【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【3頁目】 (999)

このスレは安価で

乃木若葉の章
鷲尾須美の章
結城友奈の章
  楠芽吹の章
―勇者の章―

を遊ぶゲーム形式なスレです

目標

生き抜くこと。


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります

日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
期間は【2018/07/30~2019/08/14】※増減有

戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
※ストーリーによってはHP0で死にます

wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに


前スレ

【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【1頁目】
【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【1頁目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1601649576/)
【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【2頁目】
【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【2頁目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1608299175/)


歌野「久遠さんが来てから、みーちゃんがすっごく張り切ってるの」

陽乃「見下せる相手が来たからでしょ」

歌野「まさか。みーちゃんはそんなことで元気になったりしないわ」

心からそう信じてるとでも言いたげな歌野の反応

陽乃の発言は水都を馬鹿にしているともとれるものなのに、

怒った様子もなく、飲み器をテーブルの上に置く

歌野「前は浮かない顔をしていることが多かったし、私以外にはそこまで心を開いているって感じでもなかった」

歌野は自信を持って欲しかったけれど、

自分は全然そんなことないよ……と、水都は否定してばっかりだった

だから、今の水都は全然違って見える

陽乃「そこに要介護な私がやって来たから、自信が持てたってわけね」

歌野「ん~……どうかしら。みーちゃんは本来、自分から積極的に触れていくタイプじゃ無いし……」

普通に話が出来るようになってはいるものの、

手足を動かすにはまだ力が足りていないように見える陽乃

ここ数日は水都が付きっ切りで

誰かが行くなら自分が行くと自ら名乗り出るくらいには積極的だ

歌野「久遠さんがボロボロだったのも理由ではあると思うけど、それだけではないと思うわ」

上手くは言えない。

けれど、

それはけして悪い理由ではないことだけは断言できそうな気がする……と、歌野は笑みを浮かべて

歌野「きっと、みーちゃんにとって久遠さんは大切な人なのよ」

立て乙


陽乃「会って一週間も経ってないのに? 冗談じゃないわ」

歌野「一目惚れ。とか? ほら、みーちゃんは巫女だから久遠さんの独特な感じに惚れちゃったのよ」

陽乃「諏訪の人って、みんなこう自分勝手なの?」

陽乃の不機嫌そうな表情

けれど、怒っているようには感じられない

不満は不満だけれど、ただそれだけではないと感じる

何かがあって、でも、それを表に出そうとしていないような――

歌野「ふふっ、まさか。そんなわけないわ」

諏訪の人みんながそうだったら、ここまでやってこれなかった。

最初の頃は大変だったし、

抗おうとするのも歌野を含めても数人いるかどうかで。

けれど、歌野が諦めずに呼びかけ続け、抗い続け、傷つき続けて1年

そこからの変化は、自分勝手だったら起こり得なかったはずだ

歌野「でも私は間違いなく自分勝手ね! だって、こんな世界でも諦めるなって思いを押し付けたんだもの」

陽乃「自慢できることではないと思うけど」

歌野「そう。そうね……でも、私は何もできないのもしないのも嫌。
   それで、目の前で誰かが……みーちゃんが死んじゃうのも嫌。だから諦めたくないし、諦めて欲しくないって思ってるわ」

だから押し付ける

自分勝手な思いを押し付けて、生きることをあきらめるなと……抗わせる

それが自己満足でないというのなら何なのだ

それが偽善ではないとしたら何なのか

それが自分勝手ではないとしたら何なのか。

歌野「久遠さんだって、同じでしょ?」


1、貴女なんかと一緒にしないで
2、ただ生きていたいだけよ。他人なんてどうでもいい
3、私はそんな高尚な理想を抱いてなんていないわ
4、違うって言ったら?
5、何も言わない


↓2

3

3


陽乃「私はそんな高尚な理想を抱いてなんていないわ」

歌野「高尚……?」

陽乃「……立派ってこと」

陽乃はただただ、

死にたくないから戦おうとしているだけだ。

最初こそ、

目の前で奪われるのが嫌だったし、

何かするべきだと思ってもいたけれど

そんな、他人のためなんて考えはとっくに捨て去った

歌野「久遠さんは、諦めたくないって思わないの?」

陽乃「白鳥さんは自分も他人も。でしょう? 私は自分だけしか考えてないもの」

歌野「自分だけ守るなら、戦わなくてもいいはずよ」


自分の命だけが大事なら、戦う必要はない

四国から諏訪に来る必要はないし

四国の結界と外界の境目から可能な限り遠く離れた場所に隠れている方が良い

可能な限り、人がいない場所に逃げるというのも悪くない

歌野「久遠さん、本当はみんなを助けてくれるつもりなんでしょ?」

陽乃「違うわ」

歌野「でも、だったらどうして諏訪に来てくれたの?」

陽乃は勇者としてここにきている

そのうえ、四国から諏訪まで

無理をして最速で辿り着き、入院する破目にまで陥った

なのに、

自分だけ助かればいいだなんて言うのはおかしいと歌野は思う

四国にある大社と言う組織から、諏訪に向かうようにと指示があったなら話は別だが、

そんなものがあったなんて聞いていない


↓1コンマ判定 一桁

01~45 歌野「向こうには居られない理由でもあったの?」

※その他通常


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


出会ってまだ数日なのに諏訪組が揃いも揃って理解者になってくれるとは…
この二人は絶対に守ってやりたいな


一目惚れなら仕方ないなって冗談は置いといても陽乃って天乃ほどモテオーラはないな
あれか、薄幸オーラと胸か

では少しだけ


任務ではなく人を助けたいわけでもない

情報不足だとか

陽乃が嘘をついてるでもないのだとしたら

それは……

歌野「もしかして、向こうには居られない理由でもあったの?」

陽乃「……」

陽乃の目が細くなって、歌野を見つめる

肯定せず、否定もせず

ただ睨むように見つめてくるその目から、答えは得られない

陽乃には何かがあって、

諏訪に行くしかなかった可能性があると歌野は考えて。

向こうにいられない理由

向こうには居たくない理由

それはきっと、聞かれたくないことだろうと目を閉じる

――みーちゃんはそれを聞けたのかな。それとも、聞けなかったのかな

歌野「そうじゃなきゃ命が大切なのに、ここに来るなんてありえないわ」

陽乃「大社からの命令でも?」

歌野「そんな命令はないって聞いてるけど……」

よしきた


諏訪が危機的状況にあるという神託があったことは若葉から聞いている

しかし、それによる遠征が実施されたなんて話は聞いていない。

それに関係なく3人の勇者が諏訪に向かったことは聞いたけれど、それだけだ。

陽乃達が半日で辿り着いたことを話した時の若葉の驚きと、

すぐに陽乃が何かしたからだろうという判断には、思わず笑ってしまった

陽乃「そう……神託があったはずなんだけど」

歌野「3人もこっちに来てくれたんだから、それで充分よ」

神託があったのに、すぐに派遣するとはならない大社

それも仕方がないことだと歌野は思う。

水都も「仕方がない」とは言っていたが、

それはあくまで、陽乃達が来てくれたからこそだろう

来てくれていなければ、失望していたし、それ以上に何かあったかもしれない

ここに来ると言い出したのは陽乃だという話も聞いた

杏や球子は後から言い出しただけで一人ででも行くつもりだったことも。

陽乃につきっきりだったから水都はそれを聞いていない

歌野「だから……深く聞くつもりはないわ」



1、藤森さんから聞けばいいじゃない
2、なら話は終わりね
3、向こうにいられない理由があったらどうする?


↓2

3

3


陽乃「深く聞かない? 藤森さんにも?」

歌野「みーちゃんには話したの?」

陽乃「話してるかもしれないじゃない」

実際に話しているし、水都と歌野の仲だ

人を殺しただの、

巫女の家系だっただの

陽乃に関している中でも特別な事情だとしても、

秘密にしていてくれるよね。と、安易に話してしまう可能性は否めない

少なくとも陽乃は、そうやって簡単に広めてしまうだろうと諦めてもいる

歌野「みーちゃんにはなにかあったの? って聞いたことはあるけど何にも教えてくれなかったわ」

陽乃「………」

歌野は困ったような表情をしているけれど、

そこに嘘っぽさは感じられない

それを信じるなら

知りたかったけれど教えてくれなかったということだ

陽乃「なら、そうね。向こうにいられない理由があったらどうする?」


人を殺したこともそうだが、

それ以前から陽乃は嫌われている。

このバーテックスによる襲撃そのものが久遠家のせいであるとまで言われ、

家を焼かれ、神社を焼かれ、

母親以外の親類をみんな生贄として捧げられた挙句に失った。

そんなことがあったのだと知ったらどうするのか。

歌野へと目を向けると、向けられていた視線が重なる

歌野は黙ったままだ

陽乃「信用できない? 不安? 怖い?」

歌野「えぇと……」

陽乃は笑みを浮かべていて、

どこか悪戯っぽいそれは、今の会話がただの冗談だと思わせようとしているようで

歌野はどう答えようかと迷う。

安易な答えは傷つけるだけかもしれない

けれど、悩みすぎるのも良くないような気がする。


↓1コンマ判定 一桁

0,5,8 歌野「なら、死んでも諏訪を守るわ」

※ぞろ目特殊
※そのほか通常


歌野「心配は要らないわ。だって……久遠さんってば、すっごく愛されているもの」

陽乃「はぁ?」

陽乃がどう思っているのかはともかく、

球子も杏も、陽乃を本当に大切に思っているのが分かる

ただの勇者仲間というだけでなく

もっと、親密に。

それに加えての、水都だ

向こうで何があったのかは分からない

命が大事だという陽乃が、

命を懸けてまで諏訪に逃げてくるだけの何かがあったのかもしれない。

だとしても、それについては球子と杏が保証してくれている

任務でも何でもなく

自分からついて行くと言った二人

その存在と、その二人から感じる陽乃への想いがある

歌野「伊予島さんと土居さん。久遠さんだって、分かってるでしょ?」

陽乃「……迷惑だって思ってるわ。私なんかに付いて来たって良いことなんかないのに」

歌野「そうやってあしらわれても、ここまでついてきてくれる人がいるって言うのが、久遠さんのことを保証してくれているわ」


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


うたのんも陽乃さんたちをよく見てくれてるなぁ
あとみーちゃんがうたのんにも陽乃さんのあれこれを話してないとは意外


陽乃的にはうたのんみーちゃんには死んで欲しくないから諏訪守る!ってならなくてよかったな


流石に人を殺したのは勝手に言えないのか
まぁそれで一度悪化したから慎重になるよね

VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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では少しだけ


陽乃「私が何するか分からないから警戒しているとは、考えないの?」

歌野「確かに警戒してるわね。こんな、無茶するんだもの」

陽乃「……なんなのよ」

何か悪さをするのではないかなんて警戒はせず、

何か無茶や無理をしてしまうのではないかと言う警戒……いや、心配

みんながするのはそればかり。

人を殺してしまったと言ったのにもかかわらず

水都は自分が可能性なんてこれっぽっちも考えていない

首でも絞めてあげれば恐れるかもしれないが

意図してやることではない。

陽乃は歌野を睨むように見つめたけれど、笑顔が返される。

歌野「誰かに認めて貰うなんて簡単じゃないから……だから、その分信頼できる」

もちろん、

その中には悪い繋がりがないとは限らない。

そういうものも中にはあるはずだ。

だけど、そういうのはやっぱり独特な感じがあるだろうし、

陽乃についているのはそんな人々ではなく、勇者だ。

それに加えての、水都

言葉巧みに騙し、魅了する――陽乃がそういった人物だったら、歌野は称賛するだろう。

ここ数日、ほんの少し関わってるだけで感じる陽乃の対人への嫌悪感

それが演技だったら、あまりにも恐ろしい


歌野「私は1年かかったわ……早くて、半年。あの日から頑張って頑張って頑張って……それだけ経ってようやく、生きる希望を与えられた」

陽乃「……だから?」

だから、頑張ってとでも言うのか

だから、大丈夫とでも言うのか

歌野はちょっぴり目を見開くと、自分の手元へと目線を下げてしまう

悪いことを言おうとしているかのような仕草

迷うなら言うわなくても良いのに。なんて。

けれど歌野は少し照れくさそうにはにかむ

歌野「……少しずつ、分かってくれる人が出来るわ」

陽乃「……」

歌野「伊予島さん、土居さん、乃木さんだって久遠さんの味方。みーちゃんも……あと、私も」

歌野が知る中で、確実に言えるのはたった5人

予定ではと言うと哀しいけれど……2人はいなくなる

歌野「久遠さん、今のところつっけんどんなだけで全然悪い印象ないし」

陽乃「こんな体だもの。反感かってナイフでも持ち出されたら死ぬわ」

実際は九尾が守ってくれてしまうだろうけれど……

だとしても、無駄に煽ったって仕方がない

歌野「ふふっ、それもそうね。早く元気になった久遠さんが見てみたいわ。
   乃木さんも心配していたし……通信が安定していたら、声を聞かせてあげられたんだけど」



1、それなら……直してあげられる可能性はあるけど
2、心配? 冗談でしょ
3、もし私が諏訪の結界が壊れるのを待ってるって言ったらどうする?
4、その通信相手に上里ひなたはいる?

↓2

1

1


陽乃「それなら……直してあげられる可能性はあるけど」

歌野「え……? エンジニア!?」

陽乃「違う」

九尾は直せると言っていたけれど絶対に直せるという保証はしない

通信を担う部分に介入して

強制的に変質させるため、

今まで通りに行くとは限らないからだ

陽乃「通信を補助してる神様の力を、私が肩代わりするのよ」

歌野「久遠さんが肩代わりするって、どういうこと? もしかして人外?」

陽乃「どう見たらそう思うのよ」

歌野「……人の形をした神様だっていると思う」

神様だったらむしろ、人外呼ばわりは失礼なのだけど。と、

陽乃はベッドに乗り上がってきそうな歌野から目を背ける

陽乃「とにかく、私なら出来る可能性はあるわ。もちろん、信じなくても良いけど」

歌野「信じる」

陽乃「壊すかもしれないのに?」

歌野「元々、壊れかけているんだもの。一か八か賭けても良いと思うわ」


歌野の言っていることには一理ある

だが、それはあくまで信用に足る人物に対してのものであるべきだ

ここに来たばかりで

ずっと寝込んでいる人に許していいものではないはずなのに

歌野は即決した

水都達に相談もせずにだ

陽乃「その考えは危険だわ」

歌野「久遠さんは信じられる人よ。訳アリでも……大丈夫だって保証してくれる人がいるもの」

陽乃「……そう」

言ったって無駄だろうからこれ以上は控える

信じたいって言うなら信じて貰ってもいい

それで後悔するのは歌野だから。

信じるって言われても、陽乃はそれに応える気はない

歌野「でも、肩代わりが負担になるなら通信は諦めても構わないわ」

陽乃「唯一の外部との通信方法なのに?」

歌野「どうせ壊れるものだったし……そのためにまた、久遠さんが血を吐いたりするのはちょっと」


陽乃の酷い有様は歌野も知っているので、

それがまた繰り返しになるのはさすがに見過ごせない

陽乃が自分でそれをやるって言ってもだ

歌野「久遠さんは大丈夫?」

陽乃「大丈夫って嘘をつくかもしれないけど」

歌野「それは困るわね……でも、どうやって通信を?」

陽乃「私の力で」

陽乃はまだ上がらない腕を震わせながら、答える

陽乃「後は、向こうにいる上里ひなたって言う巫女に手伝ってもらう必要があるわ」

歌野「上里さん? どうするの?」

陽乃「方法は条件がそろってからね」

九尾が言っていただけだし

それを実際にやるのは九尾になるだろうから、答えられない

曖昧に首を振る陽乃を、歌野は笑顔で見守る

歌野「分かった。明日になるけど、乃木さんに話してみるわ」

歌野がそう言うと、

丁度、扉が叩かれて陽乃のための昼食が運ばれてくる

歌野「今日は、私が手伝うわね」

なぜだか、嬉しそうだった



√ 2018年 8月12日目 夕:諏訪

01~10 水都
34~43 杏
67~76 襲撃
87~98 球子

↓1のコンマ


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


先に壊れるのは結界かそれとも陽乃さんか…
あとうたのん修羅場をくぐり抜けてきただけあって終始イケメンだったな


でもみーちゃんの私は信じますが今のところ一番イケメンだな

では少しだけ


√ 2018年 8月12日目 夕:諏訪


大社は本格的に陽乃に対して行動を起こし始めた。

今までは単なるうわさでしかなかったものが、

運が悪いことに "死者" が出たことで制御することが実質不可能になったからだ

それが陽乃の手で、

あろうことか大勢の人前で行われてしまった以上、無かったことには出来ない

今の規模は不明だが

恐らく、大社に対して何らかの抗議が行われているはず。

勇者だからと庇えば、大社まで責められる。

だから、積極的に行動を起こすしかない

きっと厄介者だと思っていることだろう

一般の人々からも、大社からも、バーテックスからも

陽乃は敵視しされてしまっている。

バーテックスはいるが、

敵視してくる大社も人々も勝手な噂もない諏訪と言う小さな世界は

陽乃にとって、やはり、居心地のいい場所だ

けれどだからこそ――崩壊する宿命なのかもしれない

陽乃「……はぁ」

球子「何だよ。タマじゃ不満か? 水都か歌野と代わるか?」

陽乃「別に、貴女じゃなくても変わらないわよ」

歌野が返った後、

暫くは一人きりだった病室への来客

面会時間なんてもはや無くなっているのだろう。

よっしゃ


球子「歌野から聞いたぞ。通信直すのか?」

陽乃「直せればの話ね」

球子「それでも、やってくれるんだな」

陽乃「……別に」

嬉しそうに言う球子の視線から逃れるように顔を背けて、素っ気なく吐き出す。

陽乃「別に貴女達のためにやるわけじゃないし」

ちゃんとした通信が出来た方が良いだとか

2人の勇者としての力が使えなくなってしまうからとか

そう言った理由があるからで

力が使えなくなる件だって、生存率を引き上げるために必要なことで

だから、別に違う。

球子「でも、やってくれることには変わりないじゃんか」

陽乃「結果的にはね」

球子「それでもタマ達にも良いことなんだから、それでいいと思うんだけどなぁ」

陽乃「感謝されたいわけでもないもの」

取り付く島もなさそうな陽乃の反応

球子はやや困り顔で溜息をつく

悪さをしているわけではないし、球子には杏ほど説得するための言葉も思いつかない

とはいえ、

率直にそんなじゃダメだと言ったところで、陽乃は聞く耳を持たない


球子「せっかくあんな……面倒なことない場所に来たんだから、もう少し緩くてもいいんじゃないか?」

陽乃「戦いの最前線に来て、良くそんな暢気なこと言えるわね」

球子「それはそれこれはこれだろっ」

バーテックスとの闘いにおける最前線

ここ数日は襲撃もなく平穏な日々が続いているものの、

いつ襲撃があるか分からないのが諏訪の状況だ

だとしても、襲撃がない時はリラックスしていてもいいのではないかと球子は考えているのだが、

陽乃はそれを察していながらも、表面的に反論する

気を緩めるなんて、ありえない。

球子「歌野も水都も良いやつだぞ。暮らしてる人だって、みんな」

陽乃「だから?」

球子「だからって、そんなさぁ……」

そんな態度じゃなくてもいいだろ。と、

球子は言っても無駄な言葉が浮かぶ頭を抱えて、首を振る



1、通信を回復しないと、あなた達が戦えなくなる可能性があるわ
2、諏訪の結界、私は破壊させるつもりでいるわ
3、人なんて……平気で裏切るのよ。今は良くても、何かあったときも平気とは限らない
4、そう思うなら、貴女がその全部を守ったら?
5、何も言わない


↓2

4

3


陽乃「人なんて……平気で裏切るのよ。今は良くても、何かあったときも平気とは限らない」

球子「そりゃぁ……」

向こうでのあの惨状を実際に味わってしまったからか、

球子は言い淀んでしまう

否定するべきだと分かっていても

あんなことがあっては、否定が出来ない

球子の表情が硬くなる

陽乃「でしょ?」

球子「……ぅ、そ、そんなこと」

陽乃「本当に? 私の心証が悪くなるけど、それでいいの?」

球子「それは狡いだろ」

陽乃「それもそうね。元々悪いし」

球子「なんっ……コホンッ」

思わず叫びそうになった球子はガタンッっと椅子を揺らしながらも踏みとどまって

咳払い一つで誤魔化す

球子「……それは流石に酷いぞ」


傷ついたというかのような表情を浮かべる球子

陽乃はそれを一瞥するだけで、訂正しようとはしなかった

球子は友達だと言い切ってるけれど

それには同意していないし、受けるとも言っていない

突き放しても、突き放されてくれないのだ

陽乃があまり良く思わないのは当然だろう。

球子「……信じるのはどうしても嫌か?」

陽乃「ついさっきの私の言葉を聞いて、それでも聞くの?」

球子「そりゃ、そう……だけどさっ」

言葉を選ぼうとしている球子の泳ぎそうな視線は、

どうにか逸れることなく陽乃に向けられ続けていて

球子「みんなを信じろとは言わないからさ……タマたちとか、せめて、仲間だけとか」

陽乃「仲間、ね」

球子「ここにいる勇者と……あと、水都。これくらいさ」

控えめながら、やっぱり、寄ってくる


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


陽乃さん、諏訪にいる間に人間不信をある程度克服しないとこの先厳しいだろうなぁ…


はたして信じる心を取り戻せるのか


遅くなりましたが少しだけ


初めは問題があると思っていた陽乃の態度

けれど、そうなるだけの理由があったのだと、

球子は実際に感じたし、身をもって知った。

だから、陽乃に無理強いは出来ない

そうするべきではないとも思う。

千景はあんな状態だし、

勇者は本来、大社の管理下にあって

神託などがあればそれに対処しなければならない。

向こうでは陽乃が人を殺してしまったことで、

いくら陽乃寄りであっても、もう見逃すことはできないところにまで来てしまっている

球子「分かってるよ……そう言いたくなるのも」

信じて裏切られるのが嫌なのだ。

陽乃は力を使えば使うほど体を壊して、寝込むことになる

そんな力を使ってまで守った結果が、あれだったのだから。

誰かを信頼するなんて、出来るわけがない

もし信じて力を使い、倒れてしまった時、その先を頼った相手が裏切れば陽乃は命を落とすことになるだろう。

そうなるくらいなら、信じず、頼らず、自分一人であると覚悟を決めて置いたほうが生存率は上がる。

何かがあったとき、傷つかずに済む。

最期を迎えるのだとしても、なるべくしてなったのと、裏切られてそうなるのとではまるで変ってくる

あいよ


球子「でも、いざって時に助けて貰えなくなるかもしれないぞ」

陽乃「それで死ぬなら……それまでってことだわ」

球子「それを回避できるかもしれないだろっ? 生き続けたいなら、協力した方が絶対に良いはずだっ」

球子が言っていることは正しい

今の陽乃の生き方では、いずれ味方はいなくなってしまう

球子や杏は今でも傍にいるつもりではあるけれど

それもいつまで続くか分からない

陽乃もそうだが、勇者である球子たちは常に最前線だ

明日には命を落とす可能性がある

そんなことを言っても、陽乃は止まってくれないだろうけど……と、球子は顔をしかめる

球子「……水都はどうなんだ?」

陽乃「どうって、何? 信じられるかってこと?」

球子「ん……まぁ、そうだな」


1、貴女達と変わらないわ
2、あの子は嫌いよ
3、人を殺したことは話したわ
4、どうせ、死ぬじゃない
5、何も言わない

↓2

3

1


陽乃「貴女達と変わらないわ」

球子「ほんとかぁ?」

陽乃「嘘をつく理由がないと思うけど」

怪訝な表情を浮かべる球子に対して、

陽乃はさらっと答える

本当に嘘をつく理由がないし、疑われる理由もない

なのに、球子は訝し気で

陽乃は目を細める

陽乃「なに?」

球子「いや……だって、今までのタマ達と同じ対応なら、水都があんな嬉しそうにかかわるとは思えないって言うか」

呼びに来た時の水都を思い返して、やはりそう思う。

杏は最初から陽乃に想いがあったから分かる。

けれど、水都は違う。

何も知らないところから、こんな態度だったのに……積極的

球子「絶対、何かあったろ」

陽乃「何もないわよ……」


↓1コンマ判定 一桁

0、3、6 球子「水都はいいやつだぞ……大丈夫だと思う」 


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから


みーちゃんがここまでヒロイン候補に急浮上するなんて予想してなかったもんなぁ
一方の陽乃さんはだんだん生きる気力すら失せ始めてるけど…


基本鬱気味だから支えになる人間が必要だわな

遅くなりましたが少しずつ


球子「そっか……」

だが、そうとは思えない。

何かがあったのだ

水都が喜んで陽乃に近づくような何か

たとえば……自分のことを信頼してくれたと思うようなこととか。

杏なら、きっとそれで大喜びに違いない。

球子「そうだよな」

陽乃「なに? 不満?」

球子「不満なんて、ないけど」

不満なんてない。

別に全部話す必要はないし、無理に聞き出すつもりもない。

水都は喜べる何かを得られて

自分はその何かを教えて貰えるほどの関係ではないというだけ。

別に、友人と言うわけでもないのだから。

陽乃「土居さ――」

球子「なんでもないって言ってるだろ」

陽乃「何でもないって……」

球子「良いよ別に、話してくれなくたって……タマが勝手に友達だって言ってるだけだもんな……しょーがないっ」

球子はそう言って、

今日はもう帰る。と、病室を後にした

きてたか


陽乃「……なによ、もう」

球子はあからさまに不服そうな顔だった

水都と何かあったのかと疑って、

何もなかったと言い切ったら不満を抱く

球子にとっては何かがあったと断言できる話なのだろう。

事実、陽乃は自分の秘密を打ち明けたわけで、

それは何かがあったと言えるものだ。

けれど、それを伝えなかったから不満だなんて

それはまるで――嫉妬のようではないか。

陽乃「馬鹿、じゃないの?」

恋仲ではなく

ましてや異性でさえないというのに、

別の誰かとの関係を話さなかったからと言って嫉妬するなど

陽乃には理解が出来なかった。

陽乃「貴女が勝手に……友達だって言ってるだけの関係の癖に」

それが分かっていて、あの態度。

……解せない。

陽乃「なによ……だれもかれも、面倒な事ばっかり」


√ 2018年 8月12日目 夜:諏訪

01~10 水都
34~43 杏
87~98 九尾

↓1のコンマ

※それ以外は通常

√ 2018年 8月12日目 夜:諏訪


杏「タマっち先輩と、何かありました?」

夜になって訪ねてきた杏は、

傍らに残されたままだった椅子に座ると、早々に陽乃へと訊ねる

球子は水都となにかあったのかと問い

杏は球子と何かがあったのかと問う

これもまた同じように突っ撥ねたら、

次はどこに連鎖するのだろうかと陽乃は息を吐く

残っているのは、歌野だろうか。

杏「その反応、喧嘩でもしたんですか?」

陽乃「喧嘩するような仲でもないと思うけど」

杏「久遠さんからしたらそうかもしれませんけど、タマっち先輩からしてみればそういう仲だと思いますよ?」

陽乃「私がそう思っていないんだもの。そこに至ることはないわ」

そんなことないと思いますけど……なんて笑みを浮かべた杏は、

陽乃から目を逸らして、手持ち無沙汰な両手を握り合わせる

杏「一方的な喧嘩もあると思います」


杏「タマっち先輩、膨れてました。なんだよって、その辺の小石を蹴り飛ばしそうな感じで」

関係ないと言うと白状に聞こえてしまうけれど

その喧嘩に関わっていなかった杏から見るとそれはちょっぴり愛らしささえ感じそうな姿だった

最初こそ敵対しているような雰囲気だったのに

そんな、ちょっとした喧嘩みたいなことをするようになったのだから

杏としては、悪いけれどちょっぴり嬉しく思う

杏「何か言われて、突っぱねたんですよね」

陽乃「どうしてそう思うの?」

杏「だって、久遠さんはいつもそうじゃないですか」

突き放すようなことばかり。

自分から寄って行こうとしないし、

来るものを拒んで、突き放そうとする

とても "分かりやすい" のだ

杏「……藤森さんとのこと、じゃないですか?」


ここ最近気にしていたことと言えば、

陽乃に対する水都の態度が一番だった。

陽乃のお見舞いに対する積極さ

そしてその時の活気に満ちている雰囲気

良いことがありました! と、明示的なそれが引っかからない人はいないだろう。

陽乃に頼まれて呼びに来た時が一番分かりやすかっただろうか。

杏「タマっち先輩から、藤森さんと何かあったのか聞かれて……関係ないとか言ったとかですか?」

陽乃「それを聞いてどうするの」

杏「そうですね……タマっち先輩を宥めます」

笑みを見せる杏を、陽乃は睨む。

とても楽しんでいるように見えるからだ

球子のあの態度からして、

強く怒っているようには陽乃も感じなかったけれども。



1、似たようなものよ
2、何かあったかと聞かれたから、何もないと言っただけよ
3、貴女も気になるわけ?
4、本当に用事はそれだけ?
5、何も言わない


↓2

ほら番号を選択する権利をくれてやるぞ、ありがたく思え安価下よ

4


陽乃「本当に用事はそれだけ?」

杏「……えぇと」

それだけなら、特別言うこともない。

執拗に詰め寄ってくるのであれば、

水都に関して何もないと言っただけだと話してもいいけれど、

隠すことではないしわざわざ話すことでもない。

他に用事がなければ、

時間も時間だから帰って貰おうかと陽乃が考えていると

杏は少し悩む素振りを見せて、陽乃を見る

杏「もう一つは、その……四国との通信に関してです」

陽乃「それも土居さんに――」

杏「いえ、本当に大丈夫なのかが心配なんです」

陽乃が大丈夫だと言っても

身体に蓄積されたものが大丈夫だとは限らない。

いくら必要なこととはいえ、

無理して欲しくはないと杏は首を振る

杏「総攻撃も控えていますし、可能なら温存して欲しいです」


可能なら、温存して欲しい

そうは言われても不可能な話だ

可能性の話ではあるけれど、

杏と球子がしばらくしたら戦えなくなってしまう可能性がある

そうなった場合、諏訪から四国に戻る旅路を守る勇者がいなくなってしまう。

陽乃の予定通り、

諏訪の結界を壊させ、諏訪に残る理由を無くしてしまえば、

生きていれば歌野も一緒にいてくれるだろうけれど。

陽乃「無理ね」

杏「何か、問題があるんですか?」

陽乃「………」

杏たちが力を使えなくなる可能性があると話したらどうなるだろうか

杏たちのことを心配しているなんて勘違いされるかもしれない

それでまたすり寄ってこられるかもしれない

信じられてしまうかもしれない

2人が勇者でなくなったら生存率が下がるなんて話は、そう言う建前だと切り捨てられてしまうだろう

陽乃「面倒くさい……」


杏「久遠さん?」

陽乃「みんな勝手な事ばっかり言うから」

杏「そうでしょうか……でも、確かに」

自覚してるのかと陽乃が目を細めると杏は笑ってごまかす。

球子は友達だと言うし

杏は杏で、ずっと陽乃に付いて行こうとしている

勝手な事ばっかりだと陽乃が愚痴るのも無理はない

もっとも、

杏たちからしてみれば、陽乃のせいだと言いたいだろうけれど。

杏「通信がこのままだと、孤立無援になる……って思いましたけど元々無縁ですよね?」

陽乃「そうね」

杏「神託の件も、きっと……今のままでは却下だと思いますし」

より一層気を引き締めて戦いに備えるべきだというのもあるだろうが、

陽乃と、杏たちの消息不明

それらの問題があって身動きが取れないはずだ


1、貴女達の無事を伝えられるようにするのよ
2、2人の力が使えなくなる可能性があるのよ
3、諏訪陥落の連絡もできないと困るでしょ
4、何も言わない


↓2

2

1


陽乃「貴女達の無事を伝えられるようにするのよ」

杏「あ……それもありましたね」

杏たちが一切連絡がつかないこと

諏訪にいるとは言うが、通信が不安定なことを理由に証明が出来ていないこと

陽乃の件を起因にして余計なことが出てきてしまっている

通信が回復すれば、それを解決することができる

そうしたら、

陽乃が勇者である杏と球子と敵対して殺してしまった。なんて話がでたらめだと分かって貰える……はずだ。

千景なら九尾の力を理由に疑いそうなものだが。

大社もそうだったら、もう終わりである

杏「確かに、私たちの無事を伝えるのは大事ですね。もちろん、久遠さんの無事もですよ?」

陽乃「私は無事と言うより……位置確認でしょ」

杏「久遠さんが諏訪にいると分かれば、向こうも警戒を解いてくれると思います
   ただ、それでどうにかなってくれるとは限りませんが」

陽乃を含めたみんなが、

諏訪から生存者を連れ帰るという連絡をしたとして

大社は陽乃をどれだけ評価してくれるのか

民衆はただのプロパガンダなどと思わずに信じてくれるのか

千景は、見直してくれるだろうか

杏「ですが、出回っている情報の一つが偽りだったとなれば、それが事実だと断定されていない噂は薄れる可能性があります
   1つが偽りだからと言って、他もそうとは限らないと否定する人もいるとは思いますけど」

もしかしたら、千景はそう返してくるかもしれない


杏はあくまで、陽乃の立場が少しでも良くなってくれないかと考える

そのために自分たちのことを伝えるのは重要だと思うし、

諏訪の生存者を少しでも多く、

生きたまま連れて四国に戻ることが成すべきことだとも思っている。

杏「でも、それで久遠さんがまた辛い思いをするなら……」

陽乃「そこまで負荷はないわ。大丈夫」

杏「久遠さんのその言葉だけは、信じます。って言いたくないですね」

ごめんなさいと零した杏は、申し訳なさそうに頬を染める

陽乃が血を吐いて失神したのを目の当たりにしたのだ

その言葉を鵜呑みにして陽乃がまた同じことになったり

より酷いことになって染むのではないかと心配しているのだろう

杏「……なので、やっぱり、傍に居させてください」

陽乃「傍って、ここに?」

杏「あと、通信を直すときにもです」



1、勝手にしたら?
2、ここは一人にして
3、別に良いわよ
4、何も言わない


↓2

3

3


陽乃「別に良いわよ」

杏「えっ……良いんですか?」

ベッドに横になっている関係上、

右隣に背けなければ杏の顔が見えてしまう

水都と同じように、とても喜んでいる

陽乃「冗談だったなら取り消しも受け付けるけど?」

杏「そんなっ! そんな……そんなこと絶対にしません」

声だけでなく、動きも広く

慌てて手を振って否定する杏を横目に、陽乃は深く息を吐く

陽乃「そう。残念」

杏「……もしかして、藤森さんにもそうやって少し優しくしたんじゃないですか?」

陽乃「またその話? もういいでしょうそんなこと
    それに優しくしたって……身に覚えのないこと言われても困るわ」

杏「そう思っていても、受け取った相手が優しくされたって思うこともあるんです」

陽乃は基本的に突っ撥ねる

寄ってくるなと手で振り払うように、拒絶する

だからこそ、

関係ない、知らない、嫌、断る

そうやって壁を張られることなく、

言葉は冷たくても、

受け入れてくれているような返答は一歩近づけたような感じがして嬉しいのだ


杏「だから、断られなかったのが嬉しかったんです
   一歩だけでも、久遠さんに許して貰えたみたいな感じがして」

陽乃「……そう」

杏「藤森さんにも似たようなことしたんだと思いますよ」

杏はそう言うと、少しだけ考える

陽乃が身に覚えがないだけで

今のように水都が嬉しく思っただけだったのだとしたら、

陽乃には分からないだろう。

球子に聞かれたところで答えられるわけがない

杏「タマっち先輩は適当に宥めておきます」

陽乃「お好きにどうぞ」

杏「タマっち先輩も久遠さんと仲良くしたいだけなんです……出来たら、ちょっとだけ許してあげてください」

陽乃「興味ないわ」

そうは言っても、

時折気を許してくれたような反応を見せてくれる

だから、杏は笑みを浮かべるだけで

それに対しての文句は何もなかった


√ 2018年 8月13日目 朝:諏訪

01~10 球子
34~43 九尾
50~74 水都 杏
87~98 歌野


↓1のコンマ

※ぞろ目 特殊
※それ以外は通常(杏)
※一桁奇数 追加イベント


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから


1日のまとめは明日再開時


単独の杏のターン凄く久々だった気がする
次の日も加えて水都にイベント追加と盛りだくさんだな


みーちゃんと杏が一緒にくるのか?


杏に水都に追加イベント?
一体何が起こるんだ


では少しずつ


1日のまとめ(諏訪組)

・ 白鳥歌野 : 交流有(勇者の理想、特殊1、理由があったら、通信回復)
・ 藤森水都 : 交流無()
・ 土居球子 : 交流有(人は裏切る、みんなと同じ)
・ 伊予島杏 : 交流有(用事、2人の無事、別にいい)
・   九尾 : 交流有(通信回復)

√ 2018/08/12 まとめ

 白鳥歌野との絆 45→48(普通) ※特殊交流1

 藤森水都との絆 62→62(普通) ※特殊交流3 
 土居球子との絆 56→57(普通) 
 伊予島杏との絆 63→67(良好) 
   九尾との絆 64→65(良好)


√ 2018年 8月13日目 朝:諏訪


最近は、もっぱら賑やかなことが多い陽乃の周囲

水都「新しい飲み物用意しておきますね」

杏「そろそろ外出もできるようになりそうかな……」

今日は朝から杏と水都がこの病室にいて、

2人とも、陽乃から離れる様子がない。

どちらか一人がいるから、もう一人は帰るのかと思えば、

平然と居座ってしまっていた。

四国では陽乃の傍にいることは難しかったが、

ここでは陽乃に関しての悪評もないので、気兼ねなく訪れることができるからだ。

もちろん、それに対して陽乃は快くは思っていない

だが、自分では食事もままならないとなれば

手を貸そうというみんなを追い出すことは出来ない。

いや、出来なかったというべきか。

陽乃「……もう、来なくても良いわよ?」

杏「そんなこと言われても、ダメです」

水都「そうですよ。いつ何があるか分からないですし」

杏と水都

特に、水都からしてみれば陽乃は物凄く病弱な女の子だ

ちょっとしたことで悪化し、血を吐く

そのまま暫く寝込んで食事さえままならなくなってしまったりもする。

最悪、命を落としかねないような脆弱さである

両手に花じゃないか


陽乃「余計な事さえしなければ、問題はないわ」

最初はあげることもままならなかった腕は、

自分で食事を行えるくらいには、動かせるようになってきている。

足だってベッドの外に投げ出せる

陽乃個人的には、もう退院したって良いとは思う。

杏「放っておくと、一人でここから出ていきますよね?」

陽乃「そうね」

杏「だからダメです」

水都「車椅子も松葉杖も使わないで出歩こうなんて、途中で倒れちゃったらどうするつもりなんですか?」

陽乃「下手に力を使わなければ、大丈夫よ」

水都「絶対だって言えますか?」

陽乃「そう言ったら、信じてくれるのかしら?」


水都「本気でそう言ってくれるなら、信じます」

杏「あんまり、信じたくはないけど」

不安を露わにする杏と、信じると言い切る水都

杏だって陽乃が心配なだけで、信じられるなら信じたいだろう。

2人とも、陽乃のことを考えていて

その向かう先が違うだけだ

杏「でも、やっぱり……」

水都「だけど、寝たきりでいる必要はないと思う」

杏「だったら、あと1日入院して、明日も調子が良ければ……というのは」

水都「院内なら出歩けるようにしてもいいんじゃないかな」

陽乃「外出許可くらい、取れないの?」

勝手に話していく2人に言葉を割り込ませる

昨日までは本当にままならなかった身体だが、

勇者であり、

少し特殊な状況下にある陽乃は身体の治りが早い

だから、ここまで治ってしまえば

余計なことをしなければ本当に問題はないはずなのだ

水都「でも、何があるか分かりませんから」


1、大丈夫だって言ったでしょう
2、なら分かったわ。二人が連れて行って頂戴
3、明日なら良いのね?
4、何も言わない


↓2

2

2

2


陽乃「なら分かったわ。二人が連れて行って頂戴」

杏「……そう来るんですね」

水都「確かに、私と伊予島さんがいれば何かがあったときにすぐ対応できます」

しっかりとした治療は不可能だが、

ある程度のカバーと応急処置くらいなら不可能ではない。

自由に歩かせられないが、

生きたいところに連れていくくらいならしても問題ないかもしれない

陽乃の体は治ってきているし、

手足がそれなりに動くようになったなら、

絶対安静というのも取り消すことができる

もちろん、だからと言って自由には出来ない

そこを、陽乃は杏と水都に委ねると言うのだ


陽乃「私が心配だって言うなら、2人が見ておけばいいでしょう?」

杏「そうですけど、あの……車椅子に乗って貰えますか?」

陽乃「リハビリで歩くくらいは良いでしょう?」

杏「あまり長く歩かせるのはちょっと……」

行先にもよるが、

長く立ち続けることになったり、歩かせることになったり

体に障るようなことは控えさせたいと杏は言う

その点、

現存している諏訪の行ける場所は殆どがそんな状態だ

屋内なら、問題はないかもしれないけれど

水都「散策はちょっと許可できません。たぶん、お医者様にも同じように言われるかと思います」

治ったけれど、治ったばかりと言うのが正確な話だ。

完治したわけでもなく

途中で膝から崩れ落ちてしまう可能性も、2人は考えてしまう

水都「それと、退院は駄目です。夕方には戻ります」


陽乃「……どうしても?」

杏「ダメです」

水都「もう一日だけ、検査で入院してください」

それを拒むこともできるだろうけれど

そうしたら、連れ出しては貰えなくなるだろうし、

そうなったら結局、入院させられる。

陽乃「……分かった」

陽乃は諦めて頷く

心配しているのは杏たちだし、一方的だ

けれど、動けるようになったばかりで外出許可が貰えると言うのも確かに難しい話だ

そこを2人に連れ出して貰うということで許可されるなら、

その代わりに言うことを聞くのは譲歩だ

陽乃「良いわ。戻る。それでいいんでしょ?」

水都「お願いします」

杏「それで、あの……もしかして通信を直しに行くんですか?」


1、違うわ。外に出たかっただけ
2、そうね……直接対応しておきたいわ
3、諏訪大社に寄っておきたいの
4、諏訪湖に行きましょ

↓2

2

3


陽乃「諏訪大社に寄っておきたいの」

水都「諏訪大社に通信設備がありますよ」

陽乃「あら、そう……でもそっちじゃないわ」

通信を直すには、

まず向こう側にひなたがいてくれなければならない。

その交渉は歌野に任せたし、

歌野が若葉へとその要望をした直後に連れてきて貰えるとは思えない

だから今日は通信を直すのは無理だ

一目見るくらいなら出来るけれど

陽乃「……神様に、会っておきたいわ」

もちろん冗談である

九尾や伊邪那美命は顕現しているが

それはあくまで陽乃の命を削ることで可能としているものだ

それも無しに神々にご拝謁することが叶うとは思っていない


水都「……分かりました」

杏「諏訪大社……白鳥さん達もいるかな?」

水都「うたのんは呼べば来ると思う。絶対」

基本的には畑の手入れに出ているけれど、

定期連絡と襲撃の時には諏訪大社に赴く

今日だって襲撃がなくとも連絡がある為、

お昼ごろには諏訪大社に来ることになるはずだ

水都「ならさっそく行きましょう」

杏「車椅子の準備、お願いしてきますね」

水都「なら、外出申請は私がしてきます」

久遠さんは絶対に動かないでくださいね。と、

杏と水都の二人から強く言われて、仕方がなく頷く


3人いた病室が1人きりになって、静かになる

棚の上に置かれているペットボトルを手に取って軽く握ると

ミシミシと、音がする

陽乃「……震えは、大丈夫そうね」

何度か握って確かめて、

ベッドの外に足を放り出して、軽く動かしてみる

床の冷たさが、なんだか懐かしく感じた

流石に立ち上がるのは控えるが。

足を戻そうとした瞬間――けたたましいサイレンが鳴り響いた。

陽乃「っ……なに、これ」

『襲撃じゃな』

陽乃「襲撃って――」

水都「久遠さん! 上社前宮の方を狙った襲撃です! バーテックスが来ました!」

慌てて駆け込んできた水都は、

そう叫んで、陽乃のベッドに突っ伏すように飛び込む

水都「伊予島さんは先に向かいました……私もこれから放送をかけます
     でも、久遠さんはここに居てください……絶対にです!」


陽乃「ちょ――」

水都は陽乃が止める間もなく病室を飛び出していくと、

丁度、サイレンが鳴り止む

陽乃「襲撃……規模は?」

総攻撃レベルのものであれば、

陽乃も出ていかなければならない

『案ずるな。大したことはなかろう』

陽乃「本当に?」

『偽る理由もない』

九尾は素っ気なく言い捨てる

九尾なら嘘をつく可能性もあるのだが、

陽乃が二度訪ねても問題ないと言うのなら、そうなのだろう。

陽乃「……藤森さんも行くのね」

巫女で、戦闘能力のない彼女は勇者に襲撃の情報を伝えるために出ていった

普段は歌野と共にいるため連絡の必要はないが

今日に限っては歌野と球子とは離れてしまっている

そのための放送を行うと言った水都は、

戦う力がなくともしっかりと役割を果たそうとしている

陽乃「私とあなたが似てるなんて、そんなことないと思うけど」

だから違うと、陽乃は首を横に振った


↓1コンマ判定 一桁

1~4 問題なし
5 球子
6 杏
7~0 問題なし


√ 2018年 8月13日目 昼:諏訪大社


歌野「こっちよ! こっち!」

水都「うたのん……そっちは畑だよね」

先導するように先を行く歌野と、それを引き留める水都

2人を眺める陽乃がため息をつくと、車椅子が少しだけ揺れる

杏「大丈夫ですか? 暑くないですか?」

陽乃「……平気」

陽乃達が来ているのは、諏訪大社の近く

本来なら3人しかいなかったはずの外出が5人になったのは、襲来のせいだ

杏たちは、大きな怪我もなく襲来を戦い抜いて戻って来た

バーテックスの襲来は物量で押し寄せてくるもののため、

ちょっとした擦り傷や打撲はあったけれど

手術や入院と言ったものは一切必要がなかった――が

検査の為に病院に立ち寄った歌野達は

せっかく来たのだからと陽乃に会いに着た挙句

陽乃の外出許可の話を耳にして、付いて行くと言い出したのだ


諏訪大社の中で現存しているのは、上社本宮と前宮の二か所のみ。

陽乃がいる病院……治療院から一番近い本宮の方に陽乃達は来ている。

道中には、お土産物屋さんだったらしい店舗が並んではいるものの、

どれもシャッターが下り切ってしまっていて、閑散としていた

陽乃「ずいぶん、静かね」

水都「そうですね」

水都は陽乃の傍に並ぶように歩きながら、説明してくれる

水都「有事の際の避難場所になっているのもありますが、
    私達が扱う通信設備が配置されているのもあって、あまり近づかないようにしてくれているみたいなんです」

それでも、襲来があった際にはお祈りをしてくれたり、

維持管理のために清掃などを行ってくれたりもしているのだと言う

球子「で、なんでここに?」

陽乃「参拝に……あと、ちょっと気になることもあるから」

杏「気になることですか?」

陽乃「確か、ここにあるわよね? 天逆鉾」

歌野「あめの……何?」

天逆鉾

陽乃の神社でも祭神として崇められていた邇邇芸命が国の安寧の為に用いたとされる矛であり

伊邪那美と伊邪那岐が用いたとされる天沼矛ともされている代物

だが、そのどちらであっても良い

少しだけ――それが気になったのだ

陽乃「ちょっと触ってみたいの」


水都「ほ、本気ですか?」

陽乃「ええ、まぁ」

水都「……」

巫女として従事するようになってからも、

神社の人には触れないようにと言われてきたものだ

水都「止めた方が良いと思いますよ。何があるか分かりません」

水都は陽乃の前にしゃがむと

両手で陽乃の手を包むようにして、目を見つめる

祟りを受けて

陽乃がまた、苦しむことになるかもしれない

水都「ダメです」

球子「そんなヤバいものなのか?」

杏「……ちょっと、怖いものではあるかな」



1、触れる
2、触れない


↓2

1

2


ではここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


せっかく治りかけた所でまた倒れるのはさすがに避けたいから致し方ないな


襲撃何もなくてよかった


では少しだけ


陽乃「はぁ……分かったわ。やめておく」

球子「嫌そうに言うなよ」

陽乃「無理言ったって、どうせ連れて行っては貰えないんでしょ」

杏「そうなりますね」

後ろからの肯定に、陽乃はため息をついて背もたれに身体を預ける

歩こうと思えば歩けなくはない

けれど数日動かせなかったうえに、寝たきりだった体に鞭打つのは

陽乃自身も、先日の悪化もあって控えたかった

だったら素直にうなずいていたほうが今後が楽だ

歌野「ねぇみーちゃん、結局あめのさかほこってなんなの?」

水都「うーん……なんなのって聞かれるとちょっと困るかも」

何があるか分からないから、触らないように。

以前石を投げて罰が当たった人もいる……とか

そういう話をされたくらいで、水都自身もそこまで詳しくはない

というのも、水都はそもそも巫女として見出されただけの一般人だからだ

きてたか


陽乃「日本の神話に登場する、それなりに有名なものよ」

杏「それは国産みで用いられた天沼矛のことでは?」

陽乃「日本神話って言ったら、国産みともう1つ、天孫降臨がすぐに思い浮かばない?」

球子「……浮かばないな」

歌野「知ってるわ! 天照大神が閉じこもる話よね!」

元気よく明後日の答えを言う歌野

そこから目を背けた陽乃は「違う」と、呟く

確かに、天照大神が閉じこもる――所謂、岩戸隠れの話は有名ではある。

国産みと天孫降臨はそれと等しく名前を聞くのではと思ったが、そうでもないらしい。

陽乃「天沼矛と天逆鉾は同じものとされているけれど、前者は国産み、後者は天孫降臨の際に登場しているの
   天沼矛は大地を完成させるために、天逆鉾は国の安定のために。それぞれ用いられたって話がある」

