淡「夏の全国編の制服では初の立体化!」
照「欲しい」
淡「しかも、プライズ限定商品です!」
照「欲しい」
淡「正直、咲のフィギュアってイマイチなことが多いんだけど、これはなかなか素朴で可愛いんだよねー」
照「淡」
淡「なーに?テルー」
照「欲しい」
淡「えー?なにをー?」
照「この流れをくんで。そのフィギュアが欲しい」
淡「どうしよっかなー」
照「お願いします。なんでもしますから」
淡「そう言われるとあげたくなくなっちゃうなー」
照「ただとは言わない。それ相応の額は…」
淡「だから言ってんじゃーん、プライズ限定だって。お金には代えられないの」
照「う…」
淡「このサキは私のものー」
照「…じゃあ、どこで取ったか教えて」
淡「え?」
照「自分で取りにいく」
淡「えーと…それは…」
照「淡、そこまで意地悪しなくても」
淡「い、いや、これはその…」
照「あんまり、こういうことはしたく無いんだけど」ギギギ
淡「わー!待って待って!これには深い事情がー!」
照「…深い事情?」
淡「実はこれ…」
照「……」
淡「もらいものなんだ」
照「…え?」
誠子「あーそうなんですよー。それ私が取って淡にあげたんです」
淡「そーゆーことー」
照「たいして深くもなかった…」
淡「なんていうか言葉のあやってやつだよー」
照「まぁ、いい。誠子、それどこで取ったの?」
誠子「え?これは近くのゲーセンですけど、もしかして欲しいんですか?」
照「うん」
誠子「あーじゃあ、そこはもうダメです」
照「どうして?」
誠子「私があまりに、あっさり取るから設定変えられちゃいました」
淡「セーコ、かっこいいー!」
誠子「なんたって私は、狙った獲物は逃さない…白糸台のフィッシャーだからな」
淡「準決勝では逆に狙いまくられてたけどねー」
誠子「う…ごめんなさい…」
照「そんなことは、どうでもいい」
淡「お、テルったら切るねー」
照「もう、そのお店では取れないってこと?」
誠子「はい。もうあの設定はダメですね。私でもいくらかかるか…」
照「じゃあ、どうすれば…」
誠子「うーん、そんなに欲しかったのか…もう少し早く言ってくれれば」
照「どういうこと?」
誠子「私、取って満足型なんで、自分のをあげればいいかなーと思ったんですけど…」
照「本当!?」キラキラ
誠子「つい、さっき…」
尭深「…私がもらった」
淡「なんだータカミももらってたのー?」
尭深「うん、すごく欲しくて」
誠子「そういうことなんです」
照「…尭深」
尭深「あげません」
照「まだ、なんにも言ってない」
尭深「パワハラです」
照「……」
淡「キャー!タカミ、NOと言える女じゃん!」
尭深「///」
照(あれ…こんなに私の居場所って無かったっけ…?)ショボーン
誠子「せ、せんぱい!元気出してください!」
照「誠子…」
誠子「UFOキャッチャーは経験ですよ!自分の足と実力で、手に入れてください!」
照「なにか、アドバイス…」
誠子「経験です!」
照「……」
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照(と、いうことで来てしまった)
照(秋葉原)
照(ここにはゲームセンターたくさんある)
照(どこか1軒くらい私にも取れるのがお店があるはず)
照(待ってて…咲)
〜1軒目〜
景品が吊ってある紙を、UFOキャッチャーの先についている針で刺し、穴を開けて取るタイプのレイアウト
照(すごく針が揺れて、思うところに行かないけど)
照(すでに穴がたくさん空いてる)
照(もう少し頑張れば、いけそう)
〜10分後〜
照(ダメだ、最初は順調だけど、ある程度まで行くと針が滑って、すでに空いている穴の方に行ってしまう…)
照(ここは無理そう)
〜2軒目〜
棒の先に、景品がひっかけて吊ってあるタイプのレイアウト。UFOキャッチャーで掴むのではなく、ひっかけて取るため、片側のアームしかない
照(なにこれ、なんでこれだけの支えで景品が落ちないの?)
照(ちょっとひっかけたら簡単に取れそう)
〜10分後〜
照(ダメ…全然動かない)
照(棒の先がゴム製になってる…?)
照(しかも、アームの力も弱い)
照(いい場所にいっても全然引っ掛かからない)
照(…いや)
照(沈む力が弱いのか…?)
