提督「お姉ちゃん欲しい」 (430)


提督「お姉ちゃん欲しい」

能代「お姉ちゃん…ですか?」

提督「俺って一人っ子だからさぁ…兄弟欲しいんだよね」

能代「確かに阿賀野姉ぇたちといると楽しいですけど」

能代「で、なんで兄や妹じゃなくて姉なんですか?」

提督「俺って姉萌えなんだよねぇ」

能代「姉萌え…能代、よくわかりません」

提督「よし!艦娘に俺のお姉ちゃんになってもらおう!」

能代「…え?」

提督「あ、おい瑞鶴!!」

瑞鶴「ん?提督さん?なーに?」

提督「俺のお姉ちゃんになってくれ!」

瑞鶴「はぁ!?」

提督「あ、ちょうどいい、日向も付き合って」

日向「なんだ?」

能代「提督は何をするおつもりですか?」


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―――――

ガチャ

瑞鶴「ただいまー、あー疲れた疲れた」

提督「お帰り」

瑞鶴「なんだ居たの」

提督「姉ちゃんこそ弓道は?」

瑞鶴「弓道部は今日は活動日じゃありませーん」

瑞鶴「プリンでも食べよーっと」

ガチャ

瑞鶴「…あれ?プリンがない」

提督「あぁ、俺食っちゃった」

瑞鶴「…はぁ!?なんで私のプリン勝手に食べるのよ!」

提督「めんご」

瑞鶴「めんごじゃないわよ!!弁償しなさいよ!!」

提督「え~…」

瑞鶴「おねえちゃんのプリン勝手に食べてただで済むと思ってんの!?絶対許さないから!!」

提督「うるさいなぁ」

瑞鶴「なんですってぇ!?勝手に食べたアンタが悪いんでしょうが!!」

能代「いまどきプリンで姉弟ケンカって…」

提督「能代」

能代「は、はい?」

提督「邪魔しないで」

能代「も…申し訳ありません…」

能代(なにこの状況)


その夜…

日向「アンタたち、さっさと風呂入ってきなさい」

瑞鶴「馬鹿弟、風呂入れだってさ」

提督「うーい」ピコピコ

瑞鶴「ゲームなんて後でできるでしょ、風呂入りなさい」

提督「姉ちゃんが先に入れよ」ピコピコ

瑞鶴「この後テレビでスイーツ特集あるの、それ見るからアンタ先入りなさい」

提督「プリンとかスイーツとか…そんなんばっかり食うから太るんだよ」

瑞鶴「…アンタねぇ、さっきから生意気なのよ!昼のプリンの件、見逃してやったんだから少しはお姉ちゃんの言うこと聞きなさいよ!」

提督「ちゃんと謝ったじゃん」

瑞鶴「お姉ちゃんの言うこと聞かないってことは反省してない証拠!」

提督「しつこいなぁコイツ」

瑞鶴「お姉ちゃんに向かってコイツって言ったな!!絶対許さないから!!」

日向「…アンタたち、風呂入れって言ったでしょ」

瑞鶴「お母さん!コイツ私の言うこと聞かないの!」

提督「俺は姉ちゃんの手下か何かか」

瑞鶴「ゲームしてないで風呂入れって言っただけでしょ!?」

提督「テレビ見てないで風呂入れよ]

瑞鶴「んぎぎぎぎぎぎ…生意気なガキ…」

日向「はぁ…お姉ちゃんも高校生なんだからもう少し大人になりなさいよ」

瑞鶴「えー!?なんで私だけ!」

提督「そーだそーだ、大人になれ」

日向「アンタは煽らないの」ゴチン

提督「痛てぇ」

瑞鶴「ほんっとむかつく!こんな弟いらない!優しいお姉ちゃんかお兄ちゃんが欲しかった!!」ドスドス

提督「またスネてどっか行っちゃったよ」

日向「…いいからアンタは風呂入りなさい」

提督「わかったよ…」

日向「…どうしてあの子たちはケンカばっかりするのかしら」


提督「…どうだ、能代」

能代「あ、終わったんですか?」

提督「俺は今、猛烈に幸せを感じている」

能代「瑞鶴さんとケンカしてただけじゃないですかぁ」

提督「そう!姉弟ケンカ!!一人っ子の憧れ!!」

能代「えー、ケンカに憧れるんですか?」

瑞鶴「提督さん…私お姉ちゃんっぽかったですか?」

提督「あぁ、最高だよ」

提督「日向もいいお母さんだ」

日向「そうか」

瑞鶴「よく加賀とケンカする瑞鶴のことだから、少しでもいうことを聞かない弟に対して必ず機嫌を悪くするはず」

瑞鶴「…否定できないかも」

提督「弟よりも偉くありたいという姉としてのプライドが根強いと思うんだよね」

提督「まさに私が姉ッ!…って感じ」

日向「よく本人を目の前にそこまで言えるな」

能代「まぁ…わかるような…わからないような」

瑞鶴「提督さん…私ってやっぱり正確に難ありですか…?」しゅん

提督「大丈夫だ瑞鶴」

提督「瑞鶴はプライドが高いだけじゃない」

提督「なかなか素直になれないけど、本当は心優しくて思いやりのある子」

提督「ここからが姉萌えの真骨頂」

能代「え、まだ続くんですか?」


瑞鶴「今日はアイツのせいで嫌な一日だったなぁ!」

瑞鶴「アイツ…ホントに生意気なんだから!」

瑞鶴「もう寝よ…」

コンコン

瑞鶴「ん?」

ガチャ

提督「ね、姉ちゃん」

瑞鶴「何しに来たのよアンタ!」

提督「今日はいろいろ悪かった…ごめん」

瑞鶴「えっ…」

提督「じゃ、おやすみ」

瑞鶴「ちょっ、ちょっと待ってよ!」

提督「なに?」

瑞鶴「私…まだ謝ってない…」

提督「いや別に…悪いの俺だし」

瑞鶴「ご…ごめんね?…お姉ちゃんすぐにムキになっちゃうから…」

提督「いつものお姉ちゃんじゃん」

瑞鶴「やっぱだめだなぁ私、なんでこんなに短気なんだろ」

瑞鶴「アンタのほうが大人ね、私見習わなくちゃ」

提督「そんなことねーけど…」

瑞鶴「…」

提督「…」

瑞鶴「…そ、そうだ!」

提督「ん?」

瑞鶴「ねぇ、今からコンビに行かない?アイスでもプリンでも奢ってあげる!」

提督「い…いきなりどうした」

瑞鶴「お詫びってわけでもないけど、ハーゲンダッツでも何でも奢ってあげるから!行こうよ!」

提督「いや…もう遅いし」

瑞鶴「いいから!お姉ちゃんに付き合いなさい!買ってあげるから!」

提督「おう…」

瑞鶴「外寒いから上着着てね、お母さんには…内緒ねっ!」


能代「…」

提督「…不器用な瑞鶴姉ぇ、最高だな」

瑞鶴「ほ、本当ですか?」

能代「それが提督の理想のお姉ちゃん…」

提督「まとめにいこうか」

能代「ま、まとめ!?」

提督「事の発端はケンカだな」

日向「プリンか」

提督「さっきも言ったけど、姉弟ケンカは一人っ子の憧れ」

提督「ケンカする相手がいないほど寂しいものはない」

能代「能代たちもたまにはケンカしますけど…楽しくないですよ」

提督「でも仲直りした後はどうだ?姉妹の仲が深まった感じはしないか?」

能代「…確かに、ケンカするほど仲がいいと言うのは本当かもしれませんね」

提督「そう!ケンカなんて姉と弟の仲を深める過程!目的は姉と仲良くなることにある!」

提督「だからほら、瑞鶴姉ぇもハーゲンダッツ奢ってくれるって言ってくれただろ?仲が深まった証拠だね」

能代「…台本があるんじゃないんですかソレ」

提督「ケンカして仲直りして、またケンカして仲直りして、こうして姉弟の絆が深まっていくわけよ」

提督「それ、一人っ子にとってすごく羨ましい」

提督「ケンカを経て、お姉ちゃんと仲良くなりたい」

能代「まぁ…そこは同意ですね」

瑞鶴「日向は姉妹ケンカする?」

日向「しないな、伊勢より私のほうが大人だから大体丸く収める」

瑞鶴「収まるんじゃなくて、収めるんだ…」


             ζ 
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       /         |    < カツオ、乙じゃ。 
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   ``ヽ(       び<  _  _  \ } ,.  - 、  {       '.      .i      '.    !: : : : : : :l. ヽ/: : : : : :っ 
          び<  __{ Υ ヽ-、 >'´     ヽ .     .::::;. '.     l     ‘,  .l: : : : : : :.l  ヽ/ : : |: : __|__O 
            r{ i  ト. Y i′        ' .   ::ゞ'  '.       l     /.、 l: : : : : : :.l   ヽ/: :|: : __|
             | i ヽ. Y ノ_{           ヽ、     '.     '.    /  ヽ.!: : : : : : :!     ヽ/レ(_ノ\ 
           ヽ-ヽ-ヽ〉┴-ヽ....     ...:    ` ニ´/⌒   l-‐'   ′   ', : : : : : l       ‘,:.:._|_ 
                       ゞー-- ...,,,___  / ./´ ヽ     } __,ィ        i: : : : : l      ', : : : レ-、 
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    {/      /  /        「`「`「У    ,  ´   `     -=、´          } ヽ.        l::::::/ 
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      \{                           / 
       \                          .   " 
         \                   .    ´ 
          \           _  -‐  ´ 
                ヽ ̄ ̄     \ 


提督「あと最大のポイントは、やっぱり瑞鶴の性格だな」

提督「普段は弟に対して口うるさくギャーギャー騒ぐ、ケンカなんて始めたらもう手が付けられないほど厄介だ」

瑞鶴「…」

提督「瑞鶴大丈夫だ、褒めてる最中だから」

日向「提督も容赦ないな」

提督「絶対に許さない!その言葉を発した瑞鶴姉ぇ、しかし俺が謝った途端どうなった?」

能代「…瑞鶴さんも素直に謝った?」

提督「そう!自分の非をしっかり認めて謝った!口をもごもごと動かしながらもしっかり『ごめん』と言ったのだ!」

提督「あのさっきまでボルテージMAXで怒ってた瑞鶴姉ぇがだ!!」

日向「提督の解説にも熱が入る」

提督「それどころかアイスまで買ってくれるという手の平を返しよう!いきなり弟に甘いお姉ちゃんとなったのだ!」

提督「『外は寒いから上着着てね』なんて気も使ってくれる!」

提督「さっきも言った通り、瑞鶴はなかなか素直になれないけど、本当は心優しくて思いやりのある子」

提督「そこにツンデレのような、ギャップ萌えを感じないか?」

能代「は、はぁ…」

瑞鶴「…なんか、すごく恥ずかしいんだけど」

提督「一癖あるけ瑞鶴姉ぇだけど自分の非をしっかり認めて仲直りに結び付ける、いいお姉ちゃんじゃあないか」

能代「そおですね…」

提督「結果!…瑞鶴は俺のお姉ちゃんになって欲しい!!」ドーン

能代「…」

日向「よかったな」

瑞鶴「喜んでいいの?コレ」

提督「協力ありがとう、瑞鶴、日向」

提督「瑞鶴、ナイスお姉ちゃん!」

瑞鶴「ど、どうも…」

提督「さて次のお姉ちゃん候補はと…」

能代「あ、続くんですねコレ」


           .;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 
          .;;;;彡彡ミミ;;; 
          .;;;;彡彡ミミ;;; 
          ;;;;彡彡ミミミ;;; 
          ;;;;彡彡ミミミ;;; 
          ;;;;;;彡彡ミミミ;;;;; 
         ;;;;彡ミ彡ミミミミ;;; 
        ;;;彡ミ彡;;人;;;ミ彡ミ;;; 
        ;;;彡ミ彡ノ ヽ;ミ彡ミ;;; 
        ;;;彡ミ;;;;ノ.人 ヽ;彡ミ;;; 
        ;;;彡ミ;;;ノ | ..| ;ヽ彡ミ;;; 
        ;;;彡ミ;;ノ .| | ヽ彡ミ;;; 
        ;;;彡ミ;ヽ |.・.| /彡ミ;;; 
        ;;;彡ミ;;ヽ|  .| /;;彡ミ;;; 
        .;;;;;;;ミ;;;ヽ|( )|./ミ彡;;;; 
         ..;;;彡;;;;ヽ| .|/;;;ミ;;; 
          ..;;;;.彡;|.|;;ミ;;;;;.... 

          ;;;;;彡;彡|;;ミミミ;;;; 
         ;;彡彡彡*ミミミミ;; 
          ;;;;彡彡ミミミ;;; 

           ;;彡彡ミミ;;; 

aaテスト失礼。
数レス借りたよ。


提督「次は誰がいいかな…」

提督「あ、夕張!ちょうどよかった!」

夕張「提督?なんでしょうか!」

提督「俺のお姉ちゃんになってくれ」

夕張「え?…えぇ〜〜〜!?」

能代「まぁ当然の反応ですね」

夕張「提督のお、お姉ちゃんですか?」

提督「実験的な感じで、実験とか好きでしょ?」

夕張「ま、まぁ…」

提督「そこにいるのは雷か?ちょっとキミも脇役で出演してくれ」

雷「ん?よくわかんないけど私を頼ってくれるのね!」

能代「夕張さんはどういうお姉さんになるんでしょうか…」


ーーーーー

提督「ん〜…うまくいかねぇなぁ」

提督「やっぱ難しいなぁ、俺には向いてないかも」

夕張「なにをやってるの?」

提督「あぁ、夕張姉ぇ」

夕張「あら、プラモデル作っているの?意外ねぇ」

提督「チャレンジしようと思って」

夕張「初っ端から戦艦長門って…難易度高いの選んだわね…」

提督「え?ダメ?」

夕張「流石に初心者には厳しいかもなぁ」

提督「…oh…高かったのに」

夕張「…しょうがないなぁ、お姉さんが手伝ってあげる!」

提督「まじで!?」




提督「夕張姉ぇ、ホント器用だよな」

夕張「好きだからねぇこういうの」

提督「うわ、すご!今どうやったの?」

夕張「慣れよ慣れ、経験の積み重ねなのよ」

提督「…そういえば昔、夕張姉ぇが段ボールとかで庭に俺の秘密基地作ってくれたよな」

提督「ちゃんと寝れるスペースもあって二階もあって…」

夕張「あー、作ったわねそういうのも」

夕張「あなたが喜んでくれるからどんどん気合入っちゃってね、かなり増築したなぁ…懐かしい」

提督「そんときから器用だったよな」

夕張「私は運動オンチだけど、こういうのは大得意だからね!」




提督「ほとんど夕張姉ぇにやってもらっちゃったよ…」

夕張「私も戦艦のプラモは久しぶりだからね、気合入っちゃった!」

提督「すげぇ…長門…完成度高いな」

夕張「コレは中級者向けかもね、初心者は農家シリーズとかから始めたらいいかも」

提督「の、農家…?」

夕張「てかあなたのプラモ、私が完成させちゃってごめんね」

提督「いいよ別に、おかげで完成度高いのが出来たから堂々と部屋に飾れるよ」

夕張「そう?なら良かった!」


後日、学校

雷「今日は体育ね!男子は何をやるのかしら?」

提督「サッカーかな」

雷「サッカー!?いいなぁ、女子なんて卓球なのよ?地味ぃ〜」

提督「えー、卓球楽しいじゃん」

雷「私は体を思い切り動かすのが好きなの!」

提督「まぁ、俺もサッカー好きだけど」

雷「卓球ってどうも難しいのよね…」

提督「ア”ッ」

雷「ん?どうしたの」

提督「体操着、忘れた…」

雷「あちゃあ…、今日の体育、ウチのクラスだけだから他のクラスからは借りられないわよ?」

提督「マジカヨ」

雷「反省文書いて見学かもね…」

提督「…いや!大丈夫だ!」

雷「え?何が?」



提督「夕張姉えええええ!」

夕張「どうしたの?急に呼び出して」

提督「夕張姉ぇ、今日体育あるよな?」

夕張「あるけど」

提督「何時間目!?」

夕張「二時間目…」

提督「よかった!俺、四時間目に体育あるんだけど体操着忘れちゃって…」

夕張「え〜?家を出る前にちゃんと確認しなきゃだめじゃないのよ、もぉ〜」

提督「ゴメン!なんで四時間目に体操着貸してくれ!」

夕張「私の…?…しょぉがないなぁ〜」

提督「ありがとう!恩にきる!それじゃまた後で!」

夕張「まったく…」

夕張「私、あの子に甘やかしすぎかな?」

※女子体操服はブルマではなく、男子と同じズボンです


提督「さぁどうだ」

能代「…あの、提督は何歳なんですか?」

提督「え?もうすぐ三十路だなぁ」

能代「…で、夕張さんの弟の提督は何歳なんですか?」

提督「俺も夕張姉ぇも中学生の設定」

能代「中学生!?流石に無理がありすぎるんじゃあ…」

提督「色んなお姉ちゃんがいれば弟もそれに合わせなければいけないのだよ!」

提督「あくまでも設定!俺の理想!!」

提督「俺の夢!!!妄想の世界!!!!」

能代「わ、わかりましたから!!わかりましたから!!」

提督「てか俺のことはどうでもいい!夕張姉ぇに注目しなさい!」

能代「は、はい!」

夕張「て、提督…私どうでしたか?」

提督「最・高」

雷「優しいお姉さんね!」

提督「そう!さっきの瑞鶴と違って最初から優しいお姉さん!」

提督「甘えたくなっちゃうよねぇ」

能代「ただ単純に優しいお姉さんって感じですけど」

提督「ただのお姉さんじゃない!夕張姉ぇだぞ!」

夕張「どゆことですか?」

雷「夕張さんならではの良さがあるってことじゃない?」

提督「そう!ここからが姉萌えの真骨頂!」

能代「出ました、真骨頂」


四時間目前

提督「夕張姉ぇ!体操着貸して!」

夕張「う、うん…」

提督「…」

提督「…あの、貸して?」

夕張「やっぱダメ!!!」

提督「ええ!?なんで!」

夕張「思ったより体育で汗かいちゃって…体操着すごく湿ってて…臭いの…」

提督「いや別に関係ないけど、どうせ俺も汗かくし」

夕張「関係なくないの!貸したくない!」

提督「夕張姉ぇ困るよー!大丈夫、気にしないから!」

夕張「やだもぉ!友達とかにも臭いって言われちゃうよ!?」

提督「大丈夫だよ、誰も気にしないって!」

夕張「私が気にするの!」

提督「貸してくれるって約束してくれたじゃん!体育に遅刻しちゃうよ!」

夕張「そ、そうだけど…」

提督「オリャア」バッ

夕張「あっ!ちょっとお!」

提督「借りてくぜー!」シュタタタ

夕張「あー…、やだぁーもぉ〜…」

夕張「絶対臭いって…」



提督「確かに結構濡れてんな…」

提督「…」くんくん

提督「ウボァ!くっせえ!…まぁ、いい匂いのする汗なんてないか…」

提督「これで体育できるし、とりあえず夕張姉ぇには感謝だな…」


体育終了後

雷「まさかお姉さんの体操着を借りるとはね…」

提督「おかげで助かったわぁ」

雷「もし私に弟がいたとしても、自分の汗まみれの服は貸せないなぁ…」

提督「なんで?」

雷「いや…普通に恥ずかしいわよ…自分の汗まみれの服を貸すなんて」

提督「女の子って大変ね」

雷「お姉さんにしっかり感謝しなさいよ?」

提督「ういうい」


給食準備中

ダダダダダダダダダダダダダダダ

ガラッ!

