照「母さん私が少しでも料理できると思ったのかなぁ…」

照「この間だって右手が勝手に暴れて床にお米ブチまけたし」

照「…もうお菓子でいいか」

照「インハイ終わってから1ヶ月たった｣ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

照「燃え尽き症候群ってやつなのかな？ここ最近の倦怠感はとても酷い｣ﾊﾟﾘﾊﾟﾘ

照「思えば小さい頃から麻雀しかしてこなかったからなぁ｣ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

照「まさか負けちゃうとは…｣ﾊﾟﾘｯ

照「私にとって最後のインハイだったのに」

照「先鋒だった私は辻垣内さんには多少手こずったもののいつも通り」

照「いやいつも以上の力が出せていた」

照「後の4人も善戦してくれた」

照「でも大将戦で淡が咲にまくられて」

照「私たちは優勝を逃した」

照「準決勝と全く一緒の展開だった」

照「同じミスをした淡に私は」

照「酷く、それは酷く激昂してしまった」

照「淡は泣いていた、可愛らしさが残るような泣き方ではなかった」

照「それを見ても私はやり場のない怒りを淡にぶつけることしかできなかった」

酉テスト

照「次の日から始まった個人戦は笑っちゃうくらい実力が出せなくて」

照「終わってみれば3回戦で敗退」

照「白糸台の3連覇や私のチャンピオン防衛とか色々言われてたから、試合終わった後の取材は恐いなんてものじゃなかった」

照「以来部活にも気まずくて行けていない」

照「まず淡に合わせる顔がない」

照「全部淡が悪いわけじゃないのになんで怒っちゃったんだろ…」

照「…」

照「……」

照「………」

照「電話してみようか…」

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ
ﾂｰ ﾂｰ ﾂｰ
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

照「…いや止めておこう｣ｶﾞﾁｬ

照「私は何を話そうとした？許しでも貰うつもりか？」

照「そんなの無責任だよ…自分勝手だよ…｣ｸﾞｽｯ

ﾌﾟﾙﾙﾙ

照「！？｣ｶﾞﾀｯ

照「あ…淡…？」

ﾌﾟﾙﾙﾙ

照「……」

ﾌﾟﾙﾙﾙ ｶﾞﾁｬ

照「も…もしもし…？」

淡「もしもし、宮永先輩ですか…？」

照「うん…」

淡「皆心配してますよ？菫先輩とか特に…」

照「そう…」

淡「…やっぱりまだ怒ってますか？」

照「えっ…？」

淡「私は宮永先輩に拾われてからこの人について行きたい、この人を最後のインハイで優勝させてあげたいって思ったんです」

淡「自分のことしか考えられなかった私が、始めて人のことを考えるようになったのはテ…宮永先輩のおかげです」

照「…」

淡「それなのに私のせいで団体の優勝だけじゃなくてテ…宮永先輩の個人戦にまで影響出しちゃって」

淡「テルを優勝させたいっていう私の願いが叶わなかった！とか考えてるとやっぱり自分のことしか考えられてないのかなとか思ったり…」

淡「もう私どうしたらいいか分からないよ…｣ｸﾞｽｯ

照(！淡も私と似たようなことで…)

照「…ごめん」

淡「…？｣ｸﾞｽｯ

照「私も自分勝手な人間だから、あの時最後にまくられた淡を責めることしかできなかった」

照「互いにこんな嫌な気持ちになるのは分かってたはずなのにね」

照「優勝を逃したのはもちろん悲しいけど…自分の感情ひとつ抑えきれない人間なのが分かった瞬間の方がもっと悲しかった」

そう、だから

淡「テル…」

照「私は淡が思っているほど強くない」

淡「そんなことないっ！」

照「…！」

淡「そんなことないよっ！」

淡「私が知ってるテルはそんなこと言わない！」

淡「テルは人並みにできることは少ないかもしれない！弱い部分もあるかもしれない！」

淡「けど！…テルは私の憧れで…私の…｣ｸﾞｽｯ

淡「…｣ｸﾞｽｯ

ごめん

照「淡…」

淡「…」

照「次のインハイに私はいない」

でも もう

照「淡がエースとして白糸台を引っ張ってくれ」

わたしは

照「それが今の私の自分勝手な願いだ」

淡「…へへっ｣ｸﾞｽｯ

わたしのせきにん

照「…？」

淡「テルに言いたいこと言ったら気分が楽になった気がする…｣ｸﾞｽｯ

淡「ねぇテル！明日は部活に来てよ！きっとみんな喜ぶよ！」

わたしのなすべきこと

照「…」

淡「テル？」

照「うん、絶対に行くよ」

それは

淡「ホント！ありがとうテル！」

照「うん…じゃまた明日」

淡「テル！お休み！｣ｶﾞﾁｬ

それは

ﾂｰ ﾂｰ ﾂｰ

照「…｣ﾄﾞｻｯ

照「…｣

照「…｣ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

照「…お菓子はおいしいなぁ｣ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