ミーナ「聞こえる?」(42)

アニ「……ん、ぅ……」

ミーナ「気持ち悪いトコとかはない? 体、動く?」

アニ「……ミーナ?」

ミーナ「うん。私。えへへ、覚えててくれたんだね。うれしいな」

アニ「……」

ミーナ「それよりも。頭ははっきりしてる? まだぼんやりしてるみたいだけど」

ミーナ「声が出せない、ってことは無いよね。さっき名前を呼んでくれたし」

アニ「……」

ミーナ「あはは、アニったら驚いた顔してる。せっかくの美人さんなのに、そんな顔してちゃもったいないよ?」

ミーナ「ね、アニったら。何か話してよ。黙ってちゃわからないよ?」

ミーナ「……まぁ、色々あったみたいだし、混乱するのも無理もないけど……」

ミーナ「でもねー。アニは無口だったけど、話しかけても無視されることは無かったし、ちょっと傷つくかなーって……」

アニ「……あ、の……」

ミーナ「うん? あ、やっとしゃべったね」

アニ「……どこ、なんだい? ここ。知らない場所、みたい、だけど」

ミーナ「それはアニが一番よくわかってるんじゃないかな」

アニ「……どうして」

アニ「どうして、あんたが?」

ミーナ「? どうしてって、どういう意味?」

アニ「いるはず、ないのに。もう、いるはず……無い、のに」

ミーナ「ひどいなぁ。いるはず無いって、そんな言い方はないんじゃないの?」

やべえ間違ってアップしてしまった。お目汚しすいません、続きは夜中に

アニ「本当に、本物の、ミーナ……?」

ミーナ「そうだよ。正真正銘、本物のミーナ・カロライナ……あ、ちょっと待ってッ」

アニ「?」

ミーナ「えーと、こんな感じで、と」

アニ「ちょっと、ミーナ?」

ミーナ「エーっと、左胸の前で、と。こほん」

アニ「……? ミーナ?」

ミーナ「はっ! 自分は豚小屋出身!家畜以下のメス豚であります!」

アニ「!!??」

ミーナ「……」

アニ「……」

ミーナ「え」

アニ「……何してんのさ」

ミーナ「え? あ、あれ? もしかして私、はずしちゃった?」

アニ「……(笑わせようとしてたのか、もしかして)」

ミーナ「鉄板ネタだとおもったんだけどなぁ。まさかクスっともしないだなんて、アニの鉄面皮」

アニ「……微妙なんだよ、あんたのネタは」

ミーナ「んむぅー」

アニ「はぁ。でもさ、ちょっと気が楽になった」

ミーナ「あはッ。でしょでしょ? 話しやすくなったでしょ? 本当の狙いはそこなのッ。狙い通り」

アニ「あ、そう」

ミーナ「んむぅー。反応薄いなぁもう」

ミーナ「でも、アニらしいけどね。私と喋ってたときのアニだ」

ミーナ「改めて。久しぶりだね、アニ」

アニ「……あぁ。久しぶり」

ミーナは特徴的なおさげをふわりと揺らしつつ、頬を緩ませる。

その子供っぽいしぐさは、記憶の中にあるミーナ本人のものに他ならない。

明朗活発で表情豊かで、私みたいなのとでも軽く打ち解けられる。

そんな娘の、もはや思い出の中でしか見れないと思っていた、懐かしい笑顔だった。

ミーナ「私がいない間も元気にしてた?」

アニ「ん……まぁ、ね」

ミーナ「んー? 何だかぜんぜん元気じゃないみたいだね?」

アニ「……そんなことないさ」

ミーナ「そうかな? 何だか無理してない?」

アニ「もともと私はこんな感じだろ」

ミーナ「うーん。確かにアニは元気いっぱいって感じの性格じゃないけど」

ミーナ「でも顔色が悪いよ。青ざめてる。気分が悪いの?」

アニ「あんたの気のせいさ」

ミーナ「うーん。アニがそう言うならそうなんだろうけど。でも、やっぱり心配しちゃうかな」

アニ「しつこいね。私は大丈夫だって」

ミーナ「本当に?」

アニ「本当に」

ミーナ「……うん。そうだね。アニは強い子だし。うん、大丈夫」

ミーナが私の正面に回りこみ、そして照れたように微笑む。

ミーナ「アニは元気! 私も元気! だよね? ねッ」

アニ「……そういうことだね」

正直なところ、私はひどく混乱していた。

表面上は落ち着いたフリをしていたけど、頭の中はそれはもうぐちゃぐちゃに混乱していた。

もうこの世界にいないはずの娘の、あの時の姿がまぶたの裏に、唐突に浮かび上がる。

ずきん、と胸の奥が疼いて。

思わず、目をそむけた。

アニ「で、どういうこと?」

ミーナ「?? どういうことって?」

アニ「いないはずのあんたが急に私の前に現れた理由を聞かせてって言ってるの」

ミーナ「え? だって、アニが呼んだんだよ」

アニ「……」