夕張「提督!!!」

雷「うわあびっくりした!!…司令官、お姉さんが来たわよ?」

提督「夕張姉ぇ、なに?」

夕張「ちょっと来て!」

提督「引っ張るなって」



夕張「臭くなかった!?ねぇ!臭くなかった!?」

提督「…」

提督「臭くなかったよ」

夕張「なんでちょっと間があったの!?臭かったんでしょ!」

夕張「やだもぉ最悪ー!!」

夕張「ちょっと!こっち寄って!」

提督「え?なに?」

夕張「…」くんくんくん

提督「おい!俺の臭い嗅ぐなって!」

夕張「やっぱり私の臭いがする…」

提督「んなのわかるわけないだろ!」

夕張「臭い消し使ってよ!!」

提督「俺シーブリーズ持ってないもん」

夕張「私のエイトフォー貸すから!」プシュー!!

提督「ぶふぇ、顔に噴射すんなって!!」

提督「でも…」

夕張「ん?」

提督「ありがとな」

夕張「うっ…」

夕張「…どいたしまして」ボソッ

雷「仲良いわね~、あの姉妹」


提督「どうだ」

能代「夕張さん」

夕張「は、はい!?」

能代「かぁいいですねぇ」にへら

夕張「え!?」

提督「おお能代!わかるのか!」

能代「これが…姉萌えですか…」

雷「こういう女の子がモテるの?」

提督「モテるとは違うのだよ」

雷「ふぅ~ん」

提督「さぁ、まとめにはいろう」

能代「解説お願いします!」

提督「まずプラモデルが得意なお姉ちゃんって魅力的だよね」

能代「確かに、プラモデルは男の子の趣味って感じがしますもんね!」

提督「しかも弟が小さいときに秘密基地作ってくれるっていいお姉ちゃんじゃないか…」

能代「自慢のお姉ちゃんですね!」

提督「手先が器用な分、運動オンチというアクセントもなかなかなの萌えポイントだよな」

雷「何言ってるかわからない…」

夕張「私も…」


提督「弟のために尽くす姉って普通に憧れるんだよね、どういう形であれね」

能代「愛されてるって感じしますもんね、それは弟も妹も同じですけど」

提督「こういうことをしてくれるお姉ちゃんにはいつか恩返ししたくなるんだよな」

提督「そして恩返しした後にありがとうなんて言われて、さらに嬉しい気持ちになるんだよなぁ」

提督「一人っ子には絶対に味わえない気持ちだ」

能代「姉妹がいて本当に良かったです」

夕張「私には絶対に味わえない気持ちかぁ…、私も一人っ子だから提督のお姉ちゃん役やれて楽しかったです」

雷「私にとって姉妹っていて当たり前だけど、幸せなことだったのね」

提督「そうだぞ、兄弟姉妹がいるなんて羨ましいよまったく!」

提督「…さぁ、夕張姉ぇの最大の萌えポイント、汗まみれの体操着だ!」

夕張「てか臭い嗅いでましたよね、めっちゃ恥ずかしいんですけど!」

提督「姉弟間での物の貸し借り!これも憧れる!」

能代「体操着の貸し借りまでしますかね…」

提督「小学校では見たけど中学では見なかったな…まあいい!」

提督「ポイントは運動オンチな夕張姉ぇの汗まみれ体操着!」

提督「最初は『しょうがないなぁ、貸してあげるか』みたいな流れだったけど」

提督「思った以上に汗をかいてしまった夕張姉ぇ!これを弟に貸さなくてはならないからさぁ大変!!」

能代「でもしょうがなくとりあえず弟のところに行く夕張姉ぇ」

雷「能代さんもノリノリね」

提督「そして夕張姉ぇはこう言い放つ、『やっぱり貸せない』と!」

提督「弟のために何でもしてあげた夕張姉ぇだが、これだけはできないと!」

提督「愛する弟の希望に応えられない夕張姉ぇの心情…そこに優しいお姉さんならではの姉萌えを感じないか!?」

能代「わかります!わかってきました!」

夕張「そういうものなの?」

雷「いや…私に聞かれても…」


提督「しかし体操着を奪われてしまう夕張姉ぇ、貸してあげると約束した以上取り返せない」

提督「走り去る弟、貸したことを後悔する夕張姉ぇ」

提督「やだもぉ〜…とか言って立ち尽くしてしまう…」

提督「…」

提督「ええなぁ」ご満悦

雷「なにその緩みきった顔!!」

能代「姉萌えを全身で感じているんですね!」

夕張「私は今どういう感情を持てばいいかわからないです…」

提督「夕張姉ぇ最高」

能代「喜んでいいんですよ!」

夕張「はぁ…」

雷「褒められてるのかわからないわよねコレ」

よく考えたら弟関係無かったわ
半年ROMってる

>>74
近所に住んでる優しいお姉ちゃんって最高じゃないか!

ええなぁ…(←一人っ子
>>1も一人っ子なのかい?

やはり一人っ子な人は兄弟や姉妹に憧れるものなのか…(←姉がいたがもう嫁に出て今はいない弟


提督「そして最後のやり取りよ!」

能代「夕張姉ぇさんが自分の臭いを弟さんに問い詰めるところですね!」

提督「てかまずお姉ちゃんが自分のクラスに尋ねに来るなんて…羨ましいことこの上ない!!」

提督「『あれお前の姉ちゃん?可愛いじゃん』なんて言われてみたい!」

雷「へー」

提督「そして『臭い』、『大丈夫』の言い合い!ケンカとはまた違ったエキサイトが良かったなぁ」

提督「なにを混乱したのか突然弟の身体のにおいを嗅ぎ出す夕張姉ぇ!そしてエイトフォーの噴射!」

提督「戯れが最高なんじゃ〜」

夕張「…私は恥ずかしいだけでしたけど」

提督「極め付けは」

提督「弟が何気なく言った感謝の言葉」

提督「それを聞いた夕張姉ぇ、戸惑いながらも」

能代「『…どいたしまして』」声マネ

提督「可愛いなぁ夕張姉ぇええええええええ」

能代「私も!私もあの『どいたしまして』にやられました!」

提督「しかも遠目で見る雷が『仲いいな』って!そう言われるのも憧れる!!」

提督「いやぁ…最高のひとときだったよ」

夕張「よ、よろこんでいただけたなら…幸いですけど」

提督「結果!…夕張は俺のお姉ちゃんになって欲しい!!」ドーン

雷「…なにそれ」

能代「決めゼリフみたいですね」

提督「協力ありがとう、夕張、雷」

提督「夕張、ナイスお姉ちゃん!」

夕張「は、はぁ…」

提督「さーって、次は誰にお姉ちゃんになってもらおうかな!」

能代「なんだか能代も楽しくなってきました!」

雷「なんだったのかしら…」

>>77
一人っ子です!!
両親が死ぬ気で頑張らない限り
二度と血の繋がった兄弟は出来ないでしょう!

>>78
こんなss書くくらいにがっつり憧れてます!

ところで最初からいる能代は秘書艦ってことだよな


摩耶「ん?」

天龍「提督と能代だ、何やってんだ?」

提督「お、摩耶かぁ…」

提督「よし、摩耶にお姉ちゃんになってもらおう!」

摩耶「は?何言ってんだお前」

能代「摩耶さんはどんなお姉さんになるんですかね!」わくわく

提督「天龍は脇役な、男役で頼む」

天龍「脇役!?男役!?どーゆーことだよ…」

姉2人いるけどいいことないよ。
あと、親が再婚してハーフの義理の妹いるけどラノベ展開nothing。

>>1…同士よ(握手)
こんな姉がいたらええよなぁ…ついでに俺らがパンツ脱ぐ展開ってある?

>>81
そうですね

>>83
隣の花は赤いものです
あなたの家の花は赤すぎます

>>84
(固い握手)
パンツ脱ぐ展開はない予定です


提督「漫画の『あたしンち』に憧れのシチュエーションがあったから、それを参考にする」

能代「ほぉ、どんなシチュエーションなんでしょうか!能代楽しみです!」

ーーーーー

提督「…風呂入るか」

ガラララ…

摩耶「うわ!お前!」素っ裸

提督「あぁ、姉貴いたのか…すまん」

摩耶「いいからさっさと出てけ!クソが!」

提督「へいへい」



摩耶「んぐっ、んぐっ」ゴクゴク

摩耶「ぷはぁーっ!風呂上がりの牛乳は最高だな!」

提督「…お前、ハダカ見られるの嫌なら俺の目の前でバスタオル一丁で出てくんなよ」

摩耶「んだよ、この格好で腰に手を当てて飲む牛乳の旨さを知らねーのか?」

提督「親父クセェ」

摩耶「それともなんだ?お前みたいな中学生のエロガキにはアタシのナイスバディは刺激が強すぎるってか?」

提督「うるせぇババァ早く服着ろ」

摩耶「」カチン

げしっ

提督「いて」

摩耶「お前みたいなヤツほど彼女が出来ないんだよなぁ〜、あーカワイソー」

提督「ホントうるせーヤツだな…」


ある日

天龍「遊びに来たぜ」

提督「おう」



天龍「今週のジャンプ買った?」

提督「あぁ」

天龍「読ませろ!」

提督「いいよ」

天龍「そーいえばマキシマムザホルモンのCD買ったんだよ!BGMに流していいよな!」

提督「…ヘビメタってやかましくてあんまり…」

天龍「なんだぁ?音楽の域を超えたアツい究極のビートが雑音にしか聴こえないなんて…、お前は残念な耳を持ったな」

提督「ひでぇ言われようだな」

ガチャ

摩耶『ただいまー』

天龍「…ん?誰?女の子?」

提督「俺の姉貴」

天龍「お前、ねーちゃんいたのかよ!なんで言わねーんだ!」

提督「なんで言う必要があるんだよ…」

天龍「いくつ!?ねーちゃんいくつ!?」

提督「何歳だっけ…今高2かな」

天龍「高2ィ!?食べごろじゃねーかよオイ!!」

摩耶(ん!?)ビクッ

提督「何言ってんだお前…」

摩耶(あぁ、提督のヤツ、友達呼んでるのか)

天龍「いいなぁーねーちゃん、俺も欲しいわー、俺は男兄弟しかいねーから」

提督「いらねーよ姉貴なんて」

摩耶(アタシの話をしてんのか…?)聞き耳

天龍「おっぱいデカいか?」

提督「しらねーよっ!」

天龍「見たことねーのか?」

提督「見たことなくは…ないけど…」

天龍「ねーちゃんのおっぱい見たことあんのかよお前!羨ましいなあ!!」

提督「声デケェよ、…好きで見てるわけじゃねーし」

天龍「じゃあねーちゃんが見せてくるってこと?嫌でもねーちゃんのハダカが視界に入るってこと!?」

提督「………」

摩耶(ホント中学生ってガキばっかだな!!それしか脳がねーのか!!)


提督「第一、姉貴のハダカなんて見たって興奮しねーよ」

天龍「は?女子高生のハダカだぞ?」

提督「そーだよ」

天龍「お前は電車に乗ってる可愛い女子高生がいきなり制服を脱ぎだしたら興奮するだろ?」

提督「はぁ!?」

提督「…まぁ」

天龍「その女子高生とねーちゃんの女子高生は何が違うんだよ」

提督「…あのなぁ」

提督「根本的な問題よ」

天龍「こんぽん?」

提督「血のつながりってのは影響がデカいの」

提督「お前はカーチャンのハダカを見て興奮するか?」

天龍「俺のカーチャンはもうすぐ50のババァだぜ?女子高生とはわけが違うだろ!」

提督「うーん…」

摩耶(うーん…)

提督「ともかく俺の姉貴はそんな魅力的じゃねーんだよ」

天龍「と言うと?」

提督「ブスだし」

提督「屁はくせーし」

提督「ハナクソほじって」

摩耶(はぁ!?)

提督「しかもソレを食うんだぜ?」

摩耶(ダレがそんなことしたんだよおおお!!??)ぐぎぎぎぎ

天龍「はっはっは、見てみてぇなお前のねーちゃん!」

提督「やめとけよ、ハナクソ投げつけてくるぜ〜」

かちゃ

摩耶「て、い、と、く」ユラァ

提督「ゲェ!?姉貴!?」

摩耶「テメェ…あとで覚えとけよ?」ぐいっ

提督「いででででで髪の毛引っ張らないで!!」

天龍(これが提督のねーちゃん…)


能代「…すっごい生々しい会話でしたね」

提督「ほとんど漫画の内容丸パクリだけどね」

能代「コレが提督のやってみたかったシチュエーションですか?あんまり楽しそうではなかったですけど…」

摩耶「もしかしてアタシのハダカを見たかっただけか?」

提督「違う、いや、それもあるけど」

天龍「あるんかい」

提督「一人っ子が死ぬまでに一度は言ってみたいセリフ」

提督「姉ちゃんのハダカ見たって興奮しないよ」

提督「今回はコレが極めて重要」

能代「長男として生まれた以上、死んでも言えないセリフですね」


提督「一度は言ってみたいセリフであり」

提督「言われたらムカッとするセリフでもある」

提督「なんか哲学的」

能代「なんでムカッとするんですか?」

提督「だってお姉ちゃんのハダカを見ても興奮しないなんておかしいじゃん」

提督「腐っても女体だよ?」

摩耶「全国のお姉ちゃんいる奴からしたら、お前の方がおかしいって言われると思うけど」

提督「しょうがないじゃん!一人っ子なんだから!血の繋がったお姉ちゃんなんて一生手に入らないんだから!」

提督「なんでお姉ちゃんで興奮しないの!?血が繋がってるから?自分と似てるから?同じお母さんの穴から出てきたから?僕わかんない!!」

提督「一人っ子には一生理解できない」

提督「だから一人っ子は追い求めるのさ」

提督「姉という存在を」

天龍「何言ってんだコイツ」

提督「さぁ、まとめにはいろっか」

能代「え?姉萌えの真骨頂はないんですか?」

提督「今回は姉萌えメインではないからな」

能代「えー…、摩耶さんで萌えたかったのに…」

摩耶(何言ってんだ能代…)