歌野「なる、ほど……?」

水都「分からないなら分からないで良いと思うよ……」

杏「ですが、それは高千穂峰に突き立てられたんですよね?
  聖剣を引き抜く英雄の話の出典として、坂本龍馬のエピソードを聞いたことがあるので、覚えてますっ」

陽乃は少し振り向いて、視界ぎりぎりにも杏が見えないのを確認してから、

小さく頷いて「そうね」と答える


天沼矛と聞いて、国産みのなんたら。っていう回答が来るのは珍しい話ではない。

小学校時代、何かのゲームで登場したとかで男子生徒が騒いでいたし、

そういう部分でも触れられているからだろう。

だが、それがどこにあるかという話になると沈黙する

詳しくはまた変わってくるが、それでも高千穂が出てくるのは、流石と言ったところか。

陽乃「伊予島さんが言ったのは、ただ、国産みではなく天孫降臨つまりは有名じゃない方の話の結末ね
   国産みで用いられた際は、刺したままではなく引き抜かれているから」

球子「それが何か関係あるのか?」

陽乃「国産みで用いられ、それが巡り巡って天孫降臨で用いられた……一振りだったという話と
    国産みで用いられた矛と天孫降臨で用いられた矛は別で、二振りだったという話があるわ」

前者であれば、どちらか一方は偽物と言うことになるし、

後者であれば、どちらも本物と言うことになる

――が、今はそういう話ではない。


陽乃「もし伝承が正しく、かつ、二振りあるならこの諏訪大社にあるのは国産みで用いられた方になるわね
    だから、諏訪大社の天逆鉾とは国産みで用いられた天沼矛ってなるんだけど……」

陽乃は1つ区切って

陽乃「単純に天逆鉾が何なのかって言われると、高千穂に刺さっているのとは逆だからとしか言えないのよね
    持ち手が上に来ているから、刺さり方としては正で、逆じゃないし」

球子「……初めからそれで良くないか?」

水都「そんなことないよっ! 私も知らなかったし」

杏「タマっち先輩は帰ってもいいよ?」

球子「ぬあっ!? そ、そんなこと言わなくたっていいじゃないかっ!」

責め立てられる球子をしり目に、陽乃がため息をつくと

降りかかる陽射しに影が差す

顔を上げると、少し離れていたはずの歌野が目の前にいた

歌野「久遠さん、ありがとっ!」

その笑顔は、陽射しよりも眩しく感じる

他に知っている人がいなかったから

知りたそうだったから

陽乃「……別に」

いや違う――これはただの気まぐれだ


軽く参拝をして……一息つく

陽乃「あなた達、今日は襲撃があったんだから帰ってもいいのよ?」

歌野「大丈夫よ! いつも1人で戦ってたのが、3人になったんだもの」

球子「いやぁ……あの歌野はすごかったな」

杏「凄い勢いで敵陣に突撃して固まってた敵をバラバラにしてくれて、各個撃破を私達がするだけだったんです」

球子「それでも、何度か攻撃くらっちゃったけどな」

歌野は戦い慣れているためほぼ無傷、

球子と杏が軽傷

それが今回の襲撃の結果だ

球子と杏も大規模な戦闘は3度目ではあるが、内2回は奇襲みたいなものだったこともあり、

本格的なものは今回が初めてだ

それでも大したことがなかったのは幸いだが、

やはり、精神的な疲れは残るだろう。

もちろん、陽乃はそれに気遣い必要はないのかもしれないが。


1、帰りましょう
2、ねぇ、通信設備を見せて貰える?
3、おみくじ引きましょ
4、何も言わない


↓2

2

2


陽乃「ねぇ、通信設備を見せて貰える?」

水都「設備ですか?」

歌野「丁度いいわ! 定期報告もあるし、久遠さん達も参加して」

パンっと手を叩き合わせた歌野は、

くるりと回って、陽乃達へと笑みを見せる

歌野「それで、上里ひなたさんを呼んで貰いましょ」

球子「通信、直すのか?」

陽乃「直せるとは限らないわ」

ただ、その準備としてひなたが必要だ

そして、それにはまず若葉に話し、

大社からひなたを取り戻して貰う必要がある

陽乃「でも、すぐにでも上里さんが呼べたなら……確かめることは出来るわ」

通信が直せるのかどうか

九尾は自信ありげだったから……直ればそれで良し

二度手間にならなくて済む

杏「若葉さんも心配していましたから、声聞かせてあげると良いと思います」

球子「なら、さっさと行くかっ」

陽乃「っ……ちょ、ちょっと走らないで!」


√ 2018年 8月13日目 昼:諏訪大社

1,3,5,7,9 イベント(悪)

↓1のコンマ 一桁

※それ以外は通常


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


通信は悪くなさそうだからどこまでうまく繋がるかだな
あと陽乃さんの神話トークが後々関わってくる場面がくるのだろうか


杏もだけど陽乃さんも結構博識だなぁ


久遠さんは巫女だから勉強したのかな
得意分野で饒舌になるのかわいい

では少しだけ


√ 2018年 8月13日目 昼:諏訪大社


境内の奥の方

拝殿との対面に位置する場所に立てられている参集殿

通信設備はそこに備え付けられている。

四国で使っていた物とは多少形は違うが、

殆ど似たような作りになっている無線機は、新しいものではないのか

少しばかり傷ついているのが見える

歌野「ねぇねぇ、久遠さん」

陽乃「なに?」

歌野「さんしゅうでんって、どんなところなの?」

陽乃「別に知る必要がないところ」

球子「またそうやって……」

呆れている球子の呟きは聞こえたものの、

我関せずと言った様子で陽乃は目を閉じる。

陽乃は自分の神社であれば多少なりと詳しいが、

諏訪大社の全てに詳しいかと聞かれると、強く頷くことは少し難しい。

もちろん、有名どころの神社だ。

自分自身、巫女として関わっていたし全くの無知と言うわけでもないが。


陽乃「参集殿は参集殿よ。言葉のまま参拝に来た人たちが集まるようなところ……場所によっては、休憩所も兼ねているけれど
   諏訪はどうだったかしら、神輿が展示されていたと思うけど」

杏「お神輿なら見せて頂きましたよ。今は、戸が閉められているので見られませんが……」

水都「言えば見せて貰えると思いますよ」

陽乃「別に見たいわけじゃない」

参集殿とは、そういう場所だ。

特別語るような場所と言うわけでもないし、大した内容でもない

歌野「なるほどっ、ありがとっ」

それでも歌野は嬉しそうに笑う。

歌野「久遠さんって、やっぱり優しいわねっ」

水都以上に積極的で、力強い

そんな笑顔から……陽乃は目を逸らす。

陽乃「通信始めたら?」

歌野「ふふっ、そうしましょうか」

歌野は突っ撥ねられても上機嫌のまま無線機に触れると、

いつものように操作をして、四国へと通信を送る。

10秒ほど経って、向こうからの応答が返ってきた

歌野「こちら、諏訪の白鳥です。勇者通信を始めます」

『了解。こちらは香川より、乃木だ。宜しくお願いする』


歌野は、まず今日の襲撃のことを伝えた。

今から約1時間ほど前に襲撃

そのバーテックスの規模、結果

みんなに大きな怪我はなく、無事に諏訪を守りきれたことを報告する

『そうか、伊予島と土居の二人は巧く戦えているだろうか』

歌野「ええ、問題なく……おかげで私も余裕が持てるようになりました」

『………』

電子的な乱れはあるものの、声は間違いなく若葉のものだ。

歌野が伝えていないせいで若葉はここにみんながいることなんて知りもしないだろう。

『それで、彼女は……どうだろうか。ちゃんと安静にしているだろうか
 病院から抜け出していたり、自分で出来るなどと無理していたりしないだろうか』

歌野「はい」

歌野は振り返って、陽乃へと微笑みかける

一度危うい状況に陥りはしたが、

それ以降は安静にしてくれているし、病院を抜け出したりなんてしていない。

ここに来てからは良く話してくれてもいる

歌野「久遠さんは安静にしてくれていますよ。明日には退院できるかもしれません」

『それは一安心……だろうか? 治ったら治ったでまた無茶なことをするかもしれないから、気を付けて欲しい
 平気で2階から飛び降りたり、野宿しようとするんだ。できれば誰か傍に置いておいた方が良い』

歌野「ふふっ、考えておきますね」

陽乃「………」

勝手なことを言う若葉に若干の苛立ちを覚えつつもため息で済ませる陽乃の傍で、

押し殺した声で笑う水都はふと、顔を上げて

水都「お話、してみますか?」


1、話す
2、話さない(歌野に任せる)

↓2

※話す場合最安価

1

1


陽乃「そうね……話そうかしら」

ひなたを呼んできて貰わないといけないし

今の向こうの詳しい状況も聞くべきだろうし

陽乃もそうだが二人がいることも伝えなければならないし

ここに居られないなら任せるが、

せっかく同席したのだ、自分で対応した方が良いだろう

水都「うたのん」

水都が歌野の肩を叩く

振り向いた歌野に水都は陽乃を指さして、

その指を歌野に向ける

歌野「なるほどっ」

『なんだ? なにかあったのか?』

きらきらと瞳を輝かせた歌野は、小さく笑って

歌野「大丈夫です。少しこのまま待ってください」

『承知した』

そうして、無線機が陽乃の手へと渡った

陽乃「乃木さん、久しぶりね」

『ん……その声は久遠さんか!?』


1、ずいぶんと勝手なことを言ってくれるわね
2、で? そっちの状況はどうなの?
3、通信設備を直したいの。上里さんは?
4、私のおかげで、暇なしでしょう?
5、こっちは何の問題もないわ。


↓2

1

3


陽乃「単刀直入に言うけど……通信設備を直したいの。上里さんは?」

『設備を直す……? 可能なのか? いや……可能なんだろうな
 それにひなたが必要なのだろうか?』

陽乃「そっちに上里さんがいてくれないと、代替が利かないの」

利かないというか、

そもそも代替の力を通すことさえできない――らしい。

九尾が言っていたことなので、陽乃はそれを基準にしか答えられない

『……そうか』

若葉は疑わない

陽乃が直せるというのなら、直せるのだと信じる

それだけ陽乃の持っている力が特殊だと知っている

自分達には不可能でも、もしかしたら出来るかもしれないと若葉は希望を持てる

陽乃「上里さん、呼び戻せない?」

『難しいな……大社は今少しピリピリしていて私の一存では何とも
 ましてや、久遠さんからの要求だなんて言うわけにもいかないからな』

若葉が困り果てているのが無線機越しでも感じられる


↓1 コンマ

1,3,9 若葉「悪い報告が一つあるんだ」


※それ以外は通常


ではここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


やっと若葉と通信出来たと思ったら早々に悪い話とは…
四国で一体何が起きたのか


嫌な予感が

VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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では少しだけ


『……悪い報告が一つあるんだ』

若葉の声には少し緊張が感じられる

報告があるではなく、悪い報告

聞かなくていいなら聞きたくないような前置きを聞いた歌野達にもその緊張は伝播して

陽乃だけは、ある種の覚悟をしていたおかげか、変わらない

陽乃「要点だけをまとめて頂戴」

『長い話じゃない。たった一言で済む……もうすぐ通信担当が私から大社に切り替わる予定なんだ』

歌野「それは、どういう」

横での歌野の声が向こうにまで届いたのか、

若葉は「白鳥さんにも悪いが」と、答えを返す。

『えぇと……少し事情があって、最初は郡さんになる予定だったんだが、大社が管理した方が良いということになった』

陽乃「そう……」

その少しの事情と言うのは、やはり陽乃のことだろう。

陽乃と共に杏と球子が消息不明になった。

諏訪から杏たちが諏訪にいるという情報は流れてきているが、

大社はそれを疑っている。

陽乃「私が原因でしょう?」

『……まぁ、否定はできない』

通信すらもか…


一番の問題は陽乃が本当に人の命を奪ってしまったことだが、

もとを辿ると、陽乃が伊予島家に訪れることを認めなければこんなことにはならなかった

それを強引に進めさせた、あるいは黙認した若葉が責任を追及されたのかもしれない

だとすれば、ただ通信係を外されるだけとはならないはずだ。

陽乃「そうなると、上里さんを連れてくるのは無理じゃないかしら」

『大社から派遣される通信担当をひなたにして貰えるように交渉を試みてみよう
 まぁ……今の私の立場的に難しい話かもしれないが』

歌野「乃木さんの立場……って、どういうことですか? 勇者としての立場は変わらないはずですよね?」

『それは問題ない。しかし、なんだ……伊予島達がそこにいるとしても独断専行を黙認してしまったから
 勇者を纏められないだろうということで、リーダーから降ろされることに……』

陽乃「なるほど」

ぼかしてはいるが、

杏たちの独断専行ではなく、やはり、自分の件が問題なのだろうと陽乃は心の中で呟く

若葉は暫定のリーダーだった。

それは実績があるからというものでもあったが、

陽乃の暴走と杏たちの独断専行

それらの黙認

リーダーから降ろされるには十分すぎたかもしれない


『従って阻む選択もあったが、自分で選ばなかったんだ
 元々分かっていたことだし、久遠さん達が悪いわけじゃない』

杏「若葉さんがリーダーではなくなるとなると、次は誰が?」

球子「普通に考えれば友奈じゃないか?」

陽乃寄りではない人を選ぼうとすると千景しかいないが

コミュニケーションの取りやすさと

千景や若葉達をまとめるとなると……友奈になるだろう

『新しいリーダーに関しては、想像もつくだろうが高嶋友奈が務める
 白鳥とは通信することはないかもしれないが……することになったら、宜しく頼む』

歌野「ええ、任せてください」

歌野は頷くと、表情に影を落とす

諏訪には大社の手が及んでいない

もしも及んでいたらどうなっていたのか

『とにかく、そういうことだ
 ひなたに関してはどうにか努力してみるが……明日、明後日でひなたが出なければだめだったと思って欲しい』

陽乃「……分かったわ」

『久遠さん、くれぐれも無理はしないで欲しい』

陽乃「する気はないわ」

『いいや、貴女はする。してしまう人だ』


若葉の断言に陽乃は不服そうに顔をしかめたが、

それを見ることが出来たのは、隣にいた歌野だけ

歌野は小さく笑って、陽乃から目を逸らす。

歌野から見ても、陽乃は優しい人だ

突っ撥ねるし、非協力的

けれど、ちゃんと優しい所はあると、思っている

『今のところ、こちらは襲撃される恐れはないとみている……が、すまない。
 以前話した通り、そちらに救援を送る予定はない。これ以上は誤魔化しも聞かないからな』

陽乃「元々誤魔化せていないでしょう。無駄なことはしなくていいわ」

若葉は通信係から外されただけでなく、

リーダーの任まで解かれた

これ以上、大社にたてつくようなことをしてしまうと

陽乃と同じような目に遭わないとも限らない

それは、得策ではない

『承った』

若葉がそう言うと、しばらく静かになって

歌野は無線機に触れると、首を横に振る

歌野「そろそろ時間ですね。乃木さん、また明日」

『ああ、無事を祈る』


√ 2018年 8月13日目 夕:諏訪

01~10 歌野
34~43 杏
87~98 九尾

↓1のコンマ

※それ以外、九尾除く全員


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


若葉がリーダーおろされちゃうとはな……


リーダー降格とか罪悪感半端ない…
派遣保留も結局ダメそうだしますます辛い状況だな


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から

連絡乙です

VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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では少しだけ


√ 2018年 8月13日目 夕:諏訪


約束通り夕方に病院へと戻って来た陽乃の周囲には、まだみんながいた。

通信担当の変更と、若葉のリーダー解任

四国内での変化は確かに悪い報告だった

友奈がリーダーとしてどうなのかなんて陽乃達には分からない

杏たちほどではないかもしれないが、

友奈もどちらかと言えば陽乃寄りの考えだ。

もっと正確に言えば中立の立場だろうか。

例の事件以降、友奈と陽乃は接触していない為、

友奈が今も陽乃に寄り添ってくれるとは限らないが。

杏「若葉さんならまだどうにかお話できていましたが大社からの派遣となると、報告のみしか許して貰えなさそうですね」

球子「報告のみ、簡潔にお願いします。とか、言われるんじゃないか?」

歌野「そうね。そうなるかもしれないわ」

歌野はそう言うと悩ましそうに顔を伏せる

歌野「明日か明後日、上里さんが通信に出られなければ……通信を直すのは無理、よね?」

陽乃「無理ね」

九尾がひなたがいなければ出来ないと言ったのだから、

それ以外に方法がないか、

そうでなければやる気がないか

いずれにしても、通信を回復させることはできない。


通信が不安定になりつつあることは大社に報告済みだろう

若葉はきっと、通信を安定させるには巫女が傍にいた方が良いと提案する

陽乃が通信回復をしようとしているなんて言葉はつかえないだろうから、それしかない。

ひなたがその場にいるなら、何か策を弄してくれるはずだけれど

残念ながら、ひなたがそこにいるとは思えない。

水都「勇者様じゃなくて、大社の……何か関係ない人が担当になるなら
   勇者様と円滑に情報共有するためにも、勇者の誰かに近しい巫女が傍に控えてるってことはないかな?」

陽乃「だとしても、上里さんが選ばれるとは限らないわ」

寧ろ選ばれない可能性が高い

巫女としての適性が高いのはひなたとされているが、

勇者を見出したとされる巫女はひなた以外にもいる

今いる子だと、友奈と千景

こっち側に杏たちがいることを考慮するなら、その二人の巫女もいる

若葉からの要求だからと、あえてひなたを選ばない可能性もないとは言えない


大社が本当にそんな感情優先な判断をするかはともかく

陽乃とかかわりがある若葉の抑止力として

陽乃に害されたら問題がある貴重な巫女として

ひなたは大社に預かられることになった

陽乃がいないとしても、

若葉が陽乃達のように身勝手なことをしないように

ひなたを自由にしないというのは、あり得るのだ

球子「どうするんだ?」

陽乃「どうにもならないわよ」

ひなた云々ではなく

諏訪にいる以上は、向こうのことに関しては何もすることができない。

若葉が通信担当なら口は出せる

けれど、それも無くなるならもう打つ手も出す口もない



1、ねぇ、諏訪の結界を壊すのはどう?
2、2人はさっさと向こうに戻ったら?
3、ところで、私は退院したらどこに行けばいいの?
4、面倒くさいわね、向こう
5、何も言わない

↓2

3

3


陽乃「ところで、私は退院したらどこに行けばいいの?」

球子「あ~……そう言えばそうか」

明日には退院予定だ

今まではずっと病院にいればよかったが、

退院した後はこの部屋には戻ってこられない。

……戻ってくることになるかもしれないけど。

杏「普通に私たちと一緒ではだめですか?
  今、空いている家を宿舎として借りていまして……まだ、久遠さんが使える部屋はありますし」

水都「うん……それが良いと思う。かな」

歌野「………」

陽乃「へぇ……」

空いている家を喜ぶわけにはいかない

それだけ人が減ったということだから

だが、勇者が共同で生活しているのは悪くない話だ

向こうも寄宿舎だったが、

ここにおいても有事の際に連絡が取りやすいのはありがたい

なにより、こっちでは勇者同士での連絡可能端末がないため

一度居場所がつかめなくなると大変だからだ

↓1 コンマ判定 一桁


1,8,0 歌野「いっそ、私達みんなで同じところに住むのはどうかしら」

※ぞろ目特殊


では遅くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから


うたのんのナイス提案
みんなとの信頼を深められるチャンスだな


諏訪同居編スタートだな

ふと思ったけど次の日が8月最終日のはずだけど明後日までってことは延長あるの?


遅くなりましたが、少しだけ


杏たちが使っている家と

水都、歌野が住んでいる場所は少しだけ離れている。

今までは陽乃が絶対安静で入院していたために、

その世話係として会う理由にもなっていたが、これからは傍に杏たちがいる。

ここに来てからそれなりに街歩きをしているだろうし、

案内役だって杏たちで務まるだろうから、それだって必要なくなる

――それなら。

歌野「いっそ、私達みんなで同じところに住むのはどうかしら」

水都「う、うたのんっ!?」

歌野「その方が効率良いでしょ?」

球子「って言われてもなぁ……あの家、5人もいられるか?」

杏「1人1部屋にしなければ良いだけだと思うよ。今のタマっち先輩となら、私、同じ部屋でもいいし」

笑いながら "今の" を強調した杏に詰め寄る球子

けれど、歌野と水都の目は陽乃へと向けられる

陽乃「なに?」

歌野「久遠さんって、神社のことに詳しいわよね?」

陽乃「だから、なんなの?」

歌野「通信設備もあるし、みんなで諏訪大社の参集殿の一室を借りて過ごすのはどうかと思って」


陽乃「完全に共同生活? 本気で言ってるの?」

球子「おーなんか部活みたいで面白そうだな。遠征合宿みたいな感じで」

杏「勇者の集まりなら、勇者部かな?」

歌野「巫女なみーちゃんは、私たちのマネージャーね!」

球子と歌野はもちろん、杏までかなり乗り気なようだ

水都はと言うと、

歌野の突拍子もない発言に困惑してしまっている

陽乃「貴女は?」

水都「私?」

自分を指さす水都に陽乃は眉を顰める

他に誰がいるというのか。

水都「私は……久遠さんが迷惑じゃなければ」

陽乃「中立に一票ね」

5人中3人はもうやるつもりでいるから、

多数決的に、やるほかなさそうだが。


1、私は嫌よ。勝手にやって頂戴
2、良いわよ。別に
3、プライベートがないのは嫌だわ


↓2

2

2


陽乃「良いわよ。別に」

どうせ拒否したって、杏たちがいるところに行くことになるだけだ。

通信のこともあるし、

諏訪大社の本宮なら、最後の砦となる場所

陽乃の目的は諏訪の結界が破壊されることだから、

結界の要である御柱がある本宮に住むのは、むしろ願ったり叶ったりである

全員一緒と言うのは、ネックだが。

水都「久遠さんは嫌がると思った」

陽乃「どうせ、断れないだろうし……乗っておいた方が気が楽だもの」

水都「そうですか……そう、ですよね」

ちょっぴり困り顔な水都

歌野と球子は完全に意気投合しているし、

杏も、その輪に混ざっている

水都の味方は……今はいなそうだ

陽乃「貴女は白鳥さんと二人きりの方が良かった?」

水都「えっ? あ……う~ん……そんなこと、ない。かな」


以前の水都だったなら、ほかの人達と一緒なんて嫌だった。

歌野が自分以外の誰かと親しくしていること自体、

もやもやしていたかもしれない。

けれど、今はそうならない。

歌野と球子たちが仲良くしてて、盛り上がってて、

そのテンションの高さに困ることもあるけれど、

同じく困っている人がいるから……ちょっぴり安心する。

なにより、

今は一緒にいたいと思う人がいるから。

水都「伊予島さん達も優しいし……久遠さんも、心配だし」

陽乃「もう明日には退院できるのよ? 心配なんて」

球子「若葉も言ってただろ。無理するって」


杏「久遠さんから目を離せない気持ちは分かるよ」

歌野「乃木さんから言われたからね。勇者部のマネージャーとして、みーちゃんにはしっかり管理して貰わないとね」

水都「勇者部って、決定なの?」

球子「国立勇者学校、勇者部所属土居球子!」

歌野「そして私が、県立勇者学院、勇者部所属白鳥歌野!」

元気よく、高らかに。

無駄な動きまでつけて見せる二人に、あきれ顔の杏と水都

水都「もー……なにそれ」

国立だとか、県立だとか。

適当なこと言っちゃって、存在もしない部活を名乗っちゃって

歌野「どうかしら?」

陽乃「私に聞かれても困るわ」


杏「あはは、でも。勇者部って言うのもちょっと面白いよね」

球子「だろ?」

勇者達が集まる、勇者部

マネージャーとして巫女も所属してるとか。

こっちではそんなユニークな話も出来るけれど、

向こうではそんなこと言えない

そんな、悠長なこと言っていられない。

友奈は乗るだろうけど、若葉と千景は断るだろうし、

千景は陽乃がいることを、絶対に良く思わない

陽乃「好きにしたら?」

諏訪でなら、しててもいい。

陽乃は関与する気はないが

陽乃「とにかく、参集殿を利用するならその手続き……は省けるかしら?
    その準備くらいはしておいたほうがいいんじゃない?」

歌野「そうね。みーちゃん……と、私も一緒に話した方が良いわよね?」

水都「そうだね。いた方が話が早いと思う」

勇者部の部長はどうする?

なんて球子の呟きは、無視された


√ 2018年 8月13日目 夜:諏訪

01~10 球子
12~21 水都
34~43 杏
56~65 歌野
87~98 九尾

↓1のコンマ

※それ以外は通常
※ぞろ目特殊


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから


ここで西暦時代版の勇者部の誕生か
これが色々と逆転のきっかけになってくれるかな


5人部屋?
部屋割り?

では少しずつ


√ 2018年 8月13日目 夜:諏訪


みんながもう眠ってしまったかのような静寂に包まれた治療院

実際には、夜勤を担当してくれている医者と看護師を除けば

陽乃しかいないだけである。

この静けさも、明日にはなくなってしまう

明日からは、参集殿の一室を借りてそこに全員で寝泊まりする予定だ

入浴等の設備などは少し離れた場所にあるが、

屋内から向かうことが出来るため、旅館のようなものと思えばいい

陽乃「……はぁ」

若葉がリーダーから外されることは、想像の範疇だった

度重なる陽乃への肩入れ、球子と杏の独断の黙認

それらによる、民間人への被害

いつかは起こり得たことが、死者が出たことによって早まったのだろう。

久遠陽乃と言う存在が明確な敵として大衆に認知された以上、

大社は陽乃を放置することはできないし、肩入れしていると取られるような曖昧なことはしてこない

そうでなければ、人類存続の為に絶対的と言える統率が不可能になるからだ。


バーテックスは大量虐殺を行って見せた、人知を超えた超常の化け物

対して、陽乃は一見したらただの少女

人柱となるお役目を投げ出し

バーテックスを手引きしたとまで言われる久遠家の生き残り

人々が、手を出せない異形の代替として敵視するには十分すぎるものだ。

陽乃は正直、それについては気にする気はない。

逃げたのは事実で、

人を殺してしまったのも事実で、

それを憎み恨む人々に自分の存在を認めて欲しいとも思わない。

彼らが陽乃の働きに手のひらを返したとしても

陽乃はそれを喜ばない

陽乃「………」

横向きに寝返りを打つと、

布団が引っ張られて空気が入り込んでくる

水都は、それでも――なんて言っていたけれど

それ以外の諏訪に生きる人々は、どうだろうか。


1、今日は休む
2、九尾を呼ぶ
3、イベント判定

↓2

2

2


陽乃「九尾……ちゃんと、ここに居る?」

九尾は潜んでいるとどこにいるのか分からない。

基本的には影に同化しており、

話しかけたりすると影を狐の形に変えたり

陽乃が知っている誰かの姿を借りたりして外に出てくるが、

時々、いないこともあるらしい。

『何用じゃ』

陽乃「貴女が何も言わなかったってことは、少なくとも上里さんは害されてないってことでいいのよね?」

『ふむ……そうじゃな』

ひなたは巫女としての適性がある優秀な子だ

それを差し引いても、若葉の抑止力として残しておくはず。

だが、何かされていないとも限らない。

陽乃「なら、出そうと思えば出せるはずよね?」

『くふふっ、きゃつらがそのようにすると思うかや?』

陽乃「思ってないけど」



1、諏訪大社はどう? 私がいても平気そうだった?
2、ねぇ、諏訪大社にある天逆鉾って、私が触れたらどうなる?
3、白鳥さん達を死なせない方法、考えてくれない?
4、上里さんに干渉できないの?


↓2

1

1

2


陽乃「諏訪大社はどう? 私がいても平気そうだった?」

『ほう?』

陽乃「神様によっては、自らが治める地に踏み入られたくないって思う相手もいるはずよ
    特に、私みたいに穢れた身ならなおのことね」

陽乃の身が穢れていることもそうだが、

仮に同じ神格であったとしても神様同士の対立は存在する

その場合は同じだからこそとも言えるかもしれないけれど

陽乃「場合によっては私、祟られるでしょ?」

『そうじゃな……相容れぬのならば、排除すべく祟られ朽ちることもあろう』

天井の暗闇が、揺らぐ

窓の外から流れ込む白んだ月明かりによって産み落とされた陽乃の影が混じっているのか、

狐の形こそしていないが、そこからは九尾の気配が感じられた

『じゃが、諏訪大社に入っても体調を崩すことはなかったであろう』

陽乃「ええ、まぁ」

『ならば問題はなかろう』


陽乃は諏訪を守る気がない

結界を破壊させ人々の隠れ潜む場所を奪わせようとしている。

神様であれば、陽乃が抱えている穢れも、

抱え込んでいる危険な存在も、

諏訪の破滅を目論んでいることも

全て分かっているはずだ

それでも、弾かれない

――諏訪崩壊は決定事項だからかもしれない

『不安ならば身を清めてみればよい。我らの神社はすでに失われたがここにもそのための場所はあったであろう?』

陽乃「斎館のこと? お湯が出るようになっちゃってるみたいだけど、機能してると思う?」

『妾に問うでない』

陽乃が巫女として神社での催しに参加していた時にも使っていた斎館と呼ばれる施設

本来は神事を行う際に身を清める場として用いられたりするものだが、

諏訪大社の斎館は入浴施設へと若干の改装が行われたらしい。


陽乃「……最悪、内側にある手水舎を使って水浴びするか、諏訪湖を沐浴のための場として使うか」

諏訪湖は結界の中に含まれているというだけで

それをするような場所ではない

だから、最悪の場合だ。

陽乃「神楽殿も使えると良いのだけど」

『巫女舞でもするつもりかや?』

陽乃「……舞い方を覚えていたらね」

力を使うこと

それ自体が憑依――神がかりであるならば、

巫女舞をすることによって、その影響を最小限に抑えられるかもしれない

正式に言えば、巫女神楽

それを奉納することによる、ただしい手順での神がかり

陽乃「少し、試してみたいことがあるの」

『余計なことはせぬ方が良かろうに』


陽乃「巫女神楽は天逆鉾のように不確かな遺物ではないのよ?」

『だとしても、主様に影響があろう?』

あるかは分からない。

ある可能性は低くはないけれど、

少なくとも、天逆鉾に触れるよりは確実に良い影響がある。はず。

とはいえ、

今の疲弊した体で巫女神楽を最後まで治められるのかは、微妙ではある。

回復したのは傷であって、体力ではない

陽乃「藤森さん達に知られたら、絶対に止められるわね」

『じゃろうな』

悪態をつくように返した九尾は、

天井に広がる影を巨大な狐の形へと変貌させて、陽乃を見下ろす

『死にたくないのであろう? 生きていたいのじゃろう? なれば、無理はすべきでは無かろう』

陽乃「ええ……分かってるわ」

陽乃は目を瞑る。

生き抜くことが、陽乃の目的だ

壊れ切っていて、

誰しもが憎み、恨んでいる……そんな世界で生きている意味があるのかは、分からないけれど。


1日のまとめ(四国組)

・ 乃木若葉 : 交流有(ひなたについて)
・上里ひなた : 交流無()
・ 高嶋友奈 : 交流無()
・  郡千景 : 交流無()

√ 2018/08/13まとめ

 乃木若葉との絆 62→63(普通)
上里ひなたとの絆 56→??() 
 高嶋友奈との絆 52→??()
  郡千景との絆 21→??()


1日のまとめ(諏訪組)

・ 白鳥歌野 : 交流有(諏訪大社、通信設備、退院後、別にいい)
・ 藤森水都 : 交流有(お出かけ、諏訪大社、触れない、退院後、別にいい)
・ 土居球子 : 交流有(諏訪大社、退院後、別にいい)
・ 伊予島杏 : 交流有(お出かけ、諏訪大社、退院後、別にいい)
・   九尾 : 交流有(陽乃と諏訪大社)

√ 2018/08/13 まとめ

 白鳥歌野との絆 48→50(普通) ※特殊交流1

 藤森水都との絆 62→65(良好) ※特殊交流3 
 土居球子との絆 57→59(普通) 
 伊予島杏との絆 67→70(良好) 
   九尾との絆 65→66(良好)


√ 2018年 8月14日目 朝:諏訪

01~10 杏
11~20 球子
21~30 水都
31~40 歌野

↓1のコンマ

※ぞろ目 襲撃
※それ以外は通常(全員)


では少し中断いたします
再開は21時頃を予定しています

一旦乙

ではもう少しだけ


√ 2018年 8月14日目 朝:諏訪


退院当日の朝

昨日よりもずっと軽い目覚めに、陽乃は深く息を吐く

手も、腕も、足も、しっかりと動かせる

布団の重みも気にすることなく寝返りを打つことができるし、

払い除けることだって簡単だ

陽乃「……それで?」

上半身を起こし、ベッドの上半分を傾けさせながら

陽乃は傍らにいる歌野へと声をかける

目を覚ます前から、歌野はそこにいたようだ

歌野「ほら、久遠さん退院でしょ? 一緒に居ようと思って」

陽乃「朝は検査だし、出るのはお昼になるわよ?」

歌野「ええ。分かってるわ」

にこやかに笑う歌野に、陽乃は訝し気な視線を向ける

何か企んでいるのだろうか。なんて


歌野「身体……は、本当にもう大丈夫そうね」

腕を動かし、握り拳を何度か作ってみる

ベッド脇に足を降ろすのも、昨日よりずっと楽に出来た

陽乃「ええ。もう車椅子なんていらないわ」

歌野「私達としては、久遠さんにはあともう一日くらい車椅子を使って貰いたいわ」

陽乃「迷惑をかけるのに?」

歌野「あのくらい、腐葉土を積んだ台車を押すよりもずっと楽よ」

歌野はそう言うと、

自慢だとでも言いたげに袖を巻くって、腕の筋肉を見せる

農作業を日常の一つとしている歌野は

同年代と比べて、筋力がある

それがあったからこそ、3年間を戦い抜けたのかもしれない

歌野「触ってみる?」


1、嫌よ。気持ち悪い
2、はぁ? なんで
3、突く
4、何も言わない

↓2

3

4


陽乃は何も言わず、

ただ一目歌野を見ただけで、背ける

歌野「そんな、冷たい態度とらなくたっていいじゃない」

陽乃「何言ってるのよ」

寂しげな歌野の声色からは嘘っぽさはないが、

無駄な明るさが、お茶らけているように感じる

触ってみてと言うなんて、

それほど自信があるのだろうとは思うけれど、

それは親しい相手に向けるべき言葉だ

歌野「久遠さんは、身体を触らせてくれたじゃない」

陽乃「必要があっただけの話……今の貴女に触れる理由がないわ」


歌野「……そう」

陽乃「それで? なんの為にここに来たの?」

歌野「久遠さんがここに居るから、かしら?」

悪戯っぽさもない、歌野の表情

陽乃は見抜こうと目を細めるけれど

歌野の顔色には照れくささが増すばかりで、塗り替えられてしまう

歌野「そんなにじーっと見つめられると、流石に照れくさいわ」

陽乃「貴女が何か企んでいるんじゃないかって、思っただけよ」

歌野「企むことなんて何もないわ。それこそ、理由がないでしょ?」

そう聞かれても、陽乃は肯定することしかできない。

疑おうと思えばいくらでも疑うことは可能だ

しかしながら、そこに確固たる証拠が出せないのなら、

それはただの推察……それに満たない、妄想

だから聞かれても困る

妄想をあえて口にしてみるのも、ゆさぶりとしては有効かもしれないが。


1、私達は友人でも何でもないのよ?
2、ほかの人達が、何か余計な事やっているんでしょう?
3、農作業は良いの?
4、少し歩くわ。手を貸して

↓2

2

2


↓1 コンマ判定


奇数 陽乃「貴女しかいないなんて、おかしいもの」

偶数 歌野「何もないわ」


ではここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思いますが、可能であれば22時頃から少しだけ


陽乃さんようやく退院かー
あとは同居生活でどこまで仲良くなれるかだな


四国に戻るまでの体力が心配だなぁ


では少しだけ


陽乃はしばらく歌野を見つめると、

小さく息を吐いて、首を横に振る

陽乃「ほかの人達が、何か余計な事やっているんでしょう?」

歌野「何にもないわ」

にこやかな笑顔は嘘っぽい

というわけでもないけれど……やはり何かありそうで

けれど、陽乃はそれ以上追及する気はなかった

陽乃「そう。まぁ、別にどうでもいいけど……」

あれだけ一緒に居ようとしていた杏と水都がいないこととか、

農作業があるはずの歌野がその代わりにいることだとか

気になる点はあるけれど、何か仕掛けてくるというのなら力づくで排除するのみだ。

九尾が大人しいなら、とりあえず命の危険はないだろう。

歌野「そうそう。参集殿の使用許可は難なく下りてるから
   退院後はまず参集殿の借りた部屋にみんなで集合したいわ」

陽乃「今はもう使っていない場所だし、簡単に許可が下りたでしょう」

歌野「ええ。勇者様方のためならって快く開いてくれたの。かなり広い部屋……えぇっと、30畳くらい?」

やったぜ


参集殿の一室は、何か理由がなければ和室である

30畳……は誇張と言うか、適当だとしても、

恐らく20畳以上の広間だろう

参集殿はそのまま人が集まる場所なため、大人数が入ることができるように設計されているはずだからだ。

それに加えて、一般的な家屋の20畳と違ってキッチンだとかお手洗いだとか

そういうものを含まないものであり、よりいっそう広く感じられたに違いない

歌野の30畳が勘違いでなければ、5人には広すぎるまである

歌野「久遠さんは、布団で寝るのも平気?」

陽乃「ベッドだろうと布団だろうと、体育座りだろうと……寝ようと思えば寝られるわ」

歌野「体育座り……?」

疑問符の浮かぶ歌野を横目に、

身体を這いあがってくる悍ましい感覚を思い出して、陽乃は身震いする

あれは慣れない。

我慢は出来るが、したくはない。


↓1コンマ判定 一桁

奇数 歌野「向こうでのこと……聞いてもいいかしら?」


歌野「………」

歌野は、何かを言いたげに陽乃へと視線を送るものの

陽乃が目を向けると、気まずそうに笑う。

言いたいことがあるなら言えばいいのにと陽乃は思うけれど、

それを口にはしない。

そのせいか、

少しばかり居心地の悪い空気になって――ノックが空気を叩き割る

「久遠さーん」

軽いノックの後に聞こえてくる声

当たり前のように答えると、

今日の検査を補助してくれる看護師が入って来た

「あぁ、歌野ちゃん」

歌野「あ……検査の時間かしら?」

陽乃「ええ」


歌野「そう……じゃぁ、私ここで待ってるわね」

陽乃「ついてきたりはしないのね」

歌野「流石に、邪魔になっちゃうでしょ?」

検査結果を聞くとか

どこかに出かけるという話ならついて行くこともあるが、

検査室に行く、検査をする

そういう話なら、無理について行っても邪魔になるだけだ

歌野「久遠さんは大荷物もあるわけじゃないから、飲み物とか、簡単に荷物をだけ纏めておくわ」

陽乃「任せるわ」

見られて困るものも何もない

念のためにと歩かせて貰えず、

車椅子に乗るのだけ歌野に手伝って貰い、陽乃は検査へと向かう


もちろん――すぐに分かる結果においては、何の異常もなく退院が可能になった



√ 2018年 8月14日目 昼:諏訪

01~10 通信

↓1のコンマ

※ぞろ目 襲撃
※それ以外は通常(全員)



では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


一人で野宿は大変だったもんな…
新生活はどうなっていくのだろうか


ウキウキお泊りハウスだな


では少しだけ


√ 2018年 8月14日目 昼:諏訪


また後日、念のために健診を受けに来て欲しいというお願いこそあったが

無事に退院となった陽乃は、退院する時間になって合流した歌野以外のみんなと共に

諏訪大社の一角、参集殿に来ていた。

勇者達にと宛がわれた部屋は、実際には24畳ほどのものだった

もちろん、それでも広すぎるのだけれど。

陽乃「ずいぶんと……立派な部屋を与えられたわね」

水都「参集殿の中では、一番広い部屋だそうです」

どうせ、今ではそこまで大広間は使われないから

だからいつも頑張ってくださっている勇者様に開いてしまった方が

神様も、人々も、参集殿も、

みんなが嬉しいだろうとのことらしい。

杏「朝はすみません。ここのお掃除とか……やっておきたくて」

陽乃「別に気にしてないけど」

水都「えぇっと、その……神社の人がやってくれるって言ってくれたんですけど
   さすがにそこまでお世話になるのもなって思って、あの……」


気にしていないと言ったのに、

なぜだか取り繕おうとする水都を一瞥して、

陽乃はゆっくりと座布団に腰を下ろして、畳みを指で押す

畳独特の匂いと感触

子供の頃は、この畳の跡が指先につくのが変に面白かった――なんて

どうでもいいことを思い出してしまう

――普通は、使っていない部屋も掃除してあったはず

なんてつつくのは、意地悪だろうか。

球子「ベッドはないからな? 全部敷布団だ」

陽乃「別に平気よ」

球子「もしあれなら……シュラフもあるぞっ」

陽乃「平気だってば」

バサッっとシュラフと呼ばれた何かを広げて見せようとした球子を無視する。

あからさまに、気遣われている。

陽乃はもう万全に近いと思っているが、

それでもみんなからしてみれば病み上がりの仲間だ

あの惨状を目の当たりにしてしまった以上

気遣うなというのは無理な相談なのかもしれない


1、通信しないの?
2、あんまり気遣わないで
3、じゃぁ私……散歩に行くから
4、私、ちょっと斎館に行くわ
5、少し体を動かしたいわ。誰か付き合って


↓2

2

4


陽乃「私、ちょっと斎館に行くわ」

球子「なんだそれ」

水都「身を清めるために使う建物のことだよ」

水都の簡単な説明に頷く球子だけれど、

聞いた話を全部わかっているわけではなさそうだ

杏「何かするんですか?」

陽乃「沐浴をするのよ。別に貴女達はついて来なくていいから」

杏「そんな……」

突っ撥ねるような陽乃の物言いに、

杏は悲しそうな顔を見せたけれど……グッと飲み込む素振りを見せる

杏「斎館って、どこにあるんですか?」

歌野「えっと……?」

水都「うたのんは知っててよ~」


参集殿の中からも直接行くことのできる、すぐ近くの場所

それを聞いてか

杏は安心したようにほっと息を吐くと陽乃を見る

杏「近くなら、大丈夫です」

陽乃「なによ……」

歌野「目を離してる間に何かあったら怖いじゃない?」

みんなからの陽乃のイメージ的には、目を離せないほどの病弱さだ

遠くに行くなら是が非でもついて行くと言いたいが、

すぐ近く

それも、家の中の移動くらいの距離なら……少しは安心できる

球子「すぐに体調崩すからな。放っておくわけにはいかないだろ」

陽乃「力使わなければ大丈夫だって分かってるでしょ?」

水都「でも、あの……悪化しちゃいましたし」


それを言われてしまうと、困る

原因は水都だったが、

あの時は力を使っていなかったから、

力を使っていなくても安心はできないと思わせてしまったのだろうし

陽乃はそれを振り払うことは出来ない

歌野「何かあったら、恥ずかしがらずに大声で呼んでね?」

陽乃「何もないわよ」

悪化した時みたいに、興奮したりするようなこともないだろうし

力だってきっと、使わずに済むはずだから

陽乃「白鳥さんは通信があるでしょ? 上里さんが出たら呼んで頂戴」

歌野「ええ。任せて」

歌野が頷くのを見て、陽乃はゆっくりと立ち上がる

すぐにカバーしようと周りが動くのも気にせずに、一人で立って歩く

陽乃「じゃぁ、行ってくるから」


↓1コンマ判定 一桁

13 水都
69 杏

※ぞろ目特殊


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


諏訪での待遇が全体的に四国とは段違いだ…
そして杏も一緒に沐浴行くのかな


みんな優しいなぁ


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から

乙です

では少しだけ


杏「あ、待ってください。やっぱり私も行きます」

陽乃「貴女が来てどうするのよ」

杏「沐浴……ですよね? 私も一緒にしようかと」

杏のことだ

陽乃の言った沐浴が普通の入浴とは違うことくらいは分かっているだろう。

本当に沐浴がしたいとかではなく

単に陽乃が行くからついて行こうという考えだろうか。

どちらにしろ

陽乃が断ったところで体の弱さを指摘して付いて来るはずだ

陽乃「勝手にしなさい」

杏「勝手にしますっ」

部屋を出て左側の通路を進む。

杏は本当に後ろからついてきて、斎館まで辿り着く


斎館の一部は説明があった通りに多少の改装が施されていて

勇者達が使う部屋にはない調理場や入浴用の施設などが使い勝手よく整備されていて、

神聖さは少々失われているように感じられた

杏「珍しい、ですか?」

陽乃「別に……本来の使い方が必要無くなっただけでしょ」

完全に普通のお風呂場となり果てている、沐浴に使われていたであろう部屋に入る

水も出せるが、お湯を出せるようになっていて

シャワーと、浴槽と……

陽乃が知っているところとはまるで違う

陽乃「貴女もやるの? 意味はないと思うけど」

ただ体を綺麗にするのではなく、

しっかりと身を清めるために行うものだ

巫女である水都ならともかく、杏は別に関係がない


杏「神様の力をお借りしている以上、身を清めるのは大事なことかもしれませんし……
  それで親和性が高まってより力をうまく、強力に扱える可能性もありますから」

陽乃「……私の惨状を知ってて、よく言えるわね」

杏は陽乃の呟きが聞こえたものの、

小さく笑う程度で、特には何も言わなかった

その笑みは少し罪悪感が感じられたけれど、

陽乃もまたそれに対しては何も言わない。

杏が勝手に感じているものだ

大方、陽乃にばかり負担をかけてしまうことになるから

少しでも強くなれればそれでいいとでも考えているのだろう……なんて考えてるのかもしれないとは、思うけれど。

だからと言って、それには苦言もない。

そうしたいなら、したらいい

他の勇者が力を突ければ、必然的に陽乃の生存率は上がるからだ

もっとも、千景に関しては……強くなられると怖いが。


1、諏訪の生活はどう?
2、諏訪の結界、壊すって言ったら止める?
3、無駄なことはしない方が良いわよ
4、何も言わない


↓2

1

遅くなりましたが、本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から


先進むためにもそろそろ結界壊す相談したいがどうだろ


杏もかなり責任感じてるのもあるかもな
とりあえず一緒に温まろうか


すみませんが本日もお休みとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから

乙です
明日の更新に期待

遅くなりましたが、少しだけ


陽乃「諏訪の生活はどう?」

杏「諏訪の生活……ですか?」

陽乃「別に話したくなければ言わなくていいわよ」

無駄についてきたのだから、

ただただ、黙っているのも居心地が悪い

1つや2つ、話くらいはしたってかまわない

杏「あ、いえ……その」

杏は、まさか陽乃から話題を振られるとは思っていなかった

振られたとしても

あまり、良くない話をされるのではとも思った

陽乃が好んで嫌な話をするとは思っていない杏だが

しかし、無理についてきた自分を追い返そうと

そんな話をしてこないとも限らなかったからだ

来てたか


陽乃「この前、少しは話を聞いたけれど、貴女自身としてはどうなの?」

杏「簡潔に言うなら、とてもいい場所だと思います」

この前話した通り、

物資の不足感は拭えないが、

人々はみんな優しく温かい人たちだ

物資が不足しているからと奪い合うのではなく

だからこそ、協力し合って補おうとしている

これもすべては、白鳥歌野と言う勇者が成し遂げたことだろう。

本当に、凄いことだ

杏「このままここで生きていけるのなら、それが一番だって思うほどです」

特に、陽乃にとってはこれ以上ない環境だ

醜聞の一つもなく

体調とバーテックスにさえ気を付けていれば、

安心して暮らすことができる

杏「凄く、惜しい」


諏訪が失われる以外に道がないことが

ここから出て、また、あちら側に戻らなければならないということが。

杏には帰りを待つ両親がいる

けれど、あの二人だって陽乃が心安らぐ場所で生きていけることを望んでいる

自分達の行いで、より陽乃の立場が悪くなってしまったこと

それを凄く悔やんでいるから

だから、もし、諏訪がこのまま永遠に続いていくなら

そこで暮らし続けるという決断をしたとしても

両親は杏を咎めたりはしないはずだ

杏「どうにかして、ここを残す方法がないか調べてますけど……どうにも」

犠牲がなければ難しそうな気がしてならない

人身御供

それこそが、神々に対する人間が行える最大限の助力ではとさえされているからだ


杏「はっきり言って、久遠さんはここで生きていくのが一番いいって思います」

陽乃「ここで死ねって?」

杏「老衰と言う意味なら、そうです」

戦って死ぬでも、

結界が消えて蹂躙されるであろうこの土地と心中しろと言うでもなく、

ただ、本当に

普通に生きて……全うして死ぬことができるなら

ここで生きていくべきだと、杏は本当に思う

杏「みんな優しいです。温かいです……久遠さんを、傷つける人なんていないんです」

誰も裏切ろうだなんて考えない

みんながみんな協力し合って生きていこうとしている

だから、ここでは人を信じられる

杏「ここでなら、信じてもいいんです」



1、何言ってるのか分からないわね
2、そう。
3、でも、消えるのよ
4、悪いわね。私はここを守る気はないの
5、何も言わない


↓2

2

2


陽乃「そう」

杏「そう、ですよ」

強要はしない

押せば陽乃は応えてくれるかもしれない

けれど

それはただ投げやりなだけで、信頼とは言わない

杏「久遠さんだって、今のところ悪いとは思ってないですよね?」

陽乃「さぁ? どうかしら」

歌野も水都も

ややお節介なところはあるが、向こうでの人々のような感じはしない

以前は友人だったあの子のような感じも

だから――そう、突っ撥ねる必要はないのかもしれない

けれど、だとしても。

陽乃「考えたこともないわね」


杏「なら、これから考えてみてください」

時間はきっと、殆ど残されていない

でも、まだもう少し

総攻撃が行われるまでは、時間がある

多少の襲撃ならば、

以前から戦い続けてきた歌野と杏と球子の3人もいれば対抗できる

だから、その分も。

杏「ちなみに、私達はもう……久遠さんを信じてますから」

陽乃「………」

自信満々に

はっきりと言って見せる杏は、笑顔を浮かべている

決して謀っているわけではないと示すようなその表情に

陽乃はあいまいな表情を浮かべて、顔を背けた


↓1コンマ判定 一桁

0,3,5,7,9 杏「ところで、身を清めるって具体的にどうしたらいいんですか?」


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


こう考えると結界をわざと壊すより出来うる限りこっちで暮らす選択肢もありな気がしてきた
そして陽乃さんの清めのレクチャーにちょっと期待


久遠さんのお清め講座だな

今日は大丈夫だろうか

復旧したってよ!

