男「それ、ワクワクしますか?」(130)
立
◆◇教室◆◇
男「……」
女「……」
男「……」
女「……」
男「すすすすすすすすみません。じゃあ」
男「……はぁ。無視、か」
友「お前、勇気あるよなー」
男「や、それほどでも」
友「別に褒めてない。いつも一人でいるよな、あの子。孤高の女王……? 姫? って感じ。んでいつも本読んでる」
男「うん……? そうなの?」
友「知らなかったのか?」
男「あはは。あんまり人を覚えるの得意じゃないから……。今、あの子が読んでる本がちょっと気になってさ」
男「前も言ったけど、ワクワク、ハラハラさせるって評判だった本」
男「あのハードカバーの本、最近出版されたんだけど、いいなあと思ってて。でもお金がないから買えなくてさ」
友「ふーん。じゃあ、そういう訳じゃないのか……」
男「……友?」
友「ああ、いやなんでもない。あの子、女さん」
友「中等部からの内部進学の子だったかな、確か」
男「そうなんだ?」
友「たぶんそう。面倒そうな内部の女子にこないだ変なこと言われたんだ、あの子には近付かない方が良いってさ」
友「前にあの子に関わったクラスメートが退学にされたらしい」
男「えっ?」
友「いや、あー、まあ、ホントかどうかわかんねーけどな」
男「そうなんだー。あ、そろそろ授業始まるよ!」
友「あ、おい! ……噂、全然気にしてないみたいだな、アイツ。まあ、俺もあんま信用してねーけど」
……
…………
……
……
…………
◆◇図書室◆◇
男(いつ見ても思うけど……)
男(やっぱり、姉さんの言ってた通り、ここの図書館って凄いなあ。私立だからかな。この蔵書量、中学のと大違いだ)
男「……あ」
女「……」
男「……」チラッ
女「……」
男(黙々と読んでらっしゃる……)
男(女さんだっけ。噂あるみたいだけど……放課後、図書館に来て本を読むくらいの本スキーに悪い人はいないと思うんだよね)
男(……さて、僕も読書に勤しみますか)
……
…………
〜〜〜〜♪
「下校時間になりました。生徒の皆さんは——」
男「……し」ガタッ
男「ちょうど切りの良いところで終わった。さてと」
女「……」ガタッ
男「……あ」
男「女さん、だよね。本好きなの?」
女「……」
男「……」
女「……っ」
スタスタスタ
男「えっ?」
男(い、行ってしまわれた……)
男「……まあいいや!」
男「帰ろーっと」
……
…………
……
◆◇教室◆◇
「でね〜」
「あはは」
女「……」
男「おはよう!」
女「……」
男「……あはは。それじゃあ」
女「……」
友「うっす、男」
男「あ、友。おはよう」
友「朝から精が出ますね〜」
男「あはは。そうかな」
友「照れんな。褒めてない」
男「あの子の読んでる本、自分が気になってるものばっかりなんだよね。気が合うと思うんだけどなー」
友「ふーん……。あ、ところで、今日の宿題やってあるか?」
男「ん? 英語? もちろんだよ」
友「流石。相変わらず、抜かりねーな。オンナに現抜かして、他所事を疎かにしてるってわけじゃないんだな」
男「ん?」
友「や、なんでもない」
…………
……
……
…………
……
◆◇図書室◆◇
男「……お」
女「……」すたすた
男(あ、やっぱり来た。女さんも、今日も図書館に足を運ぶ、と)
男「……」フリフリ
女「……」
男「……」
男(お、おう……)
男「……」チラッ
女「……」すとん
男「……っ?」
男(お、おおおおんおん、女さん!? たくさん席空いてる中で、わ、わざわざ僕の前に座って……!)
男(……お、今日の本は……おお! シリーズもの、それもこないだ読んだ本の一作目のやつだ。へぇ、女さんはミステリーも読むのか)
男(今どのへん読んでるのかな? まだ……序盤……? じゃあ、伏線ばら撒いてるところかな)
女「……」
男(どんなこと思いながら読んでるのかな?)
女「……」チラッ
男「……っ」
男(だめだ、だめだ、読んでるところジロジロ見るなんて、紳士じゃない。気を付けよう……)
……
…………
〜〜〜〜♪
「下校時間になりました。生徒の皆さんは——」
ガラガラ
男(女さん、あの本借りたみたいだな。本のこと聞いてみよっと)
男「あ、あのっ、女さん」
女「……」
男「あの本、どうだった?」
女「……あ」
男「……」
女「え」
男「あ……え……?」
女「……っ」
スタスタスタ
男「あえええええっ!??」
男(あえ、しか言わないで帰ってしまった? 何? あえって何?)
……
…………
……
◆◇教室◆◇
男「おはよ」
女「……」ペコ
男「……っ! じゃあ!」
男「おっはよー!!!」
友「お、おう。元気だな」
男「いやあ、女さんが挨拶返してくれたからね」
友「……ん、ああ。見てた見てた」
男「へっへっ。今日はいいことありそうだ」
……
…………
……
男「いいことないいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
男「体育ううううううううううううううううううう」
男「いやだあああああああああああああああああああああああああ」
男「長距離走とかありえないいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
友「うるせえ。はやく行くぞ。遅刻してしまう」
男「……いいよなー……友は運動できるから……」ボソッ
友「何言ってんだよ、はやく行くぞ」
男「うん……」
……
…………
……
◆◇廊下◆◇
男「……はあ……。疲れた……」
男(今日も図書室に女さんいるかな?)
男(今朝は挨拶返してくれたし、仲良くなれそうな気がする——)
男「……お」
女「……え」
男「おえ……ういあ?」
女「——っ!?」
男「お、女さん。こんにちは」
女「ぅ……こ……んにちは」
男「これから、図書室?」
女「……う……うん……」
男「そっか」
女「……」
男「……」
男「えっと……」
女「……っ」
男「じゃあ、一緒に行こっか」
女「……」コクリ
…………
……
……
…………
……
◆◇図書室◆◇
男(一緒に図書館に来るまで仲良くなれたあああああああああ!??)
女「……」
男「……」
男(今日も昨日と同じように、僕の前に座ってる。女さんと仲良くなれているって証拠だ)
女「……」ペラ
男(おおお、今日の本は昨日の本の続編……。僕が読んだものだ。続きを読むってことは、前の本、楽しかったってことかな?)
男(後でお話しできるかな)
女「……」チラッ
男「……」ニコニコ
女「……」フイッ
男(難しそうか……)
……
…………
……
〜〜〜〜♪
「下校時間に——」
男「今日の本さ」
女「……っ!?」
男「あ、ごめん。いきなり。びっくりさせちゃったかな。あはは」
女「だ……だいじょぶ……です……」
男「……女さん、よかったら、一緒に帰らない?」
女「い……か……る……」
女「……っ!」
男(お、女さん、顔、険しい……?)