照(どっちにしろ、ここは無理そう)
〜3軒目〜
幅の狭い台の上に、景品が乗ってるだけのレイアウト
照(うーん、これは引っかかるとこが無いけど、動くのかな…)
照(動かせさえすれば、すごく簡単そうだけど…)
照「すみませーん!」
店員「はーい!なんでしょう?」
照「これって、どうやって取るんですか?」
店員「そうですねー、こちらの商品は見ての通り、穴等空いていませんので」
店員「こう、爪の先を景品のギリギリ、だいたいこの辺ですねー」
店員「ここを狙ってあげると、箱がくるんと回りまして、ほら、さっきより右にきてる」
店員「これを何回か、くりかえしてあげてくださいー」
照「なるほど、ありがとうございます」
店員「いえいえ、それでは、頑張ってくださーい!」
照(親切な店員さんだな…よーし!)
〜10分後〜
照(参った…)
照(たしかに、さっきの店員さん言うとりにすれば、だんだん場所がズレてきたけど)
照(この台、返しがついてる)
照(ここにひっかかって、景品を穴に落とすことができない…)
照(ここは、もう無理そうだな…)
〜4軒目〜
2本の突っ張り棒がつきでており、その間に商品が挟まってるレイアウト
照(なんだこれ、すぐにでも落ちそうだけど…)
照(は!)
照(これは2軒目と同じパターン!?)
照(試しに1回やってみよう)
チャリン
照(やっぱり…全然動きそうにない)
照「…次」
〜5軒目〜
UFOキャッチャーではなく棒で、穴に棒が突き刺さると商品が落ちるタイプのレイアウト
照(穴小さすぎ…)
照(絶対無理!)
〜6軒目〜
照(うーん、やっぱりこういうのってなかなか取れないものなんだな…)
照(それとも、私が下手なのか?)
照(ずっと、麻雀ばかりしてたからな…)
照(もっと、いろいろ遊んでおけばよかった…)
照(あぁ、もうどれも絶対取れない気がしてきた…)
照(咲…)
照(ごめんね、もうお姉ちゃんダメかもしれない…)
ガヤガヤ
照(ん?なんだあれ…?)
てるたそ~
UFOキャチャー玄人っぽい人(以下、玄人)A「俺が最安で取ってやんよ」
玄人B「お?言いつつ、微妙に右にズレてる気がするけどね」
玄人C「ほら、やっぱりズレてるー」
玄人A「うるへー!次こそ!」
玄人B「って500円入れてんじゃん!」
店員「お客様、こちらの商品はお一人様4つまでとなっております」
玄人C「はーい、分かってまーす」
玄人A「あ、やべ3回で取れちゃった」
玄人B「お前、それが4つめだろー」
玄人A「やっちまったよ」
玄人C「俺にゆずれゆずれー」
照(…次々と咲が…)
照(もしかして、あの袋の中全部!?)
照(うらやましい…)
照(…じゃない!)
照(後ろから、観察して技を盗むんだ…)
照(ふふ、こんなこと麻雀を覚えたてのころ以来…)
玄人C「ほーら、取れた!」
玄人A「俺の金だろー!」
照「……」ジー
玄人C「ちゃんと、あと何回で取れるかきちんと計算できるのも実力だぞー」
玄人A「うっせ!」
玄人B「いいから、とっとと取って次行こうぜ」
照「」ジー
玄人A「……」
玄人B「……」
玄人C「……」
照「」ジー
玄人B「あのーお嬢さん?」
照「」ジー
玄人B「あのー」
照「え、私ですか?」
玄人B「はい」
照「あ!すみません。見てるだけなので気にしないでください」
玄人C「でもなんか…プレッシャーがなぁ?」
玄人A「あぁ」
照「ごめんなさい、こういう体質で」
玄人B「体質…」
照「あの、あんまり、取るのが上手いから、その、参考にしたくて」
照魔鏡はこうして習得したのか
玄人A「そっか…いくつ欲しいんだ?」
照「ひ、1つでいいんです!でも…どうしても欲しくて」
玄人B「玄人C、今いくつ取った?」
玄人C「えっと…3つめだな」
玄人B「ちょうどいい。お嬢さん、取り方教えてあげるよ」
照「!!本当ですか!?」
玄人A「あぁ、どうせ俺たちはもうこれ以上取れないし」
玄人C「そんなに欲しそうな顔、見ちゃったら。な」
照「ありがとうございます!」
2本の棒が渡してあり、その上に箱が乗ってるタイプのレイアウト
玄人C「まず、このアーム、このくらいまで開くのな。で、左側のアームをこの左端ギリギリ…」
玄人C「ここ、ここまで持ってくる。で奥行きは、頭側に。頭の方が若干、軽いからな」
照「はい」
玄人C「すると、ほら、このくらいズレた」
玄人C「これを何回か繰り返す…」
照「繰り返す…」
玄人C「これで落ちてくれたら楽なんだが、まず無いな」
玄人C「こう、棒に引っかかって変な形になっちまう」
照「ここから、どうするんですか?」
玄人C「ここからが腕の見せどころさ。この斜めになってる箱、これがまだ動かせそうなら、もう少し動かしてやる」
玄人C「しかし、これ以上動かんってところがくる。そうしたら…」
玄人「この箱の落ちそうなところ、棒との接触が甘いところ、ここをアームの爪で押してやるんだ」
ゴトン
照「」キラキラ
玄人C「ほらな」
照「すごいです!」
玄人「だろー?やってみ」
照「はい!」
照(まず、アームを左端ギリギリ…)
照「で、頭側に…」
照(!!ズレた!)
