関裕美「河合塾?」輿水幸子「カワイイ塾ですよ!」 (94)

幸子「可愛くなれず悩んでいる裕美ちゃんに、ボクがカワイくなる術を教えてあげようと思うんです」

裕美「確かにわ、私……別に可愛くもないし……でも、教えてくれるなら……」

幸子「いいですよ。このボクが特別に、教えてあげます。ボクみたいにカワイくなれる秘訣をね!」フフーン

裕美「ありがとう! あ、あとね、同じように悩んでいる娘がいるんだけど、一緒にいい?」

幸子「いいですよ! ボクはカワイイだけじゃなくて、優しいですからね」フフーン

裕美「ありがとう。じゃあ、その娘達にも連絡しておくね」

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輿水幸子(14)

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関裕美(14)

幸子「わかりました。じゃあ、明日事務所で」

幸子「……」

幸子「あれ? 今、裕美ちゃん……『達』って言ってた?」

幸子「……まあいいか」

~翌日 事務所~


裕美「よろしくね、幸子ちゃん。あ、いえ、先生」

幸子「……え、ええ」

松尾千鶴「よろしくお願いします。私、可愛くなれなくて……でも、可愛くなれるなら……可能性があるなら……」

幸子「あ、は、はい」

裕美「どうしたの? 先生」

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松尾千鶴(15)

幸子「いや、裕美ちゃんや千鶴さんは、まあわかるんですよ。カワイイということに悩んでいるみたいでしたから。ですが……」

裕美「?」

島村卯月「私、頑張りますっ!」

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島村卯月(17)

幸子「キュートの大御所みたいな人が来てるじゃないですか! どういうことなんですか!?」ヒソヒソ

幸子「それが、卯月さんも色々と悩んでいるそうなの」

卯月「私、個性がないって言われていて……キュートらしい可愛さが少しでも学べるなら、ぜひ頑張りたいの!」

裕美「なんですって」

幸子「そ、そうですか。わ、わかりました。わかりましたよ。うん。卯月さんは、わかりました」

裕美「?」


諸星きらり「おにゃーしゃー幸子ちゃん。にゃははっ☆」


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諸星きらり(17)

幸子「なんでパッションの人が来てるんですか!」ヒソヒソ

裕美「きらりさんは、可愛いことが大好きなんですって」

きらり「そうだにぃ。きらり、もっともーっとにゃははでにょりりんって、かわいくおっきくなりたいにゃりんよ。にょわーっ☆」

裕美「なんですって」

幸子「言ってる意味は今ひとつわかりませんが、まあその熱意とやる気はわかりました。うん、わかりましたよ。それは。うん」

裕美「?」


市原仁奈「今日はぞうさんの、かわいい気持ちになるですよー! ぱおーでごぜーますよー!」


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市原仁奈(9)

幸子「もう存在そのものがカワイイ生き物が来てるじゃないですか!」ヒソヒソ

裕美「仁奈ちゃんはね、そもそも可愛いってどういう感じかわからないから知りたいって」

仁奈「そーでごぜーますよ。仁奈、かわいくなってアイドルとしてかがやきやがりたいんですよ」

幸子「そんな必要ない気もしますが、まあいいでしょう。わかりました。わかりましたよ、ええ。それはわかりましたとも」

裕美「?」


川島瑞樹「わかるわ」


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川島瑞樹(28)

幸子「大人の魅力がだだ漏れのクールの女性が来てるのは、いったいどういうことですか!」ヒソヒソ

裕美「瑞樹さんは、私もまだまだ可愛さを追い求めたいって」

瑞樹「わかいわ」

幸子「なにやら趣旨がよくわからなくなってきましたけど、まあ、それはいいでしょう。それは。ええ。それは」

裕美「?」


向井拓海「んで? どーやればなれんだよ、その可愛いってのによぉ! あぁ!?」


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向井拓海(18)

