【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【3頁目】 (307) 【現行スレ】

このスレは安価で

乃木若葉の章
鷲尾須美の章
結城友奈の章
  楠芽吹の章
―勇者の章―

を遊ぶゲーム形式なスレです

目標

生き抜くこと。


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります

日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
期間は【2018/07/30~2019/08/14】※増減有

戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
※ストーリーによってはHP0で死にます

wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに


前スレ

【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【1頁目】
【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【1頁目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1601649576/)
【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【2頁目】
【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【2頁目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1608299175/)


歌野「久遠さんが来てから、みーちゃんがすっごく張り切ってるの」

陽乃「見下せる相手が来たからでしょ」

歌野「まさか。みーちゃんはそんなことで元気になったりしないわ」

心からそう信じてるとでも言いたげな歌野の反応

陽乃の発言は水都を馬鹿にしているともとれるものなのに、

怒った様子もなく、飲み器をテーブルの上に置く

歌野「前は浮かない顔をしていることが多かったし、私以外にはそこまで心を開いているって感じでもなかった」

歌野は自信を持って欲しかったけれど、

自分は全然そんなことないよ……と、水都は否定してばっかりだった

だから、今の水都は全然違って見える

陽乃「そこに要介護な私がやって来たから、自信が持てたってわけね」

歌野「ん~……どうかしら。みーちゃんは本来、自分から積極的に触れていくタイプじゃ無いし……」

普通に話が出来るようになってはいるものの、

手足を動かすにはまだ力が足りていないように見える陽乃

ここ数日は水都が付きっ切りで

誰かが行くなら自分が行くと自ら名乗り出るくらいには積極的だ

歌野「久遠さんがボロボロだったのも理由ではあると思うけど、それだけではないと思うわ」

上手くは言えない。

けれど、

それはけして悪い理由ではないことだけは断言できそうな気がする……と、歌野は笑みを浮かべて

歌野「きっと、みーちゃんにとって久遠さんは大切な人なのよ」


陽乃「会って一週間も経ってないのに? 冗談じゃないわ」

歌野「一目惚れ。とか? ほら、みーちゃんは巫女だから久遠さんの独特な感じに惚れちゃったのよ」

陽乃「諏訪の人って、みんなこう自分勝手なの?」

陽乃の不機嫌そうな表情

けれど、怒っているようには感じられない

不満は不満だけれど、ただそれだけではないと感じる

何かがあって、でも、それを表に出そうとしていないような――

歌野「ふふっ、まさか。そんなわけないわ」

諏訪の人みんながそうだったら、ここまでやってこれなかった。

最初の頃は大変だったし、

抗おうとするのも歌野を含めても数人いるかどうかで。

けれど、歌野が諦めずに呼びかけ続け、抗い続け、傷つき続けて1年

そこからの変化は、自分勝手だったら起こり得なかったはずだ

歌野「でも私は間違いなく自分勝手ね! だって、こんな世界でも諦めるなって思いを押し付けたんだもの」

陽乃「自慢できることではないと思うけど」

歌野「そう。そうね……でも、私は何もできないのもしないのも嫌。
   それで、目の前で誰かが……みーちゃんが死んじゃうのも嫌。だから諦めたくないし、諦めて欲しくないって思ってるわ」

だから押し付ける

自分勝手な思いを押し付けて、生きることをあきらめるなと……抗わせる

それが自己満足でないというのなら何なのだ

それが偽善ではないとしたら何なのか

それが自分勝手ではないとしたら何なのか。

歌野「久遠さんだって、同じでしょ?」


1、貴女なんかと一緒にしないで
2、ただ生きていたいだけよ。他人なんてどうでもいい
3、私はそんな高尚な理想を抱いてなんていないわ
4、違うって言ったら?
5、何も言わない


↓2


陽乃「私はそんな高尚な理想を抱いてなんていないわ」

歌野「高尚……?」

陽乃「……立派ってこと」

陽乃はただただ、

死にたくないから戦おうとしているだけだ。

最初こそ、

目の前で奪われるのが嫌だったし、

何かするべきだと思ってもいたけれど

そんな、他人のためなんて考えはとっくに捨て去った

歌野「久遠さんは、諦めたくないって思わないの?」

陽乃「白鳥さんは自分も他人も。でしょう? 私は自分だけしか考えてないもの」

歌野「自分だけ守るなら、戦わなくてもいいはずよ」


自分の命だけが大事なら、戦う必要はない

四国から諏訪に来る必要はないし

四国の結界と外界の境目から可能な限り遠く離れた場所に隠れている方が良い

可能な限り、人がいない場所に逃げるというのも悪くない

歌野「久遠さん、本当はみんなを助けてくれるつもりなんでしょ?」

陽乃「違うわ」

歌野「でも、だったらどうして諏訪に来てくれたの?」

陽乃は勇者としてここにきている

そのうえ、四国から諏訪まで

無理をして最速で辿り着き、入院する破目にまで陥った

なのに、

自分だけ助かればいいだなんて言うのはおかしいと歌野は思う

四国にある大社と言う組織から、諏訪に向かうようにと指示があったなら話は別だが、

そんなものがあったなんて聞いていない


↓1コンマ判定 一桁

01~45 歌野「向こうには居られない理由でもあったの?」

※その他通常


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から

では少しだけ


任務ではなく人を助けたいわけでもない

情報不足だとか

陽乃が嘘をついてるでもないのだとしたら

それは……

歌野「もしかして、向こうには居られない理由でもあったの?」

陽乃「……」

陽乃の目が細くなって、歌野を見つめる

肯定せず、否定もせず

ただ睨むように見つめてくるその目から、答えは得られない

陽乃には何かがあって、

諏訪に行くしかなかった可能性があると歌野は考えて。

向こうにいられない理由

向こうには居たくない理由

それはきっと、聞かれたくないことだろうと目を閉じる

――みーちゃんはそれを聞けたのかな。それとも、聞けなかったのかな

歌野「そうじゃなきゃ命が大切なのに、ここに来るなんてありえないわ」

陽乃「大社からの命令でも?」

歌野「そんな命令はないって聞いてるけど……」


諏訪が危機的状況にあるという神託があったことは若葉から聞いている

しかし、それによる遠征が実施されたなんて話は聞いていない。

それに関係なく3人の勇者が諏訪に向かったことは聞いたけれど、それだけだ。

陽乃達が半日で辿り着いたことを話した時の若葉の驚きと、

すぐに陽乃が何かしたからだろうという判断には、思わず笑ってしまった

陽乃「そう……神託があったはずなんだけど」

歌野「3人もこっちに来てくれたんだから、それで充分よ」

神託があったのに、すぐに派遣するとはならない大社

それも仕方がないことだと歌野は思う。

水都も「仕方がない」とは言っていたが、

それはあくまで、陽乃達が来てくれたからこそだろう

来てくれていなければ、失望していたし、それ以上に何かあったかもしれない

ここに来ると言い出したのは陽乃だという話も聞いた

杏や球子は後から言い出しただけで一人ででも行くつもりだったことも。

陽乃につきっきりだったから水都はそれを聞いていない

歌野「だから……深く聞くつもりはないわ」



1、藤森さんから聞けばいいじゃない
2、なら話は終わりね
3、向こうにいられない理由があったらどうする?


↓2


陽乃「深く聞かない? 藤森さんにも?」

歌野「みーちゃんには話したの?」

陽乃「話してるかもしれないじゃない」

実際に話しているし、水都と歌野の仲だ

人を殺しただの、

巫女の家系だっただの

陽乃に関している中でも特別な事情だとしても、

秘密にしていてくれるよね。と、安易に話してしまう可能性は否めない

少なくとも陽乃は、そうやって簡単に広めてしまうだろうと諦めてもいる

歌野「みーちゃんにはなにかあったの? って聞いたことはあるけど何にも教えてくれなかったわ」

陽乃「………」

歌野は困ったような表情をしているけれど、

そこに嘘っぽさは感じられない

それを信じるなら

知りたかったけれど教えてくれなかったということだ

陽乃「なら、そうね。向こうにいられない理由があったらどうする?」


人を殺したこともそうだが、

それ以前から陽乃は嫌われている。

このバーテックスによる襲撃そのものが久遠家のせいであるとまで言われ、

家を焼かれ、神社を焼かれ、

母親以外の親類をみんな生贄として捧げられた挙句に失った。

そんなことがあったのだと知ったらどうするのか。

歌野へと目を向けると、向けられていた視線が重なる

歌野は黙ったままだ

陽乃「信用できない? 不安? 怖い?」

歌野「えぇと……」

陽乃は笑みを浮かべていて、

どこか悪戯っぽいそれは、今の会話がただの冗談だと思わせようとしているようで

歌野はどう答えようかと迷う。

安易な答えは傷つけるだけかもしれない

けれど、悩みすぎるのも良くないような気がする。


↓1コンマ判定 一桁

0,5,8 歌野「なら、死んでも諏訪を守るわ」

※ぞろ目特殊
※そのほか通常


歌野「心配は要らないわ。だって……久遠さんってば、すっごく愛されているもの」

陽乃「はぁ?」

陽乃がどう思っているのかはともかく、

球子も杏も、陽乃を本当に大切に思っているのが分かる

ただの勇者仲間というだけでなく

もっと、親密に。

それに加えての、水都だ

向こうで何があったのかは分からない

命が大事だという陽乃が、

命を懸けてまで諏訪に逃げてくるだけの何かがあったのかもしれない。

だとしても、それについては球子と杏が保証してくれている

任務でも何でもなく

自分からついて行くと言った二人

その存在と、その二人から感じる陽乃への想いがある

歌野「伊予島さんと土居さん。久遠さんだって、分かってるでしょ?」

陽乃「……迷惑だって思ってるわ。私なんかに付いて来たって良いことなんかないのに」

歌野「そうやってあしらわれても、ここまでついてきてくれる人がいるって言うのが、久遠さんのことを保証してくれているわ」


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から

では少しだけ


陽乃「私が何するか分からないから警戒しているとは、考えないの?」

歌野「確かに警戒してるわね。こんな、無茶するんだもの」

陽乃「……なんなのよ」

何か悪さをするのではないかなんて警戒はせず、

何か無茶や無理をしてしまうのではないかと言う警戒……いや、心配

みんながするのはそればかり。

人を殺してしまったと言ったのにもかかわらず

水都は自分が可能性なんてこれっぽっちも考えていない

首でも絞めてあげれば恐れるかもしれないが

意図してやることではない。

陽乃は歌野を睨むように見つめたけれど、笑顔が返される。

歌野「誰かに認めて貰うなんて簡単じゃないから……だから、その分信頼できる」

もちろん、

その中には悪い繋がりがないとは限らない。

そういうものも中にはあるはずだ。

だけど、そういうのはやっぱり独特な感じがあるだろうし、

陽乃についているのはそんな人々ではなく、勇者だ。

それに加えての、水都

言葉巧みに騙し、魅了する――陽乃がそういった人物だったら、歌野は称賛するだろう。

ここ数日、ほんの少し関わってるだけで感じる陽乃の対人への嫌悪感

それが演技だったら、あまりにも恐ろしい


歌野「私は1年かかったわ……早くて、半年。あの日から頑張って頑張って頑張って……それだけ経ってようやく、生きる希望を与えられた」

陽乃「……だから?」

だから、頑張ってとでも言うのか

だから、大丈夫とでも言うのか

歌野はちょっぴり目を見開くと、自分の手元へと目線を下げてしまう

悪いことを言おうとしているかのような仕草

迷うなら言うわなくても良いのに。なんて。

けれど歌野は少し照れくさそうにはにかむ

歌野「……少しずつ、分かってくれる人が出来るわ」

陽乃「……」

歌野「伊予島さん、土居さん、乃木さんだって久遠さんの味方。みーちゃんも……あと、私も」

歌野が知る中で、確実に言えるのはたった5人

予定ではと言うと哀しいけれど……2人はいなくなる

歌野「久遠さん、今のところつっけんどんなだけで全然悪い印象ないし」

陽乃「こんな体だもの。反感かってナイフでも持ち出されたら死ぬわ」

実際は九尾が守ってくれてしまうだろうけれど……

だとしても、無駄に煽ったって仕方がない

歌野「ふふっ、それもそうね。早く元気になった久遠さんが見てみたいわ。
   乃木さんも心配していたし……通信が安定していたら、声を聞かせてあげられたんだけど」



1、それなら……直してあげられる可能性はあるけど
2、心配? 冗談でしょ
3、もし私が諏訪の結界が壊れるのを待ってるって言ったらどうする?
4、その通信相手に上里ひなたはいる?