アニ「……は?」

ミーナ「だからね、アニが、私に会いたいって強く願ったから、こうして出てきたの」

アニ「は? は? 強く願ったから? 私が? あんたのことを?」

ミーナ「そうそう。私ったらアニの一番のお友達だもん。当然だよね」フゥー

アニ「……そのムカつく顔ってもしかして芋女の真似?」

ミーナ「あー……まぁ。似てなかった? もしかして、またはずしちゃったのかなーなんて」

アニ「やめたほうがいいよそれ。マジでイラっとしたから」

ミーナ「ひ、ひひ、ひっどーい! それって久しぶりに会った友達に言う言葉!?」

アニ「しかたないじゃないさ。本当のことなんだから」

この娘が本当に心のそこから笑っているっていうのは、なんとなく分かる。

だからこそ、胸の奥の疼きは強さを増していく。

もしかしたらこれが目的なのだろうか。

ミーナを私の前につかわしたものは、私にこの罪悪感を改めて思い知らせようとしているのか。

……だとしたら、なんて残酷なヤツだと思う。

アニ「本当にあんたのジョークは微妙なのしかないね」

ミーナ「るっさいなー。しょうがないじゃない」

ミーナ「あーあ、もう。アニはうらやましいなぁ! 強いし美人だし人気あるし、なんだかんだで脱落してないし!」

アニ「急に何さ」

ミーナ「どうせ私は無個性の主張なしのやられ役のモブキャラですよーだ」

アニ「そんなこと言ってないでしょ」

ミーナ「原作の扱いはそんな感じでした! あっという間の退場でした!」

アニ「」

ミーナ「数えるくらいしか喋れませんでした! いつのまにか腐ってました!」

アニ「はいストップ。そこでストップ」

ミーナ「いちばん記憶に残ってるのがメス豚ネタってどうよ!? もしくは髪型ネタ! 人の後頭部を何に例えてくれてんのよアンタたち!」

アニ「……蹴るよ」

ミーナ「わかりましたごめんなさい」

アニ「でも……そうだね。私にはあんたに伝えなきゃいけないことがあったんだ」

ミーナ「?」

アニ「……ごめん」

ミーナ「え、ええッ!? ちょ……えッ?」

アニ「本当に……ごめんなさい」

ミーナ「い、いや、今のは冗談だからね!? 本気で怒ってるわけじゃなくて、いや半分は本気だけど、アニに対してじゃないし、つまらない冗談なのッ」

アニ「そっちじゃないッ」ゲシッ

ミーナ「ぅわあぁぁぁぁいったーいぃ! すねッ!? すねは蹴らないでよぉ! いたぁぁぁい!!」

アニ「茶化さないでよ。真面目な話なんだから」

ミーナ「う、うん。あうぅ、いったぃ……」

アニ「聞いてくれる?」

ミーナ「あわわ、ちゃんと聞くからッ。も、もう蹴らないでね?」

アニ「……私が何か言うまで口を閉じてて」

ミーナ「うん。分かったよ」

……

沈黙。

話すべき言葉はハッキリしているのに。

頭の中にあふれた言葉は、さっきまでのやりとりで掻き消されてしまう。

本当は、今すぐにでも言わなければいけないのに。

だけど、なかなか踏ん切りがつかない。

あの日あの時、この娘に伝えたくて、伝え切れなくて。

なのに、結局最期まで言えなかった言葉を。

どうしたらいいのか、どうすれば伝えられるのか。

そもそも伝えるべきなのか。

分からない。わからないよ。

気まずい空気が漂い始める中。

ふわり、とした感覚が手を包む。柔らかくて暖かい。

--ミーナが、私の手を優しく握っていた。

アニ「ごめん……ごめんなさい、ごめん……本当に、ごめんなさい……ッ」

ミーナ「……アニ」

アニ「守れなくて、ごめん……あんたの言葉も、あんたの気持ちも知ってて、それなのに……あんたのことを、私は守れなかった」

アニ「あの日、あの事件が起きたのは私のせい。知っていて、危険だとわかっていて、私はあんたを巻き込んだ」

アニ「私は戦士だから。兵士じゃなくて戦士だから、だから、私はあんたを、切り捨てたんだ」

アニ「人類の敵だから」

アニ「でも、私はバカだ。せめてあんたたちだけでも守りたいって、そんな馬鹿げたことを……思ってしまってた……ッ」

アニ「なのに、私は結局、あんたを守れなくて……ッ」

アニ「私は強くなんかない! 何もできない! 誰も守れない! ただ無闇に人を傷つけ、殺戮しただけの! ただの殺人鬼だ!」

アニ「中途半端な人でなしなんだ!」

私の中にわだかまっていた何かが溢れ出す。

私の中によどみ、たまり、いつしか破裂寸前まで膨れ上がっていた思いの塊が、唐突に弾けた。

ライナーは言っていた。

俺たちは兵士であり、戦士でもあると。