幸子「もはや方向性も何も、まったく真逆な人までいるじゃないですか!!」ヒソヒソ

裕美「拓海さんはね、本当は可愛い衣装とかステージに憧れてるんですって」

拓海「わ、悪いかよ////」

裕美「この間も楽屋で『ラブリーたくみんが、みんなのハートをキュンキュンさせたゃうんだから』って、練習しているのを見ちゃって」

拓海「言うなって! おいテメー幸子、知ったからにはぜってー可愛くしろよな!!」

幸子「わ、わかりました!」

裕美「じゃあ先生、よろしくお願いいたします!」

幸子(ど、どうしましょうか……裕美ちゃんは元が可愛いんだから、ちょっと自信をつけさせてあげるだけのつもりだったのに、こんな大ごとに……)

裕美「先生?」

幸子(こ、こうなったからには仕方ないですね、ともかくがんばらないと……)

裕美「?」

幸子「じゃあ始めますよ。全員、屋上へ!」

一同「「?」」

~屋上~


竹刀を手に持ち、一同に話しかける幸子。

幸子「みなさん。カワイくなるには体力や技術も大事ですが、それ以上に気力がものをいうということはわかってますか?」

裕美「気力……」

千鶴「ですか?」

幸子「気力とはなにかと言ったら、自信です。はい、卯月さんどうやったら自信がつくと思いますか?」

卯月「え……はい。やっぱりレッスンをすることじゃないかな?」

幸子「ヤレヤレ……そんなこといってレッスンがうまくいかなくて、自信をなくしたりしてたらしょうがないじゃないですか」

卯月「え……まあ……」

幸子「いいですか。いちばんてっとり早いのは、自分でかってに思いこむことです!!」

きらり「え……」

幸子「これからそのカワイイという気力を充実させるための、心がまえのトレーニングを始めますよ」

裕美「え……」

千鶴「心がまえ……?」

幸子「いいですか、いきますよ! 大きな声で後につづいてください」

卯月「?」

幸子「ボクって、カワイイ~~~!!!」

カワイー カワイー

カワイー

幸子「はい!!」ビシッ

きらり「にょ……」

仁奈「ボクって……カワイイでごぜーま……」ボソボソ

瑞樹「ボクってカワイイ~…」ボソボソ

拓海「ボクってカワイイ~~」ボソボソ

幸子「声が小さいですよ!!!」

バン★

裕美・千鶴・卯月・きらり・仁奈・瑞樹・拓海「「ボクって、カワイイ~~!」」

幸子「よ~~~し。次です!!! ボクって、最高ですね~~~!!!」

裕美・千鶴・卯月・きらり・仁奈・瑞樹・拓海「「ボクって、最高ですね~~!!」」

幸子「もう一回~~~!」

裕美・千鶴・卯月・きらり・仁奈・瑞樹・拓海「「ボクって、最高ですね~~!!!」」

幸子「は~い、この心がけを忘れちゃダメですよ!! ただし、あんまりカワイ過ぎると、その才能ゆえに孤独にさいなまれたり気が重くなったりしますからバランスをとるために、もうひとつ心がまえをやりますよ!!」

裕美「え……」

千鶴「ハアハアハア」

卯月「なんですか……もうひとつって……」

幸子「ボクって、バカですね~~~!!!」

ズルッ★
ガタガタ★

幸子「どうしました? いきますよ! はい!!」

裕美・千鶴・卯月・きらり・仁奈・瑞樹・拓海「「ボクって、バカですね~~!!!」」

幸子「もう一回~~~!」

裕美・千鶴・卯月・きらり・仁奈・瑞樹・拓海「「ボクって、バカですね~~!!!」」



裕美(う~ん。なんだか的を得ているような、得ていないような……)


~翌日~


P「どうした裕美!? 今日のレッスン、昨日までとはまるで別人みたいな可愛さだったぞ!!」

裕美「そ、そうですか?」

裕美(半信半疑だったけど、幸子ちゃんとの特訓が活きてきてるのかな?)

