわけだ」
浜風「一番ここで贅言を弄しているのは憲兵、あなたです。あなたが発言を一言でも控えて貰えれば、エネルギー消費が抑えられ温暖化も一挙に解決に向かったでしょうに」
憲兵「別にエコロジストの仕事をわざわざ奪ってやる必要もないだろ。年に何回も環境保全の国際会議を開催して、世界中から飛行機に乗って人が万単位で集まる。炭酸ガスを自分たちで出しているんだ。放火する消防士にとって、火の用心のカスタネットほど耳障りな騒音もあるまい」
浜風「私にはあなたの霧のような言葉使いが騒音なのですが? それで無駄とはどういうことですか?」
憲兵「余りに明白なことを再確認するのに淡白な言葉だと嫌気がさすだろ?」
浜風「あなただけです」
憲兵「そうか。………ここに提督がいる時点で、強姦は達成できなかったことは明白だ。さもないと事情を聞くなんてこともなかったからな」
浜風「どういうことですか? 私達は鎮守府強姦事件の犯人を取り調べているのではなかったのですか?」
憲兵「あ? いつそんな話になったんだよ? 鎮守府から逃亡した提督を保護して、事情を聞いていただけだろうが。そもそも本部に掛け合って件の任務を発令させた奴がなにを」
浜風「あなたの無駄口に付き合う必要はありませんね。では、提督、あなたの発言を続けてください」
提督「はい。憲兵さんの言う通り、完全な強姦計画は失敗に終わりました」
浜風「それは、脳を交換出来なかったという技術的な挫折ゆえに失敗したわけではありませんよね?」
提督「はい。本部に連絡したら腕のいい医者と最新鋭の装置が用意されましたから、入れ替え自体は完璧だったはずです」
浜風「そうなると、失敗というのはやはり「和姦」になってしまったということですか?」
提督「まさしく。脳を交換しても「強姦」を達成できませんでした」
憲兵「それは拒絶するはずであった曙が拒絶せずに、違う肉体であっても君に愛されたいと思ったということか?」
提督「いえ、なんと言いますか。ただ不気味でした」
浜風「不気味?」
提督「まるで春雨のような振る舞いだったんです」
憲兵「春雨のような」
提督「そうです。曙ではありえないくらいに言葉尻が柔らかく、つっけんどんな態度なんて露ほどもなく、こちらを優しく抱擁してきました」
浜風「それって医者が何か間違えて、脳の交換が出来ていなかったのでは?」
提督「いえ、それはありません。春雨は以前に犯しましたから、その時の記憶があるはずですが、彼女にはそれが確認できませんでしたから」
憲兵「じゃあ、曙は普段ツンツンしているけど、ベッドでは甘えん坊になるとかの性格を持っていたのではないか?」
提督「いえ、それもないと思います。以前なんとなくベッドインをほのめかしたことがあるんですが、その時は烈火の如く怒鳴られましたから」
憲兵「では、曙が完全に春雨になってしまったとしか思えないわけだな」
提督「はい。それで一つのことに気づいたんです」
浜風「なんですか?」
提督「俺は好意が機械的に得られるのではないかと疑っていたのですが、ここに至って元々艦娘には嫌悪も好意もなく中身は全くの空洞であって、向けられた笑顔はただの仮面であり内側には何もないのだと思い至りました」
浜風「それは、どういうことですか?」
提督「鎮守府は手際よく準備された劇場に過ぎなかったのです。艦娘に人格はない。ただ与えられた名前の役をこなすだけの仮面。脳交換は俺の世界を保持するためのものでしたが、鎮守府もまたその自身の世界を保存しようとしていたのです」
提督「俺はただ遊ばれていたのです。俺以外のみんなは打ち合わせをしていて、適当に俺に合わせていたんです。そして、俺の懸命な努力を陰で笑っていたんです!」
浜風「落ち着いてください。あなたの主張だと艦娘は人格がないようですが、そんな娘達がどうやってあなたを陰で笑うのですか」
提督「誰が笑うかなんて興味ありませんよ。ただどこからともなく嘲笑の声が響いてくるんです!」
憲兵「嘲笑なんてだいたいその人の想像だからな。それで悟りに至った君はどうしたんだ?」
提督「そんな人を弄ぶような不愉快な職場にずっといてやる義理はない! 少しばかり仕返しをしてきて出てきてやりましたよ!」
浜風「それで今に至るということですか」
憲兵「でも、これから君はどうするんだ?」