提督「始まりは摩耶姉ぇのハダカを見ちゃったところだな」

能代「提督はお姉ちゃんのハダカを見たいだけなんですか?」

提督「違う!決して俺はお姉ちゃんとエッチな事がしたいわけじゃない!」

摩耶「じゃあなんだよ」

提督「何気ない日常の中で、微量のスパイスほどのエロハプニングが欲しいだけさ」

天龍「それを求めてどうするんだ?」

提督「友人との会話で何気なく話すのさ」

提督「そして羨ましがられたい」

摩耶「儚い夢だな…」

能代「結局、エッチなこと求めてるだけじゃないですかぁ」

天龍「能代が怒ってるぞ」

提督「な、なんで?」

能代「真の姉萌え道を教えてくれたのは提督なのに…結局はエッチなのが好きなんですね…」

提督「いや、違う!俺は姉がいる事が羨ましがられたいだけで!」

能代「それはお姉ちゃんを自分のステータスとして利用してるだけじゃないですか」

提督「ぐ……」

天龍「なにこれ」

摩耶「しらねぇ…」

提督「俺は…なんてことを…」

提督「…」

提督「すまなかった!能代!俺が間違っていた!!」バッ

摩耶「えええ土下座!?」

提督「俺は間違っていた…なにが羨ましがられたいだ…」

提督「こんなこと瑞鶴姉ぇや夕張姉ぇに知られたら絶対ガッカリされる…」

提督「お姉ちゃんが欲しかっただけなのに俺は…」

能代「姉萌えを語る提督はとても輝いていたのに…今は…」

提督「…」

摩耶「…あの、もう行ってもいい?」

提督「あぁ…付き合ってくれてありがとな、摩耶、天龍」

摩耶「…はぁ」

摩耶「またアタシでよければお前のおねーちゃんになってやるから、元気出せよ、な?」ポン

提督「っ!?摩耶…」

天龍「なんか楽しそうだし俺がねーちゃんになってやってもいいぜ?イジメるけどな!」

提督「天龍…」

摩耶「じゃーな!」すたすた

提督「男勝りで強気なお姉ちゃん…そしてスッと清涼感のある優しさ…」

提督「これこそ…姉萌え…!」

能代「濁ってた提督の目に輝きが…!能代、コレを待ってました!!」


多摩「にゃあ」

提督「ネコがいる」

能代「ネコがいますね」

提督「よし、多摩にお姉ちゃんになってもらおう」

能代「多摩さんにですか…?どんなお姉ちゃんになるのか想像つかないなぁ」

提督「脇役は適当に捕まえてくる」

能代「輝きを取り戻した提督、期待してますよ!」

―――――

赤城「多摩、提督、ご飯出来たわよー」

多摩「わーい、ご飯だにゃ!」

提督「…」

多摩「にゃにゃ!?コタツがあるにゃ!」

赤城「寒くなってきたからね」

多摩「わー、ターマはコタツで丸くなる~、にゃん」ごろにゃん

赤城「こら、ご飯の時間よ?丸くなるのは後にしなさい」

多摩「はいにゃー」

提督「ちょ…母さんご飯盛りすぎ、俺こんなに食えないよ」

赤城「育ちざかりの男の子なんだから、そのくらい食べなさい」

提督「えー…」

多摩「焼き魚もあるにゃ、大好きにゃ~」

提督「…」

多摩「うまいにゃ」

提督「あの、タマ姉」

多摩「なんにゃ」

提督「その喋り方やめてくんない?」

多摩「喋り方?なんにことにゃ」

提督「その『~にゃ』だよ!」

多摩「なんでにゃ」


提督「学校でもその喋り方なんでしょ?友達からいじられるんだよ!お前のねーちゃん面白いなって」

赤城「エ、あなた中学校でもにゃーにゃー言ってるの?」

多摩「そうにゃ、なかなか受けがいいにゃ」

多摩「多摩ちゃんカワイイってみんな言ってくれるにゃ」

提督「いやいや!馬鹿にされてるってそれ!」

赤城「学校ではやめたほうがいいとお母さん思うの…」

多摩「いやにゃ」

提督「頼むそのキャラだけはやめてくれ!」

多摩「なんでにゃ」

提督「だから学校でいじられるんだって!」

多摩「多摩も有名人…いや、有名猫だにゃあ」

多摩「みんなに愛される存在に多摩はなるにゃ~」

提督「ああもう最悪!」

赤城「まぁ、一週間もしたら飽きるでしょう」

提督「えー母さん、やめさせてよ…」

多摩「はぐはぐ」

提督「おい箸使えよ!なに犬食いしてんだよ!」

多摩「犬食いじゃないにゃ、猫食いにゃ」

赤城「行儀が悪い!」

ゴチン

多摩「い”に”ゃ”!?」

多摩「ごめんなさいにゃ…」

提督「その、『にゃ』もやめろって…」


能代「…」

能代「…提督、姉萌えポイントの解説を」

提督「ないよ」

能代「えぇ!?ないんですか!?」

提督「だってないじゃん、痛々しいだけで」

能代「確かに痛々しいだけでした…もう多摩さん将来が心配ですよ!」

能代「痛々しくて心が苦しいですよ!私は心がぴょんぴょんする姉萌えを感じたいんです!」

提督「そう、今は痛々しいが」

提督「それは時間が経てば最高の姉萌えとなる」

能代「え?どういうことですか?」

多摩「なんか馬鹿にされてる気分にゃ」

能代「馬鹿にされてますよ」

提督「ここからが姉萌えの真骨頂だ…」


数年後…

多摩「…はぁ、私も明日から大学生か…」はぁ

提督「なんでため息ついてるの?」

多摩「不安なのー、新生活の始まりって怖いなぁ」

赤城「多摩なら大丈夫よ、ハイ、多摩の好きな焼き魚!」

多摩「わー、ありがとう」

提督「何が不安なのさ」

多摩「やっぱり、友達ができるかどうか…」

提督「友達なんてそのうちできるでしょ」

多摩「わからないよ?どうする?私がトイレで一人でお弁当食べてたら」

赤城「そんな悲しいこと言わないの」

多摩「だって~」

提督「アレやればいいじゃん」

多摩「ん?アレって何?」

提督「アレだよアレ、なぁ母さん」

赤城「え?…あぁ、アレね~」


多摩「なによ、もったいぶらないで教えてよ」

提督「しょうがにゃいにゃあ」

多摩「!?」ビックゥ

赤城「結構長い間やってたけど、いつの間にかうやめてたわよね」

多摩「それだけはやめてっ!!中学時代の黒歴史なの!!」

提督「それやれば大学でもすぐに人気者になれるよ」

多摩「ヤダヤダ!ホントにやだ!!!!」

提督「なんでにゃ」

多摩「コラ提督!怒るよ!!」

提督「こわいにゃ~」

多摩「もう!バカバカ!」ボカスカ

提督「わー、猫パンチをくらった!」

多摩「もういやだああああああ」

赤城「そういえばこの前、中学の同窓会行ったんでしょ?」

提督「どうだった?」

多摩「うぅ…想像通りだよ…」

多摩「友達にネコやめたの?って言われるし」

多摩「男子にはネコじゃらしであやされるし」

多摩「先生には『正直接しにくかった』って言われるし…」

多摩「もう…死にたかった…」

提督「ははははははははははははははは」

多摩「タイムマシンがあったら中学生の私にネコキャラをやめさせるよう説得したい…」

提督「無理だよ!!どんだけ俺がやめさせようとしたか一番知ってるのタマ姉だろ!!??」

多摩「ううううううぅ~………」

提督「はぐはぐ」

赤城「コラ!犬食いやめなさい!」

提督「犬食いじゃないにゃ、猫食いにゃ」

赤城「ブフッ」

多摩「母さんまで笑わないでよぉ!!!!」

多摩「もうこの町から消えたいいいいいい」ジタバタ

赤城「ご飯中に座布団に顔うずめないの」

提督「これは滑稽ですねぇ」


能代「…」

能代「なるほど…イタくても時間が経てば姉萌えになる…」

能代「こういうことだったんですね!!」

提督「わかっていただけたかな?」

能代「自分の黒歴史に苦しめられる多摩さん…」

能代「萌"え"で"す"!!!」

能代「中学時代、ネコキャラにハマってお母さんと弟を悩ませ続けた多摩姉さん!」

能代「数年後、そこにあるのはかつてのネコキャラでお母さんと弟にいじられる多摩姉さんの姿!!」

能代「数年の時間が生んだ姉萌えがココにありなんですね!!」

提督「俺の言いたいこと全部言ってくれるね」

能代「座布団に顔突っ込んでバタバタさせる多摩姉さんなんてもう…可愛い!!」

提督「やっぱりギャップって最高だよね、『にゃ』を言わなくなった多摩ですらそのギャップに萌えるわ」

多摩「…この喋り方やめたほうがいいの?」

提督「いや、やめなくていい」

能代「あくまでも『多摩姉さん』の話ですから」

多摩「多摩も北上と大井とキソーのお姉ちゃんだにゃ」

提督「別に大丈夫だよ、この鎮守府にはポイとかクマとかカモとかピョンとか色々いるから」

提督「鎮守府にいる間はその喋り方で問題ないよ」

能代「社会に出たらなおさなきゃですね」

多摩「萌えを感じるってのは、別に本人に対する褒め言葉じゃなにのにゃ」

能代「うーん…」

提督「褒め言葉には聞こえないかもしれないけど、その人のことが愛おしいってことだから」

多摩「…」

多摩「それならいいにゃ」

能代「うまく切り抜けられましたね」

提督「余計なこと言うな、結果!…多摩には俺のお姉ちゃんになって欲しい!!」ドーン

提督「多摩、ナイスお姉ちゃん!」

多摩「んにゃ」

能代「時間の経過が作る究極の姉萌え…素晴らしいです!」ウットリ


提督「今までは瑞鶴、夕張、摩耶、多摩とあまりお姉ちゃんの印象がない子たちを選んで、姉萌えを掘り出していたけど」

提督「今度は彼女をお姉ちゃんにしてみようか」

能代「誰ですか??」

提督「『狼』さ…」

能代「まさかあの方ですか!?」

能代「能代、とても楽しみです!!」

提督「俺もすごい楽しみ、行ってみよう」

能代「レッツ、姉萌え!!!!」

提督「何それ」

ーーーーー

ガチャ

提督「ただいまー」

提督「って、誰もいねーか…」

提督「あー疲れた」

ピッ

提督「…テレビもつまんねーな」

提督「明日休みだしダルいし、こんまま寝ちゃおっかな」ゴロン

提督「んだよクソ部長が…ミスを俺に押し付けやがって…」

提督「会社やめてぇな…」

ピンポーン

提督「ん?誰だこんな時間に」

ピンポーンピンポーンピンポンピンポンピポピポピポピポ

提督「うるせぇなもう、今出るよ」

ガチャ

足柄「提督ー!おひさ・」

提督「姉貴!?なんでここに!?」

足柄「会社の飲み会がアンタの最寄駅の近くだったからね、ついでに遊びに来たのよ!」

提督「うっぷ、酒くさ…」

足柄「ほら、コンビニで酒とツマミ買ってきたから!久しぶりに二人で飲みましょ!アンタ明日休みでしょ?宅飲み宅飲み〜」

提督「いや俺今から寝ようと」

足柄「お姉ちゃんに付き合いなさいー!!」

提督「わかった!わかったから抱きつくな!!」




足柄「ぷっはぁぁぁああああっ!!!」

足柄「お酒を作った人は本当に偉大ね!」

足柄「ほら、アンタも飲みなさい!」

提督「お、おう」

足柄「何よ、元気ないじゃない」

足柄「久しぶりに足柄姉さんが遊びに来たのにシテけるわねー」

提督「いや、姉貴のテンションについていけないだけだよ」

足柄「じゃあ飲みなさい!明日も休みなんだし酔っちゃえ酔っちゃえ!」

提督「…」

提督「んぐっ」グイっ

足柄「あら、いい飲みっぷり!ビーフジャーキーあるわよ」

提督「…」ばくばく

足柄「食え食え〜」



足柄「何か嫌なことでもあったの?」

提督「いや…」

足柄「彼女に振られたとか」

提督「最初からいねーよ」

足柄「仕事で失敗しちゃったとか」

提督「…」

足柄「あー、仕事関係ね」

提督「俺は悪くねーもん」

足柄「何があったの?」

提督「部長の奴が自分のミスを俺に押し付けやがったんだぞ!」

提督「真面目にやってる俺がなんであんな目に合わなきゃならないんだ!」

提督「あんなクソがいる会社なんかやめてやる!!」

ぎゅううう

提督「ん!?」

足柄「はーい、一回落ち着きましょうね〜」

提督「ちょ、苦しいって!」

足柄「大丈夫よ〜」

提督「…」

提督(姉貴、あったかいな…)


足柄「私もね、会社に入社して1年くらいかな」

足柄「ずっと上司にセクハラを受けてたの」

提督「え!?姉貴が!?」

足柄「お尻触られたり、まだ処女か?って一週間おきに聞かれたりね」

足柄「私がやめてくださいって言うと『俺はお前をどうすることもできる、クビにだってな』って、脅されたものよ」

提督「…オイ、そいつ誰だ、ぶっ殺してやる」

足柄「あら、私のために?嬉しいわね」

足柄「でも今は大丈夫よ」

足柄「セクハラに耐え続けながらも私は真面目に働いたわ」

足柄「そして私の頑張りを見ていてくれていた人たちがいた」

足柄「私が評価されて、セクハラ上司が吊し上げられる日が来たのよ」

足柄「今や私が上司よりずっと上の立場よ!年収だってそれなりにいいんだから!」

提督「あ、姉貴…」

提督「頑張ったんだな…」ぐすり

足柄「なんでアンタが泣くのよ!」

提督「昔からチョッカイばっかりだしてくる姉貴が本当に大人になったんだなって…」ホロリ

足柄「何よそれ、褒めてるの?」

提督「うん」

足柄「ならいっか」

足柄「アンタも!真面目に働いているなら続けなさい!見てくれている人が必ずいるから!!」

足柄「諦めたらそこで試合終了よ!!!」

提督「…そうだな、ありがとう姉貴」

足柄「私の自慢の弟よ、絶対大丈夫」なでなで

提督「ちょ、それは流石に恥ずかしいって…」

足柄「なぁに照れてんのよっ」


足柄「…で、彼女は出来そうにないの?」

提督「…余計なお世話です」

足柄「だからこんなの使ってるのね」

提督「ちょっ!?お前どうやって見つけた!?」

足柄「これテンガってヤツでしょ?気持ちいいの?」

提督「いいから返せって!!!」

足柄「くんくん…ちゃんと洗ってる?」

提督「お"い"!!におい嗅ぐなやめろ!!まだ未使用だ!!!」

足柄「アンタも男のコねー、おっさんになる前に恋しときなさいよ?」

提督「姉貴こそ!そんなんばっかやってるからいつまでも独り身なんだよ!!」

足柄「ほら」

提督「ん?スマホ?…この写メの姉貴と写ってるイケメンは誰?」

足柄「私のカレシよ」

提督「…」

提督「…」

提督「…」

提督「日本語で頼む」

足柄「日本語です」

提督「マジで!?姉貴のカレシ!?」

足柄「別の会社のヒトなんだけど、運命の出会いって本当にあるのね…」

足柄「カレは誠実で何事も一生懸命で…カレに見合う女になるのは大変だわ」

足柄「でも気付いたら付き合い始めてもう3年…お互いしっかり支えていこうって決めてね」

足柄「近々お父さんとお母さんに挨拶に行こうと思ってるの、結婚するためにね」

提督「…」ガシッ

足柄「え?握手?」

提督「マジでおめでとう」ダラダラ

足柄「え!?なに号泣してんのよ!?」

提督「うれじぐで…なんかわかんないけどうれじぐで…!」

提督「姉貴…!幸せになれよお!!」

足柄「う、うん」

足柄(意地悪したつもりが応援されてしまったわ…)←照れてる


足柄「お風呂借りていいかしら?」

提督「別にいいけど…男モンのシャンプーしかないよ?」

足柄「大丈夫よ、コンビニでちっちゃいメリット買ってきたから!」

提督「用意周到ね…」

足柄「私でも着れそうなジャージかなんかある?」

提督「てかお前泊まる気かよ」

足柄「いいじゃないのよ別に、久しぶりに一緒の布団に入る?」

提督「お風呂入ってきなさい」

足柄「はーい」



足柄「ふぅ、サッパリ」

足柄「これアンタの高校のジャージよね、変な色」

提督「マジでそのジャージ嫌いだったわ…まぁ誰にも見られないから家で着るわけで…」

足柄「アンタも入ってくれば?」

提督「うい」



提督「ふぃ、さっぱり」

足柄「すぅ…すぅ…」

提督「寝てやがる…」

提督「…ったく、風邪ひくぞ」毛布ファッサァ

提督「…」

提督「姉貴は昔から元気がよくて、スポーツでは負けず嫌いで…」

提督「俺によくチョッカイ出してきたヤンチャムスメだったけど」

提督「…大人になったんだなぁ」

提督「クソ上司のセクハラにも耐え続けて、仕事も恋愛も成功して…」

提督「会社辞めてやるとか思って逃げ出そうとしている俺とは大違いだな…」

提督「俺も…姉貴みたいになれるかな」

足柄「…」

足柄(…提督ならできるわ、だって私の弟だものね)


能代「…」

能代「…ぐすっ」

足柄「の、能代?なんで泣いているの?」

能代「足柄さんは女性の、お姉ちゃんの鏡です!!」

能代「セクハラにも耐えて頑張って働き続けて掴み取った幸せ…」

能代「素晴らしいです!!!」

足柄「いや…演技…」

提督「頑張る女性ってやっぱり美しいよな、男とは全然違う魅力がある」

提督「そんな女性の弟なんて誇らしい」

能代「今回の物語は設定が深いですね…足柄お姉さんの人物がしっかり伺えました」

提督「そうだろ?昔はヤンチャ娘、今はキャリアウーマン」

提督「いつの間にかお互いに酒が飲める歳になって、お互いに知らない自分たちを晒していく…」

提督「兄弟の時の流れって深みがあると思うんだ、…と一人っ子の俺は思う」

能代「能代も!能代もそう思います!」

提督「さぁ、ここからが姉萌えの真骨頂だ…」

能代「足柄お姉さんはどんなテクニックで能代を萌えさせてくれるんですか!?」

足柄「…この子大丈夫?」


翌朝

ピピピピ…ピピピピ…

提督「ん、んああ…」

提督「あり、俺いつの間にか寝てた…」

提督「…目覚ましなんか設定したっけか」

提督「お、すげえ美味そうなホットケーキがある!」

提督「ねぇ、これ姉貴が作ったの?」

提督「あれ?姉貴?」

提督「いないの?」

提督「ん?置き手紙?」

『私の愛する弟へ

私は今日も仕事だからお先においとまするね。

朝ごはんに足柄姉さん特性ホットケーキを作ったから、目覚ましで起きたらすぐに食べてね!

仕事もアンタなら大丈夫!乗り越えられるわよ!

ツライことがあったらお酒を持って私のところに来なさい!!

…足柄お姉様より』

提督「あ、姉貴…」

提督「俺…頑張るよ…!」

提督「ん、何コレ、ホットケーキスッゲェうまい」

提督「…てかあんだけ酒飲んで今日も仕事とか…すげえなアイツ」


能代「…イイ、イイ!!」

能代「今回は萌えというか、足柄さんの純粋な優しさを感じられました!!」

提督「流石足柄と言ったところだな」

能代「仕事で嫌な思いをした提督は一人暮らしのアパートに帰宅、家と会社を往復するだけの生活に嫌気がさしたときに天使は舞い降りた!!」

能代「今までの嫌なことなんかどうでもよくなるくらいに絡んでくる酔っ払った足柄姉さん!」

提督「いやぁ、一人暮らしの空間って寂しいけど、あまり他人に入られたくない」

提督「しかしこんな姉なら安心して入れられると思うんだ」

能代「心を許してる家族ですもんね!この突然の訪問は嬉しいですよ!!」

提督「グチを話すとしっかり聞いてくれる…そして足柄姉貴も語り始めるのさ」

能代「セクハラに耐えながらも仕事を頑張ったって話ですよね!まさか足柄姉さんがこんな苦労をしていたなんて!」

能代「それを聞いて俺も頑張ると誓う提督、その頭をくしゃくしゃと撫でる足柄姉さん…」

能代「素晴らしい姉弟愛が溢れ出てますねぇ…」

提督「あれは恥ずかしいけど気持ちよかった」

能代「いいなあ!!!羨ましいです!!!」

足柄「能代、あなたちょっとうるさいわよ…」


提督「てか単純にシチュエーションに憧れるよ、姉弟でお酒飲んで普段言えないことを相談し合うって」

提督「親にも話せないことでも話せたりできるじゃん」

能代「なるほど…」

提督「男として異性に励まされると結構力になるんだけどさ、一人っ子だと友人の女の子を誘うしかないじゃん」

提督「んで、女の子を宅飲みに誘うとイヤラシイ気持ちがあるなって100パーセント疑われるじゃん」

能代「あ〜」

提督「友達でもいるんだよ、お姉ちゃんと一晩中お酒飲んで恋話とかするヤツが」

提督「羨ましくて死にそう」

能代「一人っ子はなんでも憧れちゃうんですね」

提督「悲しい生き物なのよ、一人っ子って」


提督「さて、話を足柄姉貴に戻そうか」

能代「提督が会社なんて辞めてやるって言ったときの、足柄姉さんのハグ…姉力半端ないですよね!!」

足柄「あ、あねりょく?」

提督「あれは暖かい…母に似た抱擁力があったな…」

能代「あんなことされたら怒りもすぐに収まりますね」

提督「あぁ…母ちゃんに会いてぇな…」

能代「お姉ちゃんだけに集中して下さい」

提督「ご、ごめん…」

足柄「能代どうしたのよアナタ…」


能代「能代的に一番姉萌えポイントが高かったのがホットケーキに添えられた置き手紙ですね!」

提督「あぁ、あれは良かった」

提督「朝起きたら足柄姉貴はいなくなっていて」

提督「そこにあったのは出来立てのホットケーキと可愛い文字で書かれた置き手紙」

能代「ふわふわのホットケーキにバターを乗せればトロッと溶けてゆき、ハチミツをかければ甘く優しい香りを放つ…」

能代「寝起きのホットケーキ作りも手を抜かず、最高の一品を生み出す足柄姉さんは流石です!」

提督「しかも弟の為だからね、嬉しいもんだよ」

能代「そしてこの手紙ですよ!」

能代「このスマートフォン時代!メールやLINEで済まさず、手書きの手紙でメッセージを伝える!姉力高すぎですよぉ」

能代「まず『私の愛する弟へ』という書き出し!冗談交じりの一文なんでしょうけど、姉弟間でのこういうジョークもなかなか楽しいものですよね!」

提督「あぁ」

能代「そしてびっくりすることに、足柄姉さんは今日も朝から仕事!昨日散々飲んだのに翌日もバリバリ仕事できるなんて、やっぱりデキル女性はちがいますね!!」

能代「普通は明日仕事だからまっすぐ帰ると思うんですけど、よっぽど提督に会いたかったんですね!いいお姉さんですねぇ〜…」

提督「そうだな」

能代「次の一文、『足柄姉さん特性ホットケーキ』!!」

能代「まず、自分のことを姉さん付けで呼ぶお姉さんってキュンと来ません?」

提督「わかる」

能代「でしょう!?」

能代「そして特性ホットケーキ!この特性が重要ですよね!提督のためだけに作られたホットケーキだから特性なんですもんね!!」

提督「ええなぁ」

能代「さらに『仕事もアンタなら大丈夫!乗り越えられるわよ! 』…これ!!」

能代「優しく添えられたこの足柄姉さんからのエール!この何気ない一言が救われるんですよねぇ…」

能代「極め付けに最後のこの一言!!『ツライことがあったらお酒を持って私のところに来なさい!! 』…このお酒を持ってってところが良いアクセントですよね!!!」

能代「とても安心感がありますよね…もう、涙が出てきちゃいそう…」

能代「そして足柄お姉様より…で締めくくられる…」

能代「もう…なんていうか…」

能代「能代、足柄お姉様に一生ついていきます!!!!!」

提督「…」

足柄「…」

提督「能代が言いたいこと全部言ってくれた」

足柄「提督!能代にどんなヘンなこと教えたの!?ねぇ!!」


能代「結果!足柄さんには私のお姉さんになって欲しい!!!」ドーン

能代「足柄さん、ナイスお姉さん!!」

提督「俺のセリフだよそれ」

足柄「…」



能代「さて、次はどんな方がお姉さんになるんでしょうか!!能代、とてもウキウキです!!」

提督「次は…帰国子女のお姉ちゃんなんてどうだ?」

能代「帰国子女!!!もうあの方しかいませんね!!!」

提督「その前に能代」

能代「はい!!」

提督「お前、演習行ってこい」

能代「………」

能代「え?」

提督「俺の役目全部奪っちゃうんだもん」

能代「…」

提督「お姉ちゃんは独り占めするに限るしな」

能代「て…」

能代「提督の馬鹿ああああ!姉萌えの素晴らしさを教えてくれたのは提督なのにいいいいい!!!」

提督「…よし、どっか行った」

提督「金剛を呼ぼう」

揚げ足取りみたいでちょっと申し訳ないけど
特性じゃなくて特「製」じゃない?