ベルトルトは言っていた。

僕は戦士だ、と。

私はきっと、兵士にも戦士にもなりきれなかった。

その証拠に、情に流されて友達なんて作り、かけがえのない思い出まで作ってしまった。

挙句には一人の男に心を奪われ、心を焦がしたりもした。

なんて、無様な、負け犬。

ミーナ「ありがと、アニ」

アニ「え……?」

ふあさ。と音がして。

気がついたら、ぎゅっと抱きしめられていた。

ミーナ「よしよし。アニは本当にいい子だね」ナデナデ

アニ「……なに、してんのさ」

ミーナ「抱きついてるの。ぎゅーってするとホラ。あったかいでしょ」ギュ

アニ「なんで……」

ミーナ「だってここ、寒いじゃない。冷え切ってるからね、そういう時はくっつくのがいいって本で読んだの」

ミーナ「ねぇ、こうしてると訓練兵時代のことを思い出さない?」

ミーナ「寝る前に良くおしゃべりしよね。気になる人の話とか故郷の話とか。アニはずっと無愛想だったけど、お父さんの話をした時は少しだけ懐かしそうにしてたよね」

アニ「……そうだったね」

ミーナ「私もお父さんっ子だったからお話が合うなーって思ったの。そこからちょっとずつ話すようになったんだよね」

ミーナ「楽しかったな。訓練は厳しくてつらかったけど。懐かしいな。もう戻れないのが寂しいくらいだよ」

アニ「……」

ミーナ「私は戻ることも進むことも出来ないけどね。あはは、いいんだ」

アニ「何がいいっていうのさ」

ミーナ「だって大事な友達……うぅん、大事な親友のアニが、私のことを大事に思っててくれたから」

ミーナ「そしてそれでも前に進むのを止めなかった。罪悪感を抱えながらもアニは前に進むのをやめなかった」

ミーナ「私はそれだけで満足なんだよ」

アニ「あんた……私の話、ちゃんと聞いてた?」

ミーナ「うん。しっかり聞いてたよ。アニの心の中が見えたみたいで嬉しかったッ」

アニ「……そう」

最初、この子は無個性でねじくれたところの無い子だと思っていた。

それは今も変わらない。

だから、ちょっとくらい仲良くなってもかまわないなんて、そんなことを思ってしまった。

だけどこの子は、都合のいい部分だけを抜き出して都合よく噛み砕いてしまう子だったのだろう。

この子もだけど、私もたいがい甘かった。

だからこうして、思いがけなく後悔する羽目に陥っている。

自業自得もいいところだ。

ミーナ「でもさ、ちょっとびっくりしちゃった。アニがあんなに取り乱すなんて」

アニ「……ッ」

ミーナ「訓練兵団のときは感情を表に出してくれなかったからね。美人さんなんだから、もっと笑ったり拗ねたりすれば男の子の目も違ったと思うんだけどな」

ミーナ「クールなところはアニのいいところだし、今ならどうして人と離れてたかもわかるけど」

ミーナ「さっきのアニは可愛かったよ。しおらしくてか弱い女の子っぽかった。そんな姿を見せる機会があったら、エレンもイチコロだったんじゃないかな」

アニ「……離れて」

ミーナ「あれ? 怒った?」

アニ「うるさい。いいから離れなよ」

ミーナ「ええー? なんでー?」

アニ「暑苦しいんだよ。ほら、いい加減にしなって」

ミーナ「ちぇー。んもう。やわらかくて気持ちよかったのに」

ミーナ「名残惜しいなぁ。もーちょっとこのままでいたいなぁ」

アニ「蹴っ飛ばすよ」

ミーナ「あわわ、待って待ってッ。わかったからッ」

ようやく離れてくれた。

ちょっとだけ名残惜しそうな顔をしながらも、すぐに憎めない笑顔に戻って私の真正面に立つ。

胸の疼きはもうだいぶ収まっていた。

>4 ありがとね。

ミーナ「はぁぁぁ。まったくアニったらひどいよ。目が本気なんだもん」

アニ「正真正銘、本気だったからね」

ミーナ「んもー。せっかく可愛いアニの姿が見れてウキウキだったのにー」

ミーナ「さっきのか弱い姿をもう一度見たいよ」

アニ「金輪際ゴメンだね。っていうか、忘れて」

ミーナ「アニのいじわる。もうちょっとくらい良い思いさせてくれてもいいじゃん」

アニ「言ってる意味がわからないね」

ミーナ「ぶーぶー。私のことを呼んだのはアニなんだよ? 少しくらい役得があってもいいと思うんだけどな」

ぷぅっと頬を膨らませるミーナは私とは違ってあの頃と変わっていない。

明るくて無邪気で素直な、年相応の普通の少女だった。

アニ「聞きたいことがあるんだけど聞いてもいい?」

ミーナ「いいよ。どんなこと?」

アニ「つらいことを思い出させて悪いけど……あの日のこと」