では少しだけ


杏「ところで、身を清めるって具体的にどうしたらいいんですか?」

陽乃「別に大したことはしないわよ」

陽乃はそう良いながら、

バスタオルが置かれている棚に触れる

本来は、違うものが置かれていたはずだ

陽乃「見ればわかるけど……ただのお風呂になっているでしょ?」

杏「そう、ですね」

陽乃「普通と違う点といえば、浴槽に溜めるのは水にするくらいかしら」

杏「それだけ、ですか?」

陽乃「それだけしかできないのよ。ここに残ってるものだとね」

沐浴の際に羽織るものもなければ、榊だってここにはない

普通に衣服をまとわずに汚れを流して

沐浴……という程度になるだろう

一週間長かった…


陽乃「正直、ここまで出来なくなってると水じゃなくてお湯でも問題なさそうではあるわね」

杏「……」

浴槽を一瞥して、

着替えを入れる棚を見る陽乃を、杏は黙って見つめる

陽乃はもともと神社の娘だ

歌野には詳しく説明していたし

もちろん、このお清めだって詳しく知っているだろう

けれど陽乃は、簡単にやることくらいしか言わなかった

確かに、方法を聞いただけなのは聞いただけなのだが

杏はちょっぴり……歌野を羨む

杏「あの、久遠さん」

陽乃「なに? 水が嫌なら、出ててくれていいのだけど」

杏「それは、えっと」

もともと体の弱かった杏

サウナはもちろん、水風呂なんて未経験だ

今の体なら耐えることは可能だろうけれど、怖くないといえばウソになる

けれど、杏は首を振る

杏「それは……大丈夫です」


杏「お清めの方法、本来はどのようにやるんですか?」

本当は、お清めの方法ではなくてもよかった

けれど陽乃は普通の話をあまりしない

杏たちから一方的に話すことならできるが、

自分から好んで会話はしてくれない

それなのに、歌野の疑問に関しては詳しく話してくれたのだ

だから、同じように

陽乃の方から積極的な話をして欲しいと……杏は少し、望んでみる

陽乃「その話、必要?」

陽乃が小学生の頃は装束を用意していたし、榊だってあったし、

祝詞を唱えることもあったし……

いろいろと手順を踏んだりもしていた

けれど。

今はそれらができる状況にはないし、説明の必要があるとは思えなかった


1、知る必要のないことよ
2、そんな無駄話するためについてきたわけ?
3、簡単なことよ。神聖な泉に身を置くことで汚れを取り除くのよ
4、何? 何か、気に入らないことでもあるの?


↓2

3

3


陽乃「簡単なことよ。神聖な泉に身を置くことで穢れを祓うの。
    もちろん、泉でなければいけないなんてことはないわ。川だっていい」

杏「身を置くだけでいいんですか?」

陽乃「身を置くのが重要なんじゃなくて、流れがあることが重要なのよ」

穢れを洗い流すというのが一般的かもしれないが、

人が生まれ、老い、死にゆくこと

仏教にもある、輪廻転生もまた、流れによるものである

陽乃「手水舎は、あなたも知っているでしょう?」

杏「あ、はい。あれも身を清めるためにあるんですよね?」

陽乃「ええ……その手水舎だって、ずっと流れ続けているでしょう?」

止めている場所もあると聞いたことはあるが、

あれは本来、止めていいものではない

陽乃「流れることは祓うということであって、その場に留めてしまうと払われずに穢れがたまっていくことになるからよ」


杏「小さいころ、体が弱くて初詣とかはできなかったんですが
   神社に行ったときにお水もったいないなって思ったことがあるんですけど……意味があったんですね」

陽乃「そうね」

陽乃は一息ついて、

身に着けていた衣服のボタンをはずしていく

陽乃「私のところでは沐浴の後に榊で払ったり、祝詞を唱えたりもしていたわ」

杏「祝詞なら、唱えられるのでは?」

榊を扱うのはともかく

祝詞に関しては陽乃のところで奉っている神々に対するものであるため、

信仰の対象が違うこの場ではいささか不適切だといえる

陽乃「信仰対象が違うから駄目よ。天の神と地の神が一番わかりやすいかしら
    あんまり……ううん、すごくよくないわ」

杏「そうなんですね……」

陽乃「だから、ここではただ清めるだけ。わかったらさっさと済ませるわよ」


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


杏の質問にきちんと答えてくれる陽乃さんの隠しきれない良い人感
このまま気軽に話せるような関係にもっていけるといいな


こうしてると姉妹みたいなだな
杏ちゃんの妹感がすごい


遅くなりましたが、少しだけ


杏「……冷たっ」

陽乃「向こうで同じことをやるなら、きっと……この比ではないはずよ」

足の指先を軽く触れさせるだけで小さな悲鳴を上げた杏をよそに、

陽乃は気にすることなく、冷水の中に身を置く

人工的に調整された浴槽の中の水は体感的に冷たくは感じるが、刺すような冷たさがあるほどにも感じられない

向こうにいる巫女がどのようなお清めを行っているのかは知る由もないが、

神樹様としている大木か、その周囲

とにかく大社保有の土地として禁制としている場所には自然が多く

当然ながら、聖域として身を清められるような場もある

それが自然由来の冷水――正しくは霊水と呼ぶべきものであるなら

今杏が悲鳴を上げているものとはまるで感じるものが変わってくるはずだ

陽乃「無理に入れとは言わないわ」

杏「い、いえ……頑張ります」

陽乃「清めは頑張るものではないのだけど」


陽乃は後ろで頑張ろうとしている杏に体を向けると、

少しずつ体を慣らそうとしているその姿に、眉を顰める

滝行もそうだが、そのことに努めようとする意識がある時点であまりうまくいかない

やり終えた後に、頑張った。なんていう達成感があるのもおかしな話だ

それがあったとしたら、成功ではなく失敗であると陽乃は思っている。

本気でやる必要のない――一般の人は、別にそれで何の問題もないけれど。

陽乃「無駄な考えも、力も、何一つ持たずに行いなさい。貴女は何をするためにここに来たのよ」

杏「……えぇと、それは」

言い淀む杏の視線は、さっきまでのように陽乃を見ていない。

何も身に着けていないことを気にしているわけではないだろう

何か後ろめたいことがあるのかと少し顔をしかめはしたが

陽乃はすぐにいつもの無感情さを表に引っ張り出す。

陽乃「貴女が何をしたくてここに来たのか、私は聞く気はないし言ってくれとも思わない。ただ自覚して欲しいだけ
   それと……それが身を清めることなら雑念は捨てるべきだし、そうではないなら私の邪魔にしかならないから出て行って貰いたいわ」

杏「……すみません」

影の差した顔、悲しそうな声

杏の露骨な様子から目を背けた陽乃は、くるりと身を翻して背中を向ける


水都もそうだが、杏も大概である。

向こうにいた時から、恩人だから……というだけでやたらと構ってきてはいたが、

ここに至っては、水都と歌野の影響もあってかさらに押しが強くなったように感じる。

ついて早々に吐血して意識不明になったり、

治りかけの時にまた悪化したりと、一方的かつ不可抗力だったとはいえ心労をかけた結果だろうか

陽乃「……」

背中に触れる水が揺れる

陽乃の横を通って、波紋が渡っていく

少しずつ、入ってこようとしているのだろう

最初は悲鳴を上げていたのに、今は微かなくぐもった吐息くらい。

手で押さえても、我慢していることに変わりはないけれど。

陽乃の体調が不安なら、

別にこの中にまで入ってくる必要はない

外で待機して、何か危うげな雰囲気があったら中に飛び込めば済むことだから。

それはきっと、建前にしかならない。


1、無理する必要はないのよ?
2、どうしてそこまでするの?
3、私に関わったところで、貴女が損をするだけよ
4、さっきの話だけど……私は信じるつもりなんてこれっぽっちもないわ
5、何も言わない

↓2

1

2


陽乃「……ねぇ。どうしてそこまでするの?」

杏「え?」

陽乃「この前のことを気にしてるなら、気にする必要はないわ」

陽乃の評判をどうにかしようとした杏の両親の助力

それによって起こった惨劇

結局、陽乃の評判は悪くなっただけだった。

もしもそれの責任を感じているのだとしたら、陽乃は別に必要がないと首を振る

あの場に連れて行こうとしたのは杏の両親だが、

それを引き受けたのも

あの場で騒動を起こしたのも、ほかでもない陽乃だからだ

陽乃「あれは、私が自分で選んだ結果よ」

陽乃がそう続けると、

杏の動きが水面を伝って肌に触れる

冷水の中に置いて熱を帯びた体の、水に触れていない部分に水が跳ねて少しだけひやりとする


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


今更だけど復旧してよかった


杏の反応やいかに


陽乃さんの態度にだんだん軟化の兆候が出てきてる気がする
もう一息かな

では少しだけ


杏「あの件は……本当に申し訳なかったと思ってます」

杏は絞ったような声で言う。

股下のあたりにまで迫っている水の冷たさに身震いしながら、

同じものを感じているはずなのに、身じろぎ一つしない陽乃の背中

白鳥歌野を含めてなお、勇者の中でも二番目に背の高い陽乃の背中は、

こう言っては失礼だが、女の子らしくはない。

神々の力を借り受けることで、そのままでも超人的な力を発揮することができるのに、

陽乃は当然のように鍛えてしまっているからだ。

ただそれも、まだ寄宿舎にいたころと比べると、少し衰えたように見えるのが痛々しい。

その引き金がこの前の一件であり、そこには杏も深くかかわっている

だから……罪悪感は抱かざるを得ない

杏「……久遠さん、体はもう、大丈夫ですか?」

陽乃「大丈夫だから、こうして貴女には辛いことも平気でしているのだけど」

杏「そう、ですよね」

陽乃の反応は、基本的に冷たい

今こうして足を踏み入れている冷水のように、人によっては拒否してしまいたくなるようなものがある

けれど、陽乃は聞けば応えてくれる

最近も、やっぱり距離を置こうとしているようなそぶりは見せるけれど

近づいた距離を突き放したりしようとはしない。

勝手にしたらいい。と、我関せずというように見逃してくれる。

しかし――それでも陽乃は心を許してくれたようには感じられない


↓1コンマ判定 一桁

1,3,5 杏「な、仲良くなりたいですっ!」


杏「……一緒にいられるのは嫌ですか?」

陽乃「はぁ?」

杏「だって……」

杏の声が途絶える

水面が揺れることもなくなって

杏が微動だにしなくなったのだと陽乃は察して少しだけ前へと進む

静かに体を回して、振り返ると

下ろした手から垂れるタオルの半分ほどが水面に浮いてしまっていた

それさえ、杏は気づいていないようだ

陽乃「貴女……」

つい最近も、杏はそばにいたいと言ってきたばかりだ。

拒絶したって無駄だからと勝手にしたらと答えたけれど

杏はそれでも嬉しそうにしていたし、

そんな態度でさえ、優しくした。などと言っていた

正直に言わせて貰えば

いや、何度も言っているように――一緒に居られても迷惑なだけだ



1、嫌と言ったら離れてくれるわけ?
2、そこで引き留めるような人間じゃないわよ? 私は
3、ええ。迷惑だわ
4、好きにしたらいいじゃない。ついてくるも離れるも。貴女の自由よ


↓2

1

4

2


陽乃「好きにしたらいいじゃない。ついてくるも離れるも。貴女の自由よ」

杏「でも……」

陽乃「私がどうして欲しいかなんて、貴女たちには散々伝えたはずだわ」

ここに来てからも

ここに来る前も

何度も伝えたはずだった

なのに今ここに一緒に来ているような状態なのに。

奥歯がかみ合って、音が鳴る

冷たい水に晒されたことによる発熱以外の熱量が奥底から湧き上がってくるのを感じる

陽乃「ここまで……」

心以上に体は正直に揺れる

穏やかだった水面が慌ただしく波打って

鏡写しのように見えていた自分の顔が見えなくなる

陽乃「ここまで来たのは……私に拒まれても踵を返さなかった貴女の意志じゃなかったの?」


↓1コンマ判定 一桁

2,4,6 ぞろ目 特殊

※それ以外通常

はい


杏「私の……意志です」

陽乃「だったら、一緒にいられるのが嫌かどうかなんて関係ないでしょう」

杏「……」

陽乃は怒っているかのような表情ではあるけれど

怒鳴ったりはしない。

無理についてきているのに

最初はそれに不満を言っていたのに

拒んでいたのに

なのに、この……突き放す絶好の機会を

陽乃は説得に費やした

陽乃「……馬鹿なの?」

杏「すみ、ません……」

悲しいことなんて一つもない。

ただ、心には余るほどに嬉しかった

その収まりきらなかった分が――瞳から零れ落ちてしまった

杏「私……その……だって……」

陽乃「そのままだと冷えるだけよ。邪魔だから出ていきなさい」


杏「……すみません」

陽乃「謝られても困るわよ」

陽乃はそういうや否や、また杏へと背中を向けてしまう

けれど、杏は今度はもう無理をせずに水のたまった浴槽から出て

暖かいシャワーを自分の頭からかけ流していく

陽乃は出て行けと言ったりするけれど、

ここぞという場面では離れるように言わなかった

だから

無理をしなくても陽乃は二度と来るなと突き放したりはしないと思ったからだ

何より。

今の言葉はとても優しく感じた

陽乃「……」

陽乃はそんな杏を横目に見て、ため息をつく

これは――間違いなく失敗だ


√ 2018年 8月14日目 夕:諏訪

01~10 杏
11~20 球子
21~30 水都
31~40 歌野

89~98 九尾

↓1のコンマ

※ぞろ目 襲撃
※それ以外は通常(全員)


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


今作は杏が凄くヒロインしてるなぁ
陽乃さんももっと素直になってあげて欲しい


杏コンマ弱いのが玉に瑕

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すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから

乙ですー
お昼楽しみに待ってます

では少しずつ


√ 2018年 8月14日目 夕:諏訪


襲撃もないまま、諏訪には平和な時間が流れる

夕方になって日が傾き始めると、

ただでさえ静かな場所がより一層静まって感じる

神社だからか、その静けさは厳粛さがあった

陽乃「……」

陽乃にとっては、それこそが日常だった。

生まれてから、あの時まで

陽乃に寄り添い続けてきた空気

神々の御力に満ち満ちているかのような、厳かな空間

そして――陽乃が奪われたもの。

陽乃「ん……」

参集殿の一室

使う人間がいなくなってからも清潔に保たれていた小さな和室で一人になっていた陽乃は

足音が近づいてきたのを感じて、顔を上げた

水都「久遠さん、ここにいたんですね」

来てたか


陽乃「なに? 立ち入り禁止だった?」

水都「いえ、大丈夫ですよ」

陽乃を含めた勇者たちに居住区画として貸し出されたのは一部だが、

ほかの部屋には立ち入ってはいけないなんて言う制限は設けられていない

陽乃達の要求であれば本殿の奥にだって入れてもらえる

水都「えっと、例の話聞いてますか?」

陽乃「例の話って? 分かると思う?」

水都「あの……向こうの通信担当のおhなしです。上里さんを呼んで欲しいっていう」

陽乃「ああ……駄目だったんでしょう?」

聞かなくてもわかる

もしひなたが呼ばれていたなら、

歌野が陽乃に声をかけてきてるから、

その時に水都が呼びに来ていたはずだからだ

そうならなかった時点で、今日の通信にひなたは参加しなかったということだ

水都「はい……一応、乃木さんではあったんですが、ひなたさんは呼べなかったそうです」


陽乃「乃木さんだったのね」

水都「あ、はい……ただ……」

水都は言いよどむ。

この前の時点で若葉が言っていたことだけれど、

通信担当は若葉から別の人に代わってしまう。

今日はまだ平気だったが

水都「明日、正式に切り替わるそうです」

陽乃「そう」

水都「明日、上里さんを連れ出せなければ無理ですね」

陽乃「そうね。乃木さん何か言ってなかった?」

水都「……おそらく無理だって言っていました」

今日無理だった時点で

可能性はほとんどないかもしれない

陽乃「まぁ、でしょうね」



1、そういえば、貴女って巫女として何かしているの?
2、その時はそのときね。諦めるしかないわ
3、神託はどう?
4、何も言わない


↓2

1

3


陽乃「藤森さん、神託はどう?」

水都「えっと……すみません」

水都は、巫女としての力を与えられただけで、

もともとは一般の女の子でしかなかった。

だからというわけではないが、

本当に……ギリギリにしか神託を受けたことがない。

水都「今のところ神託はなくて……その、やっぱり、襲撃がある直前くらいにならないとだめだと思います」

神社に来たからと言って

神託がすぐに来てくれるわけではない

水都は申し訳なさそうに頭を下げる

陽乃は神社の娘だった

けれど、今は巫女というよりも勇者側の立場で

神託を受ける役目は水都に任されている


陽乃「別に、責めるつもりはないけど」

水都「すみません」

水都はもう一度頭を下げる

陽乃は謝れだなんて言っていないし

言葉は水都を責めるようなものでもない

けれど、水都は勇者のみんなに申し訳ないと思う。

ないものねだりではあるけれど

陽乃のように、正しく巫女として生きていた人がいたら

もっと適性のある人が他にいたなら、

ちゃんと神託を受けて、みんなの助けになれていたはずだと思うからだ

直前にしか神託を受けられないのは、

自分の力不足のせいだと……水都は思っていた


↓1コンマ判定 一桁

0、2,4,8 水都「あの……お願いがあります」

みーちゃん相変わらずコンマ強いな


水都「あの……お願いがあります」

陽乃「なに?」

水都「私を巫女にして欲しいんです」

陽乃「貴女は巫女でしょう?」

水都「そうですけど、そうじゃなくて」

水都は陽乃のいる部屋の中に一歩踏み込む。

電気がついていないせいで、外からの明かりしかない暗い部屋

陽乃の瞳の光を感じて、少し怯んでしまう

水都「あの……巫女の修業的な、鍛練的な……そういうことをしてもらいたいんですっ!」

陽乃「私が、貴女に?」

水都「……はい」


今の諏訪には、それができるような人が残っていない。

資料のようなものがあるにはあるけれど、

それだけで素人がどうにかしろというのは無理があった。

水都「それっぽく巫女装束を着てはいますけど、それくらいで……」

陽乃「穢れを祓ったりは?」

水都「体を綺麗にしてはいます」

陽乃「それだけ?」

水都「……お、お祈りとか」

お祈りというか、参拝だろうか。

しっかりとお金を投げ入れていたら所持金が底を尽きる―あって意味あるのかはともかく―ため、

基本的にはお金を入れていないのだけれど

陽乃「祝詞は?」

水都「えっと……」


1、無理。面倒だわ
2、自力でどうにかしなさい
3、教えてあげたとして、見返りは?
4、3年間で何をしてきたのよ
5、何も言わない


↓2

1

4


陽乃「3年間で何をしてきたのよ」

水都「それは……」

何をしてきたのかといわれると、水都ははっきりと胸を張れなかった

歌野はすごく頑張っていたけれど

水都はそれについていっていただけ

巫女に選ばれたからと言って、特別何かをしてきたわけではなかった。

だから。

水都「ごめん、なさい」

陽乃「謝ってどうするのよ」

水都「だって、私……何にも……」

お清めと呼ばれるものだって、

ただ体を綺麗にするくらいしかしてこなかったし、

陽乃が言った祝詞なんて、唱えたこともない。

言葉では知っているが、それだけ


水都「全部、うたのんがやってきてくれたんです」

水都が何もしなくても、歌野がやってくれていた

水都が何もしなくても、

ほかの誰かが何か困るなんてこともなかった。

ただ、襲撃が起こる直前になって神託を受けて、

どの方向に向かえばいいのかとか

規模がどのくらいなのかとか

それがわかるくらいで。

水都「私、思えば何にもしてこなかったんだって――」

陽乃「貴女が役立ったか、立ってないかなんて私はどうでもいいの」

水都の話を遮って、陽乃は眉を顰める

陽乃「巫女としての勉強とか、それらしいことをしてきたのかって話」

水都「……む、難しい言葉ばっかりで」


正直に言って、何にもわからなかった

巫女になるための参考書なんてものは諏訪には存在していなかったから、

神社にある小難しい書物に目を通したくらい。

何も、頑張っていなかった

水都「全然、勉強とかできてません」

陽乃「それで、自分が役に立ってないとかよく言えるわね」

水都「っ……」

陽乃「……」

何かを頑張っていれば、

役立たずだなんて思う必要もなかったかもしれない

それをせずに自分を卑下するなんて無駄もいいところだ

水都「だ、だから……その、経験がある久遠さんにお願いしたいんです」


1、お断りよ
2、時間があるときだけよ
3、難しい書物ってどこにあるの?

↓2

2

2

1


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから


みーちゃん弟子入りするのか
陽乃さんの鍛練とかなんだか過酷そう


圧迫面接みたいになっちゃったな笑

では少しずつ


陽乃「はぁ……時間があるときだけよ?」

水都「全然大丈夫ですっ」

陽乃「もう……」

杏も杏だし、水都も水都だ

杏に関しては……確実に追い出すチャンスを棒に振ってしまったけれど、

こうやって自分から離れて行きたくなるような態度をとっても、

離れて行ってはくれなくて。

……そこでもう一歩追い払うことが出来ないのも悪いのかもしれない。

水都「お願いします」

陽乃「どうして……」

水都「はい?」

陽乃「なんでもない」

陽乃はため息をつきながら水都から顔をそらして、

目の前のテーブルにふて寝する

肩のあたりまで伸びている髪がさらりと流れていく


部屋の中が暗いせいか、

どこか鬱屈としたものを感じる陽乃の雰囲気

杏と一緒に沐浴に向かって、

帰ってきたかと思えば、一人で出て行ってしまったし

いや、団体行動をあまり好まないから、

単独行動自体は別におかしいことでもないけれど。

水都「……あの」

陽乃「なに?」

水都「巫女のお勉強を教えてもらう代わりって言うと、あれですけど……」

なんていえばいいか。

マッチポンプ? のような感じがする

水都がそんなことを考えていると

陽乃からの視線を感じて、はっと顔を上げる

陽乃「まだ何かあるの?」

水都「えっと……わ、私に何かできることありますか?」

陽乃「急に何?」

水都「お礼です。お礼……私のお願いを聞いて貰うので、久遠さんのお願いも何かあればと思って」


1、何もないわよ
2、なら放っておいてくれない?
3、別に見返りなんて求めてないから
4、察してくれればそれでいいわ
5、何も言わない

↓2

5

2


陽乃「なら、放っておいてくれない?」

水都「っ……」

陽乃「私が望んでることなんて、わかってるでしょ?」

水都「……」

陽乃の声は、怒りを感じるものではない

けれどそれは確かに拒絶で、触れることのできない冷たさがあって。

水都は立ち尽くしてしまう

陽のが動く微かな服の擦れる音だけが聞こえる室内

やがてそれさえもなくなって静寂に包まれると、

少し離れたところにいるみんなの、声が聞こえる

水都「……わ、わかりました」

それは駄目なんて言えない

それは嫌なんて言えない

水都は答えて……でも、足は引けない


↓1コンマ判定 一桁

0 またはぞろ目 特殊


水都「あのっ」

陽乃「まだ何かあるの?」

水都「……私は……久遠さんのこと……」

水都はそこまで言いかけて、ぐっと飲みこむ。

放っておいてといわれてしまった。

それでも……と、踏み込めない。

踏み込んだ方がよさそうな気がしても、

お願いを聞くという流れで拒絶されてしまっては、

さすがにもう――

水都「すみません。巫女の件は……お願いします」

陽乃「……」

それだけ言って、

水都は踏み込んだ一歩を引き返して、部屋から出ていく

陽乃はそれを目で追うだけで、

遠ざかっていく足音を聞きながらゆっくりと目を閉じる


水都が言いかけたのは、きっと、本当に言いたかったことだろう。

けれど陽乃はそれを聞く気はないし、聞きたくもなかった

聞いたからって何かができるわけじゃない

言って貰えたからって何かを返せるわけでもない。

陽乃「……なによ」

杏も、水都も

陽乃が拒絶していることなんてわかっていることのはずなのに、

どうして……辛そうな顔をするのか。

陽乃「馬鹿じゃないの……?」

聞く相手もいない、暗い部屋

陽乃は独り言ちて、ため息をつく

部屋が静まり返っているから、どこからともなく球子や歌野の声が聞こえてくる

陽乃「はぁ……」

陽乃はため息をついて、仰向けに体を倒す。

畳特有の匂いに包まれながら、深呼吸をした


√ 2018年 8月14日目 夜:諏訪

01~10 杏
11~20 球子
21~30 九尾
31~40 歌野

↓1のコンマ

※それ以外は通常

√ 2018年 8月14日目 夜:諏訪


夕食を終えた後も、

陽乃は一人で部屋を出ていく。

誰かにかかわることもなく、

黙々としている姿を球子達は気にしていたけれど

なかなか声をかけられなかった

陽乃「……」

すっかり暗くなった外

陽乃達を除けば生活している人のいない参集殿は

一部以外の電気は消えている

真っ暗な通路は神聖というよりも、おどろおどろしい雰囲気に満ちているが

陽乃は気にすることなく歩く。

暗く静まった神社の空気感は、陽乃にとって慣れ親しんだものだ



1、九尾を呼ぶ
2、一人で過ごす
3、外に出る
4、イベント判定


↓2

3

3


陽乃「……ふっ」

小さな埃、小さな虫

軽く吹き払って……陽乃はすぐそばの外につながる扉を開く。

古い日本家屋めいたつくりの参集殿

ぎしぎしと軋んだかと思えば、はめ込まれたガラスががたがたと音を立てる

蒸し暑い空気は少し不快

人一人が出られるくらいの隙間を開けて、陽乃はそうっと外に出る

近くにあった外履きはちょっぴり古ぼけていたが、

履けないようなものではなかった

陽乃「……変な感じ」

しっかりと扉を閉めてから進む。

歩きなれない、諏訪大社の本宮

出てきたのは社務所側の出口、

すぐ左手には蓮の葉が並ぶ蓮池がある


まっすぐ行けば、本宮に設置されている御柱の一つがあり、

その近くには御沓石と呼ばれる諏訪七石があって、

その傍らに……陽乃が触れようと考えた天之逆鉾がある。

陽乃「……」

けれど、正直言って暗すぎてすぐ目の前の足元が見えるくらいでしかない

下手に歩けば、躓いたり池に落ちるかもしれない

陽乃の神社なら、

目を瞑っていても問題ないけれど。

ここはそうとはいかなそうだ

夕食前の暗い部屋

あれで夜目になれられるかと思ったが、そう甘くなかった

陽乃「……こっちが、北参道」



1、御柱
2、天之逆鉾
3、北参道
4、夜目に慣らす

↓2

4

1

3


陽乃「……」

生温い、夏場の空気が肺の中に入ってくる

どこからともなく羽虫の音も聞こえてきて

時折、手や首元のあたりに感じて……身じろぎする。

トラウマというほどではない

けれど、あの日の野宿の経験のせいか、

体が震えてしまう

陽乃「駄目ね……」

戻っても邪魔な人たちがいるし、

立ち止まっていたら虫がたかってくる

だから……動く

ややすり足気味に歩いて、

大きな石や、

突然の階段で転倒したりしないように警戒する


向かうのは御柱

陽乃が出た場所から、まっすぐ歩けばいいだけだ

陽乃の本来の歩く速さならすぐにたどり着ける

けれど、この暗い道では倍以上の時間がかかるだろう

陽乃「……」

じめじめとした空気

虫の声も極まって、不快感が募る

じゃりじゃりと小石を踏みしめて歩く

陽乃「……この先、よね」

だんだんと、夜目になれてきてはいるが

それでも道は暗い

杏や水都が見ていたら、

すかさず駆け寄ってきて手を貸してきそうなおぼつかない足取り。

陽乃「……見えた」

囲いのある、縦に延びた黒い影

近づくにつれて、それがただの木ではなく御柱だとはっきりする


陽乃「……諏訪の御柱」

陽乃の神社にも祀っているものはあるけれど

御柱のようなものはなかった。

世界が壊れる以前から、

諏訪大社の御柱は有名なものだった。

同じ神社の関係者として、

陽乃もそれについては話に聞いたことがある。

陽乃「……」

古来より、神々は自然界に宿っているとされ、

それらは八百万の神とも言われてきた。

当然ながら、木々にも髪は宿るといわれており、

一説では、大地より伸びるそれは神の御手であるとも言われていた。

そのご神木を用いて作り出された御柱

崇め、奉られ、それが正しく信仰を得ていたからこそ、

これらは結界の要として機能することができたのだろう

陽乃「……もう、限界が近そうね」

陽乃はその御柱を見上げて、呟く


陽乃「えっと……」

数は少なくなっても、より厚い信仰心を得てきたであろう諏訪大社の主祭神

それが誰だったかと小首をかしげた陽乃は

小さく息を吐いて、はっとする

諏訪大社は本宮とそれに付き添うものとして上社前宮などがある

詳しく知っているわけではないが、

それゆえに本宮とそれ以外では主祭神が別である。というのを聞いた覚えがある

陽乃「本宮……確か、建御名方神」

そして、上社前宮などでは、その妃とされている神だったはず。

いや、両方とも両神だったか。

陽乃「だめね……3年も前だとあやふやだわ」

少し調べれば、わかることではあるけれど。


1、御柱に触れる
2、九尾を呼ぶ
3、何もしない


↓2

1

1


陽乃「……失礼」

ここにある御柱は、本来触れることが許されないものになっている

いくつかある宮の、どこかなら触ることが許可されていたはずだけれど

それがどこかは陽乃の記憶にはない

周囲を囲う、強制力のない簡易結界の上から、陽乃は御柱に触れる

人の手でご神木から作り出された御柱

少し触っただけで、ポロポロとかけらが落ちていく

陽乃「相当、頑張っているみたいね」

陽乃は、神々の力をその目に感じ取ることができる

直接手で触れてみると、

御柱がどんな状況なのかがより鮮明にわかるような気がする。

厚い信仰によって、どうにか力を保つことができているが、

消費されていく力の方がはるかに多い

諏訪の人々による信仰心は、もはや、消費を軽減する程度にしかなっていない

だが、それがあったからこそ3年間も保ち続けられたのだろう。

陽乃「……白鳥さんがそれだけ、力を尽くしたってことね」


歌野が神々の力を借りて諏訪を守護し続けることで

勇者である歌野と、それに力を貸し出しているとされていた諏訪の神々にも恩恵があったはず。

それがなかったらもっと早く、ここはバーテックスに飲み込まれてしまっていた。

陽乃「……だから、ここを護ってあげていたの?」

陽乃は、人間が自分の命を削ってまで護るようなものではないと思う。

みんなは、陽乃はだとしても護ってしまうような人だ……なんていうけれど。

陽乃「神様にとって、信仰は力であり存在でもあるものね」

人間の信仰があるからこそ

神々は力を持ち、己を神として存在していることができると、何かで聞いたことがある。

それが事実なら諏訪の神々が行っていることは、

過去の人々の信仰、そして、今をもがく人々の信仰

その願いを聞き届けているからこその恩返しとも言える

陽乃「……でも、護るのは不可能だわ。このままではあなたが朽ち果てる。あなたでは力不足」

いいや、無意味に人間を護ろうなどとするからこうなる。

結界なんて張らずに、勇者である歌野とそれを手助けする巫女である水都にだけ力を授けてここから逃がしてしまうべきだった。

それなら、少なくとも二人は死なずに済んでいたはずなのだ

↓1コンマ判定 一桁

0、2、6 ぞろ目 特殊


では少し中断させていただきます
再開は21時ころから

一旦乙


陽乃「っ!」

ふと、御柱がまばゆく光る

あたり一面を照らすかのような強い光は、まぶしくも神々しく

瞬く間に中心部へと収束していき、

陽乃が触れている部分へと下り――そして、陽乃の体へと流れ込む

陽乃「……っ」

痛みはないし、吐き気もない。

ただ、何かが流れ込んできたという感覚だけが体の中から湧き上がってくる

陽乃「あなた」

それは、間違いなく神様の力だ

諏訪大社、そのかなめともいえる本宮に残された御柱に宿っていた貴重な力。

失われれば結界が崩壊し、

今すぐにでもバーテックスが流れ込んでくる力

陽乃「なに、してるのよ……」

それが今、陽乃の方に駆け込んできたのだ


陽乃が御柱から手を離すと、

お役目を終えたとでもいうかのように、その御柱はその場に崩れ落ちていく

ガラガラと騒音と土煙を立てながら、

枯れ木のように朽ちて……あたりに散らばる

陽乃「ば……馬鹿じゃないの!?」

陽乃は思わず怒鳴ってしまう。

御柱に宿っていた力は、陽乃へと譲渡された

それはつまり、

諏訪の結界、その最終的な主導権が諏訪の神々から陽乃へと移ったということだ。

諏訪にいながら、

諏訪の結界を破壊することを考えていた陽乃に。

その空気にもなっていた神々ならば、

陽乃の目論見など、すでに知っているはず。

なのに――陽乃に託した

陽乃「私が……私が貴方達の意志を継ぐだなんて思ってるの!?」


歌野へと力を貸し与えて、結界となって人々を守っていた諏訪の神々

その力はもはや消えかけといえるほどに微弱だった。

それは諏訪の人々を守ることだけを目的として消費され続け

やがて潰えるはずだった希望

そんなものを譲渡された陽乃は、

諏訪の神々から " 頼む " と、願われたようなもので。

だから、苛立つ

陽乃「私は……私はっ!」

歌野「久遠さん!?」

球子「何があったんだ!?」

あたりを照らした光、

御柱が崩れ落ちた騒音……みんなが出てくるのは当然だった。


懐中電灯を持って駆け寄ってきた歌野は、

その崩れた御柱のそばに立ち尽くす陽乃に、何があったのかと問う

水都と杏は、見るも無残に崩れ落ちた御柱を前にして、呆然としていた。

球子「なんっだ……これ」

水都「御柱……諏訪を、諏訪を守る結界の要が……」

杏「久遠さん……?」

枯れ木となった御柱は、

しゃがんで触れた水都の弱い力でも、簡単に砕け散ってしまう

歌野「久遠さん答えて……何があったの?」

陽乃「……っ」

陽乃乃の肩を掴んで、

自分を向くようにした歌野は、陽乃へと詰め寄る

歌野「これ……久遠さんがやったの?」



1、だったら、なんだっていうのよ
2、うるさい!
3、知らないわよ……
4、どっか行って!
5、何も言わない


↓2

1

5


歌野「久遠さん!」

陽乃は何も言わない

その黙秘している態度に、歌野は焦った様子で体を揺さぶる

水都が言ったように、諏訪の各社にあった御柱は、結界の要だ

それが崩れたということは、

最悪の場合結界が壊されたということに他ならない

歌野「黙っていないで答えて!」

球子「ここにいたってことは、何かしたのか?」

杏「ま、待ってっ! 久遠さんは――」

御柱の惨状に固まっていた杏が、傍らの騒がしさにはっとして、

陽乃と歌野の間に割って入ろうと体を差し込む

歌野「久遠さんが悪さをするとかしないとか、そういう話をしてる状況じゃないの!」

杏「で、でもっ」

歌野「結界の要だって……話をしたでしょう? それが、一瞬輝いたかと思えばこんな風に崩れ落ちたのよ?
    その瞬間に久遠さんが立ち会ったのは間違いないの……話を聞かないわけにはいかないわ」


考え方によっては、

あの輝きは爆破されたとか、燃やされたとか

そういうものだと思われても仕方がないものだった。

御柱が崩れ落ちた騒音のせいで、爆破したといわれても言い逃れはできない。

それほど、御柱は粉々なのだ

歌野「お願い……黙っていられてもどうしようもないのよ」

あんなにも強い輝きがあって、

それに続いた地揺れも引き起こすような騒音があった。

しばらくしたら、多くの人々がここに集まってくることだろう。

歌野「久遠さんが悪いって言いたいわけじゃないの。でも、何があったか教えてくれなきゃ……」

歌野達は、その場にいた陽乃を拘束しなければならない。

最悪の場合は、何があったのかを力づくで話してもらわなければならない

歌野は勇者として、

諏訪の人々の不安の種を取り除かなければならないからだ


水都「久遠さん……お願いします。教えてください」

杏「久遠さん……」

陽乃「……」

諏訪の神々から力を託されたと言って誰が信じるだろうか。

陽乃は力を感じ取れるが、

ほかのだれにも、それはできない。

客観的に見て、陽乃が御柱に何かして壊したとしか思えないのだ

球子「黙ってるのは、さすがにまずいんじゃないのか?」

歌野「……最悪、力づくで話を聞くことになるわ」

杏「そんなっ……」

割って入ろうとする杏をものともしない歌野の力

本気で戦うとなったら、

それ相応のダメージは覚悟する必要があるかもしれない


1、勝手にしたら?
2、どうせ信じないじゃない
3、諏訪の力を託されたのよ
4、何も言わない


↓2

1

4


陽乃「っ……」

言ったところで、どうせ信じて貰えるわけがない

向こうでそうだった。

言っても、言わなくても

信じて貰えなかった結果が今だから。

なにせ、陽乃には証明する手立てがない

御柱が砕け散ったという物証が目の前に転がっているだけ。

歌野「っ……久遠さん!」

杏「ダメッ!」

歌野「邪魔しないで!」

懐中電灯を投げ捨て、

陽乃を掴もうとした歌野のもう一方の腕を杏が掴んで抑え込む

杏「久遠さんには私が話を聞きますからっ!」

歌野「それでどうにかなる問題じゃないの!」

歌野は陽乃を掴んでいた手を離すと

杏に掴まれた腕を引いて距離を詰め、杏の胸元にその右手を打ち込んで突き飛ばす


杏「っあ゛!」

球子「杏!」

突き飛ばされ、歌野の腕を放してしまった杏はそのまま尻もちをつく

杏が傷つけられて目を見開いた球子が今度は歌野を抑えようと動くが、

戦いの経験がはるかに勝る歌野の方が動きが速い。

球子「この――」

歌野「し――っ」

一歩踏み込んできた球子の足を内側から払うと

球子「ぅ゛あ゛っ!?」

バランスを崩した球子の背中に肘を打ち込んで、勢いよく地面にたたき伏せさせる

歌野「っ……悪く思わないで」

歌野は申し訳なさそうに呟いて、首を振る

歌野は、諏訪の勇者としての責務がある

同じ勇者だからと言って、

御柱を崩した可能性のある陽乃を黙認はできないし、それを助けようとする二人を打たなければならなかった


↓1コンマ判定 一桁

1,5,9 水都「うたのんお願いっ!」

ぞろ目特殊

みーちゃんのコンマの強運凄すぎるな…


水都「うたのんお願い!」

歌野「っ……み、みーちゃん……」

球子はもちろん、

勇者の中でも非力とされている杏よりも、

ずっと非力な水都が、歌野の体にしがみつく

歌野「駄目よみーちゃん……離れて」

水都「お願いうたのん……やめて……」

歌野の力なら水都を振りほどくなんて簡単だった

けれど、力で簡単なだけで、

歌野には絶対に振り払うことの出来ない最弱の力だった。

水都「久遠さんは話せない理由があるんだと思うから……だから……」

歌野「そんなこと言ったって……」

水都「私は何も神託受けてないッ!」

歌野「!」

水都「何か、よくないことがあったら……私が神託を受けてるはずだよ……」


水都は巫女としても非力ではあるが、

何かが起こったときには必ず、神託を受けていた

すでに失われたほかの御柱が崩壊してしまった時だって、

水都はその際にその崩壊の知らせを受けた。

だが、今回はそれがなかったのだ

歌野「でも……御柱が」

水都「それは、見ればわかるよ……」

明らかに、御柱は力を失っている。

朽ち果てて、触れば簡単に砕け散るほどに抜け殻だ

水都は歌野の体にしがみつきながら、首を振る

水都「でも、結界が壊れた感じがしない……だって、壊れてたら襲来の警報が鳴り響いてるはずだよ」

歌野「……」

水都「事情は分からないけど……御柱は壊されたんじゃなくて、壊れたんだと思う」


杏「……!」

球子「……それの何が違うんだ?」

水都の解釈に驚いた表情を浮かべる杏と、

戸惑う球子と歌野

水都は慎重に言葉を選ぼうとして黙り込んでしまう

一歩間違えればまた、争いになってしまうから

けれど、それを引き継いで杏が口を開く

杏「壊された。なら、外因……誰かに何かされたってなる
   でも、壊れた。なら……自分から望んでそうなったとも言える」

水都「そう……だから、久遠さんを責める理由はないよっ」

歌野「そんな、曖昧な……」

歌野はそう呟きながらも、

両腕を下ろして、体に入っていた力を抜いていく

水都の言葉を疑いたくなかった。

水都の、強い意志での行動に反発したくなかった。

歌野「……分かった。わかったわ」

歌野は両手を降参というように上げて、ため息をつく

歌野「影響はないって思っておく……でも、久遠さん」

陽乃「……」

歌野「みーちゃんに免じて、よ。この後、ちゃんと話を聞かせてもらうわ」

歌野は水都の頭を撫でて、苦笑いを浮かべる

歌野「みーちゃんは、久遠さんを信じた責任を持って、みんなにひとまず安心するように通達を出して頂戴」

水都「うん……ありがとう。うたのん」

歌野の指示を受けて、水都は陽乃に何も言わずに走っていく

歌野「それじゃ、私たちは部屋に戻りましょ。良いわよね? 久遠さん」

陽乃は、球子と歌野に引っ張られる形で、参集殿へと連れ戻された


↓1コンマ判定 一桁

0,2 九尾

ぞろ目 特殊

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


夜延長、事情聴取


やっと退院したと思ったらその日の内にまさかの急展開になるとは…
みーちゃんが止めなかったら珍しく焦るうたのんと殴り合うことになってたのだろうか


そういや久遠さんって人柱だから御柱の代替として最適なのかも
あとみーちゃんコンマ強すぎってか健気過ぎる


みーちゃんがコンマ強すぎてもうオカン感すらある
結界なくなっちゃった?ってことだろうからこれから即断即決で動かないといけないな

では少しだけ


歌野達に拘束されるような形で部屋に戻ってきた陽乃

そして陽乃を囲むようにして歌野達が座る

本来なら、縄でも使って拘束するべきだけれど

勇者である陽乃には簡易な高速具なんて何の意味もないだろうと、自由なままだ。

歌野「……みーちゃんに、感謝してね? 私は諏訪の勇者として、久遠さんをたたかなければいけなかったんだから」

力づくでもたたき伏せさせてから、

何があったのか、何をしたのか。

それを聞きださなければならなかった。

けれど、巫女である水都がその必要ではないと判断したから歌野は止まらざるを得なかった

もっと言えば、止まる理由を得られたのだ。

そうでなくても、あれほど必死に

それも歌野に反発するような感じで来るなんて、3年間連れ添った中でも見た覚えがない

歌野「でも、話せない理由があるなんて言われても、通用しないわ」

陽乃「……諏訪の御柱のことだものね」

歌野「ええ、そう」

結界の要である御柱

その倒壊に関してのことを、陽乃が黙秘できる権利は存在していない

無論、黙秘する権利はないが黙秘することは可能だが

その時は水都の努力もむなしく……勇者同士での戦いに発展するだろう。

きてた


歌野「正直、最悪の状況だといえるわ」

球子「結界は何ともないんだろ?」

歌野「ええ、まぁ……そうだろうってみーちゃんは言ってるけど、その象徴が倒れてしまった以上
    市民の不安は計り知れないものになってくるとみて間違いないと思うの」

