輿水幸子(14)
幸子「あ、プロデューサーさん。喉が渇いたのでジュース買って来てくれますか?」
幸子「イヤとはいわせませんよ? このカワイイボクの頼みを断ろうなんて無礼ですね!」
幸子「プロデューサーさんはこっちとこっち、どっちの服がボクに似合うと思いますか?」
幸子「ふーん、そうですか……え、ボク? ボクには両方似合うに決まってるじゃないですか。だめだなぁプロデューサーさんは」
幸子「買いものにいきましょうか、プロデューサーさんの奢りで!」
幸子「プロデューサーさんは本当に使えませんねぇ……」
幸子「ほら、なにボサっとしてるんですか! ただ見てるだけなんてお飾りなんですか?」
幸子「プロデューサーさんは本当にどうしようもない人ですね」
P「……」プッツーン
P「もう限界だ」
幸子「どうしたんですか、プロデューサーさん?」
P「……幸子か」
幸子「さっき、ジュースを頼んだでしょう? いつになったら持ってきてくれるんですか。使えない人ですね!」
P「……」
幸子「……プロデューサーさん? 聞いてますか?」
P「うるさい」
幸子「むっ……なんですかその口のききかたは。なってませんね」
P「……」
幸子「しょうがないですね、プロデューサーさんは。待っていてあげますからさっさと買って来てくださいよ」
P「……ジュースか」
幸子「えぇ、お仕事をかなり張り切りましたから、すっかり疲れてしまったんですよ。このままじゃカワイイボクの声が嗄れちゃいます」
P「……」ヒュッ
幸子「うわっ!? と、ととっ……なんなんですか! もう買ってあるならさっさと渡せばいいでしょう。投げてよこすなんて何を考えてるんですか」
P「……」
幸子「プロデューサーさん?」
P「ちゃんと渡しただろう。文句はないはずだ」
幸子「……ふん、もういいです」
P「……」
幸子「まったく、プロデューサーさんは何へそを曲げてるんですか?」
P「……そんなつもりはないが」
幸子「さては、カワイイボクのお付きとしてやっていく自信が無くなったとか……」
P「……!」バンッ!
幸子「ひっ……!?」
P「……別に意味はないがな。へそなんて曲げてない」
幸子「そ、そうですか。ふーん……」
P「……」
幸子「……な、なんで何も言わないんですか?」
P「何がだ?」
幸子「いつもだったら、仕事が終わったらねぎらいの言葉ぐらいはくれるじゃないですか。それはどうしたんです?」
P「……やめた」
幸子「な、なんでですか?」
P「別に。いつも通りだったからだ」
幸子「確かに、ボクはいつもカワイイしお仕事も完璧にこなしますけど……毎回の再認識が大切なんですよ?」
P「ふーん」
幸子「ふーん、ってなんですか! まったく、それでもボクのプロデューサーなんですか?」
P「そうだ。俺はプロデューサーだ」
幸子「だったら、仕事の出来を認めるぐらいできないんですか? ダメですね」
P「だから、必要以上にかかわるのはやめた」
幸子「えっ?」
P「プロデューサーの業務にジュースを買いに行くことなんて入ってない」
幸子「ア、アイドルの頼みを聞くのは当然の義務でしょう?」
P「そうかもな。だがもう我慢の限界なんだよ」
幸子「我慢……?」
P「……もういいだろ」
幸子「ま、待ってくださいよ! いきなりすぎて何が何だか」
P「うるさい!」バンッ
幸子「ひぅっ……」
P「……さっさと次の現場に行くぞ」
――
幸子「……プロデューサーさん、今回の仕事はどうでしたか?」
P「まぁまぁじゃないのか」
幸子「素直に、褒めてくれても構わないんですよ?」
P「いや、これぐらい普通にこなしてもらわなくちゃ困るからな」
幸子「それってつまり、ボクに期待してるってことですか?」
P「別に。どちらかといえばダメなほうだしな」
幸子「なっ……!?」
P「……」
幸子「このカワイイボクが、ダメなほうですって!? とんでもない暴言ですね!
P「実際そうだから仕方ないな」
幸子「ふ、ふーんだ! 何をへそを曲げてるのか知りませんけど、ボクがダメなんてありえませんね!」
P「そうか」
幸子「そうですとも!」
P「……」
幸子「な、なんですか。言いたいことがあるなら言ってくださいよ」
P「別に、何も」
幸子「……」
幸子「ふんだ……別にプロデューサーさんに褒めてもらわなくてもボクがカワイイっていうことは揺るぎようのない事実ですけどね」
P「そうか」
幸子「……な、なにがあったかは知りませんけど。へそを曲げてまともにプロデュースができなくなったりなんてオチはやめてくださいね」
P「……」
幸子「プロデューサーさん?」
P「あぁ、わかってる」
幸子「わかってるならもっときっちりした返事をですね……」
P「……」バンッ!