玄人C「もう少し寄せられるぞー」
照(もう少し…)
照(このくらい?)
照(さっきよりズレた!)
玄人B「いい調子だ」
照(これを繰り返して…)
景品「」クルン
玄人A「きたな…」
照(ここからが…勝負!)
玄人C「もう少し動く、頭側を狙ってやれ」
照「はい」
照(頭側…)
照(あれ?あんまり動かない…)
玄人C「うーん、もう少しギリギリじゃなきゃダメだな、集中しろ」
照(集中集中…)ゴッ
玄人A「うわっ!」
玄人B「どうした?」
玄人A「いや、なんか寒気が…」
照(今度は動いた…!)
玄人C「よし!いいぞ!あとは、さっき言った通り、爪で押し込んでやるだけだ」
玄人C「あの辺…分かるな?」
照「はい!」
照(あの、1点、あそこを狙う…)
玄人A「あっ」
玄人B「ズレたな」
照「あー…」
玄人C「緊張しすぎだって、リラックスリラックス」
照「はい…」
照(深呼吸…)スー
照(…よし!)ハー
照(ここ!)
玄人C「よさげだな」
玄人A「って、あれ?」
玄人B「ギリギリ引っかかったな」
照「まだ落ちない…」
玄人C「いや、今のは偶然だ。UFOキャッチャーってのはそういうもんさ」
玄人B「あと、1回で落ちる」
玄人A「しっかりやれよ」
照「はい!」
照「…ってあれ?」
照「そ…んな…」
玄人A「ん?どうした?」
照「ここまで…きたのに…」
玄人B「まさか!」
玄人C「お金が…無いのか?」
照「……」コクン
玄人C「くっそ!ここは俺が」
店員「お客様、この景品はお1人様4つまでです」
玄人C「俺が取るっつってんじゃねぇよ!この嬢ちゃんに!」
店員「規則ですので」
玄人C「くっそ…!」
玄人A「あと1回なのに…」
玄人B「なんて頭の固い店員なんだ…」
隣の景品のまどか「こんなのってないよ」
照「…いいんです」
玄人C「嬢ちゃん…!」
照「ここまで散財してしまったのは、私が下手くそだからです」
玄人B「誰だって最初は…」
照「これは!私が!」
玄人A「!?」
照「私が咲に相応しくない人間だ…そういうことなんだと思います…」フルフル
玄人C「嬢ちゃん…」
照「…あきらめます」スタスタ
玄人A「お、おい!」
玄人B「やめておけ、俺たちにできることはない」
玄人A「でも…」
玄人B「よせ」
玄人C「…なに、言ってるんだよ!」
玄人B「玄人C…」
玄人C「あの嬢ちゃん、自分が相応しくない人間だって言ったんだぞ!」
玄人C「あんなに真剣なやつが相応しい人間じゃなかったら、俺たちはなんなんだ?ゴミくずか?」
玄人C「俺はっ!俺をゴミくずにしないために!追いかけるぞ!」ダッ
玄人B「待て!」
玄人C「なんなんだよ!まだ止めるのか?」
玄人B「これを持ってけ」
玄人A「俺のもだ」
玄人C「玄人B…玄人A…!」
玄人B「行け!はやく!」
玄人C「おぉ!」
照(咲…やっぱり私はダメみたいだ…)トボトボ
玄人C「待てよ!嬢ちゃん!」
照「!!さっきの…」
玄人C「はぁはぁ…お嬢さん、詳しい事情は知らないが、取れないから相応しくない。そんなことはないぞ」
玄人C「ほらよ」
照「これは…!しかも3つも!」
玄人C「受け取ってくれ」
照「受け取れません!だって私は…」
玄人C「うるせえ!俺が、俺たちがお前は相応しい人間だって、そう言ってんだよ!」
照「!!」
玄人C「自分の力じゃなくたっていいじゃないか…大事なことは…」
照「大事なことは…」
玄人C「やべっ、なんも考えずに言っちまった」
照「……くすっ」
玄人C「とにかく、受け取れ、な」
照「…はい」
玄人C「電車代は?大丈夫か?」
照「Suicaできました」
玄人C「そうか…」
/. ノ、i.|i 、、 ヽ
i | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ |
| i 、ヽ_ヽ、_i , / `__,;―'彡-i |
i ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' / .|
iイ | |' ;'(( ,;/ '~ ゛  ̄`;)" c ミ i.