↓2


陽乃「それなら……直してあげられる可能性はあるけど」

歌野「え……? エンジニア!?」

陽乃「違う」

九尾は直せると言っていたけれど絶対に直せるという保証はしない

通信を担う部分に介入して

強制的に変質させるため、

今まで通りに行くとは限らないからだ

陽乃「通信を補助してる神様の力を、私が肩代わりするのよ」

歌野「久遠さんが肩代わりするって、どういうこと? もしかして人外?」

陽乃「どう見たらそう思うのよ」

歌野「……人の形をした神様だっていると思う」

神様だったらむしろ、人外呼ばわりは失礼なのだけど。と、

陽乃はベッドに乗り上がってきそうな歌野から目を背ける

陽乃「とにかく、私なら出来る可能性はあるわ。もちろん、信じなくても良いけど」

歌野「信じる」

陽乃「壊すかもしれないのに?」

歌野「元々、壊れかけているんだもの。一か八か賭けても良いと思うわ」


歌野の言っていることには一理ある

だが、それはあくまで信用に足る人物に対してのものであるべきだ

ここに来たばかりで

ずっと寝込んでいる人に許していいものではないはずなのに

歌野は即決した

水都達に相談もせずにだ

陽乃「その考えは危険だわ」

歌野「久遠さんは信じられる人よ。訳アリでも……大丈夫だって保証してくれる人がいるもの」

陽乃「……そう」

言ったって無駄だろうからこれ以上は控える

信じたいって言うなら信じて貰ってもいい

それで後悔するのは歌野だから。

信じるって言われても、陽乃はそれに応える気はない

歌野「でも、肩代わりが負担になるなら通信は諦めても構わないわ」

陽乃「唯一の外部との通信方法なのに?」

歌野「どうせ壊れるものだったし……そのためにまた、久遠さんが血を吐いたりするのはちょっと」


陽乃の酷い有様は歌野も知っているので、

それがまた繰り返しになるのはさすがに見過ごせない

陽乃が自分でそれをやるって言ってもだ

歌野「久遠さんは大丈夫?」

陽乃「大丈夫って嘘をつくかもしれないけど」

歌野「それは困るわね……でも、どうやって通信を?」

陽乃「私の力で」

陽乃はまだ上がらない腕を震わせながら、答える

陽乃「後は、向こうにいる上里ひなたって言う巫女に手伝ってもらう必要があるわ」

歌野「上里さん? どうするの?」

陽乃「方法は条件がそろってからね」

九尾が言っていただけだし

それを実際にやるのは九尾になるだろうから、答えられない

曖昧に首を振る陽乃を、歌野は笑顔で見守る

歌野「分かった。明日になるけど、乃木さんに話してみるわ」

歌野がそう言うと、

丁度、扉が叩かれて陽乃のための昼食が運ばれてくる

歌野「今日は、私が手伝うわね」

なぜだか、嬉しそうだった



√ 2018年 8月12日目 夕:諏訪

01~10 水都
34~43 杏
67~76 襲撃
87~98 球子

↓1のコンマ


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から

では少しだけ


√ 2018年 8月12日目 夕:諏訪


大社は本格的に陽乃に対して行動を起こし始めた。

今までは単なるうわさでしかなかったものが、

運が悪いことに "死者" が出たことで制御することが実質不可能になったからだ

それが陽乃の手で、

あろうことか大勢の人前で行われてしまった以上、無かったことには出来ない

今の規模は不明だが

恐らく、大社に対して何らかの抗議が行われているはず。

勇者だからと庇えば、大社まで責められる。

だから、積極的に行動を起こすしかない

きっと厄介者だと思っていることだろう

一般の人々からも、大社からも、バーテックスからも

陽乃は敵視しされてしまっている。

バーテックスはいるが、

敵視してくる大社も人々も勝手な噂もない諏訪と言う小さな世界は

陽乃にとって、やはり、居心地のいい場所だ

けれどだからこそ――崩壊する宿命なのかもしれない

陽乃「……はぁ」

球子「何だよ。タマじゃ不満か? 水都か歌野と代わるか?」

陽乃「別に、貴女じゃなくても変わらないわよ」

歌野が返った後、

暫くは一人きりだった病室への来客

面会時間なんてもはや無くなっているのだろう。


球子「歌野から聞いたぞ。通信直すのか?」

陽乃「直せればの話ね」

球子「それでも、やってくれるんだな」

陽乃「……別に」

嬉しそうに言う球子の視線から逃れるように顔を背けて、素っ気なく吐き出す。

陽乃「別に貴女達のためにやるわけじゃないし」

ちゃんとした通信が出来た方が良いだとか

2人の勇者としての力が使えなくなってしまうからとか

そう言った理由があるからで

力が使えなくなる件だって、生存率を引き上げるために必要なことで

だから、別に違う。

球子「でも、やってくれることには変わりないじゃんか」

陽乃「結果的にはね」

球子「それでもタマ達にも良いことなんだから、それでいいと思うんだけどなぁ」

陽乃「感謝されたいわけでもないもの」

取り付く島もなさそうな陽乃の反応

球子はやや困り顔で溜息をつく

悪さをしているわけではないし、球子には杏ほど説得するための言葉も思いつかない

とはいえ、

率直にそんなじゃダメだと言ったところで、陽乃は聞く耳を持たない


球子「せっかくあんな……面倒なことない場所に来たんだから、もう少し緩くてもいいんじゃないか?」

陽乃「戦いの最前線に来て、良くそんな暢気なこと言えるわね」

球子「それはそれこれはこれだろっ」

バーテックスとの闘いにおける最前線

ここ数日は襲撃もなく平穏な日々が続いているものの、

いつ襲撃があるか分からないのが諏訪の状況だ

だとしても、襲撃がない時はリラックスしていてもいいのではないかと球子は考えているのだが、

陽乃はそれを察していながらも、表面的に反論する

気を緩めるなんて、ありえない。

球子「歌野も水都も良いやつだぞ。暮らしてる人だって、みんな」

陽乃「だから?」

球子「だからって、そんなさぁ……」

そんな態度じゃなくてもいいだろ。と、

球子は言っても無駄な言葉が浮かぶ頭を抱えて、首を振る



1、通信を回復しないと、あなた達が戦えなくなる可能性があるわ
2、諏訪の結界、私は破壊させるつもりでいるわ
3、人なんて……平気で裏切るのよ。今は良くても、何かあったときも平気とは限らない
4、そう思うなら、貴女がその全部を守ったら?
5、何も言わない