幸子「ひっ……い、いいですよ。別にもう!」
P「……」
――
P(うぅん、幸子にはいつもぞんざいな扱いを受けてたからなぁ……もっとインパクトのあることを……)
P(インパクトか……うーん)
P「……台バンした時の幸子の脅え方は可愛かったな」
P「その路線でいくか、うん」
P「……」
ちひろ(なんだかよくわからないけど、プロデューサーさんがすごく邪悪な笑みを浮かべてる……)
ちひろ(面白そうなことが起きる予感がビンビンしますよ!)
マジでごめん、寝落ちしてた
再開します
幸子「こっちと、こっち、どっちが似合うと思いますか?」
P「番組コンセプト的にこっちだな」
幸子「そうですか。ふーん……じゃあこっちにしておきます」
P「そうか」
幸子「……」
P「……」
幸子「ボクにはどっちも似合いますけど、プロデューサーさんがオススメするのでこっちにしてあげます」
P「そうか」
幸子「……」
P(明らかに不満そうだが、無視だな)
幸子「プロデューサーさん、今日のボクの仕事はどうでした?」
P「まぁまぁだな」
幸子「ふふん、ボクの仕事に目が肥えてしまったんですね? 仕方ない人ですねプロデューサーさんは」
P「あぁ、そういえば卯月は最近いい感じだな」
卯月「えっ……あ、ありがとうございます!」
P「うん。鼻が高いよ。頑張ったな」
卯月「はいっ! 頑張りました!」
P「今度ご褒美にケーキでも食いに行くか?」
卯月「い、いいんですか? やったぁ! ……で、でも幸子ちゃんは」
P「幸子はいいや」
幸子「……」
P(うらめしそうな視線。うむ、ゾクゾクくる)
幸子「プロデューサーさん、どうですかこの衣装!」
P「……」
幸子「ふふん、あまりの可愛さに声も出ませんか! しかたありませんね、存分に見とれてください!」
P「いや、微妙だな」
幸子「なっ……どこが微妙だっていうんですか!」
P「色合い。着こなし。ちょっと指示と違うな」
幸子「そんなこと言われても……」
P「まぁ、言っておくから脱いで戻しておけ」
幸子「……わかりました」
幸子「プロデューサーさん、今度のオフは暇ですか?」
P「オフ?」
幸子「えぇ、どうせプロデューサーさんは1人さびしく過ごすんでしょう? それならボクが一緒に」
P「悪いけど先約があるから」
幸子「なっ……い、いったい誰とですか?」
P「卯月とかな子」
幸子「……な、なんならボクがついていってあげても」
P「ごめん、ケーキショップの優待券3枚しかないから」
幸子「……ふ、ふんだ! じゃあいいですよーだ!」
P「そうか」
幸子「……ほ、本当についていってあげませんからね?」
P「そうか」
幸子「……」
幸子「プロデューサーさんはどうせご飯もろくなものを食べていないんでしょうね!」
P「は?」
幸子「ふふん、ボクはカワイイだけじゃなくて料理もできるんですよ。しかも優しいですから」
P「そうか」
幸子「この、ボクお手製のお弁当をわけてあげてもいいですよ!」
P「別にいらない」
幸子「まぁ、分けてほしいのならそれ相応の……え?」
P「だから、別にいらない」
幸子「な、なんで……」
P「俺、料理ぐらいならできるしなぁ。いいや」
幸子「……ふ、ふーんだ! このカワイイボクの手料理を食べるチャンスを自ら逃すなんて素直になれない人は可哀そうですね!」
P「そうか」
幸子「い、今なら分けてあげても……」
P「いらない」
幸子「……」
幸子「プロデューサーさん、喉渇いてるんじゃないですか?」
P「喉?」
幸子「ふふん、ボクはカワイイだけじゃなくて体調管理も万全なのでドリンクを持ち歩いてるんです」
P「そうか」
幸子「今日は暑いですからね。熱中症とか怖いでしょう? あなたがお願いするならわけるのも吝かでは……」
P「いや、俺も自分の分ぐらい確保してるから」
幸子「えっ……」
P「……それだけか?」
幸子「ふ、ふん! ボクのプロデューサーをしてるだけあって体調管理程度はできて当たり前ですよね! なら別にいいです!」
P「そうか」
幸子「……」
P(最近あまり関わらないようにしているが、幸子からの干渉が激しくなったな。うむ、可愛いぞ)
幸子「ふぅー、今日のお仕事は疲れましたね……」
P「……」
幸子「あー、流石にカワイイボクといえど、今日の収録はなかなかにハードでしたねー」チラッ
P「……」
幸子「あぁ大変だ、普段は持ち歩いてるボトルの中身がもうない……」
幸子「喉が乾いて大変だなぁ、どうしましょうか……」チラッチラッ
P(ふむ、前なら直接喉が渇いたから買ってこいとねだって来たのに遠まわしになったな)
幸子「このカワイイボクが、水分不足で倒れちゃうかもしれませんねー、どうしましょうか」
P(……だが……)
幸子「あー、喉が渇いたなー」
P「……」スクッ
幸子「あれ、プロデューサーさんどうしたんですか? ひょっとしてプロデューサーさんも喉が渇いてるとか……」
P「……」バンッ!