アニ「ミーナ。あんたはあの壁が壊された時に巨人に食われて死んだ。それは間違いないんだろう?」

ミーナ「え? うん。そのとおりだけど」

アニ「あっけらかんと答えるもんだね」

ミーナ「昔のことだし。思い出さなければ大丈夫。思い出さなければね……うぅ、ちょっと思い出しちゃった」

アニ「……ごめん」

ミーナ「さっきさんざん謝ってくれたじゃない。もういいから」

ミーナ「それにしても一体どうしたの? いまさらなことを聞くのね」

アニ「まったくいまさらだよね。でもいくつか聞いておきたいことがあるのさ。いいだろ?」

ミーナ「かまわないよ。答えられることなら何でも答えちゃう」

アニ「助かる」

アニ「さっき聞いたことが事実。なら今のあんたって何? 幽霊?」

ミーナ「うーん、幽霊なのかな。ちょっと違う気もするけど、うん、そうだね。それが一番しっくりくる」

アニ「自分のことなのにハッキリわからないの?」

ミーナ「しょうがないじゃん。気がついたらこうなってたんだから」

ミーナ「あの日ね、私は確かに巨人に食べられて、この世から去ったの」

ミーナ「何も見えなくなって真っ暗になって、それから……気づいたら、こうなってた」

ミーナ「空中にね、フワフワーって浮いてる自分がいたんだよ」

アニ「完全に幽霊じゃないの」

ミーナ「でも何もわるいことしてないよ。怖がらせたりしてないでしょ。ただアニの側に居ただけで」

アニ「え? ちょっと待って、何なのそれ。側にいた? 」

ミーナ「うん。こう、アニの頭の上、ここら辺にね。こう。フワフワーって」

アニ「とりついてんじゃないのさ。あんた悪霊?」

ミーナ「いいじゃない。友達なんだから」

アニ「よくない。怖いよ」

ミーナ「怖がらないでよー。おさげの美少女幽霊だよ? むしろ大歓迎じゃないのかな」

アニ「悪霊を歓迎できるほど度量があるわけじゃないから」

ミーナ「むぅー。冷たいなぁ」

アニ「そういうヤツだって知ってるだろ」

ミーナ「でもでも、アニも私のことを思っていてくれたからここに呼んでくれたんでしょ?」

アニ「記憶にないけど」

ミーナ「きっと無意識のうちに私のことを考えて悩んでたんだよ! 大親友の私のことを!」

アニ「それはない」

ミーナ「」

アニ「にしたって……私が呼んだから出てきたってどういう理屈さ」

ミーナ「あはは、何でだろうね。これも友情のなせる技かな」

アニ「ふざけないでよ。真剣なんだから」

ミーナ「ご、ごめん」

アニ「ずっと前から出てきたってよかったじゃないか。なんでいまさらになって」

ミーナ「え? わからないの?」

アニ「……さも分かってて当然みたいにいわないでくれる? バカにされてる気分なんだけど」

ミーナ「や、別に馬鹿にしてるわけじゃないの。そっか、そうなんだ」

アニ「なに?」

ミーナ「私は詳しく知らないんだけど、きっとアニのことを守っているコレの力なんじゃないかなって思う」

アニ「私を守る?」

ミーナ「アニが閉じこもってる結晶のこと」

この結晶は私が捕獲されたり致命傷を受けたりした時のための保険のようなものだ。

私はそのようにしか聞いていない。こうなったときにどうなるのかは知らなかった。

アニ「コレは万が一捕まった時に、情報を引き出されるのを防ぐためのものだと思ってた」

アニ「後は傷ついた身体を癒すため」

ミーナ「うん。だけどそれだけじゃないんだよ」

ミーナ「私ね、お願いされたんだ」

アニ「お願いって……誰に、何を」

ミーナ「男の人。声しか聞こえなかったけど。聞き覚えのない声で、だけどとっても優しい声」

ミーナ「『アニの壊れかけた心を癒せるのは君しかいない。こんなことをいえた義理ではないが、お願いだ』って」

ミーナ「『虫のいい話と罵ってくれ。俺はそれでも娘を助けたい』って。大人っぽい声で、ね」

アニ「……お父さんが」

ミーナ「素敵なお父さんだね」

アニ「は……過保護なのさ」

お父さんは私のことを愛してくれている。

この世界は私や故郷のみんなにはひどく辛く、生きるには残酷だけど……

まだ希望を捨て去るには早い。

そう思わせてくれる美しさが、この世界には確かにあった。

ミーナ「私がいまこうして話せるのは結晶の力とアニのお父さんのおかげ」

ミーナ「そして、アニが私のことを呼んでくれたおかげ」

アニ「……信じられないけど」

ミーナ「あはは。そうだよねぇ。でも、私はアニの声が聞こえて、そっちに向かっていっただけだから」