歌野は顔をしかめる

3年前も酷かったが、一度は安寧を得られたからこそ、

突然希望が崩れ去ってしまったというのが……どれだけの影響を及ぼすのかが不安だった。

みんな覚悟してくれているといっていてくれたけれど

こんな急に……前触れもなく

そんなのは想定も覚悟もしていないはずだ。

そして、それが陽乃が退院してすぐ……その行先で、しかもその場にいたっていう狙いすましたかのようなタイミング

最悪、陽乃がバッシングを受けてもおかしくない。

歌野「だから久遠さん。正直に話して……あの場で一体何があったのか。久遠さんは何をしたのか」



1、諏訪の力を託されたのよ
2、何もしてないわ。触っただけよ
3、私が壊したわ。もともとそのつもりだったのよ
4、言ったって、どうせ信じないじゃない
5、私も音に気づいて駆け寄っただけよ


↓2

2

1


陽乃「諏訪の力を託されたのよ」

杏「諏訪の力……ですか?」

陽乃「ええ」

諏訪の力……諏訪の神々の力

それはこの地域一帯を守護する結界の源であり、

そして、今まさに目の前にいる白鳥歌野が扱う勇者としての力の供給源でもある。

陽乃がそれを話すと、

杏はもちろん、歌野も……球子でさえも笑ったりしなかった。

信じられるような話ではないけれど、

笑えるような話でもない。

歌野「……正直に言うと、信じがたい話だわ」

陽乃「でしょうね」

杏「でも、久遠さんは巫女の家系だから十分にあり得る話です」

球子「そういや、そうだよな」

杏「もしかしたら、お昼にお清めを行ったのが原因かもしれません」


歌野「そんなことしてたのね」

陽乃「……まぁね」

杏は、陽乃が神社の生まれで

勇者でありながら、巫女としての素養があること

巫女はお清めを行うことで、神降ろしなどを行ったりするという……

本から得た知識を引っ張り出す。

杏「久遠さんには神降ろしに似た何かが起こった可能性が高いかと思います」

歌野「それって、どうにかなるの?」

陽乃「本来の神降ろしなら、お帰り頂くのが手順よ」

歌野「なら――」

陽乃「私は神降ろしの儀式を何一つ行っていないのよ。これは、諏訪大明神からの一方的な力の譲渡」

球子「何か違うのか?」

陽乃「解らない?」

陽乃は自嘲気味に笑って、首を振る

陽乃「返す先がない。つまり、私が死ぬまでこれを預かっていなければならないの」


これは陽乃に同意を求めない強制的なもの。

陽乃は人間の中では特殊な力を持っているが、

それでも、神々から見れば人間であることに変わりがない

それゆえに、諏訪の神々は陽乃を自らの力の器とした。

このままでは消費され続けて朽ち果てるだけでしかなかったのに、

人間としての生命力を持つ陽乃に委ねることで、消耗した分を補うことができるようになるからだ。

もちろん、

ただ人に同じことをしたら耐えられなくて即死する可能性がある。

それは、九尾がひなたに力を与えたらどうなるか。というものと変わりがない。

九尾は神獣ではあるが、神ではない

そのため、もっとひどいことになる可能性だってある。

その血筋であること

神々の寵愛を受け、その力に馴染み深いこと

それがあってこそ、陽乃は諏訪の神々の力を受けてなお耐えられている。

歌野「えぇっと、つまり?」

陽乃「諏訪の最終防衛ラインは私になったってこと。嫌でも私を守らないと……諏訪の結界が崩壊する」

球子「……まじか」

陽乃「もちろん、維持も消失も私の一存で決められるわ」

歌野「維持して貰えるかしら? 少なくとも、今しばらくは……ね?」


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


陽乃さんが死なない限り半永久的に諏訪を守れる感じか
でもそんな重い責任背負わせたらますます精神的に不安定になるんじゃ…


だから久遠さんブチキレてたんだな


でもこれで陽乃が自分を犠牲にするような無茶は出来なくなったな
陽乃が弱る=結界維持できない、だから
そういう意味じゃプラスに捉えていいのかも

では少しだけ


杏「あの、久遠さん。気になることがあるんですが」

陽乃「なに?」

杏「久遠さんがこの前みたいに意識を失うほど力を使った場合、結界に影響はあるのでしょうか?」

陽乃「さぁ?」

陽乃が意識を失うのは力を消費しきったからではなく、

力を使ったことによる副作用……代償のようなものだ

力が残っているのなら、

結界の維持には影響が出ないかもしれないし

陽乃が弱ったことで結界も弱まってしまうかもしれない

陽乃「試してみる?」

杏「駄目に決まってます!」

歌野「それで弱まったら目も当てられないわ」

陽乃「けれど、私も勇者よ? 戦わざるを得ないことがあると思うのだけど」

球子「そりゃそうだけどさ……駄目だろ」

よしきた


どうなるのかを知っておくべきことではあるかもしれないが、

そのテストを実施した際の結果によっては、

被害が大変なことになるため、

残念ながら、やるべきではないと陽乃以外の三人は首を横に振る

歌野「久遠さんがここから離れたらどうなるのかしら?」

陽乃「結界は残るでしょうね」

陽乃がここから離れても、結界自体は消滅せずに残る可能性が高い

だが、結界に供給される力の源が離れれば離れるほど

結界は弱くなるはずだ

それは、球子達のことを考えての推測だ

弱まることはないが、陽のが余計に力を消耗するだけかもしれない

それももちろん、試すわけにはいかない

歌野「……久遠さん次第になるわね」

陽乃がここにいたいというのなら今までの予定で問題はないが、

陽乃がここから離れたいというなら、みんなも一緒に離れる必要がある

そうしないと、結界がすぐにでも破られる可能性があるからだ


1、なんで、信じてるの?
2、私は出ていくわよ
3、私はここに残るわよ
4、何も言わない


↓2

3

4

1


陽乃は黙って、眉を顰める

陽乃は別に嘘をついていない

嘘をついていないから信じられても別に何も影響はないのだが、

疑い一つもなく、うのみにしていることが少し気になったのだ。

この状況では、

あえて自分から不和をもたらすようなことを言わなくてもいいだろうから、

さすがに " 疑わないのか " なんて無意味なことは言わない

歌野は神妙な面持ちで、うつむく

考え込むように口元にあてがわれた人さし指の第二関節部分には唇が引っ付いている

杏「久遠さんを総攻撃に参加させるのはまずい気がします」

歌野「ん……あ、そう、ね」

球子「いやいやいや! 待て待て」

杏の発言に、珠子が食いつく

球子「言いたくないが、タマ達だけでどうにかできるなんて思えない」

杏「でも……」

球子「今までタマ達が相手にした数の数倍、数十倍、数百倍……そのレベルで来るって杏が言ったんだぞ?」


歌野「問題は、久遠さんが参戦した瞬間に、敵の狙いが全部久遠さんに行く可能性もあるっていうところよ
    結界の要ってばれてるかはともかく、諏訪の神様の力を持ってることはカンパされるはず」

杏「そうです。それなんです」

歌野の不服そうな言葉に杏は同調して陽乃を見る

陽乃が本気を出せば、きっとそのすべてを葬り去ることができるだろう。

だが、陽乃はまた意識不明に陥ることになる

今度はそれで済まないかもしれない

たった数日では回復しないほどに傷ついてしまうかもしれない

球子「そんなこと言ったって、それで温存してどうなるのさ」

杏と歌野の二人が悩みながら言うのに対して、

球子はやや直情的に口を開く。

球子「タマ達だけで総攻撃をしのげるか? 出来たとしても、誰か死ぬんじゃないのか?」

杏「うん……可能性はあると思う」

球子「だったら出し惜しみなんて――」

歌野「けれど、土居さん。久遠さんは要よ? 最終兵器でもある……誰か死ぬほどの被害でもない限り、出していい手札ではないわ」


歌野も、もちろん誰かが死んでいいなんてこれっぽちも思っていない。

しかしながら、

陽乃の役割が諏訪の存続にまで関わってくる以上は、

簡単に戦わせていいとも思えないのだ。

誰かを失うくらいなら、

誰も失っていないうちに投入して、

全体的な被害を軽減するべきではないか。というのも考えれられる

けれど、そうした場合に、

歌野達の妨害をする戦力以外のすべてが陽乃に投入されても困る

陽乃なら対応できるという杏たちの言葉を信じるとしても

力の消耗による陽乃への副作用によって意識の消失が起こり

それが起因となって結界の弱体化、または消滅が起こったら大惨事だ

歌野「どうしてこう……何もかも久遠さんなのよ」

歌野は悪態ともとれる様子で、頭を抱える

歌野「少しくらい、私たちに回ってきてくれてれば……」

リスクの分散ができていれば、もっといろんな手があるのに。

今はすべてが陽乃に集約している


1、私は戦うわよ? 任せてられないもの
2、私は人身御供みたいなものだから。依り代なのよ
3、白鳥さんの力を強化するくらいなら、できると思うけど
4、忘れてるけど、病み上がりなのよ……寝ていいかしら
5、何も言わない


↓2

1

3

1


陽乃「白鳥さんの力を強化するくらいならできると思うけど」

歌野「私の力?」

陽乃「言ったでしょ? 貴女に与えられてる力も私からのものになるって」

諏訪の力を譲渡されるということは、

当然、諏訪の勇者として活躍している歌野への供給も行うことになる

それなら、その力の供給だって陽乃の自由になるはずだ

もちろん、与えすぎても毒になるが、

そうならない程度にまでなら引き上げることだって可能なはず

陽のがそういうと、

歌野は唖然として……おもむろに、額を手で押さえる

歌野「だったらなおさら、久遠さんは戦いに出せないわね」

杏「……ですね」


陽乃が倒れた場合、

歌野まで弱体化する可能性があると思ったのだろう

歌野と杏は頷いて、今度は球子もそれを否定はしなかった。

勇者二人が共倒れなんて絶望的にもほどがある

しかも、

もっとも戦闘経験のある歌野が戦力外になるのだから、最悪だ

歌野「それで、その強化ってどのくらい可能なの?」

陽乃「貴女の許容量にもよるけど……今までの比にはならないと思うわ」

今までは結界の維持、地域への恩恵、そして歌野への供給

限られた力だけで幅広く手を出していたが、

陽乃にそれが譲渡されたことで、供給可能な力は大幅に上がっている……はずだ。

陽乃は否応なく代償があるが、

歌野達はそれがない分、比較的弱い力での戦いを強いられている

それがある種のリミッターだとして、

そのリミッターの役割を陽乃が請け負うことで、

歌野に負担がかからない限界までの力を供給することができるのが今の状況だ。

その状態なら、通常の陽乃をたたき伏せられる可能性もある。

陽乃「私も、敵わないかもしれないわね」

歌野「凄いじゃない!」

陽乃「言っておくけど、私が一切戦わないこと前提よ?
    貴女に副作用がないような調整しながら戦うなんて器用なこと私無理だもの」

少なくとも、今は。


そもそも、今はまだ力を強制的に譲渡されただけで

しっかりと把握しきれているとはいいがたい。

陽乃がもともと所持している力との衝突などが起こった場合、

陽乃がそれに慣れるまでは苦しむことになるかもしれない。

陽乃「……悪いけど、休ませて頂戴」

杏「あ、そう。ですね……大丈夫ですよね?」

歌野「明日、また話を聞かせてくれる?」

陽乃「別に逃げたりしないから心配しなくていいわよ……」

明日は九尾を呼んで話を聞いた方がいいかもしれない。

陽乃に加わった力の影響を大きく受ける一人が九尾だ

陽乃の憶測で話すより、

九尾から話を聞いて、もっとしっかりと把握するべきだろう

杏「久遠さん――」

陽乃はもうすでに用意されていた、部屋の隅に用意された布団の方に向かう。

杏が手を貸そうと動いたけれど、それを断る

そこまで弱っているわけではない。

陽乃「……っ」

厄介なことをされたと。

陽乃は身勝手に力を放り投げてきた神々への苛立ちを捨てきれなかった


√ 2018年 8月15日目 朝:諏訪 ※延長1

05~14 水都
41~50 杏
76~90 襲撃


↓1のコンマ

※それ以外は九尾

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


再開時に1日のまとめ
九尾と諏訪の力についての話


確かに九尾の見解を聞かないことには判断しづらい問題だな
ただできれば陽乃さんも一緒にいてくれた方が心強いけど


久遠さんも出て頑張るかスーパーうたのんに頑張ってもらうか
どちらにしても原作の諏訪の状況よりは万倍いい状態だけどどうするかな

では少しだけ

√ 2018年 8月15日目 朝:諏訪


馴染み深い畳の、ややしん……っとした匂いを感じながら陽乃は目を覚ます。

つい昨日までは入院し、苦しんでいたとは思えないほど軽い意識と体

一度ゆっくり瞬きをしてから、もう何度か瞬きをして

もう眠気がすっかりぬけてしまっているのを確認する。

部屋はかなり広く、

5人が横並びになっていても問題なかったりするが、

それはどうだろう。と、

歌野と水都の二人、球子、陽乃、水都の三人として、二段に分かれて位置取った

左隣に目を向ければ球子がいて

右隣に目を向ければ杏がいて

上を向けば、歌野と水都の布団に境目が見える

陽乃「……」

小さく息を吐いて、陽乃は体を起こす。

杏と球子とは部屋を同じくしたことはあるが

ここまでまとまって寝たのはいつ振りかと、顔をしかめる

交流をする気なんてなかったのに、

気付けば周りに人がいる。

良くも悪くも、断ち切れないものだと……陽乃は首を振って、軽く体を伸ばした


みんなを起こさないようにしながら布団をどかし、

一人分の布団をその場に畳んで……部屋を出る

陽乃「ん……っ」

久しぶりの自由だ。

まるで動かせなかった体も、今は十分に動かすことができる。

いや――むしろ、奇妙なほどだ

『主様』

陽乃「……来ると思ったわ」

『うむ……主様は、相も変わらず、引き寄せるのう』

ややあきれた声の九尾

外から差し込んでくる光で伸びた陽乃の影が狐の形に変わって、

陽乃の隣に並ぶ

『この土地に住まう神々の代行として見初められたがゆえに、気分もよかろう?』

陽乃「気分は最悪よ……調子は、いいけど」


考えるまでもなく、厄介なことに巻き込まれたというか

厄介なことを押し付けられてしまったのだ。

諏訪の結界を破壊させるつもりだったのに、

それを維持する権利と崩壊させる権利の両方を与えられてしまった。

まるで、自分たちの意志を継いで、人々を守護してくれると信じているかのように。

『土地そのものが、主様に力を与えている状況じゃからのう。下手なことをしなければ不調にはならぬ』

陽乃「……そう」

『不服かや?』

陽乃「当たり前でしょ……こんなの」

『はて? むしろ僥倖と言えるのではないかや?』

九尾はとても不思議そうに言うと、

影の姿を揺らめかせる

『迷わず結界を崩壊させて、予定通りに人間どもを叩き出せばよいではないか』

陽乃「簡単に言わないで……他人の力ならともかく、自分のものになった以上は、下手したらもっと厄介ごとになるんだから」


御柱が倒壊した……というだけで、

歌野はあんなにも激しく詰め寄ってきた。

普段は温厚ではあるが、

護るべき物を正しく理解しているからこそ、

それが脅かされた時……歌野は間違いなく陽乃の敵になる。

力の供給が陽乃であるため、

それを絶ってしまえばしまえばいいのだけれど、

それをすると、この場の勇者と巫女を皆殺しにでもしない限りは、

永続的に居心地が悪くなる。

陽乃「……」

『しかし、諏訪の神々にとってはこれ以上ないほどの幸運であったろうな』

陽乃「……どうして?」

『主様には妾やかの死の神の力があるが、それ以外にも最たるものとして稲荷がおる』

陽乃「稲荷って……宇迦之御魂神様?」

『うむ。あやつならばこの地を潤すこともたやすかろう』

永年、潤し続けるのはさすがに異常かもしれないが、

人々が満足に作物を得られる程度の施しは容易に行えるはずだと九尾は言う

それだけでも、諏訪の神々が陽乃を選んだ理由になるらしい。


『主様は人間にしては……神に近い、寵愛を受けた身じゃ』

陽乃「……前に似たようなこと言ってたわよね。そのせいで見初められたの?」

『そうじゃな』

九尾は小さく鼻を鳴らすような音を立てる

影しか見えないせいで、実際はどうなのかわからない。

『人間の許容量を超えて力を与えれば確実に死に至る
 その点、主様は代償こそあるが、ただ人には持ちえぬ器を持っておるからな……消えゆく力を延命させるには最適じゃ』

陽乃「体よく、利用されたってことね」

『その分、恩恵もあろう。その一つとして、主様調子が良いであろう?』

陽乃「……」

体が軽い

言い換えれば、生命力に満ち溢れている

この地の神の代行者として見初められたため、

この地にいる間はめったなことがなければ、この前みたいなことにはならないという。

『主様が不調に陥らぬのならば、かの神が出てくることもあるまい』

陽乃「だといいけど……」



1、ねぇ、白鳥さんを強化することって……できるの?
2、私がここから離れたらどうなるの?
3、この土地を奪われたら、どうなるの?
4、この力、返すことってできないの?
5、何も言わない


↓2

2

4


陽乃「この力、返すことってできないの?」

『ふむ……主様ならばわかると思うが、そうじゃな。白羽の矢が立った家の娘が、容易に逃げ出せると思うかや?』

陽乃「……駄目なのね」

『そこは主様の血筋の問題じゃな。
 人身御供として最適な末裔……それこそが、主様が選ばれた最大限の理由じゃからな』

九尾はそういうと、

くつくつと、のどを鳴らすような笑い声をあげる

『そもそも主様は御柱に触れた。誘われたのではなく、自ら触れた
 己からつながりを持った以上、契りとして委ねられた力を放棄するのは祟られても文句は言えぬぞ』

触れねばよかったものを。と

九尾はため息交じりに言うが、まさにその通りだから反論ができない

『天之逆鉾には触れぬとしたくせに、愚かなことをしおって』

陽乃「……ええ、そうね。軽率だった」

『じゃが、神格を得たことで、力を使ってもそう大きな代償を払わずに済むようになっておるはずじゃ
 多少、無理をしても以前のようにはなるまい。なっても、すぐに回復するじゃろう』

陽乃「なら、私……もう大丈夫なの?」

『使い続ければ早死にするのは変わらぬぞ。ただ人が振るっていいものではないからのう』


陽乃「……そう。そうよね」

この力が無尽蔵に使えてしまったら、それこそ本当に化け物でしかない。

別に期待したわけじゃない。

『主様が戦わぬ……というのならば、長生きもできよう』

陽乃「結界の維持と、白鳥さんに力を貸すくらいならってこと?」

『うむ。大地の生命力が尽きることがなければ
 そして、諏訪の神々を信仰する人間が多くいるという条件はあるが』

諏訪は神樹様からは隔離されているため、

統一されているかといえば、そういわけでもない。

この地の神様のおかげであるとされている

陽乃「……それって、私向こうに帰ったら大変なことになるわよね?」

『この地に生きる人間を連れ帰ればよい。生きたまま』

陽乃「簡単に言ってくれるじゃない」

『ならば残ればよい。妾はどうであろうと構わぬ』


1、薄情ね
2、白鳥さん、どれくらい強化できるのかしら
3、私が結界を壊すことを選んでも、祟られない?
4、何も言わない


↓2

3

3

3


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


つまり基本的に諏訪でなら相当無茶やってもなんとかそう?
出してるだけで大ダメージだった死神の力を使ったらどうなるんだろうか


メタ的なこと言えば帰らないと四国がヤバそうなのがな
杏球子抜きだし千景はもちろんのこ下手しい若葉も死ぬんじゃね?っていう


本日は時間も遅いのでお休みとさせていただきます。

PCの方の回線では繋がらないみたいですが、
こちらでは繋がりそうなので、書き込みテスト


またしても謎の現象が…

復活しとるな

では少しだけ


陽乃「私が結界を壊すことを選んでも、祟られない?」

『ふむ……主様が諏訪の人間共を救う手段としてそれを用いるならば、祟られはしまい』

陽乃「なにそれ。向こうに連れ帰れってことでしょ?」

『人間を護れということじゃろう』

陽乃「……」

陽乃は不服そうに顔をしかめる。

神様から人を護れと言われても、陽乃は困る

神様に言われたわけでもなく、

自分からやった結果が三年前だ

それなのに、神様の言う通り――なんて言われたからどうだって言うのか

陽乃「最悪だわ」

『そうじゃな』

御柱に触れただけで、

厄介ごとを押し付けられた上に、拒否権はない可能性がある

下手をすれば祟られるというのだから酷い話だ

『無論、救いきれなかったのならば仕方があるまいと思うが』


陽乃「故意に見捨てるのは許されないってわけなのね」

『うむ』

今までのように、

素知らぬ顔をして素通りというのはできないというわけだ

もともとしていたかどうかは別として。

『じゃが、諏訪の人間ならば護っても問題はあるまい』

諏訪の人々は、

陽乃が何か問題を起こさなければ、

陽乃のことを警戒することも毛嫌いしたりすることもない

勇者として生き、

それ以外は普通の少女でさえいれば、

彼らは陽乃を愛してくれることだろう。

向こうに帰ったとき

それが変わらない保証はないけれど

ここでの生活がしっかりとしていれば、噂に流されたりしなくなるかもしれない


『これからの主様次第じゃな』

陽乃「はぁ……」

つまり、諏訪の神様からの試練のようなものということと考えるべきだろうか。

陽乃が更生するかどうかの試練

もはや取り返しのつかない向こう

それを捨ててやり直すことのできる諏訪

その追い詰められているような状況もまた

陽乃が選ばれた理由になるかもしれない。

『主様が選ぶしかないのう』

陽乃「……そう、ね」

九尾に選んでもらうわけにもいかないし、

この重責を誰かに委ねることもできない

だから、陽乃自身がどう生きていきたいかを選択するしかないのだ

陽乃「いまさらそんなこと言われたって困るのだけど」

それも、

こんないつ崩壊するともしれない環境で。

だがもう、押し付けられてしまった以上は、どうにもならない


√ 2018年 8月15日目 昼:諏訪

01~10 杏
23~32 球子
34~43 水都 ※ひなた
67~76 歌野 ※ひなた

↓1のコンマ

※ぞろ目 襲撃
※それ以外は通常


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


通信担当はひなた以外


諏訪を滅ぼして住人を助けようとした陽乃さんより諏訪の神様の方がもっとスパルタだったとは…
まあせっかく神様の力も使えるなら総攻撃のときにフル活用したいところだな


これからの方針どうしようか

遅くなりましたが、少しだけ

√ 2018年 8月15日目 昼:諏訪


どうやら向こう側の通信担当は、ひなたにはならなかったようだ。

若葉たちとやり取りするうえで、

長く一緒にいたひなたの方が都合は良いはずだが、

勇者を裏切ったとされている陽乃達を黙認したとされている若葉の親友となれば、

代理人に任命される可能性はまるでなかった

陽乃「……はぁ」

陽乃のことを警戒するなら

その協力者とも言える状態にある若葉を警戒するのは仕方がない

そして若葉を警戒すれば、

同じようにひなたを警戒しなければならない

万全を期すなら、それしかない

陽乃「こうなるわよね……」

大社は責められない

陽乃だって、疑わしいものは排する

陽乃が大社の立場なら、若葉もひなたも当てにしないし、

陽乃には千景をぶつけていく

千景なら、陽乃に関しては裏切る可能性が極めて低いからだ

きてたか


ただ、こうなってくると球子と杏が不安だ

今すぐ力尽きるわけではないけれど、力が弱っていく

どうにかしなければ総攻撃にも影響が出るかもしれない

けれど、

そのどうにかするための手段の一つが失われた

陽乃が諏訪の神々の力を押し付けられたことによって

そこにもまた、活路があればいいのだが。

陽乃「……」

今の陽乃は、どこまでが自分の限界かを測りかねている

全力で力を使えば、

球子と杏の弱体化した分を補って余りあるかもしれない

もちろん、そこまで行くと

さすがに無事では済まないかもしれないが

以前ほどではないはずだ


陽乃は、昨日も一人でいた部屋で横になりながらため息をつく

これからどうするかを考えなければならない

向こうに戻るかどうか、

諏訪を守るかどうか

守るとして、どのようにするか

九尾が言うように諏訪ならば安心して暮らせる

陽乃が下手なことをしなければ

歌野達に対して、新しい担当者が余計なことを言ったりしなければ

陽乃はバーテックスの襲撃を除いて問題なく生きていける

常に力を使っていかなければならないが

その分の回復は問題なくできる……らしいし

むしろ今は力が有り余っている状態でさえある。

陽乃「……ん」

球子に頼めば、軽く一発殴らせてくれるだろうか。

あるいは歌野に力を与えて、どれくらいの強化が可能かを確かめるのもありだ

もしくは……諏訪の街を散歩でもするか


1、歌野交流
2、球子交流
3、杏交流
4、水都交流
5、九尾交流
6、諏訪散歩
7、イベント判定

↓1

1


では短いですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


とりあえずうたのんとどうするか相談か


杏とタマがだんだん弱体化していくとなると神様の力次第では結局ジリ貧もありそうだな
うたのんと色々相談しないと

遅くなりましたが、少しだけ


出来る限り他人との関わり合いは避けていきたい陽乃だが

うだうだしていても何も始まらないと、部屋を出る

共同の部屋を覗いてみるが、誰もいないようだ。

陽乃「白鳥さんと藤森さんは通信だとして……」

球子と杏はどこに行ったのか。

共同の部屋から出るときに杏と球子はどこかに行くとは言っていなかったので、

そう遠くに出かけたわけではないだろう。

陽乃「……畑?」

それとも、崩壊した御柱の確認に行っているのか

少なくとも襲撃が来たわけではないから心配じゃいらないはずだ

歌野「……久遠さん?」

水都「中に何か?」

陽乃「むしろ誰もいないわ」

陽乃はそう答えると、

小さく息を吐いて、歌野へと目を向ける

陽乃「白鳥さん、ちょっと時間貰えるかしら」


歌野「私……? みーちゃんじゃなくて?」

陽乃「二人が姉妹でもなければ、白鳥さんはあなただけだと思うけど」

歌野「そう、なんだけど」

歌野は少し戸惑った様子で陽乃を見ると、

水都に向き直って、笑みを浮かべる

歌野「せっかくのお誘いだから、ちょっと行ってくるわね」

水都「え、でもっ」

歌野「大丈夫よ、みーちゃん!」

にっこりと笑顔を見せる歌野

水都はそれでも不安そうな顔をしたが、陽乃を見て、頷く

水都「もう大丈夫だから、声を荒げちゃだめだよ。うたのん」

歌野「解ってるわ。大丈夫」

もう、特に責める理由はないわ。と、歌野は答える

昨日はいろいろあったが、

その話が終わってはないにしても、ひと段落ついている

無駄に事を荒立てることもないだろう


陽乃達は、陽乃が一人になりたいときに使っている部屋に二人で入る

部屋の中は障子の扉が閉められていることもあって、少し薄暗い

陽乃の後に続いた歌野が電気をつけると、一気に部屋が明るくなった

歌野「電気……つけない方がよかった?」

陽乃「別にいいけど」

興味なさげに答えて、陽乃はテーブルのそばに座布団を置いて座る

その対面に同じように座った歌野は

わずかな躊躇いをかみ殺して陽乃をまっすぐ見る

歌野「……さっき、みーちゃんじゃないかって思ったのは、昨日のことがあったからよ」

陽乃「昨日のこと?」

歌野はいままでに比べると、酷くよそよそしさを感じる

昨日はそうせざるを得ない理由が歌野にはあったはずだけれど、

それでも責める口調だったことに後ろめたいものがあるのかもしれない。

正直、陽乃はあの程度の敵意は何とも思わないのだが。

歌野「久遠さん、私のこと嫌いになったと思ったから」

陽乃「はぁ?」

歌野「だってもう、敵意しか感じなかったでしょう?」


1、殺意でもなければ、私は気にしないわよ
2、それで? 罪悪感でもあるわけ?
3、別にいいわよ。勇者としてすべきことをしただけでしょ
4、だから何だって言うのよ
5、そんなことより、今後の話をしましょう

↓2

5

3


陽乃「別にいいわよ。勇者としてすべきことをしただけでしょ」

歌野「そうなんだけど――」

陽乃「それ以上は必要ないわ」

陽乃からしてみれば、その態度に理由があるだけましだった。

理不尽に責められたわけではない

歌野には守らなければならないものが多く、そうしなければならない理由があったのだ

結界の要である御柱

その崩壊の原因かもしれない―実際に陽乃が原因だが―陽乃を責めるのは何の問題もない

歌野の心情的には理由があってもという感じなのだろうか。

陽乃「すべきことをしたと思うなら、罪悪感なんて抱かない方がいいわ」

歌野「……久遠さんは、平気なの?」

陽乃「私に聞く?」

歌野「久遠さんは平気そうに見えて平気じゃない可能性もあるって、伊予島さんが言っていたわ」


陽乃「……また勝手なこと言って」

誰も彼もが勝手なことを言う

良いことも悪いこともなんでもかんでも言いふらしている

歌野「それと、新しい通信担当から言われたことがあるの」

その話もしたかったのよ。と、歌野はつぶやく

その目は陽乃を見ていない

少なくとも良いことではなさそうだ

歌野「久遠さんがもしいるなら、貴女のことは信用しない方がいいって」

陽乃「あら……それいっていいの?」

歌野「もちろん口止めされたわ」

黙っておく理由もなかったけど。

歌野はそうこぼして、苦笑する

陽乃が思っているよりも、歌野からは気に入られているのかもしれない

水都も、杏も、球子も。

みんなそうだ

突き放したはずなのに、気付いたらこうなっていた

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から


心にちょっとだけ余裕ができたのか陽乃さんが大分つんけんしなくなってきてて嬉しい


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば早い時間から

乙ですー

遅くなりましたが、少しだけ


陽乃「御柱を破壊したことは伝えたの?」

歌野「まさか。伝えられないわ……伝えたって、向こうがこっちに手出しできるとは思えないけど
    それで、また久遠さんが悪く言われるのは明らかだったもの」

陽乃「私をかばうの?」

歌野「……」

歌野は眉をひそめて、肩をすくめて見せる。

そんなつもりはないと言うような反応に、陽乃は顔を顰めた。

今の歌野は陽乃に肩入れしているような状態だ。

若葉がどうなったかを知っていて、それでもその姿勢というのは喜べない。

歌野「そんな顔しないで。みーちゃんと話して決めたのよ。
    諏訪の神様が信じた久遠さんを信じるか、その久遠さんを悪く言う大社の人を信じるか」

陽乃「なるほど……それも諏訪の神様の恩恵ってわけね」

陽乃がそう言うと、歌野は笑って。

歌野「みーちゃんの言った通りね」

陽乃「……何?」

歌野「ふふっ、少なくとも悪いことじゃないわ」


1、気に食わないわね
2、まぁいいわ。今後どうすべきかを話したいのよ
3、何なのよ。貴女達
4、結界壊すわよ?

↓2

2

2


陽乃「まぁいいわ。今後どうすべきかを話したいのよ」

歌野「久遠さんのことなんだから、久遠さんが自由に決めてもいいはずなのに」

陽乃「本気でそう言ってるわけじゃないわよね?」

歌野「……ええ。まぁ」

陽乃には諏訪の神々から託された力がある。

それを自由に扱っていいはずがない。

歌野もそれは解っているはずだ。けれど、なぜだかその当たり前を喜んでいるように見える

歌野「でも、もし大社が言うような人だったら私の自由よ。って、振り払うから。
    そうしないって、久遠さんが示してくれたのは、嬉しいわ」

陽乃「やめて」

陽乃は不服そうに手で振り払うような仕草をして、ため息をつく。

歌野に喜ばれるようなことをしたつもりはない。

下手に混乱させたり、敵対したりしたくはないだけ。

せっかく、九尾でさえ認める安寧の地なのだから、

完全に切り捨てると決めるまでは、常識的な行動に落ち着くのは当然だ


陽乃「曲がりなりにも、諏訪の地の神々から力を与えられたんだもの。それを持ったまま、祟られるようなことは控えたいわ」

歌野「なるほどね」

歌野は軽く頷いて、陽乃を見る。

その瞳には信頼が感じられた。

昨日はあんなやり取りをすることになったが、それはそれ、これはこれだ。

だが、陽乃としてはその視線は痛い。

歌野「久遠さんとしては、どうしていこうって考えているの?
    諏訪を出たい? 諏訪に残りたい? 大きな話としてはそれになるんだけど……どう?」

陽乃「諏訪を出たいって言ったらどうするのよ。私は結界の要よ?
    残りたいって人もいる中で、そんな選択したらどうなると思う?」

歌野「ん~……」

歌野は少し考えて

歌野「大変ね。残りたい人の説得とかもしないといけないし……私たちだけ残って戦い続けるってわけにもいかないから」

陽乃「私についてくるってこと?」

歌野「そうなるわね。だって、私が戦えるのは、今や久遠さんのおかげなんでしょ? 離れるわけにはいかないわ」


陽乃「……たしかに」

結界のことばかり考えていたが、

杏と球子の使える力が弱くなっていくのと同じように、

歌野だって陽乃と離れれば離れるほど、弱体化していくはずだ。

当初の予定では、陽乃達が向こうに戻るつもりだろうと、

諏訪に残るつもりがある人々がいるなら、歌野は最期まで残るつもりだった。

だが、戦うことさえできなくなるって言うなら、話は別。

少しでも長く守れるなら――どころか、

すぐにでも囲い潰されるとなっては、自分を希望にして残らせるなんてできない。

歌野「出て行くなら、私達も久遠さんについていくわ。出て行かないなら、今までとほとんど変わらないけどね
    ただ、やっぱり……要である久遠さんには戦いに出てほしくないって思ってる」

陽乃「そればっかりね」

歌野「それはそうだわ。わからないなんて、言わないでしょ?」

歌野の笑みが混じった問いかけ。

解らないと言ったって、歌野は笑ってすましそうだ。


諏訪から出て行くか、諏訪に残るか。

大きな分岐点としては歌野が言った通りそれになる。

細かく考えると、陽乃乃生き方とかにもなっていくが、

歌野にはそれを話す必要はないだろう。

話したって、何が解決するわけでもない。

歌野なら……いいや、杏だろうが球子だろうが水都だろうが

それの相談をしたら、乗ってくれそうだけれど。

とにかく、残るか否かということだけは、早めに決めた方がいい

総攻撃だって、近いはず。

それ次第で、総攻撃に全力で挑むこともあるし

戻るために力を最低限温存する必要が出てきたりもする

陽乃「……決定権は、私にあるのね」

歌野「だからって、気を使わなくていいし、不本意に任されたことなんだから……久遠さんはこうした言って言えばいいと思うわ」

そうは言ったって、諏訪の神々から要求はそんな簡単な話ではなさそうなのだが。


1、諏訪に残る
2、諏訪を出る
3、貴女達としてはどうなの?

↓2

3

2


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば少し早い時間から


出ることにしたのか
まあ若葉たちも心配だしな


これもし諏訪の神様の力をもらってなかったらうたのん達助けられなかったのかも…


遅くなりましたが、少しだけ


陽乃「……諏訪を出る予定よ」

歌野「良いの? 向こうでは久遠さんの扱いが悪いでしょう?」

陽乃「そんなの、今に始まったことではないし」

陽乃の何とも思っていないような返し

歌野は寂しげにほほ笑むと、少し目線を下げる。

手持ち無沙汰な陽乃の手

歌野の手はやり場のない秘めた思いに躊躇っているのに。

陽乃「同情なんて、されても困るわ」

歌野「ん……」

陽乃は歌野を睨んで、くぎを刺す。

けれど、歌野は申し訳なさそうに首を振った。

歌野「同情なんて、私にはできないわ」

よっしゃ


歌野「久遠さんの境遇は、聞いただけの私でも酷いって言いたくなるもの」

歌野は陽乃側の人間による話しか聞いていない。

もしかしたら多少は誇張だってされているかもしれない。

だが、大社からの陽乃は信用すべきではないという言葉を聞いてしまうと、

歌野はどうも、脚色があろうがなかろうが酷いと思う。

大社は明らかに敵視している。

陽乃の特異性を踏まえれば、致し方がないことだとも思わないでもないが。

それでも、友好的な方がいいのではないだろうか?

陽乃自身が友好的ではないという問題もあるけれど。

歌野「3年間……でしょう? 正直、私は辛かった」

歌野も、決して恵まれているとは言えない3年間だった

孤立無援、たった一人の勇者として守らなければならないという重圧

しかし……むしろ、それでも、みんなが強く反発し、

勇者がいなければ狙われないのではないかなんてことを言いだしたりする人は一人もいなかった

歌野「でも、私は恵まれてたと思った。だって、みんな、多かれ少なかれ協力してくれていたし、
    そもそも、私の力を疑いながらも、敵視するようなことは誰もしなかったんだもの」

もし、守り抜いた挙句に、

お前が死んでくれればみんな助かるんだ。などと言われたら……なんて、考えるのも恐ろしかった。


陽乃「同情しないでって、言ったはずだけど」

歌野「……ごめんなさい」

出来ないといいつつ、してしまう。

陽乃の味わった苦しみを共有することなんて出来ないから、してはいけないと思うのに。

うまく制御できないのは、まだ歌野が子供だからだろうか。

歌野「でも、だから、不思議だわ」

そんな場所に戻りたいだなんて、

歌野は自分ならできないと、首を振る。

水都がいるなら、それもあり得るかもしれないが。

歌野「もしかして、向こうに誰かいるの? 大切な人とか」

陽乃「聞いてどうするのよ。それで、何かできるわけ?」

歌野「ここからでは、どうしようもないけれど……」

歌野は気まずそうに、目を伏せる


1、母がいるだけよ
2、そうね……恋人がいるわ
3、何もできないなら聞かないで
4、なんなの? そんなに、戻ることが不満なの?


↓2

1

4


↓1コンマ判定 一桁

1,5,9 歌野「不満じゃないけど……」


では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから


お互いそれぞれの事情で孤立無援だったけど陽乃さんとうたのんの三年間の差がエグいなぁ…


お母さんの他にも心の支えになる人が欲しいな

では、少しずつ

おk


陽乃「なんなの? そんなに、戻ることが不満なの?」

歌野「そういうわけじゃないの……」

陽乃「でも、貴女達にとってはここが故郷でしょう?」

生まれ育った場所

3年間、死に物狂いで守り抜いた故郷

そこを守る要に成り代わった陽乃が離れることを不満に思うのが普通だ。

陽乃だってそう考えていたし、

歌野達がそう考えていて、不満に思われ、腹立たしさを見せられても仕方がないと思っている。

むしろ、そうされないと、気味が悪い

陽乃「本来なら、私が離れようが離れまいがどうでもよかったじゃない
    なのに、こんな……余計なことされて私が結界の要になりました。でも離れます。って言われたら誰だって待ったをかけるわ」

歌野「……それは」

それは、そうだろう。

歌野は反論できなくて歯を食いしばる。

歌野も水都も、そんなことはこれっぽっちも思ってはいない

だが、

諏訪の人々を説得するための手札の一つとして、陽乃が要であり、

彼女が離れれば、すぐにでもここはバーテックスに蹂躙されるということを離したとき、

はたして、人々がそれを受け入れてくれるだろうか?