女「……すー……はー……。お、お願い、します」
男「あ、う、うん。こちらこそ」
男(よかった〜! 断られるかと思った)
男(女さんとお話できるかな)
…………
……
◆◇帰路◆◇
男「……女さん」
女「……う……い……」
男「うい?」
女「……っ」
男「あー、あはは、えっと……。今日読んでた本どうだった? あのシリーズ、僕好きなんだよね」
女「……! わ、私も好き……」
男「そっか! だよねだよね!」
男「主人公が冷静沈着っぽい感じで、淡々と話が進んでいく……と見せかけて、実は主人公は抜けたところがあって、それが困難を生んじゃうところとか、なんかおかしくて、面白いよね!」
男「今日読んでたの、二作目だよね?」
女「う、うん」
男「あー、あの主人公ね、二作目だと——ってああ、ごめん! ネタバレはダメだよね! 紳士じゃない。気を付けよう。ごめんね」
女「……ふふっ」
男「……!」ジーッ
男(女さん、笑った顔、可愛い……)
女「今日読んでた本の作者……」
男「ああ、あの人は——」
…………
……
……
…………
男「でね——」
女「あ、あの……」
男「ん?」
女「私……家……こっち……」
男「あ、そうなんだ。今日は話できて楽しかったよ! ……って僕ばっかりはなしてたか……」
女「ふふっ」
女「ううん、私も……楽しかった……です」
男「次は女さんの好きな作者の話、聞かせてほしいな」ニコ
女「……」
女「……」コクリ
男「じゃあ、また明日!」
女「……うん」
女「…………えへへ」
…………
……
◆◇教室◆◇
女「……」
男(女さん、今朝も一人か)
男(ここ最近ずっと女さん見てたけど、やっぱり友が言ってたように、他の子と話さず、一人……)
男「おはよー、女さん!」
女「お、はよう」
男「——っ! 今日も一日頑張ろうね!」
男(でも、絶対、悪い人じゃないと思う!)
男「友、おはよう!」
友「お、おう、おはよう」
男「挨拶って気持ちいいね!」
女「……」チラッ
……
…………
……
友「男、飯食おう」
男「ん、いいよ」
友「それにしてもなー……」
男「ん?」
友「あの女さんとどうやって近付いたんだ?」
男「んー……。気が合うから、かな」
友「いや……気が合うかどうかなんて、近付くことができないとわからないだろ……」
男「えーっと……。本、かな」
友「なるほど。前に言ってたな。……なるほど」
男「友?」
友「いや。なんでもない」
男「ふーん。それにしても、自分で言うのもなんだけど、このお弁当凄く美味しいなあ!!!!」
……
…………
……
◆◇教室◆◇
男(講堂の掃除じかんかかり過ぎ……)
男「……お」
女「……」
男(女さん、やっぱり一人……)
男(って、そう言えば放課後だけど……あれ、今日は図書館行かないのかな)
男「女さん」
女「あ」
男「今日は来ないの?」
女「う、ううん。行きます」
男「そっか! よかった」ニコ
女「……あは」
男「何してるの?」
女「英語の……続きです。さっきの授業でわからないところがあって……」
男「ああ、あの問題? 僕、やってるよー」
男「よかったら、教えようか?」
女「え……い……」
男「えい? 英語! まかせてよ!」
女「え、ええ、いや、で、でも」
男「いいよ、いいよ! 大丈夫! しーっかり頑張るからさ!」
女「……」
男「ね?」
女「……じゃ、じゃあ、お願いします……」
「…………」
男「よぅし! うん、これはね——」
…………
……
……
…………
女「ごめんなさい、結局図書館行けなくて……」
男「ううん、気にしないで! 楽しかったし!」
女「え、そ、そうですか?」
男「女さんって英語は苦手?」
女「……はい」
女「で、でも、日本語だけできれば、十分だと、思います」
女「本も読めますし」
女「中学入試にも、なかったし」
男「あはは。そうかもね」
女「……あ」
男「ん?」
女「ちょっと、待っててもらえますか?」
男「え、うん、いいけど、どうし……って女さん!?」
女「……っ」
タッタッタッタッ
男「走って行ってしまった」
…………
……
……
…………
タッタッタッタッ
女「……ハァハァ」
男「女さん、お、お疲れ。凄く速いね」
女「ハァ……あ、あのっ、これっ……ハァハァ」
男「えっ、これって」
女「サイダー、です。あの、その、お、お礼……」
男「……女さん……。ありがとう」
男(女さん、このために、あんなに走ってくれたのか……)
男(女さんってやっぱり良い子だ!)
女「い、いえ」
男「じゃあ、いただき————うわああああああああああああ!!!」
プシューッ!!
女「きゃっ!?」
男「……びしょびしょ……」
女「あ、ご、ごめんなさい!」
女「その、待たせちゃだめ、だと、思って! 本当にごめんなさい!」オロオロ
女「話しかけてくれて、しかも勉強まで見てくれたのに、こんなことしちゃうなんて……すみません……っ」オロオロ
男「……ぷふっ、あははっ」
女「……えっ?」
男「ああ、ううん、なんかおかしくて、あははははっ!」
男(本が好きで、英語が苦手で、ちょっと抜けたところがあって……女さん、普通の女の子だ)
男(よくわからないけど、友の言っていた悪い噂なんて何かのまちがいだったんだ)
男「あは、急に笑ってごめんね」
男「あまり服にはかかってないし、それにシャツ洗うつもりだったから気にしないで」
女「あ、え、でも……ごめんなさい……」
男「それより、女さん、走ってきてのど乾いたでしょ? 一緒に飲み物買いに行こ?」
女「あ、う、うん。心配ありがとうございます。こ、今度こそ、私、おごり……っ」
男「ううん、気持ちだけ受け取っておくよ。じゃ、一緒に自販機まで戻ろうっか」
女「う、うん。あの……その……やさしいですね」
男「ん?」
女「こ、このハンドタオルつかってくださいっ」
男「おお! ありがとう!」
女「えへへ」
男(こんな女さんがクラスであんな風なのは、なんだか良くない気がする)
男(なんとかできないかな)
◆◇教室◆◇
男「おはよう、女さん!」
女「あっ。お、おはようございます」
友「……へぇ」
「…………」
友「やっぱり凄く仲良くなってるな」
男「あはは。女さんが良い子だからね」
友「良い子、か」
友「他のクラスメートのやつらもそう思ってたらいいのにな」
男「……」
男「皆、誤解してるんだよね」
友「ふぅん」
「あのさ、男くん」
男「えっと……誰だっけ」
友「おい! お前……っ!」
「えっ!? だ、誰って! 級友だよ!」
男「ああ! 級友さん! ああ、確か保健委員の」
級友「美化委員!」
男「ああははは、ごめんごめん、冗談、冗談……」
友「……はぁ」
級友「なんかもー教えたげないでいよーかな……」
男「ごめんってば。で、どうしたの?」
級友「男くんって、女さんと仲良いの?」
男「うん、僕はそう思ってる」