ミーナ「アニが呼んでくれて嬉しかった。私でも役に立てることがあるって分かって、嬉しかったよ」

アニ「じゃあ、アンタは私のこと、全てわかってるんだね」

ミーナ「うん。見ていたから」

ミーナ「私はね、みんな知ってる。エレンとアニが巨人になれること」

ミーナ「どうしてアニが皆を裏切ったのかも、いまアニがこうしているわけも知ってるよ」

アニ「そこまで知ってて、それでもあんたは私のことを許すっていうの?」

ミーナ「友達だからね」

アニ「理屈になってないよ」

ミーナ「理屈じゃないんだよ。人間の感情っていうのは」

ミーナ「なんてね。本当に許せるかどうか、それは私もあいまいだけど」

ミーナ「それでもね、アニ。私はあなたの友人で、あなたが迷ったり苦しんだりしながらとった行動に深すぎるくらいの意味があるって知って」

ミーナ「人類を敵に回して、情の移った相手を殺すことになって」

ミーナ「身を切られるような思いで居たことを、見てたから」

ミーナ「一人さびしく、何のよりどころもない中で、ただ目的のために駆け抜けるように生きてきたアニを、私は知ったから」

ミーナ「だから……私ひとりくらいなら、アニを許す人がいてもいいって思うの」

アニ「あんたはやっぱり悪霊じゃないの?」

ミーナ「えぇ!? 今の話でどうしてそう思っちゃうの?」

アニ「そんな話を聞かされて動揺しないやつなんているわけない」

アニ「正直、反応に困るよ」

ミーナ「うーん。気持ち的な問題? ただそばで見守ってた感想なんだけど」

アニ「計算とかじゃないからなおさらタチが悪い」

ミーナ「で、でもでも、タタリとか無かったでしょ?」

アニ「まぁね。そんなのはなかった……とも言い切れないか」

ミーナ「えぇ!? うそッ! どうしてそう思うの?」

アニ「だって無意味にひどい目に会いっぱなしだから」

アニ「憲兵団はいけすかないヤツばっかでうんざりだったし」

ミーナ「あー……あはは。考えてた以上に内情はひどかったねー」

アニ「それに、作戦は失敗つづきだったし」

ミーナ「う、うん。それはまぁ……うん。しょうがないんじゃないかな」

アニ「アルミンに至っては見逃してやったのに罠にはめてくるし」

アニ「あのチビ野郎の兵団と化け物女には散々肉を削がれるし」

ミーナ「ぅわ、思い出しちゃった。痛そうだったなー、あれ」

アニ「たまったもんじゃなかったよ」

ミーナ「もう体は大丈夫なの?」

アニ「ん……まだ完治ってわけじゃないけど、だいたいね」

ミーナ「私が言うのもなんだけど……本当に大変だったね」

それでも、私はいまだにこうしてここに居られる。

巨人の一味として人を大量に殺戮しておきながら、まだこの世界に生き残っている。

こんな無邪気な少女までも死なせておきながら、それでも見苦しく生き延びている。

こっちの「目的」のために、何も知らない仲間たちを死に追いやっているんだ。

言葉に詰まる。

ミーナ「それにしても残念だったね。結局、王子様をゲットしそこねちゃったわけでしょ」

アニ「王子様?」

ミーナ「うん。アニの王子様」

アニ「ちょっと待った。王子様?」

ミーナ「うん。え、どうして目を丸くしてるの?」

アニ「……あんたが意味不明なことを口走るから」

ミーナ「え? だってアニはミカサからエレンを奪うためにあんな作戦を実行したんでしょ?」

ミーナ「エレンを自分のモノにしようとしたんでしょ?」

アニ「は!?」

ミーナ「ずっと計画してたんでしょ? ライナーがクリスタにこだわってたみたいに、アニったらエレンにすごく執着してたもん」

アニ「い、いやそれは、アイツが巨……」

ミーナ「格闘訓練のときから意識してたもんね。エレンのことをチラチラ見てたじゃない。訓練のとき」

ミーナ「アニからエレンに『訓練に付き合ってあげるよ』って声かけたときは心の中で叫んじゃったもん! エレンルートキターッて」

アニ「ごめん意味わかんない」

ミーナ「アニったら乙女なんだから。意識してたのになかなか自分から踏み出せなくて、でも気にしてほしいから技かけるフリして密着したりッ。やーん可愛い!」

ミーナ「あの時アルミンを見逃したのも、アルミンを踏み潰したら決定的にエレンに憎まれちゃうって考えたからでしょ?」

ミーナ「行動全部がみんなエレンをゲットするためなんだもん! アニったら一途! けなげ!」

ミーナ「エレンを奪った時の姿はどこからどう見ても愛の逃避行じゃん」

ミーナ「愛しのあの人をヤンデレ幼馴染から奪い去って自分のモノにしちゃう! っていうさぁ!」