P「可愛いのは元々だったが、なんだか自信が見て取れたな」


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卯月「良かったね、裕美ちゃん」

P「卯月も、さらにキュートさに磨きがかかったな!」

卯月「え? あ、はいっ!」


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P「それに……」

きらり「おっすおっす、ばっちし! にゃははっ」

P「きらり、また身長が伸びたな」

きらり(! きっと幸子ちゃんとの特訓が活きてるんだにぃ☆ にゃははではぴはぴ☆)


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瑞樹「わたしは」

P「え?」

瑞樹「私はどうかしら?」

P「は、はあ、素敵ですよ。いつも通りに……」

ガーン……

瑞樹「かわらないわ……」ガクッ

P「瑞樹さん?」


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瑞樹「わかくならないわ……」

P「どうしたんですか?」

瑞樹「うう……」

P「?」

瑞樹「えーんえーん。みずき、わかくならないよう。うえーん」

P「え? もしかして瑞樹さん、幼児退行……」

瑞樹「みずき、なんだかかなしいよう」

仁奈「な、泣かないでくださいですよ。よ、よーしよしでごぜーます」ナデナデ

瑞樹「えへへ。おねいたん、やさしいね」キャハハ

P「こ、こういう仁奈と瑞樹さんも可愛いな」

仁奈「仁奈、かわいいでごぜーますですか?」

P「ああ!」

仁奈「うれしいでごぜーます!」


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拓海「よ、よぉ……」

P「ん? 拓海か。どうした?」

拓海「きょ、今日のアタシはどこか違わないか?」

P「拓海がか? いや、別に」

拓海「そ、そうか……」ガクー↓

P「いつも通り可愛いぞ」

拓海「そうだよな……え?」

P「可愛いぞ、拓海」

拓海「……////」↑↑↑


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千鶴「わ、私はダメよね。可愛くなれないし……ちょっと自信つけたぐらいでそんな……そんな……」

P「お、千鶴。急で悪いが準備してくれ」

千鶴「わかってたことよ。わかってた……え?」

P「急遽、バラエティに呼ばれた。字の上手い、可愛いアイドルをって要望でな。すぐ行くぞ」

千鶴「え? 可愛い? そんな……でも、可愛いから選ばれた? ほんと……?」


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上田「はい、それではくりぃむ背中の感覚クイズー! これからみなさんが着てるTシャツの背中に筆で文字を書いてもらいますので、なんと書かれたかを当ててください」