友「……」
級友「これは親切心で言ってるんだけど——気を付けてね? 昔、女さんと仲良くしてた三人が、なぜか女さんに無理やり学校辞めさせられたんだ」
男「んー……。本当なの?」
級友「実際に、女さんと揉めた後に三人とも辞めたからね……」
級友「そんなことがあって……女さん……内部の女子たちみんな怖がってる……。あ、あと内部の男子もビビってる」
級友「あと、女さん、きりっとした美人だから、睨まれたらぶっちゃけ泣きそうになるくらい怖いし」
男「あー」
男(身に覚えがある)
級友「それに体型もすらーってしてて運動もできるし、おまけに勉強もかなりできるらしいから、争いたくない……」
級友「あと、内部生からしたら、エスカレーター式のこの学校を辞めるとか、絶対できないからね!」
級友「親にしめられちゃう!」
級友「だから、あまり女さんとは関わらないようにしてるんだ、皆」
男「あはは。なるほど」
男「ありがとう、教えてくれて!」
友「え、お前、じゃあ、もう女さんと——」
男「ん? 今まで通りに接するけど?」
級友「ええっ!?」
男「ええっ!?」
級友「マネしないで!」
男「あはは」
友「ま、そうだな。俺も男はそうするのが良いと思う」
男「うん!」
級友「私はどっちでもいいけど。まあ、転校することになったら、お別れ会開いてあげるー」
男「転校なんてしないよ!」
男「ところで、友はこの噂、どの女子に聞いたの?」
友「級友さん」
男「級友さん! 友、この前、級友さんのことを『面倒そうな女子』って呼んでたよ!!!!!!!!!!!!」
友「おい!」
……
…………
……
◆◇図書室◆◇
男「……」
女「……!」ぺこ
男「……」ふりふり
男(女さん、今日は勉強いいのかな)
男(読んでる本は——なるほど、前の続き)
男(僕も読もっと)
……
…………
……
……
…………
女「……」
男「女さん、今日も文学少女やってたね」
女「文学少女……ふふっ」
男「ん?」
女「う、ううん。何でもない、です」
男「女さんはこれから帰るの?」
女「はい」
男「じゃあ、一緒に帰ろう!」
女「あ……はい。お願いします」
男「こちらこそ!」
…………
……
……
…………
女「あの……勉強、できるんですね」
男「うええ!? いきなりどうしたの?」
女「今日、数学で難しいの当てられて答えてましたよね」
男「数学——あー、あー、あったような」
女「それに、昨日はとっても丁寧に英語教えてくれたし」
男「いや、いやいや、僕は偏りありまくりだし……ていうか女さん、英語以外は勉強できるじゃん!」
女「ええ、そんなこと」
男「ええー、クラスの女子が言ってたよ?」
女「うい……い……」
男「ういい?」
女「そんなこと、ないです。困ります……」
女「私、学年でもほとんど真ん中くらいなのに……」
男「あはは」
女「はぁ……」
女「そんな風に言われてたなんて……もっと勉強しないと……」
男「大丈夫! また僕が教えてあげるよ!」
女「本当ですか……?」
男「うん!」
女「……」ジーッ
男(目つきこわ! 目つきこわ!)
女「……ありがとうございます」ニコッ
女「あ……でも……」
男「ん?」
女「私、お礼に、体育の特訓に付き合います」
男「体育いやああああああああああああああああああああああああああああああ」
女「長距離走とか」
男「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
女「ふふっ」
…………
……
◆◇教室◆◇
男「おはよう」
級友「あ、おはよう」
男「え?」
級友「『え?』って!! 『え?』って!!!」
男「おはよう」
女「あっ、おはようございます」
男「女さん、朝から読書?」
女「はい」
男「わ! その本は!」
女「あは。この本も読んだことありましたよね?」
男「ん! うん! これもね、内容は言わないけど、すごく良いよ!!!!!!」
女「あはは」
男「あ、そうそう、今日も一日がんばろうね!」
女「あ、はい」
友「男、おはよう」
男「おはよう!」
…………
……
……
…………
◆◇教室◆◇
英語教師「——という内容だ」
英語教師「じゃあ、この記事について、英語で要約、それからオリジナルのアイデアを英語で書いてくれ」
英語教師「それぞれ200words以上。次までに提出な」
「ええぇ……」
「うわ……」
英語教師「んー。ちょっと難しいから……そうだな、ペアを作って、やってくれ」
「おい、お前——」
「ああ——」
「ねぇねぇ——」
「えっと——」
女「……」
男「……」
男(女さん……)
友「……なあ」
男「ん? 友——」
友「あのさ、男。わりぃ、今回は別のやつと組んじゃったわ」
男「……。ありがとう」
友「……」
男「女さん!」
女「は、ん……か……っ」
男「はんか?」
男「あのさ、女さん、よかったら、一緒に組んでくれない?」
女「え、でも……」
友「——」
男「あはは、僕、ひとりなんだ。助けると思って……」
女「……お願いします」
男「やった! ありがとう!」
女「私……課題、頑張ります……」
男「あ、ううん! 大丈夫だよ! 僕、ほら、女さんの英語力知ってるし!」
女「……」ジーッ
男「あ、あああ、あ……嘘、嘘嘘!!!!」
男「ごめんごめん!!!!!」
女「…………」クスッ
男「あはは」
女「ふふっ」
…………
……
一部終了
……
…………
男「おしまい!」
女「……ふぅ。お疲れ様でした」
男「お疲れ!」
男「放課後までかかっちゃったねー」
女「すみません、あまり貢献できなくて……」
男「ええええ! そんなことないよ! アイデア助かった! オトコの僕だけじゃ、なかなか発想できないことだったしね」
女「え、いや、そんな」
男「女さんが何を書くか決め、それを僕が英語に……。上手く役割分担できたね!」
男「女さんが一緒で本当に良かったよ!」ニコッ
女「あ、うぃ……」
男「あうぃ?」
男「あっ、もうこんな時間だ! 一緒に帰ろう?」
女「はいっ」
男「結構楽しいね」
女「はい?」
男「えっと、誰かと一緒に作業するのって、一人でするのより楽しいよなーって」
女「……そうですね。私も、そう思いました」
女「……あん」
男「あん?」
男(あー、女さん、もっと他の人たちとも仲良くやれたらなぁ)
男(女さんはしっかり者だし、がんばり屋さんで、それでいてサポート上手だから、みんなと何かするの向いてると思うんだけどな)
女「あ、あの」
男「ん?」
女「また、一緒に……」
男「! また一緒に、女さんと何か作業したいな!」
女「は、はいっ」
…………
……
……
…………
◆◇図書室◆◇
男「……あ」
男(女さん……)
男(今日も朝から僕以外とは全く話してなかったなぁ)
女「!」
男「……」ストン