アニ「あれのどこを見たらそんな風に思えるんだい」

ミーナ「見た目は重要じゃないしッ! 問題は中身だし!」

ミーナ「愛した男を想うあまり人類全体を敵に回すだなんて、アニってば情熱て……いたたたたいたぃいたたぁッ!!」

アニ「聞きたいことはまだあるんだけど、進めていいかな」ゲシゲシ

ミーナ「わかったから! もうからかわないから! ちゃんと聞くから! 蹴るのやめて! お願い!」

ミーナ「ふわぁぁぁぁ、もーッ。まだ足がジンジンするよ」

アニ「あんたがふざけるのが悪い」

ミーナ「それにしたってもうちょっとお手柔らかにしてくれてもいいと思うんだけどッ」

アニ「うるさいね。それよりも質問に答えてよ。これで最後だから」

ミーナ「むぅーッ。なに?」

アニ「あんたの望みはなに?」

ミーナ「望み? 私の?」

アニ「ああ」

アニ「アンタは私に呼ばれて無理にこさせられたんだろ? だったら礼をする必要があると思うから」

ミーナ「いいよそんなの。たくさんお話できたし、本音も聞けたからそれで十分」

アニ「私の気が治まらないのさ」

アニ「私はあんたの命を奪ったやつらの仲間だから」

ミーナ「義理堅いんだねッ」

アニ「私はそういうヤツなのさ」

ミーナ「うん。知ってた」

アニ「で? 望みはないの?」

ミーナ「ないよ」

アニ「……いやにあっさり答えるね」

ミーナ「だってないんだもん」

ミーナ「アニが私のことで悩んでたのが心残りだったけど、それも解決したし。うん、もう何もない」

アニ「……そ」

アニ「じゃぁ、例えばさ。例えばだけど」

アニ「アンタのいるところに私を連れて行く、なんていうのは?」

ミーナ「?」

アニ「私は作戦に失敗した。今の私は仲間からしてみれば大事な情報を奪われかねない爆弾みたいなもの」

アニ「助けがくるかどうかすら分からない」

ミーナ「助けに来てくれるよ。ライナーとベルトルトなら」

アニ「あの二人ならそうするかもしれないけど……他のグループのヤツらは違う」

アニ「人間の手か仲間の手かは分からないけど、私は始末されるかもしれない」

アニ「どっちにしろ私の未来はとても短くて細いのさ」

アニ「アンタも恨みを晴らすいいチャンスだろ。私も、どうせ始末されるならアンタの手で……」

ミーナ「アニ。ダメだよ」

アニ「……!」

ミーナ「絶対に言っちゃいけないことだよ、それは」

ミーナの表情が、今まで見たこともないくらい険しくなっていた。

口調も鋭く厳しい。

この子との付き合いはそこそこ長いと思っていたけど、怒った顔なんて見たことなかった。

だから不覚にも驚きを隠せなかった。

ミーナはすぐ間近に顔を近づけて、強い口調で諭す。

ミーナ「アニは戦うの。戦って戦って戦い抜くの」

ミーナ「巨人に食べられた人たち……私の班のみんな。104期のみんな、調査兵団の先輩たち、リヴァイ班の人たち……」

ミーナ「アニたちは目的を達成するためにたくさんの人を死に追いやったわ」

ミーナ「許されることじゃない。許しちゃいけない。だけど、でも、アニは生きて戦わなきゃいけないんだよ」

ミーナ「その人たちの命を踏みにじらないためにも、生きて戦うの。戦って生き抜いて答えを導き出すの」

アニ「その結果、また大勢が死ぬことになるよ?」

ミーナ「うん。私もひどいことをいってるよね。だけど、命は簡単に亡くしていいものじゃないから」

ミーナ「アニはこれから、自分の人生を戦って勝ち取っていかなきゃいけないの」

ミーナ「命っていうものを誰よりも深く心に刻みこみながら、アニは生きていかなきゃいけないんだよ」

ミーナ「お父さんやライナー、ベルトルトのために。そして私やエレンたちのためにも生きるの」

ミーナ「それがアニにできること。アニにしか出来ない、とってもとっても大事なことなんだよ」

アニ「……あんた、真面目な顔して結構キツいことを言うよね」

ミーナ「言うときは言う子なんだよ」

ミーナ「私が言うべきことじゃないって分かってる。ひどいことを言ってるってことも」

ミーナ「だけど、アニならその意味を分かってくれると信じてるから」

ミーナ「ね? だから、約束して。戦い抜くって、あがきぬくって」

ミーナ「私の知ってるアニは、絶対に捨て鉢になんかならない強い子なんだから」

アニ「分かってるさ。さっきのは冗談。単なるたとえ話さ」

ミーナ「本当に?」

アニ「しつこいね。ほら、離れなよ」

ミーナ「うん」