有田「これはね、俺は自信あるよ」

上田「ほうほう」

有田「敏感だから、俺は背中が」

上田「初耳だな」

有田「毛が生えてるしね」

上田「あーはいはい。そしてその文字を書いてくれるのはこちら、アイドルの松尾千鶴ちゃん!」

ワーワー

タカ「うおー! かわいい」

トシ「いやー、こんな番組のゲストにはもったいないね」

千鶴「か、かわいい……? かわいいって言われた? 今、言われた……?」

上田「千鶴ちゃんは、書道が得意なんだよね?」

千鶴「は、はい! 少しだけ自信があります」

タカ「千鶴ちゃん、俺の背中に『変態』って書いてくれー!」

トシ「なんでだよ!」バシッ

タカ「罵ってくれーー!!」

トシ「本物じゃねえかよ!」バシッ

千鶴「いいですけど、画数が多いと難しくないですか?」

上田「……真面目だね、千鶴ちゃん。アイツはほっといていいから」

千鶴「あ、はい」

上田「それじゃあ早速いきますよ、先ずは有田さんの背中に書く文字はこちら!」

『久保田和靖』

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久保田和靖

アハハハハハハ

千鶴「? あの、これはどういう意味なんですか?」

有田「え? なんで千鶴ちゃんが戸惑ってんの?」

上田「お前は振り返るな」バシッ

有田「あ、はい」

上田「では千鶴ちゃん、お願いします」

千鶴「わかりました。では、書きます」

スッスッススッスラスラスラーッスッスッスー

上田「え?」

スラスラスッスッスーッ

千鶴「できました」

上田「おおー。すごい、達筆!」

トシ「ちょっとこれ、このまま額に入れてもいいんじゃないの?」

有田「あの……ちょっといいです?」

上田「なに?」

有田「これ、画数すごく多くないですか?」

千鶴「画数というか字数ですね」

有田「え?」

千鶴「5文字あります」

上田「自信あるんだろ? 背中の感覚には」

有田「まあね。マッサージとか行くと、してもらうだけでマッサージ師の年齢とかわかっちゃうからね」

上田「え、マッサージ受けるだけでですか?」

有田「千鶴ちゃん本気にしないで」

千鶴「?」

有田「そのマッサージって、実はね」

上田「有田、千鶴ちゃんは15歳でしかもアイドルだからな。変な事言うと、すぐおまわりさん呼ぶから」

タカ「罵ってくれー!」

上田「お前の分はもう呼んだから」

タカ「やったー!」

トシ「なんで喜ぶんだよ」バシッ

有田「いやでも上田さん? 5文字は多いでしょ」

上田「でも! でも、そこは優しいこの番組だからヒントをあげます」

有田「あ、はい」

上田「書かれている言葉は、有田さんにすごく関係のある言葉です」

有田「え? 俺? ほんと? 千鶴ちゃん」

千鶴「え? そうなんですか?」

スタジオ内で待機中

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有田「あのー、千鶴ちゃんの反応が気になるんですけど」

上田「千鶴ちゃんは知らないかもね」

有田「千鶴ちゃんは知らなくて、俺に関係ある5文字の言葉……あ!」

上田「きましたか?」

有田「これでしょ……海砂利水魚!」

ブー★

有田「え……」

上田「あー、なるほどね。いやでも残念、正解は……ほら、振り返って背中を見ろよ」

有田「え、そんな発表方式なんですか? えーっと……読みにくいなあ、久保田……和靖?」

上田「はい、残念でしたー!」

有田「いやちょっと待ってくださいよ! これ、全然ぼくに関係ない言葉だと思うんですけど」

上田「不正解だった有田さんは、このままの格好で帰ってもらいます」

有田「ちょっとー! なんで俺が、久保田和靖って書かれたシャツ着て帰んなきゃいけないの!?」

上田「次の問題、タカ!」

タカ「うっす」

上田「タカの背中に、千鶴ちゃんに書いてもらう字はこちら!」

『変態』

アハハハハハハ

トシ「これ簡単過ぎじゃ無いですか?」

有田「ちょっとこれは簡単ですよ。俺なんて5文字もあったのに」

上田「あー、確かにね。じゃあちょっと変更」

『大変な変態』

アハハハハハハハハハハハハ

タカ「え? 何文字なんすか?」

上田「有田さんと同じ5文字にしました。じゃあ千鶴ちゃん、お願いね」

千鶴「あ、はい。タカさんごめんなさい」

タカ「え?」

スッスッススッスラスラスラーッスッスッスースラスラスッスッスーッ

千鶴「できました」

上田「これまた達筆だね」

有田「これほんと、このまま床の間とかにかけたいね」

タカ「え? ほんと?」

トシ「いや凄いよ千鶴ちゃん」

千鶴「そんな別に……たいしたこと……ことはないけど」

上田「字のきれいな娘は、よけいに可愛く見えるよね」

千鶴「可愛さと字は関係ないわ……でも……フフッ////」

上田「さあ、タカわかったか?」

タカ「わかりました!」

上田「おっ!?」

タカ「ここまでの話の流れと、そしてこの鋭敏なドM背中でわかりました」

トシ「ドMとかアイドルの前で言うな!」バシッ

千鶴「~~~////」
※聞いていません

上田「じゃあ……回答は?」

タカ「変態で大変!」

ブー

タカ「えっ?」

上田「はい、残念ー! 振り返ってみ」

タカ「大変な変態……合ってるじゃないですかー!?」

トシ「違うよ!」バシッ

上田「はい、というわけで正解者はいませんでした」

タカ「じゃあこれ、着て帰りますね」ウキウキ

上田「タカのこのシャツは、視聴者プレゼントです。はい、
応募先はこちらね」

タカ「えー!?」

P「良かったぞ、千鶴。共演のみなさんも、可愛くて楽しかったって評判だ」

千鶴「うそ……嘘よそんな……」

P「千鶴!」

千鶴「え……」

P「俺は千鶴に嘘は言わない。今日の千鶴は本当に良かったし、千鶴はかわいい」

千鶴「え? あ……」

P「自信を持て」

千鶴「……////」



幸子「ふう。一時はどうなることかと思いましたが、これでみなさん自信もついて結果も出て、満足してくれたでしょう」

幸子(……ちょっとホッとしましたよ。良かった……)