今までは何も問題なかったのに、お前が来なければ。と、ならないだろうか。


陽乃「曖昧なのが一番嫌なのよ。不満なら不満だって言えばいいじゃない」

察してくれ。みたいな態度は、嫌いだ。

察することもできる。けれど、絶対じゃない

そもそも、察してあげる気なんてない。

歌野「落ち着いて、ね?」

陽乃「……私は落ち着いてるわよ」

歌野「……」

怒っている自覚がないのか

本当に、怒っているわけではないのか

もし後者なら、陽乃はかなり誤解されやすいのではと、歌野は顔を顰める。

歌野「はっきり言うわ。私とみーちゃんには、まったく不満はない」

陽乃「なら、私に大切な人がどうとか聞く必要なんてないと思わない?」

歌野「それは……」

歌野は少し躊躇って

歌野「そう、ね。ごめんなさい」

言葉を飲み込む。

それでも歌野は少し、気まずそうで、

陽乃はまた少し、苛立ってしまう。


歌野「……久遠さんって、人が嫌いなの?」

陽乃「私のことを少しでも知ってるなら、そんなこと聞くまでもないってわかると思うけど」

歌野「それでも、聞きたいわ」

陽乃「……」

陽乃の睨むような視線にも、歌野は耐える。

冗談とか

からかうために聞いているわけではないというのは、歌野の目から伝わってくる

陽乃は面倒くさそうに、平たいテーブルに突っ伏すように顔を伏せる

お茶菓子の一つでも置いてありそうなのに、今はお茶すらない。

人が嫌いか、嫌いじゃないか。

それがそんなに重要なことかと、陽乃は目を細める

陽乃「嫌いって言ったら、態度を改めてくれるのかしら」

歌野「そうね。改める必要は、あると思うわ」

陽乃「含みのある答えね……」


1、嫌いよ
2、好きではないわ
3、答えない

↓2

3

3


歌野「私にはまだ、話せない?」

陽乃が答えずに黙っていると、歌野は諦めたのか、残念そうにつぶやく。

独り言ではないだろう。

陽乃「貴女だろうと、藤森さんだろうと話す気はないわ」

歌野「……嫌いだから?」

陽乃「探ろうとしたって、無駄だわ」

陽乃の答えは、素っ気ない。

態度だけ見ていれば、

返ってくる言葉だけ聞いていれば、

陽乃が人を好きなわけがないと思わざるを得ない。

けれど、嫌いなら。

神社に来た時にちゃんと教えてくれたりしたのは何だったのか。

気まぐれと言われればそれまでだ。

でも、そうではないと、歌野は思いたかった。


↓1コンマ判定 一桁


5,8,0 歌野「なら、私は久遠さんを信じてるわ」

ぞろ目 特殊

他、終了


陽乃「なに?」

歌野「ううん、なんでもないわ」

歌野は首を振って、笑う。

歌野が何か言いたそうなことくらい、陽乃でも察しが付く。

けれど、だからどうしたのか。

陽乃は、それを追求する気はなくて。

陽乃「そう。ならいいわ」

歌野を視界から外して、陽乃はゆっくり目を閉じる

陽乃「私の予定は話した通り諏訪を出て行く。お荷物を持って帰るかどうかは任せるわ」

歌野「お荷物……?」

何のことかと逡巡した歌野だが、すぐに理解して頷く

言い方は厳しいというか、間違っている。

だが、持ってくるなとは言わないのが、優しさだろう。

歌野「ええ、話はしてみるわ……残ったって、すぐに死んでしまうことになるって考えれば、もう少し、連れ帰れると思うから」

√ 2018年 8月15日目 夕:諏訪

01~10 杏
11~20 球子
31~40 水都

↓1のコンマ

※ぞろ目 襲撃
※それ以外は通常

√ 2018年 8月15日目 夕:諏訪


陽乃「……」

歌野が、戻ると言った後も陽乃は独りになるために、部屋に残っていた。

力は有り余っていて、調子も十分

けれど、その力をふるうには、相手がいなければ危険極まりない

なにより、勝手に力を使って、

杏たちにいろいろと言われるのも面倒だった。

諏訪の神々の恩恵で調子はいいし、今後も問題ないと言ったって

杏たちが納得してくれるとは思えない。

陽乃は、明かりを失っていく窓の外を眺めながら、ため息をつく。

体調がいいのは、嬉しい

けれど、だからってこんな厄介なことになるのは、ごめんだ

選べたのなら、間違いなく拒否していただろう。


1、交流 ※再安価
2、歌野について
3、歌野に力を与えてみる
4、イベント判定


↓2

3

2


歌野は大切な人はいるのか。なんて無駄なことも聞いてきたし、

何かを言いかけた。

不満があるのかと思えば、そうでもなかった。

なら、何を考えていたのだろう。

不満はないとあそこまで力強く断言したなら、

嘘ではないと仮定しても問題はないはずだ。

陽乃「……」

歌野も水都のような人ならどうだろうか。

ここにいたのが水都だったなら、

あそこで言い躊躇うことなんてなかったかもしれないが、

考えることは似ているような気がする。

陽乃「……藤森さん。ね」

昨日、突き放したにもかかわらず、陽乃をかばったのが水都だった

しかも、歌野に反してまでだ。

巫女として、ちゃんとした理由あってのことだから

本人にそんなつもりはないかもしれないが。

陽乃「……ん」

その水都が考えること――


1、陽乃が途中で倒れると思ってる
2、陽乃にはここにいてほしいと思っている
3、諏訪を失いたくない
4、陽乃を信頼していない

↓2

1

1


陽乃「……どうせ、私の心配よね」

悪化したことも含めて、

あんなにも苦しむ姿を見られてしまった。

杏と球子もそうだろうし、

歌野と水都だって、心配になったことだろう。

何せ、付きっ切りを申し出るほどだったのだから。

歌野が水都ほどではないにしても、

気にかけているとすれば……そう、

陽乃の体調面を考えての発言だったと考えられる。

大切な人がいないのなら、

そこまで無理しなくてもいいのではないか。と。

陽乃「余計なお世話よ……」


陽乃にとって、向こうに残っている人の中で大切な人は母親くらいだ

少し前までは、

暫く音信不通になってしまった友人がいる……なんてバカみたいなことも考えてはいたけれど、

今はもう、それさえも考えてはいない。

母は、陽乃がどんな目に合っているかなんてほとんど知らないだろう。

陽乃の抑止力として大社預かりになっているが、

会うことだって、全然できていない。

陽乃「そういえば……」

同じく、大社預かりになったひなたはどうだろうか。

個別に管理していたら駄目だが、

そうではないなら、接点は今頃増えているかもしれない。

陽乃「……」

自分のことで、

何か、余計に居心地が悪くなっていないか。

陽乃はそれを不安に思って、顔を伏せた


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば少し早い時間から


こうなってくると四国に戻った後にお母さんと再会しないとメンタルがどのみち持たなさそうだな…


杏とみーちゃんが支えになってくれ……

遅くなりましたが、少しだけ


杏たちといった諸問題はあるが、

それ以外の人々による敵意が感じられない分、

環境的……あるいは、人間関係的に諏訪は陽乃にとって居心地のいい場所になりえるだろう。

だが、向こうには母がいるのだ。

面倒な柵しかない向こうに戻る理由はそれだけで、

けれど、それだけで十分だった。

陽乃にとっては、唯一の人だから。

陽乃「……っ」

母を守れていなかったら、陽乃は3年前のあの時すでに、向こうを出ていたかもしれない。

常日頃からそばにいて貰えて、諏訪に連れてこられていたら……きっと。

もう、向こうには戻らなくていいのでは? なんて、思わないこともない。


向こうで、陽乃は化け物と呼ばれることもある。

実際にそう呼ばれてもおかしくない力を持っているし、

そんな存在がそばに控えている。

けれど、だからと言って陽乃が辛くないわけではない。

無関心そうに見えたって、

何でもないようなそぶりを見せていたって、

人がそういうものだって、陽乃が諦めていたって

ずっとそればかりで陽乃が傷つかないわけではない

もちろん、そんなところなんて表に出す気はないし、

誰かにそれを気遣って欲しいと思わない。

その誰かがまた、同じようにならないとは限らないからだ

陽乃は憂鬱そうに、ため息をつく。

部屋が静かだと、別室にいる球子たちの声が聞こえてくる。

通信担当が結局、ひなたではないこと

その新任から陽乃のことについて大まかに話を聞いたことを歌野が話しているようだ。


1、少し外出する
2、みんなのところに行く
3、九尾を呼ぶ
4、イベント判定


↓2

1

2


陽乃「……」

歌野の話に、球子と杏が少し声を荒げている。

陽乃達がいないと判断しているはずなのに、

陽乃のことは信用するなというのは、意味が解らない。と。

冷静に考えるまでもなく、それはおかしい。

陽乃は指摘しなかったが。

『主様の前でだけ。というわけではないのじゃろう』

陽乃「なに……? 肩を持つの?」

『妾はそんな愚かなことはせぬ。が、主様がそれを望むならしてやらぬこともないぞ?』

伸びて広がる狐の形をしている自分の影を睨んだ陽乃は、

頭の中に響くような声に眉を顰めると、ふっと息を吐いて立ち上がる

『主様?』

陽乃「行くわ」

『行ってどうなるものでもあるまい』

陽乃「話すべきこともあるから」

これからの予定とか。

歌野に話して水都達には話さない理由もない。

意図的に結界を壊さなくてよくなった分、比較的穏便に済みそうなのはありがたい話だ。

無論、迷惑なことに変わりはないが。


みんなで寝るときにも使っている大広間

その近くまでくると、声がよりはっきりと聞こえる。

歌野「だから、私も正直……大社には不信感があるわ」

杏「わたし達がいることを信じてくれないのに、久遠さんを疑えって言うのは明らかにおかしいですから」

球子「なんでそんな変なことになったんだ?」

水都「……そう言えって言われたから。じゃないかな?」

引っかかった点について、話し合っているようだ。

水都は自分も、言えと言われてたら言っちゃうかも。と、

新任の通信担当の発言は仕方がないと思っているらしい。

杏は「もしかしたら」と、神妙な声で言う。

杏「新しい人は、私達がここにいるかもしれないって話を聞いていないのかも……」

球子「若葉がわざと引き継がなかったってことか?」

歌野「そんなことするかしら?」

杏「ひなたさんに、久遠さん。意趣返しを目論んでも不思議じゃないです」

このままだと、諏訪の二人が大社への不信感を高めるだけだ。

陽乃としては、好都合……だろうか?


1、入る
2、盗み聞きしておく

↓2

1

1

1


このまま、陽乃がいない時の話を聞いておくのも悪くはないが、

ここに来たのは話をするためだ。

いつ、総攻撃があるともわからないのだから、

話すべきことはさっさと話しておいた方がいい。

陽乃「大社に聞かれたら、面倒なことになるわよ」

水都「久遠さん……」

襖をあけて、言葉を投げ入れる。

みんなの視線が陽乃へと向かう中で、水都だけは少し気まずそうな顔をする。

球子「そう言ったって、いないじゃんか」

陽乃「それに慣れたら、向こうでぼろを出すじゃない」

杏「そう、ですけど……でも、まったく話題に出さないのは無理ですよ」

歌野「それを言いに来たの?」

陽乃「そんなわけないでしょ」

歌野の、本気の言葉に陽乃はややあきれ気味に首を振る。

歌野のそれは冗談や皮肉じゃないから、困る

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば早い時間から


とりあえず総攻撃に備えて一緒に作戦会議だな


四国に帰るプランも考えなきゃ


杏「久遠さん、一つ確認したいことがあるんですけど……」

陽乃「なに?」

杏「通信のことです」

杏はわずかに渋い顔をして、切り出す。

結局、通信担当はひなたにはならなかった。

陽乃が行おうとしていた通信の修復も、それで頓挫してしまったのではないかと、気にしているようだ。

杏「久遠さんが、諏訪の神様に見初められたことで、ひなたさんがいなくてもどうにかなるとか……」

陽乃「なるほど」

陽乃は頷いて、少し考える。

確かに、それはどうなのだろうか。

もともとは、陽乃は自分の力のみでどうにかしようとしていた。

だが、今は杏の言ったように諏訪の神々に与えられた力がある。

それがあれば、通信もどうにかできる可能性はある……だろうか?

陽乃「それは、考えてなかったわね」

球子「それもそうだし、これからどうするかも考えなきゃだろ」

歌野「……」

水都「うたのん?」


歌野の表情にそこまで変化はなかったように見えたが、

水都は黙り込んだ歌野から何かを察したのか、不安そうに呼ぶ。

陽乃が、ついさっき歌野だけを呼び出したことを知っているからだろうか。

杏「少なくとも、総攻撃をしのいでからでないと出るのは難しいと思いますが……」

総攻撃があった後でも、厳しいことは厳しい。

みんな消耗しているだろうし、最悪療養が必要な状態な子だってその時はいるかもしれない。

だが、総攻撃を行う準備がされている外

そこに、一般人を連れて出て行くなんて餌を投げ込むようなものでしかない。

陽乃「そうね……」

心配なのは、総攻撃を凌いだあとの、杏と球子だ

力を使い果たしていたら、帰り道で戦えない。

歌野は、どうにかなるかもしれないが。


1、少なくとも、帰る予定ではあるわ
2、白鳥さんは、帰ることに不満があるらしいのだけど、どう思う?
3、貴女達の力が持つかが問題だわ
4、今のうちに、私が単身で突っ込んでみる?


↓2

4

4


陽乃「今のうちに、私が単身で突っ込んでみる?」

球子「はぁ!?」

杏「なに言ってるんですか!」

水都「駄目に決まってるじゃないですか!」

歌野「久遠さんは要なのよ!?」

思ってもいなかったのだろう。

みんな驚いて、そして、叫ぶように拒絶する

結界の要であることは、もう、自覚しているはず。

それなのに、バーテックスの大群の中に単身で突っ込むなんてあまりにも酷い話だ。

冗談でも笑える話じゃない。

陽乃「えっと――」

杏「久遠さんは、結界の要なんですよ? それでなくても、切り札として扱うべきなのに」

歌野「わざと、言ってるの?」

陽乃「その方が手っ取り早いでしょう?」

水都「本気で言ってますか?」

陽乃「なによ」

みんな、不満があるようだ。


↓1コンマ判定 一桁

1,3,5,7 水都「冗談でもやめてください」

ぞろ目 特殊

みーちゃんどんだけコンマの神様に愛されてるのか…


水都「冗談でもやめてください」

陽乃「藤森さ――」

水都「久遠さんはもう、わたし達にとってはいなくてはならない人なんです」

水都が、詰め寄ってくる。

つい数分前、気まずさを携えていた表情には怒りがあって

それは間違いなく陽乃に向けられている。

水都「みんな言っている通り、結界の要ですし……」

水都は、そこで言葉を切る。

何か言いたげで、でも、言ってはいけないというような表情を浮かべて首を横に振った。

水都「体を大事にして下さい。四国から諏訪まで……その移動であんなことにまでなったんですから」

陽乃「それはそうだけど」

今はもう、諏訪の神々の恩恵で簡単にそんなことになったりしない。

だが、なんとなく、水都はそれを言いたかったわけではないように見える。

陽乃に強く突き放されたから、飲み込んだのかもしれない。


陽乃「私の体のことなら、心配はいらないわよ? 諏訪の神々の恩恵で影響が出にくくなったわ」

球子「だからって無理したら変わんないんじゃないか?」

少なからず影響が出てしまっていたが、

今までは、力の副作用が心配で控えめだった。

その心配がいらなくなったからって、

無理をしたら結局、

影響が出てしまうようになってしまうのではないかと、球子は顔を顰める

杏「そうですよ」

陽乃「そうならないように、ある程度抑えるわよ」

歌野「そもそも、どうして久遠さんが無理をする必要があるの?」

陽乃「無理ってほどじゃ――」

水都「無理ですよ」

歌野「無茶でもあるわ」

杏「さすがに、無謀でもあるかもしれません」

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は可能であれば少し早い時間から


みーちゃんしか勝たん


さすがにこれはみんな心配してくれてるな
反動ダメージをどこまで軽減できるかは気になるけど

遅くなりましたが、少しだけ


進化体が出てきた場合は普通のバーテックスと戦うより力を必要とするかもしれない。

だが、無理ではないし無謀ではないと陽乃は思う。

今の体の状態なら、例の……伊邪那美命だって、呼び出しても耐えられそうな感じがする。

もちろん、無駄に使う気はないが。

水都「絶対にダメです」

陽乃「それが一番被害が少なく済むのだけど……」

杏「それは確かにそうかもしれません。けど、それはダメです。絶対に」

水都も杏も、猛反対のようだ

球子と歌野も同意見のようで、頷いている。

歌野「諏訪の神様の力があるから、一番、力があるのは間違いなく久遠さん
    でも、だからって全部を久遠さんに押し付けるなんてしたくないわ」

歌野は陽乃をまっすぐ見つめている。

牽制するかのような鋭い目つき。

それは絶対に許さないと、言っているようだ。

陽乃「貴女達に被害が出ると、私がまた面倒なことになるのよ」

球子「あー……」

球子が察して声を漏らす。

球子「四国戻ったときに、大変なことになるな……」


戻れたらの話ではあるけれど、

どうにか戻れても、勇者側に被害があったら、糾弾されるのは陽乃だ。

ただでさえ、今の陽乃は立場が悪い。

今も杏と球子が陽乃に害されているのではないかなんてうわさが流れているのだから

実際に被害があったら終わりだ

球子「けど……だめだろ」

陽乃「けがの一つもしない自信があるの?」

球子「……ないな」

あると断じたい

だが、数回戦って、思った。

守る力なんて大したものじゃない。

そんな自負なんて楯とともに投げてしまった方がいいと。

球子「でも、それは駄目だ」

陽乃「……」

球子「そんな顔したって、駄目なものは駄目だ」


陽乃「そんな顔……?」

陽乃は静かに、噛みしめるようにつぶやく。

陽乃「私がどんな顔してるって?」

球子「めちゃくちゃ不満そうな顔してるぞ」

杏「でも、私達も嫌ですから」

球子は困り果てた表情

杏と歌野は不安そうな表情

水都に至っては、まだ、ためらいを感じる表情を浮かべている。

陽乃はそれらを一瞥すると、息を吐く

陽乃「私一人で、可能限りの力を使って戦う方が、合理的じゃない?」

水都「合理的だから、何なんですか?」

歌野「みーちゃんっ」

水都「合理的だから、久遠さんが全部、引き受けるんですか?」



1、そうよ
2、何で怒ってるのよ
3、必要のない犠牲なんて、馬鹿みたいじゃない
4、だったら何なの?
5、何も言わない


↓2

3

1


陽乃「そうよ」

球子「そうって……」

球子は不快そうに呟く。

表情も、気持ちがあらわになって渋い感じだ。

空気がひんやりとして……部屋が静まり返る。

唖然とする水都は見開いた瞳の中に、陽乃を映して

そうして、くっっと、唇をかむ。

杏「確かに、久遠さんがわたし達を考えずに力を使うのが一番合理的かもしれません……」

陽乃の力はそれだけ特殊で、強い。

余計なことに気を取られず、

ただその力をふるうことができるのが、一番なのは間違いなかった。

球子「あんずっ」

杏「解るけど、でも、その通りだと思う」

球子の声に、杏は悲しそうに首を振った


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから


杏ちゃんなんとかしてくれ


もし陽乃さんが一人で大暴れしたら後で諏訪の神様の力がどれだけフォローしてくれるかが鍵になりそうだな…

遅くなりましたが、少しだけ


杏「久遠さんの力は、私たちも巻き込んじゃう可能性がある……たまっち先輩も知ってるよね?」

球子「そりゃ……だけど」

球子たちは陽乃自身から、陽乃の力による影響は聞いている。

本気を出せるが、出せなかった今までと違って、

以前の本気くらいなら、簡単に出せてしまいそうな状態であることに偽りがなければ、

戦闘中に、周囲の勇者にまで影響が出る可能性はゼロとは言えない。

それを気にすることなく力を使い、バーテックスと戦えるのなら、

周りが手を貸さなくても、総攻撃をしのげるかもしれない。

その結果、陽乃だけが著しく消耗することになるかもしれないが、

被害は……きっと、それだけで収まるはずだ。

歌野「久遠さんって、そんなに危険なの?」

球子「ヤバいな。本気を出されたら、バーテックスの総攻撃なんて比じゃないくらいに被害が出るだろ」

球子はわざと誇張しているかのような表情で言うが、

陽乃は否定できなかった。

陽乃「前はともかく、今の私なら結界については問題はないはずよ」

歌野「前のまま総攻撃で力使ってたら、久遠さんの力で結界が壊れる可能性があった……?」

陽乃「そうね。否定はできないわ」

力加減にもよるが、最悪の場合には壊れていた可能性がある

よしきた


歌野「神様が力を与えたのはそれも理由の一つだったりするのかしら」

陽乃「そんな優しさなんて、ないと思うけど」

有無を言わせずに無理矢理に与えてきたものだし、

少なくとも九尾はそんなこと言っていなかった。

もちろん、そんな理由があったとして、九尾が言うとも限らないけれど。

水都「じゃぁ、伊予島さんは久遠さんに戦ってもらうつもりですか?」

杏「あくまで、合理的ってことの否定はできないなってだけ……です」

水都の視線に、杏は肩をすくめて答える。

杏「私も、久遠さんに一人で戦うなんてして欲しくないです」

球子「もちろん、タマもだぞ」

歌野「私もよ」

陽乃「……なによ」

全員の目が向けられる。

みんな、陽乃がたった一人で戦うことなんて受け入れるつもりはないという感じだ。


↓1コンマ判定 一桁

0,3 歌野
5,8 水都

ぞろ目 特殊


球子「というわけで、合理的とかそういうやつはなしだ」

陽乃「死にたがりなのね」

球子「……言われたくないな」

陽乃には言われたくないと、眉を顰める球子。

杏たちも同意だと頷いて

水都「正直、一番死にたがってるのは久遠さんだと思います」

陽乃「はぁ?」

歌野「だって、あんな代償のある力を平気で使うし……バーテックスと単身で戦うのが合理的だって言うし」

球子「な?」

同意を求めてくる球子に、陽乃は不快な表情を浮かべる。

陽乃は死にたいわけじゃない。

むしろ、生きていくために必死だ

その過程で、力が必要なら使うというだけのこと。

単身で戦うことについてだって、

珠子達を生存させるのが今後につながるのは間違いないから、

犠牲が出ない方を選びたいというだけである。


1、分かったわ
2、どうしてもというなら、私と戦ってでも止めてみる?
3、言っておくけれど、私は誰も守る気なんてないからね
4、何も言わない


↓2

1

2


陽乃「どうしてもというなら、私と戦ってでも止めてみる?」

歌野「戦ってでもって……本気?」

呆れてるかのような表情を浮かべる歌野の傍ら、

また変なこと言ってるよ。なんて呟く珠子に、歌野は唖然と振り返って

歌野「また?」

杏「……本末転倒では?」

陽乃「私なら、殺さないようにすることはできるわ」

バーテックスが相手なら、殺されることがある。

腕や足を食いちぎられることだってある。

けれど、陽乃ならそこまでいかないようにできる。

陽乃「多少、入院してもらうようになるかもしれないけど」

珠子とやったように

一撃決着なんて形式にしてしまえば、より安全に終わらせられると思うが。


↓1コンマ判定 一桁

2,5,9 水都「……ふざけないでください」

0 歌野「さすがに、ありえないわ」

ぞろ目 特殊


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから


サンキューコンマ

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ここでまさかのゾロ目…
一体何が起こるのだろうか

遅くなりましたが、少しだけ


水都「いい加減にしてください!」

部屋に怒号が響く。

声を張ることに慣れていない、無理をしている大声。

迫力も足りなくて、まったく怖いだなんて思えない。

けれど、その場にいたみんなが言葉を失って、静まり返る。

水都「……分かってよ……」

歌野「みーちゃん?」

水都「分かってよッ!」

陽乃「……っ」

ぐっと、水都が陽乃へと詰め寄る。

水都「あんなお願いなんて嫌です、あんなのお願いなんかじゃないです……」

陽乃は昨日、放っておいてと水都に言った。

だからだろう、水都は怒っていてもばつが悪そうで。

今までずっと水都と一緒にいた歌野は今まで見たこともない水都の様子に呆然としていて、

杏と球子も、口をはさむべきではないと思っているのか、黙り込んでしまっている。

水都「放っておくなんて、できるわけがないじゃないですか!」

陽乃「私――」

水都「久遠さんなら傷ついてもいいなんて思ってる人は、ここにはいないんだよっ!」


水都「久遠さんが向こうでどんな扱いされてるとか、どんなこと言われてるとか、何があったのかとか、知らないよ……」

少しは聞いている。

けれど、知らない。

はっきり言ってしまえば、知ったことではない。

陽乃は人付き合いを好まない人で、

けれど、内容によっては親切に答えてくれるくらいには優しい人

自分の力に副作用があるにもかかわらず、

四国から諏訪まで力を使い続けてしまうような人

そして――諏訪の神々が力を授けてくれるような人

水都「私達は、久遠さんを傷つけたいなんて思わないし、傷ついていいとも思わないし、いなくなってもいいとも思いません」

陽乃「……そんなこと言われたって」

杏「久遠さん、ここは大丈夫です。ここなら、大丈夫なんですよ」

陽乃の事情を、きっと、この中では一番よく知っている杏

その杏が、大丈夫だと言う。

あの九尾でさえ、こ個なら問題ないというようなことを言っていた。

だから、本当に、諏訪は大丈夫なのだろう。

陽乃にとって、温かい場所なのだろう。

歌野「ここなら、そんな気を張らなくていいの。だから、結界さえ保つことができるなら、私はここにいて欲しいって思ってるわ」


陽乃「貴女が言いたかったのは、それなのね」

昼間、歌野が言おうとして言わなかったこと。

陽乃は体調を気にしているのかと思っていたが、

そんなことではなかったらしい。

歌野「久遠さんは出て行くって言うし……正直、あまり楽しめるような環境ではないから言うのはどうかと思ってたけど」

歌野はそう言って、陽乃ではなく水都を一瞥する。

困ったような、でも、喜んでいるかのような

ちょっぴり複雑な表情

歌野「せっかくだから、検討してくれないかしら?」

珠子「まぁ、四国には若葉たちを残してきてるからな……」

ただでさえ少ない勇者を分断した状態。

人数的には、諏訪の方が多いくらいだ

水都「残る気は、ないんですか?」



1、ないわ
2、あると思ってるの?
3、何も言わない


↓2

2

3

3


珠子「おっ?」

陽乃が何も言わないでいると、珠子がにやりと笑う。

言うまでもなく不快そうな表情をい浮かべた陽乃だが、

珠子はそれでも「はははっ」と、むしろ声を出して

珠子「ないって言わないんだな」

陽乃「……いちいち、言う必要ある?」

珠子「あるだろ。タマでもそんなことくらいわかる」

珠子の陽気な反応が返ってくる。

水都の迫力のない勢い

それに便乗してきた歌野の本音

それに対して、すぐには答えなかった言い訳に「言う必要があるか」なんていうのは物足りない。

杏「勇者を各個撃破されないように、一つの場所でまとまるというのは大事なんじゃないかなって私は思う」

ここから出て行かなくてもいいのではと思う、諏訪の二人

それに対して、杏は静かに切り出す

杏「四国なら、神樹様の恩恵もあるし、勇者が7人にもなれば絶対に守り抜くことができるはずだから……」

進化体がいたって、総攻撃があったって、協力し合っていけばどうにか乗り越えられるはずだろう。

けれど。

杏「でも、久遠さんさえよければ、ここにいる方が良いと思います」

杏も、結局はそう思っているようだ


虐げられるってわかりきっている場所に戻るよりは、

多少の不自由さなどはあっても、

温かく迎え入れてくれる諏訪にいる方が良い。それは、精神的には間違いない。

杏と球子が消息不明になってしまっているという問題もあるけれど、

通信担当が若葉から、大社から派遣されてきた人になったのだから、

杏たちに参加させればどうにかなるかもしれない。

だが、それでいいのだろうか?

四国は本当に守り切れるのだろうか

諏訪は本当に不滅なのだろうか

それらがなかったとしても……向こうには母がいる。

陽乃を唯一、四国に縛り付ける存在

『下手に救ったのが仇になったのかや?』

陽乃「……やめて」

母がいなければそもそも、あの日から生きている理由さえなかったかも知れないのだから。


1、向こうには母がいるのよ
2、残りたければ残ればいいわ。私は戻る
3、……考えておくわ
4、何も言わない


↓2

1

1


陽乃「向こうには母がいるのよ」

珠子「タマ達だって――」

陽乃「母しかいないのよ」

両親がいる。ではない。

母しかいないのだ。

バーテックスに襲撃されて亡くなったのではなく、

人々の手によって、父を失って母親だけが残った。

陽乃に母しかいないように、

母には陽乃しか残されていない。

陽乃「大社は私がいるから、母をどうにもできない。預かることを容認しているの」

陽乃が身勝手なことをしても、

母を人質にとって行動しようとしてこないのは

それが逆に、逆鱗に触れることになるとわかっているからだ。

けれど、すぐには手をだせないこの遠距離

母に何もないなんて保証はない

陽乃「母まで失うわけにはいかないのよ。わかるでしょう?」


歌野「……なるほど、だったら止められないわね」

黙ってしまったみんなの中で、言いだした歌野自身が首を振る。

可能なら諏訪に残ることを選んで欲しいと思っていても、

陽乃がそうしたくないのなら、仕方がないと歌野は考えているようだ。

歌野「みーちゃんも、無理強いは駄目よ?」

水都「私は……私は別に、諏訪に残ることが重要だとは思ってない」

歌野と同じように、そうして貰えたら嬉しいとは思う。

だが、それが絶対だなんて思っていないし、

一番重要に考えているのは、諏訪か四国かという問題ではない。

珠子「そういうことなら、残れないな……悪い」

杏「もともと、諏訪の人たちを連れ帰るって予定だったわけだし……」

陽乃の事情も事情で、だから、みんなトーンダウンする

これ以上、ここに残った方が良いだなんて言えなかった。

陽乃「そういうわけだから、私は向こうに帰る予定。総攻撃については――」

正直、陽乃が単独で力を使うのが手っ取り早くて合理的

だが、みんなはそれを望んでいないようだ


1、いいわ。貴女達も勝手にして
2、やっぱり、私が一人で担当するわ

↓2

1

2

1


陽乃「やっぱり、私が一人で担当するわ」

珠子「それは駄目だって」

陽乃「伊予島さんだって、合理的だって言ってるわよ」

陽乃は呆れたように言って、珠子を見る。

優しくない、鋭い視線に球子は目を見開いて睨み返す。

陽乃「言ったはずよ。どうしても止めたいなら、戦いましょうって」

歌野「みーちゃんの気持ち、わかってもらえない?」

陽乃「知らないわ」

歌野も、やや苛立ちを感じる声色で言うが、陽乃は態度を変えない

歌野「久遠さん一人に任せて、傷ついて欲しくないのよ」

陽乃「だから、何? 私以外の人が参加したら誰も傷つかないとでも?」

水都「でも、久遠さん一人よりは被害が少ないと思います」

陽乃「どうだか、ね。個別に傷を負う分、被害はむしろ多いと思うのだけど」

陽乃はもう話は終わったとでもいうかのような様子で、

小さく、ため息をつくようにしてみんなを見る

陽乃「向こうに戻るなら、無駄に戦力減らさずに最低限で対処するべきじゃないかしら?」


杏「……そうですね」

それは間違いない。

そして、陽乃なら単独で総攻撃をどうにかできるだけの力があるのも事実。

人数的には、それが最低限だ。

戦力としては過剰だが。

一般の人々を守りながらの道中となるのなら、

戦力重視ではなく、人数的な温存を目標にして総攻撃を乗り越えるのが一番だ。

陽乃のやろうとしていることは間違っていない。

感情的に受け入れがたくても、正しい。

水都「なら、せめてうたのんと協力するとか」

陽乃「いらない」

水都「っ……」

陽乃「とにかく、私一人でやるから。出てくるなとは言わないけど、貴女達の安全は保障しないわ。巻き込むからね」


珠子「本気なんだな」

陽乃「当たり前でしょう。冗談で言う必要あるの?」

珠子「ないけどさぁ……」

珠子は諦めたのか、首を振る。

陽乃はこうと決めたら実施する。

それは人を殺すこ都もあるし、単身で逃げ出して野宿することもあるし、

こうして、諏訪にまでくるようなこともある。

それを見てきたからこそ、珠子と杏は止められないと思わざるを得ない。

なにより、

それが実際問題一番いい結果が得られると……分かっているからだ。

反対理由なんて、感情以外の何物でもなかった。

陽乃「話は終わりね。止めたければ力づくでどうぞ」

自分より強い人がいるなら、

陽乃の言っていることは誤りだ。

素直に引き下がるしかない

だが、それを証明できないのなら、考えは変わらない


↓1コンマ判定 一桁

0,4,7 歌野「なら、私と戦いましょう」 

※それ以外は交流終了


√ 2018年 8月15日目 夜:諏訪

01~10 杏
12~21 球子
34~43 九尾
56~65 水都
89~98 歌野

↓1のコンマ

※ぞろ目 全員(九尾を除く)
※それ以外は通常

√ 2018年 8月15日目 夜:諏訪


どこかで、虫が鳴いている。

夏の風物詩といえば、季語にでさえ選ばれる蝉だろうけれど、

夏の夜に聞こえる声はそれだけではない。

蚊取り線香の煙が漂う。

時々、風に流されていくのを横目に、陽乃は明かりのない夜の自然に目を向ける

陽乃「……なに?」

九尾「主様が力を本気で扱うなら、あんな娘ども死ぬぞ」

陽乃「もちろん、手は抜くわよ」

すぐ隣に腰掛ける、金色の長い髪をなびかせる和装の女性

赤い瞳は陽乃を見ずに、手元の小さな器に向いている

陽乃「なにそれ」

九尾「くふふっ、飲むかや?」

陽乃「……お酒は嫌いだわ」

近づけられた器に揺れる水面

感じた鼻をつくようなにおいに、陽乃はさっと顔を背けた


九尾「眠らぬのかや?」

陽乃「眠くないのよ」

夜だって言うのに、陽乃は全く眠くなかった。

体の中に有り余る力が、睡眠欲求をはじいてしまっているらしい。

その原因とも言える諏訪の神々のおかげで、力はほとんど自由に使える

だからと言って、全力行使などは行うつもりはない。

殺して、どうするのか。

陽乃の力は、代償がある分強力だった。

その代償の部分が取り除かれたのだから、

もはや、化け物という言葉が完全に否定できなくなった。

陽乃「挑んでくると思う?」

九尾「ふむ……」

九尾は手の中の器に口をつけて、小さくのどを鳴らす。

九尾「主様の判断は誤っておらぬ。きゃつらが愚か者でなければ、挑むこともあるまい」

陽乃「そう……」



1、貴女なら、ここに残る?
2、どうしたらいい?
3、お母さんは無事だと思う?
4、通信設備、どうにかできるかしら
5、できるだけ突き放してきたのに……

↓2

2

5


ではここまでとさせていただきます
明日も可能であれば、通常時間から


ちょっと心が痛むけどお互いに考えをぶつけ合えるようになっただけ一歩前進と見るべきか
ただあとで仲直りはしておきたいな


九尾との交流が終わったらいよいよ総攻撃回になるの?

では、少しだけ


陽乃「できるだけ突き放してきたのに……」

どうしてこうなったのか。と、

疲れたように吐き出す陽乃は、窓の縁に腕を敷いて、顔を伏せる。

九尾「むしろ、そうしてきたからじゃろう」

九尾は一口お酒を含んでから、静かに答える。

こくりと、のどをお酒が通っていく音が、はっきりと聞こえた。

九尾「真に拒むならば、突き放すことさえ不要じゃ。出方を待たずに己から手を出してもよかったやも知れぬ
    主様の境遇を最初から告げて、関わるなというてもよかったやも知れぬ」

風が吹いて、九尾の不可思議な匂いを感じる。

あまり嗅いだことのない匂いだけれど、嫌ではなく

むしろ、好ましく感じられる匂い。

陽乃「なら、今からでも間に合うかしら」

九尾「無駄じゃろうな。あの小娘どもの様子を見たであろう? すっかり、入れ込んでおるな」

くつくつと、小ばかにしたように九尾は笑って

九尾「あの日、すぐにでもあの地を出て行くべきじゃったな。そうすれば、主様自身の考えそのものに違いがあったはずじゃ」

陽乃「他人を受け入れられるように?」

九尾「ふむ……そうじゃな」


陽乃「私が望んでることじゃないわ」

九尾「その望みそのものが変わる」

陽乃「………」

例えば、3年間を諏訪で過ごしていたらどうだっただろうか。

きっと、陽乃にとってはとても穏やかで優しく、温かいものになっていたことだろう。

最初の内は大変だったかもしれないが、

次第に、楽になっていたことだろう。

歌野一人で3年間も生き抜けたのだ

陽乃が加わっていたらもっと楽で、確実だったはずだから。

陽乃「やめてよ。今更だわ」

久遠家を差し出した人々による悪意による、歪み

それさえなければ、向こうだってここまで生き辛くなかったはず。

陽乃のその考えを悟ってか、九尾は「主様」と呼ぶ

九尾「妾は、あ奴らはみな、殺してしまうべきじゃと思うておった。にもかかわらず、主様はそれを拒んだであろう」

陽乃「……なによ。私が悪いって言いたいの?」

九尾「邪魔ならば消せばよい。利用できるものは利用すればよい」

しかし……と、九尾は深く息を含む。

九尾「主様はあまりにも、生温い」


九尾「そんな主様じゃからこそ、あの小娘どもがついて回るのじゃろう」

陽乃「なら、今から変わればいい?」

九尾「さて……それでどうにかなるものとは思えぬがのう」

陽乃は腕に伏せながら、九尾の方に顔を向ける。

九尾は、含みのある表情を浮かべていて、

いつ出したのかも分からない、お酒の入った瓢箪のようなものから、器に注ぐ。

九尾「主様は強く拒み、望んだ藤森水都からあんなにも詰め寄られたからのう」

陽乃「……ええ」

九尾「あの小娘にとって主様は放っておけぬ存在になっておる。おそらく、ほかの小娘どもにも」

九尾の赤い瞳がようやく、陽乃へと向けられる

人工的な、淡い光だけの室内にぽぅっと……金色の光が浮かぶ。

それに、意識が持っていかれそうになる

九尾「妾が手を打ってやってもよいぞ?」

九尾は、怪しい笑みを浮かべて

九尾「無論、主様が諦めるというのも手じゃが」


1、諦めるなんて無理よ
2、貴女、何するの?
3、貴女に任せたら、それこそ終わりよ
4、そうね、諦める方が、楽かも
5、何も言わない

↓2

2

3

4

4

4


陽乃「貴女に任せたら、それこそ終わりよ」

陽乃は睨むように言ったが、

九尾はまるで気にしていないのか、平然と笑う。

九尾「主様が望む、静寂を与えるだけじゃ。終わることは終わるが、なに、主様に害はない」

陽乃「本気で言ってるの?」

九尾「いかにも」

九尾は、本気だ。

他愛もないことを語っているみたいに、表情は柔らかい。

そうして、こくりと、お酒を口に含む

九尾「ふむ……やはり、ただ酒は口に合わぬな」

器が消え、瓢箪が消え、

そして、九尾の女性としての姿が狐へと変わる。

九つの尾をもつ、妖狐に。

九尾「主様は人間じゃな。あまりにも、人間じゃ。有象無象が主様を化け物と呼ぶ意味が解らぬ。愚者然とした、見事なまでに生易しい小娘でしかないというのに」


金色の毛並みは、不自然なまでに輝いて見える。

それに隠れる、深紅のルビーのような瞳が陽乃へと向く

九尾「妾ならば排除できる。主様が望んでやまぬ、静寂を与えられる。だというのに、拒むのかや?」

陽乃「ろくなことにならなそうだし」

九尾「くふふっ、望むものを手に入れるためじゃぞ? 多少はよかろう」

九尾は笑っているが、冗談で笑っているわけではない。

九尾なら本当にろくでもないことをする。

しかも、九尾自身はそれを、当たり前で、必要なことだと思っている。

九尾「何もせずにいたおかげで、今、主様が逃げることになっておるのじゃろう?
    本当に、現状を変えたいのであれば、行動すべきではないかや?」

陽乃「それはそうだけど……戦力を削られても困るのよ」

九尾「ふむ。それが言い訳かや」

陽乃「言い訳って」

九尾はぺろりと舌を出して、目を細める。

からかっているのだろうか。

陽乃「私は生きていきたいの。死にたくないのよ。そのために利用できるものは利用するの」

九尾「じゃが、総攻撃は主様が一人で対応するのじゃろう?」

くくっっと、九尾ののどが鳴る

九尾「主様は言い訳ばかりじゃな。素直に言えばよい。守ってやれぬと、死なれたくないと」

陽乃「そんなじゃないから」

九尾「じゃが、小娘どもは……妾と同じように考える。主様が何を言おうと、もう遅かろう」


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は可能であれば少し早い時間から


総攻撃が近いのか
どういう風に転がって行くのか気になるな


陽乃さんもそろそろ心を開かないといけない時が来てるな
いっそ単独戦闘も撤回して協力を求めるか

では少しだけ

かもん


陽乃「……もう遅いんだ」

九尾「さっきの反応を見れば、言うまでもなかろう」

陽乃が単身で対応するという話。

明らかに、それが合理的だとわかっているのに、

みんなは感情でそれを拒んでいた。

みんな、陽乃に寄り添うつもりなのだ。

陽乃は鬱屈な様子で、ため息をつく

陽乃「どうして、こうなっちゃったのよ……」

九尾「また繰り返すかや?」

陽乃「もういいわよ」

九尾は陽乃がそうしてきたからこそだといった。

突き放すような姿勢が、

むしろ、杏たちの気を惹いてしまった。

いいや、杏に関しては、助けてしまった時点で駄目だっただろうか。

かといって、見捨てられる陽乃でもない


九尾「本当に突き放したいならば、生半可に付き合わぬほうが良い」

陽乃「解ってるわよ」

好きにしたら? とか、勝手にしてとか、

そういう態度をしていたのがダメだったらしい。

そういうのも含めて、初めから突き放しておくべきだったし、

諏訪に来るとき、何が何でも球子たちを置いてくるべきだった。

陽乃「……貴女のせいだわ」

陽乃は、おもむろにそう呟く。

陽乃「貴女が、向こうにたどり着けるかわからないなんて脅すから」

九尾「くふふっ、そうじゃったのう」

九尾はあくまで忠告をしただけだ。

そういわれたからって、気にしなければよかったのにと言われれば、それで終わってしまう。

陽乃「でも、それでも藤森さんたちはどうしようもなさそう」

諏訪の人々は、向こうでの陽乃を知らなかったから

説明したって、理由があった。なんて、言われる始末だし。


1、なるようになるしかないわね
2、九尾は諦めた方が良いって思う?
3、私が、死なせたくないからって言ったって、逆に言われるだけでしょう?
4、何も言わない


↓2

1

3


陽乃「私が、死なせたくないからって言ったって、逆に言われるだけでしょう?」

投げやり気味に、陽乃は漏らす。

九尾は死なせたくないと素直に言えばいいと言ったけれど、

陽乃はそうは思わなかった。

歌野達だって、同じように返してくる。

死なせたくないなんて、言わなくてもあれだったのだから。

九尾「そうじゃな。そうなるやもしれぬ」

九尾の尻尾がふぁさりと、風を巻き起こす。

九尾「じゃが、少しは思いとどまらせることもできるじゃろう」

陽乃「そうかしら」

九尾「小娘どもが、主様に抱いていることと同様のことを主様が述べることに意味がある」


九尾はそういうと、九つの尾を陽乃の体を囲うように動かす。

金色の毛並みがきれいな九尾の尾

暗い部屋の中でも、それ自体が発光しているかのように、明るく見える。

それは、とても暖かい。

陽乃「なに? 何か、変じゃない?」

九尾「妾は何も変わらぬ」

陽乃「……そう?」

九尾の赤い瞳を見るが、九尾はその瞳を陽乃へとむけてはいない。

1度、2度、瞬きをして。

九尾「単身で対応しようと、主様が死ぬことはなかろう」

陽乃「ええ」

九尾「じゃが、問題は主様の影響を結界が受けていることじゃな」

陽乃「壊れる……わけではないんでしょう?」

九尾「うむ」

九尾は息を吐くように頷く。

九尾「主様のおかげで、十分に強固な結界となっておる。
    それゆえに、ここには手を出せなくなるやもしれぬと、思うてな」


九尾の赤い瞳は、外の暗闇を見つめている。

細く、鋭く、じっっと……見つめている。

その先に何かあるのかと陽乃は顔を顰めて目を向けたが、

光のないその場所には何も見えなかった。

九尾「四国の方に、きゃつらが手を出す可能性がある」

陽乃「諏訪を諦めて、四国を攻める可能性があるのね……」

バーテックスは総攻撃の準備を進めてきていた

だが、それは陽乃達がいなかった頃からの計画だろうし、

結界がだんだんと弱まりつつあったからこそ、実行できたことなのだろう。

諏訪の神々から陽乃へと力が移ったことで、

もしかしたら、総攻撃を諦めて、諏訪を諦めて、

戦力の削がれた四国を襲撃するのではないかと、九尾は考えているようだ。

九尾「バーテックス……じゃったか。きゃつらが、主様の力が四国から諏訪へと移動したことを察知しておるならば、
    明らかに異質な力を帯びている場所に手を出すのは控える恐れがある」

もちろん、いろいろと考える知能があるなら。と、九尾は言うが、

その表情はいたって真剣だ。

やがて、赤い瞳が陽乃へと向けられる。

九尾「主様一人にせよ、小娘どもを連れるにせよ、もし、しばらく襲撃がなければ、先手を打つ方がよいやもしれぬ」

陽乃「……そう、ね」

九尾の忠告

それは、頭の片隅に置いておかなければならないものだ


√ 2018年 9月1日目 朝:諏訪


01~10 水都
34~43 杏
56~65 歌野
67~76 襲撃
87~98 球子

↓1のコンマ


※ぞろ目 襲撃
※それ以外は通常


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば少し早い時間から


1日のまとめは再開時
9月突入


長くて濃い8月がようやく終わったけどまさか総攻撃こないままだとは…
そして早く四国に戻らないと大変なことになりそう


待つか仕掛けるか
それともいっそ一息に四国まで移動するか


では少しだけ


■2018/08/14 分

1日のまとめ(諏訪組)

・ 白鳥歌野 : 交流有(触らない、余計な事、単独行動、御柱倒壊)
・ 藤森水都 : 交流有(単独行動、神託、特殊1、3年間、時間があれば、放っておいて、御柱倒壊、特殊2)
・ 土居球子 : 交流有(単独行動、御柱倒壊)
・ 伊予島杏 : 交流有(単独行動、特殊1、諏訪の生活、そう、特殊2、説明する、どうしてそこまで、好きにしたら、御柱倒壊)
・   九尾 : 交流無()

√ 2018/08/14 まとめ

 白鳥歌野との絆 50→52(普通) ※特殊交流1

 藤森水都との絆 65→68(良好) ※特殊交流5 
 土居球子との絆 59→59(普通) 
 伊予島杏との絆 70→75(良好) ※特殊交流2

   九尾との絆 66→66(良好)


■2018/08/15 分

1日のまとめ(諏訪組)

・ 白鳥歌野 : 交流有(勇者としてすべきこと、今後、諏訪を出る、不満、単身突撃、合理的だから、特殊2、戦う、母、やっぱり一人で)
・ 藤森水都 : 交流有(単身突撃、合理的だから、特殊6、戦う、母、やっぱり一人で)
・ 土居球子 : 交流有(単身突撃、合理的だから、特殊1、戦う、母、やっぱり一人で)
・ 伊予島杏 : 交流有(単身突撃、合理的だから、特殊3、戦う、母、やっぱり一人で)
・   九尾 : 交流有(力の返却、祟り、突き放してきたのに、任せられない、死なせたくないといっても)

√ 2018/08/15 まとめ

 白鳥歌野との絆 52→55(普通) ※特殊交流2
 藤森水都との絆 68→70(良好) ※特殊交流6
 土居球子との絆 59→60(普通) ※特殊交流1
 伊予島杏との絆 75→76(良好) ※特殊交流3
   九尾との絆 66→68(良好)

絆値下がってなくて良かった…


√ 2018年 9月1日目 朝:諏訪


陽乃は、一人、いつもの空き部屋の畳の上で寝転がる。

天井を見つめ続けて数分、ゆっくりと目を閉じる。

陽乃「……」

9月に入っても、バーテックスによる襲撃は一度もなかった。

水都はもちろん、諏訪の神々の代理となった陽乃にも、襲撃が行われるような兆候の一切も感じられず、

杏達が様子見で結界の外に出てみたこともあるが、無数のバーテックスの姿はあっても、

襲撃してくるような様子は見られなかった。

だが、その数は増えて行っている。

歌野と水都を加えて、勇者と巫女で移動するなら切り抜けることも可能かもしれない。

だが、一般人を連れてとなると、突破はまず間違いなく被害が出ることになるだろう。

日に日に、通信の状態も悪くなってきている。

陽乃が代理となったことで諏訪の力こそ強くなったが、

改善には至っていない。

陽乃が単独で攻めに転じる……という話は、

みんなから反対されてしまっている。


九尾が言っていたように、諏訪の残された土地に対する恩恵は、通信状況の悪化に反して豊かになっている。

豊穣の神とされている宇迦之御魂神の力による影響だ。

陽乃は常に力を使うことになってしまっているが、

その分、諏訪の神々に対する信仰心が回復を促進させて、陽乃に影響は出ていない。

それどころか、力が有り余っている。

その余剰な力が、さらに結界を強めているのだろうか。

守りたいだなんて、これっぽっちも思っていないのに。

陽乃「……ん」

歌野と水都は畑仕事に出ていて、

珠子と杏は、襲撃が来ても平気なようにと、待機している。

待機は交代制だ。

だが、陽乃は基本的に参集殿の中にいる。一度、歌野と水都に無理矢理、畑に連れ出されたが、それくらい。

陽乃「……」

今の諏訪は、平穏そのものだ。

外の世界では白い異形が、手から離れた風船のようにうようよと漂っているけれど。

だけど、絶対に続かない。陽乃はなぜか、そう思う。

四国もまだ、襲撃を受けていないようだが、今日も何もないとは限らない。


1、杏、珠子と交流
2、歌野、水都と交流
3、九尾を呼ぶ
4、出かける
5、イベント判定


↓2

5

1


杏と球子は参集殿の中、みんなで共有している部屋で待機している。

陽乃がいる部屋から、少し離れた場所にあるその部屋からは微かに声が聞こえる。

陽乃「……」

陽乃は暇を持て余しているが、杏と球子も同じようだ。

部屋から出て、やや狭い廊下を進む。

通路の、ガラス張りのドアからまばゆい光が差し込んでいる。

9月になっても、まだ温かい。

球子「このままだといいんだけどなぁ」

杏「うん……でも、何もないのが逆に怖いよ」

部屋から聞こえてくる二人の声

気にせず、部屋のドアを開けると、二人が振り返った。

球子「またいたのか」

陽乃「行く場所もないし」

杏「なら、どこか散歩に出てもいいんですよ?」

行先なんて考えずに、ぶらぶらと。

そうしてもよかったという杏の困った表情に、陽乃は首を振った。


陽乃「適当に歩くなんて、浪費もいいところだわ」

球子「元気が有り余ってるくせに、何が浪費だよ」

杏「たまっち先輩っ」

球子は悪びれた様子もなく、

畳の上に四肢を投げ出し、ごろんっと転がって

球子「昨日も、結構な時間まで起きてたろ」

陽乃「そんなことないわ」

球子「……2時は過ぎてたぞ」

陽乃「……」

じっと、球子は陽乃を見つめる。

陽乃はそれをまっすぐ見返して、見下ろして、息を吐く。

陽乃「だから?」

球子「浪費した方が良いんじゃないのかって話」

杏「久遠さん、そんな時間に寝てるんですか?」

陽乃「まぁ、そうね」

杏「それで、いつもわたし達より早く起きてるって……」


陽乃「そこまで早くはないわよ」

早いといっても、歌野と水都が起きる時間とそんなに変わりがない。

畑の手入れをするために起きる二人と同じか、少し遅い程度。

少なくとも、二人が出て行くのを見送れるくらいの時間には目が覚めている。

睡眠時間は……口にすると、杏は怒るだろう。

陽乃「そうね……じゃぁ、一人で結界の外に出てもいい?」

球子「いいわけないだろっ」

陽乃「でしょ?」

球子「結界の中で散歩するとか、いろいろあるじゃんか」

陽乃「ないから、ここにいるのよ」

球子は言い返す代わりに、むっとする。

何か言っても、また何か言い返されるだけだ。

杏は、そんな球子を見てちいさく笑う。

諏訪に来てからも、何度か見た光景。

杏「久遠さんはやっぱり、一人で戦うつもりですか?」

陽乃「それが一番だって、貴女もわかってるでしょ?」

杏「被害が最小限なのは間違いないですけど、でもやっぱり、さすがに総攻撃すべてを委ねるのはないと思います」


1、心配ないわ
2、適材適所よ
3、それで、貴女達の誰かに死なれても困るわ
4、その総攻撃自体が、起こりそうにないのだけど


↓2

3

3


陽乃「それで、貴女達の誰かに死なれても困るわ」

球子「……死ぬと思うか?」

陽乃「最悪の場合は」

いくら勇者とはいえ、

バーテックスに殺されてしまう可能性があるのは、球子もわかっていることだろう。

陽乃は、冗談でもなくまじめに頷く。

諏訪に来る際に戦ったし、

陽乃が寝込んでいるときにも球子達はバーテックスと戦っている。

大したけがもなく、快勝だった。

だが、それが総攻撃ともなれば、余裕など持てるはずがない。

多勢に無勢、物量で押しつぶされることは間違いない。

それは陽乃にも言えることだが、

神々に対して、悪影響を与えられる陽乃の力なら、多勢に無勢な状況を打破できる。

素の状態でそれを頼れば、反動で陽乃が大変なことになるが、今はその心配はいらない。

陽乃「特に、二人なんて懐に潜り込まれたら終わりでしょう?」

球子「うぐっ」

杏「たまっち先輩は、投げてなければどうにかできるかもしれないけど……」

球子よりも杏が、辛い。

中遠距離な二人は後方支援が最適だが、総攻撃のような状況ではそんな余裕はないだろう

では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


9月に入って数日たってるからか陽乃さんの反応が多少柔らかくなってる気がする
あとはこの平穏がいつまで持つかだな


もっと素直に私もみんなに傷ついて欲しくないってことを主張していこう

では少しだけ


陽乃「言っておくけれど、近づかれても私は守ってあげる気はないわ」

総攻撃では、

勇者の人数に比べて、バーテックスの数は倍なんて話ではない。

一人当たり、とてつもない数を討伐する計算になる。

足手まといに構っている余裕はないと、陽乃は首を振る。

なにより、陽乃が単身で対処すると言っているのに、

それに反して、出てきたのならなおのこと。

自分から、死ぬことを選んだ人を守ってあげる義理はない。

陽乃「あっという間に囲まれてなぶり殺しにされるわよ」

気を抜いても抜かなくても、関係なく。

圧倒的な物量に、なすすべなく飲み込まれる。

上から押しつぶされ、頭を食われ、腕を食われ、足を食われる。

それも、生きたまま。

陽乃は、ふと、顔を顰める。

その光景は紛れもない、地獄だ。

陽乃「私は、生き残るために最善を尽くしたいと思ってる
    貴女達は違うと言うけれど、私は死ぬ気はないし、今後も含めて確実な生存戦略を立てているだけよ」

陽乃一人で対処不可能だというなら、球子たちの参戦も致し方がない。

だが、そうではないのに、無理に参戦させて今後の生存率を低下させるのは好ましくない。


陽乃「解っていると思うけど、貴女達が死ぬと完全に取り返しがつかなくなるの」

今でも取り返しがつくとは思っていないし、

大社や人々からの印象を少しでも良くしたい……なんて、甘い考えはもう、捨てたつもりだ。

だが、それでも。

陽乃は、2人に死なれては困るのだ。

ただでさえ少ない戦力が、より少なくなってしまうから。

球子「そりゃそうだけど」

球子にしては、小さな声。

球子は寝転がってだらしなかった姿勢を正して、顔を上げる

球子と杏は、大社からしても死なれては困る存在だ。

けれど、陽乃は。

陽乃が死んだ場合、悲しむ人は少ない。

むしろ、ようやくかと、祝杯が挙げられるのではないかとさえ、思える。

今の、壊れてしまった世界はそうなってしまっている。

3年前、陽乃が見逃した人々の流布した悪意はもはや絶つことができないほどに広がってしまったから。


杏「もし、私たちのどちらかが命を落とせば、久遠さんは勇者殺しの汚名を着せられることになるかもしれません」

陽乃の体面……は、もう、どうにもならない可能性はある。

歌野達を四国に連れ帰ったとしても

その功績は……杏と球子、そして歌野と水都のものになるかもしれない。

杏「でも……正直、戦力的には久遠さんを失うのが、最も大きな損失です。それこそ、取り消しがつかないことになります」

球子「諏訪の神様の力さえ、貰えるような勇者だもんな」

陽乃「欲しければあげるわよ。あげられればね」

ため息をつく陽乃を、球子は心配そうに見つめる。

冗談めかした声色ではあるが、本当に、理不尽に授けられた力だ。

選べるなら、受け取らなかったと言うくらいに。

陽乃「で、だから、なに? 私を温存して貴女達が死ぬって?」

杏「っ……」

球子「死ぬとは、言わない」

悔やむ表情を浮かべた杏を一瞥し、球子が代わりに答える。

もちろん、死ぬ気なんて微塵もない。

だが、総攻撃で無事で居られる保証はない。

だから、悔しいのだ。

陽乃に及ばずとも……優れてさえいれば、陽乃に死ぬと言われなかったかもしれないから。

球子「……模擬戦、タマ達とやってくれないか?」



1、嫌よ
2、私に殺されたいの?
3、白鳥さんに頼みなさいよ
4、どうして?