アニ「ふぅ……まさか説教されちゃうなんてね。それも、あのミーナにさ」

ミーナ「懐かしかったでしょ」

アニ「まぁね。訓練兵の時のアンタはおせっかい焼きだったし」

ミーナ「お友達っていうのはね、そういうものなんだよ」

アニ「ああ……いいもんだね、友達って」

ミーナ「あはは。よかった。アニが笑ってくれた」

ミーナ「うん。えへへ。友達かー。えへへ」

アニ「なにニヤついてんのさ」

ミーナ「だってさー。アニってばさり気なく嬉しいことをいってくれるんだもん」

アニ「?」

ミーナ「友達、って。うふふ、アニが私のことを友達って言ってくれた。初めてだよね?」

アニ「そうだった?」

ミーナ「うん。初めて。うれしいよ、すっごく」

ミーナ「アニの一番の友達は私だよってみんなには言ってたけど、アニはあんまり嬉しくなさそうだったから」

ミーナ「私が勝手にそういってただけなのかなって思ってたの」

アニ「そんなことでよろこんでもらえるなんて安上がりだね」

ミーナ「ふーんだ。どうせアニには分からないですよーだ」

アニ「何さ。なにをすねてるのさ」

ミーナ「知らない。アニの意地悪」

そっぽを向くミーナの頬には柔らかい微笑みが浮かんでいる。

アニ「怒らないでよ。許して。友達でしょ」

ミーナ「……それ、ごまかしで言ってない?」

アニ「違うよ。本音さ」

アニ「アンタは紛れもなく私の友達。いや、親友さ」

アニ「私みたいなのにでも友達って言える子がいた……それだけで嬉しいよ」

アニ「だから期限を直しな」

ミーナ「そうかー……えへへ。ならいいか。許しちゃうッ。友達だもんね。私たち」

友達。

くだらないって、必要ないって思って切り捨ててきたけど。

それは気づこうとしなかっただけで、本当はとてもとても大事なものだったんだ。

この美しい世界の中でも、とびっきりキラキラした特別な宝物なんだ。

ミーナ「それじゃ、私はそろそろ行くね」

アニ「行く? どこに?」

ミーナ「上を見て」

アニ「?」

ミーナ「白い光が差し込んできてるでしょ」

アニ「本当だ。あれってもしかして……」

ミーナ「うん。お寝坊さんのお姫様を、王子様が起こしにきてくれたんだよ」

アニ「あ……」

ミーナ「私の役割はこれで終わり。だから、アニともしばらくお別れだね」

アニ「お別れ、お別れって……うそ、まさか、もう会えないの?」

ミーナ「うん。名残惜しいけど」

アニ「あの笑えないジョークも、もう聞けないのかい」

ミーナ「あはは。うん。そうなるね」

アニ「そう、か……」

アニ「あの日……あの時、あんなことになってなければ、あんたも兵士として活躍してたんだろうね」

アニ「ミーナが調子にのってドジして、それをフォローするような、あの訓練兵時代みたいな日常が続いていたかもしれないんだね」

ミーナ「うぅん。そんなことはないよ、きっと」

ミーナ「私ね、うすうす気づいてたんだ」。

ミーナ「体術も立体起動も人並み、座学もそこそこ」

ミーナ「私にはエレンやミカサみたいにこれといった主張もないし、アニみたいにはっきりした目的もなかった」

ミーナ「アルミンみたいに頭の回転が速いわけじゃないし、体力だって自慢できるほどは無いし」

ミーナ「私は平凡すぎたんだね」

ミーナ「だから、エレンの言葉に感動して調査兵団に入るのを決意したとたん、あんなことになっちゃった」

ミーナ「私の役割なんて無いって、脇役なんだって、うすうす気づいていたんだ」

ミーナ「でもね。わかったんだ。アニに呼ばれて、心の叫びを聞いて、私の役割はきっとコレだったんだって」

ミーナ「私の役割は果たしたよ。だから、もういいの」

アニ「……さびしいじゃないか。なんでそんなことを言うんだい」

ミーナ「元から会えなかったんだから大差ないよ」

アニ「私たちは友達なんだろう? だったら、ちょっとくらい窮屈な思いくらい我慢するさ」

アニ「だからさ、私のところに居なよ」

ミーナ「申し出は嬉しいけど、その役目はきっと私じゃないんだ」

アニ「何さ、さんざん友達の良さを思い知らせといて、また……一人になれって言うのかい?」

ミーナ「一人じゃないよ。ライナーにベルトルトがいる。それに、アニには大切な王子様がいるでしょ?」

ミーナ「皆が……エレンが、アニのことを守ってくれる。支えてくれるよ」

アニ「私はあいつにとって仇だよ? 駆逐すべき敵なんだよ?」

ミーナ「理屈じゃないんだよ、アニ」

ミーナ「きっと私とアニの関係よりもずっと深いところで、アニとエレンは結ばれてるから」