>>181
あ…
恥ずかC


ーーーーー

金剛「てーいーとーくー!!会いたかったデース!!!」

提督「うわ!!金剛さん!抱きつかないで!!」

金剛「もー、違うでしょー?金剛サンじゃなくて、金剛お姉ちゃん!デショ!」

提督「…」



金剛さんはイギリスから来た正真正銘血の繋がった姉

両親はイギリスに住んでいたが、母が金剛さんと俺を産んだあと、日本に構える会社の社長業に復帰するため日本に俺を連れて帰った

金剛さんはイギリスに会社を持つ父とイギリスで暮らしていた

両親が社長、そして姉弟は生き別れと少し特殊な家庭だった

そんなイギリス生まれイギリス育ちの金剛さんが日本に興味を持ったらしく、日本語を猛勉強して俺の通う高校に編入することに決定

そして日本の我が家で一緒に暮らすことに…

初対面同然の金剛さんの来日、突然血の繋がった姉が来るということで俺はどう接していいかわからなかった


金剛「こんな可愛い弟がいたなんて、ワタシはとても嬉しいデース!!」

提督「可愛いなんて年じゃないでしょう」

金剛「ワタシはずっと提督に会いたかったデスよ?そのために日本語も頑張ったデス!」

提督「父さんも母さんも日本人なのに」

金剛「パパはイギリスではEnglishしか話さなかったデス!日本語はあまり教えてもらえませんデシタ!」

提督「まぁ…父さんも忙しいだろうしな…」

金剛「提督はワタシに会いたかったデスか?」

提督「まぁ…金剛さんがどんな人かは気になったけど…」

金剛「NO!!金剛サンじゃなくて!金剛お姉ちゃんネー!!」

提督「わかった!わかったよ金剛さん!」

金剛「わかってないじゃないデスかー!!!…提督はワタシのこと、お姉ちゃんと認めないデスか…?」

提督「…」

認めないというか…姉として意識できないというか…


提督「…さぁ、宿題でもするか」

金剛「提督ー!!」

提督「な、なに?」

金剛「お姉ちゃんらしく、勉強教えてあげるネ」

提督「…それは、ありがたいけど」

金剛「なに教えて欲しいの?」

提督「古典」

金剛「………」

提督「………」

金剛「Englishを教えてあげるネ」

提督「英語の宿題はないです」

金剛「OMG」


提督「風呂入ってくるね、金剛…お姉ちゃん」

金剛「わかったデース!」

金剛「…ハ!お姉ちゃんらしいコトするチャンス!」



かぽーん

提督「お姉ちゃん、か」

提督「どう接するのが正解なんだろか…」

提督「…イテテ、しみるなー」

ガチャ!!

提督「ええ!?」

金剛「提督ー!!お背中お流しますネー!!」

提督「ちょ!入ってくるな!」

金剛「コレが日本式お姉ちゃんネ!!!」

提督「違う!違うと思う!!」

金剛「スリムすぎるボディね、もっと鍛えた方がいいよ」

提督「余計なお世話じゃ!出て行けぇ!!」


提督「…明日学校だし、もう寝るか」

ガチャ!!

金剛「提督!お姉ちゃんらしく添い寝してあげるネ!!!」

提督「…一人で寝るから出てってくれ〜」

金剛「遠慮しなくていいネ〜、今まで添い寝してあげられなかったからネ!」

提督「頼む一人で寝かしてくれぇ」

金剛「お邪魔しマス!!」

ぎゅうぎゅう

提督「ちょ!狭い狭い!!」

金剛「あったかあったかネー」

提督「…」

金剛「明日から提督と同じ高校ネ」

提督「…そっか」

金剛「友達百人できるかなー」

提督「…」

金剛「…ん?元気ないネ、学校嫌い?」

提督「…いや」

金剛「…?」


翌日、学校

金剛「英国で生まれた、帰国子女の金剛デース!よろしくお願いしマース!!」

パチパチパチパチ



金剛「ふぅ、キンチョーする〜」

大和「初めまして、金剛さん」

金剛「は、初めまして!」

大和「私は生徒会長でクラスメートの大和と申します、これからよろしくね」

金剛「大和サン!よろしくー!!」

武蔵「武蔵だ、よろしく頼むぞ」

金剛「武蔵サン!日本人は優しいネー」

大和「あなたも日本人でしょ?」

金剛「そうでしたー!」

「「あははははははは」」

武蔵「どうして日本に来ようと思ったんだ?」

金剛「生き別れの弟に会いにデス!提督って名前で一年生デス!」

大和「て、提督…」

武蔵「…」

大和「…そうなのね!一緒の学校で良かったですね!」

金剛「イエース!!」


時雨「へぇ、提督ってお姉さんがいたんだね」

時雨「しかも帰国子女の美人さんらしいじゃないか」

提督「…どうなんだろうな」

時雨「突然家族が増えるってどんな感じなのかな」

提督「落ち着かないよな、生活がガラッと変わるかも」

時雨「まぁ、美人さんのお姉さんがいたら良い方向に変わるだろうね」

提督「そんなもんかなぁ」

ヴー…

提督「ん、携帯が…」

『着信・・・大和生徒会長』

提督「…ごめん時雨、トイレ行ってくる…大っきいほうな」

時雨「余計な一言が多いなぁ、行ってらっしゃい」


生徒会室

提督「失礼します…」

大和「遅いですよ」

提督「すみません」

大和「じゃあ、今月分」

提督「はい…」

大和「…」

大和「ねぇ、あなた高校生になったのにお小遣いアップしないの?」

提督「…」

大和「それとも…私に喝上げされるくらいならアップしなくていいや、とでも思っているのかしら」

提督「…」

げしっ

提督「ぐっ…」ドサッ

武蔵「おい、答えろ」ぐりぐり

提督「…」

大和「ねぇ、これも中学のときからの私とあなたの付き合いじゃない」

大和「家がお金持ちのあなたが、家が貧乏な私にお金をくれるから」

大和「お互いが均等に幸せになれるの、わかるかしら」

提督「…」

武蔵「お前がこの高校に受かれたのは、優等生の大和が先生に一生懸命コネてくれたお陰なこと、忘れたわけじゃないよな」

提督「…俺の実力ならコネなんか無くたってもっと良い高校に行けたのに」ボソッ

武蔵「なっ…このガキ!!」ゲシッ!

提督「ぐあっ…!」

大和「武蔵やめなさい!!」

武蔵「だって…」

大和「…っ」ドゴォッ!!

提督「ん"え"っっ!」

提督「…っげほッ…ゴホっ」

大和「顔に傷がついたら怪しまれるでしょう、蹴るなら腹にしなさい」


大和「ねぇ、提督くん」

大和「来月から…二倍ね」

提督「に、にばいっ!?」

提督「いきなりそんなに小遣いは引き上げられない…!」

ズドッ!

提督「ぎえッ!!」

大和「口答えしないで」

大和「もし用意できなかったら…」

大和「私が先生にあなたの悪評を流せばすぐに退学よ」

大和「息子が中卒だなんて、社長のお父様とお母様は悲しむんじゃないかしら」

大和「勘当でもされたら一気に貧乏人のホームレスね」

提督「…」

大和「それとも…」

大和「あなたのお姉さん、金剛さんだったかしら」

提督「!?」

大和「二度と女として生きられなくしてあげてもいいのよ?」

提督「そ、それだけはやめろ!金は持ってくるから!!」

大和「それじゃ、よろしくね」

提督「…はい」

大和「やったわね武蔵!貰えるお金がアップするわよ!武蔵も欲しかったバッグ買えるようになるわね!」

武蔵「あ、あぁ」

武蔵(ホント、大和だけは敵に回したくないな…)




提督「か、母さん…」

扶桑「あら、どうしたの?」

提督「お小遣い…アップして欲しいんだ」

扶桑「お小遣い?いくらかしら」

提督「えーと…」

扶桑「…そんなに?何か欲しい物でもあるの?買ってあげましょうか?」

提督「いや、お金が欲しいんだ…」

扶桑「まぁ…最近勉強頑張っているみたいだし、いいですよ」

提督「ありがとう母さん…」

扶桑「金剛はパパからお小遣いいくらもらってたのかしら」

金剛「お小遣いより弟が欲しかったデス、願いが叶ったからお金はいらないデース!!」

扶桑「あら、愛されているのね提督」

金剛「提督愛してマース!!」

提督「金剛さん…」

金剛「もー!!!金剛お姉ちゃんデショ!!!」


学校、昼休み

金剛「ふんふ〜ん」

金剛「天気のいい日は校舎の周りをお散歩するのが気持ちイイデース!」

時雨「あ、こんにちは」

金剛「コンニチハ!一年生デスか?キュートデスね!!」

時雨「もしかして提督のお姉さんの金剛さんですか?」

金剛「Yes!提督のFriendデスか?提督がお世話になってますデス!!」

時雨「ふふふっ、お姉さん面白いですね」

時雨「ボクは提督の友達の時雨っていいます、よろしくお願いします」

金剛「時雨!覚えた!よろしくネ!!」



金剛「時雨、相談があります」

時雨「相談ですか?」

金剛「ワタシ、提督にお姉ちゃんと認められてない気がシマス」

時雨「…なるほど」

金剛「姉弟としてやって行けるでしょうか…」

時雨「…提督は恥ずかしいんですよ、いきなり美人さんなお姉さんが来て」

時雨「提督はウブですからね、慣れれば仲良い姉弟になれると思いますよ」

金剛「ほお…提督はウブですか」

金剛「何事も慣れってImportantデスよね!」

金剛「Thank you時雨!立派なお姉ちゃんになるネ!!」

時雨「金剛さんなら素敵なお姉さんになれますよ」


金剛「日本に来てもう一ヶ月、結構暮らしに慣れてきましタ!」

提督「そうか」

金剛「クラスメートの大和サンも武蔵サンも仲良くしてくれてマース!毎日が楽しいデス!!」

提督「…」



生徒会室

大和「はい、今月分」

提督「…」

大和「うふふ、ちゃんと二倍の金額ね…」

武蔵「偉いじゃないか、グズの癖に」

提督「…」

大和(こんな簡単にお金が…もっと、もっと欲しい)

大和「…ねぇ、これから毎月じゃなくて」

大和「毎週回収しますから」

提督「毎週!?無理だ!」

武蔵「大和…流石にそれは…」

大和「武蔵は黙りなさい」

武蔵「…」

大和「できるわよね、ね??」

提督「だから無理だ!」

ガシャァン!!!

提督「ーーーッッ!!!!」ゴロゴロ

武蔵「おい大和!」

大和「あらいやだ、つい頭に血が上って花瓶で殴っちゃったわ」

大和「武蔵に顔に傷つけるなって言ったのにねぇ、まぁ頭なら頭髪で傷が隠れるから大丈夫ですね!ねぇ武蔵!」

武蔵「そ、そうだな…」

大和「ねぇ提督くん、あなたは私の問いに対して『わかりました』以外答えちゃいけないの、わかる?」

提督「ーーっ…」

大和「わかりました、でしょ?」

提督「ふーっ、ふーっ」

大和「…チッ」

大和(いつ先生が生徒会室に来るかわからないし、場所を変える必要が…)

大和「武蔵、私はこのグズを教育しなければならないので校舎裏に行ってくるわ」

大和「武蔵は割れた花瓶を片付けといてください」

武蔵「大和…あまり調子に乗らないほうが…」

大和「…あ?」

武蔵「ッ…」ゾク

大和「あなたの柔道部、廃部になってもいいの?」

武蔵「いや…すまない、こっちは任せろ…」


時雨「金剛さんにオススメしてもらった校舎周りの散歩、気持ちがいい」

時雨「新しい発見があったりするかもな」

時雨「雨降ったら傘さしながらまわるのもいいかもしれない」

時雨「校舎裏とか人気ないからスキップとかしちゃったりして…」

大和「このグズッ!ゴミグズッ!親が金持ってるだけの能無しめッ!!」ガッ!ゲシッ!

提督「ーーッ…」ぐったり

時雨「!!!???」

時雨(な、何あれ!?提督が生徒会長に蹴られてる!?)

大和「お前は私の奴隷なんだから、私の言うことを聞けばいいのよ!!」

大和「お前は『わかりました』と言って金を渡すだけの価値しかないゴミ人間なんだから!口答えをするなッ!!!」

時雨(や、ヤバいよアレ!!…とりあえず先生を!!)

ガバッ

時雨「ひっ!?」

武蔵「騒ぐな」

時雨「む、武蔵先輩!?」

武蔵「…大和のヤツ、エスカレートしすぎだ…」

武蔵「一年、このことは誰にも言うんじゃない」

武蔵「もし言ったら…お前もあんな風になるぞ、わかったな?」

時雨「は、はひっ」

武蔵「わかったら早く消えろ」

時雨「わかりました!」ぴゅー

武蔵「…」


武蔵「大和」

大和「あら、来たの?」

武蔵「一年の女に見られた」

大和「…」

大和「その一年は?」

武蔵「一応脅して口封じしといて消えてもらった」

大和「…ハァ、馬鹿じゃないの?」

武蔵「え?」

大和「口封じっていうのは…」

ドゲシッ!

提督「ぐっふ…!!」

大和「こうやってボコボコにして恐怖を植え付けることでしょ?」

大和「脅し程度で…チクられたらどうするのよ」

武蔵「す、すまない…」

大和「これはあなたの失態ね、今月の柔道部の部費はカットするわ」

武蔵「え!?そんな…!」

大和「口答えするな、人を投げ飛ばすことしかできない脳筋が」

武蔵「ぐ…」

大和「友達も作れないコミュニティ障害持ちのアンタをここまで導いてあげたのは誰?まさか私の恩を仇で返すつもりではないでしょうね」

武蔵「…大和には、感謝している…」

大和(どいつもこいつも生きる価値のないグズばっかり)


提督「おう時雨、数学の宿題やったか?」

時雨「て、てえとく…!その…えと…」

提督「なんだ時雨、様子がおかしいぞ?」

時雨「いや…なんでも…ない…」

提督「…」

提督「さっき、俺が生徒会長にボコボコにされているのを見たのは時雨か?」

時雨「ッ…」

提督「そうなんだな?」

時雨「せ、先生に!先生に言おう!言わなきゃダメだ!!」

提督「時雨」

時雨「なに!?」

提督「絶対に誰にも言うな、絶対にだ」

時雨「でも…」

提督「これだけは頼む、絶対に誰にも言うんじゃない」

時雨「…」


大和「二度とあんな失態は犯すんじゃないわよ」

武蔵「すまなかった…」

大和「さて、来週から毎週お金が手に入るし、新しい電子辞書でも買おうかな」

武蔵「とりあえず教室戻るぞ…」

大和「ん?あそこから来るのは…」

金剛「ヘーイ!!大和!武蔵!コレあげるデス!!」

大和「え?」

武蔵「コレは…クッキーか?」

金剛「Yes!日本で最初にFriendになってくれた二人のために作ってみまシタ!!」

大和「…」

金剛「食べて食べて!」

武蔵「ふむ…うん、美味しいな」

金剛「やった!大和も食べてみてください!」

大和「ご、ごめんなさい、生徒会室に忘れ物が…武蔵、ちょっと付き合って」

武蔵「わ、引っ張るなって!」

金剛「あらー」



武蔵「忘れ物ってなんだ?」

グイッ

武蔵「なッ!?大和!?」

大和「なんでアイツが作ったモノ食ってんのよ…」

武蔵「いや…つい…」

大和「アイツは提督の姉…つまりお金持ちのグズ娘よ…」

大和「そんな金持ちグズが作ったモノをなんで食ったかって聞いているのよ」

大和「金持ちの私たちへ対する侮辱行為だってわからないの?その脳筋でしっかり考えなさいよ」

武蔵「や…大和…」

金剛「ダメデス!!!」

大和・武蔵「!?」

金剛「ケンカは良くないデス!どうしたデスか!?」

大和「…」

大和「む、武蔵が私の分のクッキーを食べるから…」

武蔵「…美味しくて、つい…」

金剛「なーんだ!そんなことデスか!」

金剛「それならNo problem!!いっぱい作って明日持ってきてあげマス!!」

金剛「だからケンカはやめましょう!」

大和「そんな…悪いですよ」

金剛「Friendのためならたくさんクッキー作りマス!!」ニコッ

大和(この笑顔…)

金剛「いひひー」

大和(金持ちの笑顔…ムカつく…!)

大和(ぶち壊してやりたい…ッ!!)




提督(明日、金を渡す日だ…)

提督(小遣いだけじゃ、やっていけない…貯金を切り崩すしか…)

提督(もし払えなくなったら金剛さんや…時雨まで酷い目に合わされるかもしれない…)

提督(…親の金を盗む日も来るんだろうか…)

金剛「…」

金剛(提督…元気ないネ…)

金剛(やっぱりワタシ、お姉ちゃんできてないのカナ…)


翌日、学校

提督「トイレ行ってくる」

時雨「…」

時雨「生徒会長のところに行くの?」

提督「…」

提督「…違う、トイレだ」

時雨「違くない、そんな顔してトイレに行く人はもう漏らしちゃった人だ」

提督「…」

提督「俺との約束を守れなければ絶交だ」

提督「じゃあな」

時雨「…」

時雨(じゃあ今日で提督とは絶交だな)



武蔵「…腹減った」

武蔵(そういえば今日から大和は毎週金もらうんだっけ)

武蔵(…アイツに付き合うのも疲れてきたな…)

武蔵(さっさと卒業して、アイツと離れ離れになりたい…)

武蔵(ん?)

武蔵(廊下で金剛が誰かと話してる…あの女は…)

時雨「提督は生徒会室に向かいました!早く!」

武蔵「あの一年!?」

時雨「あっ、武蔵先輩…!」

武蔵「きさま!!金剛に何を話した!?あの事か!?誰にも言うなと言っただろう!!あぁ!?」

時雨「ひぃっ…」

武蔵「タダで済むと思っているのか小娘!!!」

金剛「それはコッチのセリフです」

武蔵「こ、金剛…」

金剛「ワタシの弟に…何をした」グイッ

武蔵「チッ…私に手を出すのか?」

金剛「弟に何をした」

武蔵(今、生徒会室に行かれるとマズイ…力ずくで止めるしか…)

武蔵「私は柔道部の主将だぞ、真実を知られたなら」

武蔵「多少痛い目にあってもらって、口封じしないとな」

金剛「…」

武蔵「覚悟しろ!!!」

時雨「危ない!!金剛さん!!!」

ズドン!!!