~翌日 事務所にて~


裕美「先生、今日も特訓をお願いしたいんだけど、いいですか?」

幸子「え? ま、またですか?」

千鶴「少しだけ自信がついたけど……さらに上を目指したいの」

卯月「がんばりますっ!」

きらり「きらり、きゃわわでがんばって大台を目指したいんだにぃ☆」

仁奈「きょうはクジラさんの気持ちになりやがるですよ! ほえーるですよ!」

瑞樹「おぎゃあ! ほんぎゃあ!」

拓海「幸子テメー! まだもっと可愛くなる方法を隠してんだろ!? ええ!!」

幸子(ぜ、前回でもうみんな納得したと思っていたのに……というか、みなさんみんなもう十分カワイイんですからこれ以上とか無理ですよ!)

若林智香「ひゃっほーう☆ 幸子ちゃん、それにみんな。応援に来ましたよっ☆」

幸子「あれ? 智香さん?」

智香「プロデューサーさんが、最近みんなの調子がいいのは幸子ちゃんのおかげだろう、って」

裕美「あ、わかってたんだ」

智香「なんだか幸子ちゃんが、みんなにやってるのに気がついてたって☆」

幸子(気がついていたなら、てつだってくれてもいいんじゃないでしょうか……)

千鶴「私たちのこと、よく見ててくれてるのよね」

智香「きっとまた特訓とかしてるだろうから、アタシに応援してやってくれって☆」

卯月「ありがとう、智香ちゃん!」

きらり「きらり、もっともーっとにょわわでがんばるー☆ すごいでしょーえへへー☆☆☆」

仁奈「もっとかわいくなりまくりやがるですよ!」

瑞樹「むにゃむにゃ」スースー

拓海「おう幸子、さっさと特訓を始めろよ!」

幸子(ひ、引くに引けない状況に……ええい! こうなったら……)