幸子「ひっ……!?」
P「……」
幸子「な、なんなんですか! なにか言いたいことでもあるんですか?」
P「……」
幸子「ちょっと、プロデューサーさん……?」
P「……」
幸子「な、なにか言ってくださいよ……」
P(可愛い)
P「……」
幸子「プ、プロデューサーさん」
P「……」
幸子「……」
P「……」
幸子「なんなんですか……なんで、ボクのことをないがしろにするんですか!」
P「なんのことだ」
幸子「なんのこと、じゃありませんよ!」
P「……」
幸子「うっ……」
幸子「……確かに、普段のボクはカワイイからってプロデューサーさんをないがしろにしてたかもしれませんけど……」
幸子「こんなに、ひどい扱いにすることないじゃないですか……」
P「……」
幸子「もっと、前みたいに……かまってくれてもいいんですよ……?」
P「……」
幸子「……」
P「幸子……」
幸子「プロデューサーさん……ボクだって」
P「くぁいい」
幸子「は?」
P「カワイイ」
幸子「プロデューサーさん?」
P「反省する幸子可愛い」
幸子「ま、まぁボクがカワイイのは知ってますけど、なんですか急に」
P「虐げていた事実を反省する幸子可愛い」
幸子「べ、別に虐げていたつもりは」
P「ジュース買ってこいとかパシリ代わりは辛かったけど可愛い」
幸子「う……」
P「普段素直に褒められることが少ないからひるんじゃう幸子可愛い」
幸子「も、もうっ! やめてください!」
幸子「なんだか今のプロデューサーさんは気持ち悪いですよ?」
P「そうか」
幸子「そうです! いくらボクがカワイイからって……」
P「だが、虐げられる幸子の可愛さは新鮮だったな」
幸子「なっ……」
P「一生懸命構って欲しくていろいろ遠まわしにアピールする幸子可愛い」
幸子「ち、違います! ちょっといろいろ気になっただけです!」
P「ふーん、そうか」
幸子「そうですとも! うぬぼれないでください!」
P「……幸子の作ったご飯って美味いのかなー」
幸子「うぐっ」
幸子「あれはボクが優しいからプロデューサーさんの体調を気遣って……」
P「そうか」
幸子「そうですとも!」
P「そうかそうか」
幸子「なんですか、気持ち悪い笑みを浮かべないでください! 不愉快です!」
P「幸子は俺のことを嫌ってるのか―」
幸子「そ、そういう意味じゃなくてですね……」
P「……あぁ、そういえば。この前いったケーキ店の優待券がここに2枚あるんだが」
幸子「へ、へぇ……?」
P「いやぁ、美味かったなぁ。今度は誰といこうかな……」
幸子「あ、相手がいないんですか? さびしい人ですね」
P「そうだなー」
P「どうしようかなー。この券もったいないなー」
幸子「1人でケーキショップなんて可哀そうな人にしか見られないでしょうね、どうするんですか?」
P「そこなんだよなー。どうしようかなー」
幸子「まぁ、どうしてもっていうならボクが……」
P「よし、今度はみくでも誘うかー」
幸子「!?」
P「……」
幸子「ま、前川さんはきっと甘いものとか……」
P「大好きって言ってたしなー。うん、それがいいかなー」
幸子「うぐぅ……」
幸子「ボ、ボクも!」
P「?」
幸子「ボクも……連れて行ってくれてもいいんですよ……?」
P「あー、券に余りが無くてなぁ……」
幸子「……」
P「さて、みくに電話を……」
幸子「待ってください!」
P「うん?」
幸子「……ボ、ボクもいきたいから……連れて行ってください……」
P「……うん、もちろん!」
幸子「や、やった……ってあれ? 券がいっぱい?」
P「そりゃあ仕事でもらったものだし、たくさん融通してもらったわけだよ」
幸子「なっ……」
P「言われなくても連れてく気はあった」
幸子「……!」
P「しかし素直な幸子は可愛いなぁ。ついいじわるしたくなる」
幸子「ふ、ふんだ! プロデューサーさんは本当に性格が歪んでますね!」
P「そうかなぁ」
幸子「ボクはどんな風だってカワイイに決まってるでしょう! なんなんですか、もうっ!」
P「何って、プロデューサーだけど」
幸子「そういうことを聞いてるんじゃありません!」
P「そうか」
幸子「そうです!」
P「まぁまぁ、今度買い物にも付き合うから許してくれよ」
幸子「……買いもの?」
P「なんなら欲しいもの買ってやるから。な?」
幸子「……ふーん……わかりました」
P「お、いいのか?」
幸子「えぇ。ボクが欲しいものはボクに似合うものすべてですから!」
P「えっ」
幸子「男に二言はないですよねぇ、プロデューサーさん?」
P「……」
幸子「あぁ、楽しみだなぁ……ふふーん♪」
P「財布、大丈夫かな……」
幸子「特に、トップアイドルの座なんかはカワイイボクにぴったりですよね♪」
P「えっ?」
おわり
寝て起きてから体調悪いの
書いてる内容が話題の反復横とびみたいになってきたし投げます
ごめんなさい
保守支援ありがとうございました
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