武蔵「んへ?」

時雨「え…」

武蔵「がっ…は…」ドサッ…

金剛「ワタシはイギリスで空手を習ってました」

金剛「黒帯です」


生徒会室

大和「やった!これで受験用の参考書もいっぱい買える!」

大和「ありがとうね、奴隷くん」

提督「…」

大和「…なによ、その反抗的な目は」

大和「奴隷の癖に…生意気なのよ」

大和「ねぇッ!!」どげし

提督「くっ…」

大和「跪きなさいよ!!一生私の奴隷になると誓いなさい!!」

大和「この生徒会長の大和様が!アンタみたいなグズを!奴隷として雇ってあげるッて言っているの!!」

ガッ ぐしッ

提督「ぎ…うぐ…」

大和「言うことを聞けないのなら…」

大和「…お姉ちゃんをめちゃくちゃにしてあげるわ」

金剛「へー、じゃあやってみてヨ」

大和「え!?…いつの間に…」

提督「金剛…さん…」

金剛「…提督、最後に、お姉ちゃんヅラさせてください」

金剛「なのでワタシのこと、お姉ちゃんと呼んでくださいネ」

提督「さ、最後…?」

大和「む、武蔵!どこにいるの!?この女をぶっ飛ばして!」

金剛「武蔵ならワタシがぶっ飛ばしておきました、安心してください」

大和「え……、何が柔道部主将よ、くそ雑魚が…」

大和「金剛、あなたこんなことしてタダで済むと思っているのかしら?退学よ退学」

大和「日本の最底辺を這いずり回って生きることになるわ」

大和「…そうならないように、このグズと同じように私の奴隷として生かしてあげる」

大和「卒業は生徒会長の私が保証してあげる」

大和「悪い話じゃないでしょう?」

金剛「もっといい話があります」

大和「…なに?」

金剛「ここでお前を壊すまで殴り続けて、お前と一緒に退学になる」

提督「なっ…!」

大和「そ、そんなことしたら逮捕よ逮捕!!」

金剛「逮捕されるのはどう考えても恐喝グズ女のほうネ」

金剛「Japanの最底辺を這いずり回るのは、お前だよ…大和」


提督「最後ってまさか…退学になってイギリスに帰るつもりか!?」

金剛「…Yes」

提督「こんなクソ女なんて殴る必要ない!!お姉ちゃんの手が汚れるだけだ!!」

提督「やめろ!退学なんて、イギリスに帰るなんて言うな!!」

提督「お姉ちゃん!!!」

大和「チッ…」ピポパ

大和「せ、先生!助けてください!暴力を振るわれたんです!!すぐ来てください!!」

金剛「…」

大和「内線で先生を呼んだわ、アンタたちは終わりね」

大和「このグズ姉弟がッ!!!」

金剛「関係ないネ」

大和「ッ…!」

提督「やめろお姉ちゃん!!」

金剛「提督」

金剛「お姉ちゃんって呼んでくれてありがとうネ」

金剛「本当のお姉ちゃんになれるよう、イギリスで修行を積んでくるネ」

提督「そんなことしなくてもお姉ちゃんは本当のお姉ちゃんだろ!!!」

大和「あはは!なんか滑稽ですね!!もうすぐ先生が来ますし、今のうちに仲良し姉弟ごっこでもしてればいいわ!!!」

金剛「姉弟ごっこはもう終わり」

金剛「今から目の前にあるサンドバッグで遊ぶネ」

大和「目の前ッて……私?」

提督「お姉ちゃん!!!!」

金剛「よくもワタシの弟を…ッ!!!」

大和「…ひっ」ゾクッ

提督「やめろぉ!!殴るなあああ!!!」


ダッ

武蔵「やめろ金剛!!!」がしっ

金剛「…ッ」

提督「む、武蔵先輩…!?」

大和「く…来るのが遅いのよこのノロマ!!!」

大和「早くそのエセ外人を投げ飛ばしなさい!!!」

武蔵「大和、全部先生に話した」

武蔵「全部だ」

大和「なっ…!?」

武蔵「もう…間違った道を進むのは終わりにしよう…」

大和「な…な…ッ…」

大和「何しているのよこの脳筋グズ!!!殺す!!!ご"ろ"じ"で"や"る"!!!!」

大和「私の人生台無しだ!!!手を差し伸べてやった恩を仇で返すのかあ!!!!」

武蔵「何が恩だ…お前の友達と言う名の奴隷にならないと、ありもしない噂を流して学校で孤立させてやると言ってきたお前に恩なんか感じていない!!!」

大和「うるさい黙れ!!!この使えない奴隷が!!!使えない奴ばかりだ!!!グズばっかり!!!」

武蔵「だからもうやめよう、な?もう終わりにしよう」

大和「…畜生ッ…畜生!ここまで頑張ってきたのに…貧乏人といじめられてた頃からここまでのし上がってきたのに…!」

大和「うぅ…うぐうううぅぅ…ッ!!」ぺたん

武蔵「…」

提督「…すっごいドロドロ」

金剛「知ったこっちゃないネ」

金剛「それより提督!?大丈夫デスか!?」

提督「お姉ちゃん、なんとか手を汚さずに済んだみたいだね」

金剛「ウン…」

提督「これで退学する必要も、イギリスに帰る必要もなくなったわけだ」

提督「ずっと日本にいてくれ、ずっと俺のお姉ちゃんでいてくれ!」

金剛「提督…」

金剛「なれるかなぁ、提督のお姉ちゃんに…」

提督「だから何言っているんだ、金剛お姉ちゃんは俺の自慢のお姉ちゃんだ」

金剛「てえとくぅぅぅぅ…」うるうる

提督「ははは、泣くなって」

金剛「…ウン!お姉ちゃん、頑張るデス!!」


提督「…」

提督「なんかクサいドラマみたいになっちゃったけど」

提督「金剛お姉ちゃん…最高だなぁ」

提督「…と、金剛お姉ちゃんの話をする前に…」

大和「ていとくうううううううう!!!!」

武蔵「大丈夫か!?提督!!すまなかった!!」

提督「はっはっは、なかなかの演技だったな」

大和「ごめんなさい!ごめんなさい!!」

武蔵「私が蹴ったところ、アザになってないか!?痛くなかったか!?」

提督「大丈夫大丈夫」

大和「提督に暴言や暴力を振るうなんて…私は何てことを…」

武蔵「…お前の役、凄まじかったからな…」

提督「何言っているんだ、君たちのおかげで金剛お姉ちゃんの良さ、可愛いさ、姉萌えさが引き出されたんだ」

提督「感謝しているよ」

大和「武蔵や金剛にまで…大和は悪い子です…」

提督「気にするな、お前の悪役はなかなか素晴らしかったぞ」

提督「女優にでもなれるんじゃないか?」

大和「うぅ…」

提督「ヨゴレ役やらせてすまなかったな、ご褒美に間宮のアイス券をやろう、食べてきなさい」

武蔵「提督…ありがとう!」

大和「大和、もっと良い子になります!!」

提督「お前はすでに良い子だろ…」


提督「さて、今回はキャラがキャラなだけに設定が強引だったが…」

提督「どうだった?」

時雨「え?ボク?」

提督「そうだ、能代はいないんだった…じゃあ時雨でいいや」

提督「金剛のお姉ちゃんっぷりはどうだった?」

時雨「金剛さんは金剛型の長女だけど、あまりお姉ちゃんっぽくないよね」

時雨「でも、金剛さんのいざとなったときのすごく頼りになる感…あれは惹かれる」

提督「そうそれ、それが金剛の一番のポイントだと思うんだよね」

提督「普段はヘーイとかラーブとかアホっぽいこと言ってるけど、仲間のピンチのときは誰よりも早く駆けつけて助けてくれる」

提督「お姉ちゃんなら命をかけてまでも弟を助けるだろうね」

時雨「かっこいいなぁ、憧れるよ」

金剛「一瞬ディスられた気がするネ」


提督「さぁ、気になるのが金剛お姉ちゃんの未来」

時雨「金剛さんは日本に慣れるのか…お姉ちゃんになれるのか…気になるところだね」

提督「そのとおり、ここからが姉萌えの真骨頂さ…」



2年後…

時雨「…すごい…ここが提督の家…」

キンコーン

提督「おー、いらっしゃい」

時雨「さすが社長さんの家だね、大きい」

提督「3人暮らしだと広すぎるんだよな」



提督「さて、勉強始めるか」

時雨「ここのリビング、すごく落ち着く」

提督「母さんもお姉ちゃんもいないから静かに勉強できるな」

時雨「そういえば金剛さんはどこの大学行ったの?」

提督「お姉ちゃんは外語大学行ったよ、将来は通訳になりたいらしい」

時雨「立派じゃないか、久しぶりに金剛さんに会いたいな」

ガチャン

金剛「だだいまー!」

提督「お、噂をすれば」

提督「おかえり」

時雨「久しぶりです、金剛さん!」

金剛「あら時雨!久しぶりね!元気だった!?」

時雨「金剛さん…喋り方が日本人っぽくなりましたね」

金剛「私はもともと日本人だよぉ」


金剛「二人で仲良く何してるの?」

提督「受験勉強だよ」

金剛「あぁ、受験勉強ね!じゃあ私は邪魔しないように…」

時雨「金剛さん…ボク、英語が苦手なんだ…」

金剛「…んもお、時雨はしょうがない子だねぇ、お姉ちゃんが教えてあげよう!」

時雨「やったあ!」

提督「まぁお姉ちゃんほど優秀な英語の先生はいないからな」



金剛「時雨は飲み込み早くて助かるね」

時雨「金剛さんの教え方が上手いからですよ」

金剛「そろそろ休憩にしましょうか、紅茶をいれてあげるね」

時雨「ありがとうございます!」

時雨「…どうだい提督、金剛お姉ちゃんには慣れたかい?」

提督「ん?あぁ、家族の一員だからね、当たり前だけど」

時雨「金剛さんが2年前にボクに相談しに来たんだ、提督のお姉ちゃんになれるか不安だって」

提督「ほーん」

時雨「もう心配はいらないみたいだね」

金剛「はーい、紅茶はいりましたよ」

時雨「ありがとうございます、…んん、いい香り…」

金剛「二人で何の話ししてたの?」

時雨「金剛さんは素敵だなって話ですよ」

金剛「もう、時雨はお世辞が上手いんだから」

時雨「ウソじゃないよ、ね?提督」

提督「ソダネ」

時雨「なぜ棒読み…」

金剛「コイツったら私を親切を良いことに、私を利用してばっかりなんだから」

時雨「こ、コイツ呼び!?」

提督「提督の為ならお姉ちゃん、なんでもしてあげるデース!って言ってたのはどこのドイツよ」

時雨「ドイツ…」

金剛「なによ!調子に乗って!このシスコン!!」

提督「ブラコンのくせになに言ってんだか」

時雨「ちょ…ケンカはやめようよ…」

提督「ちょっとトイレ行ってくる」

金剛「大和生徒会長にカツアゲされに行くのかなー?」

提督「違うわ!!俺のトラウマ掘り起こすな!!」スタスタ

時雨「…提督と仲悪くなっちゃったんですか?」

金剛「…ん?」

金剛「そんなことないよ、私は提督が大好き」

金剛「私たちは世界で一番仲の良い姉弟デース!!」


提督「…あぁ、なんて至福なひとときだったんだ」

時雨「最後は何だったんだい?ケンカしてたけど」

提督「アレがミソなんだよ、まぁ詳しく説明していくから」

時雨「うん」

提督「ことの始まりは、まず帰国子女のお姉ちゃんがやって来た」

提督「ほぼ初対面の二人、姉は仲良くなりたい、弟はどう接したら良いかわからない」

時雨「すでに二人はスレ違っているんだね」

提督「金剛お姉ちゃんの一方通行の姉弟愛…」

提督「時雨にそのことを相談したりするが、お姉ちゃんになれないかも…と気を落とす金剛お姉ちゃんに萌えを感じる…」

時雨「…確かに、普段元気はつらつな人が落ち込んでる姿を見ると、なんかそのギャップにくるものがあるね」

提督「しかしその裏で、壮絶なイジメにあっていた弟…」

提督「どうする金剛お姉ちゃん!どうなる金剛お姉ちゃん!」

金剛「うるさいネ」


提督「そんな事実も知らず大和たちに仲良く接する金剛お姉ちゃん」

提督「クッキーを焼いてくるなんて女子力高いよね」

時雨「クッキー作りは簡単じゃないからね」

提督「金剛はもともと料理は美味いし、紅茶も美味いし、コミュニケーション能力も長けている…女性としても素晴らしい」

提督「相手が弟じゃなくても仲良くなろうとするだろうね」

時雨「金剛さんの人の良さがうかがえるね」

提督「しかし金剛は時雨から真実を知らされてしまう…」

提督「愛する弟が恐喝、暴力の被害にあっていることを…」

時雨「あの時の金剛さんの顔、すっごく怖かったな」

金剛「迫真の演技だったデショー!」

提督「金剛お姉ちゃんの姉弟愛と正義感にバーニングがついた瞬間である」


提督「日本人だが英国生まれ英国育ちで片言しゃべりだけど、それで空手がすごく強い女の子ってカッコ良すぎない??」

時雨「憧れちゃうよね」

提督「大和がボロクソ言ってたけど武蔵だって強い子なのに、その武蔵を一撃で沈めるんだもん」

提督「カッコ良いお姉ちゃんだよなぁ」

金剛「演技ネ、武蔵はもっと強いヨ」

提督「怒りのあまり片言しゃべりも吹っ飛ぶほど、覚醒する…」

提督「なんか姉萌えの域を超えて男として強い人に憧れるんだよなぁ」

時雨「でも金剛さんらしいと言えば金剛さんらしいよね、自分の大切な人が傷つけられたら覚醒しそう」

金剛「どうなんでしょ」

提督「そしてついに弟を挟んで大和と金剛お姉ちゃんが対峙する!!」

提督「そして金剛お姉ちゃんが言い放つ…最後にお姉ちゃんヅラさせてと…」

提督「もう私のことをお姉ちゃんと認めなくていい!だが最後に自己満足のためにお姉ちゃんでいさせてくれ!!」

提督「虚しく、はかない、金剛お姉ちゃんの最後の願い…萌える」

時雨「ボクもうわかんないよ」

提督「弟の仇を討つために自分の全てを投げ打つ金剛お姉ちゃんの姿に心奪われるわ…」


提督「しかし武蔵のおかげで最悪のケースを免れた金剛お姉ちゃん、平和な暮らしが戻ってくる」

提督「そして2年の月日が経ち…時雨が久しぶりに金剛お姉ちゃんに出会う」

提督「そこには片言が抜け、高校のときより大人びた金剛お姉ちゃんの姿」

提督「多摩のときもそうだったけど、片言じゃない金剛のギャップもいいよね」

時雨「多摩さんにもお姉さんをやらせたんだね」

提督「自分が帰国子女だということを活かして、通訳になるために外語大学に通う…自分の夢を見つけて頑張る金剛お姉ちゃんをめっちゃ応援したい」

金剛「ふーん」

提督「そして時雨が気になっていた最後のやりとり」

時雨「うん」

提督「最初、ぎこちなかった金剛お姉ちゃんと弟…しかし今は軽い冗談を言い合える仲になっているよね」

時雨「うん」

提督「これこそが金剛お姉ちゃんの求めていた姉弟だったんだよ」

時雨「普通の姉弟の関係を求めていたってこと?」

提督「そう!約15年のポッカリ空いた姉弟の穴がシッカリ塞がった証拠だよね」

提督「『私たちは世界で一番仲の良い姉弟デース!!』この言葉が金剛お姉ちゃん本人から聞けて、俺は満足だ…」

時雨「そうなんだ」

提督「金剛お姉ちゃんはとても素晴らしかった!結果!金剛には俺のお姉ちゃんになって欲しい!!」ドーン

提督「金剛!ナイスお姉ちゃん!」

金剛「お、おぅ」

提督「時雨、付き合いありがとな」

時雨「いや、楽しかったよ」

時雨(戦艦のお姉ちゃんか…少し扶桑や山城に懐いてみようかな…)


能代「演習終わった…」

能代「金剛さんがどんなお姉さんになるのか気になって全然集中できなかった…」

能代「もう!提督のばぁか!能代、金剛お姉さんで萌えたかったのに!!」

能代「絶対可愛いですよ…金剛お姉さん…」

能代「はぁ…」

矢矧「能代姉さん?何を落ち込んでいるの?」

能代「あら、矢矧…」

能代(そういえば能代は矢矧の実のお姉さん…)

能代(矢矧は能代で萌えてくれるんでしょうか…)

能代「や、矢矧」

矢矧「なに?」

能代「…キャピ!」きゃるるん

矢矧「」


矢矧「…」

能代「どう?萌えた?」

矢矧「も、燃えたかって?むしろ悪寒が…」

阿賀野「二人とも?何してるの〜?」

能代「あ!阿賀野姉ぇ!」

矢矧「能代姉さんが変になったのよ」

阿賀野「能代が変に?」

能代「阿賀野姉ぇもやってみてよ、キャピって」

阿賀野「きゃ、キャピ?」

能代「うん」

阿賀野「キャピーン!」きゃるるん

能代「」

矢矧「」

能代「…萌えねぇ」

矢矧「さっきから能代姉さんは何がしたいの…」


能代「うーん…どうして萌えないんだろ…」

能代「例えば…」

瑞鶴お姉さん『キャピ!』きゃるるん

瑞鶴お姉さん『…もおっ!何やらせるのよ!』

能代「かあいい」にへら

夕張お姉さん『キャピっ』きゃるるん

夕張お姉さん『…恥ずかしいわねコレ』

能代「ええですなぁ」にへら

摩耶お姉さん『キャ…キャピ…』きゃるるん

摩耶お姉さん『…やっぱり見るな!!』

能代「素晴らしい」にへら

多摩お姉さん『キャピだにゃ』きゃるるん

多摩お姉さん『にゃーん』

能代「普通」

足柄お姉さん『キャピー』きゃるるん

足柄お姉さん『うぅ…今の見なかったことにして…』

能代「萌えますなぁ…」

能代「…いろんなお姉さんがやれば萌えるのに、なんで阿賀野姉ぇのときは何も感じないんだろう…」

能代「やっぱり、血の繋がりが原因なのかな…」

能代「…」

能代「!!!」ハッ

能代「能代が弟じゃなくて、妹だから萌えないんだ!!!!」


能代「そういうことですよね!?提督!!」

提督「戻ってきて早々なんだよ…」

能代「今回のテーマは姉と弟!弟が姉に萌えるのが求められしモノ!!」

能代「能代は女なので、妹にならざるをえない…」

能代「どうりで阿賀野姉ぇに萌えないわけです…」

提督「…でも夕張や足柄には萌え萌え言ってたじゃん、女のキミも」

能代「やっぱり血の繋がりですかね?」

提督「俺は一人っ子だから知らん!!!」

能代「デスヨネー」

提督「さぁ次のお姉ちゃんは!」

能代「の、能代はここにいていいんですか?」

提督「おう、やっぱり能代がいないと盛り上がりに欠ける」

能代「能代感激です!!!」

提督「次はクレイジーサイコレズの称号を与えられたあの艦娘…」

能代「クレイジーサイコレズ…」

提督「しかし本当は誰にでもにも優しい気遣いのできる子!!果たしてどんなお姉ちゃんになるのか!!」

能代「能代は姉萌えに飢えているんです!ギブミー姉萌え!!」

提督「シャラップ!!!」


ーーーーー

提督「…うーん、難しいなぁ…」

提督「こっちから解くか…」

コンコン

提督「ん?」

文月「お兄ちゃん、マンガ貸して欲しいなぁ」

提督「いいよ、持っていきな」

文月「わぁい、ありがとぉ!」

文月「…お兄ちゃん何してるの?」

提督「大学の受験勉強」

文月「お勉強?頑張ってね」

提督「ありがとな」



文月「お姉ちゃん、お兄ちゃんに漫画貸してもらった〜」

大井「あら、よかったわね」

文月「お兄ちゃん、受験勉強してた」

大井「…受験勉強?」

文月「うん」

大井「…ふーん」

文月「どこ行くの?お兄ちゃんの邪魔しちゃダメだよ」

大井「大丈夫、邪魔しないわよ」



ガチャ

提督「うわ!びっくりしたお前かよ…」

大井「アンタ、受験勉強してるんだって?早くない?もうそんな時期?」

提督「スタートが肝心かなって思って」

大井「ふーん、アンタにしてはいい心がけじゃない」

大井「どこの大学受けるの?」

提督「…お前と同じところ」

大井「はぁ!?私の大学!?なんでよ!」

提督「将来やりたいことがその大学で学べるから」

大井「わ…私だってあの大学入るのに苦労したのよ?馬鹿なアンタなんかじゃ無理無理!」

提督「だから勉強してんじゃん」

大井「身の程知らずもいいとこね」

提督「うるせぇ出てけ」

大井「私と同じ大学行きたいなんて…生意気ね」

ガチャン

提督「相変わらず性格悪いな…アイツは…」


ガチャ

大井「…」

提督「なんだよまたお前かよ、何の用だよ」

ドサァッ!!