↓2


陽乃「人なんて……平気で裏切るのよ。今は良くても、何かあったときも平気とは限らない」

球子「そりゃぁ……」

向こうでのあの惨状を実際に味わってしまったからか、

球子は言い淀んでしまう

否定するべきだと分かっていても

あんなことがあっては、否定が出来ない

球子の表情が硬くなる

陽乃「でしょ?」

球子「……ぅ、そ、そんなこと」

陽乃「本当に? 私の心証が悪くなるけど、それでいいの?」

球子「それは狡いだろ」

陽乃「それもそうね。元々悪いし」

球子「なんっ……コホンッ」

思わず叫びそうになった球子はガタンッっと椅子を揺らしながらも踏みとどまって

咳払い一つで誤魔化す

球子「……それは流石に酷いぞ」


傷ついたというかのような表情を浮かべる球子

陽乃はそれを一瞥するだけで、訂正しようとはしなかった

球子は友達だと言い切ってるけれど

それには同意していないし、受けるとも言っていない

突き放しても、突き放されてくれないのだ

陽乃があまり良く思わないのは当然だろう。

球子「……信じるのはどうしても嫌か?」

陽乃「ついさっきの私の言葉を聞いて、それでも聞くの?」

球子「そりゃ、そう……だけどさっ」

言葉を選ぼうとしている球子の泳ぎそうな視線は、

どうにか逸れることなく陽乃に向けられ続けていて

球子「みんなを信じろとは言わないからさ……タマたちとか、せめて、仲間だけとか」

陽乃「仲間、ね」

球子「ここにいる勇者と……あと、水都。これくらいさ」

控えめながら、やっぱり、寄ってくる


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


遅くなりましたが少しだけ


初めは問題があると思っていた陽乃の態度

けれど、そうなるだけの理由があったのだと、

球子は実際に感じたし、身をもって知った。

だから、陽乃に無理強いは出来ない

そうするべきではないとも思う。

千景はあんな状態だし、

勇者は本来、大社の管理下にあって

神託などがあればそれに対処しなければならない。

向こうでは陽乃が人を殺してしまったことで、

いくら陽乃寄りであっても、もう見逃すことはできないところにまで来てしまっている

球子「分かってるよ……そう言いたくなるのも」

信じて裏切られるのが嫌なのだ。

陽乃は力を使えば使うほど体を壊して、寝込むことになる

そんな力を使ってまで守った結果が、あれだったのだから。

誰かを信頼するなんて、出来るわけがない

もし信じて力を使い、倒れてしまった時、その先を頼った相手が裏切れば陽乃は命を落とすことになるだろう。

そうなるくらいなら、信じず、頼らず、自分一人であると覚悟を決めて置いたほうが生存率は上がる。

何かがあったとき、傷つかずに済む。

最期を迎えるのだとしても、なるべくしてなったのと、裏切られてそうなるのとではまるで変ってくる


球子「でも、いざって時に助けて貰えなくなるかもしれないぞ」

陽乃「それで死ぬなら……それまでってことだわ」

球子「それを回避できるかもしれないだろっ? 生き続けたいなら、協力した方が絶対に良いはずだっ」

球子が言っていることは正しい

今の陽乃の生き方では、いずれ味方はいなくなってしまう

球子や杏は今でも傍にいるつもりではあるけれど

それもいつまで続くか分からない

陽乃もそうだが、勇者である球子たちは常に最前線だ

明日には命を落とす可能性がある

そんなことを言っても、陽乃は止まってくれないだろうけど……と、球子は顔をしかめる

球子「……水都はどうなんだ?」

陽乃「どうって、何? 信じられるかってこと?」

球子「ん……まぁ、そうだな」


1、貴女達と変わらないわ
2、あの子は嫌いよ
3、人を殺したことは話したわ
4、どうせ、死ぬじゃない
5、何も言わない

↓2


陽乃「貴女達と変わらないわ」

球子「ほんとかぁ?」

陽乃「嘘をつく理由がないと思うけど」

怪訝な表情を浮かべる球子に対して、

陽乃はさらっと答える

本当に嘘をつく理由がないし、疑われる理由もない

なのに、球子は訝し気で

陽乃は目を細める

陽乃「なに?」

球子「いや……だって、今までのタマ達と同じ対応なら、水都があんな嬉しそうにかかわるとは思えないって言うか」

呼びに来た時の水都を思い返して、やはりそう思う。

杏は最初から陽乃に想いがあったから分かる。

けれど、水都は違う。

何も知らないところから、こんな態度だったのに……積極的

球子「絶対、何かあったろ」

陽乃「何もないわよ……」


↓1コンマ判定 一桁

0、3、6 球子「水都はいいやつだぞ……大丈夫だと思う」 


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから

遅くなりましたが少しずつ


球子「そっか……」

だが、そうとは思えない。

何かがあったのだ

水都が喜んで陽乃に近づくような何か

たとえば……自分のことを信頼してくれたと思うようなこととか。

杏なら、きっとそれで大喜びに違いない。

球子「そうだよな」

陽乃「なに? 不満?」

球子「不満なんて、ないけど」

不満なんてない。

別に全部話す必要はないし、無理に聞き出すつもりもない。

水都は喜べる何かを得られて

自分はその何かを教えて貰えるほどの関係ではないというだけ。

別に、友人と言うわけでもないのだから。

陽乃「土居さ――」

球子「なんでもないって言ってるだろ」

陽乃「何でもないって……」

球子「良いよ別に、話してくれなくたって……タマが勝手に友達だって言ってるだけだもんな……しょーがないっ」

球子はそう言って、

今日はもう帰る。と、病室を後にした


陽乃「……なによ、もう」

球子はあからさまに不服そうな顔だった

水都と何かあったのかと疑って、

何もなかったと言い切ったら不満を抱く

球子にとっては何かがあったと断言できる話なのだろう。

事実、陽乃は自分の秘密を打ち明けたわけで、

それは何かがあったと言えるものだ。

けれど、それを伝えなかったから不満だなんて

それはまるで――嫉妬のようではないか。

陽乃「馬鹿、じゃないの?」

恋仲ではなく

ましてや異性でさえないというのに、

別の誰かとの関係を話さなかったからと言って嫉妬するなど

陽乃には理解が出来なかった。

陽乃「貴女が勝手に……友達だって言ってるだけの関係の癖に」

それが分かっていて、あの態度。

……解せない。

陽乃「なによ……だれもかれも、面倒な事ばっかり」


√ 2018年 8月12日目 夜:諏訪

01~10 水都
34~43 杏
87~98 九尾

↓1のコンマ

※それ以外は通常

√ 2018年 8月12日目 夜:諏訪


杏「タマっち先輩と、何かありました?」

夜になって訪ねてきた杏は、

傍らに残されたままだった椅子に座ると、早々に陽乃へと訊ねる

球子は水都となにかあったのかと問い

杏は球子と何かがあったのかと問う

これもまた同じように突っ撥ねたら、

次はどこに連鎖するのだろうかと陽乃は息を吐く

残っているのは、歌野だろうか。

杏「その反応、喧嘩でもしたんですか?」

陽乃「喧嘩するような仲でもないと思うけど」

杏「久遠さんからしたらそうかもしれませんけど、タマっち先輩からしてみればそういう仲だと思いますよ?」

陽乃「私がそう思っていないんだもの。そこに至ることはないわ」

そんなことないと思いますけど……なんて笑みを浮かべた杏は、

陽乃から目を逸らして、手持ち無沙汰な両手を握り合わせる

杏「一方的な喧嘩もあると思います」


杏「タマっち先輩、膨れてました。なんだよって、その辺の小石を蹴り飛ばしそうな感じで」

関係ないと言うと白状に聞こえてしまうけれど

その喧嘩に関わっていなかった杏から見るとそれはちょっぴり愛らしささえ感じそうな姿だった

最初こそ敵対しているような雰囲気だったのに

そんな、ちょっとした喧嘩みたいなことをするようになったのだから

杏としては、悪いけれどちょっぴり嬉しく思う

杏「何か言われて、突っぱねたんですよね」

陽乃「どうしてそう思うの?」

杏「だって、久遠さんはいつもそうじゃないですか」

突き放すようなことばかり。

自分から寄って行こうとしないし、

来るものを拒んで、突き放そうとする

とても "分かりやすい" のだ

杏「……藤森さんとのこと、じゃないですか?」


ここ最近気にしていたことと言えば、

陽乃に対する水都の態度が一番だった。

陽乃のお見舞いに対する積極さ

そしてその時の活気に満ちている雰囲気

良いことがありました! と、明示的なそれが引っかからない人はいないだろう。

陽乃に頼まれて呼びに来た時が一番分かりやすかっただろうか。

杏「タマっち先輩から、藤森さんと何かあったのか聞かれて……関係ないとか言ったとかですか?」

陽乃「それを聞いてどうするの」

杏「そうですね……タマっち先輩を宥めます」

笑みを見せる杏を、陽乃は睨む。

とても楽しんでいるように見えるからだ

球子のあの態度からして、

強く怒っているようには陽乃も感じなかったけれども。



1、似たようなものよ
2、何かあったかと聞かれたから、何もないと言っただけよ
3、貴女も気になるわけ?
4、本当に用事はそれだけ?
5、何も言わない


↓2


陽乃「本当に用事はそれだけ?」

杏「……えぇと」

それだけなら、特別言うこともない。

執拗に詰め寄ってくるのであれば、

水都に関して何もないと言っただけだと話してもいいけれど、

隠すことではないしわざわざ話すことでもない。

他に用事がなければ、

時間も時間だから帰って貰おうかと陽乃が考えていると

杏は少し悩む素振りを見せて、陽乃を見る

杏「もう一つは、その……四国との通信に関してです」

陽乃「それも土居さんに――」

杏「いえ、本当に大丈夫なのかが心配なんです」

陽乃が大丈夫だと言っても

身体に蓄積されたものが大丈夫だとは限らない。

いくら必要なこととはいえ、

無理して欲しくはないと杏は首を振る

杏「総攻撃も控えていますし、可能なら温存して欲しいです」


可能なら、温存して欲しい

そうは言われても不可能な話だ

可能性の話ではあるけれど、

杏と球子がしばらくしたら戦えなくなってしまう可能性がある

そうなった場合、諏訪から四国に戻る旅路を守る勇者がいなくなってしまう。

陽乃の予定通り、

諏訪の結界を壊させ、諏訪に残る理由を無くしてしまえば、

生きていれば歌野も一緒にいてくれるだろうけれど。

陽乃「無理ね」

杏「何か、問題があるんですか?」

陽乃「………」

杏たちが力を使えなくなる可能性があると話したらどうなるだろうか

杏たちのことを心配しているなんて勘違いされるかもしれない

それでまたすり寄ってこられるかもしれない

信じられてしまうかもしれない

2人が勇者でなくなったら生存率が下がるなんて話は、そう言う建前だと切り捨てられてしまうだろう

陽乃「面倒くさい……」


杏「久遠さん?」

陽乃「みんな勝手な事ばっかり言うから」

杏「そうでしょうか……でも、確かに」

自覚してるのかと陽乃が目を細めると杏は笑ってごまかす。

球子は友達だと言うし

杏は杏で、ずっと陽乃に付いて行こうとしている

勝手な事ばっかりだと陽乃が愚痴るのも無理はない

もっとも、

杏たちからしてみれば、陽乃のせいだと言いたいだろうけれど。

杏「通信がこのままだと、孤立無援になる……って思いましたけど元々無縁ですよね?」

陽乃「そうね」

杏「神託の件も、きっと……今のままでは却下だと思いますし」

より一層気を引き締めて戦いに備えるべきだというのもあるだろうが、

陽乃と、杏たちの消息不明

それらの問題があって身動きが取れないはずだ


1、貴女達の無事を伝えられるようにするのよ
2、2人の力が使えなくなる可能性があるのよ
3、諏訪陥落の連絡もできないと困るでしょ
4、何も言わない


↓2


陽乃「貴女達の無事を伝えられるようにするのよ」

杏「あ……それもありましたね」

杏たちが一切連絡がつかないこと

諏訪にいるとは言うが、通信が不安定なことを理由に証明が出来ていないこと

陽乃の件を起因にして余計なことが出てきてしまっている

通信が回復すれば、それを解決することができる

そうしたら、

陽乃が勇者である杏と球子と敵対して殺してしまった。なんて話がでたらめだと分かって貰える……はずだ。

千景なら九尾の力を理由に疑いそうなものだが。

大社もそうだったら、もう終わりである

杏「確かに、私たちの無事を伝えるのは大事ですね。もちろん、久遠さんの無事もですよ?」

陽乃「私は無事と言うより……位置確認でしょ」

杏「久遠さんが諏訪にいると分かれば、向こうも警戒を解いてくれると思います
   ただ、それでどうにかなってくれるとは限りませんが」

陽乃を含めたみんなが、

諏訪から生存者を連れ帰るという連絡をしたとして

大社は陽乃をどれだけ評価してくれるのか

民衆はただのプロパガンダなどと思わずに信じてくれるのか

千景は、見直してくれるだろうか

杏「ですが、出回っている情報の一つが偽りだったとなれば、それが事実だと断定されていない噂は薄れる可能性があります
   1つが偽りだからと言って、他もそうとは限らないと否定する人もいるとは思いますけど」

もしかしたら、千景はそう返してくるかもしれない


杏はあくまで、陽乃の立場が少しでも良くなってくれないかと考える

そのために自分たちのことを伝えるのは重要だと思うし、

諏訪の生存者を少しでも多く、

生きたまま連れて四国に戻ることが成すべきことだとも思っている。

杏「でも、それで久遠さんがまた辛い思いをするなら……」

陽乃「そこまで負荷はないわ。大丈夫」

杏「久遠さんのその言葉だけは、信じます。って言いたくないですね」

ごめんなさいと零した杏は、申し訳なさそうに頬を染める

陽乃が血を吐いて失神したのを目の当たりにしたのだ

その言葉を鵜呑みにして陽乃がまた同じことになったり

より酷いことになって染むのではないかと心配しているのだろう

杏「……なので、やっぱり、傍に居させてください」

陽乃「傍って、ここに?」

杏「あと、通信を直すときにもです」



1、勝手にしたら?
2、ここは一人にして
3、別に良いわよ
4、何も言わない


↓2


陽乃「別に良いわよ」

杏「えっ……良いんですか?」

ベッドに横になっている関係上、

右隣に背けなければ杏の顔が見えてしまう

水都と同じように、とても喜んでいる

陽乃「冗談だったなら取り消しも受け付けるけど?」

杏「そんなっ! そんな……そんなこと絶対にしません」

声だけでなく、動きも広く

慌てて手を振って否定する杏を横目に、陽乃は深く息を吐く

陽乃「そう。残念」

杏「……もしかして、藤森さんにもそうやって少し優しくしたんじゃないですか?」

陽乃「またその話? もういいでしょうそんなこと
    それに優しくしたって……身に覚えのないこと言われても困るわ」

杏「そう思っていても、受け取った相手が優しくされたって思うこともあるんです」

陽乃は基本的に突っ撥ねる

寄ってくるなと手で振り払うように、拒絶する

だからこそ、

関係ない、知らない、嫌、断る

そうやって壁を張られることなく、

言葉は冷たくても、

受け入れてくれているような返答は一歩近づけたような感じがして嬉しいのだ


杏「だから、断られなかったのが嬉しかったんです
   一歩だけでも、久遠さんに許して貰えたみたいな感じがして」

陽乃「……そう」

杏「藤森さんにも似たようなことしたんだと思いますよ」

杏はそう言うと、少しだけ考える

陽乃が身に覚えがないだけで

今のように水都が嬉しく思っただけだったのだとしたら、

陽乃には分からないだろう。

球子に聞かれたところで答えられるわけがない

杏「タマっち先輩は適当に宥めておきます」

陽乃「お好きにどうぞ」

杏「タマっち先輩も久遠さんと仲良くしたいだけなんです……出来たら、ちょっとだけ許してあげてください」

陽乃「興味ないわ」

そうは言っても、

時折気を許してくれたような反応を見せてくれる

だから、杏は笑みを浮かべるだけで

それに対しての文句は何もなかった


√ 2018年 8月13日目 朝:諏訪

01~10 球子
34~43 九尾
50~74 水都 杏
87~98 歌野


↓1のコンマ

※ぞろ目 特殊
※それ以外は通常(杏)
※一桁奇数 追加イベント


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから


1日のまとめは明日再開時


では少しずつ


1日のまとめ(諏訪組)

・ 白鳥歌野 : 交流有(勇者の理想、特殊1、理由があったら、通信回復)
・ 藤森水都 : 交流無()
・ 土居球子 : 交流有(人は裏切る、みんなと同じ)
・ 伊予島杏 : 交流有(用事、2人の無事、別にいい)
・   九尾 : 交流有(通信回復)

√ 2018/08/12 まとめ

 白鳥歌野との絆 45→48(普通) ※特殊交流1

 藤森水都との絆 62→62(普通) ※特殊交流3 
 土居球子との絆 56→57(普通) 
 伊予島杏との絆 63→67(良好) 
   九尾との絆 64→65(良好)