~都内某神社~


智香「? こんな所でなにをするのっ☆」

幸子「よ~し、それじゃいきますよ!! お腹の底から声を出すんですよ!!」

裕美・千鶴・卯月・きらり・仁奈・瑞樹・拓海「「はい」」

幸子「せえ~~~の~~~!!」

一同「「アハハハハハハハハ」」

智香「……」キョトン

幸子「だめです。だめです~~~!! もっと心の底から笑うんですよ~~~!!」

裕美「だ、だって先生~」

千鶴「おかしくもないのに、笑えませんよ~~~」

幸子「おかしくなくても、笑うんです!」

卯月「いったいなんのトレーニングなんですか、これは」

幸子「いいですか、よく聞いてください。オーディションは、実力だけでは勝てないこともあります」

卯月「それは……」

きらり「そうだよねー。うんうーん☆」

幸子「微妙な気の流れ、つまり『運』というものもバカにはできませんからね」

仁奈「それは……」

拓海「そうかも知れねえけど……」

幸子「そこでボクは、どうしたら運がつくか。きのう寝ないで考えたんですよ」

智香「?」

幸子「そこでボクは、あるお言葉を思いつきました」

裕美「そ……それはなんですか……」

幸子「笑う門には福来る、ですよ」

智香「!☆?☆」ドンガラガッシャーン

千鶴「そ……」

卯月「それじゃその言葉を、そのまま実行してるだけなんですか……?」

幸子「つべこべ言わないでください!! そんじゃもう1回いきますよ。せえ~~~の~~~」

一同「「きゃはははははははは」」

幸子「よ~~~し、それじゃあスタジオに戻ってレッスンですよ~~~」

裕美・千鶴・卯月・きらり・仁奈・瑞樹・拓海「「はいっ」」

智香「特訓の内容ははっきりわかんないけどっ、みんな一生懸命みたいだからこれでいいのかなっ☆」

P「裕美……最近は本当に自信がでてきたな」

裕美「はいっ! 私、笑顔がなにかわかった気がします」

P「千鶴も。ずいぶんと丸くなったな」

千鶴「こうしてアイドルやっていけるのも……自信が……その少しだけできたわ」

P「卯月はもう、キュートの重鎮と言ってもいい貫禄が出てきたぞ」

卯月「がんばりますっ!」

きらり「おっすおっす! ばっちし☆」

P「きらり……また伸びたな。身長」

瑞樹「また楓おねーさんとおはなししてたのー。うけるわ」

P「……かわいい」

仁奈「今日は、らいらっくぶれすてっどろーらーのきもちになるですよー!」

P「仁奈もまた一段と可愛いキグルミだな。あきらかにバージョンアップしてるな」

拓海「よお……」

P「拓海も可愛いなあ。もういっそ、キュートに路線変更するか?」

拓海「な、お、ま、ば、な、なに言ってたんだよ////」

P「幸子の特訓のおかげ……だな」

幸子「ボクは別になにも。みんながそれぞれがんばったからですよ」

P「そんなことはない。幸子のおかげで、みんな自信がついたみたいだ」

幸子「そ……そうですか?」

P「今までは、俺がなんでもやりすぎてたのかも知れないな。教える側と教えられる側、共に研鑽していけば最高だな」

智香「みんな一生懸命で、アタシ嬉しいですっ☆」

P「今回は、幸子に教えられたよ」

幸子「ま、まあボクにかかればこんなものですよ」フフーン

双葉杏「あー……働きたくない……」

P「……いい機会だ。おい、杏。新人のレッスンをみてやってくれ」

杏「あー? なんで私が……?」

P「自分はやらなくていいんだから、いいだろ?」

杏「……それもそうか。人にやらせて自分は寝てればいいんだから……やるよ」ノソノソ

P「しっかり指導してやってくれよ」

杏「あー……い」ズルズル

幸子「大丈夫なんですか?」

P「大丈夫さ。幸子もわかったろ、人に何かを教えるって責任感がつきまとうものさ」

幸子「それは、まあ」

P「杏も後輩に教えることで、勤労意欲をもってくれるさ! きっと!!!」

幸子(それは……)

智香(どうなのかなっ?)

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双葉杏(17)

~レッスンスタジオ~


森久保乃々「もう……帰りたいんですけど……」

大沼くるみ「ぐすっ……」

鷺沢文香「勝山実さんの『安心ひきこもりライフ』……興味深いです……」

星井美希「あふぅ……」

北条加蓮「アタシ特訓とか練習とか下積みとか努力とか気合いとか根性とか、なんかそーゆーキャラじゃないんだよね。体力ないし」

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森久保乃々(14)

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大沼くるみ(おっきい)

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鷺沢文香(19)

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星井美希(15)

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北条加蓮(16)

杏「あー……今日から杏がレッスンコーチだから。じゃあ全員とりあえずてきとうに、発声練習してみて」

乃々「あ……」

くるみ「あめんぼ……」

文香「あかいな」

美希「あいうえお」

加蓮「隣りの客はよく牡蠣食う客だ!」

杏「こらあっ!! そんな発声練習じゃだめだ!!」

加蓮「はあ……」

美希「それは……」

文香「なぜですか?」

杏「疲れるだろ」

くるみ「そ、そうか」

乃々「なるほどなんですけど……」

杏「これからは杏が色々と教えてあげるから、みんな杏を目指すといいよ!!」

乃々・くるみ・文香・美希・加蓮「「はい!!」」

~次の日~


乃々「この『ラブコンTWO』っていう少女漫画、最高なんですけど……」ヨミヨミ

くるみ「うつぶせにねようとしてるのに、なんでかあおむけになっちゃうよお」グスグス

文香「……」ペラペラ

美希「あふぅ……」スヤスヤ

加蓮「んーどうかなー?」ヌリヌリ

杏「(-_-)゜zzz…」

P「……」

幸子「やつぱり教える側も、ちゃんとした覚悟や責任感がないと駄目なんですよ」

P「……だな。俺が間違っていた」

※参照画像『ラブコンTWO』
http://i.imgur.com/el0cEpA.jpg

幸子「じゃあボクはこれで」

P「待て! 幸子」

幸子「? なんですか?」

P「ここにいる6人の更正を頼む」

幸子「え? い、いやもう、そういう責任のあることは……」

P「この間、みんなのやる気を引き出した手腕で頼む!!」

智香「アタシも応援するからねんっ☆」

P「もういっそ事務所のアイドル全員、レッスンをよろしく頼む!!!」

幸子「た、たすけてくださーーーいいい!!!」


お わ り

以上で終わりです。おつきあいいただきまして、ありがとうございました。

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