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丿 `| (( _゛_i__`' (( ; ノ// i |ヽi. _/| _/| / | | ― / \/ | ―――
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'ノ .. i )) '--、_`7 (( , 'i ノノ ヽ
ノ Y `-- " )) ノ ""i ヽ
ノヽ、 ノノ _/ i \
/ヽ ヽヽ、___,;//--'";;" ,/ヽ、 ヾヽ
照「あのっ、ありがとうございます!」
玄人C「まぁ、俺たちはいっぱい取ってるから」
照「いえ、それだけじゃなくて、いろいろ、教えてくれて」
玄人C「あぁ…気にすんなよ」
玄人C「俺も教わったことあったし、な」
照「え?」
玄人C「じゃあな!嬢ちゃん!」
照「は、はい!本当にありがとうございました!」
玄人C「お嬢ちゃんを見て思い出したよ…最初は俺もあんな風に、必死になって取って、落ち込んで、喜んでたな…って」
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照(急に咲が3人も…)
照(どうしよう?)
照(よく使用用、保存用、布教用とか言うけど)
照(そんなこと私には…)
照(いいや、家でゆっくり考えよう)
照(…ふふ)
照(咲、やっと会えた)
照「ずっと…ずっと会いたかったよ」
玄ABC「ナノデス!!」
咲(無機物)「私もだよ、お姉ちゃん」
照「咲!」
咲(無機物)「すっと寂しかった…」
照「うん、うん、ごめんね…」
咲(無機物)「いいよ、お姉ちゃん…」
照「咲…」
咲(無機物)「お姉ちゃんもつらかったこと、私、分かってるから」
照「咲っ!もう二度と!二度と離さない!」
咲(無機物)「お姉ちゃん…」
照「咲…」ギュゥッ
\ /´ __r─ r‐ r‐、.ト
乂 f i | ! i ∨
|\_ \ 八} { } } }
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|/\| 二 ミ、/:` ¨¨´::::::::::::ヽ
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i:: ハ 乂 レ ノ リ:::::::}
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ノ::::八xx xx ノ::::::}
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.て_ソ:`i .||. iヽl__)l
/:::::::メ::::::.| ||. |:::ゞ::::ヽ
咲(無機物)「……」
照「…は!嬉しさのあまり、幻覚を」
照「…ふふ、今日は疲れたな…」
照「でも、心地よい疲労だ…」
照「さ、家に帰ろ…ん?」
アキバのギー○とブックオ○の間の道にあるショップ『プレミアムフィギュア宮永咲 1480円』
照「……」
カン!
〜帰宅後、照の部屋〜
照「本当によくできてる…」
照「新聞でチラッと見たときは、スカート短かったのに」
照「今はこんなに長いのか…」
照「お姉ちゃんは、安心したよ」
照「でも、見えないと逆に」
照「気になる」
照「」キョロキョロ
照「」チラッ
照「はいてる…」
もいっこカン!
〜ある日の白糸台の部室〜
照「…じゃじゃーん」
淡「うわ、すご!3つも!」
照「…どうだ」
淡「テルが取ったの?すごいじゃん!」
照「これには、いろいろあってだな…」
菫「…なんだそれ?」
照「プレミアフィギィア宮永咲。夏の全国大会編後初の〜」
淡「うわ!私の受け売りじゃん!」
照「…というものなんだ」
菫「欲しい」
照「…は?」
菫「3つもあるんだ。1つくらい…」
照「いやだ!」
菫「え?」
照「絶対にあげない!」
菫「えー…」
もいっこカン!
菫(来てしまった…秋葉原)
この後、菫は出会いと別れ、愛情と憎悪、希望と絶望を体験し、ようやくフィギュアを手にするのだが、それはまた別の話
もいっこカン!スーカンツです!
終わりです。スーカンツしたかっただけです。あと、このお話はフィクションです。現実の秋葉原とは全く関係ないです。はい
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