提督「…なにコレ」

大井「私が受験で使った参考書、過去問、自分でまとめたノート」

大井「全部頭に叩き込めば、必ず受かるわ」

提督「え…」

大井「感謝しなさいよ?コレで合格できなかったらホンモノの馬鹿ね」

提督「お、おう…サンキュ…」

大井「ふん」

提督「…」ペラペラ

提督「全然わかんねぇ」

大井「はあ?アンタ高校でなに学んでたの?シッカリ勉強してればこんなの簡単に…」

大井「…」

大井(アレ!?この問題どうやって解くんだったかしら…)

提督「わかるんなら教えてよ…」

大井「…一回これは全部没収!アンタは基礎から学びなさい!今は高校の教科書で十分よ!!」ヒョイ

提督「はぁ?さっきからなんなんだよお前…」

ガチャン

提督「台風かよ」



文月「その本、お兄ちゃんに貸したんじゃなかったの?」

大井「お兄ちゃんがまだいらないって」

文月「ふーん」

大井「フミちゃん、冷蔵庫にプリンあるから食べていいわよ、お兄ちゃんに一つあげてね」

文月「ありがとうお姉ちゃん!お兄ちゃんにもあげてくるね!」ぴゅー

大井(くそぅ、忘れて解けない問題がいくつかあるわ…全部解けるようにしてアイツに教えられるようにしないと…!)バリバリ


文月「お姉ちゃん?もう夜ごはんの時間だよ?まだ勉強してるの?」

大井「大学生はね、生きることイコール勉強なのよ」バリバリ

大井「フミちゃんは小学生のうちにいっぱい遊んでおきなさい」バリバリ

文月「はーい」



提督「お姉ちゃんは?」

文月「勉強してる」

提督「なんでアイツが勉強してるんだよ…」



ガチャ

提督「おい」

大井「ちょっと!ノックしてよ!」

提督「お前に言われたかねーよ…」

提督「メシできてるぞ、食わないの?」

大井「待って、この問題が解き終わったら…」

提督「なんでお前が勉強してんだよ」

大井「誰のせいよ!まったく!」

提督「えー…」



大井「よし!全部理解したわ…!もう一回大学受験しても確実に合格できるわね…」

大井「コレでやっとアイツに勉強を教えられるわ…」


大井「提督!勉強教えてあげるわ!」

提督「んあ?」ピコピコ

大井「…アンタ、なんでゲームしてるのよ…」

提督「え…いいじゃんべつに…」

大井「よかないわよ!私に勉強させといて!」

提督「そりゃお前が勝手に勉強してるだけだろーが!」

大井「誰のためにやってると思ってんのよ!この恩知らず!」

提督「うるせーないつもいつもでかい声出しやがって」

大井「いいから勉強するわよ!!大学受かりたいんでしょ!!」

提督「わかったよ!!」



大井「…というわけで、こうなるの!わかった?」

提督「…めっちゃわかりやすい…教える才能あるんじゃねーか?」

大井「何言ってるのよ、アンタの飲み込みが早いんでしょ」

文月「お姉ちゃんとお兄ちゃんは仲良いのか悪いのかわからないなぁ」


数ヶ月後

大井「高校生共は本格的な受験シーズンって感じね〜」

文月「高校生って大変なんだね、お兄ちゃん勉強頑張ってる?」

提督「………」

文月「お兄ちゃん?」

大井「なによ、勉強頑張ってないの?」

提督「なんか最近疲れてきちゃって…過去問も難しくてなかなか解けないし」

大井「は?私が教えてあげてるでしょ?復習すれば身につくはずよ」

提督「………」

大井「…アンタ、もしかして復習してないの?私が見てないところでは勉強サボってる?」

提督「辛いんだ…勉強をするのが…苦痛でしかなくて…何も頭に入ってこない」

文月「お兄ちゃん…」

提督「ねーちゃんの大学諦めて、ランクの低いところで妥協しようかな…早く楽になりたい…」

大井「…そう」

提督「ごめん、ねーちゃん」

大井「そのクソ大学に受かったら…いや、受からなくても家を出てってよね」

提督「…は?」


大井「一家の恥だから」

大井「勉強できない、早く楽になりたい、そんなこと言ってる人間の人生なんてゴミ同然だわ」

大井「ニートになって親のスネをかじり続ける気?」

大井「考えただけで悪寒が走る」

提督「…おい、なんでそこまで言われなきゃならねーんだよ」

大井「私がここまで親切に勉強みてやったのに、それを棒に振っといてその態度?随分偉い立場になったわね」

提督「…ちっ」

大井「今、一番大事な時期に諦める奴が人生成功するわけないじゃない」

大井「この先嫌なことがある度に諦め続けて、結局は誰かにすがらないと生きていけない」

大井「それがアンタの未来よ」

提督「…このクソ女ぁ!!!」ガバッ

文月「お兄ちゃんやめてぇ!!」

提督「俺は昔からテメーのそういう態度が気にいらねぇんだよ!!すぐ人を見下しやがって!!テメェはそんなに偉い人間なのかよ!!」ぐいっ

大井「…」

提督「そんなに俺が嫌いか!?そんなに弟がいらなかったか!?悪かったなァ生まれてきてよ!!!」

文月「お兄ちゃん落ち着いて!」

提督「テメェみたいな人の気持ちも考えないゴミに俺の何がわかる!?俺だって辛いんだよ!!逃げ出したいことだってあるんだよ!!もう苦しみたくないんだよ!!」

提督「俺の人生は俺が決める!!ただテメェに馬鹿にされる筋合いはねーからな!!」

提督「家だって出てってやるよ!!お前と一緒に暮らすとストレスが溜まる一方だ!!」

提督「もう…一生俺に構うんじゃねぇ!!」

文月「あっ…お兄ちゃん…」

大井「…」

文月「お姉ちゃん…」


その後

提督「はぁ…もう、どうでもよくなってきた…寝よ」

ガチャ

文月「お兄ちゃん」

提督「フミちゃん…さっきはゴメンな」

文月「なんでお兄ちゃんとお姉ちゃんはいつもケンカするの?」

提督「んー?それはね、お姉ちゃんが悪いんだよ」

文月「そーなんだ、じゃああたしがお姉ちゃんを怒ってあげる」

ガチャ

提督「え?」



文月「お姉ちゃん」

大井「フミちゃん…さっきはゴメンなさいね」

文月「お姉ちゃんはお兄ちゃんに優しくしないといけないんだよ?」

大井「え?」

大井「…私は十分にお兄ちゃんに優しくしてあげてるわよ」

文月「あたしくらい?あたしくらいお兄ちゃんに優しくしてあげてる?」

大井「…フミちゃんに比べたら…意地悪かもだけど」

文月「お姉ちゃん、アウト〜」

大井「え」

文月「意地悪したら優しくなれないよ」

大井「そ、そうだけれど…」

文月「あたしはお兄ちゃんに意地悪しないもん」

文月「お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだから、あたしより優しくならなきゃダメだよ」

大井「…」

文月「わかった?」

大井「…う、うん」

文月「じゃあお兄ちゃんに謝りに行こ!」

大井「え!?今から!?」

文月「大丈夫、あたしもついて行くからね」

大井「お…オネガイシマス…」


大井「て、提督…」

提督「ん…?なに」

大井「あの、えーと…」

文月「お姉ちゃん!がんば!」

大井「…」

提督「…」

大井「…」

文月「意地悪してごめんなさい、でしょ?」

大井「うぐ」

提督「へ」

大井「意地悪して…ごめんなさい…」

提督「おま…フミちゃんに何言われたんだ…」

大井「…」ぷるぷる

提督「顔真っ赤だぞ…」

文月「お兄ちゃん、お姉ちゃんが謝ったよ!お兄ちゃんは?」

提督「え?」

文月「仲直りってお互いがごめんなさいしないとできないんだよ?」

提督「お、おう…」

提督「ごめん…ねーちゃん…」

文月「はい!これで仲直り!」

文月「二人は大人なんだからコレくらい自分たちでできないと先が思いやられるよ!」

提督・大井「すいませんでした…」

文月「ハッピーエンドになったし、あたしは寝るね!おやすみ!」

提督・大井「おやすみなさい…」

提督・大井「…」

提督「お前、フミちゃんに説教されたんか?」

大井「…フミちゃん、正論しか言わないから…」

提督「ははは、情けねー大学生だな、小学生の妹に説教されるなんて」

大井「はぁ!?何よ!アンタが大学目指すのやめるとか言うのが悪いんでしょ!?」

文月「…」じーっ

提督・大井「!?」

提督「わ、わー俺お姉ちゃんの大学にやっぱり行きたいな〜」

大井「しょおがないわねぇ〜!優しいお姉ちゃんが優しく勉強を教えてあげるわ〜ラランラ〜」

文月「うんうん」コクコク


能代「文月ちゃん…可愛いなぁ」

提督「そだな、可愛いな」

能代「それはそうと、大井さんはなかなか濃かったですね」

提督「瑞鶴より性格がひん曲がってるからな」

大井「はい?」

能代「大井さんオチツイテ」

提督「今回はお姉ちゃんと弟以外の兄弟が出てきたな」

能代「文月ちゃんが妹なんて羨ましいですね」

提督「あの脳が溶かされそうな声をどうやって出してるか気になるところだが」

提督「今回フミちゃんがひねくれ者大井っちお姉ちゃんの可愛さを引き出してくれたわけだ」

能代「解説をお願いします!」

提督「その前に、姉萌えの真骨頂を」

能代「えへへぇ、楽しみですぅ大井お姉さんの姉萌え成分」くねくね

大井「能代…あなたいつからそんなにキモくなったの?」


提督「…よし、そろそろ行くか」

大井「ど、どこ行くの?」

提督「言ったろ、合格発表だよ」

大井「そ、そうだわさね」

文月「なんでお姉ちゃんが緊張してるの?」

大井「してないわ、寒いだけよ」

文月「ふーん、風邪引かないでね」

提督「行ってきます」

大井「待って!私も行く!」

提督「なんでよ、落ちてたら恥ずかしいしくんなよ」

大井「だ、大学に用があるの!」

提督「そう…」

文月「いってらっしゃーい」



大学前

大井「ついに来たわね…」

提督「用があるならとっとと行けよ」

大井「ふ、ふん!アンタがこの大学を落ちる様を見ていてやるわ!」

提督「まぁこの大学落ちてもそれなりの滑り止めに受かってるし」

大井「はぁ!?私があんなにミッチリ勉強教えてやったのに落ちてもいいとか言わないでよ!!」

提督「どっちなんだよお前は」


提督「番号が張り出されてるな…」

大井「…」ドキドキ

提督「えーと…俺の番号は…」

大井「…ないの?」ドキドキ

提督「お!あった!!」

大井「え!?ウソ!?どこどこどこどこどこどこどこ!!??」

提督「あそこ」

大井「あっ………たぁ」

提督「ふぅ…よかった」

大井「………」

提督「どや?」

大井「………」うるうる

提督「…泣いてんの?」

大井「はぁ!?なんでよ!!泣いてないわ!!」

提督「泣いてんじゃん、涙出てんじゃん」

大井「うるさいわねぇ!合格したからって調子乗ってんじゃないわよ!!」

大井「さっさと手続きしてきなさいな!!シッシッ!!」

提督「ひでぇ扱い」


提督「終わった、今日はもう家帰って寝よ…これでリラックスできる」

大井「遅い」

提督「…いや、何が遅いだよ、お前は大学に用があって来たんだろ?」

大井「…終わったの!!」

提督「じゃあ帰ってりゃいいじゃん」

大井「ホントにアンタはああ言えばこう言う」

提督「お前に言われたかない」

大井「さて」

提督「さて?」

大井「お…」

提督「お?」

大井「おっ…お、お、お、お…奢ってあげるから…」

大井「…合格祝いに奢ってあげるから、何か食べに行きましょ…?」

提督「…なんだよ、気持ち悪いな」

大井「…あー、そうですか!じゃあ帰りましょ!!祝ってあげないから!!落ちればよかったのよ!!ばーか!!」

提督「ごめんごめん!サイゼ!!サイゼリヤ行こう!!」

大井「…いいの?安いじゃないサイゼ」

提督「おう」

大井「そ、じゃあ行きましょうか」

提督「ねーちゃん」

大井「なに」

提督「大学受かったのはねーちゃんのおかげだよ、ありがとうな」

大井「…」

大井「…」ぐす

提督「また泣いてる…」

大井「…」ぐしぐし

大井「…合格おめでとう、提督」


能代「…なんというか、大井さんらしいというか」

提督「瑞鶴お姉ちゃんの応用編って感じだな」

能代「瑞鶴お姉さんよりクセが強いですね」

提督「なかなかの強敵だ」

提督「最初から振り返ってみるが、この二人の会話から読み取れるように普段は仲よさそうには思えないな」

能代「大井お姉さんがネチネチ嫌味を言ってますね」

提督「弟が姉をお前呼びしてる時点で察しがつくよな」

能代「でも姉弟共通して妹の文月ちゃんには優しいところが良いですよね」

提督「それな」


提督「弟の目指す学校はまさかの大井姉ちゃんと同じ大学」

提督「それを知った途端disりにかかる大井姉ちゃん」

能代「いやーな性格ですね」

提督「しかし大井姉ちゃんはめちゃくちゃ不器用な性格、ホントは同じ大学を目指してくれて嬉しいのさ」

提督「参考書、過去問、勉強法をまとめたノートを渡してさりげない応援…不器用可愛いな」

能代「不器用可愛い…?また新たな単語が…」

提督「弟が過去問見てもわからないというと空かさずdisる大井姉ちゃん」

能代「でも大井お姉さんもわからない問題があるみたいですね」

提督「そう…散々disっておいて自分もわからない…その瞬間大井姉ちゃんにものすごい焦りが生まれたわけだ」

能代「そこで渡した問題集をすぐに取り返して猛勉強を始めたわけですね!」

能代「大井お姉さん…不器用可愛い…」

大井「不器用不器用うっさいのよ」


提督「弟の目指す学校はまさかの大井姉ちゃんと同じ大学」

提督「それを知った途端disりにかかる大井姉ちゃん」

能代「いやーな性格ですね」

提督「しかし大井姉ちゃんはめちゃくちゃ不器用な性格、ホントは同じ大学を目指してくれて嬉しいのさ」

提督「参考書、過去問、勉強法をまとめたノートを渡してさりげない応援…不器用可愛いな」

能代「不器用可愛い…?また新たな単語が…」

提督「弟が過去問見てもわからないというと空かさずdisる大井姉ちゃん」

能代「でも大井お姉さんもわからない問題があるみたいですね」

提督「そう…散々disっておいて自分もわからない…その瞬間大井姉ちゃんにものすごい焦りが生まれたわけだ」

能代「そこで渡した問題集をすぐに取り返して猛勉強を始めたわけですね!」

能代「大井お姉さん…不器用可愛い…」

大井「不器用不器用うっさいのよ」

連投すみません…


提督「そして数時間勉強するだけで全て把握する大井姉ちゃん」

能代「頭良いのに不器用なんて…ギャップがいいですよね!」

提督「いざ弟に勉強を教えようと意気込むとそこにはゲームしてる弟の姿、当然大井姉ちゃんの怒号が飛ぶ」

能代「でもこれがこの姉弟のいつもの日常なんでしょうね」

提督「嫌々勉強を教わるが、大井姉ちゃんの勉強の教え方の上手さに思わず感心する弟」

能代「大井お姉さんのほうも飲み込みが早いってしっかり弟を褒めてますよね、いつもこんぐらい素直なら良いのに」

大井「悪かったわね素直じゃなくて」

提督「おい大井、これは大井姉ちゃんの話だ」

提督「普段のお前はもっと性格悪いぞ」

大井「腹立つ…」


提督「勉強も順調かと思いきや…」

能代「受験のツライ時期ですよね、壁にぶつかることもあるでしょう」

提督「大学を諦めてしまった提督…そこに罵声を浴びせる大井姉ちゃん…」

能代「悔しかったんでしょうね、大井お姉さんも」

提督「だが、たかが外れたように罵声を浴びせ続ける…これは流石に言い過ぎである」

能代「本当に悔しかったんでしょうね」

提督「しかしながら大井姉ちゃんのひねくれた愛情なんか伝わるはずもなく、弟も流石にブチ切れ」

能代「今までの不満を全て大井お姉さんに吐き出してますね、あまりの迫力に大井お姉さんも押し黙るしかありません…」

提督「そこに萌えだよな」

能代「え?どこに?」

提督「普段から威張りくさってる女の子が突然怒鳴られて呆気にとられる姿…これ良いんだよな」

能代「こんなところにも姉萌えが…隙がないですね」

大井「ただのサディストじゃないのよ!」


能代「そこで救世主!フミちゃんの活躍ですよね!」

提督「今回の話のミソがフミちゃんなんだよなぁ」

提督「なんとフミちゃんが大井姉ちゃんを怒ってくれるとおっしゃるではないか!」

能代「プリティ愛されシスターフミちゃんの前には大井お姉さんもタジタジ!」

提督「流石の大井姉ちゃんフミちゃんには敵わない!」

能代「幼い妹に説教される気の強いお姉さん!シチュエーションが萌えます!」

提督「大井姉ちゃんの情けない姿…萌えるわ」


能代「そしてここからがポイントですよね!」

能代「フミちゃんに強引に謝罪させられる大井お姉さん!幼い妹に誘導されてさっきまで喧嘩してた弟に無理やり謝されるこの状況!萌え萌えキュンです!!」

提督「お、エンジンかかったか」

能代「口ごもる大井お姉さん!痺れを切らしたフミちゃんが『意地悪してごめんなさい、でしょ?』と言われる!!」

能代「なんという屈辱的!しかしフミちゃんは悪くない!悪いのは喧嘩を始めた自分たちのせい!自分で自分の首を絞めていることを理解しているからこそ更に屈辱的に感じる大井お姉さん!!!」