提督「提督なんて道化はもう廃業します」
浜風「鎮守府は傍から見ると随分と居心地のいいところだったとは思いますが?」
提督「あんな嘘しかない場所が良いわけない! もう懲り懲りだ!」
憲兵「そうか」
提督「もういいだろ!? 俺の事情は十分に話した! そして提督はもうやめる! 次の仕事を探しにいかなきゃいけないんだ。こうしてあなたたちと無駄話をしているほど暇じゃない。じゃあな! さようなら! お元気で!」
浜風「さようなら」
憲兵「………行ったか」
浜風「はい」
憲兵「………」
浜風「………」
憲兵「これで俺らに頼まれた任務は達成できたのか?」
浜風「十分かと」
憲兵「しかし、珍妙な仕事もあったもんだ。提督を自主退職させろなんてな。というか俺の仕事ではないはずなんだが。余計なものを持ち込みやがって」
浜風「仕方ありませんよ。鎮守府と提督が多くなりすぎてしまっているのですから」
憲兵「人類の脅威であった深海棲艦に対抗するための組織こそ鎮守府だったが、今ではその鎮守府こそが文明の癌とはな」
浜風「各提督が自分の鎮守府世界に引きこもり、文明を守る組織が逆説的に文明を危うくする。鎮守府の甘い夢から出てこれなくなった人々が無視できない数にまで膨れ上がってしまったので、本部は対鎮守府なんて奇抜なことをしでかしました。面白いですよね」
憲兵「俺は面白くねーよ。まあ、深海棲艦もなかなか頭脳派だったということだ。対策されることによって人類に打撃を与えてきたのだからな」
浜風「それにしても妙案だったでしょ? 私の強姦任務」
憲兵「まあ、そうだな。最初は何を言ってるんだコイツと思っていた」
浜風「鎮守府とは最も幸福な夢なんですよ」
憲兵「強姦さえできないほどな」
浜風「そんな楽園から引き離すのは困難なように見えて、実は人類の創世からの伝統的な方法があります。自ら楽園を手放すように仕向ければいいのです」
憲兵「それでレイプか」
浜風「不完全な人間は完全な世界から追放される運命にあります。もしあの人が舞台の裏側なんて気にせず底の浅い完全な幸福を楽しめたのならば、あのような事態にはなりませんでした。本物の自分を捨て去ることができないという罪の重さは堕天するには十分だったようです」
憲兵「浜風は結構エグいことを思いつくよな」
浜風「ひどいことなんて何もありません。いくら幸福とはいえ夢は夢なのです。そこにしがみつくのは不幸なことです」
憲兵「確かに鎮守府のシステムは遅かれ早かれ破綻していたとは思う」
浜風「そうです。提督は破滅への道。彼は自分の境遇の不幸さに気づいたのです。幸福はそこから始まります」
憲兵「幸福の扉をノックするのがレイプとは救われないな、彼も」
浜風「彼は今や「強姦」するという自由が与えられている世界を眼前に据えていました。罪や悪の開放感、そして達成感があるのです。人間とは罪や悪のない世界では自分が善い人間であることもできないのですから」
憲兵「………」
浜風「………」
憲兵「………今の聞こえたか?」
浜風「はい。あの人の叫び声ですね」
憲兵「それだけじゃない。獣のような声も聞こえた」
浜風「それならば、骨を砕く音も聞こえました」
憲兵「なるほど。そういうわけだったな」
浜風「どういうことです?」
憲兵「彼の目は艦娘をもはや物体としてしか捉えていなかった。彼は去り際に仕返しをしたと言っていたじゃないか」
浜風「何をしたのでしょうか?」
憲兵「さあな。彼ほどの才覚の持ち主だ。きっと艦娘を半分に分けて、右半身を春雨、左半身を曙とかにして縫い合わせたんだろうよ」
浜風「なるほど甘い夢舞台に醜悪なキメラが登場したわけですか。素晴らしい台無しっぷりです」
憲兵「そこは賞賛するところなのか? これで彼の幸福への道は潰えたわけだが」
浜風「別に結果はどうでもいいです。望んだ世界で望んだ法則によって犠牲になったのですから、彼も悔いはないでしょう」
憲兵「優しい夢から覚めた途端、その夢の残滓に食い殺されるとは何とも言えないな」
浜風「そうでしょうか? 手を叩いてあげましょう、夢の中で夢にまで見た悪辣な艦娘の感情を今際の際で見れたのですから。それに」
憲兵「それに?」
浜風「艦娘はやはり人格を持っているのだと最期に気付けたのですから」
おわり
このSSまとめへのコメント
そういうオチか
哲学やな
これすき