男(今日の本は……へー、難しいの読んでるなぁ)
男(良い人で、面白い人で、それでいて、昨日のペアワークでもそうだったけど、とっても真面目な人なのになぁ)
女「……」チラッ
男「……ん?」
男(あ、女さん見すぎてた。気を付けないと、気を付けないと)
男(さて、僕も読まないと——)
……
…………
◆◇帰路◆◇
男「今日読んでた本さ、どうだった?」
女「展開が面白いです」
男「そうだよね。僕もそう思ってた」
女「あはは。はい。あ、でも、少し表現とかが分かりにくいというか、難しいかなって思いました」
男「ああー……そっか。確かに、表現がね」
女「あ、でも心情とかは結構分かりましたよ」
男「なるほど。……あ! クレープ屋があるよ」
女「ク、クレープ」
男「……女さん、クレープ好き?」
女「……す」
男「す」
女「……もちろん。女子ですから」
男「あはは。寄り道して食べて行く?」
女「えっ? いいんですか? 嬉しい。憧れてたんです」
男「女さん……よしっ、じゃあ、今日は僕が奢るよ!」
女「ええっ、わ、悪いですよ……。払います払います」
男「僕たち、もう友達でしょ?」
男「いいから、いいから」
女「と、友達…………友達かぁ……」
女「私にも…………ひへ」
男「ひへ?」
女「あっ、や、なんでもないです」
女「じゃ、じゃあお願いします」
女「……お、お友達ですもんね」
男「……うん! 何にする?」
女「チョコバナナで」
「いらっしゃーい!」
…………
……
……
…………
男「ごちそうさまでしたー!」
「はいよー! また来てねー!」
男「はい! ……ほら、女さんも」
女「え……あ……」
男「えあ? 女さん」
女「う、うん。えと、ご、ごち……そうさま……で、した」ニコ
「へーい! また来てねー! 他にも友達連れて来てねー!」
男「あはは」
女「ほ、ほかにも、かぁ……」
男「今度は友も連れて来ようかな」
女「う、うん」
女「あ、あの」
男「ん?」
女「男くんも、ごちそうさまでした」
男「ああ、うん。気にしないで」
女「え、えと、じゃあ、今度は私に奢らせてくださいね。お、おともだちですから」
男「あはは、うん、お願いします」
女「はいっ」ニコ
…………
……
女「男くんって友くんと仲が良いですよね」
男「えええっ? いきなりどうしたの? 確かに仲良いけど」
女「や、なんとなくです」
男「そ、そっか」
男「……」チラッ
女「……」
すたすた
男(友はクラスの女子とも割と仲が良い。もしかしたら、女さんとも仲良くできるかも)
男(女さんとこうして話すようになってわかったけど、女さんは、もっと交友の広い人と関わった方がいいのかもしれない)
男「あ、あのさ」
女「はい?」
男「明日——」
…………
……
……
…………
◆◇教室◆◇
男「という訳で!」
友「何だよ……。速く行かないと食堂混むぞ」
男「いい! ご飯は用意してある!」
男「こっち! はやく!」
友「お、おい!」
友「……はぁ。まあ、いつものことか」
男(今日は、女さんと友の仲を深めてもらうぞ!!)
男(頑張れ、女さん!)
男(ふふふ、今日の昼ご飯は、朝4時に起きて作った超大作!)
男(きっと二人とも満足してくれるはず!)
◆◇中庭◆◇
男「おまたせ!」
女「いえ、大丈夫です」
女「それより、お弁当、ありがとうございます」
男「いやぁ。はは。口に合えばいいけど——」
女「……っ!」
友「お、おい!」
女「……えっ、と、友くん……」
男「今日は三人で食べようかと思って!」
男「昼ごはんの用意は全て僕がしましたー! 友、だから、今日は購買も食堂も行かなくて大丈夫!」
友「はぁ……」
女「い……お……」
男「いお?」
男「女さん、友は良い人だから、仲良くしよう!」
女「……友、くん……。うん……」
男「友、そういう訳だから」
友「……ん。わかった」
男「よーし、じゃあ食べよう!」
パカッ
女「……っ! す、すごい、おいしそう……」
男「あはは。そうかな。ありがとう」
友「女さん、こいつ、料理上手なんだ。弁当のときは全部自分で作ってるんだってさ」
女「そ、そうなんだ……」
男「そうだねー。はい、小皿と箸。食べてみてよ」
女「ありがとう。じゃあ、いただきます」
友「いただきます」
女「……! お、美味しい! 凄く、美味しいです」
男「あはは。よかった、よかった」
男「この天ぷらも食べてみてよ」
友「相変わらず、美味いし、手が込んでるな」
男「でしょ?」
友「うざい」
男「あはは」
女「……」
友「女さん、男どう?」
女「ど、どう……って」
友「結構、周りを見ないところあるよな」
女「……あー」
男「ええっ、なんで『わかるわかる』みたいな顔!?」
友「実際そうだろ! 今とか!」
男「うええ」
女「ふふっ」
友「あと、うるさい」
女「……あー」
男「だから、何で——」
友「うるさい!」
男「ちょっ!!!!」
友「ま、暴走はするけど、根は優しいし、いいやつなんだよな……」ボソッ
女「…………うん」
男「ん? 何て? また悪口!?」
友「また、って。ずっと悪口じゃなくて事実を言ってるだけなんだが」
女「ふふっ」
女「友くんは悪口言ってないですよ」
男「ちょおおおおおおお!!!!」
女「あ、や、あはは」
友「おい、女さんを困らせんなよ」
男(やっぱり、女さん、友と上手くやれそう)
男(少しずつ皆と仲良くできるといいな)
……
…………
◆◇帰路◆◇
男「ごめんね、昼のあれ、急だったよね」
女「……えっと、急だったけど、楽しかったです」
女「友くんも良い人だったし、あはは」
男(良かった、良かった!)
男(友に怒られたけど、やっぱり昼のあれ、成功したんだ)
男(女さんも友くんって親しんで……って『友くん』か。そういえば僕って——)モヤ
女「どうしました?」
男「ううん、何でもないよ! よかったなって!」
男「あ、そうだ、今日もクレープ食べていく?」
女「はい! ……って、あ……でも……今日のお昼、食べ過ぎちゃったし……」
男「ええええええええっ、女さんそんなに細くてシュッとしてるのに、何言ってんの!!!!!!!!!???」
女「ふな……っ」
男「それ、うちの姉さん聞いてたら、最低でも舌打ちされてたよ!」
女「こ、怖いです……」
女「うー……。よし、クレープ、食べます。あ、でも、一応小さいサイズにしときます……」
男「よーし! 行こう!」
女「はいっ」
…………
……
……
…………
◆◇教室◆◇
男「おはよう!」
級友「おはようございます」
男「あれ……なんかそっけない……」
級友「そんなことある」
男「ええー……。ごめんなさい」
級友「まあ、いいや。男くん、あれ見てみてよ」
男「えっ——」
友「——でさ」
女「はい——」
男「おお、女さんと友が」
級友「ねー。話してる」
男(女さん、友と仲良くできてる! やっぱり!)
