幸子「みなさん、どうしたんですか！？」

幸子「ボクですよ！？ カワイイボクが出社したんですよ！？」

幸子「もろ手を挙げて喜ぶところじゃないですか！？」

幸子「さあ！ 気前よく褒めてください！ ボクはいつでもウェルカムですから！」

輝子「……ﾊｧ」

幸子「輝子さん！？ どうして溜息をつくんですか！？」

幸子「鉢植えのキノコを愛でる手にも憎しみが籠ってますよ！？」

小梅「……ﾁｯ」

幸子「小梅さん！？ どうして舌打ちをするんですか！？」

幸子「負のオーラであの子もいないせいか部屋の空気が爽やかですよ！？」

美玲「……ﾌﾝ」

幸子「美玲さん！？ どうしてボクを見てくれないんですか！？」

幸子「司会を塞ぐための週刊誌を握り過ぎて逆に目と目があってますよ！？」

乃々「……ﾊｯ」

幸子「乃々さん！？ どうしてボクを見て嘲笑うんですか！？」

幸子「机の下にいるからどっちが上でどっちが下か分からなくて混乱してますよ！？」

小梅「幸子ちゃんさあ……」

幸子「あ、初めて喋ってくれました」

小梅「私たちに悪いことしたよね……？」

幸子「小梅さんたちに、ですか？」

幸子「……」

幸子「……え？」

幸子「いえ、特にないと思いますけど……？」

小梅「ｱｧﾝ?」ｷﾞﾛﾘ

幸子「ﾋｴｯ」

輝子「さ、幸子ちゃんは、分かっていないみたいだな……フヒッ……！」

美玲「どうりでウチらに、あんなことをしたワケかッ……！」

乃々「みなさん、幸子さんに分からせてやりましょう……！」

幸子「とりあえず乃々さんは机の下から出てきて欲しいんですけど……」

美玲「いいぞ、ウチが教えてやるッ！」

美玲「このニュースは何だッ！？」

バサッ！！

幸子「新聞……？」

『輿水幸子、入籍！！』

『お相手は声優！！』

『誕生日に電撃発表！！』





幸子「あー……」

輝子「どういうことなんだ……フヒッ……！」

幸子「こ、これはですね、その……！」

小梅「この新聞で、初めて知ったよ……！」

幸子「」

美玲「オマエ、アイドルじゃないのか……！」

乃々「みんなを幸せにするのが仕事、なのに……！」

輝子「ど、どうして教えてくれなかったんだ……！？」

小梅「どうして、教えてくれなかったの……！？」

美玲「どうして教えてくれなかったんだよ……ッ！？」

乃々「どうして、教えてくれなかったんですか……！？」









幸子「……え？」

輝子「めでたい話なのに、な、何も準備してない……！」

小梅「突然だから、プレゼントが用意出来なかったんだから……！」

美玲「まったく！ 祝うこっちの気持ちも察しろよなッ！」

乃々「私は『カワイイ』を連呼するだけで十分イケると主張したんですが……」

幸子「……あ、あれ……？ 怒ってないんですか……？」

輝子「怒ってるぞ……仲間外れにされたことを、な……」

小梅「長い間、一緒にいるのに……ひどい……」

美玲「同じキュートのヨシミだ、祝うのは当然だろ？」

乃々「アイドルが結婚するという前例を作っていただければ、私も後々気楽に卒業できると思いますし……」

幸子「みなさん……！」ｸﾞｽｯ





幸子「乃々さんはちょっと正直すぎませんかね」

乃々「ｻｰｾﾝ」

幸子「だけど、みなさんに教えなかったのは、理由がありまして……」

輝子「そ、それは一体どうして……！」ﾌﾋｯ

小梅「幸子ちゃん……どうしてなの……？！」

美玲「それ相応の理由じゃないと納得しないからなッ？！」

乃々「まさか、私たちがバラすと思ったり……とかですか？」

美玲「いやいや、まさか」ｱﾊﾊ

輝子「私たちがそんなこと……し、しないぞ……」ﾌﾋﾋ

小梅「こんなに大事な話、喋らないよね……」ｳﾌﾌ

乃々「そうですよね……私、何を言っているのやら……」ﾌﾌﾌ

幸子「あ、はい、そうですよ」

「「えっ」」

幸子「えっ」

幸子「だってみなさん、すぐバラしちゃうじゃないですか」

輝子「わ……私たちが、すぐに……！？」ｶﾞｰﾝ

小梅「そんな……私たちを信じてくれないの……！？」ｸﾞｽｯ

美玲「ウチらがそんなこと、するワケないだろッ！？」ﾜﾅﾜﾅ

乃々「詳細な説明を要求する！」ﾌﾞｰﾌﾞｰ

幸子「……分かりました」

幸子「そこまで仰るのなら、ちゃんと説明しましょう」

幸子「まず輝子さん」

幸子「テンション上がってヒャッハーした直後は、なんでも喋っちゃうじゃないですか！」

輝子「フヒッ！？」

幸子「番組でMCに質問攻めされてヒャッハーした時、流れと関係ない、ボクたちのパジャマパーティの話をしたことありますけど、覚えてますか？！」

輝子「うぅ……罰ゲームで幸子ちゃんを脱がしたことがバレた、あの悲劇の……！」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

幸子「あれ本当にハラハラしたんですからね！？」ﾌﾟﾝｽｶ!