↓2

4

4


陽乃「どうして?」

球子「どうしてって、そりゃ……少しでも長生きしたいからだよ」

陽乃「嘘ね」

陽乃は、球子の目をまっすぐ見つめて断言する。

見透かすような瞳と、力強い言葉

球子は少し物怖じして、目を逸らすまいと歯を食いしばった。

球子「嘘なんてついてないぞ」

陽乃「……そう」

陽乃は、再度否定することなくため息交じりに目を閉じる。

否定はしていない。だが、信じていない。

陽乃は、死にたくないと思っている。生きていたいと思っている。

だが、そんな雰囲気が、球子からは感じられなかったのだ。

生き延びたいというよりも、死に急いでいるような。

陽乃「少しでも長生きしたいなら、勇者なんて肩書を捨てて一般人として生きる方が良いわ。
    特に、今回の総攻撃に関しては私に一任するべきよ」


球子「それとこれとは、別だ」

陽乃「一緒よ」

杏「少しでも、生存率を上げるため……久遠さんが言った、生存戦略です。私たちなりの」

答えに迷う球子の代わりに、杏が答える。

杏は顔を上げている。

陽乃の視線を避けることはせずに、堂々と見つめ返していた。

杏「久遠さんの負担を少しでも軽減し、力を温存させるのが、私たちの生存につながると思います。そのために、強くなりたいんです」

球子「歌野も強いけど、タマたちにとっての脅威になる陽乃に手を借りた方が、経験が積める」

杏の言葉に、球子が乗る。

下手したら、バーテックス以上に陽乃の力は勇者にとっての脅威である。

その力に、しっかりと対抗できるようになれば、

杏達は、バーテックス相手にも優位に立てることだろう

陽乃「……なるほどね」


1、嫌よ
2、白鳥さんに合格を貰ってからにしなさい
3、一理は、あるわね
4、死ぬ覚悟もあるのね?


↓2

4

3


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


陽乃さん無意識に死に場所を探してるかもしれないのか…
死なせない程度に杏たちも戦闘に出さないと陽乃さんが危なそう


死に急いでる疑惑は球子では?

では少しだけ


陽乃「一理は、あるわね」

今後も、杏達が勇者として戦っていくつもりなら、

経験を積んで貰って足手まといにならないようになって貰う方が好ましい。

そうして、戦い続けられるようになれば、

結果的に陽乃の生存率が高まる。

当然、負担も減る。

陽乃「正直、手間だから私じゃなくてほかの人でやってもらいたいけれど……」

杏「水都さんの巫女教育もあるんですよね?」

陽乃「……ええ」

球子「水都には優しいのに、タマ達には優しくしてくれないのか?」

陽乃「別に、優しくしてるわけじゃないんだけど」

どうしてもというから、暇なときに付き合ってあげているだけだ。

水都が神託を受けるべき諏訪の神々は、もう、その仕事を陽乃に委ねているため、

水都の巫女としての仕事は、ないといえばない。

陽乃「巫女はともかく、模擬戦なんて疲れるもの」

球子「暇なんだろ?」

球子の突くような視線を、陽乃は睨み返す。


陽乃「暇であることと、疲れることをするかは別問題だわ」

杏「ですが、少しは力を使った方が体にいいと思います」

危険なことはして欲しくないけれど、

遅く寝て早く起きる今のような生活は、いずれ体を壊してしまうのではないかと、杏は気にしていた。

諏訪の神々の恩恵によって、体が壊れる心配は、実際にはないのかもしれないが。

杏「わたし達と、久遠さんそれぞれのためになることだと思いませんか?」

陽乃「……」

なることは、なる。

だが、

水都の巫女の件もそうだが、

あれもこれもと引き受けていたら、逆に暇なしになるかもしれない。

最も、生き抜くことを優先するなら、暇なんていらないだろうけれども。

素直に応じて、距離が縮まっただなんて二人が勘違いしてしまうのが、気に入らない。

とはいえ、メリットはある。



1、暇があるときだけよ
2、連日やるのは嫌よ
3、じゃぁ、まずは白鳥さんを倒してからね
4、わかったわ。仕方がないから受けてあげる

↓2

1

1


陽乃「暇があるときだけよ。それ以上は譲歩しないわ」

球子「……それって、毎日?」

陽乃「あら、毎日サンドバッグになってくれるなんて、貴女ってばとっても優しいのね」

球子「ひぇっ」

陽乃は、笑顔を浮かべている。

もちろん、作り物のような笑顔でしかなくて。

それを肌に感じてか、球子は少し青ざめた表情で仰け反る

球子「は、陽乃が暇でも、タマ達はほら、暇じゃないこともあるし?」

杏「久遠さん、模擬戦では本気は出さないで貰えますか?」

陽乃「そこは出してもらえますか? って、言葉が聞きたいわね」

陽乃は、神々に対しての、切り札とも言える力を持っている。

本気を出せば、杏達が所持している神樹様の加護を打ち破って直接的にダメージを与えることが可能だ。

とはいえ、それをしたら、軽傷では済まない。

陽乃「伊予島さんはともかく、土居さんは手加減いらないわよね? 前回、私に勝ってるんだもの」

球子「それはそうだけど……殺す気か?」

陽乃「貴女が頑張れば、死にはしないでしょ?」

球子「いやいやいやいや!」

絶対に無理だ! と、球子が叫んだ


球子「まず、タマ達が待機の日は駄目だな。いざって時に動けなきゃまずい」

杏「それを言うと、総攻撃がいつ来るかわからないから、できなくなっちゃうけど」

杏は、神妙な面持ちで呟く。

杏「久遠さんも、総攻撃がいつ来るかは、わからないんですよね?」

陽乃「そこまで万能じゃないもの」

神様ではなく、

神様の代理でしかない。だから、いつ襲撃されるかなんて未来予知は、たぶん不可能だ。

陽乃は首を横に振った。

陽乃「このまま、総攻撃がない可能性だってあると思うけど」

球子「だったらいいんだけどな」

陽乃「代わりに、四国が襲撃を受けることになるかもしれないけどね」

球子「だよなぁ……」

どちらにも手を出さないなんてことが、あるのだろうか?

あったらあったで、それは逆に怖い。

何か企み、準備している可能性があるからだ。

陽乃「とりあえず。待機じゃない日に、声をかけてくれればいいわ。場合によっては、私が断るけど」

球子「毎回断るのは駄目だからなっ?」

陽乃「解ってるわよ」

一応は、命にかかわることだ。

適当な対応をする気はなかった。


↓1コンマ判定 一桁

0,3,8 杏「久遠さんって、藤森さん都は親しいですよね」

ぞろ目 特殊 

※他は交流終了


√ 2018年 9月1日目 昼:諏訪

01~10 歌野
34~43 襲撃
67~76 九尾
87~98 水都

↓1のコンマ

※ぞろ目 襲撃
※それ以外は通常


√ 2018年 9月1日目 昼:諏訪


陽も登ったお昼時、陽乃は部屋でまた一人になっていた。

杏や球子は一緒にと言っていたが、断った。

水都のこともそうだが、

厄介なことを頼まれすぎている気がする。と、陽乃はため息をついた。

水都からの、巫女教育のお願い

諏訪の神々からの力の譲渡

杏や球子との模擬戦

九尾は何も言ってきていないけれど、

嫌なら嫌といえばよかろう。なんて、影で呆れているに違いない。

陽乃「……ぐうの音も出ないけど」

暇があれば、なんて、意味もない言葉を返し、

そうやって関わり合いを持っている。

陽乃「……」

水都は、毎日のように頼みにきたりはしない。

いつならいいかと聞いてきたりして、ほとんど決まったスケジュールになっている。

球子と杏は、どうだろうか。

陽乃は考えそうな頭を振って、振り払う。


いつあるのかもわからない総攻撃

諏訪ではなく四国が襲撃される可能性さえある。

しかし、現状は諏訪の周囲にはおびただしい数のバーテックスが集結してきており、

一般人を守りながらの突破はほとんど不可能だと言えるわけで。

かといって、陽乃一人で出て行くのは、みんなが許さない。

陽乃「……」

猶予はきっと、もうない。

後手に回るのは、悪い予感しかしない。

けれど……どうすべきか。

諏訪に籠れるなら、それが一番なのは陽乃もわかっている。

だが、母親が向こうにいる以上はその選択はない。


1、通信の様子を見に行く
2、外出
3、九尾を呼ぶ
4、こっそり、結界の外に出る
5、イベント判定

↓2

4

2

↓1コンマ判定 一桁

1,7 杏
4,8 水都

※ぞろ目特殊
※他はなし


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば少し早い時間から


猶予があるのかもわからん状況だから悩むよな


なんだかんだ言ってやっぱりお人好しなところが見え隠れしてる陽乃さん
そろそろ誰か一人くらい仲良くなって欲しいけど

では少しだけ

よっしゃ


廊下に出ると、虫の声がより騒がしくなる。

朝は聞こえた球子たちの声も聞こえないので、

歌野と水都の定期通信に同行しているのだろう。

日々悪化していく通信状態に、まだ、向こうに杏たちの状況は伝えられていない

いや、もう、すでに伝わっていて、この状況なのかもしれないが。

陽乃「……」

みんながいるのは、参集殿の一室

そこから、一番離れた出入り口の方に回って、音を立てないように出て行く。

『盗人のようじゃな』

陽乃「……気づかれたら面倒だから」

球子や歌野は解らないが、

杏と水都は間違いなく、ついていきたいと言ってくる

断っても、ついてくる可能性があるから

見つかるのは避けたかった。


社務所側の出入り口から出て、北側の参道の方に向かう

大鳥居をくぐって、敷地の外へ

住む人のいなくなってしまって、雑草が生い茂る住宅

閉まって開くことのない、土産屋

狭い結界の中でも、かなりの土地が、住人を失ったままなのだろう。

陽乃「……体は、平気そうね」

神社から離れても、体調には問題がなく、

地縛霊のように、神社から離れられないなんてことはないようだ。

もし、万が一そうだったら、大変なことになるけれど。

『主様、目的はあるのかや?』

陽乃「別に、何もない」

『小娘らに、絆されたのかのう』

陽乃「そういうわけじゃないけど」

じっとしていても仕方がない。という点については、陽乃もそう思っていた。

少しくらいの散歩では、体は疲れそうにもないが。


1、諏訪湖の方へ
2、諏訪大社 上社前宮へ
3、学校を覗く
4、適当に歩く


↓2

1

2

2


陽乃「もう一つの方、行ってみましょ」

陽乃達がいるのは諏訪大社の中の一つ、諏訪大社本宮と呼ばれているところだ。

ほかに上社前宮、下社秋宮、下社春宮と呼ばれる境内がある。

すでに下社の方はバーテックスの襲撃に耐えられず崩壊し、

結界の外になってしまっているため、近づくことはできない

陽乃「……」

陽乃なら強行することも可能だが。

『神としての自覚でも芽生えたかや?』

陽乃は、揺れる自分の影を見つめて、ため息をつく

狐の形をしたその影は、

降り注ぐ陽の光など関係なく、動いている。

陽乃「まさか」

神様としての仕事なんて、結界の維持以外をする気は毛頭ない。

陽乃「でも、次に壊されるとしたら間違いなくそっちになるでしょ? 状態を見ておきたいわ」

『状態なら、外に出る方がよいと思うが』

陽乃「まぁ、そうなのだけど」

『心労はかけたくないと?』

陽乃「……後々、面倒なことになるのを避けたいだけ」


民家の立ち並ぶ県道をまっすぐ歩く

ここに来るまでは、諏訪は建物よりも畑が多い。なんて、

意味の解らない考えも片隅にあったが、見渡す限り家ばかり。

そのほとんどが、無人化している。

結界の外に家を置いてくることになった人々が、

家主を失った家を利用していることもあるらしいけれど、それでも、大部分がもぬけの殻だ。

陽乃「……」

『人間の気配が少ないのう』

陽乃「ええ」

諏訪の神々の代理となってからというもの、なぜだか、そういった感覚が強くなった。

気配というか、命というか

そこに存在している力を、感じる。

「おや、見ない子だねぇ」

陽乃「……ん」

ふと、声をかけられて顔を上げる

高齢の女性

腰もやや曲がった感じのおばあさんは、

陽乃のことをじぃっと見つめて「あぁ」と得心が言ったように声を漏らす。

「歌野ちゃんが言ってた、四国の方から来た勇者様」


「えぇっと……そうそう。久遠陽乃さん。だったかねぇ」

陽乃「名前、知ってるんですね」

「どんな子かって話は、聞いてたの」

杏と球子については、何度も外に出ているし

四国の状況などの話も担当していたから、容姿を知っているらしい。

名前も併せて知っているから、

まだ見たことのない少女、久遠陽乃というのが3人目だと考えたのだろう。

「本当に、きれいな桜色の髪をしているわねぇ……染めているの?」

陽乃「は、え、あ、いえ……これは、元からです」

おばあさんの、やせ細った手が陽乃の髪に触れる

嫌だと振り払うわけにもいかず、軽くうなずいて答える。

これは地毛だ。

どうあがいても変えられない、桜の髪

「ここにきてすぐ、入院したって聞いていたけど……もう、大丈夫なの? 休んでいなくて平気?」

陽乃「……大丈夫です」


「そう、よかったわ。元気になって」

嬉しそうに笑うおばあさんは、陽乃の髪から手を離す。

「一人?」

陽乃「ええ、少し散歩を」

陽乃は、少し困った笑みを浮かべて答える。

陽乃「上社前宮に……参拝をしに行こうかと」

「そう……大丈夫? 道分かるかしら」

陽乃「ありがとうございます。大丈夫ですよ」

敵意は感じられないし、ただの一般人

突っ撥ねる必要もないだろうと、

陽乃は、努めて柔らかく答える。

上社前宮に行ったことはないが、

感覚で、位置がなんとなくだがわかっている。

そう遠くはないし、道なりに行けば問題はなさそうだ。

陽乃「では失礼します」

「あぁ、はい。気を付けてね。無理は、しないでね」

陽乃「……大丈夫です」

陽乃は、どうにか笑みを浮かべた。


上社本宮を出てから、道なりに歩いて約30分程度

距離としては2キロくらいだろうか

民家に囲まれた道、

それなりに開けた道

ゆっくりと歩いてたどり着いた、諏訪大社の上社前宮

本宮に比べれば、やや控えめに見える社殿

参拝客は、今はいないようだ

陽乃「……」

『だいぶ、弱まっておるのう』

陽乃「そう、みたいね」

上社本宮と同じように、上社前宮にも御柱がある

だいぶ、力は弱まってしまっているようだが。

『参拝、するのじゃろう?』

陽乃「神様が、参拝するの?」


1、参拝
2、御柱へ
3、拝殿へ


↓2

1

1

1


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから


おばあさんに見せた優しさを杏たちにも見せられたらいいのになぁ…


優しさは伝わってると思うけどな

では少しずつ


陽乃「まぁ、参拝するって言っちゃったものね」

陽乃はそういって、鳥居の前で立ち止まる

陽乃「私、一応神様の代理だし……手順を省いても怒られないかしら」

『妾が知るわけなかろう』

陽乃「冗談よ」

九尾の素っ気ない答えに陽乃は苦笑して、一度頭を下げる。

こんな世界になる以前から、陽乃は参拝に行くこともあれば、参拝に来る人を多く見かけてきた。

それでも、鳥居をくぐる前に一礼をする人はそう多くはなかった覚えがある。

絶対にしなければならないという、決まりがあるわけではない。

あくまで、そういった所作もある。といった程度のものだ。

陽乃「……神降ろしをしたからって、人が神様になれるわけではないもの。
    あくまで、私は神職を担う巫女として、一線の外側だって自覚を持っているべきだわ」

『面倒なものじゃな』

陽乃「でも、久遠という姓が代々受け継いできた巫女としての役割を担う人はもう、あとは私しかいないでしょ?
    その私が、いくら、不満があるからって捨てるわけにはいかないじゃない?」

陽乃はそう言って、困ったように笑う。

九尾はいるが、周りにだれもいないからか、

普段より一段と、声色は柔らかい。


木々の多い境内、虫の声もせわしなく、

皮膚を焼くような木漏れ日を感じながら、

略式的なお清めの手水舎を過ぎて、内鳥居の方に近づく

陽乃「ねぇ、貴女ならミシャグジ様がどういうものなのか、知ってるんじゃない?」

『知らぬ』

陽乃「そう……」

諏訪の土着の神として、ミシャグジ様と呼ばれる存在がある。

神様とは言うが、本当に神様なのかどうかも不確かだというのは、

人を誑かす妖狐と、神獣としても考えられている九尾と、少し似ている。なんて、陽乃は小さく笑う

陽乃「石の神、木の神。九尾はどっちだと思う?」

『ふむ……木じゃな』

陽乃「どうして?」

『白蛇は屋根に住むといわれておるじゃろう? 石の屋根に取り込まれた蛇は死骸となるが、木ならば、死することも少なかろうて』

陽乃「なにそれ」

くつくつと、九尾はのどを鳴らして笑う。

『ご神体など、関係はなかろう。妾がそうであるように、宿れるものあればそれに宿る。それだけじゃ』


石段を進んで、少しばかりの登り道を歩く。

上社前宮の拝殿と、

それを囲むように点在している御柱が見える

陽乃「……弱いわね」

『言うたであろう』

陽乃「でも、思った以上だわ」

力もそうだが、

見た目からして、今にも崩れてしまいそうなほどに、御柱は弱っている。

綺麗に整えられているはずの表面には苔が生え、一部が腐り、

前宮……の部分から先の文字はすでに消えてしまっている。

子供の力で押せば、へし折れてしまいそうな感じだ

陽乃「御柱が、その役目を担い切れてない」

『そのために、主様を頼ったのじゃろう』

陽乃「……」

本宮の方は、どちらかといえばまだ無事だった。

だが、前宮の方はもうすでに限界が来ていて、無理矢理に支えったされているような雰囲気さえある。

陽乃「……これ、私が維持しているってことでいいのかしら」

『触れてみればよかろう』

陽乃「どうせまた、崩れ落ちるんでしょう?」


1、御柱に触れる
2、拝殿の方へ
3、清流の方に向かう


↓2

1

2


陽乃「力の引継ぎはもう完了してるし、これまで崩しても面倒なことになるだけだわ」

『それもそうか』

御柱には触れずに、拝殿の方に向かう。

『主様、賽銭はあるのかや?』

陽乃「一文無しよ」

陽乃は意味もなくポケットをまさぐって、首を振る

拝殿にきて、お賽銭なしというのも変だが、

ないものはない。

ポケットを叩いても、増えたりしない。

『仕方があるまい』

九尾がそういうと、影が揺れて女性が現れる。

長い金色の髪に日が当たって……少しまぶしい。

九尾「ここは妾が貸してやろう」

陽乃「貴女、お金あるの?」

九尾「くふふっ、いくらでもあるぞ」

九尾はそういって、手のひらに一万円札を出す。

1枚、2枚、3枚……次から次へと、どこからともなく見せる。

陽乃「人は化かせても、神様は無理だと思うけど」


払いのけると、

散らばっていく紙幣は、瞬く間に木の葉へと姿を変える

陽乃がお金を持っていないのだから

九尾だって、持っているわけがない。

素直に諦めて、鈴を鳴らして、基本のあいさつ

お賽銭がないことの謝罪をお祈りの代わりとした。

九尾「欲がないのう」

陽乃「無駄な希望を抱かないだけよ」

九尾「じゃから、小娘どももあしらうと?」

陽乃「理由の一つでは、あるわね」

陽乃は軽く答えて、九尾を置いて拝殿を離れる。


拝殿の隣には、清流が流れているとされていた。

だが、今はもうその流れはほとんど感じられない。

晴れていてもしっかりと流れていたはずなのに、

干乾びてしまったかのように、ほとんどの土が乾いている。

本来流れている分の、半分程度だろうか。

陽乃「……流れが、止まりそうね」

九尾「主様がおれば、元に戻るじゃろうが、時間は少しかかるやもしれぬな」

陽乃「だから残る。なんて、私は言わないわよ」

九尾「妾も、残れとは言わぬ」

陽乃の少し冷めた声に、九尾は顔色一つ変えずに返す。

二人の空気にまわりが静まり返って

九尾「主様には残れぬ理由があるのじゃろう? ならば、思うがままに行動するがよい」

陽乃「言われなくても、そのつもりよ」

諏訪を出て行く。

誰がなんて言おうと、関係ない。

ここに残りたい人がいようと、置いてでも向こうに帰らなければならない。

そうしなければ、陽乃の母親が危ういからだ。

九尾「……」

九尾は、弱い流れのそばに腰を下ろしている陽乃を一瞥して、何も言わずに姿をまた影へと消した


√ 2018年 9月1日目 夕:諏訪

01~10 水都
34~43 杏
67~76 歌野
87~98 球子

↓1のコンマ

※ それ以外通常


√ 2018年 9月1日目 夕:諏訪


諏訪大社の、上社本宮

陽乃達が今住んでいる神社へと戻ると、

参集殿の近くにいた人影が、陽乃に気づいたのか駆け寄ってきた。

歌野「久遠さん!」

陽乃「……なに?」

歌野「どこに行ってたの? いつもの部屋にいないし、誰も何も聞いてないしで心配したのよ?」

陽乃「少し散歩をしていただけよ」

上社前宮に行った後に、

暫く、適当にふらついていただけだ。

自転車も車もなく、

徒歩だったから少し時間はかかったが、そのくらいでしかない。

陽乃「部屋に引きこもっていたって、暇だったんだから……結界の外に出なければ何していたっていいでしょう?」

歌野「それは違いないけど、久遠さんの場合結界の外にもいきそうだから」

陽乃「否定はできないわね」


陽乃「まぁ、勝手に単身突撃する気はないわ。今のところはね」

この状況で、わざわざ禍根を残すようなことをする気はない。

何の知らせもなしに単身で周囲のバーテックスをせん滅しても、

次の動きが遅れることになる。

その遅れが、四国までの道のりを険しくさせる可能性があるのだ。

陽乃「その様子だと、それを疑って結界の外にまで見に行ったわけじゃないんでしょう?」

歌野「ええ」

歌野は頷いて、ほっと息を漏らす。

歌野「伊予島さんたちが、散歩を勧めたって言っていたから、そうだろうと思ってたし……」

歌野は、自分の胸のあたりに手を当てて、少し悩ましそうな顔をする。

ちらっと陽乃を見たかと思えば、胸元の手に、ぎゅっと力がこめられた。

歌野「なんとなく、久遠さんのことを感じられる……気がしたから」

陽乃「そう……力のつながりかしら」

歌野「みーちゃんも、同じような感覚があるって言ってたわ。久遠さんがどこにいるのかまでは解らないけど
    でも、少し遠くとか近いとか、そういうのは解るって、私と同じように」


歌野「久遠さんのことを考えた時に、そういうのを感じるわ」

陽乃「……そう」

陽乃は特に意識しなくても、みんなのことを感じ取ることができる

みんなよりも、歌野や水都

もともと諏訪の神々とのつながりを持っていた二人は特に感じやすい

だが、それは神様の力を授かった恩恵で歌野や水都にはないと思っていたが、

そういうわけでもないらしい。

力の繋がりを逆探知している……といえばいいのか、

とにかく、その力の主である陽乃を意識していると、感じ取れるようだ。

歌野「それはそれとしても、心配したわ。無事……だろうとは感じていたけれど
    ほら、久遠さんんってば、何があるかわからないから」

陽乃「だから、もう体に問題はないって言ったじゃない」

歌野「でも、万が一があるわ」

陽乃「……」

もとはといえば、消えかけていた神様の力だ。

それが加わったからと言って、

もう全く心配いりません。というのは、歌野的には無理があるらしい


1、散歩くらい、一人でいいでしょう?
2、過保護ね
3、放っておいて
4、感じられるなら、それでいいじゃない。
5、はいはい。悪かったわね


↓2

5

2

4


陽乃「過保護ね」

歌野「久遠さんは私たちの全てだから」

結界を維持するための要であり、

歌野に力を与えている根源でもある。

陽乃が死ねば結界は一瞬で食い破られ、

歌野は諏訪を守る力を失い、ただの少女に戻ることになる。

歌野「万が一も何もないようにしたいの。過保護……だとは思うわ。でも、そうしなきゃ」

歌野は、少し申し訳なさそうにしながらも、笑みを浮かべる。

不安の色が、見え隠れしている。

歌野はポジティブな子だと聞いたが、

陽乃の前では、その印象はやや薄い。

歌野「久遠さんから感じる力は、何も問題ないわ。むしろ、強いくらい」

陽乃「なら心配しなくていいじゃない」

歌野「久遠さんってば、意地悪だわ」

歌野はそう言って、困ったような笑い声を漏らす。

歌野「その強い力も、久遠さんがいなければ消え失せちゃうでしょう?」


歌野「だから、過保護でも許して欲しいわ」

お願い。と、続きそうな歌野の表情

それに対する陽乃の表情は、少し、申し訳なさそうで。

けれど、閉じた歌野の瞼の奥、瞳にその姿は映らない。

歌野達にとって、なくてはならないもの

神様によって、無理矢理に作り替えられたものだ。

陽乃「……そうね」

歌野「でも、安心して? 四国に行けば多少は緩くできると思うから」

諏訪の結界維持という、重大な要素が無くなれば、

健康になった陽のなら、そこまで過保護にならなくてもいいのではと、歌野は思う。

陽乃「諏訪を捨てること、恨まないの?」

歌野「今更だわ。久遠さんには久遠さんの目的と理由があるでしょう?」

歌野は優しく、応えて。

歌野「何より、それがあって、単独で突破できるだけの力があって、一人でさっさと出て行かずにいてくれてるだけ、感謝だわ」

歌野は、そう言った


↓1コンマ判定 一桁

0,3,8 歌野「なんだかんだ言って、みんなのことを考えてくれてるのよね」

ぞろ目 特殊


歌野「なんだかんだ言って、みんなのことを考えてくれてるのよね」

陽乃「別に、考えてるわけじゃないわ」

陽乃はその好意的な言葉に対して、首を横に振る

陽乃「ここには勇者が3人いる。それを捨てるわけにはいかないだけ」

歌野「3人じゃないわ。5人よ。久遠さんとみーちゃんがいるから」

陽乃「なら、4人ね。そこに私を数える必要はないもの」

陽乃は、笑みを浮かべる。

水都は巫女だが、

彼女を勇者と言いたいのなら、それで構わない。

だが、自分を加える必要はないと。

陽乃「いずれにしろ、それが理由よ。私が、理由なしに他人を助けるなんてないわ。一般の人は、あくまでついでよ」

歌野「……」

陽乃のそれは、謙遜ではない。

拒絶だ。

歌野「ついででも十分よ。おいて行けって、言わないんだから」


歌野も、杏も球子も

みんなが諏訪の住民たちを一緒に連れ出そうとしているから、仕方がない

そう言われるかもしれないが、だとしてもだ。

歌野「そもそも、お母さんのために向こうに戻りたいって言うんだから、それ以外は必要ないわ」

陽乃「そう」

素っ気ない返し

でも、その口で母親がいるから戻らなければいけないと、言ったのだ。

少なくとも、大切な人がいて

何があっても、そのために行動できる心がある

なのに、今すぐに……とは言わないでいてくれている。

十分だ。

陽乃の態度がどうであれ、それだけで。

歌野「……」

歌野は、小さく笑う。

声に出さずに、口元だけ。

歌野「ねぇ、お夕飯は一緒におそばを食べに行くのはどうかしら。おすすめがあるの」


1、お断りよ
2、別に、いいけど
3、勝手にしたら?
4、何も言わない

↓2

2

2


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


あれだけ突っぱねたり問題起こしたりしても信じてくれるうたのん優し過ぎる…


みんなでお蕎麦イベントか
馴染んできたな

では少しだけ


陽乃「別に、いいけど」

歌野「えっ、いいの!?」

陽乃「冗談じゃないならね」

歌野の思ってもみなかった反応に、陽乃は顔を顰める。

歌野「冗談なんかじゃないわ! ただ、久遠さんのことだから断ると思ってただけで」

陽乃は、よくよく突っ撥ねる

水都には時々付き合っているのは見かけるが、

巫女として、必要だからという理由がある。

必然じゃない夕食の同伴なんて、9割断られてもおかしくはなかった。

歌野「だから……ふふっ、嬉しいわ」

陽乃「……そっ」

陽乃への弁明のような形になった、困り顔

けれど、そこには笑みもあった。

陽乃はいつも通り素っ気なく返して。

陽乃「で? ほかの人には言ってあるの?」

歌野「これから言うわ。でも、大丈夫よ」

絶対にみんな来てくれる。

歌野はその確信があった


歌野が思っていた通り、みんなは二つ返事で外食を決定した。

普段は、蕎麦よりもうどんだという球子も、さすがに文句ひとつ言わなかった。

陽乃「お蕎麦しかないって、話だけど」

球子「たまには、悪くない」

陽乃「そう」

杏「私、こんな時間に子供だけで外食するのって、初めてです」

水都「私は……うたのんとだったら、何回もあるよね」

歌野「ふふっ、そうね」

数えられないくらいあった。と、歌野が嬉しそうに言うと

水都も併せて、笑みを浮かべる

球子「タマもないな……普通に中学生だったら、部活に入ったりして、部の仲間と打ち上げみたいなのもあったかもしれないけど」

杏「四国だと……夕方以降は基本的に寄宿舎待機だったもんね」

指示が出ていたわけではない。

けれど、不思議とみんな、そうだった。

それと比べると、諏訪はあまりにも自由だ


球子「そうだなぁ……千景は、夜出歩くと久遠さんに何されるかわからないわって、言ってたな」

陽乃「へぇ」

球子「陽乃の噂は、結構……なんていうかな」

杏「声が、大きかったからね」

言葉に迷う球子の隣にいる杏が、代わりに言う。

千景は当然のように知っていたし、

球子や杏達だって、悪い話ばかり聞いていた。

もちろん、杏はそれを鵜呑みにはしなかったし、若葉や友奈は慎重だった。

歌野「でも、実際に生活してて久遠さんが残虐な人だって感じることはなかったでしょ?」

球子「残虐かはともかく、油断できないやつだとは思ってた」

水都「……積極的に声をかけたりとか」

球子「しなかったな。避けられてるなーって感じはあったし、タマも避けてた。若葉は、ちょくちょく絡んでたけど」

球子は、あの頃は悪かったなと、困り気味に笑って。

球子「陽乃の分は、タマがおごってやるぞ!」

陽乃「はぁ?」

杏「たまっち先輩……」

球子が奢らなくても、ここは奢りだ。

球子が奢る隙はない


1、向こうに戻ったら、そばは食べにくくなるわよ
2、白鳥さんたちは食べ納めしておくことね
3、別に気にしてないわ。事実、避けていたし
4、今はこうでも、貴女達も、向こうでの私の評判を聞いたら怖くなるわよ。


↓2

踏み台

4


陽乃「今はこうでも、貴女達も、向こうでの私の評判を聞いたら怖くなるわよ」

水都「久遠さん自身から、話を聞いてるのにですか?」

陽乃「私が本当のことを語ってるって?」

水都「うん、信じてる」

客観性がないと陽乃は言いたくなったが、

その部分はもう、杏達が埋め合わせしてしまっている。

それはきっと、じゃっかん陽乃寄りの話だろうけれど

でも、それでも水都の返事は変わらないだろう。

「みんな、おまたせ~」

空気を割くように、お蕎麦が運ばれてくる。

歌野達行きつけのお蕎麦屋さんで

夏場には決まってこれ。となる、ざる蕎麦

天ぷらだったり、とろろだったり

付け合わせは様々だが、基本は一緒だ。

水都「わたし達は、向こうでのうわさがどうであれ……ここで見てきた久遠さんを信じる」

歌野「そうね。自分で見聞きしたものを信じる。それだけよ」


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


仲良しパートが続いててほっこりする


陽乃さん編になってからこういう日常シーンがすごく貴重に感じる
四国に戻っても平和な場面ができるようになるといいな

では少しだけ


陽乃「言っておくけれど、私の味方をしたところで、いいことなんて何一つないわよ」

諏訪でなら、何にもないが

向こうで陽乃の味方なんて姿勢を見せていたら、石を投げられるだけで済めばいい方だ

杏達が、実際に被害にあいそうだったし

絶対に無理だったが、陽乃を殺そうとしているような状態だった。

陽乃「今のうちに、あらためておいた方が良いわ」

歌野「……そうねぇ。じゃぁ、ナスの天ぷら上げる」

陽乃「は?」

水都「山芋の天ぷらもどうぞっ」

陽乃「ちょっと……」

陽乃の天ぷらの小皿に、歌野と水都から一つずつ加えられて。

歌野「山芋は違うけど、ナスは私が育てたの。食べて食べて」

考えを改めるべきだといったのに、

そんなこと気にも留めていないかのようだ。

歌野「少なくとも、今の私たちには無理よ。今だって、十分に考えての上なんだから」

そんなことより。と、歌野と水都は「いただきます」と手を合わせる

歌野「食べましょ。伸び……ないけど、新鮮なうちにね」


球子「それにしても、陽乃って捻くれてるくせに、ちゃんとしてるよなー」

陽乃「貴女とは育ちが違うのよ」

水都「土居さんにも、当たり強いですよね……」

なぜだか、ちょっぴり羨ましそうな物言いの水都

一瞬迷って、手を止める。

水都「でも、確かに久遠さんって色々……なんていうか、丁寧ですよね」

言葉遣いや人付き合いは粗いが

布団を畳んだり、衣類を畳んだり、球子が見ていた食べ方とかだって、そう。

しっかりとしている

水都「やっぱり、巫女として勤めていたからですか?」

陽乃「……そうね」

球子「なのに、野宿だって平気でするんだからすごいよな」

陽乃「野宿くらい、貴女だってするでしょ」

球子「タマがするのはキャンプだ! いや、野宿も……まぁ、悪くはないけど」

杏「……」

賑やかな隣の球子をよそに、杏は悩まし気に手元に視線を落とす。

初めから野宿が平気だったわけではないはずだ。

だから、それをできなければならないくらいの変化があったということだろう。

それが、勇者に選ばれたから。というものであればいいが、きっと、そうではないと杏は考えて。

杏「そういえば、諏訪から四国に戻るときは……どうしますか?」


歌野「ん~……車は無理なのよね?」

陽乃「無理ね。徒歩で行くしかないわ」

勇者が一人一台、持ち上げて歩くことはできるかもしれないし、

九尾の手を借りれば、バスくらいどうにかなるかもしれない。

だが、勇者の手をふさぐわけにはいかないし

九尾はさすがに、そんなことに手を貸してはくれないだろう。

水都「まず、何日くらいかかるかを計算して、食料がどのくらい必要かとかも考えて……」

陽乃「自分の食糧は自分で持ってもらうべきね」

球子「でもさ、もてない人もいるんじゃないか?」

陽乃「……足手まといね」

杏「久遠さんっ」

陽乃「事実でしょ」

自力で荷物が持てないとなると、誰かが肩代わりしなければならない。

なにより、自分で荷物を持てない人が一緒だと、それだけ余計に時間がかかる。

自分で荷物を持てないだけならまだいい、まともに歩けない人もいるとしたら……

歌野「……」


1、前から四国行きを決めてた人たちはどうするつもりだったの?
2、そこは、貴女達がどうにかしなさい
3、それも救いたいなら、頑張って
4、自分で代理を探してもらえばいいんじゃない?