男「良かった、良かった」
級友「最近男くんと話してるとこは見てたけど、友くんとも仲良さそうに話すようになったんだねー」
男(友くんと『も』……)モヤ
男(あれ……良いことなのに、な……)
級友「男くん?」
男「級友さん、今日も一日、風紀の取締り頑張ってね!」
級友「だから美化ああああああああ!!!!!!」
男「女さん、友、おはよー!!」
ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
女「あっ、おはようございます」
友「おう、おはよう」
男「二人とも楽しそうにお話してたね! 何の話だったの?」
女「えっと……」チラッ
友「何のって……」チラッ
男「……?」
女「ふふ、秘密、です」
友「そういう訳だ」
男「えええええええええええっ、気になる!!!!」
女「あははっ」
友「さてと、一時間目の準備しないと」
女「そうですね、ふふ」
男「……」
男(すっかりいい仲になってるんだな、女さんと友)
……
…………
◆◇教室◆◇
男「さて、昼ごはん! 友、食べよう!」
友「おう」
男「今日のごはんは?」
友「朝、購買で買ったパン」
男「じゃあ、今日は教室か。……あ!」
男「女さん! 今日も一緒に食べない?」
女「あ、はい。お願いします」
男「やった! 友も一緒だけど、いいかな?」
女「……」チラッ
友「……」
女「はい、大丈夫です」
男「よし、じゃあ、三人で!」
男「美味いなああああああ」
友「まあた自分で……」
女「ふふっ」
女「今日のお弁当も美味しそうですね」
男「んん! 女さん、食べたいものある?」
女「あ……えっと、じゃあ、これを……」
男「おっけ! 取っていいよ!」
女「あ、ありがとうございます」
ひょい
女「! 美味しい!」
男「はっはっは!」
女「なんか自信なくしちゃいます……。私、お母さんの家事とか手伝ったりするけど、ここまでの料理、一人ではできないです」
友「ははは。男子が料理得意すぎるのも考え物だな」
女「うんうん!」
男「うえええええええええええええええ……」
男「手伝うって言ってたけど、女さんのお弁当、女さんが作った料理あるの」
女「な……さ……」
男「なさ!」
女「あ、あります……けど」
男「へえ! あるんだ! どれ?」
女「えっと、これ、です」
男「野菜炒め! いいな! 女さん、食べたい!」
女「ええっ、や、じ、自信ない、です! あんなの食べちゃったら、これ差し出せないですよ!」
男「ええー。友も食べてみたいよね?」
友「えっと……まあ。食べてみたい」
女「……友くん、まで……」
女「……あ……。じゃ、じゃあ、友くんに食べて貰って、合格もらえたら、男くんに差し出します」
男「えっ………………あ、ああ、そっか! なら、友! 評価委員、どうぞ!」
友「……わかった」
ひょい
男「はい、友、あーーーん」
友「ちょ、お前、あーんってちょっ——」
友「……」
男「……どう?」
友「お前があーんなんかするから、味、よくわからなかった……」
女「そ、そうですか……」
男「女さん!」
女「んー…………や、やっぱり、だめですっ! 私が自分でも美味しいって納得できるまで、男さんは待っててください」
男「……そっか」
……
…………
◆◇教室◆◇
男「放課後だねー、女さん、今日も?」
女「はい。男くんも?」
男「うん!」
男「……そ、そういえばさ」
女「はい?」
男「友と仲良くなったよね」
女「そ、そうですか、ね」
男「……」
男「うん、そうだよ」
女「そうだとしたら、男くんのおかげですね」
男「……あはは、そんなことないよ。女さんが、素敵な人だからだよ」
男(素敵な人だから……)
女「の……お……」
女「す、すてきって……っ」
男「……ん?」
男「……あ、そうだ、今日、やっぱり図書館やめて、別のとこ行かない?」
女「べ、別のとこ……?」
男「うん!」
…………
……
友「——って」
タッタッタッタッ
「おい——」
「サイド——」
友「はいっ!」
「二年も——」
「——」
男「おおー、良く見えるねー」
女「サッカー部?」
男「うん。ほら、あれ、友だよ」
女「あ、ホントですね。友くんってサッカー部だったんですか」
男「知らなかったんだ。そうだよ」
男「アイツ、昔から運動が好きで、スポーツいろいろやっててさ」
男「で、その中でもサッカーが好きらしくてさ、ずーっとやってるんだ」
女「……」ジーッ
男「ん? どうしたの? あれれ変なこと言ったっけ?」
女「ふふっ、ううん。何でもないです」
男「ふーん」
男「——お、友、抜いた!」
女「え?」
女「わっ! すごい! クライフターン!」
男「クラ……ん? ターン?」
女「あ、えっと、フェイントの種類です。えっと、私、サッカー好きで」
男「へえ……女さん、サッカー好きなんだ」
女「それにしても、凄いですね。友くん、サッカー本当に上手いんだ……」
男「……」ジーッ
…………
……
……
…………
◆◇教室◆◇
男「おはよう!」
女「おはようございます」
友「おはよう」
男「あ、そうそう、昨日、女さんと一緒に友の部活してるとこ見てたんだー」
友「え、おい……まじか……。気が付かなかった」
男「で、何だっけあの、えっとターン……」
女「クライフターン」
男「おー、それそれ」
友「足の動きまで見られてたのか……。失敗しなくてよかった。……って、それより、女さん、そんなの知ってるのか」
女「お……ん……」
男「おん? 女さん、サッカー好きなんだってさ」
友「へぇ! そうなのか! サッカーも好きなのか!」
男(サッカー『も』……)
男「……ああ! そうそう!」
友「ん?」
男「そういえばさ、もうすぐだね、歓迎遠足!」
友「ああ、そういうのあるんだってな。確か、京都市内を歩く」
男「女さんはどんなのか知ってる?」
女「えっと——」
男(僕は何してんだよ……っ)
女「……」チラッ
……
…………
担任「今度の歓迎遠足のスケジュールのプリント配るから、確認してくれ」
担任「まあ、学年によって日にちはずれるが、毎年やってるから、以下省略」
男(この人、テキトーだなぁ)
担任「高校からの人は中学からの人に聞いたり、プリントしっかり読んで理解してくれ」
担任「んじゃあ、4〜5人でグループ作ってくれ」
…………
……
男(友……女さんと……僕)
男(あと……)
男「級友さん! ちょっと……」
級友「え、えええええ、ええ……まさか、女さんとこ?」
男「うん? だめ?」
級友「そんな無垢な表情……。だめっていうか……。まあ、まだ一人だったけど……でも……その……こ、怖い」
男「あははははは、何言ってんの、級友さんの方がよっぽど怖いよ、あはははははは!」
級友「おまええええええええええええええええええ」
男「ほら、こっち、こっち」
級友「え、ちょ——」
男「級友さん!」
友「おう」
女「……」
級友「あういええっ、えええっ」
女「あ……っ……こ」
男「アッコ?」
男「級友さん、ごめん、ちょっと!」
すたすた
女「……」
友「何なんだ、あいつら」
男「級友さん、あの……無理やり、ごめん……」
級友「ん……びっくりした……でも——」
級友「なんか、さっきの女さんは、ちょっともじもじしてて可愛かった、かも」
男「あはは、だよね。級友さんは受け入れてもらえないかもだけど、本当は良い子なんだよ」
男「級友さんをできるだけサポート頑張るから、宜しくお願いします」
級友「……ん。もしかしたら、女さん、噂と違うかもだもんね」
級友「よし! ちゃんと確かめるためにも、同じグループに入れてもらうね」
男「ありがとう!」
二部終了
……
…………
◆◇京都駅◆◇
先生「じゃあ、各自班ごとに分かれて行動してくれ」
先生「あ、くれぐれも周りに迷惑かけないようにな」