提督「顔真っ赤の大井姉ちゃん、たまんねぇな」

能代「『意地悪してごめんなさい』、ようやくひねり出したその言葉、震え声とはまさにこのこと…」

提督「そしてフミちゃんにより強引に仲直り」

能代「フミちゃんに先が思いやられるなんて言われちゃって…タジタジ大井お姉さん可愛いですなぁ…」


提督「そして合格発表の日」

能代「なんか妙に緊張してる大井お姉さん、萌え萌えキュン」

提督「弟の合格結果が気になりすぎて嘘ついてまで大学に着いて行くと言う」

能代「素直に付き合ってあげるって言えない大井お姉さん萌え萌えキュン」

提督「落ちる様を見ていてやるとひねくれた発言をする」

能代「自分でもよくわかってない苦し紛れなdisりを入れる大井お姉さん萌え萌えキュン」

提督「そして無事合格」

能代「…歓喜のあまり泣き出す大井お姉さん…」

能代「 不゛器゛用゛可゛愛゛い゛な゛ぁ゛!!!! 」

能代「今まで溜め込んでいたものが一気に解放されてちゃったんですね!!!」

能代「ひねくれ者だから無駄に弟への愛情を表せず溜め込んでいたから!!!」

能代「喜びと涙がドバーッと!!!」

能代「感情のコントロールもほんっとうに不器用ですよねぇ!!!!!」

大井「能代…アンタどうしちゃったのよ…」

能代「萌え萌え〜キュン!!!」

提督「俺のせいだが、反省はしてない」


能代「そして大井お姉さん最後の姉萌えポイント」

能代「ハイ、大井さん、あのセリフお願いします」

大井「何よ、あのセリフって」

能代「ごにょごにょ」

大井「はぁ!?アレは演技中だから言えたわけで…!」

能代「お願いします!あの破壊力のあるあのセリフを!!」

大井「嫌よ、小っ恥ずかしい」

能代「ホンット、素直じゃないですね」

大井「なんですって!?先輩に向かって何よ!!!」

提督「無駄だよ大井、姉萌えモードの能代は無敵だ」

大井「能代をこんな風にしたのはアンタでしょ!!元に戻しなさい!!」

提督「だったら能代の言うことを聞くんだな」

大井「ぐっ…」

能代「さぁ!大井さん!!」キラキラ

大井「………」

大井「お…」

能代「お?」

大井「おっ…お、お、お、お…奢ってあげるから…」

大井「…合格祝いに奢ってあげるから、何か食べに行きましょ…?」

能代「コレですううううううううううう!!!!!」

能代「ものすごいどもり方!!」

能代「素直じゃない大井お姉さんにとってこの程度のセリフを言うにもかなりの精神的負担があったんですね!!」

能代「よく言えました!!偉いです!!頑張りましたね!!」

能代「素直じゃない大井お姉さんの素直な気持ちの伝え方!!」

能代「萌゛え゛で゛す゛!!!」

大井「帰っていいかしら…」

提督「大井が泣いてる…」


能代「そしてラスト、弟の感謝の気持ちを伝えられ…」

能代「また涙を流す大井お姉さん…」

能代「そして静かに言い放つ…合格おめでとう」

能代「…お姉さんはやっぱりお姉さん、切っても切れない仲」

能代「大井お姉さんは弟がとても大切なんですね」

能代「能代、とても感動しました…」

能代「結果、大井さんには私のお姉さんになって欲しいです!!」

能代「大井さん、ナイスお姉さん!!!」

大井「…ドイタシマシテ」

提督「大井が疲れ果ててる…」

提督「ここまで熱弁出来るようになったとは…お前も成長したな、能代」

能代「姉萌えマスターの提督に褒めていただけるなんて光栄です!!」

提督「よし、じゃあ次でラストにしようか…」

能代「ラスト…一体誰なんでしょうか…」

提督「あのクールビューティーはどんな姉萌えを提供してくれるだろうか」

能代「あの方ですね…!!どんな姉萌えも全部吸収してみせます!!」


球磨『さぁ問題クマ!島根県と鳥取県、西側にある県はどっちクマ!?』

那珂『もー、那珂ちゃんを馬鹿にしすぎー!那珂ちゃんはアイドルなんだから日本の地理もバッチリなんだからねー!』

提督「…どっちだっけ、西側の県って」

加賀「そんなのもわからないなんて、日本の恥ね」

提督「ぐ…」

陸奥「加賀ちゃんはわかるの?」

加賀「当たり前じゃない、姉さん」

加賀「西側は鳥取県よ」

那珂ちゃん『西側は島根県だよー!』

球磨『…正解!流石に簡単クマね、では次の問題クマ!』

加賀「」

陸奥「ぷ」

陸奥「あははははははは!!!アナタ間違えてるじゃない!!」けらけら

提督「おいおいマジかよ加賀姉ぇ!!」けらけら

加賀「ちッ…違う!わかってたの!わかってたけど…!」

陸奥「日本の恥ね」キリッ

提督「はははははははは!!似てる似てる!!」けらけら

加賀「〜ッ…」

提督「那珂ちゃんにもわかったのに」けらけら

加賀「あんな馬鹿アイドルと一緒にしないでくれるかしら」

陸奥「何言ってんのよ加賀ちゃん!鳥取の場所もわからない加賀ちゃんは那珂ちゃん以下よ!」けらけら

加賀「だからたまたま間違えただけよ!!」

提督・陸奥「へぇ〜」ニマニマ

加賀「…頭にきました」ボソ


提督「…腹減った」

加賀「ゴロゴロしてないで夕飯のお手伝いくらいしたらどうなの?」コト

提督「コレ加賀姉ぇが作ったの?」

加賀「そうよ、感謝して食べて欲しいものね」

提督「いただきまーす」パクリ

提督「…何この味」もぐもぐ

加賀「はぁ…これだから味音痴は」

陸奥「コレ加賀ちゃんが作ったの?お姉さんにも食べさせて!」ヒョイパク

陸奥「…加賀ちゃん、何入れたの?」

加賀「え!?陸奥姉さんまで…」

榛名「ちょっと加賀?」

加賀「…なに?母さん」

榛名「砂糖の容器が空っぽなんだけど、なにに使ったの?」

加賀「…あ」

陸奥「ぷ」

陸奥「あははははははは!!今どき砂糖と塩を間違えるなんて加賀ちゃんは面白いわね!!」けらけら

提督「そんな一昔前の漫画じゃあるまいし」けらけら

加賀「違ッ…間違えただけ…!」

陸奥「ホント、加賀ちゃんはおっちょこちょいなんだからぁ」

提督「俺と陸奥姉ぇは味音痴だからこの料理の美味しさを教えてくれよ〜」けらけら

加賀「…頭にきました」


陸奥「私、東京の大学行くから」

榛名「やっぱり上京するの?東京に一人で大丈夫?」

陸奥「大丈夫よ、加賀ちゃんじゃあるましぃ」

加賀「…」

伊勢「陸奥ぅ〜お前東京行くのか〜、お父ちゃん寂しいよ…」

陸奥「土日には帰るようにするから」

提督「いつでも帰ってこいよ、陸奥姉ぇ」

陸奥「提督はどこの高校に行くの?」

提督「陸奥姉ぇと加賀姉ぇと同じ高校」

伊勢「まぁ…一番近い高校だし良いんじゃない?他の高校は列車で何時間もかかるからねぇ」

加賀「その前にアナタは高校に合格出来るの?毎日毎日ゲームして泣きついても助けてあげないから」

伊勢「なぁに言ってんだ加賀ぁ、高校受験期間に勉強方法わからないって陸奥と母さんに泣きついたのはどこの誰だよぉ〜」

加賀「なッ…!」

陸奥「ぷ」

陸奥「あははははははは!!!あったわねぇそんなコト!『姉さん…勉強教えて…』って提督が寝た後に来たのよ」けらけら

榛名「そんなに強がんなくていいのに…弱気な加賀でもお母さんは大丈夫です!」

加賀「違ッ…!たまたまわからない問題があっただけで…!」

提督「ふぅ〜ん」ニマニマ

加賀「何よその顔、頭にきました」


加賀「私も東京の大学行くから」

全員「ええええ!?」

伊勢「加賀も東京行っちゃうの!?」

榛名「加賀が一人で東京なんて…お母さんは大丈夫じゃないです!」

陸奥「どうする?東京来るならお姉さんと一緒に暮らす?」

提督「池袋は東が西武で西東武だぞ?」

加賀「ちょっと…!私を馬鹿にしすぎ」

全員「だって心配だもん」

加賀「頭に…きました」


榛名「提督も東京に行くのに憧れてるの…?」

伊勢「まぁ…子供たちの好きにさせようじゃないか、母さん」

提督「俺は父さんの酒屋継ぐつもりだけど…」

伊勢「て…」

伊勢「提督うううう!!!嬉しいこと言ってくれるじゃないか!!!さすが長男坊!!!」

提督「父さん暑苦しいよ」

加賀「この子に酒屋なんて務まるのかしら」

榛名・陸奥「…」じとーっ

加賀「…なに」


数ヶ月後

伊勢「ついに陸奥も明日この家を出てっちゃうのか…」

陸奥「いつでも帰ってくるって」

榛名「新幹線の切符はちゃんと持ってる?」

陸奥「財布に入れてるわよ」

加賀「このアホ弟を私一人で面倒見ないといけないなんて気が重いわね」

提督「素直に寂しいって言えばいいのに」

陸奥「大丈夫よ提督」

陸奥「昨日の夜、加賀ちゃんが東京行かないでって泣きついてきたから」

加賀「なッ…!」

伊勢「加賀はお姉ちゃんッ子だからね」

榛名「陸奥が東京に行くの一番嫌なのは加賀だもんね」

提督「なぁんだ、なら安心」ニマニマ

加賀「…頭にきました」


提督「…陸奥姉ぇがいなくなっただけで家の中が広く感じるな」

加賀「当たり前じゃない、姉さんは影響力大きいから」

提督「東京で上手くやってるかな」

加賀「陸奥姉さんなら大丈夫でしょう」

加賀「それよりアナタ、高校生活はどうなの」

提督「いい感じ、友達も出来たし」

加賀「姉の私には絶対恥かかせないことね、同じ高校通っているのだから」

榛名「あら加賀〜昔、陸奥がこんなこといってたわ」

加賀「え?」

陸奥『聞いてよ母さん、加賀が友達ができないから一緒にお弁当食べようって私の教室に来たのよー』けらけら

加賀「なッ…!」

提督「へぇ〜、陸奥姉ぇ卒業したけど今は誰と弁当食べてんの?」ニマニマ

加賀「友達とに決まってるじゃない!!」

榛名「友達できたのね…それならお母さんは大丈夫です!」ホロリ

提督「赤城くんの他に友達って誰かいるの?」

加賀「ぐっ…、頭にきました」


高校、屋上

赤城「加賀さんの今日のお弁当可愛いね」

加賀「赤城くんのこそ、自分で作ったのかしら」

赤城「そう!料理の出来る男を目指してるの!」

加賀「赤城くんらしいわね」

赤城「加賀さんも料理するの?」

加賀「えぇ」

提督「砂糖と塩間違えるけどな」

赤城「え?」

加賀「提督…!?いつの間に…」

加賀「てか、高校で私に恥かかせないでって言ったでしょ!!」ぐぐぐ…

提督「く…苦しいよ加賀姉ぇ…」

赤城「今どき砂糖と塩間違えるなんて、加賀さんも面白いね」

加賀「昔の話よ!昔の話!」

提督「昔ってったって、高2で砂糖と塩間違えるか?」

加賀「うるっさいわね…頭にきました…」


提督「赤城先輩は高校卒業したらどうするんですか?」

赤城「僕は隣町の大学に行くよ、地方の大学だけど就活にも強いらしいし」

加賀「赤城くん、あそこの大学に行くのね」

赤城「加賀さんは?」

提督「加賀姉ぇは東京の大学行くみたいですよ」

加賀「よ、余計なこと言わないの」

赤城「加賀さんも上京かぁ…卒業したら離ればなれだね」

赤城「やっぱり陸奥先輩が東京に行ったから?」

加賀「えぇ…まぁ、自分磨きも兼ねて…」

赤城「…加賀さんが一人で東京なんて、僕は心配だよ」

提督「ですよね!俺もそう思います!」

加賀「余計なお世話よ…」


数ヶ月後

陸奥「たっだいまー!!」

伊勢「陸奥お前!毎週帰ってくるって言っておきながら全然帰ってこないじゃんかぁ!!」

陸奥「当たり前じゃない!交通費だってバカにならないんだし!」

榛名「陸奥が元気、それならお母さんは大丈夫です!」

提督「どう?陸奥姉ぇ、東京は」

陸奥「楽しいわよ〜、カレシも出来たし」

伊勢・加賀「か、カレシぃ!?」

榛名「写メとかあるのかしら?」

陸奥「この人!長門くんっていうんだ!」

提督「おわ、めちゃくちゃイケメンじゃん!」

加賀「ほあぁ…」

伊勢「どんな男なんだ?長門くんとやらは」

陸奥「すごい誠実で真面目!みんなのリーダー的存在ね!」

陸奥「それでかつ純粋なの!東京の男って言ったらチャラいイメージあるけど彼は違うわ!」

陸奥「家でリス飼ってるし」

伊勢「おぉ、いい男じゃないか!今度ウチに連れて来なさい!」

榛名「真面目で素敵なのね!それならお母さんも大丈夫です!」

提督「へぇー、陸奥姉ぇは東京をエンジョイしてるなー」

陸奥「そういえば加賀ちゃん、東京の大学合格おめでとう!」

提督「残念ながら陸奥姉ぇとは違う大学だけどな」

加賀「別にいいわ、私のやりたいことは姉さんの大学ではできないし」

陸奥「私の大学落ちたときに泣きながら私に電話かけてきたのは誰だっけ?」

加賀「姉さん!!!!!」

陸奥「あははは!!加賀ちゅわんは本当に素直じゃないでちゅねー」

加賀「…」じっ

提督「なんだよ…あんときは加賀姉ぇ本気で落ち込んでたからイジリはしねーよ…」

加賀「…それはそれで頭にきます」


数年後

伊勢「よし提督!!こんな田舎町の酒屋の職員だが立派な社会人だ!ビシバシ教育するぞ!!」

提督「うっす!!オナシャス!!」



伊勢「うい、休憩入るぞ」

提督「ふぅ、疲れた…」

伊勢「お前高卒で良かったのか?大学行きたかったんじゃないのか?」

提督「んなこたねーよ、俺はずっとオヤジの酒屋を継ぐのが夢なんだから」

伊勢「嬉しいこと言ってくれるじゃないか、陸奥と加賀は上京しちゃったしな」

提督「俺はこの町が好きだからな」

伊勢「提督、お姉ちゃんたちと連絡とってるか?」

提督「ん?あんまり、陸奥姉ぇはたまにメールくれるけど」

伊勢「母さんも言ってるんだよ、陸奥はちゃんとメールや電話してくれるけど、加賀があまり連絡よこさないって…」

伊勢「俺は不安だな…」

提督「…俺、今度の休み東京行って姉ちゃんたちに会ってくるわ」

伊勢「そか、気をつけてな」


東京、とあるカフェ

陸奥「いたいた!提督ー!」

提督「おう陸奥姉ぇ!久しぶり!」

陸奥「元気そうね!」

提督「ごめんな、急に呼び出して」

陸奥「いいのよ、可愛い弟が東京に遊びに来たんだから!」

提督「どう?会社のほうは」

陸奥「忙しいけど楽しいわね!長門くんと同じ会社に入社出来たし!」

提督「へぇー、いつ結婚するんだ?」

陸奥「もぉ提督ったら!まだ早いわよぉ!」

提督「そうなの?」

陸奥「お互いまだ社会人になりたてなんだから、これからさらに大人にならないといけないのよ!」

提督「ほぉ、俺も働いてる身だからな、陸奥姉ぇを見習わなくちゃ」

陸奥「そういえばお父さんの酒屋はどう?」




陸奥「アナタも地元で楽しそうにやってるのね!安心した!」

提督「オヤジもオカンも元気だよ」

陸奥「そかそか、お父さんとお母さんにもよろしくね!」

提督「…加賀姉ぇとは会ってる?」

陸奥「…私も加賀ちゃんにメールとか電話するんだけど、なかなか返信率悪くて…」

陸奥「私の家と加賀ちゃんの家は同じ東京っていっても離れているからなかなか会えなくて…」

陸奥「私は働いてるし、加賀ちゃんも大学行ってバイトもしてるみたいだし」

提督「今日、加賀姉ぇにも会いに行くつもりなんだ」

陸奥「連絡は取れたの?」

提督「最初は断られたけど、まぁイヤイヤ了承してくれたよ」

陸奥「ふぅん…加賀ちゃん、大学生になったらお姉さんには泣きつかないって言ったのよ」

陸奥「…本当に私に甘えなくなっちゃって…もしかしたら何か溜め込んでるかもしれない」

提督「…加賀姉ぇに会って、聞けたら色々聞いてみるわ、オヤジもオカンも心配してたし」

陸奥「お願いね、提督」


夕方

提督(うーん、加賀姉ぇとの待ち合わせ時間までまだあるな…)

提督(そこのファミレスで時間潰すか)



川内「いらっしゃいませー!お一人様ですか?」

提督「はい」

川内「でしたらすぐにご案内できますので…」

ガシャアァァァン!!!