↓2

1

1


陽乃「前から四国行きを決めてた人たちはどうするつもりだったの?」

歌野「自力でどうにかできない人は躊躇ってたわ……それもあって、
    家財を失いたくないからって言い訳にしてた人も中にはいると思う」

いつ起こるかわからない総攻撃

それの後に移動する予定のため、答えは変わるかもしれないが、

完全に撤退すると言っても、ここに残るつもりの人は少なくないかもしれない。

陽乃「……」

出かけた時に、声をかけてきた人

ただ見かけただけの人

普通に歩けてはいるが、重い荷物を背負って四国までの道のり……と考えると、

難しい人が多かったように思う

水都「何か気になりますか?」

陽乃「別に……自分でどうにもならないって諦めてるならそれでいい
    私は助けるつもりなんてないし、予定になったら気にせずここを離れるわ」

歌野「久遠さん……」

陽乃「冗談では言ってないわよ? 私には他人にかまけてる余裕なんてないんだから」


↓1コンマ判定 一桁

0,3 杏「もし、助けてくださいって言われてもですか?」

5,8 水都「本当に、見捨てますか?」

では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


不穏な空気に


住人の全員避難はかなり厳しいか…
諏訪の神様の力でどうにかならないかな

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
再開は明日、可能であれば通常時間から

では少しだけ


球子「それでも、本当に見捨てることなんて出来ないだろ」

陽乃「母親以外を置いてきた私が、赤の他人を見捨てることに抵抗がないとでも?」

陽乃は球子を見ずに答える。

本当は置いてきたわけじゃない。

母親を救えた時点で、そこにはもう、母親しか残っていなかっただけ。

置いていったんじゃない、置いていかれたのだ。

陽乃「平気よ。自分の手で殺すよりは楽だわ」

杏「……っ」

実際に陽乃は、人を殺したことがある。

球子と杏そして、杏の両親

その他多くの人たちの前で、一人の命を奪った。

あれは、明らかに過剰だった。やりすぎだった。

……けれど。

武器をもって立ち向かってきた人への、抵抗

その結果だった。

殺したくて、殺したわけではないはずだ

杏「でも、久遠さんの意見は一理あります。正直な話、他人に他人の分を背負って欲しいというのは状況的に難しいですから」


球子「杏まで」

杏「でも、現実的に考えるとそうなると思う。もちろん、私だってみんなが助かるようにしたい。けど……」

杏は、竹ざるの隅に残る細かい蕎麦を見つめる。

多くを救っても、どうしても救いきれないものはある。

それが絶対に救えないというわけではないが、

このひとかけらのためにもう一度手を動かさないといけないように

もう一度、諏訪と四国を行き来しなければならないのではないだろうか。

だとしたら、それはあまりにも非現実的だ。

理想を語れなくなったら、勇者としては終わっている。杏は、少しだけそう考えているけれど、

小説の物語ではないのだ

勝利が約束された主人公ではないのだ。

現実で、非現実的な理想を語り続けるのは容易なことではない。

杏「どうしても、見切りをつける必要があると思う」

水都「……」

歌野「現実を見れば、確かにそうなるわ」

出来る限り諦めたくないけど、と、歌野は小さく付け加える。


球子「歌野もあきらめるのか?」

歌野「私一人残って守れるならいいけど、でも、そうもいかないじゃない?」

歌野一人残っても、

陽乃が離れれば、諏訪は終わりだ

だからと言って、諏訪に残ってくれ。なんて強要も歌野はできない。

いや、しようとはしたが、

向こうに大切な人がいる以上、やはり、できない。

杏「久遠さんが離れると、結界も、白鳥さんの力も……」

球子「いや、歌野が残る以外にも何か……ほら、どうにかして、動けない人連れていくとか」

陽乃「貴女がバスでも背負って行けばいいのよ」

球子「無理言うな!」

杏「どうだろう? バーテックスを投げ飛ばしたりできるなら、バスも……無理かな?」

水都「体力的に無理……じゃないかな」


1、私を説得するって言う手もあるわよ
2、諦めなさい。諦めてる人なんて
3、恨んでもいいのよ? 私のせいだもの
4、何も言わない


↓2

1

1


陽乃「私を説得するっていう手もあるわよ」

水都「説得、されてくれるんですか?」

陽乃「話は聞いてもいいわ。応えるかは別だけど」

球子「うわっ」

聞く気ないな。と、あからさまに嫌そうな顔をする球子から顔を背ける

向こうには母がいる。

簡単にそれを覆す気はないし、

何を言われようがされようが、ここを出て行くつもりだ。

陽乃「説得しないの?」

杏「久遠さんのお母さんが向こうにいるんですよね? なのに、ここにいてくださいなんて言えません」

向こうに、その母の支えとなってくれる人物がいるなら、少しは話も変わってくる。

杏の母親などは、それがいる。あるいは、ある。

だから、顔を合わせられないことは少し不安にもなるけれど、大丈夫だと思っている。

けれど陽乃の母には、それがない。

そして、陽乃は自分以外の人々を信用していない。

それなのに、目も声も何も届かない距離の場所に残したままなんて、無理だ。


歌野「じゃぁ、久遠さんにここにいる間に恋人でも出来たらどうなる?」

陽乃「はぁ? 出来るわけないじゃない」

向こうに比べれば、諏訪の人々からの印象はいいものだ。

それが異性的な好意であるのかは別の話だが、

もし、中にそんな好意を持ってくれている人がいたとしても、

陽乃は、その人を信用できないし愛せない。

陽乃「無理よ。私には」

球子「わかんないだろ、好きになってくれる人いるかもしれないぞ?」

陽乃「そもそも、恋愛なんかにうつつを抜かしている場合じゃないでしょ
    どこぞの男の子が、ピンチに現れてあとは任せろ。なんて言ってくれたって私は恋もできないわ」

杏「現実ですからね」

以前は、自衛隊の人たちがバーテックスに対抗しようとしてくれていたが、

そういったものではほんの少しの足止めになるかどうかという程度。

格好良く守ってくれるような何かなんて存在しない。

なにより、勇者は今のところ数人で、それもみんな女の子だ

陽乃「いずれにせよ、私には……無理よ」


水都「でも、いつかまた、そういう余裕がある世界を取り戻したい……かな」

歌野「あら。だれか気になる人でもいるの?」

水都「そういう意味で気になってる人はいないけど、でも、そう思わない?」

一般の人々もそうだが、

何より、勇者に選ばれた少女たちが普通に恋をできるような世界

それはきっと、間違いなく、平穏な世界だ

水都「うたのん……は、そっか。野菜か……」

歌野「ワッツ……こほんっ。解らないでしょ?」

球子「いいや、何か想像つかない」

杏「たまっち先輩だって、想像つかないけど」

球子「なんだとぉっ!」

さっきまでの、真剣な話がそっちのけで始まるどうでもいい話。

陽乃はそれに耳を傾けることなく、増えたせいで残っていた天ぷらをつまむ。

陽乃「……ばかみたい」

陽乃は、たとえ平穏な日常が戻ってきたとしても、無理だと思う


↓1コンマ判定 一桁

0,3,8 水都「久遠さんは、どんな男の子が好みなんですか?」

ぞろ目 特殊

※そのほか交流終了


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


相変わらずみーちゃんコンマ強いな


そういえばここまでシリアス続きで恋バナのこの字もしてなかったな
そしてゾロ目補正でどんな話題になるのだろうか


では少しだけ


水都「もしも勇者が、うたのん達みたいな女の子じゃなくて、物語によくあるような男の子だったら
    そうしたら、何か、もっといい方に変わってたのかな」

陽乃「私みたいな面倒くさいのはいないかもって?」

水都「そ、そうじゃなくて……」

困り顔の水都は、ちいさくため息をつく。

面倒くさいのは、否定できない。

陽乃からしてみれば水都達も面倒な人たちに思えて仕方がないのだろうから

おあいこ……だなんて、心に思って。

水都「もっと、救いがあったのかなって」

歌野「女の子から男の子に変わったとして何かあるかしら?」

杏「意志とか、力そのものとかは違うかもしれません」

熱血な人とか、正義感の強い人とか、

逆に血気盛んだったり……と、杏は候補を引き出す。

杏「久遠さんみたいに事情がなくても、アウトローな人はいたかも」

球子「逆に悪用するやつとか?」

陽乃「そんなの、男女関係ないじゃない」

九尾「そもそも、主様は神樹とは関係がないからのう。むしろ、討伐対象として付け狙われておったかもしれぬぞ」

陽乃「は?」

水都「えっ!?」


5人で座っているため、

蕎麦屋の中でも広い座敷を利用していた陽乃達。

その、余っていたはずの場所に座っている金色の長い髪の女性

真横にいた水都でさえ、それがいつ来たのかもわからずに、

思わず声を上げて、歌野の方にぐっと身を寄せてしまう。

歌野「……だれ?」

九尾「ふむ……妾にも蕎麦を頼む」

陽乃「私はお金ないからね」

九尾「窮乏じゃな……まったく」

ため息をついた女性――九尾は、歌野の質問に答えもせずに、

陽乃の小皿の上に残っていた、山芋の天ぷらを指でつまんでかじる。

球子「……陽乃の知り合いか?」

杏「もしかして、九尾さん?」

九尾「うむ。さっきの話じゃが、主様はまた別の存在じゃからな。
   たとえ、勇者に男が選ばれようと主様が妾らの力を与えられることに変わりはなかろう」

それは、陽乃が拒絶でもしない限り変わらなかっただろう。と、九尾は言う。

九尾「なにより――あの場に、たどり着ける勇者はおらぬ」


九尾の言葉に、水都がびくっと体を揺らす。

九尾「それに、変えられぬものを仮定する意味などなかろう」

水都「そう、ですけど……」

球子「そんないい方しなくたっていいじゃないか」

むっとして、反論する球子を九尾は横目に見て、

口元だけで、ふっと笑う

球子「何で笑うんだっ」

九尾「得られぬものを望んで何の意味がある? まだ、小娘が勇者として戦えるようになりたいと望む方がよかろうに
    変えられぬ過去より、いかようにでもできる未来をどうにかしようと話すのが普通じゃろう?」

陽乃「そうね」

杏「なら、藤森さんが勇者として戦うことも可能だと?」

九尾「ふむ……」

陽乃「食べたければどうぞ」

陽乃から手渡された皿を受け取って、

九尾はまた一つ、天ぷらをつまんでかじる。

九尾「巫女になれたならば、勇者になることも不可能とは言えまい。無論、容易ではないが
    主様が諏訪の神の代行者ならば、少しくらい、その遊びもできるじゃろうな」


水都「遊び……でも、可能なんですか?」

陽乃「どうせ、死ぬやつでしょう?」

九尾「くふふっ」

ひなたがそうであるように、

許容量を超えた力の譲渡は、最悪死に至る。

九尾の力ほどではないにしても、

普通の力だって、普通の巫女である水都二はきっと、耐えられない

耐えられる可能性もないとは言えないが、試すわけにはいかないだろう。

九尾「そうじゃな。間違いなく死ぬな」

歌野「だったら、それも無駄な話じゃないかしら」

九尾「一度きりで死ぬとしても、その瞬間に役立つならばそれでよかろう? 出来もしない過去の変化を望むよりはのう?」

球子「二人そろって……」

意地の悪い奴だなとでもいうかのような球子に

それでも、九尾は笑って。

九尾「それと同じように、主様の説得も無意味じゃぞ」

水都「……」

九尾「無駄な時を過ごさぬようにと、心優しい妾からの助言じゃ」


心優しくない九尾の笑み

だが、実際に無意味なことには変わりがなく、

それが、もし仮に可能であっても途方もないことだとわかっているみんなは、

九尾の意地の悪い話に、強く言い返したりはしなかった。

向こうに、大切な人がいる。

それを、捨てろというなんて、誰にもできることではないからだ。

歌野「それは、わかってるわ。大丈夫よ」

水都のこともあってか、歌野の声はやや冷たい。

九尾「ならば、なすべきことをなすのが先決じゃろうて」

陽乃「……貴女、何のために出てきたのよ」

前触れもなく、

意地悪いことを言って。

ただ、陽乃が余していた天ぷらを食べに来たわけではないはずだ

九尾「主様、覚悟はしておく方がよいぞ。時間は、なさそうじゃ」

陽乃「総攻撃が、起きるの?」

九尾「いいや、起きぬやもしれぬ……起こるとしたら、向こうじゃな」

そう答えた九尾は、指をぺろりと舐める

九尾「あやがあるか……。総攻撃ほどではなかろうが、間違いなく向こうに何か起こる」


1、冗談や嘘じゃないのよね?
2、どうして?
3、なんでそう思ったの?
4、今すぐ、帰るわ


↓1

2

3


では短いですがここまでとさせていただきます
明日は、可能であればお昼ごろから


若葉と千景がピンチだなこれ、勇者二人しかいないし
考えようによっては向こうに意識が向いてる今こそみんな連れて移動する好機なのかも


珍しく人間体の九尾がみんなの前に出てきたと思ったら不穏な情報が…
そろそろ四国に戻らないとマズいか?

では少しだけ


陽乃「どうして?」

九尾「それは無論、主様がここにいるからじゃろうな。告げたろう?」

陽乃が来たせいかおかげか、

諏訪の結界はいぜんよりも強固なものになったという話だった。

それがきっかけとなり、

諏訪には手を出さない……出せなくなった。という可能性があるというのは九尾も言っていたことだ。

あくまで可能性だったが、現実味を帯びてきたからこそ九尾は姿を見せたのだろう。

杏「じゃぁ、今も……」

歌野「少なくとも今は無事なはずよ。いくら、久遠さんに不信感を抱いているとはいえ、そういう情報を伝えてこないとは思えないから」

水都「うん。通信の状況はあんまりよくないけど、間違いないと思う」

だが、今は。と、歌野と水都は神妙な面持ちで目を細める。

水都「通信はともかく、内容は"異常なし"だったんです」

歌野「乃木さんほど多くは語らないというか、乃木さん以上に淡白で義務的、まるでコールセンターにつなぐ機械音声を相手にしているみたいで」

うたのん。と、水都に突かれて歌野の愚痴が止まる

九尾「特に、外に警戒に出ているわけでもなかろうからのう」


杏「四国が襲撃されるまでの猶予は解りませんか?」

九尾「向こうにつながっているならばともかく、今の状況では不可能じゃな」

素っ気ない返しをする九尾は、そもそもまだ絶対ではないと続ける。

九尾「じゃが、襲撃が行われる可能性は低くはなかろうて」

球子「なら、戻るしかないんじゃないか?」

九尾「ふむ……人間を連れてかや? それではつく前に襲撃されるぞ?
    なにより、連れ出した人間の幾人かは命を落とすことになる。それでも戻るかや?」

九尾は、にやりと嫌な笑みを浮かべる

悪だくみをしているかのような、ほほ笑み。

間違いなく面白がっている。

その目は、陽乃に向いていた。

陽乃「……私を見ないでよ」

九尾「主様じゃろう。鍵は」

陽乃は四国に戻りたいと考えていた。

一般の人々を連れ帰るのはあくまでついでという考えで

今回、一般人を連れ帰る場合、四国が襲撃されるまでには間に合わない可能性が高い。

だが、陽乃が一人で出て行けば諏訪の結界が消えてしまう。

つまり、

四国を諦めるか、諏訪を諦めるか。陽乃次第ということになる。

しかし、諏訪を諦める場合は、そこに住む人々を諦めるということでもある


球子「タマ達だけで戻るっていうのはどうなんだ?」

杏「戻れる、かな……」

歌野「久遠さんが離れられないなら、私も離れられないわ」

水都「人数的には2人ずつでちょうどいいけど……でも」

外は今、バーテックスが溢れている。

総攻撃を行うために準備されてきた、かなりの数が。

その一部が四国の方に向かったとしても、たった二人でどうにかできる数ではないだろう。

陽乃「……」

四国が落とされたら、疎ましい人々を一掃できる。

だが、あそこには母がいる。

放っておくことなんて出来るわけがない。

99が不快でも、1がそうではないから救わないわけにはいかない。

球子「陽乃、タマ達に任せてくれないか?」

杏「たまっち先輩、戻るの?」

球子「戻るしかないだろ……どう考えても」

向こうには友奈、若葉、千景の三人がいる。

しかし、いきなりの大規模な襲撃に耐えられる保証はない。

球子「こう、前と後ろから……バンッって感じでバーテックスを叩く」

球子は強く両手を叩き合わせる。



1、任せられるわけないじゃない
2、諏訪を諦めるわ
3、少し、時間を頂戴
4、2人でどうにかなるとは思えないわ
5、諏訪周辺なら、私が潰してあげてもいいわ


↓2

5

3


陽乃「少し、時間を頂戴」

九尾「時間はないと思うが」

陽乃「……分かってるわよ」

悩む時間を作れば作るだけ、

向こうに戻るのが遅れ、そして、その分だけ被害が拡大する可能性がある

九尾の意地悪な忠告なんて必要ない。

解っている。

自分の都合のみを考えるなら、

迷わず諏訪を捨てていくべきだと。

九尾がいやらしいことを言ってくるのは、

陽乃が普段はそんな姿勢であるくせに、ここで躊躇っているからであることも。

陽乃「すぐに答えは出すわ。私が決めるしかないんだから」

歌野「……そうね。でも一人で悩まなくてもいいのよ? 私たちだって無関係じゃないんだから」

陽乃「貴女達の答えなんて、聞くまでもないわ」

杏と球子を信じろとか

あるいは、向こうに残した勇者たちを信じろだとか

そんな "信じて" だろうと陽乃は首を振る

陽乃「聞くだけ無駄だわ」


球子は念押ししなくてもみたいな表情をしてはいるが、何も言わない。

杏も、歌野も、水都も

みんな、口を閉ざしている。

説得を聞かないのとは話が違う。

でも、確かに、無駄だろうとみんなわかっていた。

みんな、信じて欲しいからだ

陽乃以外の勇者を、人々を。

それが難しいことをわかっていながら、それでも。

歌野「じゃぁ、そろそろお開きにしましょうか」

歌野はテーブルの上のお皿がきれいになっているのを見て、笑顔で言う。

食べている途中でも、今のこの話は中断すべきだ

歌野「久遠さん、答えはちゃんとみんなに教えて欲しいわ」

一人で行くなんて言えば、確実に反対されるし止められる

だから、陽乃的には何も言わない方が楽といえば楽なのだが。

陽乃「……それも、考えておくわ」

陽乃はそう答えて、まだ手に持っていた箸をおく。

陽乃「ご馳走様」

↓1コンマ判定 一桁

5,8 水都「久遠さん、食後のお散歩はどうですか?」
2,9 杏「久遠さん、少し時間を貰えませんか?」

※その他、交流終了

あー


√ 2018年 9月1日目 夜:諏訪

05~14 球子
27~36 杏
41~50 歌野
52~61 水都

↓1のコンマ

※それ以外は通常


では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから


みんなを信じることが困難突破の近道な気がするけど
肝心の陽乃さんの心を開くにはどうすれば良いんだろう…


球子たちに先行して四国に向かって貰って陽乃たちは諏訪のみんなと一緒に後追いが無難かなあ
もしかしたらピンチになってても粘ってるところに間に合うかもしれないし
なんにせよ早く決めなきゃな

では少しだけ

√ 2018年 9月1日目 夜:諏訪


陽乃はいつもの部屋で、一人テーブルに突っ伏す。

暗い部屋は影と影も交じり合って、一つの深い闇のように感じる。

そんな黒々とした場所を、睨む。

諏訪を見捨て、人々を捨て、四国に向かうか

母を諦め、四国を委ね、諏訪に残るか

陽乃「……信じる。ね」

杏達は間違いなく、自分を信じて欲しいというはずだ。

そして、四国に残してきた勇者たちのこともまた、信じて欲しいと

信じたら、何があるのか。

最良の結果が返されるとでもいうのだろうか?

いいや、陽乃にとっての最良は母の無事以外にはなく、

それが最も確実なのは陽乃が四国に戻ることだ。

しかし、ここで諏訪を捨てれば、

杏と球子の目の前で人を殺したことよりも酷いことになる。

そしてそれは、言い訳のしようもないほどに、陽乃の責任。

陽乃「……はぁ」

間違いなく、優柔不断だと陽乃はため息をついた


だれも信用できない、

誰も自分には関係ない

そうやって切り捨てていくなら、迷う必要はない。

だが、陽乃は答えをためらった。

関係ない、今すぐ四国に戻るわ。そう、言えなかった。

陽乃「迷ってるの……? ここの人を見捨てるかどうか」

来る前も、来た当初も

歌野と水都はともかくとして

ほかの人は見捨てるつもりでいた。

なのに、ふたを開けてみればこれだ。

陽乃「……」

みっともないというべきか

情けないというべきか

陽乃「……みんなには、聞くだけ無駄なのよね」

信じて欲しい。そういわれるだけだから。

九尾に関しては、少なくともからかい半分で来るだろう


陽乃の行動ですべてが決まる。

諏訪の神々の嫌がらせによって、諏訪の結界の要になってしまった結果だ

陽乃が望んだわけでもないのに押し付けられた役目。

陽乃「あぁもう……」

可愛さも余らずに、憎さが増すばかり。

この押し付けさえなければ、

何も迷うことなく、出て行くことができた。

陽乃「……」

まるで、試されているみたいだ

人を救う勇者たり得るか

それとも、そんなこともしない、勇者なり得ない存在なのか。

もしここで、

神々を裏切って諏訪の人を見捨てたら、祟られるのだろうか?

陽乃「厄介だわ」


これで祟られるのならあまりにも理不尽だが

それが神様というものだろう。

もう諦めるしかない。

だが、人は。

陽乃「……っ」

悩む時間は短い方が良い。

早ければ今すぐにでも四国に発っておくべきだ。

球子と杏に委ねるのなら、なおさら。

陽乃のように、半日でたどり着けるわけではないのだから。

陽乃「……九尾が、送り迎えだけしてくれる。わけがないし」

九尾が可能なら、

球子と杏を四国に送ってもらえばいい。

何が起こるかはわからないが。

道中の安全と、長い距離はそれで解消できる。

陽乃「……どうせみんな、私が優しいから悩んでるんだとか、変な誤解するんだわ」



1、九尾を呼ぶ
2、伊邪那美を呼んでみる
3、みんなのところへ
4、陽乃が四国に向かう
5、任せる

↓2

1

1


陽乃「九尾、どうせいるんでしょう?」

陽乃がそう声をかけると、

暗闇の中に一人分の形が浮き上がって、女性の姿で九尾が姿を見せる。

相変わらず、自然発光しているかのように目に悪い。

九尾「何を悩む必要がある」

陽乃「言いたいことは解るけど」

九尾「勇者の不興を買うのが怖いのかや?」

九尾はそう言っておきながら、いいや違う。と否定する。

陽乃は目を向けたが、

暗い部屋の中では、九尾の表情の変化まではつかめない

九尾「捨てきれておらぬのじゃろう? 無駄な情を」

陽乃「……私は」

向こうで散々な目に合った。

だから、諏訪の人々もみんな同じような人々。

そうやって一くくりに出来ればいいのに、

陽乃はそれができていない。

九尾「主様は、人を憎むことができておらぬのじゃな。できておるならば、悩むはずがない」


陽乃「憎んでるわよ」

九尾「ならばなぜ見逃し、悩み、躊躇う? 人が憎いならば、みな同じであると見限ることができるならば今ここでそうしている主様はおらぬはずじゃろうて」

九尾は息を吐く。

ため息ではないのに呆れている感じが強い。

九尾「だれに止められるでもなく、むしろ妾を止めるであろう?」

陽乃「……でも」

九尾「憎いかや? なら、人間など救う価値がないと切り捨てればよい」

助けた結果があれなのだから。

救ってあげたところで、

噂に流されて陽乃を悪く言う人も少なくなかった。

救えば救うほどその声が大きくなると思えば、

九尾が言うように、切り捨ててしまうべきだ。

九尾「主様、ここが分岐点じゃぞ。他人を諦めるのか、救ってしまうのか」

母親と、赤の他人

ここで母親をとれなかったのなら、陽乃は他人を諦めることができないことの証になる。

杏も、球子も、歌野も水都も

きっと、目障りだなんて突っ撥ねることが難しくなるかもしれない。

何を言ったって結局、陽乃は他人を思うことのできる少女だと、言い返されるだろうから



1、諦める
2、諦めない
3、貴女なら、どうする?


↓2

2

3


陽乃「貴女ならどうする?」

九尾「くふふっ、愚問じゃのう」

九尾が笑うと、女性には似つかわしくない牙が見える。

段々と夜目にもなれて、顔がやんわりとわかる。

赤い瞳は細く、口元はニヤリとしていて

九尾「妾は人間など救わぬ。有象無象など投げ捨て己の欲に従う」

陽乃「諏訪が滅ぶとしても?」

九尾「妾に関係があるかや?」

陽乃「いろいろお世話になったとしたら?」

九尾「人間が自分勝手に行ったことじゃろう? 妾が望まぬともそれを行い、見返りがなければ悪だと言う。そんな人間など捨て置けばよい」

九尾は悩むことはない。

それが当然だと疑っていないのだ。

九尾「何じゃ主様、世話になったなどと気にしておるのかや?」

陽乃「多少はね」

九尾「向こうでは、世話になった主様を邪険にしているというのに?」


陽乃「だからって同じことしたら、私も同じ人間になっちゃうじゃない」

九尾「そういう言い訳かや?」

陽乃「そんなつもりはないけど」

九尾「主様はやはり、甘いな」

九尾の声は不審なほどに柔らかい。

九尾は陽乃が人間を見限ることができないと思っているようだ。

それを悪いとは言わないが、悪いと思っているかもしれない。

闇の中の赤い瞳が消える

九尾「主様が、人間を諦められないというならばそれでも良い。妾は、救う価値などないとは思うがのう。
    妾は妾、主様は主様じゃ。その選択によって、後悔するのもまた、主様じゃ」

陽乃「貴女、後悔するって思ってるのね」

九尾「うむ。以前の主様はそうじゃろう?」


九尾「人間を救ってどうする。あの場所に連れ帰ってどうなる。人間など、間引いてもよかろう」

陽乃「……間引く、ね」

九尾は人間ではない。

人の形をしてはいるが妖狐だ

だから情なんてなく、非情なことでも決断できる

九尾「これ以上、余計なものは抱え込まない方がよいと思うが」

九尾はのどを鳴らす。

九尾「なにより人間を連れ出すならば時間が足らぬ」

その場合は杏と球子

そして、向こうに残してきた勇者たちに委ねなければならないと、九尾は言う。

陽乃もそれは解っている。

九尾「妾はあの小娘らよりも、聞くだけ無駄であろう? なにせ救う気などないのじゃからな」

陽乃「ええ」

全くの無駄だったわと、陽乃は首を振る。


陽乃の反応を見て九尾はくつくつと笑う。

口元に手をあてがって隠す少し上品ぶった仕草をして

細められた赤い瞳が陽乃を見据える

九尾「諏訪を捨てるならば妾も手を貸そう。じゃが、主様は小娘どもから睨まれることになろう」

陽乃「なのに見捨てるべきだってあなたは言うんでしょ?」

九尾「無論じゃ。主様にとっての母のような存在がおるならば他人のことなど気にする必要もない」

そして、本当に突き放したいなら

あえて恨まれる選択をするべきだ。

みんなは諏訪のことを考えてくれるようにと思っている。

だが、そうすれば母が助かる可能性は、低くなるかもしれない。

最悪、四国が崩壊してしまう可能性だってある。

陽乃「っ……」

杏と球子は、一応ここに来てから実戦経験を積んでいる。

模擬戦の約束ははたしていないけれど。

陽乃「私は……」


1、杏達に任せる
2、杏達に任せない
3、みんなのところへ


↓2

3

1

3


陽乃「いいわ。あの子たちに任せる」

九尾「ほう?」

陽乃「白鳥さんが3年間耐えられたんだから、2人を含めた5人での防衛なら凌げるはずだし
    なにより、私がこの先もお母さんと生き残ることを優先するなら、無駄に不興を買う必要はないわ」

そして、2人がいなくても諏訪の防衛はできる。はずだ

陽乃「それに、通信に上里さんを引き出せる可能性もある」

九尾「四国に戻るならば、不要じゃが」

陽乃「今回の件で、バーテックスの動きに変化があって諏訪に長く残る必要ができるかもしれないじゃない」

九尾「ふぅむ……そうじゃな」

九尾は納得したようにうなずく。

九尾「ならば、小娘に主様の母親をこっちに連れてこさせるのはどうじゃ?」

陽乃「そこまでの信頼はしてないわ」

九尾「そうか」

陽乃は九尾を睨んで、拒絶する。

平和だったころならまだしも、そうではない陸路の旅路

多少の実戦経験があろうと、許せない

陽乃「それはそれ、これはこれ。四国を任せるだけで母の身の安全まで任せる気はないわよ」


九尾「みなの意を酌んだと思われて厄介なことになるやもしれぬぞ?」

陽乃「別にいいわよ」

事実を言ったって、

どうせ、みんなはそれを曲解する

今まで厄介だったのだから、これからも厄介になろうと関係はない。

陽乃「2人を四国に戻せば、2人まで手にかけた話も消えるだろうし」

九尾「そんなこともあったのう」

千景はその噂を信じているのだったか

どちらにせよ、陽乃への憎さは変わらないだろうが、

勇者を手にかけたという噂一つ減れば

ほかのうわさも……と、連鎖するかもしれない。

とはいえ、人一人殺した事実がある以上はどうにもならない。

九尾「まぁよい。主様がそうするならば、妾は従おう」

陽乃「天ぷらあげたんだから、そうじゃなきゃ困るわ」

九尾「くふふっ、次は蕎麦で頼む」

九尾のからかうような声に何も言わずに、

陽乃はさっと、部屋を出て行く


では途中ですが本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


諏訪の人たちを裏切れないしな……


とりあえず陽乃さんが諏訪を出るのは頃合いを見てという感じかな

遅くなりましたが、少しだけ


陽乃「というわけで、貴女達の案に乗ってあげるわ」

球子「上からだなぁ……」

陽乃「母のことを任せられるとは思っていないけど、でも、貴女達が生きていることの証明もできるし
    私の評判はともかく諏訪との往復が可能なこと、諏訪にはまだ生存者がいること。伝えるべきことが多いから」

陽乃は少し考えて、球子を見る

陽乃「とはいっても、貴女達が向こうにたどり着けなければ意味がないわ」

九尾の力を借りなければ、どう頑張っても半日で戻るのは不可能だ

不眠不休で、全力

それならどうにかなるかもしれないが、それはバーテックスがいないこと前提になる。

途中で戦闘する危険性を考慮すると、

注意力をそぐようなリスクをわざわざ背負う必要はない

陽乃「絶対に生きて戻ることができるのよね?」

球子「でき――」

杏「……外の状況次第です」

出来ると言おうとした球子

それを、杏は遮って偽りなく答える。

自信満々に言うべきだっただろうか。なんて、迷っていない。

杏「約束したいです。気持ち的には絶対だって言いたいです。でも、その約束はできません」


球子「杏はタマが守るぞ」

杏「ありがと……もちろん、たまっち先輩のことは信じてる。でも、諏訪の周辺で数回戦って思ったんだ
  どれだけ力があっても、やっぱり、物量で押し込まれることがあるんだって」

歌野と球子、そして杏

三人で、襲撃に対応したこともあった。

その時も一人当たり数えるのも手間なほどだったが、

想像以上に力のある歌野を起点に、それをカバーするような形でどうにか切り抜けることができたというだけ。

今回は、その歌野さえいないのだ

歌野「道中、無理に戦う必要はないと思うけど」

杏「もちろん、可能な限り戦闘は避けようと思ってます。だけど、総攻撃の準備が行われた諏訪周辺
  襲撃の可能性が控えている四国周辺。そして、その中間地点。どこも安全な場所がないと思っておいた方が良いと思います」

球子「ならどうするんだ?」

杏「……頑張るしかない。と、思う」

球子「そんな根性でどうにかなんて、言う方がおかしくないか?」

杏「本来の時間よりも、かなり時間をかければ安全に行けるかもしれない。でも、それだと間に合わないから急がないといけない
   なのに、一度戦いになれば次から次へとバーテックスが来るかもしれない」

水都「九尾さんは、力をお借りできないんですか?」


陽乃「あのひねくれ者が力を貸してくれると思う?」

飼い主に似るんだな。なんてつぶやきが聞こえたが、

聞こえなかったふりをして球子を一瞥する。

にこりとしたつもりだったが、球子はさっと顔を背けてしまった。

陽乃「私になら力を貸してくれる。でも、貴女達のために力を貸してくれるとは思えないけど」

聞くだけ、聞いてみようか?

なんて、どうせ聞いているだろうけれど、思ってみる。

聞いているならさっきみたいに口挟んでくれてもいいものだが。

諏訪周辺だけでも、陽乃が蹴散らしてしまうのも一つの案だ

水都「そもそも、久遠さんから離れたら逆に久遠さんが力を使えなくなっちゃったりするとか」

陽乃「それは、ないと思うわ」

九尾以外にも力はある。

今の状況なら扱えるという話だが、あまり確かめたくない力が。


1、九尾を呼ぶ
2、諏訪周辺は、私が蹴散らしてあげるわ
3、自信がないなら、私が行くけど?


↓2

1

1


陽乃「九尾、どうせ聞いてるんでしょ?」

陽乃が呆れながら言うと、足元から延びる影が歪んで、揺れて

不自然に盛り上がったかと思えば、人の形に変わって、生まれる

歌野「わぁお……」

九尾「くふふっ、妾はめのこでも構わぬぞ」

なびく金色の髪、深紅の瞳、色白の肌

スタイルもいい女性としての姿に感嘆の声を漏らした歌野を、九尾は悪い目で見る

陽乃「そういうのはいいから」

九尾「ふぅむ……」

九尾は肩を落として見せるものの、顔つきは全然だ

九尾「まぁよかろう。じゃが、妾は小娘を運ぶなどしてやるつもりはないぞ」

歌野「どうしても?」

九尾「今の主様ならば、小娘二人減っても問題はなかろう」

球子「なっ!」

九尾「それと結論から言えば、主様は妾がいなくとも力の行使は可能じゃ。もっとも、必要な場合を除いて使うべきではないがのう」


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


できたら九尾の説得したいけどダメなら諏訪周辺をなんとかするのが先かな


少しでもいい方向に向かってくれることを祈るしかない
厳しいと思いつつも前向きなあたりは球子と杏もさすがに諏訪の人々見殺しにするのはと思ってくれてるんだろうか

では少しだけ


水都「それで久遠さんがまた倒れる可能性もあるということですか?」

九尾「ある」

心配そうな水都に、九尾は断言する

今の陽乃はちょっとやそっとのことでは影響を受けない

しかし、それはあくまで九尾の力であればという話だ。

もう一体の、切り札ともいうべき存在の力は九尾のそれをはるかに凌駕している。

力を使うでもなく、ただ姿を見せた状態で陽乃が昏倒するほどだったのだから

実際に力を使った場合の影響は使ってみなければわからない。

だが、ないことだけはありえない。九尾がそう、判断したということだ。

水都「なら、久遠さんにその力を使ってもらうわけにはいかない」

歌野「そう、ね。九尾さんはそもそも嫌だと言うし、残念だけど四国には二人でどうにか戻ってもらうことになるわ」

杏「もともと、そのつもりです」

球子「楯をぶん投げて乗り物に出来たりしたらいいんだけどなぁ……あの、なんか、投げた丸太に乗る的な」

歌野「その楯の大きさじゃ、ちょっとね」


陽乃「楯を大きくしたらいいじゃない」

球子「平然と無茶言うなよ」

陽乃「九尾は大きくも小さくも人間にもなれるから、貴女もどうにかしなさい」

球子「だから無理だって!」

声を上げて頭を抱える球子は、

それが出来たら苦労しないんだよと、テーブルに額を叩きつける

陽乃「伊予島さん、ルートは?」

杏「えぇっと……たまっち先輩どいて」

球子「ぉぁっ」

球子の頭をグイっと押しのけて、

陽乃が考えている間に用意していた地図をテーブルに広げる。

杏「まっすぐとはいきませんが、九尾さんの力で飛び越えてきた道の下を進もうかと思ってます」

陽乃「……京都じゃなくて奈良側を通った方がいいんじゃない?」

歌野「それだと時間がかかるわ。敵が多いのは承知の上で、可能な限り見つからないように行くしかないって言うのが私たちの考えよ」


陽乃「兵庫岡山ルートよりは時間もかからないのに……まぁいいわ。大きく遠周りしてもたどり着けるとは限らないし」

陽乃は地図に影を落として、ふっと息を吐く

陽乃「九尾はどう思う?」

九尾「手堅い道などあるまい。ならば、時を重んじるのはむしろ堅実とも言える。問題はなかろう」

陽乃「そう……」

問題は、それで本当に無事にたどり着けるかということ

それだけはもう運だ。

そして、球子と杏の戦闘における実力次第。

残念ながら、不安しかない。

陽乃「九尾――」

九尾「断る。妾は小娘どもを背に乗せる気はない」

水都「久遠さんが倒れるかもしれないので、それは大丈夫です」

水都は陽乃に首を振る。

そんなことはされても困ると。

陽乃に万が一のことがあれば、歌野まで駄目になる。

そんな危険は冒せない。

陽乃「……」


1、諏訪周辺、私が潰すわ
2、いいわ。ならそれで頑張りなさい
3、出発は?


↓2

1

1


陽乃「諏訪周辺、私が潰すわ」

水都「えっ」

陽乃「予定通り、私が単独で諏訪周辺のバーテックスを一掃してあげる」

歌野「それなら私も!」

陽乃「貴女は駄目よ。温存させてもらう」

手を挙げた歌野を、陽乃は制止する。

歌野は3年間を戦い抜いたうえ、

今では陽乃の力で強化まで施せる

勇者の中で一番力があるのは、歌野だ

それなら、総攻撃にだって耐えうるかもしれない

陽乃「私の力で諏訪周辺を一掃してバーテックスの注意を引くわ。白鳥さんはそのあとの対処に回ってもらう
    伊予島さんたちはその隙に、抜け出していきなさい」

杏「久遠さんを囮にしろと?」

陽乃「野宿で虫には慣れたから、誘蛾灯くらいにはなってあげるわ」

球子「大丈夫なのか?」

陽乃「貴女達よりはずっと問題ないと思うけど」


球子はそりゃそうだとうなづく。

諏訪にいる勇者……陽乃は自分を数えないが、

数えた4人の中で1番と2番の2人と3番4番の2人

どちらがより問題なのかは明白。

否定する理由もなくて、球子は笑う。

球子「良いよ。わかった。でも、やりすぎないでくれ」

陽乃「……以外に素直ね」

球子「陽乃の力は認めてるし、必要なことだから仕方がない」

球子はそういって。

球子「それにさ、陽乃が自分の力を認めてるってことだからな」

杏「その代わり、絶対に四国にたどり着きます」

陽乃「……約束なんてしなくていいわ」

約束しますと、胸に手を当てた杏に陽乃は冷たく言い返す。

けれど、杏は笑って。

杏「約束は出来ないって言ったじゃないですか」

陽乃「そうね」

杏「だから、結果で示します。私達が信じるに値する友人だってことを」

陽乃「……」

球子「任せろ。うまくやってみせるさ」


陽乃「……変わらず勝手なこと言ってくれるじゃない」

陽乃は呆れたように言って、球子たちから目を離す。

こんなのはまるで、約束すると言っているようなものだ。

陽乃「やるというならやり遂げて見せなさい」

杏「はいっ」

水都「久遠さん、殲滅はいつ行いますか?」

陽乃が行動してからの移動になるから、

やはり、これもまた陽乃次第になってくる。

あれもこれも決定権を与えられると困ると陽乃は顔を顰めたが

自分が言い出したことだ。

陽乃「そうね……」

なるべく早い方が良い

陽乃が一掃した後、2人の移動がある。

陽乃が1日後に行えば、球子たちの到着が1日遅れる


1、明日早朝
2、明日昼
3、明後日早朝
4、明後日昼
5、それ以外 ※再安価


↓2

2

1


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


最終的に陽乃さんたちもいつか諏訪を出るだろうし次の日早々に動いたほうがいいか
それにしてもやっとのことで団結して役割分担できるようになって嬉しい


朝飯前という具合で片付けてしまおう
諏訪の人たちもいつか大移動しなきゃいけないし杏たちが頑張ってる間こっちも移動できるように準備がんばろう

遅くなりましたが少しだけ


陽乃「明日の早朝、さっそく出てくるわ」

球子「準備はいいのか?」

陽乃「必要ないわ。十分、ため込んだもの」

杏「なら、早く休まないとですね」

杏は少し残念そうに笑う。

もう少しここで、みんなで過ごしていけると思っていたのが、

急に、明日別れなければならなくなったからだ

歌野は少し悩んで、頷く

歌野「そうね。早く寝なきゃ。久遠さんも今日はさすがに寝るでしょう?」

陽乃「ん……」

正直眠くはない

相変わらず、覚めきっている

九尾「今の主様なら、寝ずともよかろう」

水都「駄目です。体は人間なんですから、精神的に問題がなくても、体が壊れます」

九尾「ほう? 小娘が妾に言うか」

水都「明日の朝、すぐに決行するなら休んでください。無理にでも」

九尾の視線を受けても、

水都は怯むことなく、陽乃へと目を向ける。


水都「今は平気でも、時間になって何かがあったら困ります」

陽乃「解ってる」

今まで、遅寝早起きで何か問題が起こったなんてことは一度もなかった。

だが、明日もないとは言えない。

陽乃「仕方がないわね。従っておくわ」

球子「……意外だな」

陽乃「言ってることは正しいわ。早く起きる分には問題ないし」

杏「ですね。私たちも早起きしないといけないし……久遠さんが起きてくれたら、一緒に起きられそうな気がする」

球子「早起きは問題ないだろ。もう、みんな慣れっこだ」

球子の笑い交じりの言葉に、水都は同意して笑って歌野に目を向ける。

朝早くから畑に出向くことも多い歌野

それについていく水都、そして水都と同じように手伝いを買って出て早起きしていた杏と球子

陽乃はそもそも、歌野と同じかそれ以上に早起きだったため、

ここにいるみんな朝が早い。


杏「今日で、ひとまずみんなが揃うのは最後ですね」

球子「タマたちがいないからって、だらけるなよ?」

陽乃「貴女ね……」

九尾「あまりに程度が過ぎるならば、食らうぞ」

そう言って……一瞬にして美しい女性の顔立ちが狐に変わる。

体は人間、頭は狐

その歪で異様な姿に、九尾に慣れかけていた水都も体を震わせて、

威嚇された球子は目を見開いて口元をひくつかせる

球子「……ごめん」

水都「この部屋も、また余計に広くなっちゃうかな」

球子「心配すんな。すぐに、5人で戻ってくるよ」

いや、それは難しいか? と、球子は自分で訂正しかけて、笑顔でごまかす。

球子「とにかく寝るなら布団敷くぞ……いつもの感じでいいか?」

杏「うん、いいと思う」

水都と歌野が横並び、

その下で、球子と陽乃と杏で並ぶ二段の敷き方

最初は、陽乃がこっそり逃げ出さないようになって、囲む算段だったそれも、

早々に無意味とわかって、形だけが残った

陽乃はその細やかではあるが、せわしない5人の空気を眺めて、小さく息を吐く。

これで、それも最後だ。

√ 2018年 9月2日目 朝:諏訪

↓1コンマ判定 一桁

0,9 球子
1,8 杏
2,7 歌野
3,6 水都

ぞろ目 特殊

※そのほか 通常


ではここまでとさせていただきます
1日のまとめは明日、再開時


水都単独交流→殲滅戦


陽乃も独りよがりにならずにきちんとみんなやれることやってる感じでようやく一つのチームに慣れた気がするな


あとは杏たちを行かせた後どのタイミングで諏訪を脱出するかだな


では少しだけ


1日のまとめ(諏訪組)

・ 白鳥歌野 : 交流有(過保護ね、一緒に外食、怖くなる、住民の処遇、陽乃を説得、特殊、時間、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)
・ 藤森水都 : 交流有(一緒に外食、怖くなる、住民の処遇、陽乃を説得、特殊、時間、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)
・ 土居球子 : 交流有(死なれても困る、模擬戦、一理ある、暇な時、一緒に外食、怖くなる、住民の処遇、陽乃を説得、特殊、時間、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)
・ 伊予島杏 : 交流有(死なれても困る、模擬戦、一理ある、暇な時、一緒に外食、怖くなる、住民の処遇、陽乃を説得、特殊、時間、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)
・   九尾 : 交流有(四国襲撃、九尾なら、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)

√ 2018/09/01 まとめ

 白鳥歌野との絆 55→63(普通) ※特殊交流3
 藤森水都との絆 70→78(良好) ※特殊交流7
 土居球子との絆 60→70(良好) ※特殊交流2
 伊予島杏との絆 76→86(良好) ※特殊交流4
   九尾との絆 68→70(良好)

√ 2018年 9月2日目 朝:諏訪


まだ、朝とも言えない4時頃

陽乃は目覚ましの音もなく目を覚ます。

陽乃「ん……」

歌野達も起きていない中、水都の布団だけが空になっているのが見えた。

テーブルの方にも、窓際にもいない。

陽乃「人に寝ろとか言っておいて」

自分はただの人間のくせに、

陽乃よりもずっと早く起きて、どこかに出ている。

いや、どこかではない。

陽乃「……まったく」

布団を自分の分だけまとめて、

畳むのは後回しにして、身支度を整える

部屋を出て左に曲がり、突き当りをさらに曲がる

参集殿から繋がっている、斎館へ向かう


棚には一人分の着替えとバスタオルが用意されていて、

浴室からは、入浴中の音が聞こえる。

ただ入浴しているわけではないだろう。

扉を軽くたたく

陽乃「一人でやるのは危険だって、話したはずだけど」

ばしゃんっと水が跳ねる音が聞こえて、静まり返る

少しの沈黙ののちに、浴室特有のくぐもった声が返ってきた。

水都「やっておいた方が良いと思って」

陽乃「神託は来ないわよ」

水都「神託がなくても、やっておきたいんです」

陽乃「伊予島さん達の無事を祈ってるって? それなら沐浴じゃなく水垢離の方にしなきゃだめよ
    貴女、浴槽に水を貯めて浸かっているだけでしょう? それじゃやり方が間違ってるわ」

水都「そ、そうなんですね……」


陽乃「まぁ、穢れているよりはいいわ」

沐浴……禊を行っておくのは決して悪いことではない。

水垢離という、祈りのために行う行為とは別になるが、

この後に、儀式として巫女舞を行うなどするのなら、むしろ正しい。

陽乃「で、いつ起きたの?」

水都「……30分くらい前、ですね」

水都は少し申し訳なさそうに言って

水都「ぱっと目を覚ましちゃって……そのままこっちに来ちゃいました」

陽乃「私より先に起きるなんて異常だわ。貴女こそ、体調崩すんじゃない?」

水都「私が崩すのはいいんです。ただの巫女ですから」

陽乃「……」

水の中で動く音がする。

滴り落ちる音、排水溝に飲み込まれていく音、水都の深い吐息

黙っていると、いろんな音が聞こえてくる

水都「……すみません。よくないですよね」



1、さぁ? 私は別に
2、白鳥さんとしてはよくないと思うわ
3、そうね。
4、中に入る
5、何も言わない

↓2

2

4


陽乃「……」

棚の方を見て、バスタオルなどが一式予備であるのを確認する。

普段から、禊のためにこの場を利用することの多い水都や陽乃の分に始まり、

楽をしようと考えた球子の分まで、ある程度の予備がしまわれている棚。

自分たちしかいないからと言って、やや自由が過ぎるだろうか。

陽乃「まぁ……」

服を脱いで、畳んで収める

代わりに、白衣を身に纏う

水都「……久遠さん?」

会話が途切れたからか、確認するように水都が名前を呼ぶ。

それに答えず、応えのように扉を開けて中に入っていくと、

水都は顔を上げて、すぐに、陽乃に背中を向けた

陽乃「何してるの?」

水都「く、久遠さんこそっどうして……」

陽乃「日課よ」

水都「私が出てからでも……」

陽乃「そんなに時間があるわけでもないから」

水都「……そう、ですよね。すみません」

陽乃「そんなに照れる必要はないと思うけど」


陽乃に背中を向けたままの水都を一瞥して、さっと水を浴びる

冷たい水が、肌を流れていく。

ついさっきまで温もりに包まれていた体への、刺すような刺激

体の内側から外側へと湧き出るような熱量を感じながら、

それを二回、三回と繰り返して。

陽乃「……ん」

流し終えてから、浴槽にたまった水に触れる。

陽乃「いつもより水温が高いわね」

水都「あっ……」

水都は肩を震わせて、ゆっくり陽乃へと振り向いた

水都「すみません……自分しか使わないと思って、ちょっとだけ」

陽乃「……別にいいわ。このくらいなら大差ないから」

水都「……」


水都「……しばらく、一緒に沐浴をするのもなくなりますね」

陽乃「そうなの?」

水都「土居さんたちがいなくなる分、久遠さんも歌野んも警戒する必要があるじゃないですか。
    今までと違って、あえて陽動するわけですし……襲撃への警戒は強める必要がありますよね?」

陽乃「警戒は今までだってしっかりしてたでしょう? 大して変わらないわ」

陽乃は常に参集殿にいたし、

歌野は隔日で控えていたりした。

球子達の部分を陽乃がカバーするだけ。

今までと何一つ変わらない。

もちろん、襲撃があった場合はその対応をしなければならない。

たった2人で。

それによる疲労も考慮して、水都は時間が無くなると考えているようだ。

水都「……ありがとうございます」

陽乃「何よ急に」

水都「諏訪のみんなを、見捨てずにいてくれたじゃないですか」

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


今作のみーちゃんはメンタルが超強化されてて精神面で頼もしいよなぁ


諏訪来てから陽乃が前よりずっと優しくなったのほんとみーちゃんのおかげだよな


陽乃の物腰も柔らかくなったし本当に助かる


すみませんが、本日はお休みとなります
明日は、可能であれば早い時間から

乙ですー

では少しだけ


陽乃「別に、そう思ってくれてもいいわ」

水都「否定しないんですね」

陽乃「私が否定したって、貴女達はそう思うでしょ? 無駄な労力を使う気はない」

水都「……そうですか」

水都はやや素っ気ない返しをされても嬉しそうに笑うと

体に馴染んだ水の冷たさを手に受け止めて、顔にぶつける。

水都「そうですね。そうだと思います。久遠さんには何か別の考えがあって、
    諏訪を見捨てないのは、ここに残ってくれるのは……そのついでだとしても」

水都はちいさく息を吐く。

前髪の先から、一滴が水面へと落ちる。

水都「結果的に諏訪に残ってくれたから、否定しても変わらないと思います」

陽乃は思った通りの返しに返事もなく、黙っていて。

水都の周囲と違って陽乃の体の周りはまるで揺れない。

その微動だにしない沈着冷静な様子は、水都がいつもこの場所で見ているものだ。

実際に戦わない水都ですら、これから大きな戦いがあると緊張しているのに

陽乃はいたって、いつも通り。

水都はその堂々とした姿勢に羨望のまなざしを向けて

水都「久遠さん覚えてますか? 前に、放っておいて欲しいって言ったこと」


水都「今みたいな……巫女としての所作を教えてくださいってお願いを引き受けてもらう代わりに
    何か、久遠さんにはお願いありますかって聞いた答えが、それだったんですよ?」

先月のことだ。

それを忘れるほど記憶力に問題は出ていない。

かといって、覚えておくほどのこととも思わない。

いつも陽乃が思っていたことだし、求めていたこと

特別なことではなかった。

水都「あの時は、少し怖かったです」

陽乃「……」

怖かったと言う割には、

怯えているのではなく、申し訳なさを感じる水都の表情

じっとみると、顔を背けられた

陽乃「そう……」



1、覚えてないわ。
2、そのお願い、結局聞いてくれなかったわよね
3、謝らないわよ
4、それが?