先生「それと、班で何かあったら、すぐに連絡してくれ。以上、解散!」
……
…………
……
男「京都!」
級友「はしゃいでるねー」
男「あはは、そりゃ若いからね」
級友「私も同じ年齢なんだけど」
男「え?」
級友「『え』って!!!」
女「……」
友「あいつら、仲良いな」
女「そ、そうですね」
友「うるさい者同士、気が合うのか」
女「……」
男「女さん!! 京都タワー! 凄いね!」
女「あ、はは……」
男「テンション上がらないの……」
級友「まあ、私たちは毎年来てるからねぇ。……ね?」
女「……う……うん……」
男「……よーし、目的地行くかぁ!」
…………
……
……
…………
◆◇地下鉄◆◇
友「それでさ、本田は——」
女「あ、はい——」
男「……」
級友「そういえばさ、男くん」
男「んどうしたの? トイレなら我慢してね」
級友「違うううううううううううう」
級友「私、美少女だからトイレ行かないし」
男「え……新陳代謝……」
級友「冗談」
男「で、何?」
級友「あのさ、その……」
男「ん?」
級友「アドレス、交換しよ」
男「ええー」
級友「『ええー』って!! 『ええー』って!!!」
男「嘘嘘、いいよー。ていうか、電車の中だよ。うるさいよ」
級友「ううぅぅぅ……」
女「……」
友「女さん?」
女「あ、いえ、何でもないです」
友「ふーん。そっか」
…………
……
……
…………
友「——っと次は……」
男「……お」
男「あれは! 女さん!」
女「は、はい、鴨川デルタですね」
男「あの作品が映画化されたとき、出てきたよねー! ホルモンじゃないやつ」
女「あー。はい。あれ、おかしかったですよね。それに結構熱いお話でした」
男「あはは、そうだよね。女さんは映画も見たの?」
女「見ましたよ。テレビで、ですけど。こっちも面白かったです。あ、あと、主人公が章ごとに選択が変わる、でも根本は一緒っていうあの本の舞台でもありますよね」
男「おお、そうそう! 女さん、それも読んだんだ。それにしても、ここのんびりしてて良いねー」
女「そうですね」ニコ
級友「おおう、笑ってる……ちょっと怖くない……かも? ていうか、やっぱり美人だ……凄い……」
友「……そーだな」
男「よし! 女さん! デルタまで競争だ!」
女「えっ、あ、はいっ!」
級友「うおお、走ってる」
友「そっちは……おい……目的地と逆だろ……」
男「女さん……はぁ、はぁ、速いよ……」
女「ふふっ、私の勝ち、です」
級友「おおう、男子、女子に負けてる……」
男「くっそー……」
女「私が……勝った、ので……」
男「ん?」
女「あの、私にも、アドレ——」
友「おい、お前ら行くぞー」
男「はーい」
女「あ……は、はい」
女「……」
男「あ! そうだ! 女さん!」
女「……はい?」
男「僕たち、友達なのに、まだメールアドレスを交換してなかったよね!」
女「! は、はいっ」
男「ちょっと遅いけど……交換しない?」
女「はいっ、お願いします」
…………
……
……
…………
◆◇銀閣寺◆◇
男「長かった……」
級友「体力、もうない……つかれた……」
友「お前らが、大学覗きに行きたいって言うから、徒歩になったんだろ」
友「それに、お前らはしゃぎまくってたし」
男「あ、はは……」
級友「だって……高学歴大学生にナンパされたりしないかなって……」
友「されてなかったな」
級友「皆、勉強ばっかで草食系だからなー。私みたいな新鮮なお肉を狙わないなんて」
男「あははははは、級友さんおもしろい、自分のことを肉のかたまりだって、あはははははは」
級友「そうとはいってないいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
女「あ、あの……」
級友「ひ、ひゃい」
女「級友さんは……その……痩せて……ます……」
級友「お、女さん……ああありありがとう」
女「……い、いえ」
女「あと、男くん。冗談でも、女子にそういうのを言ってはいけないです」ジーッ
男「級友さん、ごめんなさい!!」
級友「……うおう、許してやろう」
友「男、すなおだな」
女「ふふっ」
…………
……
…………
……
◆◇バス◆◇
男「もう、たいりょく、ないよ……」
級友「あちこち走り回ってたもんねー、運動できないのに」
男「ででででででできないことないし、ほほほんき出してないだけだし!」
級友「はいはい。それにしても……」
男「うん?」
級友「女さん、少し話してみて、ちょっと見方変わったかも」
男「……」
級友「みんなの噂や見た目よりも、ずっと優しくて、それでいて可愛い」
男「でしょ?」
級友「……うん」
級友「……良かれと思ってしてたけど、私、悪い噂を広げるのに加担してたんだなぁ……」
男「……」
級友「……決めた。私、今の状況がなんとかなるように、頑張る! それから、女さんにちゃんと謝る!」
男「ん、そうだね。女さんはとってもいい人なんだ。女さんが皆と仲良く出来るように、僕も頑張る!」
友「でも、やっぱり——」
女「はい——」
友「って、アイツら、遅れてるな。ってか、何の話してんだろ」
女「……」
……
…………
……
◆◇京都駅◆◇
先生「今回の遠足で——」
男(今日で女さん、ちょっと級友さんと仲良くできたな)
男(それと、友とはもう二人で話ができるくらいに——)モヤ
男(……あれ、喜ばしいことのはずなのに……)
先生「——というわけで、帰るまでが遠足だからな、周りの迷惑にならないように気を付けること」
級友「みんなで帰ろー!」
友「あー、最寄り、何駅?」
級友「私——」
…………
……
……
…………
◆◇帰路◆◇
男「級友さんだけ遠かったんだね。残念」
女「……」
男(級友さん、女さんと仲良くなりそうなのに)
友「女さんも、家が学校に近かったんだ」
女「あ、はい」
男「そうだね、前一緒に帰ったし」
友「へー、そうなのか」
女「そう、ですね」
友「え、じゃあ、小学校は?」
女「××です」
男「おお、隣の小学校だったんだ! 本当に近いかも!」
友「そうだったんだな」
女「じゃあ、私、こっちなので」
男「あ、送っていくよー! もうこんな時間だし! 女さん、美人なんだし!」
女「美人……」
友「……」
女「——や、あ、でもっ」
友「女さん、送ってもらいなよ」
男「友は——」
友「俺は帰る。疲れたし」
男「そっか。またね」
女「さようなら。今日は楽しかったです」
友「……こっちこそ。じゃあな」
男「じゃあ、参りましょうか」
女「はい」
男「すっかり真っ暗だねー」
女「あっ……」
男「ん? どうかしたの?」
女「……」
男「えっと」
女「…………男さん、あれ」
男「おお、満月」
女「…………き、綺麗ですね」
男「そうだねー。あ、そう言えばさ」
女「……………はい」
男「女さん、友と仲良くなったよね」
女「そうですね」
女「友くんは、気遣いができて、サッカーできて、素敵です」
男「ふーん……そっか」モヤ
男(……あれ……なんか嫌な気持ちになってきた)
女「男くんも、級友さんと、よくお話してましたよね」
男「そだねー」
男(なんで、こんな気持ちになるんだろ)
女「————」
男「……」
男(友と女さんのこと考えたとき)
女「——————」
男(凄くモヤモヤってする……なんでだろう)
女「——あ、あのっ」
男「…………」
女「もういいです……」
男「えっ?」
女「もういいですっ」
女「私、家、ここなんで」
女「ありがとうございました、では、さようなら」
スタスタ
男「あ、うん、ばいばい」
男(あれれ、もしかして、怒ってた? どうしたんだろ……)
男(——って、ああああああああ!!! 考え事してたせいで、女さんの話を全然聞いてなかったああああああ!!!)