√ 2018年 8月13日目 朝:諏訪


最近は、もっぱら賑やかなことが多い陽乃の周囲

水都「新しい飲み物用意しておきますね」

杏「そろそろ外出もできるようになりそうかな……」

今日は朝から杏と水都がこの病室にいて、

2人とも、陽乃から離れる様子がない。

どちらか一人がいるから、もう一人は帰るのかと思えば、

平然と居座ってしまっていた。

四国では陽乃の傍にいることは難しかったが、

ここでは陽乃に関しての悪評もないので、気兼ねなく訪れることができるからだ。

もちろん、それに対して陽乃は快くは思っていない

だが、自分では食事もままならないとなれば

手を貸そうというみんなを追い出すことは出来ない。

いや、出来なかったというべきか。

陽乃「……もう、来なくても良いわよ?」

杏「そんなこと言われても、ダメです」

水都「そうですよ。いつ何があるか分からないですし」

杏と水都

特に、水都からしてみれば陽乃は物凄く病弱な女の子だ

ちょっとしたことで悪化し、血を吐く

そのまま暫く寝込んで食事さえままならなくなってしまったりもする。

最悪、命を落としかねないような脆弱さである


陽乃「余計な事さえしなければ、問題はないわ」

最初はあげることもままならなかった腕は、

自分で食事を行えるくらいには、動かせるようになってきている。

足だってベッドの外に投げ出せる

陽乃個人的には、もう退院したって良いとは思う。

杏「放っておくと、一人でここから出ていきますよね?」

陽乃「そうね」

杏「だからダメです」

水都「車椅子も松葉杖も使わないで出歩こうなんて、途中で倒れちゃったらどうするつもりなんですか?」

陽乃「下手に力を使わなければ、大丈夫よ」

水都「絶対だって言えますか?」

陽乃「そう言ったら、信じてくれるのかしら?」


水都「本気でそう言ってくれるなら、信じます」

杏「あんまり、信じたくはないけど」

不安を露わにする杏と、信じると言い切る水都

杏だって陽乃が心配なだけで、信じられるなら信じたいだろう。

2人とも、陽乃のことを考えていて

その向かう先が違うだけだ

杏「でも、やっぱり……」

水都「だけど、寝たきりでいる必要はないと思う」

杏「だったら、あと1日入院して、明日も調子が良ければ……というのは」

水都「院内なら出歩けるようにしてもいいんじゃないかな」

陽乃「外出許可くらい、取れないの?」

勝手に話していく2人に言葉を割り込ませる

昨日までは本当にままならなかった身体だが、

勇者であり、

少し特殊な状況下にある陽乃は身体の治りが早い

だから、ここまで治ってしまえば

余計なことをしなければ本当に問題はないはずなのだ

水都「でも、何があるか分かりませんから」


1、大丈夫だって言ったでしょう
2、なら分かったわ。二人が連れて行って頂戴
3、明日なら良いのね?
4、何も言わない


↓2


陽乃「なら分かったわ。二人が連れて行って頂戴」

杏「……そう来るんですね」

水都「確かに、私と伊予島さんがいれば何かがあったときにすぐ対応できます」

しっかりとした治療は不可能だが、

ある程度のカバーと応急処置くらいなら不可能ではない。

自由に歩かせられないが、

生きたいところに連れていくくらいならしても問題ないかもしれない

陽乃の体は治ってきているし、

手足がそれなりに動くようになったなら、

絶対安静というのも取り消すことができる

もちろん、だからと言って自由には出来ない

そこを、陽乃は杏と水都に委ねると言うのだ


陽乃「私が心配だって言うなら、2人が見ておけばいいでしょう?」

杏「そうですけど、あの……車椅子に乗って貰えますか?」

陽乃「リハビリで歩くくらいは良いでしょう?」

杏「あまり長く歩かせるのはちょっと……」

行先にもよるが、

長く立ち続けることになったり、歩かせることになったり

体に障るようなことは控えさせたいと杏は言う

その点、

現存している諏訪の行ける場所は殆どがそんな状態だ

屋内なら、問題はないかもしれないけれど

水都「散策はちょっと許可できません。たぶん、お医者様にも同じように言われるかと思います」

治ったけれど、治ったばかりと言うのが正確な話だ。

完治したわけでもなく

途中で膝から崩れ落ちてしまう可能性も、2人は考えてしまう

水都「それと、退院は駄目です。夕方には戻ります」


陽乃「……どうしても?」

杏「ダメです」

水都「もう一日だけ、検査で入院してください」

それを拒むこともできるだろうけれど

そうしたら、連れ出しては貰えなくなるだろうし、

そうなったら結局、入院させられる。

陽乃「……分かった」

陽乃は諦めて頷く

心配しているのは杏たちだし、一方的だ

けれど、動けるようになったばかりで外出許可が貰えると言うのも確かに難しい話だ

そこを2人に連れ出して貰うということで許可されるなら、

その代わりに言うことを聞くのは譲歩だ

陽乃「良いわ。戻る。それでいいんでしょ?」

水都「お願いします」

杏「それで、あの……もしかして通信を直しに行くんですか?」


1、違うわ。外に出たかっただけ
2、そうね……直接対応しておきたいわ
3、諏訪大社に寄っておきたいの
4、諏訪湖に行きましょ

↓2


陽乃「諏訪大社に寄っておきたいの」

水都「諏訪大社に通信設備がありますよ」

陽乃「あら、そう……でもそっちじゃないわ」

通信を直すには、

まず向こう側にひなたがいてくれなければならない。

その交渉は歌野に任せたし、

歌野が若葉へとその要望をした直後に連れてきて貰えるとは思えない

だから今日は通信を直すのは無理だ

一目見るくらいなら出来るけれど

陽乃「……神様に、会っておきたいわ」

もちろん冗談である

九尾や伊邪那美命は顕現しているが

それはあくまで陽乃の命を削ることで可能としているものだ

それも無しに神々にご拝謁することが叶うとは思っていない


水都「……分かりました」

杏「諏訪大社……白鳥さん達もいるかな?」

水都「うたのんは呼べば来ると思う。絶対」

基本的には畑の手入れに出ているけれど、

定期連絡と襲撃の時には諏訪大社に赴く

今日だって襲撃がなくとも連絡がある為、

お昼ごろには諏訪大社に来ることになるはずだ

水都「ならさっそく行きましょう」

杏「車椅子の準備、お願いしてきますね」

水都「なら、外出申請は私がしてきます」

久遠さんは絶対に動かないでくださいね。と、

杏と水都の二人から強く言われて、仕方がなく頷く


3人いた病室が1人きりになって、静かになる

棚の上に置かれているペットボトルを手に取って軽く握ると

ミシミシと、音がする

陽乃「……震えは、大丈夫そうね」

何度か握って確かめて、

ベッドの外に足を放り出して、軽く動かしてみる

床の冷たさが、なんだか懐かしく感じた

流石に立ち上がるのは控えるが。

足を戻そうとした瞬間――けたたましいサイレンが鳴り響いた。

陽乃「っ……なに、これ」

『襲撃じゃな』

陽乃「襲撃って――」

水都「久遠さん! 上社前宮の方を狙った襲撃です! バーテックスが来ました!」

慌てて駆け込んできた水都は、

そう叫んで、陽乃のベッドに突っ伏すように飛び込む

水都「伊予島さんは先に向かいました……私もこれから放送をかけます
     でも、久遠さんはここに居てください……絶対にです!」


陽乃「ちょ――」

水都は陽乃が止める間もなく病室を飛び出していくと、

丁度、サイレンが鳴り止む

陽乃「襲撃……規模は?」

総攻撃レベルのものであれば、

陽乃も出ていかなければならない

『案ずるな。大したことはなかろう』

陽乃「本当に?」

『偽る理由もない』

九尾は素っ気なく言い捨てる

九尾なら嘘をつく可能性もあるのだが、

陽乃が二度訪ねても問題ないと言うのなら、そうなのだろう。

陽乃「……藤森さんも行くのね」

巫女で、戦闘能力のない彼女は勇者に襲撃の情報を伝えるために出ていった

普段は歌野と共にいるため連絡の必要はないが

今日に限っては歌野と球子とは離れてしまっている

そのための放送を行うと言った水都は、

戦う力がなくともしっかりと役割を果たそうとしている

陽乃「私とあなたが似てるなんて、そんなことないと思うけど」

だから違うと、陽乃は首を横に振った


↓1コンマ判定 一桁

1~4 問題なし
5 球子
6 杏
7~0 問題なし


√ 2018年 8月13日目 昼:諏訪大社


歌野「こっちよ! こっち!」

水都「うたのん……そっちは畑だよね」

先導するように先を行く歌野と、それを引き留める水都

2人を眺める陽乃がため息をつくと、車椅子が少しだけ揺れる

杏「大丈夫ですか? 暑くないですか?」

陽乃「……平気」

陽乃達が来ているのは、諏訪大社の近く

本来なら3人しかいなかったはずの外出が5人になったのは、襲来のせいだ

杏たちは、大きな怪我もなく襲来を戦い抜いて戻って来た

バーテックスの襲来は物量で押し寄せてくるもののため、

ちょっとした擦り傷や打撲はあったけれど

手術や入院と言ったものは一切必要がなかった――が

検査の為に病院に立ち寄った歌野達は

せっかく来たのだからと陽乃に会いに着た挙句

陽乃の外出許可の話を耳にして、付いて行くと言い出したのだ


諏訪大社の中で現存しているのは、上社本宮と前宮の二か所のみ。

陽乃がいる病院……治療院から一番近い本宮の方に陽乃達は来ている。

道中には、お土産物屋さんだったらしい店舗が並んではいるものの、

どれもシャッターが下り切ってしまっていて、閑散としていた

陽乃「ずいぶん、静かね」

水都「そうですね」

水都は陽乃の傍に並ぶように歩きながら、説明してくれる

水都「有事の際の避難場所になっているのもありますが、
    私達が扱う通信設備が配置されているのもあって、あまり近づかないようにしてくれているみたいなんです」

それでも、襲来があった際にはお祈りをしてくれたり、

維持管理のために清掃などを行ってくれたりもしているのだと言う

球子「で、なんでここに?」

陽乃「参拝に……あと、ちょっと気になることもあるから」

杏「気になることですか?」

陽乃「確か、ここにあるわよね? 天逆鉾」

歌野「あめの……何?」

天逆鉾

陽乃の神社でも祭神として崇められていた邇邇芸命が国の安寧の為に用いたとされる矛であり

伊邪那美と伊邪那岐が用いたとされる天沼矛ともされている代物

だが、そのどちらであっても良い

少しだけ――それが気になったのだ

陽乃「ちょっと触ってみたいの」


水都「ほ、本気ですか?」

陽乃「ええ、まぁ」

水都「……」

巫女として従事するようになってからも、

神社の人には触れないようにと言われてきたものだ

水都「止めた方が良いと思いますよ。何があるか分かりません」

水都は陽乃の前にしゃがむと

両手で陽乃の手を包むようにして、目を見つめる

祟りを受けて

陽乃がまた、苦しむことになるかもしれない

水都「ダメです」

球子「そんなヤバいものなのか?」

杏「……ちょっと、怖いものではあるかな」



1、触れる
2、触れない


↓2


ではここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


では少しだけ


陽乃「はぁ……分かったわ。やめておく」

球子「嫌そうに言うなよ」

陽乃「無理言ったって、どうせ連れて行っては貰えないんでしょ」

杏「そうなりますね」

後ろからの肯定に、陽乃はため息をついて背もたれに身体を預ける

歩こうと思えば歩けなくはない

けれど数日動かせなかったうえに、寝たきりだった体に鞭打つのは

陽乃自身も、先日の悪化もあって控えたかった

だったら素直にうなずいていたほうが今後が楽だ

歌野「ねぇみーちゃん、結局あめのさかほこってなんなの?」

水都「うーん……なんなのって聞かれるとちょっと困るかも」

何があるか分からないから、触らないように。

以前石を投げて罰が当たった人もいる……とか

そういう話をされたくらいで、水都自身もそこまで詳しくはない

というのも、水都はそもそも巫女として見出されただけの一般人だからだ


陽乃「日本の神話に登場する、それなりに有名なものよ」

杏「それは国産みで用いられた天沼矛のことでは?」

陽乃「日本神話って言ったら、国産みともう1つ、天孫降臨がすぐに思い浮かばない?」

球子「……浮かばないな」

歌野「知ってるわ! 天照大神が閉じこもる話よね!」

元気よく明後日の答えを言う歌野

そこから目を背けた陽乃は「違う」と、呟く

確かに、天照大神が閉じこもる――所謂、岩戸隠れの話は有名ではある。

国産みと天孫降臨はそれと等しく名前を聞くのではと思ったが、そうでもないらしい。

陽乃「天沼矛と天逆鉾は同じものとされているけれど、前者は国産み、後者は天孫降臨の際に登場しているの
   天沼矛は大地を完成させるために、天逆鉾は国の安定のために。それぞれ用いられたって話がある」

歌野「なる、ほど……?」

水都「分からないなら分からないで良いと思うよ……」

杏「ですが、それは高千穂峰に突き立てられたんですよね?
  聖剣を引き抜く英雄の話の出典として、坂本龍馬のエピソードを聞いたことがあるので、覚えてますっ」

陽乃は少し振り向いて、視界ぎりぎりにも杏が見えないのを確認してから、

小さく頷いて「そうね」と答える


天沼矛と聞いて、国産みのなんたら。っていう回答が来るのは珍しい話ではない。

小学校時代、何かのゲームで登場したとかで男子生徒が騒いでいたし、

そういう部分でも触れられているからだろう。

だが、それがどこにあるかという話になると沈黙する

詳しくはまた変わってくるが、それでも高千穂が出てくるのは、流石と言ったところか。

陽乃「伊予島さんが言ったのは、ただ、国産みではなく天孫降臨つまりは有名じゃない方の話の結末ね
   国産みで用いられた際は、刺したままではなく引き抜かれているから」

球子「それが何か関係あるのか?」

陽乃「国産みで用いられ、それが巡り巡って天孫降臨で用いられた……一振りだったという話と
    国産みで用いられた矛と天孫降臨で用いられた矛は別で、二振りだったという話があるわ」

前者であれば、どちらか一方は偽物と言うことになるし、

後者であれば、どちらも本物と言うことになる

――が、今はそういう話ではない。


陽乃「もし伝承が正しく、かつ、二振りあるならこの諏訪大社にあるのは国産みで用いられた方になるわね
    だから、諏訪大社の天逆鉾とは国産みで用いられた天沼矛ってなるんだけど……」

陽乃は1つ区切って

陽乃「単純に天逆鉾が何なのかって言われると、高千穂に刺さっているのとは逆だからとしか言えないのよね
    持ち手が上に来ているから、刺さり方としては正で、逆じゃないし」

球子「……初めからそれで良くないか?」

水都「そんなことないよっ! 私も知らなかったし」

杏「タマっち先輩は帰ってもいいよ?」

球子「ぬあっ!? そ、そんなこと言わなくたっていいじゃないかっ!」

責め立てられる球子をしり目に、陽乃がため息をつくと

降りかかる陽射しに影が差す

顔を上げると、少し離れていたはずの歌野が目の前にいた

歌野「久遠さん、ありがとっ!」

その笑顔は、陽射しよりも眩しく感じる

他に知っている人がいなかったから

知りたそうだったから

陽乃「……別に」

いや違う――これはただの気まぐれだ


軽く参拝をして……一息つく

陽乃「あなた達、今日は襲撃があったんだから帰ってもいいのよ?」

歌野「大丈夫よ! いつも1人で戦ってたのが、3人になったんだもの」

球子「いやぁ……あの歌野はすごかったな」

杏「凄い勢いで敵陣に突撃して固まってた敵をバラバラにしてくれて、各個撃破を私達がするだけだったんです」

球子「それでも、何度か攻撃くらっちゃったけどな」

歌野は戦い慣れているためほぼ無傷、

球子と杏が軽傷

それが今回の襲撃の結果だ

球子と杏も大規模な戦闘は3度目ではあるが、内2回は奇襲みたいなものだったこともあり、

本格的なものは今回が初めてだ

それでも大したことがなかったのは幸いだが、

やはり、精神的な疲れは残るだろう。

もちろん、陽乃はそれに気遣い必要はないのかもしれないが。


1、帰りましょう
2、ねぇ、通信設備を見せて貰える?
3、おみくじ引きましょ
4、何も言わない


↓2


陽乃「ねぇ、通信設備を見せて貰える?」

水都「設備ですか?」

歌野「丁度いいわ! 定期報告もあるし、久遠さん達も参加して」

パンっと手を叩き合わせた歌野は、

くるりと回って、陽乃達へと笑みを見せる

歌野「それで、上里ひなたさんを呼んで貰いましょ」

球子「通信、直すのか?」

陽乃「直せるとは限らないわ」

ただ、その準備としてひなたが必要だ

そして、それにはまず若葉に話し、

大社からひなたを取り戻して貰う必要がある

陽乃「でも、すぐにでも上里さんが呼べたなら……確かめることは出来るわ」

通信が直せるのかどうか

九尾は自信ありげだったから……直ればそれで良し

二度手間にならなくて済む

杏「若葉さんも心配していましたから、声聞かせてあげると良いと思います」

球子「なら、さっさと行くかっ」

陽乃「っ……ちょ、ちょっと走らないで!」


√ 2018年 8月13日目 昼:諏訪大社

1,3,5,7,9 イベント(悪)