↓2

2

2


陽乃「そのお願い、結局聞いてくれなかったわよね」

水都「す、少しは久遠さんのこと気にしないようにしてたと思いますけど」

水都はそう言ったが、

すぐに、首をかしげて思い出したように苦笑する。

水都「そういえば、全然だったかもしれません。
    でも、それはあれですよ。久遠さんが御柱に触れてあんなことになったから……」

陽乃「言い訳?」

水都「それは狡くないですか? あのお願いの後だとしても、あんなことがあったら放っておけないよ」

陽乃半分、自分半分

水都のその呟きは水風呂の中に消えていく

水都「久遠さん自身、私たちにかかわってきましたよね?」

陽乃「そうだったかしら」

水都「自分から会いに来たじゃないですか……それで、自分一人で戦いに行くなんて危ないこと言いだして」

陽乃「……そんなこともあったわね」

水都「みんな止めたのに、結局、それ頼りになっちゃいましたね」


陽乃「別に、私じゃなくたって白鳥さんならできるはずよ。それでも、単身でやってもらうけど」

水都「うたのんのこと、信頼してるんですか?」

陽乃「3年間の実績に私の力を貸し与えられるんだから、そうじゃなきゃおかしいってだけよ」

水都「それも、信じてるって言えるような気がしますけど」

陽乃「私は……」

水都はただ、思っていることを口にしているだけだろう。

歌野なら、同じように単独で戦闘しても問題ないと考えている。

そこに実績があり、唯一信頼している自分の力が加わればとは言うけれど、

だとしてもそれはやっぱり "歌野が勝つと信じている" のではないかと。

陽乃は顔を顰めて、すぐに、その感情を鎮める

陽乃「私は誰も信じようなんて思ってないし、信じる気もない」

水都「結果を示してもですか?」

陽乃「頼る気はないから」

水都「でも、頼ってくれたじゃないですか」

水都はそう返して、下を向く。

水都「……頼ったじゃないですか。伊予島さん達のこと」

陽乃「頼ったわけじゃないわ。あの子たちがそうしたいって言うからそうさせてあげるだけ」

水都「……言葉の綾では?」

陽乃「言った本人が使わないのは初めて聞くわね。それ」


水都「事実じゃないですか」

陽乃「そう?」

水都「そうですよ」

陽乃は拒絶することもあるが、

完全な拒絶は、あの1度きり。

それ以外は勝手にしたら? と言ってくれるし、

やや放置気味ではあるけれど、許してくれている。

信頼しないとは言っているけれど、

でも警戒だってそこまで強くしていない。

だけど――信頼しないと言い切る。

行動が、考えが、言葉が、

信頼の上に成り立つものであっても、陽乃はそれを信頼ではないと否定する。

信じる気はないと首を横に振って、認めない。

だから、言葉の綾

もう、ただそういう言い回しをしているだけというか。

水都はそう思って、思わず笑ってしまう



1、そう思いたければ思っていればいいじゃない
2、私はお願いを聞いて、貴女は聞かずに不履行なのは問題よね
3、あまり、調子に乗らない方が身のためよ
4、何も言わない


↓2

2

3


では本日はここまでとさせていただきます
明日は能であればお昼ごろから


みーちゃんの勢いに陽乃さんが普通に押し負けてる感じがする
早く心を開く日が来るといいな


陽乃も久遠さんみたいに押しに弱そうだからな
押せ押せ


では少しずつ


陽乃「あまり、調子に乗らない方が身のためよ」

水都「すみません」

水都は素直に、答える。

今までの自分と比べて明らかに積極的になっているのはわかっていたことなのだろう。

少し罪悪感を抱いているような視線が、陽乃に向けられた。

水都「でも、そのくらいじゃないと久遠さんと関われないですよね?」

陽乃「関わらなくていいって話、忘れたの?」

水都「覚えてます」

残念そうに言った水都は、困って顔を顰める

それは覚えている

覚えているから、申し訳ない。

陽乃が起こした御柱の崩壊と、諏訪の神々の力の継承

陽乃にとって不幸なそれがあったからこそ、それをなかったことのように接することができているからだ。

水都「でも、久遠さんはいまや諏訪の神様のようなものですし、巫女である私はつかず離れずでいた方が良いと思いませんか?」


陽乃「そういうのが調子に乗ってるのよ」

水都「でも、久遠さんはそこにいてくれているじゃないですか」

ここには一人で来た。

朝早く……とさえも言えないような早起きをして

眠れないからと、沐浴に来た

なのに、今は陽乃がいる。

呼んでいないしお願いしてもいないけれど、

同じ水風呂に入っている。

陽乃「私の対応が悪かったって言いたいのね」

水都「別にそうじゃないですよ」

陽乃「そうとしか受け取れないわ」

水都「久遠さんには少し積極的な方が良いって、土居さんも言ってましたし」

陽乃「……やっぱり、私の対応が悪かったんじゃない」


水都「え?」

陽乃「甘やかしすぎたのね」

水都「あんまり、甘やかしてはないと思いますよ」

陽乃「貴女のことじゃない」

水都「?」

甘やかしているというには、陽乃の態度はややきつめだ

根気強さがなかったり、

球子からの"積極的に"という話がなければ、早々にリタイアしているくらいには。

だが、放っておいてといいつつ、

好きにしたら、勝手にして、なんて許しを与えていることは、

甘やかしていると言えなくもないだろうか。

水都は話題に対して、まだ穏やかな陽乃を見て笑みを見せる。

水都「なら、土居さんですか?」

陽乃「そうね」

あの時、友達などと騙って接触したのが間違いだった。

それがなければ、球子がこれまで強く接してくることも、

水都に勢いつけさせるような助言をすることもなかったはずだ。

それなら、今、水都は隣にいなかったかもしれない。

陽乃「選択を誤ったわ……ほんと」


疲れた口ぶり、後悔を感じる表情

球子と何かあったのは明白

水都は、そんな陽乃を見て……躊躇って口を閉じる。

そこに首を突っ込むのは、調子に乗るどころか飛び越えているというものだ。

水都「緊張してないんですか?」

陽乃「緊張? なにに?」

水都「この数時間後には、戦いじゃないですか」

陽乃「何があってもやれるって確信があってこそのことよ。それに緊張する方がおかしいわ」

水都「……なにが、あっても?」

陽乃「ええ。バーテックスの数が想定より多かろうと、なにか奇策を用意していようと、何があろうと」

水都「そうですか」

水都は、思わず笑ってしまう。

陽乃にとって当然の答えに対しての水都の笑みは、嬉しさから来るものだった。


1、なにがおかしいの?
2、貴女が喜ぶこと?
3、雑念が多すぎるわよ
4、怒らせたいの?


↓2

3

4


陽乃「怒らせたいの?」

水都「あ……いえ、すみません」

水都は首を振って、否定する。

怒らせたいわけじゃない。

水都「久遠さんが自信を持ってくれているから、私たちも安心できるなと、思って」

水都が嬉しかったのは、陽乃が一切の不安も緊張もなく、

何があろうと間違いなく成し遂げられると言っている分の安心感があってこそだ。

実際に戦っているところを見た覚えはない

だけど、杏も球子も実力に問題はないと言っている。

なにより、諏訪の神様ですら認めた人だ。

そんな人が、自分に任せろと言い、何も問題はないと言い切っている。

ネガティブに考えれば、失敗の予兆ともとれるが、

ポジティブに考えれば、そんなことはない。

水都「今、諏訪にいる人たちはうたのんがいても、不安がないと言えばウソになると思います。
    御柱が崩壊したこともあって、余計に不安になっているだろうし、怖いと思うんです」

陽乃「……私だって、壊したかったわけじゃないわ」

水都「知ってます。ただ、現実はそうなんです。
    結界は壊れていない、歪んでもいない、大丈夫ですって説明で落ち着いたように見えても、不安は拭えません」


陽乃「貴女も不安になった?」

水都「そうですね。申し訳ないですけど……不安になりましたし、怖かったです」

結界を支えている要とも言える御柱の崩壊

襲撃ではなく、

陽乃が触れたことによる崩壊ということ

以前までと違って、結界までも砕けたわけではないため、

多少の抑制はあったが、それでも不安はあった。

水都「でも、神様が久遠さんの力を頼って委ねたって聞いて、大丈夫だって思いました」

陽乃「意味不明ね」

水都「そんなことないですよ。突き放されたこともありましたけど、それ以前から思ってた久遠さんの印象を神様が保証してくれたようなものなので」

陽乃の眉がぴくっと動く。

また怒らせたいのかと言われるかと水都は一息飲む。

水都「とにかく、だからこそ久遠さんの自信がある態度で安心できるんです。
    住民の人たちには、久遠さんの戦いを間近で見せることはできないですけど、でも、勇者の自信は安心につながるんです」

水都は嬉しそうに語って。

水都「私だったら、不安で、怖くて、緊張していると思います。
    それしかない。そう思って陽動作戦に立候補したとしても、今ここにいるのは恐怖と不安を落ち着けるためだったと思います」

陽乃「……そう」

水都「そうなんです。久遠さんがそう思っていなくても、久遠さんが自信を持ってくれているだけで助かります」


↓1コンマ判定 一桁

0,3,9 水都「だから、嬉しいです。感謝しています」

みーちゃんマジでつよい


水都「だから、嬉しいです。感謝しています」

陽乃「感謝なんて」

水都「久遠さんたちが来てくれるまでは、内心、もうダメだと思っていたんです」

約3年前

諏訪が結界に覆われたころの話になるが、

その時は、いつか準備が整ったら救援が来るという話だった。

なのにこれだけ時間がたっても誰かが訪れることも、

四国との通信で吉報が告げられることもなかった。

だから、もう、限界だと。

水都「住民の人たちもそうです。うたのんが頑張ってくれているからというだけで
    外部からの救助を期待している人なんていないと言ってもいい状態でした」

陽乃「……」

水都「でも、久遠さんたちが来たんです。外界の危険な道のりを超えて、久遠さんがその命を懸けて
    こんな隔離された、最前線に来てくれたんです。うたのんに、私に、住んでいる人たちに、希望を与えてくれたんです」

今にも感涙を流しそうな様子で水都は言葉を紡ぐ。

ああいえばこういうな陽乃も、口を閉じて水都を見る。

水都「だから私も、変わろうと思って……その一歩が、命がけで勇者を連れてきてくれた久遠さんに接することでした。
    もちろん、いろいろと気にかかってた部分があったのもありますけど」

水都は照れくさそうに笑う。

水都「2人が言ってました。久遠さんは大社の反対を押し切ってここに来てくれたって
    たとえ、そこに何か裏の理由があったとしても、来てくれたことには変わりがないから」

だから、ありがとうございます。と、水都は言った。


陽乃「結果的に、貴女達の得になったから裏があろうと関係ないと?」

水都「はい」

陽乃「私が勇者である白鳥さんだけいれば十分だと思っていたとしても?」

水都「だとしても、現実はその思いの通りではなかったみたいなので」

歌野だけいればいい。

そうして体調が戻ったら歌野を連れて出て行く。

なんてことにはならなかった。

だから、陽乃のその返答は水都にとって話半分

いいや、半分ですらないかもしれない。

水都「そのうえ、諏訪の神様が結界を維持させるために久遠さんに代行を求めたりして
    久遠さんは不本意だったかもしれませんが、そのおかげで安心できています」

陽乃が倒れさえしなければ結界には影響が出ないという話。

バーテックスが大挙してきても、やすやすと押し返せそうな陽乃の自信。

水都「感謝してもしきれません……けど、そのお礼を聞くと、久遠さんはまた、放っておいてって言うんですよね?」


1、間違いないわ
2、言ったって無駄でしょう?
3、まずは前の分をどうにかしなさい
4、だったらなに?


↓2

4

1


陽乃「間違いないわ」

水都「よかったです」

拒絶にもなる、放っておいて欲しいという願い

その予測が間違っていないという答えに対する、水都の笑み。

その意図は解るが、

拒絶される結果になるということを気にしていないかのようで、陽乃は顔を顰める

陽乃「……馬鹿なの?」

水都「馬鹿かもしれません」

冷たくあしらわれたり、

強く突き放されたり、

なのに今もこうしているのだから、馬鹿といえば馬鹿なのだろうと水都は認める。

水都「……」

陽乃は冷たいことがある。

けれど、それも、慣れてしまえば実は温もりがあるような気がしてくる。

突っ撥ねたり、勝手にしてと許してくれたり、冷たいのか何なのか。

水都「私は……」

水都は一度言葉を飲み込んで、小さく笑みを浮かべて。

水都「みんなを守ってくれて、こうして巫女についてのことも教えてくれていますし
    結果論というか、現実をちゃんと見てもやっぱり……私は、陽乃さんが優しくて良い人だって思います」


陽乃「そんな期待されても、私は応える気はないわよ」

水都「期待じゃないです。結果論です」

水都は、あえてそんな言葉を使ってみる。

結果的にそうなっただけ。

でも、だとしたら結果的にそう思えるだけだと返す。

陽乃は怒らせたいのかと言ってくるかもしれないけれど。

陽乃「調子に乗らない方が良いって、言ったばかりよね?」

水都「事実を言ってるだけでも、駄目ですか?」

陽乃「……」

最初に比べると、

だいぶ、強かになったものだと陽乃は水都を見つめる。

最初はすぐに謝ったりなんだりと、弱弱しい印象だった

だが、今に至ってみれば、これである。

陽乃「もう、勝手にしたら?」

水都「今まで通りですね」

陽乃「……そうね」


今日、杏と球子の二人が四国へと発つ

陽乃はその移動を悟られないよう、そして、道中が少しでも楽になるように

陽動として、諏訪周辺のバーテックスを一掃する手はずになっている。

陽乃の役割は重要だ。

ここで失敗すると後発に響く。

球子と杏の出発ができたとして、

陽乃に被害が及んだ場合、諏訪はもちろん、歌野の戦闘力にまで影響が出る。

陽乃「今まで通り、いつも通り。それでいいのよ」

緊張せず、不安も恐怖もない。

淡々と、バーテックスを屠って終わる。

一人で戦うのは約3年ぶりになるが、今の体の調子を考えれば問題はないだろう。

水都「今日は、お願いします」

陽乃「期待に、応える気はないからね」

頑張ってとも言わず、

軽く頭を下げるように言った水都を一瞥して陽乃は繰り返す。

陽乃「沐浴にしては、雑念が多すぎるわ」

水都「すみません……嬉しかったので、つい」

初めからその予定があったのではなく、偶然

それも、陽乃から近づいてきてくれたことが。と、水都は心の中だけで思った。


√ 2018年 9月2日目 朝:諏訪


歌野「じゃぁ、改めて……準備はいいかしら」

水都との沐浴を終えてから、少し経って

みんなが起き、準備と確認そして朝食を終えた後

ようやくと、歌野が切り出す。

行きの時よりも、やや重装備な杏と球子

普段通りの陽乃、巫女装束に身を包んでいる水都

見回して、一息。

歌野「久遠さん、もしあれなら助っ人を呼んで」

陽乃「必要ないわ。終わるまで絶対に出てこないで」

邪魔だから。と続きそうだが、実際には、陽乃の力の影響を受ける可能性があるからだ。

歌野と結界は、諏訪の神々の代行となっている陽乃の力の影響を受けずに済むだろうが、

杏と球子に関しては受けかねない。

杏「私たちの方も大丈夫です。サバイバル……というか、野宿とかについては、たまっち先輩もいるし」

球子「任せタマえ」

自信満々に言う球子に、杏は軽く笑う。

やや、緊張しているようだ。


陽乃「2人は私が周りを一掃してから出て頂戴。タイミング外して巻き込まれても責任は取らないわ」

球子「怖いこと言うなよ……分かるけど」

杏「大丈夫です」

陽乃「白鳥さんは藤森さんと一緒に行動して」

歌野「申し訳ないけど、わかってるわ」

本当なら、手を貸したい。

けれど、陽乃が全力で力を使うというし、

万が一の保険として控えは必要だから出るわけにはいかない。

水都「私たちは各区の班長に話を通して住民を本宮の方に集めておきますね。何もなければそれでいいですけど……」

陽乃「それでいいわ」

今後のことについてもそうだし、

杏と球子のことなども話しておく必要がある。

杏「四国は任せてください」

歌野「私が言えた義理じゃないかもしれないけど、乃木さんたちをお願いね」

球子「大丈夫だ。どうにかなる」

それより。と、

球子は陽乃を見て。

球子「そっちこそ頼む。扱いは面倒だけど、悪い奴じゃないからな」

陽乃「結界の外に蹴飛ばすわよ。貴女」


陽乃はそういいつつ、深く息を吐いて目を閉じる。

力は十分に満ちている。

四国にいたころとは比べ物にならないほど調子もいい。

これなら存分に力をふるうことができる。

諏訪の神々の恩恵

戦闘面においては、陽乃のデメリットを補って余りあるものだ。

歌野「ふぅ……ちょっとドキドキするわね」

水都「今まで、襲撃されることはあっても奇襲をするなんてなかったもんね」

球子「タマ達は奇襲したことあるぞ」

杏「奇襲……かなぁ?」

今まで通りを装いつつ、緊張を感じる空気。

陽乃は、それでも冷静に目を瞑る。

やることは単純だ。

あとは、力をどう扱うか


1、伊邪那美命の力を借りる
2、九尾の力のみを借りる

↓2

1

1


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


最早否定する言葉が何一つ通用しないみーちゃん強すぎる…
そしていよいよ殲滅作戦だけど伊邪那美命の力の反動は大丈夫だろうか


みーちゃんこれからもグイグイといってほしい
力の方は不安は不安だけどこうなっても諏訪の力で強化されてるから多少は大丈夫なんじゃないかなあ

では少しだけ


陽乃「……本気で、つぶしに行ってみるか」

水都「え?」

陽乃「こっちの話」

この万全な状態は、おそらく諏訪限定だ。

ここにいるから、ここがあるから

諏訪の土地と、そこに住む人々の信仰

それがあるからこそ得られる恩恵

向こうにみんなを連れ帰ったところで、

今のように、何をしても問題がなさそうな体にはならないはずだ。

だからこそ、使ってみるべきかと思う。

想像しえない代償を払うことになりかねないが、

ここに多くの戦力を割り振らなければならないという印象をバーテックスに与えられる力の誇示としては、最適。

なにより、今しか使えそうにない力だ。

――伊邪那美命

彼女の力はどれほどのものか。

かの神は死の力を持っていると九尾は言った。

九尾も似た力を持っているが、それなど比にならないほど強い力を持っていると。

水都「陽乃さん?」

歌野「陽乃さん? えっ?」

陽乃は水都の疑問の声にはっとして、笑みを噛む。

陽乃「何でもないわ」


無意識に目を向けてしまっていたらしい。

場合によっては……いいや、それなりに低くくない確率で陽乃は何らかのダメージを負うことになる。

その結果一番騒ぐのは水都だから、意識が行ったのだろう。

陽乃「白鳥さん」

歌野「は、えっ? 私?」

陽乃「貴女以外にいないでしょ」

なぜか驚く歌野に陽乃は淡々と言って。

陽乃「私の後は貴女がどうにかするんだから、しっかりして頂戴」

歌野「ええ、任せて頂戴」

歌野は戸惑いながら答えたものの、すぐに「あれ?」とこぼす。

斜め下に向かっていた視点が陽乃の方に向く

歌野「え、それだけ?」

陽乃「それだけよ。他意はないわ」

歌野「そう……? ん~……そっか」

水都「うたのん、何か気になるの?」

歌野「大したことじゃないんだけど……陽乃さんって呼ぶようにしたのね」

水都「あっ、うん」

球子「ははぁ……なるほどなぁ」

自分は少し前からだと、自慢げな球子

私もまだ呼んでいないのにと、陽乃に視線を送ってくる杏

ちょっぴり困った様子でありながらはにかむ水都

これから有事を引き起こそうというのに、緊張感はどこかへと跳ねのけられている。

陽乃「それじゃ、私はもう行くから」

陽乃はそう切り込んで、立ち上がる。


まだ7時にもなっていない、朝早い時間

二度と帰れないかもしれない戦いの場に行くはずのその姿は、ただコンビニに買い物行くかのように軽やかだった。

杏「久遠さん」

陽乃「今更、止めるのは無しよ」

杏「体に気を付けてください。私たちがいないから、諏訪の神様の恩恵があるからとか、関係なく、一人の人間として気を付けてください」

陽乃「今言うこと?」

杏「一旦、お別れなので」

杏は寂しげに笑う。

杏「久遠さんには元気でいて貰いたいんです」

陽乃「貴女に気遣われるまでもなく私は健康でいるつもりよ。そうじゃなきゃ早死にするだけじゃない」

杏「そう、ですね」

寂しさは残ったまま、でも、どこか嬉しさのにじむ杏の表情。

ここで暫く分かれることになるのが、そんなに気がかりなのだろうか。

陽乃は、思考でとぼける。

そうではないことくらい、わかってしまう程度には人間観察の力があるつもりだ。

陽乃「私を案じるよりも貴女には考えるべきことがあるはずよ。余計なことに使わないで必要なことだけに注ぎなさい」

球子「つまりあれだろ? 集中しろってことだろ? 変な言い方するなって」

水都「心配しないでって言ってるとも取れるけど……」

陽乃「……勝手にして」

陽乃は吐き捨てるように言って、部屋を出る

伊邪那美命の力を借りることは、やはり、言わないでおくべきだ


諏訪の結界の外にまで来て、陽乃は深く息を吐く。

九尾なら、九尾と声をかければ出てきてくれる。

だが、伊邪那美命はそうとは思えない。

以前出てきたのは、陽乃の要求でなく、彼女の独断だ。

陽乃「……さて」

九尾の時とは違って、一応は本格的な神降ろしになる

失敗は……最悪酷いことになるが、

運よく何もなければ、九尾に変わりを願うしかない

陽乃は諏訪大社から拝借した扇を取り出す。

もっといろいろと拝借したかったが、見当たらなかった。

陽乃「ふぅ」

右手に扇を持ち、ゆっくり開きながら左肩から手先の方へと動かして、

翻しながら、右側へと動かす。

音も何もない、略式の神楽

それがどこまで許されるか。

陽乃「掛けまくも畏き 伊邪那美大神……」

祝詞を唱えながら、一手一手、納めていく

神降ろし――それに応えるように、体からどんどんと力が抜けていくのを陽乃は感じた


陽乃「っ……は……」

九尾を呼ぶのとは比べ物にならない、息苦しさ

諏訪の神々の恩恵があってなお、重くのしかかって、眩暈がする。

陽乃「っ……」

向こうが勝手に姿を現したとはいえ、

一度は呼び出したことのある神

前回よりは負担も軽いはずなのに、

それがまるで感じられない辛さに陽乃は噴き出す汗を振り払いたい気持ちを抑えて、舞いを続ける

途中で止めていいものではない。

私事を優先していいことではない。

巫女神楽の奉納も終わりが近づいたころに、ようやく、それは姿を現す。

まるで、陽乃が苦しんでいるのを傍で眺めていたかのように、

柔らかに、自然に、そこに初めから存在していたかのように

陽乃「っ……」

乱れる息を整えて、陽乃は現れた女性に頭を下げる

陽乃「諸諸の禍事、罪、穢を祓い給え清め給えと白す事を……聞こし食せと恐み恐みも白す」

女性は何も言わない。

ただただ、陽乃を見つめて……陽乃の頬に触れる。

顔をあげさせ、目を合わさせ――溶け込む

陽乃「っあ……ぅ゛っ」

抜け出ていた力が、けた違いに膨れ上がって押し返された感覚

瞬く間に体の熱が上がって、のどが焼けるように痛んで、どこかが切れたのか吐血する


諏訪の周囲に漂うだけだった白い塊たちが、一斉に向きを変える。

何かしているぞと、遠巻きに見ていた少女の異質さが跳ねあがったからだろう。

見逃してはいけないと、

許してはいけないと、

惹かれたように、導かれたように、

白い粒は一つの大きな塊ともとれるほどに群がって、

諏訪の結界の手前に立つ赤黒い巫女装束に身を包んだ ” 異物 ” へと降り注いで――

陽乃「そうそう……それでいいのよ。それで」

陽乃は、体の中にたまった力を一気に解き放つ。

辺りを埋め尽くしていたバーテックスの白さが消え失せて、黒く染まる。

見えていたはずの太陽さえも見えなくなるほどの暗闇。

朝から夜へと、時が飛んだかのような静寂さに包まれて

ふっっと、陽乃の体から力が抜けて膝をつく

陽乃「っ……あっ、痛っ……」

ごつんっと膝を強打した猛烈な痛みを感じて陽乃は呻いて、顔を上げる。

陽乃「……なる、ほど」

群がっていたバーテックスは影も形もなく消え失せて、

生い茂っていた草木さえも、不自然にその生命力を失って枯れ果てていた。

周囲に死を与える、非常識なほど凶悪な力。

振り返ってみれば、わずかに結界が揺らいでいるのが見えたが、すぐに持ち直す。

体の痛みも、徐々に和らいでいく

陽乃「これは――」

これは間違いなく、勇者の命さえ奪いかねない力だ。と、

改めて自覚すると、ぐらりと体が揺れ落ちて、誰かに抱きかかえられる。

一人か、二人か、三人か

うすぼんやりとした視界の中に、人影が見えたところで陽乃は気を失った


√ 2018年 9月2日目 昼:諏訪

05~14 67~76 水都
27~36 89~98 歌野
45~54 九尾

↓1のコンマ

※ぞろ目特殊
※そのほか通常

√ 2018年 9月2日目 昼:諏訪


陽乃「……」

目を覚ますと、見慣れた景色が映って

視界の端に引っかかっていた時計に焦点を合わせる。

壁掛けの丸い時計

真ん中のあたりにある、月日と曜日の表示を見てみると、

戦いからそんなに時間が経っていないのが分かった。

水都「……約4時間です」

陽乃「ん……」

声がした方向に体を向かせると、

陽乃とは違って、正しく巫女装束に身を包んだ水都がいた。

ややご立腹なのが、表情から見て取れる。

水都「陽乃さんのおかげで、周辺のバーテックスが一掃されたのは、うたのんが確認してくれました。
    伊予島さんたちも問題なく出発して、おおむね予定通りに進んでます」

陽乃「……怒ってる?」

水都「怒ってます」


水都が言うには、陽乃が力を使ったのとほぼ同時刻、

諏訪は大きな地震に見舞われたそうだ。

その結果、諏訪大社の前宮に合った御柱が倒壊してしまったらしい。

幸いにもけが人などはおらず、

結界の規模などの縮小なども起こってはいないが、

もしかして。と、

焦った歌野達が飛び出してみれば、陽乃がちょうど気を失う寸前だったとのこと。

陽乃「……なるほど」

水都「なるほど。じゃありません!」

陽乃「っ……」

水都「心配したんですよ? 伊予島さん達は陽乃さんがそこまでしてくれたからって、私たちに任せて発ってくれたからいいですが
    本当に、また、酷いことになるんじゃないかって、私……」

水都は、怒鳴ったかと思えば、ぽろぽろと涙をこぼす。

横になっている陽乃を見下ろしているせいか、涙が早く落ちてくる。



1、結界なら、大丈夫だったでしょ?
2、目を覚ましたんだから、いいじゃない
3、もう少し、大丈夫だと思ってたのよ
4、大げさね
5、悪かったわね。想定外だったのよ


↓2

下1じゃないんやな
安価下

3

4


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


戦闘シーンがコンマ判定すらなく瞬殺とは恐るべし…
諏訪の神様のおかげか反動もなんとかなりそうだな


相変わらずみーちゃんにコンマが吸い寄せられてくな

では少しだけ


陽乃「もう少し、大丈夫だと思ったのよ」

水都「そんな軽い気持ちで命を懸けないでくださいっ!」

陽乃「……」

水都「忘れちゃったんですか? あんなに苦しんで、辛そうで、痛そうなことになったこと」

陽乃「忘れてはないけど……でも」

水都「でもじゃないんです」

水都は陽乃を声で押さえつける

でも、だけど、そんなのは聞いていられないと言わんばかりだ

水都「こんな無理をしないといけないほどぎりぎりだったんですか?」

陽乃「使っておく必要があったのよ」

諏訪でしか使えない可能性がある力。

諏訪の土着神というわけではなく、

単純に、普通では陽乃の体が持たない超常的な神の力だからである。

陽乃「私の中にある力だから知らぬ存ぜぬではいられないし、確認しておくべきでしょ?」

水都「なにも、こんな大事な時にしなくたって」

陽乃「今だからこそよ」


守る必要のある結界は、陽乃の保護下にあって

周りにはほかの勇者が控えていることもない。

万が一力が暴走して、周囲一帯を巻き込んだとしても大きな被害を出さずに済む可能性が極めて高かった。

その目論見通り……とはいかなかったが、

結界内の御柱の倒壊と地震が起こる程度で済んだ。

水都は周りを巻き込む力だと聞いてもやや不満そうだったけれど、

わかりました。と、軽く頷いた。

水都「体はどうですか?」

陽乃「……平気」

水都「声もはっきりしてるみたいで、よかったです」

断続的な枯れた声、寝返りもままならず、すぐに悪化したり、吐血したり

凄惨だった先月の陽乃を思い返してか、水都は物憂げながらほほ笑んだ

水都「でも、二度としないでください。せめて、ひとこと言ってください」

陽乃「言ったら止められるじゃない」

水都「なら、説得してくれたらいいんですよ」

水都は満面の笑みで言う。

昨日のことをそっくりそのまま投げ返せたのが嬉しいのだろうか。

それに対しての定型句を返せば、

また、陽乃と似たようなことを返してくるだろう。

調子に乗るなと今朝言ったばっかりだったはずなのに。

陽乃は少し顔を顰めた。

陽乃「調子に乗らない方が良いわよ」


水都「今回は、陽乃さんが悪いと思いませんか?」

陽乃「やるべきことをしただけだわ」

諏訪の神々の恩恵があること前提での行為だったが、

結果的には体調も問題がなさそうだし、バーテックスも一掃できた

心配して欲しいと頼んだ覚えはない。

むしろ放っておいて欲しいと願っていたくらい。

勝手に心配して、それは陽乃のせいだというのは理不尽だ。

陽乃「……理不尽」

水都「へ?」

陽乃「こっちの話よ」

随分と振れ幅の大きい言葉だ

かつて受けた理不尽な仕打ちから、今水都から押し付けられている理不尽な責任

どちらも同じ理不尽などと、何とも康寧な話ではないか。


1、私が倒れてから問題は?
2、白鳥さんは?
3、悪いとは思ってないわ
4、定期連絡は?


↓2

1

2


陽乃「白鳥さんは?」

水都「うたのんなら、定期連絡してます」

陽乃「伊予島さん達のこと、話すの?」

水都「聞き入れて貰えるかはともかく、連絡はしておくって言ってました」

報連相は大事だ

相談……は、していないけれど。

若葉から大社から派遣されてきた担当の人に変わってしまった通信

陽乃に対する忠告をするが、陽乃達がこちら側にいるという話を信じては貰えていない

陽乃「向こうが襲撃される可能性については?」

水都「それも話すそうです」

陽乃「……」

陽乃の怪訝な表情に水都ははにかむ

気持ちはわかるとでもいうようで。

水都「乃木さんではないので、襲撃のご神託が下っていても知らされていない可能性はありますね」


こちら側の話が信用されないのは前提

酷い話だけれど、襲撃を受けたなどの話は受けてくれるように感じるが、

陽乃や杏達の件については、話半分。

だから、こちらから情報を提供することより

向こうの情報を仕入れるというのが目的になっている。

しかし、それもままならなそうだ。

陽乃「せめて襲撃があるのかどうかだけでも把握してくれていると助かるんだけど」

水都「うたのんの交渉術次第ですね」

陽乃「そうね」

一度でもひなたさえ引き摺り出せていれば、

九尾とのパスを繋げて神託を受け取ることが出来ていたかもしれない。

陽乃「白鳥さんの交渉術がどうであれ、向こうの担当にそこまでの権限がなければどうにもならないわ」

水都「勇者と接することが可能なくらいには、位が高いと思いますけど」

陽乃「神託は最高機密だと思うから、勇者と接することができるかどうかではないと思う」


水都「そうですよね……私は独りしかいないから特別なだけですよね」

自分が関われているから誰でも関われている

そう考えていたらしく、傲慢だとでもいうかのように肩をすくめた。

水都「実は、陽乃さんに安静にしていて貰うために、ずっとそばにいたんです」

陽乃「それが?」

水都「でも、体調には問題がなさそうですし……今からでも、通信施設のところに行きますか?」

陽乃「もうすぐ終わりじゃない?」

水都「いつもと違って報告もあるので、まだ終わっていない可能性もあります」

陽乃「で、私に話をしてみろって?」

水都「そうですね……通信の状態もかなり酷くなっていてもしかしたらもう、通信が途切れてしまう可能性さえあるので必要であれば」

陽乃「聞いて貰えるとは思えないし話すこともないのだけど」

上里ひなたを連れてこい。なんて言うだけ無駄だろうから。

力を使って、通信回復を試みてみるのもいいだろうか



1、わかったわ。行ってみましょう
2、通信回復を試みるわ
3、やめておくわ。どうにもならないし
4、九尾を呼ぶ


↓2

1

2


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


後々の事を考えながらみーちゃんと相談してるところを見るに陽乃さんの素はかなり真面目だよな


みーちゃんの努力の賜物だなそこは


では少しだけ


陽乃「通信回復を試みるわ」

水都「また力を使うんですか?」

陽乃「反動があるような力を使う気はないわよ」

またむっとする水都に陽乃は呆れたように首を振る。

今の陽乃にとっての脅威は伊邪那美命の力による反動

九尾の力を使うくらいなら何も問題はなかった。

水都はそれでも心配なようで、陽乃をまじまじと見つめる

水都「いつもはそうでも、消耗した今の状態でも同じ保証はありますか?」

陽乃「証明のために力を使えばいいの?」

水都「……そうじゃないですけど」

証明のために消耗させていては、

ならその次は大丈夫なのかと気になってしまう。

陽乃は自分に問題がないと確信があるからいいが、水都の中では勝手に堂々巡りである。

陽乃「貴女から見て私と通信どっちが余裕がないのよ」

水都「それは通信ですけど」

けど。と、水都は渋った。

水都「大事なのは、陽乃さんの方です」


陽乃「はぁ」

水都「本気で言ってるんですよ……?」

陽乃「それはそうでしょ。私がいなくなったら諏訪が終わるんだから」

不満げな水都を一瞥する陽乃の呆れた反応には、

水都もまた深く、顔を顰める

陽乃はどちらかといえば察しが良い

しかし、察したからと言って寄り添ってくれるというわけでもなく。

水都「諏訪の代行じゃなくてもですよ」

陽乃「貴重な戦力だもの。分かってるわよ」

水都「……」

利用価値があるから。

それを大前提とした陽乃の答え。

水都はそうっと手を伸ばして、陽乃の頬をつまむ

陽乃「……なに?」

水都「なんとなく、うたのんの気持ちが分かった気がして」

陽乃「なんなのよ」

水都「こっちの話です」

にこやかな水都の反応は、やはり、さっきの仕返しか

陽乃は目を細めたが、水都は気にせず陽乃の頬を手放す。

水都「……似てるなと」

陽乃「私が? 白鳥さんに?」

水都「どうでしょう?」


陽乃は暫く水都を見つめていたが、

ため息をつくと、さっと目を逸らして自分の手を動かす。

握る力、持ち上げる力、曲げる力何一つ不自由はない。

陽乃「似てないわよ」

水都「え?」

陽乃「以前ならともかく、今は」

歌野と水都、どちらに似ていると誰が言ったか。

思い返した陽乃はそれを不鮮明に否定する。

今は到底似ていない。

陽乃「貴女は代わりに寝ててもいいわよ」

体を起こし、手足の不自由がないのを確認して、服の皴を伸ばす。

私服ではなく、寝間着

着替えさせられたのだろう。

水都「え、そのまま行くんですか」

陽乃「外に出るでもないし、これでいいわ。見るのは白鳥さんくらいだし」

水都「だ、だめですよ! 万が一があるかもしれないですから着替えてください!」

水都が回り込んで陽乃を阻む。

陽乃「……何か企んでるの?」

水都「ないですけど、とにかく、駄目です」

水都は企んでいない

企んでいないが、御柱の倒壊と地震はけたたましい警報の後に起こった災害である。

それ以前に人々を神社に集めていたので人的被害は皆無だったが、問題はそこだ。

参集殿は立ち入り禁止となっているが、境内には人が多い。

焦る水都を陽乃は睨むように見て、渋々と着替えを手に取った。


↓1コンマ判定 一桁

1,4,9 通信終了


歌野『ですから、何度も言っているようにこちら側にも巫女がいるんです!』

陽乃達が通信施設に向かうと、まだ通信中の歌野の声が聞こえてきた。

口調こそ礼儀を感じるが、声はひどく荒々しい。

苛立っているのを感じるそれに、陽乃の傍らにいた水都が肩を震わせる。

陽乃「……」

歌野『その巫女が神託を受けたんです!』

歌野の言う巫女と言えば水都のことのはずだが、陽乃が振り向くと水都は首を振る。

水都が嘘をついていなければ神託を受けていない

なら、歌野が言う神託を受けた巫女というのは陽乃のことだ。

陽乃がそう言っていた、陽乃の使役している精霊がそう言っていたと伝えるより、

明言せずに巫女という枠を使った方が良いとの判断だろう。

しかし、向こうはそれを素直に受け止めてはいないように感じる。

陽乃「なるほど」

水都「え?」

陽乃「向こうはその神託を受けていないって返答をしたのね」


向こうの巫女が神託を受けたか否かを把握していなければ、歌野からの情報を受け止めて上に伝えるだけでいい

だが、そうはしていない

していれば歌野が声を荒げるはずがないからだ。

なら、どうなっているか。

通信の相手は神託の有無を把握しており、歌野が言う神託が偽りであるのではないかと考えている。

だから歌野が怒鳴った。

陽乃「……私か」

水都「陽乃さん?」

陽乃「こっちの話」

陽乃に何かされたとか、

あるいはそもそも、連絡しているのが陽乃で混乱させようとしていると疑っているのではないだろうか。

四国が襲撃されるかもしれないという重大な話。

それが、諏訪で行われて四国で行われていないというのは確かに奇妙な話である。



1、ノックしてはいる
2、忍び込む


↓2

1

1

1


軽く息を吐いて、コンコンコンッっと、三度扉を叩いて引き戸を開く。

和室として作られ、一部を通信用の設備によって作り替えられている部屋

その中央にいる歌野は驚いた様子で振り返っていた。

陽乃「失礼するわよ」

歌野「な、え、みーちゃんっ」

水都「体は問題なさそうだったから」

陽乃は水都と歌野のやり取りを無視して、

通信ようの機械から延びるコード、その終点にあるヘッドセットに目を向ける

歌野の頭から離れたそのヘッドホン構造の部分からは、かすかに声が聞こえる。

四国側の通信担当だろう。

歌野「久遠さん、どういうつもり?」

陽乃「あら、来たら行けなかった?」

歌野「そういうわけじゃ……」


歌野は少し気まずそうな顔をしている。

水都も察して困った表情になっていたが、陽乃はヘッドセットを手に取って半分を耳に当てる。

『勇者様。ご返答ください』

聞いたことのない男の声

若葉でも千景でも友奈でもないし、ひなたでもない。

女性でなく、男性であることに疑問を覚えたが、別におかしなことではないと思い直す。

『勇者様』

歌野「……」

男性の呼び声

歌野は陽乃を見る。

自分が続けるのかそれとも陽乃が変わるのか

どうするのかと問うような視線。

いくら生の声ではないと言っても、

さっきまで聞いていた声と、陽乃の声が違うという判別くらいはできるだろう。



1、杏と球子を送ったことを話す。
2、陽乃のことを通信担当に話す。
3、呪い殺されたいの? と、脅す
4、歌野に任せる
5、何も言わない


↓2

1

1


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


今の大社の人が陽乃さんとの対話でどんな反応するんだろうか…
あと普段温厚なうたのんがキレ気味で怒鳴るとは結構珍しいシーンでは


まあもうこちら側から出来ることこれくらいしかないしな……

では少しだけ


陽乃「代わるわ」

歌野を制すように手を差し向けて、マイクを自分の口に近づける。

歌野がいくら言ってもダメだったなら、陽乃が言ったところで変わりはあるのかと疑問ではあるが、

直接、どういう対応かは身に感じておきたかった。

『勇者様? 何か――』

陽乃「伊予島杏と土居球子をそっちに送還したわ」

問題があったのか。そう続きかけた通信手の声を遮る。

『は……白鳥様?』

陽乃「聞いてる? 二人をそっちに送り返したと言ったのだけど」

水都「……陽乃さん」

水都が、普段から接している陽乃とはまるで違う冷たい声

威嚇し、軽蔑し、相手の恐怖心を煽る陽乃の雰囲気に水都は息をのんだ

『藤森水都さん。でしょうか』

陽乃「はぁ……」

会話の内容よりも、相手が気になっているようだ。

顔の見えない相手。警戒するのは解るが、曰く"陽乃はいない"のではなかったか。


1、冷たく接する
2、自分が陽乃だと告げる
3、話を続ける

↓2

3

2


陽乃「陽乃。久遠陽乃」

『そんな、まさか』

陽乃「信じるも信じないも結構だけど、ここ半月の捜索で成果は得られたのかしら」

『……本当に、ご本人なのですか?』

陽乃「貴方達にとって災厄以外の何物でもない名を騙るもの好きがいるとでも?」

『……』

通信手からの声が途切れる。

深く考え込んでいるかのような沈黙の後、通信手側からため息のような音が漏れてきた。

『本当に久遠様なのですね?』

陽乃「ご自由にどうぞ」

判断は委ねるという陽乃の姿勢。

一転して、怒っていないし呆れてもいないが、関心もないといった様子の陽乃

水都と歌野は固唾をのんで見守る。

『では、そこには白鳥様はいないと?』

陽乃「さっきまでと声は違うと思うけど、通信じゃ不鮮明かしら」

『……先ほどまでは』


陽乃「じゃぁつまり、さっきまでは勇者ともわからない誰かと情報のやり取りをしていたってわけね」

『そ、そういうわけでは! 以前から担当させて頂いており、白鳥様ご本人だと認識して――』

陽乃「最初に白鳥歌野以外が、白鳥歌野を名乗っていたとしたらどうなのかしら」

歌野「ちょっと、久遠さん!」

さすがにかく乱のし過ぎだと歌野が口を挟む。

声が向こうに届いてしまったらしく、「白鳥様」と、通信手の声が聞こえた。

当初から歌野ではなかったかもしれないという疑念

それを植え付けてしまったら、今後の通信に支障が出かねない。

いや、あるいは、通信手が疲れているのだと、別の人に変わるかもしれない。

陽乃「分かってるわよ。あまりにも、話を聞いてくれないんだもの」

歌野「だからってこれはよくないわ」

陽乃「……はいはい」

素知らぬ顔で答えた陽乃はため息をつく。

限度くらいは解っている。

陽乃「四国から、久遠陽乃、伊予島杏、土居球子がいなくなっていたことは把握しているでしょう?」

『存じております』

陽乃「三人で諏訪に来ていたのよ。無理だと思っているのだろうけど、本当にね」


若葉からの報告を受けていたはずだが、

通信の不調などを理由にそれを完全に信じてはいなかった大社

今回のやり取りでも、信じてくれると思っていないが

言うだけは言っておくと、陽乃はつづけた。

陽乃「でも、事情が変わった。白鳥さんが言っているように、こっちよりもそっちが危ないと神託が下ったのよ」

神託などなく、九尾がその可能性が高いと言っただけ。

九尾が神獣として知らせを持ってきたと思えば

神託と言えなくもないが。

陽乃「だから二人をそっちに送り返したの」

『ですが、白鳥様にお伝えした通り我々にはそのような神託は下っておりません。最も巫女としての適性をお持ちである、上里様にでさえ、そのような神託は下っていないと伺っております』

陽乃「なるほど……」

想定内の返し。
神託を受けるべき側が神託を受けていない
だから、その神託は信ぴょう性に欠けている。というのは、決して間違っていない考えだ。
特に、陽乃を警戒しているのならなおのこと。
向こうに、上手く言う方法はあるだろうか

――そもそも、言ってやる必要は。


1、信じなくて結構よ
2、こっちの方が優秀だとは思わないわけ?
3、そうね。実際は " 諏訪の危機は遠のいた " という神託だとしたら?
4、何も言わない


↓2

3

3


では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から


伝えるべきことをきちんと伝える姿勢を見せていい方向に転がってくれるといいなぁ
これで後で仇で返されたらもうどうしようもないけど


そもそも球子たちすら間に合う保証はないもんな


では少しだけ


陽乃「そうね。実際は”諏訪の危機は遠のいた”という神託だったとしたら?」

『……言い換えれば信憑性が増すと?』

陽乃「むしろ逆。ことが重大だと思ってもらえるようにわざわざそっちが危険だって言っていたのに
   神託が来ていないからありえないって跳ねのけられちゃうんだもの」

陽乃はわざとらしく苦笑する。

その笑い方は、知っている人が聞けば九尾の嘲り笑うようなものに通ずるものがあって、

歌野はやや緊張してしまう。

目の前で通信を代わった陽乃が張るのではなく九尾だったら、どうなってしまうのか。

水都が連れてきたから、陽乃本人であると思いたいけれど、

そもそもから切り替わっていたりしたら、水都でも気づけないのではないだろうかと。

陽乃「その神託の後、諏訪周辺からバーテックスの数が減っているのを確認したし、そっち側に移動しているような形跡も感じられた。
   提示できる証拠はないし、信じなくても結構よ。これはあくまで形式的な報告でしかないんだから」

ほとんどでっち上げである。

神託は誇張で、数の減少もちゃんと確認したわけではないし、形跡なんて調べてもいない。

陽乃が外に出た時、来た時より明らかに数が多いのは感じたが、減ったという印象はなかった。

そんな口から出まかせ状態の陽乃から水都へと視線を移動した歌野は、小さく笑う。


水都「……」

水都は黙っているが、その表情は穏やかだ。

陽乃が九尾である可能性なんて微塵も疑っていない。

陽乃「だけど、私たちは言うだけは言ったわ。取り合わなかったのはそっち。どれだけの損害が出ようが自己責任で処理して欲しいの」

陽乃はそういって顔を顰める。

大社は自己責任とするかもしれないが、民衆は違うだろう。

実際に人を殺めてしまった影響が大きく出てくるはずだ。

やはりあの娘を差し出さなかったからだと、余計に荒れるかもしれない。

それこそ自己責任ではないだろうか。

『本当に諏訪の安全が確保されたと?』

歌野「ええ。諏訪周辺のバーテックスは一掃されました。そこは、諏訪の勇者、白鳥歌野が保証いたします」

陽乃に顔を近づけて、歌野が答える。

瞬時に入れ替わっているだけと思われたら反論の余地もないが、

陽乃が認めるよりは歌野が認める方がまだいいだろうとの判断だ。

『……承知いたしました』


考えるように、通信担当は答える。

歌野が証言しているとはいえ、歌野が陽乃に何かされていないとは限らない。

もちろん、この場にいる誰もそれは疑わないが、

顔の見えない向こう側は、疑わざるを得ないのだろう。

陽乃のことを警戒しているなら、仕方がないことだ。

陽乃「それと二人を帰しはしたけれど、間に合う保証はないから」

『どれほどの時間がかかると?』

陽乃「さぁ? そこは二人の頑張り次第ね」

『……承知いたしました。お伝えいたします』

歌野「通信、調子いいわね」

陽乃「私だから」

向こうからのつながりはともかく、

こっち側からのアクセスは陽乃の力で補強されている。

それでも、十分とは言えない


1、上里さんを呼んで貰える?
2、そっちの勇者の状況は?
3、私の扱いはどうなってるの?
4、終了する


↓2

2

1


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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【4頁目】
【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【4頁目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1622816025/)

了解ですー

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 04:46:26   ID: S:xF4j3M

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