提督「え?」

川内「な、なに!?」

山城「は、はあ!?アンタ何してくれんのよ!!」

加賀「も、申し訳ありません!!」

山城「これ高くてお気に入りの服なのよ!?こんなギトギトな料理ひっくり返してぶっかけてくれちゃって!!」

加賀「すみません!すみません!」

川内「あちゃあ…加賀さんまたやらかしちゃったか…」

提督「か、加賀姉ぇ…?」

山城「弁償しなさいよ!弁償!!」

加賀「すみません!すみません!」

山城「すみませんは聞き飽きたのよ!アンタじゃ話にならないから店長連れて来なさい!店長!!」

川内「あ…あー…」

提督「…ほかの店あたりますね」

川内「も、申し訳ありません!」

提督「いえいえ、こちらこそ冷やかしすみません」



提督「…」

提督「…」

提督(加賀姉ぇのあんな姿初めて見た…)

提督(…弟として、心が痛む…)


高雄「加賀さん、またやってしまいましたね」

加賀「申し訳ありません、店長」

高雄「もう4回目じゃないですか、料理ひっくり返すの」

加賀「手が震えてしまって…」

高雄「アナタはあがり症と言うか、緊張すると手が震えてしまうのよね」

加賀「ハイ…」

高雄「数ヶ月間、アナタの様子を見てきたけど…この仕事向いてない気がします」

加賀「…」

高雄「申し訳ないんですけどこれ以上は面倒見れないですね、今日まで働いた分のお給料は振り込んでおくので」

加賀「…いやっ…あの…」

高雄「なにか?」

加賀「…いや…お世話に…なりました…」


提督「…」

提督「…遅いな、加賀姉ぇ」

加賀「提督」

提督「うわ!?加賀姉ぇいたのかよ!」

加賀「久しぶりね、ずいぶん男らしくなったじゃない」

提督「…久しぶりだな、…バイトしてたのか?」

加賀「…えぇ」

提督「…」

提督「…どうだ?バイトのほうは」

加賀「…」

加賀「…ファミレスでバイトしてるんだけど」

加賀「…やっぱり東京のファミレスは忙しいわね、アンタじゃ務まらないわ」

提督「そか」

加賀「地元の田舎町に比べて東京という町は忙しいのよ、私だから適応できるのだけれど」

提督「そか」

加賀「アナタも東京に憧れた?でもやめたほうがいいわ、何故なら…」

提督「加賀姉ぇ、なんで泣いてるんだ?」

加賀「ッ…!」

加賀「…泣いて…なんかないわ」

提督「ホラ、ハンカチ」

加賀「いらない!泣いてないもの!」ぐすっ

提督「…」

加賀「…」

提督「…」

加賀「…」

提督「…強がんなよ、溜め込めば溜め込むだけ苦しくなるだけだ」

提督「陸奥姉ぇみたいに頼りにならないかもしれないけど、弟を頼りにするのもアリだろ」

提督「姉弟なんだから」

加賀「…」

加賀「…うっ…」ぐすっ

加賀「て…提督ぅぅぅぅ…」ぎゅう

提督「おしおし、ツラかったんだな」なでなで


加賀「…大学では友達できないし…」

加賀「バイトでは失敗ばっかり…」

加賀「人がたくさんいる東京で人を避けて生きる毎日…」

提督「うんうん」

加賀「陸奥姉さんに憧れて」

加賀「アンタに強がりを見せたくて…」

加賀「高いプライドだけ持って東京きたけど、自分一人じゃ何もできない」

加賀「私はそんなダメな人間なの」

提督「そかそか」

加賀「滑稽よね、笑ってちょうだい」

提督「…」

提督「あははははははは」けらけら

加賀「…」

提督「加賀姉ぇ、東京行っても変わってなくて安心したよ」

加賀「…え?」

提督「加賀姉ぇの言う通り」

提督「加賀姉ぇは無駄に強がりだし、一人じゃ何もできないから陸奥姉ぇやオカンを頼ってばっかり」

提督「幼稚園のときから変わってないよ」

加賀「…」

提督「そんな加賀姉ぇが東京で一人で暮らせるわけないじゃん」

加賀「…」

加賀「…じゃあどうしたらいいの」

提督「帰ろうよ、俺らの家に」

提督「東京よりオヤジとオカンがいる家のほうが楽しいだろ?」

提督「俺もいるし、好きなときにいじめることができるぞ」

提督「また田舎でのんびり暮らそうぜ」

加賀「…」

加賀「…」

提督「あの小さな町にはこのデカい東京より、加賀姉ぇを受け入れてくれる人がたくさんいるよ」

提督「そうだろ?」

加賀「…」

加賀「…うん」

ぎゅう

提督「うん?どうする?」

加賀「…帰りたい」ぐすっ

提督「…よし、決まりだな」




加賀「…ふぅ」

提督「どう?落ち着いた?」

加賀「…」ジロッ

提督「な、なんだよ…」

加賀「アンタに泣き顔を見られるなんて大失態ね」

提督「…はは、調子戻ってきたな」

加賀「…」ムスッ

提督「…こんな外で立ち話もなんですし、加賀姉ぇの家に行きましょうか」

加賀「…断るわ、そこらのカフェで十分でしょう」

提督「どーせ、部屋が散らかってんだろ?」

加賀「…っ、綺麗に片付けてるに決まってるじゃない」

提督「嘘コケ、何年加賀姉ぇと暮らしてきたと思ってるんだ」

提督「脱いだ服は脱ぎっぱなし、読んだ本は出しっぱなし」

提督「よく陸奥姉ぇが片付けてたぞ」

加賀「…」

提督「なんなら今から陸奥姉ぇも呼んで部屋を片付けてもらおうか?」けらけら

ゲシッ

提督「いって!」

加賀「頭にきました」


加賀姉ぇアパート

提督「なんだ…意外と片付いてるじゃん」

加賀「ヅカヅカ入り込んで勝手にくつろぐなんて…図々しいにも程があるわ」

提督「…コンビニ弁当の容器ばっかり…ちゃんと料理して食えよ加賀姉ぇ、体に毒だぞ」

加賀「余計なお世話ね、だから今こうして料理してるんじゃない」

加賀「アナタの為にね」ジロッ

提督「ハイハイ、あんがとさん」

提督「砂糖と塩間違えんなよ?」

加賀「…」じとーっ

提督「おい前みろ前!焦げるぞ!」

加賀「焦げたのは弟が処理してくれるわ」

提督「頼もしい弟がいるんですね」





提督「ほぉ、見た目は良いね…焦げもないし」

加賀「失礼ね、さっさと食べたらどうなの」

提督「ヘイヘイ、いただきまーす」ぱくり

加賀「…」ジーッ

提督「…なんだよ」

加賀「感想くらい言ったらどうなの?」

提督「…ぶっちゃけさぁ」

加賀「え…マズイ…かしら?」

提督「料理に関しては陸奥姉ぇより加賀姉ぇのほうが上手いんだよな」

加賀「…え」

提督「加賀姉ぇの料理の腕はピカイチだよ、砂糖と塩を間違えなければな」

加賀「…」

提督「…ごめ、余計な一言が…」

加賀「ふふっ」ナデナデ

提督「え!?なに!?なんで撫でられてるの!?」

加賀「流石に気分が高揚します」


能代「…」

提督「能代…ヨダレ垂れてるぞ」

能代「加賀さん!いや、加賀姉さん!私にもナデナデしてください!!」

加賀「イヤよ、ヨダレが汚いし」

提督「加賀姉ぇのクールビューティーの裏にはこんな一面があったとはな」

能代「強がり加賀姉さんの弱い一面!キュンと来ます!」

提督「東京で大失敗した加賀姉ぇ、地元に戻ってうまくやれるのでしょうか」

能代「…姉萌えの真骨頂も最後なんですね…」

提督「さぁ、行ってみよう…ここからが加賀姉ぇの姉萌えの真骨頂だ!!」

能代「はい!いきましょう!!」ジュルリ

加賀「うわホントに汚い」


10年後の元旦

明石「ほぉら、あなた起きて!」

提督「んあ…もうこんな時間か…」

明石「お姉さん夫婦が遊びに来るんですよ、私はお母様のお手伝いをしますからね」

提督「オヤジに昨日も働かされたから疲れたよ…」

伊勢「文句言うな、実家暮らし」

提督「自営業なんだから仕方ないね」

ガチャ

加賀「ただいま」

榛名「あ、来たみたい」

ドタドタドタ…

暁「おばあちゃーん!」

榛名「あら暁ちゃん!明けましておめでとうございます!」

暁「明けましておめでとう!おじいちゃんもおめでとう!」

伊勢「よく来たねぇ、明けましておめでとう」

暁「見てみて!このアクセサリー、ママに買ってもらったんだ!」

榛名「あら似合ってるわね!お姫様みたい!」

暁「えへへ〜」

伊勢「ゆっくりしていきなさい」

暁「あ!提督お兄ちゃん!」

提督「おう、あけおめ!」

暁「あけおめ!」

提督「元気そうで何よりだね、ママは怒ってばっかりかな?」

加賀「娘に変な事言わないでくれるかしら」

提督「加賀姉ぇ、久しぶり」

加賀「久しぶり、明石さんには迷惑かけてない?デリカシーの欠片もないあなたは知らずのうちに女性を傷付けるからね、離婚を切り出されないように頑張る事ね」

提督「新年一発目からそんな話かよ…」

暁「なんの話?」

提督「暁ちゃん、お年玉をあげよう」

暁「え!?ありがとう!」

加賀「え?いくらもらったの?ママが預かろうか?」

暁「やだ!」

提督「ママに渡すと使われちゃうよ〜」

暁「頭にきます!」

提督「ははは!ママの真似うまいねぇ」

加賀「…」


赤城「お父様、お母様、ご無沙汰しております、明けましておめでとうございます」

榛名「赤城くん、明けましておめでとう!くつろいでいってくださいね」

伊勢「さらに男らしくなったんじゃないか?今夜はたくさん飲もうじゃないか!」

赤城「お父様の作るお酒は美味しいですから楽しみです!」

提督「先輩!俺の酒も飲んでくださいよ!」

赤城「提督くんももう一人前かな?」

伊勢「まだまだ!このヒヨッコに店は任せられないよ!」

加賀「明石さんはお子さんの予定は?」

明石「えへへ、そろそろ考えてます」

加賀「わからない事があったらなんでも聞いていいわ」

明石「ありがとうございます!」

暁「おばーちゃーん、遊ぼうよー!」

榛名「今行きますよ〜」




伊勢「あっはっはっは!赤城くん良い飲みっぷりだ!!」

赤城「お父様のお酒美味しいです!いくらでも入ります!!」ゴキュゴキュ

榛名「ちょっとあなたたち飲みすぎですよ…お母さんは心配です…」

暁「明石お姉ちゃん、お酒って美味しいの?」

明石「うーん、大人になると美味しく感じるように上手く作られているのよ」

暁「ふーん」

提督「ははは、久しぶりにウチが賑やかになったな」

加賀「そうね」

提督「まぁいっぱいどぞ、俺が作ったやつ」トクトク

加賀「ん」

加賀「父さんには及ばないけど、まぁ美味しいわね」

提督「あざす」

提督「今ごろ陸奥姉ぇはハワイかぁ」

加賀「ハワイで年越しなんて陸奥姉さんらしいわね」

提督「ホント、陸奥姉ぇは人生の成功者って感じだよな」

加賀「姉さんに憧れるだけ無駄ね」

提督「加賀姉ぇが陸奥姉ぇに憧れて東京行って、ボロボロになってた頃が懐かしいな」けらけら

加賀「またその話掘り返して…頭にきました」

提督「はははは」

加賀「…もしあのとき、提督が私に会いに来なかったら…」

加賀「私は東京でどうなっていたのかしら」

提督「ん?」

加賀「まぁ…間違いなく今の幸せな家庭は築けなかったわね」

提督「…」

加賀「提督」ジッ

加賀「本当に今更なのだけれど」

加賀「私を助けてくれてありがとう」

提督「いや…俺はただ加賀姉ぇに会いにきただけだし…」

加賀「ふふっ」ナデナデ

提督「ちょ、撫でるなよ!恥ずかしい!」

加賀「黙って撫でられなさい」

加賀「私の弟は、優秀な子なんですから」


能代「…」

能代「…」

能代「…終わったん…ですか?」

提督「あぁ、終わりだ」

能代「終わっしまったんですね…とりあえず加賀姉さん、私を撫でてください」

加賀「イヤよ」

提督「さて、加賀姉ぇの姉萌えを語って終わるか」

能代「提督!!」

提督「なんだ?」

能代「能代に姉萌えを語らせてください!!提督のご期待に答えてみせます!!」

提督「よし、やってみろ」


能代「今回の加賀姉さんの物語は今までの姉萌えの集大成と言っていいでしょう!!」

能代「なかでも重要なのは『時間の経過』です!!」

提督「いい目の付け所だ」

能代「時間の経過により、3種類の加賀姉さんが登場しました!!」

能代「まず最初の加賀姉さん!JK加賀姉さんですね!」

能代「この頃の加賀姉さんは優秀で大人っぽい陸奥姉さんに憧れを抱きつつ、弟である提督に自分も優秀な姉であると見せつけたいという考えを持っています!!」

能代「なんとしても弟にいいカッコウを見せつけようとしますが、ちょいドジを陸奥姉さんと提督にいじられる日々!!」

能代「これには変にプライドが高い加賀姉さんにはダメージが及んでしまいます!」

提督「瑞鶴や大井を彷彿とさせるな」

能代「しかし陸奥姉さんが東京に行くと聞き…そこにも憧れを抱いてしまう…」

能代「私も東京でやっていければ提督を見返せる!と思ってしまったんですね…」

能代「クールビューティーキャラをなんとか持続させようと頑張る加賀姉さん萌え!!」


能代「次は東京で暮らす大学生加賀姉さん!」

能代「高校生のときとは違い、散々な毎日を送る加賀姉さん…」

能代「大学では友達できない、バイトで客に怒鳴られる、そして首を切られる…」

能代「プライドだけ提げてきた加賀姉さんには大大ダメージです…」

能代「無駄に威勢のいいときとのギャップがたまりませんなぁ」

加賀「それって惨めな私を見て嘲笑うってことでしょう、頭にきました」

能代「違います!これはギャップ萌えです!」

能代「クールビューティーな加賀姉さんがミスばっかりして落ち込む姿…そのギャップに萌えるんです!馬鹿にする気持ちはありません!!」

能代「普段、凛とした美しい赤城さんが、ご飯をバカ食いする姿…加賀さんも好きでしょう!」

加賀「…確かに、真面目な赤城さんの隠れた食い意地…好きです」

提督「加賀を納得させるとは…やるな能代」


能代「そして弱りきった加賀姉さんのところに提督が現れる…」

能代「どうにかクールに振舞ってみせるけど、辛い思いが上回って泣き出してしまう」

能代「提督に頼りになる言葉をかけられて、プライドを捨てて自分の抱えていたものを全て吐き出すのです」

能代「自分は決して強い人間ではないと…その魂の告白に…萌えです」

提督(え、そこも萌えポイントなんだ…俺知らなかった)


能代「『俺たちの家に帰ろう』その言葉を聞いて提督に抱きつく加賀姉さん」

能代「弱い自分を提督に委ねてる姿からわかるように、本当に辛い毎日だったんでしょうね」

能代「抱きしめてあげたいくらい萌えです」

提督「強い人の弱い姿…最大のギャップ萌えだよな」

能代「さて、調子を取り戻した加賀姉さん」

能代「昔何回も繰り返した提督とのやりとり、再びすることができて心なしか嬉しそうです」

能代「『頭にきました』はもはやテッパンですね」

能代「水を得た魚のよう」

加賀「その例えは頭にきます」


能代「加賀姉さんの家に移動し、提督に料理を振る舞う加賀姉さん」

能代「そこでの何気ないやりとりも、ひとりぼっちだった加賀姉さんにはとても嬉しく楽しいひとときなんでしょうね」

能代「小さな幸せを噛みしめる加賀姉さん萌えです」

提督「そこのポイントは俺も気付いたぞ」

能代「当然です」キッ

提督「アッハイ」

加賀(二人はどういう関係なの…)

能代「そしてそして大学生加賀姉さんの最大の萌えポイントがここです!」

提督「料理を褒めてもらうところだな」

能代「提督が会いに来てくれた、辛い東京から家に帰れる、陸奥姉さんより料理が上手と褒められる!」

能代「嬉しいことが重なった加賀姉さんは何を思ったのか提督の頭を撫で始める!!」

能代「そして一言、『流石に気分が高揚します』」

能代「わたしはそれを待ってましたぁ!!!!」

能代「まさに!!サナギから蝶が羽ばたく瞬間です!!!!」

能代「よかった…本当によかった!!!!」

提督「…エンジン暖まってきたな」

加賀「え?まだアクセル全開じゃないの…?」


能代「そしてラスト!!人妻加賀姉さんです!!!」

能代「人妻ですよ人妻!!無駄にプライドだけ高かったJK加賀姉さんが、今や子を持つ母親です!!!」

能代「これが最初に言った『時間の経過』です!!!」

能代「自分が大人になればお姉さんも大人になるんです!!自分がおじいさんになればお姉さんもおばあさんになるんです!!!」

加賀「…あなたはおばあさんでしょう」

提督「今、能代は弟の気持ちになってるから」

能代「プライドが高いJK加賀姉さんがあり、ひとりぼっちの弱々しいJD加賀姉さんがあり…」

能代「そして今は…!」

能代「自分の娘の暁ちゃんに対して一人称が『ママ』の人妻加賀姉さん!!!」

能代「これこそが『時間の経過』が作り出す最大の姉萌えですッ!!!!!」

能代「加賀姉さんがママですよ!?ママ!!!!」

提督「…俺はもう満足だ、教えることはもう何もない」

提督「成長したな、能代」

加賀「…なにコレ」


能代「最後…周りがドンチャン騒ぐ中、お酒を飲みながら静かに語り合う加賀姉さんと提督…」

能代「加賀姉さんは大学時代、提督が会いに来てくれたことを再び感謝します」

能代「自分が幸せなのは提督のおかげだと」

能代「そんなことないと振る舞う提督の頭を優しく撫で始める加賀姉さん」

能代「『私の弟は、優秀な子なんですから』」

能代「なんとも和やかで見てるこちらも嬉しくなるシーンです」

能代「何年たっても、何十年たっても…お姉さんは弟が大好きなんですね」

能代「そこに…萌えです」

能代「以上です!!結果!!!加賀さんには私のお姉さんになって欲しい!!!」ドォォォォン

能代「加賀さん!!!ベリーベリーナイスお姉さん!!!!」

加賀「は、はひ」

提督「いやぁ、素晴らしかった」パチパチ


能代「…ふぅ、楽しいひとときでした」

提督「一人っ子がお姉ちゃんに憧れる気持ち、わかったか?」

能代「はい!」

提督「しかしそれは一人っ子の悲しい幻想でしかない…」

提督「俺の血の繋がった姉など、天地がひっくり返ろうとも、絶対に現れはしないのだから」

能代「そうですね…」

提督「実際に兄弟がいる友達もいろんな考えを持っている」

提督「姉がいる人は妹が欲しい、妹がいる人は姉が欲しい、女兄弟がいる人は男兄弟が欲しい…」

提督「結局は、無い物ねだりなのかもな」

提督「しかし中には『俺は本当に姉と仲が良い』という友達もいる」

提督「…兄弟がいる人は探してみてはどうだろうか」

提督「萌えとは言わない、兄弟愛を…」

提督「一人っ子が決して味わうことのできない兄弟愛を探して、是非一人っ子に自慢して欲しい」

提督「そしてそれを聞いた我々一人っ子は、また最高の妄想が出来るのだから…」



おわり


能代「て、提督…」

提督「ん?」

能代「能代は…提督のお姉さん候補にはならないのでしょうか…」

提督「ならないね」

能代「え…能代、自信を付けてきたのに…ショックです…」

提督「だってお前は俺のただ一人のお嫁さん候補なんだから」

能代「なッ…!!」

能代「…」

能代「目指してみせます、姉さん女房!!!」


一人っ子の妄想に付き合っていただき、
ありがとうございました

制服着たJK陸奥姉ぇに乳首舐めてもらいたい

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月02日 (木) 16:13:44   ID: xIfJm6z4

楽しかったよ

2 :  SS好きの774さん   2015年07月03日 (金) 13:36:28   ID: Yx7fFI_b

シリーズ化して欲しいな

3 :  SS好きの774さん   2015年08月12日 (水) 11:11:31   ID: scAoClGj

大和と武蔵の役が胸糞だったけど、
それ以外の娘はいい役だった♪

4 :  SS好きの774さん   2015年08月15日 (土) 18:37:48   ID: 6rX8Jy_8

能代ww

5 :  SS好きの774さん   2017年07月25日 (火) 23:38:50   ID: 3ficpFSZ

締めが上手いな

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