ミーナ「だからね、アニ。主役はまだ自分勝手に退場なんかしちゃダメ」

ミーナ「私はね、待ってるから。アニがしわくちゃのお婆ちゃんになるまで生きて、何も思い残すことなくなるまで生きて」

ミーナ「今からその日までのことを話に来てくれることを、待ってるから」

ミーナ「遠い未来で、アニやエレン、みんなが来ることを待ってる」

ミーナ「だから、今はさよならだよ」

ば、と私から離れたミーナは、すがすがしい微笑みを口元にたたえていた。

彼女らしさに満ち満ちた懐かしい笑顔だった。

上空が晴れ渡っていく。

何もない空虚な空間に、少しずつ光が差し込んでくる。

その向こうには、会いたくないと思っていても会わなきゃいけないやつらが待ち構えている。

きつい現実が待ち受けている。

ミーナ「最後にひとつ。お願い」

アニ「なんだい? やっぱりお願いがあったんじゃないか」

ミーナ「うん。えへへ。改めて言うのは恥ずかしかったから」

アニ「何いってんのさ。いいよ。はやくいいなよ」

ミーナ「うん。あのね」

ミーナ「友達って言ってくれて嬉しかった。ありがとう」

ミーナ「私のこと、忘れないでね」

アニ「……ミーナ」

ミーナ「ミーナ・カロライナっていう女の子がいたことを、アニだけでも覚えてて」

アニ「……忘れるわけがないでしょ」

アニ「あんたは笑えないジョークばっかりでドジばっかりで、体術なんかなっちゃいないくせに頭の回転もイマイチで」

アニ「だけどいつも明るくて優しくて私みたいなヤツのことも気にかけてくれてた」

アニ「私の一番の友達で、親友なんだから……ッ」

アニ「あの鈍感野郎にも……いや、104期のやつら全員に忘れさせやしない! 今日あんたに言われたこと、絶対に言いふらしてやるんだから……ッ」

アニ「忘れてなんか、やらないから……ッ」

空を満たす光が私たちを覆っていく。

まばゆい光に包まれたミーナは、やがて光の中に溶け込んだように姿を朧にしていく。

もういないのか、消えていったのだろうか。

伝わったのだろうか。

ミーナ「ありがとうアニ。大切な私の親友」

ミーナ「最後まで友達でいてくれてありがとう」

ミーナ「……さようならッ」

アニ「……そんなの、私こそ……救われたのは、私で……!」

アニ「……ミーナッ!」

最後の声は、実際に言葉になっていなかったかもしれない。

のどが震えたのと景色が急激に変化するのがほとんど同時だった。

視界が眩い光に埋め尽くされて……そして、景色が徐々に色づいていく。

おぼろげだった景色が、だんだんとリアルなものへと変わっていく。

ぼやけた意識が少しずつ覚醒していく中、目の前に手が差し伸べられた。

少しばかり華奢な、だけど傷だらけの手。

あの頃より若干太くなっただろうか。たくましさを増した腕は、少年というより男性。

兵士の力強い腕だった。

エレン「目は覚めたか?」

アニ「……」

エレン「ひさしぶりだな。アニ」

アニ「……」

エレン「頭ははっきりするか? 喋れるか?」

また真っ白な視界の中、アイツが私に声をかける。

意外にも心配そうに、私のことを気遣うように。

だからというわけでもないんだけれど。

このときの私は、少しばかり素直になれた。

エレン「わッ? な、何だ、どうしたんだよ?」

アニ「ねぇ、あんたに話したいことがあるの」

か弱い乙女のように、可憐な少女のように、アイツの……エレンの腕に絡みつきながら体ごともたれかかる。

今は、たった今、この瞬間だけは、許してもらいたい。

エレン「話をしてる暇はねぇんだけどな……」

アニ「話したいの」

エレン「……分かったよ。何を話したいって言うんだ?」

アニ「友達のことを」

エレン「友達?」

アニ「ええ。私の一番の友達。自慢の大親友のこと」

あの子はもうこの世界にはいない。

けど、私の中に確かにいる。

先の短いであろう私の人生で、きっとあの子との記憶は、とびきり煌く思い出として、死ぬまで残り続ける。

こいつの心にも刻み付けてやる。約束したんだから。

アニ「ミーナ・カロライナのことを、お話してあげるよ」


おわり

初めてのSS緊張しました。
つたない上にダラダラ長い作品で申し訳ない。
さらに最後あげちゃって顔向けもできません。
機会があればまたSS投下したいな。
ミーナ可愛いよミーナ

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