↓1のコンマ 一桁

※それ以外は通常


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から

では少しだけ


√ 2018年 8月13日目 昼:諏訪大社


境内の奥の方

拝殿との対面に位置する場所に立てられている参集殿

通信設備はそこに備え付けられている。

四国で使っていた物とは多少形は違うが、

殆ど似たような作りになっている無線機は、新しいものではないのか

少しばかり傷ついているのが見える

歌野「ねぇねぇ、久遠さん」

陽乃「なに?」

歌野「さんしゅうでんって、どんなところなの?」

陽乃「別に知る必要がないところ」

球子「またそうやって……」

呆れている球子の呟きは聞こえたものの、

我関せずと言った様子で陽乃は目を閉じる。

陽乃は自分の神社であれば多少なりと詳しいが、

諏訪大社の全てに詳しいかと聞かれると、強く頷くことは少し難しい。

もちろん、有名どころの神社だ。

自分自身、巫女として関わっていたし全くの無知と言うわけでもないが。


陽乃「参集殿は参集殿よ。言葉のまま参拝に来た人たちが集まるようなところ……場所によっては、休憩所も兼ねているけれど
   諏訪はどうだったかしら、神輿が展示されていたと思うけど」

杏「お神輿なら見せて頂きましたよ。今は、戸が閉められているので見られませんが……」

水都「言えば見せて貰えると思いますよ」

陽乃「別に見たいわけじゃない」

参集殿とは、そういう場所だ。

特別語るような場所と言うわけでもないし、大した内容でもない

歌野「なるほどっ、ありがとっ」

それでも歌野は嬉しそうに笑う。

歌野「久遠さんって、やっぱり優しいわねっ」

水都以上に積極的で、力強い

そんな笑顔から……陽乃は目を逸らす。

陽乃「通信始めたら?」

歌野「ふふっ、そうしましょうか」

歌野は突っ撥ねられても上機嫌のまま無線機に触れると、

いつものように操作をして、四国へと通信を送る。

10秒ほど経って、向こうからの応答が返ってきた

歌野「こちら、諏訪の白鳥です。勇者通信を始めます」

『了解。こちらは香川より、乃木だ。宜しくお願いする』


歌野は、まず今日の襲撃のことを伝えた。

今から約1時間ほど前に襲撃

そのバーテックスの規模、結果

みんなに大きな怪我はなく、無事に諏訪を守りきれたことを報告する

『そうか、伊予島と土居の二人は巧く戦えているだろうか』

歌野「ええ、問題なく……おかげで私も余裕が持てるようになりました」

『………』

電子的な乱れはあるものの、声は間違いなく若葉のものだ。

歌野が伝えていないせいで若葉はここにみんながいることなんて知りもしないだろう。

『それで、彼女は……どうだろうか。ちゃんと安静にしているだろうか
 病院から抜け出していたり、自分で出来るなどと無理していたりしないだろうか』

歌野「はい」

歌野は振り返って、陽乃へと微笑みかける

一度危うい状況に陥りはしたが、

それ以降は安静にしてくれているし、病院を抜け出したりなんてしていない。

ここに来てからは良く話してくれてもいる

歌野「久遠さんは安静にしてくれていますよ。明日には退院できるかもしれません」

『それは一安心……だろうか? 治ったら治ったでまた無茶なことをするかもしれないから、気を付けて欲しい
 平気で2階から飛び降りたり、野宿しようとするんだ。できれば誰か傍に置いておいた方が良い』

歌野「ふふっ、考えておきますね」

陽乃「………」

勝手なことを言う若葉に若干の苛立ちを覚えつつもため息で済ませる陽乃の傍で、

押し殺した声で笑う水都はふと、顔を上げて

水都「お話、してみますか?」


1、話す
2、話さない(歌野に任せる)

↓2

※話す場合最安価


陽乃「そうね……話そうかしら」

ひなたを呼んできて貰わないといけないし

今の向こうの詳しい状況も聞くべきだろうし

陽乃もそうだが二人がいることも伝えなければならないし

ここに居られないなら任せるが、

せっかく同席したのだ、自分で対応した方が良いだろう

水都「うたのん」

水都が歌野の肩を叩く

振り向いた歌野に水都は陽乃を指さして、

その指を歌野に向ける

歌野「なるほどっ」

『なんだ? なにかあったのか?』

きらきらと瞳を輝かせた歌野は、小さく笑って

歌野「大丈夫です。少しこのまま待ってください」

『承知した』

そうして、無線機が陽乃の手へと渡った

陽乃「乃木さん、久しぶりね」

『ん……その声は久遠さんか!?』


1、ずいぶんと勝手なことを言ってくれるわね
2、で? そっちの状況はどうなの?
3、通信設備を直したいの。上里さんは?
4、私のおかげで、暇なしでしょう?
5、こっちは何の問題もないわ。


↓2


陽乃「単刀直入に言うけど……通信設備を直したいの。上里さんは?」

『設備を直す……? 可能なのか? いや……可能なんだろうな
 それにひなたが必要なのだろうか?』

陽乃「そっちに上里さんがいてくれないと、代替が利かないの」

利かないというか、

そもそも代替の力を通すことさえできない――らしい。

九尾が言っていたことなので、陽乃はそれを基準にしか答えられない

『……そうか』

若葉は疑わない

陽乃が直せるというのなら、直せるのだと信じる

それだけ陽乃の持っている力が特殊だと知っている

自分達には不可能でも、もしかしたら出来るかもしれないと若葉は希望を持てる

陽乃「上里さん、呼び戻せない?」

『難しいな……大社は今少しピリピリしていて私の一存では何とも
 ましてや、久遠さんからの要求だなんて言うわけにもいかないからな』

若葉が困り果てているのが無線機越しでも感じられる


↓1 コンマ

1,3,9 若葉「悪い報告が一つあるんだ」


※それ以外は通常


ではここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


では少しだけ


『……悪い報告が一つあるんだ』

若葉の声には少し緊張が感じられる

報告があるではなく、悪い報告

聞かなくていいなら聞きたくないような前置きを聞いた歌野達にもその緊張は伝播して

陽乃だけは、ある種の覚悟をしていたおかげか、変わらない

陽乃「要点だけをまとめて頂戴」

『長い話じゃない。たった一言で済む……もうすぐ通信担当が私から大社に切り替わる予定なんだ』

歌野「それは、どういう」

横での歌野の声が向こうにまで届いたのか、

若葉は「白鳥さんにも悪いが」と、答えを返す。

『えぇと……少し事情があって、最初は郡さんになる予定だったんだが、大社が管理した方が良いということになった』

陽乃「そう……」

その少しの事情と言うのは、やはり陽乃のことだろう。

陽乃と共に杏と球子が消息不明になった。

諏訪から杏たちが諏訪にいるという情報は流れてきているが、

大社はそれを疑っている。

陽乃「私が原因でしょう?」

『……まぁ、否定はできない』


一番の問題は陽乃が本当に人の命を奪ってしまったことだが、

もとを辿ると、陽乃が伊予島家に訪れることを認めなければこんなことにはならなかった

それを強引に進めさせた、あるいは黙認した若葉が責任を追及されたのかもしれない

だとすれば、ただ通信係を外されるだけとはならないはずだ。

陽乃「そうなると、上里さんを連れてくるのは無理じゃないかしら」

『大社から派遣される通信担当をひなたにして貰えるように交渉を試みてみよう
 まぁ……今の私の立場的に難しい話かもしれないが』

歌野「乃木さんの立場……って、どういうことですか? 勇者としての立場は変わらないはずですよね?」

『それは問題ない。しかし、なんだ……伊予島達がそこにいるとしても独断専行を黙認してしまったから
 勇者を纏められないだろうということで、リーダーから降ろされることに……』

陽乃「なるほど」

ぼかしてはいるが、

杏たちの独断専行ではなく、やはり、自分の件が問題なのだろうと陽乃は心の中で呟く

若葉は暫定のリーダーだった。

それは実績があるからというものでもあったが、

陽乃の暴走と杏たちの独断専行

それらの黙認

リーダーから降ろされるには十分すぎたかもしれない


『従って阻む選択もあったが、自分で選ばなかったんだ
 元々分かっていたことだし、久遠さん達が悪いわけじゃない』

杏「若葉さんがリーダーではなくなるとなると、次は誰が?」

球子「普通に考えれば友奈じゃないか?」

陽乃寄りではない人を選ぼうとすると千景しかいないが

コミュニケーションの取りやすさと

千景や若葉達をまとめるとなると……友奈になるだろう

『新しいリーダーに関しては、想像もつくだろうが高嶋友奈が務める
 白鳥とは通信することはないかもしれないが……することになったら、宜しく頼む』

歌野「ええ、任せてください」

歌野は頷くと、表情に影を落とす

諏訪には大社の手が及んでいない

もしも及んでいたらどうなっていたのか

『とにかく、そういうことだ
 ひなたに関してはどうにか努力してみるが……明日、明後日でひなたが出なければだめだったと思って欲しい』

陽乃「……分かったわ」

『久遠さん、くれぐれも無理はしないで欲しい』

陽乃「する気はないわ」

『いいや、貴女はする。してしまう人だ』


若葉の断言に陽乃は不服そうに顔をしかめたが、

それを見ることが出来たのは、隣にいた歌野だけ

歌野は小さく笑って、陽乃から目を逸らす。

歌野から見ても、陽乃は優しい人だ

突っ撥ねるし、非協力的

けれど、ちゃんと優しい所はあると、思っている

『今のところ、こちらは襲撃される恐れはないとみている……が、すまない。
 以前話した通り、そちらに救援を送る予定はない。これ以上は誤魔化しも聞かないからな』

陽乃「元々誤魔化せていないでしょう。無駄なことはしなくていいわ」

若葉は通信係から外されただけでなく、

リーダーの任まで解かれた

これ以上、大社にたてつくようなことをしてしまうと

陽乃と同じような目に遭わないとも限らない

それは、得策ではない

『承った』

若葉がそう言うと、しばらく静かになって

歌野は無線機に触れると、首を横に振る

歌野「そろそろ時間ですね。乃木さん、また明日」

『ああ、無事を祈る』


√ 2018年 8月13日目 夕:諏訪

01~10 歌野
34~43 杏
87~98 九尾

↓1のコンマ

※それ以外、九尾除く全員


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から


では少しだけ


√ 2018年 8月13日目 夕:諏訪


約束通り夕方に病院へと戻って来た陽乃の周囲には、まだみんながいた。

通信担当の変更と、若葉のリーダー解任

四国内での変化は確かに悪い報告だった

友奈がリーダーとしてどうなのかなんて陽乃達には分からない

杏たちほどではないかもしれないが、

友奈もどちらかと言えば陽乃寄りの考えだ。

もっと正確に言えば中立の立場だろうか。

例の事件以降、友奈と陽乃は接触していない為、

友奈が今も陽乃に寄り添ってくれるとは限らないが。

杏「若葉さんならまだどうにかお話できていましたが大社からの派遣となると、報告のみしか許して貰えなさそうですね」

球子「報告のみ、簡潔にお願いします。とか、言われるんじゃないか?」

歌野「そうね。そうなるかもしれないわ」

歌野はそう言うと悩ましそうに顔を伏せる

歌野「明日か明後日、上里さんが通信に出られなければ……通信を直すのは無理、よね?」

陽乃「無理ね」

九尾がひなたがいなければ出来ないと言ったのだから、

それ以外に方法がないか、

そうでなければやる気がないか

いずれにしても、通信を回復させることはできない。


通信が不安定になりつつあることは大社に報告済みだろう

若葉はきっと、通信を安定させるには巫女が傍にいた方が良いと提案する

陽乃が通信回復をしようとしているなんて言葉はつかえないだろうから、それしかない。

ひなたがその場にいるなら、何か策を弄してくれるはずだけれど

残念ながら、ひなたがそこにいるとは思えない。

水都「勇者様じゃなくて、大社の……何か関係ない人が担当になるなら
   勇者様と円滑に情報共有するためにも、勇者の誰かに近しい巫女が傍に控えてるってことはないかな?」

陽乃「だとしても、上里さんが選ばれるとは限らないわ」

寧ろ選ばれない可能性が高い

巫女としての適性が高いのはひなたとされているが、

勇者を見出したとされる巫女はひなた以外にもいる

今いる子だと、友奈と千景

こっち側に杏たちがいることを考慮するなら、その二人の巫女もいる

若葉からの要求だからと、あえてひなたを選ばない可能性もないとは言えない


大社が本当にそんな感情優先な判断をするかはともかく

陽乃とかかわりがある若葉の抑止力として

陽乃に害されたら問題がある貴重な巫女として

ひなたは大社に預かられることになった

陽乃がいないとしても、

若葉が陽乃達のように身勝手なことをしないように

ひなたを自由にしないというのは、あり得るのだ

球子「どうするんだ?」

陽乃「どうにもならないわよ」

ひなた云々ではなく

諏訪にいる以上は、向こうのことに関しては何もすることができない。

若葉が通信担当なら口は出せる

けれど、それも無くなるならもう打つ手も出す口もない



1、ねぇ、諏訪の結界を壊すのはどう?
2、2人はさっさと向こうに戻ったら?
3、ところで、私は退院したらどこに行けばいいの?
4、面倒くさいわね、向こう
5、何も言わない