……
…………
◆◇通学路◆◇
男「はぁ……」
男(なんか、この前の女さんとのあれ、気まずいなあ)
男(ちゃんと謝ろう)
男(週の初めだし、スッキリした気持ちになりたいしね)
女「……」
男「おお」
男(噂をすれば、女さん! 珍しいな、こんな時間に!)
「——」
女「……」
男「ん……」
男(知らない女子と話してるみたいだ)
男(どうしたんだろう……あれ? 公園に入ってくみたいだけど……)
女「——ってください」
「……うざ」
「あー、もしー? うんうん、見つけたよー。今——……そうそう、あ、わかる? んじゃ——」
男「えっ」
男(二人のギャルに女さんが、襲われてる!?)
タッタッタッタッ
男「おい!」
「って……お前、誰だよ」
「こいつの知り合い?」
女「きゃっ、やめて、ください」
男「女さんっ!!」
女「……あっ……お……とこくんっ」
男「女さん——」
DQN「へぇ、コイツがお前らが言ってた、オンナか」
「そそ、むかつく顔してるでしょ?」
DQN「ってか、お前ら場所考えろよ……もっと良いとこに連れてけよ……」
「いや、これからそうするつもりなんだって、あはは」
DQN「……はぁ、まあ良いけど。……あれ?」
男(うわっ、また怖そうなギャルの人と男の人が出てきた……じゃなくてっ!)
男「あの! 嫌がってるじゃないですか、放してあげてください」
「え? 何コイツ。見たことない。別の学年のやつ? いや、でもタイの色的に同じ学年……のはず。あー…………外部?」
「ねぇねぇ、DQN君、ちょっとさ、コイツもしめちゃってよ」
男(うわあああああああああ、ヤな展開!!! 無理無理無理っ)
男(あーもう! 警察、呼んどけばよかった!!)
DQN「ええ〜、ここで?」
「おねがーいっ
「後で、言うこと聞くから、ねっ?」
DQN「しゃーねぇ……な。まあ、見られたんだしな……っ」
ドガッ
男「っ——」
ドガッ
女「っ! お、男くんっ!!」
男「……っ」
DQN「よっわ〜……」
「ぷははっ、女? ほら、アンタのせいで、『男くん』こーんなことなってるよ?」
「にしてもホントよわっちー、あはははは」
女「男くん……っ」
DQN「さーて、女ちゃん、一緒に行こうか〜」ニコニコ
ギュっ
女「きゃっ、やめてくださいっ!!」
DQN「ほ、ほら〜、だからね? いい加減にしないと、体に痣できちゃうよ?」ニコニコ
女「……っ」
DQN「ね?」ニコニコ
女「……は、い……」
男「ちょっと、まって……まだ、だよ?」
女「……っ」
DQN「……」
「いや、『まだ』って、あははは、『もう』ふらふらじゃん、ははははっ」
男(やばいな……人との戦い方とか全くなからない)
男(そもそも、身体を動かすの苦手なのに……)
男(もし、僕が友みたいに運動ができれば……)
女「……男、くん、だめだよ……っ」
男(女さんを恰好良く助けられたんだろうなぁ)
「あはは、ぼっろぼろじゃん、あはははは」
「やっばいって、あははははっははっ」
DQN「あー、お前マジウザいな、空気読めよ。はぁ」
女「男くん……っ」
男「女さんっ、いいから、はやく逃げてっ」
女「えっ、でもっ——」
DQN「おい!」
「わかってるって」
「はい、女はあたしらが逃がさないからね〜」
グッ
女「やっ……」
男「……」
DQN「そうそう。その子、俺が後で食うんだから」
男(おちつけ、おちつけ……)
男(ここの公園が面している道は、小さいけど、人通りは少なくはない)
男(自分だけじゃ、この人たちにはぜっ——)
DQN「何ぼーっとしてんだよっ」
ドガッボコッ
男「——っく……」
男「……いってええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!」
男「不良さんのパンチいたすぎるうううううううううううううううううううううううううううううううっ!!!!!!!!!!」
男「助けてええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!!」
男(もっと早くからこうしておけば良かったんだ)
男(でも、すっごく恰好悪いけど)
男(女さん、こんなダサいの退くだろうなぁ)
女「……っ」
DQN「ちょっ、おいっ」
「何コイツ、だっさ、あはははははっ」
「叫んでるし、あはははははっ」
DQN「ちょ、おい、ばかっ、お前ら」
「え?」
DQN「逃げ——」
男「……っ」
ぎゅっ
DQN「……っ!!」
女「男くん!」ポロポロ
DQN「ちょっ、やめろ……放せ……っ」
ボコッドガッ
女「殴らないで! お願いします! 何でもしますから!」ポロポロ
男「だ……め……」
DQN「おいっ、ちょ、くっそ!!!」
ゴッボガッ
男「……っく、絶対に……しがみ……ついて……はなさ……ない……」
女「やめてください……っ、やめてくださいっ……」ポロポロ
DQN「おい!!」
ボゴッドガッ
ボコッ
ボガッ
…………
……
……
…………
男くんっ
男くん!