幸子「次に小梅さん」

幸子「小出しにしか喋りませんけど、全部つなげると、全部喋ってるじゃないですか！」

小梅「ぎくっ！？」

幸子「雑誌のインタビューの時、うまいことはぐらかした気でいて、実はボクたちのお忍び外出を喋っていたことがありますけど、覚えてますか？！」

小梅「あぅ……試着室で素手で幸子ちゃんの体をフィッティングしたことがバレた、あの悲劇の……！」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

幸子「もう少しでボクのアソコの形がバレるところだったんですからね！？」ﾌﾟﾝｽｶ!

幸子「そして美玲さん」

幸子「一番黙ってくれますけれど、照れ隠しでボクの秘密を出して煙に巻こうとするじゃないですか！」

美玲「ぐぬっ！？」

幸子「ステージでのMCの時、ファンからの可愛いコールを誤魔化そうと、思わずボクと一緒にお風呂に入った様子をゲロったことがありますけど、覚えてますか？！」

美玲「うぐ……体中を洗ったら幸子が可愛い声をあげたことがバレた、あの悲劇の……！」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

幸子「今もボクの生えてる生えてない論争でネットが荒れているんですからね！？」ﾌﾟﾝｽｶ!

幸子「最後に乃々さん」

幸子「都合が悪くなるたびにボクの話で流れを逸らすのはやめてください！！」

乃々「うぐっ！？」

幸子「ボクが昼寝してる様子とか！ ボクが愛用している化粧品とか！ ボクがファンに見せないカワイイところとか！ 挙げても挙げてもキリがないですよ！！」

乃々「その……幸子さんの話はウケが良いので、逃げるには最適でして……」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

幸子「ファンの急増でただの定期ライブがプレミアチケットになった事件、忘れてませんからね！？」ﾌﾟﾝｽｶ!

幸子「だけど……ホッとしました」

幸子「結婚はボクの勝手ですし……みなさんから怒られるかと思ってたので……」

輝子「確かに……お、驚いた……」

小梅「でも、誰も怒ってなんか、いないよ……」

美玲「オマエはいつだって、適当な選択はしないからなッ」

乃々「誕生日と同時に発表ということは交際期間0日で入籍ということに……」

幸子「みなさん……！」ｸﾞｽｯ





幸子「乃々さん」

乃々「ｻｰｾﾝ」

美玲「まあ、これで解決だなッ！」

輝子「幸子ちゃんが結婚、かあ……」

小梅「結婚式には呼んでね……？」

幸子「当然ですよ！」

幸子「当日は花嫁のボクをたっぷり引き立ててくださいね！」ﾌﾌｰﾝ!

乃々「二人のなれそめの再現VTRくらいなら、出演してもいいですよ」

幸子「机の下の座敷童役かな？」

美玲「それなら今夜、みんなで食ｂ――」

プルルルルル……！

幸子「あ、ちょっと待ってください」ﾋﾟｯ





幸子「どうしましたか友紀さん？」

幸子「……はい、今夜ですよね？」

幸子「……え、本当に予約取れたんですか！？」

幸子「それって……牛肉二キロの方！ 凄い！」

幸子「……今夜は紗枝さん大丈夫なんですね？」

幸子「それでは予定通り三人で……はい、ありがとうございます！」

幸子「では今夜、レストランで……問題ありませんよ！」

幸子「……はい、失礼します」ﾋﾟｯ

幸子「ゴメンなさい、KBYDでした」

幸子「それで話の続ｋ――」ｸﾙﾘ









輝子「」ﾌﾟｸｰ!

小梅「」ﾌﾟｸｰ!

美玲「」ﾌﾟｸｰ!

乃々「」ﾌﾟｸｰ!

幸子「膨れていらっしゃる！！」ｶﾞﾋﾞｰﾝ!!



※後日みんなでたくさんお肉を食べて解決した。





おわり

以上です、ありがとうございました。

入籍の話を聞いたので、
ずいぶん書いていない
お馴染みのメンツで書きました。

御入籍おめでとうございます。