↓2


陽乃「ところで、私は退院したらどこに行けばいいの?」

球子「あ~……そう言えばそうか」

明日には退院予定だ

今まではずっと病院にいればよかったが、

退院した後はこの部屋には戻ってこられない。

……戻ってくることになるかもしれないけど。

杏「普通に私たちと一緒ではだめですか?
  今、空いている家を宿舎として借りていまして……まだ、久遠さんが使える部屋はありますし」

水都「うん……それが良いと思う。かな」

歌野「………」

陽乃「へぇ……」

空いている家を喜ぶわけにはいかない

それだけ人が減ったということだから

だが、勇者が共同で生活しているのは悪くない話だ

向こうも寄宿舎だったが、

ここにおいても有事の際に連絡が取りやすいのはありがたい

なにより、こっちでは勇者同士での連絡可能端末がないため

一度居場所がつかめなくなると大変だからだ

↓1 コンマ判定 一桁


1,8,0 歌野「いっそ、私達みんなで同じところに住むのはどうかしら」

※ぞろ目特殊


では遅くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから


遅くなりましたが、少しだけ


杏たちが使っている家と

水都、歌野が住んでいる場所は少しだけ離れている。

今までは陽乃が絶対安静で入院していたために、

その世話係として会う理由にもなっていたが、これからは傍に杏たちがいる。

ここに来てからそれなりに街歩きをしているだろうし、

案内役だって杏たちで務まるだろうから、それだって必要なくなる

――それなら。

歌野「いっそ、私達みんなで同じところに住むのはどうかしら」

水都「う、うたのんっ!?」

歌野「その方が効率良いでしょ?」

球子「って言われてもなぁ……あの家、5人もいられるか?」

杏「1人1部屋にしなければ良いだけだと思うよ。今のタマっち先輩となら、私、同じ部屋でもいいし」

笑いながら "今の" を強調した杏に詰め寄る球子

けれど、歌野と水都の目は陽乃へと向けられる

陽乃「なに?」

歌野「久遠さんって、神社のことに詳しいわよね?」

陽乃「だから、なんなの?」

歌野「通信設備もあるし、みんなで諏訪大社の参集殿の一室を借りて過ごすのはどうかと思って」


陽乃「完全に共同生活? 本気で言ってるの?」

球子「おーなんか部活みたいで面白そうだな。遠征合宿みたいな感じで」

杏「勇者の集まりなら、勇者部かな?」

歌野「巫女なみーちゃんは、私たちのマネージャーね!」

球子と歌野はもちろん、杏までかなり乗り気なようだ

水都はと言うと、

歌野の突拍子もない発言に困惑してしまっている

陽乃「貴女は?」

水都「私?」

自分を指さす水都に陽乃は眉を顰める

他に誰がいるというのか。

水都「私は……久遠さんが迷惑じゃなければ」

陽乃「中立に一票ね」

5人中3人はもうやるつもりでいるから、

多数決的に、やるほかなさそうだが。


1、私は嫌よ。勝手にやって頂戴
2、良いわよ。別に
3、プライベートがないのは嫌だわ


↓2


陽乃「良いわよ。別に」

どうせ拒否したって、杏たちがいるところに行くことになるだけだ。

通信のこともあるし、

諏訪大社の本宮なら、最後の砦となる場所

陽乃の目的は諏訪の結界が破壊されることだから、

結界の要である御柱がある本宮に住むのは、むしろ願ったり叶ったりである

全員一緒と言うのは、ネックだが。

水都「久遠さんは嫌がると思った」

陽乃「どうせ、断れないだろうし……乗っておいた方が気が楽だもの」

水都「そうですか……そう、ですよね」

ちょっぴり困り顔な水都

歌野と球子は完全に意気投合しているし、

杏も、その輪に混ざっている

水都の味方は……今はいなそうだ

陽乃「貴女は白鳥さんと二人きりの方が良かった?」

水都「えっ? あ……う~ん……そんなこと、ない。かな」


以前の水都だったなら、ほかの人達と一緒なんて嫌だった。

歌野が自分以外の誰かと親しくしていること自体、

もやもやしていたかもしれない。

けれど、今はそうならない。

歌野と球子たちが仲良くしてて、盛り上がってて、

そのテンションの高さに困ることもあるけれど、

同じく困っている人がいるから……ちょっぴり安心する。

なにより、

今は一緒にいたいと思う人がいるから。

水都「伊予島さん達も優しいし……久遠さんも、心配だし」

陽乃「もう明日には退院できるのよ? 心配なんて」

球子「若葉も言ってただろ。無理するって」


杏「久遠さんから目を離せない気持ちは分かるよ」

歌野「乃木さんから言われたからね。勇者部のマネージャーとして、みーちゃんにはしっかり管理して貰わないとね」

水都「勇者部って、決定なの?」

球子「国立勇者学校、勇者部所属土居球子!」

歌野「そして私が、県立勇者学院、勇者部所属白鳥歌野!」

元気よく、高らかに。

無駄な動きまでつけて見せる二人に、あきれ顔の杏と水都

水都「もー……なにそれ」

国立だとか、県立だとか。

適当なこと言っちゃって、存在もしない部活を名乗っちゃって

歌野「どうかしら?」

陽乃「私に聞かれても困るわ」


杏「あはは、でも。勇者部って言うのもちょっと面白いよね」

球子「だろ?」

勇者達が集まる、勇者部

マネージャーとして巫女も所属してるとか。

こっちではそんなユニークな話も出来るけれど、

向こうではそんなこと言えない

そんな、悠長なこと言っていられない。

友奈は乗るだろうけど、若葉と千景は断るだろうし、

千景は陽乃がいることを、絶対に良く思わない

陽乃「好きにしたら?」

諏訪でなら、しててもいい。

陽乃は関与する気はないが

陽乃「とにかく、参集殿を利用するならその手続き……は省けるかしら?
    その準備くらいはしておいたほうがいいんじゃない?」

歌野「そうね。みーちゃん……と、私も一緒に話した方が良いわよね?」

水都「そうだね。いた方が話が早いと思う」

勇者部の部長はどうする?

なんて球子の呟きは、無視された


√ 2018年 8月13日目 夜:諏訪

01~10 球子
12~21 水都
34~43 杏
56~65 歌野
87~98 九尾

↓1のコンマ

※それ以外は通常
※ぞろ目特殊


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから

では少しずつ


√ 2018年 8月13日目 夜:諏訪


みんながもう眠ってしまったかのような静寂に包まれた治療院

実際には、夜勤を担当してくれている医者と看護師を除けば

陽乃しかいないだけである。

この静けさも、明日にはなくなってしまう

明日からは、参集殿の一室を借りてそこに全員で寝泊まりする予定だ

入浴等の設備などは少し離れた場所にあるが、

屋内から向かうことが出来るため、旅館のようなものと思えばいい

陽乃「……はぁ」

若葉がリーダーから外されることは、想像の範疇だった

度重なる陽乃への肩入れ、球子と杏の独断の黙認

それらによる、民間人への被害

いつかは起こり得たことが、死者が出たことによって早まったのだろう。

久遠陽乃と言う存在が明確な敵として大衆に認知された以上、

大社は陽乃を放置することはできないし、肩入れしていると取られるような曖昧なことはしてこない

そうでなければ、人類存続の為に絶対的と言える統率が不可能になるからだ。


バーテックスは大量虐殺を行って見せた、人知を超えた超常の化け物

対して、陽乃は一見したらただの少女

人柱となるお役目を投げ出し

バーテックスを手引きしたとまで言われる久遠家の生き残り

人々が、手を出せない異形の代替として敵視するには十分すぎるものだ。

陽乃は正直、それについては気にする気はない。

逃げたのは事実で、

人を殺してしまったのも事実で、

それを憎み恨む人々に自分の存在を認めて欲しいとも思わない。

彼らが陽乃の働きに手のひらを返したとしても

陽乃はそれを喜ばない

陽乃「………」

横向きに寝返りを打つと、

布団が引っ張られて空気が入り込んでくる

水都は、それでも――なんて言っていたけれど

それ以外の諏訪に生きる人々は、どうだろうか。


1、今日は休む
2、九尾を呼ぶ
3、イベント判定

↓2


陽乃「九尾……ちゃんと、ここに居る?」

九尾は潜んでいるとどこにいるのか分からない。

基本的には影に同化しており、

話しかけたりすると影を狐の形に変えたり

陽乃が知っている誰かの姿を借りたりして外に出てくるが、

時々、いないこともあるらしい。

『何用じゃ』

陽乃「貴女が何も言わなかったってことは、少なくとも上里さんは害されてないってことでいいのよね?」

『ふむ……そうじゃな』

ひなたは巫女としての適性がある優秀な子だ

それを差し引いても、若葉の抑止力として残しておくはず。

だが、何かされていないとも限らない。

陽乃「なら、出そうと思えば出せるはずよね?」

『くふふっ、きゃつらがそのようにすると思うかや?』

陽乃「思ってないけど」



1、諏訪大社はどう? 私がいても平気そうだった?
2、ねぇ、諏訪大社にある天逆鉾って、私が触れたらどうなる?
3、白鳥さん達を死なせない方法、考えてくれない?
4、上里さんに干渉できないの?


↓2


陽乃「諏訪大社はどう? 私がいても平気そうだった?」

『ほう?』

陽乃「神様によっては、自らが治める地に踏み入られたくないって思う相手もいるはずよ
    特に、私みたいに穢れた身ならなおのことね」

陽乃の身が穢れていることもそうだが、

仮に同じ神格であったとしても神様同士の対立は存在する

その場合は同じだからこそとも言えるかもしれないけれど

陽乃「場合によっては私、祟られるでしょ?」

『そうじゃな……相容れぬのならば、排除すべく祟られ朽ちることもあろう』

天井の暗闇が、揺らぐ

窓の外から流れ込む白んだ月明かりによって産み落とされた陽乃の影が混じっているのか、

狐の形こそしていないが、そこからは九尾の気配が感じられた

『じゃが、諏訪大社に入っても体調を崩すことはなかったであろう』

陽乃「ええ、まぁ」

『ならば問題はなかろう』


陽乃は諏訪を守る気がない

結界を破壊させ人々の隠れ潜む場所を奪わせようとしている。

神様であれば、陽乃が抱えている穢れも、

抱え込んでいる危険な存在も、

諏訪の破滅を目論んでいることも

全て分かっているはずだ

それでも、弾かれない

――諏訪崩壊は決定事項だからかもしれない

『不安ならば身を清めてみればよい。我らの神社はすでに失われたがここにもそのための場所はあったであろう?』

陽乃「斎館のこと? お湯が出るようになっちゃってるみたいだけど、機能してると思う?」

『妾に問うでない』

陽乃が巫女として神社での催しに参加していた時にも使っていた斎館と呼ばれる施設

本来は神事を行う際に身を清める場として用いられたりするものだが、

諏訪大社の斎館は入浴施設へと若干の改装が行われたらしい。


陽乃「……最悪、内側にある手水舎を使って水浴びするか、諏訪湖を沐浴のための場として使うか」

諏訪湖は結界の中に含まれているというだけで

それをするような場所ではない

だから、最悪の場合だ。

陽乃「神楽殿も使えると良いのだけど」

『巫女舞でもするつもりかや?』

陽乃「……舞い方を覚えていたらね」

力を使うこと

それ自体が憑依――神がかりであるならば、

巫女舞をすることによって、その影響を最小限に抑えられるかもしれない

正式に言えば、巫女神楽

それを奉納することによる、ただしい手順での神がかり

陽乃「少し、試してみたいことがあるの」

『余計なことはせぬ方が良かろうに』


陽乃「巫女神楽は天逆鉾のように不確かな遺物ではないのよ?」

『だとしても、主様に影響があろう?』

あるかは分からない。

ある可能性は低くはないけれど、

少なくとも、天逆鉾に触れるよりは確実に良い影響がある。はず。

とはいえ、

今の疲弊した体で巫女神楽を最後まで治められるのかは、微妙ではある。

回復したのは傷であって、体力ではない

陽乃「藤森さん達に知られたら、絶対に止められるわね」

『じゃろうな』

悪態をつくように返した九尾は、

天井に広がる影を巨大な狐の形へと変貌させて、陽乃を見下ろす

『死にたくないのであろう? 生きていたいのじゃろう? なれば、無理はすべきでは無かろう』

陽乃「ええ……分かってるわ」

陽乃は目を瞑る。

生き抜くことが、陽乃の目的だ

壊れ切っていて、

誰しもが憎み、恨んでいる……そんな世界で生きている意味があるのかは、分からないけれど。


1日のまとめ(四国組)

・ 乃木若葉 : 交流有(ひなたについて)
・上里ひなた : 交流無()
・ 高嶋友奈 : 交流無()
・  郡千景 : 交流無()

√ 2018/08/13まとめ

 乃木若葉との絆 62→63(普通)
上里ひなたとの絆 56→??() 
 高嶋友奈との絆 52→??()
  郡千景との絆 21→??()


1日のまとめ(諏訪組)

・ 白鳥歌野 : 交流有(諏訪大社、通信設備、退院後、別にいい)
・ 藤森水都 : 交流有(お出かけ、諏訪大社、触れない、退院後、別にいい)
・ 土居球子 : 交流有(諏訪大社、退院後、別にいい)
・ 伊予島杏 : 交流有(お出かけ、諏訪大社、退院後、別にいい)
・   九尾 : 交流有(陽乃と諏訪大社)