男(あーあ、格好悪いなあ、僕)
男、くん
男くん——
男(でも、自分らしい、かな)
おとこくん
…………
……
……
…………
◆◇病室◆◇
男「痛い……」
男「全身痛いぃ……」
姉「もう……本当に……」
姉「もし、あとになって後遺症とか何か見つかったらどうしよう……」
男「あははー大丈夫でしょ」
姉「なんでそう楽観的なのよ! 骨とかひっどいことされたのに!」
姉「ああ……何が何でも、精密検査受けなきゃ」
男「はは……心配性だなぁ」
ガラガラ
女「男くん……」
姉「あら」
姉「あのね、この子、私が病院来た時大泣きしてたのよ。『私のせいで』ってね?」ボソッ
男「おおう……」
女「本当にごめんなさい……」
男「ううん、むしろ、僕、なさけないよ、あはは……」
女「……」ジワァ
女「ぞ、そんなこと……ない、です……っ」ポロポロ
女「本当に、助かりました……ありがとうございました……」ポロポロ
男「無事で良かったよ」
女「……っ」ポロポロ
姉「そうだね。さすがうちの弟! 女の子を助けたのは評価できる!」
男「いや、あれはみっともなかったよ……自分で言うのつらいけど……あはは」
女「そんなことない、ですっ」
姉「あらら、これループするのかなー」
男「あ、あはは……」
…………
……
……
…………
男(あのギャル三人は、中学時代、女さんを隠れて虐めていたらしい)
男(まわりのクラスメートとかは、全然気づいていなくて、むしろ仲が良いと思っていたみたいだとか)
男(でも、その虐めが学校側にバレてしまって、その子たちは高等部に進学出来なかった)
男(そして、その腹いせに、女さんに酷いことしようとした)
男(あの人たちのせいで、女さんは中学生活、そしてついこの前まで苦しんでいたんだ……と思うと、本当にむかつく)
男(『事件』については……現行犯で終わり)
男(僕がぼこぼこにされてる間に、近所の人から通報があって、警察がすぐ駆けつけたらしい。僕は意識ほとんどなかったけど……)
男(不良な男は高校卒業してて、フリーターしていたらしい。一応、示談を持ち掛ける。……とりあえず、もう二度と近づかない、関わらないことを約束させるつもり。あ、あと病院とかのお金)
男(それから、ギャル三人は、直接殴ってないけど、教唆でアウトらしい。同じく示談に。こっちも、もう関わらないようにさせる)
男(女さんがそう望んでたし)
男(まあ、僕ももう関わりたくない。二度とこんな怪我したくないし)
男(姉さんに心配かけたくないから)
男(それと、女さんに泣かれたら困るから……)
……
…………
◆◇病室◆◇
男「いやっほおおおおおおおおおおおおおおおお」
姉「うるさい、黙って読みなさい」
男「にしても、ラッキーだなー。勉強しなくていいし。一日中、本を読んでいられるなんて」
姉「もう。こっちの気も知らないで……」
姉「お父さんがいてたら、何て言ってたか」
男「気合で学校に行け?」
姉「言いそう。でも、それはどうかと思うけど……」
男「て言うか、姉さんは大学行かないの?」
姉「わ、私はいいのよ!」
ガラガラ
女「こんにちは」
男「おー、いらっしゃい!」
姉「こんにちは」
女「あの、これ。ノートのコピーです」
男「おお、ありがとう!」
女「いえ、わたしのやらないといけないことですから」
男(やらないといけない……)
姉「さーてと、私は退散しようかな。後は若いお二人で……じゃあね」
スタスタ
男「え」
女「あ……う……」
男「……はぁ。あ、そういえば、そろそろテストだよね?」
女「あああ……はい……」
男「凄く嫌そうな顔、あはは」
女「今回は本当にまずいかもです、英語とか」
男「んー。そうだ、一緒に勉強しよっか?」
女「え? 良いんですか?」
男「僕もそろそろ勉強しないとって思ってたとこだしね」
……
…………
……
女「一緒に、って言ってたけど、結局私ばっかり教えてもらっちゃって……本当に申し訳ないです……」
男「良いの良いの! 友達、なんだから! ね?」
女「友達……です……か……」
男「ん?」
女「あ、はは、何でもないです」
男「そっか」
男「……あああああああああああ!」
女「ど、どうしました?」
男「そうそう、女さんのお父さんとお母さんにお礼言っておいて!」
男「昨日来て貰ったときに、頂いた果物、凄く美味しかったって!」
男「あんなにあったけど、姉さんと二人で綺麗に食べちゃった!」
男「貰ったときも言ったけど、何か気を使わせちゃって申し訳ないなぁ……」
女「そんなことないです!」
男「あはは、またループしちゃうね」
女「……あ、あの……。パ……父と母、何か変なこと言ってませんでした?」
男「んー、特に。あ、女さんの家に来てほしい、とは言われたけど」
男「退院したら、遊びに来てってことなのかな?」
女「……多分……別の意味かと……」
男「別の意味?」
女「な、何でもないです」
女「……あっ、もうこんな時間ですね。そろそろ失礼します。あの、今日もありがとうございました」
男「ううん。気を付けて帰ってね?」
女「あ、はいっ」
……
…………
……
……
…………
◆◇病室◆◇
級友「わー、女さんが言った通り、腕、ギプスだー! かたーい!」
男「あ、ちょ、落書きはやめて」
女「ふふっ」
友「こんな怪我して……」
男「はは」
友「過程はどうあれ、女さん助けたっていう結果は事実。オトコとして凄くカッコいいんじゃないか」
男「そう、かな、あはは」
級友「そうだよー!」
男「ちょ、落書きだからやめっ!」
女「そうですよ、級友さん、男くん嫌がってますよ」
男「お……」
男「級友さん、女さんと仲良くなったんだ」
女「あ、はい」
級友「友達だよ。京都の遠足から、ね?」
女「級友さん……っ」
男(友達……そうだよね、もう女さんは……僕だけじゃなく……)
級友「それに、女さん、結構、他のクラスメートたちとも仲良くなったんだよー!」
女「それは、えっと、友くんのおかげです」
男「えっ、友?」
友「そんな、『おかげ』とか、別に大したことしてねぇけど」
級友「大したことあるってー。クラスメートたちの前で、演説してたじゃん! 恰好良かったよ! クラスメートの何人かは、惚れたり惚れ直したりしてたり!」
男(友は恰好良いもんな)
友「……はぁ。演説って。てか、俺はただ、女さんのこと、あと男から電話で聞いた『転校していったヤツらのこと』を話して、皆の誤解を訂正しようとしただけだ」
級友「『ただ』? 『しただけ』? 結構、熱入ってたけどなー」
友「あー、もう、うるせぇ」
女「わ、私は、嬉しかったです。ありがとうございました」ニコッ
男「……」
男(女さん……)モヤ
友「……っと、そっか」
級友「顔が————」
友「バカ——」
女「————」
級友「——」
男(わかった。この気持ち)
男(僕は、友に嫉妬しているんだ)
男(そして、僕は、女さんのことが好きなんだ)
……
…………
……
……
…………
◆◇病棟内椅子◆◇
男「……」
男(あれから、女さんは、『友人』までは行かなくても、少しずつだけど周りの他のクラスメートたちと話すようになったらしい)
男「……はぁ」
男(友は皆と女さんを繋いだ)
男(これは僕がやりたかったこと)
男(女さんと皆が打ち解けたとは喜ばしいこと、なのに)
男(……だめだ。やっぱり全然、読書に集中できないな)
男(こんなこと前にあったかな。あったと
しても、かなり前だ)
男「……」
「それ、ワクワクしますか?」
男「……えっ——」
女「こんにちは。どこにもいなかったから、探しましたよ」
男「あ、女さんか……。あはは。ごめんね」
女「……男くん? 元気ないんですか……? なんだか、いつもの男くんらしくないように思います」
男「えーと、そ、そうかな。でも、大丈夫だよ。あ、そうそう。女さん……学校、どう?」
女「皆、私に優しく声かけてくれて……とても、嬉しいです」
男「そっか。良かった、良かった」
女「……男くんのおかげですよ」
男「あはは、そんなこと言っちゃってー」
男(友の方がきっと——)
女「……えっと……その……私……」
女「……し、死んでもいい、です」
男「死……ってそんなこと言っちゃだめだよ!」
女「えっと……そういうことじゃ……」
男「女さん?」
女「な、何でもないです……」
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