√ 2018/08/13 まとめ

 白鳥歌野との絆 48→50(普通) ※特殊交流1

 藤森水都との絆 62→65(良好) ※特殊交流3 
 土居球子との絆 57→59(普通) 
 伊予島杏との絆 67→70(良好) 
   九尾との絆 65→66(良好)


√ 2018年 8月14日目 朝:諏訪

01~10 杏
11~20 球子
21~30 水都
31~40 歌野

↓1のコンマ

※ぞろ目 襲撃
※それ以外は通常(全員)


では少し中断いたします
再開は21時頃を予定しています

ではもう少しだけ


√ 2018年 8月14日目 朝:諏訪


退院当日の朝

昨日よりもずっと軽い目覚めに、陽乃は深く息を吐く

手も、腕も、足も、しっかりと動かせる

布団の重みも気にすることなく寝返りを打つことができるし、

払い除けることだって簡単だ

陽乃「……それで?」

上半身を起こし、ベッドの上半分を傾けさせながら

陽乃は傍らにいる歌野へと声をかける

目を覚ます前から、歌野はそこにいたようだ

歌野「ほら、久遠さん退院でしょ? 一緒に居ようと思って」

陽乃「朝は検査だし、出るのはお昼になるわよ?」

歌野「ええ。分かってるわ」

にこやかに笑う歌野に、陽乃は訝し気な視線を向ける

何か企んでいるのだろうか。なんて


歌野「身体……は、本当にもう大丈夫そうね」

腕を動かし、握り拳を何度か作ってみる

ベッド脇に足を降ろすのも、昨日よりずっと楽に出来た

陽乃「ええ。もう車椅子なんていらないわ」

歌野「私達としては、久遠さんにはあともう一日くらい車椅子を使って貰いたいわ」

陽乃「迷惑をかけるのに?」

歌野「あのくらい、腐葉土を積んだ台車を押すよりもずっと楽よ」

歌野はそう言うと、

自慢だとでも言いたげに袖を巻くって、腕の筋肉を見せる

農作業を日常の一つとしている歌野は

同年代と比べて、筋力がある

それがあったからこそ、3年間を戦い抜けたのかもしれない

歌野「触ってみる?」


1、嫌よ。気持ち悪い
2、はぁ? なんで
3、突く
4、何も言わない

↓2


陽乃は何も言わず、

ただ一目歌野を見ただけで、背ける

歌野「そんな、冷たい態度とらなくたっていいじゃない」

陽乃「何言ってるのよ」

寂しげな歌野の声色からは嘘っぽさはないが、

無駄な明るさが、お茶らけているように感じる

触ってみてと言うなんて、

それほど自信があるのだろうとは思うけれど、

それは親しい相手に向けるべき言葉だ

歌野「久遠さんは、身体を触らせてくれたじゃない」

陽乃「必要があっただけの話……今の貴女に触れる理由がないわ」


歌野「……そう」

陽乃「それで? なんの為にここに来たの?」

歌野「久遠さんがここに居るから、かしら?」

悪戯っぽさもない、歌野の表情

陽乃は見抜こうと目を細めるけれど

歌野の顔色には照れくささが増すばかりで、塗り替えられてしまう

歌野「そんなにじーっと見つめられると、流石に照れくさいわ」

陽乃「貴女が何か企んでいるんじゃないかって、思っただけよ」

歌野「企むことなんて何もないわ。それこそ、理由がないでしょ?」

そう聞かれても、陽乃は肯定することしかできない。

疑おうと思えばいくらでも疑うことは可能だ

しかしながら、そこに確固たる証拠が出せないのなら、

それはただの推察……それに満たない、妄想

だから聞かれても困る

妄想をあえて口にしてみるのも、ゆさぶりとしては有効かもしれないが。


1、私達は友人でも何でもないのよ?
2、ほかの人達が、何か余計な事やっているんでしょう?
3、農作業は良いの?
4、少し歩くわ。手を貸して

↓2


↓1 コンマ判定


奇数 陽乃「貴女しかいないなんて、おかしいもの」

偶数 歌野「何もないわ」


ではここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思いますが、可能であれば22時頃から少しだけ


では少しだけ


陽乃はしばらく歌野を見つめると、

小さく息を吐いて、首を横に振る

陽乃「ほかの人達が、何か余計な事やっているんでしょう?」

歌野「何にもないわ」

にこやかな笑顔は嘘っぽい

というわけでもないけれど……やはり何かありそうで

けれど、陽乃はそれ以上追及する気はなかった

陽乃「そう。まぁ、別にどうでもいいけど……」

あれだけ一緒に居ようとしていた杏と水都がいないこととか、

農作業があるはずの歌野がその代わりにいることだとか

気になる点はあるけれど、何か仕掛けてくるというのなら力づくで排除するのみだ。

九尾が大人しいなら、とりあえず命の危険はないだろう。

歌野「そうそう。参集殿の使用許可は難なく下りてるから
   退院後はまず参集殿の借りた部屋にみんなで集合したいわ」

陽乃「今はもう使っていない場所だし、簡単に許可が下りたでしょう」

歌野「ええ。勇者様方のためならって快く開いてくれたの。かなり広い部屋……えぇっと、30畳くらい?」


参集殿の一室は、何か理由がなければ和室である

30畳……は誇張と言うか、適当だとしても、

恐らく20畳以上の広間だろう

参集殿はそのまま人が集まる場所なため、大人数が入ることができるように設計されているはずだからだ。

それに加えて、一般的な家屋の20畳と違ってキッチンだとかお手洗いだとか

そういうものを含まないものであり、よりいっそう広く感じられたに違いない

歌野の30畳が勘違いでなければ、5人には広すぎるまである

歌野「久遠さんは、布団で寝るのも平気?」

陽乃「ベッドだろうと布団だろうと、体育座りだろうと……寝ようと思えば寝られるわ」

歌野「体育座り……?」

疑問符の浮かぶ歌野を横目に、

身体を這いあがってくる悍ましい感覚を思い出して、陽乃は身震いする

あれは慣れない。

我慢は出来るが、したくはない。


↓1コンマ判定 一桁

奇数 歌野「向こうでのこと……聞いてもいいかしら?」


歌野「………」

歌野は、何かを言いたげに陽乃へと視線を送るものの

陽乃が目を向けると、気まずそうに笑う。

言いたいことがあるなら言えばいいのにと陽乃は思うけれど、

それを口にはしない。

そのせいか、

少しばかり居心地の悪い空気になって――ノックが空気を叩き割る

「久遠さーん」

軽いノックの後に聞こえてくる声

当たり前のように答えると、

今日の検査を補助してくれる看護師が入って来た

「あぁ、歌野ちゃん」

歌野「あ……検査の時間かしら?」

陽乃「ええ」


歌野「そう……じゃぁ、私ここで待ってるわね」

陽乃「ついてきたりはしないのね」

歌野「流石に、邪魔になっちゃうでしょ?」

検査結果を聞くとか

どこかに出かけるという話ならついて行くこともあるが、

検査室に行く、検査をする

そういう話なら、無理について行っても邪魔になるだけだ

歌野「久遠さんは大荷物もあるわけじゃないから、飲み物とか、簡単に荷物をだけ纏めておくわ」

陽乃「任せるわ」

見られて困るものも何もない

念のためにと歩かせて貰えず、

車椅子に乗るのだけ歌野に手伝って貰い、陽乃は検査へと向かう


もちろん――すぐに分かる結果においては、何の異常もなく退院が可能になった



√ 2018年 8月14日目 昼:諏訪

01~10 通信

↓1のコンマ

※ぞろ目 襲撃
※それ以外は通常(全員)



では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


では少しだけ


√ 2018年 8月14日目 昼:諏訪


また後日、念のために健診を受けに来て欲しいというお願いこそあったが

無事に退院となった陽乃は、退院する時間になって合流した歌野以外のみんなと共に

諏訪大社の一角、参集殿に来ていた。

勇者達にと宛がわれた部屋は、実際には24畳ほどのものだった

もちろん、それでも広すぎるのだけれど。

陽乃「ずいぶんと……立派な部屋を与えられたわね」

水都「参集殿の中では、一番広い部屋だそうです」

どうせ、今ではそこまで大広間は使われないから

だからいつも頑張ってくださっている勇者様に開いてしまった方が

神様も、人々も、参集殿も、

みんなが嬉しいだろうとのことらしい。

杏「朝はすみません。ここのお掃除とか……やっておきたくて」

陽乃「別に気にしてないけど」

水都「えぇっと、その……神社の人がやってくれるって言ってくれたんですけど
   さすがにそこまでお世話になるのもなって思って、あの……」


気にしていないと言ったのに、

なぜだか取り繕おうとする水都を一瞥して、

陽乃はゆっくりと座布団に腰を下ろして、畳みを指で押す

畳独特の匂いと感触

子供の頃は、この畳の跡が指先につくのが変に面白かった――なんて

どうでもいいことを思い出してしまう

――普通は、使っていない部屋も掃除してあったはず

なんてつつくのは、意地悪だろうか。

球子「ベッドはないからな? 全部敷布団だ」

陽乃「別に平気よ」

球子「もしあれなら……シュラフもあるぞっ」

陽乃「平気だってば」

バサッっとシュラフと呼ばれた何かを広げて見せようとした球子を無視する。

あからさまに、気遣われている。

陽乃はもう万全に近いと思っているが、

それでもみんなからしてみれば病み上がりの仲間だ

あの惨状を目の当たりにしてしまった以上

気遣うなというのは無理な相談なのかもしれない


1、通信しないの?
2、あんまり気遣わないで
3、じゃぁ私……散歩に行くから
4、私、ちょっと斎館に行くわ
5、少し体を動かしたいわ。誰か付き合って


↓2


陽乃「私、ちょっと斎館に行くわ」

球子「なんだそれ」

水都「身を清めるために使う建物のことだよ」

水都の簡単な説明に頷く球子だけれど、

聞いた話を全部わかっているわけではなさそうだ

杏「何かするんですか?」

陽乃「沐浴をするのよ。別に貴女達はついて来なくていいから」

杏「そんな……」

突っ撥ねるような陽乃の物言いに、

杏は悲しそうな顔を見せたけれど……グッと飲み込む素振りを見せる

杏「斎館って、どこにあるんですか?」

歌野「えっと……?」

水都「うたのんは知っててよ~」


参集殿の中からも直接行くことのできる、すぐ近くの場所

それを聞いてか

杏は安心したようにほっと息を吐くと陽乃を見る

杏「近くなら、大丈夫です」

陽乃「なによ……」

歌野「目を離してる間に何かあったら怖いじゃない?」

みんなからの陽乃のイメージ的には、目を離せないほどの病弱さだ

遠くに行くなら是が非でもついて行くと言いたいが、

すぐ近く

それも、家の中の移動くらいの距離なら……少しは安心できる

球子「すぐに体調崩すからな。放っておくわけにはいかないだろ」

陽乃「力使わなければ大丈夫だって分かってるでしょ?」

水都「でも、あの……悪化しちゃいましたし」


それを言われてしまうと、困る

原因は水都だったが、

あの時は力を使っていなかったから、

力を使っていなくても安心はできないと思わせてしまったのだろうし

陽乃はそれを振り払うことは出来ない

歌野「何かあったら、恥ずかしがらずに大声で呼んでね?」

陽乃「何もないわよ」

悪化した時みたいに、興奮したりするようなこともないだろうし

力だってきっと、使わずに済むはずだから

陽乃「白鳥さんは通信があるでしょ? 上里さんが出たら呼んで頂戴」

歌野「ええ。任せて」

歌野が頷くのを見て、陽乃はゆっくりと立ち上がる

すぐにカバーしようと周りが動くのも気にせずに、一人で立って歩く

陽乃「じゃぁ、行ってくるから」


↓1コンマ判定 一桁

13 水都
69 杏

※ぞろ目特殊


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から

では少しだけ


杏「あ、待ってください。やっぱり私も行きます」

陽乃「貴女が来てどうするのよ」

杏「沐浴……ですよね? 私も一緒にしようかと」

杏のことだ

陽乃の言った沐浴が普通の入浴とは違うことくらいは分かっているだろう。

本当に沐浴がしたいとかではなく

単に陽乃が行くからついて行こうという考えだろうか。

どちらにしろ

陽乃が断ったところで体の弱さを指摘して付いて来るはずだ

陽乃「勝手にしなさい」

杏「勝手にしますっ」

部屋を出て左側の通路を進む。

杏は本当に後ろからついてきて、斎館まで辿り着く


斎館の一部は説明があった通りに多少の改装が施されていて

勇者達が使う部屋にはない調理場や入浴用の施設などが使い勝手よく整備されていて、

神聖さは少々失われているように感じられた

杏「珍しい、ですか?」

陽乃「別に……本来の使い方が必要無くなっただけでしょ」

完全に普通のお風呂場となり果てている、沐浴に使われていたであろう部屋に入る

水も出せるが、お湯を出せるようになっていて

シャワーと、浴槽と……

陽乃が知っているところとはまるで違う

陽乃「貴女もやるの? 意味はないと思うけど」

ただ体を綺麗にするのではなく、

しっかりと身を清めるために行うものだ

巫女である水都ならともかく、杏は別に関係がない


杏「神様の力をお借りしている以上、身を清めるのは大事なことかもしれませんし……
  それで親和性が高まってより力をうまく、強力に扱える可能性もありますから」

陽乃「……私の惨状を知ってて、よく言えるわね」

杏は陽乃の呟きが聞こえたものの、

小さく笑う程度で、特には何も言わなかった

その笑みは少し罪悪感が感じられたけれど、

陽乃もまたそれに対しては何も言わない。

杏が勝手に感じているものだ

大方、陽乃にばかり負担をかけてしまうことになるから

少しでも強くなれればそれでいいとでも考えているのだろう……なんて考えてるのかもしれないとは、思うけれど。

だからと言って、それには苦言もない。

そうしたいなら、したらいい

他の勇者が力を突ければ、必然的に陽乃の生存率は上がるからだ

もっとも、千景に関しては……強くなられると怖いが。


1、諏訪の生活はどう?
2、諏訪の結界、壊すって言ったら止める?
3、無駄なことはしない方が良いわよ
4、何も言わない


↓2

遅くなりましたが、本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から


すみませんが本日もお休みとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから

遅くなりましたが、少しだけ


陽乃「諏訪の生活はどう?」

杏「諏訪の生活……ですか?」

陽乃「別に話したくなければ言わなくていいわよ」

無駄についてきたのだから、

ただただ、黙っているのも居心地が悪い

1つや2つ、話くらいはしたってかまわない

杏「あ、いえ……その」

杏は、まさか陽乃から話題を振られるとは思っていなかった

振られたとしても

あまり、良くない話をされるのではとも思った

陽乃が好んで嫌な話をするとは思っていない杏だが

しかし、無理についてきた自分を追い返そうと

そんな話をしてこないとも限らなかったからだ


陽乃「この前、少しは話を聞いたけれど、貴女自身としてはどうなの?」

杏「簡潔に言うなら、とてもいい場所だと思います」

この前話した通り、

物資の不足感は拭えないが、

人々はみんな優しく温かい人たちだ

物資が不足しているからと奪い合うのではなく

だからこそ、協力し合って補おうとしている

これもすべては、白鳥歌野と言う勇者が成し遂げたことだろう。

本当に、凄いことだ

杏「このままここで生きていけるのなら、それが一番だって思うほどです」

特に、陽乃にとってはこれ以上ない環境だ

醜聞の一つもなく

体調とバーテックスにさえ気を付けていれば、

安心して暮らすことができる

杏「凄く、惜しい」


諏訪が失われる以外に道がないことが

ここから出て、また、あちら側に戻らなければならないということが。

杏には帰りを待つ両親がいる

けれど、あの二人だって陽乃が心安らぐ場所で生きていけることを望んでいる

自分達の行いで、より陽乃の立場が悪くなってしまったこと

それを凄く悔やんでいるから

だから、もし、諏訪がこのまま永遠に続いていくなら

そこで暮らし続けるという決断をしたとしても

両親は杏を咎めたりはしないはずだ

杏「どうにかして、ここを残す方法がないか調べてますけど……どうにも」

犠牲がなければ難しそうな気がしてならない

人身御供

それこそが、神々に対する人間が行える最大限の助力ではとさえされているからだ


杏「はっきり言って、久遠さんはここで生きていくのが一番いいって思います」

陽乃「ここで死ねって?」

杏「老衰と言う意味なら、そうです」

戦って死ぬでも、

結界が消えて蹂躙されるであろうこの土地と心中しろと言うでもなく、

ただ、本当に

普通に生きて……全うして死ぬことができるなら

ここで生きていくべきだと、杏は本当に思う

杏「みんな優しいです。温かいです……久遠さんを、傷つける人なんていないんです」

誰も裏切ろうだなんて考えない

みんながみんな協力し合って生きていこうとしている

だから、ここでは人を信じられる

杏「ここでなら、信じてもいいんです」



1、何言ってるのか分からないわね
2、そう。
3、でも、消えるのよ
4、悪いわね。私はここを守る気はないの
5、何も言わない


↓2


陽乃「そう」

杏「そう、ですよ」

強要はしない

押せば陽乃は応えてくれるかもしれない

けれど

それはただ投げやりなだけで、信頼とは言わない

杏「久遠さんだって、今のところ悪いとは思ってないですよね?」

陽乃「さぁ? どうかしら」

歌野も水都も

ややお節介なところはあるが、向こうでの人々のような感じはしない

以前は友人だったあの子のような感じも

だから――そう、突っ撥ねる必要はないのかもしれない

けれど、だとしても。

陽乃「考えたこともないわね」


杏「なら、これから考えてみてください」

時間はきっと、殆ど残されていない

でも、まだもう少し

総攻撃が行われるまでは、時間がある

多少の襲撃ならば、

以前から戦い続けてきた歌野と杏と球子の3人もいれば対抗できる

だから、その分も。

杏「ちなみに、私達はもう……久遠さんを信じてますから」

陽乃「………」

自信満々に

はっきりと言って見せる杏は、笑顔を浮かべている

決して謀っているわけではないと示すようなその表情に

陽乃はあいまいな表情を浮かべて、顔を背けた


↓1コンマ判定 一桁

0,3,5,7,9 杏「ところで、身を清めるって具体的にどうしたらいいんですか?」


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から

では少しだけ


杏「ところで、身を清めるって具体的にどうしたらいいんですか?」

陽乃「別に大したことはしないわよ」

陽乃はそう良いながら、

バスタオルが置かれている棚に触れる

本来は、違うものが置かれていたはずだ

陽乃「見ればわかるけど……ただのお風呂になっているでしょ?」

杏「そう、ですね」

陽乃「普通と違う点といえば、浴槽に溜めるのは水にするくらいかしら」

杏「それだけ、ですか?」

陽乃「それだけしかできないのよ。ここに残ってるものだとね」

沐浴の際に羽織るものもなければ、榊だってここにはない

普通に衣服をまとわずに汚れを流して

沐浴……という程度になるだろう


陽乃「正直、ここまで出来なくなってると水じゃなくてお湯でも問題なさそうではあるわね」

杏「……」

浴槽を一瞥して、

着替えを入れる棚を見る陽乃を、杏は黙って見つめる

陽乃はもともと神社の娘だ

歌野には詳しく説明していたし

もちろん、このお清めだって詳しく知っているだろう

けれど陽乃は、簡単にやることくらいしか言わなかった

確かに、方法を聞いただけなのは聞いただけなのだが

杏はちょっぴり……歌野を羨む

杏「あの、久遠さん」

陽乃「なに? 水が嫌なら、出ててくれていいのだけど」

杏「それは、えっと」

もともと体の弱かった杏

サウナはもちろん、水風呂なんて未経験だ

今の体なら耐えることは可能だろうけれど、怖くないといえばウソになる

けれど、杏は首を振る

杏「それは……大丈夫です」


杏「お清めの方法、本来はどのようにやるんですか?」

本当は、お清めの方法ではなくてもよかった

けれど陽乃は普通の話をあまりしない

杏たちから一方的に話すことならできるが、

自分から好んで会話はしてくれない

それなのに、歌野の疑問に関しては詳しく話してくれたのだ

だから、同じように

陽乃の方から積極的な話をして欲しいと……杏は少し、望んでみる

陽乃「その話、必要?」

陽乃が小学生の頃は装束を用意していたし、榊だってあったし、

祝詞を唱えることもあったし……

いろいろと手順を踏んだりもしていた

けれど。

今はそれらができる状況にはないし、説明の必要があるとは思えなかった


1、知る必要のないことよ
2、そんな無駄話するためについてきたわけ?
3、簡単なことよ。神聖な泉に身を置くことで汚れを取り除くのよ
4、何? 何か、気に入らないことでもあるの?


↓2


陽乃「簡単なことよ。神聖な泉に身を置くことで穢れを祓うの。
    もちろん、泉でなければいけないなんてことはないわ。川だっていい」

杏「身を置くだけでいいんですか?」

陽乃「身を置くのが重要なんじゃなくて、流れがあることが重要なのよ」

穢れを洗い流すというのが一般的かもしれないが、

人が生まれ、老い、死にゆくこと

仏教にもある、輪廻転生もまた、流れによるものである

陽乃「手水舎は、あなたも知っているでしょう?」

杏「あ、はい。あれも身を清めるためにあるんですよね?」

陽乃「ええ……その手水舎だって、ずっと流れ続けているでしょう?」

止めている場所もあると聞いたことはあるが、

あれは本来、止めていいものではない

陽乃「流れることは祓うということであって、その場に留めてしまうと払われずに穢れがたまっていくことになるからよ」


杏「小さいころ、体が弱くて初詣とかはできなかったんですが
   神社に行ったときにお水もったいないなって思ったことがあるんですけど……意味があったんですね」

陽乃「そうね」

陽乃は一息ついて、

身に着けていた衣服のボタンをはずしていく

陽乃「私のところでは沐浴の後に榊で払ったり、祝詞を唱えたりもしていたわ」

杏「祝詞なら、唱えられるのでは?」

榊を扱うのはともかく

祝詞に関しては陽乃のところで奉っている神々に対するものであるため、

信仰の対象が違うこの場ではいささか不適切だといえる

陽乃「信仰対象が違うから駄目よ。天の神と地の神が一番わかりやすいかしら
    あんまり……ううん、すごくよくないわ」

杏「そうなんですね……」

陽乃「だから、ここではただ清めるだけ。わかったらさっさと済ませるわよ」


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


遅くなりましたが、少しだけ


杏「……冷たっ」

陽乃「向こうで同じことをやるなら、きっと……この比ではないはずよ」

足の指先を軽く触れさせるだけで小さな悲鳴を上げた杏をよそに、

陽乃は気にすることなく、冷水の中に身を置く

人工的に調整された浴槽の中の水は体感的に冷たくは感じるが、刺すような冷たさがあるほどにも感じられない

向こうにいる巫女がどのようなお清めを行っているのかは知る由もないが、

神樹様としている大木か、その周囲

とにかく大社保有の土地として禁制としている場所には自然が多く

当然ながら、聖域として身を清められるような場もある

それが自然由来の冷水――正しくは霊水と呼ぶべきものであるなら

今杏が悲鳴を上げているものとはまるで感じるものが変わってくるはずだ

陽乃「無理に入れとは言わないわ」

杏「い、いえ……頑張ります」

陽乃「清めは頑張るものではないのだけど」


陽乃は後ろで頑張ろうとしている杏に体を向けると、

少しずつ体を慣らそうとしているその姿に、眉を顰める

滝行もそうだが、そのことに努めようとする意識がある時点であまりうまくいかない

やり終えた後に、頑張った。なんていう達成感があるのもおかしな話だ

それがあったとしたら、成功ではなく失敗であると陽乃は思っている。

本気でやる必要のない――一般の人は、別にそれで何の問題もないけれど。

陽乃「無駄な考えも、力も、何一つ持たずに行いなさい。貴女は何をするためにここに来たのよ」

杏「……えぇと、それは」

言い淀む杏の視線は、さっきまでのように陽乃を見ていない。

何も身に着けていないことを気にしているわけではないだろう

何か後ろめたいことがあるのかと少し顔をしかめはしたが

陽乃はすぐにいつもの無感情さを表に引っ張り出す。

陽乃「貴女が何をしたくてここに来たのか、私は聞く気はないし言ってくれとも思わない。ただ自覚して欲しいだけ
   それと……それが身を清めることなら雑念は捨てるべきだし、そうではないなら私の邪魔にしかならないから出て行って貰いたいわ」

杏「……すみません」

影の差した顔、悲しそうな声

杏の露骨な様子から目を背けた陽乃は、くるりと身を翻して背中を向ける


水都もそうだが、杏も大概である。

向こうにいた時から、恩人だから……というだけでやたらと構ってきてはいたが、

ここに至っては、水都と歌野の影響もあってかさらに押しが強くなったように感じる。

ついて早々に吐血して意識不明になったり、

治りかけの時にまた悪化したりと、一方的かつ不可抗力だったとはいえ心労をかけた結果だろうか

陽乃「……」

背中に触れる水が揺れる

陽乃の横を通って、波紋が渡っていく

少しずつ、入ってこようとしているのだろう

最初は悲鳴を上げていたのに、今は微かなくぐもった吐息くらい。

手で押さえても、我慢していることに変わりはないけれど。

陽乃の体調が不安なら、

別にこの中にまで入ってくる必要はない

外で待機して、何か危うげな雰囲気があったら中に飛び込めば済むことだから。

それはきっと、建前にしかならない。


1、無理する必要はないのよ?
2、どうしてそこまでするの?
3、私に関わったところで、貴女が損をするだけよ
4、さっきの話だけど……私は信じるつもりなんてこれっぽっちもないわ
5、何も言わない

↓2


陽乃「……ねぇ。どうしてそこまでするの?」

杏「え?」

陽乃「この前のことを気にしてるなら、気にする必要はないわ」

陽乃の評判をどうにかしようとした杏の両親の助力

それによって起こった惨劇

結局、陽乃の評判は悪くなっただけだった。

もしもそれの責任を感じているのだとしたら、陽乃は別に必要がないと首を振る

あの場に連れて行こうとしたのは杏の両親だが、

それを引き受けたのも

あの場で騒動を起こしたのも、ほかでもない陽乃だからだ

陽乃「あれは、私が自分で選んだ結果よ」

陽乃がそう続けると、

杏の動きが水面を伝って肌に触れる

冷水の中に置いて熱を帯びた体の、水に触れていない部分に水が跳ねて少しだけひやりとする


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から

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